1999(平成11)年 6月


1日■地下鉄サリン事件 横山被告に死刑求刑(京都)
  ■”実行犯”の求刑に流れ オウム・横山被告に死刑求刑 運転手役と一線 死者有無は偶然の結果 「中核担った」(京都)
  ■鳥?と衝突 新幹線停車 京都−新大阪間(京都)
  ■私のキーワード 成熟都市と路面電車 槇村久子 奈良県立商科大学教授・付属図書館長(京都)
  ■地下鉄サリン 横山被告に死刑求刑 検察側「散布役、反省薄い」(朝日)
  ■地下鉄サリン 教団側いまだ責任認めず 死刑求刑 住民不信の背景(朝日)
  ■70年放置 「踏切のない鉄道」 島根・山口県境の被差別部落 う回路できるが…住民すでに残り1軒(朝日)
2日■航空4社とJR西日本 集客合戦 ヒートアップ スカイマーク伊丹−福岡便 1万円で就航 新幹線も格安つづり券 空から地上戦へ(京都)
  ■ちかんあかん 滋賀県内JR59駅 撲滅作戦始まる(京都)
  ■ノーモア渋滞 地下鉄開業 クアラルンプール(京都)
  ■仮眠は短い方が効果的? 新幹線なら長くても「OK」 国立研究機関など車内実験で確認 眠り浅く「寝ぼけ」なし(朝日)
  ■整備新幹線 前倒し要求 自白の協議会(朝日)
  ■日吉駅を交流センターに(京都)
3日■ノンステップバス失速… 国が補助金減を検討 負担増で、導入断念の企業も(朝日)
  ■電車の忘れ物 セールは超満員 バブル時、敬遠され中断(朝日)
  ■路面電車巡るサミット開幕 愛知・豊橋(朝日)
  ■上野−札幌「カシオペア」今夏運行 ターゲットは熱年の観光客(朝日)
  ■食堂車 黄昏のフルコース これが最後!? 大阪発着52時間 日本半周 のんびりホテル気分 8万円(朝日)
4日■JR京田辺駅 新駅舎は特産の竹イメージ 整備計画の槻要発表 折り返し運転にも対応 2002年春完成予定 ホームを75b延長(京都)
  ■空で明暗  修学旅行で上昇気流 赤字路線はリストラ(朝日)
5日■路面電車生かし 街づくり考える 全国から600人 豊橋サミット(京都)
  ■整備新幹線 北海道・九州を先行着工 列島の背骨建設を優先 自自協議会(京都)
  ■信号待ち・渋滞ではCO2増 再始動自時の排出量は3.2 倍に アイドリング・ストップ逆効果も 1分以上の駐車で有効 警察庁が調査(京都)
  ■JR奈良駅舎保存 県、「一部か全面で」(朝日)
  ■タイムアングル 初代京都駅 ステンショ前 人力車が常時十数台待ち並んだ(朝日)
  ■「鉄道員」が公開(朝日)
6日■JR事故 民営化後 過去最少 98年度 7社まとめ ただし信号や車両故障含まず 最多は踏切(京都)
  ■京都市の人口 2年連続 山科・中京増える 東西線(地下鉄)効果で(京都)
  ■信号故障ダイヤ混乱 JR奈良線上狛駅(京都)
  ■ブレーキ故障で運休 JR湖西線(京都)
8日■車内公衆電話もっと便利に 山陽新幹線設備更新(京都)
  ■窓 2つの山科駅 区分明確化を 左京区・武 邦保(教員・65)(京都)
  ■新書記長に小田氏 JR総連(朝日)
  ■大阪市営地下鉄8号線の事業 「特許が適当」(朝日)
9日■朝の近鉄線乱れる 小倉駅で男性飛び込み(京都)
  ■近鉄京都線・小倉駅 男性飛び降り? 乗客4000人影響(朝日)
  ■踏切内で衝突 車の男性即死 JR阪和線(朝日)
10日■通行方法トラブル 男が路線バスキー持ち去る 中京 立ち往生、客ら乗り換え(京都)
  ■街を楽しめる市電の復活を 北区・向本 久(美容師・74)(京都)
  ■「進路妨害した」と立腹 バスのキー抜き逃走 客乗せ30分 立ち往生(朝日)
  ■機関車故障で1時間半不通 JR米原−野洲(朝日)
  ■時の記念日に子午線通過証 JR明石駅(朝日)
11日■スルッとKANSAl 近鉄も参加へ(京都)
  ■「西京都駅」の設置を要望 新幹線口丹波促進協(京都)
  ■窓 郷愁あふれる昔の汽車旅行 宇治市・山村 小萩(無職・76)(京都)
  ■初期の駅、雰囲気を再現 滋賀(京都)
  ■列車と衝突し 車の2人重傷 加古川の踏切(朝日)
12日■襲われた外国人 電車にひかれ死亡 暴走族風の男ら逃走(京都)
  ■整備新幹線の前倒しを要請 与党協議会、首相らに(朝日)
  ■タイムアングル 官公千年祭と北野線 電車の前に先走り「危のおまっせ」と声上げ走る(朝日)
15日■路面電車と車衝突、男性死亡 阪堺線の踏切(朝日)
16日■世紀の面影 市電の運営開始 1912年 車に主役の座奪われ(京都)
  ■共通カードを検討 JR西日本・近鉄 接続路線の改札で利用(朝日)
  ■JR不採用問題 実損分390億円を要求 国労闘争団 「7割が復帰希望」(朝日)
17日■地下鉄東西線西伸 調査対象に要望 京都市 新規政府予算獲得へ(京都)
  ■整備新幹線 財源不足 優先順位 貨物共用 3つの壁、協議迷走(朝日)
  ■トロッコ列車 倒木と衝突! 嵐山で合同訓練(朝日)
18日■奔流底流 北陸新幹線「敦賀−大阪」 ルート決定せめぎ合い 3案浮上、足並み乱れる 概算要求向けて意見集約焦点に(京都)
  ■中国版”新幹線”お披露目(京都)
  ■女性運転士 新幹線デビュー 来年2月から 女性の深夜勤解禁で(朝日)
  ■大阪環状線が46分間止まる(京都)
19日■夏季臨時列車 対前年比20本増 KTRがダイヤ発表(京都)
21日■電車内トイレから煙 JR関西本線加茂駅(京都)
  ■電車のトイレで発煙 JR関西線加茂駅(朝日)
  ■大阪外環状線起工 安全祈願祭を開く(朝日)
  ■提案!ひとにやさしい駅 大阪 市営地下鉄111駅を調査 市民グループ 冊子まとめる(朝日)
  ■京都駅北口工事が完了 案内充実 新バス乗り場(京都)
22日■JR京都駅北口 タクシー乗り入れ改善要望 共闘会議が市に(京都)
  ■京都駅北口広場 進入路を3車線に 市にハイタク共闘(朝日)
  ■「走る広告塔」地元がエール 阪堺電車 不況で大手企業去り 和菓子や・銭湯・レンタルビデオ店…(朝日)
23日■ノックさん「電車知事室」 堺往復1時間 乗客緊張「今度は内証で」(朝日)
  ■制御装置の故障で遅れ 大阪市営地下鉄(朝日)
25日■震災で傾き解体 阪急三宮駅の駅ビル再建へ(京都)
  ■「環境にやさしい交通管理」京都市や川西市指定 モデル事業(朝日)
  ■倒壊神戸阪急ビル 再建計画まとまる 2004年完成目指す(朝日)
26日■KTRの98年度決算 営業収益5.4%減 創設以来9期連続の赤字 谷岡社長「集客アップに全力」(京都)
  ■現場指揮者ら2容疑者逮捕 JR死亡事故で警視庁(京都)
  ■タイムアングル 河原町通 道が広い感じ 建物が低く、人や車も少ないからか(朝日)
  ■JR東日本株 100万株2次放出へ 政府方針 来月予約受け付け(京都)
27日■東京−大阪線を共同で運営 航空3社が検討 新幹線に対抗(京都)
  ■窓 旅して知る 乗客のマナー 実は京が親切 舞鶴市・陣在はるゑ(主婦・75)(京都)
  ■上越新幹線 トンネル停車4時間 故障、救援列車で350人救出(朝日)
28日■列車ダイヤ大混乱 府北部中心に(京都)
  ■京日記(京都)
  ■新幹線の屋根破損 小倉−博多間 トンネル付近で停電(朝日)
  ■山陽新幹線 ひかりの屋根 バリッ トンネルコンクリ片直撃(京都)
  ■新幹線屋根大破 コンクリート内壁 落下 JR西日本 原因調べ 昨年に続き また(朝日)
29日■新幹線屋根事故 トンネル総点検 運輸省、JR3社に指示(京都)
  ■中心部に軽快電車を 交通問題で市民懇談会 京都市へ政策提言(京都)
  ■「全建賞」事業に山科駅前再開発 全日本建設技術協(京都)
  ■親子でリニア試乗をどうぞ 8月、山梨実験線で(京都)
  ■時刻表CD-ROM 改訂版を無料配布へ 京都市交通局(京都)
  ■トンネル内壁落下 施工不良 指針違反か 山陽新幹線 塊の総量、200` 運輸省 全線点検を指示(朝日)
  ■揺らぐ「安全神話」 新幹線トンネル内壁落下 「予想外」JR衝撃 「点検不十分」指摘の声も(朝日)
  ■183本の臨時特急 夏季にタンゴ鉄道(朝日)
  ■きのくに 木が響く列車 展望車に音響彫刻 熊野の古木で「シーサイド」(朝日)
30日■北陸新幹線 米原ルート 「新大阪直通は困難」 JR東海社長会見 米原止まりを示唆(京都)
  ■山陽新幹線トンネル事故 「施工不良個所」見逃す 問われる検査態勢(京都)
  ■運輸事故の再発防ごう 22日にシンポ、参加者募集 信楽高原鉄道事故 遺族らの安全会議(京都)
  ■社説 トンネルの壁が落ちるなんて(京都)
  ■世紀の面影 東山トンネルの開通 1921年 東山(京都市東山区今熊野−山科区北花山) 時間短縮、街は一変(京都)
  ■神戸電鉄は全線で運休(朝日)
  ■九州運輸局がJRに警告書(朝日)



1日■地下鉄サリン事件 横山被告に死刑求刑
 死者12人、重軽症者多数を出した地下鉄サリン事件の実行犯として殺人罪などに問われたオウム真理教幹部横山真人被告(35)の論告求刑公判が31日、東京地裁(山崎学裁判長)で開かれ、検察側は「わが国犯罪史上、類例を見ず、世界的にも最も凶悪な犯罪。人間として許し難い」として、死刑を求刑した。地下鉄事件で初の死刑求刑。弁護側は6月29日に最終弁論を行い、結審する。
 横山被告がサリンをまいた丸ノ内線の電車で死者は出ておらず、同被告がサリンの毒性を知らなかったとして弁護側は殺意を否認し「傷害罪に当たる」と主張していたが、検察側は「部分的に地上を走る丸ノ内線の特殊性などによる偶然の結果」と反論。「共犯者と同様に、12人の殺害を含む事件の結果全体に同等の責任を負うべきだ。実行を分担した各路線ごとに生じた被害者の多寡によって刑事責任に軽重を設ける理由はない」と述べた。さらに動機に言及し「教団における地位を上昇させたいとの打算によるもので、身勝手極まりない」と非難した。
 一連のオウム事件では元幹部岡崎一明被告(38)=坂本堤弁護士一家殺害事件などで一審死刑、控訴=に次いで2人目の死刑求刑。地下鉄事件の実行犯の1人で元幹部の林郁夫受刑者(52)は、犯行を最初に自白した「自首」などが評価され、求刑通り無期懲役の判決を受け確定した。
 諭告などによると、横山被告は松本智津夫被告(44)=教祖名麻原彰晃=らと共謀し1995年3月20日、東京都内の地下鉄5路線でサリンをまき、乗客ら12人を殺害、3794人(起訴事実の対象は14人)に重軽症を負わせた。(京都新聞)
■”実行犯”の求刑に流れ オウム・横山被告に死刑求刑 運転手役と一線 死者有無は偶然の結果 「中核担った」
 地下鉄サリン事件のオウム真理教幹部横山真人被告(35)に対する31日の死刑求刑で検察側は、電車内でサリンをまいた「実行犯」と、実行犯を現場に送った「運転手役」との間にはっきりと一線を引き、今後も続く地下鉄事件をめぐる求刑の流れが示されたといえる。
 横山被告は実行犯として起訴された5人の中でただ1人、サリンをまいた電車で死者が出なかった点が注目され、弁護側も「傷害罪に当たる」と主張。さらに命令に従っただけで、他の幹部とは関与の度合いが違うとした。
 しかし、検察側は「ほかの実行犯と同じ手段でサリンをまいており、犯行の中核割分を担った。死者が出なかったのは外部的要因による偶然の結果で、横山被告の意思や行動によるものではない」と指摘した。
 やはり実行犯の元幹部林郁夫受刑者(52)=無期懲役確定=について検察側は、犯行を最初に自白した「自首」や改しゅんの情を評価し、無期懲役を求刑したが「あくまで例外的なケース」としていた。残る3被告には、こうした特段の事情はないとされる。
 一方、運転手役の元信者北村浩一被告(31)について検察側は「実行犯同様の重い責任を負う」としながらも、求刑を無期懲役にとどめており、運転手役への求刑は今後も、この線に沿って行われるとみられる。
なお教祖におびえ
 地下鉄サリン事件で31日、死刑を求刑された横山真人被告は今も純粋な信者として松本智津夫被告(44)=教祖名麻原彰晃=の「見えざる力」におびえているという。
 だれにも話していない自分の秘密をずばり指摘されたことから、松本被告を「人の心を読む能力がある」と恐れるようになった。
 1997年1月、地下鉄サリン事件を審理する松本被告の公判に証人として出廷した横山被告に松本被告はつぶやいた。「うれしいか」「怖くないのか」「うそつくことはない」…。横山被告は弁護人から何度も証言を促されたが、言葉らしい言葉を発することはなかった。
 横山被告はその後の公判で「検事さんが『調書に署名すれば、教祖の法廷には証人として呼ばない』って約束したから、協力したのに」と涙ながらに訴えた。
 カルト集団のマインドコントロールを研究、横山被告とも拘置所で面会した静岡県立大の西田公昭講師(38)は「横山被告はこれまでに会った信者の中で最も純粋なタイプ。松本被告の前には出さないという約束を破られ、自分の証言を教祖に知られることになって大きな恐怖を感じたのだろう」と話している。(京都新聞)
■鳥?と衝突 新幹線停車 京都−新大阪間
 31日午後零時50分ごろ、京都市南区久世殿城町で通過中のJR東海道新幹線博多行き「ひかり115号」(16両編成)が「ドン」という異常音を感知し、急ブレーキをかけ現場から約2.3`大阪寄りの向日市上植野町で約10分間停車した。乗客らにけがはなかった。
 向日町署によると、車両の下に鳥の羽毛のようなものが付着しており、調べている。影響で後続列車5本に最大6分の遅れが出た。(京都新聞)
■私のキーワード 成熟都市と路面電車 槇村久子 奈良県立商科大学教授・付属図書館長
 京都での学生時代よく市電に乗った。通り過ぎる車窓から街の動きが目に入ってくる。店ができたとか、落ち着いた中にもきらびやかな街角を歩く人たちのファッションも一体の都市の風景になつて、さすが京都と感心したものだ。そんな市電がなくなって久しい。
 高度経済成長と都市化が進み、私たちの世代は住宅事情と子育てから郊外で暮らすようになった。それが最近、「年がいってから暮らすのはやっぱり都市の中やねえ」とささやかれる。「デパートや劇場は近くだし美術館もあるし、母は毎日出かけているのよ」と友人。私の母も喜寿をすぎているが、ファッションへの気遣いはなかなかのものだ。季節の服もショッピングしたいのだが、都心まで時間がかかる。プラットホームへ上がったり下がったり、駅と駅の乗り継ぎもしんどい。
 私は共働きで子どもが生まれてまもなくの頃、子どもと祖母を一時に世話した体験から、高齢社会のまちづくりをはじめた。高齢社会は実は女性が働く社会である。生産を担う現役世代と子どもの世代、そして親の世代の三つの生活が支えられる構造的なまちづくりが必要なのだ。それには職住近接がキーだ。職住近接は、交通のエネルギーの環境負荷を減らし、通勤のエネルギーと時間のロスを減らし、ゆとりを生み出すことになる。
 そう考えると、京都はヒューマンスケールでこれからの成熟社会の豊かな生活の要素がピッタシ備わっているではないか。文化財や芸能、美術品はもちろん、風情のある店、ちょっと歩けば野山の四季の遊行も、寺院の華やかさとあの世への入り口も、オフィスや仕事場も共にある。しかし学生時分に比べ都心が寂しくなつた気がする。
 そこでライトレールを導入したらいかがだろう。形がスマートで音も静かな路面電車でスピードも速い。郊外にない歴史的なたたずまいの都心の魅力を車を気にしないで歩けるショッピングゾーンを整備することで都心に人を呼び戻そうと始められている。都心部の回遊性を高め移動を円滑にする。すてきなのは低床車両。床の高さは歩道なみで、車椅子や乳母車も楽に乗れるバリアフリーである。ドイツやフランス、オーストラリアなどで乗ったが、とても楽だ。それに地上を走るから景色も見えて分かりやすい。京都を訪れる人々にも街を楽しんでもらえる。成熟都市には最先端の路面電車がよく似合う。
大阪市生 まきむら・ひさこ 1976年、京都大学大学院農学研究科林学博士課程修了。奈良新聞記者を経て奈良県庁で女性行動計画、女性センター構想・企画に携わる。その後奈良文化女子短期大学で環境教育、大阪教育大学で女性学を受け持ち、現在は奈良県立商科大学で環境と人間、観光開発論を担当する。都市と農村交流、高齢社会のまちづくり、環境教育などをテーマに研究に取り組み、高い評価を受けている。(社)日本造園学会理事、(財)京都市女性協会理事などを兼任。著書は「お墓と家旗」(朱鷺書房)など多数。農学博士。(京都新聞)
■地下鉄サリン 教団側いまだ責任認めず 死刑求刑 住民不信の背景
 オウム真理教の元幹部横山真人被告(35)に31日、死刑が求刑された。地下鉄サリン事件では、散布役の林郁夫服役囚(52)=無期懲役が確定=、送迎役の北村浩一被告(31)に続く3人目の求刑で、検察側は一貫して事件を教祖だった松本智津夫(麻原彰晃)被告(44)の指示による「無差別大量殺りくテロ」と断じている。しかし、教団側はいまだに「教団の犯行」を認めておらず、各地で起きている住民とのトラブルの大きな背景事情にもなっている。
 検察側は、この日の論告でも「殺害を肯定する教義を説く教祖の指示を受けた被告らが一糸乱れず一丸となって敢行した」と指摘。東京地裁も林服役囚に対する判決で「松本被告の命令による組織的、計画的な無差別大量テロ」と認定し、裁判の場では「教団の犯行」が明確になりつつある。
 しかし、教団側は記者会見などの場で「尊師(松本被告)が説明しない限り真相はわからない」「残っている信徒は事件のことはわからない」とひたすら繰り返している。
 教団が開設するインターネットのホームページでも、教団広報部の荒木浩副部長が「いかなる意味で『オウム真理教』の地下鉄『サリン』事件と言い得るのか」と主張する。
 こうした教団の姿勢には、松本被告が1997年4月24日の自らの公判で、事件について「弟子たちが起こしたとしても本質的には傷害事件」などと関与を否定したことなどが影響しているとみられる。
 事件後、「オウムに危険性はない」と強調する教団は、各地でトラブルが起きるたびに「対話による解決」を呼びかけているが、事件の責任を認めようとしない教団への住民側の不信や不安は払しょくされておらず、かえって反発を強めている。(朝日新聞)
