2000(平成12)年 7月


1日■新幹線軌道に鉄骨 栗東 侵入男を現行犯逮捕(京都)
  ■指定券発売のシステム故障 JR、端末8000台影響(朝日)
  ■新幹線線路にH 型鋼 滋賀・栗東 立ち入り容疑で男逮捕(朝日)
2日■オーバーランしたトンネルで扉開いた 地下鉄堺筋線、二重のミス 扇町駅(朝日)
3日■JR湖西線高架橋 防音壁石こう板落下 重さ5`、車など当たる(京都)
  ■「こだま」復権 最大5割 専用回数券など区間拡大(京都)
  ■エレベーター停止 30分間かん詰め 地下鉄「御陵」駅(京都)
  ■JR高架橋 防音壁一部民家に落下 大津市の湖西線(朝日)
  ■特急に飛び込み死亡 近江八幡、約300人影響(京都)
4日■1700人削減へ 近鉄が経営改善計画(京都)
  ■中国首相、「独版リニア」に満足 実験線に試乗 導入に意欲 「上海なら 505`出せるだろう」(朝日)
  ■近鉄、3年で1700人削減へ(朝日)
  ■北勢線廃止 バス輸送に 近鉄が方針(朝日)
  ■電車内痴漢は別人の可能性 警視庁警部補を釈放(京都)
5日■無罪釈放 ちかん、証明できず(朝日)
  ■近畿の交通大荒れ 列島大雨 奈良で床上浸水52戸(朝日)
  ■首都圏のJR情報 BSで同時提供へ(朝日)
  ■券売機売上金 98万円が紛失 地下鉄西中島南方駅(朝日)
6日■公共事業等予備費、あすにも方針 整備新幹線どうなる 沿線関係者、熱い視線(京都)
  ■電車とバスでまわる京都 好評につき2000度版 公共交通利用を促進する会 観光路線の時刻表を再編成 「マイカーより有利」強調 散策コースなど特集も(京都)
7日■線路に乳母車 1万人に影響 大阪城東区の片町線(朝日)
  ■車両連結できず運行を取りやめ JR京都駅(京都)
8日■ネットワーク情報 新型車のミニチュア(京都)
  ■窓 市バス運転手 女性増やして 北区・椋梨 景雄(無職・63)(京都)
  ■窓 バスの乗降口 障害者には酷 京田辺市・大村義信(無職・61)(京都)
  ■南海回送電車 脱線、高架壁破る 住ノ江駅引き込み線 手動、運転ミス(京都)
  ■強風で湖西線は徐行 比良−近江舞子間(京都)
  ■回送電車が脱線宙づり 住之江の南海線(朝日)
  ■高架下へブロック落下 南海電車衝突 おびえる付近の住民(朝日)
11日■京都市交通局 地下鉄東西線への補助金 消費税アップ分払わず 大阪国税局 4億3900万円追徴(京都)
  ■二重の人為ミス判明 南海電車脱線(朝日)
  ■「駅員1人だけの介助で転倒」 車いす男性、市を提訴 大阪(朝日)
12日■青鉛筆(朝日)
  ■洛中洛外(京都)
13日■市バスが追突 車の教諭けが 左京、前方不注意で(京都)
  ■御陵駅でブレーキ故障、ダイヤ混乱 京阪電車(京都)
  ■女性殴られ転倒 現金など奪われる 京阪五条駅(京都)
14日■死刑判決の林被告控訴 地下鉄サリン事件(朝日)
  ■レノンのカード売るな オノ・ヨーコさん 営団地下鉄を提訴(京都)
  ■5両脱線 3人けが 釧路・JR根室線(朝日)
  ■市バス事故 客12人けが 神戸(朝日)
15日■三セク鉄道 黒字は5 社に減少 99年度まとめ KTRなど33社が赤字(京都)
  ■保線作業事故問題で再発防止策を報告 JR西、運輸省に(京都)
  ■高架橋劣化 「中性化」と塩分 相乗効果 JRコンクリ調査 鉄筋腐食を加速(朝日)
  ■地震で送電止まり新幹線が一時停止 7000人に影響(京都)
16日■カラスで停電68本運休 上越、長野新幹線(京都)
  ■地下鉄サリン 豊田被告らあす判決(京都)
  ■車掌ホームに置き去り 「待て」タクシーで追う JR東西線(京都)
  ■東京並み車両登場 NY地下鉄(朝日)
18日■サリン事件 判決2被告 死刑にも表情なく 遺族ら「父は戻らぬ」(京都)
  ■窓 「幸福駅」ゆき人生を探そう 草津市・藤本 司郎(無 職・42)(京都)
  ■地下鉄サリン 豊田・広瀬両非枸杞に死刑 東京地裁判決 杉本被告は無期(朝日)
  ■地下鉄サリン いえぬ傷 悔しさ 被害者家族「良くならぬ」(朝日)
  ■地下鉄サリン事件 豊田・広瀬・杉本被告への東京地裁判決理由要旨(朝日)
  ■国労の記録ビデオ完成(朝日)
  ■整備新幹線 新規着工の検討を要請 首相、運輸相に(朝日)
19日■スルッとKANSAI カード販促会社設立 鉄道資材共同購入など 業務拡大も計画(京都)
  ■JR西のコンビニ マルチ端末を50店に設置へ(京都)
  ■新快速に接触 51歳男性重体 JR三ノ宮駅(朝日)
21日■窓 サリン被害の悲しみ消えぬ 亀岡市・六嶋 賢治(無職・76)(京都)
22日■山陽新幹線 高架橋50ヵ所 重大劣化 JR総研調査報告 年内にも抜本修復(朝日)
23日■列車にはねられ八木で男性死亡 JRのダイヤ乱れる(朝日)
24日■信号機故障で朝のダイヤ乱れる 園部のJR山陰線(京都)
  ■京阪バス営業所に3人組強盗 整備工縛り暴行 何も取らず逃走(京都)
  ■バス営業所に男3人組強盗 京都、整備会社員けが(朝日)
25日■京都駅ビルで10月7日から3日間 3周年で多彩なイベント アカペラやSL展示(京都)
  ■園部のJR山陰線 信号故障で休止も(朝日)
  ■オウム3被告 きょう控訴 地下鉄サリン(朝日)
  ■痴漢で免職「不当」 元検事不服申し立て 人権救済も(朝日)
  ■公共事業等予備費 整備新幹線に560億円工事進ちょく率52%に(京都)
  ■3被告が控訴 地下鉄サリン事件(朝日)
26日■リニア新幹線で決議 建設促進期成同盟会(京都)
  ■列車停止、後続遅れ JR山陰線(京都)
  ■日本漂流 第2部 重い荷は下ろして 地下鉄駅のホーム 特訓受けた新人時代 切符切りで手に血まめ(京都)
  ■近鉄 新都ホテル直営に(京都)
  ■若い男性3人が殴られ金奪われる JR東福寺駅(京都)
  ■停車前にドア開く 乗客が転落、軽傷 京都市バス(京都)
  ■近鉄、3社を吸収合併へ ホテル事業を再編(朝日)
  ■ドア開閉で乗客けが 京都市バス、相次ぎ2件(朝日)
  ■JR完全民営化に3関門 長期債務・赤字路線・労務問題 政官と調整本格化(朝日)
  ■神戸市営地下鉄海岸線 来年7月開業 愛称「夢かもめ」(朝日)
27日■JR西の謝罪求め 信楽高原鉄道事故 福知山地本が署名活動(京都)
28日■小浜線電化など盛る 国士審近畿特別委(京都)
  ■お盆のJR西日本 予約、4年ぶり増 新幹線の好調目立つ(京都)
  ■インターネット天気図 第2部 Eビジネス C 町に進出 駅で通販の品受け取り(京都)
  ■のぞみすべて700系に 新大阪−東京間(朝日)
  ■JR西、お盆予約増(朝日)
  ■公費で鉄道建設検討 運政審答申案 利用者負担原則を修正(朝日)
29日■架道橋当て逃げ容疑 運転手を書類送検 伏見のJR奈良線(朝日)
  ■「痴漢無罪」相次ぐ 満員電車で少ない物証/被害者の話だけで逮捕 科学捜査求める声も(京都)
  ■東海道新幹線 雨で16本遅れ(朝日)
30日■世界のくらし 車内販売弁当が”復活” 台湾の鉄道(朝日)
31日■信号異常で遅れ JR西明石駅(京都)
  ■トロッコ列車で花火見物の参加者を募る JR京都駅(京都)
  ■トロッコ列車沿線 獣害 苦肉の策 鉄道側「えさ与え満腹に」 専門家「数憎えて逆効果」(京都)



1日■新幹線軌道に鉄骨 栗東 侵入男を現行犯逮捕
 1日午前5時15分ごろ、滋賀県栗太郡栗東町出庭のJR東海の新幹線軌道敷内で、男が上り線路上にH型鉄骨(長さ約60a、高さ約8a、幅約15a、重さ約10`)を置こうとしているのを線路を点検中の保線作業員2人が発見した。2人は、男を取り押え、駆け付けた草津署員が新幹線特例法違反(無許可立入)容疑で男を現行犯逮捕した。
 調べによると、逮捕されたのは寝屋川市三井が丘四丁目、無職福田哲也容疑者(39)。現場は土手状になっており、入れないように金網と有刺鉄線が張られている。同署は侵入経路や動機などを詳しく調べている。
 JR東海によると、現場付近では、午前6時半ごろに上りの始発新幹線が通過するが、予定通り運行され、後続にも遅れはなかった。(京都新聞 夕刊)
■指定券発売のシステム故障 JR、端末8000台影響
 1日午前5時30分ごろ、東京都国分寺市にあるJR座席指定券発売システム(マルス)のホストコンピユーターが故障し、約40分間、全国のJR駅や旅行会社にある約8000台の端末機で、指定券の発券ができなくなった。JR東日本などの「みどりの窓口」ではこの間、乗車券と特急券だけを販売、指定席券は乗車してから車掌が精算するなどの方法で対応した。
 マルスは昨年の11月11日にも、同様の故障を起こし、約20分間、発券できない状態が続いた。この時は、「1」並びの記念切符を求める客が短時間に殺到して、負荷がかかりすぎたのが原因だった。
 システムを管理、運営している「鉄道情報システム」(本社・東京都渋谷区)が、今回の原因について調べている。(朝日新聞 夕刊)
■新幹線線路にH 型鋼 滋賀・栗東 立ち入り容疑で男逮捕
 1日午前5時10分ごろ、滋賀県栗東町出庭の東海道新幹線上り線のレール上に男が座っているのを、巡回中の警備員2人が見つけた。レールにH形鋼(高さ約7.5a、幅約15a、長さ約59a)が立てかけられてあり、男は走って逃げたが、約5分後に取り押さえられた。草津署は新幹線運行特例法違反(線路内立ち入り)の疑いで男を逮捕し、列車往来危険の疑いでも調べている。
 調べによると、男は大阪府寝屋川市内の無職(39)。線路点検用の階段を上って防護壁(高さ1.8b)を乗り越え、レールに重さ約10`のH形鋼を置いたという。
 調べに対し、男は「レンタカーを借りて自宅の近くから運んだ。火花が散っているので新幹線を止めないといけない」などと供述しているという。
 上りの始発電車が現場を通過するのは午前6時26分ごろで、新幹線の運行に影響はなかった。
 新幹線の京都−岐阜羽島間では、1993年6月に岐阜県関ケ原町、同8月には滋賀県彦根市でレールにワイヤロープやチェーンが巻き付けられているのが見つかった。また、98年4月には関ケ原町でレールをまくら木に固定するボルトが抜き取られた事件があった。(朝日新聞 夕刊)
2日■オーバーランしたトンネルで扉開いた 地下鉄堺筋線、二重のミス 扇町駅
 大阪市営地下鉄堺筋線の扇町駅で6月29日、北千里発天下茶屋行きの電車(8両編成)がホームの停止位置を約8b行き過ぎたうえ、車両の一部がトンネル内で停止したのに扉を開けるミスのあったことが1日、分かった。乗客にけがはなかったが、同市交通局は、ミスをした運転士らに基本動作を再確認させるとともに、3日間の添乗指導をする。
 同市交通局などによると、ミスをしたのは運転経験が7ヵ月の職員(34)と、5月に車掌になったばかりの職員(24)の2人。オーバーランに加え、電車を停止位置まで戻す際には速度制限(5`)以上の速度を出してしまい、2bバックしたところで非常ブレーキがかかった。この際にも、車掌が扉を開くミスをしていた。運転士は「ブレーキをかけるタイミングを見逃して停車させた」とし、車掌は「安全に乗降できるかどうかの確認を怠って扉を開けた」としているという。(朝日新聞)
3日■JR湖西線高架橋 防音壁石こう板落下 重さ5`、車など当たる
 2日午後2時半ごろ、大津市二本松、JR湖西線の西大津−唐崎間で、高架橋の下り線側防音壁の一部が約7.9bの高さから落下。高架下の会社員稲田宏明さん(35)方の屋根と駐車中の稲田さんの乗用車など2台に当たり、屋根がわらと車の屋根やドアの一部を壊した。けが人はなかった。
 JR西日本京都支社の調べによると、落下したのはおがくずとセメントを混ぜた遮音材を石こうボードでサンドイッチにした防音壁(厚さ約6a)の片面のボード部分(横1.88b、縦1.25b、厚さ2_)で重さは約5`。
 同支社によると、防音壁は1975年1月、西大津駅から唐崎駅間の約500bに設置。以来、年1回程度、目視で点検している。今年は6月5日に検査をしたばかりだった。老朽化と落下当時、強い風雨のためはがれたのではないかとみて詳しい原因を調べている。
 稲村さんは「バリッという音のあと、大きな音と振動がしてびっくりした。落ちてきた防音壁はかなり重く、人に当たっていたら大けがをしていたはず。JRは安全対策を徹底してほしい」と話していた。
 現場は西大津駅から約1`北側。湖西線では昨年11月19日と21日、比叡山坂本駅構内の高架橋からアスファルト製の緩衝材が落下している。
 同京都支社は「大変申し訳ない。事故発生後、直ちに現場付近の緊急点検を行った。今後、早急な原因究明と同種設備の一斉点検を実施していく」と話している。(京都新聞)
■「こだま」復権 最大5割 専用回数券など区間拡大
 東海道新幹線「のぞみ」や「ひかり」と比べて空席が目立つ「こだま」のグリーン車復権と、JR東海が今春から回数券の発売区間拡大など料金を事実上割り引く人気回復作戦に乗り出している。
 同社は東京−関西間で航空会社の追い上げに対し「価格競争にくみしない」としてきたが、「列車によっては閑古鳥が鳴く状態」のグリーン車に音を上げた形だ。
 昨年9月に0系車両(16両編成)が引退した後、大半が100系(同編成)に交代。定員はほぼ同じだが、個室付きの2階建て車両が新たに2両組み込まれるなどグリーンに限れば1本当たり152席と約2.3倍に増えた。
 しかし、料金の高さもあって利用率は2割弱。通勤、通学時などは、自由席に比べ空席が少なくなかった。そこでJR東海は今春から指定席料金に500円をプラスしたのと同額でグリーン席が利用できる「こだま号専用グリーン回数券」の設定区間を約2倍に拡大。
 新幹線定期客用の回数券の区間拡大や、グリーン個室も利用できるお年寄り向け観光切符の発売など客寄せ対策を打ち出した。
 いずれも通常の切符を購入するより割安で、割引率は最大で5割近く、利用客に好評だ。(京都新聞)
■エレベーター停止 30分間かん詰め 地下鉄「御陵」駅
 2日午後3時ごろ、京都市山科区御陵原西の市営地下鉄「御陵」駅で、コンコースと地上を結ぶエレベーター(11人乗り)が地上に到着する寸前で突然、停止した。
 エレベーター内にいた女子中学生3人が非常通報装置で駅員室に連絡。駆け付けた管理業者がかぎでドアを開け、約30分後に3人を救出した。3人にけがはなかった。
 同駅などは、この日午後の雷雨で、エレベーターのドア部分のすき間から雨水が入り、電気回路がショートしたためとみて、詳しく原因を調べている。(京都新聞)
■JR高架橋 防音壁一部民家に落下 大津市の湖西線
 2日午後2時半ごろ、大津市二本松のJR湖西線西大津−唐崎間の高架橋そばの民家で、住人の会社員(35)から、「高架橋から何かが落ちてきた」と西大津駅に通報があった。JR西日本が調べたところ、高架橋の下り線橋げた(高さ約8b)の防音壁の表面に付けられた石こうボード(縦125a、横188a、厚さ2_、重さ約5`)が落下していた。この事故で、民家の屋根の一部がはがれ落ちたほか、とめてあった車2台の車体の一部がへこんだ。けが人はなかった。(朝日新聞)
■特急に飛び込み死亡 近江八幡、約300人影響
