1997(平成9)年10月


1日■地下鉄東西線 12日に発車 京の新動脈 待望の発車(京都)
  ■青い地球へ 12月に温暖化防止京都会議 広がる環境NGO 32 東京からアーストレイン 公共交通活用社会を目指し(京都)
  ■京阪坂本駅 モダン駅舎デビュー 石畳、石垣の駅前広場も(京都)
  ■JRと信楽鉄道 連絡不備明らか 大津地裁 裁判長、異例の見解(京都)
  ■奥比良登山と温泉への足に 朽木村へ16日から乗り入れ 京都バス(京都)
  ■信楽高原鉄道事故 JRの責任認める見解 大津地裁 信号装置変更巡り(朝日)
  ■早くこいこい超特急 長野新幹線きょう開業 延伸望む北陸地方(朝日)
  ■五輪の夢のせ「あさま」発車 長野新幹線が開業 東京まで最短1時間19分(京都)
  ■乗客は満員 あさま出発 長野新幹線開業(朝日)
  ■くろしお鉄道 宿毛線が開業(朝日)
2日■京都市敬老パス 山科・醍醐地区の京阪バスも利用可 東西線開業で市バスから移管(京都)
  ■路線縮小やめ市民の足守れ 市民団体が要望書(京都)
  ■廃車の80形 雄姿ビデオに 東西線開通で京阪電鉄(京都)
  ■地下鉄東西線開業を前に 懐かしのバスや電車 写真で 下京図書館などで記念展スタート 明治、昭和の市電グッズも 車掌の制服、かばんや運賃表(京都)
  ■二条、花園駅舎と高架橋「グッドデザイン」に 京風ドームと屋根評価(京都)
  ■旧国鉄債務 来月末には処理策決定 改革会議委が合意(朝日)
  ■列車爆弾テロ 30数人死傷 インド・邦人客も(京都)
  ■インド 列車で爆弾テロ 37人死傷 日本人も1人けが(朝日)
3日■阪急電鉄早期退職 優遇 45歳以上に 付加金 最大で年収の2倍(京都)
  ■旧国鉄債務処理 来年度予算の焦点に 責任論の行方不透明(朝日)
  ■リニアモーターカー 時速451` 有人走行で世界最速(京都)
  ■リニア国内有人最速の451`(朝日)
4日■1割近く売れ残り JR東海株 売却収入は4859億円(京都)
  ■地下鉄東西線に伴う市バス新ダイヤ発表 京都市交通局 17系統 432往復を削除 競合路線・京阪バス移管は12日から運行(京都)
  ■市長賞JR二条駅など9点 京都市都市景観賞決まる 優れた空間創出 来月、表彰と見学会(京都)
  ■次世代新幹線700系車両が完成 イルカ思わす斬新なスタイル 99年春デビュー(京都)
  ■これは眺めえ−でん パノラマカーきょう登場(京都)
  ■「きらら」きょう発車 叡山電鉄 新車両900系窓向きに座席沿線景色を存分に(朝日)
  ■乗務員送迎用バスほとんど利用者なし 大阪市交通局(朝日)
  ■声 ローカル線の風景懐かしく 泉大津市 嶺 貴美恵(主婦 72歳)(朝日)
  ■踏切内に女性 はねられ死亡 阪和線乱れる(朝日)
5日■京の新動脈 地下鉄東西線開業 1 「24分」 12.7`”夢”結ぶ 大きく変わる人の流れ(京都)
  ■道場さん招き伏見の清酒PR 新京都駅ビル イベントに6000人(京都)
  ■男性飛び込み即死 阪急ダイヤ乱れる 西向日駅(京都)
6日■京の新動脈 地下鉄東西線開業 2 魅力ある街へ 醍醐のみ込む大波 将来像明確化が課題に(京都)
  ■車内は狭いけど速さが魅力 ”24分の旅”満喫 東西線試乗会 市民12000人(京都)
  ■初乗り楽しんだ12000人 地下鉄東西線で試乗会 「ホームドアで安心」(朝日)
  ■京都・東西線に試乗 12000人が楽しむ(朝日)
7日■京の新動脈 地下鉄東西線開業 3 都市の再生 一極から多極型へ 地域の個性どうつなぐ(京都)
  ■ビル壁面が台スクリーン 京都市街地で12日にドライブインシアター 御所南商店街グループ 駐車場から観賞 地下鉄東西線開業でPR(京都)
  ■新駅周辺散策して 京都市が東西線マップ作製(京都)
  ■東海道線、乱れる 守山、風圧で男性重傷(京都)
  ■ホーム転落死が一転… 「突き落とし」と証言 京阪牧野駅 口論の警備員起訴(京都)
  ■ドイツ鉄道が「時刻厳守運動」 運行遅れが続出 東西統一で接続悪化? きちょうめん どこへ(京都)
  ■マンスリー関西 Spring-8・明石海峡大橋・JR500系のぞみ 「世界一」続々 派手好み それとも?(京都)
  ■京津線の準急廃止 三条−浜大津 3分縮め21分 東西線開通に合わせダイヤ改正 12日から京阪電鉄(朝日)
  ■突き落とした警備員を起訴 京阪・転落死で(朝日)
  ■JR、地下鉄東西線、京阪 3つの山科駅、直結 全長110b、地下道開通式(京都)
  ■電車に警察手帳置き忘れ 奈良県警の巡査(京都)
8日■京の新動脈 地下鉄東西線開業 4 集客力 買物の新拠点に 競争激化で商圏手探り(京都)
  ■山科区、伏見醍醐地区 89年以降、人口横ばい 地下鉄開通で増加も(京都)
  ■長野新幹線 開業1週間 利用は順調 平均乗車率56%こ(京都)
  ■新幹線の新青森−八戸間整備 「収支改善見込める」 JR東日本社長(朝日)
  ■自動車重量税転用を提案 国鉄債務で亀井氏ら(朝日)
  ■JR東海株が上場 初値38万3000円 一般売り出し価格上回る(京都)
  ■JR東海株が上場 東証初値は38万3000円(朝日)
  ■JR東日本 「撤退、口にせねばならぬほど考えに違い」 社長がJ リーグ批判(朝日)
9日■京の新動脈 地下鉄東西線開業 5 便利さの陰で バス再編に反発も(京都)
  ■JR福知山駅周辺一体化へ 高架事業、30日に起工(京都)
  ■5事業の決算認定 京都市議会(京都)
  ■JR東海株 上場の初日 過熱感なく市場冷静(京都)
  ■12日から交通規制変更 御池通など 地下鉄東西線開業で(京都)
  ■地下鉄東西線開業 記念スタンプ発売 12日・中京郵便局(京都)
  ■JR東海株 初日の終値38万5000円(朝日)
  ■市バス路線再編 東西線開通で12日から(朝日)
  ■京阪廃線の駅や電車 人気の絵はがき増刷 あすから売り出し(朝日)
  ■商圏2極化の様相 京都駅と四条周辺 京都伊勢丹開業1ヵ月 顧客の獲得激しく 地下鉄東西線開業絡み(朝日)
  ■路面電車 哀愁の茜色 京津線(京都)
10日■京の新動脈 地下鉄東西線開業 6 重い財政負担 赤字解消は30年後 次世代に引き継ぐツケ(京都)
  ■地下鉄東西線二条城前駅 「不便」「横断危ない」 西側に2ヵ所 堀川通の東側、なぜ出入口ない 要望強く増設決まったが 住民ら不満噴出 完成までなお1年半(京都)
  ■地下鉄東西線開業で 組織改正と19人異動 京都市交通局(京都)
  ■昭和初期の京津線観光パンフあった 幻の2駅も掲載 京の田中さん宅(京都)
  ■画廊 巡ろう 東西線開通記念スタンプラリー すべて回れば版画 ポスター 東西の各5軒なら 抽選で美術品 21日から2週間(京都)
  ■トークや記念スタンプ 二条駅南でもイベント(京都)
  ■窓 東西線 開業するけれど(京都)
  ■声 JRのダイヤ余裕はあるか 神戸市 三木 英明(会社員 42歳)(朝日)
  ■85年の歴史に幕 あす京阪京津線 三条−御陵間(読売)
11日■京の新動脈 地下鉄東西線開業 7 延伸の夢 府南部活性の核に 二条以西まだ厳しく(京都)
  ■新京都駅ビル全面開業1ヵ月 消費削減 既存百貨店善戦 京都近鉄、客数25%増 高島屋、大丸も不信に歯止め 伊勢丹売上高 予想の8割増 近隣商店街「にぎわい去った」(京都)
  ■痴漢 自転車ドロ許しまへん 地下鉄東西線開業前に 醍醐で地域安全フェス ビラも配り啓発(京都)
  ■警笛響かせSL走る 富山の城端線100周年(京都)
  ■東へ。西へ。地下鉄東西線 12日開業(京都)
  ■御池−四条の河原町通 午後5時〜7時 あすからマイカー禁止解除 地下鉄東西線開業・路線バス減少 20年たち有名無実化 府警”規制緩和”へ方向転換(朝日)
  ■未来ひらく新動脈 華やかに地下鉄東西線開業式典 喜びの試乗(京都)
  ■京津線 路面走行お別れ 三条通を85年間ゴトゴト 最後の「揺れ心地」 風情を惜しみつつ(京都)
  ■あす 京都地下鉄・東西線、開業 京阪・京津線、乗り入れ 沿線開発ラッシュ、大丈夫? 多いバブル期計画 年商見込み修正も(朝日)
  ■記念式典 1日早く 750人が出席(朝日)
  ■「夢の超特急」登場から33年 初代新幹線 立派に現役 模様替えして10年先まで(朝日)
12日■東西線 きょう発車 地下鉄新時代、幕開け 二条−醍醐24分(京都)
  ■地下鉄東西線 建設費の大幅超過、市交通局長の急逝… 苦節8年、今実る 行政や経済界 商業や観光振興 将来の起爆剤に(京都)
  ■社説 東西線がつなぐ広域交通ネット(京都)
  ■地下鉄東西線きょう開業 にぎわい利便性 期待のせ 市民の思い熱く(京都)
  ■電光ニュースも準備OK 市役所前駅構内(京都)
  ■線路にまた自転車 草津のJR東海道線(京都)
  ■にちよう交差点 新京都駅ビルに一言 空間の使い方、すごい 新名所、京の活性化に(京都)
  ■京津線 通学の足ありがとう 京阪三条駅周辺でブラバン演奏 京都文教女子中・高生徒会 感謝の心込め(京都)
  ■路面電車にお別れ 京津線の一部廃止(朝日)
  ■地下鉄東西線きょう開業 相次ぎ記念の催し 各駅にイメージカラー(朝日)
  ■時々刻々 路面電車復権へ 環境への優しさ指標 車に頼らぬ街を 京都・岡山で新設など検討(朝日)
  ■声 思い出運んだ路面電車廃線 京都市 中山 紀代子(主婦 56歳)(朝日)
  ■路面電車 最後の雄姿 京阪京津線(読売)
  ■読者のページ サンデーひろば「電車」(読売)
  ■いずみ(読売)
13日■「市民の足」動き出す 地下鉄東西線開業 はやラッシュ(京都)
  ■速い 近い きれい 東西線出発進行 「朝寝坊 うれしい」 バス再編に不満も(京都)
  ■烏丸線は故障 5万4000人足乱れる(京都)
  ■JR大月駅列車衝突 車体、衝撃で波打つ やみの中 助け呼ぶ悲鳴(京都)
  ■阪急にはねられ重体 西京の踏切で男性(京都)
  ■特急に回送列車衝突 脱線、横転32人重軽傷 ATS作動せず JR中央線大月駅(京都)
  ■JR舞鶴線 電化に着工 綾部で起工式(京都)
  ■スーパーあずさ 特急衝突、脱線 32人けが 山梨・大月駅構内 回送電車と(朝日)
  ■新型ATS作動せず JR脱線事故 回送、本線に飛び出す 乗客「脱出の指示なし」(朝日)
  ■窓 論説委員室から 都電からの風景(朝日)
14日■社説 ATSの安全神話は崩れたのか(京都)
  ■奔流底流 京の公共交通 将来像は マイカー規制、新システム視野に 面的移動どう充実 東西線開業で全国4番目の地下鉄都市 総延長26.4`(京都)
  ■新線模様 地下鉄東西線開業 1 京都市役所前 今後に「不安と期待」交錯(朝日)
  ■JR衝突事故 「信号見間違え発車」 回送電車運転士 「あずさ」側の青見る(朝日)
  ■ひと ヨーロッパの列車を写真集に(朝日)
  ■東西線開業「思い万感」初日23万人 一番電車から混雑 地下鉄新時代幕開け(読売)
  ■地下鉄故障2本運休 烏丸線 通勤帯5万4000人影響(読売)
  ■読者のページ 電車に乗る時電源を切って 主婦 芝田ふみ代 46 (大阪府箕面市)(読売)
15日■京阪山科駅「東西線が安いですよ」ライバル勧める!? 三条へ90円割高 苦情防止の策(京都)
  ■新聞使って授業 山科百々小 地下鉄東西線取り上げ 4年1組33人 「三条まで9分」でも「駅まで遠い」 記事を読んで意見(京都)
  ■特急ときが1日だけ復活 きょうから指定券発売(京都)
  ■元運転士に罰金50万円 新幹線脱線事故 岡山簡裁(朝日)
  ■新線模様 地下鉄東西線開業 2 九条山 峠越え”難所”に新難題(朝日)
  ■地下鉄東西線乱れる 初のトラブル 乗り入れ京阪故障 最大15分遅れ(京都)
  ■濃霧でJR遅れる(京都)
  ■明石海峡大橋バス路線申請 JR四国など3社共同で(朝日)
16日■新幹線止めた JR京都駅 酔客、向かいのホームに酒求め 1万円ヒラヒラ、持ち主線路に(京都)
  ■醍醐図書館の職員が自主制作 東西線のスライド披露 伏見・石田小 沿線の名所盛る(京都)
  ■新線模様 地下鉄東西線開業 3 山科・醍醐 事業の成否に地元の視線(朝日)
  ■京阪電車が故障 合わせて28本遅れる 東西線御陵駅(朝日)
17日■ATSを一斉点検 JR西日本、全車両(京都)
  ■旧国鉄債務処理 無利子国債など検討 財政改革会議 JR追加負担も(京都)
  ■大阪港−中ふ頭駅間 海底トンネルで直結 テクノポート線12月18日に運行 レジャー地図も大幅カイテイ(京都)
  ■香港と新空港、23分で結ぶ 特急お披露目 設備はリッチ…でも4月開港に間に合うの?(京都)
  ■窓 東西線 悲喜こもごもの発車(京都)
  ■東京駅の旧国鉄用地返還訴訟 買い取り条件に和解 東京地裁(朝日)
  ■ATS切断強まる 大月駅事故 JR側見方 回送列車側ミスか(朝日)
  ■JR西日本もATSを点検(朝日)
  ■線路ポイント故障 山陽新幹線遅れる 西明石駅(朝日)
  ■「阪急電鉄車両史」ビデオ・プレゼント!(朝日)
  ■JR切符横領 元社員に実刑 和歌山地裁(朝日)
  ■大阪港咲洲トンネル開通し600人渡り初め(朝日)
  ■線路わきに車転落 電車1本が遅れる 奈良の近鉄(朝日)
18日■新線模様 地下鉄東西線開業 4 浜大津 にぎわい戻す新風に期待(朝日)
  ■JR西日本、冬の臨時列車 初の「長浜盆梅ホリデー号」 「全車指定ひかり号」復活も(京都)
  ■JR、冬の臨時列車(朝日)
  ■ラピートにはねられ即死 短大生? 泉大津で(朝日)
  ■電柱が折れて近江鉄道不通(朝日)
  ■管内全車両「異常なし」 JR東日本の点検(朝日)
  ■トラック同士衝突、電柱折る 近江鉄道八日市線が不通(京都)
  ■JR側が関係 書類任意提出 大月駅の列車衝突事故(京都)
19日■本物そっくり鉄道模型 叡山電鉄鞍馬駅 最新型まで21点展示(京都)
  ■不通の八日市線復旧 近江鉄道(京都)
  ■新線模様 地下鉄東西線開業 5 二条 姿現さぬ「現代の朱雀門」(朝日)
21日■地下鉄東西線開業1週間 乗客予想やや下回る(京都)
  ■きらり逸品 手製の模型列車 消えゆく名車両を再現(京都)
  ■JR西日本 中央線事故繰り返さぬ より安全性の高い自動列車停止装置 ATS-P米原−網干間に導入 3年後メドまず山科−兵庫間(京都)
  ■信号異常ダイヤ混乱 JR学研都市線(京都)
  ■東西線コーナー登場 伏見・醍醐中央図書館 鉄道の資料集める(京都)
  ■記者の選んだ 新・ふるさとのアングル 福知山電車基地(福知山市半田) 照明に包まれ休息の時(京都)
  ■信号機故障でダイヤ乱れる JR松井山手駅で(朝日)
  ■JR米原・網干間 最新ATS設置へ(朝日)
  ■電車にひかれ男性が重傷 大阪・地下鉄駅ホーム(朝日)
22日■北陸線で地盤陥没 京都駅で特急3本影響(京都)
  ■JR西日本に「環境チーム」 京都会議へ知恵(朝日)
23日■あっ立ち往生 列車ドシーン 実際に衝突させ訓練(朝日)
  ■サッポロからナガノへ 4 タイヤ 地下鉄用から技術革新(京都)
24日■サッポロからナガノへ 5 スキー人気でドル箱路線に(京都)
25日■地下鉄に”夢”乗せ 園児の図画16点 東山図書館 作品を展示(京都)
  ■JR福知山支社が冬の臨時列車運行(朝日)
26日■秋の大文字山を散策 東西線開業記念 沿線で「ウォーク」(京都)
  ■新京都駅 障害者への優しさ完備? 凹凸解消評価できるが 自由な移動難しい 京の連絡会改善要求へ(京都)
28日■東西線延伸(醍醐−六地蔵)議会提案を表明 京都市 宇治も12月市会に(京都)
  ■京都市バス 全4086停留所 時刻表、ホームページに 全国初めて(京都)
  ■窓 地下鉄東西線に望む改良点(京都)
  ■JR割引切符つき 無利子国債提案へ 国鉄債務で財政改革会議(朝日)
  ■地下鉄東西線 乗客、予測を下回る 交通局は強気の見通し
  ■山科・醍醐地区の京都市バス廃止 「住民に強い不満」 市議会委 自共が追及”共闘”(朝日)
  ■インターネットに全停留所の時刻表 京都市内の市バス(朝日)
29日■奔流底流 前途厳しい低公害車導入 京都市 公用車、天然ガス市バスなど 高額、補給所難点も(京都)
  ■新京都駅ビル防犯情報交換 警察、JRなど連絡協(京都)
  ■干支を描いた陶板製乗車券 信楽高原鉄道発売へ(京都)
  ■廃車ずら〜り 廃線を車庫がわりに18両 京阪京津線 九条山周辺 カメラ持ち鉄道ファンも(朝日)
  ■通信衝星使いJR復旧訓練 東海が新幹線事故想定(京都)
  ■梅田・野田駅間 阪神で停電 1万2000人に影響(朝日)
30日■比叡山ホテル年明けに解散 京阪電鉄(京都)
  ■リムジンバス 急伸 京都方面に路線が増え 関空へのアクセス 4−9月まとめ(京都)
  ■窓 お答えします バス運行について 京都市交通局経営推進課 担当課長 閑本 俊雄・京阪バス業務部次長 山内 紀夫(京都)
  ■旧国鉄債務 財投分を一括償還へ 金利圧縮狙い 財政改革会議 郵貯剰余金補てん(朝日)
  ■旧国鉄債務 元本返済は迷走 借り換えより本格処理を(朝日)
  ■ATS切断と信号誤認 大月駅事故 回送運転士二重ミス(朝日)
  ■声 JRダイヤ改正は「安全第一」を優先 JR西日本神戸支社 総務企画課長 難波 克興(朝日)
31日■山陽電鉄が1路線減 明石海峡大橋バス(朝日)



1日■地下鉄東西線 12日に発車 京の新動脈 待望の発車
 京都市を東西に貫く地下鉄東西線(醍醐−二条間、12.7`)が、12日開業する。起終点が24分で結ばれるほか、沿線5ヵ所で進行中の再開発事業が地域経済やまちづくりへ及ぼす効果も期待されている。完成予定が3年遅れ、建設事業費も大幅に膨れ上がった東西線は、京都の新動脈として、いよいよ走り出す。
 東西線は、市中心部のJR二条駅(中京区)と南東部の醍醐(伏見区)を結び、起終点も含め13の駅が設置される。現在の烏丸線より一回り小型の車両を使用し、6両編成で1日120往復(平日)する。
 これまで、バス乗り継ぎで1時間以上もかかっていた醍醐−二条間が3分の1になるなど、市内移動の時間距離は大幅に短縮する。
 各駅のホームには、電車扉の開閉に連動して作動する転落防止用のドアが設置され、安全対策にも配慮されている。
 また、途中の御陵−京都市役所前間は、京阪電鉄が4両編成で浜大津から83往復乗り入れ、京阪京津線の三条−御陵間は11日限りで廃止される。
 東西線は1989年11月に起工。平安建都1200年に当たる94年の完成を目指していたが、相次ぐ工法変更などで工期が遅れ、建設事業費も当初予定の約2倍の4537億円になった。
 一方、沿線の醍醐、山科駅前、三条京阪、御池、二条駅前では、関連プロジェクトとして再開発事業が進んでおり、このうち御池には、京都で2番目の地下街「ゼスト御池」が今月4日オープンする。
 残る4事業も、98−2000年度までの順次完成を目指しており、新しいまちづくりの論議や、進出する商業施設同士の激しい競争も予想される。
 東西線開業式典は11日午前9時半から、市役所前駅コンコースで開催。12日は始発電車の発車に合わせ、醍醐、二条両駅で出発式が行われる。(京都新聞)
■青い地球へ 12月に温暖化防止京都会議 広がる環境NGO 32 東京からアーストレイン 公共交通活用社会を目指し
 私たちは、出発時間や目的地までのルートを自由自在に選べるという長所ゆえに、自動車を使って多くの人や貨物を運んできました。また、自動車産業の発展は、関連産業の発展につながりました。しかし、こうして伸びてきた自動車への依存がいま人間生活を脅かしている現実にも、私たちは目を向ける必要があります。
 地球温暖化の原因となる二酸化炭素のわが国における排出は「環境白書」によると全体の20%が運輸部門を発生源としており、このうち87%が自動車(44%が乗用車、41%が貨物車でバスは2%弱)による、と報告されています。自動車への過度の依存を改め、鉄道やバスなど公共交通機関を可能な限り活用すれば、二酸化炭素排出の大幅な削減が可能になります。
 11月29日に、東京・品川から京都まで在来線経由で「アーストレイン」が走ります。関東地方から京都会議やその関連行事に参加する市民団体、環境NGOそして個人が、団体貸し切り列車の利用を通じて地球温暖化防止に最も適した交通体系である鉄道など公共交通機関の利用促進を呼びかけます。
 地球環境に親しむ「エコ・ツーリズム」といえば、一般的には世界的に貴重な自然遺産を訪ねる旅を指すことが多いですが、真の「エコ・ツーリズム」とは、低公害・省資源の交通を選ぶことではないでしょうか。「アーストレイン」は、市民が真の「エコ・ツーリズム」を求め、マイカー普及で忘れられた鉄道旅行の楽しさを再び認識し、利用者の視点で公共交通の活性化について考えます。また、長時間の在来線利用という機会を生かして、車内で参加団体と個人相互の親ぼくを深め、京都会議と関連行事を盛り上げていきたいと思います。
 「アーストレイン」を契機として、市民の公共交通機関の活用に向けた意思が表明できれば「経営悪化」から「運賃値上げ」、そして「乗客減」と悪循環を続ける鉄道やバス業界の消極的な営業姿勢を変えていく力となるでしょう。この力によって、一日も早く「クルマ優先社会」から「公共交通活用型社会」への転換が行われることを望んでいます。(アーストレイン実行委員会 斎藤基雄)
 アーストレインの連絡先は、斎藤さん 0467(47)5998。(京都新聞)
■京阪坂本駅 モダン駅舎デビュー 石畳、石垣の駅前広場も
 京阪電鉄坂本駅の新しい駅舎と駅前広場整備の完工式が30日、大津市坂本四丁目の現地で、山田豊三郎市長ら関係者70人が出席して行われた。9月19日に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された坂本地区の玄関口にあたり、山田市長は「歴史と日常生活の調和を図りながら、地元と連携して坂本地区の町づくりにまい進したい」とあいさつした。
 新しい駅舎は、旧坂本駅の南30bの場所に建てられ、大屋根のあるモダンな駅舎に生まれ変わった。跡地の800平方bには石畳、穴太衆積みの石垣の広場を整備した。同時に、京阪・石山坂本線の穴太−坂本間の複線化も完成した。
 複線化に関連して、大津市は沿線の松の馬場駅駐輪場の改築や踏切の拡幅、市道改良、河川改修などを進めてきた。駅前整備も含め総工費は6億8000万円。
 京阪電鉄は複線化に伴い近江神宮前−坂本間で上り5本、下り6本の増発を決定。京都市の地下鉄東西線が開通する12日のダイヤ改正と同時に実施する。
 完工式には、比叡山延暦寺の僧りょや地元の観光団体、自治会代表らも出席し、谷正男・坂本学区自治連合会長が「私たち住民も坂本独自の歴史を守り育て、国際化時代にふさわしいまちづくりを進めたい」と、地元の決意を表明した。(京都新聞)
■JRと信楽鉄道 連絡不備明らか 大津地裁 裁判長、異例の見解
 1991年5月の信楽高原鉄道事故で業務上過失致死罪に問われた元同鉄道社員3人の第43回公判が30日、大津地裁であり、安原浩裁判長が「JRと信楽鉄道間の連絡・協議不足は明らか」などと、主要な事実関係についての現時点での見解を述べた。証拠調べが多岐にわたったことから、争点を整理するのが目的で、公判途中で裁判長がこうした形で見解を述べるのは珍しい。
 これまで、弁護側はJRが優先てこの設置を明らかにしていなかったことや、JR・高原鉄道両社の連絡体制、指導教育の不備などを挙げ、事故の一因として現場担当者をとりまく構造的要因を主張していた。
 この日の見解で、安原裁判長は「方向優先てこの設置や操作に関する両社間の連絡・協議、指導教育などが不十分であったことは事実関係として明らか」として、弁護側が事故の背景として主張している事実を一部認めた。しかし、これらの事実が3人の過失に影響を与えたかどうかについては「今後の評価の問題」とした。(京都新聞)
■奥比良登山と温泉への足に 朽木村へ16日から乗り入れ 京都バス
 温泉人気で京都方面からの観光客が増えている滋賀県高島郡朽木村に京都バス(本社・京都市)が16日から乗り入れることになり、京都市街と村が初めて路線バスで直結される。
 奥比良登山の貴重な足としても期待され、京都バスは1日から、蛇谷ケ峰登山と温泉入浴をセットにした開通記念イベン卜の参加者を募集している。
 これまで京都バスは京都・出町柳−大津・梅ノ木間を1日2往複。乗客の約8割は比良山系の主峰・武奈ケ岳などへの登山者が占める「登山バス」となっていた。
 16日からは、この2往復が村の中心地の「学校前」まで12`路線延長される。ダイヤは出町柳発が午前7時45分と午後2時55分。朽木発が午前9時半と午後5時。所要時間は1時間24分。料金は京都朽木間が片道1400円。
 朽木村では病院通いなど京都へ出る村民も多い。また、一昨年に開業したくつき温泉「てんくう」の人気が高く、京都からの客も増えた。このため、村は京都からの路線バス乗り入れを強く要望していた。開通イベントは16日に行われる。参加費は2500円。申し込み、問い合わせは京都バス営業課 075(871)7521へ。(京都新聞)
■信楽高原鉄道事故 JRの責任認める見解 大津地裁 信号装置変更巡り
 1991年に起きた信楽高原鉄道事故で、業務上過失致死傷罪に問われている信楽高原鉄道の元社員ら3人に対する公判が30日、大津地裁であった。安原浩裁判長は「判決の認定事実として最終的に確定するものではない」と断ったうえで、「JR西日本が(事故原因ともなる)信号システムの変更を、信楽高原鉄道と連絡・協議したという十分な証拠はなかった」とし、JR西日本にも事故責任があると主張する被告側の主張を間接的な表現ながら認める見解を明らかにした。同事故では、犠牲者の遺族らがJR西日本と同鉄道を相手取って損害賠償を求める裁判を起こしており、遺族側の弁護士は「裁判への影響も大きい」としている。
 この事故は91年5月に滋賀県甲賀郡信楽町で、信楽高原鉄道の列車とJR西日本の列車が衝突。死者42人、重軽傷者約600人を出した。大津地検は92年12月、信楽高原鉄道の元社員ら3人を起訴。一方で、業務上過失致死傷容疑などで書類送検されたJR西日本の運転士と、業務上過失往来危険罪で刑事告訴された同社の幹部ら6人を不起訴処分にしている。
 安原裁判長は、。@JR西日本が、JR列車を優先的に発車させる信号装置「方向優先てこ」を設置。この装置により、事故の原因となる信号異常が起きたが、この信号システムの変更について両社の担当者間で連絡・協議があったことを示す十分な証拠はなかったAJR草津線から信楽高原鉄道へ乗り入れる運転士や車掌らに対し、適切な指導教育・訓練をしていなかった−ことなどを挙げ、「事故原因は、被告の弁護人らが主張する事実関係を認めるのが相当」としている。
 JR西日本広報室は「公判に出席しておらず、事実関係が把握できていないのでコメントできない」としている。(朝日新聞)
■早くこいこい超特急 長野新幹線きょう開業 延伸望む北陸地方
 長野新幹線開業前夜の30日、群馬県と長野県をつないでいたJR信越線の「峠越え列車」が姿を消した。長い歴史を引き継ぐ新幹線に、沿線では東京への通勤客をあて込む宅地開発も進んでいる。しかし、「北陸新幹線」の地元では、今後に期待をつなぐ声が聞かれた。
●歓迎ムード
 長野冬季五輪を機に急ピッチで進んだ新幹線。長野市内はこの2年間で大型ホテルが五つ立ち、さらに2つが建設中だ。新幹線開業で、五輪後も観光客らの増加が見込まれるためだ。
 東京駅まで新幹線で1時間圏内となる軽井沢駅前の不動産業者には、半年前から物件の問い合わせが増えてきた。新幹線通勤を前提に住宅を探す人たちだという。JR東日本も新駅となる群馬県安中市の安中榛名駅前に、約900戸の住宅団地を計画中だ。
 だが、首をかしげる住民も少なくない。安中榛名駅駅舎は市街地から離れた山の中。群馬県は新幹線建設のために200億円以上を負担し、その代償としてできた駅だ。停車本数は上下各9本と、全国の新幹線駅で最も少ない。
●冷静な反応
 日本海側を通って東京−大阪間を結ぶ構想の北陸新幹線だが、今回の開通でつながったのは、五輪に後押しされた東京−長野間だけ。財政改革が急務の折、整備新幹線着工には批判が強く、長野より先では、金沢−石動間など2区間で、在来線と線路の幅が同じ「スーパー特急」が着工しているにすぎない。
 北陸3県の温泉やバス会社などでつくる北陸観光協会(金沢市)の上口昌徳会長は「北陸新幹線の本来の目的は『裏日本』と呼ばれてきた地域の交通体系の整備で、北陸へつながらないと意味がない。『長野新幹線』と呼ばれることに疑問を感じる」と話す。
 福井県総合交通課は「まず、長野まで来たことを喜びたい。次の目標は長野−上越間の着工実現。日本海側に抜ければ全線開通の糸口になる」。石川県新幹線・交通政策課は「北陸新幹線の一区間が完成しただけ。淡々と受け止めている」と冷静だ。
・長野新幹線 全国新幹線鉄道整備法に基づき、整備計画が決定(1973年)した整備新幹線5路線の1つである北陸新幹線(東京−大阪)の一部区間。JR東日本は「北陸方面への乗客が誤って乗る恐れがある」として「北陸」を使わず、利用客には「長野行(ゆき)新幹線」と案内することを決めた。
 長野から先は、糸魚川−魚津間(約40`)、金沢−石動間(約24`)を除いて未着工。この2区間はレールの幅が在来線と同じ狭軌の「スーパー特急」方式。(朝日新聞)
■五輪の夢のせ「あさま」発車 長野新幹線が開業 東京まで最短1時間19分
 長野(北陸)新幹線「あさま」が1日、営業運転を始めた。東京−長野間は最速のノンストップの列車で1時間19分。これまでの特急に比べ約1時間半短縮される。フル規格の新幹線としては1982年の上越新幹線以来の開業となる。
 長野新幹線の建設は来年2月に開催される長野冬季五輪と連動しており、大会期間中、役員や観客輸送の柱として大きな役割を果たすとみられている。
 一番列車は長野駅からの上りが午前6時2分発のあさま500号。吉村午良長野県知事、藤井孝男運輸相、松田昌士JR東日本社長らが並んでテープカット、鉄道ファンの見守る中スタートした。
 東京駅でも運転士らに花束が贈られ、午前6時20分、下り一番のあさま501号が新たに完成したホームを発車した。
 「あさま」には東北新幹線に投入されているのと同じE2系車両を使用。8両編成で定員630人、最高速度は時速260`。
 東京−長野間のダイヤは定期列車が1日24往復で、運賃、特急料金(通常期)は片道計7970円。(京都新聞 夕刊)
■乗客は満員 あさま出発 長野新幹線開業
 長野新幹線が1日、開業した。最高時速260`の専用車両「あさま」(8両編成)が、東京−長野間222.4`を平均1時間37分で結ぶ。東京と長野の両駅では、JRや沿線自治体の関係者らが集まって、上り下りの一番列車の出発を祝った。
 通常期の1日の運転本数は東京−長野間が24往復、東京−軽井沢間が4往復となる。
 新幹線開業にあわせて完成したJR東京駅の新21番線ホームは1日早朝から、鉄道ファンらでごった返した。東京都目黒区の主婦柳川みどりさん(54)は「軽井沢の別荘に主人と2人で向かいます。新幹線ならあっという間に着き、便利になりますね」と話した。
 定刻の午前6時20分、満員の客を乗せた長野行き「あさま501号」は拍手とファンファーレに送られ、ホームを滑り出した。(朝日新聞 夕刊)
■くろしお鉄道 宿毛線が開業
 高知県西南部の宿毛市と中村市を結ぶ第三セクター・土佐くろしお鉄道宿毛線(23.6`)が1日、開業した。中村、宿毛の両駅で列車出発式があり、計画以来75年もかかった悲願達成に地元は沸き返った。
 旧国鉄時代の1922年(大正11年)に中村市と愛媛県宇和島市をつなぐ路線として建設予定線になった。しかし、工事実施計画が運輸大臣に認可されるのは半世紀もたった72年。74年から工事が始まったが、国鉄再建のあおりを受け、工事は中断。86年に高知県や沿線自治体、企業が出資して第三セクターを設立して工事を再開、やっと開業にこぎつけた。
 1日往復36本の列車を運行する。宿毛から高知行きの特急などは、中村駅から窪川駅(高知県窪川町)まで土佐くろしお鉄道中村線を通り、窪川駅からはJR土讃線に乗り入れる。特急は上下6本ずつで、宿毛駅から高知駅まで約2時間、岡山駅まで約4時間20分余りになる。
 宿毛駅では午前11時から列車出発式があり、開業を祝った。(朝日新聞 夕刊)
2日■京都市敬老パス 山科・醍醐地区の京阪バスも利用可 東西線開業で市バスから移管
 京都市は1日、地下鉄東西線開業に伴って市バスから移管する山科・醍醐地域の京阪バスでも、従来どおり敬老乗車証と福祉乗車証が使用できることを明らかにした。
 同市によると、乗車証が使えるのは京都市内の山科・醍醐方面を運行する28系統の京阪バス路線の京都市域内と宇治市域を通過する京阪六地蔵駅前行きの路線。
 また、京阪電車の乗り入れ区間となる東西線の御陵駅−市役所前駅間も使用できるが、御陵駅以東の京阪の乗車は別途運賃が必要。このため、東西線の御陵−山科間は、市営地下鉄の車両には敬老乗車証で乗車できるが、京阪電車の車両に乗る場合は別に運賃が必要になる。
 今回の措置で、京都市は京阪バスに対し本年度分の経費約2億700万円を支払うことにしている。山科・醍醐地域の市バス路線(13系統)は、東西線開業とともに廃止され、京阪バスに運行が引き継がれる。(京都新聞)
■路線縮小やめ市民の足守れ 市民団体が要望書
 京都市の地下鉄東西線開業に伴う沿線の市バス路線再編について、市民団体「市民の足を守る連絡会」(山口陽二事務局長)は1日、市民に便利な路線の確保を求める5項目の要望喜を市交通局に提出した。
 要望書では、路線縮小やバス路線の民営化を改め、積極的な営業施策で市民の足を守る▽授産施設への通所など福祉にかかわる路線とダイヤを十分確保する▽民営化後の運営に関する利用者との協議に責任を持って対応する−など5項目を求めている。
 同連絡会は、路線再編問題に取り組んでいる市内の14の市民団体で構成し、先月発足した。今月12日の東西線開業で、山科・醍醐地区の市バス路線が民間バスに移管されることなどから、要望した。(京都新聞)
■廃車の80形 雄姿ビデオに 東西線開通で京阪電鉄
 京阪電鉄は、12日の京都市営地下鉄東西線の開通に伴い、廃車になる80形や260形車両の雄姿や沿線風景を収めたメモリアルビデオ「京阪電車80形車両の記録 京津線の想いで」を製作、1日から発売した。
 大正元年以来、京都−大津を結ぶ郊外電車として親しまれてきた京阪電車京津線は、地下鉄東西線の開通に合わせ、京都三条−御陵間が廃止になる。代わって、京津線では、新造の800系車両が東西線に乗り入れ運転を開始し、その陰で80形や260形車両が廃車になる。
 定価は4500円(税込み、約60分)。1日から京阪電車各駅の売店、沿線書店などで販売している。問い合わせは京阪エージェンシー京都営業所ビデオ係 075(531)5171まで。(京都新聞)
■地下鉄東西線開業を前に 懐かしのバスや電車 写真で 下京図書館などで記念展スタート 明治、昭和の市電グッズも 車掌の制服、かばんや運賃表
 12日の地下鉄東西線開業を前に、市内の公共施設などで1日、東西線開業を記念した交通関連のパネル展示会が始まった。開業後は姿を消す醍醐地区の市バスや、かつて都大路をさっそうと走った市電の写真や関連グッズが展示されており、訪れた人は懐かしさとともに、新動脈への期待を膨らませている。
 下京区の下京図書館では「地下鉄開業記念特設コーナー」(31日まで)を開催。1903年に日本で初めて走った東京のバスをはじめ、戦前の市バスや電線に沿って走るトロリーバスなど、レトロ感いっばいの白黒写真が約20点飾られている。
 また、明治と昭和時代に使用された京都の市電の車掌の3種類の制服、運賃表、女性車掌が用いたかばんなども展示。訪れた児童らが「かっこいい制服を着ていたんだ」としっかりと見つめていた。
 このほか、伏見区の醍醐支所では「ふれあい醍醐」と題して、醍醐住民から寄せられた走行中の市バスなどの写真を展示(9日まで)。上京区の堀川商店街でも「ほり川祭」の一環として市電や世界各都市の地下鉄を写した写真展(4日まで)を開いている。(京都新聞)
■二条、花園駅舎と高架橋「グッドデザイン」に 京風ドームと屋根評価
 JR山陰線の二条、花園両駅舎と、その間の高架橋約4`が、通産省の1997年度「グッドデザイン」施設部門に選定され、「デザインの日」の1日、東京都千代田区内で開かれた記念式典でGマークが授与された。
 グッドデザインは、優れたデザインを社会的に認め、生活の質の向上を図ろうと部門別に1957年からスタート。施設部門は、94年から設けられた。
 二条駅は、京の庭園の編笠門を表現した木製の大型ドーム(南北約60b、東西約28b)が評価され、花園駅は京町家の「甍(いらか)」をイメージした屋根のデザインが認められた。高架橋は、橋脚部分をだ円形にしたり、左大文字の見える西大路通をまたぐ橋下部に竹垣の模様をほどこして、視覚をやわらげている点が認められた。
 両駅と高架橋は、国と京都市、京都府の補助による連続立体交差化事業で、JR西日本が建設。二条−花園間には、妙心寺や双ケ丘など歴史的な風情と京町家も残っている。グッドデザインに選ばれた府内の駅施設は、昨年の京阪電鉄宇治駅に次いで2番目。(京都新聞)
■旧国鉄債務 来月末には処理策決定 改革会議委が合意
