2000(平成12)年3月


1日■JRトンネル内を歩行、はねられ死亡 西京(京都)
  ■嵐電90周年 沿線商店街が初スクラム 共同でマップ作製 活性化へ25日にイベント(京都)
  ■保津トンネル内で男性はねられ死亡 JR山陰線(朝日)
  ■可部線の一部 今春廃止断念 JR広島支社(朝日)
2日■京都市バスと地下鉄 給与・人員滅に着手へ 公営企業会計当初予算案(抜粋)(京都)
  ■市バスが停留所倒し 男性が軽いけが(京都)
  ■定年後の雇用は関連会社で確保 JR東日本が新制度(朝日)
  ■花博、もうすぐ”発車” 梅田−姫路 電車でPR(朝日)
  ■架線にビニール 新幹線14本遅れ(朝日)
  ■メロディーとともに 43 津軽海峡冬景気 北へ…悲しみこらえ ”女王”だった連絡船(京都)
3日■早春の渓谷 窓から満喫 トロッコ一番列車 保津川(京都)
  ■男性はねられ即死 近鉄小倉駅構内(京都)
  ■時間外不払い容疑 JR西を書類送検 広島中央労基署(朝日)
  ■情報ファイル lHl、大型掘削機を公開(朝日)
  ■東シナ海に沈む夕陽を追う 指宿枕崎線 JR最南端の駅はもう春(京都)
4日■春の火災予防運動で訓練 JR京都駅・乗客救出迅速に 太秦映画村・役者も消火参加(京都)
  ■規定距離超えて走行 JR西日本 寝台特急、検査漏れ(京都)
  ■生駒ケーブル運賃を値下げ(京都)
  ■JR西日本 また仕業検査とばし 96年度以降12件目 運輸省、再警告へ(朝日)
  ■「こだま」床下「焦げくさい」 運転取りやめ(朝日)
  ■宿直勤務中、飲酒繰り返す ニュートラム 大阪市処分へ(朝日)
  ■タイムアングル 四条烏丸 そびえ立つ洋風建築 さみしい交差点(朝日)
5日■中3が電車に飛び込み死亡(京都)
  ■鮮やか嵐電「のりよし君」学生らがペイント(朝日)
6日■眠りは妨げません 11日から JR西日本 声掛けず車内検札(京都)
  ■信号の故障で遅れ JR奈良線藤森駅(京都)
7日■新幹線試乗車 窓のひび割れ 車両完成前から傷 JR西日本 風圧で拡大と発表(京都)
  ■700系ひかり ガラスにひび 製造作業ミスで傷 JR西日本が調査結果(朝日)
  ■車両「検査とばし」運輸省、警告書 今年度7件目(朝日)
  ■恒久策求め12万人署名 コンクリ落下で最大労組(朝日)
  ■新幹線の食堂車 時代に飲まれ… 26年の歴史 客ら惜しむ 10日最後に(京都)
  ■停電で新幹線 10分間止まる 京都−新神戸間(京都)
  ■踏切追い込み高校生死亡 少年ら4人実刑(朝日)
8日■JR西日本 トンネル保守 検査を3段階に 運輸省指示で改善策(京都)
  ■シャトルバス「出町柳−北野白梅町」 5月21日まで延長へ 市交通局 行楽客利便図る(京都)
  ■ネットで注文 駅で受け取り JR東日本 来月から首都圏で京都)
  ■JRにはねられ 89歳の女性死亡(京都)
  ■JR西日本 トンネル検査で態勢大幅見直し 在来線も点検へ(朝日)
  ■電車脱線衝突、2人死亡 東京・地下鉄 中目黒駅付近 上下線とも車両大破 通勤客ら33人重軽傷(京都)
  ■えぐれた車両 まるで爆発 東京の地下鉄脱線 乗客ぼう然「何が」 負傷者、続々搬送(京都)
  ■電車脱線・衝突、2人死亡 車両大破、けが30人 東京・地下鉄駅近く(朝日)
  ■「鉄の塊 飛び込んだ」 電車衝突 「逃げろ」乗客パニック 車内に悲鳴・流れる血(朝日)
9日■東京・地下鉄事故 引き込み線でずれ、衝突 車軸など異常なし 運輪省検討会調べ 死者4人に(京都)
  ■信じられない 突然の悲報に号泣 車両内部むき出し 東京の電車 脱線・衝突(京都)
  ■社説 なぜ脱線、徹底した調査点検を(京都)
  ■近鉄「新祝園駅」急行 停車で奈良交通 循環バスを増便へ(京都)
  ■低公害の市バス目指す 来月から横大路営業所 バイオ燃料と軽油混合(京都)
  ■車体の空気バネ異状か 脱線事故事故調指摘 営団は否定的見方 死者4人に(朝日)
  ■友が妻が まさかの朝 東京・脱線衝突事故 17歳、ボクサーの夢/新婚、支社を支えた(朝日)
  ■天声人語(朝日)
  ■社説 日比谷線事故 鉄の魂が乗客を襲った(朝日)
  ■伏見の栢下さん、介助犬と新幹線試乗 京都−新大阪往復 主人助け 訓練の成果アピール「支援の輪広がって」(朝日)
  ■住宅と同時ひび 新幹線2枚目まで 投石?可能性強まる(朝日)
  ■青鉛筆(朝日)
  ■市バス五条営業所を売却 京都市交通局、赤字圧縮へ事業再編 「ローム」へ26億9000万円(京都)
  ■地下鉄脱線衝突 上り4両目に接触痕 警視庁 事故車両、線路を検証(京都)
  ■「電車に乗るのが怖い」 脱線・衝突の中目黒駅 乗客の不安消えず(京都)
  ■脱線事故 車両検証、始まる(朝日)
  ■地下鉄事故 車軸、なぜ2本だけ脱輪 徐々にレール外れた痕跡(朝日)
10日■日比谷線脱線事故 「せり上がり」確認(京都)
  ■日比谷線事故究明を 運輸相に信楽遺族の会(京都)
  ■地下鉄サリン事件民事訴訟 井上被告らに賠償命令 東京地裁 全額認め6億6800万円(京都)
  ■淡路花博へ高速バス 阪急バス18日から(京都)
  ■京都市バスの五条営業所売却 市の支援期間切れ直前の”駆け込み” 体質改善急務 健全化、厳しく(京都)
  ■JR山陰線上り 亀岡発2本増発 今秋から ラッシュ時、3本快速(京都)
  ■地下鉄事故 上り4両目に接触 次に6両目に衝突、大破(朝日)
  ■原因解明へ調査チーム 運輪省(朝日)
  ■京都市バス五条営業所 ロームに敷地売却 9900平方b 26億9000万円 経営健全化へ(朝日)
  ■地下鉄事故 車輪せり上りが原因? 警視庁 カーブなど要因調査(朝日)
  ■営団地下鉄 「滑走」最後尾に集中 97年調査 線路条件、事故と共通(朝日)
11日■脱線防止レール増設へ 営団地下鉄 設置基準見直し(京都)
  ■地下鉄事故 犠牲者通夜 泣き崩れる家族(京都)
  ■今出川通に路面電車を あす京で実行委 初の研究勉強会(京都)
  ■「鉄道員」が9部門制す 日本アカデミー賞(京都)
  ■地下鉄事故 「輪重抜け」で車輪浮く? 「競合脱線」の可能性 せり上がり誘発か(朝日)
  ■JR7社の2000年度事業計画(朝日)
  ■JR西日本設備投資、130億円滅 コンクリ修繕費を増額(朝日)
  ■新幹線食堂車 最後の晩さん 「ビーフシチュー、特別な味がした」 惜しまれて「旅情」消え(朝日)
  ■ひかりレールスター故障デビュー 加速不良、35分立ち往生「アクセル」効かず 山陽新幹線(京都)
  ■「初日からなんや」 ひかりレールスター故障 車内に不満充満(京都)
  ■東京の電車 脱線・衝突 事故原因のポイント装置(京都)
  ■ひかりのスター、スタート(朝日)
  ■えっ もう 車両故障?(朝日)
  ■信楽鉄道事故 JR元幹部、責任認める 供述調書証拠採用 「防止対策が不十分」(朝日)
12日■検証・地下鉄事故 競合脱線?多いナゾ せり上がり以外にも要因(京都)
  ■加速不良は接着剤が原因 レールスター(京都)
  ■地下鉄事故 営団、急カーブ数突出 脱線防止 ガード設置基準甘く(朝日)
  ■レールスター故障 事前検査のミスが原因(朝日)
  ■全面広告 700系「のぞみ」デビュー1周年記念 のぞみをささえるチカラ(朝日)
13日■地下鉄日比谷線事故 脱線危険度12年測定せず 事故区間 基準値大幅に超える?(京都)
  ■「五輪地下鉄」いらない 市民グループ大阪市に監査請求 支出差し止めを(京都)
  ■227人と3団体 差し止め請求 地下鉄・北港テクノ線(朝日)
  ■地下鉄事故 重体の女性亡くなる 犠牲5人に、死傷計40人(朝日)
14日■私鉄5社が淡路花博で割引乗車券(京都)
  ■大阪市営地下鉄 カーブのレール破断 メーカーに調査要請 4時間徐行後に交換(京都)
  ■地下鉄43ヵ所に防止ガード新設 日比谷線事故で営団(京都)
  ■堺筋線レール割れる 大阪市地下鉄(朝日)
  ■ガード2ヵ所 横浜市設置へ(朝日)
  ■「せり上がり」福岡地下鉄も 車両工場内で脱線(朝日)
  ■営団が事故相談室設置 日比谷線脱線衝突で(京都)
  ■全面広告 烏丸線国際会館駅−近鉄奈良駅 あすから直通急行運転 相互乗り入れ区間拡大 ”両古都”ぐっと近くに烏丸線四条駅−近鉄奈良駅間 50分で結ぶ 約30分間隔で平日に12往復(京都)
15日■乗車券などとセット スペイン村割引切符 JRと近鉄発売(京都)
  ■都営地下鉄の台車39台亀裂 98、99年に溶接部で(京都)
  ■脱線の原因究明を 信楽事故の遺族ら(京都)
  ■近鉄でも「せり上り」脱線 鳥羽で4年前 事故後に防止ガード(朝日)
  ■都営大江戸線 地下鉄台車 77ヵ所亀裂(朝日)
  ■国際会館←古都結んで→近鉄奈良 直通急行”春デビュー” カラフル車両も(京都)
  ■京都市100円バス 来月1日に発車 近畿運輸局 試験運行を認可(京都)
  ■ガード設置工事始まる 基準見直しで営団(京都)
  ■エンジン故障 寝台特急運休 JR山陰線(京都)
  ■米子の駅構内 貨物列車脱線(京都)
  ■京都の100円バス認可(朝日)
  ■鳥取 貨物列車の機関車脱線 車輪止めつけ発進?(朝日)
17日■私鉄賃上げも過去最低水準 阪急は妥結の方向(京都)
  ■JR西は7080円(京都)
  ■営団地下鉄事故と同じ急カーブ 東西線に6ヵ所 脱線防止ガード設置 「十分に安全確保」 京都市交通局(京都)
  ■社説 100円バスを発想転換の一歩に(京都)
  ■窓 観光バスより北野線延長を 八幡市・松尾 一郎(団体職員・59)(京都)
  ■脱線防止ガード「200b以下」 全国800ヵ所提言 運輸省検討会(朝日)
  ■営団総裁が辞任示唆 地下鉄事故(朝日)
  ■JR西日本子会社 大阪・天王寺で訪問介護事業(朝日)
  ■私鉄大手も過去最低 春闘(朝日)
18日■京都市バスの収支均衡 2005年に1年ずれ込み 労使妥結の一部変更で(京都)
  ■関西の私鉄3社 賃上げ最低水準に(朝日)
  ■鉄路に求む 信楽事故から9年 (上) 遺族ら連帯 調査を凝視(朝日)
  ■信楽高原鉄道事故 24日に判決 正面衝突 予見できたか 信号故障、2つ重なる(朝日)
19日■判決を前に 信楽高原鉄道事故 〈上〉 裁判の焦点 被告以外の過失どこまで JR責任問わぬ地検 「連絡不備」どう判断(京都)
  ■鉄路に求む 信楽事故から9年 (中) 「調査機関、市民の手で」(朝日)
20日■地下鉄サリン きょう5年 被害補償に壁 配当総額まだ2割 破産特例法 4000人が対象外(京都)
  ■市バスなどに玉突き 中京、乗用車の男逃走(京都)
  ■判決を前に 信楽高原鉄道事故 〈中〉 消えぬ怒り 同じつらさ味わってほしい 大惨事風化させるな ”気力”で闘い続ける(京都)
  ■地下鉄サリン「悔悟の念」教団が手紙 きょう5年(朝日)
  ■鉄路に求む 信楽事故から9年 (下) 「組織が原因」信念貫く(朝日)
21日■地下鉄サリン5年で黙とう 「不審物に今も緊張」(京都)
  ■判決を前に 信楽高原鉄道事故 〈下〉 事故を糧に 「人為ミスの背景解明を」 十分な人や資金面ゆとりある体制必要で(京都)
  ■地下鉄サリン事件遺族ら 「桜のころが一番つらい」 今も「オウム」聞き流せず(京都)
  ■窓 痛ましい営団地下鉄事故(京都)
  ■地下鉄サリン事件から5年 霞が関駅で黙とう(朝日)
  ■忘れていた悪夢 忘れえぬ傷跡 被害者「闘いの毎日」 地下鉄サリンから5年(朝日)
  ■架線にビニール 3000人の足に影響出る JR松井山手駅構内 32本が部分運休(朝日)
23日■信楽高原鉄道事故 あす判決(京都)
  ■梅小路蒸気機関車館 英・ヨーク国立鉄道博物館(世界最大級) 姉妹提携 相互に資料展示、紹介 講演会も 来月7日に調印式(京都)
  ■KTR宮津線開業10年 利用客低迷 経営厳しく 3セク最悪 4億8300万円赤字 町づくり考えつつ増収策が必要(京都)
  ■94億円の特損計上 京阪、当期利益ゼロ(朝日)
  ■京都駅ビル 美術館気分でブラブラ歩き 現代美術の8人 OPEN展 不思議な写真や立体…(朝日)
  ■特急屋根に男性遺体 滋賀(京都)
  ■寝台特急の屋根に遺体 滋賀、転落か(朝日)
  ■のぞみが故障 2万人に影響 東京発遅れる(朝日)
  ■東海道新幹線 案内板ダウン 東京駅、1時間後復旧(朝日)
24日■京都バスのスト 話し合いつかず(京都)
  ■京日記(京都)
  ■信楽鉄道事故 元運転主任(SKR)らに有罪 大津地検 JR責任も認める 猶予付き禁固刑2年6月−2年(京都)
  ■一部だけ処罰 何もならない 信楽高原鉄道判決見守る遺族ら 事故根絶へ模索続け 日比谷線事故複雑な思い JRへ消えぬ怒り(京都)
  ■信楽事故 JRにも責任 安全管理 連絡怠る 3被告に有罪判決 大津地裁(朝日)
  ■信楽事故判決公判 衝突 本当の原因知りたい 遺族ら問い続け9年 消えぬ尾根陰去らぬ憤り(朝日)
  ■私鉄・バス 11社がスト 西日本(朝日)
25日■JRにも違法性 信楽鉄道事故 元運転主任(SKR)らに有罪判決 大津地検、連絡ミス指摘 両社の危機管理ずさん 過失を誘発(京都)
  ■信楽鉄道事故の判決要旨(京都)
  ■凡語(京都)
  ■SKR社長ら 判決「真しに受ける」 安全体制の不備悔やむ(京都)
  ■遺族ら「気持ち晴れた」 信楽鉄道事故 長い9年振り返り JRに謝罪求める(京都)
  ■回送電車が操車場で脱線 東武鉄道、けが人なし(京都)
  ■携帯まくら・抱きまくら 新幹線、快適な眠りを JR東海など開発 車内で販売も(京都)
  ■市電走る風景 くっきり今昔 あの停留所のへんも変わったやろな 同志社大OBが出版 暮らしぶりも一目(京都)
  ■目で見る日本経済 大型バス 乗客落ち込み 生産台数激減(京都)
  ■アジア カレント 赤字に負けるなトラム 香港(京都)
  ■信楽事故有罪判決 体制の不備を批判 高度な安全策求める(朝日)
  ■システム欠陥 裁けぬ法 ノンフィクション作家 柳田邦男氏(朝日)
  ■信楽事故 判決要旨(朝日)
  ■信楽事故有罪判決 安全の思い、平行線 遺族「JR、なぜ理解せず」(朝日)
  ■歴史と沿線風景 ビデオに収め販売 「甦る阪急電車の20世紀」 朝日放送制作(朝日)
  ■京都市交通局 阪急バスへ 民間委託バス発車 全国初 横大路管内の半分(京都)
  ■音波使いトンネル検査 JR西 ハイテクと打音併用へ(朝日)
26日■セクハラ車掌解雇 新幹線乗車中 同僚女性に迫る JR西日本(京都)
  ■「嵐電」開業90周年を祝う フリーマーケットや鉄道模型走行会… イベント 終日にぎわう(京都)
  ■京都市バス100円運行に期待 生き残りかけ始動 サービス充実と経費削減が課題(京都)
  ■京日記(京都)
  ■嵐電開業の90周年記念日 楽しい催し多彩に 沿線の5商店街(朝日)
27日■ゴンドラ4時間宙づり 突風で故障 14両、30人缶詰め 宮島のロープウエー(京都)
  ■JR社員 線路に置き石 和歌山、列車往来危険容疑で逮捕 「人事に不満」(京都)
  ■女性に追われ痴漢飛び降り 阪急京都線(京都)
  ■JR社員 踏切に置き石 列車往来危険容疑で逮捕 遮断機折る 和歌山・新宮(朝日)
28日■スカイレール 業者を不起訴 広島の事故で地検(朝日)
29日■新大阪発のぞみ 窓ガラスにひび(朝日)
  ■強風のため17本が運休 JR・南海の空港線(朝日)
  ■JR鷹取工場 SL製造の歴史に終焉 震災復興住宅に転身 住民に愛された100年(日経)
  ■電鉄、花見商戦はや満開 割引乗車券競う 入場券とセット イベント連動も(日経)
30日■線路に男侵入 新幹線止める JR京都駅(京都)
  ■京都市交通局 100円バス試運転 市内中心部1日から ダイヤなど確認(京都)
  ■鉄道支え1世紀 JR鷹取工場 歴史に幕(朝日)
  ■JR西 鷹取工場 最後の点検車 SLから新型車両 製造、保守手がけ100年(読売)
  ■にっぽん人の記憶 EXPO70 B 新幹線も超満員の恩恵 延べ6422万人 民族大移動(読売)
31日■2001年度からスルッとKANSAIに参加 京阪宇治交通(京都)
  ■4人転倒けが 市バス急ブレーキ(京都)



1日■JRトンネル内を歩行、はねられ死亡 西京
 29日午後9時35分ごろ、京都市西京区嵐山北松尾山のJR山陰線第一保津トンネル(長さ476b)内で、園部行きの普通電車(乗客約250人)が、線路を歩いている男性をはねた。男性は即死した。
 現場は同トンネルの出口付近で、電車は同駅で約30分停車した。乗客にけがはなかった。この事故で、後続の特急や普通電車3本が約15分から30分遅れ、約600人に影響した。
 桂署は、男性の身元の確認を急ぐとともに、なぜトンネル内を歩いていたかなどを調べている。(京都新聞)
■嵐電90周年 沿線商店街が初スクラム 共同でマップ作製 活性化へ25日にイベント
 嵐電の愛称で親しまれている京福電気鉄道嵐山線(四条大宮−嵐山)の開業90周年にちなんで地域の活性化を図ろうと、沿線の商店街がこのほどスクラムを組むことになった。共同で商店街マップを作るほか、25日には各商店街ごとにイベントを開くことにしており、各商店街とも「ぜひ多くの人に来てもらい、楽しんでもらえるようにしたい」と意欲を燃やしている。
 協力関係を結んだのは、下京区の四条大宮商店街振興組合や右京区の大映通り商店街振興組合、北区の大将軍商店街振興組合など沿線の6商店街。
 昨年秋から、多くの社寺や商店街のある嵐電沿線の活性化を自分たちで考えようと、四条大宮商店街振興組合が中心となって会合を開いてきた。その際、今年3月に嵐電が開業90周年を迎えることを知り、「協力して何かできないか」との声が高まったことから、共同で地図作りなどに取り組むことになった。
 マップには、嵐電の最寄り駅とあわせて、商店街ごとに詳細な店舗の配置図を掲載する。約3万部作り、3月20日ごろから観光客や嵐電の乗客に配る予定。製作費は約200万円。一部は市の補助金を使い、残りは各商店街が分担する。
 25日には、嵐山商店街と嵯峨商店街がそれぞれスタンプラリーを開催するほか、大映通り商店街振興組合が商店街内の空き店舗で90年前の映画を上映する。四条大宮商店街振興組合は、京福電鉄四条大宮駅前の四条大宮街路広場でジャズバンド演奏やフリーマーケットを開く予定。このほか、商店によっては90周年にちなんだ90円均一セールなどを計画しているところもある。
 四条大宮商店街振興組合の石田哲也専務理事は「これをきっかけに、多くの人に沿線を歩いてもらい、地域の活性化につなげたい」と話している。(京都新聞)
■保津トンネル内で男性はねられ死亡 JR山陰線
 29日午後9時半ごろ、西京区嵐山北松尾山のJR山陰線保津峡駅近くの第一保津トンネル(長さ476b)内で、京都発園部行き普通電車(4両編成)の運転士が人影を発見して急停車したが、電車は人をはねた。電車には約250人の乗客がいたが、けが人はなかった。
 JR西日本によると、はねられたのは男性で即死状態だった。(朝日新聞)
■可部線の一部 今春廃止断念 JR広島支社
 JR西日本広島支社(仲井徹支社長)は29日、広島県内を走る可部線の可部−三段峡駅間46.2`について、予定していた今春の廃止を断念したと発表した。広島市など沿線5市町村の同意を得られなかったためという。
 しかし1日施行される改正鉄道事業法で、路線の廃止が従来の運輸大臣の許可制から、廃止の1年前までの届け出制に変わり、沿線の自治体の同意は不要になる。同支社は「できるだけ早く廃止を届け出たい」としており、各自治体は「住民の声を無視するものだ」と強く反発している。(朝日新聞)
2日■京都市バスと地下鉄 給与・人員滅に着手へ 公営企業会計当初予算案(抜粋)
 京都市は1日、市バス、地下鉄、上下水道の公営企業会計の2000年度当初予算案を発表した。各企業とも人員や経費の削減など合理化に取り組むものの、すべて単年度赤字を計上。経営環境は一層、厳しさを増す。この中で、累積赤字が100億円台に達する市バスと、約2割増の1687億円となる地下鉄は新年度から、経営立て直しに向けて、給与カットや人員削減などを盛り込んだ改善策「経営健全化プログラム21」をスタートさせる。
 【市バス】
 市バスは人員を前年度から116人減らし、人件費を19億3000万円減らし経費も一律1割カット。うち横大路営業所(伏見区)では、3月25日から営業の半分を阪急バスに委託し、3億2500万円の経費節減を図る。
 それでも、予想乗客数は9000人減の34万人で、営業収入も2.3%減の229億9300万円。このため経常赤字は前年度より10億2500万円少ないものの、50億3700万円を計上。累積赤字は13.2%増の104億5000万円に達する見込み。
 事業では、市内中心部で100円バスを試験運行するほか、公共車両優先システムを導入。また低公害バスなど42の新造車両を走らせる。
 【地下鉄】
 予想乗客数は烏丸線と東西線合わせて前年度並みの30万8000人だが、短い区間の乗客を多めに見込み、営業収入は6億3700万円減の211億円となる。一方で、東西線建設の減価償却費や支払い利息などはピークを超え、経常赤字は21億円減の284億4100万円にとどまる。ただ、1687億円の累積赤字は過去最高。
 事業では、東西線で醍醐から六地蔵への延伸工事が本格化し、事業費が60億円伸びて104億円となる。また、二条−天神川間の西伸に向け、調査費など4500万円を盛り込んだ。(京都新聞)
■市バスが停留所倒し 男性が軽いけが
 1日午後2時25分ごろ、京都市南区油小路通東寺道上ルで、北大路行きの市バス=堀井健運転手(59)=の左ミラーが、バス停を示す標柱(高さ約2.3b)にぶつかり、バスを待っていた近くの無職男性(59)が、倒れた標柱で額を切る軽いけがをした。九条署が事故原因を調べている。(京都新聞)
■定年後の雇用は関連会社で確保 JR東日本が新制度
 JR東日本は1日、年金の満額支給開始年齢の引き上げに伴い、60歳の定年退職後に関連会社で雇用する制度を新設することで労働組合と合意した。再就職希望者を上回る数の求人を示したうえで、希望を募って採用試験を実施する「グループ内ハローワーク制度」(人事部)といえる内容。本体の社員数を減らすため、定年延長はしない。
 新制度は、2001年度中に60歳になる社員を対象に、グループのビルメンテナンス会社や車両整備会社、不動産開発会社などを受け皿として始める。厚生年金の満額支給開始年齢の引き上げに合わせて2013年度には65歳まで雇用の場を確保できるようにする。賃金は、これまでの制度なら受給できた年金額との差額約10万円を上回る額としている。労働時間は、週20時間労働の「ハーフタイム」と正規従業員と同じだけ働く「フルタイム」を設ける。57歳で全員を関連会社に出向させる制度は廃止する。(朝日新聞)
■花博、もうすぐ”発車” 梅田−姫路 電車でPR
 車体いっぱいに咲き誇る花と、淡路花博のマスコット「ユメハッチ」をあしらった電車が1日、山陽電鉄にお目見えした。18日の淡路花博の開幕を多くの人に知ってもらおうと、通勤通学客が目にする電車を使って「走る広告」を事業協会が計画。「フローラ号」と名づけられた花電車は6両1組の1編成。9月17日の花博閉幕まで、阪神梅田駅と山陽姫路駅を結ぶ直通特急として1日5往復する。(朝日新聞)
■架線にビニール 新幹線14本遅れ
 1日午後零時35分ごろ、兵庫県尼崎市内の山陽新幹線新神戸−新大阪間を走行中の広島発新大阪行き上り「こだま620 号」の運転士が、上り架線にビニールが引っかかっているのを見つけた。約20分後、西に約1`離れた下り架線にもビニールがひっかかっているのを、別の下り列車の運転士が見つけた。JR西日本はビニール撤去のために上下線の運転を一時見合わせ、「ひかり」など上下線14本が最大33分遅れるなど乗客約6000人に影響が出た。(朝日新聞)
■メロディーとともに 43 津軽海峡冬景気 北へ…悲しみこらえ ”女王”だった連絡船
 JR函館本線五稜郭駅の売店に勤める舟田万里子は、青函連絡船の汽笛が聞こえる函館市内で育った。女子高を卒業して間もなく、連絡船の船内食堂でウエートレスとして働き始めた。
 当時地元銀行と並ぶ高給取りとされた連絡船の仕事は、18歳の少女にとって夢の職場に見えた。
■風景が歌詞に
 万里子が就職した昭和40年代、「海峡の女王」と呼ばれた青函連絡船は国鉄(現JR)のドル箱だった。
 食堂の勤務は10日働いて1日休み。「自由に遊べる高校時代の友達がうらやましかった」。4時間の津軽海峡の航路だが、しけの日はすさまじい船酔いが襲った。それでも万里子には母と2人、脳出血で倒れた父に代わって養わねばならない3人の弟妹がいた。
 青森駅に到着した上野発の夜行列車は、乗客を駅にどっと吐き出す。乗客は連絡船乗り場を目指し、長いホームを全速力で走りだす。当時の連絡船はすぐに満員(1260人)になるため、残された客は青森駅にあふれ、駅前の飲み屋や旅館は大いに潤った。
 就職後2年ほどで船酔いにも慣れ、万里子はようやく仕事に楽しさを感じ始めた。「夜は寮で同僚と朝までおしゃべり。つらさも楽しさに変わった」
 昭和52年、万里子が職場で目にする風景がそのまま登場する石川さゆりの「津軽海峡冬景色」(歌詞・阿久悠、作曲・三木たかし)がヒットを飛ばした。
 連絡船の廃止がささやかれ始めたのはその数年後のことだった。
■乗客が激減
 昭和48年をピークに、飛行機に押された連絡船の乗客は減り続けた。乗客が20数人の便もあった。
 1100人以上の犠牲者を出した昭和29年の洞爺丸海難事故以降、青函トンネル計画が加速していた。廃止が近づくにつれ、万里子はある決心を固めた。「船がなくなったら会社を辞め、踏ん切りをつけようと決めていた。ちょうど恋人と別れるのに似ていた」
 連絡船最後の日(昭和63年3月)、19年間勤めた万里子の最後の職場は十和田丸。仕事中もあふれる涙をこらえきれなかった。「連絡船と結婚していたようなものでした。船がなくならなければ、私はまだ独身を通していたでしょう」
 ♪私(わたし)もひとり 連絡船に乗り こごえそうな鴎(かもめ)見つめ 泣いていました…♪
 廃止から3年後、万里子はバスの運転手をしていた夫と結婚した。契約社員として再び元の会社に戻ったのは結婚後だった。
■復活を目指し
 阿久悠が本格的に作詞活動を始めたのは昭和40年代の後半のこと。
 「昭和30年代の歌は(地方から東京へ行く)上りの歌が多かった。『ああ上野駅』がその時代のひとつの決着だった。僕はむしろ、東京からどこかへ行く歌を多く書いた」
 「北へ向かう主人公がつらいとか悲しいとか、あまり泣き言を言わない、僕なりの女性像が描けたと思う」
 「津軽海峡冬景色」では上野発の夜行列車で着いた女性が、青森駅から連絡船でさらに北を目指す。
 「あおもり青函連絡船市民の会」で連絡船の存続を訴え続けた建築士・白戸事悦(49)東京を離れ、故郷青森に戻ってきた。
 大学で建築を学んだ白戸は卒業後、東京の大学院に進む。高度経済成長のさなか、日本列島改造計画による地方の開発が進んでいた。白戸は大学院修了後に仲間とつくった会社で、全国各地の地方都市で都市計画事業を数多く手掛けた。
 故郷の冬の海を思い出しながら「津軽海峡冬景色」をよく歌った。「くよくよした気持ちがすっきりするんだ」
 6年後、独立して故郷で事務所を開く決心をした白戸は青森に戻った。地方都市を数多く見てきた白戸の目に、青函連絡船は港町・青森に不可欠のシンボルと映った。「駅前商店街の切れ間から突如巨大な連絡船が現れる青森の街。全国のどこにもこんな街はない」
 帰郷の翌年、飲み仲間十数人で「あおもり青函連絡船市民の会」を発足させた。連絡船廃止に関するアンケートや「夢の連絡船」を描いた絵画コンクールなどを通じ、連絡船の存続を訴えた。
 運動は昭和50年代後半にピークを迎え、会員数は一時100人を超えた。
 だが60年代に入るとしだいに下火になった。青函トンネルが開通し、連絡船廃止は目前に追っていた。
 白戸は連絡船最後の日、青森港に見送りに行かなかった。「いつかまた帰ってくると信じたかった。今でもまだ『あお船の会』は解散していないつもりです」
 青函連絡船廃止後はカーフェリーや高速船が青森−函館間を結んでいる。しかしフェリーふ頭は駅前商店街から2`以上も離れ、商店街から入港する船を見ることはできない。
 故郷に落ち着き、住宅建築などを手掛けながら、商店街に突如現れる巨大な船影の復活を白戸は今も夢見ている。
 (敬称略、文・大塚洋美、写真・菅谷洋司)
・冬の定番ソングに
 青森の厳しい冬を歌った「津軽海峡冬景色」は、日本の冬の定番曲となった。
 熊本県出身の石川さゆりは発売後間もなく青森県を訪れた。津軽海峡に臨む竜飛崎に立ち、吹き荒れる風雪の激しさに驚嘆する。「雪は上から降ってくるものと思っていたが、そこでは雪が吹き上げてくる感じ」
 夜行列車で青森駅に降り立った石川は
 ♪北へ帰る人の群れは 誰(だれ)も無口で・‥♪
 の歌詞通り、黙々と先を急ぐ、人の群れを見た。
 「あの歌のおかげで青森は暗いというイメージができて困ります」。作詞した阿久悠に対しそんな青森商工会議所関係者の困惑した声が寄せられた。
 歌詞に登場する青森駅は昭和52年の大みそか、紅白歌合戦に初出場を果たした石川に駅員一同で祝電を打った。青森駅員OB会は、今も好んでこの歌を歌う。(京都新聞 夕刊)
3日■早春の渓谷 窓から満喫 トロッコ一番列車 保津川
 春の観光シーズンを迎えて2日、保津川の渓谷を走る嵯峨野観光鉄道のトロッコ列車が運転を再開した。京都市右京区のトロッコ嵯峨駅で出発式が行われ、招待された幼稚園児たちが、今年の一番列車に乗り込んだ。
 嵯峨野観光鉄道は、JR山陰線の電化で廃線になった右京区嵯峨−亀岡市馬堀間約7.3`で、91年からトロッコ列車を運行している。毎年1、2月は、車両点検などのため、運転を休んでいる。
 この日は、午前9時から出発式が行われ、地元の嵯峨幼稚園とこばと保育園の園児たち計145人が招かれた。嵯峨野観光鉄道の山崎敏治常務が、「車両の窓が大きくなったので、ぜひ保津川の大自然を満喫してください」とあいさつした。園児の代表がくす玉を割り、列車のキャンペーンガールが始発の運転手に花束を手渡した。列車に乗り込んだ園児たちは、窓いっぱいに顔を近づけ、車窓から見える早春の景色に見入っていた。(京都新聞)
■男性はねられ即死 近鉄小倉駅構内
 2日午後7時40分ごろ、宇治市小倉町神楽田の近鉄京都線小倉駅構内の下り線で、男性が奈良行き特急電車にはねられ即死した。
 宇治署の調べでは、城陽市内の男性(23)とみられ、同署は身元確認を急ぐとともに、なぜはねられたのかなど調べている。
 この事故で、同特急は同駅で約7分間停車。後続の下り電車2本にも、5分程度の遅れが出た。(京都新聞)
■時間外不払い容疑 JR西を書類送検 広島中央労基署
 時間外労働に対する割増賃金を運転士に支払わなかったとして、広島中央労働基準監督署は2日、JR西日本と、同社人事部長ら幹部5人を労働基準法違反(割増賃金不払いなど)の疑いで広島地検に書類送検した。
 調べでは、JR西日本は1997年5月、広島支社広島運転所の運転士2人に対し、所定の労働時間を1ヵ月間で3−6時間超える時間外勤務をさせたにもかかわらず、法定の割増賃金を支払わなかった疑い。
JR西日本の話 今回の件については、労働基準法に違反するような事実はないと考えている。(朝日新聞)
■情報ファイル lHl、大型掘削機を公開
 地中をモグラのように掘り進む掘削機で、新鋭の「偏心多軸式」としては国内最大口径のシールド機が愛知県知多市の石川島播磨重工業愛知工場で完成し、2日、公開された。東京都内で建設中の営団地下鉄11号線で、6月から使われる。
 従来の方式では、カッター面が1点を中心にして回転するのに対し、偏心多軸式は複数の回転軸があり、機関車のピストンのように平行運動する。公開されたシールド機は4つの回転軸を持ち、直径9.6b。同方式では、これまで直径7.67bが最大だった。(朝日新聞)
■東シナ海に沈む夕陽を追う 指宿枕崎線 JR最南端の駅はもう春
 阿蘇から始まった九州の旅は、鹿児島までやってきた。まだ冷たいと思った風が、ここではもう春。JR指宿枕崎線にゆられていく最南端の駅から東シナ海に沈む夕日を追いかけた。
 指宿午後1時11分発の気動車キワ47形式ワンマンカーはいったん港に出て、丘にのぼり、ススキの原をかきわけて走る。大きくカーブすると、薩摩富士の開聞岳(922b)が前にそびえている。ススキ原から一転する眺めは眠気もどこかに押しやり、窓にへばりつく。
 車内は、ちょうど学期末試験のためか、午後のダイヤなのに高校生の姿が目立つ。旅行客の興奮をよそに若者たちは見慣れた風景を相手にせず、会話に忙しい。キワ47は、鹿児島県内で13両が走るが、客室と仕切りのない片運転台の後乗り、前降りのワンマン。運転席はバスの運転席のように仕切棒しかなく、運転士の声も聞こえる劇場型つくりになっている。
 西大山駅。もちろん無人駅である。指宿〜枕崎間の駅は山川、西頴娃を除いて、キップは運賃箱に入れる。プラットホームに日本最南端駅の表示がある。最南端駅はかつて指宿だった。指宿枕崎線の歴史と関係するが、昭和11年3月24日までは指宿、翌日に同線が開通して隣の山川駅が北緯31度12分の最南端駅になった。山川にはいまも表示が残る。
 西大山が最南端駅に座るのは枕崎線が西頴娃まで開通した昭和35年以降である。ダイヤは4分ながら緯度の違いは1分の31度11分に位置している。西大山駅で下車する。
 春風を受けて、海の方へ降りていく。開聞岳の眺めは、鹿児島湾からと東シナ海に面した海岸からの2通りがあるが、鹿児島湾からは薩摩半島最南端の岬、長崎鼻から眺めが最高と、折り紙がつく。弓状の砂浜がつきるところ、開聞岳がなだらかなすそ野を広げている。岬の突端に灯台があり、上から見ると、鳥が海へ向かって飛び立つくちばしに似ているところから長崎鼻の地名がつく。隣の漁港はツルの羽を広げた姿に例えて鶴の港とも呼び、昔の人の海を自由にわたる烏へのあこがれが伝わってくる。鉄分を含む黒砂の海岸は浦島太郎・乙姫伝説の地でありウミガメの産卵場にもなっている。
 マイカーや観光バスツアーが、目的地を無駄なく回るデジタルの旅なら、ぶらり旅は、いわばアナログである。ぷつんぷつんに切れた足の便をつなぎ、ぽつんとバス停で待っていると、一人だけ取り残された寂蓼感におそわれるが、そんな時、見上げる開聞岳がぐっと近くに感じて、気分を立て直してくれる。
 再び最南端の駅まで引き返してきた。夕日を追いかけるキワ47は同駅に午後5時24分に着く。すでに夕日は開聞岳の西に傾きはじめている。下手なカラオケの高音のような汽笛を鳴らしてキワ47は進む。東シナ海を臨む西頴娃駅を過ぎてキワは鮮やかに夕日を捕まえた。
 海の反照がまばゆい。枕崎まで沿線の駅ごとに日は沈む。東シナ海から見る開聞岳がまだそんなところをうろいているのか、と、見下ろしている。わが国初の実測地図作者の伊能忠敬が「絶景かな」といった風景だ。波の荒い東シナ海も、この辺りは入江が多く、自然港の立地を生かしてはるか南西諸島、江戸や京の藩邸に物資を運んだ丸に十の字の藩船が行き交う往時を、夕日の海にはめ込んで見るが、聞き慣れない会話が目を車内に引き戻した。
 鹿児島弁は個性的で知られるが、中でも枕崎弁は独特の抑揚と聞いていたものの、年配男性の会話は耳をすますよりも顔で中身を想像するほうが楽しい。顔をみつめているうち枕崎。枕崎は終着駅ながら日南線の終着駅志布志とともに駅員はいない。日が落ちたばかりの南国の港町に吹く風はやわらかく、まだ寒い京都に香を持って帰るつもりで大きく吸い込んだ。(編集委員 粟津征二郎)(京都新聞 夕刊)
4日■春の火災予防運動で訓練 JR京都駅・乗客救出迅速に 太秦映画村・役者も消火参加
 春の火災予防運動中の3日、市民や観光客に防火を呼びかけようと、下京区のJR京都駅と右京区の東映太秦映画村で火災を想定した訓練が行われた。
 JR京都駅では、電車内で火災という設定で訓練が実施された。駅職員でつくる自衛消防隊、駅ビル内の商店関係者、下京消防署員ら約130人が参加した。
 訓練では、火災が起きたとされる電車が、大阪方面から1番ホームに入った。扉が開くと同時に、自衛消防隊が煙が充満した車内へ入り、乗客をホームへ誘導した。他の隊員たちも放水やけが人の救護をてきぱきとこなした。この後、消防署員と自衛消防隊が連携しながら、車内に取り残された人の救出や放水に取り組んだ。
 ホームにいた市民らは、突然の訓練に驚きながらも、緊迫した光景を真剣な表情で見守っていた。(京都新聞)
■規定距離超えて走行 JR西日本 寝台特急、検査漏れ
 JR西日本は3日、京都総合運転所(向日市鶏冠井町)所属の寝台特急「彗星」の客車2両を、検査が必要な走行距離の限度を超えて走らせた、と発表した。検査項目を記す「作業指示書」を作成する運用計画担当者が2両の検査を誤って「必要なし」と記載、運用助役も誤りを見落としたためで、京都支社管内で同種のミスは過去に例がないという。
 2両は「彗星」用の客車で、新大阪−南宮崎駅間(951.9`)を走行している。先月29日が検査予定日だったが、京都総合運転所の運用計画担当者が作業指示書の記載を誤り、運用助役もこの誤りを見落とす二重のミスによって同日夜、新大阪駅を発車。1日午前10時ごろになってから同所の技官が2両の未検査に気づいたが、この時点で車両は大分駅まで達し、規定距離を72.5`超過していた。
 JR西日本が運輸省に届けている内規「客車整備心得」では、車両は10日以内または走行距離が3000`を超えないうちに検査する、と定めている。未検査が判明後、急きょ大分で検査したが、異常はなく、利用客にも影響はなかったという。
 JR西日本京都支社の妻井隆夫次長は「(超過した距離は)安全に支障ない範囲内だが、フェイルセーフ(多重防御)の意味からも、今後は常に検査を怠らないよう指導する」と話している。(京都新聞)
■生駒ケーブル運賃を値下げ
 近鉄は3日、生駒ケーブル(奈良県生駒市)で18日から新型車両四両の運転を開始するとともに、鳥居前−生駒山上間の運賃を値下げすると発表した。
 宝山寺線(鳥居前−宝山寺)、山上線(宝山寺−生駒山上)はそれぞれ現行の大人280円のままだが、両線を乗り継いだ際の運賃を同540円から350円に約35%値下げする。(京都新聞)
■JR西日本 また仕業検査とばし 96年度以降12件目 運輸省、再警告へ
 JR西日本の在来線で、検査期限の過ぎた車両を検査しないまま走らせるミスが相次いだ問題で、今月1日にも、寝台特急が「仕業検査」といわれる定期検査の期限を超えたまま新大阪−大分間を走っていたことが3日、分かった。記録の残る1996年度以降だけで計12件目になる。運輸省は同社に数回にわたって警告書を出しており、同社も昨夏から緊急対策本部を設置していた。同省近畿運輸局は近く、踏み込んだ再発防止策を求めるとともに再び警告書を出す方針だ。
 JR西日本によると、新たに期限切れ走行が判明したのは、京都総合運転所(京都府向日市)所属で、新大阪−大分・南宮崎間を結ぶ寝台特急「彗星」。7両編成のうちの客車2両が、仕業検査の期限となる走行距離3000`を約700`超えたまま新大阪から大分まで走っていた。
 同列車は2月29日に仕業検査を終える予定だったが、当日の検査担当者が見落としていた。今月1日、期限切れになっているのが見つかり、到着していた大分駅で急きょ検査を実施した。車両に異状はなかったという。(朝日新聞)
■「こだま」床下「焦げくさい」 運転取りやめ
 3日午後2時25分ごろ、大阪市淀川区の山陽新幹線新大阪駅で、駅員から停車中の新大阪発広島行き下り「こだま635号」(6両編成)の1号車の床下付近から焦げくさいにおいがすると、東京指令所に連絡があった。JR西日本は車両点検のため、運転を取りやめ、約300人の乗客は後続列車に乗り換えた。こだまは大阪第一車両所(大阪府摂津市)に回送された。(朝日新聞)
■宿直勤務中、飲酒繰り返す ニュートラム 大阪市処分へ
 大阪市の新交通システム・ニュートラムの保守、点検に携わる職員25人が、宿直勤務のたびに飲酒を繰り返していたことが3日、分かった。1993年に暴走車故を起こしたニュートラムは、先月20日から無人運転を再開したばかり。市交通局は「安全への信頼を揺るがす」として厳しく処分する方針だ。
 同局によると、飲酒していたのは信号や通信など電気系統の設備の保守、点検を担当する電気管理事務所(同市住之江区)の職員。30人のうち25人が一昨年春ごろから昨年秋ごろまで、宿直のたびに事務所内で酒を飲んでいた。
 宿直では、3−5人が午後5時から翌日午前8時40分まで勤務する。本格的な作業は午前零時以降で、それまで夕食や仮眠を取りながら待機する。職員はこの待機時間中に缶ビールを1日1、2本飲んだという。(朝日新聞)
■タイムアングル 四条烏丸 そびえ立つ洋風建築 さみしい交差点
 烏丸四条東北角の旧三井銀行京都支店。
 三井銀行京都分店が、新町通六角下ルに開店したのは、明治9年(1876年)7月。京都の私立銀行の第1号だった。
 明治37年に、四条通烏丸東入ルヘ移転した。現在の烏丸四条には、交差点から東西南北の両側百b以内に、10店の銀行が集まっている。三井銀行京都支店はこのビジネス・センターの草分けの一店で、今はさくら銀行と改称している。
 写真は大正4年に改築したとき、資材を納入した会社「鶴活」の人たちが撮ってもらった記念写真らしいが、気の毒ながらこの写真では、どれが自分なのか分からなかったことだろう。
 そびえ立った洋風建築の東側と北側に、2階建ての民家が見えるが、その較差のはなはだしさはすごい。
 それにしても烏丸四条、目抜きの大通りの交差点のこのさみしさ。当時の人口は54万くらいだったが、人影は見えず、おまけに銀行の入り口付近には、二輪の荷車が2台止まっている。洋風文化のトップを切る建物と、二輪の荷車の対照は、大正初期の時代相を思わせる。
 この洋風建築は昭和57年の改築で解体されたが、コーナー部分のエンタシスのついた4本の石柱は、今もそのまま残されている。(作家・駒 敏郎)(朝日新聞)
5日■中3が電車に飛び込み死亡
 4日午後1時半ごろ、大阪府枚方市藤阪南町二丁目のJR片町線「藤阪駅」で、少女がホームに入ってきた木津発宝塚行きの快速電車にはねられ、死亡した。乗客らにけがはなかった。
 枚方署の調べによると、少女は枚方市内の市立中学3年生(15)。ホームのベンチに座っていたが、電車が通過する際に突然立ち上がり、線路に飛び込んだという。
 ベンチに置いていたリュックサックに「世の中に疲れた」という趣旨の遺書が入っており、同署は自殺とみている。
 少女は私立高校に合格、今月16日に試験がある府立高校も受験する予定だったという。
 同署によると、上下線19本が運休、同10本が最大約30分遅れ、約1万2000人に影響が出た。(京都新聞)
■鮮やか嵐電「のりよし君」学生らがペイント
 洛西地域を走り、「嵐電の愛称で親しまれている京福電鉄嵐山線に4日、鮮やかな絵で包まれた車両がお目見えした。開業90周年を記念した行事の一環で、同線では初めての試み。車庫から出された車両は午前10時に四条大宮駅を出発し、閑静な家並みを縫うように走っていった。
 嵯峨美術短大の学生ら12人が図案、ペイントを担当し、2週間かけて完成させた。京言葉の「乗りなさい」から、「のりよし君」と命名。車両の片側ずつを使って、山並みと街並みが描き分けられている。制作に参加した右京区の粟倉久達さん(25)は「大きな画面で面白かった。沿線の雰囲気にも意外となじんでいると思う」と力作を眺めた。
 「のりよし君」は嵐山線で通常運行される。25日の開業記念日には、一般募集の図案が描かれた車両も登場する予定だ。(朝日新聞)
6日■眠りは妨げません 11日から JR西日本 声掛けず車内検札
 列車の指定席で眠っていたら、「ちょっと拝見」と起こされた−。乗客にとっては煩わしい車内検札を省略する鉄道会社が増えている。小田急電鉄は昨年7月、業界で初めて、新宿−小田原間などを走る特急ロマンスカーで、携帯端末機を利用した検札省略システムを導入。JR西日本は11日から乗客に声を掛けない「チケットホルダー式」検札を始める。