 3日午前3時15分ごろ、近江八幡市上野町、JR東海道線篠原駅構内で、出雲市行き特急寝台列車「出雲」号が駅にさしかかった際、下り線ホームにしゃがんでいた女性が線路上に飛び込み、全身を強く打って即死した。
 近江八幡署の調べでは、女性は60歳−80歳で、白いTシャツと茶色のズボン姿。同署が身元の確認を急いでいる。
 出雲号は現場に約56分停車。後続の特急寝台列車が約39分遅れ、乗客計約300人に影響が出たほか、後続の貨物列車3本も最大約50分遅れた。(京都新聞 夕刊)
4日■1700人削減へ 近鉄が経営改善計画
 近畿日本鉄道は3日、人員を1700人減らすことや三重県の北勢線の廃止に向けた取り組みを盛り込んだ経営改善計画を発表した。2006年度に連結で売上高を1兆2000億円、当期利益を160億円を目指す。
 特別早期退職優遇制度を導入、自然減や分社化などで02年度末までに人員を現在よりも1700人削減して9000人にする。また給料に業績を反映させた賃金制度を導入する。(京都新聞)
■中国首相、「独版リニア」に満足 実験線に試乗 導入に意欲 「上海なら 505`出せるだろう」
 【ベルリン3日=古山一】ドイツを訪問している中国の朱鎔基首相は2日、ドイツ北部にある独版リニアモーターカー「トランスラピッド」の実験線を視察し、試乗した。ドイツでは採算の面から実用化が遅れているが、朱首相は今回の訪問で上海に導入するための調査実施にドイツ側と合意。試乗中も「めまいがするほど」と高水準の技術をほめちぎり、同席したドイツの関連企業トップに導入への意欲を改めて示した。
 朱首相は32`の実験線を時速約400`で走るトランスラピツドに約20分試乗した。ロイター通信によると、首相は「上海の実験線では505`は出せるだろう。日本のリニアよりも速くなかったら、国民になぜ日本のものを買わなかったのかと言われてしまう」と述べた。
 上海に計画されている実験線は全長42`で空港と市中心部を結ぶ。合意された実用化調査では、ドイツ側が160万マルク(約8400万円)を負担する。
 中国は北京−上海間の高速鉄道も計画中で、ドイツや日本、フランスが各自の新幹線技術を売り込んでいる。朱首相はこの日、ドイツの新幹線ICEの乗り心地も確かめた。(朝日新聞)
■近鉄、3年で1700人削減へ
 近畿日本鉄道は3日、2000−2006年度の近鉄グループの経営改善計画を発表した。近鉄本体の人員を3年間で全体の16%にあたる約1700人減らすほか、鉄道の設備投資を大幅に削減することなどが柱。2007年3月期の連結決算で、売上高1兆2000億円(2000年度見込み1兆1560億円)、最終利益160億円(同10億円)とすることを目指す。
 2005年の奈良県生駒市と奈良市を結ぶ京阪奈新線(生駒−登美ケ丘、8.6`)開業を前に、グループの経営強化を図るのが目的。今年3月末に1万735人だった近鉄本体の人員を2003年3月未には9000人とする。鉄道の設備投資も、新線を除く年間投資額を今年度は約220億円とし、来年度から2ヵ年間は、180億円に抑える。逆に、介護や情報通信などの新規事業には積極的に進出する。(朝日新聞)
■北勢線廃止 バス輸送に 近鉄が方針
 近畿日本鉄道(本社・大阪市)の辻井昭雄社長は3日、大阪市で記者会見し、三重県桑名市と同県北勢町を結ぶ赤字路線の北勢線(西桑名−阿下喜、20.4`)の事業を廃止する方針を明らかにした。近く地元の三重県など沿線自治体と協議を始める。近鉄はグループの三重交通(三重県津市)によるバス輸送への転換を検討している。
 事業の廃止は同日発表した近鉄グループの経営改善計画の一つ。北勢線は1914年に一部開通した単線の特殊狭軌線で、65年に近鉄が事業を引き継いだ。99年度の輸送人員は約294万人(1日約8000人)で、7億円の経常赤字となっている。
 近鉄は「届け出の時期については未定。地元の方々のご理解を得られるよう協議を始めたい」としている。(朝日新聞)
■電車内痴漢は別人の可能性 警視庁警部補を釈放
 警視庁警部補が通勤途中の電車内で痴漢をしたとして逮捕された事件で、浦和地検は4日までに、被害者の証言を裏付ける証拠がないとして、警視庁本富士警察署刑事生活安全課係長佐藤弘夫警部補(49)を処分保留で釈放した。
 佐藤警部補は先月21日、東武東上線池袋行き通勤急行の車内で埼玉県川越市の私立高校1年の女子生徒(15)のしりなどを約5分間にわたり触ったとして、新座署に県迷惑防止条例違反の現行犯で逮捕、送検された。女子生徒は電車が志木駅(同県新座市)に着いた際、佐藤警部補を駅員に突き出した。佐藤警部補は逮捕直後から容疑を否認していた。
 調べによると、女子生徒は触ってきた手を直接つかんでおらず、振り返った際に左後ろに立っていた佐藤警部補を突き出した。後方にはさらに複数の男性がいたことが分かっており、別人の可能性もあるという。(京都新聞 夕刊)
5日■無罪釈放 ちかん、証明できず
 電車内で女性の体にさわったとして迷惑防止条例違反の罪に問われ、一審・東京簡裁で罰金5万円の有罪判決を受けた東京都内の会社員(41)に対する控訴審で、東京高裁は4日、一審判決を破棄して無罪判決を言い渡した。安広文夫裁判長は「被害者が被告を犯人だと誤って思いこんだ可能性も否定できない」と述べた。
 会社員は1998年10月、都内の京王線の満員電車内で女性の体をさわったとして起訴された。安広裁判長は、女性の証言を「自然で一貫性があり信用できる」とした一審判決について、「会社員は当時両手にかなりの量の荷物を持っており、犯行は困難な状態だった」と指摘。「消去法で犯人と断定された疑いがある」と述べた。
 東武東上線の電車内で女子高生に痴漢をしたとして、埼玉県警新座署に県迷惑防止条例違反の疑いで現行犯逮捕された警視庁本富士署刑事課係長の警部補(49)について、浦和地検は4日までに「有力な目撃証言がなく、起訴できるだけの十分な証拠がない」として処分保留のまま釈放した。警部補は一貫して容疑を否認している。(朝日新聞)
■近畿の交通大荒れ 列島大雨 奈良で床上浸水52戸
 日本列島各地を襲った大雨は近畿圏の交通機関にも大きな影響を与え、奈良や大阪では家屋の浸水や道路の冠水などの被害が出た。
 4日午後5時半から午後6時20分にかけて、東海道・山陽新幹線の信号系統に故障が発生。午後7時44分まで、東京−博多間の全駅で手動で信号を扱ったため、博多発東京行きの「のぞみ24号」が最高28分遅れるなど上下53本、計3万人に影響があった。
 東京の総合指令所にある信号制御システムのスイッチが落ちたためとみられ、落雷が原因とされている。JR東海、西日本で詳しい原因を調べている。
 同日午後6時半ごろ、奈良県大和郡山市番匠田中町の園芸店に落雷があり、鉄骨2階建ての倉庫兼事務所の2階部分約100平方bが焼けた。このほか、生駒市谷田町でも民家のアンテナに落雷があり、ぼやになった。また、奈良市の春日大社に近い高円山に落雷があり、立ち木が燃えた。
 また、落雷によって午後6時半過ぎから奈良県で約7000世帯、大阪府で約1万2000世帯、神戸市で約1万600世帯が停電した。
 近鉄奈良、生駒、橿原、京都の各線は大雨や落雷による停電などで午後6時20分から運転の見合わせをし、計59本が運休し、52本が遅れ、約2万5000人に影響した。JR大和路線も奈良−郡山駅間で徐行運転をし、29本が遅れ、約1万人に影響した。
 奈良市では床上浸水が52戸、床下浸水が235戸。大阪府内でも吹田、摂津、大阪各市で9世帯が床下浸水し、交野市など12ヵ所で道路が冠水した。(朝日新聞)
■首都圏のJR情報 BSで同時提供へ
 NHKとJR東日本は4日、12月に本放送が始まるBSデジタルのデータ放送に、鉄道運行状況の情報をほぼリアルタイムで提供すると発表した。システム整備などの事情で東京を中心とした通勤圏が対象になりそうだが、JR東日本はサービス開始までに可能な限り範囲を広げていきたいとしている。(朝日新聞)
■券売機売上金 98万円が紛失 地下鉄西中島南方駅
 大阪市営地下鉄御堂筋線の西中島南方駅(大阪市淀川区)で6月2日、金庫に保管されていた券売機の売上金のうち98万円が紛失していたことが5日、分かった。同市交通局は駅員全員から事情を聴く一方、盗まれた可能性が高いとして淀川署に被害届を出している。
 市交通局によると、同駅では宿直者5人のうちの1人が毎日午後10時ごろに券売機の売上金を取り出し、総額を記録。駅長室にある金庫に入れておく。翌日の午前中に銀行員が集金に来る。6月1日も午後10時ごろ、駅員が売上金133万6000円を金庫に入れた。2日午前7時半ごろ、引き継いだ駅員が金庫をかぎで開けたところ、1万円札48枚と1000円札500枚の計98万円がなくなっていたという。(朝日新聞 夕刊)
6日■公共事業等予備費、あすにも方針 整備新幹線どうなる 沿線関係者、熱い視線
 先の総選挙で自民党などが「選挙後の速やかな執行」を打ち上げた本年度予算の5000億円の公共事業等予備費。森喜朗首相は第二次森内閣の本格的な初閣議となる7日にも大蔵省に対し、予算拠出方針を指示する見通しだ。同省は今月下旬までに各省庁に具体的な配分を示すとみられる。そうした中、予備費での建設費上積みを目指す整備新幹線沿線の国会議員や地方自治体関係者などは配分の行方に熱い視線を注いでいる。
 現行の整備新幹線建設の枠組みでは、自治体も国費相当額の2分の1を負担する仕組み。予備費配分で自治体の負担も自動的に増えるが、「積極的に対応したい」(新潟県)と意欲十分だ。その一方で「財政難の中、ほかの事業に影響しないよう交付税措置などの支援を求めていきたい」と、国頼みの本音も。
 沿線のある国会議員は「前年並みは絶対に確保したい」と息巻く。しかし今回は、1999年度の整備新幹線予算の繰り越し分を最優先で消化しなければならないことが思わぬネックとなりそうだ。99年度は予備費で420億円、補正予算で300億円などを加え、89年度の長野(北陸)新幹線高崎−長野を皮切りに北陸、東北、九州各新幹線で工事開始以来、最大額の2714億円を獲得。予備費はその性格上、年度内消化が義務付けられているためだ。
 運輸省は事業を確実に進める立場上、「多ければ多いほどいい」としながらも「実際にどれだけの事業ができるかが重要だ。昨年度並みの配分は厳しいかもしれない」(鉄道局幹部)と複雑な胸の内を語っている。
 同省は着工区間の早期完成を目指しており、予備費を用地買収に使用できないことや「単年度の配分で、長期にわたり財源が確保される見通しが立たない」ことから、北海道新幹線など未着工区間への配分要求はしない方針だ。(京都新聞)
■電車とバスでまわる京都 好評につき2000度版 公共交通利用を促進する会 観光路線の時刻表を再編成 「マイカーより有利」強調 散策コースなど特集も
 一昨年に発行されて好評だった「観光地巡り時刻表」の2000年度版「電車とバスでまわる京都」が、このほど出版された。カラー地図や「京都 必見の社寺・みどころ80選」の観光スポットの案内なども加わり、内容はいっそう充実している。
 編集発行は、「京都・公共交通利用を促進する会」(代表幹事・中川大京都大学大学院土木システム工学専攻助教授)が行った。従来の時刻表が電車やバスの路線ごとにまとめてあるのに対し、『観光地巡り時刻表』のタイトル通り、ターミナルと観光地、観光地と観光地を結ぶ経路ごとに時刻表を再編成している。京都市バスと地下鉄、私鉄電車、バスといった公共交通機関を利用しての移動を前提にしているのも特徴だ。
 最初の版と比較して、土・日曜・祝日版と平日版が別だったのに対し、新版は1冊に統合した。効率の良い回り方のヒントや「京都散策コース10選」などの特集を組み、京都観光には、マイカーより公共交通機関利用が有利であることを強くアピールしている。所要時間の調査も行き届いており、1日乗車券の利用方法も詳しく解説してある。乗車地点の地図もより詳しくわかりやすくまとめられている。
 定価は860円(税込み)。アバンティーブックセンター、ジュンク堂京都店、丸善京都店、京都駅の京都市観光案内所、地下鉄売店などで販売している。問い合わせ先は発行所のコスミック075(502)1861か、同会のホームページhttp://web.kyoto-inet.or.jp/people/pubtra (京都新聞)
7日■線路に乳母車 1万人に影響 大阪城東区の片町線
 7日午前7時28分ごろ、大阪市城東区鴫野西三丁目のJR片町線の鴫野−京橋間で、線路上に乳母車があるのを走行中の木津発篠山口行き快速電車(7両編成、乗客約1400人)の運転士が見つけた。非常ブレーキをかけたが間に合わずに衝突し、電車は150bほど走って停止。運転士が確認したところ乳母車は無人だったが、電車は7分間停止した。この影響で山陽線の普通電車2本が運休したほか、7本の電車が4−7分遅れ、約1万人に影響が出た。乗客にけがはなかった。JR西日本によると、現場は高架線路で一般住民の往来はなく、この電車が通過する約5分前に下り普通電車が通った時に乳母車はなかったという。(朝日新聞 夕刊)
■車両連結できず運行を取りやめ JR京都駅
 7日午前10時ごろ、京都市下京区のJR京都駅で、増結作業中の姫路行きの新快速列車が車両連結できなくなり、この列車の運行を取りやめた。
 JR西日本によると、列車は近江今津駅から京都駅に4両で到着した。京都駅で4両を増結し、8両編成で姫路駅に向かう予定だった。連結する予定の車両が動かなかったといい、JR西日本が詳しい原因を調べている。(京都新聞 夕刊)
8日■ネットワーク情報 新型車のミニチュア
 関東鉄道(茨城県土浦市)が、新型列車の導入を記念して、ぜんまい仕掛けのミニチュア車両を販売している。
 取手−下館間を結ぶ同鉄道常総線に今年1月から導入された列車をかたどり、車両の正面が3a四方、長さが6aで2両連結になっている。おもちゃメーカー「タカラ」が製造するチョロGシリーズとして1セット1100円で6000セットの限定発売。
 同鉄道の各駅で販売中だが、通信販売も受け付ける。問い合わせは同鉄道業務課。0298(22)3718。(つくば)(京都新聞)
■窓 市バス運転手 女性増やして 北区・椋梨 景雄(無職・63)
 ある日市バスの10号系統を利用したところ、運転手さんは女性でした。あの狭い一条通をハンドルさばきも軽やかに運転されていました。また、各停留所においては、発車する際に「発車します」とアナウンスされ、乗車したお客さんの安全を確かめられていました。そして停留所に着くとあらかじめテープでの車内放送はされていますが、念のため再度告げておられました。女性のやさしい声ですので、なにかしら車内が和む募囲気で大変良い感じを受けました。
 男性の乗務員とはまた一味異なる感じで、安心して乗っていることができました。観光都市の市バスにふさわしい女性乗務員の増員を希望します。あの大型の市バスの運転は大変難しく思いますが、従来の男性乗務員の方とは違った車内の雰囲気であったことを感じたのは私だけではないと思います。市バス離れを止める策として、女性乗務員を増やすことも一つの方法ではないでしょうか。(京都新聞)
■窓 バスの乗降口 障害者には酷 京田辺市・大村義信(無職・61)
 高齢化社会、障害者問題を語るときバリアフリーを外して論ずることはできない。今さら言うまでもなく障壁を取り除き、利便性を求める意であるが、すでに個人住宅はもとより、官公庁、大型店舗など早くから問題提起され、手すり、スロープ設置、段差の解消、トイレ…と各所が改善され、新築住宅にも将来性を考えてバリアフリー化は定着しつつある。
