1997(平成9)年12月


1日■JR大月駅列車衝突事故 回送列車運転士を逮捕 業務上過失致傷など容疑 ATS解除し発車(京都)
  ■新三田行き快速が停止 JR福知山線(朝日)
  ■回送列車の運転士逮捕へ JR大月駅衝突事故(朝日)
2日■旧国鉄債務処理 一般会計に継承 60年間で返済 座長最終案 総合交通税見送り(京都)
  ■バイクの男性重体 中京、京福電車と衝突(京都)
  ■窓 車と縁切って繁華街再生を 下京区・清水 章(自営業・50)(京都)
  ■整備新幹線 九州(船小屋−新八代)・東北(八戸−新青森)着工へ 今年度北陸(長野−上越)は検討へ(朝日)
  ■運転士を逮捕 JR大月駅事故(朝日)
  ■声 大渋滞の京で運転手の機転 寝屋川市 河島 正好(会社員 60歳)(朝日)
  ■重体の男性が死亡 京福電車と衝突(京都)
  ■サリン2事件 被害者縮小を請求 地下鉄14人・松本4人(朝日)
3日■たばこ税上げ検討 1本当たり1円 旧国鉄債務に活用(京都)
  ■松本・地下鉄 サリン事件 被害者、18人に絞る 殺人未遂の訴因変更 裁判迅速化へ検察(京都)
  ■モノわかりのいい話 長野新幹線「倍速」表示は適切か? 『79分』上下48本の1本 「まぎらわしい」の声も(朝日)
  ■旧国鉄・林野債務 一般会計で処理 財政改革会議委了承 32兆近く国民負担(京都)
4日■天下茶屋駅高架下 直営ショップ建設へ 南海 来年7月オープン(京都)
  ■梅田−徳島3時間で 南海がバス直行便 明石大橋開通で路線再編(京都)
  ■回送列車の運転士を釈放 JR大月駅衝突事故(京都)
  ■旧国鉄・林野債務処理策 国民負担論議の外 族議員・官僚の思惑先行(朝日)
  ■JR負担・農水予算削減 債務処理の焦点に(朝日)
  ■KTR 10日から初詣記念乗車券を発売 福知山・宮津・西舞鶴の3駅 絵馬型と知恵の輪型の2種(朝日)
  ■太陽光発電 駅舎で世界最大 年にCO2 62d削減(京都)
  ■洛中洛外(京都)
5日■JR株価は様子見気分 旧国鉄債務追加負担(朝日)
  ■負担に協力 JRに要請 運輸事務次官(朝日)
  ■声 孫と味わった因美線の風物 神戸市 野田 暁子(主婦 67歳)(朝日)
  ■関西現代焼 地下鉄の「気象観測」(朝日)
6日■京阪奈新線の2期工事 着工2014年ごろに 近鉄社長見通し示す(京都)
  ■窓 もったいないキラキラ電飾 右京区・藤井 京子(自由業・41)(京都)
  ■社説 国鉄債務の返済案を練り直せ(朝日)
  ■声 駅の顔消えて悲しく不安に 池田市 山村 道子(主婦 39歳)(朝日)
  ■ズーム遊 幻想美、人も影絵に(京都)
9日■初詣乗車券 発売スタート 石山坂本線で京阪電鉄(京都)
10日■JR東海道線 新快速8本が運休 加古川 踏切で接触事故(京都)
  ■窓 JRの車内 適切な暖房を 宇治市・大久保数万(無職・60)(京都)
  ■声 礼儀知らずな列車の旅行者 岐阜県 吉田 真理子(高校生 17歳)(朝日)
  ■新快速の600人缶詰め 車と衝突、2駅4時間 加古川・JR線(朝日)
  ■93年のニュートラム事故 運行管理の4人不起訴へ 大阪地検(朝日)
  ■元市幹部ら不起訴 大阪のニュートラム事故 「原因判明せず」 地検方針(京都)
11日■JR拒否なら法律改正も 旧国鉄債務で政府与党(京都)
  ■大阪市4幹部不起訴処分に ニュートラム暴走事故(朝日)
12日■バス1日乗車券 あすから発売 京阪宇治交通(京都)
  ■出た!世界最速530キロ JR・リニア 18年ぶり更新 有人でも挑む(京都)
  ■縮小バス路線見直しを決議を可決し京都市会閉会 幹部不祥事でも(京都)
  ■リニア世界新521`(朝日)
13日■有人走行でも531` JR・リニア、世界最高(京都)
  ■JR四日市駅で貨物列車が脱線 関西線、2時間半不通(京都)
  ■年末年始のJR 予約率は36% 西日本 帰省ピーク30日(京都)
  ■旧国鉄債務追加負担 JR7社長に運輸相が要請(朝日)
  ■LRT走る街づくりを 次世代の路面電車 欧州の研究者招きシンポ 便利で環境にやさしい 車減らして基幹交通に(朝日)
  ■近いぞ南港 でも運賃高く乗り継ぎ不便 18日、連絡線が開通、中心部と直結 累積赤字で市営にできず 早期開業へ3セク活用(朝日)
14日■阪堺線踏切上の乗用車内 男性殺される 大阪(京都)
  ■市バス再生 切実な声 京で公共交通シンポ 路線再編で苦情も(京都)
  ■声 携帯が使える車両もあれば 大宮市 寺崎 尚樹(会社員 28歳)(朝日)
16日■宝塚歌劇の事業部を新設 阪急電鉄(京都)
  ■新聞不買運動打ち切り発表 廃線論でJR西労組(京都)
  ■脱線事故の長野電鉄監査 運輸省(京都)
  ■今年も入学祈願の入場券発売 南海電鉄 高野線の学文路駅(朝日)
  ■日本海新聞不買運動 JR西労組が年内収束決定(朝日)
17日■たばこ特別税 業界強く反発(朝日)
  ■事故原因は特定できず 大阪市のニュートラム(朝日)
  ■つめて座ってね 奥の手シート JR西日本 2000年度導入 「マナーに頼ってられない」(朝日)
  ■臨海部に直結「南湊・港区連絡線」 あす開業(朝日)
  ■広告特集 あす12月18日(木)正午 OTSテクノポート線・OTSニュートラムテクノポート線 営業スタート トンネルを抜けるとホームに魚たちが舞う(朝日)
18日■新規着工分は30億円に抑制 整備新幹線本年度予算(京都)
  ■旧国鉄の累積債務 JRに負担強制へ 財政改革会議方針(朝日)
  ■OTS線が開業 大阪ベイエリア(京都)
  ■オフィス需要低迷、企業撤退続く中 新都心への夢 咲かせるか 南港へOTS線開通(朝日)
  ■整備新幹線新規着工 予算、30儀円に減額 区間の決定は来年に(朝日)
19日■ボンネットバスさよなら 長浜、28日限りで(京都)
  ■地下鉄を2時間延長 京都市交通局、大みそか−元日 バスは3系統臨時運行(京都)
  ■窓 駅ビルにある新鮮な開放感 下京区・伊東 照美(無職・47)(京都)
  ■「路面電車で京都再生を」 広原・府立大学長が提言 低騒音で排ガス出さず 高齢者も楽に乗降可能(朝日)
  ■青鉛筆(朝日)
20日■社説 無責任な旧国鉄債務の処理策(京都)
  ■「負担強制は憲法違反」 旧国鉄債務処理でJR西日本社長(京都)
  ■JR奈良線複線化来春着工へ 宇治市が表明(京都)
  ■JR西日本が来春ダイヤ改正 500系のぞみ増便 明石大橋開通 舞子駅に快速停車(京都)
  ■「天橋立冬景色」号 あす発車(京都)
  ■旧国鉄債務処理 同意なき法改正違憲 JR西日本社長(朝日)
  ■新幹線 脱線防止に装置 事故教訓にJR西日本 あすから使用開始(朝日)
  ■500系のぞみ 東京−博多1日5往復 3月のダイヤ改定(朝日)
  ■JRにひかれ?死亡 能登川の線路に遺体(京都)
21日■新幹線から飛び降り 名古屋で男性 乗務員室窓開け、即死 痴漢で調べ中(京都)
  ■窓 京の市バスは全線民営化を 久御山町・西村 忠章(高校生・17)(京都)
  ■整備新幹線 既着工区間10%増(朝日)
  ■声 JRの回数券 区間制採用を 高槻市 野村 明信(地方公務員 46歳)(朝日)
  ■新幹線から飛び降り死 名古屋駅近く 痴漢と訴えられた男性(朝日)
22日■'97心に残る風景 A 路面電車 京津間走り続け85年(京都)
  ■旧国鉄債務 20歳、73万円を負担 富士総研試算 60歳は21万円(朝日)
23日■特急に男性飛び込む 右京・JR山陰線(京都)
  ■京都市バス 発進時に転倒 83歳重症 「報告基準外の全治4週間」 公表せず(京都)
  ■JR須磨駅ホーム 転落、救助中に電車 2人死亡 忘年会帰り男性ら(京都)
  ■'97 心に残る風景 A ”京の玄関”役割全う(京都)
24日■地下鉄東西線 醍醐−六地蔵「延伸」決まる 2.4`、予算が復活 京都南部 新交通網を形成 2004年度完成めざす(京都)
  ■地下鉄東西線延伸決定 府南部の発展へ期待 喜ぶ関係者 「彼岸実った」(京都)
  ■学研への鉄道アクセス 京阪奈新線もゴー 生駒−登美ケ丘 99年度に着工(京都)
  ■窓 優先席の表示廃止に不安… 北区・宮本 一子(無職・78)(京都)
  ■京都の地下鉄、宇治へ 東西線延伸六地蔵 99年度内にも着工(朝日)
  ■京阪奈新線に建設事業費(朝日)
  ■Xマス商戦ピーク イベント競うJR京都駅ビル、御池通地下街… 先行き不透明で財布のひも固め(朝日)
  ■550` リニア最速また更新! 夢の500`営業へ条件クリア(京都)
25日■地下鉄東西線延伸に5000万円 京阪奈新線1期工事7400万円 事業予算 京滋はぼ要望通り(京都)
  ■明石大橋利用バス事業許可 10社が運賃認可申請(京都)
  ■'97 心に残る風景C 御池通 変ぼう 地下も地上も(京都)
  ■窓 生き方教えてくれた京都駅 舞鶴市・堀田 克治(農業・66)(京都)
  ■整備新幹線各区間の来年度事業配分決定(朝日)
  ■地下鉄サリン民事和解 全原告と教団きょうにも 賠償額9億6000万円 遠い被害者救済(朝日)
  ■地下鉄サリン被害者と和解 賠償額上積み(京都)
  ■民事訴訟で和解が成立 地下鉄サリン事件(朝日)
26日■帰省渋滞ピークは新年3・4日(朝日)
  ■高額オレンジカード 来月21日から交換(朝日)
  ■朝の東海道線ダイヤ遅れる 瀬田駅で女性転落(京都)
  ■路線バスの10社に免許(朝日)
27日■新線建設 三セクに期待 「京阪奈新線」着工へ(朝日)
  ■帰省ゆったり 分散化に 不景気も(京都)
  ■帰省ラッシュ本格化 海外脱出ピークに(朝日)
28日■'97心に残る風景F バス路線 地下鉄整備の陰で…(京都)
  ■東方探見 トライあんぐる(京都)
29日■京都−倉吉特急 「スーパーはくと」 利用客200万人達成(京都)
  ■電車の座席 赤ちゃん独り 捨て子?病院へ 神戸のJR山陽線(朝日)
  ■京都市バスの一部 大みそか終夜運転 地下鉄も時間延長(朝日)
  ■年末大移動 分散型で混雑和らぐ 鉄道や高速道路 ピークは30日ごろ(朝日)
  ■電車に乳児置き去り(京都)
30日■特急にはねられ死亡 阪急・東向日の踏切(京都)
31日■'97心に残る風景I シンボル 見慣れれば京都の顔に?(京都)
  ■「スーパーくろしお」乗車率160% 帰省ピーク(朝日)



1日■JR大月駅列車衝突事故 回送列車運転士を逮捕 業務上過失致傷など容疑 ATS解除し発車
 JR中央線の大月駅(山梨県大月市)で10月12日、特急「スーパーあずさ」に回送列車が衝突した事故で、山梨県警事故捜査本部は当時の回送列車の善家敦志運転士(24)を列車自動停止装置(ATS)を解除した上、信号無視して発車させたとの疑いで1日、業務上過失致傷と業務上過失往来危険容疑で逮捕した。
 同本部では、事故直後から信号やポイント、ATSの作動状況などを鑑定したほか、同運転士が勤務するJR東日本三鷹電車区事務所などから運行記録などの任意提出を受け、事故原因について調査。その結果、当時の車両にはATS、ブレーキ系統などに故障がなく、信号やポイントも正常だったとの結論を出した。
 またこの運転士が事情聴取で「信号を隣りのあずさのものと見間違えた」などと話していることから、ATSの作動状況を記録した装置を解析した結果、事故当時ATSが働いた形跡がないことが判明。ATS解除と信号誤認という二重のミスが事故を招いたとしている。同本部によると、この事故では62人が負傷している。(京都新聞 夕刊)
■新三田行き快速が停止 JR福知山線
 1日午前8時50分ごろ、兵庫県三田市福島のJR福知山線新三田駅で、入駅しようとした木津発新三田行き快速電車(7両編成、乗客約100人)の自動列車停止装置が作動し、急停車した。JR西日本によると、駅手前の場内信号機が赤なのに進行したためらしい。快速電車は駅員の誘導で20分遅れでホームに到着、折り返しとなる新三田発の快速電車一本が運休したほか、上下8本に24分の遅れが出た。(朝日新聞 夕刊)
■回送列車の運転士逮捕へ JR大月駅衝突事故
 山梨県のJR中央線大月駅構内で10月12日、特急「スーパーあずさ」と回送列車が衝突し62人がけがをした事故で、同県警事故捜査本部は回送列車の運転士(24)=東京・三鷹電車区所属=が停止信号を見誤ったうえ、自動列車停止装置(ATS)のスイッチを切っていたことが事故原因との見方を固め、1日午前、業務上過失傷害と業務上過失往来妨害の疑いで甲府地裁都留支部に逮捕状を請求、午後にも逮捕する。
 捜査本部は運転士がATSのスイッチを切った疑いが強く、人為的ミスが事故を引き起こしたと判断。証拠隠滅の恐れもあるとして強制捜査に踏み切る。(朝日新聞 夕刊)
2日■旧国鉄債務処理 一般会計に継承 60年間で返済 座長最終案 総合交通税見送り
 政府、与党の財政構造改革会議の企画委員会(座長・加藤紘一自民党幹事長)が検討している約28兆円の旧国鉄長期債務の座長最終案が1日、明らかになった。
 旧国鉄債務を国の債務と位置づけ、元本と利子を一般会計に継承させて60年間で返済する。債務のうち旧国鉄職員の年金負担部分3兆5000億円は日本鉄道建設公団が引き継ぎ、旧国鉄の土地やJR株式の売却収入、JR各社への追加負担などを充てるとの内容となっている。
 当初検討していた交通機関の利用者にかける総合交通利用税など新たな国民負担は見送る。
 運輸省は今年8月、来年度予算の概算要求で債務全体を特別会計に移管して50年で処理する方針を打ち出していた。しかし、総合交通利用税など新税の導入は困難と判断、一般会計で処理することとなった。
 同案は3日に開く企画委員会に提示、了承が得られれば来年度予算に反映させる。ただJR各社は追加負担を拒否しており、JR負担の調整はぎりぎりまで難航が予想される。
 企画委員会が試算した2003年度までの財源措置によると、返済財源としては土地や株式売却による自主財源のほか@郵便貯金特別会計から毎年2000億円、5年間で1兆円A運輸省予算の歳出削減で600億円BJRへの追加負担で年250億円C財政投融資資金の繰り上げ償還で約2800億円から600億円−などを挙げている。
 来年度は利払いと年金負担で1兆400億円の財源が必要と試算。これに対し、財投資金の繰り上げ償還で約2860億円、運輸省予算の削減で600億円、このほか自主財源や郵貯特別会計の活用などで計約1兆2000億円を確保するとしている。ただ財政構造改革が終了する2004年度以降は、財源が不足することも予想され、一般会計からの負担が増大することも考えられる。(京都新聞)
■バイクの男性重体 中京、京福電車と衝突
 1日午後10時20分ごろ、京都市中京区六角通西大路東入ルの京福電鉄嵐山線の踏切で、嵐山発四条大宮行きの上り電車(1両、山本高明運転士)に、同市右京区竜安寺五反田町、会社員大西洋さん(26)のバイクが衝突した。大西さんは意識不明の重体。乗客9人にけがはなかった。
 堀川署などによると、現場は遮断機のある踏切。電車は現場に約25分間停止し、後続の電車2本に遅れが出た。京福電鉄はすぐ東の西院駅から四条大宮まで臨時電車を運行した。同署が原因を調べている。(京都新聞)
■窓 車と縁切って繁華街再生を 下京区・清水 章(自営業・50)
 京都駅ビル効果で商店街の集客が減ったそうだ。四条河原町周辺はこの現象を一時的なものとタカをくくっているのかもしれないが、繁華街の興亡の歴史を思い起こせば四条河原町が不滅とは言えまい。将来を思えば根本的な発想転換の必要がある。それは、なによりも人を大切にすることだ。
 まず車と縁を切って、全体を巨大ショップと考え、歩いて楽しめる街にしてほしい。できれば、地下ホームから地上に直結するエスカレーターと、動く歩道はぜひほしい。新型の市電復活は賛成だが、この限定エリアにはむしろ不要だろう。搬入車両は時間制限とし、買い上げ商品の宅配システムを整備して、車の客は空港のように周辺の大駐車場で受けとれるようにする。
 マイカー観光を拒否しながら、車を走らせるために自転車を閉め出し、狭い歩道や地下道を歩かせ、角ごとの信号で人を止めるのは本末転倒だ。今や車の買い物客が上客とは限るまい。駐車券より京都市交通局のプリペイドカードの方が公共性が高くスマートではないか(サービス用500円を提案する)。われわれもマイカーで繁華街に乗りつける無神経を恥とする常識を養いたい。環境問題は文化問題でもある。(京都新聞)
■整備新幹線 九州(船小屋−新八代)・東北(八戸−新青森)着工へ 今年度北陸(長野−上越)は検討へ
 整備新幹線の新規着工3線3区間のうち、九州新幹線・鹿児島ルート(福岡県・船小屋−熊本県・新八代)と東北新幹線(青森県・八戸−新青森)が今年度中に着工されるのが確実な見通しとなった。1日に開かれた政府・与党整備新幹線検討委員会で、「(収支採算性など)基本条件が確認された新規着工区間については、着工を認める」方針が確認された。2区間の採算性は発表されていないが、これまでの予測需要や、運営主体になるJR各社が同意していることから、基本条件を満たすことは確実となった。
 残る北陸新幹線(長野−新渇県・上越)は、需要見通しが小さいことや、運営主体とされるJR東日本が今のところ同意していないことから、着工するかどうかは今後の検討にゆだねられる。
 船小屋−新八代は、運輸省の試算で、1日1`当たりの輸送量が1万5000人から1万6000人の需要があり、運営主体のJR九州は「大きな収支改善効果が見込める」として建設に同意している。また、八戸−新青森は需要が7500人から8000人で、JR東日本は、並行在来線の経営分離などを条件に同意、沿線自治体も前向きだ。
 今年度予算では、整備新幹線全体で、1735億円、うち新規着工区間分として100億円の予算が配分されている。長野−上越の着工の可否や、具体的な予算配分については、今月中旬までに検討委が結論を出す見通しだ。(朝日新聞)
■運転士を逮捕 JR大月駅事故
 山梨県のJR中央線大月駅構内で10月12日夜、特急「スーパーあずさ」と回送列車が衝突し乗客62人がけがをした事故で、同県警事故捜査本部は1日、東京・三鷹電車区所属の運転士、善家敦志容疑者(24)を業務上過失傷害と業務上過失往来妨害の疑いで逮捕した。
 調べでは、善家容疑者は12日午後8時2分ごろ、大月駅構内で入れ替え作業中に停止信号を見誤ったうえ、自動列車停止装置(ATS)を切って下り本線に入り、通過中の新宿発松本行きのスーパーあずさ(12両編成)と衝突し、あずさの5両を脱線させて乗客62人に6ヵ月から1週間のけがをさせた疑い。(朝日新聞)
■声 大渋滞の京で運転手の機転 寝屋川市 河島 正好(会社員 60歳)
 11月25日の「声」欄で「不愉快だった初の京都旅行」の投稿拝見。私はこれと対照的な京都市バスの運転手さんの事例を披露したい。
 勤労感謝の日、私は銀閣寺道から京都駅行きの市バスに乗った。連休中とあって、道路は大渋滞、しかも、車内は超満員。私の悪いイライラ癖がすぐ始まったが、当の運転手は私以上だったろうに、そんな気配も見せず、乗降客への応対は実に親切丁寧だった。
 車内は身動きもままならず、小銭がなけれはどうしても降車時に両替することになるが、運転手の対応は優しく、親切だ。一方、イライラ最高潮の私は「小銭を用意して乗るのが乗客のエチケット」と内心息巻くていたらく。
 ようやく平安神宮を過ぎ、三条通りを右折するや、運転手の「ここから京都駅までまだ1時間かかる。急ぎの向きは、ここで地下鉄に乗り換えた方が…」と、乗客の利便を考えた機転の利いた案内。私も早々に途中下車し、地下鉄に乗り換えた。
 思わぬ苦行の市バス乗車体験だったが、当日の運転手さんのお陰で、とてもさわやかな古都の一日を満喫出来た。(朝日新聞)
■重体の男性が死亡 京福電車と衝突
 京都市中京区の京福電鉄嵐山線の踏切で1日夜、バイクで電車と衝突して頭などを強く打ち意識不明の重体だった右京区竜安寺五反田町、会社員大西洋さん(26)は約4時間後の2日午前2時10分、収容先の病院で死亡した。(京都新聞 夕刊)
■サリン2事件 被害者縮小を請求 地下鉄14人・松本4人
 オウム真理教前代表の松本智津夫(麻原彰晃)被告(42)らが殺人と同未遂の罪に問われている地下鉄と松本両サリン事件の裁判で、東京地検は2日午前、殺人未遂行為による被害を立証する負傷者の数を計3938人から18人へと大幅に絞り込む訴因変更請求書を東京地裁に提出した。殺人未遂罪を適用して起訴された17人の被告全員が対象で、地下鉄サリン事件では3794人の負傷者を14人に、松本サリン事件では144人の負傷者を4人にそれぞれ縮小することを関係被告の審理を担当する10ヵ部に申し立てている。東京地裁の関係裁判部は近く、訴因変更決定をするとみられ、長期化が懸念されている一連のオウム裁判の審理期間は飛躍的に短縮される見通しとなった。
 検察側は、両サリン事件で負傷したことを最終的に立証する被害者の数と、訴因変更の措置を講じる被告の範囲について、1日まで東京高検や最高検などとの間で、ぎりぎりの調整を続けてきた。
