1999(平成11)年 3月


1日■いざ早春の保津峡へ トロッコ列車出発(京都)
  ■JR車両故障 運休相次ぐ 関西線と阪和線(朝日)
  ■ボンネットバス快走中(京都)
2日■市バスにはねられ死亡 横断中の老人 運転手から聴取 事故今年4件目(京都)
  ■東京・品川 JR線5作業員死亡 工事元請け社長が辞任(朝日)
  ■風は冷たく震えながら 園児ら渓谷美を楽しむ 嵯峨野のトロッコ列車 運行を再開(朝日)
  ■京都市バスにはねられ死亡 左京で74歳の女性(朝日)
3日■モノわかりのいい話 「のぞみ」増発は 改定のたびに減るひかり JR「お客様のお望み」(朝日)
  ■中小私鉄、26日ストも(朝日)
  ■信号故障で15本運休 JR加古川駅(朝日)
  ■「琵琶湖環状線」実現へ 全線直流化し直通 2003年目標 来月からPR JR西日本・滋賀県計画(朝日)
4日■市バス降りた直後男性はねられけが 左京、オートバイに(京都)
  ■赤字の京都市バス 実質的な人件費 運賃収入上回る 3年続き、年々悪化 議会提出資料では不明確 議員の質問で判明(朝日)
5日■京阪交通社 旅行業務を子会社に 9億円増資 京阪電鉄が再建策(京都)
6日■車乗らずバス利用を 京都交通「環境定期券」導入へ 来月3日から実施 週末、祝日、半額に(京都)
  ■神戸でもJR偽造切符 大阪の偽造切符と酷似(朝日)
  ■JR偽造往復券 4組払い戻す 山陽線2駅で計6万円(京都)
7日■地下鉄東西線西進 2000年度に調査費 政府予算案で 野中氏見通し(京都)
  ■コミュニティー 仲間とともに 路面電車を考える会 東西線のあり方議論(朝日)
8日■電車と衝突 車の夫婦死亡 桜井の近鉄線(京都)
  ■新型のぞみの試乗会(朝日)
  ■新幹線乗り遅れた男性 乗務員窓から乗車 新大阪駅(京都)
  ■駆け込み乗車で遅れ 京都駅発車「のぞみ」(朝日)
9日■野中氏の発言 全力で生かす 地下鉄西伸で管理者(京都)
  ■JR垂水駅 助役、無許可店から現金 駅前の屋台から2月に論旨免職 5年で計120万円(朝日)
  ■香港向け鉄道車両 250両受注(朝日)
  ■放置自転車に普通電車接触 奈良・JR和歌山線(朝日)
10日■窓 バリアフリーの街づくり(京都)
  ■最高時速240` 米版”新幹線” アムトラック 北東部に導入へ(京都)
  ■路線バスと車が正面衝突 奈良で5人けが(朝日)
11日■市バス乗客7人けが 左京で接触事故(京都)
  ■東海道新幹線一時不通に 地震検知誤作動で停電(京都)
  ■駅に「マイロッカー」どない? 賃貸1〜6ヵ月 主要11駅で来月から 京阪電鉄(京都)
  ■京都市 国に調査費要求へ 地下鉄東西線の二条駅以西延伸で(朝日)
12日■車いす男性を侮辱 JRは慰謝料払え 大阪地裁判決(京都)
  ■線路の一部陥没 兵庫のJR山陰線(京都)
  ■京阪バス 子会社へ2路線営業譲渡 近畿運輸局から認可(京都)
  ■車いす介添えに駅職員が暴言 JRに10万円賠償命令 エレベーター無設置で 遺憾確認は却下 大阪地裁判決(朝日)
  ■JRのレールずれ徐行運転 茨木−摂津富田間(朝日)
  ■無人駅 再生すれば地域の顔 住民「活性化に期待」 訪問看護の拠点・ダイバーの更衣室・展示、図書館にも(朝日)
13日■運行を”新装”(京都)
  ■水路継ぎ目ずれ原因 兵庫のJR山陰線陥没(京都)
  ■春うらら 北びわこグルッと観光 SLや巡回バス レンタサイクルも JR西日本 GWに企画(京都)
  ■通学電車を減らす 叡山電鉄 27日から 地下鉄の延長響く(朝日)
  ■”カモノハシ新幹線”出発進行 700系のぞみ 京でもファン歓声(京都)
  ■JR西日本 563億円収益源に 来年度の事業計画 設備投資も緊縮型(朝日)
  ■JR7社がともに減収 新年度見込み(朝日)
  ■2000年春の採用 JR貨物中止(朝日)
  ■カモノハシ君出発 700系のぞみが営業開始(朝日)
14日■電車 空からやってきた 広島電鉄 独から購入 世界最大級機で旅(京都)
  ■舞い降りた路面電車 超低床型ドイツから広島へ(朝日)
  ■窓(日本経済)
15日■架線に釣り糸 3700人に影響 JR奈良線・山城青谷駅(京都)
16日■大阪から淀へノンストップ 京阪が快速新設(京都)
  ■山陰線信号機が故障 上下12本部分運休(京都)
  ■新幹線走る 夢と課題のせ…開業から35年 ハイテク駆使して利点どうアピール(京都)
  ■環状線で男性 飛び込み即死 桜ノ宮駅、12本運休(朝日)
17日■京滋揺れ 帰宅「足止め」 彦根震度4 亀岡震度3 JRがか大泊詔(京都)
  ■運転士が不在 特急1本運休 新大阪−京都(京都)
  ■2000年問題 対策を開示 JR西日本方針(朝日)
  ■旧国鉄債務追加負担 訴訟検討を改めて表明(朝日)
  ■脱線、死傷者100人越す 米国 夜行列車、一部は炎上(朝日)
  ■滋賀で震度4 JR止まる 代替バス不足し混乱(朝日)
  ■吹田の学生 安否が不明 米列車事故、死者14人(京都)
  ■死者14人に シカゴ列車事故(朝日)
18日■JR京都駅前地下街に花壇(朝日)
19日■国鉄改革法の承認決定 国労 不採用問題の打開へ(京都)
  ■大手私鉄賃上げ交渉 12社、最低水準の回答 4950−5600円 京阪など持ち越し(京都)
  ■JR西は事実上妥結 賃上げ率2.19%(京都)
  ■「スルッとKANSAI」導入記念 京阪が乗車券 セット発売へ(京都)
  ■さわったおしりは婦人警官 京阪電車内で痴漢行為 容疑の男を逮捕(京都)
  ■私鉄賃上げ交渉 関西大手3社 5600円を回答(朝日)
  ■過去最低のベア1000円に JR西日本(朝日)
20日■近鉄社長に辻井氏 田代氏は財界活動に専念(朝日)
  ■タイムアングル トロリーバス 排ガスは出ないし 電車のように騒音もない(朝日)
  ■「あの日、忘れない」 サリン事件から4年 地下鉄6駅で黙とう(京都)
  ■強風で徐行運転 JR湖西線(京都)
  ■JRバスなど5台追突 大津の名神 運転手ら6人がけが(京都)
  ■洛中洛外(京都)
  ■日本人学生 死亡を確認 列車事故、死者は11人 シカゴ(朝日)
  ■高速バスなど 5台が玉突き 名神、乗客ら8人けが(朝日)
  ■六甲に新車両2種穎(朝日)
  ■サリン犠牲者へ献花(朝日)
21日■近鉄新社長に辻井氏 昇格内定 田代社長は会長に(京都)
  ■「オウムを許せない」 地下鉄サリン事件から4年 2500人になお後遺症 被害者の会(京都)
  ■青鉛筆(朝日)
22日■新幹線最後の試験車 300X 年内引退 開発が一段落 成果「700系」に継ぎ(京都)
  ■児童文学の中の挑戦(39) 韓 丘庸 単純なノスタルジアでない市電復活の声(京都)
23日■雪・強風、連休を直撃 事故や遭難相次ぐ(朝日)
24日■小浜線電化の方針 JR西日本 東舞鶴−敦賀間84`(京都)
  ■近畿運輸局 「環境定期券」を認可 京都バスなど10事業所 来月3日から実施(京都)
  ■運賃半額に 大津の路線バス3社(京都)
  ■休日のバス料金割引 「環境定期券」を認可(朝日)
25日■宇治市は19億円負担 地下鉄東西線の六地蔵延伸 市会で表明(京都)
  ■窓 ゴトゴト走る鉄路との別れ 宇治市・松田 憲生(会社員・28)(京都)
  ■窓 地震への対応 JRに大不満 能登川町・吉田 猛雄(自営業・66)(京都)
  ■車掌倒れて電車が運休 2万人に影響 JR神戸駅(朝日)
26日■春闘交渉で3社妥結 府内の中小私鉄・バス(京都)
  ■信楽高原鉄道事故 29日に賠償阻止用判決 JR西日本の責任、焦点 遺族「原因解明」を(朝日)
  ■京福、スト突入 京都バスは妥結(京都)
27日■京福スト、終発まで きょうは正常運行(京都)
  ■タイムアングル 鴨川初渡り 貴賓車を先頭に市電の列がしずしずと渡った(朝日)
  ■航跡 新世紀へ 1964年、「青いひかり」新幹線走る 希望運んだ大動脈(朝日)
  ■男性、JRの踏切で 特急にはねられ死亡 綾部(京都)
  ■信楽鉄道 低金利で資金運用誤算 損害賠償訴訟29日に判決 重い補償金負担、「町民の足」瀬戸際に(朝日)
  ■特急にはねられバイクの男性死亡 綾部のJR踏切(朝日)
28日■JRの責任 どう判断 信楽鉄道事故 損賠訴訟あす判決 大阪地裁(京都)
  ■事故からほぼ8年… 3者の主張激しく対立 間接的原因踏み込むか 信楽高原鉄道事故 民事訴訟(京都)
29日■遮断機下り、そこへ電車 車いす80歳死亡 西宮(京都)
  ■旧国鉄時トンネル再利用へ 焼酎の貯蔵庫に 宮崎(京都)
  ■踏切抜ける直前、遮断機 車いす女性はねられ即死 兵庫・西宮(朝日)
  ■JR西日本にも命令 信楽鉄道事故訴訟 「安全講じる立場」責任認定 高原鉄道と共同で 遺族に計5億円(京都)
  ■信楽鉄道事故損倍訴訟判決要旨(京都)
  ■「父さん、よかった」 信楽鉄道事故訴訟 JRに賠償命令 原告団安どの表情 再発防止へ願い新たに(京都)
  ■「家内を安心して眠らせたい」 裁判を闘って悲しみいやす(京都)
  ■JR西にも賠償責任 信楽高原鉄道事故訴訟で両社に5億円命令 大阪地裁(朝日)
  ■なお続く「人為ミス」 安全対策進むが 教訓生かされず(朝日)
  ■真相追い8年 遺族に涙 信楽事故判決 死 無駄にならなかった 心の中 亡き妻に報告(朝日)
30日■「JR西日本は謝罪を」 やっと”真の供養” 事故の再発防止に意欲(京都)
  ■社説 JR西日本の責任認めた判決(京都)
  ■JR西日本 判決批判、控訴へ 信楽鉄道事故賠償訴訟敗訴 「法令超える要求」(朝日)
  ■京福がスト中止(京都)
31日■JRに謝罪求める 信楽事故原告団(京都)



1日■いざ早春の保津峡へ トロッコ列車出発
 保津峡にひと足早い春の訪れを告げる嵯峨野トロッコ鉄道の運行が1日、再開した。さっそく観光客や地元の住民が乗り込み、早春の渓谷の風景を楽しんだ。
 出発に先立ち、午前9時から京都市右京区のトロッコ嵯峨駅で、式典が行われた。地元の園児、岡部浩貴くん(6つ)たち5人がくす玉を割り、嵯峨野観光鉄道の女性社員が、始発列車「嵯峨野1号」の運転士と車掌に花束を贈った。
 式典後、3月の訪れとともに嵯峨野や嵐山を訪れた観光客のほか、駅前にある嵯峨商店街の人たちや嵯峨幼稚園の園児計200人が乗り込み、一番列車は午前9時26分に汽笛を響かせて出発した。乗客は眼下に広がる保津川の渓谷に見入っていた。
 トロッコ列車は、トロッコ嵯峨駅−トロッコ亀岡駅間(7.3`)を1日8往復する。毎年、12月末から2月末はオフシーズンとして運休している。(京都新聞 夕刊)
■JR車両故障 運休相次ぐ 関西線と阪和線
 28日午後8時5分ごろ、JR関西線の奈良−天王寺間で、奈良発大阪環状線経由天王寺行きの快速電車が、速度が90`以上に上がらない故障を起こし、京橋−天王寺間の運転をとりやめた。同列車を含め、京橋−天王寺間で外回り内回り計2本が運休した。
 また、同日午後8時12分ごろ、大阪府泉佐野市日根野のJR日根野駅で、同駅発天王寺行きの阪和線普通電車の空気圧が不十分だったため、同列車を含む上下計2本が運休した。
 JR西日本によると、2件の車両故障で計約1200人に影響した。(朝日新聞)
■ボンネットバス快走中
 彦根城や湖東三山など観光名所の9ヵ所を巡回するボンネットバスの運行が始まった。3月中、毎日曜日に運行される。
 湖東地区の観光協会などでつくる「びわこ湖東路観光協議会」が、昨年の「彦根ご城下巡回バス」で人気を集めた近江鉄道のボンネットバスを使って企画した。
 JR彦根駅を午前10時と午後2時に出発、各観光地を巡回する。各地点間での乗降も可能で、多賀大社の絵馬のプレゼントつき。問い合わせは近江鉄道彦根長浜バス営業所0749(25)2501へ。(京都新聞 夕刊)
2日■市バスにはねられ死亡 横断中の老人 運転手から聴取 事故今年4件目
 1日午後2時15分ごろ、京都市左京区白川通北泉上ルで、松ケ崎行き市バス=大薮一俊運転手(33)=が白川通を歩いて横断していた左京区修学院高部町、無職山藤シマさん(74)をはねた。山藤さんは腰などを打ち、約2時間後に死亡した。市バスの乗客12人にけがはなかった。
 下鴨署によると、市バスは交差点の手前で信号待ちをした後、信号が「青」に変わったため、前方の乗用車に続いて発進。乗用車と市バスの間を横切ろうとした山藤さんをはねたとみられる。同署は、大薮運転手が前をよく見ていなかったとみて、業務上過失致死の疑いで事情を聴いている。
 大薮運転手は「歩行者には気づかなかった」と話している、という。
 山藤さんは近くの公衆浴場に行く途中だった。
 市バスの交通事故は、先月20日に右京区の新丸太町通で市バスが暴走、歩道に突っ込み電柱に激突し、乗客ら6人がけがを負うなど、今年に入りすでに3件発生している。死亡事故も昨年中に2件起きている。
・大変申し訳ない 平田嘉輝・市交通局自動車部長の話 死亡事故が起き、大変申し訳ない。先月20日の(市バス暴走)事故後、「公営企業管理者」名の通達で注意を喚起した矢先の事故だけに、職員への事故防止の徹底の手法を見直すことも考えたい。(京都新聞)
■東京・品川 JR線5作業員死亡 工事元請け社長が辞任
 東京都品川区のJR貨物線で先月21日未明、作業員5人が回送列車にはねられて死亡した事件で、作業をJR東日本から受注していた保安工業(本社・東京)の剱持忠雄社長が1日、辞任した。
 同社は「多くの犠牲者を出した重大性と併せ、業績不振も辞任の原因」としているが、剱持社長は昨年4月に就任したはかりで、事実上、引責辞任とみられている。
 後任には同社取締役の清澤三郎氏が昇格する。
 同社はこの工事の元請けで、実際の工事は別の下請け業者がしていた。事故当時、保安工業の関係者は現場にはいなかったという。(朝日新聞)
■風は冷たく震えながら 園児ら渓谷美を楽しむ 嵯峨野のトロッコ列車 運行を再開
 冬の間、運休していた嵯峨野観光鉄道のトロッコ列車が1日、運行を再開した。右京区嵯峨天竜寺車道町のトロッコ嵯峨駅では、嵯峨幼稚園やこばと保育園の園児らを招いて記念行事を開いた。この日、京都市の最高気温は平年より5度高い15.6度だったが、保津峡を吹き抜ける風はまだまだ冷たく、一番列車の乗客らは震えながらも春浅い渓谷の景色を楽しんでいた。
 出発前、嵯峨野観光鉄道の山崎敏治常務が「昨年は乗客が通算500万人を突破しました。休業の2ヵ月間、沿線にヤマザクラなどの植樹を進めました」とあいさつ。運転手の制服姿の園児らとともにくす玉を割って運行再開を祝った。
 トロッコ列車は、12月29日までトロッコ嵯峨−トロッコ亀岡間を1日8往復(観光シーズンは増発)する。今年7月には、全国13のトロッコ列車会社が集まる「全国トロッコ列車サミット」も開かれる予定だ。(朝日新聞)
■京都市バスにはねられ死亡 左京で74歳の女性
 1日午後2時15分ごろ、左京区一乗寺清水町の白川通で、同区修学院高部町、無職山藤シマさん(74)が、京都市バス=大薮一俊運転手(33)=にはねられ、腰などを強く打ってまもなく死亡した。市バスの12人の乗客にけがはなかった。下鴨署は業務上過失致死の疑いで大薮運転手から事情を聴いている。
 調べでは、事故現場は、横断歩道の手前約5b。大薮運転手は「乗用車の後ろで信号待ちをしていた。信号が青になったため発車したところ、ドーンという音がして、人をはねたのに気づいた」と話している、という。同署は、大薮運転手が前をよく見ておらず、山藤さんが市バスの前を横断しているのに気づかなかったのではないか、とみて調べている。(朝日新聞)
3日■モノわかりのいい話 「のぞみ」増発は 改定のたびに減るひかり JR「お客様のお望み」
 カモノハシかアヒルのような顔をした「700系のぞみ」が13日のJRダイヤ改定で登場する。東海道新幹線の「のぞみ」は合わせて6本増えるが、自由席があって料金も安い「ひかり」は8本減ってしまう。「のぞみ」増発は、実質的な運賃値上げではないのか。(寺田 憲二)
 「のぞみ」の登場は1992年3月。ナマズのような顔をした「300系」4本が、東京−新大阪間を「ひかり」より約30分短い2時間半で走った。その後もダイヤ改定のたびに増え続け、今回の改定後は51本に。ほぼ1時間に2本の割合になる。
 反対に「ひかり」は減り続け、「のぞみ」導入前の182本から、新ダイヤでは147本になる(東海道新幹線の区間)。そういえば、「ひかり」の自由席は、だんだん混雑がひどくなってきたような気がする。
 全席座席指定の「のぞみ」は、東京−新大阪間の通常期料金で「ひかり」の自由席より1480円高い。消費税分をのぞけは、長い間値上げをしていないJRだが、実は増収のため「のぞみ」を増やしているのではないか。東京にあるJR東海の営業本部を訪ねた。
 坂田一広企画課長は「自由席の混雑の原因は、お客様のマナーによるものが大きいのです」と話す。
 昨年「ひかり」自由席で乗客の切符を調べたところ、指定席に乗れる回数券利用者が半数以上いた。「この方々がちゃんと指定席にお乗りになっていたら、自由席の混雑はなくなるはずです」という。
 それはそうかも知れないけれど、いつでもすぐに乗れる自由席ならではの便利さを、乗客がそれだけ望んでいることではないのか。それに「実質値上げ」の疑問もある。「値上げなど、とんでもありません。お客さまが『のぞみ』をのぞんでおられます」と、坂田課長は次のようなデータを示した。
 97年11月から半年間で「のぞみ」を増発し座席数を18%増やしたが、乗客はその間に22%増えた。「『のぞみ』の輸送力のアップ率よりも、乗客の伸び率の方が上回っています。今回の増発はこうしたお客さまの需要にこたえたものです」
 ふ−ん。みなさん、そんなに懐が豊かなのだろうか。経費節減で出張に「のぞみ」利用を認めなくなった会社もあるというのに。
 大阪に住む生活評論家の丸野豊子さん(63)は、仕事で月に一度は東京へ行く。いつも利用するのは「ひかり」の自由席。「2、30分しか違わないし、料金の差額で孫のおみやげが買えます。これ以上『ひかり』が『のぞみ』になったら困ります」
 JR東海、JR西日本ともこの5年間は「のぞみ」用の300系や500系車両しか作っていないという詰も聞いた。今後「のぞみ」を増やし「ひかり」を減らしていくのだろうか。新幹線のダイヤを作るJR東海の新幹線鉄道事業本部に聞いた。
 運輸営業部の谷川泰夫輸送課長は「今の新幹線の設備では1時間に2本が限界です」と話す。「ただし、設備の改良など『のぞみ』増発のための技術的研究は進めています」
 じゃあ、やっぱり……。
 「いえ、将来、技術的に解決したとしても、安さの『ひかり』と速さの『のぞみ』を選べる方式は当分変わらないと思います。何しろ、東京−大阪間には航空機という強力なライバルがいますから」
 利用者はどうすればいいのだろう。
 鉄道史を研究する和光大学の原田勝正教授はこう語る。
 「在来線の特急も『ひかり』も最初は全席指定でしたが、乗客を増やすため自由席を設けました。そういう歴史から考えると、『のぞみ』もいつかは自由席ができ『ひかり』のようになるでしょう。『ひかり』の停車駅が増え『こだま』化するなど今は過渡期です。もっと便利なダイヤになるよう、利用者はJRにどしどし要望していくべきです」
記者の一言
 大阪勤務の私は、東京出張が多い。何時に取材が終わるか見通しが立たず、帰りはいつもホームにいる「ひかり」の自由席に飛び乗る。この気軽さや便利さは航空機にはない魅力だし、ぜひ続けてほしい。満席だと乗れない「のぞみ」が最終便というのも、利用者にとっては不便だ。(朝日新聞)
■中小私鉄、26日ストも
 私鉄総連(16万7000人)は2日、東京都内で拡大中央委員会を開き、今後の春闘日程を確認した。鉄軌道・バス組合の場合、東急、営団地下鉄、阪急、阪神などの大手組合は、賃上げなどの回答指定日を18日とし、回答内容を見て事後の対応を決める。中小組合は23日までに回答を求め、未解決組合は26日に第一波、30日に第二波の各24時間ストライキを構えて解決を図るとしている。(朝日新聞)
■信号故障で15本運休 JR加古川駅
 2日午後6時50分ごろ、兵庫県加古川市のJR加古川駅で、駅構内の信号が赤のまま変わらなくなった。約25分後に自然に復旧したが、午後8時5分ごろに再び赤のままとなったため、駅職員が手信号で列車を運行させた。この故障の影響で、上下線15本が運休、上り線18本が最大40分遅れて、約1万2000人の乗客に影響した。(朝日新聞)
■「琵琶湖環状線」実現へ 全線直流化し直通 2003年目標 来月からPR JR西日本・滋賀県計画
 滋賀県とJR西日本が、琵琶湖を一周する「琵琶湖環状線計画」の具体化に乗り出した。架線を流れる電流が直流と交流に分かれているため現在は直通運転ができないが、交流区間を直流に切り替えることで、2003年ごろには実現したい考えだ。過疎と高齢化が進む琵琶湖北部を活性化させ、通勤・通学客や観光客を鉄道に呼び込む狙いがある。4月から県とJRが共同で観光キャンペーンを始め、実現への足がかりにする。
 JRでは東海道線など京阪神を走る各線が直流になっている。これに対し、琵琶潮周辺では北陸線(米原−直江津)の長浜−近江塩津間が交流。湖西線(山科−近江塩津)は永原−近江塩津間が交流になっている以外は直流で、北陸・湖西両線間の乗り入れはできていない。
 計画では、北陸線長浜と湖西線、永原間の交流区間(29.5`)を直流化し、琵琶湖を取り囲む全線を直流にする。長浜以北から米原を経て京阪神に乗り入れる琵琶湖東回りと、湖西線経由の西回りの2ルートを設け、琵琶湖周辺と京阪神を新快速電車で結ぶ。
 実現すれば、近江塩津−大阪間は最速で2時間程度になり、湖北地域が手近な観光スポットに生まれ変わる。県は北陸線の利用者が倍増すると試算。年間3億円程度の運転経費も回収できると見込んでいる。
 直流化の工費は約40億円。県と沿線19市町村がすでに計37億円の基金を積み立てており、この基金を充てるなど全額を自治体側が負担する。
 長浜以北の北陸線は近江塩津まで計6駅ある。電車が少なく、利用者は年々減少。沿線人口も減り、65歳以上の高齢化率は20%以上になっている。このため県は湖北地域の活性化を目指して1991年に北陸線直流化対策協議会をつくり、JR側と話し合いを続けてきた。
 91年に直流化した米原−長浜間(7.7`)では、京阪神から新快速電車が乗り入れてJRの利用者は直流化前(90年)と比べて倍増。長浜市の昨年の人口は直流化前の5%増という実績がある。
 県とJRが4月から始める湖北地域の観光キャンペーンは、環状線化後の観光客の動きを見極めるためで、3年間続ける。環状線が実現すれば、県やJRは休日に琵琶湖一周のイベント電車の運転も計画。JRの大都市近郊区間特例を利用すれば、途中下車ができないなどの条件はあるが、140円の初乗り運賃での琵琶湖一周も可能となる。
直流と交流 直流式だと、発電所から鉄道用変電所へ送られる交流の電気をいったん変換しなければならない。交流式は変換が省け、変電所も少なくて済むなど地上設備費を大幅に軽減できる。しかし、交流用の車両は直流用より高くつき、国内での歴史は比較的新しく、旧国鉄では1957年に仙山線(宮城県−山形県)の一部が初めて交流になった。各新幹線も交流式を採用。在来線は都市部が直流、閑散区間が交流にほぼ分かれる。湖西線経由の北陸線は交直両用車両が走っており、途中で切り替える。(朝日新聞 夕刊)