 しかし、目を外に向け交通面を考えてみると、徐々に改善されてはいるが、体の不自由な者の外出に支障がないとは言えない。駅構内エレベーター、乗降ステップ段差、トイレなどは急行停車駅や地下鉄では改善されつつあるが、まだまだ十分ではない。特にバスの乗降については、まだ利便性と安全性が確保されていない。余談だが私は障害者団体とバス旅行する時、いつも乗降車には苦慮していたが、インターネットでリフトバス導入会社を検索し、次回からは快適ツアーになるかと喜んでいる。
 こうした状況の中、先ごろ交通バリアフリー法案が参議院で採決され法令化されたが、机上施策でなく、各社各機関が前向きに実行してほしいと願うものである。(京都新聞)
■南海回送電車 脱線、高架壁破る 住ノ江駅引き込み線 手動、運転ミス
 8日午前零時40分ごろ、大阪市住之江区浜口東二丁目、南海線住ノ江駅近くの高架線上で、同駅から車庫に入るため引き込み線を走行していた普通電車(6両編成)が、誤って車止めを越えてコンクリート製の壁に衝突した。先頭車両と2両目が脱線し、先頭は線路の側壁を破って、高架から約5b先に飛び出す形で停車した。
 住之江署の調べによると、同電車は難波発住ノ江行きの最終電車で、同日午前零時31分に住ノ江駅に到着、乗客を降ろしており、運転士(27)と車掌にけがはなかった。
 同署は運転士から事情を聴き、事故原因は、運転士が列車自動停止装置(ATS)を解除して手動運転し、ブレーキをかけるのが遅れた運転ミスとみている。
 高架下の路上には、破損した壁のコンクリートが散乱し、付近に止まっていた車のフロントガラスや車体に傷がついた。
 同線は難波−泉大津間で始発から運転を取りやめていたが、8日午前7時45分に復旧し、運転を再開した。
 特急22本を含む87本が運休か部分運休し、約3万2000人に影響が出た。(京都新聞 夕刊)
■強風で湖西線は徐行 比良−近江舞子間
 JR西日本によると、JR湖西線は、8日午前1時48分ごろ、滋賀県滋賀郡志賀町南小松の比良川風速計が風速20bを超えたため比良−近江舞子駅間で始発から徐行運転をしていたが、午前6時5分に解除した。上りの2本が最大13分遅れ、約150人の足に影響が出た。(京都新聞 夕刊)
■回送電車が脱線宙づり 住之江の南海線
 8日午前零時40分ごろ、大阪市住之江区浜口東二丁目、南海電鉄本線の高架線上で、回送中の普通電車(6両編成)が引き込み線の車止めを乗り越え、高架の防護壁(高さ約1.5b、幅約5b)を突き破って止まった。この事故で、先頭車両と2両目が脱線し、先頭車両の前部5bが高架からはみ出し宙に浮いた状態になった。乗っていた運転士(27)と車掌(25)にけがはなかった。住之江署は運転操作のミスとみて、業務上過失往来危険の疑いで捜査している。
 同署の調べでは、電車は住ノ江車庫に入るため、引き込み線を時速約25`で走行中、車止めを乗り越えたという。
 調べに対し運転士は「入庫を急いだため、自動列車停止装置(ATS)を解除し、手動で運転していた。ブレーキ操作を誤った」と話しているという。同電鉄によると、この事故で同日始発から午前9時半ごろまでに南海本線の上下計87本が運休し、約3万2000人に影響が出た。(朝日新聞 夕刊)
■高架下へブロック落下 南海電車衝突 おびえる付近の住民
 大阪市住之江区で8日未明、南海電鉄の電車が高架壁を突き破った脱線事故で、衝突で崩れたコンクリートブロックが落ちた先は歩行者も行き来する一般道路だった。高架沿いは民家が並ぶ場所だけに、住民には不安が広がった。
 同電鉄などによると、電車はレールで作った車止め、コンクリートの制走堤、鉄筋コンクリートの防護壁という「三重の壁」を突き破った。高架から約7b下の道路には、崩れたコンクリートブロックなどが降り注いだ。当時通行人はなかったためけが人はなかったが、駐車中の乗用車2台が破損した。
 高架のすぐ近くに住む女性(75)は、寝入って1時間ほどたったころ、目を覚ました。「ガリガリッ、バリバリッという、大きな音がして跳び起きた。まさか電車が高架の壁を突き抜けていたなんて…。コンクリートがたくさん落ちていた所はよく通るところなので恐ろしい」。近くの吉村和樹君(11)は「テレビを見ていたらダーンという大きな音の後にバラバラ、という音がした。電車が宙に浮いていて、怖かった」と話していた。
 同電鉄では、1993年12月に羽倉崎車庫(大阪府泉佐野市)で起きたブレーキミスによる車止め突破事故をきっかけに、すべての車庫内にも自動列車停止装置(ATS)を設置。今回、運転席のATSが解除されていたため、同電鉄は記者会見で「基本動作の教育徹底に力を入れ事故防止に努めてきたが、大変申し訳ない」と述べた。(朝日新聞 夕刊)
11日■京都市交通局 地下鉄東西線への補助金 消費税アップ分払わず 大阪国税局 4億3900万円追徴
 京都市の地下鉄東西線(醍醐−二条間)建設工事で、事業主体の京都市交通局が1997年度と98年度に国と市から受けた補助金にかかる消費税を、97年4月に税率が5%に上がったにもかかわらず、増税前の3%分しか納めていなかったことが、10日までに大阪国税局の調査で分かった。
 交通局は、同国税局に請求された消費税の差額分と延滞金計4億3900万円の追徴に応じることを決め、本年度の高速鉄道事業特別会計補正予算に同額の特別損失を計上、市長の専決処分を受けた。
 特別損失の財源は、ほとんど一時借入金でまかなう。このため、慢性的な赤字を抱える交通局の借金が増え、経常収支がさらに悪化することになる。
 地下鉄東西線の醍醐−二条間(12.7`)は88年に事業免許を取得し、97年10月に開業した。
 うち第三セクターの京都高速鉄道が建設した三条京阪−御陵間を除く9.1`を、市などが公営分として建設した。建設費は約1993億円。
 このうち、20%を市が出資、残る80%の28%ずつを国と市の補助金でまかない、さらに足りない分を交通局が起債で補う形で負担した。
 補助金は分割交付の形を取り、97、98年度の課税対象となる交付分は計約190億円だった。97年4月に消費税が5%に上がったが、交通局は「3%の消費税率を基礎に事業実施したので、補助金も3%分だけ上乗せして算定されている」と判断、190億円の3%分の約3億6000万円を消費税として納付した。
 ところが、大阪国税局が今年2月に行った消費税調査で、「消費税法の解釈上、消費税5%後の収入は、5%を基本に取り扱うべき」と判断。6月13日に更正決定を出し、差額分の3億6900万円とこれまでの延滞料7000円などの納付を交通局に求めた。
 交通局は、これ以上、納付を先に延ばしても、延滞税などがさらに加算されるため支払いに応じた。
 交通局は「赤字の縮小を目指してリストラに取り組んでいるときだけに、大きなミスだった」(財務課)としている。(京都新聞)
■二重の人為ミス判明 南海電車脱線
 大阪市住之江区の南海電鉄住ノ江車庫で8日未明に起きた回送電車の脱線事故で、運転士(27)が停止位置の約40b手前で運転台のブレーキハンドルを取り外していたことが10日、同社の調べでわかった。運転士は停止位置の約80b手前で自動列車停止装置(ATS)を解除しており、二重の人為ミスがあったことになる。同社は、この運転士を近く処分する方針。
 調べでは、運転士は停止位置の約80b手前で、運転台の後ろにあるATS操作スイッチを切り、さらに約40b手前で非常ブレーキをかけ、直後に取り外しがきくハンドルを引き抜いていた。しかし、ブレーキは利かず、時速約25`のまま防護壁を突き破った。社内規定では、電車が停止するまでブレーキハンドルは取り外してはいけないと定められている。
 調べに対し、この運転士は「(なぜそんなことをしたのか)よくわからない」と話しているという。同社は、運転士が電車の進行方向を変えるため反対側の運転席に早く向かおうと、ブレーキの利きを確認しないまま、ブレーキハンドルを急いで抜いたのではないかとみて、事情を聴いている。(朝日新聞)
■「駅員1人だけの介助で転倒」 車いす男性、市を提訴 大阪
 電動車いすを使っている大阪市生野区の男性(33)が10日、「地下鉄のエスカレーターで転倒したのは、駅員が介助の基本を無視したため」として、大阪市を相手に125万円の損害賠償を求める訴えを、大阪地裁に起こした。同市営地下鉄では、電動車いすの利用者がエスカレーターを使う場合、駅員が1人で車いすを支えており、男性は「重い電動車いすを駅員1人で支えるのは危険すぎる」として改善を求めている。
 原告は身体障害者手帳で1級の認定を受けている。
 訴状などによると、男性は1997年7月22日、大阪市中央区の地下鉄堺筋線北浜駅で、駅の改札からホームに移動するため、下りエスカレーターを利用した。その際、駅員1人が車いすを支え、後ろ向きでエスカレーターに乗ったが、駅員は途中で足を滑らせ、男性は車いすごと仰向けに転倒、頭などを打って10日間のけがをした。駅員も車いすの下敷きになって20日間のけがをした。
 男性は「車いすと体重を合わせると100`になり、1人で安定させるのは困難。現状のままでは安心して地下鉄を使えない」と主張。慰謝料などを求めている。
 大阪市によると、車いすの利用者がエスカレーターを使用する際には駅員1人が直接車いすを支え、別の駅員がスイッチを操作することにしているという。
訴状内容みて対応
 桂木勇・大阪市交通局高速運輸部営業課長の話 転落事故は駅職員の介助のミスから負傷させたもので、当局では誠意を持って話し合いを進めてきた。今後、訴状の内容を見てから対応を決めたい。(朝日新聞)
12日■青鉛筆
 山陽新幹線に8月、女性初の運転士が誕生しそうだ。車掌からの転身を目指す福沢美幸さん(29)。運転歴約20年の大先輩、父耕介さん(50)に見守られ今月末の試験に備える。
 JR西日本に入社9年目。旅行業部門から、女性初の在来線車掌、新幹線車掌へと、転身を繰り返してきた。
「運転士はミスが事故を招く厳しい仕事」と父親に心配されたが、「挑戦したい」と意志を貫いた。
 不得手な電気系統も猛勉強で克服し、現在は実際に車両を運転する技能講習中だ。「単に走ればいいのではなく、気持ちよく乗ってもらえる運転を心がけたい」と繊細さも忘れない。(朝日新聞)
■洛中洛外
 京都市西京区桂南巽町のモデルカー専門店「ホッホランド」が、開店10周年を記念して、昭和30、40年代に活躍した京都市営ボンネットバスのオリジナルミニカーを発売した。
 店主の高島正次さん(68)は大のバス好き。「京都市民に親しみのある市バスは記念商品にぴったり」と企画した。市交通局の許可を得て、大手ミニカーメーカーに依頼して3000台を作った。
 実物の110分の1と手のひらに乗る大きさで、緑色の濃淡で当時の塗装も再現した。1台1000円で、高島さんは「当時寺のバスには車掌さんもいて人間味があった。お年寄りがお孫さんに昔話をするきっかけになればうれしいです」と話している。(京都新聞 夕刊)
13日■市バスが追突 車の教諭けが 左京、前方不注意で
 12日午後5時40分ごろ、京都市左京区東大路通春日北上ルで、四条大宮行き市バス=音川和雄運転手(38)=が、前方の京都市伏見区醍醐南西裏町、小学校教諭竹下忠夫さん(58)の乗用車に追突。竹下さんが首に軽いけがをした。バスの乗客約40人にけがはなかった。
 川端署によると、事故当時は渋滞中でバスは停車していたが、音川運転手は「前方で車が動く音がしたので、運転席の運行時刻表を見たまま発進させた」と話している、という。乗客らは現場で降車し、別のバスを待つなどして目的地に向かった。
 市交通局は「あってはならない前方不注意の事故。安全運転のさらなる徹底に努めたい」と話している。(京都新聞)
■御陵駅でブレーキ故障、ダイヤ混乱 京阪電車
 12日午後5時15分、京都市山科区御陵原西町、地下鉄東西線の御陵駅2番ホームに到着した浜大津発京都市役所前行き京阪電車が、ブレーキ故障のため動けなくなった。電車は約47分後に復旧し、浜大津駅に回送で引き返した。乗客は醍醐発二条駅行きの地下鉄に乗り換えた。
 この故障で、京阪山科−御陵間で後続電車がストップし、電車の乗客40人が徒歩で京阪山科駅に戻ったほか、浜大津−御陵間の京阪電車上下計6本(約700人)に影響が出た。京阪によると、御陵駅で同社乗務員と京都市交通局の乗務員が交替運転することになっている。交替した際、市交通局の乗務員がブレーキを解除しようとしたところ、解除ができなくなったといい、故障原因を調べている。(京都新聞)
■女性殴られ転倒 現金など奪われる 京阪五条駅
 12日午後10時半ごろ、京都市東山区川端通五条上ルの京阪電鉄・五条駅の階段で、階段を降りていた山科区東野門口町、飲食店従業員中村数子さん(67)が、後ろから来た男にいきなり頭を殴られて転倒し、現金約9000円など在中のかばんを奪われた。中村さんは転倒の際に腕などに軽いけがをした。男は川端通を走って北へ逃げた。
 松原署は、強盗事件として捜査している。これまでの調べでは、男は40歳くらいで身長170a前後。白っぽい色の半そでシャツに黒色のズボン姿だった、という。(京都新聞)
14日■死刑判決の林被告控訴 地下鉄サリン事件
 地下鉄サリン事件の散布役などとして殺人罪などに問われた元オウム真理教幹部の林泰男被告(42)は13日までに、東京地裁の死刑判決を不服として東京高裁に控訴した。林被告は地下鉄サリン事件のほか、松本サリン事件で使われた噴霧車の製作にかかわったとして殺人ほう助と殺人未遂ほう助の罪に、新宿青酸事件では殺人未遂罪に問われた。一審判決は林被告が反省していることなどを評価しながらも、「酌むべき事情を最大限に考慮しても、極刑をもって臨むしかない」と結論づけていた。(朝日新聞)
■レノンのカード売るな オノ・ヨーコさん 営団地下鉄を提訴
 故ジョン・レノンさんの肖像写真を利用したアンディ・ウォーホル作の絵画をプリントし帝都高速度交通営団(営団、東京)が販売した「メトロカード」について、レノンさんの妻オノ・ヨーコさんが「無断使用で著作権を侵害された」として、営団地下鉄に販売差し止めや1300万円の損害賠償などを求める訴訟を13日、東京地裁に起こした。
 営団側は「オノさん側から販売中止の申し入れを受け権利関係があいまいであることが分かり、5月22日に自主的に販売を中止した」としている。
 訴えによると、営団は4月から営業所などで、このメトロカードを1000円で販売。オノさん側は「絵画はオノさんが著作権を持つ肖像写真を利用した二次的著作物」とし「営団のカードはオノさんが持つ二次的著作物の複製権などを侵害する」と主張。
 「レノンさんの衰えぬ人気に便乗する不当な行為」などとしている。(京都新聞 夕刊)
■5両脱線 3人けが 釧路・JR根室線
 14日午前5時56分ごろ、北海道釧路支庁音別町尺別のJR根室線・尺別駅構内で、釧路発芽室行き普通列車(5両編成)が5両とも脱線し、うち1、2両目は高さ1bほどのホームに乗り上げて止まった。事故で乗客1人、乗員2人の計3人が軽いけがをした。保守点検用の車両を作業用線路に引き込むための「横取り装置」のレールが取り外されていなかったため、スピードを出して通過途中だった普通列車が乗り上げる形で脱線したらしい。
