1999(平成11)年 9月


1日■地下鉄のエレベーター どんな案内図がいい? 烏丸御池駅 「大きく」「目立つ色」 改善点を聞き取り調査(京都)
  ■地下鉄決算など42議案 京都市9月議会提案へ(京都)
2日■この1枚 「天王寺駅の風鈴」 無職 稲井 秀良(66)=大阪市住之江区(朝日)
3日■声 守りたいのは乗客のマナー 高校生 岡島 枝里子(広島県呉市 16歳)(朝日)
  ■混雑の解消へ自由席増やせ 主婦 三輪 睦子(岡山市 25裁)(朝日)
4日■上り電車通過後、下りが 2児童はねられ死亡 泉南の踏切 遮断機くぐり(京都)
  ■2児童はねられ死亡 南海踏切、下校の小4 泉南(朝日)
  ■航海 新世紀へ 1972年、北陸トンネル列車事故 塚本 和人  社会部(朝日)
5日■遮断機の棒 黄黒より赤白 JRの踏切実験で判明(京都)
6日■阪急電車床下から煙 乗客300人乗り換え(京都)
  ■電車9本に遅れ 乗客、防護無線押す 草津(京都)
  ■学芸 研研GO!GO! 路面電車岳 京都の市電「復活」説く(朝日)
7日■兵庫で大雨 浸水相次ぐ 民家の十数人救出 柏原町に避難勧告(朝日)
8日■京都市交通局 職員給与 一律5%減額 経営健全化案 来年度から3年間(京都)
  ■0系に続き100系も引退スケジュール ひかり 世代交代も加速 2階建て「もう造りません」 東海道(朝日)
  ■一部は終日不通 JR福知山線(朝日)
  ■主演男優賞の健さん 受賞の喜びコメント(朝日)
  ■警部補、車掌に暴行 JRで昨夏 表面化し急きょ処分(京都)
  ■福知山線運転を再開(京都)
  ■JRの車掌殴る 書類送検の警部補処分 神奈川県警(朝日)
9日■京都市バス(横大路営業所)6路線民間委託 赤字の解消が狙い 来春から 阪急と覚書締結(京都)
  ■JR福知山線乱れる 広野駅で信号故障(京都)
  ■「9月9日間題」 JR西日本が1400人態勢警戒(朝日)
  ■関西線で信号故障 朝の足10万人乱れ JR新今宮駅(京都)
  ■JR信号故障 電車乱れる 10万人に影響(朝日)
10日■長野−福井県 フル規格整備 北陸新幹線で自自合意(京都)
  ■JR京都駅ビル、きょう開業2周年 周辺の商業地 売上減止まらず 伊勢丹は好調維持 消費不況追い打ち 格差広がる一方求められる店の個性化(京都)
  ■整備新幹線 長野−南越、博多−西鹿児島 2ルート、10年後めどに開業 建設前倒し計画決定 自自両党(朝日)
  ■京都市交通局 職員給与も5% 赤字削減へ労使交渉(朝日)
  ■「9」の日で発売 近鉄が記念乗車券(朝日)
11日■20日は「バスの日」 保護者同伴の小学生 無料サービス実施(京都)
  ■JR舞鶴線 電化・高速化が完成 来月2日新ダイヤ 京都−東舞鶴に特急(京都)
  ■議会ミニ・レコ 全席シルバーシート(京都)
  ■鉄道、道路整備など 財政支援を要望 町村議会議長ら府に(京都)
  ■高校教諭が電車で痴漢 奈良で書類送検(朝日)
12日■「金の卵」が夢抱き踏んだ上野駅18番線 「北の玄関口」に別れ 50年役割終え「最後の列車」(京都)
14日■京都市バス 2004年度には黒字転換 経常収支 「リストラ」で見通し(京都)
  ■関西線が一時不通 府南部に局地的大雨(京都)
  ■「夢の超特急」の新幹線0系 35年快走 戦後技術の結晶 「安全神話」支える 東海道新幹線から18日引退(京都)
  ■JR貨物 不採算路線整理を示唆 運輸事務次官(朝日)
  ■北野白梅町−出町柳 シャトル運行へ 東西移動スムーズに 西陣活性化も狙い(京都)
  ■シャトルバス運行 京観光が便利に(朝日)
16日■こどもニュース ニュースなぜ?なに? 新型列車 車輪はば自在に(京都)
17日■京都市地下鉄 運賃、5年ごとに値上げ 交通局方針 「12%ずつ」前提(京都)
  ■市営駐車場を一時無料化 関西3都市で交通実験 まず神戸 京でも年度内に 樹撃たす緩和と環境配慮へ(京都)
  ■京の1日満喫 フリー乗車券 共通で今秋も販売(京都)
  ■JR 団体割引は8人から 15人から半減 30年ぶり条件緩和(京都)
  ■雲の谷間で 風土と文学 9 大和田建樹と伊予・宇和島 「唱歌」に込めた望郷の思い(朝日)
  ■やわらか経済ゼミ シャトル便 同一路線を短い間隔で往復 航空3社、新幹線に対抗を狙い(京都)
18日■JR京都駅 大魔神参上 京都映画祭へ”助っ人”(京都)
  ■街活性化へ出発進行 西駅公園−福知山市内1.4`−広小路商店街 SL、新たな役目担い移動(京都)
  ■京都駅に「大魔神」出現!(朝日)
  ■タイムアングル 二代目京都駅 御料林のヒノキ用いたルネサンス様式(朝日)
  ■行った楽しかった 梅小路蒸気機関車館 往復1キロの「旅」満喫 汽笛鳴らし毎日運行 往年のSLが勢ぞろい(朝日)
  ■ズーム 遊 汽車ポッポは今も(京都)
19日■丸顔の初代新幹線が引退 ファン、カメラの列(京都)
  ■大魔神のテーマ曲初披露 京都映画祭の前夜祭 名曲次々と演奏 ファンたんのう(京都)
  ■運転士、ATS無断解除 東海道線で1月と5月 あわや衝突も JR西日本に警告(朝日)
  ■「勤続」35年 東海道花道 初代新幹線が引退(朝日)
  ■現代版の鉄道唱歌 右京区の渡部清一さんが歌詞 写真や案内参考に 山陰線の旅情誘う(朝日)
20日■怖い 勘違い 運転士がATS 解除 JR西日本 信号故障? 赤で直進 近畿運輸局が厳重注意(京都)
  ■無人機関車動き急行列車と衝突 パキスタン 人為ミスか20別人死亡(京都)
  ■市バス接触しバイクが転倒 南区、会社員けが(京都)
21日■エムケイ 100円路線バスを申請 京都駅〜金閣〜下鴨〜四条河原町 乗合タクシーも(京都)
  ■京観光100円バス申請(朝日)
22日■秋の信楽体験ツアー参加を 来月13、17日(京都)
  ■再生かける京都市バス 乗客増やすアイデア必要 迫る参入規制撤廃 サービス向上で活路を(京都)
  ■窓 シャトルバス 観光PR必要 東山区・山口 良子(主婦・46)(京都)
23日■私は無実。みんな変な方に走った 松本被告が初証言 地下鉄サリン弁護側証人で(京都)
  ■地下鉄サリン 外崎被告に無期を求刑(京都)
  ■KTR沿線 新たなる観光商品開発を 負荷価値が必要 自治体も参加 振興策で初の勉強会(京都)
  ■整備新幹線420億円 関空2期に155億円 公共事業等予備費で自自、配分(朝日)
  ■松本智津夫被告 「私は無罪だ」 地下鉄サリン 元信徒公判で初証言(朝日)
24日■今出川通で東西の駅結ぶ シャトルバス発車 初日から観光客で人気(京都)
  ■西日本 空陸交通が混乱(京都)
  ■JR、KTR特急など運休 琵琶湖の船便も(京都)
25日■停電で新幹線車内蒸しぶろ 山口、5人入院(京都)
  ■台風「動脈」止める 新幹線停電 バッテリーも一因 JR西日本 問われる危機管理(朝日)
26日■JR西日本に運輸局が警告 山陽新幹線立ち往生(京都)
  ■湖西線で車両故障(京都)
  ■街の玄関口 誕生祝う 両駅とも自由通路 市民生活への効果期待(京都)
  ■西舞鶴・綾部 新駅同時オープン(朝日)
  ■JR西日本に警告書 運輸省(朝日)
  ■声 普通通列車にもトイレほしい 無職 松井 雄司(前橋市 66歳)(朝日)
27日■山陽新幹線 保守用車が追突、脱線 新大阪−姫路間 上下25本運気優 神戸 作業員3人けが(京都)
  ■山陽新幹線また止まる 保守車同士が衝突 新大阪−姫路 25本運休 運転ミスの疑い(朝日)
  ■また事故 怒りの声 新幹線で脱線 駅大混乱 詰め寄る乗客(朝日)
28日■社説 しゃきっとせよ、JR西日本(京都)
  ■天橋立の展望名所へ モノレールきょう発車(京都)
  ■神戸−高松高速バス JR四国ら認可申請(朝日)
  ■山陽新幹線の事故で警告書 運輪省(朝日)
  ■県警が現場検証へ(朝日)
  ■JR車両事故 双方に接近警報 常態化「気にしなかった」(朝日)
  ■天井クーラー数ヵ所水漏れ JR大阪環状線(朝日)
29日■世紀の面影 トロリーバス導入 1932年 四条通(京都市中京区四条大宮−右京区西大路四条)(京都)
  ■運転間隔を短縮 地下鉄東西線、来春から(朝日)
  ■モノレールで天橋立展望を(朝日)
  ■山陽新幹線保守車追突 「ブレーキ緩めた」 運転手、ミス認める供述(朝日)
30日■下関駅に通り魔、3人死亡 JRコンコース、12人重軽傷 車で突っ込み次々刺す 35歳の包丁男逮捕「社会に不満あった」(京都)
  ■下関の通り魔 悲鳴あげ逃げ惑う乗客 笑いながら 次々と人はねた 包丁かざし襲う 恐怖の目撃者(京都)
  ■車で駅暴走、包丁で刺す 3人死亡 12人負傷 下関 35歳容疑者逮捕(朝日)
  ■コンクリ劣化 新装置で検査 JR西日本が試験(朝日)
  ■逃げる人、容赦なく 下関駅通り魔殺傷 構内に血痕・悲鳴… 「容疑者、車内で笑み」(朝日)
  ■多機能型ATM コンビニに導入 JR西日本 あすから大阪府内で(朝日)
  ■イノシシはね電車30分停車 阪急神戸線(朝日)
  ■地下鉄サリン 横山被告に死刑求刑 東京地裁 12人殺害 共謀認定 死者なし「過大視できず」(京都)
  ■地下鉄サリン 横山被告の心血要旨(京都)
  ■無念の遺族「極刑当然」 オウム横山被告に死刑判決 「覚悟てできている」うつむき、無表情に(京都)
  ■下関の無差別殺傷 包丁「犯行のため購入」 上部容疑者自宅を捜索 「悪いことをした」(京都)
  ■荷台の重機 架道橋に接触 信楽高原鉄道が不通(京都)



1日■地下鉄のエレベーター どんな案内図がいい? 烏丸御池駅 「大きく」「目立つ色」 改善点を聞き取り調査
 障害者や高齢者が京都市営地下鉄の駅のエレベーターを気軽に利用できるように−と31日、市民や学生ボランティアたちが中京区の地下鉄烏丸御池駅にエレベーターの場所を示す仮案内図を設置し、使いやすさや改善点を市民から聞き取り調査した。
 市営地下鉄では、すべての駅にエレベーターが設置されているものの、案内図がないため場所がわからず、車いす利用者や高齢者から「利用しづらい」との声が出ていた。
 市交通局高速鉄道部はこうした声を受けて近くエレベーターの案内図を設置することにし、どのような形式の案内図がわかりやすいか調査することにした。そこで、よりよい案内図を作るため積極的に提言しようと、「おこしやす京都委員会」と市のまちづくり塾「遊学塾」が、聞き取り調査を実施した。
 この日は午前10時すぎに、烏丸御池駅に市民ボランティアや学生らが集合。烏丸通御池北東側の出入り口と、烏丸通三条東側の出入り口に、エレベーターのある出入り口の場所を示した紙製の案内図(30a四方)を設置した。
 その上で、ボランティアらが駅の利用者や通行人らに「地上からコンコースへのエレベーターの位置を知っていますか」「案内図があると地下鉄利用者に便利だと思いますか」などのアンケートを行った。市民からは「大きい方がわかりやすい」「目立つ色にしたら」など意見が出されていた。
 この日は1時間で41人から聞き取り調査を行った。結果は約1週間で集計し、交通局高速鉄道部に提出する。それを受けて交通局は各駅に案内図を順次、設置していく予定という。(京都新聞)
■地下鉄決算など42議案 京都市9月議会提案へ
 京都市は1日、9月定例議会に提出する議案など計42件を発表した。1998年度の地下鉄、市バス、上下水道、市立病院の5公営企業決算のほか、京都会館別館(左京区)を来春から市美術館別館とすることに伴う条例改正、西京極総合運動公園プール棟新築に向けた工事請負契約などで、2日開会する本会議に提案する。決算のうち地下鉄は、経常赤字が過去最悪の289億円、累積赤字は1099億円で初の1000億円台となった。乗客減に悩む市バスも、前年度を大幅に上回る約19億円の経常赤字となっている。(京都新聞 夕刊)
2日■この1枚 「天王寺駅の風鈴」 無職 稲井 秀良(66)=大阪市住之江区
 真夏のJR天王寺駅の中央改札口。「リリーン、リン」と、風鈴の涼しげな音色が響きわたっていた。
 聞けば8月いっぱい、駅構内に178個をつるしていたという。でも、音色の涼しさとは裏腹に、その下で働く駅員さんたちは汗だくでした。(朝日新聞)
3日■声 守りたいのは乗客のマナー 高校生 岡島 枝里子(広島県呉市 16歳)
 「JRと私鉄で対応なぜ違う」という投稿を拝見し、多くの方がJRで不愉快な思いをしておられることを知りました。しかし、一様にすべてそうだと決めつけないでほしいのです。
 私は3年間電車通学をしてきて、定期を忘れたことが何度かありましたが、駅員さんはそのたび「しょうがないねえ」と言って定期なしで通してくださいました。また、旅行で岡山を訪れた時、発車時刻になってゆっくりと階段を下りてくるお年寄りに、「おばあちゃん、乗るの?」と声を掛けてあげている駅員さんにも出会いました。
 確かに不愉快な対応をされたことも何度かありますが、乗客のマナーの悪さに閉口したことの方が明らかに多いです。割り込み乗車やホームでの態度など、常識をわきまえた行動とは思えないことを平気でする人が多いように思います。
 かくいう私も、朝は駆け込み乗車をしてしまうことがよくあります。マナーを守るべきだとわかっていても、遅刻することを考えるとついやってしまうのです。こんな「つい」の集まりをまとめていかなければいけない仕事の大変さを理解し、少し寛容に見てあげてはいかがでしょうか。JRの駅員さんだって人間です。それに、一生懸命お仕事をしている人もいることを忘れないでほしいです。(朝日新聞)
■混雑の解消へ自由席増やせ 主婦 三輪 睦子(岡山市 25裁)
 ドイツへ行ってきた。現地では全行程、鉄道の旅である。日本の鉄道、特にJRとのシステムの違いに感心させられた。
 私は帰省の際、新幹線を利用する。混雑期に希望日時の指定席を取るのは一苦労だ。しかし、家計の都合上、毎回指定席というわけにはいかない。自由席の車両では多くの人が立っているのに、がらがらのグリーン車を見ると腹が立ってくる。
 ドイツの新幹線は基本的に全席自由である。座席指定の手続きをすると、座席に指定の区間を示した紙が張られる。その紙が張られていなければ、あるいは区間外ならば、その座席は自由席だ。
 このようなシステムならは、目の前の座席が空いているにもかかわらず、指定席のため、立ち通しということはない。電車という空間を最大限に活用しているのである。
 JRも「体の不自由な方に限る」などの条件つきでもよいから、せめてグリーン車だけでも開放してはどうだろうか。そうすれば、帰省ラッシュも多少は緩和されるかも知れない。(朝日新聞)
4日■上り電車通過後、下りが 2児童はねられ死亡 泉南の踏切 遮断機くぐり
 3日午後1時20分ごろ、大阪府泉南市男里の南海電鉄南海線の樽井踏切で、近くに住む無職行俊文子さん(35)の二女で市立樽井小4年、唯さん(10)と、会社員山隅英樹さん(35)の長男で同、祥匡君(9つ)の2人が難波発和歌山市行き普通電車(6両編成)にはねられた。2人は病院に運ばれたが、頭の骨を折るなどして間もなく死亡した。
 泉南署などの調べでは、遮断機の下りた踏切に2人が入ってくるのを電車の運転士が発見し、急ブレーキをかけたが、間に合わなかったという。
 2人は同級生の男児(10)と計3人で下校途中で、この男児が先に踏切を渡り終わった後、警報機が鳴り始めた。2人は当初、電車の通過を待っていたが、上り電車が通過した後、遮断機が上がると思い込んで踏切内に入ったところを、逆方向から来た下り電車にはねられたらしい。
 踏切は幅約2b。線路が緩やかにカーブし、現場周辺に背の高い草が生えており、子供には見通しが悪いこともあるという。
 樽井小学校などによると、3人は同じクラスで、授業を終え、午後1時ごろ、下校したという。
 119番した近くの看護婦(41)は「急ブレーキの音がしたので踏切に行ったら、2人が血を流して倒れていた」と話していた。(京都新聞)
■2児童はねられ死亡 南海踏切、下校の小4 泉南
 3日午後1時20分ごろ、大阪府泉南市男里の南海電鉄の踏切(警報機、遮断機付き)で、下校中だった近くの無職行俊文子さん(35)の次女で同市立樽井小学校4年唯さん(10)と、同、会社員山隅英樹さん(35)の長男で同小4年祥匡君(9つ)が、難波発和歌山市行きの普通電車(6両編成)にはねられた。行俊さんと山隅君は頭などを強く打っており、間もなく死亡した。
 泉南署によると、2人はもう1人の同級生と3人で下校途中だった。同級生から少し遅れて歩いていたが、この同級生が踏切を渡った後で遮断機が下りたために渡らずに待ち、電車が1本通り過ぎてから踏切内に入り、対向してきた電車にはねられたらしい。約40b手前で運転手が気づき、急ブレーキをかけたが間に合わなかったという。電車は踏切を約150b通過して止まった。
 踏切は幅約2bで、2人が通う小学校から約150b西にある。2人は同じクラスで、同じマンションに住んでおり、よく一緒に下校していた。
 同級生らによると、行俊さんは2日、クラスの女子の中でただ1人立候補して学級委員に選ばれたばかりだった。(朝日新聞)
■航海 新世紀へ 1972年、北陸トンネル列車事故 塚本 和人  社会部
 旧国鉄北陸線の敦賀−南今庄間の北陸トンネル(全長13.87`、福井県敦賀市)内で1972年11月6日午前1時10分ごろ、大阪発青森行きの寝台急行「きたぐに」(15両編成)が食堂車から出火し、緊急停車した。火の消えない食堂車が切り離され、列車はトンネルを出るために約70b進んだが、送電が止まって走行不能となり、30人が死亡、714人が負傷した。
 被災者らは「北陸トンネル列車火災事故被災者の会」を結成し、74年、176人が国鉄に損害賠償を求めて提訴したが、80年までに全員の和解が成立。その中で、煙の充満したトンネル内を長時間さまよった苦痛や予測できない後遺症への不安を考慮して、異例の「生死のさまよい料」が認められた。このうち、再び後遺症が出たとする被災者10人が86年に再提訴し、今年7月に控訴審で和解が成立した。
・黒い悪夢 無罪 でも事実消えず 煙充満 さまよう乗客
 いまも時折見る夢が、金沢市に住む辻邦義(57)の記憶を呼び覚ます。
 −真っ黒な雲海が立ち現れ、のみ込まれそうになって懸命にもがく自分。
 国鉄時代から長年、機関士を務め、5年前、JR貨物から関連の運送会社に出向した。レールを離れてトラック運転手になっても、トンネルに入るとやはり、無意識に非常口を探している。
 1972年、11月6日未明。辻は寝台急行「きたぐに」の運転席にいた。
 「食堂車から火災」。車掌から無線連絡を受けたのは午前1時10分すぎ、福井県敦賀市の北陸トンネルを5`ほど進んだときだった。列車を止め、11両目の食堂車まで走った。車両はすでに煙に覆われていた。
 機関車に戻って食堂車を切り離す作業を始めたが、約40分後、熱で架線がショートし、機関車のモーター音が途絶えた。辻は客車へ走り、乗客に避難を呼びかけた。
 当時、トンネル内に照明はなかった。ドアを開けた時、黒い壁が立ちふさがっているように感じたのを覚えている。悲鳴と怒号が響く中、乗客を抱きかかえて列車から降ろし、出口の方に背中を押した。酸欠状態で足に力が入らなくなると、四つんばいになって踏み台になった。
 「デッキが静まり、客が残っていないか確認した後、機関車に戻ろうと線路わきを腹ばいで進んだ。その途中、やるだけのことはやったと思うと、意識が遠のいた」
 気がつくと、敦賀市内の病院のベッドにいた。警察の事情聴取を受け、30人が亡くなり、700人余りが負傷したことを知った。
 福井地検は74年暮れ、辻と車掌を業務上過失致死傷罪で起訴した。一方、福井県警が防災対策の改善を怠ったとして書類送検していた国鉄金沢鉄道管理局長は、起訴されなかった。
 トンネル火災の場合、火災車両を切り離してから脱出するのが、当時の運転規程に沿った行動だった。弁護団は辻に過失はなく、長大トンネルの防災を軽視した国鉄のシステム災害だ、と主張した。
 辻の気持ちは揺れた。「何も責められるようなことはしていない」「しかし、あの時に何があったかを裁判で明らかにするのが、生き残った者の義務では接いか」
 59回に及んだ公判の末、福井地裁は80年11月、辻と車掌に無罪を言い渡した。辻は法廷を出ると、祝福する支援者らに囲まれた。しかし、胸の内は複雑だった。
 「刑事責任をだれも負わないことになる。無罪判決でも、自分の運転した列車から多くの死傷者が出た事実は消えない」
 検察は控訴せず、辻は機関車の運転席に戻った。
 辻の機関車が北陸トンネルを通る時、汽笛が尾を引いて流れた。犠牲者のめい福を祈って、辻は必ずそうした。
 北陸トンネルは今、平日で1日129本の列車が通る。通過時間は、最速で7分20秒。事故当時の「きたぐに」より、6分近く速い。
・「災害症」 せき・たん…体も 人生も変わった
