1998(平成10)年 3月


1日■東西線のドア 3分間開かず 蹴上駅で運転士目まい(京都)
  ■ぐんと便利に 市バス・地下鉄マップ 京都市が5年ぶり改訂(京都)
2日■開く 春のとびら トロッコ列車運転再開 保津峡 観光客ら眺望に歓声(京都)
  ■首都圏で積雪 鉄道など混乱 30万人の足に影響(京都)
  ■特急にはねられ死亡 北陸線高月駅踏切(京都)
  ■湖西線でも人はねる 志賀町で特急(京都)
  ■乗り遅れた男 電車に投げ傘 三宮、窓割れ女性けが(朝日)
  ■地下鉄サリン 林郁夫被告に無期求刑 東京地裁検察論告 改しゅんが顕著 事件自身は自首(京都)
  ■凶悪犯罪防止に寄与 林郁夫被告公判 検察論告の要旨(京都)
  ■事故死の身元判明(京都)
  ■オウム法廷 林被告に無期求刑 覚悟の「実行犯」 涙 「理不尽なことだった…」(朝日)
  ■林郁夫被告に対する検察側論告(要旨) 地下鉄サリン事件 教義の名を借りたテロ 命の尊さ知る医師加担(朝日)
3日■交通局職員を逮捕 大阪 盗み・覚せい剤使用容疑(朝日)
  ■職務質問逃れ踏切で事故死 堺で男性(朝日)
  ■”松竹解任劇”で思わぬピンチ 京都二条文化使節年度内着工は困難 協力な推進役失う(京都)
  ■京阪車内で助役に暴行の少年を逮捕 五条駅で停車中(京都)
4日■95年の湖西線事故 指令員を書類送検(京都)
  ■JR花園駅 有料の駐輪場が完成 自転車730台 ミニバイクも収容(京都)
  ■JRの職員 過失傷害容疑 湖西線追突で書類送検(朝日)
  ■声 「鉄道唱歌」を全部覚えるぞ 向日市 河田 信男(無職 81歳)(朝日)
5日■経済天気図 第3セクターの破たん(京都)
  ■26、30両日スト設定 私鉄の中小労組(朝日)
  ■JR東西線 開業1年 伸び悩む客足 1日目標20万なのに13万人 「出かけて」と情報誌(朝日)
6日■京阪・地下鉄「丸太町」「四条」「五条」 同一駅名あ〜ややこし 京都オンブズマン会議 「誤乗車」未然防止へ 10日に開催(京都)
8日■山陰線線路横断中の女性はねられて即死 嵯峨(京都)
  ■CO2減らす交通システムを 京でシンポ 市民グループ代表や学者ら討論 パーク&ライド方式の採用 路面電車復活も(京都)
  ■「JR追加負担おかしい」 アンケートに機関投資家回答(朝日)
9日■列車にはねられ死亡 JR向日町駅付近(京都)
11日■事故男性の身元判明(京都)
  ■市バス不良債務解消策 計画を再点検へ 市会委で市側答弁 旅客数など減少で(京都)
  ■議会ミニレコ 10日(京都)
  ■論壇 政府はJRを国鉄に戻すのか 森 正暁(朝日)
  ■帰宅の電車 立ち往生 架線切れ3時間運休 南海本線(朝日)
  ■地下鉄職員3人はねられて死亡 東京、電車に気付かず(京都)
  ■回送電車はね職員3人死亡 東京の地下鉄千代田線(朝日)
  ■架線切れ原因 金属疲労か? 南海電鉄事故(朝日)
12日■窓 市バス乗車に心配りが必要 中京区・岸田 康栄(主婦・56)(京都)
  ■文化 パークアンドライドとエコロジー駐車場 自動車のCO2削減急務 実現可能な提言目指す 吉村 元男(京都)
  ■子犬が踏切へ! 助けようと飼い主即死(朝日)
  ■「ブルトレ」改め 「サンライズ」公開(朝日)
  ■名古屋駅も自動化 東海道新幹線の改札口(京都)
  ■神戸大の入試 1時間遅れる 山陽電鉄の故障で(朝日)
13日■余生をベトナムで DD51型機関車を売却 JR西日本(京都)
  ■寝台特急「サンライズ」完成(京都)
  ■整備新幹線の3区間を認可 運輪相(朝日)
  ■カンサイモダンヤキ 東が左なぞの案内板(朝日)
14日■東急電鉄の「東急」使うな 東京地裁 俳優の芸名訴訟で判決(京都)
  ■特別扱い”返上” 府議 無料交通パス全廃 「市交通局も赤字続き」(京都)
  ■JR7社、収入減へ 来年度事業計画(朝日)
  ■500系のぞみ 1日7往復に 東京・博多間、今秋には(朝日)
  ■自転車ごと乗れる列車・バス 群馬・三重・北海道で運行中 駐輪場や環境問題に一石 規制緩和も実施に追い風(朝日)
  ■特急にはねられ死亡 JR阪和線踏切で女性(京都)
17日■窓 「乗りたいな」快適な市バス 西京区・福島はる枝(主婦・67)(京都)
  ■JR難波駅南側地区 最低価格に届かず あす再入札(朝日)
18日■JR西日本 環境対策に本腰 プロジェクトチーム 常設委に格上げへ(京都)
  ■JR桜島線複線化へ(朝日)
  ■東海道新幹線の生みの親 島秀雄氏が死去(京都)
  ■新幹線建設を指揮 島秀雄氏が死去(朝日)
  ■島秀雄氏死去 狭軌案妥協せず貫いた技術者魂(朝日)
19日■南海電鉄 大阪スタヂアムと合併 10月 球場跡地開発円滑に(京都)
  ■JR難波駅前の旧国鉄用地 阪神住建が落札(京都)
  ■JR難波駅前 旧国鉄用地 南側、阪神住建が落札 マンションなと計画 坪400万円台?(朝日)
  ■大阪スタヂアム 南海電鉄と合併へ 10月 再開発取り組み強化(朝日)
  ■地下鉄東西線六地蔵延伸 事業免許を申請(京都)
20日■社説 重い課題抱え地下鉄サリン3年(京都)
  ■「地下鉄サリン」から3年 後遺症の苦しみ今も… 募る将来の不安 「だれが償い」置き去りの被害者ら(京都)
  ■私鉄20年ぶり低水準 賃上げ回答(京都)
  ■突風請け電車脱線 福岡のJR 乗客3人重軽傷(京都)
  ■強風で運休相次ぐ 北近畿タンゴ鉄道(京都)
  ■突風受け?列車脱線 3人けが 運転士「浮いた」 福岡のJR(朝日)
  ■福岡のJR脱線 風速25b、突然の揺れ 乗客80人、車内騒然(朝日)
  ■地下鉄の醍醐−六地蔵間 事業免許を申請(朝日)
  ■途轍大手は約7000円 賃上げ回答 昨年比300−900円低く(朝日)
  ■JR西日本 3400円で決着(朝日)
  ■ラッシュの中、乗客も献花 地下鉄サリン事件3年 遺族、首相ら追悼(京都)
  ■強風で関空線一時ストップ JR西日本(京都)
  ■地下鉄サリン事件 教祖の野望指摘 林被告・最終弁論 惨状に涙(京都)
  ■列車に接触、死亡 JR長岡京駅構内で(京都)
  ■春のあらし 列島大荒れ 関空への鉄道・船に影響(朝日)
  ■脱線JR 早朝復旧 福岡(朝日)
  ■地下鉄サリン事件から3年 祈りと花 風化はさせぬ(朝日)
21日■地下鉄サリン 林郁夫被告 5月26日に判決 最終陳述「弁解の余地ない」(京都)
  ■びわ湖長浜ツーデーマーチ 5月9、10両日 SLに乗車も(朝日)
22日■声 バスで席譲る優しい生徒ら 春日井市 岡 妙子(主婦 47歳)(朝日)
23日■市バス内で財布盗む 七条署、容疑の女逮捕(京都)
  ■京にふさわしい施設設計 総合女性センターやJR二条駅ビル 下京で伏見工高建築科卒業生作品展 外観図や模型27点(京都)
24日■合わせて70歳以上 ペア70組を無料招待 京阪バスと市交通局(京都)
  ■ふるさとの道はいま 芦生森林軌道 ”トロッコ道”自然の中に(京都)
  ■橋げた落下事故 広島市にも一部責任 広島地裁 賠償命令 安全策指示怠る(京都)
  ■橋げた落下事故判決要旨(京都)
  ■片町線7本運休 通勤の足乱れる バッテリー故障(京都)
  ■橋げた落下事故 広島市などに賠償命令 計2億3000万円 広島地裁判決 「安全策指示せず」 国の責任は認めず(朝日)
  ■安全策の先取り必要 橋げた落下 市側に責任 監督のずさんさ指摘(朝日)
  ■JR片町線 車両が故障(朝日)
25日■国労249人救済 JRに命じる 中労委(京都)
  ■生駒トンネル 火災事故 元社長に逆転有罪 大阪高裁判決 「事故予見できた」(京都)
  ■生駒トンネル火災事故 電気業者に逆転有罪 大阪高裁「火災予見できた」(朝日)
26日■京福など大詰め交渉(京都)
  ■男性はねられ死亡 JR向日町駅(京都)
  ■電気会社役員が上告 生駒トンネル火災(朝日)
  ■中小私鉄13社 ストの準備(朝日)
  ■山科区が唯一上昇 公示地価 地下鉄東西線開業で(京都)
  ■府内地価 目立つ商業地下落 東西線開通後 沿線宅地は値上がり(朝日)
  ■京福などスト回避(京都)
  ■金剛自動車が一時スト突入 中小私鉄・バス春闘(朝日)
27日■窓 郷土の新装駅 交流の場に 彦根市・小林 幸夫(無職・64)(京都)
28日■生まれ変わったJR花園駅前広場 名勝や史跡にも調和 テープカットで市民ら完成祝う(京都)
  ■電車にはねられ即死 宇治の近鉄京都線(京都)
  ■男性飛び込み自殺? 阪急京都線(京都)
  ■京都駅ビルに遅ればせながら… 新幹線コンコースも新感覚に JR東海今秋から 30億円かけ改装へ(京都)
  ■JR四国社長 梅原氏が昇格(朝日)
  ■JR四国の社長に梅原氏 かじ取り難しい3架橋時代(朝日)
  ■ズーム遊ぶ 一度だけ出会う夕べ(京都)
29日■しゃれた外観 トイレが誕生 JR宇治駅前(朝日)
30日■信号機用ケーブル切られる 城陽の奈良線(京都)
  ■列車にはねられ死亡 大山崎のJR踏切(京都)
  ■信号用回線切られる JR奈良線 城陽駅そば 列車2本が運休(朝日)
  ■踏切内で車脱輪 乗客1000人に影響 阪急京都線(京都)
  ■電車にはねられ死亡 城陽・線路に倒れ込む(京都)
  ■死亡男性の身元判明(京都)
  ■びわ湖長浜ツーデーマーチ 参加者募集(朝日)
31日■近鉄に弱冷車 今夏登場、2度高く(京都)
  ■光台−祝園駅が便利に 奈良交通ダイヤ改正で増便(京都)
  ■八日市と近江八幡ノンストップで結ぶ 近江鉄道に快速電車(京都)
  ■踏切で叡電とタクシー衝突 左京、1人けが(京都)
  ■窓 親切と安全が市バスの基本 右京区・木村 晃之(店員・32)(京都)
  ■信号操作誤る 新快速急停止 JR大阪駅(朝日)



1日■東西線のドア 3分間開かず 蹴上駅で運転士目まい
 28日午後2時30分ごろ、京都市東山区東小物座町の地下鉄東西線の蹴上駅で、醍醐駅行き電車(6両編成)が同駅に到着後、車両とホームの乗降用ドアが約3分間開かないトラブルがあった。一時、車内は騒然とした。電車は約3分遅れて同駅を出発、終着の醍醐駅には定刻通りに着き、後続電車にも影響はなかった。
 市交通局によると、地下鉄の運転はコンピューター制御で、ドアの開閉は運転士が行う。所定の時刻が過ぎても電車が出ないため、東西線運転指令から電車に無線連絡すると、運転士(44)は「目まいがし、気分が悪くなっただけで大丈夫です」と答え、ドアを開閉した後、醍醐駅まで運転した、という。
 真下武・東西線運輸事務所長は「迷惑をおかけして申し訳ない。運転士が大丈夫だといったので(運転士の)交代は必要がないと判断した。運転はすべて自動制御で、安全は確保されているので安心してほしい」としている。(京都新聞)
■ぐんと便利に 市バス・地下鉄マップ 京都市が5年ぶり改訂
 京都市交通局は、「早わかり市バス・地下鉄便利マップ」の内容を5年ぶりに改訂し、市内の書店や市バス・地下鉄案内所で発売を始めた。市内の市バス運行を地域別に16ゾーンに分け、最寄りの停留所や目的地への路線系統を地図入りでわかりやすく紹介、名所旧跡や公共施設なども掲載している。
 便利マップは93年に発行。昨年、地下鉄烏丸線の北々進や、東西線の開業に伴ってバス路線を大幅に変更したことから、内容を一新した。「基本編」では、近くのバス停の見つけ方や路線の探し方、「応用編」では、目的地へ行く路線がない場合の乗り継ぎ場所を知る方法を解説している。
 また、巻末には主要な観光地や交通拠点など計20ヵ所を回るための乗り継ぎ表を付けた。「大原・岩倉」地域の京都バス、「山科・醍醐」地域の京阪バスの各路線も掲載した。A4判、44n。500円。問い合わせは、市交通局075(822)9106。(京都新聞)
2日■開く 春のとびら トロッコ列車運転再開 保津峡 観光客ら眺望に歓声
 春の観光シーズンが始まった1日、嵯峨野観光鉄道(本社・京都市右京区)のトロッコ列車が運転を再開した。観光客や招待客が乗車、あいにくの雨のなか、眼下に広がる雄大な保津川の渓谷に見入っていた。
 運転再開と安全運行を祈って午前9時すぎ、トロッコ嵯峨駅で記念式典が行われ、嵯峨小4年の矢沢弦一郎君(10)たちがくす玉を割った。始発列車の乗務員に花束が手渡された後、招待された地元の人たち約250人が乗り込んだ。
 この日京都市内の最高気温は10.3度で平年並みだったが、朝からあいにくの雨に見舞われ、肌寒い天候となった。客車4両のうち2両は景観が楽しめるよう窓がなく、雨が吹き込んだが、乗客は肩をすぼめながらも眺望に歓声を上げていた。
 東京から家族4人で来た会社員早川邦彦さん(37)は「景色がすばらしい。秋の紅葉時期には、おじいちゃんやおばあちゃんと一緒に来たい」と話していた。嵯峨野観光鉄道は12月末から2月末までの冬場は休業している。区間はトロッコ嵯峨駅−トロッコ亀岡駅の7.3`で1日に8往復する。(京都新聞)
■首都圏で積雪 鉄道など混乱 30万人の足に影響
 低気圧通過の影響で東京や千葉など首都圏を中心に1日早朝から雪が降り、JR東日本の在来線約470本が運休し、約26万3000人の足が乱れた。空の便も羽田空港の発着便を中心に日本航空など大手3社で約280便が欠航、約4万5000人が影響を受けた。
 気象庁によると、房総半島沖を低気圧が発達しながら東へ進んだため、関東地方に北から強い寒気が流れ込み、1日早朝になって前日からの雨が雪に変わった。各地の積雪量は東京や千葉が5a、横浜、熊谷が各1a、秩父で9a。(京都新聞)
■特急にはねられ死亡 北陸線高月駅踏切
 1日午後6時55分ごろ、滋賀県伊香郡高月町高月のJR北陸線高月駅構内踏切で、線路上に男性が立っているのを米原行き特急加越14号の運転士が発見、非常ブレーキをかけたが間に合わず、男性は死亡した。特急は現場に39分間停車、後続の普通列車上下各1本にも最大24分の遅れが出た。木之本署によると、男性は紺色の和服姿で60歳ぐらい。男性が、遮断機が下り、警報機が鳴る中で、踏切内に立ちつくしていたことや、線路わきに履物がそろえてあったことなどから、同署は自殺ではないかとみて、身元の確認を急いでいる。(京都新聞)
■湖西線でも人はねる 志賀町で特急
 1日午後10時半ごろ、滋賀県滋賀郡志賀町のJR湖西線で、走行中の大阪行き上り特急サンダーバード46号(乗客約300人)の運転士が、何かをはねたような異音に気付き現場で急停止、付近を点検したところ、遺体が散乱しているのを発見した。
 サンダーバード46号が1時間半以上にわたって現場で停止し、さらに後続の普通列車上下計8本にも影響が出た。遺体の性別、年齢などは不詳。堅田署で身元確認を急いでいる。現場は蓬莱駅と和迩駅の間。(京都新聞)
■乗り遅れた男 電車に投げ傘 三宮、窓割れ女性けが
 1日午後4時43分ごろ、神戸市中央区の阪神電車三宮駅下りホームで、相互乗り入れをしている山陽電車の三宮発姫路行き特急電車の先頭車両に男が折りたたみ傘を投げ付けた。窓ガラスが割れ、乗車していた同市須磨区の女性(33)が顔に軽いけがをした。葺合署は傷害、器物損壊容疑で調べている。
 調べでは、男は駆け込み乗車をしようと同駅の階段を下りてきたが間に合わず、持っていた折りたたみ傘を腹いせに電車に投げ付けて逃走。車掌が窓ガラスが割れたことに気づいて運転手に連絡し、電車は約40b走って停車した。電車は約10分遅れで出発した。(朝日新聞)
■地下鉄サリン 林郁夫被告に無期求刑 東京地裁検察論告 改しゅんが顕著 事件自身は自首
 地下鉄サリン事件の殺人、殺人未遂罪などに問われたオウム真理教元幹部で元医師林郁夫被告(51)の論告求刑公判が2日、東京地裁(山室恵裁判長)で開かれ、検察側は無期徴役を求刑した。
 論告で検察側は「地下鉄事件の実行犯であり、責任は重大。極刑を相当とする意見もある」としながらも「最初に自白したのは『自首』に当たり、捜査が急展開した。犯行を認め、改しゅんの情が踏著」と無期懲役を選択した理由を述べた。
 死者12人、重軽症者約3700人を出した地下鉄事件の実行グループとされる被告の求刑は初めて。松本智津夫被告(43)=教祖名麻原彰晃=の指示で役人事件などを実行した他の主要被告の量刑にも大きな影響を与えそうだ。
 この日の論告で、検察側は「無差別大量殺人の地下鉄事件は国民全体を震かんさせ、記憶から決して消えない犯罪史上例を見ない凶悪事件」と強調。松本被告の犯行指示、教団と教祖の保身のためには手段を選ばない極めて身勝手な動機などを詳述した。
 その上で、林被告はだれよりも生命の尊さを知る医師だったのに、独善的な教義を優先させ、サリンの散布方法を提案するなど積極的に関与。犯行を実行した責任は「言語道断」と指摘した。
 林被告は地下鉄事件に加え、公証役場事務長仮谷清志さん=当時(68)=の逮捕監禁致死、元信者監禁など計6事件で起訴され、公判では起訴事実を全面的に認めたため、主要被告の中では最も早く審理が進んだ。
 事件の被害者には何度も涙ながらに謝罪。松本被告を厳しく批判し、松本被告との共謀の経緯などを詳細に供述した。共犯とされる21被告の公判でも証言し、事件の解明に協力してきた。
 弁護側は反省の姿勢を強調。地下鉄事件を最初に自白したことは「自首」に当たると主張したほか、地下鉄事件は首謀者にしか死刑が適用されない「内乱」と指摘するなどして情状酌量を求めた。
 論告によると、1995年3月20日の地下鉄事件で林被告がサリンを発散させた千代田線では営団地下鉄職員2人が死亡、約230人が重軽症となった。
 死亡した営団職員2人の妻は林被告の反省と事件解明への協力姿勢などを評価。うち1人は公判で、極刑を求めない意向を証言していた。(京都新聞 夕刊)
■凶悪犯罪防止に寄与 林郁夫被告公判 検察論告の要旨
 東京地裁で2日開かれたオウム真理教元幹部林郁夫被告の公判で、検察側が陳述した論告の要旨は次の通り。(呼称略、肩書は当時)
 【各事件の犯情、被告人の情状】
 ▽地下鉄サリン殺人等事件について
 本件は、化学兵器である猛毒のサリンを使用した無差別大量殺戮テロ事件であり、サリンを殺人の凶器として使った点と発生した結果の重大性という点から見て、極めて残虐非道かつ極悪・卑劣な犯行である。
 本件犯行の動機・目的は、教団に対する警察の強制捜査を阻止するため、首都中心部を大混乱に陥れるというものであり、断じて容認し得ないものであるところ、被告人の本件犯行加担への意思決定も、条理を踏みにじる身勝手極まるものであって、言語道断である。
 被告人は、人を殺傷してはならないとの人類普遍の最も根元的な道徳律ではなく、独断・独善的な松本の教義をあえて優先させて本件無差別大量殺戮テロ計画を受け入れたのである。拒否できなかった理由の一つとして、松本智津夫に対する恐怖をも挙げているが、被告人は、松本から、生命の危険を暗示ないし告知されたことはなく、いささかなりとも被告人に有利に斟酌(しんしゃく)すべき余地はない。
 本件は、松本の指示・命令に基づいた教団幹部らによる組織的かつ計画的犯行であり、犯行の態様も悪質で、これに加担した被告人の刑責は重大である。
 犯行の結果は、誠に重大であるとともに、悲惨極まるものであり、言葉を尽くして到底語り切れない、我が国犯罪史上、類例を見ない最も凶悪のものであって、被害者の苦しみは筆舌に尽くし難い。本件が我が国のみならず、世界各国に与えた衝撃は極めて大きく、社会的影響は甚大である。
 このような教団ぐるみの組織的かつ計画的な犯行において、他の4名の実行者と共に、朝の通勤ラッシュ時間帯で混雑している地下鉄千代田線列車内に、サリンを撒くという実行行為を敢行し、無差別大量殺戮テロの欠くべからざる一翼を担った被告人の刑事責任は、極めて重大である。
 ▽仮谷清志に対する逮捕監禁致死事件について
 本件犯行の動機・目的は、教団の利益を図るため、何ら落ち度のない善良な市民を強引に拉致監禁するというものであって、誠に身勝手極まる自己中心的なもので、言語道断である。
 本件は、松本の指示・命令に基づいた教団幹部らによる組織的かつ計画的犯行であり、犯行の態様も悪質で、これに加担した被告人の刑責は重い。
 本件犯行の結果は誠に重大で、遺族の被害感情、処罰感情は、峻烈だ。本件犯行が社会に与えた衝撃、社会的影響は多大である。
 【教団幹部として関与した被告人の情状】
 被告人は出家して以来、正常な倫理観・道徳観を投げ捨て、松本の唱える目的達成のためには殺人行為すら容認する特異かつ独善的な教義を信奉し、人を助けるべき医師としての知識・技術を悪用して教団の各種違法行為に関与した。かかる被告人の関与の実態等には看過できないものがあり、被告人の刑事責任は重大である。
 被告人は1993年12月ころ、松本らが、他の宗教団体幹部の殺害を企てた際、誤ってサリン中毒に罹った新実を治療したことを契機として、松本がかねて敵視していた人物の殺害を謀ったことや教団が猛毒のサリンを保有していることなどを知り、松本を頂点とする教団が殺人すら厭わない集団であることを認識するに至った。
 しかしこれを容認して受け入れたばかりか、以後、様々な違法行為に次々と関与しそれぞれ中心的役割を果たしてきた。医師として身につけた医療知識や医療技術を悪用しており、被告人が、患者を治療し、これを助けるべき医師であっただけに、なお一層、強い憤りの念を持たざるを得ない。
 のみならず、被告人は、右のような違法行為等に深く関与する一方、サリン70dの生成計画など教団が武装化を進めつつある実態の一部を十分認識するに至りながらも、これら一連の動きを無原則に受け入れてきたものであって、こうした被告人の姿勢そのものが、教団の違法行為に関与した挙げ句、本件各犯行に至らせたものとして厳しく問われなければならない。
 【被告人の刑事責任について】