 小田急の新方式は特急が駅を出発後、本社のコンピューターから特急券の発売情報を車内の携帯端末機に転送。情報は途中駅に停車するたびに更新され、車掌は端末機画面の情報と実際の乗車状況を確認する。
 JR西日本が11日から新大阪−博多間を走る「700系ひかり」で始める方式は、チケットホルダーを使う。乗客は前の座席の裏側に設置されたホルダーに切符を入れるだけ。車掌は声を掛けずに検札できる。昨年秋の2ヵ月間、「サイレントひかり」で試験実施したところ評判が良く、本格導入に踏み切った。当面指定席車両5両のうち1両で実施し、好評なら増やすことを検討する。(京都新聞)
■信号の故障で遅れ JR奈良線藤森駅
 5日午後4時47分ごろ、京都市伏見区深草大亀谷大山町、JR奈良線の藤森駅構内で、信号が赤のまま変わらず、下りの京都発奈良行き普通電車がホームに入れなくなった。
 約17分後、信号は復旧し、普通電車は21分遅れでホームに到着した。同電車を含め上下計4本が25分−6分遅れ、約900人に影響が出た。JR西日本によると、駅構内のポイント1ヵ所が動かなくなっていたといい、同社で詳しい原因を調べている。(京都新聞)
7日■新幹線試乗車 窓のひび割れ 車両完成前から傷 JR西日本 風圧で拡大と発表
 今月11日にデビューする新幹線700系「ひかりレールスター」の試乗車で先月下旬、運転席の窓ガラスにひびが入った事故で、JR西日本は6日、「ガラス製造後から車両完成までの間についた傷が、走行時の風圧などで拡大したと見られる」との調査結果を発表した。また、同じ試乗車の最後尾の運転席左側面窓の内側にも同様のひびがあったことが、新たに分かった。
 事故は先月21日午後2時20分ごろ、招待客ら約360人を乗せた新大阪発広島行きの「ひかりレールスター」が相生−岡山駅間の妙見山トンネルに入って間もなく発生した。
 ひびの起点となった傷は、窓の両端からほぼ中央、上端から2.4a下に位置し、直径約0.2_、深さ約0.6_。3枚の合わせガラスの一番内側にあった。同社は、ガラスに▽衝撃物が当たった形跡がない▽製造過程でつく傷とは異なる−などから、傷がガラス製造中や走行時に生じたものではないと推定した。
 ガラスはフランスのメーカーが日本へ空輸し、昨年9月末に車両工場に搬入、同年10月に車体に取り付けられた。JR西日本は、輸送時を含め「傷がいつ、どんな原因で生じたか特定できない」としている。
 同社は8日までに、光ファイバーなどを使って現在8編成ある「ひかりレールスター」の全運転席の窓ガラスを、傷がないか検査する。11日のデビューに支障はないという。(京都新聞)
■700系ひかり ガラスにひび 製造作業ミスで傷 JR西日本が調査結果
 山陽新幹線相生−岡山間で2月21日、新型「ひかりレールスター(700系)」が試乗運転中に運転台の窓ガラス内側にひびが入った事故について、JR西日本は6日、車両の製造段階で作業ミスによりガラスに傷がついた疑いが強いとする原因調査の結果を発表した。
 同社によると、ひびは化学強化ガラスを3枚重ねた前面窓ガラスのうち、一番内側のガラス(厚さ約5_)だけに入った珍しい事故。表面に直径約0.2_、深さ約0.6_の傷があり、そこから上下に長さ約38aと58aのひびが2本あった。ガラスはフランス製で、昨年9月末にこん包されたうえで空輸され、神戸市内の車両メーカーで取り付けられた。こん包時か、取り付け時に何らかの作業ミスで傷が付き、試運転などでトンネル内を走行中に風圧などの影響で傷を起点にひび割れたと推定されるという。
 レールスターは今月11日にデビュー予定の新型車両。同社は、同型車両すべての窓ガラスの再点検を実施し、すでに今回ひびが入った同じ編成車両の運転台の側面ガラスに同じような傷がついていたといい、詳しい原因を調べている。(朝日新聞)
■車両「検査とばし」運輸省、警告書 今年度7件目
 JR西日本の在来線で、検査期限の過ぎた車両を検査しないまま走らせるミスが相次いでいる問題で、運輸省は6日、同社に対し近畿運輸局鉄道部長名で警告書を出し、原因調査や再発防止策を早急に進めることを求めた。同社に対する主な警告書は昨年4月以降、7件目となる。
 JRと運輸省によると、今月1日、寝台特急の車両が「仕業検査」といわれる定期検査の期限を超えたまま新大阪−大分間を走っていたことが分かり、記録の残る1996年度以降だけで「検査とばし」は計12件目になっていた。(朝日新聞)
■恒久策求め12万人署名 コンクリ落下で最大労組
 山陽新幹線のトンネルや高架橋から相次いでコンクリートが落下した問題で、JR西日本の最大労組「西日本旅客鉄道労働組合(JR西労組)」(森正暁委員長、約3万4000人)は6日、同新幹線を建設した旧国鉄とゼネコンなど施工業者の責任を明らかにし、恒久対策を求める署名活動を実施し、組合員やその家族ら約12万人の署名を集めたと発表した。8、9両日、運輸相と自民党総裁、最大野党の民主党代表に提出する。
 森委員良は「鉄道会社のプロとして事故を起こしたことは反省している。手抜き工事などゼネコンと旧国鉄に道義的な責任があるのも当然で、保守・管理に力を入れるという公共事業の在り方についても問題提起したい」と話している。(朝日新聞)
■新幹線の食堂車 時代に飲まれ… 26年の歴史 客ら惜しむ 10日最後に
 10日で26年の歴史を閉じる新幹線の食堂車が、別れを惜しむ鉄道ファンや「昔利用した」という年配の夫婦らでにぎわっている。
 食堂を運営するJR東海の関連会社「J・ディナー東海」(東京)によると、廃止の特別な告知はしなかったが、2月ごろから込み始めたという。
 JR東海などは感謝セールとして、1260円のハンバーグセットをオープン当時の値段の700円に下げたり、飲料類の割引サービスを実施。記念にメニューの表紙や食器をカメラに収める乗客も目立つ。
 夫婦で乗ったという東京の年配の男性は「出張のたびに食堂車を利用した。なくなると聞いて、妻にも見せたいと一緒に来た。当時が懐かしい」と話した。
 新幹線の食堂車は山陽新幹線が全線開業する前年の1974年に営業開始。眺めの良さを売り物にした2階建て車両などで人気を呼んだ。しかし、バブル経済の崩壊などで長距離客の減少、採算的に厳しい状況が続いた。
 現在、新幹線の食堂車は東京−博多間を結ぶひかりの4往復で、それも11日のJRダイヤ改正で姿を消すことになった。
 山陽新幹線以後に開業した東北新幹線などには食堂車はなく、JRで残るのは上野と札幌を結ぶ北斗星、カシオペア、大阪と札幌を結ぶトワイライトエクスプレスの寝台特急だけ。
 20年以上食堂車で働いてきた野中幸治さん(48)は「皿洗いから始め、揺れる中で配膳(はいぜん)する難しさも経験した。なくなるのは時代の流れでしょうか」と寂しそうだ。(京都新聞 夕刊)
■停電で新幹線 10分間止まる 京都−新神戸間
 7日午前10時半ごろ、東海道新幹線・京都−新神戸間の上下線で停電となり、列車が運転できなくなった。約10分後に復旧し、下り線は直後に、上り線は5分後に運転を再開したが、上下線計6本が16−10分遅れ、乗客5000人に影響が出た。
 JR東海によると、大阪府摂津市の大阪第一車両所構内で、車両点検中の作業員が、異常が起きた際に変電所を停電させる車両内の「保護接地スイッチ」を誤って押したのが原因という。(京都新聞 夕刊)
■踏切追い込み高校生死亡 少年ら4人実刑
 大阪市住吉区にあるJR阪和線の踏切で1997年9月、大阪府藤井寺市の高校1年の男子生徒(当時16)が金属バットなどを持ったグループに追われ、踏切内に逃げ込んで列車にはねられ死亡した事件で、強盗致死傷などの罪に問われた大阪市福島区の大工の男性(22)=事件当時19=ら4人に対する判決公判が7日午前、大阪地裁であった。毛利晴光裁判長は「動機はバイクの改造用部品を手に入れるためなど安易で身勝手な犯行で、男子生徒の無念は察するにあまりある」として、大工の男性に懲役7年(求刑懲役10年)、少年2人(いずれも19)に懲役5−8年(求刑懲役5−10年)、元トラック運転助手(19)に懲役5−7年(同5−10年)を言い渡した。
 公判で、被告・弁護側は「踏切事件は突発的に起こったものだ」などと述べ、男子生徒に対する強盗の共謀を否認していた。しかし、判決は「暴走族狩りの標的を探して移動を続けた。事前に成立した共謀関係は途切れていない」と述べて、こうした主張を退けた。(朝日新聞 夕刊)
8日■JR西日本 トンネル保守 検査を3段階に 運輸省指示で改善策
 山陽新幹線などのトンネル壁崩落事故を契機に運輸省が新たなマニュアルに沿って点検を指示したことを受け、JR西日本はトンネル保守管理の改善策をまとめ、7日発表した。
 改善策は、運輸省のトンネル安全問題検討会(座長・足立紀尚京都大教授)が先月末、同省に提出したマニュアルを全面的に踏襲した。
 検査を「初回」「通常」「特別」の3段階に区分し、通常検査は2年以内、特別検査は新幹線が10年以内、在来線は20年以内ごとに実施する。打音検査の必要な個所を具体的に示すための変状展開図を作成するほか、落下危険個所を「要対策」「要注意」「問題なし」の3基準に分ける。
 また独自の取り組みとして、今月中をめどに、昨年実施したトンネル総点検の結果をコンピューターによる設計デザインシステムを用いてデータベース化し、特殊カメラで撮影した覆工面の画像情報を整備する。照明設備搭載車や小型携帯用照明の導入などハード面も充実する。
 さらに、コンクリートの変状事例などをわかりやすく説明した解説書を作成したり、研修センターで劣化コンクリートを使った研修を行い、社員の検査技能の向上も図るとしている。(京都新聞)
■シャトルバス「出町柳−北野白梅町」 5月21日まで延長へ 市交通局 行楽客利便図る
 京都市交通局は7日、昨年9月末から出町柳(左京区)−北野白梅町(北区)間の今出川通で運行している観光シャトルバスについて、春の行楽客の利便を図るため、当初予定していた今月26日までの運行期間を、5月21日まで延長することにした。近畿運輸局がこの日、事業認可し正式決定した。
 観光シャトルバスの営業は、市内東部にある京阪、叡山両電鉄の出町柳駅と、西部の京福電鉄北野白梅町駅とを結ぶことで、観光客の移動を便利にし、西陣などにも行きやすくするため、昨年9月23日から始めた。
 同区間(4`)に5つの停留所を設け、土日曜と祝日に1日12往復し、2月末までの54日間で1日平均204人の乗客を運んだ。
 交通局は初年度、1日約400人の乗客を見込んでおり、目標を下回ったが、春の観光シーズンを迎えることもあり、5月21日までの運行期間延長を近畿運輸局に申請していた。
 延長後もこれまでと同様に、5月21日までの土日曜と祝日に約30分間隔で1日12往復運行する。運賃は220円。(京都新聞)
■ネットで注文 駅で受け取り JR東日本 来月から首都圏で
 JR東日本は、自宅や会社からインターネットで注文した商品を駅で受け取れる新しいサービス「えきねっと」を4月から始める。
 松田昌士社長が7日の定例会見で発表した。
 ホームページに接続した利用者はクレジットカードを使って商品を注文。後日、最寄りの駅の中にあるコンビニエンスストアで商品を受け取ることができる。
 対象は首都圏の駅で、現在、179駅に約250店のコンビニが設置されている。多くの駅内コンビニの営業時間は午前7時から午後11時。駅での受け取り以外に、全国への宅配サービスも行うほか、コンビニのローソンでも商品の受け取りができるという。
 JR東日本はグループ内にサイトの運営会社を3月中に設立、出店企業からの手数料などを収入とする。手始めにキヨスクが取り扱っている飲料水などの商品や、三菱商事との提携でゴルフ用品やコンピューターソフト、日用雑貨など約1万品目を販売。さらに阪急百貨店やマツモトキヨシなども出店を予定しているという。「えきねっと」のホームページ・アドレスはhttp://www.eki-net.com。(京都新聞)
■JRにはねられ 89歳の女性死亡
 7日午後1時10分ごろ、京田辺市興戸久保のJR片町線の線路を横断中の同市興戸鉾立、中川ミサ枝さん(89)が、木津発宝塚行きの下り快速列車にはねられ、頭などを強く打って即死した。
 田辺署では、中川さんは同市内の医院で診察を受けた帰り。列車に気づかず、線路を横断したとみている。この事故で、同列車が11分遅れで現場を発車したほか、後続の上下2本の列車が8−11分遅れ、松井山手−同志社前間で、上下2本が部分運休した。(京都新聞)
■JR西日本 トンネル検査で態勢大幅見直し 在来線も点検へ
 JR西日本は7日、山陽新幹線と在来線のトンネルについて、今後の検査態勢を大幅に見直したと発表した。運輸省の「トンネル安全問題検討会」(座長・足立紀尚京都大教授)が新たにつくった「トンネル保守管理マニュアル」に基づき、作業員任せだった打音検査の対象やはく落予防の判定基準を明確にするとともに、定期検査の回数も増やした。また、同社管内の在来線のトンネルについても、4月から全667本(総延長約310`)で総点検を始める。
 トンネル安全問題検討会が2月末につくったマニュアルでは、2年に1回だった全般検査を、まずコンクリート劣化の詳細なカルテをつくる「初回全般検査」▽2年に1回、劣化の進み具合を監視する「通常全般検査」▽初回全般検査から新幹線は10年、在来線は20年に1回実施する「特別全般検査」の3段階に増やした。検査の内容も、打音検査の対象を約25項目にわたって具体的に指示したほか、補修・補強の判断基準についても「はく落の 判定区分」を新たにつくって明確化した。(朝日新聞)
■電車脱線衝突、2人死亡 東京・地下鉄 中目黒駅付近 上下線とも車両大破 通勤客ら33人重軽傷
 8日午前9時10分ごろ、東京都目黒区上目黒の営団地下鉄日比谷線中目黒駅近くで、下り電車(8両)の最後尾車両が脱線して反対線の上り電車(同)と衝突、双方の車両が大破した。警視庁や東京消防庁によると、双方の電車には通勤客らが乗っており、男女2人が死亡、重体3人を含む33人が負傷した。死亡した2人は都心への通勤客で満員の上り電車の乗客だった。付近の線路のまくら木には車両の一部がこすってできたとみられる傷が約60bにわたって残っていた。専門家は車輪が割れたり車軸が折れるなどして脱線、そのまま走行した可能性を指摘している。
 警視庁は業務上過失致死傷容疑で捜査を始めた。事態を重視した政府は首相官邸内の危機管理センターに官邸連絡室を設置、運輸省も事務次官を本部長とする対策本部を設け、専門家の調査チームを現場に派遣し原因調査に乗り出した。
 警視庁や運輸省などによると、脱線したのは営団地下鉄日比谷線北千住発菊名行き下り電車。中目黒駅の150−200b手前の、地下から地上に出るトンネル付近で最後尾が脱線し、中目黒発竹ノ塚行き上り電車の先頭から5両目と擦れ違いざまに接触する形で衝突した。
 脱線車両は側面をはぎ取られるように大破、屋根だけが残された状態で内部がむき出しになった。衝突直後、車両から出火したという。上り電車は5両目に接触の跡があり、死亡した2人が乗っていた6両目の側面が大きくえぐれ大量の血が付着していた。
 下り電車は乗客約240人(乗車率20%)が乗っており、上り電車は都心への通勤客ら約1300人(同120%)で満員状態だった。
 東京消防庁によると、死亡したのは50代の男性と20代とみられる女性。
 東京消防庁は救助工作車4台、救急車20台以上を出して救助作業を続け、負傷者の治療に当たった。
 中目黒駅には東急東横線と、営団地下鉄日比谷線が乗り入れている。営団地下鉄日比谷線は一部不通となっており、正午現在、復旧の見通しは立っていない。
・事件性を否定 政府が連絡室設置
 営団地下鉄脱線衝突事故で政府は8日午前9時20分、首相官邸の危機管理センター内に官邸連絡室を設置した。小渕恵三首相は二階俊博運輸相に電話で、けが人の救出や事故原因の究明などに万全の措置をとるよう指示した。
 運輸省は対策本部を設置し、中馬弘毅総括政務次官を事故現場に派遣した。
 青木幹雄官房長官は同日午前の記者会見で「現状では単純な衝突事故と聞いている。(テロなどの事件性は)一切ないと判断している。脱線の原因は鋭意調査中だ」と述べた。青木長官は「当初、爆発の可能性もあるということで心配したが、間もなく衝突事故との報告を受けた」と説明した。
・爆発情報も一時錯そう 首相は散髪に
 営団地下鉄脱線事故の一報が入った直後の8日午前9時25分、小渕恵三首相は首相官邸を出て、午後の党首討論に備えて散髪のため議員会館内の理髪室に向かった。この時点では、テロや爆発との見方も完全に否定されていなかっただけに、危機管理意識の甘さを指摘する声も出そうだ。
 青木幹雄官房長官によると、官邸に発生の連絡が入ったのは9時15分ころ。この時点では「爆発物が仕掛けられた」などの情報もあり、同20分に官邸連絡室を設置。爆発ではないとの報告は同40分ごろだったという。
 青木長官は、小渕首相の行動について「連絡室を設けて対応した。単純な脱線事故と報告を受けている。支障はないと思う」と釈明した。(京都新聞 夕刊)
■えぐれた車両 まるで爆発 東京の地下鉄脱線 乗客ぼう然「何が」 負傷者、続々搬送
 銀色に輝く車両の側面が、対向電車と衝突した激しい衝撃で無残にめくれ上がった。東京の営団地下鉄日比谷線の中目黒駅近くで8日朝、通勤のサラリーマンらを襲った脱線衝突事故。脱線した下り電車に、約1300人の乗客で満員だった発車直後の上り電車が衝突。ショックで飛び散ったガラスの破片が、床に投げ出された乗客を直撃し、血に染まった床に赤と青の座席が吹っ飛んだ。政府は、東京の”大動脈”で起きた事故を重くみて、運輸省に対策本部を設置した。暖かな早春の朝に起きた突然の事故に騒然とする車内。乗客らは「一体何が起きたんだ」と顔を引きつらせた。
 「バーンという爆発のような大きな音がして衝撃があった。前の車両を見ると、窓ガラスが飛び散り、座っていた中年男性のシャツが血で真っ赤に染まり、床には乗客が投げ出され、2、3人が倒れていた」。乗客らは事故の隣間を青ざめた表情で話した。
 8日午前の地下鉄日比谷線中目黒駅近くの電車事故。川崎市中原区の専門学校生内藤幸記さん(20)は事故車両のすぐ後ろの車両に乗っていた。壁はそぎ落とされたようにめくれ上がり、床は血だらけ。「前を見るとドア付近がスッポリはがれていた」と話す。
 混雑した上り電車に乗り合わせていた東京都目黒区の会社員戸口秀樹さん(29)も「ホームを出た直後に急ブレーキがかかり、あっと思った瞬間、鉄のかたまりが突っ込んできた。バーンという大きな音がして爆発が起きたと思った。車内は悲鳴が上がり騒然とした」と振り返った。
 脱線車両がぶつかった上り電車の5、6両目。手すりがなぎ倒され、座席が外れ変形した。折れたりはがれたりした車体の一部が飛び込み、乗客を直撃。床には大量の血が流れた。倒れた負傷者をけがのなかった乗客が協力しながら助け出す。駅員が木の板を担架代わりにして負傷者を搬送。乗客らは救急車が到着するまで、けが人に声を掛けて励ました。
 上り電車に乗っていた横浜市港北区の村田俊夫さん(56)は「事故後30分車内に閉じ込められた。『衝突がありました』という車内放送があっただけで情報が全くなかった」と対応に不満も。乗客は線路わきを歩いて中目黒駅に避難した。
 負傷者11人が搬送された都立広尾病院では、古賀信憲・救命救急センター部長が「重体の男性は頭部から出血しており意識はありません。ほかの患者さんも精神的なショックが大きい」と説明、表情をこわばらせた。
・車軸破損 原因か
 営団地下鉄日比谷線で8日朝起きた脱線衝突事故について専門家や関係者らはポイントが電車の通過途中に切り替わったり、車軸が折れたりしたことが原因ではないかと推論している。
 営団によると、日比谷線の電車は列車自動制御装置(ATC)とダイヤデータにより列車の進路を自動制御する自動列車運行制御装置(PTC)を使った集中管理方式で運転している。
 通常ではこうした設備で脱線事故は防げるが、JRなどではこれまでの類似の事故の分析から電車の台車部分と車両をつなぐピンの破損や車輪の車軸そのものが折れたことが原因の一つと推論できるとしている。
 また、電車がポイントを通過する際に何らかの原因でポイントが切り替わってしまったり、前後の車両のブレーキ性能の差と軌道狂いなどが重なって起きる競合脱線も考えられるのではないかとみている。
 交通評論家の角本良平さんは「現時点で推定できるのは、車輪が割れたり、車軸が折れたりしたなどのトラブルがあったのではないか。車軸などの細かい傷は日常の運行前点検などでは見つけるのは難しい。今回の事故も反対線の列車がいなければこれほどの大事故にはならなかったと思われ、首都圏の過密な交通も背景にある」と話す。(京都新聞 夕刊)
■電車脱線・衝突、2人死亡 車両大破、けが30人 東京・地下鉄駅近く
 8日午前9時1分ごろ、東京都目黒区上目黒三丁目の営団地下鉄日比谷線(東急東横線)中目黒駅構内で、北千住発菊名行き電車(8両編成)が脱線し、反対側から来た中目黒発東武伊勢崎線竹ノ塚行き電車(8両編成)と衝突した。衝撃で菊名行き電車の最後尾車両が大破した。午前11時現在、この事故で、乗客2人が死亡、重体の3人を含めて約30人が負傷し、都内8ヵ所の病院に運ばれた。営団地下鉄の脱線事故で死者が出たのは初めて。
 警視庁は総合警備本部を設置、政府も首相官邸の危機管理センターに連絡室を置いた。
 現場は中目黒駅から約200b恵比寿駅寄りのトンネルの手前。中目黒駅は、営団地下鉄が東武伊勢崎線、東急東横線と相互乗り入れしている。
 帝都高速度交通営団や警視庁目黒署などによると、菊名行き電車の最後尾の8両目が脱線した。その直後、対向してきた竹ノ塚行き電車の5、6両目付近の右側が最後尾の車両にぶつかった。衝撃で、菊名行き8両目の半分以上が側面から根こそぎねじり取られた。死亡した2人は最後尾の車両に乗っていた。
 菊名行き電車は中目黒駅に着く直前。乗客は約240人で、乗車率20%。竹ノ塚行き電車は同駅のホームを出たばかりで、通勤客ら約1300人が乗り、乗車率は120%だった。
・側面えぐれ シート散乱
 電車の最後尾の側面がえぐれるようになくなっていた。シートなどが中で散乱し、ドアが線路に飛び散っている。
 電車の乗客は駅員らに誘導され、線路わきを歩いてホームに向かっていた。近くの道路では次々に駆けつける救急車にけが人が運はれ、騒然としている。
・首相官邸に 連絡室設置
 政府は8日午前9時20分、営団地下鉄日比谷線の列車脱線事故の情報収集と対応を一元的に進めるため、首相官邸にある危機管理センターに「連絡室」を設置した。小渕恵三首相は二階俊博運輸相に「しっかり対応を」と指示した。(朝日新聞 夕刊)
■「鉄の塊 飛び込んだ」 電車衝突 「逃げろ」乗客パニック 車内に悲鳴・流れる血
 車両の壁面はめくれ上がり、窓ガラスやドアは跡形もないほど大破した。車内には悲鳴が響きわたり、床が一瞬にして血に染まった。朝の通勤ラッシュ直後の地下鉄日比谷線で8日起こった惨事に、多くの乗客は「まさか、こんな事故が起きるなんて」と唇を震わせた。
 上り電車で左側に向いて立っていた会社員の戸口秀樹さん(29)は、振り向きざま、右側の窓ガラスを破って大きな鉄のかたまりが車内に飛び込んできたように見えた。長さ5、6bの円柱状だった。戸口さんはそこで初めて対向電車とぶつかったことに気付いた。
 鉄のかたまりに数人が倒され、下敷きになった。車内では泣き声をあげる女性や、床に倒れて血を流している人がいた。乗客らで鉄のかたまりを持ち上げて、けが人を助け出した。
 先頭車両に乗っていた専門学校生の内藤幸記さん(20)は事故の瞬間、「何かが爆発した」と感じた。車内でも「爆発だ」と叫んでいる人がいた。
 中目黒駅の駅員や工事作業員らが現場に近づいてきたが、動きが遅く、乗客らが電車の窓から、「早くしろ。走れ。ドアを開けろ」「けが人がいるので早く担架を持ってこい」などと叫んだ。
 けがをした人の中には、体じゅうが血で真っ赤で、意識がない人もいた。車掌が乗客らに「お医者さんはいらっしゃいませんか」と問いかけて車内を回った。
 車両はぶつかった側の壁が大きくめくれ上がるようにはがれ、外から車内が見通せるほどだった。駅員らがようやく救助にとりかかったのは、事故後、5分以上たってからだった。
 元住吉から六本木の専門学校に向かっていた男子学生(20)は、上り電車に乗っていた。午前9時すぎ、中目黒を出た直後にガーンという大きな音と衝撃とともに電車が止まった。「急停車します」という車内放送が入った。
 後ろの車両の一部が隣の電車に接触して、へこんでいるのが見えた。車内はざわざわという雰囲気になり、携帯電話で連絡をとる乗客の話し声が飛び交った。「隣の車両と接触しました」と再び車内放送が入った。およそ20分後、車掌がドアを手動で開け、約1.5b下の線路に飛び降りた。隣の車両はドアがめくれ上がり、2ヵ所に大きな穴が開いていた。車両の床は血の海だったという。
 背広姿の若い男性が床にはいつくばってぐったりしていた。初老の男性は白いワイシャツの胸を血で染めてうつろな表情だった。
 会社訪問のため、中目黒駅から竹ノ塚行き上り列車の事故車両に乗った目黒区の専門学校生吉原順司さん(19)は「出発してすぐにドカーンというすごい音がしてほこりが舞い、悲鳴が上がった。一隣、何が起きたかわからなかった。映画の破壊シーンを見ているようだった」と話した。
 床には倒れたまま動かない男性がいたり、窓ガラスの破片で頭や腕から血を流している乗客もみえた。混乱した乗客の中から「爆発だ」という声があがり、先を争うように隣の車両に逃げようとしてパニック状態になったという。
 首を痛めて応急手当てを受けた会社員男性(23)は、菊名行き下り電車の一番後ろの車両の座席に座っていた。「最初に衝撃があった後、がたがたと大きく揺れながら、そのまま10秒ほど走って列車が止まった。その間、ガラスの破片が飛んできた。ひょつとしたら脱線かなと思った。車内アナウンスもなく、車掌も何が起きたかわからないような様子だった」と話した。
・壁なくなり ガラス散乱
 事故を起こした下り電車は前から8両目の壁が巨大な力で無理やり引きはがされたように3分の2ほどがきれいになくなっていた。車内にはいびつな形にねじ曲げられた壁や天井の残がいがまだ残っていた。
 けが人がでた上り電車の前から6両目の車両は、連結部分と隣のドアの間の壁が刃物で切り取られたようにきれいになくなっていた。車内の床には血に染まった大量の新聞紙やちり紙が散乱していた。
・車輪・台車に問題か
 曽根悟・東京大学大学院工学系研究科教授(交通システム工学)の話 先頭車両ではない車両が脱線するのは、比較的少ない。可能性としては、車輪、台車など脱線した車両自体に問題があったという点が考えられる。
 今回のように脱線した車両が対向車両にぶつからないよう、護輪軌条とよばれるレールがおいてあり、万一脱線しても、左右におおきくぶれないような仕組みがある。この護輪軌条は、急カーブの個所ならおいてあるはずのもの。現時点では、事故が起こった地点にはおいてあるかどうかわからないが、おいてあれば、単にはずれるだけで対向車両とぶつかることはないと思われる。(朝日新聞 夕刊)
9日■東京・地下鉄事故 引き込み線でずれ、衝突 車軸など異常なし 運輪省検討会調べ 死者4人に
 東京都目黒区の営団地下鉄日比谷線中目黒駅近くで電車が脱線、衝突した事故は、現場の線路構造が原因で脱線後の下り電車のはみ出しが大きくなり、上り電車との衝突につながった可能性が強いことが8日、運輸省鉄道事故調査検討会の調べで分かった。現場は上り急こう配の急カーブで、脱線しやすい構造だったとの見方も浮上している。警視庁目黒署捜査本部は業務上過失致死傷事件として運転士や営団関係者から事情を聴く一方、破損状況を調べるためレールなどを押収して脱線原因の解明に乗り出した。9日朝から車両も検証し、車輪や車軸を詳しく調べる方針。
 捜査本部の調べでは、死者が4人、負傷者は重体3人と重傷6人を含め33人(東京消防庁調べは30人)となった。死亡者は頭がい内損傷などが死因とみられる。死傷者の大半は通勤、通学ラッシュで満員の上り電車に乗っていたという。
 鉄道事故調査検討会によると、脱線した北千住発菊名行き下り電車(8両)の最後部車両の車輪や車軸に異常はなかったが、台車左側前部の緩衝装置「空気バネ」の空気がすべて抜けていた。事故直後駆け付けた営団職員は空気が残っていたと話しており、事故との関連は不明。
 現場のコンクリートまくら木を調べると、脱線の痕跡はトンネルを出て約50bの地点から始まり、そこから82bにわたってV字形にえぐられるなどの傷が続いていた。
 下り電車は最後部車両の前4輪が脱線したまま中目黒駅へ向かって進行。途中で交差する工事用引き込み線のレールに沿って一気に外側へ約1bはみ出し、通常72aの距離で擦れ違う同駅発竹ノ塚行き上り電車の5両目と接触、6両目に衝突したとみられる。
 死亡したのは、通勤・通学のため上り電車に乗っていた東京都目黒区の南日本新聞社東京支社社員、槇保代さん(37)と、同区、特許庁職員藤井新也さん(33)、横浜市西区の麻布高校2年富久信介君(17)、横浜市港北区の会社員山崎智美さん(29)。死傷者の大半は、衝突で側面がはぎ取られた上り6両目に乗っていたらしい。
 営団によると、脱線した付近のレールは昨年10月に交換。事故の際、列車自動制御装置(ATC)も正常に作動していたという。
 事故現場ではレールを交換、事故車両を撤去する作業が進められた。
・空気バネの”パンク”なぞ 営団は「正常だった」
 地下鉄脱線衝突事故で運輸省の鉄道事故調査検討会は8日夜、脱線車両の台車の緩衝装置「空気バネ」の空気が抜けていたと発表した。脱線原因につながりかねない事実だったが、営団地下鉄が「事故直後は空気が残っていた」と説明、検討会の調査時の”パンク”がなぞとして残った。
 検討会の正午すぎの調査では、脱線した8両目の前部台車左側の空気バネの空気がすべて抜けていたという。パンクしていると緩衝機能が働かないため、車両が傾いて車輪が浮き上がり脱線につながったとの見方も出た。
 しかし営団側によると、事故直後に駆け付けた職員がパンパンに膨れているのを触って確認。午後1時すぎにはコックが開いて排気された状態になっていたが、午後10時45分ごろに空気を入れてみると、漏れることはなかったという。
 営団広報は「推測だが、だれかが事故後に空気を抜いたのではないか。空気バネが原因とは考えられない」と話している。(京都新聞)
■信じられない 突然の悲報に号泣 車両内部むき出し 東京の電車 脱線・衝突
 都心に向かう発車直後の満員電車に、対向電車が鉄の塊となって飛び込んだ。過密ダイヤで運転されている東京の営団地下鉄日比谷線の中目黒駅近くで、8日朝起きた脱線衝突事故。死傷者は30人を超え、新婚のOLとスポーツ好きの高校生ら4人が突然の事故で命を落とした。「まさかこんな事故に遭うとは」と泣き伏す遺族。側面がえぐり取られ、内部がむき出しになった銀色の事故車両が衝撃の激しさを伝える。検査後間もない車両に何があったのか。脱線現場の線路構造そのものに問題はなかったのか。首都圏の”大動脈”で起きた大惨事に、政府や運輸関係者は強いショックを受けた。
 死亡した私立麻布高校2年の富久信介君=横浜市西区=は同高校ラグビー部員で、ボクシングに熱中するスポーツマン。この日は期末試験の最終日に当たり、いつもより遅い2時限目から必修科目の試験を受ける予定で事故に遭った。
 富久君の母親は午後2時すぎに目黒署に駆け付け、遺体と対面。ショックを受け、事故を実感できない様子だったという。
 担任の武神一雄教諭も「自分のやりたいことをやり遂げていこうという生徒だった。残念だ」と話すのが精いっばいだった。
 会社員山崎智美さん(29)=横浜市港北区=の自宅の隣に住む主婦(44)は「まさかあんないい子が…。動物が好きで、昨年、けがをしたハトを世話し再び飛べるまで看病していた。本当に優しい子だった」と、うっすらと涙を浮かべた。
 また、南日本新聞社東京支社の槙保代さん(37)=東京都目黒区=は、昨年7月に結婚したばかり。収容先の病院に駆け付けた夫の省輔さん(41)は「ニュースで知ったが、まさか妻が乗った電車とは思わなかった。こんな事故に遭うなんて信じられない」。鹿児島県佐多町にいる槙さんの両親らは同日夜、飛行機で急きょ上京した。
・営団地下鉄 安全神話崩れる
 営団地下鉄(帝都高速度交通営団)は1941年に設立され、高度経済成長とともに首都東京の地下鉄道網を支えてきた。踏切や複雑な線路の交差などがないため「安全な乗り物」を自負。これまで目立った事故はなく、電車同士の衝突も、乗客に死者が出たのも開業以来初めてで、営団幹部や運輸省は大きな衝撃を受けている。
 営団は政府と東京都が出資する特殊法人で、いわば「官製鉄道」だ。27年に開業した銀座線(渋谷−浅草)を国策会社の「東京地下鉄道」から引き継ぎ、戦後になって丸ノ内線、日比谷線、東西線、千代田線など路線網を広げてきた。
 現在も南北線や半蔵門線の延伸工事、池袋と渋谷を結ぶ新線の計画などが打ち出されており、まさに東京の地下を張り巡らすように電車が走っている。
 事故のあった日比谷線は足立区の北千住駅と目黒区の中目黒駅を結ぶ全長20.3`で、64年全線開通。98年で1日平均約115万人が利用、朝夕のピーク時は2分10秒間隔で運行している。(京都新聞)
■社説 なぜ脱線、徹底した調査点検を
 きのう朝、東京の中目黒駅近くで脱線した電車と対向電車がぶつかり、4人が死亡、多数のけが人が出た。国内の鉄道事故で複数の乗客が亡くなる惨事は1991年の信楽事故以来となる。
 側面衝突とはいえ、一部車両は片側がえぐり取られて、座席も原形をとどめていない。「鉄のかたまりが飛び込んできた」「爆発したかと思った」という乗客の話もあるように激しいものだ。
 鉄道事故は多くの人を巻き込み、その被害は当初見通しより拡大するのが常である。亡くなられた人たちのめい福を祈るとともに、鉄道事故の怖さをあらためて肝に銘じざるを得ない。
 警視庁などの調べによると、事故は中目黒駅へ向かっていた営団地下鉄日比谷線の下り電車の最後尾の車両が脱線し、対向の上り電車がすれ違うところで一部車両が側面衝突した。
 通勤ラッシュのピークを過ぎてはいたが、上り電車はほぼ満員だった。脱線した車両は60b走っていたというから、もしも転覆し衝突していたら、と思うとりつ然とする。
 なぜ脱線したのか。事故調査の焦点はそこに絞られよう。徹底的に原因を究明しなくてはならない。
 最も気がかりであるのは運行そのものに潜む事故原因だ。レールや車輪、車軸などの損傷といった物的な問題や、速度や線路を切り替えるポイント操作など運転にかかわる問題である。
 営団日比谷線の電車は列車自動制御装置(ATC)や運行制御装置によって、通常なら脱線事故を防げるという。それだけに、事故時の状況ばかりではなく、その前に異常はなかったか、車両や設備の点検はどうだったか、なども含めて調べることが必要だ。
 いまのところ、社会的な目的をもったテロ攻撃ではなさそうだ。ただ、わざと障害物をレールに置いたり、まくら木のボルトにいたずらをした可能性が残るようなら、外部行為の捜査は欠かせまい。
 原因究明と合わせて、鉄道の安全運行のあり方もこの際、見直しておきたい。以前から指摘されている都市部の過密ダイヤのほか、効率化・合理化に伴う保守点検の粗さ、コンピューター管理への過度の依存などである。
 また、今回の事故だけみればアルミ車両のもろさが被害を大きくしているようにもみえる。鉄道車両も自動車も重量を軽くするアルミ使用の方向だが、人命よりスピード優先ばかりであってはなるまい。車両構造をより強く安全にする工夫がいるのではないか。
 政府の対応は比較的早かった。首相官邸の危機哲理センターに連絡室を立ち上げる一方、運輸省に対策本部を設けた。また、昨年6月に発足した鉄道事故調査検討会も初めて出動した。
 わが国が得意とした「ものづくり」に問題が起きる例が相次いでいる。今回の事故にも新幹線のコンクリート崩落や東海村の臨界事故などに共通する病根が潜んでいないかどうか。それらの面も含めより幅広く安全システムを調査点検し、結果をすべからく公開すべきだ。(京都新聞)
■近鉄「新祝園駅」急行 停車で奈良交通 循環バスを増便へ
 奈良交通(本社・奈良市)は、近鉄「新祝園駅」の急行停車に伴って15日から、同駅やJR片町線「祝園駅」と、関西学研都市の中核地域「精華・西木津地区(相楽郡)」を結ぶ循環バス路線「光台住宅線」(1周10.5`)を増便する。全面的にダイヤを見直し、昼間は従来の1時間1、2便を3便に増やし、主に近鉄急行との接続に配慮する。
 両駅と同地区内のNTT京阪奈ビルをノンストップで結ぶ「NTT急行系統」(4.3`)も、朝と夜に各1便増やす。
 光台住宅線は、従来の外回り循環を廃止し、内回り循環だけに統一する。増便は、午前6時58分「光台三丁目」発のほか、昼間の運行を従来の30分間隔から15分間隔と30分間隔を織り交ぜたダイヤに改める。
 この結果、平日は55便から64便に9便増え、土曜日は41便から49便の8便増、日祝日は32便から37便の5便増となる。(京都新聞)
■低公害の市バス目指す 来月から横大路営業所 バイオ燃料と軽油混合
 京都市交通局の下薗俊喜管理者は8日、3月定例市議会本会議で、4月1日から市バス横大路営業所(伏見区)の車両に、使用済み食用油を精製した低公害の「バイオ・ディーゼル燃料」と軽油との混合燃料を使用することを明らかにした。同燃料は現在、市のごみ収集車で利用されているが、資源リサイクルとクリーンな排ガスとするため、市バスにも拡大。「地球にも人にもやさしい市バスを目指す」としている。
 バイオ・ディーゼル燃料は軽油と比べ、黒煙の発生が3分の1、二酸化炭素の排出量が1割少ないなどの利点がある。市は1997年から廃食用油の回収を始め、民間会社に精製を委託、210台のごみ収集車の燃料(日量4500リットル)に使っている。さらに自前の精製プラント建設に向け、新年度一般会計当初予算案に設計費6300万円を計上、本格的な生産に乗り出す。
 一方、市バスも排ガス抑制に向け、順次低公害バスに切り替えており、98年度末で772台中、天然ガス燃料バス16台、アイドリングストップバス45台が運行している。
 バイオ・ディーゼル燃料については、通常のディーゼルエンジンにそのまま利用できる点に着目し、97年から車両2台でバイオ燃料の混合率などを変えながら走行試験を実施していた。このほど、通産省や運輸省などの承認が得られる見通しになり、使用に踏み切ることにした。
 導入するのは同営業所の車両86台のうち、天然ガス燃料の5台を除く81台。馬力の問題やエンジンへの負担軽減のため、軽油8に対しバイオ・ディーゼル燃料2の割合で混ぜて使用する予定。(京都新聞)
■車体の空気バネ異状か 脱線事故事故調指摘 営団は否定的見方 死者4人に
 東京都目黒区の営団地下鉄日比谷線の中目黒駅付近で、北千住発菊名行き下り電車が脱線して対向電車に衝突、4人が死亡した事故で、運輸省の鉄道事故調査検討会(座長=井口雅一・東大名誉教授)は8日、脱線車両の台車にある、車体のクッション役である「空気バネ」に異状があり、脱線につながった可能性のあることを明らかにした。台車の左側にある空気バネが機能せず、車体の右側が浮き、車輪がレールから落ちたともみられる。検討会は、空気バネのパンクが衝突の衝撃で発生したことも考えられるとして、レールの状況などともあわせて調査を進める。営団側はこの調査に対し「パンクではなく、脱線の原因とは考えにくい」としている。
 検討会によると、空気バネは厚さ5−6_のゴムでできている直径約50aのタイヤ状のもので、一つの車両に4つ装着されている。このうち左前部の空気バネがパンクし、壊れていたとした。原因はわからないが、走行中にパンクしたとすると、車体が左に沈むことで右側の車輪が浮く可能性が考えられるという。
 検討会の委員が現場を調査したところ、空気バネの不具合以外は、車軸が折れたり、車輪に亀裂が入ったりするなど外観上の目立った異状は見つからなかった。
 また、事故車両は比較的新しく、金属疲労なども考えにくいという。脱線した車両の前部分の車軸外側についている軸箱に傷がついていたが、脱線・衝突後に橋りょうけたにぶつかった可能性が高いという。
 営団地下鉄の設計課担当者は「空気バネのパンクだとしても、3、4aしか沈まない。高さ調整弁が働き、反対側が大きく傾くことはあり得ない」としている。
 運輸省などは、下り電車は、中目黒駅から約170b霞ヶ関方面寄りの地点で、最後尾車両の車輪がレールから脱輪したとみている。その後、下り電車は、コンクリート製まくら木の上を約50b走行。保守車両の引き込み線用ポイントのレールに沿うように、上り線側にはみ出し、すれ違った上り電車の5、6両目に衝突したらしい。
 現場付近は、かなりきつい左カーブの上りこう配。レールには潤滑油を出す装置がついているが、検討会では、十分な潤滑油が出ていたかなどについても検証が必要、と指摘している。
 また、重体のため目黒区の国立東京医療センターに運ばれていた乗客の南日本新聞東京支社員槇保代さん(37)=東京都目黒区=が死亡、現場で亡くなった男性は、麻布高校2年の富久信介さん(17)=横浜市西区=、女性は会社員山崎智美さん(29)=同市港北区=と分かった。特許庁職員藤井新也さん(33)=目黒区=も亡くなった。警視庁によると、重体が3人、重軽傷が30人となった。(朝日新聞)
■友が妻が まさかの朝 東京・脱線衝突事故 17歳、ボクサーの夢/新婚、支社を支えた
 8日朝。私立麻布高校2年の富久信介君(17)は英語の期末試験を受けるため、横浜市の自宅を出た。東京都港区にある学校に向かう途中、この電車に乗り合わせた。南日本新聞社東京支社の槙保代さん(37)は、目黒区の自宅から日比谷線で銀座に向かうのがいつもの通勤ルート。横浜市港北区の会社員、山崎智美さん(29)、目黒区の特許庁職員藤井新也さん(33)も通勤途中、事故に巻き込まれ死亡した。営団地下鉄日比谷線の脱線・衝突事故。通勤通学の光景が一変した。
 麻布高校ではこの日、期末試験の最終日で、1時間目が地学、午前9時35分開始の2時間目が英語だった。富久君は1時間目のテストの地学を選択していなかったので、2時間目からだった。
 富久君は高校1年のとき、好きだったボクシングの部を作りたいといい出し、たった一人で部を立ち上げた。
 当時担任だった村上健教諭(35)は「どうしても試合に出たい。そのためには部を作る必要がある」と頼まれたという。
 自宅近くの横浜市神奈川区のジムにも通った。大橋秀行会長(35)は「東大生プロボクサーになる、と話していたのを思い出します。文武両道のボクサー誕生を期待していたのだが」と肩を落とした。
 昨年秋にはラグビー部にも入った。まったくの初心者だったが、今年2月の新人戦ではレギュラーを獲得。フランカーやロックなど相手との接触が激しいポジションを任された。
 事故現場から目黒区の国立東京医療センターへ運ばれた槇さんは、頭に大けがをしており、意識がなかった。すぐに手術が始まったが、午後零時47分、亡くなった。夫はショックを隠しきれない様子で、医師らに「今は何も考えられない」と話したという。
 昨年7月に結婚したばかりだった。自宅マンションの家主の妻は「穏やかな良い方でした。なんであの奥さんがこんな目にあうのか」と話していた。
 槇さんの勤務先の南日本新聞社東京支社によると、1982年の入社以来ずっと東京支社の庶務課で、総務・経理分野を担当していた。「すべてを任せられる、非の打ちどころがない仕事ぶりでした」と、同支社の上別府正・営業部長は話した。
 支社は社員13人。ほかの社員が3、4年ほどの任期で支社と鹿児島市にある本社の間を異動する中で、槇さんは支社のすべてを知りつくしているたった一人の存在だったという。
・動物好きの優しい女性 山崎智美さん
 山崎さんは、両親と暮らす横浜市の自宅から東京都渋谷区にある会社に通勤する途中に事故にあったとみられる。8日夜、目黒署で遺体が山崎さんと確認されると、家族らは泣きはらした様子で署を後にした。
 自宅近くの主婦の話では、動物好きの優しい女性で、けがをした野生のハトを助けて自宅で面倒を見ていた。ハトは回復した後も山崎さんの家を毎日訪れ、近くの子どもたちからは「お柿ちゃんのハトだ」と親しまれていたという。
 山崎さんが幼いころにピアノを教えていた女性は「笑顔のかわいい子だったのに」と話していた。
・軽さ重視、大破招く?
