1997(平成9)年11月


1日■窓 東西線で山科「市民権」得た 山科区・安井 輝歳(無職・69)(京都)
  ■CO2 1割り削減 市電復活も提案 京都市が行動計画策定(朝日)
  ■携帯電話の置き忘れ 駅や車内などで急増 七条署 月平均20−30件(京都)
  ■JR車両下から煙 兵庫・住吉、後続遅れ(京都)
  ■普通電車の床下から煙 JR東海道線住吉駅(朝日)
  ■電車連結部に転落して死亡 御堂筋線で男性(朝日)
2日■JR労組が地元紙不買 西労組米子地本 「境線廃止」に反発(朝日)
3日■97京ワイド 地下鉄東西線開業でバス路線が大きく変化 重婚の改善求める動き噴出(京都)
4日■切符や定期に「乗車駅」磁気記録がミソ 防止網作り本格化 関西の鉄道会社 お陰で収益大幅アップも(京都)
  ■回送列車運転士を本格聴取 JR大月駅事故(京都)
  ■窓 高齢者の無料パス再考必要 下京区・梅村 国子(主婦・66)(京都)
  ■関東地方で地震 東海道新幹線一時不通(京都)
5日■「のぞみ」に異常音 山科で一時停車(京都)
  ■地下鉄サリン 松本被告ら対象に 殺人未遂 被害者数絞り込み 審理の長期化回避 東京地裁が検討(朝日)
  ■「判決早く」「証言したい」 行方見守る被害者 サリン裁判迅速化検討(朝日)
  ■解説 20年裁判避ける道模索(朝日)
  ■旧国鉄債務処理 追加負担強く要請 財政改革会議 JR7社は反発(京都)
  ■JR線で運休、遅れ 架線停電や車両故障(京都)
  ■車両故障6万人影響 JR片町線(朝日)
6日■駅ビルショック 過半数の商店街が売上高減少 44%「通行者も減」 影響大きい若者衣料品 本格商戦はこれから 京都商店連盟9月調査(京都)
  ■窓 京の市電復活ぜひ実現を 下京区・谷林 生二(自由業・63)(京都)
  ■JR阪和線高架化来年度着工 開かずの踏切やっと解消 くぐり抜け事故多発(朝日)
7日■地下鉄東西線・六地蔵駅 JR奈良線と結ぶかたちで設ける 宇治市 京都市と仮協議書締結(京都)
  ■京都駅前の烏丸口広場整備 1億7500万円補助 京都市正予算案(京都)
  ■窓 御池のケヤキ元に戻して 中京区・荻野 美穂(大学教員・52)(京都)
  ■地下鉄東西線で スタンプラリー 博物館など回る(朝日)
  ■整備新幹線の需要予測提示 運輸省、検討委に(京都)
  ■整備新幹線新規着工分 需要予測 九州がトップ 長野−上越間は不利(朝日)
8日■高架上走行の列車が脱線 JR梅小路貨物駅一帯で総合事故復旧訓練 負傷者を迅速に救助 消防や地元医師会も連携(京都)
  ■公共交通機関の利用を 京都駅前で市などが街頭啓発 紅葉観光 マイカー自粛訴え(京都)
  ■信楽高原鉄道列車事故 5ヵ所を現場検証 大津地裁(京都)
  ■窓 路線バス開通 絶景が身近に 朽木村・大辻トミ子(地方公務員・47)(京都)
  ■500系のぞみ 今月、東海道にデビューします 東京の人乗ってね JR西日本、PR作戦(朝日)
  ■JRにはねられ重傷 京田辺・線路内の男性(京都)
9日■「10年のあゆみ」販売(京都)
  ■主張・解説 旧国鉄債務処理 続く迷走 止血策にとどまる議論 畑川 剛毅・堀江 隆 経済部(朝日)
10日■京九鉄道を行く 中国観光開発事情 上 無煙産業 内陸部振興に期待 照準は日本人客(京都)
  ■「二条駅」と「二条城前駅」紛らわしい 京都市営地下鉄東西線 乗客・「駅名換えてほしい」 駅側・「よく確かめ降りて」(朝日)
11日■北陸トンネル内で特急停車 照明も消え1時間半(京都)
  ■京九鉄道を行く 中国観光開発事情 中 三国志 博物館を目玉に 景勝地主流から脱皮を目指して(京都)
  ■思い出の阪急車両 ビデオで振り返る 約90年迎え作製(朝日)
  ■北陸トンネル 「雷鳥」立ち往生 300人1時間半缶詰め(朝日)
12日■府内の住宅地 短期地価動向 地下鉄沿線で上昇も 全体ではやや下落続く(京都)
  ■奈良線複線化 環境評価「ほぼ妥当」 京都−藤森間 京都市の審査会答申(京都)
  ■ブルトレ「20系客車」 40年の歴史に幕 JR西日本 ファンに惜しまれ 最後の雄姿 29日に披露(京都)
  ■京の新商業施設やや明暗 ゼスト御池 客足伸びず 伊勢丹など新京都駅ビルは好調 パセオ・ダイゴロー売上高1.5倍に(京都)
  ■東西線沿線5ホテル 来月から開業記念共同キャンペーン(京都)
  ■京九鉄道を行く 中国観光開発事情 下 日本の投資期待 テーマパークで開発区発展図る(京都)
  ■窓 市バスの改編なぜ洛西でも 西京区・菱田 明彦(無職・63)(京都)
  ■さよなら 初代ブルトレ 「20系寝台車」29日引退運転(朝日)
  ■リムジンバス「大阪南港線」免許申請 関空交通など3社(京都)
  ■整備新幹線 JR3社の社長が意見 政府・与党検討委(朝日)
  ■新幹線好き?タヌキ・ネコといたちごっこ JR東海 対策立ててもまた獣身事故(朝日)
  ■芝山鉄道の専務宅 爆発でガラス破損 成田でゲリラ?(朝日)
13日■新京都駅ビルまだまだ熱く ポルタ21日参戦 売場25%増 相乗効果狙う ファッション、飲食中心(京都)
  ■来月からグルメラリー 地下鉄東西線沿線5ホテル 初めて連携企画(朝日)
  ■時計のくさり運転盤で短絡 雷鳥立ち往生の原因(朝日)
  ■整備新幹線 着工3年凍結必要 財政改革会議 蔵相表明 旧国鉄債務処理で(京都)
  ■地下鉄東西線延伸 宇治市との協議手続き 京都市会で可決(京都)
  ■追突の運転士を書類送検 沼津のJR脱線(京都)
14日■整備新幹線 着工、混迷深まる 蔵相の「3年凍結」発言で(京都)
  ■JR東海は微増収減益 固定資産税などが圧迫(京都)
  ■JR西日本 税制特例の廃止で19%の減益(京都)
  ■市バス 全路線利用調査へ 京都市、一部見直しも(京都)
  ■窓 地下鉄東西線混乱招く駅名 下京区・上出 隆一(自営業・62)(京都)
  ■整備新幹線「3年は抑制」 蔵相 新規着工は見送りも(朝日)
  ■整備新幹線 蔵相「新規着工見送り」発言 調整難航は必至(朝日)
  ■JR西日本 景気の低迷で利益19.6%減少(朝日)
  ■JR東海は増収減益に 上場後、初中間決算(朝日)
  ■もえて秋 京滋をゆく パノラマでうっとり 叡山電鉄(京都市左京区)(京都)
  ■(全面広告)能勢電鉄・日生中央−阪急電鉄・梅田 直通特急「日生エクスプレス」新登場 11月17日 、梅田−日生中央間に直通特急が運行開始(朝日)
15日■新幹線の線路歩く また京都駅、男逮捕(京都)
  ■越後平野に「とき」復活 JR上越線(京都)
18日■整備新幹線で再度説明求める意向 運輸省に、青森県知事(京都)
  ■新聞不買 鳥取の乱 赤字線廃止論にJRの労組「対抗措置」(朝日)
19日■京都市バス 人にも環境にもやさしく走る 21日から新型車両14台を導入 車いすはリフトで 天然ガスで低公害 全席お年寄りら優先に 色分け廃止(京都)
  ■披露・だるさ訴え 地下鉄サリン被害者なお 聖路加病院調査(朝日)
  ■けんかで転落 地下鉄止める 四つ橋線大国町駅(朝日)
20日■地下鉄国際会館−近鉄高の原間直通 会議期間中、運行(京都)
  ■JR因美線 ダイヤ改定 走る列車からタブレット「ひょい」 この離れ業ももうすぐ最後(朝日)
  ■京都国際会館と地下鉄駅を結ぶ地下通路が開通(朝日)
  ■29日、東京乗り入れ 世界最速の500系のぞみ(京都)
  ■JR阪和線 列車が故障(朝日)
21日■地下街「ポルタ」きょう新装オープン 好調・新駅前にまた魅力 四条通 歳末で巻き返しへ(京都)
  ■窓 不公平のない市バス再編を 伏見区・岡本 譲(無職・63)(京都)
  ■地下街ポルタきょうオープン(朝日)
  ■指令室停電、阪神乱れる 一時、全線で普通 2万6000人に影響(朝日)
  ■ポルタ 明るく 広く 装い一新、開業祝う(京都)
  ■3000万人達成 JR関空駅乗降客(京都)
22日■コンコース”京の風”彩る 京都紫明LC寄贈 陶壁お目見え 東西線二条城前駅(京都)
23日■ニッポン現場紀行 旧国鉄本社ビル 五十嵐敬喜さんと歩く「一家」の象徴 時代に幕
  ■声 国鉄赤字処理 三塚氏に期待 武生市 荒田 冨士男(年金生活者 72歳)(朝日)
24日■旧国鉄債務の処理策 交通利用税を導入 政府与党方針 5年後国民に負担 郵貯特会剰余金 1兆円を投入(京都)
  ■旧国鉄債務 郵貯剰余金で利払い 当面5年間政府・与党案 元本分は借り換え(朝日)
  ■JR金沢支社 ミスで遅れ続出 上半期で1.5倍 走行中に連結外れも(朝日)
25日■窓 排ガス出ない地下鉄PRを 伏見区・中島 宏樹(公務員・42)(京都)
  ■新京都駅に20bツリー(朝日)
  ■龍の子孫たち 中国いまむかし  石川 禎浩 異郷を走る市バス 低公害車に追われ再就職(京都)
  ■声 鉄道利用勧め環境を守る独 伊丹市 小林 慶子(日本語講師 47歳)(朝日)
26日■整備新幹線 100億円を削減へ 財政構造改革会議 旧国鉄債務処理財源に(京都)
  ■この冬は何回出動になるか 府北部でラッセル車試運転(朝日)
  ■高齢の男性が心不全で死亡 近鉄新田辺駅で(朝日)
  ■阪急電車西院駅で女性飛び込み即死(朝日)
  ■強風で北陸線運転見合わせ(京都)
27日■関空への列車4時間不通に 強風の近畿(朝日)
28日■窓 バス無料化で車を減らそう 徳島市・大島 哲也(派遣社員・27)(京都)
  ■南港・港区連絡線 運賃230円で申請(朝日)
  ■山梨実験線で時速501`達成(京都)
  ■出た!時速501` リニア実験線(朝日)
  ■加古川で踏切事故 JR山陽線乱れる(朝日)
29日■関西私鉄5社中間決算 そろって減益(京都)
  ■あれれ 利用者伸び悩み 地下鉄東西線 1日平均13万人 目標より2万6000人下回る 山科、二条など7駅で苦戦(京都)
  ■9月中間 阪神を除く4社が減収 関西大手私鉄5社(朝日)
  ■阪神、年5円配当に(朝日)
  ■家庭ゲームに「のぞみあり」 JR西日本販売へ 運転を疑似体験(朝日)
  ■国内最長ブルトレ 最後のはばたき 「はやぶさ」熊本発に(朝日)
  ■最速のぞみ 東海道でゴー JR西日本500系乗り入れ 京持駅に停車(京都)
  ■JR、障害者割引拒否 地雷で両足失ったカンボジア男性に「手帳ない」と 新大阪駅(京都)
  ■落石に乗り上げJR脱線 山梨・けが人なし(京都)
  ■アーストレイン東京発ち京都へ コンサートや車中で講演も(京都)
  ■街の風俗考 現代風俗研究所70s' 停留所の心理ドラマ 四条河原町・バス待つ人々(京都)
  ■「温暖化止めよう」アーストレイン走る 京都会議へ参加者続々 環境NGO 「市民の声と力結集」(朝日)
  ■500系のぞみ東海道デビュー 東京−博多4時間49分(朝日)
  ■落石に乗り上げ脱線 山梨・JR身延線(朝日)
30日■大雨、新幹線止めた 新大阪駅に列車ホテル ダイヤ改正 初日ドボン(京都)
  ■大糸線、強風で運転ストップ 2年半ぶり再開直後(京都)
  ■北陸線も一時不通(京都)
  ■踏切事故死の高校生 人気バイク狙われ逃げる途中だった(京都)
  ■整備新幹線 総事業費70億円減 運輸・大蔵 来年度予算で調整(朝日)
  ■旧国鉄債務処理で3600億円追加負担要請 財政改革会議、JRに(朝日)
  ■JR山陰線の脱線現場 「警備値」未満の雨で崩落 類似1000ヵ所を調査(朝日)
  ■静岡県で大雨 新幹線止まる 7万人に影響(朝日)



1日■窓 東西線で山科「市民権」得た 山科区・安井 輝歳(無職・69)
 山科は、まぎれもなく京都市の一行政区である。それは市民のだれもが知っている。けれども山科の住民の多くは新京極や河原町へ出かける際「ちょっと京都へ行ってきますわ」と、山科が京都と違うかのように言う。
 山科は東山連峰で旧市内とは東西に遮断され、あきらかに一線を画している。老ノ坂を越えた亀岡地域と似たような環境下であり、それは必然的に交通アクセスの面で大きなネックを抱えていたことは周知の事実だ。所用で旧市内へ出掛けようと思っても、かなりの時間を必要とするので、つい面倒になり、みこしが上げられない。一方「京都へ行ってきます」ということはにぎやかな街へ買い物に行く喜びの表現でもあった。その言葉の裏側には、主流から外されている者の一抹の寂しさが漂っていることは否めない事実である。
 地下鉄東西線の開業は、そうした山科区民の思いにピリオドを打ち、名実ともに市民権を与えたものといえよう。
 山科地域に与えた巨大なインパクトは計り知れない。なにしろ従来、1時間以上必要とした椥辻−京阪三条間がわずか13分で行けるのだ。夢のような気がしてならない。「ちょっと京都へ」という言葉は、そのうち山科では聞けなくなるかも知ねぬ。それもちょっぴり寂しいような気がする…。(京都新聞)
■CO2 1割り削減 市電復活も提案 京都市が行動計画策定
 京都市は31日、地球温暖化防止に向けた行動計画「京(みやこ)のアジェンダ21」をまとめた。二酸化炭素(CO2)の排出量を2010年までに1990年レベルから1割以上削減することを目指しており、78年に廃止した市営の路面電車の復活や、駐車場利用税の導入などを提案している。
 同市は気候変動枠組み条約第3回締約国会議(温暖化防止京都会議)の開催地として行動計画の策定を急いできた。削減目標については、1割削減を「計画のベース」と位置づけ、さらなる数値目標の上積みを目指す、とした。
 また、市民、事業者、行政がともに環境問題に取り組む「環境学習・エコロジーセンター(仮称)」を設立して行動計画を推進する。
 同計画検討委員会の委員長、内藤正明・京大大学院教授(環境地球工学)は「定期的に計画全体の進ちょく状況を検証し、計画を実効性のあるものにしたい」と話している。(朝日新聞)
■携帯電話の置き忘れ 駅や車内などで急増 七条署 月平均20−30件
 携帯電話やPHSの落とし物が、京都市内の警察署に届けられる件数が増えてきている。電話料金の値下げがあった昨年末から続いている傾向といい、1日に数台届くこともある。京都府警は「普及率が高くなっており、今後、さらに増えるのでは」とみている。
 JR京都駅を管内に持つ七条署では、落とし物として携帯電話やPHSが届けられた件数が今年に入ってから急増している。8月に36件、9月に25件で、月平均して2、30件になる、という。
 府警によると、遺失物や拾得物に関する物品別の統計はないが、「全体で見ても増えている」と話している。駅の構内や車内で落としたり、タクシーに置き忘れるケースが大半を占めている。
 落とされた携帯電話やPHS は、電話会社を通じて電話番号から持ち主が分かるため、9割近くは無事、所有者に戻される。
 ところが、最近は電話機が大幅に値下がりしたこともあり、せっかく連絡しても、「いらない」という人も増えている、という。府警は「電話機に登録されたメモリーなどプライバシーの問題もあるので、必ず取りに来て」と話している。(京都新聞 夕刊)
■JR車両下から煙 兵庫・住吉、後続遅れ
 1日午前8時45分ごろ、JR東海道線住吉駅で下り普通電車(7両編成、乗客約200人)が停車中、運転席の故障表示ランプが点灯し、車両点検で後ろから2両目の床下から煙が出ていることが分かった。
 JR西日本によると、同車両の乗客をほかの車両に移して次の六甲道駅まで行き、同駅で運行を打ち切り、乗客全員が後続の普通電車に乗り換えた。
 後続の電車5本が最大11分遅れ、約1500人に影響した。(京都新聞 夕刊)
■普通電車の床下から煙 JR東海道線住吉駅
 1日午前8時45分ごろ、神戸市東灘区住吉本町一丁目のJR東海道線住吉駅で、停車中の松井山手発西明石行き普通電車(7両編成)の運転席の故障表示灯が点灯した。前から6両目車両の床下から煙が出ているのが見つかり、次の六甲道駅まで運行し、同駅−西明石間は運休した。(朝日新聞 夕刊)
■電車連結部に転落して死亡 御堂筋線で男性
 大阪市阿倍野区阿倍野筋一丁目の地下鉄御堂筋線天王寺駅で31日午後11時半ごろ、千里中央発なかもず行き下り電車(10両編成)の車両連結部で男性が頭から血を流していると、110番通報があった。西成署員が駆けつけたところ、男性は頭を強く打ち、すでに死亡していた。
 調べでは、男性は堺市の会社員(25)。天王寺駅よりひと駅手前の動物園前駅で下車した際、ホームから転落。電車の2、3両目の連結部のパイプに頭を下に向けてひっかかった状懸になったが、そのまま電車が走行したため頭をまくら木にぶつけたらしい。男性はかなり酒を飲んでいたという。(朝日新聞 夕刊)
2日■JR労組が地元紙不買 西労組米子地本 「境線廃止」に反発
 西日本旅客鉄道労働組合米子地方本部(略称、JR西労組米子地本、重田紀生委員長、約2400人)は、鳥取県の地元紙・日本海新聞(本社・鳥取市)の記事内容に抗議して不買運動を始め、1日までに500人近い購読中止をまとめて同社にファクスで通知した。
 抗議のきっかけとなったのは、同紙が10月7日付朝刊1面のコラム欄「鳥取発特報」に掲載した「境線を廃止したらどうか」と題した記者の署名入り記事。米子空港の滑走路を500b延ばして2500bにする県の計画の中で、JR境線を地中化するという構想に触れ、「すでに歴史的な役割を終えている。廃止してもらっても、影響は小さいのではないか」などと廃止論を展開した。
 これに対し、同地本は「時代に逆行するような論調で、いたずらに住民の不安をあおり立てるような行為は容認できない」と反発。組合員らが「反省を促す」として不買を始め、近く境線の沿線住民1万人を対象に記事の内容を問うアンケートをするという。
・言論の自由への介入
 白岩尚・新日本海新聞社編集制作総局長兼鳥取発特報部長の話 「鳥取発特報」は記者が意見を発表する場と位置づけており、署名を入れて責任を明らかにしている。したがって、新聞社の主張ではない。賛否については紙面の許す限り掲載している。不買運動は言論の自由への不当な介入を意味すると言わざるを得ない。(朝日新聞)
3日■97京ワイド 地下鉄東西線開業でバス路線が大きく変化 重婚の改善求める動き噴出
 地下鉄東西線開業に伴い、市内のバス路線が大きく変わった。特に、市バスが全廃され、京阪バスに運行が移管された山科区と伏見区醍醐地区内では再編により、市バスと京阪バス合わせ665往復運行されていたのが京阪バスのみの443往復とおよそ3分の2に減った。窓口となる市交通局は「事前説明には最大限努力した」というが、住民からは早くも路線の改善を求める動きが噴出している。「こんなはずでは…」。住民の不満は事前説明のあり方にも向けられている。
・本数が減り不便に
 新路線になって初めての平日となった10月13日朝。五条通の市バスのバス停「五条京阪前」(東山区)近くの自営業吉田孝三さん(51)の店に「いつも乗っているバスが来ない」「山科区の西野方面へ行きたいが、どうすればいいの」と尋ねにくる利用客が相次いだ。
 ふだんはバスを利用しない吉田さんだが、調べると西野方面と京阪五条を結ぶ本数が少なくなっている。特に、山科区の西部を縦断する川田道以東の五条通を走るバスの本数がぐんと減った。
 朝夕のラッシュ時には店へ尋ねに来る人が相次ぎ、多い時は二ケタにもなった。あまりに多く、説明に追われるため、数日後にはたまりかねて市内のバス路線図のコピーを張り出して、説明に代えたが、それでも一日に数人が聞きに来るという。
 「これだけ本数が少ないと京阪五条周辺の発展にも影響する」。危機感を募らせた吉田さんは、近く署名運動を行って、市に改善の要望書を出すつもりだ。
・事前説明が不足?
