2000(平成12)年11月


1日■地下鉄東西線西伸 一部高架化が割安 近畿運輸局試算 建設費2800億円(京都)
  ■架線事故、74本が運休 JR三田駅 3万6000人の足に影響(朝日)
  ■「代替バスが遅い」JR三田駅架線事故 通勤・通学客、混乱(朝日)
2日■オウム手配容疑者逮捕へ 「面」かぶり協力訴え 堀川署(京都)
  ■職員削減、5年で1000人 京都市 財政再建へ「改革大綱」 敬老乗車証見直し サービスの低下が懸念(朝日)
  ■廃材燃え電車に遅れ 処理会社を業務停止に 京都市命令(朝日)
  ■JR貨物に救済命令 昇進差別認める 地労委(朝日)
  ■息子事故死で「PTSDに」 南海電鉄など訴える(京都)
  ■目の前で6歳息子、交通死 母「心的障害」と提訴 南海電鉄に賠償求める(朝日)
3日■秋の叙勲 4632人 勲一等に井上参院議長ら 民間受章者、3割超す(京都)
  ■阪急京都線で故障 夜までダイヤ乱れる(京都)
  ■西日本の大雨 大阪で1人死亡 鳥取など土砂崩れ(朝日)
  ■落雷で信号故障 JR阪和線(朝日)
4日■次世代公共交通 初の実用化 無人バスの隊列 淡路島に出現へ 専用道を磁石走行 農村型施設 来春に導入 決め手は低コスト(京都)
6日■中書島 京阪特急終日停車4ヵ月 駅前商店街 客の増加、当て外れ 効果生かし 活性化本腰(京都)
7日■淀城跡を核にまちづくり 公園、周辺の交通網など整備 調査発表 中学件も参加へ(京都)
  ■ニュースのことば JRの不採用問題 「4党合意」のめず暗礁に(朝日)
8日■世紀の面影 70 京都の東の玄関口誕生 1921年 JR山科駅(京都市山科区安朱) 砥之粉の運び出しで活況(京都)
  ■採用差別訴訟 二審もJR責任認めず 東京高裁 中労委側の控訴棄却(朝日)
  ■採用差別訴訟 国労に重い衝撃 JR側の責任 二審も認めず 「政治解決しか…」(朝日)
9日■JRバスの運行妨害 西陣署、容疑の男逮捕(京都)
  ■駅 集客力アップへ 人気専門店続々 JR西日本 医薬品・パソコン・衣料品… 関西私鉄も知恵(朝日)
  ■新快速電車が240b行き過ぎ 滋賀、JR守山駅(朝日)
  ■日帰りスポット 梅小路蒸気機関車館(京都市下京区観喜寺町) 全国唯一の専門博物館 家族で一緒に楽しめる(京都)
  ■初乗り200円に値上げ 大阪モノレール申請(朝日)
10日■カッタンコットン 高座は走る 京都・太秦 京福電車(朝日)
11日■窓 京に路面電車 復活を心待ち 中京区・藤原辰三郎(自営業・75)(京都)
  ■南海脱線 運転士を書類送検 業過往来危険容疑(朝日)
  ■駅員、1000万円を着服 北新地駅、付近飲み歩く(朝日)
12日■山岳鉄道火災170人死亡 オーストリア・アルプス トンネル内出火 大半 子供と若者(京都)
  ■山岳鉄道火災 険しい地形、救助阻む 満員、重量オーバー?(京都)
  ■JR不採用 4党合意の受諾促す ILO勧告案判明 公正な補償求める(京都)
  ■愛好家、51両持ち寄る ミニSL乗車 子らに人気 福知山市でフェスタ(京都)
  ■早くも マス 巨大ツリー点灯 JR京都駅ビル(京都)
  ■山岳列車火災170人死亡か オーストリア トンネル内スキー客ら(朝日)
  ■満席の列車に火煙 アルプス山岳列車火災 氷河リゾート暗転(朝日)
  ■古都はクリスマス気分 京都駅ビルのツリーに点灯(朝日)
13日■オーストリア ケーブルカー火災 155人死亡と発表 邦人乗客10人、絶望か 福島県の中学生ら 捜索作業なお難航(京都)
  ■ケーブルカー火災 スキーにかけた夢 暗転 狭いトンネル「煙突」 瞬く間に猛煙と炎(京都)
  ■ケーブルカー火災 日本人乗客10人 絶望視 スキー部中学生ら 慶応大の女子学生も(朝日)
  ■オーストリア事故 希望の強化合宿 暗転 スキー上達を夢見て 福島・猪苗代中 「確認されるまで…」(朝日)
  ■素粒子(朝日)
14日■社説 アルプスの惨事を繰り返すな(京都)
  ■新世紀へ記念列車 JR西日本 年越しで 懐かしい機関車も(京都)
  ■山岳鉄道火災 トンネル内46遺体収容 邦人家族、現地入り(朝日)
  ■除夜の汽笛が列島をリレー 青函連絡船 世妃に別れ 函館→青森→東京→長崎(朝日)
  ■無事なら答えて ケーブルカー火災 不明邦人の家族 娘の名を呼ぶ母(京都)
  ■「駅にエレベーター」年間予算 赤字の大阪府1駅分 ケタ違いの少額(朝日)
  ■山岳鉄道火災 66遺体を収容(朝日)
15日■ケーブルカー火災事故 90人の遺体収容 トンネル手前で火災?(京都)
  ■山岳鉄道事故 トンネル手前で出火 90遺体収容 家族「早く鑑定を」(朝日)
  ■運賃表 誤って表示 JR東海 京都駅など17駅66区間(朝日)
16日■運賃誤表示 JR東日本で計 279駅 JR東海 京滋でも2駅3区間(京都)
  ■京都市バス 少女置き去り 局長ら16人処分 運転手は停職15日間(京都)
  ■ブレーキ油の漏れで発火? ケーブルカー火災(朝日)
  ■JR東日本279駅に 東武鉄道などでも運賃誤表示(朝日)
  ■知的障害児放置 運転手を停職 京都市バス(朝日)
  ■山中に響く悲しみの鐘 ケーブルカー火災現地で追悼式(朝日)
17日■普通列車の一部 ワンマン運転に JR西日本福知山支社(京都)
  ■山陽新幹線 会計検査院が異例の指摘 高架46% 想定超す劣化 補修に280億円必要(朝日)
  ■「おみやげ話待っててね」 事故2日前投かんのはがき届く ケーブルカー火災の山口奈央さん(朝日)
  ■運賃表示ミスで運輸省 チェック体制強化など指示(朝日)
  ■軌道上の潤滑油、原因? ケーブルカー火災事故 化学分析結果公表へ(京都)
  ■米版「新幹線」お披露目 ワシントン−ボストン 最高時速は240`(京都)
  ■にっぽん駅弁紀行 1 林 順信 JR水戸・黄門弁当 夏にうれしい梅酒付き(京都)
  ■補修の8割「問題なし」 山陽新幹線のコンクリ劣化 直前の検査、不十分(朝日)
  ■犠牲者名簿と現場映像公開 ケーブルカー火災(朝日)
18日■運賃誤表示 JR西日本でも122駅 京滋9駅で取り過ぎ 98年 公表せず(京都)
  ■「組織的な逆キセルだ」 田中知事がJRしかる 運賃表示誤り(京都)
  ■学割回数券を発売 叡電、来月から(京都)
  ■ケーブルカー火災事故 鳴りやまぬ鎮魂の鐘 追悼式 3000人、悲しみ新たに(京都)
  ■JR西も誤表示122駅 運賃「1620円」実は290円 2年前、94駅ひそかに訂正(朝日)
  ■JR採用問題の4党合意 ILO、受け入れ勧告(朝日)
  ■ケーブルカー火災 大聖堂で追悼礼拝 ザルツブルク(朝日)
  ■天声人語(朝日)
  ■JR西日本 運賃誤表示 抗議受けリスト出す 「不正請求も」と当初拒む(朝日)
19日■社説 乗客の信頼裏切る運賃誤表示(京都)
  ■東海道線特急 男性はね停車 近江八幡、8本遅れ(朝日)
20日■JR西日本 誤表示リストにも誤り 運賃表 全1231駅で再調査(朝日)
  ■運賃誤表示でJR西 フリーダイヤル設置(朝日)
  ■戸袋にかばん 26本が運休 JR環状線(朝日)
21日■JR西日本 運賃誤表示 新たに40駅、78区間(京都)
  ■JR西は微増収増益に(京都)
  ■JR西日本 8万円払い戻し例も 運賃誤表示 全国では567駅に(朝日)
  ■JR西日本 増収増益に(朝日)
  ■六甲オリエンタルホテル 阪神電鉄が営業を譲渡(朝日)
  ■ODAのタイ送水・鉄道事業 円借款45億円 効果に疑問 工事遅れ影響 検査院が指摘(京都)
  ■新幹線、始発から混乱 品川信号場 ポイント故障、運休も(京都)
  ■ポイント故障 ダイヤに乱れ 東海道新幹線(朝日)
  ■坊っちゃんSLに乗る JR松山−宇和島間(朝日)
22日■ラッセル車試運転 JR西日本福知山支社(京都)
  ■運賃誤表示 JR西日本 社長が陳謝 「誠実さ欠く仕事」(京都)
  ■USJに2500組招待 JR西日本が抽選で(京都)
  ■「JR他社と対策講ずる」 誤表示で西日本社長(朝日)
  ■ニュースの視点 ケーブルカー火災 邦人遺族に心のケア必要 梅原季哉(ウィーン支局長)(朝日)
  ■論壇 国労判決は団結への「挽歌」 花見 忠 前中央労働委員会会長 上智大学名誉教授(朝日)
  ■西宮−関空のバス路線申請 阪急など5社(京都)
  ■乗客けんか? ガラス割れる JR関西線(朝日)
  ■今日的遺跡探検 1960年 ビスタ・コーチ 通勤用でもワンマン化できず(朝日)
23日■平日にも100円バス 来月に運行実験 京都市交通局 利用客数や交通量探る(京都)
  ■近鉄が点字の運賃表示誤る(京都)
  ■JR園部駅周辺の用途変更など可決 府の都計審(京都)
  ■KTRで冬の丹後へ 臨時列車など発表 年末年始に上下で6本(京都)
  ■京都新世紀 東西線 喜び、ため息 京都市中心部へのアクセス向上 駅までの足、充実が課題(京都)
  ■窓 駅周辺の放置撲滅するには 右京区・三村 公人(会社顧問・60)(京都)
  ■自動券売機の点字表記誤り 近鉄の50駅(朝日)
24日■JR奈良線一時不通 電車故障、3700人影響(京都)
  ■特急に飛び込み死亡(京都)
  ■ケーブルカー火災事故 新たに5邦人も判明 遺族、対面へ現地入り(京都)
  ■関西線では踏切異常(京都)
  ■JR東海道線 ドア故障、遅れ(朝日)
  ■JR駅ビルに市営の託児所 和歌山、来月末開設へ(朝日)
25日■点字運賃表、誤り 大阪・横浜市地下鉄で 南海電鉄も(京都)
  ■タンクローリー 車と嵐電が衝突 太秦の踏切(京都)
  ■終電乗り遅れても半額で泊まれます 1日から 定期券客対象に 近鉄系3ホテル(京都)
  ■御堂筋線が15分止まる 「線路に人」通報で(朝日)
  ■電車ゴッツン 灯油貨物横転 右京、踏切で脱輪(朝日)
  ■南海の券売機 点字に誤表示 北大阪急行運賃表も(朝日)
  ■大阪市営地下鉄も(朝日)
  ■山陽新幹線 高架橋からコンクリ片 防護作業の対象個所(朝日)
  ■検証 JRで相次ぐ運賃誤表示 ミス素通り 対策鈍行 疑問解かず払戻し ずさん管理?客置き去り(朝日)
  ■全員の身元確認 ケーブルカー火災 犠牲の日本人(朝日)
  ■人身事故で一時不通に 神戸市営地下鉄(朝日)
  ■電車と車衝突 けが人なし 奈良・高取町(朝日)
  ■夢 グラフウィークリー 100年 人と街と(朝日)
26日■JR西社員相次ぎ”暴走” 勤務中 のぞきや飲酒(京都)
  ■青鉛筆(朝日)
27日■ひかり運転席ガラス割れる 山陽新幹線(京都)
  ■廃食用油バス 長田を走行 神戸大と京大・阪大 低コスト化実現 30日、環境に配慮アピール(京都)
  ■女性はねられ死亡 交野のJR片町線(京都)
  ■ひかり運転席 ガラス割れる 岡山・備前で新幹線(朝日)
28日■コンクリ片が落下 東山トンネル 運行に影響はなし(京都)
  ■JR西日本 運賃誤表示 訂正未公表分さらに(京都)
  ■JR京都駅−高松駅 高速バスを4社運行 来年3月下旬から(京都)
  ■きょうから縦覧 意見募集開始 東西線西伸環境アセス(京都)
  ■窓 優先座席より譲り合う心を 左京区・橋本 守(ライター・35)(京都)
  ■JR5社 誤表示747駅1700区間 255駅、運賃取りすぎ 650円区間、970円高く(朝日)
  ■神戸電鉄、精算機にミス 山陽電鉄は点字表示に(朝日)
  ■JR東海道線トンネル内 コンクリート 線路上に落下(朝日)
  ■100円バス 需要起こせ 「動く歩道」と呼ばれたい 京都市交通局 平日にも運行へ・来月の第1周 運行間隔を短く・5分ごとに(朝日)
  ■酔った警察官新快速止める JR六甲道駅(朝日)
29日■東西線工事の追徴で市民団体が措置請求 市長らに補てん求める(京都)
  ■JR西社長ら25人を処分 運賃誤表示問題(京都)
  ■期限切れ? 京都市バス1年定期券 勘違い相次ぐ 従来定期と酷似 デザイン変更へ(京都)
  ■誤表示隠ぺい 社長追認 JR西 首脳ら25人処分(朝日)
  ■「農林共済財政 JRより良い」 年金一元化議論で農水(朝日)
  ■鉄道建設の協力を確認 南北軍事実務協議(朝日)
30日■ホテル、流通も不調 近鉄、赤字に(京都)
  ■高速鉄道の将来像 国際会議で議論(京都)
  ■ICチップ利用 きっぷ・定期券代わり 改札は携帯でスルー JR東日本、実用化めざす(朝日)
  ■役員報酬は業績連動で JR東日本が中期計画(朝日)
  ■JR九州が 上場見送り(朝日)
  ■7人が無言の帰国 ケーブルカー火災犠牲者 成田空港(京都)
  ■会計検査院報告 新幹線トンネル検査法にも言及(京都)
  ■日帰りスポット 福知山鉄道館ポッポランド(福知山市下新町) 背丈超えるSLの巨大動輪(京都)
  ■信号機故障で地下鉄に遅れ 御堂筋線(朝日)



1日■地下鉄東西線西伸 一部高架化が割安 近畿運輸局試算 建設費2800億円
 運輸省近畿運輸局は31日、京都市が計画している地下鉄東西線二条−洛西間(約10`)の延伸事業に関する「都市鉄道調査」の結果を発表した。概算建設費について、全線地下方式が約3100億円、市がすでに事業化方針を決めている天神川(右京区)以西を一部高架化する場合が約2800億円と初めて試算し、同区間を一定の採算が見込める路線とした。また事業の進め方では、市の財政負担を軽減するため、天神川までを優先して整備する段階的な手法が適当とする結論を示した。
 調査は、運輸省が全国11の鉄道路線の計画区間で事業の有効性を計るため実施している。東西線については、識者や運輸省関係者らでつくるワーキンググループ(座長・青山吉隆京都大工学研究科教授)が担当した。その中で用地の取得が比較的容易な郊外の洛西ニュータウン付近で、一部高架化することを検討した。
 それによると、一部高架化によってトンネル掘削や地下の駅施設、車庫に要する費用が浮くため、約300億円も安く建設できることが分かった。
 また、2010年度時点で1日当たりの乗客を15万6000人と予測した。これをもとに計算すると、一部高架化で同区間の経常赤字は、全線地下方式よりも7年早く、27年目に単年度黒字に転換できると算出した。運輸省は新規路線について開業後40年での収支均衡が適当としている。
 この結果、国の補助制度を見込むと、二条−洛西間の採算性は確保できるとし、早期事業化と建設費削減のため、天神川を分岐点とする段階的整備が有効とした。二条−天神川間は、市が2007年開業を目指して事業化の方針を打ち出し、運輸省も同区間の事業費を来年度の概算要求に盛り込んでいる。調査結果を受けて桝本頼兼市長は「東西線の西伸に向けて、一層前進したと受け止めている。今後、来年度の国家予算案に盛り込まれるよう全力をあげる」と話している。(京都新聞)
■架線事故、74本が運休 JR三田駅 3万6000人の足に影響
 1日午前6時50分ごろ、兵庫県三田市駅前町のJR福知山線三田駅構内で、大阪発福知山行き下り普通電車(4両編成、乗客約150人)が発車しようとしたところ、事故表示灯がつき動かなくなった。点検のため3両目にあるパンタグラフをいったん下げ、再び架線に接触させた瞬間、パンタグラフ付近の架線が焼き切れた。同時に3両目の車体下部から火花が上がり、車体の側面を幅約1.5b、高さ約2.5bにわたって焦がした。けが人はなかった。
 この事故で、三田駅をはさんで宝塚−広野間で上下線とも運転を見合わせ、宝塚−大阪間で折り返し運転をするとともに、三田駅で接続する神戸電鉄などで代行輸送した。架線は午前10時50分ごろ復旧し、午後零時7分、運転を再開したが、午後までダイヤは大幅に乱れた。午前10時現在、上下線合わせて74本が運休し、ちょうど朝の通勤・通学の混雑持と重なり、約3万6000人に影響が出た。
 JR西日本は何らかの原因で大きな電流が流れ、車両の故障でその電流が制御できずにショートしたとみている。(朝日新聞 夕刊)
■「代替バスが遅い」JR三田駅架線事故 通勤・通学客、混乱
 1日早朝、兵庫県三田市内のJR三田駅構内で起きた架線切れ事故は、朝のラッシュ時だっただけに、大阪や神戸方面へ向かう多数の通勤・通学客が足止めされ、午前中いっぱい混乱が続いた。
 三田駅では午前7時ごろから通勤・通学客らが詰めかけ、構内は払い戻しを求める客らで混雑した。携帯電話で連絡を取る姿も目立った。改札口付近には「架線切断車両事故のため、運転の計画が立てられません」と書かれたボードが置かれ、代替バスの乗り場や神戸電鉄での振り替え輸送を案内する放送が流れた。駅近くの踏切の遮断機が一時下りたままになり、周辺の道路も渋滞した。
 事故で三田駅に停止した電車に乗っていた兵庫県春日町の会社員(61)は「(1つ前の)道場駅を出てすぐに室内灯が消えた。三田駅から出ようとしたとき窓の外に炎が上がるのが見えた。しばらくしてドーンと大きな音がして、溶けたような架線が垂れ下がってきた。車内は学生でいっぱいだった」と話した。
 JR西日本は事故の約1時間半後からバスの振り替え輸送などで大阪や神戸方面への乗客をさばいたが、神戸市北区の会社に通う兵庫県尼崎市の男性(56)は「代替バスに乗るのに2時間以上も待たされた。対応が遅すぎる」。尼崎市から三田市へ通勤してきた公務員(43)は「尼崎駅で(福知山線が)不通になっているのを知り、阪急電鉄から神戸電鉄へ乗り換えたが、1時間半も遅れた。早く復旧してもらわないと困る」と足早に勤務先へ急いだ。
 ふだんから阪急宝塚駅からJRへの乗り換え客らで混雑する兵庫県宝塚市のJR宝塚駅では、構内や駅前に3、400人があふれた。切符を払い戻し、阪急やバスに乗り換えて会社や学校へ急ぐ人の姿も目立った。
 JR大阪駅構内では、架線事故が起きた三田駅方面に行く乗客に「三田方面の旅行を中止してください」と放送で呼びかけたが、大きな混乱はなかった。(朝日新聞 夕刊)
2日■オウム手配容疑者逮捕へ 「面」かぶり協力訴え 堀川署
 指名手配容疑者の逮捕への協力を呼びかけようと、堀川署は1日、京都市下京区内で啓発活動をした。署員たちがオウム真理教(アレフに改称)による事件で特別手配した容疑者にふんし、情報提供を求めるビラを配った。
 全国一斉の指名手配容疑者の捜査強化月間が、この日に始まったのに合わせ、同署が企画した。署員や府警平安騎馬隊員の20人のほか、堀川暴力対策協議会のメンバー10人が参加した。
 この日、四条大宮駅発の京福電鉄の電車内には、オウム真理教の平田信容疑者と菊池直子容疑者の面をつけた署員が乗り込み、「私の顔を見かけたら、警察に通報を」と乗客にティッシュペーパーやビラを配った。(京都新聞)
■職員削減、5年で1000人 京都市 財政再建へ「改革大綱」 敬老乗車証見直し サービスの低下が懸念
 深刻な財政悪化に陥っている京都市は1日、今後5年間で職員の1000人削減、3外郭団体の整理統合、事業の大幅な見直しなどを柱とする「新世紀市政改革大綱」案を発表した。事業見直しでは、110の具体的な項目(1次案)を挙げており、市税減免措置や市バス・地下鉄の敬老乗車証(70歳以上は運賃無料)が対象になっている。学童クラブの有料化、文化事業の凍結・廃止なども含まれており、行政サービスの低下につながらないか、議論を呼びそうだ。
 市では、3年後に財源不足が500億円を突破する見通しで、大幅な財政再建策に迫られていた。今回の改革で5年間で500億円の財政効果を見込んでいる。今後、計画について市民の意見を募った上で、12月末に正式決定する。事業見直しについては、来年2月に2次案をまとめ、3月に確定させる。
 人員削減は新規採用の抑制で対応する。外郭団体は、JR二条駅前再開発を担当する「京都二条開発」や「土地区画整理協会」の統廃合などを検討する。
 市は、行政サービスの公益性を数値で判断する「市民と行政の役割分担評価」システムを導入。公益性が低い▽民間委託で可能▽受益者負担が相当▽導入当初の意義が失われている−と判断された事業を見直しの対象にした。
 その結果、京都会館や西京極総合運動公園の運営の外部委託、市美術館、動物園などの一部業務の委託や、青年の家・青少年活動センターの再編、都心部の小規模学校の統廃合、乳児保育所と幼児保育所の統合などを打ち出した。
 桝本頼兼市長は「これまで、公益性についてグレーゾーンにあるものまで行政サービスに取り込みすぎた。市民と行政の役割分担を考え直し、思い切った見直しが必要だと判断した」としている。
 大網案と事業見直し一次案についてまとめた冊子は、2日から市本庁舎の情報公開コーナーや区役所・支所で無料で受け取れる。冊子には、意見を募るための用紙が添付されている。(朝日新聞)
■廃材燃え電車に遅れ 処理会社を業務停止に 京都市命令
 伏見区横大路下三栖宮ノ後で8月、建築廃棄物処理会社「國陽」の廃材置き場が燃え、近くを通る京阪電車に遅れが出た事故で、京都市は1日、廃棄物処理法に基づき、同社に1ヵ月間の業務停止と焼却施設の使用停止を命じた。
 市環境局によると、同社は、廃材の保管量を約67d以内として市の許可を受けていた。しかし、廃材置き場にはその10倍近い量の廃木材を積んでいた。また、1日の処理能力が4.8d以内と定められた焼却炉で、それを大幅に超える量の処理をしていた。
 火災は8月26日にあり、廃材1400立方bが焼けた。すぐ北側を走る京阪本線に煙が流れ込み、9本の列車に最大10分の遅れが出る影響が出た。(朝日新聞)
■JR貨物に救済命令 昇進差別認める 地労委
 JR貨物関西支社(大阪市)が、国鉄労働組合近畿地方本部の組合員17人に対して昇進差別をしたとして、同組合が起こしていた救済申し立てについて、大阪府地方労働委員会は1日、「関西支社は国労の弱体化を狙って組合員の昇進を故意に遅らせた」と、同組合の主張を部分的に認める救済命令を出した。国労は、組合員への昇進差別について東京都と神奈川、富山両県の労働委員会に同趣旨の救済申し立てをしているが、命令が出たのは今回が初めて。(朝日新聞)
■息子事故死で「PTSDに」 南海電鉄など訴える
 1人息子=当時(6つ)=がバスにひかれ死亡したのを目の当たりにしたのが原因で、心的外傷後ストレス障害(PTSD)になったとして、母親(36)が2日、バス運転手と南海電鉄(大阪市)に約5500万円の損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こした。
 訴えによると、1998年1月13日午後1時すぎ、大阪府堺市内の交差点で、青信号を自転車で渡っていた息子は、右折するバスにひかれ、間もなく死亡。母親はひかれる瞬間をすぐそばで目撃した。
 母親は、強い恐怖心、無力感、「なぜ助けられなかったのか」との自責の念に悩まされ、息子の死が受け入れられず探し回ったり、気が付くと事故現場にいたりすることが多かった。
 無意識の自傷行為や、救急車のサイレンの音を聞いたりバスを見ただけでフラッシュバックによるパニックが起こるようになり、咋年5月にはPTSDと診断された。夫とも離婚したという。
 母親側は「外出、人とのかかわりを持つのは極めて困難」と、就労できないことによる逸失利益、PTSDによる精神的損害などを求めている。(京都新聞 夕刊)
■目の前で6歳息子、交通死 母「心的障害」と提訴 南海電鉄に賠償求める
 「目の前で起きた交通事故で一人息子を亡くし、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症して、1人で日常生活を送れないなどの後遺症が出た」として、大阪府堺市に住む松本良美さん(36)が事故を起こした南海バスを運行する南海電鉄と運転手を相手に約5500万円の賠償を求める訴訟を2日、大阪地裁に起こした。
 PTSDが原因と主張する同種の訴えは増える傾向にある。これまでの訴訟では、医師の診断があっても、判決では死の恐怖やそれに近い目撃があるかなどの点で厳密な認定をして結果が分かれており、医学者と法律家の協力による指標づくりの必要性が指摘されている。
 訴状などによると、1998年1月、堺市内の府道交差点で、自転車に乗った長男祐人ちゃん(当時6つ)が青信号で横断中、右折しようとしたバスにひかれて死亡した。別の自転車で先に横断した松本さんは事故を目撃。原告側は「事故が原因で昨年5月と今年8月にPTSDだと診断された」として、南海電鉄側に賠償責任があると主張している。
 松本さんは事故直後から、気がつくと事故現場に行っていたり、事故の記憶が突然よみがえるフラッシュバックを起こしてパニックに陥ったりする状態が続くようになったという。後遺症で軽い労働しかできなくなり、現在の状況について「事故後に夫と離婚したうえ、一人で外出することが難しくなったため近くに住む妹夫婦が身の回りの世話をしている」としている。
 祐人ちゃんの死亡による揖害については示談が成立しており、今回は松本さんのPTSDを理由に提訴した。業務上過失致死罪に問われたバスの運転手に対しては、禁固1年6ヵ月執行猶予5年の有罪判決が確定している。
 交通事故の被害者や遺族がPTSDを理由に損害賠償を求めた訴訟では、98年6月の横浜地裁判決や咋年2月の大阪地裁判決が原告の主張を認めた。しかし、その後、宮崎地裁や大阪地裁でPTSDを理由とする請求を退ける判決が続いている。
 2日に東京大で開催の日本職業・災害医学学会で「裁判におけるPTSD」を発表した杉田雅彦弁護士(静岡県弁護士会)は「PTSDの原因として『死の恐怖感かそれに近い目撃経験』が必要とする見解がある一方で、安易にPTSDと診断する例もあるなど、精神科医の間でも混乱がある。PTSDを認める場合も労働能力喪失期間についてのばらつきが大きすぎる」と指摘する。
・命日迎えると「恐怖が迫る」 松本さん
 「いまでも恐怖が追ってくる。事故の記憶が私を苦しめる」。提訴後、大阪司法記者クラブで会見した松本良美さんはこう語った。
 松本さんによると、祐人ちゃんと喫茶店で昼食を取り、それぞれ自転車に乗って帰宅中に事故が起きた。交差点に差し掛かると、2人はいったん停止し、松本さんが「青(信号)やよ。渡るよ」と声をかけて先に進んだ。横断していると、バスが停止せずに右折して進入してきたという。松本さんは追ってくるバスをよけたが、振り返ると、祐人ちゃんがバスの車体の下にいて、後輪にひかれるところを目撃した。駆け寄って両腕で抱き上げると、祐人ちゃんは「いたいよ」と訴えたという。祐人ちゃんは約3時間後、搬送先の病院で亡くなった。
 信号機や横断歩道、バスを目にすると、事故の瞬間に戻ってしまう。祐人ちゃんの命日や誕生日、お盆を迎えるたび、フラッシュバックの回数が増えるという。松本さんは「多くの人にPTSDの苦しみを理解してもらうため、提訴に踏み切りました。裁判所は、交通事故がもたらした心の傷を認めてほしい」と話した。
 南海電鉄の山中諄バス営業本部長の話 事故は大変お気の毒なことでした。当社としても誠意を尽くして対応いたしました。現段階では訴状を見ていないので、それ以上のことはコメントできません。(朝日新聞 夕刊)
3日■秋の叙勲 4632人 勲一等に井上参院議長ら 民間受章者、3割超す
 政府は3日付で、2000年秋の叙勲と賜杯の受章者を発表した。総数は過去最多の4632人で、うち女性は321人と11年ぶりに300人を超えた。また受筆者が公務員や議員らに偏重しているとの批判を受け、民間受章者を昨年秋より約140人増やし、これまでで最も多い1500人とした。それでも民間人の割合は32%と依然として「官民格差」は残っている。
・勲二等瑞宝章 京阪電鉄社長 金馬 昭郎さん(73) 「鴨東線」感慨深い
 国内の私鉄で最長記録である24年間、責任事故ゼロを誇る。「安全への努力が認められた。全社員の代表として章をもらうのだ、と思っています」
 1951年に東京大第二工学部を卒業し、京阪電鉄に入社した。京阪本線の東福寺−三条間の地下線化工事、鴨東線の開通、京都市地下鉄東西線の乗り入れ。「大きなプロジェクトにはすべてかかわった」と振り返る。
