1999(平成11)年 8月


1日■北陸新幹線 「小浜回り、困難か」 自民・森氏表明 経費がネックに(京都)
  ■ごくろうさん 初代新幹線 丸顔にファン名残 臨時列車 京都駅でもカメラの列(京都)
2日■市バスで環境保護訴え サミット控えて 小中生の標語掲げ 中京で出発(京都)
  ■JR技術者が87年に論文 山陽新幹線 高架橋コンクリ 高濃度塩分検出 旧国鉄の施工目標値の最高10倍 「海砂で腐食加速」(京都)
  ■ホームから女性転落 両足ひかれ重体 阪急烏丸駅(京都)
  ■転落の女性死亡(京都)
  ■インド列車爆発、50人死亡(朝日)
3日■インド列車事故 死者500人以上 救出手間どる 駅で正面衝突(京都)
  ■注目集める 自転車持込み乗車 三重や島根の鉄道 温暖化防止追い(京都)
  ■高速バスの「駅」整備へ 地域活性化で建設省(京都)
  ■既存鉄道利用促進など確認 びわこ京阪奈線鉄道建設期成同盟会総会(京都)
  ■列車衝突、250遺体収容 インド東部 爆発を訂正(朝日)
  ■列車衝突 急行同士、信号ミス? インド鉄道史上最悪(朝日)
  ■TBS社員またも逮捕 JR車内で痴漢容疑(朝日)
  ■あまから手帖元編集長死亡 京都で電車にひかれる(朝日)
  ■車いす男性 「駅エレベーターに2時間放置」 阪急電鉄を提訴(朝日)
  ■2000年問題 混乱防止へ JR東日本 年越し列車 最寄り駅に一時停止 外部から影響心配 自社対応済み(京都)
  ■車いす、エレベーターに2時間 駅員ミスで「恐怖感」 阪急電鉄に賠償請求(京都)
  ■未着工区間の予算要求せず 整備新幹線で運輪相(朝日)
  ■信号ケーブル 草刈りで切断 JR和歌山線止まる(朝日)
4日■市バス急停車3人けが 追突避け満員、将棋倒し(京都)
  ■クレーン接触 山陰線乱れる JR立木駅構内(京都)
  ■トンネル9ヵ所異常音 JR東日本 施工不良部252ヵ所(朝日)
  ■JR西日本 飲食・物販1400店再編 整理統合進め管理一元化(朝日)
  ■声 190円の切符で5府県ぐるり 主婦 大森 栄(大阪市 71歳)(朝日)
  ■山陽新幹線 377ヵ所 JR西日本 トンネル補強工事終了 「10−20年はく落防止」(京都)
  ■JR西日本 トンネル「安全宣言」 山陽新幹線 補強工事終える(朝日)
  ■ドル箱路線 特急療法 JR西 トンネル補強 空との競争 お盆意識 根本原因、なお未解明(朝日)
  ■コンクリ劣化 点検回数増やす必要 第三者機関設け調査を(朝日)
  ■大阪の地下鉄 施工不良発見 「崩落の恐れなし」(朝日)
  ■「みんな真っ黒く炭のようにこげていました」被爆電車で体験を聞く 広島(朝日)
5日■バス利用促進狙い 京都市交通局 地域住民と対話 市民の声を反映(京都)
  ■嵯峨野線の1世紀写す 園部の写真グループが記念展 懐かしい駅やSLの雄姿も(京都)
  ■猛暑襲来 レールぐにゃ、水かけ調整 観測史上最高 函館33.6度 大阪36度(朝日)
  ■床下で異常音 山陽新幹線(朝日)
  ■山陽新幹線 高架橋劣化に新対策 コンクリート再アルカリ化(京都)
  ■JR新快速と トラック接触 明石の踏切で(朝日)
  ■見たい知りたい出会い隊 60年目に走る幻の鉄道 奈良県西吉野村 手作りミニトレインで夢へ一歩(朝日)
6日■8日に五山送り火鑑賞会の公開抽選会 京都駅ビル開発(京都)
  ■奔流 底流 鉄道事故の再発防げ 運輸省 調査検討会が来月発足 ”教訓”生かすシステム急務 経営合理化 監査のみ、不十分 コンクリ崩落は対象外(京都)
  ■取材ノートから 信楽高原鉄道 単年度赤字減ったが… 乗客減どう埋める(京都)
  ■北陸新幹線 JR西日本が譲歩 「全線同時」条件を緩和(朝日)
  ■「夏の熱闘列車・甲子園号」運行(朝日)
  ■声 妹が被爆した電車で行こう 広告製作業 久田哲己(大阪府豊中市 69歳)(朝日)
7日■地下鉄赤字289億円 京都市98年度公営企業決算 累積1000億円超す 市バス 乗客減響き19億円(京都)
  ■窓 京都駅ビルは私の心の駅舎 舞鶴市・堀田克治(農業・67)(京都)
  ■帰省ラッシュ開始 高速は渋滞、駅にぎわう(京都)
9日■700系で初トラブルか 新幹線名古屋駅で停電(京都)
  ■コンクリ構造物の安全性 診断技術を開発へ 来年度から建設省(京都)
  ■オピニオン解説 北陸新幹線 3ルート案、一長一短 調整続く敦賀−大阪間 現実模索の動き(京都)
10日■JR奈良線9本運休 宇治駅で信号故障(京都)
  ■非常ボタンで電車止める 中2「見たかった」と(京都)
11日■来年3月24日に判決 信楽高原鉄道事故(京都)
  ■JR西日本米子支社 検査切れ車両運行(京都)
  ■京都−園部 鉄道開通 100年 上 保津峡の谷あい縫う 長さ97bもの橋 周囲も驚く難工事(京都)
  ■京都駅のタクシー乗り入れ ナンバー規制 八条口は”無視” 運転手「不況下で生活かかっている」 京都市が管理 対抗策もなく 頼りはモラル(京都)
  ■来年3月24日 刑事裁判判決 信楽鉄道事故(朝日)
  ■京都駅ビル 街の魅力評価に温度差 京都大学経済学部生 住民や利用者調査(朝日)
  ■大雨、大阪で1600棟浸水 JR奈良線などで乱れる(京都)
  ■近畿で集中豪雨 各地で浸水 土砂崩れも 近鉄生駒線が不通(朝日)
  ■近畿集中豪雨 山崩れ・浸水・住民避難 天理 倒木、1000戸が停電(朝日)
  ■帰省や行楽 混雑始まる JR各線(朝日)
12日■沿線6ヵ所巡るスタンプラリー JR嵯峨野線100年記念 15日から(京都)
  ■個室の寝台特急 快走 くつろげるのが人気の秘密 連日のにぎわい JR2路線(京都)
  ■トンネル崩落 「当面は安全」 運輸省検討会初会合(京都)
  ■京都−園部 鉄道開通100年 中 待望の開業 沿線に見物人 再三、大洪水で不通に(京都)
  ■復旧には10日程度 近鉄生駒線(朝日)
  ■弱い部分、当初から 新幹線事故でJR総研報告 「施行状況調査を」(朝日)
  ■満席の列車「さあ乗るぞ」 お盆の帰省ラッシュピーク 切符や弁当に長い列 JR京都駅(京都)
13日■スーパーに駐車し 電車で通勤実験 大阪府が全国初(京都)
  ■京都−園部 鉄道開通 100年 下 複線化は沿線の悲願 京都−園部間 資金難が最大の悩み(京都)
  ■コンクリ塩分 濃度10倍超に 山陽新幹線(京都)
  ■科学 山陽新幹線のトンネル崩落 ずさんな施工 明らかに 問題多い高度成長期の建築 「高架橋もっと危険」 専門家指摘(京都)
14日■チャーター列車に男のロマンをかけ 自ら企画の思い出 冊子に 山科の佐竹さん 展望車の連結も 参加の乗客に配る計画(京都)
  ■タイムアングル ボギー車 揺れ少なく、倍の輸送量こなす(朝日)
  ■嵯峨野線開通100周年 記念入場券やイベント 15日から沿線の各駅で(朝日)
  ■偽5000円札見つかる 阪急三宮駅売店など(京都)
  ■駅などで6枚 ニセ5000円札 大阪・兵庫(朝日)
15日■市バス乗客 転倒し死亡 東山、停車の際(京都)
16日■山陽新幹線 13ヵ所亀裂 六甲トンネル外壁・橋りょうなど アルカリ骨材反応 内部から劣化 JR西日本、応急処置(朝日)
17日■高架橋コンクリ塩分濃度 94%で基準超す JR西日本 430ヵ所調査 鉄筋腐食も進行(京都)
  ■山陽新幹線 塩分量、9割で基準超す コンクリ内 高架橋401ヵ所で(朝日)
  ■男性客転落 のぞみ停止 JR広島駅(朝日)
  ■偽500円硬貨4枚 京都駅など みつかる(京都)
  ■近鉄生駒線 19日再開へ 土砂崩れで不通(朝日)
18日■トンネル壁崩落、鉄筋が腐食… 新幹線 揺らぐ安全神話 本数増 高速化 補強が課題(京都)
  ■空き看板 JRも泣く 不況直撃、めど立たず(京都)
  ■声 JRの対応に感じる冷たさ 訪問指導員 村津 登規子(京都府宇治市 43歳)(朝日)
  ■1時間遮断機下りっぱなし 泉南のJR阪和線(京都)
  ■中国・四国各地で大雨 広島 JR冠水、1万6000人影響(朝日)
19日■スルッとKANSAI 京都府内路線 10月から導入 京阪バス(京都)
  ■整備新幹線、前倒し論浮上 JR貨物、あおりで苦境 在来線は3セク化 大幅負担増は必至(朝日)
  ■声 広島を通って車内は無言に 無職 小野 欽也(埼玉県蓮田市 65歳)(朝日)
20日■高架橋など25ヵ所でアルカリ骨材反応 山陽新幹線 JR、既に補修(京都)
  ■2年連続で前年割れ お盆期間中のJR輸送実績 不況や大雨影響か(京都)
  ■山陽新幹線 亀裂さらに12ヵ所 アルカリ骨材反応 鉄筋さびた所も(朝日)
  ■お盆客2年連続滅 JR西日本(朝日)
21日■施工57社に質問書 JR西日本 コンクリ落下重視 当時の工事調査へ(京都)
  ■JR西日本 年越しも列年通り運転 社長会見 2000年問題トラプレ低い(京都)
  ■府南部で激しい雷雨 精華、山城民家9戸床下浸水 JR片町線 落雷で3時間不通(京都)
  ■新幹線雨でストップ 愛知県内 2時間余(京都)
  ■整備新幹線建設前倒し 連立与党協議会 路線別優先順位を確認(朝日)
  ■大規模補修に利用者負担も 山陽新幹線問題で社長(朝日)
  ■新年の瞬間、「西」は列車止めません 2000年間題、JR西日本社長 「東」には同調せず(朝日)
  ■JRが介護用品店 27日、大阪市に開設 ケアプラン作成も(朝日)
  ■東海道新幹線大雨で止まる 愛知で上下線2時間(朝日)
  ■ズーム 遊 続く線路で夢操作(京都)
  ■東京駅で「異臭」騒ぎ(京都)
22日■大雨で一時運転見合わせ 東海道新幹線(京都)
  ■ノンステップバスに補助 全国で500台増やす 運輸省方針(朝日)
23日■下車中に市バス発進女性けが 左京(京都)
  ■社説 路面電車は時代遅れじやない(京都)
  ■「のぞみ」車内 置引容疑逮捕 府警鉄警隊が警戒中(京都)
24日■まくら木から出火 南区の東海道線(京都)
  ■まくら木燃え 電車に遅れ 京都、JR東海道線(朝日)
  ■声 安全徹底こそ鉄道への信頼 高校教員 藤原 英信(神戸市 57歳)(朝日)
25日■世紀の面影 愛宕山鉄道開通 1929年 清滝川駅跡(京都市右京区嵯峨清滝町) 待望のケーブルに列(京都)
  ■北近畿タンゴ鉄道 族客3年連続ダウン 少ない家族連れやグループ 今夏の輸送まとめ(京都)
  ■女児の腕、戸袋に吸い込まれて軽傷 阪神電車(京都)
  ■リニア 来年度から5年間試験 耐久性など検証で(朝日)
  ■ふるさと鉄道の旅 1 JR可部線( 広島県) 清流列車 廃線の危機 「住民の足」満席 官民で存続要望(朝日)
  ■民家火災で阪急止まる 神戸・灘区(朝日)
26日■ふるさと鉄道の旅 2 JR山陰線 トイレなし 悩み切実 昔のままの「黄害」列車も(朝日)
  ■なぞを解く 事故や台風、「○○人の足に影響」 一体どうやって数えてるの? 滋賀県草津市の大学生 松原 哲雄さん(21)(朝日)
  ■ふらり ぶらり 海岸をトロッコ列車で行く(京都)
  ■細るレール 三セク鉄道 全国37社で黒字8社 本数増や特急の乗り入れ 自治体の積極支援がカギ(朝日)
27日■地下鉄東西線 二条駅以西に調査費 運輸省 概算要求に盛る(京都)
  ■満員電車内の携帯電話 「控えめ」から「ご遠慮」 JR西日本 行監曲要請でついにPR強化 心臓ペースメーカー誤作動に配慮(京都)
  ■遊園地事始め 橋爪紳也 32 郊外電車 都会から「島の楽園」へ(京都)
  ■山陽新幹線劣化コンクリ 半分は以前に補修 JR西日本 塩害対策へ(朝日)
  ■携帯電話 満員電車は「ご遠慮」に JR西日本車内放送(朝日)
  ■ふるさと鉄道の旅 3 有田鉄道(和歌山県) 日曜休業レールバス 寅さんも喜ぶ? 地域の足 安心感(朝日)
  ■JR西日本 「2000年危機」で誤作動想定 400駅、3000人参加し訓練(京都)
  ■市バス事故相次ぐ(京都)
  ■新幹線の制御 一時不能に 手動対応で混乱なし(京都)
  ■「その時、緊急停車」想定 JR西が総合訓練(朝日)
  ■東海道・山陽新幹線のCTC、システム 開業以来初の故障 運行支障なし(朝日)
28日■新幹線に「サイレンス・カー」 仮眠や読書ぐっと快適に JR西日本 試験導入へ(京都)
  ■特急がブレーキ故障 JR京都駅(京都)
  ■西舞鶴と綾部両駅 橋上駅舎オープン 来月25日(京都)
  ■バス6台自動縦列走行実験 トヨタの新交通システム「lMTS」 専用道に磁石埋め込み誘導(京都)
  ■安眠・読書 もう邪魔しません 車内放送など省略へ 山陽新幹線 10月に試行(朝日)
  ■京都市バス 追突や接触 下京で相次ぎ事故(朝日)
  ■ふるさと鉄道の旅 4 JR北陸線 3セク化へ課題多く 「新幹線」に期待と不安(朝日)
  ■38度線物語 朝鮮半島分断半世紀 5 幻の鉄道 復活は「北」しだい(朝日)
  ■定年わっはっは 10年かけSL模型作る(朝日)
29日■JR採用差別 「政治解決を」 国労大会運動方針(朝日)
  ■ふるさと鉄道の旅 5 土居靖範・立命大教授に聞く 自治体が総合政策を 国の財源地方に 運営はJRで一元化(朝日)
  ■声 JRと私鉄で対応なぜ違う 主婦 冨士 二三子(大阪市 82歳)(朝日)
  ■声 利用者の側に立ってほしい フリーター 住本 剛史(京都市 31歳)(朝日)
30日■首都圏で豪雨 交通乱れる(京都)
  ■コンクリートは大丈夫か 下 メンテナンス 「劣化の危険」に認識甘く(朝日)
  ■今日的遺跡探検 1997 タブレット 安全確かめ合う「通行手形」(朝日)
31日■京都観光バス 事業廃止を申請 経営再建断念 年内にも清算方針(京都)
  ■窓 路面電車 復活の是非(京都)
  ■予備費400億円、整備新幹線に 運輸省方針(朝日)
  ■すっきりせんなぁ(京都)
  ■デジタル情報 ゲット JR5駅キヨスクで 自販機あす登場(京都)



1日■北陸新幹線 「小浜回り、困難か」 自民・森氏表明 経費がネックに
 自民党の森喜朗幹事長は31日、北陸新幹線の建設促進を求め金沢市で開かれた石川県民総決起大会に出席し、福井県の敦賀以西のルート問題について「小浜回りのルートについては常識的に考えねばならないとの暗黙の了解を福井県知事からも得ており、小浜回りはなくなる可能性がある」と述べた。
 森幹事長は「小浜回りにすると、北陸新幹線に見積もった予算約3兆円のうち敦賀から大阪までに約1兆円かかるが、米原に結べば約6000億円も節約できる」などと説明。「米原回りか、湖西線を使って大阪まで行くのがいいという意見が全体的になっている」と述べた。
 このほか基本計画の見直しについて「金沢−南越間などを新規着工にしておかないと予算がついても手が付かない」と述べ、新スキーム案に認可申請中の区間の早期着工を入れる意向を示した。
 来年度の予算では「生活関連の公共事業枠を伸ばし、新幹線に予算が回るよう努力している」と報告した。(京都新聞)
■ごくろうさん 初代新幹線 丸顔にファン名残 臨時列車 京都駅でもカメラの列
 東海道新幹線の開業以来35年間、先頭の丸い顔で親しまれてきた「0(ゼロ)系」車両が9月に引退するのを前に、0系を使った臨時列車が31日、東京−新大阪間を走った。
 ひかり313号で、引退を惜しむ鉄道ファンらのためにJR東海が臨時運転を決めた。約1300の指定席は7月1日の販売開始15分ですべて売り切れたという。臨時列車は8月8日と同28日にも運転する。
 京都駅には午後2時6分、新幹線のりば13番線に到着した。ホームでは、カメラを手に待ち構えた鉄道ファンが大勢詰めかけ、引退間近の「0系」車両にシャッターを切った。1分後には京都駅を出発したが、ファンらは遠ざかる丸い顔を名残惜しそうに見送った。
 0系は東海道新幹線が開業した1964年に「ひかり」「こだま」として登場した初代の新幹線車両。現在は東京−新大阪間と東京−名古屋間をこだまとして各1往復しているが、老朽化に伴い9月18日の運転を最後に引退することが決まっている。JR西日本によると、新大阪−博多間の山陽新幹線では0系は2006年ごろまで走るという。(京都新聞)
2日■市バスで環境保護訴え サミット控えて 小中生の標語掲げ 中京で出発
 環境保護を呼びかける小・中学生の標語を掲載したバスが1日、京都市内をスタート。中京区の市交通局壬生操車場では、標語を考えた小・中学生らが、バスの発車を見送った。
 京都洛中ロータリークラブ(平井義久会長)が創立20周年を記念して、来月27日に環境子どもサミットを開くのを前に、環境保全の機運を盛り上げようと標語を募った。
 市内の85校から集まった1764点から最優秀賞など6点を選考。市バス187台の車体の側面に幅2b、高さ0.6bの看板で、今月末まで標語を掲示する。
 この日朝、最優秀作に選ばれた田中直美さん=尚徳中3年=、西山望実さん京都教育大付属桃山小6年、永井康平君=高倉小4年=が壬生操車場を訪れた。「これから2ヵ月間、京都の街中を環境保全のムードで包もう」との平井会長のあいさつとともに、自分たちの標語が掲示されたバスの出発を見送った。(京都新聞)
■JR技術者が87年に論文 山陽新幹線 高架橋コンクリ 高濃度塩分検出 旧国鉄の施工目標値の最高10倍 「海砂で腐食加速」
 コンクリート片落下事故が相次いだ山陽新幹線の高架橋について、JR西日本などの技術者が10年以上も前のコンクリートの塩分濃度測定で、旧国鉄が部内で定めた施工時目標値の最高約10倍もの数値を検出したという内容の論文を1987年に発表していたことが1日、明らかになった。
 塩分濃度が高いと内部の鉄筋がさびて体積が膨張、表面を覆うコンクリートに亀裂が入るなど劣化の恐れがある。
 山陽新幹線でも80年代からコンクリートの劣化が進んでおり、同論文は「海砂の塩分の影響で鉄筋腐食が加速された」と明記している。
 高度成長期の末期に建設された山陽新幹線は、良質な川砂の入手が困難だったことから高架橋やトンネルのコンクリートに東海道新幹線では使われなかった海砂が多用されたとされ、一部専門家は海砂使用による「塩害」の可能性を以前から指摘している。
 旧国鉄広島新幹線工事局発行の「工事誌」によると、コンクリート材料に使う砂(細骨材)の乾燥重量に対する塩化ナトリウムの割合を示す塩分濃度について、目標値を「0.01%以下」と規定。
 ところが同論文によると、山陽新幹線岡山保線所管内の高架橋の橋げた下部54ヵ所についてサンプル調査した結果、塩分濃度は表面からの深さ15aの所で平均0.059%、45aの所で平均0.099%、80aの所で平均0.087%と、目標値の約6−10倍に上った。
 JR西日本は「海砂の塩分が鉄筋腐食を加速させるのは事実だが、腐食の程度と塩分濃度の間に相関関係が認められず、塩分がコンクリート劣化の一次的要因とは考えていない」とした上で、「本来アルカリ性のコンクリートが空気中の二酸化炭素と反応してアルカリ性が低下する『中性化』が主因」としている。
 論文は、JR東日本と西日本両社の技術者の連名執筆で、日本コンクリート工学協会発行の87年の論文集に掲載された。
 JR西日本によると、山陽新幹線高架橋では96年度以降だけで47件のコンクリート片落下が発生している。(京都新聞)
■ホームから女性転落 両足ひかれ重体 阪急烏丸駅
 1日午後11時5分ごろ、京都市下京区四条通烏丸の阪急電鉄烏丸駅で、ホームにいた京都市西京区の女性の乗客(58)が線路に転落し、進入してきた河原町行き上り急行電車に両足をひかれた。女性は両足を切断して意識不明の重体。
 後続のダイヤに影響はなかった。
 五条署は、目撃者がいないことから、事故と事件の両面で調べている。(京都新聞)
■転落の女性死亡
 京都市下京区の阪急電鉄烏丸駅で1日深夜、ホームから転落して電車にはねられ重体だった西京区の女性(58)は、約3時間後の2日午前3時ごろ、失血のため搬送先の病院で死亡した。五条署が転落した原因を調べている。(京都新聞 夕刊)
■インド列車爆発、50人死亡
 【ニューデリー2日=ロイター】インドのPTI通信によると、同国北東部で2日、2両の列車で大規模な爆発があり、少なくとも50人が死亡し25人がけがをした模様だ。(朝日新聞 夕刊)
3日■インド列車事故 死者500人以上 救出手間どる 駅で正面衝突
 【ニューデリー2日共同】インド東部の西ベンガル州の駅構内で2日未明に起きた列車事故で、救助作業を続けている現地当局は同日夕までに、乗客や運転士ら約250人の遺体を確認、負傷者も500人近くに達したことを明らかにした。西ベンガル州当局者はPTI通信に、最終的に死者が500人を上回る恐れがあると指摘しており、インドで最悪の列車事故となる可能性が強まっている。
 これまでの調べによると、2日午前2時(日本時間同5時半)ごろ、カルカッタの北約500`のガイサル駅構内で、東部アッサム州の主要都市ガウハティ発ニューデリー行きの急行列車(8両編成)に、対向してきたニューデリー発ガウハティ行きの別の急行列車(6両編成)が正面衝突した。
 当初は、隣接するアッサム州の分離独立を目指す過激派組織による爆弾テロ事件の可能性が指摘されていたが、現場を調べた鉄道警察当局者はPTI通信に、信号機の故障や人為的なミスなどが原因の衝突事故である可能性が高いと語った。
 国境警備隊員なども投入した救助作業が続いているが、高速のまま衝突したらしく、両方の列車の機関車や客車はすべて大破、押しつぶされてめり込むような形となった車両もあり、車内に閉じ込められた乗客の救出に手間取っている。
 インドは運行管理、車両の整備不良などから列車事故が頻発しており、昨年11月にも北西部のパンジャブ州で特急と急行の衝突事故が発生、200人余りが死亡している。(京都新聞)
最近の列車事故
1985・1・13エチオピアで列車脱線事故、392人が死亡
87・7・ザンビア国境付近のザイール領内で列車が大型トラックと衝突、150人が死亡
88・7・インドのケララ州で列車脱線事故、105人以上が死亡
89・6・ソ連のウラル地方でガスパイプラインの爆発に列車が巻き込まれ、子供181人を含む645人が死亡
90・1・パキスタンで旅客列車と貨物列車が衝突350人以上が死亡し約700人が負傷
91・5・14信楽高原鉄道で普通列車とJR快速列車が正面衝突、42人が死亡、614人が重軽傷
94・9・22アンゴラ南部で列車が脱線し300人が死亡、147人が負傷
95・8・20インド中部アグラ近郊で特急列車同士が衝突、少なくとも302人が死亡
98・2・14カメルーンの首都ヤウンデ近郊で、列車が脱線し燃料を積載した貨車が爆発、少なくとも220人が死亡
11・26インド北部パンジャブ州で、脱線した列車に高速列車が突っ込み210人が死亡
(時事)
■注目集める 自転車持込み乗車 三重や島根の鉄道 温暖化防止追い
 風 国も普及後押し 観光の新たな形に 自転車でそのまま列車にどうぞ−。こんなサービスが注目されている。自転車持ち込みを認めているのは一畑電鉄(島根)や三岐鉄道(三重)などの数路線で、行き過ぎた車社会見直しの一助にと国も普及に向け動き出した。生活に便利で環境にも優しい「列車と自転車の共生」が広まりそうだ。
 自転車先進地・欧州では列車への自転車持ち込みは日常の風景だが、日本では安全面や他の乗客への迷惑を理由に、折り畳んでケースにしまう必要があり、これまではごく一部の人しか利用していなかった。
 松江市と島根県大社町を結び、宍道湖の北岸を走る一畑電鉄は、以前から持ち込みを認めていたが、1997年から積極的にPR。朝夕のラッシュ時を除き、300円で持ち込み可能で、利用数は初年度の月間平均約5台から98年には約70台と急増した。
 沿線には出雲大社や古墳が多く「神話の国・出雲」を愛車で風を切って体感できる。行動範囲が約40`離れた松江市まで一気に広がった「大社町サイクリングクラブ」の会員は「車では見逃すような小さな道まで観光できる」とその魅力を語る。
 風向きが変わったのは97年の温暖化防止京都会議。政府は車を少しでも減らそうと、このサービスの普及を打ち出し、98年からJR北海道、同四国、富士急行(山梨)などの路線の一部でモデル事業を始めた。JR四国は自転車で渡れる瀬戸内しまなみ海道の開通を受け、この夏の観光シーズンに愛媛県の松山波止浜間や宇和島(愛媛)−窪川(高知)間で実施する。
 運輸省は「21世紀にはライフスタイルの見直しが必要。今後は欧州並みに定着させたい」としている。(京都新聞)
■高速バスの「駅」整備へ 地域活性化で建設省
 建設省は2日、高速バスなどが利用しやすい停留所「バスの駅」を、来年度から高速道路周辺などで整備する方針を固めた。バスの駅とともにデパートなど商業施設を整備すれば鉄道の駅に代わる地域の新たな中心として、まちの活性化にも役立ちそうだ。
 具体的には、道路管理者である国や自治体がバスの停留所、乗用車から乗り換えるための駐車場や駐輪場、トイレ、道路案内標識を整備する。周辺地域は自治体や民間事業者が共同開発し待合所、公共施設、コンビニエンスストア、デパートなどの商業施設も整備できる。(京都新聞)
■既存鉄道利用促進など確認 びわこ京阪奈線鉄道建設期成同盟会総会
 滋賀県の近江鉄道・米原駅から、京都府の関西学研都市へ通じる、新しい鉄道ルート建設計画を推進している「びわこ京阪奈線(仮称)鉄道建設期成同盟会」(会長・国松善次滋賀県知事)の本年度総会が2日、八日市市内のホテルで開かれた。
 総会には、期成同盟会加盟の滋賀県と同県内3市14町のほか、京都府側で組織する「京都南部横断鉄道新線研究会」に参加する宇治田原町や宇治市などの各自治体の首長や担当職員ら、計約120人が出席した。
 前年度の事業報告と決算案が承認された後、本年度の事業計画案を審議。ルート案のうち、既存鉄道部分として利用される近江鉄道と、信楽高原鉄道の利用促進が特に強調され、▽各駅での駐車場、駐輪場の整備▽沿線イベントと乗客誘致のジョイント事業▽スタンプラリーの開催−などを申し合わせた。
 既存鉄道の利用状況は、近江鉄道全体での乗車人員が、98年で419万人と、89年実績よりも低かったことが報告された。審議の中で、特に発言を求めた水口町の西川勝彦町長は「町長車を廃止して、出張などは鉄道を利用している。今後、企業などにも呼び掛け、鉄道利用を促進していこう」と提案した。
 事業計画では、ほかに近江鉄道の近代化設備整備事業支援があげられ、本年度も3億4000万円をかけてATS(自動列車停止装置)整備などを進めることが決まった。
 びわこ京阪奈線は、米原駅−京田辺市の約90`区間で計画され、うち米原−信楽間は近江鉄道と信楽高原鉄道を利用する。全区間についてルート案はほぼ出そろい、本年度の調査では需要予測や収支採算性の検討などが行われる。(京都新聞)
■列車衝突、250遺体収容 インド東部 爆発を訂正
 当初爆発と伝えられたが、正面衝突とわかり、約250人の遺体を収容した。(朝日新聞)
■列車衝突 急行同士、信号ミス? インド鉄道史上最悪
 【ニューデリー2日=中島泰】インド東部で2日朝、列車が爆発したと伝えられた事故は、西ベンガル州ガイサル駅近くで夜行の急行列車2編成が正面衝突したものと分かった。現地からの報道によると、午前2時ごろ(日本時間同5時半ごろ)、ニューデリー行きの急行と下りのアッサム州グワハチ行き急行が衝突した。双方の機関車のほか計14両の客車が脱線し、互いにくの字形に折れ曲がって乗り上げるようにぶつかった。国境警備隊は、これまでに約250人の遺体を収容、ほかに約500人が負傷した。州政府のムケルジー民間防衛相は、最終的な死者が500人にのぼるかもしれないと述べ、インド鉄道史上でも最大級の惨事になる恐れがある。
 当初、爆弾テロとの見方も出たが、警察は「初めは爆発という情報だったが、事故現場を調べたところ衝突だと分かった」と話している。
 両方の列車の機関士計4人も死亡。インド国鉄の関係者は、信号またはポイント切り替えのミスが事故の原因とみている。
 インド国鉄では、1995年にウッタルプラデシュ州で死者300人以上が出る衝突事故があった。昨年11月にもパンジャブ州で210人以上が死亡する事故がおきている。
 鉄道は英国植民地時代の19世紀から整備され、総延長は6万`以上にのぼるが、設備の老朽化が進み、死者数十人規模の事故も頻発している。(朝日新聞)
■TBS社員またも逮捕 JR車内で痴漢容疑
 東京放送(TBS)の男性社員が出勤途中、JR線の車内で若い女性の体に触ったとして、東京都迷惑防止条例違反の疑いで、警視庁四谷署に現行犯逮捕されていたことがわかった。同社が2日、明らかにした。
 TBSの話によると、事件は、前報道制作局長が同じ容疑で逮捕された7月2日の直前に起きた。
 この社員は30代で、報道、番組制作とは直接関係ない部門に勤務。7月に略式命令を受け、罰金を支払った。同社はこの社員を同月19日から7日間、出勤停止の懲戒処分にした。
 事件を公表しなかった理由について、田近東吾・TBS広報部長は「地位、職責の面で、前報道制作局長とは事情が違う。すでに刑事罰も、社内処分も受けており、事実を公表することで社会的制裁まで受けさせるのはしのびない」と説明している。(朝日新聞)
■あまから手帖元編集長死亡 京都で電車にひかれる
 京都市下京区の阪急烏丸駅で1日午後11時過ぎ、線路に女性が倒れているのを構内にいた乗降客が気づき、駅員に通報した。女性は直前に発車した電車にひかれたらしく、間もなく失血死した。
 五条署の調べでは、女性は京都市西京区大原野西境谷町、フリーライター住吉あかし(本名・明石)さん(58)。事故の直前、電車の乗降客がホームをふらふらと歩いている姿を目撃しているという。
 住吉さんは、関西向けの情報誌「Hanako WEST」(マガジンハウス社)が1990年に創刊された当時の副編集長で、のち編集長をつとめた。関西の食と文化を伝えた雑誌「あまから手帖」が96年にクリエテ関西から復刊されると、編集長になった。去年春からフリーになっていた。(朝日新聞)
■車いす男性 「駅エレベーターに2時間放置」 阪急電鉄を提訴
 駅のエレベーター内に2時間近く放置され精神的な苦痛を受けたとして、兵庫県尼崎市に住む車いす生活の男性(48)が2日、阪急電鉄(本社・大阪市北区)を相手取り、200万円の損害賠償を求める訴えを大阪地裁に起こした。
 訴状などによると、男性は6月2日午後2時ごろ、阪急神戸線の園田駅で下車した後、改札に向かうため上りホームに設置されたエレベーターに乗り込んだ。男性は手と足が不自由で自分ではエレベーターのボタンを押せないため、駅務室の駅員にドアの開閉などを遠隔操作してもらった。ところが、駅員は男性がエレベーターに乗り込んだのを確認したにもかかわらず、ほかの用事のために操作を忘れ、男性は1時間50分ほど放置されたという。男性側は「これまでも同じようなことが2回あり、善処を求めたのに改善されなかった。乗客に対する義務違反だ」などと主張している。