■70年放置 「踏切のない鉄道」 島根・山口県境の被差別部落 う回路できるが…住民すでに残り1軒
 島根・山口県境の山すそに肩を寄せ合う8軒の被差別部落があった。目の前を走る国道につながり、全生活がかかる小道が昭和3年(1928年)春、山陰線の鉄道敷設で断ち切られた。踏切もない。列車は山かげを回って突然、追ってくる。特に臨時列車が怖い。住民は危なくて荷車を使えなくなった。命がけでレールをまたいで行商や土木作業の仕事に出かけ、子どもの安全に気をもむ日々となった。人間の尊厳を無視した「橋のない川」ならぬ「踏切のない鉄道」問題が70余年を経てやっと、解決に近づいた。が、それは「差別解消」を掲げた踏切設置ではなく、「農村一般対策」としてのう回路の建設。それも、住民のほとんどが危険におびえて去った後に完成する。(企画報道室・伊藤 隆史)
 「踏切のない鉄道」を”発見”したのは、山口県境に接する島根県石見地方西部を担当する部落解放同盟石西支部長の竹内一夫さん(63)。差別と闘う仲間を求めて県境周辺に散在する被差別部落を説き回っていた15年前だった。「長年、こんな状態に人間を置いてきたことに怒りと闘志がこみ上げ、差別を象徴するこの状態の解決を運動の象徴にする、と心に誓った」
 竹内さんは島根県の被差別部落に生まれた。中学校の途中から、親を助けて魚や肉の行商をした。町の銭湯に入るのを拒まれ、地域の祭礼でのけ者にされるなど、露骨な差別のなかでおとなになった。結婚して得た2人の子も、黙っていては人間扱いはされまい、との思いを募らせていた。日照りのたびに飲み水にさえ困る生活に我慢ならなくなり、県庁へ水道行政をただしにいき、国と地方あげての同和対策事業があるのを初めて知った。74年だった。
 それは、政府の同和対策審議会が「恥ずべき部落差別の解消は国の責務、国民の課題」とした答申に基づく同和対策事業特別措置法による事業が始まって5年も後。「踏切のない鉄道」の存在に驚いたのは、その10年も後の84年だった。
 旧国鉄米子鉄道管理局と山口県庁に対策を求めた。管理局は「古いことなのでいきさつがわからない」。県庁は「確かにひどいが、そこは、同和対策事業の未指定地区なので、手の打ちようがない」。93年春、国会議員が現地視察に訪れたが、事態は変わらない。
 精肉商の家業、肺の持病での入退院の合間を縫っての奔走のすえ仲間をまとめ、94年末、石西支部を結成。山口県側の組織とともに、踏切問題解決を県、地元の町に迫った。が、町は「ここには被差別部落も差別もない」と言い張る。
 4年前、問題の地区から400b東で、国道から線路をまたいで山側に道を通す県の高架橋工事が始まったのを知った。橋の先からあの地区へ通じる道の建設を、差別解消策として求めた。しかし、県と町はあくまで「その道は建設するが、それは以前からの計画で、同和対策ではない」という。
 1日に上下26本の列車が走る危険なレールをまたがずに、国道へ出られる道がつく。近い記憶だけで、鉄道と地区の間にある農地の手入れに来た地区外の2人が事故死している。竹内さんは、名を捨て実を取ろうと考えた。
 ”発見”当時、4軒に減っていた地区は、いまは1軒だけになった。その家人が、線路と国道の間に置いている軽自動車を家の前にとめ、レールをまたがずにすむのは2年後の春だ。「それにしても遅すぎた。我々の指摘がなければ、行政はう回路を建設しなかった、とせめて思いたい」。「差別の象徴」と格闘した竹内さんの心境は複雑だ。(朝日新聞 夕刊)
2日■航空4社とJR西日本 集客合戦 ヒートアップ スカイマーク伊丹−福岡便 1万円で就航 新幹線も格安つづり券 空から地上戦へ
 低価格の航空運賃を売り物に大阪に進出したスカイマークエアラインズに対抗して、6月1日から、日本航空など大手3社がそろって福岡、札幌間の運賃割引を開始した。路線が競合するJR西日本も新幹線の割引切符を出して応戦。不況で利用客が減少しているだけに、客の奪い合いは鉄道を巻き込んでエスカレートしている。
 運賃競争の火ぶたを切ったのはスカイマーク社。4月24日から大阪(伊丹)−福岡1往復、大阪−札幌間2往復について、福岡便で当時大手の片道通常運賃1万5800円を1万円に、札幌便片道3万850円を2万1000円にした。
 これに対し、日本航空、全日空、日本エアシステムの3社は、今月から関西空港発着を含めた福岡、札幌(新千歳)便全便で、前日までに予約すれば運賃を約3割引き下げるサービスを開始した。福岡便で片道1万1000円(割引期間8月末まで)と、スカイマーク社との差を1000円にまで縮め、札幌便は、スカイマーク社と同額(同7月15日まで)にした。
 北海道では、出張旅費にスカイマーク社の運賃を基本とする企業も出始めており、大手航空各社も、「状況によっては9月以降も割引を検討する」とし、「特に福岡便ではJRの乗客を取り込みたい」(日本エアシステム)としている。
 新幹線の運行本数の多さや交通アクセスの利便性からJR西日本は、空での競争を静観してきた。しかし、福岡便では完全に競合するため、「ひかり」(新大阪−博多駅間)の指定運賃、通常片道1万4590円が1万100円になる片道切符4枚つづりの「ひかり号カルテット切符」を発売した。1日200組を超える実績に「順調な手ごたえ」(広報室)という。(京都新聞)
■ちかんあかん 滋賀県内JR59駅 撲滅作戦始まる
 滋賀県警鉄道警察隊は1日から、県内のJR59駅と管内を通過する電車内で「ちかんぼく滅作戦」を始めた。駅での啓発活動をはじめ、痴漢防止教室の開催や被害相談所を開き、夏に多発する痴漢の未然防止に力を注ぐ。
 初日は午前7時半から、JR草津駅コンコースで鉄警隊、草津署などが合同で啓発活動を実施。「チカンは犯罪」と記載したチラシ約3000枚を配った。
 2日は午後から鉄警隊と守山署が守山女子高で「ちかん防止教室」を開き生徒に護身術を教えるほか、8日にはJR南草津駅前に移動交番を置き午後3時−同6時の間、被害相談を受け付ける。
 また、撲滅作戦に併せて実施した県内女子高生対象のアンケートで、回答した617人中、83人が痴漢被害経験があることが分かった。(京都新聞)
■ノーモア渋滞 地下鉄開業 クアラルンプール
 【クアラルンプール1日共同】マレーシアの首都クアラルンプールで1日、同国で初めての「地下鉄」が開業した。慢性的な交通渋滞解消への効果が期待されている。
 開業したのは、クアラルンプール郊外と中心部を結ぶ新交通システム「プトラLRT」の第2区画14.9`。このうち都心部の5駅、4.4`が地下部分となっている。車両はコンピューター制御で無人で運行している。
 プトラLRTは全線24駅、29`の計画で昨年9月、第1区画として市街西部と都心部を結ぶ高架部分14.1`が開業していた。
 クアラルンプールでは、もう1本の高架鉄道「スターLRT」と、近郊の町と首都中心部を結ぶ鉄道「KTMコミューター」が営業、今回のプトラLRTの全線開業で、新都市交通システムがほぼ完成した。(京都新聞)
■仮眠は短い方が効果的? 新幹線なら長くても「OK」 国立研究機関など車内実験で確認 眠り浅く「寝ぼけ」なし
 短いほうが効果的といわれる日中の仮眠だが、新幹線の車内でなら1時間半と長く取っても「寝ぼけ状態」にならず作業能力が上がることが、国立精神・神経センターなどの実験で確かめられた。車内の場合だと振動や音で適度な睡眠を保てるという。12日から広島市内で開かれる日本睡眠学会で発表する。
 東海道新幹線東京−新大阪間の「ひかり」車内でJR東海と共同で昨年9月に実験した。30、40代の男性会社員24人を乗車約1時間後から下車30分前まで1時間半の仮眠を取るグループと、起きたままのグループに分け、計算力など3種類のテストを下車2時間後まで計5回やって成績の変化を比較した。
 計算テストでみると下車1時間後の場合、3分間に2けたの足し算を解いた数の平均は仮眠グループが78.6問(うち計算ミス2.1間)、起きたままのグループは70.4問(同2.6問)と差が出た。乗車直後と比べた成績の上昇率も、仮眠グループが15.4%で起きたままのグループの3.4%に比べ12ポイント高かった。差は下車3時間後も続き、論理テストと記憶カテストも似た傾向だったという。
 同センターの白川修一郎・老人精神保健研究室長によると、横になっての仮眠は通常だと15分程度が効果的。30分以上は眠りが深くなり、起きても約2時間は「軽く寝ぼけた」状態になる。しかし、新幹線車内で脳波を測ったところ睡眠の深さは30分以上でも4段階中2段階と浅いままだった。座ったままで、しかも振動や周囲の音もあるため眠りが深くなりにくいのではないかという。
 白川室長は「新幹線の車内でなら長く仮眠を取ってもいいことを実験結果は示している。ほかの乗り物でも同じ効果が期待できそうだ」と話している。(朝日新聞)
■整備新幹線 前倒し要求 自白の協議会
 整備新幹線の建設前倒しを求めている自民、自由両党で作る整備新幹線協議会は1日の会合で、「7年間での完成を求める」としたこれまでの方針に沿って、1997年以前に着工した既着工区間のうち、東北(盛岡−八戸)は2002年秋、九州(新八代−西鹿児島)は2003年秋までの完成を求めることを決めた。与党政策責任者会議に、中間報告として提出した。(朝日新聞)
■日吉駅を交流センターに
 昨春の日吉ダム完成などで観光客の増えている日吉町で、玄関口のJR日吉駅を改築し「日吉駅交流センター」とするための工事が始まった。
 同交流センターは、鉄筋コンクリート平屋建て約190平方b。利用客が休憩するための交流室(約60平方b)や観光情報コーナー、特産品を販売する売店、レンタサイクルの置き場を設け、駅の切符販売業務などと合わせたセンターとなる。
 同町が建設を計画、JR西日本と工事協定を今年3月に締結した。総事業費は約1億2000万円。完成は9月末で、開業は10月1日の予定。(京都新聞 夕刊)
3日■ノンステップバス失速… 国が補助金減を検討 負担増で、導入断念の企業も
 乗り降りがしやすいように、床を低くして乗降口の段差をなくしたノンステップバスをバス会社などが購入する際の国の補助金の減額を、運輸省が検討している。車両価格が約2000万円と高価なことから、導入に二の足を踏むバス会社が多かったが、補助金制度ができてから希望が急増し、逆に予算不足になったのが理由。補助金減額を見込んですでに導入を断念したバス会社もあり、身障者や高齢者にやさしい交通行政の停滞を懸念する声がある。
 ノンステップバスは床と路面の間隔を従来型の約80aから35a程度に低くし、車内の段差もなくして高齢者や身体障害者らの乗降時の負担を軽減した構造。国内では数年前から大手自動車メーカーが製造を始めたが、従来のバスより400万−1000万円も高い価格が普及の障害となっていた。
 1996年度から国が購入価格の20−25%を補助する制度を設けた。自治体でも同率の補助を始めたことから、バス会社は従来型のバスに近い価格で購入できるようになった。96年度には8台で計4700万円にすぎなかった国の補助も、昨年度は237台計約11億円になった。
 今年度の申請は400台程度に増えることが予想され、運輸省はほかの予算を圧迫することを警戒。「1台あたりの補助金額を半額程度に減らすかもしれない」(自動車交通局企画課)として、総額6億円規模に抑えたい方針だ。
 岡山市の岡山電気軌道は昨年11月に初めて3台を導入した。国と岡山市からそれぞれ購入価格の25%にあたる1台当たり約540万円の補助を受け、福祉関係の利用者の多い路線で運行している。しかし、今年は国の補助金減額を見込んで計画していた3台の導入をあきらめた。
 国と同額の補助金を出してきた岡山市も「方針はまだ決まっていないが、国の肩代わりまでする力は、今の時代にない」と消極的だ。
 公共交通機関のあり方を模索している市民グループ「バスから地域交通を考える会」事務局(東京)の星野近人さんの話 ノンステップバスならは体の機能の低下した人でも外出できる。補助金の減額は普及率の低下を招き、自由に外出できなくなる高齢者らも増えるだろう。この選択は納得できない。(朝日新聞)
■電車の忘れ物 セールは超満員 バブル時、敬遠され中断
 JRや私鉄が払い下げた電車や駅での忘れ物を販売する催しが3日、大阪市中央区の百貨店「松坂屋大阪店」で始まった。不景気の1970年代後半にスタートし、バブル景気の時期には「ダサイ」「汚い」と敬遠されて中断。しかし、折からの不況の中で3年前に再開後、節約やリサイクル志向から来場者が10万人を超えるにぎわいぶりをみせている。
 午前10時の開店と同時に、主婦ら約3500人が会場に駆け込んだ。大阪市鶴見区の主婦(40)は「新品同様のものが安く、この不況に大変ありがたい」と、懸命に品定めしていた。
 会場には靴や傘など約8万点が並び、いずれも市価の7−5割引き。万年筆など使い込んだものが減り、デジタルカメラや旅行・アウトドア用品などの増加が今年の特徴という。
 売り上げは当初、右肩上がりで伸びて最盛期には1億円に達したが、バブル景気の時期に半減。しかし、再開3年目の昨年は1週間で11万人と最盛期並みのにきわいぶりで、若い女性も目立った。今年は9日までの期間中に、約13万人の人出を見込んでいる。
 同百貨店は「不況の時代、消費者の生活防衛意識やリサイクル志向が強まり、『忘れ物』が再発見された」と話している。(朝日新聞 夕刊)
■路面電車巡るサミット開幕 愛知・豊橋
 路面電車が走る全国の都市の関係者が集う「路面電車サミット'99 inとよはし」が3日、愛知県豊橋市で開幕した。6日までの4日間の日程で、自治体や鉄道関係者、愛好団体の人たちが、路面電車の将来像を話し合う。排ガスを出さず、環境や人に優しい路面電車は、優れた点が見直されている。駐車場不足や渋滞で市街地の活気が失われがちななかで、都市交通の切り札としても再び脚光を浴びている。サミットでは、こうした追い風を受けて、路面電車の再興を誓う。(朝日新聞 夕刊)
■上野−札幌「カシオペア」今夏運行 ターゲットは熱年の観光客
 次第に数を減らしてきた食堂車だが、JR東日本は7月16日から上野−札幌間に2階建て展望食堂車を連結した新型寝台特急「カシオペア」を運行させる。寝台は日本で初めての全個室仕様。運賃・料金は大人1人3万570円から4万2710円で、これは羽田−札幌間の航空機運賃の約1.5倍だが、JR東日本の広報担当者は「時間や価格で競争する気はない。ゆったりと旅を楽しむ客を迎えたい」という。
 カシオペアには様々な設備がある。12両編成のすべてがA寝台の2人用個室だが、1階寝室と2階居間が階段でつながったメゾネットタイプまである。個室内にはトイレやシャワー室がつき、衛星放送やビデオも見られる。総工費は約30億円。食堂車のメニューはやはりフランス料理のフルコースだという。
 首都圏−北海道間の旅客は、9割以上が航空機利用。昨年12月、北海道国際航空(エア・ドウ)が羽田−札幌間に1日3便を就航。大手3社の片道運賃2万4700円より3割以上も安い1万6000円の運賃設定をしたため競争が激化。大手3社は期間と時間帯によっては片道1万2500円に値下げした。
 空の価格競争を横目に、カシオペアを運行させるJR東日本の担当者はこう語る。「航空機の客とはニーズが違う。列車の豪華さで呼び込めるお客は必ずある。ターゲットは熱年の観光客です」(朝日新聞 夕刊)
■食堂車 黄昏のフルコース これが最後!? 大阪発着52時間 日本半周 のんびりホテル気分 8万円
 長距離列車の旅には欠かせなかったJRの食堂車が今や消滅寸前だ。列車の高速化で営業時間が短縮されて採算が合わなくなったことに加え、札幌−羽田など主要航空路線で運賃の価格破壊が進み、客を奪われたことも衰退の理由だという。食堂車は3路線の列車に残るだけ。JRには豪華な2階建て展望食堂車を新たに運行させ、リッチな旅を求める客を開拓していこうという動きもあるものの、前途は五里霧中だ。大阪から現行の3列車を全部乗り継いでいくと、約52時間で日本を半周(大阪−札幌−東京−大阪)できる。さっそく食堂車の旅に出てみた。(三木 淳)
・1日目 大阪→札幌 トワイライトエクスプレス
 大阪を寝台特急「トワイライトエクスプレス」で正午に出発する。「日本一豪華」と言われる列車。日本半周の旅の始まりだ。大半が個室仕様で、赤じゅうたんを敷き詰めた室内に木目調の内装の部屋も。シャワー、ラウンジなどもあり、高級ホテル風だ。
 9両編成にわずか130人の定員。3割を新婚カップルが占める日もあるといい、バブル期に定期運行を始めて10年がたつ今も、2人用個室「スイート」(室料5万980円)は連日満員で、予約すら難しい。
 午後5時半、列車が新潟県に入った。車窓には夕日に染まる日本海。この夜の食堂車メニューは「いさきのムニエル」に「牛ヘレ肉のショロン(トマト風味)ソース」などの仏料理フルコース。いさきは鳥取県境港で水揚げされたものだ。
 東京都東村山市の公務員浜田佳伸さん(29)と晴代さん(30)は、北海道へ新婚旅行へ向かうのに、東京から新幹線で大阪まで出て、この列車に乗り込んだ。「新婚旅行だからのんびり付加価値を楽しみたかった」という。「ミステリー小説でこの列車を知り、非日常の気分を味わおうと乗ってみた」という広島市の新婚カップルもいた。
 食堂車は午後9時にパブへと変わった。ブランデーベースのオリジナルカクテル「夕日」(1000円)を飲んでみた。「できる限りリクエストに応じて好みのドリンクをつくる」と玉置和史マネジャー(32)。日本海の沖合に漁り火。午前3時前、青函トンネルに入ると青白い照明が眠気を誘ってきた。翌朝午前9時8分の札幌到着まであと6時間ほどだ。
・2日目 札幌→上野 北斗星
 札幌の乗り継ぎ待ちは約9時間。札幌でラーメン、小樽まで足を延ばしてすしを食べることもできた。
 午後6時14分、上野行き「北斗星4号」で札幌をたった。食堂車のコックは遠藤久仁子さん(32)。北斗星に2人いる女性コックの1人だ。3年前にテーブル係からコックに転じた。遠藤さんが腕を振るったこの夜のメニューは、函館近海のズワイガニやオホーツク産のホタテを使った「海の幸ゼリー寄せ」「十勝牛のソテーマデラワインソース」…と北海道産の食材を生かした仏料理6品のフルコース。旅情をかき立てる夕食だ。