 衝突した車両は、下り菊名行きがアルミ合金製、上りの竹ノ塚行きはステンレス合金製。衝突の結果、アルミ製の下り電車の側面は根こそぎねじり取られた。アルミはステンレスより強度が低いが軽い。軽さを重視する新型車両によく使われる。素材の強度に差がある電車が衝突したため、強度が低いアルミ製電車の側面が大きく破壊され、飛び散った破片で乗客への被害を拡大させたとの指摘もある。
 最新型の車両に使われることが多いアルミ合金製の車両は、燃費もよく経済的だ。左右に3つずつある乗降口は、その前の型よりも10a広くした140a。窓は「立った客の視界を考慮して」設計上、許される範囲まで大きくしている。建物の「壁」に当たる部分は、窓とドアとの間の1b弱の部分しかない。事故の衝撃で大きく破損し、部品の一部は込み合う上り電車の方に飛んだとの見方もある。
 かつての車両はほとんどが鋼鉄製だったが、新型車両は軽さやメンテナンスコストの安さを理由に、いずれもステンレスやアルミ製に置き換わっている。最近はアルミが増えている。鉄道各社は「素材の力は弱いが、厚みや構造を工夫しており、車体としての強さは変わらない」と説明する。
 しかし、車体の強さとして重視されるのは、客の荷重や連結器の振動に耐えられるかなど、通常の走行状態だけ。今回のように、側面衝突の場合に、素材の弱さがどう影響するかはとくに問題にされていないという。
 営団側は「車体への力の掛かり方を詳しく分析しないと、素材の強度がどのように影響したかはわからない」と話している。
・死亡・けがの方々
 地下鉄日比谷線の脱線・衝突事故で死傷した35人は次の通り。(敬称略)
 《死亡》富久信介(17)=横浜市西区=、槇保代(37)=東京都目黒区=、山崎智美(29)=横浜市港北区=、藤井新也(33)=目黒区
 《重体・重傷》横山陽子(32)、安島美穂子(34)、依戸裕之(29)、稲枡徳仁(31)、鎌田美香(34)
 《入院が必要なけが》松山歩(23)、原田民子(22)、増永裕子(42)、梅原靖文(61)、磯田頼子(32)、滝沢克朗(38)、松下恭子(30)
 《軽傷》安達忍(24)、小暮範子(19)、佐藤弘幸(23)、田上正博(36)、高山和美(25)、後藤恵美子(25)、宮本紗公子(16)、安井直子(28)、佐々木真紀子(43)、梅津まり子(52)、土谷真(28)、岡田さおり(23)、大谷聡(44)、杉山弘忠(25)、能登章(32)、万方潤(52)、中島章雄(64)、宮本哲夫(24)、岩塚久美(27)(朝日新聞)
■天声人語
 鈍い刃物で瞬時に切り取ったかのように、あるいは強烈な爆風が駆け抜けたかのように、下り電車の車両1両の側面が、窓やドアごと、すっぽりなくなっている。ほどなく否定されたが、テレビの第一報は「爆発物?で脱線か」だった。東京の地下鉄で、大惨事が起こった▼もし、といっても意味はない。そうわかっていながら、もし、と考えてみたくなる。もし脱線しただけだったら、被害はここまで大きくはならなかっただろう、と。折あしく上り電車がすれ違い、衝突したため、事態はいっそう悲惨になった。年配者のなかには「鶴見事故」を連想した人もいたかもしれない▼1963年11月9日、横浜市鶴見区の東海道線で起こった事故だ。最初に、下り貨物列車が脱線。そこへ前から来た上り電車が突っ込み、跳ね返った車両が、もう一つ外側の線路を走っていた下り電車に激突した。この二重事故で161人が亡くなり、多数の重軽傷者が出た▼貨物列車はダイヤよりも遅れていた。また下り電車も遅れていたが、速度を上げ、遅れを取り戻そうとしていた。そんなわけで、ふだんならすれ違わない場所で、3本の列車が交錯する結果になった。しかも、このダイヤの乱れは、数日前に東海道線であった不通事故に遠因があったという。いくつもの「もし」を考えたくなる事故だった▼しかし、別の「もし」もある。脱線したところへ別の電車がさしかかったとしても、もし衝突を防ぐような手だてが施されていたら、必ずしも大事故にはならなかっただろう、と。もし脱線防止のために考えられる万全の措置がとられていたら、脱線そのものが起こらなかったのではないか、と。当事者は、この「もし」を現実にする責務がある▼地下鉄事故で亡くなった方のごめい福を祈り、負傷した方の少しでも早い回復を、と切に願う。(朝日新聞)
■社説 日比谷線事故 鉄の魂が乗客を襲った
 銀色の側面がめくれたようにはぎ取られ、座席や手すりは飛び散って原形をとどめていない。大破した車両の姿が、乗客の味わった恐怖を物語る。
 東京の営団地下鉄日比谷線で起きた脱線、衝突事故は、30人以上の死傷者を出す惨事となった。たまたま、その時間、その電車に乗っていたために亡くなった方々が、お気の毒でならない。
 事故は、通勤ラッシュのピークが終わろうとしていた午前9時すぎに起きた。
 トンネル部分から出てきた8両編成の下り電車の最後尾車両が脱線して、上り線路側にはみ出した。そこへ、その直前に始発駅の中目黒駅を出て加速中だった上り電車の後ろよりの車両がぶつかった。
 脱線した電車には、約240人が乗っていた。衝突した電車は都心方向へ向かっており、通勤客ら約1300人が乗っていた。こちらの乗車率は120%だった。
 上り電車の衝突した車両に乗っていた乗客によれば、窓ガラスを破って大きな鉄の塊が飛び込んできたという。脱線した下り電車の車体だった。鉄の塊に数人がなぎ倒され、下敷きになった。割れたガラスが顔や首に突き刺さった人が大勢いた。
 1941年に創立された営団地下鉄で、脱線などの事故によって乗客が死亡したのは、初めてのことだ。
 営団地下鉄は、自動列車制御装置(ATC)などの導入も早く、安全管理の優等生といわれてきた。「安全神話」の崩壊は、当の営団だけでなく、監督責任のある運輸省にも大きな衝撃を与えている。
 事故の直接の原因は、下り電車が脱線したことだとみられている。専門家によれば、今回のように最後尾の車両が脱線することは比較的まれだという。このため、線路ではなく、車両の側に問題があったのではないかとの見方も浮上している。
 事故を受けて運輸省は、専門家を集めた事故調査検討会を設置した。
 ポイントもない場所で、なぜ脱線したのか。何らかの前触れや異常は検知できなかったのか。脱線を想定した安全対策はとられていたのか。2、3分に1本という過密ダイヤに無理はなかったのか。
 再発防止のためには、あらゆる可能性を視野に入れた徹底的な原因調査が行われなければならない。
 地下鉄は、都市の住民にとって、なくてはならない日常の足である。東京では、営団地下鉄だけで年間の乗客は延べ20億人を超す。1日あたりにすると、約570万人もの人々が利用している計算だ。その便利さは、何ものにも代え難い。
 であれはこそ、安全の確保は絶対の要請である。営団や運輸省は、今回の事故を従来の常識を覆す重大事ととらえ、根本から安全対策を練り直す責任があろう。
 政府は、事故の情報収集と対応を一元的に進めるため、首相官邸の危機管理センターに「連絡室」を設置した。当面の対策にとどめず、地下鉄を含む鉄道全体について安全性の総点検を進めてもらいたい。
 東京圏で人の移動に用いられる交通手段は、JRと私鉄、地下鉄を合わせた鉄道が全体の55%に達する。時間通りに運行される定時性とともに、乗用車などに比べて安全だという利用者の信頼感が、鉄道を支えているといっても過言ではない。
 乗客が何の不安も感じずに、電車の揺れに身を任せる。その時間を提供することこそが、鉄道会社の最大の責務である。(朝日新聞)
■伏見の栢下さん、介助犬と新幹線試乗 京都−新大阪往復 主人助け 訓練の成果アピール「支援の輪広がって」
 体の不自由な人を手助けする「介助犬」。伏見区の車いすの女性が8日、介助犬と一緒に旅行に出かけようと、新幹線に試験乗車した。介助犬は国内にはまだ十数頭しかおらず、交通機関や宿泊施設の利用を断られることも多い。関係者らは「支援の輪が広がってほしい」と期待する。
 伏見区の栢下綾子さん(37)は、去年の4月からラブラドルレトリーバーの介助犬「ジョイナー」(メス、3歳)と一緒に暮らす。
 手足が不自由な綾子さんにとって、ジョイナーは欠かせないパートナーだ。カーテンを開け閉めし、着替えの時には服を脱がせてくれる。父の良一さん(72)は「娘の表情が明るくなった。ジョイナーのおかげ」と喜ぶ。
 だが、困るのが旅行だ。ジョイナーは昨年春、市営地下鉄から乗車を許可された。だが、遠くへ出かける際は、良一さんが運転する乗用車に頼りきりだった。
 綾子さんらは先月、親子3人で東京ディスニーランドヘの旅行を計画。介助犬と一緒に新幹線に乗りたいとJRに申し出たところ、「一般の乗客に迷惑をかけないか、事前に審査させてほしい」と返事があった。
 この日、綾子さんは自宅近くの駅から地下鉄に乗りり、JR京都駅で新幹線に乗り換えた。新大阪駅までを往復する間、JR職員がチェック。ジョイナーはエレベーターのボタンを押すなど、日ごろの訓練の成果を見せた。列車内では綾子さんの横におとなしく座り込んでいた。
 審査の結果が出るまでしばらく時間がかかるが、綾子さんは「ディズニーのパレードを見たい」と顔をほころはせた。
 ジョイナーを訓練した「介助犬をそだてる会」(北区、坂根毅彦代表)によると、訓練には1年から1年半、1頭あたり200万円近くかかる。
 同会事務局の西田英夫さんは「介助犬は障害者の体の一部。もっと多くの人に知ってほしい」と話す。問い合わせは同会事務局(075・495・0419)へ。(朝日新聞)
■住宅と同時ひび 新幹線2枚目まで 投石?可能性強まる
 東海道新幹線新大阪−京都間で2月、「こだま」の窓ガラスにひびが入ったのとはぼ同時刻に沿線のマンションでも、石が窓ガラスを突き破って住民がけがをした事故で、こだまの窓ガラスは通常の10倍近い強い衝撃を受け、ひびが3枚重ねのガラスの2枚目まで入る特異な事故だったことが8日、JR東海の調べで分かった。投石など人為的な可能性が強まったという。同社と大阪府警は両事故の因果関係は現時点では不明だが、マンション内に散乱していた石の分析などから原因の究明を進める。
 JR東海によると、事故は2月4日午後6時半ごろ、大阪市東淀川区内で起きたとみられる。「こだま423号」7号車の窓ガラス1枚に何かがぶつかった痕跡が車体とガラスに3ヵ所あり、約40aにわたってクモの巣状のひびが入っていた。こだまの通過とほぼ同じころ、新幹線の高架橋沿いのマンション3階で線路に面した窓ガラスが割れ、室内にいた男性の左目付近に何かがぶつかり、男性は出血し、打撲するけがをしていた。
 同社がメーカーに依頼して調べた結果、こだまの一番外側とその内側の普通ガラスの計2枚にひびが入っていた。通常ひびが入る力の10倍近い衝撃力がかかって、ほぼ真横から何かがぶつかったらしい。ガラスや車体から付着物はみつからず、衝突物の特定はできなかった。線路内のバラストが跳ね上がってぶつかった可能性は低く、投石などの可能性が強まったという。
 マンションの室内には約5a大の石が3つ散乱し、府警科学捜査研究所で成分を分析している。男性は新幹線の方向から石が飛んできたらしいと話しており、JRと府警は、石がいったんこだまの窓ガラスや車体にぶつかった後、跳ねてマンションの窓ガラスに衝突した可能性もあるとみている。
 東海道・山陽新幹線では昨年10月以降、ガラスにひびが入る事故が頻発。今回のように2枚目まで窓ガラスにひびが入ったのは、山陽新幹線のこだまでクモの巣状のひびが入った昨年11月7日の事故1件だけで、投石など人為的な可能性も高いとされている。(朝日新聞)
■青鉛筆
 4月に開業する一畑バス(本社・松江市)は、松江出身の漫画家・故園山俊二さんが朝日新聞に連載した「ペエスケ」をデザインした観光バスを走らせる。
 出雲大社と城下町松江などを巡る定期観光バスに活用する。赤字に苦しむ一畑電鉄のバス部門が分社化するのに合わせて導入する。車両は新車でなく、旧車両の再塗装。
 宍道湖のほとりには、ペエスケの息子平太と愛犬ガタピシの銅像も立っている。5年以内の黒字転換を目指す同社は「園山さんの人気にあやかり利用者を増やしたい」。(朝日新聞)
■市バス五条営業所を売却 京都市交通局、赤字圧縮へ事業再編 「ローム」へ26億9000万円
 京都市交通局は9日までに、市バス事業の経営健全化策として、京都市右京区西京極の五条営業所の敷地約9900平方bを、半導体メーカー「ローム」(本社・右京区)に売却することを決めた。売却価格は26億9000万円で、今月中に正式な売買契約を結ぶ。五条営業所は2001年度に廃止し、業務を梅津営業所などに移管する。慢性的な赤字に悩む交通局が、市などに公共用地として営業所を売却した例はあるが、民間に敷地を丸ごと売却するのは初めて。
 五条営業所は、1961年に市有地を取得して営業を始めた。観光地を回るチンチンバスなど9系統と、唯一の定期観光バスの車庫として計120台を保有する。職員は202人。ただ、98年度の決算で、6億3400万円の営業赤字を出している。
 市交通局は、96年から取り組んでいる4ヵ年の市バス経営健全化計画「今後の展望」で、運賃の値上げ、給与の見直し、一般会計の支援などのほか、用地の売却で99年度末の不良債務の見込み額312億円を60億円まで圧縮する目標を立てた。
 この中で五条営業所についても、市西部の営業所の統廃合を進めるために用地売却を決め、99年度当初予算に特別収益として27億3700万円を計上していた。売却先を探した結果、先月下旬、同営業所に本社が近いロームとの間で合意に達した。
 交通局は、97年度に醍醐営業所を廃止し市住宅供給公社に、錦林営業所の一部を保育所用地として市に売却した。
 五条営業所の機能は、市バス全体の運行計画を見直す中で、来年度以降に海津や洛西の営業所などに移管する予定。その後、用地を更地にしてロームに引き渡すが、この間は同社に賃料を払う。
 今回の売却益とともに、経営改善に効果があったとして同額が市の一般会計から市バス事業会計に繰り入れられるため、99年度末の不良債務は計画を上回る42億円にまで圧縮できる見込み。
 五条営業所の廃止で市西部地域の市バス事業再編は避けられないが、交通局は「市民の利便性を確保しつつ適正規模の運行に向け努力を続ける」と話している。(京都新聞 夕刊)
■地下鉄脱線衝突 上り4両目に接触痕 警視庁 事故車両、線路を検証
 37人が死傷した営団地下鉄日比谷線の脱線・衝突事故で、警視庁目黒署捜査本部は9日午前、業務上過失致死傷容疑で、東京都荒川区南千住にある営団千住検車区に運び込んだ事故車両の検証を、運輸省鉄道事故調査検討会の立ち会いで始めた。
 既に事故現場からコンクリート製のまくら木やレールを同検車区に運んでおり、上下線の電車の台車や車輪、線路の破損状況を中心に調べた結果、上り電車の4両目にも接触痕があることが分かった。
 また、脱輪痕があった場所からトンネル寄りに約5bにわたり、右の車輪のツメ部分(フランジ)がレールに乗り上げた跡があった。捜査本部などはこの地点から脱線が始まったとみて、詳しく調べている。
 一方、営団地下鉄は徹夜で現場に脱線防止ガードを設置、事故車両と同型の336両の台車の緊急点検を終え、9日午前5時の始発から、事故以降不通になっていた恵比寿−中目黒間も含め全線で、20時間ぶりに運転を再開した。(京都新聞 夕刊)
■「電車に乗るのが怖い」 脱線・衝突の中目黒駅 乗客の不安消えず
 地下鉄日比谷線の脱線・衝突事故から一夜明けた9日、事故現場から最も近い東京都目黒区の中目黒駅は、日比谷線が始発電車から全線で復旧し、早朝から通勤・通学の乗客らでいつも通りの混雑。駅ホームや周辺は人波に包まれた。
 しかし、駅改札には「このような事態が発生することのないよう努力する」と記された営団地下鉄のおわびが掲示され、利用客からは「何となく怖い」「自分が事故に遭う可能性もあった」と不安の声が漏れた。
 目黒区の会社員(35)は「今回の事故は偶然とは思えない。日ごろの安全管理の不備が引き起こしたのでは」。通勤に日比谷線を使う女性(51)は「朝起きて電車に乗るのが怖かった。安全には本当に気を付けてほしい」と不安そう。
 日比谷線に乗り入れている東急東横線沿線に住む大学生、宮崎良介さん(21)はこの日、就職活動のため日比谷線を利用。「普段使っている電車だけに怖かった。自分が事故に巻き込まれてもおかしくなかった」。
 駅職員の一人は「今日は職員もいつもより緊張した雰囲気。二度とこんな事故が起きないよう努力したい」と気を引き締めた。
 一方、中目黒駅近くの事故現場は、事故車両の撤去も終わり、前日と打って変わり、ひっそりとした雰囲気。供えられた白い花束と、撤去作業に使われた投光器だけが残されていた。
・営団が医療費など全額負担
 地下鉄日比谷線の脱線・衝突事故で営団地下鉄(東京)は9日、事故による負傷者の医療費や交通費などについて全額負担する、と発表した。
 同社によると、これまで把握している死傷者は、死者4人、負傷者34人。負傷者の内訳は入院が11人、入院に至らなかったけが人が23人。この中には「むち打ちになった」などと事故後、本社に電話で連絡してきた人もいた。
 営団側は今後、同様の届け出が増えるとみており「亡くなった方への補償やけが人の医療費負担に加え、休業補償なども検討していきたい」と話している。(京都新聞 夕刊)
■脱線事故 車両検証、始まる
 営団地下鉄日比谷線中目黒駅付近で起きた脱線・衝突事故で、警視庁目黒署の捜査本部は9日午前、営団地下鉄千住検車区=東京都荒川区南千住四丁目=で、衝突した双方の車両や脱線した下り線のレールの検証を始めた。脱線車両の台車に何らかの異状があった可能性があるとみられ、台車やレールを中心に調べる。また営団地下鉄は、下り電車は脱線後、引き込み線用ポイントによって、進行方向右の上り車線側に押し出されて衝突したとみており、衝突直前の脱線車両の走行経路についても調べる。運輸省の事故調査検討会も本格的な調査を始めた。(朝日新聞 夕刊)
■地下鉄事故 車軸、なぜ2本だけ脱輪 徐々にレール外れた痕跡
 営団地下鉄日比谷線で脱線、大破した車両は9日未明、車庫に移され、運輸省の専門家や警察による本格的な事故原因の究明が始まった。「決定的」といえる原因はまだ見つかっていないが、これまでの調査から「3つの焦点」が浮上している。
 ■2本の車軸
 1両の電車車両には台車が2つあり、それぞれに車軸が2本ずつ付いている。日比谷線の脱線事故では、最後尾車両の計4本の車軸のうち、前の2本の車軸の車輪だけが脱輪していた。2本の車軸がなぜ、どのように脱輪したのか。それが、原因解明のかぎだ。
 脱線した電車は、駅手前の地下鉄のトンネルを出て、約50bの地点で脱輪した。脱輪地点までの5−6b間、車両は脱線をこらえるようにレール上にとどまった痕跡があった。
 電車の車輪は、転がり面につけられた傾斜と「フランジ」と呼ばれる突出部分によって、ハンドルがなくてもレールに沿って滑らかに造る仕組みだ。フランジは、レールの内側にひっかかるような形になっているため、脱輪を防止する役割も果たす。
 脱線車両の最前部の車軸は、右側のフランジが5−6b間にわたって、レール上をこすった後、脱輪した。この真後ろの車輪のフランジも、引っ張られるようにして短時間レール上にひっかかった後、レールから落ちた跡があった。
 ■せり上がり脱線?
 車両は一気に脱輪したのではなく、徐々に右側に引っ張られるようにして脱輪したとみられる。このようなケースは「せり上がり脱線」「乗り上がり脱線」と呼ばれ、カーブなど車体のバランスが悪くなったときに、一部の車輪が浮き上がって起きるという。
 しかし、カーブを通過する条件はすべての電車に共通だ。なぜ今回の電車だけ脱輪したかについて、鉄道関係者の間では、脱線車両に規格外の部品が使われていたり、部品の取り付け寸法に問題があった可能性を指摘する声もある。
 たとえば、前の2本の車軸が平行に取り付けられていなければ、取り付けボルトが抜けたり、車両が一方向に引っ張られるように走行したりする場合もあるという。
 検討会は、脱線車両の台車や空気バネ定数を含めて、詳細に調査する必要があると指摘している。
 ■軸受け
 車輪の回転をスムーズにするとともに、車体を支える役割を担っているのが、車軸に取り付けられている「軸受け」と呼ばれる部分だ。金属製だが、かなり重量がかかり、車輪の回転によって損傷が生じやすいとされる。
 事故発生当初は、軸受けに異常な摩擦が発生するなどして、車軸と固着したり、破損したりした可能性も注目されていた。
 しかし、運輸省の事故調査検討会の調査では、軸受けが摩擦による熱を持ったり、変色したりした形跡はなかった。また、軸受けに何らかのトラブルが発生した場合は、運転席に知らせる警告システムがあるが、営団によると、運転士は「異常には気づかなかった」と話している。
 ■レール
 検討会の8日の調査では、レールに目立った異状は見つからなかった。事故現場は比較的きつい左カーブで、しかも上りこう配だ。このようなカーブの前には、車輪の摩耗を防ぐため、車両が通過すると一定量の潤滑油がスプレー状に出る「塗油器」と呼ばれる装置がレールの内側にある。
 事故現場でも潤滑油が出た痕跡はあったが、検討会では「油が十分でなければ、車輪がせり上がっていく可能性もある」として、塗油器の作動状況も調べることにしている。一方、警視庁は、衝突した車両とともに、現場付近のレールも証拠として差し押えた。(朝日新聞 夕刊)
10日■日比谷線脱線事故 「せり上がり」確認
 営団地下鉄日比谷線の脱線衝突事故で運輸省鉄道事故調査検討会は9日、レールに残った傷跡から、脱線した下り最後尾車両は右側車輪のツメ部分(フランジ)がレールに乗り上げて脱線する「せり上がり(乗り上がり)現象」に陥っていたことを確認した。なぜ乗り上げたかは、いぜん解明できていない。
 また現場付近のレールは約3ヵ月前に、脱線した車輪は約5ヵ月前に、それぞれ表面を削り取る整備作業をしていた。整備時の削り取り方が粗いと表面がざらつき、車輪との摩擦が増大して乗り上げ現象を誘発しやすいことから、同検討会は表面部分のざらつき具合を詳細に調べている。
 運輸省などによると、レールや車輪の表面は電車の走行が重なると細かな傷が付くため、金属の表面を薄く削り滑らかにする整備作業が定期的に行われる。
 営団によると、事故現場区間のレールは昨年12月18日、自動研削機で0.2_から0.3_削られた。一方、フランジが乗り上げた車輪の研削も同年10月5日に実施、直径が839.2_から834.4_に、フランジ部分の長さは30.1_から27.9_に削り込まれたという。
 検討会は、こうした車輪直径やフランジ長の変化が、急カーブのレールとかみ合わずに乗り上げた可能性もあるとして、脱線原因の究明を進める。
 脱線車両は脱線寸前の約5bにわたり、フランジがレール上を通った痕跡が残っていた。
 軌道の専門家によると、削りたてのレールや車輪の表面は、削りかすが残ったり研磨傷が付くなどで、ざらついていることが多い。通常はさらに表面を精密に磨くなど、強い摩擦が発生しないようにしてから電車を運行させる。
 運輸省によると、削り取り整備から間もない車輪の脱線事故は昨年11月22日、鹿児島市のJR西鹿児島駅構内で、入れ替え作業中の回送列車(7両)の4、5両目だけが脱輪したケースがある。時速約25`で、左へ曲がるポイント通過時に起きており、同省は「今回の事故と類似している」とみている。
せり上がり脱線 車輪のツメ部分(フランジ)がレールに押し付けられ、摩擦力でレール側面に沿ってせり上がり、レール上をフランジが不安定状況のまま転がり脱線に至ること。通常走行ではフランジはレール側面に接触しない仕組みになっており、線路幅のゆがみや車輪形状の異常などが原因であることが多い。仮に接触しても摩擦が強まらないよう、カーブ区間ではレールに潤滑油が塗られている。(京都新聞)
■日比谷線事故究明を 運輸相に信楽遺族の会
 東京都の営団地下鉄日比谷線で8日朝、電車が脱線衝突し死者4人を出した事故で、1991年5月に発生した信楽高原鉄道列車事故の遺族らでつくる鉄道安全推進会議(事務局・京都市)は9日、事故原因の徹底的な究明などを求める要望を二階俊博運輸大臣に出した。要望では、昨年9月に運輸省内に発足した鉄道事故調査検討会に対して「車両の設計や保守点検、電車の運行管理などのさまざまな分野に視野を広げ、徴底的な原因究明を期待する」などとしている。(京都新聞)
■地下鉄サリン事件民事訴訟 井上被告らに賠償命令 東京地裁 全額認め6億6800万円
 地下鉄サリン事件の遺族ら41人が元オウム真理教幹部井上嘉浩被告(30)らに総額6億6800万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が9日、東京地裁であり、西岡清一郎裁判長は、請求通り全額の支払いを命じる判決を言い渡した。
 当初、教団と松本智津夫被告(45)=教祖名麻原彰晃=ら15人を相手にしたこの訴訟では、既に松本被告ら6人が賠償を命じる判決を受けたほか、2人が請求を全面的に受け入れる認諾の手続きを取った。
 今回判決を受けたのは、井上被告をはじめ遠藤誠一被告(39)ら6被告と、特別手配中の高橋克也容疑者(41)の計7人。
 教団との間では1997年12月に裁判が終了し、教団の破産手続きの中で行われた中間配当で、約2億4400万円が既に原告側に支払われている。
 弁護団の宇都宮健児団長は記者会見し「全面勝訴の判決は得たが、現実に全額の支払いは難しいと思う。信者側は判決を厳粛に受け止め、控訴はやめてほしい」と述べた。
 また原告の男性(40)は「妹は今も入院し寝たきり。判決は一つの区切りかもしれないが、わたしたち家族の地下鉄事件はこれからも続く」と話した。(京都新聞)
■淡路花博へ高速バス 阪急バス18日から
 阪急バス(大阪府豊中市)は9日、兵庫県・淡路島での国際園芸・造園博「ジャパンフローラ2000」(淡路花博)開幕に合わせ、18日から大阪−淡路花博会場間に高速バスを運行すると発表した。9月17日まで。運賃は片道大人1500円、子供750円。
 1日1往復の直通便のほか、淡路交通と共同運行している大阪−津名・洲本線でも、1日4便の洲本行きのみ「高速淡路花博」バス停に臨時停車する。(京都新聞)
■京都市バスの五条営業所売却 市の支援期間切れ直前の”駆け込み” 体質改善急務 健全化、厳しく
 京都市交通局は9日、右京区西京極の市バス五条営業所を半導体メーカー「ローム」(本社・右京区)に約27億円で売却することを明らかにした。これは赤字に悩む市バス事業の合理化の一環。1996年度から始まった市バス経営健全化計画「今後の展望」の取り決めに従い、売却価格と同額が、一般会計からの支援として市バス事業会計に繰り入れられることになる。同計画は本年度末が期限なので、ぎりぎりで間に合った格好で、当面は健全化計画の目標を達成することになる。
 市バス事業は、乗客離れや、高い人件費などで15年近く赤字経営が続いている。度重なる運賃値上げでその場をしのいできたが、96年に、99年度末の不良債務が312億円に膨らむと分かり、抜本的な経営改善に取り組むことになった。
 その合理化策が「今後の展望」。4年間で不良債務を60億円まで圧縮するため、運賃値上げや給与制度の見直しとともに、営業所の用地売却も柱にすえた。一般会計の支援策も設定された。このため、地下鉄東西線開通に伴い醍醐営業所を廃止し、錦林営業所を縮小したが、本年度は、五条営業所を処分しなければならなかった。
 市は今回の売却を見越して、3月定例市議会に提案した本年度一般会計補正予算に、売却価格に本年度の別の合理化分を足した支援費28億2300万円を計上した。4年間の支援総額は92億8000万円にのぼる。こうした取り組みがあって、市バスは本年度末の不良債務を、目標を上回る42億円まで削減する見込みが立った。
 だが、これで市バスの合理化策が完了したわけではない。交通局は新年度から、全職員の給与5%以上カッ卜などを盛り込んだ新たな経営健全化策「プログラム21」を始める。プログラム21は、2000年度当初予算案で約50億円ある経常赤字を、4年で収支均衡に持っていき、返す当てのない借金である不良債務が生じないよう、経営体質を強化させるのが狙いとなる。今回の対策には、一般会計の支援は盛り込まれていない。五条営業所の売却を最後に、今後は民間並みの経営努力が求められる。(京都新聞)
■JR山陰線上り 亀岡発2本増発 今秋から ラッシュ時、3本快速
 京都市の山口巌建設局長は9日、3月定例市議会の代表質問で、今秋に開業する予定のJR山陰線二条駅−花園駅(約2.1`)間の複線化によって、午前7時半から8時半までのラッシュ時の上り電車(京都駅行き)が、現在より2本増えて8本になり、うち3本が新たに快速として運行されるという見通しを明らかにした。
 同区間は1996年に単線として高架化された。さらに97年度からは総事業費98億円をかけ、両駅間の中京区西ノ京円町の新駅設置と、複線化工事が進められている。
 複線化で、従来より電車の運行がスムーズになる。
 市が、このほどJR西日本から受けた説明によると、開業に伴う秋のダイヤ改正で、午前7時半から同8時半の京都行きの上り電車について、現在園部発の普通が6本しかないところを、快速と普通をそれぞれ3本ずつ運行することとしたうえで、亀岡発京都行きを2本増発する予定という。
 このほか昼間時間帯では、上下線ともに、1時間当たり現行の園部駅−京都駅間の普通2本が、快速と普通各1本ずつになる。また同様に、亀岡駅−京都駅が、普通1本から普通2本に増える。
 開業の具体的日時は未定だが、複線化や快速の運行で、現在普通で約48分かかる園部駅−京都駅間が、10分程度短縮される見込み。(京都新聞)
■地下鉄事故 上り4両目に接触 次に6両目に衝突、大破
 東京都目黒区の営団地下鉄日比谷線中目黒駅付近で、下り電車が脱線して対向の上り電車に衝突、多数の死傷者が出た事故で、警視庁目黒署の捜査本部は9日、営団地下鉄千住検車区=東京都荒川区南千住四丁目=で、衝突した双方の電車車両や下り線のレールの現場検証を始めた。これまでの調べで、下り電車が脱線後、最初に上り電車の前から4両目の車両に接触していたことが新たにわかった。下り電車はその後、引き込み線用のポイントのレールにぶつかってさらに上り電車に近づいて6両目に衝突、大破させたとみられる。
 捜査本部は、衝突した双方の車両と現場付近のレールを差し押さえた。検証作業は、運輸省の鉄道事故調査検討会も立ち会い、脱線車両の台車部分に破損などの異状がないかどうかや金属疲労の状況などを中心に進めるとみられる。
 捜査本部によると、下り電車は、中目黒駅から約170b霞ケ関寄りの地点で、8両目の最後尾車両の前側台車が脱線、そのまま、コンクリート製まくら木の上を約50b走り、まず上り電車の4両目中央部分に接触後、5両目にもぶつかった。
 まくら木に残された傷から、脱線当初、レールからの逸脱は、進行方向に向かって右側に約50a程度だったが、保守車両引き込み用ポイント「横取り装置」に差しかかった地点の逸脱幅は約1bになっていた。下り電車がさらに上り線寄りに走ったことで、上り電車の6両目に激しくぶつかったらしい。捜査本部の調べでは、死亡した4人は全員6両目に乗っていた。(朝日新聞)
■原因解明へ調査チーム 運輪省
 営団地下鉄日比谷線の東京都目黒区での脱線・衝突事故で、運輸省は9日、原因解明にあたる「特別調査チーム」を設置した。メンバーは、鉄道事故調査検討会(座長=井口雅一・東大名誉教授)の委員と、鉄道総合技術研究所(JR総研)の研究者ら8人で構成する。運輸省は脱線の原因として、台車の異常やレールの状態が及ぼす影響などを重視しており、調査チームは「車両」「車輪とレールの関係」の専門家を主体に構成される。10日に初会合を開く。組織上は検討会の下に置かれるが、事故の原因解明はこの調査チームが主体となる。(朝日新聞)
■京都市バス五条営業所 ロームに敷地売却 9900平方b 26億9000万円 経営健全化へ
 京都市は市バスの五条営業所(右京区西京極南庄境町)の敷地9900平方bを、電子部品メーカーのローム(本社・右京区西院溝崎町)に売却することを決めた。近く正式契約し、売却額は26億9000万円の見通し。市は9日提案した1999年度の一般会計と自動車運送事業特別会計の補正予算案にそれぞれ、関連予算を盛り込んでいる。ロームは購入する土地に従業員用の立体駐車場を建設する予定。
 多額の累積赤字を抱える市交通局は、経営健全化策の一環として五条営業所の廃止と敷地売却を決め、99年度の特別会計当初予算で27億3700万円の売却益を計上、昨秋からロームと交渉していた。その後の地価下落などで、売却額は予算を4700万円下回ることになった。
 9日提案した補正予算案には、一般会計から特別会計に売却額と同額の26億9000万円を、交通局の経営健全化に対する支援として新たに繰り出すことなどが盛り込まれた。補正後の特別会計の当期損失は、当初予算より34億5000万円圧縮され、1800万円となる見通し。
 五条営業所は職員202人。120台のバスで9路線を運行している。98年度決算では、同営業所の赤字は6億3400万円。100円の収入を得るために123円の費用がかかっている。今後、ロームに賃料を払って2001年度まで営業所を残しながら、バスや職員を順次、近隣営業所に移行させる。路線数や便数は維持する、としている。(朝日新聞)
■地下鉄事故 車輪せり上りが原因? 警視庁 カーブなど要因調査
 東京都目黒区の営団地下鉄日比谷線中目黒駅付近で起きた脱線・衝突事故で、下り電車が中目黒駅手前のトンネルを抜け出てから、脱線、上り電車と衝突、停止するまでの約230bの運行状況の詳細が10日、警視庁目黒署の捜査本部の調べに対する運転士や営団地下鉄などの調べで分かった。現場は比較的強いカーブで、運転士は、信号機に従って徐々に減速操作をしたとみられる。事故は車両にかかる重力や揺れなどのバランスが崩れることで起きる車輪のせり上がり脱線によるものとみられており、捜査本部はカーブやブレーキ操作とせり上がりの因果関係についても調べている。
 調べでは、下り電車は中目黒駅の手前で地下から地上へ出た。トンネルを出て80bのところには信号機があり、時速40`以内での走行を指示する内容だった。さらに76b先には時速25`以内を指示する信号機があった。運転士はこれらに従い、減速操作をしたとみられる。
 先頭車両が1つ目の信号を過ぎ、時速30`前後にまで減速した状態で、8両目が脱線したとみられ、レールを外れた車輪によってまくら木に傷が付き始めている。車掌も「ガタガタするのを感じて非常ブレーキをかけた」と話しているという。
 電車は保守車両の引き込み用ポイント「横取り装置」の地点でさらに大きく右側の上り線に向かってそれ、上り電車の6両目に激しくぶつかったとみられる。
 衝突後、約40bを走ったところで、下り電車はようやく止まった。
 「せり上がり」は、カーブなどで遠心力によって車輪がレールの外側に向かって押し出される横圧が、本来車輪にかかる荷重を上回ると起きるとされる。8両目が脱線した地点は、比較的強いカーブになっており、捜査本部は減速や線路のカーブなど複合的な要因が重なって、車輪がせり上がったとの見方を持っている。
 捜査本部は、事故車両と現場付近のレールを中心に現場検証を進めている。(朝日新聞 夕刊)
■営団地下鉄 「滑走」最後尾に集中 97年調査 線路条件、事故と共通
 営団地下鉄(本社・東京都台東区)が1997年、車輪が回転しないまま進む「滑走」の実態を調べたところ、その大半が駅手前の急カーブを走る最後尾車両に集中するとの結果を得ていたことが、10日わかった。この線路条件などは、東京都目黒区の日比谷線で発生した脱線衝突事故の現場や脱線した車軸と共通する点もある。
 調査は計6ヵ月間にわたって行われ、結果は99年1月、鉄道技術専門誌に掲載された。それによると、8両編成で起きた滑走のうち、約8割が最後尾の車両に集中。駅直前に急カーブがある線路条件で、先頭車が駅に入るために減速した際、まだカーブを走行中の最後尾車両で滑走が起きやすいとした。
 さらに、車両にある4本の車軸のうち、進行方向の先頭にある車軸に滑走が集中することを確認。この理由について、「運転台の重さによって、車軸ごとの荷重が不釣り合いとなり、必要以上の制動力がかかるため」などとしている。
 調査対象の路線名は示していないが、8両編成の車両は日比谷線しか走っていない。
・「滑走と脱線 関係はない」
 営団が過去に調査した滑走と今回の脱線との因果関係について、営団の東浜忠良車両部長と留岡正男車両課長補佐らは10日、東京・上野の営団本社で記者会見を開き「滑走と脱線との関係は全くないと認識している。複合原因の一つでもないと考えている」と否定した。
 東浜部長らは穏拠について「脱線は摩擦が上がりレールと横方向の力が働いてなる。滑走は摩擦が下がり横の力にはならない。原因のメカニズムが違う」としている。調査は1997年に行われたが、事故現場では滑走はなかったという。(朝日新聞 夕刊)
11日■脱線防止レール増設へ 営団地下鉄 設置基準見直し
 日比谷線の脱線衝突事故で営団地下鉄は10日、脱線防止用補助レール(脱線防止ガード)の設置基準を現状より厳しくする方向で見直すと発表した。車輪のツメ部分(フランジ)が徐々にレールに乗り上げる「せり上がり現象」による脱線の防止に有効とされるが、今回の事故現場には設置されていなかった。
 脱線防止ガードは仮に脱輪しかけても、車輪が大きく横にずれて大事に至るのを防ぐ役目を果たす。
 営団は半径140b以下のきついカーブ区間に限定している。
 今回の見直しでは、半径160bの円を描くカーブ区間までガード設置対象を広げ、運輸省との協議が終わり次第、日比谷線の12ヵ所を含めた営業全線の対象区間に設置する。(京都新聞)
■地下鉄事故 犠牲者通夜 泣き崩れる家族
 地下鉄日比谷線の脱線衝突事故で亡くなった4人のうち3人の通夜が10日夕、横浜市や東京都内で営まれ、親族や友人らが焼香や献花に訪れた。
 ラグビージャージー姿の写真が祭壇に飾られた私立麻布高2年富久信介君(17)の通夜は、自宅に近い横浜市西区の葬儀場で営まれた。通夜の直前、富久君が所属していたラグビー部員ら3、40人が寄せ書きしたラグビーボールを母節子さんに手渡すと、節子さんは「宝物をありがとう」と言って泣き崩れたという。
 東京都目黒区の斎場で営まれた南日本新聞社東京支社勤務槙保代さん(37)の通夜には、親族や会社関係者約400人が参列。青いスーツ姿でほほ笑む保代さんの遺影に、白いカーネーションを一本ずつ献花し、めい福を祈った。夫の省輔さんは「何か分からないが、邪悪なばか野郎が妻を奪ってしまった」と悔しさをあらわにしていたという。
 特許庁職員藤井新也さん(31)のキリスト教式の棺前祈とう会は、東京都小平市の教会で営まれた。(京都新聞)
■今出川通に路面電車を あす京で実行委 初の研究勉強会
 京都市の今出川通に路面電車を走らせようと願う市民グループ「今出川通に路面電車を走らせる実行委員会」(福井総介会長、略称IMADEN)が12日、上京区の北野天満宮の社務所大広間で「第1回研究勉強会」を開く。
 同会は昨年6月、今出川通の住民有志によって結成された。現在、大将軍商店街や西陣千本商店街の関係者、今出川通周辺の市民ら約60人の会員がいる。
 構想では、路面電車を走らせるのは白梅町−出町柳間の4`。文化的、生産的な都市機能をレールでつなぎ、和装産業や観光の振興などを含めたまちづくりに生かしたい、という。
 これまで、豊橋であった路面電車サミット'99に参加したり、世界の路面電車の現状をビデオで見るなどの活動を続けてきた。今回は、広く市民にも路面電車の利点や現状を知ってもらおうと企画した。
 勉強会では、ゲストの「路面電車と都市の未来を考える会」(RACDA、事務局・岡山市)会長の岡将男さんが「路面電車とまちづくり」と題し講演するほか、現状や課題を探る。同会は「環境にもやさしい路面電車に関心を持ってもらえれば」と参加を呼びかけている。12日は午後1時半から。問い合わせは竪山さん075(821)0444へ。(京都新聞)
■「鉄道員」が9部門制す 日本アカデミー賞
 第23回日本アカデミー賞の発表・授賞式が10日、東京・高輪の新高輪プリンスホテルで行われ高倉健さん主演の「鉄道員(ぽっぽや)」が作口署員、主演男優賞など計9部門で最優秀賞を獲得した。
 過去最多、4度目の最優秀主演男優賞に輝いた高倉さんは「俳優になってあっという間に40数年。たくさんのすてきな人たちに出会い、ここまで走ってこられた」と受賞の喜びを語った。
 各部門の最優秀賞は次の通り(敬称略)。
 監督賞=降旗康男(鉄道員)▽主演女優賞=大竹しのぶ(鉄道員)▽助演男優賞=小林稔侍(鉄道員)▽助演女優賞=岸本加世子(菊次郎の夏)▽脚本賞岩間芳樹、降旗康男(鉄道員)▽音楽賞=久石譲(菊次郎の夏)▽撮影賞=木村大作(鉄道員)▽照明賞渡辺三雄(鉄道員)▽美術賞=西岡善信(梟の城)▽録音賞=紅谷愃一(鉄道員)▽編集賞=川島章正(金融腐蝕列島【呪縛】)▽外国作品賞=シックス・センス(京都新聞)
■地下鉄事故 「輪重抜け」で車輪浮く? 「競合脱線」の可能性 せり上がり誘発か
 東京都目黒区の営団地下鉄日比谷線の脱線・衝突事故は、複数の原因が重なって、脱線車両最前部の車輪だけ荷重が小さくなる「輪重抜け」と呼ばれる現象が発生して起きた可能性が高いことが、鉄道関係者らの指摘でわかった。同時に、車輪の突起部分(フランジ)が徐々に線路に乗り上げる「せり上がり脱線」状態に陥ったとみられる。運輸省の鉄道事故調査検討会も10日、脱線が複数の要因が絡み合って起こる「競合脱線」の可能性が高いとみて、再現実験などを通じて、車輪の状態▽ブレーキ操作▽レールの塗油状況▽こう配のある左急カーブ−などが絡み合った脱線のメカニズムの解明を進める方針を固めた。検証作業は長期化が予想される。
 1車両には計2つの台車がついており、それぞれに4個ずつ車輪がある。車体や乗客の重量は、すべての車輪にバランスよくかかるよう設計されているが、走行中の揺れやカーブの影響などによっては、1個だけかかる荷重が極端に小さくなることがある。これが「輪重抜け」という状態だ。
 鉄道関係者によると、輪重抜けが発生すると、車輪とレールの間にすき間ができやすい。このときに、一定の横方向の力が作用すると、せり上がり脱線につながりやすい。
 検討会では、現場のレールに残っていたフランジ痕などから、脱線した最後尾車両の右最前部の車輪が輪重抜けで浮くような形になり、せり上がり脱線につながった可能性に注目。今後、輪重抜けが発生した理由についても調べるとみられる。
 事故を起こした電車は、2、3、6、7両目にだけ、「エンジンブレーキ」が利くモーターがついている。8両目は、7両目のブレーキ力で減速する仕組みだ。
 警視庁などの調べでは、8両目が脱輪し始めたとき、電車は信号機に従って時速25`以内になるよう「エンジンブレーキ」が作用していたが、8両目は、前方への惰性が残っていたとされる。ちょうど左カーブの頂点付近を通過中だったため、右最前部の車輪は、右前方(上り線側)へ引っ張られ、さらに浮き上がりやすい状態だった可能性もある。
 また、最後尾の車両には運転室がついており、後ろよりも前の方が若干軽くなっている。この構造や、カーブによる遠心力はどう影響したのかについて、検討会の検証が進むことになる。
 また、レールに傷やへこみがあると、レールをなでるように走る車輪が一瞬浮くような形となり、そのまませり上がる場合がある。通常であれは走り続けられる程度の傷などでも、そのタイミングに何らかの力が左側から作用すれば、右側に脱線することが考えられるという。
 レールや車輪の研削が粗い場合も摩擦が高まり、せり上がりにつながる。検討会は、レールと車輪の接触面に何らかの問題が生じた可能性も重視している。
 一方、車輪とレールの摩耗やきしみを防ぐため、カーブ手前の線路には通常、潤滑油を出す「塗油器」が設置してある。この油の量が十分でないと、車輪とレールの間で摩擦が高まり、せり上がり脱線が起こりやすくなる。塗油器自体には異状は見つかっていないというが、検討会は、事故当時の油の量が十分だったかどうかについても調べることにしている。(朝日新聞)
■JR7社の2000年度事業計画
 JR7社は10日、2000年度の事業計画を運輸省に申請した。景気低迷による旅客や貨物の輸送減少傾向はまだ続くとみて、7社とも1999年度の当初計画に比べて営業収入が減る見通しだ。東日本、東海、西日本の本州上場3社は、退職金の積み立て不足への資金手当てなどのため、経常利益も減少を見込んでいる。貨物は、物件費の節減などにより、92年度以来の経常黒字となる見通しだ。
 設備投資は、東日本がICカードの改札システム整備などのために前年度と同額の2280億円を計上。東海は 700系車両の導入を進めるなどとして前年度比横ばいの1650億円とした。(朝日新聞)
 営業収入営業損益経常損益
東日本18890(▼170)2690(▼440)750(▼290)
東 海10662(▼270)3051(▼123)658(▼39)
西日本8719(▼243)955(▼119)400(▼82)
九 州1620(▼10)▼118(4改善)55(5)
北海道926(▼60)▼280(20改善)20(5)
四 国396(▼35)▼80(4悪化)7(2)
貨 物1686(▼23)36(27)5(34改善)
(単位・億円、カッコ内は99年度事業計画比の増減額、▼はマイナスまたは赤字。「改善」「悪化」は赤字の変化の方向) 営業収益の減少見込む JR7社、新年度
■JR西日本設備投資、130億円滅 コンクリ修繕費を増額
 JR西日本の2000年度事業計画は、山陽新幹線への新型車両導入や在来線のスピードアップなどのてこ入れを図るものの「個人消費の低迷や就労人口の減少から経営環境は極めて厳しい」(高橋宏彰副社長)として減収減益を見込んだ。営業収益は今年度見通しより81億円少ない8719億円。その9割近くを占める旅客運輸収入は0.8%減の7627億円にとどまり、経常利益も4.7%減の400億円とした。
 輸送人員計画では、新幹線への「レールスター」導入によって「ひかり」の利便性を高めるが「航空路線との競争は厳しい」(同)として、0.3%減の5800万人を予測。在来線も新快速の速度を上げるといった取り組みを始めるが、0.4%減の17億6300万人にとどまる見込みだ。
 このほか、北陸線への新型特急車両の導入や山陰線(安来−益田間)の高速化、嵯峨野線と奈良線の部分複線化に併せて新駅を設けたり、列車を増発したりする。ただ、財務内容の健全化に向け、設備投資は今年度より130億円少ない790億円にとどめる。
 また、コンクリートはく落事故を踏まえ、コンクリート構造物の非破壊検査方法の開発に取り組む。費用面でも、コンクリート関連の修繕費として100億円を計上。通常期より80億円積み増すことにしている。在来線でも高架柱の耐震補強にも取り込むことにしている。(朝日新聞)
■新幹線食堂車 最後の晩さん 「ビーフシチュー、特別な味がした」 惜しまれて「旅情」消え
 東海道・山陽新幹線の食堂車が10日夜、最後の営業を終えた。1974年に登場して以来、高度経済成長とともに大動脈を行き交う人たちに親しまれてきた。「寂しくなる」との声に惜しまれつつ、また「旅の風物詩」が消えていった。
 最後の食堂車となった東京発博多行き下り「ひかり127号」。午後4時すぎに東京駅を出発した直後から8号車の食堂車入り口付近には長い列ができ、定員44人のテーブルは満席状態。ネクタイを緩め、生ビールのジョッキを片手に、暮れゆく車窓の風景を眺めているビジネスマンも見られた。
 夫婦で伊勢・志摩旅行の帰りがけに食堂車を訪れた山口県柳井市の無職平井猛夫さん(67)と妻登志子さん(63)は、1時間ほど待ってからテーブルに着き、ハヤシライスを注文した。「二人で旅行するときにはよく食堂車に来たから思い出深いです。とくにビーフシチューが好きでした。よそのお店にはない特別な味がしました。今日でなくなるのは本当に残念です」と登志子さん。
 食堂車は1899年、現在のJR山陽線の急行列車で生まれ、旧国鉄時代、長距離列車のほとんどに連結された。しかし、スピードアップに伴い、駅弁で食事を済ます人が増えるなどで利用者が減り、次々と廃止された。
 11日以降は北海道と大阪、上野を結ぶ在来線の豪華寝台特急での予約営業だけになる。(朝日新聞)
■ひかりレールスター故障デビュー 加速不良、35分立ち往生「アクセル」効かず 山陽新幹線
 山陽新幹線に11日、最新型の700系車両を使って新大阪−博多間を2時間45分で結ぶ「ひかリレールスター」がデビューした。新大阪からの下り4番列車となったひかり359号(乗客約450人)が、同日午前9時すぎから、西明石−相生間を走行中に車両故障のため加速できなくなり、相生駅に臨時停車した。
 レールスターは、空の便への対抗策としてひかりをスピードアップさせたJR西日本の「期待の星」だが、初日からのトラブルで不安な発車となった。
 同社によると、359号は午前8時40分に新大阪駅を出発。9時15分ごろには姫路付近で、自動車のアクセルに相当するノッチを作動させても加速できなくなり、時速70`以上が出ない状態となった。
 相生駅まで走り、ホームのない通過用の線路で約35分間停車。応急措置して9時50分ごろ運転を再開、以降は通常速度で走行し、午後零時12分、定刻より45分遅れで博多駅に到着した。
 後続の下り7本も遅れ、計約4000人に影響が出た。JR西日本は博多総合車両所で原因を調べる。同日夜には、レールスターの全車両を点検する。
 レールスターは8両編成で同区間を1日18往復。従来のひかりと同じ運賃ながら最高時速を285`にアップさせ、所要時間を32分短縮した。
 基本性能はこれまでの700系と同じだが、車体はグレーを基調に窓下に黄色のラインを配して外観を一新。指定席は片側2席でゆったりしたシートにしたほか、ノートパソコン用のテーブルと電源コンセントを設けるなど、車内の快適性を高めているのも特色。
 レールスターは、昨年12月16日の試運転中に電気系統の故障で運転を打ち切ったり、今年2月21日には、試乗車の運転席窓ガラスにひびが入るトラブルが起きている。
迷惑掛け誠に残念
 森長勝朗JR西日本広報室長の話 われわれ自慢のレールスターのデビューの日に乗客にご迷惑を掛けたことは誠に残念。早急に調査し、車両メーカーなどとも連携して原因や対策を検証したい。今夜中に全車両を点検する。(京都新聞 夕刊)
■「初日からなんや」 ひかりレールスター故障 車内に不満充満
 11日鳴りもの入りでデビューしたものの、すぐに故障で約30分間にわたって相生駅付近で立ち往生し、大幅な遅れを出したJR西日本の新型車両「ひかリレールスター」(ひかり359号)車内。当初は「JRは故障ばっかりやなあ」と悠長に構えていた乗客も、後続の別のレールスターや普通の新幹線にも抜かれるにつれ「こんな電車、廃車にしてまえ」との厳しい声も。快適なはずの車内は、一転不満に満ちた。
 午前9時半、「信号待ちです」の車内アナウンス。しばらくして「車両故障です」の放送が流れた。「故障やったら故障と最初から説明しろ」などと不満の声が上がり、デッキは携帯電話で遅れの連絡をする乗客でごった返した。
 デビュー初日とあって、レールスターのパンフレットを手にした家族連れや鉄道ファンで、自由席は満席。
 立ったまま待たされていた主婦は「乗り換えさせるなりなんなりしてくれたらええのに」とむくれ顔。友人の結婚式で小倉に行く予定だった団体職員(30)は「結婚式には遅刻。どうしてくれるんや」といら立ちを募らせた。(京都新聞 夕刊)
■東京の電車 脱線・衝突 事故原因のポイント装置
 営団地下鉄日比谷線の脱線衝突事故で、脱線した下り電車が上り線側に大きくはみ出す原因となった「横取り装置」と呼ばれる保守車両用の引き込み線ポイントが、日比谷線では事故現場1ヵ所にしかなかったことが11日、分かった。
 脱線しただけでは上り電車と衝突するほど大きく横にはみ出さなかった可能性もあり、関係者の間では「不運が重なった」との見方が出ている。
 運輸省鉄道事故調査検討会の調べによると、下り電車は最後部8両目の車両が脱線、線路から少しずれる形で約50b走行した後、横取り装置にぶつかり、引き込み線レールに沿う形で3対に約1b右側に飛び出し、対向してきた上り電車に接触、衝突した。
 横取り装置は、線路に敷くバラスト(砂利)を積む貨車や、貨車を引っ張るけん引車など保守車両が本線に出入りするときに通過する設備で、機械的に動く通常のポイントと異なり手動で操作する「簡易ポイント」。
 営団によると、営団地下鉄8線で計21ヵ所あるが、全長20.3`の日比谷線では事故現場の1ヵ所にしかないという。
 バラストなどの資材は地上から搬入する方が便利なため、横取り装置はトンネル内でなく「地上に出た所に設置するのが普通」(営団)。今回の脱線は地上に出て間もなく始まったとみられ、その先に横取り装置があったことが事態を悪化させた可能性が大きい。(京都新聞 夕刊)
■ひかりのスター、スタート
 山陽新幹線の新しい顔となる「ひかりレールスター(700系)」が11日、営業運転を始めた。新大阪−博多間を1日18往復(うち4往復は4月22日から)する。最高時速は285`。従来より30分速い2時間45分程度で結ばれ、激しい航空機との競争に挑む。700系はJR西日本とJR東海が共同開発した5代目新幹線車両。JR東海は昨年3月から東京−博多間の「のぞみ」に投入しているが、JR西日本は利用者の落ち込んだひかりの活性化を目指し、短い8両編成として、4人用個室や車内放送をカットした「サイレンスカー」の併結など車内サービスを向上させた。4枚つづりの格安回数券「ひかりカルテットきっぷ」を使えば、新大阪−博多間は片道1万1000円。
 新大阪駅のホームでは、午前9時から、出発式が開かれた。一日駅長に任命された野球解説者の福本豊さんが出発合図し、博多行き下り「ひかり363号」を見送った。(朝日新聞 夕刊)
■えっ もう 車両故障?