 けがをしたのは大阪府吹田市南吹田二丁目の会社員田中朋康さん(30)、運転士の佐藤進さん(45)、車掌の中川精二さん(57)で、いずれも足などに軽いけが。(朝日新聞 夕刊)
■市バス事故 客12人けが 神戸
 14日午前10時25分ごろ、神戸市兵庫区熊野町五丁目の市道で、ひよどり台ホーム発神戸駅前行きの同市営バス=柿本彰一連転手(36)=と同市灘区神前町三丁目、僧職井上貴生さん(27)運転の乗用車が正面衝突、乗客12人が打撲傷などを負って病院に運ばれた。兵庫署によると、12人はいずれも軽傷だという。
 同署の調べによると、乗用車が対向車線をはみ出して走ってきて市バスとぶつかったという。バスには乗客約50人が乗っていたという。(朝日新聞 夕刊)
15日■三セク鉄道 黒字は5 社に減少 99年度まとめ KTRなど33社が赤字
 運輸省は14日、1999年度の第三セクター鉄道38社の経営成績をまとめた。経常損益を見ると、黒字会社は5社だけで残り33社は赤字となり、赤字額の合計は27億8400万円に上った。少子高齢化の影響による通勤通学利用者の減少や沿線道路網の整備が進んだことなどで旅客収入が減少した。
 黒字会社は前年度より3社減った。黒字額が大きかったのは北越急行(新潟)の7億1000万円をトップに、智頭急行(兵庫・岡山・鳥取)、愛知環状鉄道(愛知)、松浦鉄道(長崎・佐賀)、甘木鉄道(福岡・佐賀)の順。
 北越急行、智頭急行の2社は特急列車の利用者が好調で、このほかの社は厳しい経営状況の中、経費節減などに努めた。
 赤字額が大きかったのは、北近畿タンゴ鉄道=KTR=(京都・兵庫)の5億1700万円で、次いで北海道ちほく高原鉄道(北海道)の4億7800万円、信楽高原鉄道(滋賀)の4億3000万円。
 99年1月開業の井原鉄道(岡山・広島)を除く37社合計の輸送人員は、前年度比約2%減の5253万9000人で、26社が前年度実績を下回っている。(京都新聞)
■保線作業事故問題で再発防止策を報告 JR西、運輸省に
 JR西日本は、工事のため線路を閉鎖する際の手続きの不備や、保守作業員の待避が遅れる事故が相次いでいることを受けて14日、運輸省に工事計画のチェック強化などを盛り込んだ再発防止策を報告した。
 昨年8月から今年1月までに7件の事故が発生したため、運輸省が今年2月、安全確保を求める指導文書を同社に送っていた。
 対策はソフト面が8項目、ハード面3項目。ソフト面は、工事通告書の作成時に作成者だけでなく第三者もチェックする▽運転取扱作業はどの作業員が何を使ったかを明確にする▽工事請負会社との連携、指導強化など。ハード面は、信号を強制的に変えられる「軌道短絡器」の試行導入などを盛り込んだ。
 京滋は、昨年9月に米原駅構内で本来の工事区間とは別の線路を閉鎖する信号操作ミスがあったほか、10月には安栖里−立木駅間で作業員2人の待避が遅れるなどの事案があった。(京都新聞)
■高架橋劣化 「中性化」と塩分 相乗効果 JRコンクリ調査 鉄筋腐食を加速
 山陽新幹線の高架橋劣化問題で、コンクリートの中性化が進み、表面から深さ数aの部分に鉄筋を腐食させる要因となる塩化物イオン量が他の部位より2倍程度あることが14日、「コンクリート構造物検討委員会」(事務局・JR総研)の調査でわかった。この塩化物イオン量がコンクリート内でさらに進行すれば鉄筋を急速に腐食させる危険性が高いという。JR西日本は昨年度、相次ぐコンクリート落下事故を受けて全高架橋の約0.6%にあたる約1万5000平方bを修復した。検討委は、この調査結果を踏まえ、各高架橋の劣化状況に応じた保守管理のあり方をまとめ近くJR西日本に報告する。
 コンクリートの中性化はコンクリートが空気と反応し、表面から内部に向け徐々に進行する。検討委が各地の高架橋のコンクリートを一部抜き取り、サンプル調査したところ、中性化が進んでいる深さより若干奥の塩化物イオン量が、その周囲に比べて約2倍の値を示した。今後、鉄筋が埋まっている深さと重なると、鉄筋が急速に腐食する危険性がある。
 検討委は、コンクリート内部に「固定」されていた塩分が、コンクリートの中性化で活性化して、鉄筋を腐食させる要因になる塩化物イオンになったとみている。このため、保守管理の指標として、中性化の進み具合や塩化物イオン量を特に重視するという。
 専門家らによると、山陽新幹線の高架橋のコンクリートは、突貫工事の影響で水を多く混ぜたり、十分に洗浄されていない海砂を多用したりしたため中性化の進行が速く、塩化物イオン量も多いといった特徴があるという。
 コンクリートの塩化物イオン量について、土木学会は1立方bあたり0.3`を基準値としている。一般的に1.2`で鉄筋の腐食が進むという。検討委は昨年夏、山陽新幹線の高架橋は平均1.3`で、4`を超えている個所もある、と発表した。
 昨年、高架橋内部の鉄筋が腐食し膨張して起きるコンクリートの落下事故が相次いだため、運輸省が主導しJR総研に設置。全高架橋の中性化の深さや塩化物イオン量、鉄筋の腐食状況などを調査する「総合診断」も並行して実施中だ。
 JR西日本は、強度を保つために、中長期的な保守管理の徹底が不可欠としている。検討委の報告と総合診断の結果を土台に、今後の対策を年度内に詰める予定。(朝日新聞)
■地震で送電止まり新幹線が一時停止 7000人に影響
 15日午前10時半ごろ、伊豆諸島の新島近海を震源とする地震があったため、静岡県内の東海道新幹線の静岡−三島間上下線で、一時送電が止まり、新幹線が運転を見合わせた。
 JR東海によると、地震の影響で、ユレダスというコンピューターシステムが作動。安全のために送電が停止した。上下線の計9本が13−10分遅れ、乗客約7000人に影響が出た。(京都新聞 夕刊)
16日■カラスで停電68本運休 上越、長野新幹線
 15日午前9時40分ごろ、上越新幹線の高崎−熊谷間で停電し、さらに停電が復旧した午前10時20分ごろ、埼玉県岡部町内で新潟発東京行きあさひ402 号が動かなくなり立ち往生した。このため上越、長野(北陸)新幹線の全線で運転を見合わせ、ダイヤが大幅に乱れた。
 下り線は午後3時40分ごろ、上り線は午後5時18分ごろ運転を再開。両新幹線の計68本が運休したほか、34本に最大約8時間の遅れが出て約5万1000人に影響があった。
 あさひ402号の2号車のパンクグラフにカラスが絡んでおり、JR東日本はカラスがパンタグラフに当たったためショートし停電したとみている。
 同社によると、新幹線に鳥がぶつかることは時々あり、通常は送電を再開すると元通り動くという。停電の影響で車両の電気系統に何らかの故障が起きて動けなくなった可能性があるとみて、熊谷駅に車両を運んで原因を調べている。
 あさひ402号の乗客350人は正午前、横付けした下りのあさま3号に乗り換え、高崎駅に戻った。この間、2時間近く車内冷房がストップしたため暑さでぐったりしていた乗客もいたという。(京都新聞)
■地下鉄サリン 豊田被告らあす判決
 1995年3月の地下鉄サリン事件の実行役として殺人罪などに問われ、死刑を求刑された元オウム真理教幹部の豊田亨(32)、広瀬健一(36)両被告と、運転手役で無期懲役求刑の杉本繁郎被告(41)の判決公判が17日、東京地裁(山崎学裁判長)で開かれる。
 これで実行役5人全員の一審判決が出そろう。
 地下鉄事件の実行役はこれまで、林郁夫受刑者(53)が自首減軽を認められ無期懲役が確定したほか、横山真人(36)、林泰男(42)両被告は死刑判決を言い渡され、控訴。運転手役は2人が無期懲役となり、ともに控訴している。
 豊田被告らは3人とも公判で事実関係を大筋で認め遺族らに謝罪したが、豊田、広瀬両被告側は「首謀者の松本智津夫被告(45)=教祖名麻原彰晃=と弟子を同じ刑に処すのは不合理」などと死刑回避を求めた。また杉本被告側は「運転手がいなくても(地下鉄事件の)実行は可能で、必要不可欠とはいえない」として、ほう助犯にすぎないと主張。
 豊田、広瀬両被告はそれぞれ東大、早大の大学院で物理学を研究し、教団の「科学技術省次官」として主に武器製造を担当。杉本被告は松本被告の専属運転手や「自治省次官」として同被告の身辺警護やスパイ摘発をしていたとされる。(京都新聞)
■車掌ホームに置き去り 「待て」タクシーで追う JR東西線
 15日午後5時50分ごろ、JR東西線大阪城北詰駅(大阪市都島区)で、松井山手発西明石行き下り普通電車が、乗客の乗降を確認するためホームに降りていた車掌を残したまま発車した。
 運転士は次の大阪天満宮駅で車両のドアが開かなかったため、車掌が乗り遅れたことに気付いた。タクシーで電車を追い掛けた車掌が同駅に到着したのを待って乗せ、発車した。
 JR西日本によると、ホームに設置された乗客の乗降状況を確認するモニターに映りが悪いものがあり、車掌がドアを閉めるボタンを押した後、直接目で確認しようと降車したのに運転士が気付かず発車してしまったという。同電車が9分、後続電車が4分遅れ、約500人に影響が出た。(京都新聞)
■東京並み車両登場 NY地下鉄
 【ニューヨーク15日=山本晴美】ニューヨークの地下鉄の一部が、コンピューター制御のクリーンな日本製車両に代えられ、東京の地下鉄に近づく。川崎重工業の子会社「カワサキ・レールカー」(本社・ニューヨーク州)が来年末までに、400車両を納入する。
 新車両は、駆動装置(モーター)、ブレーキ、運転台など、すべてをコンピューターが制御する。車内では、電光表示板で行き先や時刻が分かり、「列車位置案内板」の点滅表示でどこの駅間を走っているかを知ることができる。1983年、「暗い」「汚い」で悪評の高かったニューヨークの地下鉄に、落書きのできないカワサキ製車両が約300両導入され、話題に。今回は、来年末までにニューヨークを走る6000車両のうちの7%が新型に置き換わる。(朝日新聞)
18日■サリン事件 判決2被告 死刑にも表情なく 遺族ら「父は戻らぬ」
 地下鉄サリン事件の実行役、元オウム真理教幹部豊田亨(32)、広瀬健一(36)両被告に17日、求刑通り死刑判決が言い渡された。「でも、寝たきりの妹は良くならない」「父が戻ってくるわけじゃない」。事件から5年4ヵ月。被害者や遺族は、やり場のない怒りに声を震わせた。
 東京地裁で約4時間に及んだ判決朗読。昨年12月の論告求刑のときよりも、ほおがこけたように見える豊田被告は目を閉じ、広瀬被告は正面を見据えたまま。ともに死刑判決に表情を変えなかった。
 判決後、東京・霞が関の司法記者クラブで遺族らが会見。重症で今も寝たきりの妹の介護を続ける男性会社員(40)は「わたしにとって判決も通過点にすぎない。妹の病状が良くなるとか家族の生活が変わることはないから」と話した。
 父親を亡くした女性(29)は「父は帰ってこないが、法廷で証言を重ねてきたことは無駄じゃなかったんだな、と思いました」と、怒りを抑えながら語った。
 弁護団の武井英夫副団長は「中心幹部はだれ一人、死刑判決を受けていない。松本智津夫被告の公判の早期終結を心から願う」とコメントした。
 法廷には豊田、広瀬両被告はスーツ姿、運転手役で無期懲役の杉本繁郎被告(41)はジャージーを着て出廷。広瀬被告は一時、体調不良で公判停止を申し立てたこともあったが、落ち着いた様子。
 証言拒否を繰り返していた松本智津夫被告=教祖名麻原彰晃=が昨年9月、突然、地下鉄サリン事件について「地下鉄の『ち』の字も話していない」としゃべり始め、周囲を驚かせたのは、豊田、杉本両被告の公判でのことだった。同年11月には証人として出廷した松本被告に、豊田被告本人が「あなたはグル(宗教上の指導者)なのか」とこぶしを強く握りしめ、激しい口調で迫ったこともあった。
・悩みに悩んだ判決 作家の佐木隆三さんの話 山崎学裁判長も言及していたように、豊田亨、広瀬健一の両被告は法廷での態度も真撃(しんし)で十分に反省悔悟している。しかし結果の重大性はいかんともし難いということだろう。山崎裁判長は、死者の出ていない路線にサリンをまいた横山真人被告にも死刑判決を言い渡したが、その時は反省を認めていなかった。今回は十分な反省を認めた上で死刑とした。裁判所も悩みに悩んだ末の判断ではないか。結果の重大性に尽きるのだろう。残念だが仕方がない。
・なぜ関与したか研究 ジャーナリスト江川紹子さんの話 残念だ。決して死刑が不当と言っているわけではない。事件の結果から見れば当然と思う。しかし、彼らがなぜこのような事件にかかわってしまったのか、今後の研究対象にすべきだ。井上(嘉浩被告)の役割についても、井上公判と他被告の公判とでは違う。死刑になる事件の判決で、法廷によって供述内容の評価がこんなに違っていいのか、とも思った。(京都新聞)
■窓 「幸福駅」ゆき人生を探そう 草津市・藤本 司郎(無 職・42)
 部屋の掃除をしていたら一枚の切符が出てきた。「愛国から幸福ゆき」。今から25年ほど前にブームになった切符だ。残念ながら愛国駅や幸福駅のあった国鉄広尾線は廃線となってしまったが、幸福駅は今でも帯広の観光名所として第二の人生を送っているようである。
 しかし私は思う。今の世の中、皆が求める「幸福駅」は存在するのだろうかと。毎日のように嫌な事件や信じられないような事故が起こる。一番信頼したい警察官や一番尊敬したい教師の不祥事も多い。そして世の中、大不況。
 私も現在失業中だが、私の仲間が全国に300万人以上もいる。これは京都市の人口の2倍以上の数である。年間の自殺者数は3万人を超えるそうで、こちらも交通事故による死亡者数の3倍以上の数である。倒産やリストラによる失業が原因の場合もかなりあるとのこと。
 政治家に望むことはたくさんある。しかし何も期待はしていない。やはり、自分の「幸福駅」は自分自身で見つけないといけないのだろうか? これからの人生のことを考えるためにも、この夏は幸福駅に行って、帰りには洞爺湖温泉に入って来ようと思っている。(京都新聞)
■地下鉄サリン 豊田・広瀬両非枸杞に死刑 東京地裁判決 杉本被告は無期
 地下鉄サリン事件などで殺人罪に問われるなどした元オウム真理教幹部3人に対する判決公判で、東京地裁は17日午後、地下鉄でサリンを散布したとされる豊田亨(32)、広瀬健一(36)両被告に求刑通り死刑を言い渡した。また、散布役を送迎したとされる杉本繁郎被告(41)に対しても求刑通り無期懲役とした。山崎学裁判長は豊田、広瀬両被告について、自らの意思で教団前代表の松本智津夫被告(45)の指示に従い、犯行を実行したと指摘した。「独善的な教義を妄信して大量殺人に関与することを決意したもので、弁解の余地はない」などと死刑を選択した理由を述べた。
 一連の事件で死刑判決を受けたのは、散布役の横山真人(36)、林泰男(42)両被告、坂本堤弁護士一家殺害事件などの実行犯の岡崎一明被告(39)=いずれも控訴=に続き計5人となった。地下鉄事件では、無期懲役が確定した林郁夫服役囚(53)を含め、5人の散布役全員に判決が言い渡されたことになる。
 午前10時から始まったこの日の公判で、山崎裁判長は判決理由から朗読。午後3時すぎに主文を告げた。
 山崎裁判長は量刑の理由で、地下鉄サリン事件について「反社会的で破壊的な教義自体が事件を引き起こした」と指摘。「松本被告を首謀者として、多数の教団幹部らが謀議を遂げ、役割を果たした組織的かつ計画的犯行」と述べ、「共謀は成立していない」という3被告の弁護側主張を退けた。