 阪急電鉄広報室の話 誠意を持って対応し、現在も話し合いが継続していると考えており、提訴は非常に残念に思う。(朝日新聞)
■2000年問題 混乱防止へ JR東日本 年越し列車 最寄り駅に一時停止 外部から影響心配 自社対応済み
 コンピューターが誤作動する恐れがある2000年間題でJR東日本は、今年12月31日から2000年1月1日に日付が変わる年越し時間帯に、走行中の旅客列車約250本のほぼすべてを一時的に運転停止し、最寄りの駅に止める方針を3日までに固めた。8月末に正式決定する。
 同社は「自社のコンピューターは改修し万全の対応を取っているが、社外からの電力供給などが止まる危険性もある。万が一異常があったときに、列車が駅と駅の間で止まって混乱するのを防ぐため」と説明している。
 1月1日午前零時が近づいた段階で、最寄りの駅に停車。午前零時を過ぎ異常がなければ運転を再開する。駅間距離が路線によって異なるため停車時間は幅が出るが「5−10分程度で再開できるのではないか」という。
 JR東日本管内で、日付をまたがって運転している列車は、貨物や回送を含め約320本。乗客がいるのは約250本で、寝台列車を除くすべての旅客列車を一時的に止めることが固まった。寝台は途中の乗り降りがほとんどないため止めるかどうか未定で、貨物や回送列車の扱いもさらに検討する。
 新幹線は、もともと日付をまたいで運転する列車がないため対象外となる。
 250本の大部分は山手線、中央線、東海道線など首都圏の列車だが、仙台など一部の地方都市にも影響が出る見込み。特別ダイヤで運行される初もうで客用の終夜運転も、年越しの時間帯には一時ストップされる。同社は、あらかじめ停車駅を決めた1日限りの特別ダイヤをつくる方針。
・西日本は検討中
 コンピューターの2000年間題で、一時運転を停止するかどうかはJR旅客6社でも対応が分かれている。
 JR四国はJRの中でただ1社「通常通り運転する」としている。
 北海道、東海、西日本、九州の4社は「社内で検討を進めているが、はっきりした方針は未定」という。(京都新聞 夕刊)
■車いす、エレベーターに2時間 駅員ミスで「恐怖感」 阪急電鉄に賠償請求
 駅員のミスでエレベータに約2時間閉じ込められ、恐怖感に襲われたとして、尼崎市に住む手足が不自由な身体障害の男性(48)が2日、阪急電鉄(大阪市)に慰謝料200万円を求める損害賠償請求訴訟を大阪地裁に起こした。
 訴状などによると、男性は6月2日午後、尼崎市東園田町の阪急園田駅で下車した。電動車いすのため、乗車駅から下車時の手助けの連絡を受けた園田駅員が駅3階ホームのエレベーター内へ男性を案内。しかし、駅員が1階への行き先ボタンを押し忘れ、エレベーターは1階に到着してもドアは開かなかった。男性も手足が不自由で自ら開閉ボタンを押せなかったため、別の客が利用するまで約2時間閉じ込められた。
 ドアの開閉は、駅務室から遠隔操作できるが、駅員側が男性の利用をその後失念していたという。阪急側はミスを認めているが、閉じ込められた時間は約50分間だったという。
 男性は「そのまま出られないかと死の恐怖感に襲われた」とし、乗客への安全義務違反と訴えている。
・コメント控えたい
 阪急電鉄の話 エレベーター利用時にご迷惑をお掛けした事実は認識している。正式に訴状は見ていないのでコメントは差し控えたい。(京都新聞 夕刊)
■未着工区間の予算要求せず 整備新幹線で運輪相
 川崎二郎運輸相は3日の閣議後の記者会見で、整備新幹線計画には盛り込まれているが、手つかずのままの「未着工区間」の建設費について、来年度予算では要求しない考えを明らかにした。運輸相は「予算要求では、やりかけの事業で、質の良いものを早く仕上げる」と話し、すでに着工している区間の建設を優先する考えを強調。優先的に手がける区間の具体例として、東北ルートの盛岡−八戸間、九州新幹線の西鹿児島−新八代間の2区間をあげた。(朝日新聞 夕刊)
■信号ケーブル 草刈りで切断 JR和歌山線止まる
 3日午前9時50分ごろ、奈良県五条市今井五丁目のJR和歌山線北宇智−吉野口間で、赤信号が変わらなくなり、和歌山発奈良行き下り普通電車など2本が止まった。乗客計約160人はバスに乗り換えた。高田−五条間で上下線とも一時運転を見合わせた。
 JR西日本の調べでは、線路わきの斜面で草刈りをしていたJR関係者が誤って信号用ケーブル(直経約3a)を切断したためとみられる。(朝日新聞 夕刊)
4日■市バス急停車3人けが 追突避け満員、将棋倒し
 3日午後1時50分ごろ、京都市下京区七条通猪熊西入ルで、西進中の北大路バスターミナル行き市バス=田中定吉運転手(50)=が急ブレーキをかけたため、ほぼ満員の乗客約60人のうち、立っていた人が将棋倒し状態になった。車内の最前部に立っていた下京区西七条御前田町、主婦石田広美さん(42)と同区西七条市部町、建設業木下精司さん(69)、同区西酢屋町、主婦久島光子さん(71)の3人が乗降口のデッキや通路に倒れるなどして、頭や顔を打つ軽いけが。
 七条署は、市バスの前方の軽乗用車が道路わきから飛び出した猫を避けようとして急ブレーキをかけたため、市バスも追突を免れようと急ブレーキをかけたとみて原因を調べている。
 同署はまた、市バスが車間距離を十分に取っていなかったのではないかとみて、業務上過失傷害の疑いで、田中運転手から事情を聴いている。軽乗用車はそのまま走り去った、という。
 市交通局の前田文男営業課長は「負傷された方をはじめ、乗客の皆さまに迷惑をおかけし、誠に申し訳ありません。車間距離に問題がなかったかどうかなど、運転手から詳しく話を聴いたうえで、今後の対応を考えたい」と話している。(京都新聞)
■クレーン接触 山陰線乱れる JR立木駅構内
 3日午後5時40分ごろ、京都府船井郡和知町広野のJR立木駅構内の踏切付近で、線路南側の側道をUターンしようとした同郡丹波町下山のクレーン作業会社「下山サルベージ」のクレーン車=竹瀬豪運転手(27)=のアーム先端が、同駅に入ってきた福知山行き下り普通電車(2両編成)に接触、電車の運転席のガラスが割れ、電車は急停車した。乗客ら約70人にけがはなかった。
 この事故で当該電車は運転ができなくなったため、同駅構内で午後9時過ぎに救援列車が到着するまで運転を見合わせた。上り線は約1時間40分後に運転を再開。当該電車の乗客は上り電車で安栖里駅に引き返し、バスで綾部方面に向かった。
 このほかJR西日本は和知−綾部間に代替バスを運行した。この事故のため、後続の特急「きのさき9号」が園部駅で運転を打ち切ったほか、上下5本が運休または部分運休。後続電車も最大2時間半から40分前後遅れ、約2400人に影響が出た。
 園部署は竹瀬運転手から詳しい事情を聴き原因を調べている。(京都新聞)
■トンネル9ヵ所異常音 JR東日本 施工不良部252ヵ所
 JR東日本は3日、山陽新幹線のトンネルはく離事故をきっかけにした東北、上越、長野新幹線の緊急点検結果を発表した。46トンネルで計252ヵ所の施工不良部「コールドジョイント」が見つかり、うち9ヵ所でコンクリート内部の劣化を示す異常音が確認された。いずれも補強工事を終え、安全性には問題ないとしている。
 コールドジョイントの線区別の内訳は、東北165ヵ所、上越85ヵ所、長野2ヵ所だった。東北の蔵王トンネル(福島−白石蔵王)の42ヵ所が最も多かった。
 また、ハンマーによる検査の結果、東北の白坂トンネル(那須塩原−新白河)など4トンネルの計9ヵ所で、内部のひび割れや空洞を示す異常音が確認された。(朝日新聞)
■JR西日本 飲食・物販1400店再編 整理統合進め管理一元化
 JR西日本は3日、飲食、物販業を強化してグループの総合力を高めるため、キヨスクや喫茶店、コンビニなどの約1400店を再編する、と発表した。4つの子会社を統合したり分離したりすることで、各社の傘下にある店舗を再構築し、業態や品ぞろえについても抜本的に見直す。来年4月ごろには、新しい飲食・物販体制が整う予定だ。
 JR西日本グループで現在、飲食、物販を担当するのは「西日本キヨスク」(本社・大阪市)など4つの子会社。これを金沢、岡山、米子、広島、福岡という5つの地域別会社と、京阪神の飲食、物販を担当する計7社に再編する。
 京阪神とその外側にある地域とでは、駅の性格などが異なるため、子会社を地域別にして、その傘下に入る店舗の業態、設備投資、品ぞろえなどに責任を持たせることにした。また、重複店舗の整理統合を進め、仕入れ、在庫管理などを一元化する。(朝日新聞)
■声 190円の切符で5府県ぐるり 主婦 大森 栄(大阪市 71歳)
 月2回、15`前後のハイキングを楽しむグループですが、暑いので、7月は趣向を変えて、列車を乗り継ぐ旅を試みました。
 JR天王寺駅で大阪行き190円の切符を購入、8時26分発の関西線の快速で出発。奈良駅で同じ関西線の亀山行きに乗り換え柘植駅へ。草津線で草津へ。草津駅では5分後の長浜行き新快速に乗り換えて北上。
 米原駅に着いたころは、ちょうど昼時。ホームで立ち食いうどんを食べる人あり、駅弁を買う人ありで、慌ただしく過ごして、半時間後の長浜行きに乗車。長浜駅で北陸線に乗って近江塩津駅へ。この駅で方向を変えて湖西を近江今津駅へ。ここで姫路行きの新快速に乗り換えて南下、京都を経ての大阪駅は旅の終わりです。
 5府県を約7時間かけて大迂回。大阪駅の改札を出るとき、改札機に「ご乗車ありがとう」とあった。グループの全員が「やったー!」と同時に、「いえいえ私たちの方こそお世話になりました」の気持ちでいっぱいでした。
 目的駅まで経路通りに切符を買うのが原則ですが、特例区間では目的駅までの最短キロで運賃を計算、乗車経路を自由に選択できるようです。この次は、和歌山から京都、兵庫県のコースも考えてみるつもりです。(朝日新聞)
■山陽新幹線 377ヵ所 JR西日本 トンネル補強工事終了 「10−20年はく落防止」
 JR西日本は4日、小倉−博多間の福岡トンネルでの崩落をきっかけに実施された山陽新幹線のトンネル補強工事がすべて終了した、と発表した。同社は「10年から20年ははく落を防止できる」と説明し、今後の点検で補強個所を重点的に調べることで安全を確保できるとしている。
 補強工事は、コールドジョイント(施工不良部分)に対し、数本の鉄製の金具を垂直に打ち付け、コンクリートがはがれ落ちるのを防ぐ。異常音が確認された62のトンネルの計377ヵ所で補強を終えた。
 6月27日の福岡トンネル事故後、ハンマーでたたく打音検査を行ったところ、異常音が377ヵ所に上ったほか、異常音がした個々の範囲も大きく、コンクリート内部で劣化が進んでいることが判明した。「目に見える安全対策が必要」(桜井紘一鉄道本部長)として、お盆の帰省ラッシュ前に補強工事を終えることを目標としていた。
 事故防止の恒久対策については、コールドジョイントに樹脂を注入するなどの補修工法を試験的に実施しているものの、決め手がない状態。今後、運輸省に設置される検討会などの議論を見た上で、改めて検討するとしている。(京都新聞 夕刊)
■JR西日本 トンネル「安全宣言」 山陽新幹線 補強工事終える
 JR西日本は4日、「コールドジョイント」と呼ばれる施工不良個所が見つかった山陽新幹線の62本のトンネルで、コンクリート劣化の可能性のある異常音が確認された377ヵ所すべてについて、鉄材の金具を使った補強工事を終えた、と発表した。当面は落下の恐れがないとして、事実上の「安全宣言」と位置づけている。今後は、福岡トンネルでの落下事故の原因究明をはじめ、トンネルや高架橋などコンクリート構造物の全体的な劣化状況をどう把握していくかなどについて、鉄道総合技術研究所(JR総研、東京都)や運輸省などと共同で調査を進める。
 JR西日本は、6月27日、山陽新幹線の小倉−博多間の福岡トンネル(福岡県久山町)内を走行中のひかりに計200`のコンクリート塊が直撃した事故を受け、142本のすべてのトンネル(延長計約280`)について緊急点検を実施した。このうちの93本から2049ヵ所のコールドジョイントを見つけ、ハンマーでたたく打音検査の結果、62本のトンネルで377ヵ所から異常音を確認した。
 同社は、異常音があったすべての個所について、落下防止のための補強工事を実施した。L字形の鉄材(厚さ6_−1a)などを、糸で傷口を縫い合わせるように内壁に一定間隔で打ち込み、ボルトで固定する工法で、10−20年は効果が維持できるという。
 福岡トンネル事故の引き金となったコールドジョイント下部の劣化原因については現在、JR総研で分析を進めている。トンネルや高架橋の施工方法に「手抜き工事」との指摘があるほか、コンクリートの材質が劣化の一因と見られていることから、当時の施工業者から事情聴取するとともに、サンプルを採取するなどして全体的なコンクリートの劣化状況を調べる方針だ。また、同社は今回の補強を「応急処置」と位置づけており、恒久的な補強・補修工法の開発を進めていくという。
 南谷昌二郎・JR西日本社長の話 山陽新幹線のトンネルのコールドジョイント異常音個所の予防的措置(補強工事)がすべて終了し、お客様・国民のみなさまにより一層ご安心いただけるものと考えております。事故発生以来、安全確保に取り組み、信頼回復に努めてきましたが、今後は運輸省などとともに、幅広い視野に立って検討を進め、さらに安全性の向上に努力を傾注します。(朝日新聞 夕刊)
■ドル箱路線 特急療法 JR西 トンネル補強 空との競争 お盆意識 根本原因、なお未解明
 車両の屋根がめくれ、パンタグラフが大破するなど開業以来の非常事態になった福岡トンネルの事故から1ヵ月余り。JR西日本が4日、山陽新幹線のトンネルについて「安全宣言を出した。補強工事で新たにコンクリートが落下する恐れはなくなったという。しかし、落下につながった原因はいまだに解明されず、全体的なコンクリートの劣化状況の把握もこれからだ。国など関係機関を含めた万全の安全対策が求められている。
●強い危機感
 今回の補強工事は7月19日に始まり、8月4日未明まで続いた。JR西日本の社員720人と、請負企業からの4030人計4750人を動員したという。当初は3週間で終える予定だったが、1週間早まった。
 記者会見した桜井鉱一・鉄道本部長は「これだけ短期間に大量動員したことはJR発足以来なかった。補強工事という性格上、工事を急がせたわけではないが、夏休みの多客期でなるべく早く完了するにこしたことはない」と話した。
 山陽新幹線は上下合わせて1日に266本が走り、計17万人を運ぶ。同社の全旅客収入の41%を稼ぐドル箱路線とされる。しかし、ここ数年、航空機との激しい競争に直面していた。大阪−福岡間には今春、片道1万円という格安料金のスカイマークエアラインズが新規参入し、航空大手3社は割引料金を設定するなど値下げ競争が進んだ。
 JRも5月末、新大阪−博多間の4枚組み回数券を発売し、事実上の値下げで対抗した。今、新幹線を止めたら、利用者を航空機に奪われるとの危機感は強い。JR西日本は今回、調査のために運転を止める考えはないと言い続けてきた。社内からは「国鉄時代だったら運転を止めていた」との声も聞こえてくる。
●鈍った感度
 南谷昌二郎社長は7月12日の記者会見で「朝刊の写真を見てあそこまで壊れていることを知り、びっくりした」と話した。櫻井本部長も事故直後、コンクリートが落下したことを聞いたが、列車を直撃していたことは翌朝まで知らなかったという。「山陽新幹線は開業以来、乗客に死傷者を出したことがなく、非常事態に対する感度が鈍っていた。『安全神話』を過信しすぎていた」
 感度の鈍さは高架橋の補修対策にも及ぶ。80年ごろから亀裂などの劣化現象が現れ、修復作業を続けている。それでも96年度以降に計47件の落下事故が起き、今回の緊急点検で兵庫県内だけでも落下の可能性のある個所が1万7000ヵ所見つかった。10年以上前に「コンクリート委員会」を社内に設けたが、劣化原因を特定できず、効果的な補修方法もまとまっていない。
 JRも、これまでの対策が「対症療法」にすぎなかったことを認めている。ある幹部は「かつては長年の経験などから、事故の本質や危険を予知できる職人気質の担当者がたくさんいた。システム化が進んでマニュアルも整備されるにつれて、応用問題が解けなくなった」と問題の深刻さを指摘する。
●重い責任
 山陽新幹線のお盆期間中(11−18日)の予約状況は去年同期の93%(7月22日現在)で、過去最低になった。JRは「乗車直前に予約する傾向が進んだため」と説明し、事故の影響はないとしている。新幹線は欠くことのできない大動脈であり、それだけに安全運行に対するJRの責任は重い。
 大阪工業大学の二村誠二講師(建築材料学)は「山陽新幹線の構造物をあと何年使っていくのか、経営者の考えがまったく見えない。まず、現状を正確につかむことが必要だ。そうでないと『安全神話』は国民に受け入れられなくなる」と話している。
国が対応考える時
 小林一輔・千葉工業大教授(コンクリート工学)の話 トンネルでも高架橋でも、劣化が進行中のコンクリート構造物の耐力がどのくらいあるのかは、だれにも分からない。山陽新幹線のコンクリート内部の劣化状況はまだ調査しきれていない。列車を一時的にでも止めて劣化の進行を総点検し、補修・補強をしなけれはならない。JR西日本は当事者能力がなくなっており、国が対応を考えるべき時期がきている。(朝日新聞 夕刊)
■コンクリ劣化 点検回数増やす必要 第三者機関設け調査を
 解説 JR西日本は山陽新幹線のトンネルで実施した今回の補強工事を一貫して「予防的措置」と呼んでいる。異常音がした個所の表面に亀裂などは見られず、すぐに落下する恐れは低いが、予防的に金具で補強したというのだ。その予防的措置にJRは約5億円をかけた。大きく揺らいだ新幹線の「安全神話」に対する信頼を回復するために、分かりやすい形で安全性をアピールする必要があったからだ。
 大手建設業者によると、補強工事でコールドジョイント部とその周辺については、福岡トンネル事故並みのコンクリート落下は避けられそうだという。しかし、施工不良から生じたとされるコールドジョイントが2049ヵ所も見つかったことから、トンネル全体でコンクリート劣化が進んでいる可能性も否定できない。
 山陽新幹線のトンネルでは現在、1日200本以上の列車が時速200−300`で通過する。全線開通した1975年当時と比べ列車は倍増し、速度も向上した。その風圧や振動がコンクリート内壁に与える影響についてはまだ解明されていない。コールドジョイント部以外の劣化調査も手つかずで、別の危険が潜んでいる可能性もある。
 JR西日本は、安全を確保するためには点検と補修を繰り返す以外に対策はないと強調する。電磁波を利用したハイテク検査法も開発する方針だが、それでもコンクリート内部の劣化状況を把握するには限界があるという。
 結局、目視点検と打音検査に頼らざるを得ないが、JRは「予防的措置もとっているので点検のサイクルを短くする必要はない」と主張する。点検の重要性を説くなら、2年に1回の全般検査や年3回の繁忙期前点検の回数を増やすといった措置をとるべきだろう。
 JRは社内に新設したトンネル対策検討会を中心に施工業者から事情を聴き、当時の工事日報を調べるなどして、コンクリート劣化の全体状況を把握するという。しかし、検討会のメンバーはJRと鉄道総合技術研究所(JR総研)の関係者がほとんどで、劣化問題に詳しい専門家らが新たに加わることはない。第三者的な調査機関の必要性を指摘する声が出るのも当然だ。
 恒久的な対策は今後に引き継がれる。劣化の進行が速いとされる高架橋だけをみても、補修費はJR発足時から計200億円にのぼった。トンネルを含めて山陽新幹線の安全性を維持するためにはこれからもばく大な費用がかかる。その意味でも「安全宣言」を手放しで喜べない。(社会部・塚本 和人)(朝日新聞)
■大阪の地下鉄 施工不良発見 「崩落の恐れなし」
 山陽新幹線のトンネルでコンクリートがはがれ落ちた事故を受けて、大阪市営地下鉄のトンネルを調べている同市交通局は4日、谷町線の4ヵ所で施工不良の「コールドジョイント」が見つかった、と発表した。ハンマーによる打音や目視の検査では今のところはがれ落ちる恐れはなく、今後も監視を続けるという。(朝日新聞 夕刊)
■「みんな真っ黒く炭のようにこげていました」被爆電車で体験を聞く 広島
 走行中に被爆した路面電車に乗って、被爆者の証言を聞く会が4日、広島市内で開かれた。子どもたちに当時の街の様子を知ってもらおうと、広島平和教育研究所が企画した。
 午前9時半、同市中区の電停に約80人の小中学生が集まり、2台の被爆電車に分乗。広島駅行きの車両では、電車に乗っていて爆心地近くで被爆し奇跡的に助かった、「全国原爆被爆教職員の会」会長の石田明さん(71)が「このあたりでは生きている人の姿を見ることは不可能でした。みんな真っ黒く炭のようにこげていました。54年前の広島がなんだったのか知ってほしい」と話し掛けた。
 広島県大野町立大野東中2年、山村美沙子さん(13)は「平和な街を見ながら話を聞いてあらためて原爆の怖さを感じました。今の私たちは恵まれています」と話していた。(朝日新聞 夕刊)
5日■バス利用促進狙い 京都市交通局 地域住民と対話 市民の声を反映
 京都市交通局はこのほど、利用者である市民の声を転換期を迎えたバス事業に反映させるため、地域住民との対話に乗り出した。路線廃止などをめぐる一時的な住民対話はあったが、本格的な懇談会は初めて。乗客のニーズを把握するとともに先行き厳しい経営状況に理解を求め、バス利用を呼びかける。
 市バスの乗客数は昨年度、1日平均約36万人で年々減少している。運送収益に対する人件費の比率の高さもあって赤字経営が続くうえ、2年後には事業参入や運賃の自由化などバス事業も規制緩和される見通しとなり、さらなる経営悪化が懸念されている。
 地域住民との懇談会では、こうしたバス事業を取り巻く環境の厳しさを自動車部の担当職員が説明するほか、乗客アンケート結果の分析や「スルッとKANSAI」など各種カード乗車券の導入、安全運転研修などサービスの向上策をPRして理解を求めている。
 懇談会の対象区域は北大路通と東大路通、九条通、西大路通から外側500b以上離れている学区。6月上旬の北区の待鳳学区を手始めに、現在まで計3学区で開催。地元の自治会役員や住民ら30−50人の参加があった。来年3月までに左京、右京、西京の計4行政区で順次開催する。
 意見交換では住民から「バス停のベンチを増やして」「地域にふさわしいバス停の名前を」などの要望が多かった。また、安全運転を求める声も寄せられている。交通局は「局始まって以来の取り組みで、地元団体の方には日程調整など協力していただいている。住民とのパートナーシップの中で市バスヘの要望をくみ取り、系統編成や運行本数など反映させたい」(自動車部)としている。(京都新聞)
■嵯峨野線の1世紀写す 園部の写真グループが記念展 懐かしい駅やSLの雄姿も
 今月15日に鉄道開業満100年を迎えるJR山陰線・京都−園部間(愛称・嵯峨野線)の「百周年記念写真展」がJR園部駅東口階段前で開かれており、懐かしい写真が乗降客の目を楽しませている。
 嵯峨野線は1899(明治32)年8月15日に亀岡市出身の田中源太郎氏らが中心となって設立した旧京都鉄道が、京鶴線(京都−舞鶴間)の一部として完成させた。
 展示写真は、園部町の写真愛好家グループ「写友会」(上野英二会長)の会員らの作品。開業当時の園部駅構内の写真をはじめ、1972年の蒸気機関車(SL)けん引の最後の列車まで、D51型、C57型などの懐かしいSLの雄姿、乗客や駅員の様子などを白黒写真計12枚で紹介している。
 10月14日まで。展示作品は9月からは、最近のカラー写真も登場する予定。(京都新聞)
■猛暑襲来 レールぐにゃ、水かけ調整 観測史上最高 函館33.6度 大阪36度
 太平洋高気圧の影響で狂烈な暑さに見舞われた4日、大阪ではこの夏2番目に高い36度を記録し、30度以上の真夏日は7月20日から連続16日になった。最低気温が25度以上の寝苦しい夜も7月22日から続いている。大阪管区気象台は、7日ごろまでは35度を超える暑さが続くと予想している。
 北海道函館ではこの日、観測史上最高の33.6度を記録。JR北海道は函館線札幌−苗穂駅間で一時、運転を見合わせ、作業員がレールに水をかけて軌道のずれを調整した。(朝日新聞)
■床下で異常音 山陽新幹線
 4日午前9時55分ごろ、山陽新幹線岡山−相生間を走行中の博多発新大阪行き上り「ひかり352号」(12両編成、乗客約360人)の乗客が、「福山−新倉敷間のトンネル内で7号車の床下付近からカンカンという音がした」と車掌に伝えた。列車はそのまま新大阪駅まで走り、乗客を降ろしてから、近くの大阪第一車両所(大阪府摂津市)で車両を点検したが、異常はなかった。JR西日本は、音が聞こえたとされる岡山県内の金浦トンネルと明知トンネル内で一時、上下線とも時速70`の徐行運転をした。このため、上下計18本が最大9分遅れるなど乗客計約1万人に影響した。(朝日新聞)
■山陽新幹線 高架橋劣化に新対策 コンクリート再アルカリ化
 1996年度以降だけで47件のコンクリート片落下事故が起きるなど、山陽新幹線の高架橋で「中性化」と呼ばれるコンクリート劣化が進んでいる問題で、JR西日本は5日までに、中性化したコンクリートを本来のアルカリ性に戻す、新たな補修方法導入の検討を始めた。
 直流電流によってアルカリ性溶液を浸透させるもので、同社は93年から、この補修方法を用いて保線基地内の高架橋で試験を実施。今春までの経過観察では「効果が確認できた」としており、「コンクリート劣化防止の抜本策になりうる」と話している。
 JR西日本によると、山陽新幹線高架橋の劣化は、コンクリート中の水酸化カルシウムが空気中の二酸化炭素と反応し、アルカリ性が失われる中性化が主原因。中性化が進むと、内部の鉄筋がさびやすくなって鉄筋の体積が膨張、ひび割れが発生する。また、コンクリート中の塩素も鉄筋腐食を加速させるという。
 対策を迫られた同社は、ノルウェーで開発され、コンクリートの「再アルカリ化」と「脱塩」の効果を狙える補修方法に着目。それによると、コンクリト表面を繊維質で覆い、炭酸リチウム系のアルカリ性溶液を吹き付ける。次にコンクリート内部の鉄筋にリード線を通してマイナス極をセット、コンクリート表面にはプラス極をセットし、リード線に直流電流を通す。
 電流の働きで、マイナスの塩素イオンがプラス極側に移動してコンクリートの外に放出される一方、表面のアルカリ溶液はプラスに帯電して内部のマイナス極側へ浸透する。こうした現象が繰り返されることで、コンクリートが再びアルカリ化し、鉄筋も腐食しにくくなるという。
 コンクリート表面に吹き付けた溶液を数ヵ月も湿った状態に保つ必要があるなど手順が複雑で、費用が高くつくのが難点だが、JR西日本は「本年度中に補修対象地点を絞り込むなど方向性を打ち出したい」としている。(京都新聞 夕刊)
■JR新快速と トラック接触 明石の踏切で
 5日午前9時12分ごろ、兵庫県明石市二見町福里のJR山陽線向川第一踏切(遮断機、警報機つき)で、米原発姫路行きの新快速電車(12両編成)と同県加西市市村、飯田石材のトラック=新良太郎運転手(20)=が接触した。電車は現場に約10分停車し、運転士が点検した後、運転を再開した。電車の乗客約800人にけがはなかった。
 明石署の調べによると、トラックは踏切を渡ってすぐに右折しようとしたが、曲がりきれなかったため後退したところに電車が接触したという。(朝日新聞 夕刊)
■見たい知りたい出会い隊 60年目に走る幻の鉄道 奈良県西吉野村 手作りミニトレインで夢へ一歩
 旧国鉄が奈良県五条市と和歌山県新宮市を結ぶ計画で工事を始めたが、未完成のまま中止になった「五新鉄道」。奈良県西吉野村に残る城戸トンネル用地を27日から3日間、ミニトレインが走る。開催中の「吉野魅惑体験フェスティバル」のイベントで、250bのレールを敷き、子どもたちを乗せる。車両とレールを持ち込む奈良市の鉄道マニアの建築士、八津川栄造さん(56)は「まっさらな用地を走るのは最高」。同村は「できるだけお金をかけずに、この”鉄道”を使っていきたい」と村おこしのプランを練る。1939年、地元の悲願だった鉄道建設が着工してことしでちょうど60年。
 八津川さんは自宅でミニ車両とレールを自作し、「まほろば鉄道」と名付けている。3年前、村がトンネル利用法のアイデアを募集しているのを知って応募した。
 車両は普通の電車の5分の1の大きさで木製。車両の長さは1.2b、幅60a、高さ1b。時速7`まで出る。1両作るのに半年以上かかる。現在までに10両仕上げた。床の間やカーテンをつけ、車掌の帽子や信号機などもまねてつくるほどの凝りようだ。
 鉄道の出番は年に7回ほど。7月には奈良市で開催された「'99水と緑とまほろばフェスタin布目」に参加し、2日間に約700人が乗車した。10月の鉄道記念日には京都市の梅小路蒸気機関車館の催しに出る。
 旧五新線は80年代、採算がとれないと工事が中止された。用地の一部はバス線として利用されている。鉄道建設に夢を託す人々の姿を描いた映画「萌の朱雀」(仙頭直美監督)の舞台にもなった。
 5月、西吉野村でまほろば鉄道の試乗会が開かれ、地元の人ら約250人でにぎわった。「このイベントのあと、どうするかが問題」と同村企画財政課係長の山本修二さん(41)は次の夢を追いかける。(朝日新聞 夕刊)
6日■8日に五山送り火鑑賞会の公開抽選会 京都駅ビル開発
 京都駅ビル開発(京都市下京区)は8日、JR京都駅ビルの室町小路広場で、今月16日の大文字五山送り火鑑賞会の公開抽選会を行う。
 鑑賞会は、昨年に続いて2回目。同駅ビルの空中径路(地上45b)と大空広場(同53b)の2ヵ所から送り火を鑑賞する。公開抽選会は8日午前11時から、室町小路広場で抽選整理券を先着3000人に配布、午後2時から空中径路と大空広場での鑑賞入場券計200組400人の当選者を発表する。
 また、同社は送り火鑑賞会に京都府内の心身障害者130人を招待する。(京都新聞)
■奔流 底流 鉄道事故の再発防げ 運輸省 調査検討会が来月発足 ”教訓”生かすシステム急務 経営合理化 監査のみ、不十分 コンクリ崩落は対象外
 大規模な鉄道事故の再発防止に向け、運輸省は9月3日、「鉄道事故調査検討会」(座長=井口雅一・東京大名誉教授)を発足させる。わが国で初めての鉄道事故の公的調査機関となるが、その位置づけや調査権限などは必ずしも明確でない。事故の再発防止に十分な役割を担っていくには課題も多い。省庁再編や行政改革の流れの中、鉄道事故調査の結果を安全につなげるシステムづくりが求められている。(東京支社 石川一郎)
・原因分析含め
 わが国では、空の事故は航空事故調査委員会、海の事故は海難審判庁が担当する。だが、鉄道事故の原因調査は、警察が捜査目的で行うほかは、鉄道事業者に任されており、再発防止対策につながりにくいことが指摘されている。