 国鉄は事故後、被災者の健康調査のため、医療対策委員会を設けた。委員会は、被災者らの症状をひとつの造語で表現した。
「北陸トンネル災害症」
 トンネルという密閉された空間で、燃えた車両の建材から発生した塩酸ガスなどを乗客が大量に吸った被災例は初めてだった。乗客らのせきやたん、のどの痛みは消えず、症例も一様でなかった。しかも、どんな「後遺症」が将来現れるか分からなかった。
 〈疲労がかさむと息切れ、頭痛、耳鳴り、目がかすむ。(中略)社会生活に不安と焦燥感を持ち、不安な状態で生活している〉
 福井県小浜市の県立若狭高校体育教論だった山本肇(81)は、事故から約1年後の日記にこう記している。
 意識を失い、トンネル内で倒れているところを救い出された。その1ヵ月後に突然、記憶を失った。自分の名前も、妻と子の顔も忘れた。専門医の診断は一酸化炭素中毒だった。投薬などの治療を続けた結果、記憶は幸いにも1ヵ月半後に戻った。退院して復職したが、時折襲うせきに苦しんだ。
 福井県坂井町の主婦青山輝子(61)は、今でもシャワーを浴びることができない。湯気が気管支に入ると、せき込み、息苦しくなる。「気管支ぜんそく」と診断され、もう10年以上、気管支拡張剤などの薬を飲み続けている。
 救出されて10日間、意識不明だった。のどを切開し、黒いすすを取り除く手術を受けた。2ヵ月後に退院したが、当時経営していた喫茶店は、客のたばこの煙がつらくなり、閉店した。
 「あの日、きたぐにに乗っていたために、声も体も人生設計も、すべてが変わった」と話す。
 大阪・高槻赤十字病院の加藤幹夫院長(69)は、京大胸部疾患研究所にいた75年、金沢大の依頼を受けて被災者を初めて診察した。火災事故で有毒ガスを吸ったための後遺症の可能性がある、と思った。山本と青山を含む被災者ら176人が「せきやたんなどの後遺症が出た」として、国鉄に損害賠償を求めた訴訟の弁護団に頼まれ、被災者の健康調査を始めた。
 しかし訴訟は、消えない症状と事故に因果関係があるかどうかを明らかにしないまま、和解で終結した。
 加藤は昨年も、山本と青山を診察している。急激な進行はないが、改善も見られなかった。「症状と事故に因果関係が100%あるかどうかはわからない。しかし、精神的なトラウマが症状を悪化させているのは間違いない。事故と無関係ではないのです」。加藤はこう指摘する。
 山本は、事故から6年後に定年退職して、まもなく小浜市議に当選し、2期務めた。若狭湾に乱立する原子力発電所の安全性に疑問を呈し、市議会では操業停止を求めた。
 「安全に絶対はありません。事故が起きると生死にかかわる可能性があるのなら、私は反対する。真っ暗なトンネルで苦しんだ記憶は、今も頭から離れないのです」
・安全神話 繰り返された「想定外」
 「これほど壊れた新幹線は見たことがない」
 福岡県にあるJR西日本博多総合車両所の係員たちは、屋根のめくれ上がった新幹線が回送されてきたのを見て、驚きの声を上げた。
 今年6月27日、午前9時すぎ。山陽新幹線小倉−博多間の福岡トンネル(全長8.5`)を時速220`で通過していた新大阪発博多行き「ひかり351号」(乗客約250人)の尾根を、内壁からはがれ落ちた計200`のコンクリート塊が直撃した。
 コンクリート塊が線路をふさいでいたら、脱線事故につながった可能性もあった。翌日の記者会見で、JR西日本の工藤一能・安全対策室長(52)は「想定外の事態だった」と説明した。
 予測の範囲外−。これと同じ弁明は、北陸トンネル火災の際にもあった。「われわれの考えていなかった事故だ。車両の構造とともに長大トンネル内での防災設備を再検討しなければならない」。当時の国鉄技師長がこう述べている。
 トンネルの長大化に警鐘を鳴らす形となったトンネル火災は、ちょうど国鉄が山陽新幹線の建設を急ピッチで進めていた時に起きた。時代は、スピードアップを追い求めた高度成長のただ中だった。総延長の51%をトンネルでくりぬいて、75年に全線開業した。そして今年、そのトンネルの一つで、再び大惨事につながる恐れのある事故が起きた。
 福岡事故をきっかけに、山陽新幹線の多くのトンネルや高架橋で、コンクリートの劣化が進んでいることが明らかになっている。対症繚法で補修を重ねるなど、JRの安全に対する危機管理の甘さも浮き彫りになった。
「想定外」とされた北陸トンネル、福岡トンネルのいずれの事故にも、「安全神話」への過信が透かし見える。
 北陸トンネル火災で起訴された辻邦義機関士の裁判を支援した労働組合は、無罪判決後、裁判記録を本にまとめた。その中で、弁護人を務めた岩淵正明(49)は、こう書いた。「人間は、すべての事故や災害を防止でき、人間のミスさえなければ事故や災害は起きないとの発想は、実は、現代においては見せかけの議論であるように思えてならない。人間が制御できると信じつつ、実は制御し得ない、システムにより我々の安全が確保されているという重大な事実を見過ごしている」
 今でも、その考えに変わりはない。(敬称略)(朝日新聞)
5日■遮断機の棒 黄黒より赤白 JRの踏切実験で判明
 踏切の遮断機の棒は、現在の「黄と黒」より「赤と白」の方が目立って見やすいという結果が、JR東日本安全研究所がドライバーに実施した調査で4日、分かった。
 調査は昨年10月から今年3月までの間、JR内房線の大井戸踏切(千葉県抽ケ浦市)、東北線の第一上三川(かみのかわ)踏切(栃木県石橋町)など3ヵ所で実施。通過する車の運転手計約1500人にアンケートをしたほか、ビデオカメラで車の動きを調べた。
 その結果、3ヵ所で82−92%が「従来の黄と黒より目立つ」、79−93%が「踏切が閉まっていることが分かりやすい」と回答。約85%が「全国への導入に賛成」だった。
 JR東日本によると、同社管内の踏切では、毎年遮断棒が4000本以上折られる被害が出ている。警報が鳴り遮断機が下りてからも車が無理に突っ込むケースがほとんどで、対策に頭を痛めている。
 日本では遮断棒の色は運輸省令で「黄と黒」に決まっているが、欧州では「赤と白」が一般的という。そこで「赤と白」が運転手の視覚や注意力にどのような影響を与えるかを調べた。(京都新聞)
6日■阪急電車床下から煙 乗客300人乗り換え
 5日午後3時半ごろ、向日市上値野町南開の阪急電鉄京都線西向日駅で、到着した河原町発梅田行き普通列車(7両編成)の車両床下から煙が出ているのを車掌が発見。次の長岡天神駅で運転を中断、乗客約300人が長岡天神駅で後続の電車に乗り換えるなどの影響が出た。
 同社によると、京都寄りの車両の床下にあるブレーキがかかったまま外れない状態になっていた、という。長岡天神駅でブレーキを止めるコックを人の手で切り替え、桂駅まで回送した。同社で原因を調べている。(京都新聞)
■電車9本に遅れ 乗客、防護無線押す 草津
 5日午後9時25分ごろ、草津市渋川一丁目、JR草津駅の留置線で、発車前の新快速電車の運転台の防護無線ボタンを、男性会社員(59)が押した。このため、守山市内を走行中の網干行き新快速電車が現場に約6分停車したほか、後続の電車8本が9分−1分遅れ、約2600人に影響が出た。
 JR西日本によると、防護無線ボタンは緊急時に近くの列車を停止させる装置。男性は草津止め新快速電車に乗っていたが、トイレにいるうち電車が留置線に入り、乗客や運転士らがいないためカギのかかっていない運転席に入り、誤ってボタンを押したらしい。同電車は草津駅に45分停車した後、網干に向け折り返すまで留置線で待機していた。(京都新聞)
■学芸 研研GO!GO! 路面電車岳 京都の市電「復活」説く
 車社会の中で前世紀の遣物のように扱われてきた路面電車が見直されている。1970年代にドイツやフランスで始まった新型路面電車による都市交通革命が欧州連合(EU)各国に広がり、日本へも波及してきたのだ。
 今年6月には愛知県豊橋市に路面電車が走る自治体の代表や事業者、支援団体関係者らが集まって「路面電車サミット」が開かれ、路面電車を生かしたまちづくりについて熱い討論が交わされた。
 欧州の新型路面電車は乗り降りが楽な超低床型。音も静かで、スピードも速い。環境対策、マイカーの抑制策、都心の空洞化対策の切り札として、国や自治体が資金を出してレール建設を進めている。
 立命館大学経営学部で交通論を専攻する土居靖範教授(55)は、路面電車の研究にとどまらず、都大路から姿を消した京都の「市電」復活を提唱している。「高速道路が建設されると、京都市内に直接大量の自動車が入るようになり、世界の交通政策の流れに逆行する。日常の足を新型市電にかえることが京都にふさわしい」と力説する。
 構想は具体的だ。まず四条大宮から祇園の八坂神社石段下までの四条通にレールを敷き、京福電鉄嵐山線とつないで、新型路面電車を走らせる。その区間は路面電車と路線バス以外の車両は原則、入れなくする。
 次いで、四条から御地通までの河原町通。京福電鉄北野線の白梅町駅から銀閣寺道までの今出川通。さらに、残る河原町通と、北大路通−東山通−七条通−西大路通の環状線をつくる。同時に、周辺部に大型駐車場を設け、通勤や観光マイカー客が路面電車に乗り換えて中心部へ向かうようにする。
 「地下鉄と比べれは、路面電車の建設費ははるかに安い。日本で初めて電車を走らせた京都は、もう一度電車で世界と勝負するべきです。97年に開かれた地球温暖化防止京都会議(COP3)が追い風になり、機運は高まっています」と土居教授。(寺)(朝日新聞)
7日■兵庫で大雨 浸水相次ぐ 民家の十数人救出 柏原町に避難勧告
 7日未明からの大雨の影響で、兵庫県内の山間部では川がはんらんして80世帯が床上浸水、 340世帯を超える床下浸水の被害が出た。7日午前、兵庫県南東部と大阪府北部に大雨洪水警報が出された。
 兵庫県丹波県民局によると、柏原町では未明の降り始めから午前9時までの連続雨量は278_、篠山市では121_を記録。柏原町では柏原川の右岸堤防が約30bにわたって決壊し、約70世帯に避難勧告が出た。
 濁流が下流の民家や田畑に流れ出たため、氷上郡広域行政事務組合消防本部の職員ら約30人がボートで出動。同町田路地区と南多田地区で、民家の2階に取り残されたお年寄りや小学生ら十数人を救出した。救助にあたった消防本部の職員は「周囲の3つの川に挟まれた両地区は、深い所で約50aの濁流で水浸しだった」と話した。南多田公民館には約50人の住民が避難した。町議の小松忠重さん(64)は「川のそばの農家にあるトラクターなどの農機具が下流に押し流されてしまった」と話した。
 同県山南町内で国道175号は、土砂崩れで道路が完全にふさがれ、通行止めになった。落雷のため同県姫路、加古川両市で午前8時ごろから、約5万6000世帯が約1分間停電した。
 大阪府内では午前11時までの1時間に能勢町で13.5_、箕面市で11.5_の雨量があった。
・JR・バスがストップ
 7日午前3時半ごろ、兵庫県山南町のJR福知山線の下滝、谷川両駅に設置された雨量計が規制値を超え、1時間に45_の降雨量を記録したため、篠山口−柏原間で上下線とも始発列車から運転を見合わせた。不通区間は篠山口−石生間まで広がり、JR西日本は午前8時すぎから代替バスを走らせたが、並行する国道の一部が土砂崩れで寸断されたため、バスも1時間余り運転が止まった。
 JR西日本によると、福知山線はこのほか各地でも雨量計が規制値を超え、一部区間で時速15`の徐行規制もかかった。篠山口−大阪間で上下線とも20−15分遅れて運転するなど、朝のラッシュ時間帯にかけてダイヤは大幅に乱れた。
 出雲市発大阪行き上り夜行急行「だいせん」が福知山駅を出発した後、途中の黒井駅でストップ。乗客数十人は約2時間にわたって動けなくなり、代替バスなどに乗り換えた。
 また、兵庫県黒田庄町のJR加古川線黒田庄駅でも午前5時半ごろ、1時間に55_の降雨量を記録したため西脇市−谷川間で運転がストップ。線路冠水や盛り土が流出するなどの被害が出ているという。
・JR大阪駅 落雷で停電 特急遅れる
 7日午前11時5分ごろ、大阪市北区のJR大阪駅構内が一時停電し、一部の信号機が赤のまま変わらなくなり、大阪発金沢行き下り特急「雷鳥15号」(9両編成、乗客約150人)が出発できなくなった。復旧作業を終え、17分遅れて大阪駅を出発した。JR西日本によると、大阪駅周辺の送電設備などに雷が落ち、停電したためとみられるという。(朝日新聞 夕刊)
8日■京都市交通局 職員給与 一律5%減額 経営健全化案 来年度から3年間
 市バス、地下鉄の赤字に悩む京都市交通局が、2000年度から3年間、緊急措置として全職員の給与、期末勤勉手当などを一律5%減額する大胆なリストラ案をまとめていたことが7日、明らかになった。期間内に市バス事業で約70億円、地下鉄で約30億円の経費削減を達成し、経営の健全化を図る方針。
 同局が運営する両事業の98年度決算は、地下鉄東西線の開業に伴う乗客減で、市バスの経常赤字が前年度の約9倍の約19億円。建設費の利払いが本格化した地下鉄も、過去最悪の約289億円の経常赤字になった。
 リストラ案の名称は「交通事業経営健全化プログラム21」。目前に迫った乗り合いバス事業参入の規制緩和や急速に進展する少子高齢化などの流れから、公営交通のネットワークを維持するには、人件費の削減を中心とする経営健全化に取り組まざるをえないと分析している。
 そのうえで、市バスは来年度以降、5年以内に経常収支を均衡させ、地下鉄はおよそ30年以内に期末の資金不足を解消するという目標を掲げた。達成に向けて、2000年度からの給与と調整手当、期末勤勉手当を5%減額するのに加え、管理職手当の減額、給料表や特殊勤務手当の見直しを行う。このほか、嘱託職員の拡大、事務の効率化、外注の促進などの具体策も列挙した。また、3年間のリストラのあとも、毎年、市バスで40−60億円、地下鉄で15−20億円の経費削減に取り組む。
 交通局は、94年、96年にも経営健全化対策を発表しているが、今回の案は一段と厳しい内容となった。「今後は組合、議会と十分に協議し、理解を求めたい」としている。(京都新聞)
■0系に続き100系も引退スケジュール ひかり 世代交代も加速 2階建て「もう造りません」 東海道
 2階建て車両や個室を備え、とがった鼻で親しまれてきた新幹線の2代目車両「100系」が、東海道新幹線から徐々に姿を消しつつある。今春デビューした新型「700系」の相次ぐ投入で、世代交代が加速しているためだ。丸い鼻の初代「0系」も9月18日までにすべて引退する予定で、国鉄時代につくられた車両が数年後には東海道から見られなくなりそうだ。東京−新大阪を2時間半で結ぶのぞみでデビューした「300系」や700系に主力の座は移り、東海道新幹線は本格的な高速運転時代に入る。
 100系は国鉄時代末期の1985年10月、初代0系から21年ぶりの新型車両としてデビューし、92年までに計912両が製造された。最高時速は0系と同じ220`だが、新幹線で初めての2階建て車両が特徴だった。
 16両編成のうち8、9号車が2階建て。階上にグリーン座席、階下には1人−4人用の個室を置いた。とくに2階グリーン席は、普通車からの通り抜けが避けられ、静かでゆったりできることから好評だった。食堂車も階下を調理室、2階を客室にして見晴らしの良さを売り物にし、東海道・山陽新幹線を走るひかりの主力車両として活躍してきた。
 JR東海によると、今年3月デビューの700系が来年度中に18編成となり、のぞみの顔だった300系と交代する。300系に押し出されるようなかたちで、これまでひかりに使われてきた100系はこだまへと移りつつある。
 新幹線車両の寿命は15年程度。85年から東京−博多間を走り続けてきた100系のうち1編成(16両)が7月末に廃車になった。さらに今年度未までに2編成が廃車となる計画だ。同社は今後、700系を新幹線の標準仕様としてひかりにも順次投入し、すべての車両を時速270`の高速運転が可能な車両でそろえる計画だ。100系の計50編成は早ければ7年後には東海道区間から姿を消すという。
 一方、新大阪−博多間の山陽新幹線では、JR西日本が計256両の100系をひかりで走らせており、当分、廃車計画はないという。
 JR東海は「2階建て車両はスピードアップのため断面積を減らす必要があり、もうつくる計画はない。100系は東京−博多間をビジネス客らをたくさん乗せて頻繁に往復し、老朽化も著しい。旧国鉄時代の最後に期待を背負って登場した車両だけに、隔世の感があります」と話している。(朝日新聞)
■一部は終日不通 JR福知山線
 兵庫県内の山間部を中心に降り続いた大雨の影響で、線路の下の盛り土が流出するなどの被害が相次いだJR福知山線は7日、篠山口−柏原間で終日運転を見合わせた。同区間では計16ヵ所で、線路に土砂が長さ約30bにわたって流入したり、盛り土が長さ約20bにわたって流出したりするなどの被害が出た。JR西日本は、8日始発列車からの運転再開を目指して復旧作業を急いだ。
 また、不通となっていたJR加古川線西脇市−谷川間については、7日夕方から運転を再開した。(朝日新聞)
■主演男優賞の健さん 受賞の喜びコメント
 映画「鉄道員(ぽっぽや)」(降旗康男監督)の演技で、モントリオール映画祭の主演男優賞を受賞した高倉健さんが7日、「一所懸命な人たちと仕事をするのは悪くないなとしみじみと思っております。うれしいです」とコメントした。
 高倉さんは映画祭に出席していなかったが、製作した東映を通じて、「大勢の皆様に劇場に足を運んでいただき、それだけでも大変な喜びなのに、このような賞まで受賞し、感動しております」と喜びを語った。
 「鉄道員」は、浅田次郎さんが直木賞を受賞したベストセラー小説が原作となっている。朝日新聞やテレビ朝日も出資した。今年6月に全国公開され、大ヒットしていた。
 23回目を数える同映画祭で主演男優賞を日本人が受賞するのは初めて。(朝日新聞)
■警部補、車掌に暴行 JRで昨夏 表面化し急きょ処分
 厚木署での集団暴行など不祥事が次々に明らかになっている神奈川県警で、川崎署交通課の警部補(54)が昨年8月、洒に酔ってJR東海道線のグリーン車に乗車し、券を持っていなかったことを注意した車掌らを殴り傷害容疑などで横浜地検に書類送検されていたことが8日までに分かった。警部補は逮捕されなかった。同県警は不祥事を公表せず、当初処分も行わなかったが、同日になって急きょ戒告処分とした。
 同県警によると、警部補は昨年8月28日午後9時ごろ、帰宅途中に洒を飲み、川崎駅から東海道線のグリーン車に乗車した。警部補はデッキ部に乗っていたが、改札した車掌にグリーン券を持っていないことをとがめられると、胸ぐらをつかむなどした上、別の車掌の頭をたたいたという。警部補は横浜駅で電車を降ろされたが、最初に改札しようとした車掌の腹をけるなどして右手の指に2週間程度のけがを負わせたという。
 警部補は横浜駅で鉄道警察隊に引き渡され、戸部署が昨年12月、傷害と暴行の疑いで書類送検したという。その後、同地検は今年3月、警部補を起訴猶予処分とした。
 神奈川県警は、昨年9月17日、警察庁に報告したが、警部補の処分を行っていなかった。問題が明るみに出た8日になって警部補に対する処分をしたほか、上司の同署交通課長を所属長注意処分とした。
 同県警の森貞和生監察官室長の話 証拠隠滅の恐れがなかったので逮捕しなかった。相手側との示談が成立しておらず、示談が成立してから処分するつもりだった。逮捕されなかったので広報していない。いくら飲酒の上の行為とはいえ、誠に遺憾で、今後職員への指導を徹底していく。(京都新聞 夕刊)
■福知山線運転を再開
 7日未明からの大雨で、線路の盛り土などが崩れた兵庫県内のJR福知山線篠山口−柏原間は、復旧作業が終了し、8日始発から列車の運転を再開、通常ダイヤで運行している。
 同線では特急24本など上下72本が運休し、他の全列車が折り返し運転した。(京都新聞 夕刊)
■JRの車掌殴る 書類送検の警部補処分 神奈川県警
 神奈川県警川崎署の警部補(54)が昨年8月、酒に酔ってJRの車掌を殴り、傷害容疑などで書類送検された問題で、県警監察官室は8日、警部補を同日付で戒告処分にしたと発表した。県警監察官室は「手続きが遅れていただけ。報道の影響ではない」と話している。
 県警監察官室によると、警部補が戒告処分となったほか、直属の上司だった当時の交通課長が監督責任を問われ、所属長(署長)注意となった。(朝日新聞 夕刊)
9日■京都市バス(横大路営業所)6路線民間委託 赤字の解消が狙い 来春から 阪急と覚書締結
 京都市バス横大路営業所(伏見区)の赤字解消に向けて、市交通局は8日、来年4月から、同所管内の12系統のうち「18系統」など6つの路線の運行を、阪急バス(本社・豊中市)に委託することを明らかにした。阪急バスとこのほど、一部運転業務などを受委託する覚書を締結した。公営バス業務の民間委託は全国で初めて。
 南区や伏見区など市南部を中心にバス路線を管理運営する同営業所では、98年度決算で営業収支が16億2100万円の赤字となった。市バス全体の営業赤字(35億2000万円)の4割以上を占めている。