 「飛行機と違って、列車でめしを食べてお酒を飲む。たまにはのんびりするのもいい」。こう語るのは単身赴任先の北海道帯広市から横浜市の自宅へ帰宅途中という会社員(60)。終夜、ソファでくつろげるロビーカーもあり、シャワーを一浴びして、酒をたしなむこともできる。
 午前5時、仙台を前に夜が明けた。関東平野を横切って、午前10時13分、上野に定刻で滑り込んだ。
・3日目 東京→新大阪 グランドひかり
 東京都内で約3時間待って大阪へ。旅の最後の食堂車は新幹線「グランドひかり」。東海道・山陽新幹線で食堂車を連結しているのは、東京−博多間を1日4往復するこの車両だけだ。
 食堂車の人気メニューは「おでん」(780円)だと聞いた。客の大半はビジネスマン。ビール片手に小腹を満たす人がいる。満員の客席を避け、食堂車に流れてくる人も。ビジネス街の喫茶店の雰囲気だ。
 52時間にわたる長旅の終幕に、背広姿の企業戦士に囲まれて、私も仕事気分が戻ってきた。
 日本半周の総経費はざっと8万円だった。高いか安いかはともかく、関西発でこんな日本半周のグルメ旅ができるのもあとわずかかもしれない。
●食堂車 日本初の食堂車は1899年、山陽鉄道(現JR山陽線の一部)に登場。旧国鉄では戦後、大半の優等列車に連結されたが、70年代初めを境に減り始めた。85年には在来線の昼行特急から姿を消し、JRへの民営化後の93年には夜行寝台特急でも「トワイライトエクスプレス」と「北斗星」を残すだけになった。JR各社では採算面から食堂車よりも車内販売の充実に力を入れている。新幹線「のぞみ」には食堂車がない。
●トワイライトエクスプレス 青函トンネルが開通した翌年の1989年に定期運行を開始。日本一の長距離列車。週に4−7往復運転。大阪−札幌間の運賃・料金は最も安いB寝台簡易コンパートメントで2万5620円。フランス料理フルコースは予約制で1万2000円。
●北斗星 激減した首都圏−北海道間の列車利用客を呼び戻そうと1988年に走り始めた。毎日3往復。札幌−上野間の運賃・料金は3万4400円〜2万3520円。フランス料理フルコースは予約制で7800円。
●グランドひかり JR西日本の「2階建て新幹線」の愛称。8号車2階部分が食堂車座席。東京発下りの4本は昼過ぎから夕方にかけて発車。食堂車メニューは、和風御膳1940円、トンカツカレー1170円など。(朝日新聞 夕刊)
4日■JR京田辺駅 新駅舎は特産の竹イメージ 整備計画の槻要発表 折り返し運転にも対応 2002年春完成予定 ホームを75b延長
 橋上化のため全面改築されるJR京田辺駅(京田辺市田辺)について、JRと京田辺市は3日、整備計画の概要を明らかにした。新駅舎の外観は、地元特産の竹をイメージしたデザインで、電車の折り返し運転のための設備も加えて輸送力を増強。7月から予定地の埋蔵文化財調査を行った後、着工する。
 計画によると、新駅舎の面積は約560平方b。外観は灰色を基調に、垂直線を強調したデザインで、「竹のように伸びゆく京田辺市」を表現したという。橋上化に伴い、エレベーターを計4基設置する。
 また、現在、松井山手駅で行われている車両切り離しや折り返し運転の機能の一部を京田辺駅に移すため、プラットホームを現在の90b(4両編成用)から165b(8両編成用)に延長。2ホーム2線から2ホーム3線に構内の線路を増設して、将来複線化した場合にも対応できるようにする。
 あわせて大住駅にも車両の行き違い設備を付設し、ラッシュ時間帯の増発や大阪方面への所要時間の短縮(京田辺−京橋間で約4分)などを図る。
 2002年春の完成予定で、総事業費は約35億円。うち、市がJRに委託して京田辺駅に付設する「東西自由通路」分など約16億円を、市が負担する。工事期間中は、同駅の西南に仮駅舎が設置される。
 現在の京田辺駅は木造平屋建てで、出入り口が西側にしかなく、大型店進出などで活性化が進む東側へのアクセスが課題になっていた。(京都新聞)
■空で明暗  修学旅行で上昇気流 赤字路線はリストラ
・98年度以降 運休24路線、地方で悲鳴
 規制緩和が進む国内航空業界で、赤字路線のリストラがめまぐるしい。日本航空、全日本空輸、日本エアシステムの大手3社とその系列の計6社でみると、昨年4月以降、運休は24路線にものぼっている。このうち3分の1が1996年度に新規開設されたもので、「短命傾向」が際立っている。規制緩和で路線の参入や撤退に関する航空会社の裁量が増えたためだが、運休のほとんどが地方都市同士を結ぶ路線とあって、振り回される形の地元からは、嘆きの声も上がっている。
 3年前に2路線が新設されたのに、昨年3路線が運休となった北海道女満別町。人口約6000人の同町は、北海道東部・知床半島の観光の拠点となっている。福岡、広島、仙台をつなぐ路線の相次ぐ運休で観光客が激減し、レンタカー会社などで影響が出ているという。
 運輸省のまとめによると、運賃設定が弾力化されるなど規制緩和が加速し始めた96−97年度には、計24路線の新規開設があり、運休は1路線だけだった。98年4月以降も1日までに計13路線が新設されているが、一方で運休は24路線にのぼっている。
 運休が相次いでいる理由は、利用客が少なく採算が合わないため。背景には、JRやバスなど他の交通機関の影がある。96年度に新設され、今年4月に運休した全日空の関西−富山線は、運賃が約半分のJRとの競合で、利用率が30%強まで落ち込んでいた。一般的に飛行機の場合、利用率が65%以上ないと採算がとれないといわれ、「飛ばすたびに赤字が膨らむようなものだった」と同社。
 来年2月からは、路線参入・撤退が現在の認可制から届け出制に緩和される見込みで、路線の「スクラップ・アンド・ビルド」はさらに進むとみられる。
・97年度利用率 高校で鉄道超える62% JR・京都市に危機感 名所・ツアー売り込み
 新幹線を利用する修学旅行客が激減している。JR各社によると、一昔前は5月から7月は修学旅行の専用列車が走り回った。しかし、高校の修学旅行では飛行機利用が鉄道利用を上回り、行き先も定番だった京都、奈良からいま、沖縄が脚光を浴びている飛行機を使わない中学校の方も、少子化による生徒数の減少が響いている。JR各社は、修学旅行を「将来のお客さんを生み出す大切なきっかけ」と位置づけ、沿線の都市を新名所として売り込むなど、新幹線離れをくい止めるのに懸命だ。
 修学旅行客全体の詳しい統計はないが、新幹線を運行するJR西日本、東日本、東海の3社は「高校生の修学旅行の落ち込みがとくに激しい」と口をそろえる。原因は航空機。公立高校は1980年代後半まで、北海道や大分県などを除き、文部省の規制で航空機が利用できなかったが、92年の東京都の解禁をきっかけに各地に広がった。
 日本修学旅行協会のアンケートでは、97年度に航空機を利用した高校は62%で、初めて鉄道を上回った。県ごとに団体専用列車を仕立てていたJR東海は96年の埼玉を最後に打ち切った。公立中学校はまだ航空機が使えず、主役は依然として新幹線だ。しかし、ここでは、生徒数の減少が深刻で、関東地方だけでも専用列車を使った生徒数がこの10年で3割減った。
 修学旅行の代名詞のような存在だった京都への修学旅行客は、97年が94万人。ピークだった84年の3分の2以下の数字だ。その一方で、飛行機を使う沖縄は20万人を超え、同期間で10倍以上に増えた。
 危機感を募らせる京都市は4月、小人数でも寺社の団体割引が受けられるなどの特典がついた「修学旅行パスポート」20万枚を全国の約6500校に郵送した。「修学旅行相談所」を開設して先生らの下見の相談や案内に応じたり、市の担当職員が東北や九州の学校を訪れて売り込みをかけたりと、引き留めに懸命だ。
 沖縄県観光リゾート局は「戦跡地巡りだけでなく、4月から11月まで泳げる『亜熱帯海洋性気候の体験』が人気」と胸を張る。
 JR側は営業に懸命だ。JR西日本は広島での「平和学習」や福岡・太宰府天満宮へのお参りツアーなどを売り込んでいる。
 新幹線乗客が右肩上がりに増えていた89年、修学旅行の団体枠を削ってビジネスマンを優先させたJR東海も、昨年から、都内の中学校に割り当てる専用列車を「こだま」から「ひかり」に切り替えた。
 「ビジネス客の『のぞみ』志向で余裕ができた。学校側の要望に少しでもこたえたい」という同社は、須田寛会長が先頭に立って、「産業観光都市」の看板で名古屋への誘致を始めた。(朝日新聞)
96年度以降の 運休路線
【96年度】
鳥取大阪(伊丹)
【98年度】
女満別仙台
女満別広島●
女満別福岡
旭川福岡
帯広仙台●
釧路仙台
松本仙台
松本広島
山形福岡●
南紀白浜福岡●
隠岐米子
高知宮崎
松山仙台●
対馬大阪(関西)●
福江大阪(関西)●
壱岐福岡
大分札幌
熊本札幌
宮崎札幌
鹿児島仙台
宮古福岡
【99年度】
富山大阪(関西)●
長崎札幌
函館新潟●
系列会社へ移管したケースを除く。●印は96年度開設路線
5日■路面電車生かし 街づくり考える 全国から600人 豊橋サミット
 路面電車を生かした街づくりを考えようと、愛知県豊橋市内のホテルで4日、路面電車の愛好団体などによる「路面電車サミット99」の本会議とシンポジウムが開かれた。各地の愛好団体、行政、鉄道関係者らに一般参加者も加え約600人が集まった。
 本会議であいさつした「とよはし市電を愛する会」の会長佐々木慎一さん(前豊橋技術科学大学長)は「市中心部の活性化のためにも、ヨーロッパ諸国で実施されているような自動車を入れないゾーンを設けるような工夫が必要」との考え方を示した。
 また、広島電鉄がお年寄りや障害者にも乗降しやすいようにと、ドイツから輸入し9日に営業運転を始める予定の低床車両がビデオで紹介され、注目された。
 シンポジウムでは「サミット宣言」を採択。路面電車を二酸化炭素排出削減など環境改善に役立つと位置付けた上で、「21世紀の都市交通システムとして研究を進めていこう」と呼び掛けた。次回サミットは2001年に熊本市で開催する予定。
 サミット事務局によると、現在も路面電車が走っているのは京都市や大津市など全国19都市。排ガスを出さない交通機関として近年再評価されており、サミットは1993年以降、毎回路面電車が走る都市で開かれ今回で4回目。(京都新聞)
■整備新幹線 北海道・九州を先行着工 列島の背骨建設を優先 自自協議会
 整備新幹線の建設促進と新しい建設計画を検討している自民、自由両党の整備新幹線建設促進協議会(小里貞利座長)は4日、北海道から鹿児島県までの日本列島を縦断する整備新幹線の「背骨」部分の建設を優先させる方針を固めた。これに伴い未着工区間のうち北海道新幹線新青森−新函館、九州新幹線鹿児島ルート博多−船小屋を先行して着工する。
 未着工区間を多く抱える北陸新幹線については、ルート設定問題などの地元調整がついた後に着工するとしている。
 焦点の財源問題では@本年度は秋にも予定されている景気対策に向けた補正予算に既着工区間の建設を促進するための工事費を盛り込み、財源は5000億円の公共事業予備費から充て一括処理するA来年度予算でも公共事業予備費と同額か、それ以上の特別枠を計上して財源確保に努める−としている。ただ政府、与党内の調整はこれからで、今後曲折も予想される。
 8月末の概算要求までに自自協議会が大蔵、自治、運輸省など政府側との協議を詰めた上で、整備新幹線各ルートごとに既着工区間の開業時期の前倒しや、未着工区間の着工時期などを含めた具体的な整備計画の枠組みを明示する。(京都新聞)
■信号待ち・渋滞ではCO2増 再始動自時の排出量は3.2 倍に アイドリング・ストップ逆効果も 1分以上の駐車で有効 警察庁が調査
 地球温暖化防止や燃料節約のため、駐停車時に車のエンジンをいったん切る「アイドリング・ストップ」について、警察庁科学警察研究所(科警研)がコンピューターで模擬実験したところ、交通量が多い道路での信号待ちでは、渋滞を助長する上、エンジン再始動により二酸化炭素(CO2)排出量が車1台当たりで約3.2倍にも増えるとの結果が4日、まとまった。
 3年前から環境庁などが推進、路線バスなどを中心に広がりを見せているアイドリング・ストップだが、これまではどんな場合に実施すれば効果があるかはっきりしなかった。警察庁は「貨物の積み降ろしやタクシーの客待ちなど、1分以上駐車する時に行うのが適当」として、指定自動車教習所で使う教則本に明記し、ドライバーに指導していく考えだ。
 調査は、渋滞が発生する可能性がある交差点から6`手前までの間で、アイドリング・ストップをする場合としない場合のCO2排出量の違いをシミュレーション。交通流入量が環状7号とほぼ同じ1時間当たり1000台となる混雑道路では、すべての車が信号待ちでエンジンを切り、信号が青に変わって順番にエンジンを始動させた場合、1台当たりのCO2排出量は1030cに上り、アイドリング状態の時(380c)の約3.2倍との結果が出た。
 科警研は「エアコンのスイッチなどを入れたままでエンジンを始動させれば、CO2排出量は想定より大幅に増える」としている。
・「特別な装置 効果は高い」京都市バス
 現在34両の「アイドリング・ストップ・バス」をバス路線で運行している京都市交通局は、「市バスの場合は停留所に停車したときに、エンジンを切る特別な装置を備えている。アイドリング・ストップによって渋滞が起きた例はないし、装置をつけたバスは燃料の消費量が普通の車両より5−10%少ない。環境にやさしいと考えているので、今後も導入する」(山本義夫自動車部長)と話している。(京都新聞)
■JR奈良駅舎保存 県、「一部か全面で」
 古都・奈良の玄関口として親しまれてきた寺院風建築で、線路高架事業で取り壊し案が出ていたJR奈良駅舎について奈良県は4日、「屋根や壁などを残す一部保存か全面保存かにしぼって検討する」と発表した。具体的には、検討委員会が今年度中に決める。
 駅舎は1934年に完成。鉄筋コンクリート2階建てだが、屋根は木造。仏塔の最上部には相輪がそびえ、洋館と寺院を合わせた独特の外観をしている。
 近くの踏切で道路が分断され、交通渋滞がひどいため、2010年度完成をめざして線路を高架にすることになった。しかし、工事中の仮線路を敷くのに、現駅舎がじゃまになり、取り壊し案が浮上。市民団体が保存を訴えていた。(朝日新聞)
■タイムアングル 初代京都駅 ステンショ前 人力車が常時十数台待ち並んだ
 左右対称な赤れんが2階建ての七条停車場(ステーション)が、市街地の南のはてに姿を現したのは、明治10年(1877年)2月5日。市民は「ヒッチョ(七条)のステンショ」と呼んだ。黒煙を噴き上げ轟音を発して走る「陸蒸気」は、大阪への日帰りを可能にした。新しい時代の開幕を告げる驚異的な乗り物だった。
 写真はその初代七条停車場。中央の時計塔には、2b余りの振り子時計がついている。向かって左に上り、右に下りの改札口があった。
 「西洋御料理 当駅楼上郡ホテル出張店」の看板が見える。2階に新設する洋食店の入札が行われたのは、明治37年6月で、都ホテルが落札した。9年後の大正2年には、2代目駅舎の新築工事が始まっているから、写頁はその間に撮ったものだろう。
 停車場の前には、常時数十台の人力車が待ち並んでいた。駅舎の出口に番台を置いて、車夫取締役が座っている。汽車から降りた乗客は、その指示に従って順番に乗った。
 手前の路面には、電車のレールが見えている。カメラをもう2、3a左へ振れば、京都電気鉄道の停留所が入ることになる。明治後期には、市街電車の路線もかなり延びていたが、小回りの利く人力車がまだまだ重宝されていた。(作家・駒 敏郎)(朝日新聞)
■「鉄道員」が公開
 直木賞を受賞した浅田次郎さんの原作を、降旗康男監督が映画化した映画「鉄道員(ぽっぽや)」が5日、全国253の東映系映画館で公開された。
 東京・銀座の「丸の内東映」劇場前には、出演者の広末涼子さんらが舞台あいさつに立つということもあって、約100人が徹夜で並んだ。開場前には約900人が列を作った。(朝日新聞 夕刊)
6日■JR事故 民営化後 過去最少 98年度 7社まとめ ただし信号や車両故障含まず 最多は踏切
 列車の衝突や踏切事故などJR7社(旅客6社と貨物)の1998年度の鉄道運転事故件数が498件で、民営化後の87年度以降最少になったことが、5日分かった。
 鉄道運転事故は列車同士の衝突など大事故のほか、踏切での車との衝突や駅から乗客が誤って転落して死傷した場合など。各社は「これまで進めてきた安全対策が成果を挙げている」としている。
 しかし、この件数には首都圏で続発している信号機や車両故障による列車の遅れ、飛び込み自殺のトラブルは含まれておらず、依然として課題は多い。
 各社のまとめによると、98年度の7社の合計は97年度に比べ50件減少して498件。民営化初年度で最も多かった87年度の927件に比べると半分近くに減った。
 内訳はJR西日本が160件と最も多く、次いで東日本136件、九州75件、貨物59件、四国29件、東海20件、北海道19件の順。
 鉄道運転事故のうち最も多いのは踏切事故で、256件と全体の51%を占めた。このほかの大部分はホームから乗客が転落して死傷した事故などだった。(京都新聞)
■京都市の人口 2年連続 山科・中京増える 東西線(地下鉄)効果で
 京都市の地下鉄東西線沿線の山科、中京両区の人口が2年連続して増加したことが、このほど市の調査で分かった。沿線人口は東西線が着工した1989年以降、横ばいだったが、開業後は増加傾向を示しており、市は「東西線が、都心部の人口に変動をもたらしつつある」としている。
 今年4月1日時点での住民基本台帳によると、京都市の人口は約138万8000人で前年同期より約1000人減った。行政区別では伏見が約27万7000人で右京、左京などが続く。
 東西線は山科、中京のほか東山、伏見の各区を走っている。人口は山科が13万3030人で前年より744人増、中京は8万9412人で364人増と2年連続して増えた。
 区内に駅を5つ抱える山科は新築マンションの建築による転入増加が影響し、西京(653人)を抜いて市内トップの増加数となった。全市的には人口が伸び悩む中で、沿線2区の2年連続増加が目立つ。
 その一方、区内に駅が少ない伏見は東西線効果が見られず、7年ぶりに減少した。人口減が続く東山も開通が歯止めにはなっていない。