 川田道以東の山科区西野楳本町に住む、主婦井上博子さん(61)はすでに10月17日から、地元で署名運動を始めている。五条通・山科西野バス停から四条河原町方面に出ることが多いという井上さんは「本数が3分の1くらいに減った。それに、以前は四条河原町までバス1本で行けたが、新路線では乗り継ぎが必要。区役所へも、バスだけで220円だったのが、今ではバス、地下鉄を乗り継いで420円もかかる」と話す。
 署名は10月末までに、当初予想の倍の約2000人分が集まった。請願に添え、11月市議会に提出するという。
 窓口となる市交通局は、東西線開業に伴うバス路線について、どのように事前説明を行ったのか。
 同局経営推進課によると、昨年11月から今年9月までに、自治連合会長など地域の代表者を招いた説明会を5回開き、京阪バスがまとめた路線や系統の素案を示した上で、住民の意見を聞いた。また、市内のターミナルにアンケート用紙2万枚を置いて、利用者の声を聞いた、という。
 市交通局は学識経験者らによるバス系統研究委員会が今年1月にまとめた報告に住民らの意見を加え、五条通経由で四条河原町や四条大宮方面へ行く系統を確保する▽山科駅や醍醐駅のターミナナル駅を中心に系統を設定する−など10項目を基本的な考えとして、京阪バスに伝えた。
 やはり川田道以東で、五条通りの南側に広がる山階南学区の市川正三自治連合会長(69)は、交通局の説明会に出席したが「系統図を示されても、自分が利用していないバスの運行は、何がどう変わるのか、わかりにくかった。もう少し、時間があればよかったのに」と話す。「新路線になってから、不便になったと意見を寄せる学区民が相次いでいる」とも言い、住民に路線再編の内容が十分のみ込めていなかったのでは、と指摘する。
 同課は「通常の路線改定以上の配慮をした」と話すが、新路線スタートの12日からの1週間だけで、新しい系統やダイヤなどに関する要望や意見が、市交通局へ70件も寄せられた。事前の説明会やアンートで、住民の意見はくみ尽くされたのか。「説明した」「声を聞いた」というが、その内容にもどかしさを感じる市民からの要望は、今後も増えそうだ。(京都新聞)
4日■切符や定期に「乗車駅」磁気記録がミソ 防止網作り本格化 関西の鉄道会社 お陰で収益大幅アップも
 ひと昔前の学生たちなら、だれもが一度は考えたことがある鉄道の「キセル」乗車。だが、そんな甘い思い出は、遠い過去の遺物になろうとしている。関西の主な鉄道会社が、不正乗車のできない「フェアライドシステム」を搭載した自動改札機を次々と取り付け始めたからだ。阪急、京阪に続き、今年に入って近鉄、JR西日本などがキセル防止の包囲網づくりを本格化、2年後には京滋にも網の目が広がる見通しだ。
 ほとんどのキセル行為は、定期券を利用して行われる。区間外の駅から、入場券や1区間の切符、回数券などで乗車。区間内に戻れば、これまでは、何らとがめられることなく改札を通過できた。なぜか。定期券で降車した人が、どこから乗ったか、どの区間を中抜きしたか、駅員には分からないからだ。
 フェアライドシステムは、乗車駅の情報を、自動改札機の中で磁気を用いて切符や定期券に記録する。降車の際に適正かどうか読み取る。キセルの片棒を担いだ定期券には入場記録がないので、簡単にチェックできる。
 先鞭(せんべん)をつけたのは、改札機に直接入るプリペイドカードの開発で先行していた阪急。その技術を定期券に応用して、1995年に全線にシステムを張りめぐらせた。
 昨年2月には京阪が本線に導入。11月からはJR西日本も参入した。99年春までに東海道、山陰、奈良など京阪神近郊路線の 245駅に配備する。先月1日からは近鉄が南大阪線などでスタート。99年内には京都線にシステム網を拡大する。その意義について阪急は、「きちんと運賃を払っているお客さまに、不公平感を抱かせてはならない」(広報室)と説明する。
関西の主な鉄道会社の乗降システムに関する取り組み
 フェアライドストアードフェアスルッとKANSAI
JR西日本昨年から導入中99年春までに開始加盟しない
阪  急95年に完成93年に導入96年3月から
近  鉄97年10月一部開始未  定未  定
京  阪96年から本線のみ99年の4月か5月に導入、加盟予定
南  海98年秋から導入99年4月加盟予定
阪  神未  定96年3月に導入、加盟
京都市交通局未  定99年度中に導入、加盟予定
※ストアードフェアは、プリペイドカードを直接、自動改札機に入れて乗り降りできるシステム。スルッとKANSAIは、ストアードフェアを導入した各社の協議会で、共通利用できるプリペードカードを開発している。
一方、JRはもっと明確に「キセル運賃の回収」(運輸部)と言い切る。果たして、どのくらい効果があるのか。
 導入1年後、阪急が各種の切符の売れ具合を調べると、キセル行為において重要な役割を担う入場券の発売枚数が、以前より54%も減少した。1区間の普通券、回数券の売り上げも減った。新システムの導入に伴いキセルの常習者たちが、正規の運賃を支払うようになったのだろう。
 結果をもとに阪急が推計したキセル防止による増収額は、年間約8億円。これは、長岡天神や西院駅の年間の売り上げに相当する。システム導入に伴う設備投資は約15億円。わずか2年間の稼働で、おつりが返ってくる。「本来の売り上げをこんなにキセルに食われていたのか」と、社内でも評判になったという。
 同様に、京阪は2億7800万円、路線の長いJR西日本は約100億円を1年で回収できると予測する。根幹の鉄道事業収入が伸び悩む各社は、自動改札機の設置で人件費が削減できるうえ、新たな収入源を獲得したことになる。
 この勢いを受けて、鉄道の不正防止策は、さらに進もうとしている。昨年7月、鉄道会社や情報通信機器メーカーがつくった「汎用電子乗車券技術研究組合」(東京都)は、電子マネーにも対応できるICカードの技術を基礎に、磁気タイプのフェアライドシステムを超える次世代の乗降システムを開発中。来年6月からは都内の地下鉄で、早くも試験運用に着手する。
 「電波で情報をやりとりするので、定期券を自動改札機を通さなくてもよい。プリペイドカードの機能も兼備する。カードのデータを登録しておけば、現在はできない定期券の再発行も可能です」(石崎明技術主任)という。
 今度は他人の定期券を道でひろっても使えない。関西の鉄道利用者の間では、キセルに続き「ネコババ」も、近い将来、死語と化してしまうだろう。(京都新聞)
■回送列車運転士を本格聴取 JR大月駅事故
 10月12日にJR大月駅(山梨県大月市)で回送列車が特急列車に衝突、多数の負傷者が出た事故で、県警の事故捜査本部は、回送列車の運転士(24)が事故当時、列車自動停止装置(ATS)を解除していたと断定、3日までに同運転士に任意同行を求め、業務上過失傷害などの疑いで本格的な事情聴取を始めた。
 同本部では、回送列車のATSや信号の作動状況、ブレーキ故障の有無などを調査した結果、装置側に異常はなかったと判断。また事故当時の回送列車の進行状況を記録した装置を調べたところ、ATSの地上センサーを通過した部分で減速した形跡がなかった。
 一方、この運転士が事故直後「信号を特急のものと見間違えた」などと話していることなどから、同本部は運転士がATSのスイッチを解除した上、停止信号を無視して発進させたと断定。当時どのようにATSを操作したかなどについて追及している。(京都新聞)
■窓 高齢者の無料パス再考必要 下京区・梅村 国子(主婦・66)
 先日、市バスに関する投書を読んで、前から思っていたことを書かせてもらおうと思った。京都の市バスの赤字が増えているというのを知った時、私は高齢者の無料パスは変えなければと思いました。経済的に、よほど苦しい人は別として、70歳を過ぎても1回100円は払って乗せてもらうのが礼儀だと思うのです。
 歩ける、目が見えるということに感謝をする気持ちがあるなら100円は払おう。私は後少しで70歳になるが、無料のバス券をもらっても絶対に使うまいと、決心している。別に若く見られたいという気持ちではないが、1人でバスに乗れるということがうれしいじゃないですか。後々、若い人たちにツケが行かないように100円玉を払いましょう。
 私はパーマもセットも20年以上したことなし。毛染めも自分でするし、靴は1足2000円のを5足買って履きまわし、服は破れてくるまで着る。指輪、高級時計もない、ハンドバッグもちぎれてくるまで同じもの夏冬物合わせて5種類。ただし習い事の月謝5000円は辛抱して払っているし、年1回のクラス会も毎年行くことにしています。ジーパンは、すそを上げて腰のところを緩めて家で利用しています。それで浮いたお金でバス代払っていくつもりです。こんな人間もいてもいいでしょう。(京都新聞)
■関東地方で地震 東海道新幹線一時不通
 4日午前10時31分ごろ、関東地方で地震があった。気象庁の観測によると、震源地は神奈川県西部で、震源の深さは約20`、地震の規模はマグニチュード(M)3.7と推定される。
 各地の震度は次の通り。
 震度3=小田原、秦野▽震度2=館山、大月、網代、富士宮、御殿場▽震度1=東京、横浜など。
 この地震で、JR東海道新幹線は新横浜−熱海間が同日午前10時31分から同39分までストップした。(京都新聞 夕刊)
5日■「のぞみ」に異常音 山科で一時停車
 4日午後8時10分ごろ、京都市山科区内を走行中の東京発博多行き新幹線のぞみ25号の乗務員が、車両に物が当たったような異常音を聞き、運転士に連絡、停車させた。けが人はなかった。同列車を車両点検し、異常がないことを確認、同8時20分に運転を再開した。上りののぞみ26号も数分遅れ、計1800人に影響が出た。(京都新聞)
■地下鉄サリン 松本被告ら対象に 殺人未遂 被害者数絞り込み 審理の長期化回避 東京地裁が検討
 オウム真理教が起こしたとされる地下鉄サリン事件の裁判で、教団前代表の松本智津夫(麻原彰晃)被告(42)と実行役の信徒被告らを殺人と殺人未遂の罪で起訴した東京地検は、約3800人の負傷状況に関する証拠の取り調べ請求のうち相当部分を撤回して、殺人未遂罪を適用する被害者数を絞り込む方向で検討を始めた。この事件をめぐっては、松本被告の弁護団をはじめ複数の被告・弁護側が、被害の立証を目的とした書証類の取り調べに応じておらず、裁判の著しい長期化が懸念されている。検察側はこうした状況下で審理の迅速化を図るため、刑事裁判史上極めて異例な措置の検討に踏み切ったとみられる。
 法曹関係者の間では、検察側に対して、こうした対応を求める声が出ていたが、検察内部には、被害者や世論の理解を得られるのかという慎重論もある。
 地検は今後、被害者たちの意向を探りつつ、高検、最高検と協議を重ねて、来年早々にも正式な結論を出すことになりそうだ。
 東京地検は、@無差別大量殺人を目的とした犯行によって地下鉄3路線の電車5本で計12人の死者と多数の負傷者が出たという起訴事実の基本的な概要を維持できるかA被害の一部が認定されないことについて、被害者側の理解が得られるかB民事裁判などによる被害者救済に悪影響を及ぼさないかC各被告の量刑に影響しないか−などの点を多角的に考慮しているとみられる。
 地下鉄サリン事件の公判で検察側が提出した負傷者に関する証拠の大半は、▽静察した病院などへの「捜査関係事項照会書」▽その「回答書」▽被害者自身が回答した「被害事実答申書」の3つからなり、総数は3794人分で約1万2000点にのぼる。
 これに対し、松本被告の国選弁護団は「カルテや検査結果など症状を裏付ける証拠が添付されていない」「同じ被害者なのに証拠によって加繚期間が異なるケースも少なくない」などと主張。ほとんどの証拠の採用に同意しておらず、検察側に証拠内容を再検討するよう求めている。
 こうした証拠の採用については、松本被告側以外の信徒被告の弁護団の中にも、応じていないケースがある。
 弁護側の「不同意」が続いた場合、検察側は3800人近い被害者や、診察に当たった医師らを証人に立てて法廷で尋問しなければならず、膨大な時間がかかることになる。
 このため検察側は、被害立証を棚上げする形で地下鉄サリン事件の立証を進めてきた。
 しかし、松本被告の公判では、並行して審理中の地下鉄サリンと坂本堤弁護士一家殺害の両事件で、検察立証の主要部分が来春にも終わり、松本サリン事件の審理に入る見通しとなった。
 松本被告以外の被告の公判では、被害立証を除けば主要な検察立証はほぼ終わっている例もあることから、検察側は早急に事態を打開する必要に迫られた模様だ。
 具体的な手続きとしては、東京地裁に「訴因変更請求書」を提出し、訴因(起訴の対象とした具体的な犯罪事実)の相当程度を撤回する方法が検討されている。(朝日新聞)
■「判決早く」「証言したい」 行方見守る被害者 サリン裁判迅速化検討
 地下鉄サリン事件で検察側は、3794人にのぼる殺人未遂の被害者数を絞り込むという異例の方法によって裁判の迅速化を図る道を探り始めた。今も重い後遺症や精神的な苦しみを背負う被害者や家族たちがいる。「早く判決が出るのなら構わない」「被害者として法廷で直接苦しみを訴えたい」。裁判の行方を見守る思いは様々だ。
 「起訴事実から外されてもいいから早く決着させて欲しい。結論まで何十年もかかるなんてとんでもない話だ」。20日間の入院を強いられた千葉県在住の団体職員の男性(59)はこう話す。「私は危うく死ぬところだった。そのことに決着を付けたい気持ちもあるが、たとえ裁判の中で直接には認定されなくても、被害を受けたという事実は変わらない」という。
 約3ヵ月間入院し、東京都内の自宅に戻った今も重い後遺症に苦しむ30代の男性の家族は、「早く裁判が進められるように、という話を検事さんにしたばかり」と言葉少なだった。
 地下鉄の駅で倒れた犠牲者を介抱し、自らもサリン中毒で入院した埼玉県在住の男性会社員(55)は「10年、20年たったら、結審する前に寿命が来てしまう遺族もいる」と話し、「どこにも遺体がないならともかく、なぜあんなに細かい尋問をやらなければならないのか」と、審理の進め方にも不満をあらわにした。
 自力歩行ができずに都内の病院に入院している女性(34)の家族は「ちゃんと言えるかどうかわからないけれど証言したい」と裁判に期待する。
 この女性は最近、流動食が取れるようになるなど少しずつ回復している。散歩をせがむ女性を車いすに乗せて病院のロビーを回っているとき、家族が「今、何が必要?」と聞いたら「リハビリ」という答えが返ってきたという。「そんな現実的なことを考えていたのか」と逆に励まされた家族は、「緊張するかもしれないけれど、そのことを麻原(松本智津夫被告)に言いたい」という。
 刑事裁判とは別の角度から、より現実的な被害者救済に力を傾けることを望む被害者もいる。
 倒れた男性客を介抱していてサリンを吸った埼玉県在住の女性会社員(23)は「被害者救済を考えたら、刑事裁判よりも民事裁判の場で、国や自治体は債権を放棄して、その分、被害者や遺族の賠償に回るようにして欲しい」と求める。
 この女性は一時期、心臓も呼吸も停止し、今も視力低下や脳波異常などの後遺症がある。「いつまでも裁判が続き、憎しみや、あの時の苦しみと、いつまでも向き合って生きていかなければならないのは嫌です」と訴える。(朝日新聞)
■解説 20年裁判避ける道模索
 地下鉄サリン事件の裁判で検察側が「被害者数の絞り込み」という異例の措置を検討し始めた背景には、「このまま手を打たなければ、10年どころか20年裁判になり、司法への信頼を損ないかねない」という危機感がある。未曽有(みぞう)の無差別大量殺人事件を「国民が許容できる期間内」で立証するにはどうすればいいのか。検察側は、この問いに答えを出そうと模索している。
 被疑者を起訴するかどうか。証拠上明らかと思われる犯罪事実のうち、どの範囲まで刑罰の適用を求めるのか。こうした判断は検察官の裁量(起訴便宜主義)にゆだねられている。
 この事件で検察側は「異常性・悪質性」を明らかにしようと、5500人ともいわれた被害を可能な限り立証する姿勢で臨んだ。その結果、起訴事実は事件の全体像に近づいた半面、検察が立証責任を負う量が膨大になり、当初から裁判の長期化が心配された。起訴事実の一部撤回は、法曹関係者の間で、裁判迅速化の方策の一つに挙げられていた経緯がある。
 ベテラン刑事裁判官の一人は「一般論として、量刑は変わらないのに、いつまでかかるか分からない状態で裁判を進めるのは妥当でない」とし、起訴事実の一部撤回についても「違和感はない」と答える。別の刑事裁判官も「被害者感情や検察のメンツだけで延々と裁判を続けることが、日本の刑事司法に対する信頼を増す結果になるとは思えない」と語る。
 「…事案の真相を明らかにし、刑罰法令を適正かつ迅速に適用実現する」。刑事訴訟法一条は、刑事司法の理念をこのように掲げている。地下鉄サリン事件をめぐる今回の問題は、刑事司法のあり方そのものを問いかけている。(朝日新聞)
■旧国鉄債務処理 追加負担強く要請 財政改革会議 JR7社は反発
 28兆円近くに上る旧国鉄長期債務の処理財源を検討している政府、与党の財政構造改革会議は5日、首相官邸で企画委員会を開き、松田昌士・JR東日本社長らJR7社の社長を呼んで、JRの追加負担を正式に要請した。JR各社は反発しているが、今後、他の財源確保で協力を得るためにはJRの追加負担は避けられないとみられ、処理策全体をまとめる期限の今月末まで調整は難航しそうだ。
 企画委員会では、まず松田社長らJR各社の社長が民間会社として追加負担を受け入れることは不可能である理由を説明。「分割・民営化時にJRは既に長期債務の一部を負担している」と反対の立場を表明した。
 しかし、企画委員会側は、「債務処理で国民全体の理解を得ようとしてしている中、JRが聞く耳を持たないということであれば(国鉄改革の関連の)法律を変えてでも解答をみつける」「JRがゼロ回答であれば運輸省予算をばっさりカットするか交通利用税を検討するしかない」などとして、JRへ追加負担を強く求めた。
 JRに求める追加負担の方法としては、長期債務のうち旧国鉄職員の年金負担分の3兆5000億円の一部を負担させることや、利払いの軽減のためJRの割引乗車券の特典を付けた無利子国債発行などが企画委員会で検討されている。(京都新聞 夕刊)
■JR線で運休、遅れ 架線停電や車両故障
 5日午前5時10分ごろ、長浜市のJR北陸線で、大阪行き急行電車が架線の停電のため運転できなくなった。同電車は米原駅の手前で停止し、応急処置後、約1時間遅れで同駅を発車した。後続の普通電車など上下2本が長浜駅と米原駅間で運休し、急行電車の乗客を含む約250人に影響が出た。また、同日午前5時40分ごろ、京都府相楽郡木津町のJR片町線木津駅で、新三田行きの普通電車のブレーキが緩まず、発車できなくなった。電車を近くの奈良電車区に移動させるなどしたため、木津−京橋間で運休や遅れが出た。(京都新聞 夕刊)
■車両故障6万人影響 JR片町線
 5日午前5時36分ごろ、京都府相楽郡木津町のJR片町線木津駅で、同駅発新三田行き下り普通電車(4両編成)のブレーキが故障し、発車できなくなった。約1時間後に動けるようになったが、点検のため奈良電車区に収容するまでの約2時間、木津−同志社前間(単線)が不通になった。
 このため、片町線の列車が直通運転している東西線、福知山線、東海道・山陽線でも午前11時半ごろまでダイヤが乱れ、上下計63本が運休、同49本に最高約1時間の遅れが出た。通勤客ら計約6万5000人に影響があった。(朝日新聞 夕刊)
6日■駅ビルショック 過半数の商店街が売上高減少 44%「通行者も減」 影響大きい若者衣料品 本格商戦はこれから 京都商店連盟9月調査
 JR新京都駅ビルの全面開業で、京都市内の過半数の商店街が売上高減少などの影響を受けたことが5日、京都商店連盟(大橋進也会長)の調査で分かった。新駅ビルとの相乗効果を期待していたものの、商店街のほぼ半数が「駅ビル開業はマイナス」と受け止め、厳しい顧客獲得競争にショックを隠しきれない様子だ。
 調査は、市内の加盟105商店街を対象に、新駅ビルが開業した9月の売り上げ状況、通行者数などをアンケート形式で聞いた。
 売上高では、回答のあった61商店街のうち「減少」が54%と過半数にのぼり、そのうち4割以上の商店街が「駅ビルの影響が大きい」と答えた。「増加」は、地下街「ポルタ」など駅ビル周辺の4商店街(6.6%)だけだった。
 影響があった分野では、衣料品をあげる商店街が最も多く、新駅ビル内のジェイアール京都伊勢丹が力を入れる若者向け衣料品への影響が大きかった。
 新駅ビル開業が「商店街にとってマイナス」としたのが50.8%に上り、「プラス」とした24.6%を大幅に上回った。
 また、駅ビル開業で通行者数が「減少・やや減少」が44.2%にのぼり、「増加・やや増加」は9.7%に止まった。修学旅行生、学生など若者層の減少をあげる商店街が多く、四条河原町かいわいなどでも影響が表れているという。
 一方、駅ビル側は、伊勢丹の売上高(9月)が約51億円、来店客270万人と当初を予想の2倍のにぎわいをみせている。
 同連盟の守谷佳紀事務局長は「新京都駅ビルの集客力が強すぎて、既存の顧客も奪われているのが現状。今後、各商店街がいかに新駅ビルとの相乗効果を作り出していくかが課題だ」と話している。(京都新聞)
■窓 京の市電復活ぜひ実現を 下京区・谷林 生二(自由業・63)
 19年前に廃止された京都の市電を復活させる案がいま、市の温暖化防止行動計画で検討されている。誠に結構なことであり、ぜひ決定されるよう望みたい。私は長年、京都を離れていたが、その間に市電はなくなり、路線はワンマンバスに替わっていた。京都に戻って3年になるが、複雑多岐なバスの運行には、いまだについてゆけない。
 緑色の旧京都市電は、いま広島で走っている。高知では、なんとヨーロッパのスマートな電車が軽快に走り、長崎や松山、富山などでも、路面電車が温存されている。東京では、唯一残った都電荒川線がレトロ感覚で愛されている。せめて京都市街の四方を結ぶ外周線の大通りに市電を復活させて、要所で地下鉄、私鉄との連絡によって、利便性と経営面を補完し、併せて市外からのマイカーの都心部への乗り入れを規制するという、検討委の案は納得できるものである。
 温暖化防止策に先鞭(せんべん)をつけ、路面電車の復活についにも全国にさきがけてやってもらいたいものである。古都京都こそ、路面電車が最も似合う都市だと思われてならない。(京都新聞)
■JR阪和線高架化来年度着工 開かずの踏切やっと解消 くぐり抜け事故多発
 全国的にも最悪クラスの「開かずの踏切」が連なる大阪市南部のJR阪和線を高架化する建設事業が、来年度からようやくスタートする。ラッシュ時には1時間に計10分間余りしか開かず、踏切事故による死亡者も毎年のように出ていた。高架化は当初、大阪市が阪神高速道路大阪泉北線と一体で計画したが、鉄道部分を先行して着工するため、市は、阪神高速道路公団がすでに取得した用地を、買収当時の高額な価格で引き取ることになりそうだ。
 来年度の着工が決まったのは、同市阿倍野区文の里四丁目から同住吉区杉本三丁目までの約4.9`。高架化によって、南田辺など4駅が高架駅になる。事業費は約500億円で、6、7年後の開通を目指す。
 関西空港の開港に伴う増発などで、阪和線の列車本数は1日約590本に上る。区間内に12ヵ所ある踏切のうち3ヵ所は、1日の自動車交通量と遮断時間を掛けて算出する「踏切交通遮断量」でみると、JR西日本管内のワースト3を「独占」してきた。
 朝夕のラッシュ時には1時間に最大49分間、遮断機が下りた状態になり、沿線の交通渋滞に拍車をかけている。
 付近に陸橋はあるが、遮断機をくぐり抜けて通過しようとする歩行者や自転車も多い。この5年半で、自殺者を含め計16人が列車にはねられ死亡した。
 こうした交通障害を解消するため市は当初、上に高速道路、下を阪和線が通る二重構造の高架計画を打ち出し、市と阪神高速道路公団が1984年度から線路西側の用地買収に着手。95年3月までに着工する予定だった。ところが、同年1月の阪神大震災で高速道路の橋げたが落下したことから沿線住民らが不安を募らせ、市も構造の見直しを図る必要があるとして、着工を延期していた。
 鉄道部分の高架化先行により、市は、金利を含む同公団の用地買収費約1200億円をいったん、公団側に支払う意向だ。高速道路の建設をめぐっては今後、地下化の方向で関係機関の協議が進められるとみられ、最終的に市が買収費の大半を負担しなければならない公算が大きい。