4日■市バス降りた直後男性はねられけが 左京、オートバイに
 3日午後4時5分ごろ、京都市左京区下鴨本通北大路下ルの「洛北高校前」バス停で、深泥池行きの市バスから降りた近くの男性(82)が、後ろから来た上京区の大学生(20)のオートバイにはねられた。男性は頭などを打ち軽いけが。
 下鴨署の調べでは、市バスが停車後、男性が降車した際、歩道と市バスの間を通過しようとしたオートバイにはねられたとみて事情を聴いている。
 市交通局では「運転手からは後方の安全確認をした上でドアを開けたと聞いている」と話している。(京都新聞)
■赤字の京都市バス 実質的な人件費 運賃収入上回る 3年続き、年々悪化 議会提出資料では不明確 議員の質問で判明
 多額の累積赤字を抱える京都市のバス事業が、運賃収入だけでは職員の実質的な人件費をまかなえない状況になっていることが、開会中の市議会事業予算特別委員会で明らかになった。当初、議会に提出された予算案資料では、外郭団体に出向している市職員の人件費が経費(委託料)の名目で計上され、1999年度の人件費は運賃収入より約4億円少ないように見えた。委員の質問で実質的な人件費の額がわかった。
 実質的な人件費が運賃収入を上回る状況は97年度以降3年連続で、年々悪化している。同市交通局は「2004年度以降は出向職員をゼロにして純粋な委託料になる見込み。隠すつもりはなかった」と釈明している。
 99年度の市自動車運送事業特別会計予算案によると、運送収益は216億8900万円、人件費(1530人分)は212億5000万円で、運送収益に占める人件費の割合は98%だった。
 だが、職員のうち96人は、バス停の維持管理などを委託している社団法人京都市交通局協力会(51人)と、車両整備などを委託している京都地下鉄整備株式会社(45人)に出向しており、人件費12億300万円は委託料に含める形で計上していた。また、借金(退職手当債)でまかなった過去の退職金の返済額も、繰り延べ勘定償却の名目で5億4200万円を計上していた。
 これらを合わせた実質的な人件費は計229億9500万円となり、運送収益を約13億円(6%)上回る。さらに、運送収益には消費税分の8億3800万円が含まれており、これを除いた実質的な運送収益に対する人件費の超過分は約21億円(10%)に達する。
 実質的な人件費が運送収益を下回っていた96年度と比べると、99年度は実質人件費を10億9600万円減らしたが、運送収益の落ち込みはそれを上回る37億700万円にのぼり、バス離れに人件費削減が追いついていない格好だ。(朝日新聞)
5日■京阪交通社 旅行業務を子会社に 9億円増資 京阪電鉄が再建策
 京阪電鉄は4日、旅行代理業や広告代理業の子会社・京阪交通社(大阪市、資本金2億4000万円)について、9億円の増資や希望退職などを柱とする経営再建策を発表した。
 同社は、不況による旅行需要の低迷と価格競争激化で、98年3月末で累積赤字が11億2000万円にのぼり、5億2000万円の債務超過に陥っている。
 再建策によると、今年6月末に京阪交通社が設立する子会社に広告代理業務、既存の子会社に旅行代理業務をそれぞれ移し、本体には管理部門だけを残す。
 520人の従業員は、本体に60人、新設の子会社に220人などに振り分け、約70人を希望退職とグループ企業で吸収する。
 今年7月に京阪交通社の旅行業免許の更新があり、債務超過だと免許が更新されないため、増資に踏み切った。3月末に増資分全額を京阪電鉄が出資して、債務超過を解消する。再建策により、2000年度からの黒字転換を目指したいとしている。(京都新聞)
6日■車乗らずバス利用を 京都交通「環境定期券」導入へ 来月3日から実施 週末、祝日、半額に
 京都交通(本社・亀岡市)は、通勤定期券の所有者と同伴者を対象に、週末や祝日のバス運賃を半額とする「環境(エコ)定期券」制度を導入する。近畿陸運局に認可申請中で、来月3日から実施する予定。
 エコ定期券制度は、マイカーを減らす環境保全への取り組みとバスの利用促進が目的。同社の全路線で、土、日、祝日、年末年始に通勤定期券を提示すると、定期区間以外の利用でも通常運賃の半額(京都市内は一律100円)で乗車できる制度。定期券の所有者と同伴者5人まで利用できる。
 例えば同社の最長路線の京都市・四条河原町−宮津市・天橋立間は、通常運賃は大人2700円、小人1350円だが、同制度を利用すると大人1350円、小人680円で乗車できる。
 同様の制度は、神奈川中央交通が全国に先駆けて導入。運輸省旅客課の調べでは、全国34社(1月末現在)がすでに制度を導入している。府内では、昨年9月から京阪宇治交通が導入。京都市バス、京阪バス、京都バス、丹後海陸交通の4社も4月からの実施に向けて申請中。(京都新聞)
■神戸でもJR偽造切符 大阪の偽造切符と酷似
 神戸市のJR山陽線須磨、鷹取の両駅で、偽造されたJRの長距離切符が2月末に払い戻されていたことが5日、分かった。兵庫県警は同じ日に別の山陽線の駅で偽造切符を換金しようとした兵庫県加古川市の男性に事情を聴き、背後関係などを調べている。偽造長距離切符は昨年暮れ、大阪市内の2つの駅でも見つかった。今回も「みどりの窓口」などのコンピユーター端末機で発券する切符をまねており、偽造の手口がよく似ているという。
 関係者によると、偽造されていたのは東京都区内−福岡市内間の往復の普通乗車券で、特急券などはついていない。みどりの窓口や旅行会社のマルス(自動発券機)から機械的に打ち出された「ロール紙」型(縦5.75a、横8.5a)と呼ばれ、パステルグリーン色の台紙に字模様として「JR」や西日本の頭文字「W」の文字を刷りこんでいる。
 払い戻されたのは往復券計4組。2月26日昼すぎに鷹取駅と須磨駅に2組ずつが持ち込まれ、計5万9760円が支払われた。
 この1時間ほど後、山陽線塩屋駅で男性が窓口で往復乗車券2組を払い戻そうとした。しかし、切符に途中下車印が押されていなかったことから駅員が理由を聞くと、「払い戻しができないならいい」と切符を持って立ち去った。
 駅員は神戸支社に連絡。近くの駅でも警戒していたところ、西隣の垂水駅によく似た人相の男性が現れた。垂水署員が任意同行して事情を聴くと、「職業安定所で知り合った男に換金を頼まれただけだ」と話したという。この男性が鷹取駅と須磨駅で偽造切符を換金したかどうかは分かっていない。(朝日新聞)
■JR偽造往復券 4組払い戻す 山陽線2駅で計6万円
 神戸市のJR山陽線鷹取駅と須磨駅で2月下旬、東京−福岡間の偽造往復乗車券計4組が払い戻されたことが、6日分かった。
 兵庫県警垂水署がJR垂水駅で同じ偽造券を払い戻そうとした男から事情を聴くなどしているが、男は「知らない人に頼まれた。偽物とは知らなかった」と話しているという。
 JR西日本神戸支社や同署によると、偽造券はみどりの窓口などのコンピューター端末機で発券される乗車券に似せた物で、昨年12月、JR大阪環状線の2駅で見つかった券と似ているという。
 2月26日昼ごろ、鷹取駅に往復券2組が、須磨駅に2組が相次いで持ち込まれ、計約6万円が払い戻された。
 その後、同線塩屋駅で男が同様の払い戻しを申し込んだが、駅員が東京−福岡の中間点なのに途中下車印が押していないことに気付き理由を聞くと「できないならいい」などと言い立ち去った。
 JR西日本がほかの駅にも注意を呼び掛けていたところ、塩屋駅に来た男とよく似た人物が隣の垂水駅に現れ、払い戻しを求めたため、垂水署が任意で聴取した。(京都新聞 夕刊)
7日■地下鉄東西線西進 2000年度に調査費 政府予算案で 野中氏見通し
 野中広務官房長官は6日夜、京都市西京区内で講演し、京都市が計画している地下鉄東西線の二条駅以西への延伸について、2000年度政府予算案に調査費を盛り込む見通しを明らかにした。東西線の西進を巡っては、京都市の財政難などから「延伸は難しい」との声もあるが、運輸省が調査費を盛り込めば、具体化に向け大きく弾みがつくことになる。
 野中氏は講演の中で、「今年8月に行われる平成12年度予算の要望の際、京都市に予算要望を出してもらう。調査費をつけるよう全力で当たり、西に伸ばしていきたい」と語った。
 運輸省の運輸政策審議会答申で、二条−西大路間(1`)は「2005年までに整備が適当な路線」と位置付けられ、西大路−洛西間(約8`)は、「2005年には着手することが望ましい」としている。調査費が来年度予算に盛り込まれれば、ルートの見直しを含め具体化していくと見られる。
 東西線は、97年10月に醍醐−二条間(12.7`)で開業し、醍醐−六地蔵間(2.4`)についても、京都市が2004年の開業を目指し、来年度から着工を予定している。(京都新聞)
■コミュニティー 仲間とともに 路面電車を考える会 東西線のあり方議論
 路面電車の街・広島市で、環境や人にやさしいこの交通機関を応援しようと、積極的に市民への情報発信を続ける。市内の路線の総延長距離は、日本で最も長い。
 「建設省が新交通システムに加えて路面電車も補助金の対象とする方針を打ち出したことが、会の活動への追い風になった」と事務局長の山根政則さん(67)は振り返る。
 毎月の例会では、多彩な講師を招いて交通問題を議諭している。会員は会社員をはじめ、教師、画家、歯科医など。夏には「路面電車まつり」を広島電鉄と共催し、来場者1000人を対象にアンケートを実施した。広島電鉄をはじめ市内の大半の交通機関が導入しているブリペイドカードの利用実態などを調べた。
 1997年、市中心部を東西に貫く軌道系の交通機関「東西線」には、新交通システムと路面電車のどちらが望ましいか、という問題が浮上した。以来、メンバーの有志が議論の場となった市議会の委員会を傍聴し、東西線を欧米で普及している高速路面電車システム(LRT)として建設すべきだと提案した。
 昨年1月には、市と広島電鉄双方の担当者を招き、この問題を考えるシンポジウムを開いた。9月には作業部会として「広島LRT研究会」を結成。東西線を含め、将来の広島にふさわしいLRTの新路線や運賃収受システム、乗り換えターミナルなどの提案に向け、検討を進めている。
 一方で、路面電車を愛する「趣味のグループ」としての側面も残す。例会のうち毎年1回は「電車グッス見せっこ会」として、会員の集めた貴重な写真や切符、記念品などのコレクションを紹介しあう。
 広島電鉄は5月に超低床電車の営業運転開始を予定する。考える会でもこれ化合わせて再度、広島市の交通体系を考えるシンポジウムを計画している。
 山根事務局長は「広島の路面電車は、京阪神など全国で廃止になった電車の再利用が中心で、それも魅力の一つだったが、これからはLRTに生まれ変わらなくてはならない」と強調している。
 路面電車を考える全 路面電車をキーワードに広島の交通体系を考えようと1993年3月、栗田康雄・広島経済大教授が中心になって設立した。会員は90人。問い合わせは山根事務局長(082・276・1904)。インターネットのホームページ「路面電車を考える館」(http://www.urban.or.jp/home/yaman/)でも活動を紹介している。(朝日新聞)
8日■電車と衝突 車の夫婦死亡 桜井の近鉄線
 7日午後2時15分ごろ、奈良県桜井市外山の近鉄大阪線桜井−大和朝倉間の踏切で、上本町発青山町行き急行と軽自動車が衝突した。軽自動車に乗っていた同市外山、松浦節子さん(50)が即死、夫で会社員の直美さん(45)が約1時間後に死亡した。電車は現場に約20分間停車したが、約100人の乗客にはけがはなかった。上下7本の電車が20−5分遅れるなど、1500人の足に影響が出た。
 桜井署の調べでは、現場は桜井駅から東へ約1`で、遮断機と警報機付きの踏切。同署で事故原因を調べている。(京都新聞)
■新型のぞみの試乗会
 新幹線の新型車両「700系のぞみ」の親子試乗会が7日、東京−新大阪間であり、抽選で選ばれた560組のうち527組の親子、約1300人が新しい車両の乗り心地を楽しんだ。
 JR東海とJR西日本が共同開発した「700系のぞみ」は13日から、東京−博多間で1日3往復の運転を始める。(朝日新聞)
■新幹線乗り遅れた男性 乗務員窓から乗車 新大阪駅
 8日午前8時ごろ、JR東海道・山陽新幹線新大阪駅(大阪市淀川区)の下り線ホームで、ドアを閉め発車直後のひかり183号(名古屋発博多行き)の10号車乗務員室の小窓に、会社員男性(52)が頭から飛び乗った。駅係員が列車を緊急停止させた。男性にけがはなく、約6分遅れで発車した。
 JR東海などによると、小窓は高さ67a、幅62aのガラス窓。乗客の安全を確認するため車掌が発車時に顔を出した後、開けたままにしていたところに男性が頭から突っ込んできたという。
 男性は香川県観音寺市に出張途中。厳重注意を受けて岡山駅で乗り換えたが「上司が先に乗っており、乗り遅れたら申し訳ないと思った。二度とやりません」と話しているという。
 JR東海関西支社広報室は「乗務員室の小窓から乗り込むなんて、聞いたことがない。規則も想定外ではないか」と驚いていた。(京都新聞 夕刊)
■駆け込み乗車で遅れ 京都駅発車「のぞみ」
 8日午前11時10分ごろ、京都市下京区のJR京都駅新幹線上リホームで、発車間際の東京行き「のぞみ10号」の8号車に、男性が駆け込んで乗車するのを駅係員が発見、ホームにある列車の防護スイッチを押して列車を止めた。安全確認した後、列車は3分遅れで発車した。(朝日新聞 夕刊)
9日■野中氏の発言 全力で生かす 地下鉄西伸で管理者
 8日開かれた京都市議会の交通水道委員会で、下薗俊喜公営企業管理者(交通局長)は、地下鉄東西線西伸間題で野中広務官房長官が2000年度政府予算案に調査費を盛り込むことも可能、と発言したことについて、「(長官の)示唆が生きるように全力を挙げたい」と答えた。
 野中長官は、6日に同市西京区内で講演し、今夏の2000年度政府予算案の概算要求で「京都市に要望を出してもらい、調査費をつけるよう全力で当たりたい」と述べた。
 この日の委員会で、自民党議員から、この発言への感想を問われた下薗管理者は「大変なご示唆をいただいた」とした上で、「今後、具体的にどのように取り組んでいくか、運輸省の指導も得ながら十分検討していきたい」と答弁した。
 東西線の西伸間題については、同市が98、99の両年度、鉄道や道路なども含めた市西部地域の総合交通体系調査を行っており、その結果をふまえた上で、ふさわしい交通体系を選択することになっている。(京都新聞)
■JR垂水駅 助役、無許可店から現金 駅前の屋台から2月に論旨免職 5年で計120万円
 神戸市垂水区のJR山陽線垂水駅の助役(44)が、駅前広場で無許可営業しているラーメンの屋台店主から5年間に現金計120万円を受け取ったとして、2月に諭旨免職になっていたことが8日、分かった。JR西日本は駅長(52)の管理責任も問い、訓告処分にした。駅の敷地内で飲食店などを営業する場合は、鉄道営業法などに基づいて鉄道会社の許可が必要になる。店主は旧国鉄時代から同じ場所で営業しているが、駅側から正式に立ち退きを求められたことはなかったという。
 JR西日本によると、助役は1992年3月から垂水駅に勤務。駅西口の広場で営業するラーメンの屋台店主と親しくなり、93年から10回にわたって計120万円を受け取った。1回5万−15万円で、飲食代に充てていたという。
 店主は旧国鉄時代の77年ごろから同じ場所で無許可営業を始めた。毎日、夕方から午前2時過ぎまで開店。従業員も4、5人おり、1日100人程度が利用している。
 駅員たちも食事に訪れており、店主は「日ごろのお付き合いの感謝の気持ちで現金を渡した」と話している。前駅長から口頭で注意を受けたことはあるが、立ち退きを強く迫られたことはこれまでなかったという。
 昨年11月、屋台に対する苦情があり、JR西日本神戸支社が調べて現金の授受が分かった。助役は発覚以前に「後ろめたかった」として店主に200万円を返していたが、JR西日本は事態を重視して2月8日付で処分した。店主に対しては昨年12月中旬に正式に立ち退きを求め、半年後に撤去することで合意したという。
 神戸支社は「助役の受け取った現金が、屋台の無許可営業に便宜を図る謝礼の意味があったかどうかは微妙だが、こうした金を受け取ること自体が問題だ。金は返していたが、事実を深刻に受け止め、厳しく対処した」と話している。(朝日新聞)
■香港向け鉄道車両 250両受注
 伊藤忠商事、近畿車両、川崎重工業の3社は8日、香港の九竜広東鉄路公司から電車車両250両を約500億円で受注した、と発表した。
 納入する車両は、2003年に開業し九竜半島西部を東西に結ぶ予定の西部新線向け154両と、すでに営業中で同半島を南北に結ぶ東線向け96両。(朝日新聞)
■放置自転車に普通電車接触 奈良・JR和歌山線
 9日午前8時ごろ、奈良県大和高田市池田のJR和歌山線(単線)で、王寺発奈良行きの普通電車(4両編成、乗客約150人)の運転士が、線路のそばに自転車が放置されているのに気づき、急ブレーキをかけたが間に合わず、接触して止まった。運転士が自転車を取り除いたが、点検のため約10分間停車。対向の普通電車も約5分遅れた。乗客らにけがはなかった。
 JR西日本によると、現場は田園地帯で、フェンスなどはなく、高田署は自転車の所有者らから事情を聴いている。(朝日新聞 夕刊)
10日■窓 バリアフリーの街づくり
・やさしいバス 交通一歩前進 大津市・采野千代造(会社員・47)
 私は、1種2級の身体障害者です。昨年10月ごろから私の住んでいる大津市西部地域で路線バスを運行している江若交通が、車いすでも乗れるスロープ付きのワンステップバスを導入し、前もって予約をすれば、その時間に合わせてくれるようになりました。これも、国の「ハートビル法」や県の「福祉のまちづくり条例」効果が表れてきたせいだと喜んでいます。
 普段は車で移動している私も、最寄りのJR比叡山坂本駅に寄るバスに乗って浜大津駅まで利用しました。その日は土曜日だったせいか渋滞もなく、バスの中もすいていて、車いすもしっかりと固定されて、30分ほどで着いたので「また利用してもいいな」と思いました。
 このように、バリアフリーのまちづくりは世の中の、みんなの意識に浸透し徐々に進みつつありますが、障害者やお年寄りなどの交通弱者が安心して気軽に街に出かけられるようになるためには、もっと努力をする必要があると思います。特に、高架が多いJRを始めとした駅舎へのエレベーターの設置は、早急に、そして計画的に行ってほしいものです。そのためにも私たちの意見や要望を聞くようにバスや鉄道会社の人は努めてください。
・心と施設面の段差取り除け 北区・前川 嘉門(元大学職員・71)
 さきの本紙に「バリアフリーまだまだ」という記事があった。全国のJRや大手私鉄、自治体が運営する地下鉄など主要約1900駅について運輸省が調査した結果、エレベーターの設置が約3割、エスカレーターの設置が約5割だったという。これでは高齢者や障害者など社会的弱者に対する優しい町づくりには、ほど遠いと言わざるをえない。
 私も現職の時、校地内の重要文化財の建物をはじめ、明治、大正、昭和の3代にわたる既存の建物の段差を取り除くため苦労したことがあった。長期計画を立て地道に毎年、障害者のための施設充実費として予算を組み、すべての建物にエレベーターもしくはリフトなどを設置して、車いすで自由に往来できるようにした。その結果、西日本随一の福祉施設のモデル校となり、全国から見学者が絶えたことはなかった。
 バリアフリーには二面がある。一つは心の持ち方によって心の障害を取り除くことであり、もう一つは身体的障害を機械化によって取り除くことである。心身両面の障害が取り除かれた時、高齢者も障害者も、すべての人にとって優しい社会が実現するであろう。(京都新聞)
■最高時速240` 米版”新幹線” アムトラック 北東部に導入へ
 【ニューヨーク9日共同】全米鉄道旅客公社(アムトラック)は9日、米北東部のボストン−ニューヨークとニューヨーク−ワシントン路線に最高時速240`の高速列車「アセラ」を導入すると発表した。アムトラックのボストン−ニューヨーク間が一部未電化のため、営業開始はこの区間の電化が完了する10月以降になる。
 「アセラ」は、ボストン−ニューヨーク間を3時間(現在4時間半)、ニューヨーク−ワシントン間を2時間半(同3時間)で結ぶ。これら各都市間では航空2社がシャトル便を運航しているが、「アセラ」の運賃をシャトル便より30%低く設定。速度アップと合わせて競争力強化を目指す。(京都新聞 夕刊)
■路線バスと車が正面衝突 奈良で5人けが
 10日午前8時20分ごろ、奈良県高取町観覚寺の国道169号で、岩森(下市町)発八木駅(橿原市)行きの奈良交通の路線バス=坂口昌史運転手(23)=と、同県吉野郡の無職の女性(19)の運転する乗用車が正面衝突した。バスには乗客8人が乗っており、高取町清水谷の主婦谷田幸子さん(57)ら4人が足などに軽傷を負い、乗用車を運転していた女性も頭に軽いけがをした。橿原署の調べでは、現場は見通しのよい直線で、乗用車が対向車線にはみ出してきた可能性があるという。(朝日新聞 夕刊)
11日■市バス乗客7人けが 左京で接触事故
 10日午後4時15分ごろ京都市左京区東鞍馬口通白川西入ルの交差点で、西進中の市バス=相田良一運転手(55)=と、南進してきた左京区高野東開町、主婦北村光恵さん(29)の乗用車が接触した。市バスが衝突を避けようとして急ブレーキをかけたため、小学2年の女子児童(8つ)を含む乗客7人が転倒するなどして、顔や腰に軽いけがを負った。
 現場は信号のない交差点で、下鴨署は乗用車が一時停止をしないで東鞍馬口通を横断しようとしたとみて原因を調べている。市バスには約40人が乗っていたが、ほかにけが人はなかった。(京都新聞)
■東海道新幹線一時不通に 地震検知誤作動で停電
 10日午後6時45分ごろ、岐阜県根尾村にあるJR東海の地震検知装置が誤って作動し、東海道新幹線の豊橋−京都間の上下線の送電が一時、止まった。この区間を走っていた新幹線はいずれも自動的にブレーキがかかり停止したが、JR東海は実際に地震が発生していなかったことを確認した上、約7分後に送電を再開した。
 名古屋駅では上下線ともに午後8時ごろ平常ダイヤに戻った。
 JR東海によると、誤作動した装置は、地震の初期微動を検知する「ユレダス」。同社は、装置の部品を新しい物に交換した後に正常に動くかを試験していた際、社員が誤って作動させてしまった可能性が高いと説明している。
 東海道新幹線の上下線は、計19本が最高で9分間遅れた。
 ユレダスは本震が来る前に初期微動を感知し、架線の送電を止める仕組み。東海道新幹線沿線の山あいなど14地点に設置してある。(京都新聞)
■駅に「マイロッカー」どない? 賃貸1〜6ヵ月 主要11駅で来月から 京阪電鉄
 京阪電鉄は10日、京阪線の主要11駅で、1ヵ月以上賃貸するロッカー「マイ・ロッカー」を4月1日から貸し出すと発表した。関西の鉄道事業者でロッカーの長期賃貸は初めてという。
 設置駅は、京都では出町柳、三条、四条、丹波橋、中書島の5ヵ所で、淀屋橋、天満橋、京橋、守口市、香里園、枚方市の計11ヵ所。ロッカーは、スポーツバッグなどの入る「小型」と「中型」の2種類あり、1駅に10−26口の計162口。
 賃貸期間は、1、3、6ヵ月間で、毎月20日から月末に各駅事務所で身分証明書を確認のうえ利用を受け付け、かぎの引き渡し後、月初めから使用できる。料金は、「小型」で1ヵ月3000円、6ヵ月で9000円。京阪電鉄は、仕事帰りに文化教室やスポーツジムなどへ通う乗客の利用を見込んでいる。(京都新聞)