 交通局は、経営改善に向け、96年に阪急バスや京阪バス、向日市、長岡京市と「京都南西部交通問題協議会」をつくり、同営業所の新しい運営方式を検討。人件費を抑制するため、一部路線の運行を委託する方針を打ち出し、昨年8月以降、阪急バスと協議を進めてきた。
 両者が先月末に交わした覚書などによると、同局が阪急バスに委託する業務は運転、運行管理、整備管理など。阪急バスは市バスの車両と施設を使用する。収入と経費は同局が管理。運賃は市バスの制度を適用する見込み。
 そのうえで交通局は、阪急バスの営業エリアを考慮して、来年4月から実際に委託する路線を18(みぶ交通局前−久我石原町)、22(横大路車庫前−南工業団地前)、42(京都駅前−上久世町)、43(四条烏丸−久世橋東詰)、南1(竹田駅西口−桂駅東口)、南2(竹田駅西口−免許試験場前)の6系統とした。
 6系統の1日平均の旅客数は98年度、同営業所管内の44%に当たる8300人だった。交通局は、現行の運行ルートや、本数を維持したいとしている。
 また、残る6系統についても、2001年4月の受委託に向け、来年1月ごろから京阪バスと協議を始める方針。交通局ではこうした民間委託で、人件費の2−3割カットを目指している。下薗俊喜管理者は「民間の経営ノウハウを生かし、赤字解消につなげていきたい」と話している。(京都新聞)
■JR福知山線乱れる 広野駅で信号故障
 8日午後6時15分ごろ、JR福知山線広野駅(兵庫県三田市)で、構内のすべての信号機が消えたまま点灯しなくなった。応急処置で約1時間20分後に復旧した。新三田−篠山口間で上下計5本の列車が部分運休したほか、大阪行き快速列車が約1時間20分遅れるなど九本の列車に遅れが出た。JR福知山支社は落雷が原因とみている。(京都新聞)
■「9月9日間題」 JR西日本が1400人態勢警戒
 コンピューターの西暦2000年間題に関連し、9という数字が連続した場合、一部のプログラムでは終了の意味で使われることから誤動作する恐れがあるとされる「9月9日問題」が浮上。JR西日本は8日夜から、本社と支社に対策本部を設置し、延べ1400人が泊まりこみ態勢で、自動券売機など駅周辺の設備を中心に異常事態に備えて警戒にあたっている。(朝日新聞)
■関西線で信号故障 朝の足10万人乱れ JR新今宮駅
 9日午前5時ごろ、大阪市浪速区恵美須西のJR関西線新今宮駅構内の信号機が赤のまま変わらなくなり、それ以降の上り列車と、同駅に接続する大阪環状線内回りの列車すべてを手信号でホームに入れた。
 この影響で、関西線と環状線、阪和線で計63本が運休、73本に最大約1時間の遅れが出て、通勤、通学客など約10万人の足が乱れた。JR西日本によると、分岐ポイント部分のまくら木取り換えで、付属装置とポイントの結線ミスをしたのが原因。(京都新聞 夕刊)
■JR信号故障 電車乱れる 10万人に影響
 9日午前5時ごろ、大阪市浪速区のJR関西線新今宮駅で、信号が赤から変わらなくなり、JR難波発加茂行き上り始発電車が駅の手前で進めなくなった。駅員が手動でポイントを動かし、電車は9分遅れて駅に着いた。しかし、その後も信号は復旧せず、関西線上りと大阪環状線内回りは、駅員が手動で信号を制御した。このため、午前10時現在、現場を通過する関空特急「はるか」など上下63本が運休、73本が最大1時間余り遅れ、約9万8500人に影響が出た。(朝日新聞 夕刊)
10日■長野−福井県 フル規格整備 北陸新幹線で自自合意
 整備新幹線の早期完成を目指す自民、自由両党は9日、両党幹事長、政調会長らによる政策責任者会議を開き@東北新幹線盛岡−新青森と九州新幹線鹿児島ルートを今後おおむね10年で東海道新幹線と同じフル規格で開業A北陸新幹線は長野−南越(福井県)を十数年でフル規格で整備するなどを盛り込んだ見直し案をまとめた。
 整備計画は、今後十数年にわたり年平均1500億円程度の公共事業関係費が確保されることを前提にしている。財源については「政治の責任において最大限の努力して確保する」としているが、来年度予算の概算要求額(約373億円)の約4倍も必要になるため、財政当局との厳しい折衝が予想される。
 北陸新幹線はスーパー持急方式で建設中の区間も含め南越までをフル規格とし、当面上越−糸魚川の建設を急ぐ。南越−敦賀は環境影響評価(アセスメント)の結果を見て検討、敦賀以西は米原ルートも含め引き続き検討する。(京都新聞)
■JR京都駅ビル、きょう開業2周年 周辺の商業地 売上減止まらず 伊勢丹は好調維持 消費不況追い打ち 格差広がる一方求められる店の個性化
 JR京都駅ビルは10日、開業から2周年を迎える。駅ビル内のジェイアール京都伊勢丹は幅広い集客で好調を持続しているものの、周辺の百貨店や商店街は、消費不況も重なって売り上げの減少に歯止めがかからず、駅ビルとの格差を広げている。駅ビル開業2年目の京都の商業の現状をリポートした。(政経部 加藤秀生)
・専門店11%滅
 昨年9月から1年間の駅ビルの集客数は約3200万人(京都駅ビル開発調べ)で、開業後1年間の3700万人と比べて、やや減少した。
 しかし、京都伊勢丹は、開業当初目標としていたカード会員数「5年で10万人」を着実に増やし、すでに今年7月で7万人を突破した。今年3月期の売上高も447億円を達成、京都市内7百貨店の売上高シェアで13%以上を占めるまで成長した。筧元則社長は「駅前立地の力を十分発揮し、観光客に加えて顧客の固定化も順調なことが売り上げ増につながっている」と分析する。
 一方、駅ビル内の専門店街「ザ・キューブ」は、99年3月期の売上高は初年度に比べ11%減少。観光客の減少や開業効果が薄れつつあることを裏付けている。同専門店街を運営する京都駅観光デパートの小枝忠夫常務は「店舗入れ替えや商品構成の見直しで、衣料品の売り上げは、今年4月から前年同期比で2%増と伸びている」と「てこ入れ」効果を強調する。
 京都駅前地下街ポルタも、駅ビルとの相乗効果を狙って売り場面積を25%広げたが、今年3月期売上高は前期比6.2%増にとどまっている。同地下街の運営会社の京都ステーションセンターの武居桂専務は「不況のなか善戦している。イベントなどの開催でさらに集客を増やしたい」と対策を練る。
・人通り寂しく
 開業当初、駅ビル周辺地域は「新たな商業集積の誕生」に期待したが、現状は駅ビル内のみのにぎわいにとどまっている模様で、近隣の七条商店街の樋口信一理事長は「駅ビルに人が集中するだけで流れない。土、日曜の人通りも1割ほど減った」と嘆く。
 京都近鉄百貨店も、一昨年10月から2けた台の売り上げ減少が続き、小山栄七店長は「かつての駅前立地の有利さが生かされなくなった」として、大幅なリストラを実施し、同店の立て直しに躍起。「来春をめどに大型専門店を導入する方向で計画を進めている」という。
 周辺地域が期待した駅ビル効果は、消費不況と相まって逆作用したケースが多いが、同駅南側の「アバンティ」は、昨秋の全館改装で、顧客層を「不況に影響されにくい若者、特に若い女性層にターゲットを絞ったのが奏功し、大阪、滋賀県からの顧客も増えた」(芝崎忠店長)と健闘。京都タワーデパートも、店舗の個性化を狙って、土産物売り場だった2階に、今春「100円均一ショップ」を導入、10月には中規模書店をオープンする。
 四条河原町かいわいの既存百貨店は、駅ビル開業に向け増床や改装で対折したが、「JR沿線の消費者が駅ビルに相当吸収されているようだ」(藤井久嗣藤井大丸社長)と分析、「今は消費不況を克服するのが先決。その意味からも店の個性化が求められている」と話している。(京都新聞)
■整備新幹線 長野−南越、博多−西鹿児島 2ルート、10年後めどに開業 建設前倒し計画決定 自自両党
 自民、自由両党は9日、整備新幹線の建設前倒し計画を決めた。@博多と西鹿児島を結ぶ九州新幹線鹿児島ルートは約10年で開業し、営業中の新幹線と同じ「フル規格」にするA北陸新幹線は、すでに着工している長野−上越(新渇県)から南越(福井県)までを十数年で開業し、同じくフル規格とするB東北新幹線の盛岡−新青森間も約10年で開業し、フル規格とする、などが柱。両与党は今月中に前倒し計画について政府と協議し、同意を取り付けたい考えだ。
 1973年の整備新幹線計画に盛り込まれながら手つかずのままで、着工・完成時期も未定だった「未着工区間」では、福岡県の博多−船小屋間と新潟県の上越−糸魚川間の着工を急ぐことが、前倒し計画に明記された。また、東北新幹線の盛岡−八戸間は「2003年のアジア冬季競技大会に間に合うように開業する」ことも盛り込まれた。
 九州新幹線長崎ルートについては、武雄温泉(佐賀県)−新大村(長崎県)で実施している環境アセスメントの結果を待ってできるだけ早く着工し、建設開始から15年での開業を目指す。ただ、フル規格にはせず、トンネルなどは新幹線用に建設するが、線路幅を狭くして在来線特急を走らす「スーパー特急」方式とする。
 新青森−札幌間の全線が未着工区間の北海道新幹線の建設時期については「環境アセスの結果を見た上で検討する」の表現にとどめた。北陸新幹線の敦賀(福井県)以西のコースや着工時期は、線路幅の異なる新幹線と在来線を自由に行き来できる「フリーゲージ(軌間可変)電車」の開発状況などをみて検討する、とした。(朝日新聞)
■京都市交通局 職員給与も5% 赤字削減へ労使交渉
 累積赤字に悩む京都市交通局は9日、職員の給与を2000年度から3年間、5%カットすることなどを柱とした赤字削滅計画「市交通事業経営健全化プログラム21」を明らかにした。同局は、この「プログラム」によって、2002年度末までに地下鉄は30億円、市バスは70億円程度の経費を削減できると試算。8月末から労使交渉に入っている。
 9日の市議会本会議の一般質問で、橋村芳和議員の質問に、下薗俊喜・公営企業管理者が答えた。
 市交通局によると、給与の削減は同局職員約2500人全員が対象。2000年度から3年間の緊急措置として、給与、ボーナス、諸手当を、5%減額する。さらに地下鉄や市バスの運転手の乗務時間を、30分程度延ばすなど、人件費の削減を進める。
 また横大路営業所が管轄する12系統の市バスのうち、6系統について、運転や整備などの業務を、阪急バス(本社・豊中市)に委託する。
 市交通局は94年6月、「市交通事業の経営健全化計画」をつくり、地下鉄については東西線開業後30年以内に、市バスは2003年までに、累積赤字をなくすと目標を示した。しかし、乗客数が低迷。「目標の達成が厳しい状況」として、今回の計画を打ち出した。(朝日新聞)
■「9」の日で発売 近鉄が記念乗車券
 近畿日本鉄道は9日、「9999の日」を記念した乗車券のプリペイドカード「パールカード」を発売した。松本零士さんの漫画「銀河鉄道999」のデザインと、近鉄電車の車両の写真の2枚セットで2000円。1万9999セットを発行。近鉄の難波、奈良、京都など主要駅で販売している。
 同社は2年前にも、9が3つ並んだ「平成9年9月9日」に、やはり「銀河鉄道999」をデザインしたパールカードを売り出し、3日間で1万枚を売り切ったという。(朝日新聞)
11日■20日は「バスの日」 保護者同伴の小学生 無料サービス実施
 京都府バス協会は、今月20日の「バスの日」に保護者同伴の小学生に限って府内区間の路線バスを無料で利用できるサービスを実施する。車内に置いている乗車券付きのチラシで、定期観光、高速バスなどを除き、同協会加盟の12社のバスに乗車できる。
 乗合バスは、1903年9月20日に京都市内で運行したのが日本初で、この日を記念してバスの日と定めている。
 同協会は、小学生への無料サービスのほか、JR京都駅や阪急桂駅など府内のターミナルでバス利用を呼びかけるPR活動を行う。また、京都から金沢、八王子など9コースの高速バスの招待者(11組22人)を来月1日まで募っている。問い合わせは同協会 075(691)6517へ。(京都新聞)
■JR舞鶴線 電化・高速化が完成 来月2日新ダイヤ 京都−東舞鶴に特急
 JR舞鶴線(綾部−東舞鶴)の電化・高速化事業が完成し、10月2日から京都−東舞鶴間で直通電車特急が運行される。同日には、京都府などがつくる府舞鶴線電化・高速化促進協議会やJR西日本による記念式典が舞鶴市や京都駅で行われる。
 舞鶴線の電化・高速化事業は97年10月に着工。26.4`の区間を電化し、変電所施設やトンネル、ホームなどを整備した。事業費40億円は、JR西日本が20億円、府は10億円、舞鶴市8億円、綾部市は2億円を負担した。また、JRは5億円をかけ、普通電車の車両を改造した。
 2日からの新ダイヤでは、京都−東舞鶴間で、電車特急「まいづる」が3往復、ディーゼル特急「タンゴ・ディスカバリー」が2往復する。平均所要時間は1時間35分で、従来より12分間短縮される。
 「タンゴ・エクスプローラー」は、京都−久美浜間(山陰、舞鶴線経由)から、新大阪−久美浜間(福知山、宮福線経由)の運行に変更される。
 舞鶴線の電化で、府内のJR線の電化率は90.5%となる。
 2日には、舞鶴市の市民会館で府舞鶴線電化・高速化促進協議会(会長・荒巻禎一知事)主催の記念式典が行われるほか、京都駅では特急「まいづる」の出発式がある。(京都新聞)
■議会ミニ・レコ 全席シルバーシート
 小川裕樹京都市議(民主・都みらい) 福祉施策に関し「市バス、地下鉄のシルバーシートの廃止を提案する。本来、高齢者や体の不自由な方に席を譲るのは当然だ。全席シルバーシート・優先座席『宣言』を行い、市民意識の向上を図るべき」と主張した。(京都新聞)
■鉄道、道路整備など 財政支援を要望 町村議会議長ら府に
 京都府と府町村議会議長会との府政懇談会が10日、京都市上京区のルビノ京都堀川で開かれ、町村側から鉄道、道路整備や環境保全に対する財政支援の要望が相次いで出された。
 懇談会には荒巻禎一知事ら府幹部と府内32町村議長らが出席、各地域が抱える問題について意見交換した。
 この中で、町村議長会から▽JR関西線電化の早期実現▽府の木津川右岸地域整備構想の推進▽一般廃棄物最終処分の建設に伴う補助枠の拡大▽過疎地域の生活バス路線への支援−など山城、丹波、丹後の3地域ごとの重点要望が出され、府も積極支援していく姿勢を示した。(京都新聞)
■高校教諭が電車で痴漢 奈良で書類送検
 大阪府東大阪市立日新高校教論の梶山富美雄容疑者(38)が帰宅途中の電車内で女性客に痴漢行為をし、府迷惑防止条例違反で奈良県警生駒署に現行犯逮捕され、書類送検されていたことが10日、分かった。市教委は梶山容疑者の処分を検討している。
 市教委や生駒署によると、梶山容疑者はバスケットボール部の顧問で、8月8日に大阪府堺市内で開かれた府商業高校連盟体育大会に出場する同校の選手を引率した。試合終了後、飲食し、午後11時ごろ、近鉄奈良線の準急に乗車。20分近くにわたり、隣に座っていた女性会社員(27)の太ももや胸を触った疑い。梶山容疑者は生駒駅で女性会社員に車外に連れ出され、駅員が生駒署に通報した。
 梶山容疑者は逮捕の事実を同校や市教委には報告していなかった。8月下旬になり、学校に匿名の電話があり、同校と市教委が事実関係を調べていた。(朝日新聞)
12日■「金の卵」が夢抱き踏んだ上野駅18番線 「北の玄関口」に別れ 50年役割終え「最後の列車」
 東北地方などから集団就職や出稼ぎの人たちを乗せた列車が相次いで到着、「北の玄関口」だったJR上野駅の18番線ホームが廃止され11日、関係者らが集まり、最後の列車となった午後7時発常磐線スーパーひたち51号の出発を見送った。
 「金の卵」と言われ、希望と夢を抱えて地方から上京した若者が、一歩を踏み出したホームの半世紀にわたる歴史に幕を下ろした。
 出発式には上野駅の浜田登駅長のほか、長年18番線で働いてきた売店や清掃担当の代表約20人が出席。浜田駅長らが、ひたち51号の乗客代表と運転士ら4人に花束を渡した後、全員で特急の出発を見送った。
 ホームには鉄道ファンら約300人が詰め掛け、写真を撮る姿があちこちで見られた。
 18番線は行き止まり式で、1932(昭和7)年に原型ができたとされ、出稼ぎ列車全盛だった高度経済成長期の雰囲気を今も残している。
 近年になって東北、北陸方面などの特急、寝台列車でにぎわったが、新幹線の開業で使用する列車が減り、現在は常磐線の特急の発着に使われていた。
 上野商店連合会常任顧問で、おもちゃ屋を経営する富坂昇さん(70)は「祖父の代から上野駅に世話になってきた。時代に合った駅になるのも成長の一つの過程でしょう」と話していた。(京都新聞)
14日■京都市バス 2004年度には黒字転換 経常収支 「リストラ」で見通し
 京都市交通局は13日、2000年度からスタートするリストラ案「経営健全化プログラム21」に基づき、職員の削減や給与カットすることで、赤字が続き危機的な状況にある市バス事業の経常収支を、2004年度には1億円の黒字に転換させる−との見通しを明らかにした。市議会公営企業決算特別委員会で報告した。
 98年度の市バスの経常収支は約19億円の赤字で、累積欠損金は50億円を突破した。マイカーの普及などで、乗客が1億3000万人と前年度より1300万人減り、運送収益が対前年度比約22億円減の213億円に落ち込んだのが響いた。
 一方、支出の8割近くを占める人件費は同年度、委託料の人件費相当分など含め約220億円で、運送収益を上回った。乗客数が伸び悩む中、このまま推移すれば、今後、赤字幅がさらに拡大するのは必至の状況となっている。
 市交通局は、2004年度に経常収支が41億円の赤字、累積赤字は343億円に膨れあがると試算。健全化プログラムに、全職員の3年間の給与一律5%カットなど給与制度の見直しのほか、運転手の基準乗務時間の30分引き上げや業務の外注化、OBの活用などを盛り込んだ。
 この日報告された人員削減の試算では、最終年度となる2004年度の職員数を、現状のまま推移した場合の1480人から、1163人にまで、差し引き317人削減する。
 従来の経常収支の見通しでは2002年度に最大、63億円の赤字だったが、人員削減を含むプログラムの実施により、最終年度には1億円の黒字に転換できるとした。
 ただ、この場合でも2004年度の累積赤字は、193億円と見込まれ、市交通局は「経常収支均衡という企業体質の改善は図れる見込みだが、さらに赤字の解消に向けあらゆる手だてを講ずる」としている。(京都新聞)
■関西線が一時不通 府南部に局地的大雨
 13日午後4時ごろ、京都府南部と三重県西部に局地的な大雨が降り、JR関西線が、京都府相楽郡加茂町の加茂駅と三重県阿山郡島ヶ原村の島ヶ原駅の間約19.1`で、約2時間にわたって運転を見合わせた。
 相楽郡笠置町にある同線笠置駅の雨量計が同日午後4時15分ごろ、1時間あたりの雨量35_を記録したため、列車の運転を見合わせた。同28分にも月ヶ瀬口駅(京都府相楽郡南山城村)の雨量計が30_を記録、大河原駅と三重県阿山郡島ヶ原村の島ヶ原駅の間も運転を中止、同日午後6時17分に両区間で運転を再開した。
 このため上下4本が運休、約300人に影響が出た。JRでは加茂駅と伊賀上野駅間で、バスによる代行運行を行った。(京都新聞)
■「夢の超特急」の新幹線0系 35年快走 戦後技術の結晶 「安全神話」支える 東海道新幹線から18日引退
 1964年10月1日午前6時00分、「夢の超特急」と言われた新幹線「ひかり1号」「ひかり2号」が東京駅と新大阪駅を同時に出発した。世界を圧倒する最高時速220`の営業運転を実現した0系車両の華々しいデビューだった。
 0系はその後35年間走り続け、今月18日、東海道新幹線から引退する。脱線して乗客が死傷するような重大事故が一つもなく、新幹線の「安全神話」を支えてきた0系。誕生にかかわった研究者らの証言を通して時代を振り返ってみた。
 車両の設計に携わった日本鉄道車輌工業会の島隆常務理事(67)は、鉄道草創期の祖父、新幹線建設を統括した父秀雄に続く親子3代の鉄道技師。「新幹線は線路幅の広い標準軌を国鉄として初めて採用するなど新たな技術開発が必要で、0系はまさにゼロからの出発だった」と苦闘を回顧する。
 開発当時、時速200`を超す鉄道は世界になく、フランスが電気機関車1両を使って下り坂で331`を出す実験走行に成功したものの、線路は曲がり、架線は焼き切れたという。
・第一人者集まり
 その中で0系が出来上がった背景について、主任技師を務めた同工業会の石沢応彦理事長(75)は「敗戦で活躍の場を失った航空力学の技術者をはじめ、軍にいた兵器開発の第一人者が国鉄に集まって来たためだ」と説明する。
 台車の設計には、太平洋戦争中、零式艦上戦闘機が一定の飛行速度に達すると翼に共振が起き、機体が壊れるフラッター現象を研究していた松平精氏(89)=元鉄道技術研究所所長=が参加。300`走行に近い状態の試験でも共振しない台車「DT200」は後々まで名機と呼ばれた。