 さらに「犯行当時は松本被告のマインドコントロール(心理操作)を受け、責任能力が減退していた」との豊田、広瀬両被告の主張についても、謀議から実行行為に至るまで、冷静な行動をとっていると指摘。「犯行の指示にちゅうちょを感じつつも、自己の意思で松本被告の指示に従っており、責任能力を問題視する事情はない」と否定した。
 そのうえで「真しな反省の念と被害者への謝罪の気持ちには、偽りがないというべきである」と述べながらも、「刑事責任はあまりに重大で、極刑をもって臨まざるを得ない」と結論づけた。(朝日新聞)
■地下鉄サリン いえぬ傷 悔しさ 被害者家族「良くならぬ」
 「家族にとっては一つの通過点に過ぎない。日々、闘病を支えなければならない。被告に被害者と家族の気持ちや生活が本当に分かるのか」。広瀬被告がサリンを散布した地下鉄丸ノ内線の車両に乗車していた女性(37)の兄(40)は、判決後の記者会見でそう話した。
 女性は重症を負い、今もリハビリを続けている。判決前日、気持ちを聞くと、「死刑」とだけ答えたという。「期待した判決が出たからといって、妹が良くなることはない」と兄は言う。
 同じ車両に乗っていた父(当時54)を亡くした女性(29)は、広瀬被告から2通の手紙を受け取った。「取り返しのつかないことをしてしまった。何をしても償えません」と記してあったという。しかし、女性は「被告は自分に何ができるかを考えることすらあきらめている」と悔しがる。
 女性は事件後、「父の代わりにできることは」と考え、証人として思いを法廷で語ってきた。「一つの答えが出た。ほんの少しだけど無駄じゃなかった」と話した。
 この日の判決で、地下鉄サリン事件の散布役5人の判決が出そろった。だが、首謀者とされる松本被告の裁判は長期化が予想されている。記者会見では被害者らから「年をとった両親に、松本被告が何をしたのか、結果だけは知らせたい」といらだちの声が漏れた。
 3被告に対し、判決が認定した事実は次の通り。
 【豊田亨被告】地下鉄サリン 日比谷線でサリンを散布(殺人、殺人未遂)▽銃密造 自動小統千丁の部品を密造(武器等製造法違反)▽都庁爆弾 都知事あてに爆弾を送り、職員1人が大けが(殺人未遂、爆発物取締罰則違反)▽新宿駅青酸ガス 新宿駅に青酸ガス発生装置を置く(殺人未遂)
 【広瀬健一被告】地下鉄サリン 丸ノ内線でサリンを散布(殺人、殺人未遂)▽銃密造
 【杉本繁郎被告】地下鉄サリン 散布役の林泰男被告を送迎(殺人、殺人未遂)▽落田耕太郎さん殺害 信徒だった落田さんをリンチして殺害(殺人)▽冨田俊男さん殺害 信徒だった富田さんをリンチして殺害し、遺体を焼却処分(殺人、死体損壊)(朝日新聞)
■地下鉄サリン事件 豊田・広瀬・杉本被告への東京地裁判決理由要旨
 オウム真理教元幹部の豊田亨(32)、広瀬健一(36)、杉本繁郎(41)の各被告に対し、東京地裁が17日に言い渡した判決のうち、主な争点についての判断と量刑理由の要旨は次の通り。(呼称・敬称略)
・共同実行を相互確認
 ●地下鉄サリン事件での共謀など
 豊田、広瀬の弁護人は、尊師である松本智津夫の指示通りに実行しただけで他の共犯者と共謀したことはないと主張する。しかし、アジトに散布役と送迎役が集まって霞ヶ関駅を標的として一斉に担当路線の列車内でサリンをまくことを最終的に確認しあったのは、共同実行の意思を相互に確認した行為と評価できる。被告らが共謀を成立させたことは明らかだ。
 杉本の弁護人は、送迎役が犯行にとって必要不可欠とは言えないなどとしてほう助犯を主張する。しかし、散布役を確実に逃走させる送迎役は客観的に見ても必要不可欠で、現に送迎によって散布役は計画通り犯行を実行した。杉本もアジトでの最終確認の際に余裕をみて出発すればいいなどと自ら発言していることから、役割を十分に認識していたと言っていい。ほう助犯にとどまらず、共謀共同正犯の責任を負う。
・かっとう後自ら選択
 ●マインドコントロール
 豊田の弁護人は、各事件は松本や教団によるいわゆるマインドコントロール(心理操作)に支配された被告が敢行したもので、被告は心神耗弱の状態にあったと主張する。また、松本の指示・命令が教義上も組織上も絶対性を持つ状況下で被告がそれに背いて犯行を思いとどまることは著しく困難だったから責任非難は軽減されるべきだ、と言う。
 広瀬の弁護人は、被告は事件当時、心神耗弱の状態にあり、絶対的な存在である松本の指示に基づいて現世の人たちの救済だと思って犯行に関与したので、適法な行為を期待できる可能性は極めて乏しかったと主張する。
 両被告の弁護人は主として東邦大医学部の高橋紳吾助教授の証言や意見などに依拠している。高橋証人は、マインドコントロールを受けた者は本来の人格の上にカルトの人格が覆いかぶさってカルトパーソナリティー(カルト的二重人格)を形成するといい、たとえ本来の人格で行為の違法性を認識していても、表面を覆っているカルトの人格は判断を停止しているから、違法行為の指示を受けても淡々とちゅうちょなく行うとする。
 しかし、豊田は「内心ではやらずにすむならやりたくありませんでした」と捜査段階で述べている。公判では地下鉄事件を実行する際にかっとうを感じなかったとも述べているが、豊田の心境としては、かっとうやちゅうちょを乗り越えた末、実行行為時にはちゅうちょを感じなくなったというにすぎない。
 また、広瀬も捜査段階で「いよいよサリンをまく直前には心臓がどきどきして本当にこんなことをしていいのだろうかと思った」などとちゅうちょの様子を赤裸々に述べている。
 なぜ覆い包まれてしまって判断に関与しないはずの本来の人格とカルトの人格との間にかっとうが生じるのかなど、さらに合理的な説明が必要だ。豊田、広瀬とも犯行指示の内容に驚がくしたり抵抗感を示したり、ちゅうちょを感じるなどして気持ちを乱していたことが認められ、淡々とちゆうちょなく指示を行うという高橋証人の意見とはほど遠い心境であったといえる。
 弁護人の主張や高橋証人の意見は前提とする事実を異にしたり、理論構成自体に矛盾を内合するなどしており、被告らの責任能力の判断にあたって問題視する事情とはなり得ない。この結論は精神鑑定を経ていないなどの弁護人らの指摘を十分に考慮しても変わらない。
 犯行の状況や経緯、動機などを改めて見てみると、両被告が当時、精神の障害を有していたという証拠は見当たらない。また、被告らは犯行の謀議の段階から犯行の準備、実行行為、罪証隠滅に至るまでの一連のなかで冷静で合目的的行動をとっている。動機や目的も被告らや教団が当時置かれていた立場や状況からすると、いずれもある程度了解可能なものであったといってよい。加えて両被告は、自己の行為が一般社会において法律上許されない犯罪行為に当たることを犯行当時に十分に理解していたと自認している。
 これらの事実に照らすと、豊田と広瀬は犯行当時、行為の是非善悪を弁別し、これに従って行動する能力が著しく減退した状態にはなかったと認めることができる。
 また、期待可能性についても、両被告は犯行指示にちゅうちょするなどした上で結局は自らの意思で教義や松本の指示に従って犯行を敢行するみちを選択したのだから、絶対服従するしかないとの指示に追い込まれ、あるいはそのような客観的な状況の存在を誤信していたとも認めがたい。
・独善的な教義を盲信
 ●事件での役割など
 各事件は、教団の代表者松本がいわゆるハルマゲドンヘの備えと教団などに対する宗教弾圧への対抗から、教団の武装化を企図するとともに、悪行を積んだ者などを高い世界に転生させるためには殺害することさえポアと称して正当化するという内容の教義を唱え、被告らを含む多数の教団幹部と共謀して敢行した。
 地下鉄サリン事件は、教団施設に対する強制捜査を阻止するため、首都中心部を大混乱に陥れようとしたもので、大量殺人を企図した無差別テロ以外のなにものでもない。教団の利益のためなら手段を選ばず、他人の尊い命を一顧だにしないという狂信的で独善的なもので、まさに社会秩序に対する無謀な挑戦だ。教義自体が事件を引き起こした原因となっていることも看過できない。
 多数の幹部らがそれぞれの役割を果たした組織的かつ計画的犯行の結果は深刻だ。被害者はもとより何の落ち度もないばかりか、サリンで攻撃されるいわれもまったくなく、単に犯行現場に居合わせたばかりに理不尽な犯行に巻き込まれて犠牲になった。
 12人の死亡者は各自の人生を懸命に生き、それぞれの夢と希望を持った善良な市民で、いずれも原因すらわからずに意識を失い、そのまま回復せずに絶命したのであり、その苦もん、恐怖、無念さは想像を絶する。遺族、被害者及びその家族が犯人に対して極刑を望んでいるのは至極当然のことだ。
 豊田と広瀬は、人類の救済につながると考えて散布役になった。いかに救済という美名を標ぼうしても、実質は独善的な教義を妄信して大量殺人に関与することを決意しており、弁解の余地はない。豊田は一人の死者と二人の中毒症者を、広瀬は一人の死者と重篤者を含む三人の中毒症者を出している。中轟の予防薬を事前に服用したうえ、サリン入りの袋を突いてすぐ車内から逃走し、自己の生命の安全を図っておきながら、一方で地下鉄内にじかにサリンを散布した。
 犯行を終えた後、ほかの散布役とともに松本の元に報告におもむき、「偉大なるグル、シバ大神、すべての真理勝者方にポアされてよかった」というマントラを暗えるよう指示され、死者のめい福を祈るつもりで繰り返し唱えたというが、誠に独善的で「ポアされてよかった」などという一節は、被害者をぐろうするものだ。
 杉本も、松本の犯行目的を疑問視しつつも結局はこれを容認し、いまさら教団を抜けることもできないなどと考えて送迎役を果たしており、自己保身以外の何ものでもない。散布役とともに現場の下見をしたり、犯行用の自動車を受け取りにおもむくなど準備に深く関与した上、結果的には五路線中最も多くの死者8人を出した林泰男の送迎役の務めをまっとうしている。犯行後も散布役の衣類を焼却するなど証拠隠滅を行ったあと、松本の元でマントラを唱えるよう指示されている。誠におぞましい限りである。
・学業優秀な人物だが
 ●有利に酌める事情について
 被告3人の刑事責任は程度の差があるにせよ、いずれも誠に重大であって、相応の重刑に処せられるべきであるのは至極当然である。各弁護人は、刑事責任がいかに重大であっても被告らには有利に斟酌「しんしゃく)すべき事情があることに滑らし、豊田、広瀬については極刑は相当でなく、杉本については無期懲役刑を軽減すべきであると主張する。
 そこで、被告3人にとっていかなる事情を有利に斟酌すべきか、また有利に斟酌すべきだとしても、どの程度斟酌すべきか、特に豊田及び広瀬については、極刑を回避すべきかの観点から慎重に検討する。
 《松本及び教団の影響》
 弁護人は、被告らの心理状態や思考傾向は責任能力や期待可能性の有無などに影響を与えないとしても、少なくとも被告らに有利に斟酌すべき事情になると主張する。
 すなわち、被告らは、松本や教団の最高幹部から、説法、極限修行、神秘体験、ワークと称する作業などを通じ、あるいは、睡眠時間や食事を制限した過酷な生活環境を強いられることにより、徐々に松本の提暗する教義による人類救済や解脱を唯一無二なものと妄信するようになる。また、被告らは松本の指示はすべて救済につながり、それに背くと地獄に落ちるのは当然として、疑念を抱くことさえ自己の修行が足りないものと信じ込まされ、次第に松本の指示を絶対視するようになる。被告らが本件のような凶悪な犯罪を事もなげに敢行したのは、このような理由からである、という。
 なるほど、豊田、広瀬が弁護人主張のような心理状態や思考傾向に陥り、松本らから各犯行を指示された際に、それに抗することが困難な状態であったことは否めない。これは、すでに検討したように責任能力、期待可能性などの存否自体に影響を与えないとしても、両被告にとって、酌むことが出来ると言わなければならない。
 しかし、松本が説く教義や修行の内容はおよそ荒唐無稽(こうとうむけい)なもので、教義の中にはポアと称して人の生命を奪うことを是認する内容も含まれる。
 また、松本が幹部信徒とともに衆院選に立候補し、全員落選するという愚行を目の当たりにし、さらに、松本から指示されたいわゆるワークは、約千丁の自動小銑の製造など著しい反社会性や違法性を有するものであって、通常人であれは、たやすく松本や教団の欺瞞(ぎまん)性、反社会性を看破することができた。
 ところが、両被告はきまじめさや純粋さも災いして、このような契機を見過ごし、自己の判断と意思の下に教団にとどまり続け、ついには地下鉄事件を迎えたのであって、いわば自ら招いた帰結というべきである。松本らの指示に抗することが困難な状態に陥っていたことは両被告にとって過大視することが出来ず、一定限度の斟酌にとどまるべきである。
 杉本については、松本の教義や私生活に疑念を抱いていたことを自認しており、前記のような心理状態や思想傾向には完全になかったことが明らかであるから、それを酌むべき事情にはなり得ない。
 《反省状況》
 3人は、いずれも自ら犯した犯罪の重大性や悪質性、遺族の悲惨さ、被害者の苦しみなどを知り、真しな反省・悔悟の念を深め、自己の捜査のみならず、オウム関連事件全体について、捜査及び裁判に全面的に協力してその念を表し、当然のことながら、全員教団を脱退している。
 また、とりわけ豊田、広瀬の裁判に臨む態度は、当然とはいえ誠に真しなものであった。豊田は、自責の念や被害者に対する配慮から言い逃れをしたり、感情をあらわにしたりしないとの姿勢を保ち続け、自己の責任をまっとうする覚悟を表明している。
 広瀬は、深い悔悟と松本の教義からの決別の念により、公判の最終段階で、精神状態の変調をきたした。両被告の態度からすると、真しな反省の念と被害者への謝罪の気持ちには偽りがなく、被告らの反省状況は、量刑上有利に斟酌するに値する。
 《前歴や人格など》
 被告らは、それぞれ両親に養育されて成長し、大学あるいは大学院まで進んで高等教育を受けたものであり、教団による非合法活動に関与するまで、前科もなく、社会規範を順守して生活してきた。
 人柄や優秀さは、豊田については証人として出廷した学生時代の複数の友人が、律義で責任感があり、人望も厚く、一緒にいて気持ちがよい男であると異口同音に述べた。
 広瀬には、証人として大学院時代の指導教授が、自己の論文作成に欠かすことの出来ない優秀な学生であったと述べ、同教授と共同執筆した論文は海外で高い評価を受けたと証言している。友人もその人間性について、誠実、穏健、きまじめなどという言葉で表現していることに端的に表れている。
 教団に入信した動機を見ても、解脱を求めるなど、いずれも真しな理由に基づくもので、両被告が、教団に入信する以前は人格高潔で、学業優秀な人物であったことは事実であり、有利に斟酌できる。
 しかしながら、被告らがいかに人格に優れていたとしても、それは地下鉄事件などの被害者にも言えることだ。被告らが自らの意思で教団に入信し、自らの意思で犯行に及んでいるのに比し、被害者らは自らの意思や責任から被害に遭遇したものではなく、無念のうちにその生命を絶たれた者もいることに照らすと、被告らの人格や優秀さを斟酌するとしても、過大視することは出来ないと言わなければならない。
 ●結論
 各犯行の罪質、動機・目的・態様の悪質性、結果の重大性、遺族の処罰感情、社会に与えた影響、各犯行における被告らの役割の重要性、とりわけ豊田、広瀬のそれは余りにも重大だ。