■京都市 国に調査費要求へ 地下鉄東西線の二条駅以西延伸で
 京都市の桝本頼兼市長はこのほど、地下鉄東西線の二条駅以西の延伸間題について、2000年度の国の予算で調査費がつくよう、運輸省に求めていく方針を明らかにした。
 市交通局によると、地下鉄東西線は二条−醍醐間(12. `)が1997年10月に開業。95年度から調査費がついた醍醐−六地蔵間(2.4`)は総事業費712億円で99年度の着工、2004年度の開通を見込んでいる。
 二条以西について運輸省の運輸政策審議会は、二条−西大路間(約1`)を「2005年までに整備」、西大路−洛西間(約8`)を「2005年までの整備着手」が適当と、それぞれ答申している。(朝日新聞)
12日■車いす男性を侮辱 JRは慰謝料払え 大阪地裁判決
 最寄り駅に車いす用エレベーターがなく、介助した駅員から「車いすは邪魔」などと言われ精神的苦痛を受けたとして、脳性まひで車いすを使う大阪府大東市の宮崎茂さん(33)がJR西日本に慰謝料100万円などを求めた訴訟で、大阪地裁の竹中邦夫裁判長は11日、「駅員から侮辱を受けた苦痛は小さくなく、会社は駅員の指導監督で注意を尽くしていない」と、10万円の支払いを命じた。
 宮崎さんは、エレベーターの未設置について移動の自由を防げられたと違憲確認も求め、裁判長は認めなかったものの「障害者の自由を保障するため、駅など公共性の高い施設では設置を積極的に推進すべきだ」と指摘した。
 判決によると、宮崎さんは自宅近くのJR片町線鴻池新田駅と、家族が住む同線住道駅を利用するが、両駅には改札口とホームを結ぶエレベーターがなく、駅員の手を借り移動。宮崎さんは「他人の善意に頼り、さらしものになることを強いられている」ほか、駅員からたびたび、「ほかのお客さんに迷惑」「来んといてくれ」などと言われたと、1994年に提訴した。(京都新聞)
■線路の一部陥没 兵庫のJR山陰線
 11日午後4時ごろ、兵庫県浜坂町のJR山陰線久谷駅−浜坂駅間で、線路のまくら木間の盛り土が直径約50a、深さ2bにわたり陥没しているのを保線係員が発見。両駅間の列車運転を中止して修復作業を行い、2時間15分後に復旧した。この影響で、特急「はまかぜ6号」(香住−大阪)が12分、「エーデル鳥取」(鳥取−新大阪)が40分遅れたほか、上下合わせて5本の普通列車と快速列車が部分運休。約350人の足が乱れた。(京都新聞)
■京阪バス 子会社へ2路線営業譲渡 近畿運輸局から認可
 近畿運輸局は11日、京阪バス(京都市南区)が申請していた路線バスの淀宇治線、京都南部線の2路線の営業を子会社の京阪シティバス(同)へ譲渡することを認可した。また同日、西日本ジェイアールバスが申請していた大阪−新宮(和歌山)間高速バスの京都駅までの路線延長も認可した。
 京阪シティバスは、京阪バスが昨年11月設立した100%出資の子会社で、京阪バスは一部路線を営業譲渡して運行コストを削減する。淀宇治線は京阪淀駅と同宇治駅を、京都南部線はJR京都駅と京阪淀駅などを結んでいる。譲渡時期は4月1日。運行ダイヤ、料金は従来通り。
 西日本ジェイアールバスの路線延長は京都駅−大阪駅間の50.9`。すでに大阪−新宮間は運行しており、総路線は約340`になる。
 京都−新宮間は所要時間7時間50分、料金は6250円。1日1往復で、3月19日から運行を開始する。(京都新聞)
■車いす介添えに駅職員が暴言 JRに10万円賠償命令 エレベーター無設置で 遺憾確認は却下 大阪地裁判決
 駅にエレベーターがないため悪法で保障されている「移動の自由」を侵害されたなどとして、車いすで生活している大阪府大東市の宮崎茂さん(33)がJR西日本を相手取り、施設を整備しないことの違憲確認と100万円の損害賠償を求めた訴訟で、大阪地裁は11日、同社に10万円の支払いを命じる判決を言い渡した。竹中邦夫裁判長は「駅員が宮崎さんに『邪魔だ』などと侮辱的なことばを言ったのは不法行為にあたる」と述べた。違憲確認請求は不適法として却下したが、「エレベーターの設置推進が障害者の移動の自由を実質的に保障するために望ましいのは言うまでもなく、憲法などからもそのような趣旨は十分にうかがわれる」と指摘した。
 判決によると、宮崎さんは、脳性まひによる重度の障害のため電動車いすで生活しており、1994年12月ごろまでは最寄りのJR学研都市線鴻池新田駅を、それ以降は同住道駅を利用してきた。いずれも高架駅なのに改札口とホームの間にエレベーターが設置されておらず、昇降機を使ったり、駅員に抱え上げてもらったりしていた。
 92年6月に同京橋駅で駅員から「邪魔な車いすやなあ、ほかのお客さんが迷惑やないか」と言われたり、前年11月に鴻池新田駅で、車いすごと階段の上までかつぎ上げた駅員の1人から「はよ前へ行ってや」と強い口調で言われたりした。
 判決は、JR側が当時、身障者への接客について、研修やマニュアルの配布など駅員に対する組織的な監督や指導をしていなかった、と会社の責任を認めた。
 一方で判決は、違憲確認の訴えについては「原告はエレベーターの設置を求めるなどの訴えを起こすべきであり、原告の訴えは確認の利益を欠いている」とした。
 JR西日本の小出昇総務部長の話 当社の主張の一部が裁判所にご理解を得られなかったことは、まことに残念であります。判決内容を十分検討し、そのうえで今後の対応について決めて参りたいと考えております。(朝日新聞)
■JRのレールずれ徐行運転 茨木−摂津富田間
 12日午前8時35分ごろ、大阪府茨木市西河原一丁目のJR東海道線茨木−摂津富田間の五反田架道橋で、網干発野洲行き上り新快速電車の運転士から「レールが盛り上がり、曲がっているようで揺れる」と新大阪総合指令室に連絡があった。係員が現場に駆けつけたところ、架道橋の上り線のレールの一部が約2a盛り上がり、横に約7aずれていた。徐行での運転には支障はないため、現場付近を時速15`で通過しており、上り特急と新快速電車などにいずれも7−1分の遅れが出た。
 JR西日本の調べでは、架道橋下の府道を通行中のトラックに積まれていたフォークリフトが、橋げたにぶつかったとみられる。通行車両の高さ制限は3bだった。(朝日新聞 夕刊)
■無人駅 再生すれば地域の顔 住民「活性化に期待」 訪問看護の拠点・ダイバーの更衣室・展示、図書館にも
 JR西日本が、無人駅の再利用を進めている。駅舎を民間企業や自治体に明け渡して地域の活性化に役立てる。すでに100ヵ所余りの無人駅が、ギャラリーや銀行出張所、訪問看護基地などに変身した。JRには維持・管理の負担が軽くなる一方、地域にとっては、さびれた「玄関口」が生まれ変わり、住民の交流が進む利点がある。もともとが人の集まりやすい場所だけに、「駅のリサイクル」はこれからも広がりそうだ。
 紀伊半島先端にある和歌山県上富田町のJR紀勢線朝来駅。列車は1時間に片道1本、利用客は学生を中心に1日約500人しかいない。
 駅には7人の看護婦が常駐している。かつて駅員が切符を売っていた事務室にソファや机、電話を置き、地域のお年寄りを巡回する訪問看護の拠点になった。
 近くで特別養護老人施設を運営する社会福祉法人「紀成会」が1997年9月から始めた。JRに月6万円の使用料を払って駅舎を借りている。
 88年に無人化されてから、駅は荒れ放題。窓ガラスは割られ、壁紙がはがされ、ごみ捨て場のようになっていた。紀成会理事の笠原達司さん(48)が「駅をよみがえらせてほしい」という住民の訴えを聞き、再利用を思いついた。
 訪問看護の拠点になってから駅の荒廃は止まった。女子生徒が駅の掃除を手伝い、列車を待つお年寄りがおしゃべりを楽しめる場にもなった。付近には病院が少なく、「看護婦さんのいる駅」は住民にも心強い存在だ。
●JR西日本管内で再利用されている主な無人駅●
駅 名場 所再利用の形態
加古川線滝野駅兵庫県滝野町町営ギャラリー
姫新線上月駅兵庫県上月町町営特産物直売所
北陸線近江塩津駅滋賀県西浅井町町営観光案内所
七尾線能登二宮駅石川県鹿島町町営織物展示コーナー
関西線関駅三重県関町町商工会事務所
因美線因幡社駅鳥取県用瀬町理髪店
山陰線来待駅島根県宍道町Aコープ(スーパー)
山陰線浅利駅島根県浅利町山陰合同銀行出張所
山陰線荘原駅島根県斐川町シルバー人材センター
木次線亀嵩駅島棍県仁多町そば店
 笠原さんは「かつて駅は文化交流の拠点だった。過疎地こそ訪問看護の必要性は高く、無人駅の再利用は地域の活性化にもつながる」と広がりに期待する。 同じ紀勢線の見老津駅(和歌山県すさみ町)は、駅のすぐ前に海岸が広がる。駅舎を借りたのは地元ダイビング会社。更衣室を整え、駅からそのまま海に潜れることを最大の売り物にしている。
 1925年(大正14年)に日本を代表する洋館駅としてつくられ、国の登録文化財になっている山口県萩市の山陰線萩駅。97年にJRから駅舎を譲渡された市は「自然と歴史の展示館」として再生させた。山陰線仙崎駅(山口県長門市)の駅舎も96年から市が無償で借り、地元出身の童謡詩人金子みすゞの自宅などを再現した「みすゞ館」を開いた。多いときは来館者が1日100人を超えるという。
 JR西日本によると、管内にある計1227駅のうち、ほぼ半数の641が無人駅。自治体や民間企業が再利用しているのは、100−130駅。駅の敷地や建物を売却するほか、貸す場合でも利用目的に公共性が強いかどうかで無償か有償かを判断する。自治体が地域の高齢者向けの集会所や図書館などに使っている例が多いが、郵便局やスーパー、そば屋、理髪店に使っている例もある。
 JR西日本経営企画部は「人がいなくなると駅本来の機能も損なわれる。でも、無人化しても駅は地域の顔。JRだけでは限界があるが、地域との共存共栄を目指して積極的に連携をとり、無人駅を生き返らせたい」と話している。(朝日新聞 夕刊)
13日■運行を”新装”
・市バス 22日から 桂坂地区に2系統新設 5号系統は3割カット
 京都市交通局は12日、近畿運輸局の認可を受けて、今月22日の始発から運用する市バスの新運行計画を発表した。人口が増加傾向にある西京区の桂坂地区に、2系統の運行ルートと「桂坂中央」など4つの停留所を新設した。
 一方、地下鉄東西線の開通や烏丸線の延伸に伴う旅客需要の変化に対応して、JR京都駅と岩倉操車場前を結ぶ「5号」系統の本数を約3割カットするなど、運行回数とダイヤを見直した。
 一昨年10月に行った系統再編以来の変更。全体では、現行の4595往復が、2%削減されて4510往復になる。69ある運行系統のうち、ダイヤが改定されるのは45系統。
 新設されるのは、桂坂中央−阪急桂駅西口間の「西6」と、桂坂中央−洛西バスターミナル間の「特西6」、西賀茂車庫前−三条京阪間の途中に上賀茂神社前に寄る「特37」、東山通を通る京都駅前−京都会館美術館前間の「特206」の合計4系統。
 桂坂地区では桂坂中央のほかに、「峰ケ堂町一丁目」、「大枝山町東」、「花の舞公園前」の各停留所が追加される。現行の「西6」系統は「西7」に名称が変更される。
 5号系統の削減は、地下鉄網の拡充後、乗客の減少が著しいため。現行の233本が165本になる。
 このほか、運行計画の変更と同時に、リフト付きバスが新たに3台導入され、91号系統の大覚寺−四条烏丸間などを走る。
 新運行計画やダイヤ変更の詳細は、市バスの車内などに掲示される。問い合わせは交通局案内所 075(801)2561へ。
・叡山電鉄 27日から 通学用減らし観光に力点 新たに土曜ダイヤ
 叡山電鉄は27日から、叡山本線(出町柳−八頼遊園)と鞍馬線(宝ケ池−鞍馬)のダイヤをそれぞれ改正する。地下鉄烏丸線の京都国際会館までの延伸で、沿線高校、大学の通学客が地下鉄利用にシフトしたため、通学用列車を削減するとともに、観光客利用を見込んだ土曜ダイヤを新設、効率的なダイヤ編成を目指した。
 叡山電鉄の輸送人員は、94年の830万人をピークに年々減少。97年6月の地下鉄烏丸線の京都国際会館延伸以降は、同志社高校(京都市左京区)、京都精華大(同)の通学客が地下鉄利用に移行、全体の輸送人員が17%減少した。
 ダイヤ改正は、95年3月以来4年ぶりで、主な改正内容は▽朝ラッシュ時(午前7−9時)の鞍馬線通学用列車を6本削減▽朝ラッシュ時の叡山本線を9本増発▽夜間(午後7−10時)の列車を全線で7本増発▽朝ラッシュ時に9本増発の土曜ダイヤを新設−などで、同電鉄は「通学客減と、週休2日制の浸透に伴う土曜日の観光利用の増加に対応した」としている。(京都新聞)
■水路継ぎ目ずれ原因 兵庫のJR山陰線陥没
 JR山陰線の久谷−浜坂駅間(兵庫県浜坂町)で、線路のまくら木間の盛り土が直径40a、深さ2bにわたって陥没した事故(11日)で、JR西日本福知山支社は12日、原因は線路下の水路の継ぎ目部分がずれたため、と発表した。
 同支社によると、線路下3.6bに、線路を横断して設けられた水路(直径46a)の継ぎ目部分が土の重みでずれ、すき間から土を吸い込んだという。(京都新聞)
■春うらら 北びわこグルッと観光 SLや巡回バス レンタサイクルも JR西日本 GWに企画
 JR西日本京着信支社は今春のゴールデンウイークに、滋賀県、長浜市などと協力して「北びわこ周遊観光」事業を展開する。恒例の蒸気機関車「SL北びわこ号」(北陸線米原−木ノ本間)の運転のほか、臨時列車と観光地巡回バスを連携させた春の湖北観光事業を繰り広げる。
 今回初の臨時列車は、4月29日から5月5日まで、長浜から敦賀、近江今津まで計3往復運転。滋賀県と長浜市などの「北びわこ周遊観光フォーラム」が同期間に運行する巡回バス「近江路の辺の道」「山辺文化を満喫」「北近江観音巡り」の3コースと連絡する。
 また、同フォーラムは北陸線坂田−近江塩津間と湖西線マキノ、永原の計10駅で、乗り捨て可能なレンタサイクルも用意する。
 SL北びわこ号の運転は、5月1日から5日まで下り2本、上り1本で、全席指定。巡回バスは各コース共通で1日大人300円、子供150円。問い合わせはJR関係は京都支社運輸課 075(682)8023、バス、レンタサイクルは滋賀県交通政策課 077(528)3680へ。(京都新聞)
■通学電車を減らす 叡山電鉄 27日から 地下鉄の延長響く
 叡山電鉄(左京区)は27日から、通学用電車の削減や土曜ダイヤ新設などを中心にしたダイヤ改定を行う。市営地下鉄烏丸線が一昨年、京都国際会館まで延びた影響で、通学定期の旅客数が34%減少したほか、学校週休2日制の定着にも合わせた。一方、近距離区間の出町柳−修学院間の電車数や、早朝、夜間の電車数を増発して利便性を確保する。
 平日では、朝のラッシュ時(午前7時−9時)の通学電車(現行ダイヤで学休期運休扱いの電車)6本を削減し、代わりに出町柳−修学院間で9本増発する。
 また、昼間の電車を減らす代わりに、早朝で修学院−出町柳間2本を増発。夜間・深夜も出町柳−二軒茶屋間、同−八瀬遊園間、同−修学院間での計8本増発する。
 休日は出町柳−修学院間を14本増発する。新設される土曜ダイヤは、休日ダイヤを基本に朝ラッシュ時に計9本を増発する。(朝日新聞)
■”カモノハシ新幹線”出発進行 700系のぞみ 京でもファン歓声
 先頭がカモノハシのくちばしに似た新型車両「700系」のぞみが東海道・山陽新幹線に登場し、13日朝、一番列車が東京駅と博多駅からそれぞれ出発した。
 同新幹線の新型車は1997年の「500系」のぞみ以来2年ぶり。
 700系はJR東海とJR西日本が共同開発した車両で、空気抵抗を減らすため、先頭が細長く丸みを帯びたユーモラスな形をしているのが特徴。最高時速は285`で、東京−博多間を最短4時間57分で1日3往復する。
 東京駅では、一番列車の午前6時56分発博多行きのぞみ3号の出発に先立ってセレモニー。
 JR東海の田中宏昌副社長が「騒音、省エネなど環境にやさしい点で大変すぐれている。20世紀から21世紀への懸け橋になる車両だ」と述べた後、東京都江戸川区の小学2年生、西村希美(のぞみ)ちゃん(8つ)もテープカットに加わって出発を祝った。
 博多駅でものぞみ8号が午前7時27分、出発した。
 京都駅では、午前9時10分にのぞみ3号が到着。2分ほど停車した。ホームで待ちわびていた親子連れら約20人は新型車両の周りに群がって歓声をあげ、盛んにカメラのシャッターを切っていた。(京都新聞 夕刊)
■JR西日本 563億円収益源に 来年度の事業計画 設備投資も緊縮型
 JR西日本が12日、運輸省に申請した事業計画によると、1999年度の設備投資額は、前年度比で7%減の920億円と、かなりの「緊縮型」になった。関西圏の不況が全国的な水準より深刻で、輸送人員は前年度より5500万人減る見込み。旅客運輸収入も500億円を超える減少と、民営化以来で最大の落ち込みを予想しており、設備投資は、快適空間を実現させた新型車両の「700系のぞみ」導入など、輸送サービス向上に絞り込んだ形となる。
 99年度の輸送人員は、前年度に比べて3%減の18億4000万人と見込んだ。このため、旅客運輸収入が大半を占める営業収益は、563億円も落ち込む。2000人を超える退職者が出ることなどで、人件費など営業費用の減少に救われ、経常利益は前年度に並ぶ480億円台を確保する見通しだが、「税率変更などの要素を除いた実態を考えると、経常利益は400億円で、1割配当を維持するのにギリギリの水準」(高橋宏彰副社長)という。
 このため、99年度の設備投資計画は、前年度より70億円少ない920億円に絞った。JR東海と共同開発した新型車両「700系のぞみ」の導入を増やすほか、京阪神を中心とする在来線区間に180両の新車両を投入して、輸送スピードを上げるなど、車両関係で357億円の投資を予定している。
 このほか、各地のイベント案内と電車利用を組み合わせる「提案型」商品の開発や、電話による切符の予約受け付け、インターネットによる商品情報の提供など、アイデアに富む営業活動に力を入れ、需要低迷を補う。(朝日新聞)
■JR7社がともに減収 新年度見込み
 JR7社は12日、1999年度の事業計画を運輸省に申請した。景気低迷による旅客や貨物の輸送量減少が続くとみて、7社とも98年度の当初計画に比べると、営業収入が減る見込み。旅客輸送量は、下落幅が最も小さい北海道が1.1%減、最も大きい四国は4.9%減。新幹線を持つ本州の旅客3社も2−4%落ち込む。貨物の輸送量も8%減る見込みだ。(朝日新聞)
■JR7社の99年度事業計画■
 営業収入経常損益
東日本19,060(▼391)1,040(84)
東 海10,932(▼322)697(67)
西日本8,962(▼563)482(2)
九 州1,630(▼55)50(30)
北海道986(▼26)15(15)
四 国431(▼16)5(24)
貨 物1,710(▼165)▼29(35)
単位・億円、カッコ内は98年度計画比の増減額
▼はマイナスまたは赤字
■2000年春の採用 JR貨物中止
 JR貨物は12日、2000年春の新規採用を中止すると発表した。2001年春の採用も見送る方針。民営化された1987年春を除くと、JRになって初めての採用中止という。人件費抑制のためで、年間6億円程度の経費削減になる。同社はこれまで最大で300人、ここ1、2年は140人程度を採用していた。(朝日新聞)
■カモノハシ君出発 700系のぞみが営業開始
 JR東海とJR西日本が共同開発し、21世紀の東海道・山陽新幹線の主力車両となる新型「700系」が13日、営業運転を始めた。700系はカモノハシのような独特な先頭の形が特徴。のぞみに導入され、東京−博多間を1日3往復する。新型車両の登場で、開業当時から親しまれた丸い鼻先の「0系」は、1999年度中に東海道区間から姿を消すことになる。
 700系は初代0系から数えて5代目。騒音などを抑えるため、高速でも空気の層を無理なく切り開ける「エアロストリーム形」と呼ばれる独特の形状を採用した。車体の揺れを減らす新型装置を付け、従来より天井を高くするなど、乗り心地の向上にも配慮している。
 最高時速は東海道区間が270`、山陽区間は285`で、東京−博多間を4時間57分で結ぶ。
 新大阪駅からは、午前9時54分発東京行き「のぞみ8号」が上り初発となり、出発式に大阪府摂津市の市立鳥飼北小学校5年の藤原希ちゃんらが招かれ、ホームでテープカットし、くす玉を割って祝った。
 またこの日、山陽新幹線小郡−新下関間に新駅「厚狭駅」が開業した。(朝日新聞 夕刊)
14日■電車 空からやってきた 広島電鉄 独から購入 世界最大級機で旅
 広島電鉄(広島市)が購入した新型の低床路面電車が13日、世界最大級のロシアの輸送機アントノフ124でドイツから広島空港に空輸された。
 電車は5両編成で全長約30b、重さ約32dあり、3両と2両に分割して胴体に格納。アントノフ124は最大で120dの荷物を運ぶことができ、アイルランド出身のロックグループ「U2」の世界ツアーに使う舞台セットを、丸ごと輸送したことでも知られている。
 購入費の一部が国などの補助金のため、点検などの納入手続きを年度内に済ませる必要があり、ロシアの航空会社に空輸を依頼した。
 電車はドイツの総合電機メーカー「シーメンス」社製。軌道面から床までの高さが33aと低く、車いすやベビーカーのまま乗車が可能で、導入は熊本市に次いで全国で2番目。今春にもJR広島駅前と観光地・宮島に渡る港を結ぶ路線を走る。(京都新聞)
■舞い降りた路面電車 超低床型ドイツから広島へ
 ドイツから輸入された広島電鉄の新型路面電車が13日朝、大型貨物機で広島空港(広島県本郷町)に運ばれた。同社はこれまでも海外から路面電車を輸入しているが、空輸したのは初めて。
 広島電鉄は電車を導入するのに1998年度、広島県や沿線の市町から補助金を受けているため、3月末までに電車を日本に到着させようと、メーカーに空輸を依頼した。5両編成で、全体の長さ30b、重さ31d。2つに分割されて貨物機から下ろされた。電車は、国内では2番目の超低床タイプ。車いすの障害者やお年寄りも利用しやすい。5月ごろに登場する。(朝日新聞)
■窓
 広島電鉄(広島市)が購入した新型の低床路面電車が13日、世界最大級のロシアの輸送機、アントノフ124でドイツから広島空港に空輸された。
 電車は五両編成、全長約30bで2両と3両に分けて格納。購入費の一部が国などの補助金のため納入手続きを年度内に済ませる必要があり、ロシアの航空会社に空輸を依頼した。
 独シーメンス社製で、軌道面から床までの高さが33aと低く、車いすやベビーカーのまま乗車が可能。今春にもJR広島駅前と観光地・宮島に渡る港を結ぶ路線を走る。(日本経済新聞)
15日■架線に釣り糸 3700人に影響 JR奈良線・山城青谷駅
 14日午前10時ごろ、城陽市市辺のJR奈良線山城青谷駅構内で、架線に釣り糸が巻き付き、ルアーが垂れ下がっているのを、奈良発京都行き普通電車の運転士が発見した。
 釣り糸は約50分後に取り除かれたが、この電車が54分遅れたほか、上下8本が運休し、約3700人の足に影響が出た。
 JR西日本や城陽署の調べでは、ホームで列車を待っていた中学生が釣りざおを振り回しているうち、釣り糸が架線に絡みついたという。(京都新聞 夕刊)
16日■大阪から淀へノンストップ 京阪が快速新設
 京阪電気鉄道は15日、大阪・淀屋橋から宇治への直通列車「宇治快速」と、京都競馬場最寄りの淀に直行する淀快速「ターフィー号」を観光シーズンや競馬開催日に運転する、と発表した。
