1999(平成11)年10月


1日■「台風で廃車が理由」 上部容疑者が動機供述 JR下関駅 無差別殺傷(京都)
  ■水戸−日立 常磐線運休 JR、駅員避難も(朝日)
2日■線路に100`鉄板、電車はねる 東大阪のJR 汚水槽から20b飛ぶ(京都)
  ■JR舞鶴線電化開業 京都−舞鶴ぐーんと近く 特記夕電車は5往復 活性化の引き金に(京都)
  ■阪急西院駅前のクリア作戦開始 管轄変更で太秦署(朝日)
  ■タイムアングル 鴨東運河 内国勧業博 疎水をまたいで4つの橋(朝日)
  ■JR片町線 線路上に100`の鉄板 マンホールふたが正体 下水道場から飛ぶ(朝日)
  ■行った楽しかった 天橋立ビューランド 展望台から絶景目前に モノレールも運転開始(朝日)
  ■東舞鶴−京都 特急で直結 JR舞鶴線、電化開業(京都)
  ■ホームと列車の間 挟まれ両ひざ骨折 JR草津駅(京都)
  ■警視庁警部補 痴漢で逮捕 電車で女生徒に触る(京都)
  ■JR舞鶴線が電化(朝日)
  ■JR下関駅通り魔事件 拘置請求認める(朝日)
3日■新大阪駅などで変造ウォン205枚 JR券売機から(京都)
  ■JRで信号故障 山科駅、落雷影響か(京都)
  ■失速してもノムさん効果 阪神電鉄が上方修正 9月中間売上高 観客増え、グッズ売れ(京都)
  ■JR舞鶴線 待望の電車特急走る 主要駅で開業記念式(朝日)
  ■偽造500ウォン硬貨200枚見つかる 新大阪駅など(朝日)
4日■近況・心境 電化記念の鉄道展に奔走中(朝日)
  ■「ガーラ湯沢」経営立て直し JR東日本、債権放棄(京都)
5日■検証 どうした「安全」新幹線 開業から35年、トラブル相次ぐ(朝日)
  ■「事故の一因 技術断層か」 JR西日本会長(朝日)
  ■JR元町駅で電車行き過ぎ 500人に影響(朝日)
  ■京阪電鉄グループ ホテル4社を合併(京都)
  ■トンネルじん肺訴訟 新たに151人提訴 ゼネコン約90社に総額44億円を請求(京都)
6日■すいすい行けます 新しい出改札使用のカード名は「スイカ」 JR東日本(京都)
  ■ロンドン 通勤列車が衝突 8人死亡、160人重軽傷(京都)
  ■ロンドン郊外 列車衝突事故 ラッシュ時、満員 「車体3b持ち上がる」(京都)
  ■東京の玄関口にうるおいを 赤れんが駅舎 大正期の姿に JR東日本と都が計画(朝日)
  ■ロンドン 列車が衝突、8人死亡 ラッシュ時 けが160人以上(朝日)
  ■JR関空快速 ATSが故障 一時は数珠つなぎに(朝日)
  ■英列車事故 死者26人に 邦人1人軽傷(京都)
  ■英列車事故 死者26人に(朝日)
7日■JR回数券 「88年まで有効」と誤印 2000年間題でシステムミス 愛媛で販売、回収(京都)
  ■また落下物 福岡の新幹線 運行高架から(京都)
  ■死者は27人に 英列車事故(京都)
  ■窓 通り魔事件で外出恐ろしい 東山区・西畑 造(自由業・52)(京都)
  ■声 車内での飲酒 隣席に配慮を 家事手伝い 鈴木 こころ(愛媛県川之江市 22歳)(朝日)
  ■東海道・山陽新幹線 ATCかぎ紛失、交換 約400両分 複製、悪用に備え(朝日)
  ■英の列車事故 死者の70人、なお100人不明 衝突時に車内1000度 乗客数つかめず(朝日)
8日■近鉄 申告漏れ5億円 納品書・完工届 日付改ざん依頼(朝日)
  ■アラ石交渉 鉄道建設「政府資金で」 サウジ側が新たに要求(朝日)
9日■赤信号無視が原因 英の列車衝突事故(京都)
  ■予備ブレーキ解除忘れて発車できず JR桜井線ストップ(朝日)
  ■南海電鉄 赤字の関連3社清算(朝日)
  ■コンクリ塊また崩落 始業前 山陽新幹線 北九州トンネル 長さ3.4b、重さ226`、5つに割れ 連休初日 ダイヤ大混(京都)
  ■山陽新幹線トンネル壁崩落 「またか」安全も崩落 怒り高まる乗客ら(京都)
  ■新幹線またコンクリ落下 小倉−博多間 トンネル内、3b大 JR、安全宣言覆る 運休87本、2万人影響(朝日)
  ■200`塊 安全宣言砕く 連休初日つまづく 落下部は点検項目に入らず「想定外事故」/トンネル劣化確実/一時しのぎ検査に限界(朝日)
  ■長野新幹線もコンクリ落下 群馬のトンネル(朝日)
10日■山陽新幹線コンクリ崩落で緊急点検 トンネル3ヵ所で異常音 劣化か施工不良か(京都)
  ■山陽新幹線トンネル壁崩落 連休台無し 乗客イライラ 運転再開 重い足取りで車内へ(京都)
  ■トンネル点検、大幅見直し JR西日本 「弱点個所」を拡大 亀裂や異常音 3ヵ所で確認 全通、10時間後(朝日)
  ■「安全神話」ボロボロ 新幹線コンクリ落下 劣化の進行、想像以上 70年代建設のトンネル”突貫工事”問題次々浮き彫りに(朝日)
  ■全鉄道会社に緊急点検指示 運輸省(朝日)
  ■施工した佐藤工業 「JRの指示 待っている」(朝日)
  ■コンクリ落下 緊急連絡、また後手後手 信頼劣化 募るJR不信(朝日)
11日■山陽新幹線トンネル壁崩落施工ミスの可能性 運輸省検討会、現場調査で指摘 「当初から割れ目」(京都)
  ■検査内容の見直し表明 「もう崩落起きない 絶対ではないが」 JR西日本社長 歯切れ悪い会見(京都)
  ■JR太秦駅構内の架線にビニールシート 除去で運休や遅れ 京都−亀岡間 2400人に影響(京都)
  ■市バスが衝突 乗客ら5人けが 右京、ワゴン車と(京都)
  ■社説 電化をまちの元気につなごう(京都)
  ■打ち込み口 JR、除去は現場任せ 落下の恐れ考えず放置(朝日)
  ■「新幹線、運行止めない」 JR西社長 打ち込み口すべて除去(朝日)
12日■京阪、車と衝突し脱線 乗用車の助成死亡 5時間不通に 伏見の踏切(京都)
  ■連休明け 通勤の足直撃 京阪電車脱線 代替バスなど列 近鉄・丹波橋 乗り換え混雑も(京都)
  ■コンクリ落下地点 建設直後にひび割れ 施工ミス 疑い強まる(朝日)
  ■京阪、踏切で脱線 京都・伏見区 5万人影響(朝日)
  ■連休明けの足直撃 京阪脱線 住民ら「雷?地震?」(朝日)
  ■宿直者寝坊、駅開かず JR東西線加島駅 3人、始発に乗れず(朝日)
  ■停車駅を忘れオーバーラン 神戸、JR福知山線(朝日)
13日■JR西 相次ぐ事故で処分 鉄道本部長ら解任 社長は減給1ヵ月(京都)
  ■山陰線京都−園部間 複線化事業の促進を 荒巻知事に要望(京都)
  ■点検せず運転再開 山陽新幹線 徳山−小郡間 崩落壁と同種構造(京都)
  ■コンクリ片がまた二`落下 新岩国−徳山 山陽新幹線の高架橋(京都)
  ■山陽新幹線 亀裂、7月に確認 落下個所の7b西(朝日)
  ■JR西日本 鉄道本部長ら解任(朝日)
  ■新幹線コンクリ落下 「危ない」トンネル見逃す もう1本計8本に「打ち込み口」 検査せず運転再開(朝日)
  ■落下の補修材公開 JR西日本 鉄筋がさびて膨張(京都)
  ■関係業者に総点検指示へ 運輸省(京都)
  ■コンクリまた落下 山口 山陽新幹線の高架橋(朝日)
14日■窓 配慮なさ示す 車内での化粧 北区・勝山 吉朗(表具師・43)(京都)
  ■コンクリ劣化 公表せず JR西日本 新幹線全線の実態調査 「利用客に不安与える」(朝日)
  ■JR高架コンクリ落下 事前点検で危険と認識(朝日)
  ■新快速に飛び込み JR安土駅ホーム(京都)
  ■新幹線トンネル 落下個所のひび、7月確認 「軽微」と判断、放置 JR西日本 甘い検査、浮き彫り(朝日)
15日■「がけっぷちの危機」 JR西社長 社員に訓示(朝日)
  ■夕映ゆ A 二条駅 電車待つ主人公たち(京都)
  ■トンネル点検 具体的指示へ JR西日本へ運輪省(朝日)
  ■走行中の電車 窓ガラス破損 JR山陽線・土山駅近く(朝日)
16日■補修までの判断基準問題 JR西日本社長(京都)
  ■コンクリ落下 福岡トンネル 19ヵ所 危険度「A1」 JR西日本 1年前検査 一般公表せず(朝日)
  ■JR西日本社長 点検不備認める コンクリ落下 事故現場を視察(朝日)
17日■電車加えリアル実験 県と大津市 パーク・アンド・ライド 駐車場利用者は15%(昨年初日比)と低調 「有料」への抵抗感も(京都)
  ■コンクリ片 落下跡、通行人が発見 山口の高架橋 JR、6月から放置(朝日)
18日■トンネル壁が崩落、電車接触 JR飯田線(京都)
  ■奔流底流 地下鉄東西線延伸あす起工 広域交通網 拡充に期待 建設費の圧縮が課題 西伸の試金石に 宇治市も資金援助(京都)
  ■交通機関は障害者配慮を 環境改善求め集会(京都)
  ■新式リニアを開発 コイルは1種類 費用削減も可能 九大教授ら(京都)
  ■レール内側 砕石が落下 山陽新幹線など(朝日)
  ■冬の但馬へ「カニ列車」も JRが臨時列車(朝日)
  ■100年のこと 第4部 仕事のすがた 6 鉄道員 笑いと涙、鉄路を走る(朝日)
  ■上越新幹線でもコンクリ片落下 高架橋から700c 埼玉・桶川(京都)
  ■上越新幹線でコンクリ落下 埼玉の高架橋(朝日)
  ■快速が故障 1500人に影響 奈良、JR関西線(朝日)
19日■上越新幹線 また高架橋でコンクリ落下(京都)
  ■山陽では屋根に傷(京都)
  ■新幹線屋根に衝突痕 広島−新岩国間 落下事故の数日前(朝日)
  ■地下鉄 東西線延伸へ起工 醍醐−六地蔵 5年後に開業(京都)
  ■東海道線 灘−住吉 寝台特急立ち往生 架線切れ停電150分間も(京都)
  ■新潟のJR線でも コンクリ片落下(京都)
  ■宇治へ延伸の起工式 京都の地下鉄東西線(朝日)
  ■架線切れ停電 1500人に影響 神戸、JR東海道線(朝日)
20日■山陽新幹線 全142トンネル点検へ JR西 来襲から、終電後(朝日)
  ■ITS使って都市交通実験 きょうから大阪で(朝日)
  ■女性車掌デビュー 東海道新幹線で初(京都)
  ■コンクリ63ヵ所 はく落の危険も 上越新幹線の高架橋(京都)
  ■今日的遺跡探検 1974 幸福駅 「幸せ切符」求める人いまも(朝日)
21日■えとキップ23日発売 信楽高原鉄道(京都)
  ■「100円バス」に懸念表明 エムケイ参入で桝本京都市長(朝日)
  ■100玉、復権 缶ジュースは買えないけど… 電車に乗れる 酒も飲める 便利さ受ける(朝日)
22日■阪急電鉄 梅田に「暫定」レジャー施設 来夏開業、地上げ一等地に(朝日)
  ■砂上の神話 新幹線は安全か 上(朝日)
  ■窓ガラスにひび 東広島−三原間(朝日)
  ■上越新幹線でコンクリ落下 群馬、高架橋下(朝日)
  ■JR予讃線も(朝日)
  ■駅スイッチで新幹線止める 京都駅オーバーランで(京都)
  ■京都駅 のぞみ、オーバーラン 新幹線 広島駅ではATC故障(朝日)
23日■総武線東京駅、浮きそう!? 地下水位が上昇 限界まで70a 建物固定対策へ JR東日本が調査(京都)
  ■イベント列車でコナンと遊ぼう 来月27日、宮津線で KTR利用促進協(京都)
  ■砂上の神話 新幹線は安全か 中 消えぬ弱点 盛土部分が雨で崩落(朝日)
  ■JR側は過失否定 信楽鉄道事故控訴審(朝日)
  ■「のぞみ」行き過ぎ 人為ミス重なる 車掌の勘違いが発端(朝日)
24日■山科駅で飛び込み(京都)
  ■砂上の神話 新幹線は安全か 下 止めぬ理由 1日9億円、経営の命綱(朝日)
25日■JR西日本 検査期限切れ車両運行 在来線の仕業検査 96年度以降、計11件(朝日)
  ■携帯電話が急増 JRの京都センター開設1年 日に207件、傘トップ 戻るのは30%(京都)
  ■新幹線 崩落対策に5億円 運輸相現場視察 「人海戦術で点検」(京都)
  ■天然ガスノンステップバス 「人と環境にやさしく」8台 大阪市導入へ(朝日)
  ■運輸相 「年内には安全宣言」 山陽新幹線のコンクリ落下 トンネルを視察(朝日)
26日■山陽新幹線340分運休へ 11月8日−12月15日 広島−博多間 トンネル総点検 6万人に影響(京都)
  ■山陽新幹線、部分運休 広島−博多1日10本 来月8日からトンネル点検で(朝日)
  ■JR西日本・トンネル総点検 業績不振に追い打ち 人件費など100億円前後?(朝日)
  ■山陽新幹線運休 信頼回復へ方針急転換 「背水の陣」で総点検急ぐ(朝日)
  ■ビー玉で環状線遅れ(京都)
  ■ビー玉1個 電車止めた JR環状線ドア閉まらず(朝日)
27日■地下鉄西伸など要望(京都)
  ■特急券など不正発券 容疑の元ツーリスト店員逮捕(京都)
  ■JR北陸線 コンクリ塊落下 新潟県のトンネル 徐行運転、10本遅れ(朝日)
  ■踏切に障害物? 電車自動停止 JR福崎駅(朝日)
  ■回数券不正に発行した疑い 元近ツリ社員逮捕(朝日)
  ■府内各所で大規模停電 変電所でトラブル 新幹線など一時停止 40万世帯に影響 約1時間後に復旧(京都)
  ■もろかったライフライン 京都府内大停電 ガス・水道・列車も 暗い室内、不安な市民(京都)
  ■74トンネルで補修必要 建設省、国道など緊急点検(京都)
  ■京都・兵庫で大規模停電 新幹線が一時停止 高浜原発止まる(朝日)
28日■大規模停電 関電「人為ミスの可能性」 西京変電所 安全装置が誤作動 関連装置 取り換え作業中 高浜原発、再稼働に数日(京都)
  ■府内 停電、6市19町で JR、私鉄ダイヤ終日乱れ(京都)
  ■発端、異常通知の誤信号 送電「もと」を遮断 原子炉自動停止 需給バランス崩れ(京都)
  ■原発関連 しない通報 府−関電に協定なし 大規模 判明遅れる 一報は「自動停止」 危機管理に課題(京都)
  ■京都大停電 府内の影響 区役所と支所の端末ダウン 証明書類の発行 最大100分も遅れ バックアップが今後の課題に(京都)
  ■社説 停電は大都市の死命を制する(京都)
  ■停電の原因 高浜原発停止 変電所異常が誘発 運転再開まで数日 停電 京都中心42万戸(朝日)
  ■京都で大規模停電 暮らしのもろさ まざまざ 街中が大きく混乱 ”電気頼り”見せつける(朝日)
  ■異例「同時停止」に困惑 制御室まっ暗、警報鳴り、異常ランプ次々 高浜原発 原因特定遅れて混乱(朝日)
  ■装置故障かミスか 大規模停電 関電、原因究明急ぐ(京都)
  ■福岡トンネル コンクリ落下 はく離剤不足か 鉄道総研 施工時ミスの疑い(京都)
  ■安全確保へ法的措置検討も 衆院運輸委が視察(京都)
  ■突風、列車横転 青森駅、けが人なし(京都)
  ■大規模停電 変電所を集中調査 監視装置周辺に異常?(朝日)
  ■衆院運輸委員 トンネル視察 新幹線コンクリ落下(朝日)
29日■USJの新駅前整備事業 住商グループに(京都)
  ■新幹線高架橋 ボルトが落下 高槻(京都)
  ■山陽新幹線 トンネル事故 施工ミス重なり劣化か JR総研報告 固まる前に振動など(朝日)
  ■JR西労 総点検求めスト通知 JR西労組は戦術批判(朝日)
  ■信楽事故刑事裁判 過失責任の有無焦点 高原鉄道側 3被告へ 午後に論告求刑(京都)
  ■迷惑置き石 ダイヤ乱れ 亀岡・千代川駅(京都)
  ■ポイント転換ミスで遅れ JR大阪駅(京都)
  ■信楽鉄道事故 SKR側3人 3年6月・3年求刑へ 検察側「JRに注意義務なし」(朝日)
  ■ホーム手前 列車が停車 JR大阪駅で2分(朝日)
  ■ポイントに石 列車遅れる JR千代川駅(朝日)
30日■元運転主任らに禁固求刑 信楽鉄道事故 大津地裁で論告公判 「安全注意義務怠る」 3年6月−3年 検察 JRの過失否定(京都)
  ■信楽鉄道事故 3被告に禁固求刑 遺族なお複雑な思い 「JRの責任どこへ」 記者会見 安全態勢甘さ指摘(京都)
  ■信楽鉄道事故 論告求刑要旨(京都)
  ■近鉄京都線 東寺−竹田間 上りの高架線完了 来月27日開通 交通渋滞緩和に期待(京都)
  ■難波再開発着工へ 大阪球場跡地で祈願祭(京都)
  ■シアター1200の営業譲渡決定 京都駅ビル開発に(京都)
  ■2001年春の開店 阪急が「困難」 JR三田駅前再開発(朝日)
  ■シアター1200運営会社解散 京都文化「駅から発信」挫折 ジャニーズの撤退響く(朝日)
  ■劇場運営会社 JR西が解散 債務超過で(朝日)
  ■新幹線部分運休 フリーダイヤル(朝日)
  ■3年6月など社員らに求刑 信楽鉄道事故で検察側(朝日)
  ■市営地下鉄 未明の訓練 2000年問題で大阪(朝日)
  ■JR長崎線トンネル モルタル片260`落下(朝日)
  ■ひかりから煙 点検、異常なし 新大阪で発見(朝日)
31日■新幹線部分運休でフリーダイヤル JR西日本、あす開設(京都)



1日■「台風で廃車が理由」 上部容疑者が動機供述 JR下関駅 無差別殺傷
 JR下関駅の無差別殺傷事件で、逮捕された運送業の上部康明容疑者(35)が、下関署捜査本部の調べに対し、犯行の動機について「台風で仕事に使っていた軽トラックがだめになったのが大きな理由だった」などと供述していることが30日、分かった。
 上部容疑者は昨年5月に妻と別居し、自分で経営していた建築設計事務所も仕事が無くなり閉鎖。さらに今年3月ごろから始めた運送業も振るわなかった。
 捜査本部は生活上の挫折感の上に、突然襲った車の廃車という不運が犯行の直接的な引き金になった可能性が高いとみて、上部容疑者をさらに追及している。(京都新聞)
■水戸−日立 常磐線運休 JR、駅員避難も
 JR東日本は30日、茨城県東海村にある常磐線東海駅が、事故が起きた工場から4`以内に位置していることから、午後10時28分以降、東海駅を挟んだ水戸−日立間について、上下線とも運転を見合わせた。東海駅や周辺の駅を閉鎖して、駅員を避難させることも検討している。(朝日新聞)
2日■線路に100`鉄板、電車はねる 東大阪のJR 汚水槽から20b飛ぶ
 1日午後3時20分ごろ、大阪府東大阪市西鴻池町のJR片町線鴻池新田−徳庵間下り線で、左側レール上に鉄板(長さ約1.7b、幅約1.1b、厚さ約6_)があるのを、松井山手発西明石行き普通電車(乗客約350人)の運転士が発見、非常ブレーキをかけた。
 電車は鉄板を線路わきに跳ね飛ばして停車。乗客らにけがはなく、8分後に運転を再開した。南側の自動車販売業者の建物は飛んできた線路の敷石が当たり壁に穴が開いた。
 鉄板は北に約20b離れた公営ポンプ場の汚水槽のふたで、ポンプ場によると重さ約100`。現場は高さ約7bの高架部分で、汚水槽は高さ約4bのポンプ場の屋上にあった。
 大阪府警河内署の調べでは、ポンプ場は水中ポンプの修理のため、いったん槽内を空にした後、水を注ぎ込んでおり、急激に注水した空気圧でふたが飛んだとみられる。
 自動車販売業者の整備士(39)は「バーンという破裂音がし、高架の架線に鉄板がぶつかって線路上に落下するのを見た。ポンプ場の方では、水蒸気か何かが噴水のように2、3b噴き上がっていた。非常に驚いた」と話した。
 JR西日本によると、鉄板は線路の片側に引っかかっているような形だったといい、「客車や運転席の窓ガラスなどを直撃していれば、大変な事態になっていた」としている。(京都新聞)
■JR舞鶴線電化開業 京都−舞鶴ぐーんと近く 特記夕電車は5往復 活性化の引き金に
 「京都から舞鶴が、府北部が、ぐんと近くなった」−。
 JR舞鶴線(綾部−東舞鶴)が2日に電化開業し、京都−東舞鶴間が直結された。おつき合いの深い京都と、さらには阪神との時間的、心理的な距離が縮まり、舞鶴をはじめ沿線では、自慢の観光地への誘客に、地域活性化の引き金にと、期待を高めている。
 直通列車の運行で、綾部駅や西舞鶴駅で乗り換える必要はなくなった。これまで京都−西舞鶴間の1日2往復だったディーゼル特急「タンゴエクスプローラー」に代わり、新たに京都−東舞鶴間を電車特急「まいづる」と「タンゴディスカバリー」が計5往復運行。平均で1時間47分かかった京都−東舞鶴間は1時間35分に、最速では1時間29分に短縮され、福知山−東舞鶴間の普通列車も49分から39分へとスピードアップした。
 まちの「新しい玄関口」となる西舞鶴駅ビル、綾部駅舎は、ひと足早く先月25日に開業。このうち西舞鶴駅ビルは宮津・天橋立方面に向かうKTR(北近畿タンゴ鉄道)宮津線の西舞鶴駅とも一体となっているほか、観光案内所や旅行代理店、キャッシュコーナー、交番、多目的ホールなどを備えた西駅交流センターも同居している。
 電化開業を記念し、JR西日本福知山支社では割安の「舞鶴・京都自由席特急回数乗車券」(6枚つづり、3ヵ月間有効)を販売。来年4月1日まで東・西舞鶴駅などで取り扱う。両駅と綾部駅では記念入場券やオレンジカードも発売した。舞鶴観光協会は市内の観光地を巡回する「プリーズ号」(100円バス)を11月28日まで土・日曜に運行。京阪神のJR駅などで配布している「得々パスポート」を提示した鉄道利用客には、年末まで五老スカイタワー、赤れんが博物館、舞鶴引揚記念館を無料開放している。
・記念事業開催ぜひお越しを 江守光起・舞鶴市長
 本市が長年待ち望んでおりました、舞鶴線電化・高速化が本日、開業を迎えました。ご尽力たまわりました多くの方々に、心からお礼申し上げます。特急「まいづる」などの運行で、京都−舞鶴間が乗りかえなしに、また所要時間も短縮され大変便利になりました。本市では9日と10日に「赤れんがフェスタin舞鶴」を開催し、観光スポットを周遊バスで結ぶなど、さまざまな記念事業に取り組みます。電化開業で京阪神から近くなった舞鶴。豊かな自然と新鮮な海の幸に恵まれ、数多くの赤れんが建造物が残るまちへぜひお越しください。
・舞鶴の良さを広めていきたい 満水孝夫・まいづる肉じゃがまつり実行委員会代表
 舞鶴市民にとって長年の夢、舞鶴線の電化が実現しました。今こそ市民と行政が一緒になり、十分に知られていない舞鶴の良さを広くお伝えする時です。私達まちづくり団体も、草の根から舞鶴の魅力度アップに取り組んでいます。その一環で、旧海軍の東郷平八郎元帥が発案した肉じゃが発祥の地・舞鶴をPRしており、2日も到着第一陣のお客様は肉じゃがで歓迎、来年1月末まで肉じゃが風味の菓子も販売します。電化を機に「行きたくなるまち」を一層目指し、「また行きたい」と言っていただけるよう励みます。
・舞鶴線の歴史 1904年=舞鶴線福知山−新舞鶴(現東舞鶴)間が開通▽1910年=京都から直通旅客列車運転▽1945年=引揚列車運行(1958年まで)▽1954年=気動車運転開始▽1959年=京都−東舞鶴間にデイーゼル準急「丹後」号が走り、舞鶴線初の優等列車となる▽1987年=国鉄の分割民営化、JR各社発足▽1996年=舞鶴線電化・高速化の方針決定(京都新聞)
■阪急西院駅前のクリア作戦開始 管轄変更で太秦署
 太秦署は1日、京都市内の7つの警察署の管轄区域が変更されたのに伴い、新たに同署の管轄区域になった阪急西院駅前=西大路四条交差点=で、交差点内で客を待つタクシーや歩道に駐輪した自転車を撤去する「西院クリア作戦」を始めた。この交差点はこれまで太秦署のほか、堀川、桂両署の管轄区域の境界になっていて、一体的な対策がとりにくかったという。
 おもな警察署の管轄区域の変更は、太秦署が一部を除いた右京区の全域を、桂署が一部を除いた西京区の全域を担当する。(朝日新聞)
■タイムアングル 鴨東運河 内国勧業博 疎水をまたいで4つの橋
 蹴上付近の高みから、岡崎の仁王門通と西流する琵琶湖疏水の鴨東運河とを見下ろしている。
 右端上部に見える洋風の塔は、明治28年に開かれた第4回内国勧業博覧会の正門で、その前方、運河とのあいだに屋根を並べているのは、各府県の名産品を即売する売店だ。
 手前石の塀で囲った広場は馬乗場で、写真には切れているがすぐ石に動物館があった。手前の橋は、馬乗場の東側の南北道路につながっていたが、京都市動物園の開園で、道路もろとも消えた。
 2つめの橋は鉄管の橋で、博覧会場内の2基の噴水などへ送水するためのもの。3つめが広道橋。現在の動物園正門前の岡崎道に架けられている。次が慶流橋。渡れば真正面に、博覧会の正門がそびえ立っている。
 内国博の開催に合わせて京都電気鉄道が、木屋町二条から仁王門通の南禅寺前まで、電車の路線を延長した。その電車が1台、鉄管橋と広道橋との間の民家の前を走っている。
 博覧会正門前の売店には、旗や幟がひるがえっているから、会期中の撮影にちがいない。1日平均9000人を超える人が押しかけたにしては、仁王門通がひっそりとしているようだが、当時の市街地は会場の西に広がっていた。カメラの後ろはもう山なのだから、こんなものかもしれない。(作家・駒 敏郎)(朝日新聞)
■JR片町線 線路上に100`の鉄板 マンホールふたが正体 下水道場から飛ぶ
 1日午後3時20分ごろ、大阪府東大阪市西鴻池町四丁目の寝屋川南部広域下水道組合(管理者、長尾浮三・東大阪市長)の寺島ポンプ場付近で突然、ボーンという音がし、重さ約100`の鉄板が約20b離れたJR片町線の高架橋の線路上(地上から高さ約7b)に落下した。直後に松井山手発西明石行き下り普通電車(7両編成、乗客約350人)が通りかかり、運転士が線路内の鉄板を見つけ、非常ブレーキをかけたが、間に合わず、鉄板を線路わきにはね飛ばしてストップした。車両には損傷がないことから、電車は8分後に鉄板を現場に置いたまま運転を再開した。この事故で、下り計3本が8−1分遅れ、乗客計約600人に影響した。
 府警河内署などの調べによると、鉄板は長さ1.7b、幅1.1b、厚さ6_。寺島ポンプ場の汚水槽のひとつを調べたところ、高さ4bの屋上部分にある金属製のマンホールのふたがなくなり、近くの手すりが壊れていた。
 ポンプ場は同日午後1時50分に稼働を停止し、午後3時40分から再開する準備のために汚水槽に河川水を満たす作業をしていたという。同署などは、操作ミスで急激に水を入れたため、圧縮された空気によってふたが跳ね飛んだとみている。
 事故当時、現場近くで仕事をしていた板金塗装業の男性(39)は「シューッという大きな音がし、破裂音がしたあと、金属のようなものが飛び上がり、電車の架線にあたってから落下した」と話していた。(朝日新聞)
■行った楽しかった 天橋立ビューランド 展望台から絶景目前に モノレールも運転開始
 陸奥の松島、安芸の宮島とともに日本三景の一つに数えられた丹後の天橋立(宮津市)。百人一首に「大江山 いく野の道の遠けれは まだふみもみず 天橋立」とうたわれた。阿蘇の海と与謝の海を仕切るように延びる全長3.6`の砂州。天橋立の全体像を見るには高い所に登るしかない。先月28日にモノレール・カーが運転を始めた南側の文珠山山積(標高130b)にある展望所、天橋立ビユーランドに出かけた。
 北近畿タンゴ鉄道(KTR)天橋立駅から5分でビユーランドヘのモノレール・リフト乗り場に着いた。料金はどちらも同じだが、1人掛けのリフトはフル運転で上まで6分。モノレールは20分間隔で所要時間は8分30秒。並行して延長400bを上り下りする。
 モノレールは2両連結の18人乗り。車いすでもいける。これまでリフトでは無理だった乳幼児連れやお年寄りが多い。軽いモーター音とともに滑るように動き始めた。天井の窓が開け放たれ、快適だ。シイやツバキなどが生い茂った広葉樹林から鳥のさえずりや虫の声が聞こえてくる。
 中腹まで来ると、天橋立が見え始める。展望を楽しんでいると、アッという間に到着した。展望台に立つ。コンクリート製の「股のぞき」台や大型双眼鏡が並んでいる。
 見渡すと、海に突き出た天橋立が目前に迫り、丹後半島の山々から伊根町沖、右に宮津市街地や大江山が広がった。股のぞきをしている観光客が記念写真を撮っている。後ろ向きで顔が見えない。
 遊園地もある。高さ13bの観覧車がひときわ目につく。4人乗りのゴンドラが10個。約4分間で1回転する間に、絶景が楽しめる。高架レールを自転車で走るサイクルカーもあり、大人も子供も一緒になって遊べる。
 園内でレストランを開く幾世由美さん(33)は「橋立を眺めながら食事ができるガーデンテーブルを薦めています。アサリやワカメを使ったメニューが好評です」と話していた。(天野 良一)
メモ JR京都駅から北近畿タンゴ鉄道天橋立駅まで直通の特急「はしだて」が1日4往復。約1時間50分。片道3770円。駅からビューランドへのリフト、モノレール乗り場は徒歩5分。乗車券(往復)は入園料込みで、いずれも中学生以上850円、小学生450円。運行時間は午前8時半から午後5時(11月から同4時半)まで。
年中無休。運営は天橋立総合事業会社。0772-22-5304。(朝日新聞)
■東舞鶴−京都 特急で直結 JR舞鶴線、電化開業
 JR舞鶴線(綾部−東舞鶴間、26.4`)の電化・高速化が完成、2日開業した。京都−東舞鶴間が特急(1日5往復)で直結され、所要時間は平均で1時間35分と従来より12分短縮。この日朝、舞鶴市浜の東舞鶴駅ホームで出発式があり、新設の特急「まいづる2号」が京都に向かって発車、関係者や市民が電化開業を祝った。
 出発式では、JR西日本福知山支社の塩見宏支社長が「東・西舞鶴駅に新たな人の流れができ、地域発展にも寄与できます」とあいさつ。江守光起舞鶴市長は「悲願の電化が実現し、生涯忘れられない日になった。京阪神をはじめ全国の方々に利用していただき、鉄道を通じた交流の輪を広げられます」と喜びを語った。引き続き、開業を祝うテープカットやくす玉割りなどが行われた。
 午前7時24分発の始発特急「まいづる2号」は、6両編成で同駅1番ホームから出発。記念乗車の親子連れや団体旅行客ら約140人が京都に向かった。西舞鶴駅でも市民らが乗り込み、ほぼ満席だった。
 特急の出発式は京都、綾部両駅でもそれぞれ催された。(京都新聞 夕刊)
■ホームと列車の間 挟まれ両ひざ骨折 JR草津駅
 2日午前7時ごろ、草津市渋川一丁目のJR草津駅ホームで、通過しようとした野洲行き回送列車が、線路からホームにはい上がろうとしている男性を発見。急ブレーキを掛けたが、間に合わず接触し、男性の足をホームとの間に挟んだ状態で停車した。男性は大阪市淀川区の会社員(27)で、両ひざ骨折の重傷。
 回送列車は37分後に運転を再開、後続の貨物列車が15分遅れた。また、同回送列車を使用する7時57分京都発新宮行きの特急「くろしお3号」が9分遅れ、約80人に影響が出た。(京都新聞 夕刊)
■警視庁警部補 痴漢で逮捕 電車で女生徒に触る
 千葉県警柏署は1日夜、電車内で女子高生の太ももを触ったとして、同県迷惑防止条例違反で、茨城県竜ヶ崎市庄兵衛新田町、警視庁中央署地域課第三係長の警部補峰一容疑者(48)を現行犯逮捕した。
 調べによると、峰容疑者は酒を飲んで帰宅途中の同日午後10時25分ごろ、上野発土浦行きJR常磐線電車内で、松戸駅から乗車し、立っていた県立高校2年生の女子生徒(17)の太ももを触った疑い。峰容疑者は触ったことを否認しているという。
 女子生徒が悲鳴を上げたことから周囲にいた男性公務員(49)らが峰容疑者を柏駅で下車させ、柏署員に引き渡した。車内は肩が触れ合う程度の混雑で、女子生徒は千葉県松戸市内の友人宅から帰宅途中だった。
 同署が当時の状況を詳しく調べている。
 阿部道幸・警視庁中央署長は「まじめだっただけに信じられない。警察官の不祥事が続く中、都民の信頼を裏切る事件を起こし、深くおわびしたい。今後指導を徹底し再発防止に努める」と話している。(京都新聞 夕刊)
■JR舞鶴線が電化
 京都府北部を走るJR舞鶴線(綾部−東舞鶴間26.4`)が2日、電化した。電車特急「まいづる」が新設され、京都−東舞鶴間直通の特急が1日5往復走る。所要時間は平均で従来より12分短縮され、1時間35分になった。
 電化工事は1997年10月からJR西日本、京都府、舞鶴、綾部両市が総事業費45億円を出し合って進めてきた。この日午前、京都、綾部、東舞鶴の各駅では、電化を祝って特急「まいづる」の出発式があった。(朝日新聞 夕刊)
■JR下関駅通り魔事件 拘置請求認める
 山口県下関市のJR下関駅構内で起きた無差別殺傷事件で、山口地検下関支部は2日、殺人と殺人未遂容疑などで送検された同県豊浦町厚母郷、運送業上部康明容疑者(35)の拘置を山口地裁下関支部に請求、10日間認められた。(朝日新聞 夕刊)
3日■新大阪駅などで変造ウォン205枚 JR券売機から
 2日午後5時15分ごろ、大阪市淀川区のJR新大阪駅の自動券売機で、釣り銭に変造500ウォン硬貨が交じっているのに客が気付き、駅員に届けた。
 JR西日本が同駅の券売機22台すべてを調べたところ、7台から同種の変造硬貨計95枚が見つかった。さらに同6時すぎ、JR新神戸、西明石両駅の券売機でも、それぞれ94枚、16枚の変造ウォン硬貨が見つかった。
 大阪府警淀川署などが、券売機内の現金を盗んだ窃盗事件とみて調べている。(京都新聞)
■JRで信号故障 山科駅、落雷影響か
 2日午後11時20分ごろ、京都市山科区安朱北屋敷町のJR山科駅構内で、東海道線下り方面の信号が故障して「赤」のままになった。駅に停車中の京都行き普通電車が24分遅れ、駅係員の手信号で発車した。後続の西明石行き快速電車も26分遅れるなど下り計5本が遅れ、乗客約500人に影響が出た。
 JR西日本で原因を調べているが、当時、駅付近は激しい雷雨で、落雷の影響ではないかとみている。(京都新聞)
■失速してもノムさん効果 阪神電鉄が上方修正 9月中間売上高 観客増え、グッズ売れ
 リーグ最下位の可能性もある阪神タイガースだが、野村克也監督を迎えて脚光を浴びた効果によって阪神グループ企業に恩恵をもたらした。関係者は「この勢いが次のシーズンにもつながり、あわよくば優勝してくれれば」と期待している。
 タイガースはシーズン前半健闘し、6月には首位に立った。阪神電気鉄道が運営する甲子園球場にファンが詰め掛け、シーズンの入場者は昨年より約50万人多い230万人に達する見込みだ。
 このため阪神電鉄は9月中間期の売上高を417億円と見通しよりも10億円多くなると修正した。このうち8億円が入場料など球場事業の増収分。
 阪神百貨店(大阪市)も梅田の店舗で販売している球団グッズが好調だ。6月には前年の5倍を超える売り上げを記録し、4月から9月までの合計は前年の3倍を超える約5億円に。
 北海道や九州からの観光客が大阪土産にと買うケースも多く、キーホルダーやボールペンなど1000円以下の製品がよく売れたという。タイガースが低迷しだした8月以降もグッズの売り上げは前年の2倍を維持している。
 ただ、30台限定販売のタイガースマーク入りの特製エアコンは、当てが外れて9月末まで1台も売れずじまいだった。(京都新聞)
■JR舞鶴線 待望の電車特急走る 主要駅で開業記念式
 JR舞鶴線(綾部−東舞鶴間26.4`)の電化・高速化工事が完成し、2日、開業の記念式典が舞鶴市民会館で開かれ、上下特急の始発電車の出発式や歓迎式が京都駅や綾部、舞鶴両市の駅であった。祝賀ムードのなか、「都市間競争」の生き残りを図る舞鶴市には「やっと電車がきた」という安ど感が広がった。その一方、「観光に果たす鉄道の新しい役割」(井手正敬・JR西日本会長)に期待がかかり、観光客を中心とした利用客増の課題を抱えた出発となった。
 記念式典で荒巻禎一知事は「電化は京阪神と環日本海都市を結び、府中北部の活性化に寄与する」と意義を強調。江守光起舞鶴市長も「電化は環日本海時代の将来にふさわしい拠点都市として発展するために重要な役割を担う」と述べた。
 JR東舞鶴駅では、午前7時24分発の京都行き特急「まいづる2号」の出発式があり、江守市長や塩見宏JR西日本福知山支社長らがテープカットして祝った。舞鶴市の親子100人が梅小路公園(下京区)でSLの絵を描くために乗り込み、京都へ向かった。
 下りの始発特急となる「まいづる1号」は途中、綾部駅でも歓迎行事を受けた。西舞鶴駅には午前10時23分に到着。駅前で郷土芸能の舞鶴マナイ傘踊りなどが出迎えた。
 下車した京都市在住の三宅忠直さん(80)は舞鶴市の元収入役。「これまで綾部駅で乗り換えていたが、腰が痛むので困っていた。電車直行は大変結構です」とうれしそうだった。
 「まいづる1号」は午前10時半に終点東舞鶴駅に到着。京阪神からの旅行客ら約160人が降り立った。コンコースで海上自衛隊舞鶴音楽隊が「岸壁の母行進曲」を演奏し、駅前では名物となった肉じゃがが200人分振る舞われた。
 大阪市天王寺区の会社員勝部真希子さん(32)は「たまたま電化の初日に当たり、楽しい。舞鶴港とれとれセンターなどへ行って、日帰りできます」と肉じゃがを味わっていた。
・府内電化率90%を超す
 府交通対策課のまとめによると、JR舞鶴線の電化に伴い、府内のJRの電化区間は226.1`になり、総延長に対する電化率は90.5%になった。未電化区間は関西線(加茂−月ケ瀬口)と小浜線(東舞鶴−松尾寺)の計約24`。(朝日新聞)
■偽造500ウォン硬貨200枚見つかる 新大阪駅など
 2日午後5時15分ごろ、大阪市淀川区のJR山陽新幹線新大阪駅で自動券売機から出てきた釣り銭に変造硬貨があった、と7人の利用者から相次いで駅員に通報があった。調べたところ、いずれも変造されたとみられる韓国の500ウォン硬貨で、同駅の券売機計22台のうち7台から計95枚が見つかった。さらに午後6時すぎ、同新幹線の新神戸駅(神戸市中央区)と西明石駅(兵庫県明石市)でも、自動券売機から同じような変造硬貨が計110枚見つかった。JR西日本は3駅から計205枚の変造硬貨を見つけており、同日、大阪府警と兵庫県警に被害届を出した。(朝日新聞)
4日■近況・心境 電化記念の鉄道展に奔走中
 かつてSLが走っていた舞鶴市内の中舞鶴線や海舞鶴線、新舞鶴町臨港線の姿をしのぶ、舞鶴市の秋の企画展「マイレールウェイ'99」を担当するのが同市教委文化振興係長の石原雅章さん(40)。
 港から本線まで結んだSL線は戦前の軍港の名残でもあった。が、1970年代には姿を消し、知る人も少なくなった。
 同展はJR舞鶴線の電化開業を記念して、9、10の両日に舞鶴市政記念館で開催される市民祭「赤れんがフェスタin舞鶴'99」の行事の一つ。資料提供を市民に呼びかけたら26人が応じてくれた。
 企画の目玉は60年代から70年代にかけて元国鉄マンが撮影したSLの写真20枚。さらに、舞鶴市で貨車を製造していたことを示す貨車の銘板も提供してくれた。「鉄道を忘れていない人々が地下水脈のように舞鶴市にいた」と石原さんは驚いている。(朝日新聞)
■「ガーラ湯沢」経営立て直し JR東日本、債権放棄
 経営の多角化を進めるJRグループの象徴的な存在だったJR東日本系列の「ガーラ湯沢スキー場」(新潟県湯沢町)がスキー客の低迷から立て直しを迫られている。JR東日本は多額の債務を抱える第三セクターのスキー場経営会社を清算して再出発を図る方針を地元に示したが、代わりに開発経費などに貸した約90億円を放棄することになりそうだ。
 同スキー場はJR初のスキー場として1990年12月にオープン、JR東日本を中心に湯沢町など2町1村が加わる「上信越高原リゾート開発」(中村弘之社長)が経営してきた。
 ゲレンデ面積292f。ゴンドラなどを含むリフト11基と15本のコースを持ち、スキー客のために上越新幹線のガーラ湯沢駅を新設するなど当初は首都圏から最短で1時間余という近さを売り物に人気を呼んだ。
 しかし、年間45万−61万人と見込んだスキー客の入りがバブル崩壊や景気低迷で減り続け、咋シーズンは約31万人まで落ち込み、累積債務も約70億円に上った。
 JR側ではこのままでは借入金返済のめどが立たないと判断、9月上旬、湯沢町などに営業継続を前提に貸付金を放棄し、自治体も加わる新たな運営会社を設立する提案をした。
 新会社はJRからリフトなどの施設をリースする形で営業。10月末までに結論を出した上で、今シーズンは通常通り12月中旬にオープンしたいとしている。(京都新聞 夕刊)
5日■検証 どうした「安全」新幹線 開業から35年、トラブル相次ぐ
 新幹線が開業して1日で35年。このところ続発する事故や)トラブルは、「安全神話」崩壊の予兆なのか。(塚本和人、細澤礼輝)
・不安増す高架橋
 「周りの建物のほとんどが無事だったのに、なぜ新幹線の高架橋だけが崩れ落ちたのか」
 阪神大震災の被災地・兵庫県尼崎市。自宅の前に山陽新幹線(新大阪−博多間)の高さ約10bの高架橋がそびえ立つ仙頭辰夫さん(70)=同市食満6丁目=は、今もふに落ちない。