 高速走行を支えるベアリングの潤滑剤は、それまで使っていたグリースでは溶けだして使い物にならず「現時点で最高、最善のものを」とオイルを選んだという。しかし「この選択は十分時間を与えられて研究し尽くした結果ではなかった」と石沢理事長は語り、「今度はオイルが漏れ出さないためのシーリングに手間が掛かった」と続けた。
・未知への冒険も
 試験車両に自ら乗車してテスト走行を指揮、開業前の最高記録256`を出した日本交通技術の大塚滋顧問(69)は、テスト後線路がゆがんで大きく蛇行していたことを「未知の領域での技術開発では慎重さも大切だが、限界を見極めるための冒険も必要だと考えて加速をやめようとする運転士の手を押さえ付けた」と振り返る。
 その一方で大塚氏は「試験走行の現場は、労働運動が盛んだった国鉄のほかの職場とは別天地で、毎日夜遅くまで充実した作業が続いていた」と0系誕生にかけた気概にも言及した。
・姿消すまで数年
 0系は1985(昭和60)年までに3216両が製作され、東海道新幹線に限っても、地球と月の間を約1190回往複する約9億600万`を走り、延べ約25億人を運んだ。そしてあと数年、山陽新幹線で走った後、完全に姿を消す。
 「大事故もなくこれだけ長い間走ったことは、設計に携わったものとして大きな満足感がある」と語る島常務理事は、最近のフランスやドイツの国を挙げての研究開発推進の動きに触れ、「国鉄は分割されてしまったが、ヨーロッパに負けないよう、JR各社、関係業界が一致協力して技術開発に取り組む必要がある」と後進にエールを送っている。
 東海道を走る最後の0系は、18日午後4時31分、名古屋行きのこだま473号として東京駅を出発する。(京都新聞)
■JR貨物 不採算路線整理を示唆 運輸事務次官
 運輸省の梅崎寿事務次官は13日の定例会見で、JR貨物の経営悪化に関連して「貨物の鉄道輸送サービスを全国に提供することを見直し、収益性や採算性を見ながら、ある程度取捨選択する必要がある」と述べ、採算が悪い地方路線などの運行を休止する可能性を示唆した。
 JR貨物は不況で6年連続の経常赤字となっているのに加え、整備新幹線の開業後は在来線の使用料が引き上げられる可能性が高く、梅崎次官の発言は、こうした厳しい情勢を踏まえたもの。(朝日新聞)
■北野白梅町−出町柳 シャトル運行へ 東西移動スムーズに 西陣活性化も狙い
 京都市は14日、秋の観光シーズンが本格化する23日から、京福電鉄北野白梅町駅(北区)と叡山電鉄出町柳駅・京阪電鉄出町柳駅(左京区)とを結ぶ観光シャトルバスを運行すると発表した。今出川通を軸に東西の駅をつないで、観光客の移動をスムーズにするとともに、西陣界わいなど市街地の観光スポットへ誘導を図る。当面は本年度中の来年3月26日まで、土・日曜と祝日に運行する。
 運行区間は約4`で、停留所は、北野白梅町−北野天満宮前−堀川今出川−烏丸今出川−出町柳駅前。始発が北野白梅町発午前9時50分。最終の出町柳駅発午後4時10分まで、30分間隔で1日12往復する。料金は220円。
 出町柳駅では、市バスとしては初めて駅前ロータリーに乗り入れ、鉄道客の利便を図る。、また、京福電鉄は10、11月にバスの到着に合わせて、北野白梅町−嵐山間に直通電車を走らせる。
 洛北と嵐山・嵯峨野を結ぶシャトルバスの運行については、観光団体などから要望が出ていた。西陣や北野天満宮など路線沿いの観光地の活性化も期待でき、市産業観光局は「鉄道とバスを一本の線とすることで、新しい観光客の流れができるのではないか。来年度以降の運行は実績をみて決めたい」としている。(京都新聞 夕刊)
■シャトルバス運行 京観光が便利に
 京都市は14日、京阪電鉄と叡山電鉄のターミナルになっている出町柳駅(左京区)と、京福電鉄のターミナル、北野白梅町駅(北区)間の4.2`を約15分で結ぶ観光シャトルバスの運行を23日から始める、と発表した。鞍馬(くらま)・八瀬と嵐山・嵯峨野という東西の観光地間を移動しやすくする。
 運行は来年3月までの土、日、祝日。ほぼ30分間隔で1日12往復する。同区間は市バスが運行しているが、シャトルバスは停車するバス停が少なく、所要時間は約5分間短縮されるという。料金は市バスと同額の220円。
 また、京福電鉄も23日から11月までの土、日、祝日に、北野白梅町駅と嵐山駅を結ぶ直通電車を30分に1本、運行する。(朝日新聞 夕刊)
16日■こどもニュース ニュースなぜ?なに? 新型列車 車輪はば自在に
 列車の車輪のはばを自由に変えて、線路はばが異なる新幹線と在来線の両方を走ることができる「フリーゲージトレイン」の研究を、運輸省と鉄道総合技術研究所が進めています。
 フリーは「自由な」、ゲージは「線路はば」、トレインは「列車・電車」という意味で、どんな線路はばでも走れる優れものです。
 JRの線路はばは、在来線が1067_なのに対し、新幹線は速いスピードでも安定して走れるよう1435_と広くなっています。だから列車はおたがいに乗り入れができません。
 例えば、新大阪から四国の高松へ行く場合、山陽新幹線で岡山まで行き、岡山で在来線に乗りかえなければならず、時間がかかって不便です。
 在来線を使っている秋田新幹線や山形新幹線は、東北新幹線から直接乗り入れできますが、そのために線路のはばを広げる工事が必要でした。在来線の列車には、車輪のはばを広げたものを使っています。
 フリーゲージトレインだと面どうな工事をしなくてもよいし、乗りかえなしで目的地に行けるようになります。
 車輪はばが自由に変わる仕組みはこうです。せまい線路と広い線路をつなぐ線路の境目に特別な機械があり、ここを列車がゆっくり通ると車輪を固定する装置が自動的に外れ、車輪のはばが切りかわります。切りかわった後は、車輪が再び固定されます。
 JRは、今年4月に試験車両をアメリカに運び、21`ある試験線路を借りて250`のスピードで走行テストをしています。テストは来年秋ごろまで続ける予定です。
 フリーゲージトレインは安全性の面からもとても難しい技街が求められ、実際にお客を乗せて走っているのは、スペイン国鉄の列車「タルゴ」だけです。
 日本ではいつ実現するかはまだ分かりませんが、新幹線が走っていない地域の人たちからは強い期待の声が上がっています。(京都新聞)
17日■京都市地下鉄 運賃、5年ごとに値上げ 交通局方針 「12%ずつ」前提
 京都市交通局は、16日の市議会公営企業決算特別委員会で、東西線建設による地下鉄事業の巨額の赤字解消に向け、運賃を5年ごとに12%ずつ値上げする方針を明らかにした。同様に乗客減による赤字に悩む市バス事業は、2001年度からの規制緩和による民間参入などを考慮して運賃を値上げせず、経費削減で経営の健全化を図る考えを示した。
 地下鉄の98年度の経常収支は、東西線建設による企業債利息の支払いの本格化や減価償却費などで、過去最悪の289億円の赤字となり、累積赤字は1099億円と1000億円の大台を突破した。
 答弁で江草哲史交通局次長は「東西線の建設費の償還に向け、利用客の伸びと運賃改定はどうしても必要だ。5年ごとに12%ずつ値上げすることを前提に、おおむね30年で収支均衡を図る長期見通しを立てている」と述べた。
 前回の値上げは96年9月に行われた。値上げ率は9.9%で、各区間とも20円ずつ上がった。
 同局は、運賃改定と乗客増に向けた努力に加え、人件費削減などを盛り込んだ「経営健全化プログラム21」の実施で、東西線開業後20年で損益収支の単年度赤字を解消、同37年で累積赤字を解消するとしている。
 一方、市バス事業の赤字解消に関しては、「運賃改定は見込んでいない。今でも全国一高い運賃といわれている。バス事業への参入自由化や運賃が上限制となるなど2003年度から規制緩和が実施される中、安易な形で収支を合わせられない。運賃ダウンの可能性もある」との意向を明らかにした。(京都新聞)
■市営駐車場を一時無料化 関西3都市で交通実験 まず神戸 京でも年度内に 樹撃たす緩和と環境配慮へ
 慢性化する交通渋滞を緩和し、環境に配慮した交通社会の実現を図るため、近畿地方建設局は16日、京都、大阪、神戸の3市やNPOなどと協力し、10月から市営駐車場の30分無料化や無料循環バス運行などの「都市交通実験」を、3市で順次、実施すると発表した。
 まず神戸で行い、年度内に京都、大阪でも、市営駐車場を一時無料化するなどの実験を計画している。
 神戸は10月3、11の両日、JR三宮駅前など市内3ヵ所の市営駐車場で駐車料の30分間無料化を実施。また、「ハイブリッドバス」など4台のエコ・バスを、無料循環させる。交差点の交通量、対象地区内の路上駐車台数などの実態調査や、駐車場、バス利用者へのアンケート調査も行い、次の実験に生かす。
 京都市でも、本年度中に京阪出町柳駅北側や御池地下駐車場などで、駐車料金を時間限定で無料化するなどの実験を行う計画を進めている。(京都新聞)
■京の1日満喫 フリー乗車券 共通で今秋も販売
 秋の観光シーズンを迎えて京都市交通局と京都バス、阪急電鉄は23日から、共通の1日フリー乗車券「いい古都チケット」を販売する。
 京都への観光客誘致を図るため、昨年から春と秋に販売している。今秋も11月30日までの販売期間中、同チケットで地下鉄と市バス、京都バスの所定区間内と神戸高速線をのぞく阪急電鉄の全線が1日乗り放題となる。また市内の主要観光地の割引クーポン券付き地図も添付する。1600円(大人のみ)で1万7000枚発行。阪急電鉄各駅や阪急交通社主要営業所などで販売する。(京都新聞)
■JR 団体割引は8人から 15人から半減 30年ぶり条件緩和
 これまで15人以上に限定されていたJRグループの団体割引が、12月から8人以上に大幅に条件が緩和されることが16日、決まった。団体割引の人数に関する営業規則の見直しは30年ぶり。中学、高校などの修学旅行が鉄道から航空機に代わるなど学生団体の利用の落ち込みが引き金になった。
 新たな割引は10月1日からJR各社の駅や旅行センターなどで受け付け、12月1日以降の旅行から適用される。
 JR東日本などによると、団体割引乗車券は15人以上のグループが同一行程を一緒に旅行した場合に運賃を1人当たり学生団体で50−30%、それ以外の普通団体で15−10%割引してきた。
 しかし、修学旅行など学生団体の利用が低迷。最近の景気が影響してここ数年は一般の団体旅行なども減少傾向が続いていたことからJRグループは昨年から検討「バスなどから鉄道への乗り換えが期待できる」と見直しに踏み切った。(京都新聞)
■雲の谷間で 風土と文学 9 大和田建樹と伊予・宇和島 「唱歌」に込めた望郷の思い
 山と海に囲まれた、愛媛県宇和島市の市街地の真ん中に、三層の天守閣を頂いた城山がある。毎朝6時、その城山でミュージックサイレンが鳴る。「汽笛一声新橋を」のメロディーが周りの山々にこだまし、町中に響きわたる。
 この「鉄道唱歌」の作詞者、大和田建樹は、城山のふもとで生まれた。生家から30分も登ると、山頂の本丸に着く。城下を見下ろすと、北西の方にリアス式海岸の入り込んだ海が見える。後に建樹は「散歩唱歌」の中で、
 わがふるさとの城山に 父と登りてながめたる 入江の湾の夕げしき 忘れぬ影は今もなほ
 と故郷の思い出を歌っている。
 その海は戦後の相次ぐ埋め立てでいくぶん遠くなったが、唱歌作家の詩情を培った原風景は、今も本丸跡から眺めることができる。
 伊達政宗の長男を藩祖とする伊予・宇和島藩は、仙台から大勢の家臣が移り住み、江戸時代を通じて学問が盛んだった。中でも、八代藩主、伊達宗城は学問と産業の振興、軍政改革を積極的に進めた。藩の教育熱の中から、大津事件で政府の圧力に屈せず司法権の独立を貫いた大審院長(今の最高裁長官)児島惟謙や、自由民権運動のジャーナリスト末広鉄腸らが育った。
 建樹も伊達家重臣の家の長男に生まれ、4歳のころには母、栄子から英才教育を受けている。建樹は栄子の死後、「母のめぐみ」という詩で”教育ママ”をしのんでいる。
 朝さればふみ読みさとし 夕されば文字書き教え あわれよき子にせんものと 夜昼に苦しみませり
 7歳で藩の学者の塾に通い、8歳で藩校に入学。漢文の「大学」や「孟子」を読みこなした。特に漢詩や和歌が好きで、白居易の「長恨歌」を暗記したり、自分で和歌を作ったり、早熟ぶりを発揮した。
 15歳で青年塾の教師になるが満足せず、17歳のとき、より高い学問を求めて明治新政府の東京へ。門出をだれよりも喜んだのは栄子だった。だが、翌年なぜか帰郷し、その翌年、広島の外国語学校に入学して英語の勉強を始める。その在学中に栄子が死んで帰郷。さらに体調を崩し、退学して療養生活に入る。
 学問への情熱は衰えず、病気が回復すると、22歳で再び上京。ドイツ語やラテン語、英語の哲学、博物学などを独学で勉強する。東大の書記、高等師範学校の教授と教育者の道を歩むが、34歳で辞職し、著述業に専念する。最も熱心に取り組んだのは謡曲だった。明治維新以後、前近代の遺物のように見られていた能や謡の文化的価値を再発見し、「謡曲通解」など多くの著書を残し、自らも能や鼓をたしなんだ。
 好奇心の強い建樹は30歳のころから、東京の自宅で過ごす暇もないほど旅へ出かけた。足を踏み入れた場所は九州から北海道までほぼ全国に及んだ。「鉄道唱歌」は豊富な旅行体験から生まれた。1900年(明治33年)に出版されると、当時としては破格の10万部を超す大ベストセラーに。汽車の旅は文明開化のシンボルだった。沿線の名所、旧跡を織り交ぜた75調の紀行詩に、人々は疑似旅行を楽しんだ。第1集の東海道編に続いて、山陽・九州編、奥州・磐城編、北陸編、関西・参宮・南海編と続編を書き、全部で334番という長い歌になった。
 2度目の上京後も宇和島へは何度も帰っている。まだ鉄道も開通していない四国の南西部は”陸の孤島”。大阪から船で2泊3日もかかった。その船中、
 ふるさとの山はいづくぞ ふるさとの城はいづくぞ 雨けむり四方におほひて 海の上はゆくても見えず
   (略)
 雲霧のかなたに立ちて いにしえの友や待つらん その友のおもかげばかり ほの見せて霞むもつらし
 霞まずは恋しき里の 山を見ましを 城を見ましを
 と、長歌形式の新体詩を書き残している。
 宇和島市立歴史資料館の水口健康館長(73)は「幼いころから勉強に明け暮れて、故郷の自然、風土を十分味わえなかった建樹は、古里への思い入れが人一倍強かったようです」と語る。スコットランド民謡に「夕空はれてあきかぜふき…」と建樹が詞をつけた「故郷の空」も、「心の古望、宇和島を思い描いて書いたものでしょう」という。
 建樹が生まれ育った城山のふもとの武家屋敷は残っていない。モルタル造りの民家前に「宇和島市史跡大和田建樹生家跡」という小さな案内板が立っているだけだ。30年ほど前に、大和田家の離れだったという建物が、市内の寺の境内に移築されたと聞いて、竜華山等覚寺を訪ねた。「大和田建樹記念館」の看板があった。だが、中はほこりだらけ。傾いたSL写真パネルが掛けてある。無残な荒れ家だった。
 移築した際の顕彰会は自然消滅し、管理されないまま、荒れ果ててしまったという。市教委は「公園のような所へもう一度移築して、ちゃんと保存しようと計画中だが、行政だけでは難しい」と説明する。望郷の詩人に対し、今の地元はひどく冷淡に見えた。(寺田 憲二)
 おおわだ・たけき 1857年(安政4年)生まれ。宇和島藩の藩校で漢学などを学び、74年上京。76年広島外国語学校に入学。79年2度目の上京。82年東大書記となり付属博物館へ勤務、84年古典講習課の講師となる。85年観世流の観世清孝に入門、謡曲を学ぶ。86年高等師範学校教授。87年「故郷の空」などの「明治唱歌」を発表。91年著述生活に専念。1900年「鉄道唱歌」がベストセラーに。以後、海軍などから作詞の依頼が殺到し、「散歩唱歌」「世界唱歌」のほか「軍艦唱歌」や「海軍唱歌」「日露開戦唱歌」など軍国ものを作詞する。このほか「謡曲通解」「謡曲評釈」などの謡曲研究書、38000語をおさめた「日本大辞典」、「山したつみ」「大和田建樹歌集」などの著書を残す。10年(明治43年)東京・新宿区の法身寺で死去、53歳。(朝日新聞)
■やわらか経済ゼミ シャトル便 同一路線を短い間隔で往復 航空3社、新幹線に対抗を狙い
 仕事の関係で東京と大阪を往復する機会の多い伊藤課長。ある日、航空大手3社が協力して、東京−大阪間での「シャトル便」運航を検討中という記事を見つけた。便利になるかもしれないと思い、早速、旅行会社に勤める友人の高橋さんに電話をかけた。
 伊藤 東京−大阪間で飛ばすシャトル便というのは何だい。
 高橋 相変わらず突然だな。シャトル便というのは近距離の同一路線を、短い間隔で何度も往復する便のこと。一定の間隔で運航しているので、出発当日に空港に行って、バスに乗るみたいな感じで飛行機も利用できるわけだ。もちろん予約はいらない。伊藤みたいに日帰りで忙しく往復するビジネスマンにとっては便利になると思う。
 伊藤 一定間隔って、どのくらい。
 高橋 できれば30分間隔での運航が理想的だが、そうなると1日30近い便の運航が必要になる計算だ。今、日本航空、全日本空輸、日本エアシステムが東京−大阪間で運航しているのは各社とも1日5便で合わせても15便。現状では30分間隔というのは難しいな。
 伊藤 便数を増やせばいいじゃないか。
 高橋 仰せの通りだが、空港の発着枠という問題がある。羽田空港は新滑走路ができて来年夏には発着粋が増える見通しだが、大阪空港でもそれに対応して増枠する、というのはすぐにできる話ではない。
 伊藤 じゃあ、増枠できるまではお預けなのか。
 高橋 航空会社としてはできるだけ早くと考えているみたいだ。取りあえず15便を使い1時間間隔での運航とか、朝夕は30分間隔、日中は多少間隔をあけてという運航形態も考えられる。早ければ来年の羽田空港の増枠に合わせて、という気持ちはあるみたいだ。
 伊藤 来年夏か、それは助かる。
 高橋 おい、待てよ。あくまで3社の話し合いがまとまったらという前提だ。シャトル便を運航しても、搭乗口は3社が別々だったら伊藤も使いにくいだろう。チェックインカウンターも含めて一本化できるか、共通の搭乗券の発行は、各社が別々に集めている団体客の取り扱いはどうするかなど、とにかく解決すべき問題は山積みだよ。3社の調整にはかなりの時間が必要という見方をする人もいる。
 伊藤 なんだか頼りないな。
 高橋 3社によるシャトル便構想は以前からあったものらしい。景気が良かったときは実現には至らなかったが、この不景気で各社とも集客に必死。新幹線の東京−大阪間の年間輸送人数が約3000万人に対して、飛行機は3社合わせても300万人程度。協力して利便性を高めることで新幹線に対抗する狙いもあるようだ。危機感が3社間の調整作業を促進する可能性は大いにあると思うね。(京都新聞 夕刊)
18日■JR京都駅 大魔神参上 京都映画祭へ”助っ人”
 京都映画祭(19−26日)のシンボルとして復元された「大魔神像」が17日夜、京都市下京区、JR京都駅ビルの室町小路広場大階段前に出現した。
 像は全長4.5b、台座を含んだ重さは約300`。大映京都の人気特撮映画「大魔神」(安田公義監督、1966年)など3部作が、同映画祭で上映されるのを記念して、6月上旬から2ヵ月がかりで作り上げた。
 午後6時半ごろから十数人が作業を始め、1時間半後に、大階段の方向をにらんで仁王立ちした立像に最後の頭部を載せて完成した。「大魔神像」は22日まで同広場に設置され、「映画音楽の夕べ」(18日午後6時)、「町かどの芸能」(19日午後1時)などのアトラクションが、像の脇のステージで開かれる。
 23日以降は「大魔神」が上映される祇園会館に飾られる予定。(京都新聞)
■街活性化へ出発進行 西駅公園−福知山市内1.4`−広小路商店街 SL、新たな役目担い移動
 鉄道のまち・福知山市街を17日夜、蒸気機関車が走り抜けた。かつて福知山と隣の京都府加佐郡大江町を結ぶ鉄道として活躍した北丹鉄道の本社跡「西駅公園」(同市北本町)から1.4`離れた広小路商店街まで、120dトレーラーに乗せられた巨体がゆっくりと移動。珍しい姿を一目見ようと多くの鉄道ファンが詰めかけた。
 同市下新町の「福知山鉄道館ポッポランド」のオープン1周年記念イベント。ポッポランドに近く、人通りの多い商店街に設置し、市街地の活性化に一役買ってもらおうと同市が1100万円をかけて移した。
 移設されたのは、蒸気機関車C5856(53.6d、長さ約11b)と炭水車(18.5d、長さ約7b)で、どちらも1939年製。製造から廃止までに地球を46.7周し、1971年に北丹鉄道が廃止された後、西駅公園に安置された。
 この日、炭水車は午後2時すぎからひとあし先に広小路に向かって出発し、機関車は午後9時すぎに動き出した。カーブに注意しながら人が歩くぐらいのスピードでゆっくりと移動、暗闇(やみ)に浮かび上がる姿をひと目見ようと詰めかけた人たちが夢中でシャッターを切った。午後10時すぎには無事広小路商店街に到着し、すでに準備されていたレール上に落ち着いた。(京都新聞)
■京都駅に「大魔神」出現!