 与党三党の政策担当者らが参加する財政構造改革会議企画委員会が1日、官邸で開かれ、約28兆円にもなる旧国鉄債務の処理問題について本格的な論議が始まった。1998年度の予算編成に間に合わせるため、11月末までに国民負担のあり方を示す処理策をまとめることで合意したが、債務返済に充てる財源として浮上している総合交通税の創設やJR各社への追加負担には反対も強い。鉄道利用税など新税導入は容易ではなく、論議は難航が必至だ。(朝日新聞)
■列車爆弾テロ 30数人死傷 インド・邦人客も
 【ニューデリー2日共同】インドの首都ニューデリーに近いウッタルプラデシュ州のガジアバード駅に到着しようとしていた急行列車内で1日午後9時(日本時間2日午前零時半)ごろ、複数の爆弾が爆発し、少なくとも乗客2人が死亡、30数人が負傷した。
 在ニューデリー日本大使館などによると、負傷者の中には日本人旅行者の加治屋芳久さん(46)=鹿児島市和田=が含まれている。加治屋さんは顔などに切り傷を負い、ガジアバード市内の病院に収容されたが、生命に別条はないという。(京都新聞 夕刊)
■インド 列車で爆弾テロ 37人死傷 日本人も1人けが
 【ニューデリー支局2日】ニューデリー近郊を走行中の列車で1日夜、爆弾3個が爆発し、警察当局などによると、2人が死亡、少なくとも35人が負傷した。在インド日本大使館などによると、負傷者の中に、旅行中だった鹿児島市の加治屋芳久さん(46)が含まれており、ニューデリーの東約25`のガジアバード市内の病院に収容された。顔などにけがをしているが、生命に別条はないという。
 列車はインド西部のボンベイからニューデリーを経由して北部のアムリツァルに向かう途中で、ガジアバード駅に近づいた時、爆発が起きた。事件後、警察は同駅近辺を封鎖している。
 ニューデリー市内では、この数時間前に市場で爆弾2個が爆発し、20数人が負傷する事件があった。PTI通信によると、市場の爆発については、シーク教徒の組織を名乗る者から同通信に、犯行を認める電話があったという。(朝日新聞 夕刊)
3日■阪急電鉄早期退職 優遇 45歳以上に 付加金 最大で年収の2倍
 阪急電鉄は2日、一般職員向けの早期退職者優遇制度の対象年齢を現行の50歳以上から45歳以上に引き下げると発表した。退職金に最大で年収の2倍の付加金をプラスする制度で、対象人員は約2000人。今月1日付から実施する。
 新制度の付加金は、最も若い45歳の退職者には年収の200%、それ以降58歳まではかけ率が1歳刻みで10%づつ小さくする。45歳モデルで退職金に付加金を加えた総支給額は約3000万円になる。
 同社の早期退職者優遇制度は81年に制度化され、これまで180人が適用を受けた。付加金は50−55歳が一律300万円、56−58歳が同200万円だった。(京都新聞)
■旧国鉄債務処理 来年度予算の焦点に 責任論の行方不透明
 国鉄がJRに生まれ変わって10年。先送りされてきた約28兆円に達する長期債務の処理が来年度予算編成の大きな焦点になっている。政府・与党の財政構造改革会議(議長・橋本龍太郎首相)は11月末までに抜本処理策を決めるというが、債務が膨らんだ責任はどこにあるのか、債務返済の財源はどう確保するのか。明らかにすべき課題は多い。最終的な国民負担は住専問題をはるかに超える見込みで、論議の行方によっては国民の強い反発も予想され、政権を揺るがす問題に発展する可能性もある。
 旧国鉄債務問題を検討する財政構造改革会議の企画委員会が1日に1回目の会合を開いた。JR負担や減税特典をつけた無利子国債などの財源論が盛んだったが、肝心なのは債務が膨張した原因の分析と責任の所在だ。それによって負担のあり方も変わるからだ。しかし、同会議メンバーである政治家は、国鉄問題の当事者で自らの責任論に踏み込めるかは不透明だ。
 「28兆円の債務が残っている。国鉄民営化は失敗だったと国民に呼びかけるべきではないか」(及川一夫・社民党政審会長)
 「国鉄時代には毎年6000億円もの補助金が必要だったが、現在のJRは自立して、法人税も納めている。国鉄の民営化は成果を上げている」(三塚博蔵相)
 1日の企画委員会で最も意見が対立したのが、1987年4月の国鉄民営化の評価だった。三塚蔵相の発言には、財政当局を代表する立場より、民営化を決めた「元運輸相」としての顔がにじむものだった。
 三塚蔵相は85年12月に運輸相に就任し、国鉄民営化の準備を進めた。その後を引き継ぎ、87年4月のJRの誕生に運輸相として立ち会ったのは橋本龍太郎首相だ。財政構造改革会議には、当時首相だった中曽根康弘氏、蔵相だった竹下登氏らも名を連ねる。
 もともと、国鉄債務が膨張した責任も政治にある。国鉄の予算や運賃も運輸省の了解のもとに国会が決める仕組みだった。実際、経営改善のための運賃値上げは何度となく国会で否決された。採算が取れないような赤字路線を地方に引かせたのも、また政治だ。今でも整備新幹線の建設は明確には凍結されていない。
 財源論について、すでに与党内の議論で10の選択肢が浮上している。だが、いくらアイデアが豊富でも、責任論を踏まえたものでなけれは意味がない。
・道路特定財源使う 債務処理には反対 建設事務次官
 建設省の伴襄事務次官は2日の記者会見で、旧国鉄長期債務処理の財源の一部に道路特定財源をあてるべきだとする意見が政府・与党内から出ていることについて「来年の新しい道路整備5ヵ年計画にリンクさせるため、道路特定財源の暫定税率を維持する税制改正も要求している。道路や道路関係にあてないと納税者の納得を得られない。まだ道路の国民需要はあり、ほかに回す余裕はない」と述べ、建設省としては反対していく意向を示した。(朝日新聞)
■リニアモーターカー 時速451` 有人走行で世界最速
 JR東海と鉄道総合技術研究所(鉄道総研)が開発を進めているリニアモーターカーの山梨実験線(山梨県大月市−都留市)で3日午前、人が乗車して浮上走行中の車両が、リニアモーターカーとして世界最速の時速451`を記録した。この記録は有人走行の鉄道として国内での最速にも当たる。
 これまでの世界記録は、ドイツで開発が進められている「トランスラピッド」が1993年6月に出した時速450`。鉄道としての日本記録は新幹線の試験車両が96年7月に出した443`だった。(京都新聞 夕刊)
■リニア国内有人最速の451`
 JR東海と鉄道総合技術研究所は3日、山梨県で実験を進めている超伝導磁気浮上式リニアモーターカーが、同日午前中の有人定行試験で時速451`を記録したと発表した。
 東海道新幹線京都−米原間で昨年7月、JR東海の試験車両「300X」が記録した時速443`を上回り、鉄道での有人走行の国内最高時速となった。
 JR東海は、年内に時速500`、来年3月末までに世界最高の時速550`走行を達成する計画だ。(朝日新聞 夕刊)
4日■1割近く売れ残り JR東海株 売却収入は4859億円
 国鉄清算事業団は3日、今月8日に東京証券取引所などに上場予定のJR東海株の入札、一般売り出し結果を発表した。今回の総売却株数150万株に対して9.7%が売れ残った。売却収入は約4859億円で、国鉄清算事業団が抱える28兆1000億円(今年4月時点)の旧国鉄長期債務の1997年度の処理財源に充てられる。
 1割近く売れ残った背景には、低迷する株式市場があるとみられる。内訳は、入札分の70万株は全部売れたが、80万株の一般売り出し分では、3.7倍の申し込みがあったものの、実際に購入して代金が払い込まれたのは約65万株にとどまり、18.3%が売れ残った。今回の売れ残り分は、2次売却に回される。
 売れ残りが出たことについて運輸省は「すべて売れるのが長期債務の処理財源確保の点で理想だが、仕方ない」(鉄道局)としている。
 昨年10月に上場したJR西日本株の場合は、170万株の売却株数に対して実際に売れたのは全体の80.3%にとどまっており、JR東海株の方が人気は高かった。JR東海株の一般売り出し価格は35万9000円。清算事業団は、1997年度内にJR東日本株の2次売却も予定している。(京都新聞)
■地下鉄東西線に伴う市バス新ダイヤ発表 京都市交通局 17系統 432往復を削除 競合路線・京阪バス移管は12日から運行
 京都市交通局は3日、地下鉄東西線開業に伴って再編成する市バスの新しいダイヤを発表した。東西線と競合する山科、醍醐地域の運行が京阪バスに移管されることなどから、全体で17系統、432往復の削減となる。12日から新ダイヤで運行される。
 今回のダイヤ改正は、地下鉄東西線と、6月の烏丸線北々伸(北山−国際会館)に伴い、市内東部と北部を中心に、運行系統や本数を見直した。21系統を廃止、26系統で運行本数を減らした半面、4系統を新設した。変更後は69系4595往復に再編される。
 このうち、東部の山科、醍醐地域では、現行の12系統を廃止して京阪バスに移管する。京阪バスでは、運行系統を41から28に再編成するが、運転本数は98往復増やし、443往復とした。
 北部方面では、岩倉などと市中心部を結ぶ3系統を廃止したほか、4系統で本数を減らしている。
 一方、新設されるのは次の4系統。▽観光系統101号(京都駅前−北野天満宮−金閣寺道−京都駅前)▽快速系統205号(九条車庫前−京都駅前−四条河原町−北大路バスターミナル)▽循環系統北8号(北山通・北大路通循環)と南8号(竹田・桃山循環)▽20号系統(新羽束師橋・宮前橋循環)
 交通局では、新ダイヤについて中京区の交通局案内所 075(801)2561などで案内する。(京都新聞)
■市長賞JR二条駅など9点 京都市都市景観賞決まる 優れた空間創出 来月、表彰と見学会
 京都市は3日、第5回市都市景観賞の受賞作品を発表した。市長賞に、木材の材質感を生かした曲線の大屋根が特徴のJR二条駅など建築物六点、緑地広場2点、土木工作物1点の計9点が選ばれた。入選作には、建築物5点、土木工作物2点、屋外広告物1点の計8点が決まった。11月下旬に表彰式と見学会を予定している。
 同賞は1989年から隔年で実施。京都の自然や伝統的な環境に適した優れた都市景観をつくり出している建築物、緑地広場、土木工作物、屋外広告物を対象に、同賞審査委員会(委員長・伊東一信京都教育大名誉教授)が審査。今回は、74点の応募があった。
 市長賞の小堀京仏具工房(山科区西野山百々町)は、ふんだんな植栽とこう配屋根で背景の東山の緑と調和。梅小路公園内の「朱雀の庭」(下京区観喜寺町)は、京の庭師の造園技術を駆使して、静寂で美しい空間をつくり出したことが評価された。
 そのほかの市長賞、入選作は次の通り。
 ◇市長賞 【建築物】龍谷大大宮学会(下京区七条通東入大工町)▽私立学校教職員共済組合京都会館「京都ガーデンパレス」(上京区烏丸通下長者町上ル)▽市勧業館(左京区岡崎成勝寺町)▽村山造酢(東山区三条大橋東入三丁目)▽JR二条駅(中京区西ノ京栂尾町)【緑地広場】市立病院緑地(中京区壬生東高田町)【土木工作物】JR山陰本線連続立体交差「二条駅−花園駅間」(中京区壬生花井町−右京区太秦一ノ井町、延長約4.21`)
 ◇入選 【建築物】土井志ば漬本舗「志ば漬の里」本館(左京区八瀬花尻町)▽医療法人医仁会老人保健施設「いわやの里」(山科区大宅古海道町)▽渡月亭別館「松風閣」(右京区嵯峨中ノ島町)▽島田ビル(中京区西ノ京南上合町)▽梅小路蒸気機関車館=旧二条駅舎(下京区観喜寺町)【土木工作物】羽東師橋(伏見区羽東師鴨川町)▽来迎院携帯電話無線基地局(左京区大原来迎院町)【屋外広告物】堀場製作所本社事務棟(南区吉祥院宮ノ西町)(京都新聞)
■次世代新幹線700系車両が完成 イルカ思わす斬新なスタイル 99年春デビュー
 JR東海と西日本が共同で開発を進めていた次世代新幹線の「700系」車両が完成した。3日、浜松市の工場で報道陣に公開され、イルカを思わせる流線型の先頭車両など最新の技術を結集した斬(ざん)新なスタイルを初めて披露した。
 700系は、5年前から「のぞみ」号として営業運転を始めた300系車両の後継機種。コンピューター・シミュレーション技術の向上によって、先頭車両が空気抵抗の少ない理想的な形に設計されている。乗り心地がよく騒音も小さいのが、大きな特徴となっている。設計速度は時速290`。
 この日、公開されたのは、量産前の試作車1編成(16両)。優雅な姿とともに、従来の300系より天井で6.5a、通路で3a広がった開放的な車内が注目されていた。総工費は約40億円。今月下旬から京都−米原間などで試験走行を始め、1999年春にデビューする予定。(京都新聞)
■これは眺めえ−でん パノラマカーきょう登場
 叡山電鉄の出町柳−鞍馬間に4日から登場する新型パノラマカー「きらら」が3日、報道関係者に公開された。広々としたガラス窓から洛北の景色を一望でき、紅葉シーズンに向けて観光客らの人気を集めそうだ。
 パノラマカーは2両1編成で、製作費は総額2億5000万円。4日から出町柳−鞍馬間の普通ダイヤに組み込み、1日7−8往復走らせる。
 車内は、網だなやつり革を取り去り、天井付近まであるガラス窓から沿線風景を楽しめる。全29席が背もたれ付きのゆったりした設計で、2人掛けで外向きに座る「ロマンスシート」やミニテーブルを置いたチャット(おしゃべり)コーナーも設けた。
 同路線は、今年6月の地下鉄烏丸線の北々伸などで定期利用客が伸び悩んでおり、洛北の景観を生かしたパノラマカーで大阪、神戸からも行楽客を誘致したい、としている。
 4日午前10時から出町柳駅で発車式を行った後、1号列車が出発する。(京都新聞)
■「きらら」きょう発車 叡山電鉄 新車両900系窓向きに座席沿線景色を存分に
 叡山電鉄(本社・左京区)の新型車両の900系「きらら」が、4日から営業運転を始める。車体の側面をできるだけガラス窓で覆い、車内には窓へ向いた座席を設けたのが特徴。同社では「沿線の移り変わる景色を存分に満喫していただけたら」と話している。
 愛称の「きらら」は、修学院から比叡山に通じる登山道「雲母(きらら)坂」にちなんでつけた。
 車両は紅葉の色をイメージした赤と、土を示すベージュの2色の間に金色の帯を配したデザイン。また、紅葉をあしらったステッカーも出入り口の横につけた。
 座席は乗務員室に向かって右側に2列、左側が1列あるほか、外の景色が見やすいように1車両につき8人分、窓外へ向いた席もつくった。
 4日午前10時から、同電鉄出町柳駅で発車式がある。「きらら」のペーパークラフトを無料で配り、記念乗車券の発売もある。同駅と鞍馬駅の間を1日7、8往復する予定。(朝日新聞)
■乗務員送迎用バスほとんど利用者なし 大阪市交通局
 大阪市交通局がバス乗務員の通勤手段として、一部の営業所で運用している「送迎バス」がほとんど利用されず、1台あたりの利用人員がわずか平均4.4人だったことが3日、市監査委員の調査で分かった。50人乗りのバスが、最寄り駅で乗務員を1人も乗せないで営業所に戻ってくる日が、1ヵ月のうち12日あったケースも。指摘を受けた交通局は、乗務員のマイカー通勤が増えたのが低い利用実績につながったとみて、一部廃止を含めて改善策に乗り出す。
 調査によると、営業用バスを乗務員の送迎バスに転用していたのは、市内11の営業所のうち5ヵ所。交通手段が少ない早朝と深夜に、乗務員を最寄り駅まで送り迎えするのが目的で、計11台が使われていた。(朝日新聞)
■声 ローカル線の風景懐かしく 泉大津市 嶺 貴美恵(主婦 72歳)
 かれこれ10年以上も前になるが、私の古里・九州の、あるローカル線が赤字で廃線になると聞いて、昨年亡くなった父と訪れた。父は在りし日の母との思い出を、いま一度、目の奥にとどめたいと言った。季節は秋だったせいか、ひなびた駅々には、ススキ、コスモス、葉ゲイトウなどが、さくの間で静かに揺れ、ぬけるような青空と白い巻雲が忘れられない。
 先日のテレビで、長野新幹線の開通によって信越線が衰退することを取り上げていた。娘婿の実家が長野で、20年近く前、長野を訪れた際、車窓から眺めた風景を思い出した。薄紅色に染まった更埴市のアンズ畑。一時停車の折に婿が買ってくれた横川駅の釜(かま)めし。目をこらさないと分からないほど、細く立ちのぼっていた浅間山の煙。懐かしい。
 関東在住の娘一家に会うため、私は新幹線を利用するが、「のぞみ」には乗ったことはない。「ひかり」でも、窓外の景色はめまぐるしくて疲れる。富士山や伊吹山との出合いは心待ちするが、あとは空を見て鳥を追っている。
 新幹線は急ぐ旅での便利さは否めない半面、旅の楽しさからは離れた存在である。ローカル線の優しい「夢」は、文明の利器とともに消えてゆくのか。(朝日新聞)
■踏切内に女性 はねられ死亡 阪和線乱れる
 4日午前9時半ごろ、大阪府泉大津市東豊中二丁目、JR阪和線の第二豊中踏切(警報機、遮断機つき)で、近くに住む女性(76)が、京橋発関西空港行きの快速電車(8両編成)にはねられて即死した。JR西日本によると、この事故で14本が運休、14本の電車が最高26分遅れ、約3000人の乗客が影響を受けた。
 和泉署の調べでは、運転士が踏切内に人影を見つけてブレーキをかけたが間に合わなかったらしい。家族の話によると、女性は病気がちだったという。(朝日新聞 夕刊)
5日■京の新動脈 地下鉄東西線開業 1 「24分」 12.7`”夢”結ぶ 大きく変わる人の流れ
 京都市右京区嵯峨に住む会社員石地一雄さん(60)宅の台所にかかっているカレンダーは、10月の「12日」のところが赤丸で囲んである。
 勤務先が伏見区醍醐にある石地さんは午前7時20分には自宅を出て、近くのJR嵯峨嵐山駅で、すし詰めの電車に乗り込む。京都駅で乗り換え山科駅へ。そこから京阪バスに揺られて約半時間、8時40分ごろに、ようやく会社近くの醍醐高畑町のバス停に着く。自宅を出てから1時間20分かかったことになる。
 そろそろ長時間通勤が身にこたえる年齢になってきた石地さんにとって何よりのプレゼントが、今月12日に開業する京都市の地下鉄東西線だ。「乗り換えが二条駅での一回で済むし、通勤時間は半分になるのですよ」
 二条−醍醐間12.7`が、わずか「24分」でつながる。
 バスなどの乗り換えが面倒で、月にせいぜい1、2度ぐらいしか京都市内中心部に足を運ばないという醍醐高畑町の主婦山田明子さんは(34)は「京都市民なのに、四条河原町などへ行くと、『おのぼりさん』のような気分になってしまう。でもこれからは気軽に行けそう」とほほ笑む。
 開業が心待ちなのは、京都市民ばかりではない。
 枚方市から山科区大宅の京都橘女子大に通う中山明子さん(19)は「普通だと大学から三条京阪まで約30分ですが、雨の日や夕方には渋滞し、1時間以上もバスに揺られることはザラ」という。ところが、地下鉄が開通すると、最寄りの椥辻駅から三条京阪駅まで13分。「時間は正確だし、速い。友だちとも安心して約束できるし、ゆっくり買い物もできる」と心をはずませる。
 東西線の開業で人の動きは、確実に変わる。
 京都市交通局の試算では、東西線の1日の乗客数は15万6000人。地下鉄烏丸線の20万9000人より少ないが、JR、地下鉄烏丸線、京阪、京津線と連絡することで、市内中心部と、京都府北部、大阪、滋賀を結ぶ交通ネットワークが形成され、これまでにない多様な人の流れが生まれる。
 「京都の弱点だった都市内の鉄道の連結が大きく改善されて、京都の中の交通ネットワークが生き生きしてくる。それが都市の中の活動に対して大きなプラスの影響を及ぼすことになる」。中川大・京都大助教授(交通・都市計画)の分析だ。
 沿線の二条、京都市役所前、三条京阪、山科、醍醐では、まちづくりプロジェクトが進行している。人が集えるショッピングや娯楽施設なども整備し、地域の活性化を図ろうというのがねらい。京都市は「東西線は沿線の5大事業と相まって京都が躍進していくための基礎」(桝本頼兼市長)と沿線の拠点整備の重要性を説く。東西線とこれら拠点整備が京都再生につながるかどうかのカギは、東西線が生む新たな人の流れ、動きにある。
 もともと地下鉄東西線は1968年、市が路面電車廃止を打ち出したのに伴い計画された。それから29年。ようやく「夢」が実現する。もっとも、「24分」の代償である建設費4500億円の妥当性の問題は残るにしてもだ。
 開業まであと7日。長時間通勤の石地さん。カレンダーに付けた赤丸の「12日」を、はやる気持ちで待っている。
 人が動けば、まちも変わる。京都を貫く新たな動脈は、足の便を飛躍的に向上させ、まちづくりに計り知れないインパクトを与えるだろう。東西を結ぶレールに京都の夢と未来が託されている。(政経部 石川一郎、吉岡清、岡田康広、今口規子、社会部 渋谷哲也)(京都新聞)
■道場さん招き伏見の清酒PR 新京都駅ビル イベントに6000人
 伏見酒造組合(太田謙二理事長)は4日、京都市下京区のJR新京都駅ビルで「97伏見の清酒PRイベント」を催した。料理人・道場六三郎さんの創作料理の発表や、利き酒コーナーに、約6000人がつめかけた。
 イベントは、清酒の伝統や良さを知ってもらうのがねらい。この日は道場さんが、伏見の清酒の味に合わせて作った「洒のさかな」4品を発表した。また、京都府料理専修学校の学生30人の料理から、上位7品を選び「形じゃなくて心が大切」と講評した。
 利き酒コーナーには伏見の26社の清酒が並び、訪れた人たちは各社の清酒を飲み比べた。高槻市牧田町から夫婦で訪れたという船岡英二さん(65)は「伏見の清酒といっても、たくさんのメーカーがあるのですね。いろんな味が楽しめてよかった」と話していた。(京都新聞)
■男性飛び込み即死 阪急ダイヤ乱れる 西向日駅
 4日午後7時50分ごろ、向日市上値野町南開の阪急京都線西向日駅で、住所不定の男性(49)が同駅を通過しようとした梅田発河原町行き急行電車=鈴井克彦運転士、8両編成=に飛び込み、即死した。先頭車両のフロントガラスが割れたが、鈴井運転士のほか、乗客らにけがはなかった。
 この事故で、同電車が現場近くで25分間停車したあと桂駅で運転を打ち切ったほか、阪急京都線は上下計23本が最大37分から3分遅れ、行楽客や通勤客約8000人の足に影響が出た。
 向日町署では、この男性が上りホームから飛び込み自殺したものとみて調べている。(京都新聞)
6日■京の新動脈 地下鉄東西線開業 2 魅力ある街へ 醍醐のみ込む大波 将来像明確化が課題に
 「外環状線の開通は、醍醐に押し寄せた第一波だった。第二の波が東西線。しかも、今度の波は醍醐をのみ込みそう」。こう話すのは、京都市伏見区の醍醐10校区自治町内会連絡協議会長の村井信夫さん(58)。生まれも育ちも醍醐。それだけに、街の移り変わりをしっかり見つめてきた。
 醍醐は、桃山丘陵の東側に広がる人口約5万4000人のベッドタウン。昔から奈良、大津への交通の要衝で、豊臣秀吉の花見で名高い醍醐寺や日野の裸踊りで知られる法界寺など名所旧跡が多い。
 そんな醍醐が、東西線の工事が始まった1990年以降、著しい変ぼうを見せている。
 完成後の建物検査を担当する伏見消防署員の宮岸稔さん(41)は「ここ数年、醍醐地域に足を運ぶ回数がぐっと増えた」と実感を込める。残っていた水田は、次々と埋め立てられ、マンションや一戸建て住宅が建ち並ぶ。
 京都市の調査では、木造住宅の新築は、93年度には約110棟だったのが、昨年度は倍以上の約260棟という増え方。「地下鉄東西線 最寄り駅まで徒歩10分」と、不動産広告には必ずといってよいほど「東西線」の文字が入る。
 京都市も東西線の起終点である醍醐駅周辺で、中高層住宅など1400戸を建設中。中核施設は今春にオープンした「パセオ・タイゴロー」。スーパー、図書館、体育館などを備え、地下鉄駅と一体になった複合施設だ。
 こうした地域の変化に合わせて、住民の間にも新しい動きが出てきた。
 今年8月、村井さんら自治会役員6人が京都市役所を訪れ、要望書を出した。「京都大学の第三キャンパスを桃山丘陵へ移転するよう大学側に積極的に働きかけてほしい」。京大が醍醐に隣接する桃山丘陵にくれば、全国的に注目されるうえ、若い人が増えて、街も大いに活気づく。
 京大の京都市域外への移転に危機感を募らせる京都市も思いは同じ。市総合企画局の成瀬英夫理事は「桃山丘陵はJR、京阪に加え、東西線の開通で交通の便は最高になる。京大キャンパスは、丘陵で隔てた醍醐と伏見市街地を一体化させる」と、住民の要望を受け止め、京大の桃山移転を期待する。
 さらに地元では、観光を軸に「醍醐」を内外にPRしていくためのガイドブックの作製をするほか、東西線開業に合わせて「観光協会」も設立される運びになっている。
 しかし、住民からは「醍醐がどうなるのか。将来の姿が見えてこない」「東西線が六地蔵まで伸びれば、醍醐は単なる通過駅になる」「このままでは何の特色もないベッドタウンになってしまう」の声も。
 実際、京都市にしても、住民たちにしても、醍醐の将来ビジョンを明確に打ち出せていない。現在、市が進めている住宅建設などのまちづくり事業が、どれほどの経済、財政効果があるのか、その試算さえされていない。
 行政の怠慢、とかたづけるの簡単だが、まちづくりの主役はあくまで住民。村井さんは「住民一人ひとりが問題意識をもって、魅力あるまちづくりを考える時期がきた」と指摘する。
 東西線開業という大きな波にのみ込まれるか。それとも、個性ある魅力あふれるまちとして再生させるのか。東西線は、大きな課題を醍醐の住民に運んで来たようだ。(京都新聞)
■車内は狭いけど速さが魅力 ”24分の旅”満喫 東西線試乗会 市民12000人
 12日に開業する地下鉄東西線の試乗会が5日に行われ、事前に応募した市民約1万2000人が京都の新しい大動脈の乗り心地を一足早く体験した。
 試乗会は、二条−醍醐間をわずか24分で結び、扉を電車とホームの二重ドアにした東西線の便利さや安全さを市民に知ってもらうのを目的に催した。
 二条駅では、午前10時過ぎ発の「試乗一番列車」に乗ろうと、300人以上の市民が集まった。途中駅で客が次々と乗り込み満員状態となった車内では、市民が紫色のシートの座り心地を楽しんだり、つり革につかまりながら、真新しい車内の写真撮影をしていた。
 二条から醍醐まで乗車した北区の鞍谷嘉彦さん(61)は「カーブが多くて少し揺れる。車内も狭いが、あっという間に醍醐に着く速さは魅力的です。どんどん利用したい」と開業を心待ちにしていた。(京都新聞)
■初乗り楽しんだ12000人 地下鉄東西線で試乗会 「ホームドアで安心」
 京都市などが建設を進めていた地下鉄東西線(二条−醍醐間、12.7`)の開業を前に、5日開かれた試乗会には、事前に応募した約1万2000人の市民らが参加して、ホームドアが設置された駅や新車両を堪能した。東西線は建設費増大や開業の遅れなどで市の財政を圧迫したが、着工から8年で営業運転にたどり着いた。12日から営業運転が始まる。
 烏丸御地駅から子ども2人と乗った中京区の主婦中川むつ美さん(37)は「小学生の子どもが通学に使うのでホームドアは安心です。大津に買い物に行くのにも便利になる。乗り心地もよかった」と話した。
 醍醐駅から夫婦で試乗した伏見区の会社員馬場晃市さん(30)は「勤務先の西大路まで、地下鉄を乗り継いで行けるようになる。時間も半分の30分で、だいぶ楽になる」しかし、同じ醍醐駅から乗った伏見区の主婦郡美穂さん(26)は「三条や四条の市中心部に行くのは便利だが、市バスがなくなるので、醍醐駅まで出るのが不便になる」と話した。
 東西線の各駅に設置されたホームドアは、地下鉄では東京の営団地下鉄南北線に次いで2番目。乗客の転落防止や車両との接触事故を防ぐだけでなく、騒音や列車風を抑える効果もあるという。地下鉄には自動列車運転装置(ATO)が導入され、ワンマン運転で運行される。
 東西線は建設費が当初の2倍近い約4600億円に増大し、開業も当初の予定より3年遅れた。(朝日新聞)
■京都・東西線に試乗 12000人が楽しむ
 12日に開業する京都市営地下鉄東西線(伏見区・醍醐−中京区・二条、12.7`)の試乗会が5日開かれ、約1万2000人がひと足早く乗り心地を楽しんだ。開業に向けて9月末からダイヤ通りに運行している車両を市民に開放したもので、車内の座席は事前に応募した沿線のお年寄りや親子連れらで埋まった。
 地下鉄東西線は醍醐駅と二条駅を24分で結び、途中の御陵駅から京都市役所前駅までは京阪京津線も乗り入れる。13駅すべてに線路とホームを隔てる「ホームドア」が設置されているのが特徴。醍醐駅から二条駅まで乗車した伏見区の会社員郡勝美さん(30)は「四条河原町の買い物が便利になります」と話していた。(朝日新聞)
7日■京の新動脈 地下鉄東西線開業 3 都市の再生 一極から多極型へ 地域の個性どうつなぐ
 真新しいフロアに大勢の買い物客が行き交う。東京や大阪から初めて京都に出店したファッション、化粧品の店舗には、若い女性らが引きも切らない。4日にオープンした地下街「ゼスト御池」。その下は大駐車場と地下鉄東西線の京都市役所前駅だ。
 御池地下街建設は、京都市が地下鉄東西線沿線に整備を進めている五大プロジェクトの一つ。
 このほかのプロジェクトとして、JR二条駅前の映画館やハイテクを駆使した娯楽設備を持った複合型文化施設の建設、三条京阪の新しいターミナル拠点整備、山科駅前の「東の玄関口」としての都市再開発、醍醐の団地再生事業が進んでいる。最終2000年度の完成をめざす戦後の京都では例のない「都市再生」事業なのだ。
 これらのプロジェクトについて、京都市の奥山脩二政策企画室長は「市内のにぎわいは、これまで四条河原町界わいに一極集中していたが、今後は多極型のまちづくりが必要になる。5大プロジェクトは、その先例でもある」と自画自賛。まちづくじを統括する北里敏明副市長は「これまで南北方向に人が流れた。これに新たに東西軸が加わり拠点が整備されることで、市内を循環する人が確実に増える」と、東西線との相乗効果を強調する。
 一方で「負の効果」を心配する声もある。北尾茂・山科経済同友会幹事長は「地下鉄開業で人の行き来が盛んになる半面、買い物客が流出して、地元の商店街が立ち行かなくなる」と不安を隠さない。
 実は、5大プロジェクトが生まれた背景には、各地域で差し迫った行政課題があった。醍醐は市営住宅の建て替えに迫られていた。山科は駅前が手狭。京阪京津線が廃止される三条京阪は駅前再整備の必要性が、JR二条駅前は旧国鉄清算事業団の跡地活用が課題になっていた。御池地下街も深い地下鉄コンコースまでの空間の活用法を模索した結果にほかならない。京都市も「いわば、東西線に個別の事情の解消策を結びつけた事業だった」(奥山室長)と認めている。
 5大プロジェクトが当初地域の課題を解決するだけの事業だったにせよ、東西線でつながる以上、各拠点を結びつけ「互いに競い合って京都全体を底上げする」(同室長)ような総合的な方策が必要だろう。新京都駅ビル、四条河原町の商業集積地との関係も考慮に入れながら、どう有機的につなぐかだ。
 ただ、前提としてそれぞれ地域に輝く個性がなければ、つなぐ意味は半減する。拠点とはいえ、単なる通過地点になってしまう可能性が高いからだ。
 まちづくり市民団体である住生活研究所の谷垣千秋事務局長は「5大事業は行政主導」と批判し、「都市計画に熱い思いを持つ住民の声が反映されないと、地域の個性は生まれない」と指摘する。
 京都のまちづくり政策に詳しい戸所隆・高崎経済大教授は「家並みを眺めながらゆっくり散策できるまちが京都の良さ。京都の伝統的な文化性を生かすアイデアを出さないと、東京や大阪になってしまう」と警告、京都らしさを失わないまちづくりソフトの必要性を説く。
 にもまして、それぞれの地域の住民にまちづくりの熱意が欠けていては、個性も、京都らしさも生まれてこないだろう。
 醍醐は桜、山科は藤紫(ふじむらさき)、三条京阪は牡丹(ぼたん)…。東西線は、駅ごとに独自のカラーが設定されている。全体ではどんな色に輝くのだろうか。(京都新聞)
■ビル壁面が台スクリーン 京都市街地で12日にドライブインシアター 御所南商店街グループ 駐車場から観賞 地下鉄東西線開業でPR
 京都御苑より南で、御池通より北側にある5つの商店街でつくる「御所南商店街グループ」は12日夜、車に乗ったまま映画を楽しむ「ドライブインシアター」を、京都市中京区河原町通二条上ルの駐車場で行う。市内中心部での同シアターの開催は京都では初めてで、ビル壁面に映るシネマが、観客や通行人らの注目を集めそうだ。
 12日開業の地下鉄東西線の利用客に、「各商店街をPRしよう」と、同グループが1日から22日まで実施する東西線開業記念イベント「御所南フェスタ」の一環として実施する。
 スクリーンになるのは、河原町通の東側に面した8階建てビルの南側壁面。窓は白い布で覆い、6−8階部分(横15b、縦7b)に映写機で投影する。観客はビルから南約70b離れた民間の2つの駐車場(85台収容)から観賞する。
 上映する映画は、宇宙船が地球を襲うアメリカの人気映画「インディペンデンス・デイ」。
 当日はFM電波を発信してカーラジオに音声を伝えるほか、車以外の市民も観賞できるように、駐車場内に観覧席約200席を設け、スピーカーからセリフや音楽などを流す。
 同フェスタ実行委員の小池英信さん(河原町繁栄会)は「スクリーンは三条河原町からも見渡せる位置にあり、買い物客へのインパク卜は大きいはず。ぜひ、足を運んでもらいたい」と話している。同シアターは午後6時に開場し、7時半から上映する。観賞は無料だが、駐車料金が必要。(京都新聞)
■新駅周辺散策して 京都市が東西線マップ作製
 京都市は、今月12日に開業する地下鉄東西線(醍醐−二条間、12.7`)の各駅周辺地域の観光名所や隠れた史跡、文化施設をイラスト地図で紹介する「エリアマップ」を作製し、無料配布を始めた。
 このマップは、東西線13駅を中心に周囲を散策してもらうことで、地下鉄の利用促進につなげようと作製した。
 このうち「二条駅周辺」では、二条城や壬生寺など13ヵ所を記載。隠れた史跡として、京都初の映画撮影所・二条城撮影所跡を挙げ紹介し、最初の作品「忠臣蔵」が撮影されたことなどを説明している。
 また、駅区間の運賃と所要時間、地下鉄東西線や烏丸線とJR、京阪、阪急、近鉄各鉄道との乗り換え駅が一目で分かる図表のほか、時代祭など年中行事の日時や場所と最寄りの東西線駅を示した「沿線歳時記」もまとめている。
 10万部作製。B5判、32n。地下鉄各駅(東西線は開業後)のほか、区役所・支所などで配布している。(京都新聞)
■東海道線、乱れる 守山、風圧で男性重傷
 6日午後6時5分ごろ、守山市吉身5丁目のJR東海道線の線路沿いを歩いていた滋賀県野洲郡野洲町内の男性(77)が、笠寺(愛知県)行き上り貨物列車の風圧で転倒し、右足骨折の重傷を負った。同貨物が25分間停車し、上下線の新快速電車各1本が運休。特急や新快速など上り5本と下り4本の計9本が4分から22分遅れ、乗客5700人に影響が出た。
 守山署の調べでは、男性は高齢のため普段から出歩く癖があり、家族から捜索願が出されていた。(京都新聞)
■ホーム転落死が一転… 「突き落とし」と証言 京阪牧野駅 口論の警備員起訴
 枚方市の京阪電鉄牧野駅で今年4月、男性(67)がホームから転落、特急列車にはねられ死亡した事故は、目撃証言から、直前に口論していた男性に突き落とされたことが枚方署の調べで判明、既に同市牧野北町、警備員松村宏美被告(56)が傷害致死罪で起訴されていたことが6日までに分かった。
 起訴状によると、松村被告と、洒に酔った被害者の男性は4月3日午後3時10分ごろ、同駅下りホームでいすの使用をめぐって口論。同被告は男性の胸などを殴った上、右肩を手で突いて転落させた。
 枚方署は事故直後、松村被告が被害者と口論していたという証言を得ていたが、突き落としたかどうかは分からなかった。
 しかし翌日の転落事故の新聞記事を見た人物が「事故ではない。人が肩を押して突き落としたのを見た」と通報。枚方署がポスターやチラシなどで情報提供を呼び掛けたところ、現場にいた主婦や女子大生などから同様の証言が寄せられた。
 調べに対し同被告は「ホームから落ちれば死ぬかもしれないのは分かっていた」などと供述。枚方署は未必の故意に当たるとして殺人容疑で逮捕したが、大阪地検は、男性が酔っていなければ回避できたとの判断から傷害致死罪で7月、起訴した。(京都新聞)
■ドイツ鉄道が「時刻厳守運動」 運行遅れが続出 東西統一で接続悪化? きちょうめん どこへ
 【フランクフルト6日共同】ドイツで列車の運行遅れが相次ぎ、ドイツ鉄道は「『鉄道のように正確』とのことわざが泣く」と、時刻表通りの正確な運転を推進するキャンペーンを始めた。時刻表を改正する来年5月までに「遅延時間を半分以下に縮める」ことを目指している。達成できない場合は幹部4000人の年末手当を一部カットするという。
 「完ぺきさ」や「きちょうめんさ」を誇りにする国民性を反映したドイツ鉄道の運行時間の正確さは世界的に有名。これまで「95%の正確さが絶対目標」だった。
 しかし東西ドイツ統一後は、時刻表通りに発着しないケースが増えた。合理化による人員削減のほか、鉄道も東西で統一され、接続が悪くなった面もあるようだ。同社首脳は「現状は許容限度を超えている。時刻表通りに運行できないと経済にも打撃」としている。
 これに対し労働組合側は、統一後の民営化を背景に従業員数が1992年の42万6000人から、今年半ば時点で23万3000人にほぼ半減されたとして「これでは十分に対応できないのは当然」と反論。その上で「これ以上リストラしないことを前提に、欧州で最も信頼できる鉄道にするため、最大限努力する」と運動推進に同意した。(京都新聞)
■マンスリー関西 Spring-8・明石海峡大橋・JR500系のぞみ 「世界一」続々 派手好み それとも?