 1995年1月17日早朝、すさまじい揺れの後、薄明かりのなか自宅の玄関前で、高架橋だけが倒壊していた光景は異様だった。
 大阪工業大学の二村誠二講師(建築材料学)は、この高架橋と、西隣の同県伊丹市野間の高架橋のコンクリート塊を分析。セメントと砂利が化学反応を起こして内部からもろくする「アルカリ骨材反応」が、野間の高架橋から確認された。
 また、空気中の二酸化炭素がコンクリート中のアルカリ成分を中和させて鉄筋をさびやすくさせる「中性化現象」が表面から3.5−3aの深さに広がり、通常の二倍以上のスピードで劣化が進んでいたことも分かった。
 コンクリート建造物の劣化を促進させる原因には、アルカリ骨材反応▽中性化現象▽海砂使用による塩害▽セメントに規定以上の水を混ぜるなどの手抜き工事、などがある。
 二村講師は「二つの反応などから分かるのは、このコンクリートはもう寿命が来ていたということだ。落橋の原因は、地震の揺れだけではない」と、当時から警鐘を鳴らしていた。
 運輸省は、学識経験者らを交えた委員会で、高架橋の倒壊原因は設計時に想定していた以上の揺れが生じたためとした。
 しかし同時に劣化状況を調査。コンクリート1立方b中に含まれる塩化物イオン量が、土木学会の安全基準を大幅に上回っていたことなどが分かり「引き続き調査・補修を行う必要がある」と指摘した。
 しかし、JR西日本は「震災で落橋したのは、あくまで想定以上の地震力がかかったためで、通常の地震に対しては相当の耐力を保持している」と、コンクリートの劣化と倒壊の直接の関係を否定した。
 その後の補修も、劣化個所表面に樹脂を塗って水や二酸化炭素の侵入を防ぐ従来の工法で、コンクリートを健全な状態に戻す抜本的な補修は行っていない。
 それから4年半。6月27日、福岡県久山町のトンネルを走行中の「ひかり」を、内壁からはがれ落ちた計200`のコンクリート塊が直撃した。
 その後、兵庫県内の高架橋だけでも約1万7000ヵ所で落下の可能性のある個所が見つ
過去10年の主な事故やトラブル
1989年1月山陽新幹線姫路−西明石間で架線調整金具の破損により、パンタグラフが吹き飛び、屋根に穴があく。8時間ストップし、運休52本など33万人に影響。
95年12月東海道新幹線三島駅で、高校生が列車のドアに挟まれたままホームから線路上まで引きずられて死亡。
98年4月山陽新幹線新関門トンネル内で、コンクリート片がはがれ落ち、海水が漏れて停電。3時間近く立ち往生。
8月東海道新幹線名古屋駅で列車が絶対停止位置をオーバーラン。
99年6月山陽新幹線福岡トンネル内で、計200`のコンクリート魂がはがれ落ち、220`で走行中の列車の屋根を直撃。
7月兵庫県の山陽新幹線高架橋から約200cのコンクリート片が落下。JR西日本の集計では96年度以降、山陽新幹線の高架橋からの落下件数は全線で計47件あったことが判明。
9月山陽新幹線徳山−小郡間で、植物のツルが列車のパンタグラフに巻き付き停電。最大11時間にわたって29本の乗客8000人が車内や駅に閉じこめられる。
山陽新幹線新神戸−西明石間で保守用車両同士が追突、脱線。始発からストップし、運休25本、1万人に影響。
かった。その主な理由は中性化現象だったという。また事故への批判が高まる中、JR西日本は、これまでに25ヵ所の高架橋やトンネル外壁からアルカリ骨材反応が見つかっていたことや、サンプル調査で、9割以上の高架橋で鉄筋が腐食していたことを明らかにした。
 ここに至ってようやく同社は、すべての高架橋について建設当時の施工方法や材料までさかのぼって劣化状況や原因の把握を目指す「総合診断」の実施を決めた。しかし来秋に調査結果が出るまでは、抜本対策はいわは手つかずのままだ。
 仙頭さん宅前の高架橋は、橋脚に厚さ6_の鉄板がまかれた。しかし橋げたは落ちたコンクリートの再利用。今年に入り、内部の鉄筋のさびが流れ出したとみられる赤茶色の染みが、あちこちに見られ始めた。
 仙頭さんは言う。「赤いさびを見つけたとき、ぞっとした。また地震があれは、落橋するのではないかと…」
 「総合診断」の結果次第では地震への不安だけでは済まなくなるかもしれない。
・基本装置に死角
 列車同士の距離や線路条件に合わせて制限速度をコントロールし自動ブレーキをかける自動列車制御装置(ATC)と、すべての駅のポイントを遠隔操作する列車集中制御装置(CTC)。64年の東海道新幹線開業以来、新幹線の「安全神話」を支えてきたこの2つの基本システムに昨年、思わぬ「落とし穴」が見つかった。
 昨年8月5日、名古屋駅に入った新大阪発東京行き「こだま414号」がホームをオーバーランした。
 駅構内は、時速30`以下までATC の自動ブレーキがかかり、さらに手動ブレーキで止まる仕組みだ。運転士は必死でブレーキレバーを引いていた。だが、414号はホームを通過し、30b先にある絶対停止区間「ゼロサン区間」に入り込んだ。
 ATCには停止を命じるゼロ信号が3種類あり、ゼロサンは最も緊急度が高い。先頭車両の停止位置は、長さ50bにわたるゼロサン区間の終点を7bはみ出た。本線に入り込み、車両同士がぶつかる危険性を知らせる「車両接触限界」の標識は、わずか百数十b先に追っていた。
 レールの摩耗を防ぐ塗油器から規定以上の多量の油が流れたためだった。新幹線の「最後のとりで」は、こんな単純なミスで突破された。JR東海は「まさか塗油器のような原始的な道具が原因とは思わなかった」と説明する。同社はその後、東京−新大阪間の86ヵ所にあった塗油器のうち、駅の入り口などの48個を取り外した。レールの交換時期は早まるが「安全には代えられない。作業員にも緊張感を保つよう教育を徹底させる」。
 高度に機機化されたシステムと人間の接点に潜む「落とし穴」は、ほかでも顔をのぞかせた。
 昨年5月3日、新富士駅に停車しようとした名古屋発東京行き「こだま460号」を、CTCが後続の「ひかり226号」と誤って認識。ポイントを通過用に切り替えた。驚いた運転士の緊急ブレーキで、460号はホームから離れた本線上に立ち往生した。きっかけは10分足らずの停電だった。一時的に列車の位置を見失ったCTCに、指令員が列車の順番を誤って入力。CTCはこだまをひかりと思いこんだまま、切り替えてしまったのだ。
 開業以来、ATCは誤動作を防ぐ改良を重ねた。CTCのポイント操作もコンピューター制御に変わった。機械の高性能化は進んだが、人間の単純ミスがシステム全体を揺さぶるという教訓は生かされず、今後も決して払しょくされることはない。(朝日新聞)
■「事故の一因 技術断層か」 JR西日本会長
 関西経済連合会副会長であるJR西日本の井手正敬会長は4日、関経連の記者会見で、最近、山陽新幹線などで事故やトラブルが多発していることに触れ、「ご迷惑をおかけして申し訳ない」と陳謝したうえで、「長年勤めたベテラン層の退職が増える傾向にあるなか、(技術の継承が若い層へと円滑に行われない)技術断層が、トラブルの一因かもしれない」と述べた。
 井手会長は、先月下旬、新幹線のパンタグラフに植物が巻き付いて停電し、事後処理のまずさも重なって、8000人の乗客が最長11時間も列車内に閉じこめられたトラブルを事例として挙げ、「後続列車が電池を使い切ってしまったことの方が、照刻な問題。マニュアルの熟知が足りなかったと思う」と述べた。(朝日新聞)
■JR元町駅で電車行き過ぎ 500人に影響
 5日午前9時5分ごろ、神戸市中央区のJR東海道線元町駅で、米原発網干行きの下り快速電車(11両編成、乗客約150人)が、ホームの停止位置を約300b行き過ぎて止まった。電車は通常の停止位置まで後退し、乗客約50人を乗降させてから4分遅れで発車した。下り3本が5−4分遅れ、乗客計約500人に影響した。JR西日本が原因を調べている。
 今年4月以降、JR西日本管内で停車駅を行き過ぎる運転ミスは16件目。(朝日新聞 夕刊)
■京阪電鉄グループ ホテル4社を合併
 京阪電気鉄道は4日、グループのホテル事業を立て直すため、大阪、京都、滋賀、鳥取の4社5ホテルを今月1日付で合併した、と発表した。5つのホテルは、都市ホテルとリゾートホテルに分けて子会社2社が委託運営し、業務の効率化などを目指す。
 存続会社はホテル京阪(大阪市、2ホテル)で、ホテル京阪京都(京都市南区)、近江舞子ホテル(滋賀県滋賀郡志賀町)、大山レークホテル(鳥取県西伯郡大山町)の3社が吸収・合併された。合併後の資本金は8437万4000円で、5つのホテルの総客室数は923。会長は高井潤三・京都タワーホテル社長が、社長は清水博一・京阪電気鉄道専務がそれぞれ兼務する。
 実際の営業、運営は、ホテル京阪が今年8月末に100%出資で設立した運営子会社の京阪アーバンシステムズ、京阪リゾートシステムズの2社が当たっている。京阪電気鉄道の本社業務スリム化を目指した「経営改革構想プラン」の一環という。(京都新聞)
■トンネルじん肺訴訟 新たに151人提訴 ゼネコン約90社に総額44億円を請求
 新幹線や道路のトンネル工事でじん肺になったとして、元建設作業員や遺族ら計151人が5日午前、新たに全国の10地裁で、工事を請け負った大手建設会社などに総額約44億円の損害賠償を求め一斉提訴した。同日午後には福島地裁郡山支部と金沢地裁への提訴が予定されている。
 各地で争われている「全国トンネルじん肺訴訟」の一環で、午前中に提訴したのは横浜、新潟、福井、岐阜、広島、松山、熊本、大分、宮崎、鹿児島の各地裁。福島地裁郡山支部と横浜地裁への提訴は初めて。
 全国トンネルじん肺弁護団によると、被告会社は鹿島、大成建設、清水建設、大林組など約90社。
 訴状によると、建設会社各社がトンネル工事でじん肺防止対策を怠り、命と健康を損なう過酷な労働条件下で労働者を働かせてきたなどと主張している。
 全国トンネルじん肺訴訟は1997年以降、全国19地裁に集団提訴が繰り返し行われた。仙台地裁ではことし7月に原告計21人と日本鉄道建設公団との間で和解が成立している。(京都新聞 夕刊)
6日■すいすい行けます 新しい出改札使用のカード名は「スイカ」 JR東日本
 JR東日本は5日、2001年1月から東京近郊区間に導入予定の新しい出改札システムに使用するカードを「スイカ」(Suica)と名付けたと発表した。
 スイカはカードに集積回路(IC)を内蔵しているのが特徴で、「すいすい行けるICカード」といったイメージで名付けたという。
 発売するのは「スイカ定期券」と「スイカイオカード」の2種類。スイカ定期券は定期券機能に、乗り越した時などのために改札機で自動的に運賃が引かれ、券売機で券を買わなくても済むプリペイド式「イオカード」の機能を付加した。
 クレジットカードと同じサイズで、同社では「表面の半分を明るい緑色にするなど斬新(ざんしん)なデザインにした」としている。
 新しい出改札システムはICカードが乗車区間などを記憶し、パスケースに定期券を入れたまま、自動改札機にタッチするだけで入場や乗り越し精算ができる。現行の磁気式自動出改札システムと比べて出入りがスムーズで、コスト低減にもなることから実用化を目指していた。(京都新聞)
■ロンドン 通勤列車が衝突 8人死亡、160人重軽傷
 【ロンドン5日共同】ロンドン中心部のパディントン駅近くで5日午前8時10分(日本時間同日午後4時10分)ごろ、市内に向かう快速通勤列車と郊外に行く列車が衝突した。鉄道警察によると、少なくとも8人が死亡、160人以上が重軽傷を負った。
 事故当時はラッシュアワーのため通勤列車は満員状態で、一時は横転した車両に数十人が閉じ込められた。現場にはまだかなりの負傷者がおり、負傷者は200人に上るとの情報もある。
 事故が起きたのはパディントン駅西方4`の線路が交差した地点。パディントンからロンドン郊外に向かうテムズ鉄道の列車と、逆方向のチェルトナム発パディントン行きのグレートウェスタン鉄道の快速通勤列車が衝突。少なくとも4両が脱線、横転し、直後に火災も発生した。
 それぞれが80−100`の速度で衝突したとみられる。(京都新聞)
■ロンドン郊外 列車衝突事故 ラッシュ時、満員 「車体3b持ち上がる」
 【ロンドン5日共同】つぶれて横倒しになった列車。黒焦げの車体から乗客を必死に助け出そうとする救出隊−。ロンドン郊外で5日早朝起きた列車衝突事故は、ラッシュアワーの満員列車で都心に向かう通勤客を恐怖の底に陥れた。
 乗客たちは「自分が前に座っている人にぶつかったのを感じた」「床に投げ出され、あちこちで悲鳴が上がった。女性が窓から放り出されるのを見た」などと衝撃の激しさを語った。
 1両目の車両に乗り合わせていたBBCラジオの記者は「衝突で車両の一方が3bも線路から持ち上がった」と事故の瞬間を身ぶりを交えて再現。
 事故現場はハイドパークの北西へ2`足らずの市街地。運河や袋小路の狭い道路が入り組んでいるが、線路自体は複々線で、見通しも悪くない。近所のアパートに住んでいる男性は「余裕のある場所なのに信じられない。近所の人の中には炎を見たと言う人もいる」と話していた。
 現場には運輸担当のプレスコット副首相が午前11時(日本時間午後7時)前に到着し、大事故の現場視察を慌ただしく始めた。(京都新聞)
■東京の玄関口にうるおいを 赤れんが駅舎 大正期の姿に JR東日本と都が計画
 東京駅丸の内側の赤れんが駅舎が、大正期の創建当時の姿に復元されることになった。JR東日本が駅舎の復元、東京都が周辺整備を受け持ち、「東京の玄関口」を再生させようという試みだ。JR東日本の松田昌士社長は「5、6年のうちには完成させたい」と話している。
 赤れんが駅舎は辰野金吾博士の設計で、1914年(大正3年)に完成。当時は3階建て(高さ46b)で、左右のドームは異国風の円屋根だった。しかし、45年の空襲で3階部分とドームが焼失。47年の再建時には、予算不足で2階建て(同30b)に縮められ、ドームの屋棍は八角形になった。
 JR東日本と東京都の計画では、駅舎を創建時の3階建て円屋根ドームに戻すとともに、駅前広場から皇居に通じる行幸通りに街路樹や緑地帯を設ける。
 1年以内に基本構想をまとめ、復元方法や費用分担を決める予定。駅舎復元には300億から500億円の費用がかかるとみられる。
 松田社長は「東京の象徴となる駅舎は、近代的な駅ビルより、うるおいのある赤れんがのほうがふさわしい。駅内部はけばけばしくせず、美術館などを入れたい」と話している。(朝日新聞)
■ロンドン 列車が衝突、8人死亡 ラッシュ時 けが160人以上
 【ロンドン5日=磯田晴久】ロンドン中心部のパディントン駅近くで5日午前8時10分(日本時間同午後4時10分)ごろ、列車同士が衝突し、一方の列車が脱線、激しく炎上した。朝の通勤ラッシュの最中で、双方の列車には多数の乗客がいた模様。警察当局によると、8人が死亡、少なくとも160人以上がけがをし、うち20人が重傷という。
 現場は、ロンドン市内の西北部で、同駅から約3.2`離れた市街地。ウェールズ地方のチェルトナム発パディントン行きの高速列車と、逆方向に向かっていた列車が正面衝突した。事故後間もなく消防隊の消火作業で火災は収まった。脱出した乗客の多くは、歩いて付近の病院に向かったらしい。まだ列車内に、約100人が閉じこめられているとの情報もある。乗客の一人は「列車が宙をはねるような強い衝撃を受け、すぐに車両の前方に押し倒された。窓の外に飛び出したけが人が見えた」と話した。(朝日新聞)
■JR関空快速 ATSが故障 一時は数珠つなぎに
 5日午後6時15分ごろ、大阪府岸和田市大町のJR阪和線和泉府中−久米田間で、京橋発関西空港・和歌山行き下り関空・紀州路快速(8両編成、乗客約800人)が走行中、信号機の手前で運転室内の「自動列車停止装置(ATS)」の警報ベルが鳴った。青信号だったが、運転士は非常ブレーキをかけて停車。新大阪総合指令室と連絡をとり、運行に支障はないとの判断から3分後に運転を再開した。しかし、後続の列車が現場を通過したところ、やはり青信号にもかかわらず警報ベルが鳴るため停車せざるをえなくなり、約10本が一時数珠つなぎ状態となった。
 JR西日本によると、信号機近くに設置された器具箱内の信号伝送部が故障したとみられ、現場に係員を派遣して約1時間後に復旧した。しかし、現場付近の各踏切では遮断機が下りたままの状態が続き、上下計25本が運休、79本が最大33分遅れるなどして、帰宅途中の通勤客ら約4万人が影響を受けた。(朝日新聞)
■英列車事故 死者26人に 邦人1人軽傷
 【ロンドン5日共同】ロンドン中心部で5日朝起きた列車衝突事故の死者は、同日夜(日本時間6日午前)までに26人に上り、英国では過去10年間に最悪の列車事故となった。また、日本人1人が軽傷を負ったことが分かった。
 消防当局によると、これまでに132人が病院で治療を受け、うち26人が重傷。このほか数十人が現場で手当てを受け帰宅しており、負傷者は200人以上とみられる。
 警察当局は「生存者の救出は終えた」としているが、大破した車両内にはまだ遺体が残っているとみられ、捜索が進むにつれ死者数は増える可能性がある。(京都新聞 夕刊)
■英列車事故 死者26人に
 【ロンドン8日=磯田晴久】ロンドン中心部のパディントン駅近くで起きた列車衝突事故による死者は6日未明の段階で26人となり、英国では過去10年間で最悪の事故となった。鉄道警察によると、負傷者は約160人で、うち26人が重傷。日本大使館によると、在住日本人1人が頭に軽いけが。捜索活動が進めば犠牲者がさらに増える可能性があるという。(朝日新聞 夕刊)
7日■JR回数券 「88年まで有効」と誤印 2000年間題でシステムミス 愛媛で販売、回収
 コンピューターが誤作動する恐れがある2000年間題に関連し、愛媛県内のJR四国八幡浜駅など4駅で2−4日に販売された予讃線の特急回数券7冊分(計34枚)の有効期限の年が本来「(平成)12年」と印字されなければならないのに、「88年」と印字されていたことが6日、分かった。
 発券システムを開発、管理しているJR西日本は「2000年間題対応が不十分だった」としてシステムを改修、他システムについても再確認を急いでいる。
 JR西日本によると、問題のシステムは「西暦の下2けたマイナス88」の計算式で元号を割り出す仕組み。来年は下2けたが「00」となるため、コンピューターが「マイナス88」と計算、「88年」と印字された。同社は2000年以降についても対応できるように、システムを修正した。
 システムは旅行部門専用で、ホストコンピューターはJR西日本が管理。JR四国と共同使用し、両社の駅など計95ヵ所に計181端末が置かれている。定期券などを販売するJRグループ全体のシステムに異常はないという。
 JR西日本管内の駅で発売された切符には、同様の印字ミスは見つかっていない。
 誤った年号のまま販売されたのは、「高松−伊予西条」間の特急自由席回数券(四枚つづり)などで、いずれも3ヵ月間有効。4日、高松駅で使用済み券が回収され、ミスが判明した。(京都新聞)
■また落下物 福岡の新幹線 運行高架から
 6日午後3時10分ごろ、福岡市南区五十川一丁目のJR博多南線の博多−博多南間の竹下第三高架橋下の駐車場に乗用車を止めていた人から「高架橋からの落下物で車が傷ついた」とJR西日本福岡支社に連絡があった。
 博多南線(約8.5`)は新幹線車両で運行されており、高架橋などの規格は新幹線と同じ。
 同支社によると、高架橋の柱の境目に緩衝材として詰めてあるアスファルトが、長さ約80a、幅約70a、厚さ2aにわたってはがれ、重さ十数`の塊が約12b下の駐車場に落下した。
 乗用車の窓が傷ついていたが、人は乗っておらず、けが人はなかった。
 6月の山陽新幹線トンネル壁崩落事故後の一斉点検では異常はなかったという。同支社で落下原因などを詳しく調べている。
 兵庫県加古川市の山陽新幹線では7月末に、約30cのアスファルトの緩衝材がはがれ落ちる事故があった。(京都新聞)
■死者は27人に 英列車事故
 【ロンドン6日共同】ロンドン中心部で5日朝起きた列車衝突事故の死者は、6日昼(日本時間同日夜)までに新たに1人の遺体が見つかり、計27人となった。
 警察や消防による救助作業は徹夜で行われているが衝突の際に大破した車両内での捜索が難航。警察当局は5日夜の段階で「生存者はいないもよう」と発表しているが、車両内にはまだ数十人の遺体があるとみられ、最終的な死者は50人を上回るとの見方が強い。(京都新聞)
■窓 通り魔事件で外出恐ろしい 東山区・西畑 造(自由業・52)
 JR下関駅での通り魔殺人のニュースは、どこでだれが凶行に見舞われるのか分からない、ひとごとと思えぬ恐ろしい出来事だった。銃によるアメリカでの大量殺人のニュースを聞いて「アメリカは銃を取り締まらないからだ」「アメリカは物騒な国だ」と思っていたが、実は、目くそ鼻くそを笑うたぐいのものだった。もはや、アメリカのことをあれこれ言っていられない。正直なところ、外へ出るのも恐ろしい気がする。
 「京都は大丈夫」と思いたいが、実は、何の保証もない空頼みのような気もする。これまで、車には気をつけて道を歩き、信号も守っているが、向こうから意図的に突っ込まれたのでは、歩行者はなすすべもたい。まさに車は走る凶器である。
 東京、池袋の通り魔殺人から間をおかずに、似たような事件が起きた。悲惨な通り魔事件だが、昔は、めったに起こらなかったような気がする。それが最近、珍しくなくなっている。凶行に倒れた者は「運が悪かった」で済まされてしまうのだろうか。なんともやりきれない。(京都新聞)
■声 車内での飲酒 隣席に配慮を 家事手伝い 鈴木 こころ(愛媛県川之江市 22歳)
 9月26日の「普通列車にもトイレほしい」の投書を読み、私も言いたいことがあります。私はよくJRの特急を利用しています。ある病気の自助グループの会合に参加するためですが、体が弱いので、片道1時間半の乗車がやっとです。
 先日も帰りの車中でのこと。指定席は満席でしたが、早くから並んでいたので、無事に自由席の禁煙車に座れました。体格の良い中年の男性が隣に座りました。遠慮してか、私側のひじ掛けにひじを掛けず、私は内心ホッ。が、カバンの中から何やら出しているではありませんか。
 お酒です。500_リットルの缶ビールに、瓶入りのしょうちゅう、それにピーナツ。グビッとビールを飲み干すと、チビリチビリとしょうちゅうを。私は、お酒のにおいが苦手です。席を替えることも、動くことも出来ず、乗車中ずっとお酒のにおいとたたかっていました。
 禁煙席があるのに、なぜ禁酒席がないのでしょう。私のように、お酒のにおいは嫌だという方も多いのではないでしょうか。(朝日新聞)
■東海道・山陽新幹線 ATCかぎ紛失、交換 約400両分 複製、悪用に備え
 JR西日本の博多新幹線列車区(福岡市博多区)で6月末、新幹線の速度を自動制御する「自動列車制御装置(ATC)」の機能を解除するかぎが粉失したとみられる問題があり、東海道・山陽新幹線を走るすべての車両(約400両)でかぎの交換を進めていることが7日までに、分かった。複製されて悪用された場合に備えた措置で、JR西日本とJR東海は「列車のセキュリティーに関する問題なので、詳細はコメントできない」としている。
 ATCのかぎは、システムに異常があったときに手動運転に切り替えるために使う。列車の運転台にあり、運転士は乗務前に受け取り、乗務が終われば返却して列車区で保管することになっている。
 関係者によると、かぎが粉失したのは6月29日。列車の運行予定を記した乗務票とともに、行方が分からなくなった。
 この日は集中豪雨のためダイヤが乱れるなど博多新幹線列車区内も混乱し、数日後、かぎの管理点検をした際に発覚したという。
 ところが、7月上旬になって、JR篠栗線門松駅(福岡県糟屋町)に男性が「近くで拾った」と封筒に入ったかぎを届けた。乗務票はなく、見つかった経緯などは不明だった。
 JR西日本福岡支社は「ATCそのものが新幹線の安全運行に関することなので、実際にかぎが存在するのかどうかも含めて一切、コメントできない」と話している。(朝日新聞 夕刊)
■英の列車事故 死者の70人、なお100人不明 衝突時に車内1000度 乗客数つかめず
 【ロンドン7日=ヨーロッパ総局】ロンドン中心部のパディントン駅近くで起きた列車衝突事故でロンドン警視庁は6日、「少なくとも70人が死亡した」と発表した。さらに約100人が行方不明になっており、遺体の収容、確認作業が難航していることから、最終的な死者数は100人を超える可能性が大きい。英国では90人が死亡した1957年の列車衝突事故以来の大惨事となった。
 6日までに死亡が確認された28人を含めて70人については、衝突した2つの列車に乗車したことが確認されながら、救出されていないことが判明。警視庁はすでに死亡したとみている。また、列車に乗車した可能性がある乗客について情報を募ったところ、さらに約100人の行方がわからないことが家族らの通報で明らかになった。
 犠牲者数が急に増えたのは、最も損傷が激しく、捜索活動が難航している上り高速列車の先頭客車(1等車)に大勢の乗客がいたことが明らかになったためだ。終点のパディントン駅に列車が近づき、降車に備えて後部車両からも乗客が移っていたとみられる。
 この客車は衝突直後に炎上、車内はセ氏1000度以上になったと推定されている。このため遺体の損傷もひどく、何人いたかもわからない状況だ。
 事故は5日午前8時すぎ、ロンドン郊外に向かうテムズ鉄道の下り普通列車が一番端の線路に進路変更をしているところに、逆万向から来たグレートウェスタン鉄道の上り高速列車が衝突して起きた。
 両鉄道は6日、高速列車側は青信号だったことを確認。なぜ普通列車が停止しなかったのかが原因究明の焦点になりそうだ。一方、運転士の労組は同日、現場付近の信号の中には運転席から見えにくい場所に設置されたものがあり、過去6年間に赤信号の見落とし事故が8件起きたことを明らかにした。(朝日新聞 夕刊)
8日■近鉄 申告漏れ5億円 納品書・完工届 日付改ざん依頼
 プロ野球大阪近鉄バフフローズなど多くの関連事業を持つ「近畿日本鉄道」(東証1部上場、大阪市)が大阪国税局の税務調査を受け、1998年3月までの3年間に約5億5000万円の申告漏れを指摘されていたことが7日、わかった。うち約1億2000万円は、修繕工事にからみ、取引先にうその期日を記した完工届などを出させて意図的な所得隠しを図ったとして重加算税を追徴されたとみられる。同社は、追徴税額約2億4000万円にのぼる更正処分を受けた。同社への重加算税適用は初めてという。
 関係者によると、同社は、取引先に鉄道施設の修繕工事や修繕用資材を発注した際、納品書や完工届の日付を改ざんするよう依頼。実際には98年4月以降にあった取引を、一部、同年3月以前にあったように見せかける経理書類を作成し、提出していたという。
 同国税局が取引先などから調査を進めた結果、7000万円分の完工届と5000万円分の納品書について、日付の改ざんを発見したらしい。こうした処理で、同社は98年3月期の経費額を、実際よりも1億2000万円分水増ししたことになる。
 同国税局は、一連の繰作に法人所得を隠す意図があったと認定。取引先と共謀するなど手口が悪質だったとして、重加算税を課税したとみられる。
・税務当局と見解相違
 近畿日本鉄道の話 税務調査があったのは事実だが、内容についてはコメントできない。税務当局とは見解の相違があったと考えているが、処分には従った。(朝日新聞)
■アラ石交渉 鉄道建設「政府資金で」 サウジ側が新たに要求
 【リヤド7日=石合力】日本の自主開発原油の草分け的存在としてサウジアラビアとクウェートの間にある旧中立地帯で油田を操業しているアラビア石油(本社・東京)の権益延長交渉をめぐり、サウジ側が、延長の前提条件として日本に協力を求めてきた鉄道計画について、政府資金を導入する形で実施するよう新たに求めていることが7日、分かった。
 交渉に極めて近い民間の石油関係者が明らかにした。日本側が提示している投資支援策をさらに上回る公的資金を導入することは難しいとみられ、来年2月の権益期限切れを前に交渉は重大な局面を迎えた。
 同関係者によると、この鉄道計画についてサウジ側は当初、民間投資による建設と運営を求めていたが、日本側は採算面や投資のめどが立たないことなどを理由に、6月に事実上難しいと回答していた。これに対しサウジ側は、6日までリヤドを訪問していた荒井寿光通産審議官に、権益延長に対する「日本政府の贈与案件」として実施を求めた。
 鉄道計画は総工費約21億j(約2200億円)で、サウジ側が求めている25年間の運営にかかる維持費を含めた総額は5000億円近くに達する。
 サウジは経済水準の高さから、日本政府の途上国援助(ODA)の対象にならず、実現には立法措置を含む特別な対応も必要になるとみられる。日本側は即答を避け、11月をめどに再び協議することになったという。
・鉄道計画 内陸部の鉱物資源を海岸部に運ぶ総延長約1400`の鉄道を建設する。サウジ側は、建設と25年間の運営を日本側の民間投資でまかなうよう要請。日本側は、代案として総額4000億円の公的資金を使った湾岸諸国への投資促進や、サウジ原油引き取り拡大などの包括支援策を提示した。鉄道計画については、サウジが自力で計画を進める場合に限り、初期投資への融資や技術協力の用意があることを伝えていた。(朝日新聞)
9日■赤信号無視が原因 英の列車衝突事故
 【ロンドン8日共同】英環境・運輸・地域問題省の保険安全委員会は8日、ロンドン中心部で起きた列車衝突事故について「テムズ鉄道側が赤信号を無視したことが事故の直接的原因」と発表した。
 また、事故が起きた場所で、赤信号が点灯しているにもかかわらず列車が通過するケースが昨年だけで3件。1993年からは計8件もあったと指摘。信号装置を含む安全システムそのものに欠陥がある可能性を示唆した。
 同委員会は、過去に列車が赤信号を通過したケースがある地点をすべて再点検するよう指示した。
 同委員会が昨年まとめた報告によると、98年4月から99年3月までに英全土の鉄道で643件の信号無視が起きている。(京都新聞)
■予備ブレーキ解除忘れて発車できず JR桜井線ストップ
 8日午後4時40分ごろ、奈良県橿原市のJR桜井線香久山駅で、奈良発王寺行き下り普通電車(2両編成、乗客約50人)の運転士から「ブレーキが緩まないため発車できなくなった」と、天王寺輸送指令室に連絡があった。
 JR西日本によると、運転士が車両点検を続けたが、この間、桜井−高田間で上下線とも運転がストップ。近くを走る近鉄大阪線が振り替え輸送した。その後、運転士が通常のブレーキとともに予備ブレーキを使って停車していたことを思い出し、うっかり予備ブレーキを解除するのを忘れていたことが分かった。1時間余りたった午後5時50分に運転を再開したが、上下計6本が運休し、4本が最大1時間20分遅れるなど乗客計約550人に影響が出た。(朝日新聞)
■南海電鉄 赤字の関連3社清算
 南海電気鉄道は8日、赤字が続く関連会社3社を清算するなど、グループのリストラ策を発表した。会社清算に伴う損失と、債務超過に陥っている南海サウスタワーホテル(大阪市)への支援で、計95億円を2000年3月期の特別損失に計上する。この損失分は土地の売却益でほぼ相殺するが、不動産関連会社の不振から、連結決算予想を下方修正し、初の経常赤字転落を予想している。
 11月未で廃業するのは、宴会場などを運営する「鬼ケ城観光開発」(三重県)と、旅館などを経営する「紀の川苑(和歌山県)の2社。また、泉佐野港−淡路島の間でフェリーを運航する「大阪湾フェリー」(大阪府)も清算するが、航路を縮小したうえで、別の会社に運航を委託する予定。
 累積赤字が66億円の南海サウスタワーホテルは、南海電鉄が30億円の第三者割り当て増資に応じ、資本金を40億円に増強する。その一方で、780人の従業員を、来年度中に650人まで減らす計画だ。
 南海電鉄は来年3月期の連結決算で、売上高を2000億円、経常損失を10億円と見直し、今年6月時点の予想より、それぞれの130億円、経常損益を20億円下方に修正した。(朝日新聞)
■コンクリ塊また崩落 始業前 山陽新幹線 北九州トンネル 長さ3.4b、重さ226`、5つに割れ 連休初日 ダイヤ大混乱
 9日午前4時10分ごろ、山陽新幹線小倉−博多間の北九州トンネル(福岡県北九州市八幡東区、全長約12`)で、コンクリートの塊5個が下り線の側溝に落ちているのが、始業前の点検で見つかった。同新幹線では6月末にも、福岡トンネルで同様の事故があり、車両の屋根が大破したばかり。JR西日本は、午前6時10分、同新幹線全トンネルの安全を確認するため、新大阪−博多間の運転を上下線とも見合わせた。同9時、新大阪−広島間の運転を再開したが、3連休初日のダイヤは大幅に乱れた。
 同社によると、コンクリート塊五個の重さは計約226`。小倉駅から博多方向に約2`の距離にある北九州トンネルの小倉側出入り口から約4.6`地点で崩落があった。崩落跡は長さ約3.4b、幅約40a、厚さ約15aで、地上からの高さは約3.8b。
 トンネルのアーチ状の天井部と、その下側の側壁との継ぎ目にある、突起部が崩落したとみられる。6月の福岡トンネル壁崩落事故で問題となった、コンクリートの接合不良部の「コールドジョイント」とは別の個所という。
 同社は福岡トンネルの事故後、山陽新幹線の全142トンネルについて総点検を実施。2049ヵ所のコールドジョイントを発見、崩落の恐れがある個所について緊急補修工事を実施した。8月上旬には「崩落の危険はなくなった」として事実上の「安全宣言」を出したが、今回の崩落で新たな対応を迫られそうだ。
 山陽新幹線では福岡トンネルの事故後も、高架橋からのコンクリート崩落が相次いで見つかったほか、9月には徳山−小郡間の停電事故の復旧に約11時間も手間取って乗客約8000人が29本の列車に缶詰め状態になったり、新神戸−西明石間で保守用車が衝突、始発から25本の列車が運休するなど、トラブルが続いている。(京都新聞 夕刊)
■山陽新幹線トンネル壁崩落 「またか」安全も崩落 怒り高まる乗客ら
 新幹線の危うさが、3連休初日を直撃した。9日、山陽新幹線の北九州トンネル(北九州市八幡東区)で起きたトンネル壁崩落事故。走行中のひかりを大破させた福岡トンネルの崩落事故からわずか3ヵ月余りで、全トンネルの補修工事を経てJR西日本が出した「安全宣言」はもろくも崩れた。「いつ正常に戻るんだ」「結婚式に間に合わない」。駅には人があふれ、一部運転再開後の車内はすし詰め状能。いら立ちと怒りが沿線に渦巻いた。
 新大阪駅では運転再開のめどが立たない状況に、払い戻しを求める乗客が精算窓口に集中し、一時は約100bの列。あちこちで、乗客が「いつごろ出発するのか」と詰め寄った。運転再開直後の列車には、待ちわびた人が駅員の制止を振り切り殺到、ラッシュ時の通勤列車さながら。
 始発からホームで待っていたという大阪市の男性会社員(26)は「連休前だからきちんと点検しておけばいいのに」と憤まんやるかたない様子。
・京都駅でも遅れ
 JR東海京都駅などによると、9日正午現在、同駅発の上り新幹線で20分から25分の遅れが出ている。ホームは多少混雑しているが大きな混乱はなかった。
・「絶対安全」あり得ぬ
 交通評論家の角本良平氏の話 20年以上も前にできたトンネルでは、ある時点で「大丈夫」とされても、目に見えない断面で問題点が次々と出てくることは十分あり得る。人間の体が一度エックス線撮影で異常なしと診断されたからといって、ずっと大丈夫と言えないのと同じ。前回のトンネル壁崩落事故後に「危険性がなくなった」と判断されても、絶対安全というわけではない。安全に関しては、徹底的に調べるなど慎重な対応が必要であり、定期点検を厳重にして、その都度最善の方法を選んでいくしかない。
・信頼回復に全力 JR西日本コメント
 JR西日本の南谷昌二郎社長は9日、山陽新幹線北九州トンネルでのコンクリート塊落下事故について「北九州トンネル内でコンクリート片が落下する事故が発生したことに心からおわびする。再びこのような重大な事態が発生したことを厳粛に受け止め、当社に対する信頼回復を果たすべく全力を尽くしたい」とのコメントを発表した。
・「点検したのに」 JR関係者ショック
 「こんな大きな塊が落下したのは初めて見た。またこういう落下があるなんて」とJR関係者はショックを受けた様子。
 山陽新幹線の北九州トンネル内で落下したコンクリート塊は全長3.34b、幅最大40a、厚さは15aで5つに割れていた。落下した衝撃で割れたとみられ、最大が長さ87a、最小のものは長さ42a。
 JR西日本が9日、北九州市の福岡支社福岡工務所で公開したコンクリート塊は全体が黒ずんだ灰色。断面からは、内部の玉砂利がむき出しになって見える。
 このコンクリート塊は、トンネル側壁から張り出した打ち込み部と呼ばれる部分がはく落したもので、レール面から高さ約3.4bの部分にあった。
 同工務所の高谷博文施設技術科長(46)は「7月17日にハンマーでたたくなどの点検を、念には念を入れてやってきたのに…」と話した。(京都新聞 夕刊)
■新幹線またコンクリ落下 小倉−博多間 トンネル内、3b大 JR、安全宣言覆る 運休87本、2万人影響
 9日午前4時10分ごろ、北九州市八幡東区の山陽新幹線小倉−博多間の北九州トンネル(全長約11.7`)内で、点検作業中の確認車が、下り線の線路わきにコンクリート塊(長さ約3.3b、幅約40a、厚さ約15a、重量計226`)が5つに割れて、落ちているのを見つけた。山陽新幹線は午前6時発の始発列車など計8本を出発させたが、同新幹線に計142本あるすべてのトンネルを点検するため、10分後から新大阪−博多間の全線にわたって上下線とも運転を一時見合わせた。午前8時半から、点検が終わり、安全が確認できたとして、順次新大阪−広島間で運転を再開した。広島−博多間は引き続き運転を見合わせ、在来線のJR山陽線が広島−下関間でほぼ2時間間隔で臨時列車の運転を始めた。このため、午前10時半現在、上下計87本が運休し、20本が最大3時間近く遅れるなど、乗客計約2万3000人に影響がでた。
 JR西日本によると、コンクリート塊は、北九州トンネル内の小倉側出入り口から西約4`付近の線路と内壁の間に散在していた。線路に沿って直方体の細長い形状のコンクリート塊が、線路から高さ約3.4b付近のトンネル側壁から線路側に突き出た突起部分の一部が落ちたとみられる。
 北九州トンネルは1975年3月に完成。天井部分のアーチ部と、その下面の側壁部分とを別々につくる工法だった。先にアーチ部にコンクリートを流し込んだ後に下面との一体性をもたせるために境い目部分に「打ち込み部」をつくって、その口から下面の型枠にコンクリートを流し込む「直接法」を採用した。今回、打ち込み部の一部がはがれ落ちており、落ちた跡には不連続面があったことからもコンクリートは一体化していなかったとみられ、JR西日本は専門家を派遣するなどで落下した詳しい原因を調べている。また、直接法でつくられ、打ち込み部のあるトンネルは新大阪−広島間にはないが、広島−博多間では新関門トンネルなど計10トンネルあるといい、打ち込み部について重点的に点検するという。
 山陽新幹線では今年6月27日、同じ小倉−博多間の福岡トンネル(福岡県久山町)内を時速220`で走行中のひかりを、計200`のコンクリート塊が直撃した事故が起きている。142本すべてのトンネル(総延長計約280`)の緊急点検を実施。うち93本から落下した原因とみられる施工不良個所「コールドジョイント」を2049ヵ所見つけ、62本のトンネルから377ヵ所で異常音が見つかった。JR西日本は、すべての異常音個所に補強工事を施し、8月4日には「今後10年は落下の恐れがない」として事実上の安全宣言を出していた。
 北九州トンネルの点検は、今年4月2日と7月12日に目で見る目視点検を実施したほか、7月17日には2年に1回の定期点検をしていた。このときには、異常は見られなかったという。ただ、福岡トンネル事故後の緊急点検でも、打ち込み部については「下のコンクリート面と一体化しているはず」との理由から点検項目には入れていなかった。(朝日新聞 夕刊)
■200`塊 安全宣言砕く 連休初日つまづく 落下部は点検項目に入らず「想定外事故」/トンネル劣化確実/一時しのぎ検査に限界
・すし詰め・長い列・情報不足
 山陽新幹線の各駅では、3連休を利用して旅行に出ようとしていたグループや家族連れらがホームやコンコースにあふれた。