 被告人の各犯行の罪責は極めて重大だが、死刑を選択するには慎重に熟慮を重ねなければならない。
 本件犯行はまさに冷酷残忍、非道極まるものである。12人が死亡し、中でも被告人は2人の死亡に直接関与している。事件では、計3800人に上る多数の一般市民に被害が及び、地下鉄の運行も完全に止めた。事件が我が国や世界各国に与えた衝撃は大きく、我が国の治安に対する信頼に与えた影響も大きい。仮谷事件をはじめ他の事件にも関与しており、被告人の刑事責任はまことに重大で、まさしく極刑をもって臨むべきである。
 しかし、被告人には有利な特段の事情がある。被告人の自首によって、地下鉄事件の全容が解明された。被告人は地下鉄事件に関し、自首が成立する。
 被害者遺族のうち、高橋シズエと菱沼美智子の2人は事件直後は死刑を望んでいたが、その後被告人の公判を傍聴するうち、少なくとも法廷での被告人の態度は怒りや悲しみを増大させるものではなく、事件の真相が分かり反省もうかがえると、現時点では極刑を望む心境に変化が出ている。
 被告人の自首と供述は、犯罪組織の解明、壊滅や将来の凶悪犯罪の防止に大きく寄与した。(京都新聞 夕刊)
■事故死の身元判明
 1日午後10時半ごろ、滋賀県滋賀郡志賀町南船路のJR湖西線で、大阪行き上り特急サンダーバード46号にはねられ死亡したのは、堅田署によると大津市内に住む会社員(42)とわかった。線路近くから遺書が見つかったことから、同署は自殺とみて調べている。(京都新聞 夕刊)
■オウム法廷 林被告に無期求刑 覚悟の「実行犯」 涙 「理不尽なことだった…」
 極刑か、無期懲役か。地下鉄サリン事件の「実行犯」として2日、最初に論告求刑公判を迎えた元オウム真理教「治療省」トップ林郁夫被告(51)の意識には、その選択はなかっただろう。被害者と遺族の苦しさ、悲しさを思えは、「私は生きていちゃいけないと思う」と法廷で述べてきた元医師は、当然に自分には極刑が求刑されると考えていただろうし、それを受け入れる覚悟があったに違いない。この日、正午過ぎまでかかって検察側が投げかける自分への糾弾の言葉を、うつむきがちに、しかし終始落ち着いた態度で聞く被告の姿勢に、その覚悟が表れている。
 グレーのスーツを着て、東京地裁で一番大きな104号法廷に出廷した被告は、論告に先立つ最後の被告人質問で、事件の被害者の証言をまとめた村上春樹著『アンダーグラウンド』に触れ「自分こそ読まなければいけないと思って何回も読んだ。理不尽な、やってはいけないことだったとはっきり思った」と涙ながらに話した。
 その供述を聞き、改めて被告の一連の証言を思い出して考えるのは、その「潔さ」にこだわる姿勢である。被告は最初の指示があったとき、「拒否すれば他の人がやらされる。それはひきょうだと思った」と「実行役」を受け入れた心境を語っている。
 多くが若者で構成される教団にあって、「逃げたらひきょうだ」という感覚はもはや古いのかも知れない。しかし逮捕されて自分たちのしたことの本当の意味に目覚めてみれば、隠し通し、ごまかすことはますます自分をおとしめることになる。おそらくその気持ちが、すべてを自ら進んで供述しようとし、自分に極刑を、と語るような、他の被告とは際立って違う態度を被告にとらせることになったのだろう。
 法廷で流した涙の意味は、証言が繰り返されるにつれて変化してきた。
 最初のころ被告は、サリン入りの袋を片付けようとして殉職した地下鉄職員2人の「崇高な行為」と比較したとき、「自分の行為のなんとおぞましいことか」と言ってよく泣いた。
 指示を受け入れたとき、自分は本来人を助ける医師である、という意識がすっかりなくなって、組織の中で果たさなければならない役割ばかりを考えていた。そう語るたびに泣き崩れた被告が同時に、「教祖」松本智津夫(麻原彰晃)被告(43)に弟子としての心をもてあそばれた、と語るとき、私は涙の中に、自分たち弟子は虐げられた悲しい存在だった、と主張する自己憐憫(れんびん)の気持ちが含まれているのではないか、とも考えた。
 しかしそれは、サリンを吸った苦しみの中で、自分が死ぬ意味さえ分からないうちに亡くなった、被害者の「無念さ」に思いを致す涙で、それが「自首」のきっかけだったと説明されたとき、ようやく納得出来たように思えるのだった。
 坂本堤弁護士一家殺害事件の「実行犯」の一人とされる同じ医師の中川智正被告(36)に、林被告がこう呼びかけたことがある。「初めて人を殺してしまったとき、全身が震え、精神的にもおかしくなってしまった、というその原点に立ち返り、向き合って、気が狂いそうなほど突き詰めて考えてほしい」
 その言葉通りに、内面の深いところで事件と向かいあってきた結果なのだろう。しかしだからこそ、と思い、結局私の気持ちが戻っていってしまうのは、それほどに考えることの出来る人が、ではなぜあの残虐非道な「無差別大量殺人」に手を貸す前にそれに気づかなかったのか、という最初の疑問である。
・傍聴券求めて早朝から271人
 2日午前9時45分、審理を担当する3人の検事が東京地裁構内に姿を見せた。手にはそれぞれ黒い大きな鞄(かばん)を持っている。地下鉄サリン事件の実行犯に対する初めての求刑になるが、一人は「いや、別に変わりはありません」と落ち着いた表情で語った。報道カメラマンのシヤツター音が響く。検事らは歩みをゆるめるでもなく、東玄関から庁舎に入った。
 この日、同地裁には公判の傍聴券を求める人たち 271人が早朝から列を作った。一般用に用意された傍聴席は59。「最近は松本智津夫被告の公判でも200人を割っている。オウム関連の公判でこれだけの人が集まったのは久しぶりだ」と地裁職員。(朝日新聞 夕刊)
■林郁夫被告に対する検察側論告(要旨) 地下鉄サリン事件 教義の名を借りたテロ 命の尊さ知る医師加担
 東京地裁で2日開かれたオウム真理教元幹部・林郁夫被告(51)に対する論告求刑公判で、検察側が陳述した論告のうち、地下鉄サリン事件に関する部分の要旨は次の通り。(呼称、敬称略)
 (一)本件は、化学兵器である狂毒のサリンを使用した無差別大量殺りくテロ事件であり、サリンを殺人の凶器として使った点と発生した結果の重大性という点から見て、極めて残虐非道かつ極悪・卑劣な犯行である。
 (1)サリンは殺傷力が極めて強く、本来人類にとって全く益のない猛毒の化学物質であって、それ故に、無差別的にしかも瞬時に多数の人間を殺りくするためにのみ開発・生成された。本件は、これを通勤客で混雑する時間帯に、しかもそのほとんどの空間が密閉状態にある地下鉄路線を走行中の列車内で散布・拡散させ、無防備な多数の乗客等を無差別に殺りくし、あるいは殺りくしようとしたものであり、その犯行は、サリンを使用した極めて残虐非道かつ極悪・卑劣な無差別大量殺りくテロであって、国民全体を震撼(しんかん)させ、国民の記憶から決して消えることのない我が国犯罪史上、例を見ない凶悪事件である。
 (2)被告人らは、教団前代表・松本智津夫(麻原彰晃)が唱える殺人行為すら容認する特異かつ独善的な教義を背景に、警察の教団に対する強制捜査を阻止するため無差別の大量殺人を企て、戦争状態においても敵国に対して使うことが許されない化学兵器である猛毒のサリンを使用して本件犯行を敢行し、死者十二人のほか、史上例を見ないほど多数の受傷者に対して甚大な被害を負わせたものであって、本件は、教義の実践に名を借りただけの、仏教理念とは全く無縁な残虐・非道かつ極悪・卑劣な無差別大量殺りくテロ事件と表現するはかない。
 (二)本件犯行の動機・目的は、教団に対する警察の強制捜査を阻止するため、首都中心部を大混乱に陥れるというものであり、断じて容認し得接いものであるところ、被告人の本件犯行加担への意思決定も、条理を踏みにじる身勝手極まるものであって、言語道断である。
 (1)本件は、松本において、警察が教団に対して大規模な強制捜査を実施してくるものと認識し、これに対する危機感から、首都中心部の地下鉄列車内にサリンをまいて多数の乗客等を殺害する大規模な無差別テロを敢行し、大混乱を生じさせて警察組織に打撃を与え、教団に対する強制捜査の実施を阻止することを企図し、村井秀夫、井上嘉浩らを指揮するとともに、遠藤誠一らにサリンの生成を命じ、サリンをまく実行者として、教団幹部の中から被告人ら五人を、また運転者として五人を選定した上、村井及び井上を通じて実行者及び運転者らに、犯行の目的等を知らしめて被告人らに本件を敢行させた事犯である。
 そもそも、教団に対する強制捜査を阻止するために、サリンを首都の地下鉄列車内にまいて無関係な多数の乗客等に対する無差別大量殺りくテロを敢行するとの発想自体が、教団の存続及び松本の保身のためには手段を選ばず、他人の犠牲を全く意に介さない独善的、自己中心的な身勝手極まるものであって、およそ、いかなる思想・理念によっても絶対に正当化されない発想と言うしかなく、松本に連なる被告人らの犯行の動機・目的は、人の生命の尊厳を一顧だにしない無慈悲かつ冷酷・残忍なものであって、断じて許すことができない。
 (2)ところで、被告人は本件を敢行するに当たり、それは真理を実践する教団に対する国家権力からの防衛のためであり、かつ、最終解脱者である松本の意思によるポアである以上、殺害される者は、死後、同人によって魂を高い世界に転生されるとのタントラヴァジラヤーナの教義に基づく救済活動の一環であるという思いを持って、犯行に加担した旨強調している。
 なるほど、被告人は松本の教義を信奉する古くからの教団信徒で、教団独特のステージ制度においても「菩師長」という高いステージを有する教団幹部として、一九九四年六月のいわゆる省庁制発足以降、「治療省大臣」の地位にあった者であり、その意味で一般社会と半ば隔離された教団内において、その教義に埋没し、一般社会とは異なる判断基準・行動基準を身につけていたことは、あながち否定できないところである。
 しかしながら、およそ、人に危害を加えてはならない、人を殺してはならないとの道徳律は、政治、宗教、哲学、人種、文化の違いを超えた人類普遍の最も基本的な道徳律であり、人のすべての判断・行動を律する根元的な基準であって、これに優先する思想や理念などはあるはずがない。
 しかも、被告人は、その経歴に照らすと、かかる道徳律を十分身につけ得る環境で生まれ育ち、医師として社会生活をしていた者である上、そもそも、被告人は、世上の既存宗教に飽き足らず、仏教による悟り、解脱、そして世上の民の救済のために教団に入信・出家したものであって、その意味では、だれよりも人命の尊さを理解していたはずである。
 無差別大量殺りくテロ計画の存在とその実行への加担を求められた際、被告人は一人の人間として、人を殺してはならないとの人類普遍の最も根元的な道徳律と対峙(たいじ)し、その正邪を正しく判断することができたはずである。
 しかるに、被告人は、独断・独善的な松本の教義をあえて優先させて、本件無差別大量殺りくテロ計画を受け入れたのである。かかる選択をした以上、被告人は松本の教義を優先させて自己を論理的に納得させたものと言うべきであり、犯行に加担した被告人の意思決定は、条理を踏みにじる身勝手極まるものであって、言語道断というほかない。
 (三)本件は、松本の指示・命令に基づいた教団幹部らによる組織的かつ計画的犯行であり、犯行の態様も悪質で、これに加担した被告人の刑事責任は重大である。
 (1)本件は教団の反社会的・犯罪的性格をあらわにした事件であり、一連の教団による各種違法行為の延長線上にある。
 (2)本件は教団教祖である松本の下で、一糸乱れず一丸となって敢行された無差別大量殺りくテロであることが一目瞭然(りょうぜん)であって、典型的な組織的、計画的犯行と認められる。さらに、事前の計画と寸分違わず実行されていることが明らかであって、極めて悪質である。また、犯行の態様から見ると、本件は正に教団の組織ぐるみの計画的犯行と断じて差し支えない。
 (3)そして、サリンをまくという実行行為を敢行し、欠くべからざる一翼を担った被告人の刑事責任は、極めて重大である。
 まず、本件は被告人ら五人の実行者が同一時間帯に、かつ一斉に、すなわち同時多発的に霞ケ関駅に向かう地下鉄列車内にサリンをまいて乗客等多数を殺りくすることによって、首都を大混乱に陥れ、警察の教団に対する強制捜査を阻止しようと図った事犯である。その意味で、被告人ら実行者五人の各犯行は、互いに同時多発テロ遂行における必要欠くべからざる重要な分担行為であって、被告人は、こうした同時多発テロ実現の重要な一翼を担ったものにほかならない。
 そして、被告人の役割は、実行者の一人として地下鉄千代田線列車内にナイロン袋二袋のうちの一袋のサリン約六百_リットルをまいたにとどまらず、より積極的態様で犯行に関与しており、犯情はより悪質である。
 すなわち、被告人は、まず、九五年三月十八日午後三時過ぎころ、列車内でサリンをまく方法について、林泰男及び井上から相談を受けた際、実際には採用されなかったものの「ポケットにサリンを入れた柔らかい容器を入れ、これとつないだチューブをズボンの中を通して足下まで垂らし、容器を握りつぶしてサリンを流す」という方法を提案した。 三月十九日午後七時ごろ、他の実行者及び運転者らと合流するため、上九一色村の教団施設を出発した際、実行者らがサリン中毒にかかった場合に備え、サリンの治療薬、薬液及び治療器具を準備して持参した上、同日深夜、渋谷アジトから新実智光らと下見に行った帰り、同人らがサリン中毒にかかった場合の治療先として教団付属医院を教えて道案内をし、同月二十日午前六時前後ごろ、実行者及び運転者が渋谷アジトを出発するに際しては、他の実行者四人に対して硫酸アトロピンを注入した注射器一本を渡してサリン中毒にかかった場合に筋肉注射をするよう指示を与え、さらには犯行後、渋谷アジトに再結集した実行者及び運転者中、サリン中毒にかかっていた林らの治療を行ったのであって、これら諸事実は、被告人が犯行に、より積極的に関与したことを裏付けるものである。
 他の実行者及び運転者らにとっては、いかにサリン中毒にかからないようにするか、また、サリン中毒にかかった場合、いかに速やかに治療を受けられるかは重大な関心事であり、熟練の医師である被告人が実行者として加わっていること自体、他の実行者らにとっては心強いものであった。実際に、被告人からサリン中毒にかかった場合に教団付属医院で治療するように指示されたり、犯行出発直前、サリン中毒の治療薬を渡されるなどしたことによって、サリン中毒に対する危惧(きぐ)の念を払拭(ふっしょく)できたことは明らかであり、被告人のかかる所為は、正に本件の遂行を支えたものと言うべきである。
 被告人は、長らく患者の治療と救命に当たっていた心臓外科医であって、第一線の医療現場において、日常的に人の生への執着や愛する者を失った肉親の嘆き、悲しみを目の当たりにし、人の命がいかに尊厳で崇高なものであり、何ものにも代え難いものであることをだれよりも知り尽くしていたにもかかわらず、しかも九三年十二月には、松本の指示・命令により、村井ら教団幹部が、サリンを用いて他の宗教団体幹部の殺人未遂事件を企てた際、噴霧したサリンに暴露してひん死の状態に陥った新実を治療した具体的経験から、サリンの性状や猛毒性を十分に認識していたにもかかわらず、村井からサリンを用いた無差別大量殺りくテロ計画を持ちかけられた際、サリンをまくことによって生じる凄惨(せいさん)かつ悲惨な結果を予測しながら、これを松本の教義に基づくものとして無原則に受け入れ、犯行に加担してこれを実行したのである。
 そこには、人の命を救うべき医師としての高い職業倫理は微塵(みじん)も認めることができず、それ故にこそ、被告人には、ほかのだれにも増して激しい非難が加えられてしかるべきである。
 (四)犯行の結果は誠に重大であるとともに、悲惨極まるものであり、その重大さ、凄惨さは言葉を尽くして到底語り切れない、我が国犯罪史上、類例を見ない最も凶悪のものであって、被害者の苦しみは筆舌に尽くし難い。
 (1)本件犯行により殺害された被害者は合計十二人、サリン中毒による重篤な後遺症によっていまだ入通院による治療中の重篤者は合計二人、その他サリン中毒にかかった被害者は、訴因記載の十二名を含めて約三千八百人に達しているところ、我が国において、その規模においても程度においても、本件のごとき最悪の結果を発生させた事件はかつてなく、その意味で、本件は我が国犯罪史上、類例を見ない最も悪質な事件であると言わざるを得ない。猛毒物質であるサリンを大量に発散させての無差別大量殺りくテロ事件は、本件の約九カ月前、同じく松本らによって敢行された、いわゆる松本サリン事件を除けば、我が国のみならず国外においても他に例がなく、世界的に見ても本件は最も凶悪な犯罪である。
 (2)各被害者はいずれも、通勤のため地下鉄に乗車するなどしていたごく普通の一般市民であって、突如として被害に遭遇するまでの間、一度たりとも、教団を糾弾したり、教団に敵対したりしたことはなく、教団とは縁もゆかりもない、そして、当然のことながら、教団からサリンによる攻撃を受けるいわれは毫(ごう)もなかった人々である。
 本件は、全く予測できない時間と場所において、教団と全く無関係な人々を殺害の対象とした無差別テロそのものであり、また、猛毒のサリンを地下鉄三路線の五つの列車内に大量にまいて多数の乗客等を殺害した行為は、正に人間として許し難い大量殺りく行為そのものであって、被害者らの苦しみは筆舌に尽くし難い。
 (五)本件が我が国のみならず、世界各国に与えた衝撃は極めて大きく、社会的影響は甚大である。
 (1)本件犯行は、前代未聞の凶悪、重大テロ事件として、人々を心底から震撼させ、我が国社会に大きな衝撃を与えた。
 これまで、国際的にも治安良好とされていた我が国内において、公共輸送機関である地下鉄列車内に、それまで名称すら公知のものでなかった猛毒のサリンが大量にまかれるなどという事態は、だれ一人として全く予想しなかった。本件の発生により、その惨状を目の当たりにした一般市民に対しては、いつ、いかなる場所において、どのような形で無差別テロに巻き込まれるか分からないという恒常的な恐怖を植え付け、我が国の治安全般に対して払拭し難い不安・危惧を与えており、本件のもたらした社会的悪影響は、計り知れないものがある。
 (2)しかも、本件は、我が国のみにとどまらず、かねて様々なテロ対策に苦慮している世界各国にも大きな驚きと衝撃を与え、テロに対する不安と恐怖を一層募らせることとなって、その影響は全世界に及んでいる。
 また、我が国の首都中心部で、白昼堂々、化学兵器である猛毒のサリンが使用されるという世界的にも前例のない無差別大量殺りくテロが敢行された結果、本件は諸外国に対し、我が国の治安・テロ対策に関する不安・不信を増大させるに至ったほか、我が国の国際的信用をも著しく失墜させており、その悪影響は甚大である。(朝日新聞 夕刊)
3日■交通局職員を逮捕 大阪 盗み・覚せい剤使用容疑
 大阪府警捜査三課などは2日までに、大阪市営地下鉄車掌、高橋直也容疑者(24)=兵庫県川西市=を窃盗教さの疑いで、同地下鉄の男性駅員(20)=大阪市東成区=を盗みと覚せい剤取蹄法違反(使用)の疑いで、それぞれ逮捕した。
 調べでは、当時18歳だった駅員は、高橋容疑者から「自分の車が事故で壊れた。お礼をするから盗んでほしい」などと頼まれ、1996年9月26日午前1時半ごろ、同市城東区関目の駐車場で、乗用車1台(時価50万円相当)を盗んだ疑い。また今年1月20日ごろ自宅で、覚せい剤0.06cを吸った疑い。府警は、覚せい剤の入手経路について調べている。(朝日新聞)
■職務質問逃れ踏切で事故死 堺で男性
 2日午後4時ごろ、大阪府堺市百舌鳥夕雲町、JR阪和線百舌鳥駅南約10bの踏切で、自転車で横断中の男性が、天王寺発関西空港行きの快速列車(8両編成)にはねられ即死した。
 堺東署の調べでは、男性は30歳くらいでジャンパーにジーパン姿。男性が乗っていた自転車のかぎが壊れていたため、パトロール中の同署員が職務質問をしようと近くの交番に行くよう求めたところ、男性は無視し、遮断機を手で持ち上げて無理に踏切内に侵入したらしい。(朝日新聞)
■”松竹解任劇”で思わぬピンチ 京都二条文化使節年度内着工は困難 協力な推進役失う
 京都市や松竹などが出資する第三セクター「京都二条開発」(伊吹邦彦社長)が、京都市中京区のJR二条駅西側で進めている「京都二条文化施設」の事業計画がストップしていることが3日、関係者の話で分かった。事業の旗振り役だった奥山融・松竹前社長の突然の解任が直接の原因で、年度内に予定していた着工は98年度以降にズレ込む見通し。
 二条文化施設は、最新鋭のマルチメディア技術を生かした娯楽や映像設備などが入る複合型商業施設。地上7階、地下2階(延べ約3万9000平方b)で、総事業費は約105億円、2000年春の完成を目指す。
 松竹は、同施設の複合型映画館などの運営を担当。奥山氏は社長時代の95年に、三セクへの参加を決めるなど積極的に事業を進めてきたが、今年1月に社長を解任され、先月末には非常勤の取締役も辞任した、という。
 しかし、京都二条開発の取締役は、現在も奥山氏が務めたままのため、着工に向け詰めの協議ができない状態といい、関係者は「奥山氏の後任を松竹本社から早く迎えないと計画が一向に進まない」と語る。
 さらに、関係者が心配するのは、松竹経営陣が奥山氏らの手掛けた事業全般を見直す方針を表明していること。京都二条開発は奥山氏の解任後、松竹本社に前向きに事業を検討するよう申し入れている。
 伊吹社長は「早期に着工したいが、企業の3月期決算や株主総会を見極める必要がある」と、着工が98年度以降になるとの見通しを示した。
 京都市は「不況もあるが、奥山氏という強力な推進役を失ったことは痛い」と話している。