 世界一の規模や機能を誇る施設や乗り物が関西に続々誕生している。兵庫県では、世界最大の放射光施設が今月から供用開始。来年春には明石海峡大橋が神戸市と淡路島を結ぶ。世界一速いJR西日本の500系「のぞみ」は、11月末から東京に乗り入れる。これらはすべて関西の熱意と並外れた技術力に裏付けられたものだ。関西人の世界一へのこだわりをみた。
 高輝度光科学センター「Spring-8」は、日本原子力研究所と理化学研究所が播磨科学公園都市の中核施設として1089億円をかけて建設した。
 電子を光に近い速度まで加速、これを磁石で曲げる時に出る放射光を使うと、タンパク質や酵素の解析、化学反応の超高速観察などが容易になる。材料科学や生命科学、医療診断などさまざまな分野での利用が期待されている。
 この種の施設は欧米に2ヵ所あるが、Spring-8の光源はエックス線管の100億倍以上、世界一の明るさを誇る。また、一周が約1.5`ある世界最大の蓄積リングの周囲に61の放射光の取り出し口があり周辺で同時にいくつもの実験ができるのが特色だ。
 同計画推進共同チームの上坪宏道リーダーは「アジア太平洋地域の中心的な先端研究施設として活用を進めたい」と胸を張る。
 来年4月に開通する明石海峡大橋は、つり橋の中央支間が1990b(橋長3910b)でハーバー橋(イギリス、1410b)などを抜いて世界一となる。総工費1兆3600億円をかけ、10年がかりで工事を進めてきた。
 建設にも世界最高水準の技術が結集している。1基約10万dの主塔を支える基礎部分は、水中でコンクリートを打つケーソン方式を採用。橋脚をつるケーブルを固定するためのアンカレイジは、重さが35万dもある巨大なものだ。
 本州四国連絡橋公団は「耐震性は阪神大震災で実証済み」と話す。
 11月29日のダイヤ改正で東京に乗り入れるJR西日本の500系「のぞみ」は、騒音を環境庁の定める環境基準暫定値75デシベル以下に抑えながら最高速度300`を実現するため、さまざまな工夫を凝らしている。
 風切り音を消すフクロウの羽の形状に似せたT 字型パンクグラフやトンネルを通過するときに出る微気圧波を抑えるためのジェット機を思わせる前頭部を採用した。JR西日本では「次は時速350`をめざす」と意気込んでいる。
 世界一はほかにもある。天保山ハーバービレッジ(大阪市港区)の高さ世界一の大観覧車には、この夏40万人が押し寄せた。人工島の空港として世界最大の関西空港では、来年度に2期工事が現地着工する。
 「べつに世界一をそんなに意識するわけやないですが」と、関西経済同友会代表幹事の鳥井信一郎サントリー社長はいう。「できつつあるのはあくまでハード。それを世界一にふさわしいようにどう活用していくかが問題ですわ」
 大阪で生まれ育った橋爪紳也京都精華大教授は「プライドの持っていき場所で志の高い、低いが分かる。質的に高いものなら価値はあるが、ただの世界一は愚かしいなぁ」とみる。
 派手好きで自己主張が強いといわれる関西人。世果一の言葉の響きは、その好みにぴったりのようだ。(京都新聞)
■京津線の準急廃止 三条−浜大津 3分縮め21分 東西線開通に合わせダイヤ改正 12日から京阪電鉄
 京阪電鉄は12日の京都市営地下鉄東西線開通と京津線の乗り入れ開始に合わせて改定する京津線、石山坂本線のダイヤを発表した。京津線は準急がなくなるが、京都市内の路面を走っていた区間が廃止されるため、浜大津から三条までは約3分短縮して約21分で結ばれる。また、石山坂本線全線が複線になるため、ラッシュ時の近江神宮前−坂本間の電車が大幅増になる。週休2日制の定着に伴い、土曜日は平日ダイヤから休日ダイヤに移される。
 京津線は、京都市内の御陵から東西線に乗り入れ、現在の終点京津三条とはぼ同じ位置にある三条京阪を経て、京都市役所前で折り返す。普通電車が折り返していた山科区の四宮などは本数が減るが、大津市内の運転間隔はあまり変わらず、ラッシュ時10分、昼間15分、早朝と深夜は20分。浜大津発の始発は13分繰り上がって5時12分発になる。浜大津方面に向けての終電は三条京阪発で午後11時54分とこれまでと同じ。
 石山坂本線は穴太−坂本間の複線化が完成するのを受け、朝のラッシュ時に石山寺−近江神宮前間で折り返していた電車を坂本まで延長。近江神宮前−坂本間は上下計11本の増発になり、このほか石山寺方面行きが2本増発される。また、終電が9−13分繰り下がり、浜大津発の場合は、坂本行きが午後11時55分、近江神宮前行き午前零時31分、石山寺行き午後11時54分になる。(朝日新聞)
■突き落とした警備員を起訴 京阪・転落死で
 今年4月、大阪府枚方市の京阪本線牧野駅でホームから転落し、電車にひかれて死亡した同市内の会社員(67)が、目撃者の証言からけんかの末に突き落とされていたことが枚方署の調べで判明し、同市牧野北町、警備員松村宏美被告(56)が殺人容疑で逮捕され、傷害致死罪で起訴されていたことが、6日わかった。
 起訴状などによると、松村被告は4月3日午後3時すぎ、牧野駅の下りホームで、いすの使用を巡って会社員と口論になり、胸を殴ったり右肩を手で突いたりするなどして、約1.3b下の線路へ突き落とした疑い。会社員は約30秒後に同駅を通過した特急電車にはねられ、死亡した。
 事件直後は、2人がホーム上でもみ合っていたのを見た目撃者はいたが、転落するところを見た人はおらず、同署は、酒を飲んでいた会社員が誤って転落した可能性もあるとみていた。しかし、数日後に「けんかになって突き落とされたのを見た」という目撃者が現れたという。(朝日新聞)
■JR、地下鉄東西線、京阪 3つの山科駅、直結 全長110b、地下道開通式
 地下鉄東西線の開業に合わせて、京都市が建設を進めていた京都市山科区の山科駅前地下道の開通式が7日、行われた。地元の住民が通り初めし、12日の東西線開通により、便利になる町の新しい顔の完成を喜び合った。
 開通式は、午前9時半から東西線改札前の「RACTO(ラクト)音の広場」で行われた。桝本頼兼市長の式辞に続いて、ピアノやバイオリンなど5種類の楽器の自動演奏が楽しめる「山科シンフォニーウォール(壁)」で、京都市立芸術大生がクラシック音楽を演奏し、式に花を添えた。
 テープカットに続いて、山科区内から公募した親子三代3組と、駅近くから招待された同2組が地下道を通り初めした。
 完成した地下道は、JRと地下鉄東西線、京阪の各山科駅とを結ぶ。全長110b、幅6bあり、れんが造りの壁には手を触れると音が鳴り、自動演奏もできるシンフォニーウォールのほか、観光案内板や付近の名所を素材にしたレリーフも取り付けた。地下道は1994年9月に着工し、総工費約19億円をかけた。(京都新聞 夕刊)
■電車に警察手帳置き忘れ 奈良県警の巡査
 奈良県警中吉野署地域課の巡査(42)が先月27日、大阪市でJR電車内に警察手帳を置き忘れていたことが、7日分かった。
 同県警警務課によると、巡査は休日だった9月27日、私用でJR関西線法隆寺駅から電車に乗り、手帳を入れたバッグを座席に置いたが、JR環状線新今宮駅(大阪市)で降りた際、バッグを置き忘れた。
 巡査は同日、新今宮駅や中吉野署などに届け出たが、手帳は発見されていない。
 同県警は、警察手帳が悪用される恐れもあるとして、全国の警察に手配している。
 同県警は巡査の処分については検討中という。(京都新聞 夕刊)
8日■京の新動脈 地下鉄東西線開業 4 集客力 買物の新拠点に 競争激化で商圏手探り
 「この新しい商業施設に社運をかけたい」。京都市中京区の御池通地下街「ゼスト御池」に出店したシルバーアクセサリー店を経営する中野滋人さん(43)は力を込める。
 中野さんは十数年前、東京に10店舗を持ち全国展開をめざしたが、消費者志向の変化について行けず、すべて撤退した。新店舗では若者向けに考案したデザインを投入。「ここで東京資本と競いながら、全国に通用する商品をつくりたい」と話す。成功すれば再び全国展開するつもりだ。
 ゼスト御池は、地下鉄東西線京都市役所前駅のターミナル商業施設。店舗の5割強は東京や大阪資本で、若者にターゲットをしぼった新商品を扱い、河原町通、四条通と連動した、新たな買い回りの拠点を目指している。見込み来店者数は平日で5万人、休日7万5000人。この数字は、繁華街の四条通の通行者の半分以上だ。
 周辺商店街の期待も大きい。夷川会や二条繁栄会など御池通より北の5商店街は、家具のオークションなど東西線開業記念の合同企画を立て、数千人の来場をあてこんでいる。
 実行委員長の内藤幸男・寺町会商店街理事長(64)は「東西線は必ず人を運んで来る。商店街の空店舗問題も解決に向かうかも」と喜ぶ。今年5月の御池地下駐車場の開業で、通行者が増加しており、東西線開業でさらに増えると期待している。
 しかし、当のゼスト御池のテナントでも慎重な意見もある。紀伊国屋京都御池店の高木正明店長(47)は「商圏がつかめない。地元中心か、それとも遠くからも来てもらえるのか…。様子を見て、数ヵ月後には品ぞろえを変えるかもしれません」と胸の内を明かす。
 東西線には、市役所前駅のほか、醍醐駅、山科駅、三条京阪駅と、ターミナルに大型商業施設が計画されている。延伸計画のある六地蔵にもすでに近鉄桃山店やイズミヤ六地蔵店が出店しており、京都市の全小売面積に占める大型店面積の割合は現在約44%(京都商工会議所調べ)と、ここ数年で急激に増えた。
 「すでにオーバーストア」(浦田和直・寺町京極商店街理事長)と、競争激化を懸念する声もある。
 実際に、今春オープンした醍醐駅のパセオ・ダイゴロー西館の核施設、平和堂醍醐店は、売上高が当初予想の9割。当初は、2年後に建設される東館の衣料品店舗と合わせて広域商圏を想定していたが、半径1キロ以内の地元商圏に、照準を設定し直した。
 来秋、東西線山科駅前に開業するラクト山科の大丸も4フロアのうち2フロアが食品中心。「地元密着」を強調する。
 今年9月11日、JR新京都駅ビルにオープンしたデパート、ジェイアール京都伊勢丹は、同月末までの20日間で、予想の2倍の270万人と圧倒的な集客力を発揮。京都市内はもちろん、大阪や滋賀からも多くの人を集めている。
 果たして、東西線沿線の商業施設は、多くの客を寄せ集めることができるのだろうか。
 京都市商業振興ビジョン策定委員会委員長の有賀健京都大経済研究所教授は、広域的な集客力については「微妙」としながらも、「それぞれの個性を打ち出すことで、沿線の中での役割分担ができるだろう」と話す。ただ「京都駅、四条河原町以外に都心の商業集積を構築できるかは、人の流れを引き寄せられるかどうかだ」と指摘する。
 東西線には、商業者の期待と不安が入り交じる。(京都新聞)
■山科区、伏見醍醐地区 89年以降、人口横ばい 地下鉄開通で増加も
 12日開業予定の地下鉄東西線の沿線となる京都市山科区、伏見区醍醐地区の人口は、東西線が起工した1989年以降、ほぼ横ばいで推移していることが、市情報統計課の調査で分かった。市では「ほとんど伸びていないのは意外だが、両地区とも若年層の伸びなどが見られ、東西線開通後の人口の動きが注目される」としている。
 国勢調査結果などを基にした市の調査によると、今年8月現在の人口は山科区が13万6300人、伏見区醍醐が5万4600人で、それぞれ対前年比0.4%、0.3%減となった。
 1989年以降の動きを追うと、山科区は13万6000−7000人台、醍醐も5万4100−5000人台で推移。約8年間に及ぶ東西線の工事期間に、両地区とも目立った人口の増減は見られなかった。
 転入者数は山科区が1万−1万1000人台、醍醐地区が3000−4000人台で推移し、転出数も同様の状況で両地区とも転入・転出数とも大きな増減はなかった。
 年代別では、山科区で20代後半から上の世代が軒並み減少した半面、年少者(0−10歳)のほか、18−22歳が1980年に比べ3200人増加した。市では「学生の転入が増えたのが背景」と見ている。醍醐地区では、年少者以外はすべて減少した。
 また、東西線の駅周辺の人口を85年当時を100として比較すると、東野駅が102で激増したほかは、醍醐、山科、御陵の各駅で82−85と減少した。
 同課は「減少した3駅の周辺はいずれも大規模団地の建て替えや駅前再開発事業などの工事が影響した」と説明。「70年代のベッドタウン化の反動で、山科区・醍醐地区の人口変動は落ち着いているが、東西線開通で沿線の活性化が予想され、横ばいだった人口も増加する可能性がある」と予測している。(京都新聞)
■長野新幹線 開業1週間 利用は順調 平均乗車率56%こ
 JR東日本は7日、開業から1週間たった長野(北陸)新幹線「あさま」の1−5日までの平均の利用状況を発表した。それによると、高崎−軽井沢間の利用者は上下線合わせて約2万6000人に上り、スタート前の予想を10%ほど上回った。
 同社によると、同区間での5日間の平均利用客は下りが約1万2900人、上りが約1万3100人。上下の平均乗車率は約56%だった。2万6000人の輸送量は昨年同時期の信越線特急「あさま」よりも約7600人多く、約4割上回った。(京都新聞)
■新幹線の新青森−八戸間整備 「収支改善見込める」 JR東日本社長
 整備新幹線の着工優先順位を決める政府・与党整備新幹線検討委員会が7日、国会内で開かれ、JR東日本の松田昌士社長、JR九州の田中浩二社長から、収支の改善の見込みなどについて聞いた。
 松田社長は、東北新幹線の新青森−八戸間は、収支の改善が見込めると説明した。青森−八戸の並行する在来線は経営を分離するよう待望した。北陸新幹線長野−上越間については、収支の改善が見込めないと指摘した。「少なくとも金沢付近までフル規格で延ばせは効果が出てくる」と述べた。
 直江津より西を経営しているJR西日本は、北陸新幹線をスーパー特急方式(線路幅は狭軌)で整備を進めている。質疑の中で、開発中のフリーゲージ車(狭軌と標準軌の切り替えができる車両)なら上越以西にも乗り入れられるのではないかとの質問に対し、松田社長は「フリーゲージは開発中で、実用化のメドが立っておらず、検討の対象とすべきではない」と述べた。
 田中・JR九州社長は、船小屋−新八代問は「大きな収支改善が見込める」と回答した。鹿児島線の船小屋−八代間は「可能な限りの合理化を進め」、経営分離をしない考えを強調した。また長崎ルートに関しても、武雄温泉−新大村を結ぶ短絡ルートなら収支の改善が見込めると述べた。(朝日新聞)
■自動車重量税転用を提案 国鉄債務で亀井氏ら
 国鉄債務の処理策を検討している政府・与党の財政構造改革会議の企画委員会は7日、国鉄民営化を決めた国鉄再建監理委員会の委員長だった亀井正夫・住友電工相談役と、同委員会メンバーだった加藤寛・千葉商科大学長から意見を聞いた。両氏は道路建設にあてられている自動車重量税で債務返済をすることを提案したが、企画委員会メンバーからは「道路建設以外の目的に流用することは、自動車利用者の理解が得られないのでは結いか」などの異論が相次いだ。(朝日新聞)
■JR東海株が上場 初値38万3000円 一般売り出し価格上回る
 JR東海株が8日、東京、大阪、名古屋、京都の4証券取引所に上場された。東証第1部の午前の取引では、初値が38万3000円となり、一般売り出し価格35万9000円を2万4000円上回った。一時38万9000円まで上がったが、38万円ちょうどで取引を終えた。出来高は4万6450株。京都証券取引所では、好調に取引が推移。前場引けで、216株の出来高となった。市場関係者は「予想通りのスタートでほっとした。売り物をこなして値を上げるか注目している」(大手証券)と話している。
 JR西日本以来、1年ぶりの政府放出株の上場で、JR株式の上場は東日本、西日本に次ぎ3社目。市場筋からは「JR東海の取引先や金融機関が持ち株を増やすことが予想されており、底堅い値動きをするのでは」(別の大手証券)との声が出ている。
 一方、東海の上場が相場全体に与える影響は、景気の先行き不透明感に加え、JR東日本やNTT 株の追加放出が控えているため、需給悪化による相場の下振れを懸念する声もある。(京都新聞 夕刊)
■JR東海株が上場 東証初値は38万3000円
 JR東海(本社・名古屋市)の株式が8日午前、東京、大阪、名古屋、京都の4証券取引所に上場された。東証では、午前9時45分に売り出し価格の35万9000円を上回る38万3000円の初値がついた。午前の終値は38万円ちょうど。出来高は4万6000株だった。
 JRグループの上場は1993年の東日本、96年の西日本に次ぎ3社目。株価が低迷する中での大型株の上場だけに、市場関係者の期待は高かったが、比較的落ち着いた出足となった。市場関係者は「全体の地合いが悪いなかでは、まずまずの水準」(大手証券)と受け止めている。
 東日本株の場合は、値上がりへの期待感から38万円の売り出し価格に対し、60万円の初値が付いた。西日本は売り出し価格が35万7000円で、初値は36万円だった。(朝日新聞 夕刊)
■JR東日本 「撤退、口にせねばならぬほど考えに違い」 社長がJ リーグ批判
 JR東日本の松田昌士社長は7日の定例記者会見で、「Jリーグと我々との考え方に大きな違いがあると痛感している。『撤退』ということを口にしなければならないほどの違いだ。いたずらにチーム数を増やすべきではない」と述べ、サッカーJリーグ批判をした。
 松田社長の発言は、記者会見の最後に飛び出した。「Jリーグについていろいろ言われていますが…」との問いに、「お金がもうかるかもうからないかではなく、サッカーを強くするということを前提にチームを編成する仕組みを考えないと世界と戦うのは難しい」。「今のようにチーム数を増やせば、選手の層が薄くなってレベルが落ちてしまい、選手がなかなか強くならず、負けが続くとサッカー熱も冷めてしまう」などと答えた。
 JR東日本は1991年6月、古河電工と共同出資して東日本ジェイアール古河サッカークラブ(ジェフ市原)を設立。プロチームを持つのは、旧国鉄時代の65年にプロ野球球団スワローズを手放して以来。(朝日新聞 夕刊)
9日■京の新動脈 地下鉄東西線開業 5 便利さの陰で バス再編に反発も
 今月3日、三条通沿いにある京阪・京津線九条山駅(山科区)に大きな看板が立てられた。「当駅廃止のお知らせ」と書かれていた。京津線の東西線乗り入れで、1936(昭和11)年に出来た同駅は11日で60年余りの歴史に幕を閉じる。
 九条山駅の1日の利用者は約810人と多くはないが、駅の廃止で地下鉄の最寄り駅は約1`離れた蹴上駅になる。買い物などで毎日、九条山駅を利用する主婦(49)=山科区日ノ岡=は「蹴上駅は遠いので、バスに乗ることにします。でも、時間どおりに来るのか心配」。駅の廃止を知らせる看板を恨めしそうに見つめた。
 東西線は、多くの市民の足の便を飛躍的に向上させるが、その陰で、京津線の一部の利用者のように、不便を被る人がいる。「バス路線が変更されるのはおかしい」。大津市との県境にある山科区小金塚に住む堀菊治郎さん(75)は先月中ごろ、市交通局(中京区壬生)を訪れ、局幹部に「直訴」した。
 堀さんがよく利用するのは、小金塚、国道山科、国道音羽など山科区の北東部を循環する京阪バス。
 開業後は東西線にアクセスさせるため、循環路線が小金塚−山科駅間と山科駅−小金塚間に二分される。小金塚から山科区音羽のショッピング街に出かけるには、乗り換えによる二重運賃を強いられる。堀さんは「地元住民の声を十分に開かず、東西線中心の路線になっている」と怒る。
 東西線開業で、京都市バスの系統は86系統から69系統に縮小される。特に山科、醍醐地域では市バスは完全に姿を消し、京阪バスに引き継がれる。
 バス再編成への市民の反発は強く、市議会には、再編成に反対する請願がこれまでに計443件も寄せられた。
 知的障害のある娘を山科区内の障害者施設に通わす京都市下京区の主婦(64)は今年5月、「速くて、便利になれば、よいというものではない」と、市バス80系統などの存続を求める陳情書を市議会に出した。
 市バスの停留所は施設のそばにあるが、代替の京阪バスの停留所は施設から徒歩で10分以上かかるという。主婦は「娘は、最寄りのバス停で1人で降りるのは難しい。施設の職員に出迎えてもらうわけにもいかない」と不安を隠せない。12日からは、娘に付き添う日々が続くという。
 京阪バスが東西線開業後に運行するのは山科、醍醐を中心に28系統(現行41系統)。多くが赤字路線になる見通しだ。民間バスだけに「不採算路線はいつか切り捨てられるのでは」との住民の不安は尽きない。門脇稔・京阪バス業務部長は「地域の要望にこたえたいが、経営の安定も大切。今後、乗客数によってはバス系統の再編もある」と、路線見直しに含みを持たせるのだが。
 東西線から離れた地域の住民には、最寄り駅へのバスの便が欠かせない。京都市交通局は「地下鉄に連携した効率のよいバス系統に整理し、市民の足を確保した」という。
 ところが、山科区の西端にある百々(どど)地域。地下鉄・榊辻駅を結ぶ真新しい新十条通を走る編成後のバスのダイヤは1時間に1、2本と少ない。
 百々地域(約3500世帯)の松崎侃一・町内会連合会長は声を強める。「せっかく東西線がきても、最寄り駅に連絡するバスが不十分。このままでは、にぎわう街と取り残される地域ができてしまう」(京都新聞)
■JR福知山駅周辺一体化へ 高架事業、30日に起工
 JR福知山駅(福知山市天田)一帯の高架事業の起工式が、今月30日に行われる。鉄道によって南北に分断された市街地を一体化、北近畿の中核都市の玄関口として、道路交通の円滑化と街の均衡ある発展を図る目的。2008(平成20)年度完成の予定。
 当日はまず、午前10時半から同駅構内で、事業主体の京都府から工事を委託されたJR西日本主催の安全祈願祭。荒巻禎一府知事と中村稔福知山市長、南谷昌二郎JR西日本社長ら関係者60人が出席する。続いて、近くの特設会場で府と同市主催の起工式を行う。
 この事業は、JR山陰線と福知山線、KTR宮福線など合わせて6.1`区間を高架化し、踏切9ヵ所を撤去、現在地より約50b南に新駅を建てる。
 1984年度から2年間の調査を経て、92年に府が事業採択、昨年5月に国の事業認可を受け、準備を進めてきた。総事業費約370億円の95%を国と府、市、5%をJRとKTRが負担する。(京都新聞)
■5事業の決算認定 京都市議会
 9月定例京都市議会は8日、普通、事業両決算特別委員会を再開、市立病院や市バス、地下鉄など5事業の1996年度決算を認定した。
 認定に際し、全会派が一致して7項目の意見を付した。
 このうち、地下鉄東西線開業で再編される市バス路線に関して「地域住民の要望を十分反映させ、状況に応じてできる限り早期に見直すよう努めるべき」とした。
 水道事業についても、料金徴収の集金制を廃止して口座振替などに変更するとともに、メーターの検針も市直営から民間委託を検討するよう求めた。(京都新聞)
■JR東海株 上場の初日 過熱感なく市場冷静
 JR東海株が8日、東京、大阪、名古屋、京都の4証券取引所に上場され、東証では一般売り出し価格35万9000円を2万6000円上回る38万5000円で初日の取引を終えた。出来高は6万3907株。
 JR株の上場は、東日本、西日本に次ぎ3社目。景況感悪化から軟調な地合いが続いているが、東海株は終日売り出し価格を上回る堅調な値動きを見せた。市場関係者の多くは「JR上場も3社目になると過熱感はなく、投資家も落ち着いている」と話していた。
 東証では、午前9時45分に売り出し価格を2万4000円上回る38万3000円の初値をつけた。個人投資家の買いで一時は38万9000円まで値を上げたが、その後利益確定の売りから38万円の安値をつけ、午後に入って再び値を上げた。
 JR東海は今年3月末時点で5兆円を超える長期債務を抱えるなど株価にはマイナス面もあるが、他のJR2社同様、取引先企業や金融機関が持ち株を増やす可能性が大きいという。このため「しばらくは底堅い値動きをする」(大手証券)との見方が強い。
 JR東海株が無難な上場だったため市場には安心感が広がり、好業績企業の株が買われ、平均株価も反発した。JR東日本は前日と同値の55万1000円、西日本は1000円安の39万5000円だった。(京都新聞)
■12日から交通規制変更 御池通など 地下鉄東西線開業で
 京都市営地下鉄東西線の開業に合わせて、京都府警は12日から、京都市内の御池通や三条通を中心とした道路の交通規制を変更する。御池通の速度制限を10`緩和して50`にするほか、寺町通の歩行者天国の時間帯を延長するなどして、車や買い物客らの流れの円滑化を図る。
 御池通(川端−堀川間)は、これまで速度制限は40`だったが、東西線の工事が終わり、片側3車線の道路が整備されたため、市内の他の幹線道路と同じ50`に引き上げる。
 また、寺町通の四条−御池間の歩行者天国は、「ゼスト御池」の営業時間や東西線の終電時間などに配慮して、現在の正午−午後11時を午前10時−翌日午前零時に延長する。
 このほか、河原町通の四条−御池間と三条通の川端−河原町間は、路線バスの運行を優先するために午後5時−同7時の間、マイカーを通行止めにしていた現在の規制を解除する。これに代わり河原町通は同時間帯、片側1車線をバス専用レーンにする。(京都新聞)
■地下鉄東西線開業 記念スタンプ発売 12日・中京郵便局
 中京郵便局は、地下鉄東西線開業を記念する「特別記念スタンプ」を、開業当日の12日に、東西線の4ヵ所の駅周辺に設ける臨時出張所で発売する。
 記念スタンプは、切手などに押印する日付印で、東西線の車両をデザインした16種類があり、当日の日付も入っている。縦30a、横61aの台紙に貼られた16枚の切手に押されて下る。2万枚を発行。
 臨時出張所は、東西線駅の二条(京都市消費者まつり会場)、三条京阪(三条大橋西詰北)、山科(山科椥辻フェア場内)、醍醐(醍醐ふれあいプラザ)に設置される。
 通信販売も受け付ける。セット価格に送料(2部まで190円、3−5部まで270円)を合わせた定額小為替と、返信用切手を添えて〒604同局東西線イベント事務局へ。13日消印有効。問い合わせは 075 (255)1152へ。(京都新聞)
■JR東海株 初日の終値38万5000円
 東京、大阪、名古屋、京都の四証券取引所に8日上場したJR東海(本社・名古屋市)の株式は、同日の終値が38万5000円となり、売り出し価格の35万9000円を2万6000円上回った。東証の出来高は約6万4000株だった。初値はJR西日本の初値を上回ったものの、8日の終値同士を比較すると、西日本に1万円およばなかった。
 東証では、午前9時45分に38万3000円の初値がついた。前場は、38万9000円まで値を上げたが、目先の利益を確保しておこう、との売り注文が先行し、一時、38万円まで下がった。後場は、38万円台前半で、模様眺めとなったが、少しずつ値を切り上げ、38万5000円でこの日の取引を終えた。(朝日新聞)
■市バス路線再編 東西線開通で12日から
 京都市交通局は、地下鉄東西線開業に伴う市バスの運転計画を発表した。洛西・桂坂の西系統の運行回数を増やし、京都駅と金閣寺、北野天満宮前を結ぶ観光系統や九条−北大路の快速系統など5つを新設。横大路や御池通りの路線などは運行回数を減らした。また、市バスが撤退し、京阪バスのみになる山科・醍醐地区の運行計画も発表された。路線改編により市バスの系統は86から69になる。実施は12日から。
 系統再編により、市バスの1日の走行距離は現在の9万9000`から8万8000`に、運行本数は5027本から4600本に減少する。
 市バス撤退後、京阪バスだけになる山科・醍醐地区は、現行の京阪バス41系統が28系統に再編される。1日の走行距離は現在とほぼ同じ6270`で、運行本数は346本から443本になる。
 運行ダイヤの問い合わせは次の通り。
 ▽京都市バス=交通局案内所(075・801・2561)
 ▽京阪バス=業務部計画課(075・682・2308)(朝日新聞)
■京阪廃線の駅や電車 人気の絵はがき増刷 あすから売り出し
 京阪電鉄が、京都市内の京津三条−御陵間を廃止するのに伴い同区間の駅と電車の絵はがき(500円)5000冊を1日から売り出したところ、1週間で売り切れてしまうなど人気を呼んでいる。同社は急いで2000冊を増刷し、10日から3日間、同社の三条駅で売り出すことにした。
 絵はがきは8枚組みで、サクラが満開の蹴上駅、夕焼けの東山三条駅、雪の九条山駅、夜の日ノ岡駅などがある。ほとんどが、鉄道ファンでもある同社運転士の奥田博人さん(36)=京都市南区唐橋井園町=が、休日に撮影した作品。1枚ごとに駅の乗降客数、付近の名所なども印刷している。
 撮影した奥田さんは「廃止区間は、全国的にも有数の美しいロケーションに恵まれた路線だったので、本当に名残惜しい」と話している。(朝日新聞)
■商圏2極化の様相 京都駅と四条周辺 京都伊勢丹開業1ヵ月 顧客の獲得激しく 地下鉄東西線開業絡み
 新しい京都駅ビル(下京区)が全面開業して、まもなく1ヵ月がたつ。同ビル内にオープンしたジェイアール京都伊勢丹の来店者も順調に伸び、20日間で延べ270万人が来店して「売り上げは当初目標だった27億円の倍近い51億円」(同店)と好調だ。影響が予想された市内のライバル百貨店も、波及効果こそあったものの大幅な売り上げ減などは見られず、京都の商圏は京都駅周辺と四条通周辺に2極分化する様相を改めている。各店は「今の伊勢丹は開業景気。勝負はこれから」と、地下鉄東西線の開業や新規店舗の開店をにらんで、激しい顧客獲得合戦を展開している。
 百貨店業界は今年前半、所得税の特別減税の廃止、医繚費の負担増、消費税率アップのトリプルパンチで苦戦を強いられた。しかし、9月の京都伊勢丹開業に刺激され、京都市内の各店は店内改装やキャンペーンを展開し、かろうじて前年並み、あるいは微減の売り上げ実績を維持した。
 9月11日に開業した京都伊勢丹は、市内だけでなく大阪方面、滋賀方面の客も引き寄せ、婦人服、地下食料品売り場をはじめ「全般的に好調」(同店総務部)だ。
 「伊勢丹を訪れる客を呼び込みたい」としていた京都駅北側の京都近鉄百貨店は、入店者数が7月の新駅開業後で前年比15%増、京都伊勢丹閉店後で前年比25%増と大きな伸びを示した。売り上げは前年並みで土産品が多少落ちたというが、「業界の状況から見れは、前年並みはかなりいい数字」という。しかし、「今年いっぱい様子を見ないと、影響のよしあしは分からない」と慎重だ。
 客の奪い合いが心配された四条通の商店街や百貨店では、キャンペーンやイベントなど地道な戦略が功を奏した。四条河原町阪急は「伏見区、北区を中心にもともと京阪沿線の客が多いためか、影響はまだない」という。大丸京都店は土産品などの売り上げが微減したというが、入店客は前年並み。地下鉄烏丸線で京都伊勢丹から来る客もいるという。
 京都高島屋の主な客層はもともと、東山区、左京区、北区などの市内で、京都伊勢丹が狙う伏見、宇治、大津などは少ない。同店は「伊勢丹開業で、京都の商圏は確実に広がっている。伊勢丹開店景気の過ぎた3ヵ月目ぐらいからが勝負」と意気込む。(朝日新聞)
■路面電車 哀愁の茜色 京津線
 まもなく姿を消す路面電車が夕焼けに映え、そのシルエットが哀愁を漂わせている。
 85年間にわたり市民に親しまれてきた京阪電鉄京津線・三条−御陵間(3.9`)の路面電車は、あと2日余りで三条通から姿を消し、12日の地下鉄東西線開業に伴って御陵駅から同線に乗り入れ、地下を走る。
 通勤客や観光客らを乗せたレトロな電車は夕刻、茜(あかね)色に染まる京の街をゴトゴト…。京福電鉄嵐山線とともに古都の風情に溶け込んできた電車は、これからは人々の記憶のなかで走り続ける。(京都新聞 夕刊)
10日■京の新動脈 地下鉄東西線開業 6 重い財政負担 赤字解消は30年後 次世代に引き継ぐツケ
 東西線の開業を控え、久々に活気が感じられる京都市役所の各部局に、今月1日、来年度予算編成方針が通知された。通知には、庁内の空気とは異なる厳しい言葉が並んでいた。
 「財源確保の見通しは極めて厳しい」「既存施策の廃止・縮小」「積極果敢に行財政改革を推進」…。
 予算編成を担当する市理財局の人見米一主計課長は「市税収入は微増が見込まれるが、国は財政構造改革に着手したばかり。かつてない厳しい予算編成になりそう」とため息をつく。
 厳しい京都市財政に、当初計画を大幅に上回った東西線の建設費負担がのしかかっている。2450億円の予定だった建設費は、約2倍の4537億円に膨れ上がった。
 背景には、運輸省が地下鉄許可の条件として、当初建設費を極力抑えて見積もるよう「指導」した、との指摘もある。
 一般会計から出資金、補助金など総額1840億円を、起債(借金)などの方法で負担しても、利息も含めた最終的な負担額は、本年度市税収入額の約半分に相当する1246億円にものぼる。
 東西線の収支見通しも楽観できない。市交通局は、累積赤字解消を開業30年目と試算するが、先月24日の市議会事業決算特別委員会で、下薗俊喜交通局長は「3年ごとに10%ずつ運賃改定する前提での計算」と明かした。
 交通局は、東西線各駅に設置される安全施設のホームドアなどの経費46億円分を地下鉄建設事業から外し、国の補助が得られる一般会計事業にふりかえた。電機・設備工事も経費削減に努めた。
 しかし、切り詰めには限界がある。頼りはやはり国の金庫。市幹部は運輸、自治両省に何度も働きかけ、市が直轄で工事を担当していた二条−三条京阪間、御陵−醍醐間の事業費超過分の大半について国の補助を獲得。とりわけ超過額の大きかった第三セクター会社(京都市など出資)施行分の三条京阪−御陵間の事業費にも、特別の借金が認められた。