 その過程で、各被告の量刑に影響しないことを前提に、可能な限り多くの起訴事実を撤回する方針で一致した。検察側が請求した書証の証拠採用に同意して審理が円滑に進んでいる被告が、結果的により多くの起訴事実で処罰される「不衡平」を招かないよう、殺人未遂罪に問われている17被告全員に一律適用することを決めた模様だ。
・「長期化回避へ最善の策」被害者ら4000人に手紙 訴因変更で地検
地下鉄、松本両サリン事件の起訴事実に含まれる死傷者の数
事件・被害の発生場所死亡者数負傷者数
【地下鉄サリン事件】 12/1現在訴因撤回残り
日比谷線 北千住発中日黒行き車内8247324703
日比谷線 中目黒発東武動物公園行き車内15325302
丸ノ内線 池袋発荻窪行き車内13573543
千代田線 我孫子発代々木上原行き車内22312292
丸ノ内線 荻窪発池袋行き車内02011974
123794378014
【松本サリン事件】   
長野県松本市北浦志1 丁目の住宅地71441404
【両事件合計】193938392018
 地下鉄、松本両サリン事件の被害者数絞り込みを決めた東窮地検は、被害者の心情に配慮し、こうした措置をとることにした理由を説明する「手紙」を、両事件の被害者と遺族を合わせた約4000人にあてて送ることにした。石川達紘検事正の名前で、2日、発送を始める。文面は、起訴事実から撤回されることになる被害者と、起訴事実に残して事件について証言してもらう被害者、犠牲者の遺族にあてて、3通りに書き分けられているという。
 手紙はB5判の紙にワープロで打たれている。「訴因撤回」の法的な意味などを説明したうえで、「裁判の長期化を回避するため、現在の法制度の下でとりうる最善の策をとった」などとして、被害者や遺族の理解を求めている。
 文面作成には、多くの検察幹部がかかわった。「こう説明した方がわかりやすいのではないか」「この用語はかみ砕いて表現した方がいいのでは」と、原案にあちこち手が加えられた。印刷や封筒に詰める作業には、検察事務官十数人が携わったという。(朝日新聞 夕刊)
3日■たばこ税上げ検討 1本当たり1円 旧国鉄債務に活用
 政府、与党は2日、旧国鉄と国有林野の累積債務の返済財源を確保するため、たばこ税を引き上げる方向で検討に入った。1本当たり1円上げる案が有力で、増収が見込まれる3000億円程度を全額国庫に納入する方向で調整する。
 3日に開く財政構造改革会議の企画委員会で取り上げる。ただ、債務返済と因果関係が薄い上、大衆増税となるため反発が予想され、調整は難航しそうだ。
 合意できれば1998年度税制改正に盛り込む。現在のたばこ税は地方税を合わせ1本当たり6.252円。
 国税分は3.126円で、1997年度で1兆620億円の税収を見込んでいる。(京都新聞)
■松本・地下鉄 サリン事件 被害者、18人に絞る 殺人未遂の訴因変更 裁判迅速化へ検察
 オウム真理教松本智津夫被告(42)=教祖名麻原彰晃=らの起訴事実のうち、地下鉄サリン事件で重軽症となった3794人の殺人未遂罪の訴因変更を検討していた東京地検は2日、被害者を14人に絞り、残る3780人分の訴因を撤回することを決め、東京地裁に請求した。同時に松本サリン事件の殺人未遂被害者についても144人から4人に変更した。
 裁判の長期化を避けるための判断で、両事件で起訴された全被告について訴因を撤回した。しかし、訴因を維持された被害者計18人のうち現在も重体や障害の残る重篤者3人以外は、加療期間が613日から36日と大きな差があり、基準の不明確さなどに批判の声が出ている。
 松本被告について、東京地検はさらに起訴した17事件のうち薬物密造など数事件の起訴取り消しも検討しており、オウム事件の裁判は大きな転機を迎えた。東京地検はこの日、事情説明のための手紙を各被害者に出した。
 訴因変更請求書によると、地下鉄事件の殺人未遂被害者として残ったのは加療期間不詳の重篤者2人と同104日から36日の計14人。松本事件は現在も重体の状態が続く会社員河野義行さん(47)の妻澄子さん(49)と加療期間613日、278日、200日の計4人。(京都新聞)
■モノわかりのいい話 長野新幹線「倍速」表示は適切か? 『79分』上下48本の1本 「まぎらわしい」の声も
 10月に開業した長野新幹線「あさま」。「東京−長野、倍速79分」と盛んに宣伝しているが、旅好きの友人いわく、「79分で行くのは、上下48本中1本だけなんだよ」。時刻表をみると確かにそう。停車駅の数によって所要時間はまちまち。2時間近くかかる列車もある。在来特急の倍の速さで、長野が近くなったのをアピールしたい気持ちはわかるけど、でもこの表示、利用者に誤解を招かないだろうか。(斉藤 泰生)
 開業直前、「まぎらわしい『最速』のPR」と題した投稿が「声」欄(東京)に載った。「大部分の列車が79分で到達するのでは、という印象を与える恐れがある」と注文をつけたものだ。79分はノンストップで長野に向かう「あさま3号」だけ。ほかは81分から116分。平均で97分かかる。
 投稿した山形県酒田市の長谷部智さん(60)はJR全線踏破が趣味で、早速「あさま3号」に乗ったという。「確かに79分で着きました。運行時間が正確なだけに正直に宣伝してほしい。好きだからこそ、つい文句を言いたくなるんです」
 こうした苦情は日本広告審査機構(JARO)にもきている。「誇大広告じゃないかという消費者からの声が数件ある」と審査役の松岡洋一郎さん。「件数が多くないし、79分があることは事実。時間短縮を強調する意味で開業当初に使うのは、まあいいかなあ」と、JR東日本には連絡していないそうだ。
 では、公正取引委員会はどうみるか。景品表示監視室長の野口文雄さんに、時刻表のコピーを差し出すと、ノートの端で計算を始めた。79を97で割る。「79分は平均時間より2割近く短い時間を表示していることになりますね」。鉛筆を置いてしばらく考えた後、「参考までに」とほかの業界の表示規約を教えてくれた。
 例えば、不動産業界。分譲マンションの販売価格は、最低だけでなく最高と最多価格帯を併せて表示する。また、旅行業界は昨年の旅行業法改正を受けて、パック旅行の広告では、最低料金と最高料金を同じ大きさと色の活字で表示するよう決めたという。
 「そういうことで考えると、『倍速79分』は確かにまぎらわしい。ほとんどが79分で長野に行けると利用者が誤認するようならば、不当表示の問題も考えられます」と野口さん。平均時間を示すなり、所要時間の幅を書くなり、利用者への気遣いが欲しい、という。
 さて、JR東日本。「1本しかないのは、お客さんのニーズを考えてのこと。途中駅を利用する方もいますし、ノンストップをそう多くはできません」と広報部。
 倍速79分のコピーについて、営業部副課長の瓜生明義さんは「やはり1分でも早くうたいたいから、アイキャッチとして最短時間を使ったんです」と話す。広告への苦情はなく、平均時間や「あさま3号のみ」との断り書きを入れる考えはない、という。
 広告の反応は上々で、乗車率は6割アップだそうだ。「時刻表を見ればわかるわけですし、誤認されることもないと思いますよ」。
 「時刻表の旅」の著書があるレイルウェイ・ライターの種村直掛さん(61)に見解を求めると、「その問題、別にあさまに限ったことじゃないですよ」。例えば、と教えてくれたのは、JR東海管轄の高山線の特急「ワイドビユーひだ」だ。
 東海道新幹線の車内掲示板で「名古屋から2時間9分でそこはもう高山」と案内が流れていたが、下り8本のうち、この時間で行くのは1本だけ。最も遅いものとは21分の開きがある。「最短を強調するのは、国鉄以来のお決まりですね」と種村さんは笑う。
 「ご指摘の通り、全部2時間9分で行けると思われるかもしれませんね」とJR東海東京広報室。先月29日のダイヤ改正を機に、「ひだ」については、「利用者に誤解を招くので」最短時間を強調した表現はやめたそうだ。
 量販店のチラシを見て「テレビが半額」と買いに行ったら1台しかなかった、では消費者は怒るだろう。ほかの業界の自主規制と比べると「倍速79分」はまぎらわしい。消費者の目は厳しくなっている。公共性の高い企業だからこそ、だれもが納得できる表示を心がけてほしい。(朝日新聞)
■旧国鉄・林野債務 一般会計で処理 財政改革会議委了承 32兆近く国民負担
 政府、与党の財政構造改革会議は3日午前、首相官邸で企画委員会(座長=加藤紘一自民党幹事長)を開き、28兆円近くに上る旧国鉄長期債務と3兆8000億円に上る国有林野事業の債務処理策を盛り込んだ座長案を了承した。両債務とも一般会計で引き取り、新たな国民負担として、たばこ税引き上げを求めている。利払いなどを優先しているため元本償還の財源を手当することはできず、抜本的な処理策にはほど遠い内容となっている。
 元本と利息の返済期間はともに来年度から60年。たばこ税の引き上げ幅は明示していないが、企画委員会は1本当たり1円の値上げで3000億円程度を想定している。
 旧国鉄の来年4月時点の債務は27兆8000億円。座長案によると、有利子債務15兆2000億円、無利子債務8兆3000億円を一般会計に継承させ、年金債務4兆3000億円を日本鉄道建設公団に引き継がせる。
 来年度6600億円の利子の返済財源は@資金運用部資金の利息を低利に借り換えて2500億円圧縮A4兆3000億円の郵便貯金特別会計の剰余金から2000億円 たばこの増税で2100億円−となっている。(京都新聞 夕刊)
4日■天下茶屋駅高架下 直営ショップ建設へ 南海 来年7月オープン
 南海電鉄は3日、大阪市西成区の同社南海本線天下茶屋駅高架下に直営ショップを建設すると発表した。直営コンビニエンスストア「アンスリー」を核店舗に来年7月オープンする。
 天下茶屋駅は阪急京都線、地下鉄堺筋線からの乗り継ぎ客も多く、昨秋のダイヤ改正で1ヵ月の平均乗降客数が67%増加。増えた乗降客を当て込んで、駅の高架下の空きスペースに「ショップ南海 天下茶屋」を建設する。
 店舗面積は1、2階部分合わせて1700平方b。アンスリーのほか、書店やフアストフード店や薬局などが入居する。
 総工費約8億円、初年度売り上げは約12億円を見込んでいる。(京都新聞)
■梅田−徳島3時間で 南海がバス直行便 明石大橋開通で路線再編
 南海電鉄は3日、来年4月の明石海峡大橋開通に伴い、阪神電鉄などと共同運行している大阪市内発着のバス路線を陸続きとなる徳島までの直行便とすると発表した。フェリー利用がなくなるため運行時間も 時間短縮、需要増を見込んで便数も大幅増便する。
 同社の大阪−徳島間のバス路線は、これまで神戸−鳴門間は淡路フェリーを利用していた。明石海峡大橋の開通で直行便となり、所要時間は梅田から3時間、難波から3時間半になる。便数も現行の1日4往復から同18往復に増便する。
 関連会社の大阪湾フェリーは、同橋開通で利用客が減るため、深日港(大阪府泉南郡岬町)−津名港(兵庫県津名町)間を1日20往復運航している便を、阪神高速湾岸線と直結する泉佐野港(泉佐野市)−津名港間にルートを変更して同15往復に減便する。(京都新聞)
■回送列車の運転士を釈放 JR大月駅衝突事故
 JR中央線大月駅構内のスーパーあずさ13号と回送列車の衝突事故で、業務上過失傷害などの疑いで山梨県警捜査本部に逮捕された回送列車の善家敦志運転士(24)=JR東日本三鷹電車区=は3日午前、釈放された。
 善家運転士は1日に逮捕され、2日に送検。同日の甲府地検の拘置請求を甲府簡裁が却下。地検は準抗告したが、甲府地裁は3日「信号無視をしたことは認めており、拘置の必要性は認められない」として棄却した。
 捜査本部などは今後、在宅のまま善家運転士の取り調べを続ける。
 釈放について前島徳男捜査一課長は「拘置を認められなかったことは誠に残念」とコメント。地検の石橋基耀次席検事も「非常に遺憾」と述べた。(京都新聞)
■旧国鉄・林野債務処理策 国民負担論議の外 族議員・官僚の思惑先行
 合計30兆円を超える国鉄、国有林野の巨額債務の大半を一般会計に付け替え、国民の税負担で返済する処理策が3日の財政構造改革会議企画委員会(座長・加藤紘一自民党幹事長)で決まった。しかし、返済財源は、中央省庁再編に踊った大蔵、運輸、農水省の官僚や、既得権益を守ろうとする族議員らの思惑ばかりで彩られ、60年間にわたって重い負担を強いられる国民を説得できるような内容とは言い難い。年末に本格化する来年度予算編成の過程で、見直しを求める声も強まりそうだ。
 「まさに、棚からぼたもちだった」。自民党幹部は、そう振り返る。広く交通利用者に負担させる総合交通税の創設や、道路特定財源の転用が、族議員らの抵抗で見送られるなか、郵政省幹部が郵便貯金事業の剰余金の活用を提案した、というのだ。
 行政改革会議の中間報告で解体寸前に追い詰められた郵政省の幹部が、自民党幹部を訪れ、運輸省との統合を条件に剰余金から1兆円を国庫に納付する案を持ちかけた、という。結局、運輸、郵政両省の統合は見送られたが、活用案は座長案に明記された。
 郵貯の剰余金は将来の金利変動に備えるなど、預金者のための資金という筋論は無視された。
 たばこ税の増税は、3日の企画委員会で加藤自民党幹事長が提案した。背景には「運輸、農水省も歳出削減で我慢してもらうのだから、大蔵省が所管する特殊法人にも泣いてもらう」という、霞が関だけに通用する痛み分けの「バランス感覚」があった。
 国鉄資産の売却益なのに、債務返済に充てられず、整備新幹線の建設財源になっている「新幹線特定財源」(724億円)も手つかずだ。三塚博蔵相は新規着工凍結を求めたが、着工推進派でもある、森喜朗・自民党総務会長の「国民感情に配慮して凍結しろというが、(着工区間の)地元住民の感情はどうなるのか」といった声に完全に押し流された格好だ。
 座長案には、国民負担を増やした責任への言及も全くない。10年前の想定では、国民負担は13兆8000億円のはずだった。地価高騰で国鉄用地の売却が凍結されたため、不足分を財政投融資資金で借り続け、国民負担は23兆円に膨らんだ。この「失政」に対する反省と、それを生かした議論は、1年余りにおよぶ債務処理策の検討の中で、一度も聞かれなかった。
 国有林野事業の債務も、当初、年700億円の金利負担を農林予算の枠内で消化するという処理策で大蔵、農水省が合意しかかったが、農林族幹部の反対で覆った。
 3日の企画委員会では、利払いの半分に、たばこ税の増税分を充てる内容に変わった。それでも「負担の線引きに理屈なんかない」と農林族幹部は、今後の調整にも意気盛んだ。(朝日新聞)
■JR負担・農水予算削減 債務処理の焦点に
 旧国鉄・国有林野の累積債務の処理案が3日に財政構造改革企画委員会から示されたが、国鉄ではJRの年金追加負担が、林野では農水省予算の削減幅が今後の調整の焦点になる。
 JRの追加負担は、今年4月の鉄道共済年金と厚生年金の統合時に必要とされた積立金の不足分である移管金9400億円のうち、国鉄清算事業団の持ち分とされた7700億円の一部3600億円を払えというもの。旧国鉄の職員で、JR職員になった人たちの国鉄在職時の積立金不足額に相当する。これを20年で支払うと、金利もあわせ約250億円となる。
 JRは「昨年の厚生年金法改正時に事業団分と確定した負担は国が持つべきだ」と主張、協力要請を拒否している。これに対し企画委は、「国鉄と関係ないたばこや郵便貯金が債務処理に協力するのに、JRが追加負担を受け入れるのは当然」と平行線だ。「郵貯は、JRが追加負担しなければ協力しないと言っている。JRの協力なしでは、国鉄債務の処理策が瓦解(がかい)する」(自民党幹部)という圧力が高まっている。
 JRは昨年の整備新幹線の財源策のとりまとめの際にも、運輸省の提案に終始反対し、要求を押し通した実績がある。運輸省は「JRが賛成しなくても、法改正はできるが、それはしたくない」(黒野匡彦運輸事務次官)と、JRに引き続き協力を求めていく構えだが、タイムリミットとされる来年度予算編成までに調整が進むかどうか、微妙だ。
 一方、国有林野では、財政投融資資金の繰り上げ償還で半減する利払い負担が問題。企画委の案では農水省予算と、たばこ税増税で360億円ずつ折半する方針だが、自民党の農林系議員が「農水省予算からねん出すれば、他の農業予算が削られる」と反発しており、調整が残されている。(朝日新聞)
■KTR 10日から初詣記念乗車券を発売 福知山・宮津・西舞鶴の3駅 絵馬型と知恵の輪型の2種
 北近畿タンゴ鉄道(KTR)は、10日から沿線の「初詣(はつもうで)記念乗車券」を福知山、宮津、西舞鶴の3駅で発売する。絵馬型と知恵の輪型の2種で、それぞれ往復切符と指定社寺で縁起物がもらえる引換券付きのセット。
 福知山駅からは元伊勢皇大神社がある大江山口内宮駅までの740円と、さらに足を延ばして智恩寺文殊堂がある天橋立駅まで行く1480円の2タイプ。宮津駅からは大江山口内宮駅までの620円。西舞鶴駅は天橋立駅までの1240円。
 発売期間は1月31日までで、12月31日から2月5日まで使える。問い合わせは、KTR営業課(0772・22・8571)へ。(朝日新聞)
■太陽光発電 駅舎で世界最大 年にCO2 62d削減
 温暖化防止国際会議が開かれている京都市の玄関、新幹線京都駅で、JR東海と通産省の外郭団体、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が共同開発していた地球温暖化防止に役立つ太陽光発電システムが4日完成し、運用開始の式典が開かれた。
 JR東海によると、新幹線京都駅の上リホーム屋根上に設置された太陽光電池パネルは幅約7b、長さ112bで、駅舎に設置される太陽光発電システムとしては世界最大規模。最大発電電力は100キロワットで新幹線京都駅で使用する電力量の約20分の1に相当し、年間約62dのCO2排出を削減できる見込み。
 発電された電力は、駅の照明や券売機、空調などに使用するという。
 JR東海は、東海道新幹線の16駅と車両基地の屋根すべてに同システムを導入した場合、一般家庭約8000世帯分に相当する約2万3000キロワットの発電が可能と試算。しかし、新幹線京都駅での同システム構築に約1億円がかかるなど高額なことなどから、他の導入先は未定とし今後の検討課題にする。(京都新聞 夕刊)
■洛中洛外
 ◇…京都市下京区の会社役員内藤靖正さん(63)が、10月に廃線となった京阪電鉄京津線(京阪三条一御陵間)をしのぶ写真集「さようならの風景」を作り、京阪電鉄の主要駅などで無料配布している。
 ◇…内藤さんは日本鉄道写真作家協会会員で、40年余りの写真歴を持つ。廃線直前まで1年間撮り続けた作品の中から、サクラの下を走る光景や町並みを縫う車両など32点を選び、A4判14nの冊子にまとめた。
 ◇…内藤さんは、京津線の廃線前のフィーバーぶりに感動。「生活に溶け込んだ鉄道の姿を多くの人の記憶に残したい」と、広告などで製作費をまかない3万部の無料配付を実現させた。問い合わせは 075(341)6531へ。(京都新聞 夕刊)
5日■JR株価は様子見気分 旧国鉄債務追加負担
 旧国鉄・国有林野の累積債務の処理策で、年金の追加負担を迫られる可能性が出てきたJRグループの株価動向に、市場関係者の関心が高まっている。4日の株価はいずれも落ち着いた値動きで、市場は「JR側が負担に応じるとは限らないから」と様子見気分が強かった。しかし、負担することになれば、株価が下がるのは必至とみられている。
 この日のJR株は、東日本が前日比3000円高、西日本が同1000円高と堅調で、東海も前日の終値と同じだった。
 しかし、JR各社が追加負担に応じることになれは、「確実に経営責任問題、株主代表訴訟へ発展する」と、準大手証券系シンクタンクのアナリストは指摘する。
 一方、債務処理策でたばこの増税が固まったのを受け、4日のJT株は前日比2万1000円安の94万5000円と急落した。「減収はまぬがれない」(大手証券)とみられたためだ。(朝日新聞)
■負担に協力 JRに要請 運輸事務次官
 黒野匡彦運輸事務次官は4日の記者会見で、旧国鉄の債務処理案の中にJRの年金費用の追加負担が盛り込まれたことについて、「たばこの増税など、納税者も債務処理に協力するのに、JRが協力しないのでは理解を得られない。JRがあくまで拒否すれば、全体の枠組みが壊れてしまうかも知れない」と述べ、拒絶の姿勢を続けているJRに対し負担に応じるよう強く求めた。(朝日新聞)
■声 孫と味わった因美線の風物 神戸市 野田 暁子(主婦 67歳)
 岡山・鳥取を結ぶJR因美線に唯一残っていたタブレット交換の「走行授受」が、ダイヤ改定のために11月28日で消えるという新聞記事を見て、連休の一日をその見学にあてることにした。小学4年生の孫息子は、大の乗り物ファン、還暦をはるかに超えた私も負けず劣らずの乗り物好きなので、たちまち意見が一致した。
 その日は好天に恵まれ、朝早く新快速で姫路までゆき、そこから姫新線の快速で津山へ向かった。2時間近くかかって津山に到着。そこから因美線の急行「砂丘4号」に乗り換え、高野・美作河井・那岐の駅を徐行しながら、タブレットの授受をする運転助手の熟練した技を列車の中から見ようというのである。
 お目当ての駅が近づいてくると、乗客は窓外に身をのり出し、カメラを構える。私もじっとその方向に目をこらした。ガチャーン、受け器にタブレットが命中する。列車はスピードをあげ、紅葉した山あいを縫って進む。漆黒のかわら屋根の傍らにはカキがたわわに熟し、土蔵の壁は幾何学模様で美しい。心温まる山間の風景である。