 鴨東線工事が最も思い出深い。地下水が豊富な地盤で、どこを掘っても水がわき出る。地上交通と疏水の流れを防げることは許されない。地下の狭い空間で防水処理を行う新工法を考え出し、89年に京都大で工学博士号を取得した。
 「経営理念は鉄道基本主義」と語る。今後の課題は大阪市の中之島新線だ。「琵琶湖から大阪湾へつなぐ大動脈を形成したい」と、鉄道業の未来を描く。(京都新聞)
■阪急京都線で故障 夜までダイヤ乱れる
 2日午後2時37分ごろ、京都市下京区四条通河原町西入ルの阪急京都線の河原町駅構内で、同駅発梅田行き急行(8両編成)が発車の際に故障し、動かなくなった。このため、この車両の運転を取りやめ、乗客約400人は別のホームに停車中だった回送電車に乗り換え、9分遅れて発車した。
 この影響でダイヤは午後8時ごろまで乱れ、特急を含む上下21本が運休し、170本が25分−3分遅れた。約7万人に影響が出た。故障の原因は調査中という。(京都新聞)
■西日本の大雨 大阪で1人死亡 鳥取など土砂崩れ
 西日本で31日夜から降り始めた強い雨は、2日昼ごろまで続き、各地で総雨量が150_を超えた。この影響で大阪では作業員が排水管に吸い込まれて死亡。鳥取県と島根県では各地で土砂崩れが相次ぎ、住民が避難した。3日は西から移動性高気圧に覆われるため、西日本は各地とも天気が回復する見込み。
 2日午後零時35分ごろ、大阪府和泉市国分町の「協栄興産」残土処理場で、同社作業員の青木達弘さん(34)=同府堺市草部=と男性作業員(26)が埋め込み式の排水管(直径約40a)に吸い込まれ、約100b離れた貯水池まで流された。2人はまもなく救助されたが、青木さんは約3時間後に死亡。同僚の男性は胸などを打って軽いけが。
 和泉署の調べでは、現場は谷を残土で埋め立てた処理場で、雨水は地中の排水管を通じて谷へ流れる構造。2人は排水口付近で作業中だったという。
 また2日午前7時半ごろ、鳥取県溝口町大坂で土砂崩れがあり、近くの1世帯7人が町の勧告を受けて公民館に避難した。島根県伯太町では3ヵ所で住宅の裏山が崩れ、4人が避難、物置一棟が倒壊した。
 鉄道関係では、JR福知山、山陰、和歌山各線などで一時運転が見合わされた。徳島県山城町の土讃線では線路沿いの山が崩壊れたため、一部区間で不通。開通のめどはたっていない。このほか、土砂崩れや冠水で中四国各地の幹線道路も通行止めになった。(朝日新聞)
■落雷で信号故障 JR阪和線
 2日午後6時ごろ、大阪府泉佐野市泉ケ丘のJR阪和線で信号機が故障した。同地点で電車が徐行運転を続けているため、ダイヤが乱れ、午後10時現在、上下合わせて6本が全面運休、16本が部分運休し、約1万3000人に影響が出ている。
 JR西日本によると、落雷で信号機の変圧器が壊れたらしい。同社は難波駅などで南海本線や近鉄南大阪線を利用するよう乗客らに呼びかけた。(朝日新聞)
4日■次世代公共交通 初の実用化 無人バスの隊列 淡路島に出現へ 専用道を磁石走行 農村型施設 来春に導入 決め手は低コスト
 トヨタ自動車が、高度道路交通システム(IMTS)の技術を活用して開発した「隊列バス自動走行システム」(IMTS)が、兵庫県淡路島の三原町で、2001年4月から全国で初めて実用化される。
 渋滞など都市交通問題を解決する可能性を持つとともに、無人運転で隊列を組めば低コストの運用が見込まれ、運転手が乗れば一般道で通常に使用できるため、中距離・中規模輸送の次世代公共交通機関として自治体などが関心を寄せている。
 IMTSは最大10台(定員1台約70人)のバスを連ね、専用道に埋め込まれた磁石をセンサーで感知し、アクセルやブレーキを自動制御。2台目以降のバスは赤外線とレーダーで約5bの間隔を保ちながら追随し、障害物があれば停止する。
 三原町などが運営主体となり01年4月にオープンする農村型体験交流施設「淡路ファームパーク イングランドの丘」(約54f)では、無人のバス4台を使用し、約600bの区間を1時間当たり約1000人が利用できる輸送手段とする。
 トヨタは1999年8月から東富士研究所(静岡県裾野市)でIMTSの運用実験を開始。バスは低公害の圧縮天然ガス(CNG )エンジンを搭載した量産車をベースとしている。
 IMTSは、2005年3月に開催される愛知万博で会場アクセスとして検討されているが、会場規模の大幅縮小などから導入は困難とみられている。(京都新聞)
6日■中書島 京阪特急終日停車4ヵ月 駅前商店街 客の増加、当て外れ 効果生かし 活性化本腰
 京阪電鉄の特急電車が、中書島駅(伏見区)に終日停車するようになって4ヵ月余り。当初期待された駅前商店街の売り上げ増などの「特急効果」は、今のところ表れていない。地元では、「せっかくの特急停車を地域の活性化や、まちづくりに生かしたい」と、具体的な対応策づくりを急いでいる。(社会報道部 長谷川真一)
 駅前商店街の「中書島繁栄会」。入り口近くの飲食店の従業員(55)は「特急が止まっても、前と何も変わっていない。お客も増えないし」という。喫茶店を営む安井友子さん(48)も「乗客が駅から降りてこない。特急停車駅というとイメージはいいけど、私たちにはさほどメリットはないですね」と話す。
 一部の商店主からは「週末などは人通りが幾分増えたように感じる」といった声も聞こえるが、地元の多くは、特急が中書島に停車するようになって4ヵ月も経過したのに、まだ顕著な効果が表れていないと感じている。
 特急電車が終日、停車するようになったのは7月1日。京阪が、複数の路線を乗り継ぐ乗客の利便性を向上させるため、本線と宇治線が接続する中書島と、近鉄と連絡する丹波橋で始めた。
 地元では、特急停車を求める運動を展開していなかった。中書島繁栄会の長尾千代次会長(70)は「まさに青天のへきれき。『商店街のにぎわいにつながる』と喜んだ」と振り返る。
 鉄道駅を持つ多くの地域は、住民の通勤や通学が便利になって、乗降客の増加が見込める特急停車を、「地域振興の起爆剤にしたい」と願う。
 近隣の長岡京市は1995年9月、JR東海道線「神足駅」が「長岡京駅」に改称されたとき、JR西日本に働きかけて、7年越しの悲願だった快速電車の終日停車にこぎつけた。
 同市も同駅西口の再開発に取り組んでおり、当時は駅周辺の関係者の中に「再開発ビルに大型小売店が進出し、再開発住宅の売れ行き向上につながる」という期待が高まった。
 現在、経済情勢の悪化で核店舗の撤退など、再開発事業は危機に直面しているが、同市は「快速停車と駅名改称で、市民のまちづくりへの気運が盛り上がった」(市民情報課)と成果にふれる。
 「特急停車を活性化につなげたい」との思いは、中書島地域でも同じ。
 中書島繁栄会の商店主らのまちおこし団体「伏見夢みなと実行委員会」は停車初日、乗降客に花の鉢植えを配り、歓迎ムードを盛り上げた。
 また、10月のイベント「夢みなとまつり」では、御香宮神社神事祭の花傘巡行を誘致し、初めて駅前商店街を歩いてもらった。
 新谷浩和・実行委員長は「特急停車で『人を呼び込める』との期待が、新たなイベントを生むきっかけになった。今は『特急効果』は目立たないが、地元が元気なら徐々に成果は出てくる」という。
 同実行委は今夏、商店街のカラー舗装や駅前広場の設置など、独自の地域整備計画をまとめた。中書島地域が桃山地域と共に「中心市街地活性化法」の適用地域に選ばれ同実行委のメンバーも加わった活性化基本計画の策定委員会が振興策を協議中だ。
 伏見区は策定中の区基本計画で「中書島駅周辺のターミナル機能の充実に向けた整備」の推進をうたっている。「中書島地域は複数の鉄道路線や市バスなど、公共交通が集まる区内移動の拠点だ。特急の停車で重要度はさらに増した。今後、具体策を検討したい」(企画総務課)としている。
 同繁栄会の長尾会長は「特急停車のメリットを生かすには、電車から降りてみたくなるような街にすることが大切だ」と課題を上げる。(京都新聞)
7日■淀城跡を核にまちづくり 公園、周辺の交通網など整備 調査発表 中学件も参加へ
 住民の声をまちづくりに生かそうと、京都市伏見区淀の住民や企業が「淀地域まちづくり協議会」を15日、発足させる。淀城跡を中心とした整備を目指す活動などのほか、地元の中学生もメンバーに加わって来年から地域のまちづくりについて調査、発表していく。
 淀地域は、歴史の舞台淀城の再建と城跡公園の整備を進める「淀城跡公園再整備事業」や、「京阪電車高架事業」を中心とする周辺交通網の整備などにともなって、環境が大きく変わろうとしている。
 同協議会は、まちづくりに対する住民の声を一つにまとめて環境の変化に対応しようと、今年9月、住民の各種団体や企業が集まって設立発起人会(長谷川梅太郎会長)を組織し、活動計画などを練ってきた。
 協議会では、歴史的文化のある町を目指す「天守閣・城門建設推進部会」、活気ある町をテーマに、商店街の活性化などに取り組む「活性化推進部会」、京阪の高架事業などに対応して住みよい明るい町を目指す「交通・環境部会」に分かれて、淀城跡公園を核としたまちづくりを推進する予定。地元の大淀中の1年生も参加し、来年から中学生の目でまちづくりについて調べ、発表する。
 協議会の発足式典は15日午後6時から、宇治市六地蔵の京都醍醐プラザホテルで開く。関係者約60人が出席して、役員人事や今後の方針などを決める。(京都新聞)
■ニュースのことば JRの不採用問題 「4党合意」のめず暗礁に
 1987年に国鉄が分割・民営化された際、国鉄職員のうち国労組合員ら約7600人がJRに採用されず、国鉄清算事業団に移された。その後も再就職先が決まらず、90年に同事業団を解雇された1047人が、「不採用は組合差別の不当労働行為だ」として、JR復帰を求める裁判闘争に入った。
 こうした組合員らの主張は各地の地労委や中労委では認められ、JRに採用を求める命令が出た。しかし、そうした命令も98年、「国鉄とは別の新会社であるJRに不採用の責任はない」とする東京地裁によって取り消された。一方、国際労働機関(ILO)も99年に「日本政府はJRと国労との交渉を積極的に促せ」と勧告している。
 こうしたなかで今年5月、自民、公明、保守の与党3党と社民党が政治解決の枠組み(4党合意)を示した。国労が「JRに不採用の法的責任はない」と認めることを前提に、@与党はJRに対し、組合員の雇用の検討を求めるA社民党は国労に対し、国鉄関連の訴訟取り下げを求めるB与党と社民党が和解金の額などを検討する−などが主な内容だ。
 国労執行部は「裁判で勝つ見込みはないのだから、この機会を逃せば解決はない」として4党合意受け入れを求めた。だが、「JRの法的責任を不問にすれば、和解金や雇用を求める根拠が失われるので、満足のいく解決は得られない」などとする反対派の抵抗が強く、7、8、10月の3度にわたった大会でも4党合意受け入れを決められなかった。
 政府や与野党には、「すでに時機は失した」(自民党幹部)との声が広がっており、政治解決は還のいたとの見方が強い。また、それに代わる「妙案」も見つかっていない。 君島 浩(くらし編集部)(朝日新聞)
8日■世紀の面影 70 京都の東の玄関口誕生 1921年 JR山科駅(京都市山科区安朱) 砥之粉の運び出しで活況
 JR、京阪、京都市営地下鉄の3つの鉄道が交差し、バスターミナルがある交通の要衝である。朝夕のラッシュ時には、サラリーマンや学生らが乗り換えたり、くつろぐ姿が見られる。3年前に駅前再開発が終わり、山科の玄関口としてすっかり定着した。
 1921年、東海道線に、今の山科区と東山区をつなぐ東山トンネルが開通した。以前の東海道線は、京都駅から南進し、現在のJR奈良線の稲荷駅付近から名神高速道路が走るルートで大津へ向かっていた。トンネルの掘削技術が未熟だったため、う回せざるを得なかったのだ。トンネル開通とともに、山科駅は2`ほど北の現在地に移った。
 山科駅が貨物で活況を呈した時期がある。1960年代、戦後の高度経済成長の波に乗って、地元特産の「砥之粉」が、ここから全国に運ばれた。
 砥之粉は、山科区西野山地域を中心に産出する石の粉だ。粒子が細かく、たんすの表面の下塗りや、漆塗りの下地に欠かせない品だった。一時期、岐阜県でも採掘が試みられたが、「砥之粉」は業界では山科の代名詞だった。
 砥之粉を製造・販売する進藤謙二さん(50)は「昭和30年から40年代初めは、山科駅の貨物列車の半分は、砥之粉だった。当時は、貨物列車1車両が15dだったから、その量はすごかった」と振り返る。
 漆をたくさん使うたんすや仏壇だけでなく、建築資材や化粧品、レコードにも使われたことがあった。特に、列島開発が進んだ60年代には、耐火ボードの材料として、全国から注文が相次いだという。
 しかし、最盛期には30軒あった砥之粉の製造業者も、今では3軒に。山科駅での貨物の取扱量も、砥之粉の衰退に合わせるように、少なくなっていった。
 現在、JR山科駅の乗降客は1日平均2万9000人。新興住宅地の開発が進む草津市のJR草津駅よりも1000人多い。山科駅は、砥之粉を運んだ貨物の駅から、人が行き交う駅へと、変ぼうを遂げた。(京都新聞)
■採用差別訴訟 二審もJR責任認めず 東京高裁 中労委側の控訴棄却
 1987年4月の国鉄分割・民営化に伴って多くの国労組合員がJRへの採用を拒まれた問題で、JRの東日本、東海、貨物の各社が「不採用を不当労働行為と認定して救済命令を出した中央労働委員会の判断には誤りがある」として中労委を相手に命令の取り消しを求めた「国労組合員採用差別本州訴訟」の控訴審判決が8日、東京高裁で言い渡された。採用選考で差別があった場合にJRが「使用者」として法的責任を負うかどうかが争点と
なったが、塩崎勤裁判長は「『使用者』に該当するとはいえない」と法的責任の存在を否定。命令を取り消した一審・東京地裁判決の結論を支持して中労委側の控訴を棄却した。
 国労の組合員の救済命令取り消しをめぐる訴訟で高裁の判断が示されたのは初めて。最高裁第二小法廷が昨年12月、同様に差別を受けたとされる動労千葉の組合員が雇用関係の確認を求めた訴訟の上告審判決でJRに法的責任はないと判断しており、この日の判決は司法の考え方を改めて示すものとなった。「4党合意」の受け入れの是非を巡って揺れている国労にとって、司法の場での救済に期待を寄せることはさらに難しくなったと言える。
 国鉄改革法には@国鉄はJRの設立委員の示した基準で職員を選んで採用候補者の名簿を作るA設立委員は名簿の中から採用するB設立委員の採用行為はJRが行ったものとする−と規定されている。
 判決で塩崎裁判長は「名簿の作成はもっぱら国鉄に権限と責任があって設立委員には名簿作成を指揮監督する権限はない」と述べた。
 一審の東京地裁民事19部は98年5月の判決の中で、「設立委員が国鉄の組合差別の意図を知りながら是正措置を取らなかった場合には、JRが責任を負う」とする考え方も示していた。これに沿う国労側の主張に対し、
この日の判決は「設立委員には国鉄を指揮監督する権限はなかったのだから是正措置を取る義務を負うとは認められない」と述べた。
 JR東日本・JR貨物の話 不採用問題は国鉄改革の基本フレームにかかわる問題として争われてきた。東京高裁でも一審判決に引き続き当社勝訴の判決が出されたことは、誠に意義深いものと考えている。
 JR東海の話 会社の主張が全面的に認められ、至当な判断と考えている。(朝日新聞 夕刊)
■採用差別訴訟 国労に重い衝撃 JR側の責任 二審も認めず 「政治解決しか…」
 国鉄の分割・民営化に伴って組合員のJRへの採用が拒否されたことをめぐる訴訟で、東京高裁が8日、国労側の主張を再び退ける判決を言い渡したことは、与党3党と社民党がまとめた政治的打開案(4党合意)の取り扱いに苦しんでいる国労に微妙な影響を与えそうだ。
 4党合意に反対する国労闘争団員らは、判決について「予想はしていたがやはり悔しい。今後は、よほど腹をすえて闘わないといけない」と話しているが、賛成派の間では「最高裁に上告しても展望は暗い。やはり4党合意を早く受け入れて、政治解決を図るほかない」との声も高まっている。
 東京地裁が中央労働委員会の救済命令を取り消す判決を出した一昨年5月以降、国労は裁判闘争の一方で「政治の場での話し合い解決」を模索してきた。その結果、今年5月にまとまったのが「国労がJRに法的責任がないことを認める」ことなどを骨子とする与党3党と社民党の打開案だった。
 だが、執行部の4党合意受け入れ方針案は反対派の強い抵折で、7、8月の2回の臨時大会と10月未の定期大会でも採決できないまま先送りされている。混乱の責任をとって総辞職を表明した執行部の後任人事も固まっていない。
 こうした状況の中で、今回の高裁判決は結果として賛成派の主張を勢いづける形になったが、定期大会をいつ再開するか、再開しても方針案を決定できるかどうかの見通しは立っていない。
 一方、16日に予定される国際労働機関(ILO)理事会のJR不採用問題に関する日本政府への勧告は、昨年の中間勧音と比べ、国労側に厳しい内容になるとの観測が流れている。勧告の内容次第では、国労、とりわけ4党合意反対派は、さらに苦境に追い込まれそうだ。(朝日新聞 夕刊)
9日■JRバスの運行妨害 西陣署、容疑の男逮捕
 西陣署は8日、威力業務防害の疑いで京都市上京区御前通西真上ノ下立売上ル、警備員広頼幹雄容疑者(41)を逮捕した。
 調べでは、広瀬容疑者は8日午後7時半ごろ、京都市中京区丸太町通七本松東入ルで、周山発JR京都駅行きJR西日本バス=西川広海運転手=の運転席のキーを引き抜き運行を防げた疑い。
 同署によると、JRバスが丸太町通を東進中、車道を自転車で西進して来た広瀬容疑者を見つけ停止したところ、広瀬容疑者はバスのヘッドライトで新聞を読み始めたため、注意した西川運転手と口論となり、バスに乗り込んでキーを引き抜いた、という。この事件で同バスは定刻より約30分遅れた。(京都新聞)
■駅 集客力アップへ 人気専門店続々 JR西日本 医薬品・パソコン・衣料品… 関西私鉄も知恵
 JR西日本の駅に人気の専門店の進出が相次いでいる。パソコン専門店大手のソフマップ(本社・東京)が大阪駅に、カジュアル衣料品店のユニクロが神戸の住吉駅にオープンする。JR西日本は、すでにドラッグストア最大手のマツモトキヨシ(本社・千葉県松戸市)を大阪駅に誘致した実績があり、勢いのある人気専門店の力を借りて駅の集客力を高めることを狙っている。
 23日には大阪駅西側高架下にソフマップギガストア梅田店が進出する。売り場面積1980平方bで、初年度の売り上げは50億円を見込む。また、ユニクロを経営するファーストリティリング(本社・山口市)は来月1日、住吉駅の駅ビル「LiV住吉」の西館3階にユニクロ住吉リブ店(売り場面積650平方b)をオープンする。
 3月にオープンしたマツモトキヨシのクロスト大阪駅店は好調で、駅を利用する女性客をターゲットに医薬品や化粧品などを販売、1日の売上高は約1000万円に上る。
 JR西日本は「利用客のニーズが多様化し、従来型の駅のテナントだけでは購買に結びつかない」として、駅構内事業の見直しを進めている。「人気の専門店と組めは賃料だけでなく、売り上げに応じた収入も見込める。集客力もある」(同社幹部)と強調。テナント側にも立地の良さなどのメリットがある。JR西日本では今後、新大阪駅にもマツモトキヨシや無印良品を展開したい、としている。
 関西の私鉄各社では、近畿日本鉄道がコンビニエンスストアや地鶏料理などの店舗を駅で直営。阪急電鉄もインターネットを活用し、駅で書籍やCDを販売しているほか、南海電気鉄道も駅の高架下に保育園を開園するなど、駅を単に乗り降りする場にするのではなく、利用客が駅でお金を使ってもらえるようあの手この手で工夫を始めている。
 JR西日本グループでも、自前でレンタサイクルや、インターネットで注文した本をキヨスクで受け取れる「えき〜プ」、コンビニエンスストアなどを展開。調剤薬局をオープンさせる計画もある。自前の店舗に加えて、人気の専門店の力も借りることで、駅の活性化を図っていきたい考えだ。(朝日新聞)
■新快速電車が240b行き過ぎ 滋賀、JR守山駅
 8日午後6時22分ごろ、滋賀県守山市梅田町のJR東海道線守山駅で、姫路発長浜行き上り新快速電車(8両編成)が、停止位置を約240b過ぎて停車した。電車はバックでホームに戻って約9分遅れで発車したほか、後続の上り3本が9−3分遅れ、乗客計約2000人に影響が出た。
 JR西日本によると、運転士が停車駅であることを忘れ、ブレーキをかけるのが遅れたらしい。(朝日新聞)
■日帰りスポット 梅小路蒸気機関車館(京都市下京区観喜寺町) 全国唯一の専門博物館 家族で一緒に楽しめる
 日本の鉄道開業100周年を記念し、1972年10月に開設された。貴重な交通文化財である蒸気機関車を後世に伝えていこうというのが館設立の趣旨。蒸気機関車専門の博物館は全国でもここだけで、2002年には開館30周年を迎える。
 3年前のリニューアルしたとき移転した旧二条駅舎を資料展示館としているほか、1914年に建設された扇形車庫と転車台、また大正、昭和に活躍した代表的な蒸気機関車18両を保存・展示する。うち機関車6両は実際に動かすことができ、季節運転されるおなじみの「北びわこ号」や「やまぐち号」もここに所属し、現役で活躍している。
 広い館内に足を踏み入れる。「何でもある。何でも分かる」をうたい文句にするだけに親子連れ、お年寄り、修学旅行生ら幅広い層でにぎわう。人気は毎日3回走るSL「スチーム号」。思わず「これ本物やんけ」と驚きの声を上げた学生や、乗車した子供をカメラやビデオで撮影するお母さんたちの姿がほほえましい。資料展示館では模型列車を走らせた往時の梅小路機関区のジオラマも入場者の目を引き付ける。年間入場者18万人。おとなも子供も一緒に楽しめるのが最大の魅力だ。
 午前9時半−午後5時。休館は月曜日(祝日と春・夏休みは開館)。高校生以上400円、4歳以上100円。市バス「梅小路公園前」かJR「丹波口駅」下車。徒歩約15分。075(314)2996。(京都新聞 夕刊)
■初乗り200円に値上げ 大阪モノレール申請
 大阪府などが出資する第三セクターの大阪高速鉄道(本社・同府豊中市)は9日、大阪モノレール(全長23.8`)の運賃を平均9.2%値上げする運賃改定を運輸大臣に認可申請した。2`までの初乗りが190円から200円になり、大阪空港−門真市間は500円から540円になる。認可されれは年内にも値上げする予定。同社は値上げの理由について「今年3月時点で累積赤字168億円を抱えるなど、経営が非常に苦しい」と説明している。
 大阪モノレールは1990年6月に開業。延伸を繰り返し、現在、大阪空港−門真市間(21.2`)の本線と、万博記念公園−阪大病院前間(2.6`)の彩都線がある。(朝日新聞 夕刊)
10日■カッタンコットン 高座は走る 京都・太秦 京福電車
 京都市西部を走る京福電車嵐山線で9日、車内で落語を楽しむ「嵐電寄席」があった。京都西部の商店街や寺社が観光客を呼び寄せようと企画した事業「京都ウエストサイド物語」のイベントのひとつ。運転席の後ろにつくった高座には地元出身の落語家桂枝三郎さんが上がり、太秦周辺の移り変わりや体験談などを軽快な口調で話した。参加した約60人のお年寄りや主婦たちは盛んに拍手を送っていた。(朝日新聞)
11日■窓 京に路面電車 復活を心待ち 中京区・藤原辰三郎(自営業・75)
 最近、叡電出町柳駅と嵐電白梅町駅を結ぶ今出川通に路面電車の復活を望む声を聞く。市電の今出川全線が開通したのは昭和33年。当時、地図に興味のあった私は今出川線を利用して八瀬、嵐山間の直通運転の未来交通図を描いて楽しんだ。昭和20年代に、市電が叡電元田中駅から山端駅(現宝ケ池)まで乗り入れていたから、技術的にも可能だと思った。
 京都商工会議所では路面電車復活の可能性を探る検討委員会設置の意向という。洛北と洛西を結ぶ路線として市電今出川線が走っていたころとは違い、今日の今出川通は車の洪水。道路幅も寺町−千本間が狭いので、この区間は単線でほかの車の通行をスムーズにして2ヵ所ほど待避線を設け交互運行するよりほかに方法はないと思う。
 市民各層の幅広い意見を集約、早急に路面電車を復活して私鉄の今出川線乗り入れで鞍馬山、比叡山、嵐山の三山が直通で結ばれる日を楽しみにしている。(京都新聞)
■南海脱線 運転士を書類送検 業過往来危険容疑
 7月8日未明に大阪市住之江区の南海電鉄住之江車庫で回送電車が脱線、高架上で宙づりになった事故で、住之江署は10日、運転士の操作ミスが原因と断定し、運転していた大阪府岸和田市の男性社員(27)=現在は駅勤務=を業務上過失往来危険の疑いで大阪地検に書類送検した。
 調べでは、この社員は7月8日午前零時38分ごろ、住之江車庫に回送電車(6両編成)を入庫させる際、停止位置の約80b手前で自動列車停止装置(ATS)の操作スイッチを切って手動運転に切り替えた上、ブレーキ操作を誤り、結局、時速25`で車止めを越え、車両2両を脱線させるなどした疑い。(朝日新聞)
■駅員、1000万円を着服 北新地駅、付近飲み歩く
 JR西日本の東西線北新地駅(大阪市北区)に勤務する運輸管理係の男性社員(54)が、利用客から受け取った旅行クーポン券の代金など1000万円余りを着服したとして、同社が8日付で懲戒解雇していたことが11日、分かった。着服した現金は遊興費として使用し、近くの北新地の高級スナックなどを渡り歩いていたらしい。本人が被害額を返済する意思を示しており、JRは告訴を見送る方針。旅行クーポン券は正規に発行され、利用客への影響はなかった。
 JR西日本によると、この係員は同駅の窓口などで旅行業務を担当。本社の担当者が、同駅の販売済み旅行クーポン券の未回収金残高が増え続けているのを不審に思い調べたところ、去年5月から今年9月にかけて、係員が代金の一部、計767万円を着服していたという。9、10月には、旅行代金として支払われた283万円分の旅行ギフト券を、義務づけられた使用済み印を押さず、再使用できる状態のまま駅のコインロッカーに保管。人目を盗んで駅窓口の売上金と置き換えていたという。
 北新地駅は東西線の開業に伴い1997年3月に設置され、係員は当初から同駅の旅行業部門をほとんど1人で担当していた。係員は「いずれ埋め合わせするつもりだった」と話しているという。JR西日本大阪支社は「チェック体制を強化し、社員教育を徹底したい」としている。(朝日新聞 夕刊)
12日■山岳鉄道火災170人死亡 オーストリア・アルプス トンネル内出火 大半 子供と若者
 【ベルリン11日共同】オーストリア北部のアルプスにあるツェルアムゼー付近で11日午前9時半「日本時間同日午後5時半)ごろ、山岳ケーブルカーが急こう配のトンネル内で火災を起こした。AP通信によると、ザルツブルク州のシャウスベルガー知事はスキー客ら約180人の乗客のうち約170人が死亡、犠牲者のほとんどが子どもと10代の若者だったと語った。8人は自力で脱出した。
 乗客はオーストリア人を中心に米国人やドイツ人もいたというが、在オーストリア日本大使館は日本人の有無は確認できていないとしている。火災は同日正午までに鎮火した。消防当局者は死因は一酸化炭素中毒との見方を示した。同知事によると、火災の煙はトンネルを伝って山上駅側の出口から噴き出し、駅にいた3人も窒息死した。
 クレスティル大統領は、犠牲者の親族に哀悼の意を表明、同知事は服喪の日を宣言した。
 知事によるとケーブルカーはふもとの駅を出発しトンネル入り口から600bの地点で、ケーブルが過熱し切断、自動停止装置が作動。その際後部車両で火災が発生したとの見方もある。
 当局者は、ケーブルカーの定員は180人だが、氷河スキー目当ての若者らで満席だったと語った。ヘリコプター13機と多数の消防車や救急車が出動。
 ケーブルカーはキッツシュタインホルン山(3203b)の氷河観光用で2両編成。1974年に運行を開始した、世界初の山腹のトンネル内を行くタイプ。約3.8`の運行区間中約3.2`がトンネルで、ふもとの駅を出て間もなくトンネルに入り45度の傾斜を登る。(京都新聞)
■山岳鉄道火災 険しい地形、救助阻む 満員、重量オーバー?