 淀快速は、競馬開催日の目曜日とGIレース開催日(4月11日から7月11日まで計11日)のみの運転で、初めての試み。大阪・淀屋橋発で、京橋から淀までをノンストップ25分で結ぶ。大阪市内の場外馬券発売所の混雑解消もかねており、車内では専門紙による解説や予想なども行う。
 宇治快速は昨年秋に続く運転で、今年は、4月4日−5月5日、6月6日−7月4日、10月31日−11月28日間の日祝日に運転する。淀屋橋から京橋まで各駅に停車後、枚方市、中書島、六地蔵に止まり、6、7月は、アジサイで有名な三室戸寺最寄りの三室戸に臨時停車する。(京都新聞)
■山陰線信号機が故障 上下12本部分運休
 15日午後3時15分ごろ、JR山陰線の京都−丹波口間の信号機が「赤」のまま変わらなくなり、上下線とも京都−二条間で運行を取りやめた。午後5時35分に信号機が復旧するまでの間、上下線の計12本が部分運休し、バスなどで代行輸送したが、約4200人に影響が出た。
 JR西日本によると、落雷で信号機の電源装置の整流器が焼けたため、京都−丹波口間に絶えず列車が走っているように誤って感知し、信号機が変わらなくなった、という。(京都新聞)
■新幹線走る 夢と課題のせ…開業から35年 ハイテク駆使して利点どうアピール
 アヒルのくちばしを思わせるユニークなスタイルの新幹線車両「700系のぞみ」。今世紀最後の新型として、今月13日に東海道・山陽区間(東京−博多)にデビューした。新幹線が、東京オリンピックの開催された1964(昭和39)年に開業して35周年。格安航空運賃時代に突入して長距離交通の競争が激化するいま、新幹線の歩みを振り返ってみた。
・親子試乗会で
 今月7日、東海道区間の新大阪−東京間で、700系の親子試乗会があった。乗車駅の新大阪駅で、二男の匡彦君(12)と乗り込む京都市伏見区深草西浦町の公務員赤阪久夫さん(53)は「子どもより私の方が喜んでます」と興奮気味。鉄道ファンで試乗を終えた同市右京区西院月双町の会社員吉田賢一さん(35)は「ほかの車両に比べて静かで振動も少なかった。客室もゆったり」と満足げ。長女の真貴ちゃん(7つ)も感想を「学校の作文にする」とうれしそうだった。
 試乗会は、抽選で1400人が参加したが、応募総数はおよそ80万人。新幹線の根強い人気をうかがわせた。
・700系
 700系は、現在の主力車両の300系をベースに、96年7月からJR東海とJR西日本が初めて共同開発。沿線環境への配慮と乗車中の快適さをテーマに、騒音や揺れの低減を図ったという。
 先頭車両のアヒルのくちばし型は、走行中の空気の流れをスムーズに逃がすため。300系に比べて、空気抵抗を約15%低減。結果的に、トンネル突入時の圧迫感や車両表面の空気の渦の発生を減らし、騒音を抑えたという。また、従来から列車の後部で揺れが大きくなる課題があったが、最後尾では、車体を安定させる効果も生んだ。
 客室は300系より天井を6.5a、通路幅を3a拡大。車内騒音も、床下の電子制御装置を改良して、雑音を耳に聞こえにくい高周波数に。ハイテクを駆使し、見えない所にも工夫をこらしているわけだ。
 新幹線は、旧国鉄時代の64年10月に東海道新幹線として開業した。戦後復興のあと、経済活動が活発化するなか、国は二大都市を結ぶ東海道線の輸送量の限界を予想し、高速化を計画。特急で6時間半の所要時間を「3時間」へ短縮する目標を掲げた。
・新幹線の役割と問題
 開業当初、最高速度は210`で、世界初の200`台運転を実現。所要時間4時間の「ひかり」、各駅停車で5時間運転の「こだま」が、高度経済成長期の科学技術の象徴となった。
 ダイヤは、それぞれ1時間1本、1日計30往復だったが、開業半年間の1日平均利用客は予想より5割増の6万人。その後の山陽区間への路線延長や、その後の東北・上越新幹線など全国展開に弾みを付けた。
全国新幹線の歩み
1956年国鉄に「東海道線等増強委員会」設置
59年東海道新幹線の運輸大臣認可、起工
63年開業ダイヤ決定(12両編成、1日30往復)
64年10月1日開業(東京−新大阪)
65年ダイヤ改正(ひかり3時間10分、こだま4時間運転。1日55往復)
67年旅客数1億人突破
71年東北・上越新幹線起工
72年山陽新幹線開業(新大阪−岡山)
75年山陽新幹線延長(岡山−博多)
82年東北新幹線開業(大宮−盛岡)。上越新幹線開業(大宮−新潟)
85年東北新幹線延長(上野−大宮)
86年国鉄関連法8法案可決 民営化決定。翌年4月にJR西日本、東海、東日本、など発足
91年東北新幹線延長(東京−上野)
95年1月に阪神大震災で山陽区間の一部に被害。4月に全通
 しかし、必ずしも順風満帆ではない。高速走行と本数の増加によって、沿線では振動と騒音問題が浮上。特に、公害への関心が高まった70年代に入って、住民訴訟へ発展した。
 環境庁は75年、居住地域は70ホン以下などとする新幹線の環境基準を設定したが、住宅の密集する東海道・山陽区間では達成が難しく、75ホンに緩和。94年にようやくほぼ達成された。
・スピード競争
 高速鉄道の代名詞となった新幹線だが、オイルショックもあり、国鉄末期には高速度試験は実施されず、79年の東北新幹線での319`が最高だった。しかし、81年にフランスの高速鉄道TGVが380`の新記録を達成、ドイツのICEは88年に400`を突破。90年に再びフランスが515.3`の驚異的な記録を樹立すると、日本では民営化後の90年代に入り、再び研究が活発化した。
 その成果で、実際の営業運転ではJR西日本が開発した「500系」が山陽区間で300`を実現、世界一だったフランスに並んだ。
・格安航空便とも…
 一方、700系は、東海道区間で270`、山陽区間で285`が最高速度。東海道区間は、500系なども270`に制限されている。「日本は住宅地を避けるためカーブが多く、騒音抑制や乗り心地を優先せねばならない」(JR東海)。すでに、福岡−東京間では、新幹線の半額以下で乗れる航空便も登場しているだけに、今後、新幹線の利点をどう工夫し、利用者にアピールするかが課題になりそうだ。
・位置づけ 再確認も必要 快適さと楽しさの充実も 京都大大学院教授(交通計画) 北村 隆一
 東京と大阪を結ぶ新幹線事業は、世界の大都市間の高速鉄道と比較して、まれな成功を収めている。狭い国土や独特な日本のビジネス風習に合ったことが大きい。対面型コミュニケーションを重んじ、会議や年末年始のあいさつ回りでは、大勢のビジネスマンが東京へ集まる。それも、1編成で1300人が乗車でき、高速かつ地下鉄並みの頻度で往来できる仕組みを開発した技術力があってこそ。
 しかし、現在、新幹線のあり方は転換期に来ている。新幹線が開業したころは、所要時間を時間単位で大幅に短縮したが、最近では高度な技術を駆使しても分単位。時間節約の効果は少ない割に、さらにスピードアップを図ろうとすると、開発コストは莫(ばく)大になる。それが、料金や赤字在来線の廃止という形で利用者に跳ね返るかもしれない。
 別の問題もある。地球温暖化など環境問題から、国策でも陸上輸送は「車から鉄道へ」の時代だが、民営化後、貨物インフラの縮小にみられるように、利潤に左右される度合いが強まった。公共交通としての役割の中で、鉄道全体に大きな影響を与える新幹線事業をどう位置づけるか再確認する必要がある。サービス面では工夫がほしい。航空機に比べて乗っている時間が長いのだから、映画やテレビの放映、荷物や座席スペースの拡大など、快適さと楽しさの一層の充実に期待したい。(談)(京都新聞)
■環状線で男性 飛び込み即死 桜ノ宮駅、12本運休
 16日午前9時20分ごろ、大阪市都島区中野町のJR大阪環状線桜ノ宮駅で、内回り普通電車(8両編成、乗客約900人)の運転士がホームから飛び降りる男性を見つけ、非常ブレーキをかけたが、男性をはねた。男性は即死した。このため、内回り線の運転が一時ストップした。電車は約20分後に運転を再開したが、計12本が運休、計15本が21−2分遅れるなど乗客計約1万2000人に影響した。
 都島署の調べでは、男性は50歳代ぐらい。妻あてに「ありがとう」などと書かれた遺書が残されていた。(朝日新聞)
17日■京滋揺れ 帰宅「足止め」 彦根震度4 亀岡震度3 JRがか大泊詔
 16日午後4時43分ごろ、近畿地方を中心に広い範囲で地震があり、彦根市と近江八幡市、滋賀県志賀町、三重県鈴鹿市で震度4を観測した。京都地方気象台によると震源地は滋賀県北部で、震源の深さは約10`b。マグニチュード(M)は5.1と推定される。
 この地震のため、東海道新幹線は、京都−岐阜羽島間で自動的に送電が止まり、上下線計7本が17−12分遅れ、約5000人に影響が出た。
 在来線でも、JR東海道線の山科−米原間、草津線の草津−貴生川間で、安全確認のため運転を見合わせた。線路や信号機などを点検した後、東海道線は午後7時40分、草津線も午後8時14分までに運転を再開した。湖西線と北陸線は地震直後の徐行運転で、最大30分の遅れが出た。
 JR西日本によると、17日午前零時20分現在で、上下計85本が運休、149本に最大4時間18分の遅れが出て、約8万9000人の足に影響した。
 JR京都駅(京都市下京区)の東海道線ホームでは、滋賀県方面に帰宅途中の乗客であふれかえった。列車運休のアナウンスが流れるなか、乗客が「いつになったら電車が動くんだ」と、駅員に詰め寄る光景も見られた。
 大津市に商談に向かう途中の自営業者(51)は「電車がいつ来るか分からない。(商談の)日を変えてほしい」と取引先に携帯電話で連絡し、帰宅途中の大津市の女性(25)は「どうしたらいいのか分からない」と戸惑っていた。
 JR西日本は、京都駅から守山駅まで代替輸送のバスを出して対応した。代替バスが出発する京都駅八条口には、約100人が詰めかけ、駅員に「このバスはどこに行くのか」と大声で叫ぶなど、情報不足にいらだちを隠せないでいた。
 各地の震度 震度3=亀岡市、八幡市、伊根町、水口町、福井県高浜町など▽震度2=京都市、向日市、宇治市、城陽市、久美浜町、大江町、園部町、大山崎町、笠置町、大津市、永源寺町、高槻市、神戸市など▽震度1=福知山市、舞鶴市、綾部市など(京都新聞)
■運転士が不在 特急1本運休 新大阪−京都
 JR西日本によると、16日午後9時50分にJR大阪駅を発車予定の京都行き特急「スーパーはくと12号」が、交代の運転士が不在と分かった。運転士は新大阪駅まで運転したが、新大阪−京都の運転を取りやめた。交代の運転士は、同日の地震の影響で所定時間までに大阪駅に着けず、代わりの運転士も手配できなかった。大阪駅の発車が36分遅れ、後続の新快速など2本も28−15分遅れた。1500人に影響が出た。(京都新聞)
■2000年問題 対策を開示 JR西日本方針
 JR西日本は16日、コンピューターが2000年を1900年と読み違え、様々な誤作動を引き起こす「2000年間題」について、在来線の運行管理、指定券の発売にかかわるシステムははぼ改修を終えたとしたうえで、対策の進み具合を自社のホームページで情報開示すると発表した。2000年間題を不安に思う利用者などから問い合わせが相次いでいるため。
 JR西日本は今年1月、約80人で組織する「2000年間題対策委員会」を発足させ、対策を進めている。新幹線の運行管理システムは、JR東海と共同で10月までに改修、試験を終え、金融機関などの他社と接続する基幹業務システムについては4月末までに対応を終える予定だ。(朝日新聞)
■旧国鉄債務追加負担 訴訟検討を改めて表明
 JR西日本の南谷昌二郎社長は16日の記者会見で、昨秋の臨時国会で成立した旧国鉄債務処理法にもとづく追加負担について、同社割り当て分の445億円を今月初めに一括して支払ったものの、「筋の通らない負担であることに変わりはない」と不満を表明し、国を相手取った違憲訴訟について前向きに検討していることを改めて表明した。
 南谷社長は「現在、弁護士を交えて、訴えうるかどうかの最終的な詰めに入っており、4月中には結論を出したい」と話した。参考になる判例は少ないとしながらも、「裁判が不可能とは思わない」と述べた。
 政府がJR各社に求めた追加負担は、総額で1800億円。JR東日本、西日本は訴訟で国と争う姿勢を見せたが、2月に東日本が提訴断念を表明した。
 西日本旅客鉄道(JR西日本)労組も、今月中旬の春闘総決起集会で、会社側が提訴すれは支援する考えを表明している。(朝日新聞)
■脱線、死傷者100人越す 米国 夜行列車、一部は炎上
 【ニューヨーク16日=山中季広】15日午後9時40分(日本時間16日午後零時40分)ごろ、米シカゴ発ニューオーリンズ行きのアムトラック(全米鉄道旅客公社)の夜行列車が、シカゴの南80`付近の踏切で、大型トレーラーと衝突し脱線した。一部の車両は炎上した。乗員と乗客計214人のうち、少なくとも5人が死亡し、100人以上が重軽傷を負った。
 警察や消防による救出作業は夜が明けても終わっていない。これまでに188人がヘリや救急車で近くの病院や避難所に搬送された。残る26人は車内に閉じこめられたままとみられ、死傷者の数は増える見込み。
 アムトラック本社によると、乗っていたのは乗客196人と乗員18人。
 地元警察によると、16両編成で、機関車2両が転覆し、客車6両が脱線した。寝台車の客に被害が目立っており、片脚を失って重体の人もいる。やけどを負った乗客が多い。トレーラーの運転手の安否はわかっていない。(朝日新聞)
■滋賀で震度4 JR止まる 代替バス不足し混乱
 16日午後4時43分ごろ、滋賀県から三重具にかけて最大で震度4を記録する地震があり、西日本の広い範囲で、揺れを感じた。大阪管区気象台によると、震源地は滋賀県北部で、震源の深さは約10`、マグニチュードは5.1と推定している。この地震で東海道新幹線が岐阜羽島−京都間で一時運転を見合わせたほか、JR東海道線も滋賀県内で運転を中止するなどした。夕方のラッシュ時間と重なったこともあり、関西を中心に帰宅客らに大きな影響がでた。
 JR西日本によると、滋賀県野洲町のJR東海道線野洲駅構内に設置していた地震計が、規制値を超える震度を記録したため、東海道線安土−大津、草津線草津−貴生川の両区間を走行中の計16本の全列車が緊急停車した。各列車とも数分後に最徐行で大津駅など最寄り駅まで運転してから、各駅で運転を見合わせた。
 東海道・山陽線の新快速電車が大阪駅で、快速電車は京都駅で折り返し運転となった。東海道線など上下85本が運休、計129本が最大4時間18分遅れ、乗客約8万4000人に影響した。
 各地の震度は次の通り。
 震度4=滋賀県彦根市、近江八幡市、志賀町、三重県鈴鹿市
 震度3=京都府亀岡市、滋賀県水口町、三重県四日市市、松阪市、菰野町、関町、朝日町、阿山町、奈良県高取町、福井県小浜市、三方町、上中町、高浜町、大飯町
 震度2=京都市、大津市、奈良市、大阪府高槻市、東大阪市、神戸市、兵庫県尼崎市、明石市など
 震度1=大阪市、兵庫県相生市、京都府福知山市、和歌山市など(朝日新聞)
■吹田の学生 安否が不明 米列車事故、死者14人
 【ニューヨーク16日共同】米シカゴの日本総領事館は16日、イリノイ州シカゴ郊外バーボネ近くで15日夜起きた全米鉄道旅客公社(アムトラック)の列車とトラックの衝突事故で、吹田市の学生、野村敬一さん(20)が列車に乗っていたことが確認され、安否を調査中であることを明らかにした。
 事故の死者は16日夜までに14人に達し、横倒しになった客車内に閉じ込められている数人の乗客は絶望とみられている。
 事故は乗客・乗員47人が死亡したアラバマ州の脱線事故(1993年)に次ぐ、アムトラック史上2番目の惨事となりそうだ。
 この事故では、日本人女子留学生(26)も列車に乗っていたが、無事が確認されている。
 列車乗客の犠牲者が集中した寝台車は当初、機関車のすぐ後の先頭車両と報じられていたが、先頭から3番目の車両と分かった。(京都新聞 夕刊)
■死者14人に シカゴ列車事故
 【ニューヨーク16日=山中季広】米シカゴ近郊で15日夜起きた夜行列車事故の死者は、16日夕までに14人に達した。負傷者は約120人。
 シカゴの日本総領事館によると、16日午後、列車の運行会社から乗客名簿に日本人男性らしい記載があるとの通報があり、安否の確認を急いでいる。(朝日新聞 夕刊)
18日■JR京都駅前地下街に花壇
 JR京都駅前地下街の「ポルタ」に17日、イギリス風の花壇がお目見えした。幅約3.5b、長さ約7bで、チューリップやマーガレット、パンジーなどの草花が約600株敷き詰められている。中央には小屋があり、道も設けられていて中を通り抜けることもできる。地下街の131店舗でつくるポルタ名店会が、地下街に季節感を与えようと設置した。ポルタは平日でも約10万人が往来する。花壇の設置は4月4日まで。(朝日新聞)
19日■国鉄改革法の承認決定 国労 不採用問題の打開へ
 国労(高橋義則委員長)は18日、東京都内で臨時大会を開き、国鉄の分割・民営化の根拠となった国鉄改革法を承認することを決定した。
 組合員のJR不採用問題をめぐり国労は「政府の責任による政治解決」を求め、政府、国労、JRの3者による和解のテーブルづくりを要求。自民党は昨年6月、解決に協力する条件として、改革法承認を大会で機関決定することなどを求めていた。
 自民党が解決への環境整備の最大の柱としていた改革法承認を国労が決めたことで、政府、自民党が不採用問題の解決に向けた対応を見せるかが注目される。
 大会後の記者会見で高橋委員長は「与野党関係者との協議で、解決への道を開くことができたと判断した」と承認を提案した経過を説明。
 一方で「改革法を認めたからと言って、不当労働行為を認めるわけではない。東京高裁での訴訟も現時点では取り下げるつもりはない」と明言した。
 国労執行部は昨年8月の定期大会で、不採用問題の局面打開のため改革法承認を提案したが、白紙撤回や継続討議を求める意見が続出。決定を先送りして内部で議論を続けていた。
・全面承認なら意義 JR西日本の話
 国労がこれまでの方針を転換し、国鉄改革を事実としてだけでなく、理念も含め全面承認したことになるなら誠に意義深い。国労が当社への協力を具体化するなど、労使関係のより良い発展に寄与する努力をしていくなら、当社としても労使関係の正常化に努めていく。
・誠心誠意解決に努力 野中氏、不採用問題で
 野中広務官房長官は18日午後の記者会見で、国労が同日の臨時大会で国鉄改革法の承認を決めたことに関連し「旧国鉄の債務問題についても法律を通すことができ、一つの区切りをつけられたし、ある意味で評価すべきだ」と歓迎する意向を示した。
 その上で、野中長官は最大の懸案になっている国労組合員のJR不採用問題について「お互いに誠心誠意解決に努力すべきだと考える」と述べ、政治解決を目指して前向きに取り組む考えを強調した。(京都新聞)
■大手私鉄賃上げ交渉 12社、最低水準の回答 4950−5600円 京阪など持ち越し
 大手私鉄の賃上げ交渉で18日、東武鉄道、営団地下鉄、京成電鉄など関東の大手6社と、近畿日本鉄道、南海電鉄、阪神電鉄、名古屋鉄道はいずれも30歳勤続12年の標準労働者で5600円(定昇込み)を提示。阪急電鉄は4950円(同)、西日本鉄道は5100円(同)を回答した。回答方式が昨年と異なり比較できないケースを除き、昨年より1170−1500円低く過去最低の水準となった。組合側はいずれも妥結の方向。
 残る東急電鉄、京阪電鉄の交渉は労使の主張の隔たりが埋まらず難航、19日にずれ込んだ。
 私鉄総連加盟の各組合は賃上げ要求基準を9100円に設定。昨年実績からの下げ幅を最小限に食い止めるため、全力を挙げたが、経営側は旅客人員減少などの経営環境悪化や他産業の回答水準を理由にべア抑制を主張した。
 中小の私鉄やバスの労組は26日に第一波のストライキを構えて交渉するが、業績不振で、大手私鉄より厳しい交渉が予想される。(京都新聞)
■JR西は事実上妥結 賃上げ率2.19%
 JR西日本は18日、1999年度の従業員平均(43.9歳)の基準内賃金を定期昇給分を含め7573円(前年は9986円)。組合がこれを受け入れ、賃上げ交渉は事実上妥結した。賃上げ率は2.19%で前年実績より0.72ポイント下がった。(京都新聞)
■「スルッとKANSAI」導入記念 京阪が乗車券 セット発売へ
 京阪電鉄は、関西の電鉄や公営鉄道で構成する共通乗車券システム「スルッとKANSAI」の導入に合わせ、4月1日から、記念乗車券セット「Kカード発売記念パッケージ」を京都と大阪の主要駅事務所で売り出す。
 共通乗車券システムは現在、阪急や阪神、大阪市交通局など8社局(JR西日本や近鉄を除く)で運用されており、4月1日から、京阪はじめ南海や和歌山バスなど5社が加わる。京阪では、大津線を除く全56駅で利用できる。
 記念セットは、2階建て車両の8000系特急車両や全路線図、東寺などの絵柄で、大人用1000円の3枚セットを3000円で2万組。三条、四条、中書島、宇治など14駅事務所で販売する。(京都新聞)
■さわったおしりは婦人警官 京阪電車内で痴漢行為 容疑の男を逮捕
 19日午前7時15分ごろ、京阪線の出町柳発淀屋橋行き特急車内で、大阪府警航空隊巡査の竺原真紀子さん(25)が、自分のおしりを触る男性に気付き、大阪府迷惑防止条例違反(粗暴行為)の現行犯で逮捕、都島署に引き渡した。
 調べによると、八幡市の印刷工の男性(24)で大阪市内へ通勤途中。身動きができないほど満員の車内で、後ろから近づき密着、寝屋川市駅に差しかかった際に、右手でおしりを触った。さらにスカートをまくり上げようとしたところ、竺原さんが左手で男の手首をつかみ、右手でコートのポケットから定期入れの中の警察官の名刺を見せ「やめなさい」と一喝したという。
 京橋駅で降ろされ、同署に連行された男は「車内には多数の女性がいたが(女性警官は)かわいい女性だった。触ってはいけない人にやってしまった」と供述、以前にも別の女性に3回痴漢行為をしたことを認めた。
 同署によると、竺原さんは学生時代から剣道部に在籍し、剣道二段、柔道初段の腕前。前任の生野署でも痴漢を捕まえた実績があるという。(京都新聞)
■私鉄賃上げ交渉 関西大手3社 5600円を回答
 私鉄の賃上げ交渉で18日、大手11社の回答が組合側に示された。東武、営団地下鉄、京急、京成、京王、相模鉄道の関東6社と名鉄、さらに南海、阪神、近鉄の関西3社は、いずれも定期昇給分を含めて5600円(30歳・勤続12年の標準労働者)の賃上げ回答だった。昨年より1300−1500円低く過去最低水準だが、組合側は受け入れるとみられる。阪急は、昨年より1170円低い4950円だった。
 私鉄大手はこの日が回答指定日だったが、東急、京阪は回答に至らず、19日までもつれ込みそうだ。
 私鉄総連に加盟している各組合は、9100円のアップを統一要求したが、経営側は他業界の回答水準や旅客人員の減少などによる経営悪化を理由に、低水準を示した。大手の春闘は各社労使の個別交渉で、事前のストライキは構えていない。中小は、26日に24時間のストライキを構えて23日に回答するよう求めている。(朝日新聞)
■過去最低のベア1000円に JR西日本
 JR西日本は18日、最大労組の西日本旅客鉄道労働組合との賃上げ交渉について、1999年度の賃上げ額が、組合員平均で7573円、率に換算して2.19%で妥結した、と発表した。賃上げ額のうち、定期昇給を除くベースアップは1000円で、前年度実績より2400円も減少した。ベアは率換算で0.29%となり、率、額ともに、JR西日本が87年に設立されて以来、最低の水準となった。また、年間賞与の月数は5.42ヵ月分で、前年に比べ0.18ヵ月分の減少。賞与は、阪神大震災の影響があった95年度に次ぐ低い水準だった。(朝日新聞)