 被告らについて、有利な事情や反省状況を最大限考慮したうえ、松本らの指示に抗することが困難な状態に陥っていたこと、その人格などを一定限度で斟酌し、林郁夫に対する量刑との均衡など、弁護人らが指摘するその他の事情を視野に入れ、かつ、極刑が真にやむを得ない場合にのみ科し得る究極の刑罰であることに照らしても、豊田及び広瀬に対しては極刑を、杉本に対しては無期懲役刑をもって、それぞれ臨まざるを得ないと考える。
・解説 「最後の決意」に厳しく
 豊田亨、広瀬健一両被告に死刑判決が言い渡されたことで、地下鉄サリン事件で散布役を務めたとされる5人全員に対する一審判決が出そろった。自首が認められて無期懲役となった林郁夫服役囚を除く4被告がいずれも死刑とされたことは、12人が死亡した無差別テロに対する裁判所の厳しい姿勢を示している。
 一連の判決は、松本智津夫被告を頂点とする教団組織のあり方を厳しく指弾するものとなった。
 地下鉄事件に関して殺人と殺人未遂の罪で起訴された14人の被告はいずれも共謀共同正犯として、事件全体の結果について責任を問われた。3人の送迎役と、「連絡調整役」と認定された井上嘉浩被告には無期懲役が言い渡されている。裁判所は量刑のうえで、役割を重視。実行行為者については検察側の主張通りに「散布役は死刑、送迎役は無期懲役」という判断を示したことになる。これは、最終的に結果をもたらした散布役の最後の決意を重くみたものとみられる。
 14人の被告のうち「現場」の東京にいたのは散布役5人と送迎役四人、さらに井上被告の計10人だった。新実智光被告を除く全員に一審判決が言い渡されたことで、今後の焦点は山梨県上九一色村にいたサリン製造役とされる遠藤誠一、土谷正実、中川智正の三被告と、事件首謀者とされる松本被告に対する公判の行方と、量刑判断に移る。
 松本被告は地下鉄サリン事件について「弟子がやったこと」などと「無罪」を主張しているが、これまでに言い渡された判決はすべて、松本被告が事件の首謀者だったと認定している。
 さらに、それぞれの判決は、松本被告について「信仰心に付け入って被告を利用した」(林郁夫服役囚への判決)▽「命令に従わざるを得ないような心理状況に追い込んでいった」(横山真人被告への判決)▽「教団信徒の帰依心を巧みにあおって各犯行を実行させた」(林泰男被告への判決)▽「松本被告や教団の反社会的な教義自体が事件を引き起こした」(豊田、広瀬、杉本三被告への判決)−などと指摘した。
 犯行を実行した被告らを厳しく批判しながらも、各被告が松本被告の指示に航することが困難な状況にあったことについては理解も示し、松本被告の責任がさらに重いことを強調している。
 教団が起こした最大の事件とも言える地下鉄事件の一連の判決では、松本被告についてこのような認定が続いている。その積み重ねは、教団での絶対的な地位を誇り、弟子を使って次々と事件を起こしたとされる「教祖」を中心とした教団の実態を改めて浮き彫りにしている。(朝日新聞)
■国労の記録ビデオ完成
 かつては20万人の組合員がいた国鉄内最大労組「国労」は、1987年の国鉄分割民営化後の13年間で組合員が激減、多数の解雇者を出して少数組合になった。この間の裁判闘争と組合員のその後を記録したビデオドキュメンタリー「人らしく生きよう−国労冬物語」が完成した。
 キオスクの売店に配転、現在はまくら木の補修作業を続ける保線技術者や、解雇されホタテの行商で生計をたてながら闘争を続ける北海道の組合員らの日常をカメラが追う。定期大会やデモなどの記録映像も。
 完成試写会は25日午後6時半から、東京都中野区の中野ゼロ視聴覚ホール(03-5340-5000)で。参加費当日1000円、予約800円。問い合わせはビデオプレス 03-3530-8588。(朝日新聞)
■整備新幹線 新規着工の検討を要請 首相、運輸相に
 森喜朗首相は18日の閣議終了後、森田一運輸相と会談し、「整備新幹線の未着工区間について十分に検討してほしい」と伝え、新規着工に向けて本格的な検討に入るよう求めた。森田運輸相が記者会見で明らかにした。森首相は財源については明言しなかったというが、森田運輸相は、配分が決まったばかりの公共事業等予備費を財源にあてることについて「首相は期待されているのかもしれない」と受け止めており、検討を急ぐ構えだ。
 森首相は石川2区選出で北陸新幹線の新規着工にかねて熱心だった。(朝日新聞 夕刊)
19日■スルッとKANSAI カード販促会社設立 鉄道資材共同購入など 業務拡大も計画
 関西地域を基盤とする大手私鉄と大阪市交通局などが18日、共通乗車カードの販売促進などを行う新会社を共同出資で設立した。大手私鉄に主要都市の交通局まで加わって共同出資会社を設立するのは全国で初めてのケースという。
 新会社はカードの販促のほか、鉄道・バス事業に必要なまくら木や電装品、さらには券売機などの共同調達にまで業務を拡大する計画。一括購入でコストを削減し、少子高齢化や景気低迷の影響で利用客が減少、厳しさを増す一方の経営のてこ入れを狙う。
 新会社の名称は「スルッとカンサイ」(大阪市)で、資本金は1350万円。阪急電鉄や大阪市交通局のほか近畿日本鉄道や京都市、神戸市などの交通局も出資し、社長には葛本恵英大阪市交通局総務部長が就任した。
 関西地域の鉄道・バス会社は1996年に、阪急など4社と大阪市交通局が参加してプリペイド方式の共通乗車カード「スルッとKANSAI」を導入。1枚のカードで複数会社の鉄道・バスに乗車できる便利さが好評でその後も参加企業が増え、来春までに計32社・自治体交通局にまで拡大する予定だ。
 共通乗車カードを通じて培った協力体制をそれぞれの企業の経営効率化にまで広げ、将来は保守作業を分離して新設する別会社に一本化することなども検討する。(京都新聞)
■JR西のコンビニ マルチ端末を50店に設置へ
 JR西日本は18日、グループのコンビニエンスストア「ハート・イン」の大阪府内の4店に試験的に設置していたマルチメディア端末を、8月から近畿地区の27店に拡大し、さらに秋には約50店にまで広げる計画だと発表した。
 マルチメディア端末は銀行の現金自動預払機(ATM)機能に加え、公共料金の収納代行や観光チケットの予約・購入、電子ショッピングなどもできる。ATMとマルチメディアの両方の機能を併せ持つ端末の本格展開は、主要なコンビニチェーンでは初めてという。(京都新聞)
■新快速に接触 51歳男性重体 JR三ノ宮駅
 19日午前8時半ごろ、神戸市中央区布引町四丁目、JR三ノ宮駅上りホームで、姫路発野洲行き新快速電車(12両編成、乗客約1000人)が停車しようとした際、電車を待っていた北九州市の男性(51)と接触した。男性は頭を強く打ち、意識不明の重体。同新快速は約10分後に運転を再開した。
 この事故で、後続の快速電車など6本が最高13分遅れ、約5600人に影響が出た。兵庫県警葺合署の調べでは、男性はホームの縁で列車をのぞき込むようにしていたという。(朝日新聞 夕刊)
21日■窓 サリン被害の悲しみ消えぬ 亀岡市・六嶋 賢治(無職・76)
 地下鉄サリン事件の実行役として殺人罪などに問われた元オウム真理教幹部の豊田亨、広瀬健一両被告に東京地裁は「犯罪史上類のない、人間の尊厳をおそよ無視した卑劣な犯行」として、求刑通り死刑を言いわたし、これで地下鉄事件の実行役五人全員の一審判決が出そろい、自首減軽が認められ無期懲役が確定した林郁夫受刑者を除く4人が死刑となった。
 しかし被害に遭い死亡または意識不明となったり、身体的に立ち直れない人々の病状が、この判決でもとにもどるものでもなく、近親者は、ある人は寝たきりの妹はよくならないし、死んだ父がもどってくるわけでもないと声をつまらせた。被害者らが、事件から5年4ヵ月の長い間、やり場のない怒りと悲しさにくれてきたことは間違いのない事実である。いくら実行した被告が反省しても、死刑となっても遺族の悲しみは一生消えるものではない。
 ジャーナリストの江川紹子さんは「残念だ。決して死刑が不当ではなく事件の結果から当然と思う。しかし彼らがなぜこのような事件にかかわってしまったのか、今後の研究対象にすべきだ」と言われている。被害にあった人たち、家族が生きている限り、この犯罪は消えない。(京都新聞)
22日■山陽新幹線 高架橋50ヵ所 重大劣化 JR総研調査報告 年内にも抜本修復
 山陽新幹線の高架橋の劣化状況やその補修法を調べていたJR総研の「コンクリート構造物検討委員会」(委員長・長瀧重義新潟大教授)は21日、中性化と塩化物イオン量の相乗作用で鉄筋が腐食・膨張するなどして強度が弱まる「複合劣化」が高架橋で構造的に起きていると発表した。これらの原因で、表面積の5割以上のコンクリートをたたき落とした高架橋は50ヵ所にのぼったという。検討委は劣化個所を早急に全面補修するよう求めている。JR西日本は、これを受けて年内にも本格的な補修に入る。
 検討委は、高架橋からの相次ぐコンクリート落下事故を受け、運輸省の主導で専門家らが参加しJR総研に昨夏、設置された。
 検討委は、コンクリートのアルカリ成分が空気中の二酸化炭素に触れて中性化したり、コンクリートの塩化物イオン量が一定量を超えたりすることが原因となり、内部の鉄筋を腐食させるメカニスムを調べた。その結果、中性化と塩化物イオン量の相乗作用で鉄筋が腐食・膨張。表面のコンクリートにひび割れを起こし、構造物の強度を弱める「複合劣化」が山陽新幹線の高架橋に起きていると結論づけた。
 提言では、昨年度の総点検で、コンクリートをたたき落とした面積が5割を超す高架橋50ヵ所について、構造物の強度を調査。「近い将来に、耐久性に問題が生じる恐れがある」として、鉄筋が見えるまで表面をはがして補修する「全断面修復」を求めた。
 ほかにも、中性化がコンクリート内で進み、鉄筋に部分的な断面欠損がある高架橋も全断面修復を求めている。さらに、土木学会の塩化物イオン量の基準値(1立方bあたり0.3`)を上回る0.6`以上の高架橋も特別な方法で修復する必要があるとした。
 長瀧委員長は会見で「山陽新幹線の高架橋は施工時に、コンクリートに水を多く混ぜたり、十分洗浄しない海砂を混ぜたりした可能性が高く、中性化の進行が速く、塩分量も多い」と話した。
 JR西日本は昨年度、2度の緊急点検で約1万5000平方bを修復したが、ほとんどはコンクリートをたたき落とし、モルタルを詰める応急措置にとどめている。今回の検討委の提言と総合診断を受け、今後数10億−100億円かけ補修することになる。(朝日新聞)
23日■列車にはねられ八木で男性死亡 JRのダイヤ乱れる
 22日午後3時14分ごろ、八木町鳥羽のJR山陰線で、線路上を歩いていた男性が、園部発京都行き上り普通電車にはねられ、全身を強く打って即死した。園部署が身元を調べている。
 調べでは、踏切から約10b手前を男性が歩いているのを運転士が発見。非常ブレーキをかけたが、間に合わなかったらしい。約30分後に運転を再開したが、普通列車上下2本ずつが運休し、特急を含む3本の列車が、3分から28分遅れた。(朝日新聞)
24日■信号機故障で朝のダイヤ乱れる 園部のJR山陰線
 24日午前4時45分ごろ、JR山陰線園部駅と船岡駅(京都府船井郡園部町)で、出発用の信号機が赤のまま変わらなくなった。
 約2時間後に復旧したが、園部−日吉間などで普通電車上下6本が一部または全面運休。後続の列車も最大約40分遅れて、約600人に影響が出た。このため、JR西日本福知山支社は日吉−園部間に振り替え輸送用のバスを1本走らせた。
 同支社は変圧器の故障とみて詳しく調べている。(京都新聞 夕刊)
■京阪バス営業所に3人組強盗 整備工縛り暴行 何も取らず逃走
 24日午前1時ごろ、京都市山科区大宅古海道町の京阪バス山科営業所に、3人組の男が押し入り、事務所2階で仮眠中の整備工高広貫治さん(61)の両足を粘着テープで縛って暴行を加えた。騒ぎで同僚運転手(42)が駆けつけ、男3人は何も取らずに逃走した。山科署は強盗未遂容疑で捜査している。高広さんは顔に軽いけがを負った。
 調べでは、男3人は高広さんには終始無言だったが、仲間同士では外国語で話し、高広さんは東南アジア系の外国人にみえた、という。1人は身長約170aで、黒っぽいベス卜に野球帽姿だった、という。
 府警によると、男2人が高広さんを押さえ込んで縛り、もう1人が長さ約50aのバールを手に立っていた。高広さんが抵抗したところ、隣室で仮眠中だった同僚運転手が気付き、近くの民家から110番通報した。仮眠室にバールが残されていた、という。(京都新聞 夕刊)
■バス営業所に男3人組強盗 京都、整備会社員けが
 24日午前1時ごろ、京都市山科区大宅古海道町、京阪バス山科営業所に3人組の男が押し入り、2階休憩室で眠っていた京都府宇治市槇島町十六、バス整備会社員高広貫治さん(61)が粘着テープで両足をくくられて口をふさがれ、頭や背中を殴られるなどした。物音に気付いた同僚が駆けつけると、1人が2階の窓ガラスを割って飛び降り、2人は階段から逃げた。高広さんは顔などに軽いけが。売上金などに被害はなかった。山科署は強盗容疑事件とみて捜査している。
 調べでは、3人は東南アジア系とみられる外国語で会話をしていた。(朝日新聞 夕刊)
25日■京都駅ビルで10月7日から3日間 3周年で多彩なイベント アカペラやSL展示
 JR西日本京都支社は、京都駅ビルが今年9月に開業3周年を迎えるのを記念して、10月7日から3日間連続の大規模なアカペラコンサート「アカペラ3DAYA」を開く。歌手のつのだひろさんが、駅や鉄道をイメージして作詞作曲した新曲を発表する。また8月下旬から10月上旬にかけて、SLの展示やジャズコンサートなどさまざまなイベントを開催する。
 無伴奏で合唱する「アカペラ」は、観客もコーラスに参加できるなど一体感を楽しめることから若者を中心に人気を集めている。年間3200万人が集まる同駅にふさわしいイベントとして企画した。
 コンサートに出演するのは、つのださんのほか、タレントの島崎俊郎さん、歌手のスコット・レナードさん、アカペラグループのPHEW PHEW LIVE(ヒュー・ヒュー・ライブ)など約50人。賛美歌やポップスなどを歌う。3日間とも午後2時から室町小路広場で開かれる。入場は無料。
 また、3周年記念イベントとして8月19日に第3回京都駅ビル薪能、9月9日はSLなど列車の展示会、9月15、16日は京都・学生フェスティバルなどを開く。問い合わせはJR西日本京都支社運輸課 075(682)8023へ。(京都新聞)
■園部のJR山陰線 信号故障で休止も
 24日午前4時45分ごろ、園部町のJR山陰線船岡駅−園部駅間で、列車信号機などが故障し、上り普通電車が船岡駅の手前の日吉駅で約2時間停車した。上下合わせて6本の普通電車が運転を休止したり部分的に運転を取りやめたりして、約600人に影響が出た。JR西日本福知山支社は信号用トランスの電気系統の故障とみて調べている。(朝日新聞)
■オウム3被告 きょう控訴 地下鉄サリン
 地下鉄サリン事件などで殺人罪などに問われ、17日に死刑判決を言い渡された元オウム真理教幹部でサリン散布役の豊田亨(32)、広瀬健一(36)両被告と、無期懲役とされた送迎役の杉本繁郎被告(41)のそれぞれの弁護人は、検察側の求刑通りの量刑を言い渡した東京地裁判決を不服として東京高裁に控訴する意向を固めた。25日にも手続きをとるという。