 京都二条開発 京都市のJR二条駅周辺整備事業の中核施設である二条文化施設の企画会社として、第三セクター方式で95年に設立。資本金6億1000万円、出資比率は京都市45%、松竹25%、三井物産15%、松竹京都映画と三和銀行、京都銀行が各5%。完成後は約35億円に増資の予定。(京都新聞 夕刊)
■京阪車内で助役に暴行の少年を逮捕 五条駅で停車中
 松原署は3日、暴行の疑いで門真市の無職少年(19)を現行犯逮捕した。調べでは、少年は同日午前8時半ごろ、京都市東山区の京阪本線の五条駅に停車していた淀屋橋行き急行電車の車内で乗客と口論、止めようとした駅助役の足立保博さん(47)の腹をけったり顔を殴った疑い。
 急行電車は、事件の影響で、約2分遅れて五条駅を発車した、という。(京都新聞 夕刊)
4日■95年の湖西線事故 指令員を書類送検
 95年12月、滋賀県高島郡新旭町のJR湖西線上り線で、回送列車がラッセル車に追突、脱線し、運転士ら3人が負傷した事故で、今津署は3日までに、業務上過失傷害などの疑いで、運行を管理していたJR西日本鉄道本部運輸部運行管理室新大阪総合指令室指令員(当時)、三輪田康志容疑者(27)を、大津地方検察庁へ書類送検した。
 調べによると、三輪田容疑者は同月26日未明、近江今津駅から安曇川駅までの線路上でラッセル車が除雪作業中であることを知りながら、列車の運行を自動管理する自動進路制御盤(PRC)の線路閉鎖てこを設定することを忘れ、回送列車を誤って近江今津駅から出発させた疑い。(京都新聞)
■JR花園駅 有料の駐輪場が完成 自転車730台 ミニバイクも収容
 京都市が建設していた右京区のJR山陰線・花園駅の有料自転車駐車場がこのほど完成し、運営を始めた。
 この駐輪場は、同駅の高架化に伴ってできた駅西側の高架下に設置され、広さ1082平方b。自転車730台とミニバイク50台が収容でき、自動ゲートと、自転車用の2段ラックが設けられている。建設費は約9000万円。日本自転車普及協会が3000万円を負担した。
 今月1日から業務を開始。3日現在で411台の申し込みがあり、周辺の高校生や学生らを中心に利用があるという。同駐車場オープンで、駅東側にあった仮設駐輪場は閉鎖された。
 新しい駐輪場は市駐車場公社が管理する。開場時間は午前5時から深夜1時まで。料金は自転車が1回150円、1ヵ月定期一般2700円、学生2500円。ミニバイクは1回250円、1ヵ月定期は一般、学生ともに4500円。(京都新聞)
■JRの職員 過失傷害容疑 湖西線追突で書類送検
 滋賀県高島郡新旭町のJR湖西線で、1995年12月に回送電車が除雪車に追突して乗務員ら3人が負傷した事故で、今津署は3日までに、JR西日本新大阪総合指令室の職員(27)を業務上過失傷害と業務上過失往来危険の疑いで大津地検に書類送検した。(朝日新聞)
■声 「鉄道唱歌」を全部覚えるぞ 向日市 河田 信男(無職 81歳)
 先日、テレビで100歳の方が「鉄道唱歌」をハッキリ歌われるのを見て、うらやましく思った。私も歌は好きだが、どれもウロ覚えだ。こめ際、一念発起してこの歌を全部覚えることにした。
 「汽笛一声…」で始まる「鉄道唱歌」は明治33年(1900年)に発表された「地理教育鉄道唱歌」の東海道編。66番まであるのにたじろいだが、時間はたっぷりある。この正月からこたつの中、ふろ場、バスの座席などで暗記に努めた。地名のつながりなどを手がかりに歌い続けた。「同胞四千万」の文句で当時の人口を知るなど、今まで知らなかったことにたくさん出あい、この歌の旅が楽しくなってきた。
 行きつ戻りつしながら約2ヵ月でやっと東海道線の西の起点・神戸にたどり着いた。全部を通して歌い続けると、どうしても出てこないところがあって、なかなかすんなりとは歌えない。完全に覚えられるのはいつか。何歳まで歌い続けられるだろうか。残りの人生をしっかり楽しく過ごそうと頑張っている。(朝日新聞)
5日■経済天気図 第3セクターの破たん
 第三セクターの破たんや経営悪化が続出している。特に1980年代後半に設立されたものが目立つ。
 関西国際空港に近い「泉佐野コスモポリス」(リサーチパーク)が典型で、後始末をめぐって官民の協議が大いにもめた。臨海部再開発を目指してつくった「アジア太平洋トレードセンター」など3社も累積損失額が膨らみ、大阪市から700億円の特別金融支援を受けるという。
 東京臨海副都心に乱立し、債務超過に陥った「東京テレポートセンター」など3社も同様だ。地方では福島県磐梯町の「磐梯リゾート開発」、北海道芦別市の「カナディアンワールド」、熊本県荒尾市の「アジアパーク」など枚挙にいとまがない。まさに全国的な第三セクター破たん時代の到来といえる。
 しかし、成功例、健闘例もある。いわゆる「三セク鉄道」のほとんどが苦戦している中で、鳥取県などが出資した「智頭急行」はJR西日本と連携し、鳥取−大阪間を2時間半で結ぶ特急「スーパーはくと」を登場させ、人気を呼んでいる。
 またガラス工芸など新たな観光資源を開発して、街のにぎわいに貢献している長浜市の第三セクター「黒壁」も企業人の智恵と経営努力、行政の都市戦略がうまくかみ合った実例といえる。第三セクター破たんの背景には、バブル崩壊という経済環境の激変がある。しかし、総じて安易に設立し、計画蹉跌(さてつ)の事態を全く想定していない。
 株式会社とはいっても、危機管理もなく、当初から責任をもって事業を遂行する真の経営者がいないままの寄り合い所帯であるという根本的欠陥が浮かび上がってくる。民活法を制定して、こうした組織を地域活性化の切り札のようにあおった政府の責任は大きい。
 いずれにせよ、この苦い経験を21世紀の地域戦略にどう生かしていくかだ。それによって地域格差、都市間格差は一段と開いていくのではないか。(天玄)(京都新聞)
■26、30両日スト設定 私鉄の中小労組
 私鉄総連(池村良一委員長、17万3000人)は4日、拡大中央委員会を開き、春闘推進方針を決めた。大手は19日午前中に賃上げや年間一時金(ボーナス)の回答を求め、「検討に値する回答が得られない場合」には、ストライキを設定して再回答を迫る。
 中小組合は21日までに回答を求め、同日以降も未解決の組合は第一波のストを26日、第二波を30日に構えて解決を図る方針だ。規模は始発から24時間としている。(朝日新聞)
■JR東西線 開業1年 伸び悩む客足 1日目標20万なのに13万人 「出かけて」と情報誌
 鳴り物入りで昨年3月に開業したJR東西線(京橋−尼崎間)の利用者が思うように伸びず、JR西日本が異例ともいえる「活性化」策に乗り出した。平日の平均利用者を5年後で20万人と予想しているが、開業10ヵ月後の今年1月時点で13万4000人。通勤客の少ない土曜・休日は、5万9000人と大苦戦している。JR西日本は、どう「混雑」させるか知恵を絞っている。
 東西線は大阪市中心部の地下を東西につなぐ12.5`で、昨年3月8日に開業した。大阪市や大阪府、JR西日本などが出資した第三セクター・関西高速鉄道が約3400億円で建設。JR西日本が年間138億円の使用料を払って列車を運行している。
 開業5年後に20万人としていた平日の利用者予測に対し、昨年9月までは12万人台で推移。10月に13万人を超したものの、その後また横ばいの状懸だ。
 伸び悩みの理由の一つとして、同社は「東西線の名称は浸透できたものの、実際に何がどう便利になったのか、利用客個々のレベルではまだPR不足」と分析。
 まず取りかかったのが、大阪環状線など他線区での車内アナウンス。東西線は7つの地下駅があり、うち海老江、北新地、大阪天満宮駅で大阪市営地下鉄と連絡しているが、駅名が異なるため慣れない人には分かりにくい。そこで「東西線は地下鉄○○線との乗り換えに大変便利」などと車掌が呼びかけている。
 また、東西線経由で列車が相互に乗り入れる東海道、片町、福知山線の計29駅で、地下鉄への乗り継ぎパターンを紹介したチラシも製作、配布中だ。
 鉄道利用の外出を促すために、京阪神の名所・旧跡、イベント案内などをカレンダー式にまとめた数nの「情報誌」も昨年11月から毎月発行、新聞折り込みで約200万世帯に届けている。これだけの規模の折り込み配布はJRグループでは前例がないという。
 JR西日本が支払う東西線の使用料は、3年ごとに10%ずつアップし、30年間の総額は建設費の2倍近い約6600億円に膨れ上がる計算。しかも、支払いが終わっても所有権は移らない。東西線内だけの運賃収入ではとても追い付かず、京阪神地区全体の運賃収入で埋め合わせる状態が続くことになる。(朝日新聞 夕刊)
6日■京阪・地下鉄「丸太町」「四条」「五条」 同一駅名あ〜ややこし 京都オンブズマン会議 「誤乗車」未然防止へ 10日に開催
 京都行政監察事務所は、行政に対する苦情への対策について民間有識者から意見を求める「京都行政苦情救済推進会議」(京都オンブズマン会議)の第3回会議を10日、京都市上京区のルビノ京都堀川で開く。今回は地下鉄東西線から京阪本線・鴨東線に乗り継ぐ際の「同一駅名による誤乗車の未然防止」と「分かりにくい交差点標識の名称の改善」の2件を取り上げる。
 推進会議は、千田哲朗京都経済同友会代表幹事を座長に木津川計立命館大教授ら6人の委員で構成されている。
 誤乗車の問題は、地下鉄東西線で山科方面からの乗客が三条京阪駅で下車、京阪本線・鴨東線に乗り換えて「丸太町」や「四条」、あるいは「五条」駅で降りる場合に発生している。地下鉄烏丸線にも「丸太町」、「四条」、「五条」と同一の駅名があるため、そこまでのキップを購入してしまい、京阪三条以降が無効になるケースが多いという。
 京都市交通局は、同一や類似の駅名によって誤ってキップを購入した場合、運賃の過剰額を払い戻しており、行政監察事務所が昨年10月−11月に実施した調査でも、過払いを申し出た人が約200人あったという。
 また、交差点の標識の問題は、同じ交差点でも進行方向により、違った名称が付けられていたり、一般になじみのある地点と違う交差点に同名の標識があるケースなどが多いとして、改善を求めている。(京都新聞)
8日■山陰線線路横断中の女性はねられて即死 嵯峨
 7日午後1時35分ごろ、京都市右京区嵯峨中又町のJR山陰本線で、線路を横切ろうとした伏見区醍醐上山口町、無職中島なか子さん(76)が城崎行き特急「きのさき5号」にはねられ、即死した。
 太秦署によると、現場は踏切ではないが、生活道路としている場所で中島さんは現場近くの親類宅へ向かう途中だった。特急の運転士(39)が中島さんを発見、非常ブレーキをかけたが、間に合わなかったという。
 この事故で、同特急が現場に約15分間停車したほか、後続の上下線計3列車が14−7分遅れ、約800人に影響が出た。(京都新聞)
■CO2減らす交通システムを 京でシンポ 市民グループ代表や学者ら討論 パーク&ライド方式の採用 路面電車復活も
 地球温暖化防止京都会議(COP3)をきっかけに、CO2の削減目標を達成するために必要な交通システムについて考えるシンポジウム「減らせるかCO2−COP3の後を考える」(右京の交通問題を考える懇談会主催)が7日、京都市の右京区役所で開かれた。
 同懇談会は京都市内の交通関係の労働組合や都市交通に関心のある人たちが結成。観光地の渋滞緩和から出発し、京都全体の交通問題について考え、さまざまな提言を行っている。
 シンポジウムでは市民グループ代表や学者など6人のパネリストが発表。車を抑制する社会の流れの中で、ヨーロッパを中心に見直されて復活している路面電車や、車を公共交通機関近くに設けた駐車場に置き、電車やバスで観光地に乗り入れる「パークアンドライド方式」の実施などについて話し合った。
 パークアンドライド方式を実験的に行った鎌倉市交通政策課の宮崎隆係長は実験結果を報告し「市民の協力や交通問題への高い関心なしには、この問題は解決しない」と訴えた。また岡山市の市民グループは、近年になって路面電車を走らせたフランスの都市の現状をビデオで紹介。「コスト、輸送能力、環境への影響などを考えれば、地方財政を圧迫する地下鉄よりも路面電車の方が経済的」とした。(京都新聞)
■「JR追加負担おかしい」 アンケートに機関投資家回答
 投資家向け広報のコンサルタント会社、テクニメトリクス(本社・米ニューヨーク)は、旧国鉄債務の処理策でJRに3600億円の追加負担を求める問題で、日米欧の機関投資家34社にアンケートした。全社が「追加負担は妥当でない」と答え、29社が「法案が成立したら、JR株購入に慎重になる」と回答した。追加負担に反対しているJRは、株主への説明がつかないことを理由の一つにあげており、この主張が裏付けられた形だ。
 東京、ニューヨーク、ロンドンで日本株への投資が活発な機関投資家を対象に選んだ。8割はアジア太平洋地域の株式資産が5億ドル以上の大手機関投資家で、20社がJR株を保有している。
 全社が「法案は株主利益を侵害する」と回答。英国の投資家は「政府と関連のある企業すべての投資評価を見直す必要がある」と述べた。また、半数の17社が「法案が成立したら日本株式に対する認識が変わる」と回答。「日本政府自らが市場の効率性をゆがめている」(日本の機関投資家)など厳しい批判が目立った。
 政府は、28兆円にのぼる旧国鉄債務を処理するため、たばこ税の増税や、年金の積み立て不足金の一部3600億円をJRが負担する法案を国会に提出、審議中だ。JRは「1987年の分割民営化時に必要な負担はすませた」「不足金の分担は2年前の閣議決定で『国において処理する』ことで決着済み」として追加負担に強く反発、JRの一部には、法案が成立すれば訴訟も辞さないという強硬意見もある。
 これに対し政府は「『国において処理』は国の全額負担を意味しない。年金費用は事業者であるJRも支払うべきだ」としている。(朝日新聞)
9日■列車にはねられ死亡 JR向日町駅付近
 9日午前4時13分ごろ、京都市南区久世中久世五丁目のJR向日町駅下り線ホーム付近で、線路中央を歩いていた男性が白馬発姫路行きの臨時急行「シュプール白馬栂池4号」にはねられ、即死した。
 向日町署の調べによると、死亡した男性は年齢が20歳から35歳ぐらいで、身長約170a。長髪で体格は良く、黒のウィンドブレーカーと朱のズボン姿で、茶の革靴を履いていた。同署で身元確認を急いでいる。
 列車はスキー客ら約200人を乗せていたが、乗客にけがはなく、現場に31分間停車したが、後続列車に影響はなかった。(京都新聞 夕刊)
11日■事故男性の身元判明
 9日早朝、京都市南区久世中久世のJR向日町駅下り線ホームから京都寄り60b付近の線路内で臨時急行にはねられ死亡した男性は10日、吹田市在住の大学生(23)と分かった。
 向日町署では家族や運転士らから事情を聴くなどして事故原因を調べている。(京都新聞)
■市バス不良債務解消策 計画を再点検へ 市会委で市側答弁 旅客数など減少で
 京都市議会の事業予算特別委員会は10日、桝本頼兼市長らへの総括質疑を行った。この中で、中谷佑一副市長は、96年にまとめた市バスの不良債務(累積赤字)解消策「自動車運送業の今後の展望」に示された不良債務の圧縮計画の内容を、新年度に一部見直す方針を明らかにした。その理由として、不況による旅客数や資産売却収入の減少などを挙げている。
 「展望」は、市バスと地下鉄運賃の値上げを市議会に提案した96年5月に発表された。2003年度末までに不良債務を解消するとした上で、「99年度末までに不良債務解消に努力する」との目標を設定している。
 99年度末に不良債務が312億円に膨れ上がると想定し、運賃改定と人事給与の見直し、営業所の統廃合や一般会計からの財政支援で債務を削減する。それでも60億円の不良債務が残るが、「いっそうの経営努力で解消する」ことになっている。
 この日の答弁で、中谷副市長は「職員削減は予想以上の効果があったが、旅客数や財産売却はバブル崩壊後の景気低迷で落ち込んでいる。見直すべきところは見直す」と述べ、「展望」で示した目標と実態のズレを埋めるため、計画を再点検する意向を示した。
 市交通局によると、職員数は99年度末までに予定より128人少ない1537人に抑えることができ、26億円の削減効果があるとしている。
 しかし、同局所有の用地売却では、目標より21億円少ない37億円にしかならず、旅客数も2万3000人少ない36万9000人で38億円の赤字となる見込みだ。
 この答弁に対し、議員からは「わずか2年前に作成したはずなのに、すぐ見直しとは納得できない」「用地売却は、市の財産を減らすことになる」などの意見が出された。(京都新聞)
■議会ミニレコ 10日
・交通局の人件費高い
 福島滋弥京都市議(自民)は、市交通局の人件費について「職員の平均給与はバス、地下鉄とも1000万円を超えている。高い人件費が、運賃値上げのたびに市民の関心を呼んでいる」と指摘。「一般会計でも(自治体が自由に使える)一般財源に占める給与費割合は34%。交通局などへの繰り出し金や借金返済などを加えると79%に達する。市の将来を真剣に憂える」と述べた。
・市バス経営健全化を
 「毎日1400万円の赤字が生じている計算になる。乗ってもらう努力の形跡が見えない」。市バスの赤字について大西均京都市議(自民)はズバリ指摘。中谷佑一副市長は「経営健全化計画を進めている。その姿をしっかり見てほしい」と強調したが、大西市議は「やってもやっても赤字は減らない。民営化も含め、思い切った処置も考えないといけないのでは」と、述べた。(いずれも京都市議会事業予算特別委員会で)(京都新聞)
■論壇 政府はJRを国鉄に戻すのか 森 正暁
 28兆円もの旧国鉄の長期債務の処理にあたり、政府は筋の通らない財源捻出策を国会で成立させようとしている。この債務はすでに国が責任を持って処理することが決定しているが、そのうちJR社員の国鉄在籍時の年金負担金3600億円をJRに押し付けるものである。しかしこれも、一昨年の閣議決定と国会審議を経て国が負担することで決着している。国鉄改革の理念を覆そうとする政府の姿勢に、JR労働者の立場から意見を申し述べたい。
 国鉄には「経営」はなかった。政治の道具として採算に関係なく新線建設を押し付けられて赤字が累積し、運賃値上げを繰り返して利用者も減少した。その結果、努力が報われない退廃的な雰囲気がまんえんし、社会の指弾を受け、職員は誇りを失い、職場は荒廃した。
 国鉄は徹底的に身ぐるみはがされ、1987年4月、JRとして再出発した。改革で9万人が意に反して鉄道を去り、昭和50年代に42万人いた職員は、現在19万人である。37兆円もあった累積債務は、JRと国とで責任を分担、JRは4割の14.5兆円を継承した。これは毎年の運賃値上げを前提にようやく利益が確保できるという能力いっぱいの負担である。あと6割の22.7兆円は、国鉄清算事業団が引き継ぎ、旧国鉄の土地や株式を売却し、なお残る債務は国の責任で処理することが閣議で決定された。JRは過去を清算して自立した民間企業としてスタートした。
 JR労使は過ちを繰り返さぬよう懸命に取り組んできた。ダイヤ改正を毎年して利便性の改善に努め、サービス向上への意識改革を社員に徹底した。また私の働くJR西日本では、労使の真撃(し)な議論に基づき毎年1000人以上の効率化を進め、多くの地方社員が京阪神へ転勤したり、今も7000人が出向先で奮闘しているなど、国鉄時代の意識や慣行を払しょくし、努力している。阪神・淡路大震災では不眠不休で復旧に取り組み、地域復興に大きく貢献することもできた。
 好況にも恵まれたが、11年間、JR本州3社は消費税分を除き、運賃を据え置いてきたなかで、再生を果たした。この成功は不退転の決意で臨んだ労使の努力によって実現した、と自負している。斜陽と言われた鉄道はよみがえり、環境問題からも期待が高まっている。国家財政の面でも、旧国鉄は年間6000億円以上の補助金を受けていたが、JRは合計2000億円の納税者となった。極道息子は親に仕送りをする孝行息子に大変身した。国鉄のままなら鉄道は衰退していたかも知れない。
 JRは旧国鉄から引き継いだ14.5兆円の債務を、8兆円以上の利子を払ったうえで12.5兆円まで縮減し、今も責任を持って返済している。一方、国が継承した債務は、清算事業団に高利の財投資金を無計画に投入して利子がかさみ、今日まで問題を放置した結果、逆に28兆円まで膨らんだ。明らかに政府の怠慢、失政によるものである。
 JR労使の努力に水を差すように政府は、失政を棚に上げ、約束を守らず、法適用から1年も経たないうちにルールを破棄しようとしている。財源がないからと、民間企業であるJRに法改正してまで負担を押し付けるやり方は、政治が意のままに操ってきた国鉄時代と同じ構図ではないか。これでは国鉄改革、民営化の理念は完全に崩れ去ってしまう。政治介入が旧国鉄の腐敗を生み、改革が断行された。失敗を繰り返してはならない。債務の押し付けは、運賃値上げや地方ローカル線の切り捨てにつながりかねない。
 28兆円の債務は問題を先送りせず、金利負担の抑制、補助金返上と納税など民営化による財政貢献分の活用などで、相当縮減できたはずだ。今からでも遅くはない。誤った政策を改めていただきたい。また、500兆円を超える国・地方の借金とともに、中長期的な財政構造改革の中で国民全体の課題として解決を図る道もある。私たちは、公正なルールのもとでの財源論議を拒むものではない。
 国民は、JRが11年前の国鉄に戻されることを望んではいない。政府の無責任な姿勢に対し、国の将来をも憂慮するものである。西日本旅客鉄道労鋤組合〈JR西労組〉委員長=投稿(朝日新聞)
■帰宅の電車 立ち往生 架線切れ3時間運休 南海本線
 10日午後8時20分ごろ、大阪市住之江区の南海本線住ノ江−七道駅間の下り線で、難波発和歌山港行き特急「サザン23号」(8両編成)が走行中に、架線が切れた。このため岸里玉出−堺間の下り線で送電が止まり、同区間を走行中の電車計15本が駅の間などで立ち往生した。