 11日午前9時5分ごろ、兵庫県内の山陽新幹線西明石−姫路間で、新大阪発博多行き下り「ひかり359号(ひかりレールスター)」(8両編成、乗客約450人)が走行していたところ、一時的に加速できなくなり、姫路駅を出発後、速度が時速70`以上上がらなくなった。列車は、車両点検のため相生駅に臨時停車。応急処置を施し、約35分後に運転を再開した。下り8本が35−1分遅れとなり、乗客約4100人に影響が出た。
 JR西日本によると、自動車のアクセルにあたる「ノッチ」という装置が一定以上作動しなくなる現象が生じ、通常は時速275`で運転する区間だが、70`までしか加速できなくなったという。
 ひかり359号は11日デビューしたばかりの新型700系車両。(朝日新聞 夕刊)
■信楽鉄道事故 JR元幹部、責任認める 供述調書証拠採用 「防止対策が不十分」
 滋賀県信楽町の信楽高原鉄道(SKR)で1991年5月、SKR列車とJR西日本の乗り入れ列車が正面衝突し、死者42人と負傷者約600人を出した事故で、当時のJR西日本幹部らが滋賀県警捜査本部の調べに対し、社内の安全体制の不備で事故が起きたとする供述をしていたことが11日、捜査関係文書でわかった。これらの供述調書は大津地検に送られたが、同地検は「事故の直接的な原因ではない」としてJR側の責任を問わず、SKR社員ら3人だけを業務上過失致死傷罪などで起訴した。しかし、幹部らの調書では事故原因で焦点となった信号系統について「SKR側と十分な協議をしていない」と、これまでのJR側の主張に反するような内容も含まれている。大津地裁の公判で安原浩裁判長は調書の存在を重視して証拠採用しており、24日に同地裁で言い渡される判決に与える影響は少なくないとみられる。
 92年に捜査本部が作成した、当時の同社電気部長やJR運転士の供述調書など。
 この事故では、JR草津線からSKR線にJR列車が進入した場合、優先的に進めるようにした信号装置「方向優先てこ」をJRが設置。この装置の作動が信楽駅の信号故障をもたらしたとされる。これまでの公判でJR側は「てこの設置について、SKR側に連絡した」などとして責任を否定している。
 ところが、同社の信号施設責任者だった元電気部長は供述調書の中で「てこ」設置の際、「JRとSKRとが協議の場を持って提案して協定書を交わす必要があったにもかかわらず、十分な協議がなされておらず、JRに重大な責任があった」としたうえで、「事故防止の対策が十分でなかった」などとJRの責任を認めていた。
 また、事故のJR列車に乗っていた運転士は通常、小野谷信号場(待避線)でSKR列車とすれ違うはずだったが、待避線に列車のいないことに気付きながら青信号に従いそのまま進行した。JRとSKRが乗り入れに際し、通常と異なる作業をする場合、両社間で連絡を取ることなどを定めた協定書があった。調書の中で、JR運転士は「協定項目は何一つ教えてもらっていなかった」と供述。「協定書の内容を知っていれば、事故当日に信楽駅に確認の連絡をしたし、社内で正しい教養がされていれば事故を防ぐことができた」などとしている。
 この裁判で、弁護側は「JRの行為が、被告らSKR側を混乱させて事故を起こした最大原因」などと無罪を主張。これに対し、検察側は諭吉で「JRの行為は事故の遠因にすぎず、最終的にSKR側の過失がなければ事故は起きなかった」などとしている。
 これらの文書は、弁護側が証拠採用するよう申し立てたが、検察側が不同意。「JR幹部らの法廷証言の証明力を争うもの」として弁護側が再申請し、同地裁が採用した。
「供述内容を否定の証言」 JR西日本総務部
 JR西日本総務部は「1996年以降、大津地裁で行われた刑事裁判で元電気部長らも、これらの供述内容を否定する証言をしている」と話している。
 信楽高原鉄道事故の経過 1991年5月14日、滋賀県信楽町、信楽高原鉄道(SKR)の信楽駅にある出発信号が赤のまま変わらなくなる異常が起きたが、SKR列車はそのまま出発。JR草津線から乗り入れたJR列車は、途中の小野谷信号場ですれ違うはずの対向列車が到着していなかったものの、青信号に従って通過して単線区間で正面衝突した。大津地検は、@十分な安全確認をせずに列車を出発させたA同駅の継電室で危険な修理をして同信号場の信号トラブルを起こさせたとして、SKR側の3人を業務上過失致死傷罪などで起訴。しかし、同容疑などで書類送検されたJR運転士と、「遺族の会」から同容疑などで告訴・告発された同社幹部らを嫌疑不十分として不起訴にした。(朝日新聞 夕刊)
12日■検証・地下鉄事故 競合脱線?多いナゾ せり上がり以外にも要因
 死者4人、重軽傷者35人の大惨事となった営団地下鉄日比谷線の脱線衝突事故は11日で、発生から4日たった。線路構造、レールや車輪の整備、運行上の問題…。さまざまの要因が浮上、これらが絡み合った「競合脱線」の可能性も指摘されているが、明確な原因が分からず、「究明は時間がかかる」(運輸事務次官)見通しとなった。電車の動きを再現しながら原因を探った。
 8日午前9時。北千住発菊名行き下り電車(8両編成)が、地下トンネルを約50b出て地上の中目黒駅に向け走行していた。円を描くと半径160bになる「160R」のきつい左カーブで、1000b進んで35b上がる急なこう配の線路。時速40`の徐行区間で、運転士は「電車のスピードは約30`だった」と話している。
 中目黒駅到着は定刻では8時57分だが、約3分半遅れていた。乗客は約240人、乗車率20%のガラガラ状態。脱線した最後部の8両目にはわずか5人の客と車掌しか乗っていなかった。
 「地上に出た所でガタガタした。とっさに非常ブレーキのひもを引いた」。9時1分。異常に気付いたのは車掌だった。この時、8両目の前部にある4輪が脱線。電車はそのまま約50b走行して、右側に飛び出し、反対から来た上り電車と衝突した。
 中目黒発竹ノ塚行き上り電車(8両)は8時59分、ほぼ定刻通りに中目黒駅を出発した。ピークを過ぎたとはいえ朝のラッシュは続いており、乗車率120%、約1200人が乗っていた。「爆発かと思った」「鉄の塊が突っ込んできた」。乗客は何が起きたか考える間もなく、床に投げ出された。死傷者の多くは最後に衝突、大破した6両目に乗っていた。
 下り電車が脱線した地点には、一般の脱線事故で原因となることが多いポイントはない。
 レールは昨年10月、交換したばかり。鉄道はレールに亀裂などがあった場合、レール内を流れる電流が途切れ、信号機が赤になる安全装置がついているが、上下線とも電車は動いており、異常はなかった。
 下り8両目の4本ある車軸のうち、1本目の車軸と車輪は、いったんレールの上に乗り上げる「せり上がり」と呼ばれる現象を起こした。ただ、専門家の間では「せり上がりは脱線ではよくある一つの現象にすぎず、直接の原因には結び付かない」(JR関係者)との見方が強い。
 車輪と車軸は「目で見る限り特に異常はない」(運輸省鉄道事故調査検討会)。ただ車輪と車軸をつなげる「軸箱」部分に傷が見つかり、検討会などは関係を調べている。
 脱線しただけなら、大惨事にはならなかった可能性がある。下り電車は「日比谷線ではここだけ」(営団)という保守車両用の特殊な引き込み線のレールにぶつかる不運が重なり、引き込み線のカーブに沿って約1b上り線側にはみ出した。脱線防止ガードは、現場には設置されていなかった。
・脱線車両に多数の亀裂 98年の検査で台車の溶接部分に
 営団地下鉄日比谷線の脱線衝突事故で、事故を起こした電車は1998年に行われた3年ごとの「重要部検査」と呼ばれる定期検査で、台車の溶接部分に多数の亀裂が見つかっていたことが11日、分かった。
 営団が明らかにしたもので「亀裂は軽微で修理後、問題は起きていない。脱線との関連も考えにくい」としているが、運輸省の鉄道事故調査検討会は脱線の要因になった可能性もあるとみてデータの提出を受け、調べている。
 営団によると、事故を起こしたのは、88年6月から使っている03系電車の「2番編成」(8両)。同線で使われている03系42編成のうち2番目に古い車両で、亀裂が9ヵ所見つかり、脱線した最後部車両の台車でも3ヵ所確認された。亀裂はいずれも長さ約3_、幅約0.5_で、ブレーキ部品を台車に固定する取り付け金具の溶接部で見つかった。
 営団は「ブレーキそのものの亀裂ではないので、ブレーキの性能に直接影響はない」と話している。(京都新聞)
■加速不良は接着剤が原因 レールスター
 山陽新幹線でデビュー初日に700系「ひかリレールスター」の新大阪発博多行き359号が西明石−相生間で加速ができなくなった故障は、JR西日本の11日の調べで、運転席の速度制御装置内のバネを固定する接着剤が電気接点にも付着し、電気が通じなくなっていたのが原因と分かった。
 同社が博多総合車両所で調査した。接着剤は糸のように27aにわたって付着し、電気回路の通電を防げていた。車両点検の作業員が付近のバネの取り付けを補強した際、誤って付けた人為的ミスとみられる。
 同社は12日朝までに、レールスターの全車両を緊急点検する。(京都新聞)
■地下鉄事故 営団、急カーブ数突出 脱線防止 ガード設置基準甘く
 日比谷線で脱線衝突事故を起こした営団地下鉄の計8路線には、運輸省令で定める鉄道のカーブの基準よりきつい急カーブが、計64ヵ所もあることがわかった。こうした急カーブは特例で認められてはいるが、営団の急カーブ数は首都圏の鉄道大手11事業者の合計の3分の2以上を占めている。営団は「地下鉄は使用料のかからない道路の下を選んで建設するため、カーブが連続する設計になりやすい」と説明している。急カーブには脱線防止ガードが設置されることが多いが、その設置基準は急カーブが多い営団が、他社に比べて際だって甘くなっている。
 事故があった日比谷線は11ヵ所。脱線が発生したカーブは半径160.1bで、わずか0.1bの差で含まれない。160b以上161b未満の急カーブは、同線だけでさらに11ヵ所あり、かなりの急カーブの連続であることが浮かび上がる。
 急カーブは脱線の危険性を増大させるが、これを防ぐのが「護輪軌条」と呼ばれる脱線防止ガードだ。本来のレールの内側に並行して、レール状の防止ガードを敷く。片方の車輪がはみ出そうとしても、反対側の車輪をガードとレールが挟み込み、脱線させない仕組みだ。
 防止ガードの設置場所について、運輸省令は「脱線の危険を及ぼす場所」としか示していない。このため、ガードの設置場所は各社によって様々だが、営団の「半径140b未満のカーブ」という基準は際だって甘い。
 営団の設置は20ヵ所で日比谷線は8ヵ所だけ。脱線事故を起こしたカーブは含まれておらず、9日未明、運輸省の指示で急きょ設置した。営団は、今回の事故を受け、設置基準を「160b未満」に拡大するよう検討している。(朝日新聞)
■レールスター故障 事前検査のミスが原因
 山陽新幹線西明石−相生間を走行中の新大阪発博多行き下り「ひかり359号(ひかりレールスター)」が加速できなくなり、35分遅れたトラブルについて、JR西日本は11日、事前の検査時の作業ミスが原因だった、と発表した。
 終点の博多駅に到着後、博多総合車両所(福岡県那珂川町)で原因を調査したところ、運転台に設置された速度を調節する「主幹制御器」内の電気接点に、接着剤が固まっていたため通電できない状態になっていた。今月6日に検査した際に、誤って接着剤が電気接点の部分まで流れ込んだとみられる。同社は700系車両の全9編成についても、主幹制御器を点検する。(朝日新聞)
■全面広告 700系「のぞみ」デビュー1周年記念 のぞみをささえるチカラ
 700系「のぞみ」は、明日満1歳の誕生日をむかえます。東海道新幹線では700系「のぞみ」をはじめ、1日285本の列車が走っており、約36万人のお客さまが利用しています。しかも1列車当たりの平均の遅れはわずか0.4分という正確さです。
 ところで、この安定した走りと抜群の安全性を支えている“お医者さん”がいることをごぞんじですか。新幹線の“総合病院”浜松工場と、軽やかなフットワークで“往診”しているドクターイエローです。朝日・読売新聞の共同企画により、本紙では、ドクターイエローの活躍をご紹介しましょう。
時速210kmで、電気や軌道の“健康状態”を検査
 東海道新幹線の駅のホームで、この黄色い新幹線を見かけたことがありますか。なつかしいかたちをしている?そうです。日本に最初に誕生した新幹線(0系)と同じ形で寸す。JR東海の0系にだま」は、去年の9月に運転が終わっていますから、東海道区間で見られる0系はもうこれだけです。
 この黄色い新幹線こそ、東海道・山陽新幹線の東京〜博多間を時速210kmで走りながら、電気や軌道(レール)の“健康状態”を検査している電気軌道総合試験車「ドクターイエロー」です。外国を見ても、たとえばTGVが有名なフランスは時速160km、ドイツでも同200kmですから、ドクターイエローは世界最速の総合試験車です。
 昭和49年に登場したドクターイエローは、10日に1度のペースで、東京〜博多間を3日間かけて走り、JR東海になってからこれまでの13年間に、約100万km、地球を25周回るほどの距離を走り、たくさんの検査を行ってきました。ドクターイエローは、わたしたちが利用している新幹線と同じ線路を「ひかり」とほぼ同じ速さで走りながら、さまざまな検査を行っています。このようなシステムは、世界でも例がないということです。実際ここまでやっているのか、と驚きますが、ここまでやっているおかげで、わたしたちは世界一安全で正確な新幹線に乗れるわけです。
 それではドクターイエローの中をのぞいてみましょう。
波形から線路の状態を読む技
 ドクターイエローは、7両編成で各車両ごとに異なる機能をもっています。さすがに電気軌道総合試験車、1号車から7号車まで、測定機器やコンピュータがぎっしりつまっています。ただ6号車だけガランとして機材も他の車両と違っています。聞いてみると、にの車両は、事故が発生した際には、復旧救援車の役割を果たすんです」とのこと。阪神大震災の時には、セメントを運び大活躍したそうです。
 隣の5号車では、5人の技師たちが大きな台を囲んで刻々と流れるチャート紙をにらんでいました。床下にレールの高低や幅、傾き、騒音、乗り心地などを調べるいろいろな測定装置があり、そのデータがチャート紙の上に出力されます。ちょうど人の心電図のようです。この波形を見ながら、「異常」をチェックしていきます。レールのどの10mをとっても左右に4mm以上、上下に6mm以上の曲がりがあったら、補修の指示を出します。このチャート紙は、新大阪までで515mにもなるそうですが、途中で19に分割して、それぞれ担当の保線所に送られます。
 測定されたデータは、走行後すぐにコンピュータ処理され、補修が必要な箇所の一覧表などを各保線所の端末で取り出すことができます。各保線所の技術者は、チャート紙の波形をたんねんに見て、実際の線路の状態を頭に描きながら、補修する場所や方法を決定します。熟練の技術者になると波形の大きさ、長さ、形から線路の状態をぴったり言い当てることができるそうです。
電気設備の状態をリアルタイムで診断
 1号車では、電気関係の検査が行われていました。4人の技師たちが黙々とモニター画面やチャート紙の波形を見つめています。電気設備の検査項目は、パンタグラフが接触して走行に必要な電気をとり入れるトロリ線の太さ・位置などを調べる「架線」、トロリ線の電圧などをチェックする「変電」、ATC(自動列車制御装置)の電流の強さ・周波数などを検査する「信号」、列車無線の電波の強さ・周波数などを測定する「通信」です。人のからだにたとえれば、架線はエネルギーを運ぶ「血管」、変電前は血液を送り出す「心臓」、信号・通信は「脳や神経」にあたります。トロリ線の状態は、車内天井の窓からレーザー光を当てて、その直径や線路の中心からの位置を測ります。トロリ線の太さは、1/100mmの精度で読み取られ、一定以上の太さを保っていることを確認していきます。
 また、列車の速度を制御しているATC信号の強さや周波数が正常か、指令員と乗務員の情報のやりとりに欠かせない列車無線や、お客さまが利用される公衆電話の音質は良いかなど、さまざまな測定項目を瞬時に診断していきます。
 時速270kmの起高速運転を支える電気設備の状態を、30項目以上のデータのわずかな変化も見逃さずリアルタイムで診断し、変化が認められた場合は、それが測定誤差であるのか、実際の点検・補修が必要であるのかが、即座に判断されていきます。
 このようにして得られた膨大な設備情報は、コンピュータによるデータ処理を行い、ネットワークなどを経由して、ただちに保守箇所に提供され、点検計画の策定、速やかで適切な補修に生かされています。
 いつも、わたしたちが安心して利用している新幹線ですが、それは、このようなドクターイエローの活躍をぬきにしては語れないでしょう。
 ドクターイエローは、今日も東京〜博多間を走りながら診断を続けています。
 明日も、のぞみに応えるために
 JR東海のホームページ http://www.jr-central.co.jp/
 新幹線の総合病院〈浜松工場〉での“健康診断”編は、本日の読売新聞(朝刊)をご覧ください。(朝日新聞)
13日■地下鉄日比谷線事故 脱線危険度12年測定せず 事故区間 基準値大幅に超える?
 営団地下鉄日比谷線の脱線衝突事故で、現場区間の脱線危険度を示す「脱線係数」が12年間測定されていなかったことが13日、分かった。運輸省鉄道事故調査検討会は営団が係数の変動を長期間点検していなかったことを重視。事故車両と同型車を使って現場付近の係数を精密に調べ直し、脱線に至ったメカニズムを解明したいとしている。
 脱線係数は車輪とレールの接触点にかかる力の方向を示す数値で、規定された安全基準値を超えると車輪のツメ部分(フランジ)がレールに乗り上げ脱線しやすい状態に陥る。
 営団によると、現場区間の係数を最後に測定したのは1988年。当時導入直前だった今回の事故車両を使って行ったという。この時は基準値を超えておらず「安全」とされていた。
 脱線係数は、車輪とレールが接する点での横向きの力(横圧)を下向きの力(輪重)で割った値。営団はJR在来線と同じ0.8を基準値にしている。数値が大きくなれば脱線の危険度が増す。
 カーブ区間では車体に横向きの大きな力が作用し横圧が高まることから、鉄道各社は脱線係数が基準値を超えないよう、車輪に測定器を取り付け脱線係数を計り、車輪幅やレール幅、左右のレールの高低差などを微調整している。
 日比谷線の事故では、下り電車が中目黒駅に向かった左急カーブを進行中、最後部(8両目)の前から1本目の右側車輪が最初に脱輪する直前、脱線係数が基準値を大きく超えていた可能性が高まっている。
 鉄道車両システムの専門家によると、基準値は想定されるさまざまな危険状態を勘案、値を超えてもすぐには脱線しないよう設定されている。ただ走行中に基準値を超えた状態が長く続くと「せり上がり(乗り上がり)脱線」を引き起こす可能性が強い。
 係数測定実施の間隔は、特に規定はなく、JR各社も定期的な測定はしていない。速度向上試験や新車両導入の前に点検車を走らせ計測するだけだという。
犠牲者5人に
 営団地下鉄日比谷線の脱線衝突事故で重体だった東京都目黒区上目黒、会社員横山陽子さん(32)が12日午後8時55分、死亡した。事故による死者は5人となった。
 また、脱線した下り電車の最後部に乗っていた女性(33)が軽傷を負っていたことが13日までに、新たに分かり、重軽傷者も35人となった。
 警視庁によると、横山さんは上り電車に乗っていて事故に遭い、東京医大病院に収容され、手当てを受けていた。(京都新聞 夕刊)
■「五輪地下鉄」いらない 市民グループ大阪市に監査請求 支出差し止めを
 2008年夏季五輪招致を目指す大阪市が会場への交通手段に計画中の地下鉄「北港テクノポート線」は、公共性などを定めた地方自治法に反するとして、開催に反対する市民グループが13日、建設費の支出を差し止めるよう同市監査委員に監査請求した。
 グループは「オリンピック地下鉄差止請求の会」(松浦米子代表、約250人)で、今後も請求人を募り第二次請求をする予定。請求が却下されれば行政訴訟を起こす。
 北港テクノポート線は、メーンスタジアムを建設する舞洲(まいしま)、選手村予定地の夢洲(ゆめしま)の両人工島を大阪湾の対岸と結ぶ延長約8`の新路線。2000年度に着工、07年度に完成の見込み。
 同会は請求で、わずか17日間の五輪のために運輸政策審議会で05年度までとされた着工時期の大幅な前倒しは認められない、と主張。
 約1900億円の建設費は、4兆円を超す累積債務を抱える市財政を圧迫することや、選手村跡地の住宅供給計画も入居予測が不透明で赤字路線となる恐れがあることなども、支出反対の理由に挙げている。
 松浦代表らは「税金の使い方をチェックし、行政の意思決定に住民が参加する流れができている」と請求の意義を強調。五輪招致経費などの情報も市に公開させていきたいとの意向を示した。(京都新聞 夕刊)
■227人と3団体 差し止め請求 地下鉄・北港テクノ線
 大阪市が開催を目指す2008年五輪の主要交通機関となる地下鉄北港テクノポート線について、建設に反対する市民ら227人と3団体が13日、住民のいない人工島に鉄道は不要などとして、工事の差し止めを求める監査請求を市監査委員にした。人工島の舞洲や夢洲を結ぶ路線で、市は2000年度に着工し、2007年度の完成を予定する。
 請求では、建設は市の財政危機を探め、利用客数の増加は望めず採算性がないなどと主張している。
 今後も同線に関する監査を求めていく考えで、請求者に加わってくれる人を募っている。問い合わせは、木村・浦川法律事務所内のオリンピック地下鉄線差止請求の会事務局(06・6222・2031)。(朝日新聞 夕刊)
■地下鉄事故 重体の女性亡くなる 犠牲5人に、死傷計40人
 東京都目黒区の営団地下鉄日比谷線の脱線衝突事故で、頭を強く打って意識不明の重体だった女性が12日夜、死亡した。警視庁目黒署の捜査本部によると、女性は目黒区上目黒三丁目、会社役員横山陽子さん(32)。この事故での死亡者は計5人になった。このほかにも2人の乗客が今も重体で入院している。新たに軽傷の女性(33)が名乗り出たため、事故による死傷者は計40人になった。
 捜査本部によると、横山さんは中央区銀座八丁目の勤務先に向かう途中で、大破した上り電車の6両目に乗っていたとみられるという。亡くなった5人はいずれもこの車両の乗客だったとみられる。
 横山さんは、父親が高知市で経営する輸入雑貨販売会社の役員で、東京やイタリアで商品の買い付けなどを担当していたという。(朝日新聞 夕刊)
14日■私鉄5社が淡路花博で割引乗車券
 阪急電鉄、阪神電気鉄道、神戸電鉄、山陽電鉄、神戸高速鉄道の5社は13日、兵庫県・淡路島で18日から開催される国際園芸・造園博「ジャパンフローラ2000」の期間中、会場へのシャトルバスや高速船の最寄り駅を結ぶ往復割引乗車券を発売する、と発表した。
 割引乗車券が適用されるのは阪急、阪神、神戸の電鉄3社の各駅と、高速船の最寄り駅となる山陽電鉄の山陽明石駅を結ぶ区間。シャトルバスの最寄り駅の舞子公園駅も利用できる。
 割引率は出発駅によって異なり最大37%。山陽電鉄と他の電鉄3社は神戸高速鉄道を経由して接続しており、共同発売となった。(京都新聞)
■大阪市営地下鉄 カーブのレール破断 メーカーに調査要請 4時間徐行後に交換
 大阪市営地下鉄堺筋線で11日、レールが破断、列車自動制御装置(ATC)に電流が流れなくなり、徐行運転するトラブルが発生していたことが13日、明らかになった。
 市交通局によると、同線北浜−南森町間で11日午後5時40分ごろ、ATCの電流が流れなくなる異常が発生、信号が赤になった。
 保線職員が点検したところ、上り線の南森町駅手前の緩いカーブ外側のレールの継ぎ目付近に縦方向に幅最大5_のひび割れが見つかった。
 市交通局は応急処置を終えるまで約4時間、現場付近で電車を徐行運転する措置を取り終電後にレールを交換した。応急処置の段階でレールはひび割れではなく破断していたことが分かったが、徐行運転ならば安全上問題ないとして判断し運行を続けたとしている。
 堺筋線で使用されているレールの耐用年数は電車運行本数などから25年がめどとされているが、破断したのは約4年半前に交換した新しいレール。
 今月3日の点検では異常はなかったといい、市交通局はメーカーに原因調査を求めるとともにレールの点検を強化することを決めた。
 市交通局工務課は「カーフの外側で多少荷重がかかることはあるかもしれない」としている。(京都新聞)
■地下鉄43ヵ所に防止ガード新設 日比谷線事故で営団
 営団地下鉄日比谷線の脱線衝突事故で営団地下鉄(東京都台東区)は13日、脱線を防ぐためこれまで半径140b以下の急カーブに設置されていた脱線防止ガードについて、半径160b以下のカーブにも拡大し全線で設置すると発表した。
 新たに設置するのは、銀座線19ヵ所、丸ノ内線16ヵ所、千代田線と有楽町線各3ヵ所、日比谷線2ヵ所の計5線43ヵ所(総延長6.4`)。費用は約1億5000万円で1ヵ月以内の完成を目指す。
 脱線防止ガードはレールの内側にもう1本のレールを設置、車輪を挟み込んで脱線を防ぐ仕組み。
 営団は従来、半径140b以下のカーブをガード設置対象としてきたが、今回の脱線現場が半径約160bのカーブで、ガードがないことが脱線の要因と指摘されたことから設置基準の見直しを検討していた。
 運輸省は13日の梅崎寿・事務次官の会見などで「事故原因が判明していない現時点で、すべての鉄道に対し、脱線防止ガードの設置を指導はできない。しかし将来的に、厳しいカーブの区間については指導することもあり得る」としている。(京都新聞)
■堺筋線レール割れる 大阪市地下鉄
 大阪市営地下鉄堺筋線でレールが割れる事故が11日に起き、4時間にわたって自動列車制御装置(ATC)が作動しない状態が続いたことが13日、分かった。レールは途中で切断されたような状態になっていた。こうした事故は同市営地下鉄では初めてで、市交通局はメーカーとともに原因を調べている。
 同局によると、レールが割れていたのは北区の南森町駅の南約百bで、緩くカーブしている付近。11日午後5時40分ごろ、ATCが通電していないことを示す軌道回路不良の連絡が運転指令所に入った。職員が調べると、上り線のレールに最大5_のひびが入っているのが見つかった。
 その後、作業員が応急処置に当たったが、その際にレールが完全に分断されているのを確認した。午後10時ごろまで電車を徐行運転しながら応急処置を施し、最終電車の運行後にレールを取り換えた。
 レールの耐用年数は、通過した電車の重さの総計で決まる。堺筋線の場合は25−30年だが、割れたレールは1995年9月に交換したばかり。また今月10日の点検でも異状は見つからなかったという。(朝日新聞)
■ガード2ヵ所 横浜市設置へ
 営団地下鉄日比谷線の脱線・衝突事故を受け、横浜市は13日、市営地下鉄のカーブ2ヵ所に新たに脱線防止ガードを取り付ける方針を明らかにした。21日までに設置する。(朝日新聞)
■「せり上がり」福岡地下鉄も 車両工場内で脱線
 東京都目黒区の地下鉄日比谷線脱線・衝突事故で起きたとみられる「せり上がり脱線」現象が、2月中旬に福岡市営地下鉄でも起きていたことが13日明らかになった。発生場所が車両工場内で乗客がおらず、けが人はなかったが、車輪や車体の下側などに傷がついたという。
 地下鉄を運営する福岡市交通局によると、2月16日午後5時ごろ、同市西区下山門の車両工場で、作業車を使って6両編成の車両を引っ張っていたところ、右カーブで最後尾の車両の左側車輪がせり上がり、約15bにわたって脱線したまま走った。脱線した車輪は自然に復線したという。(朝日新聞)
■営団が事故相談室設置 日比谷線脱線衝突で
 地下鉄日比谷線の脱線衝突事故で、営団地下鉄(東京都台東区)は14日、本社内に「事故被害者相談室」を設置する、と発表した。
 これまで各駅や本社広報課などでばらばらに受けていた被害者からの相談を一本化するのが目的。約10人の職員を配置、事故で入院したり、けがをした乗客からの相談や損害賠償の交渉などを行う。営団独自の集計では、被害者は死者5人、けが人は38人で、うち8人は入院中という。
 連絡先は同相談室、03(3837)7194。(京都新聞 夕刊)
■全面広告 烏丸線国際会館駅−近鉄奈良駅 あすから直通急行運転 相互乗り入れ区間拡大 ”両古都”ぐっと近くに烏丸線四条駅−近鉄奈良駅間 50分で結ぶ 約30分間隔で平日に12往復
 市内の中心部を走る京都市営地下鉄烏丸線と、京都と奈良を行き来する近鉄京都線が、相互乗り入れを始めて約11年。あす3月15日から、その乗り入れ区間が拡大され、京都と奈良の中心部が直通の急行電車によって乗り換えなしで結ばれる。2つの古都間のアクセスがより便利になれば、観光客やビジネス客にとって大きな魅力だ。今回はその概要や京都市交通局と近鉄電車の最新情報などを紹介しよう。
 地下鉄烏丸線と近鉄京都線が相互乗り入れを始めたのは1988年。現在は平日に1日36往復、土曜と休日に34往復の普通電車が、烏丸線国際会館駅と近鉄新田辺駅間を各駅停車で直通運行している。
 今回の区間拡大は、国際会館駅−近鉄奈良駅を1本の急行電車で結び、2都市間をよリスムーズに移動してもらおうとするものだ。これにより、国際会館駅−奈良駅間が67分、市内の中心部にあたる烏丸線四条駅−奈良駅間は50分でアクセスされ、京都市内と奈良市内がこれまでよりもぐっと近くなる。
 急行の運行時間は、国際会館駅発では始発が午前9時55分、終発が午後3時24分。その前後の時間帯を約30分間隔で平日に12往復、土曜・休日に14往復する。
 停車駅は国際会館−竹田までが各駅で、竹田以南は急行列車となり、丹波橋、桃山御陵前、大久保、新田辺、新祝園、高の原、西大寺、新大宮、近鉄奈良に停まる。国際会館駅−新田辺駅間の普通列車はこれまで通り運行する。
・京都市交通局 地下鉄東西線 運転本数を増発 乗り継ぎ時間が短く
【東西線増発】
 京都市交通局では15日から、地下鉄東西線の運転本数を増発する。主に昼間時間帯の運転間隔を、現行の10分間隔から7分30秒間隔に短縮。醍醐駅−二条駅間の平日の運転本数が13往復、土曜・休日は18往復増える。
 これにより、乗り継ぎ時間が短縮され、地下鉄の乗り換えがより効率的になる。烏丸御池駅での烏丸線との乗り継ぎ平均時間は現行の6分から4分に。京都市役所前駅での京阪車両との乗り継ぎ平均時間は、現行の7分から5分となる。
 なかでも、利用客の多い醍醐方面への乗り継ぎが便利に。また、京阪京津線への乗り継ぎでは、夜の時間帯にもスムーズに乗り継げるようダイヤ調整される。
【100円循環バス】
 市内中心部を走る100円循環バス路線の試行運転がこの4月1日よりスタート。10時(始発)から16時50分(終発)の間、市役所前から御池通、烏丸通、四条通を一方向循環し、地下鉄をはじめとする各交通機関へ接続しやすくする。運賃が大人・小児ともに100円と割安なのも魅力。
 運行期間は4月1日から来年3月31日までの間の土曜・休日とお盆・年始年末。
【お得な乗車券など】
●市バス専用一日乗車券カード値下げ
 4月1日より現行の価格700円が500円に。均一区間内で1日中乗車自由。
●京都観光一日・二日乗車券カード
 同乗車券が3月1日より新しくカード化した。有効日に限り市バス、地下鉄、京都バスに乗車でき、市内の主な観光地を回れる。
 いずれも拝観割引などの特典が付いたガイドマップ付き。地下鉄各駅の券売機や市バス・地下鉄案内所などで発売中。
●地下鉄沿線エリアマップ
 駅周辺の観光スポットや地図を記載した人気のエリアマップを、地下鉄全駅で無料配布中。
・近鉄電車 ペイント列車を運行 新祝園駅にも急行停車
【ダイヤ変更】
 近鉄電車ではあす15日から、近鉄京都駅−奈良駅間の快速急行を増発する。時間帯は午前9時から午後3時まで、平日に12往復、土曜・休日が14往復。同日から学研都市の玄関口である新祝園駅にも急行が停車し、京都駅−新祝園駅間が昼間で11分短縮される。
【ペイント列車】
 相互直通急行の運転に合わせて、15日から京都・奈良の両古都をシンボリックに表現したペイント列車が運行される。
 京都タイプの車両は京の雅と伝統性をイメージさせる薄紫色をベースに、清水寺や金閣寺などをデザイン。奈良タイプには若草山を連想させる薄縁色を基調に、東大寺や薬師寺などが描かれている。両タイプの車両は交互に編成されており、1編成6両で2編成が運転される。
 ペイント列車には、今年から運転を開始した新型通勤車両「シリーズ21」を導入。環境問題への配慮から省エネルギー化・リサイクルを図り、お年寄りや体の不自由な乗客用に両ひじ掛けシートや車椅子スペースなども設置。あす午前9時からの出発式では、一般公募者50人が試乗する。
【お得な乗車券など】
●奈良ぐるっときっぷ
 近鉄奈良駅までの往復乗車券とフリー区間内の近鉄電車、奈良交通バスが乗り降り自由の割引き切符。価格は近鉄京都駅発で1590円(大人)。
●京都ぐるっときっぷ
 京都市営地下鉄、市バス、京都バス、近鉄のフリー区間(竹田−京都)が乗り降り自由の割引き切符。奈良駅発で2240円(大人)。
※各きっぷとも近鉄電車は乗車開始日から2日間、他の交通機関は利用指定日のみ有効。近鉄主要駅で発売。
●沿線ガイドマップ「ぶらり沿線散歩」シリーズ 「奈良公園・西の京・平城京跡」をはじめ、新たに「京都」「伏見・宇治・醍醐」「南山城」編が加わり、ますます便利に。近鉄主要駅などで無料配布中。(京都新聞 夕刊)
15日■乗車券などとセット スペイン村割引切符 JRと近鉄発売
 JR西日本と近鉄は、山陽新幹線やJR在来線特急を使って西日本や北陸地方からテーマパーク「志摩スペイン村」(三重県磯部町)への旅行に便利な「パルケエスパーニャ割引きっぷ」を15日から発売する。
 割引きっぷはスペイン村の入園が無料になるほか、施設内の乗り物が自由に使える。JR往復乗車券・特急券と近鉄全線のフリー乗車券などがセットで、伊勢志摩方面の観光にも利用できる。
 料金は岡山発着でみると大人1万7700円と、通常より7560円割安。JR西日本の主要駅などで発売する。(京都新聞)
■都営地下鉄の台車39台亀裂 98、99年に溶接部で
 都営地下鉄12号線(大江戸線)で1998、99年に相次いで電車の台車の溶接部分に亀裂が発見されたことが14日、都議会予算特別委員会の質疑で分かった。亀裂は住友金属工業製の台車168台のうち39台、44ヵ所に上り、再溶接の半年後の点検でも26台33ヵ所で見つかっていた。
 都は同社の溶接不良が原因で、亀裂が進めば台車が壊れ、脱線の危険性があったとしている。営団日比谷線の脱線事故車両の台車も同社製。この車両でも台車の溶接部分に定期点検で多数の亀裂が見つかっている。また都交通局は異常発見直後「運用の都合」としてそのまま客を乗せて運転、運輸省や知事にトラブルの報告をしていなかった。(京都新聞)
■脱線の原因究明を 信楽事故の遺族ら
 42人が亡くなった1991年の信楽高原鉄道事故の遺族や弁護士らでつくる鉄道安全推進会議(事務局京都市、臼井和男会長)のメンバー4人が14日、運輸省を訪れ、安富正文鉄道局長らに対し、営団地下鉄日比谷線の脱線衝突事故の原因究明と遺族の精神的支援を徹底するよう申し入れた。(京都新聞)
■近鉄でも「せり上り」脱線 鳥羽で4年前 事故後に防止ガード
 東京都目黒区の営団地下鉄日比谷線脱線・衝突事故で起きたとみられる「せり上がり」現象による脱線事故が1996年3月、三重県鳥羽市の近鉄志摩線で起きていたことが14日、分かった。特急電車が駅を出発直後、カーブを通過中に最後尾の車両が脱線した。けが人はなかった。カーブ個所には脱線防止ガード(護輪軌条)は設置していなかったが、事故後、ガードを新たに取り付けた。
 近畿日本鉄道(本社・大阪市)によると、96年3月9日午前10時50分ごろ、三重県鳥羽市船津町の近鉄志摩線の船津駅構内で、賢島発京都行き上り特急電車(4両編成、乗客25人)が同駅を出発直後、右カーブで最後尾車両の左側車輪がせり上がって脱線。約10bにわたって脱線したまま走ったが、運転士が異常に気づき、緊急停車させた。けが人はなかった。脱線した車輪はジャッキアップさせて線路上に乗せ直し、約8時間後に復旧した。
 同社が原因を調べた結果、現場は路線半経400bの比較的ゆるいカーブ。2本のレールのうち、外側のレールの高さが部分的に通常より18_低くなっていたことが分かった。カーブの場合、2本のレールを傾かせることで遠心力による脱線を防いでいるが、現場は2本のレールがはぼ同じ高さとなっていた。このため最後尾の2本の車軸に付いた車輪がレール上にせり上がり、脱線したとみられる。レールが低くなっていた原因は不明だという。
 同社の脱線防止ガードの設置基準は半径250b以下のカーブと定められているが、安全を確保するためにも事故後、現場にガードを設置した。
 近鉄は「志摩線で起きたせり上がり脱線の原因は非常に珍しいものだが、現場に脱線防止ガードを設置したほか、全線にわたって線路を点検するなどで安全を確保しており、その後、せり上がり現象は起きていない」と話している。(朝日新聞)
■都営大江戸線 地下鉄台車 77ヵ所亀裂
 東京都営地下鉄大江戸線(旧12号線)で1998年と99年に、車両の台車から計77ヵ所の亀裂が見つかっていたことが14日、分かった。長さは20aに達し、異常な振動が報告されながら乗客を乗せて運行した列車もあった。溶接不良が原因とみられ、メーカーは台車168台をすべて溶接し直した。都交通局はダイヤの乱れなどがなかったため、運輸省が定める報告事例には該当しない、として運輸省や知事に報告していなかった。(朝日新聞)
■国際会館←古都結んで→近鉄奈良 直通急行”春デビュー” カラフル車両も
 京都市の地下鉄烏丸線国際会館駅(左京区)と近畿日本鉄道京都線の奈良駅(奈良市)を結ぶ直通急行電車が、15日から相互乗り入れで運行を始めた。両駅ではそれぞれ一番電車の出発式があり、京都と奈良をイメージした近鉄の新型電車も、春風とともに古都の間を走り抜けた。
 2つの古都をつなぐことで観光客の利用を増やそうと、市交通局と近鉄が、ダイヤ改正に合わせて、国際会館駅−新田辺駅(京田辺市)間だったこれまでの乗り入れ区間を拡大し、国際会館−奈良両駅間(49.1`)を1時間7分で結ぶことにした。
 平日に12往復、土曜、休日は14往復運行する。近鉄は今回、金閣寺、東大寺など京都や奈良の観光名所を描いた新型のペイント車両を導入した。また、関西文化学術研究都市の玄関口となる新祝園駅(京都府相楽郡精華町)にも急行を停車することにした。
 この日、奈良駅では午前9時から、国際会館駅では同9時20分からそれぞれ、一番電車の発車記念式典が行われた。国際会館駅では下薗俊喜市交通局管理者ら関係者が「直通運転は観光振興に大きく貢献する」と喜び合い、奈良行き電車を拍手で見送った。また新祝園駅では、急行停車を記念して精華町主催の式典が開かれた。(京都新聞 夕刊)
■京都市100円バス 来月1日に発車 近畿運輸局 試験運行を認可
 京都市交通局が4月1日から運行開始予定の100円循環バス事業について、近畿運輸局は15日午前、市交通局の申請通り認可した。政令市での100円バス運行は札幌、福岡両市に次ぎ3例目。
 来年3月31日までの試験運行で、土日曜と祝日のほか、お盆と年末年始の計124日間走る。区間は中京区の京都市役所前を起点に、左回りで烏丸御池−四条烏丸−四条河原町を経由して、市役所前に戻る3.4`。約200bおきに15ヵ所の停留所に止まる。1周の所要時間は約20分。始発は午前10時、最終バスは午後4時50分。
56人乗りの中型車両2台を用い、運行間隔は10分。運賃は大人、子どもとも100円で現金のみ。敬老乗車証と福祉乗車証以外のカードは使えない。
 市交通局は今年1月、2001年に予定される乗合バス事業の規制緩和への対策や、繁華街への車の流入防止策として、事業の認可を申請していた。
 100円バスは、1998年1月に前橋市で民間バス会社が導入したのをきっかけに、公営と民営含め全国33ヵ所で実施されている。(京都新聞 夕刊)
■ガード設置工事始まる 基準見直しで営団
 営団地下鉄日比谷線の脱線衝突事故で、営団地下鉄(東京都台東区)による、車輪を挟み込んで電車の脱線を防ぐ脱線防止ガードの設置工事が15日未明、日比谷線の恵比寿−中目黒間で行われた。
 事故を受けて、営団がガードの設置基準をこれまでの半径140b以下の急カーブから、160b以下に厳しく見直した対策の一環。この日は事故現場となった中目黒駅近くの、上り線約60bに設置された。
 工事は終電後の同日午前1時半すぎに始まった。約40人の作業員が長さ6bの鉄製ガードを順次、線路の内側に、車輪を挟み込むような形で取り付けた。
 現場の下り線は事故当日の復旧工事の際に、既にガードを設置している。
 工事は今回を手始めに、対象の急カーブがある銀座線や丸ノ内線など営団の5線43ヵ所(総延長6.4`)で順次実施、約1ヵ月で作業を終える。費用は約1億5000万円。
 営団は「脱線の教訓から基準見直しに踏み切った。ガードを設けることで安全に対する姿勢を示したい」と話している。(京都新聞 夕刊)
■エンジン故障 寝台特急運休 JR山陰線
 15日午前5時40分ごろ、京都府天田郡夜久野町高内のJR山陰線で、出雲市行寝台特急「出雲」の機関車についている2つのエンジンのうち1つが停止、こう配をのぼれなくなった。列車を福知山駅に戻して運転を打ち切り、乗客約90人は別の列車やバスの代替輸送を利用した。福知山−和田山間の普通列車上下合わせて4本が部分運休して、約550人に影響が出た。(京都新聞 夕刊)
■米子の駅構内 貨物列車脱線
 15日午前零時すぎ、鳥取県米子市蚊屋のJR山陰線伯耆大山駅構内で、同駅発西岡山行き貨物列車(13両編成)が発車直後、先頭の電気機関車の後部が脱線した。けが人はなかった。
 脱線した車両は油圧ジャッキで持ち上げ、同日午前6時に復旧。列車の出発ホームは貨物専用だったため、事故による在来線の運休などの影響はなかった。(京都新聞 夕刊)
■京都の100円バス認可
 近畿運輸局は15日、京都市交通局が申請していた市内中心部を循環する運賃一律100円の路線バスの運行を認可した。4月1日から1年間限定で、土、日曜、祝日のほか、お盆と年末年始に試験的に運行する。
 京都市役所前を起点に3.4`を一周する循環路で線、所要20分。午前10時始発、午後4時50分終発。10分間隔で1日に42本運行する。
 一律100円運賃は、近畿地方では滋賀県大津市、兵庫県加古川市、赤穂市の3ヵ所で民間バスが導入しているが、公営バスでは初めて。大阪市バスも5月下旬の実施を目指して申請中。(朝日新聞 夕刊)
■鳥取 貨物列車の機関車脱線 車輪止めつけ発進?