 孫は運転台の傍らから離れようともせず、座席に戻る様子もない。もうすぐ智頭駅に到着する。そこで、智頭急行線に乗り換え、晩秋の景色を心ゆくまで楽しみながら、我が家に帰り着いた。(朝日新聞)
■関西現代焼 地下鉄の「気象観測」
 大阪の地下鉄で、気になる物があった。よろい戸がついた白い木箱で、高さは180aほど。梅田や淀屋橋の駅ホームに置いてあるその箱は、昔、小学校の校庭で見た覚えのある懐かしい百葉箱にそっくりだ。
 でも、手元の辞書にも百葉箱は「地上の気象を観測するために屋外に置く…」 (新明解国語辞典)と書いてある。地下鉄には太陽も雨もない。疑問を解消しようと大阪市交通局広報係に電話したら、最初は「え、そんなのありましたっけ」。調べてもらった結果は「あれは百葉箱そのものです」。
 広報係長の吉井修二さんによると、百葉箱は8駅9ヵ所に置いてあり、中には、温度と湿度を自動的に24時間記録する機械が入っている。1933年の開業以来、特に乗降客の多いホームの「気象」状態を調べるために置いているそうだ。
 いまでこそ冷暖房があり、温度などを快適に保つのは比較的容易になったが、以前は換気が頼り。ホームの「気象」状況を観測し、換気を調節するのは大切な業務だった。
 いまは1週問に1度、記録紙を交換し、1ヵ月に1度データをまとめる。コンピューターも冷暖房もあるいま、百葉箱の意味は?「データは蓄積することに意味がある。変化の原因を分析し、快適さを保つ基になります」と交通局電力課主査の川崎竹雄さんは話す。
 記録紙を見せてもらうと、温度はほぼ一定だが、湿度は1日のうちにも、日によっても幅が意外と大きい。「この日は雨ですね。ホームに水をまくだけでも針が動きます」と、百葉箱の点検をする伊藤山十郎さん(63)は記録紙を見て言う。
 酔っぱらいのいたずらも多いとか。だとするとデータの信頼性って一体…、という疑問はさておき、とりあえずは忘年会の勢いでいたずら、なんてくれぐれもお慎みを。(星野 哲)(朝日新聞 夕刊)
6日■京阪奈新線の2期工事 着工2014年ごろに 近鉄社長見通し示す
 近畿日本鉄道の田代和社長は、5日の定例会見で関西文化学術研究都市と大阪市内を結ぶ京阪奈新線の2期工事(高の原−登美ケ丘間3.7`)の着工時期について「1期事業の収支が単年度黒字になる2014年ごろ」との見通しを明らかにした。同線の利用客の順調な伸びなどが前提だが、生駒−高の原間の全線開通は2020年前後になりそうだ。
 京阪奈新線12.2`のうち、1期工事分の生駒−登美ケ丘間8.5`は、運輸省が来年度予算で建設費3億円を概算要求している。
 田代社長は「満額でなくても予算がつけば1998年度着工に向けて準備を進める。関西財界の理解も得ている」として、事業主体の近鉄や奈良県などによる第3セクターの早期設立に意欲を示した。
 また、2期工事については「沿線の住宅の張りつき具合や学研都市の成熟の度合いなどをみなければならないが、単年度黒字となる時期が(着工の)めどになる」と述べた。
 京阪奈新線は、概算要求で国の「ニュータウン鉄道整備事業」の一つに位置づけられた。事業費は全線で約1600億円。来年度に工事費が予算化されれば、1期工事分2005年度開業に向けて大きく前進する。(京都新聞)
■窓 もったいないキラキラ電飾 右京区・藤井 京子(自由業・41)
 JR京都駅ビルの広場に巨大なクリスマスツリーがお目見えした。約3500個の電球がついているそうである。毎年、この時期になると、ホテルや百貨店など、至るところでツリーが飾られ装飾用の照明がキラキラしはじめる。街路樹にちりばめられた電球がまたたく都会の夜は、ロマンチックで美しいものだ。「きれいだなぁ」と思う半面、消費される電気の量を想像すると「もったいない」と無粋なことを考えてしまう。
 地球の温暖化が深刻になり、ライフスタイルの見直しが問われている。車の利用を減らす。電灯はこまめに消す。洗濯はまとめて洗う。使わない電気製品はコンセントを抜く−など、小さな努力が無駄に思えるほど、都市のイルミネーションは、ますます派手になる。
 明るすぎる都会の夜空では、星の光もかすんでしまい、銀河宇宙に思いをはせる詩情も生まれないだろう。沈みかけている地球号に、きらびやかな照明はそぐわない。「宇宙から見た日本列島は、人工の明かりでキラキラしていませんでしたか」−。土井さんに尋ねてみたい。(京都新聞)
■社説 国鉄債務の返済案を練り直せ
 政府・与党の財政構造改革会議が、総額28兆円にのぼる旧国鉄債務の返済案を決めた。年金支払い分を除いた債務の元本と利払いの23兆5000億円は、国の債務として位置づけ、一般会計で60年かけて処理するという。
 巨額の借金を次の世代にまで背負わせるものだ。実に遺憾なことだが、そうした負担の仕方は大枠としてはやむを得まい。
 ここまで膨らんだ原因は幾つもある。なにより旧国鉄時代に、採算を度外視した政治家の「我田引鉄」がある。輸送手段の変化に対応できなかった運輸省と経営陣。
 民営化を機に、残された債務は国において処理することだけが決められた。だが、その具体的な処理策は先送りにし、高利の財投資金投入でごまかしてきた財政当局や政治家たち。無責任の体系が延々と続いてきたのである。
 国民一人ひとりに負担を求めるという姿が初めて描かれた。これを広く納得してもらおうというのなら、過去の教訓を生かして徹底的な行財政改革につなげる道を政治の責任として明示しなければならない。
 処理策には、そうした大原則が欠けている。既得権益を手放そうとしない族議員や官僚に寄り添った案である。
 まず、2000年度から60年かけて返そうとする元本の財源が、まったく示されていない。「当面は一般会計の歳出・歳入両面にわたる努力により対応」と言っているのは、何のことか。消費税などの増税が念頭にあるのなら、そう説明すべきだし、ただの先送りなら無責任の上塗りだ。
 私たちは、財源を増税によらず、歳出の削減でまかなうよう主張してきた。
 第一に、自動車重量税のほか、揮発油税などの道路特定財源である。道路が整備され自動車への乗り換えが増えたことが、国鉄の経営悪化を招いた一因だからだ。
 来年度からの公共事業費削減で、「聖域」になりつつある特定財源にメスを入れることができれば、財政構造改革の大きな一歩になるはずだった。
 第二に、JR東日本、東海、西日本の3社が毎年724億円ずつ60年かけて支払う整備新幹線建設費を回すことだ。国鉄の資産売却で得られたお金だから、債務返済にあてるのは当然だ。
 こうした案は改革会議でも検討されたが、道路と整備新幹線予算を死守しようとする族議員、官僚、地方自治体などの圧力で、早々と消えていった。
 利払い財源として、郵便貯金事業の黒字を利用し、たばこ税を増税するとの方策に至っては、ただ驚くしかない。
 郵貯の黒字は本来、預金者に還元するか、金利変動などで赤字になったときに備えておく資金だ。行政改革会議で郵貯事業の国営維持が決まった見返りに、郵政省が差し出したといわれても仕方がない。
 たばこと国鉄債務は関係がない。安易に増税に頼るのでは、「聖域なき歳出削減による財政再建」の旗を降ろすに等しい。国民の不信は増す一方ではないか。
 国鉄の元職員に対する年金支払いに必要な4兆3000億円は、元利払い費用とは別枠として処理するという。このうちの約3600億円をJR各社に負担するよう要請したが、JRは拒否している。新たな負担は民営化の枠を逸脱する、との主張だ。
 これについては、重い負担を押しつけられる国民の立場からすれば、必要な法改正を含めて将来の課題として検討する余地があるのではないだろうか。
 財源案は練り直すべきである。(朝日新聞)
■声 駅の顔消えて悲しく不安に 池田市 山村 道子(主婦 39歳)
 先日、わが家が利用している電車の線路が、ようやく高架になった。高い橋げたの上を走るのである。初めのうちは、駅もきれいになり、明るい都会的雰囲気で気持ちいいね、と家族と話していた。
 しかし、数日たって、遠くまで出かけた帰りの車中で、疲れと、快い揺れが手伝って、うとうとしてしまった。ふと、目が覚めた。ちょうど駅だったが、どこの駅か、まったくわからない。四角い広告板がいくつもあるが、とっさのことで判読できない。
 家に帰って、そのことを娘に話したところ、「この前、車中で寝ていたおじさんが跳び起きて駅に降りたが、あわてて、また乗ってきた」とのこと。私にはその人の気持ちがよくわかった。同じ経験をしたのだから…。
 昔は、駅ごとに特色があって、降りたことがなくても、昼でも夜でも、車窓から見える光景が、その駅の顔として記憶の隅に残っていたものだ。
 便利さと引き換えに、大切なものをなくしたような悲しい気持ちと、何かしら不安な気持ちを覚えた。(朝日新聞)
■ズーム遊 幻想美、人も影絵に
 ○…「うわぁ、映画のスクリーンかいな」。驚きの声を上げたカップルたちは次の瞬間、うっとりとした表情で二人の世界に浸ってしまう。京都では、ちょつとお目にかかれなかった巨大なサンタがほほ笑むのは、京都駅ビル名物・大階段だ。
 ○…年々、早くなるクリスマス準備。師走の声とともに登場したこの装飾は、階段の側面を使う「ステップアート」という。ライトを浴びる夕暮れから、特種な塗料で描かれた”主役”が幻想的に映える。大階段ならではのスケールが歩く人まで影絵の飾りにしてしまう。
 ○…寄り添う男女のほかに、女子高生グループやほろ酔い気分の忘年会グループも。お熱いカップルだけでなく、だれにも平等に訪れる「聖夜」。暗夜に浮かぶサンタとともにさまざまな人間模様が、光の芸術に投影される。(京都新聞 夕刊)
9日■初詣乗車券 発売スタート 石山坂本線で京阪電鉄
 京阪電鉄(本社・大阪市)は、大津市内の日吉大社や三井寺、石山寺など、京阪石山坂本線の沿線社寺への初もうでに便利な初詣乗車券をつくり、8日から発売を始めた。
 この乗車券は、大人500円、小人250円で来年1月1日から同5日までが期限。下車指定駅の京阪山科、浜大津、石山寺、唐橋前、三井寺、近江神宮前、坂本の各駅に1回ずつ途中下車でき、沿線社寺を初もうでに回る場合、うまく使えば通常の乗車券よりも安くつく。
 折りたたみ式の切符で、開くと来年の干支(えと)の寅の絵が飛び出す仕掛け。石山寺や建部大社など5社寺の初詣記念印帳も付いている。前売りのみで、今月末まで、京津線、石山坂本線の主要駅で、1500枚を発売する。
 また、石山坂本線は1月1日から4日の午前10時−午後4時の間、計22本の電車を増発する。(京都新聞)
10日■JR東海道線 新快速8本が運休 加古川 踏切で接触事故
 9日午後6時15分ごろ、兵庫県加古川市平岡町高畑のJR山陽線の踏切で、姫路発長浜行きの新快速列車が同市尾上町池田、無職高井知子さん(62)の乗用車に接触した。高井さんや乗客にけがはなかった。
 この事故の影響で、JR京都駅では、東海道線の新快速列車(姫路−草津、姫路−野洲駅間など)上下8本が運休。他の列車にも2、30分の遅れが出るなど、終日ダイヤが乱れた。(京都新聞)
■窓 JRの車内 適切な暖房を 宇治市・大久保数万(無職・60)
 先月末、JR普通電車で京都−東京間を片道9時間かけて往復しました。途中、米原、浜松、熱海で乗り継ぎましたが、どの電車も座席の下は暖房をしていました。
 はじめはよいのですが、10分、20分と座っていると、暑くてだんだん気分が悪くなってきました。窓を少し開けようとしたのですが、開かないようになっていました。暑すぎることを車掌さんに伝えたところ、心よく暖房を切ってくださいましたが、全部の電車ではありません。
 我慢できず、途中下車したこともありました。いまは冬に保温のよいものを着ています。無駄な暖房に耐えるより、少々寒くても我慢したほうがよいと思いました。地域、時期、その日の天候と、いろいろ問題はあると思いますが、適切な暖房をJRの方にお願いします。(京都新聞)
■声 礼儀知らずな列車の旅行者 岐阜県 吉田 真理子(高校生 17歳)
 列車で岐阜市に通って3年。礼儀知らずの人が多すぎるのにはへきえきしている。特に夏や冬休み、日曜は乗るのが憂うつだ。
 私の利用するJR高山線は”タビ線”なので、旅行者は羽を伸はすだけ伸ばして、旅の恥をかき捨てにしていく。降りる時には、当たり前のようにたくさんの缶や菓子、弁当の袋を置いていく。後から舌打ちしながら回収する人がいることを知ってもいないだろう。
 ”タビ線”だからか、車両はすべてボックス席で、向かい合う4席は完全に家族、仲間だけの空間になる。他人の迷惑など顧みず大騒ぎだ。子どもが大声でわめき、歌ったりしてもだれもしからない。おしゃれの若者もやかましい。靴をはいたままの足をシートにのせる。単線だから仕方がないのに、途中駅でのすれ違い列車待ちに、やたら文句を言う。
 旅行を楽しむのは大いに結構。ただ、自分たちが楽しければいいという考えは直して欲しい。電車や列車は公共の乗り物。自分たちには一度の”羽目外しデー”でも、いつも乗る我々への迷惑は毎度だ。(朝日新聞)
■新快速の600人缶詰め 車と衝突、2駅4時間 加古川・JR線
 9日午後6時12分ごろ、兵庫県加古川市平岡町高畑、JR山陽線長ケ林東踏切(警報機、遮断機付き)で、姫路発長浜行き新快速電車(松谷武運転士、8両編成)が、同市尾上町池田、華道教師高井友子さん(62)運転の乗用車と衝突した。この際、車両の電気系統に異常が生じ架線が停電したため新快速が現場で立ち往生し、乗客約600人が車内に閉じ込められた。同8時半すぎ、自力で動き始めたが、故障で再び停止。後続の快速電車に後押しされ、同10時すぎ、加古川駅から2駅東の土山駅に到着し、乗客は4時間ぶりに下車した。
 この事故で、山陽線は大久保−姫路間の上下線がストップし、運休54本、遅れ48本など、4万人の足に影響が出た。
 加古川署の調べでは、高井さんの乗用車が渋滞中の踏切内に進入したが、前の車が動かず警報が鳴り始めたため、高井さんは車を放置し脱出しけがはなかった。乗用車は5、6b引きずられて大破した。
 暖房の切れた車内に長時間閉じ込められた乗客は、ぐったりしていた。神戸市長田区の自宅に帰る途中だった私立高校3年、増村雄喜さん(18)は「車内は明かりが消えて真っ暗だった。車内での説明は『もうしばらくお待ち下さい』のアナウンスが繰り返されるばかりで、おなかもすいてうんざりした」と話していた。(朝日新聞)
■93年のニュートラム事故 運行管理の4人不起訴へ 大阪地検
 大阪市営の新交通システム「ニュートラム」で1993年10月、無人運転の列車が暴走して車止めに衝突し乗客212人が重軽傷を負った事故で、業務上過失傷害と業務上過失往来妨害の疑いで書類送検されていた当時の市交通局幹部4人について、大阪地検は9日までに、「事故の発生を予見し、防止措置を取ることは極めて困難だった」として近く全員を不起訴処分にする方針を固めた。コンピューター制御で自動運転される公共交通機関で起きた特異な事故だったが、制御システムに異状が起きた原因を解明できなかったことが立件の壁になったとみられる。
 書類送検されていたのは市交通局の車両部車両課長▽同部技術主幹▽高速運輸部運転課長▽同部四つ橋線運輸長の4人(肩書はいずれも当時)。
 この事故では、自動列車運転装置(ATO)と自動列車制御装置(ATC)の常用ブレーキ指令がブレーキ装置に伝わらず、ホームを通過後にATCの非常ブレーキ指令でブレーキが作動したものの、速度が出過ぎていたため制動距離が足りずに衝突した、とされている。
 大阪府警は、事故列車のATOとATCが出した常用ブレーキ指令をブレーキ装置に伝える「中継継電器盤」内で一時的に電流が通じない現象が起きた可能性が高いと推定していた。だが、中継継電器盤には故障個所がなく、再現実験でも原因を特定できなかった。
 しかし、府警は、事故を起こした「13号列車」が91年5月と93年5月に、別の列車も同年6月にホームを通り過ぎてから止まるオーバーランを起こしていたことを重視。いずれも原因は不明だったが、制御装置により重大な障害が発生し、事故につながることを予測できたにもかかわらず車両の改善や安全対策を取らなかったとして昨年3月に4人の幹部を書類送検していた。
 大阪地検のこれまでの捜査の結果、過去の3件のオーバーランの後、交通局はメーカーに依頼して調査をしたが原因は分からなかった▽オーバーランのうち2件は自然に停止し、1件は乗務員が非常ボタンを押して止めていた−などの点を考慮。当時、常用ブレーキがまったく作動しなくなるという事態を予見することは困難だった、と判断したとみられる。
・ニュートラム コンピューターで制御されたゴム車輪付きの車両が高架専用軌道を走る鉄道とバスの中間的な輸送機閲。低公害と省力化を目的に開発され、大阪市営南港ポートタウン線は1981年に開業。現在は住之江公園−中ふ頭駅間(6.6`)を約15分で結び、1日に約7万人が利用している。
 93年10月5日午後5時半ごろ、約240人を乗せた無人運転の列車(4両編成)が住之江公園駅のホームを通過して約50b先の車止めに衝突、212人が負傷した(大阪府警調べ)。市は215人を負傷者と認定し、治療費など総額約6億1500万円を負担して全員と示談した。
 事故後、市はブレーキ指令の伝達経路を二重にし、すべての列車で添乗員を乗せて有人運行している。(朝日新聞)
■元市幹部ら不起訴 大阪のニュートラム事故 「原因判明せず」 地検方針
 1993年10月、無人運転の大阪市営新交通システム「ニュートラム」が暴走し215人が重軽傷を負った事故で、大阪地検は9日までに、業務上過失傷害などの疑いで書類送検された同市交通局の元幹部ら4人について「科学的に事故原因が判明せず、刑事責任を問うのは困難」と判断、嫌疑不十分で不起訴処分にする方針を固めたもようだ。
 事故は93年10月5日午後5時半ごろ発生。中ふ頭発の電車(4両編成)が終点の住之江公園駅(大阪市住之江区)で停止せずに暴走し約50b先の車止めに激突、乗客250人のうち62人が重傷、153人が軽傷を負った。
 大阪府警は列車自動制御装置(ATC)の常用ブレーキの不作動が直接原因とした上で、事故前にも3件の原因不明のオーバーランがあったことを重視。昨年3月に「危険性を予見できたのに、係員添乗やシステムの改善など安全対策を怠った」として、交通局高速運輸部の運転課長、四つ橋線運輸長、車両部の車両課長、技術主幹=いずれも肩書は事故当時=を書類送検した。
 交通局側は事故後1ヵ月半、運行を中止、異常時に自動的に作動する非常ブレーキを増設したり、係員の添乗などの安全対策をとって再開。今年8月までに負傷者全員を総額約6億1500万円で補償することで示談を成立させている。(京都新聞 夕刊)
11日■JR拒否なら法律改正も 旧国鉄債務で政府与党
 政府、与党は10日、28兆円近くに上る旧国鉄長期債務の処理で難航しているJR各社の追加負担問題で、JRが最後まで負担を拒否した場合、国鉄改革法などの関係法律を改正して強制的に負担させる方向で検討に入った。
 政府、与党の財政構造改革会議の企画委員会が了承した処理策では、郵便貯金特別会計からの特別繰り入れやたばこ税の引き上げなどの財源を見込んでおり、JR負担がない場合これらの協力が得られず、処理策が崩壊する恐れがあると判断、政府、与党として強い姿勢を打ち出すことにした。
 しかし、JRの同意を得ないまま強制的手段に入ることになれば各社の強い反発は必至で、法律改正は難航が予想される。(京都新聞)
■大阪市4幹部不起訴処分に ニュートラム暴走事故
 大阪市営の新交通システム「ニュートラム」で1993年10月、無人列車が暴走して車止めに衝突し乗客215人が負傷した事故で、大阪地検は11日、業務上過失傷害と業務上過失往来防害の疑いで書類送検されていた当時の車両部車両課長(58)ら市交通局幹部4人を嫌疑不十分で不起訴処分にした。コンピューターで制御された列車の事故捜査は、運行管理者の刑事責任が問われないまま決着することになった。
 ほかに不起訴になったのは、車両部技術主幹(55)▽高速運輸部運転課長(59)▽同部四つ橋線運輸長(58)の3人(肩書きはいずれも当時)。4人が事故を予見し、防止策を取る義務があったかどうかが捜査の焦点だった。(朝日新聞 夕刊)
12日■バス1日乗車券 あすから発売 京阪宇治交通
 京阪宇治交通(本社・枚方市)は13日、宇治市内を中心としたバスの1日乗車券を発売する。宇治市に7月オープンした地ビールレストラン「ガーデンス天ケ瀬」と他の観光名所を巡りやすくし、宇治へ観光客を呼び込むのが目的。また、オフシーズンとなる冬の間には、ガーデンス天ケ瀬でさまざまなイベントを繰り広げ、クリスマス期の観光スポット化も目指す。
 1日券で乗れるのは、ガーデンス天ヶ瀬や平等院、万福寺、太陽が丘、近鉄大久保駅などを通る路線のほか、城陽市の近鉄寺田駅や久御山町の町中央公園を結ぶ路線。料金は、全線対象の1日乗車券(800円)より安い500円に抑える。
 ガーデンス天ケ瀬は、開業から11月末までの約4ヵ月間に7万7000人を集めるなど上々の滑り出しとなっている。大阪府や滋賀県から訪れる人も多いため、「観光に便利な1日乗車券の発売で、宇治へ足を運ぶ人をさらに増やしたい」(経営企画室)としており、年間3万枚の発売を見込む。京阪宇治駅前などで発売する。
 また、クリスマスムードを高めるため、12日からガーデンス天ヶ瀬内の木十数本を電飾する。(京都新聞)