 市計画調整局計画部は「バブル崩壊による地価下落で、今の実勢価格に照らせば600億円程度で済むが、交通渋滞などの解消のためにはやむを得ない」としている。(朝日新聞 夕刊)
7日■地下鉄東西線・六地蔵駅 JR奈良線と結ぶかたちで設ける 宇治市 京都市と仮協議書締結
 宇治市は6日の市議会JR・地下鉄対策特別委員会で、地下鉄東西線の延伸に伴って計画されている地下鉄六地蔵駅(仮称)の位置について、東西線をJR奈良線と結ぶかたちで設けるとの仮協議書を京都市と結んだことを明らかにした。
 仮協議書は京都市の施設を市域外に設置することについて、両市議会に議案を提出するため、10月13日に締結された。これに添えられた概略図によると、地下鉄六地蔵駅はJR六地蔵駅の北西に隣接。南端はJR奈良線の地下をくぐる。
 地下鉄六地蔵駅は、運輸政策審議会の答申を受けて、約400b離れているJR六地蔵駅と京阪六地蔵駅の中間地点への設置が検討されてきた。しかし、宇治市は、中間地点への設置は両駅への接続に不便なうえ、JR六地蔵駅の北側に商業集積が築かれていることなどを理由に、JR駅近くへの設置を要望していた。
 大石多喜四朗宇治市助役は「仮協議書の概略図をもって駅位置が確定したわけではない」としたものの、「両市の議決後に駅位置が大きく変更になれば、事業免許は認可されない」との認識を示し、駅位置がほぼ固まったことを示唆した。
 また、事業費約700億円の負担割合については「府、京都市と協議し、本年度中に決めたい」(交通対策課)とのメドを示した。(京都新聞)
■京都駅前の烏丸口広場整備 1億7500万円補助 京都市正予算案
 京都市は、6日発表した本年度の一般会計11月補正予算案に、JR西日本が京都駅の烏丸口(北側)で進めている「駅前広場整備」事業の補助として1億7500万円を盛り込んだ。
 現在の烏丸口広場(2万3400平方b)は、タクシーやバスとマイカーが混在。使い勝手が悪いうえ、歩道など、歩行者のための空間も狭い。
 このため、市は昨年7月、歩行者に配慮した緑豊かな広場とする、などを盛り込んだ「駅前広場基本計画」をまとめ、JR西日本の整備事業を補助することにした。
 計画によると、烏丸通と塩小路通の交差点付近に乗用車の出口と入り口を1ヵ所ずつ設け、広場東側の出入り口は閉鎖し、歩行者スペースにする。さらに歩道や植栽部分など、歩行者用空間を3割広げ、1万3000平方bにする。
 JR西日本は、烏丸口側の仮駅舎の撤去が終わり次第、着工する予定で、総事業費は約40億円。1998年度の完成を目指している。(京都新聞)
■窓 御池のケヤキ元に戻して 中京区・荻野 美穂(大学教員・52)
 1日付当欄の「潤いが失われつつある京都」を拝見し、広いだけで全く美しさとセンスに欠けた御池通に疑問と不満を感じていた者の一人として、大いに共感しました。ところが、同日の29面に、なんと御池通の室町通以西のケヤキまでも京都市の「御池通シンボルロード事業」のために撤去予定との記事を見、開いた口がふさがりませんでした。
 私の記憶では、地下鉄東西線の工事が始まる際、見事なケヤキ並木を撤去することに市民から強い反対があったため、工事終了後には、よそに一時移植した木をもとに戻す計画があったと思うのですが、それはいつ、どのように消えてしまったのでしょう。あの四季折々に潤いを与えてくれていた並木を無残にも撤去しただけでなく、残りのケヤキまでも市民から奪わねばならない、どんな必然性があるのでしょう。
 京都を訪れる観光客も、決してだだっ広い道路でのパレードだけを楽しみに来るのではありません。緑の木陰を散策したり、カフェでお茶を飲んだりできる、ゆとりと思いやりを肌で感じられる町づくりのできない都市は、市民ばかりか観光客にとっても魅力のないものになってしまうことに、市当局は、ぜひ気づいてほしいと思います。(京都新聞)
■地下鉄東西線で スタンプラリー 博物館など回る
 地下鉄東西線の開業を記念して、京都市教委は1日から、醍醐寺三宝院、京都お箸の文化資料館、琵琶湖疎水記念館など10博物館のうち5以上の施設をまわり、台紙にスタンプを集めるスタンプラリーを実施している。台紙を提示すると割引料金で入館できる施設もあり、スタンプを押した台紙のはがき面に切手を貼り、市教委生涯学習推進課に郵送すると、抽選で100人に記念品として、市営バス、地下鉄で利用できるトラフィカ京カード1000円分を贈る。
 対象施設はほかに、無鄰庵▽京都伝統産業ふれあい館▽藤井斉成会有鄰館▽島津創業記念資料館▽京都文化博物館▽キンシ正宗・堀野記念館▽二条城。台紙は区役所・支所、図書館、京都アスニー、地下街ゼスト御池インフォメーションカウンターなどで入手できる。12月22日消印有効。問い合わせは市教委生涯学習推進課(075・222・3184)。(朝日新聞)
■整備新幹線の需要予測提示 運輸省、検討委に
 整備新幹線の新規着工区間の優先順位などを協議する政府、与党の整備新幹線検討委員会が7日、国会内で開かれ、優先順位を決める際のデータの一つとなる各区間ごとの需要予測を運輸省が検討委に提示した。
 同省の試算によると、開業時(2013年)の需要予測は九州新幹線の船小屋(福岡)−新八代(熊本)間が1日当たり1万5000−1万6000人と最も多く、次いで東北新幹線の新青森−八戸間が7500−8000人、北陸新幹線の長野−上越(新潟)間が3000−2500人の順。(京都新聞 夕刊)
■整備新幹線新規着工分 需要予測 九州がトップ 長野−上越間は不利
 運輸省は7日開かれた政府・与党整備新幹線検討委員余に対し、東北(八戸−新青森)、北陸(長野−上越)、九州(船小屋−新八代)の3区間の需要予測を提出した。それによると、船小屋−新八代の輸送密度は1日1万5000人から1万6000人、八戸−新青森は7500人から8000人、長野−上越は3000人から3500人となり、新規着工区間の中でも、需要に大きな差があることが明らかになった。
 藤井孝男運輸相は、「個別区間の需要のほか、関連線区や並行在来線の需要、さらに運営コストなどの要素も含めて収支採算性は算定される」と述べ、今回の需要予測だけで、着工すべきか否かの判断をするのは早計との考えを示した。しかし運輸省は、一定の前提を置いたうえで需要密度が1万人を超えれば、収支採算がとれるとの試算を発表しており、長野−上越間の不利は動かせない状態だ。
 この日の検討委員会では、委員の中から、個別区間の需要予測だけでなく、北陸新幹線は金沢まで、九州新幹線は博多−船小屋間もフル規格で整備した際の需要予測も出すべきだとの意見が出され、新たに試算することになった。
 28兆円にのぼる国鉄長期債務の処理策が政府・与党間で検討され、整備新幹線の建設抑制も財源案として浮上していることから、委員会では、債務の処理策の検討状況を踏まえて、新規着工区間を決めるべきだとの意見も出た。
 新規着工区間の需要については、地元自治体なども事前に予測値を発表しているが、今回の運輸省試算とは3区間とも2−3倍の開きがある。(朝日新聞 夕刊)
8日■高架上走行の列車が脱線 JR梅小路貨物駅一帯で総合事故復旧訓練 負傷者を迅速に救助 消防や地元医師会も連携
 旅客列車の脱線事故を想定した総合事故復旧訓練が7日、京都市下京区のJR梅小路貨物駅一帯であり、負傷者の救助や復旧作業などの実践的な訓練が行われた。
 JR西日本が例年、この時期に実施している。訓練は、JR山陰線の二条−花園駅の高架上を走行中の普通電車が、強風による飛来物にぶつかり、先頭車両の一部が脱線、負傷者が多数出た−という想定。下京消防署や地元医師会なども加わり、合わせて約250人が参加した。
 運転士から輸送指令へ一報が入ると、総合事故復旧本部と、現地対策本部を開設。約5分後に、消防の救急隊とJR西日本の救護班が駆けつけ、はしご車を使って負傷者を助け出した。重傷者3人は担架で運び、下京西部医師会の医師が応急処置をして搬送した。
 復旧作業では、JR西日本社員が脱線車両をジャッキアップ。わずか数センチのずれもゆるされない作業とあって、約1時間半かけて慎重に線路上に戻した。その後、レールの点検を行い、訓練は約4時間で終了した。
 同社管内の高架線上での事故としては、今年6月、滋賀県志賀町の比良駅構内で、強風のため貨物列車3両が横転した事故がある。(京都新聞)
■公共交通機関の利用を 京都駅前で市などが街頭啓発 紅葉観光 マイカー自粛訴え
 「紅葉の京都は電車、バス、タクシーで」。京都市などは7日、JR京都駅前で公共交通機関の利用を呼びかけるリーフレットと絵はがきを配った。
 毎秋、マイカーで京都を訪れる観光客が増え、交通状況の悪化を招いていることから、市などでつくる京都市観光地交通問題協議会が1992年からこのキャンペーンを行っている。今年は阪急梅田駅など京阪神の駅5ヵ所でPRしてきた。
 この日は、公共交通機関の利用を呼びかけるたすきをした同協議会メンバーの市観光協会職員ら4人が、駅前にポスターを張った。
 また、寺や紅葉など京都の美しい風景の絵はがきや交通機関の利用状況を聞くアンケートはがきを道行く人に配布した。(京都新聞)
■信楽高原鉄道列車事故 5ヵ所を現場検証 大津地裁
 1991年5月、滋賀県甲賀郡信楽町で起きた信楽高原鉄道列車衝突事故で、同鉄道の社員ら3人が業務上過失致死傷害罪に問われている裁判で、大津地裁の安原浩裁判長ら裁判官3人が7日、事故背景の理解などのために事故現場や信楽駅など5ヵ所の現場検証を行った。
 検証は94年いらい2回目で、事故要因の一つとされる「方向優先てこ」が設置されたJR亀山CTC(三重県亀山市)を初めて視察した。
 裁判官ほか、検察官や弁護団など約20人の一行は午前11時前、草津線などの運行を管理するJR亀山CTCに到着。列車の行き違いを制御するためにJRが設置していた「方向優先てこ」などについて、裁判長らは約40分にわたって検証した。
 その後、責生川、信楽両駅などを訪れ、制御盤やリレー室などを視察。運輸省交通安全公害研究所の松本陽鑑定人を証人に、上り列車が赤信号で出発したのに「誤出発検知装置」が作動せず、小野谷信号所の下り信号が「青」のままだった原因を詳しく調べた。(京都新聞)
■窓 路線バス開通 絶景が身近に 朽木村・大辻トミ子(地方公務員・47)
 先月16日から京都・出町柳−朽木間の路線バスが開通しました。当日は「蛇谷ケ峰登山と朽木温泉・てんくう入浴」のイベントもあり、京都から250人の方が参加されました。蛇谷ケ峰からは、眼下に琵琶湖、竹生島、湖西の田園風景。近くには比良山系、武奈ケ岳、百里、三国岳、日倉と朽木の山々も姿を現しています。この景色を見たとたん、登山の疲れも感激に。
 新緑の春、紅葉の秋、真夏のナイト登山、冬の雪山。四季折々に与えてくれる感動は、私の活力の源です。中でも忘れられないのは、吹雪の中、かんじきを履き、新雪を踏みしめラッセルしながらの登山は、なんともいえない新鮮な気分です。寒くて凍えそうになりながら木陰で飲んだ温かいコーヒーの味。下山してぬくもった温泉の湯の香。夏、星空の下、頂上でご来光を待ったことなど。
 そう、こんな素晴らしい感激が、京都から1時間余りの所で味わえるのですよ。京都バス開通おめでとう。ありがとう。そして一人でも多くの方に、この感激を味わってほしいものです。(京都新聞)
■500系のぞみ 今月、東海道にデビューします 東京の人乗ってね JR西日本、PR作戦
 3月に山陽新幹線に登場し、今月29日から東海道新幹線(東京−新大阪)でもデビューする新型車両「500系のぞみ」の関東地区への売り込み作戦を、JR西日本が始める。斬新(ざんしん)な車体を強調したテレビCMを放映するほか、都内のあちこちにポスターやステツカーを張り出すなど、「乗ってみたい」気にさせる狙いだ。
 宇宙空間に浮かんだ車体を見つけ、2人の外国人飛行士が声を上げる。「(あれは)ロケット?」「スターシップ(宇宙船)?」。するともう1人が「ノー、シンカンセン」と、正解を言う。テレビの東京キー各局で8日から流れる、15秒間のCMの冒頭だ。
 首都圏ではCMに加え、JRや営団地下鉄の駅に計約400枚のポスターを張り出すほか、都内のタクシー約6000台に、客が持ち帰れるシール式の「のぞみ」の時刻表を置く。
 「500系のぞみ」は最高時速300`(山陽のみ)。29日のダイヤ改定で東京まで乗り入れ、現在より15分早い4時間49分で東京−博多を1日3往復(別に新大阪−博多1往復)する。
 航空機とのシェア争いは、東京−博多の場合、新幹線12%対航空機88%と、大きく水を開けられている。だが、途中の東京−広島は53%対47%ではぼ互角になり、東京−岡山は78%対22%、東京−大阪は83%対17%と、優位に立つ。
 来年秋には9編成がそろい、「のぞみ」のはぼ半数が500系車両に切り替わるという。JR西日本は「東京から九州へのシェア拡大はすぐには難しいだろうが、広島、岡山方面は『500系効果』が期待できる」と話している。(朝日新聞)
■JRにはねられ重傷 京田辺・線路内の男性
 8日午前6時10分ごろ、京田辺市田辺久戸のJR片町線京田辺駅南側の踏切で、大阪市鶴見区の男性会社員(33)が踏切北側の線路内を歩いているのを、京橋行き普通電車の運転士が見つけ非常ブレーキをかけたが、男性と接触した。
 男性は約30b飛ばされ、全身を強打して重傷。田辺署は男性の回復を待って詳しい事情を聴く。電車は現場で9分間臨時停車した。(京都新聞 夕刊)
9日■「10年のあゆみ」販売
 JR西日本は、会社発足10周年を記念して発刊した社史「新世紀へ走る JR西日本10年のあゆみ」を11月中旬から販売する。
 87年4月の国鉄分割民営化からの10年間を▽国鉄改革▽10年の軌跡▽経営のあゆみ▽鉄道事業のあゆみ−などのテーマで振り返っている。今年8月に2000冊を発刊し関係者に配付したところ、好評だったため、販売することにしたという。
 A4判、480n。1万2000円。予約申し込みは、交通新聞社営業部 03(3211)8414へ。(京都新聞)
■主張・解説 旧国鉄債務処理 続く迷走 止血策にとどまる議論 畑川 剛毅・堀江 隆 経済部
 約28兆円に積み上がった旧国鉄債務の処理を巡る論議が迷走している。11月末と決められた処理策決定の期限が迫り、与党の政策担当者らが加わる財政構造改革会議の企画委員会(座長・加藤鉱一自民党幹事長)が返済策を検討しているが、議論は郵便貯金事業の剰余金活用やJR割引乗車券の特典が付いた無利子国債の発行など、「奇手・奇策」ばかりで、しかも金利支払いを軽減するだけの案にとどまる。抜本処理には、税金からの負担や大幅な歳出削減が避けられないのに、国民の反発や責任論に火がつくのを恐れ、問題解決に正面から取り組むことを避けている。債務が膨らんだのは、旧国鉄が民営化された10年前に処理財源をきちんと決めなかったことが最大の原因だったはずなのに、同じ過ちを繰り返すことになりかねない。
 10月27日の財政構造改革会議分科会。「年寄りでもここまで考えるんだ。JRにも知恵を出してもらわないと」と社民党の及川一夫政審会長は言った。
 及川氏の提案は、JR割引乗車券の特典がついた無利子国債。買い入れると、利息はもらえないがJR乗車券の割引券が付く。
 事業団の有利子債務約16兆円の7割以上が、大蔵省資金運用郎からの借入金や政府保証債など財政投融資資金で占められる。平均金利は5.3%と、1.4%にとどまる民間金融機関からの借入金に比べ、かなり高い。この有利子債務を無利子国債で調達した金で借り換え、年6600億円(来年度)にのぼる金利負担を軽減するというのだ。
 債務処理ではJRも、何らかの負担をすべきだという声は根強いが、こうした国債の需要がどれほどあるのか不明のうえ、国債の利払いの代わりに民間企業のJRに「収入減」という形で負担を求めることになり、問題点もはらむ。
旧国鉄債務処理の財源案
主な財源案の内容反対論
歳出の大幅な見直し各省庁の砥抗は必至
総合交通利用税 鉄道、航空、自動車などの運賃に上乗せするなどで徴収。他交通機関の発達が旧国鉄の経営を圧迫した、との理屈だ大衆課税であり、第二消費税になる。国鉄の過去の借金を他交通機関の利用者の負担で支払うのは、受益と負担の原則に反する
財投資金の繰り上げ償還、金利減免制度の根幹を揺るがす、と大蔵省
郵便貯金の剰余金活用 郵貯の剰余金の累積4兆3000億円を債務返済に回す案。郵貯の国営堅持の代償郵政省は「剰余金は金利変動に対応するための内部留保」と主張
道路特定財源 道路の発達が国鉄の経営を圧迫した、との理屈から、自動車重量税、揮発油税の一部を債務返済に使う建設省や建設族の議員は「道路財源の減少につながる」と強く主張
整備新幹線建設費 新幹線建設の特定財源である724億円の削減や、建設費の中の公共事業費削減が取りざたされている推進派の議員や沿線自治体が「新幹線は地域振興の柱」と反発
JR負担 職員の国鉄在職時の年金支払いの一部を、JRに負担させる。無利子国債の特典に、JRの割引乗車券をつけ る案も浮上JR側は、債務の振り分けは分割・民営化時に終わっている、と主張。「追加負担する合理的根拠はないし、負担能力もない」と反発
無利子国債 利子のつかない国債で借り換え、金利負担を軽くする手法。特典に、相続税を減免する方法などがある相続税の減免は、税収減の方が利子軽減分より大きく、金持ち優遇、との批判を受ける、などの理由から大蔵省が反対
 自民党の山崎拓政調会長が提案した、郵便貯金事業の剰余金を利用する策も「奇策」といえる。
 利払い軽減のため、財投からの借入金を繰り上げて返済する。財投は郵貯・簡保や厚生年金などを通じて国民から集めた資金で、約定通りの金利を付けて国民への返却が義務付けられている。
 このため、金利を軽減した分の「穴埋め」に、郵便貯金事業の黒字(剰余金)が積み上がった積立金を使うというものだ。
 しかし、なぜ郵貯の積立金を使うのかという説明は「財投の出口と入り口の関係にあるから」と極めてあいまいだ。
 本来、積立金は貯金者に還元すべきだし、金利変動などで郵貯事業が赤字になり、剰余金が生まれないこともある。
 省庁再編論議で、郵貯の「国営」を維持する狙いで打ち出された面が強い。しかも無利子国債と郵貯の剰余金は、当面の利払い負担を軽減する「止血策」でしかない。債務処理の財源論議は「入り口」の手前で迷走している状態だ。
・財政改革で置き去り 歳出削減踏み込まず
 政府が進める「財政構造改革」との関係もはっきりしない。巨額の債務を長期間返すのに耐える財源を確保するには、歳出を大幅カットするか、新たな税負担を求めるしかない。だが、歳出削減で、突っ込んだ議論はほとんどない。
 国会で審議中の財政構造改革法案は、公共事業や社会保障関係費など主要な歳出項目ごとに来年度から2000年度までの上限枠(キャップ)を設けている。この枠だと来年度予算の一般歳出は今年度より3168億円削減される。
 ところが、法案のもとになった政府の財政構造改革会議の最終報告は、国鉄債務問題について、道路特定財源の転用や総合交通税など10種類の選択肢を示し、「あらゆる方策を検討して、年内に結論を出す」としただけだった。キャップの設定は、国鉄債務の返済を全く前提にしていない。
 来年度予算から債務を返済し始めるとなれば、大幅な歳出削減策などを検討しない限り、様々なキャップでひねり出した3000億円余の削減額は吹き飛んでしまう。
 歳出の見直しで、まず検討すべきなのは、整備新幹線建設の凍結だが、財政構造改革会議企画委員会の議論は逆の方向だ。「国民感情に配慮して抑制するというが、沿線住民の感情はどうなるのか」と、会議で自民党の森喜朗総務会長が整備新幹線の凍結・抑制論を一蹴(いっしゆう)すると、自民、社民、さきがけ各党の政策担当者や運輸省鉄道局、大蔵省主計局幹部も異論をはさまなかった。債務処理どころか、新たな歳出膨張への道を開きかねない。
・国民負担膨らますツケ
 国民負担に直結する増税については関係者のほとんどが口を閉ざしている。「当分の間、増税は考えるべきではないと申し上げているので、(総合交通税は)問題点が多いのではないか」。三塚博蔵相は5日の記者会見で、航空や鉄道料金などに幅広く課税する総合交通税に否定的な見方を示した。景気の足取りが重くなり始め、景気対策としての法人税や所得税の減税を野党が求めるなかで、新税導入は口にするのも困難、との政治判断だ。来年夏には参院選が控える。政治家にとって、現時点で増税論議をすることは、「まず無理だ」(山崎自民党政調会長)という。
 とはいえ、増税論議から逃れていると、国鉄の分割・民営化時と同じことになりかねない。
 国鉄再建策を検討した国鉄再建監理委員会の亀井正夫委員長(住友電工相談役)は85年7月にまとめた最終報告書に「国鉄再建税の導入」を盛り込もうと、最後まで粘った。しかし、「増税なき財政再建」の政府の公約があったうえ、政治家や官僚が新税導入で国民の反発を買うのを恐れ、結局、再建税構想はうやむやにされた。
 この時に本格処理を棚上げしたツケが「国民負担」の膨張となっていま、回ってきている。長期債務のうち旧国鉄の資産を売却して残る国民負担分は87年度の時点で13兆8000億円とされたが、処理が遅れた間の金利負担などで、現時点では約23兆円に膨らんだとみられる。
 国鉄債務処理での国民負担は、旧住宅金融専門会社(住専)処理に投入された6850億円の公的資金の30倍以上の規模だ。国民に税負担を求めるとなれば、赤字ローカル線を引かせて国鉄債務を拡大させた政治家や、債務を放置してきた財政当局などへの責任追及や批判も高まるだろう。財政構造改革会議の論議も、政府や政治の責任、失敗の原因に迫るものでなければ、その結論に納得する国民はいないはずだ。
 それを政治家や官僚が恐れ、目先の負担が少ない財源論議で糊塗(こと)するのでは本末転倒だ。(朝日新聞)
10日■京九鉄道を行く 中国観光開発事情 上 無煙産業 内陸部振興に期待 照準は日本人客
 猛スピードで改革開放が進む中国。その中で、沿岸部に比べ経済発展が遅れる内陸部振興の起爆剤として、昨年9月に開業したのが、北京と香港を結ぶ総延長2553`の「京九鉄道」だ。人、モノの輸送を担う大動脈の誕生に合わせて、いま沿線地域では経済開発が急ピッチで進む。その現状を「観光」を中心に見た。(東京支社 川村 一郎)
 かん高いブレーキ音とともに列車がホームに滑り込んだ。乗客がせきを切ったように乗降口から吐き出される。線路に飛び降り出口へ急ぐ利用客の背に、駅員の怒声がひっきりなしに飛ぶ。
 中国の華東。長江(揚子江)中流に位置する安徽(あんき)省北部の阜陽市。京九鉄道阜陽駅での朝の通勤風景だ。同駅の1日の乗降客は同鉄道の開業で、一挙に7000人に膨らんだ。これまでのざっと7倍だ。
 同駅は、開業に合わせ駅舎やホームが一新された。今年中にはホテルやデパートが入る10階建ての駅ビルも完成し、近代的なターミナルに生まれ変わる。
 駅員時代も含めて17年も同駅に勤務する楊永和駅長(46)は「立派な駅になって驚いている。これから乗降客はもっと増えますよ」と自信たっぷりだ。
 京九鉄道は、政府の第8次経済5ヵ年計画(1991−95年)の重点プロジェクトとして、400億元(約6000億円)もの巨費を投じて建設された。
 ルートは、幹線鉄道が施設されず、開発から取り残されていた華東の内陸部が選ばれた。自動車の普及と高速道路の整備が緒についたばかりの中国で、鉄道の果たす役割は極めて大きい。
 中国政府は、経済持区で豊かになった沿岸部との経済格差を鉄道開通で一気に解消したい考えだ。同鉄道は、その事業の大きさと開発効果への期待から「大京九」と呼ばれている。
 「大京九」への期待は工業開発にとどまらない。観光開発に熱いまなざしが集まる。
 政府は観光産業を「無煙産業」と位置づけ、外貨獲得の手段として重視してきた。近年は「改革開放」を外国にアピールする機会ともなり、特に力を入れている分野だ。
 昨年1年間に中国を訪れた外国人は674万人、外貨収入は102億jにのぼった。このうち日本人は154万人を数えた。昨年に比べ18.7%増で、国別ではもちろんトップ。
 政府は、香港返還に合わせて今年1年を「中国観光年」と定め、大がかりなキャンペーンの展開に乗り出した。さらに多くの観光客を内外から呼び込むのが狙いで、日本人に照準を当てている。
 だが、中国では「交通が不便という内陸部のイメージから日本人観光客の誘致には苦戦している」(東京の旅行代理店)。沿線の安徽、江西両省は、これまでの遅れをばん回しようと懸命だ。今月末に東京で開かれるトラベルショーでも展示コーナーを出してPRに取り組む。