 【ベルリン11日共同】約170人の死者を出す大惨事となったオーストリア・アルプス、キッツシュタインホルン山のケーブルカー火災事故。現場は近くに道路のないトンネル内で、ヘリコプターでしか近づけない山岳地帯だ。険しい地理的条件から救助作業が難航したことに加え、最大45度という急こう配で車内は真っ暗やみとなり自力脱出も困難だったことが被害の拡大につながったようだ。
 事故を起こしたケーブルカーは、トンネルを掘って運行するタイプとしては世界で初めて、1974年に運行を開始。ケーブルカーはふもとの駅を定員いっぱいの180人ほどの乗客を乗せて出発。長さ3200bのトンネルに入り、入り口から600bの地点で火災が発生した。地元からの報道では窓ガラスなどを割って車外に飛び出し、自力でトンネル外に逃げ出せたのはわずか数人だけだった。
 火災原因について、ケーブルが過熱したとの情報もあり、重量オーバーでの運行が原因の可能性もあるとの指摘が出ている。
・対応追われる外務省
 「日本人は乗っているのか」−。外務省では11日夜、オーストリアから突然飛び込んできた山岳ケーブルカー事故の知らせに、当直勤務の職員2人が鳴り続ける電話の対応に追われながら、情報収集に当たった。
 火災事故が起きたキッツシュタインホルン山は氷河スキーの人気リゾートとして知られている。日本からも毎シーズン、スキーファンが訪れるといい、国内の旅行会社では、日替わりで各地のスキー場に出掛けるツアーを募集している。(京都新聞)
■JR不採用 4党合意の受諾促す ILO勧告案判明 公正な補償求める
 【ジュネーブ11日時事】1987年の国鉄改革時に発生した国労組合員らに対するJR採用差別問題について、国連の専門機関である国際労働機関(ILO)の「結社の自由委員会」が作成した日本政府に対する勧告案が11日、明らかになった。与党3党と社民党が問題解決に向け今年5月にまとめた4党合意を、「関係する労働者が公正な補償を受けられることを保証したもの」と解釈し、すべての関係者が4党合意を受け入れるよう求めている。
 勧告案は来週のILO理事会で採択される見通し。組合側に4党合意の受け入れを促す一方、JR復帰や未払い賃金の補償などを要求してきた当事者への「公正な補償」も求めているため、国労だけでなく与野党、政府・JRの関係者にも波紋を投げ掛けそうだ。
 この問題は、国鉄の分割民営時、それに反対した多くの国労組合員らを不採用にしたことが発端になった。ILOは昨年11月の勧告で、不採用は組合差別に当たるとし、JR復帰に道を開く救済命令を出した日本の労働委員会の見解を尊重、政府に早期解決に向けた努力を求めた。
 今回の勧告もこれを基調に、4党合意を「当事者が早期に満足いく解決を達成できるように、JRと国労の間の交渉促進を目指してその条件を提示したもの」と位置付けている。
・ILO勧告案の要旨
 一、2000年5月30日の4党合意は当事者が早期に満足いく解決を達成できるように、JRと国労の間の交渉促進を目指してその条件を提示し、関係する労働者が公正に補償されることを保証したものであり、すべての関係者が受け入れるよう促す。政府はこの点に関するいかなる進展についても引き続き報告するよう要請する。
 一、ILO98号条約(団結権の保護)の中に盛り込まれている反労働組合的な差別行為に対する保護は、採用および雇用の終了時を含む雇用期間中のいついかなる時点にでも保障されるという原則を確認する。
 一、国労組合員の不採用問題は東京高裁で係争中であることに留意し政府に東京高裁判決の結果を引き続き報告するよう要請する。(京都新聞)
■愛好家、51両持ち寄る ミニSL乗車 子らに人気 福知山市でフェスタ
 日本各地や英国のミニSL愛好家らが持ち寄った機関車51両が参加して「ミニSLフェスタ・in Fukuchiyama」が11日、福知山市の中心市街地で始まり、大勢の来場者でにぎわった。
 1899年の阪鶴鉄道(大阪−福知山間)開通以来、鉄道のまちとして栄えてきた福知山の歴史を21世紀に伝えようと、同市が開催。地元ほか、大阪府や神奈川県などからもSLファンら約35人が参加した。
 会場の同市中ノの御霊神社と隣接する広小路通りには、1周約700bの周回コースが設けられ、「C11」や「D51」など往年の名機関車が勢ぞろい。子どもたちを乗せて走る乗車会や、参加者が定速走行などの腕を競う競技会などが行われた。
 この日は、あいにくの小雨模様となったが、訪れた多くの家族連れらは、白煙を上げながら力強く走るSLの姿に熱心に見入っていた。付近の新町商店街では、同市の姉妹都市・長崎県島原市の物産市やパネル展も開催中。12日まで。(京都新聞)
■早くも マス 巨大ツリー点灯 JR京都駅ビル
 京都市下京区のJR京都駅ビル内の室町小路広場に設けられた高さ22bの巨大クリスマスツリーに11日、明かりがともされた。買い物客や観光客ら約3000人が点灯の瞬間を見守り、一足早いクリスマス気分を楽しんだ。
 駅ビルの大空間や壁面を利用して、3年前の開業時から毎年、クリスマスツリーを設置するとともに壁面をイルミネーションで飾っている。特にツリーは、カップルに人気があり、毎年、記念撮影をする人たちでにぎわうという。
 この日は、午後5時から点灯式が行われた。京都市内の小学生らの鼓笛隊演奏の後、買い物客ら10人が点灯ボタンを押し、ツリーの約1万個の電球に明かりをともすと、大階段を埋めたカップルや家族連れから歓声と拍手が起こった。
 ゴスペルコンサートもあり、約150人のメンバーが迫力ある歌声でクリスマスソングを披露した。(京都新聞)
■山岳列車火災170人死亡か オーストリア トンネル内スキー客ら
 【ベルリン11日=古山順一】オーストリアからの報道によると11日午前9時半(日本時間同日午後5時半)ごろ、オーストリア・アルプスにあるキッツシュタインホルン氷河の観光山岳ケーブルカー(1両編成)がトンネル内(長さ約3.2`)で火災を起こし、乗っていたスキー客らが閉じ込められた。AP通信がザルツブルク州当局者の話として伝えたところによると、ケーブルカーには満員の約180人が乗っており、8人が自力で脱出したが、約170人が死亡した模様だ。また、上部の駅にいた3人が火災の煙を吸って死亡した。日本人がいるかどうかなど詳細は分かっていない。地元警察は同日正午(日本時間午後8時)ごろ、鎮火を確認した。
 現地の警察によると、ケーブルで引く山岳列車の車両は、トンネルの入り口から約600b入った標高約2400bの地点で火災を起こした。ケーブルカーの後部のケーブル付近から出火したようで、煙が45度の斜面を走る車内をかけあがった。さらにトンネルの下方から空気が送り込まれる仕組みになっているため、火の回りが早かったようだ。助かった人はトンネルの下の方に逃げて救出された。
 ケーブルカー運行区間は全長約3.8`。1974年に開業し、12分で標高3029bまでを結ぶ。(朝日新聞)
■満席の列車に火煙 アルプス山岳列車火災 氷河リゾート暗転
 【ベルリン11日=古山順一】標高約3000bの欧州の「氷河リゾート」が、大惨事に見舞われた。アルプス山系のオーストリア・キッツシュタインホルンで11日起きたトンネル内の山岳列車火災は、週末で満席となった列車が煙突のようになったトンネルで火煙に包まれ、多くの犠牲者を生んだ。
 地元警察などによると、トンネルは山を氷河に向けてくりぬいたようになっており、火災は上り列車がトンネルを約600b進んだ付近で発生した。列車後部のケーブル付近から出火。煙が45度の斜面を走る列車内をかけあがった。さらに、トンネル下方から空気が送り込まれ、火の回りが早かったようだ。
 消防隊員らは、車両が下に落ちるのを避けて、トンネルの上部から入ろうと試みた。煙などのため救出活動に手間取る。列車後部にいた人たちが車両の窓を割るなどして車外に出て、トンネルの下の方に逃げて救出された。現地ジャーナリストが米CNNテレビに語ったところによると、列車は火に包まれて全焼、金属の枠だけが残ったという。
 キッツシュタインは音楽祭で知られるザルツブルクに近く観光客が多い。地元テレビによると、好天に恵まれたこの週末はスノーボード大会が開かれ、オーストリアや南ドイツのほか、米国からの観光客でにぎわっていた。地元当局は、日本人が乗っていたかどうかは確認できないという。
 この山岳列車は1974年に開業。12分で標高3029bまで結ぶ。車両にモーターなどはなく、ケーブルから出火した原因などはわかっていない。
・日本では28年前に北陸トンネル火災
 国内では1972年11月6日に起きた北陸トンネル火災事故(全長13.9`)がある。大阪発青森行き寝台急行「きたぐに」の食堂車から出火し、福井県の北陸トンネル内に緊急停車した。国鉄の機関士ら乗務員が、食堂車を切り離して進行させたが、熱などで送電が止まり運転不能となった。この火災事故で、トンネル内に取り残された乗客ら約800人のうち、火災による有毒ガスなどで乗客ら30人が死亡した。(朝日新聞)
■古都はクリスマス気分 京都駅ビルのツリーに点灯
 京都市のJR京都駅ビルに11日、高さ22bのクリスマスツリーがお目見えした。午後5時半、ちりばめられた1万個の電飾が一斉に点灯されると、集まった約3000人から歓声と拍手がわき起こった。
 ツリーの幹や枝は鉄製で、駅ビルが完成した1997年から毎年、設置されている。
 ツリーの前では、約150人のアマチュアグループがクリスマスソングなどを披露。駅ビルは一足早いクリスマスの雰囲気に包まれた。ツリーは午後11時まで点灯される。(朝日新聞)
13日■オーストリア ケーブルカー火災 155人死亡と発表 邦人乗客10人、絶望か 福島県の中学生ら 捜索作業なお難航
 【カプルン(オーストリア中部)12日共同】オーストリア・アルプスのケーブルカー火災で、現地対策本部のシャウスベルガー・ザルツブルク州知事は12日夜(日本時間13日未明)記者会見し、火災車両に日本人10人が乗っていたと発表するとともに、オーストリア人、ドイツ人を中心とするスキー客ら乗客155人が「90%の確率で」死亡したと述べた。12人が自力で脱出した。
 ケーブルカー事故の犠牲者数としては欧州で過去最悪で、海外で日本人が巻き込まれた事故としても異例の大惨事となった。
 知事はこれより先に行われた会見で、日本人乗客数を17人と発表したが、再調査の結果、10人であることが分かった。
 長野県のスキーメーカーが主催したスキー合宿に参加し、宿泊先のカプルンのホテルを出たまま連絡を絶っている10人が乗っていたのはほぼ確実で、生存は絶望視されている。
 同日午後、防毒マスクをつけた救助隊員が火災車両より上の地点で約30人が倒れているのを発見、日本人が含まれているとの情報もある。
 スキー合宿に参加していたのは福島県猪苗代町清水の全日本スキー連盟元デモンストレーター、出口沖彦さん(42)、奈央さん(13)猪苗代中2年=親子や、東京都世田谷区下馬、慶応大4年でスキー部員、光本沙織さん(22)ら10人。
 現場は依然煙がくすぶっており、燃えた車両の残がいが急こう配で崩れ落ちる危険もあるため捜索活動は難航。救助隊員によると遺体は損傷がひどく、DNA鑑定で身元の確認を急ぐ。遺体の搬出は13日から行うという。
 原因は依然不明だが、2両目の車両下部から出火したとみられ、電気系統のショートの可能性もある。
・ザルツブルク知事会見要旨
 【カプルン(オーストリア中部)12日共同】オーストリア・アルプスのケーブルカー火災について、12日の記者会見でのザルツブルク州のシャウスベルガー知事らの発言要旨は次の通り。
 一、火災の起きた車両に乗っていて、90%の確率で死亡したとみられる人数は計155人。内訳はオーストリア52人、ドイツ42人、日本10人、米国8人、スロベニア2人、クロアチア1人、国籍不明40人。
 一、火災車両に全部で何人乗っていたかは不明。
 一、負傷者は18人。うち12人は自力で脱出、6人は山上の駅にいた。
 一、火災は後部車両の後方下部から発生したとみられる。車両に危険物は積んでいなかった。消火器は車両の前後に積んでいた。
 一、火災車両付近へ行く階段が崩壊しており、遺体搬出作業は難航している。山上の駅の出入り口から搬出する予定だ。
 一、トンネル内の火災車両の上方に、逃げようとしたとみられる約30人が倒れていた。
 一、損傷が激しい遺体も多く、身元確認にはDNA鑑定が必要。
・乗客とみられる日本人
 火災の起きたオーストリア・アルプスのケーブルカーに乗っていたとみられる日本人10人は次の通り。(敬称略)
 福島県猪苗代町猫石山、町立猪苗代中2年、小野寺雅信(14)▽猪苗代町新町、同中3年、佐瀬智寿(14)▽猪苗代町裏町、同中2年、涌井智子(14)▽猪苗代町葉山、同中2年、上遠野紋佳(14)▽猪苗代町清水、同中2年、出口奈央(13)▽同所、全日本スキー連盟元デモンストレーター、出口沖彦(42)▽東京都世田谷区下馬、慶応大法学部4年、スキー部員光本沙繊(22)▽神奈川県鎌倉市梶原、慶応大文学部3年、スキー部員楢原涼子(22)▽群馬県高崎市中居町、会社員、大山博和(24)▽山梨県御坂町藤野木、無職、榊原麻紀(25)(京都新聞 夕刊)
■ケーブルカー火災 スキーにかけた夢 暗転 狭いトンネル「煙突」 瞬く間に猛煙と炎
 美しい山並みの急こう配を登っていくアルプスの山岳ケーブルカーで11日起きた火災。発生から1日半以上が経過し、合宿ツアーに参加した日本人10人の生存は絶望約となった。一流スキーヤーを夢見る中学生5人を送り込んだ福島県・猪苗代中学では13日朝、全校集会が開かれ、悲しい知らせに大声で泣きながら抱き合う女子生徒も。「心を鬼にして情報を伝えた」と沈む旅行代理店。「まだ確実な情報ではない」といちるの望みをかけ、家族らは報道陣を避けるように無言で成田空港へ向かった。
 【カプルン(オーストリア中部)12日共同】オーストリア・アルプスで11日起きたケーブルカー火災では、狭くて長いトンネルが「煙突の役割」(関係者)を果たして、発生した炎や煙を瞬く間に運び、犠牲者150人以上が見込まれる大惨事につながった。
 火災は全長約3`のトンネルのふもと側出入り口から約600bの地点で発生。煙の流れと逆のふもと側に逃げたドイツ人らは助かり、山上側に逃げた乗客約80人は約200bの地点で倒れており、明暗を分ける結果となった。
 2`以上も離れた山上の駅にいた3人までもが、立ち上ってきた煙を吸って死亡した。
 一方、地元メディアはケーブルカーがしばしば燃料タンクを運んでいたとのケーブルカー会社社員の証言を報じた。会社幹部は否定しているが、炎と煙の広がり具合からすると、疑念は消えない。
 また、車内の床や壁などに使われたじゅうたんや、乗客らのほとんどが着ていたとみられるスキーウェアは可燃性が高く、そこから有毒ガスが発生したと指摘する専門家もいる。
 火災原因については依然不明。同ケーブルカーの建設に携わったエンジニアは、出火元が2両編成の後部車両であるとされていることから「前部車両から出火したのであれば、運転席後部のバッテリーのショートが原因と考えられるが、後部車両であれば、乗客による失火としか考えられない」と話している。
・「日本人10人」声震わせ
 【カプルン(オーストリア中部)12日共同】「90%の確率で日本人10人が乗っていた」。オーストリアで起きたケーブルカー火災の会見で12日午前(日本時間同日午後)、現地対策本部の担当者は声を震わせた。連絡の取れなかった10人はやっぱり乗っていたのか。生存のわずかな希望は打ち砕かれ、アルプスのふもとの小さなリゾートは深い悲しみに包まれた。
 真っ青な空の下、雪山がそびえ立つカプルンの中心街。臨時会見場となった体育館は、押し掛けた約400人の報道陣でぎっしり。「(犠牲者の)国籍は?」「原因はいつになったら分かるんだ」。質問が激しい口調で矢継ぎ早に飛ぶ。担当者が「救出された人はゼロ」「燃えた車両の中の人々は、90%の確率で生存は絶望視される」と話すと、あちこちから大きなため息が漏れた。
 カプルンの通りで会った会社員の柴田真理子さん(32)はスノーボードの大会に出るため先月下旬に現地入りした。「練習を休んだため、たまたまケーブルカーに乗らなかった。もし乗っていたら…」と青ざめ、「どうなったか心配でたまりません」と顔を曇らせた。また、会社員の青木裕次さん(25)は「ここを訪れる日本人は少ない。(事故に遭った)日本人とは『休みで来ています』とあいさつしたばかりだったのに」と、ショックを受けていた。
 一方、2両目から自力で脱出して助かったハンス・フックスさんは11日、ドイツのARDテレビに対し「トンネル内を走行中に急に明るくなり、非常灯がついたのかと思った。猛煙が追ってきたので、ガラスを割って脱出、後から3人が続いて逃げた」と恐怖に顔をひきつらせていた。
・泣き崩れる級友ら 猪苗代中で全校集会 「確実情報ない」
 「最後まで無事であることを祈りましょう」。オーストリア・アルプスのケーブルカー火災で、生徒5人と保護者の計6人の生存が絶望視されている福島県猪苗代町の猪苗代中学校(356人)で13日、全校集会が開かれ、岩橋紀男校長は言葉をかみしめながら生徒に語りかけた。
 集会は午前9時から始まり、教職員が硬い表情を崩さぬ中で岩橋校長が事故の状況を説明した。生徒のほとんどはうつむいて話を聞いていたが、「日本人と思われる遺体10人が見つかった」と校長が話すと、場内からすすり泣きの声が漏れた。校長は「(見つかった遺体が)本人とは確認されていない」と強調した。
 集会が終わり引き揚げる際、女子生徒が大声で泣きながら抱き合う姿も見られた。
 生徒はこの日、雨上がりの通学路を登校し、生存の分からない女子3人とソフトボール部で一緒だった2年生の女子(14)は「(オーストリアに)行く前に『お土産を買ってくるから楽しみにしていてね』と言っていたのに」と寂しげに話した。
・8家族13人 現地に出発
 ケーブルカー火災に巻き込まれたとみられる日本人ツアー客10人のうち、8人の家族ら関係者計13人が13日午後、成田発のスイス航空機で現地に向かった。ツアー客のうち慶大生2人の家族は12日夜、現地に向け出発している。
 一行は、福島県猪苗代町からスキーツアーに参加した町立猪苗代中学校スキー部の生徒5人の家族、同校の教頭、ツアーを企画した長野市のスキーメーカー社員、旅行代理店社員ら。スイス経由で14日朝にも現地入りする予定。
・滑走時期早い欧州 日本の上級者に人気
 ケーブルカー火災が起きたオーストリア・アルプスでの合宿は、11月から確実に滑ることができるため、日本の上級スキーヤーに根強い人気があるという。
 数多くのスキーツアーを企画している「石井スポーツ」のプロスタッフ(26)によると、上級者にとって11月は、国内大会が始まる12月中旬を前に、良質な雪を求めて海外に出ていく時期。
 以前人気が高かった米国やカナダに代わって、最近は欧州に出掛ける人が増えている。
 スノーボードに人気が出たこともあり、スキー人口全体は好景気のころに比べやや減少しているが、氷河やクレバスを苦にせず海外で技術を鍛えようという上級者の数はさほど変わっていないという。
 全日本スキー連盟理事でアルペン部長の古川年正さん(53)によると、ジュニア強化指定選手の高校生ら約10人も、10日から3週間の日程で、今回事故が起きたキッツシュタインホルン山のふもとの町、カプルンから車で約2時間離れたピックールで合宿をしている。
 キッツシュタインホルン山は広大で新雪に覆われ、一般向けや競技者向けコースがあり、いわゆるパウダースキーが存分に楽しめる場所。
・ウィーンフィル追悼演奏、1800人が黙とう
 オーストリア・アルプスのケーブルカー火災をめぐり、12日夜、大阪市北区のザ・シンフォニーホールで行われた演奏会「小沢征爾指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団」の冒頭、事故の犠牲者に対する追悼演奏が行われ、約1800人の観客らが黙とうをささげた。(京都新聞 夕刊)
■ケーブルカー火災 日本人乗客10人 絶望視 スキー部中学生ら 慶応大の女子学生も
 【カブルン(オーストリア西部)13日=古山順一】オーストリア・アルプスの山岳ケーブルカー火災で、地元ザルツブルク州のシャウスベルガー知事は12日夕(日本時間13日未明)に記者会見し、ケーブルカーに乗っていたとみられる155人の名前と国籍がほぼわかり、その中に10人の日本人が含まれることを明らかにした。東京都港区の旅行会社「ユニティスポーツワールド」が手配したスキーツアーの客10人と連絡が取れなくなっており、火災に巻き込まれた可能性が高く、生存は絶望視されている。
 シャウスベルガー知事によると、落下の危険性があるため11日の火災発生から近寄れなかったケーブルカーに12日午後、トンネルの上部から救助隊員らが入って遺体の一部を収容した。遺体の傷みが激しいため、ザルツブルクの病院に運びDNA鑑定で身元を確認するという。
 トンネル内部に入った技術者らによると、乗客の多くはケーブルカーから出てトンネル上部に向かう途中に死んでいた。また、AP通信によると、ケーブルカー後部からトンネルの下の方に向けて自力で出た12人と、上部の駅で煙に巻かれた6人の計18人が病院で治療を受けた。約40度から50度にもなる急こう配のトンネルが煙突のような状態になり、煙と火の回りが早かったこと裏付けた。
 定員180人のケーブルカーは火災当時、週末だったため満員だったとされるが、正確に何人が乗っていたかは今もはっきりしていない。名前と国籍がわかったとされた155人は、ホテルの滞在リストや付近に放置された車など間接情報から割り出したという。
 火災に巻き込まれたとみられる10人の日本人は、長野市のスキー用品メーカー「小賀坂製作所」が、本格的なシーズンを前に技術の向上を目指し滑り込むため毎年企画しているツアーの参加者。ユニティスポーツワールドが手配した。6日に日本を出発し、17日(一部14日まで)に帰国予定だった。このうち、5人はスキーの強豪校として全国的に知られる福島県猪苗代町の町立猪苗代中学校のスキー部の部員。部員の父親で、小賀坂製作所の契約社員でもある出口沖彦さん(42)がコーチとして引率していた。また、慶応義塾大学のスキー部からも2人の女子学生が個人的に参加していた。
 現地の情報では、滞在先のカブルンのホテルに10人が戻っていない。ユニティスポーツワールドの社員2人が現地の情報を集める一方、ウィーンの日本大使館もカブルンに現地対策本部を12日夜に開設し、対応に追われている。ツアー参加者の家族は12日夜に2家族の5人が現地へ出発、13日と14日にも計11人が現地に向かう。
 事故原因について、シャウスベルガー知事は「今後の検証を待たなければならない」とした。ケーブル付近からなぜ出火したかという点や、猛煙が発生したトンネル内の安全対策などに記者会見では疑問の声があがった。
 名前などがわかった155人について、シャウスベルガー知事は「確度は90%」としている。パスポートなどを確認したためではないため、一時、日本人の数を17人と発表するなど、情報が混乱した。日本人以外にわかったのはオーストリア52人、ドイツ42人、米国8人、スロベニア2人、クロアチア1人。40人が名前だけで国籍がわからない。(朝日新聞 夕刊)
■オーストリア事故 希望の強化合宿 暗転 スキー上達を夢見て 福島・猪苗代中 「確認されるまで…」
 スキーやアルプス見物の名所へとつながる「氷河鉄道」は、急こう配の長いトンネル内で炎と煙に包まれた。オーストリア・ザルツブルク州で11日に発生したケーブルカー事故の車両には、ホテルを出たまま連絡が途絶えている福島県猪苗代町の中学生や慶応大のスキー部員ら10人が乗っていたと見られている。捜索活動はトンネル内に充満する煙や、燃えた車両が急こうを崩れ落ちる恐れなどから難航している。火災の原因も分からない。現地対策本部が「絶望」を伝える中、家族や関係者は無事を祈り続けた。
 「もっと、うまくなりたい」。ケーブルカー火災に巻き込まれたとみられる福島県の町立猪苗代中学校スキー部の5人は、そんな希望を抱いて海外でのスキーキャンプに参加していた。
 スキーキャンプに参加したのは、3年の佐瀬智寿君(14)、2年の出口奈央さん(13)、小野寺雅信君(14)、涌井智子さん(14)、上遠野紋佳さん(14)のスキー部員と、出口さんの父親で、コーチの出口沖彦さん(42)。
 出口さんがコーチを務めるため、本格的なシーズン前のトレーニングとして仲間に呼びかけたという。個人参加の形で、6日に出発、17日に帰国予定だった。
 猪苗代町は、日本でも有数のスキーどころで、同中スキー部は県中学生大会で42年連続で男女総合優勝を果たすスキーの強豪校だ。佐瀬君と上遠野さんは、県のジュニア強化選手。
 「教室ではふざけて面白いやつだけど、スキーだけはすごい真剣です」。身長約180aと大柄な佐瀬君は運動が得意。特にスキーに熱を入れており、地元高校で競技を続けるつもりだったと同級生は話す。今年2月の全国大会にも回転と大回転で出場しており、周囲の期待も高かった。
 出口さんは、父の沖彦さんとの初めての海外練習を楽しみにしていたという。「スキーを始めたのは遅かったが、最近どんどんうまくなって面白くなってきたと話していたのに」と祖父の徹朗さん(69)は話した。奈央さんは、ソフトボール部などでも活発に活動。仲間の2年の女子生徒は「ライトで4番を打つこともある強打者。出発直前の文化祭でもバンドで歌っていて、人気者です」と涙声で話していた。
 同中では13日午前9時から、臨時の全校集会が開かれた。岩橋紀男校長は約360人の生徒に事故を報告し「確認されるまでは無事であることを祈りたい」と生徒たちに呼びかけた。さらに「文化祭が大成功に終わり、5人も楽しい気持ちでスキーに行ったと思います」と話すと、生徒のすすり泣く声がもれた。
・有毒ガス、救助難航 溶けた車両 落下の危険
 【カプルン(オーストリア西部)13日=小林伸雄】「有毒ガスが噴き上げている。車両は溶けた状態だ。しかも落ちる危険がある」。11日から12日にかけての記者会見で、シャウスベルガー・ザルツブルク州知事は再三、救助活動の難しさを強調した。火災発生直後、消防隊員らがトンネルの中に入って救助活動を試みたが、1000度を超える高熱と有壱ガスの発生で、救助隊員の安全も危ぶまれた。
 遺体は車両の内部、車両の上下部、さらに逃げる途中で車両から100b前後離れた地点にもあった。
 乗客の特定については、ホテルの宿泊者名簿のチェックや、ケーブルカー乗り場の駐車場に放置された車両の番号、家族や関係者からの連絡といった間接情報に頼らざるをえず、国籍や人名の特定は難航した。このため、12日の3回の記者会見では日本人の乗客の数が一時、17人と発表されるなど、混乱する場面もあった。
彼らは現れなかった 到着を待っていた現地スキー学校長
 【カプルン(オーストリア)13日=梅原季哉】火災があった11日午前9時半。キッツシュタインホルンのスキー学校校長、ヘルベルト・サイヤーさん(63)は、1時間以上前からゲレンデに出て、日本人の若者たちのためにポールを設営し終えていた。
 この日ポール設営をサイヤーさんに申し込んでいたのは、日本からの一行のほかに、聴覚障害者のスキー世界選手権で8回世界一になった経歴のヨーゼフ・シャウパーさんらの一行がいた。携帯電話が鳴った。ふもとのスキー場事務局の人からの、火事を告げる一報だった。
 サイヤーさんはストックも捨て、一気に斜面を滑り降りた。トンネル出口からもうもうと煙がわき上がる光景が飛び込んできた。
 救援活動にあたる間も、サイヤーさんは、日本人の若者たちや聴覚障害のあるスキーヤーら自分が待っていた人々がケーブルカーに乗っていないことを、心の中で願い続けていた。「でも、彼らは姿を現さなかった」
・日本人ツアー客 不明のみなさん
 ケーブルカーの火災事故に巻き込まれたとみられる「ユニティスポーツワールド」のツアー客は次のみなさん。
 福島県猪苗代町清水 ペンション経営、出口沖彦(42)▽同、猪苗代中学校2年、出口奈央(13) ▽同町新町 同3年、佐瀬智寿(14)▽同町猫石山 同2年、小野寺雅信(14)▽同町裏町同、涌井智子(14)▽同町葉山 同、上遠野紋佳(14)
 東京都世田谷区下馬五丁目 慶応大学法学部四年、光本沙繊(22)▽神奈川県鎌倉市梶原三丁目 同大学文学部3年、楢原涼子(22)
 群馬県高崎市中居町二丁目 会社員、大山博和(24)▽山梨県御坂町藤野木 無職、榊原麻紀(25)
・スキー業界に衝撃 ツアー下火に拍車?