■出た!世界最速530キロ JR・リニア 18年ぶり更新 有人でも挑む
 21世紀の「夢の超高速鉄道」を目指す超電導磁気浮上式リニアモーターカーの実験車両が、山梨県都留市−大月市間の山梨実験線で12日午前、鉄道の世界最高速記録の時速517`挑戦、無人走行で530`を記録した。鉄道の速度としては18年ぶりの世界記録更新となり、超高速営業時代に向け弾みとなった。
 この日の実験車両MLX01は午前11時18分、まず521`、同51分に525`、さらに午後零時23分、530`を記録した。同日中に有人世界最高速に挑む。
 リニア開発に当たるJR東海、鉄道技術研究所(JR総研)は、12日の走行結果を総合的に判断し、早ければ来週にも550`まで速度をアップさせる方針。さらに来年度以降、車両の擦れ違いや高速連続走行で不具合が起きないかなどの試験を進める予定だ。
 これまでの鉄道高速走行の世界記録は、今回の実験車両MLX01の前身のML-500が1979年、宮崎実験線で無人走行で出した517`。有人走行ではフランスのTGVが92年に515`をマークしている。
 新幹線の場合は、96年にJR東海の実験車両300Xが記録した443`が最高速。
 山梨実験線では今年4月から本格走行試験を開始した。5月からは超電導状態で車両を浮上、推進させて走行し、徐々にスピードを上げて9月には時速401`、11月には500`を突破していた。(京都新聞 夕刊)
■縮小バス路線見直しを決議を可決し京都市会閉会 幹部不祥事でも
 京都市の11月定例市議会は12日午前、最終本会議を開き、1996年度一般会計決算など決算13件を認定、総額87億7700万円にのぼる本年度一般会計補正案など予算、条例案件11件と、市幹部職員による不祥事などに関する決議、意見書計12件を可決し、閉会した。
 不祥事に対する決議では、元市土木部長の汚職事件のほか、昨年にも元職員が内部資料を漏らす事件があったことを挙げ、「市役所の組織そのものに問題があったと断じざるを得ない」と指摘。「硬直化した人事の刷新など、組織上の問題に早急に検討を加えるべき」としている。
 このほか、地下鉄東西線開業で廃止・縮小されたバス路線の早期見直しの決議や、祝日三連休化の実現を求める意見書を可決。薦田守弘副市長の選任にも同意した。(京都新聞 夕刊)
■リニア世界新521`
 JR東海と鉄道総合技術研究所が山梨県で走行試験を進めている超伝導磁気浮上式リニアモーターカーが12日午前11時18分、時速521`の無人走行を記録した。1979年に当時の国鉄が宮崎の実験線で記録した時速517`を上回り、世界記録となった。
 午後からは有人走行に移り、90年にフランス高速鉄道TGVが記録した時速515.3`も更新する見込みだ。リニアの実験はさらに進み、今月中に最終目標の時速550`を目指す。(朝日新聞 夕刊)
13日■有人走行でも531` JR・リニア、世界最高
 JR東海と鉄道総合技術研究所(JR総研)が開発を進めている超電導磁気浮上式リニアモーターカーの実験車両MLX01は12日午後2時55分、有人定行で時速531`を記録、鉄道の有人走行の世界記録も塗り替えた。これまでの有人最高記録はフランスのTGVが1990年に出した 515`。
 MLX01はこの日午前、無人走行で従来の世界最高速517`を超える521`を記録し、無人で521−531`を5回、午後の有人で530、531`を各1回マークした。
 有人最高速を記録した車両にはJR東海の磯浦克敏リニア開発本部長ら7人が乗車した。JR東海などは来週にも開発目標の時速550`達成を目指す。
 山梨実験センターの関秋生所長は走行試験後に会見し「振動もなく加速も滑らかで非常に安定していて完成度が高い。9.5合目まで来たというところ」と話した。(京都新聞)
■JR四日市駅で貨物列車が脱線 関西線、2時間半不通
 12日午前11時35分ごろ、三重県四日市市本町のJR関西線四日市駅構内で、稲沢発南四日市行きの貨物列車=高居松男運転士(48)=が貨物専用線から延びる安全側線終点の車止めに突っ込み脱線した。11両編成のうち脱線したのは機関車と2両目のタンク車の一部で、けが人はなかった。関西線は上下線とも不通となったが、約2時間半後に運転を再開した。
 JR貨物東海支社などによると、列車は切り離し作業などを行うため駅作業員(50)に誘導され、貨物列車の待機に使われる側線に向かおうとしたが、作業員がポイントの切り替えの確認をせずに誘導、誤って安全側線に進入したらしい。(京都新聞)
■年末年始のJR 予約率は36% 西日本 帰省ピーク30日
 JRグループ旅客6社は12日、年末年始期間(26−1月5日)の列車指定席予約状況(11日現在)を発表した。6社合わせた約894万の指定席のうち予約済みは11日までで約323万席。予約率は前年より約2ポイント低い約36%となった。JRグループによると、予約は年々遅くなる傾向にあるという。
 各列車別の予約状況は、東海道・山陽新幹線「のぞみ」と「ひかり」の東京発博多行きが27−31日、博多発東京行きが1月2−5日の間にそれぞれ満席の列車が多い。東京−広島間の上下のひかりも同様。東海道新幹線に乗り入れたばかりの最高時速300`の500系のぞみも予約率は約61%に達した。
 JR西日本が同日発表した年末年始の山陽新幹線、各在来線の指定席予約状況によると、関西から各地方に移動する帰省のピークは、昨年より2日遅い30日となりそうだ。正月明けに関西に戻るUターンのピークは、昨年と同じ1月4日。
 26日から来年1月5日までの年末年始期間中、関西を中心とした予約席数は約206万席。うち前年並みの44%が、11日現在で予約済みとなっている。帰省客が利用する下りのピークは、予約率67%の30日。
 昨年、同70%でピークだった28日に比べ2日遅い。JR西日本では「今年は景気の低迷もあり、前日の月曜、29日まで働く人が多いのではないか」と分析している。Uターンのピークとなる4日の予約率は、昨年より4ポイント高い83%で、混雑に拍車がかかるとみられている。(京都新聞)
■旧国鉄債務追加負担 JR7社長に運輸相が要請
 藤井孝男運輸相は12日夕、運輸省にJR7社の社長を呼び、旧国鉄債務の処理策の一環としてJRに年金費用の一部3600億円を負担するよう要請した。これに対し、JRはこれまで通り「追加負担には一切応じられない」との態度を崩さなかったため、藤井運輸相は「政治判断をしなければいけない場合が出てくる」と法改正による強制的措置に踏み切る可能性を強く示唆した。藤井運輸相は会談後の記者会見で、財政構造改革会議企画委員会(座長・加藤鉱一自民党幹事長)が固めた処理策を崩すことはできないとして、「JRに負担を負っていただくことを決断せざるをえない状況になっている」と述べ、JRに対し強制的に負担させる意向を示した。
 会談では、藤井運輸相が、「たばこ税の増税など、国鉄と関係のない機関にも協力を要請している。JRもぜひ協力を」と訴えたが、JRは「旧国鉄債務のうち、すでに14兆5000億円を負担しており、理屈の上からも、負担能力からも、一切の追加負担はできない」と答え、話し合いは物別れに終わった。
 JR側は会談の中で「追加負担すれば北海道、四国、九州の3社のローカル線維持に支障が出る」と指摘。会談後の会見でJR北海道の坂本真一社長は「赤字を消そうとリストラをしている。追加負担すると債務超過になる」と語った。(朝日新聞)
■LRT走る街づくりを 次世代の路面電車 欧州の研究者招きシンポ 便利で環境にやさしい 車減らして基幹交通に
 輸送力や利便性などを大幅に向上させた次世代の路面電車「ライト・レール・トランジット(LRT)」の普及で新しい街づくりをめざす「LRTワークショップ'97」(運輸省、科学技術庁主催)がこのほど、日本初のLRTとして超低床電車を導入した熊本市と、東京であった。先進地のヨーロッパから招いた研究者らからは、日本のLRT政策の遅れを指摘する声が相次いだ。
 熊本市のパネルディスカッションでは、フランス、ドイツ、オーストリア、スイスの大学教授ら5人が、自国のLRTを紹介した。人口50万人の仏ストラスブール市の交通計画責任者メネトー氏は「1日に延べ7万8000人のLRT利用者がある」といい、1994年に12.6`で運行を始めた路線を、2010年までに35`まで延ばす計画を話した。
 さらに、「ドイツではLRTはすでに基幹交通。熊本では最初の一歩として評価できるが、陸橋を渡って停留所に行かなくてはならない状況を改善するべきだ」(ドイツのトップ・カイザースラウテルン大教授)▽「ウィーンでは公共交通を増やし、車を減らそうと努力している。これからは道路ではなく、公共交通への投資が必要」(クノフラツファー・ウィーン工科大教授)などの提言が相次いだ。
 太田勝敏・東京大教授は「市電を旧世代とすれば、LRTは車に代わる、21世紀にふさわしい革新的な交通システム。しかし、現在の制度では車両の長さや速度が抑えられ、まだ社会に受け入れられていない」と日本の現状を説明。自治体の財政支援がある欧米に比べて、独立採算制が基本の日本では、地域社会の支援や公共的な補助が必要なことも指摘した。
 LRTは、速度や輸送力、利便性など機能を大幅に向上させており、環境にも優しく、自動車による渋滞の緩和やドーナツ化現象が進む都市中心部の活性化への切り札になると期待されている。ドイツやフランスなどヨーロッパ諸国では従来の路面電車を改良して、積極的に街づくりを進めている。
 日本では熊本市が今年8月から、高齢者や身障者にも使いやすいように地上と床面の段差を少なくした超低床車両1台の運行を始め、広島電鉄も超低床車両の導入を決めているが、積極的な自治体はまだ少ない。(朝日新聞)
■近いぞ南港 でも運賃高く乗り継ぎ不便 18日、連絡線が開通、中心部と直結 累積赤字で市営にできず 早期開業へ3セク活用
 大阪市の臨海部を都心部に直結させる「南港・港区連絡線」(OTS線)が、18日に開業する。第三セクターに運営を任せた大阪市は「南港地区を『新都心』として発展させる起爆剤」と、期待を膨らませる。しかし臨海部が近づく半面、「別会社」での経営が運賃の割高感を招き、市営地下鉄や同ニュートラムから乗り継ぐ場合の混乱も予想されそうだ。別会社化の背景には、大阪市が交通事業で2300億円以上の累積赤字を抱え、採算性と早期開業を両立させざるを得ないという「事情」がある。(社会部・岩城 興)
 ●近いが割高
 これまで、都心部から南港地区に行くには、南側から遠回りしなくてはならなかった。市営地下鉄四つ橋線の終点・住之江公園駅で市営ニュートラムに乗り換え、梅田から40分近くかかった。それが市営地下鉄中央線経由の北回りで、梅田から25分、新大阪から33分で行ける。
 新路線は、大阪市が筆頭株主の第三セクター「大阪港トランスポートシステム」(OTS)が経営するため、運賃は全線均一の230円だ。市営地下鉄、ニュートラムとの乗り継ぎ割引があるが、OTS線が市営路線だと仮定すると、本町から170円、梅田と難波からは210円高い運賃を支払わされる計算だ。
 利用者には、混乱も予想される。同じ目的地に行くのに、OTS線を使うかどうかで運賃が変わってくるからだ。市営地下鉄・ニュートラム各駅では、運賃パネルは従来通りで、OTS線の運賃は別表示になる。そのため北回りで地下鉄−OTS線−ニュートラムと乗り継ごうとしても、別の表示を見落として南回りの地下鉄−ニュートラム区間の切符を買ってしまうことも考えられる。
 間違いに気付かずにOTS線コスモスクエア駅まで行くと、地下鉄からニュートラムに乗り換えるための中間改札に引っかかる。そこでOTS線分の運賃を精算しなくてはならないうえ、余分に払った市営路線分の運賃は戻ってこない。
 ●お荷物
 OTS線が市営ではなく三セク経営になったのは、市交通局にとって「お荷物」だったからだ。交通局が運営しても、乗客1人1回当たりの増収は数十円にすぎず、「新路線の許可を出す運輸省は、採算性を重視する。市営では採算に合わない」(交通局)という。バスも含めた交通事業全体の累積赤字(1996年度決算で2388億円)も足かせになった。
 市幹部の一人は「OTS線は市民生活に密着した路線というよりも、むしろベイエリア(湾岸)開発のため。鉄道を早い時期に通すためには、港湾局を主体にして三セクを活用するのが近道だった」と説明する。
 ●仮の路線
 一つの路線で、コスモスクエア駅を境に地下鉄とニュートラムに分かれる点も、不自然だ。当初は全線がニュートラムの予定だったが、建設中の92年に変更。主な区間の大阪港−コスモスクエア間を、輸送力に余裕のある地下鉄に変えた経緯がある。
 市は当初、1時間当たり最大1万3000人の輸送力で対応できると踏んだが、後に同2万人の輸送力が必要になると上方修正。五輪招致などを見据えた夢洲(ゆめしま)と舞洲(まいしま)への延伸のほか、新しい人工島での需要を視野に入れた結果だった。
 市とOTS社はともに、乗り継ぎ運賃など使い勝手の悪さを認める。運賃の仕組みを説明するパンフレットやポスターを作製したり、コスモスクエア駅で円滑に精算できるよう精算機9台を設置したりするなど、混乱の回避に躍起だ。新路線が軌道に乗るまでには、しばらく時間がかかりそうだ。(朝日新聞)
14日■阪堺線踏切上の乗用車内 男性殺される 大阪
 13日午後11時ごろ、大阪市西成区萩之茶屋一丁目の阪堺線の南霞町駅南側の踏切内に停車中の軽乗用車の中で男性が血を流している、と通行人から110番があった。
 男性は約1時間後に収容先の病院で死亡した。現場の状況から西成署は殺人事件として捜査している。
 同署の調べでは、死亡した男性は右の首筋に何かで刺された傷跡があったという。男性は大阪府東大阪市の男性(27)の免許証を所持。グレーのジャンパー、白のセーター、ジーンズ姿で黒い靴をはいていた。(京都新聞)
■市バス再生 切実な声 京で公共交通シンポ 路線再編で苦情も
 地下鉄東西線開業に伴う大幅な路線再編を機に、京都の市バスや地下鉄などの公共交通機関のあり方を考えようと「市民の足を考えるシンポジウム」(市民の足を守る連絡会主催)が13日、京都市上京区の社会福祉会館で開かれ、市民約60人が参加した。
 立命館大の土居靖範教授(交通論)が「住民の足としての公営交通事業の意義と再生」と題して講演。生活する上で欠かせない「交通権」の概念から、公営交通機関の必要性を説明した。
 また、経営が苦しいバス事業の現状を、渋滞で運行が時間通り行われない▽料金が高い▽混雑がひどい−などのため、客離れが進んだ結果と分析。その上で、必要なのは赤字路線の廃止ではなく、市内のマイカー走行を抑制して走行環境を良くしたり、運賃制度を見直してバスを再生させることだ、と指摘した。
 バスの利用者からは「今回の再編で、乗り換えの回数が増えるなどして、障害者など弱者へのしわ寄せが出ている」「不便なところに住んでいるが、もし民間バスに移管されたら、交通権が保障されるかどうか不安」などの切実な声が出ていた。(京都新聞)
■声 携帯が使える車両もあれば 大宮市 寺崎 尚樹(会社員 28歳)
 最近、電車などの乗り物で「携帯電話の電源を切ってください」というアナウンスを耳にする。確かに、大きな声で話している人や、込み合った車内で長電話している人もいる。ペースメーカーを使っている人への電磁波の問題も叫ばれている。
 しかし、携帯電話がこれだけ広まってしまったのに、電車などの公共性の高い乗り物で、使用の中止だけを呼びかけているのはおかしくないだろうか。逆に、どうしたら携帯電話と共存できるかを考えるべきではないだろうか。
 例えば一つの案として、使用可能車両と禁止車両を分けてみてはどうだろう。そうすれば、緊急の用件のとき、気兼ねなく携帯電話を使うことができるし、それに対して嫌な思いをする人も減るだろう。
 使うことを前提に仕事をしている人も多いはず。持っていれば当然かかってくる。肩身の狭い思いをしながら電話をするのは嫌なものである。周りの乗客も使用可能車両なら仕方ないと割り切れるだろうし、ペースメーカーを使用している人も安心できるだろう。(朝日新聞)
16日■宝塚歌劇の事業部を新設 阪急電鉄
 阪急電鉄は15日、遊園事業などを統括する創遊営業部から宝塚歌劇の担当部門を独立させ、18日付で歌劇事業部を新設すると発表した。東京公演が来年5月から通年化するのに併せて業務を効率化する。将来的に歌劇部門を独立採算制にするなどの狙いもある。
 歌劇事業部は、歌劇団所有の2劇場の管理運営や企画、販促などを担当。新事業部長に高野賢一創遊営業部長が就任する。(京都新聞)
■新聞不買運動打ち切り発表 廃線論でJR西労組
 JR境線を廃止したらどうかとのコラムを掲載した鳥取県の地元紙・日本海新聞に反発し、10月末から同紙の不買運動を続けていた西日本旅客鉄道労働組合(JR西労組、森正暁委員長)は15日、運動の成果が得られたとして、組織的な購読中止通告を同日で打ち切ると発表した。
 同労組の組織的な購読中止通告は計804人。運動の結果「9割近い住民から境線存続のコンセンサスを得た。鳥取県など自治体に地方ローカル線存続の意向を表明させ、世論を高めたとしている。
 同労組は記事の修正、撤回を求める態度は変わらないとしており、住民アンケート結果のビラ配布を予定している。
 一方、日本海新聞の白岩尚・編集制作総局長は「不買運動の中止は当然のこと。言論には言論でこたえてほしかった」とのコメントを発表。不買運動中、掲載を拒否してきた同労組側の投稿を受け入れる意向を明らかにした。
 問題のコラムは10月7日付1面掲載の署名入り「鳥取発特報」。米子空港の滑走路延長に伴うJR境線の地中化構想に対し、利用客の低落などを理由に「歴史的な役割は終わった」として境線の廃止を提唱。大きな反響を呼び県議会などでも取り上げられた。(京都新聞)
■脱線事故の長野電鉄監査 運輸省
 今年3月以降、3回も脱線事故を起こしている長野電鉄(本社長野市)に対し、運輸省鉄道局と同省新潟運輸局は合同で15日、特別保安監査を実施した。
 今回の監査は再発防止策や安全管理、社員の教育指導などを確認するのが目的。運輸省の担当官ら7人が同社を訪れて役員から事情を聴いたほか、須坂市や更埴市にある車両工場で車両整備や検査の方法などを調べた。監査は16日も行われる。
 長野電鉄は3月、運転士の飲酒が原因で脱線事故を起こし、9月にも保線係員のミスで脱線。いずれも関係者が刑事処分されている。さらに11月20日には、長野市でポイント破断が原因とみられる3度目の脱線が起きた。いずれの事故もけが人はなかった。(京都新聞)
■今年も入学祈願の入場券発売 南海電鉄 高野線の学文路駅
 入試の季節を控え、入学祈願で人気を集めるようになった南海高野線学文路=かむろ=駅(橋本市)の入場券が今年も特製ケースに入れられて、15日から発売されている。
 特製入場券は「学問(文)の路に入る」とのごろ合わせにちなみ、1975年から発売されている。80年からは「ごまいいり 入場券 学文路」として、5枚セットになり、毎年、ケースのデザインが変えられるようになった。今年は、希望の品を唱えながら振ると品物が出てくる「打ち出の小槌(こづち)」をあしらっている。
 1組750円。高野線や南海線の駅などで発売する。限定5000部。郵送の場合は、現金書留か郵便定額小為替で、返信用封筒と90円切手を同封し、〒542、大阪市中央区難波五丁目1-60、南海電気鉄道・営業企画課(06・644・7165)へ。(朝日新聞)
■日本海新聞不買運動 JR西労組が年内収束決定
 鳥取県の米子−境港を結ぶJR境線(17.9`)の廃止論を載せた地元紙・日本海新聞の不買運動を展開している西日本旅客鉄道労働組合米子地方本部(略称・JR西労組米子地本、重田紀生委員長、約2400人)は15日、「県知事らが存続の必要性を議会で表明するなど世論形成に一定の効果を収めた」として、年内で不買運動を終えることを決めた。日本海新聞の謝罪を求める運動は、催しの際などに訴えるといった形で続けていくという。(朝日新聞)
17日■たばこ特別税 業界強く反発
 旧国鉄、国有林野の累積債務の処理のため、来年10月から「たばこ特別税」(仮称)の創設が決まったことに、たばこ業界は「たばことは直接関係のない問題で、負担が増えるのはおかしい」と反発一色だ。
 税率は1本あたり82銭で、たばこ料金も今年4月に続き、来年10月からの再値上げが避けられない。日本たばこ産業(JT)は「納得できない。引き続き反対していく」という。
 一方、しょうちゅうとウイスキーの税率格差の最終是正時期が前倒しになり、しょうちゅう甲類の増税とウイスキーの減税が来年10月から来年5月に、風味の強いしょうちゅう乙類の最終的な税率引き上げ時期が2001年10月から2000年10月に早まる。(朝日新聞)
■事故原因は特定できず 大阪市のニュートラム
 大阪市営ニュートラムで1993年10月、列車が暴走、衝突し、乗客215人が重軽傷を負った事故で、市交通局の事故調査委員会がまとめた最終報告でも、事故原因が特定できなかったことが、16日分かった。しかし、同局は「ブレーキ指令系統の極めてまれな一時的障害」と推定し、人工知能(AI)制御方式の自動列車運転装置(ATO )を採用するなど、この日、全線で約17億円をかけた保安システム導入を終えた。(朝日新聞)