 国家観光局国際市場開発司の楊文珍司長は、北京のオフィスで力を込めた。「観光は経済発展を促進する柱のひとつ。中国はPR不足だが、観光地は豊富だ。とりわけ京九鉄道沿線にはたくさんありますよ」
 メモ 京九鉄道は京広鉄道(北京−広州間)、京滬鉄道(北京−上海間)に続く中国第三の南北幹線鉄道。1993年4月に着工した。山東、広東、天津など九省・直轄市を通る。駅数は202。現在、京広鉄道を通っている北京−香港間の直通列車「京九列車」も将来は京九鉄道を走る予定。(京都新聞)
■「二条駅」と「二条城前駅」紛らわしい 京都市営地下鉄東西線 乗客・「駅名換えてほしい」 駅側・「よく確かめ降りて」
 先月開通した京都市営地下鉄東西線で、中京区の「二条駅」と「二条城前駅」を間違えて下車してしまう乗客が絶えない。両駅とも「二条」がつき、よく似ているのが原因らしい。改札口を出た後に気づくと、切符を買い直さなけれはならず、二条城前駅は注意書きを張り出して間違えないよう呼びかけている。
 二条城前駅によると、降り間違いがもっとも多かったのは開業初日。始発終点の二条駅でJR山陰線に乗り換える通勤、通学、観光客など十数人が二条城前駅で改札口を出てしまい、駅員にどうしたらいいかを問い合わせた。その後も1日に数人の乗客が間違える状態が続いたため、開業の数日後、プラットホームと改札口への通路の2ヵ所に「ここは二条城前駅です。二条駅は次の駅です」との注意書きを張り出した。
 降り間違いは開業から日がたつにつれ減ってきたが、今でも1日に数人が間違え、二条城前駅で降りてしまった乗客は、二条駅までの切符を買いなおしたり、同駅までの約800bを歩いたりしている。乗客の中には「車内放送で聞き間違えた」「名前が紛らわしく、駅名を換えてほしい」という人もいるという。
 京都市交通局によると、担当職員が駅名を検討した際、「二条城前駅」の代わりに「堀川駅」の案もあった。しかし「二条城へ向かう観光客が、間違えて二条駅で降りてしまう可能性がある」との意見が出たため、「二条城前駅」に落ち着いたという。
 同駅の谷口恵亮助役は「改札口を出てしまうと、基本的には切符を買いなおしてもらわなければいけないのでよく確かめて降りてほしい」と話している。(朝日新聞)
11日■北陸トンネル内で特急停車 照明も消え1時間半
 10日午後5時10分ごろ、福井県今庄町のJR北陸線北陸トンネル内下り線で、車両故障のため大阪発金沢行きの特急スーパー雷鳥27号(10両編成)が停車した。午後6時半すぎ、運転を再開したが、約300人の乗客は照明が消え、予備灯だけとなった薄暗い車内で約1時間半を過ごした。
 特急は今庄駅ですべての乗客を降ろし、乗客は後続のしらさぎ11号など特急2本に乗り換えた。けが人や気分が悪くなった人はいないという。
 JR西日本金沢支社などによると、電気系統の故障が原因とみられる。スーパー雷鳥は今庄駅側出口から約5`の地点でゆるやかに停車。運転士が運転を続けようとしたが、再発進できなかったため後方の運転席に移動して今庄駅まで後進でゆっくり動かした。特急が動くと、後部の7車両は車内灯がついた。(京都新聞)
■京九鉄道を行く 中国観光開発事情 中 三国志 博物館を目玉に 景勝地主流から脱皮を目指して
 安徽(あんき)省北部の亳州(はくしゅう)市は、北京から京九鉄道で約12時間。新しく整備された駅前広場には、三国志の英雄・曹操の石像が建つ。
 亳州は、魏朝を興した曹操ゆかりの地。戦(いくさ)で兵士を素早く移動させるために曹操が掘らせた地下道「運兵道」など史跡が点在する。ここは3600年以上の歴史を持つ国指定の歴史文化都市だ。
 京九鉄道開通に合わせて、観光開発が急ピッチで進んだ。そのシンボルが三国志の博物館「三国覧勝宮」だ。亳州が600万元(約9000万円)をかけて、1994年に完成させた。
 外観は後漢末期ごろの宮廷を思わせる石造り。内部には、曹操の名を知らしめた「官渡の戦」や、風向きの変化をつかめずに長江で大敗を喫した「火焼赤壁」(赤壁の戦)など三国志の名場面が等身大の人杉を使って再現されている。
 亳州は観光資源に恵まれているが、観光地としての知名度は桂林などの景勝地に遠く及ばない。国家観光局の武月中さんは「中国の観光は景勝地が主流。その点で亳州は少し魅力が不足している」と指摘。同博物館建設は「見どころを作って街の魅力不足を補う意味がある」と、狙いを話す。
 安徽省の南隣に位置する江西省も観光資源が豊富だ。世界文化遺産に登録されている景勝地・慮山(ろざん)や磁器の産地として有名な景徳鎮などが売り物で、省内を縦断する京九鉄道は誘客の起爆剤となった。
 いま同鉄道を前面に押し出した「京九江西行」(京九で江西に行こう)の観光キャンペーンの真っ最中。来年には省内を巡る14のモデルコースの設定や月ごとに各地でイベントを開催するなどし、年間の観光客は今年を1割上回る1640万人(うち海外から15万人)を見込む。
 省内の空の足も3つ新設され4空港になった。同省旅遊局の向光林副局長は「鉄道と空港を接続させ、交通網整備が遅れているというイメージを一新。観光客をどんどん呼び込む」と鼻息が荒い。特に空路が上海、広州と結ばれたことで、日本人観光客の誘致をもくろんでいる。
 確かに京九鉄道開業の効果は出ている。香港と鉄道でつながったことで、香港やマカオからの旅行者が特に増えた。省都・南昌は合弁企業によるホテルの建設ラッシュで、目ぼしい高層ビルはすべてホテルという状況だ。
 ただ、両省の観光開発が順調かといえば、課題も少なくない。亳州では曹操一族の古墳群周辺は荒れ放題。武さんは「地元の英雄のゆかりの地としては寂しい限り。公園として整備すれば観光資源になるのに」と嘆く。南昌でも、新たな観光施設の開発や観光業従事者のサービス向上など本来、必要な観光に関する魅力作りは遅れている。
 安徽、江西南省の経済力は、まだまだ低い。95年の1人当たり国内総生産(GDP)をみると、上海(1万7403元)の5分の1以下で、全国平均(4828元)をも下回る。それだけに観光開発にかける意気込みは目を見張るが、ハード、ソフト両面の施策で「克服に向けて努力する」(向副局長)課題は少なくない。
 メモ 安徽省は中原の平野が広がる。面積13万9000平方`b、人口6070万人(96年現在)。国内最大の漢方薬市場で知られる。江西省は面積16万7000平方`b、人口4105万人(同)。首都・南昌は1927年8月1日に中国共産党が武装決起した地。この日は現在、人民解放軍の建軍記念日。(京都新聞)
■思い出の阪急車両 ビデオで振り返る 約90年迎え作製
 創立90周年を迎えた阪急電鉄の思い出の車両をビデオにした「阪急電鉄車両史」(朝日放送・ABCアーカイブなど制作)が完成した。鉄道ファンには懐かしい車両や沿線各駅が登場する。
 開業以来、くり色(Maroom)の車体カラーで知られた最初の1系1形から最新型までの全形式を保存映像や写真で紹介。木張りから鋼鉄製に、円形前面から貫通扉、1本ポールから1本腕のパンタグタフにと、電車の変遷の様子が時代を追ってわかる。とくに大阪−神戸間を25分で走った920系、国鉄時代の特急「つはめ」を追い抜いた「昭和の名車P6」なども写っている。また、京都線大山崎−上牧間で、開通前の東海道新幹線線路上を阪急電車が最初に走った珍しい映像や、1938年の阪神大水害で立ち往生した電車、戦災で焼け野原になった神戸−三宮付近、阪神大震災で大きな被害を受けた阪急伊丹駅付近の様子などのほか、電気機関車や貨車類も収録している。
 問い合わせはABCアーカイブ(06・452・3666)。ビデオはVHS 90分、6000円。(朝日新聞)
■北陸トンネル 「雷鳥」立ち往生 300人1時間半缶詰め
 10日午後5時10分ごろ、福井県敦賀市のJR北陸線北陸トンネル(約14`)で、走行中の大阪発金沢行き特急「スーパー雷鳥27号」(10両編成)のスピー下が徐々に落ち、動かなくなった。列車は直後に停電し、約300人の乗客が1時間半にわたって非常灯だけの車内に閉じ込められた。先頭車両の運転台が使用不能になったため、運転士が最後尾の車両の運転台に移って徐行運転を始め、午後7時すぎに約4`離れた今庄駅に着いた。
 JR西日本金沢支社によると、10両のうち前方3両に電気が通じなくなったらしい。
 スーパー雷鳥27号は今庄駅で運転を打ち切り、乗客は臨時停車した後続の特急に乗り換えた。この事故で普通列車2本が区間運休し、特急など9本が最高2時間遅れた。約2300人に影響が出た。
 故障した車両は1973年の製造。モーターと電気系統の点検は3日に1回しており、この車両は8日に点検していたが、異常はなかったという。(朝日新聞)
12日■府内の住宅地 短期地価動向 地下鉄沿線で上昇も 全体ではやや下落続く
 京都府は、3ヵ月ごとに実施している府内住宅地の短期地価動向調査(7月1日−10月1日)の結果をまとめ、11日発表した。前回調査(4月1日−7月1日)時と同様に京都市とその近郊、山城、南丹各地域はやや下落、中丹、丹後地域では、ほぼ横ばいだった。ただ、京都市内では、地下鉄東西線開業の影響などから沿線で上昇に転じるところも出ている。
 調査は、府内の地価基準地195地点(うち京都市内60地点は、市が調査)を対象に、不動産鑑定士の評価に基づいて判定した。
 府内住宅地の地価の平均の変動率は、昨年7月−10月期以降、五期連続で0%から1%の下落となった。
 地域別にみると、バブル期に急激な地価急騰を見せた京都市と、宇治、向日市などの近郊地域、八幡市や京田辺市などの山城地域、亀岡市などの南丹地域では、0%から1%とやや下落。
 福知山市などの中丹、宮津市以北の丹後両地域では、92年7月以降、横ばいが続いている。
 八木、園部両町以南の大阪圏(宇治田原町など4町村を除く)でみると、下落が58地点で、前回より1地点減少。横ばいは85地点で1地点増えた。
 また、上昇したのは京都市内の4地点で前回より1地点増えた。いずれも地下鉄東西線や烏丸線の北山駅以北の沿線に位置する左京区、山科区などの地点。市内では90年7月以来、下落傾向にあるが「地下鉄の影響で地価が上昇するところが出始めた」としている。
 全体の下落傾向について土地対策課は「景気低迷や消費の抑制傾向が要因」とみている。(京都新聞)
■奈良線複線化 環境評価「ほぼ妥当」 京都−藤森間 京都市の審査会答申
 JR奈良線京都−藤森間(4.2`)の複線化事業の環境影響評価について、京都市環境影響評価審査会(会長・高木興一京都大教授)は11日、事業者のJR西日本から提出されていた環境影響評価準備書の内容を「ほぼ妥当」とする答申を京都市長に提出した。
 これをもとに、市長はJR西日本に対して、環境保全面での意見を述べる。
 審査会は、市長が事業者に対して行う意見の裏打ちとなる専門的な助言を、答申の形で提出することになっており、今年7月に市長から諮問されていた。
 答申では、JR西日本が行った大気、水質、騒音などの環境への影響予測について、「おおむね妥当」とし、事業実施にあたって▽車両軽量化やレールの保守管理で列車走行の騒音低減に努める▽工事用機械のアイドリングを抑える▽濁水の流出防止や廃棄物発生抑止・再資源化に努める−などを指摘している。
 JR西日本は、答申を踏まえた京都市長の意見をもとに、事業者としての見解を環境影響評価書にまとめて再度提出、工事認可申請する。(京都新聞)
■ブルトレ「20系客車」 40年の歴史に幕 JR西日本 ファンに惜しまれ 最後の雄姿 29日に披露
 フルートレインの愛称で親しまれた旧国鉄初の特急寝台列車「20系客車」が29日、新大阪−岡山間で最後の営業運転を行う。JR西日本が、廃車前に最後の雄姿をファンに披露しようと、「さよなら運転」を企画した。
 20系客車は、1958年10月、東京−博多間を走る特急「あさかぜ」の寝台客車としてデビュー。京都にも停車し、個室や食堂車を備えた「走るホテル」と呼ばれた。全盛期には302両あったが、1年前に現役を退き、現在はJR西日本に8両だけ残っている。
 さよなら列車は、午前9時32分に新大阪を発車し、岡山に向かう片道の快速として運行される。発車前に記念式典も行われる。全席指定で、定員は212人。乗車券は12日午前10時から発売する。(京都新聞)
■京の新商業施設やや明暗 ゼスト御池 客足伸びず 伊勢丹など新京都駅ビルは好調 パセオ・ダイゴロー売上高1.5倍に
 京都市地下鉄東西線が開業して11日で1ヵ月が経った。沿線の中核商業施設と注目された地下街「ゼスト御池」(中京区)は、予想したほど客足が伸びず、テナントは、商品構成の見直しや知名度アップに懸命。全面開業2ヵ月を迎えたJR新京都駅ビル(下京区)が引き続き好調なだけに、京都に今秋誕生した商業施設には、やや明暗が出ているようだ。(政経部 今口規子)
 「ゼスト御池」を運営する「京都御池地下街」によると、10月の売上高は「当初予想通り」と言うが、同地下街に入る衣料店の店長は「予想より3割少ない」と顔を曇らせる。ターゲットとしていた若者層の来店が少なく、今後、店の商品構成を家族向けに切り替えるという。
 またジーンズ店長は「売上高は予想の半分。修学旅行生も新駅ビルに流れている。知名度を高めなければ」と渋い表情だ。
 しかし、東西線の東の終点に位置する伏見区の「パセオ・ダイゴロー」(今年3月開業)の専門店街は、東西線開業後の売上高が、以前に比べ1.5倍に伸びたという。テナントの写真店長は「京都市中心部や亀岡、大津市などからの顧客が増えた」と、地下鉄効果を話す。
 JR京都駅ビルのジェイアール京都伊勢丹は、開業からの2ヵ月間で、117億円の売り上げを記録した。当初見込みの8割増で、すでに初年度の目標売上高320億円の3分の1を超えた。秋の観光シーズンの11月2、3日の連休には、15万人前後が訪れ、同店は従業員40人を増員。京都駅観光デパートの専門店街「ザ・キューブ」も、2ヵ月間の売上高は22億2000万円で予想の1割増となった。
 京都伊勢丹の関根純店長は「新駅ビルも京都観光の名所の一つになったようだ」と気をはく。
 東西線沿線で、来秋開業する山科再開発ビル内の商店街「ポンテリカ」(仮店舗)は、JR京都駅ビルとの格差に複雑な表情。10月の人出は前年同月の2倍以上の1万4000人(山科駅前再開発調べ)に上ったが、同商店街内のスーパーの売り上げは8%増に止まり、倉基裕店長は「仮店舗なので判断しにくいが、人が多い割には売り上げは伸びていない」と今後の集客戦略を練る。(京都新聞)
■東西線沿線5ホテル 来月から開業記念共同キャンペーン
 地下鉄東西線沿線の京都市内の5ホテルは12月1日から3ヵ月間、海外旅行や無料宿泊券などが当たる共同キャンペーン「地下鉄東西線開業記念・グルメラリー」を展開する。
 京都ホテル、京都国際ホテル、京都ロイヤルホテル、京都全日空ホテル、都ホテルによる初の共同企画。共同キャンペーンは、各ホテルのレストラン・バーを利用してスタンプを8ポイント集めると、ハワイ旅行(4泊6日、ペア1組)などの当たる懸賞の抽選権を与える内容。
 賞品は特賞のハワイ旅行のほか、5ホテルいずれかの無料宿泊券(ペア10組)、食事券、スタンプ8個を集めた人全員にレストラン・バー20%割引券を贈る。抽選は来年3月1日。(京都新聞)
■京九鉄道を行く 中国観光開発事情 下 日本の投資期待 テーマパークで開発区発展図る
 京九鉄道の南昌駅から北へ車で約20分。なだらかな丘を登ると、中国の風景に不釣り合いなとんがり屋根の建物が姿を現した。ロシア・モスクワ「クレムリン」のミニチュア版で、地元で採取した赤土で焼いた煩瓦(れんが)を積み上げている。同鉄道の沿線にある江西省の省都・南昌市(人口220万人)で建設が進む「環球公園」だ。
 森や池のある15万平方bの丘陵地に6000万元(約9億円)を投じて、中央アジアの「イスラム寺院」や米国の「自由の女神」など世界の名所に似せた建物が18も建てられる。
 「環球」は「いながらにして地球を一周する」という意味。日本でいうテーマパークの一種だ。
 開発を進める南昌市昌北開放開発区管理委員会の徐樹憲副主任は、現場を歩きながら「国全体が休暇に入る来年2月の春節に合わせてオープンさせたい。園内には日本庭園もつくる予定です」と声を弾ませる。
 世界の名所を集めた公園は、中国では北京、深■に次いで3ヵ所目になる。南昌は京九鉄道も含めて鉄道が東西南北に延び、「金の十字路」と呼ばれる交通の要衝。開発区へは国内外から年間50万人以上の誘客を見込んでいる。
 環球公園は、徐副主任の肩書にもある通り、昌北開放開発区(85万平方b)の一部。この経済開発区で、自動車部品など工業団地と隣り合わせで作られるのがユニークなところ。いわば開発区は「環球公園という観光資源を持つのが最大の特徴」(李詩権同開発区管理委員会主任)だ。
 外資系企業、合弁企業を積極的に立地させて「改革開放」の先兵となっているのが経済開発区だ。しかし、近年、乱立気味で、開発区間の競争も激しい。地方行政機関が国の許可を得ずに設置するケースも目立つ。
 それだけに外国資本を呼び込むうえで、他省の経済開発区では見られない特色をアピールする必要がある。緑に囲まれ、国内外の人々が楽しめる公園のイメージは、企業誘致の強力な武器。環球公園は観光客を集めるだけでなく、外資系企業誘致の「広告塔」役をも担っているというわけだ。「環球公園の開発は必ず成功する」強調する李主任は、開発区が国の正式な許可を得ていることを踏まえ、「21世紀には南昌の新都心になるだろう」と期待を込める。
 建設現場の壁に張り出された同開発区全体の完成予想図には、立派なビルが並んでいる。だが、ビル建設予定地は現在、田畑のままで、建設計画は緒についたばかり。「もっと開発投資が必要な状況だ」(孫華遜南昌市旅遊事業管理局長)
 南昌では、日本のいすず自動車と国有企業との合弁会社が、10年にわたって年間4万台のトラックを生産している。李主任は力説する。「日本と合作すればうまくいく。だから日本からもっと投資してほしいんです」
 「改革開放」で出遅れた中国内陸部では、いま、日本からの投資と観光客の誘致で、「離陸」の機会をうかがっている。(おわり)
 メモ 経済開発区(開放都市)は外国の資本や技術の導入を目的に設けられた区域。企業所得税の軽減や雇用面での企業の自主裁量権拡大などの特典は経済持区並みとなる。経済特区と違って区域外との間に境界線はなく、往来は自由。中国政府が許可した経済開発区は、南昌など全国で34都市。無許可も入れると約3000ヵ所にのぼる。(京都新聞)
■窓 市バスの改編なぜ洛西でも 西京区・菱田 明彦(無職・63)
 京都市の地下鉄東西線開業に伴い、先月12日から市バスの時刻表が変わりました。私は障害者(1種2級)で、数年前から週1回、市バス西2を利用、紅葉町から桂駅西口付近まで治療に行っています。改編前は午前中に3本運行していましたので、これを利用していました。それが改編後は午前7時台に2本運行しているだけで、それ以後午前中はバス運行がありません。逆に午後は改編前より多く運行しています。
 なぜ、洛西営業所管内が東西線開業による影響があるのですか。1ヵ月経過して、何とか従前同様に再改編してもらえるかと期待しておりましたが、それは期待はずれでした。高齢者の方も不平不満だらけです。市バスに乗れなければ、敬老乗車証も紙くず同然です。何とか、再改定くださるよう、当局にお願いします。できれば、バス運行が午前中少なく、午後多くなった理由も知りたいと思います。(京都新聞)
■さよなら 初代ブルトレ 「20系寝台車」29日引退運転
 39年前の1958年に登場し、青い車体で知られるブルートレイン(寝台特急列車)の原形になった「20系寝台車」が老朽化ですべて引退することになり、JR西日本が29日、新大阪−岡山間で「さよなら号」を走らせる。冷暖房完備で「走るホテル」とも呼ばれたが、乗客を運ぶのはこれが最後になる。
 20系寝台車は、東京−博多間を17時間10分で結んだ寝台特急「あさかぜ」としてデビューした。個室寝台やグリーン車、食堂車もあり、当時としては豪華な編成だった。同じ寝台特急の「さくら」や「富士」にも使われ、ピークの65年には302両を数えたが、今はJR西日本の8両だけになっている。
 さよなら号は岡山までの片道運転で、2段ベッドの寝台車6両を座席車として使い、電源車、電気機関車の計8両編成。午前9時32分に新大阪を出発、大阪、尼崎、三ノ宮、神戸、西明石、姫路に停車しながら、午後零時31分に到着する。定員212人の全車指定席とし、12日から駅のみどりの窓口で乗車券、指定席券(新大阪・大阪−岡山間は計3450円)を発売する。
 運転当日は出発前に、新大阪駅でさよなら運転の記念式典をする。(朝日新聞)
■リムジンバス「大阪南港線」免許申請 関空交通など3社
 関西空港交通、大阪空港交通、阪神電鉄の3社は12日午前、関西空港と、大阪港トランスポートシステムが12月18日に開業する地下鉄テクノポート線のコスモスクエア駅(大阪市住之江区)などを結ぶリムジンバス「大阪南港線」を開設するため、近畿運輸局に免許申請した。12月19日から1日29便運行する。
 関西空港を発着点とするリムジンバスとしては16路線目。運賃は1300円。(京都新聞 夕刊)
■整備新幹線 JR3社の社長が意見 政府・与党検討委
 整備新幹線の優先着工順位を決める政府・与党の整備新幹線検討委員会は12日午前、首相官邸で6回目の会議を開き、JR北海道、西日本、九州の3社長から、北海道新幹線、北陸新幹線、九州新幹線・長崎ルートについて意見を聞いた。
 JR北海道の坂本真一社長は「フル規格の盛岡−新青森間と同時開業なら、新函館までは、現在の並行在来線に比べ、確実に収支改善効果が見込める」として、フル規格による新青森−新函館の先行整備を希望した。現行スピードであれは、東京から函館まで4時間で結ばれ、航空機に対して十分な競争力を持つと訴えた。また、JR西日本の南谷昌二郎社長は、北陸新幹線の整備について、既に着工している石動−金沢、糸魚川−魚津の2区間は、スーパー特急で建設を進めていることから、「既着工区間の整備が優先され、一日も早い供用が望まれている。長野−上越間のフル規格整備は次のステップと認識している」と述べ、フル規格整備については否定的な考えを示した。
 一方、JR九州の田中浩二社長は「福岡−武雄間は在来線を活用し、武雄温泉−新大村の短絡ルートをスーパー特急で整備し、肥前山口−諌早間の在来線を経営分離すれば、収支改善が見込める」と述べ、条件つきで建設に同意する意向を示した。(朝日新聞 夕刊)
■新幹線好き?タヌキ・ネコといたちごっこ JR東海 対策立ててもまた獣身事故
 タヌキやネコが東海道新幹線の線路内に侵入して列車と衝突し、JR東海を悩ませている。国鉄時代と比べ、いまは運転本数が多く、いったん徐行や停止すると後続や接続列車に影響が広がるからだ。1993年度から侵入防止対策を始め、ほぼ終えたはずだったが、相手は動物だけにどこに現れるかは完全に予測できない。今月は浜松と京都で列車が相次いで遅れた。「気は緩められない」とJR東海は話している。
 浜松駅付近で今月1日にタヌキが排水溝を越えて線路に侵入し、列車には12分の遅れが出た。4日には米原−京都間を時速200`以上で走っていた「のぞみ」が異状音を感じた。この日の遅れは13分だった。9月17日にも、新横浜駅付近でタヌキがさくを越えて衝突した。
 東海道新幹線は最高時速270`で走る。東京−新大阪間の約550`の半分が盛り土や小山を削った区間で、沿線には人の侵入を防ぐ高さ2bほどの金網を張った防護さくが設けられている。
 タヌキやネコは、さくと地面とのわずかな透き間をくぐり抜けたり、地面を掘ったりして、盛り土を登ってくるらしい。新幹線にぶつかった瞬間、「グシャ」とか「ドン」という異状音を運転士は感じ、直ちに停止する。車両や線路に異状はないかどうかを確認し、運転再開までには平均10分間かかるという。
 わずかな遅れでも、列車への影響があるため小動物の目撃例が多い地点を中心に、侵入防止対策を93年度から始めた。透き間が3a以上ある個所には網目状の鋼板を取り付け、地面はコンクリートで固めた。排水溝には有刺鉄線をまき、隙間をふさいだ。
 その結果、列車の遅れは93年度28件だったのが、94年度と95年度はそれぞれ19件となり、96年度には、11件と減少傾向を示した。
 今年は3月末までに総延長112`で侵入対策を終え、残り6`を残すまでとなった。4月から8月までの列車の遅れ件数はゼロを続け、「もう大丈夫ではないか」(JR東海)という声もあったが、9月からまた相次いだ。(朝日新聞 夕刊)
■芝山鉄道の専務宅 爆発でガラス破損 成田でゲリラ?