 南海本線は復旧のため、難波−泉大津間で上下線とも午後11時15分までストップ。列車に乗客が約1時間缶詰め状態になったり、運転再開を待つ帰宅客らで各駅が混雑したりするなど、最終列車までダイヤが大幅に乱れた。
 南海電鉄によると、架線が切断したのは、住ノ江駅から約300b七道駅寄りの地点。「サザン23号」のパンタグラフが8両すべてで破損しており、原因を調べている。
 難波と関西空港を結ぶ特急ラピートにも影響が出るなどしたため、同電鉄はJR阪和線や代替バスによる振り替え輸送を実施。泉大津−和歌山間で折り返し運転をした。(朝日新聞)
■地下鉄職員3人はねられて死亡 東京、電車に気付かず
 11日午前零時半ごろ、東京都渋谷区西原三丁目の営団地下鉄千代田線代々木上原−代々木公園間で、地上の高架になっている部分の線路上を歩き、電線工事現場に向かっていた同営団職員4人のうち3人が後ろから来た回送電車にはねられ、全身打撲などで即死した。
 死亡したのは代々木電路機械区所属の川崎降さん(43)=東京都足立区辰沼、米谷光弘さん(33)=千葉県松戸市常盤平、矢野目雅弘さん(41)=横浜市磯子区田中。
 代々木署は回送電車の運転士から事情を聴くとともに安全管理に不備がなかったかなどについて調べる。
 無事だった同電路機械区の助役(54)の話では、千代田線と平行して走っている小田急線の電車が現場付近を通過中で騒音が激しく、4人とも回送電車に気付かなかったという。助役はたまたま左端を歩いていたため無事だった。
 回送電車は毎日同時刻に現場付近を通過、職員は4日に一度の割合で線路を歩いて工事現場に足を運んでいた。回送電車の運転スケジュールも知っていたとみられ、同署はこの日に限って注意を怠った理由などについて助役から話を聴いている。
 現場は代々木上原駅ホームから約200bの高架上で、緩やかな右カーブ。3人と助役の計4人が代々木公園駅の電線工事に立ち会うため、代々木上原駅から線路上を歩いて出発した直後だった。(京都新聞 夕刊)
■回送電車はね職員3人死亡 東京の地下鉄千代田線
 11日午前零時半ごろ、東京都渋谷区西原三丁目の地下鉄千代田線で、帝都高速度交通営団の職員3人が回送電車にはねられ、頭などを強く打って間もなく死亡した。代々木署は前からきた別の電車の音で後ろから近づいていた回送電車に気づくのが遅れた可能性が強いとみて調べている。
 死亡したのは東京都足立区辰沼一丁目、川崎降さん(43)と千葉県松戸市常盤平一丁目、米谷光弘さん(33)、横浜市磯子区田中一丁目、矢野目雅弘さん(41)の3人。いずれも営団代々木電路機械区などの職員。(朝日新聞 夕刊)
■架線切れ原因 金属疲労か? 南海電鉄事故
 大阪市住之江区の南海電鉄本線で10日夜、特急列車の通過中に下り線の架線が切断した事故の原因について、南海電鉄は11日、パンタグラフとこすれ合う際の火花の発生で架線(直経11.4_の銅線)の弾力性が失われ、金属疲労を起こしていたとの見方を明らかにした。列車通過時の衝撃に耐えきれなくなって切断したらしい。(朝日新聞 夕刊)
12日■窓 市バス乗車に心配りが必要 中京区・岸田 康栄(主婦・56)
 1月から、丸太町御前から五条坂までバスで通って思うことだが、降りる時に両替をして手間取っている人が多く見受けられます。220円と最初から分かっているのなら、早めに両替をすべきです。満員でそこまで行けないのではなく、他の人の迷惑を考えずにいる。慌てているから1000円札も両替機に思うように入らない。その上、さらに100円を小銭に替えている者もいます。
 運転手さんも大変なんです。時刻どおりに運転しなければならないでしょうし、事故のないよう細心の注意が必要です。私たち乗せていただく側も気をつけて、早めに料金を用意してスムーズに降りて、気持ち良く行き帰りがしたいものです。これからの行楽シーズン、多くの方がバスを利用します。皆が気持ち良く、運転手さんも、やきもきさせずに済みます。
 私は遠出の時、100円硬貨数枚と50円1枚、10円4枚を持ってすぐ渡せるよう手に持っています。乗せる側も、乗る側も、お互い気持ちの良いバスの中であることをつくづく思います。(京都新聞)
■文化 パークアンドライドとエコロジー駐車場 自動車のCO2削減急務 実現可能な提言目指す 吉村 元男
 昨年12月、京都で開催された温暖化防止条約会議のおひざ元の京都では、CO2削減に向けた行動計画が策定された。目標数値が10%と自治体としては異例のことである。CO2削減では、CO2排出量増大の元凶として、交通・運輸部門が挙げられていた。特に石油に大きく依存しているモータリゼーション社会が浮き彫りになったことで、京都会議の開催会場である国立京都国際会館へは数人しか運べない効率の悪い自動車を使わずに、地下鉄のような公共大量輸送機関で参加する人々が目だった。
 京都市でも「京のアジェンダ21」で、CO2削減に向けて交通・運輸部門でさまざまな施策が打ち出されている。自動車利用を極力ひかえ、公共交通機関の利用を図る施策として、公共交通機関の複数(広域)乗車を可能にする環境(エコ)定期券の発行、コミュニティーバスの導入などがある。路面電車や電気バスの開発なども検討項目とされている。
 特に導入が検討されているのが、都市の入り口に大型の駐車場をつくり、そこで公共輸送機関に乗り換えて、都心部の交通混雑を無くし歩行者優先道路など歩いて楽しい街づくりや、職住共存のまちづくりなどを目指そうとするパークアンドライドシステムである。この手法は、シンガポールなどが既に実施しているロードプライシング(道路料金賦課制度)と併用して実施されるもので、膨大な道路建設費用や長期の道路体系の確立では追いつかない事態の状況下で、短期的で即効の方策として、交通規制・駐車政策・公共交通機関の利用促進などのソフト施策を組み合わせて交通需要そのものをコントロールする交通需要管理(TDM)方式といわれている。既に同じ古都で地形的にも似ている鎌倉市で、昨年社会実験が繰り返された。
 鎌倉市では、発生・集中する交通は平日で1日約24万人、自動車台数で約7万1000台である。とくに休祭日には観光客が市内に流入し渋滞、交通事故、大気汚染などで市民生活が成り立たなくなっている。このために、観光目的で流入する普通自家用車を対象に”江の電”に乗り換えてもらうシステムを検討するために、江ノ島電鉄の七里ケ浜駅近傍の駐車場を利用したパークアンドレールライドが実験的に実施された。実際には乗用車1台当たり1000円のシステム協力金を徴収する代わりに、利用者全員に江の電1日フリー切符を渡すとともに、アンケート調査を行って、今後の対応の参考とした。実験は好意的に受けとめられ成功したと報告されている。
 先月、私たちは「エコロジー駐車場からのまちづくり」と題する小さなセミナーを京都で開催した。京都市におけるパークアンドライド方式の導入にも議論が集中したが、講師である建設省の小塚清氏からは、徹底した違法駐車の摘発、炭素税や駐車場の利用税の導入など、運用や制度面の施策が平衡して実施されないと効果があがらないことが指摘された。このようななかで民間の駐車場会社社長岩見宜春氏から公共の駐車場に比較してコスト面や利用距離からも便利な民間の駐車場の都市での役割の重要性が指摘され、これからの都市部の駐車場は緑化、都市景観など環境面からも配慮されるべきだとしてエコパーキングが提言され注目された。
 京都大学の飯田恭敬教授は、停車時の自動車の在り方が、環境負荷削減や都心活動の活性化に寄与するとして、駐車場を都市の複合施設として位置づける。情報ターミナルとしての駐車場(電子ショッピング、予約、バイキングによる現物受け取り)▽小荷物集配物流拠点としての機能(エコカー共同集配による小荷物集配物流の合理化)▽レンタカー拠点としての機能(エコカーの乗り捨てシステム)▽バッテリー充電スタンドとしての機能(駐車場に充電、大規模需要のため低コスト化可能)▽魅力施設としての機能(都市景観との調和デザイン、憩いの場、休憩の場)などである。このような駐車場の多目的利用を実現するために、付加便益のある駐車場に、容積ボーナス制度などもあらたに創設する必要があるとしている。
 セミナーでは行政、企業、市民が参加して熱のこもった討論がなされた。今後、討議の成果を踏まえて、実現可能な施策を提言し発信できる場に育てあげてゆきたいと考えている。みなさまのご参加を期待しています。(環境事業計画研究所所長)
 よしむら・もとお氏 1937年生まれ。京都大学農学部卒。「大阪万博記念公園の設計」で日本造園学会賞受賞。著書に「空間の生態学」「都市は野生でよみがえる」など多数。京都市在住。(京都新聞)
■子犬が踏切へ! 助けようと飼い主即死
 11日午前10時40分ごろ、奈良県橿原市中曽司町の近鉄大阪線松塚3号踏切(警報機、遮断機付き)で、同市曽我町、皮革縫製業山口政雄さん(42)が、上本町発鳥羽行き特急電車にはねられ、全身を打って即死した。
 橿原署などの調べでは、山口さんは子犬を連れて散歩中、踏切前で電車の通過を待っていた。子犬が踏切内の線路に入ったため、追いかけて遮断機をくぐり踏切内に入った。子犬は首輪をつけていたが、網はつないでいなかった。子犬もはねられて死んだ。(朝日新聞)
■「ブルトレ」改め 「サンライズ」公開
 「ブルートレイン」を外観、内装とも一新したJR西日本とJR東海の新型寝台特急電車「サンライスエクスプレス」が11日、大阪府東大阪市内の車両会社工場で公開された。東京−高松・出雲市間で7月10日から運転を始める。
 寝台列車としては国鉄時代から数えて18年ぶりの新車両。現在の「瀬戸」「出雲」に代わり、「サンライズ瀬戸」「サンライズ出雲」の名前で登場する。5編成(1編成7両)製造し、定員は各最大158人。(朝日新聞)
■名古屋駅も自動化 東海道新幹線の改札口
 JR東海は12日、名古屋駅の新幹線改札口に自動改札の「エクスプレス改札機」を導入した。
 改札業務の効率化と利用客のスムーズな通行を目的として昨年6月に静岡駅に導入したのを皮切りに、東海道新幹線(東京−新大阪)の改札口に順次設置を進めており、1998年度中に同新幹線の全駅で運用される予定。
 新幹線用自動改札機は在来線用と異なり、乗車券と特急券、指定席券、定期券などさまざまな組み合わせの切符をまとめて最大4枚まで同時に投入できるのが特徴。(京都新聞 夕刊)
■神戸大の入試 1時間遅れる 山陽電鉄の故障で
 神戸大学(神戸市灘区)は12日の後期日程入学試験で、山陽電鉄の列車が故障で遅れたため、試験開始時間を1時間繰り下げ、午前10時20分にした。同大学が入試で開始時間を繰り下げたのは約10年ぶり。
 山陽電鉄によると、同日午前6時33分姫路発新開地行きの普通列車が、兵庫県加古川市の尾上の松駅付近で突然動かなくなり、午前10時ごろまで上り29本が41分−13分遅れ、計2万5000人に影響が出た。(朝日新聞 夕刊)
13日■余生をベトナムで DD51型機関車を売却 JR西日本
 JR西日本は12日、旧国鉄時代に活躍したディーゼル機関車をベトナム国鉄に売却すると発表した。ブレーキ装置の変更やベトナムのレール幅に合うよう改造して、今月下旬に境港から船積み輸送する。
 1960、70年代に造られたDD51型10両で一昨年5月にベトナム国鉄から購入申し入れがあり、レール幅に合わせた軌間変更やブレーキの取り換えなどを進めていた。DD51型ディーゼル車は、昨年までにすべて現役を退いているが、安全性などに問題はない。売却額をベトナム側と交渉中。JR西日本は昨年、タイにディーゼル車などを供与しているが、改造費が不要だったため無償だった。(京都新聞)
■寝台特急「サンライズ」完成
 JR西日本とJR東海が開発中だった新型特急寝台列車「サンライズエクスプレス」が完成し、このほど、報道陣に公開された。7月10日から東京と高松市、島根県出雲市間で営業運転を始める。
 車体の色は特急寝台の代名詞「ブルートレイン」の青色を使わず、車両の上半分が赤、下がベージュの2色で明るい雰囲気に。1編成7両。すべての寝台が個室で定員は150人。
 1日1往復し、下りは午後10時に2編成で東京を出発。岡山で1編成ずつに分かれて午前7時27分に高松、午前9時59分に出雲に着く。上りは高松を午後9時26分発、出雲を午後7時6分発で岡山で連結される。(京都新聞)
■整備新幹線の3区間を認可 運輪相
 藤井孝男運輸相は12日、日本鉄道建設公団から出されていた東北(八戸−新青森)、北陸(長野−上越)、九州・鹿児島ルート(船小屋−新八代)の整備新幹線3線3区間の工事実施計画を認可した。これを受け、鉄建公団は21日に福岡県筑後市で、28日に青森市と新潟県上越市で、それぞれ起工式を行う。(朝日新聞)
■カンサイモダンヤキ 東が左なぞの案内板
 自分の立っている場所がどこなのか、分からなくなってきた。現実にはないはずの世界が目の前にある。場所はJR大阪駅の大阪環状線ホーム。頭上の電車案内地図には、大阪駅が上、天王寺駅が下で、京橋や鶴橋など東方向が左、弁天町など西方向の駅が右にあった。南北はそのままで東西だけが一般の地図と逆なのだ。
 環状線から伸びる各線も右上にJR神戸線、左上にJR京都線。関西空港線は右下。見慣れている大阪の地図とはかなり違う奇怪な図面になっている。
 普通、地図は北が上で、東は右。たまに南が上の地図もあるが、それは東西も逆になる。どちらも、上空から見下ろしたように地図を描くからだ。
 では、この案内地図はどこから見たのだろうか。どこに立っても、こんな形には見えない。鏡に映すか、写真の裏焼きか−。いや、地球の中心から地表を見るとこんな地図になる。しかも、この方位はマージャンと同じだ。東家の右に南家、北家は左に座る。中国人の遊び心で方角を裏返しにしたと聞いたことがある。この案内地図もJRの遊び心なのだろうか。
 看板の裏側を見たら、同じ案内地図があった。こちらは北が上で東が右。普通の地図ではないか。西向きの看板だけが裏返しなのだ。ホームにいた駅員にわけを聞いた。
 「東に向いて立つと、京橋など東へ行く外回り電車は左側から出るので地図も東が左。反対に西へは右側から。この方がお客さまによく分かる」と自信たっぷり。
 「北を下にしたら地図が裏返しにならなくてすむのに」と聞き直すと「環状線は昔からこうやった」。
 確かに、乗客たちはこの地図を見上げて電車に乗っていた。大阪人はこれで迷わないのである。(寺田 憲二)(朝日新聞 夕刊)
14日■東急電鉄の「東急」使うな 東京地裁 俳優の芸名訴訟で判決
 テレビドラマなどで活躍中の若手俳優、高知東急(たかち・のぼる、本名大崎丈二)さん(33)の芸名をめぐり、東京急行電鉄(本社東京)が「混同される恐れがあり違法」として、芸名の使用差し止めを求めた訴訟の判決で、東京地裁は13日、東急電鉄側の請求を全面的に認め高知さんに「東急」の文字を含む名前を使わないよう命じた。
 高部真規子裁判長は判決理由で「『東急』という芸名は、独自性のある著名な東急グループの営業表示と類似する。組織的、経済的に密接な関係があると混同される恐れがあり、不正競争防止法に反する」とした。
 高知さん側は控訴せず、今後は芸名を「高知東生(たかち・のぼる)」に変更するという。
 高知さん側は、デビューが27歳と遅く「急いで東京へ上れ」という意味で「東急」という芸名を付けたとし、読み方は「のぼる」で、芸能活動と商活動は異質なため、東急グループと混同される危険性はない、などと主張していた。
 高部裁判長は、「東急」は通常「とうきゅう」としか読めず、東急グループの表示に類似し、混同される可能性が高いと指摘。
 その上で、芸能活動も対価を得る経済活動で、芸名がその主体を表すため、企業と個人との間にも混同される可能性があると判断。「自ら決定できる芸名に、周知されている表示を使用することは長期間、多額の費用で築いた信用や名声を、対面を払わずに自己のために使用する行為で、不正競争防止法に反する」と述べた。
 また、芸名であるために違法行為が許されることはない、と判断した。(京都新聞)
■特別扱い”返上” 府議 無料交通パス全廃 「市交通局も赤字続き」
 京都府議会は、13日開いた議会運営委員会の理事懇談会で、議員に提供されている京都市の市バス・地下鉄と近鉄の無料パスを返上することを申し合わせた。これで、府会議員の交通関係の無料パスは一切なくなることになる。
 「利用する議員は少なく京都市交通局も赤字」などが、今回の返上の理由で、市バス・地下鉄は4月から、近鉄は更新期の5月から廃止する。
 京都市交通局と京阪、阪急、近鉄の私鉄3社は「交通事情の実態を把握し、交通施策などに生かしてもらう」との理由から府会議員に無料パスを提供していた。
 しかし、住民から「議員だけ特別扱いするのはおかしい」などの批判が出たほか、実際、議員が利用するケースが少ないことなどから93年に阪急、95年には京阪のパスを返上した。
 さらに、京都市運賃条例で国会議員、府会議員、京都市会議員に提供することになっている京都市バス・地下鉄の無料パスについては一般会計からの持ち出しはないが、「赤字が続き、運賃値上げなど苦しい状況。返上すべき」と全会派が一致、3月末でやめることにした。
 一方、京都市議会は、すでに私鉄3社のパスは返上しているが、市バス・地下鉄については、各会派の意見が分かれている。公明市議団はすでに返上しているほか、個人で自主的に返しているケースもある。しかし、「交通事情を知る上で必要」「議員の調査活動には有効」などの声もあり、市議会としての結論が出ていない
。今後、市議会の対応が注目を集めそうだ。(京都新聞)
■JR7社、収入減へ 来年度事業計画
 JRグループの旅客・貨物7社は13日、1998年度の事業計画(予算)を運輸省に申請した。景気低迷による旅客数減少や自動車、航空との競争激化で、97年度の計画と比べ、全社で営業収入が減る。東日本と東海は、旧国鉄から引き継いだ長期債務を返し続けている結果、残高が減ったことや金利が低下し続けていることから、金融収支が改善して、経常増益となる。経常損益をみると、人員合理化が進む北海道は改善するが、JR四国は赤字に転落、運賃単価の低下が止まらないJR貨物は合理化で赤字幅は縮小するものの、赤字が続く。(朝日新聞)
JR7社の98年度事業計画(単位・億円)
 営業収入営業損益経常損益
東日本19,451(▼99)3,220( ▼97)956(  86)
東 海11,254(▼11)3,223( ▼99)630(  50)
西日本9,525(▼95)1,168(   7)480(   0)
九 州1,685(▼94)▼160( 9悪化)20(   0)
北海道1,012(▼38)▼327(16改善)0(17改善)
四 国447(▼32)▼ 99(15悪化)▼19(21悪化)
貨 物1,893(▼17)▼ 10(30改善)▼65(28改善)
()内は97年度計画比の増減額、▼はマイナスまたは赤字
■500系のぞみ 1日7往復に 東京・博多間、今秋には
 JR西日本は、今年秋までに新型新幹線500系「のぞみ」を、さらに3編成増やして9編成にし、現在1日3往復の東京−博多間に7往復走らせる。航空機との激しいシェア争いを少しでも有利にしたい考えだ。(朝日新聞)
■自転車ごと乗れる列車・バス 群馬・三重・北海道で運行中 駐輪場や環境問題に一石 規制緩和も実施に追い風
 自転車といっしょに乗れる列車やバスがあったら、サイクリングはもちろん、買い物も通勤・通学圏も広がり、駅の駐輪場や都心の駐車場問題、自動車公害や騒音問題も減るのでは−そんな夢につながる動きがある。群馬県の山ろくでは、上り坂は自転車OKのバスが走り、三重県や北海道では自転車列車がすでに走っているのだ。
 前橋市の前橋駅と榛名山のふもとの榛東村間の14`を結ぶ「自転車バス」は、最大10台の自転車を積めるように改造した大型路線バス(76人乗り)だ。夕方、前橋駅から乗ってみた。
・上り坂で利用
 途中の停留所で自転車を抱えた高校生が2人、乗ってきた。星野行彦くん(17)は、朝は自転車で坂を下り、帰途はバスに乗る。「以前は帰りは50分もかかりました。楽になってうれしい」と喜ぶ。
 赤い制服とベレー帽姿の乗務員の野中暁子さん(23)が、座席の間の固定具に前輪をはめ込み、ベルトで固定した。後部席の客は前に移ってもらいバンドで仕切って立ち入り禁止にする。「買い物帰りの女性の自転車は重くて大変だけど、慣れた人は自分でやってくれます。寒い日や雨の日に学校帰りの女子高生の利用が多いですね」
 日本中央バス(本社・前橋市)が、この路線に自転車バスを導入したのは1997年4月。前橋市と赤城山ろくの富士見村を結ぶ路線(14`)では、96年から5台載せられる中型の自転車バス(48人乗り)を走らせ、1年後にワンマン運行に切り替えた。いずれも自転車の積載は上り坂方向に限っている。
 坂はきついし、冬は空っ風が強い。女性が夜道で自転車を押すのも危ない、という発想から生まれたアイデアだが、運輸省の許認可が最大の壁だった。「ほかの客に迷惑だ」「急ブレーキで乗客が自転車にぶつかったらどうする」「自転車の固定方法を知らない客がいて運転手が席を離れたら危険だ」…などと指摘された。
 バスの前後に自転車をつるす案、トレーラー式にする案なども検討し、結局、車内で駐輪場のように前輪を固定する方法に落ち着いた。現在2路線で1日平均5台程度運び、全国から問い合わせが相次いでいるという。
 高橋悟副社長は「規制緩和の流れが追い風になり、役所も前向きに考えてくれた。利用者も満員のときは自転車で並走し、乗客が減ってから乗るなど工夫してくれています。休日は、家族で利用し、サイクリングで帰ってくる人もいるようです」と話す。
・持ち込み無料