 海外でのスキーキャンプは、上級者が日本で本格的なスキーシーズンが始まる冬を迎える前に練習することを目的に、雪のある欧州のアルプスや北米のロッキー山脈などに出かけるケースが大半だ。しかし、1980年代後半に訪れたスキーブームがバブルの崩壊とともに下火になるにつれ、海外キャンプの人気も下降線をたどっている。
 スキーキャンプは、スキー器具メーカーによる主催が多い。今何も、長野県の国産メーカー「小賀坂スキー製作所」の主催だった。国内で30人しか選ばれないデモンストレーターら一流指導者をスタッフに招き入れ、先端の技術が学べるのが売りだ。
 今回のキャンプを手配した「ユニティスポーツワールド」は、20年近い経験を持つ老舗で、メーカーによる企画を含め、欧州や北米方面などで年間約120件のツアーを手がけている。業界では大手として知られるが、石川春男社長は「一定の固定層はあるが、参加者は年々減っている」と話す。
 東京都内のスポーツ店などによると、バブル経済のころの海外キャンプは大学生を中心に首都圏からのスキー客が多かったが、最近は海外キャンプの数が減り、その分、地方からの遠征組の割合が大きくなっているという。
 業界関係者は「昔は、スキー情報の番組もあったが、今はそれもない。五輪などの世界大会につながる競技スキーの分野はまだしも、技術を競う日本特有の基礎スキーの分野は大会参加者が減る一方だ。今回の事故は泣きっ面にハチだ」と話す。新潟県内では、子どもたちを対象とした海外キャンプが計画されていたが、保護者から心配する声があがり、中止の可能性が出ている。
モーターなし、なぜ発火
 ケーブルカーは、急こう配の線路を登るため車両に接続したケーブルで引き上げる構造になっており、自ら走行するのではないため、動力用モーターは積んでいない。照明や自動ドアの開閉、連絡用回線の電源として、架線を引いたり車内にバッテリーを積んだりしているが、なぜあれほどの火災に至ったのか、国内の関係者は首をかしげる。
 運輸省によると、国内でケーブルカーを運行している事業者は23。最も長い営業路線でも2`余で、オーストリア事故のように3`以上にわたるトンネルはない。車両内は消火器の設置が義務づけられている。
 国内で最も長いケーブルカーのトンネルは、財団法人青函トンネル記念館(青森県)が運営する800bだが、同財団は「トンネル内に消火器は設置しているが、火気厳禁を徹底している。ケーブルカー自体から火が出ることはなく、考えられない事故だ」としている。
 また、国内で最も古い生駒ケーブル(奈良県)を運営している近畿日本鉄道の広報部も「当社は漏電しないような技術を採用しており(オーストリアで)なぜ発火したのか不思議だ」と話している。
・小澤征爾氏が追悼する演奏 大阪でのコンサート
 大阪市北区のザ・シンフォニーホールで12日、オーストリアのウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートがあり、指揮者の小澤征爾さんが冒頭、オーストリアで起きた山岳ケーブルカー火災事故にふれた。「犠牲者のほとんどが若い方たちで、心が痛みます。犠牲者や遺族の方々にささげたい」と話し、追悼の意味で演奏されることが多いバッハの「G線上のアリア」を初めに演奏した。演奏後、小澤さんや楽団員たちが立ち上がって黙とうを始めると、約1800人の観客も総立ちで黙とうした。(朝日新聞 夕刊)
■素粒子
 大事故が起きて初めて、あるいは改めて、その「装置」の根本的危うさが見えてくる。止まることが危機に直結する代表格は飛行機と潜水艦だが、ケーブルカーもそのたぐいだった。
 急なこう配、長くて暗いトンネル、ぎりぎりのスペースに詰め込まれた人々。いわば人工のがけを、鋼鉄の命綱を頼りに宙づりで登るようなものだ。そして世界各地から来た乗客の理解する言葉は、ばらばらだ。
 これだけの危うさに見合うだけの、安全の方の「装置」はあったのだろうか。(朝日新聞 夕刊)
14日■社説 アルプスの惨事を繰り返すな
 オーストリア・アルプスで大惨事が起きた。観光地で知られるザルツブルクの南西約100`にあるキッツシュタインホルン山で、山岳ケーブルカーがトンネル内火災事故を起こしたのだ。
 事故にあった乗客のほとんどは国内外から訪れたスキーヤーだった。155人がほぼ絶望と見られ、この中には福島県・猪苗代中の生徒5人ら日本人10人も含まれている。
 トンネルは、標高3203bの山の中を急こう配でくりぬいている。事故は、2両編成の後ろの車両で火災が発生して起きた。長さ約3`のトンネルが煙突のような役割を果たし、窓をけ破って車外に出、山上方向へ逃げた乗客たちは煙にまかれた。九死に一生を得た12人のドイツ人乗客らは、煙の流れと逆のふもと側に逃げ、助かったという。悲惨という以外ない事故だった。
 事故原因や対応にはなお、不明な点が多い。車両自体には動力装置がないケーブルカーで、なぜ火災が起きたのか。消火設備は十分だったのか。出火後の避難誘導はなかったのか。トンネルに排煙設備はなかったのか。
 日本でも、立山にトンネル式ケーブルカーがある。ゴンドラやリフトなど、いったん搭乗したら容易に脱出できない乗り物を持つスキー場も多い。今回のケーブルカーの床に使われたじゅうたんや乗客らのスキーウェアは可燃性が高く、有毒ガスが発生して被害を広げたと指摘する専門家もいる。とすれば日本でも同様の危険性が皆無ではあるまい。
 悲しい事故を他国のこととせず、国内施設の安全をあらためて総点検する必要がある。設備や機器の安全はもとより、万一、出火した場合の消火設備や職員の訓練、乗客への避難誘導は万全か、などの確認が早急に求められる。
 日本人の海外渡航者はうなぎ上りだ。観光や仕事で海外へ出かける日本人は、昨年、1600万人を超えた。不測の事態にまきこまれるケースも年々増える傾向にある。外務省のまとめでは昨年1年間に日本人が事件や事故で在外公館などの援助を受けた件数は約1万3500件と過去最高を更新した。今回の事故は不可折力的な要素が強いものの、安全に対する個人の心構えは必要だ。
 事故に巻き込まれた10人は、長野県のスキーメーカーが主催した合宿ツアーの一行だった。猪苗代中の5人は、生徒の父親でもある全日本スキー連盟のトップレベル指導者の下で、明日の日本代表を目指していたという。
 オーストリア・アルプスでは、今回の山のふもとから車で約2時間離れた別の山でも、日本のジュニア強化指定選手の高校生ら約10人が合宿中という。
 世界の一流を目指すために他の級友と離れて外国での合宿に臨んだ若者たちにスポーツの世界の厳しさを感じる。
 同時に一抹の割り切れなさも感じる。特に中学生の場合、義務教育期間中だけに、授業との兼ね合いに課題があろう。若者たちの悲報に胸を痛めつつ、加熱気味の”スポーツ時代”にも反省すべき点はなかったか、の点検も行いたい。(京都新聞)
■新世紀へ記念列車 JR西日本 年越しで 懐かしい機関車も
 JR西日本は13日、新世紀を迎える大みそかや2001年元日に運転する記念列車を発表した。広島駅から来年元日午前零時発で新幹線の新型車両ひかりレールスターが博多駅まで走るほか、懐かしの車両も管内各地で復活する。
 博多駅からは12月31日午後11時35分、広島行きのレールスターが出発、車内でカウントダウンを予定。新大阪駅からは同日午後4時54分、今年3月に姿を消した食堂車を復活させた2階建てのひかりが博多駅に出発する。
 在来線では同日、戦後復興期に活躍した電気機関車で今は全国に4両しかないEF58が、SLやまぐち号に使用しているレトロな客車を引き、京都駅から小郡駅(山口県)まで走る。
 京都−出雲市(島根県)間では、特急富士などの1等展望車として1938年に2両だけ製造されたマイテ49が重連の機関車に引かれ、大みそかの夜から来年1月2日朝にかけて1往復する。問い合わせは、同社営業部、06(6376)6069まで。(京都新聞)
■山岳鉄道火災 トンネル内46遺体収容 邦人家族、現地入り
 【カプルン(オーストリア西部)13日=古山順一】オーストリア・アルプスの山岳ケーブルカー火災から2日たった13日、トンネル内の遺体収容作業が本格化し、現地の事故対策本部によると46遺体が収容された。ケーブルカーに乗っていたと見られ、生存が絶望視されている日本人10人の家族の第一陣6人が同日午後(日本時間13日夜)、火災現場に近いカプルンに入る。トンネル内にはまだ100体以上の遺体があると見られ、収容と確認作業は難航している。
 対策本部によると、火災が起きたケーブルカーが滑落する危険がまだあるため、遺体の収容作業はトンネル上部の入り口から中に入って続けられている。ケーブルカーは、中からドアが開けられない仕組みだったため、乗客たちは窓ガラスを破って外に出た模様だ。トンネルの上の方に向かって逃げた人が多く、ケーブルカーの上方約60bのトンネル内に遺体が多かった。
 遺体はザルツブルクに運ばれ、DNA鑑定や歯形により、身元を確認するが、13日に記者会見した法医学専門家は「すべての身元確認には3、4週間かかる」と語った。火災があった定員180人のケーブルカーに乗っていたとみられる乗客のうち、159人は名前や国籍がはぼ特定され、死亡が確認された形。だが対策本部当局者は最終的な犠牲者数はまだ増える可能性を示した。
 日本人のスキーツアーを手配した東京の旅行会社「ユニティスポーツワールド」の田和夫専務が12日夜、カプルン入りした。ツアー客の家族6人が13日午後カプルンに到着するのに続き、同夜には第2陣の家族・関係者8人も現地に着く。
・車内パニック。一気に炎が 生存者語る
 【カプルン13日=梅原季哉】12歳の長女とケープルカー後部にいて助かったオーストリア人のゲアハルト・ハネツエーダーさん(39)は、煙がまん延し始め、パニック状態になった車内から逃げ出す様子を地元ラジオに語った。
 「トンネルに入ると、小さな出火が見えた。少しすると、ケーブルカーが自動的に止まって、煙が中に入ってきた。それからはパニック状態だった」と話した。「必死にドアを開けようとしたが、できなかった。車内のパニックは増すばかり。小さな炎は一気に大きく燃え広がり、後部の運転席全体が燃えだした」
 「乗客がスキーの靴か板かなにかで窓ガラスを割った。もうだめだと思った瞬間、逃げ道ができた」
 「娘を連れて出ようとしたが、娘がなかなか出られない。だから、私が後ろから娘を押すと、外に落ちた。私も後を追った。トンネル内を下って逃げた」
 トンネルの中は真っ暗で、方向も分からないまま無我夢中で逃げたという。
 トンネル内に入った救助隊員らによると、犠牲者の中には、ケーブルカーの車内から何とか外へ出たものの、高熱で熱せられた鉄製の階段上で息絶えた人もいた。(朝日新聞)
■除夜の汽笛が列島をリレー 青函連絡船 世妃に別れ 函館→青森→東京→長崎
 青函トンネル開通に伴って1988年3月に廃止され、今は東京などの各港で「第二の人生」を送っている元青函連絡船の汽笛リレーで、20世紀に別れを告げる催しが計画されている。大みそかの夜、新年を迎える直前に、北から順に汽笛を鳴らし、21世紀を迎える。
 北海道函館市出身で、青函連絡船の写真集を出版したことがある東京都渋谷区在住の写真家白井朝子さん(49)や、連絡船OBらが計画した。
 12月31日午後11時59分ちょうどに、函館・摩周丸からリレーを開始し、青森・八甲田丸、東京・羊蹄丸、長崎・大雪丸の順に、15秒ずつ汽笛を鳴らす。
 大雪丸の汽笛が終わり、日本列島を縦断した瞬間に21世紀を迎える。「ボー」という長い音を3回繰り返し、別れを意味する「長三声」を各港に響かせる。
 摩周丸と八甲田丸、羊蹄丸は現在、展示船として内部が公開されている。大雪丸はホテルに改装され、利用されている。
 函館と青森を結ぶ青函連絡船は1908年に始まった。太平洋戦争の末期、青函連絡船は米軍の空襲で多数の人が亡くなり、54年の洞爺丸台風事故では、1430人の犠牲者を出した。「21世紀は平和で安全な海になるように」との願いも、汽笛リレーに込められる。(朝日新聞)
■無事なら答えて ケーブルカー火災 不明邦人の家族 娘の名を呼ぶ母
 【カプルン(オーストリア中部)14日共同】「沙織−」「涼子−」。山肌に向かって、娘の名前を何度も呼び続ける2人の母親。
 オーストリア・アルプスのケーブルカー火災で、生存が絶望的となっている日本人10人のうち、慶応大スキー部の光本沙織さん(22)と楢原涼子さん(22)の両親や弟ら計6人は13日現地入り、その足でケーブルカーの山ろく駅に向かい、事故現場のトンネルを間近から見上げ、姿を見せないわが子の無事を懸命に祈った。
 現地で対応に当たっているツアー手配会社ユニティスポーツワールド(東京)の田和夫専務によると、6人はミュンヘン空港からバスでカプルンに到着、立ち入りが制限された事故現揚近くに向かった。住民や報道陣も足止めされる警察の規制線で赤十字の車に乗り換え、山ろく駅まで。
 駅から約45度の急角度で上るケーブルカーの軌道を見た両親らは「こんな所を上がって…」と絶句。光本さんの母七重さんと楢原さんの母純子さんは、軌道の先約600bに小さく見えるトンネルの入り口を指さし「あの中にいるのね」とつぶやき、娘の名前を何度も叫んだという。
 駅周辺には、行方不明のオーストリアやドイツの乗客の家族らもたたずんでおリ、6人にろうそくの点火を勧めた。火をともして地面に置き、共に祈った。
 両親らはその後、2人が滞在していたカプルンのホテルに入り、伊集院明夫・駐オーストリア大使からこれまでの捜索や遺体収容状況などの説明を受けた。2人が宿泊していた相部屋にも案内され、スーツケースや衣類がそのまま残る室内で、無言で立ちつくしていたという。
 福島県の猪苗代中2年、小野寺雅信君(14)の父ら残る行方不明者8人の家族や関係者計10人も同日深夜、バスで同じホテルに着いた。募る一方の不安や、日本からの20時間を超える長旅に憔悴(しょうすい)し切った様子で、無言のままホテルの中に消えた。(京都新聞 夕刊)
■「駅にエレベーター」年間予算 赤字の大阪府1駅分 ケタ違いの少額
 交通機関を高齢者や障害者に利用しやすくする「交通バリアフリー法」の施行を15日に控え、JR西日本や関西の私鉄各社が駅へのエレベーター設置をどうするか悩んでいる。乗降客が1日5000人以上の駅に2010年までの設置が努力義務になっているが、補助金を出す大阪府が財政難で年間1駅分の2500万円しか予算を組んでいないためだ。大阪市や兵庫県と比べてもけた違いの少額。府内(大阪市を除く)にある対象駅173のうち、118駅で未整備で、このままでは目標に届かない。
 運輸省は1998年度に駅のバリアフリー化に3分の1の補助金を出すことを決め、自治体にも3分の1の補助を求めた。鉄道各社は事業費の3分の1の支出で済むようになった。
 エレベーター設置費用は周辺工事も含め約1億5000万円。大阪府は各市町と折半して負担しており、2500万円では1基分にしかならない。府は92年度から独自の補助制度を設け、1億円以上を予算化したこともあるが、財政難で減り、補助金で設置されたのは18駅にとどまる。
 やむなくJR西日本は咋年度、茨木駅(大阪府茨木市)を茨木市単独の補助でバリアフリー化している。来年度は堺市駅(同府堺市)などにエレベーター設置を予定するが、府の対応次第では実現が危ういという。
 大阪市は今年度3億5000万円の予算を組み、JR天王寺駅など6駅でエレベーターを設置する。174駅中約130駅でエレベーターは設置済みで、うち52駅は市が補助した。
 兵庫県も今年度2億2200万円の予算を組み、6駅でバリアフリー化を進めている。178駅中80駅余りでエレベーターの設置を終えた。うち32駅は県の補助による。
 大阪府障害保健福祉室は「決して消極的なつもりはない。法施行をきっかけに少しでも予算を増額したい」と話している。
 これまで大阪府の補助を受けていないJR西日本経営企画部は「バリアフリー化に積極的な自治体と、そうでない自治体の財政面での開きが大きすぎる。多くの私鉄が競合し、駅数も多い大阪府には今の姿勢を改めてもらいたい。このままでは地域間の格差が広がってしまう」と困惑する。(朝日新聞 夕刊)
■山岳鉄道火災 66遺体を収容
 【カブルン(オーストリア西部)14日=古山順一】オーストリア・アルプスの山岳ケーブルカー火災で、生存が絶望視されている日本人ツアー客10人の家族が13日夜遅く(日本時間14日早朝)、現場に近いカブルンにそろった。また現地の事故対策本部は同日、ケーブルカー火災の犠牲になったとみられるのは159人で、66遺体が収容されたと発表した。遺体はすべてDNA鑑定するため、遺体の中に日本人が含まれるかどうかは、相当の時間を要するとみている。
 遺体はヘリコプターで約100`離れたザルツブルクの法医学研究所に運ばれた。全部のDNA鑑定が終わるまでには少なくとも3、4週間かかるとみている。
・現場見上げ名前叫ぶ家族 「身元の確認を急いで」
 【カプルン(オーストリア西部)14日=能登智彦】「身元確認を急いで欲しい」−オーストリアのケーブルカー火災で、13日夕方に先着した慶応大スキー部の光本沙織さん(22)の両親ら6人は、ホテルに入る前、火災があった山のふもとにあるケーブルカーの駅を訪れ、関係者から事情説明を受けたあと、用意されたろうそくに火をともした。6人は、山の斜面に小さく見える事故現場を見上げ、懸命に名前を叫び続けたという。
 家族らは、スキーツアーにかかわった旅行会社が手配した飛行機やバスを乗り継いで現地に到着。終始うつむいたままで、ホテルでは、母親らは夫に抱きかかえられるようにしてバスを降りた。夜には、事故にあった10人が泊まっていたホテルの部屋を訪れるなどして、悲しみの時間を過ごした。
 14日も、遅れて到着した第二陣の家族らを中心に、立ち入りが認められている現場から約1`メートル下った山ろく駅を訪れるという。
 日本大使館の現地対策室によると、家族らは事故の説明にあたった同館員に対して、「オーストリア側から詳しい説明を聞きたい」「身元確認を急いで」と強く求めたという。
 一方、現場となったザルツブルク州のシャウスペルガー知事は、収容した遺体のDNA鑑定を急ぐよう指示した。同知事は、家族らをザルツブルク空港に出迎え、出来る限りの協力を約束した。
・「現地の状況相当厳しい」 猪苗代中校長
 福島県猪苗代町立猪苗代中学校の生徒5人の家族らとともに、現地に到着した長谷川良三教頭から14日朝、同校に電話連絡があった。それによると、遺体の身元確認のために行うDNA鑑定の資料として、現地の警察が、大使館員立ち会いのもとで生徒たちがホテルに残した歯ブラシなどを持ち帰ったという。岩橋紀男校長は「現地の状況は相当厳しいようだ。家族はつらいだろう。できる限りのサポートを続ける」と話した。(朝日新聞 夕刊)
15日■ケーブルカー火災事故 90人の遺体収容 トンネル手前で火災?
 【カプルン(オーストリア中部)14日共同】オーストリア・アルプスのケーブルカー 火災事故で、現地対策本部は14日、徹夜の遺体収容作業で同日朝までに累計90遺体を収容したと発表した。一部の遺体は初めて出火元の上り車両内から搬出された。
 捜査当局は、トンネル下方のレール付近で溶けたゴムか潤滑油のような物体を発見。これがトンネルに入る前に火災を引き起こした可能性もあるとみて化学分析に入った。車両に故障があったかどうかも集中的に調べている。
 対策本部によると、犠牲者は合計で160人になったとみられる。事故に巻き込まれた福島県・猪苗代中2年、小野寺雅信君(14)ら日本人10人の家族らは14日、同本部から事故状況の説明を受けた。その後、一行は事故現場のトンネルを望む山ろくに登った。
 対策本部は13日夜から14日朝までに車両内と周辺で24遺体を新たに発見。しかしトンネル内は落石などの危険があるため、作業は「1aずつ」(ランク対策本部長)進めている。強風でヘリコプターによる搬送作業も難航している。
 13日夜までに収容した66遺体は、DNA鑑定のためザルツブルク大学医学部の施設に搬送した。鑑定作業は1ヵ月近くかかるという。対策本部は身元の問い合わせが殺到しているため、インターネットでの犠牲者リストの公開も検討している。
 ザルツブルク州のシャウスベルガー知事は13日、駐オーストリアの伊集院明夫大使をホテルに訪ねた後、記者団に「日本国民に哀悼の意を伝えたい」と述べた。
・炎は上に向かう 下に逃げるんだ ドイツ人誘導脱出に成功
 【カプルン(オーストリア中部)14日共同】「信じてくれ。下に逃げるんだ」。オーストリア・アルプスのケーブルカー事故で、混乱の中、火が上に向かうことを思い出したドイツ人が11人の生存者を誘導し、脱出に成功したと14日のオーストリア日刊紙クローネン・ツァイトゥンクが伝えた。
 同紙によると、「生還の英雄」はドイツ・バイエルン州の建設会社役員エルウィン・ゲッツさん。火災発生時、車両のドアが開かないためスキーのストックで窓を突き破った。その際、自宅の暖炉に空気を入れると炎が上に燃え上がるのを思い出し、「みんなついて来い。下だ」と叫んだ。
 多くの人は上に向かって逃げ、急上昇する炎と煙に巻かれた。ゲッツさんのスキークラブの仲間20人も死亡したという。(京都新聞)
■山岳鉄道事故 トンネル手前で出火 90遺体収容 家族「早く鑑定を」
 【カプルン(オーストリア西部)14日=古山順一】オーストリア・アルプスの山岳ケーブルカー事故を調べている現地の事故対策本部は14日、ケーブルカーがトンネルに入る前から火災を起こしていたことを明らかにした。
 事故対策本部によると、トンネルの入り口の線路付近に、潤滑油かプラスチックが溶けたようなものが見つかった。同本部は、車両の一部かケーブルが燃えたものとみている。現時点では火災の原因はまだつかめていないとしながらも、車両とケーブルにどんな素材が使われていたか、調べて照合するとしている。
 生存者らの証言から火災の際に爆発があったとされる点については、同本部は「確認していない」とした。
 一方、ケーブルカーに乗っていたスキーツアー客で生存が絶望視されている日本人10人の家族と関係者は14日朝、在オーストリア日本大使館の担当者から状況説明を受けた。オーストリア側がDNA鑑定により身元確認するには3、4週間かかるとしていることについて、家族側から「歯型も持ってきたのに、それでは遅すぎる」と落胆の声が出た。
 同日正午(日本時間同日午後8時)から地元ザルツブルク州政府による日本人の家族向けの説明会が開かれ、日本側はDNA鑑定を速やかにするよう要望した。州政府側は、遺体の損傷が激しいため欧米人かアジア系かを見極めるのも難しい事情を説明した。
 事故対策本部は同日の記者会見で、ホテルの滞在者リストや駐車場に残された車の車両番号などから、ケーブルカー火災の犠牲になったとみられるのは156人から160人で、14日朝までに90人の遺体が収容されたと発表した。(朝日新聞)
■運賃表 誤って表示 JR東海 京都駅など17駅66区間
 新幹線のJR新大阪駅や京都駅などJR東海管内17駅の構内に設置してある運賃表の金額が計66区間で誤っていたと、JR東海が15日発表した。1997年4月の消費税率アップを受けた運賃改定の際の計算ミスによるものが大半といい、同社は「初歩的な間違いで申し訳ない」と話している。JR東日本管内の147駅で13日、運賃表の金額に誤りがあることがわかり、JR各社が運賃表のチェックを進めていた。
 JR東海によると、新大阪駅でJR難波駅までを実際より80円高い290円、JR安治川口駅までを40円高い210円と表示していた。京都駅では北海道の函館駅までを210円安く表示していた。米原駅(滋賀県)でも長野方面の2区間にミスがあった。
 同社は、ほとんどの駅では自動券売機でなく「みどりの窓口」を通じて正規の金額で販売しているはずとしているが、「心当たりのある客には払い戻しに応じる」という。
 近畿、北陸、中国地方を管内にもつJR西日本も現在、各駅で一斉点検を進めている。(朝日新聞 夕刊)
16日■運賃誤表示 JR東日本で計 279駅 JR東海 京滋でも2駅3区間
 JR東日本は、駅の運賃表示に誤りがあり再確認の作業を進めている。15日、新たに132駅、333区間で誤りが見つかり、これまでに判明した分を含めミスがあったのは計279駅、598区間に上っているとの中間報告を発表した。
 このほか、JR東海やJR北海道、首都圏の東武、小田急、都営地下鉄の各鉄道事業者でも同日、料金表示の誤りが判明。ミスがあったのは計6社となった。
 運輸省は全国の鉄道、ケーブルカー約200社に点検を指示しており、誤表示している鉄道会社の数は今後も増える可能性もある。
 JR東日本では、駅での誤表示のほか、ワンマン運転車の表示で奥羽線、越後線など9線区、32区間にもミスがあり、運賃を取り過ぎた可能性は126区間に及ぶ。最も取り過ぎた可能性のあるのは長野支社管内の今井−聖高原間の420円(正規の400円を820円と表示)。
 原因は「運賃改定時に駅員が手作業で計算しているが、コンピューターシステムなどとの照合をしていなかったため」としている。
 JR東海では、管内の17駅、66区間で表示に誤りがあったことが判明した。京滋では、京都駅と米原駅(滋賀県)の2駅、3区間で、運賃表示に誤りが見つかった。京都駅では、函館駅までを、実際より210円安い1万3130円と表示。米原駅では、小諸駅(長野県)までを実際より210円安い6090円、上田駅(同)までを310円安い5780円と表示していた。(京都新聞)
■京都市バス 少女置き去り 局長ら16人処分 運転手は停職15日間
 今年9月に京都市北区の市バス烏丸営業所で、13歳の女性がバス車両内に一晩、置き去りにされた問題で、京都市と市交通局は15日、終業時の車内点検を怠った運転手を15日間の停職処分としたほか、管理不十分として同局トップの江草哲史交通局長ら15人を減給や厳重文書訓戒処分にした。
 計16人に及ぶ大量処分は、1989年に右京区のJR山陰線踏切で起きた列車と市バスの衝突事故で、17人が処分されて以来。
 処分は、江草局長を厳重文書訓戒としたうえで、月給を12月分から3ヵ月、10分の2カット。交通局次長をはじめ企画総務部長、自動車部長、現場責任者の烏丸営業所長ら12人を、厳重文書訓戒と今冬の期末手当のうち勤勉手当の5−60%の減額。別に自動車部技術課長ら2人を文書注意にした。(京都新聞)
■ブレーキ油の漏れで発火? ケーブルカー火災
 【カプルン(オーストリア)15日=梅原季哉】オーストリアのケーブルカー火災事故で、地元ザルツブルク州の災害対策本部は15日、遺体155体の収容を完了した。事故原因究明活動はこれから本格化するが、車両ブレーキの油圧系統から漏れた油に、車輪の火花が飛んで発火した可能性が強まってきた。(朝日新聞)
■JR東日本279駅に 東武鉄道などでも運賃誤表示
 運賃表の誤表示問題で、JR東日本は15日、東京・高田馬場駅など新たに132駅で誤りが見つかり、誤表示の合計は279駅、630区間になったことを明らかにした。このほか、都営地下鉄や東武鉄道、小田急電鉄でも、それぞれ運賃の取り過ぎがあったことがわかった。(朝日新聞)
■知的障害児放置 運転手を停職 京都市バス
 京都市バスの烏丸営業所車庫(同市北区)で9月、乗客の知的障害の女子生徒(13)がバス内に閉じ込められ、一晩放置された問題で、同市交通局は15日、車庫入れの際の車内点検が不十分だったとして、運転手(35)を15日間の停職処分とした。また、上司ら15人についても監督・管理責任を問い、江草哲史・交通局長(58)を減給10分の2(3ヵ月間)、局次長ら14人を厳重文書訓戒などにした。(朝日新聞)
■山中に響く悲しみの鐘 ケーブルカー火災現地で追悼式
 【カプルン(オーストリア)16日=梅原季哉】オーストリアのケーブルカー火災事故で、犠牲者の遺体収容が終わった15日夕(日本時間16日未明)、ふもとの町カプルンで、カトリック・プロテスタント合同の追悼式が行われた。事故に巻き込まれた日本人客の家族や友人、先生ら23人も出席。式の終わりには、ツアー引率者だったスキーコーチの夫と、中学2年の娘の2人を失った福島県猪苗代町の出口伸子さんが、日本からの出席者を代表して献花した。
 消防署の敷地を使って行われた追悼式には、町の住民ら約1000人が姿を見せた。
 ブラスバンドが葬送曲を奏で、同時に町の教会が鳴らす鐘が、事故現場の山腹まで鳴り響いた。セ氏約5度で底冷えする空気の中で、人々は白い息を吐きながら立ちつくしていた。(朝日新聞 夕刊)
17日■普通列車の一部 ワンマン運転に JR西日本福知山支社
 JR西日本福知山支社は16日、12月2日から福知山線福知山−篠山口間で普通列車の一部をワンマン運転にする、と発表した。
 ワンマン化されるのは、昼間を中心とした上下6本ずつの計12本。運賃箱が設けられた2両編成の列車で運転され、無人駅では、後部車両のドアは開閉せず、先頭車両の後ろ寄りのドアから乗車、前寄りのドアから降車する。(京都新聞)
■山陽新幹線 会計検査院が異例の指摘 高架46% 想定超す劣化 補修に280億円必要
 コンクリート内の鉄筋を腐食させる「中性化」が、山陽新幹線の高架橋と橋りょうで予想以上に進んでいることが会計検査院の調べで分かった。適切に施工管理されていれは、あと30年ほどは中性化が鉄筋まで達する心配はないとされるが、検査院が抽出調査した計340ヵ所のうち13%ですでに鉄筋に達し、46%で30年未満に劣化が進む見通しだった。コンクリートに混ぜる水が多過ぎたほか、塩分濃度が高かったことが原因。トンネル内の施工不良も、突貫工事が指摘された岡山以西の路線に集中していた。検査院は、過去の定期検査が不十分だったとし、ずさんな施工管理が今後、補修費の大幅増をもたらすと指摘している。
 検査院は経理上の無駄遣いや事業の有効性を検査の中心に据えているが、交通の大動脈である新幹線で事故が相次いでいる事態を重視。安全性を前面に打ち出した異例の指摘に踏み切った。
 調査の結果、コンクリートの水分量は340橋の71%で基準を超えていた。作業効率を上げるため、基準を超える水を加えた問題が指摘されており、手抜き工事が裏付けられた。コンクリートには水洗いの不十分な海砂を混ぜていたが、塩分濃度を調べた橋の76%が許容値を超えていた。