 豊田被告は判決前、「どんな判決でも受け入れる」と弁護人らに話していた。「死刑判決を一審で確定させるわけにはいかない」と弁護人らが説得したとみられる。(朝日新聞)
■痴漢で免職「不当」 元検事不服申し立て 人権救済も
 JR中央線の電車内で20代の女性に痴漢行為をしたとして、今年5月に懲戒免職処分になった元検事(40)が24日、「一切のわいせつ行為はしておらず、不当な処分だ」として、人事院に審査請求した。また、誇張した見出しなどで名誉を傷つけられたとして、週刊誌などを発行している出版四社を相手に、日弁連人権擁護委員会に人権救済を申し立てた。
 元検事は現行犯逮捕されたが、女性との間で示談が成立し、告訴が取り下げられたため、不起訴処分となっていた。この示談について元検事側は「職場の混乱を避けるためだった」と説明している。(朝日新聞)
■公共事業等予備費 整備新幹線に560億円工事進ちょく率52%に
政府は25日の臨時閣議で、本年度の公共事業等予備費(5000億円)から整備新幹線に自民、公明、保守の与党三党案通りの560億円を配分することを決めた。
 国費560億円に自治体負担分を合わせた事業費は、計840億円となる。これで整備新幹線全体の工事進ちょく率は、本年度当初予算までと比べ2ポイントアップの52%になる。
 今回の配分では、予備費の対象は既に建設工事を始めている各線区に限定。事業費ベースで東北新幹線関係では盛岡−八戸に288億円(工事進ちょく率6ポイント増の80%)、八戸−新青森に60億円(同1ポイント増の5%)を盛り込んだ。
 北陸新幹線糸魚川−魚津は3億円(変化なしの40%)、同長野−上越は70億円(同3ポイント増の9%)。九州新幹線鹿児島ルートは西鹿児島−新八代に359億円(同6ポイント増の62%)、同新八代−船小屋に60億円(同1ポイント増の5%)がそれぞれ配分された。
 北陸新幹線石動−金沢は年度内に消化できる工事が難しいことや進ちょく率が高いことなどを理由に配分はなかった。
 北海道新幹線や九州新幹線長崎ルートなどの未着工区間は、その年度内に使い切るという予備費の性格上、配分は見送られた。(京都新聞 夕刊)
整備新幹線の線区別配分と進ちょく率
  事業費進ちょく率
東北新幹線盛岡−八戸288億円806ポイント
 八戸−新青森60 5 1
北陸新幹線高崎−長野0 100
 長野−上越70 9 3
 糸魚川−魚津3 40 0
 石動−金沢0 69 0
九州新幹線西鹿児島−新八代359 62 6
 新八代−船小屋60 5 1
合計840億円522ポイント
(注)増は進ちょく率の本年度当初予算比
■3被告が控訴 地下鉄サリン事件
 地下鉄サリン事件などで殺人罪などに問われ、17日に死刑判決を言い渡された元オウム真理教幹部でサリン散布役の豊田亨(32)、広瀬健一(36)両被告と、無期懲役とされた送迎役の杉本繁郎被告(41)のそれぞれの弁護人は25日、検察側の求刑通りの量刑を言い渡した東京地裁判決を不服として東京高裁に控訴した。(朝日新聞 夕刊)
26日■リニア新幹線で決議 建設促進期成同盟会
 リニア中央エクスプレス建設促進期成同盟会(会長・神田真秋愛知県知事)は25日、東京都内で総会を開いた。愛知、山梨、奈良など関係9都府県から約300人が参加した。
 総会では@山梨リニア実験線の未着工区間の早期着工Aリニア技術の早期実用化Bリニア中央新幹線実現のための大深度地下利用調査の実施−などを決議し、関係国会議員、大蔵、運輸省に要望した。(京都新聞)
■列車停止、後続遅れ JR山陰線
 25日午後5時20分ごろ、JR山陰線下山−和知間(京都府船井郡丹波町下山)を走行中の福知山行普通列車で、ブレーキやドアの開閉に使うエアが漏れているのに運転士が気づき、列車を止めた。
 応急修理して約1時間10分後に運転を再開したが、園部−綾部間で後続の普通列車2本が部分運休、京都行特急「きのさき10号」など15本が最大1時間45分遅れるなど、1450人に影響が出た。(京都新聞)
■日本漂流 第2部 重い荷は下ろして 地下鉄駅のホーム 特訓受けた新人時代 切符切りで手に血まめ
 同せい時代を歌った「神田川」がヒットしていた1973年、和田彦太郎(53)は地下鉄の駅員になった。研修を終えて配属されたのは、夏祭りでにぎわう都内下町の駅だった。
●トイレ掃除
 「お師匠さん」と呼ばれた退職間際の駅員に1ヵ月間ついて、駅の仕事を覚えた。まず一日は湯を沸かしてお茶を入れ、机の上を整理整とんすることから始まった。トイレ、タンつぼの掃除もあった。便器をぴかぴかになるまで磨く。
 地下の駅は、ほこりがたまりやすい。「特掃」と呼ぶ駅構内を洗剤や水で大掃除をする日がある。そのときには電気ブラシを使いこなすことが必要だった。「電気ブラシは力任せにやろうとすると、疲れるばかりで、ちっともいうことをきいてくれない。ブラシに振り回され、みなに冷やかされた」
 休憩時間に先輩に呼ばれて特訓を受けた。コツをのみ込むと、片手で操作できるようになった。
 改札では「パッチン、パッチン」と切符を切る。「最初は慣れないから、妙に力を入れてしまった」
 切符が分厚い。はさみで手のひらや指によく血まめをつくった。「子どもは、切符の変わったところを切ってもらうのを喜ぶんだ。『ここにパチンして』って。『いいよ』と、私もうれしくなって…」
 地下鉄で通学する越境入学の小学生が時折、一時間近く無駄話をしていく。
 「『勉強できる子なら、いつまでもこんなところにいないよ』って。家に帰りたくなさそうなんで、ラッシュまで相手もした」
●構内の台所
 安全運行と時間厳守が基本だ。ホームでは前方・後方監視のマニュアルがある。指さし点呼の確認だ。
 「指を動かしているように見えるけれど、確かに、お客が線路に転落したときなんか発見できた」
 当時は午前9時から翌日午前9時まで働く「オール隔勤」と呼ばれるシフトで、「泊明泊明公休」の繰り返しだった。一緒に20人ぐらいが働く。食事当番がおり、昼食、夕食、夜食を構内の台所で作った。
 料理が好きな駅員は、テレビ番組や本で研究して腕を振るった。「冗談抜きで、母ちゃんが作るよりうまい」と、わいわい言いながら食事をした。
 焼き魚のにおいが漂うときもある。改札口でお客が声を掛けた。「きょうはサンマなんだ。おれも早く帰って食べたいね」。のどかな時代だった。
 「同じものを食べて、同じところに寝る。お互いの裏表も、いびきの大きさも分かってしまう。義理人情に厚い、家族的な雰囲気だった。出世は望まず、現場に誇りを持ってきちんと仕事をやる、温かみのある先輩がたくさんいた」
 にぎやかな職場に慣れた2年目、組合青年部の仕事が回ってきた。(登場人物は仮名、敬称略)(京都新聞)
■近鉄 新都ホテル直営に
 近畿日本鉄道は、子会社の新都ホテル(京都市南区)など系列3社を10月1日付で吸収合併する。ホテル事業再編の一環で、新都ホテルは近鉄直営ホテルとして従来通り営業する。合併比率は、新都ホテル株1に対し、近鉄株3。新都ホテルはホテル事業を近鉄直営ホテルを哲理する「近鉄ホテルシステムズ」(大阪市)に事業譲渡し、8月に設立される運営会社に業務委託される。
 近鉄はホテル事業の効率化を目的に1998年11月から順次、系列17ホテルの直営化を進めている。今回の吸収合併により、都ホテル(京都市東山区)など6ホテルを除く11ホテルを直営化、ほぼ再編を完了したとしている。(京都新聞)
■若い男性3人が殴られ金奪われる JR東福寺駅
 25日午後11時45分ごろ、京都市東山区本町のJR東福寺駅から、若い男性3人が倒れていると119番通報があった。松原署員が調べたところ、3人は城陽市内の20歳と21歳で、同11時半ごろ、4、5人の若者に「金を出せ」と脅されて殴られ、現金計約2万円を奪われていた。3人は頭や顔などにけがしており、病院で手当てを受けた。
 松原署は、強盗傷害事件として捜査し、逃げた男女の行方を追っている。
 これまでの調べでは、4、5人の若者は10代後半とみられ、うち1人は迷彩色の服を着ていた、という。(京都新聞)
■停車前にドア開く 乗客が転落、軽傷 京都市バス
 25日午後2時半ごろ、京都市北区小山北玄以町の上賀茂橋バス停で、北大路バスターミナル行き市バス=木下博二運転手(52)=の後部ドアが停車する前に開き、乗客の北区上賀茂馬ノ目町、大工松本陸士さん(44)が路肩に転落して右ひじに軽傷を負った。
 上鴨署や市交通局によると、バスは約70人の乗客で満員だった。木下運転手は「すでに停止していると思い、うっかりしてドアを開けてしまった。反省している」と話している、という。
 市交通局は「申し訳ない。より一層、安全確認を徹底したい」としている。(京都新聞)
■近鉄、3社を吸収合併へ ホテル事業を再編
 近畿日本鉄道は25日、グループのホテル事業を再編する一環として、近鉄を存続会社として、子会社など関連会社3社を吸収合併する、と発表した。10月1日に、都ホテル大阪と、博多都ホテルの土地建物をそれぞれ賃貸している上本町ホテルビル(大阪市)、福岡リコー近鉄ビル(福岡市)を合併。さらに、京都で新・都ホテルを経営する新都ホテル(京都市)も、近鉄が全額出資する統括運営会社の近鉄ホテルシステムズ(大阪市)にホテル事業を営業譲渡した後、合併する。
 近鉄は、グループのホテル事業を再編するうえで、土地建物などの資産を本体で保有し、ホテルシステムズが地域ごとに新会社を設立して業務委託しながら運営する方針を打ち出しており、今回の合併で再編計画は一段落する。
 新都ホテルは9月30日にホテル事業をホテルシステムズに譲渡し、ホテルシステムズは京都に新会社を設立してホテルの運営を委託する。ホテルの従業員の多くは都ホテルからの出向者で、事業譲渡後は新会社へ出向する形をとる。(朝日新聞)
■ドア開閉で乗客けが 京都市バス、相次ぎ2件
 京都市内で25日午後、市バスの乗客が、運転手のドアの開閉操作をめぐってけがをする事故が2件あった。
 午後零時25分ごろ、東山区中之町の四条京阪前バス停で、左京区浄土寺上馬場町、無職富田昭さん(76)がバスから降りた際、傘がドアに挟まれた。富田さんが引き抜こうとしていたところ、突然ドアが開き、はずみで転倒。わき腹などに軽いけがをした。東山署の調べでは、運転手がドアミラーで、富田さんが困っているのに気づき、機転をきかして開けたらしい。
 その約2時間後には、北区小山北玄以町の上賀茂橋バス停付近で、近くに住む大工松本陸士さん(44)が、開いた後部ドアから転落し、ひじなどに軽いけがをした。上鴨署の調べでは、バスの運転手がバスが完全に停止する前にドアを開けてしまったらしい。松本さんはドア付近に立っていたという。(朝日新聞)
■JR完全民営化に3関門 長期債務・赤字路線・労務問題 政官と調整本格化
 JRの株式をすべて公開して純粋な民間企業にする「完全民営化」に向け、もたついていた政・官・JRの調整が本格化している。森田一運輸相は、今年は見送りになった関連法案を来年の通常国会で提出することを目指すとしており、早ければ来夏の政府保有株式売却が見込まれる。しかし、実現には、3つの関門がある。背景には、鉄道を民に任せるか、官が関与するかという古くて新しい問題がある。
●意見が対立
 小渕恵三首相(故人、当時)が入院した翌日の4月3日夜。東京・霞が関のビルの一室に二階俊博運輸相(当時)が、3人のJR経営者をひそかに集めた。「みんな国鉄改革をやった仲間じゃないか。話し合っていこう」
 目の前にいたのは、JR東日本の松田昌士社長(現会長)、JR東海の葛西敬之社長、JR西日本の井手正敬会長。いまは本州三社に散らばっているが、13年前の国鉄改革の旗をともに振った「三人組」だ。しかし、完全民営化をめぐっては、早期に実現して、社長人事や事業計画の認可を国に仰がなくていい立場になりたい松田、井手両氏に対し、東海の葛西氏は、民間企業としては重すぎる長期債務などを理由に慎重姿勢を示している。
 今年の通常国会への関連法案提出が見送られた背景には、この3人の足並みの乱れがあった。この4月の会合でも歩み寄りには至らなかった。
 運輸省は現在、東海を棚上げして、東日本と西日本の株を売り切る案を検討しているが、省内には「国会が大混乱しかねない」と心配する声もある。
●ローカル線
 広島県の赤字ローカル線「可部線」を応援する歌、「がんはれ かべせん」を、JR西日本の社員、山下茂典さん(45)が自主制作のCDにした。会社は乗客の減少を理由に一部廃線にする方針だが、「効率だけを求めて公共性を捨ててはいけない」という気持ちから曲を作り、今春、2000枚をプレスした。
 今年3月に改正鉄道事業法が施行され、鉄道会社は、鉄道事業からの撤退が自由になった。完全民営化により、JRへの国の関与が薄くなれば、廃線に「待った」をかけられなくなるという心配が、赤字ローカル線を選挙区に持つ政治家の間に広がっている。
 しかし、JR西日本の南谷昌二郎社長は「鉄道にふさわしくないところにかかるコストは、だれが負担するのか」と反論、完全民営化問題とは切り離すべきだとしている。
●過激派の影
 6月28日、東京都内で開かれたJR東日本の株主総会は、緊張感が漂っていた。
 株主 経営首脳は、労組のなかの革マル派と癒着している。改めてほしい。
 役員 革マル派という名前が出たが、いかなるものかは承知していない。
 一部の株主が、過激派の革マル派と多数派組合であるJR東労組との関係や経営陣との関係を問い、会社側が否定する−。毎年、JR東日本の株主総会で繰り返されてきた議論がいま、完全民営化問題にも影を落としている。
 きっかけの一つが、公安調査庁が昨年一月の報告書で、革マル派について「JR東労組への浸透が一段と進んでいる」と記したことだ。東労組は否定するが、自民党の一部には釈然としないものが残っている。(朝日新聞)
■神戸市営地下鉄海岸線 来年7月開業 愛称「夢かもめ」
 神戸市中央区の三宮と同市長田区の新長田を結ぶ市営地下鉄海岸線が来年7月に開業することが26日、決まった。施工方法の見直しなどで工期を短縮でき、開業時期は来年秋の予定から約3ヵ月早まった。
 また、一般公募していた地下鉄の愛称は「夢かもめ」に決定した。
 海岸線は、同市兵庫区や長田区の活性化をめざし、1994年3月に着工された。全長約8`で、三宮と新長田間を10駅で結ぶ。8月にレールが全線に敷かれる予定で、同月下旬から試運転を開始する。工費は約2400億円。開業時に1日約8万人の乗客を見込んでいる。(朝日新聞 夕刊)
27日■JR西の謝罪求め 信楽高原鉄道事故 福知山地本が署名活動
 1991年5月に滋賀県甲賀郡信楽町の信楽高原鉄道(SKR)で起きたSKRとJRの列車正面衝突事故で、JR西日本労働組合福知山地方本部(稲沢豊委員長、68人)は26日、遺族や被害者へのJR西日本の謝罪を求める署名活動を、JR福知山駅前で行った。
 この事故で、双方の乗客・乗員計42人が死亡、628人が重軽傷を負った。今年3月のSKR元運転士らへの判決で、大津地裁は「JR西日本とSKRのずさんな危機管理体制が被告の過失を誘発した面もある」などと指摘した。
 これを受けて同労組が、20万人を目標に全国で署名運動を展開。この日は、同本部の組合員13人が「謝罪と真の安全を求めます」など書かれたビラ500枚を配りながら、通行人に署名を求めた。午後1時からの4時間で「予想の2倍」(同本部)という約300人分が集まった。