■つめて座ってね 奥の手シート JR西日本 2000年度導入 「マナーに頼ってられない」
 座席にすき間があるのに、詰めてくれない−。列車に乗った際のそんな悩みや苦情を少しでも解消するため、JR西日本は、都市近郊の短距離通勤型車両に、おしりの形に合わせた「バケットシート」を2000年度から導入することを決めた。座席に凹凸をつけて定員通り腰掛けてもらおうというもので、すでに採用している一部の電鉄では効果が出ている。これまでの座席よりコスト増になるが、「乗客のマナーに頼ってばかりいられない」と「腰」をあげた。
 同社の通勤型車両のロングシートは、1両につき4−6ヵ所にあり、標準体形の大人なら7人が定員。従来のは座面が平らで、どこに腰かけても違和感がない。これに対してバケットタイプは、背もたれを含め1人ずつ凹凸をつけて区切るため、盛り上がった部分は座りづらく、自然と定員通りになる。
 1996年度にJR西日本に寄せられた乗車マナーに関する苦情394件の中でも、「7人掛けが守られていない」というのが28件で4位にランクされた。今年度はこれを上回るペースで苦情が寄せられているという。バケットを導入した第1号車の登場は3年後になるが、まず、大阪市を中心とした都市近郊を走る207系などの新造車両が対象になる。
 同社は「車掌がアナウンスなどで呼びかけても限界がある。譲り合いのマナーが徹底していれば、1両当たり20万円ほど割高なバケットにする必要はないのですが…」と悩みを明かす。
 91年からすでに導入している阪神電鉄は全326両中、3割の104両がバケットシート。南海電鉄も92年から採用を始め、通勤型車両640両のうち110両になっている。両電鉄とも「お客様にきっちり座っていただいているうえ、座り心地も向上した」と効果を話している。(朝日新聞 夕刊)
■臨海部に直結「南湊・港区連絡線」 あす開業
 大阪の都心部と臨海部を直結する「南港・港区連絡線」(OTS線、3.7`)が18日正午、開業する。市の第三セクター・大阪港トランスポートシステム(OTS社)が運営し、運賃は全線均一の230円。市は「臨海部の開発に弾みがつく」と期待している。
 OTS線は、道路部分が10月に開通した海底の「大阪港咲洲(さきしま)トンネル」(全長2.2`)を通り、大阪市港区・築港地区と住之江区・南港地区を結ぶ。大阪港−コスモスクエア間は地下鉄が、中ふ頭−コスモスクエア間はニュートラムがそれぞれ運行する。
 市営地下鉄、同ニュートラムとの乗り継ぎには、割引運賃が適用される。割引額は、市営の乗車距離が3`以下(1区)の場合は40円、3`超(2区以上)の場合は20円。(朝日新聞 夕刊)
■広告特集 あす12月18日(木)正午 OTSテクノポート線・OTSニュートラムテクノポート線 営業スタート トンネルを抜けるとホームに魚たちが舞う
 あす12月18日開業する「OTSテクノポート線」と「OTSニュートラムテクノポート線」は、地下鉄中央線「大阪港駅」とニュートラム「中ふ頭駅」を結ぶ新しい路線で、いずれも 大阪湾トランスポートシステムの運営により営業されます。両線の開業により、大阪湾ベイエリアの交通アクセスは飛躍的に便利になり、このエリアのさらなる発展が大いに期待されています。
 とくに「OTSテクノポート線」は、大阪港峡洲トンネルという海底トンネルをくぐるユニークな路線。その技術的な見どころや開業までのエピソードをあますところなくご紹介しましよう。
・日本初、鉄道と道路併用の海底トンネル
 これまでは奈良・生駒から西に延びる近鉄東大阪線と地下鉄中央線の終点であった「大阪港駅」。新しいOTSテクノポート線は、そこからさらに海底の大阪港咲洲トンネルをくぐり、南港の「コスモスクエア駅」へと延びていきます。そして「コスモスクエア駅」で「OTSニュートラムテクノポート線」に乗り継ぎ、新駅の「トレードセンター前駅」を経て、これまで住之江公園駅発のニューーラムの終点であった「中ふ頭駅」とつながりました。
・本町駅と南港コスモスクエアが約15分で結ばれる
 OTSテクノポート線の開通によって大阪の都心部からコスモスクエア(南港北地区)へのアクセスがとても便利になり、本町からは約15分、梅田から約25分、生駒から約42分で「コスモスクエア駅」に到着します。
 南港の人気スポット、アジア太平洋トーレードセンター(ATC)や大阪ワールドトレードセンター(WTC)、インテックス大阪、ふれあい港館、野鳥園などへ、海底トンネル通過の体験を楽しみながら、しかも早く、便利に行けることになりました。
 また将来は、OTSテクノポート線から同じように海底トンネルにより、オリンピックが開催された場合に会場となる夢洲、舞洲へ路線を延ばす構想も。この新しい地下鉄は、大阪の夢も一緒に乗せていってくれます。
・巨大な10個の《箱》をつないだトンネル
 この新線の工事には、約9年の歳月を要しました。なかでも大阪市の港湾局が中心になって進められた大阪港咲洲トンネルの工事には最新の技術が投入されました。
 海底トンネルの工事には多くの場合、海底のさらに下を掘り進むシールド工法が用いられますが、大阪港咲洲トンネルはその工法ではありません。「大阪港駅」まで地下鉄中央線は高架を走ってくるので、海底のさらに下を掘ると、トンネルに下る線路の勾配が非常に急になってしまうからです。
 そこで、国内でも珍しい沈理工法と呼ばれる技術が採用されました。これは海底を平坦にならし、そこに水が入らないように密閉した《箱》を並べていく工法。これならトンネルの位置が比較的浅くなり、勾配もそれほど急になりません。
 その《箱》は、長さ103メートル、幅35.2メートル、高さ8.6メートルというとてつもない大きさ。これを10個つないでトンネルを作るというものです。あらかじめ地上で組み立てたものを海上輸送して沈めていくのですが、沈める場所は大阪湾のメーン航路、多くの船が行き交っています。そこへ安全第一に巨大な《箱》を沈めていくのですから時間がかかったのもうなずけます。
 そのように苦労に苦労を重ねて完成したユニークな工法の大阪港咲洲トンネル。道路は10月17日に、すでに往復4車線が開通しています。このように鉄道と道路に併用される海底トンネルは日本初、世界でも3番目といいますから、くぐるのが楽しみですね。
・ゴマちゃんやジンベイサメがかわいいカラフルな車両
 OTSニュートラムテクノポート線は、ニュートラムとの相互乗り入れ、OTSテクノポート線も地下鉄中央線、近鉄東大阪線との相互乗り入れになりますから、乗車する車両はどこのものか、というのも楽しみのひとつ。子供たちは、その中に海遊館でおなじみのジンベイザメや、まんがの人気者ゴマちゃんがデザインされた車両を見つけて喜ぶことでしょう。ゴマちゃん電車は1編成で、平成10年3月末まで走る予定。
・海底トンネルに吸い込まれるよう
 ここで初めてOTSテクノポート線に乗る時のチェックポイントをご紹介しましょう。やはり一番の楽しみは、「大阪港駅」から大阪港咲洲トンネルに入っていく時。沈理工法によって勾配がゆるやかになっているとはいえ、高架を走っていた地下鉄が海底に向かう時の角度はなかなかのもの。まるでトンネルに吸い込まれていくようなスリルが味わえます。前に見える海面や船が電車より上になっていくのも不思議な感じです。
 逆にトンネルから出る時にも、勾配の関係で回りのビルが斜めに倒れそうになって見える目の錯覚が面白く、これはぜひ子供たちに教えてあげてください。では海底トンネルをくぐり、対岸の「コスモスクエア駅」に行ってみることにしましょう。
・海のイメージをふんだんに取り入れた駅
 ここからは 大阪港トランスポートシステム社長の橋本博さんにもご登場いただいて「コスモスクエア駅」を案内していただくことにしましょう。
 開業前に橋本さんと降り立った「コスモスクエア駅」は、いたるところに《海》のイメージが散りばめられていました。地下2階がテクノポート線のホーム、地下1階がニュートラムテクノポート線のホーム、そして地上階がコンコースになっていますが、それぞれのホーム階は丸天井になっていて、照明は水を通してきた柔らかい光をイメージしたものに。床にも大阪湾に生息する魚たちを図案化したタイルがアクセンーに用いられています。「やはりホームが海面下にあるわけですから、海底のイメージを出すようにしました」と橋本さん。
・ホームに水族館がある?!
 それよりも驚かされたのは乗降ホームの左端にあったミニ水族館。幅15メートルの水槽の中では、クロダイ(チヌ)やスズキ、マダイ、アジ、シロザメなど大阪湾に棲む魚たちが優雅に泳いでいるのです。水槽が線路の反対側の壁面にあるため、「小さな子供たちが魚を見やすいように、ここだけ転落防止用パネルを透明にしてあるんです」。駅のホームに水族館があるなんて、前代未聞です。これなら電車を待つ時間も楽しそう。
人にやさしい駅づくり
 テクノポート線ホーム階からは3連のエスカレーターで上に。「コスモスクエア駅」にはエスカレーターが12台、エレベーターが3台もうけられています。「これはもちろん、お年寄りや身体障害者の方に、安全で快適に駅を利用していただくためです。それに地下鉄からニュートラムへの乗り換えもスムーズになっています」と橋本さんは《人にやさしい駅づくり》を設計の基本に取り入れたことを強調されていました。そうした配慮は、ほかにもさまざまなところに。 目の不自由な方のために用意された「音声付き点字案内板」もそのひとつ。
 ちなみにトイレには、幼児のおむつを換えるのに便利なベビーシートがちゃんと用意されています。しかも、男性用トイレにも。「やっばり、子育ても男女平等ですからね」。
・コンコースから外へ出るとすぐ目の前は青い海
 地上階のコンコースは、海の楽園や陸の楽園をイメージしたリラクゼーション映像を映し出すバーチャルウィンドウがつくられています。
 コンコースから外に出てみると、目の前には大阪湾の青い海。そこは潮風が心地よい、まさにペイエリアです。「ここは、おそらく日本で一番海に近い地下鉄の駅でしょう」と、橋本さん。駅の近くの緑地もこれからきれいに整備されていくとか。駅のすぐ上が、コスモスクエアの新しいデートスポットになるかもしれません。
 最後に橋本社長に運営に当たってのビジョンをお聞きしました。
 「なにより安全輸送が運行面の最大の目標です。そして〈便利〉〈使いやすい〉を大切に。
 またコスモスクエア駅を大阪湾地域のさまざまな文化の発信基地にするなど、お客様に可愛がっていただける鉄道を目指して社員一同頑張っていきたいと考えています。
 21世紀に向けて情報化・国際化・高度技術化に対応する都市づくりが進むコスモスクエアに私どものOTSテクノポート線、OTSテクノポートニュトーラム線の開通が、さらなる発展の起爆剤になることを願っています。」(朝日新聞 夕刊)
18日■新規着工分は30億円に抑制 整備新幹線本年度予算
 運輸省は17日までに、本年度の整備新幹線事業費1735億円のうち、新規着工区間分の100億円を約30億円に抑制し、残りの約70億円を既着工区間などに充てる方針を固めた。18日に開かれる政府与党の整備新幹線検討委員会に示す。
 一方、新規着工区間の優先順位決定で検討委は今月中の決着を目指してきたが、来年度予算編成作業が今週末から本格化することなどで、結論を年明けに持ち越す可能性も出てきた。
 同省が本年度の新規着工区間分の建設事業費を圧縮したのは、財政構造改革の集中改革期間(2000年までの3年間)は事業費を極力抑制するとした検討委の方針に沿った措置だ。(京都新聞)
■旧国鉄の累積債務 JRに負担強制へ 財政改革会議方針
 政府・与党の財政構造改革会議は17日、旧国鉄と国有林野の累積債務の処理策を正式決定した。3日に同会議企画委員会(座長・加藤鉱一自民党幹事長)が示した座長案を原案通り了承したもので、次期通常国会で関連法を改正する。国鉄債務の処理策に盛り込まれたJRの追加負担を、JRが拒否している問題については、「処理策を守ることが基本。JRが同意しなくても、法改正して負担を義務づける。憲法違反ではないという法制局の見解もある」(額賀福志郎官房副長官)として、強制負担させる方向が固まった。(朝日新聞)
■OTS線が開業 大阪ベイエリア
 大阪市の第三セクター大阪港トランスポートシステム(OTS)が、市営地下鉄大阪港駅(港区)と市営新交通システムニュートラム」中ふ頭駅(住之江区)間の約3.7`を結び運行するOTS線が18日、営業を開始した。
 中間のコスモスクエア駅まで地下鉄とニュートラムが相互乗り入れするが、同駅では乗り換えが必要。
 OTS線の開業で市営地下鉄は四つ橋線、中央線などで環状につながり、目的地によってはOTS線を利用すれば時間は短縮されるが、料金は割高となる。OTS線の乗車料金は大人230円、子供120円。(京都新聞 夕刊)
■オフィス需要低迷、企業撤退続く中 新都心への夢 咲かせるか 南港へOTS線開通
 大阪の臨海部を「新都心」に変ぼうさせる重責を担って18日、「南港・港区連絡線(OTS線)」が走り出した。沿線のビジネス拠点、大阪市住之江区のコスモスクエア地区では、「新線効果」を狙って新たなビル2棟が完成、南港開発の旗を振る大阪市も来年度、企業用地の第2期分譲に乗り出す。だが、オフィス需要の低迷で、市の第三セクターが営む2つの巨大施設の累積赤字は膨らみ続け、大手企業の撤退も止まらない。新路線は果たして、南港発展の「救世主」となり得るのか。それとも、赤字が常態化し、市民に将来、ツケが回されるのか。(社会部・岩城 興)
・開業記念式典開く
 「南港・港区連絡線」の開業記念式典が18日午前、大阪市住之江区に新設された同線コスモスクエア駅で開かれた。同駅地下2階の地下鉄ホームを、市や運輸省、建設省などの関係者約400人が埋め、磯村陸文市長や同線を運営する第三セクター「大阪港トランスポートシステム」(OTS社)の橋本博社長らがテープカット。「湾岸開発の弾みに」と期待をこめ、新線の門出を祝った。
●バラ色
 「この地で新しい一歩を踏み出されるのは、街づくりを推進する市にとってまことに心強い」。12日、コスモスクエア地区に完成した日立造船本社ビルで催された落成式典。招かれた大阪市の佐々木伸助役はこう持ち上げた。同社は市内に分散していた営業、設計部門を統合し、24日から業務を始める。
 地区内には11月末、安田生命保険の研修センター(9階建て)も完成。社員研修のほか、他の企業にも貸し出し、年間2万人の利用を見込む。大手商社の伊藤忠商事は10月末、大阪本社ビルを2003年3月をめどに完成させる計画を打ち出した。
 市の第三セクターが運営する輸入卸売り施設「アジア太平洋トレードセンター(ATC)」の業務棟には9月中旬、大手家具販売店の大塚家具が、売り場面積約2万3000平方bの大型ショールームを開設。3−4割で低迷していた入居率は6割近くにはね上がった。
●頭打ち
 一方、ATCに隣接する西日本一のノッポビル「大阪ワールドトレードセンター(WTC)」では、今年に入って、大手企業4社が相次いで撤退した。ビル建て替えで仮入居中の三井物産関西支社も、営業部門の解約予定を早めた。OTS線開業をあてこんで入居する8社を含めても、入居率は現在の5割台後半にとどまる見込みだ。
 WTCから営業拠点を大阪市の中心部に戻した企業の幹部は「南港は足場が悪く、たとえOTS線が通っても、営業を展開するうえで効果が薄い」と言い切る。
 しかも、WTCの賃貸料は坪当たり月2万3000円程度と一等地並みの水準。大阪中心部には昨年から今年にかけ、新たなビジネス拠点が立ち上がっており、オフィスの供給過剰が続いている。
 WTCの累積赤字は開業2年目の昨年度、113億円に達し、早くも自己資本を上回る債務超過に転落した。WTCには現在、市の外郭団体3つが入居しているが、市港湾局も局庁舎の耐震工事に伴い、高い賃貸料を払って早ければ来年度にも仮移転する意向を示している。
●先行投資
 OTS線を運営する第三セクター「大阪港トランスポートシステム」も市が筆頭株主だ。同社は、OTS線の来年度収支を16億8000万円の赤字とはじいたうえで、黒字転換を2004年に、累積赤字解消を2010年に設定する。
 しかし、これは2005年に南港地区の就業人口が8万人、うちコスモ地区だけで現在の倍以上の約2万8000人に伸びるのが前提となる。市は新たに造成したコスモスクエア駅前の約23fを第2期分として売り出す予定だが、隣の1期分のうち1割に当たる約7fはいまだ売れ残っており、最後に売れてから2年以上、引き取り手はない。
 同社は「市の見通しを割り引いて目標を立てたが、まだ甘いかもしれない」と認める。均一の230円に設定した運賃は、需要の掘り起こしを狙って低めに抑えており、「値上げは当分、難しい」(業務課)」
 奈良女子大の中山徹助教授(都市計画学)は「周辺の地域開発が経済効果を及ぼし、税収にはね返るという論理は、高度成長期の思考で時代遅れ。需要がある市街地の防災対策などに優先的に投資すべきだ」と指摘している。
・OTS線 道路部分が10月に開通した海底の「大阪港咲洲(さきしま)トンネル」(全長2.2`)を通り、大阪市港区・築港地区と同住之江区・南港地区を結ぶ。大阪港−コスモスクエア間(テクノポート線)に地下鉄が、中ふ頭−コスモスクエア間(ニュートラムテクノポート線)にニュートラムが運行。それぞれ市営地下鉄中央線と同ニュートラムが乗り入れる。(朝日新聞 夕刊)
■整備新幹線新規着工 予算、30儀円に減額 区間の決定は来年に
 政府・与党の整備新幹線検討委員会は18日朝開いた会議で、今年度予算に計上されている新規区間の着工予算100億円を30億円に削減することを決めた。残りの70億円は、すでに工事が進んでいる他の区間に振り向けられる。具体的にどの区間を着工するかなどは、決定を来年に持ち越す。
 今年度予算では、東北(青森・八戸−新青森)、北陸(長野−新潟・上越)、九州・鹿児島ルート(福岡・船小屋−熊本・新八代)の3線3区間向けに100億円の新規着工予算が計上されていた。すぐに着工を決めても、年度の残りが少なくなっていることから、新規予算の削減を決めた。(朝日新聞 夕刊)
19日■ボンネットバスさよなら 長浜、28日限りで
 長浜市内を1988年から走っていたボンネットバス「楽らくバス」が、今月28日限りで姿を消す。運行主体の長浜楽市が、事業再編の一環に決めた。「レトロな味わいあるバス」として親しまれていただけに、市民からは惜しむ声も出ている。
 運行が打ち切られるボンネットバスは66年型の国産車で、定員50人。もとは江若鉄道の路線バスとして活躍していた。その後、近江鉄道の所有になり、長浜楽市が開店した88年から、長浜港−JR長浜駅長浜楽市間の8`を往復する「楽らくバス」として走り始めた。
 運行は近江鉄道に委託され、土、日曜と祝日に1日8便を運転。黒、白、赤のカラーリングと、後ろ姿のダルマのような形が、お年寄りや子供たちの人気を集めていた。
 料金は当初、大人が100円、現在は220円になった。しかし、9年間で乗客は減る一方で、最近は1便数人の状態が続いていた。
 近江鉄道では「長浜を去っても、県内の他の観光地で走らせたい」としている。(京都新聞)
■地下鉄を2時間延長 京都市交通局、大みそか−元日 バスは3系統臨時運行
 京都市交通局は大みそかから元日にかけて、初もうで客などに利用してもらうため、地下鉄烏丸・東西両線と市バス3系統で夜間臨時運行をする。
 地下鉄は、烏丸線と東西線の運行時間を約2時間延長し、各16往復増発。最終発は、烏丸線では、国際会館発が午前1時45分、竹田発同1時48分。沿線に平安神宮や知恩院など多数の初もうで客が見込まれる社寺がある東西線では、醍醐発が同1時36分、二条発同1時50分とし、16分間隔で走る。
 市バスは、京都駅前−四条大宮−西大路四条−北野天満宮前−千本今出川−二条駅前−四条大宮−京都駅前を循環する「特50号系統」を、31日午後8時50分から1日午前4時55分まで15−25分間隔で運行。
 四条大宮ー西大路四条−北野天満宮前−出町柳駅前−熊野神社前−平安神宮前を往復する「特201号系統」が31日午後9時35分から1日午前5時10分まで15−20分間隔で走る。
 また、地下鉄東西線とJR嵯峨野線の臨時運行に対応し、四条大宮−二条駅前−西ノ京円町−北野天満宮前−千本今出川−二条駅前−四条大宮を循環する「特55号系統」を31日9時56分から1日5時11分まで30分間隔で運行する。(京都新聞)
■窓 駅ビルにある新鮮な開放感 下京区・伊東 照美(無職・47)
 京都駅ビルがオープンして約3ヵ月。京都の人たちの反応は、さまざまだろう。ジェイアール京都伊勢丹内を含め、オープン・エアの喫茶店が数ヵ所ある。室外にテーブル、イスが置かれて、そこでお茶を楽しむ形式の喫茶店だ。とかく閉鎖的だと言われる京都人に、どれぐらい受け入れられるだろう。結果は、若い人は気軽に楽しんでいるし、中高年の男性2人がコーヒーを飲んでいる光景も見かけた。
 特に、駅のコンコースに面している喫茶店は、いつも大勢の客でにぎわっている。セルフサービスで比較的安価だ。そこのテーブルからは、ほとんど駅ビルの全容が眺められるし、駅自体の流れや動きが、じかに伝わってくる。時を忘れるまで座っていたいような気にさせられる。
 オープン・エアの喫茶店も一役買って、駅ビルは、開放感や伸びやかさを京都にもたらしてくれたと思う。(京都新聞)