 だが、あおりは交通局職員に降りかかった。交通局は特例勧奨退職で、管理職ら50歳以上の121人を削減した。「国庫補助を認めてもらうには、経営努力を示す必要があった」。当時交通局長だった中谷佑一副市長は振り返る。
 昨年9月には、市バスと地下鉄の運賃が値上げされた。収支悪化が理由だが、膨れあがった地下鉄建設費の重圧もかかる交通局の赤字体質と無関係とはいえない。
 「京都市は、市民に『応分の負担』を、市職員にリストラを求めるだけで、根本的な赤字解消策をとっていない」と京都市職労の河内一郎委員長。「経営の中身を市民にオープンにしていく姿勢が必要」と指摘する。
 京都市は市税など自主財源の比率が低く、財政基盤は脆(ぜい)弱。人件費や公債費などの義務的経費と、事業を行うための投資的経費の比率はほぼ2対1。他の政令指定都市平均(1対1)に比べ、自由に使える資金は少ない。年間予算(一般会計)に匹敵する7800億円余りの市債残高も抱える。しかも財源にできる財政調整基金は57億円、都市計画事業基金は82億円と、ともに過去最低に落ち込んでいる。
 中谷副市長は「東西線開業は、沿線の地価上昇や産業基盤充実につながり、税収にもプラスになる」と見通し、「さらに徹底した行政改革で新たな財源を生み出す」と意気込む。が、財政負担が次世代にも重くのしかかっていくのは、今のところ避けようがない。(京都新聞)
■地下鉄東西線二条城前駅 「不便」「横断危ない」 西側に2ヵ所 堀川通の東側、なぜ出入口ない 要望強く増設決まったが 住民ら不満噴出 完成までなお1年半
 12日の地下鉄東西線の開業を前に、二条城前駅(京都市中京区)の出入り口が堀川通の西側の2ヵ所しかなく、地元で「交通量の多い堀川通を横断しなければならず不便」との声が噴き出している。市交通局は二転三転の末、堀川通の東側にも第3の出入り口の建設を決めたが、完成までには1年半ほどかかる見込みで、利用客は当分、不便を強いられそうだ。(社会部 森山敦子)
 二条城の南側。堀川通から西へ少し入った押小路通の歩道に、地下鉄東西線・二条城前駅の真新しい2ヵ所の出入り口が約130b離れてできている。利用客が多いと予想される堀川御池交差点の北東側や南東側、南西側には出入り口がない。
 堀川御池南西側にある中京区役所を訪れた近くの主婦(56)は「堀川御池の交差点は道幅が広いし、信号待ちの時間も長い。(住民が多い)南東側か、せめて区役所の前ぐらいに、駅の出入り口があれば、もっと駅に行きやすいのに」と不満を漏らした。
 市交通局の話では、建設費や維持管理費を抑えるため、地下鉄東西線は「出入り口は原則的に1駅に2ヵ所」として、13駅のうちの6駅で2ヵ所しか出入り口を設けなかった。とはいえ、三条通や外環状線など幹線道路にある駅の出入り口は、東西や南北に分けて設置され、多くの利用客が、道路を横断せずに地下道を通って駅構内に行けるようになっている。
 「軌道が堀川御池付近で緩いS字型カーブを描いている。カーブにプラットホームを造ると、見通しが悪く危険度が増すため、プラットホームは軌道が直線になる地点まで位置を西にずらさなければならなかった。道路の真ん中に駅があれば、道の両側に造りやすいが、堀川通は技術的に無理だった」と、岡崎弘・高速鉄道本部計画課課長補佐は西側にしか出入り口ができなかった理由を説明する。
 ところが、当初計画にはなかった堀川通東側の出入り口は二転三転の末、開業より遅れて増設されることになった。1990年末にいったん建設が決定後、建設費の膨張が表面化した94年に白紙に戻され、96年末になって再び住民要望をくみいれ、東堀川通押小路下ル付近に建設されることが決まった。
 市交通局は今年8月から準備工事に着手したが、駅と出入り口を結ぶ約100bの地下道の建設は、まだこれからで、完成までにはあと1年から1年半はかかる見込みという。
 市に堀川通東側への出入り口設置を強く申し入れた地元の城巽学区自治連合会の青谷末盛会長は「堀川通の西側に2ヵ所もできるのに、住民の多い東側に一つもないのはおかしい。住民の使い勝手を考えれば、南東側にも出入り口を作るべきだったが、1ヵ所でも設置されればまだましかも」と振り返る。
 同駅の1日平均乗降客数の予測は約1万人。市交通局の担当者は「出入り口を増やし地下道を長く延ばせば、建設費用がかさむのでしようがない。バブルの時なら出入り口も多くできたかもしれないが、東西線はできるだけコンパクトに造ろうとした。出入り口を増やしても歩く距離は同じです」と話している。(京都新聞)
■地下鉄東西線開業で 組織改正と19人異動 京都市交通局
 京都市交通局は9日、地下鉄東西線開業に伴う組織改正と人事異動(12日付発令)を発表した。東西線の運行開始で市バス路線が京阪バスに移管される山科・醍醐地域をエリアとする醍醐営業所を廃止するほか、京都駅から岩倉方面へ運行するバスの減便に伴って同路線を所管する錦林営業所を支所に変更する。
 異動規模は19人(課長級2人、課長補佐級4人、係長級13人)で、内容は次の通り。(敬称略)
 【課長級】自動車本部営業部烏丸営業所副所長(自動車本部醍醐営業所長)和田良一▽同錦林支所長 北部自動車運輸長兼烏丸営業所長佐々木輝寿事務取扱▽南部自動車運輸長兼九条営業所長(錦林営業所長)伊藤正彦
 【課長補佐級】自動車課課長補佐(西賀茂所長補佐)岡田幸一▽烏丸営業所担当課長補佐(錦林所長補佐)祖父江文男▽同(烏丸所長補佐)門脇公雄▽九条営業所長補佐(自動車運転係長)伊東明夫
 【係長級】管理本部企画総務部経営推進課担当係長・市交通協力会派遣(醍醐担当係長)山田敬一▽自動車本部業務技術部管理課担当係長(烏丸担当係長)箕浦勝春▽同(五条担当係長)池沢強司▽同整備担当係長(同整備係長)相田正雄▽西賀茂営業所運転係長(醍醐担当係長)俣野大蔵▽烏丸営業所運転係長(同庶務係長)山本晏弘▽同担当係長(綿林庶務係長)水島利和▽同(烏丸運転係長)岡本敏彦▽同(錦林担当係長)吉村忠行▽同(同)塩見出▽同錦林支所担当係長 烏丸営業所担当係長亀井嘉信兼職▽九条営業所担当係長(九条庶務係長)池田昌▽五条営業所担当係長(醍醐運転係長)西川敬二▽同整備係長(同整備係長)塚原喜比呂(京都新聞)
■昭和初期の京津線観光パンフあった 幻の2駅も掲載 京の田中さん宅
 昭和初期の京阪電鉄京津線や沿線の観光地を紹介したパンフレットがこのほど、京都市西京区川島権田町、「京を語る会」会長の田中泰彦さん宅から見つかった。当時は、古川町駅(現・東山三条)から蹴上までのルートが、現在の三条通ルートより北にう回していることも記され、田中さんは「この11日に京阪三条−御陵間が廃止されるが、人々の記憶からこの路線が消えゆく前に、昔の姿を語り継いでいきたい」と話している。
 見つかったのは、京阪電鉄がつくった京津線蹴上駅が新築移転する1932(昭和7)年前後のパンフレット5枚。日傘を持つ着物姿の女性を表紙に描いた「さくら」というパンフのほか、京津線を上空から俯瞰(ふかん)した絵地図が掲載されたもの、嵐山や清水寺など周辺の観光地を紹介するものなど、いずれも緑や赤などカラフルな色調で、裏には当時の料金表が一覧で表示されている。
 また、田中さんが所有する1921(大正10)年の京都市街地図によると、古川町と蹴上の間が北へ50b弓状にう回する路線をとり、「応天門」と「廣道」の2駅があったことが記され、パンフなどと符合する個所も多く見られる。
 京阪電鉄によると「昭和初期当時の資料はほとんど残っておらず、当時の姿がうかがえる貴重な資料」と話している。(京都新聞)
■画廊 巡ろう 東西線開通記念スタンプラリー すべて回れば版画 ポスター 東西の各5軒なら 抽選で美術品 21日から2週間
 画廊を10軒巡れば、美術品が抽選で当たるー。そんな趣向の「美の東西 京都画廊めぐりスタンプラリーが21日から来月11日までの2週間、地下鉄東西線開通を記念して京都市内で催される。
 画廊業界の低迷を脱するため、一人でも多くの人に画廊に足を運んでもらおうと京都画廊連合会(佐藤梅夫会長、83軒)が企画した。計画によると、東西線沿線の画廊40軒が参加。鴨川をはさんで16軒の東ブロックと24軒の西ブロックに分け、それぞれのブロックを最低5軒ずつ、計10軒を回ってスタンプを集めた人に、参加画廊提供の絵画(額装)、彫刻、陶器、漆器など22点を抽選でプレゼントする。また40軒すべてを回った人には、パーフェクト賞として画家ベン・シャーンの3種類の版画ポスターのうち一点を全員に贈る。
 参加したい人は、同連合会加盟店、近畿圏の美術館、地下鉄東西線各駅などに配布されている、参加画廊名や所在記載の所定のリーフレツトに、スタンプを押して郵送すればよい(パーフェクト賞にも応募の人は10店ずつのリーフレツト4枚を封書で送る)。景品は、画廊連合会ニュース10月号で写真入りで紹介しているほか、提供画廊でも実物を展示しており、第2希望まで記入して応募する。締め切りは11月5日(消印有効)。抽選の結果は当選者に直接連絡されるが、京都画廊連合会ニュース12月号でも発表する。
 同連合会企画委員長の宮脇一郎さん(66)は「画廊は、とかく敷居が高いと思われがちがだが、もっと気楽にのぞいて欲しい。来年以降も続けるかどうかは、結果を見て連合会で決めたい」と話している。
 問い合わせは、ギャルリー宮脇 075(231)2321、正觀堂 075(533)4110へ。(京都新聞)
■トークや記念スタンプ 二条駅南でもイベント
 京都市の「消費者まつり」が12日午前10時から、中京区西ノ京栂尾町の東西線二条駅南側の地上広場で開かれる。東西線開業を記念し「一日二条駅長」を務める女優の石田ひかりさんがトークショーを行うほか、中京郵便局の臨時出張所では特別記念スタンプが発売される。
 展示コーナーでは、市地域女性連合会や京都消費者団体連絡協議会など7団体が、リサイクルの取り組みなどをパネルなどで紹介。生活設計相談、環境保全などのコーナーも設ける。
 特設舞台では午後2時ごろから、石田ひかりさんが桝本頼兼市長と地球温暖化問題などについて語り合う。
 中京郵便局の記念スタンプは、当日の日付入りで、1セット1000円。通信販売(13日の消印有効)でも受け付けており、セット価格に送料(2部まで190円)を合わせた定額小為替と返信用切手を同封、配達記録郵便で〒604同局東西線イベント事務局 075(255)1152へ。(京都新聞)
■窓 東西線 開業するけれど
・モノレールも検討してみて 左京区・武 邦保(教員・63)
 さきの京都市議会で交通局長が「地下鉄東西線」完成後には、二条駅からさらに洛西へ約1`の路線を、巨額な投資が必要な地下鉄以外の手段も考えられる、と答えたという。賛成である。車社会の体質改善は、公害と日々の渋滞で、だれの目にも急務であることが分かる。
 山科駅を中心に、そこが新しいターミナルになって東南に伸びてきたことは、東西線によって人口増の地域と都心を短く直結した点で大いに効果をあげるだろう。しかし、この地域には宇治方面への「外環」という道路整備がなされている。
 ひるがえっで洛西方面はどうか。五条通(国道9号)中心で、ほかは狭い道路ばかりである。御池通は堀川で止まっているといってよいくらいだ。モノレールか、かつての電気バスを専用レーンで、以前よりも他車を厳しく排して運行するか、を考えていただきたい。公害のより少ない、そして渋滞に巻き込まれない輸送の方法を市当局でプラン化され、それを市民に公開し、理解と協力を受けられるようにしてほしい。
・採算最優先で利便性損なう 山科区・尾藤 芳郎(無職・70)
 地下鉄東西線が12日から開通する。沿線住民が、みこしなど繰り出し種々のイベントをして祝う。「地域活性化の起爆剤に」と長年の悲願だった開通を喜んでいる。
 誠に結構な限りだが、それに伴い京都市交通局は山科醍醐地域の市バスを全面廃止して民間の京阪バス乗り入れに切り替えてしまった。先日、バス運行路線表を見てびっくり。私たちの住む西野地区を通る五条通から、四条河原町行きが消えてしまっている。車を運転している人は、当然バスに乗らないので、バスがどっちに走ろうが関係ないかも知れないが、車を運転しない人、老人、女性、いずれの人にも、やはり京都の中心・四条河原町付近に行く買い物や用事の足ともなっている。
 市民の足を守るといいながら、地下鉄開通で不便になり一部の町内では請願・署名運動を起こすと不満が噴出している。もともと東西線は採算性にかなりの問題があり、赤字覚悟と思われる。それだけに地下鉄に乗るように無理に仕向けたバス運行路線になったと思われる。
 市民の足を確保、といいながら都心部は空洞化、周辺部には人口が増えている現状を認識し、もっと立場の弱い人たちを思いやる行政をし、運行絡線の再検封を望みたい。
・市バス路線の急な廃止不満 東山区・嶋田 文彦(公務員・42)
 私の子供たちは通学に54系統の京都市バスを利用しています。8月末に配布された「市民しんぶん」で地下鉄東西線(醍醐−二条間)開通に伴って市バスの路線の改廃が急に通知されているのに驚きました。
 このバスは、むろん東西線に代替できるものではないのに廃止が通知されている。結果的にほかに直通バスもないので、市バス2系統か京阪電車と市バスの乗継ぎなどに切り替えざるを得ません。いかに東西線建設に多額の建設資金を要し、交通事業のリストラが必要であるとはいえ、通勤通学に多数の市民が市バスを利用している。市は市民の公共の足を守る立場から市議会で十分に論議を尽くして十分な準備期間をおいて市民の合意を得た上で路線変更を決定すべきです。
 急な路線変更は当然定期券の買い替えで売り場が混乱、朝夕のラッシュ時は乗り場が混雑する。結果的に市民の負担を増やすことになり、また通勤にマイカー利用者が増加すれば、さらに交通混雑と市バスの利用価値の低下、市民の市バス離れの悪循環で、近い将来再リストラを招くだけ。市には今回の路線再編を延期されるよう望みます。(京都新聞)
■声 JRのダイヤ余裕はあるか 神戸市 三木 英明(会社員 42歳)
 「ますます便利になったアーバンネットワーク、ご利用お待ちしています」。JR西日本の車内アナウンスは、9月1日のダイヤ改正を機に、JRの優位性をこれまで以上に強調しています。便利になることは歓迎ですが、通勤に神戸線を利用している私には少々気になることがあります。「この列車は遅れています。すぐに発車いたします。乗り降りはお急ぎ下さい」。こんなアナウンスが近ごろ、めっきり多くなったことです。このアナウンスが、関西人が得意とする割り込み乗車を助長するだけなら、笑って見過ごせは済むことです。しかし、運行ダイヤに余裕が乏しく、時間に追い立てられているとしたら心配です。
 この春の東西線開通によって、神戸線の新快速、快速がすべて尼崎に停車するようになりましたが、運転間隔、運転本数は従来のままです。運行の現場が遅れをばん回することに気を取られ、列車がいつも全力扶走しないと維持できないような過酷なダイヤなら、実に危険です。
 JR西日本自慢のアーバンネットワークは、便利さとスピードを売り込む前に、まず安全第一を掲げていただきたい。(朝日新聞)
■85年の歴史に幕 あす京阪京津線 三条−御陵間
 かつて、京都市内は路面電車の王国だった。市電が街なかを縦横に走り、太秦や嵐山へは「嵐電」(京福電車)が市民や観光客を運ぶ。そして、東山の峰を越え、遠く琵琶湖のほとりまで行く京阪京津線。市電は二昔も前に廃止され、京津線もあす11日、三条(東山区)−御陵間(山科区)3.9`で、85年の歴史の幕を閉じる。
 京津線は1912年(大正元)8月、京津電気軌道として三条−札の辻間で開業し、25年に京阪電鉄と合併した。この年、浜大津まで延伸し、34年には日本初の連節電車60型「びわこ」号が、大阪・天満橋と浜大津間を1時間12分で直通運転した。
 今回廃止されるのは、12日に開業する市営地下鉄東西線との並行区間。 女子高校生らの乗り降りでにぎわう東山三条、白川の流れ、北に平安神宮の大鳥居、南に青蓮院のクスノキの大木を仰ぎ見る神宮道に、春はサクラ、ツツジが美しい蹴上…。1000b行く間に66b登る日本の鉄道の中でも最も坂の急な東山越えの難所もあった。
 12日からは、地下鉄がこの区間を車や急こう配に悩まされることなくさっそうと駆け抜ける。京阪も、京津線に新型電車を投入して、御陵から地下鉄に直通乗り入れする。
 電車がなくなるわけではなく、交通機関としては発展した、といえる。だが、時代祭行列と一緒に三条通を走る姿は、この秋からもう見られない。(読売新聞)
11日■京の新動脈 地下鉄東西線開業 7 延伸の夢 府南部活性の核に 二条以西まだ厳しく
 外環状線に沿った京都市と宇治市にまたがる六地蔵地域。来春オープンに向け、大手スーパーのイトーヨーカ堂の建設が進む。工事現場の目と鼻の先には、近鉄百貨店桃山店、イズミヤ六地蔵店が並ぶ。都市近郊の住宅街だった六地蔵地域は、府内有数の商業集積地へ変ぼうしつつある。
 「魅力的な商圏。東西線が延伸されて来店手段が多様化すれば集客力が増し、近接店との相乗効果も期待できる」。京都初進出のイトーヨーカ堂の広報担当者は、東西線の延伸を大いに期待する。
 東西線の醍醐−六地蔵(約2.5`)への延伸計画はこの8月末、一段と現実味を帯びてきた。来年度政府予算の概算要求に、この延伸部分の事業補助費が盛り込まれたのだ。
 9月19日の京都市議会本会議で答弁に立った桝本頼兼市長は「京都府、宇治市とも十分協議し、来年度当初の鉄道事業免許取得を目指す」と、東西線の延伸実現への明るい見通しを示した。市の計画では、総事業費は約700億円。1999年度着工、早ければ2004年度の完成を目指している。
 六地蔵への延伸を京都市に訴え続けた桃山東自治連合会長の岩田忍さん(73)=伏見区=は、「長年の夢が実現へ一歩進んだ。周辺は車の渋滞もひどく、交通対策上、一日も早く地下鉄が欲しい」と、地元の熱い思いを語る。
 地下鉄が初めて京都市域を越え、宇治市に乗り入れることになる。北の玄関口のJR六地蔵駅前整備計画を進める宇治市は、東西線に熱いまな差しを向ける。
 同市の辻■(よし)光交通対策課長は「六地蔵は交通の結節点であり、多くの市民の利用も見込まれる。100年先、200年先を見すえて駅位置や出入り口など駅前整備に着手したい」と話す。
 東西線の延伸は、京都南部地域の交通網充実を描く京都府にとっても福音。「府・市協調」の立場から、1981年以来、地下鉄建設事業費への補助を続けてきた府の松田好史交通対策課長は「交通ネットワークが整い、府南部地域は一層活性化する。21世紀の京都府の展望に欠かせない」と期待を込める。
 府が行ってきた地下鉄建設への補助額は、本年度で90億円を超えた。東西線の建設費膨張後に始まった貸付額は41億円。政令指定都市の地下鉄事業をこれだけ支援している府県は他にない。延伸分では宇治市域の事業費の約3割を宇治市と分担することが決まっている。
 ただ、府は二度と事業費膨張の悪夢を繰り返したくない、というのが本音だ。「京都市は財政再建団体転落の危機にあったことを忘れたかのようだ。東西線の経営収支、採算性の議論はどうなったのか。延伸での建設費膨張は許されない」(府幹部)とクギを刺すことを忘れない。
 一方、二条駅以西への延伸計画は厳しい財政事情がネックとなり、具体化への見通しは立っていない。
 このうち二条−西大路間(1`)は89年の運輸政策審議会答申で、醍醐−六地蔵間と同様、「2005年までの整備が適当」と位置づけられている。地下鉄は用地買収費を抑えるためにも道路の下に建設するのが基本だが、天神川以西は道路整備の計画すらない。桝本市長は「西への延伸はあくまで地下方式で」と従来の方針を強調する。その一方で、交通局内部ではモノレールなど建設費が割安になる新交通システムの研究も始めている。
 平安建都1200年記念のメーン事業である地下鉄東西線。京都再生と延伸の夢を乗せながら、いよいよあす12日開業する。(おわり)(京都新聞)
■新京都駅ビル全面開業1ヵ月 消費削減 既存百貨店善戦 京都近鉄、客数25%増 高島屋、大丸も不信に歯止め 伊勢丹売上高 予想の8割増 近隣商店街「にぎわい去った」
 JR新京都駅ビルが全面開業して、10日で1ヵ月が経過した。ジェイアール京都伊勢丹だけで、来店者数は340万人を超えた。今月4日にオープン、1週間を迎えた御池通地下街「ゼスト御池」も、来店者数、売上高ともに好調。当初、パイの奪い合いから顧客減が懸念された既存の百貨店も、売上高は昨年並みを維持している。消費税引き上げの反動で個人消費が冷え込む中、新しく誕生した商業施設が消費を刺激し、京都の商圏を拡大させている。(政経部 今口 規子)
 京都伊勢丹の10日までの1ヵ月の売上高は66億円。来店者数とも、当面予想の8割増となった。なかでも衣料品が売上高の54%を占め、順調に伸びた。カード会員5万人のうち6割が京都市外で、関根純店長は「ターミナルの集客にこちらも驚いている。大阪や奈良、滋賀など、広域からのお客さんを一定集められた」と評価する。
 京都駅ビル観光デパートの「ザ・キューブ」は、来場者数が216万人。売上高は9億7900万円で当初予想より数%の増収。年末までに1万人を見込んでいたカード会員が、すでに1万1000人を超えた。
 ホテルグランヴィア京都も、利用客6000人、1ヵ月で48件の婚礼を行うなど、順調な滑り出しだ。
 駅ビルの南側の京都近鉄百貨店は、来店客は25%アップしたが、売上高は前年並み。嶋谷登久彦店次長は「京都駅ビル周辺の魅力を増すため、主力の30代、40代向けの婦人服の売り場拡充を計画中」という。
・パイ拡大カギ
 四条通かいわいの百貨店は、最初の1、2週間、新駅ビルの影響で客足が遠のいたものの、その後回復し、9月の来店者数、売上高とも昨年並みを維持する見込み。8月まで、京都の百皆店の売上高は5ヵ月連続前年割れと、消費税引き上げの影響が続いたが、京都伊勢丹の開業がプラスに転じたようだ。京都高島屋は「今後、同じパイを奪い合うのか、京都全体のパイを膨らませるのかが課題」と慎重な構え。大丸京都店は「初めの1ヵ月は開店景気。百貨店には『百日戦争』という言葉があり、3ヵ月間の様子を見たい」としている。
 駅ビル効果の期待を裏切られたのが地元商店街で、駅ビル南側の七条通商店街の樋口信一理事長は「当初は商店街の食堂がにぎわったが、今は開業前と同じ。効果はない」と渋い表情。東西本願寺や近隣商店街と「にぎわいづくり推進連絡会」を今月末にも発足させ、駅前の回遊性を作りだそうと懸命だ。
・ゼストも快調
 10日に開業1週間を迎えたゼスト御池の売上高は当初予想通りの2億円に止まったが、来店者は40万人と、予想より2−3割増。佐野守御池地下街営業部長は「地下鉄東西線の開業前であることを考慮すれば、予想以上の好調な出だし」と話す。
 近くの寺町京極商店街でも、昨年より通行者数が3割アップした。浦田和直理事長は「ゼストの集客効果が商店街に好影響を及ぼしている。12日の東西線開業が楽しみ」と話している。(京都新聞)
■痴漢 自転車ドロ許しまへん 地下鉄東西線開業前に 醍醐で地域安全フェス ビラも配り啓発
 地下鉄東西線の開業を目前に10日、山科署は、地下鉄開業に伴って増加が懸念される痴漢や自転車盗などの犯罪を防ごうと、伏見区の市醍醐交流会館周辺で地域安全フェスティバルを開いた。
 啓発ビラの配布やビデオの上映、防犯グッズの展示などを行い、安全な街づくりを訴えた。
 山科署から山田繁人署長ら署員11人、山科防犯協会と醍醐防犯推進委員協議会から約50人が参加して、「許しまへん! チカン・暴力・ひったくり」などの標語を印刷した青、黄色の啓発ビラを、会館利用者や買い物の親子連れらに配った。
 防犯ブザーや、覚せい剤など6種類の薬物の実物も展示、人体への影響などを説明するパネルを添えた。
 ビデオコーナーでは、悪質商法の手口を解説したビデオを上映し、困りごと相談所も開設した。(京都新聞)
■警笛響かせSL走る 富山の城端線100周年
 富山県高岡市と同県城端町を結ぶJR城端線の開業100周年を記念して蒸気機関車フラワー号が10日、田園地帯を黒煙を上げて走った。フラワー号は12日までの3日間、片道29.9`を約1時聞かけ、1日1往復する。
 お目見えしたのは「ポニー」の愛称で親しまれている小型のC56機関車。京都市の梅小路運転区で保存されたものが運ばれてきた。
 4両の客車を引いたフラワー号はJR高岡駅を午前9時36分発車。一目見ようと訪れた人たちの拍手や歓声をかき消すほどの警笛を響かせながら、ゆっくりと動きだした。(京都新聞)
■東へ。西へ。地下鉄東西線 12日開業
●東西線開業を迎えて 京都市長 桝本頼兼
 このたび、京都の1200年余の歴史に新たな一nを刻む、待望の地下鉄東西線が開業する運びになり、146万人の京都市民とともに、心から祝いたいと存じます。これもひとえに沿線住民のみなさまをはじめ、多くの市民のみなさまや関係各位のご理解、ご協力のたまものであり、厚くお礼を申し上げます。
 本市では、21世紀においても、世界に誇る光り輝くまち「元気な京都」を実現するため、「もっと元気に・京都アクションプラン」を策定し、新たなまちづくりに、市政の総力を挙げて取り組んでおります。とりわけ、新たな世紀の京都の活力を支える都市基盤整備事業として、地下鉄の整備は最重要施策であります。
 来る12月1日から、この京都の地で開催される「地球温暖化防止京都会議」において、未来に向けて地球環境を守っていくため、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量の削減目標数値が採択される予定ですが、そのためには省エネルギー、省資源が重要なカギとなります。「地球の未来を京都から」をスローガンとするこの「会議」と期を同じくして、エネルギー効率に優れ、地球環境にやさしい地下鉄東西線がスタートすることは大変意義深いものであると存じます。
 また、東西線では、線路とホームをスクリーンで仕切り、乗客の転落防止や騒音を防止するホームドアやエレベーター、エスカレーター、車いす対応のトイレなどを、わが国で初めて開業時から全駅に設置し、安全で快適、人にやさしい地下鉄を目指しておりますので、必ずや利用者のみなさまにお喜びいただけるものと考えております。
 東西線が開業しますと、醍醐から二条までの市域東部と市内中心部を24分で結ぶことができ、烏丸線と合わせた地下鉄ネットワークにより、市内の交通利便性が飛躍的に向上することはもとより、JRや私鉄路線とも連絡して、330万人の京都都市圏の広域的な鉄道路線網を形成することになります。また、沿線における関連五大事業と相まって、わたしたちのまち京都が未来に向けて一層の躍進を遂げていくための確固たる基礎ができたものと確信しております。
 本年は、烏丸線の国際会館への延伸開通や、新しい京都駅ビルの完成、御池地下街「ゼスト御池」のオープンなど、多くの都市基盤整備事業が大きく実を結ぶ記念すべき年であり、この豊かな土壌をしっかりと踏みしめ、輝ける京都新世紀へまい進すべく、職員ともども決意を新たにしているところであります。
 今後とも、夢とロマンあふれる「元気な京都」に実現を目指し、全力を傾注してまいりますので、みなさまの温かいご支援とご協力をたまわりますよう、心からお願い申し上げます。
 今後、地下鉄東西線は、醍醐から六地蔵まで延伸してJR奈良線や京阪宇治線とも接続される計画ですが、これにより、宇治・奈良方面への利便性は一段と高まり、広域観光ルートの開発にも期待が持てます。
 地下鉄東西線と、先に開業した新京都駅ビルの二大プロジェクトの完成により、21世紀を目前にして京都の街全体が活性化し、文化の創造と情報の発信が行われることを、大いに期待している次第です。
●親しまれる鉄道に 京都府知事・荒巻禎一
 京都府民・京都市民のみなさまが待望しておられました、京都市営地下鉄東西線(醍醐・二条間)が、明日開業を迎えられますことは、京都府知事として、誠に喜びにたえないところであります。
 これも、国のご指導とご支援のもと、実現に向け努力されてこられました京都市をはじめとする関係のみなさまや、各方面において協力をされてこられましたみなさまの長年にわたるご尽力とご支援のたまものであり、深く敬意を表する次第であります。
 京都市におかれましては、21世紀に向けた新しいまちづくりの基盤となる施策として、地下鉄整備網を順次、着実に進めてこられました。とりわけ、本年は、6月の烏丸線「北山・国際会館間」の延伸に続き、東西線「醍醐・二条間」の開業と、大きく飛躍した記念すべき年となりました。この東西線の開業により、京都市域はもちろんのこと、京都府域や滋賀・大阪方面へ、JR線・私鉄線と連絡することとなり、利用者の利便性の向上と所要時間の短縮に大きな役割を果たすものと期待されております。
 京都府といたしましても、府民のみなさま一人ひとりが真の豊かさを実感できる社会の実現を目指し、京都市と連携して総合的な交通体系の一層の整備に取り組み、地下鉄建設に対しても助成させていただいてきたところですが、今後とも地下鉄東西線の延伸やJR鉄道線の複線化・高速化など、大都市交通線の整備充実に努力してまいりますので、みなさまの一層のご理解とご協力をお願いいたします。
 地下鉄東西線が、京都府民・京都市民をはじめ、多くの人々から親しまれ利用される鉄道として、ますます発展されますことを心より祈念いたします。
●街全体が活性化を 京都商工会議所会頭・稲盛和夫
 京都市における、東西交通の大動脈となる地下鉄東西線が、いよいよ明日開通いたしますことを心からお慶び申し上げます。21世紀の京都の発展に不可欠な一大プロジェクトの完成であり、これまで多大なご尽力をされました、京都市をはじめ、関係者の皆さま方に深く敬意を表したいと思います。
 東西線の開通により、醍醐から二条間が24分で結ばれ、京都の交通利便は格段に向上します。御池で、南北の地下鉄烏丸線と交差するのをはじめ、JRや京阪線とも連絡、京都府中・南部や滋賀県を含む周辺部から京都市中心部へのアクセスも、非常に便利になります。市民はもとより、観光面で入洛された方々にも、京都は交通の便の良い街という評価が高まるものと思います。
 また、東西線沿線の各駅周辺では、都心の活性化に資する御池地下街・地下大駐車場をはじめ、新たなまちづくりの先導役を担う醍醐団地総合再生事業、山科駅前地区再開発、三条京阪駅前広場整備、二条駅周辺整備などの都市再開発も着々と進められており、「東西線フェスタ'97」などの記念行事も実施され、非常に活気づいております。
●座談会 新世紀へ整う 京の骨格 まちづくり さあ正念場
京都経済同友会副代表幹事 吉田  忠嗣氏
京都大工学部助教授    中川  大 氏
甲南大文学部助教授    井野淑久美恵氏
 (司会は小野山正彦京都新聞論説委員)
 京都市地下鉄東西線が開通する。JR山陰線の二条駅前を起点として「二条」から伏見区の「醍醐」までの12.7`。8年がかりの工事。工費も予算の倍近い4537億円となった。しかし、先発の市内中心部を南北に走る烏丸線と烏丸御池で交差。これで京都の市内交通の骨格が完成したことになる。先ごろ全面開業にこぎつけたJR「新京都駅ビル」とならんで、地盤沈下がいわれて久しい京都の、活性化のかぎをにぎるとみられる、この開通を前にして、京都経済同友会副代表幹事の吉田忠嗣氏、都市交通・計画を研究する京都大工学部助教授の中川大氏、甲南大文学部助教授の井野瀬久美恵民の3人に、東西線開通の意義や今後の京都経済活性化、まちづくりに果たす役割などを話し合ってもらった。司会は小野山正彦京都新聞論説委員。
京滋の境なくなる・吉田氏 交通網が生き生き・中川氏 変化する人の動き・井野瀬氏
快適に歩ける街を・井野瀬氏 脱自動車の契機に・中川氏 路面電車の採用も・吉田氏
 司会 地下鉄が宝池国際会議場まで延び、新京都駅ビルが開業した。そして今回、遅れていた東西線も完成、地下鉄烏丸線と十文字に結ばれ、京都の交通インフラが整った。まず、京都のまちづくりにとっての東西線の意義から。
 吉田 新京都駅ビルができるのと同時に東西線が開通する。こういった形でスタートでき、相乗効果があると思う。問題だった通過点的な駅が、京都駅そのものを新しい一つの都市核とするまちづくり的な部分ができた。加えて東西線の開通で、既存線と烏丸御池でクロスする。これは大きな影響力、経済効果があるのではないか。
 地下鉄の南北ラインの客も増えるだろうし、「烏丸御池」が新しいポイントになると思う。二条駅から西へは延びていないという問題があるが、これまで三条京阪までだった東側の商業的限界が、東西線で山科まで行け、そこに新しいデパートもでき、新しいタウンが誕生する。滋賀県ともつながり、二条駅というポイントではJRで京都府北部と接合した。大津その他の滋賀県からと府北部が、御池通を中心として、大きな一つの新しいまちづくりの根幹になるだろう。
 司会 交通計画、都市計画分野からみた意義を。
 中川 都市の交通には、その都市の格にふさわしい交通ネットワークがある。東西線の開通は、京都の格にふさわしい都市交通ネットワークづくりにとって、大きな前進だろう。京都は鉄道資産がかなりある。多くの私鉄、嵐電・叡電を含め京阪や阪急、近鉄、それにJRを含め、相当多くの鉄道がある。東西線の開通で、これらの路線が順々に接続する。京都の都市ネットワーク全体の充実が、大きな点だと思う。
 交通は都市全体の骨格を形成していくという機能が大きい。都市の中の土地利用、あるいは都市全体の構造が新たな展開をしていくと思う。特に注目すべきは鉄道のもつ集客力の大きさだ。鉄道の駅は、一日に何万人、何十万人もが乗降する。人の流れも含めて大きく変わっていくだろう。さらに京都の市街地中心部が、鉄道によって囲まれた感じとなり、どの方向からでも都心に向かって鉄道を利用してのアクセスが可能で、都心部に集まりやすい環境も整ってきた。