■払い戻し
 新大阪駅の電光掲示には午前8時前後、「トンネル内点検のため、現在新幹線は止まっております」とだけ表示された。精算所の前には切符の払い戻しを求める長い列ができた。ヨット仲間と小倉駅で待ち合わせていた滋賀県草津市の会社員栗原成男さん(54)は「こう事故が続くと乗るのは気持ち悪い。よほどいいかげんな工事をしたのだろう」。福井市から会社の慰安旅行で福岡に向かう途中だった会社員、藤田八郎さん(36)は、同僚ら約100人と一緒に在来線で新大阪まで来て足止めに。「以前からわかっていたことに対してどういう対処をしていたのか疑問だ」と話した。
■一時騒然
 午前8時20分ごろホームに岡山行きこだまの運転再開のアナウンスが流れると利用客らが殺到し、一時騒然となった。列車は通路まですし詰め状態。何とか乗り込もうとする人たちで入り口のドアがなかなか閉められず、発車したのは45分ごろだった。
 9時半ごろ、場内に「広島より西に向かわれるお客様は、お急ぎでなけれはできるだけ旅行を中止していただくようお願いします」というアナウンスが流れ、列車を待つ人たちの間からは「ふざけるな」「反省しているのか」という声があがった。
■疲労濃く
 JR岡山駅も、喫茶店は満員になり、改札口で駅員らに詰め寄る乗客らの列ができた。鹿児島県に帰省予定の岡山県倉敷市内の女性(56)は
<最近の新幹線での主なコンクリート落下事故>
96年7月大阪市淀川区にある山陽新幹線の高架橋からこぶし大のコンクリート片がはがれ落ちる。高架橋で同様の事故が相次いでいるとして、JR西日本は現場付近を緊急に検査。
98年4月山陽新幹線・新関門トンネル内で、コンクリート片がはがれ落ち、海水が漏れて停電。3時間近く立ち往生。
98年5月小倉駅前の山陽新幹線の高架橋から垂さ40cのコンクリート片が落下。
 山口県熊毛町にある山陽新幹線の高架橋で、約12`のコンクリート塊が落下していたことが判明。緊急点検の結果、三原(広島県)−新下関(山口県)間の高架橋などで、ひびが100カ所見つかった。
99年6月山陽新幹線・福岡トンネル内で、計200`の魂が内壁からはがれ落ち、220`で走行中の列車 の屋棍を直撃。緊急点検で、山陽のトンネル377ヵ所にコンクリート劣化の可能性。
  7月兵庫県相生市にある山陽新幹線の高架橋から、約200cのコンクリート片が落下。JR西日本の集計では96年度以降、山陽新幹線の高架橋からの落下件数は全線で計47件あったことが判明。JR西日本は8月4日、トンネルの補強工事が終わったとして「安全宣言」を出した。
  10月 長野新幹線・一ノ瀬トンネル(群馬県)で、約200cが落下。山陽新幹線のコンクリートはく落事故を受けて7月に行われた一斉点検では「異常なし」と報告されていた。
「熊本まで夫に車で送ってもらうことにした」。対応に追われる駅員も「どの列車に乗れば一番早いのか正直こちらでも分からない」と疲れた表情だった。
 JR広島駅では、利用客が駅のあちこちに新聞紙を敷いて座り込んだ。横浜に向かうはずだった広島市中区の公務員今吉幸夫さん(39)は「もっときちんとチェックしたほうがいいのではないか」と話した。
・大阪空港へ乗客が殺到
 キャンセル待ちの列 新大阪駅に近い大阪空港には、復旧のめどが立たない新幹線に見切りを付けた客が殺到し、キャンセル待ちの長い列ができた。全日空大阪空港支店によると、9日は3連休の初日ということもあり、各方面への便は前日までにほぼ満席状態だった。ところが、新幹線の運休で、早朝からキャンセル待ちの客が増え、福岡便は午前10時までに百人に達した。同支店では、「連休とあって臨時便を出すのも難しいので、キャンセル待ちの受けつけそのものを中止した」と話している。
・識者はこう見る
 JR西日本の「安全宣言」の2ヵ月後に起こった今回の事故について、専門家からはJRの検査体制などの甘さを指摘する意見があがった。
 「コンクリートが危ない」(岩波新書)などの著書がある小林一輔・千葉工業大教授(コンクリート工学)の話 列車を直撃すれば大惨事につながりかねない規模の落下で、当たらなかったのは不幸中の幸いだった。6月の福岡トンネル事故後にJRが行った検査は、列車を止めずに夜間の数時間、目視と、ハンマーでたたく打音検査をしただけだった。これは、あくまで一時しのぎに過ぎず、コンクリートの落下は続くと考えていたので、今回の件は決して意外ではなかった。トンネル内は暗く、人間の勘に頼る作業には限界がある。以前から指摘してきたように、JRは一定期間、列車を止めて、超音波などの測定器を使って徹底的な検査を行い、補修・補強工事をすべきだ。
 二村誠二・大阪工業大学講師(建築材料学)の話 前回の事故後、コールドジョイントがある部分が点検、補修されただけで、トンネル全体にわたって安全確認がされていなかったということだ。地下水や土圧の影響、車両の走行に伴う振動などでもコンクリートは劣化し、コールドジョイントだけに注目した点検や安全宣言は意味がない。建設当初に耐久設計が考えられていなかったに等しいと考えられ、区間ごとに運行を止めてでも総点検すべきだ。
 大和竹史・福岡大教授(コンクリート構造)の話 詳しい落下原因は調査を待たなければならないが、山陽新幹線の全トンネルのコンクリートが劣化しているのは間違いない。JRは福岡トンネルの事故後、点検、補修工事をしたが、今回の落下個所を見落としていたにせよ、補修工事をしていたにせよ、いずれにしてもずさんだったわけで、大きな問題だ。今後、より厳密な検査と、きちんとした補修・補強工事をする必要がある。
 烏田専右・工学博士(コンクリート工学)の話 話を聞く限りでは、落下した部分はトンネルとしては不必要なもので、削っておくべきだったのかもしれない。当然鉄筋なんて入っていないだろうから、列車の振動などの影響を受ければ落ちることもあるだろう。せっかく一斉点検をしたのだから、コールドジョイントだけでなく、あらゆる欠陥について調べておくべきだった。コンクリート内部のことはなかなかわからないうえに、トンネル中をハンマーでたたいてまわるわけにもいかないだろうが、人命にかかわることだけに慎重に対応すべきだろう。
・「万全の態勢」繰り返す 点検見直しに言葉濁す JR側会見
 「安全性については一定の確信を持っている」。6月に続いて再び発生した山陽新幹線のトンネル内のコンクリート崩落事故を受け、記者会見したJR西日本幹部は必死に不安をうち消した。
 事態の把握や対応に追われ、記者会見は予定より30分遅れの午前9時半から始まった。JR西日本の高橋宏彰副社長は「お客様にご迷惑をおかけして申し訳ございません」と陳謝。「事故が続いて深刻な事態と考えている」と語った。
 事故発生直後にもかかわらず、始発から上下計8本が運行したことについて、「当初、東京指令所の指示で博多−小倉間だけ運転を止めた。対策本部を立ち上げて新大阪以西の全線を止める手配をしたのが運行後になってしまった」と手落ちを認めた。
 6月の事故を受けて実施されたトンネルの点検後に出された「安全宣言」については、「今回落下した部分は、前回のコールドジョイントとは別の工法によるものだった」と発言。
 想定外の事故が今後も発生する可能性について聞かれると、「絶対大丈夫とは言い切れないが、万全の態勢を取って努力している」。
 安全性が完全に確認されていないのにもかかわらず、運行を続けていることについては、「全く壊れない構造物は考えられない。不具合の兆候を早急にキャッチし安全を確保したい」と答えるのみ。目視中心の点検法の見直しをするかどうかは「専門家の検討結果を待ちたい」と述べるにとどまった。
 コンクリートが落ちた時間がたまたま始業時間前だった。コンクリートが衝突した場合の被害を問われ、「ガラスを破って車内に入り、大変な事態になっていたかもしれない」と話した。
 全国の新幹線の中でも山陽新幹線に事故、トラブルが相次いでいることについて、「岡山以西を建設したのが高度成長期で、骨材や人材が不足していた。その影響が山陽に色濃く出ているのかな」と感想を述べた。
・信頼回復に全力
 南谷昌二郎・JR西日本社長のコメント 北九州トンネル内においてコンクリート片が落下する事象が発生し、ご迷惑とご心配をおかけしましたことを、心からおわび申し上げます。6月27日の福岡トンネル内の事故以来、再発防止と安全確保に全力を傾注してきたが、再び重大な事態が発生したことを厳粛に受け止め、総力を挙げて安全確保のための対策に取り組み、一刻も早く当社に対する信頼回復を果たすべく全力を尽くします。
・解説 過信が最大の原因
 山陽新幹線の「安全神話」は、またしても揺らいだ。6月末の福岡トンネルに続き、9日、同じ福岡県内の北九州トンネルでも崩落した。落下したコンクリート塊の重さは計200`を超えていた。幸い始発列車が運転を始める前に発見できたが、もし、走行中の列車に直撃した場合、窓ガラスをつき破り、乗客に直撃するなど大惨事につながる恐れもあった。
 福岡トンネル事故後、JR西日本はすべてのトンネルで緊急点検し、原因とみられる「コールドジョイント」と呼ばれる施工不良個所が計2049ヵ所あり、うち377ヵ所から劣化の可能性のある異常音が見つかった。すべての異常音個所を鉄材の金具で押さえつける補強を施し、8月4日には「安全宣言」を出していた。コールドジョイントはトンネルの天井付近に集中していたが、今回の落下個所の「打ち込み部」についてはトンネルの壁面にあり、コンクリートは一体化していたはずなどの理由から前回と同じ「想定外」とされ、点検項目にも入れていなかったという。
 しかし、JRが安全宣言を出したとき、大手建設業者など専門家は「施工不良から生じたとされるコールドジョイントが2049ヵ所も見つかったことから、トンネル全体で劣化が進んでいる可能性も否定できない」と指摘していた。それなのに、JRはコールドジョイント周辺は補強を終えたなどの理由で、2年に1回の全般検査や年3回の繁忙期前の点検だけとの考えを変えず、点検サイクルを短くするなどの措置はとらなかった。コンクリート内部の劣化状況もまだ調査しきれていないことも明らかだ。この安全への過信が、今回の落下を見抜けなかった大きな原因だと言えよう。
 高橋副社長は会見で「8月4日の安全宣言は、コールドジョイント周辺についての安全宣言だ」などと繰り返し、「ほかの部分については、何らかの原因で不具合が生じた場合、落下する可能性も否定しきれない」とも説明した。しかし、利用者にとっては、原因は何であれトンネルからコンクリートが落ちてくる事態を「安全だ」とは決してみていない。営業列車の運転を一時的にでも止めて劣化の進行を総点検し、安全が確保されるまで補修・補強をすべきだ。(塚本和人)(朝日新聞 夕刊)
■長野新幹線もコンクリ落下 群馬のトンネル
 群馬県松井田町上増田の長野新幹線一ノ瀬トンネルで8日午前2時20分ごろ、縦20a、横5a、幅2a、重さ約200cのコンクリート片がトンネル上部から落ちているのを、巡回検査中のJR東日本高崎新幹線保線区員が見つけた。このトンネルは、山陽新幹線のコンクリートはく落事故を受けて7月に行われた一斉点検では「異常なし」と報告されていた。列車の運行には支障はなかったが、JR東日本高崎支社は管内のトンネル点検を9日未明から実施することにした。
 同支社によると、場所はトンネルの東京側入り口から1.5`の下り線。約6bの高さから、レールのすぐ外側のコンクリート板の上に落ちていた。列車の通過時には、車体に当たる位置だった。
 トンネルは、幅10bごとにコンクリートを流し込む際の打ち継ぎ目があり、落下したのは、その継ぎ目の部分。厚さ20aのコンクリートのうち、表面の2a部分がはがれて落ちていた。同社は「山陽新幹線で問題となったコールドジョイントが原因とは考えられない。微小な亀裂がしだいに大きくなり、はがれ落ちたのではないか」と説明している。
 現場の巡回検査は9月28日にも行われたが、その際には異常は見つからなかった。線路内を調べる確認車は7日午前3時半に通っているが、その時にも分からなかった。
 同社によると、トンネル内のコンクリートが自然にはがれ落ちたのは東北、上越、長野各新幹線を通じて、過去に報告例がない。
 一ノ瀬トンネルは、長野新幹線では4番目の長さで、6165b。1995年11月に完成したばかりだ。(朝日新聞 夕刊)
10日■山陽新幹線コンクリ崩落で緊急点検 トンネル3ヵ所で異常音 劣化か施工不良か
 山陽新幹線小倉−博多間の北九州トンネル(福岡県北九州市)で9日未明、トンネル壁から重さ約226`のコンクリート塊が崩落した事故で、JR西日本は7トンネルを点検、計3ヵ所で異常音がしたため、その部分をたたき落とした。また最後まで運転を見合わせていた広島−博多間は同日午後4時、約10時間ぶりに上下線とも運転を再開した。
 長さ約3.3bにわたって崩落したのは、天井部と側壁部の継ぎ目にある「打ち込み口」(通称「アゴ」)と呼ばれるひさし状の突起部分。JR西日本は、同じ工法で建設され、同様の突起部分がある同区間の新関門トンネルなど、計7トンネルについて、約1bおきにハンマーでたたいて音を聞き内部の劣化を調べる打音検査を実施した。
 突起部のうち、北九州トンネルの崩落個所に隣接する長さ約35aの個所など2トンネルの計3ヵ所で異常音がしたため、たたき落とした。JR西日本は7トンネルで総延長約32.6`ある突起部分全体を除去することも検討する。
 また同社は、崩落した突起部分のコンクリートが、本来は側壁部と一体化しているはずなのに「不運続面があり一体化していなかった」と説明。はく離した面は約15aにわたって茶色に変色していた点に触れ「長期間にわたって空気や水に触れていた形跡」として、亀裂が進行していた可能性があるとした。
 不連続面の生成が施工不良のせいか、経年劣化のせいかなど、鉄道総合技術研究所(JR総研)に塊の検査を依頼して詳しく調べる。施工業者からも施工時の状況を聴く方針。
 山陽新幹線は同日、計 129本が運休するなどダイヤは混乱、約6万2000人に影響が出た。東海道新幹線にも最大約3時間の遅れが出た。
 運輸省は同日、JR各社と私鉄各社にトンネルの緊急点検を指示するとともに、同省トンネル安全問題検討会の朝倉俊弘京大助教授らを現地に派遣した。
・山陽とは工法違う JR東海が発表 JR山陽新幹線北九州トンネルのコンクリート塊崩落事故で、JR東海は9日、「東海道新幹線のトンネルは工法が違い、今回事故が起きた『打ち込み口』と呼ばれる突起部分はない」と発表した。
 「打ち込み口」はトンネルを建設する際、セメントを注入する入り口として設けた部分で、JR東海などは山陽新幹線と工法が違うため図面上ない、としている。(京都新聞)
■山陽新幹線トンネル壁崩落 連休台無し 乗客イライラ 運転再開 重い足取りで車内へ
 コンクリート塊崩落による山陽新幹線の運休は、最大約10時間に及んだ。「納得できない」と各駅で不満の声が上がる。
 9日夕、ようやく再開された新幹線に、乗客は疲れ切った足取りで乗り込んだ。
 午後3時40分、博多駅に新大阪行きのひかりが入ると、旅行かばんを持った年配の夫婦らが待ちくたびれた様子で車内へ。
 広島の友人を訪ねるため午前8時から待っていたという熊本市の東山瑠璃さん(20)は「在来線だと6時間以上かかるので、再開してうれしい」とほっとした様子。列車が出ると、ホームに並んだ駅員らが深々と頭を下げた。
 小倉駅では同日夕、上り列車に乗客が駆け込み、駅員が「押さないで」と声を上げる場面も。午前7時半ごろから待ったという山口県下関市の女性会社員(22)は「きちんと点検したとJRは説明していたのに、納得できない」と憤った。
 広島駅でも、家族連れらが新聞紙の上に寝転んで、運転開始を待った。福岡県宗像市の会社員多田弘道さん(43)は「JRの説明が二転三転するので一日くぎ付けになってしまった。対応がまずすぎる」と苦い表情を浮かべた。(京都新聞)
■トンネル点検、大幅見直し JR西日本 「弱点個所」を拡大 亀裂や異常音 3ヵ所で確認 全通、10時間後
 山陽新幹線小倉−博多間の北九州トンネル(北九州市八幡東区、全長約11.7`)内で計226`のコンクリート塊が落下していたのが見つかった事故で、JR西日本は9日、これまでの重点的な点検項目に入っていた「弱点個所」を広げるなど項目や手法といったトンネルの点検態勢を大幅に見直す検討を始めた。落下した側壁の「打ち込み口」は工法上、コンクリートが一体化しているはずとの理由から、ハンマーでたたく打音検査の対象になっておらず、目で見るだけでは未然に落下個所を見破ることができなかったことを重くみたためだ。6月末の福岡トンネル事故も「想定外」の個所から落下しており、これまでの点検態勢の不備が問われていた。
 また、9日早朝から北九州トンネルと同じ工法で、側壁に打ち込み口がある広島−博多間の計7トンネルについて、緊急に打音検査を実施した。同じ北九州トンネル内の落下個所の延長線上に1ヵ所。さらに、広島−岩国間の古市トンネル(山口県岩国市、全長約1.2`)でも2ヵ所の計3ヵ所で、亀裂が確認されたり、異常音がみつかったりした。いずれも長さ15−35a程度で、落下の恐れがあったためすべてたたき落とした。
 安全確認のため早朝から運転を見合わせていた広島−博多間は同日午後4時に運転を再開。約10時間ぶりに新大阪−博多間の全線が開通した。このため上下計129本が運休し、26本が最大3時間遅れるなど、乗客計約6万2000人に影響が出た。
 JR西日本によると、落下した打ち込み口には、側壁との境界部分にコンクリートが一体化していないとされる「不連続面」が確認され、亀裂やすき間など劣化が進行していたとみられる。空気に触れたり、漏水したりしていたらしい。JRは不連続面の生成が工法上の問題なのか、施工不良の結果なのかなどを含めて、落下したコンクリート塊を鉄道総合技術研究所(JR総研、東京都)に持ち込むなどで、詳しく調べる方針だ。これまでの人間の感覚に頼った打音検査のほか、超音波や電磁波、赤外線カメラなどハイテク機器を使った検査手法も現在開発中で、打音検査と併用することも計画している。
 また、JR西日本は打ち込み口については、トンネルの強度上はとくに必要がないとみており、今後、総延長32`余りの打ち込み口すべてを除去することも検討している。(朝日新聞)
■「安全神話」ボロボロ 新幹線コンクリ落下 劣化の進行、想像以上 70年代建設のトンネル”突貫工事”問題次々浮き彫りに
 JR山陽新幹線の北九州トンネルで9日起きたコンクリート塊崩落事故で、山陽新幹線の「安全神話」は地に落ちた。トンネルが築かれた1970年前後にさかのぼってみると、当時の工事の仕方や材料の選び方などにすでに、今日の問題の芽があった可能性が高い。新幹線への信頼を取り戻せるのか。全面運休のうえ、綿密な再点検に乗り出すなど一刻も早い対策が求められている。(社念部)
 ■不連続な面
 JR西日本によると、今回の落下した「打ち込み口」は、トンネル建設当時にコンクリートを流し込む注入口。この注入口は厚さ15aで、上面と下面にコンクリートの色が明らかに異なる部分があり、一体化されていないことをうかがわせる「不適続な面がある」という。崩落跡付近は地下水が漏れ、空気も触れていた模様で内部には亀裂やすき間があった可能性があるという。
 6月の福岡トンネル事故後、山陽新幹線ではトンネルや高架橋などコンクリート構造物の劣化が進行している実態が次々と明らかになった。劣化の原因には、アルカリ骨材反応▽海砂使用による塩害▽セメントに規程以上の水を混ぜるなどの手抜き工事−などがあるといわれる。
 大手建設業者やコンクリートの専門家によると、山陽新幹線が建設された1965−75年は、高度経済成長と石油ショックが重なり、材料不足や人手不足に悩まされた時期だった。規定を上回る水を混ぜるなどの手抜き工事や、良質な川砂が足りなくなり、塩分を含む海砂を多用せざるをえなかったことが、背景にあると指摘される。
 山陽新幹線では旧国鉄持代からすべてのコンクリート構造物について、内部の劣化状況を全体的に調査したことはなかったという。相次ぐ事故を受け、JR西日本は人間ドックにあたる「全体診断」をすべての高架橋とトンネルについて実施することを決めていた。それを受け、抜本的な対策を講じようとしていた時、今回の事故が起きた。
 ■「防げない」
 JRの他の新幹線でも、崩落事故の例はある。7月、上越新幹線ではコンクリートではなく化粧用モルタルが落下、今月8日には長野新幹線で200cの塊が崩落した。しかし列車の運行に影響を与えるほどの落下は山陽に集中している。
 「点検体制をいくら強化しても、山陽新幹線のコンクリート落下はやまないのではないか。問題はコンクリートの質そのものにあるのだから」。新幹線の土木構造物に詳しいJRの技術者はそう明かす。
 「コンクリートの劣化が進んでいるため、想像以上のペースで亀裂が深まってしまう」というわけだ。
 6月の福岡トンネルでの崩落事故を受け、建設省は各都道府県など全国の道路管理者に対し、道路のトンネルの壁をハンマーでたたくなどの緊急点検を指示した。その結果、山陽新幹線に限らず、1970年代につくられたトンネルに問題が多いことが浮き彫りになった。
 宮崎県では、70年代に建設された19のトンネルのうち14ヵ所でひび割れなどが見つかった。全体の7割以上にあたり、県議会でも問題になった。
 広島県でも、70年代につくられた28トンネルのうち2本の計3ヵ所で内壁コンクリートがはがれ、早急な補修が必要とされた。ひび割れや漏水は、1403ヵ所に及んだ。
 兵庫県でも同時期のトンネル17本のうち、2本で「コールドジョイント」がみつかり、コンクリート片が落下する恐れは7本22ヵ所に及んだ。
 JRの技術者の一人は「応急処理だけで済ませ、抜本的なコンクリート劣化対策を後回しにすれば、再び落下事故が繰り返される。そうすれば、すべての新幹線に対する信頼感が崩れてしまう」と心配する。早急な補修が必要とされた。ひび割れや漏水は、1403ヵ所に及んだ。
 兵庫県でも同時期のトンネル17本のうち、2本で「コールドジョイント」がみつかり、コンクリート片が落下する恐れは7本22ヵ所に及んだ。
 ■認識に甘さ
 「福岡トンネル事故後、トンネルのコンクリートのはく落防止に全力をあげてきたが、想定外だった側壁の突起部が落下した」
 9日夕、JR西日本で開かれた記者会見の冒頭、桜井紘一・鉄道本部長は首をうなだれて語った。
 福岡事故をもたらした「コールドジョイント」に対しては、事故後、142本あるトンネル内でハンマーでたたく打音検査をし、異常音個所に補強工事を施した。しかし今回の側壁の「打ち込み口」は目で見る点検をしただけだった。
 北九州トンネルは今年に入ってから計3回、目視点検をしていたが、異常は見つけられなかった。桜井本部長は「点検が不十分だった」と甘さを認めた。
 これまでのトンネルの点検の重点は、コンクリートの「弱点」といわれる天井やコンクリトトの継ぎ目部分が中心だった。打ち込み口も継ぎ目部分にあたるが、打ち込み口を使った直接法という工法は従来の工法よりもコンクリートを一体化させるために考案されたもので、「ほかの部分よりも強度があるはず」と思いこみ、打音検査の項目から外していたという。
 同社は今後、想定する「弱点」以外にまで検査の範囲を大幅に広げる必要に迫られている。(朝日新聞)
■全鉄道会社に緊急点検指示 運輸省
 運輸省は9日、コンクリート塊が落下した北九州トンネルと同じ工法でコンクリートを流し込み、突起部分が残っているトンネルについて、緊急に安全点検を行うよう各地方運輸局を通じてJRや私鉄などすべての鉄道会社に指示した。点検結果は、10月末までに報告するよう求めている。
 また、JR西日本に対しては、原因調査や再発防止策を早急に進めるよう、九州運輸局長名で警告書を出した。同社に対する警告書は、6月の福岡トンネルでのコンクリート挽落下事故以降、今回で4回目。(朝日新聞)
■施工した佐藤工業 「JRの指示 待っている」
 北九州トンネルのコンクリート崩落事故で、JR西日本は9日、崩落部分の工事を担当したのは佐藤工業(本社・東京)であることを明らかにした。
 佐藤工業広報部は9日、「トンネル工事を担当したのは事実だ。JRから調査や作業の要請があればどのようにも動ける態勢を整えており、JRの指示を待っている。原因はこれからの調査で特定することだ」と話した。同トンネルは1975年3月に完成した。同社によると、事故後、JRから担当工区の確認と当時の施工状況について問い合わせがあったという。(朝日新聞)
■コンクリ落下 緊急連絡、また後手後手 信頼劣化 募るJR不信
・JR安全対策室長への一報
 発見の1時間45分後山陽新幹線北九州トンネルで発生したコンクリート崩落事故で、運転停止を決めるJR西日本の幹部に一報が入ったのは発見から1時間45分が過ぎていた。対応は後手後手に回り、全線ストップの判断が出たのは始発列車が発車したあとだった。6月の福岡トンネルでの崩落事故の反省から、同社は迅速な情報伝達を打ち出してきたが、教訓は生かされていなかった。また、一度はすべてのトンネルを緊急点倹すると決めたものの、北九州トンネルと同じ工法でつくられたトンネルだけの点検に途中で変更するなど同社の安全への姿勢が問われそうだ。
 JR西日本によると、確認車が午前4時にコンクリート塊を発見し、福岡支社九州地区指令(北九州市)に無線で連絡。しかし、新幹線の運行を管理する東京指令所が九州地区指令から一報を受けたのは約50分後の午前5時だった。
 東京指令所が小倉−博多間の運転停止を独自の判断で決め、大阪市北区の本社安全対策室に伝えたのは同40分。まもなく安全対策室を通じて工藤一能・安全対策室長に事故が知らされた。さらに全線停止の指示に切り替わったが、始発列車が走り出す午前6時以降にずれ込み、計8本の営業列車が発車してしまった。この結果、乗客計約650人が臨時列車に乗り換えるなどして対応することになった。
 6月に発生した福岡トンネルでの事故では、現場からの情報が東京指令所経由で本社に流れ、意思決定や対応が一段階遅れる欠陥が指摘された。事実の公表が遅れるなどの不手際を繰り返し、同社が再発防止を求める警告書を九州運輸局から受ける一因にもなった。
 この反省から、同社は小さな事故でも情報を本社の安全対策室へ速やかに一元化するよう改めた。しかし、今回の事故でも情報は各部門で滞り、教訓は生かされなかった格好だ。
 九州地区指令と東京指令所が情報をすぐに流さなかったのは、落下したコンクリート塊の回収の手配や状況の把握に手間どっていたためだという。工藤室長は「始発を十分止めることができたはずなのだが。結果としてミスだったと言わざるを得ない」と陳謝した。
 また、同社は午前6時50分にいったん新大阪−博多間の全線にわたって計142本あ
■トンネルコンクリート崩落事故の経過■
午前4時00分北九州トンネル下り線線路わきにコンクリート魂が落ちているのを点検中の確認車が発見
10分現地から九州地区指令に連絡
午前5時00分東京指令所が一報を受ける
35分乗京指令所が「小倉−博多間」の運転停止を決定
40分安全対策室の職員が、東京から「小倉−博多間運転停止」の連絡を受ける
43分本社対策本部を設置
45分工藤安全対策室長が一報を受ける
午前6時00分始発列車が動き始める
7分対策本部が新大阪以西の全線運転停止を決める
50分新大阪−博多間全トンネルの点検決定
午前8時4分新大阪−広島間運転再開決定
30分新大阪−岡山間運転再開
午前9時00分岡山−広島間運転再開
15分北九州トンネルと同種の工法を用いたトンネルの点検開始
午後3時34分点検作業終了
午後4時00分全線運転再開
るすべてのトンネルについて緊急点検することを決めていたが、午前8時前にはその方針を変更。最終的には北九州トンネルと同じ工法で造られた広島−博多間の7本のトンネルの点検だけ済ませて、運転を再開させた。今回落下した「打ち込み口」の部分については安全を確認できたとしても、それ以外の原因やトンネルで落下する可能性は残されていた。しかし、運転再開を優先させ、トンネル内の安全を確認しないまま見切り発車させていたことになる。
 桜井紘一・鉄道本部長は記者会見で「安全だ」としながらも「今回の事故で新幹線に対する信頼が(失われないか)心配だ」と苦渋の表情を浮かべた。
・乗客「ええ加減にして」 運行再開10時間後 ”長旅”にぐったり
 北九州市内のトンネルで226`もの重さのコンクリート塊が落下し9日朝から混乱していた山陽新幹線は、始発から10時間たった同日夕になってやっと全線が動き出した。しかし、楽しみにしていた同窓会に遅れたり、修学旅行の帰りに長時間足止めになったり。混乱の影響をまともに受けた乗客は予想外の長旅にぐったりしながら、怒りを抑えきれない様子だった。
 新大阪駅には午後7時15分、運行再開後、初めてとなる博多発ひかり126号が到着、乗客が次々にホームに降り立った。
 福岡県春日市の主婦大西礼子さん(59)は、兵庫県川西市に住む実父が亡くなり、妹と通夜に駆けつける予定だったという。事故を知って在来線で小郡駅に向かい、新幹線に乗り換えたが、指定席は売り切れ。すし詰め状態の自由席通路の公衆電話にしがみつくようにして立った。大西さんは「今ごろはもうお経が始まっています。JRは点検ぐらいちゃんとしてほしい」と不満顔だった。
 熊本県荒尾市の自営業奥村憲義さん(55)は、三重県鳥羽市で開かれる中学時代の同窓会に出席するため、午前8時すぎにJR博多駅を出発する予定だった。在来線で山口県岩国市まで行き、新岩国駅から乗り換えた新幹線の車内ではずっと立ちっぱなし。「今ごろは宴会の真っ最中。せっかく楽しみにしていたのに。JRは6月の落下事故の際にきっちりと対応していないから、こういうことになるんだ」とまくしたてた。
 佐賀市の主婦佐藤栄子さん(49)は両手にボストンバッグを持ち、押し黙ったまま新幹線を下車した。主婦仲間2人と奈良、京都の寺社巡りをする2泊の旅行の最中。博多駅を出て、昼すきには新大阪駅に着いているはずだった。「旅の出ばなをくじかれた。もうへとへと。JRさん、ええ加減にして、と言いたいわ」
 中央出口では途中駅まで在来線を乗り継いだ乗客約100人が、特急料金の精算のために窓口に並んでいた。
 下り線が10時間、不通になったJR広島駅。JR西日本が下関−広島間に臨時快速列車を上下計17本走らせたが、いずれも超満員でホームに人があふれた。
 大分県日田市の中学3校の2年生148人は、関西方面への合同修学旅行の帰りに同駅で2時間、足止めに。市立大明中の桜木善明校長はあわただしく学校と連絡をとりながら「非常時だから新幹線の車両を増やせばいいのに。列車内の放送も具体性がなく、情報が少ない」と困っていた。(朝日新聞)
11日■山陽新幹線トンネル壁崩落施工ミスの可能性 運輸省検討会、現場調査で指摘 「当初から割れ目」
 山陽新幹線の北九州トンネル壁崩落事故で、10日未明に現場を調査した運輸省トンネル安全問題検討会(座長・足立紀尚京大教授)のメンバーの朝倉俊弘京大助教授は調査を終えた後、記者団に対し「色調がやや茶色っぽく、割れ方を総合的に見て、もともと浮き(割れ目)が生じていたのではないかと判断した。施工上のミスと言えるかもしれない。打音検査で発見できたと思う」と調査の感想を述べた。
 「打ち込み口」と呼ばれる突起部が崩落したことについて、朝倉助教授は「漏水や通過列車の振動などの影響で浮きの範囲が広がった」と分析、当初からあった割れ目が施工ミスだった可能性が高いことを示唆した。
 また、JR西日本が突起部の打音検査をしていなかったことに対しては「施工上の都合で造られており、トンネルの構造として必要なものではなかったため、検査の注目個所、重点個所として挙げられなかったのではないか」との見方を示した。
 朝倉助教授は、崩落個所については「列車に当たる位置ではなかった」と述べ、「今後の検査の在り方や必要な処置をトンネル安全問題検討会に報告し、検討会で決めたい」とした。
 現場調査は、山陽新幹線運行終了後の10日午前零時すぎから約1時間半にわたって行われた。(京都新聞)
■検査内容の見直し表明 「もう崩落起きない 絶対ではないが」 JR西日本社長 歯切れ悪い会見
 山陽新幹線北九州トンネルのコンクリート壁崩落事故で、南谷昌二郎・JR西日本社長は訪欧から急きょ帰国し、10日午後、大阪市北区の本社で記者会見した。「6月の福岡トンネルの事故以来、原因究明と対策を進めてきたが、再びこうした事態が起き、申しわけない」と陳謝した。
 南谷社長は「今回の事故は、福岡トンネルとは原因が違うが、国民に与えた不安は大きく、深刻に受け止めている」と語った。
 福岡トンネル事故後、管理体制を見直したにもかかわらず、本社安全対策室への連絡が、今回も遅れたことについて「やるべきことをやっておらず、『旧国鉄体質』以前の問題だ」と、社内の安全管理意識が不十分であることを認めた。
 検査態勢については、今回落下した打ち込み口(突起部)が「点検項目に入っていないこと自体に問題がある」として、コンクリートの劣化を調べる打音検査の項目に打ち込み口を含めるなど、検査内容を大幅に見直す意向を示した。しかし、検査見直しの具体的なスケジュールについては「施設部を中心に社内で早急に対応する」と述べるにとどまった。
 また、「われわれが知る範囲では、もう崩落事故が起きることはない」として、山陽新幹線の運行を停止してまで点検する必要はないとの考えを強調したが、一方で、「絶対ということはなく、新たな事象もありうる」と話すなど、歯切れの悪さをみせた。
 自身の進退に関しては「信頼回復に努めるのが責務」として、辞任の考えのないことを明らかにした。(京都新聞)
■JR太秦駅構内の架線にビニールシート 除去で運休や遅れ 京都−亀岡間 2400人に影響
 10日午後2時半ごろ、京都市右京区太秦のJR太秦駅構内の架線に透明のビニールシート(長さ40b、幅1.5b)が引っ掛かっているのを、同駅に到着した普通電車の運転士が見つけた。5分後、同駅を先行発車していた京都行きの普通電車のパンタグラフにも、ビニールシート(長さ4b、幅1.5b)が巻きついているのが見つかった。
 太秦駅には嵯峨野電気区の職員が駆けつけ、約1時間後に除去した。普通電車は下京区のJR丹波口駅で約13分間停車し、ビニールを取り除いた。この作業のため京都−亀岡間の上下各1本が運休、特急2本を含む計9本が最大13分遅れ、乗客約2400人に影響が出た。
 JR西日本によると、ビニールシートは園芸用とみられ、風で飛んできたとみている。
 京都市内では昨年8月、右京区の山中に農作物に使う「寒冷紗(しゃ)」が飛んできたほか、今年初めにJR丹波口駅でビニールシートが架線に相次いで引っ掛かっているのが見つかっている。(京都新聞)
■市バスが衝突 乗客ら5人けが 右京、ワゴン車と
 10日午後零時15分ごろ、京都市右京区鳴滝本町の府道交差点で、宇多野山越行きの市バス=福田富士男運転手(50)と、右京区西京極西川町の会社員北晃一さん(26)のワゴン車が出合い頭に衝突した。衝撃でバスの座席に座っていた同区鳴滝川西町、不動産調査業菅井良治さん(58)ら乗客4人と北さんの計5人が、頭や腰などに軽いけがをした。
 太秦署によると、現場は道路幅が狭く、建物が立て込むなど見通しが悪い交差点。同署は原因を調べている。バスには他に乗客5人いたが、けがはなく、後続バスに乗り換えるなどして目的地に向かった。(京都新聞)
■社説 電化をまちの元気につなごう
 JR舞鶴線の電化が完成し、耳障りなエンジン音と排煙のディーゼルカーに代わって、スマートな電車が丹後路を疾駆しはじめた。乗客数が増えるなどすべりだしは順調で、東・西舞鶴駅と京都との直通特急の増発やスピードアップ効果が早くも現れたかに見える。
 綾部と東舞鶴の間26.4`を結ぶ舞鶴線は、山陰線の園部以北より早く、明治37年に開通した。大陸交易の拠点だった舞鶴港に直結し、戦後は海外からの引揚者の故郷への起点として活況を呈した。それだけに、復活への可能性を秘める電化は、京都府北部の住民にとって悲願と言ってよく、完成の喜びをより大きくしている。
 京都との直通特急はこれまでディーゼル2往復だけだったが、電化により東舞鶴までの電車特急3往復が加わり、京都との時間距離が平均12分短縮された。
 電化に合わせて西舞鶴、綾部両駅が改築され、ターミナル機能が高まった意義も小さくない。とりわけ西舞鶴駅は市の施設を併設した3階建てで、ミニ京都駅を思わせる全面ガラスの外観は、素朴な元の駅舎とは様変わりのモダンさだ。1世紀になる舞鶴線の歴史でも、これほどエポックメーキングな出来事が相次いだ年はない。
 舞鶴線に限らず、府北部の鉄道がこの10年ほどの間、徐々にではあっても着実に整備されてきたことは注目に値する。宮福線の開通に始まり、山陰線の一部区間での複線化、園部−福知山間の電化、そして今回の電化と、大型事業が休みなく行われてきた。
 京都府の京都縦貫幹線鉄道構想は、東西軸に比べて高速化で立ち遅れの目立つ丹後・中丹−南山城の南北軸の整備が不可欠だとし、毎年かなりの事業費を予算化している。道路と並んで鉄道がこれからの地域間競争に備える基幹インフラであるとの明確な方針が、整備を進めた第一の要因だろう。
 もう一つが地元の熱意だ。「電化はまちづくりの根幹」(舞鶴市)の位置づけと、このままでは取り残されるとの危機感。同市では市職員が月の1日を舞鶴線に乗る日にしたり、市民団体が独自にイベント列車を仕立てるなど、涙ぐましいまでのアピールを重ねてきた。
 そうして手中にした電化だけに、期待が膨らむのは当然のことだろう。通勤や通学、商用の利便にとどまらず、観光客の誘致、さらには環日本海時代の国際交流拠点をめざす弾みにしたいとの思いだ。
 ただ、ここで想起したいのは電化や複線化は最終目標ではなく、あくまでも地域経済の底上げを図り、暮らしの質の向上につなげる手段であることだ。正念場はむしろこれからにあることを、あらためて認識すべきだろう。
 ローカル線イメージをぬぐい、乗客を着実に増やす。外部との交流という鉄道の機能を十分に発揮できる環境を整えることが、まちににぎわいを取り戻し、人の定住を促すことにつながる。バスなどとのアクセスや駐車場の整備、沿線の魅力づくりなど、地元主体で進めていかねばならない事柄はあまりに多い。(京都新聞)
■打ち込み口 JR、除去は現場任せ 落下の恐れ考えず放置
 山陽新幹線北九州トンネル(北九州市八幡東区)内のコンクリート塊崩落事故で、落下した「打ち込み口」について、完成後に除去するかどうかは旧国鉄の施工指針には定められておらず、現場任せだったことが10日、JR西日本の調べで分かった。同じトンネル内でも打ち込み口が残された個所と、除去された個所が混在している。JRは残っている打ち込み口に対しては、落下の恐れがあるとの認識を持たないまま放置。重点的な点検の対象からも外れていた。山陽新幹線にはほかに六本のトンネルで打ち込み口が残っているが、JRはすべて撤去することを決めた。
 JR西日本によると、打ち込み口を設ける「直接法」という工法は、東海道新幹線の完成後、国鉄職員が考案したという。トンネルのアーチ部を先に作った後、下部に打ち込み口をつくり、そこからコンクリートを流し込んですき間なく一体化させる方法だ。この方がコンクリートが一体化しやすくなるとの理由から一部の施工業者が採用した。
 直接法には、打ち込み口に厚さ15a程度の突起物が残る「欠点」がある。トンネルの強度上は残しておく必要はない。旧国鉄は、打ち込み口については特に注意せず、施工指針にも撤去するかどうかについては定めてなかった。工法がまちまちな上、各工区を受け持つ施工業者が打ち込み口を残すかどうか独自に決めており、9日の緊急点検の結果、1本のトンネル内でも工区ごとに打ち込み口が残された個所とない個所が確認された。打ち込み口が残っているのは、北九州トンネルで8割、大平山トンネル(山口県徳山市−防府市)で4割、新関門トンネル(山口県下関市−北九州市)で1割ほどだという。
 大手建設業者などによると、品質の良いコンクリートを流し込み、バイブレーターで混ぜ合わせて均一化させれば、コンクリートは一体化するとされる。しかし、セメントに規定を超えた水を入れるなど低品質のコンクリートの場合、最も水分を含んだコンクリートが打ち込み口部分に残る傾向にある。このため、打ち込み口付近は強度的にも弱く、一層劣化の進む部分になりやすいという。