■「路面電車で京都再生を」 広原・府立大学長が提言 低騒音で排ガス出さず 高齢者も楽に乗降可能
 当初日程より1日延長された気候変動枠組み条約第3回締約国会議(温暖化防止京都会議)は、先進国全体で温室効果ガスを1990年比で5.2%削減するという議定書を採択して閉幕した。産業界や暮らしの現場で二酸化炭素などの排出を減らす具体的取り組みが求められる中、府立大の広原盛明学長(住宅・都市計画学)が、「内環状線(インナーループ)方式の路面電車の導入を」とする提言を朝日新聞社に寄せた。要旨を紹介する。
 温暖化防止京都会議の開催地となった京都に問われているのは、世界に対する「21世紀環境文化都市」としての内実ある都市づくりの提言や、実践に関する情報発信だ。温暖化防止というグローバルな課題の具体化は、私たち市民一人ひとりや自治体などのローカルな存在の取り組みにかかっている。
 京都はいまから102年前、わが国最初の路面電車を走らせた都市。明治期の東京への遷都で衰退した京都を立て直すために琵琶湖疎水を引き、日本初の水力発電所を建設し、その電気を使った路面電車が導入された。京都の近代化は、クリーンなエネルギーと交通機関の導入からスタートしたといえる。
 しかし、高度成長時代の都市計画は、自動車交通の邪魔者になる市電を市民の反対を押し切って全廃に追いやった。現在、京都の道路という道路はことごとく自動車で埋め尽くされ、京都のまちは排ガスの底にあえいでいる。
 温室効果ガスの削減と21世紀における京都再生の手がかりとして、都心部への高性能路面電車の導入を提言したい。具体的には、世界の環境文化都市として名高いオーストリアの首都・ウィーンの路面電車の内環状線のように、京都の都心地域を取り巻く御池、烏丸、五条、川端の各幹線通の内側に、歩道に摸して左回り一方通行の路面電車の単線軌道を敷設するのである。これならば、車道の幅の縮小も少なく、左折通行だけなので電車の運行もスムーズにいく。
 路線の総延長は約5`。300b間隔で16の駅をつくり、3両編成で定員200人ほどの高性能路面電車を3分間隔で走らせる。乗降時間を含めた1時間の走行距離を12`とすると、約25分で都心地域を一周できる。
 建設費は1`あたり25億円と想定して、路線部だけで約125億円。車庫や変電所などの建設費を含めても200億円を下回る。地下鉄建設費の1`分にも満たない低コストで実現できる。
 一方で、環状線内の都心地域を原則として「自動車交通抑制地域」とし、平日・休日とも正午から午後7時ごろまで「乗り入れ料金加算タクシー」を除く自動車交通を抑制する。現行の市バスは環状線地帯を終点とするか、路線を変更する。
 路面電車は二酸化炭素など排ガスを出さない。整備された軌道なら路面電車は滑るように走り、騒音も低レベルで済む。低床式路面電車は30aほどの段差で乗降可能なので高齢者や障害者の利用にも適している。
 なにより、美しい京都の自然や街並みなどを眺めながら目的地まで行けるのが楽しい。路面電車は国際文化観光都市としての京都に最も似合う先端的都市交通機関といえる。
 京都はこの四半世紀の居住人口激減が示すように、中心市街地は日々激化する自動車交通によって地域崩壊ともいうべき危機的状況に直面している。自然生態系を保全し、環境負荷の小さい都市づくりを目指すのが21世紀都市のかぎとなる。高性能路面電車の導入と自動車交通抑制による中心市街地づくりは、京都再生のための喫緊の課題ともいえる。
 ◆広原学長は1965年京都大大学院博士課程(建築学)中退。京大講師、府立大助教授などを経て92年9月から現職。71年4月から78年10月まで、市民団体「京都の市電を守る会」の事務局長を務めた。(朝日新聞)
■青鉛筆
 18日に開業した大阪市の南港・港区連絡線(OTS線)の各駅で、乗客が自動改札機を抜けられないケースが相次ぎ、駅員らが終日、対応に追われた。
 同線は、市の第三セクターが運営し、互いに乗り入れた市営路線とは別運賃。トラブルの大半は、市営と思いこんだ乗客が、市営のキップをそのまま通そうとして起きた。
 しかし、中には正しいキップを買ったのに立ち往生させられた客も。こちらは、機械の慣らし運転不足が原因らしく、三セク側は「路線は通せたけど、キップは通せなかった」。(朝日新聞)
20日■社説 無責任な旧国鉄債務の処理策
 先送りと、こじつけの小細工、としか言いようがない。28兆円にものぼる旧国鉄債務が通り一遍の方策で処理できるとは思わないが、それにしても政府・与党がまとめた債務処理策はあまりに無責任で抜本策から程遠い。
 財政構造改革会議で了承された処理策は、大きく二つに分けられる。旧国鉄の債務を引き継いだ国鉄清算事業団が抱える長期債務23兆5000億円は国の一般会計に引き継ぎ60年かけて返済する。残りの4兆3000億円の年金負担は日本鉄道建設公団が引き継いで処理する。
 長期債務部分は元本返済にあたるが、2000年度から毎年度4000億円を返すとし、すべて返し終わるのが60年目となる計画だ。
 巨額債務を一気に処理する妙案がないだけに、60年という超長期の返済も分からぬではないが、あまりにも迂遠(うえん)な計画である。しかも、4000億円の財源そのものも明確には示されていない。いわば将来の実入りを期待した先延ばしで無責任とのそしりを免れまい。
 利子部分の返済計画は、さらに首をかしげるばかりだ。たばこ税を増税(2100億円)して返済財源にすることや、郵便貯金特別会計の剰余金の一部を納付(2000億円)させて返済に充てるとしている。たばこ増税は自民党の税制改正大綱にも盛り込まれた。
 来年度から予算化する緊急性があるとはいえ、苦肉の策とも呼べないほどの、なりふり構わぬ財源対策である。
 とりわけ、郵便貯金の黒字(剰余金)に手を出すのは禁じ手を侵したものだ。本来は貯金者へ渡る資金である。郵貯を民営化しない見返りの納付なら国民はとうてい納得できるものではない。
 年金負担の一部はJRに負担させるがこれもおかしい。民営化時に決まった国とJRの債務負担割合をほごにするものだ。抵抗するJRに対し、法改正による強制負担を求めるという姿勢は高圧的過ぎる。「関係ないたばこを増税するのだからJRも負担が必要」という理由では筋違いを二つ重ねたごり押しになる。
 来年度から財政構造改革が始まる。国の懐が厳しく、ただ単に借金を返すだけの計画は立てにくい。それでも、言いにくい問題を国民に率直に話し理解を得るのが政治の役割である。
 振り返れば、膨大な借金を生んだ赤字のローカル線を建設させたのは政治家である。さらに民営化時点で14兆円だった国民負担の返済をずるずる延ばし利子を膨らませたのも政治の怠慢である。
 いままた先送りしても、国民の負担が減るわけではない。もう一度、抜本処理策を練り直すべきだ。(京都新聞)
■「負担強制は憲法違反」 旧国鉄債務処理でJR西日本社長
 JR西日本の南谷昌二郎社長は19日の定例記者会見で、旧国鉄長期債務を処理するための政府・与党のJR追加負担策について「JRの同意がないのに負担が強制されるのは財産権を侵害し憲法違反だ。行政訴訟に踏み切る可能性もある」と強く反発した。
 政府・与党は17日、約28兆円に上る旧国鉄債務のうち約3600億円をJR各社で負担する処理策を決めた。南谷社長は「今回の処理を認めれば、民間企業に対して政治的干渉が行われる国と(日本は)評価される。そうなればNTT株売却を前提とした金融政策を実施するにもマイナスとなる」と批判した。
 北陸新幹線の上越以西の延伸問題については「暫定整備計画はすでに着工している区間が優先され、スーパー特急方式で整備することになっている」と述べ、フル規格での建設には否定的な見方を示した。(京都新聞)
■JR奈良線複線化来春着工へ 宇治市が表明
 宇治市は19日の市議会JR・地下鉄対策特別委員会で、JR西日本が進めている奈良線複線化について、来年早々にも着工し、住民の理解を得られた地域から順次工事に着手する、との見通しを明らかにした。
 複線化されるのは、京都−藤森間(5.1`)と、宇治−新田間(3.2`)の計8.3`。合わせて宇治−新田間に新駅を建設し、宇治駅も改築する。総事業費は162億6000万円を見込み、2001年の完成を目指している。
 宇治市の飯田進都市整備部参事はこの日、今後の予定について「JR西日本が来春の早い時期に安全祈願祭を行う」と明らかにした。一部地域では増便に伴う騒音問題などでまだ複線化に同意が得られていないが、「地元理解の得られていない所とは調整を進めながら、理解を得られたところから工事に着手するとされている」と述べた。
 祈願祭に合わせ、事業費の半額を負担する京都市や宇治市など沿線の4市4町と京都府が、起工記念式を開く予定。(京都新聞)
■JR西日本が来春ダイヤ改正 500系のぞみ増便 明石大橋開通 舞子駅に快速停車
 JR西日本は19日、来年3月14日から実施するダイヤ改正について発表した。現在、東京−博多間を1日3往復している新幹線「500系のぞみ」を人気にこたえて5往復に増便するほか、4月の明石海峡大橋の開通をにらみ、最寄りの神戸線・舞子駅に快速電車を停車させ、高速バスの利用と合わせ2時間余りで大阪−徳島間を結ぶ。
 先月末のダイヤ改正で、京都を経由して東京に乗り入れた500系のぞみは、最高時速300`のスピードと流線型の車体が好評で、これまでののぞみより約3割多い乗客に利用されている。2往復の増便で上りの京都発東京行きは、午後1時10分と9時9分の便が追加される。
 舞子駅の快速停車は、上下152本中、131本。大阪から乗り換えなしに45分で到着し、バス停「高速舞子」で乗り継ぎ、徳島や、淡路島の洲本方面にスムーズに向かうことができる。
 京滋関連では、東海道線・野洲発の大阪、網干方面行き直通快速電車が、午前4時44分と、5時7分に設定される。従来の直通快速は5時32分が始発。ただし4時44分発は、京都から快速となる。
 また、草津線の草津−貴生川間を夕刻、折り返していた普通電車の2往復が、貴生川から柘植まで延長される。これに伴い、同線の夕刻以降の電車はすべて草津−柘植間を往復する。(京都新聞)
■「天橋立冬景色」号 あす発車
 丹後海陸交通(本社・京都府与謝郡野田川町)は21日から、竹野郡網野町浜詰発の定期観光バス「天橋立冬景色」号を運行する。
 浜詰を午前9時半に出発、KTR網野駅前から国道312号を通り、天橋立で下車、阿蘇海の野鳥を観察する「野ガモ観賞船」に乗船。傘松公園を散策したあと、バスで宮津市小田宿野の関電宮津エネ研「丹後魚っ知館」、宮津市街地のカトリック宮津教会を見学、宮津駅を経て午後3時25分に天橋立駅に着く。
 運行日は、来年2月22日までの日曜、祝日を中心に延べ11日間。運賃は、浜詰、木津温泉、網野からが大人3000円、小人2000円。天橋立第二様橋、一の宮ケーブル下、宮津様橋停留所などから乗車することもできる。(京都新聞)
■旧国鉄債務処理 同意なき法改正違憲 JR西日本社長
 JR西日本の南谷昌二郎社長は19日の定例記者会見で、政府・与党が旧国鉄の年金債務の処理について、関連法を改正してJRに強制的に負担を求めるとしていることに対し、「(JR各社の同意なしに進めるのは)憲法違反に当たる」と語った。またJR7社は同日、「国とJRの責任分担は国鉄改革時に明確に分けられており、議論の焦点となっている移管金も昨年、決着されたばかり。今回の決定には、到底同意できない」とのコメントを発表した。(朝日新聞)
■新幹線 脱線防止に装置 事故教訓にJR西日本 あすから使用開始
 山陽新幹線の岡山新幹線運転所構内で今年5月、回送中の新幹線車両が車止めを越えて脱線、敷地外に飛び出した事故で、JR西日本は19日、車両の速度を検知して所定の位置に停車させる再発防止装置を21日から使用開始する、と発表した。
 事故の直接の原因は運転士の居眠りだったが、暴走時に非常ブレーキがかかるセンサーから車止めまでの制動距離が20bしかなく、飛び出しを防げなかった。このため、事故があった引き込み線(制限速度30`以下)の車止めから約60b手前に速度検知装置を取り付け、十分減速していない場合にブレーキを作動させることにした。(朝日新聞)
■500系のぞみ 東京−博多1日5往復 3月のダイヤ改定
 JR西日本は19日、東海道、山陽新幹線で11月末から直通運転を始めた新型車両「500系のぞみ」を、現行の東京−博多間1日3往復から5往復に増やすなどのダイヤ改定を、来年3月14日に実施すると発表した。(朝日新聞)
■JRにひかれ?死亡 能登川の線路に遺体
 19日午後11時50分ごろ、滋賀県坂田郡米原町米原のJR米原駅に到着した同駅行き「びわこライナー」の先頭車両に人体の一部が付いているのを、杉原幹雄運転士(36)が見つけた。また、JR東海道線上り線の後続列車から「安土−能登川駅間の軌道内に異物がある」と連絡が入り、保線区員が付近を調べたところ、間もなく神崎郡能登川町南須田の同線で、列車にひかれ、ばらばらになった遺体が見つかった。
 八日市署によると男性とみられ、同署では運転士から事情を聴く一方、遺体の身元確認を急いでいる。(京都新聞 夕刊)
21日■新幹線から飛び降り 名古屋で男性 乗務員室窓開け、即死 痴漢で調べ中
 20日午後2時ごろ、東海道新幹線のJR名古屋駅から約2`の名古屋市中川区露橋で、走行中の東京発博多行きひかり119号の10号車乗務員室の窓から男性が飛び降り、即死した。
 中川署やJR東海によると、死亡したのは東京都豊島区の会社役員(33)。女性から痴漢行為の訴えがあり、車掌が男性を乗務員室に入れていた。車掌が目を離している間、10号車の乗客から「人が車外に飛び降りたようだ」と連絡があり、車掌が確認したところ70a四方の窓が開いていた。男性が飛び降りた際の新幹線の走行速度は約70`だったという。JR東海は「新幹線の乗務員室の窓から飛び降りた事故は聞いたことがない」と話している。
 ひかり119号は車掌が非常停止スイッチを押して停車。後続のこだま415号が徐行運転中、運転士が上下線の間に倒れている男性を見つけた。
 JR東海によると、乗務員室の窓は、発車の際に車掌がホームの安全を確認するためにあり、かぎは付いていない。フックを引くと内側に直角に開くという。車掌は3人が乗務していた。
 同署は痴漢行為を訴えた女性の乗客から事情を聴いたほか、車掌など関係者からも状況を詳しく聴いている。このトラブルで新幹線は上下線9本が最大約30分遅れ、約7700人が影響を受けた。(京都新聞)
■窓 京の市バスは全線民営化を 久御山町・西村 忠章(高校生・17)
 最近、京都市営バスの今後のあり方を討議する市民シンポジウムがよく行われているのは、本紙紙面でも取り上げられているとおりだが、自分なりの考えを提案してみたい。結論から述べると、市バスは全線民営化にすべきである。この場合、市と民間が資本を出し合う、いわゆる「第三セクター」による市域全体の一括運営と、市域をいくつかに分割し、各ブロックごとに路線も分割、民間バス会社に移譲する方式の二通りある。僕は後者が望ましいと思う。
 その理由として、前者では、結局は肥大化した組織を引き継ぐだけとなり、現在のような高運賃、利用しにくいダイヤといった独占による弊害が生じ、再び赤字となるだろう。しかし、後者だと、地域内の利用に即した系統・ダイヤを組むことが考えられ、結果的に利用者増加、健全な運営となる可能性がある。
 敬老乗車証、赤字路線の維持など問題は累積している。いつまでも公営交通に固執せずに民営化も一つの選択肢として柔軟に検討することで、結果的に交通弱者の足であり、環境にもやさしいと言われている公共交通を維持できる、と思います。(京都新聞)
■整備新幹線 既着工区間10%増
 整備新幹線の予算は、政府・与党の旧国鉄債務の処理策で運輸省予算を率先して削減する必要が強調されたこともあり、国の負担分として公共事業関係費340億円(前年度実績と同額)の要求に対し、46億円(13.5%)減の294億円が内示された。整備新幹線の予算が要求より削られたのは初めて。特定財源となっている既設新幹線の買い取り代金などを加え、総事業費は1597億円となった。このうち、新規着工区間への予算配分は、今年度と同額の30億円程度とみられる。
 概算要求段階(1666億円)に比べ、総事業費は69億円の減額となった。しかし、高崎−長野間の工事がほぼ終了したことから、既着工区間への配分は1530億円程度になるとみられ、運輸省鉄道局は「今年度の実績と比べ10%の伸びは確保できた」としている。(朝日新聞)
■声 JRの回数券 区間制採用を 高槻市 野村 明信(地方公務員 46歳)
 先日、JR西日本在来線の普通回数券を購入した。他の民鉄と同じ11枚つづり、3ヵ月間有効である。が、切符を見て驚いた。この駅から、この駅までと、すでに乗降する駅名が印刷されているのだ。駅員によると、乗り越した場合は乗り越し区間分の普通運賃が必要だそうである。
 阪急電車や大阪地下鉄などの回数券は、どの駅からでも利用できる「区間制」のようになっている。乗り越したときも、200円区間券で250円区間に乗った場合は、差額の50円を払えばよく、いつでも、どこででも利用でき、大変便利で、得でもある。
 JR西日本は最近、企業努力に励み、新しい感覚で乗客ニーズに合わせた各種切符を販売している。回数券についても一部区間で有利な「昼間特割きっぷ」も出している。
 自動改札機が十分整備されていない現状ではあるが、それだけに、回数券も他の民鉄と同じように「区間制」や乗り越し時の差額徴収に改め、使いやすいものにしていただきたい。(朝日新聞)
■新幹線から飛び降り死 名古屋駅近く 痴漢と訴えられた男性
 20日午後2時ごろ、名古屋市中川区露橋一丁目の東海道新幹線下り線で、東京発博多行きの「ひかり119号」から人が飛び降りたと車掌に連絡があった。後続の「こだま415号」の運転士が、上下線の間に男性が倒れているのを見つけたが、頭の骨が折れて死亡していた。中川署は、この男性がいた乗務員室の安全確認用の窓が開いていたことなどから、男性が走行中に飛び降りたと見ている。
 調べでは、死亡したのは30−40歳ぐらいの男性。「ひかり119号」が新横浜を出て約10分後、女性客が巡回中の車掌に「痴漢の被害を受けた」と、この男性を指して訴えた。
 車掌は男性を10号車にある乗務員室に連れていき、到着間際だった名古屋駅で男性を引き渡すため、警察に連絡した。男性は、車掌が乗務員室から離れたすきに窓を開けて飛び降りたらしい。
 当時、列車は名古屋駅の手前約2`で、時速約60`に減速していたという。同署は男性の身元などを調べている。
 男性が開けた窓は、70a四方の大きさ。JR東海によると、内側の金具を手前に引けば開くという。(朝日新聞)
22日■'97心に残る風景 A 路面電車 京津間走り続け85年
 秋晴れの10月11日、東山から山科にかけての三条通にはたくさんの鉄道ファンが詰めかけた。
 「ゴト、コト」。車が行き交う道路上を緑の車両か力強く歩む。85年間、走り続けてきた京津線の京阪三条−御陵間(3.9`)は、地下鉄東西線乗り入れで、この日が最後の運行だった。
 「ご利用用ありがとうごさいました」。ヘッドマークを付けた2両連結この車両はどこか面映ゆそう。
 京津線は大正元(1912)年8月に開業した。「子どものころは、琵琶湖へ泳ぎに行く人で満員でした。路面電車は時代に合わなくなったのかもしれないが、寂しい」。鉄道友の会京都支部の大西卓副支部長(64)は残念がった。
 引退した車両のうち、台車など6台は、アメリカの電車博物館などで第二の人生を歩むことになった。
 今年、京の街は大きく変わり、その陰で、市民に愛されながら消えていった風景もある。懐かしの写真とともに振り返る。(京都新聞)
■旧国鉄債務 20歳、73万円を負担 富士総研試算 60歳は21万円
 旧国鉄の債務を処理するため、現在20歳の人は約73万円を負担するが、60歳の人は約21万円で済む−。長い間、負担をせずに利益だけを受けていた高齢者は、これからの返済期間が短く負担が少なくてすむ。そのツケは若い人に回ることが、富士総合研究所の試算で明らかになった。調査を担当した浅羽隆史・主事研究員は「60年間にわたって返済するという処理方法は、世代間の受益と負担のバランスが悪く、公平さに欠ける」と指摘している。
 20日内示された大蔵原案で、旧国鉄債務23兆5000億円が一般会計につけ替えられた。その処理のため、たばこ特別税や郵便貯金事業からの納付金などで利払いをすることになった。しかし、郵貯納付金は2002年度までの5年限りの措置で、元本の返済については「歳出・歳入両面にわたる努力」としただけで、導入が検討された総合交通税は見送られ、原則として国の債務と一緒に60年間かけて処理する。
 試算は、この処理策を前提に各世代が払う税などから生涯の負担額を割り出した。(朝日新聞)
23日■特急に男性飛び込む 右京・JR山陰線
 22日午後5時40分ごろ、京都市右京区嵯峨野々宮町のJR山陰線で、男性が城崎行きの下り特急列車にはねられ、全身を強く打って死亡した。乗客にけがはなかった。
 太秦署の調べでは、男性は50−65歳で、灰色のジャンパーに紺色のズボン姿だった。同署によると、男性が線路南側から軌道敷内に入ってくるところを運転士が目撃しているといい、自殺とみて身元の確認を急いでいる。