 京都はこれまで、周辺都市間とのネットワークの充実に比べ、都市内の鉄道ネットワークの結節性が低かったことが弱点だったが、大きく改善されて、京都の中の交通ネットワークが生き生きとしてくる。それが都市の中の活動に対して、大きなプラスの影響が及んでくるととらえている。
 井野瀬 すぐにわかるのは人の動きが変わること。どこどこに行くといった目的指向型で動いていたものが、そうでない動き方が出てくる。そのなかで出てきた東西の動き方の変化というのが、今までとは違う形になることに意義がある。無目的というか、目的を発見するための動きというのが生まれてくる。京都というまち自身が、東西線をどのように活用していくかが勝負だろう。
 司会 最近の交通体系における地下鉄の位置づけについて聞きたい。
 中川 地下鉄と地上を走る普通の郊外電車、路面を走る路面電車というのは、それぞれ別個のシステムで、相互乗り入れもできなかったが、その垣根を取り払う試みがヨーロッパの多くの都市で行われている。郊外では普通の路面電車だが、都心部では地下へ入る。あるいは、昔の鉄道と新しくつくった地下鉄の間でも線路を3本にするなど工夫して、全体をネットワーク化しようとしている。
 東西線も、路面電車が地下に入ってくるなど、日本でも初めての画期的な試みだ。今ある鉄道資産のネットワークを、乗り換えなどを便利にしてつなげていく、その先進的な事例としても取り上げることができるのではないか。
 司会 烏丸線に比べ車両を小型化、ホームにはエレベーターやエスカレーターを。「ゆりかもめ」型のホームドアを採用するなどの新しい工夫があるが。
 井野瀬 ロンドンは地下鉄先進地域で、それぞれラインに特撒がある。人の動きを考えてホームがつくられている。各路線それぞれが個性的だ。だから京都の即物的な東西線という名称が気に入らない。ロンドンでは、基本のところはサークルライン、あとはベーカルラインとか、即位に合わせてジュビリーラインとしたりとか。それをうまくナショナルレールとブリットレールとリンクしたりして、一つひとつに愛称があったりする。京都の場合、東西線の車両が烏丸線より小型化し、乗り入れがちぐはぐになるとしても、それが個性化すればいい。
 吉田 もっと京都に合った、これからの時代に即した名前であってもいい。東西線の中心、御池通は今までケヤキの並木があった。あのケヤキ並木は京都らしさ、あるいは御池通のシンボルツリー的存在だった。ケヤキという名前をとったケヤキラインみたいなものが東西線に代わるような名前だと雰囲気がいい。
 井野瀬 単なる地理的なものではなく、京都らしい心象地理みたいなものを生かした形で、何か夢がある新しい動きを創造するようなキャッチコピーで。
 中川 交通機関は人に親しみやすいことが重要だ。特に京都のように地理をよく知らない人たちもたくさん来るまちというのは、わかりやすさ親しみやすさというのは大事だ。
 司会 東西線開通でネットワークらしいものができたのが一つの特徴かと思う。これによって人の流れがどう変わるのか。
 井野瀬 山科では湖西線とリンクし、その以東はベッドタウン化している地域だから、通勤の部分では時間的余裕ができ、地理的な範囲が拡大するだろう。
 吉田 いい意味で滋賀県と京都との区別、県境みたいなものがなくなり、両方で経済圏としての新しい活性化への動きが出てくるのではないか。ボーダーレスのような形の協力体制ができてくるのではないか。
 井野瀬 大阪でも(市外電話番号の)06範囲というのがあって、豊中も06だし尼崎もそう。行政区分である都道府県とか市町村という枠を超えた動きというのが、かなりのところである。例えば滋賀も075地域という風になるのが進むのではないか。行政区分とのずれで不都合も出てくるだろうが。
 中川 鉄道を利用する場合、出発地と目的地の両方が、鉄道の沿線でなければだめだ。例えば今のネットワークだと、烏丸線沿いに家があっても会社が鉄道沿いになければ鉄道では通えない。逆に会社が烏丸線沿いにあっても、家が鉄道沿いになければ鉄道で通えない。一本つながることによって、どちらか一方しかつながっていなかったところが、両方つながり始める訳だ。近鉄、山陰線、JR奈良線の沿線の人とか、非常に京都全体の鉄道が利用しやすくなる。これまで鉄道を利用していなかった人に、鉄道利用者がかなり出てくると思う。
 今までは鉄道がつながっていないために、自動車で通わざるを得ないという人たちも、鉄道利用に転換してくれることに期待をしたい。スピードや定時性の確保という点で、利用者の範囲がずっと広がると考えていいと思う。
 井野瀬 最終的にリンクの問題。動けるという実際の形と精神的な距離というのが重要だ。先ほどの通勤とかの場合も動ける動けないといったときには、現実の距離よりも精神距離のほうが大事で、どういう風に仕掛けていくかだろう。
 吉田 一般市民にとっては、東西線ができてマイナスになる部分というのはない。いつまでに償却できるかとかいろいろな問題が他にあるにはあるが。京都市民にとって、滋賀とか奈良とか、結合できるいろいろな接点ができるわけだ。そうすると、鉄道から離れたような部分がクローズアップされ、市民生活が楽になり、考えられなかったようなところの土地が利用されるとか、思わぬ経済的効果があるのではないか。
 司会 京都都市圏が広がっていくが、京都都市圏としてのあり方はどうか。
 中川 鉄道には集積を促進する効果がある。例えば、都心といわれる大阪の梅田や、東京の渋谷、池袋とかは、昔は都心ではなかった。鉄道による集積で、まちを形成していった。鉄道ができて30年、50年たってまちの構造全体をながめたとき、つくっておいてよかったということがわかってくる。
 吉田 正確に間違いなく、事故も少なく、大量の人が移動できるということはすごいことだ。都心部だけでなく広がりが出てくるはずだ。一般市民も東西線ができたことで、マイホームづくりをしたり、商業関係に携わる人が商業施設に新たに投資するということは、京都の経済活性化にもなる。もっと広いそれが、グレーター京都という部分にもつながるはずだ。
 司会 都市間競争が非常に激しいが、京都圏を広げる方法を。
 井野瀬 都市には、人間が移動するとき都市人口をどうとらえるかという問題があるが、どれだけの人間が行き交えるかどうかという交流人口で考えた方がいい。京都のホスピタリティというか、ある快適な時間を提供できて、その快適さの一つに、動きやすさがあってもいい。ヴィスコンティ(イタリアの映画監督)の『山猫』の中に「変わらないために、すごくいっぱい変えなきゃいけない」というせりふがある。伝統というのはそれだと思う。京都が京都であり続けるには、変わらなければいけない。それが東西線によるいろいろな効果で人の動きの活性化が生じ、それをある心地よさでもって、どう京都が包み込むかということだ。
 吉田 伝統というものを守るためには変わらなければいけない。変わるから伝統はまた残っていく。心地よさという表現を使われたが、われわれにとってこの地下鉄の完成は、ものすごく心地いい話だ。
 司会 東西線は市街地再開発、山科駅や二条駅、御池の地下街という市街地の拠点づくりも含めて、ここからまちをつくっていこうということがあるが。
 井野瀬 駅への降ろし方が日本の場合は下手。この駅を降りたらこんな面白いことがあるという期待を持たせない。駅の周辺を歩かせることが第一。魅力がないところには絶対人間は移動しないし、情報化がこれだけ進むと、魅力づくりをきちんとやらないと人間は動かない。その動きやすさのかぎの一つは切符だ。人が自分の足で歩く時の歩きやすさで、その時にこの切符で全部行けるという楽しさがキーだ。ラガールカードとかするっと関西とかいろいろやっているが、京都はどのあたりまで動きやすくするかだ。
 中川 試算をした結果、例えば嵐山と鞍馬を観光客が、普通に日帰りで両方行ってくれるようになる。今のネットワークでは難しいが、東西線完成でJR嵯峨野線から東西線を乗り継いで、京阪から鞍馬へ行くということができ、いろいろなところへ結びつく。
 井野瀬 ウィーンだったら、スタンプを押したその時から24時間の利用が可能だ。その人の24時間というのは、決して1日の12時で切れる24時間ではないという新しい動き方だ。そういう既成概念をいろいろな形で取り払っていかないと。
 司会 京都には保全という難しい問題があるが、新しい都心づくりという点、再開発のあり方を含めてどうすればいいか。
 中川 交通環境から見れば、どこの都市でも問題は、自動車交通に依存しなければいけないまちになってしまっているということ。交通は、まち自体のあり方を反映したものになっている。魅力的な交通ネットワークを備えたまちはやはり魅力的だ。自動車に頼らないまちづくりをするための、大きな起爆剤となるのは、駅とその周辺の開発と、そこがいかに魅力的になっているかだ。
 駅の周辺の開発は、いったん交通システムが出来上がってからだと手がつけにくい。新たな路線の開業に合わせて取り組んでいるというのは、やり方としては非常にいい。駅ができると、周辺の区画整理をやろうとしても、できない事例がよくある。看板なども含めた景観もそうだが、何もやらなければひどいまちになっていくというのは、これまで経験済みのはずだ。
 井野瀬 インターネットと一緒。インターネットでホームページの何が面白いかというと、とりあえず開くと、どこかにリンクしていて、とんでもないものが発見できたりする。リンクのさせ方で、いくらでも人の動きというのは誘導できる。京都の新しい魅力をどうもっていくか、それも誘導できると思う。
 吉田 魅力がなければ来ないのだから、それをスポットごとで克服したらいいわけだ。
 司会 これからの京都のまちの交通網、また体系のあり方、地下鉄だけでなく交通全般を含めて、どうあるべきかを。
 中川 市街地の中の交通環境の話は非常に重要で、そのことで少し紹介したいのは、ヨーロッパだとモールだとかトランジットモール。トランジットモールとは、公共交通機関だけが入ってきてマイカーは入ってこれないような道路。ヨーロッパの大きなまちでは、ほとんどどのまちにもあるといっていいくらいだ。その実施に当たっては、確かに市民から反対もあった。自分の店の前に車が来ず売り上げが減るとかで。しかし、結果的には商店街は繁栄するということが証明されている。それによって都心部の活性化が再び始まっている、という例は非常にたくさんある。
 トランジットモールをつくっている都市は、大体、フリンジパーキングというモール周辺にパーキングを設けていて、そこまでは自動車で来る人はあってもいいが、そこに車を置いてあとは歩いてもらう。そういう意味では、御池に駐車場もできているし、そうした政策を打っていくためのチャンスだと思う。都心部の歩行環境を中心とした交通環境を、一方ではもっと改善していく努力がいる。
 高速道路なども含めた大規模なネットワークに関しては、自動車専用道路などを何のためにつくるかというと、自動車交通を便利にして、まちの中に自動車を引き込むためにつくるのではないわけだ。ほかの道は混んでいるから、そこを通らざるを得ないという車が細街路にまで入り込んでいる。こういう京都の都心部の交通環境をまとめて別のところを走らすという意味で、自動車専用道路系の道路は必要だろう。ただ、必ずしも自動車のためにつくるのではなくて、都心部の交通環境を抜本的に改善するために、というとらえ方によるものでなければならない。
 吉田 東西線というのは、スターティングポイントだ。これを契機に、環状軸的な部分ができることで、京都は生まれ変わるのではないか。いわゆる路面電車で軽便な、ライトレールを取り入れることも考えてはどうか。地下鉄は金がかかりすぎるという問題がある。路面電車の場合それほどかからない。
 中川 最近は騒音も非常に低いし、スピードも速くて快適だ。
 吉田 みんなのためのまちづくり、ショッピング街づくりという考え方で、路面電車を走らせながら車は走らせない。電車が走ることによって沿線が、ずっと一つの流れとして経済商圏に入るわけで、東西線を契機に地下鉄と路面電車の問題とか、高速道路とか、いろいろな問題を総合的に考えていくことが、新しい都市づくりになってくるのではないか。
 井野瀬 20世紀の日本を考えると、前半は欧米の仲間入りをしたと思ったら、いったんぽしゃって、その後ある部分で世界の中の日本といわれるようになった。それを支えていたのが経済だが、みんなせかせかしていて、なぜ快適じゃないんだろうということを疑いだしたのは、ここ何年かだと思う。結局、心地よさ快適さというのが、京都市民にとっても、京都に来る外来者にとっても「何か」と一言でいえば、心地よくすがすがしく歩けるということだと思う。歩けないまちはだめだ。
 日本は馬車時代を経験していないため、自身が車向けにできていない。だから、道路のつくり方も下手。やっばり「歩ける」というよさのところに戻ってくる。そのために、とにかくここに車を置いたら便利ですよと。一つだけいえるのは、東西線ができたことで、こういうように人が動くとか、産業が経済がこう変わってくるとか、周辺がこうなってくるということを頭の中で描くことだ。今これを成功させないと、おそらくもう京都にうまい交通システムは生まれない。正念場だ。
 中川 交通は市民のモラルという意味では、そのまちの交通システムが、高齢者とか身体に障害のある人たちに対してどう取り組んでいるかとか、環境に対してそのまちの市民がどう取り組んでどう行動しているのか。これは交通システムを見ればわかってくる。全体として交通は都市そのものの顔になっている、あるいは都市の人たちそのものがどう動いているかという、都市の内面を反映した顔でもあると思う。
 井野瀬 市民意識が問われるというのはそういうことで、私たちが国外に旅して、「このまちは心地いいな」と帰って来られるまちと、「なんだここは」というのとある。京都はやっばりいいまちだという印象を残して帰ってもらえたら、大成功だと思う。
 吉田 忠嗣氏(よしだ・ただつぐ)京都市出身、59歳。吉忠 社長。同志社大経済学部卒業後、米国カリフォルニア大学へ留学。現在、京都商工会議所ファッション産業特別委員会委員長、京都経済同友会副代表幹事、京都広告協会理事長などを務める。
 中川 大氏(なかがわ・だい)富山県出身、41歳。京都大学工学部大学院工学研究科助教授(土木工学システム工学専攻)。京都大学卒業後、建設省勤務を経て京都大へ。交通計画、都市計画、地域・国土計画を研究。「都市の公共交通」(共著)など著者多数。
 井野瀬 久美恵氏(いのせ・くみえ)愛知県出身、39歳。甲南大学文学部助教授。京都大学大学院文学研究科(西洋史学専攻)博士課程修了後、英国留学などを経て現職。歴史学の立場から都市計画や観光、メディアなどの分野を研究。「子どもたちの大英帝国」など著書多数。
●大阪、滋賀へ広域鉄道網
■山科・醍醐に新たな個性 住民の足「京都」に直結 京都橘女子大学長 門脇禎二
 いよいよ地下鉄東西線が開通する。西の丹波・丹後にとってもそうだが、東の山科・醍醐にとっての意味はなかなか大きい。
 何といっても、鉄道路線が初めて山科盆地の中央部を南北に貫通する。住民の足は、京都市の中心部と直結する。日常生活はもとより、すべてに「京都」は近くなる。
 これまで、山科・醍醐は京都の外に一つのまとまりをもつ、少し別の世界のように意識されてきた傾向がある。盆地だからだけではない。山科とて、中世には十余の権門・寺院に分割支配されていた。だが、それら領主の支配に対し、戦国の動乱期、住民は惣郷(そうごう)とよばれた強固な結合による自治組織をつくって、対抗した。この間、全国統一をすすめた信長・秀吉らは、同時に権門・寺院の勢力を削(そ)ぎ、かれらの山科の額地も次第に禁裏(宮中)御料とした。江戸幕府もこれを継承したので、山科のほとんどが禁裏御料となり、惣郷の指導層は郷土として住民を率い、朝廷の警護をはじめ諸役をつとめてきた。
 山科あげての朝廷との特別なつながりが、山科は別の世界という意識を生んだ。明治維新のあと、郷土制の崩壊とともに地域の指導者を失った山科は、京都の近代化の動きにとかく立ち遅れながらも、これが尾をひいてきた。
 地下鉄の開通は、そんな旧意識とは別に、市民レベルでの京都と山科・醍醐との間の新しい交流に役立つのだろうし、山科・醍醐自身にも新しい地域個性を形成すべき努力を促すだろう。
 考えてみれば、山科・醍醐は平安京のよりはるか以前から、古代国家と文化の形成には、重要な地点であった。6世紀初め、越前に育った継体天皇が、近江や尾張の勢力と結んで近畿へ入ってきたときから、開発は急速にすすんでいる。以後、山科・醍醐は日本海域と大和の国をつなぐルートの要点を占め、高句麓使が、平安京ができてからも渤海使が往来した。
京都市高速鉄道建設の歩み
1972年10月烏丸線地方鉄道事業の免許取得
74年11月烏丸線の起工式
81年5月烏丸線北大路−京都間が開業
83年7月京都市基本構想を策定
84年9月東西線のルートなど概略について市総合
交通行政推進委員会での検討結果を発表
85年5月京都市基本計画を策定
88年4月京都高速鉄道株式会社を設立
 6月烏丸線京都−竹田間が開通
 7月東西線二条−醍醐間の事業免許取得
89年6月東西線都市計画を決定
 11月東西線の起工式
91年10月烏丸線北山−北大路間が開通
93年4月烏丸線国際会館−北山間の事業免許取得
 11月同間の都市計画決定
94年6月同間の起工式
97年6月同間が開通
 10月東西線二条−醍醐間が開通へ
 このルートの上に、いま関西文化学術研究都市の建設がすすんでいる。京都と直結した山科・醍醐も、京都と学研都市との関係に、新たな役割を分かち担っていくことになろう。
 また、笠取山の泉水が醍醐味とされたことに象徴されるように、その靈気のなかに醍醐寺、勧修寺、随心院など多くの寺院が開かれた。恵まれた自然と美しい景観は、都での政争に敗れて隠棲(せい)してくる貴紳も、やさしくとり包んだ。こうした前史をうけて、後白河上皇が御所を営んだのを機に、山科・醍醐は公卿(くげ)や武士にも注目されてきた。
 自然や史跡の探訪も含めて、京都観光の洛東コースに向かう人々も増えるだろう。
 地下鉄開通に至るまで、行政の多大の労苦も市民の側のいらだちもあった。それだけに、開通の意義が多方面にわたって深まるよう、願わずにはいられない。
 地下鉄東西線は京都市の都心と東部地域、二条−醍醐間をわずか24分で結ぶ。市内を南北に走る烏丸線とともに、文字通り「京の大動脈」となる。府域や滋賀県、さらには大阪圏への交通アクセスの要(かなめ)で、京都市活性化への期待も膨らんでいる。
−概要
 東西線は、二条駅から御池通の下を通り鴨川を横断。京阪三条、蹴上、御陵駅を経由して京阪、JR山科駅と交差し南下、醍醐駅に至る12.7`のルートだ。全線地下を走り、13の駅が設けられる。JR山科駅で東海道線、湖西線と交差、連絡するほか、御陵駅では京阪京津線と接続、都心部では地下鉄烏丸線、京阪本線、二条駅ではJR山陰線と交差、連絡するなど各鉄道ターミナルと直結、京都の都市圏の広域的な鉄道ネットワークが誕生する。
−歩み
 京都市は、1988年に鉄道事業の免許を取得。89年に東西線都市計画を決定し、翌90年に着工、8年がかりで完成させた。
 二条−三条京阪間と御陵−醍醐間計9.4`は、京都市が建設。京阪電鉄京津線と競合する三条京阪−御陵間3.3`は、市や京阪電鉄、地元企業などの出資で設立された京都高速鉄道が建設し、施設を京都市に貸与する。
−建設費
 当初2450億円を見込んでいたが、工期の遅れや、工法の変更、地価の高騰などもあって、2倍近い約4500億円に膨張した。
−営業
 御陵−三条京阪間を含め、京都市が全線を公営地下鉄として一体的に行う。
 運賃は二条−醍醐間が290円。二条−三条京阪間は200円、二条−山科間260円、三条京阪−山科間230円、三条京阪−醍醐間260円など。
−延伸肝画
 東西線の延伸について、運輸省は来年度政府予算の概算要求に、醍醐−六地蔵間(約2.5`)を新規採択路線として盛り込んだ。
 正式決定すれば、市は来年度当初にも、醍醐−六地蔵間の事業免許の取得をめざす。計画では、区間の中間地点に駅を設置。1日あたりの乗降客は5万8000人、総事業費は約700億円を見込んでいる。
●大変身進む主要駅周辺 それぞれ特色はっきり
 地下鉄東西線(12.7`)沿線の主要駅周辺では、まちづくりプロジェクトが着々と進んでいる。それぞれに明確なコンセプトをもつ。二条駅周辺は映像などの文化施設を中心に、京都市役所前駅はファッション地下街、そして山科駅の複合商業施設、醍醐駅の中高層住宅群…。こうしたプロジェクトは、地域の活性化に役立つだけでなく、東西線で有機的につながることで、京都のまち全体を活気づけていく「京都再生の起爆剤」としての役割も期待されている。
■京都市役所前 初登場 大マルチビジョン おしゃれ度で勝負
 地下鉄東西線「京都市役所前」駅前の御池通地下(河原町通−御幸町通間)に今月4日、地下街「Zest(ゼスト)御池」がオープンした。若者の集まるおしゃれなショッピングゾーンを目指して、洋服店を中心に、テナント50店舗が自慢の商品を並べている。
 京都市と第三セクター会社「京都御池地下街」が管理・運営する。地下街の出入り口には、自然を感じさせる写真のアートパネルを配置するなど、若者らが楽しめる多彩な仕掛けをほどこした。
 地下1階にある地下街全体のテーマを「和感洋彩」とし、内装には大理石をふんだんに使ってベージュ色に統一。和ろうそくをイメージした柱とともに、落ちついた雰囲気を醸し出す。
 地下街に四ヵ所ある広場のうち、河原町通地下の河原町広場には、京都初の大型マルチビジョンが設置され、話題のスポーツや音楽番組などを随時、放映する。同広場中央の床には、イタリアの職人がモザイクタイルで京都の市街地を描いた「洛景四方」を配置し、洗練された装いが印象的。そのほか、一部の通路天井を、むき出しの配管類が見える構造にするなど、遊び心をさりげなく表現している。
 テナントは、東京、大阪、神戸などから京都初出店の店も多い。扱う商品も、書籍、靴、ファッション雑貨、バッグ類、チケットなどと幅広く、飲食店ではパスタ専門店、カフェレストラン、和風居酒屋までのれんを掲げている。
 顧客のターゲットは、地下鉄利用者ばかりではない。地下街西側と地下2階には、同社の管理する市内最大の御池地下駐車場(計980台収容)があり、車での来訪者にも万全だ。
■三条京阪駅 バス・タクシー乗降場を再編 新ターミナル化
 路面電車の風情を惜しむ向きもあるが、地下鉄東西線開業に伴って、撤去される京阪電鉄の京津三条駅。京都市は1999年度末までに、同駅を含む東西線・三条京阪駅の地上部分など約1fに、歩行者用の広場を設けたり、バスの乗降揚を再編するなど交通ターミナル化を進める。
 三条京阪駅前の三条通では、これまで電車とバスやタクシー、車が交錯し、交通渋滞を招いたり、歩行者の通行にも不便だった。
 そこで、地上の駅舎や軌道を撤去後、現在、バスターミナルとなっている大和大路本町通を東側へう回させて拡張。さらに、新しく市バス・民間バスの乗降場を北側の三条通と西側の川端通、南側の専用路に計11ヵ所設置する。
 また、タクシー乗り場を再編区域の南東側に設けるほか、地下鉄東西線の出入り口を北東側とする。京阪電鉄の乗降場は、従来通り川端通沿いにある。
 こうした再編の結果、歩道など歩行者用スペースがこれまでの2倍の約4200平方bに拡大。再編区域の中央部分は、京阪電鉄の事業予定地(約6600平方b)で、商業施設の建設が検討されており、買い物スポットとしても期待を集めそう。
■二条駅 核は複合型文化施設 映像・娯楽ゾーンに
 東西線がJR山陰線と接続するJR二条駅。亀の甲羅のように見える駅舎の前は、複合映画館や娯楽施設などが並び立つ新たな文化ゾーンに生まれ変わろうとしている。
 京都市が東西線開業に伴い、1991年から駅周辺の13.2fの用地を対象に区画整理事業に着手。核となる施設が、駅南西7200平方bの敷地に建設する複合型文化施設だ。
 米国で斜陽化する映画産業を救ったとされる「マルチプレックスシアター」方式を採用。大小12の映画館を一堂に集め、異なる時間帯で上映し、多彩なジャンルの映画を提供しようという試み。
 地上7階、地下2階建て(延べ面積約3万9000平方b)の施設内には、マルチメディア技術を生かし、コンピューターグラフィックスなどによる異次元空間を体験できる娯楽施設も設ける。
 市が計画している「市景観・まちづくりセンター」も入居。平安京の大型模型(1000分の1)を設置。モニター画面で現在のまちの様子と比較できるなど、まちづくりの情報拠点として整備していく。
 京都市のほか、映画会社「松竹」などが出資する第三セクター「京都二条開発」が運営し、来年秋には着工する計画だ。
 また、駅東側の国鉄清算事業団の用地(1.5f)も、アスレチックジムなどを備えた簡易保険福祉事業団の健康増進施設も計画されるなど、一帯には「文化都市・京都」再生の切り札となる施設が次々と誕生する。
■山科駅 一挙に4大ビル並ぶ 来年10月オープン
 山科駅のあるJR山科駅南側には、周囲を圧倒するかのように大きなビルが立ち並び出した。古くから交通の要衝として琴えた山科地域。市街地再開発事業で一挙に変貌を遂げようとしている。
 その中核となるのが、山科駅前地区(2.8 f) の再開発だ。商業施設、業務施設、健康・文化施設、ホテルなど用途別にゾーニング、AからD棟の拠点ビル4棟が連なるビル群が建設される。
 まず、駅ターミナルに面したA 棟。ブライトンホテルが入り駅前の顔に。地下2階、地上8階建て、延べ床面積が8400平方bの規模。客室が100室のほか、地下には飲食店や理容店などが入る。
 また、にぎわいゾーンとして建設されるB棟は、地下3階、地上9階建てで、延べ床面積は5万1000平方b。4棟の中で最大規模を誇り、中央部分には4層吹き抜けのアトリウムが整備される。大丸百貨店のほか、地元などから約50の専門店が入るほか、プールやトレーニング室を備えた健康・文化施設、ファミリータイプの住宅も整備される。
 ターミナル型オフィスとして期待されるC 棟も、地下2、地上9階建ての規模。3階までを業務用にするほか、B棟と同様に3LDKを中心とした住宅(67戸)も、分譲が始まっている。
 すでに、ゲームセンターなどアミューズメント施設として94年に完成しているD棟を含め、来年10月には全面オープンする。周辺には、植栽、歩道、広場なども整備され、東西線と連動した新たな都市空間が誕生する
■醍醐駅 ユニークな外観 大規模ショップ 公共施設が同居
 コミュニティーを大切にした住環境づくりを基本にした醍醐団地。リニューアルされた市営の中高層住宅の立ち並ぶ一帯は、地下鉄東西線の開業で大きく様変わりする。
 醍醐団地は、老朽化した醍醐市営住宅団地を再生する。「幅広い年齢層が住める街」をコンセプトに、敷地約21fにマンション形式の市営住宅や分譲住宅が計1400戸建設される。現在、外環状線の東側を工事中で、2000年度の完成を目指している。
 地域での生活を支援するのが、団地一帯の核施設となるショッピングセンター「パセオ・ダイゴロー」だ。
地下鉄醍醐駅とセットの「パセオー」西館が、外環状線沿いに近代的な蔵を集めたようなユニークな外観を見せている。
 地下1階、地上5階に、商業施設のほか、高齢者福祉施設のデイサービスセンターや集会所、演芸などを上演できる多目的ホール、児童館に図書館、体育館に郵便局−と、生活に欠かせない京都市の公共施設などが、てんこ盛りになっている。
 1999年春には、外環状線をはさんで東館もオープンする予定で、平和堂が入居するほか、保養施設のクアハウスも検討され、さらに人気を集めそう。
 東山によって都心部とさえぎられた醍醐地域。これまで南北に走る外環状線があるのみで、交通渋滞も頻繁。地元の年配者は都心部へ出掛ける際、「京へ行く」と言うほど意識的にも遠かったが、地下鉄に乗れば、車の3分の1程度の20分で烏丸御池へ到着する。
●小ぶりで上品 ホームドアから快適乗車
■駅施設 安全性に配慮
 【ホーム】
 ホームはすべてガラスの壁面で囲まれ、列車のドア位置にだけ「ホームドア」が取り付けられている。ホームに降り立つと、大きな建物のロビーか、通路に来たような感じがする。地下鉄のホーム特有の緊張感も、まったく感じない。
 ラッシュ時も安心して待つことができ、ホームから物を落としたり、列車との接触などの事故も皆無になりそう。夏の冷房も、よく効きそうだ。
 また、すべての駅にはイメージカラーが決められている。山吹(二条)、柿(かき・二条域前)、朱(烏丸御池)、韓紅(からくれない・京都市役所前)、牡丹(ぼたん・三乗京阪)、菖蒲(あやめ・東山)、菫(すみれ・蹴上)、桔梗(ききょう・御陵)、藤紫色(山科)、藤(東野)、コスモス(椥辻)、紅梅(小野)、桜(醍醐)で、すべて並べると少しずつ色の変わる配色になっている。
 ホームドアや柱がイメージカラーになっており、慣れれば色で駅名がわかるようになるかもしれない。
 【駅施設】
 京都市役所前駅の改札の上にある照明や二条駅の壁面モニュメントなど、さりげなくデザインの良さが感じられる。全体的に白を基調にした明るい配色。
 施設の中では、とくにトイレの使い勝手の良さが光る。地下鉄のトイレに入るには配管の都合で3段ほどの階段があるのが普通だが、工夫してスロープ式にした。また、車いす用トイレは男女用それぞれに設置。男性トイレにも、おむつ替え用のベビーシートが設置されているのは珍しい。
 通勤や通学に便利な駐輪場は、すでにオープンしている山科駅のをはじめ、醍醐、小野、椥辻、東野、御陵の6駅に計5450台分が設置される。京都市駐車場公社の運営で、料金は1回150円、月ぎめ2700円(山科駅は別料金)。
■ダイヤ 通勤時間帯 5、7分間隔
 午前5時19分から深夜午前零時14分までの運行で、早朝や深夜の通勤にも便利になりそう。京阪本線やJR山陰線とのアクセスもよく、例えば醍醐発二条行きの始発は、三条京阪で降りると淀屋橋行きの始発急行に、二条では園部行き始発列車に、ちょうど乗り換えられるといった具合だ。
 車両の小型化で定員が少なくなった分は、本数でカバーできそう。醍醐、二条の両駅に発着する運行密度は、昼は10分に1本、朝夕の通勤時間帯は5−7分おきの割合。御陵−京都市役所前間では、京阪京津線が乗り入れるため、その倍の密度になり、ラッシュ時には2分間隔の運行で、ほとんど待たなくてよくなる。
■車両 雅びを表現 朱と紫 最新装置、停車位置ヒタリ
 【外観】
 東西線の車両は、烏丸線のと比べると、高さで20a、幅36a、長さは1車両で4bも小さくなっている。東西線の路線はカーブが多く、起伏に富んでいるため、小回りがきくように小型化したのだという。
 車両の先頭は「く」の字型に出っ張って、スピード感のあるデザイン。車体の両サイドには、東西線のイメージカラーの「朱色」と、「紫」の二色のカラー帯が引かれ、「京都の伝統と雅(みやび)」を表現しているという。
 【運転席】
 2つの白い発車ボタンを押すだけで列車が動き出す。駅の定められた停車位置にきちんと止まるのも自動。最新型のATO(自動列車運転装置)のなせる技だ。車掌のいないワンマン運転のため、運転席のモニター画面でホーム全体が見渡せるようになっており、乗客の安全を確認しながらボタンでドアを開閉する。
 先頭部のガラス窓もワイドになり、前方の安全確認もしやすくなっている。
 【車両内部】
 1車両の定員は104人。烏丸線の車両に比べると3割ほど少なく、車内はやや狭くなった感じを受ける。座席シートは紫で統一され京都らしい上品さを出している。
 車いす利用者やベビーカーを持ち込む乗客にとっても乗りやすい配慮がしてある。すべての車両に車いす1台分のスペースが確保されたほか、車両床面とホームの段差も5a(烏丸線では8−10a)にまで縮まった。
 車内放送のほか、ドアの上にある電光掲示板で、次の到着駅名を表示する。
●歓迎イベント 街も躍り発車
・1日駅長石田ひかりさん
 【初発列車発車式】12日午前5時5分、醍醐駅と同5時10分、二条駅。二条駅では午後1時から女優石田ひかりさんが1日駅長を務める。
 【開業記念乗車カード「トラフィカ京カド」】発売中、一万枚の限定発売。
・開業日は地下鉄に乗ろう
 【開業日時別乗車記念券】12日に限り、地下鉄全線と京阪大津・石坂線が乗り放題。二条城と市動物園が入場無料、大津市の石山寺と三井寺、日吉大社の拝観料が割引。
 【開業記念式典】11日午前9時30分、市役所前駅。式典後に発車式も行う。
 【東西線スタンプラリー】12−26日、東西線の駅構内や沿線の商業施設に設置された全13駅のスタンプを集めると完歩賞(バッヂ)がもらえる。抽選で100人にトラフイカ京カード3枚組セットも当たる。
・越前屋俵太さんと遊ぼう
 【地下鉄に乗って博物館をまわろう!GO GOスタンプラリー】11月1 日−12月21日。京都文化博物館など沿線の文化観光施設でスタンプを集め、抽選で100人にトラフイカ京カードをプレゼント。
 【ふれあいカーニバル】19日午前9時−午後3時、市役所前広場。タレント越前屋俵太さんの司会で、東西線クイズやアマチュアバンドライブコンサート、フリーマーケット(約130店)など。
・東西線の”ナゾ”に迫ろう
 【市民すこやかフェア97】11月2日、北区のキタオオジセンタープラザなど。開業記念コーナーで、工事写真や御陵東4シールドの模型を展示、ビデオ「地下鉄の電車はどこから入れるのか」放映。
・東山 沿線の文化財訪ねて
 【友禅流し風モニュメント】11−13、18日。古川町商店街。期間中にスタンプラリー、アマチュアバンドコンテスト。
 【東山区民古文化財鑑賞会】18日、栗田神社や知恩院など。中埜義三郎氏を講師に沿線の文化財をたずね歩く。
 【京都やんちゃフェスタ97】11月16日、市勧業館。地下鉄を中心とした交通関係のパネル展。
・京都市役所前 華麗に京都まつり