 JR西日本はこれまで、打ち込み口は危険という認識を抱いておらず、目視点検だけで済ませ、ハンマーでたたく打音検査をする項目には入れてなかった。JR西日本の桜井紘一鉄道本部長は「側壁と一体になっていると判断し、要注意個所とは思わなかった。トンネルの強度に関係のない部分なので撤去したい」と話している。(朝日新聞)
■「新幹線、運行止めない」 JR西社長 打ち込み口すべて除去
 山陽新幹線北九州トンネル(北九州市八幡東区)内で計226`のコンクリート塊が落下した事故で、JR西日本の南谷昌二郎社長は10日記者会見し、コンクリート構造物の点検などのために一時的にでも列車の運行を止めることはしないとの方針を明らかにした。北九州トンネルと同じ工法の7つのトンネルで、落下したのと同じ「打ち込み口」を今後すべて除去することを決め、「これ以外の原因で落下する可能性はゼロに近くなる」と判断した。列車を止めてでも安全のための総点検をすべきだとしている専門家らからは批判を浴びそうだ。その一方で、「想定外」の個所からの相次ぐ落下を重くみて、日常的な点検で重点項目に入っていた「弱点個所」を広げるなど項目や手法といった点検態勢の大幅な見直しをすることを表明した。
 南谷社長はコンクリートの劣化状況を正確につかむため現在進めている総点検が、最終列車後の6時間で十分できることも列車を止めない理由のひとつにあげた。これ以上コンクリートが落ちないとする根拠を問われると、「利用者が疑念をもたれるのは当然。(いったん出した)安全宣言については弁解の余地はないが、現時点で知りうる限りでは100%近くコンクリートが落ちることはない」と説明した。また「山陽新幹線は大動脈で、大事な社会的インフラだ。安心して利用してもらえるよう信頼回復に努めることが、私の責任を果たすことと考えている」と話した。(朝日新聞)
12日■京阪、車と衝突し脱線 乗用車の助成死亡 5時間不通に 伏見の踏切
 12日午前5時45分ごろ、京都市伏見区柿ノ木浜町、京阪電鉄本線の柿ノ木浜北踏切で、淀屋橋行きの普通電車=高山雅史運転士(40)、5両編成=が、八幡市男山泉、主婦高岡信子さん(59)の乗用車と衝突し、電車の先頭車両が脱線した。高岡さんは全身を強く打って間もなく死亡した。京阪電鉄本線線は深草−淀間が不通となり、約5時間にわたって、折り返し運転が行われたが、午前10時50分に復旧した。
 京阪電鉄によると、衝突した電車は始発電車に続く2番電車だった。事故のため、上下計154本が運休し、通勤や通学などの連休明けの乗客約4万8000人に影響が出た。
 伏見署によると、この踏切は遮断機と警報機が設置されている。高岡さんの車が遮断機が下りた状態で踏切に進入したとみて、詳しい原因を調べている。車は電車に巻き込まれ約100b引きずられて、大破した。
 現場では作業員約50人が復旧に当たった。車を電車の先頭部分から引き出した後、列車をジャッキで上げて線路に移し、周囲の線路なども点検した。
 高岡さんは現場の踏切近くの寺へ日課のお参りに行く途中だった、という。
 伏見署や京阪によると、電車の乗客約20人にけがはなかった。事故後、乗務員の誘導で電車から降りて中書島駅まで歩いた、という。
 現場は、中書島駅の北東約200b。(京都新聞 夕刊)
■連休明け 通勤の足直撃 京阪電車脱線 代替バスなど列 近鉄・丹波橋 乗り換え混雑も
 12日早朝、京都市伏見区の京阪電鉄本線の踏切で起きた衝突脱線事故は、連休明けの通勤の足を直撃した。復旧したのは、事故から約5時間が過ぎてからだった。その間、京阪は代替バスを運行するなど対応に追われた。「早く、なんとかしてほしい」「復旧はまだか」。鉄道を利用する会社員や学生はうんざりした様子で代替バスや別の鉄道に乗り換えていた。
 京阪によると、復旧が約5時間後になったのは、巻き込まれた乗用車を引き出すのに手間取ったうえ、枕木などが削れて保守点検に時間がかかったため、という。
 事故現場近くの中書島駅前ではすぐに、会社員や学生たち100人以上のタクシー待ちの列ができた。「振り替えバスはないのか」と声を荒らげて、駅員に詰め寄る市民の姿もあった。
 ホームにいた宇治市内の高校生(17)は「午前7時から学校でクラブの朝練習をするはずだった。どうしようもない」。宇治市内の会社員(46)も「作業が全然進まない。遅刻するが、待つしかない」とため息をついていた。
 京阪電車と近鉄京都線が接続する丹波橋駅では、乗り継ぎ客でふだんより混雑した。東山区の女性会社員(23)は「近鉄とJRを乗り継いで淀屋橋に行きます。遠回りなので2時間以上かかりそう」と、足早に近鉄の改札口へ向かった。
 丹波橋駅の改札口には事故を伝える張り紙が掲示され、他の私鉄利用や最寄りのJR駅を知らせるアナウフスが流された。通勤客が改札口に詰めかけ、駅員たちは平身低頭で対応に追われた。
 京阪電鉄は深草−樟葉駅間に代替バス7台を走らせ、乗客を輸送した。京阪本社には復旧時間の問い合わせなどの電話が、ひん繁にかかった。(京都新聞 夕刊)
■コンクリ落下地点 建設直後にひび割れ 施工ミス 疑い強まる
 山陽新幹線北九州トンネル(北九州市)内で計226`のコンクリート塊が落下した事故で、落下した「打ち込み口」は建設直後から側壁との間に「不連続面」(ひび割れ)が生じ、コンクリートの劣化が進んでいた疑いの強いことが12日までに、JR西日本などの調べで分かった。落ちた塊の表面から、コンクリート自体の劣化を示す「中性化現象」や、変色部分が見つかったためで、JR西日本は、施工ミスの可能性もあるとしてコンクリートの材料分析や、当時の施工業者からの事情聴取を進める。
 JR西日本などの調べでは、落下したコンクリートのはがれ落ちた面の表面から深さ2a程度まで、空気中の二酸化炭素がコンクリート中のアルカリ成分を中和させる「中性化現象」がみられた。また同じ面の下から長さ約15aにわたって茶色や黒っぽく変色した部分が広がり、塊が落ちた後、この部分から5つに割れたことも分かった。
 本来、施工通りに打ち込み口と側壁とが一体化されていた場合には変色も中性化もあり得ないことなどから、JR西日本は、建設直後のかなり早い時期からひび割れが生じていた可能性が高いとみている。現場付近は、トンネル上部から地下水が漏れていることも確認され、ひび割れが漏水の集まってくる通り道となったほか、時速150−300`で走行する新幹線の振動や風圧の影響も受けて落下したのではないかとみている。
 ひび割れが生じた原因については、コンクリートの材質や施工時のトラブルなど施工ミスの疑いもあり、JRは落ちたコンクリート塊を鉄道総合技術研究所(JR総研、東京都)に持ち込むなど詳しく調べる。分かる範囲で報告 北九州トンネルの落下部分の工事を担当した佐藤工業(本社・東京都)の広報部は「当時、施工ミスがなかったことは確信している。ただ、今の段階で可能性については絶対なかったとも言えない。時間も相当経過しており、当時の状況を的確につかむのは難しいが、分かる範囲でJRに報告している」と話している。(朝日新聞 夕刊)
■京阪、踏切で脱線 京都・伏見区 5万人影響
 12日午前5時45分ごろ、京都市伏見区柿ノ木浜町の京阪本線・柿ノ木浜北踏切で、出町柳発淀屋橋行き普通電車(高山雅史運転士、5両編成)と乗用車が衝突、先頭車両が脱線した。乗用車は電車に引きずられ、運転していた八幡市男山泉の主婦、高岡信子さん(59)が全身を強く打って即死した。電車に乗っていた20人にけがはなかった。この事故で京阪本線は淀−深草間が上下線とも約5時間不通になり、上下154本が運休。事故処理が通勤時間帯にあたったため、4万8000人の足に影響した。
 伏見署の調べでは、高岡さんは近くの寺へお参りに向かう途中だったという。運転士が「乗用車が遮断機の下りた踏切に飛び込んできた」と証言しており、踏切内に急ブレーキをかけた跡があったという。
 京阪電鉄によると、現場は中書島駅から北へ約300b。同電鉄は深草−出町柳、淀−淀屋橋間でそれぞれ折り返し運転する一方、JRや阪急、近鉄などに振り替え輸送した。(朝日新聞 夕刊)
■連休明けの足直撃 京阪脱線 住民ら「雷?地震?」
 京阪電鉄中書島駅(京都市伏見区)近くで起きた踏切での衝突事故は連休明けの通勤・通学の足を直撃、約5万人が影響を受けた。電車と衝突した乗用車は、電車に巻き込まれ、押しつぶされたまま、長さ約22bの鉄橋を越え、100b引きずられ、やっととまった。
 現場は中書島駅手前の踏切でカーブしている。減速しながら進んだ電車が踏切に近付いたとき、乗用車が入ってきたらしい。伏見署の調べでは、電車の運転士は「スピードは60`以下に落としていた。遮断機も下りていた」と話しているという。
 現場近くに住む男性(26)は「どーんという雷のような音がして、家が揺れた。地震かと思った」と話した。車は電車の下で押しつぶされ、フロントガラスがすべて割れ、前のバンパーがはずれて線路わきに転がっていた。
 事故現場に近い中書島駅には、事故を知らないまま通勤客らが集まった。宇治市の会社員、江原潤さん(41)は隣の淀駅近くの会社に向かう途中。「午前六時半から待っているが、代行バスがなかなか来ない。タクシーもいっぱいで通勤の足がなく、因った」。深草駅近くの龍谷大学に通う伏見区の留学生(22)は、「日本語で電車不通のアナウンスがあったようだが、よく分からなかった。これからJRに乗り換えて大学にいく」と話した。
 現場周辺には小学校や公園、民家が密集している。事故現場から約2b離れた所に住む主婦(50)によると、金属同士が激しくぶつかり合う音が響き、線路の小石が付近に飛び散る音が聞こえたという。跳び起きて玄関から外へ出ると、目の前に電車が止まり、路地に小石が散らばっていた。車両の点検のために走ってきた運転士に尋ねると、「車が突っ込んできた」と答え、乗客は心配そうに窓から周囲を見回していたという。
 電車と乗用車が衝突した踏切のすぐわきに住む主婦(57)は「地響きのような振動で、近くに雷が落ちたのかと思った。衝突したのがもっと大きな車だったら、電車が線路を大きく外れて住宅に突っ込んだかもしれない。そう考えるとゾッとします」と話していた。
 淀屋橋駅では非番の駅員も全員呼び出し、延着証明書の発行や乗客らからの電話の応対に追われた。高橋雅晴助役は「折り返し運転となったため、ダイヤはなきに等しく、何分遅れと正確に言えない状態。運行本数が2、3割少ないので、その分、一本当たりの電車が込んでいるようだ」と説明した。
 西梅田の旅行会社に勤める佐藤俊彦さん(38)は「以前と違って今回は、車内で事故があったことや折り返し運転をしていることなどこまめに説明があったので、落ち着いていられた。延着証明書ももらったので大丈夫」と話していた。(朝日新聞 夕刊)
■宿直者寝坊、駅開かず JR東西線加島駅 3人、始発に乗れず
 JR西日本は、JR東西線加島駅(大阪市淀川区加島三丁目)で11日午前5時ごろ、宿直勤務の駅員が寝過ごして同駅のシャッターを開けなかったため、乗客3人が午前5時10分発四条畷行きの始発普通電車に乗り遅れた、と発表した。間もなく別の駅の駅員が駆けつけて睡眠中の同駅駅員を起こし、乗り遅れた乗客は後続の普通電車に乗ったという。
 同社によると、同駅には夜間2人の駅員が宿直勤務をしているが、同日午前4時30分の定時の起床報告が同線北新地駅になく、電話にも応答がなかった。最寄りの御幣島駅の駅員が午前5時すぎに駆けつけたところ、通常なら午前4時50分までに開く駅のシャッターが閉まっており、駅員は休養室で睡眠中だった。このため外で待っていた乗客3人が同駅を午前5時10分に出発する始発電車に乗り遅れ、後続の午前5時25分発同志社前行きの普通電車に乗ってもらったという。始発電車から同駅に降りた乗客はいなかったという。
 同駅には起床時間になると、ベッドが空気圧で起きあがる仕組みの起床装置があるが、駅員は「起床装置をセットし忘れて寝坊してしまった」と話しているという。(朝日新聞 夕刊)
■停車駅を忘れオーバーラン 神戸、JR福知山線
 11日午後1時15分ごろ、神戸市北区道場町生野のJR福知山線道場駅で、高槻駅発新三田駅行きの普通電車(7両編成)が決められた停車位置を約160b行き過ぎ、最後部がホームを20b行き過ぎて停車した。電車はバックしてホームに入り、乗客を降ろした後、5分遅れで出発した。
 JR西日本は原因について「運転士が一時的に道場駅が普通電車の停車駅であることを忘れ、ホームにいた乗客の姿を見てブレーキをかけたため」と説明している。(朝日新聞 夕刊)
13日■JR西 相次ぐ事故で処分 鉄道本部長ら解任 社長は減給1ヵ月
 JR西日本は12日夜、山陽新幹線の一連のトラブルの責任を取り、社長の減給や桜井紘一鉄道本部長(専務)と別枝隆福岡支社長の2人を解任、更迭する人事を発表。13日付で発令する。
 南谷昌二郎社長が大阪市の本社で緊急記者会見して明らかにした。
 社長の処分は減給10分の1、1ヵ月。桜井本部長と別技支社長はともに解任の上、減給10分の1、3ヵ月。トンネルなどの保守を担当する近藤隆士施設部長も減給処分。南谷社長は会見で陳謝したが、自身の進退については「信頼回複に努めるのが私の責任だ」と述べ、あらためて辞任の考えがないことを示した。
 6月末の山陽新幹線福岡トンネル壁崩落事故以降、今月9日の北九州トンネル壁崩壊など、相次いだ事故に伴う処分で、社長の処分はJR西日本では初めて。
 桜井本部長と別杖支社長の後任には、金井耿専務、松岡義幸経営企画部次長をそれぞれ充てる。同社には専務が3人おり、列車の運行に責任を持っていた桜井本部長は技術開発・建設工事担当の専務になる。
 山陽新幹線では、6月の福岡トンネル事故後の全トンネル点検で危険個所すべての緊急補修を行い、8月に事実上の「安全宣言」。にもかかわらず2ヵ月で新たな崩落事故を起こしたほか、9月には保守用車の衝突・脱線事故や停電事故の復旧に手間取るトラブルも発生。こうした事態を受け、南谷社長は12日、運輸相と官房長官を訪ねて謝罪、今回の処分を決めた。(京都新聞)
■山陰線京都−園部間 複線化事業の促進を 荒巻知事に要望
 JR山陰線沿線の自治体などで構成する「山陰本線京都中部複線化促進協議会」(会長・中川泰宏八木町長)は12日、京都府の荒巻禎一知事に対し、山陰線京都−園部間の複線化事業促進を要望した。
 中川八木町長のほか、田中英夫亀岡市長、野中一二三園部町長と、3市町の議長らが府庁を訪れ、荒巻知事に要望書を手渡した。
 要望書では、住宅開発や企業・大学誘致などを円滑に進めるため、二条−花園間の部分複線化に引き続き、園部までの複線化事業を積極的に進め、京都−園部間での快速列車の終日運行などを実現するよう求めた。(京都新聞)
■点検せず運転再開 山陽新幹線 徳山−小郡間 崩落壁と同種構造
 山陽新幹線北九州トンネル壁崩落事故でコンクリート塊が落下した「打ち込み口」と呼ばれる突起部がある、同種構造のトンネルのうちの一つが、JR西日本の緊急点検の対象から漏れ、安全確認の打音検査をしないまま、運転が再開されていたことが12日、明らかになった。
 会見した同社の桜井紘一鉄道本部長は「台帳などの資料に記載がなく見落とした。現場での確認も不十分だった」とミスを認め謝罪した。
 同社は9日の事故当日、北九州トンネルと同様の工法で建設され突起部のあるトンネルは、広島−博多間の計7トンネルだけとみて、重点的に点検。突起部の計約32.6`について、ハンマーでたたいて内部劣化を調べる打音検査を約1b間隔で実施した。
 北九州トンネルなど2トンネルの計3ヵ所で異常音がしたため、たたき落とす処置をした上で「安全は確保できた」として同日午後4時、同区間の運転を再開した。ところが、11日になり、ほかにも徳山−小郡間の第一桜谷トンネルで約3.4`にわたって突起部があることが判明。
 同社によると、9日午前7時半から8時15分ごろ、同社の施設関係社員が目視点倹して「異常なし」と報告したが、この時点では北九州トンネルでの崩落個所が突起部だとの情報が現場に伝わっておらず、社員は突起部の有無については確認していなかった。
 同社は、点検した社員は普段は線路保守の担当者で、トンネル点検には不慣れだったと説明。9日の営業運転終了後、あらためて本来の担当者が点検、突起部の存在に気付いて打音検査を実施し、異常がないことを確認して、11日になって広島支社に報告したとしている。
・「弁解の余地なし」 崩落でJR西社長謝罪
 山陽新幹線北九州トンネルの壁崩落事故で、JR西日本の南谷昌二郎社長は12日、運輸省に二階俊博運輸相を訪ね「弁解の余地がない」と、相次ぐ事故とダイヤの混乱を謝罪した。会談後は首相官邸に行き、青木幹雄官房長官に同様に頭を下げた。
 会談で二階運輸相は南谷社長に対し、新幹線運行にかかわるすべての面での総点検をあらためて指示。南谷社長は「トンネル点検方法の改善や、社内的なけじめについて早く検討を進める」と、担当者の社内処分を行う意向を表明した。(京都新聞)
■コンクリ片がまた二`落下 新岩国−徳山 山陽新幹線の高架橋
 12日午後9時50分ごろ、山陽新幹線の新岩国−徳山間の花岡第四高架橋(山口県下松市末武上)から約2`のコンクリート塊が落下しているのをJR西日本の職員が確認した。同社によると、コンクリート塊は縦60a、横30a、厚さ2aで約2`。補修材とみられる。午後7時20分ごろ一般人から連絡があり、同社が確認。落下場所はJR西日本の用地でけが人はなかった。(京都新聞)
■山陽新幹線 亀裂、7月に確認 落下個所の7b西
 山陽新幹線北九州トンネル(北九州市八幡東区)内で計226`のコンクリート塊が落下した事故で、JR西日本が、事故前の7月17日に実施した全般検査で、落下した「打ち込み口」の近くでひび割れや激しい漏水などコンクリートの異常を把握していたことが12日、分かった。これまでJR側の発表では、事前の点検で異常は見つけられなかったとしていた。しかし実際は目視点検で異常を発見しながら、落下部分についてはハンマーを使った打音検査をせず放置したままになっていたとみられる。現場周辺に広げて打音検査をしていれば落下前に処置できた可能性が高かったといい、ずさんな点検態勢が問われそうだ。
 北九州トンネル内の落下個所から西に約7b離れた打ち込み口の周辺には、コンクリートにひび割れやすき間があることを示すために、点検作業員が書いた白チョークの文字があった。「H(平成)11、7、11」と年月日が記され、さらに「ウキ(ひび割れ)0.1×0.6A」と書かれていた。
 JR西日本によると、この文字は、事故前の7月17日に実施した2年に1回の全般検査のときに、作業員がチョークで書いたもので、ひび割れなどの異常をチェックして把握するためだったという。この部分は長さ60a幅10a程度で、たたき落とす応急処置を施していたが、落下した部分の異常は見逃していたことになる。通常、全般検査は目視点検だけだが、落下の可能性がある個所が見つかれば、打音検査などで詳しい状況を把握したうえで、ハンマーでたたき落とすなどの処置を施すことになっている。
 北九州トンネルは今年に入ってから計3回の点検を実施した。これまでの事故後の発表で、JR側は異常を見つけられなかったと説明していた。(朝日新聞)
■JR西日本 鉄道本部長ら解任
 山陽新幹線で相次ぐ事故について、JR西日本の南谷昌二郎社長は12日夜、緊急記者会見を開き、13日付で桜井紘一・鉄道本部長と別枝隆・福岡支社長を解任するとともに、南谷社長についても役員報酬一剖カット(1ヵ月)とするなどの処分を発表した。この3ヵ月間で運輸省から計4回の警告書を受けるなど安全安定輸送にかかわる相次ぐ重大事故の発生に対する責任が問われた。社長が処分を受けたのは1987年の旧国鉄からの民営化後、JR西日本では初めて。
 処分は、12日午後7時から開かれた臨時取締役会で決まった。列車の運行に責任を持つ桜井鉄道本部長とコンクリート塊が落下した福岡、北九州の両トンネルを管内に持つ別枝支社長がいずれも解任され、それぞれ現在は併任している専務取締役、執行役員だけとなった。減給処分については、南谷社長とともに桜井鉄道本部長と別枝福岡支社長が役員報酬1割カット(3ヵ月)。近藤陸士・施設部長が減給処分。
 後任は、鉄道本部長が金井耿・現専務取締役、福岡支社長には松岡義幸・現経営企画部次長が就任する。
 山陽新幹線を巡っては、6月末の福岡トンネルでのコンクリート塊落下事故に始まり、9月末の台風18号に伴う停電からの復旧が大幅に遅れ最大11時間も運転が止まったトラブル、神戸市内で保守用車両同士が追突した事故、今月9日の北九州トンネルでのコンクリート塊落下事故と3ヵ月間で計4回、運輸省から警告書が出ている。南谷社長は12日午後、二階俊博運輸相に呼ばれ、事故の経過の説明と謝罪をしていた。
 今回の処分について、南谷社長は「山陽新幹線にかかわる一連の重大事故に対する一つのけじめだ。利用者の信頼回復を取り戻すための一つの通過点で、安全かつ安定した輸送機関として事故のない鉄道会社を目指します」と語った。処分について政府から求められたからではないのかと問われると、「なるべく早く処分することが最善だと考えていた」と強調。自身の進退については「一日も早く信頼回復に努めることが私の責任だ」としている。(朝日新聞)
■新幹線コンクリ落下 「危ない」トンネル見逃す もう1本計8本に「打ち込み口」 検査せず運転再開
 山陽新幹線北九州トンネル(北九州市八幡東区)内で計226`のコンクリート塊が落下した事故で、JR西日本は、落下したのと同じ「打ち込み口」のあるトンネルを計7本としていたが、さらに1本あったことが12日、分かった。事故当日は、このトンネルの打音検査などの安全確認は行わないまま、運転を再開していた。当日の運転終了後の点検時に発見し、異常はなかったとしているが、事故の後のチェック態勢にも不備があったことで、改めて批判を浴びそうだ。
 JR西日本によると、新たに、建設の際にコンクリートを流し込んだ打ち込み口があることが分かったのは「第一桜谷トンネル」(徳山−小郡間、全長約1.8`)。上下線双方で、計3.4`にわたって打ち込み口が続いていた。
 同社は9日の事故後、図面や工事台帳で北九州トンネルと同じ打ち込み口の突起部があるトンネルを調べ、全線で計7本と発表していた。運転再開前に打音検査を実施し、このうち2本のトンネルの計3ヵ所で異常があったたため、打ち込み口をたたき落とした。
 このとき、第一横谷トンネルも図面や台帳をチェックしたが、打ち込み口の記載がなかったため検査対象から漏れたという。
 同社は同トンネルの安全性について、事故直後の同日午前7時半から8時15分までに、同社徳山施設管理室の係員が、全トンネルの緊急点検の一環として第一桜谷トンネルを徒歩巡回し、異常なしと報告があったとして、コンクリート落下の危険性はなかったとしている。しかし巡回した時点では北九州トンネルで打ち込み口が落下したとの具体的な情報が現場に伝わっていなかった。このとき点検していた係員もトンネルなどコンクリート構造物の係員ではなく、急きょ集められた保線担当の係員だったという。
 JR西日本の桜井紘一・鉄道本部長は12日の記者会見で「第一横谷トンネルが(検査対象から)漏れた点は、弁明の余地はない。保線担当の係員でも打ち込み口が、明らかに落ちるかどうかの点検は十分できる。ただ、微妙な点になると限界があると認めざるを得ない」と安全確認が不十分だったことを認めている。
 同社は第一桜谷トンネルを含め計8本のトンネルにあるすべての打ち込み口(総延長計約36`)について、「トンネルの強度上は不必要」として除去する計画で、早ければ来週から約1ヵ月間で除去を終えたいという。
・「処分恥ずかしい」 JR西 社長会見
 「社長が処分を受けるのは初めて。大変恥ずかしいことだ」−山陽新幹線北九州トンネルのコンクリート崩落事故などにからむ12日夜の処分発表で、JR西日本の南谷昌二郎社長は終始うつむきながら語り、頭を下げた。「早く処分をするつもりで、それが今日になった」と処分が予定通りだったことを強調したが、二階俊博運輸相ら政府関係者へ謝罪に上京した直後の緊急発表で、「外圧」に押されての決断をうかがわせた。
 午後8時から開かれた会見で南谷社長は桜井紘一・鉄道本部長ら幹部の処分を発表し、「全員で力を合わせて事故のない会社にしてゆきたい」と述べた。桜井本部長と別枝隆・福岡支社長がいずれも解任され、役員報酬の1割カット(3ヵ月)の減給処分を受けたのに対し、南谷社長の処分は報酬1割カット(1ヵ月)だけだった。社長の処分が軽すぎるとの質問に対し「適正と考えている。減給を受けること自体に重さがある」と答えた。
 運輸相に求められて処分に踏み切ったのかと問われると、「私どもとして主体的に決めた。昨日休んで頭を悩まし、今朝臨時取締役会を開くことを指示した。処分を早く決めることが最善と考えた」と否定した。
 南谷社長自身の進退については、「信頼回復のためにれんがを積み上げる仕事を続けるのが私の使命だ。株主総会で信任を受けている間は努力を続けたい」と話した。(朝日新聞)
■落下の補修材公開 JR西日本 鉄筋がさびて膨張
 山口県下松市で12日夜、山陽新幹線・新岩国−徳山間の花岡第四高架橋から補修材が落下しているのが見つかった問題で、JR西日本広島支社は13日、補修材を公開した。
 モルタル樹脂製で縦約60a、横約30a、幅約2a。鉄筋のさびとみられる跡が2本残っており、落下の衝撃で2つに割れていた。同支社は約2`としていた重さを、約3.5`と訂正した。
 同支社広島土木センターの生駒昇所長は落下の原因について「何らかの原因で、コンクリートと補修材の間にある鉄筋がさびて膨張した」との見方を示している。(京都新聞 夕刊)
■関係業者に総点検指示へ 運輸省
 山陽新幹線のトンネルでコンクリート塊落下事故が発生するなど、重大な運輸事故が相次いでいることから、運輸産業での抜本的な安全対策を打ち出すために設置された「運輸省事故災害防止安全対策会議」(議長・梅崎寿事務次官)の初会合が13日午前、同省内で開かれた。初会合では、約12万7000に上る陸、海、空の運輸関係業者に対して、運行マニュアルを守っているかなどを自主的に総点検するよう今月中をめどに指示することを決めた。さらに、点検結果報告に基づいて、年末年始の安全総点検で主な約2300社を立ち入り検査することにした。(京都新聞 夕刊)
■コンクリまた落下 山口 山陽新幹線の高架橋
 山口県下松市の山陽新幹線新岩国−徳山間の花岡第四高架橋で、橋げたから重さ2`のコンクリート片が落下していたことが12日、JR西日本の調べで分かった。高架橋の下はさくで囲まれた空き地で、けが人はいないという。
 山陽新幹線では7月初めからすべての高架橋を緊急点検し、落下の恐れのある個所をたたき落とす応急処置を施していた。今回の落下個所は、すでに1992年1月に補修工事を済ませていたという。
 JR西日本によると、落下したコンクリート片は1個で、長さ約60a、幅約30a。
 劣化が進んでいた個所の補修材で、高さ約7bの橋げた中央付近から落ちたとみられる。12日午後7時20分ごろ、通行人が見つけ、広島支社に連絡があった。JRが原因を調べている。
 山陽新幹線の高架橋からコンクリートの落下が確認されたのは今年4月以降、計10件にのぼる。
・「点検で運休 必要はない」二階運輪相
 山陽新幹線北九州トンネルの崩落事故で、二階俊博運輸相は13日、「(終電から始発までの)6時間をフルに活用して安全確保に対応したい」と述べ、JR西日本の「点検のために、運行を止める必要はない」とする方針を、改めて認めた。参議院決算委員会で答えた。(朝日新聞 夕刊)
14日■窓 配慮なさ示す 車内での化粧 北区・勝山 吉朗(表具師・43)
 電車に乗ると、車内で化粧をする若い女性を見かけることが多くなった。過日、見かけた女性は、ねじを切ったような細い棒でまつ毛を整えるのに余念がない。また別の日に見かけた女性は、先端が弧をえがく形の挟む金具で丹念にまつ毛の手入れをしていたが、私の目に映ったのは、それぞれ3、4本ずつまつ毛の先がくっつき、まぶたの先には黒い小さな三角形が並んでいるようであった。
 年齢に関係なく紅をひいたり、ファンデーションを塗っている人も時には見かけるが、さすがにベテランは素早く済ます。「車内での携帯電話はお控えください」とのアナウンスに加え「車内でのお化粧はお控えください」とのアナウンスを耳にするのも、そう遠くないことかもしれない。
 電車内での電話や化粧にかぎらず、権利と自由を振り回す少数の分別をなくした人々に社会規範もむしばまれていくのか、周りに対する配慮のなさが社会全般に広がりつつある。(京都新聞)
■コンクリ劣化 公表せず JR西日本 新幹線全線の実態調査 「利用客に不安与える」
 山陽新幹線のコンクリート落下事故の相次ぐJR西日本が、同新幹線開業以来、全線にわたって高架橋と橋りょう、トンネルのコンクリート劣化状況を実態調査しながら、その結果を公表しない方針を決めていたことが明らかになった。「致命的な欠陥ではなく、(公表すれば)利用者に不安を与えかねない」との理由で、南谷昌二郎社長も承認しているという。しかしJR東日本は、事故後管内全域の在来線の高架橋の実態を公表しているうえ、研究者らからも「抜本対策を立てるには不可欠の資料」との指摘がある。情報公開に消極的なJR西日本の姿勢が問題になりそうだ。
 JR西日本は、山陽新幹線が旧国鉄時代の1975年に全線開業して以来、コンクリートの変状や変状個所の進行の有無などを徒歩巡回して調べる「全般検査」を2年に1回実施。構造物ごとに劣化の程度を、「健全度区分」として「A」(構造物の機能にかかわる変状または欠陥で、運転保安や旅客などの安全ならびに正常運行の確保を脅かし、またはその恐れのあるもの)▽「B」(そのまま放置すると数年後にはA になる)▽「C」(軽微な変状)▽「S」(健全)の4ランクに分けて把握している。
 さらに、Aランクと判定された構造物に対しては、補修などの対策を講じるために変状の原因や機能の程度を把握する「個別検査」を実施。「AA」「A1」「A2」の3ランクに分類し、検査記録に建設年月、設計計算書の有無、工事関係記録、荷重歴などの事項を記載している。
 しかし同社は6月に福岡トンネル内を走行中のひかりを計200`のコンクリート塊が直撃して以降、事故が相次ぎながら、落下個所の健全度区分を明らかにしていない。わずかに8月末、山陽新幹線の高架橋・トンネル外壁で、コンクリート劣化原因のひとつの「アルカリ骨材反応」による亀裂の状況について明らかにしただけだ。
 同社は9月初め、コンクリート劣化問題を含めたインフラ整備のための会議を開いた。その場で、健全度区分などを含めたコンクリート劣化に関するデータについて、「致命的な欠陥ではなく、これ以上利用者に不安を与えられない」との理由からデータを公表しない方針を決めた。運輸省や鉄道総合技術研究所(JR総研)に設けられたコンクリート問題の対策委員会に対しても、データを報告しない方向で検討しており、南谷社長もその方針を了承しているという。
 同社は「必要な検査を行い、その変状、劣化の程度に対応して必要な処置を施しており、機能に影響のある個所はない。健全度区分は会社の施設をどのように管理してゆくかという判断に資するデータであり、社外に公表する考えはない」としている。
 一方、JR東日本は8月に、管内を走る在来線のすべての高架橋と橋りょうの橋げた計2万6905ヵ所(連)について、96年度までの10年間にわたるコンクリート劣化(変状)の実態調査の結果を公表した。新幹線については、建設時期が比較的新しいため「抜本補修は不必要」として除外している。Aランクと判定されたのは全体の2%にあたる524連で、原因は、施工不良のほか、空気中の二酸化炭素がコンクリート中のアルカリ成分を中和させて鉄筋をさびやすくさせる「中性化現象」や塩害によるものとみている。
 JR東日本は「利用者に安心して乗っていただくために公表するのは鉄道会社の義務と考えている。コンクリート劣化が社会問題となっている時でもあり、公表するのは時代の流れだ」と話している。
・非公表の姿勢が問題
 約15年にわたって山陽新幹線のコンクリートの劣化状況を調べている大阪工業大の二村誠二講師(建築材料学)の話 JR東日本の実態調査からは、思ったほど劣化は進んでいないが、従来の補修では十分な効果が得られないことが分かる。問題なのは公表しないJR西日本の姿勢だ。利用者は劣化の実態を知ったうえで、利用するかどうかを判断したい。材料となる情報がないのに、安全を強調されても信じられず、あまりにも国民をぐろうしている。たとえ深刻なデータであっても、利用者の命を預かっている以上は公表すべきだ。(朝日新聞)
■JR高架コンクリ落下 事前点検で危険と認識
 山口県下松市の山陽新幹線の高架橋からコンクリート片が落下した事故で、JR西日本が今年6、7月の点検の際に、この部分をはがれ落ちる可能性のある危険個所と認識しながら放置していたことが13日、わかった。
 JR西日本広島支社広島土木技術センターの生駒昇所長によると、6月の点検の際、このコンクリート部分を「はがれ落ちる兆候があるが、すぐには落ちない」と判断。7月の一斉点検の際には「少し進んだ」と認識していたという。
 生駒所長は「対策(が必要な)個所ではあったが、人が立ち入らない場所であり、後回しになった」としている。(朝日新聞)
■新快速に飛び込み JR安土駅ホーム
 14日午前10時35分ごろ、滋賀県蒲生郡安土町上豊浦のJR安土駅上り線ホームで、同郡内に住む女性(28)が長浜行き新快速電車に飛び込んだ。女性は、右足首切断の重傷を負ったが命に別状はない模様。
 この事故で、同電車が現場に12分間停車したほか、後続の列車2本に12分から2分の遅れが出た。(京都新聞 夕刊)
■新幹線トンネル 落下個所のひび、7月確認 「軽微」と判断、放置 JR西日本 甘い検査、浮き彫り
 山陽新幹線北九州トンネル(北九州市八幡東区)内で計226`のコンクリート塊が落下した事故で、JR西日本が事故前の7月、落下した「打ち込み口」にひび割れや漏水などコンクリートの異状を確認しながら「軽微」と判断、そのまま放置していたことが分かった。同じ検査で、落下地点から7b離れた個所で「重大」なひび割れも見つかるなど、この周辺は広範囲にコンクリート劣化が進んでいたものとみられ、検査態勢の甘さが浮き彫りになった。
 JR西日本によると、北九州トンネルで全般検査が実施されたのは7月17日。作業員がトンネル構造物作業車に乗って、至近距離からトンネルの壁を見回った。その結果、今回落下した打ち込み口にひび割れがあり、地下水が流れ出ているのを確認した。
 しかし作業員はこのひび割れの程度を「Cランク」(軽微な変状)と判定。ハンマーでたたく打音検査をしないまま検査を終了していた。打音検査を実施していれば、状況の深刻さが分かり、落下事故を未然に防げたとみられる。
 落下した打ち込み口は、側壁をつくるためにコンクリートを流し込んだ注入口で、内壁から厚さ15a程度の突起物として残っている。これまでJR西日本は「打音検査をしていれば、異状を見つけられた可能性が高い」としながらも「打ち込み口は側壁と一体になっているため、弱点個所という認識はなかった」と説明し、想定外の事故だったことを強調してきた。
 しかし同じ日の検査で、この落下個所から約7b離れた打ち込み口の周辺を、高い危険度を示す「A」と判断。落下の恐れが高いとして、すぐに長さ約60a、幅約10aにわたってコンクリートをたたき落としている。
 異状に気付きながらも「過小評価」した点について、JR西日本は「漏水はあるものの大きな変状との認識に至らず、現状では構造物に与える影響は軽微と判断した。結果的に判断を誤って申し訳ない。検査の見直しが今後の課題だと考えている」と、点検の甘さを認めている。
 12日に見つかった山口県下松市の山陽新幹線高架橋でのコンクリート落下事故でも、6、7月の点検で現場の異状に気づいていたが放置していたことがわかっている。(朝日新聞 夕刊)
15日■「がけっぷちの危機」 JR西社長 社員に訓示
 山陽新幹線でトンネルのコンクリート崩落など事故やトラブルが相次いでいるJR西日本の南谷昌二郎社長は14日、大阪市北区の本社で社員約450人を集め、「一連の事故で当社はがけっぷちの危機にいる」として、「信頼の再構築に力を発揮してほしい」と呼びかけた。
 相次ぐ事故を受けての社内処分を報告し、「お客様にけががなかったのが不幸中の幸い」と信頼回復に努めるよう求めた。さらに「(民営化後)これまで積み上げてきたJRの栄光は風前のともしびだ。批判は期待の裏返しとして受け止め、取り組まなければならない。しばらく週休2日制を返上する」と語った。(朝日新聞)
■夕映ゆ A 二条駅 電車待つ主人公たち
 一瞬、波間に浮かぶ大型客船の甲板かと疑った。独持なフォルムの屋根と人影が暮れなずむ西空に浮かんだ。駅前ロータリーから見上げた高架のJR二条駅。
 携帯をかける若者。友と語り合う人の輪。家路を急ぐサラリーマン…。日常の情景が、あかね色の空を背景に、ドラマチックなサイレント映画のワンシーンに転換した。
 直後、夕焼けをかなたに、暗雲が立ちこめ、大粒の雨がホームをたたいた。映画の舞台は、早送リシーンに変わった。(京都新聞 夕刊)
■トンネル点検 具体的指示へ JR西日本へ運輪省
 JR山陽新幹線の北九州トンネルでコンクリート塊が落下した事故を受け、運輸省鉄道局は15日午後、JR西日本の金井耿・鉄道本部長を呼び、トンネル総点検の具体的な指示を出す。打音検査の範囲を拡大した点検実施計画を提出させたうえで、点検作業には同社の幹部も立ち会うよう求める。運輸省も鉄道局の審議官クラスが随時、点検作業を視察する予定。
 打音検査の具体的な対象個所は、同社の判断に任せるが、鉄道局は「コールドジョイントや突起部分だけでなく、二度と同じような事故がないよう、心配のあるところはすべて打音するつもりでやってもらいたい」としている。
 二階俊博運輸相は同日の閣議後の記者会見で「何度も運輸省から注意しているが守られておらず、行政処分が軽く受け止められているのではないかという感がある。すべての関係者が初心にかえり、一刻も早く国民の信頼の回復に努めてもらいたい」などと話した。(朝日新聞 夕刊)
■走行中の電車 窓ガラス破損 JR山陽線・土山駅近く
 15日午前7時50分ごろ、兵庫県播磨町のJR山陽線土山駅で、停車中の網干発米原行き上り快速電車(12両編成、乗客約2000人)の運転士に乗客から「土山駅の手前で窓ガラスが割れた」と連絡があった。運転士が調べたところ、先頭車両の中央付近の窓ガラス1枚に穴(長さ84a、幅66a)があき、そこからくもの巣状に全体の半分にわたってひび割れがあった。約150人が乗っていたが、けが人はなかった。客室内にはガラスの破片が散乱しており、乗客がほかの車両に移ってから約9分後に同駅を出発した。このため、上下計2本が運休し、上り10本が10−2分遅れるなど乗客計約1万6000人に影響した。
 JR西日本によると、ガラスは強化ガラス(厚さ約5_)で、走行中に外側から割られたとみられる。投石の疑いもあるとみて調べている。(朝日新聞 夕刊)
16日■補修までの判断基準問題 JR西日本社長
 JR西日本の南谷昌二郎社長は16日、山陽新幹線北九州トンネル壁崩落事故の現場視察後に北九州市の小倉駅で、記者団の質問に答え「トンネル内は漏水や変色がかなりあり、早くから劣化が進んでいたことがはっきり分かった」と感想を述べた。最大の問題点については「(劣化の)兆候があった時、補修に行くまでの判断の基準を見ていかなければならない。組織として弱い面もあったと思う」と指摘した。(京都新聞 夕刊)
■コンクリ落下 福岡トンネル 19ヵ所 危険度「A1」 JR西日本 1年前検査 一般公表せず
 山陽新幹線の福岡トンネル(福岡県久山町、全長約8.5`)で今年6月末、コンクリート塊が落下して走行中の列車を直撃した事故の約1年前、JR西日本が同トンネルを対象に検査を実施し、計19ヵ所のコンクリートについて高い危険度を意味する「A1ランク」と判定していたことが16日、明らかになった。広範囲にコンクリート劣化が広がっていたことを示すデータだが、実際に崩落した個所は、軽微な変状とされる「Cランク」とされており、検査の実効性が問われる事態になりそうだ。また同社はこの調査結果を運輸省には報告したものの、一般には公表していなかった。