20日■近鉄社長に辻井氏 田代氏は財界活動に専念
 近畿日本鉄道は19日、田代和社長が会長に退き、後任に辻井昭雄副社長が昇格する人事を固めた。6月の株主総会後の取締役会で、正式決定する。
 田代社長は3期目の任期半ばだが、3月末の大阪商工会議所の議員総会で新会頭に就任することが確実なため、社長を退任し、財界活動に専念する。
 金森茂一郎会長は、取締役相談役に退くとみられる。
 近鉄は長引く不況と就労者人口の減少などで、本業の鉄道業務が振るわないうえ、ホテル、旅行など関連会社の業績も悪化。一層の合理化を迫られているだけに、労務畑が長い辻井氏の手腕が期待されている。
 辻井 昭雄氏(つじい・あきお)京大卒、56年に近畿日本鉄道に入社し、89年に取締役。常務、専務を経て、94年6月から副社長。66歳。(朝日新聞)
■タイムアングル トロリーバス 排ガスは出ないし 電車のように騒音もない
 トロリーバスがお目見えしたのは昭和7年(1932年)4月で、以後40年近く走っていたから、見たり乗ったりして記憶している人も多いはずだ。
 バスを電力で走らせるという着想で、排ガスは出ないし、電車のような騒音を立てない。全国の都市で初めての試みという点に、人気があった。
 当初は四条大宮から西大路まで。写真は後院通の壬生車庫を出て、停留所へ来たところを、西から撮っている。
 後院通から四条通を西へ曲がるには、内角45度の回転をしなければならない。写真の左端は阪神急行電鉄の京都大宮駅(現在の阪急大宮駅)で、トロリーバス用の架線は、その前を急カーブを描いて左へ曲がっている。電車では曲がりきれないが、軌道の要らないトロリーバスだから、自由が利いたのだろう。
 右手奥の方にひしめいているのは乗車しようとする人たちだが、手前は明らかに見物人。電動のバスが珍しかったころだ。
 トロリーバスの路線は同33年(1958年)に、四条街道を梅津高畝町まで2`余り延長された。まだ田園情緒がたっぷりと味わえた路線だった。
 最終的には松尾橋の東詰まで届いたが、同44年(1969年)9月に廃止された。軌道は要らなくても架線が必要だから、バスの方が経済的だったのである。(作家・駒 敏郎)(朝日新聞)
■「あの日、忘れない」 サリン事件から4年 地下鉄6駅で黙とう
 死者12人、重軽症者約5500人を出した地下鉄サリン事件から4年目の20日、犠牲者を出した東京の営団地下鉄・霞ヶ関駅など6駅では、発生時刻の午前8時、営団職員らが黙とうした。これらの駅では駅事務所に献花台を設置し、遺族らの献花を受け付けた。
 黙とうが行われたのは、霞ヶ関、築地、小伝馬町、神谷町、八丁堀、中野坂上の各駅。霞ヶ関駅では、事件の記念プレートのある地下通路に、制服の駅員30人余りが集まり、首席助役が「わが身を投げ打って不審物を処理、事件の拡大を防ぎ、人命を救った2人の助役の果敢な行為に敬意を表します」などとあいさつした後、30秒間黙とうした。
 事件当時の霞ヶ関駅長で、営団広報課長の野尻辰秀さん(46)は「療養している被害者は早く回復してほしい。事件は風化しているといわれるが、仕事の中で生きており、忘れられない」。霞ヶ関駅員の湯浅勝さん(28)は「前日一緒の泊まり勤務だった高橋一正助役が倒れるのを見ている。同じ立場にいれば、職員はみな同じ行動をとっていると思います」と話した。(京都新聞 夕刊)
■強風で徐行運転 JR湖西線
 20日午前1時50分ごろ、滋賀県滋賀郡志賀町南小松のJR湖西線・近江舞子駅の風速計が運転規制値を示す風速20bを記録したため、JR西日本は近江舞子−北小松駅間で、午前11時20分まで時速30`の徐行運転を行った。
 この影響で、金沢発大阪行きの「雷鳥4号」が京都駅に9分遅れで到着したのをはじめ、上下線で特急、普通列車計50本が12−1分間遅れている。乗客約9500人に影響が出た。(京都新聞 夕刊)
■JRバスなど5台追突 大津の名神 運転手ら6人がけが
 20日午前6時10分ごろ、大津市瀬田大江町の名神高速道路下り線で、東京発京都行きの西日本ジェイアールバス=橋場正樹運転手(26)=や大型トラックなど計5台が次々に追突し、橋場運転手が腹部に重傷を負ったのをはじめ、バスに乗っていた横浜市南区別所三丁目、会社員達紙信夫さん(54)ら5人が手や足などを打って大津市内の病院に運ばれた。乗客はいずれも1週間−10日間の軽傷。
 滋賀県警高速道路交通警察隊の調べでは、渋滞のために下り線の追い越し車線に停車した大型トラックに2台の大型トラックが衝突、さらに後続の大型トラックが急停車したところにバスが追突した。事故当時、バスには26人の乗客がいた。
 この事故で下り線が走行規制され、午前9時現在で約15`の渋滞、上り線も事故を見る車で約29`渋滞した。(京都新聞 夕刊)
■洛中洛外
 関西の鉄道を題材にした写真展「すきやねん!〜関西の鉄道〜」が20日、京都市東山区東大路通三条東入ルの「ギャラリーいのうえで 始まり、懐かしい京都市電を活写した作品などが、来場者の目を引いている。
 日本鉄道写真作家協会会員らでつくる「関西レイルウェイフォトグラファーズ、サークル」が初めて開いた。桜の花と嵐電など、四季折々の風景の中に息づく鉄通を、レンズでとらえた半切サイズの作品30点を展示している。
 京阪特急と京都市電の平面交差や、夕日を受けて疾走する新幹線「のぞみ」、紅葉の中の京福電鉄など、新旧の時代を映し出す作品から、鉄道への愛着がにじみ出ている。(京都新聞 夕刊)
■日本人学生 死亡を確認 列車事故、死者は11人 シカゴ
 【ニューヨーク19日=山中季広】米シカゴ郊外で15日起きた列車事故で、シカゴの日本総領事館は19日、安否が不明だった大阪府吹田市の大学生野村敬一さん(20)の死亡が確認されたと発表した。
 一方、列車を運行していた全米鉄道旅客公社(アムトラック)は、死者数をこれまで報じられた14人ではなく11人と修正した。事故の衝撃でバラバラになった遺体を重複して数えていたため。(朝日新聞 夕刊)
■高速バスなど 5台が玉突き 名神、乗客ら8人けが
 20日午前6時10分ごろ、大津市瀬田大江町の名神高速道路下り線で、兵庫県高砂市伊保崎三丁目、フットワークエクスプレス関西の大型トラック=山本宏運転手(29)=に、東京発京都行きJRバス関東の高速バス=橋場正樹運転手(26)=が追突するなど計5台が絡む玉突き事故があった。この事故で、橋場運転手が胸を打って重傷、高速バスの乗客26人のうち5人が軽いけがをした。
 滋賀県警高速道路交通警察隊の調べでは、渋滞で止まっていた大型トラックに別の大型トラックが追突、避けようとして急停車したフットワークエクスプレス関西の大型トラックに高速バスが追突したという。(朝日新聞 夕刊)
■六甲に新車両2種穎
 神戸市の六甲山を上り下りする六甲ケーブルに40年ぶりに導入される新車両が20日、公開された。27日から営業を始める。
 3代目となる新車両は4両(2編成)。かつての阪神電車や神戸市電をイメージした路面電車風のレトロタイプと、ヨーロッパの伝統的な赤と緑を使ったクラシックタイプを導入した。(朝日新聞 夕刊)
■サリン犠牲者へ献花
 東京の地下鉄霞ヶ関駅で交わる3路線の5列車でまかれた猛毒のサリンは、通勤や通学の乗客で込み合う車内や駅構内に広がり、12人の命を奪い、6000人ともいわれる人々を傷つけた。「地下鉄サリン事件」は、1995年3月20日、午前8時すぎに起きた。ちょうど4年がたった20日、3路線の6つの駅には献花台が設けられ、職員や遺族、乗客らが朝から犠牲者の慰霊に訪れた。(朝日新聞 夕刊)
21日■近鉄新社長に辻井氏 昇格内定 田代社長は会長に
 近畿日本鉄道は20日までに、田代和社長(72)が会長に退き、辻井昭雄副社長(66)が社長に昇格する人事を固 めた。金森茂一郎会長(76)は取蹄役相談役に就任する見通し。6月末の株主総会後の取締役会で正式に決める。
 近鉄にとって最大の課題だった関西文化学術研究都市と大阪市の中心部を結ぶ京阪奈新線の着工にめどがついたことから、この機にトップの若返りを図ることにした。
 田代社長は、現在3期目の任期半ばで、3月末に大阪商工会議所の会頭に就任することが決まっており、財界活動に専念する。
 辻井氏は、入社以来ほぼ一貫して労務畑を歩き、副社長就任後は田代社長の補佐役として総務や人事関係などを担当している。
辻井 昭雄氏(つじい・あきお)京大経済学部卒。56(昭和31)年、近畿日本鉄道に入社。取締役、常務、専務を経て、94年6月から副社長。大阪府出身。66歳。(京都新聞)
■「オウムを許せない」 地下鉄サリン事件から4年 2500人になお後遺症 被害者の会
 地下鉄サリン事件で亡くなった営団地下鉄職員高橋一正さん=当時(50)=の妻で「被害者の会」代表世話人のシズエさん(52)らが20日午後、現場となった東京都千代田区の露ケ関駅近くの日比谷公園内で記者会見し「事件から4年になるが、今も体調の不安を抱えている」「犠牲者のためにもオウム真理教の活動をやめさせて」などと語った。
 シズエさんは、同会や警察庁のアンケートなどを基に「回答しなかった人もいるが、約2500人が後遺症に悩み、カウンセリングを受けるなどしている」とし、一連の事件の刑事裁判について「(教団や被告に)謝罪してもらっても主人は戻らない。厳罰にしてほしい。起訴されてない信者も含めオウムを許すことはできない」と述べた。
 夫の地下鉄職員菱沼恒夫さん=当時(51)=を失った美智子さん(55)は「事件は現実離れした悪夢で、今も夫の死が信じられない。オウムは活動を続けており犠牲者の霊は浮かばれない」と声を詰まらせた。また軽症の男性(44)は「今も目が痛むのに医者は診断を下せず、この先、目がどうなるのか不安。行政は継続的な実態調査を」と訴えた。(京都新聞)
■青鉛筆
 「貴婦人」の愛称をもつ「SLやまぐち号」の今年の運行が20日、JR山口線の小郡駅(山口県小郡町)−津和野駅(島根県津和野町)間で始まった。20周年を迎え、機関士と車掌に花束が手渡された。
 やまぐち号は1975年を最後に姿を消した旧国鉄の復活SL第一号。赤字ローカル線の活性化と観光客誘致の願いを託し、79年に登場、乗客数は咋シーズンまでに123万9440人を数えた。
 列車は午前10時半すぎ、満席の350人を乗せて出発。汽笛を鳴らし、黒煙を上げながら約2時間、62.9`を走り抜けた。今年も11月28日まで、1日1往復、通算101日間運行する。(朝日新聞)
22日■新幹線最後の試験車 300X 年内引退 開発が一段落 成果「700系」に継ぎ
 東海道・山陽新幹線で営業運転を開始した「700系のぞみ」の高速化や乗り心地改善のために使われたJR東海の試験車両「300X」が役目を終えて今年いっぱいで引退することになった。
 旧国鉄の分割民営化後、それぞれ試験車両を製造、しのぎを削ってきたJR東日本、東海、西日本の3社による新型車両の開発競争は、700系のぞみの登場で取りあえず一段落する。3社とも「快適性の追求などに向けて技術開発は今後も続けるが、当面新しい試験車両を造る予定はない」と話している。
 JR東海によると、300Xは初代の「300系のぞみ」より速く、乗り心地の良い車両の開発を目的に製造され、1995年1月から試験運転を開始した。
 騒音の出にくいパンタグラフや車体の状態を瞬時に感知して揺れを抑える制御システムなどの研究成果は、JR東海と西日本が共同開発した700系に採用されている。
 「赤字経営のため更新したくてもできなかった」とJR関係者が話すように、新幹線車両は64年の東海道新幹線開業から18年間は初代「0系」だけだった。
 民営化を機会に、ようやく各社は独自に試験車両開発に取り組み、東日本は「STAR21」、西日本は「WIN350」を造った。
 これらで得られたデータを基に、東日本は東京への通勤客増加に対応し全車両が2階建ての「E1系」「E4系」や、長野(北陸)新幹線「あさま」の「E2系」などを投入。西日本も営業運転としては国内最速の時速300`を達成した「500系のぞみ」と次々に新型車両を登場させた。
 STAR21とWIN350は、97年までに走行を終了し、現在は先頭車両が滋賀県米原町の鉄道総合技術研究所(JR総研)風洞技術センターに保存されている。(京都新聞)
■児童文学の中の挑戦(39) 韓 丘庸 単純なノスタルジアでない市電復活の声
 「広島で京都の市電に乗ろう」
 こんなキャッチフレーズで4年前、日本児童文学者協会京都支部のメンバーが広島に赴き、「原爆をリボンで囲む集い」に参加した後、広島観光を楽しんだ。
 懐かしき古きよき時代に、京都の市電をこよなく愛したわたしたちは目を輝かせて乗ったのである。
 まさに往年の、あの下半身が緑色でどっしりしたスタイルのいい京都の市電が、昔の姿そのままに目の前にあった。その上、名前まで「大文字」とか「銀閣寺」などと源氏名をつけて走っているのである。わたしたちはその市電の前に並び幾度となくカメラに収まった。
 1978年9月30日に京都の市電は83年の歴史を閉じた。それから既に20年が経過した。
 今、ちまたでは市電の復活を望む声がちらちらと聞かれる。チンチン・バスを昔の電車に仮装して走らせたりしているのは、決して単純なノスタルジアだけではないと思う。
 長い間、チンチン電車は京都市の市民の足であり、観光の目玉でもあった。多くの市民が市電廃止に反対した時、その声を無視した行政に、今そのツケが回って来ているのではないか。
 広島市では93年に「路面電車を考える会」が設立され、積極的に市民への情報提供を試みながら、路面電車の利用普及だけでなく、交通体系の見直しや新しい電車システムの導入なども考えているという。
 京都では市電は交通渋滞の元凶だとか、時流にそぐわない遺物だとか、市バスより経費が増幅し累積赤字の解消がみこまれないなどと、マイナス事由ばかりをあげて廃止に追い込まれた。しかし、今も赤字は解消されずにいる。
 昔の先走り電車の歴史を丁寧に描いた松村茂の短編童話『走れ、虹のチンチン電車』をはじめ、子どもたちに市電を通して未来への夢を託す村田和文の『じいさんと市電』などは、児童文学における爽やかな作品として、いよいよ現実味を帯びようとしている。
 広島でも熊本でも松山でも路面電車は確実に黒字経営で市民の足として定着している。
 ともあれ、撒水車が走っていた昔のチンチン電車を望むべくはないにしても、今様で表現すれば「京都な市電」のよさがあってもいいのではないだろうか。(児童文学者)
 『じいさんと市電』(村田和文・作他、神門康子・画、京都児童文学会・編)サンブライト出版、1988年刊。(京都新聞)
23日■雪・強風、連休を直撃 事故や遭難相次ぐ
 連休最後の22日、各地で雪のほか強風が吹き荒れ、事故や山での遭難が相次いだ。東海道新幹線など交通機関も乱れ、京阪神の都市部でも日中、雪が時おり激しく舞った。大阪管区気象台によると、23日は移動性の高気圧に次第に覆われ、回復するという。
 兵庫県内の各地では雪が舞い、村岡町で2aの積雪。神戸海洋気象台によると、神戸市の最高気温は午前零時59分の7.4度だったが、午後零時半ごろには3.7度と、昼夜が逆転した。
 六甲山でも一時激しくふぶき、六甲有馬ロープウエーが始発から運休したほか、新神戸ロープウエーが減速運行した。香住町余部のJR山陰線余部鉄橋では午前4時55分、風速計が20b以上の強風を記録した。その後も20bを超える風が断続的に吹いたため、香住−浜坂間で列車の運転を見合わせた。JR福知山支社によると、豊岡−浜坂間で計14本が運休や部分運休し、約950人に影響が出た。
 京都府内でも雪が舞い、京都縦貫自動車道の綾部−舞鶴大江間が一時通行止めになった。
 東海道新幹線も浜松−豊橋間で強風のため後行運転し、計47本に遅れが出た。(朝日新聞)
24日■小浜線電化の方針 JR西日本 東舞鶴−敦賀間84`
 JR西日本金沢支社の徳岡研三支社長は23日、福井県の栗田幸雄知事と県庁で会談し、JR小浜線(東舞鶴−敦賀間84.3`)の電化について、「舞鶴線電化に引き続き、工事が進められるように取り組みたい」と前向きな姿勢を示した。
 小浜線電化については昨年10月、JR西日本の南谷昌二郎社長が、栗田知事との会談で「着工に問題はない」としていたが、今回JR側から初めて公式に電化の方針が表明された。今秋に電化開業する舞鶴線(綾部−東舞鶴間26.4`)を延伸するかたちを取り、開業すれば関西と若狭が1本の電車でつなげることになる。
 会談の中で徳岡支社長は「小浜線の電化に向けて事業内容がほぼ整理できたため、今後は具体的な調整・整理を本格的に行いたい」などと述べた。
 着工時期は未定だが、福井県総合交通課によると、事業費は約130億円(車両費含む)と見込まれ、今後は沿線自治体の負担金調整が問題となりそう。
 小浜線のうち、東舞鶴から福井県境の7.8`が通る舞鶴市の江守光起市長は「府と連携を図り、小浜線電化の具体化に努力したい」と話している。(京都新聞)
■近畿運輸局 「環境定期券」を認可 京都バスなど10事業所 来月3日から実施
 近畿運輸局は24日、京都市交通局など京都、滋賀、大阪、兵庫の10のバス事業所が申請していた「環境定期券制度」の導入を認可した。土、日曜と祝日などに限り、通勤定期の利用者と同伴家族に、大幅割り引き運賃を適用する制度で、バス利用を促し、行楽地などへ向かうマイカーを減らして環境保全に役立てるのがねらい。4月3日から実施する。
 京滋で認可を受けたのは京都市交通局、京都交通、京都バス、丹後海陸交通、京阪シティバス、近江鉄道、江若交通の7事業所。大阪、兵庫で3事業所。
 運賃は定期券の区間外でも大人100円、子ども50円が基本で、京都交通、京都バス、丹後海陸交通が区間によって通常運賃のほぼ30−60%に割り引く。土、日曜、祝日をはじめ、お盆、年末年始にも利用できる。
 同運輸局によると、環境定期券制度は、「マイカーからバスへの移行で交通渋滞の緩和や地球環境の保全に役立つ」として、近畿では昨年9月から、京阪宇治交通が実施。全国で41のバス事業所が導入している。(京都新聞 夕刊)
■運賃半額に 大津の路線バス3社
 近畿運輸局は24日、近江鉄道、京阪バス、江若交通の路線バス3社から申請のJR大津駅−京阪浜大津駅間(約1.1`)の運賃を現行200円を半額(100円)とする「低廉運賃」を認可した。施行期間は4月1日から9月30日まで。
 低廉運賃は、近距離のバス利用者の割高感を解消するために、通常運賃を値下げし、バス利用の促進を目的にした制度。本格的に行われている例は、群馬県や静岡県などで6例あるが、近畿での施行は初めてという。
 JR大津駅−京阪浜大津駅間は、徒歩で10分程度の距離で、両駅間では現在、3社合計で1日計566本のバスが運行されている。(京都新聞 夕刊)
■休日のバス料金割引 「環境定期券」を認可
 近畿運輸局は24日、路線バスの通勤定期券を持っている人の家族が休日などにバスを使う場合は料金を大幅に割り引く「環境定期券制度」の導入を、大阪、京都、兵庫、滋賀の4府県内を走る8つのバス会社と2つの地方自治体に対して認可した。家族連れの移動手段をマイカーからバスヘ移し、自動車の排ガスを抑えるのが狙い。いずれも4月3日から始める。近畿圏ではすでに京阪宇治交通が実施している。
 今回、環境定期券制度を導入するのは、京阪バス▽南海電鉄▽京都交通▽京都バス▽丹後海陸交通▽京阪シティバス▽近江鉄道▽江若交通▽京都市交通局▽伊丹市交通局。土・日・祝日や年末年始、お盆期間中に限り、バスの通勤定期券を持つ人の運賃と、一緒に乗る家族の運賃が割り引かれる。一部区間を除いて、一律大人100円(小児50円)となるほか、一部の長距離路線では通常運賃額に応じて半額かそれ以上の割引料金を設定する。ただし、同乗する家族は一部のバス会社で最高5人までの制限がある。
 また、近畿運輸局は同日、滋賀県内のJR大津駅−京阪浜大津駅間(1.1`)を走る近江鉄道、京阪バス、江若交通の計3バス会社に対し、現行の大人200円から大人100円(小児50円)への運賃値下げを認可した。期間は、4月1日から9月30日まで。(朝日新聞 夕刊)
25日■宇治市は19億円負担 地下鉄東西線の六地蔵延伸 市会で表明
 宇治市は24日、京都市が計画している地下鉄東西線の六地蔵延伸について、宇治市は約19億円負担することになったと発表した。この日の市議会JR奈良線及び京都市地下鉄東西線対策特別委員会で明らかにした。
 京都市伏見区の醍醐駅まで開通している東西線は現在、宇治市内の六地蔵まで約2.4`の延伸を目指し、京都、宇治両市内で測量が行われている。このうち宇治市内は約500bで、六地蔵駅(仮称)が設けられる。今秋をめどに着工し、2004年秋の開通を目指している。
 延伸の総事業費は約712億円で、宇治市域分は225億円。京都市が負担する事務費などを除き、203億円が国庫補助対象事業となっている。宇治市が負担するのは203億円の約9%にあたる約19億円。残りは国、府、京都市が負担(補助)するという。
 市の担当者は、19億円のうち、6割は交付税措置がとられ国庫から支出されるため、市単費としての負担は約7億6000万円になるとした。特別委の委員からは、京都市が70歳以上の市民に発行している敬老乗車証について「同じ駅を利用して、宇治市民の高齢者は有料なのは問題。検討を」との意見・要望が相次いだが、市は「交通や敬老政策全体で考えるべき」と答えるにとどまった。(京都新聞)
■窓 ゴトゴト走る鉄路との別れ 宇治市・松田 憲生(会社員・28)
 この春に越後・新潟の2私鉄が廃線となるため先週、現地を訪れた。1つは新潟市内から少し離れた関屋という町と穀倉地の月潟を結ぶ新潟交通。もう一方は新津にほど近い五泉、村松間の蒲原鉄道である。新潟交通は以前、市内と燕間を走っていたが両端が順次廃止され、また蒲原鉄道も浦松と加茂間が廃止され現在4.2`の全国2番目のミニ私鉄として、ほそぼそ営業されてきた。
 両鉄道とも昼間は単行(1両)で、ラッシュ時でも2両連結。しかし訪れた時は春休み中で常連の学生さんが留守。確かにバスで代行しても十分で、もはや鉄道の使命は終わった感は否めなかった。
 沿線には、最後の姿を収めようとカメラやビデオを片手にファンの姿が。また新潟交通は古き良き時代が色濃く残り、切符は硬券と呼ばれる厚紙でパチッとハサミを入れてもらう。ホームも木造で、荷物取り扱いの計量器、駅長や駅名のホーロー板も昔のまま。唯一残念な点と言えばワンマン用のホームのミラーだけが真新しい。蒲原鉄道も、併行する道路を行き交う自動車に抜かされながらゴトゴト走るなんともいえないのどかさに魅力があった。(京都新聞)
■窓 地震への対応 JRに大不満 能登川町・吉田 猛雄(自営業・66)
 16日の滋賀県北部地震を考えてみた。阪神大震災の場合、交通アクセスはほかにもあったが、滋賀県北部、東部では主要幹線が集中していて、マヒすれば大変なのである。昔から、近江を制する者は天下を制すると言われたが、今回は阪神大震災の教訓がどうだったかであり、特にJRはひどかった。
 滋賀県内では電車が走らず、京都駅では「米原行き」と言い、山科駅では「行かぬ」と言う。ほとんどが折り返し便となり、バスも少なく、帰宅する方法の指示もなかった。駅員はもちろん、車掌にも情報がなかった。そこには阪神大震災の経験マニュアルが何もなかったのである。どうしたことか?