 検査院は調査対象の13%で中性化がすでに鉄筋に達し、10%があと10年以内、46%にあたる145橋が30年未満で劣化すると推定している。
 高架橋と橋りょうに対する検査は、JRが事故後に抽出調査したデータをもとに実施。劣化の原因となる水の混ぜすぎや塩分濃度の高さについて、提出された資料をもとに検査院が独自に計算した。
 一方、全線で280`あるトンネル検査では、コンクリートの接合部分が一体化していない「コールドジョイント」が、岡山−博多間で1`あたり8.9ヵ所見つかった。新大阪−岡山間で1`あたり1ヵ所、東海道新幹線が0.5ヵ所なのに比べて、岡山以西が飛び抜けて高い数字だ。
 岡山以西の路線は、距離が半分以下の岡山以東とほぼ同じ工期で建設された。比較的規模の小さな建設業者による施工不良が際だち、担当距離が10`未満の業者のトンネルでは1`あたり10.3ヵ所が施工不良だった。
 JR西日本が今後一定の期間に補修が必要とみている山陽新幹線の施設について検査院が調べた結果、高架橋だけでも280億円を要すると算定された。
・「打つべき手は打った」 JR西日本
 会計検査院の指摘に対し、JR西日本は「何の連絡も受けておらず現段階でコメントできない。今年度中に高架橋の補修計画を策定するなど、打つべき手は打ってきている」と静観の構えだ。
 昨年の一連のコンクリート落下事故を受け、JR西日本は現在、全高架橋についてサンプルを取って劣化状態を調べる「総合診断」を実施中で、そのデータをもとに今後の補修計画を立てる方針だ。トンネルについては、運輸省が新たに定めたマニュアルに沿って今後、点検作業を進めるとしている。
 検査院は塩分濃度など劣化状態を示す具体的な数値を挙げ、山陽新幹線のコンクリート構造物が、ひ弱な実態を明らかにした。
 しかしJRは、現状を分析し、高架橋やトンネルの将来の寿命を推定することには「社としては劣化に気づき次第、手当てをしているのでナンセンスだ」としてきた。現状把握に欠かせない総合診断の途中経過についても、公表していない。
 現在、JR西日本は施工業者31社に対し、施工不良を理由に「補修費用の一部を負担してもらう」として総額26億円の拠出を求めている。年内にも業者から回答を得たいとしているが、業者側からは「旧国鉄の施工管理のもとで工事を進めた。支払いの根拠が不明確」などと反発の声も上がっている。
 今回、維持管理の不十分さなど検査院から厳しい指摘を受け、賠償交渉が難航する可能性もある。(朝日新聞)
■「おみやげ話待っててね」 事故2日前投かんのはがき届く ケーブルカー火災の山口奈央さん
 オーストリア・アルプスの山岳ケーブルカー火災事故に、父の出口沖彦さん(42)とともに巻き込まれた福島県猪苗代町の町立猪苗代中2年、奈央さん(13)が書いた絵はがきが16日、猪苗代町の家族の手に届いた。事故の2日前、現地時間の9日の消印で「新しい発見が多くて、すごく楽しい」などとスキーツアーの様子が生き生きと書かれている。
 絵はがきは、家で留守番をしていて事故後現地へ向かった母伸子さん(44)、兄智也君(14)にあてたものと祖父徹朗さん(67)あての2通。伸子さんたちにあてたはがきには「今、旅日記つけてるので、楽しみにしてて下さい かわいい少女奈央」という言葉に、奈央さんが笑顔で サインをしているイラストが添えてあった。徹朗さんあてには「いいおみやげ話を待っててね。スキーがんばるぞ」と書かれていた。
 徹朗さんは「突然、届いてびっくりしているけど、うれしい。奈央にしてみれば、楽しい旅行だったんだなあ」と何度も、何度も読み返していた。(朝日新聞)
■運賃表示ミスで運輸省 チェック体制強化など指示
 JR東日本などが運賃表を誤って表示していた問題で、運輸省は16日、全国の鉄道事業者に対し、社内のチェック体制の強化を求めるとともに、誤表示が見つかった場合は払い戻しなど利用者に誠意ある対応をとるよう文書で指示した。(朝日新聞)
■軌道上の潤滑油、原因? ケーブルカー火災事故 化学分析結果公表へ
 【カプルン(オーストリア中部)16日共同】オーストリア・アルプスのケーブルカー火災事故で捜査当局は16日、軌道上で見つかった潤滑油のようなものが火災原因のカギを握るとみて化学分析を急ぐとともに、トンネル内でも現場検証を続けた。
 オーストリア国営テレビは、ウィーンの連邦警察犯罪捜査研究所が17日に最初の分析結果を公表する見通しだと報じた。
 同テレビによると、捜査本部は発火原因を摩擦熱かケーブル破損などに絞って調べているという。
 ブレーキの油圧系統に使われた潤滑油のような油が漏れだし、摩擦熱などで発火した可能性もある。(京都新聞 夕刊)
■米版「新幹線」お披露目 ワシントン−ボストン 最高時速は240`
 【ニューヨーク16目共同】全米鉄道旅客公社(アムトラック)は16日、米国版「新幹線」にあたる高速列車「アセラ」のお披露目運転を行った。
 招待客だけを乗せた8両編成の一番列車は同日朝、ワシントンのユニオン駅を出発、2時間26分でニューヨークに、さらに3時間23分後にボストンに到着した。従来の列車よりワシントン−ボストン間で約1時間15分の短縮になるという。
 「アセラ」は最高時速150マイル(約240`)で、アムトラックは12月11日からの運行開始を予定している。カナダとフランスの合弁企業には、さらに19編成を発注済みで、2001年夏に勢ぞろいする。(京都新聞 夕刊)
■にっぽん駅弁紀行 1 林 順信 JR水戸・黄門弁当 夏にうれしい梅酒付き
 私の鉄道の旅は、目的地に行くための手段として乗るのではなく、鉄道に揺られていること自体を目的にした場合がかなり多い。
 得意なのは、ある地点を出て、一筆書きのコースをたどり、また出発地点に戻ってくる鉄道旅行である。旅というからには3、400`を超すぐらいの長丁場の方が面白い。
 夏の暑い季節には、しばしば上野→水戸→郡山→上野の、JR常磐線・水郡線・東北線の500`弱の汽車旅に出掛ける。
 朝7時2分に上野駅を出れば、すべて鈍行で夕方5時前には戻ってこられる。
 お目当ては水郡線沿線の景色だ。非電化のディーゼルカーという点も気に入っている。水戸駅を出ると、下小川駅あたりから、久慈川の清流が列車と連れ添ってくれる。石の河原にテントを張って水遊びを楽しむ人、腰まで川につかって鮎竿(あゆざお)を垂れる人たちの姿に、夏の涼を感じる。
 水戸駅芝田屋の「黄門弁当」が、私の定番である。出発前にホームで買い求め、途中、久慈川の清流を眺めたり、矢祭山の奇怪な山肌を眺められる辺りで、梅の花を描いたふたをあけることにしている。
 梅の名所らしく、白いご飯に梅干しがのっている。サケの切り身、朝日かまぼこ、牛肉の時雨煮、鶏肉にゴボウ、桜大根も添えてある。
 何といってもうれしいのは、小瓶に入った梅酒が付いていることだ。夏の汗ばむ季節に、食前に飲む梅洒のさわやかさ…。梅の香もして食前洒として最適で、はしの運びも軽やかになった。不思議な効き目だと感心した。
 官露梅という、これまた結構な口直しまで付いて、735円(税込み)ならお手ごろ値段。夏の汽車旅にはもってこいの駅弁だと思う。(旅行ジャーナリスト)
 はやし・じゅんしん 1928年東京都生まれ。東大卒。小学館勤務の後フリーに。東京を中心とした日本の交通史が専門で「汽車弁駅弁旅の味」「東京市電名所図絵」など著書多数。(京都新聞 夕刊)
■補修の8割「問題なし」 山陽新幹線のコンクリ劣化 直前の検査、不十分
 山陽新幹線のコンクリート構造物の劣化問題で、コンクリートの落下事故を受けてJR西日本が実施した緊急総点検の結果、補修を行ったトンネル内のコンクリートの8割が直近の定期検査では補修の必要がないと判断されていたことが会計検査院の抽出調査で判明した。高架橋や橋りょうも5割は問題がないとされていた。事故後、JR西日本は検査の見直しを進めたが、検査院はさらに実効性の高い改善を求めている。
 JR西日本は、コンクリート構造物の変状を調べる検査を旧国鉄時代から2年に1回の割合で実施。▽Aランク=構造物の機能にかかわる変状または欠陥で措置を要するもの▽Bランク=必要に応じて措置するもの▽Cランク=軽微な変状▽S ランク=健全−の4ランクに分けて健全度を把握。Aはさらに3ランクに分類している。
 コンクリートが落下した福岡、北九州両トンネルを含む延長7`以上の7トンネルを対象に、緊急総点検の打音検査の結果をもとに補修がほどこされた207ヵ所の記録を検査院が調べたところ、79%がCかBランクとされ、補修の必要がないとされ、Aはわずか1.4%だった。福岡、北九州両トンネルの崩落個所はともにCの判定だった。
 高架橋と橋りょうは、自然はく落があって緊急点検で補修された45ヵ所を調査。48%がCかSランクと判定された。検査の実効性があがっていない現実が浮き彫りとなった形だが、JR西日本はこうした調査結果さえも、「利用者に不安を与えかねない」として公表していなかった。(朝日新聞 夕刊)
■犠牲者名簿と現場映像公開 ケーブルカー火災
 【ザルツブルク(オーストリア)17日=梅原季哉】オーストリアのケーブルカー火災事故で、地元ザルツブルク州政府の災害対策本部は16日、トンネル内部の事故を起こした現場の映像を公開し、事故車両に乗っていたことが確実な日本人10人を含む犠牲者155人の名簿を出した。(朝日新聞 夕刊)
18日■運賃誤表示 JR西日本でも122駅 京滋9駅で取り過ぎ 98年 公表せず
 JR西日本は17日、同社管内全1231駅のうち122駅、203区間で運賃表示に誤りがあった、と発表した。正しい運賃より高く表示していたのは77駅、112区間で、最高の差額は1330円だった。安く表示していたのは59駅、91区間。JR西日本は、取り過ぎた運賃について、申告があれば払い戻すとしている。
 高く表示していた駅、区間のうち、自動券売機で券売していた54駅、71区間は、利用客が正しい運賃より多く支払っていた可能性がある。25駅、41区間は、表示は誤っていたが窓口で券売していたため正しい運賃で販売していた、という。誤っていたのは、駅にある地図式、五十音順、アルファベット順、点字などの運賃表。17日にすべてを訂正した。
 同社は誤った表示の原因について、消費税率改定(1997年4月)や、最短経路の運賃が適用される大都市近郊区間制度の変更(98年12月)のほか、新駅、自動券売機設置の際などに計算ミスや写し間違いがあった、としている。
 京滋で運賃を取り過ぎた可能性があるのは、五十音順運賃表が誤っていた河瀬(彦根市)、手原(栗太郡栗東町)、守山(守山市)の3駅からの各1区間と、アルファベット順運賃表が間違っていた太秦(京都市右京区)、園部(船井郡園部町)、大津(大津市)、膳所(同)、栗東(栗東町)の5駅からの各1区間、券売機に誤りのあった下夜久野駅(天田郡夜久野町)からの1区間。最も差額が大きかったのは膳所−井田川(三重県亀山市)間の610円。
 二条駅(京都市中京区)からの14区間と亀岡(亀岡市)、栗東両駅からの各1区間は、正しい運賃より高く表示していたが、窓口販売のため取りすぎはなかったという。綾部駅(綾部市)からの1区間は地図式運賃表に安く表示していた。
京滋で運賃表示を誤っていた駅
駅 名着駅名正当運賃誤表記額差額
下夜久野久  谷14501620170
河  瀬安曇川12801620340
手  原加  茂11101280170
守  山甲南山手14501620170
大  津敦  賀16201890270
膳  所井田川12801890610
園  部塚  口14501620170
太  秦和  迩650850200
栗  東京  終11101280170
(運賃取り過ぎの可能性のある駅のみ)
 また、同社は97年9月に西大津駅(大津市)で利用客から誤表示の指摘があり全社的に調査、98年1月に94駅、216区間を訂正していたことを明らかにした。しかし公表せず、運輸省にも報告していなかった。駅の運賃表示は、JR東日本が13日に誤りがあったと発表。運輸省が全国約200の鉄道事業者に点検を指示していた。(京都新聞)
■「組織的な逆キセルだ」 田中知事がJRしかる 運賃表示誤り
 JR東日本管内の旅客取り扱い駅で運賃表示に誤りがあった問題で、田中康夫長野県知事は17日、野崎哲夫・JR長野支社長を知事室に呼び付け「(乗客ではなくJRがキセルをする)逆キセルを組織的にやっていたとも言えるのではないか」などと強い口調で叱責(しっせき)した。
 2人の話し合いは午後3時45分ごろから約20分間、県庁3階の知事室で、カメラマンや記者など20人以上のマスコミに公開して行われた。野崎支社長は長野市内で開かれていたJR関連会社などが参加するフォーラムに出席していたが、途中で抜け出し知事室に駆け付けたという。
 田中知事は話し合いの中で「コンピューターを導入しているのに運賃についてはなぜ手作業なのか」と質問、ミスの原因や利用者への料金の返還方法について細かくただした。
 野崎支社長は「深く反省している」などと答えた上で、返還方法などの問い合わせに対しては、フリーダイヤルや各駅での窓口で対応していると説明した。
・「重大かつ深刻 認識が不足…」 JR西の幹部は平謝り
 「事の重大性に対する認識が不足していた」。JR西日本営業部の安富徹部長は17日午後、大阪市北区の本社で会見、1997年に乗客の指摘で発覚した運賃表の誤表示を内部処理で訂正、公表しなかったことに報道陣の質問が及ぶと、苦渋の表情でこう繰り返した。
 安富部長は会見の冒頭、「単純ミスとして許されない重大かつ深刻な問題。利用客に深くおわびしたい」と深々と頭を下げた。しかし、98年に訂正した運賃表示と今回発表した誤表示が重複ミスかどうかなどの質問に対しても「現在調査中」と歯切れの悪い答えに終始した。(京都新聞)
■学割回数券を発売 叡電、来月から
 叡山電鉄は、12月1日から通常の回数券より割引率の大きい学生割引回数券を発売する。学割回数券の発売は関西では初めて。
 学割回数券1冊は、通常の回数券1冊と同額だが、通常より2枚多い13枚つづりとし、割引率を通常より14ポイント高い23.1%にする。通用期間は発売日から3ヵ月。
 通学定期券の場合、1ヵ月単位のため、学期途中で期限が切れることから、割安の回数券を発行し利用者増を図ることにした。
 購入時は、学生証か通学証明書が必要。出町柳、修学院、鞍馬各駅のほか、車内でも販売する。(京都新聞)
■ケーブルカー火災事故 鳴りやまぬ鎮魂の鐘 追悼式 3000人、悲しみ新たに
 【ザルツブルク(オーストリア)17日共同】鎮魂の鐘が鳴りやまない。大聖堂の約3000人が手をつなぎ「この悲劇を忘れない」と誓い合った。オーストリア・アルプスのケーブルカー火災に巻き込まれた日本人10人の家族は17日午後(日本時間同日夜)、ザルツブルクで開かれた地元州政府主催の追悼式典に参列、悲しみを新たにした。
 パイプオルガンが悲しい調べを奏でる中、聖職者が「なぜあなたは、父や母を残していってしまったのか」と8ヵ国計155人の犠牲者に呼び掛けた。
 日本人家族は前列部に着席。祈りの合間、スキーキャンプのコーチ出口沖彦さん(42)の長男智也君(14)は高い天井をぼんやりと見上げ、榊原麻紀さん(25)の弟岳さん(22)がはなをすすり上げた。式典が終わり大聖堂から出口さんの妻伸子さん(44)や、慶応大スキー部員光本沙織さん(22)の両親、同部員楢原涼子さん(22)の母純子さん(50)らが、ゆっくりとした足取りで出てきた。皆泣き続けていた。光本さんの弟亘佑さん(19)が、崩れ落ちそうな母七重さん(48)の肩を優しく抱いていた。
 式典は、キリスト教のミサ形式で行われ、オーストリアのクレスティル大統領、シュッセル首相、ドイツのシュレーダー首相、伊集院明夫駐オーストリア大使らが参列。福島県・猪苗代中の関係者ら、事故に巻き込まれたとみられる日本人10人の親族や関係者のほか、各国から駆け付けた親族、警察・消防などの捜索関係者ら約3000人が出席した。(京都新聞)
■JR西も誤表示122駅 運賃「1620円」実は290円 2年前、94駅ひそかに訂正
 駅の運賃表の誤表示問題でJR西日本は17日、管内の122駅に表示してある203区間の運賃に誤りがあったと発表した。このうち54駅71区間では最大3年半の間、運賃を取りすぎていた。同社は17日中に表示を訂正、申し出に応じて運賃の差額の払い戻しを始める。今回わかった誤表示以外にもJR西日本は1998年1月、利用客の指摘を受け94駅216区間で運賃表に誤りを見つけ、ひそかに訂正していたことを明らかにした。公表せず運輸省への報告も怠っていた。これについても当時にさかのぼり払い戻しに応じる。
 今回の判明分のうち、運賃を実際より高く表示していたのは79駅112区間。25駅41区間は、窓口の端末機で駅員が切符を発行しており、間違いはなかったとしている。残りの54駅71区間は自動券売機で発券しているため、利用客が誤った運賃表を見て余分な金額を支払ったとみられる。
 最大の差額は京橋−東寝屋川間(大阪府内)で1330円。実際には290円だが、京橋駅の券売機わきにある点字式運賃表に1620円と付記されていた。点字自体が正しいかどうかは調査中という。
 今回の誤表示のきっかけは、97年4月の消費税率アップによる運賃改定が131区間と最も多い。新駅設置時や自動券売機の移設時などにも表示ミスをしていた。運賃表の運賃は、各駅ごとに目的地までの距離に応じて計算しているが、その際の計算間違いか、運賃衰への書き写しミスとみられる。
 一方、98年1月に訂正した94駅216区間は、まだどの区間で運賃を取りすぎていたのかなど詳細がわからず、改めて発表するとしている。当時は事実を公表せず、払い戻しをしていなかったうえ、その時点で修正されなかった誤表示も今回みつかった。JR西日本の安富徹営業部長は会見で「ことの重大性の認識が不足していた」と釈明した。(朝日新聞)
■JR採用問題の4党合意 ILO、受け入れ勧告
 【ジュネーブ17日=小林伸雄】国際労働機関(ILO)は17日の理事会で、1987年に国鉄がJRに移行した際の人員採用問題で、国労や全勤労の組合員を差別したのはILO条約違反とする両労組の申し立てに対し、日本政府への勧告を採択した。勧告は、自民、公明、保守の与党3党と社民党が今年五月にまとめた4党合意を「関係する労働者が公正な補償を受けられることを保証したもの」と解釈し、すべての関係者がこの合意を受け入れるよう求めた。政府はこの勧告を最終勧告と受け止めているが、ILOは「公正な補償」がどのように行われたか、引き続きILO側に通知するよう求めている。
 勧告は、申し立てを審議してきたILO結社の自由委員会の報告書を承認する形で行われ、4党合意を「当事者が早期に満足いく解決に到達するという目的で、JRと労組の交渉促進を目指してその条件を提示したものだ」と評価した。同時に、4党合意について、JR復帰や未払い賃金の補償などを求めた当事者に対する「公正な補償を保証したもの」と位置づけ、労働者の権利を守る原則を強調した。(朝日新聞)
■ケーブルカー火災 大聖堂で追悼礼拝 ザルツブルク
 【ザルツブルク(オーストリア)17日=梅原季哉】聖堂の中に「なぜ」という問いかけがこだました−155人の犠牲者を出したオーストリアのケーブルカー火災事故で、地元州政府による合同追悼礼拝が17日午前11時(日本時間同日午後7時)から、ザルツブルク大聖堂で行われ、犠牲になった日本人10人の家族、友人ら21人も参列した。改めて悲しみにかられ泣き崩れる人もいて、家族に支えられて教会を後にした。
 礼拝には、オーストリアのクレスティル大統領、37人が犠牲になった隣国ドイツのシュレーダー首相や各国大使らも臨席した。
 大統領は「テレビを通じ何万人もの人が国境を超えて一緒に悲しみを共有している。残された家族の痛みを和らげる言葉はない。だが、多くの人が共に悲しむことが少しでも心のいやしになれはと思う」と述べた。
 日本人の一行は同日午後、遺体が安置されているザルツブルク空港内の管理区域を訪れる。遺体の確認は遅れているが、家族らが18日から順次帰国の途につく前の区切りとして、安置場所の近くに設けられた仮設祭壇の前で別れを告げる。
 一方、仲間の楢原涼子さん(22)、光本沙織さん(22)が犠牲になった慶応大学スキー部の若者たちは同日、再びふもとの町カブルンに向かった。部員が持参した寄せ書きの色紙、思い出の写真や好きだった菓子などを、ケーブルカーが出発した山ろく駅前に設けられている祭壇に供える。(朝日新聞)
■天声人語
 きのうはJR西日本が「122駅で運賃表が違っていた」と調査結果を発表した。JR九州とJR四国は週明けに結果をまとめるそうだが、ここでも間違いが見つかるかもしれない▼JR東日本にかかってきた一本の電話が、始まりだった。「相模線・南橋本駅に掲示してある運賃表が間違ってますよ」。念のためにほかの駅も調べてみたら、出るわ出るわ。279駅の運賃表に間違いがあった▼JR東海、JR北海道、それに東武や名鉄なども「誤記がありました」と続く。大部分は、消費税率が3%から5%に上がったため運賃表を書き直したときに間違えたらしい。3年半もそのままだったことになる▼JR西日本の場合はちょっと違う。消費税率引き上げの半年後、乗客に、ある駅の運賃表が違っていると指摘された。そこで全駅を調査、94駅での誤りがわかった。しかし公表せず、ひそかに書き直す。ところが今回あらためて調べると、そのときの漏れもふくめ、122駅で間違いが見つかった。悪いことはできない▼A駅からB駅までの運賃はいくらか。路線によっては、ややルールが面倒だけれど、つまりは足し算だ。丁寧に計算すればまず間違えることはない。なぜ、こんなことになったのか。当事者に聞いた。が、さっぱり要領を得ない▼「国鉄当時は何回も運賃値上げしたこともあり、計算のプロがいた。そんな人材が乏しくなった」なんて答えが返ってくる。繰り返すようだが、計算といっても足し算だ。プロでなくても、できる▼ならばと駅長経験者の国鉄OBにも聞いてみた。「確認は鉄道屋の命。ダイヤや運賃改定のときは、駅員総がかりで何度も計算し、点検したもんです」「いまは合理化、合理化で人が足りない。士気も落ちている。原因の一つじゃないかなあ」。それも、一つの解釈かもしれない。(朝日新聞)
■JR西日本 運賃誤表示 抗議受けリスト出す 「不正請求も」と当初拒む
 JR西日本が駅運賃表の誤表示を続けて運賃を取りすぎていた問題で、JR各駅では18日朝から問い合わせや苦情が相次いだ。ところが同社は当初、「払い戻しの不正請求が広がると困る」として、どの駅の表示がどう誤っていたかの全体がわかるリストを公表せず、客からの強い抗議を受けてようやくリストの配布に踏み切った。
 JR各駅には18日早朝から、「どうしてこんな不手際が起きるのか」などの苦情や、「ふだん使っている区間は間違っていないか」といった問い合わせが相次いだ。
 JR大阪駅には、駅長事務室に早朝から利用客数人が事実経過の説明を求めて訪れた。同駅では自動券売機わきの点字式運賃表に誤りがあり、大阪−三郷(奈良県)間が150円高く表示されるなどしていた。
 大阪市阿倍野区の会社員(35)は駅窓口で、「仕事柄あちこちに出向くことが多いので運賃表にミスがあった全区間のリストを見て確認したい」と申し出た。
 しかし駅員は「不正請求される恐れがある」などとして申し出を拒否。会社員は「具体的にどの区間で運賃の取りすぎがあったのか知りたいのに、大阪駅と関係ない区間については教えてもらえないのはおかしい」と困惑していた。
 こうしたやりとりを受けて、JRは対応を協議。運賃を取りすぎていたとみられる54駅71区間について公表することにし、各駅窓口でコピーを配布することを急きょ決めた。
 JRによると、過払いしていた場合、利用者はいったん最寄り駅の窓口に出向き、運転免許証など身分を証明するものを提示したうえで、利用区間や期間を説明する必要がある。それを受けてJRは社内で申し出の趣旨を検討。請求が認められれば、利用者は連絡を受けて再度駅に出向き、差額分を受け取ることになるという。
 JRは「不正請求を防ぐため本人確認など厳密にしたい」としている。(朝日新聞 夕刊)
19日■社説 乗客の信頼裏切る運賃誤表示
 駅の運賃表などをチェックしていたJR西日本は、京滋の9駅を含む122駅で計203区間の表示に誤りがあったと発表した。旧国鉄時代から「正確さ」に関しては定評があった同社だけに二重三重の驚きを禁じ得ない。
 まず、ミスの多さに驚く。ほぼ1割の駅に何らかの誤表示があった。誤りが見つからなかったのは米子支社管内だけだったという。掲出の際に当然の点検確認をきちんと行った結果だろう。すべからく点検は鉄道の基本。多くの現場でこれがおろそかにされたとは空恐ろしい。
 次に、誤表示の多くは3年以上も続いていたことに驚く。この間、不当な運賃をとりながら、社会問題化することはなく、内部からの指摘もなかったようだ。乗客は表示を信じ切ってその通りに運賃を支払っていた。ほとんどの乗客が気づかなかったのは、JRの「正確さ」に寄せる信頼が大きかった証左でもあるが、長年の間に培われたそれだけの信頼を裏切った責任は重い。
 そして、ここでも情報隠しがあったことに驚く。実は3年前の秋に、西大津駅で、新田駅までの運賃表示が間違っているとの指摘が乗客からあり、これを機に同社は管内の点検を行ったという。翌年1月に94駅216区間の誤表示を訂正したことを今回明らかにしたが、当時、誤表示の事実は公表せず、運輸省に報告もしなかった。JR他社や他の鉄道に知らされることもなかった。
 指摘した乗客には、取り過ぎた運賃は返却したというが、その他は、ほおかぶりした形となった。指摘から訂正までに3ヵ月以上も要し、それも不十分だったことを今回露呈した。この間、乗客は間違った運賃を払い続けたわけだ。口ではお客さま本位と言いつつその実、軽視しているといわれてもしかたあるまい。
 情報隠しは、雪印乳業の食中毒事件、三洋電機の不良太陽電池販売、三菱自動車のクレーム隠し…とことし相次いだ企業の消費者に対する不祥事に通底するものだ。もし3年前に適切な対応をしていれば、全国の鉄道で相次いで誤表示が見つかり、乗客の怒りと不安を招いている今回の事態は、ある程度は防げたに違いない。
猛省を促したい。
 今回、大量の誤表示が判明したのは、11日にJR東日本管内で乗客の指摘があったのがきっかけだった。同社の総点検で279駅598区間と、電車や気動車の車内表示32区間でミスが見つかった。JR東海でも京都駅を含む17駅66区間に誤表示があり、JR北海道や首都圏の私鉄や地下鉄線でも誤りが見つかっている。
 JR西日本、同東日本の説明では、運賃改定時に各駅の駅員が駅間距離を運賃表に照らして計算する際の誤りか、転記の誤りといい、コンピューターシステムとの照合もしていなかったという。
 それにしても、これだけの誤表示があり、3年余も気づかないとはどういうことだろう。ご自慢のコンピューターシステムの方には誤入力はないのだろうか。運転部門は大丈夫だろうか。ミス防止のための確認機能や体制の総点検を望む。(京都新聞)
■東海道線特急 男性はね停車 近江八幡、8本遅れ
 18日午後8時20分ごろ、滋賀県近江八幡市日吉野町のJR東海道線近江八幡−篠原間の日吉野踏切付近で、高山発大阪行き下り臨時特急列車「ひだ84号」(3両編成)が線路内にいた男性をはね、男性は全身を強く打って即死した。
 この事故で、特急が現場に42分間停車したほか、後続の新快速2本を含む電車5本が39−5分遅れ、乗客約900人に影響した。京都駅などでは客でホームが一時混雑した。
 近江八幡署の調べでは、男性は裸で線路にうずくまっており、運転士が気付いて非常ブレーキをかけたが、間に合わなかったという。同署は自殺とみて身元の確認を急いでいる。(朝日新聞)
20日■JR西日本 誤表示リストにも誤り 運賃表 全1231駅で再調査
 JR西日本が運賃表の金額を誤って表示し、運賃を取りすぎていた問題で、同社は19日、全駅の運賃表を再調査する方針を明らかにした。17日、122駅203区間で誤表示があったとの調査結果を発表したが、誤表示をまとめたリスト自体に誤りが続々と見つかり、調査そのものの信頼性に社内から疑問の声が上がっていた。再調査には時間をかけ、今月末には結果をまとめたいとしているが、誤表示の件数が増加する可能性も出てきた。
 再調査は北陸、近畿、中国、九州地方のJR西日本管内の1231駅全駅でそれぞれ実施する。各駅から目的駅までの運賃を計算し直して運賃表と照合するとともに、端末機でも各区間の運賃を打ち出し運賃表に誤りがないかチェックする。調査方法は13−17日に実施した内容と大差ないが、JRは「時間をかけて点検し万全を期したい」としている。
 再調査の最大の理由は17日に公表した122駅203区間のリストに誤りが相次いでいる点だ。リストは誤っていた区間について正当運賃、誤表示額、差額を並べているが、19日までに少なくとも4区間で誤りが判明した。なかには、3つの金額すべてが間違っていた区間もあった。
 加えて、最初の調査は期間を区切ったため、各駅に調査を急がせる結果になった▽乗降客の多い駅では運賃表が20ヵ所程度あり、調査が十分できていなかった可能性がある−などとしている。
 一方、運賃表の金額を点検する過程で、JR天王寺駅の運賃表に記載された駅名に誤りがあることもわかった。JR三山木駅(京都府京田辺市)を「JR三山本」と約3年半前から表示していた。19日から、駅名も全駅で点検し始めた。(朝日新聞)
■運賃誤表示でJR西 フリーダイヤル設置
 JR西日本が運賃表に間違った金額を表示し運賃を取りすぎていた問題で、同社は20日、問い合わせのためのフリーダイヤル(0120・010963)を設置した。当分の間、午前9時から午後7時まで受け付ける。運賃の過払いが判明し、払い戻しを受ける場合は、最寄り駅の窓口に出向く必要がある。また、駅窓口の受付時間は、平日の午前9時から午後9時。20日以降は、本人が運転免許証など身分を証明するものを示せば、その場で払い戻しに応じるという。
 運賃を取りすぎていた区間は、駅窓口でリストを配布するとともに、同社のホームページにも掲載している。同社のまとめでは、各駅の窓口には19日までに計約200件の問い合わせがあり、すでに6人が運賃の払い戻しを求めている。(朝日新聞 夕刊)
■戸袋にかばん 26本が運休 JR環状線