 この事故で、特急列車が現場に16分間停車したほか、後続の上下線の普通電車各1本が運休、上下線の計9本が30−9分遅れ、計約4500人に影響が出た。(京都新聞)
■京都市バス 発進時に転倒 83歳重症 「報告基準外の全治4週間」 公表せず
 11月7日、京都市右京区の女性(83)が自宅近くから市バスに乗り、座席に着こうとした際にバスが急に発進したため、車内で転倒して胸の骨を折るなど4週間の重傷を負い、入院していたことが、22日分かった。太秦署は、業務上過失傷害の疑いで市バスの運転手(47)を書類送検する方針。市交通局はすでに、運転手を戒告処分にしている。
 市交通局などによると、女性は11月7日午前10時ごろ、自宅近くのバス停「広沢御所ノ内町」から錦林車庫行きの市バスに乗車。車内を前に歩き、シルバーシートに座ろうとして背もたれに手をかけたところ、バスが発進し、よろめいて前向きで通路に転倒した。運転手が呼んだ救急車で病院に運ばれたが、胸の骨を5本折っていた。結果約に約1ヵ月間入院した。
 女性は「正月が近いので退院したが、くしゃみやせきをすると、今でも胸が痛い。運転手は、私が座ろうとしたのを見ていたはず。もう少し発車を待ってくれるか、もっとゆっくり発車してくれたら転ばずに済んだのに。市バスには年寄りもたくさん乗るので、これからは慎重に運転してほしい」と話している。
 運転手は、入院中の女性を見舞って謝罪したが、市交通局総務課は「調査した結果、急発進はしていなかった。事故の直後に、女性から受け取った診断書は全治四週間だった。重大事故は国への報告する基準を全治1ヵ月以上としており、発表はしなかった。発車に伴う事故で運転手が安全確認を十分していなかったのは間違いないため、戒告処分とした」としている。
 市バスは今年6月に、乗客をドアにはさんで約40b引きずるなどの事故が相次いだ。京都市は経営責任と管理監督責任を問い、交通局の幹部五人に厳重訓戒や夏期期末手当を減額する処分を行っている。(京都新聞)
■JR須磨駅ホーム 転落、救助中に電車 2人死亡 忘年会帰り男性ら
 22日午後9時15分ごろ、神戸市須磨区のJR山陽線須磨駅下り線ホームから男性が線路に転落した。助けようとしたもう1人の男性ととともに、入ってきた野洲発網干(あぼし)行き下り快速電車にはねられ、2人とも死亡した。
 兵庫県警須磨署の調べによると、ホームに落ちたのは明石市大久保町大久保町、会社員上願勝さん(43)。助けようとしたのは同市二見町西二見、会社員長谷川博幸さん(34)。
 目撃した人の話などによると、快速電車がホームに入る直前、上願さんがホームからあお向けに約1.5b下の線路に倒れ落ちた。長谷川さんが近寄り、手を差し伸べようとしたが、間に合わず列車に手を引き込まれ、頭を挟まれたらしい。
 上願さんは家族に「忘年会だ」と話していたという。
・2人面識なし
 「あっという間でどうしようもなかった」。現場に居合わせた駅員は悔しさに唇をかんだ。2人は面識はなかったという。目撃者らによると、手をつないだまま長谷川さんが約50b引きずられたという。
 現場に駆け付けた駅員は「あっという間の出来事で周りにいた客にもどうにもできなかった」と青ざめた表情。事故後に同駅に来た主婦(54)は「家族もいるだろうにかわいそう」と話していた。(京都新聞)
■'97 心に残る風景 A ”京の玄関”役割全う
 45年の歴史に幕を閉じたのは、7月12日だった。3代目京都駅。超近代的な新京都駅のオープンとともに、京都の玄関口としての役割を新駅に引き継いだ。
 新駅ビルの大きさには圧倒される。が、3代目駅舎も負けてはいなかった。1952(昭和27)年の完成時、日本で最大規模だった。東側で高く伸びる8階建ての塔と横長の建物がクロスする。直線を強調した造りが、モダンさをかもしだしていた。
 70年代ごろまで、年末になると、帰省列車に乗る人のために、待合テントが駅前広場に設けられた。
 「夜遅くまで、広場はふるさとに帰る人であふれかえっていましたよ」。駅前の塩小路通沿いで飲食店を営む前田勝功さん(52)は、当時の光景を懐かしんだ。
 「駅が新しくなってからは、若者が目立ち、人の流れも変わった。思えば、テントがあったあのころが一番『駅』らしかった」
 「駅」は、人々の出会いと別れが交錯する場。新京都駅にも哀愁が引き継がれるのだろうか。(京都新聞)
24日■地下鉄東西線 醍醐−六地蔵「延伸」決まる 2.4`、予算が復活 京都南部 新交通網を形成 2004年度完成めざす
 京都市の地下鉄東西線「醍醐−六地蔵」延伸計画が23日、98年度政府予算の復活折衝で新規採択され、事業着手が決まった。延伸路線は京都市伏見区醍醐から宇治市六地蔵までの約2.4`。六地蔵でJR奈良線、京阪宇治線と接続し、京都南部の新しい交通ネットワークを形成することになる。99年度に着工し、2004年度の完成を目指す。
 地下鉄東西線(醍醐−二条間12.7`)は、今年10月に開業した。京都市では引き続き醍醐−六地蔵間の延伸に着手することにし、運輸省が新年度予算で事業化(要求額1億7500万円)を要求。
 20日内示の大蔵原案には盛り込まれなかったが、この日、「地下高速鉄道・ニュータウン鉄道整備事業補助」の全国枠(総額617億5500万円)の中で認められた。
 東西線の初年度配分額は24日決まるが、98年度の全国地下鉄事業では、「醍醐−六地蔵」の延伸が唯一の新規採択路線となった。
 延伸計画によると、ルートは市外環状線道路の下を通る見込みで、中間地点の伏見区石田地区に駅が設けられる。六地蔵駅(仮称)はJR奈良線の六地蔵駅と結ぶ形で設置することで、京都市と宇治市が10月、仮協議書で確認している。
 京都市では、本年度中に運輸省に鉄道事業免許を申請、来年度はじめにも取得し、事業着手する。総事業費は712億円で、京都府や宇治市にも事業費負担を求めていく方針。(京都新聞)
■地下鉄東西線延伸決定 府南部の発展へ期待 喜ぶ関係者 「彼岸実った」
 来年度政府予算案の復活折衝で23日、京都市の地下鉄東西線の醍醐−六地蔵間(同市伏見区−宇治市、2.4`)の延伸が決まった。京都、宇治両市の関係者らは「悲願がようやく実った」と率直に喜ぶとともに、京都府南部の交通利便性の向上に大きな期待を込めた。
 予算が計上された延伸部分は、1989年の運輸政策審議会答申で、「2005年までの整備が適当」とされていた。
 今回、鉄道新線として運輸省が要求していたのは、同区間など2線のみだったことから、京都市は「実現の可能性は高い」とみていた。
 建設事業費約700億円のうち2割を市一般会計から出資、残り8割のうち30%を借金(企業債)でまかない、残りを国と地方(府、京都市)で負担する。延伸地域が宇治市にまたがるため、市では府に60億円程度の助成を求め、協議している。
 桝本頼兼市長は「今回の延伸は、京都の鉄道の広域ネットワークを完成させるもの。京都市はもとより京都府南部の発展に大きく寄与する。京都市としては来年度当初に事業免許を取得し、京都府、宇治市と連携して地元の十分な理解を得て速やかに着工したい」と話した。
・JRと接続へ着々と準備 宇治市
 宇治市は、地下鉄東西線との接続を検討しているJR六地蔵駅前の交通広場の調査費を9月補正予算に計上。周辺の道路整備を進めるなど延伸に向けて準備を進めてきた。
 それだけに整備事業費が盛り込まれ、延伸が実現へ動き出したことについて、久保田勇市長は「喜ばしい限り。宇治市の北の玄関口である六地蔵の街づくりや、宇治市民の交通アクセス向上に大きく寄与すると期待している」とのコメントを発表した。
 地元経済界の喜びも大きい。中川恵次宇治商工会議所会頭は「念願がかない、大変うれしい。延伸が実現すれば、宇治市は京都市に一歩近くなる。六地蔵地域は商業集積の高まりにはずみがつき、宇治市の北の玄関口として大きく飛躍発展するだろう」と期待を寄せる。(京都新聞)
■学研への鉄道アクセス 京阪奈新線もゴー 生駒−登美ケ丘 99年度に着工
 関西文化学術研究都市の交通アクセス路線となる鉄道「京阪奈新線」の生駒市・生駒−奈良市・登美ケ丘間(8.7`)が23日、来年度政府予算の復活折衝で新規採択された。99年度から着工、2005年度の完成を目指す。
 事業採択されたのは、京阪奈新線(生駒−奈良市・高の原間12.2`)のうち、「生駒−登美ケ丘」の1期工事。地下高速鉄道・ニュータウン鉄道整備事業補助の全国枠に盛り込まれた。
 同新線は、近鉄奈良線と接続し、大阪市中心部と連絡する。登実ケ丘駅は、学研都市の精華・西木津地区の南側付近に設置される見込み。事業主体は、近鉄や奈良県、関経連傘下の企業などによる第三セクター会社。来年度はじめにも設立し、鉄道事業免許を取得、設計や環境影響調査などに着手する。総建設費は1000億円。
 同新線の運営主体となる近鉄の田代和社長は、新規採択を受けて「奈良県、沿線自治体の支援、協力、関西経済界の後援を得て、一日も早い実現に向けて全力を傾注したい」とのコメントを出した。
・アクセス充実 一段と弾み
 西八條實・関西文化学術研究都市推進機構理事長の話 京阪奈新線の予算が認められたことにより、本年3月のJR東西線の開業、4月の第二阪奈有料道路の開通に続き、セカンド・ステージを迎えた学研都市の課題である交通アクセスの充実に向け、一段と弾みがつくものと、大いに期待している。(京都新聞)
■窓 優先席の表示廃止に不安… 北区・宮本 一子(無職・78)
 先日、京都駅から地下鉄に乗り、優先席に座りました。四条駅で多くの人が降りました。向かい側の入り口に座っている20歳ぐらいの娘さんの傘の先が通路に飛び出していますが、本人は本を読むのに夢中です。危ないなあ、と思いました。乗ってくる人が注意するかな、と見ていましたが、だれも注意せず、本人も知らぬ顔です。私は、たまりかねて「もしもし、傘の先がとび出ていますよ。つまづくと危ないでしょう」と声をかけました。娘さんは本から目を放さずに傘だけ引っ込めました。やれやれと思う半面、なんと愛想のない行動かとあきれました。
 北大路駅でたくさん降り、車内は空きました。4人座れる席に3人の男の人が座っています。1人乗ってこられましたが、3人の真ん中の男の人は詰めようともしません。乗ってきた人は白髪の老人でしたが、詰めてほしい、とも言われませんでした。若者が長い足を広げて2人分の席をとっているのは、毎度のこと。本当に困ったことです。
 市バス、地下鉄から優先席の表示がなくなるそうですが、足の悪い私には、これは大変なことです。髪が黒く、服装も明るい色を好むので、年齢より若く見られ、席を譲ってもらったことがありません。見ただけでは足の不自由なことは分かりません。優先席は大変ありがたいのです。(京都新聞)
■京都の地下鉄、宇治へ 東西線延伸六地蔵 99年度内にも着工
 1998年度の政府予算大蔵原案の復活折衝で23日、京都市などが求めていた市営地下鉄東西線の醍醐(伏見区)−六地蔵(宇治市)間約2.5`の整備事業が認められた。同市は来年度中に同区間の免許を申請する方針。
 京都市は来年度に免許を取得後、都市計画決定などの条件整備を一年程度で終えて、1999年度内に着工し、5年から7年後の完成を予定している。国の助成のほか、宇治市と京都府にも負担を求める。総事業費は約700億円。
 同区間は今年10月に開通した地下鉄東西線(二条−醍醐間、12.7`)の延伸区間で、中間の伏見区石田地区に駅を設置する。終点の六地蔵駅ではJR奈良線と京阪電鉄宇治線の六地蔵駅との接続が検討されている。(朝日新聞)
■京阪奈新線に建設事業費
 大阪府、京都府、奈良県にまたがる関西文化学術研究都市と、大阪中心部を結ぶ京阪東新線の建設事業費が23日、来年度予算案の復活折衝で認められた。計上額は、生活関連重点化枠として24日に固まる。新規事業として認められたことを受け、近畿日本鉄道と奈良県など関係自治体は、来年度のなるべく早い時期に、鉄道建設の事業主体となる第三セクターを設立する方針だ。国の「ニュータウン鉄道整備事業」の一つとして採択された。建設事業費から第三セクターの資本金総額などを除いた18%を、国と関係自治体がそれぞれ補助する。(朝日新聞)
■Xマス商戦ピーク イベント競うJR京都駅ビル、御池通地下街… 先行き不透明で財布のひも固め
 金融破綻(はたん)や企業倒産など暗いニュースを吹き飛ばそうと、京都市内の商店街では23日、クリスマス商戦が頂点を迎えた。今秋、JR京都駅ビルに百貨店ができ、御池通には地下街も開業して、クリスマスの催しも一段とにぎやかになった。ただ、景気の先行きが不透明なことから、買い物客らの財布のひもは固めという。
 高さ約20bもある大きなクリスマスツリーが目をひく下京区のJR京都駅ビル。駅ビル内の室町小路広場では23日、学生のコーラスグループやゴスペルグループらがクリスマスコンサートを開いた。
 午後4時から京都市立芸術大学の女声コーラスグループ6人が「赤鼻のトナカイ」「もみの木」などおなじみのクリスマスソングを披露。歌声が駅ビル中にこだまし、クリスマスムードを盛り上げていた。
 京都駅ビルは「開業してから初めてのクリスマス。ムードを盛り上げ、一人でも多くのお客を呼びたい」と話す。ツリーは25日夜まで飾られる。
 中京区の御池通地下街「Zest(ゼスト)御池」でもこの日、コーラスグループのコンサートやキャンペーンガールらがサンタにふんした撮影会などの催しがあった。
 市営地下鉄東西線の乗降客が見込みより少なかったことなどから、運営会社の担当者は「今年10月に新しい地下街ができたことも知らない市民が多い。クリスマス商戦を通じて知名度アップを」と意気込む。ただ、買い物客の財布のひもは固く、以前のように集中してクリスマス関連商品が売れなくなったという。
 一部の店舗では、年明け恒例のバーゲンをクリスマス商戦の期間中に先行したところもある。
 既存の百貨店も知恵をしぼる。下京区四条河原町の京都高島屋は、子どもの自宅にサンタにふんしたアルバイトがプレゼントを届けるサービスを企画した。サンタ役は8人。手分けをして、23日だけで約130軒を訪問し、子どもたちにプレゼントを届けた。
 中京区の金田泰行さん(34)宅には、フランス人留学生のヤン・ルナールさん(23)ふんするサンタクロースが登場。おもちゃを長女の悠花ちゃん(1つ)に手渡した。悠花ちゃんは初めは背の高いサンタにびっくりしていたが、最後は笑顔で見送った。
 伏見区の大手筋商店街では、午後6時から近くのカトリック桃山教会が「クリスマスキャロル」を開いた。同教会の聖歌隊や聖母学院中、高校の生徒らでつくる約100人の合唱団が、ろうそくを手に「きよしこのよる」「もろびとこぞりて」などおなじみのクリスマスソングを披露。買い物途中の人たちが大勢集まり、一緒にメロディーを口ずさんでいた。(朝日新聞)
■550` リニア最速また更新! 夢の500`営業へ条件クリア
 鉄道の世界最高速度、時速531`をマークした超電導磁気浮上式リニアモーターカーが24日、山梨県大月市−都留市間の山梨実験線で、時速550`(無人)を達成した。
 開発に当たっているJR東海と鉄道総合技術研究所(JR総研)は、営業線で高速安定走行するには、試験走行での時速550`達成を必要条件としていた。
 年明け以降は、沿線周辺の家屋振動について対策工事を進めた上で、新編成車両をガイドウエー(車両走行路)に導入する。この新車両と現在使用している車両とを時速500`台で擦れ違わせる実験などを重ね、営業線化をにらんだ試験に移行する。
 JR東海などは19日にも550`台に挑戦したが、走行試験の途中で変電所にトラブルが起き、試験を延期していた。
 リニアは12日に、無人、有人走行ともに時速531`を記録。これまでの無人世界記録のリニア宮崎実験線での517`(1979年)、有人世界記録の仏TGVの 515`(90年)を更新した。(京都新聞 夕刊)
25日■地下鉄東西線延伸に5000万円 京阪奈新線1期工事7400万円 事業予算 京滋はぼ要望通り
 1998年度政府予算編成で、大蔵省は24日、新規事業採択した京都市地下鉄東西線の「醍醐−六地蔵」間(約2.4`)延伸事業に5000万円の補助を決めた。関西学研都市の京阪奈新線1期工事(生駒−豊美ケ丘間約8.7`)には7400万円をつけた。
 23日の事務次官折衝では、両路線とも新規採択だけを決め、補助額は「地下高速鉄道・ニュータウン鉄道整備事業補助」の全国枠(総額617億5500万円)から配分することにしていた。両路線とも事業立ち上げ予算で、地下鉄東西線は測量やルート設計などに、京阪奈新線は地質調査や環境アセスメントの調査などに充てる。
 来年度政府予算案は25日、閣議決定される。京滋関連では、各自治体が要望していた関西学研都市の国立国会図書館関西館着工費や、国道421号(近江八幡市−桑名市)の石榑峠(滋賀県神崎郡永源寺町)トンネル新設など事業予算は、ほぼ盛り込まれた。(京都新聞)
1998年度政府予算案に計上される京滋の主な事業
【京 都】
京都市地下鉄東西線「醍醐−六地蔵」延伸事業 5000万円
京都迎賓館の実施設計など7億8200万円
京都大キャンパス再配置調査 589万円
関西文化学術研究都市関連
・国立国会図書館関西館建設80億3400万円
・光量子科学研究センター施設建設29億1300万円
・勤労体験プラザ施設整備17億900万円
・京阪奈新線1期工事「生駒−登美ケ丘」 7400万円
京都縦貫自動車道・綾部宮津道路建設4億円
日吉ダム管理13億9600万円
天ケ瀬ダム再開発3億円
【滋 賀】
琵琶湖の総合保全調査 1800万円
滋賀県立大の産学共同研究施設整備54億6000万円
 (全国枠)
大戸川ダム建設60億円
丹生ダム建設48億円
姉川ダム建設42億4000万円
北川ダム建設12億円
栗栖ダム建設1億5000万円
国道421号道路改良・トンネルの新設調査 5000万円
近江鉄道本線の施設整備補助23億600万円
 (全国枠)
【その他】
地球環境科学研究所の創設準備1億100万
(京都、滋賀などが誘致中)
大型しゅんせつ・油回収船建造14億円
(京都府などが要望)
■明石大橋利用バス事業許可 10社が運賃認可申請
 明石海峡大橋の来春開通に向けて、阪神間と徳島、淡路島方面を結ぶ高速バスの定期運行を計画している本四海峡バスなど10社は26日午前、近畿運輸局に大阪−徳島間片道3600円などの運賃認可を申請した。来年2月ごろに認可される見込み。
 大橋を利用した高速バスは、17の旅客船会社がつくる本四海峡バス、西日本ジェイアールバスなど3社と淡路交通、阪急バスなど7社の2つのグループがそれぞれ共同運行する。5系統22路線の事業免許は同日、許可された。(京都新聞)
■'97 心に残る風景C 御池通 変ぼう 地下も地上も
 幅50bの御池通(中京区)が10月、最高の華やぎをみせた。4日の地下街ゼストのオープンに続き、1週間後には京の新動脈、東西線が開業した。
 地下の変ぼうは、地上も様変わりさせた。御池通を象徴していたケヤキの大木は次々と姿を消し、市役所前の駐車場も広場に変わった。
 戦時中、御池通は防火対策から強制的に広げられた。70年近く、通り沿いに住む岡田嘉六さん(84)は「昔は、道の両側に立派な家が並んでいた」と懐かしむ。「今のケヤキ並木もよいが、街の変化とともに、道の景観が変わるのも仕方がない」
 地下鉄工事が始まる7年前まで、樹齢50年前後のケヤキが堀川−鴨川間(1.7`)に212本あった。今は室町通より西側に68本残るが、いずれは移植の運命が待つ。
 戦前の拡張に続く第2弾の御池通改造。5年後、21世紀に誕生する「ニュー御池通」は、市民にどんな景観を見せてくれるのだろうか。(京都新聞)
■窓 生き方教えてくれた京都駅 舞鶴市・堀田 克治(農業・66)
 「この秋にオープンしたJR京都駅ビルは見る人に新しい時代の感性を語ってくれる。一見の価値がある」と、いった声が舞鶴の地にも聞こえてきた。そんな声に誘われて、先日、京都駅ビルを見学した。駅ビル、中央ホールの吹き抜けの大空間の中に立ったとき「やあ、すごいなあ、斬新(ざんしん)だなあ」と一瞬、感心した。
 大天井を見上げていると「そうだ、この大きな空間のように、残された人生を大きく、息長く生きよう」と思った。また、長いエスカレーターは人生の旅路のようだ。人生もマイペースで歩んでいれば、きっと、いつかは高いこころの世界、幸せの世界に到達できるのだ、と教えてくれているようだった。
 京都を訪れる旅人に、人生の生き方を語ってくれる京都駅。なんと素晴らしい駅だろう。新京都駅は1000年の古都の美しい世界の中に、新しく生きる”こころ”を語ってくれる21世紀の駅の姿であろう。温故知新のこころで生きる古都・京都。やはり永遠の都、京都である。(京都新聞)
■整備新幹線各区間の来年度事業配分決定
 整備新幹線の来年度の区間ごとの事業費が24日決まった。来年度の総事業費は1597億円で、30億円が配分される新規区間の優先着工順位は、来年早々に決まる。
 各区間の予算配分は次の通り(単位・億円。カッコ内は今年度予算)。北陸・高崎−長野40(317)、東北・盛岡−八戸616(551)、九州・八代−西鹿児島554(495)、北陸・石動−金沢210(205)、同・糸魚川−魚津−47(227)、東北・八戸−新青森、北陸・長野−上越、九州・船小屋−新八代は合わせて30(30)。(朝日新聞)
■地下鉄サリン民事和解 全原告と教団きょうにも 賠償額9億6000万円 遠い被害者救済