 京都市で19日から始まる第2回京都映画祭で特集される特撮映画「大魔神」の復元像が17日夜、JR京都駅ビル室町小路広場に出現した。22日まで展示し、23日から26日の最終日までは祇園会舘(東山区)のステージで見ることができる。
 「大魔神」は3部作で、いずれも1966年の制作。像は発泡スチロール製で、顔は粘土でつくられている。全長4.5b、垂さは約300`。300万円をかけて細部まで忠実に再現した。
 この日、制作会社からトラックで運ばれ、スタッフが頭、胸、よろい、足、腕を次々と組み立てた。近代的な駅ビルの中に大魔神像が姿を現すと、通行人は足を止めていた。(朝日新聞)
■タイムアングル 二代目京都駅 御料林のヒノキ用いたルネサンス様式
 二代目の京都駅は、建坪6700平方b。大正4年(1915年)11月の即位大典を目標にして、前年の8月15日に完成した。
 木曽御料林のヒノキを使ったルネサンス様式の木造2階建てで、正面の大時計は振り子時計が電気時計に変わっている。
 初代の駅舎のうしろに建てられたので、東西520b、南北130b余りの広い駅前広場が出来た。写真は昭和初期の撮影らしいが、駅前だというのに人も車も、意外に少ない。もっとも、昭和5年で京都市の人口は76万5000余り、車は2600台だから、こんなものかもしれない。
 昭和9年1月8日、呉海兵団への入団者を見送る6000人余りの人々が、構内へ詰めかけた。発車時刻が迫って焦った人が、跨線橋の階段を踏みはずしたために、たちまち群衆が折り重なって転落。死者77人、重軽傷者300人余りを数えるという大惨事になった。
 昭和25年11月18日午前4時半ごろ、本館の2階から火の手が上がった。市内の各消防署から37台の消防車が駆けつけたが、木造なので火の回りが早く、駅舎の西部分を少し残しただけで、3時間燃え続けた。ほとんど全焼に近い。
 夜明け方に消防車の音を聞いたことを、かすかに記憶している。(作家・駒 敏郎)(朝日新聞)
■行った楽しかった 梅小路蒸気機関車館 往復1キロの「旅」満喫 汽笛鳴らし毎日運行 往年のSLが勢ぞろい
 映画「鉄道員」、NHKの朝の連続ドラマ「すずらん」と、今年は鉄道がブームだ。鉄道ファンではないが、もくもくと黒煙をあげて疾走する蒸気機関車(SL)はあこがれだ。前任地の島根で、SLが運行するイベントがあったが、乗る機会に恵まれなかったのが今でも悔やまれる。ところが、京都のど真ん中に大正から昭和にかけて活躍したSLが勢ぞろいした「梅小路蒸気機関車館」があると聞き、さっそく出かけた。
 JR京都駅から西へ約1.5キロ。SLの博物館は、東海道線と山陰線の線路や高架に挟まれた三角地帯にあった。
 入り口では、2階建ての木造の和風建物が迎えてくれる。3年前に移設された旧二条駅舎で、洋風もとり入れたモダンな造りだ。明治末期に建てられた日本最古の木造駅舎という。SLの仕組みや機関士の携帯品の展示、パソコンでSLについて学べる「蒸気機関車百科」がある。
 外を見渡すと、扇状の車庫に念願のSLがずらっと納められていた。壮観な眺めだ。同館には18台のSLがあるという。かつては日本列島を東西に結んできた本物のSLたちだ。とにかくでかい。それに、黒光りしてかっこいい。
 運転席に立ってみた。バルブや圧力計があちこちに取り付けられている。燃料の石炭をくべる炉も目につく。
 同館は入館者向けに1日3回、SLを運行する。客車に座り発車待ちをしていると、約60人の子供連れの団体客が乗り込んできた。トロッコ列車風の2両の客車はほぼ満席に。
 プフォー、プフォー。出発の合図に大きな汽笛を鳴らすと、赤ん坊が泣き出した。別の幼児は体をこわばらせ、ずっと両耳を手を押さえていた。
 SLはゆっくりと黒煙を上げて進む。わずか10分、往復1キロの小さな「旅」。それでも、SL未体験者には感動ものだった。
 SLを運転していた機関士の松宮武彦さん(57)はかつて、山陰線で石炭をくべる機関助手をしていたそうだ。「SLの運転席は夏は暑いし、冬は寒い。おまけに労力がいる。でもね、自分で動かすんだから電車じゃ味わえない面白さがある」となつかしんだ。(勝亦 邦夫)
メモ 下京区観喜寺町。JR京都駅から市バスで「梅小路公園前」下車、またはJR丹波口駅から徒歩15分。075・314・2996。入館料は高校生以上400円(SL乗車は別料金で200円)、4歳−中学生100円(同100円)。SL運行は午前11時、午後1時半、3時半の3回。休館日は毎週月曜日。(朝日新聞)
■ズーム 遊 汽車ポッポは今も
 ○…「カーン、カーン、カーン」。遮断機そばの線路沿いで、ふと気がつく「踏切あり」の道路標識。でも、よーく見ると…。そう、流線形の特急が走る電車路線でも、なぜかレトロな、汽車ポッポ、のデザインがいまだに現役なのだ。
 ○…激変する交通事情の中にあっても、道路標識は昭和30年代当時のまま。実は最近、”電車バージョン”もあるという。が、「標識の老朽化での交換までは。しばらくは、このままです」と、道路管理する自治体の関係者。
 ○…意外と違和感を持つ人も少ないようだ。「長い踏切やな−」と思う前に、「ここは新旧どっちの看板かな」と注意して見ては?安全も確認でき、少しは踏切待ちのイライラも解消できるかも。(京都新聞 夕刊)
19日■丸顔の初代新幹線が引退 ファン、カメラの列
 新幹線の開業時から活躍、丸い鼻先で35年間親しまれてきた0(ゼロ)系車両が18日を最後に東海道新幹線から引退することになり、東京駅などで記念式典が行われた。
 午後4時31分発名古屋行きのこだま473号の発車に合わせ東京駅であった「出発式」には、設計責任者だった日本鉄道車両工業会の石沢応彦理事長や開業時の一番列車の運転士、車掌らが出席した。
 JR東海の葛西敬之社長は「0系は長年、日本経済の発展を支えてきた。安全性や運行の正確さなど鉄道の進歩に果たした役割は大きい」とあいさつ。1000人を超える鉄道ファンがカメラを構えて見守る中、くす玉を割って、ほぼ満員の乗客を乗せた最後の姿を見送った。(京都新聞)
■大魔神のテーマ曲初披露 京都映画祭の前夜祭 名曲次々と演奏 ファンたんのう
 きょう19日に開幕する第2回京都映画祭(隔年開催)の前夜祭が18日夕、「映画音楽のタべ」と題して京都市下京区のJR京都駅ビルの室町小路広場であった。
 映画祭でも上映する日本の特撮映画の草分け「大魔神」3部作(1966年)にちなみ、全長4.5bの大魔神再現像がステージわきに立った。同志社交響楽団(和田大資、武部亮さん指揮、100人)が、映画「ダイハード」の「フィンランディア」や、「スターウォーズ」から「エンパイア・ストライクス・メドレー」、故スタンリー・キューブリック監督の「時計じかけのオレンジ」から「威風堂々」など、よく知れた8つの名曲を演奏した。
 とくに、京都で制作した「大魔神」のテーマ曲は、作曲した伊福部(いふくべ)昭さん(86)=東京都=のもとにしか楽譜が現存していない。師事した大阪市交通局技術部助役の八朝(やとも)裕樹さんが借り受け、楽器ごとのパート譜を作って映画以外での初演秦となった。なつかしい名画を懐旧する映画ファンで、夜風が流れる同広場の大階段ま満席だった。(京都新聞)
■運転士、ATS無断解除 東海道線で1月と5月 あわや衝突も JR西日本に警告
 近畿圏を走るJR東海道線で今年1月と5月、赤信号で強制的に非常ブレーキがかかって止まる「自動列車停止装置(ATS)」を運転士が無断で解除し、赤信号を無視して直進する運転ミスが起きていたことが18日、分かった。いずれも事故には至らなかったが、並行して走る列車に衝突する恐れのあったケースもある。運転士がATSを勝手に解除するのは禁止されており、安全システムが人為的に無効にされた形だ。事態を重くみた運輸省はJR西日本に警告書を出し、同社も訓練施設の新設など対策に乗り出した。
 JR西日本の調べでは、運転ミスは5月21日午後10時ごろ、大阪駅構内の東海道線で起きた。姫路発野洲行き上り新快速電車(乗客約700人)の運転士が、同駅に入る直前に赤信号を見落とした。電車はATSが作動し、信号機の直下で非常ブレーキがかかって自動的に停車した。
 ところが運転士はすぐ隣にあった、時速25`で進むことを指示する黄信号と見誤り、新大阪総合指令室の指令員からの指示を仰がないままATSの故障と判断。機能をリセット状態にする「復帰スイッチ」を押してそのまま赤信号を直進した。信号機の約130b先のポイントで、列車が予定と違う線路に入ろうとしたため、運転士が手動でブレーキをかけて止まった。
 当時、大阪駅では約2時間前に起きた別のトラブルのためダイヤが大幅に乱れていた。並行する線路には、この新快速より前に同じホームに入る予定の新三田発京都行き上り普通電車(乗客約800人)が停車中だった。黄信号は、この普通電車に対してのものだったが、隣の新快速が先に走り始めたことを見た運転士の判断で出発せず、衝突は免れていた。
 東海道線尼崎駅(兵庫県尼崎市)でも今年1月13日午後7時20分ごろ、松井山手発西明石行き下り普通電車の運転士が、尼崎駅に入る直前の赤信号を見落として直進。ATSが作動し、信号機の直下で自動的に停車したが、運転士は指令員の指示を仰がずにATSの機能を解除して赤信号を直進していた。JR西日本の運転マニュアルでは、赤信号で非常ブレーキがかかった場合、たとえATSの故障でも勝手に解除してはならない。解除する場合も、指令員の指示のもとで実施しなければならない。
 同社では事態を深刻に受け止め、運転士教育など対策に乗り出した。とりあえず復帰スイッチのふたに封印を付け、ふたを開けることを厳しく禁止した。さらに、事故を想定したATSの取り扱いなどを実践的に学べる訓練施設をつくることを決めた。
 自動列車停止装置(ATS) 列車が赤信号に接近すると線路上の端子を通じて赤信号を検知し、強制的に非常ブレーキがかかって信号機の手前で停車させるシステム。運転士が信号を見誤ったときの「安全対策の切り札」とされ、全国ほとんどのJR線で整備されている。機能を解除するスイッチボタンは運転席内にあるが、ふたが付いているなど簡単には押せないようになっている。(朝日新聞)
■「勤続」35年 東海道花道 初代新幹線が引退
 「団子っ鼻」の顔つきで親しまれてきた初代新幹線「0系」が18日、東海道区間(東京−新大阪)から引退した。35年前の開業日に一番列車に乗り込んだ運転士らに見送られ、最終列車となる名古屋行き「こだま473号」は午後4時31分、約1500人の客を乗せて東京駅を出発した。ホームには大勢のファンが集まり、高度経済成長を駆け抜けた「夢の超特急」の姿を熱心にカメラにおさめていた。
 山陽区間(新大阪−博多間)には37編成が残っており、こちらは2007年ごろまで現役で頑張るという。(朝日新聞)
■現代版の鉄道唱歌 右京区の渡部清一さんが歌詞 写真や案内参考に 山陰線の旅情誘う
 「汽笛一声新橋を」の歌詞で親しまれている鉄道唱歌。大和田建樹作詞、多梅稚作曲で、1900年に作られ、現代に至るまで歌い継がれている。その鉄道唱歌が生まれて100年目の今年、右京区の渡部清一さん(50)が、山陰線の名所、旧跡を織り込んだ現代版の鉄道唱歌を作った。
 渡部さんは、京都市内で、京都や全国の小京都の産物を商う。店で扱う品物を探すために趣味と実益を兼ねて鉄道で全国をあちこち回り、大和田作詞の鉄道唱歌も8割は暗記しているという。
 各地への旅行で撮った写真や現地の観光案内などを参考に、観光協会や農協にも問い合わせて歌詞を作った。渡部さん作の鉄道唱歌は京都を出発、日本海沿いを山口県下関市へと向かう。
 「夏は涼みの保津峡におりれば風のここちよくトロッコ列車もゆきかいて 保津川下る舟もゆく」
 「朝風呂あびてウトウトと 列車の眠りにさそわれて 気がつきみれば鳥取市 因幡の国につきにけり」。
 「米子につきて境港 関ノ五松や美保の宮 旅情さそう夜見ケ浜 つかれてあびる皆生の湯」
 歌は全部で36節。列車の車窓から見える風景を詩に織り込み、旅情を誘う。
 大和田作詞の鉄道唱歌は第1集の「東海道」を手始めに、「山陽・九州」「奥州・磐城」「北陸」「関西・南海」の5集が作られた。沿線の名所旧跡、歴史を歌い込み歌詞は5集で334節にも及ぶ。歴史地理教育の教材としても使われたこともあり、初版だけでも10万部を超える大ベストセラーになった。
 渡部さんは山陰線とは別に、京都市内の唱歌も作成。特に駅にはこだわらず、竜安寺や仁和寺、二条城など市内の観光名所を歌っている。
 「諸行無常の人の世を石に託すか竜安寺 こけむす石にこと問えば おしどり池の蓮さやか」
 「写真などを見ているうちに歌詞が次々と浮かんできて、一気に仕上げました」と渡部さん。現在は、出身地の福島県郡山市から奥羽線を北上する路線、大阪から四国に至る路線などの唱歌も制作中だ。唱歌の問い合わせは、渡部さん(075・315・5790)へ。(朝日新聞)
20日■怖い 勘違い 運転士がATS 解除 JR西日本 信号故障? 赤で直進 近畿運輸局が厳重注意
 JR西日本の運転士が今年1月と5月、赤信号で自動的に非常ブレーキがかかる列車自動停止装置(ATS)を勝手に解除し、信号を無視して運転していたことが19日までに分かった。ATSを解除することは社内規定で禁止されており、近畿運輸局はJR西日本を厳重注意した。
 JR西日本によると、5月21日午後10時ごろ、東海道線大阪駅構内で、姫路発野洲行き新快速電車(12両編成、乗客約700人)の運転士が入駅直前に隣の黄信号と自線の赤信号を見誤った。ATSが作動して電車はいったん停車したが、運転士はATSの故障と判断。列車運行の総合判断をする新大阪総合指令室の指令員の指示を仰がず、スイッチを押して機能を勝手に解除し、赤信号のまま直進した。
 信号機から約130b先のポイントで予定と違う線路に入ろうとしたため、運転士が手動でブレーキをかけて止まったが、この際にポイントを破損した。
 また、兵庫県の東海道線尼崎駅でも1月13日午後7時20分ごろ、松井山手発西明石行き普通電車の運転士が、尼崎駅に入る直前の赤信号を見落として直進。ATSが作動して停車したが、直後にATSを解除して運転したという。
 ATSは、列車側と線路側に取り付けた端子が反応、列車が赤信号に接近すると、強制的にブレーキを作動させて停車させるシステム。スイッチは運転室内にあるが、カバーがかけられて簡単には押せないようになっている。
 1997年10月には、山梨県のJR大月駅で回送列車の運転士がATSを解除して進行、特急電車と衝突する事故が起きている。
 JR西日本の話 ATS解除はあってはならないことで、大変申し訳ない。スイッチを封印する措置を施し、ATSの取り扱いについて指導を徹底した。事故時などの対応について実践的に学ぶ訓練施設を本年度内に神戸市内につくり、運転士教育を再検討したい。(京都新聞)
■無人機関車動き急行列車と衝突 パキスタン 人為ミスか20別人死亡
 【イスラマバード19日共同】パキスタン国営鉄道当局によると、イスラマバードの北西約50`タキシラ駅付近で18日午後11時(日本時間19日午前3時)ごろ、無人の機関車にペシャワル発カラチ行きの急行列車が衝突、列車の乗客ら少なくとも20人が死亡、約80人が負傷した。
 急行列車は6両編成で、1、2両目が大破した。救助隊が車両内に閉じ込められた乗客の救出を続けている。
 鉄道当局者によると、タキシラ駅の構内に止めてあった機関車が突然無人のまま動き出し、列車が通過する本線に進入、これに対向してきた急行が衝突した。
 機関車が動き出したのは人為的なミスの可能性が強く、警察は業務上過失致死などの疑いで、鉄道作業員ら数人を取り調べている。
 パキスタンでは、1997年にも列車が暴走して脱線、135人が死亡するなど、この10年間で2000人以上が列車事故で死亡している。(京都新聞)
■市バス接触しバイクが転倒 南区、会社員けが
 20日午前7時半ごろ、京都市南区久世上久世町の国道171号上久世交差点で、四条烏丸発久世石原循環の京都市バス=矢田貝昌男運転手(42)=と、長岡京市友岡西畑、会社員川口政夫さん(21)のバイクが接触。川口さんは転倒し、石ひじ打撲などの軽傷を負った。バスには7、8人の乗客がいたが、けがはなかった。
 現場は国道171号が右へカーブする変則五差路で、右折レーンにいた市バスが久世橋バス停に停車するため左側に寄ったところ、並進していた川口さんと接触したという。(京都新聞 夕刊)
21日■エムケイ 100円路線バスを申請 京都駅〜金閣〜下鴨〜四条河原町 乗合タクシーも
 タクシー会社のエムケイ(京都市北区)は20日、京都市内の全区間の運賃を100円均一とする路線バス「100円バス」の経営免許を近畿運輸局京都陸運支局に申請した。同時に、運賃100円で市内の観光地を結ぶジャンボタクシー「観光路線型乗合タクシー」や、観光客限定で運賃を大幅に割り引く「観光型定額タクシー」(中型、小型)の免許も申請した。認可されれば、路線バスは来年1月をめどに、タクシーは今年11月下旬にも運行したいとしている。
 100円バスは、前橋市や埼玉県狭山市、大津市などで導入されているが、京都市内では初めて。
 申請によると、100円バスは京都駅から金閣寺道、下鴨神社前をへて四条河原町などを走る河原町西大路循環のほか、東大路千本循環、今出川四条循環の3ルート。レトロ調の大型バス(55人乗り)計46台を約10分間隔で走らせる。市内約300ヵ所に停留所を設置、料金は全区間100円とする。
 また運賃100円の観光路線型乗合タクシー(9人乗り)は京都駅八条口、祇園、JR嵯峨駅をそれぞれ起点・終点とする3ルートで、市内の有名な寺社や美術館など観光スポットを巡回する。
 観光客限定の乗り合い定額タクシーは市内の旅館、ホテルなど200ヵ所で配る専用カード所持者が対象。走行距離によって運賃は異なるが、京都駅から銀閣寺までの場合、通常約2000円の運賃を200円とするなど大幅割引を実施するという。
 同社の青木定雄オーナーは「沈滞気味の京都観光の振興が狙いで、乗り合いバス、タクシー実現に向けて新会社を設立して対応したい」と話している。(京都新聞)
■京観光100円バス申請
 タクシーのエムケイ(京都市)は20日、京都市で運賃100円の観光バス事業に乗り出すと発表した。同日、近畿運輸局に経営免許を申請した。市内中央部を循環する3路線で、バスガイドも同乗する。100円バスは前橋市で既存路線を値下げして成功するなど全国に広がっているが、新規参入は初めてという。年明けの認可を見込んでいる。
 バスは、JR京都駅を起点に七条通−西大路−北大路−河原町、七条通−千本通−北大路−東大路を回る2路線と、祇園を起点に四条通−西大路−今出川−銀閣寺道を回る1路線。午前6時から午後10時まで10分おきに運行する。
 このほか、大型バスの入りにくい清水寺かいわいや嵯峨野周辺を対象にした運賃1人100円の9人乗り大型タクシーや、主な観光地間を1人200円(遠隔地は割り増し)で結ぶ乗り合いタクシーも同時申請した。(朝日新聞)
22日■秋の信楽体験ツアー参加を 来月13、17日
 信楽高原鉄道とJR路線バスの利用促進を図るイベント「秋の味覚満喫 ゆっくり信楽 手作り体験ツアー」が10月に2度、行われる。
 滋賀県甲賀郡の信楽町交通対策協議会と同町の多羅尾生活改善グループが「同鉄道や、町の良さを知ってもらおう」と初めて企画した。JR貴生川駅から信楽高原鉄道とJRバスを乗り継いで、同町多羅尾を訪問してもらい、地元持産品のこんにゃく作りや日野菜漬など農産加工品の手作り体験をし、信楽駅で解散する。
 実施日は10月13日と17日。参加費は鉄道代や昼食、体験料込みで1人4000円。両日とも定員40人(最小催行人数は各20人)。縮め切りは9月30日(先着順)。
 申し込みは、電話で同鉄道 0748(82)3391、もしくは住所、名前、電話番号を書きFAX 0748(82)3323へ。(京都新聞)
■再生かける京都市バス 乗客増やすアイデア必要 迫る参入規制撤廃 サービス向上で活路を
 京都市交通局が市バス事業の経営悪化に悲鳴を上げている。地下鉄東西線の開業やマイカー増による乗客離れで、98年度決算の経常赤字が前年度の9倍の約19億円、累積赤字は約51億円に膨れた。同局は来年度から「聖域」である職員の本給カットに踏み込む経営健全化プログラムや横大路車庫(伏見区)の民間への営業委託を実施、2004年度に経常黒字への転換を図る。確かにリストラも必要だ。しかし、2001年度からバス事業への民間の参入規制が撤廃される状況の中、市民の利用が増えるような抜本的な改革を、今こそ断行すべきではないか。
 「もう規制緩和は現実問題だ。気を引き締めねば」。21日、タクシー会社のエムケイ(京都市北区)が100円路線バスの経営免許を申請−との報道に、交通局のある職員は表情をくもらせた。赤字続きの市バス経営に追い打ちをかける話だからだ。
 市バスはまさに「火の車」だ。80年度に1日平均59万8000人だった乗客数は、98年度で35万8000人にまで落ち込んだ。さらにマイカーの普及や少子化で、2002年度まで毎年9000人減ると予測されている。このままでは同年度の経常赤字は63億円にまで膨らむ。
 一方で、人件費をみると、民営バスの基本給が40歳で30万円未満といわれるのに、市バス乗務員の基本給は41万669円(48.2歳)。年収1000万円超の人が37%もいる。このため収益以上に人件費がかかる。98年度は213億円の運送収益に対し、総人件費は103%の220億円。民営で約70%というから、この面からみると市バスの経営は甘いと指摘されても仕方がない。
 そこで、同局は来年度から、人件費削減を柱とする「経営健全化プログラム21」に取り組む。全職員の給与5%カット、管理職手当の削減、勤勉手当の評価制などの給与の見直し、ノルマアップや嘱託の拡充による人員削減で、現状のまま推移すれば41億円になる2004年度の経常赤字を、1億円の黒字に転換させる。また、もっとも赤字が多い横大路営業所の運営について、路線や運賃、運行本数は変えず、来年度から12系統のうちの6系統を阪急バスに、2001年度に残りを京阪バスにそれぞれ委託し、経費を2−3割圧縮する。まさに「血を流す」覚悟の経営の立て直しだ。だが、より多くの市民に乗ってもらうための努力が見えて来ない。そちらこそ大切ではないか。
 2001年度に道路運送法の改正が予想され、バス事業への参入が免許制から許可制になり、事実上、自由化される。「赤字路線でも公共福祉の観点から運行するのが宿命」(下薗俊喜交通局管理者)にある公営バスは、太刀打ちできない。民間業者が黒字の路線や特定の時間帯に安い運賃で進出し、乗客を奪う「クリームスキーム」現象も起きそうだ。
 しかしバス事業そのものが、成り立たないのではない。例えば前橋市。民営6社が今年1月、JR前橋駅から1`圏内を100円とする「ワンコイン」運賃を導入し、この区間で2、3倍の乗客増を達成した。「自転車で移動する人をバスに引っ張れた」という。経費削減とともに乗客サービスの向上が必要だ。
 「バスのボディーを広告に活用したらどうか」との市議の意見もある。経営改善の余地はまだあるはず。現に今年4月から通勤定期券の所有者と家族に対し、土日や祝日の運賃を割り引く「環境定期券」制度は、導入当初の1日約300人から、今月は約1000人に利用が増えた。