 15日午前零時10分ごろ、鳥取県米子市蚊屋のJR山陰線伯耆大山駅構内で、同駅発西岡山行き貨物列車=生田卓士運転士(56)=が発進して約4b進んだところで、先頭の機関車が脱線した。12両の貨車に脱線はなく、午前4時ごろ、代替の機関車で運転を再開、けが人やほかのダイヤヘの影響はなかった。
 米子署とJR西日本米子支社によると、機関車には左右各6つの車輪があり、最後尾の両輪が進行方向左側へ約5aずつ脱線していた。運転士が右側5つ目の車輪後方と、6つ目の車輪前方に置いてあった鉄製の車輪止め(幅7a、長さ27a、高さ13a)を取り外さずに発進したのが原因とみて調べている。(朝日新聞 夕刊)
17日■私鉄賃上げも過去最低水準 阪急は妥結の方向
 私鉄総連加盟の大手私鉄14社の労組と経営側の交渉が16日行われ、東武、京王など関東の6社と名古屋鉄道は定期昇給込みで4950円、西鉄は4300円を回答した。昨年実績より650−800円低く過去最低水準。
 阪急はベア350円、定昇込み4900円を提示したが、回答方式などが異なるため昨年との比較はできないという。組合側はいずれも妥結する方向。残る京阪、南海など大手私鉄の交渉は難航している。(京都新聞)
■JR西は7080円
 JR西日本は16日、2000年度の基準内賃金を、従業員平均(43.9歳)で定期昇給分を含め7080円(前年は7573円)引き上げる回答を4組合に提示。最大労組のJR西労組が受け入れ、交渉は事実上妥結した。(京都新聞)
■営団地下鉄事故と同じ急カーブ 東西線に6ヵ所 脱線防止ガード設置 「十分に安全確保」 京都市交通局
 京都市交通局は16日、市議会公営企業予算特別委員会で、8日に起きた東京の営団地下鉄日比谷線の脱線衝突事故に関し、事故現場の線路と同程度の急カーブが、地下鉄東西線に上下線合わせ6ヵ所あることを明らかにした。いずれも脱線防止ガードを取り付けているほか、事故後の車両や線路の総点検でも異常はなかったとし、安全性を強調した。
 営団事故が発生した線路のカーブは、半径(曲線半径)が約160bだった。数値が小さいほどカーブがきつく脱線の可能性が大きいが、同営団では半径140b以下のカーブにしか、内側線路に脱線防止ガードを取り付けていなかった。
 事故後、市交通局が調べたところ、東西線で、事故現場と同じ曲線半径160bのカーブが二条駅付近に、同165bのカーブが三条京阪駅と市役所前駅付近に、上下線それぞれ1ヵ所ずつあった。
 同交通局は、脱線防止ガードを、営団よりゆるい半径250b未満のカーブ23ヵ所すべてに設置、車輪の「せり上がり」対策としてカーブ部分に摩擦を減らす油を塗っており、「十分安全を確保できる」(山中治夫施設部長)と説明した。
 また運輸省の通達に従い8日以降、烏丸、東西両線の全車両 204台の台車の点検や、線路の亀裂の有無などを総点検した結果、異常はなかったという。(京都新聞)
■社説 100円バスを発想転換の一歩に
 京都の中心部に100円玉1枚で乗れる市バスが4月1日から登場する。京都市交通局は、土、日曜と祝日の日中に「御池通−烏丸通−四条通−河原町通」の左回り循環コースで走らせる計画で、1年間の「試験運行」という。
 きわめて限定的な運行のうえ、先手を打ったタクシー会社の認可申請への対抗上、急きょ申請した経緯もあり、いかにも泥縄で中途半端な印象を否めない。
 とはいえ、乗客減で赤字にあえぐ市バスの復権や、21世紀にふさわしい京都の交通体系の見直しにつながる発想転換の試みといえ、歓迎したい。
 100円バスはすでに路線バスやコミュニティーバスとして福岡や金沢など全国33ヵ所で運行され、乗客増を果たした例も多い。京都でもバスの「良さ」を生かす具体策の第一歩としてほしい。
 とりわけ地球温暖化防止や幹線道路沿線の大気汚染防止、あるいは高齢社会への対応やコミユニティー交通、安全性といった観点から、公共交通としてのバスの優位性が再認識されていい。
 今回の100円市バスの「売り」は、ワンコインという安さに加え▽停留所が多い▽10分間隔で待ち時間が少ない−などだろう。問題は河原町通や四条通の繁華街の交通渋滞だ。週末や祝日には大渋滞も予想され、「歩いた方が早い」ようでは魅力は半減しかねない。
 せっかくの「試験運行」なら、もっと積極的な姿勢がほしい。たとえば河原町通や四条通は100円市バスの運行時間帯にはマイカーなど自動車の通行を制限したり、一方通行にして歩道を広げるなどの工夫ができないものか。
 そうすればバスは走りやすくなり、ひいてはショッピングの楽しさも増す。バスの乗客を呼ぶばかりか、商店街振興や地球環境保全にもつながるだろう。
 また、試験の成果を生かすなら、コースや運行日程・時間帯の拡大を図っていく方向性があってよい。
 そこでは、市外からのマイカー客らに郊外などの駐車場で下車し、市バスや地下鉄に乗り換えて都心や観光名所に向かってもらう「パーク・アンド・ライド」導入の具体的な検討も課題になる。
 他方、100円市バスを高齢社会の「市民の足」に生かす議論もほしい。最近は低公害、低床のバスが増え、形や大きさも豊富にある。他都市では小回りの利く小型車を住宅地と商店街を循環する100円バスにあて、お年寄りや買い物客らに喜ばれている。京都でも成算があろう。
 ことは京都全体の都市政策に通じる。「試験運行」の位置づけや将来図、その際の問題点などを明らかにし、合わせて結果と分析を公表するよう望みたい。
 経営悪化に苦しむ京都市のバス事業は営業所土地売却、職員給与カット、一部路線の民間委託など「荒療治」で2004年度黒字転換を目指す。だが、一方では2001年度には路線バスへの新規参入規制緩和が予想され、市当局は庁内検討会を設置して対応を検討している。
 それだけに、100円市バスは広く市民のアイデアや意見を求め、議論を通じて活路を採る絶好機となるはずだ。(京都新聞)
■窓 観光バスより北野線延長を 八幡市・松尾 一郎(団体職員・59)
 京都で昨年9月から、土・日曜、休日に京福北野線の北野白梅町駅と京阪・叡電のターミナルの出町柳駅間に、30分ごとに観光シャトルバスが運行されている。公共交通機関である電車、バスの乗り継ぎを便利にして観光客を呼び込み、新たな需要を掘り起こそうとの努力と発想は結構だが、どうも中途半端である。
 利便を図るなら、いっそのこと北野線を路面電車として、今出川通を複線で出町柳まで延長し、叡電と相互乗り入れさせてはどうか。両線とも軌間、電圧は同一規格なので技術的には問題ない。単に今出川通に路面電車を復活させるだけでは採算に合わないが、直通運転にメリットと意義がある。
 実現すれば、北野白梅町と出町柳での2回の乗り換えが解消され、嵯峨・嵐山(右京区)と鞍馬・貴船・八瀬(左京区)の両観光ゾーンが鉄道で直結される。これにより、京都市内北部の公共交通が充実整備され、停滞気味の京都観光に与えるインパクトは決して小さくないだろう。大都市での路面電車復活の試金石としても、一考に値しないか。(京都新聞)
■脱線防止ガード「200b以下」 全国800ヵ所提言 運輸省検討会
 営団日比谷線の脱線・衝突事故を調査している運輸省の鉄道事故調査検討会(座長=井口雅一・東大名誉教投)は16日、事故原因がはっきりするまでの緊急措置として、全国の旅客鉄道を対象に、路線の半径が200b以下のカーブに脱線防止ガードなどの装置を設けるよう運輸省に提言した。運輸省は17日にも、全国の鉄道事業者に対して通達を出す。
 脱線防止ガードや防止レールの設置基準はこれまで、各鉄道事業者の判断に任されてきた。事故当時、営団は設置基準を半径140bよりきついカーブとしていたため、事故現場には設置されていなかった。
 提言では、脱線防止ガードを速やかに設ける場所として、半径200b以下のカーブの出口で、外側のレールと内側のレールの高低差を和らげる緩和齢線部分を挙げた。また、S字カーブや橋りょうなどについても、ガード設置の計画をたてるよう求めている。
 運輸省によると、新たな防止ガード設置対象個所は、全国で約800ヵ所。うち、営団は113ヵ所。(朝日新聞)
■営団総裁が辞任示唆 地下鉄事故
 営団地下鉄(本社・東京都台東区)の寺嶋潔総裁は16日、日比谷線脱線・衝突事故の集中審議が行われた参議院交通・情報通信委員会に参考人として出席後、国会内で朝日新聞記者の取材に対し、「(引責辞任については)今は頭が回らないが、考えなくてはならないときが来る。そのときに決める」と述べ、事故の原因や被害者に対する補償問題にめどがついた時点で自らの進退を決める考えを明らかにした。
 寺嶋総裁は東大法学部を卒業後、60年に運輸省入省。貨物流通局長、運輸審議官などを経て、93年に辞職。同年に営団副総裁、96年7月に同総裁に就いた。(朝日新聞)
■JR西日本子会社 大阪・天王寺で訪問介護事業
 JR西日本の子会社「ジエイアール西日本メンテック」(本社・大阪市)は16日、大阪環状線天王寺駅近くに拠点施設をつくり、6月からお年寄りの訪問介護や家事援助などホームヘルプ事業を始めると発表した。訪問地域は大阪市阿倍野区と東住吉区周辺で、専門の介護支援専門員が常駐して介護計画(ケアプラン)も作成する。JRが運営する大阪鉄道病院(阿倍野区)や地元医師会とも連携し、医療から介護までの一貫したサービスを目指すという。
 新しい施設「Jサポート天王寺」(阿倍野区)をつくり、10−15人の登録ヘルパーがお年寄りの自宅を訪れて介護する。当面の利用者数は50人程度で、同社は「大手業者にはない地域密着型で、密度の濃いサービスを展開したい」としている。
 JR西日本グループでは昨年4月から、広島市内でホームヘルプ事業を始めており、現在約30人が利用している。(朝日新聞)
■私鉄大手も過去最低 春闘
 私鉄大手の春闘の賃上げ交渉は16日、組合側に回答額が示された。東武、京急、京王、京成、小田急、相鉄の関東6社と名鉄は、高卒30歳・勤続12年の標準モデルで4950円、西鉄は4300円(いずれも定期昇給分合む)。いずれも昨年を650−800円下回った。東急はベースアップがゼロ(定昇3500円)。阪急はベア350円(同4550円)だった。各社とも水準は過去最低だが、組合側は受け入れる見込み。
 近鉄、阪神など関西4社は交渉が深夜まで長引いた。営団地下鉄は、日比谷線の脱線事故の影響で労使交渉を中断している。
 私鉄大手の交渉は、15日に決着した金属大手の水準が史上最低だったことや電力大手とNTTの回答が17日以降にずれ込んだ影響を受けて難航している。(朝日新聞)
18日■京都市バスの収支均衡 2005年に1年ずれ込み 労使妥結の一部変更で
 京都市交通局の江草哲史次長は17日、3月市議会公営企業特別委員会で、4月から取り組む市バスと地下鉄の経営健全化計画「プログラム21」について、2004年度中の市バスの経常収支を均衡させる目標が、労使交渉による当初案の一部変更に伴い、1年遅れることを明らかにした。給与水準の是正や基準乗務時分の変更によるものだが、「今後も労働組合と協議を続ける」としている。
 プログラム21は、市バスについて、乗客減などで2004年度に見込まれる経常赤字42億円を、人員削減や給与のカットなどで1億円の黒字に転換することを目的に、昨年9月に計画案を策定。労働組合と協議し、昨年12月末に妥結した。
 ところが、妥結内容の中でバス乗務員の基準乗務時間が、当初案の30分引き上げから15分に、また本給の4.9%に当たる運転手の車掌業務分の手当てのカットが2003年から2年間の定期昇給停止の形に、それぞれ変更され、これらの5年間の効果額19億7000万円が見込めなくなった。
 この結果、管理職の本給5%以上のカットなど、労使の妥結内容には当初案以上に厳しい部分も盛り込まれたが、それでも当初目標にした2004年の収支均衡は厳しく、2005年に目標を修正した。(京都新聞)
■関西の私鉄3社 賃上げ最低水準に
 賃上げ交渉が難航していた関西の私鉄大手4社のうち、南海をのぞく3社の回答額が17日、労組に示された。いずれも過去最低の水準だが、労組は受け入れる見通しだ。回答額は30歳・勤続12年の標準モデルで、近鉄と阪神が昨年より850円低い4750円(定期昇給分合む)。京阪は昨年を2000円以上も下回る3530円(同)になった。(朝日新聞)
■鉄路に求む 信楽事故から9年 (上) 遺族ら連帯 調査を凝視
 引きちぎられたように壁の吹き飛んだ銀色の車体、一面が血に染まった床、くの字に曲がって転がる座席…。
 東京都目黒区の営団地下鉄日比谷線中日黒駅近くで今月8日朝に起き、死者5人、負傷者約30人を出した脱線・衝突事故。ニュースを見守る神戸市の主婦、林かづよさん(59)は、9年前の出来事を思い出して身震いした。
 夫浩聡さん(当時59)は1991年5月14日、滋賀県信楽町の信楽高原鉄道(SKR)事故で、JR西日本列車の先頭に乗っていてSKR列車と正面衝突し、亡くなった。同町で開かれていた世界陶芸祭へ展示装飾の仕事に行く途中だった。
 事故翌日、始まったばかりの自宅新築工事が止まった。2人の子どもが成人して手元を離れたのを機に「ついのすみかを」と、浩聡さんが設計までこだわった家だった。工事業者は代金を受け取れなくなると考えたらしかった。交渉の末、数週間後に工事は再開されたが、夫の死が思わぬ影を落としたことに、改めて悔しさがこみ上げた。
 示談交渉が進む一方で、事故原因はなかなか明らかにならなかった。信楽駅の信号が赤だったにもかかわらずSKR列車が発車したことなどを、断片的に新聞やテレビが伝えるだけ。さらに事故の一方の当事者、JRが「直接的な過失を問えない」などとして刑事責任を問われなかった。「納得できないことばかり」と林さん。
 警察や検察が「捜査中」を理由に情報を十分公開しなかったこともある。さらに、航空事故の事故調査委員会や海難事故での海難審判庁のように、事故原因を究明できる第三者機関が鉄道に関してはなかった。
 林さんは、遺族の一人、京都市の染色会社長、臼井和男さん(61)らと顔を合わせる度、喫茶店で話し込んだ。「このまま真相がわからずに終わってしまうのか。同じような思いの人がもっといるはず」。各地の鉄道事故の遺族や被害者に「連帯」を呼びかけた。
 93年8月、京都市内のホテルで、市民グループ「鉄道安全推進会議」(TASK)の設立総会が催された。林さん、臼井さんらSKR事故の遺族のほか、兵庫県・余部鉄橋や長崎県・島原鉄道の列車事故などの関係者ら約200人が顔をそろえた。事務局が読み上げた設立趣意書には、こう書かれてあった。「事故に奪われた命は帰ってくるものではないが、悲惨な犠牲を将来に生かすことはできる。日本において鉄道事故が二度と発生しないことを願う」。参加者から拍手がわき起こった。
 TASKには今、500の個人と団体が集う。第三セクターの鉄道会社も数社含まれている。会員は、鉄道事故の専門調査機関を求め、運輸省や国会議員に陳情を繰り返してきた。事故のたびに現場を訪れて独自に調査し、結果を報告書や勧告として国や鉄道会社などに送っている。
 こうした動きに背を押されるように運輸省が去年6月、鉄道システムに詳しい大学教授や日本鉄道運転協会幹部らでつくる「鉄道事故調査検討会」を設けた。常設ではないが、死者5人以上または重傷者20人以上の大事故が起きると招集され、調査する。
 検討会の「初出動」となったのが、日比谷線の事故だった。メンバーの学者らが車両やレールをのぞき込むようにして調べる姿がニュースで流れた。「きちんと調べて欲しい。惨事はもうたくさん」と林さん。
 「検討会の設置はTASKの成果」と素直に評価する遺族もいる。しかし、臼井さんは「検討会の権限や調査能力は未知数。もっと充実した事故調査機関を要望していく」となおも厳しい目を注ぐ。
 死者42人、負傷者約600人を出した信楽高原鉄道事故から9年。24日には大津地裁で業務上過失致死傷罪などに問われたSKR社員ら3人の刑事判決が言い渡される。事故後、悲しみを乗り越え、安全な鉄路を求め続ける遺族たちの歩みをたどった。(朝日新聞)
■信楽高原鉄道事故 24日に判決 正面衝突 予見できたか 信号故障、2つ重なる
 1991年5月14日、JR西日本の乗り入れ列車と信楽高原鉄道(SKR)の列車が滋賀県信楽町内のSKR線で正面衝突し、死者42人、重軽傷者約600人を出した信楽高原鉄道列車事故。業務上過失致死傷罪などに問われたSKR社員ら3被告の判決が24日、大津地裁(安原浩裁判長)で言い渡される。「事故はJRを含む複数の関係者の過失が競合して起きており、予見できなかった」と無罪を主張する3被告。事故の一方の当事者でありながら不起訴となり、被告席にいないJR西日本。初公判から7年近く続いた裁判の司法判断が注目される。
 事故は午前10時35分に起きた。JR京都駅を出発してSKR線に乗り入れたJR西日本の信楽行き臨時快速列車(3両編成、乗員乗客716人)と、SKRの信楽発貴生川行き普通列車(4両編成、同15人)が、信楽町黄瀬のSKR線でぶつかり合った。
 SKR線は貴生川−信楽間(14.7`)を結ぶ単線で、本来は1編成が折り返し運転する方式。しかし、信楽町で開かれる地方博「世界陶芸祭」への客を輸送するため、中間地点に待避線(小野谷信号場)を設け、JR列車が貴生川駅からSKR線に乗り入れることになった。その日も両列車は小野谷信号場ですれ違うことになっていた。
 大惨事の引き金になったのは、2つの信号故障だった。
 まず信楽駅の出発信号が赤のまま変わらなくなった。こうした異常が起きた場合、信楽駅から無人の小野谷信号場に駅員を派遣し、単線内に対向列車がいないことを確認することなどが両社の打ち合わせで決まっていた。しかし、SKR側はこの手続きを十分しないまま、赤信号で「見切り発車」させた。
 さらに、2つ目の信号故障が重なる。信号を無視して信楽駅を出た場合、小野谷信号場に進入した下り列車を強制的に赤で止める「誤出発検知装置」が作動する。ところが、信楽駅の信号故障直後、SKR側が駅構内の継電室で修理作業をしたため、誤出発検知装置が作動しなくなった。このため、赤になるはずだった小野谷信号場の下り出発信号が青を示し、JR乗り入れ列車の運転士は、すれ違うはずのSKR列車がいなかったものの、青信号に従って進んでいった。
 3被告はいずれも、それぞれの立場から事故は予見できなかったとしている。里西被告は、八木沢被告の修理作業が小野谷信号場の信号異常をもたらすことも、同信号場で待機するはずのJR列車が信楽駅に連絡なしに進行してくることも予見できなかった▽八木沢被告は、信号装置の修理を命じた里西被告らが赤信号を無視して列車を出発させるとは予想できなかった▽山本被告は信号知識に乏しく、八木沢被告の修理作業が危険と認識できなかった−などと無罪を訴えている。
 さらに、里西被告の直属の上司だった当時の業務課長(事故列車に乗り込み死亡)が、SKR社員の中で実質上の強い権限を持っており、事故当日も業務課長が早く列車を出すよう強く命じたため、里西、山本両被告は出発を阻止できなかったという。
 検察側は「里西、八木沢両被告は、互いの行動を把握するのは難しかったものの、山本被告はほかの2被告の行為の危険性を把握し、列車衝突を強く予見できた」と指摘、「3被告の過失が競合する形で事故が起きた」などとしている。
・検察側は禁固を求刑
 《起訴状要旨など》業務上過失致死傷罪などに問われている3被告は、当日の信楽駅長で元運転主任の里西孝三被告(69)と元施設課長の山本長生被告(63)、信号会社から派遣されていた八木沢守被告(51)。
 起訴状などによると、里西被告は小野谷信号場に人を派遣して信楽駅−小野谷信号場間に列車がいないことを確認するなどの手続きを怠ったまま、赤信号で列車を出発させた▽八木沢被告は依頼されて信号装置の点検・修理をする際、使用停止前の信号装置に危険な配線をし、小野谷信号場の信号異常をひき起こした▽山本被告は、里西被告に列車の出発を見合わせるよう要請せず、八木沢被告を指導・監督する立場として同被告の危険な作業を止めなかった−とされる。検察側は、里西被告に禁固3年6月、山本、八木沢両被告にいずれも禁固3年を求刑している。
 被告は注意義務に違反したか「方向優先てこ」は事故原因かJR運転士は事故を予見できたか


事故当日信楽駅長を務めた里西被告は、無人の小野谷信号場に人を派遣するなど駅と信号場間の安全を確認せずに列車を出発させた。派遣の信号技師の八木沢被告は信号異常後に同駅継電室で危険な修理作業をしたため、対向列車を強制的に赤で止めるはずの信号場の信号が青になった。元施設課長の山本被告は、里西、八木沢両被告の行為を知りながら止めなかった。被告三人の基本的な注意義務違反が事故を招いたJRがSKRにてこ設置を伝えたかはっきりしないが、両社が十分協議しなかった場合は、列車運行責任者のSKRが最終的な安全確認をすべきだった。てこ操作は普通の信号機の取り扱いにすぎず、操作の度に信楽駅へ連絡する必要はない。信楽駅の信号故障は、SKRの信号システム変更工事が前提となって起きたし、信号故障が事故の遠因としても、被告が基本的な注意義務に違反しなければ事故は起きなかったSKR線での上下列車のすれ違いは、ダイヤの乱れによっては当初予定の小野谷信号場から信楽、貴生川両駅に変わることもあり得るので、信号場に対向列車がいなくても異常事態とはいえない。運転士は信号以外に見える範囲の安全だけを注意すればよく、青信号で進行しなければならない。事故前に信号故障を経験しても、運行管理責任者のSKRの判断を信じて直ったと思うのが当然で、危険は予見できなかった


里西被告は、対向のJR乗り入れ列車が信楽駅に無断で進行してくると予想できず、SKR列車の出発を止める立場にもなかった。信号修理をした八木沢被告は、SKR列車が安全確認を怠ったまま出発すると予見できなかった。信号知識のない山本被告は信号修理の危険性を知り得ないし、列車出発を判断する権限もない。事故は様々なミスが重なりあって生じており、被告のみの過失を問うことはできないJRは、運行管理責任者であるSKRと十分情報交換しないまま、SKR 線の信号システムに影響を及ぼす設置工事をした。SKR線の運行管理者でもないJRが、JR線のダイヤの乱れを防ぐという勝手な都合で、SKR列車を制御しようと無断でてこを操作したのは許されない。てこの無断設置や操作がもたらした信楽駅の信号異常が、三被告を混乱させて違反行為を誘発し、事故に至った対向列車がすれ違う予定の場所にいないのに信号は青を示す異常事態になっており、信楽駅に連絡して指示を仰ぐべきだった。異常時の対処方法をJRとSKRの双方で事前に十分協議しなかったのだから、狭い解釈をせずあらゆる注意を払って安全を確認すべきだった。事故前にも信号トラブルを経験しており、たとえ直っていても同じ故障が起きると疑うのが普通。実際、不審感を持ったにもかかわらず進行した







被告ら個別の過失の有無・程度に影響を及ぼした事故原因に関する事実関係は、実質的に争いがないか、あるいは立証責任の観点からみて、弁護側の主張を認めるのが相当であり、これらの法的評価が主要なテーマとなる列車交通の安全のかなめである信号システムを変更する以上、設置の際はJRとSKRの双方が図表をチェックし、担当者が審査や照合、承認をする手続きが必要だが、十分だったとはいえない。打ち合わせた上でてこを操作すべきか、てこの構造上の欠陥が信号システムの安全に影響を及ぼしたかも争点。信楽駅の信号故障は、JRのてこ操作とSKRの信号システム変更工事が原因で、いずれが欠けても起きなかった運転士が青信号のみに従って進行したことは明らかだが、行為の違法性の有無や事故との関連性についての評価が、被告の注意義務違反の有無・程度に影響を与える
・不起訴のJR、責任が焦点
 裁判でもう一つ大きな争点となっているのが、JR西日本の責任。弁護側は「事故はJRを含めた複数の関係者の過失が競合して発生した」と主張。3被告の予見可能性にも大きな影響を与えるもので、その一つとして最初に起きた信楽駅の信号故障の原因が挙げられる。
 滋賀県警などの捜査の結果、JRは列車乗り入れに伴い、事故の3ヵ月前に三重県の亀山列車集中制御装置(CTC)センターに信号装置「方向優先てこ」を設け、遠隔操作をしたことが判明。SKRが自社線の信号システムを変更した工事が重なり、故障に至ったことがわかった。
 もともとJRは、乗り入れ列車の遅れがJR線にまで影響するのを避けるためにてこを設置した。事故当日も、JRはSKR列車を小野谷信号場で待たせ、乗り入れ列車を優先的に進行させようとてこを操作していた。
 弁護側は「SKRがてこの存在を十分知っていれば、被告の行為を誘発する信楽駅の信号故障という事態にはならず、惨事は起きなかった」と事故との因果関係を強調。JRがSKRに十分な連絡をした上で、てこを設置したかどうかが争点の一つとなった。
 こうした中で、大津地裁は97年に中間見解を示し、てこの図表を交換するなど両社の密接な連絡が必要だったと指摘した上で、「(証拠調べからは)十分な連絡・協議がなかったことは明らか」とした。
 JRの元運輸部管理課主席は公判で「電話で十分伝わると思った」と証言し、裁判所との認識の違いが際立った。さらに電話連絡したという同社の元設置担当者は「(だれに伝えたか)はっきりしない」と証言。これを受けて検察側は論告で、「JRが電話連絡をした際、てこの設置まで話したかどうか判然としない」と当初の主張を弱めながらも、信号システムの責任者だったSKRが設置の最終確認を怠ったことに問題がある、と反論した。
 また、待避線ですれ違うはずのSKR列車がいないのに、青信号に従って小野谷信号場を出発したJR運転士の行動に問題がなかったのかについても争われている。
 県警は事故の約1年半後、SKR側の3人を逮捕。JR運転士も事故前に2度の信号トラブルを経験し、SKR線の信号システムに不審感を持っており、事故を予見できた可能性があったとして書類送検した。しかし、大津地検は93年、「青信号は単線区間内に列車がいないことを示すから、運転士がこれに従い進行しても過失は問えない」として不起訴処分とした。被告側は「進行前に、信楽駅に連絡して指示を仰ぐべきだった」とする。
■信楽高原鉄道事故をめぐる主な動き■
1991年2月11日JRが三重県のJR亀山CTCセンターに方 向優先てこ設置工事を着工(運輸省無届けで、のちに鉄道事業法違反罪が確定)
 3月8日SKRが信号システム変更工事を着工(同)
  25日SKR線に小野谷信号場が完成
 4月8、12日JR乗り入れ列車の試運転中に貴生川駅出発信号がトラブル
  20日世界陶芸祭開幕
 5月3日信楽駅出発信号にトラブル
 5月14日事故発生
 7月21日「遺族の会」結成
92年12月3日滋賀県警がSKR社員ら3人を業務上過失致死傷容疑などで逮捕
  4日県警が、JR運転士と、事故で死亡したSKR側の運転士ら3人を業務上過失致死傷容疑などで書類送検。両社とそれぞれの担当者を鉄道事業法違反容疑で書類送検
  7日「遺族の会」が、書類送検されたJR運転士と、同社幹部ら6人を業務上過失致死傷容疑などで大津地検に刑事告訴
  24日大津地検がSKR 社員ら3人を業務上過失死傷罪などで大津地裁に起訴
93年2月26日「遺族の会」がJR幹部ら6人を証拠隠滅容疑などで刑事告訴
 3月18日大津地検が、JR運転士と同社幹部ら6人を不起訴処分に。大津簡裁が同社とそれぞれの担当者に鉄道事業法違反罪で罰金刑
  26日「遺族の会」がJR幹部らの不起訴処分を不服と大津検察審査会へ審査申し立て
 4月27日大津地裁でSKR 社員ら3人に対する初公判
 6月30日大津地検が「遺族の会」に証拠隠滅容疑などで告訴されていたJR幹部ら6人を不起訴処分
 7月6日「遺族の会」が、JR幹部らの不起訴処分を不服として、大津検察審査会へ審査申し立て
 8月8日遺族らが市民団体「鉄道安全推進会議」(TASK)を設立
 10月14日9遺族が、両社を相手取り総額11億3600万円の損害賠償訴訟を大阪地裁に提訴
94年4月28日大津検察審査会が、JR運転士と同社幹部6人の不起訴処分を不当と議決
 7月22日同審査会がJR幹部ら5人について再び不起訴不当を議決
 8月31日大津地検が不起訴不当とされたJR社員らの証拠隠滅容疑について再度不起訴処分
95年5月1日大津地検が、同審査会で不起訴不当とされたJR西日本の元幹部や社員ら全員について再び不起訴処分
97年9月30日大津地裁が中間見解を示す
99年3月29日大阪地裁で損害賠償訴訟判決。JR西日本の過失を認め、両社に計5億150万円の賠償命令
  31日JR西日本が損害賠償訴訟で控訴
 10月29日大津地検がSKR社員ら3人に禁固3年6月−3年を求刑
 12月28日大津地裁で刑事裁判が結審
 裁判所は中間見解で、争いのない事実関係として、「事故前の信号トラブルの発生後、JRとSKRの双方で原因究明の努力が尽くされず、仮に尽くしておけば事故を回避し得た可能性がある」などと指摘している。
 9遺族がJRとSKRを相手取って損害賠償を求めた民事訴訟では、大阪地裁が昨年3月、JR、SKR双方の過失を認定する判決を出し、JR側が大阪高裁に控訴して審理が続いている。刑事事件の判決で、JRの行為が事故に与えた影響について、どのような評価がなされるか、焦点になっている。(朝日新聞)
19日■判決を前に 信楽高原鉄道事故 〈上〉 裁判の焦点 被告以外の過失どこまで JR責任問わぬ地検 「連絡不備」どう判断
 滋賀県甲賀郡信楽町で1991年5月、死者42人、負傷者約630人を出した信楽高原鉄道列車正面衝突事故で、業務上過失致死傷と業務上過失往来危険罪に問われた第三セクター・信楽高原鉄道会社(SKR)の元運転主任ら3被告に対する判決公判が24日午後、大津地裁(安原活裁判長)で開かれる。事故から約8年10ヵ月。判決では、無罪を主張する3被告への判断とともに、JR西日本の責任について言及するかどうかが焦点となる。遺族の思いや裁判での証言などから、事故が何を残したのかを採った。(滋賀本社 小池直弘)
 昨年12月28日、大津地裁で、約6年8ヵ月に及ぶ刑事裁判が結審した。3被告は「事故原因はJR西日本側の過失にある」と、大幅に時間を割き、「無罪である」と主張した。
●方向優先テコ設置
 事故当日、SKR列車は、信楽駅の出発信号が「赤」なのに出発した。県警などの捜査で、「赤固定」した原因の一つが、SKRと接続するJR貴生川駅(甲賀郡水口町)などの信号を扱う「JR西日本亀山CTCセンター」(三重県亀山市)に、JRが設置していた「方向優先テコ」であることが明らかになった。
 方向優先テコは、JRがKR線の信号を遠隔操作するため設置したとされる設備で、被告側は当初から、「信号の赤固定こそが事故の発端。JRがそれをもたらした」などと、JR側の過失を訴え続けてきた。
 なかでも、SKRの元運転主任里西孝三被告(69)は「赤固定の原因が分からなかった」と証言。弁護人も「SKR線の信号に影響を与える設備について、JRはSKRに連絡するのは当然。方向優先テコの設置・操作が被告の行動を誘発したに過ぎない」と主張した。
 事故では、SKR列車に乗っていたSKRの業務課長当時(54)=ら社員5人も亡くなった。里西被告は「業務課長が実質的な運行管理の責任者。赤信号のまま出発合図を出したのも業務課長で、重大な過失があった」と述べ、同課長の行動も争点の一つになっている。
 業務課長は、赤固定した出発信号を修理するため、里西被告を通じて、信号会社から派遣されていた八木沢守被告(51)に修理を命じた、とされる。また、SKRの元施設課長山本長生被告(63)は八木沢被告の修理作業を見守っていた、という。
 公判で山本被告は「列車を出発させる権限は業務課長にあり、出発させるとは思わなかった」。八木沢被告も「信号設備の修理中は出発を見合わせるのが当然。何の連絡もなく列車を出発させるとは予測できなかった」と、予見可能性を否定している。
 大津地検は、信号が使えない場合の列車運行方法である「代用閉そく方式」で列車を出発させようとした際の3被告の行動に過失があるとし、「JRには事故責任はない」としている。
 同地検は、▽里西被告は、事故当日の当務駅長として上司の指示に反してでも列車の出発を見合わせる行動をとらなかった▽八木沢被告は、列車運行中は禁止されている信号修理を行った▽山本被告は、八木沢被告が危険な作業をするのを放置し、出発を見合わす要請もしなかった−とそれぞれの過失を指摘している。
●69回に及んだ公判
 公判は93年4月27月以来、69回に及んだ。公判途中の97年9月、大津地裁の安原裁判長は「JRのSKR線への直通乗り入れにおける両社の連絡不備は明らか」と、被告側が事故の背景として主張していた一部を認める異例の見解を示したこともあった。
 立命館大の松宮孝明教授(刑法)は「裁判所が、事故の過失の一部でも、JRや亡くなった業務課長にもあると判断すれば、判決で被告以外の過失を指摘する可能性は十分あるだろう」と話している。
 メモ 事故は5月14日午前10時35分ごろ、単線の信楽町黄瀬で起きた。信楽駅発のSKR列車(4両編成)と、同町内で開催中だった世界陶芸祭に合わせ京都駅から直通乗り入れしていたJR列車(3両編成)が正面衝突。大津地検は、事故から約1年半後の92年12月、SKR側の3人を起訴、3被告に禁固3年6月−3年を求刑した。一方、JRの運転士をはじめ、遺族らの告訴・告発を受けた当時のJRの社長らについては、大津検察審査会の「不起訴不当」議決を受けながら、いずれも不起訴とした。(京都新聞)
■鉄路に求む 信楽事故から9年 (中) 「調査機関、市民の手で」
 市民グループ「鉄道安全推進会議」が昨年7月、東京で開いた運輸事故調査制度についての国際シンポジウム。国内はもちろん、米国、オランダの調査機関からも専門家が出席した。講演者の一人、米国の国家運輸安全委員会(NTSB)家族支援局長、ジェイミー・フィンチさんは参加者にこう呼びかけた。
 「日本でも、NTSBのような独立した事故調査機関の経験が参考になる」
 NTSBは米国内で起きる運輸事故を調査し、安全策を講じる機関。大統領直属の独立組織で、専門知識のある鉄道会社経験者らを職員としており、交通機関や政府に厳しい勧告を出す権限を持つ。
 NTSBは徹底した調査で知られる。1996年2月、メリーランド州シルバースプリングでワシントン行きの通勤列車とシカゴ行き長距離列車とが乗り入れの単線上で正面衝突、11人が亡くなった。事故の犠牲者のほとんどが学生。開かない窓をたたいて助けを求めながら焼死したという目撃証言から、若い命をなぜ救えなかったのかと全米で注目を集めた。
 事故発生の20分後にはNTSBに第一報が入った。約10`離れたワシントンから調査団が現地に向かい、信号、保線などのチームに分かれて原因調査を数ヵ月続けた。4ヵ月後には鉄道会社員ら27人を3日間、尋問する公聴会を開いた。
 23歳の長男を失ったバージニア州のブルース・マンさん(54)は事故から半年後、NTSBの出した140nにわたる分厚い最終報告書を手にし、息子が亡くなった状況を詳しく知ることができた。
 報告書では「通勤列車の運転士が減速信号を見落とし加速したのが事故原因」と指摘、さらに「通勤列車に非常灯が設けられていなかったうえ、衝撃で開かなくなった非常扉をこじ開ける道具も見つけにくい場所にあったため、乗客が逃げ出せなかった」とした。さらに「客車の安全基準を設けていなかった」として、監督する運輸省鉄道局の責任を厳しく問うた。
 「悲しみは永遠に消えない。でも、その犠牲が少しでも生かされれは息子も納得してくれるはず」とマンさん。
 NTSBのロバート・ロービー鉄道局長は「原因調査だけでなく、いかに事故から教訓を引き出すか。事故の犠牲者をなくすことが最終日的だ」と話す。
 最近、NTSBは「心のケア」を含めた遺族支援も視野に入れ始めた。連邦議会に提出され上院で審議中の「鉄道事故被災者家族支援法」は、遺族の心的外傷後ストレス障害(PTSD)の治療やカウンセリングの提供なども仕事として盛り込んでいる。
 9年前の信楽高原鉄道事故で長女を失ったあと、遺族らと鉄道安全推進会議を結成、その会長になった臼井和男さん(61)らは92年と97年の2回、支援する弁護士らとともにワシントンを訪れ、NTSB本部を視察し、具体的な調査方法について学んだ。
 信楽事故の場合、運輸省が1年7ヵ月かけて作った最終報告書は全部で12nで、メンバーは米国の事故調査との落差を感じずにはいられなかったという。
 しかし、臼井さんらはこの視察で、米国の事故調査活動の充実は市民運動の成果だと知った。市民団体の一つ「セーフ・トラベル・アメリカ」の事務局長アーサー・ジョンソンさん(80)は87年にメリーランド州の列車衝突事故で長女を亡くした。直後から遺族や友人らと協力し、航空機のブラックボックスのように、列車にも速度やブレーキ制動を記録できるレコーダーを搭載する▽乗務員の資格取得を厳しくする−などの鉄道安全推進法の制定を呼びかけ、実現させた。この法律の施行後、米国の鉄道事故は4分の1に減ったともいわれる。
 「市民が国を動かせる」。米国で得た確信を胸に、臼井さんは日本版NTSBをつくるという夢の実現に向け、動いている。(朝日新聞)
20日■地下鉄サリン きょう5年 被害補償に壁 配当総額まだ2割 破産特例法 4000人が対象外
 通勤ラッシュで混雑する地下鉄車内に猛毒のサリンがまかれ、12人が死亡、5000人以上が重軽症を負った地下鉄サリン事件は20日で発生から5年。東京地裁では松本智津夫被告(45)=教祖名麻原彰晃=らオウム真理教(アレフに改称)信者の公判が進み、既に実行犯の1人に死刑判決が出されたほか、6−7月には井上嘉浩被告(30)ら教団の元幹部に相次いで判決が言い渡される。この間、団体規制法による観察処分下に置かれた教団は事件関与を認めて謝罪。口を閉ざしてきた被害者や遺族らが国に支援を訴える動きも出てきた。だが教団の資産回収は難航、被害賠償は進まず、遺族や被害者の”心身の傷”は今も消えていない。
 発生から5年が過ぎようとしているのに、地下鉄サリン事件の被害者救済は足踏みを続けている。オウム真理教の破産管財人に慰謝料や入院費など債権を届け、破産手続きの中で中間配当を受けたのは1136人。全体の2割強にすぎない。配当総額も約4億8000万円と、届け出債権総額21億3700万円の22%程度にとどまっている。管財人は、被害者救済のための「破産特例法」による教団資産の回収によって配当を少しでも増やそうとしているが、債権届け出をしていない4000人以上はその対象にもならない。
 被害者対策弁護団は「債権届け出を知らなかった人もいる。国などが被害の全容を把握し救済に乗り出すべきだ」と訴える。
 地下鉄事件の遺族・被害者は、3グループに分けられる。まず債権届け出をした1136人のうち、裁判所から計10億8000万円の債権を認められた遺族ら41人。計約2億4400万円の配当を受けた。
 また松本智津夫被告(45)=教祖名麻原彰晃=ら元教団幹部15人に総額6億6800万円の損害賠償を求めた訴訟で今月9日、東京地裁で、元幹部らに全額の支払いを命じる判決を手にした。
 だが「判決は支払い義務があると確認できただけで、実際には被告らに支払い能力はない」と、弁護団長の宇都宮健児弁護士。
 訴訟に加わらなかった残る1095人への配当は計2億3600万円で、1人平均21万円ほどにしかならない。
 この2つのグループについては、管財人が今後、破産特例法に基づき教団を相手に起こす「不当利得返還請求訴訟」で配当の上乗せを図る。問題は、債権届け出をしておらず、こうした救済を受けられない第3のグループだ。4000人以上いるとみられるが、全体像はつかめていない。労働省によると、地下鉄事件で労災認定された被害者だけでも、3701人に上る。
 さらに現在も数百人が何らかの自覚症状や後遺症に悩んでいるとの調査結果もあり、宇都宮弁護士らは「人にも言えず後遺症に悩んでいる人が多いはず。国などは、検診費用補助など、できることから被害者救済に取り組んでほしい」と話している。
・被害者、遺族に謝罪 オウムがコメント
 オウム真理教は19日、地下鉄サリン事件に関連して、被害者、遺族への謝罪や今後も補償を続けていくとの方針を示した村岡達子代表(50)名のコメントを公表した。
 コメントは被害者にあてた手紙として、20日、地下鉄サリン事件被害対策弁護団に郵送するという。事件について「多くの一般市民の方々に取り返しのつかない重大な被害をもたらし社会不安を引き起こした。5年もの間、事件の当事者、加害者側としての認識をあいまいにし、被害者、ご遺族をさらに苦しめることになった」と反省の弁を述べた。
 今後については「経済的な補償を全力」で進めるとともに「どんなことでもやらせていただく覚悟です」と明言、同教団が再出発するチャンスを与えてほしいとも訴えている。(京都新聞)
■市バスなどに玉突き 中京、乗用車の男逃走
 19日午後10時15分ごろ、京都市中京区御池通堀川東入ルで、西進中の乗用車がタクシーに追突し、弾みでタクシーがバス停に止まっていた立命館大学行き市バスに衝突した。タクシーの運転手(65)と乗客の女性(37)が首などに軽いけがをし、病院で手当てを受けた。乗用車を運転していた男は、車を現場に放置して逃走した。市バスの乗客約30人にけがはなかった。
 中立売署は、逃げた男の行方を追っている。目撃者によると、男は30歳くらいで、黒っぽい色の服装だった、という。(京都新聞)
■判決を前に〈中〉 消えぬ怒り 同じつらさ味わってほしい 大惨事風化させるな ”気力”で闘い続ける
 「責任があると判断される人に一番長い期間(刑務所に)入ってほしい」。SKR列車で母高子さん=当時(61)=と叔母2人の肉親3人を亡くした滋賀県甲賀郡信楽町江田、久保正さん(32)は昨年8月、証人として大津地裁に出廷し、こう証言した。約6年8ヵ月間に及ぶ裁判で、遺族として証言したのは久保さんただ1人だった。