 三重県の三岐鉄道(近鉄富田−西藤原、27`)は97年4月から、日祝日と学校の長期休恨の期間の午前9時から午後4時まで、「サイクルパス」列車を計7往復走らせている。改造はせず、3両編成の先頭車両を自転車持ち込み専用にし、車内には「早めに座席にすわり自転車を支持してください」などと掲示してある。持ち込みは無料。
 自転車の利用が一番多い北勢中央公園口駅には、ホームに上がるための大きなスロープを設けた。沿線のサイクリングマップも作っている。現在の利用者は1日平均10台。公園に行く小中学生や、ショッピングセンターに自転車で買い物にいく主婦が目立つという。「利用者が特に増えたわけではないが、全国から注目されるようになった。制度を広げる方向で充実させたい」と同社。
・列車離れ対策
 JR北海道は昨年の夏休み期間の土日祝日に、白石(札幌)−ニセコ(112`)▽函館−森(62`)▽釧路−川湯温泉(89`)▽北見−浜小清水(73`)の4路線で各1往復ずつ、自転車を載せる臨時列車「サイクリングトレイン」を運行した。料金は運賃プラス270円。
 駐輪場のように自転車を国定する装置を気動車に取り付けて、20−40台を積めるようにした。
 跨線橋(こせんきょう)や地下道があって自転車で乗降できない駅も多く、本数も少なかったため利用率は最大のニセコ路線でも半分程度だったが、今夏も実施の予定だ。
 同社広報課は「車社会の北海道では列車離れが進んでいます。駅や車両の設備にはまだまだ問題が多いが、将来はヨーロッパのように、地方都市の通勤・通学にも使えるようにしたい。今はそのための準備と考えています」と話している。(朝日新聞)
■特急にはねられ死亡 JR阪和線踏切で女性
 14日午前8時半ごろ、大阪府和泉市府中町、JR阪和線和泉府中駅構内の踏切で、女性が京都発関西空港行き特急「はるか」にはねられ、病院に運ばれたが間もなく死亡した。
 和泉署の調べでは女性は遮断機をくぐって踏切内に入り、しやがみ込んだという。
 阪和線は同特急が現場に9分停車したのを最高に下り線計5本に遅れが出た。(京都新聞 夕刊)
17日■窓 「乗りたいな」快適な市バス 西京区・福島はる枝(主婦・67)
 「わし、老人パスで降りようとしたら、うさんくさい顔して、じろっと見上げられましてな」−。近くの医院で順番待ちをしていた時の、老人同士の会話だ。たまたま市バスの乗務員に対する批判話に花が咲いた。その男性、73歳で、運送関係の仕事をしていて体格の立派な人だ。話によると、それ以来、市バスに乗る時は、きちんと料金を払っているという。「なに、200円くらい惜しくないですわ。あの時の嫌な思いにくらべれば…」と。
 私も、運転手からひどくしかられている老女の姿を目撃したことがある。その人は、次の停留所で降りるのに早めに座席を立って、運転手後ろの棒につかまったのだが「危ない」といってしかられたのだ。運転手としては責任もあり、もっともな注意なのだが、多くの人が見ている中ではひど過ぎた。よたよたと降りていく背中に、せめて「気を付けて」ぐらい言ってほしかった。
 先日、京都市交通労働組合から、市民アンケート用紙が送られてきた。調査の目的は「乗りたいなあと思われる市バス、地下鉄」とするための基礎資料とするためだそうだ。さっそく返信したが、職員の「接客態度の向上」というところには◎印をつけた。(京都新聞)
■JR難波駅南側地区 最低価格に届かず あす再入札
 国鉄清算事業団近畿支社は16日、JR難波駅前の南側地区(0.9f)の再入札を実施したが、応札価格が最低入札価格に届かず、成立しなかった。同地区は昨年8月の2度にわたる入札でも、買い手がつかず、従来より最低入札価格を引き下げて実施した。同支社は今回入札に参加した企業2社を対象に18日に再度、同じ条件で入札を実施する。(朝日新聞)
18日■JR西日本 環境対策に本腰 プロジェクトチーム 常設委に格上げへ
 JR西日本の南谷昌二郎社長は、17日の定例会見で、昨年暮れの地球温暖化防止京都会議の開催に合わせて社内に設置した環境問題プロジェクトチームを新年度から常設の「地球環境委員会」に格上げ、二酸化炭素の削減など環境対策に本腰を入れる考えを明らかにした。
 JR西日本は、昨年12月から訪日する外国人を対象に割安の周遊券を発売するなど京都会議を側面から支援。また、社内のプロジェクトチームでは、鉄道事業者が地球温暖化を防止するために何ができるかなどを検討している。
 地球環境委員会は、こうした取り組みを一時的なものに終わらせず、環境にやさしい企業を目指すために設ける。新年度早々、山崎正夫鉄道本部長を委員長とする組織を発足させる。
 南谷社長は「地球環境問題に取り組むことを経営の新たな柱とする。二酸化炭素の排出量が少ない鉄道の利用をPRし、リサイクルなどの分野でニュービジネスの可能性も探りたい」と述べた。(京都新聞)
■JR桜島線複線化へ
 大阪市此花区に米国映画をテーマにした「ユニバーサルスタジオ・ジャパン(USJ)」を計画する市は17日、観客の足を確保するため、JR西日本へ要望してきた桜島線(西九条−桜島間、約4`)の複線化について、同社と基本的に合意したことを明らかにした。入場者のうち約5割、1日当たり最大で延べ3万7000人が、同線を利用すると見ている。今後、USJ最寄りの桜島駅まで、大阪駅からの直通運転を求めていくという。
 USJは米ハリウッド映画の世界を、立体映像などで楽しむ集客施設で、広さ約54f。2001年春の開業を予定している。(朝日新聞)
■東海道新幹線の生みの親 島秀雄氏が死去
 国鉄(当時)技師長として東海道新幹線をつくりあけ、宇宙開発事業団の初代理事長も務めた文化勲章受賞者の島秀雄(しま・ひでお)氏が18日午前3時15分、血管障害のため東京都渋谷区の病院で死去した。96歳。大阪市出身。自宅は東京都港区高輪4ノ14ノ1−607。葬儀・告別式の日程は未定。喪主は二男隆(たかし)氏。
 1925(大正14)年に東京帝大工学部機械工学科を卒業して鉄道省(当時)に入り、D51をはじめとする蒸気機関車の設計などを担当した。国鉄の工作局長だった51年、車両火災で100人以上の死者を出した桜木町事件の責任を取って辞職したが、55年、技師長として再び迎えられ、東海道新幹線の計画、設計、建設を推進、日本初の巨大プロジェクトを成功に導いた。
 しかし、開通1年前の63年、建設予算の超過の責任を取る形で、当時の十河信二総裁とともに辞任した。
 その後、69年には宇宙開発事業団の初代理事長に就任。77年に退任するまで、日本初の静止衛星「きく2号」の打ち上げを成功させるなど、日本の宇宙開発の陣頭指揮に当たった。
 新幹線開発の業績で69年、機槻工学のノーベル賞と言われるジェームズ・ワット賞を受賞。同年、文化功労者に選ばれ、94年には文化勲章を受けた。
・日本の鉄道技術指導
 八十島義之助・鉄道総合技術研究所会長(東大名誉教授)の話 島秀雄さんは包容力のある素晴らしい方だった。鉄道技術全般に目配りをして、指導していただいた。技術面で東海道新幹線の方向性を示した。動力を分散させる電車によるユニークな高速鉄道方式で、日本独自の新幹線システムをつくりあげた。(京都新聞 夕刊)
■新幹線建設を指揮 島秀雄氏が死去
 旧国鉄技師長として東海道新幹線建設を指揮し、宇留開発事業団の初代理事長として日本の実用ロケットの路線も敷いた島秀雄(しま・ひでお)氏が18日午前3時15分、脳血管障害のため、東京都渋谷区の病院で亡くなった。96歳だった。葬儀・告別式の日取りは未定。喪主は次男陸(たかし)氏。自宅は、東京都港区高輪4の14の1の607。
 重い電気機関車で後ろの車両を引く「列車」の形では速度と輸送力に限界があることを技術体験から戦前に思い至り、すべての車輪にモーターを取り付けて速度の限界を突破する長距離高速の電車システムを実現した。欧米にはなかったこの「動力分散方式」は「シンカンセン」という言葉で世界に広がった。
 その技術グループの代表として1965年に朝日賞、94年に文化勲章を受けた。
 鉄道の先覚者、島安次郎・元鉄道技監の長男。世界の標準軌道(広軌)より狭い線路幅の狭軌の導入を「明治の為政者の無邪気な無知のため」といいながら、鉄道の改良に苦闘し、大正から昭和にかけてC53、D51など蒸気機関車の世界的傑作を生む中心となった。戦後、電車火災で多数の死傷者が出た桜木町駅事故(51年)で、「責任のなすり合いに情熱を失った」と国鉄車両局長を辞任した。
 だが、その後、戦前からの弾丸列車の信奉者だった十河信二(そごう・しんじ)国鉄総裁の懇請を受け、副総裁格の技師長として復帰。東京−大阪を日帰りできる狭軌の高速電車の旧「こだま」を走らせ、東海道新幹線の原型となる技術を確認した。広軌の新幹線は着工後5年で、東京オリンピック開催直前の64年10月1日、東京−新大阪間の開業に成功した。
 69年、佐藤栄作首相(当時)に請われて、宇宙開発事業団に入り、システムづくりを指揮した。(朝日新聞 夕刊)
■島秀雄氏死去 狭軌案妥協せず貫いた技術者魂
評伝 島秀雄さんが引退後に出した自著「新幹線そして宇宙開発」にこんな一文がある。「出来ることを『出来る』とうけ合い、出来ないことを『出来ない』と断る。至極当たり前のことだが、これはなかなか大変である」
 戦後の東海道線の輸送力増強には3つの案があった。@従来の狭い線路幅(狭軌)のままの複複線化A直線走行距離を長くとって速度向上を期待する狭軌の新線B踏切なしで広軌の新線の高速長距離電車だった。
 20歳も年下の技術者として島さんに接した元新幹線総局長の石沢応彦(まさひこ)さんはこう話す。
 「国鉄内では前の2つの狭軌案を支持する声が強かった。だけど島さんは、それでは改善にはなっても抜本的な輸送力増強にはならないと思っていた。狭軌案は『これでは出来ない』と順次、消去していく。出来ることをいうより、出来ないことを徹底的に調べる。そして3番目の新幹線に誘導したのだと私たちには見えました」
 「島さんは国内より外国に理解者を得た」と鉄道電化技術の直弟子で会社社長の入江則公さんはいう。
 新幹線着工前の1950年代に、インドは英仏の技術より日本の鉄道電化技術を選び、輸入した。これが、日本の技術を世界に認知させる力となった。
 政治家の介入で新幹線建設が粉糾するのを恐れた十河信二総裁が、建設費を安く見積もり、予算超過で辞任すると、自分も東京オリンピック直前の開通式を待たずに、国鉄を去った。開通式の招待状も来なかったというが、後年、「技術者はそれでいいんだよ。つくったものがきちんと役に立てばね」と語っていた。
 未来を見つつ、足元では「出来ること、出来ないこと」を峻別(しゅんべつ)してきた島さんの技術感覚は、国鉄なきいま、どこに引き継がれるのだろうか。(科学部・西村 幹夫)(朝日新聞 夕刊)
19日■南海電鉄 大阪スタヂアムと合併 10月 球場跡地開発円滑に
 南海電気鉄道(資本金613億円)と関連会社で不動産販売の大阪スタヂアム興業(同24億円)は18日、10月1日に合併すると発表した。合併比率は1対1。両社が1000億円かけて共同で取り組む大阪・難波の大阪球場跡地の再開発事業を、より円滑に進めるのが主な狙い。
 南海電鉄が存続会社となり、社長には南海の川勝泰司社長が就任する。大阪スタヂアムの北所啓次郎社長は副社長になる。南海の川勝社長は「大阪スタヂアムは高収益企業。合併によって不動産事業の営業力がプラスされる」と説明した。
 大阪スタヂアムは大阪証券取引所第二部の上場。1949年に設立して以来、経営する大阪球場がプロ野球の南海ホークス球団の本拠地となっていた。88年にダイエーに球団が売却された後は球場を住宅展示場として活用してきた。
 今年7月ごろまでに両社が再開発事業の基本設計を作り、2002年には一部を完成させる。新会社は99年3月期決算で売上高1270億円、経常利益59億円を見込む。(京都新聞)
■JR難波駅前の旧国鉄用地 阪神住建が落札
 大阪市のJR難波駅前にある旧国鉄用地3区画のうち、売れ残っていた南側区画(9000平方b)の4回目の入札が18日行われ、不動産会社の阪神住建(大阪市)が落札した。土地購入費や建設費の総事業費は約200億円だが、土地の落札金額は公表していない。この日の応札企業は阪神住建だけだった。
 建設計画によると、建物はマンション1棟と事務所ビル1棟。マンションは15階建てで戸数は約300戸。事務所ビルは地上3階、地下3階。来年春に着工し、2001年に完成の予定。
 この地域は建物の容積率が土地の高度利用を促すため900%にまで引き上げられていたが、建設計画では400%にとどまっており、容積率を高くしても採算が取れないと評価されたことになる。
 旧国鉄用地3区画のうち、昨年8月に実施された2回の入札で、東側区画(7600平方b)をスーパー大手のマイカルが、西側区画(4700平方b)を近鉄不動産がそれぞれ落札。南側区画は応札価格がいずれも清算事業団が定めた最低価格を下回り落札されなかった。このため清算事業団は土地価格の下落分を考慮し、新たに最低価格を設定した。(京都新聞)
■JR難波駅前 旧国鉄用地 南側、阪神住建が落札 マンションなと計画 坪400万円台?
 国鉄清算事業団近畿支社は18日、16日の入札で不調に終わったJR難波駅前の旧国鉄用地南側地区(大阪市浪速区、0.9f)の再入札を実施し、阪神住建(本社・大阪市福島区、岩崎平成社長)が落札したと発表した。難波駅前の売却予定地は東、西、南の3地区。東側と西側は売れたが、南側は、繁華街から約1`離れて地の利がよくないことや、不動産市況の低迷で、昨夏2回の入札が成立せず、売却が難航していた。4回目でようやく売れた。
 落札額は明らかにしていないが、阪神住建は土地代を含む総事業費約200億円で、15階建てのマンション(延べ床面積約2万4000平方b)と地上3階地下3階建ての事務所棟(同約1万6000平方b)を建てる計画。1999年度初めに着工、2001年春の完成をめさす。
 不動産関係者らによると、1坪(3.3平方b)あたりの価格は400万−440万円とみられ、「再開発地区ということもあり、一概には言えないがバブル期の3分の1以下の水準」(在阪の不動産鑑定士)という。同地区の容積率の上限は900%だが、阪神住建の計画では500%残しており、事業団と土地に対する評価に相当のズレがあった。
 南側地区と難波駅をはさんで反対側にある東側地区ではマイカルグループが複合商業施設をつくる構想を明らかにしている。不動産業界には、南側地区の落札が順調に進めば、難波駅周辺の再開発にはずみがつくばかりでなく、大阪の商業地の地価底入れにつながると期待する声もあったが、「期待はずれ」に終わった。
 落札企業が土地代相当額を現金で一括して支払う方法のため、景気の低迷や銀行などの貸し渋りが深刻になったことも、買い手がなかなかつかなかった一因とみられる。(朝日新聞)
■大阪スタヂアム 南海電鉄と合併へ 10月 再開発取り組み強化
 南海電気鉄道(大阪証券取引所一部上場)と、プロ野球・旧南海ホークスの本拠地だった大阪球場を運営するグループ会社、大阪スタヂアム興業(大証二部上場)は18日、10月1日付で合併すると発表した。合併比率は1対1。存続会社は南海電鉄で、社名も南海電鉄のまま。大阪球場と南海電鉄・難波駅周辺で計画している再開発計画への取り組みを硬化するのが狙い。
 合併会社の社長には南海電鉄の川勝泰司社長がそのまま就任し、大阪スタヂアムの北所啓次郎社長は副社長に就任する。
 合併会社の売上高は、99年3月期で1270億円、2000年3月期で1390億円を見込んでいる。
 南海グループが計画している「難波再開発」は、大阪球場を中心とする地区に商業施設やオフィスビル、劇場などを2005年までに建設するもの。南海グループの投資額は約1000億円になる見込み。高島屋も出店する計画だ。(朝日新聞)
■地下鉄東西線六地蔵延伸 事業免許を申請
 京都市は19日午前、地下鉄東西線六地蔵−醍醐間(2.4`)延伸の鉄道事業免許を藤井孝雄運輸大臣に申請した。
 東西線は、昨年10月に二条−醍醐(12.7`)が開業。六地蔵−醍醐間の延伸は、1989年の運輸政策審議会答申で「2005年までに整備が適当な路線」とされており、京都市と六地蔵駅のある宇治市との間で、事業免許申請に向けて協議を行っていた。
 延伸区間には、六地蔵と石田(京都市伏見区)の2駅を設置。総事業費は712億円を見込んでおり、免許が取得でき次第、新年度から建設に着手。2004年度の完成を目指している。(京都新聞 夕刊)
20日■社説 重い課題抱え地下鉄サリン3年
 人々を震撼(かん)させた地下鉄サリン事件から、きょうで3年になる。
 亡くなった人が12人、重軽症の人が4000人を超えた無差別大量殺人だった。サリン事件が社会に投げかけた問題はいまなお余りにも大きくて重い。
 大量殺人に走った宗教集団をうみ出した社会とは。無差別テロに対する社会の危機管理とは。その答えはまだ出ていない。この事件を契機に犯罪被害者救済のあり方も問われている。とても風化させてはならない課題を抱えたままだ。
 東京地裁で進行中の公判で、事件発生時の地獄絵のような状況が証言されている。何が起こったかわからないまま、悶(もだ)え苦しみ、そして身体が冷たくなったと。事件の恐ろしさ、怖さをまざまざと知らされる。
 遺族や被害者の悲しみや怒りは、ひと通りではない。当然であろう。憎しみがつのって不思議でない。
 実行犯の一人、林郁夫被告に対し検察側は無期懲役を求刑した。深く悔い、犯行の経緯を自主的に語る姿勢によって「実質減刑」になったとみられる。
 遺族らの反応は一様でない。「刑務所で一生謝罪してほしい」「なぜ無期か。気持ちは死刑以上」「気持ちが整理できない」。犯罪のむごさと自責の態度の落差に戸惑っているが、犯した罪を決して許してはいないだろう。
 被害者もいまなお後遺症に苦しむ。被害者団体の調査によると、多くの人が身体と精神に何らかの症状を抱える。疲れやすい、悪夢を見る、不眠などを訴え、地下鉄に乗れなくなった人もいる。心的外傷後ストレス障害(PTSD)がうかがえるといい、二次被害といえよう。
 こうした遺族や被害者の救済は十分でない。収入の道が途絶えた人たちへの経済的な支援も必要だろうし、心のケアの支援も不可欠である。わずかに、オウム真理教に対する国の債権を放棄する動きは、被害者への賠償額が増えることになって、一歩前進ではある。
 この事件を契機に、危機管理があらためて問われたことも忘れてはならないことだ。サリン法が制定され、毒ガス製造を厳しく取り締まれることになった。
 微量でも大量殺人できる毒ガスは恐ろしい。国際的にもテロに使われる恐れがある。法的規制の強化は当然だが、官邸や政府のテロに対する危機管理能力を高めることが何より求められよう。
 それにしても、なぜ無差別の殺人を平気で行えたのか。まだまだわからないことが多い。松本智津夫被告(教祖名麻原彰晃)は公判においても真相を語る様子がまるでない。
 その一方で、オウム真理教は活動を絶やしていない。一連の事件での刑を終えた後、再び教団に戻る信者もいる。元信者を受け入れる「社会的なケア」をもう一度考えることが必要である。
 事件は一教団、一教祖の特異性だけで片づけられるものではないだろう。オウム事件をうんだ社会土壌は果たして何だったのか。とりわけ若い人たちを引きつけたものとは。現代社会で満たされない心や科学的に割り切れないものへの魅力から、教祖への絶対服従となっていったとしたら、事件を裁くだけでは解決されない問題でもある。重苦しいテーマではあるが、避けてはなるまい。(京都新聞)
■「地下鉄サリン」から3年 後遺症の苦しみ今も… 募る将来の不安 「だれが償い」置き去りの被害者ら
 朝の通勤客らで混雑する地下鉄の車内に突然サリンがまかれ、12人が死亡、約4000人が重軽症となった事件から20日で3年たった。悲しみや怒り、後遺症の苦しみ、将来の不安−。被害者にとって事件は終わっていない。オウム真理教松本智津夫被告(43)=教祖名麻原彰晃=らの裁判に厳しい視線を送る半面、テロの被害者救済に取り組まないと行政への不信も高まった。いまも続く「地下鉄サリン事件」を追った。
・自分の名叫ぶ
 地下鉄丸ノ内線の車内で事件に巻き込まれ、現在も重度の言語障害などで入院中の女性(34)は昨年夏、病院のロビーで公衆電話を握り締め、母(73)に自分の名前を叫んだ。事件で失った自分をたぐり寄せるような叫びだった。これをきっかけに「ありがとう」「お帰り」と短い言葉も話せるようになった。
 埼玉県内で両親と3人で暮らし、東京都内で働いていたこの女性はサリン中毒で重い脳障害を受け、寝たきりの状態が続いていた。
 兄(38)は週に3日、自宅から片道1時間20分の病院に通う。「犯人にも人権があるというが、妹や私たち家族の人権はどうしてくれるのか。失われた時間や生活費をだれが償ってくれるのか。妹は警察や国の身代わりにテロの犠牲になったんだ」と憤る。
 「いまは労災補償で入院費用も出ているが、この先治療の手段がなくなり、自宅療養になったら共働きの私たち夫婦では世話を続けられない。将来のことを考えてもらいたい」。父も病気療養中で、先行きの不安は大きい。
・退院できても
 入院中の被害者だけでなく、退院できても後遺症に苦しんでいる人が多い。事件当日、約640人が治療を受けた聖路加国際病院(東京都中央区)が昨年秋まとめた調査(回答率49%)では、事件から1年以上すぎても回答者の45%が何らかの後遺症を訴えた。
 症状は「疲れやすい」(55%)「体が緊張している」(35%)「日の疲れ」(68%)などが目立つ。健康診断を受けた120人の10%以上が「事件のフラッシュバック」や「頭痛」などに苦しみ、12人は心的外傷後ストレス障害(PTSD)の可能性が高いと診断された。
 同病院の石松伸一救急部副医長(38)は「丸3年たっても全被害者の実態調査すら行われていない。現在何人が重症で何人が入院しているかも分からない。事件は病院でも風化しつつある」と被害者が置き去りにされている現状を危ぐする。
・国に失望した