 今までの訓練は何だったのだろう、と思う。今、首都移転論があるが、交通の種々アクセス、便利さが、案外弱点であることを再考させたのが、今回の地震であった。先発電車が後発電車に抜かれたとも聞いた。混乱時で、ある程度は仕方なかっただろう。だが、JR貨物列車は走り、乗客は怒った。「どちらが優先なんだ」「あれは別会社ですから」「何だと」−。人命に関して大事を取ったとはいえ、納得できない。JRのレールはどこの所有か、と考えた。(京都新聞)
■車掌倒れて電車が運休 2万人に影響 JR神戸駅
 25日午前6時40分ごろ、神戸市中央区のJR東海道線神戸駅に到着した西明石発高槻行き上り普通電車(7両編成)の車掌(40)から、「急に平衡感覚がとれなくなり、立てなくなった」と、JR西日本の新大阪総合指令室に連絡があった。車掌は電車を降り、近くの病院に運ばれたため、同電車は神戸駅から先の運転を打ちきった。約300人の乗客は約20分後に到着した後続の快速電車に乗り換えた。約2時間にわたってダイヤは乱れ、上下計7本が運休、上下計15本が23−6分遅れるなど、朝の通勤・通学客ら約2万人に影響がでた。(朝日新聞 夕刊)
26日■春闘交渉で3社妥結 府内の中小私鉄・バス
 京都府内に路線をもつ中小私鉄、バス9社の春闘労使交渉は25日、京阪バスや叡山電鉄など3社が妥結した。残る6社のうち京都バスと京福電鉄の2社は26日午前1時現在、労使間の話し合いがつかず、26日始発から予定している24時間ストライキの回避は徹妙な情勢となっている。近畿運輸局の調べでは、2社が終日ストに入った場合、計約1400本、約5万7000人に影響が出る見込み。
 この日までに決着しなかった京阪宇治交通とカヤ興産の2労組はストを延期し、第2波統一交渉の30日に再びストを構えて、交渉を継続する。他の2社はストを設定しないで交渉を続けている。(京都新聞)
■信楽高原鉄道事故 29日に賠償阻止用判決 JR西日本の責任、焦点 遺族「原因解明」を
 42人の死者と600人以上の重軽傷者を出した1991年5月の信楽高原鉄道列車衝突事故をめぐり、亡くなった乗客のうち9人の遺族が、信楽高原鉄道(SKR、本社・滋賀県信楽町)とJR西日本(本社・大阪市北区)を相手取り、総額約11億3600万円の損害賠償を求めた民事訴訟の判決が、29日午前10時から大阪地裁で言い渡される。事故にはJRが運輸省に無届けで実施した信号工事もからんでいたが、JR側は「信楽高原鉄道の線区内の事故はSKR 側に全責任がある」と主張し、全面的に争っている。SKR側は責任を認めており、刑事事件では問わ
れなかったJR西日本の責任を、裁判所が民事裁判でどう判断するかが大きな焦点だ。(社会部・小倉いづみ、岩城 興)
 乗客への安全配慮義務事故を事前に予見出来たか鉄道会社の過失の有無

 乗務員も交代していないのに、列車がSKR線に乗り入れたとたんJRが責任を負わなくなるという主張は無責任だ。乗客はJRの企画切符を買い、JRと旅客運送契約を結んだ。列車は両社が共同運行しており、事故を予見し、回避する安全配慮義務は両社にあった。 事故前にも信号トラブルが3回あり、JR側はSKR側の安全確認のずさんさに気づいていたはずだ。しかし、このトラブルにかかわった運転士らが報告を怠ったため信号システムの根本的欠陥などが直されず、事故が起きた。JR側は事故を防止することが可能だった。 JR側がSKRに無断で設置した「方向優先てこ」が出発信号の赤信号固定を引き起こし、SKRの過失を誘った。JRには、危険の防除や信号の正常な管理を怠ったことに対する責任と、指揮監督下にあった乗務員に十分な安全教育・訓練をしなかった使用者責任がある。
JR
西

 SKR線の運行管理権はSKRだけにあり、乗客に対する安全確保義務もSKRだけが負う。契約上、JRは同線内に列車が入った時点で乗務員と車両をSKRにレンタルした形になっており、JRの指揮・命令は及ばなくなっていた。安全配慮義務はない。 SKRが区間内の安全を確認しないまま赤信号で列車を出発させていたことや、誤出発検知装置の機能を失わせるなど重大な誤りを二重に犯したことは知りようもなかった。事前トラブルの発生も知らず、事故発生の危険性は認識できず、予見は不可能だった。 「方向優先てこ」の設置と事故発生の間には直接の因果関係がない。事故は、赤信号なのに十分な安全確認をせずに列車を出発させたSKR 側の過失が原因で起きた。「方向優先てこ」の設置はSKR側に連絡しており、信号故障を事故原因と見るのはおかしい。





 乗員と車両を貸しただけで、安全配慮義務はSKRだけにあるというJRの主張は、常識から離れている。運行管理権がなくても、旅客輸送の安全を確保するため、共同運行者として運行の是正を申し入れる義務があった。JRにも賠償責任がある。 3の事前トラブルのうち、5月3日のトラブルは事故当日と内容が酷似していた。原告側が主張する通り、事故を予見することはできた。JRは、SKRと同様トラブルを事故防止に生かせなかったうえ、事故後も事態の深刻さを理解しなかった。 事故の直接の原因は、JRがSKRに無断で「方向優先てこ」を設置したため信号システムが破たんし、出発信号の赤固定が引き起こされたことだった。信号故障の責任はJRのみが負う。JRには、共同運行者としてSKRの安全確保違反をただす義務もあった。
 事故を起こしたのは、信楽町で開かれていた地方博「世界陶芸祭」への客を満載してJR線から乗り入れてきた京都発信楽行き臨時快速列車(3両編成、716人)と、SKRの信楽発貴生川行き普通列車(4両編成、15人)だった。
 延長14.7`の同鉄道は単線で、小野谷信号所に設けられた待避線で上りと下りの列車がすれ違うダイヤを組んでいた。ところが、当日、信楽駅の出発信号が「赤」のまま変わらなくなる異常が起きた。赤信号には「絶対服従」が鉄道の常識だ。だが、SKRは十分な安全確認をしないまま「赤信号無視」を決断する。
 SKR側の「計算」はこうだった。信楽駅から赤信号のままで列車が出ると、誤出発検知装置が働いて小野谷信号所の下り用信号が「赤」になり、快速列車は停止する。その間に遅れて到着した上り普通列車が待避線に入り、信楽駅から駆けつけた職員が安全を確認して手信号で双方の列車を出発させる−。本来は列車を最悪の事態から守るためにある信号装置の機能を、運行に使おうという算段だった。
●狂った計算
 ところが、完ぺきそうに見えた「計算」は次々と狂い始める。
 普通列車は定刻の午前10時14分より約11分遅れで信楽駅を出発した。この時点で誤出発検知装置が作動し、小野谷信号所の信号は「赤」になったとみられる。ところが、ちょうどそのころにSKR側が信楽駅の継電(リレー)室で信号の修理作業をしたことで、小野谷信号所の信号は「青」を表示してしまった。
 快速列車の運転士は、待避線にいてすれ違うはずの普通列車がいないのを不審に思ったが、青信号を信じて信号所をそのまま通過した。止めるはずのSKRの職員は、まだ到着していなかった。
 同35分ごろ、2つの列車は同町黄瀬の単線上で正面衝突した。
●違反とミス
 事故後、滋賀県警の捜査で、JR側が、貴生川−小野谷信号所間でJR線から乗り入れる列車の運行を優先させる「方向優先てこ」を亀山CTCセンター(三重県)に設置し、遠隔操作していたことがわかった。この工事は運輸省に届けておらず、後に鉄道事業法違反の罪で担当者の罰金刑が確定した。この「てこ」をある条件下で操作すると、信楽駅の信号が赤に固定されてしまう異常が起きることも分かった。
 信号の故障中は、単線区間内にほかの列車がいないことを確認できるまでは列車を出発させてはならない。しかし、SKRは、小野谷信号所に車で派遣した社員がまだ到着していないのに普通列車を出発させるミスも犯していた。
●不起訴処分
 大津地検は92年12月にSKRの元社員ら3人を業務上過失致死傷罪などで起訴した。一方、JR西日本の運転士らについては、「事故の直接の原因は十分な安全確保措置をとらないまま赤信号で列車を出発させたSKR社員と、不正な手順で信号を修理した信号会社員らにある」として不起訴処分にした。
 SKR元社員らの刑事裁判は大津地裁で審理中だが、JR側の刑事責任が追及されなかったことに不満を持つ遺族らが「事故の真の原因を解明したい」として、93年10月に損害賠償訴訟を提訴した。
 訴訟は5年半に計45回の口頭弁論を重ねた。被害者側は刑事裁判の記録を取り寄せ、JR運転士の供述調書や鑑定書など150点を証拠として提出。さらに、JR西日本の証拠隠滅工作を批判した滋賀県警の内部資料である捜査報告書を入手して証拠提出し、JR側の責任を追及した。
 一方、SKR側も自らの責任を認めたうえで、責任を全面的に否定しているJRを「事実関係を明らかにせず、信楽鉄道側にすべての責任をなすりつけようとしている」と厳しく批判する準備書面を陳述している。(朝日新聞)
■京福、スト突入 京都バスは妥結
 25日夜から続いていた京都の中小私鉄、バス2社の春闘交渉で、京福電鉄は労使間の話し合いがつかず、26日始発から24時間ストに突入した。京都バスは妥結し、予定していたストを中止した。長引く不況の中、京福電鉄がストに突入するのは1993年以来、6年ぶり。
 京福電鉄は、京都市西部地域が主な運行エリアで、正午までに計177本が運休し、約8500人の足に影響が出た。
 1日に1万1000人が乗降する下京区の四条大宮駅は、改札口にストを知らせる紙が張られ、券売機のシャッターも下ろされるなど閑散としていた。通勤の会社員らが乗り継ぎのため、足早にバスやタクシー乗り場に向かう姿が見られた。
 同電鉄は「スト予告や朝の報道のせいか予想以上に問い合わせも少なく、混乱などはなかった」としているが、交渉は難航しており、正午現在、スト中止の見通しは立っていない。
 一方、道路は朝の通勤ラッシュと重なり、三条通を中心に東行道路が乗用車などで混雑した。京福沿線を走る市バス、京都バスも満員状態で、京都バスは京都駅行きの臨時バスを10本増発して、乗客に対応した。(京都新聞 夕刊)
27日■京福スト、終発まで きょうは正常運行
 26日始発から、6年ぶりのストに突入した京福電鉄の労使交渉は、同日午後に決着しないまま打ち切られた。ストは、終発まで打ち抜かれ計482本が運休、約2万3000人の足に影響が出た。
 同電鉄は27日は正常ダイヤで運行する。組合側は30日に再度、ストを構えて交渉を継続する方針。(京都新聞)
■タイムアングル 鴨川初渡り 貴賓車を先頭に市電の列がしずしずと渡った
 明治45年(1912年)はいわば「市電元年」。烏丸線の塩小路−丸太町間、四条線の西洞院−四条小橋間などの4路線が6月11日、一斉にスタートした。
 写頁は拡張された四条通を西進する市電。新京極の入り口から少し東へ行ったあたりで、北側には現在も営業している商店の屋号が読める。
 歩道と車道との境に柵をわたして、白地に赤丸らしい提灯を連ね、日章旗を掲げた家も見える。南北両側の車道に飾り門が建てられていて、横額に「竣工」の2文字がある。
 この年、四条通の道幅拡張に合わせて、四条大橋を鉄筋コンクリート造りに改築した。まだ完工していないその橋を12月25日、市電が渡ることになった。市電の鴨川初渡りというので見物人が押すな押すなの橋上を、貴賓車を先頭に市電の列がそれこそしずしずと渡って、祇園石段下までの新路線を走ったのだった。
 四条大橋が完工したのは翌大正2年(1913年)3月で、その時も渡り初めの23日にどっと人が押しかけた。
 市電なら「開通」だろうが、飾り門は「竣工」としているから、四条大橋の完工を祝っているのだろう。歩車道ともに人影もまはらでひっそりとしているのは、完工後何日かたった日の撮影かと思われる。(作家・駒 敏郎)(朝日新聞)
■航跡 新世紀へ 1964年、「青いひかり」新幹線走る 希望運んだ大動脈
・東海道新幹線開業
 東海道新幹線は現在、東京・新大阪間を1日約280本走っており、開業以来の走行距離は約12億1300万`。地球と月の間を約1597回往復した計算になる。開業当時、4時間かかったが、今、最速2時間半で結び、1日平均約37万人(開業当時は約6万人)を運ぶ大動脈に成長した。
 原点は、戦時中に軍事目的で計画された「弾丸列車」。東京・下関間に新線を建設、時速200`、東京・大阪間を4時間で走る予定だった。1941年には静岡県の新丹那トンネルなど一部の工事が始まったが、戦局の悪化で挫折した。
 82年に東北・上越新幹線が、97年には長野新幹線が開通。在来線へ入る「ミニ新幹線」として山形、秋田両新幹線がある。
・1「1号」 明暗、運転士と生みの親
 《誠光院専空一道居士》
 高知市の山本初子(69)は4年前、病死した夫の戒名に「光」と「一」を入れてもらった。ふた文字は、夫婦の絆であり、誇りでもある。
 1964年10月1日朝6時、東京駅19番ホーム。クス玉が割れ、21発の花火が秋天に響いた。「超特急」という名のマーチに送られ、世界最速の「ひかり1号」が動き始めた。夫の幸一は、この日に開業した東海道新幹線の一番列車の運転士だった。
 幸一は、少年時代から蒸気機関車の運転士になりたかった。戦時中、兵庫県の電機工場に就職したが、敗戦後、故郷の高知に戻り、夢みた国鉄マンとなった。機関車のかま磨きに明け暮れた。ようやく免許を取り、東海道線の電車を運転した。5年後、新幹線に抜擢された。38歳だった。遅咲きの晴れ姿に夫婦は涙した。
 新幹線の乗務は2年にすぎない。鉄道学校の講師となり、退職後、がんに侵され、68歳で永眠。葬儀の日、初子は、開業の日に夫が着ていた、胸に菊の造花がついた制服と制帽に着替えさせ、見送った。初子は今も思う。「『ひかり』『1』号を運転させてもらったことが、2人の支えだったんです」
 「新幹線の生みの親」と言われる元国鉄総裁、十河信二は、開業式に招かれなかった。東京・千駄ヶ谷のアパートの一室で、家政婦と2人してテレビで「ひかり」を見つめていた。秘書だった現鉄道弘済会会長、三坂健康(69)は数日後、訪ねて慰めると、「できたから、それでいいんだよ」と、ぽつりと漏らした。「日本の技術力を世界に示せ、満足だったのでしよう」と三坂は振り返る。
 「線路を枕に討ち死にする」。55年、そう言って総裁に座った十河は強引に新幹線計画を推し進めた。当時の国鉄は、青函連絡船「洞爺丸」や宇高連絡船「紫雲丸」が沈没する大惨事が起き、危機に直面していた。加えて、自動車社会の幕間けが期待され、鉄道の斜陽化は必至とされた。多くの幹部は巨額の投資が経営を圧迫すると猛反発した。
 十河は、こう説いた。「敗戦で打ちひしがれた国民に、大惨事に見舞われた国鉄職員に、新幹線で希望を持って欲しいんだ」
 開業の1年前、十河は任期満了となり、工事経費の超過責任を問われ、追われた。十河の四男、和平(78)は「開業まで続けたかったでしよう。悔しかったと思いますよ。朝も夜もなく、政治家を説得して回ってつくった新幹線。子や孫よりも可愛かったはずです」と思い出す。
 退任後、十河は苦労をかけた全職員に礼を言う意味を込め、北海道から九州まで国鉄全線を乗り歩く旅を始めた。家政婦とともに列車を乗り継ぎ、各地で職員に歓迎されながら97歳まで生きた。
 東京駅19番ホームに一枚のレリーフがある。十河だ。新幹線35年の移ろいを、今も見つめている。
・2 日曜夜 通勤も遠距離恋愛も
 開業の日、新大阪発「ひかり2号」に乗った朝日新聞記者は、同乗記の末尾をこう結んでいる。
 「4時間のドライな旅−。”旅情”はなくても乗客たちは”夢のスピード”に満足な様子だった」
 その後も加速する速度は、いや応なく人々の暮らしに様々な変化をもたらした。
 岡山市にあるJR瀬戸大橋線の妹尾駅周辺は宅地造成が進み、新築住宅が並ぶ。真野正生(41)は、ここから2時間かけ、大阪市福島区の建設コンサルタント会社に通っている。
 毎朝6時45分、自転車で自宅を出発。妹尾駅から岡山へ向かい、缶コーヒーを買って7時24分発の「ひかり350号」に乗る。12両すべてが自由席。背広姿のサラリーマンが大半を占める通勤新幹線だ。
 帰りは夜10時過ぎの新幹線に乗れば、午前零時ごろに帰宅できる。
 昨年5月から新幹線通勤を始めた。岡山事務所にいた10年前、庭付きの一戸建てを胃った。大阪への転勤が決まったが、のびのびした環境で子育てをしたいという妻(37)に折れ、大阪で単身赴任を6年余り続けた。不規則な食生活がたたり、胆石を患った。
 上司が新幹線通勤を勧めてくれた。定期代は1ヵ月13万7500円。2万円程度、自腹を切る。
 「通勤が大変でしよう、と言われるが、単身赴任より肉体的にも精神的にもずっと楽。家族の待つ家から、会社へ通うのが一番自然です」
 東海道・山陽新幹線の通勤定期券の利用者は10年前の5018人に対し、97年度は1万8538人となった。
 JR東海は87年6月から、松任谷由実が歌う『シンデレラエクスプレス』をバックに、遠距離恋愛挙アーマにしたCMをテレビで放映した。
 広報担当だった現営業本部課長、坂田一広(40)が自らの体験を通じ思いついた。坂田は広島勤務時代に知り合った啓子(36)と会うため、東京転勤後も週末、新幹線で890`離れた広島へ通った。月曜は仕事。日曜の昼が過ぎると、2人の間で、「サヨナラ」へのカウントダウンが始まる。あと1時間、30分、5分、発車のベル…。東京行きの新幹線に飛び乗り、現実に戻される。
 日曜夜8時過ぎの東京駅新幹線ホーム。若いカップルが「シンデレラエクスプレス」と呼ばれる新幹線を待つ。発車の間際まで、列車のドア近くで手を握り合ったり、目を見つめ合ったり。啓子と結ばれた坂田は思っている。
 「新幹線は恋愛にパターンを一つ加えた。距離の長さは障害に違い接いが、特別なものでなくなった。新幹線は単なる移動手段でなく、人の気持ちも乗せて走っているのです」
3 究極 挑戦 時速350`
 JR西日本会長の井手正敬(63)は副社長だった87年、時速350`への挑戦を指示した。新幹線の技術開発は国鉄の赤字転落が尾を引き、20年前とほとんど変わっていなかった。速度もフランスのTGVに抜かれた。
 試験車両の製作など30億円以上かかる技術開発に社運をかけた。92年、試験車両が時速350`を記録。しかし、トンネル進入時に出口側で衝撃音(微気圧波)という課題が残った。先頭部を戦闘機のようにとがらせ、空気抵抗を減らした。フクロウの風切り羽をヒントに、パンタグラフの支柱部に突起をつけて低騒音化を図った。97年春、時速300`の「500系のぞみ」が登場した。
 井手は鉄道に夢と可能性をかける。「民営化直後の難局を切り抜けるため、技術開発が必要だった。スピード面から言えば飛行機にかなわないが、燃料を大量消費しない鉄道はきっと見直される」
 JR東海は今年3月から、JR西日本と共同開発した新型「700系」の運転を始めた。JR東海会長の森田寛(68)は新幹線と、東京−大阪を1時間で結ぶ「リニアモーターカー」とを両立させた「東海道」の姿に夢をはせる。「未来の新幹線」とされるリニアは、東海道新幹線開業の2年前から研究が始まった。実験線では世界最速の時速550`を記録した。
 「十河さんが新幹線をあきらめていたら、日本経済の成長はなかった。リニアが実現すれば、大阪から東京への通勤もできる。人間同士の新たほふれあいが新しい文化を生みだします」(敬称略)(朝日新聞)
■男性、JRの踏切で 特急にはねられ死亡 綾部
 27日午前8時10分ごろ、綾部市淵垣町のJR舞鶴線高浜街道踏切(警報機、遮断機付き)で、ミニバイクに乗っていた同市梅迫町の新聞販売店経営、田中進さん(57)が、新大阪行きの特急(2両編成)にはねられて全身を打ち、まもなく死亡した。乗客(30人)にけがはなかった。
 綾部署によると、田中さんは配達の仕事中で、遮断機が下りていた踏切を渡ろうとしていたらしく、詳しく調べている。
 列車は約30分後に運転を再開したが、西舞鶴−東舞鶴駅間で普通列車2本が部分運休、快速と普通列車の計9本が1時間から10分遅れるなど約700人に影響が出た。(京都新聞 夕刊)
■信楽鉄道 低金利で資金運用誤算 損害賠償訴訟29日に判決 重い補償金負担、「町民の足」瀬戸際に
 42人の死者、600人を超える重軽傷者を出した1991年の列車衝突事故をめぐる遺族らへの補償金負担が、第三セクター・信楽高原鉄道(本社・滋賀県信楽町)に重くのしかかっている。本業が赤字続きなうえ、補償金支払いのために滋賀県などから借りた資金も、長引く低金利で利子運用ができないからだ。一部の遺族が同鉄道やJR西日本(本社・大阪市北区)を相手取って起こした約11億3600万円の損害賠償請求訴訟の判決が29日に大阪地裁で言い渡されるが、判決の中身次第で補償金負担がさらにかさむ可能性もある。全長14.7`の「町民の足」は瀬戸際に立たされている。
 事故の乗客被害は、死者37人、重軽傷者612人。裁判で係争中の9人の死亡者の遺族を除いて、すべての遺族、負傷者らと示談が成立しており、すでに約26億5000万円の補償金をJRと折半して支払った。
 ただ、JR側との協議では「折半した補償金は事故原因が明らかになった時点で責任分に応じて清算する」ことになっている。仮に大阪地裁の判決で、賠償責任は全面的に同鉄道にあるといった認定をされた場合は、この裁判で求められている損害賠償分にとどまらず、JR側への追加支払いも求められかねない。
 借金返済に充てるはずだった資金運用の誤算も追い打ちをかけている。事故当時、同鉄道は1事故当たり3億円を上限とする保険にしか入っていなかった。このため、滋賀県と信楽町が補償金分を同鉄道に無利子で貸し付け、返済には同県や信楽町など甲賀郡内の7町が出資した「経営安定化資金」40億円の利子を充てることにした。
 当初は10%近い金利だったので、「資金」は10年後には倍増できる見込みだった。が、その後、金利は急落、現在0.4%まで落ち込んでおり、97年度末までの運用益は4億1000万円と当初見込みの10分の1にすぎない。貸し付けを受けた資金の償還期限は2004年度末だが、返済は厳しい状況だ。
 同鉄道は開業した87年度から90年度まではわずかながら黒字だったが、事故の後は、遺族らへの補償金のほか被災者相談窓口の経費や裁判費用も加わって、毎年のように経常赤字を出している。
 同鉄道の井上春絹副社長は「他社が合併してくれる以外には生き残る道がないのでは」と漏らす。どうやって借金を返済し、赤字を減らしていくか、糸口は見つからないままだ。
 《信楽高原鉄道》年間3億円を上回る赤字路線だった旧国鉄信楽線を1987年、滋賀県と信楽町など地元7町、近江鉄道などが出資して第三セクター方式の会社で引き継いだ。全長は、JR草津線の貴生川駅−信楽駅間の14.7`。(朝日新聞 夕刊)
■特急にはねられバイクの男性死亡 綾部のJR踏切
 27日午前8時9分ごろ、京都府綾部市渕垣町林ノ下のJR舞鶴線踏切で、同市梅迫町溝尻、新聞販売所経営田中進さん(57)がバイクに乗って通過中、東舞鶴発新大阪行き特急「エーデル北近畿」にはねられ、全身を強く打って死亡した。
 綾部署の調べによると、同踏切は警報機と遮断機付きで、事故当時、共に作動中だったという。特急は2両編成で現場に約30分停車した。乗客45人にけがはなかった。このほか上下線2本に遅れが出た。(朝日新聞 夕刊)
28日■JRの責任 どう判断 信楽鉄道事故 損賠訴訟あす判決 大阪地裁
 滋賀県甲賀郡信楽町の信楽高原鉄道で1991年5月、死者42人を出した列車正面衝突事故の犠牲者9人の遺族23人が、信楽高原鉄道とJR西日本を相手に総額約11億3600万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が、あす29日、大阪地裁(三浦潤裁判長)で言い渡される。高原鉄道が責任を認めているため、JRの責任の有無が最大の焦点となっている。
 同訴訟は93年10月、吉崎俊三原告団長(65)=宝塚市=ら京都、滋賀、大阪、兵庫の遺族23人が鉄道両社を相手に提訴した。
 原告は▽高原鉄道は、信楽駅出発信号が赤だったのに安全確認を怠って発車した▽高段鉄道線内でも実態として共同運行していたJRに安全配慮義務があった−などと両社の事故責任を主張してきた。高原鉄道は自社の責任を認めながらも、JRにも安全運行の責任があったなどと主張。JRは高原鉄道線内での安全確保義務は高原鉄道にあるなどと主張し、自社の責任を否定している。
 事故は、91年5月14日午前10時35分ごろ、単線の同高原鉄道で、信楽駅発の高原鉄道列車と世界陶芸祭開催に伴い直通乗り入れしていたJR列車が正面衝突。双方の乗客37人と乗員5人が死亡、614人が重軽傷を負った。(京都新聞)
■事故からほぼ8年… 3者の主張激しく対立 間接的原因踏み込むか 信楽高原鉄道事故 民事訴訟
 信楽高原鉄道列車事故の民事訴訟が、あす29日、大阪地裁で判決を迎える。最大の焦点はJR西日本の責任が認められるかどうか。「なぜ事故が起こったのかを明らかにし、JRの責任を問うことが今後の事故防止につながる」。原告らの訴訟にかけてきた思いは強い。事故からほぼ丸8年。提訴からも5年半近くがたった。判決を前に、亡くした娘に再発防止を誓って活動を続ける原告の姿を追うとともに、訴訟の主な争点を整理してみた。
・「私の死を役立てて」と娘の声がする 無念の思いを再発防止に 独自の調査機関設置を求める 臼井和男さん
 「『私の死を役立てて』という娘の声が聞こえるんです。だから二度と鉄道事故が起こらないようにしたい」。事故で娘の信子さん=当時(26)=を失った京都市右京区の会社社長臼井和男さん(60)を突き動かしてきたのは、こんな再発防止への強い思いだった。臼井さんは、1993年に「鉄道安全挺進会議(TASK)」(事務局・右京区)を結成し、会長として鉄道事故を独自に調査する常設機関の設置を求めて運動を続けている。臼井さんは「判決は通過点。娘の死を糧にできるような機関が日本にできるまで闘う」と決意をにじませる。