 昨年11月、運輸技術審議会は「国による事故調査体制を整備する必要がある」とする答申をまとめた。事故に至らないが、安全に影響を及ぼす恐れのある事象(インシデント)が、大事故の遠因となりやすいことも指摘。こうした事象の調査・分析も国に求めた。
 これを受けて運輸省は、鉄道事業者からの車両故障や信号トラブルなどの事例報告について、従来の件数だけではなく、原因分析も含めた具体的な報告に改めることにし、規則改正を急いでいる。
・縦割り限界も
 鉄道事故調査に国が本腰を入れる背景には、規制緩和による経営合理化の流れがある。運輸省の三宅哲志保安車両課長は「鉄道事業者は、安価な部品を使うなど効率、収益増を求めている。従来の運輸局の監査だけでは不十分になってきた」と言う。
 しかし、設置される調査検討会は、法的根拠も権限の範囲もはっきりしていない。法的には、鉄道事業法にある運輸大臣の立ち入り検査権限を援用しており、航空事故調査委員会設置法、海難審判法といった根拠法を持つ空や海の事故調査機関に比べ、位置づけは弱い。調査項目も車両や信号、軌道など運行に直接かかわる部分が中心で、山陽新幹線で問題になっているトンネルのコンクリート崩落などは、今のところ調査対象から外れている。
 三宅課長は「施工上の問題は、土木の専門家に任せたほうがよい」と説明するが、運行管理は運輸省、土木は建設省という縦割り行政の限界を露呈する形になっている。
 先月22日、信楽高原鉄道事故の遺族や学識者でつくる鉄道安全推進会議(事務局=京都市)が「運輸事故の再発防止を求めて」と題する国際シンポジウムを東京都内で開いた。
・独立の機関で
 遺族らは、行政から独立した常設の事故調査機関が、徹底した情報公開の中で事故原因解明に取り組んでいる欧米の事例を紹介。「日本でも全運輸機関を対象とした事故調査機関を設置すべき」と訴えた。
 同会議の佐藤健宗弁護士は、「運輸省は、法律・規則の制定から監督・監察、事故原因者の処罰まで、幅広い権限を握っている」と指摘する中で、「薬害エイズ事件のように、行政そのものに原因があるケースもある。独立した機関でないと公正・中立な調査はできない」と話す。
 こうした意見に対し、運輸省幹部は「航空事故調査委は省内にあるからこそ、現場保存などで機動的な対応ができる。日本の行政は、独立した外部機関の要請に即応できるシステムにはなっていない」と慎重だ。
 行政改革の流れの中、新たな組織を設けるのに抵抗感があるのも事実。だがシンポジウムで同会議副会長の安部誠治・関西大教授は「調査機関にかかる費用は最大でも年間2、30億円にすぎない」と強調。「国民1人当たり2、30円で事故を減らし、安全が向上できるなら、これほど安い買い物はない」と述べた。
 中央省庁の再編で、21世紀の運輸行政は「国土交通省」が担当することになる。事故の教訓をどう生かし、旅客の安全に結びつけていくのか。運輸事故の総合的な調査機関の設置も含め、幅広い議論が今こそ求められている。(京都新聞)
■取材ノートから 信楽高原鉄道 単年度赤字減ったが… 乗客減どう埋める
 滋賀県甲賀郡信楽町の第三セクター・信楽高原鉄道(SKR)が列車衝突事故から8年たった今、大きな節目を迎えている。今年3月の民事裁判で原告勝訴の判決を受けて賠償金を支払ったあと、6月の株主総会で社長が交代。新体制による再スタートとなったが、累積赤字が13億円に上るなど、経営状態は依然、厳しい。SKRの再建に向けた取り組みと課題を探った。
 信楽−貴生川間の14.7`を結ぶSKRは、旧JR信楽線の存続を願う地元住民の要望を受けて1987年に同町や県、近江鉄道などの出資で設立された。ところが、91年5月、「世界陶芸祭」に向かうJRとSKRの列車が正面衝突。死者42人、負傷者614人を出す大惨事となった。
 この事故による被害者家族への補償問題などで、90年度から赤字が続くSKRの経営はさらに圧迫。95−97年度には、鉄道事業だけでも単年度赤字が5000万円を超えるなど、大きな痛手となっている。
 運輸省がまとめた第三セクター鉄道の98年度営業成績によると、全国38社のうち黒字経営はわずかに8社。SKRに限らず、大半が厳しい経営状態にある。JRが廃線にした赤字ローカル線を残すために自治体などが引き継いだ鉄道がほとんどだが、どの三セクも現状維持が精いっぱいだという。
・えとキップなど奏功
 とはいえ、SKRの経営努力が着実に成果を上げていることも確かだ。年に300−500万円の赤字だった信楽駅構内の旅行センターを昨年3月に閉鎖。これで98年度の付帯事業は128万円の黒字となり、前年度の358万円の赤字から大幅に転換した。
 企画事業も、2年前からの盆梅列車や昨年末のサンタ列車の運行をはじめ、年末恒例の信楽焼の親子えとキップ販売などが奏功。特に団体客は、他の旅行会社と連携して片道だけ鉄道を利用するバスツアーなどで年々増え、98年度は前年度より40%近く多い約7万5000人に膨らんだ。
 さらに、町職員の積極的な利用対策もあって、98年度の輸送人員は、世界陶芸祭で盛り上がった91年度(74万2000人)に次ぐ68万1000人を記録。98年度の鉄道事業の赤字は4398万円と、前年度より1000万円近くも減少した。こうした改善の兆しにもかかわらず、SKRの廣岡實総務部長は「本年度は少子化による定期購入者や一般乗客の減少で輸送人員は約3万人減が見込まれる。これをどう埋めていくかが大きな課題」と、表情を引き締める。
・「赤字必要路線だ」
 業績アップを目指し、信楽焼の人気乗車券を発売すれば、乗客数は増えるが、経費のかかりすぎる企画には取り組めない。また、単線のため1時間に1本の割合で運行しており、遠くからの団体客の利用は昼ごろに集中。最大3両しか接続できないSKRの輸送人員では、団体客の増加にも限界があるからだ。
 そんななかで「鉄道は信楽になくてはならないし、どんなに赤字であっても残すべき『赤字必要路線』だ」という杉森一夫信楽町長。交通経済学に詳しい榊原胖夫同志社大名誉教授も「三セク鉄道は経済以外の価値を見つけて社会福祉事業的な面を生かしていくしかない」と、言い切る。
 「信楽町とわが社は運命共同体。町の発展が鉄道の発展にもつながる。今後は駅前商店と一体となって地域ぐるみの活性化を図っていくのも一つの方向」とするSKRの井上春絹社長も同じ思いだ。経済面の追求ばかりでなく、地域に根づいた新たな存在意義の発掘が、SKRの将来を占うカギといえそうだ。(京都新聞)
■北陸新幹線 JR西日本が譲歩 「全線同時」条件を緩和
 整備新幹線の建設前倒しを目指す自民、自由両党でつくる整備新幹線協議会の5日の会合で、北陸新幹線の経営を引き受ける条件に「大阪までの全線同時開業」を求めているJR西日本が、協議会のヒアリングに対して「上越から敦賀または福井県北部寄りの南越地方までの開業」に条件を緩和したことが報告された。
 ただ、協議会がとりまとめを急いでいる整備計画の見直し案は、この日の会合では示されなかった。
 旧国鉄時代に、新線の建設に財政投融資の資金をつぎ込んで負債を膨らませてしまった反省から、整備新幹線は国の資産と位置づけ、工事財源は一般会計から支出される。JRは、国に施設の使用料を払って新幹線を運行するだけ。国が新幹線を建設するには、完成後にJRが運行を引き受けるという同意が必要となる。
 運行の主体となるJR西日本がこれまでの要求を改め、整備計画の中で最も取り組みが遅れている敦賀−大阪間の同時開業にこだわらない考えを示したことで、協議会の見直し案作成に向けた動きが加速する可能性もある。(朝日新聞)
■「夏の熱闘列車・甲子園号」運行
 7日に兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で開幕する第81回全国高校野球選手権大会(朝日新聞社、日本高野連主催)を盛り上げようと、阪神電鉄梅田駅−山陽電鉄姫路駅間で5日から、「夏の熱闘列車・甲子園号」(6両編成)の運行が始まった。15日まで毎日、主に特急・急行として同区間内を走る。
 阪神電鉄と朝日放送が初めて企画。車体の両側面には、朝日放送が大会期間中放送する番組「熱闘甲子園」のキャスター長島三奈さんの似顔絵や、朝日新聞社が全国の高校生を対象に募集した大会キャッチフレース「君がいる甲子園が好き」の文字、イメージポスターなどをデザインした色鮮やかなシールが張られている。(朝日新聞)
■声 妹が被爆した電車で行こう 広告製作業 久田哲己(大阪府豊中市 69歳)
 今年も広島の原爆死没者名簿への新たな記帳が約5000人になるという。
 6歳下の弟は、小学3年生の夏休みであった8月6日、パンツ一つで朝からトンボ捕りに出ていて、上半身裸で被爆した。現在は原爆症によると思われる舌と食道のがんの二重苦を背負う。
 妹は学徒動員の途中、爆心地を通った651号電車の中で、多くの級友とともに被爆した。当時、宇品港の分隊にいた兄が、妹の安否を尋ね歩いた末、町外れの大河小学校の講堂に転がされていたのを見つけた。
 「宏子」と呼びかけると、「うん」とうなずき、苦しい息の下で「うちゃあ、もう死ぬけえ、みんなによろしゅう」と言って兄の腕の中で逝ったという。隣には徴用された朝鮮の女性がいて、「水をつかあさい」と広島弁で言うので、水筒を近づけると、唇に触れる寸前に事切れたそうだ。
 8月になると、いつも妹とその女性の話をしては涙していた兄も、旅立って10年になる。毎日が”ピカ”の日じゃ…と数珠を手放したことのなかった母も旅立って18年である。
 被爆当時、私は大連の実業学校生だった。小学校の級友のほとんどが被爆死したのを知ったのは、1948年3月に引き揚げた時だった。
 8月6日には、妹が乗っていたという651号電車で平和記念公園に行こう。(朝日新聞)
7日■地下鉄赤字289億円 京都市98年度公営企業決算 累積1000億円超す 市バス 乗客減響き19億円
 京都市が6日発表した1998年度の各公営企業会計の決算概況によると、東西線建設費の利払いなどが本格化した地下鉄事業の経常赤字が前年度を111億円も上回り、過去最悪の約289億円になる見通しとなった。累積赤字は1099億円に達し、初めて1000億円の大台に乗る。東西線開業に伴う乗客減で市バスの経常赤字も、前年度の約9倍の約19億円になり、累積赤字は約51億円に膨らんだ。
 地下鉄は、一昨年に開業した東西線が初めて通年運行し、旅客数は1日30万2000人と前年度より4万6000人増えた。このため収入は約29億円増の207億6600万円になったが、線路使用料など経費が49億円、減価償却費が43億円、建設費の利息など営業外費用が35億5000万円も増え、経常赤字が拡大した。
 累積赤字は前年度の808億円から一気に1000億円台になる。企業債の年度末の未償還残高は12億円減って3571億円。
 市バスは、旅客数が1日35万8000人で、前年度より3万7000人減った。人件費を切り詰め、支出を約33億円削減したが、運賃などの収入が約50億円もダウン。この結果、経常赤字が増大した。年度末の企業債残高は約10億円減って89億円となった。
 市交通局は「地下鉄は当面、建設費の利払いなどがかさむが約30年後には収支改善できる。市バスの現在、総合的な経営改善策を取りまとめ中」としている。
 このほかの公営企業会計の決算概況は、水道が3億5500万円、下水道が4億6200万円の黒字。市立病院は収支が均衡する決算となる見込み。(京都新聞)
■窓 京都駅ビルは私の心の駅舎 舞鶴市・堀田克治(農業・67)
 京都駅ビルは何回見ても「ああ、いいなあ。名建築だ」と思う。いつも私の心に何かを語ってくれる。先日の暑い日の昼下がり、吹き抜けの大天井を仰ぎ、アイスミルクを飲みながら、いろんなことを思った。
 天空まで通じているような銀色の大天井を見上げていると、大天井は「悩み事があるなら、この吹き抜けへ、サッと流しておしまい。そして、青空のようなさっぱりとした心で生きていきなさいよ」と語ってくれているようである。
 また、高く長いエスカレーターで昇っていく人たちを見ていると、若い親子連れの楽しそうな姿、助け合って昇っていく老夫婦の姿がある。ああ、なんと、この世のむつまじい家族愛の光景だろう。こんな心の和む光景を眺めていると「そうだ。自分たち夫婦も残された人生、心を新たにして元気に生き抜こう」というファイトがわいてくる。
 旅ゆく人に、人生の生き方を教えてくれる京都駅ビル。私の心の駅舎である。(京都新聞)
■帰省ラッシュ開始 高速は渋滞、駅にぎわう
 お盆休みを前に、帰省や行楽のラッシュが7日午前、京滋でも始まった。名神高速道路は早朝から、京都東インターを中心に車の長い列ができ、JR京都駅では大きな荷物を持った家族連れでにぎわった。
 JR東海によると、京都駅を発着する東海道・山陽新幹線は午前中ほぼ満席で、自由席では立ったままの乗客の姿もあった。
 京都駅の新幹線ホームは土産を抱えた家族連れや若者らで混雑。家族で東京に帰省する宇治市の会社員鈴木一之さん(35)は「ひかりだと自由席がなさそうなので、こだまにします。時期が早いので、座れると思います」と話していた。
 名神高速道路はこの日午前、上り線が京都東インターを先頭に最大で約28`、下り線は山科バス停を先頭に最大で約12`の渋滞となった。(京都新聞 夕刊)
9日■700系で初トラブルか 新幹線名古屋駅で停電
 8日午後4時40分ごろ、東海道新幹線の名古屋駅構内で停電が発生し、上り線に停車していた新型車両の700系の回送列車が動かなくなった。約1時間半後に復旧したが上下13本が最大で約1時間遅れ、約1万5000人に影響が出た。
 JR東海によると、停電とほぼ同時に、モーターなどがある回送列車の3号車の床下から「ボーン」という大きな異音がしたのを駅員が聞いたことなどから、この列車が停電の原因になった可能性もあるとみて車両などを調べている。
 同社によると、700系が原因の場合、3月にデビューしてからトラブルでダイヤに影響を与えたのは初めて。
 同社は、停電の約5分後に下り線に、約10分後に上り線に送電を再開。上下計4線のうち下りの2線は運転を再開したが、回送列車が動かないため上り線は1線だけで再開した。午後5時15分ごろ、駅構内の上下線を停電させて車両を点検、約20分後に回送列車が動き、復旧した。
 新幹線ホームなどを含めた名古屋駅舎内と在来線は、新幹線とは別の電気系統のため、影響はなかった。(京都新聞)
■コンクリ構造物の安全性 診断技術を開発へ 来年度から建設省
 新幹線のトンネルや高架、マンションなどでコンクリートの落下事故が相次いでいることから建設省は8日までに、コンクリート構造物の安全性や強度を的確に診断、評価する技術開発に来年度から本格的に乗り出す方針を固めた。
 併せて構造物の健全度を診断したリコンクリートが劣化する度合いを予測するマニュアル(手引書)なども整備する。構造物を破壊せずに現場で簡単に現状を把握できるようにするのが狙いで、老朽化した構造物を効率的に造り直すことにもつながる。
 現在の診断方法ではエックス線や超音波を使って内側の状況を映し出したり、表面温度を測って内側の状況を推定しているが安全性や費用に問題がある。たたいて反発状況で調べたり、引っ張って強度を測る方法もあるが、精度に問題があるのが実情だ。
 コンクリートと混ぜる骨材の種類や密度によっても強度が大きく変わる点にも対応できていない。建設省では土木研究所や土木学会、メーカーなどと協力しながら検討会などを設置、技術開発を進める。
 骨材の量を減らしたりコンクリートに必要以上に水を混ぜる”手抜き”工事を見つけることにも効果がありそうだ。(京都新聞)
■オピニオン解説 北陸新幹線 3ルート案、一長一短 調整続く敦賀−大阪間 現実模索の動き
 整備新幹線の早期完成を目指す自民、自由両党の与党協議が進む中、北陸新幹線では肝心の敦賀(福井県)−大阪のルートがいまだ決定していない。現在候補は3案あるが、技術、経済的な課題に加え沿線の利害も絡み一長一短、難しい調整が続いている。
 北陸新幹線は、長野−上越(新潟県)はフル規格で、北陸線との並行区間では石動(富山県)−金沢などで在来型特急を走らせる「スーパー特急」方式での整備が進んでいる。
 敦賀以西のルート案は3つあり、福井県などが要望してきたのが同県西部から京都市北郊を経て大阪に至る若狭ルート。全線新線のため時間短縮効果は大きいが、約1兆円という事業費に難がある。
 第2は東海道新幹線米原駅に接続する米原ルート。建設費は若狭ルートよりは安いが、JR側は「東海道新幹線のダイヤに余裕がなく、北陸新幹線は米原止まりにならざるを得ない」と説明。乗り換えの手間は大きなネックだ。
 第3は高架の直線が多い在来線の湖西線を活用するルート。運輸省などが研究中の車輪幅を変えられる軌間可変電車(フリーゲージトレイン)が実現すれば、フル規格区間と在来線との直通も可能だ。
 従来地元の要望の基本は若狭ルートで、今年5月の与党協議会のヒアリングでは、沿線自治体を代表して中沖豊富山県知事が「フル規格での早期全線整備」を要望した。しかし、前後して自民党の森喜朗幹事長(石川2区)が「財源確保が難しい。そろそろ現実問題として結論を出さないといけない」と発言したことなどをきっかけに、変化の動きが出てきた。
 栗田幸雄福井県知事は7月初めの県議会で「湖西線の暫定利用の検討も必要ではないか」と述べ、従来の若狭ルート堅持のスタンスに幅を持たせた。
 営業面から全線一括開業にこだわってきたJR西日本は8月5日の同協議会で、大阪までの整備計画を国が決めることを条件に「長野−上越を延伸し南越または敦賀までの開業なら対応可能」との判断を示し、「ようやく現実的な判断で同じ見解に立つことになった」(北信越五県議会協議会)と事態打開への期待が高まる。
 ルート具体化に当たっては新たな課題も浮上しそうだ。大阪府は北陸各県と歩調を合わせて北陸新幹線の整備を要望してきたが、ルートについては「最も妥当な方法を探ればいいのでは…」と静観の構え。地元負担がどのくらいになるかなど判断材料が乏しいというのが実情だ。
 また米原ルートに絡んで、JR西日本は「北陸線の米原−近江塩津間の経営から手を引きたい」と条件を付けているのに対し、今度は滋賀県が「経営切り離しとなるようであれば県は猛反対する」と予防線を張る。
 与党協議会は次回10日の会合までにJR西日本の考えを再確認し、与党試案の取りまとめを図りたいとしており、ルート問題にどう言及するかが注目される。(京都新聞)
10日■JR奈良線9本運休 宇治駅で信号故障
 9日午後5時45分ごろ、宇治市宇治宇文字のJR奈良線宇治駅構内で、奈良方面行きの信号機が赤のまま変わらなくなった。1時間5分後に復旧したが、この間京都−木津駅間が不通となり、宇治駅で停止した京都発奈良行き普通列車は宇治−奈良駅間を部分運休、さらに上下8本が全面運休し、後続の同12本も5分から55分遅れた。帰宅時間帯の約7700人の足に影響が出、JR西日本は近鉄電車や京阪電車で振り替え輸送を行った。
 JR西日本の調べでは、宇治駅構内のレールの絶縁部分に縦15_、横10_の鉄片が落ちており、電流が流れ線路内に列車があるのと同じ状態となり、連動する信号機が赤のまま変わらなくなったとみている。(京都新聞)
■非常ボタンで電車止める 中2「見たかった」と
 大阪府警鉄道警察隊と鶴見署は9日、踏切の非常停止ボタンを押して電車を遅らせたとして、偽計業務防害の疑いで、大阪府大東市の市立中学2年の男子生徒(13)を補導した。
 調べによると、男子生徒は同日午後2時20分ごろ、大阪市鶴見区今津南四丁目のJR片町線今津踏切で、支障報知器の非常停止ボタンを押し、電車5本を7−1分遅らせた疑い。
 男子生徒は動機について「ボタンを押すとどうなるのか、運転士がどうするのか見たかった」などと供述しているという。今津踏切などでは5日から報知器のボタンが押される事件が5件発生したため、鉄道警察隊などが警戒していた。(京都新聞)
11日■来年3月24日に判決 信楽高原鉄道事故
 滋賀県甲賀郡信楽町で1991年5月に起きた信楽高原鉄道事故で、業務上過失致死傷罪などに問われた同鉄道元運転主任ら3被告に対する公判が10日、大津地裁(安原浩裁判長)で開かれ、来年3月24日午後1時半に判決が言い渡されることが決まった。
 公判には、同鉄道前社長の北川啓一氏(74)が弁護側証人として出廷。JR側の責任を全面的に認めた同事故民事訴訟判決(大阪地裁・3月29日言い渡し)を踏まえ、「(JRと信楽高原鉄道の)双方に十分な話し合いがあれば事故は起きなかった」などと証言した。検察側からは、事故で母親らを亡くした県内の遺族が証人として出廷、事故後の悲しみなどを訴えた。
 この日の公判で、弁護、検察側両者の証拠調べが事実上終了。10月29日に諭告求刑公判、12月28日には弁護側の最終弁論が行われ、結審する。(京都新聞)
■JR西日本米子支社 検査切れ車両運行
 JR西日本米子支社は10日、ディーゼル車両1両を今年6月から7月にかけて、運輸省令の鉄道運転規則が定めた定期検査の期間が過ぎたまま、21日間も営業運転していたことを明らかにした。
 この車両は同支社浜田鉄道部の所属で定員110人。1994年4月から山陰線の浜田−江津間と三江線の三次−江津間の計約127`で運行されている。
 96年10月にブレーキなどの重要部を調べる「要部検査」を実施。同規則ではそれ以降、36ヵ月経過時か25万`走行時に車両を解体して細かく調べる「全般検査」を行うことになっていた。
 同支社は7月17日に全般検査を開始したが、車両情報を管理する京都支社吹田工場から送られた資料で今月6日、この車両は6月23日に要部検査後の走行距離が25万`を超え、7月12日までの間に約5800`も運行していたことが判明した。浜田鉄道部が走行距離の管理を怠ったのが原因で、車両に異常はなかったが、同社は9日、中国運輸局に報告した。(京都新聞)
■京都−園部 鉄道開通 100年 上 保津峡の谷あい縫う 長さ97bもの橋 周囲も驚く難工事
 「嵯峨野線」の名で親しまれるJR山陰線(京都−園部間)を列車が走り始めて、今月15日で100年の節目を迎える。京都から保津峡を経て丹波に至る延長約36`の鉄路は、人々の悲願だった。蒸気機関車が電車に代わり、単線から複線への動きも進む。長いようで短かった100年。人、物を運び続けた沿線の過去を振り返り、丹波路の明日を見据える。(丹波総局・脇坂純一、園部支局・仲屋聴、熊谷章靖)
 全山が桜に包まれ、花の香りが渡月橋までにおう。京都市右京区嵐山に住む小平剛史さん(73)は、今年もまた、嵐山のらんまんを堪能した。大好きだった祖父の思い出がいっぱいの、観桜の散策だ。
 子供のころ、亀岡市保津町に住んでいた。京都観光が趣味だった祖父に抱かれ、幾度となく列車で京都へやってきた。「おじいちゃんも昔はなあ、この汽車ぽっぽの線路つくる仕事しとったんやで」
列車で日帰り
 JR山陰線。愛称「嵯峨野線」ともいう京都−園部間は、いまから100年前の8月15日、産声を上げた。鉄道が走る前、京都への用事は泊まりがけだった。「初めて列車で日帰りしたとき、おじいちゃん、感動でむせび泣いたで」。保津峡の谷あいを縫うように駆け抜ける線路。子供心に、大変な工事だと思った。
 この大事業をスタートさせたのが、亀岡出身の田中源太郎ら京都の資本家たちだった。
 きっかけは1887(明治20)年、海軍鎮守府の舞鶴設置だった。軍需物資の輸送が必要になり、京都や大阪で一斉に官設鉄道の誘致合戦が始まる。京都では、市中とともに京都最大の商工業、金融資本家だった浜岡光哲、八木町出身の高木文平ら30−40代の若い京都政財界のリーダーが団結、運動を始めた。
 ところがその後、政府の姿勢は二転三転。田中らは意を決して、私設鉄道の敷設に乗り出す。94(明治27)年、株式会社京都鉄道の設立だった。
 最難関だった保津峡の工事に、田中は辣(らつ)腕をふるった。全長約30`ともいわれる軽便トロッコ鉄道の敷設、鉄道庁を説得しての、標準規格を超す長さ約97bの橋…。周囲は驚きあきれたが、結果的に工事費を浮かせ、大洪水に耐える線路をつくった。
・志半ばの挫折
 しかしその後の不況、仲間の会社の倒産などが相次ぎ、経営難から南北を貫く鉄道の夢はいったんとん挫する。結局、1906(明治39)年3月、鉄道国有法の公布で鉄道は国が買い上げることになり、翌年京都鉄道も解散へ。その最後の日、田中は解散式もせず、会社の玄関先の桜の下で記念写真を撮って、みんなと別れたという。志半ばの挫折。無念さがこみ上げてきたのだろうか。
 1922(大正11)年4月3日、午後5時36分。偶然にも、所用帰りの田中を乗せた園部発京都行き列車が、保津川鉄橋で脱線。田中は谷底に投げ出され、自分のつくった鉄道で自分の命を落とすという、数奇な結末となった。
 京都の鉄道に詳しい京都学園大の西藤二郎教授によると、1901(明治34)年には、すでに旅客収入が貨物収入を上回っていた。面白いのは、4月の旅客収入が突出していること。4月といえば、花見。丹波の人々は、新しい列車に乗って、花吹雪乱れる嵐山へ向かったに違いない。
 田中が敷いた線路はいま、嵯峨野観光鉄道のトロッコ列車が走っている。乗客のほとんどは田中源太郎の名を知らずに、渓谷をはうように走る線路に驚き、絶景に歓声をあげている。そんな光景を、田中は天国からどんな気持ちで見下ろしているのだろうか。(京都新聞)
■京都駅のタクシー乗り入れ ナンバー規制 八条口は”無視” 運転手「不況下で生活かかっている」 京都市が管理 対抗策もなく 頼りはモラル
 タクシーの乗り入れをナンバー末尾の奇数、偶数で振り分ける自主規制が、今年1月からJR京都駅(京都市下京区)の烏丸口と八条口で始まったが、順調な烏丸口とは対照的に、八条口では規制無視のタクシーが平気で進入し、規制が守られていない状況が続いている。八条口には、規制違反のタクシーへの対折策がなく、関係者は「今は運転手のモラルに期待するしかない」と、対策に頭を悩ましている。
 規制は、京都駅の南北両乗り場(計約150台収容)に入りきれないタクシーの路上駐停車をなくす目的で始まった。ナンバーの末尾が奇数のタクシーは奇数日に、偶数のタクシーは偶数日に、日替わりで乗り入れるルール。市内のほとんどのタクシー会社などでつくる「タクシー乗り場運営委員会」(安居早苗委員長)が今年1月21日にスタートさせた。
 同委員会によると、当初は両乗り場に入るタクシーの数は3分の2に減るなど順調だったが、1ヵ月後には八条口で規制を守らないタクシーが現れた。いまでは規制無視のタクシーがほぼ半数を占め、進入待ちのタクシーが八条通で違法駐停車することもある。
 烏丸口へのタクシーの進入はJR西日本の許可がいるが、京都市が管理する八条口は自由に乗り入れできる。同委員会事務局の富田博さんは「JRは、タクシー業界の取り決めに従わない者には許可を取り消す態度を表明している。八条口には対抗策がなく、烏丸口で規制を守り、八条口では守らないタクシー会社もある」と話す。
 奇数日に八条口で客待ちしていた偶数ナンバーの個人タクシー運転手(42)は「この不況下に自主規制しなくてもいいと思う。こっちは生活がかかっている」と話した。
 同委員会は「罰則を設けるにしても、業界の同意を得るには時間がかかる」としており、この状況はしばらく続きそうだ。(京都新聞)
■来年3月24日 刑事裁判判決 信楽鉄道事故
 1991年に滋賀県信楽町の第三セクター・信楽高原鉄道線で起き、死者42人、けが人600人以上を出した列車衝突事故で、業務上過失致死傷罪などに問われている信楽高原鉄道(SKR、信楽町)の社員ら3人に対する第67回公判が10日、大津地裁(安原浩裁判長)であった。この日で証拠調べがほぼ終わり、安原裁判長は、10月29日に検察側が論告求刑し、12月28日に弁護側の最終弁論で結審、来年3月24日に判決を言い渡すことを明らかにした。
 91年5月14日、信楽町黄瀬で信楽高原鉄道の列車とJR西日本から乗り入れた列車が正面衝突。大津地検は92年、同鉄道社員ら3人を起訴したが、JR西日本の運転士らについては93年に嫌疑が認められなかったとして不起訴処分にした。公判で弁護側は、JR西日本の刑事責任が問われない以上、処罰される注意義務違反はないなどとして無罪を主張している。
 一方、9遺族23人が同鉄道とJR西日本に損害賠償を求めた民事訴訟で大阪地裁は今年3月、「乗り入れの際に主体的な安全対策を取るべきだった」としてJR西日本の過失を認め、2社に連帯して総額約5億円を支払うよう命じた。JR西日本は判決を不服として控訴している。(朝日新聞)
■京都駅ビル 街の魅力評価に温度差 京都大学経済学部生 住民や利用者調査
 京都大学経済学部の岡田知弘教授(地域経済学)のゼミの3、4回生13人がJR京都駅ビルの経済効果、利用者の評価、駅ビルを核とした今後のまちづくりの可能性などを調査・研究した「21世紀に翔けるか京都駅ビル−民営化と公共性のはざまで」と題する報告書をまとめた。独自の住民アンケートなども実施し、京都の新しいシンボルとして定着しつつある駅ビルを様々な角度から研究している。
 学生らは「地域住民や関係団体の声を反映したものが少ない」として、住民の声を集めることに力点を置いた。「利用者・市民の見た京都駅」では、昨年12月、2日間にわたり、学生たちがJR京都駅の周辺で180人(男性78人、女性102人)に聞いた利用者アンケートと、京都市全域と向日市内に住む無作為に選んだ800世帯を対象に実施した住民アンケートの結果が掲載されている。
 住民アンケートでは、例えば、「駅前周辺は四条かいわいに匹敵するほど街全体として魅力がありますか」には、回答があった185人のうち133人(71.9%)が「いいえ」と答えている。その一方で、利用者アンケートでは約半数の人が「四条かいわいの魅力に匹敵する」と答えていた。
 調査した4回生の浅原基さん(21)は「今は点だけの開発の京都駅周辺もこれからは様々な可能性を秘めていると思う」と語った。
 報告書はA4判64n。希望者には1冊1000円プラス郵送費で配布する。問い合わせは岡田研究室(075・753・3462)。(朝日新聞)
■大雨、大阪で1600棟浸水 JR奈良線などで乱れる
 弱い熱帯低気圧が停滞した影響で、近畿地方は10日深夜から11日午前にかけて大阪、奈良、和歌山3府県などを中心に局地的な激しい雨が断続的に降り、大阪や奈良で約1700棟が床上・床下浸水するなどの被害が相次いだ。JRの51本が運休、205本が最大約3時間遅れ、通勤客ら約16万人に影響が出るなど交通機関も乱れた。けが人などは出ていない。
 大阪府の午前10時半現在のまとめでは、大阪市や八尾市、堺市などで計1532棟が床下浸水、114棟が床上浸水。特に生野区、東成区など大阪市南部に被害が集中した。
 また、四条畷市の国道163号など道路6ヵ所が通行止め。東大阪市日下町では民家の裏山が崩れ、1世帯5人が自主的に避難した。
 大阪管区気象台によると、降り始めから11日午前11時までの雨量は、生駒山(大阪)322_、日置川(和歌山)310_、奈良149_などとなっている。