 市は「東西線効果とは裏腹に、北や左京、伏見など周辺区の人口増加にかげりが見えつつあり、今後の動きを注目する必要がある」としている。(京都新聞)
■信号故障ダイヤ混乱 JR奈良線上狛駅
 5日午後1時45分ごろ、京都府相楽郡山城町上狛、JR奈良線上狛駅構内で、奈良方面の出発信号が「赤」のまま変わらなくなり、同駅に止まっていた奈良行き普通電車が出発を見合わせた。
 信号は約1時間後に自然に復旧し、普通電車は同3時すぎに出発した。この間、同線は玉水−木津間が不通となり、上下12本が運休するなど、1950人の足が乱れた。
 JR西日本で信号故障の詳しい原因を調べている。(京都新聞)
■ブレーキ故障で運休 JR湖西線
 5日午後2時40分ごろ、大津市真野町のJR湖西線堅田駅構内で、近江舞子発京都行き普通電車(4両編成)の2両目車両でエアー漏れが発生。ブレーキがかからなくなり、運転を中止した。
 乗客は後続電車に乗り換えたが、同電車など普通電車3本が運休し、約500人が影響を受けた。(京都新聞)
8日■車内公衆電話もっと便利に 山陽新幹線設備更新
 JR西日本は7日、山陽新幹線・新大阪−岡山間の通信設備を更新し車内にある公衆電話の回線を来春までに最大4倍に増やすことを明らかにした。急増する通信需要に対応する狙い。
 将来的には通信ケーブルを活用しトンネル内でも携帯電話をかけられるようにしたり、車内の電光掲示板にニュースを流したりするサービスも検討している。
 新大阪−岡山間の通信設備は1972年に営業を始めたときのままで、車内の公衆電話からは、同時に2台までしか発信できない。これを約40億円かけて回線を4倍にし、東海道新幹線と同じ同時に8台までかけられるようにする。(京都新聞)
■窓 2つの山科駅 区分明確化を 左京区・武 邦保(教員・65)
 地下鉄「東西線」に乗って山科まで行こうとしました。そして三条京阪で乗るには乗ったのですが、それは浜大津行きの京阪電鉄京津線でした。
 御陵駅でアナウンスがあったのですが、私のミスでうっかり聞き逃してしまって京阪山科駅で降りました。改札口で駅員さんに切符を渡しましたら、90円不足ということでした。
 帰路、分岐点の御陵駅で下車して思いました。このホームの太い柱に、京阪山科方面は左側、東西線山科方面は右側(いずれも進行方向)とか、何か分かりやすく掲示でも出しておいていただくことはできないか。
 確かに今ある指示板には醍醐、浜大津(四宮)方面などは目立つように書いてありますが、二つの「やましな」駅(地下と地上駅)の区分は慣れない者には分かりません。「京阪」という字がつく、つかないだけでは、切符を買うときから−私のようにうっかりする者には−分かりにくいです。
 けれども、ローカル色を残した京津線がしっかり残っていたことをあらためて確認して、とてもうれしくなったことも事実です。(京都新聞)
■新書記長に小田氏 JR総連
 群馬県水上町で開かれていた全日本鉄道労働組合総連合会(JR総連、柴田光治委員長、7万7000人)の第15回定期大会は、2日日の7日、今年度運動方針などを決めて閉会した。小谷昌幸副委員長、水沢隆書記長が退任し、後任にはそれぞれ加藤実氏(JR東労組)、小田裕司氏(JR北海道労組)が選ばれた。(朝日新聞)
■大阪市営地下鉄8号線の事業 「特許が適当」
 運輸審議会(運輸相の諮問機関)は8日、大阪市が事業の免許にあたる特許を申請していた市営地下鉄8号線(井高野−今里間12`)について、「特許が適当」と答申した。市では今後、工事施工認可を申請し、今年度の着工、2006年度の開業を目指す。(朝日新聞 夕刊)
9日■朝の近鉄線乱れる 小倉駅で男性飛び込み
 9日午前8時ごろ、宇治市小倉町神楽田、近鉄京都線の小倉駅構内で、男性が京都発近鉄奈良行き急行電車にはねられ、死亡した。乗客約400人にけがはなかった。
 宇治署によると、運転士は「ホーム中央部から男性が線路上に飛び降りた」と話しているといい、同署は自殺とみて男性の身元などを調べている。男性は60歳くらいという。
 この事故で、急行電車は現場に約18分間停車。後続の電車18本が18−3分遅れ、乗客約4000人に影響が出た。(京都新聞 夕刊)
■近鉄京都線・小倉駅 男性飛び降り? 乗客4000人影響
 9日午前8時すぎ、京都府宇治市の近鉄京都線小倉駅構内で、京都発近鉄奈良行き急行列車(6両編成)に男性がはねられ、全身を強く打って即死した。乗客約400人にけがはなかった。この列車が同駅に18分停車するなど、後続の下り列車17本が3分から18分遅れ、計4000人に影響が出た。宇治署の調べでは、男性は50歳代で、下りホームから飛び降りたらしい。(朝日新聞 夕刊)
■踏切内で衝突 車の男性即死 JR阪和線
 9日午前零時ごろ、和歌山市北野のJR阪和線の七瀬踏切(警報機、遮断機付き)で、天王寺発和歌山行き下り普通電車(6両編成)が踏切に入ってきた近くの会社員東富男さん(47)運転のライトバンと衝突した。ライトバンは電車の下に巻き込まれるような形で約250b引きずられて大破、東さんは即死した。電車の乗客8人にけがはなかった。
 和歌山東署の調べでは、現場は紀伊駅東約400b。ライトバンは電車が踏切を通過する直前に踏切内に進入してきたという。
 この事故で阪和線は下り線が一時不通となり、後続電車2本を含む計3本の乗客をタクシーで代替輸送するなど約135人に影響した。(朝日新聞 夕刊)
10日■通行方法トラブル 男が路線バスキー持ち去る 中京 立ち往生、客ら乗り換え
 9日午前11時25分ごろ、京都市中京区御池通木屋町東入ルで、乗用車を運転していた南区の電気工事業手伝いの男(23)と、三条行き京都バスの運転手(56)が交通マナーをめぐってトラブルとなり、男は運転席からバスのキーを抜き取って車で走り去った。
 男は約20分後に現場に戻ってきたが、この間、バスは御池通の真ん中で立ち往生し、乗客約15人は徒歩で目的地に向かったり、後続バスに乗り換えた。
 中立売署は、威力業務防害の疑いで、男から事情を聴いている。男は「バスが急に車線変更してきた。運転手と話し合うためにキーを抜いたが、応じないので腹が立って持ち去った」と話している、という。京都バス営業課は「キーを抜かれるなんて初めて。こんなことは想定していなかった。乗客の方に迷惑をかけて申し訳ない」と語っていた。(京都新聞)
■街を楽しめる市電の復活を 北区・向本 久(美容師・74)
 先日、所用があって長崎へ行き、市電に乗りました。乗り換え切符をもらえば、どこまで乗っても100円です。あまりの安さにびっくりでした。
 電車に揺られながら、ゆっくり街の家並みを楽しみました。もちろん、車は軌道敷き内通行禁止でした。
 京都の市電がなくなって寂しく思っていましたが、1日付の京都新聞(キーワードきょうと)で、植村久子教授の成熟都市と路面電車の記事を読んで、同じ思いでペンを執りました。京都の街は暗くて外の風景が見られない地下鉄よりも、電車の方がよく似合うと思います。
 最近、修学旅行生たちの間では、グループでタクシーに乗って京都見物するのが当たり前の事となっています。何かしら本当の京都に触れていないのでは、と思われます。
 東大路、北大路、西大路と七条通を結ぶ路面電車(ライトレールでも結構です)が走れば、金閣寺や銀閣寺をはじめ、大方の名所と見どころを回れます。
 低料金で、四季とりどりの美しさを見せてくれる東山や北山、西山を眺め、京都の町並みをゆっくり味わいながら、京都の人たちとの触れ合いの機会が生まれたならば、最高の思い出になることと思います。
 年寄り、子どもはもちろん、身障者にも優しいバリアフリーの乗り物として、京都名物の一つになるのではないでしょうか。(京都新聞)
■「進路妨害した」と立腹 バスのキー抜き逃走 客乗せ30分 立ち往生
 9日午前11時半ごろ、中京区御池通木尾町東入ルの市道で、進路変更をめぐり路線バスの運転手と口論していた男が、バスの運転席からキーを抜き取っていなくなったため、バスが約30分間、立ち往生するというトラブルがあった。男はその後、戻ってきたが、十数人いた乗客の大半は、バスをあきらめ、歩いていってしまったという。中立売署が威力業務祈害の疑いで男から事情を聴いている。
 調べでは、男は南区の電気工事業手伝い(23)。京都バス(本社・右京区)のバスが自分の進路に入り込んできたとして腹を立てバスの前に割り込んで停車。運転手(56)と口論している最中に、開いていた運転席の窓から車内に手を突っ込んでキーを抜き、あっという間に車で走り去ったという。
 約20分後に現場に戻り、バスの前にキーを放り投げたところで、通報で駆け付けていた警察官に事情を聴かれた。男が戻ってから約10分後に代行バスが到着したが十数人いた乗客のうち、数人しか残っていなかった。
 男は「かっとなってやった。今は反省している」などと話しているという。(朝日新聞)
■機関車故障で1時間半不通 JR米原−野洲
 10日午前9時55分ごろ、滋賀県野洲町のJR東海道線篠原−野洲間を走行中の東京貨物ターミナル発福岡貨物ターミナル行き下り貨物列車(24両)が突然加速できなくなり、速度を落としながら運転を続けたが、近くの野洲駅構内で動けなくなった。約1時間半後、救援の機関車にけん引されて動き始めたが、東海道線は米原−野洲間で上下線とも約1時間半にわたって不通となった。
 JR貨物によると、故障したのは貨物をけん引していた電気機関車。昨年10月に導入されたはかりの「EF210系」と呼ばれる新型車で、同社は故障の原因を調べている。(朝日新聞 夕刊)
■時の記念日に子午線通過証 JR明石駅
 「時の記念日」の10日、東経135度の日本標準時のまち兵庫県明石市の市民らが、JR明石駅で乗客に「子午線通過記念証」を配って子午線のまちをPRした。
 1階のコンコースでは午前9時半から、子午線南端にあたる淡路島の同県東浦町からやってきたミスカーネーションが花を配り、北端のまち京都府網野町の住民らが静御前にふんした祝いの舞を披露した。
 ホームではプリンセス明石の女性たちが発着する新快速や快速電車に乗り込み、組み立て式のメモ帳の記念証を配った。友人とセレモニーに立ち寄った同市内の主婦(70)は「知らぬ間に過ごしている『時』の大切さを再認識しました。家に帰ったら孫たちにも言ってやります」と話していた。(朝日新聞 夕刊)
11日■スルッとKANSAl 近鉄も参加へ
 近畿日本鉄道は、2001年3月から自動改札機で利用できるプリペイドカードを導入、関西圏の複数の鉄道共通乗車券システム「スルッとKANSAI」に参加する。これで、関西のすべての大手私鉄で利用できることになる。
 このシステムは、JR西日本を除く、京阪や阪急、大阪市交通局など13社・局で利用できる。来年3月には、京都市交通局や京阪バスでも導入。近鉄の導入時には、26社・局に拡大し、関西圏の全鉄道の年間輸送人員(定期券除く)の約8割をカバーすることになる。
 近鉄が導入する路線は、京都線、奈良線、青山町駅以西の大阪線など主要幹線計12路線(252.4`)、156駅。設備投資115億円を予定している。(京都新聞)
■「西京都駅」の設置を要望 新幹線口丹波促進協
 北陸新幹線口丹波建設促進協議会は10日、政府・自民党に対し、同新幹線を整備計画通り「若狭・口丹波ルート」に早期決定し、亀岡市など口丹波地域に「西京都駅」を設置するよう要望した。
 この日、会長の田中英夫亀岡市長と副会長の中田脩美山町長らが、国会などに野中広務官房長官、森喜朗自民党幹事長を訪ね、実現を働きかけた。(京都新聞)
■窓 郷愁あふれる昔の汽車旅行 宇治市・山村 小萩(無職・76)
 「ポオッシュ、ポッシュ…」と独特の響きを残し煙を吐いて明日萌(あしもい)駅を発着するSL(蒸気機関車)。ストーリーの面白さもさることながら、あの風景の懐かしさに毎朝、家事を中断してテレビの前に。
 NHKテレビのドラマ「すずらん」の設定にロケ地に線路を敷設、SLを借りて走らせているのだとか。明日萌ほど辺地ではなかったが、昭和初期の旧国鉄宇治駅が再現されているようで、この15分間は完全にタイムスリップ。70余年前を想起している。
 現在は宇治−大住(京田辺市)間はマイカーでなら十数分で行けるが、そのころは近鉄(奈良電)も開通しておらず、母の古里・大住へは国鉄で長池駅へ。そこから木津川べりまで歩き、対岸の水主まで渡し舟に乗り、祖母の待つ生家まで桃畑をぬい3`ほども歩かされた。親子の行楽などめったにチャンスがなくて、汽車に乗れるのは大住へ行くときだけ。うれしくて子どもには遠すぎる距離も苦にならなかった。
 まだ赤ん坊だった末弟をおんぶし、4歳の弟の手を引き、6歳の私を歩かせての薮(やぶ)入りは大変だったろうが、母にとっては2年に一度の里帰りが唯一の楽しみだったに違いない。マイカーに子を乗せる現在のお母さんたちは幸せだが、思い出の濃さにおいては、昔の汽車旅行に及ばぬことと思う。(京都新聞)
■初期の駅、雰囲気を再現 滋賀
 財団法人・日本ナショナルトラストは、今月下旬から長浜市北船町の旧長浜駅舎鉄道資料館隣接地で「長浜鉄道文化館」の建設に着手する。地域文化遺産の保全、活用を図る同財団の全国5番目の施設、総工費約1億円をかけて来年5月にオープンする。
 新設される長浜鉄道文化館は、木造2階建て一部鉄筋コンクリート造り(延べ約373平方b)。内部は、天井の木組みが見える珍しいトラス小屋組み構造の建物で、日本の初期の駅の雰囲気を再現、当時の駅員の制服や帽子、時刻表などのコレクションも展示する。(京都新聞 夕刊)
■列車と衝突し 車の2人重傷 加古川の踏切
 11日午前10時10分ごろ、兵庫県加古川市八幡町中西条のJR加古川線中西条第二踏切で、谷川発加古川行きの普通列車(1両、乗客60人)と同県加西市尾崎町、加古川市立山手中学教諭の宮永年郎さん(47)運転のワゴン車が衝突、車は線路わきの田んぼに転落して大破した。宮永さんと、同乗の同中学2年の加古川市八幡町野村、中窪妙子さん(14)が重傷。
 加古川署の調べによると、宮永さんら2人は兵庫県が取り組んでいる中学2年生の社会体験学習「トライやるウイーク」の実習先に向かう途中だった。(朝日新聞 夕刊)
12日■襲われた外国人 電車にひかれ死亡 暴走族風の男ら逃走
 11日午後9時ごろ、神奈川県大和市福田、小田急線高座渋谷駅前の広場で、バットを持った暴走族風の男十数人が外国人6人を襲った。襲われた外国人のうち、同県厚木市妻田北、カンボジア籍の高校生ケット・ソック・チャンナさん(20)が逃げる際、遮断機の下りた線路に立ち入り、下り電車にはねられて死亡した。
 大和署の調べによると、男らはバイクで逃走したという。同署では傷害事件として、男らの行方を追っている。(京都新聞)
■整備新幹線の前倒しを要請 与党協議会、首相らに
 整備新幹線の建設前倒しを求めている自民、自由両党でつくる整備新幹線協議会は11日、小渕恵三首相と川崎二郎運輸相に対して、「7年以内での完成」という同協議会の方針への協力を申し入れた。
 協議会の小里貞利座長(自民党衆院議員)と二見伸明副座長(自由党衆院議員)はまず、川崎運輸相を訪れ、今年度予算の公共事業予備費5000億円の一部を新幹線工事に使うことを、与党と協力して大蔵省に働きかけることを要請。さらに、「来年度の新幹線予算の要求に際しては、今年度の当初予算約300億円に、新たに獲得する予備費を上乗せした額を基準として予算要求してほしい」(二見副座長)と申し入れた。
 川崎運輸相は、港湾や空港など運輸省が所管するほかの公共事業の予算に影響しないことなどを集件に、与党の要請に一定の理解を示した。(朝日新聞)
■タイムアングル 官公千年祭と北野線 電車の前に先走り「危のおまっせ」と声上げ走る
 北野天満宮で菅原道真の没後1000年祭が行われたのは、明治35年(1902年)の春だった。3月25日から5月13日までの50日間、神楽殿では毎日神楽を奏し、境内10ヵ所の千灯明舎には、1万の灯明が奉灯された。
 氏子の家々には、道真が好きだった梅にちなみ、梅の紋の旗や提灯を掲げ、囃しの屋台車の後を、友禅の長襦袢に縮緬の帯を縮めた人々が、深編み笠をかぶって踊り歩いたという。
 この1000年祭に合わせて前々年の33年には、京都電気鉄道の堀川線が、堀川中立売から北野下の森まで路線を延ばした。写真はその終点で、一条通御前東入ルのあたり。中央に大きな屋根を光らせているのは車庫で、引き込み線のレールが内へ入っている。車庫から出て来た電車は、参道入り口の石灯ろうの横で折り返して七条停車場へ向かう。
 電車の前には、「先走り」の姿が見える。これは告知人と言われたもの。12歳から15歳くらいまでの少年が、昼は赤と白の旗、夜は提灯を持って、人通りの多い所や曲がり角で、運転台の横から飛び降り、「電車が来まっせ、危のおまっせ」と声を上げながら、電車の前9bほどの所を走った。
 飛び降りたり飛び乗ったりの危険な仕事で、けがをする者が絶えない。30年から車輪の下に引き込まれないよう、車の前に安全網をつけ、37年には告知人の制度が廃止された。(作家・駒 敏郎)(朝日新聞)
15日■路面電車と車衝突、男性死亡 阪堺線の踏切
 15日午前9時半ごろ、大阪府堺市浜寺公園町一丁の阪堺電気軌道阪堺線の踏切で、浜寺駅前発恵美顔町行き電車と、同市金岡町の会社員田中秀一さん(61)運転の乗用車が衝突した。田中さんは全身を打ち間もなく死亡。電車には5人ほどが乗っていたが、けがはなかった。電車は午前11時半に復旧したが、計約5本が運休。乗客約250人の足が乱れた。
 堺南署によると、阪堺線は路面電車で現場の踏切に警報機はあるが、遮断機はなかった。(朝日新聞 夕刊)
16日■世紀の面影 市電の運営開始 1912年 車に主役の座奪われ
 1921(明治45)年6月11日、丸太町通や烏丸通につめかけた大勢の人たちの前を、花で飾り立てた電車が優雅に走り出した。走る観光名物と言われた市電の初運行だった。
 市電の営業は、2代目の西郷菊次郎市長が行った三大事業の一つ。琵琶湖第二疏水を建設して新たな水力発電所を設置し、その電力で市電を走らせ、市の財源を確保するのが目的だった。
 運転開始当時の路線は、中京区壬生の壬生車庫から丸太町通、烏丸通を通って京都駅付近を往復する路線と、四条西洞院から四条河原町付近までの路線の計約7.7`。1918(大正7)年には、市電よりも17年早く伏見方面に電車を走らせていた京都電気鉄道を買収合併し、路線も千本通や七条通へと拡充、63年には1日の平均乗客数が60万6000人と、ピークに達した。