 信子さんは、信楽町で開かれていた「世界陶芸祭」に向かうため、JR西日本の列車に乗り、事故に遭った。美大で陶芸を学び、製茶会社で陶芸教室を主宰していた信子さん。臼井さんは「好奇心おう盛で、自立心の高い子だった」と、振り返る。事故直後は、一人になった時、「ふとわれに返り、涙が止まらなくなることもあった」と、最愛の娘を失った悲しみを語る。
 事故を起こしながら謝罪すらしないJRへの怒りを他の遺族らと語り合ううちに、「謝罪と賠償金を求めるだけで娘が満足してくれるのか」と疑問を持ち始めた。そうした中、臼井さんら遺族は、鉄道事故調査の現状を知るため欧米の視察に回った。
 そこで感じたのは「事故調査結果の情報公開と再発防止への強い姿勢」だった。米国では、大統領の直属機関である国家運輸安全委員会(NTSB)が独自の権限を持ち、人為ミスを招いた背景やインシデント(予兆)まで徹底的に調査し、分析を行っていた。それを目の当たりにし「こんな機関を、日本にも作りたい」との思いを強くした。
 信楽事故では、事故から約1年7ヵ月後の92年12月に運輸省の事故報告書が出された。「安全確認など基本ルールを守らなかった人為ミス」と結論づけた報告に対し、臼井さんは「機械的な原因の調査と犯人探しだけでは、事故防止につながらない」と、現在の事故調査の不備を指摘する。
 一方で、信楽事故後も、正面衝突事故や停車駅通過などが後を絶たない。そのたびに運転士の意識改革や再教育が叫ばれる。臼井さんは「人為的なミスは無くならない。再発防止につなげるために、それがどんな状況で起こったのかまで調べるべきだ」と訴える。
 現在、臼井さんは、事故調査機関設置について世界規模のシンポジウム開催を計画している。臼井さんは「責任を認めないJRへの怒りはあるが、JRはこれからも多くの人に欠かせない交通機関。だからこそ鉄道事故防止の機運が高まるような判決になってほしいのです」と、判決に寄せる期待を語った。
 信楽駅発貴生川駅行き上り高原鉄道列車と、世界陶芸祭の期間中に高原鉄道に乗り入れ運行していた京都駅発信楽駅行き下りJR臨時列車が、滋賀県信楽町黄瀬の単線上で衝突したのは、1991年5月14日午前10時35分ごろだった。高原鉄道列車は信楽駅を赤信号で出発。一方、JR列車は、上下線行き違い場所「小野谷信号場」のたい避線に高原鉄道列車がない状態で、出発信号が青だったためそのまま通過した。衝突は、死者が高原鉄道12人、JR30人、双方の重軽傷者614人という大惨事をもたらした。
・安全配慮義務
 「JRの切符を買ってJRの列車に乗り、そして事故に遭った。JRに責任がないわけがない」。事故で妻の佐代子さん=当時(53)=を亡くした原告団長の吉崎俊三さん(65)=宝塚市=は、乗客の安全に対するJRの責任をこう語る。
 事故の発生場所は、高原鉄道の軌道上だった。他社路線に乗り入れた際のJRの運行責任が争点の一つとなっている。原告側は「JRは直通乗り入れに深く関与し、実態として高原鉄道と共同運行しており、乗客に安全配慮義務があった」と主張してきた。しかし、JRは、鉄道事業法などを根拠に共同運行ではないとし「乗務員と列車を高原鉄道に貸しただけでJRに安全確保義務はない」と自社の責任を否定している。
・優先てこ設置
 高原鉄道は赤信号で発車した。信楽駅の出発信号が赤から変わらなかった原因の一つに、JRが亀山CTC センターに設置した「方向優先てこ」(近畿運輸局に無届け=鉄道事業法違反)がある。
 てこは、下り列車を優先させるため小野谷信号場の上り信号を赤のままにしておくのが目的だった。本来、同信号場にだけ作用するはずだったが、高原鉄道が無認可で行った信号システムの変更工事(鉄道事業法違反)と重なり、信楽駅の出発信号にまで及ぶことになってしまった。
 高原鉄道は「JRは高原鉄道に無断でてこを設置した。知らされていれば、駅の信号が赤固定になった原因がわかり、混乱することもなかった」と主張。JRは「設置について電話連絡した。高原鉄道の変更工事がなければ赤固定は発生しない」といい、双方の言い分が食い違っている。
 これについて、刑事公判中の大津地裁が一昨年秋、審理進行上の「見解」を出し「電話連絡すれば足りるというものではなく…」などと、両社の連絡の不十分さを指摘している。
信楽鉄道事故の関連年表
1991.5.14午前10時35分ごろ事故発生
 12.3滋賀県警が業務上過失致死傷などの疑いで信楽高原鉄道側の3人を逮捕
 12.7遺族の会が業務上過失致死傷罪などでJRの社長ら同社幹部7人を大津地検に告訴・告発
 12.18運輸省の「高原鉄道の信号保安システム調査検討委員会」の調査結果発表
 12.24大津地検が業務上過失致死傷罪などで信楽高原鉄道側の3人を起訴
93.2.26遺族の会がJRの運行管理部長ら6人を大津地検に告訴・告発
 3.18大津地検がJR運転士や社長ら同社の6人を不起訴処分
 4.27大津地裁で刑事裁判の初公判
 7.1大津地検がJRの運行管理部長ら同社の6人を不起訴処分
 7.6大津地裁での刑事裁判で信楽高原鉄道側の3被告が無罪を主張
 8.8犠牲者の遺族らが「鉄道安全推進会議(TASK)」を結成
 10.14民事訴訟提訴
94.4.28大津検察審査会がJRの運転士、社長ら7人の不起訴不当を議決
 7.22大津検察審査会がJRの運行管理部長ら5人の不起訴不当を議決
 8.31大津地検が、証拠隠滅罪で告訴・告発されていたJRの亀山CTC制御所所長を不起訴処分
 5.1大津地検がJRの社長ら11人を不起訴処分
98.10.19民事訴訟結審
・事前トラブル
 事故前の5月3日にも、信楽駅の出発信号が赤から変わらず、高原鉄道が安全確認せずに赤のまま列車を発車させた。この日は、誤出発検知装置が正常に作動し、小野谷信号場で対向のJR列車が停止し、事故をまぬがれた。事故当日は、高原鉄道側が、信楽駅構内の信号設備の電気回線を誤って操作し、誤出発検知装置が作動しなかった可能性が高いとされる。
 本来、信号が使えない場合、発車前に小野谷信号場に職員を派遣して安全を確保し、信楽駅と電話で打ち合わせて列車を発車させるなどの運行方法(代用閉そく方式)が決められていた。高原鉄道は、3日以外にも同路線内で代用閉そく違反を繰り返していたが、現場の運転士らからJR上層部に報告されず、高原鉄道も改善を行っていなかった。
 原告は「JR運転士はJRに報告する義務があった」とし、高原鉄道も「信号トラブルの原因を共同で解明していれば事故は防げた」と主張する。しかしJRは「報告は会社間の責任ある者の連絡にゆだねられている。また、形式的違反はあったが安全は確保されていた」と反論する。
・JR、刑事責任は不起訴
 「高原列車がたい避していなかったのでおかしいな−と思っていたのです。しかし、高原列車は信楽でトラブルでもあったのかなと思い、進行信号に従って通過したのです…」。
 行き違い場所を通過したJRの運転士が事故当日、滋賀県警の捜査員に答えたとされる調書には、こう記されている。
 しかし、民事訴訟に証人として出廷したJR運転士は「いつもと違うかなという感じを受けた。おかしいと思った事実はない」と調書の一部を否定した。
 原告は「行き違い列車がいないのを認識していたJR運転士は、青信号でも停止して、電話で信楽駅長の指示を仰ぐ必要があった」と主張。JRは「青信号で列車を進行させており過失はない。信号場の待避線に上り列車がない時、出発させてはならないとの規則もなかった」と見解の相違をみせている。
・背景の分析を
 一方、事故の刑事責任については、高原鉄道側の3人が業務上過失致死傷罪などで起訴され、大津地裁で公判中だ。JRの運転士や社長らは、遺族からの告訴、告発や、検察審査会の二度の不起訴不当の議決があったが、不起訴処分となっている。原告にとって民事訴訟は、JRの責任を問う最後の機会と言える。
 高原鉄道は赤信号での発車、代用閉そく違反など事故に結びつくミスをいくつも犯している。同社は、国鉄分割民営化により発足した第三セクターで、事故当時、社内には、信号システムの専門家もいない状態だったとされる。吉崎原告団長は「経営基盤の弱い高原鉄道に、日本の代表的鉄道のJRが乗り入れる揚合、万全の安全を確保するのは当たり前だ」と話す。
信楽高原鉄道列車事故の民事訴払における主な争点
 原告の主張高原鉄道の主張JR西日本の主張



JRは直通乗り入れに深く関与し、高原鉄道内であっても実態として高原鉄道と共同運行しており、乗客に対する安全配慮義務があったのに違反した車両直通運転契約書では運転保安設備の整備責任は高原鉄道にあるとしながらも、JRは高原鉄道の設備を検査できると定めてあり、運行安全の責任が共同運行ではなく、乗務員と車両を賃貸したに過ぎない。JRは高原鉄道路線において事業免許も運行権もなく、対乗客との関係において安全確保の義務








JRは高原鉄道に無断で「てこ」を設置し、操作した。高原鉄道に連絡しておけば、信楽駅の出発信号が赤固定になった原因が分かり事故は発生しなかった高原鉄道は、JRから設置の連絡を受けておらず、了承もしていない。JRは無断で「てこ」を設置して、信号システムを破壊し、事故を発生させた「てこ」の設置について高原鉄道へ通知しているし、操作についても無断ではない。また、「てこ」の設置・操作と事故との間に因果関係はない





信号トラブルや代用閉そく方式違反を知っていたJR運転士は、JRに報告する義務があった。JRは、事前トラブルを分析し事故を防止する義務があった信号トラブルの原因を、JRと高原鉄道が共同して究明していれば事故は防げた。両社が代用閉そく方式違反を繰り返し、違反の常態化が事故につながった報告は、会社間の責任ある者の連絡にゆだねられ、JR運転士にJRへの報告義務はない。代用閉そく方式施行に形式的不備はあったが、安全は確保されていた
JR





小野谷信号場の待避線に、行き違うはずの高原鉄道列車がないのを認識していたJR運転士は、青信号でも停止して、電話で信楽駅長の指示を仰ぐ義務があったJR運転士は「小野谷信号場で必ず行き違いをする」と教育されており、待避線に列車がなければ、信楽駅長に指示を仰ぐか、同信号場で待機する義務があったJR運転士が、小野谷信号場の青信号に従って列車を運行させたことには何ら規定違反がなく過失がない。JR運転士は、異常が発生しているとは考えなかった
 鉄道事故問題に詳しい関西大の安部誠治教授(交通論)は「刑事裁判では赤信号での出発など直接原因しか裁かれない。事故の再発防止には、事故の背景の分析が不可欠。今回の判決では、事前トラブルというインシデント(予兆)が放置されたことや方向優先てこの設置という間接的原因の責任にどこまで踏み込むか注目される」と、民事訴訟の意味を語っている。(京都新聞)
29日■遮断機下り、そこへ電車 車いす80歳死亡 西宮
 28日午後4時20分ごろ、西宮市松原町の阪神電鉄染殿町踏切で、車いすで横断していた同市内の無職女性(80)が、高速神戸発梅田行き特急列車にはねられ、全身を強く打ち間もなく死亡した。
 西宮署の調べでは、現場は警報機、遮断機がある踏切。女性が横断中に遮断機が下りたため、遮断機を上げようとしているところをはねられたらしい。(京都新聞)
■旧国鉄時トンネル再利用へ 焼酎の貯蔵庫に 宮崎
 宮崎県高千穂町で、旧国鉄時代に着工され、事業見直しで放置されていたトンネルが、焼酎(しょうちゅう)貯蔵庫として近く再利用されることになった。町は「無用の長物が観光資源として生まれ変わる。焼酎の町の顔としてPRしていきたい」と期待している。
 トンネル内は紫外線が届かず、年間を通じて気温と湿度の変化が少ないことに地元の焼酎メーカー2社が着目、焼酎の熟成に最適として所有者の町に賃貸契約を申し出た。
 旧国鉄は1973年、約60億円をかけて高千穂(宮崎県高千穂町)−高森(熊本県高森町)間を結ぶ新線を着工したが、80年に不採算路線と判断、5ヵ所のトンネルは町に売却した。
 トンネルを借り上げるのは、雲海酒造(宮崎県五ケ瀬町、中島勝美社長)と神楽酒造(同県高千穂町、佐藤猶薫社長)。雲海酒造は第一、第二上野トンネル(延べ1660b)について年間計50万円で町と賃貸契約に合意、神楽酒造も葛原トンネル(1115b)について今月中にも契約する見通し。
 雲海酒造は既に、焼酎を熟成させるかしだるの棚や、照明などの取り付け工事を始めており「4月か5月ごろには使いたい」とし、神楽酒造は「観光名所として、貯蔵庫内を見学できるようにしたい」と話している。(京都新聞)
■踏切抜ける直前、遮断機 車いす女性はねられ即死 兵庫・西宮
 28日午後4時20分ごろ、兵庫県西宮市松原町、阪神電鉄本線の染殿町踏切(遮断機、警報機付き)を、車いすで渡っていた同市津門川町、無職金本武子さん(80)が、高速神戸発梅田行き特急電車にはねられ、全身を強く打って間もなく死亡した。
 西宮署などの調べでは、金本さんは幅4.6bの踏切を南側から北側に渡り終えようとしたところで、遮断機が下りたために踏切から抜け出せなかったらしい。車いすの後部に電車が接触し、金本さんは踏切の外に車いすごと約7b投げ出された。
 踏切には、障害物を検知すると信号が赤になる装置が設けられていたが、車いすがほぼ渡り切っていたため、検知できなかったという。
 金本さんは、10年ほど前に脳いっ血を患って以来、足が不自由で外出の際は車いすを使っていた。踏切の近くに自宅があり、一人暮らしだった。
 同署によると、事故当時、通行人はほかになく、踏切を挟んで車が2台停車していたぐらいで、金本さんが踏切に入ったところを見た人はいないという。停車した乗用車内で事故を目撃した男性は「女性は踏切内で身動きがとれなくなっていた。抜け出そうと必死に手で遮断機を持ち上げようとしていた」と話したという。一瞬の出来事で、気づいた時には助けに行く時間がなかったという。
 現場の線路は大阪方面行きの1本だけで、神戸方面行きは高架。(朝日新聞)
■JR西日本にも命令 信楽鉄道事故訴訟 「安全講じる立場」責任認定 高原鉄道と共同で 遺族に計5億円
 滋賀県甲賀郡信楽町の信楽高原鉄道で1991年5月、死者42人を出した列車正面衝突事故の犠牲者9人の遺族23人が、信楽高原鉄道とJR西日本を相手に総額約11億3600万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が29日、大阪地裁であった。三浦潤裁判長は「JRは高原鉄道の利用者にも主体的に安全対策を講じるべき立場にあり、事故発生に至る因果関係の重要な部分を予見することができたのに注意義務違反があった」などとして、高原鉄道とJRの両社に総額約5億円の損害賠償を命じる判決を言い渡した。刑事事件では問われなかったJR西日本の責任が初めて認められ、原告勝訴の判決となった。
 訴えていたのは、宝塚市の吉崎俊三原告団長(65)ら京都や滋賀、大阪、兵庫の遺族23人。93年10月に提訴し、鉄道両社に事故の責任があったとして、損害賠償を求めていた。高原鉄道が責任を認めていたため、JRの責任が焦点となっていた。
 訴訟で原告側は、JRの責任について▽高原鉄道線内でもJRには乗客に対する安全配慮義務があった▽信楽駅の出発信号が赤になった原因は、JRが三重県亀山市の亀山司令所に方向優先てこを無断で設置したためで、設置について連絡があれば事故が防げた▽事故以前にも信号トラブルが発生し、高原鉄道がずさんな列車運行方法をとっていたのをJR運転士が知っていたのに放置されていた−などと、主張していた。
 判決理由で三浦裁判長は「JRの高原鉄道への直通乗り入れに対し、利用者は安全性が確保されていると信頼して利用しており、高原鉄道線上においても主体的に安全対策を講じるべき立場にあった」と、乗客に対する法的責任を認めた。
 そのうえで三浦裁判長は「JRの担当幹部らは、信号トラブルなどについて高原鉄道とともに原因を解明する義務があったのに、それを怠った」とし、方向優先てこの設置についても「取り扱い上の問題について十分協議し、その操作について高原鉄道側に連絡する必要があった」とJRの過失を認定した。また、「組織内の報告体制確立や乗務員の教育についても注意義務違反があった」としたほか刑事事件で不起訴のJR運転士についても「信号場以外に行き違い場所はなく、信号が青でも信楽駅に連絡するなどの義務があった」と責任を認めた。さらに、高原鉄道とJRの共同不法行為の関係を認定し両社に賠償責任を認めた。
 訴訟でJR側は「高原鉄道の路線では、JRには事業免許も運行権もなく、乗客に対して安全確保の義務はなかった」などと、自社の責任を否定していた。
・予兆放置など体制の不備断罪
 解説 判決は、最大の焦点だったJR西日本の事故責任を明快に認定した。信号トラブル時などの報告体制の不備や教育訓練の不十分さを指摘し、安全面におけるJRの体制を断罪した。また、刑事事件で不起訴となったJR運転士の過失を認定し、当時の検察の判断を覆すものとなったといえよう。
 刑事事件では、事故の直接のひきがねとなった赤信号発進を行った高原鉄道側の社員らだけが罪を問われて公判中だ。原告らは、直接原因だけではなく、事前の信号トラブルなどのインシデント(予兆)の放置や方向優先てこの無断設置など事故の背景となった行為を原因の一つととらえ、そこにかかわったJRの責任を問い続けた。
 判決では事前トラブルについて「事実が集約されていれば事故を回避することは可能であった」と明快に述べている。これら間接原因に対しても、事故責任があったと判断した意味は大きい。今後の事故防止の観点からインシデントなどの事故の芽を事前に摘み取るよう求めたものといえ、他の鉄道事業者にも、より徹底した安全への配慮が求められることになるだろう。間接原因を考察する必要性を訴えた原告の闘いは、とかく直接原因の解明と犯人捜しに終始しがちな日本の事故調査と刑事事件の中で今後の事故調査のあり方に一石を投じたといえる。
 この事故は、国鉄分割民営化で、第三セクターとなった高原鉄道と、そこに乗り入れていたJR西日本の列車が衝突した大惨事という特徴がある。判決では、乗り入れたJRに「高原鉄道上において、自社が関係した事故が発生しないように主体的に安全対策を講ずべき立場にあった」と断定した。民法学者らによると、列車乗り入れの際の鉄道会社と乗客との責任関係を規定した判例はなく画期的な判断となった。今回被告となった高原鉄道とJR西日本のみならず、他の路線に乗り入れている鉄道事業者への警鐘ともなるだろう。(滋賀本社 円城得之)
・信楽鉄道訴訟の判決骨子
 一、JR西日本と信楽高原鉄道は原告23人に、総額約5億152万円を支払え
 一、JRは乗り入れに際して、信楽鉄道線上で事故が発生しないよう安全対策を講じる立場にあった
 一、JRは、信楽駅の出発信号の赤固定など、事故が発生する因果関係の重要な部分を予見することができた
 一、JRは事故発生を回避すべき注意義務に違反した過失があり、JRの運転士にも過失がある
・信楽高原鉄道列車事故
 1991年5月14日午前10時35分ごろ、滋賀県甲賀郡信楽町黄瀬の単線の信楽高原鉄道で、同町で開催中だった「世界陶芸祭」に伴い直通乗り入れしていたJR西日本の下り臨時快速列車と、高原鉄道の信楽駅発上り普通列車が正面衝突した。双方の乗客37人と乗務員五人の計42人が死亡、614人が重軽傷を負った。
 高原鉄道列車は信楽駅を赤信号で出発し、JR列車は単線上の行き違い場所「小野谷信号場」を、たい避線に対向列車がいなかった状態で、青信号のため通過した。刑事事件では、高原鉄道の運転主任ら3人が業務上過失致死罪などで起訴され、大津地裁で公判中。JRの運転士らは不起訴処分となっている。(京都新聞 夕刊)
■信楽鉄道事故損倍訴訟判決要旨
 大阪地裁が29日言い渡した信楽高原鉄道事故訴訟判決の要旨は次の通り。
 【主文】
 JR西日本と信楽高原鉄道(SKR)は原告23人に総額約5億152万円を支払え
 【JR列車のSKR線への直通乗り入れに際してのJRの立場について】
 一般にJRから他社線へ乗務員と車両直通乗り入れがなされている場合、利用者は乗り入れ先の路線でもJRと同様の安全性が確保されていると信頼。また本件直通乗り入れの実施によって、JRも運賃収入の増加が見込まれ利益になるプロジェクトであったのだから事故という結果発生の危険性について無関係ではなくなっているというべきである。JRは主体的に安全対策を講ずべき立場にあったというべきである。
 【JRと従業員の注意義務】
 JRのように高度に組織化された巨大な人的機構を有している企業のような場合、自己が所属しているセクション内において事故を予見する上で必要な情報は漏らさず収集できるような体制を構築する必要があるが、それだけでは足りず関係する他のセクションとの情報交換を密にして、SKR線内における事故発生を防止するのに必要な情報を収集するように努める義務があるというべきである。
 【JR従業員の注意義務違反】
 1 信号システムに関する注意義務違反
 (一)事故
当日の方向優先てこの操作と信号の赤固定の間には、明らかに因果関係が認められる。てこの設置に当たっては、JRの側で協議の場を持ち、変更を提案した上で、操作に当たっても必ずSKR側に連絡する必要があった。
 (二)JRの電気部長、電気部信号通信課長は、てこの操作によって信号の赤固定が生じる事実を知ることができただけでなく、因果経過の重要部分を予見できたのであるから、必要な確認・決裁は漏れなくなされるように体制を整えるとともに5月3日の信号トラブル以降は、メカニズムを解明し、赤固定が生じないようにSKRに対し勧告させるとともに、なぜ起こるのかSKR側にも分かるようにしておく義務があった。
 それにもかかわらず、部内の情報管理体制の不備を放置し、JRの担当者は、てこの設置・操作をSKRに連絡せず、SKRはJRに制御タイミング時期変更工事の事実を連絡しないという不十分な連絡体制を放置したため、事故の発生を防ぎ得なかった。
 2 教育・訓練における注意義務違反
 JRの運輸部運用課長は、乗務員等に対する教育体制の確立を怠り、信号故障や事故を相や定したマニュアルの作成とそれに対する十分な検討が被告両社間で行われなかった状態を放置していた。運用課長には、教育訓練に関する注意義務に違反した過失があり、それによって本件事故がひき起こされたものと認められる。
 3 報告体制確立に関する注意義務違反
 (一)JRはSKR線上において、自社所属の従業員、施設または車両が関係する事故の発生を防止すべき立場にあった。積極的にSKR 線の安全運行に関する情報を収集し、専門的・科学的知見をも用いて分析し、事故に至る予兆を発見できたのであれば、積極的に可能な限りの安全対策を講じる必要性があったというべきである。特に、JRは組織内の情報伝達体制を確立しておく必要があったというべきである。各セクションを統括する立場にある責任者らには本件事故発生についての予見可能性を肯定し得ることになる。
 (二)JR関係者において、遅くとも5月3日の信号トラブルの後には、SKR列車が代用閉そく方式の手続きを踏まないまま信楽駅を出発してくることの予見は十分可能であり、JRとしてはSKRに善処方を申し入れ、場合によっては直通乗り入れを中止する等の措置によって事故を回避することが可能であった。JRにおいては、情報収集および報告体制が確立されていなかったといわざるを得ない。したがって、JRの安全対策室長および運輸部運用課長には、報告体制確立に関する注意義務に違反した過失があり、それによって本件事故がひき起こされたものと認められる。
 4 JR運転士の注意義務違反
 単線軌道上を進めば正面衝突に至るがい然性は極めて高い。対向列車が代用閉そく方式の手続きを踏まないままに信楽駅を出発してくることがあるかもしれないことを予見することができ、小野谷信号場に列車を停車させて、携帯電話機で信楽駅と連絡を取ることにより、同駅の指示を仰ぐべきであった。JR運転士には過失があり、それによって本件事故がひき起こされたものと認められる。
 【JRの責任について】
 本件直通乗り入れはJRの業務として行われたものであるから、JRに対する使用者責任が成立すると解される。したがって、JRは、原告らに対し、損害を賠償する責任を負う。
 【SKRの不法行為責任および共同不法行為について】
 JRおよびSKR の各不法行為は、共同不法行為の関係に立つと解される。(京都新聞 夕刊)
■「父さん、よかった」 信楽鉄道事故訴訟 JRに賠償命令 原告団安どの表情 再発防止へ願い新たに
 信楽高原鉄道列車衝突事故からほぼ丸8年。事故の真相を究明しようと5年半にわたって闘ってきた原告の思いがようやく通じた。JR側の事故責任を初めて認めた29日の大阪地裁判決。原告らは、「当然のことです」と安どの表情を見せて判決を受け止める一方で、亡くなった肉親への悲しみを胸に「判決を無駄にせず、二度と同じような事故が起こらないで欲しい」と、再発防止への願いを新たにした。
 判決後、原告団代表は大阪地裁記者室で記者会見した。国府泰通弁護団長は「最愛の家族を亡くした人たちに、誠意を見せないJR西日本の謝罪と説明を求めた遺族の願いに正面から答えたもの。原告が主張したJRの過失をすべて認めた点で、全面勝訴といえる」と評価。また、「われわれが指摘してきた問題を真しに受け止めて謝罪し、亡くなった方々の命を無駄にしないよう、今後の安全対策に取り組んで欲しい」と訴えた。
 事故で妻の佐代子さん=当時(53)=を亡くした原告団長の吉崎俊三さん(65)=宝塚市=は、JRの切符を手にして「この切符には信楽行きとは書いてあるけど、高原鉄道に入るとは書いていない。みんなこれを持って死んでいったんです」と声を詰まらせ、「それでもJRの刑事責任を問わなかったのはじくじたる思いがある。長い年月だったがこれで42人の犠牲者にようやく顔向けできる」と安どの表情を浮かべた。
 妻の辰子さん=当時(52)=を亡くした中原邦夫さん(64)=神戸市東灘区=は「身内を亡くしておいて勝ちという言葉は使いたくないけど、今日の判決は本当によかった。事故の責任をうやむやにせず、示談に応じなくてよかった」と話した。