 11日午前6時36分ごろ、JR関西線伊賀上野駅(三重県上野市)に設置している雨量計が1時間あたり30_を記録。このたため、同線の加茂駅と柘植駅の間で一時運転を見合わせたが、約2時間後に運転を再開した。
 また、JR奈良線でも午前5時半ごろ、玉水駅(京都府相楽郡井手町)の雨量計が1時間あたり30_に達したため、木津駅と山城青谷駅の間で時速30`の徐行運転を行い、約3時間後に通常運転に戻した。
 近鉄生駒線では、奈良県内の東山−元山上口間で線路の土砂が流出し、一時は全線が不通になったほか、一部区間で折り返し運転が続いた。(京都新聞 夕刊)
■近畿で集中豪雨 各地で浸水 土砂崩れも 近鉄生駒線が不通
 近畿地方は熱帯低気圧の影響で、11日未明から午前中にかけて、多いところで総雨量300_を超える大雨に見舞われた。この豪雨で、大阪や奈良を中心に土砂崩れや浸水の被害が相次ぎ、交通網も一時マヒした。
 大阪府内では、床上浸水が大阪や東大阪市内で114戸、床下浸水が約1500戸にのぼり、土砂崩れも枚方や東大阪など3市であった。奈良県内では、生駒市で12戸が床上浸水した。山間部を中心に国道、県道計21ヵ所で通行止めになった。
 大雨の影響で、奈良県平群町の近鉄生駒線東山−元山上口間では線路下の土砂が約30bにわたって崩れ、東山−平群間が不通になった。復旧には数日かかる見通し。近畿圏のJR各線で計51本が運休するなど乗客計約16万4800人の足が乱れた。(朝日新聞 夕刊)
■近畿集中豪雨 山崩れ・浸水・住民避難 天理 倒木、1000戸が停電
 11日未明から近畿を中心に降り始めた局地的豪雨は、大阪と奈良を中心に浸水や交通網寸断などの被害を出した。
 東大阪市日下町八丁目では民家の裏山が崩れ、1世帯が自主的に避難した。また、同市東石切町四丁目では市道の路肩の土砂が崩れ、片側通行になった。
 奈良県生駒市小瀬町では床上浸水のため、一時7世帯12人が地区集会所などに自主避難し、独居で寝たきりの男性(82)が病院に運ばれた。平群町椿井でも、竜田川の増水で、3世帯8人が公民館に避難した。
 また、奈良県下市町では午前3時半ごろ、金物店経営綿鍋網二さん(56)所有の資材倉庫が裏山から崩れてきた土砂で全壊した。関西電力によると、天理市長滝町では樹木が倒れて送電線に触れ、約1000戸が約3時間にわたって停電した。
 和歌山県ではJR和歌山線妙寺駅構内の線路が冠水し、始発の五条発和歌山行きの普通電車などが部分運休した。
 大阪管区気象台によると、12日からお盆明けの16日まで曇り時々晴れの天気が続き、降水確率も20−30%程度で推移するという。(朝日新聞 夕刊)
■帰省や行楽 混雑始まる JR各線
 お盆を控え、JR各線で11日午前から、帰省や行楽による混雑が目立ち始めた。JR新大阪駅などでは、朝から荷物を抱えた家族連れらがホームに並び、ふるさとや観光地へ向けて次々と新幹線に乗り込んだ。
 JR西日本によると、関西を中心とした今年のお盆期間中の予約状況は、11−13日に集中しており、都会へ戻るUターンも15、16日の2日間に集中する見込みだという。(朝日新聞 夕刊)
12日■沿線6ヵ所巡るスタンプラリー JR嵯峨野線100年記念 15日から
 JR西日本は、15日に開業百年を迎えるJR山陰線(通称・嵯峨野線)を記念して、同日から31日の間、沿線でスタンプラリーを開催する。
 スタンプポイントは京都市の梅小路蒸気機関車館(下京区)と、JR二条駅(中京区)、同嵯峨嵐山駅(右京区)、同亀岡駅(亀岡市追分町)、同園部駅(園部町小山東町)、トロッコ嵯峨駅(京都市右京区)の6ヵ所。先着3000人の完走者に賞品が贈呈される。また抽選で100人に特別賞品を準備している。梅小路蒸気機関車館は入館料(大人400円、子ども100円)が必要。ゴールは亀岡駅。
 亀岡市観光協会なども、開通100周年記念として15日午後一時から、亀岡駅前でスピードくじを開催。当選者には地元特産品を贈る。同時に鉄道関連商品の販売も行う。(京都新聞)
■個室の寝台特急 快走 くつろげるのが人気の秘密 連日のにぎわい JR2路線
 個室を売り物にしたJRの新しい寝台特急列車が快走している。7月にデビューした上野−札幌間の「カシオペア」は連日満席、昨年7月に東京−高松・出雲市間で運転を開始した「サンライズエクスプレス」もこの1年間8割を超える利用率だった。
 JRは「ブルートレインと呼ばれる従来の寝台列車とは異なり、プライベートな時間を大切にできるのが人気の理由では」と分析している。
 東京のJR上野駅。夕方になると札幌行きカシオペアが、満席の乗客を乗せ出発する光景が見られる。
 日本の鉄道としては初めてという2人用の「全室個室」で、トイレ、テレビ、浴衣などが完備。ベッドもブルトレに多い「カイコ棚」型の2段式とは違うツインベッドで、「走るホテル」そのものだ。
 開発したJR東日本の山之内秀一郎会長は「単なる移動手段ではなく、列車の旅そのものを満喫してほしい。カシオペアのような車両が新しい時代の旅の基準になる」と期待を込める。
 3種類ある部屋のうち最高級の「スイート」の場合、上野−札幌間の運賃・料金(大人1人片道)は4万2710円。東京−札幌間の航空運賃の2倍近いにもかかわらず「発売と同時に売り切れで、切符を取るのは非常に難しい状態」(同社)という。
 サンライズエクスプレスも約8割が個室で、部屋が6種類あるのが特徴。「1人旅、友人同士など幅広い要望にこたえた」(JR西日本)(京都新聞)
■トンネル崩落 「当面は安全」 運輸省検討会初会合
 山陽新幹線福岡トンネルの崩落事故を受け、運輸省が設置した「トンネル安全問題検討会」(座長・足立紀尚京大教授)の第1回会合が11日、同省で開かれた。
 鉄道総合技術研究所(JR総研)が事故原因について中間報告したが「コンクリートの強度の弱い部分がなぜできたかは現時点では推定できない」とするにとどまった。JR総研は「地質や水質の調査を進め、10月ごろには原因を特定したい」としている。(京都新聞)
■京都−園部 鉄道開通100年 中 待望の開業 沿線に見物人 再三、大洪水で不通に
 「十数両の列車は毎列車とも充満したり…。列車は装飾し、楽手を乗せて停車場ごとに奏楽し…」
 1899(明治32)年8月15日に京都−園部間に鉄道が走った翌朝、京都日出新聞(京都新聞の前身)は一面で開業を紹介。新設の各停車場は贈り物を乗客に配り、沿道には物珍しい見物人が多かった、と報じた。待望の鉄道開通に沿線は大いに活気づいた。
 文明開化の波、京都の平安遷都1100年祭(1894年)の熱気を鉄道が運んできたといってよかった。
・片道1時間40分
 鉄道開通前は、乗り物といえば駅馬車。園部から京都までは片道5時間もかかった。1日6往復(1往復は二条−園部間)とはいえ、京都−園部間を1時間40分前後で結ぶ鉄道は「長い旅は汽車で」と人気に。料金は三等(普通車)で34銭。封切り映画館の入場料より倍ほど高かった。
 資金難の京都鉄道が政府に買収された後の1910年8月25日、園部−綾部間が開通。やっと、京都の南北が鉄路で貫かれ、線名も山陰線と命名づれた。
 その記念に、当時の園部小の校長作とされる「山陰鉄道唱歌」もできた。「一大工事 はかどりて 難なく山本切り抜いて 見下ろす保津 谷あいの八つのトンネル通り抜け」と保津峡付近から綾部までの地名が順に歌われた、という。
 日露戦争、第一次世界大戦から日中・太平洋戦争…と戦争と隣り合わせで鉄路は沿線の生活を支えてきた。開通満46年の誕生日には、敗戦の日を迎えた。
 戦後の混乱期。1日7往復(1947年6月当時)となお列車本数の少ない中で、各列車は超満員だった。学徒出陣で除隊後、郷里に帰り京都の大学に復学していた園部町宮町の和菓子会社経営山名良雄さん(75)は「京都市内まで、よく車外のデッキにしがみつき、保津峡に落ちないように必死で乗っていました」と話す。
 京都−園部間は、64年の新幹線誕生後もまだ蒸気機関車が走っていた。それは一方で、ばい煙や水害に悩まされる鉄路だった。
 旧国鉄マンで、二条駅や京都駅の助役もした八木町八木嶋の堀源一さん(75)は「58年の水害で馬堀と亀岡間の線路が流されてしまって…。災害で不通になった思い出が強烈です」と当時を振り返る。
・亀岡駅が水没
 日吉町の木材会社員塩貝一郎さん(67)は53年の大水害時、水没した亀岡駅で立ち往生した列車に乗り合わせた。「仕事を終え、二条からの帰宅途中でした。駅付近で大水のために停車。窓の外は一面の大浜水でゾッとしました。結局、その日は亀岡泊まり。駅は水に漬かっていた。きのうのことのようです」
 戦前戦後を知る人には思い出が尽きない。八木駅前で戦前から料理店を営む秋田こよ志さん(83)は「戦前は、お客さんがご飯を食べている時に汽車が来ても『待っといてえな』というと汽車が待ってくれた。ゆったりした時代でね。戦後は買い出しの人が多く、駅前で自転車借りて走ってましたね」と懐かしそうだ。
 汽車は水、石炭の補給のため、園部駅で停車する時間が長く、その間に駅弁がよく売れたという。
 沿線の人々のさまざまな思いを乗せたC57形などの蒸気機関車は、70年の大阪万国博覧会の翌春、丹波路での長い任務を終えた。(京都新聞)
■復旧には10日程度 近鉄生駒線
 奈良県平群町の近鉄生駒線東山−元山上口間で11日朝に起きた土砂崩れは、復旧に10日程度かかることが近鉄の調べで分かった。集中豪雨で線路下部の土砂が約30bにわたって流出したため、復旧作業に手間取るという。復旧まで東山−平群区間で代行バスを走らせる。(朝日新聞)
■弱い部分、当初から 新幹線事故でJR総研報告 「施行状況調査を」
 山陽新幹線で起きたトンネルはく落事故の原因について、鉄道総合技術研究所(JR総研)は11日、「施工当初からトンネル内部にあった強度の弱い面が経年や漏水で劣化し、列車通過時の振動などが引き金となって落下した」とする中間報告を明らかにした。運輸省がこの日間いた「トンネル安全問題検討会」の初会合で報告された。
 列車通過時の振動や空気圧の変化がはく落の引き金となった可能性はあるが、現場のトンネルは地質条件もよく、外部要因が主な原因とは考えにくいとした。
 一方で、コールドジョイントの下部にあった強度の弱い面については、施工時か施工直後に発生していたと断定。「なぜ弱い面ができたかは推定しにくい」としながらも、「急速なコンクリートの打ち込み」や「不十分な固め」などの施工状況を、可能な限り調査する必要があるとした。
 コンクリートの成分分析は調査途中だが、今のところ明らかな問題点は見つかっていないという。一方で、中性化の進行度が高かったり、セメント量が少なかったりする試験結果もわずかながら確認されており、「標準より水が多めだった可能性は否定できない」とした。
 JR総研は10月までに最終的な原因調査を終え、検討会に報告する予定だ。(朝日新聞)
■満席の列車「さあ乗るぞ」 お盆の帰省ラッシュピーク 切符や弁当に長い列 JR京都駅
 お盆の帰省ラッシュが12日午前、ピークを迎えた。最近は分散型の帰省が定着し、かつてのような大混雑は影を潜めているが、JR京都駅では朝から混雑し、みどりの窓口や売店で切符や弁当を求める人の長い列ができていた。
 JR西日本によると、京都駅を発着する東海道・山陽新幹線は下り線が乗車率がほぼ100%を超え、中には180%の列車もあった。自由席では両手に大きな荷物を抱えた家族連れが目立ち、通路に置いた荷物に座り込む人もいた。
 京都駅新幹線ホームで、広島市内の祖父の家に一人で行く奈良市の小学五年生中川亨君(11)は「立ちっぱなしでも頑張ります」と満席の自由席に覚悟を決めていた。
 京都府警交通管制センターによると、名神高速道路は同日午前中、上り線が京都東インターを先頭に最高約28`、下り線が吹田ジャンクションを先頭に最高約25`の渋滞となった。
 府警やJR西日本などによると、帰省のピークは12、13日、Uターンのピークは鉄道では15、16日、道路では14、15日とみられている。(京都新聞 夕刊)
13日■スーパーに駐車し 電車で通勤実験 大阪府が全国初
 大阪府と建設省近畿地方建設局などは12日、マイカー通勤者に郊外の最寄り駅近くの大型スーパーなどの駐車場に車を止めて電車で通勤してもらう「パーク・アンド・ライド」の実験を府内5ヵ所で9月1日から始める、と発表した。
 実験には、イズミヤ、ダイエー、ジャスコ、西武百貨店、マイカルの5社が参加。民間の大型商業施設の駐車場を利用する本格的なパーク・アンド・ライドの試みは全国でも初めてという。駐車場確保の手間や費用がかからず、スーパー側にとっても平日は空いている駐車場が有効利用できるメリットがあり、大阪府交通政策室は「採算性などの問題がクリアできれば、各地への波及も期待できる」としている。
 実験は近鉄河内松原駅前のイズミヤ松原店など5ヵ所、計400台程度の駐車場で来年3月までの6ヵ月間実施。利用料金は月7000−1万5000円。店舗の営業時間外の早朝から終電時間まで運営し、管理上の問題点や一般の来店者の反応、採算性、効果などを検証する。(京都新聞)
■京都−園部 鉄道開通 100年 下 複線化は沿線の悲願 京都−園部間 資金難が最大の悩み
 「いままでは京都への通勤通学の時間短縮を進めてきたが、今後は園部の各学校、八木の工場などへの通勤通学者らのために京都から園部への到達時間短縮を進めたい」
 今月9日、八木町であった山陰本線京都中部複線化促進協議会の本年度総会で会長の中川泰宏八木町長は、こう決意を述べ、馬堀−園部間16.1`の複線化に力を注ぐ意向を示した。京都−園部間の複線化は、沿線の悲願なのだ。
 1978(昭和53)年に蜷川府政から林田府政に転換するまで、複線電化されていた府内の旧国鉄路線は東海道線だけ。特に電化率は周辺府県に相当な遅れを取っていた。その象徴的な存在が山陰線であり、70年代半ばまで、中には1899年の開業時とほとんど到達時間が変わらない列車まであった。
・電化で乗客1.5倍
 高度成長期、モータリゼーションの波に押されたことも痛かった。やっと光が差したのは79年8月。京都−福知山間の電化、京都−園部間の複線化の運輸大臣認可が下りた。最大の難所の保津峡に複線の新線を通す工事がスタート。ところが工事半ばで旧国鉄が民営化、JRに代わる苦難に見舞われる。
 沿線の自治体、府の結束した取り組みで、JR西日本になって2年後の89(平成元)年3月、6つのトンネルと5つの橋で保津の山々を貫いて嵯峨(現嵯峨嵐山)−馬堀間に待望の新線が完成。トンネル、橋の連続のため工事費が増大したが、翌年3月の電化(京都−園部)と約7.8`の複線電化の効果は大きかった。電化前には京都−園部間で上下90本だった列車が、今年5月現在、142本に。乗客も園部駅、亀岡駅ともに、昨年度で新線開通前の約1.5倍に増えたのだ。
 保津峡の景勝が満喫できる旧線は、91年4月にトロッコ列車(嵯峨野観光鉄道)として再出発した。本線の電化は、96年3月には園部−福知山間などで実現し、今年10月には田中源太郎らが構想した京鶴線の終点・舞鶴(東舞鶴)までの電化も完了する。だが、複線化は現在、京都市内の二条−花園間で2001年春完成を目指し工事が進んでいるだけだ。
 今後の複線化はどうなるか。「資金難が最大の悩み。旧国鉄と違い、JRは民間の鉄道事業者。採算が取れるかが課題」(府企画環境部交通対策課)という。複線化用地は旧国鉄時代に京都−園部間で約7割の買収を終えている。
 現実には、亀岡市内と八木町内に一部、用地確保の難しい個所があるが「とにかく最善の努力を傾け、できるところから複線化を急ぐ」(野中一二三園部町長)ことは丹波地域の総意だろう。
・カギ握る熱意
 旧国鉄マンで、保津峡を貫く新線建設に府副知事としても尽力した野中広務衆院議員(内閣官房長官)は、明治期に、二条−嵯峨間の複線化用地を確保していた田中源太郎の先見性に敬意を払いながら「複線化のカギは、沿線の人口増加、各自治体の熱意。それにJRがどうこたえてくれるかだ」と言い切る。
 自然豊かな田園風景の残る京都−園部間の愛称・嵯峨野線。沿線は、一方で今後、京阪神のベッドタウンとして、さらには北部を結ぶ観光ルートとして発展していくために、一日も早い複線化が期待されている。丹波地域の新たな100年の大計を考える節目の今、知恵を絞りたい。(京都新聞)
■コンクリ塩分 濃度10倍超に 山陽新幹線
 高架橋からのコンクリート片落下が続いた山陽新幹線で、鉄筋を腐食させるなどの作用があるコンクリートの塩分濃度が、最高で基準値の10倍以上に上っていることが、13日までに分かった。
 コンクリートの材料として高濃度の塩分を含む海砂が使われたことが原因とみられる。海砂は山陽新幹線の工事で多く使われていると指摘されてきたが、これほどの高濃度であることが裏付けられたのは初めて。
 落下事故を受け鉄道総合技術研究所(JR総研)が設置した「山陽新幹線コンクリート構造物検討委員会」(委員長・長滝重義新潟大教授)の初会合が12日東京都内で開かれ、この中でJR西日本がこれまでの内部調査の結果として報告した。
 委員会終了後記者会見したJR総研の小山幸則技術開発事業本部副本部長は「海砂が使われている可能性が高い」と説明した。(京都新聞 夕刊)
■科学 山陽新幹線のトンネル崩落 ずさんな施工 明らかに 問題多い高度成長期の建築 「高架橋もっと危険」 専門家指摘
 山陽新幹線の福岡トンネル(長さ8.5`)内で6月末、コンクリート塊(重さ約200`c)が崩落、時速200`bで走行中の新幹線の屋根を直撃した事故は、子供との夏休み旅行を計画していた親たちに十分な衝撃を与えた。この後、高架橋からのコンクリート片はく落も相次いで発覚し、当時のずさんな施工状況が明らかになりつつある。
 「今回、全く予想もしていなかった部分からコンクリートが落下した。世界的にも例がなく、深刻だ」と、小林一輔・千葉工業大教授(コンクリート工学)は福岡トンネルの状況を憂慮した。「以前に私鉄のトンネルで天井真上のコンクリートが落ちたが、今回の場所に欠陥があるとは思わなかった」と話す。
 山陽新幹線は1975年に新大阪−博多間が延伸開業。本来ならば、まだ老朽化する時期ではないはずだ。「先に造られた東名高速道路に比べて6倍の速度で傷みが進んでいる」と、小林教授はその惨状を指摘。「大気中にある微量の二酸化炭素が劣化を引き起こすが、本来なら50年たっても大丈夫。これは人災だ」と言い切った。「建設当時は高度経済成長期。量産のみを考えていた時代で、造った物の質は問われなかった」と当時を振り返った。
 今回の事故要因の一つであるコールドジョイントは、コンクリート注入時の作業時間のずれなどで隣接部に継ぎ目ができる状態。鉄道総合技術研究所(JR総研)は「施工不良」と断定、土木学会は「コンクリートのコールドジョイント問題小委員会」(委員長・山本泰彦筑波大教授)を緊急に設置、今後の工事に反映させようと調査を始めた。
 「明日にも危ない」。小林教授は、同新幹線の高架橋をこう表現する。「1965年以降、西日本のコンクリート建造物は塩分の多い海砂が使われており、劣化が激しい」と90年春、東京大の退官講演ですでに指摘していた。
 そのころ、小林教授は高架橋を現地調査していた。そして直径約2aの鉄筋が表面からわずか3_腐食するだけで安全性が保持できず、塩分が鉄筋腐食を促進させることを解明。最近はく落が見つかっている部分は、鉄筋が中でさびていることを示している。
 また、小林教授はアルカリ骨材反応が強度を大幅に低下させることも挙げる。
 小林教授が「コンクリートの憲法」と呼ぶ本がある。土木学会が発行する「コンクリート標準示方書」だ。「この本に書いてあるように工事すれば、コンクリート構造物は70年はもつ」と同教授。「みんな基本は分かっている。東京五輪ごろが境目、あとはタガが外れてしまった。マンションなども含めて2005−2010年ごろにコンクリート建築物の寿命が来るだろう」
 「トンネルはJR総研の技術水準からすれば修復が可能。だが、高架橋は列車を止めて造り換えるしか方法はない」と警告した。(京都新聞 夕刊)
14日■チャーター列車に男のロマンをかけ 自ら企画の思い出 冊子に 山科の佐竹さん 展望車の連結も 参加の乗客に配る計画
 京都市山科区に住む、大の鉄道ファンの男性が、これまでに自らが計画して走らせたチャーター列車の旅を記録した冊子を発刊した。チャーター列車にかけた男性の熱い思いが込められており、冊子はかつて列車に乗っていっしょに旅を楽しんだ人たちに配る予定だ。
 男性は同区西野大手先町、無職佐竹保雄さん(67)。佐竹さんは10年前、京都市役所を退職した記念として、自ら企画した「京都発京都行き」(京都−米原−名古屋−亀山−草津−京都)のチャーター列車を初めて走らせた。
 佐竹さんは、お気に入りの米国映画の題名から名前をとり「トレランス号」と名付けて、1996年までの間に鉄道ファンの夢であるチャーター列車を計7回走らせた。あこがれの展望車を連結したり、ルートやダイヤをさまざまに工夫しながら列車を走らせたほか、鉄道ファンや知人だけでなく、チェルノブイリ原発事故で被爆した海外の子どもたちや知的障害のある人たちを鉄道の旅に招待した。
 今回作った冊子「走れトレランス号」は、チャーター列車にかけた佐竹さんの思いと、過去7回実施した旅の体験を収録している。同志社大鉄道同好会OB会が、今年7月に発足40周年を記念して発刊した冊子「青信号64」に寄稿した原稿などをもとにまとめた。
 冊子はこれまでの旅に参加した延べ1968人の乗客に配布する予定で、佐竹さんは「トレランス号は、鉄道ファンの仲間と妻と一緒に築き上げてきた。乗客の皆さんに楽しかった旅を思い起こしてもらえれば」と話している。(京都新聞)
■タイムアングル ボギー車 揺れ少なく、倍の輸送量こなす
 市電の走っている四条大橋を、東北のたもと、たぶんレストランビルの屋上あたりから見下ろしている。
 橋のかなたに広がる大正末の京都は、眺望がひろやかだ。目立った高層建築もなく、民家の屋根は土地に根を下ろしたかっこうで波打っている。中央少し左の遠くに、大きな屋根が二つ並んでいるのは仏光寺と因幡堂(平等寺)だろう。
 橋の西詰め北側には先斗町の入り口がある。「銘酒愉快」の看板をあげた家と、「ユニオンビール」の看板の3階建てとの間が、その入り口だ。「ユニオンビール」の家の屋根の上に、とがった時計塔が顔を出しているのは、木尾町の角にあった村田時計店で、当時名物の時計塔だった。
 四条大橋が架け替えられたのは、大正2年3月。完工の前年の12月に、初めて市電が鴨川を越えて、祇園石段下まで走った。渡り初めには大群衆が橋上をうずめたが、それもひと昔前の話だ。
 珍しくもない四条大橋をなぜ撮ったのか。この写真の主役は、橋を渡っているボギー車の市電なのである。
 ボギー車は2組の台車の上に車体をのせたもので、揺れが少なく、カーブも曲がりやすい。定員が80人で、旧型車に比べると輸送量が倍増した。大正末、ボギー車はまだ目新しかったのである。(作家・駒 敏郎)(朝日新聞)
■嵯峨野線開通100周年 記念入場券やイベント 15日から沿線の各駅で
 JR嵯峨野線(山陰線)京都−園部間が開通してから、15日で100周年を迎える。JR西日本や沿線の自治体によるイベントや記念入場券の発売などが予定されている。
 嵯峨野線の前身は、私鉄の旧京都鉄道。1897年2月にまず二条−嵯峨間で開業し、1899年8月15日に京都−園部間が全通した。1907年に国有化されて旧国鉄山陰線となった。JR西日本に移管後の88年に「嵯峨野線」の愛称に。89年に嵯峨(現在の嵯峨嵐山)−馬堀間の新路線が開通。保津峡をぬって走る旧路線は、91年から嵯峨野観光鉄道がトロッコ列車を運行している。主な記念行事は次の通り。
 ◆記念入場券 JR西日本は、嵯峨野線13駅(丹波口−園部)をセットにした台紙付記念入場券を15日から発売する。2500セット用意し、1組1820円。無人駅の保津峡、吉富を除く11駅で発売する。
 ◆スタンプラリー 梅小路蒸気機関車館、二条駅、トロッコ嵯峨駅、嵯峨嵐山駅、亀岡駅、園部駅の6ヵ所を巡る。ゴールは亀岡駅。15日から31日まで。完走者先着3000人に賞品を贈るほか、抽選で100人に特別賞品も。
 ◆お客様感謝フェスタ・エンジョイそ・の・べ 29日午前10時−午後3時。園部駅西口広場。園部町の特産品や福祉施設授産品の即売。ミニSLの運転、ビンゴゲームなど。
 ◆亀岡駅記念イヘント15日 午後1時から、亀岡駅前。スピードくじによる特産品プレゼント。
 ◆八木駅記念セレモニー 15日午前9時−10時、八木駅1番乗り場。100歳の人の1日駅長や鉄道模型展示など。(朝日新聞)
■偽5000円札見つかる 阪急三宮駅売店など
 神戸市の阪急電鉄三宮駅や宝塚市の同宝塚駅の売店などで12日に偽5000円札が見つかっていたことが、14日分かった。兵庫県警捜査二課などが偽造通貨行使、詐欺事件とみて調べている。調べでは、偽5000円札はコピー用紙に似た紙質で、透かしなどはなく本物より色が薄いという。
 阪急電鉄によると、12日午前11時半ごろ、神戸市中央区の三宮駅売店で中年の男が、運賃用プリペイドカード(1000円)を購入。その際に使った5000円札を、店員が日銀神戸支店の現金自動預払機(ATM)で入金しようとしたところ受け付けず、偽札と分かったという。
 また同日、宝塚駅の売店でも偽5000円札が見つかり警察に届けた。さらに同電鉄梅田駅周辺売店から銀行が集金した中からも偽5000円札が見つかったという。(京都新聞 夕刊)
■駅などで6枚 ニセ5000円札 大阪・兵庫
 カラーコピーしたとみられる偽5000円札6枚が大阪市内と兵庫県宝塚、神戸両市内で見つかったことが14日、わかった。大阪、兵庫両府県警は通貨偽造・同行使容疑で捜査している。
 調べによると、偽5000円札は本物に比べ数_小さくて透かしがなく、文字がにじむ特徴などがあり、カラーコピーしたとみられる。12日午前に宝塚市の阪急電鉄宝塚駅構内の2ヵ所の売店で計2枚、同日午後になって神戸市中央区の阪急電鉄三宮駅とJR元町駅構内の売店で1枚ずつ見つかった。いずれも40歳ぐらいの男性が使用しており、兵庫県警は同一人物とみている。さらに、大阪市北区の阪急電鉄梅田駅周辺でも2枚見つかったという。(朝日新聞 夕刊)
15日■市バス乗客 転倒し死亡 東山、停車の際
 14日午後零時25分ごろ、京都市東山区東大路通五条上ルで、北大路バスターミナル行き市バス=平川渉男運転手(55)=が五条坂バス停に停車するためにブレーキをかけたところ、車内前部に立っていた乗客の吹田市山田西、主婦竹内志げ子さん(66)が乗降口付近に転倒した。竹内さんは意識不明となり、病院に運ばれたが、約1時間後に死亡した。
 松原署の調べでは、竹内さんの死因はくも膜下出血。竹内さんは運転席横の手すりを持って立っていたといい、転倒と死亡の因果関係を調べている。
 同署によると、市バスには、ほぼ満員の約60人が乗っていたが、ほかに転倒した人はなかった、という。
 竹内さんは夫(68)と京都観光中で、知恩院に行く途中だった。(京都新聞)
16日■山陽新幹線 13ヵ所亀裂 六甲トンネル外壁・橋りょうなど アルカリ骨材反応 内部から劣化 JR西日本、応急処置
 山陽新幹線の六甲トンネル(新大阪−新神戸間)外壁や橋りょうなど13ヵ所で、コンクリートにひび割れができる「アルカリ骨材反応」の被害が出ていることが16日、JR西日本の調べで分かった。このほかアルカリ骨材反応の疑いが強い被害も数十ヵ所で見つかった。セメントと砂利が化学反応を起こして内部から構造物をもろくさせるために「コンクリートのがん」と言われているが、すでに応急処置を済ませ、運行に支障はないとしている。JRはこれまで被害の全体像をまとめておらず、サンプルを採取して反応の進行状況を把握するなど本格的な調査に乗り出す。
 同社によると、六甲トンネル外壁のほかに被害を確認したのは、武庫川橋りょう(新大阪−新神戸間)▽赤根川橋りょう(西明石−姫路間)▽第三御着架道橋(同)▽第一郷橋りょう(広島−新岩国間)▽第二郷橋りょう(同)▽第三郷橋りょう(同)▽第二永慶寺川橋りょう(同)▽中津岡川橋りょう(同)▽恵川橋りょう(同)▽第一郷高架橋(同)▽大門こ線橋(小倉−博多間)▽鋳物師高架橋(同)の計13ヵ所。
 これらの橋りょうや高架橋では、橋げたや橋脚に同反応の特徴である亀甲状のひび割れが入っていた。亀裂は幅0.5−3_、長さ数十a、深さ2−3aとされ、この種のひび割れが多数あった。六甲トンネルでは兵庫県西宮市側の出入り口を覆う南側の外壁で、縦横に亀裂が入り、最大で幅約2_、深さ約六aまで達していた。現時点ではトンネル内部で被害は確認されていないという。
 このほかの数十ヵ所については、アルカリ骨材反応の疑いが強いとみられるが、目視だけでは中性化現象や乾燥収縮など別の要因による被害との区別がしにくいという。台帳に記録して点検・管理を徹底する一方、採取したサンプルから被害の進行状況や耐久性なども調べる。
 同社は1984年ごろから部分的に被害を確認し、亀裂の広がりを抑えるために防水効果のある樹脂を注入したり、塗料を塗ったりしてきた。が、補修した数ヵ所では再びひび割れができていたという。6月末に福岡トンネルで起きたコンクリート塊の落下事故後、トンネルと高架橋の緊急点検にあわせてアルカリ骨材反応の被害の実態を調べていた。
 JR西日本は「アルカリ骨材反応は旧国鉄時代から被害を把握して対応してきたが、きちんとした形での全体像はまとめていなかった。すぐに落下する恐れはないが、さらに安全を確保するために、構造物全体を根本的に調べ直したい」と話している。
・広範囲で事態深刻
 アルカリ骨材反応の調査を続けている大阪工業大の二村誠二講師(建築材料学)の話 JR西日本が確認した13ヵ所だけでも広範囲にわたっており事態は深刻だ。コンクリートの表面だけでなく、内部から劣化が進むため放っておくと強度も落ちる。早期発見し、水を完全に遮断して乾燥状態を保てばほとんどの進行は止まるが、常に水やアルカリ分が供給されるなどで進行を止めるのが難しい場所もあり、環境に応じたきめこまかい対応が必要だ。山陽新幹線では20年近く前から問題となってきたのに今になって被害を集計しているとしたらJRの対応は悠長すぎる。
・アルカリ骨材反応
 セメントに混ぜ合わせる骨材に火山ガラスやシリカ分が含まれていると、セメント中のナトリウムなどのアルカリ成分と化学反応を起こし、吸湿性のあるケイ酸ナトリウムができる。これが水分を吸収して膨張し、コンクリート本体がひび割れを起こす。亀裂から雨水などが入ると、内部の鉄筋もさび、コンクリートの耐久性が大幅に落ちるとされる。1980年代初めから阪神高速道路や神戸・ポートライナーの橋脚、マンションなど西日本を中心に被害が出ている。空気中の二酸化炭素がコンクリート中のアルカリ成分を中和させて鉄筋をさびやすくさせる「中性化現象」とは別の被害。山陽新幹線はこの中性化に加え、アルカリ骨材反応も劣化に拍車をかけていることになる。(朝日新聞 夕刊)
17日■高架橋コンクリ塩分濃度 94%で基準超す JR西日本 430ヵ所調査 鉄筋腐食も進行