 【京都まつり】25、26日。御池通(堀川−河原町間)と鴨川河川敷周辺。東西線の車両型フロートが初参加する都大路パレードのほか、町衆文化フェスティバル、交流ひろばなど多彩なプログラム。
 【家具のチャリティーオークション】19日午後1時−4時、夷川通の高倉−堺町間で。
 【ハワイアンショー】11日午後6時、下御霊神社。夜店、地下鉄がテーマの児童絵画も展示。
 【オリジナルショッピングバッグ・プレゼント】21日まで。錦市場商店街。
 【記念セールと東西線パネル展】期間中、ゼスト御池。ふるまい洒(12日)、花の小鉢プレゼント(19日)。
 【ドライビングシアター】12日午後7時30分、河原町二条パーキンク。映画「インテディペンデンス・デイ」上映。無料、車がなくても鑑賞可。
・二条 トークショー、人力車走る
 【消費者まつり】12日午前10時−午後4時、二条駅南側。一日駅長の石田ひかりさんのトークショー。水産物や野菜即売、環境や消費者問題の展示、リフォームファッションショーなど。
 【開業プレゼント】19日まで、千本繁栄商店街。記念乗車券、記念タバコなど。
 【人力車の運行】12日、京都三条会商店街。丹波祝園太鼓の演奏、記念乗車券プレゼントなど。
 【クイズラリー】25日午後2時、西陣千本商店街。西陣エリア12ヵ所にクイズを設置する。西陣エリアマップを配布するほか、姉妹商店街がある松本市の物産販売コーナーも。
・山科 ウルトラマンショー
 【椥辻フェア】12日午前10時−午後3時、山科区総合庁舎広場。山科特産品販売、フリーマーケットやステージイベントなど。
 【記念イベント】12日午前11時、山科商店会。みこし巡行、園児の鼓笛隊、バザーなど。
 【記念セールと東西線のパネル展】期間中、ポンテリカ山科。ウルトラマンショー(12日)、インスタントくじ(13−15日)。
・醍醐 ふれあい広場
 【醍醐ふれあいプラザ】12日午前9時−午後2時、折戸公園。野外ステージ、模擬店など。醍醐交流会館(パセオ・ダイゴロー内)では演芸やカラオケ発表大会などの催しもある。
 【記念セールと東西線パネル展】期間中、パセオ・ダイゴロー。大抽選会(12日)、キャラクターショー(19日)、池坊流生花展(25、26日)。
 【記念特別文化講座】18日午後7時、醍醐交流文化会館ホール。ジャーナリスト大谷昭宏氏が「青少年の育成問題」をテーマに語る。先着200人。無料。
 【醍醐寺金堂(国宝)無料公開】18−21日午前10−午後4時。五重塔特別公開(申込者のみ)も行う。
 【三宝院の特別拝観】12−26日午前9時−午後5時、優待料金。
 【京響コンサート】24日午後6時30分、醍醐寺金堂内。先着250人。無料。管弦楽小アンサンブル。
 【名残の月鑑賞会】16目午後7時、醍醐寺五重塔前庭。琴の演奏や野点など。
・その他イベント
 【祝い太鼓・祝いもちつき大会】12日午前11時、山科音羽商業振興会。クイズ大会も。
 【着物パフォーマンス】11日午後6時、祇園縄手繁栄会(縄手通)。11、12日にお茶席も用意する。
 【芸大生によるライブペイントショー】13日午後2時、松原京極商店街。ぬり絵ギャラリー、明徳高ブラスバンド演奏会。
 【中京区民ふれあいまつり97】25日午前10時−午後3時、中京中学校。民謡や児童合唱などの舞台、模擬店コーナーなど。(京都新聞)
■御池−四条の河原町通 午後5時〜7時 あすからマイカー禁止解除 地下鉄東西線開業・路線バス減少 20年たち有名無実化 府警”規制緩和”へ方向転換
 地下鉄東西線が開通すると、京都市内の車の流れが変化しそうだ。そこで、府警は開通日の12日から、これまで中心部の河原町通などで規制している夕方のマイカー通行禁止を解除することにした。ところが、この時間帯、いまでもすでに多くのマイカーが走っている。中には規制を初めて知ったと戸惑うドライバーも。守っていましたか? 夕方の河原町通でのマイカー通行禁止−。
・「えっ、本当?」
 河原町通のマイカー通行禁止は、御池−四条通間で毎日午後5時から同7時まで。また三条通も河原町−川端通間が規制の対象だった。入り口に当たる河原町御地交差点などには、しっかりと「直進禁止」の標識があるが、午後5時を過ぎても依然として進入する車は続く。
 その中のドライバーの一人、京都市に8年住んでいるという西京区の女性会社員(26)に聞くと、「えっ、本当? 標識も出てないでしょう。全然知りませんでした」と驚いた。京田辺市に住む男性会社員(26)は「そういえは、昔聞いたことがあるかも。でも土日だけじゃなかったの? こんなに走っているのに」。
 現在この時間帯に通行できるのは、店舗への商品運搬など通行許可を得た842台(ことし8月)の車と路線バス、タクシーに限られる。しかし府警の統計では、この2時間に通行する車は3500から3600台。規制は有名無実化している。
・規制強化は疑問符
 規制が始まったのは、20年前の1977年11月30日から。その2ヵ月前の10月1日、河原町通を走っていた京都市電が廃止されたのがきっかけだ。路線バスが市民の足として増発され、定時運行確保が目的だった。
 それに加え、府警交通規制課は「当時は、交通量を減らすには規制強化だという考え方が主流だった」と話す。
 「マイカーを規制すれは、バス利用者が増え、全体の交通量が減る。止められる場所をなくせば、路上駐車が減る」という発想だったという。
 しかし現在、河原町通の通行禁止は有名無実化し、駐車違反も、ドライバーと取り締まり側とのいたちごっこ。強気の規制強化方針による効果は、やはり疑問符が付く。
・強化よりメリハリ
 今回、マイカーの通行禁止規制解除になった理由は、東西線開通で河原町通の路線バスが減少したこと。また、河原町通の交通量が20年前に比べ減っていることなどがある。90年に川端通が完成し、河原町通の交通量はそれ以前の約4分の3になった。
 そうした実態の変化とともに、「ドライバーのほとんどが守っていない」という現実を考えて、府警が規制方針を変えたことも影響している。同課は「現代では規制強化はかりでなく、現実に合わせたメリハリある規制が必要だ」と言う。
 愛知県警は9月から、市中心部の幹線道路を路上駐車用に開放した。すると”名古屋名物”の違法駐車が半減した。規制緩和が効果を生んだ例だ。
 府警の規制解除は現状の追認ではあるものの、府警の姿勢の変化を示している。「これからは堂々と通ってもいいのですね」。ハイ。
 今回変更になったそのほかの規制は、三条通(河原町−川端通間)で午後5時から同7時のマイカー通行禁止が解除▽地下鉄工事が終了したことで、御池通(堀川−河原町通間)の最高速度制限が40`から50`へ引き上げ▽寺町通が歩行者専用となる時間は、午前10時から午前零時までの間に延長、などとなっている。(朝日新聞)
■未来ひらく新動脈 華やかに地下鉄東西線開業式典 喜びの試乗
 京都市中心部と南東部を結ぶ地下鉄東西線(醍醐−二条間、12.7`)の開業記念式典が11日午前、京都市中京区の同線京都市役所前駅で行われ、約750人が、待望の新たな動脈の完成を祝った。東西線は、あす12日から、いよいよ運行を始める。
 記念式典は午前9時半から同駅地下1階のコンコースで行われ、桝本頼兼市長が「京都が未来に向けて飛躍するための都市基盤整備が、大きく前進した」とあいさつした。
 このあと、地下3階の駅ホームで発車式を行い、特別試乗電車の運転士にミス着物の女性が花束を、桝本市長が運転キーを渡し、運行の安全を祈った。
 くす玉が割られ、京都市消防音楽隊がマーチを演奏する中、関係者を乗せた特別試乗電車はゆっくりと同駅を出発、二条駅まで記念運転した。
 東西線は、烏丸線(国際会館−竹田間、13.7`)に次ぐ京都で2本目の地下鉄で1989年11月に起工、当初計画より3年遅れて完成にこぎつけた。
 途中に13の駅を設置、起終点を24分で結ぶ。朝のラッシュ時には2分半−5分半、昼間は10分間隔で運転する。各駅ホームには、転落防止用の安全装置・ホームドアを設置したほか、エレベーター、エスカレーター、車いす用トイレ、ベビーベッドなども設けている。(京都新聞 夕刊)
■京津線 路面走行お別れ 三条通を85年間ゴトゴト 最後の「揺れ心地」 風情を惜しみつつ
 京都市内の三条通(府道四ノ宮四ツ塚線)を85年間走り続けた京阪電鉄京津線が11日、路面走行の最終日を迎えた。「さよなら列車」が走る沿道では、市民が別れを惜しんだ。
 京津線は1912年8月に開業した。京都と大津を結ぶ動脈のひとつとして、街中をゴトゴトと走る風情が市民や観光客に親しまれてきた。地下鉄東西線が開業する12日以降は、京都市東山区の京阪三条駅から山科区の御陵駅間3.9`は東西線に乗り入れ、路面走行区間は姿を消す。
 この日は「ご利用ありがとうございました」などと書かれたヘッドマークと横断ステッカーをつけた装飾電車2本も運行され、市民たちが電車に乗り込んで最後の「揺れ心地」を味わった。沿道でも、鉄道愛好家がファインダーごしに路面電車のある風景を心に焼き付けていた。
 朝5時半の始発から写真を操っていた東山区の佐々木敬之さん(61)は「小学生のころから利用し、大好きだった」と、路面電車の廃止を惜しんだ。(京都新聞 夕刊)
■あす 京都地下鉄・東西線、開業 京阪・京津線、乗り入れ 沿線開発ラッシュ、大丈夫? 多いバブル期計画 年商見込み修正も
 京都市内を東西に走る市営地下鉄東西線(二条−醍醐、12.7`)が12日開業するのに伴い、沿線各地が開発ラッシュを迎えている。京都・三条と大津市を結ぶ京阪京津線も同日、東西線に乗り入れるため、開発の波は大津も含めた広範囲なものに。百貨店やホテルの建設が進み、商業ビルや地下街が次々とオープンするが、多くはバブル期の行政主導の計画。景気が低迷する中、「21世紀に向けた都市の創造」という掛け声が聞こえる一方、「採算が取れない」と売り上げ見込みを下方修正する動きも出始めた。(京都支局、大津支局)
 山科駅南に、建築中の商業ビルやホテル棟がそびえ立つ。「山科駅前まちづくりの会」の奥村俊一会長は、変容する街を眺めて「最近の不景気を考えると、この事業が行政主導じゃなかったらとっくに倒産しているな」と感慨深げだ。駅前では市が総事業費883億円をかけた市街地再開発工事が急ピッチで進み、来年10月の「街開き」には大丸も開業する。
 伏見区の醍醐駅周辺でも多目的ビルの建設が進む。京都市役所前には今月4日、御池地下街が開業し、中京区の二条駅周辺では映画館などが入るビルの着工が今年度内に控えている。
 一方、御陵駅から京都市役所前駅まで東西線に乗り入れる京阪京津線の浜大津駅前でも、大津市などが来春のオープンを目指して再開発ビルの整備を急ぐ。琵琶湖岸では、京阪が映画館5館などの入るアミューズメント施設を再開発中で、「京都からの客も引きつけ、京津線の利用増を目指す」と意気込む。
●変更できず
 沿線の開発計画にはバブル期のものが多い。京都市や、市の出資する第三セクターによる駅周辺開発の総事業費は概算で2300億円を超す。市幹部は「バブル期に地元要望に沿って計画を進めてきたため、変更は難しかった」と漏らす。
 「利益確保額を厳しく計算し直した。役所と違って利益を確実に上げる必要がある」。御池地下街を運営する第三セクター「京都御池地下街会社」の定宗和正社長は、苦しい胸の内を明かす。同社は今年3月、当初80億円とした年商見込みを65億円に下方修正した。
●運賃アップ
 「京都市民にとっては便利になり喜ばしいと思われるが、大津市民にとってのメリットは何かと考えると首をかしげざるを得ない」。1日の滋賀県議会本会議で、質問に立った議員は京阪の東西線乗り入れで跳ね上がる運賃に不快感を示した。
 これまで310円だった大津市中心部の京阪各駅から三条京阪駅までの運賃が、乗り入れで最高520円と約1.7倍にもなる。時間短縮は約3分にすぎない。大津方面から三条京阪までの運賃が、JRで京都駅に行く場合の倍以上になる駅も少なくない。大津市の主婦(53)は「今後はJRを使う回数が増えるかもしれない」と話す。
 京都市は9月議会で、二条駅から南西への廷伸構想について、地下鉄より建設費が安いモノレールも念頭に置いていることを明らかにした。
●借金3000億円
 背景には、全国的に目立つ地下鉄建設費の膨張がある。東西線も当初の約1.8倍の約4500億円に膨らみ、建設に伴い発行した市債(借金)残高は3000億円を超える。市幹部は「これ以上金がかかると、先行投資とはいえ、市の財政を圧迫する。利用者の運賃負担も増大し、公営であっても立ち行かなくなってしまう」と話している。(朝日新聞 夕刊)
■記念式典 1日早く 750人が出席
 京都市営地下鉄東西線の開業を祝う式典が、営業運転開始より1日早い11日、中京区の京都市役所前駅で開かれ、関係者約750人が出席した。式典後、地下3階のホームで発車式が行われ、試乗列車が二条駅まで往復、開通を祝った。
 東西線が営業運転を始める12日の始発電車は、醍醐駅(伏見区)発が午前5時19分、二条駅(中京区)発が同5時25分。
 一方、東西線開通に伴い廃止される京阪京津線の京津三条−御陵間では、京阪電鉄が11日夜、最終電車を走らせる。京津三条駅を午後10時14分に発車、浜大津駅まで。(朝日新聞 夕刊)
■「夢の超特急」登場から33年 初代新幹線 立派に現役 模様替えして10年先まで
 「夢の超特急」といわれ、日本の経済成長の象徴とし疾走してきた東海道・山陽新幹線の初代車両「0(ゼロ)系が、今月で満33歳を迎えた。東京オリンピックの1964年10月に登場し、最近は、より高性能な車両が開発されて減り続けている。東海道区間はあと3年で姿を消すが、JR西日本は内部の模様替えで「延命」を図り、まだ10年ほど山陽区間を走らせる。世代交代の波に押されながらも、丸い鼻の「兄貴」はがんばっている。
●往年の主力
 0系は、東海道新幹線が開業した64年10月1日から東京−新大阪間を走り、当初は4時間で結んだ。65年11月からは時速210`運転に入り、同区間の所要時間は3時間10分に。以来、「新幹線の顔」として走り続けてきた。
 国鉄が分割・民営化された87年時点でも、東海道・山陽新幹線の主力車両の地位は変わらず、JR東海、JR西日本合わせて2019両を数えた。
 車体は鋼鉄製で、「のぞみ」などに使われているアルミ合金製の「300系」に比べ、重量は1編成(16両)につき260トンも重い。もう製造されておらず、現在はJR東海に320両、JR西日本に465両が残っている。
●後輩たちは
 山陽新幹線では、0系から数えて4代目になるJR西日本の新型車両「500系」が3月に登場、11月29日からは東海道区間にも乗り入れる。世界最速の時速300`を誇り、2つの平均速度記録が「ギネスブック」に世界一として掲載される予定だ。
 空気抵折を減らすため、カワセミのくちばしのようなスマートな顔をしていて、走行時の揺れも軽減された。JR西日本は来年秋までには計9編成をそろえ、同社の「のぞみ」をすべて「300系」から「500系」に切り替える。
 さらに、JR東海と共同開発中の「700系」の試作車が完成し、先日公開された。こちらは約1年半かけて試験走行をし、早ければ99年春ごろ営業運転に入る。500系、700系とも、スピードや乗り心地などで0系に大きく水を開けている。
●近づく引退
 さすがに旧式になった0系だが、JR西日本の場合、所有する新幹線車両、計849両(今年4月現在)の55%を占める。
 0系を改造し、座席をゆったりめの4列にした「ウエストひかり」や、子供が遊ぶ専用スペースを設けた「ファミリーひかり」などは人気が高く、「のぞみ」に接続する「こだま」として増発するなど、まだ利用価値があるという。
 一方、JR東海は「東海道区間の過密ダイヤには対応できない」として、2000年9月末までに廃車の方針だ。
 山陽区間はその後もしばらく走るが、JR西日本によると、車体の寿命は改良しても約23年。同社所有の0系で最も新心いのは84年の製造で、遅くとも約10年以内には姿を消すことになる。(朝日新聞 夕刊)
12日■東西線 きょう発車 地下鉄新時代、幕開け 二条−醍醐24分
 京都市の地下鉄東西線(醍醐−二条間、12.7`)が、きょう12日に開業する。一番列車は発車式の後、上りが二条駅を午前5時25分、下りが醍醐駅を同19分に、それぞれ出発。21世紀の京都を担う新動脈の誕生で、古都は烏丸線と併せ、本格的な地下鉄時代を迎える。
 開業前日の11日、京都市交通局は最後の準備作業に追われた。東西線の各駅では、自動改札口や券売機を最終点検、新しい料金表や時刻表、ホームの案内表示のカバーも取り外され、開業を待つばかり。
 醍醐駅の車庫では東西線でデビューする新型車両の点検も入念に行われ、整備員が真剣な表情で作業にあたっていた。
 東西線は、烏丸線に次ぐ京都で2番目の地下鉄で、1989年11月に起工。建設事業費は4537億円、当初計画より3年遅れで完成した。醍醐−二条間が24分で結ばれることで、市内移動の時間距離は大幅に短縮、まちづくりや地域経済活性化の効果も期待されている。沿線の5つの駅周辺では都市整備事業が進行中で、このうち地下街「ゼスト御池」は4日にオープンした。残り事業も2000年度までの完成を目指している。
 また東西線開業に伴う山科・醍醐地域の京都市バスから京阪バスへの路線移行も12日から実施される。(京都新聞)
■地下鉄東西線 建設費の大幅超過、市交通局長の急逝… 苦節8年、今実る 行政や経済界 商業や観光振興 将来の起爆剤に
 地下鉄東西線がいよいよ走り出す。11日行われた開業式典には京都府、京都市や議会、工事関係者ら約750人が出席、待ちに待った開業を祝った。着工から8年。工期は3年伸び、建設事業費も予定の約2倍、4537億円に膨れ上がるなど、苦労を重ねた末の完成とあって、関係者は喜びをかみしめるとともに、京都の活性化に期待をふくらませていた。
 式典に姿を見せた前京都市長の田辺朋之さん(73)は「大事業だったが、将来の京都が栄える起爆剤になる」と顔をほころばせた。
 在任中の94年、建設費の大幅超過が明らかになり、対応に腐心した。「道路に車を走らせ、地中の古い下水管を支えながらの掘削は難工事。地価高騰も響いた」と振り返る。
 工事を急がせている最中、当時の公営企業管理者(交通局長)が急逝。「苦労ばかりして、みんなにしかられながら、よく頑張ってやってくれた」。
 95年1月の阪神大震災では、百貨店・大丸の山科駅前進出が危ぶまれたが、「社長が『京都には世話になっている』と(出店断念を)思い直してくれた。記憶に痛烈に残っている」という。
 京都府も、東西線には90億円余りの補助を行ってきた。荒巻禎一知事は「府域ばかりか、大阪、滋賀などとの広域交通は飛濯的に強化される。商業や観光振興にも大きく期待できる」と語った。
 経済界の期待も大きい。稲盛和夫京都商工会議所会頭は特別試乗電車に乗り「よかった。市民に喜んでもらえる」と感想を述べ、「21世紀を目前に京都の街が活性化する。早急に東西とも延伸し、将来的に環状線にすべきだ」。
 東西線に乗り入れる京阪電鉄の金馬昭郎社長は「都市交通のあるべき姿を実現していくためにも京津線の廃止はやむをえない。建設費の問題もあったが、地下鉄事業の是非は歴史が証明してくれるだろう」と語った。
 東西線は今後、醍醐から六地蔵(宇治市)への延伸が焦点となる。久保田勇宇治市長は、「これを大きな足掛かりに、延伸実現へ向け努力する決意だ。今後、京都市とのさまざまな手続きが必要になるが、手をつないでやっていきたい」と夢をふくらませた。(京都新聞)
■社説 東西線がつなぐ広域交通ネット
 京都市の伏見区醍醐と中京区のJR二条駅を結ぶ地下鉄東西線がきょうから開業した。京都の新地下鉄は南北を結ぶ烏丸線開業から16年ぶりで、都心部の烏丸御池駅で十文字に交わる。
 この接点を通じてJR山陰線をはじめ京都市を走るすべての鉄道がネットワークされることになる。この意味は何より大きい。交通網は文字通り網の目がつながって初めて有効性が飛雁的に高まるのだ。最大の効果というべきだろう。
 もちろんこれで京都の交通基盤整備が完了するわけではない。東西線の延伸ばかりか、高速道路問題など京都市が直面する交通課題は山積するが、まずは今朝の「出発進行」を祝いたい。
 山科区や醍醐の住民にとって悩みは不便な交通だった。道路はいつも渋滞し、東山連峰を境に市内中心部と隔てられていた感は否めない。その時間距離が一気に縮まる。醍醐−二条間24分、京都市役所までわずか18分だ。
 烏丸線に比べて車両は小型化したが、ラッシュ時の本数は多く、京都で初めてのホームドアや全駅にエレベーター設置など安全性や快適性は向上している。
 通勤や通学、買い物、レジャーなど人の流れがスムーズになり、都心部と東部地域の一体感が一層高まる。市内全域の活性化に大いに役立つに違いない。
 人の流れに影響を与えるのは京都市内にとどまらない。JRと西は二条駅で山陰線、東は山科駅で東海道線と湖西線に連絡することで効果は一層広域化する。特に府北部への足が便利になり、東西線メリットは府内全域に及ぶ。
 京都市は府域だけでなく、滋賀県、大阪府などの37市町を都市圏としている。圏域人口は約330万人にのぼるが、ことに近年は滋賀方面との共存関係が深まるばかりだ。東西線は一層京滋の緊密な発展を加速するだろう。
 いいことばかりではない。建設事業費が当初計画の約2倍、4537億円に達した。利用客の見通しを含めて採算面では非常に苦しい状況が予測されている。ただでさえ財政状態が悪い京都市にとって負担は相当なものだ。
 度重なる事業費や工法、完成時期の変更などで市政へ市民の不信感を高めた責任も免れない。工期の遅れはコストアップを招くだけでなく、市民生活に多大の迷惑を掛け、行政サービスに反する。
 開業に伴う市バスの再編や運行系統についても市民から不満が聞かれる。きめ細かい対応を求めたい。 東西線開通に併せて二条や三条京阪、山科、醍醐など沿線の拠点で整備事業が進む。すでに京都市役所前の地下街「ゼスト御池」はオープンし、新しい都心の顔としてにぎわいを見せている。
 26商店街が開業記念事業に取り組み、街づくりに役立てようと意欲を燃やしている、のは頼もしい。京都駅開業と相乗効果になれば願ってもないことだ。
 京都市は今後、醍醐から六地蔵までの延伸に着手する計画だが、当初構想の二条以西は白紙の状態だ。代替手段を含めて検討をしてもらいたい。
 地球環境や資源の制約から自動車主体の都市交通はもはや限界にきている。人間にやさしい総合的な交通体系の再構築が必要な時期だ。歴史都市・京都ならではの知恵を生み出そうではないか。(京都新聞)
■地下鉄東西線きょう開業 にぎわい利便性 期待のせ 市民の思い熱く
 地下鉄新時代が動き出す。京都市の都心部と東南部を20分余りでつなぐ東西線。開業前日の11日には、沿線では地域挙げてみこしを繰りだし、商店街では前景気をあおるイベントが展開された。東西線が計画されて29年、市民の期待はこの日、ピークに達した。
●祝う 子供みこし
 起終点の駅が出来た伏見区の醍醐地域。11日午後2時ごろから、子供らに担がれた10基の樽(たる)みこしが駅を目指して練り歩いた。「ワッショイ、ワッショイ」。東西線開業を祝う威勢のよい掛け声が、さわやかな秋空に広がった。
 「みこしを担ぐのは、少し照れくさかったけれど、地下鉄が来るのだと思うとうれしかった」と、小栗栖宮山小6年の山田智也君(11)。「醍醐」と赤く染め抜かれた法被が誇らしげ。
 みこしは午後3時過ぎに醍醐駅そばの折戸公園に結集し、参加した約300人はみんなで地下鉄開業を喜び合った。
 このあと、東西線の試乗へ。醍醐−二条間往復約50分の乗り心地を試した公務員の位田博道さん(52)=伏見区=は「バスより早く、イライラがなくなりそう」と、笑顔で話していた。
●願う 商店街PR
 地下鉄への期待は沿線の商店街も同じだ。各商店の軒先には「祝 東西線」の小旗が掲げられ、歓迎ムード一色。
 東山駅が商店街の入り口付近に誕生した東山区の古川町商店街ではこの日、近くを流れる白川で友禅流しを実演し、気勢を上げた。松本明光理事長(68)は「観光客にも立ち寄ってもらえる商店街にしたい」と、張り切る。
 京都市役所前駅北側の5つの商店街でつくる「御所南商店街グループ」は11日夜、京都御苑そばの下御霊神社でハワイアンショーを開いた。
 イベントの責任者、石塚清三さん(48)=中京区=は「地下鉄は買い物客を運んでくれる。この機会に商店街を大いにPRし、活性化させたい」と、声を弾ませた。
 再開発が進行中の山科駅前。山科商店会の高橋英太郎さん(74)は「単なる通過点にならないよう、魅力づくりが必要。これからが大変」と、喜びの中にも気を引き締めていた。
●広がる 足を延ばす
 中京区・朱三学区地域女性連合会のメンバー約20人でつくる歴史愛好家グループは、新動脈をさっそく利用して23日に伏見区の醍醐寺に足を運ぶ。移動時間の短縮が各種団体の活動の場を広げる。
 同会代表の菊池良子さん(67)は「醍醐や山科はこれまで訪れる機会が少なかったが、私たちの街と、1本のレールでつながった。東西線沿線の地域にも積極的に足を延ばしたい」と、史跡めぐりのプランを描く。
 観光客らを受け入れる側の醍醐地域では今月六日、「醍醐観光協会」を結成した。住民の代表をはじめ、社寺や企業の関係者らも名前を連ねた。
 同協会常務理事の横田勇造さん(59)は「醍醐はこんなに素晴らしいところ、と多くの人にPRしていきたい」と抱負を語った。(京都新聞)
■電光ニュースも準備OK 市役所前駅構内
 京都市中京区の地下鉄東西線京都市役所前駅のニュースボードに、京都新聞の電光ニュースが流されることになり、11日テスト送信が行われた。
 地下鉄内では唯一の電光ニュースで、ボードは駅地下1階コンコースの「京都シティガイド」内にある。運営する広告代理店に京都新聞社がニュースを提供、12日からスタートする。
 ボードは縦14a、横2.3b。赤、黄、緑の3色で、午前6時から午前零時ごろまで、国内外のニュースやスポーツ、天気予報なとの情報を流す。
 この日のテスト送信では「京阪京津線でさよなら列車が運行」などのニュースを速報、開業準備に追われる関係者も足を止め見入っていた。京都シティガイドは、ニュースボードのほか観光やショッピングなど、最新情報を発信するサービス機器を備えている。(京都新聞)
■線路にまた自転車 草津のJR東海道線
 11日午後6時40分ごろ、草津市野路町のJR東海道線の下り線で、姫路行き新快速電車(8両編成、乗員約500人)が、線路内に放置されていた自転車と接触し、点検のため現場に16分間停車した。後続の下り電車1本も16分−6分遅れ、計800人に影響が出た。
 草津署の調べでは、現場は南草津駅の北約300bの地点。線路は高さ約4bの土手の上にあるが、フェンスにはすき間があり、出入りは可能だという。
 JR西日本と南草津駅によると、4日午後10時ごろ、同駅の南約200bの上り線で、放置された自転車に上り新快速が接触、さらに5日午後7時ごろにも、今回とほぼ同じ場所で、線路上に置かれた自転車に下り貨物列車が接触、ブレーキ系統を破損する事故が起きているという。(京都新聞)
■にちよう交差点 新京都駅ビルに一言 空間の使い方、すごい 新名所、京の活性化に
・松木 秀信さん(28)(京都中央信用金庫本店営業部)
 「駅」とは、都市の玄関。人が行き交い、出会いと分かれの場でもある。
 「古都」の名が表すように京都は伝統的な古さを象徴する都市であり、ややもすると保守的雰囲気が漂う都市である。新しい駅ビルが完成するまでには、高さ制限、デザインの問題など、紆(う)余曲折があったことは記憶に新しい。その意味からも近代的な駅ビルは新しさの象徴であり、新しい京都と古い京都の出会いの場と言える。今後この出会いの場をいかに活用し、世界にアピールするかが京都の活性化につながると思う。この施設の活かし方いかんで京都の発展が左右される。
・岡本 万喜さん(21)(京セラ総務本部業務部)
 新しい京都駅ビルは、空間の使い方がすごい。特に、スペイン広場のような大階段や空中通路など、お金を使わなくても楽しめるスポットがたくさんある。大階段で待ち合わせをしたが、あんなに広い場所とは知らなかったので会うのに苦労したが…。
 駅だけでなく、デパートやホテル、劇場などのさまざまな顔を持っている巨大な駅ビルの出現に、他の商店街も刺激されて京都全体の活性化につながるのではないか。でも、人が多すぎてどこもいっぱい。その割にはとりたてて特徴があるわけでもないような。この人出がいつまで続くのかな?とも感じます。
・柴山 太さん(26)(川島織物人事部)
 JR京都駅ビルは完成以来、にぎわいが続いているようだ。各地からの観光客が一度は立ち寄るだろうし、多くのイベントを開催することで若者にもうけているようであり、今のところは成功しているのではないか。
 しかし、まだまだ交通の便は悪い。河原町など京都一の繁華街からの京都駅へのアクセスも開通するが、京都の地下鉄は東京や大阪に比べると、ほど遠く、もう少し開発の必要あるように思える。
 今回の駅ビル開発をきっかけに今後も新しい京都の町づくりを進めていけばよいと思う。
・上谷 陽子さん(20)(月桂冠企画部)
 未来都市を感じさせる斬新な設計と広々とした空間に、今までの京都とは違う雰囲気を感じる。生活に関するものからアミューズメントに至るまでのあらゆる施設が集まり、最新の設備と斬新さを兼ね備えた巨大なビルに圧倒される。しかし、より心をひかれるのは、その中にある繊細さである。透明感と光との調和が素晴らしく、やさしい空間を醸し出している。小径や広場が数多く設けられているところに、京都らしさが現れている。
 人々がやすらぎを感じられる自由な空間として、利用できればと思う。いつまでも「京都らしさ」を大切にしながら発展していってほしい。
・北東 建二さん(46)(三洋化成工業研究本部)
 京都駅は、なぜあんな貧相な駅なんやろうというのが、ずっと以前からの感想でした。だから、駅の工事が始まってからというもの期待でいっぱいでした。駅が完成し、妻と見学に行きました。期待通りの素晴らしさで、モスラの幼虫が連なったような京都伊勢丹のエスカレーター、どこまでもある大階段、高所恐怖症にはちょつとつらい空中径路など、すごいなあ!を連発しながら子どものように喜んでしまいました。京都にはそぐわないビル、お金をかけすぎと批判も多いようですが、新名所として必ず京都の活性化に寄与すると信じております。(京都新聞)
■京津線 通学の足ありがとう 京阪三条駅周辺でブラバン演奏 京都文教女子中・高生徒会 感謝の心込め
 一部廃止される京津線を利用してきた京都市左京区岡崎円勝寺町の京都文教女子中学・高校の生徒会(奥平和美会長)は11日、ブラスバンド演奏を交えた「感謝セレモニー」を東山区三条大橋東詰めの京阪三条駅京津線乗り場近くで行った。
 同校の生徒らの多くは、京都市の地下鉄東西線の開通(12日)に伴い廃止される市内の京津線「御陵−三条」駅間(3.9`)の東山三条駅で乗降、通学のため同線を利用してきた。感謝のセレモニーは、今年9月から生徒会が企画、準備を進めた。
 この日は、吹奏楽部(大石人実部長)のメンバー約60人が「踊り明かそう」「卒業写真」「ディズニーメドレー」など6曲を演奏し、京津線の乗降客らを魅了したほか、生徒代表の高橋まゆみさん(3年)らが増井武司京津線管区駅長らに花束を贈呈し、感謝の思いを伝えた。
 奥平会長(3年)は「のんびりした雰囲気の路面電車に愛着を持っていただけに、寂しい気持ちです」と別れを惜しんでいた。(京都新聞)
■路面電車にお別れ 京津線の一部廃止
 京都と大津を結ぶ電車として85年間親しまれてきた京阪電鉄京津線(11.1`)の一部区間(御陵−京津三条、3.9`)が、12日の京都市営地下鉄東西線の開業に伴い11日姿を消した。大勢の鉄道ファンや地元住民が見守る中、最終電車が午後10時過ぎに京津三条駅(京都市東山区)を発車し、長い歴史に別れを告げた。
 廃線区間は半分以上が道路の中ほどを電車が走る路面軌道で、開業以来、古都の街並みに溶け込んで親しまれてきた。今後、京津線は御陵駅(山科区)から東西線に乗り入れて京都市中心部の市役所前駅(中京区)まで走る。(朝日新聞)
■地下鉄東西線きょう開業 相次ぎ記念の催し 各駅にイメージカラー
 京都市内を東西に走る地下鉄東西線(二条−醍醐間12.7`)の開業まであと1日となった11日、中京区の京都市役所前駅では開業式典が開かれ、インターネット上では開通を記念したホームページが作製されるなど開通を祝う行事が相次いでいる。
 式典には、国会議員や市役所の職員ら約750人が参加、会場の京都市役所前駅のコンコースには人があふれた。桝本頼兼市長は「開業で京都は未来に向けて一層飛躍をする」とあいさつした。
 市幹部らのテープカットと同時に、中京区の生祥幼稚園や朱雀第一小などの子どもたち約50人がくす玉を割って開業を祝った。
 12日に営業運転が始まる東西線のイメージカラーは朱色。烏丸線の緑に対して、より京都らしいイメージを考えたといい、13ある駅にもそれぞれイメージカラーがあるのが特徴だ。各駅のホームドアは、烏丸御池駅の朱色を中心に、東の醍醐方面は赤から紫、桜色に、西の二条方面は黄色へなだらかに変化。京都らしいはんなりとした華やかさを出している。
 また、地下鉄の東側の終点、伏見区醍醐の御霊ケ下・大構町内会は、東西線開業を記念したホームページを作製した。
 醍醐駅の上にある複合施設「パセオダイゴロー」の案内を写真や図などを使って紹介。同駅の近くにある車両基地に並ぶ地下鉄車両の写真も掲載した。世界文化遺産の醍醐寺の拝観案内や開業記念事業のコンサート、文化講座の日程などもある。接続は「http://mediawars.or.jp/~daigono1/index.html」。