 20日午前7時50分ごろ、JR大阪環状線天満駅で、内回り普通電車(8両編成、乗客約800人)の2両目のドアが閉まりきらないことに、運転士が気づいた。調べたところ、ドアが開いた際、ドアの戸袋に乗客のかばんのひもが引き込まれ、ドアが動かなくなっていた。駅員らがひもを引き出し、電車は12分遅れで発車した。ただ、ひもに付いていた金具が戸袋にはさまったままで取れないため、この電車は次の大阪駅で運転を打ち切った。乗客にけがはなかった。
 このためダイヤは大幅に乱れ、大阪環状線の電車26本が運休、10本が最大19分遅れ、通勤通学客ら約2万1000人に影響した。(朝日新聞 夕刊)
21日■JR西日本 運賃誤表示 新たに40駅、78区間
 JR西日本は20日、駅の運賃表示が誤っていた問題で、新たに40駅、78区間で誤表示が見つかったと発表した。同社は今週中をめどに全駅の再調査を行うよう指示した。
 利用客が正しい料金より多く払った可能性があるのは25駅、42区間で、差額は最高800円だった。京滋では4つの駅で各1区間見つかった。日吉(船井郡日吉町)−大阪城北詰(大阪市)170円、石原(福知山市)−淵垣(綾部市)の子供運賃で100円、下夜久野(天田郡夜久野町)−国府(兵庫県日高町)90円、雄琴(大津市)−関(三重県鈴鹿市)30円、それぞれ多く取り過ぎた可能性があるという。
 また、1998年1月に誤りを公表せずに運賃表を訂正したのは92駅、212区間と判明した。今回の追加分を含め、運賃表示の誤りは計214駅、485区間にのぼっている。ほかにワンマン運転線区でも7線区、95区間に誤りが見つかった。
 同社は、取り過ぎた運賃について申告があれば払い戻すとしている。問い合わせはフリーダイヤル0120-010963。
 また、運輸省の20日のまとめによると、新たにJR九州とJR四国、秋田内陸縦貫鉄道でも駅の運賃表示の誤りが見つかり、誤表示があったのは、これでJR6社を含む鉄道、モノレールなど計12社の計567駅、1246区間となった。運輸省は事態を重くみて、ミスをした事業者の担当者から事情を聴き、厳重注意などの処分をする方針。(京都新聞)
■JR西は微増収増益に
 JR西日本が20日発表した2000年9月中間連結決算は、売上高が前年同期比0.1%増の5938億円、当期純利益は会計基準の変更で46.8%増の210億円と激増収大幅増益になった。
 運輸業は「ひかリレールスター」増発などで新幹線収入が中間期では4年ぶりに前年実績を上回り低落傾向に歯止めがかかったが、厳しい雇用情勢などを反映し在来線収入が低迷し全体として減収となった。ただ、百貨店のジェイアール西日本伊勢丹(京都市)など流通やホテル事業が順調でトータルでは微増収となった。
 同社は、本年度のトンネル用のコンクリート対策費として当初見込んでいた100億円を90億円に変更、新たに高架橋の安全性確保に30億円を計上、コンクリート対策費が合計120億福に上る見通しを明らかにした。
 来年3月期は売上高1兆1815億円、当期純利益255億円を見込んでいる。同社の150駅で運賃の誤表示が見つかったことについて、垣内剛常務は「もし経営に影響があるのなら、経費節減の努力などで影響を出さないようにしたい」と述べた。(京都新聞)
■JR西日本 8万円払い戻し例も 運賃誤表示 全国では567駅に
 運賃表誤表示による運賃の取り過ぎ問題でJR西日本は20日、利用客の自己申告による差額分の払い戻し請求が8件寄せられ、うち1人に8万1130円を支払った。同社が払い戻しに応じたのは初めて。残る7人には順次、払い戻しの手続きを進める。
 同社によると、払い戻しを受けたのは兵庫県内在住の男性で、20日にJR京橋駅に申し出た。
 申告によれば、正規より1330円高い1620円と誤表示されていた京橋−東寝屋川間(大阪府)を約30往復し、61回分過払いした。誤表示があったのは京橋駅だが、東寝屋川駅から戻る際も京橋駅の運賃表を信じて1620円支払ったという。同社は「身分証の提示を受け、支払いに応じた」としている。
 また、同社はこの日、JR大阪環状線の野田駅で稲荷駅(奈良線)までを800円高い1620円と誤表示するなど
、新たに40駅78区間で運賃表に誤りが見つかったと発表した。2年前にひそかに訂正した区間もあわせ、誤表示は計214駅485区間にのぼり、そのうち運賃を取りすぎていたのは90駅143区間になった。同社は現在、再調査を全駅で進めており、来週明けにも取りまとめる。2年前の隠ぺいの責任の所在を明らかにするため、当時の営業部長(現監査役)らから事情も聴く方針。問い合わせは各駅のほかフリーダイヤル(0120・010963)で受け付けており、誤表示リストは同社のホームページでも公開している。
 運賃の誤表示問題について運輸省が20日午後5時半現在でまとめたところ、全国で12事業者の計567駅、1246区間にのぼることがわかった。20日にはJR九州と同四国からも報告があり、これでJR旅客全社で表示ミスが見つかった。(朝日新聞)
■JR西日本 増収増益に
 JR西日本が20日発表した2000年9月中間決算は、売上高が前年同期比0.1%増の5938億円、最終利益が同46.8%増の210億円と、増収増益だった。鉄道運輸収入は山陽新幹線に投入した新型の「ひかりレールスター」が好調だったものの、在来線の不振などで微減だった。退職金の支払いの減少や、修繕費の減少などが増益に頁献した。(朝日新聞)
■六甲オリエンタルホテル 阪神電鉄が営業を譲渡
 阪神電気鉄道は20日、来年3月、業績不振の六甲オリエンタルホテル(神戸市)の経営権を、レジャー事業を手がけるグループの元町阪神ビルディング(同)に譲渡する、と発表した。同ホテルは阪神大震災後、赤字に転落し、11億円の借入金を抱えているうえ、5600万円の債務超過に陥っており、譲渡益で債務超過を解消する。
 グループのレジャー事業を再編し、経営の効率化を図るのが狙い。(朝日新聞)
■ODAのタイ送水・鉄道事業 円借款45億円 効果に疑問 工事遅れ影響 検査院が指摘
 日本の政府開発援助(ODA)による円借款約45億円を投じて建設されたタイの送水施設建設と貨物鉄道建設の2事業が、タイ側の工事の遅れなどが原因で、融資に見合った効果を生んでいないことが19日、会計検査院の調査で分かった。約15億円をかけた送水事業は、予定の6年遅れで一部の配水を開始、昨年実績で送水可能容量の約20%しか利用されていない。また、約30億円を投資した鉄道事業は予定の4年遅れで運行を開始。輸送実績は当初予測の約10%にすぎず、荷物の多くはトラック輸送に奪われているという。会計検査院はこうした実態を近く首相に提出する決算検査報告書で指摘する。
 関係者によると、2事業はタイ湾周辺で進む「東部臨海開発計画」の一環として、国際協力銀行(JBIC)が資金を融資する直接借款で1988年に契約が調印された。
 送水事業は、バンコクの南約130`のサタヒップ市とマプタプット工業団地の間に、直径1.6bの送水管を約23`にわたり敷設。浄水場建設と家庭への配管はタイ側が担当した。
 16万人分の生活用水を見込み、工業用水も含め90年から年間最大1400万`を供給する計画だったが、一部上水道の配水を開始した96年の実績は、送水可能容量の約4%、97年が10%、98年が約15%。99年でも約20%という。
 一方、鉄道事業は91年にサタヒップとマプタプットの間に貨物用の単線24`を開通させる予定だったが、実際の運行開始は95年から。当初の年間予測貨物量400万d(98年)に対し実績は42万d。99年でも55万dにとどまっている。
・国際協力銀行(JBIC) 日本の民間企業の海外関連事業への融資などを担当していた日本輸出入銀行と、日本の政府開発援助(ODA)の実施機関だった海外経済協力基金(OECF)が統合され、1999年10月発足。予算規模が2兆7000億円を超える巨大な公的金融機関。「基本方針」制定を法律で義務付けられており、貧困の解消や環境への配慮などを打ち出している。支援した事業の事後評価も公表している。
・国民も厳しく監視を
 日本の政府開発援助(ODA)の実態に詳しい新潟大の鷲見一夫教授(国際環境法)の話 ODAは予算の大粋があらかじめ決まっているために、安易に事業化を決めてしまう。援助を受ける国の側も、担当官庁が縦割りで調整がうまくいかず、結果的に投資が霧散するケースも目立つ。今回問題となったタイの東部臨海開発計画は、事業途中でタイ政府が「徹底的で包括的な見直し」を発表していた。当初計画のずさんさは疑いようがない。円借款の財源は国民年金、郵便貯金などの財政投融資。21兆円を超す貸付残高の返済が危ぐされる中、国民も厳しく監視すべきだ。
・タイ側の事情、遺憾
 国際協力銀行(JBIC)の話 2事業とも供用開始が遅れたのは主にタイ側の事情によるが、遺憾だ。送水事業で効果を100パーセント発揮するにはタイ側が担当する工事の完成が不可欠だったが、タイ側の国内調整に手間取り着工が延び延びになった。アジア通貨危機の影響を受け工事も一時中断した。鉄道事業で輸送実績が予測より少ないのは事実だが、トラック輸送の急成長は予測の範囲外で、当初計画が古かったとは考えていない。(京都新聞 夕刊)
■新幹線、始発から混乱 品川信号場 ポイント故障、運休も
 21日午前四時ごろから同5時40分ごろにかけて、東京都港区の東海道新幹線東京−新横浜間の品川信号揚でポイントが故障、上下線が始発から大きく乱れた。午前11時20分現在、東京発新大阪行きひかり211号など6本が運休、上下計88本に110分程度の遅れが出て約8万人が影響を受けている。ポイントは正午前に復旧した。
 故障したのは本線と車両基地(品川区)への引き込み線を切り替えるポイントで、JR東海はポイントを動かすモーターの電源回路が何らかの原因でショートしたのではないかとみて詳しい原因を調べている。
 同社はポイントを手動で切り替えて運転。車両基地から東京駅に入って出発する下り列車が特に影響を受けた。(京都新聞 夕刊)
■ポイント故障 ダイヤに乱れ 東海道新幹線
 21日午前4時5分ごろ、東海道新幹線の東京−新横浜間下り線にあるポイント自動転換装置が動かなくなり、約2時間後には付近の上り線の同じ装置も動かなくなった。JR東海によると、始発から現場のポイントを手動で切り替えて運行しているが、上下線とも大幅に遅れておりダイヤの乱れは同日夕まで続くという。新大阪駅では、東京方面から来る下り新幹線が最大80分遅れ、JR西日本は新大阪発博多行きの臨時列車2本を運行した。(朝日新聞 夕刊)
■坊っちゃんSLに乗る JR松山−宇和島間
 21日、蒸気機関車(SL)が愛媛県のJR松山駅(松山市)−宇和島駅(宇和島市)間103.2`を走った。夏目漱石の小説「坊っちやん」の街に似合うようにと、松山駅をレトロ調に改装したのを記念するイベント。26日までの6日間、同区間を1日に片道ずつ運転する。
 初日は、漱石や坊っちゃんなどにふんした加戸守行知事や中村時広・松山市長らが、SLが引く4両の客車(乗客270人)に乗り込み、「タイムトリップ」。全車指定で、一般の指定席は1ヵ月前の発売当日にほぼ完売した。(朝日新聞 夕刊)
22日■ラッセル車試運転 JR西日本福知山支社
 本格的な冬の訪れを前に、JR西日本福知山支社は21日、山陰線でラッセル車の試運転を始めた。30日まで、播但線などを含めて試運転を続け、積雪に備える。
 この日は、ディーゼル機関車の前に複線用の除雪装置を取り付けたラッセル車が、山陰線の豊岡−綾部間と舞鶴線の全線を時速30`ほどで走行し、乗り込んだ保線区員らが、羽根の開閉やカッターの上下を入念に確認した。複線用と単線用のそれぞれ1編成ずつのラッセル車を、豊岡駅に配備し、積雪が30aを超えると出動させる。
 昨シーズンは雪が多く、例年より2日程度多い7日間運転した。今冬は、3ヵ月予報によると、日本海側を含む近畿地方は、平年より暖かめで、雪の日は少ない見込みという。(京都新聞)
■運賃誤表示 JR西日本 社長が陳謝 「誠実さ欠く仕事」
 JR西日本の駅の運賃表示が誤っていた問題で同社の南谷昌二郎社長は21日、記者会見で「あってはならない間違いで、深くおわびする」と陳謝、社内の処分を検討する方針を示した。
 乗客からの指摘で1998年に誤表示を訂正しながら公表していなかった問題では、「誠実さを欠く仕事で重大と認識している。報告はなかったが、トップとして知らなかったではすまされない」と述べた。
 これまでにJR西日本が取りすぎた運賃を返還したのは2人で、最多は8万1130円という。南谷社長は「一方的なミスであり、申し出には誠実に対応していくが、失礼にあたらない程度で確認する。日数が多く、金額が大きいケースは支社などで相談していく」と語った。(京都新聞)
■USJに2500組招待 JR西日本が抽選で
 JR西日本は21日、同社管内の駅や主要旅行会社などで27日から12月31日までに山陽新幹線の切符を買った人の中から抽選で2500組(5000人)に、来春開業する映画のテーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」(USJ、大阪市)で開業直前に遊べるスタジオ・プレビューチケットをプレゼントすると発表した。
 新幹線特急券のほか、割引切符、定期券、旅行商品など山陽新幹線を利用する切符全般を購入すると応募できる。応募方法は、購入時に手渡される応募はがきに必要事項を書いて郵送する。来年1月10日の消印まで有効。
 JR四国、JR九州菅内で購入しても応募できる。招待日は来年3月20日、24日、25日のいずれかで会場までの交通費は本人負担。1月末ごろまでにチケットを発送し当選発表に代える。(京都新聞)
■「JR他社と対策講ずる」 誤表示で西日本社長
 JR西日本の各駅の運賃表に485区間で誤りが見つかった問題で、同社の南谷昌二郎社長が21日、記者会見して「我々の一方的なミスであり深くおわびしたい。過払いした利用客への払い戻しには誠実に対応し、自らの処分も含め検討する」と陳謝、「二度と同じ過ちを犯さないようJR他社と一緒に対策を講じていきたい」と述べた。
 JRによると、現在は運賃改定のたびに各駅の駅員が手計算で目的駅までの運賃をはじき出している。間違いが起きやすいため、運賃改定時に新しい運賃をコンピューターソフトで計算できる仕組みをつくれないか検討したいという。(朝日新聞)
■ニュースの視点 ケーブルカー火災 邦人遺族に心のケア必要 梅原季哉(ウィーン支局長)
 突然、海外での事故で家族や親しい仲間を失ったとき、残された人々が受けるこころの傷は容易にいやせるものではない。まして、現場をこの目で見ることができず、亡きがらを連れて帰ることすらできないとしたら、なおさらだ。
 オーストリア・キッツシュタインホルンで11日に起きたケーブルカー火災事故は、犠牲者155人という、世界でも過去最大級のスキー場災害となった。福島県猪苗代町の中学生5人を含め、ケーブルカーに乗っていたとみられる日本人客10人も、残念ながら生存を絶望視せざるを得ない結果となった。
 遺体はひどく損傷しており、身元照合にはDNA鑑定を頼らざるを得ない。今のところ、どの遺体も確認のめどがたっておらず、155体すべてについて結果が判明するまで、なお数週間は要する見込みだ。
 「もしかして間違いではないか」と自問しながら日本をたち、現地入りした二十数人の家族や友人たちは悲しみだけを胸に、20日までに全員がいったん、帰国の途についた。
 今回の事故では、発生直後から相当の間、実態がつかみづらく、関係者によけい心理的負担を強いた。
 飛行機事故などと違い、乗客名簿すらないケーブルカーだけに、第一報は「連絡が取れずにいる」というだけ。現場は危険な高い山のトンネル内で、遺体搬山と捜査上の案件で、家族は近づくことすらできなかった。17日午後、ザルツブルク空港内の格納庫に安置され、身元確認を待つ多くのひつぎの列を目にし、やっと悲劇を現実のものとして受け止められた人も少なくなかったはずだ。
 今後、遺体の身元確認に続いて、残された人々が期待するのは、何より事故原因の究明だろう。ブレーキ系統の油がもれ、それが発火したという説が有力視されつつある。だが、もしそれが事実としても、なぜ放置されていたのか、責任の所在も含めた事故の全ぼうが明らかになるまでには、どんなに早くても数ヵ月、長ければ数年単位の月日が必要となる。
 それまでの問、関係者の苦しみを無にしないためにも、今何の事故で感じた重要な教訓を指摘したい。
 海外で日本人が事件事故に巻き込まれた場合の公的な援助、危機管理体制には「こころのケア」という視点が、すっぽりと欠落している、ということだ。
 今回の事故で、地元対策本部は、家族のケアにあたる約40人の精神科医・カウンセラーらのチームを結成した。カウンセリングは赤十字や軍の救援チームにも提供された。37人の犠牲者を出したドイツからは、別のカウンセラーたちが家族に同行した。
 地元当局は「日本人家族についても、通訳を介するなどして、一人ひとりにカウンセラーを提供したい」と再三言明していた。
 だが、日本大使館当局者は「日本の文化は、そんなものじゃない。それに、通訳を介して言葉をかけられても、かえって気持ちはおさまらないだろう」と、終始、消極的だった。
 確かに、文化や言葉の違いを無視して心の問題は語れない。しかし、大使館は邦人保護の最前線にある立場のはずなのに、まるで第三者のような言葉に、強い違和感が残った。
 急な事故で家族を亡くした人が、心的外傷後ストレス障害(PTSD)に襲われるのは、国籍や文化、宗教を問わず、ごく正常な反応だ。海外の事故であれば、現地入りした家族には異文化接触によるショックが加わる。
 旅行会社幹部や大使館医務官ら、家族らのためできるだけのことをしようと、奔走した人たちがいたのも確かだ。でも問題は、個人の善意を超えたシステムの次元にこそある。
 関係者によると、連日の疲労からか、大使館員が、木で鼻をくくるような態度で家族らに接する場面が何度かあったという。日本人を助ける担当者たち自身のストレス管理体制も整える必要があるだろう。
 海外でできることには限界もある。家族たちが帰国した後の中長期的な心のケアも考え、公的な援助の手がさしのべられるべきだ。(朝日新聞)
■論壇 国労判決は団結への「挽歌」 花見 忠 前中央労働委員会会長 上智大学名誉教授
 今月8日、東京高裁はJR不採用事件について中労委の控訴を棄却、1987年の国鉄民営化にあたって行われた国労組合員に対する差別的不採用の責任をJR3社に負わせることとした中労委命令の効力を否定する判断を下した。
 筆者は、つい先日まで長年中労委の公益委員をつとめ、特にこの2年間は会長の立場から、控訴人を代表して高裁に対し中労委命令を取り消した地裁判決を破棄するよう、申し立てをおこなってきた。さらに、訴訟の対象となった中労委命令の作成作業に中労委就任直後からかかわってきた立場からは、筆者が中労委の任期を満了して退任した直後、この高裁判決が下されたことには、いささか深い感慨を禁じえない。
 しかし、今、実務家の立場をはなれて研究者の立場からみても、今回の判決は基本的な転換をせまられているわが国労使関係にとって、大きな意味を持つものと考えられる。
 事案で問題となっている国鉄改革にあたっての国労組合員の排除の法的評価は、旧国鉄とJRの実質的同一性を立法で否定した国鉄改革法の解釈という、法解釈の争いの形をとって今日に至っている。だが、国鉄改革そのものが、戦後の官公労の労使関係をめぐる戦闘的労働運動と政府の長期にわたる対決の政治的決着であったことからすれば、実質は国家的不当労働行為と見るべきこの事件の処理としては、改革法の法解釈よりも問題の実質的解決こそがより重要である。
 このような視点で、今回の高裁判決の意味を考えると、これにより不当に職を失った国労組合員の救済は、最高裁への上告を別にすれは、国労が「JRの法的責任のないことを認める」という前提条件のついた4党合意による和解の道のみが残されるにいたったことは、極めて象徴的といわなければならない。つまり国労は組織体として過去13年にわたって労働委員会の場で一貫して主張してきたJR責任の追及を自ら否定することによってのみ、組合員の救済が可能という立場に追い込まれたということである。
 これは、労使関係論からすれば、きわめて重大な意味を含んでいる。つまり、団結権の論理を経営の論理によって否定することを、労働組合はせまられているということである。
 だが、あらためて国鉄改革を含む公社民営化の歴史をふりかえってみると、この経営の論理による団結権の論理のおきかえは、1975年のスト権ストの時点にさかのぼるといわなければならない。この国労を中心としておこなわれた政治ストは、結果的に戦闘的労働運動への国民の反発と運動の退潮のきっかけをつくり、スト権問題の公社民営化という経営の視点による問題の処理への転換の道筋を開くことになったと言うことができる。
 公社民営化は、労使関係の視点からみれば、わが国戦後の労働法体系、労使関係制度の基本である団結権の論理の経営の論理によるおきかえという、労使関係の基本的転換の先鞭の役割をはたしたものと評価することが可能である。その後のわが国の労使関係全般において、経営の論理が団結の論理に先行していく経過は、70年代から80年代にかけての戦闘的労働組合運動から協調的労働運動への転換に象徴されるわが国労使関係の基本的転換の過程にたどることができる。この視点からすれば、高裁判決はいわば団結権への挽歌とみることができる。
 情報技術(IT)を機軸とする労働の実態の抜本的変化が急激に進行し、加速度的に労働力の流動化が進展するなかで、世界的に労使関係の個別化が叫ばれている。
 わが国でも、パート労働者が10年間で倍増し、1100万をこえるに至った今日、きたるべき21世紀の労使関係を模索するにあたり、パート、派遣労働者などとは基本的にはなれたところで展開してきた組織労働を機軸とした団結権の論理を基本とする労使関係制度は新たな時代への適応をせまられている。=投稿(朝日新聞)
■西宮−関空のバス路線申請 阪急など5社
 関西空港交通、大阪空港交通、阪神電気鉄道、南海電気鉄道、阪急バスの5社は22日、共同運行で兵庫県西宮市と関西空港を結ぶリムジンバス路線の免許を近畿運輸局に申請した。
 5社によると、阪急西宮北口駅からJR西ノ宮、阪神西宮の各駅を経由し関空まで約70分で結ぶ。1日24往復で、運賃は大人片道1500円。来年1月16日からの運行開始を目指しており、年間約22万人の利用を見込んでいる。(京都新聞 夕刊)
■乗客けんか? ガラス割れる JR関西線
 22日午前7時10分ごろ、大阪府柏原市青谷のJR関西線河内堅上駅にさしかかった王寺発天王寺行き下り普通電車(6両編成、乗客約1000人)の車内警報ブザーが作動した。同駅で停車後に運転士が調べたところ、先頭車両の窓ガラス1枚が割れていた。柏原署は男性乗客2人のけんかが原因とみて調べている。警報ブザーは危険を感じた周囲の乗客が鳴らしたらしい。乗り合わせたJR社員らが粘着テープで応急措置をし、電車は10分遅れで発車した。このため、JR関西線と大阪環状線のダイヤは朝の混雑時間帯と重なって大幅に乱れ、上下線合わせ12本が運休、24本が最大10分遅れ、約3万3000人に影響が出た。(朝日新聞 夕刊)
■今日的遺跡探検 1960年 ビスタ・コーチ 通勤用でもワンマン化できず
 日本初の2階建てバスが走ったのは、40年前の大阪だったという。近畿日本鉄道(本社・大阪市)の路線バス「ビスタ・コーチ」だ。同社はその2年前、2階建て電車「ビスタカー」も導入。こちらは型を変えて健在だが、バスの方はいつのまにか姿を消した。
 近鉄バスによると、ビスタ・コーチは、梅田(大阪市)−奈良ドリームランド(奈良市)や、上本町六丁目(大阪市)−石切神社前(大阪府東大阪市)などの路線を走っていたそうだ。
 中央部に2階があり、1960年製の第1号車は座席数が83席(うち2階は27席)と、普通のバスより4割ほど多かった。「通勤客を乗せるのが目的」だったからだ。車高が3.5b以下に制限されていたため、床を低くして天井の高さを確保。図らずも、乗降が楽な低床バスでもあった。
 運転手だった三重県一志町の小野里留雄さん(66)は、「朝晩は通勤客が多く、子どもにも人気があった。『2階バスに乗りたいから』と、何本ものバスを見送って待っていた子どもたちの姿はうれしかった」。街路樹の枝が窓ガラスを割らないか、停留所に止まるとき2階の客が階段を踏み外さないか、気を使うことも多かった。
 車掌をした近鉄観光バス総務部の浜与志広課長(55)は「休日には、オープンしたばかりの奈良ドリームランドに向かう子ども連れが多かった。大阪に帰ってくる便は、遠くに見える夜景がきれいだった。2階は車掌から見えにくいと安心するのか、夜はアベックにも人気があった。実際は、車内の大きなミラーで2階の様子も見えていたのですが」。
 近鉄がビスタ・コーチの運行をやめた時期は定かではないが、関係者らの話では60年代末ごろのようだ。乗降口が運転手から離れた車体中央にあり、ワンマン化に対応できなかったためらしい。
 近鉄を「引退」したビスタ・コーチのうち、1台は70年ごろ、和歌山県太地町の太地熱帯植物園のわきに置かれ、観光客にうどんやそばを食べさせる食堂として利用された。同園の関係者は「付近に食事ができる場所がなかったので設置したようだが、1年ぐらいでスクラップにしてしまった」。
 石川県野々市町の北日本観光自動車に引き取られた車両もあった。「客寄せのために」と、県内の山中、山代、片山津の温泉地を経由して金沢駅に行く路線で走ったが、数年後、老朽化でやめたそうだ。
 現在、大阪市内で乗れる2階建てバスは、同市交通局が毎日運行する定期観光バスの「にじ号」。ワイドな窓から景色を楽しめる。「通勤用」から「観光用」へ、時代とともに目的や姿は変わっても、乗客とともに、きょうも2階建てバスは走る。(八田 智代)
・ビスタ・コーチ
 日本初の2階建てバス。1960年に近畿日本鉄道が日野自動車、近畿車両と共同で開発した。天井高を確保するために低床にしたり、通路をはさんで3人掛けと2人掛けの座席を並べたりと、法規による大きさの制限の中で、より多くの乗客を乗せるための工夫がみられた。
・蔦秀明さん(39) 大阪市生野区
 30年以上前、家の近くを2階建てバスが走っていました。貸し切りバスではなく、普通の路線の乗り合いバスでした。まだ車掌さんが乗っておりバスが交通の花形の時代です。どうしても2階の一番前の席に乗りたくて両親にねだり、わざわざ始発の上本町6丁目に出かけ、石切神社前まで乗ったことがあります。
 しかし、古いことなので車内の様子や景色も記憶にありません。町にはまだ高いビルもなく、さぞかし見晴らしがよかっただろうと想像するばかりです。時代とともに消えたこのバスのその後も気になります。(朝日新聞 夕刊)
23日■平日にも100円バス 来月に運行実験 京都市交通局 利用客数や交通量探る
 京都市交通局は、市内中心部で週末を中心に運行している100円バスを、12月4日から5日間、初めて平日に運行する実験に取り組む。また、運行間隔をこれまでの10分から5分にする実験も別の期間に行い、利用客数や交通量などがどのように変化するかを調べる。
 100円バスは、建設省近畿地方建設局の「京阪神都市交通社会実験」の一環として、来年3月末までの予定で運行している。今回の実験は、近畿地建と市、路線周辺の商店街、地元住民らでつくる「市部心部における交通対策研究会」の提案を受けて取り組む。
 初の平日運行は、12月4日から8日までの5日間、午前10時から午後5時まで、10分間隔で走らせる。ビジネスを中心とした利用を見込んでおり、新たなニーズの掘り起こしに期待している。
 運行間隔の短縮は、12月2日から24日までの土、日曜、計8日間実施する。待ち時間を短縮して利便性を高め、乗客数の増減や、利用区間などを調査する。
 100円バスの運行では、10月から路線周辺の商店街とタイアップして、無料乗車券を配布する実験にも取り組んでいる。今回の二つの取り組みで予定していた実験はすべて終わることになり、市交通局は「実験結果をもとに年度内には100円バスの有効性を検証したい」としている。(京都新聞)
■近鉄が点字の運賃表示誤る
 近畿日本鉄道(本社・大阪市)は22日、50の駅の券売機計116台で、運賃ボタンについている点字表示が誤っていた、と発表した。運賃ボタンの金額より点字を高く表示していたのは32駅の58台、安かったのは30駅の68台あった。同社は申し出があれば払い戻す。消費税率変更に伴う運賃改定や券売機の設置時に、点字を誤ったり、張る位置を間違ったのが原因という。
 京都府内では、京都駅の券売機7台で「1410円」のボタンに「1400円」と点字表示していたほか、丹波橋駅の7台で「1110円」を「1100円」、向島駅の1台で「1400円」を「2400円」と表示していた。(京都新聞)
■JR園部駅周辺の用途変更など可決 府の都計審
 京都府の都市計画審議会が22日、京都市上京区のホテルで開かれた。都市計画法改正で決定権限を市町村都市計画審議会に大幅に移譲してから初めての審議会で、園部町のJR園部駅周辺地区の用途変更など、議案3件を原案通り可決した。
 園部駅周辺地区の用途変更は、同地区約3.1fを「高密度利用を図る業務地」として土地利用を図るため、現行の「第二種中高層住居専用地域」から「第二種住居地域」に変更、これまでの事務所の設置規制(延べ床面積1500平方b以内)を撤廃する。
 このほか、八幡市美濃山の小学校用地拡大や、宮津市中町通地区の事業計画に対する住民からの意見書の取り下げについても可決した。(京都新聞)
■KTRで冬の丹後へ 臨時列車など発表 年末年始に上下で6本
 北近畿タンゴ鉄道(KTR、事業本部・宮津市)は22日、年末年始とカニシーズンに向けた冬の旅客輸送計画を発表した。年末年始の臨時列車は、上り下り計6本。特急では京都発天橋立行き「はしだて83号」を12月29日から同31日まで、天橋立発京都行き「はしだて82号」を1月2日から同4日までそれぞれ1日1本運転する。
 一方、カニや温泉目当ての観光客に対応し、12月1日から3月2日までの期間中、丹後由良駅で3本、木津温泉駅で8本、丹後神野駅で7本それぞれ特急列車を臨時停車させる。昨年まで運行していた元伊勢内宮(大江町)がある大江山口内宮駅までの初もうでの臨時列車は今年は取りやめる。