 アイデア次第で乗客数は伸びる。定時性の確保など交通局だけで対応できない問題も多いが、思い切って民間から人材を登用しノウハウを学んででも、「市民の足」を守ってほしい。(京都新聞)
■窓 シャトルバス 観光PR必要 東山区・山口 良子(主婦・46)
 洛北の玄関口・出町柳(叡山電鉄、京阪電鉄)と洛西の玄関口・北野白梅町(京福電鉄)を結ぶシャトルバスが23日から運行されるという。昔は市電が走っていて午前中、嵐山を訪ね、北野白梅町から市電に乗り、叡電前で降りて、午後は鞍馬を訪れたことがあります。ところが市電が廃止され、バス停の位置が分かりにくく、交通手段としてのバスは利用しにくいと思っていました。
 また、嵐山−北野白梅町間は直行電車が運行されるということです。これまで嵐山−北野白梅町には帷子ノ辻駅で乗り換えなければならなかったのですが、そんな面倒なことがなくなります。出町柳はバスを降りれば、目の前が叡電出町柳で鞍馬、貴船へ直行となります。
 とかく交通の便の悪さが観光客に評判のよくない京都にとって良いことに違いありません。でも、このシャトルバスが、それだけの人に周知されるのか疑問もあります。バス停の位置やルート、金額など、多くの人に知れわたるのだろうかということです。京都市や関係電鉄の観光に対する取り組み方次第になるのではないでしょうか。(京都新聞)
23日■私は無実。みんな変な方に走った 松本被告が初証言 地下鉄サリン弁護側証人で
 地下鉄サリン事件の殺人罪などに問われたオウム真理教元幹部豊田亨(31)、同杉本繁郎(40)両被告の公判が22日、東京地裁(山崎学裁判長)で開かれ、松本智津夫被告(44)=教祖名麻原彰晃=が弁護側申請の証人として出廷した。
 松本被告が他被告の公判で尋問に応じたのは初めて。宣誓の上、地下鉄事件について「わたしは地下鉄の『ち』の字も話していないと思う。(事件の)謀議はない。元幹部井上嘉浩被告(29)=公判中=が持ち込み、村井秀夫元幹部=当時(36)、故人=と話し合ったんでしょう」と証言。
 教団施設の第7サティアンでサリンが作られていたとされる点について「何ができていたのか分からない。何も指示していない」とし「事件と第7サティアンは無関係」と述べた。
 また事件当時の自分の権限について「権限は弱められ、リーダーが自由に発言した。解脱させるための集団だが、みんな変な方に走った」とした。
 さらに「ええかげんな調べして逮捕しちゃいかんのだよ。無罪だよ」とも話した。(京都新聞)
■地下鉄サリン 外崎被告に無期を求刑
 地下鉄サリン事件の殺人、殺人未遂罪などに問われたオウム真理教元信者外崎清隆被告(35)の論告求刑公判が22日、東京地裁(中山隆夫裁判長)で開かれ、検察側は「短時間で実行された世界でも前例のない大量テロ事件で、犯行の結果は悲惨極まりない」として無期懲役を求刑した。
 弁護側の最終弁論は12月2日行われる。地下鉄事件では元幹部林郁夫受刑者(52)=無期懲役=ら2人の有罪が確定。外崎被告と同様に実行犯を車で運んだ元信者北村浩一被告(31)も無期懲役が求刑されている。
 外崎被告側は「幹部と共謀しておらず、死者が出ると思っていなかった」などとした上で、外崎被告と組んだ実行犯の幹部横山真人被告(35)=死刑求刑がサリンをまいた車両で死者が出ていないことから「暴行などのほう助犯にすぎない」と主張していた。(京都新聞)
■KTR沿線 新たなる観光商品開発を 負荷価値が必要 自治体も参加 振興策で初の勉強会
 北近畿タンゴ鉄道(KTR)の旅客増と沿線地域の観光振興に向け、新たな観光商品の開発を考える勉強会が22日、宮津市鶴賀の宮津商工会議所で開かれた。KTR沿線の観光、鉄道事業者らが今後の推進策について意見を交わした。
 KTRの沿線で府北部から豊岡市までの5市14町や商工会議所などでつくる同鉄道利用促進協議会(会長・徳田敏夫宮津市長)が、鉄道事業者と観光関係者を結ぶ橋渡しとして初めて企画。KTRや沿線自治体のほか、JR西日本、丹後海陸交通(本社・京都府与謝郡野田川町)、地元観光関係者ら約40人が参加した。
 初めにJR西日本福知山支社の安保衛営業担当課長が、同社の現状と取り組みを紹介。定番の団体旅行が敬遠されている観光ニーズの変化を指摘したうえで、「京阪神からの利用客が大切。新たな観光素材の発掘と付加価値づくりが問われている」と訴えた。
 一方、地元観光関係者は、各観光施設を結ぶ交通手段の確保を課題に挙げ、「周遊バスの運行が求められる」と提案するなど、活発な議論が交わされた。
 今後は行政、観光関係者、鉄道事業者がそれぞれ個別に具体的な観光商品づくりに向けて検討していくという。(京都新聞)
■整備新幹線420億円 関空2期に155億円 公共事業等予備費で自自、配分
 自民、自由両党の政策責任者は22日、1999年度当初予算に盛り込まれた5000億円の公共事業等予備費の配分先について合意した。整備新幹線事業には420億円を充てるほか、高速道路などに672億円、関西空港2期工事に155億円を配分する。政府はこの与党合意に沿って月内に閣議決定する。
 配分先は@整備新幹線事業など国家的プロジェクトの推進(計1550億円)A情報通信化の推進や環境保全など「21世紀発展基盤整備」(計1467億円)B沖縄サミットや中央省庁再編関連事業など緊急課題への対応(計1362億円)C大雨による土砂災害などの災害復旧事業(620億円)。景気浮揚に即効性があり、今年度内に使い切れるものを条件に事業を選び、国の直轄事業の比率を高めた。地方自治体や民間負担などを含めた事業費ベースでは7400億円になる。
 コメの一部輸入自由化に対応するウルグアイ・ラウンド対策事業も「国家的プロジェクト」に位置づけ、273億円を配分した。(朝日新聞)
1999年度公共事業等予備費5000億円の配分
国家的プロジェクトの推進計1550億円
 関西空港2期155億円
 羽田空港沖合展開30億円
 整備新幹線420億円
 高現格幹線道路672億円
 ウルグアイ・ラウンド対策273億円
21世紀発展基盤整備計1467億円
 情報通信、環境対策、高齢化対策、街づくり・地域づくり
緊急課題対応計1362億円
 九州・沖縄サミット対策207億円
 中央省庁再編関連事業106億円
 災害危険個所緊急対策505億円
 災害防止対策544億円
災害復旧事業620億円
  予備費合計5000億円
■松本智津夫被告 「私は無罪だ」 地下鉄サリン 元信徒公判で初証言
 地下鉄サリン事件に関与したとして殺人と殺人未遂などの罪に問われているオウム真理教元幹部の豊田亨(31)、杉本繁郎(40)両被告に対する公判が22日、東京地裁(山崎学裁判長)で開かれ、弁護側証人として出廷した教団前代表・松本智津夫(麻原彰晃)被告(44)が、元信徒の公判で初めて証言した。松本被告は「私は無罪だ」と地下鉄サリン事件への関与を否定した。松本被告が法廷で事件の内容について語ったのは、1997年4月に自らの公判の意見陳述で、一連の事件の起訴事実を否認して以来約2年半ぶりとなった。(朝日新聞)
24日■今出川通で東西の駅結ぶ シャトルバス発車 初日から観光客で人気
 京福電鉄北野白梅町駅(京都市北区)と叡山電鉄・京阪電鉄の出町柳駅(左京区)とを結ぶ、京都市交通局の観光シャトルバスが、23日から運行を始め、洛北や嵐山などへ散策に出かける行楽客らでにぎわった。
 このバスは、東西の駅を今出川通でつなぐことで、洛北や嵯峨・嵐山への観光客の移動を活発化させるとともに、西陣など路線沿いの観光地巡りにも役立ててもらうのが狙い。
 来年3月26日までの土・日曜と祝日、始発の北野白梅町駅発午前9時50分から、最終の出町柳駅発午後4時10分まで、30分間隔で1日12往復する。運賃は片道220円。
 この日、出町柳駅では、市バスとしては初めて駅前ロータリーに専用の乗車所が設けられ、駅員らが、電車から下りた人々にチラシを配ってPRした。同駅からの始発となる午前10時10分の便は、親子連れやリュックを背負った女性らでほぼ満席で、子ども2人と嵐山に向かう途中という左京区の主婦(36)は「初めてと聞いて、試しに乗ることにした。便利だったら、また利用したい」と話していた。(京都新聞)
■西日本 空陸交通が混乱
 台風18号の影響で、西日本のJR線は24日の始発から大幅にダイヤが乱れた。
 JR西日本によると、山陽新幹線は午前11時すぎから、新大阪−博多間で全面的に運転を見合わせたが、同20分から新下関−博多間の下り線の運転を再開。同40分すぎには小倉−博多間の上り線の運転を再開した。
 京阪神地区の在来線は、東海道線、山陽線が約半分に間引き運転。関西空港線は午前11時前からりんくうタウン−関西空港間で運転を見合わせた。
 近畿地方と山陰、北陸方面を結ぶ山陰線や福知山線、播但線、北陸線などの特急が全面運休。
 西日本の空の便も440便以上欠航して約4万人の足が乱れた。
 全日空は午前6時25分羽田発福岡行き241便をはじめ、西日本と各地を結ぶ189便(国際線含む)の運航を中止。日本航空は午前7時40分那覇発福岡行き920便など42便、日本エアシステムも午前9時伊丹発長崎行き765便など71便が欠航した。
 エアーニッポンも78便、鹿児島空港が拠点の日本エアコミューターは伊丹発着も含め65便、スカイマークエアラインズは4便の運航を見合わせた。航空各社によると、今後も関西地方を中心に欠航便が増える見通し。
 一方、九州電力と中国電力によると、同日午前、九州全域では約84万8000戸、中国五県では山口県を中心に約23万6000戸が停電になった。(京都新聞 夕刊)
■JR、KTR特急など運休 琵琶湖の船便も
 台風18号の接近で京都府北部では、JRの山陰線や福知山線、舞鶴線などで、24日午前9時以降に出発する特急列車の運転を見合わせた。この影響で、京都行特急「きのさき4号」が運休するなど、ダイヤが乱れた。
 北近畿タンゴ鉄道(KTR)も、特急と急行列車の運転を午前10時ごろから見合わせた。
 また、琵琶湖汽船(本社・大津市)は24日、台風18号の影響のため、滋賀県の琵琶湖で運行している観光船のミシガンやビアンカ、竹生島めぐりなど全33便の欠航を決めた。また、オーミマリン(本社・彦根市)も同日の彦根−竹生島間の観光船全3便の運行を見合わせている。(京都新聞 夕刊)
25日■停電で新幹線車内蒸しぶろ 山口、5人入院
 24日午後8時ごろ、山口県の山陽新幹線徳山−小郡間の上下線で停電が発生、岡山発博多行き下りひかり395号が立ち往生した。
 後続の博多行きの3列車も徳山駅との間でストップし、計4列車が5−3時間にわたって照明が消え、冷房が止まって蒸しぶろ状態となり、計約2000人の乗客の一部が体調の異常を訴えた。JR西日本は、間もなく送電が再開した上り線の列車を395号と後続の1列車に横付けし、板を渡して約1500人の客を乗り移らせて徳山駅まで運んだ。
 同駅では脱水症状などの幼児や気分が悪くなった高齢者ら8人が救急車で病院に搬送され、5人が入院した。
 395号は25日になって動力機能が回復。JR西日本は、後続車を連結するなどして、午前6時50分ごろ約11時間ぶりに動き始めた。(京都新聞 夕刊)
■台風「動脈」止める 新幹線停電 バッテリーも一因 JR西日本 問われる危機管理
 西日本で大きな被害を出した台18号の通過から一夜明けた25日も、各地で交通機関を中心に混乱が続いた。停電で、乗客を乗せたまま立ち往生した山陽新幹線では、復旧と原因究明が徹夜で続けられたが、駅や列車で一夜を明かした乗客は、JRの駅員らに激しく詰めより、怒りの声を上げた。週末を迎えた列島の「動脈」に刻まれた台風のつめ跡は深く、関係者らはため息をつきながら、早朝から後始末に追われた。
 山陽新幹線が運転再開まで10時間52分もかかったのは、停電の原因解明に手間取ったとともに、「ひかり395号」と後ろに停車中の「こだま849号」のバッテリー(蓄電池)が、相次いで消耗してしまったという予期せぬ要因が重なったためだ。そもそも、停電のきっかけは、植物のツルがからまったことだった。発生当初の開通への見通しの甘さやバッテリーの予想外の消耗という事態に、JR西日本の危機管理態勢が問われそうだ。
 JR西日本によると、発生直後、乗務員らが調べたが、停電事故の原因がパンタグラフなど車両側か、架線など地上設備側にあるのかについて判別がつきにくかった。博多総合車両所の専門の検査係員が午後9時すぎに現場へ出発し、パンタグラフに植物のツルを見つけたが、すでに停電発生から4時間近く過ぎていた。JR側も「もっと早く検査係員を呼んだ方がよかった」と、見込みの甘さを認めている。
 これで原因は判明したが、ひかりとこだまのバッテリーがいずれも長時間の停電で消耗しており、自力運転ができなくなっていた状態だった。午前1時すぎから、ひかりはバッテリーの充電作業を続け、約2時間後に充電を終えると自力運転が可能となった。しかし、こだまの方がバッテリーの消耗が激しく、充電による復旧は難しかった。さらに後続の「ひかり393号」と連結することも計画したが、電気系統の故障のため連結できないなどのトラブルも重なった。結局、自力運転できたひかり395号がバックして連結して動かすほかなかった。
 JR西日本のマニュアルでは、車両のバッテリーは停電など非常時には最も大切な装備だ。そのバッテリーを節約するために、停電発生から20分以内に最低限を確保する非常系統に切り替えるように決められている。これまでにも、バッテリーが消耗するなどで立ち往生した事例は旧国鉄時代からあり、ハード、ソフト両面から改良が加えられてきた。
 JRは、こだまのバッテリーの減り方が、停電区間に停車中のほかの車両に比べ極端に激しいことから、バッテリーの取り扱い方などを乗務員らから事情を聴いて詳しい消耗の原因を調べ、再発防止を目指すという。
・新大阪−博多16時間半
 「先発列車のパンタグラフが故障し、調査しております」。24日午後8時5分ごろ、車内アナウンスが流れた。列車は徳山−小郡のトンネル内で止まった。車内の蛍光灯は消え、非常灯だけがぼんやり浮かび上がる。
 台風18号の影響で止まっていた新大阪発の下り新幹線が、最初に運行を再開した車両だった。広島までは通勤列車なみの混雑。やっと席に座ったばかりだった。停車から待つこと30分余り。「故障が直った」というアナウンスがあったが、やはり動かない。
 さらに30分。「暑いので列車のドアを開けます」というアナウンスで、車内のいらだちは高まった。
 中年の男性が「新大阪でも待たされ、16時間もかかっているんだぞ」と車掌に食ってかかる。車掌の説明はしどろもどろ。「歩かせろ」「差し入れちょうだい」。努声が飛ぶ。
 「上り列車で救援中です」「これからすべての電源が消えます」。アナウンスのたびに、焦燥感と疲労感が車内に深まっていく。
 「水を持っている人、いませんか。脱水症状の人がいるんです」「ビニール袋はありませんか」。トンネル内の非常灯だけで真っ暗の車内のあちこちで、乗客の声が上がる。「妊婦さんがいます。乗務員室に入れてあげて」という声も。
 「お医者さんはいませんか」という車掌のアナウンスも2回流れた。車内の熱気で、窓ガラスはすっかり曇っている。
 救援列車が横付けされたのは、立ち往生してから約3時間半後の午後11時35分。でも、乗客が乗り移るまでに40分もかかった。最初は「急病人だけ」といい、途中で「一般乗客も」と指示が混乱したためらしい。
 徳山に着いたのは25日午前零時25分。そこで乗り換えた「ひかり」では、またも「前方の列車のバッテリーが上がって、下り列車は動きません」とアナウンス。並んで止まっていた「のぞみ」に移って3時間ほど寝た。
 在来線と動きだした新幹線を乗り継ぎ、博多駅に着いたのは25日午前8時45分だった。
 新大阪を出発したのは24日午後4時15分。いつもなら3時間の旅が、16時間半もかかった。
 列車が到着ホームに近づくと、背広姿のJR社員らが20人ほど1列に並び、深々と頭を下げていた。空腹と怒りで、むなしく見えた。(整理部・西田圭子)(朝日新聞 夕刊)
26日■JR西日本に運輸局が警告 山陽新幹線立ち往生
 山陽新幹線が山口県の徳山−小郡間で、停電のため約11時間立ち往生した問題で、中国運輸局は25日、須之内康幸局長名でJR西日本の南谷昌二郎社長に対し、異例の警告書を出した。
 警告書は「多数の利用者に多大な影響を及ぼしたことは誠に遺憾だ」とした上で、@復旧に長時間を要したA乗客を乗せたまま、多くの後続列車を駅間に長時間停車させたB乗客らへの情報提供が不適切だった−と問題点を指摘した。
 また原因調査の結果と再発防止策について、文書で可能な限り早く報告するよう求めている。
 警告書を受け取ったJR西日本広島支社の仲井徹支社長は「大勢のお客さまに迷惑をかけて大変申し訳ない。問題点を洗い直し、二度と起こさないようにしたい」と話している。(京都新聞)
■湖西線で車両故障
 25日午後4時35分ごろ、滋賀県滋賀郡志賀町南小松のJR湖西線近江舞子駅構内で、京都行き普通電車の運転士がパンタグラフの一部がへこんでいるのを発見した。JR堅田駅まで運転したが、運転不能になる可能性があったため同駅で運転を取りやめた。乗客80人と、堅田駅から乗車予定の50人は後続電車に乗り換えた。JRで原因を調べている。(京都新聞)
■街の玄関口 誕生祝う 両駅とも自由通路 市民生活への効果期待
 JR舞鶴線の電化(10月2日開業)に伴い、建て替えが進められてきた西舞鶴駅(舞鶴市伊佐津)と綾部駅(綾部市幸通り)の完成式が25日行われ、21世紀の街の玄関口の誕生を祝った。両駅ともに、これまでなかった線路をまたぐ自由通路が造られ、市民生活や街づくりに大きな効果が期待されている。
 西舞鶴駅ビルは西駅交流センターと橋上駅舎からなり、駅舎の完成式に続くセンターしゅん工式には関係者ら約200人が出席。木村功副知事(知事代理)が「この施設が環日本海を担う北近畿の中核都市、舞鶴の発展に寄与するよう祈ります」と前途を祝した。
 この日から駅舎部分、駅の東西を結ぶ自由通路の利用が始まり、駅前交番も開業。10月1日には旅券事務所出張所や行政サービスセンタ、旅行代理店、観光案内所なども開業する。
 3代目となる新綾部駅は、線路の上に改札口が設けられた橋上駅。自由通路(長さ約36b、幅5b)は終日開放され、南北の駅前広場を往来できる。北広場は新駅舎建設に合わせて整備した。新駅建設費(約10億円)のうち8億8000万円を綾部市が負担した。
 完成式と開通式はこの日午後から自由通路で行われ、四方八洲男綾部市長や南谷昌二郎JR西日本社長らがテープカットし、新駅のスタートを祝った。(京都新聞)
■西舞鶴・綾部 新駅同時オープン
 10月2日のJR舞鶴線電化開業に先立って、西舞鶴、綾部両駅で25日、新しい橋上駅舎や自由通路などがオープン、JR西日本、舞鶴、綾部両市が完成式を開いた。西舞鶴駅では大規模な駅ビル「西駅交流センター」も併設され、地元住民たちから地域の活性化を期待する声が聞かれた。
 JR西舞鶴駅では午前9時から、神事や完成式があり、木村功・副知事や江守光起・舞鶴市長、南谷昌二郎・JR西日本社長ら約200人が出席した。
 完成式で江守市長は「新たな交流とにぎわいのスペースが誕生した。これと電化を契機に、京阪神からの鉄道利用促進に努めたい」とあいさつ。テープカットやくす玉割りで完成を祝った。駅前広場では小学生ら100人余りが、法被姿で伝統の「舞鶴太鼓」を打ち鳴らし、祝賀ムードに包まれた。
 新駅舎には東口が新設され、身障者や高齢者への配慮を重視してエスカレーター2基、エレベーター4基を設置した。
 JR綾部駅でも午後1時半から、JR西日本と綾部市が橋上駅化と自由通路の完成を祝ってテープカットやくす玉割りをした。
 新駅舎は、かつて綾部市の主産業だった網織物業を懐かしむまゆの色と、現在の特産・黒谷和紙を模した淡い白色で彩られた。
 市街地の真ん中にありながら、駅舎が南北を分断していたが、自由通路ができて、南側の繁華街へ人が流れ、市街地の一体化が図れる、と期待されている。(朝日新聞)
■JR西日本に警告書 運輸省
 JR山陽新幹線が山口県の徳山−小郡間で約11時間立ち往生した問題で、運輸省は25日、JR西日本の南谷昌二郎社長に対し、中国運輸局長名で警告書を出した。
 復旧までに長時間を要したことや乗客への情報提供が不適切だったとして、原因調査や再発防止策をできるだけ早く報告するよう求めている。(朝日新聞)
■声 普通通列車にもトイレほしい 無職 松井 雄司(前橋市 66歳)
 ボランティア仲間6人と一緒に「青春18きっぷ」で名古屋まで行った。東海道線は、熱海、浜松、豊橋と乗り換えが必要だったが、時刻表で見るとそれぞれ数分の待ち合わせで乗り継げることが分かり、普通列車でも効率的な旅ができることを喜んだ。
 ところが、熱海からの列車には5両のうち、トイレ付きの車両が一つもないことを、乗り込んでから知った。事前に分かっていれば、熱海までの車内で済ませておいたものを…。楽しいはずの旅行が、車中での飲食もままならなくなり、落ち着かない気分に。熱海−浜松間は約2時間20分。この間、トイレを我慢するのは、苦しい。ちなみに豊橋で乗り換えた新快速大垣行きは、4両編成ながら、トイレが付いていた。こちらの所要は1時間20分で、距離も短い。
 よほどの短距離区間でないかぎり、トイレ付きの車両を組み込んだ編成にして、普通電車でも安心して快適な鉄道旅行ができるよう、ぜひ配慮してほしい。(朝日新聞)
27日■山陽新幹線 保守用車が追突、脱線 新大阪−姫路間 上下25本運気優 神戸 作業員3人けが
 27日午前4時半ごろ、神戸市西区伊川谷町の山陽新幹線新神戸−西明石間の上り線で、保守用車(12両編成、乗員18人)に別の保守用車(8両、乗員4人)が追突、計3両が脱線した。追突された前方の保守用車に乗っていた明石軌道社員二星和昭さん(55)=神戸市西区櫨谷町松本=がろっ骨を折るなどの重傷、2人が顔などにけがをした。
 JR西日本によると、同新幹線は始発から新大阪−姫路間で上下線とも運転を見合わせたが、午前8時すぎに復旧、運転を再開した。上下25本が運休するなど、約1万人に影響が出た。
 山陽新幹線では、24日夜から25日にかけ、山口県の徳山−小郡間の停電事故で、計約8000人の乗客が最高約11時間にわたり車内に”缶詰め”になるトラブルがあったばかり。
 JR西日本や兵庫県警神戸西署によると、まくら木交換を終えた保守用車が、六甲トンネルの保守作業を終えて停車していた前方の保守用車に追突、双方の貨物部分計3両が脱線した。
 両保守用車とも、27日午前1時すぎごろから同3時半ごろまで作業、基地の約3`手前の現場付近で合流し、一緒に基地に戻る予定だった。同署は、業務上過失傷害の疑いもあるとみて、後方の保守用車を運転していた乗員らから事情を聴いている。
 脱線したうちの1両は他車両と連結できず、線路上の回送が不能となり、クレーン車で線路から撤去するなどしたため、復旧に時間がかかった。
 山陽新幹線では昨年9月にも、相生−岡山間で保守点検用作業車がバラスト(敷石)散布車に追突、脱線する事故が起きている。
・「トラブル多い」 ごった返す 新大阪駅