 しかし、60年代後半からは、自動車の増加で道路には車があふれ、運転スピードも乗客数も落ち込んだ。財政的にも赤字が続くようになり、70年の伏見、稲荷線から始まり四条、烏丸、丸太町線など、次々と路線撤去が進んだ。78年9月30日には、残った外周線と七条線の一部でさよなら運転が行われ、静かにその歴史に幕を下ろした。
 れんが造りの車庫にたくさんの車両が並んでいた壬生車庫は、今は市バスの車庫となり、かつて市電が走っていた道にも線路の跡はない。車庫の向かいで80年近く続くうどん店を営む杉本勝彦さん(60)は「小学生のころから出前にいかされてたから、前の車庫のことはよく覚えてる。今は夜になるとバスは別の車庫に行ってしまうし、少し寂しい感じがする」と、思い出をたどる。
 環境面から市電の良さを見直す動きもある。下京区の倉庫で眠っている数台の車両が、再び走り出す日が来るかもしれない。(京都新聞)
■共通カードを検討 JR西日本・近鉄 接続路線の改札で利用
 JR西日本の南谷昌二郎社長は15日の記者会見で、JRと近畿日本鉄道の共通ブリペイドカードをつくり、JRと近鉄が接続する路線などで、乗客が両社の改札を通り抜けできるシステムづくりの検討を始めたことを明らかにした。JR西日本は、乗客がブリペイドカードを自動改札機に通すだけで自由に乗り継ぎのできる「Jスルー」システムを今年2月から、京阪神を中心とするJR路線に導入していて、近鉄は、このシステムを自社の自動改札機に応用する方向だ。
 ブリペイドカードをめぐっては、阪急電鉄、阪神電気鉄道など関西の私鉄、地下鉄グループが共通のカードをつくり、互いの路線を自由に乗り継ぎできるシステム「スルッとKANSAI(かんさい)」を開発、加盟社数を増やしてきた。近鉄も、来年度末にはそれに加わることを表明し、「JR対私鉄・地下鉄グループ」の構図が鮮明になっていたが、JRは、そのライバルの一角ともいえる近鉄と手を結ぶことになる。
 JR西日本の南谷社長は、「他社との共通カードがあれば便利な場合は、個々に、路線を限って手を結ぶことはあり得る」と述べた。(朝日新聞)
■JR不採用問題 実損分390億円を要求 国労闘争団 「7割が復帰希望」
 国労闘争団全国連絡会議は、「政治解決」へ向けて動き出したJR不採用問題への対応を話し合うため、15日から2日間の日程で東京都内で闘争団代表者会議を開いた。あいさつで神宮義秋議長は、闘争団の解決要求について「団員の約7割が地元JRへの復帰を希望し、実損回復の要求額は約390億円になる」と述べ、政府、JR各社への要求に反映させるよう国労本部へ要請したことを明らかにした。
 1987年の国鉄の分割・民営化でJRに採用されず、90年に国鉄清算事業団を解雇された国労組合員は966人(うち14人が死亡)。北海道、九州を中心に全国で36の闘争団をつくり、多くがアルバイトなどで「組織自活」しながら解雇撤回・JR復帰を訴えている。
 政府、JR側との解決交渉に向けて同連絡会議がまとめた要求は、採用差別という不当労働行為を是正するため、全員を87年4月にさかのぼって地元JRに採用すること(原状回復)など4点。意向調査の結果では、約7割がJR復帰を希望しているという。(朝日新聞)
17日■地下鉄東西線西伸 調査対象に要望 京都市 新規政府予算獲得へ
 京都市は16日、2000年度政府予算への概算要求に向けて、75の要望項目をまとめた。この中で、地下鉄東西線の二条駅以西への延伸について運輸省に、本年度予算から新設された「都市鉄道調査」の対象事業として、新規に予算を計上するよう求めた。
 東西線は、一昨年10月に醍醐−二条間(12.7`)が開業した。現在、醍醐−六地蔵間(2.4`)の本年度着工、2004年度開業を目指している。
 二条以西の延伸については、運輸政策審議会答申で西大路までの約1`が「2005年度までの整備が適当」、西大路−洛西間(約9`)は「2005年までの着手が望ましい」とされているが、事業化のめどは立っていない。
 都市鉄道調査では、都市基盤として必要な鉄道ネットワークを整備するため、新路線計画の採算性などを識者らが検討する。本年度の政府予算には3億5000万円が盛り込まれ、京阪中之島新線(大阪市)などを調査することが先月、決まった。市は、来年度に二条以西の区間が調査対象となることが、事業化に欠かせないとみている。
 市の要望のうち新規は4項目。ほかに▽学校施設の整備充実、教職員定数の改善▽ダイオキシン類対策の推進−など。また、京都高速道路の整備促進、工場等制限制度の見直し、京都大第三キャンパスの市域での整備など、新規を含む19項目が重点要望となった。桝本頼未市長ら幹部は、17日から東京で要望活動をする。(京都新聞)
■整備新幹線 財源不足 優先順位 貨物共用 3つの壁、協議迷走
 建設前倒しを求めて自民、自由両党でつくる整備新幹線協議会の議論が迷走している。16日の会合では、まだ着工していない区間の建設は、今後の10年間でめどをつけることを確認した。しかし、「最も強硬派の軍団」(運輸省首脳)にもかかわらず、これまでの「全線7年で完成」という方針を一歩後退させた。背景には、「財源」「コースの優先順位」「貨物の扱い」という3つの大きな壁がある。
 最大の課題は、7兆4500億円にのぼる財源の確保。協議会の当初方針通り7年での完成を目指すと、単年度で必要な事業費は今年度予算の9倍にあたる1兆4900億円に達する。このうち、国の公共事業費は9600億円にのぼり、運輸省の公共事業費すべてをつぎ込んでも足りない。
 与党と運輸省の間では、新幹線予算を積み上げた場合でも、港湾や空港など同省のほかの公共事業費は削らないことで合意している。道路財源など他省庁の公共事業費を削って新幹線に回すことも、それぞれの族議員の反発で不可能。協議会の関心は、もっぱら今年度予算の5000億円にのぼる公共事業予備費をどう取り込むか、になっている。ただ、「首尾良く予備費の多くを使えても、来年度以降の財源が見えてこない」(運輸省)状況だ。
 優先順位は、自由党の主張が「経済効果を考えれば、北海道から鹿児島を結ぶ『背骨』が先」なのに対し、森喜朗幹事長を始め北陸に有力者が多い自民党には、北陸新幹線を含む全線同時の開業を求める声が多い。「背骨優先で与党合意」と一部で報道された今月上旬には、小里貞利座長(自民党代議士)が「事実無根」と声を荒らげる場面もあった。
 在来線を走る貨物列車がレール幅の広い新幹線を走るには、3本目のレールを内側に敷いて狭軌に幅を合わせる工事が必要。新幹線だけの場合に比べて膨大な費用がかかる。
 1996年末の政府・与党の申し合わせでは、整備新幹線の開業後は、並行して走る在来線の経営をJRから分離することが決まった。JR貨物が新幹線上の走行をあきらめ、これまで通りに在来線を使用するならは、新たに在来線の経営を引き継ぐ第三セクターなどとの間で鉄道の賃貸契約を結ぶ必要がある。
 JR貨物の幹部の間には「安価で鉄道を使わせてくれたJRに比べれは、新契約での使用料は大幅に上がるのは確実。整備新幹線の開業をきっかけに、ただでさえ苦しい貨物の経営が完全に行き詰まってしまうことも」という懸念がある。(朝日新聞)
■トロッコ列車 倒木と衝突! 嵐山で合同訓練
 トロッコ列車で知られる嵯峨野観光鉄道嵐山駅(右京区)近くの線路で16日、JR西日本京都支社と嵯峨野観光鉄道が、列車事故を想定した緊急避難訓練をした。事故発生時の連携強化がねらい。両社の社員約50人が参加した。
 訓練の前半では、JR嵯峨嵐山駅構内の出発信号が故障したと想定。通報を受けた駅員が、トロッコ列車を手旗で誘導して出発させた。後半は、トロッコ列車が倒木と衝突して立ち往生したケースを想定した。運転士が線路わきの非常用電話で駅に連絡。駆けつけた作業員がチェーンソーで倒木を線路外に除去するとともに、乗客を列車から降ろし、近くの駅まで誘導した。
 嵯峨野観光鉄道は、複線化のため不要となった旧山陰線を有効利用しようと、JR西日本が出資して1991年に営業を開始。保津川沿いの自然豊かな景観が人気を集め、昨年10月に利用者が累計で500万人を突破した。同鉄道の明石稔鉄道部次長(54)は「今後も無事故記録を更新していきたい」と話していた。(朝日新聞)
18日■奔流底流 北陸新幹線「敦賀−大阪」 ルート決定せめぎ合い 3案浮上、足並み乱れる 概算要求向けて意見集約焦点に
 自民、自由両党の整備新幹線建設促進協議会は、2000年度予算の概算要求に向けて、新しい建設計画の論議を本格化させている。焦点の一つである北陸新幹線「敦賀−大阪間」のルート決定は、有力視されてきた福井県嶺南地域や京都府丹波地域を通る「若狭ルート」に加えて、滋賀県の米原で東海道新幹線に接続する案やJR湖西線に「スーパー特急」を走らせる案が急浮上。膨大な財源不足の中で、果たして概算要求締め切りの8月までに、同ルート問題は決着をみるかどうか。(東京支社 川村一郎)
 協議会の小里貞利座長(自民)と二見伸明副座長(自由)が11日、首相官邸に小渕恵三首相を訪ねた。小里座長が「建設促進にご努力を」と要請したのに対し、首相は「新幹線については理解しているつもりだ。よく検討してほしい」と指示した。
 協議会が建設促進へ活発に動く背景には、「現下の不況対策は新幹線建設に格好の追い風」との思いが強い。未着工区間を抱える北陸新幹線の沿線国会議員からは「今回が最後のチャンス」との声すらもれる。
 整備新幹線の未着工区間は北海道と九州の鹿児島、長崎両ルート、そして北陸の3線・4ルート。このうち北陸の未着工は敦賀−大阪間を含め5区間だ。
 協議会は1日まとめた中間報告に、「未着工区間は早期に完成目標を明確にする」ことを盛り込んだ。新計画では新規着工区間に格上げし、着工時期も明示したい意向だ。
 しかし、財源難の中で、未着工区間の全線着手は無理。事実上どのルートを優先するかが最大の焦点になっている。
 この優先順位の論議の中で持ち上がり始めたのが「背骨線諭」だ。
 北海道から鹿児島県まで列島を結ぶ「背骨」の路線整備を急ぐため、北陸より北海道、九州を優先させるべき、との考え方だ。
 加えて、北陸の敦賀−大阪間は、整備計画で唯一ルートが未決定で、北海道、九州に比べて遅れは否めない。北陸の優先順位アップには「まずはルート決定が必要」というわけだ。
 このところ北陸沿線の国会議員からはルートへの言及が相次いでいる。
 自民党の全国整備新幹線建設促進連盟会長を務める森喜朗党幹事長(衆院石川2区)は先月5日、訪問先のルクセンブルクで、敦賀−大阪間について、「若狭ルート」断念の意向を表明。同29日には金沢市内で、JR湖西線も候補のひとつとの考えを示した。
 滋賀県が今月2日、東京で開いた知事と地元選出国会議員との懇談会でも、議員からは「将来の交通体系を見すえて、フル規格で東海道新幹線の米原接続を検討すべきだ」「敦賀−米原間に新駅を設けよ」といった積極的な意見が出た。
 若狭ルートは1973年に閣議決定され、現行の整備計画に盛り込まれている。しかも、地元の栗田幸雄福井県知事は「新幹線は将来の県づくりに欠かせない」として、整備計画通り詳細な若狭ルートの公表を国に追っている。
 森氏の発言の背景には、福井県の翻意を促す狙いがあるようだ。
 だが、同ルートは京都府の北・中部を縦貫するだけに、沿線自治体でつくる北陸新幹線口丹波建設促進協議会(会長・田中英夫亀岡市長)は10日、ルートの早期決定や「西京都駅」設置などを野中広務官房長官、森幹事長に要望した。
 その一方で、JR西日本は既存施設を使えるとして湖西線ルートのスーパー特急が「最も評価しうる」との姿勢もみせる。
 今後、協議会で着工優先順位や敦賀−大阪間のルートを決める議論は、概算要求取りまとめの最終段階になるとみられる。
 小里座長は「地元自治体やJRとの調整なしに協議を進めるのは無茶」といい、議論の前提として福井県、JRの合意が必要との姿勢を示す。
 福井県内では「米原接続」をほのめかす県選出国会議員も出始めている。協議会で「敦賀−大阪」ルートの論議の行方は、同県内の意見集約にかかっている。
 北陸新幹線 東京から長野、富山、金沢などを経て大阪に至る総延長690`。1973年11月に整備計画決定。89年1月高崎−軽井沢間で着工し、97年10月に高崎−長野間(117`)が長野新幹線として開業した。現在、長野−上越間(59`・フル規格)、糸魚川−魚津間(40`・スーパー特急方式)、石動−金沢間(24`・同)が工事中。他区間は未着工で、特に敦賀−大阪間(128`)はルートすら決まっていない。(京都新聞)
■中国版”新幹線”お披露目
 中国版”新幹線”ともいえる時速200`の高速電車3両が完成し、このほど中国吉林省の長春客車工場で公開された。2年以上の製作期間をかけて高速走行時の空気抵抗や気密性の問題を解決し、車体の軽量化や静粛性を追求してきた。外国の高速鉄道の技術も取り入れ、どのような状況でも高い安全牲を確保できるという(京都新聞)
■女性運転士 新幹線デビュー 来年2月から 女性の深夜勤解禁で
 JRの旅客列車で初めての女性運転士が来春、東海道新幹線に誕生する。今年から女性の深夜労働が解禁されたのに伴い、JR各社が養成を進めており、JR東海に大卒幹部候補生として入社した女性2人が先陣を切ることになった。現在、学科講習の真っ最中で、来年2月に独り立ちする予定だ。山陽新幹線では、早ければ来年度中にも登場する見込みで、速度だけでなく、女性の活躍ぶりも競い合うことになりそうだ。
 旧労働基準法は、午後10時から午前5時までの女性の労働を禁止していたため、貨物を除くJR各社は、夜勤などの勤務体制に組み込めないとして、女性に運転士の昇進資格を認めていなかった。日本民営鉄道協会によると、地方の第三セクター鉄道などを除けば、大手私鉄でも運転時間が深夜に及ぶため、女性運転士はいないという。
 JR東海は1991年度から、幹部候補生に新幹線の運転士免許を取らせている。学科と実技合わせて8ヵ月間の研修を受け、運転士免許に挑戦する仕組みだが、女性はこの間、駅の出改札や車掌の見習いコースに回されていた。しかし、今年4月の労基法改正を受け、99年度入社組から男女とも同じ研修を受けることになった。
 76人のうち、女性は7人。現在、技術系で採用された2人が運転法規や信号システムを勉強中。9月からベテラン運転士とペアになって約400時間の見習い運転に入る。来年2月中旬の運転士試験に合格すれば、一人前の運転士として、3月いっぱい営業運転している新幹線に乗り込む。4月以降はそれぞれの任地に赴く。
 これとは別に、同社は、車掌や運転士になれる「運輸職」に短大と高卒女子を採用している。運輸職は、運転士昇進に最低3年間の車掌経験が必要なため、本職の運転士誕生は2003年ごろになるという。現在、2人の女性車掌がいるJR東日本もほぼ同じスケジュールだ。
 一方、山陽新幹線を受け持つJR西日本では、在来線を含め、すでに69人の女性車掌が活躍している。早ければ来年度中にも、本職の女性運転士が登場し、将来は、世界最速の新幹線「500系」などに乗り込む見込みだ。(朝日新聞)
■大阪環状線が46分間止まる
 17日午後11時10分ごろ、大阪市大正区のJR大阪環状線大正駅構内で、天王寺発の外回り電車(8両編成、乗客約150人)が発車できなくなった。
 自動車のアクセルに当たるノッチが働かなくなったためで、同56分の運転再開までの46分間、外回りはストップし、帰宅客の足が大幅に乱れた。(京都新聞 夕刊)
19日■夏季臨時列車 対前年比20本増 KTRがダイヤ発表
 北近畿タンゴ鉄道(KTR)は18日、海水浴や帰省シーズンに備えて夏季臨時列車のダイヤを発表した。本数は前年比20本増の183本となった。
 京都方面からの臨時列車は7月17日−8月16日、特急を毎日上下1本ずつ運転し、この間の土、日、祝日は天橋立−京都間で下り1本を増便。帰省客が集中するお盆時期は、京都−天橋立間に8月13日−15日に上り1本、15日−17日に下り1本の臨時列車を運行する。
 大阪方面からは新大阪−久美浜間に、7月17日−8月10日に毎日上下1本ずつの臨時列車を運転し、この間以外の7月1日−9月30日の土・日、祝日も上下1本ずつ増便する。
 7月17日−8月16日には、丹後由良や丹後神崎など海水浴場に近い5つの駅に、特急21本を臨時停車させる。
 企画列車は、「納涼ビール&カラオケ列車」と題し、天橋立「炎の架け橋」が行われる7月20日に豊岡−天橋立駅間で、文殊堂出船祭の同24日は福知山−天橋立間で、それぞれイベント時間に合わせて往復運転する。(京都新聞)
21日■電車内トイレから煙 JR関西本線加茂駅
 20日午前11時20分ごろ、京都府相楽郡加茂町里のJR関西本線加茂駅構内で、発車前の天王寺行き快速電車の車内トイレの汚物入れから煙が出ているのを、乗客が発見し、車掌らが消火器で消した。
 乗客100人がいたが、けが人はなかった。電車は4分遅れて発車し、後続への影響はなかった。JR西日本は出火原因を調べている。(京都新聞)
■電車のトイレで発煙 JR関西線加茂駅
 20日午前11時半ごろ、加茂町のJR関西線加茂駅で、到着した快速電車から降りた乗客から「トイレで煙が出ている」との通報があった。運転士と車掌が確認したところ、トイレの汚物入れから煙が出ていたため消火器で消し止めた。快速電車の発車が4分遅れ、約100人に影響が出た。(朝日新聞)
■大阪外環状線起工 安全祈願祭を開く
 大阪府東部を南北に結ぶJR城東貨物線を複線・電化して旅客線とする大阪外環状線(新大阪−久宝寺間、約20`)の建設工事が今夏から始まることが決まった。建設を進めるのは、大阪府や大阪市、JR西日本などが出資する第三セクター「大阪外環状鉄道」(本社・大阪市)で、同府東大阪市内の工事敷地内で20日、工事関係者らが起工安全祈願祭を開いた。
 大阪外環状線は1981年に旧国鉄が事業認可を得たが、財源難などのため凍結。96年、民営化後に認可を承継したJR西日本などが第三セクターを設立した。工事は8月ごろから本格的に始まり、2005年度末の完成を目指す。完成後はJRが旅客輸送を運営、13駅を設置して1日142本の電車を運転する予定。(朝日新聞)