 久保さんが大津地裁を訪れたのは、この時が初めてだった。「つらさと悲しさばかり。そんな日々を振り返りたくない」のが、それまで傍聴しなかった理由だった。そんな久保さんが証人としての出廷を決意した。「気持ちは落ち着いたが、心の底のつらさは消えない。被告が無罪を主張していると聞き、この思いを訴えたかった」と打ち明けた。
 2人の叔母は、父の一周忌の参列のために信楽に来ていた。母と3人で世界陶芸祭の見物を終え、兵庫県内に住む姉を訪ねようとSKR列車に乗り、事故に遭った。
 信楽町で生まれ育った久保さんは、SKRになる以前から国鉄信楽線に親しんでいた。しかし、事故後は「何となく怖い」と、ほとんど乗らない。「仕方なく乗る時は、必ず母がいた席に座る。母が最後にどんな景色を見たのか知りたくて」と話す。
 「謝罪すらしないJR西日本も憎いが、3被告とSKRが一番憎い。私たちが感じたつらさと同じ思いを味わってほしいくらいだ」
 事故から約9年たっても消えることのない怒りが、久保さんの言葉に込められていた。
●JRと地検を追及
 信楽高原鉄道列車事故の「犠牲者遺族の会」代表・吉崎俊三さん(66)=宝塚市中山桜台一丁目=は、民事訴訟の原告団長でもある。妻佐代子さん=当時(52)=は2人の娘とJR列車に乗り、娘は助かったものの、亡くなった。
 事故の約2ヵ月後に遺族会を結成。代表として補償交渉や裁判などで遺族の先頭に立って活動してきた。訴訟を通じてJR西日本の責任を追及するとともに、同社の刑事責任を問わなかった大津地検の姿勢を問い続けてきた。
 そんな折、同地検は昨年10月、JR西日本の責任を認めた昨年3月の民事判決(大阪地裁)の一部を「失当である」などと指摘する論告を行った。「民事判決はわれわれ遺族が勝ち取ったもの。それを批判するのは許せない」と、吉崎さんは折議のため同地検に再三、足を運んだ。
 長い闘いを支えてきたのは「気力だけ。判決でJR西日本の責任を指摘してもらい、JR西日本の謝罪を勝ち取れれば」と、判決に期待する。
●開き始めた重い口
 JR列車で妻恵美子さん=当時(48)=を亡くした大津市大門通、国江信雄さん(61)は、これまでマスコミの取材をほとんど受けなかった。そんな国江さんが「事故から9年がたち、あの大惨事が忘れられてしまった気がする。事故を風化させてはいけないと思った」と、少しずつ口を開き出した。
 国江さんは事故の前年、銀婚式を迎えていた。さらに、事故の翌月は娘の結婚式の予定だった。「これから2人でゆっくり暮らしていこうと話していた矢先の事故だった。時間が気持ちを落ち着かせてくれたが、妻を亡くしたつらい気持ちはなくならない」と、心境を語る。
 娘は事故の一年後に結婚。国江さん自身も2年後に再婚した。「どんなにつらくても、残された者は前向きに生きていかなければならない」という国江さん。生涯のパートナーになるはずだった恵美子さんへの思いが消えることはない。
・メモ 事故で亡くなった乗客の遺族やけが人との示談は、SKR、JR西日本、滋賀県、信楽町の4者が設けた「信楽高原鉄道事故対策四者協議会」の協定書に基づき、被災者相談室が当った。91年12月、遺族との最初の示談が成立、以後、95年12月までに28遺族が示談に応じたが、民事訴訟を起こした9遺族は大阪高裁で係争中。けが人628人は昨年9月までに示談成立した、とされる。(京都新聞)
■地下鉄サリン「悔悟の念」教団が手紙 きょう5年
 オウム真理教(アレフに改称)の幹部らによって東京の地下鉄にサリンがまかれ、5000人を超える死傷者を出した「地下鉄サリン事件」から20日で5年。教団は19日、地下鉄サリン事件被害対策弁護団に20日付で送付する手紙の文面を報道機関に公開した。
 手紙は村岡達子代表名で「重大な被害をもたらしたのに、5年もの間、加害者としての認識をあいまいにしたことで被害者、遺族を苦しめ、社会との信頼関係を決定的に傷つけた。消え入りたいほどの恥ずかしさと悔悟の念におそわれる。本当にごめんなさい。過去の過ちを悔い改め、再出発するチャンスを与えてはしい」などと述べている。(朝日新聞)
■鉄路に求む 信楽事故から9年 (下) 「組織が原因」信念貫く
 東京都目黒区の営団地下鉄で脱線・衝突事故の起きた今月8日、静岡地裁沼津支部で、ある民事裁判の口頭弁論が開かれていた。原告、被告がこれまでの主張を整理した最終準備書面を交わしたあと、裁判長は突然、双方に和解をほのめかした。が、原告の会社役員、川原崎康雄さん(45)はうなずくことができなかった。「この裁判は、息子が死んだ事故の原因を明らかにするためのものなんです」
 川原崎さんの長男、高校2年生だった祐輔君(当時17)は1995年12月、JR三島駅(静岡県三島市)で、発車間際の新幹線「こだま」のドアに上半身の一部を挟まれ、引きずられて死亡した。ホームに駅員がいたにもかかわらず起きた事故。一度閉まったドアを外側に押しつけて密閉する装置の働きで、挟まれた体を引き抜くことができなかった、とみられている。
 川原崎さん夫婦は「発車時の駅員の事故防止マニュアルに問題があったうえ、ドア構造を変更すべきなのに安全対策を怠った」としてJR東海を相手取り、総額1億6900万円の損害賠償請求訴訟を提訴。これに対し、JR東海は「発車ベルが鳴り始めてから駆け寄り、閉まりかけたドアに手を入れてこじ開けようとした」と祐輔君に過失があったと反論している。
 近く結審する見通しだが、ここまでくるのに4年かかった。川原崎さんは「もし、鉄道安全推進会議(TASK)に出あわなかったら、裁判なんてできたかどうか」と振り返った。
 祐輔君の事故から数週間後、富士宮市の自宅に段ボール箱が一つ届いた。送り主は、「鉄道安全推進会議」。供花と、同会議の活動内容を紹介した冊子が入っていた。それが、TASKとの出あいだった。
 事故から約1ヵ月後の三島駅。TASK会長の臼井和男さん(61)らと調査する川原崎さんの姿があった。駅員の安全確認の様子や事故後に取り付けられた非常用スイッチなどを見て回った。その1ヵ月後、ホームで安全確認する駅員の増員や安全教育の充実を求める見解をTASKは運輸省などに送った。
 こうした活動を通じて川原崎さんは、TASK会員を含む信楽高原鉄道事故の遺族がJR西日本を相手取り起こしている損害賠償請求訴訟のことも知った。「JR西日本が刑事責任を問われなかった信楽高原鉄道事故では、民事訴訟以外に真相を明らかにする方法がなかった」と、臼井さんらから聞かされた。そして、川原崎さんも96年6月、民事訴訟を起こした。
 TASKは三島駅事故以外にも、鉄道事故の現場を独自に調査し、見解をまとめては運輸省などに送っている。99年8月に岐阜県内の名古屋鉄道の駅ホームから目の不自由な男性が落ちて死んだ事故が起きると「点字ブロックの設置が不完全。転落防止のさくも設けるべきだ」と提言した。営団地下鉄日比谷線の脱線・衝突事故では事故翌日に見解を出し、「絶望感にさいなまれる犠牲者遺族への精神的ケアが必要」と訴えた。
 昨年3月に大阪地裁で言い渡された信楽高原鉄道(SKR)事故の損害賠償請求訴訟判決では、SKRとともに、刑事責任を問われなかったJR西日本にも過失を認め、両社に計約5億円の賠償を命じた。事故の納得のいく説明を受けるすべのなかった遺族にとって、民事訴訟が事故原因を解き明かす数少ない手段にもなっている。
 一方で、現状を変えようと、TASKは今、「運輸事故調査法」の法案づくりに取り組んでいる。鉄道、船舶、航空とすべての運輸事故を独立調査機関が調べるように定める内容だ。
 要綱案にはこうも記されてある。「事故調査の目的は再発防止と被害軽減であり、関係当事者の責任追及はその目的とされてはならない」。個人より組織のあり方こそが、事故を起こす最大の原因だという信念が、そこに貫かれている。(この連載は、地域報道部・小滝ちひろ、大津支局・峯村健司が担当しました。)(朝日新聞)
21日■地下鉄サリン5年で黙とう 「不審物に今も緊張」
 死者12人と5000人以上の重軽症者を出した地下鉄サリン事件から5年。事件現場の一つとなった東京都千代田区の営団地下鉄霞ヶ関駅で20日、営団職員らが献花式を開き、犠牲者のめい福を祈った。
 式の後、駅には小渕恵三首相も訪れ、慰霊柱に深々と頭を下げ花をささげた。首相は、記者団に「5年前無辜(むこ)の方々に対し事件を起こしたオウム真理教(アレフに改称)に対し深い憤りをあらためて感じている。12人の犠牲者の皆さんに心から哀悼の誠をささげる」と発言。事件の再発防止と被害者の支援に取り組む考えも示した。
 式後、教団の若い信者ら数人も村岡達子代表(50)の代理として訪れ、教団として初めて献花、記帳した。村岡代表は19日夜、被害者、遺族に対する事件への謝罪や今後の補償を約束するコメントを発表している。
 事件発生とほぼ同じ時刻の午前8時、白い花で飾られた被害者の追悼プレート前に整列した職員約30人が30秒間黙とう、白い手袋の右手を掲げ一斉に敬礼。慰霊柱に白菊を手向け記帳した。
 犠牲者には同駅助役だった菱沼恒夫さん=当時(51)=と高橋一正さん=同(50)=の2人も含まれる。事件後同駅に異動してきた、高橋さんと同期入社の高山昭靖助役は「今でも不審物の通報を受けると緊張が走る。この時期になると新たな悲しみがわき上がる。彼の笑顔を思い浮かべて献花した」と話した。
 一方、教団信者らは「信者一同、事件を胸に刻んで今後、遺族や被害者への謝罪と補償を進めたい。(遺族らから解散が要求されていることは)心情的には無理もない」と話した。
 献花台や記帳台は例年通り、中野坂上、神谷町、小伝馬町、八丁堀、築地の各駅にも置かれた。(京都新聞)
■判決を前に 信楽高原鉄道事故 〈下〉 事故を糧に 「人為ミスの背景解明を」 十分な人や資金面ゆとりある体制必要で
 今月8日朝、東京都の営団地下鉄日比谷線で電車が脱線、衝突。死者5人、負傷者約30人を出す惨事が起きた。信楽高原鉄道(SKR)事故の遺族らでつくる「鉄道安全推進会議」(TASK)の臼井和男会長(61)=京都市右京区嵯峨二尊院門前善光寺山町=は、営団地下鉄の事故を報じる新聞を読みながら、「また起きたか」とつぶやいた。
 臼井さんの長女信子さん当時(26)=は、JR列車で世界陶芸祭に向かう途中、事故に遭い亡くなった。
 臼井さんらTASKのメンバーは運輸省などに、鉄道事故の再発防止を再三、要望してきた。営団地下鉄の事故後も同省を訪れ、徹底的な原因調査を要請した。しかし、臼井さんは「運輸省はどこまで踏み込んで調査できるだろうか」と不安げだ。
 信楽事故では、事故から約1年7ヵ月後の1992年12月、運輸省が事故報告書を出した。報告書では、事故原因を「安全確認など基本ルールを怠った人為ミス」と結論づけた。これに対し、遺族らからは「人為ミスの背景まで解明しなければ、事故はまた起きる」と批判の声が上がった。
 運輸省は昨年9月、省内に鉄道に詳しい大学教授ら7人による「鉄道事故調査検討会」を設置した。常設ではないが、大規模な鉄道事故が発生した場合に事故調査を行う機関だ。わが国には、航空事故の際の航空事故調査委員会、海難事故の際の海難審判庁があり、同検討会の設置は、TASKの活動の成果でもあった。
●重要な初動態勢
 営団地下鉄の事故は、同検討会にとって初の仕事となった。メンバーは事故の数時間後には現場で調査を始めた、という。一方、信楽事故で運輸省の職員が最初に現場に入ったのは、事故の3日後だった。
 信楽事故を独自に調査している関西大の安部誠治教授(交通論)は「人命救助と同様に、原因調査でも初動態勢は重要。営団地下鉄の事故で、運輸省の対応は信楽の時より早かったが、まだ遅い。組織を動かす仕組みが整っていないのでは」と指摘する。
 世界陶芸祭は、事故当日までの25日間で入場者が60万人を超え、SKRの利用者も約9万人に達していた。しかし、87年に第三セクターとして再出発したSKRの社員は、国鉄信楽線時代の半数の約20人。事故当日は、3被告を含む社員約10人が列車運行などの業務に当たっていた、という。
●1番ホーム再開
 事故発生の11日前の5月3日、信楽駅は多くの乗客で混雑していた。同日も、信楽駅では事故当日と同じ出発信号の「赤固定」トラブルがあり、事故で亡くなった業務課長らが「赤」のまま列車を出発させた、とされる。公判で被告やSKR社員は「赤固定の原因についてJRとSKRとの話し合いはなかった」と証言した。
 人為ミスと安全対策について研究している「日本ヒューマンファクター研究所」(東京都)の黒田勲所長は「両社が事前トラブルの原因解明を怠った背景として、SKRの弱い体質や異常に忙しかった状況も当然考えられる」と分析する。
 SKRの北川啓一前社長は昨年8月、大津地裁に証人として出廷した。そこで「人や資金の面で十分な運行体制が取れなかった。もっとゆとりのある会社なら良かった」と証言した。
 今年1月12日、信楽駅では、事故後、使用を見合わせていた1番線ホームが約8年8ヵ月ぶりに再開した。臼井さんは「われわれは今後も『安全』を訴え続ける。事故を教訓にJRやSKRがどう変わるか見届けたい」。TASKの取り組みは今後も続く。
 メモ TASKは、事故の遺族や弁護士らが呼びかけ人となり、93年8月に発足した。会員は個人や団体約500人。欧米の事故調査機関を独自に視察するなどして、省庁の権限などから独立した常設事故調査機関の設置を求めている。米国やカナダには、鉄道、航空、海運など運輸全般を統合した事故調査機関があり、ほとんどの先進国には、独立した鉄道事故調査機関があるという。(京都新聞)
■地下鉄サリン事件遺族ら 「桜のころが一番つらい」 今も「オウム」聞き流せず
 「一日も息子のことを忘れたことはありません」「3月20日は毎年、1日中、家にいます。外に出られません」−。地下鉄サリン事件から丸5年。遺族や被害者の訴えからは、いまだにいえない心身の傷が伝わってくる。
 「桜の咲くころが一番つらい」と言う40代の女性は、夫を失った。「事件がなければ一緒に楽しい花見ができたはずだ」と今でも思う。気持ちのもって行き場がなく、相談した病院の医師からは「そんな昔のこと」と言われた。「もっと安らぐ言葉がほしかった」と訴える。
 息子を失った60代の父親も「あの日から一日も息子のことを忘れたことはありません」と唇をかむ。
 つらいのは最愛の夫や肉親を奪われた遺族だけではない。3月20日は外出しないという被害者の女性は、毎年この日が来ると、朝寝妨して「あの午前8時15分」が知らない間に過ぎ去っていくことを祈るという。
 教団からの被害者補償実現に疑問を持つ50代の男性は教団の未払い債権を国が立て替えできないのか、と国の姿勢に怒りを見せる。
 ほかの宗教のニュースは聞き流せるが、オウム真理教に関しては一言一句引っかかり、今も理解できないという女性もいる。教団が謝罪しても「許せない」という声は強い。
 だが、出所した元幹部の女性の幼い子供たちの就学について理解を示す女性もいた。「酷ですが『オウムの子』として生を受けたのは事実。いろんな差別や偏見で傷つけられ、心を閉ざすかもしれない。でも、君たちには何の罪もない」と言う。
 30代の男性は事件の本質をこう言い切った。「今一度考えてください。わたしたち被害者は、国家転覆を狙ったテロの犠牲者なのだということを」(京都新聞)
■窓 痛ましい営団地下鉄事故
・続く交通戦争 21世紀危ぶむ 下京区・谷林 生二(自由業・66)
 先日の東京の営団地下鉄脱線衝突事故をテレビや新聞で見て、その無残なありさまに目を背けた。それは一瞬の出来事であり5人の尊い命が消え、多くの重軽傷者も出た。
 私は、つい数年前まで長年東京で働いていたので電車の過密ダイヤはとくと体験したが、いま思うとゾーッとする。京都へ帰ってきてすっかり忘れかけていたが、超満員の電車が間断なく走り、カーブのときやホームに滑り込むときなどは、すれすれに車輪が交差する。さながら剣の達人のさばきのようであった。
 そんな事を考えていたら、電車以上に車の事故が多く、昨日も今日も日常茶飯事のように高速道路や卜ンネル内で多重衝突事故を起こして、死傷者が絶え間なく出ている。これはまさしく交通戦争であり、例えが悪いが日本は「神風特攻隊」がまだ存続しているのかと思うありさまである。ドカーン、ドカーン!と自爆するたびに、尊い命が散華しており、何とかならんのかと思い痛ましい限りである。
 世の中は急速に発達し、スピード狂で忙しいことが良いことで、当たり前だと思っている節があるが、これでは日本の21世紀が危ぶまれてならない。何とかならんものか…。
・快適さよりも安全こだわれ 中京区・藤原辰三郎(自営業・75)
 昨秋、地下鉄東西線醍醐車庫見学会に参加した。念願のピット(電車の床下)に潜り、車輪を直接手に触れてフランジ(車輪のつめ)の厚みや高さを見て、これで脱線もせずに高速でカーブが通過できるものだ、と感心した。係の人が定期的に車輪を転削盤で削り、レールは研磨して乗り心地をよくする作業をしている、と説明があった。
 昔、蒸気機関車には大きな動輪の前部に小さな誘導輪があって脱線を防止。また、廃止された京阪京津線でも旧型車両は大小の車輪が前後にあって下り急こう配、急カーブの路線を手慣れた運転手のブレーキ操作で無事故で運行。カーブには必ず護輪軌条(脱線防止ガード)がレールに平行して取りつけられていた。現在の規定では護輪軌条をつけなくてもよいカーブがあり(今回の事故現場には早速取りつけられた)、最新式の電車は自動運転でブレーキ操作も少なく、車体はアルミ製で軽く(外圧に弱い)、消費電力も少なくスピードが出て、出足もよく快適である。
 公共交通機関の使命は「安全」「快適」「優しさ」が基本とのことだ。しかし私は、安全だけでよいと思う。そのほかの基本のために安全がおろそかになるのを恐れるためである。
・徹底した原因究明こそ急務 西京区・林野 重澄(無職・72)
 まず今回発生した営団地下鉄脱線事故の犠牲者の方々に対し、心からのお悔やみを申し上げたい。約40年前、私が勤めていた私鉄では、初めて採用した空気バネ台車の車両が度々脱線をした。幸いにも、けが人は出なかったが、多くの社員やメーカーの技術者たちが必死で原因究明にあたり、ついに原因を突き止めたのが今も記憶に残っている。
 車輪がレールにせり上がる理由は、当時の日本機械学会出版の客貨車工学にも詳しく解説してあったが、一番重要な要素である車体の垂直荷重が、なぜ変動的に小さくなるのかは全く分からなかった。当時の車両には1両当たり4個のベローズ(バネの役目をするゴム袋)と、それぞれ1個のレベリングバルブ(空気の出し入れ弁)があったが、このバルブを3個に減らして、車体の重量を4点支持から3点支持方式に変更して垂直荷重の安定を図ったことが成功のカギとなった。
 以後40年、車両技術も大幅に進歩しているのに、まだ脱線をするとは、普通想像もできない何らかの要因が、なおも潜在しているのであろう。関係者による徹底した解明を一日も早くお願いしたいものである。(京都新聞)
■地下鉄サリン事件から5年 霞が関駅で黙とう
 東京都内の営団地下鉄の3路線で猛毒のサリンがまかれ、12人が死亡し、5000人以上が負傷した地下鉄サリン事件から20日で5年がたった。事件現場のひとつとなった千代田線の霞ヶ関駅では、職員らが午前8時に黙とうをし、被害者らのめい福を祈った。午前11時半すぎには、小測恵三首相が同駅で献花した。
 事件を起こしたオウム真理教(アレフに改称)は昨年末になって初めて事件への関与を認め、「謝罪」を表明した。
 しかし、今も後遺症に悩む被害者は多い。教団に対する不安も消えず、社会の怒りは依然、収まっていない。(朝日新聞)
■忘れていた悪夢 忘れえぬ傷跡 被害者「闘いの毎日」 地下鉄サリンから5年
 「あの日」が今年もやってきた。死者12人、5000人を超える負傷者−。20日、首都東京を大混乱に陥れ、みぞうの被害を出した「地下鉄サリン事件」から5年を迎えた。黙とうする人、花を供える人…。「風化させてはいけない」「忘れたい」。今なお続く苦しみや悲惨な思い出が被害者や関係者の胸を改めてえぐる。幹部らが事件にかかわったオウム真理教(アレフに改称)はこの日も「謝罪」を表明したが、被害者の心には響かないままだ。
 20日早朝、営団地下鉄千代田線・霞ヶ関駅。同駅の駅務区助役だった豊田利明さん(57)は、駅事務所に設けられた献花台の前に立った。
 事件当日、千代田線の列車内に放置されたサリンの袋を同僚とともに片づけ、この駅事務所に運び込んだ。その際、車内からホームまで袋を持ち出した駅務助役の高橋一正さん(当時50)と乗務助役の菱沼恒夫さん(当時51)が中毒で亡くなった。
 「二人のことがいつも頭にあった。私は生かされた、と思った」。白菊を献じた豊田さんは今月末、定年退職する。
 二人が持ち出したサリンの袋は、油が染みたように汚れた新聞紙で包まれていた。液体がしたたり落ちる袋を豊田さんは両手で持ち上げ、ポリ袋に入れた。「職員として、いつもの仕事をしただけだった。二人も同じだったと思う」。その後、倒れた高橋さんが担架で駅事務所に運びこまれ、豊田さんと菱沼さんも意識を失った。
 高橋さんとは前夜、駅に一緒に泊まった。奥さんとの北海道旅行のために地図をずっと眺めていた。菱沼さんとはその朝、「私がいるときには電車は遅れませんよ」と笑いあった。二人の死は、翌日の昼すぎに意識が戻ったあと、入院先で知った。
 倒れた高橋さんをテレビ局のワゴン車で病院まで運んだのは、職員の湯浅勝さん(29)だった。
 いまも同駅に勤務し続けている数少ない職員の一人になった。「何年たっても、オウムへの気持ちは変わらない」。20日午前8時から行われた黙とうには、今年も参加した。
 菱沼さんの妻美智子さん(56)も毎年、現場となった同駅を訪れている。「教団は昨年、被害者に謝罪の手紙を出すと言ったのに届かない。謝罪に来られるのも嫌だが、その場逃れのことを言うのは許せない。平気でうそをいう体質は変わっていない」。教団への憤りを胸に、今年も同日午後1時すぎ、献花した。
 豊田さんが営団に入ったのは1961年。事件と同じ3月20日だった。事件後の5年間は、中毒で失った体力や気力を取り戻す「闘いの毎日」だった。
 なによりの励ましは、事件から1年半後に青森市立三内小学校の児童28人から届いた手紙だった。道徳の授業で、豊田さんを取り上げたテレビ番組を見た5年生が手紙を書いた。
 「よくサリンを持ちましたね」「豊田さんと亡くなった二人はとても勇気のある人たちだったと思います」。受け取った手紙を大切にファイルに保存して手元に置き、中学生になった生徒たちといまも交流を続けている。
 早朝の献花を終えたあと、豊田さんは、犠牲者が出たほかの5駅を順に回った。営団で働いた39年間に思いをめぐらせながら、二人のために、犠牲となった乗客のために、めい福を祈った。(朝日新聞)
■架線にビニール 3000人の足に影響出る JR松井山手駅構内 32本が部分運休
 20日午後4時ごろ、京田辺市松井口仲谷のJR学研都市線松井山手駅構内で、木津発宝塚行きの下り快速電車(7両編成)の運転士が上り線の信号機付近の架線にビニールひもなどが引っ掛かっているのを発見した。
 このため、長尾駅に停車していた宝塚発木津行きの上り快速電車(同)が発車出来ず、ひもを取り除くまで約2時間にわたって運転が見合わされた。
 この事故で、電車が計32本部分運休するなどし、約3000人の足に影響が出た。(朝日新聞)
23日■信楽高原鉄道事故 あす判決
 滋賀県甲賀郡信楽町の第三セクター・信楽高原鉄道(SKR)で1991年5月、死者42人、重軽傷者628人を出した列車正面衝突事故で、業務上過失致死傷と業務上過失往来危険罪に問われたSKR元運転主任ら3被告に対する判決公判が24日午後1時半から、大津地裁(安原浩裁判長)で開かれる。
 裁判は93年4月27日の初公判以来、約6年8ヵ月に及んだ。3被告は、事故の当事者であるJR西日本の過失などを理由に一貫して無罪を主張。判決で同地裁が被告ではないJR側の責任にどこまで踏み込むか注目される。
 被告は、滋賀県愛知郡愛知川町川原、SKRの里西孝三元運転主任(69)=求刑禁固3年6月=、三重県阿山郡伊賀町下柘植、同社の山本長生元施設課長(63)=同3年=、東京都練馬区大泉学園町三丁目、信号会社の八木沢守元施設係長(51)=同3年=の3人。
 起訴状によると、3被告は91年5月14日午前10時35分ごろ、信楽駅の出発信号が「赤固定」なのに、規定の出発手続きを取ることや慎重に信号装置を操作することを怠り列車を出発させ、信楽町黄瀬で、対向のJR列車と正面衝突させた、などとされる。(京都新聞)
■梅小路蒸気機関車館 英・ヨーク国立鉄道博物館(世界最大級) 姉妹提携 相互に資料展示、紹介 講演会も 来月7日に調印式
 JR西日本は22日、同社が運営する梅小路蒸気機関車館(京都市下京区)と交通科学博物館(大阪市港区)が、英国の「ヨーク国立鉄道博物館」と姉妹提携を結ぶ、と発表した。来月7日、梅小路蒸気機関車館で調印式を行う。
 ヨーク国立鉄道博物館は、世界で初めて蒸気機関車が走った英国ヨーク市にあり、1975年に国立科学博物館の別館として開設された。蒸気機関車で世界最速記録(時速201.8`)を持つ「マラード号」など、100両を超える機関車や70両以上の客車、数千点の鉄道資料などを展示し、世界最大級の鉄道博物館といわれている。
 JR西日本は、3年前から現地に視察団を派遣するなど交流を進めてきた。姉妹提携を機に、今後さらに交流を深め、10月上旬には梅小路蒸気機関車館と交通科学博物館で、ヨーク博物館の鉄道資料などを紹介する特別展を開く予定。
 調印式には、ヨーク側からアンドリュー・スコット館長が出席、記念講演もする。(京都新聞)
■KTR宮津線開業10年 利用客低迷 経営厳しく 3セク最悪 4億8300万円赤字 町づくり考えつつ増収策が必要
 旧国鉄の赤字路線を引き継いだ第三セクター・北近畿タンゴ鉄道(KTR)の宮津線(西舞鶴−豊岡)が、この4月で開業以来、満10年を迎える。宮福線(宮津−福知山)を含めた営業距離114`は全国有数の長大路線。京都府北部の住民生活を支える貴重な足で、天橋立観光にも欠かせない鉄路だが、沿線住民の利用減や車の普及などで利用客数は低迷し、経営状況はかならずしも明るくない。(宮津支局 広中孝至、清原稔也)
 「鉄路で残したのは住民の力。地域に利用してもらうことが大前提だったが…」。右肩下がりを続ける利用客数のグラフを前に、KTR事業本部(宮津市鶴賀)の白谷光利次長はため息をつくように話す。
 KTRの利用客と運賃収入は、概算で宮津線が6、宮福線が4の割合。輸送人員はグルメブームだった1992、93年度に初めて300万人を突破したが、阪神大震災や重油流出事故などの影響で観光客が減少、98年度は過去最低の260万人になった。
●自治体が補てん
 中でも、輸送人員の約7割を占める地元利用の落ち込みは深刻。98年度の主要駅窓口の切符取り扱い収入は、宮津駅を除いて、転換開業時に比べ20−30%ダウン。地元利用が大半というワンマンカーの運賃収入も、同約25%減少した。かつて、熱い乗車運動を繰り広げた住民のマイレール意識が薄らいだ一端がみえる。
 利用客の減少は経営を圧迫。98年度の輸送収入は、転換開業時を下回る13億2800万円にまで落ち込み、減価償却費を含んだ経常損失は、全国の三セク鉄道中、最悪の4億8300万円の赤字を出した。電化や高速化に伴う設備投資が大きく、営業係数も133と転換開業時より悪化。発足時に府や兵庫県、沿線自治体(4市12町)が積み立てた15億円の基金も、97年度決算でほぼ底をついた。98年度の決算以降は、府、県や沿線自治体が営業距離に応じて毎年、赤字を補てんする。
 会社側も経営改善に懸命だ。JRなど鉄道出身者の活用やワンマンカーの推進で人件費抑制を徹底、JRとの接続改善やダイヤ増便で客足の向上を図ってきた。昨年度からは「経営改善計画」に基づく経営見直しを進め、業者委託していた車内清掃や線路補修を自社で行うなどしている。
●アクセス整備も
 今後のKTRについて、「第三セクター鉄道等協議会」(東京都墨田区)の副会長も務める勝本宗繁・KTR事業本部長は「沿線には高齢化で交通弱者が増え、降車後のアクセス整備など観光と町づくりを考えた増収策が求められる」と話す。
 沿線住民の利用では、沿線自治体などでつくる「KTR利用促進協議会」(会長・穂田敏夫宮津市長)が一昨年、5市14町の住民に初のアンケートを行ったところ、「(KTRを)ほとんど利用しない」が3割を占めた。「原点に戻り、自分たちの鉄道という自覚を持つことがさらに必要」(徳田市長)と強調する。(京都新聞)
■94億円の特損計上 京阪、当期利益ゼロ
 京阪電気鉄道は22日、2001年3月期決算から導入される時価会計などの新会計基準に備え、2000年3月期決算で94億円の特別損失を計上する、と発表した。この結果、当期利益は当初予想の31億円の黒字見通しからゼロになる見込み。特損は、販売用不動産と有価証券を時価評価した際の評価損を前倒し処理するもの。売上高は119億円、経常利益は68億円の見込み。(朝日新聞)
■京都駅ビル 美術館気分でブラブラ歩き 現代美術の8人 OPEN展 不思議な写真や立体…
 JR京都駅ビル全体を美術館にみたて、現代美術の作品を展示する「OPEN展」が22日、同ビルで始まった。社会におけるアートの役割を考えようと、大学生が企画し、20代の若手作家8人が出品。空中径路や広場に写真や立体が展示され、通りかかった人たちが不思議そうに足を止めていた。
 展覧会を企画したのは成安造形大造形美術科の安井誠さん(22)=大津市在住。芸術計画クラスで、社会と美術をつなぐ勉強をしている。
 展覧会では、作品を見ながら歩くうちに、駅ビルを一周するよう工夫した。東広場には、少し傾いたオレンジ色のパイプいすが100脚、整然と並ぶ。空中径路には、スプレーのりで作った釣り鐘型の立体や、青を基調にした写真が展示された。京都タワーが見える烏丸小路広場には、タワーに似た形の作品がある。
 キーワードは、コミュニケーション。安井さんは「駅は画廊や美術館と違い、不特定多数の人が通る場所。作品を見て、会ったことのない作者に思いをめぐらせてほしい」と話す。28日まで。(朝日新聞)
■特急屋根に男性遺体 滋賀
 23日午前4時半ごろ、滋賀県坂田郡米原町米原、JR米原駅構内で、停車中の東京行き寝台特急「富士」(16両編成)の機関車屋根に遺体があるのを駅員が見つけ米原署に通報した。
 調べでは、遺体は5、60代の男性。機関車パンタグラフに引っかかっていた。トレーナーようの黒い服姿で、そばに紺の作業ズボンがあった。体の下半分がなく、所持品も見つかっていない。
 同特急は、同駅に午前4時20分に到着。機関車のフロントガラスが破損していた。同機関車運転士(48)によると、腰越山トンネル(同県蒲生郡安土町下豊浦)入り口付近で、黒いものが落ちてきた、という。
 同トンネルを約50b入った地点で、切断されたとみられる体の一部が発見され、トンネル近くに軽乗用車が止めてあったという。所有者との関連を含め同署では、事故と事件の両面から、それぞれの身元確認を急いでいる。
 同特急には125人の乗客がいた。機関車を取り換え、定刻より約1時間半遅れで出発、後続に影響はなかった。(京都新聞 夕刊)
■寝台特急の屋根に遺体 滋賀、転落か
 23日午前4時5分ごろ、滋賀県安土町のJR東海道線上り腰越山トンネル入り口付近で、大分発東京行き寝台特急「富士」(15両編成)の先頭機関車の屋根に落下物があり、ガラスの一部が破損した。運転士が米原駅で点験したところ、パンタグラフに男性の遺体がひっかかっていたため米原署に届け出た。富士は機関車を交換し約1時間半遅れで出発したが、後続の列車に影響はなかった。
 調べによると、男性は60−60歳代とみられ、後頭部を強く打って即死の状態だった。米原署は、男性がトンネル入り口の上部にある自転車道から飛び降りたか誤って転落した可能性があるとみている。(朝日新聞 夕刊)
■のぞみが故障 2万人に影響 東京発遅れる
 23日午前7時50分ごろ、東海道新幹線東京駅で、東京発博多行き「のぞみ5号」(16両編成)が出発しようとしたところ、9号車の台車で車軸の温度が異常に上昇していることを示す故障表示灯が点灯した。点検後も表示灯が消えないため、同列車は東京都品川区にある車両基地に引き返し、ほぼ満員の乗客約1300人は予備の車両に乗り換えた。この影響で、のぞみ5号の出発が32分遅れたのを最高に、上下19本が遅れ、約2万人に影響した。
 JR東海によると、運転士の点検では車軸の温度は正常だったといい、センサーの誤作動か電気系のトラブルの可能性が高いという。(朝日新聞 夕刊)
■東海道新幹線 案内板ダウン 東京駅、1時間後復旧
 23日午前9時35分ごろ、JR東京駅構内にある東海道新幹線の案内表示板計65基がいっせいに作動しなくなった。自動放送も同時にストップした。JR東海の社員約10人がホームや改札口に出て、乗客に列車の行き先や発車時刻を案内し約1時間後に表示板だけ仮復旧した。
 JR東海によると、新幹線の表示板や自動放送は、総合指令室にあるコンピューターが一括管理しているという。同駅の表示板は今年1月にも2日間にわたってダウンしたばかりで、同社が原因を調べている。(朝日新聞 夕刊)
24日■京都バスのスト 話し合いつかず
 京都府内に路線を持つ中小私鉄、バス各社の春闘労使交渉は、24日午前1時現在、京都バスが話し合いがつかず、同日始発からストライキに入るかどうかは微妙な情勢となっている。
 近畿運輸局の調べでは、同社が終日ストに突入した場合、971本、3万3400人に影響が出る見込み。(京都新聞)
■京日記
 京都市内の四条大宮−嵐山間を走る京福電鉄嵐山線に23日夜、桜や紅葉、大文字の送り火など、京の四季を描いたイルミネーション電車が登場した。夕方からの雨でぬれた路面に、電飾の光を反射させながら春の夜を走り抜けた。
 「嵐電」の呼び名で親しまれる嵐山線の開業90周年を記念したイベント。保守作業用の電車に、約1000個の電球が飾り付けられ、赤い紅葉や桜の模様が点滅する。
 キラキラした電車が走ると、雨の路面はいっそう輝きも増すよう。通りがかりのドライバーは、まばゆい光の電車にびっくりしていた。5月13日まで木−土曜、祝日などの夜に、1日3往復する。(京都新聞)
■信楽鉄道事故 元運転主任(SKR)らに有罪 大津地検 JR責任も認める 猶予付き禁固刑2年6月−2年
 滋賀県甲賀郡信楽町の第三セクター・信楽高原鉄道(SKR)で1991年5月、SKRと乗り入れていたJR西日本の列車が正面衝突し、死者42人、重軽傷者628人を出した事故で、業務上過失致死傷と業務上過失往来危険罪に問われたSKRの元運転主任ら3被告に対する判決公判が24日午後、大津地裁であった。安原浩裁判長は、SKRの元運転主任里西孝三被告(69)=滋賀県愛知郡愛知川町川原=に禁固2年6月、執行猶予3年(求刑禁固3年6月)、同社の元施設課長山本長生被告(63)=三重県阿山郡伊賀町下柘植=に禁固2年2月、執行猶予3年(同3年)、信号会社から派遣されていた元施設係長八木沢守被告(51)=東京都練馬区大泉学園町三丁目=に禁固2年、執行猶予3年(同3年)を、それぞれ言い渡した。
 焦点となっていたJR西日本側の責任については、「SKR線内の信号を遠隔操作する『方向優先てこ』の設置、操作について、SKRとの協議を怠っていた」などと言及した。さらに「両社の危機管理体制の不備などが事故を招いたといえる」と指摘した。
 3被告は、91年5月14日午前10時35分ごろ、信楽駅の出発信号が「赤固定」なのに、規定の出発手続きを取ることや慎重に信号装置を操作することを怠り列車を出発させ、信楽町黄瀬で、対向のJR列車と正面衝突させた、などとして起訴された。
 SKRは単線で、当時、同町内では世界陶芸祭が開催中だった。(京都新聞 夕刊)
■一部だけ処罰 何もならない 信楽高原鉄道判決見守る遺族ら 事故根絶へ模索続け 日比谷線事故複雑な思い JRへ消えぬ怒り
 安全なはずの列車の旅が暗転した惨事から、9回目の春が巡ってきた。死者42人、重軽傷者600人余りを出した刑事責任を問い、24日判決の信楽高原鉄道(SKR)事故。SKRとJR西日本に対する怒りとともに、事故根絶を願う遺族ら。願いが行政を動かし、運輸省に鉄道事故調査検討会が設置されたが、今月8日には営団地下鉄日比谷線で死傷事故が再び起きた。「この9年間は何だったのか」。複雑な思いが遺族らを襲った。
 事故から約2年後、遺族らと「鉄道安全推進会議(TASK)」を結成した自営業臼井和男さん(61)=京都市=は、事故で長女=当時(26)=を失った。「同じ思いをする人を出したくない。事故原因を突き止め、再発防止に役立ててほしい」。世界各国の事故調査機関を回り、再三、国に同種機関の設置を働き掛けた。
 昨年6月、それまで鉄道会社任せだった事故原因を独自に究明する鉄道事故調査検討会が発足。検討会は日比谷線事故に初出動した。
 臼井さんは「また事故だ。検討会は事故を防止できなかった理由を徹底的に調べてほしい。刑事裁判で一部の人を処罰するだけでは何にもならない」と話す。
 妻=当時(53)=を亡くした会社役員吉崎俊三さん(66)=兵庫県宝塚市=は「JRへの怒り」から遺族会代表を引き受け、JR側の過失を認める判決を引き出した民事訴訟の原告団長も務めた。
 関係者が起訴されず「JR不在」の刑事裁判には不満で、審理はほとんど傍聴しなかった。「妻はJRの切符を持って死んだ。(起訴された)被告が罰を受けても仕方がない。JRに謝ってもらう日まで闘います」。3被告の判決にも興味はないという。(京都新聞 夕刊)
信楽高原鉄道事故をめぐる主な経過
199114JR西日本と信楽高原鉄道(SKR)の列車が正面衝突。最終的に死者42人、負傷者600人余りに
9212 滋賀県警が業務上過失致死傷容疑などで事故当日寺のSKR運転主任ら3人を逮捕
     事故当時のJR運転士も書類送検
     遺族が業務上過失致死傷容疑などで、事故当時のJR西日本社長ら7人を大津地検に告訴
    24 大津地検がSKR運転主任ら3人を起訴
9318 鉄道事業法違反の罪でJR西日本とSKRを略式起訴。JRの社長や運転士らは不起訴
  27 大津地裁で初公判
   第2回公判。3被告が無罪を主張
  1014 遺族が2社に損害賠償を求め大阪地裁に提訴
9414 大津検察審査会がJRの社長、運転士らの「不起訴不当」を議決
  28 JR信号設備関係者の「不起訴不当」を議決
95 大津地検がJR関係者を再度不起訴
9730 大津地裁がJR側の責任を一部認める異例の「中間見解」
9929 民事判決で大阪地裁が2社の責任を認め、総額約5億円の賠償を命令
    31 JR西日本が控訴
  1029 大津地裁で検察側が3被告に禁固3年6月−3年を求刑
  1228 弁護側の最終弁論で結審
200024 判決
■信楽事故 JRにも責任 安全管理 連絡怠る 3被告に有罪判決 大津地裁
 滋賀県信楽町の第三セクター・信楽高原鉄道(SKR)で1991年5月、SKR列車とJR西日本から乗り入れた列車が正面衝突し、死者42人と負傷者約600人を出した事故で、業務上過失致死傷と業務上過失往来危険の罪に問われたSKR社員ら3人に対する判決公判が24日、大津地裁で開かれ、安原浩裁判長はいずれも執行猶予がついた禁固2年−2年6月の有罪判決を言い渡した。安原裁判長は「多数の乗客の生命を預かる鉄道関係職員としての自覚を欠いた点で、過失は悪質かつ重大と言わざるを得ない」と述べる一方、「新たな信号制御装置を設置・操作する際に、JRがSKRと協議・連絡していれば、事故は回避できた」とJRの責任の重大さを指摘した。
 3人の量刑は、当時のSKR運転主任の里西孝三被告(69)が禁固2年6月(求刑禁固3年6月)、元施設課長の山本長生被告(63)が禁固2年2月(同禁固3年)、信号会社から派遣された八木沢守被告(51)が禁固2年(同)でいずれも3年間、執行が猶予された。判決は、両社の協議・連絡の悪さが3被告の過失を誘発したと述べ、「事故の責任を、現場責任者にすぎない被告3人にだけ負わせるのは相当でない」などと執行猶予の理由を述べた。
 事故の一方の当事者でありながら、JR関係者は刑事訴追されず、JRの責任を裁判所がどう判断するかが注目されていた。判決がJRの安全管理のずさんさにも言及したことで、民事訴訟に続き、刑事裁判のなかでもJRの責任が認められた形になった。
 判決はまず、3人の被告にそれぞれの立場で事故を防ぐべき注意義務があったと認め、ほぼ検察側の主張に沿って3人には過失があったと判断した。
 次に、JRによる新たな信号制御装置「方向優先てこ」の設置が事故の原因となったかどうかについて検討。「てこの設置が原因で信楽駅の出発信号が赤のまま変わらなくなり、これが事故の発端になった」と述べた。さらに「JR側からSKR側に設置の事実は報告されなかった」と認定し、「原因不明の信号故障で3人はパニック状態になり、過失が誘発された。連絡義務を怠ったJRの責任は重大だ」と述べて、てこの設置をめぐる連絡・協議がなかったことが事故の基本的な原因だと総括した。
 事故に先だって信号トラブルが発生していたことにもふれ、「JRとSKRは協議をする絶好の機会を生かさなかった。待避場で行き違えなかった場合の対応などを明文化していれば、事故を避けることは十分にできた」と両社の危機管理体制の不備を指摘した。
 一方、待避場ですれ違う予定のSKR列車が到着しないまま、青信号に従って進んだJR列車の運転士個人の責任については、過失はなかったと判断した。
 公判で被告・弁護側は、「3被告はいずれも事故を予期できなかった」などとして無罪を主張した。しかし判決は、事故当日の信楽駅長役だった里西被告は列車運行の安全確保を怠ったままSKR列車を出発させた▽山本被告は八木沢被告の、信号装置の誤作動を生む危険な修理作業をやめさせ、列車の出発に強く反対すべきだった▽八木沢被告は、列車が出発する可能性に気づいた時点で、危険な修理作業を中止すべきだった−などと述べ、「いずれも刑事責任は重い」と結論づけた。