 神戸市西区の山陽新幹線上り線で27日早朝、保守用車同士が追突、脱線した事故で、JR新大阪駅の新幹線改札口付近は一時、携帯電話で連絡を取る出張途中のサラリーマンらでごった返した。
 岡山に出張するという会社員男(50)は「山陽新幹線はトラブルが多い。事故は続くので気を付けてほしい」と渋い表情だった。
 福島県の会津工業高校の生徒370人と大阪で1泊し、この日、広島に向かう予定だった添乗員男性(27)は、ニュースを見てタクシーで駅に駆け付けた。「スケジュールにかなりの影響が出る。早く復旧してもらいたい」と困り顔。
 タレントの板東英二さん(59)もは「仕事に影響はないが、事故が続いているね」と話し、東京方面に向かう新幹線に乗り込んだ。
 作業用車の追突現場は新幹線長坂トンネルから東に約300b。周囲は山で人家などはない。復旧作業に当たった阿倍輝明さん(51)は「普通では考えられない事故だ」と驚いていた。
 追突された車両の運転席に乗っていて、胸の骨を折った作業員二星和昭さん(55)は、神戸市内の病院で「後ろの車両が近づいてきて、当然止まると思って目を離したすきに、突然『ガーン』という衝撃とともに外に投げ出された。あまりの痛さに声が出なかった」と話した。(京都新聞 夕刊)
■山陽新幹線また止まる 保守車同士が衝突 新大阪−姫路 25本運休 運転ミスの疑い
 27日午前4時半ごろ、神戸市西区伊川谷町長坂の山陽新幹線新神戸−西明石間の上り線で、停車中だった保守点検用の車両(12両編成)に、別の保守点検車両(8両編成)が追突し、計3両が脱線した。追突された車両に乗っていた作業員3人が同区内の病院に運ばれ、1人が胸の骨を折るなど重傷、残る2人も顔を切るなどのけがをした。兵庫県警は、業務上過失致傷などの疑いで両保守用車両の作業員らから事情を聴いている。
 調べでは、骨折したのはJR西日本の下請けの工事会社、明石軌道=兵庫県明石市=の社員、二星和昭さん(55)。けがをしたのはJRの関連会社の大鉄工業=大阪市淀川区=の社員、岩崎匡彦さん(29)と前川迪弘さん(55)。
 この事故で、山陽新幹線は新大阪−姫路間で上下線とも始発からストップ。脱線車両を線路上に戻すなどし、約3時間半後の午前8時2分に運転を始めた。しかし、その後も現場付近ではしばらく徐行運転を続けたため、上下計25本が運休するなどダイヤが大きく乱れ、乗客計約1万人に影響した。
 山陽新幹線では、昨年9月にも岡山市の相生−岡山間で保守用車両同士が追突、脱線する事故が起きていた。また、今月24日夜にも、山口県内の徳山−小郡間で発生した停電からの復旧に手間取り、29本が最大11時間も立ち往生し、約8000人の乗客が車内に一時、缶詰め状態となるトラブルがあったばかりだった。
 JR西日本の調べでは、現場は西明石駅から東へ約7.6`離れた長坂トンネルと高塚山トンネルとの間の直線区間。27日未明から、両保守用車両とも西明石駅構内の西神戸車両基地を出発した。追突された車両は作業員ら18人を乗せ、神戸市と兵庫県西宮市にまたがる六甲トンネル内でコンクリートの注入作業に携わった。追突した車両は作業員ら4人を乗せ、西宮市内でまくら木などの交換作業に取り組んだ。いずれも作業を終えたあと、上り線を逆走して西神戸車両基地へ戻る途中、現場付近で待ち合わせをしていて事故が起きたという。県警とJR西日本は双方の車両を引っ張っていたモーターカーの運転手らから事情を聴いている。
 JR西日本によると、保守点検用車両には安全装置も付いているが、運転手や作業員の前方不注視など運転ミスの疑いもあるとみている。
・「非常事態に近い」
 桜井紘一・JR西日本鉄道本部長の話 山陽新幹線で、先週の停電事故に続いて列車の運休や遅れで多くの方にご迷惑をおかけしたことを重大に受け止めている。事故防止に対する認識や基本動作で何らかの弱点があるとも考えられるため、非常事態に近いと認識し、全社を挙げて、点検と再発防止に取り組んでいきたい。(朝日新聞 夕刊)
■また事故 怒りの声 新幹線で脱線 駅大混乱 詰め寄る乗客
 台風の停電トラブルから2日。山陽新幹線の新神戸−西明石駅間で、27日朝、今度はまくら木などを交換する保守用車同士が衝突、脱線した。事故を起こしたのは自動制御のない作業車で、運転の基本的ミスという見方が強い。安全が大前提のはずの新幹線で、コンクリート片の崩落やオーバーランなど、このところ事故やトラブルが相次いで起きている。東海道新幹線が開業して、来月で35年。駅で待たされた乗客からは「いちど総点検した方がいいのではないか」と怒りの声が聞かれた。
 事故で山陽新幹線は、新大阪−姫路駅間が上下線とも、午前6時の始発から不通になった。
 JR新神戸駅では事故直後、「姫路−新大阪間は在来線をご利用下さい」とアナウンスが繰り返された。出張で博多駅に向かう予定だった神戸市の会社員(25)は「次の目的地の熊本まで大阪空港から行く」。同駅の鈴谷修二首席助役は「24、25両日に台風や車両故障のため新幹線がストップした。迷惑をかけ続けて申しわけない」と話した。
 山陽新幹線の起点、新大阪駅も改札やコンコース付近が一時、商用で九州方面に向かう会社員らでごったがえした。「状況をきちんと教えてほしい」などと駅員に詰め寄る人も。堺市の会社員西島信さん(48)は「何が原因なのか、いつ走り出すのか、駅員に聞いても分からない。復旧まで2時間半待たされて同じ料金では納得いかない」と怒りを隠さなかった。
 姫路駅では、近くの駅から職員約30人が応援に駆けつけ、足止めされた利用者への説明に追われた。関西空港からタイに行くという岡山県倉敷市の会社員(57)は「午前中の出発便なので間に合うかどうか不安」と困り果てていた。
 広島駅では、午前6時55分に運転が再開された。呉市内の男性会社員(50)は「新幹線はトラブル続き。一度総点検をした方がいいのではないか」と話した。
 事故の発生現場は、神戸市の郊外の丘陵部にある。復旧作業は脱線した作業車を懐中電灯で照らしながら行われ、午前7時過ぎまでにほぼ終わった。脱線した車両のうち2台はジャッキアップをして線路上に戻され、残り1台はクレーン車で線路下の路上に下ろされた。けがをした作業員3人は同市西区の足立病院に運ばれた。午前7時すぎに関係者らが駆けつけ、治療の様子を見守った。
 事故当時、追突された車両は現場で待機中だった。同車両の最後尾の運転席で計器類を確認していた二星和昭さん(55)は、右あばら骨を骨折した。同病院で、「後続車のライトが近づいてきて、止まってくれると思った。どういう状況だったかよく覚えていない」と話した。
・重大に受けとめる JR西日本会見
 大阪市北区のJR西日本本社ビル4階では、午前10時過ぎから同社の桜井紘一・鉄道本部長らが緊急の記者会見を開いた。桜井本部長は相次ぐ事故に「まことに申し訳なく重大に受け止めている」とこわばった表情で陳謝した。報道陣からは、事故原因についての質問が相次いだが、JR側は「原因はまだはっきりしていない」などと繰り返した。工藤一能・安全対策室長は「追突された作業車に乗っていた運転士らから話を聴いている最中だ」と説明。過去に居眠りが原因で類似の事故があったことをあげ、同様のミスによる可能性を示唆したが、ブレーキや、作業車同士の衝突を防止する警報装置の故障などの可能性も指摘した。(朝日新聞 夕刊)
最近の新幹線の主な事故とトラブル
1995年12月東海道・三島駅で高校生が「こだま」のドアに挟まれたまま、ホームから線路上まで引きずられて死亡
97年5月山陽・岡山新幹線運転所構内で回送列車が車止めを越えて脱線
 11月上越での車両停電をきっかけにJR東日本の新幹線管理システムが乱れ、2日間で193本が運休
98年4月山陽・新関門トンネルで天井のコンクリート片が落下、海水が漏れ、停電。新幹線が3時間近く立ち往生
 東海道・岐阜羽島−米原間の下り線で、レールをまくら木に固定するボルト25本が外されているのが見つかる
 6月東海道・小田原駅構内で保守用車両が脱線。ポイント切り替えミスなどが原因
 8月東海道・名古屋駅でこだまが絶対停止位置を3b超えるオーバーラン
 9月山陽・相生−岡山間で、作業車同士が衝突。作業員の前方不注視のため
99年6月山陽・福岡トンネルを走行中のひかりの屋根を内壁からはがれた計200`のコンクリート塊が直撃。緊急点検で、山陽のトンネル377ヵ所にコンクリート劣化の可能性
 9月山陽・徳山−小郡間で、植物がひかりのパンタグラフに巻き付き停電。計29本の乗客8000人が車内に閉じこめられる
28日■社説 しゃきっとせよ、JR西日本
 JR西日本で列車のトラブル、事故が相次いでいる。
 ちょっとした気の緩み、たるみが大きな事故につながりかねない。JR西日本は事態を重く受け止め、各トラブルや事故の原因を究明するとともに、改善すべきは改善し、今後の安全運行に役立てることだ。
 JR山陽新幹線でトンネル内壁のコンクリートがはがれ落ち、走行中の列車を直撃した事故は、まだ記憶に新しいが、その後も利用者をドキッとさせたり、乗客に大変な迷惑をかける事故等が続いている。
 今年1月と5月、赤信号で自動的に非常ブレーキがかかる列車自動停止装置(ATS)を運転士が勝手に解除し、信号を無視して運転していたことが、今月になって発覚した。
 衝突事故を事前に防ぐ重要な装置であるATSを、運転士が指示もないまま解除するなど、考えられないことである。過去、勝手な解除運転が大きな事故につながったケースもある。それがJR西日本の東海道線で立て続けに2件もあったというのだから驚く。
 4日前の24日夜には、山陽新幹線が山口県内での停電事故で大混乱を引き起こす。そして27日早朝には、山陽新幹線新神戸−西明石間上り線で、保守用車同士の追突、脱線事故である。JR西日本は一体どうなっているんだと、声を大にしたい。
 停電事故の原因は台風18号の強風で飛ばされた植物のツルのようなものがパンタグラフに付着し、ショートしたためのようだ。台風の影響による停電事故という事情は割り引くにしても、その後の対応がまずい。
 事故原因の究明に時間がかかり過ぎ、復旧に長時間を要したことがまず問題点として挙げられる。後続列車の扱いにも問題があった。乗客を乗せた29本もの列車が、駅間に停車したまま数珠つなぎ状態になったのである。
 缶詰め状態を強いられた乗客は合わせて約8000人にものぼる。なかにはエアコンが切れ、蛍光灯が消え、水もないという最悪の状況下に置かれた乗客もあったというからひどい。この間、乗客に対する情報提供も十分でなかったようだ。
 気になるのは、列車運行を優先するあまり、乗客へのケアがおろそかにされたのではないかという点である。
 事態を重く見た中国運輸局はJR西日本に対し、異例の警告書を出し、原因調査の結果と再発防止策について文書での報告を求めた。当然である。
 昨日の保守用車の事故は運転ミスが原因のようだ。列車の安全運行を支えるはずの保守用車が事故を起こし、朝の新幹線利用者約1万人の足を奪ったというのだから、お粗末もいいところだ。
 新幹線は国民にとって無くてはならぬ日本の動脈であり、パーフェクトな安全運行が求められてもいる。
 その安全性がいま揺らいでいるのではないかと危ぐする。JR西日本は組織挙げて安全性の確保に努め、利用者の信頼回復に努めることだ。(京都新聞)
■天橋立の展望名所へ モノレールきょう発車
 天橋立の展望名所として知られる宮津市文珠の施設「天橋立ビューランド」に、運行中のリフトに加え、観光客を展望所に運ぶモノレール「はまなす号」が併設され、28日午後から営業を開始する。
 年間約15万人が訪れるが、リフトだけでは高齢者や幼児は利用しにくかったり、雨天時には傘をさす必要があった。このため、施設を経営する天橋立総合事業(幾世實社長)が展望所開設30周年を記念し、観光客にやさしい施設づくりとして約1億5000万円をかけて設置した。
 モノレールは2両編成で18人乗り。通称・文珠山のふもとに新設した駅舎から、頂上(標高130b)までの400bを約8分で結び、車いす利用者も乗車できる。料金はリフトと変わらず往復850円で、リフトとの併用もできる。
 天橋立観光協会の山本大八朗・文珠支部長は「人にやさしい観光地として、今後はだれでも天橋立の景観を楽しんでもらえる」と完成を喜んでいる。(京都新聞)
■神戸−高松高速バス JR四国ら認可申請
 JR四国(高松市)と西日本ジェイアールバス(大阪市)は27日、JR高松駅と山陽新幹線新神戸駅を結ぶ高速バスの認可を四国運輸局に申請した。12月20日から運行を始める予定。
 申請によると、明石海峡大橋を経由したコースで、所要時間は3時間5分。1日8往復する。料金は高松−三ノ宮・新神戸間が片道3900円(往復は1割引き)。山陽新幹線−瀬戸大橋線経由の鉄道利用より約2500円安いという。(朝日新聞)
■山陽新幹線の事故で警告書 運輪省
 JR山陽新幹線の新神戸−西明石で、保守点検用の車両同士が追突、脱線した事故や同新幹線が約11時間立ち往生した問題について、運輸省の梅崎寿事務次官は27日の定例会見で、「JR西日本の輸送管理や安全管理の取り組みに、課題があると考えざるをえない。極めて問題だ」と遺憾の意を示した。運輸省は同日、JR西日本に対し、近畿運輸局鉄道部長名で追突事故についての警告書を出すとともに、原因調査のため、同運輸局の職員を現場に派遣した。(朝日新聞)
■県警が現場検証へ
 神戸市西区の山陽新幹線新神戸−西明石駅間の上り線で起きた保守点検車両同士の追突事故で、兵庫県警は新幹線の運行が終わった28日午前零時ごろから、業務上過失致傷などの容疑で現場検証を始める。(朝日新聞)
■JR車両事故 双方に接近警報 常態化「気にしなかった」
 山陽新幹線新神戸−西明石駅間の上り線で保守点検車両同士が追突した事故で、車両の接近を知らせる警報装置が双方の車両で正常に作動していたことが27日、兵庫県警の調べでわかった。現場は保守点検車両の待ち合わせ場所になっているため、警報装置が鳴るのは常態化していたことも判明。「いつも鳴るから気にしていなかった」と話す作業員もおり、県警は現場付近で警報装置が危険を知らせる役割を十分果たしていなかったことが追突の一因とみている。
 調べによると、双方の車両には保守用車接近警報装置が設けられ、別の車両が約500bに接近するとブザーが鳴って危険を知らせるようになっている。事故当時もブザーが鳴っていたことが双方の作業員の証言で裏付けられたという。(朝日新聞 夕刊)
■天井クーラー数ヵ所水漏れ JR大阪環状線
 28日午前6時5分ごろ、大阪市天王寺区のJR大阪環状線天王寺駅の構内で、外回り電車(8両編成、乗客約200人)の前から5両目の天井のクーラー付近から水が漏れ出たため、車内の乗客をほかの車両に移して発車した。検査係員が水漏れの処置を試みたが直らず、同電車は大阪環状線を1周半した後、京橋駅で午前8時すぎに運転を打ち切った。水漏れは車内の数ヵ所で起き、床や座席が広範囲にわたってぬれ、車両基地で原因を調べている。水漏れ事故で約1500人の乗客に影響が出た。(朝日新聞 夕刊)
29日■世紀の面影 トロリーバス導入 1932年 四条通(京都市中京区四条大宮−右京区西大路四条)
 「これは電車やろか、バスやろか」−。屋根から2本のポールが架線に伸び、軌道のない道路を走る見慣れない乗り物が現れると、周囲は人だかりとなった、という。
 無軌道電車(トロリーバス)は1930年代、道路舗装が進んだ欧州で普及した。日本では京都が初めて導入を決めた。
 当時、京都市は都市計画事業や中央卸売市場の建設などで財政膨張に悩んでいた。卜ロリーバスはレールが要らず、市電より建設費は安価、定員も50人と当時のバスより輸送量も4倍と、市にとっていいことずくめだった。
 また、新京阪(阪急)の地下乗り入れ問題があり、地盤に不安のある区間に市電を走らせないという市と新京阪の「密約」があったとも伝えられる。
 こうして市は市電の四条通延長を中断し、大宮から西大路までの四条通約1.5`をトロリーバス営業路線に決め、32(昭和7)年4月1日から運行を始めた。
 英国製で目新しい車両は人気を集め、初日の乗客数は1万人近くになった。すぐに市民の足として定着したトロリーバスだったが、時にはポールが架線から外れることもあった。右京区西院日照の小笹泰男さん(67)は「西院の停留所でUターンする際、ポールが外れてね。車掌が降りて、竹ざおを使って直すんだが、下手だなと子ども心に思った」と覚えている。
 62年までに2回の路線延長があり、営業距離は全長約5.2`になった。だが、戦後にバスが一般化していくなかで廃止が決まった。69年9月30日夜、雨の中を花飾りされた車両が終点の松尾橋に到着し、導入当時「市電の英断」といわれたトロリーバスの最後の運行となった。
 トロリーバスがポールを外すたびに停車しながらのんびり走った四条通は、30年後の現在、ラッシュ時には渋滞も起こる道路となっている。(京都新聞)
■運転間隔を短縮 地下鉄東西線、来春から
 地下鉄烏丸線との乗り継ぎに要する待ち時間が長いと指摘されていた東西線の平日昼間の運転間隔が、来春から現在の10分から7分半に短縮される。28日開かれた京都市議会公営企業決算特別委員会で明らかにされた。烏丸御池駅で最長10分間待たされていた乗り継ぎ時間が6分になる見込みだ。また、京都市役所前駅での東西線と京阪京津線との乗り継ぎ時間も、最長13分を10分にする。
 運転手の人件費増などで年間約7000万円の経費がかかるという。(朝日新聞)
■モノレールで天橋立展望を
 天橋立を南の展望台から一望できる宮津市文珠の天橋立ビューランドに28日、2両編成のモノレールが完成し、運転を始めた。これまでのリフトの横に併設され、9人乗りの2台連結で、標高約130bの展望台まで400bの距離を片道8分で結ぶ。
 展望台施設やリフトを経営する天橋立総合事業(幾世實社長)が開設30周年事業として建設した。年間約15万人が利用する1人掛けリフトでは、お年寄けや幼児連れが利用しにくかった。モノレールには車いすでも乗れる。総事業費は約1億5000万円。(朝日新聞)
■山陽新幹線保守車追突 「ブレーキ緩めた」 運転手、ミス認める供述
 神戸市西区の山陽新幹線新神戸−西明石駅間の上り線で27日、保守点検車両同士が追突して一時不通になった事故で、追突した保守車の運転手(63)は兵庫県警の調べに対し「ブレーキをかけたが、途中で緩めてしまった」などと運転ミスを認める供述をしていることが29日、わかった。車両には速度を記録するタコメーターが設置されており、県警は当時のデータを解析して裏付けを進める。
 調べによると、車両のブレーキは手動で、運転手は前方で停止していた保守点検車両の約300b手前でブレーキをかけ始めたが、車両が接近する間に数回、ブレーキを緩めたという。県警は、車間距離を見誤ったりブレーキの制動距離を誤ったりするミスがあったとみて調べている。(朝日新聞 夕刊)
30日■下関駅に通り魔、3人死亡 JRコンコース、12人重軽傷 車で突っ込み次々刺す 35歳の包丁男逮捕「社会に不満あった」
 29日午後4時15分ごろ、山口県下関市竹崎町四丁目のJR下関駅東口で、乗用車が7人をはねながら駅1階コンコースに猛スピードで突っ込んだ。運転していた男が車から降り、包丁(刃渡り約18a)を振り回し、近くにいた乗客ら8人を次々に刺した。胸や肩などを刺された無職衛藤和行さん(79)=山口県豊北町神田、無職高橋治恵さん(69)=同県豊浦町宇賀=と、車にはねられた無職松尾瑞代さん(58)=北九州市八幡西区木屋瀬=の3人が間もなく死亡、1人が重体となり2人が重傷、9人が軽傷を負った。
 駆け付けた山口県警鉄道警察隊員が殺人未遂の現行犯で同県豊浦町厚母郷、運送業上部康明(うわべ・やすあき)容疑者(35)を逮捕した。
 下関署捜査本部の調べに対し「何をやってもうまくいかない。社会に不満があったから、人を殺すために包丁で刺した」などと供述しているという。捜査本部は殺人容疑に切り替え詳しい動機などを追及する。
 調べでは、上部容疑者は同日昼ごろ、下関駅前で借り出したレンタカーの乗用車で突っ込み、同駅東口入り口のガラス扉を破って構内に侵入、フロント部にはねた松尾さんらを乗せたまま約30b走り、改札口前で止まった。2階のプラットホームに駆け上がり、持っていた包丁を振り回して高橋さんらを刺した。下関駅はパニック状態になり、居合わせて驚いた妊娠している主婦2人が転倒する騒ぎになった。
 駅構内にある洋品店の女性店員は−『ギャー』という叫び声が聞こえ、車が人をなぎ倒しながら駅に入ってくるのが見えた。刺された女の人が頭にタオルを巻き、血をしたたらせていた」と興奮した様子で話した。
 事件でJR山陰本線など計10本の電車が遅れる影響が出た。
 上部容疑者は山口県立豊浦高校から九州大工学部建築学科に進み、1987年に卒業。福岡市内の設計事務所に就職したが退職、その後、運送業をしていたという。
・池袋の事件を模倣
 福島章・上智大教授(精神医学)の話 今回の殺傷事件は、東京・池袋の事件が一つの刺激となった模倣犯と言える。衝動のコントロールがうまくできない人が確実に増えており、子供なら学級崩壊や校内暴力を、大人になると通り魔やハイジャックを起こすことになる。(京都新聞)
■下関の通り魔 悲鳴あげ逃げ惑う乗客 笑いながら 次々と人はねた 包丁かざし襲う 恐怖の目撃者
 白い乗用車がガラスを破って駅の通路に突っ込み、車から降りた上部康明察疑者(35)が叫びながら包丁を振り回して周囲の人たちを次々と襲う。悲鳴を上げ血を流しながら逃げ惑う乗客ら。29日、山口県下関市のJR下関駅で起きた無差別役傷事件は男女3人が死亡するなど、混雑する駅構内を大混乱に陥れた。
 猛スピードで車を蛇行させながら通行人を次々にはねると、上部容疑者は包丁を振りかざして周囲の女性やお年寄りに次々に襲い掛かった。頭や口から血を流して倒れる人、車の下敷きになったまま動かない人。通勤、通学のラッシュでごった返すJR下関駅は29日、逃げ惑う人々で大混乱に陥った。
 アルバイトの女性(18)は「ゆっくり蛇行しながら走っていた車が歩道に乗り上げたと思ったら、急にハンドルを切って駅の構内に突っ込んできた。びっくりして運転席を見たら、男が笑いながら運転していた」と青ざめた表情。上部容疑者の車はそのまま若い男女2人をはね、さらに通行人を狙うようにハンドルを切りながら、男女のお年寄り2人をはねたという。
 別の女性(25)は「車が駅の構内に止まっているので驚いていたら、車体の下に挟まれるように男性が倒れていた。駅の事務所に逃げ込んだら、頭から血を流してタオルを巻いている人がいた。駅構内は逃げ惑う人で大混乱だった」と話した。
 帰宅途中、事件に遭った女子高校生(18)は「いつも利用するホームに立っていたら、『逃げろ!』という大声が聞こえた。びっくりして声のする方を見ると、階段のあたりで女の人やおじいさんが折り重なるように倒れていた。口から血を流している人もいた。本当に怖かった」と声を震わせた。
・「きまじめ、優秀」 上部容疑者の同級生ら
 山口県下関市のJR下関駅で起きた無差別殺傷事件で29日、逮捕された上部康明容疑者(35)は1982年、下関市内の県立豊浦高校を卒業し、九州大工学部に進学。一時福岡市内の建築設計事務所に勤めていた。高校時代の同級生らは「もの静かで優秀な男。こんな凶悪な事件を起こすなんて考えられない」と一様に驚いている。