 JR西日本によると、6月27日の落下事故の約1年前の昨年7月、同トンネル内で2年に1回の全般検査を実施した。その結果、トンネルの計19ヵ所について、ひび割れやすき間などコンクリートの劣化程度について落下などの危険度の高い「Aランク」と判定。さらに、その後の個別検査で「AA」「A1」「A2」の3分類のうち、「運転保安に対して早晩脅かし、異常外力の作用時に危険。変状が進行し、機能低下も進行。早急に措置が必要」とされる「A1」と判定した。このほか、「Bランク」(進行すればAランクになる)が30ヵ所、「Cランク」(軽微)が420ヵ所に及んでいた。
 「A1」と判定した19ヵ所のうち15ヵ所は、施工時にコンクリートが均一に詰まらなかったために「ジャンカ」というすき間ができる劣化で、最も大きなものは側壁の継ぎ目付近に長さ90a、奥行き40aにわたって広がっていた。
 実際に落下した区間(長さ12b)についても検査したところ、落下個所の反対側の壁面にはひび割れを確認したが、落下個所そのものにはひび割れなどは確認できなかったという。このため、このブロック全体についてCランクと判定していた。
 JR西日本は19ヵ所について、検査直後にコンクリートをたたき落とす応急処置を施し、事故前に16ヵ所で補修工事を終えた。残り3ヵ所は今年度中に補修する予定だという。福岡トンネル事故では、落下したコンクリート壁面に施工不良個所「コールドジョイント」があったことが崩落の一因とみられているが、今回判明したA1ランクの19ヵ所はコールドジョイント個所ではなく、事故後の調べで、計16ヵ所のコールドジョイント部が新たに見つかっている。
 JR西日本は「落下個所で打音検査を実施していれば、異常を発見できた可能性がある。今後は打音検査をCランクやその周辺にまで広げることを検討したい」としている。また検査結果を公表しなかったことについては「運輸省にはデータの提出を求められたから通知した。健全度区分は会社の施設をどう管理していくかに資するデータであり、報道各社をはじめ社外に公表する考えはない」としている。(朝日新聞 夕刊)
■JR西日本社長 点検不備認める コンクリ落下 事故現場を視察
 JR西日本の南谷昌二郎社長は16日未明、計226`のコンクリート塊が落下したJR山陽新幹線・小倉−博多間の北九州トンネル(全長11.7`)内の事故現場を視察した、。終了後、「(建設)当時はオイルショックの前後で、公共事業が大幅に増えた時代。資材も人手も足りないという時代背景があったのではないのか」と述べて、工事内容に問題があった可能性があるとの見方を示唆した。
 南谷社長は15日夜、福岡支社福岡工務所で補修作業に当たっている社員を前に訓示。その後、保守用列車でトンネル内の事故現場を約2時間かけて視察した。
 視察を終えた南谷社長は「随分漏水も変色もあり、早くから劣化が進んでいたことがはっきり分かった」と、劣化が長期にわたっていたことを認めた。
 異状が発見できなかった理由を「兆候があったとしても、実際にそれを補修までもっていく判断基準のあり方が問題。『まだ(コンクリートが)持つ』とみるかどうかの点。結果論だが、今回も早く落としておけばああいうこと(落下事故)にはならなかった」と事実上、点検の不備を認めた。
 相次ぐ落下事故については「建設当時の事情もやはりあるのではないかと思う。しかし、『打ち込み口』は当時として画期的な方法で、きちんと出来上がっていれば全く問題はなかった。後は管理の問題になる」と語った。(朝日新聞 夕刊)
17日■電車加えリアル実験 県と大津市 パーク・アンド・ライド 駐車場利用者は15%(昨年初日比)と低調 「有料」への抵抗感も
 大津市中心部の交通渋滞緩和を図るため、マイカーを周辺の臨時駐車場に止め、シャトルバスや電車で市街地を訪れてもらう「パーク・アンド・ライド」の実験が、16日始まった。駐車場利用者は計約120人で、昨年の初日(約820人)の約15%にとどまった。17、23、24日も行う。
 滋賀県と大津市が実施主体で、昨年に続き2回目の実験になる。今年は、駐車場から市街地への足として、電車を追加。また、より現実に近づけるため駐車場とシャトルバスなどの運賃を有料とした。
 初日は、市街地周辺部や草津市内に設けられた6ヵ所の臨時駐車場で、車が数台しか駐車されていない状態が目立った。駐車台数は計約60台(昨年初日約370台)で、駐車場利用者のうち京阪電車の利用者は約60人にとどまった。
 市街地の移動手段として臨時運行した循環バスに乗った大津市内の会社員(66)は「いい試みだが、情報提供が不十分なのでは」と話していた。
 県と大津市は「学校が休みではなく、通常の土曜日より交通量が少なかったようだ。駐車場などを有料としたことへの抵抗感もあったのかもしれない」と分析している。(京都新聞)
■コンクリ片 落下跡、通行人が発見 山口の高架橋 JR、6月から放置
 山口県下松市の山陽新幹線新岩国−徳山間の花岡第一高架橋で、橋げたから重さ約2`のコンクリート片が落下していたことが16日、JR西日本の調べで新たに分かった。高架橋の下はさくのある空き地だったが、けが人はいなかったという。今年6月の点検で橋げたにはがれ落ちた跡を確認していたが、落ちたコンクリート片を発見できないまま放置されていた。
 JR西日本によると、落下したコンクリート片は1個で、長さ約60a、幅約10a、厚さ約5a、重さ約2`。鉄筋コンクリート製の橋げたの上り線側の張り出し部分から落ちたとみられる。16日午前8時半ごろ、通行人から「コンクリートがはがれ落ちた跡を見つけた」との連絡が同社新岩国施設管理室(山口県岩国市)にあった。係員が駆けつけたところ、高架下の草むらの中にコンクリート片を見つけた。はがれ落ちた跡からは鉄筋が見え、さびていた。高架下が立ち入り禁止の空き地のため、さび止めなどの応急処置は施していないという。
 JRは今年6月20日、同高架橋を対象に2年に1回の徒歩巡回による全般検査を実施していた。その際、張り出し部にコンクリートがはがれ落ちていた跡を確認していたが、落下したコンクリート片を見つけることができず、現場からの報告もなかったという。(朝日新聞)
18日■トンネル壁が崩落、電車接触 JR飯田線
 17日午後3時55分ごろ、長野県天竜村のJR飯田線伊那小沢−中井侍間の小沢トンネル(長さ393b)内で異常な音がしたため、天竜峡発豊橋行き上り普通電車(2両編成)が停車した。トンネル壁面(約2d)から崩れ落ちたとみられる岩に、先頭車両の車輪をカバーする排障機が接触していた。乗客約20人にけがはなかった。
 山陽新幹線の福岡トンネル事故を受け、JR東海は新幹線、在来線のトンネルの緊急点検を進めていたが、小沢トンネルは緊急点検の対象外だった。
 JR東海によると、崩れたトンネル壁面は高さ1.7b、最大幅3.7b、厚さ0.7bで重さ約2dに上り、このうち縦横0.9b、厚さ0.4bの岩に電車が接触したらしい。前の電車が午後2時半ごろ通過した際には、トンネル内に異常はなかったという。(京都新聞)
■奔流底流 地下鉄東西線延伸あす起工 広域交通網 拡充に期待 建設費の圧縮が課題 西伸の試金石に 宇治市も資金援助
 京都市の地下鉄東西線を醍醐(伏見区)から六地蔵(宇治市)まで延伸させる工事が、19日から始まる。区間は2.4`と短いが、地下鉄が初めて市外に延び、六地蔵でJRや京阪と接続する。京都を中心にした都市圏の交通ネットワークが拡充することに、市民は大きな期待を寄せる。宇治市は、新しいまちづくりへの起爆剤と位置づけ、資金援助する。既存の二条−醍醐間は建設費が膨張し大問題となった。厳しい財政の折、事業主体となる市交通局の工程管理のあり方が試される。(政経部 河端淳、南部支社 内川和則)
 京都市伏見区石田。乗用車がひっきりなしに行き交う外環状線沿いに今年6月、2階建てのプレハブ建物ができた。市交通局の延伸工事建設事務所。用地買収や測量などの仕事を抱えた職員が、次々と出入りする。19日の起工式を前に、「前線基地」はすでにフル回転で動いている。
 洛西から宇治まで、京都の東西軸を結ぶ計画を持つ地下鉄東西線。最初に事業化された二条−醍醐間(約12.7`)は、90年に着工、97年10月に開業した。現在は1日平均約12万人の乗客を運び、交通の大動脈となっている。
 今回は、東の終点となっている醍醐駅から、市道の外環状線の直下を通り、南の六地蔵まで伸びる。区間のうち470bが宇治市域。「石田」(伏見区)、「六地蔵」の2駅が設けられる予定だ。
・陸の孤島解消
 市交通局は昨年5月に運輸省の事業免許を取得。2004年秋の開業を目指す。建設費は712億円で、京都市が一般会計から142億円を出資するほか48億円を補助。国が77億円、府が38億円、宇治市が19億円を負担する。公営企業の交通局が、残る388億円を企業債でまかなう。
 沿線の期待は大きい。「京都の中心部に出るため醍醐駅まで自転車で行くんです。バスだって少なくなったし」。醍醐駅から約1.2`離れた伏見区小栗栖の主婦(38)は嘆く。「バスの到着時刻に生活を合わせている」というのは同区石田のバス停にいた女性(73)。延伸地域で外環状線を通るバスは片道1時間3本のみ。延伸後は電車が1日122往復も運行するだけに、「陸の孤島が解消される」という。
・宇治の北玄関
 東西線の六地蔵駅は、JR奈良線六地蔵駅の西側に隣接する。また400b南には京阪宇治線の六地蔵駅がある。「市民の交通手段の選択肢が広がる」。宇治市の久保田勇市長は六地蔵を、京都、大阪、奈良を結ぶ広域交通ネットワークの核とする考えだ。
 先に東西線が開通した山科区は2年前から人口が増加に転じ、今年5月に過去最高の13万7600人になった。不動産業者は「東西線延伸をうたい文句にする住宅情報が増えた」という。六地蔵駅は1日1万8000人の利用客を見込む。大型スーパーもここ数年で3店が開店した。
 宇治市はJRと地下鉄の両駅に挟まれた駅前広場(6300平方b)の整備を進める。「木津川左岸は整備が遅れていた。延伸を機に『北の玄関』として商店街に人を集め、活性化につなげる」。地元のまちづくり協議会の大東輝夫会岳(57)は意気込む。
・経費増はクビ
 だが、東西線の二条−醍醐間は、当初2450億円とされた建設費が、最終的には4537億円に、1.85倍も膨らんだ。
 市交通局では今回、事業免許を受けると同時に幹部クラスの「事業管理委員会」を置いた。特に建設費縮減部会を設け、コスト削減を図る。「今度膨張したらクビ。当初通りの工事を厳命されている」と市交通局の幹部。
 具体的には、掘り出した土を市の公共事業に転用したり、調達する資材の価格を徹底的に削減する。また区間の短い今回は、駅周辺以外は道路を開削しないシールド工法を用い「前回1`当たり330億円だった工事費を297億円にする」(同交通局高速鉄道部)という。
 厳しい財政との折り合いをどうつけるか。洛西方面への西伸を控え、今回の工事は試金石ともなる。(京都新聞)
■交通機関は障害者配慮を 環境改善求め集会
 高齢者や障害者に配慮した交通環境の改善を求める市民団体「誰もが使える交通機関を求める全国行動東京委員会」が17日午後、東京・日比谷公園で集会を開き、車いすなどで実際に地下鉄を利用して駅のエレベーターやホームドアなどの設置を訴えた。
 身体障害者ら約170人が参加した集会では、視覚障害を持つ堀利和参院議員らが「環境整備に障害者の意見が反映できるシステムが必要」などとあいさつ。
 集会後、メンバーは営団地下鉄丸ノ内線の霞ヶ関駅から新宿へ移動。沢たまき参院議員らも目隠ししたり、電動車いすに乗ったりして障害者の地下鉄利用を体験した。(京都新聞)
■新式リニアを開発 コイルは1種類 費用削減も可能 九大教授ら
 浮上と推進、左右のずれ修正の3機能を、軌道に由り付けた1種類のコイルで済ませる新タイプの磁気浮上式リニアモーターカーを、九州大の吉田欣二郎教授(電気電子システム工学)らが開発、試作機での実験を17日公開した。
 JR東海などが走行試験を進めている山梨リニア実験線では、推進用コイルと浮上用コイル、左右制御用ケーブルが必要。
 低速からの浮上も可能で、コスト削減や産業用搬送システムへの応用が期待できそうだ。19日から東京で開かれる世界鉄道研究会議で報告する。
 試作機は、長さ1.3b、幅20a、重さ50`。軌道の左右の壁に設置したコイルとの反発力で浮上、推進、左右のずれ修正をする。
 コイルに流す電流の大きさや周波数をコンピューター制御することで、3種類の制御を1種類のコイルで可能にした。実験では、車体は5_浮き、ゆっくりと18a移動した。(京都新聞)
■レール内側 砕石が落下 山陽新幹線など
 17日午前3時50分ごろ、福岡市南区横手一丁目、JR博多南線博多南−博多駅間の上り線レール内側に、線路に敷設するバラスト(砕石)8個が落ちているのが、始発前の線路点検で見つかった。さらに博多南線と接続する山陽新幹線の博多−小倉駅間の福岡トンネル(福岡県久山町)内までの約20`の間の4ヵ所でも、45個が見つかった。すべて回収したが、JR西日本は博多南−小倉駅間を再点検するため、始発から同7時15分まで、上下線で時速120`の徐行運転をし、計9本に最大で14分の遅れが出た。(朝日新聞)
■冬の但馬へ「カニ列車」も JRが臨時列車
 JR西日本福知山支社は、福知山、播但、山陰各線の12月−来年2月の臨時列車を発表した。北近畿のズワイガニ料理や温泉などの観光客向けに、京阪神から但馬地方に全席指定の「かにカニ列車」を運行するほか、年末年始には各線で臨時特急や初もうで列車を運転し、混雑緩和を図る。臨時列車の総数は313本で、定期列車を合わせた期間中の全運転本数は5409本(昨年度5546本)と、輸送規模は前年比98%になった。
 かにカニ列車は、昨年まで運転していた「味めぐり号」を改称し、昨年より31本多い284本走らせる。運転日は週末が中心で、福知山線の特急「かにカニ北近畿」(新大阪−香住、城崎)▽播但線の特急「かにカニはまかぜ」(大阪−香住)▽山陰線の特急「かにカニ香住」(京都−香住)など。
 年末年始は、帰省のピークを12月30日、Uターンのピークを1月3日に設定し、その前後に山陰線の特急「きのさき」や播但線の特急「はまかぜ」、福知山線の特急「北近畿」を増発する。また1月2、8の両日には香住、浜坂から京都への初もうで列車を、同10日には智恩寺(宮津市)の参拝客向けに、福知山と東舞鶴から臨時列車を運転する。(朝日新聞)
■100年のこと 第4部 仕事のすがた 6 鉄道員 笑いと涙、鉄路を走る
 米国・デトロイトに住む松下佳子さん(29)は、車を運転しながら、ふと不思議な感覚になることがある。
 「どこかで見たような…」 生まれ育った北海道の函館の風景に似ているからだろうか。
 東京に、海外に、早く行きたかった。大学を卒業して自動車メーカーに就職。去年、デトロイトに転勤し、エンジンの部品購入を担当している。
 佳子さんが東京の大学に合格して函館駅を旅立ったのは、青函トンネル開業の直後。トンネルフィーバーに沸く津軽海峡線は、乗客で膨れ上がっていた。期待を胸に海峡を涯った。
 1988年3月13日。ドボルザークの「新世界より」が奏でられるなか、函館駅を青函トンネル一番列車の特急が後にする。佳子さんの父、洸さん(56)は、その運転席でハンドルを握っていた。
 列車は津軽海峡の闇を貫き、光の輪に吸い込まれていく。「おやじとよく来た青森に、海をくぐって着いたんだな」
 自ら鳴らした汽笛は、洸さんの胸に強く響いた。本州と北海道が1本の鉄路で結ばれた「世紀の日」は、青函連絡船が80年の歴史に終止符を打つ日でもあった。
 津軽海峡線開業の5年前に亡くなった洸さんの父、喜助さんは青函連絡船の二等機関士だった。鹿児島県川辺郡の漁師の家に生まれ、16歳のときに下関と釜山を結ぶ関釜連絡船の機関士になった。その後、青函連絡船に異動になり、63年に退職するまで機関士を務めた。
 「連絡船に乗せてもらって何往復したか分からない」。父の仕事場は、貨物車のさらに下の船の一番底にあった。蒸気船のボイラーに、かま焚きたちが大きなスコップで石炭を放り込む。デッキや船室で過ごす乗客と、列車に載せた貨物が海峡を越えられるのは、灼熱の機関室で汗を流す人がいるからだ。
 青函トンネル建設が大きく動き出したきっかけは、洞爺丸台風の事故だった。小学5年だった洸さんは、おびただしい数の遺体が浮かぶ海をはっきり覚えている。「あの大きな船が沈むなんて…」。連絡船の雄姿を毎日眺めていた少年には、信じられない光景だった。
 洸さんが「あこがれ」の国鉄に入るとき、連絡船の募集はなかった。機関士になったのは72年、SL世代の最後だった。工場で解体されている機関車を横目に勉強した。運転は、入社後10年間の「かま焚き」時代に体にしみこんでいる。石炭を放り込むのは、先輩の機関士と呼吸を合わせなければならない。
 「運転を見れば、見習い時代にだれについていたか分かる」
 愛社精神からか、飛行機にはほとんど乗らなかった。「内地」に行くときは、鉄道と連絡船だった。一人娘の佳子さんが生まれたときも、喜助さんが息を引き取ったときも、洸さんは線路の上にいた。
 青函トンネルの開通当時、皮肉にも鉄道は一つの時代の終わりを告げていた。前年に国鉄は分割・民営化。「鉄路拡大」の流れは完全についえた。
 内地への貨物輸送に重きが置かれた北海道の鉄道は、国に廃線の道筋をつけられた。
 炭鉱の石炭や木材の輸送が目的だった白糠線が、廃線第一号となった。開業に携わった小原幸一さん(80)は「政治家の人気取りのために造られた路線だった」と振り返る。
 幸一さんが鉄道省樺太鉄道局に赴任したのは、43年6月のことだ。国境警備の強化と、軍事物資の大量輸送実現のため、さらに北へと鉄路の廷伸が求められた。
 物も人も足りない時代。鉄道員だった父の其人さんが携わった札沼線の線路を撤去して、樺太に運んだ。幸一さんは、田植えが終わった東北の農家を訪れ、出稼ぎ労働者を樺太に送り込んでいった。
 守るための鉄路が、逆にソ連軍の侵攻に利用される。造ったばかりの鉄橋を爆破しながら南へ逃げた。ソ連軍に抑留され、爆破した鉄橋は、手作業で復旧させられた。
 造ってははがす−。息子まで親子三代国鉄マンの小原家にとって、鉄道の仕事とはその繰り返しだった。
 人の波であふれていた函館駅と桟橋を結ぶ連絡通路は今、途中でぷっつりと切れて宙に浮いている。上空をジェット機がかすめていく。津軽海峡線は、4両の車両が乗客で埋まることはほとんどない。
 時代は変わった。その渦中で、鉄道員たちは自らの務めを果たしてきた。
 去年、洸さんはJRを退職した。「無事故で終わってほっとした」。気を張り続けた36年間だった。秒刻みの仕事を支えた懐中時計が、自宅の木箱に大事にしまわれている。
 退職直前、洸さんは初めて祖父の故郷を訪れた。佳子さんも旅しようと思っている。(星野 眞三雄)=おわり(朝日新聞)
■上越新幹線でもコンクリ片落下 高架橋から700c 埼玉・桶川
 JR東日本は18日、埼玉県桶川市の上越新幹線で、高架橋から重さ約700cのコンクリート片が落下しているのが見つかったと発表した。
 コンクリート片は長さ約22a、幅約17a、厚さ約2a。橋脚からはがれ、道路に落ちており、近所の人が17日午後4時5分ごろ発見、通報した。通報では詳しい場所が分からず、17日午後10時ごろ、職員が確認した。
 JR東日本によると、けが人はなく、橋脚自体の強度にも問題はないという。
 同社の調べでは、コンクリートは橋脚が外側に張り出した部分からはがれていた。設計上は厚さ7aとなっており、厚さが足りなかったため、微細な亀裂から水分が入り鉄筋が腐食、膨張してはく落したらしい。同社は施工に問題があったとみている。
 8月2日の定期検査と同18日の巡回検査では異常は見つかっていなかった。
 JR東日本は、18日中に上越新幹線大宮−越後湯沢間の緊急点検を始める予定。(京都新聞 夕刊)
■上越新幹線でコンクリ落下 埼玉の高架橋
 埼玉県桶川市五丁台の上越新幹線大宮−熊谷間の高架橋で、橋げたから重さ約700cのコンクリート片が落ちていたことが18日、住民の通報を受けたJR東日本の調べでわかった。落下場所はJRの敷地内だが、付近の住民が通路として利用している場所だった。けが人はいないという。
 同社によると、コンクリート片は長さ22a、幅17.5aで、厚さは1−2a。橋げたの地上約5bの部分が欠けているという。
 この高架橋は今年8月に定期検査と巡回検査を終えたが、異状は報告されていなかったという。同社は「いつ落ちたかは確認できない。橋げたの強度には問題ない」と説明している。(朝日新聞 夕刊)
■快速が故障 1500人に影響 奈良、JR関西線
 18日午前7時ごろ、奈良市三条本町のJR奈良駅を発車しようとした、JR関西線奈良発難波行き区間快速電車(8両編成、乗客約800人)の運転士から「8両合わせて16個あるモーターのうち8個が動かず、加速できない」と新大阪総合指令室に連絡があった。電車は運転士の判断で、残る8個のモーターを使って運行し、3分遅れの7時46分、難波駅に到着した。
 難波駅でJR西日本の検査係員が調べたところ、モーターの電気系統が故障していた。同電車は折り返し、難波発奈良行き区間快速になる予定だったが、運休した。当該電車の遅れを含め、計約1500人の足が乱れた。(朝日新聞 夕刊)
19日■上越新幹線 また高架橋でコンクリ落下
 18日午後8時15分ごろ、上越新幹線の熊谷−高崎間で高架橋からコンクリート片2個が落ちているのを近所の人が見つけた。
 JR東日本が調べたところ、現場はJR高崎線岡部駅付近で、コンクリート片は長さ約20a、幅約8aと長さ約10a、幅約8aの2つ。防音壁の表面の一部とみられ、高架橋下にあるビニールハウスを破って落ちていた。同社で現場に社員を出し落下原因などを調べている。上越新幹線では17日にも埼玉県桶川市でコンクリート片が下の側道に落下しているのが見つかっている。(京都新聞)
■山陽では屋根に傷
 山陽新幹線の岡山新幹線運転所(岡山市)で今月4日朝、こだま用車両の運転前点検の際に、屋根上のパンクグラフを覆うカバーに何らかの衝撃でできたとみられる傷が見つかっていたことが、18日分かった。
 JR西日本は、トンネル内壁からはがれ落ちたコンクリート片が衝突した可能性もあるとみて調べたが、異常が発見できず、鉄道総合技術研究所にカバーを送り原因の特定を急いでいる。同社によると、カバーには縦約10a、横約11a、深さ約4aのへこみがあり、周囲のペンキがはがれていた。(京都新聞)
■新幹線屋根に衝突痕 広島−新岩国間 落下事故の数日前
 山陽新幹線北九州トンネル(北九州市八幡東区)内のコンクリート塊落下事故の数日前に、走行中の列車の屋根に何かが衝突したとみられる痕跡が見つかっていたことが18日、分かった。JR西日本が調査した結果、パンタグラフを覆うアルミ製カバーにへこみ傷などがあったが、衝突物の特定はできていないという。広島−新岩国間を走行中に起きたとみられる。同区間はトンネルが大半を占めており、トンネル内で衝突した疑いもある。内壁からはがれ落ちたコンクリート片が衝突した可能性も否定しきれず、鉄道総合技術研究所(JR総研、東京都)にカバーを送るなどし、詳しい原因を調べている。
 JR西日本によると、傷が見つかったのは10月4日午前9時40分ごろ、山陽新幹線岡山新幹線運転所(岡山市)で、6両編成のこだま用車両(0系)について営業運転前の点検をしていたときだった。4号車の屋根上にあるパンタグラフを覆うカバーの端に、衝撃痕とみられる深さ約4aのへこみ(縦10a、横11a)があり、周囲約30a四方にわたってペンキがはがれていた。付着物などはなく、新しい傷とみられるという。
 この列車は前日の3日午後11時ごろ、広島新幹線運転所(広島市)から新岩国駅に向けて回送運転しており、同運転所で点検したときには傷はなかったという。4日早朝に新岩国発岡山行き上り「こだま560号」として運転していた。乗務員や乗客から異常音があったなどの連絡もなかった。傷はカバーの海側にあり、前から後ろに向けて当たっていたことから、同社は下り線を走行した3日の広島−新岩国間で起きたとみている。同区間は延長44.2`のうちトンネル計7本の延長が31.7`を占め、トンネル内を走行中に衝突した可能性もあるという。
 発見後、全車両を緊急点検したほか、新岩国−岡山間の全トンネル内を徒歩巡回したが、ほかの車両に傷はなく、地上設備にも異状は見られなかった。コンクリートの落下が相次いでいるため、入念にトンネル内を点検したが、落下したコンクリート片やトンネル壁面に落下跡も確認できなかったという。(朝日新聞)
■地下鉄 東西線延伸へ起工 醍醐−六地蔵 5年後に開業
 京都市の地下鉄東西線(二条−醍醐)を宇治市六地蔵まで延伸する工事の起工式が19日午前、伏見区の醍醐駅にあるパセオ・ダイゴロー西館行われ、地元住民ら約400人が地域を活性化し交通網を広げる工事の安全を願った。
 京都市交通局が、97年10月に開業した東西線を南へ伸ばし、石田(伏見区)と六地蔵に駅を設ける。醍醐−六地蔵間は約2.4`で、総工費は約712億円。2004年秋に開業する予定。
 京都市の地下鉄が市外区域へ乗り入れるのは初めて。六地蔵でJRや京阪と接続するため、都市圏の交通ネットワークが一段と拡充する。開業後は二条−六地蔵間1日122往復を運行、石田、六地蔵の両駅では計2万9000人の利用を見込んでいる。
 起工式では、桝本頼兼京都市長が「延伸が利便性の向上や道路混雑の解消とともに、府南部地域の活力あるまちづくりに貢献すると確信する」とあいさつ。久保田勇宇治市長や荒巻禎一知事が祝辞を述べた。
 当面は測量などを行い、来春から掘削など本体工事にとりかかる。(京都新聞 夕刊)
■東海道線 灘−住吉 寝台特急立ち往生 架線切れ停電150分間も
 19日午前2時15分ごろ、神戸市内のJR東海道線上り線の灘−住吉間が停電し、寝台特急2本が約2時間半、現場付近で立ち往生した。
 JR西日本によると、同時刻ごろ、付近を走っていた貨物列車(27両編成)が停電で一時停止したが、車両に異常がなく運行を再開。後続の大分発東京行き上り寝台特急「富士」(乗客106人)が通過の際も停電、同市内の灘−六甲道間で止まり、その後の熊本発東京行き上り寝台特急「はやぶさ」(乗客100人)も同市内の三ノ宮−灘間で止まった。
 同社が調べたところ、灘−六甲道間で送電架線をつる補助架線が一部切れ、垂れ下がっているのが見つかった。
 現場付近の上り線は複線のため、富士とはやぶさはそれぞれ約2時間半後に、正常な線路を使用して運転再開した。
 JR西日本によると、近距離列車は正常な線路を使って始発からほぼ通常運行、停電個所は修理し、午前6時半ごろ運転を再開した。同社の調べでは、送電架線と補助架線の電圧を均一にするための連結線の接続不良による発熱で補助線が切れたらしい。
 富士が大阪駅で機関車を交換するなどしたため、後続も合わせ計11本が最高約3時間遅れ、1500人に影響が出た。(京都新聞 夕刊)
■新潟のJR線でも コンクリ片落下
 19日午前7時20分ごろ、新潟市のJR越後線関屋−白山間で、道路をまたぐ架道橋からコンクリート片3個(いずれも重さ約400c)が下の歩道に落ちているのを通行人が見つけ、JR東日本に届けた。
 コンクリート片はいずれも長さ約10a、幅約10a、厚さ約2a。架道橋の壁の表面がはがれて、下を走る道路わきの歩道に落ちたらしい。けが人などはなかった。
 架道橋は1943年に造られており、同社は劣化が原因とみて調べている。(京都新聞 夕刊)
■宇治へ延伸の起工式 京都の地下鉄東西線
 京都市の東部地域と中心部を結ぶ市営地下鉄東西線(二条−醍醐間)を宇治市まで延伸する工事(醍醐−六地蔵間、2.4`)の起工式が19日、醍醐駅(伏見区)の駅ビルであった。2004年秋に開通予定で、総工費は712億円。六地蔵駅でJR奈良線、京阪宇治線と連絡する。(朝日新聞 夕刊)
■架線切れ停電 1500人に影響 神戸、JR東海道線
 19日午前2時半ごろ、神戸市灘区のJR東海道線灘−六甲道間で停電が起き、走行中の大分発東京行き上り寝台特急「富士」(乗客106人)が動けなくなった。後続の熊本発車京行き上り寝台特急「はやぶさ」(乗客100人)も、前が詰まったため三ノ宮−灘間で立ち往生した。
 JR西日本が係員を派遣して調べたところ、架線の一部が切れていたことが分かった。富士は約2時間20分後に運転を始めたが、乗客のうち約50人は新大阪駅で新幹線に乗り換えた。富士の直前を走っていた貨物列車も停電でストップしたが、再送電して異常がなかったため運転を再開していた。
 復旧作業は午前6時すぎまでかかり、上り計11本が最大2時間55分遅れ、約1500人に影響が出た。JR西日本の調べでは、切れた架線は電気の流れているトロリー線をつり下げる補助ちょう架線。両線をつなぐ接続個所が熱で溶け、切れたとみられる。(朝日新聞 夕刊)
20日■山陽新幹線 全142トンネル点検へ JR西 来襲から、終電後
 JR西日本は19日、山陽新幹線北九州トンネルのコンクリート塊落下事故を受け、142本すべてのトンネル(総延長約280`)について来週から総点検を実施する、と発表した。6月末の福岡トンネル事故に続き、10月の北九州トンネル事故も事前の点検で落下の危険を見破れなかったことから、ハンマーでたたく打音検査の対象を拡大するなど点検態勢を大幅に見直す。JR他社や土木コンサルタントから専門家を集め、営業列車の運転は止めないまま深夜6時間のうちに実施する計画だ。
 運輸省は15日、コンクリート落下事故の再発防止のためトンネル総点検の実施を指示している。打音検査の対象範囲を「軽微」な個所にまで広げるなど、点検態勢を抜本的に見直した実施を求めている。
 これを受け、JR西日本は来週からすべてのトンネルでの総点検の実施を決めた。打音検査が中心となり、同社OBをはじめJR東海やJR四国などJR他社や、土木コンサルタント会社など社内外から技量のある人材を集める。点検時間は、最終列車の通過した午前零時から始発列車の出発する午前6時までの計6時間とし、11月末をめどに終わらせる予定という。
 福岡トンネル事故後、高架橋やトンネルのコンクリート劣化状況などの把握を目指す「総合診断」についても、総点検と同時並行で進めていくという。
 南谷昌二郎・JR西日本社長は「総点検のため列車の運転を止めることについては、かたくなに止めないと言っているわけでも、神聖不可侵のものでもない。理論的には部分的な運転のカットはありうるが、必要性を見極めたうえで決めたい。現時点では、今の時間だけで十分だと考えている」と語った。補修費などへの国からの公的支援の動きについても「今年度は現実問題としてありえない」と話した。(朝日新聞)
■ITS使って都市交通実験 きょうから大阪で
 地下鉄とバスを上手に組み合わせて利用できるようにするため、地下鉄の駅、バス停、バスの車内などできめ細かな交通情報を流す「都市交通システム」の実験が、20日から4日間の予定で、大阪・南港のイベント会場を中心に始まる。京阪神の交通問題を研究する財団法人「都市交通問題調査会」(事務局・大阪市)が、住友電気工業と協力し、高度道路交通システム(ITS)を使って行う。市街地のマイカー渋滞を減らすための手立てで、ITSを活用した地下鉄とバスの総合的な実験は、全国初という。
 今回の実験は、衛星を使ってバスの位置を緯度、経度でつかみ、「あと何分でバス停に到着する」といった情報をきちんと知らせるのが狙い。
 実験は、大阪・南港の見本市会場「インテックス大阪」の周辺で行う。(朝日新聞)
■女性車掌デビュー 東海道新幹線で初
 10月1日で開業35を迎えた東海道新幹線に20日、初の女性車掌がデビューした。新大阪午前8時54分発のぞみ6号に乗り込んだ藤林紀子さん(23)は、途中の名古屋駅で「安全に対する厳しさと、お客さまへの優しさの両面を備えた車掌を目指します」とにっこり。
 1997年4月に女性駅員、車掌の運輸職1期生としてJR東海に入社。京都駅勤務後、今春の車掌試験に合格。将来は運転士も目指す。東海道新幹線では今月中にほかに5人の女性車掌が勤務に就く。(京都新聞 夕刊)
■コンクリ63ヵ所 はく落の危険も 上越新幹線の高架橋
 JR東日本高崎支社は20日、上越新幹線大宮−大清水トンネル(群馬県水上町)間の高架橋で橋げたのコンクリートなどを目視点検した結果、はく落の危険などがあり処置が必要とされる部分が63ヵ所見つかった、と発表した。
 構造物の強度に問題はないが、同支社で今後、ハンマーでの打音検査を順次実施、落下の危険がある部分を削り取る。
 JR東日本は東北、上越両新幹線の高架橋と防音壁を対象に20日から全線で緊急点検し、対策をとることにしている。高崎支社では上越新幹線の大宮−高崎間で高架橋からコンクリート片が落ちているのが相次いで見つかり、18日から点検していた。(京都新聞 夕刊)
■今日的遺跡探検 1974 幸福駅 「幸せ切符」求める人いまも
 地平線の果てまで畑や牧草地が続く北海道の十勝平野に「幸福」という名の無人駅があった。降り立った人は決まって、駅前の商店でこう尋ねた。「愛国から幸福行きの切符をください」。ブームは1970年代後半。きっかけはテレビ番組とも、記念切符の異常人気とも言われる。だが、地元の人たちの記憶では1974年だ。その年、芹洋子さんが歌った「愛の国から幸福へ」が発売された。
 初秋の朝、帯広市幸福町の幸福駅の跡を訪ねた。12年前のJR広尾線の廃線後、帯広市が交通公園として管理、保存している。周辺は芝生や花が植えられ、こざっはりしていた。待合所前に「キップあります」の文字が躍っていた。土産物店の看板で、キップはむろん、ただの紙切れだ。それでも買い求める観光客は多い。前々日、札幌市内で結婚式を挙げたという若い2人が、買ったばかりの切符を見せてくれた。挙式当日の日付の入った切符を手に「2人の宝」と新婦。駅に、末永い幸せを祈ったのだという。
 駅から100bほどの所に、切符の委託販売所だった雑貨店「前田商店」を見つけた。前田ユミさん(83)は、店主だった夫の定市さんと30年ほど切符を売っていた。
 「幸福駅なのに幸福行きをくれって言われて、妙な感じでした。人がたくさん来るようになったので、毎朝、愛国駅まで行って100枚も200枚も買いましたよ」
 70年後半から80年初めのピーク時、前田さん夫婦は休む間もなく切符を売った。人が行き交う駅は、さまざまな人間模様が交錯した。
 「『金もないし体も悪い。人生、もう嫌だ』って、駅でふて寝してる人がいて、お弁当を持っていってあげたことがありました。ほかにも、駅にしばらくいた男の人が割腹自殺をしちゃって。悩みがあったんでしょうね」
 広尾線の車掌だった羽山車さん(61)は、こんな光景を思い出している。
 「新婚や幸せそうなカップルが多かった。でもね、中には物憂げに座っていて、『ああ、失恋したんだなあ』と思える若い女性もいました」
 爆発的なブームが去った84年の春、前田商店に一本の電話がかかってきた。「幸福駅で結婚式を挙げたいのですが…」。驚いた定市さんは、当時、幸福駅を管轄していた大正駅の時岡真也駅長(69)に相談を持ちかけ、その年の5月に式は実現した。
 全盛期の輝きこそ失っかが、幸福駅には今も幸せを追い求める人たちが訪れる。ユミさんは言う。
 「どなたも、大切そうに買っていきました。紙切れ一枚で幸せになんてなれない。けれど、持っていると何とたく、なれそうな気がするんでしょう。幸せを願う気持ちは、みな同じなんですねえ」(浜田 奈美)
・幸福駅 駅跡のある幸福町の町名は、福井県の移民の開拓地で幸震(さつない)村の一部だったことにちなんで名付けられた。広尾線は旧国鉄が1932年に開業、帯広駅−広尾駅間84`に17駅あった。愛国発幸福行きの切符は74−87年で約1300万枚が販売された。値段は時代と共に変わり、廃線時は220円だった。(朝日新聞 夕刊)
21日■えとキップ23日発売 信楽高原鉄道
 信楽高原鉄道は、来年のえと・タツを描いた信楽焼の「辰年親子キップ」を、23日から発売する。今年は信楽焼のシンボルのタヌキの車掌さんを後ろに、タツの親子が笑顔で電車に乗っている絵柄。
 デザインは地元・信楽町の陶器会社員上嶋香代子さん(25)が考え、信楽くるみ作業所が製作した。縦11.7a、横17a、厚さ約1.3aで、重さは330c。貴生川−信楽駅間の親子往復切符として使用できるほか、壁掛けとしても利用できる。
 1枚1360円で、6500枚を売り出す。当日は、午前10時から同鉄道信楽駅や県観光物産センター(JR大津駅2階)などで販売するほか、郵送での申し込みも受け付ける。
 問い合わせは滋賀県甲賀郡信楽町長野の信楽高原鉄道総務課 0748(82)3391。(京都新聞)
■「100円バス」に懸念表明 エムケイ参入で桝本京都市長
 タクシー会社のエムケイ(本社・北区)が運賃を100円均一とする「100円バス」などの経営免許を近畿運輸局に申請したことについて、京都市の桝本頼兼市長は20日の記者会見で、「商業、産業の基盤を揺るがす大変なこと」と述べ、強い懸念を示した。
 桝本市長は「市バス経営は、赤字路線を黒字路線の利潤で埋め合わせている。エムケイの参入で黒字路線の利潤だけを取られる」と説明。昨年度45億円だった営業赤字が拡大するとの懸念を示した。
 エムケイの「100円バス」はJR京都駅を起点に北大路などを循環する線と、祇園を起点に西大路通などをめぐる線の計3系統。黒字が70系統中9系統しかない市バスの稼ぎ頭3系統のルートとほぼ一致する。市は「100円バス」が認められれば年間約30億円の減収になると試算。9月20日に交通局内に対策委員会を設置した。
 エムケイの青木定雄オーナーは「京都の観光が不振なのはバス代を含む物価が高いのと交通が不便なため。100円バスはそれを改善する手段」と話している。(朝日新聞)
■100玉、復権 缶ジュースは買えないけど… 電車に乗れる 酒も飲める 便利さ受ける
 今や1枚では、自動販売機で缶ジュースを買うこともできなくなった「100円」。そのコインが最近、見直されている。全国各地でバスや電車の運賃が区間などを限って100円ちょうどに値下げされているほか、100円玉1枚で酒が飲める居酒屋が登場した。どの商品も100円ぽっきりの「100円ショップ」も相変わらず主婦や若者らでにぎわっている。安いというだけでなく、どうやらコイン1枚という便利さが受けているらしい。
(高知支局・山下 剛)
・逆転の発想
 高知市の土佐電鉄は9月から、市内を走る路面電車の一部区間を昼間の時間帯に限り、180円から100円に値下げした。名付けて「ワンコイントラム」。「買い物客や学生を中心に乗客が3、4割増えた」(坂本茂樹・電車課営業係長)と滑り出しは上々だ。
 大津市では、JR大津駅と京阪電鉄浜大津駅の約1`間で、近江鉄道、京阪バス、江若交通のバス会社3社が4月から半年間、試験的に200円から100円に値下げした。各社とも乗客が1.5−2倍に増えたため、試行期間を延長した。近江鉄道定期バス課は「収支的にはまだまだだが、当初の目的は達した」と話す。
 100円運賃は昨年1月、群馬県でバス会社7社がJR前橋駅から約1`以内の区間に導入したのが始まり。運輸省自動車交通局によると、9月21日現在、100円運賃は全国21地域の30社に達する。
 赤字続きの公共交通機関の多くは、これまで値上げによって収益増を図ってきた。運賃100円化は、そうした従来の経営スタイルからの「逆転の発想」だ。運輸省鉄道局も「運賃を割り引けば減収になるという発想ではなく、値下げすれは普段乗らない人の利用を促し、増収に結びつくと考えたのでは」と分析する。
・簡単メニュー
 「100円がキーワードだった」というのは4月、福岡市に「百圓居酒屋」を開いた藤本博史さん。9月には2号店を構えた。
 専門の料理人を置かず、切ったり、あぶったりするだけの簡単なメニューを、税込み100円で出す方式を取る。冷ややっこやギョーザ、コロッケなどが人気だ。売り上げは1人平均1200円。多い日には1店で100人近くになる。
 金沢市のJR金沢駅には8月、地酒試飲機「100円地酒蔵」が登場した。100円を入れて銘柄を選ぶと、カップに地酒が注がれる。利用者は旅行客が多く、1日平均約50人。金沢清酒宣伝販売協同組合の山晶務・専務理事は「100円なら気軽に試せるはず」と狙いを明かす。
・「夢」も売る