 12日午前3時15分ごろ、千葉県成田市宗吾二丁目、芝山鉄道専務の出山降さん(68)方で爆発音があり、出山さん方の窓ガラスなどが割れた。けが人はいなかった。芝山鉄道は、成田空港開港の条件として国が千葉県芝山町に建設を約束した第三セクターの鉄道会社。現場からリード線や乾電池が見つかったことなどから、成田署は空港に反対する過激派によるゲリラ事件とみている。
 出山さんは成田市の助役を経て95年9月に芝山鉄道の顧問になった。(朝日新聞 夕刊)
13日■新京都駅ビルまだまだ熱く ポルタ21日参戦 売場25%増 相乗効果狙う ファッション、飲食中心
 京都ステーションセンター(市川静夫社長)が増床・改装を進めている京都駅前地下街「ポルタ」は21日、リニューアルオープンする。従来の売り場面積を25%増やすうえ、JR新京都駅ビルとの相乗効果で、集客アップを目指す。
 改装後の売り場面積は、北西部分2062平方bを増床し、1万215平方bになる。店舗は、ファッション、飲食を中心に、26店が新規出店し、計133店になる。通路に吹き抜けを2ヵ所設け、既存店舗の内装も一新した。総事業費は80億円。
 新駅ビルの「南北自由通路」近くに新しい出入口を設け、20歳前後の若者向け衣料、雑貨の物販店ゾーンを新設。新駅ビルとの回遊性を重視した。
 また従来南西部分にあった食堂街は、増床した北西部分に移動し、営業時間を1時間延長して午後10時までにする。同地下街全体の初年度売上高は、昨年より3割増の260億円を目指している。
 ポルタは、新駅ビル全面開業間もない10月1日から改装工事のため全面休業していた。(京都新聞)
■来月からグルメラリー 地下鉄東西線沿線5ホテル 初めて連携企画
 京都市営地下鉄東西線沿線の5つのホテル(都ホテル、京都国際ホテル、京都ロイヤルホテル、京都全日空ホテル、京都ホテル)が12月1日から2月28日まで、各ホテルのレストラン・バーを利用してスタンプを集める「グルメラリー」を実施する。市内のホテル同士がこうした取り組みをするのは初めて。スタンプ8個を集めると、賞品がもらえる。
 スタンプは、朝食以外の飲食の利用1000円以上で1個、2500円以上で2個、4500円以上で3個押せる。ラリーなので、各ホテルを回って、どのホテルからも最低1個以上のスタンプが必要だが、8個たまると5ホテル共通の割引券がもらえ、海外旅行などが当たる抽選ができる。
 全ホテルが地下鉄東西線沿線にあり、京都全日空ホテル、京都国際ホテルは二条城前駅、京都ホテルと京都ロイヤルホテルは市役所前駅、都ホテルは蹴上駅が最寄り。京都ホテルは「駅ビルに比べると、東西線沿線のスポットはいま一つ知られていない。沿線は便利で、ホテルもたくさんあることをアピールしたい」としている。(朝日新聞)
■時計のくさり運転盤で短絡 雷鳥立ち往生の原因
 福井県敦賀市のJR北陸線北陸トンネル内で10日、大阪発金沢行き特急「スーパー雷鳥27号」が約1時間半にわたって立ち往生した事故で、JR西日本金沢支社は12日、先頭車両の運転台で運行ダイヤの確認に使う懐中時計の金属製くさりが機器のすき間に入り、運転盤上の電流切り替えスイッチがショートし、メーンヒューズが飛んだのが原因だったと発表した。
 同支社によると、スイッチは直流と交流の両電源を切り替える装置。運転盤上には懐中時計を置くくぼみがあり、走行中にくさりがスイッチの間にある約5_のすき間に入ったらしい。(朝日新聞)
■整備新幹線 着工3年凍結必要 財政改革会議 蔵相表明 旧国鉄債務処理で
 28兆円近くに上る旧国鉄長期債務の処理財源を検討している政府、与党の財政構造改革会議は13日、首相官邸で企画委員会を開き、三塚博蔵相が「財政構造改革の集中3年間は、整備新幹線の新規着工の見送りや既着工分の予算の削減など運輸省予算を抑制することが必要」と述べた。企画委員会としても、長期債務の処理策をまとめるには整備新幹線の抑制を含めた運輸省予算の削減が大前提、との考えでほぼ一致した。
 企画委員会がまとまったことで、整備新幹線の新規着工や既着工分の建設推進は困難な状況になった。
 同委員会は、政府、与党の整備新幹線の検討委員会に着工見送りなどの考えを伝えるが、予定通りの整備新幹線建設を求める声も強く、調整は難航しそうだ。
 企画委員会では、長期債務の処理で郵便貯金特別会計の剰余金の活用や国鉄清算事業団が借りている財政投融資資金の金利軽減など他省庁の協力を得るために「整備新幹線の建設抑制やJR負担が前提」と運輸省予算の削減、JR負担が必要という意見が相次いだ。また、来週後半に債務処理のたたき台となる試案をまとめることで一致した。
 大蔵省は、債務処理で運輸省に対し約1000億円の予算削減を求めている。運輸省は来年度予算の概算要求で整備新幹線の建設費として340億円を要求しており、運輸省も「削減はやむを得ない」(幹部)との考えだ。
 藤井孝男運輸相は「運輸省としても努力するが、財政の中でも協力してもらいたい」と政府全体の歳出カットを求める発言をした。(京都新聞 夕刊)
■地下鉄東西線延伸 宇治市との協議手続き 京都市会で可決
 京都市の11月定例議会は13日午前、本会議を再開し、地下鉄東西線の六地蔵延伸を宇治市と協議するための手続きに関する議案を可決した。宇治市議会でも同様の議案を定例市議会に提案する予定で、両議会の議決が出そろえば、両市は延伸に向けた具体的な協議に入る。
 地方自治法では、自治体施設を他都市へ設置する場合に、関係する議会の議決が必要とされていることから提案されていた。議会の議決は、運輸省へ事業認可申請を行う際にクリアしておかなければならない条件の一つとなっている。
 本会議ではこのほか、約87億7000万円にのぼる一般会計補正予算案など26件も可決した。(京都新聞 夕刊)
■追突の運転士を書類送検 沼津のJR脱線
 静岡県沼津市のJR東海道線で、普通電車が停車中の貨物列車に追突、脱線して乗客43人がけがをした事故で、静岡県警捜査一課と沼津署は13日、普通電車の運転士の信号誤認などが事故原因として、業務上過失傷害、業務上過失往来防害容疑で沢木久仁行運転士(52)を書類送検した。
 調べによると、沢木運転士は三島発静岡行きの普通電車を運転中の8月12日午後11時15分ごろ、沼津市小諏訪のJR東海道線下り線の沼津−片浜間で、踏切の非常ボタンに連動して点灯した赤信号のため停車した貨物列車に追突。電車の先頭車両と貨物列車の最後尾の車両が脱線し、電車の乗客約200人のうち43人に3週間から5日のけがを負わせた疑い。(京都新聞 夕刊)
14日■整備新幹線 着工、混迷深まる 蔵相の「3年凍結」発言で
 九州新幹線など整備新幹線の新規着工問題が、年末の予算編成を前に混迷を深めている。旧国鉄の長期債務処理問題に関連して三塚博蔵相が13日、新規着工区間の3年間凍結を求めたからだ。
 関係自治体や優先順位を協議している政府、与党整備新幹線検討委員会からは反発する声が出ているが、財政再建という橋本内閣の”錦の御旗”に抗しきれるかどうか、予断を許さない情勢だ。
 整備新幹線の新規着工をめぐっては、昨年末に財源問題が決着しており、同検討委で採算性などを考慮しながら優先順位を審議している。
 野沢太三・自民党整備新幹線建設促進特別委員長は「財政構造改革に沿って節度ある進め方の検討は必要だが、(新規着工を)止めることは全く考えていない」と強調。
 古賀誠前運輸相も「昨年末にあれだけ議論して決まった財源スキームを何と思っているのか。議論は淡々と進める」と一歩も引かない構えだ。
 三塚蔵相が凍結の考え方を打ち出した同日の財政構造改革会議の企画委員会は、旧国鉄債務処理のためには着工抑制との考えでほぼ一致した。これに対して「長期債務と新幹線は別問題だ」(古賀前運輸相)との認識が沿線自治体などを含めた新幹線推進派には強い。
 だが、長期債務処理問題が財投資金の繰り上げ償還や新税構想など次々とアイデアが出されながらも出口が見つからない状態の中で「国民の理解を得るには新幹線建設を抑制すべきだ」という考えが大きな流れになりつつある。
 このため運輸省内でも「運輸省予算をカットするなら新幹線だけをそのままという訳にはいかない」と債務処理の解決には建設抑制もやむを得ないという意見が支配的だ。(京都新聞)
■JR東海は微増収減益 固定資産税などが圧迫
 JR東海が13日発表した上場後初めての1997年9月中間決算は、売上高が前年同期比0.3%増の5754億円とほぼ横ばいだったものの、経常利益は14.2%減の421億円と激増収減益になった。
 売上高の8割以上を占める東海道新幹線の運賃収入は「のぞみ効果」で1.0%増加したが、承継特例の期限切れで固定資産税が74億円増加した上、山梨リニア実験線の稼働に伴う減価償却費が56億円増加し、営業利益は7.9%減少した。(京都新聞)
■JR西日本 税制特例の廃止で19%の減益
 西日本旅客鉄道(JR西日本)が13日発表した1997年9月中間決算は、固定資産税の特例措置の廃止による負担増などで経常利益が前年同期比19.6%減の304億9200万円となった。売上高も景気低迷による鉄道輸送量の減少が響き1.1%減の4744億900万円となり、上場後1年目の中間決算は減収減益となった。
 中間期の輸送実績は、新幹線が前年同期より100万人減って3100万人、在来線が400万人減の9億2900万人となった。このため主力の運輸収入が前年同期を51億円下回り、売上高が1.1%減の4744億900万円にとどまった。
 また、営業費用の中で固定資産税の特例措置の廃止や、鉄道共済の厚生年金への移行で約170億円が新たに発生。京都駅ビルの開業で関連事業収入は18.6%増の104億円となったが、負担増の圧迫を埋めきれなかった。税引利益も同34.9%減の151億8700万円となった。
 同社は98年3月期の通期予想を、売上高で期初予想より1%減の9525億円、税引利益で同8.7%減の230億円に下方修正した。(京都新聞)
■市バス 全路線利用調査へ 京都市、一部見直しも
 地下鉄東西線開業と同時に再編したバス路線に対して、住民から「不便になった」などの声が出ていることについて、京都市交通局は、市バス全路線の利用状況調査を行うとともに、京阪バスに移管した山科・醍醐地域については、路線の見直しなどについて、京阪バスと協議していく方針を明らかにした。
 この日の定例市議会本会議一般質問で、下薗俊喜公営企業管理者(交通局長)が答えた。
 下薗管理者は、現行の市バス路線について「地域住民からさまざまな意見が出ている。今後、全市的な実態調査を行う」と答え、利用状況を早急に把握し、今後の運行に役立てたいとの意向を示した。
 また、民間の京阪バスに営業が移管された山科・醍醐地域については、「今月下旬に京阪バスが行う調査結果をもとに、同バスと協議し、必要なものはできるだけ早期に見直す」と、路線のあり方も含め、再検討していく姿勢を示した。
 市交通局によると、全市的な実態調査は、全路線の起終点間で、時間帯ごとの乗客数などの利用状況を調べる予定で、来年度にも行うという。山科・醍醐地域はすでに京阪バスのエリアとなっているが、下薗管理者は「東西線を運行する事業者の責任として、京阪バスと協議していきたい」としている。
 市内の市バス路線は、地下鉄東西線と烏丸線北々伸(北山−国際会館)の開業に伴い、17系統432往復を削減。山科・醍醐地域からは撤退した。住民からは「かえって不便になった」など、再考を求める声があがっていた。(京都新聞)
■窓 地下鉄東西線混乱招く駅名 下京区・上出 隆一(自営業・62)
 地下鉄東西線の西行きの終点は二条駅。その一つ前の駅は二条城前駅。ところが、二条駅で降りるつもりの乗客が二条城前駅で降りてしまうケースが多い、という。それで二条城前駅のかわりに「堀川駅」とした場合、こんどは二条城で降りたい人が二条駅まで乗ってしまうおそれがある。
 市内の住民が間違うことはないだろうが、観光や仕事で来られた人が、悔しい思いをされるのは気の毒だ。市バスの場合、観光地名を優先する表示になっているのは良いと思う。初めての人に親切な表示だ。地下鉄の場合も、乗りなれない乗客に親切な駅名になると良いと思う。
 二条駅は「JR二条駅前」に、二条城前駅は「神泉苑・二条城駅」とすれば、降り間違いはないだろう。御池通の御池とは神泉苑のことであるのは言うまでもない。(京都新聞)
■整備新幹線「3年は抑制」 蔵相 新規着工は見送りも
 28兆円にのぼる旧国鉄長期債務の処理策を検討している政府・与党の財政構造改革会議企画委員会が13日開かれ、三塚博蔵相は「2000年度までの3年間は、新規着工の見送りも含め、抑制する必要がある。既着工分についても抑制すべきだ」と述べ、整備新幹線の抑制・凍結を強調した。来週には、座長の加藤鉱一自民党幹事長が試案を作り、これをたたき台に意見の集約を図ることを決めた。
 会議では、「抑制してもせいぜい数百億円。年間に必要な1兆円からみればスズメの涙だ」と、抑制に反対する意見も出たものの、「金額の大小は別にして、政治的に難しい新幹線すら抑制することは、債務返済のために外の財源をあてることの理解が得られやすい」(関谷勝嗣・自民党国鉄長期債務問題特別委員長)など、積極的な意見が相次いだ。
 新規着工区間は東北(八戸−新青森)、北陸(長野−上越)、九州(船小屋−新八代)の3つ。(朝日新聞)
■整備新幹線 蔵相「新規着工見送り」発言 調整難航は必至
 三塚博蔵相が13日の財政構造改革会議企画委員会の席上で、整備新幹線の新規着工を、2000年までの財政構造改革集中期間中3ヵ年は凍結することを含め、建設費抑制を打ち出した。企画委員会では建設費抑制論が優勢だったというが、野沢太三・自民党整備新幹線建設促進特別委員長は「財政構造改革と整合性をとって節度ある進め方を検討すべきだが、(新規を)やめてしまうことは全く考えていない」早くも凍結反対を打ち出した。年末の来年度予算編成に向けて本格的に始まった綱引きの行方は波乱含みだ。
 大蔵省が新規着工区間の3年凍結を打ち出した背景には、旧国鉄債務処理のための個別の返済財源の検討が、関係者の強い反対で進まない状況を打破しようとの思惑がある。
 仮に整備新幹線の建設費に充てられている「特定財源」をすべて国鉄債務の返済に充てても724億円。これでは「28兆円に比べると雀(すずめ)の涙でしかない」(高鳥修・自民党行財政調査会長)のは事実。だが、整備新幹線建設の凍結・抑制を打ちすことで、「ほかの分野でも債務処理に協力しなければならないという流れを作る風穴になる」(関谷勝嗣・自民党国鉄長期債務問題特別委員長)というわけだ。
 運輸省は、長期債務問題で各方面に財源捻出(ねんしゅつ)を要請していることから、「予算削減は率先して取り組まねばならない。新幹線も例外にはなり得ない」(幹部)と、新幹線建設費の抑制は不可避との認識を示している。しかし「地域の期待が大きく、しかも与党の政策の一つの柱であり、扱いは難しい」(黒野匡彦事務次官)と、新規着工の凍結については、政治的に極めて難しい調整が必要と受け止めている。(朝日新聞)
■JR西日本 景気の低迷で利益19.6%減少
 JR西日本が13日発表した1997年9月中間決算は、売上高が4744億円と前年同期に比べて1.1%減り、経常利益も304億円と19.6%減少した。景気の低迷や高速道路網の整備により、輸送人員が前年同期比0.5%減と、阪神大震災で不通になった私鉄からの乗り換えの影響が消えた前年同期に続いて減少し、鉄道運輸収入が1.2%落ちた。さらに、固定資産税を半減する特例措置が今期から切れたのが響いた。
 下期の運輸収入は、山陽新幹線の東京乗り入れなどを見込むが、景気の先行きがいぜん厳しいことから、減少が避けられない見通しで、98年3月期の売上高は前期比0.4%の減少となり、経常利益は14.3%減少する見通しだ。(朝日新聞)
■JR東海は増収減益に 上場後、初中間決算
 10月8日に上場したJR東海(本社・名古屋市)の今年9月中間決算は、売上高が前年同期比0.3%増の5754億7600万円、経常利益が同14.2%減の421億4800万円だった。消費税率引き上げの影響などで運輸収入が微増にとどまったのに加え、山梨リニア実験線が今年4月から本格稼働したことによる経費負担増などで、2期ぶりの減益決算となった。(朝日新聞)
■もえて秋 京滋をゆく パノラマでうっとり 叡山電鉄(京都市左京区)
 市街地から洛北をめざして電車が走る。天井まで届く特大のガラス窓越しに見る秋の景色は、ひと駅ごとに深まっていく。
 沿線の豊かな自然を楽しんで、と叡山電鉄は先月からパノラマカー「きらら」を走らせた。出町柳と鞍馬を30分間で結ぶ電車の旅に、紅葉の見どころは2ヵ所ある。市原−二ノ瀬間と貴船口−鞍馬間だ。ここに差し掛かると電車は少しスピードを落としてくれる。
 真っ赤なカエデのトンネルを抜けた。「ホーツ」。車内はため息に包まれる。乗り慣れた通勤や通学の人たちさえ、思わず見入ってしまうほどだ。
 パノラマカーの人気は当初の予想を上回り、乗客数も2割アップした。将来の車両増も計画している、という。
メモ パノラマカー「きらら」は午前7時台から午後6時台まで1時間20分間隔で1日9往復する。一般の乗車運賃だけで乗れる。(京都新聞)
■(全面広告)能勢電鉄・日生中央−阪急電鉄・梅田 直通特急「日生エクスプレス」新登場 11月17日 、梅田−日生中央間に直通特急が運行開始
・朝夕3本運行される「日生エクスプレス」
 11月17日、阪急電鉄・梅田駅と、能勢電鉄・日生中央駅の間に、いよいよ特急「日生エクスプレス」が、朝夕ラッシュ時に運行を開始する。停車駅は、日生中央・山下・畦野・平野・川西能勢口・石橋・十三・梅田。朝は、日生中央発梅田ゆきが3本、従来より約10分短縮した45分で運行。夕方は梅田発日生中央ゆきが3本、これも約5分短縮した41分で結ぶ。
 朝は、能勢電鉄線内を8両編成で走り、川西能勢口駅で2両増結して、10両で梅田へ向かう。夕方は、すべて8両編成。これで、日生中央から梅田まで、一気に、そして快適に行けるようになる。
・川西能勢口駅などの乗り換えがスムーズ
 直通でない列車も、能勢電鉄内から梅田方面へ行く際の川西能勢口駅での乗り換えが、ぐっとスムーズに。能勢電鉄が4号線に到着すると、向かい側の3号線に入る梅田ゆきに、同じホームで乗り換えられるようになるからだ。階段の昇り降りがなくなるため、移動時間が減るばかりでなく、安全性も高まる。
 乗り換えがラクになるのは川西能勢口駅だけではない。宝塚駅でも、昼間、阪急今津線と阪急宝塚線とが同じホームで乗り換えできるようになる。植村でも、昼間、すべての急行(4号線)と、普通列車(5号線)が、同じホームから発車。急行に乗り遅れた場合は、同じホームの向かい側の普通列車に乗ればいいのだ。
 11月16日から、阪急宝塚線・能勢電鉄では、よりスピーディーな運行を実現するために、大幅なダイヤの改正がなされる。
 阪急宝塚線では、急行が、すべて豊中に停車。また、十三、服部、曽根、岡町と豊中からの各駅に停まる通勤急行と、中津、十三、三国、庄内と豊中からの各駅に停まる通勤準急が運行される。これによって、阪急宝塚線内のすべての駅に、特急・急行などの普通以外の列車が停車することになる。
 さらに、昼間の普通列車は、庄内駅での急行待ちがなくなるので、所要時間は約3分短縮される。また、夕方の梅田発雲雀丘花屋敷ゆきの急行は、すべて宝塚ゆきに変更される。
・ダイヤ改正によって周辺はさらに発展
 早朝・深夜の急行も、大幅に増加。宝塚発梅田ゆきの急行の始発は、午前6時16分だったが、ダイヤ改正で5時47分に。また、夜の宝塚発梅田ゆきの最終急行は、午後9時19分から10時57分へと、約1時間40分も遅くなる。
 能勢電鉄では、阪急と同じく土曜ダイヤを採用するため、川西能勢口での乗り換えが、土曜日もスムーズになる。また、昼間には、妙見口−山下間、日生中央−山下間の列車を、1時間あたり6本に倍増するため、ぐっと便利になる。
 ダイヤ改正により、利便性がさらに向上した阪急宝塚線と能勢電鉄は、沿線の通勤・通学をより快適にし、周辺地域の発展に、おおいに貢献するだろう。
・文化の薫りを漂わせ成長する日生ニュータウン
 「日生中央」駅を下りると、美しいカリヨン(組み鐘)が目を引く。ここは、川西市と猪名川町にまたがる街、日生ニュータウン。誕生から20年余り、国内最大規模のニュータウンの成功例として、各地の行政団体が見学に訪れるほど注目を浴びてきた。その大きな特徴は”充実した都市機能”だろう。
 都心へ一直線という足の便のよさ、数々の教育施設、快適なショッピングエリア…。そして何より、文化の薫り漂う街であることが挙げられる。無料の落語会や、国内外の著名な演奏家を招いたコンサートが開かれるカリヨンホール、数々のカルチャー教室、3年前に誕生したカリヨンの丘など、カリヨンの甘い音色が響きわたる街には、心豊かな時間を過ごすための配慮が隅々にまでなされている。ニュータウン内には、邸宅やマンションなど、さまぎまなタイプの住まいが地域ごとに建ち並ぶ。現在、ここで暮らす人々の数は1万5000。将来は3万人の規模となるべく、年々、新しい街や施設が生まれ、着々と成長を続けている。
 間もなく誕生するのは、マンションエリア「花咲く丘の街」。花と線があふれる、”全体がひとつの庭園“のような街だ。しかし、ただ花を眺めるだけではない。住民自らが花を育て、花によってコミュニケーションが深まり、街に対する愛情と誇りを持てるように…という熱い願いが、この街にはこめられている。
 来年春には、日生中央駅周辺に、園芸用品やDIY製品などをそろえた大型ホームセンター「ジョイフル朝日」が、オープン。また、川西市の行政サービスが受けられる川西市民センターも開設されるので、もう市役所まで足を運ぶ必要がなくなる。多彩な機能が加わって、街はさらに発展していくだろう。(朝日新聞 夕刊)
15日■新幹線の線路歩く また京都駅、男逮捕
 14日午後4時ごろ、京都市下京区・JR京都駅の新幹線構内で、男が、線路上を大阪方面に歩いているのを京都府警鉄道警察隊員が発見した。同隊員が駅員に列車防護装置を作動させるとともに、男をホームに連れ戻し、新幹線特例法違反の現行犯で逮捕した。
 府警によると、岩手県下閉伊郡の会社員(46)で、調べに対し、意味不明のことを話している、という。
 新幹線は、下りの新大阪行き「こだま」が8分遅れで京都駅に到着したのをはじめ、上下線計6本が8−1分遅れた。
 JR京都駅の新幹線構内では、先月15日にも草津市の土木作業員(43)と三重県のアルバイト男性(28)が線路上に降り、「こだま」や「のぞみ」が緊急停車する騒ぎがあった。(京都新聞)
■越後平野に「とき」復活 JR上越線
 JR上越線の特急や上越新幹線の愛称として長年親しまれ、今年10月のダイヤ改正で名称の消えた「とき」が15日午前、在来線特急として”復活”、当時の車両を使ってヘッドマークも昔のまま、新潟から上野まで向った。
 JR東日本新潟支社が「上越線の花形だった当時の雰囲気をもう一度楽しんでもらいたい」と上越新幹線開業15周年を記念して企画した。ホームには往年の姿を懐かしむ鉄道ファンのカメラの放列が並んだ。
 復活の「懐かしのとき号」は9両編成で午前9時25分、新潟を出発。午後2時4分に上野着の片道運転となる。1ヵ月前に発売された指定席券564枚は、発売と同時に完売となった。(京都新聞 夕刊)
18日■整備新幹線で再度説明求める意向 運輸省に、青森県知事
 整備新幹線で未着工のままの八戸−新青森間の建設問題で、木村守男青森県知事は17日、記者会見し、運輸省の需要予測について「需要予測だけが独り歩きし県民に混乱と動揺を与えている。地域の実態が反映されていないなど、見積もりが過小である」と述べ、運輸省に再度説明を求める考えを明らかにした。
 木村知事は、「収支採算性を早く国民の前に提示し理解を得て、ぜひとも着工してもらいたい」と語った。(京都新聞)
■新聞不買 鳥取の乱 赤字線廃止論にJRの労組「対抗措置」
 部数約16万1000部、鳥取県で約8割のシェアを持つ地元紙に対して、JR西日本のある労働組合が不買運動を起こした。全長17.9`の赤字路線の廃止論を展開するコラムがきっかけだった。新聞社側は「言論の自由への不当な介入であり、民主主義を否定する」と主張し、新聞への挑戦と受け止める。これに対して労組側は「言論の自由には責任が伴う。不買は無責任な言論への最後の対折手段だ」と言い、メディアを持たない者の立場を強調する。
 日本海新聞を発行する新日本海新聞社(本社・鳥取市)の西部本社は、鳥取県米子市にある。10月24日、2階の編集制作局にファクスが届いた。西日本旅客鉄道労働組合米子地方本部(JR西労組米子地本、組合員約2400人)による不買運動の始まりだった。ファクスは11月14日までに12回届き、計422人が購読中止を申し入れた。
 日本海新聞は10月7日付の朝刊1面に、コラム「鳥取発特報」を掲載した。「境線を廃止したらどうか」との見出し。境港市と米子市とを結ぶJR境線の廃止を論じる内容だった。
 鳥取県は、米子空港の滑走路を延長する計画を進めており、滑走路と交差する境線の一部を地中化する方針を打ち出している。
 コラムは、境線地中化の工事費を「40億円とも、それ以上とも言われる」と述べたうえで、境線の乗降客数と営業係数の推移を示し、「境線はすでに歴史的な役割を終えている。『長い間ごくろうさま』とJRにお礼を言って廃止してもらっても、影響は小さいのではないか」と主張した。
・新聞社「賛否両論を掲載」 記者の署名入りコラムは社論か
 米子地本の事務所には、コラムが載った日から組合員たちの電話が次々にかかってきたという。「廃止されたら、私たちは職場を失う」「廃止論はローカル線を守るという組合活動を否定する論評だ」