■提案!ひとにやさしい駅 大阪 市営地下鉄111駅を調査 市民グループ 冊子まとめる
 大阪市営地下鉄の111全駅を、利用者の視点で2年間にわたって調査してきた市民グループ「おんなの目で大阪の街を創る会」(代表・小山琴子さん)が、調査内容、会の活動、提案などをまとめた冊子「ひとにやさしい駅へ−市民グループからの提案」を完成させた。
 A4判、150n。1章「なぜ地下鉄を調べようと思ったか」、2章「創世紀の駅のビジョン」、3章「地下鉄ウォッチングから冊子作りへ」、4章「資料編」という構成だ。提案は13項目あるが、エスカレーターの昇降を時間帯で変更することや、トイレを明るくきれいにイメージアップするなど、すぐに取りかかれる具体策も多い。
 会員が実際に歩いたり乗ったりして調べる作業は1996年1月から始まった。参加者は、のべ474人。結果をもとに市に改善要望書を提出するまでの経過なども詳しい。駅ごとの調査集計表では○と×での評価もあり、市民の参考にもなる。
 希望者には1冊1000円(送料310円)で販売している。問い合わせ、申し込みはファクス(06・6927・9300)で小山さんへ。(朝日新聞)
■京都駅北口工事が完了 案内充実 新バス乗り場
 京都市交通局が整備を進めていたJR京都駅北口広場(下京区)の工事がこのほど完了した。7月2日から新しいバス乗り場で営業を始める。観光客らが利用しやすいように、乗り場の位置を方面別に集め、乗り場案内や標識柱など施設の充実を図った。
 これまでのバス乗り場の名称と取り扱い系統を変更、清水寺・祇園や嵐山・大覚寺など方面ごとに系統を集約した。また、目的の系統や乗り場を知らせる「案内用タッチパネル」を総合案内所前に新設。画面の指示に従い操作すると、乗り場の位置と同時に系統の路線や主な名所・施設も示されるようになった。
 このほか、バスの接近を電光表示する「バスロケーションシステム」のリニューアルや外国語を併記した乗り場案内の増設など、サービス向上を図った。屋根のデザインも、景観に配慮して伝統的な唐破風(からはふ)の形を取り入れた。
 工事は、市の京都駅北口広場整備事業の一環として、昨年8月からバス乗り場を変更し進めていた。(京都新聞 夕刊)
22日■JR京都駅北口 タクシー乗り入れ改善要望 共闘会議が市に
 京都市下京区のJR京都駅前で客待ちするタクシーなどの車両が混雑している問題で、市内のタクシーの組合員らでつくる京都ハイタク共闘会議(上坂幸男議長、約6000人)は21日、同駅北口へのタクシーの乗り入れを確保するよう求める要請書を、市都市計画局に提出した。
 要望書によると、これまで2ヵ所あったタクシー乗り場への進入路が、市の駅整備事業で1ヵ所に減ったため、駅前交差点の渋滞が慢性化、乗用車やバスなどの走行に支障が出ているという。現行の2車線の進入路を3車線に拡幅するなど改善を求めている。
 同会議メンバーはこの日、市役所前で折議の座り込みをした後、約2700人分の請願書を提出した。市都市計画課は「現状変更は難しい」としている。
 この問題に関連して業界は今年1月から、ナンバープレートの末尾の数字が奇数か偶数かによって、進入できる車を限定する自主規制を続けている。(京都新聞)
■京都駅北口広場 進入路を3車線に 市にハイタク共闘
 京都市内のタクシー運転手約6000人でつくる「京都ハイタク共闘会議」(上坂幸男議長)は21日、JR京都駅北口広場(下京区)への進入路を現行の2車線から3車線に拡幅することなどを求める2728通の要請書を京都市に提出した。
 同会議などによると、北口広場は今年5月、整備の一環として2ヵ所あった進入路のうち1ヵ所が閉鎖され、歩道になった。また、残る烏丸塩小路交差点からの進入路も、一般車両と客を乗せたタクシー、乗車待ちのタクシーが併用している。このため、進入路は車があふれ、駅に向かう客があきらめて手前で降りてしまうケースが後を絶たない、という。
 この日は、同会議のメンバー約30人が、午前10時から約5時間、京都市役所前で座り込みを実施。要請書を持ったタクシーが次々に市役所前を訪れた。同会議によると、3時間で約1000台が集まったとしている。
 要請書を受け取った京都市都市計画課は「業界の要望も聞いて当初計画の1車線を2車線に増やした。現場の形状から、これ以上車線を増やすのは無理だ。渋滞は構造上の問題ではなく、客待ちのタクシーが集中しすぎることが原因ではないか」としている。(朝日新聞)
■「走る広告塔」地元がエール 阪堺電車 不況で大手企業去り 和菓子や・銭湯・レンタルビデオ店…
 大阪で唯一の路面電車「阪堺電車」の車体広音が、様変わりしている。派手な色使いと大胆なデザインで車両をまるごと広告媒体にしているが、銀行や百貨店などの大手企業が不景気で去り、沿線住民になじみの深い和菓子屋さんや銭場などの広告が残った。電車も地元商店も経営環境はかなり厳しい。「一緒にがんはろう」。広告主からのエールを受け、チンチン電車は生き残りを目指している。
 阪堺電気軌道の全48両のうち、「走る広告塔」は30両余りを占める。現在の広告主は和菓子店、病院、銭場、不動産屡、酢製造会社、レンタルビデオ店、スポーツジム、ケーブルテレビ局など。いずれも大阪市や堺市内にある街角の商店や会社ばかりだ。色やデザインは広告主がほとんど思い通りにつくれるため、車両全体を赤や青、黄などの原色で塗装して派手さを競い合っている。
 車体広告は1980年から始めた。1両で約35万円かかる車両の塗装費を肩代わりしてもらおうと、広告料をただにして大手電機会社に頼んで広告を書いてもらったのがきっかけだった。
 都心部を平均時速30`とゆっくり走るため広告効果が大きいと評判が高まり、バブルの好景気もあって大手企業から広告依頼が相次いだ。広告料は2年契約、塗装費込みで1両当たり290万−250万円。都市銀行やNTT、百貨店など大手企業の広告で全車両が埋まり、順番待ちの状態が続いた。
 しかし、バブル崩壊後、大手企業は相次いで広告を打ち切った。広告料はこの6年間据え置いたままだが、大手はビール会社1社だけ。車両の4分の1は広告が集まらず、地元の商店や会社の広告だけになった。
 大手企業が撤退するぐらいだから、小さな店に余裕があるはずがない。それでも広告を出すのは、宣伝効果のほかにチンチン電車への愛着が強いからだ。目の前を電車が通る住吉大社近くの和菓子店「末広堂」は、約10年前から広告電車を走らせている。斉藤安弘社長(71)は「1個130円のまんじゅうだから、広告電車を走らせても大した効果があるわけやない。正直言えはうちも無理してる。
 メモ 阪堺電気軌道(本社・大阪市住吉区)は1897年(明治30年)に馬車鉄道として開業。恵美須町(大阪市浪速区)−浜寺駅前(堺市)間の阪堺線と、天王寺駅前(大阪市阿倍野区)−住吉公園(同市住吉区)間の上町線の2路線計18.7`を結ぶ。沿線人口の減少などから、年間利用者数は1981年度の2500万人をピークに昨年度は1100万人にまで落ち込んだ。(朝日新聞 夕刊)
23日■ノックさん「電車知事室」 堺往復1時間 乗客緊張「今度は内証で」
 大阪府の横山ノック知事は23日朝、堺市の「府立大型児童館ビッグバン」のオープニングセレモニーに電車で出席した。1期目の「知事室開放」の趣向を変えて、形式張らずに府民と直接触れ合う試みだ。往復約1時間の移動知事室だったが、大勢の報道陣に囲まれ乗客は緊張気味で、横山知事は「今度は内証でやりますわ」。今後、府内各地に出かけ、100人規模での出張対話も予定している。
 ビッグバンは、漫画家の松本零士さんが館長。松本さんが考案したキャラクターの案内で宇宙の旅を映像で体験できる。午前10時半からの開館式に合わせ、知事ら一行は午前9時27分、南海なんば駅発の準急電車に乗り込んだ。
 郊外に向かう電車とあって車内はガラガラ。2人連れの女性の隣に腰掛けて、「ビッグバンのオープニングに呼ばれてますねん」と話しかけた。たまたま2人は保育所勤務で、ビッグバンの招待客。知事は「動かない展示ばかりのところも多いが、ここは楽しめる」とPRしていた。
 公募で選ばれた府民と語り合う知事室開放は1期目の公約で、4年間で計72回、のべ1654人が訪れた。2期目には、電車などを利用した府民との直接対話を公約に掲げていた。南海と相互乗り入れしている泉北高速鉄道の泉ケ丘駅で下車した横山知事は「府民の生の声を聴くのは大事。環境や教育のテーマで語り合うことも考えている」と話した。(朝日新聞 夕刊)
■制御装置の故障で遅れ 大阪市営地下鉄
 23日午前7時50分ごろ、大阪市北区中津一丁目の大阪市営地下鉄御堂筋線の中津駅で、駅に入ろうとした天王寺発新大阪行き電車(10両編成)の非常ブレーキが突然作動して、停止位置の140b手前で止まった。すぐに運転士がブレーキを手動で解除し、通常の位置まで電車を進めて乗客を乗降させた。
 大阪市交通局によると、電車の速度を監視する自動列車制御装置(ATC)が故障したために非常ブレーキがかかったといい、詳しい原因を調べている。この事故で、後続の電車11本が最大8分遅れ、乗客1万7000人に影響が出た。(朝日新聞 夕刊)
25日■震災で傾き解体 阪急三宮駅の駅ビル再建へ
 阪急電鉄は24日、阪神大震災で被害を受けて解体した神戸市中央区の阪急三宮駅の駅ビルを再建すると発表した。2001年に着工、2004年の完成を目指す。
 計画によると、新ビルは地上22階、地下1階建て。旧ビルと同様に屋上に円柱杉の塔屋を設置して上に避雷針を立てるなど、旧ビルの外観を現在風にアレンジした雰囲気にするという。
 外壁は白を基調とし、中には映画館やオフィス、飲食店などのテナントも入居する予定。
 旧ビルは1936(昭和11)年に建設された。地上4階、地下1階で、神戸の玄関口の一つ、阪急三宮駅のシンボルとして市民に親しまれたが、震災で建物が傾き、解体した。その後は3階建ての「暫定ビル」を建設し、駅ビルとして使用していた。
 阪急電鉄広報室は「親しみやすさと、新しさが融合したビルにして、神戸の新しいシンボルにしたい」と話している。(京都新聞)
■「環境にやさしい交通管理」京都市や川西市指定 モデル事業
 警察庁は24日、車から排出されるCO2(二酸化炭素)削減を目的とした「環境にやさしい交通管理」モデル事業に、京都市や兵庫県川西市など五都市を指定した。交通管制システムとバスを利用する輸送システムを合体させて、渋滞緩和や車の総量を減らすもので、今年度から3ヵ年で行う。この夏にもモデル事業調査研究委員会を設置して、事業の検証や研究を行い、環境にやさしい交通管理手法の推進マニュアルを策定する。
 モデル事業の主なものは、バス優先の信号制御を行い、バスの流れをスムースにする公共車両優先システム(PTPS)と、道路側に設置された環境センサーで大気の汚染状況などを測定し、交通の流れを制御する交通公営低減システム(EPMS)がある。
 京都と川西両市はPTPSなどを導入する。
 このほか、車の総量を減らすためにマイカーを一定の場所に集めて、そこからバス輸送するパーク・アンド・ライドや、道路の中央分離帯上に設けられた高架専用軌道をバスが優先的に走るガイドウェイバスシステムもある。これらのシステムを合体させて、交通管制センターから機能的に渋滞などを緩和させて環境対策を図っていく。(朝日新聞)
■倒壊神戸阪急ビル 再建計画まとまる 2004年完成目指す
 阪急電鉄は24日、阪神大震災で倒壊した「神戸阪急ビル」を「三宮阪急ビル(仮称)」として再建する計画をまとめた。JR三ノ宮駅や阪急三宮駅周辺の高層ビルとしては、今春に再建された神戸国際会館に並ぶ最大規模の再建になる。2001年に着工し、2004年の完成を目指している。
 1936年に建設された阪急ビルは95年1月の震災で倒壊して解体され、同年12月から地上3階建ての暫定ビルで営業を再開していた。新しい阪急ビルは地上22階地下1階で鉄骨一部SRC建て。延べ床面積は旧ビルの約3倍にあたる約2万9000平方bになる。阪急三宮駅のコンコースや映画館、オフィスなどが入居する予定。
 阪急電鉄は「神戸・三宮のシンボルだった旧ビルのように、新しいシンボルとして親しまれる建物にしたい」と話している。(朝日新聞)
26日■KTRの98年度決算 営業収益5.4%減 創設以来9期連続の赤字 谷岡社長「集客アップに全力」
 京都府や沿線市町、兵庫県などが出資する第三セクターの北近畿タンゴ鉄道(KTR、本社・京都市)は25日、1998年度決算を発表した。運賃収入など営業収益は、景気低迷による旅客減少で前年度より5.4%減の15億1500万円となった。経常損失は18.3%減の4億8300万円となり、会社創設の90年度以降、9期連続で赤字決算となった。
 KTRは、宮津−福知山間(30.4`)、西舞鶴−豊岡間(83.6`)を路線にした鉄道。福知山−天橋立間の電化や新型車両タンゴ・ディスカバリー(10両)などの導入で、高速化を目指している。
 営業収入の大半を占める運賃収入は13億2800万円で、前年度に比べ5.4%減となった。地元など定期客は増えたものの、長引く不況で関西圏などからの観光客が減り、総輸送人数は0.5%減の 262万3000人となった。
 一方、人件費など営業費用は、9.1%減の20億1200万円。返済方法を定率から定額方式に切り替えたことなどで減価償却が49.8%減の1億9600万円と大きく減ったことが主な理由。
 この結果、営業外利益を差し引いた経常損失(赤字)は4億8300万円となるが、府や沿線市町でつくる経営対策基金や国の補助金による特別利益4億5400万円を充てることで、実質3600万円の赤字。前期繰り越しの赤字を含め累積赤字は3億8400万円となった。
 谷岡豊次社長は「地域に必要な公共交通機関。景気低迷で『安・近・短』の旅行に人気が集まり、丹後への観光客が減った。今後、集客アップに全力をあげたい」としている。
 28日の定時株主総会で決算が承認されるほか、役員人事では、常務に三野義雄前伊根町長、取締役として糸井弘志岩滝町長、増田桂一峰山町長の2人が選出される見通し。(京都新聞)
■現場指揮者ら2容疑者逮捕 JR死亡事故で警視庁
 東京都品川区のJR貨物線で2月、保守工事中の作業員5人が臨時回送列車にはねられ死亡した事故で、警視庁捜査一課は25日、現場の安全確認を怠ったとして、業務上過失致死容疑で、工事の現場指揮者だったJR下請け会社「京三電設工業」(本社東京)主任技師、井出晴男容疑者(45)と現場の見張り役だった警備会社の警備員、岩沢勝利容疑者(54)を逮捕した。
 また別の下請け会社「大和信号工事」(本社埼玉県春日部市)の社員で、死亡した作業責任者=当時(59)=についても、近く被疑者死亡のまま書類送検する。
 同課は井出容疑者らがJR作成のマニュアルに従って安全確認していれば、事故は防げたと判断。JRや「京三」側の責任は問わなかった。(京都新聞)
■タイムアングル 河原町通 道が広い感じ 建物が低く、人や車も少ないからか
 明治・大正の河原町通は、道幅がわずか4bほど。22bに拡張されて、市電が走るようになったのは、大正も末の15年(1926年)のことだった。
 写真は河原町四条の十字路を北へ見通したもの。道幅がずいぶん広く感じられるのは、両側が低い建物で、人や車が少なく、アーケードがないからだろう。
 市電の停留所に、コンクリートの細長い乗降所が設けられている。安全地帯と呼ばれていたが、市電の廃線とともに姿を消した。
 十字路の東北角の3階建てのビルは、このころは佐野ワイシャツ店で、建物は今も残っている。道路の角を削った所へ建てたので、三角形のビルになった。手前の西南角には、「そば餅」の看板が見える。この店は現在も盛業中だ。
 河原町通を北へたどっていくと、東側の瓦屋根の連なりのはてに、大きなビルが見える。これは三条上ルの朝日会館で、朝日新聞京都支局の開局50年を記念して、昭和10年に建てたもの。高さが34bあった。
 西北角の建物の屋上に「海鳴り街道」とあるのは、新京極の日活系映画館「帝国館」の宣伝看板。山中貞雄監督、大河内伝次郎主演で、「オールトーキー近日封切」とある。「海鳴り街道」は昭和11年の作品だから、この写真はその年に撮ったものと特定できる。(作家・駒 敏郎)(朝日新聞)
■JR東日本株 100万株2次放出へ 政府方針 来月予約受け付け
 政府は25日、日本鉄道建設公団が保有するJR東日本株式150万株のうち、100万株を7月に2次売却する方針を固めた。近く正式に売り出しを発表し、7月12日から購入予約の受け付けを開始する予定。株式市場の低迷から政府は昨年度中の二次売却を見送ったが最近は平均株価が1万7000円台を回復、相場が堅調なことから7月中の売却が可能と判断した。
 政府は主幹事の野村証券とモルガンスタンレー証券を中心に購入予約を受け付けた上で、売り出し価格を市場価格からどの程度ディスカウントするかなどの売却条件を26日ごろに決定。8月初めまでに払い込みと株券の交付を行い、売り出しを終了する予定。
 売却後は、残る東日本株50万株とJR西日本株(63万株)、JR東海株(88万株)の全株放出と、それに伴いJR法適用廃止問題が焦点となる。
 政府は国鉄改革の基本路線に従って「完全民営化」を実現したい考え。しかし、自民党の一部にはJRの公共性などを考慮し、代表権者の役員認可や事業計画の提出などを義務付けるJR法の適用廃止に慎重論も出ている。(京都新聞 夕刊)
27日■東京−大阪線を共同で運営 航空3社が検討 新幹線に対抗
 全日本空輸、日本航空、日本エアシステムの航空大手3社は26日、東京−大阪(伊丹)線を3社共同で運営する方向で検討を始めたことを明らかにした。ダイヤの組み替えや共通搭乗券の発券なども検討するとしており、利便性の向上で新幹線に対折する。運航面で3社が協力するのは初めてで、早ければ来年夏の実施を目指す。
 同路線では現在、各社とも5往復運航しているが、発着は朝と夕方以降に集中。日中は2時間も便の間隔が空くこともある。
 3社は、来春の羽田発着枠の拡大に合わせ、同路線を増便する予定。これに伴い、30分程度の間隔で3社いずれかの便が出発できるよう、ダイヤを組み替えたり、空港カウンターや搭乗口、共通券の一本化なども検討する。ただ、実務的な面で困難な点も多く、今後、各社の担当者間で調整する予定だ。(京都新聞)