 コンクリート片のはく落が相次いだ山陽新幹線の高架橋で、はく落をもたらす鉄筋腐食の一因となるコンクリート中の塩分の濃度が、調査対象の94%の地点で土木学会の基準値を超えており、93%の鉄筋で腐食が進行していることが16日、JR西日本のサンプル調査で分かった。
 同社は「塩分濃度が高いのは好ましくはないが、鉄筋腐食の度合いとの相関関係は認められない」として「塩害」の可能性を否定。大気中の二酸化炭素の影響でコンクリート中のアルカリ性質が失われる「中性化」が腐食の主要因だ、とした上で「腐食は直ちに危険な状態ではないが、塩分を除去する補修方法の導入も検討する」としている。
 山陽新幹線では高濃度の塩分を含む海砂が、十分に洗浄されないまま細骨材として使用されたとみられ、平均塩分濃度は1立方b当たり1.3`cで、基準値の4倍強だったことが既に判明している。
 土木学会は、コンクリートの安全の目安として、塩分(塩化物イオン)の濃度を「コンクリート1立方b当たり0.3`c以下が原則」と規定。
 ところが、JR西日本が1996−97年度に同新幹線の高架橋約430所で塩分濃度を調査したところ、馬場山第一架道橋(小倉−博多間)で基準の17倍強の1立方b当たり5.22`cだったのを最高に、計7ヵ所で同4`cを超えていた。基準値内に収まったのは、6%にすぎなかった。
 また、鉄筋腐食の進行状態を段階別に分けて検討したところ、腐食がみられないのは7%だけで93%以上の鉄筋が腐食していた。2%では断面の全周に欠損がみられたという。(京都新聞)
■山陽新幹線 塩分量、9割で基準超す コンクリ内 高架橋401ヵ所で
 コンクリートの落下が相次いだ山陽新幹線で、高架橋のコンクリート内に含まれる塩分量を測定した結果、サンプルの約9割が土木学会の基準を超えていたことが16日、JR西日本の調べで分かった。JRは、塩分量とコンクリートの劣化に関係は薄いとして、これまで塩害対策は講じていなかった。今後、脱塩など補修方法を検討するという。
 同社によると、塩分量の測定は1996−97年に実施。新大阪−博多間で高架橋の橋げた計427ヵ所からサンプルを抜き取った。その結果、コンクリートに含まれる塩化物イオン量は平均で1立方b当たり約1.3`だった。土木学会は0.3`を安全の目安にしているが、全体の9割を超える401ヵ所でこの基準値を超えていた。
 最高は北九州市内の馬場山第一架道橋(小倉−博多間)の5.22`。このほか新下関−博多南間を中心に6ヵ所で4`を超えていた。また、161ヵ所で鉄筋表面の大部分に腐食がみられ、腐食により鉄筋が細くなった状態が8ヵ所で見つかった。
 JR西日本は、コンクリート劣化の主要因は空気中の二酸化炭素がコンクリート中のアルカリ成分を中和させて鉄をさびやすくする中性化とみている。塩化物イオン量と鉄筋腐食度、中性化進行度との間には相関関係がみられないと分析。塩害対策はとらなかった。
 同社は「塩化物イオンがコンクリート中で何らかの影響を与えていることは否定できないが、劣化にどう作用するのかが分かっておらず、緊急度の高い中性化対策を急いだ。鉄道総合技術研究所(JR総研)などから幅広い意見を聞いて、メカニズムを解明したい」と話している。(朝日新聞)
■男性客転落 のぞみ停止 JR広島駅
 16日午後6時ごろ、広島市南区のJR広島駅の新幹線上りホームから男性(48)が線路に転落した。同じホームにいた乗客が助けを求めたため、駅員が列車緊急停止ボタンを押し、2分後に到着予定だった博多発新大阪行きのぞみ504号(16両編成)が駅の約800b手前で停車した。男性は顔に軽いけがをした。この事故で新幹線上下7本が3−7分遅れ、約3500人に影響が出た。
 JR西日本広島支社によると男性は気分が悪くなったと話しているという。(朝日新聞)
■偽500円硬貨4枚 京都駅など みつかる
 偽造された500円硬貨四枚が、京都市下京区のJR京都駅の売店などで見つかっていたことが、17日分かった。京都府警捜査一課は、偽造方法などを警察庁科学警察研究所に依頼して詳しく鑑定するとともに、偽造通貨行使の疑いで捜査している。
 府警によると、4月に長岡京市のスーパーで、自動販売機の売上金を機械で計算中、不審な500円硬貨1枚がはじき出された。5月には、京都市下京区の銀行で、京都駅構内の売店の売上金から不審な硬貨1枚が見つかった。このほか、伏見区の銀行や大阪市内で買い物をした女性が同様の硬貨1枚ずつを府警に届けている、という。
 調べでは、長岡京市のスーパーや大阪市内で見つかった硬貨はメッキがはげて赤茶けていた。京都駅の売店や伏見区の銀行の分は、ひと目では本物と見分けがつかなかった、という。
 府警や日本銀行京都支店によると、偽造硬貨は本物より白く、鋼のような赤茶けた金属に銀メッキをしているとみられる。大きさは本物とほぼ同じだが、重さが異なる物もあるといい、東京などで大量に見つかっている偽造硬貨との関連も含めて調べている。(京都新聞 夕刊)
■近鉄生駒線 19日再開へ 土砂崩れで不通
 近鉄は17日、奈良県平群町で土砂崩れのため不通となっていた生駒線東山−平群間について、19日の始発列車から運転を再開する、と発表した。11日未明の集中豪雨で線路下の土砂が約30bにわたって流出し、復旧作業のため同区間では列車の運転を見合わせ、バス代行していた。(朝日新聞 夕刊)
18日■トンネル壁崩落、鉄筋が腐食… 新幹線 揺らぐ安全神話 本数増 高速化 補強が課題
 6月末の山陽新幹線トンネル壁崩落事故で浮かび上がったトンネルなどの劣化問題は、その後もコンクリート片のはく落などが相次ぎ、新幹線の「安全神話」を大きく揺るがしている。一歩誤れば、死者101人を出した昨年のドイツの超高速鉄道インターシティー・エクスプレス(ICE)の脱線事故の二の舞いになりかねないだけに、新幹線が高速化する中、劣化設備の発見と補強が大きな課題になっている。
 「コールドジョイントそのものが事故に結び付くという認識がなかったのは事実」
 運輸省の安富正文鉄道局長は、8月5日の衆院運輸委員会のトンネル壁崩落事故審議で、JR各社がこれまで全く対策を取ってこなかったことを認めた。
 だが土木専門家の多くも「コールドジョイントは工事の過程でよくある。まさか崩落につながるとは」という認識だった。
 「今回のトンネル崩落は脱線につながる恐れもあった。わずか一つの車輪の破損が脱線につながったドイツのICE事故で『新幹線は脱線しない』という考え方は覆った」と技術評論家の桜井淳さんは指摘する。
 「新幹線は高速化のため車体を絞り込み軽くしているが、乗客の安全を考えた設計にはなっていない。JRは『障害物ははね飛ばせる』と言うが、対向列車に当たれば数百人のけが人が出る可能性がある」と話す。
・点検方法見直す動き
 今回の事故の反省から、JR各社にトンネルの点検方法を変える動きが出ている。
 JR東日本は、トンネルの表面を撮影してひび割れの場所や深さをデジタル処理する「トンネル表面撮影車」や、壁面を壊さずに内部の空洞などを調べることができる「トンネル非破壊検査装置」を本年度末から本格使用する方針を決めた。
 これまでは、トンネル内壁の検査は「目視」と、ハンマーでたたき内部の亀裂を調べる「打音検査」が中心だった。
 「熟練の検査員ならば確実に分かるが、”名人芸”を持つ人がだんだん減っている。2、3年後には機械が中心になるだろう」と同社の小倉雅彦・設備部担当部長。
 設備劣化の象徴は1964年の開業で、最も古い東海道新幹線だ。74年から82年まで48回にわたり一部の列車を運休するという異例の形で大規模点検をした経緯がある。
 「開業から10年を過ぎて故障が相次いだので運輸大臣が国鉄(当時)に警告し、変形したレールや摩耗した架線などをすべて交換した」とJR東海。
・想定上回る過酷条件
 開業時に、60本だった1日の運転本数は現在、約280本になり、最高時速も210`から270`に。「建設当初の想定を上回る過酷な条件で使われている」と同社。
 だが、JR東海が設置している「東海道新幹線土木構造物調査委員会」は97年に「適切な保守管理をすれば今後20年程度は大規模な取り換えを必要とするような変化は起きない」と結論づけた。
 「当面の安全は確保された」。今月11日に開かれた運輸省の「トンネル安全問題検討会」の初会合後、足立紀尚座長(京大教授)は、JR各社がトンネルの補強工事を終えたことに触れ、ほっとした表情を見せた。
 しかし、JR西日本は17日「調査した山陽新幹線の高架橋427ヵ所の93%に鉄筋の腐食があった」と公表した。
 桜井さんは「鉄道会社は事故を真剣に受け止め、今後も補強工事を続けるべきだ」と楽観論を戒めている。(京都新聞)
■空き看板 JRも泣く 不況直撃、めど立たず
 JR大津駅などで、線路沿いの広告看板に空き看板が目立っている。長引く不況の影響で、広告主が契約更改をやめたり、新たな広告主が現れないためで、管理するJR西日本コミュニケーションズ(本社・大阪市北区)や広告代理店は、「景気は良くなりつつあるといわれているが、広告は戻りが遅い。見通しも良くない」と苦慮している。
 プラットホームから見える広告看板は「建植看板」と呼ばれる。設置数は駅によりまちまちで、木製とアルミ製があり、大きさは1.5b×2.7bと1.84×2.4bが中心。同コミュニケーションズが広告主と直接、契約するものと、広告代理店が契約する看板がある。
 契約期間は原則3年としているが、3ヵ月や半年など短期のセールスもある。契約価格は年約50万円−約30万円という。
 空き看板が多いのは大津駅。同駅では下り側22面のうち8面が空白、上り側では9面のうち空き看板は1面だが、別に4面は木枠だけになっている。膳所駅でも15面のうち6面が空白で、石山駅や草津駅でも空き看板が見られる。
 広告代理店は「コストはかかるが」としながらも、空き看板に風景画や人物画を描き体裁を保っているのもある。
 広告代理店のひとつ駸々堂(京都市上京区)の宮川清次社長(75)は「広告主離れは昨年初めから特にひどい。契約切れの広告主のうち8、9割が継続をやめる。見通しがたたない」と話している。(京都新聞)
■声 JRの対応に感じる冷たさ 訪問指導員 村津 登規子(京都府宇治市 43歳)
 4日の「190円の切符で5府県めぐり」を読み、思い出したことがあります。昨年、JR奈良線で通学している高校生の息子の帰宅が大変遅かった日があり、その時、テレビのニュースで近鉄電車が踏切事故で不通となり乗客がJRに流れ込んでいることを知りました。
 疲れて帰った息子が言うには、満員で身動きがとれず、どんどん中へ押しやられて自分の駅で降りられなかったこと。少しずつ乗客が減ったけど知らない駅で降りるのは不安で終点まで行って折り返そうと思ったこと。そして、奈良駅で折り返すとき、車掌さんに事情を話したが、乗り越し区間の往復料金800円を払わされた、とのことでした。
 このとき、お金を持たせていてよかったと思った半面、ちょっと冷たいな、と感じたのを覚えています。大声を出して「降ります」と言えず、人をかき分けて降りられなかった息子も悪いかも知れませんが、190円で7時間も悠々と電車に乗れる方法があるのなら、こんな突然のトラブルに巻き込まれた場合は寛大に、また臨機応変に対処してほしいと思います。(朝日新聞)
■1時間遮断機下りっぱなし 泉南のJR阪和線
 17日午後11時35分ごろ、大阪府泉南市のJR阪和線和泉砂川駅近くの道路と交差する和泉砂川南二踏切で、遮断機が下り、警報機が鳴りっぱなしになった。
 JR西日本は関連会社の社員を現場に派遣、最終電車の通過を待って、約1時間後の18日午前零時半すぎに強制的に警報機を止め、遮断機を上げた。機器の一部に異常が見つかったため、部品を交換、午前1時50分に復旧した。JR西日本が原因を調べている。現場では、17日午後11時50分すぎ、通行人が非常停止ボタンを押したため、近くを運行中の普通電車2本が一時停車、それぞれ10分程度遅れ、乗客約200人に影響が出た。深夜のため道路では目立った混乱や混雑はなかったという。(京都新聞 夕刊)
■中国・四国各地で大雨 広島 JR冠水、1万6000人影響
 弱い熱帯低気圧に伴う雨雲に覆われた中国、四国地方は17日夜から18日午前にかけて、各地で大雨に見舞われた。土砂崩れなどの被害が出た愛媛県などでは災害対策本部を設置し、警戒を強めている。大阪管区気象台によると、近畿地方でも18日夕にかけ、多いところで80_を超える雨が降る見込みという。
 同日午前4時半ごろ、愛媛県三瓶町朝立、県職員菊池泰志さん(36)宅の裏山が高さ約80b、幅70bにわたって崩れ、菊池さんら一家4人が寝ていた部屋に土砂が流れ込んだ。妻の一栄さん(32)が家具などと壁の間にはさまれるなど、4人が軽いけがを負った。同県災害対策本部によると午前8時現在、県南部を中心に7件の土砂崩れがあり、100世帯以上が床下浸水した。
 高知県では、高知自動車道の南国−高知間が一時、全面通行止めになったほか、国道33号などの一部区間で通行止めとなっている。
 6月末の豪雨で大きな被害を受けた広島県では、午前4時からの1時間に47_の猛烈な雨を観測した大竹市が災害対策本部を設置したほか、広島市なども水防本部体制を敷いた。また、同日午前5時ごろ、JR山陽線の大野浦−宮島口駅間の線路が水につかったため、山陽線は上下8本が運休し、計20本が最大74分遅れ、約1万6000人が影響を受けた。(朝日新聞 夕刊)
19日■スルッとKANSAI 京都府内路線 10月から導入 京阪バス
 京阪バス(京都市南区)は、10月1日から京都地区のバス路線で、関西の鉄道・バス会社によるプリペイドカード共通乗車システム「スルッとKANSAI」に参加する。同時に、神戸市交通局など6事業者も加わり、同システムは関西全域の計20事業者に拡大する。
 京阪バスが導入するのは、京都府内のバス路線(営業距離128`)で、バス80両に同システムに対応した改札機を新設し、乗り継ぎ客の利便性向上を図る。
 今後は、2000年度から2ヵ年をかけて大阪府内(同310`)にも導入し、滋賀県内を除く全路線で運用する。同社では、「スルッとKANSAI」対応カードとして、今年四月から参加した京阪電鉄の「Kカード」を販売する。
 「スルッとKANSAI」は96年3月、阪急、阪神など関西の私鉄、バス5事業者でスタート、現在は13事業者に拡大している。乗り継ぎ客にとって1枚のプリペイドカードで改札を通れるため人気を集め、98年度の導入路線のカード利用率は19.4%にのぼっている。
 10月1日には京阪バスをはじめ、神戸市交通局、山陽電鉄、神戸電鉄など7事業者が加わり、営業距離は鉄道742`、バス1746`に拡大する。来年3月には京都市交通局も導入を予定している。(京都新聞)
■整備新幹線、前倒し論浮上 JR貨物、あおりで苦境 在来線は3セク化 大幅負担増は必至
 連立与党の大合唱で、整備新幹線の完成が早まりそうな気配が出てきたが、そのあおりで自前の線路網をほとんど持たないJR貨物が、苦境に立たされている。整備新幹線が完成すれば、在来線が第三セクターの運営に切り替わり、JR貨物が支払う線路使用料が大幅に引き上げられそうなためだ。不況で6年連続して経常赤字となった同社にとって、使用料の見直しは「会社が吹っ飛びかねない大問題」(伊藤直彦社長)だ。
 JR貨物は自前の線路は約70`で、ほかのJR6社から全鉄道網の半分に当たる約1万`を借りて貨物列車を走らせている。JR6社に支払っている線路使用料は貨物列車が走ったことで生じたレールの曲がりの矯正費や電線の交換コストなどに限定されており、年間約180億円。「身内同士でもあり、かなりの低料金に抑えられている」という。
 だが、1996年末の政府・与党合意で、整備新幹線開業後は、並行して走る在来線の経営を、JRから地元の第三セクターなどに移管することを決定している。新幹線に客を奪われるため、こうした第三セクターが厳しい経営を迫られるのは必至で、JR貨物に大幅な使用料引き上げを求めることは確実とみられる。
 当初「すべて完工するのは20年以上先」といわれていたため、JR貨物もたかをくくっていたが、先月、景気対策などを理由に連立与党の中から「7年後を完工のめどとする」という案が浮上。事態が急変した。
 整備新幹線の中で最も先行している東北新幹線の盛岡−八戸間では、在来線を第三セクター形式で引き継ぐ青森、岩手両県がJR貨物にすでに使用料の引き上げを通告している。「約6億円の年間使用料を、5倍程度引き上げる案が有力」(JR幹部)という。
 JR貨物の営業路線のうち、整備新幹線と並行して走るのは約1700`。同社の輸送量の約2割を占める東北線をはじめ、いずれも貨物輸送の動脈となる路線だけに、撤退するわけにはいかない。
 そこで、JR貨物では貨物列車を整備新幹線のレール上を走らせる案も検討している。JRが運営する整備新幹線の使用料は、今と同じく低水準で済むのでは、という期待からだ。だが、レール幅が広い新幹線を貨物列車も利用できるようにするには、3本目のレールを敷く必要があり、「約100`の盛岡−八戸間だけで、建設費が約1000億円余計にかかる」(運輸省鉄道局)という。
 使用料の引き上げはJR貨物の輸送コストを押し上げ、ライバルのトラックや内航海運に客を奪われる公算が大きい。このためJR貨物は、線路使用料の値上げをできるだけ抑えるように政府を通して関係自治体に働きかけていく方針だ。(朝日新聞)
■声 広島を通って車内は無言に 無職 小野 欽也(埼玉県蓮田市 65歳)
 昭和20年の10月でした。朝鮮半島で敗戦を迎えた私たち一家は、幸い早期に引き揚げが認められ、家畜輸送用の有蓋貨車で釜山港へたどり着き、何日かの野宿の後、船にも乗れて、博多港に上陸しました。
 博多駅で、「引き揚げ者の皆さんのために大阪行きの特別列車を用意しました」とのアナウンスがあり、やはり祖国はありがたいと、大勢がうれし涙を流したものでした。
 やがて入線してきたのは、石炭を積む無蓋貨車でした。うれし涙は枯れ、みな無口で乗り込みました。関門トンネルだけは、機関車が替わりましたが、そのほかのトンネルは、毛布をかぶり、息を止めSLの粉じんから身を守るのです。
 翌朝、広島を通りました。荒涼と視界が開け、目にはいるのは幹だけになった立ち木と、石の門柱らしいものだけです。
 広島を通過した後、無蓋列車に乗せられたことへの不満は車内から消えました。戦争に負けたということを、たとえ屋根のない貨車でも列車を組むということが、その時の日本にとってどんなに大変なことかということも、広島がはっきりと教えてくれたのです。
 6年生だった私が、65歳になった今も忘れられない、死の光景でした。(朝日新聞)
20日■高架橋など25ヵ所でアルカリ骨材反応 山陽新幹線 JR、既に補修
 JR西日本は19日、山陽新幹線の高架橋や橋りょう、トンネル外壁の計25ヵ所で、コンクリートに亀裂が入る「アルカリ骨材反応」と呼ばれる内部第化の被害が発生していたことを明らかにした。同反応による被害が初めて確認された1984年から現在までの確認個所数をまとめた。
 全個所について既に補修・補強を終えており、同社は「コンクリートがはがれ落ちるなどの危険性はない」と強調。「今後、高架橋などの状態について全体診断をする予定で、その過程でさらに詳しく調査したい」としている。
 アルカリ骨材反応は、コンクリート材料の粗骨材(岩石)にシリカ(二酸化ケイ素)を含む鉱物が使用された場合、セメントのアルカリ成分と化学反応を起こしてシリカゲルを生成。シリカゲルが水分を吸収し膨張し、コンクリート内部から亀裂を生じさせる現象。亀裂が表面に達するとコンクリートがはがれ落ちる恐れがあり、コンクリート強度も低下させるという。
 大気中の二酸化炭素の影響でコンクリートのアルカリ性質が低下、内部の鉄筋がさびて膨張し、亀裂を引き起こす「中性化」とは別の現象。
 JR西日本は従来「コンクリート劣化の主原因は中性化によるもの」と説明。「アルカリ骨材反応は、使われた粗骨材の性質や周辺の水分布の状態に左右されるもので、山陽新幹線に特有の現象ではない」としている。
 同社によると、同反応による被害が発見されたのは、六甲トンネル(新大阪−新神戸間)、大野トンネル(広島−新岩国間)の出入り口の外壁2ヵ所と高架橋の14ヵ所、橋りょうの9ヵ所。高架橋、橋りょうの橋脚部分が大半だった。亀裂は最大で幅5_、奥行き5_。
 同社は1ヵ所については鋼材を使って補強、24ヵ所は亀裂部分に樹脂を注入した上で表面をコーティングして補修しており「水分の供給を遮断することで反応の進行を抑えることができた」としている。(京都新聞)
■2年連続で前年割れ お盆期間中のJR輸送実績 不況や大雨影響か
 JR旅客6社は19日、お盆期間中(11−18日)の輸送実績を発表した。新幹線を含めた主要50区間の乗客数は上下線で計約950万人で、昨年の同時期より2%少なく、2年連続で前年割れとなった。
 各社は「不況で客足が低迷している上、局地的な大雨で運休や遅れが出たことも影響した」と分析している。
 こうした中で、秋田新幹線「こまち」は前年より5%多い約7万7000人、東海道新幹線の「のぞみ」は10%増の約42万2000人と健闘した。
 JR西日本のお盆期間の利用者数は、新幹線、在来線特急を合わせて、前年比3%減の231万人にとどまり、2年連続で前年割れとなった。
 山陽新幹線では、前年比4%減の約116万人。「のぞみ」は、同1%減でほぼ横ばいだったが、「ひかり」が同4%減、「こだま」は同6%減に落ち込んだ。
 新幹線の利用者減少について、同社では「新大阪から博多まで乗る利用者に限っていえば、格安航空路線にとられたかもしれない」という。
 在来線特急では、同3%減の約115万人。海外旅行者の増加で、関西空港線の「はるか」は前年を4%上回ったが、四国へ向かう瀬戸大橋線は、しまなみ海道開通などの影響で、同6%減少した。(京都新聞)
■山陽新幹線 亀裂さらに12ヵ所 アルカリ骨材反応 鉄筋さびた所も
 山陽新幹線の高架橋などの劣化状況を調査しているJR西日本は19日、コンクリートが内部膨張することでひび割れができる「アルカリ骨材反応」の被害が、すでに確認されている13ヵ所のほか、さらに12ヵ所で見つかったと発表した。応急処置は済ませ、運行に支障はないという。このほかにもアルカリ骨材反応の被害が出ているとみられ、JR西日本はコンクリート構造物の全体調査を実施するなどして、正確な被害の実態をつかむ方針。
 同社によると、今回明らかになったのは、新神戸駅東高架橋(新大阪−新神戸間)▽第三天川橋りょう(西明石−姫路間)▽林田川橋りょう(姫路−相生間)▽都計下山地架道橋(岡山−新倉敷間)▽谷井架道橋(新倉敷−福山間)▽第一別府高架橋(広島−新岩国間)▽別府架道橋(同)▽第二別府高架橋(同)▽第一永慶寺川橋りょう(同)▽大野トンネル外壁(同)▽日明第一架道橋(小倉−博多間)▽倉久川橋りょう(同)の計12ヵ所。
 いずれも橋脚や橋台、橋げたに、アルカリ骨材反応の特徴である亀甲状のひび割れなどが多数入っていた。亀裂は幅0.2−5_、深さ2−5a、長さは数十aで、内部の鉄筋がさびていた個所もあるという。最も大きな亀裂があったのは、広島県大野町の第二別府高架橋の橋台で、幅5_の亀裂が長さ数十aにわたって数本走っていた。すでに、補修を施したが、数ヵ所では再びひび割れができて再補修に追われている。(朝日新聞)
■お盆客2年連続滅 JR西日本
 JR西日本は19日、夏の繁忙期(7月23日−8月18日)の特急、急行の輸送実績をまとめた。景気低迷の影響などから、山陽新幹線と在来線の主要11線区、12区間の利用者数は計647万人(前年比95%)。うち、お盆期間中(8月11−18日)は計231万人(同97%)で、2年連続の前年割れだった。福岡トンネルでのコンクリート塊の落下事故で心配された山陽新幹線について、同社は「新幹線だけが目立って落ち込んでいるわけでなく、事故の影響はみられない」としている。
 JR西日本によると、山陽新幹線は繁忙期で計319万人(同95%)。お盆期間中は計116万人(同96%)。両期間とも、「のぞみ」「ひかり」「こだま」はいずれも咋年を下回った。同社は新大阪−博多間について、対折する航空機に乗客を奪われる傾向が強まったと分析している。在来線は繁忙期で計328万人(同94%)だった。海外旅行者の増加に伴い、京都と関西空港を結ぶ関空特急「はるか」でお盆期間中の利用者数が昨年を上回った(同104%)ほかは、軒並み落ち込んだ。
 また、JR東海によると、東京−新大阪間の東海道新幹線もお盆期間中で前年比98%と低調だった。
 京阪神近郊は、はぼ昨年並み。NHK大河ドラマの舞台となった兵庫県赤穂市の播州赤穂駅が、券売機の発売枚数で前年比25%と伸びた。(朝日新聞)
21日■施工57社に質問書 JR西日本 コンクリ落下重視 当時の工事調査へ
 JR西日本は20日、山陽新幹線のトンネル内崩落事故や高架橋のコンクリート落下を重視、山陽新幹線のコンクリート構造物を建設した大手ゼネコンなど元請け業者57社に、施工当時の工事手順や材料、施工時のトラブルなどの情報提供を求める質問書を郵送したことを明らかにした。
 同社には建設当時の施工記録などがなく、福岡トンネルの崩落後、建設を担当した大手ゼネコンに施工当時のようすをヒアリングするなどしてきた。しかし、高架橋のコンクリート問題を含め、山陽新幹線のコンクリートの材質に関して抜本的に調査する必要があると判断したため、今月18日付で郵送した。
 質問の主な内容は、施工方法や使用材料、建設時に使用した機械、工事中に発生したトラブルのほか、効果的な補修方法の提案も求めている。回答期限を9月30日としている。
 同社では「コンクリート構造物の効果的な補修に生かしたい」としている。(京都新聞)
■JR西日本 年越しも列年通り運転 社長会見 2000年問題トラプレ低い
 JR西日本の南谷昌二郎社長は20日の記者会見で、コンピューターが誤作動する恐れのある2000年間題に関して、初もうで列車など150本を大みそかから元日にかけて、例年通り運行することを明らかにした。
 この問題では、JR東日本が一時的に列車を最寄り駅に停車させて事故回避に備えることを決めているが、南谷社長は「トラブルの可能性は極めて低い」としている。
 JR西日本では、2年前から列車運行管理システムなどコンピュータープログラムのチェックを進め、9月末に完了する見込み。一方、運行に関連する電力や通信業界でも「問題ないと発表している」(南谷社長)として、在来線の列車を通常通り運行する。ただし当日は、不測の事態に備え、社外の技術者を含む5000人で危機管理にあたる。さらに今月27日、総合訓練を実施する。
 また、今月27日からジェイアール西日本商事(大阪)が、介護福祉用品専門店「Jけあショップ天王寺」を大阪市内にオープンすると発表した。介護ベッドなど介護用品のレンタルや販売、ケアプランの作成を行う。福祉専門店はJRグループで初。(京都新聞)
■府南部で激しい雷雨 精華、山城民家9戸床下浸水 JR片町線 落雷で3時間不通
 20日午後、京都府南部は雷を伴った激しい雨に見舞われ、相楽郡内で民家計9戸が床下浸水、落雷による信号故障などでJR奈良線なども一時運転を見合わせる被害が出た。
 午後1時から1時間の雨量は、相楽郡木津町木津で47_、同郡精華町菱田で36_、綴喜郡井手町井手で39_など。精華町の中溝川があふれ、同町祝園、下狛地区で民家各2戸が床下浸水、相楽郡山城町綺田、上狛、平尾の各地区でも計7戸が床下浸水した。
 午後1時20分ごろ、山城町平尾、JR奈良線棚倉駅構内の信号機が落雷のため故障し、木津駅(木津町)と玉水駅(井手町)の間が約1時間20分不通となり、上下計20本が運休、2700人に影響した。JR片町線でも信号が落雷で故障し、木津駅と同志社前駅(京田辺市)の間が約3時間不通。上下計12本が運休し、1100人が影響を受けた。
 また、JR関西線では午後2時ごろ、月ヶ瀬口駅(相楽郡南山城村)の雨量計が1時間当たり30_を記録し、同村の大河原駅と三重県の島ヶ原駅間が約1時間半不通になるなど、上下18本が運休し、3400人に影響が出た。(京都新聞)
■新幹線雨でストップ 愛知県内 2時間余
 東海道新幹線は20日午後、愛知県蒲郡市で時間雨量が規制値の50_を超える激しい雨が降ったため、午後4時すぎから約2時間、豊橋−三河安城で上下線の運転を見合わせた。
 JR東海によると、名古屋発東京行きのこだま476号が豊橋駅に約2時間半遅れて着いたのを最高に、終列車までに上下計115本が遅れ、乗客約9万人に影響が出る見込み。
 JR京都駅では、東京発博多行きののぞみ19号が2時間半遅れで到着したのを最高に、下り線は最終列車まで遅れが続いた。
 JR東海は、東京、新大阪駅に到着する最終列車では遅れのため在来線に乗り継ぎできない乗客がいるとみて、両駅で列車内で仮泊ができるようにした。(京都新聞)
■整備新幹線建設前倒し 連立与党協議会 路線別優先順位を確認
 建設前倒しを求めて自民、自由両党でつくる整備新幹線協議会は20日に最終会合を開き、整備計画に盛り込まれながら手つかずのままだった未着工区間の中では、九州新幹線の博多−船小屋間の早期完成を目指す方針などを確認した。小里貞利座長(自民)と二見伸明副座長(自由)がこの日の議論をもとに協議会案を作成し、今月中に両党の幹事長、政調会長、国対委員長を交えた会合を開いて承認を取り付け、連立与党としての正式な前倒し計画とする。
 最終会合では@北海道新幹線A東北新幹線B北陸新幹線C九州新幹線の鹿児島ルートD同長崎ルート、の路線別に優先順位などを議論した。北陸新幹線については、上越(新鶴県)から金沢付近までの建設を優先することを確認。上越から福井県の敦賀または南越地方までの開業を要求しているJR西日本に譲歩を求める。鹿児島ルートは、自由党が主張している札幌から鹿児島までの「背骨」優先の方針に沿って、福岡県の博多−船小屋間をできるだけ早期に完成することを確認。長崎ルートの起点となる新鳥栖駅(佐賀県)に鹿児島ルートも走らせ、両ルートの分岐点とする方針も決まった。
 長崎ルートは、従来の新幹線と同じ規格(フル規格)では建設費がかさむため、トンネルなどはフル規格だが線路幅は在来線と同じ狭軌の「スーパー特急」方式にすることで一致した。
 手つかずのままだった北海道新幹線は、新青森−新函館間を優先して着工するという案を退け、札幌までの同時開業を目指す。東北新幹線については、すでに工事が進んでいる盛岡−八戸間と、昨年着工した八戸−新青森間の両区間のできるだけ早期の完成を求めることを改めて確認した。
 今月中に固まる連立与党の新幹線計画には、工事を前倒しするのに必要な費用が、各路線別に明記される見通し。与党はこの計画をもとに9月から、政府との間で財源確保を求める交渉を始める。景気刺激の方針もあって、すでに着工している区間の建設前倒し要求については、政府もある程度の配慮を示すとみられるが、巨額の建設費が必要な未着工区間の扱いについては議論の難航が予想される。(朝日新聞)