 香川県のスーパー「坂出サティ」は9月末、化粧品から生活雑貨、文房具、食料品まで1万点近い商品が並ぶ100円ショップコーナー「100円の街」を開設した。経営するマイカル・グループは、これまで小樽店(北海道)、高知店などで実験的に100円コーナーを設けてきたが、「予想通りの集客力」という。
 100円ショップ最大手の大創産業(本社・広島県東広島市)は、1号店を1991年に高松市でオープンして以来、全国に約1300店を展開している。系列店の「ザ・100円プラザダイソーパワーセンター高知店」の岩伸哲夫店長は、98円や198円といった端数のある値段設定で安さをアピールしてきたスーバーとの違いをこう説明する。「100円ショップはワンコインという便利さと、その値段でどれだけの商品をそろえることができるかが勝負。それがお客さんに夢を与えているのでは」(朝日新聞 夕刊)
22日■阪急電鉄 梅田に「暫定」レジャー施設 来夏開業、地上げ一等地に
 阪急電鉄は21日、大阪・梅田の再開発用地に、ボウリング場やパチンコ店などが入るレジャー施設を建設する、と発表した。阪急の施設が集まる「阪急村」に位置するこの一等地は、バブル期に不動産業者が地上げし、大手ゼネコンから阪急グループが買い上げた「いわくつき」の土地。バブル崩壊で開発計画が進まず、駐車場として放置されていたが、「暫定」のレジャー施設ながらも、ようやく土地活用に向けて動き出すことになった。
 土地は、大阪市北区小松原町の2000平方b余り。阪急が3階建ての施設を建設し、各階にボウリング場、ゲームセンター、パチンコ店のテナントを入れる。12月から着工し、来年夏に開業する予定で、約9億円をかける。
 この土地は、阪急グループがゼネコン・鹿島から買い取った後、土地流動化を図る目的で政府が設立した「民間都市開発推進機構(民郡)」に対し、10年以内に買い戻す約束で売却していた。買い戻しの時期は2006年。このため、今回建てるレジャー施設も「暫定利用」と位置づけており、景気の動向などを見ながら、本格的な商業施設への切り替えを検討する。(朝日新聞)
■砂上の神話 新幹線は安全か 上
・続く事故 「想定外」強調、残る疑問
 ■80ヵ所に傷
 直径1.6a、長さ20aのたった1本のボルトが、走行中の新幹線に80ヵ所もの傷をつけた事故がある。
 1994年5月8日午前7時44分、博多発東京行き上り「のぞみ4号」(16両編成、乗客340人)は、山陽新幹線東広島−三原間を最高時速270`で走っていた。わずか56bしかない姫草トンネル(広島県三原市)を一瞬のうちに通り抜けた直後、乗客が列車の異常を車掌に伝えた。
 「ドンゴロゴロという音が天井から聞こえた」
 次の停車駅の岡山駅で点検すると、6号車屋根上のアルミ製のパンタグラフカバーに直径2a大のへこみ傷が2ヵ所あった。新大阪駅までで運転を中止し、大阪第一車両所(大阪府摂津市)で調べると、計10両の尾根に3−5a大のへこみ傷やひっかき傷が80ヵ所できていた。屋根上には白い粉が散らばっていた。
 姫草トンネル内の出入り口近くに1本の折れたボルトが転がっていた。高さ約5bのトンネル天井を見上げると、架線をつる支持部を固定するボルトが1本抜けていた。支持部の下に張られた架線に付いた陶器製の絶縁体(直径25−18a)も、5個割れていた。落ちたボルトが絶縁体を次々に破壊し、無数の絶縁体の破片が降り注ぐなかをのぞみ4号は走り抜けていたのだった。
 ■原因は不明
 事故後、JR西日本はすべてのトンネル内でボルトを緊急点検した。腐食していたのはこの1本だけだった。JR西日本から調査を依頼された鉄道総合技術研究所(JR総研、東京都)は「製造過程に何らかの問題があり、1本だけ老朽化が早くなった」と結論を出したが、「何らかの問題」は解明されないままだ。
 JR西日本は3年に1回、トンネル内のすべてのボルトを目視点検していた。しかし、コンクリート内壁に埋め込まれたボルトの腐食状況までは見破れなかった。それまでボルトが抜け落ちたことはなく、「想定外」の事態と受け止められた。事故原因も公表されなかった。
 その後も事故は続く。
 昨年4月、関門海峡を海底で結ぶ新関門トンネルで、天井から小さなコンクリート片が落ちた。漏れた海水が架線にかかって停電、列車がトンネル内で3時間近く立ち往生した。今年に入ると6月27日、小倉−博多間の福岡トンネルを走行中の列車に計200`のコンクリート塊が直撃。今月9日には、福岡トンネルから約21`東の北九州トンネルで計226`のコンクリート塊が落下した。
 ■作業で違反
 全線の半分を占める高架橋からは、コンクリート片の落下が止まらない。96年度以降、確認されただけでも49件にのぼる。
 どのケースも、JR西日本は、ボルト事故と同じ「想定外の事故」だったことを強調している。
 しかし本当に「想定外」だったのか。
 大阪市内の生コンクリート運搬業者(62)は70年代初め、兵庫県伊丹市の山陽新幹線の高架橋建設現場にミキサー車で生コンを運んでいた。当時、工事のトラブルなどで待機時間の長引くことが多かった。夏場は、コンクリートがすぐ固まってしまう。そんなとき、現場監督が近づいてきてコップで水を飲む身ぶりをした。加水の合図だった。
 車を洗うための300リットルの水をそのままミキサーに流し込んだ。規定を超える量の水が加わったコンクリートは、強度が弱くなることは分かっていた。しかし監督には逆らえなかった。
 ずっと不安だった。その不安が阪神大震災で的中した。自分が作業したすぐ隣の高架橋の橋脚が倒壊し、中の鉄筋があめのように曲がっていた。それ以来、山陽新幹線には乗っていない。「想定外」を疑わせる証言や事実は、ほかにもある。
・無理を重ねて突貫工事
 ■「稼ぐため」
 1970年春から74年暮れまで、北九州トンネルなど山陽新幹線の3つのトンネル工事現場で作業した佐賀県の男性(61)は今、飛行機と在来線にしか乗らない。2度ほど山陽新幹線を利用したが「あんなでたらめな工事で、この猛スピードが起こす振動に耐えられるのか」と怖くなったからだ。
 型枠に生コンを流し込む作業機械の噴き出す力が弱いため、現場で水を加えて流れやすくした。検査ではセメントを入れて細工をし、元請け会社の社員の目をごまかした。
 生コンの補充が遅れ、先に流し込んだコンクリートが固まっていた。接合不良を避けるため振動を加えたら割れてしまったこともある。現場責任者には「流し込んでしまえばわからない」と言われた。そもそも現場監督の元請け社員は、粉じんの充満するトンネル内にはほとんど入ってこなかった。
 出っ張った岩盤を削らないまま、コンクリートを流し込んだ。「その部分のコンクリートの厚さは、薄くなったはずだ」。型枠を早く外してしまいコンクリートがはげた時は、左官に表面を塗ってもらった。天井の部分にちゃぶ台ほどの大きさの空洞を見つけたこともあるが、そのままにしたという。
 「毎朝のミーティングで、昼勤と夜勤の出来を比べられ、競わされた。出来高払いだったから、金を稼ぐために手を抜いた。現場では暗黙の了解だった」
 ■開業危ぶむ
 開業に向け、山陽新幹線の工事現場は突貫作業を強いられた。山口、福岡県内の工事を担当した国鉄下関工事局(当時)の「山陽新幹線工事誌」では、日程の厳しさが繰り返し強調されている。
 用地取得が難航し、工期の大半を短縮。なかでも、福岡トンネルは「無理に無理を重ねた」と記されている。一時は「開業が危ぶまれる状態」となり、全体の半分近くの工事を終えた72年末になって、順調に進んでいた西側に500−700b分を振り分けた。その結果、工事量の増えた西側は、工程を短縮して作業を急ぐはめになった。
 突貫工事の問題は、15年前にすでに明らかになっていた。
 84年、国鉄が発行していた専門誌上で国鉄施設局土木課長は指摘した。「(山陽新幹線など)構造物量産時代につくられたもののなかに、経年十数年なのに保守上の問題となるものがみられる。工期に追われ、設計は全面外注、施工も完全責任施工という状況下では心のこもった構造物をつくることは望むべくもなかったのであろう」
 87年、旧国鉄時代から山陽新幹線の高架橋の保守・監理の仕事を続けてきたJR西日本の土木技術者が、専門誌上でコンクリート劣化の実態を報告した。空気中の二酸化炭素がコンクリート中のアルカリ成分を中和させて鉄筋をさびやすくさせる「中性化現象」が通常の2−3倍のスピードで進んでいた。
 ■補修に限界
 報告は、今も補修工事の中心となっている「ライニング工法」の限界を指摘している。劣化個所の断面に樹脂を塗って修復するのだが、しばらくすると効果が薄まって再び劣化が進んでしまう。根本の原因を取り除いているわけではなく、対症療法にすぎない。
 現場の危機感の高まりを受けて民営化後の88年、学識経験者を含めたコンクリート委員会がJR西日本社内に新設された。この委員会の提案で、アルカリ成分を元に戻す根本的な補修方法「脱塩再アルカリ化工法」の試験が始まった。
 しかし、実用化はされなかった。コストが、従来の3倍もかかるとされ、財政的な事情から見送られたとみられる。
 この経緯を知るJR関係者は、そのつけが今回ってきていると思う。「山陽新幹線は、開業当時からハンディを負っていた。人一倍手厚い保護が必要だ。これほどの事故が起きたら根本的に考え直さなければならない」
 しかしJR西日本の南谷昌二郎社長(58)は、19日の記者会見で「JR発足当時、山陽新幹線がこんなに傷んでいたとはまったく知らなかった。コンクリートの落ちてくることが現実に起きるとは思っていなかった」と語った。根本補修の計画が先送りされたまま、新幹線は今日も走り続ける。(朝日新聞)
■窓ガラスにひび 東広島−三原間
 21日午前10時35分ごろ、広島県内の山陽新幹線東広島−三原間を走行していた博多発東京行き上り「ひかり106号」(16両編成、乗客約920人)の乗客から「窓ガラスにひび割れがある」と、車内販売員を通じて車掌に連絡があった。けが人はなかった。JR西日本が姫路駅で点検した結果、13号車の進行方向左側の窓ガラス(縦66a、横1.7b)1枚の中央付近に縦1_、横8_の傷があり、そこから左右にわたってひびが入っていた。運行に支障はないとみて、9分遅れで姫路駅を出発。さらに新大阪駅到着後、ひびの入った個所にテープをはる応急処置を施した。
 この列車は、旧国鉄時代末期に登場した「100系」車両。窓ガラスは3層構造となっており、ひびは一番外側の普通ガラスだけに入っていた。この日早朝、博多総合車両所(福岡県那珂川町)で出発前の点検をしたときには異状はみられなかったという。ひびが見つかった東広島−三原間には計14本のトンネルがあり、同社は同区間のトンネル内などを点検のため巡回したが、異状はなかった。(朝日新聞)
■上越新幹線でコンクリ落下 群馬、高架橋下
 21日午後2時40分ごろ、JR高崎駅から下り方向に約1`離れた群馬県高崎市江木町の上越新幹線高架橋下にコンクリート片が落ちていると、住民からJR東日本高崎支社に通報があった。同支社によると、コンクリート片は5個で、長さ2−7a、幅 2.5−5a、厚さ1−2aで、重さは計142c。地上約10bにある高架橋の張り出し部分がはがれ落ちたらしい。被害などはなかったという。(朝日新聞)
■JR予讃線も
 JR四国(本社・高松市)は21日、香川県坂出市のJR予讃線の高架橋でコンクリート片がはがれ落ちているのが見つかったと発表した。けが人はなかった。
 JR四国によると、コンクリート片(重さ計約160c)は7個に割れ、最も大きいのは縦9a、横5a、厚さ1a。20日午後3時ごろ、同市横津町一丁日の坂出駅東約900bの高架橋からコンクリート片がはがれ落ちているのを、近くの人が見つけて坂出署に通報した。(朝日新聞)
■駅スイッチで新幹線止める 京都駅オーバーランで
 22日午前9時15分ごろ、京都市下京区のJR京都駅新幹線上り線ホームで、到着した東京行き「のぞみ6号」が停車位置で止まらず、駅員が列車防護スイッチを押すとともに車掌が緊急ブレーキを掛け列車を止めた。乗客が乗降した後、駅員が防護スイッチをはずして5分後に運転を再開した。
 同列車を含む上下5本が最大11分遅れ、4700人に影響した。JR東海によると、約20b行き過ぎたといい、当時の状況について調べている。(京都新聞 夕刊)
■京都駅 のぞみ、オーバーラン 新幹線 広島駅ではATC故障
 22日午前9時15分ごろ、京都市下京区の東海道新幹線京都駅で、博多発東京行き上り「のぞみ6号」(16両編成、乗客約900人)がホームの停止位置を約1b行き過ぎて止まった。列車はホームから出ていなかったが、ドアは開かず再び前に動き始めた。そのため駅員が列車の運行を止める「列車防護スイッチ」を押し、車掌が緊急ブレーキをかけて停車した。乗客を乗り降りさせてから列車は11分遅れて京都駅を出発した。
 JR東海によると、このトラブルで東海道新幹線は上下計5本が最大11分遅れるなど乗客計約4700人に影響が出た。同社は運転士らから事情を聴き、オーバーランの原因を調べている。東海道新幹線では昨年8月、名古屋駅で絶対停止位置を越えるオーバーランが起きている。
 また、午前9時55分ごろ、広島市南区の山陽新幹線広島駅で、広島発東京行き上り「ひかり136号」(16両編成、乗客約650人)が、運転台にある列車の速度を自動制御する「自動列車制御装置(ATC)」の表示盤から表示が消えたため発車できなくなった。このため車両を交換したうえで、広島駅を33分遅れで発車した。この事故で上下計6本が最大33分遅れ、計約4000人に影響が出た。
 JR西日本によると、この列車は同日早朝、広島新幹線運転所(広島市)を出発したはかりで、運転前の点検では異状はなかったという。ATCの地上設備側には異状はみられず、車両側の電気系統に故障があったとみて調べている。(朝日新聞 夕刊)
23日■総武線東京駅、浮きそう!? 地下水位が上昇 限界まで70a 建物固定対策へ JR東日本が調査
 JR東京駅の地下水位が地下15bまで上昇、浮力で地下に設けられている総武線東京駅のコンクリート床などにひび割れが起きる恐れがあることが、JR東日本の調査で22日までに分かった。
 地盤沈下を防ぐ地下水くみ上げ規制で付近の水位が急上昇したのが原因とみられ、同社は11月から建物の底に約130本の特殊なアンカーを打ち込んで浮き上がりを抑える対策を取ることを決めた。
 同社によると、東京駅の地下水位は1972年の総武線駅開業時は地表から35b下だったが、最近は年平均で約30aずつ上昇、建物の限界水位の地下14.3bまで70aに迫っている。
 総武線駅は地下5階で、最大幅約44b、長さ約390b、高さ約27bの細長いコンクリートの箱をそのまま地下に埋め込んだ構造。地下5階に線路やホームがあり、総武、横須賀両線の電車が乗り入れている。
 地下駅の上に重しとなるビルなどがあれば問題はないが、広場や道路になっているため、建物底部で1平方b当たり12dにもなる浮力の影響をまともに受ける形になった。
 アンカーは長さ18bの鉄製の棒で、駅地下の約4割をボーリングし、穴に入れたアンカーの周囲をセメントなどで固めて建物を固定する。費用は約6億円。改善後は、水位がさらに2.2b上昇しても問題がないという。
 地下水対策についてJRでは、地下30bに建設された東北、上越新幹線の上野駅でも95年、約40億円で計約3万dの鉄板や鉄の玉をホーム下に重しとして入れている。
 JR東日本は「従来の方法に比べ、大幅なコストダウンができた。東京駅周辺ではビルの建て替えが多く、地下水がくみ出され今後、水位の急激な上昇は考えにくい」と話している。(京都新聞)
■イベント列車でコナンと遊ぼう 来月27日、宮津線で KTR利用促進協
 人気アニメキャラクター「名探偵コナン」と遊ぶイベント列車「タンゴ・ディスカバリーに乗って、名探偵コナンと遊ぼうツアー」が11月27日、KTR(北近畿タンゴ鉄道)宮津線で運行される。車内でクイズやジャンケンゲームを楽しむほか、写真撮影会もある。
 沿線住民が家族ぐるみでKTR利用を高めてもらおうと、沿線の5市4町と商工会議所などでつくる「北近畿タンゴ鉄道利用促進協議会」(会長・徳田敏夫宮津市長)が、JR舞鶴線の電化開業を記念して2年ぶりに企画した。
 イベント列車は西舞鶴駅(午前11時1分発)−天橋立駅間、天橋立駅(午後零時11分発)−網野駅、網野駅(同1時26分発)−豊岡駅間の3コースがあり、到着後は自由解散。定員は各コース100人で、1人1コース。
 参加料は中学生以上1000円、小学生以下500円で幼児は無料。申し込みは往復はがきに希望コースなどを記入し、11月5日までに〒626-0041 宮津市鶴賀 北近畿タンゴ鉄道宮津旅行センター 0772(22)3308へ。(京都新聞)
■砂上の神話 新幹線は安全か(中) 消えぬ弱点 盛土部分が雨で崩落
 東海道新幹線は雨に弱い。今年も雨で運休、徐行した日が16日あった。東北新幹線はゼロ、上越新幹線は1日だ。
 他新幹線より厳しい毎時50_で、運転が中止される。高架橋でなく、盛り土の上をレールが走るからだ。大雨で盛り土が崩れれは、脱線の危険を招く。
 大事故につながりかねない事態も起きた。1992年12月、浜松−豊橋間で路盤が長さ1b、幅0.7b、深さ1bにわたってすり鉢状に陥没した。信号整備中の電気会社員が見つけた。午後2時過ぎで頻繁に列車が走っていた。穴はまくら木をかすめており、線路わきの緊急スイッチで、付近の全列車を止めた。
 線路地下のトンネルに沿って土砂が流れ出たことが原因だった。
 90年には愛知県大府市で約800立方bの盛り土が台風の雨でえぐられた。
■五輪を優先
 弱点はわかっていたが、高架橋に比べ工期が短く、東京五輪(64年)に間に合わせるために盛り土構造が採用された。
 92年の事故の後、コンクリートブロックをはりつけ、排水パイプを埋め込んで強化した。だが、宅地開発で沿線の山林や農地は減る一方だ。しみこみにくくなった雨水が、盛り土やトンネルに流れ込む新しい問題も出ている。
 「硬く乾いた砂山も水を含めばあっけなく崩れる。土の上に高速列車を走らせている弱さの本質は、決して解消されない」と技術者の一人は指摘する。
 コンクリートの高架橋を走る新幹線では、高架橋やトンネルからのコンクリート片の落下事故が続く。 JR東日本によると、10円玉ほどのコンクリ片の落下は記録にあるが、数百cを超える塊は例がなかった。山陽以外でも落下は今年、すでに7件。大宮−越後湯沢間の高架橋を緊急点験すると、63ヵ所ではく落のおそれがあった。
 コンクリートの耐久年数は50年以上とされるが、東北、上越は開業から17年、長野は2年。同社は「山陽で問題の海砂は一切使っていない」としながらも、「50年の寿命は、100パーセント設計書通りに造られた場合。東北と上越は、メンテナンスに手間がかかる時期に来ている」。
■点検勘頼り
 山陽の福岡トンネル事故後、全国の新幹線でトンネルが総点倹された。目で亀裂や変形を探し、ハンマーで内部の異状を確かめる打音検査が中心だ。勘と経験に頼るこの方法は、35年前から変わらない。ハイテク化された車両や運行システムと比べ、点検法は進歩しなかった。「コンクリートは放っておいてもいいと考えられていた」(JR技術者)からだ。
 JR西日本は「点検強化で安全性は保たれる」とし、運行をストップさせる抜本修理に消極的だ。だが、新大阪−博多間のトンネル内壁の表面積は計560万平方b。ある社員は「東京ドーム120個分の広さを歩いて、数_の亀裂を見つけ出す作業。コンクリート自体が欠陥品だと面倒みきれない」と漏らす。
■新線は論外
 18日の自民、自由、公明3党の政策責任者会議では「新幹線は国家プロジェクト。施設の安全は国にも責任がある」として、JR西日本に財政支援すべきだという声が上がった。「基本的に事業者責任」としてきた運輸省も、第二次補正予算案と来年度予算案に新しい点検技術の開発費を盛り込む。25日には二階俊博運輸相が、福岡県内の事故現場を視察する。
 JR西日本の南谷昌二郎社長は「基本的に自社の負担でまかなう」と話す。だが、トンネルのコンクリートをすべて打ち直すだけで3000億円近くかかるとの試算もある。
 あるJR幹部は言う。「山陽新幹線の不安を完全にぬぐい去るには、相当な国の財政負担が必要だ。ほかの新幹線の維持コストも膨れ上がる一方。整備新幹線を造るどころの話じゃなくなる」(朝日新聞)
■JR側は過失否定 信楽鉄道事故控訴審
 滋賀県信楽町の第三セクター・信楽高原鉄道(SKR、本社・滋賀県信楽町)で1991年5月、SKRの列車とJR西日本から乗り入れた列車が正面衝突し、死者43人、重軽傷者600人以上を出した事故をめぐって、死亡した乗客9人の遺族が総額約11億3600万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審が22日、大阪高裁(井関正裕裁判長)で始まった。この日の口頭弁論で、JR西日本側は「事故が起きた区間の事業免許を持っていたのはSKRであり、安全確保義務はSKR だけにあった」などと述べ、自社の過失責任を否定した。(朝日新聞)
■「のぞみ」行き過ぎ 人為ミス重なる 車掌の勘違いが発端
 東海道新幹線の京都駅構内で22日朝、博多発車京行き上り「のぞみ6号」(16両編成、乗客約900人)が停止位置を行き過ぎたトラブルで、JR東海は同日午後、「車掌や運転士のミスが重なったことが原因」と発表した。JR東海は当初、「列車は最初から停止位置を1bほど行き過ぎていた」などと説明していたが、「正しい位置に停止後、乗客の乗降確認などを怠り、オーバーランを繰り返した」と訂正した。
 JR東海の説明によると、最初のミスは車掌の停止位置の勘違いだった。「のぞみ6号」には、JR西日本が開発した「500系」が使われていた。ほかのタイプよりも車両の先頭部分が長い独特の形状をしているため、東海道新幹線のホームには、500系専用の停止位置マークが設置してある。しかし、列車最後部に乗車していた車掌(21)がほかのタイプの車両のマークと誤認し、「行き過ぎた」と勘違いした。
 車掌が戸惑い、ドアを開けないうちに、運転士(38)は「すでに乗客の乗り降りは済んだ」と判断し、列車を動かした。10号車に乗っていた車掌長(43)がこれに気づき、車内の緊急ブレーキを操作、列車は1b走って停止した。
 その後、車掌長は車内電話で運転士に「緊急ブレーキを解除した」と連絡、すでに乗降が済んでいると思いこんでいた運転士は、再び列車を動かした。駅員が「列車防護スイッチ」で車両を停止させるまでに、さらに約8b走っていた。
 JR東海は最後部の車両に乗っていた車掌を名古屋駅で降ろし、運転士からも東京駅で事情を聴いた。JR東海では「人為的なミスが重なり、乗客に迷惑をかけることになった」と話している。(朝日新聞)
24日■山科駅で飛び込み
 23日午後8時30分ごろ、京都市山科区のJR山科駅で大阪行き特急電車が線路内に入ってきた男性をはねた。男性は全身を強く打って間もなく死亡した。
 山科署の調べでは男性は20歳代とみられ、飛び込み自殺とみて身元を調べている。特急電車が現場に18分停止したほか、後続の電車5本が最大27分遅れた。(京都新聞)
■砂上の神話 新幹線は安全か 下 止めぬ理由 1日9億円、経営の命綱
 「夜間の6時間できちんと点検している。大勢(の乗客)をお運びする使命もあります」
 事故続きの山陽新幹線について、専門家の間からは「列車を止めてでも緊急総点検をすべきだ」との声が上がっている。しかしJR西日本の南谷昌二郎社長は、今月12日の記者会見でこの点を聞かれ、運休しないことを表明した。
 山陽新幹線は、新大阪−博多間を最速2時間余りで結ぶ大動脈だ。この区間で1日あたり約17万人を運ぶ。航空各社が、大阪−福岡便で輸送できるのは、1日あたり約1万4000人。単純比較はできないが、航空各社が束になってもかなわない輸送力であることは間違いない。それだけに全面運休すれば、時間を気にするビジネス客や旅行客の不満が噴出する、というのがJR西日本の主張だ。
■乗客に配慮
 大動脈の輸送を一手に担っていると自負するのは南谷社長だけではない。「止めて総点検を早めるプラス面と、17万人に迷惑をかけるマイナス面を比べれは、マイナスの方が大きいと判断せざるを得ない」と、経営企画部の幹部も口をそろえる。
 しかし、止めない理由はそれだけなのか。関西大学の安部誠治教授(交通論)は、「営業政策的に、止めてはならないという意識が強すぎる」と指摘する。
 山陽新幹線の売り上げは、昨年度で約3200億円。JR西日本の旅客収入の4割を占め、京阪神の在来線の収入と並ぶ「屋台骨」だ。1日運休すれば約9億円が吹き飛ぶ計算になる。
■値上げ困難
 赤字ローカル線を多く抱えるJR西日本は、首都圏をもつJR東日本、ドル箱の東海道新幹線をもつJR東海を加えた「本州3社」の中で、最も経営基盤が弱い。
 長引く不況の影響を受け、昨年度で2年連続の減収。今年度の事業計画によると、売り上げは前年度より560億円減り、発足以来最大の減収幅になる見込み。民営化前には「きちんとした利益を確保するには毎年3%の値上げが必要」とされていたが、コスト削減に力を入れ、消費税率アップに伴う料金改定を除くと、この12年間に一度も値上げをしていな「これ以上の業績悪化は避けたいという気持ちはある」と、JR西日本の首脳も認める。
 「空」からの攻勢も気がかりだ。航空業界の「価格破壊」の先陣を切ったスカイマークエアラインズが、今年4月、大阪−福岡線に参入。新幹線より約5000円安い片道1万円で運航を始めた。大手3社も割引運賃で追随、JR西日本は割引回数券の発売に踏み切って対航している。
 週明けからのトンネルの総点検の結果、大がかりな補修工事が必要となれば、業績への大打撃は避けられない。「部分運休してでも点検を急ぐべきだ。国の支援を受けても病巣を取り除く必要がある」と、安部教授は指摘する。
 同社内にも運休すべきだという議論がないわけではない。
 事故後の対策について議論をするある会議の場。重苦しい雰囲気のなか、ある幹部が提案した。「大事故につながったらたいへんだ。この際、部分運休してでも、点検の時間を増やすべきだ」
■認識に甘さ
 もし仮にこれから大きな事故を起こせは、単に収益を圧迫するだけでは済まず、民間企業として存続さえ危ぶまれるかも知れない、という声もある。運休すべきかどうか、社内の議論もまだ尽きていない。
 解任された前任者の後を受けて鉄道本部長に就いた金井耿専務は、22日の記者会見で「そもそも、トンネルは頑丈だと思い込んでいた鉄道屋の認識に甘さがあったと思います」と語った。
 JR各社は、強力な私鉄と航空会社との競争に勝ち抜くため「より速く、より安く」を求めてきた。ところが今、「粗悪トンネル」という旧国鉄の「負の遺産」のために「より安全に」の追求に大きくかじを切ることを迫られている。(朝日新聞)
25日■JR西日本 検査期限切れ車両運行 在来線の仕業検査 96年度以降、計11件
 JR西日本管内の在来線で、「仕業検査」と呼ばれる定期検査の期限が切れた旅客列車を走らせるミスが相次いでいたことが24日、分かった。記録が残っている1996年度以降だけで11件にのぼり、最長で9日間、期限を越えていた。仕業検査は列車の機器の機能を確認し、消耗品を取り換える最も基本的な検査で、事態を重くみた運輸省は昨年12月、同社に警告書を出していた。しかし、その後も仕業検査だけでなく別の定期検査の期限が切れた車両を走らせるミスがあった。直接、車両故障などの事故に結びつくことはなかったが、同社は緊急対策本部を設け、態勢の改善に取り組んでいる。
 在来線車両の検査は4段階あり、周期の長い順に「全般検査」「要部検査」「交番検査」「仕業検査」に分けられる。仕業検査では、例えば車輪をおさえるブレーキの制輪子やパンタグラフの架線と接するすり板などの摩耗具合を確認し、必要に応じて交換する。
 仕業検査の周期は鉄道会社の内規で決め、運輸省に届ける。列車種別や1日の走行距離に応じて周期は異なり、旧国鉄時代は2日に1回だったが、民営化後は3日に1回。98年3月から、特急以外の電車は96時間おき(1日走行距離600`以上)になり、走行距離が短ければ120時間おき、144時間おきと間隔はさらに長くなる。
 JR西日本によると、96年度以降、仕業検査の期限を越えた列車を運行していたのは、96年度が大阪支社1件▽福知山支社1件▽京都支社1件。97年度が広島支社2件▽大阪支社1件▽神戸支社1件。98年度が大阪支社2件▽京都支社1件。99年度(10月現在)が岡山支社1件の計11件。原因としては台風などでダイヤが乱れたり、ダイヤ改定などで車両運用が変更されたりした場合に、検査日程の管理担当者が落としてしまう例が多いとみられる。ほとんどが期限日の翌日に気づいているが、広島運転所(広島市)では97年4月、仕業検査に入るはずだった芸備線の気動車5両が最大9日間も期限を過ぎていた。
 昨年10月と11月に東海道線の快速電車と山陰線の普通電車が仕業検査をとばしていたことが分かり、運輸省鉄道局は昨年12月、近畿運輸局を通さない異例の形で直接、JR西日本に警告書を出した。
 しかし、今年に入ってからも、仕業検査のほかに別の検査期限が切れた列車が走っていた。5月には北陸線の3本の特急電車で計6両が3ヵ月に1回の交番検査を最長26日間越えていたことが分かり、中部運輸局が警告書を出した。6月には東海道・山陽線の快速電車(1両)が交番検査の期限を越え、8月にも三江線などを走る普通列車(1両)も要部検査の期限を越えていた。
 JR西日本は今年8月に緊急対策本部を設け、現場の検査態勢を総点検するとともに、車両管理システムの改善などを検討。同社車両部は「確認作業を怠るという基本的なミスが原因。全社的に検査態勢を見直したい」と話している。
 車両の検査 JR西日本は、4段階の定期検査をしている。列車の種類によって周期は異なるが、在来線の電車の場合、仕業検査のほか、車両を解体したうえで細部まで検査する「全般検査」(96ヵ月おき)▽動力やブレーキなど重要な装置の主要部分を解体して検査する「要部検査」(48ヵ月おきか、走行距離60万`)▽解体せずに各部の劣化程度などを測定し、車両の状態、機能などを検査する「交番検査」(90日おき)がある。新幹線は在来線より周期が短い。それぞれの周期は運輸省令で定められている。(朝日新聞)
■携帯電話が急増 JRの京都センター開設1年 日に207件、傘トップ 戻るのは30%
 電車の中での忘れ物をまとめて預かるJR西日本が初の「京都忘れ物センター」(京都市下京区)を、開設して1年を経過した。忘れ物捜しや返還をスムーズにするのが狙いで、センターから持ち主に無事に戻った率は約30%と、まずまずの結果という。忘れ物の中で最近目立っているのは携帯電話で、1日に5、6件もあり、現代人の忙しさを反映している。
 センターが開設されたのは、昨年9月1日。今年8月末までの1年間に寄せられた忘れ物は、7万5500件、1日平均で207件に上った。最も多いのは、やはり雨傘・日傘で2万7808件、次いで衣服7054件、食品4478件。9番目に1854件の携帯電話が入った。
 センターによると、忘れ物の中で携帯電話が目立つようになったのは2年前。「それまではポケットベルが多かったが、流行が去り、携帯電話に変わった」という。電車の中の座席や座席下、駅のコンコースなどで、携帯電話が使われる場所が多い。
 落し物の携帯電話をセンターに運んでいると、持ち主からの呼出し音が鳴り、無事に返還されることも。ただ、センターで保管する際には、電源は切っているという。
 このほか、ノート型パソコンや付属のマウスが毎月2、3件ある。キャッシュカードやレンタルビデオの会員証など、忘れ物のカード類も多様となり、発行元への照会に手間がかかるという。
 これまで電車内での忘れ物は、京都や亀岡など主要な駅で預かったが、落し主はどの駅に届ければいいのか迷うことが多かった。このため、京都駅東側にセンターを設置し、管理を一元化した。エリアは京都駅から西は吹田駅、南は上狛駅、北は園部駅までと滋賀県全域。忘れ物は1週間保管して七条署に移し、半年間に引き取りがない場合はリサイクル販売する。
 センターは「早く捜し出すために、どの電車に乗ったか、覚えておいてほしい」と呼びかけ、忘れ物が多い人には「荷物は多く持たず、名前を書いておくこと」とアドバイスする。(京都新聞 夕刊)
■新幹線 崩落対策に5億円 運輸相現場視察 「人海戦術で点検」
 山陽新幹線トンネルのコンクリート壁崩落事故で、二階俊博運輸相は25日、新幹線トンネルのコンクリート落下防止対策や検査手法の研究開発費用として、本年度の二次補正予算に総額5億5000万円を計上することを明らかにした。
 内訳は@鉄道総合技術研究所(JR総研)への補助金に5000万円A検査手法の機械化、精密化を研究開発する運輸施設整備事業団への出資に5億円−としている。
 今月9日に崩落事故が起きた山陽新幹線北九州トンネルを25日未明に視察した後、北九州市で記者の質問に答えた。週内に始まるJR西日本の夜間総点検については「人海戦術で徹底的に調べ、年末の多客期までには『安全宣言』を出せるよう努力する」と話した。
 二階運輸相はこの日、同トンネルの崩落現場を初めて視察。内壁の崩落した部分や「コールドジョイント」と呼ばれる施工不良個所の補強状況、崩れやすいコンクリートの突起部分を電動カッターで削り落とす作業などを見て回った。
 さらに明け方近くには、毎日の始発前に線路状況を点検するため走らせる「確認車」にも同乗、日常の点検作業を見守った。(京都新聞 夕刊)
■天然ガスノンステップバス 「人と環境にやさしく」8台 大阪市導入へ
 人と環境に優しいバスを−。大阪市交通局は現在1台しかない天然ガスノンステップバスを、今年度中にさらに8台導入することを決めた。乗降口に段差がなく高齢者や車いすの人が楽に乗降できるうえ、天然ガスを燃料とするため、硫黄酸化物や黒煙が出ず、窒素酸化物もディーゼル車と比べ7割カットできる。大阪以外では東京都営バスで2台が走るだけで、大阪市は来年度以降も導入を進める考えだ。
 同市交通局は920台余りのバスを保有する。1991年、全国で初めて車いす用リフト付きバスを導入し、現在69台になっている。97年から導入したノンステップバスは19台(うち天然ガスノンステップバスは1台)だ。一方、環境面での配慮も進め、天然ガスバスは40台(同)。停車時にエンジンが止まるアイドリングストップバス、電気の力などと併用するハイブリッドバスも導入を進めている。
 天然ガスノンステップバスは今年4月から1台を走らせている。地上から床面までの高さは34aと従来のバスより50a低く、乗降時はさらに7a下げることができる。普通の天然ガスバスでは床下にある燃料ボンベを、低床化のため屋根の上に設置しているのが特徴だ。
 通常のバスが1台1900万円なのに比べ、3600万円と高価だが、運転手の反応は「エンジン音が静か」「乗降時の安全性が高い」とおおむね好評だという。コストダウンをメーカー側に要請するなど改善を図り、間もなく8台を発注して今年度中には走らせたい考えだ。(朝日新聞 夕刊)
■運輸相 「年内には安全宣言」 山陽新幹線のコンクリ落下 トンネルを視察
 JR山陽新幹線の北九州トンネル(全長11.7`)内で計226`のコンクリート塊が落下した事故で、二階俊博運輸相は25日未明、事故現場を視察した。終了後、運輸相は国の監督責任を認め「JR各社にも協力を要請し、点検作業を早急に進めたい。年内には(運輸省としての)安全宣言をしたい」と、山陽新幹線にある142本すべてのトンネルの総点検に全力で取り組む姿勢を強調した。
 運輸相は南谷昌二郎・JR西日本社長らとともに保守用車両に乗り込み、約1時間半かけて崩落現場を視察。車両から身を乗り出して落下した打ち込み口をのぞき込んだり、自ら懐中電灯でトンネル内を照らしたりした。
 視察を終えた運輸相は「点検にはかなりの時間がかかるだろうが、人海戦術であたりたい。打音検査の機械化などの研究開発にも予算を付けたい」と述べ、5億5000万円を今年度の補正予算案に盛り込む考えを明らかにした。
 監督官庁としての運輸省の責任については「責任を逃れるものではない」と認め、「運輸省も出先の運輸局の職員を出して全力で対応したい」と官民あげて早急に総点検を始め、安全確保を目指したいとした。
 総点検のため列車の運行を止める考えはないか、との質問には「公共交通機関だから簡単には止められない。現時点では(新幹線が走らない)夜の6時間だけで点検作業ができると思われる」と従来の考えを繰り返した。(朝日新聞 夕刊)
26日■山陽新幹線340分運休へ 11月8日−12月15日 広島−博多間 トンネル総点検 6万人に影響
 山陽新幹線の福岡、北九州両トンネルでのコンクリート壁崩落事故を受けたトンネル総点検で、JR西日本は11月8日−12月15日の間、同新幹線広島−博多間で列車の一部を運休する。終列車を約1時間繰り上げ連日、部分運休を含め上下9本が運休。期間中計342本が運休、延べ6万人近くに影響が出る見通し。
 新幹線車両を使う在来線の博多南線(博多−博多南間)も連日1本運休する。
 総点検は25日夜から実施。全142トンネル(総延長約280`)で入念な打音検査をし、12月16日未明まで続ける。
 同社はこれまで「運行停止は必要ない」と繰り返し、二階俊博運輸相も同社の判断を支持していた。しかしコンクリート劣化が深刻化している広島以西の区間では予想以上に点検に時間がかかると判明、方針を転換した。
 同新幹線が阪神大震災などの災害や事故以外の理由で、部分的にでも運休するのは1975年の全線開業以来初めて。同社は臨時列車などで対応する。運休による同社の損失は総額2億−3億円に上る見通し。
 総点検には、JR他社やOBを含め、連日通常の5−6倍の約1100人、延べ約4万9000人を投入。2トンネルの事故とも従来、打音検査の対象でなかった「想定外」のケースだったことから、これまで目視で済ませていた細かいひび割れや、強度が低い天井頂上部などについて、入念に打音検査。21ヵ所を重点点検項目として抽出、安全を確認する。(京都新聞)
■山陽新幹線、部分運休 広島−博多1日10本 来月8日からトンネル点検で
 JR西日本は25日、山陽新幹線の北九州トンネル(北九州市八幡東区)内でのコンクリート塊落下事故を受け、同新幹線にある計142本のトンネル(総延長280`)の総点検を始めるとともに、点検のため、コンクリートの劣化が特に進んでいるとみられる広島−博多間で新幹線を部分運休する、と発表した。総点検は25日深夜に始まり、部分運休期間は11月8日から12月15日まで。最終列車の運転を約1時間繰り上げ、同区間で1日計10本を運休させる。山陽新幹線が事故や自然災害以外の理由で部分的にでも運休するのは、1975年の全線開業以来初めて。
 JR西日本によると、トンネルの総点検期間は12月16日未明までで、トンネル内壁のすべてをハンマーでたたく打音検査などに延べ約5万人を投入する。午前零時から午前6時までの計6時間が基本だが、広島−博多間については、6月末の福岡トンネル崩落事故後の緊急点検で、施工不良個所「コールドジョイント」の異常音個所が全体の7割近くを占め、点検作業に時間がかかるとみられるため、1時間ほど作業開始を繰り上げることにした。
 午後10時から午前零時に同区間を走る東京発博多行き下り「のぞみ」と「ひかり」など上下6本が広島以西で部分運休し、広島発小郡行き下り「こだま」など上下4本が全区間運休する。このため、午後11時までに上下2本の臨時列車を同区間で運転するはか、並行するJR山陽線などの在来線でも上下3本の快速列車を臨時運転する。同社は、運休による影響を1日計1500人、期間中の減収を2億−3億円とみている。
 総点検では、天井付近のアーチ部や漏水個所など「弱点」とみられる21項目にわたる重点点検個所は打音検査の密度を濃くし、異常音個所はすべてたたき落とすほか、亀裂などは検査したうえで劣化程度に応じて補修・補強工事を施す。
 また、社内に「山陽新幹線トンネル安全総点検推進本部」(本部長・南谷昌二郎社長)を設置し、第1回推進本部会議を開いた。
 JR西日本の金井耿・鉄道本部長の話 広島以西の利用者の方々にはご迷惑をおかけして申し訳ないが、今回のコンクリート問題の特殊性もあり、効率良く、精度高く、早急に点検作業を終わらせるため決断した。(朝日新聞)
■JR西日本・トンネル総点検 業績不振に追い打ち 人件費など100億円前後?