 署名活動は今月いっぱい行い、8月9日に全国分をまとめて大阪市北区のJR西日本本社に提出する。
 JR西日本広報室は「組合活動について、会社としてはコメントできない」としている。(京都新聞)
28日■小浜線電化など盛る 国士審近畿特別委
 首相の諮問機関である国土審議会近畿圏整備特別委員会(委員長・新宮康男住友金属工業名誉会長)が27日、大阪市内のホテルで開かれ、近畿圏整備法に基づく2000年度事業計画を答申した。
 北近畿豊岡自動車道(兵庫県)の一部事業着手や、JR小浜線(敦賀−東舞鶴)の電化などが新規事業として盛り込まれた。(京都新聞)
■お盆のJR西日本 予約、4年ぶり増 新幹線の好調目立つ
 JR西日本は27日、お盆期間中(8月9日−20日)の新幹線と在来線の指定席予約状況を発表した。26日現在、新幹線と在来線を合わせた予約数は約186万席で、前年比13%増、予約率は38%と同4ポイント増え、4年ぶりに前年を上回った。同社は「ひかリレールスター人気が全体の予約率を引き上げている」とみている。
 山陽、東海道を合わせた新幹線の合計予約席数は162万5000席で、前年比16%増。在来線は24万1000席で同3%減。
 新幹線は、「ひかリレールスター」の予約率が8月16日の上り78%を最高に平均55%と好調。12、13日の下りと15、16日の上りが昼間帯で満席状態になっている。
 「のぞみ」も、11、12日の下りと15、16日の上りは昼間帯でほぼ満席。
 在来線の予約率は、北陸、山陰、南紀各方面でほぼすべてが前年を下回っている。特に南紀方面は、前年比6ポイント減。
 JR西日本は、予約日のピークを下りが8月12日、上りが同16日とみている。(京都新聞)
■インターネット天気図 第2部 Eビジネス C 町に進出 駅で通販の品受け取り
 JR東日本が、インターネットで申し込んで、管内230会りの駅で品物を受け取れる「えきねっと」サービスを4月から始めた。首都圏だけでも、1日に1500万人以上がJR駅を利用する。この人の流れの接点を、ネット空間と現実社会を結ぶ「プラットホーム」にしたい構想だ。
 パソコンで「えきねっと」をのぞいて見る。5月はやたらに高い2万円の鉄道バッジしかなかった。7月に信州そば詰め合わせが登場した。「段階的に品数を広げます」(ジェイアール東日本ネットステーションの藤井宏明プラニングディレクター)。でも、私が買ってみたいと思う地方名産品は、まだ「宅配のみ」で、駅では受け取れない。
 受け取り可能なのはどうしても、かさばらなくて痛まない、CD、ビデオ、本に偏る。そこで、新書をクレジットカード払いで注文してみた。
 「3日後に受け取れます」と案内メールが届いて、東京・新橋駅に向かう。
 「どこかな。キオスクではないんでしょう。コンビニはまず目の前に1つ、2番線ホームにもあるし…」。駅員さんも慣れていない。それにしても、駅に、こんなにたくさんコンビニがあったとは。
 コンビニのカウンターの下から包装済みの本が取り出された。若い女性の売り子さんが「引き渡しは毎日、3件から5件。4月からだけど、最近になって増えてきたみたい」。受取人は男性7、女性3の比率だという。店は深夜11時まで開いている。「お勤め帰りかな。夜に受け取りに来る方が目立つわね」
 サービス開始のきっかけは、昨年末の大手書店・三省堂との提携。本流通の管理に当たりながら、JR独自商品の販売拡張も図る。
 JR西日本が大手ネット商店街「楽天市場」につないでショッピングを展開中だ。東日本の新サービスの行方を、ほかのJRグループが横目でにらんでいる。
 本を引き取れる駅は「えきねっと」リスト数の3分の1しかない。「自前の仕組みというわけでないので」と藤井さんが口ごもる。実は注文ボタンを押した時から、私のパソコンは「えきねっと」を離れ、三省堂システムにつながれている。そこから後は、顧客情報を含めて全部書店のものだ。三省堂は受け取り窓口を私鉄・小田急の駅にも広げた。手数料を払って駅を最大限に活用し、自社のEビジネス拡張を急ぐ。
 「えきねっと」に三菱商事系の電子商店街「e-store 」も結ばれているが、そこには駅渡しサービスは提供されていない。目を奪う多彩な看板がならぶパソコン画面の背後で、激しい客引き競争が展開されている。(共同通信編集委員・小野田明広、zakiz@kyodonews.or.jp)
メモ ネット・ショッピング普及で、貨物の小口化が進む。1999年度の宅配便の取り扱い個数は「積み合わせ便の宅配へのシフト」もあり、前年度比28.6%伸びた(運輸省)。
 走る車も増える。オランダ・トラック運送業者協会は、2005年までに食品の1割、非食品の15%がネット購入になると予想。ネット取引だけで交通量は17%増え、交通渋滞が悪化しかねないと警告した。(京都新聞)
■のぞみすべて700系に 新大阪−東京間
 JR東海の葛西敬之社長は27日の記者会見で、今年3月時点で11編成(1編成は16両)ある最新型の「700系」を2003年9月末までに45編成追加する年度別の投入計画を発表した。
 今年秋のダイヤ改定で、「300系」ののぞみを700系と入れ替えるため、東京−新大阪間を往復するのぞみはすべて700系となる。(朝日新聞)
■JR西、お盆予約増
 JR西日本は27日、お盆期間(8月9日−20日)の山陽新幹線と在来線の指定席予約状況(26日現在)を発表した。新幹線、在来線を合わせた予約率は38%で、期間中の予約席数は4年ぶりに前年を上回った。在来線の予約率は29%で前年(31%)を下回ったが、新幹線の予約率が39%で前年(35%)より高かった。関西地区から各方面へのピークは12日。Uターンのピークは15、16両日が見込まれている。(朝日新聞)
■公費で鉄道建設検討 運政審答申案 利用者負担原則を修正
 今後の鉄道整備の基本方針について、運輸政策審議会(運輸相の諮問機関)が8月1日にまとめる答申案が27日、明らかになった。JR在来線や私鉄で路線を新設する場合、第三セクターなどの公的主体が全額公費で線路や駅などのインフラ(社会的基盤)を建設・保有し、鉄道会社に貸し付ける「公設型上下分離方式」を検討することを初めて盛り込んだ。整備新幹線の手法を一般の路線にも広げるもので、鉄道建設費は基本的に運賃でまかなうとしてきた利用者負担原則の修正につながる。
 日本の鉄道需要は、経済成長率の鈍化や少子化傾向を背景に頭打ちになっており、新線の建設や改良が難しくなっている。運政審が1月末にまとめた首都圏の鉄道整備計画では、2015年までに首都圏で233`の新規整備路線を指定したが、投資に見合うだけの利用者増が見込めないため、鉄道会社が消極的なものが多い。
 運政審は従来の支援策では整備に限界があるとして、「上下分離方式」の導入を提案した。「上下分離方式」については、建設費の全部または一部を鉄道会社や利用者が運賃などで負担する、従来型に近い「償還型」と、整備新幹線と同じく公的主体が建設費を負担し、鉄道会社の負担は維持費などに抑える「公設型」に二分し、ケースに応じて使い分けるべきだとした。幹線鉄道や空港アクセス鉄道に対しては、現在行っている補助制度を大幅に拡充する必要がある、としている。
 ただ、公費で建設することで収支採算性を度外視した設備投資が行われるおそれも指摘しており、安定した運行ができるという鉄道会社の経営判断が不可欠だと条件をつけた。(朝日新聞)
29日■架道橋当て逃げ容疑 運転手を書類送検 伏見のJR奈良線
 伏見区のJR奈良線の架道橋に6月、トレーラーが衝突し橋げたの下部が破損した事故で、伏見署は28日、大阪府豊能郡、運転手(32)を、道路交通法違反(事故不申告)などの容疑で31日に書類送検する、と発表した。
 調べによると運転手は6月22日朝、大型トレーラーで建設用ダンプを搬送、同区桃山町西尾の市道で、ダンプ上部を橋げたに衝突させ、事故を申告しなかった疑い。橋げたは長さ1.2b、幅12aにわたってえぐれたが、翌日までに修復した。(朝日新聞)
■「痴漢無罪」相次ぐ 満員電車で少ない物証/被害者の話だけで逮捕 科学捜査求める声も
 満員電車の痴漢被害が急増する中、加害者とされた男性に無罪判決が相次ぎ、今月も東京高裁で2人が潔白とされた。”ラッシュの死角”を悪用した卑劣な性犯罪は目撃者や物証が乏しく、誤認逮捕の危険も付きまとう。女性の心身を傷つけ、男性も悩ませる痴漢問題。身近なえん罪防止に、積極的な科学捜査の必要性を訴える声も出てきた。
 東京都調布市の男性会社員(41)は1998年10月16日朝、都内の京王線笹塚駅で下車した直後、いきなり腕をつかまれた。
 相手は20歳の女性。身に覚えのない指摘に、ホームで押し問答に。駆け付けた駅員に促されて事務室に行くと、代々木署員の姿が…。そして逮捕。「罰金五万円だから『うん』と言えばすぐに出られる」。痴漢と決め付けた取り調べが続いた。
 13日後、迷惑防止条例違反の罪で起訴。無実を主張したが、一審東京簡裁は有罪だった。退職に追い込まれ、40代で苦い再就職も経験した。裁判は東京高裁に移り、今月4日「女性の証言は被告を犯人にするため誇張されている」と逆転無罪判決。1年8ヵ月余が過ぎていた。
 警視庁によると、痴漢などによる迷惑防止条例違反の検挙者は今年1−4月で656人。前年同期に比べ210人も増え、痴漢の9割が電車内だった。
 全国統計はないが、5月以降だけで兵庫県警巡査部長や京都市消防官などの事件が報道され、首都圏以外の発生も目立つ。
 女性の性被害に取り組む角田由紀子弁護士は、被害届が急増した背景として女性の意識変化を挙げる。「以前は被害に遭った女性が恥じるような風潮があったが、恥じるべきは卑劣な行為をした加害者側で、被害者の権利を守る機運が高まってきている」
 総理府が2月に発表した「男女間の暴力に関する全国調査」では、痴漢被害を経験したという女性が48.7%。被害届はなお「氷山の一角」にすぎない。
 こうした中、元特捜検事が24日に懲戒免職処分に不服を申し立てるなど、男性が無実を訴える例も増加。東京簡裁で今年2件の無罪判決が出たほか、東京高裁では4日に続き14日にも茨城県の会社役員(54)が逆転無罪となった。
 えん罪事件を支援する日本国民救援会は「5、6年前なら女性が警察に被害を訴えても『証拠がない』と突っぱねる例があった。今は逆。検挙件数の成績を上げるための捜査にさえみえる」と手厳しい。
 東京簡裁の無罪事件の鳥海準弁護士は「容疑者の意見は開かずに女性の話だけで逮捕している」と逮捕の安易さを批判する。
 略式裁判で終わることの多い痴漢事件。捜査は甘くなりがちだ。4日の逆転判決を引き出した升味佐江子弁護士は言う。「現在の科学捜査はスカートからも指掌紋が採取できると聞いた。自白だけでなく、科学捜査も必要ではないか」。(京都新聞 夕刊)
■東海道新幹線 雨で16本遅れ
 29日午前7時20分ごろ、静岡県湖西市にある東海道新幹線の雨量計が規制値を超えたため、JR東海は、同新幹線の浜松−豊橋間で約35分間、運転を見合わせた。博多行き「のぞみ1号」を含む3本が駅間で立ち往生するなど、上下16本が最大45分遅れ、約1万2000人に影響した。(朝日新聞 夕刊)
30日■世界のくらし 車内販売弁当が”復活” 台湾の鉄道
 日本の旧国鉄に当たる台湾鉄路管理局が今年の第113回「鉄路節」(鉄道祭)記念に、1970年代に車内販売された弁つ「排骨菜飯便当」を限定販売したところ、多くの人の郷愁を誘い、前夜から徹夜組が出るほどの人気となった。強い要望でその後も追加販売を続けている。
 同局は6月9日の鉄道祭を盛り上げるイベントとして、70年代に特等車だけで車内販売したこの弁当の販売を考えついた。すでに退職した当時の調理人に協力を求めてそっくり再現した。アルミの丸い弁当箱入りで、味付けご飯の上に骨付き豚肉と卵、野菜がのっている。当時から高価でも評判が良かったが、調理に手がかかることから78年に姿を消したものだ。
 祭りでは台北駅で限定1000個を300台湾j(約1000円)で販売した。発売の24時間も前から行列ができ、20分で売り切れてしまった。行列の2番目に並んでいた謝さん(78)は、「高くて2個も買えず、1個を夫と分け合って食べた。その夫もすでに亡く、夫の思い出とともに食べたくて」と話していた。(台北=清水勝彦)(朝日新聞)
31日■信号異常で遅れ JR西明石駅
 30日午後4時10分ごろ、兵庫県明石市小久保のJR山陽線西明石駅で、同駅発松井山手行き普通電車への信号が赤のまま変わらなくなった。1分後に自然復旧し同電車は出発。しかし、その後同様の異常が発生し、保線係員が駆け付け約30分後に復旧させた。
 上下計7本が運休、上下計14本が最大38分遅れ、約7000人に影響が出た。(京都新聞)
■トロッコ列車で花火見物の参加者を募る JR京都駅
 JR京都駅は、8月7日に亀岡市内で開催される花火大会を見物するトロッコ列車を、トロッコ嵯峨駅(右京区)から往復させることになり、参加者を募集している。
 嵯峨駅で午後5時半に参加を受け付け、約30分間のトロッコ列車乗車を楽しんだあと、トロッコ亀岡駅で花火を見物する。嵯峨駅には午後9時45分ごろに戻る。
 参加費は、弁当や菓子、飲み物付きで大人、子どもとも5500円。トロッコ亀岡駅でビール、ジュースの無料サービスもある。
 申し込み、問い合わせはJR京都駅 (352)5420まで。(京都新聞)
■トロッコ列車沿線 獣害 苦肉の策 鉄道側「えさ与え満腹に」 専門家「数憎えて逆効果」
 京都市右京区嵯俄と亀岡市を結ぶ「嵯峨野トロッコ列車」沿線に出没するイノシシやサルの害に業を煮やした嵯峨野観光鉄道(右京区嵯峨天竜寺)が、線路沿いにえさ場を設置した。サクラやモミジの若芽を食べられるため、「えさを与え満腹にすれば」との苦肉の策だが、専門家からは「かえって数が増え、逆効果だ。動物のためにも良くない」と批判が出るなど、波紋を広げている。
 えさ場は今年2月、保津峡駅西約2`の保津川河川敷近くに設けた。えさは米ぬかと岩塩で、1回15`を3日に1度与えている。2晩の間に、すっかりなくなるという。
 今のところ、被害が減るなどの目立った効果は見られない。しかし、えさ場はトロッコ列車からよく見える所で、「サルがいた」と喜ぶ観光客も。社内から「トロッコ列車の名物にもなるのでは」と、一石二鳥を期待する声も出ているという。
 しかし、専門家は安易なえづけに批判的で、行政の有害鳥獣対策の指導もしている獣害総合研究所主宰の高木直樹さん(29)=大津市=は「えさを与えるのは、動物の採食行動を邪魔することになる。動物にとって迷惑だし、数が増えすぎて、周囲の環境を崩すことにもなる。今すぐやめるべきだ」と指摘する。
 沿線には、サクラとモミジを中心に約2000本の樹木が植えられているが、昨年夏ごろから、イノシシやサルの仕業と見られる被害が相次いでいる。サクラなどの若芽を食べられ、若木の樹皮や技が傷つけられたりするほか、線路の敷石を掘り返されることもあった。
 同社は、樹木を金網で覆ったり、周辺にさくを設置するなどしてきた。しかし効果はなく、「えさを与えれば被害がなくなるのでは」と思いついたという。
 嵯峨野観光鉄道の明石稔次長は「生態系を乱す恐れがあるのは知っているので、奈良公園などに適度なえづけ法を聞いている。動物の害を防ぐため、他にいい方法があれば教えてほしい」と話している。(京都新聞 夕刊)