・提訴5年半 思いかみしめ
 「主文、信楽高原鉄道と西日本旅客鉄道は連帯して…支払え」。刑事事件では問われなかったJR西日本の責任が、法的に認められた瞬間だった。判決言い渡しが始まると、廷内の原告は、提訴から5年半の長かった思いをかみしめながら、涙ぐんだり目をつぶってじっと判決に聞き入る姿が見られた。
 夫の一男さん=当時(65)=を亡くした京都市伏見区の伊原いとさん(71)は、言い渡し直後、ハンカチを目にあて、「お父さん、よかった」と全身を震わせながらつぶやいた。
 この日は朝一番に、自宅の一男さんの位はいに「力を貸して」と手を合わせ勝訴を祈った。
 言い渡しから20分後、「責任を認めないこれまでのJRの社長の態度が許せなかった。これで、墓前にようやく報告ができます」と、表情にようやく笑みが戻った。
 長女晶子さん=当時(42)=を亡くした大阪市浪速区の中田明道さん(70)は「人の命が奪われることがどれほど大きなことか、これからJRは誠実な姿勢を見せて欲しい。二度と同じような事故がない世の中になって欲しい」と話した。
・ハードル一つ越えた
 北川啓一信楽高原鉄道社長の話 当社は列車衝突は相手なしに発生するものではないとの原点にたって(JR西日本にも責任があると)主張を続けてきた。今回、裁判所当局の深い理解を得ることができ、大変感銘を受けている。民事訴訟という一つのハードルを越えた。ご遺族にもご理解いただけるとありがたい。
・理解得られず遺憾
 南谷昌二郎・JR西日本社長の話 当社にも責任がある旨の判決があったが、これまでの当社の主張が裁判所に理解を得られなかったことは、誠に遺憾だ。判決内容を十分に検討したうえで、今後の対応を決めていきたい。(京都新聞 夕刊)
■「家内を安心して眠らせたい」 裁判を闘って悲しみいやす
 「数々のずさんな対応が明らかになったJRの責任が認められたのは当然」。原告の木村昭典さん(70)=京都市伏見区=は、約40年間連れ添った最愛の妻てい子さん=当時(61)=を、事故で一瞬にして失った。悲しみの中、木村さんを訴訟にかりたてたのは「なぜ事故が起こり、妻が死ななければならなかったのか」との一心だった。判決は、その「なぜ」に対する答えを出した。
 事故直後、「原因をうやむやにされたくない」と、示談に応じず原告に加わった。法廷に足を運ぶうち、事故発生の状況や事故を起こした両社のミスが次第に明らかになった。「訴訟の中で、これまでJRからは一切説明がなかった事故の本当の原因が分かった」と木村さん。裁判の中で、それが分かってきたことが、悲しみをいやす力にもなったという。
 てい子さんは事故の6年前から陶芸教室に通い始めて陶芸に興味を抱き、世界陶芸祭に向かう途中、事故に遭った。てい子さんが作った多くの作品は、今でもそのまま部屋の隅に置かれている。木村さんは「家内が残したものは捨てられません。事故当日、楽しそうに出ていった笑顔が忘れられない」と振り返る。
 判決に、木村さんは「JRは控訴しないでほしい。家内を安心して眠らせてやりたい」と、亡き妻への思いをかみしめていた。
今後の先例に
 長尾治助・立命館大教授(民法)の話 全体として原告の請求を認め、また細部にわたってJR西日本の責任に触れており、被害者救済の意味で非常に評価できる判決だ。
 これまで、別会社であればその行動の範囲内で責任を負えばいい、という考え方が支配的だったが、判決では、自社所属の区間だけでなく、乗り入れる他の区間についても、危険予防・安全確保に努め、安全教育や自社の情報提供を行う必要があるとするなど、使用者責任について踏み込んだ判断基準を示しており、列車の共同運行のあり方について、今後一つの先例となる重要な意味を持つ。
画期的な判決
 ノンフィクション作家の佐野真一さんの話 非常に画期的な判決。大阪地裁がここまで踏み込むとは、と驚いている。刑事裁判に与える影響も大きいだろう。
 判決は▽運行責任▽安全態勢▽事故の事前予見性−について、具体的にJRの責任を認定している。特に、他社線上でも事故が起こりうる以上責任があるとした点は極めて重大だ。
 また、大阪地裁は「JRの切符を買って乗ったのに、JRに責任がないのはおかしい」という、遺族の心情をよくくみ取っている。一般の鉄道利用者の思いに即しており、自然だ。
 信楽事故が残した教訓はたくさんあるが、事故からきょうの判決まで、長い時間がかかったことも忘れてはならない。迅速に捜査や事故調査をできる制度が必要だ。(京都新聞 夕刊)
■JR西にも賠償責任 信楽高原鉄道事故訴訟で両社に5億円命令 大阪地裁
 滋賀県信楽町の第三セクター・信楽高原鉄道線で1991年5月、死者42人、重軽傷者600人以上を出した列車衝突事故をめぐって、死亡した乗客9人の遺族が、信楽高原鉄道(SKR、滋賀県信楽町)とJR西日本(大阪市北区)に総額約11億3600万円の損害賠償を求めた訴訟で、大阪地裁は29日午前、被告両社の過失を認め、総額5億150万円の支払いを命じた。訴訟では、刑事事件で責任を問われなかったJR西日本の賠償責任が認められるかどうかが最大の焦点だったが、三浦潤裁判長は「JR西日本はSKR線への直通乗り入れに際し、自社所属の車両や従業員が関係した事故が発生しないよう主体的に安全対策を取るべき立場にあった」と指摘した。
 訴えていたのは、事故で妻(当時53)が死亡し、娘2人も重傷を負った兵庫県宝塚市の会社顧問吉崎俊三さん(65)ら大阪、京都、兵庫、滋賀の四府県に住む遺族23人。
 判決などによると、91年5月14日午前、SKR線信楽駅で出発信号が「赤」のまま変わらない異常が発生。SKRは修理を試みたが、直せないまま貴生川行きの上り普通列車(4両、15人)を出発させた。同線は単線で、JR線から乗り入れてきた京都発信楽行きの下り臨時快速列車(3両、716人)とは途中の小野谷信号所にある待避線ですれ違う予定だった。しかし、快速列車は、「赤」になるはずの信号がSKR側の信号修理作業による誤作動で「青」を表示したため、信号所をそのまま通過。両列車は正面衝突した。
 事故後、滋賀県警の捜査で、JRが信号システムに、JRからの乗り入れ列車の運行を優先させる「方向優先てこ」を設置する工事をしており、てこをある条件下で操作すると信号異常が起きることがわかった。さらにこの事故前にも同じようなトラブルが3回起きていたことも明らかになった。この工事は運輸省に無届けで行われており、鉄道事業法違反の罪で担当者の罰金刑が確定した。
 判決は、事故前の信号トラブルにより、JR側は「方向優先てこ」を操作すると信楽駅の信号が赤に固定される事実を知ることができた、と指摘。それにもかかわらず、異常が発生するメカニズムの解明やSKRとの間で対策を立てることを怠った過失がある、と認定した。さらに、JR側の運転士が小野谷信号所に対向列車が停止していないにもかかわらず信号所を通過したことについて「列車を停止させて携帯電話で信楽駅と連絡を取って指示を仰ぐべきだった」と述べ、注意義務違反を認めた。
 そのうえで、事故はJR西日本とSKR両社の過失によって起きた、と結論付けた。
 この事故では、SKRなどが総額約26億5000万円の補償金を支払って、原告を除く遺族、負傷者らと示談が成立した。しかし、原告らは、刑事事件でSKR側しか起訴されなかったことから、「JRの責任を明らかにする」として93年10月に提訴した。
・「主張が通らず遺憾」 JR西日本
 JR西日本はこの判決について「当社の主張が裁判所の理解を得られなかったことは、誠に遺憾だ。判決内容を十分検討し、今後の対応について決めたい」とする南谷昌二郎社長名のコメントを出した。
・安全確保義務 他社線内でも促す
 解説 信楽高原鉄道の列車衝突事故で、JR西日本の賠償責任を認めた大阪地裁判決は、JRや私鉄、地下鉄の相互乗り入れが広がる中で、他社の線区内で起きた事故でも無条件に免責されるわけではないことを示した。鉄道や航空機などが重大な事故を起こした経過を見ると、運転士やパイロットの過失だけでなく、システムの欠陥や規則の不備などが複合している例が少なくない。再発防止には、こうした要因を一つひとつ解明することが不可欠だ。
 しかし、刑事責任を問う業務上過失致死傷罪は、事故に直接つながるミスをした個人が対象になるため、追及は限定的になりがちだ。検察がこの事故で、赤信号で列車を出発させた信楽高原鉄道側の担当者らだけを訴追した背景には、そうした事情もある。
 損害賠償訴訟で原告側は、不起訴となったJRの運転士の捜査段階の供述調書を証拠申請し、「すれ違うはずの列車が待避線にいないのでおかしいとは思ったが、信号が青だったのでそのまま進行した」と供述していたことを明らかにした。JR側の信号工事が信楽駅の信号異常を招いた事実と併せて、刑事責任は問えないとしても、事故にJR側の要因も関係していたことは疑いない状況だったことを立証した。
 その意味でJR側の賠償責任が認められたのは当然といえる。
 大事故は突然起きるわけではなく、小さなトラブルやミスなどの予兆がどこかにあると言われる。信楽事故でも、事故前に繰り返された信号異常や、待避線での対向列車の不在を真剣に受け止めていれば、事故を防ぐことができた。乗客の生命を預かる鉄道事業者に対して、安全確保には万全を尽くすことを強く促した司法判断といえる。(社会部・岩城 興)(朝日新聞 夕刊)
■なお続く「人為ミス」 安全対策進むが 教訓生かされず
 多くの死傷者を出した信楽高原鉄道事故が起きた後、JR西日本を始め全国の鉄道会社は様々な安全対策に取り組んだ。異常発生時に駅員らがどう対応するかの訓練に力を入れ、他社線との乗り入れでは相互の連絡体制を強化した。赤信号なら強制的にブレーキがかかる自動列車停止装置(ATS)の整備も進んだ。だが、信号確認を怠るなど初歩的なミスによる事故はなお続いており、「信楽の教訓」が十分生かされているとはいえない。
 JR西日本は事故翌年の1992年から、信号を扱う駅員や運転士らに基本動作を徹底させるため、駅と同じ施設を備えた「訓練センター」を管内8ヵ所に新設。信号異常や車両故障などを再現して、対応を実地訓練している。
 昨年1年間で約1万人がこのトレーニングを受けた。
 同社管内で第三セクター線などと相互乗り入れしている6線区(JR他社は除く)については、運転士の相互乗り入れはやめて、境界駅で交代するケースがほとんどになった。いまもJRの運転士が他社線に乗り入れているのは、若桜鉄道(鳥取県)だけ。逆に若桜鉄道と綿川鉄道(山口県)は、両鉄道の運転士がJR線に乗り入れている。
●人為ミスが原因と見られる主な鉄道事故(信楽事故以降)
92年6月関東鉄道(茨城県)取手駅構内で、列車が停止位置を行き過ぎ、駅ビルの壁に激突。1人死亡、251人けが。
 9月伊予鉄道(愛媛県)路面電車の運転士が誤った処置をとり、ブレーキが利かなくなり、先行電車に追突。18人けが。
 11月島原鉄道(良崎県)運転士が停止信号を確認せず、対向列車と衝突。74人けが。
97年8月JR東海道線(静岡県)普通列車が速度超過で前方確認を怠り、先行の貨物列車に追突。43人けが。
  弘南鉄道(青森県)停止信号の確認を怠り、対向列車と正面衝突。40人けが。
 10月JR中央線(山梨県)大月駅構内で回送列車の運転士が自動列車停止装置(ATS)のスイッチを切り、入れ替え信号機の停止確認も怠って、駅通過中の特急の側面に衝突、78人けが。
98年6月土佐くろしお鉄道(高知県)故障で駅間に停車した列車に救援列車が正面衝突。40人けが。
99年2月JR山手貨物線(東京都)保守作業員が回送列車にひかれて5人死亡。
 乗り入れしているJR西日本と各社はそれぞれ、運転規程をチェックし合っているほか、保安設備や信号設備の情報も交換。異常時には列車同士でも無線機で連絡を取りあえるようにした。年1回、双方の境界駅で共同訓練も実施している。
 運輸省によると、「安全対策の切り札」といわれるATSの導入率は、JR・大手私鉄で100%、中小私鉄で82%。第三セクター線でも整備が進んでいる。
 だが、山梨県のJR大月駅構内で97年、運転士がATSのスイッチを切り、停止信号を確認しないまま出発して起きた衝突事故など、なお「人為ミス」による重大事故はなくならない。JR西日本管内でも、列車が駅のホームを行き過ぎるなど小さなトラブルは絶えない。同社安全対策室は「小さなミスが大事故につながる恐れもある。基本動作を徹底するしかない」と話している。(朝日新聞 夕刊)
■真相追い8年 遺族に涙 信楽事故判決 死 無駄にならなかった 心の中 亡き妻に報告
 「やった」。三浦潤裁判長がJR西日本にも賠償金の支払いを命じる主文を読み上げると、法廷にどよめきが広がった。弁護団と笑みを交わす人、隣同士握手をする人、顔を覆う遺族…、どの目にも涙が光った。8年前、のどかな山里を走る信楽高原鉄道で起きた衝突事故は、一時に42人の乗客の命を奪った。切符を売り、列車に乗客を乗せたJR西日本が責任を認めず、刑事責任の追及も見送られたとき、遺族らに残された道は、自らの手で民事訴訟を起こして真相を明らかにすることだった。29日、大阪地裁で言い渡された判決を、遺族らは再発防止の願いも込めつつ万感の思いで聞いた。
■ツバキ
 「君の死が無駄にならなかった。これですべての鉄道事業者が、もっと安全に注意するようになる」。判決を聞いた中原邦夫さん(64)=神戸市東灘区=は、心の中で妻辰子さん(当時52)にそう報告した。
 中原さんの新築の家はヤマツバキの木に囲まれ、門扉わきにはしだれ桜がある。鎌倉彫の師範の資格を持っていた辰子さんは、ツバキを図案によく取り上げ、ハイキングにいくたびに苗木を持ち帰った。桜の木は、長男(34)が地元の酒造会社に就職したお祝いに、辰子さんが植えた。中原さんの自宅は、1995年1月の阪神大震災で全壊したが、庭のヤマツバキとしだれ桜は掘り起こして新居に植え直した。
 辰子さんは顔面を強く打ち、頭の骨が折れて亡くなった。遺体安置所で中原さんは最初、「妻ではない」と言ってしまった。
 「何で見分けられなかったのか。8年間を支えたのは、その償いをしなければという気持ちです」
 「JR西日本・信楽高原鉄道列車衝突事故犠牲者遺族の会」の世話人代表を務める吉崎俊三さん(65)=兵庫県宝塚市=は、判決を聞くと後ろに座った二人の娘と握手を交わした。事故では、妻の佐代子さん(当時53)が犠牲になり、娘たちも重傷を負った。
 佐代子さんは満員の列車の中で、手すりにもつかまれずに立っていた長女(36)に「しんどいでしょう、交代しよう」と声をかけて場所を替わった。その数分後に事故が起きたという。「ママに助けてもらった」が娘たちの口癖になった。
 「やっと区切りがつきました。すぐに墓前に報告に行きます」
■心の傷
 夫婦で快速列車の先頭車両に乗っていて、夫の一男さん(当時65)を失った伊原いとさん(71)=京都市伏見区=は、周囲の言葉に傷つけられ続けた。
 示談交渉が始まると「お金は入りましたか」。原告全部で11億円の損害賠償を求めた訴訟が報道されると「えらい額ですな」。
 「もらった金を渡すから、主人の命を買ってきてや」と言い返した。「一緒に死んだ方が楽だ」と思ったことさえある。
 「判決で『信楽高原鉄道とJR西日本は連帯して』の言葉を聞いた瞬間、心臓が飛び出るほどうれしかった。夫に良かったね、と報告したい」とほほ笑んだ。
■NPO
 93年に結成された非営利組織(NPO)の「鉄道安全推進会議」。中心になったのは、事故で長女の信子さん(当時26)を亡くした染色会社役員臼井和男さん(60)=京都市右京区=だった。娘の死を無駄にしないために何ができるだろうと考え続けて出した答えだった。同会議は昨年五月、欧米で取材した結果をもとに「鉄道事故の再発防止を求めて」(日本経済評論社)を出版し、独立した事故調査機関の必要性を訴えた。今年7月には、運輸省や国会議員に参加を呼びかけ、東京でシンポジウムを開く。
 賠償金は、この会議の活動費にあてるつもりだ。「鉄道だけでなく、すべての交通機関の事故で犠牲になる人をなくしたい」と話した。
・「JR謝罪を」 原告団会見
 勝訴判決を受け、原告側は午前11時前から記者会見した。弁護団長の国府泰道弁護士が「判決は遺族の問いかけに正面から答え、JR西日本の過失をすべて認めており、原告の全面勝訴と評価している。JRには、判決を真摯に受け止めて反省し、遺族に謝罪するとともに今後の安全対策に生かすことを求める」とする談話を読み上げた。
 妻を亡くした吉崎俊三さん(65)ら3人の遺族は「これで42人の犠牲者に顔向けできる」、「刑事裁判でJRの責任が追及されないと知ったときは我々の味方はいないと思っていた。今日は司法に感謝したい」「あとはJRに謝罪してほしい」と訴えた。
 一方、信楽高原鉄道の北川啓一社長は「列車事故は相手なしでは発生しないという当方の主張が認められ、裁判所には感謝している。事故からすでに8年が経過していることから、胸を痛めていました。速やかに遺族らと賠償などについて話し合いをしていきたい」と話した。
・信楽高原鉄道 引き続き支援 滋賀県知事コメント
信楽高原鉄道に出資している滋賀県の国松善次知事は「県としては信楽高原鉄道がその責任を全うしていけるよう、引き続き支援していきたい」とのコメントを出した。(朝日新聞 夕刊)
30日■「JR西日本は謝罪を」 やっと”真の供養” 事故の再発防止に意欲
 JR西日本の事故責任を初めて認めた29日の信楽高原鉄道列車正面衝突事故の民事訴訟判決を受け、原告団は同日、大阪市中央区の弁護士事務所で集会を開き「判決が指摘した問題点を安全対策に生かすべきだ」などとJR西日本に謝罪を求める申し入れ書を出すことを決めた。
 原告団の集会で、吉崎俊三原告団長(65)=宝塚市=が「これでようやく亡くなった42人に本当の意味での供養ができる」とあいさつすると、集まった犠牲者9人の遺族27人と弁護団が拍手し、全面勝訴の喜びを分かち合った。
 遺族の一人で、鉄道事故の独立調査機関設置を求める運動を続けている鉄道安全推進会議(TASK)の会長を務める臼井和男さん(60)=京都市右京区=は「判決では、インシデント(予兆)の検証などTASKが海外で学んできたことが認められ、日本でも先進的な安全対策が広まるきっかけになる」と期待を高めた。その一方で臼井さんは「JRでは今も、列車のオーバーランがひんぱんに起こり、事故の予兆はすでに起きている」と指摘。判決を弾みとして、さらに再発防止に取り組む意欲をみせた。
 信楽高原鉄道は北川啓一社長が同日午後、滋賀県庁で会見し「裁判所には私たちの主張を深く理解してもらった。基本的には、原告、遺族の立場に立ち、速やかに問題の解決に当たっていく」と述べた。
・原告団集会 信楽鉄道事故訴訟判決 JR西日本 控訴の方向で検討 法注意義務広範囲すぎる
 一方、JR西日本は、同日午後、大阪市北区の本社で、櫻井紘一鉄道本部長らが記者会見を行った。櫻井鉄道本部長は「判決は鉄道事業者に極めて広範囲な注意義務を課しており、法律の適用上無理がある。控訴の方向で検討したい」と、判決を批判した。
 事前トラブルによる事故の予見可能性や他社路線での安全注意義務など判決でJRの過失が認定された点について記者から質問が出ると、櫻井鉄道本部長は「事故は、赤信号で出発した高原鉄道が原因であり、当社の予見できる範囲を超えている。注意義務は高原鉄道側にある」と、訴訟と同じ主張を繰り返した。
 また、判決を受けた今後の安全対策について「事故を他山の石として、総点検や入念な打ち合わせをしてきたので、特別な対策は考えていない」と、従来通り事故の当事者でないとの姿勢を強調した。遺族に対しては「大変お気の毒に思うが、現段階では(謝罪を)考えていない」と、謝罪の意志がないことをあらためて示した。(京都新聞)
■社説 JR西日本の責任認めた判決
 滋賀県・信楽町の信楽高原鉄道で1991年5月、列車が単線上で正面衝突して死者42人、重軽傷者614人を出した事故をめぐって、犠牲者の遺族が高原鉄道とJR西日本を相手に総額約11億3600万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が大阪地裁であった。
 判決はJRに対して「主体的に安全対策を講ずべき立場にあった」と認定し、「注意義務違反があった」とした上で高原鉄道とJRの両社に総額約5億円を支払うよう命じた。JRの責任を初めて認めた原告全面勝訴の判決といえる。
 訴訟ではJRに過失があるのか、その法的責任がどこまであるのか、が最大の争点となっていた。
 事故の刑事責任については大津地裁で公判中だが、高原鉄道側の3人だけが起訴され、JRはだれも刑事責任が問われなかった。今回の民事訴訟でもJRは最初から一貫して責任を認めていない。
 JR側は事故の予見は不可能で、自らに安全配慮義務はなく「事故原因は赤信号なのに十分に安全確認しないで出発させた高原鉄道側にある」と主張。これに対し、遺族と高原鉄道側は「JRにも責任がある」と追及した。
 この日の判決でJRには事故が発生する「因果経過の重要部分を予見できた」と認定。また事故発生を回避すべき注意義務に違反した過失などがあるとして、原告側の主張をほぼ全面的に認めた。
 さらに裁判長は「事故前にも信楽駅の信号異常が起きていたのに、社内で情報交換をしないまま放置した」などと、情報管理や高原鉄道との連絡体制の不備を指摘してJRに厳しく反省を迫った。
 事故の刑事責任をめぐって、JR側の不起訴を不当として、検察審査会が2度にわたって議決した経過がある。一方、遺族側が損害賠償訴訟を提訴した背景には、JRの責任が不問とされたことへの不満から「事故原因とJRの責任を追及したい」との思いもあった。
 JRの責任を明確に認めた今回の判決は、遺族らだけではなく、広く国民の理解が得られるものだろう。
 この際、JRは謙虚に判決を受け止め、速やかに遺族や被害者の救済に対応すべきではないか。
 信楽鉄道事故は旧国鉄の分割、民営化後に起きた最大の鉄道事故だった。この事故は相互乗り入れをする第三セクター鉄道の安全運行について、大きな課題を提起することになった。
 今回の判決が「JRのように高度に組織化された巨大な人的機構を有している企業は、関係するセクションとの情報を密にして、事故防止に必要な情報を収集する義務がある」と、踏み込んだ判断を示したことは傾聴に値する。
 このように、JRが他社線に乗り入れる場合でも安全運行のために注意義務のあることを明らかにしたことは、重要な意味がある。この指摘をJRや他の鉄道会社は、警告として真剣に受け止めるべきである。
 それにしても事故が発生して以来、8年。提訴後でも5年以上の歳月がたっている。被害者救済の立場からは、長期間にわたる訴訟は問題があるといわざるを得ない。大事故であり、事故原因の究明が難しく時間がかかるとしても、長期裁判には割り切れない思いが残る。あらためて迅速な裁判を求めたい。
 これを機に、鉄道事故の原因を独自に調査する公的機関の設立についても議論する必要がある。同機関の設置は遺族らが強く要望するところだ。
 今回の判決を受けて、鉄道関係者が安全運行の徴底を期して、事故防止のために万全の体制をとることをあらためて望みたい。それが事故の教訓を生かす最善の道といえるからだ。(京都新聞)
■JR西日本 判決批判、控訴へ 信楽鉄道事故賠償訴訟敗訴 「法令超える要求」
 信楽高原鉄道の列車衝突事故を巡る損害賠償請求訴訟の判決で、全面敗訴したJR西日本(本社・大阪市北区)は29日午後、桜井紘一鉄道本部長が記者会見した。「法令で定められた範囲を超える注意義務を要求しており、法律の適用に無理がある」と判決を全面批判し、控訴する意向を明らかにした。反省の言葉は一切聞かれず、鉄道事業者に十分な安全確保を求めた判決や遺族の思いと、「JRの論理」はかみ合わないままだった。
 判決は、JR側が信楽高原鉄道(SKR)線内への直通乗り入れ運転の実現に重要な役割を果たしたことを指摘し、SKR線内での安全権保義務があるとした。そのうえで「JR西日本に事故発生防止のための安全対策を要求したとしても、それによって犠牲にされる利益は、鉄道利用者の生命・安全という利益に比べれば極めて軽微」と指摘した。
 これに対し、桜井本部長は「SKRの線区内ではSKRが責任をもって事故対策をすべきで、JR側が主体的に安全を確保すべきだというのは、(鉄道事業の原則を)少し超えた意見だと考える」と裁判所の見解を全面的に否定した。
 判決が「事故を予見することができた」とする理由に挙げた信号トラブルについては「事故に結びつくとは思っていない」。途中の信号所ですれ違うはずの対向列車がいなかったという「予兆」があったのに、確認しないまま青信号に従って進行した運転士の過失を認めた点についても「赤信号を無視して列車が向かってくるのを予見することなどありえない」「青信号でも徐行運転をしなければならなくなる。鉄道事業そのものに影響する重要な問題を含んでいる」と反論した。
 さらに「判決のいうような高度の注意義務は、ほかの直通運転をしている線区でもやっていない」としたうえで、全責任はSKRにあると強調。遺族が謝罪を求めていることについては、「お気の毒ではあるが、会社としては謝罪する予定はない」と言い切った。(朝日新聞)
■京福がスト中止
 29日夜から続いていた京福電鉄の春闘労使交渉は、30日早朝に妥結し、予定していたストを中止した。同電鉄は始発から正常ダイヤで運行した。この結果、京都府内に路線をもつ中小私鉄、バスで、ストを構えた春闘交渉はなくなった。(京都新聞 夕刊)
31日■JRに謝罪求める 信楽事故原告団
 信楽高原鉄道事故でのJR西日本の責任を認めた29日の民事訴訟判決を受けた原告団(吉崎俊三団長)は30日、JR西日本に謝罪を求める申入書を同社弁護士あてに送った。
 申入事では「判決は、JR西日本の安全軽視体質を断罪しています」と判決を評価したうえで、「判決を真撃(し)に受け止め、遺族らに対して謝罪することを求めます。また、控訴によって訴訟を長期化させないよう申し入れます」などと、遺族らに対する誠実な対応を求めている。(京都新聞)