 山陽新幹線のトンネルからコンクリートが落下した事故を受け、JR西日本が25日から始めたトンネルの総点検は、12月半はまでの52日間で、のべ4万9000人を動員するという「かつてないほどの大規模な点検」(鉄道本部)になる。6月の最初の落下事故後の緊急点検や補修工事の分も合わせ、費用は100億円近くになりそう。旧国鉄時代のずさんな工事のツケを、負わされる形となり、その結果、2000年3月期の業績予想を達成できない可能性が出てきた。
 JR西日本は通常の夜間の点検で、1日あたり社員約100人を動員しているが、今回の総点検にはOB、関連会社の従業員も集め、1日あたり1085人をあてる。このため人件費を中心に、「最低でも40億円の費用がかかると覚悟している」(金井秋専務)。点検の結果、危険部分の補修工事があれば、さらに費用がかさむ可能性もある。
 総点検に伴う「部分運休」は38日間の予定で、2億−3億円の減収となる見込み。
 JR西日本は、6月下旬に福岡トンネルでコンクリート塊が落下した事故や、その後の高架橋のトラブルを受け、トンネルを延べ7000人で、高架橋を同8000人で緊急に点検した。この点検と施工不良個所の補強工事で、「30億−40億円の費用になりそう」(鉄道本部)。
 さらに今月上旬、北九州トンネルでコンクリートを流し込む「打ち込み口」が落下したのを受け、同社は36`にわたる打ち込み口をすべてたたき落とすことを決めた。こちらは「20億−30億円の費用を覚悟する」(首脳)という。
 JR西日本は今年5月の時点で、2000年3月期の売上高を8960億円、経常利益を480億円と、「減収減益」決算を予想した。経常利益については「税率変更などの要素を除けば、実質的には400億円」(財務部)と厳しくみていたが、一連の事故の影響でさらに利益が圧迫されるのは必至だ。(朝日新聞)
■山陽新幹線運休 信頼回復へ方針急転換 「背水の陣」で総点検急ぐ
 「総点検のため、山陽新幹線の運行を一時的に止めます」−。25日、JR西日本は従来の方針を大きく転換した。「想定外の事故」が相次いでも「列車の運行は止めない」と強硬に主張してきたが、福岡トンネルと北九州トンネルでの二度の崩落事故で新幹線の「安全神話」が地に落ち、信頼を取り戻すための早急な対応に迫られての苦渋の選択だった。
 「今の状況からすると、早く総点検を終え、安心していただかなけれはならない」。この日の記者会見で、JR西日本の金井耿・鉄道本部長はこう語った。
 今回のトンネル総点検は、福岡、北九州の両トンネルからの落下個所が事前の点検で「軽微」と判断され、打音検査しないまま放置されていたことを重くみたからだ。
 ある幹部は「何であれ、もう二度と落ちることは許されない。背水の陣を敷いた形だ」と語った。
 「大事故につながったら大変なことになる。部分運休も選択肢に入れるべきなのではないか」
 北九州トンネル事故直後から、JR西日本の一部の幹部は対策会議でこう主張していた。今月中句、総点検に要する時間などをトンネル内で試したところ、移動時間などを除いた打音検査ができる時間は一晩で2時間、進行の程度は一晩平均500bだった。さらに、天井など手間のかかる個所は200bまでと作業が遅れがちになることもわかった。
 これまで南谷昌二郎・JR西日本社長らは「大動脈の山陽新幹線を一時的に止めることはできない」と考えてきた。幹部たちは、公共輸送機関として1日17万人を運ぶ使命と、運休してでも早急な安全確保と信頼回復を目指す思いの間に揺れる日々が続いた。
・保守基地訪れ社長が訓示
 山陽新幹線のトンネル安全総点検が25日夜から始まり、JR西日本の南谷昌二郎社長は神戸市西区伊川谷町別府の西明石新幹線保線区西神戸保守基地を訪れ、約50人の社員らに「二度にわたるはく落事故で、山陽新幹線の信頼感が著しく傷つけられた。なんとしても国民の信頼を回復しなければならない。社員とグループ企業の全員で力を合わせ、総点検にあたっていただきたい」と訓示した。(朝日新聞)
■ビー玉で環状線遅れ
 26日午前8時5分ごろ、大阪市浪速区のJR大阪環状線今宮駅で、天王寺発の外回り普通電車(8両、乗客約800人)の発車前、車掌が扉を閉めようとしたところ、前から6両目の右側扉の一つが閉まり切らない状態になった。
 車掌らが調べると、扉レールの水抜き用の穴にビー玉(直径約1.5a)1個が挟まっていた。取り除くのに手間取り、同電車は15分遅れで発車した。
 環状線の内回り、外回り各1本が運休するなど約2万5000人に影響が出た。(京都新聞 夕刊)
■ビー玉1個 電車止めた JR環状線ドア閉まらず
 26日午前8時ごろ、大阪市浪速区のJR環状線今宮駅で、外回り普通電車のドアの一つが閉まらなくなった。車掌が調べたところ、ドアレールわきの水抜き用の穴にビー玉が挟まっていた。運転士がドライバーで取り除いたが、この電車が約15分遅れたほか、2本が運休、18本が2−15分遅れ、約2万5000人の通勤客らの足に影響が出た。(朝日新聞 夕刊)
27日■地下鉄西伸など要望
 京都市西京区自治連合会(豊田英嗣会長、17自治連)は26日、桝本頼兼市長に▽地下鉄東西線の洛西地域までの延伸▽府道久世北茶屋線の4車線化の早期実現と、同道とJR東海道本線との交差部に新駅の設置▽阪急桂駅の拡幅▽阪急京都線の早期高架化−など新たな交通網の整備を求める要望書を提出した。(京都新聞)
■特急券など不正発券 容疑の元ツーリスト店員逮捕
 大津署は26日、約四百数十万円相当の新幹線自由席特急券などを不正に発券したとして、有価証券偽造の疑いで、宇治市大久保町、元近畿日本ツーリスト大津支店店員中村弥生容疑者(34)を逮捕した。
 調べによると、中村容疑者は大津市梅林一丁目の同社大津支店に勤めていた昨年2月13日から約2週間、金券ショップで換金する目的で、店に設置してあるオンライン端末機に架空の団体客申し込みを入力し、計15回に渡って新幹線自由席特急回数券など約60冊を不正に発券、偽造した疑い。発券した回数券は京都市内の金券ショップで現金に換えていたといい、調べに対し同容疑者は「遊ぶ金がほしかった」と供述しているという。(京都新聞)
■JR北陸線 コンクリ塊落下 新潟県のトンネル 徐行運転、10本遅れ
 26日午前11時10分ごろ、新潟県能生町のJR北陸線能生−名立間の頚城トンネル(全長約11`)内で、上り線の線路わきにだ円形のコンクリート塊(長さ約60a、幅約40a、厚さ約2a、重量計約5`)が約25個に割れて、落ちているのを作業員が見つけた。JR西日本は約3時間後から約2時間にわたって、通過する列車を徐行運転させ、徒歩点検した。このため特急など上下計10本が最大5分遅れ、約1000人に影響が出た。
 JR西日本金沢支社によると、コンクリート塊は頚城トンネル内の能生駅側出入り口から約3.7`付近の線路わきの側溝内などに散らばっていた。線路から高さ約2b付近のトンネル側壁からはがれ落ちたとみられる。列車の通過中に落下した可能性もあるが、落下地点は線路から約1.5b離れており、高さも低かったため列車の運行に支障はなかったという。
 同トンネルは1960年代後半に完成。今年7月21日、山陽新幹線福岡トンネルでのコンクリート塊落下事故後の緊急点検で、施工不良個所「コールドジョイント」部を中心に点検したが、今回の落下個所はひび割れや漏水など劣化の兆候はみられず、「健全」と判定されていた。同支社は、はがれ落ちた原因を調べている。
 同トンネルには数十ヵ所にコールドジョイントが見つかり、この日は午前10時すぎからコールドジョイント部を補強する工事の予備調査のため、9人の作業員が入っていた。(朝日新聞)
■踏切に障害物? 電車自動停止 JR福崎駅
 27日午前7時50分ごろ、兵庫県福崎町のJR播但線福崎駅構内にある塚口踏切(警報機、遮断機付き)付近で、鶴居発姫路行き上り普通電車(2両編成)の自動列車停止装置(ATS)が作動した。電車は非常ブレーキがかかり、約300b滑走して同駅のホームを約5b行き過ぎて止まった。運転士がATSを解除して正規の停車位置まで約30b後退。約140人が乗降した後、5分遅れで発車した。
 JR西日本によると、電車が通過する直前に何かが踏切を横切ったため現場に設置してある障害物検知装置が作動したらしい。後続の電車など計6本が5−3分遅れ、約2500人に影響が出た。(朝日新聞 夕刊)
■回数券不正に発行した疑い 元近ツリ社員逮捕
 滋賀県警大津署は26日、オンラインシステムを利用して新幹線の回数券を不正に発行したとして、元近畿日本ツーリスト大津支店社員、中村弥生容疑者(34)=京都府宇治市大久保町平盛=を有価証券偽造の疑いで逮捕した。
 調べでは、中村容疑者は昨年2月13日から同月末まで15回にわたって、同支店にある端末機に架空の申し込みを入力し、新幹線の自由席や指定席の特急回数券(6枚つづり)約60冊(約四百数十万円)を不正に発行した疑い。回数券は京都市内の金券ショップで換金していたという。(朝日新聞)
■府内各所で大規模停電 変電所でトラブル 新幹線など一時停止 40万世帯に影響 約1時間後に復旧
 京都市内のほぼ全域と、福知山市内や綾部市内などで27日午前11時48分、大規模な停電があった。関西電力京都支店によると、京都府内と兵庫県の一部で計40万戸が停電、午後零時46分に全面復旧した。京都市内では道路や鉄道、病院などで送電がストップし、電車が停止、信号が消えるなど一時、広範囲でパニック状態となった。原因について、関電は西京区の西京都変電所の変圧器保護装置にトラブルが発生し、安全装置が働いたためとしている。
 京都府警交通管制センタによると、正午前に京都市内のほぼ全域と綾部、福知山市内など京都府内の広い範囲で、道路の信号が一時消えた。府警は府内の各署に対して信号が消えた各交差点で交通整理にあたるよう指示した。
 府警によると、正午現在で信号故障による交通事故は発生していない、という。上京区の府警本部前や京都御苑前の烏丸通などでも信号が消え、赤色灯を回したパトカーが出動、署員らが手信号で車を誘導した。
 鉄道では、東海道新幹線が京都−新大阪間で一時停止。JR東海道線の京都−山科や奈良線・東福寺−稲荷、嵯峨野線・京都−福知山間で信号が消えたため電車を全線で一時停止させた。
 JR東海、西日本によると、新幹線京都駅で約10分間停車したが、目立った影響はないとしている。嵯峨野線など在来線は約40分後に運行を順次再開した。
 京都市営地下鉄は電車の運行に影響はなかったが、丸太町駅から北山駅間で駅構内の照明が消え、非常灯で対応ほか、エスカレーターやエレベーター、自動改札機などが使えなくなった。京福電鉄は40分間にわたり全線で運行がストップした。
 北大絡駅の地下バスターミナルでは、構内が停電したため、非常灯の下で職員がバスに乗るための自動ドアの開閉を手動で行った。
 京都市消防局によると、北大路駅やマンションなどで、停止したエレベーター内に人が閉じ込められた。救助隊の出動が4件あり、9人が救出された。また、市内一円から問い合わせが15分間に約80件も殺到した。
 京都市立病院では停電のため自家発電装置に切り替え、患者らへの影響は出ていない、という。下京区の京都駅ビルのジェイアール京都伊勢丹でも全館が停電し、非常灯を付けている。
 京都市内では、一部地域で約15分後に電気の供給が始まった。南区や右京区では水道も止まった。
 関西電力京都支店では、市民からの苦情や問い合わせの電話が役到。支店の作業車すべてがパトカーとともに出動した。午後1時前、広報担当者から事故の原因などを書いた紙が配られ、1時半になって大阪本社で取締役の秋山哲夫氏が記者会見に応じた。
・高浜原発が自動停止
 関西電力若狭支店によると、午前11時48分、高浜原子力発電所で送電線の波及事故と思われるトラブルが発生し、運転中の原発プラント1、3、4号機が自動停止した。送電系統で事故が発生したかどうかを調査している。(京都新聞 夕刊)
■もろかったライフライン 京都府内大停電 ガス・水道・列車も 暗い室内、不安な市民
 京都市内全域で27日正午前、大規模な停電があった。停電は早いところで15分程度で復旧に向かったが、一部ではガスや水道も止まった。JR各線で列車がとまり、幹線道路の信号はストップして、各地で渋滞が起きた。昼食の準備を急ぐ市民たちは折からの雨空のなか、暗い室内で不安なひとときを過ごした。コンピューターが誤作動する「2000年間題」に不安が残るなか、白昼の突然の大規模停電は、都市部のライフラインのもろさをあらためて見せ付けた。
 京都市下京区のJR京都駅中央改札口では、駅員が停電に伴う電車の運休を知らせるアナウンスに追われた。「いつになったら動くのか」「新幹線は大丈夫なのか」と詰め寄る乗客もいた。
 千葉県から出張に来ていて、この日に戻る予定の会社員(29)は「まだ切符も買っていない。早く帰りたい」と話した。タクシーを使おうと、乗り場は30bほどの行列となり、イライラした様子で待つ会社員もあった。
 京都市下京区のジェイアール京都伊勢丹では、午前11時50分過ぎ、店内の電気が一斉に消え、買い物客からどよめきの声が上がった。右京区から買い物に来ていた主婦(47)は「エスカレーターに乗っていたら、急に止まって怖かった」と不安そう。
 店内放送で「盗難に気をつけてください」と流れた後、店員が客を階段へと誘導した。10分後に自家発電が作動、まずエレベーターに閉じ込められた客の救出に当たった。しかし、レジの大半が稼働せず、店内のベンチに座って復旧を待つ買い物客の姿も目立った。
・府北部も20分間
 京都府北部でも、午前11時48分から約20分間、一斉に停電した。
 各市役所と町役場ではこの間、戸籍関係などのパソコンが使えなくなり、窓口で復旧を待つ人の姿がみられた。天田郡三和町役場では、印鑑証明をもらいに来たものの、しびれを切らして帰る人もいた。福知山市役所ではバックアップ用の端末機で対応した。
 交通関係では、JR山陰線の京都−福知山間、城崎−香住間、舞鶴線の綾部−東舞鶴間で架線に電気が来ないなどの影響で、列車が一時ストップ。道路の交通信号機も消えたため、各署が署員を出して交通整理した。
 大規模病院は自家発電装置が作動したが、福知山市民病院では不要不急の電力消費を減らすため「テレビを消して」など館内放送した。
 金融機関のオンラインにも影響が出て、東舞鶴信用金庫本店などでは一時、本人確認をしたうえで限度額を決めて取り扱った。ATMが使えなくなる金融機関もあって、訪れた人たちが復旧を待った。
・住民票、発行できぬ ATM、CDも影響 京都市区政課の調べでは、北、下京、南、東山、西京、右京、西京洛西支所の各区役所が停電し、全館が停電したり住民票発行のオンラインシステムが止まるなどの影響が出た。うち東山、西京、西京洛西支所は午後零時20分現在、復旧していない。
・券売機ストップ
 京都市交通局によると、午前11時50分ごろ、地下鉄烏丸線の北山から丸太町の各駅で停電、券売機も一時発券ができなくなった。約5分後に復旧した。列車の運行については「無停電電源」を利用しているため支障はなかった。東西線への影響もなかった。
・水の濁りで影響調査へ
 京都市水道局によると、右京区の山之内浄水場の電動ポンプの一部が停止した。すぐに自家発電に切り替えられたが、「一時的でもポンプが停止すると、水が逆流して濁る可能性があるので、影響する世帯数などを調査している」(同局総務部)。同浄水場は右京区一帯と西京、中京、南の3区一部にも供給しており、市内世帯の5分の1程度にのぼる、という。
 京都市消防局には、停電発生直後から「停電はどこだ」など、市民からの問い合わせが相次ぎ、119番が役到した。
・府庁は自家発電に
 上京区の府庁でも、正午前に全館が停電。エレベーターに乗っていた職員数人が一時、閉じ込められた。府財産課は急きょ、自家発電に切り換えた。関西電力に問い合わせたが「原因は調査中」というだけだった。
 消防防災課では、防災行政無線を非常電源に切り換えた。情報システム課でも、コンピューターの情報が消えないようホストコンピューターの電源を切るなど対応に追われたが、零時10分ごろ復旧した。
 財産課によると、会計などコンピュターの端末が一時ダウンしたといい、影響がないかどうか調べている。消防防災課によると、府内の12地方振興局のうち、宇治、田辺、木津を除く九振興局の管内で停電したという。
 京都市中京区の市立病院(586床)でも、午前11時45分ごろから約20分間、停電したが、すぐに非常用の電源に切り替わり、「今のところ重大な影響が出たとは聞いていない」(管理課)という。外来患者に対しても通常通り、診療を続けており「混乱はない」としている。
 下京区の武田病院でも停電し、集中治療室や人工透析室などの医療機器を中心に自家発電に切り替えて対応した。京都第二赤十字病院(上京区)やシミズ病院(西京区)などでも停電したが、いずれも患者には影響なかったという。
・奈良線止まる
 JR奈良線では、伏見区の桃山駅で京都行き普通電車がストップした。乗客約100人はバスで近くの近鉄や京阪電車の各駅に振り向け輸送された。
 桃山駅での停車時間は約15分で、この間、乗客への情報提供は一切なく、「どうなったんだ」との声が出ていた。駅側は信号機が作動しなくなったとしており、電車は急きょ奈良行きに運転変更した。
・警官が手信号
 北区の千本通鞍馬口交差点でも、停電で信号がすべて作動しなくなり、停電直後から、警察官が手信号で交通整理に当たった。近くの農機具店でも、非常灯だけがともったが農機具店経営の男性(58)は「こんなことは初めてです。信号が止まっているので、車の事故が心配です。近くにある工場で使っている火の気はすべて消しました」と、突然の停電に当惑した様子だった。近くの銀行では、行員が店の前に立ち、「停電でCD機は使えません」と利用者の説明に追われた。(京都新聞 夕刊)
■74トンネルで補修必要 建設省、国道など緊急点検
 国道など435のトンネルでコールドジョイントと呼ばれるコンクリートの接合不良が見つかり、そのうち74のトンネルで補修工事が必要なことが、建設省の調査で27日までに分かった。
 同省は新幹線のコンクリート片落下事故を受け、道路トンネルの緊急点検を7月から実施していた。
 確認された接合不良部は4549ヵ所に上り、ひび割れや漏水などで対策が必要なのは145ヵ所あったが、通行止めにするほどの危険個所の報告はなかったという。
 建設省は「応急対策を進め定期点検を強化する。個々のトンネルの異常の有無は道路を管理する地方建設局や自治体などに問い合わせてほしい」としている。
 緊急点検は全国の道路トンネル8439のうち、日本道路公団など4公団が管理する高速道路と直轄国道のトンネルすべてに加え、事故のあった新幹線トンネルと同時期の1970年代に造られた都道府県が管理する国道などのトンネルの計3529。
 歩きながらコールドジョイントを目視で探し、ジョイントがあった場合は、その部分をハンマーでたたき音を聞いて対策が必要かどうか判断した。はがれ落ちそうなコンクリート片はその場でたたいて落とした。
 JR各社も緊急点検しているが、異常個所の割合について建設省は「東日本と同程度で、西日本よりはるかに少ない」としている。
 同省では「道路トンネル耐久性検討委員会」(委員長・今田徹東京都立大教授)を27日に設置、補修方法などを検討する。(京都新聞 夕刊)
■京都・兵庫で大規模停電 新幹線が一時停止 高浜原発止まる
 27日午前11時45分ごろ、京都府内で広範囲に停電があり、JRの運行やビルのエレベーターの運転などに支障が出ている。関西電力で原因を調べている。京都市下京区のJR京都駅では、構内のすべての信号機が消えた。JR西日本とJR東海によると、東海道新幹線が一時運転を見合わせたほか、東海道線京都−梅小路、京都−山科間、山陰線京都−福知山間、奈良線東福寺−稲荷間でいずれも列車の運転が止まった。順次復旧しているが、午後零時40分現在、奈良線など一部の線区はストップしている。京都市営地下鉄は一部の駅で約5分間、構内が真っ暗になり、券売機が止まった。
 三菱電機ビルテクノサービス京都支店によると、市内でエレベーターが止まっているという問い合わせが昼前から殺到し、社員が対応に追われているという。
 京都府に隣接する兵庫県氷上郡の五町と豊岡市など但馬地方の1市10町でも停電になった。午後零時10分ごろから相次いで復旧したという。主要交差点では信号機が消え、警察官が手信号で車両の整理にあたっ 27日午前11時48分ごろ、福井県高浜町の関西電力高浜原発で、定期検査中の2号機を除く稼働中の1、3、4号機の原子炉の運転が一斉に自動停止した。
 関西電力で詳しい原因を調べているが、京都市西京区の変電所でトラブルがあり、送電が自動的にストップした影響らしい。(朝日新聞 夕刊)
28日■大規模停電 関電「人為ミスの可能性」 西京変電所 安全装置が誤作動 関連装置 取り換え作業中 高浜原発、再稼働に数日
 京都府を中心とした大規模停電事故で、関西電力は27日午後に記者会見し、事故の原因について、西京都変電所(京都市西京区)内で変圧器の安全装置が誤作動したため、と説明した。当時、同変電所では、関連装置の取り換え作業中で、人為的ミスの可能性があることも明らかにした。
 同社の説明によると、誤作動したのは、50万ボルトの電圧を27万5000ボルトに変える西京都変電所内の3号変圧器の安全装置で、周辺5ヵ所の遮断器が閉じられた。この結果、京都府南部や大阪方面への送電系統が切り離され、電力需要が130万`ワットに急減。当時240万`ワットの発電をしていた高浜原発との需給バランスが急激に崩れたため、同原発の3つの原子炉が自動停止し、一斉に送電がストップした、という。
 安全装置は、変圧器に故障や過電流などが生じた際、送電系統から切り離す保護装置のバックアップ機能を持つ。保護装置が機能しなかった場合、より広範囲に遮断器を作動させてトラブルの拡大を防ぐという。
 しかし、事故当時、3号変圧器では、保護装置の取り換え作業を行っており、変圧器も運転を停止していた。関電では「何らかの理由で、安全装置を作動させる信号が流れた可能性が強い」と説明している。
 取り換え作業は、保護装置の耐用年数によるもので、事故との関連については「調査中」としながらも、秋山哲夫取締役電力システム室長は「装置の劣化か、人為的な可能性もある」と話した。
・周辺住民に事故影響なし 高浜原発
 27日午前11時48分、高浜原子力発電所で送電線の波及事故と思われるトラブルが発生し、運転中の1、3、4号機が自動停止した。西京都変電所(京都市西京区)の設備事故の影響と見られ、原因については現在、関西電力で調べている。
 関電若狭支社によると、再稼働の見通しはたっていない。放射能漏れなどの事故はなく、周辺住民にも影響はない、という。
 高浜原発では、自動停止した際、急激に停止したため、設備が損傷を受けなかったか調査したが異常はなかった。しかし原発内にあるタービンと給水ポンプの軸受けの潤滑油に蒸気が混入しているのが分かった。一時的な停電でファンが止まり、蒸気が混入したらしい。潤滑油を取り換え作業を行うことにしており、再稼働には数日かかる見通し。(京都新聞)
■府内 停電、6市19町で JR、私鉄ダイヤ終日乱れ
 京都市全域と京都府北部、兵庫県北部で27日午前11時48分、発生した停電は、関西電力の調べで7市34町に及ぶことが分かった。計40万戸が停電したほか、送電ストップで新幹線や東海道線などで電車が停止し、ダイヤの遅れは終日続いた。
 関電京都支店によると、停電した地域は京都市右京、下京各区の全域と北、上京、中京、西京、東山、南の各区一部、さらに舞鶴市、宮津市、福知山市、綾部市、亀岡市、峰山町、園部町など京都府内の6市19町で、31万戸が停電。兵庫県北部では豊岡市、柏原町、城崎町など1市15町、さらに大阪府の能勢町で停電した。
 午後零時12分に東山区方面の9000戸を除いて復旧、同46分に全面復旧した。
 JR東海、西日本によると、停電で信号が消えるなどしたため、東海道新幹線・京都−新大阪間で上下線各1本が自動停止。10分後に運転を再開した。東海道線・京都−山科間、嵯峨野線・京都−福知山間、奈良線・東福寺−稲荷間でも40分−1時間20分にわたり運行がストップ。湖西線を含め計153本が運休するなど終日ダイヤが乱れ、約5万5000人に影響が出た。
 私鉄でも、京福電鉄の全線で計16本が運行停止。阪急京都本線でも停電、安全確認の徐行運転で5本が最大7分遅れた。京都市営地下鉄は運行に影響はなかったが、烏丸線・丸太町−北山の各駅で自動改札機や券売機が使えなくなった。
 京都市消防局によると、エレベーターに閉じ込められる事故が4件相次ぐなど、119番による緊急出動が5件あった。各地の道路で信号が消えたため、京都府警は交差点に警官を配置し交通整理にあたった。信号の故障による交通事故は発生していない。
 関電京都支店によると、これまでの大規模停電は、阪神大震災や台風など自然災害で発生しているが、変電所のトラブルが原因となったケースは過去にないという。
・停電した他の府内17町
 京都府内で停電になったのは次の通り。(6市2町を除く)
 丹波町、和知町、日吉町、瑞穂町、野田川町、岩滝町、加悦町、伊根町、網野町、弥栄町、丹後町、大宮町、久美浜町、大江町、美山町、三和町、夜久野町。(京都新聞)
■発端、異常通知の誤信号 送電「もと」を遮断 原子炉自動停止 需給バランス崩れ
 27日正午前に府内一円で発生した停電は、西京都変電所(京都市西京区)での小さなトラブルが、高浜原子力発電所(福井県高浜町)を停止させ、京都市だけでなく府北部、兵庫県北部などの計7市35町の約40万世帯に被害が及ぶ事態となった。
 西京都変電所には、高浜原発から新綾部変電所(綾部市)経由で50万ボルトの電気が送られ、変圧器で電圧を下げた後、京都市内や大阪府などに供給している。
 この日午後、京都市下京区の関西電力京都支店で記者会見した山本博士技術次長によると、西京都変電所の変圧器の安全装置に異常を知らせる信号が誤って送られ、50万ボルトの電気が流れる2本の母線の1本が遮断、電気の通り道が少なくなったために電力需要が一気に低下、高浜原発との需給バランスが崩れ、原子炉が自動停止した。
 送電の「もと」を断たれたため、新綾部変電所にも電気が送られなくなり、同変電所がカバーする府北部や兵庫県北部も停電する結果となったという。
 西京都変電所には、高浜原発のほか、大飯原発からも送電されているが、変圧せずに新生駒変電所(大阪府)に直接流す中継機能しか果していないため、利用できなかった。また新綾部変電所は、猪名川変電所、大河内発電所と接続されているものの、通常は送電されていない。
 安全装置の作動が原発停止につながったことについて、山本次長は「一つのトラブルが発生した際、より広範囲に影響するおそれがあるため、このようなシステムになっている」と話すが、「原発が入っている送電系統については、今後、検討が必要かもしれない」としている。
・宿泊予約など手続きできず 企業活動に影響も
 京都を中心に広範囲で起こった停電は、交通網や日常生活に支障をきたし、企業活動にも影響を与えた。京都府内のほとんどの企業は停電時のバックアップ体制を整えていたことから、大きな混乱はなかったが、金融機関やホテルなどの一部で支障がでた。
 京都銀行は、本店(京都市下京区)を含め京都市内や府北部の計50店舗で停電になった。本店は、自動的に自家発電に切り替わり、業務に支障はなかったが、一部の支店のATM(現金自動預払機)が一時的に作動しなくなった。
 このほか、京都中央信用金庫や京都信用金庫、京都みやこ信用金庫などの支店でも停電が起こった。
 通電の再開が1時間以上遅れた東山区や右京区の一部の支店は、職員が利用客を近隣支店などに案内した。
 京都新阪急ホテル(下京区)は、ネットワークで結ばれた大阪市北区の新阪急ホテルのホストコンピューターが作動しなくなった影響で、一時間近く宿泊登録手続きができなくなったが、利用客が少ない時間帯で、トラブルはなかった。
 京都全日空ホテル(中京区)でもコンピューターシステムに影響が出て、電話予約が受け付けられなくなったが、間もなく復旧した。(京都新聞)
■原発関連 しない通報 府−関電に協定なし 大規模 判明遅れる 一報は「自動停止」 危機管理に課題
 27日昼に京都府内で起きた大規模な停電で、関西電力から京都府には、高浜原発の異常に関する通報協定に基づき、発生直後に連絡があった。しかし、原発が関連しない停電については、両者の間に協定はなく、今後の危機管理に課題を残した。
 府消防防災課によると、関電京都支店から同課に通報があったのは、停電発生から7分後の午前11時55分で、「高浜原発の1号機が自動停止し、3、4号機も出力を落としつつある」との内容。さらに10分後、3、4号機も停止した旨の連絡があったという。
 当時、府庁内も停電していたことから、同課では各地方振興局などに電話で問い合わせ、ようやく京都市内の大半と府北部、中部にかけての大規模な停電と分かった。
 連絡は府と関電が結ぶ「高浜発電所の安全確保にかかる通報連絡協定」に基づいて行われたが、「高浜原発に異常が生じない限り、関電には通報義務がない」(府消防防災課)という。
 これについて、関電京都支店は、「社内規則で大規模な停電の際には関係自治体に通報することにしている」というが、今回、同支店の防災担当者が府に停電として正式に連絡したのは、発生から45分後だった。
 府の地域防災計画も、地震や台風、原発事故などは対象としているが、停電については、重大事故の発生がなければ対策本部設置などの対応を想定していない。
 今回の停電を受け、荒巻禎一知事は危機マニュアルの見直しを関係部局に指示した。
・関電支店長が陳謝
 関西電力京都支店の神谷俊夫支店長が27日午後、京都市上京区の京都府庁を訪れ、荒巻禎一知事に停電発生の経緯を説明し、「ご迷惑をおかけした」と陳謝した。
 神谷支店長は、西京都変電所で変圧器の安全装置が作動して送電が止まり、高浜原発(福井県)の原子炉が停止したことを説明。「府内と兵庫県の約40万世帯に影響があった。最近にない大きな停電で、原因を究明していきたい」と述べた。
 荒巻知事は「電力はライフラインの中心。交通関係などで事故にならなかったのは不幸中の幸いだった。これを機に今後は万全を期してほしい」と要請した。
・京都市内水道 一部で濁水も
 停電の影響で京都市内の水道では、電動ポンプを使っている山之内浄水場(右京区)で、ポンプが一時的に停止したため水圧が下がり、一部の世帯で水の濁りが見られた。水道局の営業所に寄せられた苦情は35件で、すぐに復旧した。
 同浄水場は右京区や西京区など13万世帯に供給している。
・供給システムの小規模分散化を 滋賀県立大 末石教授
 末石冨太郎・滋賀県立大教授(環境社会システム)の話 電力供給システムが非常に大規模になっていることが最大の問題だ。原発で大量に作った電力を遠くまで送電線をのばして送り、大型の変電所で一括して送電するから、たった1ヵ所のトラブルで大きな影響が出てしまう。阪神淡路大震災の際にも指摘したことだし、先日の台湾地震でも、台北で停電が長く続いたのは震源地近くの変電所に頼っていたためだという。
 もっと小規模で分散化した電力システムにするべきだ。天然ガスを使って、電力と暖房などの熱の両方を供絡するコジェネレーション(熱電併給システム)がその候補だし、ほかにも太陽発電などいろいろな形の発電が考えられる。京都などの消費地に小規模な発電システムを分散すれば長い送電線は不要で、1ヵ所でトラブルが起きても影響は小さいし、互いにカバーできる。ただ、どの程度の大きさの発電所が適正なのかがよく分かっていないので、そういった研究にもっと研究費を配分してほしい。
 日本は上水道や下水道など、電力以外のライフラインも大規模化しているので、同じようなトラブルが今後予想される。小規模分散化の考え方をもっと取り入れるべきだろう。(京都新聞)
■京都大停電 府内の影響 区役所と支所の端末ダウン 証明書類の発行 最大100分も遅れ バックアップが今後の課題に
 京都府内で27日に発生した大規模な停電で、京都市の14の区役所と支所のうち7ヵ所で、住民票などの証明書類が最大100分間も発行できなくなるなどの影響が出た。市役所(中京区)のホストコンピューターはバックアップの電源で守られているが、端末機を置く区役所などには、そうした備えのないところもあり、今後に課題を残す格好となった。
 市では、1988年から住民基本台帳の電算化に取り組み、各区役所の住民票は、ホストコンピューターに蓄積された情報を、端末機から取り出して発行している。消防署を併設する中京区役所と、伏見区役所の深草、醍醐の両支所の3ヵ所を除き、11ヵ所には、停電にも即座に対応できるバックアップ電源は配備されていない。
 このうち東山区役所では約1時間停電。介護保険事務の端末が復旧したのは午後3時半で、この間、業務が停滞した。また、最長の100分間、停電した洛西支所では、約30人の市民が窓口を訪れたが、近隣の別の区役所などに行くよう要請された。
 また、京都府庁でも、停電発生直後、大型コンピューターが停止した。このため、府自動車税管理事務所(京都市伏見区)では、大型コンピューターと結んで納税者名や税額を表示する電算システムが利用できなくなり、窓口が混雑した。
 府立与謝の海病院(与謝郡岩滝町)では、停電直後に自家発電装置が作動したが、レントゲン撮影の機器が13分間にわたって停止。事務処理のパソコンも一時電源を切ったため、会計を待つ列ができた。
 コンピューターが誤作動する西暦2000年間題との関連では、府は今年5月から、近畿の各府県と3政令市とともに、関西電力、大阪ガス、NTT、JR西日本の4者と対応を検討してきた。今回の停電を受け、府情報システム課では「関電は『2000年間題での停電発生はない』としており、とりあえず信じるしかない」と話している。(京都新聞)
■社説 停電は大都市の死命を制する
 現代社会で電気が止まるとどんな事になるか。その危うさをまざまざと見せつけたのが、きのう真昼、京都市内一円と福知山や綾部市、兵庫県の一部などにわたった大規模な停電事故だった。
 家庭やオフィスなどの電化製品はもとより、道路や鉄道の信号、ビルやマンション、デパートのエレベーター、病院の医療機器、上水道の一部にまで影響が及んだ。約1時間後には復旧したものの、電気が戻っても支障が尾を引くなど、現代社会のもろさと停電の怖さをあらためて痛感させられた。
 この停電で「2000年間題」を思い浮かべた人々も少なくなかろう。
 コンピューターでコントロールされた装置や機器類が経済社会活動の隅々まで行き渡った現代では、それらが停止すれば、たちまち「お手上げ」になる。悪くすると多くの人たちが生命を脅かされる事態さえ起きかねないのだ。
 関西竜力は、責任の重さをかみしめ、原因究明と再発防止に全力をあげることだ。そして2000年間題への万全の体制を再点検する必要がある。ライフラインを支える関係業界も、他山の石としてぬかりない備えをしてほしい。
 関電によると、今回の停電は西京都変電所(京都市西京区)で変圧器の保護装置にトラブルが発生し、安全装置が作動して高浜原発からの送電がストップしたため起こった。変圧器の異常がなぜ発生したかは調査中という。
 大都市での停電の例としては、昨年12月、米・サンフランシスコでの事故がある。8時間も停電したため、交通網や情報ネットワークがマヒし、市民生活から経済産業活動まで大混乱を生じた。100万人が不便を強いられたという。
 原因は変電所での単純な工事作業ミスだったが、日本の電力各社はこの事故を教訓に対応を整備してきたはずだ。今回の停電では同様のミスがなかったかどうか。また安全装置が働き、影響の広がりをくい止めたというが、広範囲に及ぶ1時間の停電は重大だ。現代社会にとっては致命傷になるだけに、関電の危機管理があらためて問われよう。
 同時に、今回の停電事故は昨今、日本各地の巨大科学技術現場でぼっ発する重大事故との関連を想起させられる。東海村臨界事故、山陽新幹線のトンネル壁崩落事故などと共通する病理がないか、不安に駆られる人もいることだろう。
 それだけになおさら、関電は事故の原因や対策など、すべての情報を公開して詳しく説明しなければなるまい。
 ちょうど1年前の10月28日、京都や大阪など近畿一円でNTTの専用線が故障し、110番や119番通報、航空機の発着、銀行や証券会社の業務などに支障を来した。原因は別の装置のヒューズ撤去作業のせいだったが、ここでも小さなトラブルが大きな影響を生んだ。
 いまや、電気通信ネットワークのわずかな事故や故障が、大都市の死命を制してしまう時代なのである。
 政府は2000年間題で「大きな混乱はない」と確認したばかりだが、念には念を入れる十分な対応を望みたい。(京都新聞)
■停電の原因 高浜原発停止 変電所異常が誘発 運転再開まで数日 停電 京都中心42万戸
 京都府を中心に27日起きた大規模停電は、関西電力の調べで兵庫県、大阪府の北部を含む約42万世帯に影響を与えた。停電の原因は電力を供給していた福井県高浜町の関西電力高浜原発の3基の原子炉が自動停止したためだ。自動停止は西京都変電所(京都市西京区)でのトラブルが発端とみられる。通常、変電所のトラブルは発電所まで波及しないようになっているが、今回はそれがうまくいかなかった。関電は変電所での機器交換作業が大規模停電のきっかけとなった可能性があるとみて原因究明を急いでいる。
 関電京都支店によると、トラブルが起きた変電所は当時、高浜原発から50万ボルトの高圧電力を受け、別の送電線網に流すと同時に、計6台の変圧器で電圧を落とし、大阪府内や京都市内に送電していた。
 午前11時48分、変電所内で50万ボルト送電線に設置されている遮断器(ブレーカー)の監視装置が、実際には異常がないのに、異常を感知したとして、誤って遮断器を作動させた。
 このため高浜原発からの電気が遮断されていない電線に集中、容量を超えて流れる形になり、過電流保護装置が働いて別の遮断器が作動。その結果、高浜原発で発電された電気の行き場がなくなり、異常を感知した原発が自動停止してしまった。
 電力供給がなくなったため西京都、新綾部両変電所管内の約42万世帯が停電。他のルートへの切り替えが終了するまでの約1時間、停電が続いた。
 西京都変電所では、今月12日から28日までの予定で、老朽化した変圧器の保護装置の交換作業をしていた。この日は午前10時ごろから社員7人が、交換を終えた保護装置の動作確認をしており、事故当時は、変圧器の故障を示す異常な電気信号を模擬的に保護装置に送り、保護装置が遮断器を正常に動かすかどうか試していた。監視装置が異常を感知したのはこの遮断器だった。社員は「作業手順に間違いはなかった」としているが、関電はこうした作業が監視装置の誤作動に影響した可能性もあるとみて調べている。
 高浜原発で自動停止したのは稼働中の1、3、4号機(いずれも加圧水型炉、合計出力256万6000`ワット)。停止後、3基のタービンと給水ポンプの軸受け部分に水蒸気が入り込むトラブルが発生した。このため、潤滑油を取り換える必要があり、運転再開まで少なくとも数日かかるという。外部への放射能の影響はなかった。
 関電は高浜原発の停止に伴う電力不足を補うため、管内の4つの揚水発電所から急きょ水を落として発電。その水量が減った後は、大阪府堺市や兵庫県姫路市の火力発電所を最大出力で運転し、不足が生じないようにしたという。
 福井県では1991年、落雷の影響で、関電美浜原発1号、日本原電敦賀原発1号、動力炉・核燃料開発事業団(当時)の新型転換炉「ふげん」の3つの原子炉が一斉に停止した例があるが、同県は「三基が一斉に自動停止するのは極めて異例」としている。2号機は定期検査中だった。(朝日新聞)
■京都で大規模停電 暮らしのもろさ まざまざ 街中が大きく混乱 ”電気頼り”見せつける
 27日の白日に起きた大規模な停電で、府内の広範囲にわたり人々の暮らしが大きく揺さぶられた。影響は京都や舞鶴など都市部を中心に広がった。道路の信号機が消え、一時は渋滞。鉄道のダイヤが乱れた。マンションのエレベーターがとまり、ビルの自動扉も動かない。操業が中断された工場もある。電気に支えられた今の暮らしのもろさを、停電は改めて見せつけた。
◆鉄道は大混乱
 鉄道の信号機が動かなくなり、JRを中心にダイヤが大きく乱れた。特急「はるか」が新大阪−京都間で計4本運休したほか、山陰線や舞鶴線の特急「タンゴディスカバリー」など6本も最高で50分遅れた。北部では北近畿タンゴ鉄道のダイヤにも25分の遅れが出た。
 京都市内では、右京区の京福電鉄北野線の踏切遮断機が、約40分間下がったまま動かなくなった。市営地下鉄は、烏丸線の北山駅から丸太町駅までの5駅で、自動改札機や自動券売機が約5分間使えなくなった。非常照明灯に切り替わり薄暗くなった地下鉄駅構内では、駅員らが乗客らに「着駅払い乗車券」を配って歩く姿も見られた。
◆交通は渋滞
 京都市内など信号機が消えた道路では、交差点などで一時渋滞した。通りかかったタクシー運転手は「一瞬なにが起きたかわからなかった。交差点には四方から車が入ってきて、危ないと感じた。朝夕のラッシュ時だと大混乱だった」と話す。急きょ警察官が手信号で交通整理に乗り出した。
 鉄道の踏切が閉まったままになったことで渋滞も起きた。右京区内のJR山陰線の踏切は一時間にわたり下がったままで、路線バスがう回運転をするなど市バスのダイヤにも影響が出た。京都市内に約800あるバス停留所のうち、バスの運行状況を示す約140の表示板は、20分にわたり作動しなくなった。
◆繁華街でざわめき
 下京区のJR京都駅では、停電の直後に構内の照明が一斉に消え、ざわめきが起こった。駅近くのオフィスでは、パソコンで作業中の事務員らが「大切なデータが消えてしまうのではないか」と心配顔で急いで作業を中断。復旧後には出勤、退社の時間を管理するタイムレコーダーの時間を調整する姿もみられた。
 北区、東山区、下京区、南区、右京区、西京区の6つの区役所と洛西支所では、コンピューターのオンラインシステムが作動しなくなった。住民票や印鑑登録証明書などの発行が、最高で1時間50分にわたってできなくなった。
 舞鶴市内の引揚記念館では、照明が落ち展示物が見えなくなった。居合わせた9人の入場者には入館料を返す措置をとった。
◆工場にも打撃
 舞鶴市の日本板硝子舞鶴工場では、ガラスの製造設備が止まり、操業停止した。同市内では大阪資生堂や日本特殊産業の工場でも一時生産ラインが止まった。
 金融機関の現金自動預入払出機(ATM)も打撃を受けた。京都中央信用金庫は京都、亀岡、向日、長岡京の各市にある40店舗でATMが止まった。
 JR西舞鶴駅の西駅交流センターでは、ATMのコーナーの自動扉が開かなくなり、中にいた1人が15分間閉じ込められたという。京都市内のマンションや商業施設のエレベーターにも、人が一時閉じこめられる騒ぎがあった。
 警察には、停電後に府内全体で500件の通報があった。これは1日に寄せられる通報の半分に上るという。京都市消防局の指令センターにはレスキュー隊の出動要請のほか、「なぜ停電したのか」など119番の問い合わせが短時間に135件寄せられた。(朝日新聞)
■異例「同時停止」に困惑 制御室まっ暗、警報鳴り、異常ランプ次々 高浜原発 原因特定遅れて混乱
 変電所で発生した異常が、約60`離れた福井県の関西電力高浜原発に思わぬ影響を及ぼした。27日、京都府や兵庫県などを見舞った大規模な停電。3基の原発の同時停止という異例の事態に陥った原因は何だったのか。関電側は会見で「想定外」のトラブルが発生していたことを明らかにし、福井県の担当者らにも困惑が広がった。停電そのものは約1時間で復旧したが、各地で交通機関が止まったり、道路の信号が消えたりするなどの影響が相次いだ。病院などでは非常用電源を作動させ、混乱を防いだところもあった。
■全体像は?
 大阪市北区の関西電力本店には、停電の直後から多数の報道陣が集まった。しかし、原因個所を特定できないまま時間が過ぎ、午後4時の記者会見になって、ようやく西京都変電所の保護装置の異常から、原発の停止に至る「全体像」が明らかにされた。
 報道陣の質問は、高浜原発が3基同時に自動停止した問題に集中した。
 会見に臨んだ電力システム室の青嶋義晴副部長は、「需要と供給のバランスがあまりに大きく崩れた場合、自動的にすべての原発を止めるようなシステムになっている。全部止まることは当初から予期していた」と繰り返した。
 さらに、関電側の原子力・火力本部の藤谷尭・原子力管理副部長は、3基のタービンと給水ポンプの軸受け部分の潤滑油に水蒸気が混入したという予期せぬトラブルも起きたことを明らかにした。
 藤谷副部長は「潤滑油を交換しないと、タービンなどがなめらかに動かなくなり、異常が起きたり、破壊されたりする可能性もある。多量の潤滑油を輸送し、数多い軸受けに入れる作業に少なくとも数日はかかる」と渋い表情で話した。
■自治体は…
 福井県高浜町の関西電力高浜原発では午前11時48分、2つある中央制御室が一瞬、暗くなり、警報ブザーがけたたましく鳴った。異常個所を示すランプも次々についた。発電所の制御担当者は、一次冷却水ポンプの周波数と電圧が低いことを示すランプがついて警報がなったため、変電所の異常で電気が送れなくなったと推定。そのうえで、11時59分に高浜町役場に、午後零時5分に福井県庁に電話で自動停止したことを通報した。
 県庁では午後1時から来馬克美・原子力安全対策課長らが慌ただしく記者会見。「どうして3、4号機まで止まったのか。(発電所内の電気をまかなう)単独運転はしなかったのだろうか」と困惑した様子だった。
 午後5時半から再び会見した来馬課長は、その後に入った情報をもとに自動停止の経緯を説明し、「ほかの原発でも瞬時、出力変動があった。こういう例はきいたことがない。どういう問題があったのか調べないと」と話した。
 一方、高浜発電所の太田正一次長は、小浜市役所で記者会見に臨んだ。送電をほかの変電所に切り替えて、同原発の運転が続けられなかったか、との問いに「切り替えには1時間近くかかるため、できなかった」と説明した。そのうえで「出力がゼロになることは、送れない電気をつくってしまうより、原子炉にとっては安全」と話した。
・駅、病院、信号で影響続々
 JR京都駅では、すべての照明が一斉に消えた。地下に通じるエスカレーターも止まり、地下街は真っ暗。ホームに停車した電車の中では乗客が不安そうに復旧を待った。午後零時15分ごろから照明が点灯し、同25分ごろから在来線が動き始めた。
 京都市消防局によると、停電でエレベーターに閉じこめられたという119番通報は計四件あった。同市北区の大型店で7人が乗ったエレベーターが停止するなど、計10人が一時的に閉じこめられた。いずれも通電とともに動きだしたため、実際に救出されたケースはなかったという。
 同市消防局へは夕方までに停電に関する問い合わせが135件あった。一人暮らしの女性(81)から「酸素吸入装置が止まった」と119番通報があったが、かかりつけの病院の職員が予備の酸素ボンベをもって駆けつけ、危機を脱した。
 京都第一赤十字病院(京都市東山区)では非常用電源を作動させ、医療機器類への影響をくい止めた。
 オンラインシステムも混乱。京都市の6つの区役所で住民票などの発行ができなくなったほか、京都銀行の50店舗、京都中央信金の40店舗で一時的に現金自動預入払出機(ATM)が使えなくなった。
 京都府舞鶴市では約20分間にわたって全域が停電し、道路の交通信号が消えた。また兵庫県但馬地方では、北部の1市10町で約6万5000世帯が停電。豊岡市内のスーパーなどではレジが止まり、従業員が手計算で対応に追われた。(朝日新聞)
■装置故障かミスか 大規模停電 関電、原因究明急ぐ
 京都府を中心に27日起きた大規模停電事故について、発端になった関西電力西京都変電所(京都市西京区)の安全装置の誤作動は、取り換え工事を終えた変圧器の保護装置の動作確認中に発生したことが、28日までに分かった。安全装置は保護装置と連動していることから、関電では装置の故障か、確認作業に問題がなかったか、両面から原因究明を進めている。
 関電によると、取り換え工事は3号変圧器の保護装置の老朽化に伴い、12日から行っていた。27日には新たな保護装置の設置が完了し、変圧器の故障を示す模擬信号を送り、正常に遮断器を作動できるかを確認していた、という。
 この際、保護装置と連携している安全装置に何らかの理由で作動を指令する信号が流れた、とみている。
 同変電所では28日早朝から、遮断器の安全装置の配線などの再点検を行っている。
 一方、事故の影響で自動停止した高浜原発の代替電源として、27日には大阪、海南、御坊などの火力発電所の計5基をフル稼働させて、ほぼ同等の256万`ワットの電力供給を行っている。(京都新聞 夕刊)
■福岡トンネル コンクリ落下 はく離剤不足か 鉄道総研 施工時ミスの疑い
 今年6月27日、JR山陽新幹線の福岡トンネル(福岡県久山町)で、コンクリート塊がはがれ落ちた原因を調べている鉄道総合技術研究所(東京)などは28日までに、施工時にコンクリートの型枠に塗られたはく離剤が不十分だったため、型枠を取り外す際に張力がかかり、コンクリート内部に強度が不足した「弱面」ができていた可能性が強いとの見解をまとめた。
 型枠設置前後の作業ミスが濃厚になったことで、突貫工事で進められた山陽新幹線の施工責任が改めて問われることになる。
 これまでの調査で、落下個所にはコンクリートが一体化していない施工不良部分(コールドジョイント)が見つかった。しかし、コールドジョイントだけでは落ちないため、壁面コンクリート内部に縦に入った別の亀裂がなぜできたのかが、疑問点として残されていた。
 はく離剤は、施工時にコンクリートから型枠を外しやすくする目的で使われる油の一種で、型枠の表面に塗って使われる。これが不十分だと、固まったコンクリートと型粋が密着してはがれにくくなり、無理にはがした場合、張力でコンクリート内部に強度が不足する「弱面」を生じさせる。
 JR西日本などが落下個所の周囲を調べたところ、コンクリート表面にあばた状のくぼみが残っていた。化学成分の分析では、明らかな材質の不良や変性などはなく、同研究所などは「トンネル施工時のはく離剤不足で型枠の取り外しによる張力がかかり、壁内部に弱面を生成。そこに地下水などが染み込んで亀裂に成長した」と推定した。(京都新聞 夕刊)
■安全確保へ法的措置検討も 衆院運輸委が視察
 山陽新幹線の北九州トンネル壁崩落事故を受け、衆院運輸委員会(石破茂委員長)のメンバー7人が28日未明、同トンネルの事故現場を視察した。
 視察後、石破委員長は「JR西日本だけの負担で足りなければ、国としてできる限りのことをするよう運輸委員会としても働きかけなければならない。必要であれば、安全確保のための法的措置も考えなければならない」と話した。
 石破委員長らは、JR西日本の南谷昌二郎社長らとともに28日午前1時40分ごろ、JR小倉駅を出発。崩落個所や、作業員が電動カッターやドリルで突起部を削り落とす作業を約20分間、視察した。
 視察内容は、臨時国会会期中に、報告書として提出される予定。(京都新聞 夕刊)
■突風、列車横転 青森駅、けが人なし
 28日午前10時15分ころ、青森市の青森駅構内で4両編成の普通列車が突風にあおられ、うち2両が脱線、横転した。乗客はおらず、けが人はなかった。
 JR東日本青森支店によると、ホームで乗客を降ろした後、列車が構内を移動中だった。この事故によるほかの列車への影響は出ていないという。(京都新聞 夕刊)
■大規模停電 変電所を集中調査 監視装置周辺に異常?