 このほか、中京郵便局は12日、沿線の名所を紹介した台紙と切手をセットにし特別記念スタンプセットを発売する。限定2万部で1000円。販売場所は東西線の二条、三条京阪、醍醐、椥辻の四駅。問い合わせは同郵便局(075・255・1152)へ。(朝日新聞)
駅 名イメージカラー
二     条山吹(やまぶき)色
二 条 城 前柿(かき)色
鳥 丸 御 池朱(しゆ)色
京都市役所前韓紅(からくれない)
三 条 京 阪牡丹(ぼたん)色
東     山菖蒲(あやめ)色
蹴     上董(すみれ)色
御     陵桔梗(ききょう)色
山     科藤紫(ふU むらさき)
東     野藤(ふじ)色
榔     辻秋桜(コスモス)色
小     野紅梅(こうばい)色
醍     醐桜(さくら)色
■時々刻々 路面電車復権へ 環境への優しさ指標 車に頼らぬ街を 京都・岡山で新設など検討
 乗り降りが楽で排ガスも出さない。人にも環境にも優しい乗り物として、路面電車を見直す機運が高まっている。欧米では20年ほど前から再評価されていたが、その波がようやく日本に上陸した格好だ。8月には、日本で初めてドイツ生まれの超低床の路面電車が熊本市の市電に走り始めた。広島市など他都市でも超低床車の導入や路線の延伸、新設などの計画が次々浮上し、国も支援を強めていく方針だ。地球温暖化防止策を各国が協議する気候変動枠組み条約第3回締約国会議が12月に開かれる京都市でも、19年前に廃止された市電の復活をめざす動きが高まっている。
 各地での路面電車の見直しは、交通事故死や渋滞・公害など車社会の行き詰まり感が深まる一方、無公害、高齢化社会に好適で、バスより大きい輸送力、安い建設費などの利点が見直されていることによる。
 京都市は温暖化防止行動計画を策定中だ。その検討委員会では、環境保護団体や研究者らの聞から「路面電車を導入し、市中心部に車を入れないといったパークアンドライドを実施すれば、温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)の大幅な排出削減につながる」との意見が相次いだ。市側も「将来的な課題だ」と前向きな姿勢を見せる。
 京都の3つの市民団体はこの夏、マイカー利用者に公共交通機関を利用してもらうモニター調査「きょう(京)車やめとこキャンペーン」を実施し、公共交通機関の重要性を世間に問い掛けた。
 CO2はどの程度滅るのか。京大の北村隆一教授(交通システム)は、京都の市街地を囲む約23`の環状線を路面電車が走った場合、車のCO2排出量が2.5%減るという計算結果をはじき出した。同時に、片側2車線の道路に路面電車を走らせても、車の流れは悪化しないという結果も得られた。いずれも、車から路面電車に乗り換える層がいるためだ。「かつての路線網の復活が検討されていいのではないか」と北村教授はエールを送る。
 全国で初めて路面電車が走った京都市は全盛期75`と都大路に縦横に市電の軌道が延びた。しかし、都心の人口減や乗用車の増加で乗客数が減少し、1978年に市電としては全線が廃止された。12日開業する市営地下鉄東西線に京阪電鉄京津線が乗り入れるのに伴い、京津線の三条通などにわずかに残る2.3`が11日で廃止され、市内で残るのは京福電鉄嵐山線の1`余になる。
 路線の延伸計画もある。岡山市、岐阜市、長崎市などでも延伸や新設が検討されている。
 日本一の利用者を誇る広島市の広島電鉄は「ライト・レール・トランジット(LRT)」と呼ばれる超低床、高性能タイプの路面電車を導入する。2両連接車で、来年度から3年間、毎年4編成の計12編成を導入する予定だ。
 LRTは熊本市交通局が8月に1編成ながら営業運転を始めた。ドイツ製の車両を国内メーカーが改良。床面の高さは道路から36a。従来の路面電車は約80aの高さだから、半分以下だ。緩く傾斜した乗降口はさらに低い30aで、高さ18aの停留所との段差は12a。乗り降りは格段に楽で、車いす利用者も利用できる。
 東京都も現在の都電とは別に、LRTの新路線の可能性を探り始めた。萩原豊吉・都交通企画課長は「今年度は基礎調査。来年度は数ヵ所のモデル地区を選び、地域特性に応じた検討をしていく」と話す。
 車中心の道路行政を推し進めてきた建設省も変身した。同省は路面電車の延伸や新設を検討している各市に来年度の補助金を出す方針を囲めた。今年度も愛知県豊橋市の豊橋鉄道の延伸工事を補助しているが、より本腰を入れる。
 「路面電車を重要な公共交通の一つと位置づけた。特に人口30万以上の地方中核都市で有効だろう」と同省。1`当たりの建設費は10億−20億円。ざっと、300億円の地下鉄や100億円の新交通システムと比べて破格に安いのも魅力だ。
 建設省は、全国の路面電車愛好団体が今年5月、岡山市で開いた3回目の「路面電車サミット」を、運輸省とともに今回初めて後援した。
・メモ 日本最初の路面電車は1895年(明治28年)、京都市で誕生した。昭和初期の最盛期には全国65都市に約1500`の路線が敷かれた。戦後は、自動車優先の声とバスや地下鉄に押されて衰退し、19都市20事業者に減った。総路線長は約240`。総じて経営は苦しい。(朝日新聞)
■声 思い出運んだ路面電車廃線 京都市 中山 紀代子(主婦 56歳)
 12日の京都市営地下鉄東西線の開業に伴い、京阪電車京津線の京津三条−御陵間3.9`が廃線になる。ここ連日、日ノ岡駅から電車に乗る度に、この電車に熱い視線を向けているたくさんのカメラマンを目にした。乗客の方も心なしか寡黙になって、車窓の風景をしっかり目に焼き付けているようだ。
 14年前、東京から引っ越してきて、この電車が私たちの足になった日のことが鮮やかに思い出される。次女が初めて大人料金を払った日、100円で10円のおつりをもらったことも。今にも動きだそうとする電車が、電車に乗ろうとあわてて道路を渡る人を待ってから発車することも度々あった。電車に乗れた人も、待たされた人もホッとして車内の空気もさわやかだった。
 今度、地下鉄になると、「もう待ってはもらえないないわね」というのが、私の聞いたかなりの人たちの感想だった。皆、この電車に待ってもらったことのある人たちだったのだ。とっても人間的な電車だった気がする。
 「今日はついていた!冷房車だった」などというのが、家族の間で夕食の話題になっていたのに、あっという間に全車冷房になったのも、つい昨日のことのような気がする。
 夫の通勤に、そして娘たちを高校に運び続けてくれた京阪京津線の路面電車、ありがとう。東京で、フランスで働く娘たちに代わって、お礼を言います。さようなら。(朝日新聞)
■路面電車 最後の雄姿 京阪京津線
 京阪電鉄京津線の三条(京都市東山区)−御陵(同市山科区)間運転最終日の11日、3.9`の沿線には大勢の鉄道ファンや市民が詰めかけ、秋のやわらかな日差しを受けて走る路面電車の最後の姿を、フィルムや目にしっかりと焼き付けていた。
 学校が休みの第2土曜日ということもあり、京津三条駅付近のカーブや白川橋、平安神宮の鳥居が見える三条神宮道などの撮影ポイントには早朝からカメラの放列が敷かれた。
 京阪は、この日で廃車にする「80型」や「260型」電車に「ご利用ありがとうございました」と書いたヘッドマークを取り付けて運転。京の風景にマッチした緑色の車両を記録しようと、重い機材をかついで廃止全区間を歩きながら撮影する人も多かった。
 京都市左京区吉田、京都大4年藤井剛さん(24)は「車が前を走るとスピードを落とすなど、路面電車ならではの味わいがありました。生活の一部として使っていたので、廃線はやはり寂しいです」と話し、一駅ごとに電車と街並みをカメラに収めていた。
 最終日の同線利用者は、平常より6割増しの約11万人。ふだんより乗降に時間がかかったほか、道路との併用区間でホームとの段差を解消するためドア下に設置された「80型」独特の折り畳みステップを撮ろうと、停車中の電車の前に立ちはだかってカメラを向ける者もおり、ダイヤが一時乱れた。(読売新聞)
■読者のページ サンデーひろば「電車」
・一新する京津線を思い飲む 主婦 鯉田 四季 41(大津市)
 週末に京阪京津線の電車道沿いにある焼き鳥屋に行った。1週間後には、この店の前も電車が通らなくなる。「プファーツ」という警笛を聞きながらの一杯も多分、今日が最後だろう。
 路上の駅の小さなホームでは、丸みを帯びたグリーンの車体から折り畳み式のステップが乗降客を助けてくれた。あのステップが作動するときの何ともいえぬやさしい時間の流れ。まるで”奥様、お手をどうぞ”と言わんばかりに。
 京の四季の移ろいをバックに交通渋滞に巻き込まれながらも自らの役目を全うし、地下鉄乗り入れと同時に今月11日で姿を消す電車たち。そして翌朝、輝くデビューを待つブルーの新型車両…。電車たちを思うと感傷的になってくる。
 「これも世代交代なのかしら」−そんな気持ちで、鉄さびで赤茶けた赤ちょうちんを後にした。
・追いかけた祖母の方が早く 無職 中村 清子 72(大阪市)
 小学生のころ、今は亡き祖母から聞いた話です。1920年秋、わが町・此花区に初めて市電が走り、祖父母も皆と一緒に乗った。
 ある日、祖母はまた乗りたくなり、一人で出掛けて近くで降り、帰りの市電を待っていた。電車の近付く音がした時、竹輪を買っている最中で、懸命に走ったが乗り遅れ、なおも夢中で追いかけた。当時は市電の速度が遅く、次の乗り場に祖母の方が早く着き、その到着を待っていた、という。
 夢中で握っていた竹輪は、2本ともつぶれてしまった、と聞き、祖父と払は笑い転げてしまった。「アホやなぁ。次の電車待てばええのに…」と祖父。でも払は、懸命に走った祖母を笑って悪かった、と思った。
・母子に手を貸す茶髪の3人 主婦 藪脇 晴美 62(和歌山県東牟婁郡)
 ある日、大阪で乗った電車に髪を無造作に束ね、化粧気のない女性が座っていた。背中で赤ちゃんがのけぞるように、ひざの上では3歳ぐらいの坊やが軟体動物みたいに、それぞれ熟睡。わきにベビーカーと大きな荷物。汗ばんだその横顔には疲労の色がありありと。
 その隣に同年代の男性3人。真っ黄色の髪と茶髪で片弓耳イヤリング。大声でふざけ合い、嫌な感じで私はマユをひそめていた。
 車内アナウンスが流れて彼女は降りる準備を始めた。私が手を貸そうとしたその時、彼らも立ち上がった。そして彼女に「手伝うて上げよか」と声を掛け、坊やを抱き、ベビーカーと荷物を持った。彼女の顔がパッと明るくなった。
 女性と一緒に陸橋を上がっていく彼らの後ろ姿を、私は車窓からさわやかな気持ちで見送っていた。
・夢の国へと運んでくれる足 公務員 赤阪 叔彦 50(大阪府茨木市)
 岡山に旅行すると、必ずチンチン電車に乗る。
 JR岡山駅前から東山までの短い区間をおもちゃのような電車がガタゴトと走る。車窓からは、市の繁華街・桃太郎大通りの町並みや日本三名園の一つ・後楽園の木々の緑や岡山城天守閣が見える。
 そばを走り抜けるその音は、まるで電車が名所旧跡を案内しているように聞こえる。
 いつも後楽園下の電停で降りてしまうので、一度、終点の東山まで乗って行きたい思いに駆られる。
 自動車に次々と追い抜かされても悠然と走るこの電車が好きだ。チンチン電車は、払を夢の国へと運んでくれる足なのだ。
・男性のひざに腰掛け1時間 会社員 小牧 聖子 26(神戸市)
 今年1月22日。その朝は一面の雪景色で、やっと駅に着いたら電車が遅れている、とのアナウンス。ホームにも人があふれ、30分待ってやっと来た電車はすでにすし詰め状態。
 だが皆、これを逃すと次はいつ来るか分からない、とばかりに無理やり乗り込む。私も何とか割り込んだが、息も出来ないほどの込みようだった。
 突然、急ブレーキがかかり、不安定な姿勢でいた私はよろけて、座っている若い男性のひざの上にちょこんと腰掛けてしまった。
 焦ったが身動きがとれず、おわびを言いながら結局1時間以上もそのままに。周りの人から笑われ、恥ずかしかった。でも長時間、文句も言わずに座らせてくれた男性に、改めてお礼を言いたい。
・車掌の制服が良く似合った 主婦 角南 燿江 64(岡山市)
 電車といえば、チンチン電車。思い出は山ほどある。
 1960年代、広島市内に住んでいたころ、風邪をひいた我が子を連れ、病院からの帰りに電車の窓から薬瓶を落としてしまった。「拾いに行かせて」という払の頼みに、運転士は電車を止めて待ってくれた。乗客の方々も黙って許して下さった。薬瓶は、粉々に割れていた。
 40年代、叔父の友達でタアちゃんという人がいた。母がなく、どこか寂しげなその人は、岡山に出て電車の車掌になった。制服が良く似合い、黒カバンを掛けて切符にパンチを入れる姿が格好いい、と村中の評判で皆、タアちゃんのいる電車を探した。笑顔の優しかったその人は、あの戦争で帰って来なかった。
・カー通勤よりも望ましい 会社員 秋山 勝吉 29(滋賀県彦根市)
 私の古里・山口県では、通勤に車を使うのが当たり前ということもあって電車通勤にあこがれていた。
 学校を出て大阪で就職して電車通勤になり、うれしくてスーツを何着も新調し、おしゃれに気を使った。そうすることで仕事にも気合が入り、さっそうと街を歩いていた。テレビドラマの主人公に自分をダブらせていたのかもしれない。
 電車の定期券があるのに、車中の人込みが嫌だと車で通勤している人もいる。だが、車には事故がつきものだし、交通渋滞を招き、環境問題の点からも電車通勤の方が望ましい。途中、歩くから健康にもいいし、飲酒運転の心配もせずに”飲みニケーション”が出来て気分転換にもなる。
 転勤で、今はカー通勤となったが、私は相変わらず電車にあこがれている。(読売新聞)
■いずみ
 JR東海は、京都の散策地図や見どころ、飲食・土産物店などを記した「京都エリアマップ」(A4判)を新しく作り、12日から京都駅新幹線コンコースと東京駅で無料配布する。
 表面はお勧めの散歩道、社寺などの地図。裏面は名所旧跡の説明、飲食店のメニューや土産品をカラー写真入りで紹介しており、市販のガイドブックも顔負けの詳しい内容。
 地域ごとに25枚に分かれており、携帯にも便利。1994年の”初版”は地図が簡略で説明文も少なく、社員らが実際に街を歩いて欠点を補った。同社は「このマップだけでどこへでも行けます」と自画自賛。(読売新聞)
13日■「市民の足」動き出す 地下鉄東西線開業 はやラッシュ
 京都市の地下鉄東西線(醍醐−二条間、12.7`)が12日、開業した。市内を南北に走る地下鉄烏丸線やJR、京阪と結び、京の交通アクセスの要(かなめ)となる。デビュー翌日の13日朝は、通勤や通学ラッシュも始まり、東西線は「市民の足」として順調に滑り出した。
 始発電車の出発式は12日午前5時すぎから、山科区の醍醐駅と中京区の二条駅で行われた。醍醐駅では桝本頼兼市長が「安全をモットーにがんばって下さい」と運転士に花束を渡し、くす玉を割って一番列車の発車を祝った。初日は大勢の市民や鉄道ファンが新線の乗り心地を楽しんだ。
 13日は平日とあって、朝から初めての通勤、通学ラッシュ。ピーク時には列車が2分半間隔で各駅に到着、真新しいホームではサラリーマンや学生が「待ち望んでいました」「これで便利になった」と、笑顔を見せながら電車に乗り込んでいた。
 この日早朝、烏丸線は車両故障で一時遅れが出たが、乗り継ぎの混乱など東西線への影響はなかった。
 東西線は京都で2番目の地下鉄。起終点の醍醐−二条間が24分で結ばれ、市内移動の時間が大幅に短縮される。運行は午前5時19分から深夜午前零時14分まで。ラッシュ時は2分半−5分間隔、昼間は10分間隔で走る。途中の御陵−市役所前間は京阪京津線も乗り入れる。
 沿線の5つの駅周辺では関連プロジェクトも進行中で、まちづくりや地域経済活性化の効果も期待されている。
 地下鉄東西線と烏丸線で市内交通の骨格を完成させた京都市は今後、東西線の醍醐−六地蔵間(約2.5`)の延伸計画の実現をめざす。(京都新聞 夕刊)
■速い 近い きれい 東西線出発進行 「朝寝坊 うれしい」 バス再編に不満も
 醍醐から京都市役所界わいに急ぐサラリーマン。二条から伏見、山科区内に向かう生徒や学生。12日に開業した京都市の地下鉄東西線(醍醐−二条間、12.7`)は13日朝、前日の開業日の華やいだ雰囲気から一転、車内やホームは通勤、通学客が埋め、京の町に新しい通勤風景を描きだした。街中と郊外を20分ほどで結ぶ速さ、アクセスの豊富さ。誕生したばかりの大動脈は、仕事、ショッピング、観光にと、新交通ネットワークの威力を存分に発揮した。
・二条駅
 東西線と連絡するJR山陰線を降りた通勤客が、ぞくぞくと地下鉄乗り場に向かった。会社員中野晃さん(35)=亀岡市=は「職場のある山科駅までJRを使っていたが東西線に変えた。通勤時間が半分になった」と喜ぶ。
 一方、JR駅前で客を待つタクシーの運転手からは、東西線開業でタクシー客が半減したという声も。タクシー運転手の河村幸一さん(53)は「待ち時間が長い。数日様子を見て、だめなら場所を変える」とため息をついていた。
・烏丸御池駅
 東西線と烏丸線がクロスし、地下鉄同士の乗り換え客でホームはあふれた。地下約20bにある東西線を降り、烏丸線のホームにつながる階段を登っていた会社員の永井洋子さん(28)=京都市中京区=は「ホーム間の高低差が少しきつく感じるが、改札を出ずに、わずか数十秒で烏丸線のホームに着くのがうれしい」と、到着した烏丸線の電車に笑顔で乗り込んだ。
・三条京阪駅
 京阪電車からの乗り換え客が東西線のホームに続く長い通路へ足早に向かう。
 伏見区・伏見稲荷から中京区・烏丸御池に通う会社員菊池潔さん(34)=京都市伏見区=は「いままでは京阪から阪急、さらに地下鉄烏丸線に乗り換えていた。東西線を使うと乗り換え回数が減って便利。通勤に余裕ができます」と。
 一方、同駅のバスターミナルで山科方面へのバスを待つ人々は、本数の減少に納得できない様子。卸売業林祥平さん(23)=宇治市=は「職場のある山科区川田は、東西線が通っていない地域。関係ない路線まで本数が減るのはおかしい」と不満をもらしていた。
・椥辻駅
 京都橘女子大生の最寄り駅で、1日6000人の利用が見込まれている。2年生の福島芽久美さん(19)=京都市南区=は「地下鉄だと時間を計算できるし、三条や四条に出るのも便利そう。ショッピングにも使おうと思っています」と期待していた。
・醍醐駅
 朝夕の通勤時間帯は5−7分間隔で運行される。駅に到着した乗客の中には、出口を案内板で確かめたり、駅員に尋ねる人も見られた。近くの会社員安田賢一さん(62)=京都市伏見区=は「地下鉄で三条京阪駅近くの会社に通勤できる。通勤時間は40分くらい短縮されそう」といい、真新しい車両に乗り込んだ。
 開業に伴って、市バスの路線が大幅に再編成された。中書島(伏見区)までバスで通勤していた山科区椥辻の会社員、村田修一さん(50)は「きょうからは地下鉄とバスを利用する。でも、バスは1時間に1本ていど。通勤時間は、これまでとあまり変わらないと思う」と話し、醍醐バスターミナルで時間待ちしていた。
・23万人が乗車 開業初日
 東西線は12日午前5時過ぎから、醍醐、二条両駅で行われた発車式で開業した。午前3時半ごろから並んで二条駅の1番切符を手にした学生の佐々木信宏さん(21)=京都市中京区=は「早くから待ったかいがありました」と、うれしそうに電車に乗り込んだ。
 特別公開の醍醐寺を訪れた大和高田市の会社員、樋口利美さん(57)は「醍醐に来やすくなった。地下鉄は乗り心地も、安全面でもよさそう」。
 地下街・ゼスト御池も、家族連れやカップルらで、オープン初日(4日)につぐにぎわいとなった。衣料店の松浦貴信店長(23)は「この勢いが続いてほしい」と期待していた。
 市交通局では12日、各駅合わせて約200人の職員が案内などにあたり、大きな混乱はなかった。初日の乗客数は、約23万人だった。(京都新聞 夕刊)
■烏丸線は故障 5万4000人足乱れる
 13日午前6時45分ごろ、京都市上京区の京都市営地下鉄烏丸線の今出川駅で、竹田行きの電車が故障で運行できなくなった。電車は同駅に乗客を降ろし、約15分後に後続電車と連結し押される形で竹田駅まで回送された。
 この電車の故障で、午前9時の復旧までの間、近鉄京都線との乗り入れ電車10本を含む、竹田方面行きと国際会館行きの電車計47本が15−5分遅れ、通勤客ら約5万4000人に影響が出た。京都駅では、ラッシュ時の午前8時15分から約20分間に計3回、JRからの乗り継ぎ客らがホームにあふれないように改札口で入場制限した。
 市交通局によると、故障した電車は午前6時40分ごろ、今出川駅の手前の鞍馬口駅で、先頭車両の電池電圧が100ボルトから60ボルトに低下した。同駅で、電気系統の応急処置をして今出川駅までスピードを落として運行したが、今出川駅で再び電圧が下がり、動かなくなったという。市交通局は、車両の電圧低下の原因を調べている。(京都新聞 夕刊)
■JR大月駅列車衝突 車体、衝撃で波打つ やみの中 助け呼ぶ悲鳴
 頭を押さえた新聞紙が血に染まった−。バリバリというごう音と助けを求める声が闇(やみ)の中に飛び交う。12日夜、山梨県大月市のJR中央線大月駅構内で起きた特急スーパーあずさ13号と回送列車の衝突事故。
 けが人を搬送する救急車の赤い回転灯が交錯、騒然とした夜から一夜明けた13日朝、スーパーあずさの薄紫色の車体に回送列車のオレンジ色の塗料がこびりつき、えぐられ、波打つ車体が事故のすさまじさを見せつけた。
 事故の瞬間、架線が切れ、車内は真っ暗に。横転した8号車に乗っていた千葉県柏市の会社員長谷川栄美さん(43)は「突然ガリガリと大きな音がして左に倒れた。手すりにつかまり宙づりになった。車内から白い煙が上がったときはどうなるかと思った」と青ざめていた。
 警察庁の科学警察研究所と山梨県警の現場検証が始まったのは13日の朝。JR側は、午前11時すぎから作業に着手したが、現場の関係者は「完全復旧のめどは全くたっていない」と頭を抱えていた。(京都新聞 夕刊)
■阪急にはねられ重体 西京の踏切で男性
 12日午前9時15分ごろ、京都市西京区松尾木ノ曽町の阪急嵐山線の踏切で、男性が桂行き下り普通電車にはねられ、頭を強く打って意識不明の重体。桂署の調べでは、男性は30歳前後で上下青色のトレーニングウェア姿。上り普通電車が現場に7分間停車したが、後続に影響はなかった。(京都新聞 夕刊)
■特急に回送列車衝突 脱線、横転32人重軽傷 ATS作動せず JR中央線大月駅
 12日午後8時ごろ、山梨県大月市のJR中央線大月駅構内で、新宿発松本行き下り特急スーパーあずさ13号(小倉勝己運転士、12両編成)と回送列車(6両)が衝突し、特急の5両が脱線、うち1両が横転し、回送列車も2両が脱線した。
 特急の乗客約550人のうち、頭を強く打った上原さやかさん(21)=長野県松本市=ら31人と回送列車の善家敦志運転士(24)の計32人が重軽傷を負い、4人が入院した。
 JR東日本によると、引き込み線上の回送列車が赤信号にもかかわらず本線に進入した可能性が高いという。また列車自動停止装置(ATS)が何らかの原因で作動しなかったことも分かった。山梨県警は捜査本部を設置し、13日朝から警察庁科学警察研究所と業務上過失致傷容疑で現場検証、本格的な事故原因の解明に乗り出した。
 JR東日本は12日、事故対策本部を設置し、運輸省も関東運輸局職員2人を派遣した。
 JR東日本などによると当時、ポイント手前の信号が赤だったのに回送列車が進行したとみられ、運転士の信号見落としか信号無視との見方が強まっている。
 中央線は事故直後から山梨県内の四方津−甲斐大和間が不通のままで、バスによる代行輸送などを行った。JR東日本は大型クレーン車を投入して復旧作業に向けて作業を進めたが、車両の撤去に時間がかかり復旧のめどは立っていない。(京都新聞 夕刊)
■JR舞鶴線 電化に着工 綾部で起工式
 JR舞鶴線(綾部−東舞鶴間、26.4`)の電化・高速化工事の起工式が13日午前、綾部市のJR綾部駅北側の市有地で、関係者約30人が出席して行われた。長年、地元が熱望した電化は1999(平成11)年秋、開業の予定。
 起工式には、井手正敬JR西日本会長や、来賓の荒巻禎一京都府知事、江守光起舞鶴市長、谷口昭二綾部市長らが出席。神事のあと、JR西日本京都電気工事所の関係者が銅板のプレート・電化1号柱銘板(縦25a、横32a)を電化柱に取り付け、工事の安全を祈った。続いて、「府電化・高速化促進協議会」主催の記念式典が、舞鶴市で開かれ、着工を祝った。(京都新聞 夕刊)
■スーパーあずさ 特急衝突、脱線 32人けが 山梨・大月駅構内 回送電車と
 山梨県大月市大月一丁目のJR中央線大月駅構内で、12日午後8時すぎ、下り線を通過していた新宿発松本行きの特急「スーパーあずさ」=小倉勝己運転士(23)、12両=と、回送電車=善家敦志運転士(24)、6両=が出合い頭に衝突し、あずさは先頭から4−8両目までの5両が脱線、5両目の8号車が左側に横転した。回送電車も前寄り2両が脱線した。この事故で、あずさの約550人の乗客、乗員のうち、長野県松本市神林、上原さやかさん(21)ら3人が頭を強く打つなどして入院したほか、28人が軽傷、善家運転士も頭や胸の打撲で入院した。13日も山梨県内の四方津−甲斐大和駅間が不通になっており、バス輸送が行われている。復旧作業は午前11時すぎに始まったが、一両日かかる見通しだ。
・特急運転士「信号は青」
 山梨県警は事故捜査本部を設置し、自動列車停止装置(ATS)が作動しなかった可能性もあるとみて現場検証をするとともに、業務上過失傷害の疑いもあるとして、双方の運転士らからも事情を聴いている。運輸省鉄道局も調査員を派遣した。調べに対し、あずさの小倉運転士は「信号が青だったので進んだところ、わきから回送車が飛び出してきたので急ブレーキをかけた」と話しているという。
 現場は大月駅から甲府方向へ約100bの地点で、4番ホームからの線路と下りの本線が合流している。
 捜査本部の調べでは、回送電車は、午後7時55分に4番ホームに到着した大月・河口湖行き普通列車(10両)のうち、大月止まりとなる先頭寄りを切り離した6両編成で発車。双方の列車が本線の合流地点で出合い頭にぶつかる形となり、回送電車の前部があずさの8両目までの右側面に次々と接触した。
 JR東日本によると、回送車両は通常の場合、あずさが午後8時すぎに同駅を通過した後、いったん下り本線へ出て、バックしながら車庫にあたる「電留線」に入ることになっていた。ダイヤではあずさが午後8時30秒に通過し、その後回送電車が本線に入る予定だった。しかし、12日はあずさが約3分半遅れて通過し、回送電車は予定より6分早くポイントにさしかかったという。(朝日新聞 夕刊)
■新型ATS作動せず JR脱線事故 回送、本線に飛び出す 乗客「脱出の指示なし」
 3連休の最後の夜、家路を急ぐ特急列車で惨事が起きた。山梨県大月市のJR大月駅構内で、近づくはずのない回送電車と突然衝突。「ドーン」という鈍い昔とともに、ほぼ満席の車内で乗客は倒れ込み、重なり合った。高速化・過密化するダイヤの中で、機械が自動的に列車を止めるATS(自動列車停止装置)の万能神話が崩れた格好だ。
 「スーパーあずさ13号」は、ほぼ満員だった。けがをした乗客31人は、全員が横転した車両(8号車)にいた。
 長野県塩尻市の田ノ上ルミさん(24)は、車内が揺れ出し、デッキに立つ乗客が急によろけるのが目に入った。「ドーン」という鈍い音とともに体が宙に浮いた。気がつくと体の下に車両左側の窓があった。打ちつけた腰に痛みが走った。
 長野県松本市の大学4年、上山貴子さん(21)は、車両が横倒しになる前の数秒間、窓の外側で「ガリガリ」と金属が激しく擦れ合う音を聞いた。とっさに手すりをつかんだ。割れた窓ガラスの破片が車内に飛び散り、投げ飛ばされるように乗客たちは転倒した。車内灯は消え、薄明かりの中、車内のあちこちで人が重なり合っていた。
 甲府市幸町、石材店経営の依田初仁さん(66)が車外に脱出できたのは、事故から約15分後。車掌らからの指示はなく、車内の男性客が中心になって乗客を車外に誘導した。「脱出した後の指示もまったくなかった」と不満を漏らした。
 「回送電車の運転士が赤信号にもかかわらず走り始め、それを止めるはずのATSも作動しなかったようだ。その原因については、もう少し時間をいただきたい」
 13日午前、記者会見したJR東日本の石田義雄常務はこう述べた。
 大月駅では通常、上り本線と下り本線の間にはさまれた待避線で中央線と富士急行の車両を連結したり、切り離したりしている。今回の事故は、こうした入れ替え作業の直後、回送扱いとなった列車(6両)が下り本線に飛び出したことから起きた。
 飛び出し事故を防ぐため、特急が駅ホームを通過する際に、待避線側の信号機は「赤」になる。運転士が赤信号を見落としていても、ATSが列車を停止させる仕組みになっている。
 大月駅に設置されているATSは「ATS-SN」と呼ばれている新型装置で、回送列車の停止位置から10bの地点と、さらに40b先の計2つの地点に「地上子」と呼ぶ停止装置が設けられていた。
 JR東日本の調べでは、回送列車は所定の停止位置から発車している。最初の地上子までの10bでは、せいぜい時速10`余しか出せないという。にもかかわらず、列車が止まらなかったのは、列車と地上子との電波の送受信が異常を来したか、列車のブレーキが故障していた可能性があるとみている。
 大月駅のATSの点検は事故の1日前の11日に実施しているといい、その時には異常はなかったとしている。同社は原因がはっきりしないことから、管内のすべてのATSを直ちに点検するとしている。
・運輸省通達生かされず
 運輸省によると、運転士の不注意などが原因とみられるJRの脱線事故は、今年も相次いでいる。
 5月にはJR西日本管内の岡山新幹線運転所構内で回送中の新幹線車両が脱線し、8月にはJR東海管内の静岡県沼津市の東海道線で普通列車と貨物列車が衝突し、乗客43人がけがをした。東海道線の事故後、運輸省は再発防止のため鉄道運転規則の順守を徹底するよう全国の鉄道会社に通達した。その直後、8月には青森県の弘南鉄道で運転士の信号見落としとみられる列車同士の正面衝突事故が発生し、運輸省は再び同様の警告を各社に呼びかけている。
 JR発足から10年以上が過ぎ、相次いで事故を起こした3社は株式上場も果たし、経営も軌道に乗っている。「経営者も現場も、どこかに気の緩みがあったのではないか」。運輸省や私鉄からはこんな指摘が聞こえてくる。
・ATS(自動列車停止装置) 列車が停止信号機に接近すると列車が停止信号を検知する。同時に警報で運転士に注意をうながす。確認ボタンを押さないと非常ブレーキがかかる(従来型)。改良型もあり、赤信号の場合は列車が地上装置の上を通ると強制的にブレーキが作動して列車を停止させる(SN型)。列車の速度と制動距離に応じてブレーキが自動的にかかる最新のP型もある。(朝日新聞 夕刊)
■窓 論説委員室から 都電からの風景
 年に数回だが、都電に乗りに行く。荒川線(三ノ輪橋−早稲田)が唯一残された路線で、三ノ輪橋の駅は住まいから歩いて15分ほどである。
 通勤の経路でもないのに、なぜ乗りに行くのか。やや大げさにいえは、精神のバランスを保つためである。
 都電は、押し寄せるモータリゼーションの波にのまれ、高度成長にはじゃまな代物とみられてしまった。
 荒川線の沿線には、高度成長以前の街の面影が漂う。
 車窓越しに見上げれは高層ビルも目に入るが、少し傾いた木造アパートやくすんだ板塀は、まぎれもなく昭和30年代の風景だ。線路ぎわの野草のたたずまいさえなつかしい。
 なんといっても、都電の時速13`は心なごむスピードなのである。
 私たち「団塊の世代」は、高度成長のもとで自己を形成し、青春期の終わりが高度成長の終わりと重なっている。人生の折り返し点を過ぎ、ふと振り返ると、思いは高度成長に至る。
 それは風景を一変させただけではない。欲望の充足を至上価値とする、せわしない人間をつくり出した。
 経済学者の吉川洋さんは、著書『高度成長』で、「涙を呑んで上滑りに滑って行かねはならない」といった夏目漱石の講演「現代日本の開化」(1911年)を引用している。
 漱石の無念の表明として知られるが、吉川さんは、高度成長による変化は進歩といえるのかと問いかけている。
 漱石の時代と高度成長の時代の間に、日本人は1945年という歴史の曲がり角を経験している。
 しかし、社会と人間を根底から変えてしまったのは、むしろ高度成長ではなかったか−都電の旅はわずか50分足らずだが、そんなことを考えさせてしまうのである。〈健〉(朝日新聞 夕刊)
14日■社説 ATSの安全神話は崩れたのか
 12日夜、山梨県のJR中央線大月駅構内で発生した特急列車と回送列車の衝突事故は、JR東日本のこれまでの調査で、列車自動停止装置(ATS)が正常に作動しなかった疑いが出てきた。
 ATSは、赤信号の見落としなど人為的なミスがあっても、列車を止めて衝突を防ぐ安全装置である。
 JR、私鉄を問わず、日本の鉄道の大部分にはこのATSが整備され、安全運行を支えている。鉄道運行の最も基本的なシステムであるこの装置が、作動しなかった、あるいは誤作動があったとすれば、恐ろしいことである。人為的なATS解除がなかったかという面を含め、さらに徹底した原因究明が必要である。
 JR東日本は原因究明と併せ、管内のATSを緊急点検を始める。乗客に不安を募らせる事故であり、その結果も早く明らかにしてほしい。
 いうまでもなく、信号確認や前方確認など、運転士らの安全運行の基本をあらためて徹底するよう求めたい。初歩の安全対策とはいっても、何よりこれが「安全確保の原点」であるはずだ。今回も赤信号を確認していない疑いが強いというから、なおさらである。
 事故は、大月駅構内を通過中の新宿発松本行き特急スーパーあずさ13号の側面に、引き込み線を走行してきた回送列車が衝突した。12両編成の特急は五両が脱線、うち1両が横転した。