■大規模補修に利用者負担も 山陽新幹線問題で社長
 高架橋やトンネルなどのコンクリート劣化が相次いで判明している山陽新幹線について、JR西日本の南谷昌二郎社長は20日の記者会見で、大規模な補修などに追い込まれた場合、利用者に費用負担がはねかえる可能性があることを示唆した。現在のコンクリート構造物については維持管理体制を強化するなどして、「トンネルは最低でも60年の減価償却期間は使っていきたい」と述べた。
 同社は18日、トンネルと高架橋を施工した大手建設会社など計57社に施工方法や使用材料などを問い合わせる手紙を送り、一部の会社には聞き取り調査も始めた。さらに、全体のコンクリート劣化状況を解明する本格的な調査も近く始めることにしている。(朝日新聞)
■新年の瞬間、「西」は列車止めません 2000年間題、JR西日本社長 「東」には同調せず
 JR西日本の南谷昌二郎社良は20日の定例記者会見で、コンピューターの2000年間題に関連して「今年の大晦日(おおみそか)から元日にかけての列車はダイヤ通り運行し、新年を迎える瞬間に停止させることはない」と述べた。この問題では、JR東日本が不測の事態に備えて列車を最寄りの駅に止める方針を明らかにしている。
 南谷社長は「列車を止める場合には臨時のダイヤ改定が必要。ややこしいときには、特別なことをやらない方が安全だ。電力や通信会社からも年末年始は問題ないと公式見解をもらっている」と理由を語った。2000年を迎える時点では、夜行列車や初もうで列車など約150本が運行中の予定で、JR西日本は通常の4000人とは別に、2000年対応の人員として1000人を待機させる方針だ。(朝日新聞)
■JRが介護用品店 27日、大阪市に開設 ケアプラン作成も
 JR西日本は20日、来年度から導入される公的介護保険制度に合わせ、大阪市のJR天王寺駅近くに介護福祉用品店「Jけあショップ天王寺」を今月27日に開設すると発表した。ベッドや車いすなど介護福祉用品の販売やレンタル、住宅改修の取り次ぎだけでなく、10月からはケアプランの作成や要介護認定の申請代行も請け負う。介護福祉用品の店舗開設はJR各社でも初めて。
 店舗は子会社のジェイアール西日本商事が運営する。営業時間は平日の午前10時から午後6時まで。介護保険やホームヘルプサービスなどの相談にも無料で応じる。3年目の黒字化をめざす。JR西日本は4月から広島市内でホームヘルプサービスを実施しており、今後も成長分野と期待される介護分野の態勢を強化する方針だ。(朝日新聞)
■東海道新幹線大雨で止まる 愛知で上下線2時間
 20日午後4時10分ごろ、愛知県蒲郡市内のJR東海道新幹線豊橋−三河安城間で、雨量計が規制値を超えたため、上下線が約2時間にわたってストップした。JR東海によると、新大阪駅で東京方面からの下りが最大2時間半遅れて到着するなどダイヤは終日大きく乱れた。JR西日本も、新大阪−博多間の山陽新幹線で臨時列車を運転した。(朝日新聞)
■ズーム 遊 続く線路で夢操作
 「出発進行!」。運転士の緊張感あふれる声と動作に見入る真剣なまなざし。シミュレーションゲーム「電車でGO」の流行がきっかけで、本物の運転技術を見ようと、電車の最前列に陣取る子供たちの姿が増えている。
 その昔、「金魚鉢」と呼ばれた運転席のガラス張りも、中が見えないほど小さくなり、鉄道人気も急落。それがこのゲームの出現でブームが再燃。なかでも新型電車の「前面展望台」は一番人気。夏休み中子供たちの熱い視線を背に、運転士さんたちも気の抜けない日々に。
 電車の運転士は憧(あこが)れの職業の一つ。ゲームのコントローラーをマスターしたキミも、どこまでも続くこの線路の上で、将来、ハンドルを握っているかも?(京都新聞 夕刊)
■東京駅で「異臭」騒ぎ
 21日午前9時半ごろ、「JR東京駅(東京都千代田区)の新幹線16番ホームで、気分が悪くなった」と女性の声で警視庁に110番が入った。異臭が原因の可能性もあるとして丸の内署員が現場に駆け付けたが、異常はなく、東京消防庁がめまいや足のしびれを訴えた名古屋市の女性(25)を救急車で病院に搬送した。
 当初、東京消防庁に警視庁から「新幹線16番ホームで異臭により16人が気分が悪くなった」と情報が転送されたため、救急車10台が出動する事態となった。(京都新聞 夕刊)
22日■大雨で一時運転見合わせ 東海道新幹線
 21日午後から名古屋市内など東海地方で時折、雷を伴う激しい雨が降り、東海道新幹線が一時、運転を見合わせたほか、同市港区や南区で道路が冠水するなどの被害が出た。
 JR東海によると、21日午後10時半ごろ、名古屋市内の雨量計が規制値を超え、三河安城−名古屋間で下り線が運転を見合わせ、4本に遅れが出た。
 上り線の運転は終了した後だったという。(京都新聞)
■ノンステップバスに補助 全国で500台増やす 運輸省方針
 体の不自由な人やお年寄りが乗り降りしやすいように床を低くして乗降口の階段をなくした「ノンステップバス」の導入などについて、運輸省は補助事業費として、2000年度予算の概算要求に計約28億円を盛り込む方針を固めた。バリアフリー化を進める取り組みの一環で、来年度末までに全国で400−500台のノンステップバスが増え1200台近くになることになる。
 通常のバスは、路面から床までの高さが約90aあり、乗降口からステップを2段上がって乗り込むようになっている。これに比べて、ノンステップバスは、床の高さが約35aで歩道などからの段差がほとんどないうえ、乗降口のステップもない。また、収納式のスロープ板を操作することで、車いすの乗り降りも容易になる。
 運輸省は1996年度から、バス会社などがノンステップバスを購入する際の補助を始めた。ノンステップバスの導入台数は、同年度末には19台だったが、今年度末までには全国で約700台になる見込みだ。しかし、通常のバスが1300万−1500万円なのに比べ、ノンステップバスは2300万−2500万円と高額なため、補助なしでは購入が難しく、現在は、約6万台に及ぶバス全体の1%に満たない。
 来年度予算で運輸省は、今年度は約16億円だった補助事業費を、交通バリアフリー対策費も含めて1.7倍に増額する。さらに、これまで5分の1だった事業者への補助率を、4分の1に引き上げることも検討している。
 このほか、待ち時間の短縮のため、ノンステップバスの運行情報や鉄道との乗り継ぎ情報をわかりやすく提供するシステムや、バリアフリー化された駅やバス路線で利用できる共通カードシステムの導入も進める。(朝日新聞)
23日■下車中に市バス発進女性けが 左京
 22日午後5時35分ごろ、京都市左京区一乗寺北大丸町のバス停で、四条大宮行き市バス=藤井武一運転手(50)=から、乗客の左京区高野泉町、パート従業員吉田八重さん(68)が下車しようとした際、市バスが突然、発進した。吉田さんはバスのタラップから路上に転倒し、足や胸などを打って約2週間のけが。
 バスには吉田さんのほかに乗客2人がいたが、けがはなかった。下鴨署の調べでは、藤井運転手は「セコンドギアに入れたのに、ランプがニュートラルを示したため、ギアの状態を確認しようと、クラッチペダルを緩めたら、バスが動いた」と話しているといい、同運転手が乗客の安全を十分確認せずに操作をしたためとみて調べている。
 吉田さんは勤務先から帰宅する途中だったという。(京都新聞)
■社説 路面電車は時代遅れじやない
 「自動車の通行に邪魔」と、多くの都市で退場させられた路面電車に、再びスポットがあたっている。排気ガスがなく、地下鉄に比べ建設費が安い、利便性が高い、などの理由からだ。
 車両も、静かで速く、乗降に便利な低床式が登揚し、以前の「市電」イメージからは様変わりしている。京滋でも21世紀の都市交通を考える中で、導入の可否を真剣に議論してはどうだろう。
 再評価は欧米が先行している。とくにヨーロッパでは近年、路線復活や新たに導入する都市が相次ぎ、LRT(ライト・レール・トランジット)と呼ばれる新世代型システムが、すでに100都市以上で運行されている。交差部を除き車と通行を分離する準専用軌道のため、速さと定時運転が確保できる。
 国内でも、見直しの機運が高まっている。東京や岡山市などでは路線復活や延長が検討されているほか、枚方市など市民が行政に導入を働きかけているケースも多い。熊本、広島では先ごろ、輸入の低床式車両を走らせ始めた。いずれもその背景には、慢性的な道路渋滞など車偏重による都市交通の行き詰まりと、排気ガスによる環境悪化がある。路面電車の持つ利便性で、空洞化した中心市街地の活性化につなげたい期待も大きい。
 京都市は1895年、日本初の路面電車を走らせた輝かしい歴史を持つが、78年に廃止された後は、市が全国の自治体でつくる路面公共交通研究会に参加し、他都市の動向や技術面での可能性を探っている程度にとどまる。
 むしろ民間の動きの方が活発だ。関西経済同友会が93年に京都市の外周を回る路線を提案。関西産業活性化センターも今年5月、「交通渋滞が観光拠点間の移動を阻害する影響も大きい」として、四条通−河原町通ルートなど5つの路線を提示するなど、路面電車の有効性を繰り返し指摘している。
 そんな中で、社会資本整備の調査・研究組織、日本プロジェクト産業協議会が先月提言した関西文化学術研究都市と滋賀県・湖南都市圏への導入構想は、採算性などを具体的に示しており、極めて注目される内容だ。
 学研都市では、精華・西木津センター地区を東西に貫く9.6`を、湖南都市圏では、JR石山駅−びわこ文化公園都市−JR南草津駅の13.4`を LRTで結ぶ。事業費はともに300億円前後。湖南は初年度から、学研でも開業5年目から黒字が見込めるとする。
 有効性を大方が認めても、具体化が容易でないことは、国内では依然、路線新設や復活が一件もないことが如実に物語る。地下鉄の10分の1とされる建設費も、公共セクターの財政状況が危機的なまでに悪化しているだけに、コンセンサスを得るのは至難だ。
 しかし、環境やエネルギーは、自治体にとっても避けて通れない問題となっている。道路混雑の解消、都心部の再生も急務だけに、採算性だけでの判断は避けたい。導入の是非は、これからの都市経営のなかに位置づけて、総合的に検討されるべきだろう。(京都新聞)
■「のぞみ」車内 置引容疑逮捕 府警鉄警隊が警戒中
 23日午前8時55分ごろ、大阪市淀川区のJR新大阪駅に停車中の東京行き新幹線「のぞみ」車内で、乗客の広島市内の会社役員(55)が網棚に置いていた背広に男が後ろの座席から手を伸ばし、背広ごと盗んだのを警戒中の京都府警鉄道警察隊員が見つけ、窃盗の現行犯で逮捕した。
 七条署によると、男は住所不定、無職李斗用容疑者(71)。調べに対し「知らない」などと容疑を否認している、という。
 府警によると、鉄警隊員は午前7時ごろに京都市下京区のJR京都駅で不審な李容疑者を見つけ、新大阪駅まで追跡していた。(京都新聞 夕刊)
24日■まくら木から出火 南区の東海道線
 23日午後8時46分ごろ、京都市南区吉祥院西ノ庄猪馬場町のJR東海道線上り線で、線路のまくら木から煙が上がっているのを、長浜行き快速電車の運転士が発見した。連絡を受けた後続の快速電車の運転士が現場で停車し、消火器で消し止めた。このため、上り電車2本が9分−4分間遅れた。JR西日本によると、現場は西大路駅から西約500b。線路下のまくら木1本から火が出ていたといい、原因を調べている。(京都新聞)
■まくら木燃え 電車に遅れ 京都、JR東海道線
 23日午後8時50分ごろ、京都市南区吉祥院西ノ庄猪之馬場町のJR東海道線で、網干発長浜行き快速電車(6両編成)の運転士から「まくら木から煙が出ている」と新大阪総合指令室へ連絡があった。後続の快速電車の運転士が現場で停車し、炎を上げて燃えていたまくら木1本を消火した。この火事で、快速電車が現場に9分停車し、後続の普通電車も4分の遅れが出た。
 JR西日本によると、現場は西大路駅の約500b手前。(朝日新聞)
■声 安全徹底こそ鉄道への信頼 高校教員 藤原 英信(神戸市 57歳)
 先日、JR山陽線の朝霧駅で、松葉づえにすがった老人が下り電車からホームに降りようとするところに出くわした。
 不自由な動作で移動に相当難儀していたが、その時、まだ片手が車内の手すりを握ったままの半身を挟むように扉が閉まった。すぐに扉は聞いてこの人はようやく降り、ホームで怒りの叫びをあげているのを横目に電車は動き出したが、車内で傍観していた私は次のような疑問を持った。
 車掌はなぜ安全確認出来なかったのだろう。そして、なぜホームに駅員がいないのか。
 日曜の昼時で乗客は多くはなかったが、この路線は日本の幹線である。かつて国鉄時代には列車の発着の度に多くの駅員が出て安全確認をしていた。いま「合理化」とはこのようなものか。本来、安くて安全なはずの公共交通機関が、これでは「交通弱者」にとってますます不便で不安なものとなる。
 運賃も欧米の鉄道に比べて高い。現に多くの老人らは、出費のかさむタクシー利用を余儀なくされているのだ。
 私は、公共交通、とりわけ鉄道の復権を強く望む者である。それには日常の身近なサービスと安全の徹底こそ心がけてもらいたいものだ。(朝日新聞)
25日■世紀の面影 愛宕山鉄道開通 1929年 清滝川駅跡(京都市右京区嵯峨清滝町) 待望のケーブルに列
 嵐山−清滝間を結ぶ愛宕山鉄道平坦(たん)線の開通から3ヵ月遅れて、愛宕山のふもとから頂上まで通じる鋼索(ケーブル)線も開通した。1929年7月25日のことだ。
 同鉄道は27年、京阪電鉄の傍系鉄道会社として創立された。245万円の建設費をかけ、平坦線、鋼索線の2線を相次いで開通させた。
 戦前、愛宕山山頂の愛宕神社を訪れる参拝者は現在よりも多く、トンネルと橋りょうがそれぞれ6ヵ所あり、「東洋一」ともうたわれた延長(2`)を誇るケーブルカーの誕生は、多くの人に待ち望まれていた。
 当時の新聞には「新設の清滝川駅よりこのケーブルに乗ずれば、わずか11分間余にて身はいつしか雲上の人となり」(1929年7月31日付、京都日出新聞)と絶賛している。
 鋼索線清滝川駅跡近くで、茶店を経営する松尾正次さん(73)は「駅舎の前は何百bも列になった。今は閑静さばかりが取り上げられるがな」と懐かしむ。頂上にはホテルや小遊園地がたち、地元住民らが経営する旅館や売店が何軒も並んだ。また、山頂近くには、スキー場もオープンし、「北海道並みの雪質」(松尾さん)を求めて訪れるレジャー客でにぎわっていた。
 静かな山里に、にぎわいを創出した鋼索線だが、長くは続かなかった。44年、軍需によリケーブルを供出し、廃線となったためだ。その後、たびたびケーブルを惜しむ住民が、復活を目指したが資金難でいずれも断念した。
 現在、当時を知ることができるのは廃虚となった旧清滝川駅舎や愛宕ホテルの跡など。現在、平坦線の狭い隧道が、「清滝トンネル」となってわずかに利用されている。(京都新聞)
■北近畿タンゴ鉄道 族客3年連続ダウン 少ない家族連れやグループ 今夏の輸送まとめ
 北近畿タンゴ鉄道(KTR、事業本部・宮津市)はこのほど、今夏の海水浴・お盆シーズン(7月23日−8月18日)の旅客輸送実績をまとめた。今年は好天に恵まれたものの、家族連れやグループ客の利用が少なく、対前年比95%で3年連続のダウンとなった。
 主に丹後と京都、大阪方面を結ぶ特急、急行の旅客数は5万8800人で、前年に比べ4100人減少。普通列車などを含む全体でも12万8100人で、6300人減った。
 お盆期間中の帰省ラッシュは、8月13日の特急「タンゴ・ディスカバリー11号」(久美浜行)が、227%の乗車率を記録。Uターン客は16日に集中したが、分散傾向で大きな混雑はなかった。
 海水浴客が集中する天橋立駅の入り込みは、対前年比87%の1万8600人。「宮津燈籠(とうろう)流し花火大会」が行われた8月16日の宮津駅の入り込みは、対前年92%の2410人にとどまった。
 KTR事業本部は「不況の影響で、都会では安くて身近なレジャーに人気があるのでは」と話している。(京都新聞)
■女児の腕、戸袋に吸い込まれて軽傷 阪神電車
 24日午後3時20分ごろ、神戸市東灘区の阪神電鉄魚崎駅で、停車した須磨浦公園発梅田行き特急電車(6両)の扉が開いた際、先頭から3両目に乗っていた神戸市内の女児(4つ)の左腕が戸袋に吸い込まれた。
 乗務員らが工具で戸袋のすき間を広げ、約15分がかりで腕を引っぱり出した。同電鉄によると、女児は両親と一緒に乗車、扉付近にもたれるように立っていたところ、左ひじから肩付近にかけて戸袋に吸い込まれたという。女児は腕を圧迫されて軽傷。
 同電鉄は「手のひらが戸袋に挟まれることはあるが、腕が吸い込まれたのは聞いたことがない」と驚いている。(京都新聞)
■リニア 来年度から5年間試験 耐久性など検証で
 山梨実験線で走行試験が続いている超伝導磁気浮上式リニアモーターカーについて、運輸省の実用技術評価委員会(委員長、正田英介・東京理科大教授)は24日、中間評価報告書をとりまとめた。長期耐久性やコスト低減の技術開発については、今後も検証が必要として、そのための走行試験の期間は「2000年度から約5年間」と明記した。
 運輸省などでは、今年度末までに実用化に向けた技術上のめどを立てることにしている。(朝日新聞)
■ふるさと鉄道の旅 1 JR可部線( 広島県) 清流列車 廃線の危機 「住民の足」満席 官民で存続要望
 広島駅から17`先の可部駅まで30分以上かかった。平均時速約30`。まるでチンチン電車だ。可部駅で乗客は1両だけのディーゼルカーに乗り換える。さらに速度を下げ、太田川の清流に沿って蛇行する。
 夏休み中だが、車内は補習や部活帰りの高校生、病院通いのお年寄り、リュックを携えた観光客らで満席だった。
 広島市と中国山地の景勝地・三段峡(広島県河内町)を結ぶJR可部線(60`)のうち、電化されている広島−可部間は日に約50本の列車が往復するが、可部から先は8本に減り、途中の加計駅から終点の三段峡駅までは5本になる。連絡の良い列車を乗り継いでも、広島から三段峡まで2時間半かかる。「のぞみ」なら500`先の名古屋に着くころだ。
 昨年4月、JR西日本は可部−三段峡間(46`)を廃止したいと、地元自治体に伝えた。1日の平均乗客が1000人以下で、バスに切り替えた方が本数を増やせるなど地元にも便利だというのが理由だ。
 しかし、座れずに立っている生徒もいる車内を見れば、JR西日本が言う「空気を運ぶ」ような状態ではない。法事で実家に行くという女性(78)は「列車は揺れが少なく、乗り降りも楽。バスになったら、墓参できくなる」と嘆いた。
 地元では地域ぐるみの反対運動が展開されている。今年3月には住民約1000人が可部線存続を求めて三段峡−可部間を大行進し、7月には沿線5市町の首長らが運輸省に存続を要望した。しかし、JR西日本は来年3月に廃止する方針を変えていない。
 三段峡を抱える河内町の旅館経営者は「昔は町内から広島へ通勤できたが、国鉄改革のころからダイヤが減って、今は始発に乗っても広島着は午前10時前。不便なダイヤにしておいて、利用者が少ないから廃線というのは納得できない。スピードアップして本数を増やせば、乗客は増える」と話す。
 可部線は1908年に一部区間が開通したが、その後の延伸は、この線の列車のようにのろい。地元の長年の運動が実って三段峡まで開通したのは半世紀以上たった69年。ちょうちん行列で祝ってから30年で廃止話が出てきた。
 巨額の借金をかかえた旧国鉄の分割・民営化前後、赤字の元凶とされた特定地方交通線の83線計約3000`が、バス路線や第三セクター鉄道になった。身軽になって発足し、黒字経営を続けるJR本州3社のうち、JR西日本は石川県の七尾線の一部を第三セクター線とし、山口県の美祢線の一部を廃線にした。その次の計画が、この可部線の廃止だ。
 存続運動の大行進で企画委員長を務めた高下務さん(51)は「JR各社は旧国鉄の借金を大幅軽減されて、国民の財産である鉄道を引き継いだ。それを勝手になくすというなら、国民負担の借金を全額引き継ぐべきだ。このままだと、全国のローカル線が次々に廃止されてしまう」と憤まんやるかたない。
 この夏、お盆の帰省でふるさとの鉄道を利用した人はどのくらいいるだろうか。運輸大臣の許可が必要だった鉄道の廃止は5月に成立した鉄道事業法の改正(施行は来年春)で、1年前の届け出制になり、手続きはいっそう簡単になった。鉄道ファンの一人として何ともやるせない。難題を抱えて必死に走り続けているいくつかの「ふるさと鉄道」を訪ねてみた。(寺田 憲二)(朝日新聞)
■民家火災で阪急止まる 神戸・灘区
 25日午前9時10分ごろ、神戸市灘区中原通一丁目の無職林福子さん(90)方付近から出火、木造平屋建ての住宅約60平方bが全焼し、東隣の2階建て住宅の2階の一部が焼けた。林さん方のすぐ北側には阪急電鉄神戸線の線路があり、火の粉が線路内に降りかかったため、現場にさしかかった梅田発三宮行き下り普通電車が現場の手前約200bで停車。灘消防署の署員らが線路内から放水し、同電車が現場で17分間止まったほか、後続の電車など16本に影響が出た。
 灘署の調べによると、林さんは一人暮らしで、台所で魚を焼いていて、庭に出て植木に水をやっている間に出火したという。(朝日新聞 夕刊)
26日■ふるさと鉄道の旅 2 JR山陰線 トイレなし 悩み切実 昔のままの「黄害」列車も
 島根県西部を走る列車の窓から日本海の美しい景色に見とれていたら、「住宅地付近でのトイレのご使用は住民の迷惑になりますのでご遠慮願います」と、車内放送が流れた。ムードないなあ。巡回に来た車掌にわけを聞いてみた。
 「この列車はためるようになっていないんです」。車掌は申し訳なさそうに説明してくれた。トイレの汚物は、水洗の水と一緒に線路上へ放出しているのだという。
 びろうな話だが、1964年に開業した東海道新幹線のトイレにタンクが取り付けられるまで、列車の汚物は霧状になって沿線に舞い散り、「黄害」と呼ばれていた。
 そういえばかつてはトイレの穴からまくら木が見える怖い列車もあった。その後、在来線にもタンク方式が導入され、都会のガード下の黄害は解消された。
 しかし、このJR山陰線を走る特急「おき3号」は、昔のままだった。JR西日本によると、同様の列車は管内の全車両の4%に当たる259両あり、山陰線のほか津山線などでも走っている。抗菌グッスが流行する時代に、何とも非衛生だ。さすがに運輸省が改善指導し、JR西日本は2000年度中になくすと回答したという。
 浜田市で快速列車に乗り換えた。トイレの入り口に「停車中は使用しないで下さい」と書いてある。やはり走行中、霧状にして飛ばす方式だ。車内にも「霧」が舞い込んでくるようで、どうも気持ちが悪い。
 帰りに乗ったワンマンカーの列車には、トイレがなかった。あの独特のにおいもなく、清潔そうだ。しかし、浜田市内の病院に通っているという女性(81)は「垂れ流しでもいいから、列車にトイレがないと、私ら年寄りは因るんです」とこぼした。
 この付近の山陰線を走る普通列車は、快速を含めて1時間に1本ほど。2時間近くまったくないときもある。トイレのため途中駅で降りたりしたら、長時間、次の列車を待たねばならない。どうしてもというときは、運転士に声をかけると、列車を止めて待ってくれるそうだ。
 「JRになってから無人駅が増え、管理できないとしてトイレも外された。列車にトイレは絶対必要」と主張するのは、浜田市議の坂田幸男さん(68)。
 4年前の夏、高校総体の応援に来た県外の女子生徒がトイレに行きたくなり、運転士に頼んで無人駅で降りたが、その駅のトイレは撤去されたばかりで、次の駅のホームに降りたとたん我慢の限界を超えた悲劇的な「事件」があったという。
 坂田さんは「JR車両にトイレ設置を求める利用者の会」を結成し、運動を続けてきた。JR米子支社からは「列車にタンク付きのトイレを設置するのに1両700万円、列車の汚物を抜き取って処理する施設が1億5000万円もかかる。資金面の検討をしなければならない」という回答があったが、実施時期などは明らかにしていない。
 「山陰線はれっきとした本線なのに、トイレ以上にダイヤもひどい。将来廃止する口実をつくるために、わざわざ乗りにくくしているのではないか。これが地方の鉄道の現状です」。坂田さんはぼやいた。(朝日新聞)
■なぞを解く 事故や台風、「○○人の足に影響」 一体どうやって数えてるの? 滋賀県草津市の大学生 松原 哲雄さん(21)
 今日は風が強く、電車や飛行機など多くの交通機関に影響が出ました。そのニュースを見ていると、「何万人の足に影響が出ました」との情報が。でも、この数字はどうやって算出しているのでしょう。いささか疑問を感じます。ぜひ、仕組みを教えて下さい。
 事故や台風などで鉄道や飛行機といった交通機関が乱れた場合の記事に書かれる「影響人数」は、あくまで推定の数字だ。その根拠は、会社によってそれぞれ異なる。毎日乗客を数えている会社もあれば、自動改札機を通る人数で把握している会社もある。日常的に利用する機会が多い鉄道を中心に調べてみた。(社会部・塚本 和人)
 JR西日本では毎日、車掌が車内を巡回して乗客数を数え、「乗車人員報告」(通称・ノリホ)を提出している。新幹線は全列車で、在来線は特急、急行、新快速、快速、一部の普通列車が対象になっている。
 最も乗客数の多いとされる区間を設定し、車掌が人数を数えて用紙に書き込み、大阪や京都、三ノ宮などの主要駅ホームにある木箱に入れる。乗客数を把握し、次のダイヤ改定などに生かすためで、旧国鉄時代から引き継がれてきた。これ以外の普通列車は、半年に1回程度のダイヤ改定時などに乗客数を数えている。
 特急などの指定席の乗客数は、予約状況や定員数からすぐに把握できる。自由席は車掌が人数を数える。問題は通勤電車。立っている人が多いから、車掌の見方によって差が出る恐れがある。そこで、次のような数え方の基準を設けている。
ラッシュ時間帯のJR各線主要駅到着時乗客数
(平日午前7時30分−同8時29分、JR西日本調べ)
線区名到着駅列車本数乗客数
@東海道線下り大阪駅24本37000人(普通、快速、新快速の合計)
A東海道線上り大阪駅21本36000人(同)
B福知山線上り尼崎駅16本20000人(普通、快速の合計)
C東西線下り北新地駅13本18000人(同)
E東西線上り北新地駅13本14000人(同)
E片町線下り京橋駅17本26000人(普通、区間快速、快速の合計)
F関西線下り天王寺駅22本33000人(普通、区間快速の合計)
G阪和線上り天王寺駅22本33000人(普通、区間快速、快速の合計)
H湖西線上り京都駅6本8000人(普通、快速の合計)
I山陰線上り京都駅5本7000人(普通)
車掌の目視から改札機利用まで 交通機関で方法まちまち JRは独自の「迷惑度」も
 @1両あたりの座席が満席=50−60人(乗車率40%)
 A座席は満席。ドア付近は15人程度だが、通路では新聞が広げて読める=140人程度(同100%)
 Bドア付近では体の向きを変えることが困難だが、通路では週刊誌が読める=220人程度(同150%)
 さらに、新型車両には、台車の空気バネが沈む重量から乗車人数を概算できる機械もついている。しかし、荷物の重さも人数にカウントしてしまうため補助的手段として活用しているという。膨大なデータはコンピューターに入力され、最低1年間は保管している。
 9日午後2時半すぎに東海道線塚本−大阪間で発生した架線事故を例にとってみよう。この事故では、架線にビニールが引っかかり、上り新快速電車が現場手前でストップ、27分後に運転を再開した。この新快速のほか、後続の特急2本と快速1本の計4本が27−12分遅れた。
 特急については、尼崎−大阪間の指定席発売実績と自由席乗車人数を車掌が車内検札などから把握していたため、実際の乗車人数が2本で計300人と計算できた。新快速と快速については、毎日同じ電車でノリホが出ているからおおよその人数が把握できる。
 その結果、新快速は600人、快速は200人とされ、この4本の数字を合算した計1000人が影響人数として出てくる。
 JR西日本の管内では、山陽新幹線と在来線を合わせて全51線区で、1日約8100本の列車が走っている。ほとんど毎日のように、どこかの線区で事故や天候の影響などを受けた乱れが出ている。そのたびに、列車の運行管理を担当する情報指令員が、影響人数を計算して発表している。
 一方、阪急電鉄はだいぶ違った計算方法をとっている。根拠にしているのは、自動改札機を利用した「フェアライドシステム」だ。キセル防止のために1995年から導入し、全駅に設置している。切符を改札機に入れると磁気を通じて時間と駅が記憶されるため、利用状況が一目りょう然で分かる。
 神戸線では神崎川−十三間、京都線では上新庄−淡路間など各線の最混雑区間を設定。最混雑時間(午前8時半−9時)中の最混雑区間での乗車人数をシステムから呼び出し、事故などで乱れた電車に当てはめて計算する。ラッシュ時間帯以外の発生でも、この数字を援用するため、一番多いと予想される人数ということになる。
 近鉄では3年に1回程度、全線で交通量調査を実施し、そのデータに天候やイベントの有無などを加味して概数で割り出しているという。航空機の影響人数は、全便が指定席のため、予約数から計算できる。
 こうした交通機関の影響人数の数字は、列車や航空機が遅れた時間を考慮しておらず、利用者がどれほど迷惑したのか実態を反映していない。このため、JR西日本は影響人数と遅延時間をかけ合わせた「迷惑度指数」という指標をつくっている。迷惑度指数が高いほど、利用者に与えた影響が大きいとされる。(朝日新聞)
■ふらり ぶらり 海岸をトロッコ列車で行く
 愛媛県双海町の伊予灘沿いは日本で一番、夕焼けが美しい海岸で有名。この海岸の予讃線松山駅−八幡浜駅間をトロッコ列車で走る企画。9月3日から5日までの3日間運転、4日には下灘駅で夕焼けプラットホームコンサートを開催。列車はコンサートの最中に駅に到着、盛り上げる。
 トロッコは大歩危−池田間を走る61人乗り車両。松山駅発午後5時44分、八幡浜駅到着午後8時2分の予定。運賃350円のほかに乗車指定券310円が必要。問い合わせは 087(825)1635 四国旅客鉄道。(京都新聞 夕刊)
■細るレール 三セク鉄道 全国37社で黒字8社 本数増や特急の乗り入れ 自治体の積極支援がカギ
 全国の第三セクター鉄道(三セク鉄道)があえいでいる。多くは旧国鉄の赤字ローカル線を引き継いでいるため、経営は苦しい。全国37の三セク鉄道のうち、石川県の「のと鉄道」で、部分廃止論が出ている。部分的とはいえ、もし廃止が決まれば全国初のケースだ。利用者が伸び悩み、膨らむ赤字に耐え切れない三セク鉄道がある一方で、経営努力で黒字を生み出している三セク鉄道もある。現地で探った。(三木 淳)
 全国に37社ある三セク鉄道のうち、昨年度黒字だったのは運輸省鉄道局財務課によると8社だけ。黒字路線には2つのタイプがあり、一つは旧国鉄の赤字ローカル線(特定地方交通線)を引き継ぎ、経営努力で黒字に転換したケース。松浦鉄道をはじめ、甘木鉄道(福岡・佐賀県)、平成筑豊鉄道(福岡県)、愛知環状鉄道(愛知県)。