 また初冬の歴史のまち、宮津の散策や「宮津ふれあい朝市」に訪れる客向けに12月23日、買い物ツアー列車(特急列車を使用)を福知山−宮津間で1往復走らせる。募集人員は100人。申し込みはKTR宮津旅行センター 0772(22)3308へ。(京都新聞)
■京都新世紀 東西線 喜び、ため息 京都市中心部へのアクセス向上 駅までの足、充実が課題
 山科 面積28.78平方`、人口13万6930人。宇治郡山科町が1931年、京都市に編入。60年代から急速に住宅開発が進み、人口が急増した。76年に東山区から分区。区外に流出する1日の人口が4万人を超えるベッドタウンとなった。隣接する大津市との交流も多い。
 「お年寄りたちの足を、どうやって確保したらいいんだろう」
 山階社会福祉協議会長の谷口昇さん(63)は悩んだ末に今年1月から、お年寄りや障害者が気軽に利用できる送迎ボランティアを始めた。20人の登録ボランティアが、区内を中心に送り迎えをしている。
 週3日、午前6時に区内東部にある病院に人工透析に通う2人の女性を迎えに行く。盆も正月も、透析は定期的に続けなくてはならない。
●前より不便に
 女性のひとり窪田一子さん(66)は九年間、透析に通っている。「バスを使う機会がほとんどない。前に比べて不便になった。路線バスを乗り継いで行っても、病院近くのバス停から15分ほど歩かなければならない。透析患者にはつらい」と、交通の不便さに不満をもらす。
 山科区は、1997年10月に地下鉄東西線が開通し、京都市中心部へのアクセスが飛躍的に向上した。東西線全13駅の昨年度1日当たりの利用者は約22万5600人。区内の5駅で、このうち7万4600人が乗り降りする。区民の期待が、数字にも表れている。
 東西線が開通するまで、区内の主な交通手段は、市バスと京阪バスだった。市交通局によると、8年前、山科・醍醐地区をエリアにしていた両バスの利用者は、1日当たり計5万6000人余り。東西線が開通して、バスが京阪バスに一本化されたあと、利用者は約2万5000人に減った。市交通局は「地下鉄にシフトした」と、東西線の効用を強調している。
 だが、その割には、交通の利便性が向上したという実感がわかない。かつて山科駅前まちづくりの会会長だった喫茶店主奥村俊一さん(67)は「便利になった。でも、地下鉄は山科の背骨のようなものだ。ろっ骨に当たる交通の整備ができていない。もっと親切な街づくりをしないと」と話す。地下鉄沿線だけが潤い、周辺部は取り残されたという思いが、根強く残っている。
 駅につながる道路網の整備も緊急課題だ。「あぜ道をそのまま舗装して道路ができた」とやゆされるほど、区内の道路は入り組んでいる。このため、外環状線や国道1号など幹線道路は、慢性的な渋滞に悩まされている。
●打開策探る
 山科区基本計画の策定懇談会では、交通問題に関する議論が大きなウエートを占めた。
 打開策として、地下鉄の駅を中心とした交通システムの導入が検討された。高齢社会に対応するため、民間委託の小型低床バスを運行し、地下鉄駅やバス停から300b以上離れている区内3ヵ所を中心にルートを設定する具体案も出た。東京都の武蔵野市が、交通の不便な地域に走らせている小型低床バスを例に、狭い道路にも対応した交通システムの導入を図ろうというわけだ。
 懇談会の委員を務める粟津治郎区長は「実現できるかどうかはこれからの問題だが、採算性と需要をはかりにかけて、バス業者とも協議をしていきたい」と意気込んでいる。
 谷口さんのボランティア送迎は、赤字続きだ。今月から利用料を少し値上げをすることにしたが、「それでも続けていかないと」と使命感に燃えている。
 9ヵ月間で、延べ1485人が利用した。特に、地下鉄沿線から離れた周辺部の人の利用が多いという。ボランティアが支える身近な交通網に、利用者の共感も広がっている。
 「住民がもっと交通網の充実を訴え、ネットワークが充実すれば、山科はさらに素晴らしいまちになる」と確信している。(京都新聞)
■窓 駅周辺の放置撲滅するには 右京区・三村 公人(会社顧問・60)
 5日付の当欄「駐輪場確保で環境に優しく」にまったく同感である。しかし、単に駐輪場のスペースを設置すれば駅周辺の放置自転車、バイクが解決するとは思われない。
 3日付の本紙に報じられたが、京都市が7月から地下鉄などの17駅周辺で始めた「放置自転車防止啓発事業」で取り組み前より4割近く放置自転車が少なくなり、市では「啓発に一定の効果があった」としている。同事業は自転車マナーの向上と事故防止のため市内の地下鉄、JR、私鉄の駅で毎早朝と夕方、指導員が駐輪場の利用を求めたり、放置防止チラシを配る活動を続けた。駐輪場も、駐輪台数が増え、利用促進にもつながったとしている。
 確かに駐輪場の確保も必要ではあるが、せっかくの場所が空いているにもかかわらず、駐輪場外に乱雑に駐輪したり、自転車などを長期間利用せず放置していたりなど、利用者のマナーの向上なくして駅周辺の放置自転車の撲滅は、実現しないことを強く訴えたい。(京都新聞)
■自動券売機の点字表記誤り 近鉄の50駅
 近畿日本鉄道(本社・大阪市)は22日、駅に設置してある自動券売機の運賃ボタンの点字に誤りがあったと発表した。誤表示は大阪、京都、奈良など2府4県の50駅116台に及び、計322個のボタンの点字が実際の金額と最大1000円食い違っていた。近鉄は23日からフリーダイヤル(0120・010422)で問い合わせに応じ、過払いしていた場合は差額分を払い戻すという。
 近鉄によると、運賃ボタンの金額より点字の金額の方が高かったボタンは32駅58台に206個、点字の金額の方が低かったボタンは30駅68台に116個あった。釣り銭を取り忘れたり、釣り銭を十分確認しなかったりした場合、利用客が損をしている可能性があるという。(朝日新聞)
24日■JR奈良線一時不通 電車故障、3700人影響
 23日午前7時半ごろ、城陽市市辺五島のJR奈良線山城青谷駅で、京都行き普通電車のアクセルが故障、発車できなくなった。
 このためJR西日本では宇治−玉水駅間で運転を見合わせ、京都−宇治駅、奈良−玉水駅間で折り返し運転。午前8時10分から、近鉄の京都−近鉄奈良駅、京阪の三条−京阪宇治駅間で代替輸送を行った。午前10時半ごろには、約3時間ぶりに復旧したが、上下合わせて22本を運休、約3700人に影響が出た。
 同社で故障の原因を調べている。(京都新聞)
■特急に飛び込み死亡
 23日午後2時10分ごろ、京都府相楽郡精華町山田下川原の近鉄山田川駅の上リホームから、男性が京都行き特急電車に飛び込み、全身を強く打ち、即死した。
 木津署の調べでは、男性は20歳代で、チェック柄の緑色シャツを着ていた。同署で、身元確認を急いでいる。この事故で、同特急は現場に約14分停車。後続の4本が2−8分遅れた。(京都新聞)
■ケーブルカー火災事故 新たに5邦人も判明 遺族、対面へ現地入り
 【ザルツブルク23日共同】在オーストリア日本大使館に23日午後(日本時間24日未明)までに入った連絡によると、オーストリア・アルプスのケーブルカー火災事故に巻き込まれた日本人10人のうち、会社員、大山博和さん(24)=群馬具高崎市=ら新たに5人の身元がDNA 鑑定や歯型で確認された。
 これまでにスキーコーチの出口沖彦さん(42)=福島県猪苗代町=ら日本人4人の身元が確認されており、これで日本人計9人の身元が判明。現地対策本部は、犠牲になったとみられる残る日本人1人を含む遺体の身元確認を急いでいる。
 大使館によると、新たに確認されたのは大山さんのほかに小野寺雅信さん(14)=猪苗代中2年=と佐瀬智寿さん(14)=同中3年=。残る2人について大使館は「遺族の要望が非常に強く、公表を見合わせた」と発表した。
 この日は、遺体が確認された福島県の猪苗代中2年のスキー部員上遠野紋佳さん(14)ら2家族の遺族が現地入りした。このうち大使館が氏名の公表を控えている遺族は、24日正午前(日本時間同日夜)に遺体とともにザルツブルクを離れ、空路日本に向かう。
 計155人が死亡した同事故では、遺体の損傷が激しいことから、身元の確認のためザルツブルク大法医学研究所でDNA鑑定を進めてきた。オーストリアの地元紙によると、既に犠牲者のほぼ半数の身元が確認されたという。
 事故原因については漏れた油に引火したとの見方も出ているが、車両やレールの鑑定が必要で、原因究明には時間がかかる見込み。(京都新聞 夕刊)
■関西線では踏切異常
 24日午前7時25分ごろ、奈良県大和郡山市池之内町のJR関西線郡山−大和小泉間の踏切で、異常を知らせる赤信号が点滅しているのを、奈良発難波行き快速電車の運転士が発見し、直前で停車した。
 運転士が通過時に踏切内の人の有無などを感知するセンサーのレンズが海で汚れているのを見つけ、泥をぬぐい、点滅を止めた。
 この電車を含め計36本の電車が最高で約20分遅れたほか、19本が運休し通勤通学客ら約3万3000人に影響が出た。(京都新聞 夕刊)
■JR東海道線 ドア故障、遅れ
 24日午前7時55分ごろ、JR大阪駅を出発した東海道線の網干発長浜行き上り新快速電車(12両編成、乗客約1100人)が、全車両のドアが閉まっていることを示す、運転席のランプが消えたため、約20b進んで停車した。駅員が調べたところ、後ろから2両目のドア6つがいずれも手動で開け閉めできる状態になっており、一部のドアに約1aのすき間があった。
 JR西日本によると、この車両のドアを開閉するために使う圧縮空気が抜けており、空気を出し入れする電気系統の故障とみられる。危険防止のため社員1人が同乗して、電車は20分遅れで出発した。このため、下り電車1本が運休、32本の上り電車が最大21分遅れ、約3万6000人に影響が出た。(朝日新聞 夕刊)
■JR駅ビルに市営の託児所 和歌山、来月末開設へ
 小さい子を連れたお母さんが買い物をゆっくり楽しめるようにと、和歌山市はJR和歌山駅の駅ビル内に市営の託児所を開く方針を決めた。常設の託児所を自治体が運営するのは全国的にも珍しい。12月未にオープンの予定だ。
 JR和歌山駅の駅ビル5階にある1室(約100平方b)を市が借り上げ、畳敷きとフローリングの2部屋に整備、「和歌山市なかよしステーション」と名付けて開設する。
 運営は近くの民間保育園に委託し、市は年間約1500万円の運営委託料を支払う。利用時間は午前9時−午後6時で、水曜定休。土、日曜日や祝日も受け付ける。利用制限はなく、県外からの観光客らも利用できる。
 預かる子どもは満1歳から就学前の6歳までとし、保母4人で12人まで受け入れる。利用料は3時間まで1000円、以後1時間当たり500円の予定という。
 JR西日本和歌山支社によると、JR西日本管内では、吹田駅の駅舎内に民営の託児所があるが、駅ビル内に託児所が設置されるのは初めてという。
 厚生省保育課では「自治体運営の託児所は聞いたことがない」としている。(朝日新聞 夕刊)
25日■点字運賃表、誤り 大阪・横浜市地下鉄で 南海電鉄も
 大阪市交通局と南海電鉄(本社大阪市)、横浜市交通局は24日、駅に設置されている点字の運賃表示に金額のミスがあったとそれぞれ発表した。いずれも料金を取り過ぎの場合、申し出があれば払い戻しに応じる。
 大阪市営地下鉄では、8駅に掲示している点字料金表の計35ヵ所に最大200円の間違いがあった。このほか1997年8月以降これまでに12駅11ヵ所でも間違いが見つかり、訂正していたが、特に公表していなかったことも明らかにした。同市営地下鉄に乗り入れている北大阪急行電鉄でも1駅でミスがあった。南海電鉄では、大阪府内の5駅と和歌山市駅の計6駅で運賃ボタンの上に張られた点字シールに計18ヵ所で最大290円の間違いがあった。同社は25日からフリーダイヤル(0120)015524を開設して問い合わせに対応する。
 横浜市営地下鉄では、関内駅など6駅6区間で誤った表示があった。(京都新聞)
■タンクローリー 車と嵐電が衝突 太秦の踏切
 24日午後2時17分ころ、京都市右京区太秦垂箕山町、京福電鉄北野線の踏切で、博子ノ辻行き電車=1両編成=と、南区上鳥羽中河原町、石油販売会社「シューワ石油京都」のタンクローリー車=富永直樹運転手(22)=が衝突した。2時間にわたり不通となり、上下線23本が運休して約920人に影響が出た。乗客約40人にけがはなかった。
 太秦署の調べでは、幅1.6bの踏切内で、タンクローリー車が脱輪して立ち往生。直後に警報機が鳴り遮断機が降り始めたため、富永運転手が電車に手を振ったが、間に合わなかったという。(京都新聞)
■終電乗り遅れても半額で泊まれます 1日から 定期券客対象に 近鉄系3ホテル
 近畿日本鉄道は24日、近鉄電車の通勤、通学定期の利用者を対象に、最終電車に乗り遅れた場合、定期券を提示すれば駅の近くにある近鉄グループのホテルの宿泊料金を半額にするサービスを始めると発表した。
 定期券の利用者を増やすのと、近鉄グループのホテルの空室を埋め効率的な客室利用を図るのが狙い。この種のサービスは関西の私鉄では初めてという。
 「ラスト トレイン宿泊プラン」というサービスで、来月1日から来年2月28日までの期間限定。対象となるのは都ホテル大阪(大阪市)、天王寺都ホテル(同)、新・都ホテル(京都市)の3ホテル。
 それぞれの最寄り駅となる近鉄上本町駅、あべの橋駅、京都駅から最終電車が出た後に、午後11時半以降、電話で予約するか、直接来館すれば通常料金の半額で宿泊できる。(京都新聞)
■御堂筋線が15分止まる 「線路に人」通報で
 24日午後四時過ぎ、大阪市北区の市営地下鉄御堂筋線中津駅から北方約700b付近で、「黒っぽい背広姿の男が、線路の中央付近を歩いている」と、近くを車で走行していた男性(51)から110番通報があった。同市交通局が午後4時17分から全線にわたって運行を取りやめ、大淀署員と中津、西中島南方の両駅員が捜索したが見つからず、約15分後に運転再開した。この運休で、上下計21本に最大16分の遅れが出て、約2万人の乗客に影響したという。(朝日新聞)
■電車ゴッツン 灯油貨物横転 右京、踏切で脱輪
 24日午後2時17分ごろ、右京区太秦垂箕山町の京福電鉄北野線の常盤四号踏切で、南区上鳥羽中河原、シューワ石油の灯油タンクを積んだトラック=富永直樹運転手(22)=と北野白梅町駅発惟子ノ辻駅行きの京福電車(1両編成)が衝突した。この事故でトラックが横転し同線は約2時間不通になった。約40人の乗客などにけがはなかった。太秦署の調べでは、冨永運転手が踏切を横断中に左前輪が脱輪。立ち往生しているところへ電車が衝突したという。タンクには灯油1`リットルが入っていたが、周囲に漏れだすことはなかった。
 踏切は帷子ノ辻駅の東約100bで、約50b手前は右カーブになっている。電車の運転士がトラックを見つけて急ブレーキをかけ時速数`まで減速したが、間に合わず衝突した。同線には踏切の障害物を運転士に通報する装置はついていなかった。
 午後4時10分すぎに同線は復旧したが、この間に上下合わせて23本が運休した。(朝日新聞)
■南海の券売機 点字に誤表示 北大阪急行運賃表も
 南海電鉄は24日、自動券売機の運賃ボタンの点字表示が、泉大津駅(大阪府泉大津市)や和歌山市駅など6駅7台の18個で最大290円食い違っていたと発表した。同社は25日に問い合わせ用のフリーダイヤル(0120・015524)を開設、過払いがあれば払い戻しする。
 5駅5台の9個で正規の運賃よりも点字の金額が高く、5駅6台の9個で点字の金額の方が低かった。釣り銭の取り忘れや釣り銭の計算ミスで、過払いが起きる可能性がある。同社には93駅に点字運賃表があるが、運賃表の点字にミスはなかったという。
 また、北大阪急行は24日、点字の運賃表に誤りがあったと発表した。桃山台駅(大阪府吹田市)の2つの点字運賃表で、梅田駅までが、いずれも10円安く330円と表示されていた。これまで乗客からの指摘はなく、過払いはないとみられるという。(朝日新聞)
■大阪市営地下鉄も
 大阪市交通局は24日、市営地下鉄の8駅35区間で誤表示があったと発表した。いずれも券売機横の点字料金表で、最大で200円違っていた。また今回の判明分以外に、これまで12駅11区間の点字科金表で誤りがあり、修正していたことも明らかにした。公表せず、運輸省への報告もしていなかった。市交通局は過去の分も含め、払い戻しに応じる。
 今回誤表示が判明したのは、堺筋線北浜駅や千日前線鶴橋駅など。25区間で30−50円、高く表示していた。逆に南港ポートタウン線平林駅では、平林−南港口が本来200円なのに0円としていた。(朝日新聞)
■山陽新幹線 高架橋からコンクリ片 防護作業の対象個所
 24日午前11時35分ごろ、兵庫県姫路市南駅前町の山陽新幹線高架橋下の歩道上に、こぶし大のコンクリート片5、6個が落ちているのを、通行人が見つけ、JR西日本に通報した。けが人はなかった。
 同社によると、コンクリート片は計約2`。高さ14bにある高架橋の路上に張り出した部分の突端が高さ50a、幅8aにわたって欠けており、そこから落下したらしい。
 昨年の一連のコンクリート落下事故で、張り出し部分は内部の鉄筋がさびやすく、はく落の危険が高いとされ、JRは今年度中に防護ネットを張る作業を進めている。落下個所も対象になっていたが、作業は始まっていなかった。(朝日新聞)
■検証 JRで相次ぐ運賃誤表示 ミス素通り 対策鈍行 疑問解かず払戻し ずさん管理?客置き去り
 JR各社で駅の運賃表の誤表示が相次いで見つかった。JR西日本では214駅、485区間に誤りがあり、2年前に表示をひそかに訂正していたことも分かった。利用者からの払い戻し請求は今後、増えそうだ。(有馬 央記)
・申告は「61回」
 「支払ってしまったものは、いまさらどうしようもない。ただ、どういう事情で利用されたのか、伺う必要もある。現場だけの判断に任せず、支社や本社もフォローが必要だ」。21日、JR西日本の南谷昌二郎社長は払い戻し基準を厳しくする方針を示した。
 最初に払い戻しを受けたのは兵庫県在住の男性。大阪府内の京橋−東寝屋川間を61回利用したと申告し、差額は計8万1130円。「ある時期、仕事で2日に1度の頻度で集中的にこの区間を利用した」と説明したという。しかし、
 「自宅から京橋までどうやって来たのか」「常識的にこの区間で1620円もかかるのはおかしい、と思わなかったのか」といった疑問を駅側は本人から確認していなかった。
 2人目は大阪環状線大正−阪和線鳳間を275回利用したと申し出て、差額は計2万4750円に。定期券や回数券を購入せず、そのつど切符を買ったのかを聞くべきだった、と本社側は指摘する。
 このため、JR西日本は「申し出を受けた場合、その場で払い戻しをする」という当初の方針を変更する考えだ。疑義がある場合は「払い戻し内容書」に記入してもらい可否を検討。あとで、事情を聴いたうえで支払いをするという。「もちろん事情聴取のようなことはできず、誠意を尽くしたい」としている。
 一方、JR西日本のホームページで公開している誤表示リストには、正規運賃との差額が付記されていない。高い差額区間を狙い撃ちされてはたまらないという意図が見える。
■JR西日本の主な誤表示■
表示駅着駅差額(円)
京 橋(大 阪)東寝屋川(大阪)1330
膳 所(滋 賀)井田川(三重)610
河 瀬(滋、資)安曇川(滋賀)340
西 条(広 島)備後安田(広島)310
高 島(岡 山)須 波(広島)270
大 津(滋 賀)敦 賀(福井)270
尼 崎(兵 庫)和 迩(滋賀)170
森ノ宮(大 阪)伊賀上野(三重)170
和歌山(和歌山)畠 田(奈良)170
元 町(兵 庫)保浬峡(京都)170
・誤転記見逃す
 本社からの指示で、JR京橋駅(大阪市城東区)で運賃表を点検した駅員は驚いた。たった9駅先の東寝屋川駅までが「1620円」とあった。正規運賃は290円で、1330円も高く表示されていた。間違っていたのは、点字式運賃表に併記された金額だった。ただ、駅構内に3つある点字式のうち、ミスは1つだけ。地図式や50音順など、ほかの形式の運賃表は正確だった。
 今回、不可解なのはこの点だ。運賃改定の際、各駅は自駅を起点にした運賃をそれぞれ手計算ではじき出し「運賃台帳」をつくる。台帳がもとになり各種運賃表ができる仕組みだ。A駅で3駅までの運賃を計算ミスしたのなら、A駅構内の運賃表すべてでB駅までの運賃を間違えているはずだが、実際は京橋駅のように一つの運賃表だけが違っており、ほかの運賃表には正確な運賃が記載されているケースがほとんどだった。
 これまでJR側が誤表示の原因として指摘してきたのは、運賃の計算ミスだ。国鉄時代はほぼ毎年、運賃値上げがあったので各駅に運賃計算のプロがいたが、JRになって伝統が途切れたとの言い訳も聞かれた。
 しかし、実態を分析すると計算ミスの可能性は非常に低い。「単なる台帳からの転記ミスを、読み合わせなどで気づけなかったのではないか」(JR西日本営業部)とみられ、作業のずさんさを指摘する声が社内から上がっている。運賃表の誤表示は東日本、四国などJR6社すべてで見つかっているが、現状では各社とも原因について明確な結論を出せていないという。
 しかし、JR西日本では今回の調査で1997年4月の運賃改定時に各駅で作成していたはずの運賃台帳が、多くの駅でなくなっていることもわかった。台帳は運賃表をつくる際の命綱といえる。台帳自体を当時つくっていなかった駅もあるとみられ、JR西日本は全駅で実態を調べる。
・ひそかに訂正
 97年9月、JR湖西線の西大津駅で運賃表を見上げた利用客は驚いた。新田駅(奈良線)では西大津駅まで480円と表示されていたはずが、西大津駅では新田まで570円になっていたからだ。
 本社は全駅に運賃衰の点検の指示を出し、92駅212区間で誤表示が見つかった。ミスは翌98年1月までにひそかに訂正された。「間違いは直しておきさえすればいい。社内はそんな雰囲気だった。損をした客の救済などだれも指摘しなかった」。当時、作業に携わった社員はそう証言する。「公表するかどうか、払い戻しを受け付けるかなど幹部は検討すらしなかったのではないか」
 失態は続く。今回の調査で、2年前に直したはずの8区間が誤表示として改めてカウントされていた。理由を調べた担当者はがく然とした。いずれも訂正のために張ったシールがはがれて、間違った金額に戻っていたのだ。
 誤表示はいまに始まったことではない、と指摘する社員もいる。国鉄時代から乗客の指摘を受けて運賃表のミスに気づき、急いで訂正することは多かった。人事異動で赴任してきた駅員がミスを発見することもあったという。
 隠ペい理由について、JRのある幹部はこう話す。「西大津駅でミスがわかったとき、全駅で調査させた当時の営業部は良いセンスをしていたと思いますよ。個別の問題で片づけず、全社的な問題ととらえたわけだから」。ではなぜ隠したのか。答えは見えない。
 JR西日本は調査が不十分だったとして再調査を実施中で、週明けには結果がまとまる。誤表示の区間はさらに増える見込みだ。24日夕までに各駅やフリーダイヤル(0120・010963)には約1900件の問い合わせや抗議が寄せられ、3人に計12万3640円が支払われた。ほかに10人が払い戻しを請求しているという。(朝日新聞)
■全員の身元確認 ケーブルカー火災 犠牲の日本人
 【ザルツブルク24日=共同】在オーストリア日本大使館に24日夕(日本時間25日未明)入った連絡によると、オーストリア・アルプスのケーブルカー火災事故に巻き込まれた日本人10人のうち、猪苗代中2年の涌井智子さん(14)=福島県猪苗代町=の遺体がDNA鑑定などで新たに確認された。これで同事故で犠牲となった日本人全員の遺体が確認された。
 25日夜(日本時間26日未明)には榊原麻紀さん(25)=山梨県御坂町=ら2人の遺族が、26日夜には残る大半の遣族が、遺体の安置されているザルツブルク入りする。24日までに2人の遺族や関係者が現地に到着した。
 日本大使館によると、すべての遺族が遺骨などとともに来週末までに日本に帰国する見通し。(朝日新聞 夕刊)
■人身事故で一時不通に 神戸市営地下鉄
 25日午前6時20分ごろ、神戸市西区伊川谷町前開を走行中の同市営地下鉄谷上発西神中央行き普通電車(6両編成)の運転士が、線路上に若い女性が横たわっているのを見つけた。急ブレーキをかけたが間に合わず、女性は即死した。乗客約30人にけがはなかった。この事故で、同地下鉄学園都市−西神中央間が約1時間20分にわたって不通になり、10本が運休して約2000人に影響が出た。
 神戸西署の調べでは、現場は伊川谷駅西側約200bのトンネル内。女性は同市内の18歳で、自殺を図ったらしい。(朝日新聞 夕刊)
■電車と車衝突 けが人なし 奈良・高取町
 25日午前7時50分ごろ、奈良県高取町市尾の近鉄吉野線市尾三号踏切(警報器、遮断機つき)で、同町内の大工見習の男性(28)が運転する乗用車が線路内で立ち往生し、吉野発あべの橋行き急行電車(4両編成)が衝突した。乗客約300人と男性にけがはなかった。この電車が現場に約40分停車したため、後続の電車2本が運休するなど計19本、乗客約2500人に影響が出た。
 橿原署の調べによると、男性の乗用車が踏切内でエンストし、気づいた運転士がブレーキをかけたが間に合わなかったという。(朝日新聞 夕刊)
■夢 グラフウィークリー 100年 人と街と
 大阪の下町で、昔ながらのチンチン電車がしぶとくがんばっている。大阪市南部と堺市を結ぶ阪堺電気軌道だ。マイカーやバスなどにおされながらも走り続けて、今年で満100歳を迎えた。現在は朝5時すぎから夜12時前まで運転する沿線の人たちの身近な「足」だ。が、約20年前には年間2490万人だった乗客数が昨年度は1054万人にまで減少した。機械化などで300人以上いた社員を半分近くまで減らし、不動産を売るなどしてやりくりしてきた。車両全体に直接描く広告や、組み立てるとおもちゃの電車ができる乗車券「ペーパークラフト&チケット」、貸し切りのカラオケ列車など、ユニークなアイデアで売り上げ増加に努力している。(写真と支・南部泰博)(朝日新聞 夕刊)
26日■JR西社員相次ぎ”暴走” 勤務中 のぞきや飲酒
 JR西日本で今年1月から10月にかけて、勤務中の飲酒やトイレののぞきなど不祥事が4件も起きていたことが25日分かった。社員4人は懲戒解雇を含めいずれも退職している。
 同社によると、10月4日夜、京都駅の男性社員(49)が勤務中に知人から飲みかけの清酒パックをもらい、休憩時間に事務室でコップ半分ほど飲んだところを上司に見つかり、同月13日付で懲戒解雇になった。
 同月2日には社員研修センター(大阪府吹田市)の寮で、米子支社の男性社員(21)が泥酔し女性専用フロアに侵入。研修で宿泊中の複数の女性社員に見つかり、同月25日付で30日間の出動停止処分を受け、6日後に依願退職した。
 9月14日深夜には、天王寺駅(大阪市)の女性トイレで女性が「のぞかれた」と駅員に連絡し、大阪支社の男性車掌(25)が泥酔状態でトイレ近くで見つかった。本人も「のぞいた気がする」と認め、30日間の出動停止処分に。同月31日付で依願退職した。
 さらに1月5日、吹田駅(大阪府吹田市)の男性社員(41)が1991年3月から昨年12月にかけ、客から支払われた運賃を手元に残し、切符は自分のクレジットカードで購入し客に渡していた。この間、客から受け取った計約1000万円を着服したが、後日クレジットカードで返済した格好で実質的な被害はなかった。この社員は「金の出し入れが楽だったため」と説明、2月8日付で諭旨解雇された。(京都新聞)
■青鉛筆
 携帯電話専用の電話ボックスが25日、愛媛県宇和島市のJR宇和島駅にお目見えした。とかく迷惑がられる携帯での通話を遠慮なく楽しんでと、JR四国が全国で初めて設置した。
 三方にガラス窓がある木製で、通常の電話ボックスと同じ95a四方、高さ2.3b。中には電話機はもちろん、電話帳もベンチもない。特別の防音装置も施さなかった。
 「マナー向上にもつなげたい」というJR四国だが、ボックスは駅入り口に1ヵ所だけ。どこでも通話できる携帯電話に慣れた現代人がおとなしく順番待ちするかどうか。(朝日新聞)
27日■ひかり運転席ガラス割れる 山陽新幹線
 26日午後4時41分ごろ、岡山県備前市の山陽新幹線相生き岡山駅間で、走行中の新大阪発博多行きのひかり557号(16両編成)の先頭車運転席でバンという異常昔がし、フロントガラスが割れた。同列車は現場に急停止した。
 JR西日本によると、フロントガラスの右側上部に衝突痕があり、運転席側を中心にクモの巣状のひびが入っており、一部の破片は運転席に散らばっていた。運転士や乗客にけがはなかった。
 新幹線で先頭車運転席のガラスが割れたケースは少なく、JR西日本は何かがぶつかったとみて原因調査に乗り出した。
 同列車は約13分後に運転を再開し、約18`先の岡山駅で運行を中止。乗客約780人は別の車両に乗り換えた。この騒ぎで上下8本に40−5分の遅れが出て、約6600人に影響した。フロントガラスは縦82a、横152aで、二重構造になっており厚さは計17_。その後、上下計4本が現場付近を徐行し、現場を確認したが、異常は見つからなかった。(京都新聞)
■廃食用油バス 長田を走行 神戸大と京大・阪大 低コスト化実現 30日、環境に配慮アピール
 バイオ技術を使って酵素でてんぷら油などの使用済みの食用油を車の燃料に変える研究を進めてきた神戸大や京都大などの研究グループが、実用化に成功し、この新燃料を使ったバスが、30日に神戸市長田区の新長田地区を走る。廃油利用の燃料は京都市などでも実用化しているが、従来の化学触媒法では製造過程で副産物が出たり、高いコストが支障になり普及が進まなかった。震災復興に取り組む地元の住民は「環境にも優しいまちをアピールしたい」と歓迎している。
 実用化は、福田秀樹神戸大教授を中心にした京都大、大阪大などの研究グループが取り組んだ。
 福田教授らは1998年、洗剤やチョコレートの製造に使う酵素(リパーゼ酵素)を用い、廃てんぷら油などをディーゼル燃料に変える手法を開発した。従来の方法に比べ、高アルカリ性物質が発生しない利点があるほか、酵素を繰り返し使える低コスト化の技術も確立し、1リットル当たり5、60円と従来の半分まで抑えられる見通しだ。