 重田紀生・米子地本委員長(58)は13日、新日本海新聞社に抗議文を送った。「必死で守ってきた我々の職場、ひいては雇用まで危ぶまれるような論調でこのような記事を載せ、住民の不安をあおり立てるような行為は容認できない」
 批判は、コラムの細部にも向かった。コラムは「境港駅の乗車人員(1日平均)は419人」とし、国鉄が民営化した1987年に比べて「27%減少」と書いた。100円の収入を得るのに必要な経費を示す営業係数は、81年の境線の「698」を例に「厳しい状況は変わっていないのでは」と分析した。
・労組「無責任、容認できぬ」 一方的な主義か論議の場提供か
 これに対して、米子地本は「乗降客は境線16駅全体で1日平均約8000人。87年と比べても十数パーセント増えており、境港駅だけの数字で全体を論じるのは問題だ。営業係数も現在は300台に回復している」という。
 コラムの筆者で特報副部長の佐伯健二記者(47)は「数字の取り方に一部不十分なところはあったが、乗車人数が多少増えていたとしても、10億円単位の赤字路線という大枠は変わらない」と語る。
 特報部長を兼ねる白岩尚・編集制作局総局長は「あのコラムは記者が意見を発表する場として署名を入れて掲載している。社説と違い、社の意見ではない。境線の廃止については、これまで賛否両論を掲載してきた」と語る。
 米子池本は、不買運動を労働組合に認められた団結権の行使と位置づけている。
 重田委員長は「コラムが記者個人の意見であっても新聞社には掲載した責任がある。記事を撤回するまで不買はやめない」と力を込めた。
 25日の米子地本米子支部の定期大会で、「日本海新聞が『境線廃止論』を撤回するまで闘い抜く」とする特別決議を採択した。
 購読中止のファクスが次々と届いていた30日、日本海新聞は朝刊1面の同じコラム「鳥取発特報」で再びJR境線を取り上げた。
 佐伯記者の署名があり、「私はJR職員の雇用の場を奪えとも、奪ってよいとも言っていないし、なにがなんでも境線廃止なのだ、という論も展開していない」と書かれている。見出しは「みんなで議論しよう」だった。
・住民らの意見、双方が探る 集まる読者投書 乗客アンケート
 JR西労組は11月6日の中央委員会で、米子地本を支援することを決定。米子地本は8日、境線の乗降客や沿線住民1万人を対象にアンケートを始めた。廃止論について直接、利用者や住民に尋ねる。重田委員長は「利用客や沿線住民は必要ないと思っているかもしれない。組合員以外の人の意見も知りたい」と説明した。
 日本海新聞は、不買運動について読者の声を紹介した。
 米子市の地方公務員(38)は日本海新聞に対して「(労組からの抗議を)不買運動が起こるまで伝えなかった」と指摘し、「訂正記事を載せない限り、貴紙に労組の不買運動を非難する権利はありません」と書いた。鳥取県日南町の男性(74)は「(コラムが)社説とは異なる性格のものであることは肯定できる。しかし、執筆者も新聞社の一員であれば、何を論評してもかまわないというものではない」と批判した。
 一方で、米子市の理容師(50)はJR境線の廃止論は「話が飛踏しすぎている」と述べた後、「個人的に、購読する、しないというのなら、これほど大きな騒動にはならない」と、労組の組織的な不買運動を非難している。
 米子地本が始めたアンケートの結果は11月末か12月初旬にまとまる見込みだ。重田委員長は「仮に、こちらに有利な結果が出たとしても、それを日本海新聞に突きつけて『どうだ』と言うつもりはない」という。
 労組側は境線の廃止論に反対する投書を日本海新聞に送ったが、同紙は11月14日付の朝刊1面に「不買運動を続けながらそれをバックに『不当』を訴える諭は掲載するわけにはいかない」と主張する白岩氏の署名入り記事を掲載。さらに16日付には、「境線問題と鳥取発特報」と題した吉岡利固社長名の記事を載せ、「社長の責任で対処」する姿勢を示した。(朝日新聞)
19日■京都市バス 人にも環境にもやさしく走る 21日から新型車両14台を導入 車いすはリフトで 天然ガスで低公害 全席お年寄りら優先に 色分け廃止
 人と環境にやさしい市バスを目指すため、京都市交通局は、新型のリフト付きワンステップバスや、天然ガスバスなど新型車両14台を21日から走らせる。ワンステップバスは、従来は2段だったステップを1段に改良、車いすでの乗り降りに配慮した。また、これまでの優先席の色分けをやめ、お年寄りのほか、体の不自由な人、乳幼児連れ、妊婦らも優先して座れるよう、新たな表示を設置した。
 導入する新車両は、リフト付きワンステップバス3台、天然ガスバス5台、ノンステップバス2台、停車時にエンジンが切れるアイドリングストップ型の定期観光バス4台。
 このうち、ワンステップバスは、乗降時には車体を支えるバネの空気を一時的に抜く方法で、走行時より7a低床化し、地上29aまで車体を下げることが可能。前部の乗降口に設置したリフトも、ワンステップ化で、これまでより乗り降りしやすくなった。
 天然ガスバスは、従来型に比べて黒煙がでないほか、窒素酸化物が80%、一酸化炭素が50%低減されるなど、排出ガスに含まれる有害物質が少ない。
 追加導入するノンステップバスは、車内通路の幅を広げて段差を無くし、床をスロープ化させて、体の不自由な人にも配慮した。
 一方、優先席の表示は、これまで1台あたり4席を色分けしていたが、「譲り合う気持ちを全席に広める」(市交通局)目的から座席の色分けを廃止。座席を必要とする妊婦などを1枚のイラストに描いたステッカー(横28a、縦16.5a)に変更する。
 車内放送も「お年寄りと体の不自由な方」に、「赤ちゃんのおられる方」を加えた。在来車両の優先表示も年内にすべて変更する。(京都新聞)
■披露・だるさ訴え 地下鉄サリン被害者なお 聖路加病院調査
 1995年3月に東京で起き、死者12人を出した地下鉄サリン事件で、被害者らの多くは今も目や体の疲労、だるさに悩んでいることがわかった。聖路加国際病院(東京都中央区)が被害者約300人を調査した。3割以上の人が突然事件を思い出したり、地下鉄を恐れたりする精神的苦痛も感じている。
 事件直後、サリンガスで神経系統に障害を受けた約600人が同病院に運び込まれた。今年4月末まで、その全員にアンケートした。平均年齢は男性が40歳、女性が30歳。
 有効な260人の回答では、半数以上の146人が「体が疲れやすい」と訴えた。115人が「体がだるい」、93人が「体が緊張している」と答えた。ただ、症状の程度は「いつもあって我慢ならない」は少なく、「時々あるが我慢できる」「少し気になる程度」が多かった。
 3割強の人は「突然にありありと事件を思い出す」「気力がなくなったり、ゆううつな気分になったりする」「忘れっぽくなった」「地下鉄や事件現場に近づくことに恐怖感がある」と、精神的な症状をあげた。常に事件に関係するニュースに接するのを避ける人も7人いた。(朝日新聞)
■けんかで転落 地下鉄止める 四つ橋線大国町駅
 19日午前9時ごろ、大阪市浪速区の市営地下鉄四つ橋線大国町駅の上りホームで、奈良県北葛城郡の調理師(49)が20歳ぐらいの男2人とけんかし、1.4b下の線路に転落した。駅員が信号で異常を知らせ、近づいていた列車は駅の数百b手前で停車した。男性は胸の骨が折れるなど重傷。2人の男は逃げ、浪速署が傷害事件として行方を追っている。
 このホームには四つ橋線と御堂筋線が乗り入れている。調べでは、調理師は御堂筋線の車内で男の肩かけバッグが引っかかったことからけんか。下車して1人から顔を殴られ、もみ合っているうちに反対の四つ橋線の線路に転落した。
 この事故で、上下計18本が最高7分遅れ、乗客4000人に影響した。(朝日新聞 夕刊)
20日■地下鉄国際会館−近鉄高の原間直通 会議期間中、運行
 京都市交通局と近畿日本鉄道は、地球温暖化防止京都会議が開催される来月1日から10日まで、地下鉄国際会館駅(京都市左京区)−近鉄高の原駅(奈良市)間(40.9`)に直通列車を初めて運行させる。京都会議の会場から関西文化学術研究都市を見学に訪れる参加者の利用を考えた。
 直通列車は、平日に3往復、週末の6、7日は4往復させる。国際会館発の列車は午前、高の原発は午後を中心にする。乗り換えはいらないが、国際会館−新田辺間の全駅と三山木。宮津、新祝園、木津川台、高の原の各駅に停車するため、国際会館駅から高の原駅まで7、80分かかる。
 学研都市では、京都会議の期間中、地球環境産業技術研究機構(RITE、木津町)が研究施設を一般公開するほか、けいはんなプラザ(精華町)では12月3日に地球環境に関する国際シンポジウムが行われるなどの催しがある。
 直通列車の運行は、京都府と京都市、近鉄が協議して、17日に近畿運輸局に届け出ていた。(京都新聞)
■JR因美線 ダイヤ改定 走る列車からタブレット「ひょい」 この離れ業ももうすぐ最後
 駅を通過しながら列車の運転助手がタブレット(通行手形)を交換する「走行授受」が、28日で消える。全国のJRで、鳥取、岡山両県を結ぶJR因美線(鳥取−東津山間70.8`)だけに残っていた。29日のダイヤ改定で急行「砂丘」が廃止されるためで、走りながらの離れ業を惜しむ鉄道ファンたちで、晩秋の沿線はにぎわっている。
 単線区間の衝突防止に使われるタブレットは、ふつう停車駅で駅員と運転助手との間で受け渡される。「砂丘」は止まらない那岐、美作河井、高野の三駅では、時速30−40`に落とし、運転助手が身を乗り出してホームにある受け器にタブレットをひっかけ、授け器から新しいタブレットを取る。失敗の許されない熟練作業だ。
 神戸市からのファンは「投げたタブレットの重みで受け器の腕が倒れる瞬間が撮れれば最高」と、ファインダーに集中していた。(朝日新聞)
■京都国際会館と地下鉄駅を結ぶ地下通路が開通
 地下鉄烏丸線の国際会館駅(左京区)から国立京都国際会館に連絡する地下通路が、19日に開通した。同駅は烏丸線の北伸で6月に開業していたが、国際会館前に通じる出口がなく、利用者から不便さを訴える声が上がっていた。12月に開かれる温暖化防止京都会議では、参加者たちはこの通路を使って国際会館を往復することになる。
 開通した通路は、国際会館の手前100b余りのところに出口が設けられ、全長185b。駅から国際会館まで約5分かかる。これまでは、別の出口から10分ほど歩かねはならなかった。
 国際会館事務局の説明では、地下鉄は京都市が建設したが、会館前に出る通路は国の敷地内になるため、国が建設することになった。3月に建設を始めたが、6月の地下鉄開業に間に合わなかったという。
 橘正忠館長は「これで名実ともに国際会館駅になった。市街地との交通ネットワークが完成し、利便性が上がる」と話している。(朝日新聞)
■29日、東京乗り入れ 世界最速の500系のぞみ
 世界最速の時速300`を誇るJR西日本の500系新型のぞみが、29日のダイヤ改正で東海道新幹線区間に初登場する。東京−博多間を1日3往復。東海道区間では最高スピードを270`に抑えるため所要時間は変わらないが、東京−博多間では従来より15分短縮されて4時間49分になる。
 今年3月のデビュー以来、のぞみとは別の愛称がないまま山陽新幹線を走っている500系。JR西日本は、首都圏での知名度を上げようと今月上旬から東京のキー局でテレビCMを開始、JRや地下鉄の駅にはポスター計400枚を張り出した。
 500系のぞみは現在、新大阪−博多間で1往復だけだが、今回のダイヤ改正で増便となる。(京都新聞 夕刊)
■JR阪和線 列車が故障
 20日午前8時40分ごろ、和歌山市のJR和歌山駅構内で、同48分発天王寺行きのJR阪和線快速列車(4両)が待機線からホームの本線に移る際、モーターが回らなくなり、走行不能になった。このため列車は運休、別の快速列車1本も部分運休し、乗客約500人に影響が出た。(朝日新聞 夕刊)
21日■地下街「ポルタ」きょう新装オープン 好調・新駅前にまた魅力 四条通 歳末で巻き返しへ
 全面改築を進めていた京都市下京区のJR京都駅前地下街「ポルタ」が21日、リニューアルオープンする。市内の商業施設の中で、「一人勝ち」の様相を示している新京都駅ビルに、また一つ新しい魅力が加わる。四条河原町界わいなど既存の繁華街では、巻き返しを歳暮・年末商戦に託すが、個人消費の冷え込みもあって、厳しい年の瀬商戦になりそうだ。(政経部 今口規子)
 ポルタは増床・改築オープンを前に20日、報道関係者に公開した。地下街の店舗面積は25%拡張され、明るいイメージに一新。新駅ビルのジェイアール京都伊勢丹の正面入口の前にエスカレーターを新設し、付近に海外ブランドの衣料店を集中させるなど、京都伊勢丹との相乗効果を狙う。
 ポルタの増床完成で、京都駅周辺地域の商業施設の新増設は、ほぼ完成。ポルタと京都伊勢丹、京都近鉄、キューブ、アバンティの5つの大型店の売り場面積は、計9万9000平方bにのぼり、四条界わいの大丸京都店、京都高島屋と御池通地下街「ゼスト御池」の合計面積9万7000平方bに匹敵する。
 京都伊勢丹など5施設の予想売上高は年間約1247億円で、昨年1年間の市内5百貨店の総売上高の40.6%にあたる巨大な商業ゾーンを目指す。
 ポルタを運営する辻本修美京都ステーションセンター営業部長は「駅ビルと京都近鉄百貨店など周辺の商業地との接着剤になる」と期待。周辺施設は「開店景気がどこまで続くのか心配だったので、良いテコ入れ」(京都駅観光デパート・小枝忠夫常務)「駅ビルとの間に店が続き、回遊性が増す」(京都近鉄百貨店・湯口好夫販売推進課長)と歓迎する。
 この集客力に対して、四条通界わいでは、歳暮、歳末商戦で盛り返しを狙うが、当面は防戦の構え。
 今年10月の売上高が前年実績を下回った京都高島屋は、例年、12月は通常月の1.5倍の売り上げがあるだけに「歳末商戦は負けられない」と気合を入れる。
 一方、大丸京都店は「駅ビル全体での集客は脅威だが、中長期的に見て、お客さんはもどる」。ゼスト御池は「一時的には人が少たくなるかもしれない。新駅ビルに比べ知名度が低い。魅力をアピールしたい」とクリスマスコンサートを計画、集客へ戦略を練る。
 大型店の激しい集客合戦の中で苦戦する既存商店街だが、新駅ビル近くの七条商店街の樋口信一理事長は「ポルタで回遊性が生まれて、地域に活気ができてほしい」と期待。四条繁栄会も「10月、11月と、通行者は増えている。駅ビルとの競争が、逆に良い結果をもたらすように努力したい」と巻き返しを図る。(京都新聞)
■窓 不公平のない市バス再編を 伏見区・岡本 譲(無職・63)
 「まるで陸の狐島のようですね」−近所のお年寄りが、こうつぶやかれたのは、つい最近のこと。地下鉄東西線が開通して1ヵ月余。バス路線も再編され、山科・醍醐地域の東部を縦貫する旧街道から、市内中心部や伏見区中心部へ行く直通バス路線が一斉に姿を消した。東西線の開通で「醍醐は便利になった」と言われる。
しかし実情は外環状線重点。旧街道は山科駅−六地蔵間が15分間隔で走るのみ。最寄りの地下鉄醍醐駅へのバス路線がない。後日になって、旧街道から外環へ出たところに降車専用の小野駅ができた。地下鉄が走る外環には祇園から大宮までの四条通へ行く直通バス路線まで設けられている。
 この利便性の落差が旧街道から東山沿いにかけての住民を怒らせている。地域によっては駅まで歩くのに30分もかかる。幸い、今までは時候がよく晴天続きだったので駅まで歩いた人も多い。これから寒さに向かうと、先のお年寄りのつぶやきが現実味を帯びてくる。
 京都市は市バス全路線の利用調査をするというが、利用したくてもできない市民が大勢いる現状を考え、この際、全市民対象の調査を実施すべきではないか。でないと、今回の再編で不利益を被っている市民の声は反映されないことになる。(京都新聞)
■地下街ポルタきょうオープン
 増床と改装のため10月1日から全面休業していた京都駅前地下街ポルタが、21日にオープンする。婦人服や化粧品店、レストランなど26店舗が増えて計133店舗となり、店舗面積も約2000平方b増の約1万100平方bになった。1998年度中に専門店街「ザ・キューブ」の地下ともつながる予定で、駅前地区では地下街とJR京都伊勢丹、京都近鉄百貨店を回る客が増えるのではと期待している。
 増設部分には飲食店街が移動し、各店とも少しずつスペースを広げた。これまで飲食店だった部分は、新規店舗だけで構成した若者向けファッション街になる。記念行事として、24日までビール試飲会やスポーツドリンク試飲会、特製フランスパンのプレゼントなどを企画している。営業時間は物販が午前10時−午後8時、飲食・喫茶店が午前11時−午後10時。(朝日新聞)
■指令室停電、阪神乱れる 一時、全線で普通 2万6000人に影響
 20日午後零時半ごろ、兵庫県尼崎市北城内にある阪神電鉄の運転指令室が停電し、阪神本線と西大阪線の信号やポイントなどを集中制御している運行管理システムがダウンした。このため、阪神本線と西大阪線が約10分間、全線で運行不能となった。
 午後2時半にシステムが復旧するまで、信号やポイントは手動で対応したが、午後6時ごろまで運行ダイヤが乱れた。阪神本線に乗り入れている山陽電鉄の電車を含め、上下計110本が最大30分遅れ、同22本が運休、計約2万6600人に影響が出た。
 阪神電鉄によると、運転指令室が入っている建物(4階建て)の電源装置に何らかの原因で過電流が流れ、ブレーカーが働いたため、停電したという。(朝日新聞)
■ポルタ 明るく 広く 装い一新、開業祝う
 京都市下京区のJR京都駅前地下街「ポルタ」が21日、リニューアルオープンした。17年前、京都に初めて誕生した地下街は、改築で明るく、広く、装いを一新。新京都駅ビルを核とした商業集積に新たな魅力をプラスして、初日から若い女性客や修学旅行生らでにぎわった。
 午前9時40分からのポルタ開業式には、テナント経営者、JR西日本、行政関係者ら約500人が参加。運営会社・京都ステーションセンターの市川静夫社長が「ゆとりを持って楽しめる地下街に生まれ変わった」とあいさつ。くす玉を割ると、同志社大吹奏楽部の館内パレードが始まり、新ポルタがオープンした。
 売り場面積は、25%増床して1万215平万b。天井がガラス張りの吹き抜け2ヵ所を新設して地下街全体を明るくした。テナントも、海外ブランドを中心とした若者向けファッション店や飲食店など26店が増え、計133店になった。
 初日は、10時のオープンと同時に詰めかけた買い物客らが、開業記念の福袋に殺到した。開業イベントは24日まで。(京都新聞 夕刊)
■3000万人達成 JR関空駅乗降客
 京都と関西空港を直結する特急はるか号など、JR西日本の関西空港線によるアクセス輸送が21日午前、関西空港駅で乗降客3000万人を達成した。
 3000万人目の乗降客となったのは、岡山市の柳村聡杖さん(24)。現在、花嫁修業中で、婚約者とインドなどを旅行するため、10時3分着のはるか13号で、同駅に降り立った。
 改札口で、くす玉とファンファーレの歓迎を受けたあと、JRの関係者から花束と記念品を贈られ、「びっくりしました。でも、いい思い出になります」と喜んでいた。
 1996年9月4日の開港と同時に運行開始したはるか号など関西空港線の各列車は、空港へのアクセス輸送の大動脈となり、昨年10月に利用者が2000万人を超えていた。(京都新聞 夕刊)
22日■コンコース”京の風”彩る 京都紫明LC寄贈 陶壁お目見え 東西線二条城前駅
 中京区の地下鉄東西線二条城前駅の地下1階コンコースにこのほど、「京の風」をテーマにした大きな陶壁がお目見えし、東西線利用者の目を引きつけている。
 陶壁は京都紫明ライオンズクラブ(佐藤修三会長)が、同クラブの創立35周年を記念して市に寄贈したもので、陶芸作家の宮下善爾さんが製作した。
 陶壁は縦約2b、横約10b。朝、昼、夕と京都の街を彩る風をイメージした作品で、陶壁の上部から下部にかけて薄紅色から濃紺まで徐々に色が暗くなっている。改札口を入った正面の壁に設置されており、地下鉄利用者たちが、コンコースに彩りを添える作品を楽しんでいる。(京都新聞)
23日■ニッポン現場紀行 旧国鉄本社ビル 五十嵐敬喜さんと歩く「一家」の象徴 時代に幕
 「時代の幕引きなんだなあ」人込みを見つめながら、五十嵐さんがつぶやいた。
 東京駅の丸の内北口にデンと鎮座する旧国鉄本社ビルから、JR東日本の本社が出ていって1ヵ月余り。主を失ったこの建物に今月7、8の両日、久々に活気が戻った。所有する国鉄清算事業団が、売却前の一般公開に踏み切ったのだ。
 2つの建物のうち、旧館の入り口付近に、事業団が売却を進める旧国鉄用地のPRパネルが並んでいる。「全力を挙げて早期処分を図ってまいります」という事業団の決意文も。しかし、この売却益が返済に充てられる債務は今、28兆円を超える。「結局は国民の負担になる。何の責任もないのにね」
 エレベーターはもう動いていないため、階段を上って、新館6階の旧運輸大臣室へ。「いらっしゃいませ」と背広姿の職員が頭を下げて迎えてくれた。そして、出てくる人には「ありがとうございました」。「ずいぶん丁重だね」と、五十嵐さんは苦笑いしている。
 部屋の壁には、国鉄とこのビルの歴史を振り返るパネルが掲げられていた。「今度の行政改革の中で、運輸省そのものがなくなり、『国土整備省』か何かに統合されるという話も浮かんでいる。そういう転換点でもあるんですよね」
 屋上に行った。周囲を見渡すと、丸の内の象徴だった丸ビルが跡形もなく消えている。見慣れた景色の消失。「50年後はどうなってるんだろうねえ」
 東京駅に向けて、鉄道マニアらのカメラの列ができていた。向こう側のホームに、秋田新幹線「こまち」をくっつけた東北新幹線が、滑り込んで来た。「ずいぶん落差がある」と五十嵐さん。「手前の赤れんがの駅舎は夢、ロマンだけど、新幹線はただのマシン。鉄道や駅にはつきものの人生とか出あいが、あっちには何も感じられない」
 空襲に耐えられるようにと1941年に設置された厚さ50a、総重量5500dの耐弾層を踏みしめて旧館の上を歩くと、鉄道神社の跡があった。事故などの殉職者を祭ってきたという。「やっぱり、国鉄一家だったんだねえ」
 東京駅の下の地下道をくぐって、反対側の八重洲南口にある国労会館跡を訪ねた。五十嵐さんにとっては、国労や旧動労が8日間にわたり列車を止めた75年の「スト権スト」の時、しばしば足を運んだ思い出の地だ。フェンスで覆われていて「国労会館建物撤去」と書かれた看板だけがその跡をしのばせる。
 バリバリという解体工事の音を聞きながら五十嵐さんは「かつて激しく火花を散らした労使の土地、建物がともに売却、解体されつつある。ドラマですよ」。この一帯は、今年3月に香港系企業が公示地価のざっと2倍の3.3平方bあたり約5900万円という超高値で落札した。「ここの地価は、日本経済のバロメーターなんです。あの高値は一過性なのか、それともバブルの復活なのか」
 国鉄の分割・民営化からはや10年。東京駅周辺には今、変わりゆく歴史の断面が顔をのぞかせている。
・切り捨て加速した民営化
 国鉄の分割・民営化はプラス面40%、マイナス面60%。確かに効率やサービスは良くなった。でも半面、あからさまな採用差別が起き、過疎地の路線は廃止され、列車数が減った。
 「民営化って本当にいいことなの?」って、問いかけたくなるんですよ。このあいだ、久しぶりに故郷の山形に帰ったら、新幹線が走るようになった代わりに、在来線の列車の本数が減って、街がさびれてしまっていた。車に依存できない高齢者は、足がない。バスにしても1、2時間に1本という感じですからね。
 もちろん、国鉄のままでも、田舎の足は守れなかったかもしれない。しかし、民営化で採算が重視されたあまり、切り捨てが加速したのは確かですよ。
 国労組合員らの採用問題にしても、JRがいったん採用すべきだと思うんです。人件費はかかるけど、これは民営化の負の部分に対して払うべき当然のコストではないでしょうか。
 巨額債務もまた、先送りした問題。だれに怒ればいいのか、あぜんとします。政府は、もう逃げずに向き合わなければならない。そして、何よりも今後二度と同じような問題を起こさないために、すべての情報を公開して、責任をはっきりさせる必要があります。
 いがらし・たかよし 1944年、山形県生まれ。法政大教授、弁護士。専門は立法学、都市政策。住民運動にかかわりながら、市民の立場から公共事業や都市問題を見つめ、提言を続けている。共著書に『都市計画』『公共事業をどうするか』など。
《分割後も各社が入居》
 地下1階、地上8階建ての旧館は1937年完成。地下3階、地上9階建ての新館は63年にできた。敷地は計約1万2000平方b。「鉄道の総本山」と呼ばれ、国鉄の分割・民営化後もJR各社が入居していた。来年3月までに建物ごと売却される予定。(文・宮崎健二)
■声 国鉄赤字処理 三塚氏に期待 武生市 荒田 冨士男(年金生活者 72歳)
 三塚博大蔵大臣は、28兆円にものぼる旧国鉄長期債務の処理を検討する政府・与党の財政構造改革会議企画委員会で、「2000年度までの3年間は新規着工の見送りを含め、抑制する必要がある。既着工分についても抑制すべきだ」と述べ、整備新幹線建設の抑制・凍結を強調されたそうだ。
 私はこのご意見には全面的に賛成で、「運輸族のドン」と心得ていた三塚氏の変わり身の早さに驚くとともに、変節されることのないよう願うものだ。
 三塚氏は旧国鉄については表裏とも精通しておられるのだから、巨額の赤字を生み出した原因とその責任の所在を在任中に明確に国民の前に提示していただきたいものである。そのうえで責任と受益に応じた長期債務の処理策を発表されるべきではないだろうか。