 いずれも列車本数を増やし、鉄道によっては旧国鉄時代の3倍程度を確保している。駅の新設にも力を入れ、地元が建設費の全額、あるいは半額を負担するなど、積極的に支援している例も多い。
 もう一つは、旧国鉄末期に凍結された新線工事を地元資金などで復活させ、開業させたケースだ。例えば智頭急行(兵庫・岡山・鳥取県)は1994年に開業。京阪神や岡山と、鳥取を結ぶJRの特急が1日9往復乗り入れている。運賃収入と特急料金が見込めるので、経営が安定する。北越急行(新潟県)もこのケース。
 ほかに阿武隈急行(宮城・福島県)と伊勢鉄道(三重県)は、2つの特徴をあわせ持っている。
 逆に、赤字の三セク鉄道に共通するのは、地元の県などの自治体が新幹線建設や新空港建設、高速道路延伸などの大型プロジェクトに非常に熱心な点だ。半面、三セク鉄道への関心は薄く、利用促進に関する具体策も年に数本のイベント列車を運行する程度にとどまっている。日常的な費用負担も沿線自治体との協議会の開催費、国の定めた最低基準の車両購入や保線の補助費用など、現状維持が精いっぱいというケースが多い。
・石川のと鉄道 赤字 「努力も限界」部分廃止論
 「経営状況には好転する要素は見あたらず、バス路線の代替も検討すべきだ」。7月21日の石川県議会総務企画委員会で、のと鉄道(本社・同県能都町)の一部区間(穴水−輪島間20.4`)の廃止を求める意見が出された。
 のと鉄道は1987年、県と沿線10市町村などが設立、翌88年に旧国鉄の能登線(単線非電化)を引き継ぎ、開業した。91年にはJR西日本の七尾線七尾−輪島間も組み入れ、営業路線114.5`は、全国の三セク鉄道で2番目に長い。
 地元の鉄道を守るため、昨年度までに基金などを含め約32億円の県費がつぎ込まれた(県新幹線交通政策課)。それでも昨年度の経常赤字は約2億8000万円。経常損益は8年連続でマイナスだった。
 今秋、平均20%の運賃値上げを計画しているが、それでも今年度は約2億円の赤字が見込まれている。
 経営努力もし、昨年だけで2回もダイヤを改定、列車を間引きし、職員の給与も定昇だけ。「普通列車はワンマンカー、駅員も38駅中11駅にいるだけ。合理化の努力はしてきた」と、のと鉄道総務課の青木繁課長は説明する。
 のと鉄道自慢のディーゼル急行「のと恋路号」に乗った。七尾−珠洲間90.5`を走るのに1時間48分もかかる。珠洲と金沢を直結する急行「能登路」も旧国鉄時代の82年には1日7往復あったが、今は1往復だけで、不便さは否定できない。
 原因のひとつは91年、JR七尾線の一部電化にある。のと鉄道は、この電化を機にJR七尾線の非電化区間(和倉温泉−輪島間48.4`)の鉄道施設を年間約1億5000万円で借用し、能登半島の鉄道網を一括運営する積極策に乗り出した。
 ところが、途中の和倉温泉駅か七尾駅で、電車と気動車を乗り換えなければならない煩わしさと、初乗り運賃2度払いの割高感から、利用客からそっぽを向かれてしまった。利用客数は92年度の367万人をピークに、昨年度は276万人にまで落ち込んでいる。
 この結果、91年度以降毎年、単年度で1億円を超える赤字を抱えるようになった。そこでJR施設使用料のかかる七尾線の一部で、経費が利益の2.87倍もかかり、収益率の悪い穴水−輪島間の廃止論が現実的になってきた。
 道路網の整備も進んでいる。能登有料道路経由で輪島−金沢を結ぶ高速バスは1日12往復あり、2時間前後で走る。
 のと鉄道の部分廃止は、いまのところ微妙な段階にある。石川県新幹線交通政策課の山下孝明課長補佐は「地元五市町などで構成する『能登地域総合交通構想懇話会』(座長・岡田清成城大学教授)にゆだねているので」と言葉を濁す。
 県の幹部でもある、のと鉄道の西田和行社長は「現状が悪いのは認識している」とひと言。地元の、ある商工会議所理事は「個人的には、廃止はやむを得ないかなとも思う」と漏らした。
・長崎・佐賀 松浦鉄道 黒字 駅増やし切符にも知恵
 一方、長崎・佐賀両県を走る松浦鉄道(愛称MR)は、6年連続で経常黒字を出している。88年4月、旧国鉄松浦線の経営を引き継ぎ、開業した。佐世保・有田間の93.8`。沿線は過疎地ばかりで大きな都市はない。年々、道路がよくなり、バスとの競合も激しい。
 利用者対策として、まず列車を約四倍に増発した。多い時は単線非電化路線で限界といわれる20分間隔で運転、駅も32から57まで増やした。これで駅間の距離は、最短で200bまで縮まった。車内案内テープも「約40万円の費用は企業のアナウンス広告を募った」と吉武一彦取締役総務部長。
 さらに10回分の運賃で15回乗れ、そのうえ表紙を見せればスーパーで5%割引になる「買い物回数券」や、往復する必要のない利用者向けに「片道定期券」も売り出した。すべて利用者の立場から工夫した結果だ。
 アイデア切符でも稼ぐ。「今福駅から大学へ」ご入学縁起切符のほか、旧国鉄時代からある「たびら平戸口」駅の「日本最西端駅到達証明書」はいまでも人気がある。こうした積み重ねで、昨年度は463万円の経常利益を生み出している。
・拙速な廃止論には疑問
 土居靖範・立命館大教授(交通政策論)の話 三セク鉄道の多くは国が赤字で投げ出した旧国鉄特定地方交通線の受け皿として発足した。初めからもうからない所で運営するのだから、いつ赤字でつぶれても不思議ではない状況がある。
 1社もつぶれず残っているのは沿線自治体などの熱意のたまものだ。運営助成金の食いつぶしや補助金のカット、運賃値上げなどは三セク鉄道を安楽死に追い込むだけで何の解決にもならない。
 利用者減少は、JRから乗り換えるたびに初乗り運賃が必要になることや、JRの列車との接続の悪さなどが原因だ。のと鉄道はその典型的な例だ。
 発想を転換して、委託料を支払い、鉄道経営能力の優れたJRに運営を任せてみるのはどうだろう。運賃もJRの運賃体系に組み込む必要がある。
 採算だけを見ての拙速な廃止論は、地球の温暖化や石油資源の枯渇問題などに直面し、対応が求められている、いまの時代の流れに合わないのではないか。(朝日新聞 夕刊)
27日■地下鉄東西線 二条駅以西に調査費 運輸省 概算要求に盛る
 京都市が計画している地下鉄東西線の二条駅以西への延伸についての調査費が26日発表された運輸省の来年度予算概算要求の中に盛り込まれた。12月の予算編成で認められれば、具体化に向けて踏み出すことになる。
 本年度予算から新設された「都市鉄道調査」の対象事業として、全国11ヵ所のうち新規では唯一盛り込まれた。全体の要求額は3億5000万円。新線や延伸事業の需要予測や事業費の概算、採算性の見通しなどを個別に調査する。
 東西線の二条駅以西の延伸については、1989年の運輸政策審議会答申で西大路までの約1`が「2005年度までの整備が適当」、西大路−洛西間(約9`)は「2005年までの着手がのぞましい」とされている。市は「事業化には二条以西の区間が調査対象となることが欠かせない」と概算要求に向けた要望の一つに盛り込んでいた。
 運輸省都市鉄道課は「着工を前提とした調査費ではない」と説明するが、市交通局は「調査費がつけば西伸実現が前進する」と歓迎。現在、実施している市西部地域の総合交通体系調査の結果を踏まえ、具体化していく方針だ。
 東西線は現在、醍醐−六地蔵間(2.4`)で2004年度の開業を目指して整備中。概算要求では、同延伸事業も地下鉄整備事業費補助(13ヵ所)682億1500万円の中に引き続き盛り込まれた。(京都新聞)
■満員電車内の携帯電話 「控えめ」から「ご遠慮」 JR西日本 行監曲要請でついにPR強化 心臓ペースメーカー誤作動に配慮
 近畿管区行政監察局は26日、心臓のペースメーカーを誤作動させる危険がある満員電車での携帯電話使用について、JR西日本に対し、車内放送などでの乗客への使用禁止のPRを強化するよう求めると発表した。31日に同社に要請書を手渡す。
 JR西日本広報室は「混雑した車内での携帯電話使用については、車内放送やポスターの内容を9月から従来の『控えめに』から『ご遠慮いただきます』に改める」としているが、JR東日本や関東の私鉄は既に約2年前から同様の改善を導入済み。関西では対応が立ち遅れており、今回の措置が果たしてどこまで効果を発揮するか。
 監察局によると、埋め込み型ペースメーカーは携帯電話を15a程度まで近づけて使うと誤作動が起きる機種があり、患者の生命が危険な症状に陥る恐れがあるという。
 このため@満員電車内などペースメーカー装着者に近づく可能性がある場合は携帯電話の電源を切るようポスターで広報するA現在の「使用は控えめに」という車内放送を「ご遠慮ください」や「電源を切ってください」に変更する−の2点を要請する。
 ペースメーカー装着者は全国で約20万人。運輸省は既に携帯電話の危険性について鉄道各社に通知している。
 監察局には今年2月、JR西日本を利用するペースメーカーを装着した男性から「満員電車では不安。スイッチを切るように放送してほしい」との相談が寄せられ、対応を検討してきた。(京都新聞)
■遊園地事始め 橋爪紳也 32 郊外電車 都会から「島の楽園」へ
 都心から郊外に目を転じてみよう。新しいレジャーのありようを示したコニーアイランドは、ニューヨークの都心と電車で結ばれていた。開放的な海辺の眺望は日々の疲れを癒し、潮風が気を晴らしてくれる。労働者たちは粉塵で充たされた都会を脱出、家族と休日を過ごす「島の楽園」に向けて、郊外電車を利用するようになった。
 郊外電車という存在が、それまでにない休日の過ごし方を拓いたのだ。この方法論に、日本の鉄道会社やデベロッパーも着目した。郊外に遊園地を設けることで、新しい乗客を生み、ひいては沿線の開発を誘導することにもなる。そこに相乗的な効果が見出された。
 一般には、郊外開発の先鞭をつけたのは、小林一三が率いる箕面有馬電気軌道、のちの阪急電鉄であると伝えられている。同社は、本線・支線の終着駅である宝塚と箕面に、それぞれ遊園を経営する。なかでも武庫川に沿って開かれた宝塚では、コニーアイランド風の開発手法が応用された。
 しかし実際には、大浜・浜寺等の「遊覧都市」を拓いた南海電鉄が、先駆けであったと見てよい。また阪急と対抗する阪神間にあって開発を先行させたのは、むしろ阪神電鉄であった。あるいはそのあたりの事情は、拙著『海遊都市 アーバンリゾートの近代』(白地社)に詳しい。
 たとえば阪神沿線における遊園地経営では、明治39年、酒造業者馬半右衝門が武庫川鉄橋の西南に経営した「鳴尾百花園」が最初の例である。のちに阪神電鉄が買収、都会の児童に自然と親しむ機会を提供する郊外学舎「武庫川学園」に改める。
 さらに川筋に面して1000本もの桜を植樹した「武庫川遊園」を開設、春には花見の宴を楽しむ家族連れや団体客でにぎわった。また当時、鳴尾名物であったイチゴ狩り、潮干狩り、ホタル狩り、月見など、季節ごとに多くの遊客を集めた。
 六甲山のふもとでは「香櫨園」が先駆となる。夙川の西に広がる1万坪ほどの丘陵地を、砂糖商香野蔵治と株仲買人櫨山慶次郎が借り受け、動物舎や奏楽堂、グラウンドや博物館などを整備、内澱池に落ちるウォーターシュート、曙池に面する宿泊施設「エビスホテル」などを建設した。乗客の増加をもくろむ阪神電鉄からの資金提供と新駅設置という援助を受けて、明治40年4月に開園している。名称は二名の創業者の姓から、「香」と「櫨」の一文字ずつをとったと伝えられている。
 名物は、当時、民営としては規模の大きな動物園であった。「千匹猿」と呼ばれた猿舎、オラウータンや大蛇、シロクマやダチョウ、ゾウやライオンといった珍しい鳥獣を集めていた。
 催し物も面白い。運動場では自転車競走、運動会、凧上げ、模型飛行機大会などが行われた。また明治43年には、早稲田とシカゴのチームを招聘、関西で最初の日米野球が開催されている。博物館では、台湾の山地にすむ少数民族の展覧会、浅草で評判をとった「珍世界」と題する「ゲテモノ展」など、興味本位の展示が行われていたようだ。
 しかし香櫨園の寿命は短かった。大正2年、外国人向けの住宅地を開発しようとした英国系企業が買収、継続の要望も強かったが、やむを得ず廃園している。動物たちは箕面に、博物館や奏楽堂など主な施設は阪神電鉄が経営する「香櫨園海水浴場」に移されている。(大阪市立大学助教授)(京都新聞)
■山陽新幹線劣化コンクリ 半分は以前に補修 JR西日本 塩害対策へ
 JR西日本は26日、山陽新幹線の福岡トンネル事故後に実施したすべての高架橋の緊急点検で、コンクリートの劣化により落下の恐れがあるため、たたき落とした約1380平方bのうち約半分がこれまで日常的に補修していた個所だった、と発表した。同社は劣化の主要因を「中性化現象」とみて補修を進めてきたが、「塩害によって劣化が進んだ可能性もある」として、塩化物イオン吸着剤を使うなどの塩害対策も講じる方針を固めた。
 JR西日本によると、高架橋の緊急点検は7月初めから、河川に架かる橋りょう部分などを除いた橋げたと橋脚すべてで実施。コンクリート表面に亀裂や浮きなどが見られ、落下の可能性があった約1380平方bをたたき落とした。ところが、たたき落とした面積の約半分がすでに補修した個所で、劣化は鉄筋まで達していたという。
 同社は、これまで劣化の主要因を、空気中の二酸化炭素がコンクリート中のアルカリ成分を中和させて鉄をさびやすくする中性化現象とみていた。このため、表面に樹脂を塗って二酸化炭素の侵入を阻止する「ライニング工法」と呼ばれる補修工事を全体の高架橋の3−4割で進めてきた。
 一方、同社は1996−97年にかけて、橋げた計427ヵ所からサンプルを抜き取って塩化物イオン量を測定。この結果、全体の9割を超える401ヵ所で、土木学会が安全の目安とした1立方b当たり0.3`の基準値を超えていた。しかし、塩化物イオン量と鉄筋腐食度、中性化進行度には相関関係がみられないとみて、従来、塩害対策はとってこなかった。
 ところが今回、補修個所の多くで劣化が進んだ事実を重くみて、劣化原因として塩害の可能性もあると考えざるをえなくなった、としている。
 またJR西日本は26日、学識経験者を交えた「コンクリート構造物の保守管理に関する調査・検討会」を開き、山陽新幹線の高架橋と橋りょうすべてで初めて、コンクリートの強度を中心に現状を正確に把握する総合診断を10月ごろから実施することを決めた。(朝日新聞)
■携帯電話 満員電車は「ご遠慮」に JR西日本車内放送
 近畿管区行政監察局は26日、JR西日本に対し、「携帯電話の使用は控えめに」などと使用を認めるような内容になっている車内アナウンスを、満員電車については、より強い表現で使用防止を促すものに改めるよう近く要請すると発表した。植え込み型心臓ペースメーカーが、携帯電話の発する電波の影響を受け、最悪の場合生命にかかわる危険性があるための措置。一方、JR西日本は、正式な要請を前に、9月1日から、混雑した車内での使用については「使用はご遠慮ください」に改めることを決め、この日発表した。
 全国にペースメーカーを装着している人は約20万人おり、年間2万7000件の手術が行われていると推定されている。(朝日新聞)
■ふるさと鉄道の旅 3 有田鉄道(和歌山県) 日曜休業レールバス 寅さんも喜ぶ? 地域の足 安心感
 特急も止まらない小さな駅で降りた。ここで乗り換えのはずだが、目指す列車が見あたらない。改札のJR駅員に訪ねると、駅舎の反対側ホーム付近から出るという。
 もう一度陸橋を渡り、物置のような建物の陰で、やっと見つけた。1両編成のレールバス。タイヤを外した小型バスのようなかれんな車体が、草ぼうぼうの線路の上で、ひっそりと待機していた。
 乗客は記者のほかに藤岡久子さん(84)一人だけ。「いつもは自転車で出かけるんやが、あんまり暑いんで、久しぶりに乗ったわ」。いくら夏の昼間の閑散期とは言え、まるで貸し切り状態だ。車掌を兼ねるワンマンカーの運転士(35)は「お客様ゼロで走ることはよくあります」と笑った。
 こんなので経営が成り立つのだろうか、心配になった。旧国鉄なら、「赤字ローカル線」として廃止されたに違いない。
 この有田鉄道は和歌山県中部の吉備町内を走る。全長5.6`のミニ私鉄だ。JR紀勢線の藤並駅から平日だけ日に6本の列車が発車している。日曜、祝休日は休む。
 いかにも不便そうだが、まったく同じ区間をバス便が平日は14本、休日は12本走る。同じ有田鉄道の経営で運賃も同額。定期ならどちらにも乗れるし、所要時間もほぼ同じ。乗客は主に通勤、通学時間帯は列車、それ以外はバスと使い分けているらしい。
 レールバスは、特産のミカン畑の中を軽快に走る。途中駅から乗り込む客もなく、14分で終点の金屋口駅に着いた。「ステップが低いのでバスより乗り降りが楽。これが一番ありがたい」と藤岡さんも降りた。
 駅に接して有田鉄道本社がある。1913年(大正2年)の設立というから人なら86歳。うちのおじいさん以上のベテランだ。
 15年にミカンや木材の積み出し港だった場浅海岸まで線路を敷いて営業を開始。戦時中は場浅側が廃止となったが、戦後は国鉄紀勢線に乗り入れて場浅まで走っていたこともある。一方でバス、タクシー営業にも進出し、今のように列車バス併用路線とした。
 会社によると、鉄道の1日平均乗客は75人。うち定期が11人。沿線の高校生の利用が多い。ディーゼルカーを維持費の安いレールバスに切り替えたり、3年前からは日曜休業にするなど経費節減に努めているが、毎年、赤字だ。
 過疎地のバス路線のように国や自治体からの補助金もない。それでも、鉄道を廃止する考えはないという。
 ちっこいレールバスは、予想外の人気者なのかな。うれしくなって林久雄総務部次長(43)にわけをきいた。
 「今は会社の収入のほとんどが貸し切りを中心にしたバス部門。それで鉄道の赤字はカバーできています。車だけ持てばすむバスと違って、線路などの施設を自分で維持する鉄道は社会的信用度が違います。うちは鉄道で発展してきたし、地元からも鉄道は続けてほしいと言われています」
 たいてい列車で旅しているあの寅さんが聞いたら喜びそうな話だなあ。
 外に出ると、「駅前タクシー」の看板があった。駅を中心に商店も並んでいる。店の人は「本数が少なくて、休日には走らなくても、鉄道があるだけで、安心して生活できるんです」と言った。”うんうん、そうだそうだ”、と寅さんみたいにうなずいてしまった。(朝日新聞)
■JR西日本 「2000年危機」で誤作動想定 400駅、3000人参加し訓練
 JR西日本は、コンピューターが誤作動する恐れのある2000年間題で26日深夜から27日午前11時まで、列車運行監理システムダウンや停電などを想定した総合訓練を実施した。管内の400駅、約3000人が参加した鉄道業界で初めての大規模な訓練となった。
 2年前から、社内組織「西暦2000年間題対策委員会」(委員長・金井秋専務)を設け対応を進めており、「トラブル発生の可能性は低い」(南谷昌二郎社長)としている。
 この日、本社内に対策本部を設置。新大阪駅構内の総合指令室をはじめ、大阪駅や京都駅など管内の400駅で、連絡体制の確認を主体に現場の対応をチェックした。
 訓練では、JR京都線の米原−茨木区間で停電、また阪和線で突発的な進路表示の異常が発生したと想定して実施した。対策本部から各駅の現況の把握や代替輸送の指示、総合指令室では列車運行の手動切り替え指示など緊張した訓練を行った。さらに、駅の券売機でも異常が発生したと想定。新大阪駅では、実際に券売装置を2000年1月1日に設定して試し刷りを行い、正常な表示を確認した。
 JR西日本は「日ごろから危機監理マニュアルに従って緊急事態に対処しており、体制は万全」としている。年末は、1000人を増員して備えるほか、来月8日にも、コンピューターの誤作動の恐れのある「1999年9月9日」の対策本部を設置する。(京都新聞 夕刊)
■市バス事故相次ぐ
・軽トラに追突 男性1人けが
 27日午前7時35分ごろ、京都市下京区大宮通五条下ルで、北大路バスターミナル行き市バス=奥征男運転手(59)=が、前方に停車中の伏見区向島西堤町、大工渡辺正彦さん(57)の軽トラックに追突した。渡辺さんは首などに軽いけが。市バスの乗客7人にけがはなかった。
 七条署によると、市バスは交差点の手前で信号待ちをしていたが、信号が青になり、右側の車が前進したのを見て発進、約2b前に止まっていた軽トラックに追突した。奥運転手は「前方をよく見ていなかった」と話しているといい、同署は、業務上過失傷害の疑いで事情を聴いている。
・バイクの主婦 接触され軽傷
 27日午前9時半ごろ、京都市下京区の七条通櫛笥西入ルで、京都駅行き市バス=高木登運転手(58)=が、前を走っていた京都市東山区泉涌寺門前町、主婦本城美佐子さん(67)のバイクを追い抜こうとして接触した。本城さんは転倒し、右肩を打つなど軽傷。市バスの乗客約10人にけがはなかった。
 七条署は、市バスがバイクと十分な間隔をあけず、無理に追い抜こうとしたとみて、高木運転手を業務上過失傷害の疑いで調べている。(京都新聞 夕刊)
■新幹線の制御 一時不能に 手動対応で混乱なし
 27日午前8時25分ごろ、東海道・山陽新幹線の列車集中制御装置(CTC)回線が故障した。約1時間20分後に復旧、列車の遅れは1−2分程度にとどまったという。
 JR東海とJR西日本によると、故障により、通常は東京の総合指令室で自動的に行っているポイントの切り替えができなくなった。
 このほか、指令室の画面の列車位置表示が一部出なくなったり、列車と指令室を結ぶ無線が1時間近く使えなくなるなどの影響が出た。(京都新聞 夕刊)
■「その時、緊急停車」想定 JR西が総合訓練
 コンピューターが誤作動する恐れのある2000年間題について、JR西日本は27日午前零時から、不測のトラブルに備えた総合訓練を実施した。12月31日深夜から来年1月1日にかけて予期される事態をシミュレーションし、各地の駅員や指令員らがトラブルに対処した。
 JR西日本によると、今回は、列車の運行を集中管理するシステムのダウン▽電力会社から架線への電力供給の停止▽主要駅で自動券売機の日付異常や指定券発行機の起動不能、自動改札機の使用不能などへの対応を中心にした。
 総合訓練では、近畿圏を走る列車の運行を管理する新大阪総合指令室では午前5時半ごろ、信号の自動制御などを一元管理する「阪和線運行管理システム」のコンピューター画面に実際のダイヤとは異なる信号が表示され、天王寺−和歌山間を走行中の上下計8本の列車が緊急停車したと想定。指令員が状況を判断し、各駅での手動による信号制御に切り替えて運転を再開した。コンピューターが日付を認識できていないことが判明し、午前8時に正常なダイヤを読み込ませて復帰させた。
 JR西日本は「2000年間題で事故が発生する可能性は低いと考えられるがこれまで以上に危機管理を強めたい」と話している。
 2000年間題について同社は、新幹線、在来線とも運行管理システムの改修をほぼ終えるなどの対策を進めている。来年1月1日午前零時に走行中の列車についても「安全性に問題ない」として、例年通りのダイヤで運転することをすでに決めている。(朝日新聞 夕刊)
■東海道・山陽新幹線のCTC、システム 開業以来初の故障 運行支障なし
 27日午前8時25分ごろ、東京都内にある東海道・山陽新幹線東京指令所内の運行表示盤に、列車集中制御装置(CTC)の回線異常を知らせる表示が出ているのを指令員が見つけた。
 CTCは各駅のポイントや信号を遠隔制御するため、JR東海とJR西日本は東京−博多間の全34駅で手動に切り替えて対応している。数分間の遅れは出ているが、列車の運転に支障は出ていないという。
 東京指令所と各駅を結ぶCTCの回線は日本テレコムの電話回線を利用しており、JR東海とJR西日本は回線異常の原因を調べている。
 CTCのシステム故障は1964年の新幹線開業以来初めて。(朝日新聞 夕刊)
28日■新幹線に「サイレンス・カー」 仮眠や読書ぐっと快適に JR西日本 試験導入へ
 JR西日本は27日、山陽新幹線ひかりの一部で、車内放送の音声を消したり車内販売での声掛けをなくすなど、乗客が仮眠や読書などをしやすいように静かな環境づくりをした「サイレンス・カー」を試験的に導入する、と発表した。
 JR西宮本によると、車掌の検札で眠っている乗客が起こされることがないように座席に専用の「チケットホルダー」を設置。車内放送はダイヤの乱れなど異常発生時に限定し、発着などの情報は車内の電光表示板で伝える。
 新大阪−博多間と新大阪−広島間の上下計4本の「ウエスひかり」で10月2日から11月30日まで試行する。7号車(74座席)が対象で、全席指定で禁煙。料金は通常通り。
 同社ほ「車内で静かに過ごしたいというビジネス客のニーズにこたえた試み。好評なら、来春のダイヤ改正で新たに導入する700系ひかりにも、設けることを検討したい」と話している。(京都新聞)
■特急がブレーキ故障 JR京都駅
 27日午後8時15分ごろ、京都市下京区のJR京都駅で、京都発長崎・佐世保行きの寝台特急「あかつき」(12両)が出発直前、運転台のブレーキハンドルから圧力空気のもれる音がした。運転士がJR西日本新大阪総合司令室に連絡、応急処置をした後、約30分遅れて京都駅を出発した。列車は向日町駅で機関車部分を取り替え、定刻より50分遅れて再び発車した。JR西日本によると、特急には約50人が乗車していたといい、詳しい故障の原因を調べている。(京都新聞)
■西舞鶴と綾部両駅 橋上駅舎オープン 来月25日
 JR舞鶴線の電化開業(10月2日)を前に9月25日、西舞鶴駅と綾部駅の橋上駅舎がそれぞれ開業する。いずれも歩行者用の自由通路で駅両側の地域を結び、線路によってこれまで分断されていた住民の利便性をアップ。また、北近畿タンゴ鉄道の西舞鶴駅なども同日開業する。
 西舞鶴駅ビルは鉄骨造り3階建て、延べ3790平方b。2階で駅の東西を結ぶ長さ約40b、幅7bの通路がJR駅とともに利用開始となる。また、国道27号に通じる従来の西口駅前広場のほか、東口駅前広場(約2500平方b)が新設され、駐車場はないものの市道七日市大内線からも進入できるようになる。
 新綾部駅は橋上駅で、改札口はホームから上がった構内にできる。外観は、平和の象徴ハトと、かつて栄えた繭の里をモチーフにしたデザインで、色は綾部に伝わる黒谷和紙をイメージしたライトグレーとなっている。
 駅舎の京都寄りに併設された自由通路(長さ約36.5b、幅約5b、高さ約5.3b)も25日から使用を始める。駅の南北を結ぶ通路で現在、玄関口となっている南側だけでなく、北側からも出入りができるようになる。(京都新聞)
■バス6台自動縦列走行実験 トヨタの新交通システム「lMTS」 専用道に磁石埋め込み誘導
 トヨタ自動車は27日、高度道路交通システム(ITS)技術を応用し、最大6台のバスが列車のように非接触で自動縦列走行する新世代交通システム「IMTS」の走行実験を同社の東富士研究所(静岡県)で始めたと発表した。公共交通機関向けのシステムでは世界初という。
 2005年目本国際博覧会(愛知万博)で会場間を結ぶ交通手段として導入が検討されているほか、将来的には空港や地方都市間の中量輸送機関として期待される。
 専用道が必要で、車両や管制システムなどコストは1`当たり5億−15億円。軌道が不要なため東京の都心と臨海副都心を結ぶ「ゆりかもめ」など従来の新交通システムよりも半分以上割安になる。
 IMTSは、専用道に1−2b間隔で埋め込まれた磁石をバスのセンサーが感知し、アクセル、ブレーキを自動制御。2台目以降のバスは赤外線とレーダーで5−10b間隔を取りながら追随する。
 一般道ではそれぞれのバスは通常の運転手による走行ができる。
 このため専用道を外れた後は隊列を崩し、きめ細かい路線を設定することが可能で、乗客の乗り換えが減るなど利便性も向上する。
 実験では低公害の圧縮天然ガス(CNG)エンジン搭載の量産バスがベースとなる。1.5`の周回レーンを設置し、直線部では最高速度70`で走る。1台目には安全確認のため運転手が乗り込む。
 トヨタは「自動運転など個々の技術は確立しており、実験ではシステム運用の信頼性を確認する」としている。(京都新聞)
■安眠・読書 もう邪魔しません 車内放送など省略へ 山陽新幹線 10月に試行
 JR西日本は27日、車内放送をカットしたり車内販売員の声掛けを省略したりするなどして、安眠や読書を邪魔しない静かな「サイレンス・カー」を山陽新幹線のひかりに試験的に導入する、と発表した。10月からの約2ヵ月間、新大阪と広島、博多を結ぶ上下計4本で試し、好評なら来春登場する新型車両「700系ひかり」への導入も検討する。
 サイレンス・カーを導入するのは、新大阪発博多行き「ひかり359号」など計4本の7号車。いずれも禁煙車の指定席(定員74人)。緊急時以外は車内放送をカットし、出入り口のドア上の電光掲示板で停車駅や到着を案内する。また、各座席に乗車券などを入れるホルダーを設け、車内改札でも安眠妨害しないように工夫した。弁当やお茶など車内販売員の声掛けも省く。同社には、ビジネス客や旅慣れた乗客から、静かな車内を求める声が多数寄せられていたという。
 運転期間は10月2日−11月30日。指定券は、乗車1ヵ月前から全国のみどりの窓口で発売される。(朝日新聞)
■京都市バス 追突や接触 下京で相次ぎ事故
 27日、下京区内で京都市バスの事故が相次いだ。午前7時35分すぎ、大宮通で市バス=奥征男運転手(59)=が伏見区向島西堤町、最上工務店の軽トラック=渡辺正彦さん(57)運転=に追突し、渡辺さんが首などをねんざした。七条署の調べでは、奥運転手は青信号に変わり、隣の車線の車が動き出したのをみて発進したが、前のトラックが止まっていたため、追突したという。
 また、午前9時半ごろ、七条通りで、市バス=高木登運転手(58)=が東山区泉涌寺門前町、主婦本城美佐子さん(67)運転のミニバイクと接触し、本城さんが右肩に軽いけがをした。七条署の調べでは、市バスがバイクを追い抜く際、左前部がバイクのハンドルにぶつかり、本城さんが転んだとみられる。
 いずれもバスに数人の乗客がいたが、けがはなかった。(朝日新聞)
■ふるさと鉄道の旅 4 JR北陸線 3セク化へ課題多く 「新幹線」に期待と不安
 米どころ加賀平野に、つなぎ目のないレールがまっすぐに延び、満員の観光客らを乗せた特急「サンダーバード」が快調に走る。複線・電化のJR北陸線は、在来線の中では最も整備された線区の一つだ。しかし、この線区の運営が、やがてJRから切り離されようとしている。
 建設中の「北陸新幹線」が完成したら、その線路を借り受けて新幹線を走らせることになっているJR西日本と東日本が、「新幹線が走ると北陸線はローカル列車中心になって採算がとれない。JR線から切り離してほしい」と要求しているのだ。
 金沢駅のホームに降りると、「はばたけ北陸新幹線」の大ポスター。駅を出ると、外は鉄板の囲いだらけ。工事用トラックが行き来し、コンクリートの新幹線高架橋が、富山方向へ延びつつある。