・信楽高原鉄道事故
 世界陶芸祭が開催され、多くの人出でにぎわった滋賀県信楽町の信楽高原鉄道(SKR)で1991年5月14日、信楽駅の出発信号が赤のまま変わらなくなる異常が起きたが、上りSKR列車はそのまま出発。小野谷信号場−信楽駅の単線区間で、JR草津線から乗り入れ、小野谷信号場を青信号に従って通過した下りJR列車と正面衝突した。
 事故をめぐっては、滋賀県警が92年12月、3被告とともにJR運転士を書類送検した。しかし、大津地検は同月、信楽駅の駅長役を務めていたSKR運転主任の里西孝3被告と、施設課長の山本長生被告、八木沢守被告のSKR側の3人だけを起訴した。「遺族の会」はJR運転士と同社幹部らを大津地検に告訴したが、いずれも93年3月に嫌疑不十分で不起訴処分となった。(朝日新聞)
■信楽事故判決公判 衝突 本当の原因知りたい 遺族ら問い続け9年 消えぬ尾根陰去らぬ憤り
 犠牲者42人、重軽傷者約600人を出した1991年5月の信楽高原鉄道(SKR)事故の判決が24日午後、大津地裁で言い渡される。多数の関係者の過失や行為が複雑に絡み合って起きただけに、裁判では「事実」の糸をほぐすのに初公判から7年かかった。業務上過失致死傷罪などに問われたSKR社員ら3人は、事故を予見することができたのか。事故の一方の当事者で被告席に座らなかったJR西日本に、責任はなかったと言い切れるのか。一方で、遺族たちは心の傷をいやされることのないまま、この日を迎えた。
 夫の達雄さん(当時43)を失った京都市伏見区の主婦、松林美喜栄さん(50)はこの日、自宅で判決の知らせを待った。裁判が始まったころは何度か傍聴席に足を運んだが、途中でやめた。JR西日本関係者が被告席に立たず、腹立たしくなったからだ。
 達雄さんは、勤務先の西陣の帯メーカーなどが催した研修で、JR列車に乗って信楽町の世界陶芸祭に行く途中だった。その日のうちに遺体を引き取って自宅に戻ると、小学5年と中学1年の娘2人が「入院するパパのために」と達雄さんのパジャマをそろえて待っていた。父の死を知って泣きじゃくる娘2人を見て、美喜栄さんも涙を止めることができなかった。
■信楽高原鉄道事故5月14日の主な流れ■
9時44分JR亀山CTCセンターが、SKR線乗り入れ予定のJR列車が大津駅を約5分遅れで出発したとの連絡を受け、方向優先てこを操作
10時8分同センターが、方向優先てこの作用を確認するため再びてこを操作
 10分SKR列車が約3分遅れで信楽駅に到着
 14分信楽駅出発信号のトラブルに気付いた里西、山本両被告が、八木沢被告に信号装置の点検・修理を依頼
 18分JR乗り入れ列車が約2分遅れで貴生川駅を出発
 25分SKR列車が約11分遅れで信楽駅を赤信号のまま出発
 30分JR乗り入れ列車が小野谷信号場を青信号で通過
 35分正面衝突(検察側の冒頭陳述による)
 悲しみに沈んでいられた時間は、ほんのわずかだった。娘たちの受験。達雄さんの両親に痴ほう症状が見え始め、介護も必要になった。そして9年。娘たちは学生生活を送り、両親は介護のある病院に入院している。生前、達雄さんの出張が多かっただけに、美喜栄さんは、今でも夫がドアを開けて帰ってきそうな気がしてならない。
 大津市大門通、元生命保険会社員、国江信雄さん(61)は、妻の恵美子さん(当時48)を亡くした。友だちと世界陶芸祭に行くため、JR列車に乗っていて事故に巻き込まれた。「遺族の会」の会合に参加したことがあったが、テレビニュースに映ると、「ほどほどにしといたら」と苦々しげにいう知人もいて、悔しくて落ち込んだ。
 約2年後に再婚。今は京都市に住む次女が時々、2人の孫を連れて遊びに来るのが楽しみ。9年の歳月がたったが、事故への憤りは消えない。「JRもSKRも組織として安全管理に責任があったのに、SKRの現場職員だけが起訴された。なぜ双方の会社幹部が責任を問われなかったのか、疑問を感じる」
 SKRの信楽駅では今年1月、信号故障を起こし、事故以来使われていなかった信楽駅1番線ホームが復活した。赤字続きの第三セクターだが、経営努力を続けており、3年前に地元の陶器業者や旅行会社と提携したツアーを企画。バス利用が多かった観光客を呼び込んで、昨年度の年間団体客数は前年より2万人以上増えた。
 しかし、全乗客の約6割を占める学生も少子化の影響で減り続け、昨年度の年間利用数は、8年前のピーク時に比べて4万人ほど少ない約39万人に。「依然として厳しい環境は変わっていません」と同社。(朝日新聞 夕刊)
■私鉄・バス 11社がスト 西日本
 春闘での賃上げを求め、労使交渉を続けてきた西日本の中小私鉄・バスの各労組のうち、交渉がまとまらなかった11社が24日早朝からストライキに入り、各地で通勤・通学に影響が出た。
 近畿地方の明光バス(和歌山県白浜町)は始発から24時間ストライキに入った。中国地方では、芸陽バス(広島県)、中国バス(同)、鞆鉄道(同)、備北交通(同)、井笠鉄道(岡山県)の計5社がストライキに突入。中国バスは、通勤時間帯の路線バス265本が運休し、サラリーマンら約6000人に影響が出た。井笠鉄道を除き、午前8時30分までに交渉が妥結し、運行が始まった。(朝日新聞 夕刊)
25日■JRにも違法性 信楽鉄道事故 元運転主任(SKR)らに有罪判決 大津地検、連絡ミス指摘 両社の危機管理ずさん 過失を誘発
 一部地域既報=滋賀県信楽町の信楽高原鉄道(SKR)で起きた列車正面衝突事故で、業務上過失致死傷と業務上過失往来危険罪に問われたSKR元運転主任ら3被告に対する判決公判が24日、大津地裁であった。安原浩裁判長は「多数の乗客の命を預かる鉄道職員としての自覚を欠いていた点で、被告の過失は重大」としたうえで、「JR西日本とSKRのずさんな危機管理体制が被告の過失を誘発した面もある」などとして、3被告に禁固2年6月−2年、いずれも執行猶予3年を言い渡した。
 焦点だったJR側の責任については、「(SKR線の信号を遠隔操作する)『方向優先テコ』の設置・操作について、SKRへの連絡を怠ったのは違法性がある」と言及、「異常事能における両社の取り決めや教育の不備などが事故を招いた」と事故原因を指摘した。JR列車の運転士については「SKR列車が進行してくるとは予見できず、過失はない」とした。
 判決で安原裁判長は、SKRの元運転主任里西孝三被告(69)=滋賀県愛知郡愛知川町川原=に禁固2年6月、執行猶予三年(求刑禁固3年6月)、同社の元施設課長山本長生被告(63)=三重県阿山郡伊賀町下柘植=に禁固2年2月、執行猶予3年(同3年)、信号会社の元施設係長八木沢守被告(51)=東京都練馬区大泉学園町三丁目=に禁固2年、執行猶予3年(同3年)を、それぞれ言い渡した。
信楽鉄道事故判決の骨子
一、里西被告は、山本被告に対し、八木沢被告の修理を中止させる要請や、指導通信式の所定手続きをとる注意義務を怠った。
二、山本被告は、修理が信号に危険を及ぼさないよう厳重に監督するなどの注意義務を怠った。
三、八木沢被告は、信楽駅継電連動装置の停止を要請するなどの注意義務を怠った。
四、(略)
五、「方向優先てこ」の設置、操作は、JR側がSKRと十分検討、協議するべきなのに怠った。
六、事故の原因には、被告らの過失とともに、JR、SKR両社の危機管理体制に不備があった。
七、JR、SKR両社の危機管理体制のずさんさが被告の過失を誘発した側面も否定できない。
 判決理由で安原裁判長は、里西被告に対し「駅長業務を行っており、安全確保をせず列車を出発させた過失は3人の中でも悪質」と厳しく指摘。山本被告には「信号設備の担当者として、八木沢被告の作業を厳重に監督する義務があった」と過失を認めた。八木沢被告については「列車運行中に信号表示を変える恐れのある危険な作業をした」とした。
 情状の理由としては「現場責任者にすぎない被告にすべての事故責任を求められない」と述べ、「SKR、JR間で十分な協議をしていれば、事故は防げた」と指摘した。
 判決によると、3被告は事故当日、信楽駅の出発信号が「赤」なのに、規定の出発手続きを取ることや慎重に信号装置を操作することを怠り、列車を出発させ、信楽町黄瀬で、対向のJR列車と衝突させた。
・解説 「組織の責任」問う
 被告にとって、厳しい判決だった。しかし、執行猶予付きの判断は、大津地裁が事故の責任を個人だけに向
けず、組織としての信楽高原鉄道(SKR)とJR西日本の体制不備にも求めた結果と言える。
 公判を通じて被告は、JRなどの過失を主張してきた。判決は、列車運行に携わる現場サイドに厳しい安全注意義務を課したうえに、「危機管理体制の不備が事故を招いた」と、両社の安全に対する姿勢に注文をつけた。
 組織に対する刑事責任は問えないため、刑事裁判は、人為ミスが複合して起きることが多い大事故の原因究明にはそぐわないとされる。判決は、組織としての両社の責任を指摘しており、事故の全体像を解明しようとしている点で評価できる。
 鉄道という公共交通機関は高度の安全性が求められる。鉄道会社が、社員個人に安全管理を任せていたのでは、事故は防ぎきれない。「人為ミスをバックアップする組織としての体制が不可欠」との専門家の指摘もある。
 遺族らは、同地裁がJRの責任に言及したことに一定の評価を示したが、犠牲者が戻るわけではない。
 両社が判決を真しに受け止め、再発防止の姿勢を目に見える形で示すことが、遺族らへの償いになる。(滋賀本社 小池直弘)
・信楽列車正面衝突事故
 1991年5月14日午前10時35分ごろ、滋賀県甲賀郡信楽町黄滴の信楽高原鉄道(SKR)=単線=で、世界陶芸祭の開催に伴い、同線に乗り入れていた満員のJR西日本の下り臨時快速列車(3両編成)と、SKRの上り普通列車(4両編成)が正面衝突。双方の乗客37人と乗員5人の計42人が死亡、628人が重軽傷を負った。SKR列車は信楽駅の出発信号が「赤」のまま出発し、JR列車は、行き違い場所「小野谷信号場」を、待避線に対向列車がいなかったが、信号が「青」だったため通過した、とされる。(京都新聞)
■信楽鉄道事故の判決要旨
 大津地裁で24日言い渡された信楽高原鉄道(SKR)事故判決の要旨は次の通り。
 【里西被告(SKR運転主任)の注意義務違反】
 SKR業務課長(事故で死亡)や運転士(同)の気勢に押されて出発合図を出してしまった、との里西被告の検察官調書には信用性があり、同被告は代用手信号や出発合図を出した上で、上りSKR列車を出発させたと認められる。列車発着についての権限は、被告固有の権限で、業務課長の強い指示があったからといって被告が権限を行使できなかったとは考えられない。信楽駅出発信号機が赤信号のまま上り列車に出発合図を出す以上、山本被告に連絡を取って、継電連動装置使用停止前の修理を中止させるよう要請すべきだった。さらに、信楽駅−小野谷信号場間の区間開通の確認、指導者の選定・同乗をし、列車の運行の安全を確保するべきにもかかわらず、要員派遣による区間開通の確認をしなかった。
 【山本被告(SKR施設課長)の注意義務違反】
 継電連動装置の点検・修理を指示した八木沢被告に対し、信号機の誤作動を生ずるような危険作業をしていないか注意を与えるなどの監督権を行使すべき義務があった。同装置の修理をしていることによって信号の誤作動が生じ、列車運行に危険を与える可能性を予見し得た以上、列車の出発を見合わせるよう里西被告に強く要請すべきだった。
 【八木沢被告(信号設備会社社員)の注意義務違反】
 事故当時、小野谷信号場下り出発信号機が青信号を誤表示したのは、信楽駅継電連動室での人為的配線による。八木沢被告は継電連動装置を正当な条件を経ない電源で動作させ、誤表示を可能にする危険な配線を行ったと認められる。
信楽事故裁判の主な争点
 JR西日本の過失JR運転士の過失被告の過失




 方向優先てこの設置・操作が信号異常の遠因でも、SKR列車が赤信号で出発しなければ事故は起きず、JRに過失はない 信号場の待避線にSKR列車がいなくても、規則上青信号で進む義務がある。対向列車の進行は予見不可能で過失はない 里西被告は赤信号なのにSKR列車を出発させ、八木沢被告は危険な信号修理をした。山本被告は修理を容認した過失がある




 JRが方向優先てこを無断で設置・操作したため信号異常が起きた。事故前にも異常があったのに放置し、対策を取らなかった 信号揚の待避線にSKR列車がおらず不審に思ったのに進行。事故前にも同様の信号異常があり、事故を予見することができた 里西被告は出発合図を出していない。八木沢被告の信号修理と事故は無関係の可能性がある。山本被告は修理内容を知らなかった

 JRには方向優先てこの設置・操作でSKRと十分な協議を怠り違法性がある。事故前の信号異常で協議すれば事故は避けられた 信号場の待避線にSKR列車がいなくても、青信号で停車する規則はない。対向列車の進行も予見できず、過失はない 里西被告は出発合図を出した。八木沢被告は危険な修理をし、事故と因果関係がある。山本被告は危険な修理を止めなかった
 八木沢被告は列車が出発しそうであることを予見し得たし、危険な継電連動装置の修理をしているのであるから、事故の発生を防止するため、危険な修理を直ちに中止するか、同装置を使用停止にすべきことを山本被告に強く進言すべきであった。
 【JR運転士の注意義務違反の有無】
 運転士が特段の安全に関する情報を得られないまま青信号を確認して進行している以上、本件事故につき、運転士に過失や落ち度を認めることはできない。
 SKRやJRは、小野谷出発信号機が青信号であっても、行き違い場所でいったん停止した上で、携帯電話で信楽駅に連絡して指元を仰ぐべき、との内規や取り決めをしなかったばかりか、どのような事態に遭遇したときに信楽駅へ連絡すべきかといった協議をせず、両社共通の列車無線を設置するなどの措置もとらなかった。
 両社が安全に対する配慮を著しく欠いていたことは明らかである。SKRやJRが、内規や異常時の対応の取り決めをし、必要な設備を設けるべきであったのに、それをしないことによる不都合を個々の運転士の責任に帰せしめるのは無理というべきである。
 【方向優先てこの設置、早期操作の違法性の有無】
 ▽赤固定の原因
 鑑定によれば、@方向優先てこの設置と早期操作A小野谷信号場下り場内信号機の早期制御B同信号機と下り出発信号機の連動システム−の三つが原因で、信楽駅上り出発信号機に青信号が出ない「赤固定」が発生した。三点のうち一つが欠けてもこの現象は起きない。赤固定が本件事故の発端で、それがなければ事故は発生しなかった。
 ▽設置連絡と早期操作
 1991年2月25日に設置された方向優先てこの存在をJRが意識的に隠ぺいしたとの証拠はないが、SKR側に報告されることはなかったと認められる。
 方向優先てこは、SKRの運行管理対象の小野谷信号場の出発信号を、SKRの意向とは関係なく勝手に抑止するもので、設置・操作については、SKRとの間で、図表などを交換し、内容と操作方法を十分検討・協議すべきことは当然である。連絡・協議が実施されていれば、赤固定のトラブルは発生しなかったし、的確な対応措置をとることができ、事故を回避し得た。連絡義務を怠ったJRの責任は重大とする弁護人の所論は理由がある。
 方向優先てこの早期操作が、SKR線の信号保安装置に影響を及ぼす以上、事前またはその都度SKRに連絡すべきことは当然である。
 ▽結論
 JRは、方向優先てこを設置するには、自社の「信号設備設計施工指針」を順守して設置するか、SKRの同意・承認を得て設置し、SKRの運行管理権を侵害しないよう方向優先てこの動作に関し、SKRから包括的な連絡・承認を得て列車運行方向の打ち合わせを行うべき立場にあった。SKRも、信号の制御時機変更工事をJR側に連絡し、検討・協議すべき立場にあった。双方が自己の工事内容の連絡・協議を怠った結果、赤固定の信号障害を発生せしめた。
 種々の問題点が方向優先てこにあることは、91年3月16日付作成のJR内部文書からも明らか。
 JRの責任が軽いとする検察官の主張は到底採用できない。
 【総括】
 本件列車事故は、SKRとJRの間で、双方が実施した信号保安装置の一部変更工事に関する連絡・協議の不十分さが基本的原因となり、事故当日の信号障害が発生し、被告らが動揺のあまり果たすべき義務を怠った過失の競合に基づく事故である。それとともに、事故以前にも発生していた同様の信号障害の際の列車運転士の対応に関してSKR、JR双方の連絡・協議が十分に実施されていれば避け得た事故である。
 これらとともに、異常事態が発生した場合における両社のソフト面(内規、マニュアルの作成や教育・訓練)、ハード面(列車無線の整備など)の不備(危機管理体制の不備)が本件事故を招いたといえる。
 【量刑の理由】
 3被告は、多数の乗客の生命を預かる鉄道職員としての自覚を欠いており、過失は悪質かつ重大。本件列車事故は、死者42人の大惨事を招き、列車の安、全運行に関する社会の信頼に重大な衝撃を与えた点も軽視できない。遺族や被害者も、事故発生の責任者に対し、厳罰を望んでいる。
 しかし、SKRとJRの危機管理体制のずさんさなどが加わって、被告3人の過失が誘発されたもので、こうした事情は現場職員の3人には事前に全く知らされず、本来的には両社の管理職員の責務であった。3被告は事故当日、原因不明のまま右往左往せざるを得なかった。また、最終的に強引に上り列車を出発させたことについては、事実上指揮した者の存在があった。事故の責任を、すべて現場責任者にすぎない3被告のみに帰せしめるのは相当ではない。(京都新聞)
■凡語
 9年前の風薫る季節、新緑のまっただ中で起きた信楽高原鉄道正面衝突事故。昨春の民事訴訟(大阪地裁)に続いて大津地裁の刑事裁判でも、列車を乗り入れたJR西日本の責任をも厳しく問う判決が出た▼高原鉄道の列車は固定したままの赤信号を無視して発車、青信号で進んできたJRの列車に正面衝突した。弁解の余地がない事故である。JRは事故直後から高姿勢だった。運行管理責任はすべて高原鉄道側にあるとして、遺族にわびる言葉すらなかった▼調べが進むにつれて、JRは乗り入れ列車の優先通行を図るために、信号操作装置を高原鉄道の了解のないまま設置していたことが分かった。これが赤信号固定を引き起こし、事故の遠因となった疑いが濃くなった▼検察は直接の事故責任追及にしぼったためか高原鉄道の運転主任ら3人だけしか起訴しなかった。検察審査会が異議を唱えたが、JR側は不起訴。判決は、被告ではないJRの責任に厳しく言及する形となった▼「3被告の過失は重大だが、両社のずさんさが過失を誘発したことも否定できない」と、いわば土俵の外をしかる判決である。司法の世界では異例のはみだし判決かも知れないが、普通の市民には納得がいく▼犠牲になった42人は帰らない。せめて事故の教訓が次の事故防止につながらなければ遺族はもちろん、乗客一般もたまらない。判決に「責任言及は残念」などとずれた談話を発表したJRに、本当に「ずさんさ」はなかったのか。この重い判決に耳を貸そうとする姿勢もないのか。(京都新聞)
■SKR社長ら 判決「真しに受ける」 安全体制の不備悔やむ
 SKRの井上春絹社長(72)と北川啓一前社長(75)ら同鉄道関係者3人は閉廷後、滋賀県庁で記者会見。井上社長は「判決を真しに受け止め、会社として何よりも優先して安全確保に努めていきたい」と述べた。
 井上社長は「事故で亡くなった方、負傷された方に深くおわびしたい」とまず陳謝。「里西、山本両被告が十分な注意義務を怠ったとされた指摘は避けて通れない。しかし、会社自体が主体的に安全対策をやっていれば、事故は防げたのではないか」と、会社の安全体制の不備を悔やんだ。そのうえで、「今日の判決を生かせるよう、毎日の業務に務めていく」と話した。
 一方、北川前社長は「事故の当初から関係してきただけに、みんなの思いが頭をよぎり、胸にじんと感じる」と話した。
・判決に3被告深々と頭下げ
 ベージュ色の壁に囲まれた大津地裁の第3号法廷。約60席の傍聴席は遺族や報道陣などですべて埋まった。午後1時半過ぎ、安原浩裁判長が、判決を言い渡すと、連絡の報道陣が一斉に戸口へと駆け出した。スーツ姿の3被告は神妙な態度で判決に耳を傾け、その後、同裁判長が「過失があった」「怠った」「予見できた」などと判決文を読み上げる間、手元の書類にじっと目を落としていた。
 朗読の後半部分でJR西日本の責任について触れられると、傍聴席の遺族の中には身を乗り出すようにして判決に聞き入る人も。判決公判の最後で安原裁判長が控訴の手続きなどを説明し、約3時間半近くに及んだ判決言い渡しに閉廷を告げると、3被告は深々と頭を下げた。
・判決、行政に反映を 運輸省
 信楽高原鉄道列車事故の大津地裁判決について、運輸省鉄道局は24日、「司法当局の判断であり、運輸省としては基本的にコメントする立場にないが、鉄道事業者の職員らが、その職務に関し有罪判決を受けたことは重く受けとめている。判決内容を精査しているところであり、その結果、今後の鉄道行政に反映すべきことがあれば、その方向で進めていきたい」とのコメントを出した。
・控訴は慎重に検討 弁護団
 3被告の弁護団は判決後、大津地裁など2ヵ所で記者会見した。
 里西、山本被告の児玉憲夫弁護団長は「被告が否認していた業務上の責任について、裁判所は厳しく認定しており、残念だが、これだけの大事故の裁判としては寛大な量刑だと思う。JRなどの組織としての責任が指摘されたことは、末端だけの責任を問いがちな刑事裁判においては一歩進んだ判断であり、評価できる」と話した。一方、八木沢被告の斎藤洌弁護士は、「執行猶予の付いた量刑は妥当と考えるが、判決文の検討が必要で、控訴するか否かについては慎重に検討したい」と話した。
・JRの落ち度 示唆は重要
 松宮孝明立命館大教授(刑法)の話 裁判所は今回初めて、JR西日本の責任について慎重に触れた。これは、被告3人の罪責を判断するには、事故の背景として、JRの責任の所在が極めて重要な要因と認めたことになる。刑事裁判としては評価できる内容だ。JRの落ち度を示唆したことで、今後、大阪高裁で係争中の民事訴訟にも影響するかもしれない。
 被告3人の量刑は厳しい。3人は、会社から知らされているべき緊急事態の対処方法などについて、事前に説明を受けていなかった。当時3人は、分かり得ない原因不明の「赤信号固定」という事態にパニックになっていた。一人はSKR従業員ではなく、電車運行に直接関係ない。執行猶予は当然だ。また、事故当時のSKRの統括責任者や会社全体の命令系統などが、まだはっきりしていない。事故の真相解明には、裁判以外のシステムが必要ではないか。
・組織責任追及 裁判では限界
 安部誠治関西大教授(交通論)の話 個人の罪が問われる刑事裁判で、JR西日本、信楽高原鉄道両社に、組織として構造的な問題があったと指摘した点は評価できる。しかし、事故の原因が会社にあるとしても、会社に責任を問えないのが刑事裁判の限界。公判の過程で明らかになった知見が、今後の事故防止に生かされる保障はない。
 事故の再発防止を目的とした調査のためには、工学、法律など幅広い分野の事故調査官を育成し、独立した権限を持つ調査機関が必要。運輸省は昨年9月、「鉄道事故調査検討会」を発足したが、法的根拠がなく、メンバー構成が鉄道工学の専門家に偏っていたりと組織として未熟だ。検討会の拡充を期待したい。
・変わらぬJRの「効率優先」体質 「JRの光と影」などの著作があるジャーナリスト 立山学さん
 今回の信楽事故裁判の判決で、検察が不起訴としたJR西日本について、事故責任の一半がある、とはっきりと認定したのは、高く評価できる。
 しかし、JR西日本は、有罪になったわけではない。この事実は、犠牲者は納得できないだろう。また、JR西日本が、信楽事故を発生させることになった”ずさんな危機管理体制”を変えていないことは、山陽新幹線のコンクリート崩落事故に際して、安易な“安全宣言”を出したことなどにも明らかだ。このままJR西日本は”無罪放めん”では、山陽新幹線で、第二、第三の信楽事故にならぬか、心配である。
 そもそも、信楽事故は、87年の国鉄民営分割を境に、国の鉄道政策がそれまでの「安全第一」から「利益・効率優先」に大転換した。そのヒズミが加わって発生したものだ。そのことについての反省が、全体化され、徹底していれば、5人の死者を出した、3月8日の東京の地下鉄営団日比谷線の事故も回避できていただろう。この事故の場合も、営団民営化のための効率化プレッシャーが強く加わって起こっているのである。
 この信楽事故判決はこれで一件落着ではなく、日本の国民がこの事故を再発防止に結びつけていく本格的作業にとりかかることをうながしていると受けとるべきだ。(京都新聞)
■遺族ら「気持ち晴れた」 信楽鉄道事故 長い9年振り返り JRに謝罪求める
 滋賀県信楽町で起きた戦後最大級の鉄道事故・信楽高原鉄道(SKR)列車正面衝突事故の判決公判(大津地裁)で24日、業務上過失致死傷罪などに問われたSKRの被告ら3人に執行猶予付きの有罪が下された。判決は、JR西日本とSKR双方が連絡協議義務を怠り、危機管理体制がずさんだったと指摘、これが「被告の過失を誘発した側面」と言い切った。初公判から約7年。最愛の家族を亡くした遺族らは「3人だけに罪を押しつけたのではなく、JRの責任を認めてくれた」と思いが晴れた表情で判決を高く評価した。
 閉廷後、遺族らは大津地裁近くの滋賀県教育会館で記者会見に臨んだ。
 兵庫県宝塚市中山桜台、遺族の会会長の吉崎俊三さん(66)は「JR西日本に責任があるという判決で屈辱が晴れた。JRは責任を素直に認め、犠牲者の御霊に謝罪してほしい」。京都市右京区、遺族らでつくる鉄道安全推進会議(TASK)会長の臼井和男さん(61)は「3人だけに罪を押しつけるのは無理やということ。組織の問題として、企業ぐるみで、安全に取り組むべき」と話した。また、神戸市東灘区、中原邦夫さん(65)は「事故の解明、事故の原因を知りたかったが、JRとSKRのずさんな運行管理に原因があるとしたのを高く評価したい」と言葉に力を込めた。
 同席した民事裁判の弁護団事務局長を務める秋田真志弁護士(36)は「JR運転士の過失が否定されたのに不満は残るが、JRの組織としての責任を明快に肯定した。民事裁判に与える影響は大きい」と語った。
 妻を亡くした大阪府三島郡島本町、寺川清一さん(76)は、傍聴席から身を乗り出して判決を聞いた。「JR西日本の責任がやっと示された。被告3人の判断ミスを生んだ2社の体制に憤りを感じている。妻に報告したい。9年間は長かった」と話した。
 夫を亡くし、自宅で判決を待った大阪府茨木市玉櫛二丁目、後藤泰子さん(58)は「わらにもすがる思いでJRの責任追及に頑張ってきた。同社の責任が認められたことがうれしい。被告3人については話すことはない。夫が帰ってくるわけではないですから」と声を震わせた。
 母親を亡くした滋賀県甲賀郡信楽町江田、久保正さん(32)は「被告3人の判決よりも、裁判所がJR西日本の責任を認めたことが前進だ。同社は、今回の判決を重く受けとめるべきだ」と指摘した。
・責任指摘され残念 JR西日本会見 「対応に問題なし」
 JR西日本の小出昇総務部長は24日夕、大阪市北区の本社で記者会見し、「いくつかの点でJRに責任ありとされていることは残念だ」との見解を述べ、事故責任をあらためて否定した。今後の対応については「認められなかった点を引き続き主張していく」と変更がないことを示した。
 小出総務部長は「コメン卜を述べる立場にない」と前置きした上で、JRの責任を指摘された方向優先てこ設置におけるSKRとの連絡・協議や危機哲理体制の不備について「SKRとは何度も連絡・協議を行っており、JRに問題はなかった」と反論。事故原因については「SKR側が規則を守って対応していれば、事故は発生しなかった」とJRの責任を否定した。
 大阪高裁で係争中の民事裁判への影響については明言を避けたが、「裁判所の理解を得られるよう主張を続ける」と説明。遺族らへの謝罪についても「事故直後から遺族、負傷者の気持ちを大切にして接しており、今後も続けたい」と述べるにとどまった。
・控訴するか高検と協議 大津地検 大津地検の落合俊和次席検事は判決後、同地検内で「3被告は無罪を主張していたわけで、有罪判決は一定評価できる。しかし、執行猶予が付いた理由など判決内容を今後、高検などと協議し、控訴期間の14日間以内に控訴するかどうか検討したい」と述べた。
 JR西日本に一定の責任を認めた判決に対しては、「判決内谷を検討しないとコメントできないが、あくまで地検としてはJR運転士などJR側に刑事責任を問えないと判断している」と繰り返した。そのうえで、「検察は論告でもJRとSKRの連絡体制などに言及しており、(刑事責任は問えないが)JRに何の問題もないとは言っていない」と強調した。
 3被告に執行猶予が付き、仮に控訴する場合は「量刑不当が理由になる」との見解を示した。
・経営陣は謙虚さを JR西労組コメント
 JR西日本労働組合は判決で、JR西日本の違法性が示されたのを受け、「JR西日本はこれまで一貫して過失を認めず、遺族に一片の謝罪もしてこなかったが、今こそ経営陣は、遺族に対し心から謝辞し、営利優先の経営姿勢を正し、安全に対して謙虚に取り組む姿勢を社会に示すべきだ」とするコメントを発表した。(京都新聞)
■回送電車が操車場で脱線 東武鉄道、けが人なし
 24日午後8時10分ごろ、埼玉県宮代町の東武鉄道春日部操車場で、進入してきた回送電車(6両編成)が車止めで停車せず脱線、操車場のブロック壁を突き破り、町道(幅約5b)を横断して止まった。乗客は乗っておらず、けが人はなかった。杉戸署が運転士ら関係者から停車できなかった理由などを聴いている。(京都新聞)
■携帯まくら・抱きまくら 新幹線、快適な眠りを JR東海など開発 車内で販売も
 「新幹線車内で心地よい眠りを」とJR東海は携帯まくら「モバイルピロー」と、抱きまくら「ボディピロー」を寝具メーカー「ロフテー」(東京都中央区)と共同開発した。
 3月29日から東海道新幹線の車内販売や通信販売などを始める。
 携帯まくらは長さ27a、幅7aのウレタン製で、座席と首の間にできるすき間に入れると、リラックス感が増し、安眠効果が高まる。同じ効用があるという抱きまくらは長さ120a、幅40a。上部の突起を首にかけ、下部を抱く形で使用。「安らかな眠りをいざなう」という触れ込み。ただ「新幹線の座席で使うにはちょっと恥ずかしい」との声もあって通信販売に限定した。
 携帯まくらは1個1000円。抱きまくらは1万円。車中で睡眠不足を解消したいというビジネスマンらの要望でJR東海がアンケートや脳波を測定する試験を実施、最適な仮眠が可能なまくらづくりを進めていた。
 商品の問い合わせはロフテー、03(3663)7112まで。(京都新聞)
■市電走る風景 くっきり今昔 あの停留所のへんも変わったやろな 同志社大OBが出版 暮らしぶりも一目
 京都の市電ファン2人が、長年撮影し続けていた市電などの写真にエッセー風の文章を付けた「京都市電が走った街 今昔」(JTB刊)を、このほど出版した。1978年まで市内を走っていた京都市電の124の停留所の風景から、京都の今と昔を対比した労作で、発売1週間で重版となるほどの人気だ。
 著者は、向日市上植野町の沖中忠順さん(61)と長岡京市天神三丁目の福田静二さん(50)。共に京都市内で生まれ育ち、同志社大鉄道同好会OBという、根っからの市電ファンだ。
 本は、外周線、河原町線など全路線を紹介。写真は、福田さんや同志社大鉄道同好会のOB仲間が長年撮りだめ、保管していた1970年代の写真と福田さんが昨年1年間にわたり各停留所を回って撮影した現在の写真とを比べる形で掲載している。文筆は沖中さんが、停留所周辺の町の成り立ちや市電が走っていたころの様子を軽妙な文章で紹介。市電の停留所を通して、京の町並みや暮らしぶりなどの変遷が一目で分かる。
 出版元のJTBによると、初版の1万5000部はすでに在庫切れで、3月末に第2版が書店に並ぶという。2人は「京都の歴史の深さ、市電の良さを知ってもらえたらと話している。(京都新聞)
■目で見る日本経済 大型バス 乗客落ち込み 生産台数激減
 大型バスの生産台数が急激に落ち込んでいる。日本自動車工業会の調べでは、乗車定員30人以上の大型バスの国内生産台数は、1997年に1万4910台だったが、98年9605台、99年には7820台。バスの生産台数は景気に比較的左右されず安定していたが、ここ数年でほぼ半減した。
 背景には、バス会社の経営環境が厳しく、買い替えを控えていることがある。運輸省の調べでは、乗り合いバスの輸送人員は97年度で約54億人、98年度で約52億人と年々減少。
 貸し切りバスの輸送人員は年間約2億人とほぼ変わらないものの、営業収入は97年度が約5802億円、98年度は約5444億円と減る一方だ。
 海外旅行の増加や団体・社員旅行の減少で貸し切りバスの運賃単価が下落。乗り合いバスも地方では過疎路線が廃止になり、都市部では地下鉄など他の公共交通機関が発達。業界団体の日本バス協会は「経費削減を進める中、バスの平均使用年数も長くなっている」と話す。
 販売減少を受け、国内トラックメーカー大手4社のバス事業は「経営は苦しく、どこも赤字のはず」(メーカー)という状態。環境や安全対策など開発費の増加が予想されるため、思い切った提携に踏み切るメーカーも出てきた。
 日野自動車といすゞ自動車は2000年内にバス部門で合弁会社を設立するなどの方法で部品の共通化や共同開発を行う。三菱自動車工業はスウェーデンのトラック大手ボルボと資本提携し、トラック・バス事業を分社化し生産販売で協力する。厳しい経営環境で生き残るため、今後、メーカー間で一層の協力関係の強化や再編も進みそうだ。(京都新聞)
■アジア カレント 赤字に負けるなトラム 香港
 香港の公共輸送機関というと、まずイメージとして浮かぶのがスターフェリー、そしてトラム(二階建て路面電車)であろう。もちろん香港島で公共輸送手段として重要なのはバス・ミニバス、地下鉄だ。しかし、トラムはいかにも英国の植民地だった香港に似つかわしいのも事実。このトラムは香港島の北側を東西に横断して運行している。スターフェリーの乗り場とトラムの駅が近づくあたりは、香港上海銀行が本店を構えるまさに香港経済の心臓部「セントラル」の中枢にあたる。
 香港経済の動きを象徴する高層ビル群の間をすり抜けて走るトラムに乗ると、香港経済のエネルギーを肌で感じることができる。そしてトラムに乗ってさらに東や西に行くと、いかにもアジアの雑踏ともいうべき典型的な香港下町情緒を感じることができる街並みが広がる。ただしトラムは時間がかかるのと、冷房が入っていないのが難点だ。
 トラムに多くのファンがいるのは「乗る喜び」を感じさせてくれることも事実だが、料金が他の公共輸送手段と比較して非常に割安なのも大きな理由であろう。なにしろ均一料金の大人2香港j(約28円)。香港の公共輸送機関は食費や人件費などに比べ総じて割安なのが特長であるが、いかにも安い。
 この「割安・乗って面白い」トラムの運賃値上げ申請が最近行われた。申請どおりに値上げが認可されると10%アップの2j40セント(約34円)となる見込みだ。
 値上げの理由はもちろん赤字営業であるが、同じ道路を走って競合するバスとの広告と集客面での競争激化が原因である。季港は国際金融センターであると同時に観光都市でもある。この特色を最大限に引き出すためにも「頑張れ、トラム!」といいたい。(大和総研香港 勝田久男)(京都新聞)
■信楽事故有罪判決 体制の不備を批判 高度な安全策求める
 《解説》信楽高原鉄道(SKR)列車事故をめぐる刑事裁判で、大津地裁は、SKR社員らの刑事責任の判断にとどまらず、関係者が不起訴となったJR西日本も含めて「両社の危機管理体制の不備が事故を招いた」として、組織としての鉄道会社の安全軽視の構造を批判した。JRとSKRの企業責任も明らかにすることで、事故の全容解明を求める遺族らの思いにもこたえた判決といえる。
 単線上の正面衝突という起こりえないはずの大惨事は、複雑な要因が積み重なって起きた。刑事訴追されたのは直接事故の引き金を引いたとされるSKR側の3被告だけだったが、判決はJRが新しい信号制御装置である「方向優先てこ」を設置した際、その事実がSKR側に伝わっていなかったと認定。その後のSKR側の信号変更工事も含め、両社が組織として、必要な連絡・協議に加え、マニュアルづくりや社員教育、安全確認のための列車無線の設置など、ソフトとハードの両面での対策を怠ったことが事故の基本的原因だと指摘した。
 こうした立場から、個人の過失をめぐっては検察側の主張をほぼ認める一方で、「事故の責任をすべて現場に負わせるべきではない」として、執行猶予という量刑判断を導いた。
 遺族らは裁判所に事故発生の背景までを含む審理を望み、裁判所は、検察側に証拠開示を求める積極的な訴訟指揮で要望にもこたえた。それによって、事故直後に安全体制の不備を認めたJR幹部らの供述調書なども法廷に出された。
 裁判でわかった事故の経緯は、採算重視のあまり安全確保がおろそかになったのではないかという疑問を抱かせる。事故当時、SKRの社員は約20人。地元で開かれた世界陶芸祭に詰めかけた乗客に対応するため、幹部社員までが改札に駆り出される状況の中、安全確保に職員を割くという基本は守られなかった。
 運輸省によれば、信楽事故以降に起きた死傷者が10人を超えるなどの重大事故は東京の営団地下鉄日比谷線の脱線事故までで31件にのほり、このことは日本の鉄道の「安全神話」は絶対ではないことを示している。判決は、JR西日本の列車が第三セクター鉄道に乗り入れるにあたって、乗客からは考えられないほどずさんな体制しかとられていなかったことを明らかにした。多数の乗客の命を預かる鉄道会社に対して、より高度な安全対策を求めたこの判決を機に、乗客の信頼を裏切らないだけの事故防止体制をつくりあげることが必要だ。(大津支局・峯村健司/十河朋子)(朝日新聞)
■システム欠陥 裁けぬ法 ノンフィクション作家 柳田邦男氏
 JR関係者を被告にできなかった今回の裁判は、刑事裁判による真相究明の限界を象徴的に示したものだ。
 現代の交通機関は複雑なシステムでできている。大事故は現場の運転士や駅員レベルだけで起きることは少ない。信楽高原鉄道(SKR)事故はシステムの欠陥から起きた代表的な事故だ。SKR線に乗り入れたJR西日本が、信号システムに新しい装置、方向優先てこをつけたにもかかわらず、SKRと十分なすり合わせをしなかった。そこに事故の大きな原因がある。また、SKRのような小規模な第3セクター鉄道は、技術水準も職員の安全意識もあまり高いとはいえなかった。
 日本の刑法では、責任を問われる人を実行行為をした人や命令を下した人など、現場に限定せざるを得ない。事故を防ぐ対策をだれがきちんとしなければならないかといった点までは、刑法では踏み込めないわけだ。しかし、現場の3人を罰しても事故はなくならないし、根本的な安全対策への道は開かれない。本質的な責任は組織と、その上層部にあるはずだ。
 大阪地裁で去年3月に言い渡された、信楽事故の損害賠償請求裁判の判決はJR、SKR両方の責任を認めた。しかし、金額分担の割合は示しても、システムの欠陥と運用の失敗の重なりのひとつひとつの位置付けと取るべき対策への提言は論じられなかった。
 検察はこの裁判で、JR列車側の信号が青で、それに従った運転士は問題なかったと判断したのだろう。そして、もっと大きな信号システムと運用の全体の構造に踏み込んだ安全管理責任の追及を避け、裁判所の判断の範囲を事前にせばめてしまった。
 それでも今回の判決が、刑事訴追を受けなかったJRとSKRの会社としての安全の取り組みが怠慢と不備だらけだったことに論及した点は評価できる。
 鉄道事故の原因調査については去年6月、運輸省に鉄道事故調査倹討会ができた。専門家に委嘱し、事故後直ちに対応できる体制をつくったのは前進だ。ところが、組織に法律的裏付けがなく、独立した第三者調査機関になっていない。予算的裏付けにも乏しく、専門の調査官も設備・機材もない。鉄道業者や行政機関への勧告権もない。
 とにかく刑事責任の追及だけでは、事故の構造解明と安全への提言に限界がある。しっかりした独立の鉄道事故調査機関が必要だ。(談)(朝日新聞)
■信楽事故 判決要旨
 信楽高原鉄道(SKR)の正面衝突事故をめぐり、大津地裁が24日言い渡した判決の要旨は次の通り。
 ■里西孝三被告の注意義務違反
 信楽駅の運転主任だった里西被告の列車発着についての権限は、里西被告の固有の権限であり、かつその責務であったことが明らかである。
 里西被告には、信楽駅出発信号が赤色現示のまま上り列車に出発合図を出す以上は、指導通信式所定の手続きを確実に行うことはもちろんであるが、さらに信号装置の修理中に継電連動装置を使用停止の状態にしていないことを認識していたのであるから、信号装置の保安担当責任者である山本長生被告に連絡をとって、継電連動装置使用停止前の修理を中止させるよう要請し、列車の安全を確認すべき業務上の注意義務があったというべきである。
 誤出発検知による信号装置の機能に期待して下り列車が止まってくれるはずであると考えたというのは、誤りというほかない。
 ■山本長生被告の注意義務違反
 信号設備の保安担当者であった山本被告は、継電連動装置の修理を八木沢守被告に指示したところ、下り方向表示灯が点滅していたことや、列車が出発する可能性があることを知り得た。だから、ただちに八木沢被告に対し、点滅している点の釈明を求め、同被告に信号機の誤作動を生ずるような危険作業をしていないか注意を与えるなどの監督権を行使すべき義務があったと認めるのが相当である。
 継電連動装置の使用を停止もしていない状態で、八木沢被告が同装置の修理をしていることを認識し、これによって信号の誤作動が生じ、列車運行に危険を与える可能性を予見し得たものである以上、最小限度、里西被告に連絡をとり、こうした事態にあることを伝え、上り列車の出発を見合わせるよう強く要請すれば、これによって上り列車の出発について権限を有する里西被告がSKR業務課長の意向に強く反対し、上り列車の出発を見合わせて事故を回避する可能性があった。