 変電所のトラブルの影響で関西電力高浜原発(福井県高浜町)が自動停止し、京都府を中心に大規模な停電が起きた事故で、関電は、西京都変電所(京都市西京区)に京都支店京都電力所の社員9人を派遣、28日朝から本格的な調査を始めた。遮断器(ブレーカー)が想定外の作動をしたことが原発停止につながった。当時行われていた機器の試験結果を「本物」と勘違いして作動した可能性や、ケーブルが老朽化して信号が漏えいした可能性があるとみて、集中的に調べている。
 事故当時、西京都変電所では老朽化のため交換したばかりの変圧器保護装置の動作試験をしていた。この装置は変圧器保護のため異常があると周辺の遮断器を働かせ、変圧器を回路から切り離す。試験では「変圧器故障」の状態を模擬的につくり出したが、実際には遮断器は動作せず、試験は失敗した。
 試験中は変圧器を通る電流を切っているため、遮断器が動作しなくても支障はないが、実際には、この時に何らかの理由で遮断器の周辺にある五つの別の遮断器が作動し、電流の流れる道が大幅に制限された。これによって高浜原発からの電力は過剰供給となり、異常を感知した原発が自動停止し、停電を引き起こした。
 関電京都支店は、遮断器監視装置が、試験の失敗を「遮断器の故障」と認識、動作させなくてもよい周辺の遮断器を動かしたか、遮断器と監視装置を結ぶケーブルが老朽化によって漏電するなどして、周辺遮断器に切断の信号が流れた可能性もあるとみている。
 変圧器保護装置や遮断器監視装置と遮断器を結ぶケーブルは数百bの長さがあり、大半は同じ管路(幅1b、深さ50a)を通っている。この日の調査では、こうしたケーブル類の絶縁被覆が老朽化で破れていないか、接続先は正しいかなどについて、詳しく調べている。(朝日新聞 夕刊)
■衆院運輸委員 トンネル視察 新幹線コンクリ落下
 JR山陽新幹線の北九州トンネル(全長11.7`)内で計226`のコンクリート塊が落下した事故で、衆院運輸委員会(石破茂委員長)の7人が28日未明、事故現場を視察した。視察後、石破委員長は「(トンネル建設)当時の工事のいきさつなどは、我々の権能として委員会の場で聴かなければならないと思う」と述べ、工事内容について関係者らから事情を聴く意向を明らかにした。(朝日新聞 夕刊)
29日■USJの新駅前整備事業 住商グループに
 2001年春に開業予定のテーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)」の建設に関連し、大阪市とJR西日本は28日、同パークに隣接する新駅前の整備事業について、住友商事を中心とする企業グループが事業を行うことで同グループと正式合意した、と発表した。来月上旬にも三者間で基本協定を結ぶ。
 開発地域は、USJの玄関口に当たるJR桜島線新駅の北側「此花西部臨海地区」のうち約3.1f分。2.4fは大阪市、0.7fはJR西日本が地権者になっている。大阪市とJR西日本は昨年4月、同整備事業を希望する企業グループをコンペ形式で募集。昨年10月、JRの土地は住商グループに、大阪市分は住商と三和銀行の両企業グループに絞られていた。今回、土地の譲渡額などで市と住商グループの折り合いがついたとみられる。
 市は、今回の合意に当たり住商側に大きく譲歩。当初計画では2.4fをすべて譲渡予定だったが、開発時期を2期に分け、1期分の1.7fについて半分を60数億円で譲渡、残りは譲渡を前提に、10年から20年の期限で「賃貸」する、という。
 1期分については12月上旬に着工する。近鉄などが「都ホテル」(25階建て)を、住商と前田建設工業が「ホテル京阪」(20階建て)を、住商が物販・飲食を主とした商業施設(5階建て)を手がけるが、両ホテルの開業は、USJの開業には間に合わない見通し。また2期分の0.7fは住商が別の商業施設をつくる計画だが、テナントが集まらず、着工時期や譲渡方法は決まっていない。(京都新聞)
■新幹線高架橋 ボルトが落下 高槻
 28日午後6時10分ごろ、大阪府高槻市の東海道新幹線京都−新大阪間の第一大冠高架橋(高さ6.5b)からボルト1本が落下した、と高架橋の下を自転車で通り掛かった男性からJR高槻駅に連絡があった。
 JR東海によると、ボルトは男性の腹部付近に当たったが、けがはないという。同高架橋の下は道路になっている。
 落ちたボルトは高架橋の張り出し部に防音壁を固定するための鉄製金具で、張り出し部の下側の面にねじ込まれている。ボルトは直径1.9a、長さ6.4a、重さ52c。本来は長さ18aで、途中から折れたとみられる。
 JR東海広報部は「ボルトが落下した例はこれまでない」としている。(京都新聞)
■山陽新幹線 トンネル事故 施工ミス重なり劣化か JR総研報告 固まる前に振動など
 山陽新幹線福岡トンネル(福岡県久山町)内で今年6月末、計200`のコンクリート塊が落下し、走行中の「ひかり」を直撃した事故で、鉄道総合技術研究所(JR総研、東京都)などは28日、施工当時、施工不良個所「コールドジョイント」の生成とともに、その下部でも、コンクリートが固まる前に振動が加わったり、コンクリートの型枠に塗られたはく離別が不足したりするなどの施工ミスが重なっていた可能性が高いとする調査結果をまとめた。また、今月9日に起きた北九州トンネル(北九州市八幡東区)事故についても、落下した「打ち込み口」と側壁との間に建設直後から亀裂が生じていた施工ミスの疑いがあると推定した。運輸省がこの日開いた「トンネル安全問題検討会」の第二回会合で報告された。
 福岡トンネル事故では、すでにコールドジョイントとその下部に生じた亀裂が相まって落下したと推定されていたが、なぜこの亀裂ができたかが問題になっていた。この点について、JR総研の調査結果では@コンクリートが固まる前に、トンネル内を支える鉄製の「支保工」に取り付けられたコンクリートを空気圧で送るパイプが脈動し、その振動が支保工に伝わって振動したAコンクリートから型枠を外しやすくするために型枠に塗られた「はく離別」が不十分で、型枠を外す際に固まったコンクリートに無理な力がかかってコンクリートが一体化せず、劣化しやすい「弱面」となった可能性が高いなど、施工ミスの疑いが強いとしている。
 さらに、落下のメカニスムについては、コールドジョイント下部のコンクリート内部が弱くなっていたため亀裂が生じ、漏水の浸透もあって骨材の劣化が進行し亀裂が広がり、上部のコールドジョイントの不連続面まで達し、重みに耐えきれなくなってはがれ落ちたとみている。
 また、北九州トンネルでのコンクリート落下事故についても、亀裂に漏水が集まって劣化が進行したため亀裂が広がり、落下した疑いが強いとみられるという。(朝日新聞)
■JR西労 総点検求めスト通知 JR西労組は戦術批判
 JR総連系のJR西労(松崎郁男委員長、約1900人)は28日、トンネルで崩落事故が続いた山陽新幹線について全面運休して総点検するよう求め、交渉が決裂した場合は11月8日以降ストライキを含めた争議行為に入るとJR西日本などに予告通知した。ストの具体的な場所、期間などは1日の中央闘争委員会で決める。山陽新幹線の運転士約300人のうち4割程度が西労に加盟している。
 西労によると、15日に会社に対し「トンネルをはじめ新幹線の全構造物の安全確保のために、列車を止めて抜本的な総点検と補修・補強を実施すること」などを申し入れたが、回答がなかったという。このため27日に、11月2日までに回答するよう再度申し入れた。長田勇書記長は「乗務員と乗客を乗せて、いつ落ちるか分からないトンネルを通ることは認められない」としている。
 一方、JR連合系のJR西労組(森正暁委員長、約3万4000人)は、JR西労のスト戦術を「毎夜総点検に懸命に取り組む組合員や関係者に冷や水を浴びせる行為だ」と批判するコメントを出した。(朝日新聞)
■信楽事故刑事裁判 過失責任の有無焦点 高原鉄道側 3被告へ 午後に論告求刑
 滋賀県甲賀郡信楽町黄瀬で1991年5月14日、信楽高原鉄道列車と、同町で開催中だった世界陶芸祭に伴い高原鉄道に乗り入れしていたJR西日本の列車が正面衝突、死傷者656人を出した事故で、業務上過失致死傷罪などに問われた同鉄道元運転主任ら3被告に対する論告求刑公判が29日午後、大津地裁人安原浩裁判長)で始まった。検察側は約2時間の論告の後、求刑する。
 被告は、里西孝三・信楽高原鉄道元運転主任(69)=滋賀県愛知郡愛知川町川原、山本長生・同鉄道元施設課長(63)=三重県阿山郡伊賀町下柘植=、信号会社から派遣されていた八木沢守・元施設係長(51)=東京都練馬区大泉学園町二丁目=の3人。
 論告求刑公判は大津地裁一号法廷で午後1時半過ぎから始まった。傍聴席(56席)には多くの遺族や関係者らが座り、検察官の論告を見守った。
 3被告は事故当日、信楽駅の出発信号が赤固定した状態のままで高原鉄道列車を出発させようとして、決められた出発手続きを取ることや、慎重に信号回線を操作することを怠った、などとして、92年12月、起訴された。
 これまでの67回に及ぶ公判で被告側は、JR運転士らの過失を指摘し、無罪を主張している。(京都新聞 夕刊)
■迷惑置き石 ダイヤ乱れ 亀岡・千代川駅
 29日午前7時半ごろ、亀岡市千代川町今津、JR山陰線千代川駅構内で下り線の場内信号機が赤のまま変わらず、園部行き下り普通電車が同駅に進入できなくなった。JR西日本と亀岡署で調べたところ、同駅構内のレールの切り替えポイントに石と木の板がはさまっており、ポイントが動かなくなっていた。同署は列車防害事件とみて捜査している。この影響で特急1本を含む電車計8本が2−9分遅れ、通勤客ら約2900人に影響が出た。
 同署などによると、ポイント部分にはさまっていたのは、こぶし大の石2個と木の板(長さ約40a、幅5a、厚さ2a)。現場は千代川駅ホームから八木駅側約150bの線路上で、線路の両側にフェンスがなく踏切から近いため、容易に線路内に侵入できるという。
 ポイントは28日午後9時33分から29日午前7時半まで作動していないことから、同署はこの間に何者かが石と木の板を置いたとみて詳しく調べている。(京都新聞 夕刊)
■ポイント転換ミスで遅れ JR大阪駅
 29日午前8時5分ごろ、大阪市北区のJR大阪駅で、ポイント切り替えミスのため、東海道線網干発大阪行き快速電車(乗客約2000人)が通常停車するホームに入れなくなった。ホーム手前で約2分立ち往生した後、隣のホームに停車した。
 さらに、後続の特急雷鳥5号(大阪発新潟行き)が出発ホームに入れなくなり、出発が29分遅れた。
 JR西日本によると、別の路線で遅れが出た影響で、快速電車と特急の入駅順序を変更していたのに、変更に合わせたポイント切り替えができていなかったという。同社は、社内での情報連絡が不十分だったとみて調べている。
 上下線計9本が運休するなどし、約5万7000人に影響が出た。(京都新聞 夕刊)
■信楽鉄道事故 SKR側3人 3年6月・3年求刑へ 検察側「JRに注意義務なし」
 滋賀県信楽町の第三セクター・信楽高原鉄道(SKR)で、1991年5月、SKRの列車とJR西日本から乗り入れた列車が正面衝突し、死者42人と負傷者約600人を出した事故で、大津地検は、業務上過失致死傷と業務上過失往来危険罪に問われたSKRの社員ら3人に対し、29日午後に大津地裁(安原浩裁判長)で開かれる諭吉求刑公判で、それぞれ禁固3年6月、同3年の刑を求める方針。争点となっているJR西日本側の過失の有無については、運転士に注意義務はなかったなどと主張するとみられる。
 SKR側の3人は、当時運転主任だった里西孝三(69)、施設課長だった山本長生(63)、派遣されて信号技師だった八木沢守(51)の3被告。検察側は里西被告に禁固3年6月、山本、八木沢両被告に同3年を求める。
 事故は1991年5月14日、滋賀県信楽町黄瀬のSKRの小野谷信号場−信楽駅の単線区間で起きた。信楽駅の出発信号が赤のまま変わらなくなる異常が起きたが、SKRの上り列車はそのまま出発。JR線から乗り入れた下り列車は、信号場ですれ違うはずのSKR列車が到着していなかったが、青信号に従って通過し正面衝突した。
 検察側は原因について、SKR側が駅から無人の信号場に人を派遣するなど安全確認を怠った▽信号の異常後、SKR側が継電室で作業したため、対向列車を強制的に赤で止めるはずの信号場の信号が青になった−とし、SKR側の3被告の責任を問うている。
 また検察側は、事故原因はJR西日本側にもあるとする弁護側の主張に対しても言及し、JR線から乗り入れた列車の運転士は、信号場に対向列車が到着していなくても信楽駅に連絡する義務はなかった▽JR西日本側が設置した「方向優先てこ」の操作が信楽駅の出発信号の異常の一因となったとしても、事故は信号システムの欠陥によって起きたものではない−などと主張する方針。(朝日新聞 夕刊)
■ホーム手前 列車が停車 JR大阪駅で2分
 29日午前8時7分ごろ、JR東海道線(神戸線)大阪駅(大阪市北区梅田三丁目)の構内で、網干発大阪行き快速列車(12両編成、乗客約2000人)が、ホーム手前のポイントが切り替わらず、所定のホームに入ることができなくなり、確認のためホーム手前で停車した。同列車は約2分後に運転を再開して別のホームに入り、乗客を降ろした。
 JR西日本によると、このトラブルで、部分運休を含めて9本が運休し、同列車を含め合計36本が最高29分遅れ、約5万7000人に影響が出た。(朝日新聞 夕刊)
■ポイントに石 列車遅れる JR千代川駅
 29日午前7時29分ごろ、JR山陰線千代川駅(京都府亀岡市千代川町今津一丁目)の構内で、京都発園部行き普通列車(6両編成、乗客約400人)が、信号機が赤のまま変わらず、ホームに入れなくなった。JR西日本で調べたところ、同駅のポイントの一つにこぶし大の石2個と木製の角材(長さ40a、幅5a、厚さ2a)が詰め込まれ、動かなくなっていた。同列車は約5分後に別のホームに到着し、上下線合計8本が最大9分遅れ、約2900人に影響が出た。亀岡署は列車往来危険容疑で調べている。(朝日新聞 夕刊)
30日■元運転主任らに禁固求刑 信楽鉄道事故 大津地裁で論告公判 「安全注意義務怠る」 3年6月−3年 検察 JRの過失否定
 滋賀県甲賀郡信楽町の第三セクター・信楽高原鉄道(SKR)で1991年5月、死者42人、重軽傷者614人を出した列車正面衝突事故で、業務上過失致死傷と業務上過失往来危険罪に問われたSKR元運転主任ら3被告に対する論告求刑公判が29日、大津地裁(安原浩裁判長)で開かれた。検察側は「3人は列車の安全の注意義務を守らず、多数の死傷者を出す大惨事を招いた。その過失は悪質である」などとして、3被告に禁固3年6月−3年を求刑した。一方、JR西日本側についてはあらためて過失を否定した。判決は来年3月24日に言い渡される。
 被告は、SKRの里西孝三元運転主任(69)=滋賀県愛知郡愛知川町川原=、同社の山本長生元施設課長(63)=三重県阿山郡伊賀町下柘植=、信号会社から派遣されていた八木沢守元施設係長(51)=東京都練馬区大泉学園町二丁目=の3人。
 論告で検察側は、里西被告に対し「駅長として規定の出発手続きを取らずに列車を出発させた過失は大きい」として禁固3年6月、山本被告に「八木沢被告が内規で禁止された作業をするのを放置し、出発を止める要請もしなかった」として禁固3年、八木沢被告に「信号修理で行った配線で、衝突事故の不安を抱いたのだから、危険を回避すべきだった」として禁固3年を求刑した。
 裁判で被告側は一貫して無罪を主張、その理由のひとつとしているJRの過失について検察側は情状面で、「JRが設置した信号装置について、仮にJRとSKRの間の協議や連絡がなかったとしても、列車運行の責任はSKRにあり、その落ち度を過大評価できない」とした。また、JR運転士の過失については「進行義務を意味する青信号で進行したのは当然。対向列車が来ることを予見するのは不可能」などとJR側の責任を否定した。
 3被告は、事故当日、信楽駅の出発信号が赤固定したままでSKR列車を出発させようとして、規定の出発手続きを取ることや、慎重に信号装置を操作することを怠った、などとして起訴された。
 弁護側の最終弁論は12月28日に行われる。
・JR不在に遺族不信感
 解説 戦後最大級と言われた信楽高原鉄道列車正面衝突事故の刑事裁判で大津地検は、3被告に禁固3年6月から3年を求刑した。初公判から約6年半。検察側は、JR西日本関係者の過失についてはあらためて否定した。被告や遺族が主張してきたJRの責任が問われないまま、判決は来年3月に言い渡される。
 これまで公判は67回開かれ、3被告を含む計20人の証人が出廷した。被告側は「事故の背景にはJRを含めた複合的要因がある」として一貫して無罪を主張、JRの過失の有無をめぐる審理に多くの時間が費やされてきた。この間、裁判を傍聴する遺族が次第に減ったのも、遺族の「JR不在の裁判」への不信感の表れだった。
 事故の捜査に当たった滋賀県警の捜査員は「JR西日本幹部からも事故に対するJR側の責任を認める供述があった」と公判で証言している。しかし、検察側はJR関係者の警察、検察段階での供述調書の多くを開示しようとしなかった。
 大津地裁の安原浩裁判長は、審理途中に異例とも言える見解を示し、JRの直通乗り入れに伴う両社の連絡不足を指摘している。判決で同地裁がJRの刑事責任にどこまで言及するか注目したい。(滋賀本社 小池直弘)
 信楽高原鉄道列車正面衝突事故 1991年5月14日午前10時35分ごろ、滋賀県甲賀郡信楽町黄瀬、信楽高原鉄道(単線)の貴生川駅と紫香楽宮跡駅間で、当時、信楽町で開催中の世界陶芸祭に伴い、同鉄道に乗り入れていたJR西日本の下り臨時快速列車(3両編成)と、信楽高原鉄道の上り普通列車(4両編成)が正面衝突。双方の乗客37人と乗員5人の計42人が死亡、614人が重軽傷を負った。これまでの公判で、高原鉄道列車は出発信号が「赤」のまま信楽駅を出発し、JR西日本の列車は、単線の行き違い場所「小野谷信号場」を、待避線に対向列車がない状態で、信号が「青」だったため通過した、ことが明らかになっている。(京都新聞)
■信楽鉄道事故 3被告に禁固求刑 遺族なお複雑な思い 「JRの責任どこへ」 記者会見 安全態勢甘さ指摘
 死傷者656人を出した信楽高原鉄道(SKR)事故の被告3人に対する論告求刑が29日、大津地裁であった。検察側は「過失の存在はあきらか」と3被告にそれぞれ禁固を求刑した。これに対し、弁護団は「JR西日本の責任を考えると、求刑は重すぎる」と語る。一方、事故で最愛の家族を失った遺族らは「SKRの3人だけに罪を着せるのは納得いかない。JR組織としての罪を問えないのか」と、やるせない思いを募らせる。惨事から8年余。刑事裁判の大きな節目に複雑な思いが交錯した。
 閉廷後、滋賀県庁内の県政記者クラブで記者会見に臨んだ2人の遺族は「企業や組織に対する罪を望みたい」と、刑事裁判でもう一方の事故当事者・JR西日本の罪が問われないことへの不満を漏らした。鉄道事故を独自に調査する常設機関の設置を求めて「鉄道安全推進会議(TASK)」を発足させ、自ら会長として活動を続けている臼井和男さん(60)=京都市右京区=は「私の感情も時間とともに変化してきた。今は娘の死が、いかに安全に寄与できるかということを考えている。JR西日本はコンクリート落下事件を起こすなど安全への認識が古い。遺族の死が生かされていたい」と声を荒げた。遺族の中原邦夫さん(65)=神戸市東灘区=は「うらみはあるけれど3人に罪を着せるのは納得いかない。本当に望んでいるのは事故の背景を知ることと、二度とこういう事故を起こさないでほしいということ。来年3月の判決では遺族の思いをくんだ判決を望んでいる」と話した。民事裁判の遺族側代理人の一人田中厚弁護士は「検察官がJR西日本の弁護にきゅうきゅうとしていた。JR西日本を不起訴にしてしまったからこういう、せつになってしまった」と話した。
 JRの責任をあくまで追及 弁護団長会見大津地裁で記者会見した児玉憲夫弁護団長は、検察の論告内容に対し「3人への責任追及は当然だが、検察は、JR西日本による『方向優先てこ』の設置を、安全性にかかわる問題ではないとした。また、青信号絶対の原則を強調し、JRの運転士の責任も免責した。まるで、JR西日本の代理人のような論告だ。被害者も被告も納得しない」と非難。求刑に対して「JR西日本の責任を考えると、求刑は重すぎる」とし、あくまでもJR西日本の責任を追及すると話した。
3被告の行為罪に問われる 大津地検検事会見
 公判後、大津地検の落合俊和次席検事は同地検内で「事故の最大の原因は、起訴段階から一貫して主張している通り、信楽駅の出発信号が赤のままでSKR の列車が出発したことにある。SKR側の被告人3人の行為は罪に問われるべき」と話した。
 JR西日本の責任については「論告には今年3月の大阪地裁の民事判決も考慮したが、JR側の関係者が事故を予見することは難しく、過失はなかったと考えている」と話した。
信楽高原鉄道(SKR)事故関連年表
1991年5月14日午前10時35分ごろ、滋賀県甲賀郡信楽町黄瀬で事故発生
92年12月3日滋賀県警が業務上過失致死傷などの疑いで SKRの3人を逮捕
12月7日遺族の会が業務上過失致死罪などでJR西日本の社長ら同社幹部7人を大津地検に告訴・告発
12月24日大津地検が業務上過失致死傷罪などでSKRの3人を起訴
93年2月26日遺族の会がJR西日本の運行管理部長ら6人を大津地検に告訴・告発
3月18日大津地検がJR西日本運転士、社長ら同社幹部6人を不起訴処分。JR西日本とSKRの両社と、両社の無認可工事担当者を鉄道事業法違反で略式起訴し、大津簡裁が罰金刑を言い渡す
4月27日大津地裁で刑事裁判の初公判が開かれる
7月1日大津地検がJR西日本の運行管理部長ら同社の6人を不起訴処分
7月6日刑事裁判の罪状認否で SKR側の3被告は無罪を主張
8月8日遺族らが「鉄道安全推進会議(TASK)」を結成
10月14日大阪地裁に遺族が民事訴訟起こす
94年4月28日大津検察審査会がJR西日本の運転士、社長ら7人の不起訴不当を議決
7月22日大津検察審査会がJR西日本の運行管理部長ら5人の不起訴不当を議決
8月31日大津地検が証拠隠滅罪で告訴・告発されていたJR西日本の元亀山CTC制御所長を不起訴処分
95年5月1日大津地検がJR西日本の社長ら11人を不起訴処分
98年10月19日民事訴訟が結審
99年3月29日民事訴訟でJR西日本とSKRの両社に総額約5億円の賠償を命じる判決
10月22日大阪高裁でJR西日本が控訴した民事訴訟の第一回口頭弁論
・責任の所在に迫る努力を 裁判見続けた網谷さん語る
 裁判のほとんどを傍聴し、1997年10月に「信楽高原鉄道事故」を出版した網谷りょういちさん(64)=京都市伏見区=は次のように話した。
 信楽事故の裁判を長い間見てきたが、これでやっと節目を迎えた気がする。
 赤信号で列車を出発させた信楽高原鉄道に、より大きな責任があるだろう。裁判を見てきて感じるのだが、事故で亡くなった同鉄道の運転士と業務課長が生きていれば、被告3人は起訴すらされていなかったかもしれない。そう思うと気の毒だ。
 裁判は6年半も続いているが、あれほどの大事故だったから、時間をかけて真相を明らかにしなければならないと思う。それだけに、どこに責任があるかもっと調べてもいいのではないか。
 私は旅行が趣味で、仕事の合間に、鉄道愛好家の知人と共著で鉄道事故に関する本を書いてきた。信楽事故が起き、裁判で明らかになる事実から、事故に迫る本を書こうと決意し、傍聴を始めた。
 被告がどんな最終弁論をするか期待している。最後まで見届けたい。
・裁判での原因解明には限界
 松宮孝明立命館大教授(刑法)の話 3人が各自の具体的な注意義務を守っていれば、事故が起きなかったかと言えるか。逆に、一人ひとりのミスが重なって初めて事故が起きたというなら、これでは各人のミスについての予見可能性が否定される可能性がある。
 信号の赤固定を被告が予想できるというのであれば、「方向優先てこ」を設置したJRにも予測できたはず。検察はJRを弁護し、JRのミスを不自然に小さくしているような印象を受ける。また、3人の過失は悪質といっているが、どこが悪質なのか。過失はあったとしても極めて小さいと思われる。複雑な事故の場合、刑事裁判の中でさらに事故原因を明らかにするのは限界がある。
 アメリカのように独立した事故調査委員会を設けるということを本気で考えていかなければならない。
・断罪にがっくり 3被告
 大津地裁一号法廷で論告求刑に臨んだSKRの里西孝三元運転主任(69)、山本長生元施設課長(63)、信号会社から派遣されていた八木沢守元施設係長(51)の3被告は、神妙な面持ちで検察官の朗読を聞き入った。検察官から配られた書類に目を落としながら終始うつむき加減。論告終盤で、朗読が被告の過失程度に及び「いずれも悪質」などと断罪されると、3被告はがっくりと肩を落としていた。
・申し上げることない
 井上春絹信楽高原鉄道社長の話 いずれにしても求刑なので、会社としては何も申し上げることはない。遺族の方々には示談をさせてもらい、会社としてはこれまでやるべきことはやらしてもらっている。
・JRはコメントせず
 JR西日本の小出昇総務部長は「求刑公判は信楽高原鉄道側の被告に論告されたものであり、当社の役員や社員がこの裁判の被告とされていないことから、当社としてはコメントする立場にはありません」とする談話を発表した。
 一方、滋賀県企画課は「論告求刑に関しては、県としてコメントする立場にない」としている。(京都新聞)
■信楽鉄道事故 論告求刑要旨
 大津地裁で29日開かれた信楽高原鉄道(SKR)事故の諭告求刑公判で、朗読された検察側の論告要旨は次の通り。
 【被告の過失など】
 (里西孝三被告)
 SKR上り列車が勝手に出発したという里西被告の公判供述は信用性が低く、同被告が上り列車を出発させる決意をし、手信号や出発合図で出発させたことこそが事実で、過失の存在は明らか。鉄道事業者として許されることではない。
 (山本長生被告)
 山本被告は信号装置の修理や列車出発を見合わせるよう強く要請することなどをせず、施設課長として事故防止に向けて要求されていた職務を全く果たさなかった。これが事故の要因になったことは明らか。
 (八木沢守被告)
 八木沢被告は、列車運行の安全をつかさどる信号制御装置を、正当な条件を経ない電源で動作させた過失がある。
 【JR運転士の過失】
 運輸省令の鉄道運転規則と鉄道事業者の内規の運転取扱心得の規定では、JRの運転士は、擦れ違い区間の小野谷信号揚で、擦れ違い列車が到着していなくても、青信号に従って進行する義務があった。運転士には、信号を確認することと、視認できる進路前方に支障がないか確認するだけが求められる。本件事故で、運転士が上り列車が進行してくる可能性を予見することは不可能で、過失を認めることはできない。
 【信号の赤固定】
 事故の直接の原因は被告3人の過失が重なったことにある。信号トラブルが起きることは当然に予想されていることで、鉄道に関与する者が当然に守るべきことを被告3人がそのまま守っていれば、たとえ信号が赤に固定するトラブルが起きても、事故は起きなかった。
 赤固定トラブルが事故の遠因となったとしても、被告の刑事責任を論じる上で過大に評価するのは適切ではない。
 JRが設置した信号装置について、仮にJRとSKRの間で協議や連絡がなかったとしても、SKR線での信号システムを最終的に確認する責任は被告らにあった。また、信号装置の早期操作で赤固定トラブルが起きることは、JRには予想できず、それ自体を落ち度と評価することはできない。
 【過失の程度】
 (里西被告)
 運転士は信号に従い列車を運行しなければならず、列車の安全については運転主任で駅長の里西被告が全責任を負う。里西被告が線路上に他の列車が進入していないことを確認しないまま列車を出発させたのは極めて重大な過失で、極めて強い非難を受けなければならない。指導者を列車に同乗させたのは、指導者が信号機の代わりを務める指導通信式という運行方式をカムフラージュしただけであった。
 (山本被告)
 施設課長として重大な注意義務があった山本被告は、ほとんど無為無策のまま事故を発生させた。信号制御装置を停止せず、内規で禁止されているのに八木沢被告に同装置を修理させた。人為的配線を行っていると知りながら放置した上、安全を確認しないまま上り列車を出発させた。以前信号トラブルが起きた時も、安全配慮に欠いたずさんな対応をしており、それが事故当日の過失に大きく結び付いたと考えられる。
 (八木沢被告)
 八木沢被告は、信号制御装置の回路をよく読めないまま慌てて修理した。危険極まりない人為的配線をし、正面衝突事故が起きる不安を抱きながら、上司に告白、あるいは人為的配線を元に戻すなどせず、人為的配線を隠し続けた。
 【結果の重大性】
 3被告は列車の安全について基本中の基本である注意義務を守らないことで、死者42人などに及ぶ大惨事を招いた。親族3人を失った遺族は、事故に責任ある者をできるだけ長く刑務所に入れてもらうよう希望した。執行猶予付きの判決となれば、被害者、遺族、一般国民の納得を得られない。
 【三被告の改しゅん】
 3被告は、捜査段階で大半の事実を認めて自白し、過失を肯定したにもかかわらず、公判では自己の刑事責任を否認しているのは、改しゅんの情がないからと言わざるをえない。
 【求刑】
 過失が悪質で、その結果も極めて重大であることを考慮すれば、里西被告は禁固3年6月に、山本、八木沢両被告はそれぞれ禁固3年に処すのが相当。(京都新聞)
■近鉄京都線 東寺−竹田間 上りの高架線完了 来月27日開通 交通渋滞緩和に期待
 京都市と近畿日本鉄道が、近鉄京都線の南区東寺−伏見区竹田間(約2`)で進めていた連続立体交差化事業で、上り線(京都方面行き)の高架線路工事が完了し、来月27日の始発から開通する。下り線はすでに高架になっており、これで十条通など周辺道路の6つの踏切が撤去され、慢性的な交通渋滞の緩和が期待される。
 同線のうち、京都駅−東寺駅間は1970年度に高架化されたが、それ以南の十条通や久世橋通など主要幹線を横断する区間は平面交差しており、6ヵ所にある踏切が朝夕の交通渋滞の原因になっていた。
 このため93年7月から、総事業費284億5000万円をかけ、延長1977b、幅9.5bの高架工事に着手。うち下り線は昨年10月に開通し、引き続き上り線の工事を進めていた。
 今回の開通で踏切が撤去されることになり、これまで1日当たり5時間20分あった各踏切の遮断時間がなくなる。したがって、踏切待ちによる渋滞や、踏切事故が解消される。
 また、同区間内の十条駅と上鳥羽口駅は、上下線とも高架駅となる。今回の開通で京都市域の同線の高架率は50%になる。
 開通式は、来月28日午前10時半から、上鳥羽口駅ホームで行われる。また市と近鉄では2002年度までに、同事業で残っている東寺駅−十条駅間東側の 440bの側道工事などを進める。(京都新聞)
■難波再開発着工へ 大阪球場跡地で祈願祭
 大阪・難波の大阪球場跡に大規模な商業施設などを建設する「難波再開発」の安全祈願祭が、29日午前行われた。工事は11月1日から始まる。
 祈願祭には、事業の中心になる南海電気鉄道の吉田二郎社長のほか、建設請負業者ら約140人が出席、工事の安全を祈った。
 再開発は球場跡地とその周辺の約3万7000平方bが対象で、総事業費は1050億円。2008年までに高島屋や都市型テーマパークなどが入る11階建ての商業施設と、30階建てと31階建ての2棟のオフィスビルを建設する。商業施設には吉本興業の協力で運営する劇場も入る計画だ。
 工事は3期に分かれ、2003年秋にはオフィスビル一棟と商業施設のうち南側半分が開業する。(京都新聞)
■シアター1200の営業譲渡決定 京都駅ビル開発に
 JR京都駅ビル(京都市下京区)内の劇場「シアター1200」を運営するシアターアーツ1200(竹内佑一社長)は29日の臨時株主総会で、同劇場の営業を京都駅ビル開発(下京区)に譲渡することを正式に決めた。譲渡日は11月1日で、その後会社は解散する。
 シアター1200は97年8月、全国のJR駅ビルで初の常設劇場としてオープンし、シアターアーツ1200が運営に当たっていたが、観客動員力のあったジャニーズ事務所の公演が今年4月以降、中止となり、事実上の休館状態が続いていた。営業収益は昨年度約26億4000万円だったが、今年度(4−10月)は1億7700万円に激減。累積赤字が11億5000万円に膨らんだ。
 営業を引き継ぐ京都駅ビル開発は、貸し館業務を中心に劇場を運営して経営再建を目指す。(京都新聞)
■2001年春の開店 阪急が「困難」 JR三田駅前再開発
 阪急百貨店の松田英三郎社長は29日、兵庫県三田市のJR三田駅前の再開発に伴う出店計画について「市内の商業環境が(出店表明時より)大きく変化しており、2001年春の開店は困難だ」と述べ、当初の計画通りの出店は難しいとの考えを示した。同社は市側と駅前の活性化に向けて再開発計画の見直しを協議している。
 1999年9月中間決算の会見で述べた。(朝日新聞)
■シアター1200運営会社解散 京都文化「駅から発信」挫折 ジャニーズの撤退響く
 営業成績の不振で、運営会社の解散が29日に決まったJR京都駅ビルの劇場「シアター1200」。人気アイドル「ジャニーズ・Jr」の公演が人気を呼び、一時は修学旅行の「名所」にもなっていた。しかし今春からジャニース公演が中止され、代わりの興行のめどが立たず行き詰まった。JR西日本の子会社・京都駅ビル開発が運営を引き継ぎ、自主興行はあきらめて貸しホールとして再出発するという。魅力あるソフトが提供できるか、先行きは不透明だ。
 同劇場は1997年8月、JR京都駅ビルとともにオープン。当初はジャニース事務所、吉本興業、ホリプロが公演をしていた。ジャニーズの公演「KYO TO KYO」は春夏合わせて約8ヵ月のステージ。京都の故事・伝説を基に源氏物語や牛若丸と弁慶などの世界を音楽と踊りで描いた。98年度は56万人を動員した。しかし、ホリプロのミュージカルは97年度で撤退、吉本の公演は98年度は8万人の動員にとどまり、頼みの網のジャニーズも撤退してしまった。
 営業収益は、昨年度は26億円あったが、今年度の上期は1億7700万円にとどまる見込み。
 35%出資し、京都駅ビル開発と並んで筆頭株主だったオムロンは「京都文化を駅から発信するという理念から参加した。営業成績の低迷が大きく、解散は仕方がない。今後も側面から協力していく」(広報渉外室)と話している。
 京都市のある劇場支配人は「ジャニーズと吉本興業の人気でやっていけると考えたのだろうが、市民に根付かない芸能のもろさを見せつけるかたちになった。お金の力だけでは文化は生み出せない」と話す。(朝日新聞)
■劇場運営会社 JR西が解散 債務超過で
 JR西日本は29日、京都駅ビル内の劇場「シアター1200」を運営する関連会社・シアターアーツ1200(本社・京都市)を解散する、と発表した。同社の累積損失が、昨年度末で11億円以上に膨らみ、大幅な債務超過に陥ったためで、代わって、JR西日本の子会社の京都駅ビル開発(同)がシアター1200を直接運営する。(朝日新聞)
■新幹線部分運休 フリーダイヤル
 JR西日本は、山陽新幹線コンクリート落下事故後のトンネル総点検にともない11月8日から広島−博多間で深夜、一部の列車が運休するなど運転計画が変わるため、利用者の問い合わせに対する専用フリーダイヤルを開設する。受付時間は11月1日から12月15日までの毎日午前9時から午後7時まで。電話番号は0120・105152。(朝日新聞)
■3年6月など社員らに求刑 信楽鉄道事故で検察側
 1991年5月に列車同士が正面衝突し、死者42人、負傷者約600人を出した滋賀県信楽町の信楽高原鉄道(SKR)事故で、業務上過失致死傷と業務上過失往来危険罪に問われたSKRの社員ら3人に対する論告求刑公判が29日午後、大津地裁(安原浩裁判長)であった。検察側は「いずれも基本的な注意義務を守っておらず、多数の犠牲者を出すなど結果は重大」などとして、当時運転主任だった里西孝三被告(69)に禁固3年6月を、施設課長だった山本長生(63)と、同社に派遣されて信号技師だった八木沢守(51)の両被告に同3年を求刑した。(朝日新聞)
■市営地下鉄 未明の訓練 2000年問題で大阪
 大阪市営地下鉄を運行する市交通局は「2000年問題」に備えて30日未明、訓練を実施した。運行を管理するコンピューターに異常が起きたという想定で、職員60人が対応の手順を一つひとつ確かめた。
 午前零時半過ぎ、中央線の森ノ宮駅と同線運転指令所、電気指令所で訓練が始まった。コンピューターの誤作動で電車への送電が止まり、自動改札機や券売機も故障したとして、手動操作に切り替える手順や復旧方法を確認した。
 2000年間題への対応は、交通局は6月未からコンピューターシステムのテストを繰り返し、9月未に対策を終えたという。葛本恵英・同局総務部長は「万が一の時でも対応できる態勢が確認できた」と話した。(朝日新聞 夕刊)
■JR長崎線トンネル モルタル片260`落下
 29日午後7時半ごろ、長崎県多良見町のJR長崎線市布−肥前古賀間の向トンネル(長さ約1250b)の市布側入口から約160b地点で、線路わきにモルタルの塊が落ちているのを諌早発長崎行き普通列車(3両)の運転士が見つけた。落下部分は延べ約10b(重さ約260`)に及んでいた。列車は現場に17分停車した後、運転を再開したが、後続の10本に影響が出た。JR九州は運行終了後から30日の始発までの間、同トンネルと、長崎線の5つのトンネルで同様の施工をした部分の点検をした。ハンマーで内壁をたたいて調べる打音検査をした向トンネルでは、ほかに80bにわたって不良部分が見つかり、ハンマーでたたき落とした。
 JR九州によると、モルタル塊は一辺が最大約20aの三角柱状だった。向トンネルは1971年完成。ほぼ垂直の側壁(高さ約3b)にアーチ状の天井部が載った構造で、工法上、継ぎ目に生じる溝をモルタルで埋めて、内壁の表面を整えてある。この部分がはがれ落ちた。JR九州工事課によると、落下部分約10bの重さは約260`。26日昼に、4日に1度の線路巡回をした際には、落下物はなかったという。
 同社は「今回はJR西日本の山陽新幹線のトンネルで相次いだコンクリート片の落下とは性質が違う」と話している。30日はダイヤ通り運行しているが、同トンネル内は速度を通常の時速120`から45`に落として徐行している。(朝日新聞 夕刊)
■ひかりから煙 点検、異常なし 新大阪で発見
 30日午前7時40分ごろ、大阪市淀川区のJR新大阪駅を出発したばかりの東海道新幹線の広島発東京行き「ひかり130号」で、3号車付近から煙が山ているのを車掌が見つけた。新大阪駅構内で3分間、京都駅で13分間列車を止めて点倹したが、異常はなく、運転を再開した。他の列車に影響はなかった。(朝日新聞 夕刊)
31日■新幹線部分運休でフリーダイヤル JR西日本、あす開設
 JR西日本は、山陽新幹線のトンネル総点検に伴い広島以西で列車が部分運休するのを受け、利用客からの問い合わせ用フリーダイヤルを11月1日から12月15日まで開設する。
 番号は(0120)105152。受付時間は毎日午前9時から午後7時。携帯電話、PHSからは利用できない。
 同社は11月8日から12月15日までの連日、午後10時以降、広島−博多間の新幹線上下計9本と博多南線の下り1本を運休し、臨時列車として新幹線上下各1本と在来線上下計3本を走らせる。(京都新聞)