 先に開業した北陸新幹線の高崎(群馬)−長野間では、JR信越線のうち県境付近がバス路線になり、残りもJR線と第三セクター線に分けられた。北陸線も、計画通り進めば、福井、石川、富山の各県が第三セクターを作って運営することになりそうだ。そうなると通勤通学列席はどうなるのだろう。運賃や定期割引率は変わるのか。金沢から津幡まで北陸線を走り、能登半島に入るJR七尾線は、どうなるのか。金沢は名古屋へ向かう「しらさぎ」や、日本海側を縦断する「トワイライトエクスプレス」など長距離列車の発着・中継の重要ポイントでもある。北陸線が三セク化したら、どう運行されるのか。貨物列車は…。どれも見通しがつかないままだ。
 工事中の新幹線路線のうち金沢市−富山県小矢部市間と富山県魚津市−新潟県糸魚川市間は1992年の着工。2002年にこの区間が完成したら、当面は在来線と同じ狭軌のレールを敷き、時速200`の「スーパー特急」を走らせる。それ以外の区間は減速して在来線を走り、将来全線が開通したら、線路幅を広げ、本格新幹線に切り替えるという構想だった。
 しかし、石川県や富山県は「スーパー特急では東京、大阪への時間短縮効果は少ない」と、「フル規格で全線着工」を求める運動を始めた。着工区間の完成が遅れてもいいから、全線工事を進め、本物の新幹線として同時開業してほしい、という要望だ。
 サンダーバードで福井から大阪は2時間もかからない。富山からでも3時間ちょっとだ。金沢駅で乗客らに聞いた。七尾線羽咋駅から通勤しているという男性(60)は「運賃やダイヤがどうなるか、多少の不安はあるが、在来線が消えてなくなるわけじゃなし、まだピンときませんね。新幹線はないよりはあった方がいいかな」。金沢市内の会社員(50)は「大阪へなら在来線で十分。そんなに金をかけてまで新幹線はいらないと思うが、地元では大きな声で言いにくい雰囲気がある」。
 北陸新幹線の総工費は、95年の試算で4兆2000億円。JRへの貸付料を除くと、国が3分の2、自治体が3分の1を負担する。沿線県はそれぞれ毎年5、60億円を払っているが、今後も出し続けることができるのか。在来線維持のための負担も待ちかまえているのだが…。
 大手ゼネコンによる建設工事だけは着々と進行中だ。(朝日新聞)
■38度線物語 朝鮮半島分断半世紀 5 幻の鉄道 復活は「北」しだい
 ソウルの古びた診療所で、朴敬浩医師(72)が、「幻の鉄道」について語り始めた。「57年前の秋だったと記憶している。軍事教練を兼ねた中学の修学旅行で、電車に乗って金剛山見物に行った。終着駅の内金剛停車場からみた朝もやの風景は絵のように美しかった」
 朝鮮半島が日本の植民地だったころ、江原道の鉄原駅から、金剛山のふもとの内金剛駅まで全長約117`の電気鉄道があった。
 この鉄道を復活させようという動きがあると聞いて、追いかけることにした。
 「鉄道復活」の旗をふる鉄原郡議員の農業、鄭然圭さん(45)は「非武装地帯(DMZ)のすぐそはに当時の鉄橋がある」という。
 一緒に車で北へ向かった。南方限界線(軍事境界線から南へ2`)の手前に、赤くさびた鉄橋が見えた。まくら木も朽ちている。側面には「切断された鉄道線路 金剛山90`」と白ペンキで書かれていた。
 さらに金剛山方向へ向かう線路跡は水田の間を走る農道になっていた。しかし、しばらく行くと、韓国軍の駐屯地にぶつかり、それ以上進めなくなった。
 韓国と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)は1992年の南北基本合意書の付属合意書で、「南と北は切断された鉄道を連結する」と明記した。韓国の建設交通省は、朝鮮半島の動脈だった京義線(ソウル−新義州)、京元線(ソウル−元山)と金剛山鉄道の3つを軍事境界線まで復元する計画をたてている。
 同省輸送政策室は「金剛山鉄道は実施設計中。今後、用地買収も行う。ただし、実際にレールが敷けるかどうかは、北韓(北朝鮮)の対応次第だ」と説明する。
 財閥・現代グループは昨年11月から南北分断後初めて、東海岸の東海港から客船による韓国人観光客の金剛山ツアーを実施し、これまでに10万人近くが参加した。
 鉄路で金剛山観光をという声も出始めた。
 3月の国会では与党・国民会議の宋鉉■議員(全国区)が「観光船による金剛山ツアーは値段が高く、低所得層は残念に思っている。鉄道復元事業を政府が直接推進するのが難しければ、民間企業の投資などを誘導する方策を講じるべきではないか」と質問した。
 金鍾泌首相は「南北関係の進展状況にしたがって適切に対処する」と述べるにとどまった。
 朝鮮半島の中央部として、南と北をつなぐ交通の要所だった鉄原の中心部は朝鮮戦争(1950−53)の激しい戦火で壊滅した。
 旧鉄原駅跡地も今は一面、雑草に埋まっている。さびたレールのわきで、野菊の花が風に揺れていた。(ソウル=植村 隆)=おわり(朝日新聞)
■定年わっはっは 10年かけSL模型作る
 技術者として働いた会社を、58歳で退職して12年。健康に恵まれ、好きなことを思う存分楽しんでいる。それは、石炭をたいて走る模型の蒸気機関車(SL)、ライブスチーム作りだ。
 最初、機械工作の技術習得から始め、都内の私立高校で、生涯学習の一環として実施していた「鉄道模型教室」に通った。教室ではプロの指導を受け、機械工作のテクニックとSLのメカ構造を学び、約3年で国鉄9600型の模型を作り上げた。私のSL1号機である。2、30人を乗せた台車を引いて走れる。市の催しなどで広場や体育館で子どもたちを乗せて走り、楽しんでもらっている。
 1号機は、キットを組み立てたようなもので、完全自作とは言い難い。1号機の製作が3年目に入ったころから、設計から部品まですべて自作を目指し、2号機の準備を始めた。まずは環境づくりからと、物置を整理し作業場を作り、簡単な屋根を付けた機材置き場も用意した。中古の機械屋を巡り、旋盤機械などを購入し作業場に搬入、作業台や万力も置いた。設計製図はパソコンを使うことにし、ソフトを購入した。2−3ヵ月は要したが何とか図面も書けるようになった。
 SLの部品など既製品は無いので、ほとんとすべてを自分で素材から削りだして作った。動輪とシリンダーは木型を自作し、鋳物の業者に鋳込んでもらったが、仕上げは自分でした。作業は設計、試作、取り付け、設計変更、工作ミスの繰り返し、気も遠くなるほど手間がかかる。この間擦り傷、切り傷は絶え間が無く、手の指の骨折も体験した。ただただ辛抱と根気。妻にはあきれられ、まさに”こけの一徹”だった。以来10年の歳月を費やして今月ようやく、国鉄C56型SLが完成した。感激の試運転もしたが、さて次に何を作るか、思い悩む今日このごろだ。
 鈴木市郎 70歳 東京都東大和市(朝日新聞 夕刊)
29日■JR採用差別 「政治解決を」 国労大会運動方針
 東京都内で開かれていた国労(2万6000人)の定期大会は2日目の28日、活動経過の報告と今年度の運動方針を承認して閉会した。運動方針は、国鉄の分割・民営化に反対した国労組合員らに対するJRの採用差別問題について、政府の責任で全面解決を図る「政治解決」の前進に向け全力を挙げる、としている。役員改選では、高橋義則委員長、宮坂義久書記長らを再選した。(朝日新聞)
■ふるさと鉄道の旅 5 土居靖範・立命大教授に聞く 自治体が総合政策を 国の財源地方に 運営はJRで一元化
 様々な問題に悩みながら走るローカル線をいくつかみてきた。過疎やマイカー普及による長期低落傾向は一朝一夕には改善できそうにない。弱っている「地域住民の足」を、どうやって残していけばいいのか。公共交通問題で様々な提言をしている土居靖範・立命館大学経営学部教授(交通論専攻)に聞いた。
 −ローカル鉄道の現状はどうなっていますか。
 「JR西日本が地方各地につくった『鉄道部』を見て回った。運転から運賃集め、車両・線路補修など一人で何役もこなし、浮かせた人員を大都市へ投入している。”もうかるところで打って出る”という企業の論理は分かるが、ローカル線は切り捨てと言ってもいい状態になっている」
 −利用してみると不便なダイヤが多いですね。
 「通勤、通学や生活の足として利用できないほどに列車が減らされている。駅の無人化で駅前が荒廃し、通勤帰りの女性が危なくて一人では歩けない所もある。列車通学の生徒の非行問題も起きている。不便だから利用しなくなり、気が付いたら廃線というコースを、なし崩し的に進めているように見える。本数を増やし、駅前に無料駐車場を設け、マイカー通勤者が渋滞道路の手前で列車に乗り換えるなど、鉄道を生かす方法はまだまだあるのだが」
 −鉄道をやめてバス路線にする方針を打ち出したJR可部線の地元では「JR西日本は黒字なのに」という不満が出ています。
 「バス路線は車両とバス停があるだけだから、いつ廃止になるか分からない。鉄道は線路があるだけで安心できる。しかし、鉄道の維持には金がかかる。全体ではもうかっているからと、JRにローカル線の赤字を全部負担させていいものか、問題はある」
 −では、どうすれば。
 「ヨーロッパでは都市部や長距離列車は鉄道会社が自立的に、ローカル列車は自治体の補助も受けて運営するように分けている。教育や治療のための交通手段、地域の人々の生活の足をどう確保するかは、自治体の責任でもあると思う。鉄道だけでなく、それにつながるバス路線などの運営も含め総合的な交通政策を進めるべきだ。そのためには、今の”3割自治”では無理。国の財源を地方へ大幅に移し、地方分権化を進めなければならない」
 −鉄道は自治体出資による第三セクター方式がいいわけですか。
 「いや、三セク線は災害時に、自力ですぐ復旧できないなど問題が多い。JRのローカル線を三セク線にするのではなく、今の三セク線もJRに戻すべきだと、私は思っている。やはり、鉄道はプロが運営すべきだし、一元的な鉄道ネットワーク体制が取れれば、信楽高原鉄道事故のような相互乗り入れによる事故も防げる」
 −面白い提言ですね。
 「ただ、それには地方自治体の負担が欠かせない。自治体の総合交通政策のもとで、JRが安全運行する。交通政策が地方分権化への大きな手がかりとなればいいんですが」(おわり=この連載は寺田憲二が担当しました)(朝日新聞)
■声 JRと私鉄で対応なぜ違う 主婦 冨士 二三子(大阪市 82歳)
 18日の「JRの対応に感じる冷たさ」を読み、同じような腹立たしい思いをしている人が、ほかにもおられることを知りました。私も先日、阪堺電車とJRを利用して通学している中3男子の孫からこんな話を聞きました。
 遅刻しそうになり、あわてて家を出たため定期を忘れてしまった。阪堺天王寺駅で事情を話して通してもらい、JRの改札でも同じように頼んだところ、しばらく待たされ、戻ってきた駅員さんに「駄目だ。家に帰って取ってきなさい。何も持たずに銀行に行ってお金を貸してほしいというのと同じや」と言われた。財布もなく、おろおろしていたら幸い友人に出会い、お金を借りて切符を買ったそうです。
 私はこの例え話にあきれ返りました。上司の指示でしょうが、見当違いも甚だしいと思います。制服、制帽で毎日通っている中学生にいう言葉でしょうか。
 2、3年前、バレエ教室に通っていた孫娘が、南海高野線我孫子前駅で回数券を忘れたのに気づき駅員さんに話したところ、通してもらい、帰りが困るだろうと、証明書のようなものまで書いてもらったそうです。どうしてJRと私鉄でこうも違うのか不思議です。もう少しやさしい対応ができないのでしょうか。(朝日新聞)
■声 利用者の側に立ってほしい フリーター 住本 剛史(京都市 31歳)
 JRの対応の冷たさを読み、同情しています。私は以前、鉄道会社に勤務していましたが、JRに限らず大抵の交通機関は、営業規則(約款)で「お客さんが誤乗車された際の取り扱い」を定めているはずです。これは、お客さんの不慣れや係員の案内不足のために別方向や降車駅を通過する列車に乗車してしまったり、居眠りしていて乗り過ごしてしまった場合などに正規の降車駅や乗換駅まで無賃で送還する、という制度です。
 投稿者の息子さんの場合、奈良駅で途中下車することなく、すぐに折り返し列車に乗車されるのですから、車掌や駅係員はこれらの取り扱いをすべきだったのではないか、と思います。私は現職当時、先輩から「複数の取り扱い方がある時は、不正乗車の意図が見えない限り、お客さんに有利な取り扱いになるように」と教えられました。
 JRも民間企業になって売り上げを増やさなければならない気持ちはわかります。しかし、もっと利用者の側に立った視点でサービスに心がけてほしいものです。(朝日新聞)
30日■首都圏で豪雨 交通乱れる
 東京を中心とした関東南部は29日夜、雷を伴った激しい雨に見舞われ、JR東海道新幹線が東京−新横浜間で一時運転を見合わせるなど、首都圏の交通機関に影響が出た。気象庁は東京23区などに大雨洪水警報を出して注意を呼び掛けた。
 JR東海によると、同日午後8時12分から、雨量計が規制値を超えたため、東海道新幹線の東京−新横浜間で運転を見合わせた。JR東日本管内では、同7時30分ごろ、山手線大塚−池袋間で信号機が故障、同区間内回りが約1時間運行停止、東海道線の一部でも運転を見合わせた。営団地下鉄丸ノ内線は、雨水の侵入を避けるために駅の入り口を閉鎖したため、銀座−池袋間で運転を停止した。
 渋谷駅の地下鉄に通じる地下街には雨水がひざほどまでたまった。
 同庁によると、東京都港区港南で同8時40分までの1時間に124_、目黒区上目黒で85_の記録的な大雨を観測した。
 同庁によると、上空に冷たい空気があって、各地で気温が上昇したために大気の状態が不安定となり、積乱雲が発達、大雨となった。(京都新聞)
■コンクリートは大丈夫か 下 メンテナンス 「劣化の危険」に認識甘く
 土木学会はコンクリート構造物に関して現場が守るべきマニュアル「標準示方書」を1949年から定めている。その中に「維持管理編」が、来年ようやく加えられる。ここには問題となっているコンクリート劣化の予測、点検、補修、補強などの方法や基本的な考え方などが示される。
 「維持管理編」はなぜこれまでなかったのか。編集を担当する宮川豊章・京都大学教授はこう答える。
 「示方書に従えば、劣化しにくいコンクリートがつくれる。それが守られているという善意の前提があった」「コンクリートは一度つくってしまえば、あとは放っておいてもいいという考えが強かった」
 つまり、コンクリートの維持管理の思想はあまりなかったというのだ。
 土木、建築構造物にコンクリートが使われるようになって100年近い。数10年以上の耐用年数があるとされていたコンクリート建造物に、危機が起こってきたのはここ20年ほどだ。
 70年代、コンクリートに使った海砂に含まれる塩分が鉄筋を腐食させ、ひび割れを起こす塩害の報告が相次いだ。80年代に入ると、アルカリ骨材反応が問題になった。砕石に含まれる火山ガラスやシリカ分などがセメント中のアルカリ成分と化学反応を起こし水分を吸収して膨張、ひび割れを起こす現象だ。いずれもマニュアルに照らせば望ましくないコンクリートの作り方だ。
 最近では、寒冷地の道路でまかれる凍結防止剤も、コンクリートの塩害の原因として問題になっている。
 これらに6月末、山陽新幹線トンネルのコンクリート塊の崩落事故の原因の一つと考えられる施工不良、コールドジョイントが加わった。大阪工業大学の二村誠二講師は「材料だけではなく、設計や施工に原因があるコンクリート劣化がいかに危険かがわかった」と、劣化要因が次々と増えていることを警告する。
 すでに劣化要因を含むコンクリート構造物に対しては、できるだけ早く見つけ、手当てをする以外には方法がない。「維持管理編」はまさにそのために作られるのだが、実際の現場では問題がまだある。
 コンクリート構造物の検査では、目で見てひび割れや変形を見つけ、さらにハンマーでたたいて音の変化を聞き分け、内部の空洞の有無を確かめる「人による」方法が一般的だ。
 しかし、山陽新幹線のトンネルでコンクリート塊が落下したのは、目視点検で危険はない、とされた場所だった。
 人間の感覚に頼るこうした検査法を超える新しい方法も研究されている。たとえば、東京大学生産技術研究所の魚本健人教授は、赤外線を使ってコンクリート内部にある空洞を見つける方法を開発した。
 内部に空洞があると、コンクリートの表面温度が上がりやすい性質を利用している。実際に古い建築物に応用するとあちこちで空洞が見つかる。このほかにも超音波、マイクロ波、放射線などを使う方法が研究、開発されているが、なかなか現場での普及にはつながらない。
 魚本教授は「新方法による検査結果を見せて劣化の危険性を訴えても、現場の人たちはなかなか信用してくれない。土木技術者はコンクリートをつくる方に関心があっても、維持管理には興味がない。だから、示方書ができても、それが現場まで浸透するには時間がかかるだろう」と嘆く。
 (この連載は山口智久が担当しました)(朝日新聞 夕刊)
■今日的遺跡探検 1997 タブレット 安全確かめ合う「通行手形」
 「あしもいー、あしもいー」。汽車が到着すると、肩に丸い輪を掛けた駅長の声が響く−。NHKの連続テレビ小説「すずらん」の一場面だ。この丸い輪の名は「タブレット」。古き良き時代の鉄道員の象徴であり、誇りだった。いまも一部の地方路線で使われているものの、写真のような「走行授受」の光景は1997年秋、JR因美線を最後に姿を消している。
 「列車から身を乗りだし、受け取る瞬間に腕をさっと引く。コツをのみ込むまでひと苦労。夏になると、半そでからのぞく二の腕に青いアザをつくった若い助手が何人もいた」。JR西日本鳥取鉄道部列車支部で、今は乗務員の勤務表作りなどを担当する松本政美さん(59)は懐かしむ。
 機関車の時代に機関助手からスタート、JR因美線や山陰線を走った。「ホームに入る前、速度を落とす。でも遅れている時はそのまま走り、かなりの速度でやった」と思い出は尽きない。
 タブレットは、通行手形ともいわれる。単線の一定区間内に、これを持つ列車しか入れないようにして、列車事故を防いできた。列車同士が駅で交換するが、急行などは走ったまま受け取り、渡す走行授受をやった。
 革製の輪は、実は「キャリア」といい、円盤状のタブレット本体は輪に付いたバッグの中に入っている。形状から鉄道では「タマ」と呼ぶ。
 最後の走行授受の舞台だった因美線で駅長経験のある鳥取駅助役の向井文夫さん(54)もタマと呼び、慣れ親しんできた。
 「駅にある通票器という機械からタマを取り出すとき、2つの駅で『チン、チン』と電鈴を鳴らして連絡し合った。同時に操作しないとタマは出ない。それが難しくてずいぶん緊張した」
 ドラマ「すずらん」で駅長を演じている俳優橋爪功さん(57)は、撮影で初めてタブレットの役割を知った。
 「安全運行の生命線だったんですね。まさに『目から鱗の心境でした」
 このドラマで鉄道の時代考証などを指導した交通博物館の元副館長松沢正二さん(74)は「よく考えられた安全システム。でも人手がかかり、列車の運転本数にも限界がある。いまの時代には合わず、消えていくのは仕方がない」と話す。
 高倉健さんが、鉄道一筋に生き、定年を目前にした駅長を演じた映画「鉄道員(ぽっぽや)」にもタブレットは登場する。ある夜、幼くして亡くなったはずの娘が現れ、思わず嗚咽する駅長…そんな幻想的な場面の傍らにもあった。
 来春、同じように定年を迎える向井さんは一人、映画館の一番後ろの席でみた。「ホームに立ち、去っていく列車を見つめる駅長の姿が印象的だった。同じような時間が自分にもあった」と話していた。(喜田 洋)
 タブレット 単線区間の閉そく式で使われる。直径10aほどの真ちゅう製で、円盤状の真ん中部分に円、だ円、三角、四角の彫り込みがある。旅客を扱うJR(旧国鉄)6社のうち、四国、九州にはないが、北海道1、東日本4、東海1、西日本2の計8路線の一部区間などで、まだ使われている。(朝日新聞 夕刊)
31日■京都観光バス 事業廃止を申請 経営再建断念 年内にも清算方針
 貸し切り観光バス会社の京都観光バス(京都市伏見区、橋本興市郎社長)は31日、近畿運輸局に事業廃止の許可を申請し、観光バス事業を廃止する。観光団体客の減少で赤字が続いたためで、同社は年内にも清算する方針。
 同社は1962年の設立で、資本金は3億円。所有観光バスは30台で、京都府内を営業区域にしている。従業員は42人。岐阜県内の路線バス・観光バス会社の岐阜乗合自動車などが出資している。
 京都観光バスの年間売上高は92年3月期の約10億3000万円をピークに減少、99年3月期は6億5200万円まで落ち込んだ。68年から赤字経営が続き、99年3月期の累積損失は約11億3700万円に上る。
 同社では、労使双方が96年から3年間、再建策を模索してきたが、「観光団体客の減少や運賃の伸び悩みなどから経営建て直しが難しいと判断した」(河原良紀取締役)という。
 京都府内の観光バス会社は29社あり、同社は規模で12番目。府内の観光バスの利用人員は、92年のピーク時には672万人だったが、昨年は523万人にまで減少している。(京都新聞)
■窓 路面電車 復活の是非
・人間に優しい公共交通機関 大津市・倉本 正樹(地方公務員・38)
 京都から市電が姿を消して20年余りが経過した。当時、路面電車は自動車の増加に伴う交通渋滞を一層激しくするとして、廃止が相次いだ。
 70年前、市電全盛の京都で青春をおう歌していた祖母は、次第に市電が廃止されるのを見て、「なんで市電をとってしまうんやろ。バスはよう揺れるし、込んでるときやったらいつ着くか分からへん。地下鉄ができたかて、わざわざ地下まで下りんならんし、停留所も減る。年寄りには何にもええことないがな」と嘆き、私もなるほどと思ったものだ。
 2年前には、せっかく京都で地球温暖化防止国際会議が開催された。
 日本では最近、環境に優しいという理由から再び路面電車が脚光を浴びている。しかし、単なる環境対策だけではなく、交通事故多発の車社会を是正し、膨大な工事費を要する地下鉄建設を必要最小限にとどめ、人に優しい交通機関を展開するための方法として、路面電車の威力は絶大ではないだろうか。
 京都市も従来の方針を転換し、ぜひとも路面電車を復活させてほしいものだ。
・懐かしの車両 心安らぐ思い 宇治市・長沢 俊雄(無職・73)
 過日、テレビで広島市街を走る市電が紹介されていた中に、京都を走っていた車両があった。全国で廃線になって現役を退いた電車を”再雇用”している。北海道の函館に旅した時も、走る市電に何か心安らぐ思いをしたことがある。
 昔の面影のない旧竹田街道(現国道24号)を車で走ると、少年期、前に救助網をつけ入り口のドアもなく鎖をぶらさげて横揺れしながら走っていたチンチン電車の懐かしい姿が目に浮かぶ。京都駅前から、北野線も人家の軒すれすれに走っていたものだった。車社会の急速な発展で約20年前に廃線され、古都も大都市並みの騒々しい、そして排ガスに汚れた街に変わってしまったが、無公害で情緒ある路面電車が、道路事情で邪魔者扱いにされたのが寂しい。
 先ごろの社説にも取り上げられていたが、全く同感である。当欄でもいままでに投稿されていたこともあった。至る所車の洪水の道路で、そのスペースや営業面の採算性など状況は厳しいとは思うが、何とか英知をしぼって日本で初めて路面電車を走らせた古都・京都に新しい時代の交通機関として懐かしい市電を復活させてほしいものである。
・自動車の渋滞 増加を懸念 亀岡市・細川 武(食料品卸業・59)
 10日付朝刊の「提言」によれば、御池通に市電を走らせて21世紀の町づくりの基盤としてはどうか、というのである。まさか、市電が撤去された経緯、地下鉄が敷設された過程、あるいはかつて京都市がマイカー観光拒否宣言をしていたことなどをご存じないはずはあるまい。
 現在、烏丸通や御池通は市営バスの路線であり、地下鉄が走って、さらに西進計画がスタートしていることもご承知のはずである。いま、これらの通りに路面電車を通すことになれば、当然、自動車の渋滞が予想される。それに合わせてマイカーの乗り入れ禁止などの交通対策の改革を考えておられるようであるが、その自動車のための広大な駐車場の確保は可能だろうか。例えそれが解決できたとして、市外から京都市を通過したり、物流などのために京都市内へ入る自動車にどう対処するか。
 また、京都市内で所有されている47万5000台の自動車をどうするのだろうか。よし、それらがほとんど解決できたとして、市内で、自動車での買い物ができなくなれば、市街地の商店街、地下街がさびれて、市内観光の客足が遠のいていくのは必至である。今やすでに、想像を絶するような膨大な予算を必要とする提言、を急務として受け入れるには、いかにも時期が適当ではない、と思う。
・海外で乗車し気分はなやぐ 亀岡市・野原 弘子(主婦・59)
 京都の市バスを利用し、渋滞の市街地を通るときは心して、あせらずに乗っているようにしている。それにしても、こう車がひしめきあっていては運転手さんも大変だろうと心底思ってしまう。やはり以前のように車専用の車線があれば、スピードと定時運転が約束され、ありがたいのだが−。ニュージーランドを訪れた折、すてきな路面電車に乗り、はなやいだ気分で市内を観光した光景が思い浮かぶ。南島の中心都市としてクライストチャーチは、田園風景ののどかさを保持すべく1995年に都市の一部に路面電車を復活させたそうだ。路線1周の1時間券、1日券の差は1j(六十数円)でしかなく、その時間内なら幾度でも利用することができた。降りる際、大きな切符に時間を書き入れてもらって、言葉を交わしたり、のんびりとした、温かい触れ合いがあった。ヨーロッパでも近年、路線復活や新たに導入する都市が相次いでいるという。
 日本初の路面電車を走らせた京都市に最近また、排ガスがなく利便性の高いということで復活の声が上がっている。議論もあるだろうが、日本で率先しての実現を、心待ちにしている。(京都新聞)
■予備費400億円、整備新幹線に 運輸省方針
 運輸省は30日、今年度当初予算に盛り込まれた5000億円の公共事業予備費のうち、整備新幹線の建設費として400億円を上限に要求する方針を明らかにした。正確な要求額は、9月中旬に予定されている4−6月期の経済成長率の公表を待って決める。新幹線建設の前倒しを求める与党の間には「1000億円以上を求めるべきだ」とする声があったが、予備費は今年度内に使い切らなければならず、「無理のない金額」(運輸省幹部)にするという。
 運輸省は公共事業予備費を、すでに着工している区間の建設費に充てる。1973年の新幹線整備計画に盛り込まれながら手つかずのままの「未着工区間」には使われない。同省は、中部国際空港など拠点空港の建設費としても、公共事業予備費の一部を要求する考えだ。(朝日新聞)
■すっきりせんなぁ
 晴れ間が少なく、不順な天候が続いた今年の夏。京滋では、最低気温が25度を上回る熱帯夜が22日間もあったかと思えば、8月下旬には朝の気温が20度近くまで下がり、初秋を感じさせた。はっきりしない空模様につられるように、夏の商戦や行楽地は悲喜こもごも。海や山のレジャーが振るわなかった半面、関空からの海外旅行は過去最高。売れ行き好調のエアコンに対し、中元商戦は振るわなかった。そんな京滋の夏を総まとめした。
●天候 晴れ間 は少なく 熱帯夜22日間も
 今夏は太平洋高気圧の中心が例年より北にずれ、日本の南海上に熱帯性低気圧が発生しやすい気圧配置となった。このため、京滋でも不順な天候が続き、暑さの割りには夏らしい晴れの日が少なかった。
 京都市内では、梅雨明け後に9日連続の熱帯夜となるなど、熱帯夜は計22日(平年10.8日)もあり、寝苦しい夜が続いた。8月2日には今夏最高の35.5度を記録。お盆が始まる13日まで連日、最高気温が30度を超え、むし暑い日が続いた。また、8月の降水量は平年の7割程度で、やや少なめだった。
 8月中旬からは雷雨の日が目立ち、朝夕の温度差が激しくなった。8月25日には、最低気温が20.6度まで下がり、秋のような涼しい朝となった。
●旅行 関空利用最高の104万人に JRなど国内組は減少傾向
 JR西日本によると、お盆までの夏休み期間中の利用者は647万人で、昨年を5%下回った。北近畿タンゴ鉄道も、京阪神と丹後を結ぶ特急の不振で5%の利用減となった。一方、身近な行楽地の人気で、JR嵯峨嵐山駅の利用は2%伸びた。
 対照的に、円高の追い風もあって、東南アジアやアメリカヘ向かう旅行者は昨年より2、3割増え、過去最高の約104万人が関西空港を利用。「国内では遠出を控え、海外へ」という傾向がくっきり表れた。
●電力・電器 昨季ピークに及ばず
 関西電力京都支店管内では、気温が上った7月下旬から電力消費は増加し、8月2日午後3時、今夏最大となる348万1000`ワットを記録したが、過去最大を更新した昨夏のピークには及ばなかった。天候不順に加え、経費削減を図る企業の節電努力も背景にあるよう。
 一方、京都市下京区寺町通の大手電器店では、7月中旬からエアコンが好調な売れ行きを見せた。例年、8月に入ると注文が減少するが、今夏は失速しなかったという。右京区の大手電器店は「新築やリフォーム需要の伸びにつられ、売り上げが伸びた。今夏は数年ぶりに前年を上回る見通し」と、住宅減税の思わぬ効果に表情は明るい。
●中元商戦 高級品は人気 それでも苦戦
 景気回復のきざしが言われる中、消費者の財布のひもは依然固く、京都市内の百貨店も中元商戦で苦戦。昨シーズンの売り上げに比べ、6−7%下回る店が多かった。
 京都市下京区の京都高島屋は「ここ数年、消費者が贈り先を絞り込み、儀礼的な贈り物を避ける傾向が定着してきたのも要因」とみる。岡山産の白桃など高級フルーツの売れ行きが好調で、売れ筋商品の個性化が進んでいるという。(京都新聞 夕刊)
■デジタル情報 ゲット JR5駅キヨスクで 自販機あす登場
 パソコン用のメモリーカードを使って、自動販売機で電子情報を購入してもらうJR西日本の「デジタルキヨスク販売実験」のデモンストレーションが31日午前、大阪駅の中央コンコースで行われた。ニュースやゲーム、音楽など豊富なメニューが自販機の画面に登場し、9月1日から京都駅など京阪神の主要五駅で販売が始まる。
 実験は、通産省の受託事業で、多様化するメディア時代に対応した全国初の試み。12月26日まで実施され、京都新聞社など参加企業約80社が随時、情報提供する。
 使い方は、ノートパソコンなどの端末に使用するメモリーカード(PCカード、コンパクトフラッシュ、スマートメディア)を自販機に差し込み、欲しい情報を選ぶと数十秒でカードに書き込まれる仕組み。観光案内やビジネス情報、語学、競馬、占い、まんが、小説など約550種類の電子情報が購入できる。中心価格は1種類50−500円程度で、最高5000円程度まで。
 デモンストレーションでは、JRの担当者が実際に自販機から電子情報を引き出して、稼働状態をチェックした。1日午前10時から、京都、大阪、新大阪、三ノ宮、神戸の5駅のコンコースなどに設置された計30台の自販機で販売を始める。2日以降の販売時間は、午前5時−翌日午前1時。(京都新聞 夕刊)