 同級生らによると、上部容疑者は大勢で騒ぐことは少なく、まじめでおとなしいタイプ。中学時代からバスケットボールをやっており、高絞時代にも入部したが、1、2日でやめた。成績は上位で、2年生から理系クラスに移り、当時は医者を目指していたという。
 大学の同級生は「きまじめなタイプ。5年前に会った時もまじめに働いているようだった。仕事が変わったとは聞いていたが、5年前から音信不通だった」と話した。
 上部容疑者が福岡市で住んでいたマンションの住民らの話では、同容疑者は自宅玄関に設計事務所の看板を掲げて仕事をしていたが、7年前に転居した。
 近所の人によると、当時は妻と2人暮らしで、金のことをめぐって夫婦げんかをする声がしばしば外まで聞こえていたという。ある住民は「仕事がうまくいかず、マンションのローンが払えなくなって引っ越した、と聞いた。奥さんはよく見かけたが、本人はいつも自宅にいたようで会ったことがない」と話していた。(京都新聞)
■車で駅暴走、包丁で刺す 3人死亡 12人負傷 下関 35歳容疑者逮捕
 29日午後4時25分ごろ、山口県下関市竹崎町のJR下関駅構内に男の乗った乗用車が突っ込み、7人を次々とはねた。男は車から降りて改札口からホームに駆け上がり、持っていた包丁で乗客ら8人に次々と切りつけた。3人が死亡、1人が意識不明の重体、11人が重軽傷を負い、市内の病院に運ばれた。男は駆け付けた県警鉄道警察隊員に殺人未遂の疑いで現行犯逮捕された。
 逮捕されたのは山口県豊浦町厚母郷、運送業上部康明容疑者(35)。
 死亡したのは、同県豊北町の衛藤和行さん(79)、同県豊浦町の高橋治恵さん(69)、北九州市八幡西区の松尾瑞代さん(58)。意識不明の重体は、高橋さんの娘の美恵さん(43)。
 調べでは、車は駅東口の歩道に乗り上げ、4人をはねてから、猛スピードで駅舎玄関のガラス製のドアを突き破って駅構内に入り込み、歩いていた3人を次々にはねた。上部容疑者はボンネットの上にはねあげた人を乗せたまま、改札口近くまでの約100bを暴走。車から降りると、文化包丁(刃渡り約18a)を持って改札口に入り、階段で1人、ホーム上で7人の乗客に切りつけた。上部容疑者は駆け付けた鉄道警察隊員3人に取り押さえられ、その場で包丁も押収された。
 松尾さんは東口玄関近くを歩いていてはねられ、全身打撲で死亡。衛藤さんは妻の吉子さん(74)とホームを歩いていて左胸を刺されて亡くなった。高橋さんも美恵さんとホームにいて右胸や肩などを刺された。
 上部容疑者は調べに対し、興奮しているものの受け答えはきちんとしており、「何をしてもうまくいかない。社会に不満があった。だれでもいいから殺してやろうと思った」などと供述しているという。
 駅に突っ込んだ乗用車はレンタカー。上部容疑者はこの日昼ごろ、下関駅近くのレンタカー店に電話で予約を入れ、午後1時過ぎに軽自動車で訪れ、借りていた。
 駅前はデパートの下関大丸やダイエー下関店など商業施設があり、市内で一番の繁華街。ダイエーの優勝記念セールで、事件当時は買い物客や学校帰りの高校生などでごった返していた。(朝日新聞)
■コンクリ劣化 新装置で検査 JR西日本が試験
 山陽新幹線の高架橋やトンネルからコンクリートが相次いで落下した問題で、JR西日本は29日、赤外線カメラや音波などを利用してコンクリート内の劣化状況などを調べる検査装置について、兵庫県加古川市内の高架橋で現地試験を公開した。従来のハンマーでたたいて音を聞き分ける打音検査と併用し、今年度内の実用化を目指している。(朝日新聞)
■逃げる人、容赦なく 下関駅通り魔殺傷 構内に血痕・悲鳴… 「容疑者、車内で笑み」
 無防備な市民がまた、突然の凶行に襲われた。29日、山口県下関市のJR下関駅構内で起きた通り魔事件は、3人が死亡し、12人が重軽傷を負った。逮捕された上部康明容疑者(35)は乗用車で構内に突っ込み、通行人を次々にはねた後、包丁を振りかざしながら電車待ちの客らの胸やわきを刺した。飛び交う悲鳴と怒号。「社会に不満があった」と上部容疑者は動機を供述している。惨劇を目の当たりにした人々に言い知れぬ怒りがこみ上げた。
 目撃者の話で、犯行の様子を再現すると−。
 ●コンコース
 上部容疑者が運転する白いレンタカーは、歩道を蛇行しながら駅構内に向かって走ってきた。ボンネットの上には、はねられた男性が乗っている。駅の入り口付近にいた人たちが悲鳴を上げた。あわてて構内に逃げる人たちを追うように、車はスピードを上げ、さらに2、3人をはねた。「男が車内で笑っているようにみえた」と複数の人が言った。
 ●ホーム
 車から飛び出した上部容疑者は、包丁をふりかざしながら改札口を抜け、正面の階段を駆け上がった。途中にいた男性が刺された。上部容疑者はホームに上がる。女子高生たちが悲鳴をあげ、ホームの端の方に走って逃げた。上部容疑者は逃げ遅れたお年寄りたちを次々に襲った。中年の女性は足がもつれて転んだ。連れの若い女性が引きずって逃げようとしたが、追いつかれ、背中を立て続けに刺された。ホームの売店の横でも男性が血を流して倒れた。動かなかった。
 棒のようなものを持った駅員や鉄道警察隊員らに追われた上部容疑者は、ホームの中央付近でUターンし、追跡をかわそうとした。だが、最後は駆けつけた警察官に抵抗せずに捕まった。警察官に両わきを抱えられて改札口を出るとき、顔は隠さなかった。
■過去の通り魔による死傷事件■
1985・9・19下関市の団地で日本刀を持った男が住民らに切りつけ、11人が死傷
88・1・15大阪市の地下鉄中央線谷町4丁目駅で、女子短大生が刃物で刺され死亡
91・9・30福岡市のJR香椎線ガード下で主婦2人が刺され死傷
93・2・20愛知県知立市の市道で、主婦が男にすれ違いざまに背中を刺され、数日後に死亡
96・6・兵庫県明石市の歩道で、男が通行人2人を刺し、調理師が死亡
96・7・北九州市のJR小倉駅周辺で、通行人らがナイフを持った男に次々と襲われ、15人が重軽傷
97・3・16神戸市須磨区で小学生2人が相次いで襲われ、1人が1週間後に死亡
97・4・大阪市の路上で、登校中の小3女児が近くに住む男に刺され死亡
98・1・大阪府堺市の路上で、幼稚園児と母親ら3人が少年に刺され、園児が死亡
98・1・29広島県庄原市の路上で、小学6年の男児が下校途中に男に刃物で首を刺され死亡。助けようとした看護婦もけが。男は自殺を図り死亡
99・9・東京都豊島区東池袋の路上で、通行人が包丁と金づちを持った男に次々と襲われ、2人が死亡、6人が重軽傷
 ●切符売り場
 切符売り場前では、車にはねられたお年寄りが倒れ、止まった車の下には男性が下敷きになっていた。
 駅前のタクシー乗り場から切符売り場に駆け付けたタクシー運転手は、ほかの運転手と一緒に車を持ち上げ、血まみれの男性を助け出した。頭から血を流した女性がベンチに横たわり、おばあさんがうつぶせに倒れていた。運転手は「近くの店員らが駆け寄って『大丈夫ですか』とおばあさんに声をかけたが、全く動かなかった」と話した。
 ホームでけがをした人たちは血まみれになって次々と救急隊員に担架で運ばれていく。駅の入り口周辺には割れたガラス片が散乱。改札口から階段、ホームにかけて血痕が点々と続いていた。襲われた買い物客が逃げる途中に捨てたのか、卵が割れて残っていた。
 下関署によると、上部容疑者は昨年3月下旬から、下関市内の病院の精神科に通院。犯行前日の28日も診察を受け、薬を処方されたという。
 通り魔事件の被害者(敬称略)
 【死亡】衛藤和行(79)=豊北町神田、無職、左胸を刺される▽高橋治恵(69)=豊浦町宇賀、無職、右胸などを刺される(以上山口県)
 松尾瑞代(58)=北九州市八幡西区木尾瀬五丁目、無職、車にはねられ全身打撲
 【けが】木下利明(55)=豊北町神田上、船員、左頭部を切られる▽松並梨恵(15)=下関市安岡本町三丁目、中学3年、額を切られる▽山藤正子(50)=下関市竹崎町三丁目、無職、車にはねられ左側頭部にけが▽高橋美恵(43)=豊浦町宇賀、刺されて意識不明▽衛藤吉子(74)=豊北町神田、無職、右胸などを刺される▽谷口まみ(16)=下関市安岡駅前二丁目、高校1年、車にはねられ打撲▽寄本正人(60)=菊川町田部、車にはねられ打撲▽永藤登(68)=油谷町新別名、左顔面を刺される▽西昭男(41)=下関市蓋井島、漁業、はねられ打撲(以上山口県)
 宮崎輝雄(80)=北九州市八幡西区陣原三丁目、質店経営、車にはねられ頭部負傷▽成政覚(50)=福岡県中間市通谷四丁目、会社員、左ほおを切られる▽坂元博司(41)=福岡市東区美和台二丁目、会社員、はねられ打撲(下関署調べ)(朝日新聞)
■多機能型ATM コンビニに導入 JR西日本 あすから大阪府内で
 JR西日本は10月1日から、系列のコンビニエンスストアに、通信販売の注文や公共料金の支払い、チケット購入なども1台で対応できる「多機能型の現金自動預入払出機(ATM)」の導入に踏み切る。西梅田、高槻など大阪府内の4店に、試験的に設置するのを皮切りにして順次増やし、来年春には京阪神地区の約50店に広げる計画。コンビニチェーンへのATM導入は、大手都銀が積極的に進めているが、多機能型ATMの導入はほとんど例がないという。
 JR西日本系列のコンビニ「ハート・イン」は、同社の子会社、ジェイアール西日本リーテックス(本社・大阪市)が運営しており、近畿、北陸地域を中心に計98店を展開。大半がJR駅構内にあることから、多機能型ATMの導入によって通勤、通学客の利便性を高めれば、集客力アップにもつながるとみた。
 多機能型ATMは、綜合警備保障と沖電気工業が共同開発した。高さが約160a、幅が約90a、奥行き60a。画面を手で触れながら操作する。(朝日新聞)
■イノシシはね電車30分停車 阪急神戸線
 29日午後7時45分ごろ、神戸市東灘区住吉本町三丁目、阪急電鉄の有馬道西踏切付近で、三宮発西宮北口行き普通電車(8両編成、乗客約300人)が線路を横断していたイノシシをはねた。この事故で、同電車は約33分間、現場に停車し、後続の新開地発梅田行き特急電車に最高で約30分の遅れが出たほか、普通、急行、特急合わせて24本、約9100人に影響が出た。(朝日新聞)
■地下鉄サリン 横山被告に死刑求刑 東京地裁 12人殺害 共謀認定 死者なし「過大視できず」
 死者12人を出した地下鉄サリン事件の実行犯として殺人、殺人未遂罪と、武器等製造法違反の罪に問われたオウム真理教幹部の横山真人被告(35)の判決公判が30日、東京地裁で開かれ、山崎学裁判長は「教団の利益のため手段を選ばぬ狂信的かつ独善的な犯行で、社会株序に対する無謀な挑戦」として求刑通り死刑を言い渡した。
 地下鉄事件で初の死刑判決。教団による一連の事件では、坂本堤弁護士一家殺害事件の殺人罪などに問われた岡崎一明被告(38)=控訴中=に次いで2人目。弁護側は「不当な判決」としており、控訴するとみられる。
 判決理由で山崎裁判長は、弁護側が前面に据えた@サリンの致死性を知らず殺意はなく、他の実行犯らとの共謀もないA横山被告がサリンをまいた丸ノ内線電車で死者は出ていないとの主張に対し、犯行の状況などからまず殺意と共謀を認定。
判決骨子
一、被告は死刑
一、サリンの毒性の知識と殺意はあった
一、マインドコントロール下の能力の減退は認められない
一、被告がサリンをまいた電車で死者は出なかったが、事件全体に責任がある
 共犯者と同様に12人殺害を含む事件の結果全体に同じ責任を負うべきだとした上で「他の電車と比べて被害が軽かったことは量刑判断上、一定限度で有利に斟酌(しんしゃく)すべきだが、過大視はできない。事件の結果全体を考慮した量刑は不合理ではない」と述べた。
 地下鉄事件の実行犯5人のうち、元幹部の林郁夫受刑者(52)は、自白による「自首」の成立などが認められ、無期懲役の判決を受けている。
 また判決は、警察の強制捜査を阻止するために松本智津夫被告(44)=教祖名麻原彰晃=がサリン製造を指示したとした。
 「マインドコントロール下で心神喪失状態だった」などの弁護側主張についても「犯行前後に冷静かつ目的に沿った行動をとっている」と退けた。
 判決によると、横山被告は松本被告らと共謀し1995年3月20日、東京都内の地下鉄でサリンをまき、乗客ら12人を殺害、多数に重軽症を負わせた。
 また、93年3月から、総括責任者として、自動小銃AK74密造を指揮した。
・オウム対策の特別立法急ぐ 野中長官
 野中広務官房長官は30日午前の記者会見で、オウム真理教が教団の対外的な活動の全面休止などを発表したことについて「地下鉄サリン事件をはじめとする組織的な事件の後も謝罪、反省を表明せず、危険な体質は変わっていないという疑いは払しょくできない」との認識を表明した。
 また「教団施設周辺住民は依然として強い不安を感じており、われわれもその不安を共通の認識として持っている」と指摘。「(オウム対策の)法案作成を実施し、早い機会に国会の審議を得られるようにやっていきたい」と述べ、オウム真理教対策のための特別立法を急ぐ考えをあらためて示した。(京都新聞 夕刊)
■地下鉄サリン 横山被告の心血要旨
 東京地裁で30日言い渡された地下鉄サリン事件の横山真人被告の判決要旨は次の通り。(呼称、敬称略)
 【オウム教団によるサリンの生成】
 (略)
 【犯行に至る経緯】
 松本智津夫は、村井秀夫、井上嘉浩らと警察の強制捜査を阻止する方策について話し合い、村井から地下鉄にサリンをまくことが提案され、計画を実行するよう命じた。
 【罪となるべき事実】
 (略)
 【地下鉄サリン事件】
 一、自白調書の任意性 弁護人は、被告が警察官から暴行を受け自白調書は、任意性を欠き、証拠能力がないと主張する。
 しかし、被告が取り調べ警察官から暴行を受けた事実は認められず、弁護人の主張は採用できない。
 一、殺意の存否
 弁護人は被告がサリン散布によって人を死亡させるとの認識はなく、殺意はなかったと主張。
 しかし、殺意の点の被告の自白は、内容が具体的で、殺意やサリンの毒性に対する認識を肯定できる。
 被告の自白は、本人でしか言い表せないその時々の感情を交えた迫真性を備えている。
 サリンの毒性と殺意を認めた被告の自白調書は十分に信用でき不特定多数の乗客らに対する殺意を有していたことが認められる。
 一、マインドコントロールの影響
 弁護人は各犯行は、マインドコントロール下で、被告は心神喪失または心神耗弱の状態にあったなどと主張する。
 しかしながら、地下鉄サリン事件で被告は、サリン入りの袋を突く前に「できればサリンをまかなくてすむ方法はないだろうか。このまま逃げ出したいという思いになった」とか「自分に最も近い座席に座って下を向いて眠っている女性が気掛かりだった。当然、巻き添えになって死んでしまうと思うと、言いようのないつらさを感じた」とか、人間として当然ともいえる疑問の念や感情を抱いたことを吐露している。
 これは、松本の単に手足となっているにすぎないという領域を超え、被告が固有の意思や思考を有していた証左というべきである。
 被告は犯行の一連の流れの中で自分が被害を受けないように息を止めてサリンの袋を突き、直ちに抜かずに突き刺したまま四ッ谷駅に到着するのを待つなどの冷静な行動をとっている。
 さらに、犯行の動機も強制捜査の阻止による教団の組織防衝と松本の指示を絶対視したという、了解可能なものである。被告は犯行当時、自己の行為が犯罪行為に当たることは十分に理解していたと認めている。
 被告は行為の善悪を判断する能力を欠き、あるいは著しく減退していなかったと認められる。
 【量刑の理由】
 被告は、松本の指示を絶対視して、サリン散布の実行役になったもので、動機は、教団の利益のためならば手段を選ばず、他人の尊い生命に一顧だにしないという狂信的かつ独善的なものだ。
 地下鉄車内で、同時多発的に実行された無差別テロであり、犯罪史上類を見ない卑劣かつ残虐な犯行。
 被告は地下鉄サリン事件の共謀に加わり、実行役として丸ノ内線の電車内にサリンを発散させただけでなく、散布方法を試行するなど犯行の完遂に寄与した。
 被告は、犯行後、松本に報告、死者のめい福を祈るつもりでマントラを唱えたというが独善的であり「ポアされてよかった」などという一節は、被害者を愚ろうするものである。
 一、マインドコントロールで、被告が松本や村井から犯行を指示された際に抵抗することは心理的に困難であったことは否めない。
 しかし、松本が説く教義や修行の内容は、およそ荒唐無稽(むけい)で、通常人であれば松本やオウム教団の欺まん性・反社会性を看破することができたというべきだ。
 一、丸ノ内線車内の被害結果は、相対的に軽度であったことは事実だが、結果全体を考慮に入れて刑の量定をしても、何ら不合理ではない。
 地下鉄サリン事件は極めて計画的、組織的犯行で、被告は自らの役割を十分に理解した上で組織的犯行の一翼を担っている。
 一、被告は事件の全貌(ぜんぼう)と被害の悲惨さを目の当たりにしたにもかかわらず、いまだオウム教団を脱会せず、松本に対する帰依の念を捨てきれない様子がうかがえる。被告の反省悔悟の念は、到底真しなものといえず、不利益な事情と評価せざるを得ない。
 一、被告はオウム真理教犯罪被害者支援基金に三百万円を寄付し、地下鉄サリン事件被害者弁護団に被害者への謝罪と被害弁償を申し入れている。
 これらを最大限にしん酌した上、被告が松本の指示に抗することは心理的に困難であったこと、被告の担当路線においては死亡者が出ていないことを許される限度で考慮しても、被告人には死刑をもって臨まざるを得ないと考える。(京都新聞 夕刊)
■無念の遺族「極刑当然」 オウム横山被告に死刑判決 「覚悟てできている」うつむき、無表情に
 通勤客を無差別に狙い、12人の命を奪った地下鉄サリン事件から4年半。実行役として初めて死刑を求刑されたオウム真理教「科学技術省次官」横山真人被告(35)に30日、求刑通り死刑判決が下された。「教祖」に変わらぬ帰依を続け、法廷でも口を閉ざしたまま。「謝罪もなく、死刑は当然」。犠牲者の遺族や、いまだに後遺症が残る被害者の言葉は重い。法廷で「刑罰を受け入れる覚悟はできています」と語った横山被告。量刑を言い渡す主文は後回しに。裁判長の異例の通告に、法廷は緊張に包まれた。
 「被告人を死刑に処する」。首都を混乱と恐怖に陥れた地下鉄サリン事件から4年半、ようやく「事件の検証と見解を今後表明する」とオウム真理教が記者会見した翌日の30日、東京地裁で幹部横山真人被告(35)にサリン事件初の死刑判決が言い渡された。
 「犯罪史上で類を見ない卑劣かつ残虐な犯行」と断じる山崎学裁判長の判決理由を、紺のスーツ姿でうつむきがちに聞き、主文言い渡しの瞬間も無表情の横山被告。最後に裁判官席に向かい軽く一礼した後、ゆっくりとした足取りで法廷を後にした。
 公判では、横山被告は黙り込む場面が多かった。事件に関与した理由を問われても「ずっと考え続けているが、なぜこんなことになったのか分からない」。
 業を煮やした裁判長が「事件から、だいぶたつのに、まだ分からないのか」と声を荒らげたことも。
 横山被告をよく知る関係者は「純粋な性格。教団に徐々に疑問を感じながら逮捕の日を迎えた他の多くの被告とは違い、まっしぐらに突き進んで突然逮捕され、思考が停止してしまった」と話す。
 大学の工学部を出て電線会社に勤めていた1989年5月「尊師(松本智津夫被告)の勧めと自らの確信」に基づき出家。自身のさまざまな”負”の部分を削り落とし、人間本来の純粋な姿を目指したかったという。
 93年、自動小銃密造の総括責任者に指名され、250人の信者を集めた「科学技術省」の次官に。部品製造に没頭、睡眠も食事も削り、やせ細っていった。95年3月18日、地下鉄にサリンをまく計画の実行を命じられる。「頭が真っ白になり何も考えられなかった」という横山被告。判決前、接見に訪れた弁護士に「覚悟はできています」とつぶやいた。
・悔しさいっぱい 被害者遺族の高橋さん
 地下鉄サリン事件で亡くなった営団地下鉄職員高橋一正さん=当時(50)=の妻シズエさん(52)は30日、東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見し、オウム真理教幹部横山真人被告(35)に対する死刑判決について「主人の命を奪ったのだから死刑は当然と思う」などと述べた。
 横山被告の判決を傍聴したシズエさんは「判決を聞き主人の無念さを思い出した。今も被害に苦しんでいる人がおり、悔しい思いでいっぱいです」と声を詰まらせた。
・松本被告にも極刑の予想
 板倉宏・日大法学部教授(刑法)の話 横山被告の乗っていた電車では死者が出ていなかったが、それにもかかわらず厳しい死刑判断が出たことで、死者の出た他の3人の実行犯、指示した松本智津夫被告にも極刑が予想される。オウム真理教が組織的に行った大量無差別殺人が明らかになったということ。オウム側は判決を真摯(しんし)に受け止めて、謝罪すべきだ。また、さまざまな問題を含みながらもオウム新法制定に弾みがつくだろう。(京都新聞 夕刊)
■下関の無差別殺傷 包丁「犯行のため購入」 上部容疑者自宅を捜索 「悪いことをした」
 3人が死亡、12人が重軽傷を負ったJR下関駅の無差別殺傷事件で、山口県警下関署捜査本部が逮捕した同県豊浦町厚母郷、運送業上部康明容疑者(35)は犯行前から「高学歴なのに仕事がない」などと不満を漏らしていたことが30日、関係者の話で分かった。
 捜査本部は、社会に対する不満や対人関係のトラブルなどが犯行のきっかけになった可能性もあるとみて、動機や計画性などについて本格的な取り調べを開始。同日早朝、自宅や所有していた軽トラックなどを家宅捜索して、関係資料を押収した。
 関係者によると、上部容疑者は九州大を卒業後、1989年から福岡市内の設計事務所に勤務したが「対人関係がうまくいかない」として退職。その後、自分で開いた設計事務所の経営にも失敗し、ことし1月に運送業を始めた際には「人に会わなくて済むから」と話していたという。
 上部容疑者は調べには、落ち着いて応じ「包丁は犯行のために買った。けがをした人や死んだ人には悪いことをしたと思うし、かわいそうだと思う」と反省の様子を見せているという。
 上部容疑者は食事や睡眠を普通にとり、これまでに「だれでもいいから殺してやろうと思った」などと供述している。
 同日までの調べで、上部容疑者が最近、月に数回、下関市内の民間病院に通院。犯行前日の28日にも病院に行っていたことが分かっており、捜査本部は同容疑者の精神状態についても慎重に調べを進める。(京都新聞 夕刊)
■荷台の重機 架道橋に接触 信楽高原鉄道が不通
 30日午前1時ごろ、滋賀県甲賀郡水口町牛飼の県道で、名古屋市中川区、駒谷運送の大型トラック=種村弘運転手(37)=が、信楽高原鉄道の架道橋(高さ制限4.2b)をくぐり抜ける際、積んでいた重機が架道橋と接触、衝撃でレールが数aずれた。
 この事故のため、同鉄道は始発から、貴生川−信楽駅間の全線で運休、復旧作業を行うとともに、バスによる乗客の代替輸送を行っている。午前11時半現在、学生や団体客ら約700人に影響が出ている。午後1時21分信楽発から運転を再開する見通し。
 水口署の調べでは、トラックの積み荷の高さは約4.25bで、種村運転手が判断を誤ったとみて、調べている。(京都新聞 夕刊)