 この研究を知った神戸市長田区の近畿タクシー社長の森崎清登さんが、同社が運行する地域コミュニティーバス「買いもん楽ちんバス」での使用を要請した。福田教授も「実用化に向けた一歩となる」と快諾し、全国初の酵素触媒法・食用油を用いたバスの走行が実現することになった。
 「楽ちんバス」は、震災下大きな被害を受けた地域のコミュニティー再生を図るため、期間限定ながら復興住宅と商店街・病院を無料で結んでいる。食用油を入れた走行は1日だけだが、森崎社長は「長田のまちで、廃油を回収、再生した車を走らせることが、優しいまちづくりの足がかりになるのでは」と期待している。(京都新聞 夕刊)
■女性はねられ死亡 交野のJR片町線
 27日午前6時25分ごろ、大阪府交野市森南一丁目のJR片町線で、踏切近くの線路上に横たわっていた女性が、松井山手発京橋行き下り普通電車(7両編成)にはねられ即死した。電車は16分後に運転を再開。部分運休も含め上下計63本が運休、後続の下り計14本が最大13分遅れ、約2万8000人に影響が出た。
 枚方署の調べでは、女性は40−50歳で、えんじ色のセーターと茶色のスカートを着ていた。(京都新聞 夕刊)
■ひかり運転席 ガラス割れる 岡山・備前で新幹線
 岡山県備前市の山陽新幹線相生−岡山間で26日午後4時40分ごろ、走行中の新大阪発博多行き「ひかり557号」(16両編成)の先頭車両の運転席窓ガラスが、突然クモの巣状に割れ、破片が室内に飛び散った。運転士にけがはなかった。新幹線は現場に急停車し、13分後に運転を再開したが、次の岡山駅で運行を取りやめた。東海道山陽新幹線で室内側の窓ガラスまで割れたのは、開業以来初めて。
 JR西日本によると、新幹線の運転席の窓ガラスは3−4重構造で、その間に樹脂膜が入っている。同社は「ナットなど想定外の非常に硬い物質が投げ込まれた可能性がある」としている。
 割れたガラスは縦82a、横152aで、三重構造になっており厚さは計17_。JRは事故後、大型の鳥が衝突した▽対向車両が巻き上げたバラストが当たった▽架線の部品が落下した−などの可能性を想定して調査したが、いずれも違っていたという。(朝日新聞 夕刊)
28日■コンクリ片が落下 東山トンネル 運行に影響はなし
 27日午後2時15分ごろ、京都市山科区上花山旭山町、JR東海道線下り線の東山トンネル(全長1887b)内で、天井からコンクリート片(最大で一辺約25a、重さ約2.8`)が線路上に落ちているのを、巡回点検中のJR西日本の社員が見つけた。列車運行への影響や車両への被害はなかった。
 JR西日本京都支社によると、現場は山科駅側坑口から約415b付近で、高さ5.7bの天井からコンクリート壁の一部がはがれて落ちたらしい。昨年11月に壁を打音検査、今年2月に目視検査したうえ、2週間前に線路上を巡回した際にも異状はなかった、という。
 この日は、ほかに異状が確認できなかったため、後続の列車もダイヤ通り運行した。同支社は28日未明から再度、周辺部分を検査するとしている。
 コンクリート片が落下したトンネルは1944(昭和19)年の完成で、1日の通過列車は約160本。コンクリート片の落下は初めてだという。(京都新聞)
■JR西日本 運賃誤表示 訂正未公表分さらに
 JR西日本は27日、新たに83駅、156区間で運賃表などの誤表示が見つかったと発表した。今月17日以降に明らかになった誤表示は計207駅、437区間となった。ワンマン運転線区でも2線区、2区間で新たな誤りが見つかり、計8線区、97区間になった。窓口販売システムや自動券売機、ファクスサービスでも運賃表示の間違いが見つかった。
 窓口販売システムは、木ノ本−会津若松間など3区間で、320円−210円高く販売していた。自動券売機は12駅、23区間で運賃設定を間違っていた。ファクスサービスは130駅、866区間で誤表示があった。
 また、1998年1月に訂正した92駅、212区間以外に、19駅、59区間で、個別に誤表示を訂正しながら発表していなかったことが明らかになった。
 駅名の漢字やローマ字表記などの間違いも、128駅で201ヵ所見つかった。
 京滋で新たに駅の運賃表などに誤表示が見つかったのは、甲南(16区間)、二条(9区間)、栗東(同)、宇治(2区間)、永原(同)、寺庄(同)と小野、JR三山木、東舞鶴、六地蔵、日吉、船岡、近江舞子の各駅の1区間。自動券売機は、二条から宮津(北近畿タンゴ鉄道)、天橋立(同)と、亀岡から宮津、天橋立への2駅、4区間で自由席特急券(小児)の設定が間違っていた。
 また、四国を除く他JR旅客4社も27日、誤りがあった駅数などの最終調査結果を発表した。表示が間違っていたのはJR東日本が350駅、東海24駅、北海道16駅、九州81駅。各社は「早急に誤りを正し、乗客からの払い戻し請求には誠意を持って対処する」としている。
 運輸省は一連の誤表示問題を「軽率で、国民に申し開きできないミスだ」と重視し、各社を厳重注意処分にする方針を固めている。(京都新聞)
■JR京都駅−高松駅 高速バスを4社運行 来年3月下旬から
 京阪バス(京都市南区)と西日本ジェイアールバス(大阪市)、四国旅客鉄道(高松市)、四国高速バス(同)の4社は27日、京都駅と高松駅を結ぶ共同運行の高速バス事業免許を近畿運輸局に申請した。高松自動車道の高松中央−板野間が開通する来年3月下旬から1日6往復運行する。
 路線は、JR京都駅から明石海峡大橋を経て高松駅(高松市)までの241.9`で、所要時間は約3時間半の予定。京都駅からは、午前7時以降1時間ごとに3便、午後4時以降も同様に3便、高松駅からも朝夕3便ずつ出発する。
 運賃は高松駅まで大人4800円、引田(香川県大川郡引田町)まで同3900円。観光客ら年間約10万人の利用を見込んでいる。(京都新聞)
■きょうから縦覧 意見募集開始 東西線西伸環境アセス
 京都市は28日から、地下鉄東西線の西伸区間(二条−天神川間、2.4`)に関する環境影響評価方法書の縦覧と意見募集を始める。縦覧期間は来月27日まで。意見の提出は来年2月10日まで受け付ける。
 昨年6月に施行された市環境影響評価条例に基づき実施される。方法書は、どこでどんな事業を行い、どんな環境影響調査をするかなどをまとめている。これに対し、市民からの意見を募り、環境影響評価の実施に反映させる。
 縦覧される方法書には二条−天神川間工事の対象区域、影響を受ける地域、事業規模などが記されている。縦覧場所は環境管理課(中京区柳馬場通御池角)や市交通局など。意見は文書、ファクス、Eメールで受け付ける。問い合わせは同課 075(213)0930へ。(京都新聞)
■窓 優先座席より譲り合う心を 左京区・橋本 守(ライター・35)
 最近、市バスに乗ることが多くなった。そして、乗るたびに、あることが気になり始めた。それは、シルバーシートである。お年寄りや体の不自由な方への優先座席であるが、その存在自体が問題ではないかと思い始めたのである。
 まず、それに該当しない者は大変座りにくい。むしろ、座ってはいけないという雰囲気さえ漂っている。また、お年寄りという客観的判断も難しく、自己申告により座ってはみたものの、周りの視線に気を使いながらの座り心地はいかなるものだろうか。そして、このようなことが原因となり、混雑時にシルバーシートだけがポッカリ空いてしまうという現象も生じている。
 逆に、シルバシート以外は平然と若者が占拠し、たとえお年寄りが目の前にいようとも窓の外を見るばかり。シルバシートがあるじゃないか、と言わんばかりだ。
 この際、阪急電鉄などのようにシルバシートを廃止したらどうだろうか。そういうものがなくとも、譲り合うという当たり前の気持ちと、臨機応変さを身につけるためにも。(京都新聞)
■JR5社 誤表示747駅1700区間 255駅、運賃取りすぎ 650円区間、970円高く
 運賃表の誤表示問題でJR西日本などJR旅客5社(JR四国を除く)は27日、それぞれ再調査の結果を発表した。間違いがあった駅数は計747駅1700区間で、うち255駅403区間で運賃を高く取りすぎていた。JRグループが発行している時刻表でも、英語版と合わせ7ヵ所に運賃の誤りが見つかった。各社は現在、利用客に過払い分を払い戻しており、27日までにJR東日本が32件約25万円、JR西日本が3件約12万円を払い戻した。
 北陸、近畿、中国地方などを管内にもつJR西日本では、新たに83駅156区間に誤表示が見つかった。誤表示は計276駅699区間にのぼり、運賃の取りすぎは125駅220区間に広がった。同社は12月29日まで、各駅で払い戻しに応じるという。
 新たに見つかった誤表示のうち最大の差額は西大寺駅(岡山市)で、常山駅(岡山県玉野市)までを、本来なら650円なのに970円高く1620円と表示していた。また甲南駅(滋賀県甲南町)では16駅の運賃表示を最大880円高く表示していた。
 また、JR西日本は2年前に92駅212区間で誤表示を見つけ、ひそかに訂正していたが、新たに19駅59区間で、今回の調査前に訂正していたことがわかった。計109駅271区間を乗客に知らせないままこっそり訂正していた計算になるという。
 目的駅と運賃をパネル上に表示する形式の自動券売機でも12駅23区間で金額の設定に誤りがあり、4駅6区間で運賃を高く取りすぎていた。JR西日本は428駅で窓口販売用に独自開発した端末機を設置しているが、そのソフトにも最低3区間で誤りがあった。
 発車時刻や運賃の問い合わせに応じるファクスサービスでは130駅を起点に計866区間に誤りがあった。米子支社が配布した小型時刻表にも7区間の運賃表示にミスがあった。
 運賃表に記載されている駅名は、大阪城北詰駅を大坂城北詰、住道駅(大阪府大東市)を往道とするなど128駅201ヵ所で違っていた。
JR各社が発表した運賃誤表示の再調査結果
会社名運賃表に誤
表示があっ
た駅数
運賃が誤っ
ていた区間
運賃を高く
取りすぎて
いた区間
その他
JR東日本350735148ワンマン車両内の32区間で誤表示
JR 東 海24744乗務員用の運賃表5区間に誤り
JR 西日本276699220109駅271区間は客に知らせないまま訂正
JR 北海道16120ワンマン車両5区間で運賃取りすぎ
JR 九 州8118031ワンマン車両内の94区間で誤表示
 一連の誤表示の原因として、JR西日本は、各駅に設置されているべき「運賃台帳」が約8割で未整備だったことを挙げた。各駅は運賃改定のたびに目的駅までの運賃を一覧表にした台帳を作成するが、今回の調査で駅に台帳があったのは245駅だった。残りの駅では必要に応じて目的駅までの運賃を手計算し直していたという。(朝日新聞)
■神戸電鉄、精算機にミス 山陽電鉄は点字表示に
 神戸電鉄は、一部の自動精算機の設定に誤りがあり、30円−10円を取りすぎていたケースがあると27日、発表した。7月以降、3人の乗客からミスを指摘され、個別に払い戻しに応じていたが、原因の究明に手間取ったと説明している。
 同社によると、例えば阪急梅田駅−湊川駅間の土休日割引回数券を使用して神戸電鉄線に乗り越した場合などで、一部の駅の精算機の乗り越し運賃の表示が間違っていた。すでに精算機の設定は直したという。同社鉄道営業部(078・592・4451)で払い戻しを受け付ける。
 また、山陽電鉄も27日、自動券売機の運賃ボタンの点字表示に誤りがあったと発表した。25駅の52台で95個のボタンに間違いがあり、ひとけた多く表示するなど、差額は最大で8460円にのぼっていた。(朝日新聞)
■JR東海道線トンネル内 コンクリート 線路上に落下
 27日午後2時15分ごろ、京都市山科区上花山旭山町のJR東海道線京都−山科間の東山トンネル内の下り線のレールの間に、コンクリート片が落ちているのを巡視中のJR西日本職員が見つけた。列車などに被害はなかった。
 JRでは周辺の壁面を点検したが、これ以上の落下はないと判断し、列車は通常通り運行、ダイヤに乱れはなかった。
 JR西日本京都支社の調べでは、コンクリート片は3つで、最大のものは縦横約25a、厚さ約5a、重さは約2.8`。トンネルの天井部分(高さ約5.7b)から落下したらしい。職員は2週間に1度の巡回点検中だった。
 2月のトンネル壁の打音検査で異常は見つからなかったという。28日未明からトンネル全体を改めて点検するとしている。(朝日新聞)
■100円バス 需要起こせ 「動く歩道」と呼ばれたい 京都市交通局 平日にも運行へ・来月の第1周 運行間隔を短く・5分ごとに
 京都市中心部で土、日曜、祝日に運行されている市交通局の「100円循環バス」について、同市は12月の第1週に限り、平日も試験運行する。また土、日曜には、運転間隔をこれまでの10分ごとから5分ごとに短縮する。いずれも、新たな需要を掘り起こすための「実験」だ。市交通政策課は「平日運行は観光客や買い物客だけでなく、ビジネス需要を探るため。休日の運転間隔短縮は『動く歩道』のような感覚で利用してもらおうという狙い」と説明する。
 平日運行は12月4日から8日に実施。前後の土、日曜と合わせ、9日間連続運行になる。また、休日の運行間隔短縮は2、3、9、10、16、17、23、24日の8回実施する。いずれも運行時間はこれまでと同じ午前10時−午後5時。
 100円バスは、御池、烏丸、四条、河原町を循環する路線で、今春から試験運行している。導入後半年間の1日平均乗客数は618人で、採算ラインの1300人を割り込んだ。このため、市は今秋から利用拡大策を次々に打ち出している。
 10月からは、運行ルート周辺の17商店街や御池地下駐車場とタイアップし、買い物客や駐車場利用者に無料乗車券を配る「てこ入れ策」を実施。10、11月の平均乗客数は2割増の約750人になった。また10月中旬には、運行時間を午後7時まで延長する実験もしたが、こちらは効果がはっきりしなかった。いずれにせよ採算ラインには遠く、今回新たな実験に踏み切ることにした。
 同課は「今後は、たんなる100円バスの利用拡大策だけでなく、都心部の交通渋滞緩和策と結びつけた実験も検討課題にしたい」と話している。(朝日新聞)
■酔った警察官新快速止める JR六甲道駅
 27日午後10時35分ごろ、神戸市灘区永手町四丁目のJR神戸線六甲道駅を通過しようとした長浜発網干行き新快速電車(8両編成、乗客約1100人)が、線路とホームの間に何かがあるのを見つけ、非常ブレーキをかけてホーム中はどで停車した。駅員らが調べたところ、先頭から4両目付近の電車とホームの間の線路上に男性が横たわっていたため、神戸市消防局のレスキュー隊員らが男性を助け出した。電車は現場に26分停車し、後続の新快速も12分遅れ、約2000人に影響した。灘署によると、男性は西宮署の巡査長(28)=神戸市長田区=で、助け上げられた時には泥酔状態だった。
 調べでは、巡査長は勤務を終え、午後6時40分ごろ西宮市内で一人で酒を飲み始めたといい、その後の行動は「よく覚えていない」と話しているという。(朝日新聞 夕刊)
29日■東西線工事の追徴で市民団体が措置請求 市長らに補てん求める
 京都市交通局が今年7月、地下鉄東西線建設工事の補助金にかかる消費税の引き上げ分を支払わず、大阪国税局から4億3900万円を追徴された問題で、住民団体「市民ウォッチャー京都」(代表・三木義一立命館大教授)のメンバー6人が28日、市監査委員に延滞金分の約7000万円を市に与えた損害金として市長や交通局関係職員が補てんすることを求める措置請求書を提出した。
 請求書は「消費税が1997年に5%に上がったのに、法令の解釈を誤って3%で納税したため、7000万円の延滞金を支払わねばならなくなった。極めて単純なミスで、市や市民に同額の損害を与えた」としている。市民ウォッチャーの奥村一彦弁護士は「監査委員会に却下されれば、提訴も検討したい」としている。(京都新聞)
■JR西社長ら25人を処分 運賃誤表示問題
 JR西日本は28日、一連の運賃誤表示問題で、南谷昌二郎社長を減給とするなど計25人を処分したと発表した。金井耿副社長が記者会見で明らかにした。
 1998年1月に92駅の運賃表の誤表示を公表せずに訂正していた問題を含め、運賃表の扱いをめぐる一連の対応が不適切だったことに伴う処分。
 98年の件については、西大津駅(大津市)の運賃表の誤りについて南谷社長が報告を受けていたことも明らかにした。同社長は21日の記者会見で「知らなかった」と答えていた。
 この誤表示について同社は97年9月末に乗客の指摘で気付いたが、その後、経営会議の議事録を調べた結果、南谷社長も97年12月22日に報告を受けていたことが判明。南谷社長は「強く記憶に残っていない」と話しているという。
 処分は南谷社長が給料10分の1を1ヵ月、98年当時の営業部次長と同部主幹だった2人が平均賃金日額の半分の減給など。(京都新聞)
■期限切れ? 京都市バス1年定期券 勘違い相次ぐ 従来定期と酷似 デザイン変更へ
 京都市交通局が今月1日に発売を始めた市バスの1年定期券の有効期限の表示に誤解されやすい部分があり、運転手と利用客の間でトラブルが起きている。有効期限の「年」の部分よりも、「月日」の文字が大きいためで、1年先の有効期限の日付だけを見た運転手が期限切れと勘違いする、という。市交通局は28日、日付表示のデザインを変更する方針を固めた。
 発売中の1年定期券を11月1日に購入した場合、表面には有効期限の来年10月31日のうち、日付の「10・31」が大きく印字される。「13」など年の文字はその4分の1しかない。色やデザインは従来の1ヵ月から6ヵ月定期とほぼ同じで、一目では見分けにくい。
 市交通局によると、利用者がバスを降りる際、運転手が今年の10月31日が使用期限と勘違いし、「期限切れだ」などと指摘するケースがあるという。これまでに同様の苦情が数件、寄せられた。
 今月1日に1年定期を購入した北区のアルバイト女性(25)は「降りてからクラクションを鳴らして呼び付けられ、まるで不正乗車をしたような扱いを受けた。こんなことが5回もあり、運転手に1年定期は徹底してるのでしょうか」と訴えている。
 交通局は「利用者にご迷惑をかけているが、運転手の立場からすれば、瞬時に期限を確認するために、日付部分だけに視線が集中する」と説明する。1年定期の日付部分を1ヵ月や6ヵ月定期などと見分けやすくするため、来月半ばには新しいデザインの1年定期券を発行し、発行済みの分と交換したい、としている。
 1年定期は、高い値引率で市バス固定客を増やすため、大都市の公営バスで初めて導入した。交通局は27日までに約440枚を発行している。(京都新聞)
■誤表示隠ぺい 社長追認 JR西 首脳ら25人処分
 駅の運賃表の金額を間違って記載し、運賃を取りすぎていた問題で、JR西日本の金井耿副社長は28日、緊急記者会見し、南谷昌二郎社長の役員報酬を1割カット(1ヵ月)するなど、計25人の管理職に対する処分を発表した。また、金井副社長は、1997年に発覚した誤表示をひそかに訂正していた問題について、当時の経営会議で報告があり、南谷社長も事実関係を把握していたことを明らかにした。
 運賃衰の誤表示はJR東日本などJR旅客6社で発覚しているが、処分は初めて。南谷社長は昨年10月にも、山陽新幹線トンネルの相次ぐコンクリート落下事故の責任を取り、同じ処分を受けている。
 今回の主な処分は、南谷社長のほか、金井副社長と工藤一能鉄道本部長が厳重注意、安富徹営業部長が訓告。訂正を隠ぺいした当時の佐々木隆之営業部長は現在は同社監査役で社内処分が受けられず、本人が報酬の10分の1を3ヵ月返上すると申し出、受理された。このほか営業部の次長、主幹らが減給、訓告などとなった。
 会見によると、JR西日本は97年9月に西大津駅(滋賀県)の運賃表に誤表示があると乗客から指摘を受け、全駅の運賃表を調査した。92駅212区間で表示ミスが見つかったが、98年1月ひそかに訂正し、公表しなかった。
 この点について南谷社長は21日の会見で「報告を受けていなかった」と述べたが、実際には97年12月に社長も出席した経営会議で西大津駅の誤表示などについて報告されていた。
 結果的に社長は公表の指示を出さず、隠ぺいを追認した形となった。ただちに公表、返金などの措置に踏み切らなかったことについて副社長は「会議の段階ではここまで誤表示が拡大するとは考えなかった」と話した。
 南谷社長は「議事録を見て思い出した。(報告があったのは)忘れていた」と釈明しているという。(朝日新聞)
■「農林共済財政 JRより良い」 年金一元化議論で農水
 政府の「公的年金制度の一元化に関する懇談会」は28日、農協職員らの農林共済年金をサラリーマンの厚生年金に統合する懸案について審議を始めた。農水省は農林共済の財政状況について、すでに統合されているJR、JTの旧共済年金と比べて悪くないと報告した。報告では@農林共済は加入者と年金受給者との比率である「成熟度」が30%で、厚生年金の25%と比べ受給者がそれほど多いとはいえないA積立金も現在の給付額の5年分(厚生年金は6年分)である約2兆円を持つなどとした。(朝日新聞)
■鉄道建設の協力を確認 南北軍事実務協議
 【ソウル28日=箱田哲也】南北朝鮮を結ぶ鉄道、京義線の復旧と線路に並行して走る道路建設工事などについて話し合う南北軍事実務協議が28日、坂門店の北側施設「統一閣」で開かれた。南北の軍事実務者による協議が実施されるのは初めて。
 韓国国防省によると、南北双方は鉄道と道路建設で今後も積極的に協力し合うことを確認したほか、次回協議を12月5日ごろに実施することでも基本合意した。
 初の軍事実務協議には、韓国国防省から6人、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の人民武力部から5人が出席した。協議後、韓国国防省スポークスマンは「京義線と道路の連結が民族の大動脈をつなぐ歴史的事業であると同時に、南北軍事当局問で成し遂げられる初の協力事業であるとの認識で互いに協力を進めていくことになった」と述べた。(朝日新聞)
30日■ホテル、流通も不調 近鉄、赤字に
 近畿日本鉄道(大阪市)が29日発表した2000年9月中間連結決算は、売上高が5540億円、当期純損益が184億円の赤字となった。
 景気低迷が響き、本業の鉄道旅客収入が前年同期比2.2%減と落ち込んだ上、ホテル、レジャー施設の集客不振でレジャー・サービスが、個人消費冷え込みの影響で流通など他部門も営業赤字を計上した。
 退職金の積み立て不足額百74億円を一括償却したことも重なり、当期純損益が赤字に転落した。
 来年3月期予想は売上高が前期比0.8%減の1兆1330億円、当期純損益は156億円の赤字(前期45億円の赤字)の見通しで2期連続の最終赤字になる。(京都新聞)
■高速鉄道の将来像 国際会議で議論
 東海道・山陽新幹線の全線開業25周年を記念し、名古屋市のホテルで29日、JR東海、西日本の両社が主催する「高速鉄道国際会議2000」が開かれた。
 テーマは「創世紀の高速鉄道が拓(ひら)く地球・社会・人への可能性」。海外13ヵ国・地域の鉄道会社幹部らが30日までの2日間の日程で各国の高速鉄道の現状や将来像について意見交換する。
 世界最高速の時速300`運転を誇るTGVの運行会社、フランス国鉄のピエール・ルイ・ロシェ会長は「航空会社と競争するのではなく、空港に駅を設置して利便性をアピールし輸送人員を一体的に増やすべきだ」と提案した。(京都新聞)
■ICチップ利用 きっぷ・定期券代わり 改札は携帯でスルー JR東日本、実用化めざす
 指定券の予約に使った携帯電話をそのまま自動改札機にかざすだけで新幹線や電車に乗れ、「きっぷを拝見」と眠りを防げられることもない−。JR東日本は29日、携帯電話に集積回路(IC)チップを組み込み、きっぷや定期券の代わりにする新事業に国内の鉄道会社としては初めて乗り出す、と発表した。定期券は2−3年後の実用化、指定券も2005年度までの実用化を目指している。今後、JR東海や西日本などのJR旅客各社や私鉄、バスなどにも参加を呼びかける考えだ。
 計画によると、携帯電話会社と提携し、切手より小さいICチップを取り付けられる電話を商品化。チップには、きっぷや定期券の機能を持たせる。携帯電話からインターネットを通じて指定券や乗車券、定期券を予約・購入し、携帯電話をかざすだけで改札を通過できるようにする。指定席の場合、自動改札機での情報がすぐに車両に届くので車内での検札も必要なくなる。首都圏350駅のほか、地方の新幹線駅でも使えるようにする。
 ほかにも、駅構内の売店や駅周辺のコンビニエンスストアで電子マネー代わりにしたり、映画館や劇場でチケット代わりに使ったりできるようにする。携帯電話の画面に表示させてチケットとするのは実用化に向けて動きだしているが、ICチップの利用は例がない。
 JR東日本はすでに、ICチップを組み込んだ定期券を来年中に実用化するために自動改札機を改良中だが、新事業ではこれを活用できる。窓口やきっぷの自動販売機を減らせる利点もあるという。(朝日新聞)
■役員報酬は業績連動で JR東日本が中期計画
 JR東日本は29日、株主などに分配可能な手元資金状況(フリーキャッシュフロー)などの経営指標をもとに役員報酬を2割増から1割減の範囲で見直す新業績評価制度などを柱とする中期経営計画(2001−2005年度)を発表した。全株式を公開する完全民営化が早ければ来年度中にも実施されるとみて、経営の効率化を目指す。
 計画ではこのほか、▽連結子会社の資金運用を一元管理してムダを省き、有利子負債を5年間で900億円減らす▽新規事業は、将来生み出すキャッシュフローが投資額を上回る場合だけ開始し、3年間目標を下回れば見直す−などを盛り込んだ。2005年度には、連結のフリーキャッシュフローを2000年度の6割増の1800億円に、連結の株主資本当期利益率(ROE)を4.2ポイント増の10%にする目標も明らかにした。(朝日新聞)
■JR九州が 上場見送り
 JR九州の田中浩二社長は29日、目標としていた2001年度の株式上場を見送る、と発表した。鉄道事業収入の減少が続いているうえ、民営化時にもらった「経営安定基金」の運用益が低金利で激減し、採算が悪化しているためという。田中社長は「上場をあきらめたわけではない」と語ったものの、具体的な目標年度については言及を避けた。
 JR九州は1996年に2001年度の上場目標を表明し、経営基盤の強化に取り組んできた。しかし、鉄道収入は97年度から3年連続で前年を割っており、本業のもうけを示す営業損益は赤字が続いている。(朝日新聞)
■7人が無言の帰国 ケーブルカー火災犠牲者 成田空港
 オーストリア・アルプスのケーブルカー火災事故で犠牲になった日本人のうち7人の遺体、遺骨が29日午後、成田空港に無言の帰国をした。
 福島県猪苗代町のスキーコーチ出口沖彦さん(42)と長女奈央さん(13)=猪苗代中2年=親子を含めた同中学校関係の5人と山梨県御坂町の無職榊原麻紀さん(25)、神奈川県鎌倉市の大学生(22)で、遺体を引き取った遺族らは現地からフランクフルト経由とウィーン経由の2便に分かれ、それぞれ午後3時半すぎに到着した。白い布に包まれた遺骨を抱いて到着ゲートに降り立った出口さんの妻伸子さんは、うつむいたまま無言で空港を後にした。
 駐機場では、榊原さんのひつぎが入ったコンテナが降ろされると、航空会社の社員が花束を手向けて手を合わせた。
 同事故の日本人犠牲者では、25日に都内の大学生(22)の両親らが、遺体とともに帰国している。(京都新聞)
■会計検査院報告 新幹線トンネル検査法にも言及
 1999年度決算検査報告は、コンクリートの崩落が相次いだ山陽新幹線のトンネルや高架橋の検査方法などにも言及した。鉄道事故について会計検査院が調べたのは極めて異例。「国民の関心を集めた問題なので、積極的に検査した」という。
 報告によると、一連の崩落事故後にJR西日本が構造物の維持管理拠点として「土木技術センター」を新設したり、検査態勢の見直しをしたことについて一定の評価をした上で、自動検査システムの早期導入や、効率的な検査を求めた。(京都新聞 夕刊)
■日帰りスポット 福知山鉄道館ポッポランド(福知山市下新町) 背丈超えるSLの巨大動輪
 JRの山陰線と福知山線、北近畿タンゴ鉄道(KTR)が通る鉄道のまち・福知山。その中心市街地にある新町商店街などが空き店舗を利用して2年前にオープンした。入り口は郷愁を誘う木造の改札口で、訪れた人を鉄路の世界へと導いてくれる。
 まず目に飛び込んでくるのは、人の背丈をはるかに超える巨大な蒸気機関車(SL)の動輪。1939年に製造されたC57-93の第3車輪で、鋼鉄製で重さ約2.7dの迫力には思わず立ち止まってしまう。
 その後方には、JR福知山駅の周辺を150分の1の縮尺で忠実に再現したNゲージのジオラマ模型が置かれる。小さな列車が走り回り、何度も駅を発着する光景からは、交通の要衝として栄えたまちの軌跡がうかがえる。
 また、大正後期から昭和40年代にかけて福知山と大江町を結んだ北丹鉄道の展示は、ポッポランドならでは。使い込まれた当時の鉄道員の制帽や手旗、古ぼけたSLの写真パネルは、KTRの礎となった北丹鉄道の歴史を振り返る上で、欠かせない貴重な品々だ。
 館内には喫茶店や運転体験のパソコンゲーム(無料)もあり、鉄道ファンだけでなく、家族連れでもゆっくりとくつろげる。10月には本物のSLが置かれた2号館も近くにオープンしている。
 JR京都駅から特急で1時間15分の山陰線福知山駅下車、徒歩15分。午前10時−年後5時半。毎週木曜日休館。入場無料。0773(23)5430(京都新聞 夕刊)
■信号機故障で地下鉄に遅れ 御堂筋線
 30日午前7時40分ごろ、大阪市住吉区の大阪市営地下鉄御堂筋線あびこ駅の南約700bで、なかもず発千里中央行き上り電車の運転士が前方の信号機の色の表示が薄暗くて見えにくいのに気づき、運転指令に連絡した。市交通局は安全確保のため、同53分から約40分間、あびこ−北花田両駅間で上り電車を40`の徐行運転にした。この影響で、上下線に最高12分の遅れが出た。
 市交通局によると、29日夜に信号機の信号球を交換した際、取り付けが不完全だったため、電車の振動で信号球がずれて見えにくくなっていたという。(朝日新聞 夕刊)