 三塚氏は蔵相就任に際し、「オレは平成の井上準之助になる」と宣言されたとか。関東大震災後の混乱時に事態収拾に功のあった日銀総裁(のちの蔵相)を手本にする旨、決意を表明されたとのことだが、ぜひ実践されることを希望する。そして、くれぐれも善良なる国民に安易に負担を押しつけることのないよう、お願いしたい。(朝日新聞)
24日■旧国鉄債務の処理策 交通利用税を導入 政府与党方針 5年後国民に負担 郵貯特会剰余金 1兆円を投入
 約28兆円の旧国鉄長期債務の処理策を検討している政府、与党の財政構造改革会議の企画委員会(座長・加藤紘一自民党幹事長)が今週末にまとめる座長試案の原案が23日、明らかになった。
 債務返済期間を50年とし、来年度から5年間は国鉄清算事業団が保有する土地の売却益などのほか、郵便貯金特別会計の剰余金を毎年度2000億円、計1兆円投入。2003年4月以降は、総合交通利用税など新たな国民負担の導入を盛り込む方針だ。財源が不足する分は一般会計で処理する。
 企画委員会は今後細部を詰め、座長試案を踏まえた上で、12月上旬にも最終的な処理策を作成して来年度予算編成に反映させたい考えだ。
 債務返済では、毎年最低1兆円を確保することを前提に有利子債務を優先的に返済する。当面は@約5兆円と見積もられている清算事業団が保有する土地、JR株式の売却A4兆3000億円ある郵貯特会の剰余金から毎年約2000億円B財投資金の繰り上げ償還による金利軽減で約2700億円C運輸省の歳出削減−などを充てる。
 土地と株式の売却収入は市場動向に左右されるため厳しい見積もりを行う。これらの財源でも不足する2、3000億円程度は一般会計で処理する。
 土地やJR株式の売却収入は毎年減少する上、行政改革で郵政3事業を新型公社に移行することが決まった5年後以降は、郵貯特会の活用が困難になることが予想されることから新たな国民負担を検討する。
 具体的には、現在通常の2倍の税率で徴収している揮発油税を本来の税率に戻した上で、環境税的な考えから一定の負担を上乗せするか、総合交通利用税を導入して債務返済の財源にする方針だ。
・与党内の声と参院選に配慮
 旧国鉄長期債務の処理策は、5年後に総合交通利用税などを検討する方向になったことで、最も重要な国民負担の議論を先送りにした。「当面は有利子債務の利払いが優先」などとする与党内の声に押し切られた形で、座長試案は本格的な処理策には程遠いものになりそうだ。
 政府、与党の財政構造改革会議の企画委員会は、国民の批判が予想される新税導入の議論を秘密会にして協議した。大蔵省は「来年度から総合交通利用税を導入すべきだ」(主計局)と主張。
 しかし、与党の大勢は、景気が低迷し減税要望も出ている中、来年度からの新税導入は政治的には非現実的な選択で、来年の参院選挙に向けてもマイナス材料になるとの思惑が広がった。
 元本まで含めて28兆円の長期債路を処理するには、大幅な歳出カットか新たな国民負担が必要なことは明白だ。企画委員会としてどちらの選択肢も提示できないとすれば、その責任は極めて重い。(解説)(京都新聞)
■旧国鉄債務 郵貯剰余金で利払い 当面5年間政府・与党案 元本分は借り換え
 28兆円にのぼる旧国鉄債務の処理策を検討している政府・与党の財政構造改革会議企画委員会(座長・加藤鉱一自民党幹事長)は23日までに、返済財源の概要を固めた。
 当面、5年程度は、金利分と元国鉄職員の年金支払いで必要な約1兆円を、郵便貯金特別会計(郵貯特会)の剰余金や旧国鉄資産の売却益、一般会計からの繰り入れで負担し、元本分については、借り換えで対応するのが、主な柱。今週後半に開かれる企画委に座長試案として提出する。
 処理案は、旧国鉄債務を国鉄清算事業団という特殊法人の債務から、国の債務として位置づけ、これ以上に債務を増やさないため、有利子負債の返済を優先する。財政投融資からの借入金と、財投による清算事業団債券の引き受け分を合わせ8兆1000億円を繰り上げ償還し、低利で借り換えることで、毎年の金利支払い分を軽減する。軽減された金利分と元職員への年金支払いで毎年必要となる1兆円を確保するために、当初5年程度は、@郵貯特会の剰余金から2000億円A旧国鉄用地やJR株式の売却益B運輸省の歳出削減などを組み合わせ、さらに不足するとみられる2000億円程度は、一般会計から繰り入れることを打ち出した。
 郵貯の剰余金は現在累積で4兆3000億円ある。今後は郵貯特会も、低金利で運用収入が減ることが予想されるため、毎年2000億円、5年間で計1兆円の資金協力をあおぐことになった。(朝日新聞)
■JR金沢支社 ミスで遅れ続出 上半期で1.5倍 走行中に連結外れも
 北陸線などを運行しているJR西日本金沢支社(金沢市)の管内で、人為的ミスが原因とされる列車の遅延事故が相次ぎ、今年度4月から9月までの上半期だけで昨年同期の約1.5倍(83件)にのぼっていたことが23日、支社の内部資料で分かった。死傷者を出した事故はないが、中には普通列車の連結部が走行中に外れて緊急停止した例もあった。金沢支社は「社員の基本作業に対する意識が問題」と分析し、「非常事態」を唱えて社内に注意を呼びかけている。
 内部資料や関係者によると、列車に30分以上の遅れなどをもたらし、原因が悪質とされる「責任事故」は3件(昨年同期1件)起きた。七尾線の七尾駅では9月、乗り入れている「のと鉄道」の車両の連結を担当した社員が確認を怠ったため、能登中島−西岸駅間を走行中に列車の連結が外れた。8月には北陸線敦賀駅から乗務地の米原駅に向かう運転士が列車を乗り間違え、乗務するはずだった花火見物の団体列車が45分遅れた。
 また、10分以上の列車遅延などを生じた事故は8件(同8件)。北陸線津幡駅で乗務員が車両編成を勘違いして停車し、車掌もホームのない場所で乗降口を開けてしまった例などが含まれている。
 これらの事故より被害が少なく、始末書や注意ですます事故は72件(同48件)にのはった。
・数字独り歩き困る JR西日本本社の話
 社員に事故防止の徹底や反省を促すための内部資料であり、公表を前提としていない。金沢支社管内で件数が増えているのは確かだが、ほとんどは衝突や脱線を直接引き起こすようなミスではないし、列車の遅れを伴わないごく軽微な事例も含まれている。数字が独り歩きしてもらっては困る。(朝日新聞)
25日■窓 排ガス出ない地下鉄PRを 伏見区・中島 宏樹(公務員・42)
 10月のボンでの特別会合、11月の東京での閣僚会合を経て、12月1日から10日間の日程で地球温暖化防止京都会議が始まる。ここで、2000年以降の温室効果ガス排出量の数値目標などが、国際的に取り決められることになる。
 今までの事前会議での、大幅な削減と途上国の削減義務を主張するアメリカ、15%の大幅削減のEU、そして削減義務に反対する途上国。それぞれの国の事情をかかえてはいるものの、地球の温暖化に対しての危機感だけは共通認識だと思われます。
 あの氷河期は、今よりも平均気温が3度から6度低いだけであったが、今のままでの温室効果ガスが増加し続けると、100年後には約2度高まり、陸地での渇水や干ばつ、大気でのオゾン層の拡大、海では氷河が溶け、海水面の上昇による国土水没の影響がでてくる。
 隣の惑星、金星は表面温度が約500度ありますが、二酸化炭素の厚い大気が太陽からの熱を閉じ込める「温室効果」と考えられています。約160の国や地域・国際機関の代表など約6000人が、洛北の地・宝池の国立京都国際会館に集まります。これだけの人が、関空からJRの「はるか」で京都に着き、そして地下鉄をつかって宝池へ。京都の環境に取り組む姿勢を示す大量輸送機関である地下鉄の北北伸を世界にアピールする絶好のチャンスです。まさか、温室効果ガス排出量の規制の会議に、二酸化炭素を出す「車」で移動する代表はいないでしょうから。(京都新聞)
■新京都駅に20bツリー
 クリスマスイブを1ヵ月後に控えた24日、新しい京都駅ビル内の室町小路広場に高さ約20bの巨大なクリスマスツリーがお目見えした。点灯式でツリーにちりばめられた約3500個の電球が一斉にともり、プレゼントを抱えたサンタクロースの姿が浮かび上がると、広場前の大階段で見守っていた親子連れやカップルから歓声があがった。
 9月に全面開業した京都駅ビルがクリスマスを迎えるのは初めて。JR西日本は同広場のほか烏丸中央口の上部空間にもトナカイとそりに乗ったサンタクロースの飾りを設け、古都の玄関口はひと足早くクリスマスの雰囲気に包まれた。(朝日新聞)
■龍の子孫たち 中国いまむかし  石川 禎浩 異郷を走る市バス 低公害車に追われ再就職
 中国の人は古いものを大事にする。利用できるものは、とことん合理的に再利用する。例えば、上海のバンド(外灘)に立ち並ぶ石造りのビル群。その多くはかつて上海に租界という外国人居留地があったころ、つまり半世紀以上も前に外国人によって建てられたものだが、内部改装などを経て今でも大事に使われている。目を東北に転じれば、かつて傀儡(かいらい)国家「満州国」を牛耳った関東軍司令部の建物は、巨大な天守閣を模した当時の外観そのままに、中国共産党吉林省委員会の庁舎として使われている。
 上海バンドのビルにしても、旧関東軍司令部にしても、かつて中国を蹂躪(じゅうりん)した帝国主義列強に由来する建物である。往事を知る年輩の中国人なら、それら建物を見るたびに、ある種のつらい記憶がよみがえってくるだろう。忌まわしい過去を思い出すぐらいなら、いっそそんな建物など取り壊してしまえ、というような議論が起こってもおかしくないところだが、不思議と中国ではそんな話を聞かない。
 格好良く解釈すれば、中国の人々は恩讐(おんしゅう)を越えて過去の歴史を見すえ、その上で古きものを合理的に利用しているのだ、ということになるのだろうか。そんなことを考えながら中国の街を歩いていたら、珍しいものに出会った。京都の市バスである。一瞬わが目を疑ったが、薄縁のボディに濃い緑のライン、前面に付いているのは、紛れもなく京都市の市章ではないか。排ガス規制が進み、京都の市バスも低公害車に転換されつつあると思ったら、何ともとの「高公害車」の方はちゃっかり中国で再就職していたのである。
 復帰以前の沖縄で走っていたバスを中国で見かけることはままある。左ハンドルだから、車が右側を走る中国ではそのまま再利用できるのである。だが中国をあちこち旅して、京都の市バスを見かけたのはこれがはじめて、正直いって驚いた。乗降口や運転席の位置をはじめとして、改造した形跡はまったくない。ということは、そのまま路線バスとして使う時、客の乗降に支障をきたすはずである。そう思って我らが市バスをもう一度みてみると、どうやらそのバスは大きなターミナル間を直接に結ぶ中距離用に使われているようだった。なるほど、途中で客の乗降がなければ、乗降口がどっちにあってもさして不都合はないわけだ。
 異郷で第二の生涯を送っている市バスの心境やいかに。中国の乗客は荷物が多い。生きた鶏や穀物を詰め込んだ大袋を持ち込むことだってざらにある。運転ぶりも、概して言えば、京都よりずっと荒い。気楽といえば、狭い京都を走っていた時には発揮できなかったスピードを出せること、そして少々の排ガスをまき散らしても、さほど文句を言われないことぐらいだろうか。「地球にやさしい」を掲げる京都の市バスが低公害車導入に取り組んでいる一方で、中国では地球にやさしくなかった市バスの中古車が走っている。どんな経緯でそれら中古車が中国に引き取られているのかは知らない。ただ願わくば、こうした再利用が将来の中国において、大気汚染という名の新たなる苦い記憶を生み出さないことを。(神戸大学助教授)(京都新聞)
■声 鉄道利用勧め環境を守る独 伊丹市 小林 慶子(日本語講師 47歳)
 秋たけなわ、美しい行楽地の広告に旅心を誘われます。今夏訪れたドイツでのこと、ミュンヘン郊外のペンパルの家に滞在させてもらって、ドイツでも最も美しいと言われているババリア地方を満喫しました。交通手段は便利で安全なUバーン、Sバーンと呼ばれている国有鉄道。自転車も犬も堂々と乗れます。
 驚いたのは割引チケットの豊富さ。例えば週末なら35マルクで5人がかなり遠くまで乗車可。たった2500円ほどで友達とご主人と私、土曜日はアルペン街道の美しい町まで、日曜日は同じチケットでまた2時間あまり、ロマンチック街道のお城まで、次の週もこれを利用してオーストリアのザルツブルクまで行くことができました。平日も大人2人、子供4人まで半額という切符があり、大いに利用させてもらいました。
 ある日の朝刊に「車を家に」と大見出し。数年前から排ガスによる環境破壊を懸念した政府が、国民に鉄道の利用を広く呼び掛けるため運輸省から補助金を出して、バーゲンチケットを開発しているそうです。我が国の政府もこういう賢い策をこそ学んでほしいものと切に思います。(朝日新聞)
26日■整備新幹線 100億円を削減へ 財政構造改革会議 旧国鉄債務処理財源に
 約28兆円に上る旧国鉄長期債務の処理財源を検討している政府、与党の財政構造改革会議の企画委員会(座長・加藤紘一自民党幹事長)は25日、来年度の運輸省予算のうち整備新幹線の公共事業費340億円から約100億円を削減する方向で調整に入った。
 企画委員会では、長期債務処理の前提として整備新幹線の予算を大幅にカットすべきだとの意見が大勢を占めており、今回の削減方針はこれを受けた。
 実現すれば各地の整備新幹線建設がスローダウンすることになり、政府、与党の新幹線整備検討委員会から反発が出るのは必至だ。
 対象となる整備新幹線は、既着工区間(一部開通区間の関連事業を含む)として北陸新幹線(高崎−長野、石動−金沢、糸魚川−魚津)、東北新幹線(盛岡−八戸)、九州新幹線(八代−西鹿児島)の3線5区間と新規着工区間の東北新幹線(八戸−新青森)、北陸新幹線(長野−上越)、九州新幹線(船小屋−新八代)。運輸省は来年度概算要求で総事業費1666億円を要求している。
 削減の対象は、1666億円のうち運輸省が要求した公共事業費340億円のうちの約100億円。
 長期債務の処理策で企画委員会は既に、今後5年間は@郵便貯金特別会計の剰余金の活用A財政投融資資金の金利減免B旧国鉄の資産処分収入C政府全体の歳出削減−などで当面1兆円を確保、5年後に総合交通利用税などの新税を導入するという大枠を固めている。
 企画委員会は今週末にも債務処理の座長試案を作成、12月上旬に最終決定して来年度予算編成に反映させる考えだ。(京都新聞)
■この冬は何回出動になるか 府北部でラッセル車試運転
 JR西日本福知山支社は、積雪のシーズンに備え、25日からラッセル車の試運転を始めた。初日は山陰・播但線の福知山−和田山−寺前−豊岡間に延べ4本を試運転した。続いて28日までに、播但線の和田山−寺前間や舞鶴線の福知山−東舞鶴間に延べ9本を走らせる。
 この日試運転したのは豊岡鉄道部に配備される単線両頭式のDE15-2525号で、午前6時50分から福知山運転所で点検を受けたあと、午前7時41分に福知山駅を発車。定期列車のダイヤの合間をぬって、時速45`で運転し、沿線で雪をかく翼を開閉したり、踏切の位置を確認したりした。
 同支社管内ではラッセル車は福知山運転所に複式両頭式1両と豊岡鉄道部に単線両頭式1両の計2両が配備される。また、積雪が少ない場合に利用するモータカーロータリーやモータカーラッセルを綾部駅などに計10両を配備する。ホームの除雪には各駅にハンドロータリー計45台を備える。
 昨シーズンは暖冬のため、山陰線の豊岡−出石間に1往復出動しただけ。(朝日新聞)
■高齢の男性が心不全で死亡 近鉄新田辺駅で
 25日午前8時10分ごろ、京田辺市河原の近鉄新田辺駅西口で、1階のエスカレーター付近に男性が倒れているのが見つかり、病院に運はれたが、急性心不全のためすでに死亡していた。
 田辺署の調べでは、男性は65−80歳ぐらい。身長162aのやせ形で、れんが色のジャンパーに茶色ズボン姿だった。現金8万円が入った財布や、京阪七条駅から380円区間と、近鉄西大寺駅から340円区間の切符を持っていた。(朝日新聞)
■阪急電車西院駅で女性飛び込み即死
 25日午後1時10分ごろ、右京区西院高山寺町の阪急電鉄西院駅構内で、河原町発梅田行きの下り特急が入り込んで来た際に、女性がホームから飛び込んだ。列車は急ブレーキをかけたが女性と接触し、女性は即死した。この事故の影響で列車は6分停車し、乗客約400人に影響が出た。
 桂署の調べでは、亡くなったのは上京区内の女性(60)で、病気を患っており、自殺とみられる。(朝日新聞)
■強風で北陸線運転見合わせ
 26日午前2時50分ごろ、新潟県糸魚川市のJR北陸線糸魚川−親不知間の姫川橋りょうの風速計が秒速30bを記録したため、JR西日本は同区間の運転を見合わせている。同社金沢支社によると、午前中は強風のため運転再開の見込みは立っていない。
 また新潟県の大糸線糸魚川−小滝間、富山県の高山線榛原−越中八尾間でも、強風のため同日未明から運転を見合わせている。
 この影響で午前11時現在、金沢発越後湯沢行き特急はくたか1号など特急12本、急行1本、普通列車43本が運休し約7000人に影響が出ている。(京都新聞 夕刊)
27日■関空への列車4時間不通に 強風の近畿
 発達した低気圧の移動に伴い、大荒れの天候となった26日、関西空港と対岸を結ぶ連絡橋では強風の影響でJR西日本と南海電鉄の併用線の運行が断続的に計4時間以上ストップした。同日午後1時半ごろ、連絡橋の風速が運転規制値の26bを超えたため、JR、南海とも列車の運転を見合わせた。JRは午後8時2分、南海は同8時13分に正常運転に戻るまで、バスによる代行輸送で対応したが、関空発京都行きのJR特急「はるか28号」が約3時間遅れて出発したほか、両社合わせて上下96本が運休し、約1万4000人に影響があった。(朝日新聞)
28日■窓 バス無料化で車を減らそう 徳島市・大島 哲也(派遣社員・27)
 二酸化炭素排出量のうち、車は大きな割合を占めています。そこで地球温暖化防止会議のホスト都市である京都市に無料バス交通網を導入することを提案いたします。
 すべての市営バスを無料にする。その代わり税金を多く取る。すでにバス代を取られているのだから乗らないと損だという状況をつくる。例えば▽京都の碁盤の目の町並みを生かし、すべての大通りに往復だけをするバス路線をつくる。四条通の東西の往復線、河原町通の南北の往復線など、無料なので乗り換え自由▽24時間営業にする。夜、活動しようとする市民が自家用車やタクシーを利用しなくていい状況をつくる▽郊外に巨大市営駐車場とレンタカー営業所をつくり、バス交通網と連携させる。
 バスの運営目的は、もうけるためではなく、京都市を活性化させるために運営しているはずです。以上のように無料化してしまい、渋滞、違法駐車をなくし、町を活性化させることによって税収を増やし、それをバスの運営に充てることのほうが本来の目的にあっているのではないでしょうか。また、ノーマイカーデーや違法駐車の取り締まり強化、自動車乗り入れ規制をするよりも、自動車より公共交通機関を使った方が便利で安上がりだという環境をつくってしまうことの方が、本当の意味で効果が上がると思います。(京都新聞)
■南港・港区連絡線 運賃230円で申請
 大阪・都心部と南港を結び、12月18日間業予定の「南港・港区連絡線」(OTS線、大阪港−中ふ頭駅間3.7`)を運行する大阪市の第三セクター「大阪港トランスポートシステム」は27日、同線の運賃を均一の230円(小児120円)とする申請を運輸省に出した。
 申請によると、定期券の割引率は、通勤が1ヵ月35%、通学が65%。市交通局や各私鉄共通のプリペイドカードと、市から交付されている福祉割引や敬老優待乗車証を使用できる。しかし、市路線の共通全線定期券や共通一日乗車券は使えない。(朝日新聞)
■山梨実験線で時速501`達成
 JR東海と鉄道総合技術研究所(JR総研)が開発を進めている超電導磁気浮上式リニアモーターカーの山梨実験線(山梨県都留市−大月市)18.4`で28日午前、リニア実験車両「MLX01」が時速500`に挑戦、501`を記録した。
 リニア開発の目標のひとつに営業路線での500`安定走行があり、500`到達は走行試験の大きな節目となる。(京都新聞 夕刊)
■出た!時速501` リニア実験線
 JR東海と鉄道総合技術研究所は28日、山梨県(都留市−大月市間18.4`)で実用化に向けた実験を進めている超伝導磁気浮上式リニアモーターカーが、同日午前中の無人走行で時速501`を記録したと発表した。午後からは有人走行を始める。
 山梨県の実験線では、今年4月から走行試験が始まった。10月には鉄道での有人走行の国内最高となる時速451`を記録した。
 有人走行の世界最高時速は、フランスTGVの515.3`。JR東海によると、今年中にこれを上回り、目標値である時速550`を記録したいとしている。(朝日新聞 夕刊)
■加古川で踏切事故 JR山陽線乱れる
 28日午前7時34分ごろ、兵庫県加古川市平岡町のJR山陽線東加古川駅に停車中の加古川発京都行き普通電車(7両編成)の運転士から「上り線の出発信号機が赤のまま変わらない」と、新大阪総合指令室に連絡があった。このため、下り貨物列車を同市平岡町西谷の大割上踏切で停車させて調べたところ、非常支障通報装置のボタンが押されていた。同列車の運転士が装置を解除、運転を再開したが、上下計18本が運休し、同24本に最高26分の遅れがでて、約2万8000人に影響があった。
 加古川署の調べでは、同日午前7時20分ごろ、同踏切で乗用車同士の接触事故があり、通行人が通報装置のボタンを押したらしい。乗用車はすぐ踏切外に出たという。(朝日新聞 夕刊)
29日■関西私鉄5社中間決算 そろって減益
 関西の大手私鉄5社の1997年9月中間決算が28日、出そろった。消費税率引き上げに伴う定期券などの駆け込み需要の反動や景気低迷、天候不順などによる旅客収入の落ち込みで、前期の全社増益からそろって減益に陥った。
 主力の鉄道事業の5社の輸送人員は、前年同期比4.2%減の11億7100万人。旅客収入も4.4%減の2279億円となった。関東8社は輸送人員が1.2%減、旅客収入が1.7%減で、関西5社の落ち込み幅の方が大きかった。
 近鉄は、通勤・通学路線、観光路線がともに落ち込み、減収減益となった。法人税の半減で税引利益は微減となった。98年3月期の業績も下方修正した。
 阪急は、鉄道事業の3.8%減収に加え、分譲住宅の販売戸数が前年同期実績の4分の1とふるわず、営業利益は25.4%減の111億円となった。
 京阪は、京阪東ローズタウン(京田辺市)などの分譲住宅販売が大幅に伸びたが、JR東西線開通による旅客収入減や清算を決めた比叡山ホテルへの貸付金14億8000万円などを計上、税引利益は微減した。
 南海は、期初の業績予想に昨夏、猛威をふるった病原性大腸菌O-157の影響を織り込んだため、98年3月期の経常利益は8.5%増の54億円になると見込んでいる。
関西私鉄大手5社の97年9月中間決算企業名
 売上高経常利益税引利益
近 鉄1291(▼3.2)73(▼18.1)50(▼1.0)
阪 急1056(▼3.4)43(▼13.6)30( 10.8)
京 阪574(▼0.9)33(▼ 9.1)22(▼2.0)
南 海577(▼1.5)27(▼18.9)15( 1.8)
阪 神412( 4.8)9(▼49.9)17(▼9.0)
※単位億円、()内は対前年同期の伸び率、
▼はマイナス
 JR東西線開通などで旅客収入を6.5%減らした阪神は、3月開業の「ハービスOSAKA」が増収に貢献したものの、減価償却費23億円など営業費用が増え、経常利益は半減した。(京都新聞)
■あれれ 利用者伸び悩み 地下鉄東西線 1日平均13万人 目標より2万6000人下回る 山科、二条など7駅で苦戦
 10月12日に開業した地下鉄東西線の開業後1ヵ月間の利用状況が28日、まとまった。1日の平均利用者数は13万人で、当初目標(15万6000人)に届かず、13ある駅のうち7駅で利用者の需要予測を下回るというさびしい滑り出しになった。半面、烏丸線は京都駅ビル開業や東西線からの乗り継ぎ効果などで、前年同期比15%増となり、2つの市営地下鉄は、明暗を分けた。
 東西線の利用者は、開業当日が23万人、翌日が16万人だったが、3日目以降は12−13万人台で准移。3日目以降の平均は12万6000人にとどまった。平日より多い日曜日の利用者も、10月26日の13万8000人が最高だった。
 各駅別の利用者は、JR線と乗り継ぐ山科1万5000人、二条8000人で、いずれも需要予測を8000人下回ったほか、二条城前3000人(需要予測1万人)、三条京阪2万人(同2万4000人)、東山6000人(同9000人)と苦戦が目立つ。
 予測を上回ったのは烏丸線と乗り継ぐ烏丸御池、地下街のある京都市役所前、蹴上の3駅のみ。小野、椥辻、東野はどうにか需要予測に達した。
・烏丸線は15%増加
 一方、6月に国際会館まで延伸した烏丸線は、同じ1ヵ月間の平均利用者が24万6000人となり、前年同期比で3万3000人増加した。交通局は、うち1万9000人を東西線からの乗り継ぎ客と見ており、東西線の開業効果は、烏丸線の方に表れた形となった。
 東西線の利用客が伸び悩んでいる現状について、交通局は「沿線で進行中の5大プロジェクトが、まだすべて完成していない現時点では、おおむね見込み通りの結果」としながらも、「東西線の利便性や沿線の観光名所をPRして乗客増につなげたい」としている。(京都新聞)
■9月中間 阪神を除く4社が減収 関西大手私鉄5社