■窓 旅して知る 乗客のマナー 実は京が親切 舞鶴市・陣在はるゑ(主婦・75)
 私は5月に信越、東北、関東、関西とJRで5日間の旅を楽しみました。障害者の私には少しきつい旅でしたが、これが最後の旅となるだろうと頑張って行ってきました。実は東北地方は人情豊かな人たちが多いのでは、と心の片隅に抱いていましたが、旅慣れぬ不安が的中してしまいました。
 JRのある駅から、案内どおりの電車に乗車しました。その電車は次の駅で終点でしたのでやむなく雨の降りしきる田舎の駅のホームで次の電車を待ちました。次の電車が来たのでやれやれと思ったのもつかの間、止まらず通過してしまいました。ただぼうぜんとその電車を見送り、とても口惜しく、もうちょっと親切な案内があればとつくづく思いました。また別の列車で通勤、通学の時間帯であったためか大勢の学生さんがわれ先にと乗り込み、次々と席をふさいでしまいました。私は背中にリュックを背負い、つえをついて電車に乗るのが精いっぱいでした。やっとつり革につかまり立ちっ放しでしたが、だれ一人として席を譲ってくれる人がいません。
 関西に帰り京都駅から地下鉄に乗りました。この時も通勤、通学の時間帯でした。私の姿を見るや学生さんが2、3人「どうぞお座りください」と言って、素早く席を空けてくださいました。また通勤の方でしたが「北山駅はここから5つ目ですよ」と、わざわざ地図を見に行き、教えてくださいました。(京都新聞)
■上越新幹線 トンネル停車4時間 故障、救援列車で350人救出
 26日午後零時5分ごろ、新潟県塩沢町の上越新幹線・浦佐−越後場沢間の石打トンネル内で、新潟発車京行き「MAXあさひ314号」(2階建て12両編成)が車両故障を起こし、約4時間にわたって立ち往生した。JR東日本は下り線に「救援列車」を出動させ、約350人の乗客を渡り板で乗り移らせて救出した。同社の調べでは、ブレーキやドアの開閉を制御するパイプから空気が漏れ出したのが原因という。このトラブルで、上越新幹線のダイヤの乱れは午後8時半ごろまで続き、上下14本が運休、約1万7000人に影響がでた。車内に閉じこめられた乗客からはJRの対応のまずさを指摘する声が相次いだ。
 同社によると、MAXは、車両の安全システムが空気圧の異常を感知したため、自動ブレーキが作動して、石打トンネルの出口から約400b手前で緊急停車した。この影響で、後続の「あさひ342号」(10両編成、乗客約80人)も同じトンネル内で止まったままとなった。
 342号は午後2時20分ごろ、いったん浦佐駅に引き返し、再び救援列車として出発。下り線を逆走しながら、トンネル内のMAXに横付けした。列車間(約2b)に渡した板を使って乗客の乗り換えが終わったのは、緊急停車から約4時間後の午後3時55分だった。
 1982年の東北・上越新幹線の開業以来、渡し板による乗客救出は2度目で、前回は今年5月5日。大宮−上野間で連結器のトラブルを起こし、約1400人が車内で約5時間半缶詰めとなった事故で、初めて使用した。わずか2ヵ月足らずで再使用された。
 車両故障を起こした列車の乗客は午後6時ごろ、定刻よりも約4時間半遅れで東京駅に到着した。
 新潟県西山町の会社員長嶋」さん(55)によると、停車の際は急ブレーキがかかったが、大きな衝撃はなかったという。「列車が動けないとの知らせがあるまでかなりの時間がかかって、予定の変更もままならなかった」と、JRの対応のまずさを批判した。
 新潟県立女子短大英文学科の岡村仁一助教授(40)は、都内で開かれた学会に間に合わなかった。「板を渡して列車を乗り換える際、『移動して下さい』とのアナウンスがあり、みんなが動いたら、今度は『まだ、しばらくかかるので席に戻ってほしい』。故障は仕方ないが、対応のマニュアルぐらい作っておいてほしい」と話した。
 下りも影響を受けた。最も遅れが大きかった東京発新鶴行き「あさひ321号」は、越後湯沢駅で約1時間10分足止めとなった。(朝日新聞)
28日■列車ダイヤ大混乱 府北部中心に
 27日午前中の大雨に伴い、近畿地方で鉄道の遅れが相次いだ。
 JR東海道新幹線は午前8時35分、京都市内の雨量計が規制値を超えたため、米原−新大阪間で上下線とも一時は運転を見合わせたが、午前9時11分に運転を再開、その後、速度規制も解除した。
 在来線でも、午前中に東海道線や湖西線、奈良線、山陰本線が降雨による徐行運転を行った。
 京都府北部でも27日未明から早朝にかけて大雨となり、JR山陰線や舞鶴自動車道など交通機関が乱れた。
 JR西日本福知山支社管内の山陰線では、京都行きの「たんば2号」など特急4本と普通4本、福知山線で特急2本と快速2本、普通2本、また舞鶴線も普通13本、播但線は普通2本が、それぞれ運休。さらに、特急29本、快速17本、普通67本が最大で約3時間40分遅れ、1万3200人の足に影響が出た。
 舞鶴自動車道は、兵庫県との境の福知山市大内から舞鶴東インター間が、また京都縦貫道の綾部ジャンクション−舞鶴大江インター間が、それぞれ午前6時から同9時まで、50`規制された。(京都新聞)
■京日記
 日本の蒸気機関車の代名詞であるD51形機関車を絵や写真、関連資料で振り返る「SLのエースD51形」展が27日、京都市下京区の梅小路蒸気機関車館で始まり、多くの鉄道ファンが訪れている。
 D51形の蒸気機関車は1936(昭和11)年に製造と運転が始まった。「デゴイチ」の愛称で親しまれ、日本のSL全体の5台に1台はD51が占めた。梅小路蒸気機関車館では、今も入館者向けに試運転を続けている。
 会場には、全国から集めた第1号車両のナンバープレートや走行記録、各地を走るSLの雄姿など約40点が展示され、来場者の郷愁を誘っていた。展示は9月26日まで。月曜日休み。有料。(京都新聞)
■新幹線の屋根破損 小倉−博多間 トンネル付近で停電
 27日午前9時20分すぎ、JR山陽新幹線小倉博多間の福岡トンネル(8.4`)付近で停電があり、新大阪発博多行き「ひかり351号」(12両編成、乗客250人)がトンネルを出た所で約1時間半、立ち往生した。トンネル内でも、博多発東京行き「のぞみ12号」(16両編成、乗客約260人)が約50分間停車した。「ひかり351号」は、後方の車両の屋根が大幅に破損し、3両のパンタグラフが壊れるなどしていた。乗客にけがはなかった。JR西日本は、福岡支社に対策本部を設置して事故の原因を調べている。
 同社が博多総合車両所(福岡県那珂川町)で「ひかり351号」を調べたところ、9号車の後方部分でアルミ製の屋根が幅約50a、長さ約10bにわたってめくれたり破れたりし、その後方の10−12号車でも数ヵ所で陥没するなどしていた。最後部の12号車のパンタグラフがほぼ全壊。8、10号車でも一部破損していた。
 福岡トンネル内では、架線の張りを調整する装置の一部が壊れていたという。
 同社は、8号車のパンタグラフに異常な衝撃がかかって破損し、後方の車両上部が異物と激しく接触して次々と破損が起こった可能性があるとみている。
 こうしたトラブルで、博多−小倉間の下り線は約4時間にわたって運転を見合わせ、上下4本が運休し、同区間などで10本が部分運休。62本に最大で約4時間の遅れが出て、計約1万6000人に影響した。(朝日新聞)
■山陽新幹線 ひかりの屋根 バリッ トンネルコンクリ片直撃
 27日午前9時24分ごろ、JR山陽新幹線小倉−博多間で架線が停電し、福岡県内の福岡トンネル付近で新大阪発博多行きひかり351号が緊急停車した。現場で屋根を点検したところ、9号車のアルミ製の屋根(厚さ1.6_)の一部が裂けてめくれ上がり、10、12号車のパンタグラフなどが破損しているのが見つかった。JR西日本によると、トンネル内のコンクリート製の壁の一部がはがれ落ち、列車を直撃したのが停電の原因とみられる。
 ひかり351号は現場に約1時間半停車した後、徐行運転で博多駅に着いた。
 JR西日本が28日までに調べた結果、同列車の屋根からコンクリート片が見つかり、福岡トンネル内のコンクリート壁が長さ約2bにわたってはげ落ちた跡が見つかった。トンネル内にもコンクリート片が数個落ちていた。同社は徐々にコンクリートの剥離(はくり)が進んで落下したとみて調査している。
 この事故で山陽新幹線上下14本が運休したほか、上下105本に最大3時間58分の遅れが出た。影響人員は約2万5000人。
・例ない大事故 JR支社長会見
 「今までに例のない大事故」「お客さまに大変ご迷惑をおかけしました」−。福岡トンネル内で27日に起きた新幹線屋根破損事故で28日午前、記者会見した別枝隆JR西日本福岡支社長は頭を下げた。
 事故原因について別枝支社長は、トンネル天井部分のコンクリートの一部(重さ約200`)がはがれて、ひかり351号に落下、パンタグラフなどが大破したと説明。
 報道機関に向けた事故の連絡が「停電発生について」という内容だったことについては「当初は事故の原因が分からなかった」とうつむきながら話し、「事故を隠そうとした意図はなかった」と強調した。(京都新聞 夕刊)
■新幹線屋根大破 コンクリート内壁 落下 JR西日本 原因調べ 昨年に続き また
 福岡県久山町の山陽新幹線小倉−博多間の福岡トンネル(全長約8.5`)を走行中の「ひかり351号」(12両編成)の車両の屋根やパンタグラフが大破した事故について、天井付近のトンネル内のコンクリート内壁の一部がはがれ落ち、車両の尾根などに直撃したため破損していたことが28日、JR西日本の調べで分かった。山陽新幹線では、昨年も新関門トンネル内でコンクリート内壁がはがれ落ちる事故が起きており、事態を重くみた同社は、ほかのトンネルでも点検を始めるとともに、落下の詳しい原因などを調べるとしている。
 調べでは、事故の原因は、福岡トンネル内の博多寄り出口約2`地点で、下り線横地上から高さ約5.5b付近にあるコンクリート内壁の一部(横2b、縦65a、奥行き40a)がはがれ落ち、大きく3つに割れ、その一部が通過中のひかり351号の車両の屋根の左側を直撃したとみられるという。
 内壁のはがれ落ちた跡には、内壁上部と下部に不連続面があったことから、はく離が生じ、徐々にはがれ落ちたと推定される。同社は、トンネル施工上の不良があった可能性もあるとみて調べている。
 事故は27日午前9時20分すぎ、福岡トンネルで停電が発生。新大阪発博多行きひかり351号が、トンネルを出た所で約1時間半立ち往生した。その後の調べで、351号は、9号車の中央部から後方にかけてアルミ製屋根(厚さ1.6_)の片側が長さ約10b、幅約1bにわたってめくれ上がり、その後ろの10−12号車の屋根も数ヵ所で陥没していた。さらに12号車のパンタグラフが支柱部分を残し、上半分がなくなっていたほか、10号車のパンタグラフも一部破損していた。
 福岡トンネルは1975年3月に完成。トンネル内の点検は、年末年始などを中心に年3回実施しており、今年も4月2日に点検したが、異常はみられなかったという。
 JR西日本では、昨年4月4日にも、山陽新幹線新下関−小倉間の新関門トンネル内でやはりコンクリート内壁の一部がはがれ落ち、水が噴き出して停電、乗客計約800人が3時間近く閉じこめられる事故が起きている。(朝日新聞 夕刊)
29日■新幹線屋根事故 トンネル総点検 運輸省、JR3社に指示
 JR山陽新幹線小倉−博多間の福岡トンネル(福岡県久山町)で27日、コンクリート製の内壁が落下、走行中のひかり351号の屋根を直撃した事故で、事態を重視した運輸省は28日、新幹線を運行するJR東日本、東海、西日本の3社に対し、7月末までに全国のトンネルを一斉点検するよう指示した。
 JR西日本に対しては、再発防止のための安全対策を早急にまとめるよう求めた。同省鉄道局によると、新幹線のトンネルはJR東日本が162ヵ所、JR東海が66ヵ所、JR西日本が147ヵ所の計375ヵ所ある。同様の内壁落下事故が起きないよう、ハンマーでたたく検査などをすべきだとしている。
 新幹線トンネルの点検は運輸省令で2年以内に1回実施することが定められている。今回事故が起きた福岡トンネルでは、昨年11月と今年4月に目視点検が行われていたという。(京都新聞)
■中心部に軽快電車を 交通問題で市民懇談会 京都市へ政策提言
 「京の公共交通を守り、交通問題を考える懇談会」(渡辺洋代表)は28日、京都市の交通政策に対する提言をまとめ、桝本頼兼京都市長あてに提出した。市中心部への軽快電車(低床式路面電車)の導入などを盛り込んでいる。
 同会は、地域で交通問題を考えるグループや障害者団体、労組、学識者など50の団体と個人が、一昨年3月に結成した。先進地の視察やシンポジウムの開催など1年余りにわたり、政策の検討を進めている。
 提言では、今後の東西線の延伸部分や阪急桂駅−洛西ニュータウンについて軽快電車を導入することで、建設費節減や環境や福祉面で利点があることを強調。一定時間内なら公共交通を何度でも乗り換えられるゾーン運賃制で公共交通に誘導することや、駐輪場の料金値下げなど自転車の活用に向けた環境整備などを示した。(京都新聞)
■「全建賞」事業に山科駅前再開発 全日本建設技術協
 官公庁の土木技術職員らでつくる全日本建設技術協会は28日、「ラクト山科」を整備した京都市の山科駅前地区第一種市街地再開発事業を、優れた建設事業を表彰する「全建賞」(都市部門)に選んだ。
 同事業は、駅前の約2.8fを再開発し、昨年10月に「ラクト山科」をまちびらきさせた。同賞の選考では、技術面での工夫や住民とともに進めた事業手法が高く評価された。30日、東京都内で表彰される。(京都新聞)
■親子でリニア試乗をどうぞ 8月、山梨実験線で
 JR東海と鉄道総合技術研究所は28日、山梨リニア実験線(山梨県都留市−大月市)で、時速552`の世界最速を記録した超電導磁気浮上式リニアモーターカーの親子試乗会を、8月に行うと発表した。
 試乗会は、小学生と保護者のペアが対象で、時速450`が体験できるという。これまで、関係者ら延べ約2900人が試乗しているが、一般の乗車は初めて。
 実施日は8月20日、23日、24日の3日間。東京駅発と名古屋駅発のバス日帰り二コースと、現地で集合、解散する1コースがある。募集人数は、東京発が150組300人、名古屋発が120組240人、現地集合が30組60人の計300組600人。応募者が多い場合は、事務局が第三者立ち会いで抽選するという。参加費は無料。
 申し込みは、官製はがきに@希望日とコースA参加者の住所・氏名・年齢・電話番号を記入し、郵便番号119-0377、東京中央郵便局 リニア親子試乗会R係まで。7月16日締め切り。当日の消印有効。当選者には7月下旬案内状を送付する。問い合わせはフリーダイヤル(0120)868272。(京都新聞)
■時刻表CD-ROM 改訂版を無料配布へ 京都市交通局
 京都市交通局は7月1日から、CD-ROM版の市バス・地下鉄時刻表を地下鉄各駅やバス営業所などで無料配布する。
 昨年暮れに続く第2弾で、今年3月のダイヤ改正の伴い製作した。今回は時刻表に加え、乗車料金案内やカード乗車券・定期券発売所などの案内も加え、内容を充実させた。自宅や職場のパソコンで発車時刻を調べることができ、利用者から好評だったため新たに改訂版を配布することにしたという。
 用意したCD-ROMは5000枚で前回より2000枚増やした。配布場所は、すべてのバス営業所・出張所、地下鉄駅、市バス・地下鉄案内所、定期券発売所の計48ヵ所。交通局のインターネットのホームページでも同様の情報提供を行っている。問い合わせは交通局自動車部営業課 075(822)9140(京都新聞)
■トンネル内壁落下 施工不良 指針違反か 山陽新幹線 塊の総量、200` 運輸省 全線点検を指示
 山陽新幹線小倉−博多間の福岡トンネル(福岡県久山町、全長約8.5`)内で、走行中の新大阪発博多行き「ひかり351号」(12両編成)にコンクリート塊が直撃した事故で、コンクリート塊が落ちた壁面は「コールドジョイント」と呼ばれる施工不良個所だったことが28日、JR西日本の調べで分かった。施工業者が、指針に違反して工事を進めた疑いが強いという。コールドジョイントはこれまで安全点検の項目に入っておらず、JR西日本は、脱線など重大事故につながりかねないとして、山陽新幹線の全トンネルで点検を始めた。運輸省も同日、すべての新幹線のトンネルを7月末までに点検するようJR東日本、東海、西日本の3社に文書で指示した。
 JR西日本の調べでは、はがれ落ちた跡の内壁の上部と下部には、コンクリートが一体化していないことを示す不連続面があった。コールドジョイントと呼ばれる、強度が落ちる現象で、付近にはコンクリートの材料が均一に混じっていないことなどから生じるすきまなどがあり、劣化が進んでいたという。落下したコンクリート塊は最大で約100`、計約200`もあった。
 旧国鉄がつくった施工指針「土木工事標準示方書」には、「一区画内のコンクリートは、打ち込みが完了するまで連続して打ち込むこと」と明示されており、通常、コンクリートが乾ききらないうちに均一に次のコンクリートを流し込み、一体化させるのが原則だ。先に流したコンクリートが乾いて固まってしまうと、後から流した個所との間に不連続面ができて、壁面の強度が落ちる。
 同トンネルは旧国鉄下関工事局が発注し、「鉄建建設」(本社・東京都)が工事を担当して1975年3月に完成した。JR西日本は、旧国鉄の指針に違反して工事が行われた疑いが強いとみて、同社から事情を聴く方針だ。
 JR西日本が事故が起きた27日夜に同トンネルを調査した結果、コールドジョイントはほかに15ヵ所見つかっている。同社によると、コールドジョイントは内壁の色が微妙に異なるため、目視で発見できるが、これまではコールドジョイントによる亀裂などの被害もなかったため、点検項目には入れないままになっていたという。
・点検・補強の徹底を
 「コンクリートが危ない」(岩波新書)などの著書がある小林一輔・千葉工業大教授(コンクリート工学)の話 福岡トンネルだけでコールドジョイントが10ヵ所以上あるということは、相当お粗末な工事だったのだろう。小倉−博多間は施工当時、「地盤が悪くて怖い」とささやかれていた場所だ。コンクリートに偏った圧力がかかっていたために落下した可能性もある。また、山陽新幹線のコンクリートには川砂でなく海砂が使われている。海砂には水を多めに加えるため、強度が弱い。これも事故の一因かもしれない。山陽新幹線の全トンネルについて、しはらく列車の運行を止め、徹底した点検と補強をする必要がある。(朝日新聞)