 国など行政に対する不満は、今月刊行された被害者の手記「それでも生きていく」(サンマーク出版)にも記されている。
 「坂本弁護士失踪(しっそう)事件が起きたときに、警察がもっと厳しい捜査をしていれば、地下鉄サリン事件もなかった。国が何かをやってくれるということはまずないと思い、半分失望した」(被害者の遺族)「損害賠償では、国が優先される。裁判も長くかかる。私たちはどうすればよいのでしょう」(被害者の兄)
 検察は裁判の迅速化を図るとして、訴因撤回で殺人未遂罪の被害者3794人のうち3780人の名前を起訴状から消した。
 1996年3月から始まった教団の破産手続きでは、管財人や被害者らが国に労災や健康保険給付金などの求償債権の取り下げを繰り返し求めてきたが、政府は動かなかった。
 不信感は高まるばかりだったが、今月になってようやく有志の議員が新たな法律を議員立法で作り、債権を取り下げさせる見通しとなった。しかし、被害者らに配当されるのは届け出た賠償金の19%程度にとどまる。被害者の一人は手記に「天災も人災もあわぬ者には分からぬ本音」と書いた。
 地下鉄サリン事件 1995年3月20日午前8時ごろ、東京都内の営団地下鉄5路線で、車両内にサリンが散布され、乗客や営団職員ら12人が死亡し、約4000人が重軽症となった事件。検察側冒頭陳述によると、オウム真理教松本智津夫被告が教団に対する捜査をかく乱するため、林泰男被告ら幹部5人に犯行を指示、松本被告と実行犯のほか、サリン製造に関与した幹部や実行犯を送迎した運転手ら計14人が殺人、殺人未遂罪で、1人が殺人ほう助、殺人未遂ほう助罪で起訴された。既に懲役7年の刑が確定したほう助の被告以外は一審公判中。(京都新聞)
■私鉄20年ぶり低水準 賃上げ回答
 大手私鉄の賃上げ交渉で15社の経営側は19日、6120円から7400円を各組合に回答した。標準労働者のモデル賃金や組合員平均など回答方式は異なるが、いずれも前年実績を300円から900円下回った。各組合とも回答を受け入れ、妥結する方向。全体の回答額は第二次オイルショック後の1978年の春闘以来、20年ぶりの低水準になるとみられる。
 回答額は東急電鉄が7400円(前年比700円減)、東武鉄道や近畿日本鉄道が7000円(同600円減)、名古屋鉄道が6900円(同700円減)、阪神電鉄7000円(同300円減)など。する協議会(座長・小杉隆自民党政調会長代理)は19日夕の会合で、国の行政文書の公開を定めた「情報公開法案」について、政府案通り国会に提出することを了承した。
 法案は27日にも閣議決定、今国会に提出される見通しとなった。
 最大の焦点だった特殊法人の情報に関しては、情報公開法の成立から2年以内に別の法律を制定して公開することで一致した。(京都新聞)
■突風請け電車脱線 福岡のJR 乗客3人重軽傷
 19日午後7時10分ごろ、福岡市西区のJR筑肥線の今宿駅西側約100bの上り線で、西唐津発福岡空港行きの普通電車=岡崎好美運転士(39)、6両編成、乗客約80人=の先頭の1両が駅に入る直前に脱線し、線路北側の土手に約50a乗り上げた。福岡県前原市の男性会社員(63)が鎖骨を折るなどで1ヵ月の重傷を負ったほか、福岡市内の無職女性(54)と前原市内の男性会社員(54)の2人が頭などに軽傷を負った。
 福岡地方には事故当時、暴風警報が出ており、岡崎運転士は「いきなり突風がきて、車両が浮くような感じで脱線した」と話している。福岡県警は南側からの突風にあおられ脱線した可能性が高いとみているが、強風下で運転を継続したことに判断ミスはなかったかどうかについて、JR九州側から詳しい事情を聴いている。
 JR九州によると、暴風警報が出ても必ずしも運行を見合わせるシステムになっておらず、この日も通常通り運行していたという。
 福岡県警の調べによると、電車は時速50−60`で今宿駅の約150b手前にある国道の陸橋の下を通過した直後に突然、脱線した。脱線車両は約20度傾き、4本の車軸が完全に線路から外れており、線路からは最大で5b近く離れていた。
 福岡地方は寒冷前線の通過に伴い強風が吹き荒れており、福岡管区気象台の観測によると、午後7時33分、福岡市内の最大瞬間風速は30.6bを記録した。(京都新聞)
■強風で運休相次ぐ 北近畿タンゴ鉄道
 19日午前10時5分ごろ、宮津市と舞鶴市境にある北近畿タンゴ鉄道(KTR)宮津線由良川橋りょうで風速20bを記録。このため天橋立行き特急「タンゴ・ディスカバリー21号」が舞鶴市東雲駅で、綾部行き同4号が宮津市丹後由良駅で運転中止となった。
 強風はその後も断続的に続いたため、同橋りょうの通行を終日中止した。これにより特急、急行8本と普通列車24本が運休、または両駅での折り返し運転となり、約800人に影響が出た。(京都新聞)
■突風受け?列車脱線 3人けが 運転士「浮いた」 福岡のJR
 19日午後7時11分、福岡市西区のJR筑肥線今宿駅西側で、西唐津発福岡空港行き上り列車=岡崎好美運転士(39)、6両編成=の先頭車両が脱線した。全乗客は78人で、うち3人がけがを負った。福岡県警西署は、折からの突風にあおられて脱線したとみている。
 同署の調べでは、事故があったのは同駅まで約100b付近の地点。列車の先頭車両が約20度傾き、線路わきの土手に突っ込む格好で停止した。岡崎運転士は調べに対し「今宿駅が近付き減速を始め、駅まで約200bのところを時速60`ぐらいで走行中、いきなり突風がきた。浮くような感じで脱線した」と話している。同署は「この強風の中で運転を継続してよかったのかどうか、運転士や関係者から事情を聴き、現場検証を進める」としている。
 福岡管区気象台によると、当時、福岡市内では午後7時8分に最大瞬間風速25.2bの風を記録する荒れた天候で、午前11時に暴風警報が出されていた。この事故の影響で架線が切れた模様で、単線の同線は姪浜−筑前前原駅間の運転を取りやめ、バス12台による代行輸送に切り替えた。JR九州は、午後10時半から事故車両の撤去作業に入り、20日の始発からの運行再開を目指しているが強風のため作業は難航している。
 けがをしたのは、福岡県前原市篠原、会社員山口善輝さん(63)=石鎖骨骨折などの重傷=▽同市潤、会社員下村久生さん(54)▽福岡市博多区半道橋、無職松永テル子さん(55)=以上軽傷=の3人。山口さんと下村さんは先頭車両、松永さんは2両目の最前部にいた。
 列車は午後6時15分に西唐津を出て、姪浜から福岡市営地下鉄に乗り入れ同7時43分に福岡空港に到着する予定だった。(朝日新聞)
■福岡のJR脱線 風速25b、突然の揺れ 乗客80人、車内騒然
 「突然、列車が揺れて止まり、車内が暗くなって騒然となった。怖かった」。19日夜、福岡市西区のJR筑肥線今宿駅西側で起きた列車脱線事故。女子高生は恐怖もさめやらぬ表情でそう語った。脱線した上り列車には勤め帰りのサラリーマンや学生ら約80人が乗っていた。
 列車は、先頭車両が線路左側の土手にめり込む形で、車体を左に大きく傾けたままの状態で止まっていた。車両前部の運転席のガラスにはひびが入り、脱線事故のものすごさを物語っていた。
 県立筑前高校2年の女生徒(17)は「突然、列車がガサガサと揺れて止まった。座席に座っていたが、前のめりになったほど揺れた。その直後、内の明かりが暗くなり、車内が一時騒然となった。怖かった」と話した。
 当時、最大瞬間風速は25.2b。JR九州によると、筑肥線では運転規制は実施されていなかった。
 同社では、強風などの際の運転規制は、「気象異常時運転規制手続」に従って行われる。強風による運転規制区域の線路沿いに設置されている風速計が、風速20bを観測すると、時速25`以下の徐行、風速25bを観測すると停止させる。
 風速計が、強風を観測すると、筑肥線の姪浜指令室(福岡市中央区)でブザーが鳴り、風速が20bならオレンジ、25bなら赤色のランプが点灯する。
 運転指令室では時々、ブザーが鳴っていたが、規制はされなかったという。
 九州北部地方は、寒冷前線の南下に伴って10bを超える強風が吹き荒れた。
 暴風雨災害が専門の石川裕彦・京都大学防災研究所助教授は「詳しく調査しないと分からない」と前置きしながらも、電車は「局地的に吹く強い風にあおられた可能性はある」と指摘する。
 石川助教授は1994年に北海道で起きた根室線の脱線事故を調査した経験などから「電車の速度、進行方向と風速、風向などによって電車に対する風の力が大きく変わる」という。
 「この日のような気象条件だと、気象台が観測する場所以上に強い風が局地的に吹いたり、冷えた風が上空から吹き下ろし、地面にあたって横に広がって吹いたりすることがある」と石川助教授。
 脱線した電車は平たんな地上を走り、駅に止まるため減速していたが、道路の高架の下を通過しており、様々な条件が複合的に作用して脱線したのではないかと見ている。(朝日新聞)
■地下鉄の醍醐−六地蔵間 事業免許を申請
 地下鉄東西線(二条−醍醐、12.7`)の延伸計画を進めてきた京都市交通局は19日、醍醐−六地蔵(宇治市)間の2.4`の鉄道事業免許を運輸相あてに申請した。総事業費を720億円とし、2004年度中の開通を予定している。
 今回の申請は昨年10月に開通した地下鉄東西線をさらに府南部に延伸するためのもので、石田、六地蔵の2駅(いずれも仮称)を計画している。1998年度当初の免許取得を目指し、都市計画決定、工事施行認可などの手続きをへたのち、99年度秋の工事着工を見込む。
 申請理由として同市交通局は、JR奈良線、京阪宇治線と結び広域的な鉄道ネットワークを完成させる▽沿線で進む住宅開発に対応する−などを挙げている。(朝日新聞)
■途轍大手は約7000円 賃上げ回答 昨年比300−900円低く
 私鉄大手各社の賃上げ回答が19日夜、示された。私鉄総連によれば、関東の東武、京玉帝都、営団地下鉄、京成と関西の近鉄、南海、阪神が定期昇給相当分を含めて7000円で、小田急と相模鉄道が7100円、名鉄が6900円、西鉄が6600円(いずれも30歳・勤続12年の標準労働者)。回答方式が異なる東急は7400円、京浜急行は7100円、京阪は7800円、阪急はベアのみ2360円と回答した。7000円前後の横並びだが、それぞれ昨年実績を300円から900円下回っている。
 各組合は回答を不満としながらも収束の方向だ。
 大手の回答を受け、中小私鉄の組合側は26日に始発から24時間のストライキを構えて、21日までに回答を迫る。(朝日新聞)
■JR西日本 3400円で決着
 JR西日本は19日、最大労組の西日本旅客鉄道労働組合と1998年度のベースアップ額を前年度実蹟より200円減額の1人平均3400円とすることで妥結したと発表した。定期昇給が同6586円、ボーナスが前年比0.1ヵ月分の減の5.6ヵ月分。(朝日新聞)
■ラッシュの中、乗客も献花 地下鉄サリン事件3年 遺族、首相ら追悼
 地下鉄サリン事件から丸3年になる20日、東京都千代田区の営団地下鉄霞ヶ関駅では、早朝から遺族や関係者が次々に訪れ、犠牲者のめい福を祈った。橋本竜太郎首相、藤井孝男運輸相らも訪れ献花、追悼の意を表した。
 事件発生と同じ時刻の午前8時、日比谷線の駅事務所では、営団職員約20人が30秒間黙とう。
 また、千代田線の駅事務室には、殉職した助役の菱沼恒夫さん=当時(51)=と高橋一正さん=同(50)=の慰霊柱、献花台が設けられ、朝のラッシュの中、乗客や営団職員らが白い菊の花をささげ、記帳した。(京都新聞 夕刊)
■強風で関空線一時ストップ JR西日本
 JR西日本は20日、未明から関西空港駅で風速26bを超える強風を観測したため、関西空港線の運転を始発から約4時間見合わせた。午前9時40分に運転を再開したが、上下線計19本が部分運休した。
 また、南海電鉄も強風のため始発から空港線で列車の運転を見合わせた。午前10時すぎに運転を再開したが、上下線合わせて特急12本が運休、急行を含む計32本が部分運休した。
 いずれもりんくうタウン駅−関西空港駅間でバスによる代行運転をしたが、約1万1000人に影響が出た。(京都新聞 夕刊)
■地下鉄サリン事件 教祖の野望指摘 林被告・最終弁論 惨状に涙
 地下鉄サリン事件の殺人、殺人未遂罪などに問われ、検察側が無期懲役を求刑したオウム真理教元幹部で元医師林郁夫被告(51)の公判が20日、東京地裁(山室恵裁判長)で開かれ、弁護側の最終弁論が行われた。
 地下鉄事件について、弁護側はまず「3年前のこの日、この時間に阿鼻(あび)叫喚の中で尊い命が失われた。犯行は国家転覆を目指す教祖の野望が引き起こしたみぞうのテロ」と指摘。教祖の生い立ちや性格、教団武装化の経緯などから弁論を始めた。
 林被告は当時の惨状を思い起こしてか、冒頭から目頭を押さえ、ハンカチで涙をぬぐった。
 午後に林被告が最終意見陳述し、1995年12月から続いた公判は結審する。死者12人、重軽症者約4000人を出した地下鉄事件の実行グループとされる被告では、最も早く判決が言い渡される。
 林被告は松本智津夫被告(43)=教祖名麻原彰晃=の指示で、地下鉄千代田線の車両内でサリンを散布したとされるほか、公証役場事務長仮谷清志さん=当時(68)=の逮捕監禁致死、元信者監禁など計6事件で起訴された。
 公判で起訴事実を全面的に認め、主要被告の中でも最も早く審理が進んでいた。
 検察側は2日の論告で「無差別大量殺人に積極的に関与した責任は極めて重大で、極刑も要当だが、最初に自白したのは『自首』に当たり、組織犯罪の全容解明に大きく貢献した。改しゅんは顕著で、被害者の処罰感情も一部和らいでいる」として、死刑を求刑しなかった。(京都新聞 夕刊)
■列車に接触、死亡 JR長岡京駅構内で
 20日午前10時40分ごろ、長岡京市神足二丁目のJR長岡京駅構内で通過中の京都駅発新宮行きの特急列車「スーパーくろしお」にホームにいた男性が接触、はね飛ばされた男性は全身を強く打って即死した。
 向日町署の調べでは、男性は40歳から50歳ぐらい。ホームにいた他の人たちにけがはなかった。特急は現場で8分間停車し、後続の列車2本に数分の遅れが出た。同署で事故原因や男性の身元を調べている。(京都新聞 夕刊)
■春のあらし 列島大荒れ 関空への鉄道・船に影響
 20日の西日本は寒冷前線が通過したため、明け方から昼にかけ雷雨を伴った強い南よりの風が吹く大荒れの天気になった。関西空港と対岸を結ぶ鉄道が運休し、船便も欠航するなど朝の足が各地で乱れた。
 気象庁によると、この日午前、高知県室戸市で最大瞬間風速34.2bを記録したほか、兵庫県・淡路島の洲本市で31.1b、和歌山市でも25.2bに達した。
 関西空港でも風速が26bを超え警報装置が作動したため、JRと南海は空港連絡橋の利用を始発から午前10時ごろまで見合わせ、代替バスを出した。大阪・天保山や淡路島、徳島と同空港間の海上を結ぶ高速船も、始発便から欠航した。(朝日新聞 夕刊)
■脱線JR 早朝復旧 福岡
 福岡市西区のJR筑肥線今宿駅西側で19日夜起きた脱線事故は、線路わきの土手に乗り上げたままになっていた車両が取り除かれ、不通になっていた筑前前原−姪浜間が20日午前6時35分に復旧した。JR九州によると、一部、全面を合わせ上下計7本が運休し、約2300人の足に影響した。
 福岡県警はこの日から本格的な原因究明に乗り出し、午前10時すぎから現場検証を開始した。運転士や運行管理責任者からの事情聴取を予定しており、強風下で正しく運行管理がなされていたかなどの点を詳しく調べる。(朝日新聞 夕刊)
■地下鉄サリン事件から3年 祈りと花 風化はさせぬ
 地下鉄サリン事件を風化させてはならない。事件からちょうど3年を迎えた20日午前、おびただしい死傷者を出した営団地下鉄の各駅に献花台が設けられた。訪れる人たちによる祈りが続く。東京地裁では、オウム真理教元幹部の公判が続いた。被害者自身による後遺症の調査では、なお半数以上が健康状態は「悪い」と感じている。深刻な影響はまだ難く被害者に残り、癒(い)えない。同教団への4億円を超える債権を国が後回しにして被害者の債権を優先する動きが出るなど、痛ましい事件を繰り返さないための支援も少しずつ広がっている。
・地下鉄6駅 追悼の献花
 事件に巻き込まれて亡くなった12人の乗客や営団地下鉄職員らを追悼する献花台が、犠牲者の出た霞ケ関、築地、中野坂上など6つの駅に始発から設けられた。霞ケ関駅では午前8時、朝の点呼を終えた下重邦夫首席助役(56)ら20人が、犠牲になった乗客と、同駅で殉職した駅務助役高橋一正さん(当時50)、乗務助役菱沼恒夫さん(同51)を追悼するため、黙とうをささげた。
 事件発生時の駅員75人のうち、3年後のいまも残っているのは2人だけだ。当時の駅務区長だった野尻辰秀さん(46)は、「まだ3年、というべきなんでしょうね。指名手配のポスターも、まだ残っていますし…」。撤去されたゴミ箱は昨年4月、乗客の利用を考えて再び設置された。
・橋本首相も献花
 橋本龍太郎首相は、20日午前、職員が亡くなるなどの犠牲を出した地下鉄・霞ケ関駅を訪れ、駅構内の事務室に設けられた献花台に献花した。
 首相は、献花台に向かって手を合わせて、一礼した。同駅の佐藤吉宏駅務区長に首相は「これからも頑張ってください」と述べた。
・国の債権放棄 労相「結構だ」
 伊吹文明労働相は20日朝の記者会見で、オウム真理教に対する4億円を超える債権を国が後回しにするよう、自民党の有志議員が議員立法の提出を準備をしていることに触れ、「党で立派な立法をして下されは、大変結構なことだ」と述べた。(朝日新聞 夕刊)
21日■地下鉄サリン 林郁夫被告 5月26日に判決 最終陳述「弁解の余地ない」
 地下鉄サリン事件の実行犯として殺人、殺人未遂罪などに問われ、検察側が無期懲役を求刑したオウム真理教元幹部で元医師林郁夫被告(51)の公判は20日午後も東京地裁(山室恵裁判長)で続けられ、林被告は「弁解の余地はない。与えられる限りの日々を亡くなった人のめい福と被害者の回復を祈る時間に充てたい」と最終意見陳述した。
 林被告の最終陳述は約10分間。原稿用紙を読み上げながら何度も言葉に詰まり、ハンカチで涙をぬぐった。
 1995年12月から続いた公判はこの日で結審し、判決は5月26日午前10時に言い渡される。主要被告では最も早い判決となり、今後の「オウム裁判」全体に大きな影響を与えそうだ。
 午後も続行された最終弁論で、弁惑側は「刑事責任が少なくないことは検察側指摘の通りだが、信者は麻原の指示がなければ独自に動けず、指示が正しいかどうかは麻原しか知らないという特異な状況にあった」として、松本智津夫被告(41)=教祖名麻原彰晃=の命令に従う以外になかったと指摘した。
 また「実行犯であることを自主的に申告した。当時は犯人特定の手掛かりもない状態で、組織犯罪解決への貢献は計り知れない」と「自首」による刑の軽減も強調。
 地下鉄事件は首謀者にだけ死刑が適用される「内乱」に当たるとして「林被告らが麻原と同じ罪で処罰されるのは妥当でない」と主張し、情状酌量を繰り返し訴えた。(京都新聞)
■びわ湖長浜ツーデーマーチ 5月9、10両日 SLに乗車も
 「歩こう!びわ湖の風を襟もとに…」をキャッチフレーズに、第6回びわ湖長浜ツーデーマーチ(滋賀県長浜市、日本・県歩け歩け協会、朝日新聞社など主催、県、県湖北地方12町など後援)が5月9、10の両日、長浜市の豊公園をスタート、ゴール地点にして開催される。今年は初日、SLに乗車するコースが設けられたほか、琵琶湖最北端の西浅井町、木之本町を歩く新しいコースが加えられた。
 初日の9日は4コース。40`の「奥びわ潮ハイキングコース」は、長浜市からバスで西浅井町菅浦へ移動。菅浦から奥琵琶湖を巡って同公園に戻る▽25`の「SL賎ケ岳コース」は、長浜発のSLに乗車。木ノ本駅で下車して琵琶湖沿いに長浜まで歩く。定員は先着344人。別に料金750円が必要▽25`の「姉川コース」は、長浜市街地や姉川古戦場などを巡る▽15`の「北まわり楽らくコース」は、同市街地の社寺などを巡る。
 2日目の10日は3コース。40`の「ヤマトタケル百名山コース」は、長浜市から伊吹山、山東町の三島池を通り、米原町醍井、近江町を経て湖岸通りを長浜市に戻る。25`の「さかさ伊吹三島池コース」は長浜市の田園地帯を縦断し三島池を通って豊公園に。15`の「南まわり楽らくコース」は同市街地を巡る。
 参加申し込みは4月20日までに、各郵便局にある払込票で。問い合わせは〒526・0831滋賀県長浜市宮司町1200、長浜文化スポーツ振興事業団内、同ツーデーマーチ実行委員会(電話0749・62・3095、ファクス0749・62・3097)へ。参加費は高校生以上1500円、中学生以下500円。宿泊、昼食も同事業団であっせんしている。(朝日新聞)
22日■声 バスで席譲る優しい生徒ら 春日井市 岡 妙子(主婦 47歳)
 日曜日の朝、大阪で市バスを利用したときのこと。中は中学生らしい男子で満席だった。部活の試合にでも行くところなのか、全員がジャージー姿。
 バスが走りだしてしばらくすると、隣でつり革につかまっていた生徒が、目の前に座っている生徒にささやくように言った。「おばあさんが乗ってくるで」
 停留所に止まると、座っていた生徒はすっと立って、席を空けた。次のバス停が近付くと、また、小さな声が聞こえた。「おばあさんや。今度は二人やで」
 立っている生徒には、いち早く次のバス停の様子が見えていた。バスが止まると、今度は二人がさっと立った。次のバス停でも、その次でも生徒たちは次々と席を立ち、座っている生徒は一人もいなくなった。
 私はほほえましく感じ、胸を熱くした。そしてバスを降りて行った彼らに「ありがとう」の気持ちを伝えたくて、背中に縫い付けられた名前の学校に手紙を書いた。中学生の事件が報道されるたび、「成績」という数字で子供を見る、大人の愚かさを考えなければと思った。(朝日新聞)