 ■八木沢守被告の注意義務違反
 継電連動装置に向かって作業していた八木沢被告が、小野谷信号場の信号を青色現示し得る状態にする何らかの人為的配線を行ったことを強く推認することができる。山本被告からの「列車が出そうや」との声が聞こえてきたのであれは、上り列車が出発する可能性のある時機が到来したことを知り、右出発を予見できたというべきである。
 そうすると、運転取扱者ではないものの、信号技術者である八木沢被告としても、危険な継電連動装置の修理をしているのであるから、本件事故の発生を防止するため、危険な修理を直ちに中止するか、継電連動装置を使用停止にすべきことを山本被告に強く進言すべきであった。
 ■JR運転士の注意義務違反の有無
 JR運転士が、特段の安全に関する情報を得られないまま小野谷出発信号機の青色現示を確認して進行している以上、本件事故につき、JR運転士に過失ないし落ち度を認めることはできない。
 なお、大量輸送機関としての鉄道の絶対的安全を確保する意味から、JR運転士に対し、小野谷出発信号機が青色現示であっても、行き違い場所でいったん停止した上で、携帯電話を使用して信楽駅に連絡し、行き違い場所変更の指令の有無などの指示を仰ぐといった行動を取らなければならない旨の内規や、取り決めをなすことは十分根拠のあることであり、本件事故当時の車両相互、車両駅間の不完全な電話連絡システム登別提とする限り、そのような内規を明文化し順守さえしていれは、本件事故は避けることができる可能性が十分にあった。
 SKRやJRが、そうした内規を定め、あるいは異常時の対応について具体的な取り決めをし、さらに必要な設備を設けるべきであったのに、それをしないことによる不都合を個々の運転士の責任に帰せしめるのは無理というべきである。
 ■方向優先てこ設置・操作の違法性
 JRは、SKR線区内の自動信号装置の制御を一部抑制する機能を有した方向優先てこを設計し、設置するには、JRの「信号設備設計施工指針」を順守してSKR線区内に設置するか、SKRの同意・承認を得て亀山CTCに設置すべきだった。かつ、亀山CTC指令員を指揮し、SKR線との直通乗り入れ列車の運行管理を掌理するJRは、亀山CTC内に設置した方向優先てこを操作して列車運転取り扱いをなすについては、SKRの運行管理権を侵害しないよう方向優先てこの動作に関し、SKRからその都度、もしくは、包括的な連絡・承認を得て、列車運転方向の打ち合わせを行うべき立場にあったというべきであった。
 他方SKRにおいても、SKRがなした信号システムの制御時機変更工事をJR側に連絡し、検討・協議すべき立場にあったもので、双方が、自己の施工する工事内容の連絡・協議を怠った結果、信楽駅出発信号機に赤国定の信号障害を発生せしめたものである。
 ■事故の原因
 本件列車事故は、運行管理権を有するSKRとSKRから一部信号保安装置の変更工事の委託を受けたJRとの間で、双方が実施した信号保安装置の一部変更工事の内容に関する連絡・協議不十分が基本的原因となって、本件事故当日、SKR職員にとって原因不明の信号障害が突然発生し、そのためになされた信号保安装置の修理の過程において、列車運行部門と信号修理部門の各担当者である被告らが、動揺のあまり、前記のようにそれぞれが果たすべき義務を怠った過失の競合に基づく事故である。
 それとともに、本件列車事故以前にも発生していた同様の信号障害の際の列車運転士の対応の在り方に関するSKR、JR双方の連絡・協議が十分に実施されていれば避け得た事故である。
 要するに、被告らの過失とともに、信号保安設備の設置及び操作に関し、JR、SKRの担当者が連絡協議義務を怠った点及び異常事態が発生した場合における両社のソフト面(内規、マニュアルの作成や教育・訓練)、ハード面(列車無線の整備等)の不備(危機管理体制の不備)が本件事故を招いたといえる。
 ■量刑の理由
 被告3人の過失は、列車事故防止のため、列車運行部門と信号修理部門担当者に課せられていた基本的、かつ、重要な業務上の注意義務を怠ったものである。被告3人は、いずれも多数の乗客の生命を預かる鉄道職員としての自覚を欠いていたと言わざるを得ず、落ち着いて考えれは容易に尽くすことのできた前記注意義務を怠った点で、被告3人の過失は、悪質かつ重大というべきである。
 また、本件列車事故は大惨事を招いたものであり、しかも、乗客にとって単線軌道上において列車が正面衝突するなど想像もつかず、列車の安全な運行に関する社会の信頼に重大な衝撃を与えた点も軽視できない。検察官が実刑を求刑する点も理解できないわけではない。
 しかしながら、本件列車事故は、運行管理権を有するSKRとSKRから一部信号保安装置の変更工事の委託を受けたJRとの間で、双方が実施した信号保安装置の一部変更工事の内容に関する連絡・協議不十分が原因となって、本件事故当日、信号障害が発生し、また両社の危機管理体制のずさんさが加わり、被告3人の過失が誘発されたものだったことなどの事情を考慮すると、本件列車事故の責任をすべて現場責任者にすぎない被告3人のみに帰せしめるは相当ではない。(朝日新聞)
■信楽事故有罪判決 安全の思い、平行線 遺族「JR、なぜ理解せず」
 「双方の連絡・協議が十分に実施されていれば避け得た事故で、両社の危機管理体制のずさんさが被告人らの過失を誘発した」−24日に大津地裁であった信楽高原鉄道(SKR )事故の刑事裁判判決。安原浩裁判長は、業務上過失致死傷罪などに問われたSKR社員ら3人を有罪としたほか、SKRとともに、被告席に座らなかったJR西日本の組織上の責任も指摘した。判決を受けて、SKRは「全社員に処罰を与えられたと感じている」と述べた。一方で、JR側は「危機管理に問題はなかった」とこれまでの主張を繰り返した。遺族からは「安全な鉄道を求める思いをなぜJRは理解しようとしないのか」と怒りの声が上がった。
 判決後、遺族ら8人は大津市梅林一丁目の滋賀県教育会館で記者会見。「苦しみと屈辱が晴れた。JRはこの判決をよく理解し、犠牲者の霊前で謝罪してほしい」。「遺族の会」代表の繊維会社顧問、吉崎俊三さん(66)=兵庫県宝塚市=は、これまで一貫して謝罪を拒んでいるJR側への思いを、ひとことずつ力を込めるように話した。
 遺族らで1993年に作った市民団体「鉄道安全推進会議」会長の染色会社長臼井和男さん(61)=京都市右京区=も、判決がSKRとJRの企業責任に言及したことをとらえ、「ほとんどの鉄道事故は企業に責任がある。組織の論理ではなく、命の貴さを念頭に安全を考えるようになってほしい。判決はその一歩になると期待したい」と述べた。
 「(JR、SKRの)双方が密接な連絡をとっていれば、事故は防げたと悔やまれてならない」。県庁で記者会見したSKRの井上春絹社長は苦渋の表情で切り出した。「社員教育や運行システムなど、判決を安全面に生かすことが、遺族や負傷者に対するせめてもの償いだ」と話した。判決がJR西日本の責任にも言及した点について感想を求められると、「JRも真剣に受け止めてほしい」と述べた。
・被告側弁護団「個人に厳しい」
 信号会社から派通された元技師、八木沢守被告(51)の弁護人は「JRの注意義務違反を具体的に認めたのは、捜査が適正だったらJR関係者を起訴できたことを強く示唆している」と検察を批判。SKR社員で、元運転主任の里西孝三被告(69)と元施設課長山本長生被告(63)の弁護団の児玉憲夫団長は「事故の背景にSKR、JR両社の組織的責任を認めている点に敬意を表したい」とほっとした表情を見せた。しかし、「否認していた個人責任が厳しく追及されたことは残念。控訴するかは、本人と相談して決めたい」と話した。
・「経営陣は謝罪を」JR西労
 JR西日本労働組合(JR西労)は「JR西日本は今日まで一貫して『過失』を認めず、遺族に対して謝罪もしていない。JRとして乗客を誘致し乗り入れてきた事業者責任をSKR側に転嫁し経営責任を回避してきた。JR経営陣は遺族に対して心から謝罪し、安全に対して謙虚に取り組む姿勢を社会に示すべきで、それが当事者としての責務だ」とするコメントを発表した。
・「情状理由など検討」大津地検次席検事
 大津地検の落合俊和次席検事は「(3被告に執行猶予がついた)情状理由として、JRの責任に触れた部分があったことも含め、判決理由を大阪高検と今後、協議したい」と述べた。
・「危機管理問題なし」JR西・総務部長
 大津地裁の判決公判で責任を指摘されたJR西日本では、小出昇・総務部長が24日午後5時すぎから、大阪市北区の同社本社で記者会見した。冒頭、「SKR社員らに対する判決であり、当社社員に対する判決ではないので、コメントを述べる立場にないが、判決理由の中で当社に責任ありとしていることについては残念に思っている」と短く話した。
 JR側の責任について、小出総務部長は「方向優先てこの設置・操作の違法性については、方向優先てこの問題は、事故原因とは直接関係ないのではないか。危機管理体制の不備についても、SKR側と何度も打ち合わせするなど問題はなかった」とJR側の過失を否定した。「民事、刑事の両裁判で責任ありとされたが、遺族や被害者への謝罪はないのか」と問われると、「『ご被災者相談室』をつくり、できる限りのお世話をしており、慰霊法要などでも心からお悔やみ申し上げてきた。今後ともその気持ちを大切にしながら摸していく」と述べた。(朝日新聞)
■歴史と沿線風景 ビデオに収め販売 「甦る阪急電車の20世紀」 朝日放送制作
 開業90周年を迎えた阪急電車の歴史と沿線の風景を「保存職像でまとめたビデオ「甦る阪急電車の20世紀」(ABCアーカイブ・朝日放送制作)が完成し、主要駅の売店などで販売している。
 阪急電鉄が開業した1910年当時の宝塚、箕面両線から始まり、神戸、京都に伸びる各線や移り変わる沿線各駅とその周辺の今と昔の風景を紹介。中でも「拳銑貸します」の看板を出した宝塚線岡町駅の豊中署岡町駅前派出所(実はひったくり防止用の水鉄砲)や進駐軍に接収された大阪空港の様子も収録。プロ野球の阪急ブレーブスが67年に西京極球場でパ・リーグ初優勝した歓喜の様子、北千里駅に登場した全国初の自動改札口など貴重な映像が見られる。
 テープはVHS90分、ナレーションは朝日放送の道上洋三アナウンサーで、戦時中の43年(昭和18年)当時の「沿線案内」復刻版が付録。先に出来た「阪急電鉄車両史」の姉妹編で、大阪市電など「甦る」シリーズの8本目。定価5500円。問い合わせはABCアーカイブ(06・6452・3666)。(朝日新聞)
■京都市交通局 阪急バスへ 民間委託バス発車 全国初 横大路管内の半分
 京都市交通局は25日、赤字に悩む市バスの横大路営業所(伏見区)で、阪急バス(本社・豊中市)に路線の半分を運行させる民間委託を開始した。人件費の削減を狙う公営交通で全国初の取り組み。運行ルートやダイヤ、車両、乗務員の制服は、これまでとまったく同じで、乗客にとまどいや混乱はみられなかった。
 南区や伏見区を中心に12の路線を持つ同営業所は、1998年度決算で16億2000万円の営業赤字を出した。このため交通局は、隣接する乙訓地域で営業実績のある阪急バスに、年間7億7000万円で6路線の運行業務などを委託した。約3億2500万円の経費削減を見込んでいる。
 この日、ハンドルを握った阪急バスの乗務員は、慣れない制服と初めての路線にやや緊張ぎみ。とはいえ、そこは運転のプロだけに、運行はスムーズに。交通局は「事前に研修を行ったので、うまく移行できた」(自動車部)、阪急バスの寺西保支社長は「お互いのよい面を勉強したい」と話している。(京都新聞 夕刊)
■音波使いトンネル検査 JR西 ハイテクと打音併用へ
 山陽新幹線で相次いだトンネルのコンクリート塊落下事故でJR西日本は、コンクリート内部の劣化状況を調べるため「音響弾性波」という低周波の音波を利用した新しい検査方法を開発し、新年度から同新幹線のトンネル検査で実用化する方針を固めた。JR各社では初めて。従来のハンマーでたたく打音検査だけでは作業員によって精度が左右されるなどの理由から、ハイテクを使った非破壊検査装置の開発を進めてきた。打音検査と併用し、検査の実効性を高めるとしている。
 JR西日本によると、新しい検査はコンクリート内壁の表面に発信用と受信用の「探査子」を吸着させ、1−10`ヘルツの周波数帯域をもつ音響弾性波を発信する。弾性波はコンクリート中を進み、空気など異なる媒質との境界面に達すると一部が反射。その反射波の周波数などから解析された波形を画像で見ることで、亀裂やジャンカ(すき間)、コールドジョイント(施工不良個所)などの弱い個所が特定され、コンクリート内部の劣化状況を読みとれるという。
 これまでの打音検査は、作業員が微妙な音の差を聞き分けることでコンクリート内部の劣化状況を把握していた。しかし、人間の耳など感覚に頼る点検は作業員の経験や技術に左右されるため異常が見過ごされるケースもあったとみられ、福岡トンネルでのコンクリート塊落下事故をきっかけに、音響弾性波や電磁波など数種類のハイテク検査方法の開発を進めてきた。
 今回、民間の専門業者と協力し、音響弾性波による検査方法を数億円かけて開発。新年度から山陽新幹線の数本のトンネルで実用化する計画だ。視覚的にコンクリート内部の劣化状況を把握するために今年1月から、全トンネル内壁の連続写真を撮影しており、連続写真のデータや従来の打音検査と併用したうえで保守・点検を強化するという。(朝日新聞 夕刊)
26日■セクハラ車掌解雇 新幹線乗車中 同僚女性に迫る JR西日本
 山陽新幹線の男性車掌(52)が、乗務中に20代の女性車掌を個室に呼び出して無理やり写真を撮ったり、交際を迫るなどのセクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)行為を繰り返したとして、JR西日本が1月31日付で男性車掌を諭旨解雇処分にしていたことが25日、明らかになった。
 男女雇用機会均等法や、労働基準法の女子保護規定撤廃などを背景に、昼夜を問わない勤務形態の鉄道現場にも女性が進出。
 JR各社の中で最も早く女性が車掌職に就いたJR西日本では、現在約70人の女性が車掌として勤務。今年7月には女性新幹線運転士も誕生する予定で、今回の不祥事に、同社は頭を痛めている。
 関係者によると、解雇されたのは、新幹線大阪西車掌所に所属するベテラン車掌で、チーフ格だった。
 この車掌は昨年11月から12月にかけ、女性車掌の携帯電話の番号を聞き出し、自分と交際するよう何度も電話で要求。さりに同僚とのカラオケに同席させ、いやがる女性車掌の肩に手を回して再三、「ホテルに行こう」などと迫った。12月末にはのぞみで乗務中、業務を装って女性車掌を無人の個室に呼び出し、顔写真を撮影したという。(京都新聞)
■「嵐電」開業90周年を祝う フリーマーケットや鉄道模型走行会… イベント 終日にぎわう
 「らんでん」の名で市民に親しまれている京福電鉄嵐山線の、開業90周年を記念するイベント「RAN90」が25日、帷子ノ辻駅階上の「京福帷子ノ辻ビル」(右京区)など沿線各所で開かれた。フリーマーケットやアニメキャラクターのイベントなどがあり、終日にぎわっていた。
 嵐山線は1910年、当時の嵐山電車軌道によって四条大宮−嵐山間が開通。支線の北野線開通などを経て、1942年からは京福電鉄が引き継ぎ、運行している。開業記念日のこの日は、90周年にちなんで全線が90円の均一運賃となり、各駅でイベントが行われた。
 メーン会場の京福帷子ノ辻ビルでは、嵐電やブルートレインなどの鉄道模型の走行会やアニメキャラクターのショーなどが行われ、子供たちの人気を集めた。オークションでは、嵐電車両の前照灯やナンバープレートなどが売り出されたほか、フリーマッケットでも洋服や日用品にまじって、古い時刻表や電車の部品、嵐電の研究本などの即売があり、鉄道マニアらの注目を集めた。
 このほか、嵐山駅で駅前コンサート、沿線の商店街でもスタンプラリーや映画会などが催されるなど、沿線一帯は活気にあふれた。(京都新聞)
■京都市バス100円運行に期待 生き残りかけ始動 サービス充実と経費削減が課題
 慢性的な赤字に悩む京都市バスが、「生き残り」をかけて動き出した。25日に始めた横大路営業所(伏見区)の6路線の民間委託に続き、4月1日からは、将来の規制緩和に備えて、市内中心部で100円循環バスをスタートさせる。赤字解消に向けた経費削減と、民間との競合に耐えられるサービスの充実−この二つの大きな課題を克服しなければ、「市民の足」に未来はない。(政経部 河端淳)
 25日朝、普段通りにバスが運行する横大路営業所。その中で南端のプレハブだけは、乗務員が入念に運行ルートを確認するなど緊張感にあふれていた。市バスの制服に身を包んでいるが、全員が阪急バス(本社・豊中市)の社員。同営業所の路線の半分を請け負い、市バス事業の経費削減を助ける。公営交通では初の取り組みだ。
 ダイヤや路線、車両、乗務員の制服はそのままに、運行業務と車両整備が委託された。乗務員は従来より9人少ない。賃金の安い若年層が運転する。このため、年間3億2500万円の経費が削減される見込みとなった。
 だが、安閑とするのはまだ早い。市バス事業は、地下鉄開業などによる乗客離れ、47%の職員が年収1000万円を超える高い人件費などによって、1999年度末の経常赤字は実に25億6000万円を計上、累積赤字は51億円に達する見込み。
 96年から人員を削減し、営業所を売却してきた。市本体の一般会計からも支援を受け、「99年度末に予想された不良債務312億円を、42億円まで圧縮した」(江草哲史交通局次長)。
 それでも赤字はまだ続く。交通局は4月から、全職員の給与5%以上カットや、市バス職員を2004年度までに518人減らすことを盛り込んだ経営健全化計画をスタートさせる。「血を流す」ことで、2005年度に市バスの収支均衡を目指す。
 しかしながら、こうした体質改善だけで公営交通は維持できるのか。
 2001年に道路運送法の改正が予想される。市バスの黒字路線に民間事業者が安い運賃で参入する可能性もある。市バスも、民間に負けないサービスを提供しなければならない時代が、すぐそこまで来ている。
 こうした状況を受けて交通局は、市内中心部の御池、烏丸、四条、河原町の各通を循環する100円バスを始める。土日と祝日に運行し、買い物客らに市バスの便利さをアピールする。「新たな需要を掘り起こし、民間に負けないサービスにつなげる」と田中耕造企画総務部長は力を込める。
 100円バスは全国の33ヵ所で走っているが、ほとんど赤字。市議会には「この地域ならば歩いた方が早い」、「十分な事前調査もなしに運行して大丈夫か」という声も多い。
 だが、交通局では、1便当たり20人程度の乗客で収支が均衡すると試算する。「西鉄が福岡市内で走らせる100円バスには1便36人が乗っている。京都でも採算は取れる」(田中部長)と強気だ。
 近畿運輸局は「規制緩和に対して既存事業者の危機意識は強い。その中で、100円バスはバス事業の復権につながるサービスとなるのではないか」(自動車部)と期待する。
 市の税収が落ち込む中、これ以上、公営企業は税金に甘えられない。経費削減だけでなく、増収策が欠かせないことはいうまでもない。市バスにとっては、その第一弾である百円バスの成否に、赤字を脱し自立できるかどうかがかかっている。(京都新聞)
■京日記
 ◇嵯峨野観光鉄道(京都市右京区)で25日、改装されたトロッコ列車の試乗会が行われ、招待された地元の商店街関係者や亀岡市の保育園児らが、ワイドになった窓から眺める保津峡の美しい雪景色を楽しんだ。
 ◇同鉄道は、JR山陰線の電化に伴い廃止された京都市右京区−亀岡市馬堀間の軌道約7.3`を生かして、毎年3月から12月までトロッコ列車を運行している。車両の大幅改装は91年4月の運行開始以来初めて。
 ◇特別車両を含む5両のうち、2両の窓を以前より大きくし景色を見やすくした。残りの2両にはこれまでなかった窓ガラスを取り付け、風雨を防げるようにした。乗車した園児らは窓に顔を近づけ、大喜びで乗り心地を満喫していた。(京都新聞)
■嵐電開業の90周年記念日 楽しい催し多彩に 沿線の5商店街
 嵐電の愛称で親しまれている京福電鉄嵐山線の開業90周年にあわせて、商店街も活性化を図ろうと、開業記念日の25日、沿線の5つの商店街が、大道芸やフリーマーケット、ライブ、スタンプラリーなど多彩な催しを開いた。
 催しを開いたのは嵐山、嵯峨、大映通り、大将軍、四条大宮の5つの商店街。太秦と帷子ノ辻の両駅に近い大映通り商店街(右京区)では、フリーマーケットやもちつきのほか、映画の街らしく、90年前の映画を上映した。南京玉すだれ、ガマの油売りなどの大道芸人たちが各商店街をまわり、集まった観光客や地域の人たちを楽しませた。
 5つの商店街では、各周辺の観光スポットと、店舗案内を載せたガイドマップを作成。加盟店や商店街の最寄りの嵐電の駅で配布している。
 大映通り商店街の森春生理事長は「嵐電沿線のほかの商店街にも呼びかけ、今後もイベントを企画したい」と話している。(朝日新聞)
27日■ゴンドラ4時間宙づり 突風で故障 14両、30人缶詰め 宮島のロープウエー
 26日午後零時50分ごろ、広島県宮島町の「宮島ロープウエー」が突風による故障で急停止、ゴンドラ14両(1両の定員8人)が最高約25bの高さで宙づり状態となり、乗っていた観光客ら計約30人が閉じ込められた。
 駅近くの地上約3bで停止したゴンドラの乗客2人が、足を打って軽いけが。宮島町消防署は約30分後、2人をはしごで救助した。この1両が故障しており、運行会社「広島観光開発」(宮島町)は駅まで移動させて取り外し、約4時間後に運転を再開。午後5時40分までに残りの乗客全員が駅で降りた。
 同社は、故障直後に119番したが、警察には通報していなかった。「混乱で忘れていた」としている。
 廿日市署や広島観光開発によると、事故があったのは紅葉谷−かや谷間(1100b)。横揺れを防止するため、ゴンドラをメーンロープにつるす「ハンガー」を鋼鉄製の「ガイドレール」で支えているが、突風でハンガーがレールからずれたらしい。同署でさらに詳しく調べている。
 ゴンドラ18両が75秒間隔で出発するが、停止したときは4両は駅にいて宙づりを免れた。
 広島地方気象台などによると、事故当時、広島具には強風注意報が発令され、現場では断続的に風速約15bの風が吹いていた。ロープウエーは、風速15bを超すと停止させることになっており、同10b以上で警報が鳴る仕組みだが、事故の直前には鳴らなかったという。
 宮島ロープウエーは1959年の開業。(京都新聞)
■JR社員 線路に置き石 和歌山、列車往来危険容疑で逮捕 「人事に不満」
 26日午前2時20分ごろ、和歌山県新宮市佐野のJR紀勢線の踏み切りで「線路に置き石されている」と、近所の住民から新宮署に通報があった。同署員が駆け付けたところ、現場にいた同所、JR西日本社員中地弘和容疑者(46)が「わたしがやった」と容疑を認めたため、列車往来危険の現行犯で逮捕した。
 調べによると、中地容疑者は、同2時10分ごろ、紀勢線佐野駅と三輪崎駅間の踏み切りで、レールとこれを保護するため内側に並行に取り付けられているガードレールのすき間(幅約6a)に、こぶし大の石約40個を並べた。同容疑者は少し酔っており、踏み切りの遮断機もへし折ったという。同容疑者は新宮鉄道部に所属。調べに対し「上司の人事異動に納得いかず、憤慨してやった」などと話しており、同署で詳しい動機を追及している。(京都新聞)
■女性に追われ痴漢飛び降り 阪急京都線
 26日午後10時25分ごろ、大阪市淀川区木川東、阪急電鉄京都線・南方−十三駅間で、走行中の河原町発梅田行き下り特急電車の窓から、車内で女性に痴漢行為をした男性が飛び降りた。男性は病院に運ばれたが、同市消防局によると、頭や顔などに重傷。
 淀川署や同消防局によると、男性は39歳で、痴漢行為をした女性から追いかけられたため、3車両分を逃げ、窓から飛び降りたという。(京都新聞)
■JR社員 踏切に置き石 列車往来危険容疑で逮捕 遮断機折る 和歌山・新宮
 26日午前2時20分すぎ、和歌山県新宮市佐野一丁目、JR紀勢線「高校前踏切」の近くに住む人から「線路に置き石され、遮断機の棒が壊されている」と新宮署に通報があった。署員が現場に行くと、踏切内のレールとその内側にある脱線防止用レールとの間に約40個の線路の敷石が並べられ、遮断機の棒が折られていた。近くにいたJR西日本和歌山支社新宮鉄道部工務グループ管理指導係の中地弘和容疑者(46)=新宮市佐野=を署員が列車往来危険の疑いで現行犯逮捕した。中地容疑者は当時、酒に酔っていた。調べに対し敷石を置いたことを認め、「4月1日付の上司や同僚の異動に不満があった」と話しているという。列車の運行に影響はなかった。
 調べでは、中地容疑者は午前2時10分ごろ、単線の三輪崎駅−紀伊佐野駅間にある踏切で、幅約6bの踏切内のレール2本の4ヵ所にこぶし大の敷石を置いた疑い。最終電車が通過した後で、午前5時ごろに列車が通過予定だった。そのまま列車が通過すると脱線の可能性もあったという。
 中地容疑者は25日午後5時15分ごろに同県那智勝浦町内で保線作業を終え、同僚ら9人と新宮市内の焼き肉店で飲食した後、さらに4軒の飲食店で酒を飲むなどして踏切近くの自宅へ帰る途中だった。かなり酒に酔っていて、踏切近くに駐車していた乗用車をけるなどしていたという。物音に気づいた近くの人たちが外に出て、中地容疑者を見張るとともに、警察に通報した。
 和歌山支社によると、中地容疑者は1975年に当時の国鉄に入り、90年から新宮鉄道部に勤務、線路の保守点検などを担当していた。普段の勤務態度はまじめだったという。
 長谷川一彦・JR西日本和歌山支社長の話 社員として許し難い行為だ。事件を厳粛に受け止め、厳重な処分で対処したい。今後、社員指導に万全を期したい。(朝日新聞)
28日■スカイレール 業者を不起訴 広島の事故で地検
 1997年8月、広島市安芸区の新交通システム「スカイレール」の建設現場で、作業用台車が暴走して作業員2人が死亡、7人が重軽傷を負った事故で、広島地検は27日までに、台車を設計したアイメックス(本社・広島県因島市)の社員3人を不起訴処分とした。設計者が暴走を予想して防止策をとれた可能性もあるとみて業務上過失致死傷の疑いで調べていた。しかし、事故後の検証などで台車が暴走した理由が確認できず、「事故は予見できなかった」と結論づけた。
 同社は「事故を教訓に、安全管理に一層力を入れていきたい」と話した。(朝日新聞)
29日■新大阪発のぞみ 窓ガラスにひび
 28日午前9時40分ごろ、静岡−新富士間を走っていた新大阪発東京行きの東海道新幹線「のぞみ42号」(乗客約1000人)で、車内販売員から「窓ガラスにひびがある」と車掌に連絡があった。JR東海が調べた結果、5号車の3枚重ねの窓ガラス(縦66a、横78a)の一番外側に約80aのひびが入っていた。同社は運行に支障はないと判断し、運転を続けた。(朝日新聞)
■強風のため17本が運休 JR・南海の空港線
 大阪府田尻町泉州空港中の関西空港内に設置されている風速計が規制値(秒速26b)に達したため、JR西日本と南海電鉄は28日午後7時すぎから約40分間、同空港に架かる空港連絡橋の上を走るJR関西空港線(南海は南海空港線)のりんくうタウン−関西空港間の運転を見合わせた。南海電鉄の上下線計6本が運休。南海電鉄とJR西日本の合わせて上下線計11本が同区間を部分運休したほか、後続の計8本の列車が最大で約30分間遅れ、両社で計約2500人に影響が出た。(朝日新聞)
■JR鷹取工場 SL製造の歴史に終焉 震災復興住宅に転身 住民に愛された100年
 SLの製造・復元や在来線車両の点検修理をしてきたJR西日本の「鷹取工場」(神戸市須磨区)が今月末で閉鎖され、100年の歴史に幕を下ろす。1995年の阪神大震災では大火災に遭った周辺住民に浴場を開放するなど、住民にも親しまれてきた工場の跡地は震災復興住宅に生まれ変わる。
 同工場は1900年3月、当時の山陽鉄道が造った「須磨工場」が前身。1906年に同社が国有化されるとともに、地元の山にちなみ「鷹取工場」と改称した。国内最大級の鉄道総合工場として、「D51」などのSLから、寝台特急「トワイライトエクスプレス」の豪華な客車など数多くの車両を製造、鉄道の発展を支えてきた。
 阪神大震災では事務所など17棟が倒壊、定期点検中のSL「やまぐち号」など35両が転覆するなど大きな被害を受けた。
 工場では復旧を急ぐ一方で簡易ボイラーを設置、周辺の住民のために社員用浴場を急きょ開放した。男女日替わりで午後8時から2時間開放、多い日には330人の利用もあった。周辺地域のガス復旧が遅れる中、住民に好評で、5ヵ月間で延べ約1万6000人が利用した。
 周辺の新長田、鷹取地区は家屋倒壊や火災などで自宅を失った住民が多く、震災直後、避難所となった学校に入れなかった被災者は同工場の広大な敷地に集まった。工場側も作業場などを開放、臨時避難所として半年以上も被災者を受け入れ続けた。
 工場の機能は4月から稼働する網干総合車両所(兵庫県太子町)へ移る。工場閉鎖後、神戸市などが同工場の敷地約18fのうち10fを買収し震災復興住宅を建設する。一部はすでに完成、被災地の生活を支える。(日本経済新聞 夕刊)
■電鉄、花見商戦はや満開 割引乗車券競う 入場券とセット イベント連動も
 桜の開花を目前にして、電鉄各社が「お花見商品」の販売に力を入れている。名所までの往復乗車券と沿線観光施設の入場券とのセットが中心で、名所付近で開催されるイベントと組み合わせて新味を持たせたものもある。割安な料金設定と日帰りの手ごろさを売り物にして、景気低迷下で旅客需要を掘り起こし、鉄道事業収入の回復に結び付ける作戦だ。
電鉄各社の花見関連商品
会社名名 称価格(大人)販売時期問い合わせ先
近畿日本鉄道吉野山散策きっぷ2000円(あべの橋駅発)−5月11日06・6771・3105
京阪電気鉄道東山フリークルット1000円(淀屋橋駅発)通年06・6202・7741
 〃 ガーデンズ天ヶ瀬
「桜フェア」
4500円(バーベキュー・
飲み放題パック)
−4月16日0120・36・1400
南海電気鉄道みさき公演1日遊園の旅2220円(難波駅発)−6月4日06・6643・1005
西日本旅客鉄道比叡山ケーブル&バスきっぷ2200円−11月30日06・6345・8001
 古くから桜の名所として知られる吉野山(奈良県吉野町)。近畿日本鉄道は開花時期に合わせて臨時の快速急行「さくら」「あすか」「みよしの」を運行するとともに、主要駅からの往復割引乗車券に金峰山寺蔵王望または吉水神社の拝観券を合わせた「吉野山散策きっぷ」を発売した。「毎年、お花見シーズンだけで2万枚近くが売れる定番商品」(天王寺営業局営業課の吉田昌行氏)で、割引率は13%程度。今年は修験道の祖、役行者の没後1300年を記念したキャンペーンを展開している。「散策きっぷ」購入者には、役行者ゆかりの寺院の拝観料が割引になる特典を付け、例年を上回る利用者の獲得を狙っている。
 南海電気鉄道は、ソメイヨシノ約千本が咲きそろう「みさき公園」(大阪府岬町)への旅行商品「みさき公園1日遊園の旅サービック」を販売している。往複割引乗車券と、公園内の動物園や遊園地の割引入園券、イルカショー3割引サービス券などをパックにした。運賃だけを比べると通常の約2割引きになる。家族連れの花見客が狙いだ。
 円山公園、清水寺、哲学の道など、花見スポットが集中する京都・東山に出掛けるのに便利なのが京阪電気鉄道の往復周遊券「東山フリークルツト」。最寄りの伏見稲荷駅から出町柳駅までの各駅での乗り降りが自由で、電車と散策を組み合わせたお花見が楽しめる。
 西日本旅客鉄道(JR西日本)は、京都駅または比叡山坂本駅発の回遊券「比叡山ケーブル&バスきっぷ」(2200円)を販売している。両駅間の路線バス、ケーブルカー、シャトルバスをセットにし、延暦寺(滋賀県大津市)一帯のお花見に便利だ。
 例年と違う所へ行きたいならば、宇治・天ケ瀬ダム(京都府宇治市)が手軽だ。京阪電鉄のグループ会社が隣接地で運営する地ビールレストランが、宇治駅かその近くから送迎バスを出してくれる。6人以上での予約が必要で、料金は弁当コースが1人2500円、バーベキューと飲み放題コースが同4500円。
 とかく酒宴となりがちなお花見だが、健康づくりを兼ねた散策にもいい機会。天気が良けれは、電車で郊外に出掛けてはどうだろうか。(大阪経済部 久保田泰司)(日本経済新聞 夕刊)
30日■線路に男侵入 新幹線止める JR京都駅
 29日午後4時8分ごろ、京都市下京区のJR京都駅新幹線上り11番線ホームから線路に男が侵入した。駅員が列車防護スイッチを作動、ホームに入ってきたのぞみ20号と、下りののぞみ17号を緊急停車させた。のぞみは11−12分間停車し、乗客計約2200人に影響が出た。
 七条署によると、捜査員が新幹線中央コンコースで不審な男四人を職務質問しようとしたところ、一人が逃走。ホームから線路へ下りたため、捜査員が駅員に連絡して新幹線を停車させた。男は線路づたいにホーム東側から逃げたという。(京都新聞)
■京都市交通局 100円バス試運転 市内中心部1日から ダイヤなど確認
 京都市交通局は29日午後、4月1日から市内中心部を循環する100円バスの試運転を行った。本番で使用する車両を、ルートの御池通などで走らせ、ダイヤ通り運行するか確認した。
 100円バスは、中京区の市役所前から烏丸御池−四条烏丸−四条河原町と通り、市役所前に戻る3.4`で、土・日曜と祝日に10分おきに1日42便を運行する。15ヵ所のバス停はすでに設置されている。
 車両は、56人乗りの中型バス2両を使う。前面の系統板やライトの上に緑地で「100円」と書いた標識を取り付け、一目で100円バスと分かるようにした。
 この日は交通局職員が乗客として乗り、1ヵ所ずつ停留所に止まって、混雑時の運行状況などをチェックした。新しい市バス車両の走行に、道行く市民らは珍しげに見つめていた。(京都新聞)
■鉄道支え1世紀 JR鷹取工場 歴史に幕
 1900年の開設以来、鉄道車両の修繕や製造にあたってきた神戸市須磨区大池町五丁目のJR鷹取工場が29日、最後の電車整備を終え、100年の歴史に幕を下ろした。最新式の自動列車停止装置の取り付けを終えた快速電車を出発させると、見送った社員から拍手が起こった。
 同工場は1900年3月に山陽鉄道鷹取工場として新設され、後に国有化された。戦前は、当事流行した流線形を取り入れた高性能機関車を走らせ、高い技術力から蒸気機関車の心臓部であるシリンダー製造を一手に引きうけ、全国の機関車に供給した。日本を代表する鉄道工場となった。
 1995年の阪神大震災では、周辺住民の230人が避難。検査中で、転覆せずに残っていた車両を避難所として開放した。震災発生後2ヵ月間は場内の浴場を市民に開放し、ライフラインが復旧する8月まで延べ1万5000人以上が利用した。
 JR西日本は、同工場跡地約18fのうち10fを神戸市などに譲渡し、復興公営住宅として活用される。(朝日新聞)
■JR西 鷹取工場 最後の点検車 SLから新型車両 製造、保守手がけ100年
  100年の歴史を刻んできた国内最大規模の列車点検基地・JR西日本鷹取工場(神戸市須磨区)が29日、最後の車両を送り出し、役目を終えた。蒸気機関車から最新型電車まで製作、保守を手がけたが、31日に閉鎖、網干総合車両所(兵庫県太子町)に機能を引き継ぐ。跡地約18fの大部分は神戸市に売却、住宅地に生まれ変わる。
 1900年に山陽鉄道が設立。44年までに「D51」など蒸気機関車73両を製作、最近も寝台特急客車「トワイライト・エクスプレス」、関空快速「223系」の組み立て、改造などを担った。阪神大震災時は、大浴場を5か月間開放し、住民にも親しまれた。
 この日の操業終了式で、「ありがとう鷹取工場」のヘッドマークを付けた最後の保守車両「221系」が社員50人に見送られ、電車整備室を出発。無数の引き込み線が走る構内からゆっくり姿を消した。
 66年から同工場で勤務してきた工程管理課助役の松本邦信さん(52)は「列車が姿を変えてきたように、私たちも職人芸から様々な知識を求められるようになった。青春の思い出が詰まっている場所だけに、本当に寂しい」と目を潤ませていた。(読売新聞)
■にっぽん人の記憶 EXPO70 B 新幹線も超満員の恩恵 延べ6422万人 民族大移動
 183日間の期間中、延べ6422万人という入場者数は、当時の総人口1億400万人の6割に相当するもので、”民族の大移動”と言われた。その一翼を担ったのが64年に登場した新幹線だった。万博を機に初めて新幹線に乗った、という人は、40歳以上で14−15%に上る。
 「万博は二の次。新幹線に乗れることの方が、よっぽどうれしかった」
 東京都世田谷区の主婦、清水裕雅子さん(50)は、その年の夏、初めて新幹線に乗って万博に行った。朝早く東京を出発、昼から夕方まで見物をして、また新幹線で帰京した。清水さんは、「本当に速かった」と振り返る。
 青森県弘前市の主婦、須藤京子さん(46)は、高校2年の時に修学旅行で万博へ。例年は3年生だけの行事だったが、学校側が「全生徒に見せたい」と、1、2年生とも前倒ししてその年に修学旅行を強行した。夜行列車で上京、東京から新幹線に。「万博も楽しみだったけど、何より新幹線にワクワクした」
 あこがれの超特急は、万博見物の楽しみを何倍にも増幅させた。
 新幹線の輸送力は、万博を機に飛躍的に増強した。12面編成の「ひかり」は16両となり、「こだま」用の車両の数は30から55に増えた。合計の列車本数も1日200本の大台に乗り、5月だけで106本の臨時列車が運行された。それでも、利用者数は国鉄(当時)の予想をはるかに上回った。
 開通時から28年間、新幹線の車掌を務めたJR東海の東京車掌所指導科長、野村広仲さん(56)は、「長い車掌経験で、あんな混稚はほかに経験したことがない」と話す。始発列車から乗車率が少ない時で280%、多い時は400%に達した。デッキに人がすし詰めになり指定席の通路にまであふれた。車掌たちは救急箱を片手に掲げ、「急病人です」とウソをついて通路を適った。
 〈ただ今、○号車で赤ちゃんがおなかをすかせて泣いています。大混稚でお母さんがビュッフェまでミルクのお場を取りに行けません。魔法瓶の手渡しリレーのご協力をお願いします〉
 こんな車内放送をしたこともある。魔法瓶が乗客から乗客に手渡され、母親のもとに戻って来た特には車内に拍手がわき起こった。
 大混雑でも、「苦情は全くなかった」という。
 JR東海によると、新幹線の年間輸送人員は69年の約7100万人から、70年は8400万人に伸びた。新幹線だけで1000万人以上を運んだといわれる。
 在来線で万博会場の最寄り駅となった大阪府茨木市の茨木駅。ここからピストンバスが往複したが、毎日、駅のホームからバス乗り場までぎっしりと人で埋まった。列車の運行管理に当たった兵庫県明石市の元国鉄職員、浅田力さん(68)は、「一本でも遅れると乗客がホームにあふれかえる。土日も休めず、結局、私は一度も万博には行けなかった」と、話した。
 新幹線による”日帰り組”以外の見物客は、関西の親せきの家を宿とした人も多い。
 神戸市の会社員、奥谷美智昭さん(39)は当時、小学3年生で、尼崎市に住んでいた。「父方、母方の親せきが入れ代わり立ち代わり泊まりに来て、その度について行った」。結局、7、8回も万博に行く羽目になったという。
 鉄道に次ぐ交通手段となったのがマイカーだ。当時、国内の乗用車保有台数は約727万台で、現在の約15%に過ぎなかったが、その4割に相当する315万台が押し寄せた。
 愛知県豊川市の会社社長、稲垣正勝さん(56)は買ったばかりの中古車で、初めて名神高速を走って、万博に行った。「さっそうと車を飛ばして、まるでテレビで見たアメリカの自動車社会のような素晴らしさを体感した」
 高速道路を走る車はまだ少なく、ガラガラだった。それでも万博会場付近は大渋滞で、駐車場もいっぱい。駐車場から会場まで数珠つなぎの人の列ができた。
 なぜあれほどの人々が万博を目指したのか。稲垣さんは言う。「上り坂の日本が目標とした欧米の見本がそこにあった。ちょうど海外旅行に行くのと同じ感覚だったんです」(読売新聞)
31日■2001年度からスルッとKANSAIに参加 京阪宇治交通
 京阪宇治交通は、関西の私鉄などが実施しているプリペイドカードの共通乗車システム「スルッとKANSAI」に、2001年度から参加する。2001年度に八幡市など男山車庫管内のバス路線84.6`(162停留所)、さらに2002年度から宇治、城陽、京田辺各市と久御山、宇治田原両町の田辺車庫管内の路線67.1`(96停留所)にも導入。子会社の京阪宇治交サービスのバス路線には導入しない。
 「スルッとKANSAI」は、関西の大手私鉄などが中心となって4年前にスタート。加盟各社が発行するプリペイドカードを共通で使用でき、路線間の乗り継ぎがスムーズになる。すでに、バスやモノレールを含め24社・局の路線で導入されている。
 京阪宇治交通では現在、回数券と定期券だけを発行しているが、システムの導入に合わせてプリペイドカードが発行できるよう準備を進めていくという。(京都新聞)
■4人転倒けが 市バス急ブレーキ
 31日午前11時10分ごろ、京都市右京区花園寺ノ前町の丸太町通で、綿林車庫行き市バスが急ブレーキをかけた。乗客約30人が乗っていたが、右京区の女性(65)ら4人が転倒、腕や足などに軽いけがをした。
 太秦署によると、市バスの運転手が、前方を走っていたバイクの減速に気づくのが遅れたのではないかとみて、詳しい原因を調べている。(京都新聞 夕刊)