■揺らぐ「安全神話」 新幹線トンネル内壁落下 「予想外」JR衝撃 「点検不十分」指摘の声も
 山陽新幹線の福岡トンネル内で27日に起きた事故は、JRにとって点検項目にも入っていない、想定外の施工不良で生まれた「コールドジョイント」が原因だった。だが、コンクリート工学の専門家は「トンネルにはコールドジョイントができやすく、劣化しやすいことも知られている」と指摘する。コンクリート壁の継ぎ目部分にたまった漏水でトンネル内壁のコンクリート片がはく落した昨年の新関門トンネルに続く事故に、記者会見したJR西日本の幹部もショックを隠せなかった。新幹線の「安全神話」がまた揺らいだ。
●想定外
 28日午前、会見したJR西日本の工藤一能・安全対策室長は「コンクリート片が線路上に落ちても、車両の先頭部に排障器があるので脱線はなかっただろう。しかし、運転席を直撃したら重大事故になっていた可能性がある。事態を深刻に受け止めている」と語った。事故の原因は、最初に打ち込んだコンクリートと後から打ち込んだコンクリートの時間差によって壁面に不均質な部分が生じ、そこが時速200`以上で通り過ぎる列車の振動や風圧などで劣化したらしい。
 コンクリート工学が専門の岡田清・京大名誉教授によると、トンネルの工事では、一度にコンクリートを流せないため、とくに天井付近にはコールドジョイントができやすい。「専門家の間では、この周りでは空洞ができやすく、振動などのちょつとした外圧で劣化部分が落ちやすいことは知られており、きちんと点検すべきだった」と指摘する。岡田教授はさらに「山陽新幹線が工事を進めていた時代は、突貫工事も多かった。ち密に調べたら、もっとたくさんのコールドジョイントが見つかるはず。コンクリートの材料の問題よりも施工に問題があるのだろう。日常的なメンテナンスをしっかりやるべきだ」と話した。
●点検せず
 山陽新幹線の142あるトンネルの点検は現在、JR西日本が2年に1回の全般検査のほか、年末年始などに年3回実施している。昨年に起きた新関門トンネルでのコンクリート片の落下事故後、原因とみられたコンクリート内壁の継ぎ目部分を中心に、劣化の有無の点検を続けてきた。
 しかし、今回の落下原因とみられるコールドジョイントについては、点検項目には入っていなかった。なぜ、点検の対象でなかったのか。同社は、コールドジョイントそのものが施工不良でしかできず、きちんと工事が行われていればありえない現象だと指摘し、これまでにコールドジョイント部分で亀裂などの被害も起きたことがなかったと説明する。
 想像さえつかなかったコンクリートの落下の原因に対して、JR西日本は新しい対策を迫られた。まず、今後1ヵ月以内に山陽新幹線の全トンネル142ヵ所を総点検し、コールドジョイント周辺を中心にコンクリートの劣化状況を確認するとともに、コールドジョイントの場所や大きさなどの台帳をつくって全体状況を把握するとしている。
・のぞみ型なら重大事故も
●旧型車両
 問題とされる「コールドジョイント」について、JR東日本、東海とも「亀裂やはく離がない段階では、積極的に見つけることを目的とした点検はしていない」としている。
 東北・上越など東日本管内の新幹線(山形、秋田を含む)には209ヵ所、東海道新幹線には66ヵ所のトンネルがある。いずれも今回のような大きなはく落事故は過去に例がないという。JR東海の担当者は「盛り土や高架橋など鉄道の土木建造物の中で、トンネルは最も丈夫なもの。新幹線のトンネルは在来線より新しく、はく落が起きること自体が極めて異例だ」と話す。
 開業から35年を迎える東海道新幹線の耐久性について、学識者らでつくる「土木構造物調査委員会」は1996年、「約20年間は、大規模な設備の取り換えは必要ない」と結論づけている。JR東海の葛西敬之社長は28日、「何かが起きたから、何かをしてみせるという点検には意味がない。効果のある点検なら、考え得る最善の対策を実施している」と話した。
 一方で、今回の事故について「損傷した車両が0系だったことが幸いした」との声もある。新幹線車両の中で最も古い0系は客室の天井裏に空調設備を設けているが、「のぞみ」などで使用している300、500、700系と呼ばれる新型車両は、その設備をいずれも床下に移してある。今回の事故が万一、新型車両だった場合、緩衝物がない分、客室内に影響を及ぼした可能性があった、と指摘する関係者は多い。(朝日新聞)
■183本の臨時特急 夏季にタンゴ鉄道
 北近畿タンゴ鉄道(KTR)は、7月1日から9月30日までの夏季輸送期間に、京都、新大阪から合わせて183本の臨時特急列車を運転する。
 週末の海水浴や盆の帰省期間を中心に編成しており、特に7月17日から8月16日までは海水浴場が近い丹後由良や木津温泉駅などに特急列車を臨時停車させる。
 京都からは網野行きの「タンゴ・エクスプローラー81号」、帰りは豊岡発の「同82号」と天橋立発の「はしだて80号」を運転。8月13−15日は天橋立行き「はしだて81号」、同15日−17日は天橋立発で「同82号」を運転する。新大阪からは久美浜行きの「タンゴ・ディスカバリー81号」、久美浜発の「同82号」を運転する。
 また、企画列車3本を計画。宮津市の夏のイベント「炎の架け橋」の7月20日に豊岡往復、「文殊出船祭り」の同24日に福知山往復の列車を運転するほか、8月1日には西舞鶴から網野往復のいさり火鑑賞列車を走らせ、いずれもカラオケを用意して持ち込んだ納涼ビールを楽しんでもらう。(朝日新聞)
■きのくに 木が響く列車 展望車に音響彫刻 熊野の古木で「シーサイド」
 和歌山県のJR紀勢線串本−新宮間を走る「きのくにシーサイド」の展望車に、熊野の森の古木で作った音の出る彫刻が飾られている。円すいの上部を切り取ったような形をしており、作品名は「熊野の響き」。スペイン・バルセロナと南紀を行き来しながら、音の出る彫刻を作り続けている増田感さん(49)=和歌山県上富田町=の作品で、「音は熊野の木による乗客への語らい」という。
 「熊野の響き」は下部の直径が約1b、上部で約60a。周囲に6つの突起物をつけ、これを押すと「コン」「カン」「ボン」という音がする。レールの響きも増幅されたように聞こえる。
 材料のヒノキは、紀伊半島の大台ケ原産で樹齢約300年。「古木はそれ自体が芸術品。造形を加えても、自然の芸術性には勝てないから、素材そのものを生かすよう考えて作った」という。「きのくにシーサイド」は、4月末に運転が始まり、現在開かれている南紀熊野体験博が終わる9月19日まで運行される4両編成のディーゼル列車。うち1両が窓や天井がガラス張りの展望車で、「熊野の響き」はその中に置かれている。(朝日新聞 夕刊)
30日■北陸新幹線 米原ルート 「新大阪直通は困難」 JR東海社長会見 米原止まりを示唆
 JR東海の葛西敬之社長は29日の記者会見で、整備新幹線の北陸新幹線・米原ルート案に対し「(東海道新幹線米原−新大阪への乗り入れは)難しいのではないか」と述べ、フル規格で米原ルートの整備が進んだ場合は北陸新幹線が新大阪まで直通運転にならず、米原止まりになる可能性を示唆した。
 JR西日本も米原ルート案が採用された場合は「米原止まりにならざるを得ないだろう」との見解を示している。
 葛西社長は「あまり具体的な内容について関知していない」とした上で「(フル規格で建設する場合)米原の方に結ぶと工事費が安くなるようなので、一つの案だと思う」と話した。
 JR東海は現在、東海道新幹線で1時間に11本を運行。さらに2003年には「新幹線品川駅」(仮称)の開業に伴い最大15本の運行を目指しており、同社は「ダイヤ編成などを考えると北陸新幹線の乗り入れは不可能」と説明している。
 自民、自由両党の協議会は北陸新幹線について地元調整問題があり「課題があることは否定できない」としており、運輸省も北陸新幹線敦賀−大阪は駅、ルートとも未公表としている。(京都新聞)
■山陽新幹線トンネル事故 「施工不良個所」見逃す 問われる検査態勢
 重さ約200`のコンクリートの塊が落ち、ひかりの屋根が大破した山陽新幹線トンネル内壁崩落。一歩間違えば乗客を巻き込みかねない事故の直接の原因は、約25年前に行われた工事の施工不良の可能性が高まっている。定期点検で不良個所を見逃してきたJR西日本の検査態勢の在り方が問われそうだ。
・内壁が振動で崩落
 事故が発生したのは27日朝。福岡県の福岡トンネル(約8.5`)を通過した下りのひかり351号が緊急停止した。JR西日本が調べたところ、車体の厚さ約1.6_の屋根が約12bにわたり、はぎ取られたようにめくれ上がっており、トンネル内壁のコンクリートが長さ約2b、幅約65aにわたってはがれ落ちていた。
 同社は崩落の原因として、トンネルに「コールドジョイント」と呼ばれる不良個所があったため、列車の振動などで次第に劣化、はがれ落ちたとみる。施工の際、コンクリートの固まり方が均一でなく一体化していない状態で、工事を中断した場合などに起きるという。
 旧国鉄時代を踏襲している現在の施工基準では「コンクリートは1区間内が完了するまで連続して打ち込むこと」とされており、JR西日本は「この基準に違反していた」と話す。
 山陽新幹線では、昨年4月にも新関門トンネル内で、たまった海水の圧力でコンクリートが崩落して停電、列車が約2時間半トンネル内に立ち往生するトラブルが発生した。
検査項目になし
 同社はこの事故後毒に亀裂の有無などを調べる緊急点検をした。だが、コールドジョイントについては「問題になるとは思わず、検査項目になかった」。
 トンネル検査は超音波なども使い精密に行う車両の検査などとは異なりハンマーでたたいてすき間の有無を調べる打音と目視という原始的な方法が一般的。同社は2年に一度大掛かりな点検を実施してきた。
 コールドジョイントを目視点検で発見するのは難しいとされているが、ある関係者は「昨年のトラブルの際、入念に点検していれば…」と残念がる。
 松下博通・九州大教授(コンクリート工学)は「事故防止のためには重点的に点検するしか方法はない。費用をかけていいのであれば光ファイバーを通して監視することも可能だ。しかし、トンネル全体という規模ではハンマーでたたくのが一番早いし、大切」と、日常の点検の重要性を強調。
 二羽淳一郎・東工大教授(コンクリート構造学)も「コールドジョイントはあってはならないルール違反」と指摘している。(京都新聞)
■運輸事故の再発防ごう 22日にシンポ、参加者募集 信楽高原鉄道事故 遺族らの安全会議
 信楽高原鉄道事故の遺族や学識者らでつくる「鉄道安全推進会議」(臼井和男会長、事務局・京都市右京区)は7月22日に東京都千代田区の弁護士会館で開く「事故調査制度に関する国際比較シンポジウム」の参加者を募っている。
 運輸事故の再発防止のために事故調査制度や情報公開、司法捜査と事故調査の関係、被害者や遺族支援のあり方などについて考えるのが狙い。
 シンポジウムでは、まず国際運輸安全連合のピーター・ファン・フォレンホーフェン議長(オランダ)が「運輸事故の再発防止のために、事故調査はいかにあるべきか」と題して基調講演する。
 続いて、米国国家運輸安全委員会のジェイミー・フィンチ渉外広報・家族支援局長が「米国の事故調査と遺族ケア」、カナダ運輸安全委員会のケン・ジョンソン事務総長が「カナダの事故調査制度と教訓」、鉄道安全推進会議副会長の安部誠治関西大教授が「日本の運輸事故調査制度の現状と問題点」を報告する。
 午後からは、ノンフィクション作家の柳田邦男氏が参加してパネルディスカッションを行い、黒田勲・日本ヒューマンフアクター研究所長が論議のまとめをする。
 参加費は5000円(資料や昼食代含む)。申し込みは7月10日までに国際シンポジウム事務局の佐藤健宗法律事務所 078(918)4188へ。(京都新聞)
■社説 トンネルの壁が落ちるなんて
 JR山陽新幹線でトンネル内壁のコンクリートがはがれ落ち、時速220`で走行中の列車を直撃するという、とんでもない事故が発生した。まかり間違えば大惨事になりかねない事故である。
 JR西日本は事故を重く受け止め、原因の究明を急ぐとともに、万全の防止策を講じることだ。
 事故があったのは小倉−博多間の福岡トンネル(福岡県久山町)内で、はがれ落ちたコンクリートの塊が新大阪発博多行き「ひかり」の屋根を直撃した。車両のアルミ製の屋根が約12bにわたって裂けてめくれ上がり、パンタグラフなどが大破した。
 JR西日本の調べでは、コンクリート壁が長さ約2b、幅約65aはがれていた。落ちたコンクリート塊は重さにして約200`という。
 幸いけが人はなかったが、もしコンクリート塊が屋根を突き破っていたら、もし運転席を直撃していたら…と思うとゾッとする。二度とあってはならない事故である。
 詳しい原因は今後の調査にまたねばならないが、これまでの調べでは、剥(はく)落したのは、コールドジョイントと呼ばれる施工不良の個所のようだ。
 一区画内のコンクリートを打ち込む際は、時間を置かずに連続して打ち込むことが必要とされ、これを怠ると、コンクリートの接合が不十分な「コールドジョイント」状能になるとされる。
 旧国鉄時代を含めJRの施工基準では、コールドジョイントはあってはならないことになっている。
 この福岡トンネルだけで、ほかにも15ヵ所のコールドジョイントが見つかったというから、たまたま起きた作業手順のミスとは考えにくい。これらコールドジョイント部分で、同様の剥落が起きないかどうか、しっかりした点検と調査を行う必要がある。
 もちろん他のトンネルでも、施工不良個所がないとも限らない。
 運輸省も今度の事故を重視し、新幹線を運行するJR東日本、東海、西日本3社に対して、すべてのトンネルの一斉点検を実施するよう指示した。当然の措置である。JR各社はこれを機に、トンネルの総点検をすることだ。
 今回の事故では、JR側の発表にも問題があった。当初、停電発生、パンタグラフの故障などと説明、その後「架線の金具の破損」は明らかにしたが、トンネル内のコンクリート塊の落下や車両の破損などについては公表しなかった。
 事故隠しの意図の有無はともかく、事故情報の公表・公開の遅れや制限は、結果としてJRに対する利用者の信頼を損ねることになる。反省してほしい。
 新幹線は国民にとって無くてはならぬ乗り物である。開業以来積み重ねてきた安全実績も高く評価されていい。それが新幹線の安全神話を生みもした。
 しかしトンネルのコンクリートの壁が大きな塊となってはがれ落ちるという事故は、安全神話を脅かすに十分なほど不気味である。JR関係者の安全確保に対する奮起を促したい。(京都新聞)
■世紀の面影 東山トンネルの開通 1921年 東山(京都市東山区今熊野−山科区北花山) 時間短縮、街は一変
 京都の市街地と山科を最短距離で結ぶ、およそ2`のJRのトンネルの完成は、京滋を結ぶ新逢坂山トンネルと並んで、その後の日本のトンネル掘削技術の先駆けとなった、ともいわれる。黒ずんだれんが積みの古びた2本のトンネルは今も現役として健在。新たに建設された2本のトンネルを含め1日約520本の列車が行き来している。
 1880(明治13)年に開通した京都−大津間の鉄道は当初、大きく南に迂(う)回するコースをとっていた。京都駅から現在の奈良線を南へ、稲荷駅付近から東に向かい、現在の名神高速道路のルートで大津に向かっていた。トンネル掘削技術が未熟だった当時、掘削部分を最小限に抑えたルートを選んだためだ。
 しかし、このルートは傾斜がきつく、旧国鉄発刊の「日本国有鉄道百年史」によると、京都−大津間の最大勾(こう)配は1000分の25となっている。鉄道に詳しい山科区の佐竹保雄さん(67)は「蒸気機関車だとかなりしんどい勾配だったのではないか」と分析する。そのためか、大きくう回していて傾斜も急なルートはその後見直され、東山と新逢坂山の両トンネルの建設が進められることとなった。
 1921年8月2日付の京都日出新聞は「勾配が低いので乗り心地が頗(すこぶ)るよい」と伝えている。所要時間も短縮され、上り列車は30分から22分に、下りは26分から16分に短縮された。それまでは、貨物列車の牽引に、1日当たり21両の機関車が必要だったのが、わずか8両で済むようになった。
 新路線の開通で京津電鉄と接点を持つようになり、開通した21年から5年間で、山科の人口は50%増の1万5000人に急増した。現在の山科区の人口は約13万7600人。東山トンネルの掘削が、街の様相を大きく変えるきっかけとなった。(京都新聞)
■神戸電鉄は全線で運休
 神戸市西区押部谷町の神戸電鉄藍那−木津間では29日午後5時20分ごろ、新開地発志染行きの下り普通電車(5両編成)が走行中、線路わきののり面が突然崩れ、最後部車両の車輪が線路内に流出した土砂をかぶったため、電車は運転不能となった。乗客約百人は、約 400b離れた最寄りの木津駅まで歩いて避難した。同市北区山田町の箕谷−谷上間では線路の築堤が崩れて危険な状態になり、同電線は同日夕方から全線で運休した。
 大阪府柏原市と藤井寺市を結ぶ近鉄道明寺線(柏原−道明寺間、2.2`)では、両市の間を流れる大和川にかかる大和川橋りょう(全長約200b)の橋脚の根元がえぐれるなどの被害が出たたや補修のために当面の間の運休が決まった。乗客は代行バスで輸送さわる。
 山陽新幹線は29日午前8時すぎから、小倉−博多間、三原−広島間などで断続的に上下線の運転の見合わせと徐行運転を繰り返した。このため、計32本が運休、計82本が最大約3時間遅れるなど乗客計3万5000人の足が乱れた。東京と長崎、佐世保とを結ぶ寝台特急「さくら」も上下線とも運休となった。
 空の便では、関西空港と高松とを結ぶエアーニッポンの往復計2便が高松空港での雨による視界不良のため欠航した。(朝日新聞)
■九州運輸局がJRに警告書
 山陽新幹線小倉−博多間の福岡トンネル(福岡県久山町)内を走行中の新大阪発博多行き「ひかり351号」(12両編成)に内壁からはがれ落ちたコンクリート塊が直撃した事故で、運輸省九州運輸局(福岡市)は29日、JR西日本に対し、原因究明と再発防止などを求める警告書を出した。(朝日新聞)