23日■市バス内で財布盗む 七条署、容疑の女逮捕
 七条署は22日、窃盗の疑いで愛知県半田市向山町、無職筈井初子容疑者(57)を逮捕した。
 調べによると、筈井容疑者は同日午後1時半ごろ、京都市下京区の河原町通を南行中の市バス内で、同区の女性事務員(48)のリュックサックから現金1万1000円などが入った財布を盗んだ疑い。
 女性事務員が盗難に気づいて市バスの運転手に申し出、運転手がバスを七条署塩小路交番前に止めて通報。七条署員が他の乗客の目撃から筈井容疑者を任意で調べところ、犯行を認めたため逮捕した。(京都新聞)
■京にふさわしい施設設計 総合女性センターやJR二条駅ビル 下京で伏見工高建築科卒業生作品展 外観図や模型27点
 市立伏見工業高(伏見区)建築科の卒業設計展が22日、下京区木津屋橋通西洞院東入ル、学芸出版社のギャラリーとホールで開かれ、市民らが卒業生の作品に見入っていた。23日まで。
 市民やOBに日ごろの生徒の活動を知ってもらうのがねらい。建築科3年の67人がそれぞれ、卒業制作として京都にふさわしい図書館や学校などの公共施設を考え、外観図や平面図、立体模型を制作した。このうち、同展は優秀作品27点を展示している。
 会場には、スポーツジムやプール、託児所を備えた円形3階建ての総合女性センターや、小児科病院とミニ映画館のあるこどもセンター、JR二条駅を想定し、店舗や美術館を組み合わせた駅ビルなど断面図や完成予想図が並んでいる。訪れた人たちは、各生徒のユニークな作品を鑑賞していた。
 同展は午前10時−午後5時。入場無料。(京都新聞)
24日■合わせて70歳以上 ペア70組を無料招待 京阪バスと市交通局
 京阪バスと京都市交通局は、京都定期観光バス運行70周年を記念して、2人の年齢を合わせて70歳以上のペア70組140人を「京の半日」コースに無料招待する。
 同コースは金閣寺−清水寺−平安神宮などを巡る約5時間で、招待期間は4月18日から9月20日まで。応募は、官製はがきに、乗車希望日、2人の住所、氏名、職業、年齢、電話番号を明記して、〒601-8033 京都市南区東九条南石田町5、京阪バス内京都定期観光バス70周年記念事業係へ。締め切りは31日消印分まで。当選者には招待券発送をもって通知にかえる。(京都新聞)
■ふるさとの道はいま 芦生森林軌道 ”トロッコ道”自然の中に
 民家が散在する美山町芦生集落から原生林に向かって延びる軌道。林業が盛んだったころ、人の移動や材木運搬などに貴重なトロッコ道として活躍したが、今はトロッコに出合うことはほとんどない。
 天然スギやブナ、ミズナラなどの大木が並び、多くの野鳥や魚が生息する森林は、関西の秘境として知られる。森林軌道は1925年、芦生原生林の約8割を研究用に借りた京大農学部の演習林職員らによって敷設が開始された。
 軌道の延長は、京大の「芦生演習林集報」によると約15.5`と記されている。その後に災害などで多くが破損。現在は、芦生から廃村となった同町灰野集落まで約1.6`が残る。
 灰野から芦生に移り住んだ林業、中野良雄さん(68)は「灰野にいた時は、トロッコが頻繁に走っていた。子供のころ、危ないからと違う道を通って学校に通っていたが、めったに見なくなったなあ」と話す。
 近年では、トロッコ道はもっぱら演習林の研究とレクリエーションの場として活用。登山家や多くの観光客らが自然を求め都会からやって来る。昨夏の高校総体では登山大会のコースにもなり、全国の高校生らが多数足を運んだ。
 しかし、500bほど歩いたところに民家がポツリと立ち、今でも通勤や買い物など、生活道として使っている人たちもいる。まだ雪の残る深い森林の中の軌道で出会った親子は、手をつないで仲良く家に向かう姿が、自然に溶け合っているように見えた。(園部支局 小坂綾子)
 <メモ>原生林の入り口には京大演習林事務所が立つ。近くに入林者が用紙に氏名などを書き、投かんするポストがある。かつてあった軌道のうち、灰野から同町赤崎付近まで約1.6`は、破損した橋などを架け替え修復する計画。(京都新聞)
■橋げた落下事故 広島市にも一部責任 広島地裁 賠償命令 安全策指示怠る
 広島市の新交通システム工事現場で1991年、橋げたが落下し15人が死亡した事故で、犠牲者3人の遺族8人が公共工事の安全管理責任などを問い、工事を発注した広島市や補助金を出した国、工事元請けの「サクラダ」(千葉市)、下請けの「川鉄物流」(神戸市)に総額約3億9000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が24日、広島地裁で言い渡された。
 佐藤修市裁判長は「市が監督権限を適切に行使していれば事故を防げた」として広島市の法的責任を認め、同市と工事業者2社に総額約2億3000万円の賠償を命じた。国への請求は棄却した。
 佐藤裁判長は、最大の争点だった市の責任について「作業予定が大幅に遅れ余裕のない状況にあり、業者が適切な安全対策を取らないまま作業を行うことを予測できた」と指摘。「市は業者に転倒防止ワイヤの取り付けなどの安全対策を取るよう指示すべき義務があったのに怠った」と判断した。
 また、業者については「現場代理人らが作業員の能力不足を知りながら監督を怠った」と責任を認定。国については「危険発生を効果的に防止できる立場になかった」として責任を否定した。
 事故は91年3月14日午後、広島市安佐南区の道路上の高架橋工事現場で、据え付け作業中の鋼鉄製橋げた(長さ約63b、重さ約60d)が高さ約10bの橋脚上から落下。信号待ちの車11台を押しつぶし市民10人と作業員5人が死亡、8人が重軽傷を負った。
 訴訟では、橋げたを支えるジャッキの設置場所など業者の基本的ミスが事故原因とされ、元請け業者は争わず、広島市の行政責任が争点となった。
 市側は「技術的に確立された工事で事故の予測は不可能。業者の基本的ミスまで想定し対策を取る義務はない」と主張していた。(京都新聞 夕刊)
■橋げた落下事故判決要旨
 広島地裁が24日言い渡した広島市の橋げた落下事故の損害賠償訴訟判決の要旨は次の通り。
 元請け業者サクラダの現場代理人らは工事を安全に行うための監督義務を怠り、下請け業者の川鉄物流(当時川鉄運輸)の現場責任者や作業員らに橋げたの降下作業を行う能力がないことを知りながら、現場を離れるなど、漫然と作業を任せ、橋げたの落下を招いたことから、サクラダには賠償責任がある。
 川鉄物流の現場責任者には専門知識はなかったが、危険性が認められた場合は是正を図り、サクラダの代理人らに連絡するなどの措置をとる義務があった。しかし、これらの義務を怠り、事故の直接の原因になった西側橋脚上のジャッキの組み方などに注意を払わず、事故を発生させたもので賠償責任がある。
 発注者には、請負人が第三者に対して被害を及ぼすことを容易に知り得た場合は、損害を防止するため、請負人に指図し、単に契約どおりの施工のみならず、安全性確保の観点からも監督義務を負っていた。橋げたが落下すれば多くの市民の命を奪う大惨事となる可能性があり、広島市にも作業が万全の注意を払って行われるようにする必要があった。
 広島市は、サクラダの作業予定が大幅に遅れ工事が極めて余裕のない状況にあり、サクラダが適切な監督も安全対策もないまま、作業をすることを予測しえた。
 従って、広島市にはサクラダに対し厳重に指導することはもちろん、転倒防止ワイヤなどを取り付けるなどの安全対策を取るよう指示すべき義務があった。
 しかし、広島市はこれらの義務を怠り、型通りの安全対策を指示したにとどまり、安全確保に関しては全く無関心であり、何らの確認、指示も行わず、監督権限を適切に行使し、指示などしていれば未然に防止できたはずの事故の発生を招いたのだから賠償責任がある。
 国が広島市と建設計画を実質的に共同で執行し、工事などから生じる危険を効果的に防止できる立場にあったとは認められず、国には賠償責任はない。(京都新聞 夕刊)
■片町線7本運休 通勤の足乱れる バッテリー故障
 24日午前5時30分ごろ、京都府相楽郡木津町木津のJR片町線木津駅構内で、新三田行き始発電車がバッテリーの故障でモーターが作動せず、電車が動かなくなった。電車は後続列車と連結させ、同駅の構内の留置線に収容した。
 このため、始発の午前5時35分から7時10分まで、木津駅−同志社前間で、快速や普通列車が上下合わせて7本運休になり、朝の通勤客など約2500人に影響が出た。JR西日本は、この間、乗客に、関西線、奈良線などへの乗車を依頼した。午前7時10分には運転を再開した。
 JR西日本は、バッテリーの故障原因を詳しく調べている。(京都新聞 夕刊)
■橋げた落下事故 広島市などに賠償命令 計2億3000万円 広島地裁判決 「安全策指示せず」 国の責任は認めず
 広島市の新交通システム「アストラムライン」の高架橋建設工事現場で1991年3月、橋げたが落下して23人が死傷した事故で、死亡した3人の遺族が国、広島市、工事業者らを相手取り、総額約3億9000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が24日午前、広島地裁で言い渡された。佐藤修市裁判長は、最大の争点だっだ工事発注者の広島市の責任について、「元請け業者に対して、転倒防止ワイヤを取り付けるなど具体的な資全対策を指示する義務があったのに怠った」と過失を認め、元請けと下請けの2業者と合わせて総額約2億3000万円の支払いを命じた。市に補助金を出した国に対する賠償責任は認めなかった。
 佐藤裁判長は、広島市の責任について「発注した公共工事に対して、単に契約どおりの施工を確保するだけでなく、安全性を確保するという観点から元請け業者に具体的な安全対策を指示、監督する義務があった」と指摘した。
 その上で、当時の工事について@作業予定が大幅に遅れ、余裕がなかったA元請け会社が適切な安全対策をとらないまま橋げたを取りつけようとしていた−など、事故につながる状況があったにもかかわらず、「広島市は型通りの安全対策を指示したにとどまり、監督権限を適切に行使しなかった」と市側の過失を認めた。
 一方、国については、「危険の発生を防止できる立場になかった」と責任を認めなかった。
 事故で亡くなったほかの12人の遺族は、すでに工事業者との間で示談が成立している。
 平岡敬・広島市長の話広島地裁の判断が示され、本市の主張が認められなかったが、今後の対応については、弁護士、関係機関と協議の上、できるだけ早く、結論を出したい。市としては、再びあのような不幸な事故が起きないよう、工事の安全対策に一層の努力を傾けていく。
橋げた落下事故 1991年3月14日午後2時5分ごろ、広島市安佐南区の新交通システムの高架橋建設現場で、橋脚上にジャッキで下ろそうとしていた橋げた(長さ63b、重さ60`)が約10b下の県道に落下、信号待ちの車11台を押しつぶし、作業員も含め15人が死亡、8人が重軽傷を負った。広島地検は、元請けの建設会社「サクラダ」(本社・千葉市)の工事統括責任者ら3人、下請けの「川鉄運輸」(現・川鉄物流、本社・神戸市)の工事担当者1人の計4人を業務上過失致死傷罪などで起訴。96年3月、広島地裁で元請け会社の3人に有罪判決(うち1人は実刑)、下請け会社の1人に無罪判決が言い涯されて確定した。(朝日新聞 夕刊)
■安全策の先取り必要 橋げた落下 市側に責任 監督のずさんさ指摘
 《解説》橋げた落下事故をめぐる24日の広島地裁判決は、一般市民を巻き込んだ公共工事災害に対する行政側の責任を幅広く認めた。工事発注者である広島市側の「なすべき指示は十分にしていた。事故は、業者側の基本的なミスによるもので、予見することは不可能だった」との主張を厳しく批判するかたちとなった。
 訴訟で原告側は、この事故は1994年10月の広島アジア大会を目指して進められていた新交通システムの工事を優先させ、広島市が請負業者への安全対策の指図を怠ったために起きたと指摘。市に対して、工事発注者としての民法上の責任などを求めていた。
 地下鉄工事による地盤沈下をめぐり、同じように工事発注者の大阪市の責任が問われた訴訟で、大阪地裁は89年に「施工管理者として、可能な限りの万全な対策措置を施工業者に指示する注意義務を果たしていなかった」として市側の過失を認めた。
 この日の判決は、広島市が元請け業者の安全管理態勢の不備を容易に知り得る立場にありながら、「型通りの安全対策を指示したにとどまった」と監督のずさんさを指摘した。
 橋げた落下事故の直後、建設省は「同様の橋梁工事のさいには、通行規制をすること」との通達を全国の道路管理者に出し、広島市も、その後の橋梁工事は夜間に行い通行規制をした。自治体の大きな使命の一つは、住民の安全を守ることにある。思いがけない事故の犠牲になった人たちの無念を思うとき、万一の事故が起きる前の安全対策を先取りしていく姿勢が改めて求められる。(広島支局・東出拓ニ)
・「他自治体に影響も」
 平岡敬・広島市長は、今後の方針について「この判決は公共事業のあり方を含んでおり、いち広島市だけでなく、他の自治体への影響もはらんでいるかもしれない。控訴するかどうかは、関係機関と協議して決めたい」と話した。
・「死んだ息子に報告」遺族ら区切り
 「市は最初から責任を認めてほしかった…」「死んだ息子にいい報告ができる」。23人が死傷した1991年3月に起きた広島市の橋げた落下事故。刑事処分が見送られた工事発注者の市の責任を問う唯一の道として、3人の遺族が提訴した損害賠償訴訟の判決で、広島地裁は24日、市の法的責任を認めた。降ってきた鋼鉄の塊に肉親を奪われた惨事から7年。示談に応じず、法廷での決着を求めてきた遺族たちは「ようやく気持ちに区切りがつけられる」と判決をかみしめた。
 佐藤修市裁判長が判決主文を言い渡した瞬間、遺影をひざに抱えていた広島市安佐南区の無職金谷修さん(60)の目から涙が落ちた。
 広島市の責任が認められたことについて、「当たり前のことじゃないですか」と何度も繰り返し、「国の責任が不問になったのは納得できない」と話した。
 広島経済大の学生だった長男泰生さん(当時20)が犠牲になった兵庫県赤穂郡上郡町の会社員塚本孝信さん(53)、弘子さん(50)夫妻は、「市は控訴しないで、判決を素直に受け止めてほしい。これから慰霊碑に行って息子の好きだったおもちとビール、ウーロン茶、マイルドセブンを供えます。でも裁判に勝っても息子は帰ってこない」と言った。(朝日新聞 夕刊)
■JR片町線 車両が故障
 24日午前5時半ごろ、京都府相楽郡木津町木津のJR片町(学研都市)線木津駅で、木津発新三田行き普通電車の運転士が始発前に車両点検したところバッテリー不良で発車できないことが分かった。このため同電車は後続電車に連結され、午前6時50分すぎ、同駅の空いている線路に収容された。
 この車両故障で、午前7時10分まで木津−同志社前駅間の運転が見合わされ、上下計7本が部分運休したほか、上下計8本に最大5分の遅れが出て約2500人に影響した。(朝日新聞 夕刊)
25日■国労249人救済 JRに命じる 中労委
 1987年4月の国鉄分割・民営化の際、国労組合員が運転士から駅売店の販売業務に配属されたのは組合差別として、国労東京地方本部(酒田充委員長)などが起こしていた不当労働行為救済申し立ての再審査で、中央労働委員会(山口俊夫会長)は25日、JR東日本の不当労働行為を認定し、組合員249人の救済を同社に命じた。(京都新聞 夕刊)
■生駒トンネル 火災事故 元社長に逆転有罪 大阪高裁判決 「事故予見できた」
 1987年9月、1人が死亡、43人がけがをした近鉄東大阪線の奈良・大阪間の生駒トンネル火災事故で、電気ケーブルの接続工事のミスで出火させたとして、業務上失火と業務上過失致死傷の罪に問われた大阪府摂津市の元電気設備会社社長、中谷利雄被告(57)の控訴審判決公判が25日、大阪高裁であった。
 日比幹夫裁判長は無罪を言い渡した一審・大阪地裁判決を破棄、禁固2年6月、執行猶予5年を言い渡した。
 最大の争点とされた火災発生の予見可能性について、日比裁判長は「被告は長年の経験から電力ケーブル工事の十分な知識があり、部品の取り付けを怠ったことで、火災事故が起きると十分に予見できた」と述べた。
 判決によると、中谷被告が86年3月の工事で、ケーブル接続器にアース用銅板を取り付けるのを忘れたため、接続部分が過熱し、87年9月21日夕に出火、トンネル内が停電した。
 走行中の列車は立ち往生し、約70人の乗客は乗員の誘導で歩いて避難したが、充満した煙で奈良県生駒市の高校教諭明松(かがり)敏夫さん=当時(56)=が死亡、43人が一酸化炭素中毒などで重軽症を負った。(京都新聞 夕刊)
■生駒トンネル火災事故 電気業者に逆転有罪 大阪高裁「火災予見できた」
 死者1人と43人の負傷者を出した1987年9月の近鉄東大阪線生駒トンネル火災事故で、電力ケーブル接続工事の際にアース用銅板を取り付けなかったため出火を招いたとして業務上過失致死傷と業務上失火の罪に問われた大阪府摂津市の電気設備工事会社役員、中谷利雄被告(57)に対する控訴審判決が25日、大阪高裁であった。日比幹夫裁判長は「銅板を取り付けなかったことで火災が起きることは十分予見できた」と述べ、予見可能性を否定して無罪を言い渡した一審判決を破棄し、禁固2年6月執行猶予5年(求刑禁固3年)の逆転有罪判決を言い渡した。被告側は上告する方針。
 控訴審では、ケーブルに高電圧をかけることに伴って発生する微弱な電流を土中に逃すアース用銅板を取り付けなかったことにより、火災が発生することを中谷被告が予見できたかどうかが一審に続いて争点になった。
 判決によると、中谷被告は86年3月、東大阪線開通を前に生駒トンネルに設置された電力ケーブルの接続工事を請け負った際、接続器にアース用銅板を取り付けなかった。このため、87年9月21日午後4時過ぎ、接続器内部の過熱などによるケーブル火災を発生させ、トンネル内に停車した電車の乗客、乗員を死傷させた。
 判決はまず、アース用銅板を取り付ける目的について検討。ケーブル本体の発熱を防ぐためだったとする一審判決に対し、接続器に電流が流れて発熱することを防ぐ目的もあったとし、火災の原因は銅板の設置を怠ったために接続器の内部が発熱したからだとした。
 そのうえで、中谷被告は長年にわたる電気工事の経験から接続器の敷設などについての十分な知識や技術を身につけていたうえ、銅板を取り付けなかったことを兄に口止めしていたなどと指摘。「銅板を設置しないことで接続器が発熱し、やがて火災に至ることは十分に予見可能だったし、未必的にしろ予見していた」として過失責任を認めた。
 近鉄生駒トンネル火災事故 1987年9月21日午後4時過ぎ、近鉄東大阪線新石切−生駒駅間にある生駒トンネル(全長4737b)の中で火災が発生。全線が停電になり、走行中の大阪港発生駒行き普通電車(6両編成)がトンネル中央付近で停車した。約70人の乗客は運転士らの誘導で約30分後に歩いて避難坑に向かったが、途中で煙に巻かれ、乗客1人が呼吸不全で死亡、43人が一酸化炭素中毒などで重軽傷を負った。(朝日新聞 夕刊)
26日■京福など大詰め交渉
 私鉄関西地連に加盟する中小46組合の賃上げ交渉は、25日深夜までに山陽電鉄が6700円、阪急バスが5190円などの回答で10組合が妥結した。
 残る組合は交渉継続中で、そのうち京都バス、和歌山バスなど路線バスを持つ13組合と京福電鉄の計14組合は26日の始発からのストを背景に、大詰めの交渉を続けている。神戸高速鉄道など12組合は、26日に予定していたストを30日に延期した。(京都新聞)
■男性はねられ死亡 JR向日町駅
 25日午後5時47分ごろ、向日市寺戸町久々相のJR向日町駅でホームにいた茨木市内の男性(55)が通過中の東京行き貨物列車に接触、はね飛ばされて即死した。貨物列車が現場に約1時間停車したほか、後続の特急など列車10本に最大6分の遅れが出て通勤客ら約4500人の足に影響した。
 向日町署によると、男性はホームの防護さくを乗り越えて線路内に入ったという目撃情報もあり、自殺と事故の両面で原因を調べている。(京都新聞)
■電気会社役員が上告 生駒トンネル火災
 1987年9月に大阪府東大阪市の近鉄生駒トンネルであった火災事故で、業務上過失致死傷と業務上失火の罪に問われ、25日に大阪高裁で禁固2年6月執行猶予5年(求刑禁固3年)の逆転有罪判決を受けた大阪府摂津市の電気設備工事会社役員、中谷利雄被告(57)が同日午後、判決を不服として最高裁に上告した。中谷被告は起訴事実を否認、一審の大阪地裁は無罪だった。(朝日新聞)
■中小私鉄13社 ストの準備
 私鉄総連の統一闘争に参加した全国の傘下組合の賃上げ交渉は、25日午後9時現在、78組合が妥結、160組合で交渉が続いている。近畿では中小13社が26日にストライキを準備し、交渉中だ。(朝日新聞)
■山科区が唯一上昇 公示地価 地下鉄東西線開業で
 25日公表された京都府の公示地価(平均)は、1992年以降、7年連続の下落となったが、全体的には、下落率は縮小傾向をみせている。ただ京都市内は、地下鉄東西線の開業で山科区が唯一、上昇に転じた。商業地も下落率が縮小し、中でも園部以南の大阪圏での縮小ぶりが目立っている。
●住宅地
 京都市内の住宅地は、中京、東山区などで下落率が1%を切ったものの、北、上京区などは下落幅が広がり、中心五区の平均下落率は1.3%(前年1.1%)となった。
 前年、下落率が5%台だった右京、西京区は2%台と、落ちつきをみせている。地下鉄東西線の開業や、烏丸線の北伸で交通の利便性が増した山科区、伏見区、左京区など28地点では上昇した。
 大阪圏でみると、前年、下落率がトップだった向日市、3位の長岡京市、4位の大山崎町では下落率が1.3%−2.5%となり、上位から姿を消した。