 地下鉄サリン事件の被害者と遺族の計38人がオウム真理教に損害賠償を求めた民事訴訟で、原告全員と教団側の和解が25日にも東京地裁で成立する見通しとなった。教団の資産を管理する破産管財人が総額9億6000万円余り、1人当たり約70万円から1億数千万円を債権として認める方向だ。いったん算定された債権の総額に約8500万円が上積みされる計算だが、教団は深刻な債務超過に陥り、破産手続きの配当率は2割を下回ることが確実になっている。このため、実際に支払われる額は十数万円から1900万円ほどにとどまりそうだ。
 こうした中で、通常の民事訴訟や破産手続きではオウム事件の十分な被害者救済が難しい実態が改めて浮き彫りになった。原告代理人、破産管財人とも、国が破産債権の申し立てを撤回するなどの措置をとるよう強く求めている。
 教団を相手取った民事訴訟の審理は、教団の破産によって一時中断した。破産手続きの過程で原告は、事件の被害者として債権を届け出たが、管財人が算定した損害額を不服として審理再開を申し立てていた。
 この訴訟で原告側は、@教団に対する恐怖心が収まっていなかった1995年12月の時点で、教団側に名前を知られるという危険を冒して破産を申し立て、教団の資産隠し封じに貢献したA破産の申し立てから民事訴訟まで、金銭的にも多額の負担をしてきた−などと主張した。
 一方、管財人は当初、入院や通院の期間などから負傷の程度を認定し、逸失利益や慰謝料を算定する手法をとっていた。しかし、サリン中毒症の場合、後遺症の重さは入院・通院期間の長さと必ずしも比例しないことから、原告側は、診断書を追加したり、管財人側と面接を重ねて症状を訴えたりした。
 管財人側はこうした事情を考慮したうえ、民事訴訟に費用がかかっている点を踏まえて、全原告に対し弁護士費用を上積みした。(朝日新聞)
■地下鉄サリン被害者と和解 賠償額上積み
 オウム真理教の破産手続きで、地下鉄サリン事件の被害者と遺族が破産管財人の阿部三郎弁護士に損害賠償額の上積みを求めた訴訟は25日、東京地裁で開かれた口頭弁論で和解が成立し、賠償額を約11億1900万円とすることで合意した。
 被害者側の弁護士によると、1人当たりは約1億4300万円から約72万円で、破産管財人が当初認めた被害者側の賠償額より約2700万円が上積みされた。しかし、破産の配当は2割弱しか見込めず、実際にはほかの事件の被害者らと同様、確定した賠償額も2割弱しか支払われない見通しだ。
 国や地方自治体が債権総額の1割以上を占めていることから、被害者側は今後、国などに債権放棄をあらためて訴えていく方針。(京都新聞 夕刊)
■民事訴訟で和解が成立 地下鉄サリン事件
 地下鉄サリン事件の負傷者と遺族の計38人がオウム真理教に損害賠償を求めた民事訴訟で、全原告と破産した教団の資産を管理する破産管財人との和解が25日午前、東京地裁で成立した。原告1人当たり約70万円から1億2000万円余りが債権として認められた。現時点では、教団の破産手続きによる配当率は10%台と見られており、実際に支払われる額は、少ない原告の場合、十数万円にとどまることもありうる。
 この日の和解には、教団以外の個人を訴えた別の原告4人(債権認定額約440万円−1億4000万円)も「利害関係人」として加わり、弁護士費用の増額が認められた。(朝日新聞 夕刊)
26日■帰省渋滞ピークは新年3・4日
 近畿管区警察局は、年末年始(26日−1月4日)の近畿地方の各高速道路の渋滞予測を発表した。役所などが仕事納めとなる26日から年末にかけては、名神高速下り線を除いて目立った渋滞は少ない。年始は帰省のUターンに初もうでが重なる3、4日に車が集中するため、名神と中国、山陽の各自動車道で20−25`の渋滞が発生する見込み。
 予測によると、名神は兵庫・西宮行きで天王山トンネルを先頭に31日を除く毎日、20−35`渋滞。名古屋行きは2、3、4日の毎日、高槻バス停を先頭に20`渋滞する。
 中国道は西行きで27、28日に宝塚東トンネルを先頭に20`。東行きは2、3、4日の毎日、宝塚西トンネルを先頭に20−30`渋滞。山陽道は3、4日に、開通したばかりの中国道への合流部分「神戸ジャンクション」を先頭に大阪行きが20`渋滞する見通しという。(朝日新聞)
■高額オレンジカード 来月21日から交換
 JR旅客6社は25日、不正換金事件の影響で来年1月21日から使えなくなる5000円と1万円の高額オレンジカードについて、同日から各社の駅窓口で、1000円と3000円のオレンジカードに交換していくと発表した。
 変造した日本中央競馬会のブリペイドカードを使い、自動券売機で購入した切符を不正に払い戻しするという事件が今年2月から3月にかけて全国で多発した。(朝日新聞)
■朝の東海道線ダイヤ遅れる 瀬田駅で女性転落
 26日午前7時20分ごろ、大津市大萱一丁目のJR東海道線蒲田駅下り線ホームから、大津市内の女性(70)が線路に転落するのを、ホームに入ってきた網干行き快速列車の運転手が発見、緊急停車した。女性は列車が通過する際、ホーム下のすき間に倒れ込んだが、左足骨折などの重傷。列車は現場に約8分間停車した。
 この事故で、後続の新快速列車など下り線9本が26−4分遅れ、約1万2000人の足に影響が出た。(京都新聞 夕刊)
■路線バスの10社に免許
 近畿運輸局は26日、明石海峡大橋経由のバス事業に参入を希望していた10社に対し、申請通り新規路線の免許を与えた。本州側の大阪や神戸と、徳島、淡路島を結ぶ5路線22系統で、10社合わせて1日254往復の定期バスが明石海峡大橋を走る。また運行各社は同日、大阪−徳島間3600円、神戸−徳島間3200円などとするバス運賃を申請した。(朝日新聞 夕刊)
27日■新線建設 三セクに期待 「京阪奈新線」着工へ
 近畿圏の鉄道新線計画が、動き出しそうだ。近畿日本鉄道が奈良県などとの第三セクターで進める京阪奈新線の建設が、来年度政府予算案に盛り込まれ、具体化するからだ。沿線人口が減って運輸収入が伸び悩み、不動産事業の増収も限界に近づく中で、新線建設は電鉄会社の収益を大きく左右する。国などの支援を引き出す三セク方式は、建設を後押しする有力な武器で、他の私鉄が近鉄に続くことができるかどうか、関心が高まりそうだ。(鈴木 淑子)
 「国の補助事業として認められた意義は大きい」。京阪奈新線の建設費が政府予算に盛り込まれることが決まった23日、近鉄の田代和社長はこう語った。
 国の財政改革路線に加え、旧国鉄債務処理に絡み鉄道事業費の削減が打ち出され「『浪人もある』とのご託宣を受けていた」(田代社長)と明かす。
 開業すれば、近鉄東大阪線を経由して大阪市営地下鉄に乗り入れ、関西文化学術研究都市と大阪ベイエリアの二大発展地域を結ぶ路線を確保することになる。
 同線は1989年の運輸政策審議会で「2005年までの整備」が打ち出され、近鉄が単独での建設を検討してきた。しかし、近鉄生駒駅(奈良県生駒市)から高の原駅(奈良市)までの全長12.2`の事業費が1600百億円にのぼり、認可の目安になっている「30年で累損一掃」が難しいことが判明。生駒から奈良市登美ケ丘付近までの8.7`(事業費1020億円)で部分開業するよう軌道修正すると同時に、国に無利子融資制度の適用を要望してきた。
 今回認められた「ニュータウン鉄道整備事業補助」では、鉄道建設の事業主体は奈良県など自治体が過半を出資する三セクとなる。近鉄本体の資金負担は総事業費のざっと半分の 500億円程度にまで抑えられる見込みだ。沿線には所有する不動産があり、含み益の上昇も期待できる。
 助成措置を可能にしたのは、地元の協力態勢だった。今年改正された国の学研都市建設の「基本方針」では、周辺地域の発展にかける奈良県などの働きかけによって、同線の整備が初めて盛り込まれた。さらに地元選出の国会議員らが積極的に政府・自民党幹部への陳情に回った。
・京阪・阪神見通し立たず
 京阪電気鉄道の中之島新線(天満橋−玉江橋)、阪神電気鉄道の西大阪線延伸(西九条−難波)も、89年の運政審で2005年までの整備や着工が答申されている。いずれも三セク方式を含め早期着工を探るが、道のりは平たんではない。
 中之島新線は、大阪市やJR西日本が計画するなにわ筋線(JR新大阪−難波、10.2`)と連絡すれば、大きな需要も見込める。しかし、わずか3.1`の区間にもかかわらず、河川の下を通ることから事業費は1600億円と、同社の運輸収入の2.5年分に相当する。「自力での建設はとても無理」(伊藤貞男副社長)と、地元負担に期待をつなぐ。
 しかし、最大のスポンサーと期待される大阪市は、地下鉄新線を計画中ということもあって「運政審の答申そのものを見直す時期に差しかかっている」(佐々木伸助役)と静観の構えだ。
 阪神の西大阪線延伸は、沿線に大阪ドームが完成し、乗客増が見込める明るい材料は整ったが、建設の見通しははっきりしない。
 大阪府が試算した将来の推計人口によると、府の人口は2010年以後、減り始める。運政審委員も務めた天野光三・大阪産業大学長は「鉄道はネットワークが完成してこそ生きる。もっと公的助成を投入して進めるべきだ」という。一方で、子や孫の世代に負担を負わせていいのかという意見もある。
 今年3月に開業したJR東西線の一日の利用者数は目標を大きく下回る。2、3年ごとに運賃を上げて収支をつぐなう従来の手法も通用しなくなる。
 新線建設は、企業にとっても自治体にとっても、もろ刃の剣といえそうだ。(朝日新聞)
■帰省ゆったり 分散化に 不景気も
 年の瀬の27日、新年をふるさとで迎える家族連れらの帰省が本格的にスタートした。近年、分散化の傾向がみられることや、不景気の影響で移動を控える人もあるためか、午前中は鉄道や道路に目立った混雑はなかった。JRによると「帰省のピークは30日でUターンは1月3、4日に集中しそう」という。
 JR京都駅では、新幹線の乗車率が博多方面への下りで最高130%になったが、東京方面の上りは70−80%だった。北陸方面や山陰方面に向かう在来線の特急も比較的ゆったりとしていた。
 「のぞみ」で、家族と福岡に帰る京都市西京区の会社員執行一さん(42)は「実家のおじいちゃん、おばあちゃんが子どもに会うのを楽しみにしているので」と列車に乗り込んだ。佐賀に帰る岐阜の会社員(38)は「ゆったりですね。不景気で帰省を控えている人もあるのでは」と話していた。
 一方、名神高速道路や京都縦貫道のほか、国道1号や9号などの京都府内の主要幹線道路でも、目立った渋滞は起こっていない。
 京都府警交通管制センターは「今のところ、帰省ラッシュは見られない。27日午後には始まるかもしれないが、9連休の人も多く、帰省は分散化するのでは」としている。(京都新聞 夕刊)
■帰省ラッシュ本格化 海外脱出ピークに
 ふるさとや海外で年末年始を過ごす人たちの帰省・出国ラッシュは27日、企業や官公庁の冬休み入りとともに本番を迎えた。午前中は鉄道、道路とも目立った混雑は見られなかったが、午後にかけて本格化すると予想されている。
 鉄道では、東京発博多行きの一部の新幹線「ひかり」の自由席が、新大阪駅発車時で乗車率140%になるなどしたほかは定員以下だった。在来線の特急も70%以下にとどまり、JR西日本は「景気の低迷で、出控えているのかもしれない」とやや拍子抜け。
 高速道路も名神の下り線の一部で4−5`の渋滞にとどまったが、日本道路公団によると、渋滞は午後以降、激しくなる見込み。
 関西空港でも海外に向かう利用客のピーク。大阪入国管理局関西空港支局によると、27日は昨年並みの約2万人が出国。帰国の最盛期は1月3−4日と見ている。
 来春の明石海峡大橋の開通で、阪神地区と淡路島を結ぶ航路の大半は縮小・廃止が決まっており、最後の帰省ラッシュを迎えている。淡路フェリーボート(本社・神戸市)は開通後をにらんですでに1隻を処分、年末年始に臨時に増発する便がこれまでより少なくなっている。神戸市の須磨港などではこの日、ラッシュがまだ本格化しておらず、約30分の待ち時間で乗船できる状況だった。(朝日新聞 夕刊)
28日■'97心に残る風景F バス路線 地下鉄整備の陰で…
 今年、京の地下鉄網が一挙に充実した。その陰で長年、市民に親しまれた市バスが全面的に廃止され、民間バに運行が移管された地域もあった。
 「東9」系統。醍醐車庫と都心部を循環し、営業距離は約28キロと、市バス路線では最長。市民だけでなく、観光客にも親しまれ、旅行ガイドにも紹介された人気路線だった。
 醍醐車庫近くに住む主婦、石黒雪枝さん(67)は24年間、市バスを利用してきた。「渋滞で遅れることもあったが、東山の紅葉など沿線の風景が素晴らしかった」と振り返った。
 市バスが消えたのは、山科区と伏見区醍醐地区だけではない。烏丸線の北進で、岩倉、大原を中心とした洛北でも見慣れたグリーンのバスは廃止された。
 6月3日の北大路バスターミナル。八瀬・大原方面行きの北6系統のバスに飾りが付けられ、最終の運行を静かに終えた。
 市バスが姿を消した地域の計14系統の1日平均利用者は、昨年度で計約6700人だった。(京都新聞)
■東方探見 トライあんぐる
 日本で初めて東京の上野浅草間(2.2`)に地下鉄が登場して満70年。いま銀座線(上野−渋谷間15.6`)では、車体に黄色のマーキングフィルムで化粧したレトロ調電車(1編成)が、創業時の面影を振りまきながら走っている。戦災や人口増と戦いながらも、どんどん営業距離数(239`)を延ばし、いまや東京はニューヨーク、ロンドン、モスクワに次いで世界第4位に成長。この70年の歴史を記念するレトロ調電車を一目見ようと、連日、鉄道ファンからの問い合わせが営団地下鉄にきている。運行は来年1月16日まで。(京都新聞)
29日■京都−倉吉特急 「スーパーはくと」 利用客200万人達成
 第三セクターの智頭急行がJRと相互乗り入れし、京都−倉吉(鳥取県)間で運行する特急「スーパーはくと」が28日、開業から3年余りで利用客200万人を達成した。開業前の予想より約1年早いという。
 200万人目は、子供2人と静岡に帰省する途中だった同県気高町浜村の役場臨時職員岡田紀子さん(38)。JR鳥取駅で、同社社長の西尾邑次・鳥取県知事から花束と記念の置き時計を贈られた。また、岡田さんの乗った列車の乗客全員には記念品が配られた。(京都新聞)
■電車の座席 赤ちゃん独り 捨て子?病院へ 神戸のJR山陽線
 28日午後零時25分ごろ、神戸市須磨区のJR山陽線須磨−鷹取駅間を走行中の上り普通列車の前から2両目の座席に赤ちゃんが1人でいると、乗客の女性から乗務員に通報があった。須磨署は要保護者遺棄事件とみて保護者の行方を捜している。
 調べによると、赤ちゃんは生後3ヵ月ぐらいの女の子で、身長約50a。白地にウシの斑点(はんてん)のような黒い水玉のついたベビー服に、白い帽子姿。頭は丸刈りで、かみそりでそったような跡があった。
 赤ちゃんが乗っていたのは午後零時23分須磨発高槻行き普通列車。同11分に顔磨駅の上りホームに到着した京都発の普通列車が折り返し運転していた。同駅に停車中、車掌がホームから車内を点検したが、赤ちゃんのいた座席はホーム側の窓の下で死角になっていたという。
 発見時は車両内に20−30人の乗客がいた。赤ちゃんは座席に仰向けに寝かされ、泣き声をあげずややぐったりしていたという。
 通報後すぐに神戸市内の病院に運ばれ、口の周辺に多数あった引っかき傷などの手当てを受けた。保護者が見つかるまでの間、同病院に収容されるという。(朝日新聞)
■京都市バスの一部 大みそか終夜運転 地下鉄も時間延長
 京都市交通局は31日から来年1月1日にかけて、終夜バスの運行と地下鉄の延長運転をする。
 終夜運転する市バスは、31日午後9時ごろから1月1日の早朝5時ごろまでの間、京都駅−四条大宮−北野天満宮前への特50号系統(運行間隔15−25分)▽四条大宮−北野天満宮前−烏丸今出川−出町柳駅前−京都会館美術館前(平安神宮)の特201号系統(同10分−20分)▽四条大宮−二条駅前−北野天満宮前の特55号系統(同約30分)。運賃はいずれも220円均一。
 地下鉄は、烏丸線、東西線とも運行時間を約2時間延長し、合計32本を増便する。烏丸線の最終は、国際会館発が1日午前1時45分、竹田発は同午前1時48分。東西線の最終は、醍醐発が同午前1時36分、二条発が同午前1時50分。運行間隔は烏丸線、東西線ともに約16分。
 問い合わせは市バス地下鉄案内所(075・801・2561)へ(朝日新聞)
■年末大移動 分散型で混雑和らぐ 鉄道や高速道路 ピークは30日ごろ
 単身赴任の夫のもとへ、常夏の海外へ−。年の瀬を迎え、街を行き交う人たちの動きがあわただしくなってきた。今年夏に新しい駅ビルが完成した京都駅でも28日、年末年始に帰省や旅行などを楽しむため、家族連れらが大きな荷物を抱えて行き交い始めた。この日、早くも乗車率が100%を超す列車も出たが、同駅は「混雑のピークは30日ごろ。休日の関係で分散型が例年に増して定着し、混雑はいくぶん和らぐのではないか」とみている。
 関西空港に向かう「はるか」には、正月を海外で過ごす人々が次々に乗り込んだ。伏見区の会社員(68)は妻(66)と台湾に行く。元日までの4泊5日で50万円近くかかるが、「元気なうちにあちこちに行っておきたい」と笑顔を見せた。岐阜県に住む会社員(26)は大学生の弟(23)と一緒にベトナムで正月を過ごす。父親の転勤で両親がホーチミンにいるためだ。「常夏なので海水浴が楽しみです」
 新幹線は、午前9時47分発と午前10時47分発の博多行き「ひかり」がいずれも乗車率120%になるなど、下り線を中心に込み始めた。長岡京市の主婦(35)は幼稚園児と小学4年生の2人の子どもを連れ、広島に単身赴任している夫(37)のもとに旅立った。「夫が31日まで仕事なので、こちらから会いに行くことにしました」
 茨城県に住む公務員(57)は、妻(50)と20歳代の2人の娘とともに京都にやってきた。「4人で35万円かかるが、久しぶりの親子水入らずなので惜しくない。娘たちは京都が初めてなので、まずは金閣寺や清水寺などの有名どころを回る」とはりきっていた。
 在来線では、午後2時9分発の富山行き「サンダーバード」、午後1時25分発、午後2時25分発の城崎行き「きのさき」がいずれも100%になるなど帰省客が増え始めた。午後零時25分発の天橋立行き「はしだて」も80%になった。
 名神高速道路は28日午後、京都南−京都東インター間の下りで約4`渋滞したが、京都南インターによると、「本当の混雑はこれから」という。(朝日新聞)
■電車に乳児置き去り
 28日午後零時25分ごろ、神戸市のJR須磨駅−鷹取駅間を走行中の須磨発高槻行き普通電車の座席上に、乳児が置き去りにされていると、乗客が車掌に知らせた。
 鷹取駅で車掌と駅員が2両目の座席に寝かされていた女児を発見。乳児は同市中央区の病院に運ばれ、経過を見るため入院した。
 須磨署の調べでは、女児は生後3ヵ月くらいで、白の帽子、白地に黒の水玉模様の服を着せられていた。荷物などはなかった。
 当時2両目には約20人の客がいたという。
 同署は保護責任者遺棄事件として、保護者の行方を捜している。(京都新聞)
30日■特急にはねられ死亡 阪急・東向日の踏切
 29日午前11時ごろ、向日市寺戸町、阪急京都線の東向日一番踏切で、男性が下りていた遮断機をくぐって線路内に入り、特急電車にはねられて死亡した。向日町署で身元の確認を急いでいる。男性は40歳から50歳くらい。身長が172aほどで、灰色と紺色の上衣にエンジ色のズボン、黒いサンダルをはいていたという。
 特急電車が現場で13分間、停車した。(京都新聞)
31日■'97心に残る風景I シンボル 見慣れれば京都の顔に?
 車両がプラットホームに滑り込む。車中での旅を終えてホームに降り立つと、北側には白い京都タワーがそびえ立つ。「京都に帰ってきたんだなあ」。
 京都駅の新幹線ホームは、帰郷を強く感じさせる瞬間があった。ガラスごしに見えるタワー、京都盆地を取り囲む峰々…。今、ホームとこれらの風景の間に、高さ約60bの新京都駅ビルがどしんと立ちふさがる。
 新駅ビルは93年末に工事を始め、この6月に完成した。東京出張から新幹線ホームに降りた会社員永田博さん(45)は「新幹線はよく利用するが、今は、違う駅に降りた気分ですよ」と笑う。
 景色が変われば気分も変わる。「京都タワーも出来たときは『京都に似合わない』と論争になった。駅ビルも見慣れたら、京都の新しいシンボルになるでしよう」と永田さん。
 大きく変わる京の街。間近に迫った新世紀に何を引き継ぎ、培っていくのか、市民に投げかけられた重い課題でもある。(おわり)(京都新聞)
■「スーパーくろしお」乗車率160% 帰省ピーク
 帰省ラッシュが30日、ピークを迎え、関西の主要駅は正月をふるさとや行楽地で過ごす人で混雑した。
 JR西日本によると、年々、分散化傾向が強まっているが、午後に入って山陽新幹線の下りが軒並み乗車率100%を超え、最高140%になった。「のぞみ」もほぼ満席だった。
 また、北陸や紀伊半島の温泉地に向かう特急も、帰省客と旅行の家族連れらで埋まり、和歌山方面に向かう特急「スーパーくろしお21号」は160%と最高の乗車率になった。
 リターンのピークは、来年1月3日朝から4日の午前中にかけてで、山陽新幹線は予約でほぼ埋まっているという。(朝日新聞)