 関西大手私鉄5社の1997年9月中間決算が28日出そろい、阪神電気鉄道を除く4社が減収、経常利益は5社とも減少した。4月の消費税アップを前にした定期券や回数券の先買いの反動や、その後の天候不順、景気減速による「出控え」の影響で、利用客が軒並み減少、不動産販売も伸び悩み、鉄道部門の落ち込みを吸収できなかった。
 5社のうち、輸送人員の減少がもっとも大きかったのは阪神。阪神高速道路の復旧やJR東西線の開業で、客足を奪われた。(朝日新聞)
関西私鉄5社の9月中間決算
 売上高経常利益輸送人員
近畿日本鉄道1,291億円(▼3.2)73億円(▼18.1)3億7,415万人(▼3.8)
阪急電鉄1,056億円(▼3.4)43億円(▼13.6)3億6,311万人(▼3.5)
南海電気鉄道577億円(▼1.5)27億円(▼18.9)1億4,437万人(▼3.2)
京阪電気鉄道574億円(▼0.9)33億円(▼ 9.1)1億8,629万人(▼5.9)
阪神電気鉄道412億円( 4.8)9億円(▼49.9)1億 307万人(▼6.8)
※カッコ内は前年中間期比伸び率(%)、▼はマイナス
■阪神、年5円配当に
 阪神電気鉄道は28日、年間配当を阪神大震災前の水準である5円に復活すると発表した。(朝日新聞)
■家庭ゲームに「のぞみあり」 JR西日本販売へ 運転を疑似体験
 最高時速300`で走る新型新幹線車両「500系のぞみ」の運転が、パソコンの画面上で楽しめるようになる。JR西日本が実写映像を使った運転シミュレーションゲームのCD-ROMを作り、来月20日から「新春お年玉・西日本一日乗り放題きっぷ」とセットで販売する。
 運転席に座った気分で、ブレーキや加速レバーを操作。新大阪から博多まで、岡山、広島、小倉に停車させながら運転する。実際の所要時間は2時間17分だが、ゲームでは途中で何度か瞬間移動し、約20分間に短縮してある。在来線の運転ゲームはいくつも市販されているが、新幹線のものは初めてという。
 価格は乗り放題きっぷ(普通列車のみ1日限り、有効期間1月1−4日)を含め4000円。3万枚の限定で、JR西日本の161駅で1月4日まで販売するが、これに先駆けて来月1日から19日まで郵送で予約も受け付ける。問い合わせは同社(来月1日以降06-568-4724 )へ。(朝日新聞)
■国内最長ブルトレ 最後のはばたき 「はやぶさ」熊本発に
 定期運行しているブルートレインとしては国内最長の寝台特急「はやぶさ」の西鹿児島発最終列車が28日、東京に向けて出発した。29日からは熊本発となり、日本一の座を明け渡す。JR西鹿児島駅であった出発式には、昔を懐かしむ地元の人や鉄道愛好家が駆けつけ、去りゆく列車の後ろ姿をいつまでも眺めていた。
 1958年10月に登場した「はやぶさ」は高速列車として人気を集めた。
 しかし70年代半はごろから飛行機や新幹線に客を奪われ、乗客数は激減。最近は熊本−西鹿児島間の利用者が20人に満たない状態が続いていた。
 30年間にわたり、毎日「はやぶさ」の整備をしてきたJR九州鹿児島運転所の花園照美車両技術主任(48)は「新幹線が鹿児島まで来るまでは、と思っていたが残念」と別れを惜しんでいた。(朝日新聞)
■最速のぞみ 東海道でゴー JR西日本500系乗り入れ 京持駅に停車
 最高速度がフランスの高速鉄道TGVと並ぶ時速300`のJR西日本の500系新型のぞみが29日、東海道新幹線に乗り入れし、京都駅ホームで流線型の精かんな姿を見せた。
 「500系」は3月22日から山陽新幹線に登場。東海道線への乗り入れで、東京−博多間は従来の『のぞみ』より15分速い4時間49分で結ばれる。途中、新横浜、名古屋、京都、新大阪、岡山、広島、小倉駅に停車し、臨時を除き1日3往復運行される。
 この日午前8時16分、下りの「のぞみ1号」が京都駅のホームに滑り込むと、カメラを抱えた観光客や鉄道ファンが先頭車両に駆け寄って記念撮影。白地に青と黒のラインが鮮やかなシャープな車体をカメラに収めていた。約2分間停車し、終着の博多へ向けて出発した。(京都新聞 夕刊)
■JR、障害者割引拒否 地雷で両足失ったカンボジア男性に「手帳ない」と 新大阪駅
 今年のノーベル平和賞受賞団体「地雷禁止国際キャンペーン」のメンバーで来日中のカンボジア人トウン・チャンナレツトさん(37)が、JR新大阪駅で身体障害者割引(半額)の切符を申請したところ、JR東海側から「身体障害者手帳の提示がなければ割引できない」と断られていたことが28日、分かった。
 チャンナレツトさんは15年前、祖国で地雷を踏み両足を失っている。JR側は「規則は規則」としているが、講演を要請した市民団体「平和の手」(大阪市)は「障害者を国籍で差別し、許し難い」と反発している。
 同団体とJR東海によると、チャンナレツトさんは講演で大阪市に向かう今月24日ごろ、名古屋駅では障害者割引の切符を発券された。
 このため大阪から東京へ向かう新大阪駅でも27日、割引を申請したがJR側は「名古屋駅の発券は誤り。差額を東京駅で支払ってほしい」と説明したという。
 JR東海によると、身体障害者割引の対象は、都道府県知事が発行する身体障害者手帳の携帯者。新大阪駅の職員は「事情は分かるが規則は規則。不愉快な対応だったかもしれないが、誠実に対応したつもりだ」と話している。(京都新聞 夕刊)
■落石に乗り上げJR脱線 山梨・けが人なし
 29日午前6時48分ごろ、山梨県身延町のJR身延線内船−甲斐大島間で、富士発甲府行きの下り普通電車3両のうち先頭車両が、進行方向右側にある山からの落石に乗り上げ脱線した。乗客三十数人にけがはなかった。
 身延線は富士−内船駅と身延−甲府駅間でそれぞれ折り返し運転している。
 JR東海によると、事故当時、現場には約50a四方の落石が多数散乱しており、電車はこれに乗り上げて脱線。落石危険個所に設置されているワイヤを使った検知装置はなかった。
 同社は落石を除去、2台のクレーンを使って車両をレールに戻す作業に当たるが、復旧の見込みは立っていない。(京都新聞 夕刊)
■アーストレイン東京発ち京都へ コンサートや車中で講演も
 12月1日から京都市で始まる地球温暖化防止京都会議に、低公害で渋滞知らずの鉄道で乗り込もうという「アーストレイン」が29日午前、東京都のJR品川駅を出発した。車中では温暖化をテーマにした講演会やミニコンサートなどが行われ、参加者は約8時間半、交流を深めながら京都に向かう。
 あいにくの雨の中、8両編成の白い電車は午前9時20分、出発した。参加者は約50人と予定を大幅に下回ったが、企画した実行委員会の斉藤基雄さん(32)は「初めてということで、すべてが手探りだった。問題は人数ではなく中身です」と話し、電車に乗り込んだ。
 4月の「アースデー」(地球の日)のイベントに参加した会社員や学生らが企画。JR東日本から8両編成の電車を借り上げた。
 講演会では、電車に自転車を積み込める「サイクルパス」を実施している三重県内の私鉄の事例や、企業のリサイクル運動などが紹介される。(京都新聞 夕刊)
■街の風俗考 現代風俗研究所70s' 停留所の心理ドラマ 四条河原町・バス待つ人々
 京都の中心部での主な交通手段はやはり「路線バス」である。路線バスは通勤、通学、買い物−の地元の人々、また観光客や旅行者などさまざまな人々の足となっていて、まさに京都の「移動の主役」であり、バスを待つ人々は京都の街の風景のひとつである。今回はそんなバスを待つ人々を観察した。
 観察の場所として、四条河原町の河原町通、西側歩道にある3ヵ所のバス停留所を選んだ。北大路、百万遍など市北東部への路線がここを通る。
 観察した時間帯が平日の午後だったので買い物や用事を済ませて帰宅するおばさん、おばあさんの姿が目立つ。どの停留所も、8割から9割程度の割合で彼女たちだ。昼間のバス待ち、乗客の主役はおばさんたちといえる。
 待つ人の集まり方だが、ここは停留所が歩道にあるため、整然とした行列はできない。少なくて数人、多くて10から20人ほどの人々が停留所に群がる感じだ。
 早くから待ち出す人は大抵時刻表を確認し、バス停の歩道際、縁石の上の「最前線」に立つ。中には車道に下りて待つ人もいる。買い物帰りらしいおばあさんは歩道際の「最前線」で足元に荷物を置き、バスが来る方向をじっと見ていた。32系統、11系統…と何台もバスは来るが、彼女はどれにも乗らない。10分ほどして上半身を曲げて時刻表をのぞき込んだ。「まだかしら…」そんな感じで腕組みして、またバスの来る方を見つめている。待ちはじめから15分、5系統のバスが見えたので荷物−を手に持ち、乗車していった。
 別のおばさんはバス停の所で友人と別れ、そのまま歩道の際に立った。しかしまだ時刻表を見ていない。1、2分して時刻表をのぞき込み、停留所「最前線」で彼女も頬(ほお)に手を当てたり、腕組みしながらバスの来る方をじっと見ている。「最前線」には人が3人ほど並んで立てる横幅があり、彼女のあとに来たおじさん、おばあさんも同じように最前線で待つ。バスが来た。初めから待っていたにもかかわらず、あとから来たおばあさんと、割り込んできたおじさんのあとに乗り込んだ。
 停留所で待つ人たちはほとんどみなバスの来る方向を見つめている。ここの停留所にはバス接近表示機が無く、バスがいつ来るかわかりにくいからだろう。別に連れでもなさそうなおばさん同士が「まだ来うへんねえ…」などとしゃべっているのも見られた。
 停留所から離れた所で待つ人の姿もある。割り込みを狙う人は、最初から人の後ろで待つ気は無いらしく、停留所から少し離れたガードレールの切れ目の所、「割り込みポイント」で待つ。60代らしきおばさんは停留所にすでに5、6人待っていたためか、この「割り込みポイント」に立ち、向かいのビルを見上げたりバスの来る方向を見ていた。この人が呼び水となって、同じ場所におじいさん、おばあさんが待ちだした。皆、ここで待つのが当たり前だ、という雰囲気である。4、5分してバスが数台連なってやってきた。3台目の京都バスがドアを閉め動き出すと、彼女も動き出し、じわじわと縁石の上を横歩きして、次の205系統にさりげなく2番目に乗車し、席についた。
 このおばさんのように、停留所から離れた「割り込みポイント」で待ち、乗車した人はバスが5台発着した20分の間で、おじさん、おじいさん9人、おばさん、おばあさん11人だった。男女比はほぼ半々だが、皆中年以上の世代なのが印象的だ。
 停留所から離れて待つ人には、割り込み狙いでない人もいる。店のショーウインドーに飾られたクリスマスツリーを眺めるスーツ姿のおじさん。時刻を確かめると、歩道沿いの店の前に立ち、財布の小銭を確かめて、人波をぼんやり眺める青年。この人たちのようにゆったりと待って、おもむろにあとのほうからバスに乗り込んでゆく人たちも見られた。
 停留所で「まだかなあ…」とバスの来る方を見つめる人、少し離れた所から割り込みを狙う人。そのどちらも早くバスに乗り込みたい、という思いは同じだろう。停留所で早くから待ち、割り込ませまいと最前線に立つか、いっそ割り込んでしまうか。それとも人垣から離れてのんびりと待つか。渋滞で気まぐれにやってくるバスを待つ人々の心理ドラマが、停留所で今日も繰り広げられている。(文・写真 菅原一貴)(京都新聞 夕刊)
■「温暖化止めよう」アーストレイン走る 京都会議へ参加者続々 環境NGO 「市民の声と力結集」
 気候変動枠組み条約第3回締約国会議(温暖化防止京都会議)の開幕が近づき、参加者らが海外や国内から続々と京都に集まってきた。開会を2日後に控えた29日朝、東京から京都に向けて非政府組織(NGO)のイベント列車が出発した。約8000人と見込まれる参加者の登録作業が続く会場の国立京都国際会館では、警備も強化され、緊張感が漂い始めた。観光需要が低迷する地元経済界は「環境だけでなく観光も」と、会議を景気浮上のきっかけにしようと意気込みを見せる。だが、肝心の条約交渉は各国の利害が対立し、行方は霧に包まれたままだ。(京都支局、社念部)
・8時間半かけ
 午前9時18分、JR品川駅の9番ホームからこの日だけの特別列車「アーストレイン」が出発した。京都会議に参加するNGOや市民ら約40人が乗り込んだ。
 自動車に比べて二酸化炭素(CO2)排出量の少ない輸送機関である電車を見直そうと、東京で活動する環境NGOが企画したイベント列車だ。
 車内ではJR東日本のリサイクル運動や環境にやさしい乗り物についての講演があり、途中、沼津から合流する静岡県立沼津西高校の遠藤稔教諭が富士山の高山植物の植生の変化と温暖化について話をする。
 アーストレイン実行委員会代表の大学院生斉藤基雄さん(32)は「各国代表に市民の声が届くようにみんなのエネルギーを結集したい」と話す。
 8時間半かけて東海道を西に走り、午後5時52分に京都駅に到着する予定だ。
・報道陣3000人
 会場となる京都・宝ケ池の国立京都国際会館。約190人の条約事務局のスタッフもほぼそろい、会場内の警備も厳しくなった。隣接するイベントホールにはNGO やマスコミ向けのプレスセンターが設営され、この日午後にオープンする。
 会場にIDカードを取りに来る代表団やNGOも目立つ。南太平洋に浮かぶツバル政府代表団員のイアン・フライさん(44)は「各国にはそれぞれ事情があり、主張にも隔たりがある。厳しい削減目標を決めることは難しいかもしれないが、温暖化で水没する危険のある島国が存在することはアピールしたい」と話す。この日は温室効果ガスのより高い削減目標の合意に向けた戦略の最終打ち合わせをするという。
 日々の生活や経済活動と直接結びつくCO2排出を制限する交渉だけにマスコミの関心も高い。登録申請をしたマスコミ数は3000人を超える。このうち外国人プレスは約600人を占める。
 ドイツテレビ協会は3人のクルーを先発隊として派遣。30日の番組へ向けて取材に入った。エディターのフォルカー・アングレスさん(41)は「NGOの動きを詳しく追ってみたい。この会議が日本でどのように報道されるかという点も興味がある」と話す。
・観光地PRも
 受け入れ側の京都には、会議を観光不況のカンフル剤にしたいという思惑がある。
 近畿の自治体や経済団体でつくる京都会議支援実行委員会は、世界各国から会議に集まる政府代表団やNGO、マスコミなどを対象に無料ツアーを企画した。「環境にやさしい」を売り物にした会社や工場と京都の観光名所を組み合わせた20コースを用意した。
 ホームページで情報提供したところ、すでに領事館などを通じて各国から30件ほどの問い合わせがあったという。JR京都駅には臨時の案内所を設置、英語などを話すスタッフを置き、宿泊や観光の手伝いもしている。会場内にも30日からコーナーを設け、本格的なPRをする。同委員会では2500人の参加を見込んでいる。
 京都を訪れる外国人観光客数は92年の49万3000人をピークに96年には25万6000人と半減した。国際会議の年間開催数も91年には全国1位の209件あったが、その後減少が続き、96年には169件と東京、大阪、名古屋に次ぐ4位に転落。こうした低迷をこの会議で何とか打ち破りたいというのが地元の思いだ。
 藪下文夫事務局長は「環境の議論をするために来た人たちの興味を引きながら、京都の観光もアピールしたい。次は家族と一緒にという形になってもらえれば…」と期待する。(朝日新聞 夕刊)
■500系のぞみ東海道デビュー 東京−博多4時間49分
 3月に山陽新幹線(新大阪−博多)でデビューした新型新幹線車両「500系のぞみ」が、29日のダイヤ改定で東海道新幹線(新大阪−東京)でも営業運転に入った。東京から博多までを1日3往復(別に新大阪−博多間一往復)し、これまでより15分短い4時間49分で結ぶ。
 この日朝、500系の下り一番列車「のぞみ1号」が出発した東京駅のほか、上りの「のぞみ6号」の停車に合わせて博多、広島、岡山、新大阪駅でも出発式があり、テープカットやくす玉を割って東海道乗り入れを祝った。
 500系車両は山陽区間では世界最速の時速300`を出すが、東海道区間はカーブが多く、ダイヤが過密という事情もあって、従来の300系車両と同じ最高270`で運転する。
 山陽新幹線が博多まで開業した1975年当時、東京ー博多間を直通運転した「ひかり」の所要時間は6時間56分。その後の22年間で、2時間以上短縮したことになる。
 開発したJR西日本は現在、4編成(1編成16両、定員1324人)を所有。来年春に6編成、秋には9編成まで増やし、同社の「のぞみ」車両を300系から500系に切り替える。飛行機との旅客のシェア争いの切り札、と位置づけている。
 今回また、新横浜に停車する「のぞみ」を増やしたほか、東京から岡山、広島行きの「ひかり」の停車駅を見直して最大15−43分の大幅な短縮を図った。(朝日新聞 夕刊)
■落石に乗り上げ脱線 山梨・JR身延線
 29日午前6時50分ごろ、山梨県身延町大島のJR身延線内船−甲斐大島駅間で、富士発甲府行き下り普通電車(3両編成)が落石に乗り上げ、先頭の1両が進行方向左側に脱線した。約35人が乗っていたが、けがはなかった。
 山梨県警南部署とJR東海では、現場には直径30−50aぐらいの石十数個や土砂合わせて約8立方bが落ちており、そこに電車が乗り上げたものとみている。現場はトンネルの出口付近で、工事中の左側の斜面から崩れたらしい。
 同線は午前9時半現在、身延−内船駅間で不通になっている。(朝日新聞 夕刊)
30日■大雨、新幹線止めた 新大阪駅に列車ホテル ダイヤ改正 初日ドボン
 静岡県内の大雨のため東海道新幹線が29日午後、一時ストップ、最大で2時間以上遅れるなど上下線のダイヤが大きく乱れた。遅れは終日続きJR東海は乗り継げない客の仮眠や休憩のために東京、新大阪両駅で車両を開放、列車ホテルとすることを決めた。
 JR東海によると、午後2時50分に静岡県浜松市内の雨量計が降水量1時間当たり50_の規制値に達したため同線掛川−豊橋間で、上下線の運転を中止。天候が回復、同3時半ごろには運転を再開したが、午後5時ごろからは三島−新富士間で雨が強くなり再び運転を見合わせた。
 午後6時40分に運転を再開したが、名古屋発東京行きこだま474号が三島駅で2時間25分遅れるなど上下計100本のダイヤが乱れ、計約7万人が影響を受けた。
 JR東海は、遅れのため到着が午前零時を回る列車もあるため東京駅で新幹線の5両を、新大阪駅では3両を開放し、仮泊できるよう準備した。新幹線で遅れにより列車ホテルで仮泊対応するのは7月26日の台風9号の影響以来という。
 京都駅では、夕方から深夜まで、下りの新幹線約20本が、最高1時間58分から18分遅れた。
 この日は東海道、山陽新幹線の大幅ダイヤ改正の初日だった。(京都新聞)
■大糸線、強風で運転ストップ 2年半ぶり再開直後
 豪雨災害のため一部不通の状態が続いていた長野、新潟両県を結ぶJR大糸線は29日、被害を受けた南小谷−小滝間(21.7`)が災害から約2年半ぶりに運転を再開した。
 しかし、この日は午前5時23分に糸魚川発南小谷行きの一番列車が出発したが、強風のため途中で運転を中止。復旧初日から南小谷−糸魚川間で運転を見合わせるハプニングに見舞われた。
 南小谷、糸魚川両駅では出発式が開かれ、JR関係者や長野、新潟両県知事らが全面復旧を祝った。
 同線は1995年7月、集中豪雨で増水した姫川に架かった鉄橋や線路の路盤が流された。災害後は両県側から列車を折り返し運転し、不通区間で代行バスを運行していた。
 来年2月の長野五輪では、同線経由で関西方面の観客を運ぶ臨時列車が増発される予定。(京都新聞)
■北陸線も一時不通
 29日午前8時6分ごろ、新潟県糸魚川市のJR北陸線姫川橋りょうで風速30bを記録、その後も強風が続いたため、JR西日本は糸魚川−親不知間で列車の運転を見合わせ、風が弱まった午後4時すぎに再開した。
 また同県内の大糸線平岩−南小谷間が同日朝から、富山県の高山線越中八尾−猪谷間が同日昼から、それぞれ強風で夕方までストップした。(京都新聞)
■踏切事故死の高校生 人気バイク狙われ逃げる途中だった
 大阪府立高1年、坂元文保君(16)が大阪市住吉区で9月、金属バットなどを持ったグループに襲われ、逃げようとしてJRの電車にはねられ即死した事件で、府警交通指導課と住吉署は29日、強盗致死傷の疑いで大阪市福島区の建設作業員(20)=事件当時(19)=と少年5人の計6人を逮捕した。
 少年らは、坂元君の仲間が乗っていた人気機種の400ccオートバイが欲しくて襲ったと供述。「まさか踏切内に入り、はねられるとは思わなかった」と話しているという。
 調べによると、少年らは9月28日早朝、バイクやミニバイクに分乗してJR阪和線の踏切で信号待ちしていた坂元君ら10人を、鉄パイプや金属バットなどで襲撃し、バイクとヘルメットを奪った疑い。
 坂元君は乗っていたミニバイクを捨て、線路を横切って逃げようとして遮断機をくぐり、回送電車にはねられて即死したほか、1人が腕などに軽いけがをした。(京都新聞)
■整備新幹線 総事業費70億円減 運輸・大蔵 来年度予算で調整
 運輸省は29日、来年度の整備新幹線予算を国の公共事業関係費で50億円弱削減する方向で、大蔵省と最終調整に入った。地方負担分も20億円削減され、総事業費の削減幅は約70億円となる。来年度予算の概算要求では、公共事業関係費で340億円を要求しており、削減率は約15%となる。運輸省は、28兆円にのぼる旧国鉄債務の処理に関連して、財源をねん出するため大幅な予算削減を求められ、歳出削減の姿勢を示すため、整備新幹線についても、他の公共事業削減率7%の2倍の削域が必要と判断した。
 これに対し、大蔵省は「さらに削減の上積みが必要」との立場を崩していない。
 今年10月に北陸新幹線が長野まで開通し、高崎−長野間の工事費が大幅に減る。このため、運輸省は約70億円を削減しても、工事中の東北、北陸、九州の3線4区間には、十分な予算配分ができるとみている。(朝日新聞)
■旧国鉄債務処理で3600億円追加負担要請 財政改革会議、JRに
 28兆円にのぼる旧国鉄債務の処理策を検討している政府・与党の財政構造改革会議企画委員会(座長・加藤鉱一自民党幹事長)は29日までに、JRに対し、年金費用の一部約3600億円を追加負担するよう要請した。今週末にも決める処理案に盛り込みたい考えだが、JRは、「すでにぎりぎりの債務を負担している。いかなる形の追加負担も受け入れられない」と拒否しており、最終調整を続ける。(朝日新聞)
■JR山陰線の脱線現場 「警備値」未満の雨で崩落 類似1000ヵ所を調査
 京都府船井郡和知町のJR山陰線で今年6月、台風による降雨で線路の盛り土が崩れ、列車が横転して乗客28人が重軽傷を負った事故の原因を調査していたJR西日本は29日、警戒が必要な雨量ではないのに崩落した異例のケースだったことを明らかにした。降雨時の列車の運転は通常、雨量に応じて警備、徐行、停止の3段階で規制されているが、同社は最も低い「警備値」にも満たない雨量で地盤崩落が発生した事態を重視。崩落場所と地形や土質が似ている管内約1000ヵ所で一斉調査を進めている。
 事故が起きたのは6月28日午後7時10分ごろ。山陰線安栖里−立木駅間で、山あいの傾斜地を走る線路(単線)の盛り土が長さ30b、幅5b、高さ15bにわたって崩れ、約2200立方bの土が流失した。ちょうど通りかかった下り普通列車(4両編成)が脱線、後部2両が横倒しになった。列車は時速65`で走行、一歩間違えば大事故になるところだった。
 JR西日本の調べでは、近畿を通過した台風8号の影響で当時、現場付近では1時間の最大雨量23_、24時間の連続雨量は74_を記録していた。いずれの値も、係員による線路の巡回・警戒の対象となる警備値(1時間25_、24時間連続150_)に達していなかった。
 今年は台風の襲来が相次いだが、少なくとも事故発生の前4日間については、ほとんど降雨がなかった。「警備値にすら達しない雨量での盛り土崩落は、国鉄の分割・民営化後、当社管内では初のケース」(JR西日本)という。
 現場の盛り土は、1910年に建設された当時のまま。崩落の原因について、同社は@現場の地下水位が何らかの理由で高くなり、粘土質の路盤が緩んでいたA崩れた盛り土の中を横断している排水管(直径46a、延長23b)の十数ヵ所にひび割れがあり、漏水していた−などが複合的に作用したと推定しているが、主原因ははっきりしないという。
 このため同社は、全支社に対して類似場所の緊急点検を指示。さらに来年1月にかけて、約1000ヵ所を対象に、傾斜地にある盛り土の地下水位を調べ、水はけをよくする改良工事が必要な場所を洗い出す。また、各路線や区間ごとに定めている警備、徐行、停止の規制値を、暫定的に低くした。
 同社の担当者は「一定の雨量を記録すれば崩落を想定して列車を止めることができるが、その前に崩れてしまったことが衝撃だ。ほかの場所でも起こり得ると重く受け止め、万全を期したい」としている。(朝日新聞)
■静岡県で大雨 新幹線止まる 7万人に影響
 29日午後2時50分ごろ、静岡県浜松市のJR浜松駅に設置してある雨量計が1時間あたり50_の規制値を超えたため、東海道新幹線掛川−豊橋間(約64`)の上下線が約40分間、運転を見合わせた。
 午後4時57分ごろには、同県沼津市内でも雨量計が規制値を超え、三島−新富士間(約26`)の上下線が約1時間40分にわたり運転を見合わせた。
 JR東海によると、これらの影響で名古屋発東京行き「こだま474号」など上下計100本が2時間25分から10分遅れ、約7万人に影響した。
 新大阪駅では列車の到着が最大で約2時間遅れ、乗り継ぐ列車がなくなった乗客のために仮眠用の車両が用意された。(朝日新聞)