 京都市以外で上昇したのは、東舞鶴駅の高架完成で、駅へのアクセスができた舞鶴市の1地点だけ。
 府土地対策課は「年間を通せば、下落率は縮小傾向にあるが、秋以降は、経済状況の見通し悪化で需要が伸びず、買い控えもあって、まだまだ下げ止まりとはいえない」としている。
●商業地
 全地点で下落が続いているが、下落幅は縮小しており、京都市内の平均も7.0%(同8.8%)と1ケタ台が続いている。
 府内で1平方bあたりの価格が16年間、連続トップの京都市下京区四条通寺町東入ルの地点は、18%の下落。
 前年に引き績き下落率でもトップだった。下落率の上位地点は、いずれも京都市内の高度商業地で、「テナントビルの需要や投資意欲の低迷に加え、京都駅ビルの開業で顧客の分散化が進んだのが影響した」(土地対策課)とみられる。
 府内の調査地点 都市計画区域内の12市15町の730地点(住宅地496、商業地117、工業地23など)を対象に、今年1月1日に実施した。(京都新聞)
■府内地価 目立つ商業地下落 東西線開通後 沿線宅地は値上がり
 25日に発表された国土庁の1998年の公示地価(1月1日現在)によると、府内の平均地価は都市部を中心に住宅地、商業地ともに下落傾向が続き、92年から7年連続で下がっている。下落率は縮小したものの、景気の低迷から昨秋からは再び下げ幅が拡大する傾向が強まっており、府土地対策課は「下げ止まり感はまだない」としている。京都市内では、昨年秋に開通した地下鉄東西線の沿線で住宅地が値上がり傾向を示し、京都駅ビルの影響で四条通など市中心部の商業地の下落が目立った。
 1平方bあたりの平均価格は、住宅地で23万3700円(前年23万6900円)、商業地は56万1700円(同61万5600円)。下落率は住宅地が1.2%(前年2.5%)、商業地で6.1%(前年7.9%)だった。
 値上がりしたのは、住宅地を中心に30地点。ほとんどが、地下鉄東西線沿線の山科区、伏見区と地下鉄烏丸線が延伸した左京区北部に集中している。舞鶴市内でも、JR東舞鶴駅の高架に伴い値上がりした住宅地がある。昨年春、市に昇格した京田辺市では住宅地、商業地ともに上昇した地点はなかった。
 商業地は軒並み下落傾向が続く。大阪圏で最大の下げ幅(18.0%)を記録した下京区四条通、富士銀行河原町支店周辺をはじめ、四条通周辺の商業地での値下がりが目立つ。府土地対策課は「京都駅ビルの開業で四条通の集客能力が分散し、景気低迷の追い打ちでテナントビルの需要が落ち込んでいるため」と分析している。
 京都市内のある不動産業者は「地下鉄効果は確かにあるが、景気の低迷で不動産の動き全体が悪くなっており、住宅地の動きが活発になったとはいえない。商業地については、企業や商店の投資意欲が冷え込んでおり、実際の取引では公示地価以上に値下がり感が強い」と話している。
 今回の調査対象は、都市計画区域を定める12市15町の730地点。昨年より2地点増え、選定替えは5地点だった。(朝日新聞)
■京福などスト回避
 私鉄関西地連(野村恭三委員長)に加盟する中小46組合の賃上げ交渉は、26日早朝までに26組合が妥結、ストを中止した。路線バスを持つ金剛自動車(大阪)だけが始発からストに突入したが、午前6時に中止され、交渉を再開することになった。京都関係では、京都バス、京福電気鉄道は妥結してストを中止。京阪宇治は交渉が続いているが、ストは回避した。
 神戸高速鉄道など15組合はストを30日に延期することを決めており、あらためて交渉に臨む。南海観光など観光バスの4組合は、ストを構えずに交渉を続ける。(京都新聞 夕刊)
■金剛自動車が一時スト突入 中小私鉄・バス春闘
 ストライキを構えて賃上げ交渉をしていた私鉄労組関西地連加盟の中小私鉄とバスの労働組合の春闘は、金剛自動車(大阪府富田林市)1社が26日の始発から路線バスのストに突入したが、労組側が約20分間で回避した。近畿運輸局によると、午前5時、6時台の計14本が運休した。
 私鉄総連によると、26日午前11時現在、ストが続いているのは東急、立川、西東京、小田急、阪東、サンデン交通、船木鉄道、岡山電軌、備北、宇野の各バス路線。(朝日新聞 夕刊)
27日■窓 郷土の新装駅 交流の場に 彦根市・小林 幸夫(無職・64)
 父が長く国鉄に勤めていた関係からか、私は駅が好きだ。海外に行っても、できる限り駅に行くことにしている。17年前、初めてヨーロッパに旅した時も、ライプチヒで朝早く起き、旅が始まる前に、駅の写真を撮り、花売りのおばさんから買った花を戦争犠牲者の碑にささげたことが、いまだに思い出される。
 昨年行ったミャンマーのヤンゴンでも見学の時間が余ったので、と希望を聞かれ、強く要望して中央駅に寄ってもらった。駅らしくない立派な建物だった。ポルトガルのコインブラでも自由散策の時間に小さい駅に行き、現地の若夫婦にシャッターを押してもらった。玉を持った像の立つヘルシンキ駅は有名で、観光ポイントだ。
 郷土のJR河頼駅が改築され、さる14日が新装オープンだった。高校に通っていたころ、農協の倉庫しかなかった駅前も二つの高校ができ、その高校のブラスバンドが演奏を披露した。聴いていて何とも言えぬ喜びで感無量だった。
 昔と違いエスカレーター2基、エレベーター4基もある駅だが、階段も美しい。私は、なるべく階段を利用して歩きたい。古い陸橋は「鉄道院」のプレートがはまっていて懐かしい。駅であいさつを交わす、地域の人の交流の場であってほしいと願っている。(京都新聞)
28日■生まれ変わったJR花園駅前広場 名勝や史跡にも調和 テープカットで市民ら完成祝う
 JR山陰線連続立体交差化事業の一環として、市が整備を進めてきた、右京区花園寺ノ内町のJR花園駅前広場がこのほど完成。コブシやシラカシの木などが植えられ、美しく生まれ変わった広場で27日、関係者や地元住民らがしゅん工式を催し、オープンを祝った。
 駅前広場はJR山陰線の高架化に伴って生じた鉄道敷地跡を利用して、市が2年前から整備が進めてきた。総事業費は約19億円。
 丸太町通と同駅の間の敷地2600平方bには、シラカシやイチョウなど約60本が植えられたほか、モザイク状に石を敷きつめた舗装やベンチ九基も設置。近くの双ケ丘や妙心寺などの名勝、史跡に調和した広場になった。
 この日の式典には、桝本頼兼市長ら関係者約40人が出席。地元の双ケ丘保育園児らとともに、テープカットし、完成を喜んだ。(京都新聞)
■電車にはねられ即死 宇治の近鉄京都線
 27日午後11時10分ごろ、宇治市小倉町春日森の近鉄京都線で、男性が京都発西大寺行き下り普通電車にはねられ、全身を強く打ち即死した。乗客にけがはなかった。
 宇治署の調べによると、城陽市の無職の男性(21)で、母親と一緒に歩いている途中に、急に線路内に飛び込んだという。
 同電車は現場に約10分間停止し、後続の電車1本が約5分遅れた。(京都新聞)
■男性飛び込み自殺? 阪急京都線
 27日午後4時ごろ、大阪市東淀川区相川の阪急京都線相川駅で、梅田発河原町行き急行電車がホーム中央付近から線路に飛び込んだ男性をはねた。男性は即死した。
 東淀川署の調べでは、吹田市に住む私立大学生(23)。今春卒業したばかりで、就職先も決まっていたという。同署は自殺の可能性が高いとみて家族から詳しい事情を聴いている。
 この電車が現場に約5分間停車したのをはじめ、上り7本が約10分から3分遅れ、約3400人に影響が出た。(京都新聞)
■京都駅ビルに遅ればせながら… 新幹線コンコースも新感覚に JR東海今秋から 30億円かけ改装へ
 JR東海は新年度から、新幹線京都駅(京都市下京区)の2階コンコースの全面リニューアルに取り組む。1998年度の事業計画に、関連予算を盛り込み、このほど運輸省に申請した。JR西日本の改築によって超近代的な姿に生まれ変わり、大きな反響を呼んでいる京都駅の中で、旧来のまま残っている新幹線の玄関口が、来年末までには、明るく快適な空間に一新されることになった。
 新幹線京都駅は1964年の開通時、在来線の南側に併設された。当時は、「夢の超特急」といわれた新幹線車両にマッチした近代的な施設を誇っていたが、開業後、30年以上経過し、茶色系の床などのデザインが古い印象を与えている。
 11年前の民営化後、新幹線京都駅を受け継いだJR東海は、これまでに八条口側の1階部分を手直しするなどしてきたが、JR西日本の駅改築や、人気の新型新幹線車両「500系のぞみ」の乗り入れを機に、2階コンコースを全面的に改装することを決めた。
 リニューアルの対象となるのは、延べ床面積約3000平方bのコンコース全域。「明るい快適旅空間」をテーマに、天井と床、空調設備の改良、エスカレーターの3基増設に加え、乗客がくつろげる「待合スペース」を充実し、土産店など関連事業店舗も一新する。
 新年度から具体的なデザインを詰め、今年秋には工事に着手。総工費約30億円かけて、来年12月末の完成を目指す。JR東海は「新幹線旅客の古都の玄関口にふさわしい明るくフレッシュな新幹線京都駅に仕上げたい」としている。(京都新聞)
■JR四国社長 梅原氏が昇格
 JR四国は伊東弘敦社長の代表権のある会長就任と、梅原利之専務が社長に昇格する人事を固めた。6月の株主総会後の取締役会で正式決定する。伊東社長は、JR7社の中で、1987年の分割民営化時から社長を務める最後の社長。
 伊東社長と同じ旧国鉄技術畑出身の梅原氏は96年6月に伊東社長の後継含みで、JR西日本常務から代表権のある専務として迎え入れられていた。
 梅原利之氏(うめはら・としゆき)京大卒、61年国鉄に入り、87年からJR西日本取締役、常務を経て、96年6月からJR四国専務。59歳。(朝日新聞)
■JR四国の社長に梅原氏 かじ取り難しい3架橋時代
 伊東弘敦社長の後任に梅原利之専務が昇格する社長人事を固めたJR四国は、JR7社の中でもっとも厳しい波にさらされているといっていい。明石海峡大橋などの開通による「本四3架橋時代」の到来で、ドル箱路線に育った瀬戸大橋線の乗客減が必至なうえ、今後、四国の高速道路網の整備が進めば、乗用車・バスとの競合がいま以上に強まるからだ。梅原氏は、基盤の弱いJR四国の経営体質強化に、難しいかじとりを求められそうだ。
 同社は幹線に新型車両を投入するなどしてスピードアップに努めてきたが、需要喚起になかなかつながらず、費用対効果からみてもこうした投資は、限界に近づいている。今後は鉄道事業で、収支改善の見込みが立たない線区での「退出」をいかに進めるかも、射程に入ろう。
 関連事業の育成・強化が急務で、梅原氏は会長になる伊東氏と二人三脚で取り組むことになる。(朝日新聞)
■ズーム遊ぶ 一度だけ出会う夕べ
 ○…新幹線の最新型500系のぞみがJR京都駅で「こんにちは−」。ダークグレーにブルーのラインが鮮やかな流線型の車体に、ホームの乗客や観光客らの視線が集中。京都駅では上り下りを合わせて一日に一度だけ500系が出合う。
 ○…昨年11月にJR西日本の500系が東海道新幹線に乗り入れ、京都駅でも話題になったが、ホームでの対面は途中停車駅では唯一、京都駅でしか見られない。14日からの春のダイヤ改正で、東京−博多間を運行するのが1日3往復から5往復に増えたためだ。
 ○…午後6時9分、精かんな顔立ちが上りホームに滑り込み、1分後に下りが停車。記念写真を撮ろうと、あちらこちらでカメラのフラッシュが光る。JR西日本によると「この春休み、やはり500系のぞみに予約が殺到しています」。「500系でどこかに連れて行ってよ!」と子供たちからせがまれるお父さんやお母さんも少なくはないのでは…。(京都新聞 夕刊)
29日■しゃれた外観 トイレが誕生 JR宇治駅前
 宇治市宇治文字のJR宇治駅前に市が建設していた公衆便所が完成、28日から利用できるようになった。
 鉄骨造り平屋建て約17平方bで、れんが張りのしゃれた外観。男女別のトイレと身障者用トイレがある。建設費は2877万円。観光宇治の表玄関なのに、これまでは駅構内のトイレしかなかった。駅員に頼んで使わせてもらう人が1日200人ぐらいいたといい、観光客らから苦情が出ていた。(朝日新聞)
30日■信号機用ケーブル切られる 城陽の奈良線
 29日午前3時10分ごろ、JR西日本天王寺指令所(大阪市阿倍野区)の運行表示画面が、奈良線城陽駅付近で異常を表示した。職員が出て調べたところ、城陽市久世芝ケ原、JR奈良線平川第一踏切付近の場内信号機の信号用ケーブルが切断されていることが分かり、城陽署に届けた。
 同署の調べでは、信号用ケーブルは線路沿いのコンクリートの溝に16本敷かれており、うち列車の位置を感知する回線と、ATS(列車自動停止装置)用配線が、それぞれ2本ずつ切断されていた。切り口にニッパーのようなもので切断された跡があり、器物損壊などの疑いで捜査している。
 同線は、復旧作業のため始発の京都行き普通電車が32分遅れたのをはじめ、京都行き、奈良行き各1本を運休、約100人の足が乱れた。(京都新聞)
■列車にはねられ死亡 大山崎のJR踏切
 30日午後11時25分ごろ、京都府乙訓郡大山崎町鹿光、JR東海道線の宝寺踏切で、宇都宮ターミナル行きの貨物列車に男性がはねられ、全身を強く打ち死亡した。貨物列車は現場に24分間停車し、後続の上りの特急「はるか」が28分遅れた。
 向日町署の調べでは、男性は60歳ぐらいで、身元の確認を急いでいる。(京都新聞)
■信号用回線切られる JR奈良線 城陽駅そば 列車2本が運休
 29日午前5時20分ごろ、JR西日本から「JR奈良線の城陽駅付近で信号ケーブルが切られた」と、京都府警鉄道警察隊に通報があった。城陽署員が調べたところ、線路沿いの信号ケーブル16本のうち3本が刃物のようなもので切断されていた。同署は悪質ないたずらとみて器物毀棄(きき)容疑で捜査している。
 調べでは、午前3時10分ごろ、JR西日本の天王寺指令所(大阪市阿倍野区)の運行表示盤で異変がわかった。
 係員が調べたところ、城陽駅の北約500bの線路沿いで、信号ケーブルが入っているコンクリート製の溝のふたが開けられ、中の信号ケーブル(直経約2a)3本が切断されていた。JR西日本はケーブルを接続し直し、奈良線は午前5時45分に運転を再開した。
 この影響で、上り始発列車がJR長池駅に約32分間停車し、上下各1本の普通列車が運休した。(朝日新聞)
■踏切内で車脱輪 乗客1000人に影響 阪急京都線
 30日午後11時10分ごろ、京都市右京区西院太田町、阪急京都線の踏切内で、同区の染色業の男性(51)の乗用車が脱輪して止まった。
 この影響で、阪急京都線の上下線計3本が5−13分遅れ、約1000人に影響が出た。
 桂署の調べによると、男性は「左折して踏切に入り渡ろうとしたが、曲がり切れなかった」と話している、という。(京都新聞)
■電車にはねられ死亡 城陽・線路に倒れ込む
 31日午前5時50分ごろ、城陽市枇杷庄島ノ宮の近鉄京都線富野荘駅南約400bの地点で、女性が西大寺行普通電車にはねられ死亡した。
 城陽署によると、女性が東側から線路上に倒れ込むように横たわるのを約80b手前で運転士が目撃、急ブレーキをかけたが間に合わなかったという。女性は身長155a、白髪まじりで黒色のセーター、ズボン姿だった。同署は身元を調べている。(京都新聞 夕刊)
■死亡男性の身元判明
 30日夜に京都府乙訓郡大山崎町大山崎高橋、JR東海道線の高橋川踏切付近で貨物列車にはねられ死亡した男性は、31日、所持していた免許証などから、長岡京市に住む自営業者(51)と分かった。向日町署の調べによると、免許証入れに遺書が残されており、自殺と見ている。(京都新聞 夕刊)
■びわ湖長浜ツーデーマーチ 参加者募集
 湖北の豊かな歴史と自然にふれながら歩く「第6回びわ湖長浜ツーデーマーチ」の参加者を募集しています。今年は往路にSL「北びわこ号」を利用するSLコースもできました。4月20日までに申し込むとガイドブックの参加者名簿に氏名が掲載されます。
 ◇とき・コース(距離) 5月9日(土)=奥びわ湖ハイキング(40`)、SL賤ケ岳(25`)、姉川(25`)、北まわり楽らく(15`)▽10日(日)=ヤマトタケル百名山(40`)、さかさ伊吹三島池(25`)、南まわり楽らく(15`)
 ◇集合・受け付け SLコースはJR長浜駅前、それ以外は長浜城横の豊公園(JR長浜駅から徒歩8分)
 ◇スタート時間 40`=午前7時30分▽25`=同9時▽15`=同9時30分(受け付け開始はいずれも1時間前から)
 ◇参加費 一般1500円、中学生以下500円(ゼッケン、大会誌、傷害保険料などを含む)。SLコースは750円(乗車券、指定券)が別途必要で、定員344人、先着順
 ◇申し込み 4月20日までに申込書に必要事項を記入して、郵便局で振り込んで下さい。問い合わせ、申込書の請求は〒526・0831 長浜市宮司町1200、長浜文化スポーツ振興事業団内、びわ湖長浜ツーデーマーチ実行委員会事務局(0749・62・3095)へ
 主催 長浜市、同市教委、長浜文化スポーツ振興事業団、日本歩け歩け協会、滋賀県歩け歩け協会、朝日新聞社
 後援 滋賀県、同県教委、同県スポーツ振興事業団ほか(朝日新聞 夕刊)
31日■近鉄に弱冷車 今夏登場、2度高く
 近鉄は、今年の車内冷房の開始時期から、通常より設定温度の高い「弱冷車」を京都線など主要路線に初めて導入する。
 全冷房車の13%に当たる200両で、通常より2度高い28度に温度を設定、車両の窓ガラスにシールで「弱冷車」と表示する。車内冷房の開始時期は例年、5月になる。
 昨年のモニター調査で女性や高齢者から「冷房が強すぎる」という声が多く寄せられたため、弱冷車を導入することにした。(京都新聞)
■光台−祝園駅が便利に 奈良交通ダイヤ改正で増便
 奈良交通は30日、改正ダイヤによるバス運行をスタ−トした。祝園駅と関西文化学術研究都市の光台ニュータウン(相楽郡精華町)を結ぶ光台住宅線の便を大幅に増やしたもので、運行経路の見直しによる時間短縮や大型車両の導入で、「陸の狐島」といわれてきた学研都市の中核地の利便性向上を図った。
 光台住宅線はこれまで4系統あったが、運行本数は1日に46便と少なかった。特に昼間は、1時間に1、2便程度で、同地区の住民、研究所からも増便の要望が高かった。
 今回のダイヤ改正は、NTT京阪奈ビル(従業員約1000人)開設による同地区への通勤者増に対応した。従来より17便多い7系統63便を運行、加えてNTT行き急行(朝夕を中心に18便)を新設した。
 また、運行コースも、狭い府道生駒精華線からアクセス道部分供用の始まった精華大通と府道八幡木津線間のアクセス道(1.2`)に変更。これにより光台循環便では、走行距離で約1`、時間で6分短縮した。
 さらに、車両の大きさを定員60人台から80人台にアップ。同社は「1日の平均乗降客数は、倍増の1800人を見込んでいる。これで祝園駅も活気づくのでは」と期待している。(京都新聞)
■八日市と近江八幡ノンストップで結ぶ 近江鉄道に快速電車
 近江鉄道の八日市駅と近江八幡駅間9.3`をノンストップで走る初お目見えの快速電車の出発式が30日午前10時半から、八日市駅で行われた。
 式は、同鉄道や八日市市などの関係者が出席し行われ、テープカットや通学で利用する高絞生から運転手に花束が手渡された。午前11時7分に利用者ら約40人を乗せ、第3号の快速電車が出発。鉄道ファンらがカメラを構える近江八幡駅へ向かった。
 快速電車の登場は、ダイヤ改正の一環。同区間を従来より4分短い12分で走り、平日に11本運行する。(京都新聞)
■踏切で叡電とタクシー衝突 左京、1人けが
 30日午後7時50分ごろ、京都市左京区田中大久保町、叡山電鉄叡山線の元田中二号踏切(遮断機、警報機付き)で、出町柳行き電車が、線路内で立ち往生していた伏見区深草瀬田町の京阪タクシー=田嶋忠夫運転手(46)=に衝突した。田嶋運転手は頭を打ち軽傷。電車には乗客6人がいたがけがはなかった。電車は現場で約40分間停車し、後続の約20本の電車に影響が出た。
 現場の踏切は叡山電車の茶山駅から南約100bで、下鴨署で事故の原因を調べている。(京都新聞)
■窓 親切と安全が市バスの基本 右京区・木村 晃之(店員・32)
 京都市職員の不正のニュースが多い中、23日付朝刊には久々に交通局職員の機転の利いた対応でスリが現行犯逮捕された、とあり、うれしく思いました。確かに市バスとしての運行上、条規を外していたかも知れませんが、市民の生活の足として安全で平和であるのが第一です。その安全を守った運転手さんは、昨今の、とかく話題になる市バス運転手の横柄な態度と、かけ離れた親切な運転手さんのように思われます。
 このような安全な市バスなら、もっと利用しようか、と思うのは私だけでしょうか? 市民の市バス離れは何も運行本数が少ないとかの問題ではなく、本当は親切で安全でないからではないでしょうか。客が降りる時、民間バスなら「ありがとうございます」が当たり前です。市バスは無愛想で乗せてやっている、という態度がありあり、とみえるのです。
 市バスは毎日、多額の赤字を出し続けているのは、このような安全がないからではないでしょうか。本来の市民の足にするには、もしかしたら、そんなところにヒントが隠されているように思います。とにかく今回の機転の利いた運転手さんには脱帽です。(京都新聞)
■信号操作誤る 新快速急停止 JR大阪駅
 30日午後6時59分ごろ、大阪市北区のJR大阪駅で、姫路発長浜行き上り新快速(8両編成)がホーム手前約400bで急停止し、約10分間その場で停車した。JR西日本によると、到着予定とは別のホームに進入するよう誤った指示が出ているのを運転士が気付き、あわてて急ブレーキをかけたためで、駅構内の信号取扱所の担当者が到着番線を間違って作動させたのが原因とわかった。このトラブルで、後続の快速電車を含む2本が最大12分遅れ、計約1500人に影響が出た。(朝日新聞)