 側面衝突というのは鉄道事故としては珍しいケースだろう。横からぶつけられ車両が横転する激しい事故だったにもかかわらず、死者の出る大惨事にならなかったのは不幸中の幸いといえよう。もし回送列車が本線に入ってしまっていたなら、と思うと背筋が寒くなる。
 JR東日本の調べでは、引き込み線にいた回送列車が赤信号にかかわらず、中央線の本線に進入しようとした可能性が高いという。同列車の運転士の信号見落としか信号無視の見方が強まっている。
 引き込み線には本線に出るまで2ヵ所にATSが設けられ、例え赤信号で発車しても自動的に非常ブレーキがかかる。このため、同社は「ATSが正常に作動しなかった疑いもある」としている。
 問題は、ATSそのものが動かなかったのか、それともATSが作動した後にブレーキ解除が行われたか、ということだ。当時のATS状況はむろん、電波の受発信などに異常がなかったか、その信頼性にはとくに入念に調査すべきだ。
 それにしても最近、鉄道の脱線、衝突事故が目につく。それも列車本数の多い本線でのことである。さる8月には沼津市の東海道線で停車中の貨物列車に普通電車が追突した。6月に山陰線で路盤が崩れ普通電車が脱線、横倒しになった。5月には岡山新幹線運転所構内で回送車両が脱線した。
 沼津の事故では、ATSが働いて一時停止しながら、赤信号を見落として発車し、追突した。明らかに運転士の不注意であり、あってはならないことだ。
 JR各社が発足した時、事故を起こせば会社がつぶれる、という強い危機感が満ちていた。10年経過して、このような全社的な「安全への意識」が薄れてきてはいないか。ATSなど安全装置への過信はないだろうか。再度、足元を点検し直すのが最大の乗客サービスである。(京都新聞)
■奔流底流 京の公共交通 将来像は マイカー規制、新システム視野に 面的移動どう充実 東西線開業で全国4番目の地下鉄都市 総延長26.4`
 京都市の地下鉄東西線が12日に開業、21世紀に向け京都の新しい動脈が動き始めた。市中心部と山科・醍醐地域を24分で結び、東西間の時間的距離は飛躍的に縮まった。だが、一方でバス離れが進み、マイカーへの依存度が高まるにつれ、市中心部の交通混雑は深刻さを増すばかりだ。新動脈の効果を高めるには、マイカー規制や新交通システム導入も視野に入れながら、地下鉄と連携した市内の「面的移動」手段を充実させる必要がある、との指摘もある。東西線開業を機に、京都の公共交通の将来像を追った。(政経部 石川一郎)
 東西線開業に伴い、市バス路線は17系統、432往復が削減され、山科・醍醐地域は、民間の京阪バスに移管された。
・深刻なバス離れ
 背景には、深刻なバス離れがある。京都市交通局の調べによると、全交通機関の利用者に占める市バスの乗客比率は、80年度の28.7%から、96年度16.6%に激減。特に、ここ数年、落ち込みが激しいという。これとは逆に、マイカー利用者の比率は80年度の38.0%から、96年度は50.0%と大幅に増えている。
 バス離れは、地下鉄烏丸線の影響もあるが、調査結果から市民が市バスからマイカーへ乗り換えたことがうかがえる。土居靖範立命館大教授(交通論)は「定時性が確保できず、バスは信頼を失った。渋滞の被害者であると同時に加害者でもある」と、走行環境の改善の必要性を強調する。
 京都のまちは、道路が碁盤目状で交差点が多いことなどから、渋滞を招きやすい都市構造とされる。特に四条河原町を中心とする都心部には商業地が集積、人の流れが集中しやすい。
・道路利用も分担
 「マイカーとバスが道路を共有していては、質の高い公共サービスはできない」。北村隆一京都大大学院教授(交通システム)は、こう指摘したうえで、道路の利用について役割分担を提案する。「都心部へは、周辺から無料のシャトルバスを走らせ、車の乗り入れを制限してはどうか」。
 目的地周辺で車を降り、公共交通機関に乗り換える「パーク・アンド・ライド」は、他都市では、すでに行われている。昨年11月」実験的に通勤のマイカー90台を対象に始めた金沢市では「まだ効果は見えないが、600−1000台まで拡大すれば、市内の渋滞は解消できる計算。新たな交通手段に位置付けている」(同市交通対策課)。
 北村教授は、「公共交通の利用が進めば、道路が空き、新たな道路建設が不要になる。公共交通利用者には、見返りとして、無料シャトルバスのように負担を軽くすればよい」と、発想の転換を説く。
・LRTの導入も
 開業した東西線と烏丸線を合わせると、京都の地下鉄総延長は26.4`。東京、大阪、名古屋、札幌に次ぐ全国4番目の「地下鉄都市」になる。だが、地下鉄は駅間の距離が長く、沿線住民すべてが利用できるわけではない。
 東西線の延伸計画も、醍醐−六地蔵(宇治市)は射程距離に入ってきたが、二条以西の計画は、具体化していない。ルートが定まらないうえ、膨大な建設費が見込まれるからだ。
 土居教授は、大量の乗客を高速で運べる新タイプの路面電車「ライトレールトランジット」(LRT、軽快電車)でのネットワーク化を提唱する。
 LRTは、低床で乗降しやすく、建設費も「地下鉄の10分の1以下」(土居教授)といい、ヨーロッパなどで導入が進んでいる。イギリスでは、50年代前後に路面電車を廃止した2都市が、90年代に相次いでLRTを「復活」。現在、世界55都市で導入されている。
 日本でも、建設省が来年度から、こうした新交通システムへの補助制度を創設する方針だ。京都市交通局も、二条以西の延伸を新システムで行うことも含めて研究中という。
 商業地や住宅が狭いエリアに集中する都市部では、地下鉄など高速鉄道の「線の移動」と、バスや路面電車など「面の移動」をバランスよく両立させることが重要に思える。京都のまちを自由に動き回るには、どのような公共交通のあり方が望ましいのか、真剣に考える時期が来ている。(京都新聞)
■新線模様 地下鉄東西線開業 1 京都市役所前 今後に「不安と期待」交錯
 「祝 地下鉄東西線開業」の小旗は、秋の弱い日差しを受けて、店先で寂しく風に揺れていた。
 京都市役所前駅に併設された地下街「ゼスト御池」の人波を抜け出し、中京区の寺町通を北に行くと、洋品店や古美術店が昔ながらの佇(ただず)まいを見せる。二条通から丸太町通までの約百店でつくる商店街「寺町会」の前身ができたのは1921年。創業100年以上の老舗(しにせ)も多い。
 その一つで五色豆の「船はしや総本店」を訪ねると、休日の昼過ぎなのにシャッターが下りていた。
 「休みの日に店を開けるほどの余裕は…。地下街ができても、うちには関係おへんな」
 作務衣姿の辻雅之さん(74)は穏やかに話しながらも、大きな目をぎろりとさせた。
 4日オープンした「ゼスト御池」は開業初日、8万3000人の人であふれた。併設する地下駐車場も5月末の開業以来、初めて満車になり、運営する京都市や大丸などが出資する第三セクター「京都御池地下街会社」は胸をなでおろした。
 しかし、関係者に不安の色も見え隠れする。開業の日、若者向けのテナントを出店した「ブルーグラス」(本社・千葉)の中村隆一取締役は、「用意したシャツは30分ほどで売り切れた」と笑顔を広げながらも、今後の見込みを尋ねると表情が変わった。「不安と期待、半々です」
 同社が出店を検討した会議は、「見合わせるべきだ」と「成功する」に意見が二分した。四条河原町から北に約800b離れた立地では採算を上げるのが難しい、との見方が強かったが、最終的には地下鉄駅に隣接し、1000台規模の駐車場を備えた商業施設の可能性を評価した。中村取蹄役は「若者向けの店が多い新京極周辺の商店街と人の流れがつながれば、成功する」と期待を込める。
 来秋には、「ゼスト御地」にほど近い四条河原町にファッションビル「河原町オーパ」も開業する。店舗面積は約1万5000平方b。ファッション専門店が100店前後入居する予定だ。
 競合を心配する声もあるが、オーパを運営する十字屋(本社・東京)は、「JR京都駅と四条河原町に商圏が二局化する中、河原町近くに集客施設である地下街ができたのは悪くない」と余裕を見せる。
 新しい地下街の行く末を、地域の人たちも見守る。京都市産業観光局の西口光博局長は「地下街は単なる店舗ではありません。山科や醍醐、大津を結ぶ地下鉄東西線と一体になっている。周辺商店街にも人が流れる。地域活性化の下地はできた」と力をこめた。
 その言葉に、五色豆の辻さんがこう言ったのを思い出した。「地下鉄開通で御池から南に行く人は増えても、北には来ないのと違いますか。でも、商店街が力を合わせてきはらなあかん」
 寺町会は「ゼスト御池」のオープンを受けて、来週、理事会で商店街の活性化策を話し合うことにしている。(橋本 卓)
 古都を横断する市営地下鉄東西線が12日、開業した。その沿線を開発の波が覆う。変容する街を訪ね歩いた。
・「ゼスト御池」 京都市が東西線関連5大事業として手がけた沿線開発事業の一つ。1992年に着工し、事業費は280億円。地下駐車場も併設する。地下街の周辺には、寺町会のほかに、京・寺町会や寺町専門店会、夷川会、二条会、新京極商店街、河原町繁栄会、三条名店街商店街などがある。(朝日新聞)
■JR衝突事故 「信号見間違え発車」 回送電車運転士 「あずさ」側の青見る
 山梨県大月市のJR中央線大月駅構内で12日夜、特急「スーパーあずさ」と回送電車が衝突した事故で、回送電車の善家敦志運転士(24)が、山梨県警事故捜査本部やJR東日本の事情聴取に対し、「下り線を走る『あずさ』に示された青信号と、回送電車に示された赤信号を見間違えて発車してしまった」と漏らしていることが13日分かった。
 捜査本部などによると、回送電車は、大月駅に到着した大月・河口湖行き普通列車(10両)のうち、大月止まりの先頭側の6両を切り離し、「あずさ」の通過後に待避線から下り本線に入ることになっていた。
 待避線をはさんで2基の信号機があるが、善家運転士は、列車の右側に示された回送電車用の信号を見て停車すべきなのに、勘違いして、「あずさ」が走る左側の下り本線に示された青信号を見て発車したという。このため、下り本線との合流地点まで走り、「あずさ」と衝突したのではないかと、捜査本部はみている。(朝日新聞)
■ひと ヨーロッパの列車を写真集に
 伏見区の中村卓之さん(40)が、ドイツやスイスなど欧州各国を結ぶ国際特急(TEE)を写した「ヨーロッパの鉄道〜最後のTEEを追って」を自費出版した。
 中村さんは、幼いころ鉄道雑誌でスイスのTEE「ゴッタルド」型を見て、その美しさに魅せられたという鉄道ファン。小学3年の秋、父親のカメラで写して以来、機会あるごとに身近な京都の市電、京阪や近鉄の電車などを写してきた。
 滋賀県草津市の図書館に勤めるかたわら、「ドイツ鉄道150年記念式」見学に渡欧。あこがれのTEEが欧州各国で姿を消しつつあることを知って撮影してきたという。
 写真集を出すのは初めてで、「ゴッタルド」や、ライン川沿いを走るドイツの特急など9ヵ国で写した50点を収録した。「独語や仏語に翻訳した説明文も付け、”国際版”も出したい」と中村さん。1 冊2000円。(朝日新聞)
■東西線開業「思い万感」初日23万人 一番電車から混雑 地下鉄新時代幕開け
 地下鉄東西線が開業した12日、長年、この日を待っていた市民らは喜びの声を上げた。さっそく乗り心地を楽しみに繰り出した人も多く初日は23万人が利用、地下鉄新時代の到来にふさわしい華やいだ1日になった。
 開業式は午前5時過ぎから。醍醐駅のホームは始発電車に乗る人で身動きできないほどで、桝本頼兼・京都市長が「魅力ある都市づくりに向け今、夢を乗せて出発します」とあいさつ。村井信夫・醍醐10校区自治町内会連絡協議会長は「住民の夢がかない、万感の思いです」と喜びを表した。
 鉄道ファン以外にも一番電車に乗ろうと駆け付けた人も多く、家族3人で記念乗車した京都工芸繊維大1年、森下真秀さん(18)(同市山科区)は「ぜひ始発に乗りたかった。1時間半の通学時間が約50分に短縮できる。紫色のシートが京都らしい」と喜んだ。
 同市伏見区の無職竹内重三さん(76)は「開通が3年延びたが、待ったかいがあった。これから毎日乗れるんですね」と話した。
 乗り心地については「車両がスマート」「新車で気持ちいい」といった声が上がっていた。乗客はホームドアをのぞき込んだり、駅ごとに違う色を確かめたりしていた。
 電車の混雑は夕方まで続いた。1日乗車券を使って全区間を往複した後、乗車券に付いた特典で無料入場できる沿線の二条城や市立動物園に向かう家族連れも多かった。京都市役所駅前の「ふれあいカーニバル」など、沿線各地で祝賀イベントも開かれた。
 二条駅では、女優の石田ひかりさんが晴れ着姿で1日駅長を務めた。狭いコンコースに100人以上が詰めかけたため、予定していた構内巡回は中止。トークショーもあり、和服を着た桝本市長と軽妙なやり取りを交わした。
 東西線の13駅を巡るスタンプラリーも始まったが、三条京阪駅では午前6時にスタンプが紛失。乗客の通報で、市交通局が午後に再設置するハプニングも。このほか4日にオープンした市役所前駅地下街「ゼスト御地」には約8万人の買い物客が訪れ、オープンした日(8万3000人)に匹敵する人出だった。(読売新聞)
■地下鉄故障2本運休 烏丸線 通勤帯5万4000人影響
 13日午前6時45分ごろ、京都市上京区の市営地下鉄烏丸線今出川駅で、下りの国際会館発竹田行き電車(6両)が動けなくなった。後続の電車が、この電車を竹田まで押して行ったが、ダイヤは同9時ごろまで乱れ、下り電車2本が運休、他にも最高15分の遅れが出て約5万4000人に影響した。
 同市交通局は、電車に積んであるバッテリーの電圧が下がり、機器が作動しなくなったのが原因とみている。(読売新聞)
■読者のページ 電車に乗る時電源を切って 主婦 芝田ふみ代 46 (大阪府箕面市)
 「電磁波の影響 心臓が心配だ」(7日)。投稿者の心配は人ごとではありません。車内での携帯電話自粛を呼び掛けても、留守電やバイブ機能、さらに「後でかけ直す」と伝えることも、これらはみんな電源が入っているのです。
 私は主婦なので、携帯電話を持ち歩くことはありませんが、移動中の家族への連絡には重宝しています。しかし、いくら便利なものでも、使い方次第で人の命をおびやかしたり」不便なものになったりします。
 最近、父を亡くした払には命の重さと便利さを比べることなどできません。携帯電話を持つ人は乗らない車両を設けるとか、電源を切るようにしたらどうでしょう。かなりの人が快適になると思います。(読売新聞)
15日■京阪山科駅「東西線が安いですよ」ライバル勧める!? 三条へ90円割高 苦情防止の策
「三条京阪駅方面へは地下鉄の方が安いですよ」。12日に開業したばかりの京都市営地下鉄東西線に乗り入れている京阪電鉄の京阪山科駅(京都市山科区)で、駅員が口頭で乗客に地下鉄に乗るよう勧めている。三条京阪駅まで京阪で行くと、地下鉄に乗るより90円割高になるため、知らずに京阪に乗った人とのトラブルを避けるための苦肉の策だ。京阪電鉄側の異例ともいえるサービスを横目に、乗客からは「同じ駅に行くのに、分かりにくい」との不満も出ている。
 京阪電鉄は御陵から京都市役所前までは東西線に乗り入れ、この区間は地下鉄の運賃体系が適用される。このため、山科−三条京阪間は東西線だと2区間で230円になる。京阪に乗ると、山科−御陵間は京阪の料金がかかり、御陵駅以降は地下鉄の運賃が加算される。この区間には特別割引があり、実際の運賃は320円になる。
 京阪電鉄によると、山科駅には地下鉄開業後、駅員を普段より増員し、5人前後で構内放送や口頭で、両線の運賃の違いを説明している。同社総務部は「料金体系が大きく変わり、乗客に迷惑をかけない対応を取っている」と話し、ライバルの東西線に客を譲る理由を話している。
 三条京阪経由で出町柳駅まで出かける予定をしていた学生の大久保忠明さん(19)=大津市=は「話を聞いて、地下鉄を利用することにした。でも、JR山科駅から地下鉄の駅は遠くなり、乗り換えに不便」といい、山科区西野山の主婦(48)は「利用者からすれば、目的の駅は同じなのに、料金が違うのは分かりにくすぎる」と話していた。
 京都市交通局は「乗車の際は、運賃の違いを各駅の表示板で確認してほしい。『地下鉄を利用して』とはこちらからはなかなかいいにくい」と困惑している。(京都新聞)
■新聞使って授業 山科百々小 地下鉄東西線取り上げ 4年1組33人 「三条まで9分」でも「駅まで遠い」 記事を読んで意見
 新聞週間(10月15−21日)に先立ち、山科区西野山の百々小(高野薫校長)で14日、新聞を使って身近な話題を学ぶ授業が行われた。12日に開業した地下鉄東西線を取り上げ、児童らが率直に意見を語り合った。
 同小は昨年度から2年間、日本新聞協会の指定を受け、社会科などで、新聞記事を授業に採り入れている。地下鉄や平安高野球部の活躍といった身近な話題のほか、低学年では記事を使って漢字や片仮名の学習もしている。
 この日は、4年1組の33人が、今年9月以降の東西線に関する京都新聞などの記事を読み「山科と三条が9分で結ばれる」「乗客数は1日に15万6000人が見込まれている」などと、得た知識を披露しあった。
 また、「市民の思い熱く」と、駅周辺の住民や商店街の歓迎ぶりなどを伝える東西線開業の記事から、市民がどのように開業を受け止めているのかを考えた。「楽しみにしていた人が多い」「でも、私たちの地域は駅から遠い」などと率直な感想を述べていた。
 小谷貴大君(10)は「地下鉄の山科駅に見学に行った。関心を持っている。これからも記事に注意したい」と話していた。(京都新聞)
■特急ときが1日だけ復活 きょうから指定券発売
 JR上越線の特急、上越新幹線の愛称として長年親しまれ、10月のダイヤ改正で名称の消えた「とき」が11月15日、在来線特急として1日だけ復活、ヘッドマークも昔のまま新潟−上野間で片道運行される。
 JR東日本新潟支社が「当時の沿線の風景、雰囲気をもう一度懐かしんでもらいたい」と上越新幹線開業15周年を記念して企画した。指定席券は今月15日午前10時から全国で発売される。
 復活の「懐かしのとき号」は9両編成で、午前9時25分新潟発、午後2時4分上野着。グリーン車48席を含む564席は全席指定。運賃・料金はグリーン車が1万1980円、一般指定が8490円。(京都新聞)
■元運転士に罰金50万円 新幹線脱線事故 岡山簡裁
 今年5月、岡山市のJR西日本岡山新幹線運転所で回送中の新幹線が脱線した事故で、岡山簡裁は14日、業務上過失往来危険の罪に問われていた田之縁数博・元運転士(49)に罰金50万円の略式命令を出した。
 岡山区検は、田之縁元運転士が運転中に急激に眠気を催したにもかかわらず、運転席を換気するなどの居眠り防止対策を怠り、事故を引き起こしたとして、略式起訴していた。(朝日新聞)
■新線模様 地下鉄東西線開業 2 九条山 峠越え”難所”に新難題
 右に左に車体を揺らし、峠の駅を目指す電車が坂道を行く−。半世紀以上も続いたこんな光景は、もう見られない。
 市営地下鉄東西線への乗り入れに伴う京阪電鉄京津線の廃止区間のうち、蹴上(東山区)と九条山(山科区)の間は、人馬の時代から東山越えの難所として知られていた。
 京阪電鉄によると、「1000b進めば66.7b上がる」という急な坂道で、JR信越線の横川−軽井沢問の碓氷峠と同じこう配だった。「日本一急な坂道を走る電車」の記録を分け合ったが、どちらもこの秋、相次いで消えた。
 日ごと早まる夕暮れに、人影のないホームが吸い込まれていく。
 峠の駅がなくなり、住民の「足」は大きく変わった。九条山から三条と山科の両方向には電車に加え、京都市営バス、京阪バス合わせて約400本の便があった。しかし、12日の東西線の開業に伴って市営バスも廃止され、公共交通は京阪バスの60本だけになった。
 市交通局は「地下鉄東西線の開通で、新しい交通の流れができた。市バスも撤退し、京阪バスに一元化した」と説明する。
 九条山に住む20代の会社員に話を聞いた。同駅から電車に乗り、山科駅でJRに乗り継いで午前8時前に出社していたが、京阪バスの新ダイヤでは、山科方向に向かう始発は午前7時39分。「これでは遅刻してしまう。「電車は朝の5時台から利用できたのに」と嘆いた。
 早朝から運行する地下鉄を利用すればいいものの、九条山には地下鉄の駅はない。最寄りの蹴上駅まで歩いてみると、大人の足でも10分かかった。
 九条山駅近くの峠町内会の住民は、4人に1人が70歳以上だという。86歳の母親がいる藤岡泰子さん(55)は「駅まで難所の坂道を年寄りに歩けというのは殺生です」。電車で小学校に通学していた子供をもつ母親も「日中はバスの便が不便で、歩くとなると小さな子供は心配」と打ち明けた。
 市側は「九条山地区から地下鉄蹴上駅への近道になる歩道をできるだけ早くつくるよう検討中」と話すが、峠町内会長の浜口高定さん(57)は「できるのは早くても3年先とのうわさがあり、その間に事故などなければいいのだが」と不安は消えない。
 電車が去った九条山から、もう一つなくなる光景があると聞いた。3階建ての全和凰(ぜん・わこう)美術館。須田国太郎に師事し、昨年秋、87歳で死去した洋画家の全さんがアトリエにもしていた。
 九条山駅の跡に立つと、ツタの絡まる窓や壁が見える。その一部は崩れ、傷みはかなり激しい。それでも全さんは生前、「峠で画家として生きたあかし。いつまでも残してほしい」と語ったという。遺族に尋ねると、「崩れると危険で、できるだけ早く取り壊すつもりです。とても残念なのですが…」とのことだった。
 峠から電車の警笛も画家の姿も消え、秋の残照に美術館が浮かんで見えた。(森本 俊司)
・京津線廃止区間 京阪京津線が東西線の御陵−京都市役所前間に乗り入れるのに合わせ、御陵−京津三条間(3.9`)の京阪6駅舎が廃止された。九条山駅は開業(1921年)後の36年に設置された。廃止区間のうち2.3`は「路面電車」区間だが、九条山駅の前後は鉄道専用区間だった。(朝日新聞)
■地下鉄東西線乱れる 初のトラブル 乗り入れ京阪故障 最大15分遅れ
 15日午前8時50分ごろ、京阪京津線と京都市営地下鉄東西線が乗り入れている山科区の御陵駅で、京都市役所前発浜大津行きの京阪電車が故障し動かなくなった。電車は乗客を御陵駅に降ろし、約30分後に後続電車に連結して押される形で京阪の四宮車庫まで回送された。あおりで東西線も初のトラブルとなった。
 この故障の影響で、京阪電車24本が30分から3分遅れ、3600人の足が乱れた。また、12日に開業したばかりの地下鉄東西線も醍醐行き10本が最大で15分遅れ、乗客約5000人に影響が出た。
 御陵駅によると、ホームやコンコースに誘導員を出したり、放送を通じて、乗客に故障によるダイヤの乱れを知らせた。朝の通勤ラッシュはほぼ終わっていたため、乗客に目立った混乱はなかった、という。
 京阪電鉄本社によると、故障した電車は東西線開業に合わせた新型車両で、御陵駅に入ったところで、運転席の故障ランプが点灯し、自力走行が不可能になったという。(京都新聞 夕刊)
■濃霧でJR遅れる
 15日午前5時半ごろ、京都府相楽郡のJR学研都市線木津−祝園駅間で、濃霧が発生したため、同5時36分の始発列車から約3時間、徐行運転を行った。JR西日本によると、この影響で上下線合わせて4本が部分運休、18本が最高で26分遅れ、約2500人の足が乱れた。(京都新聞 夕刊)
■明石海峡大橋バス路線申請 JR四国など3社共同で
 JR四国と西日本ジェイアールバス、本四海峡バスの3社は15日、明石海峡大橋に関係する高速バス8路線の免許を近畿運輸局に申請した。明石海峡大橋関連のバス事業に参入を希望している10社のうち、路線申請は初めて。
 共同運行分の主な路線は次の通り(かっこ内は距離と所要時間)。料金は現在本州四国連絡橋公団が建設大臣に申請している料金案が認可されしだい、別途申請する。
 【大阪関連】徳島(137.0`、2時間半)▽洲本(92.3`、2時間5分)
 【新神戸、三ノ宮関連】徳島(111.8`、1時間57分)▽洲本(67.1`、1時間33分)▽淡路・大磯(36.6`、49分)
 【高速舞子関連】徳島(89.2`、1時間24分)▽洲本(44.5`、59分)▽淡路・大磯(14.1`、15分)(朝日新聞 夕刊)
16日■新幹線止めた JR京都駅 酔客、向かいのホームに酒求め 1万円ヒラヒラ、持ち主線路に
 京都市下京区のJR京都駅新幹線構内で15日、線路内に落とした1万円札を拾おうとした男がホームから線路に降りたり、売店に洒を買いにいこうとした男が線路を渡り、走行中の「こだま」や「のぞみ」が緊急停車する騒ぎが2件相次いだ。
 同日午後1時5分ごろ、同駅新幹線下リホームで、草津市内の土木作業員(43)が線路を降りて向かい側の上りホームに渡ろうとしているのを、駅員が目撃し、ホームの列車防護スイッチを押した。
 土木作業員は線路を渡って上りホームに上がったところを京都府警鉄道警察隊員に見つかり、七条署に新幹線防害特例法違反の疑いで逮捕された。
 同署によると、土木作業員は上りホームの売店に洒を買いにいこうとしたと話し洒に酔っていたという。草津駅から140円区間の在来線の切符は持っていたが、新幹線の切符はなく、どのようにして新幹線ホームに入ったかを調べている。
 下りの新大阪行き「こだま」が京都駅から3`進んで緊急停車、新大阪到着が8分遅れたほか、東京行きの上り「のぞみ」の京都駅到着が6分遅れた。
 また、同日午前11時15分ごろにも、同駅新幹線下りホームで、三重県のアルバイトの男性(28)が線路内に落とした1万円札を拾おうとして線路に降りた。駅員が男性を発見して列車防護装置を作動させ、東京発新大阪行き「のぞみ」が約300b手前で緊急停止した。男性や乗客にけがはなかった。
 京都府警鉄道警察隊の調べでは、男性は直前の「のぞみ」で同駅に到着。ホーム売店で駅弁を買おうとしたところ、風で1万円札が線路上に飛ばされたという。電車はその場で5分間停止し、後続の上下2本が6−7分遅れた。
 JR東海の話では、列車防護装置が作動すると、京都駅の両側約4`にわたって運行が止まるようになっているという。(京都新聞)
■醍醐図書館の職員が自主制作 東西線のスライド披露 伏見・石田小 沿線の名所盛る
 地下鉄東西線の開業を記念して、醍醐図書館(伏見区石田)の職員が、工事の様子や、沿線の名所などを盛り込んだスライドを自主制作。15日に近くの石田小の子どもたちに初めて披露した。
 スライドは全部で22画面で所要時間は約20分。同館の職員7人が先月下旬から制作を始め、開業前日の今月11日に完成した。資料は、ほとんどが市交通局の提供だが、子ども向けということもあり、職員が地下鉄担当者を訪れて話を聞いたうえで、かみ砕いた表現を心掛けたという。
 地下鉄工事の順を追って構成し、機械でトンネルを掘る作業やクレーンで車両を地下の車庫に入れる方法などの様子を説明している。沿線にある二条城や勧修寺といった観光名所のほか、動物園など子どもに身近な話題も盛り込んだ。
 15日には、近くの石田小の2年生がスライドを初鑑賞。大西健太郎君(8つ)は「地下鉄には何度か乗りました。車両を地下に入れる部分が面白かった」と目を輝かせていた。
 同館の大沢勝館長は「子どもたちに、わかりやすく解説するのが難しかった。鑑賞の希望があれば、図書館に問い合わせてください」と話している。(京都新聞)
■新線模様 地下鉄東西線開業 3 山科・醍醐 事業の成否に地元の視線
 仮設ビル「ボンテリカ」は、仮店舗、の逆さ読みだ。
 山科駅前まちづくりの会会長の奥村俊一さん(64)は、このビルで喫茶店を開いている。駅前再開発の完成予想図が壁に掛かる店内で、こうつぶやいた。「山科はね、同じ税金を払っているのに、東山の西側(旧市街地)にずっと冷や飯を食わされてきたんですよ」
 確かに、社会資本の整備面で山科区は後れをとってきた。京都市が同区内で下水道事業に着手したのは1981年。市内初の供用開始から半世紀近くたっている。奥村さんは「100年先を見越した再開発にしてほしい」と言った。
 市営地下鉄東西線の山科駅ホームから地上に上がると、鉄骨むき出しの「A棟」、灰色の防音シートで覆われた「B棟」などがそびえ、工事の音が耳を覆った。
 B、C棟に入るマンションは10月上旬、1期分70戸が売り出され、実質平均倍率は3.63倍だった。「階下が大丸で、スポーツ施設もあり、大阪・梅田まで30分強。いうことありませんよ」。事業主体の市担当者の口は、なめらかだ。
 だが、外見の順調さとは裏腹に、街を歩くと地元の困惑が見え隠れする。
 駅近くで洋食店のマスターに再開発の話を聞くと、「ようなりますなあ、と客は言う。しかしな、時代が違う。大丸はビルを建てたんやない。賃料払って来るいうことを忘れたらあかん」と言い切った。
 当初、813億円と見積もられた山科駅前再開発の事業費は今年5月、883億円に上積みされた。バブル経済崩壊の余波でビル床の売却が進まず、多くが賃貸方式に切り替わったことなどが原因だ。
 そもそも、計画当初の調査対象は駅南一帯の7.6fだった。だが、地元から「先祖代々の土地がなぜ取り上げられるのか」、「事業に参加したからといって生活が楽になる保証はない」などの意見が出て、開発区域は3分の1程度に減った。
 伏見区の醍醐駅前の開発も課題を抱える。地上に商業・公共施設などの入る多目的ビルが今年3月、開業したが、スーパーと専門店街の来客数は月12万人前後で横ばいだ。建設・運営に携わる第三セクター「京都醍醐センター」の依田満社長は、「内部で活性化対策本部をつくり毎週相談しているが、厳しい側面がある」と話した。
 果たして、街として「採算」はとれるのだろうか。
 元市街地再開発課長の堀岡博・都市住宅局管理部長に尋ねた。「実際、やってみないとわからない部分もある」との答えが返ってきた。
 山科駅前まちづくりの会会長の奥村さんは、白いエプロン姿でこう話していた。
 「開発が始まってから今の課長で7人目。そのたびに行政の継続性は絶たれた。実際に開発の影響を受ける地元の気持ちになって、責任もって開発を進めてもらわんと困ります」
 巨額の費用をつぎ込んだ事業の成否を、熱い期待を込めて見守る地元の「目」を感じた。(有馬 央記)(朝日新聞)
■京阪電車が故障 合わせて28本遅れる 東西線御陵駅
 15日午前8時50分ごろ、京都市山科区御陵の市営地下鉄東西線御陵駅で、京都市役所前駅発浜大津行きの京阪電鉄上り電車(4両編成)が、電気系統の故障で発車できなくなり、同駅で運転を打ち切った。京阪電鉄は8故障した車両を後続に連結、四宮駅まで回送した。
 この影響で京津線は午前11時半ごろまでの18本に最大で26分、地下鉄東西線は同9時50分ごろまでの10本に最大で15分の遅れが出、合わせて約9000人の足が乱れた。(朝日新聞)
17日■ATSを一斉点検 JR西日本、全車両
 JR西日本は16日、山梨県大月市のJR東日本中央線で起きた特急と回送電車の衝突事故で、ATS(自動列車停止装置)が作動しなかった可能性があることを重視、ATSを搭載する約2600の車両すべての一斉点検を、営業区域内の35の車両基地などで始めた。
 ATSは、列車が停止信号機に接近すると、自動的に非常ブレーキがかかるシステム。JR西日本は12日の事故発生後、原因の解明を見守ってきたが、現在も調査が続いているため、乗務員らに信号の確認とATS機器の厳正な取り扱いを徹底するとともに、車両の点検に乗り出した。
 点検では、これまでの事故調査で、停止信号を検知して車両に送信する地上装置に異常がなかったことから、試験用の機械を各車両の下に置き車上の非常ブレーキが正常に作動するか確認する。全車両の点検には1週間程度かかる見込み。
 JR西日本では「非常ブレーキが誤ってかかってしまったATSの故障はこれまであったが、かからなかったことはない。事故防止に万全を期すため、点検に踏み切った」(車両部)としている。(京都新聞)
■旧国鉄債務処理 無利子国債など検討 財政改革会議 JR追加負担も
 政府、与党の財政構造改革会議は16日、企画委員会を首相官邸で開き、28兆円近くに上る旧国鉄長期債務の処理策について具体的な検討に入った。議論では、相続税など税を軽減する特典を付けた無利子国債の発行による処理や、長期債務のうち旧国鉄職員の年金分約3兆5000億円の一部はJR負担とすべきとの声が多く出された。
 企画委は@年金のJR負担A無利子国債による処理B財政投融資資金の金利軽減C自動車重量税など特定財源の活用−を検討する4チームを委員会内につくり、来週の委員会までに実現の可能性や方向性などについてそれぞれ協議することで一致した。
 無利子国債の発行については、大蔵省が税収減になるとして難色を示した。しかし、委員の間からは利払いを止める方法として無利子国債の導入を求める意見が複数あり、JR利用の特典もつけた無利子国債を発行したらどうかとの提案も出た。長期債務のうち年金部分の負担については「少しでもJRが負担すべき」などとJRへの追加負担を求める声が上がった。
 また、国鉄清算事業団が借りている財投資金約11兆8000億円(1998年4月時点見込み)のうち、民間が引き受けている政府保証債を除く約8兆1000億円分の金利減免や繰り上げ償還を求める意見が出た。(京都新聞)
■大阪港−中ふ頭駅間 海底トンネルで直結 テクノポート線12月18日に運行 レジャー地図も大幅カイテイ
 大阪市などの第三セクター会社「大阪港トランスポートシステム」は16日、大阪市港区の大阪港駅と、住之江区の中ふ頭駅を海底トンネルで結ぶ「テクノポート線」(3.7`)を、12月18日正午から運行する、と発表した。道路部分は17日朝から開通する。
 同線には、市内中心部とウォーターフロント地域の公共交通ネットワークを形成するため、1989年から建設を進めていた。「コスモスクエア」「トレードセンター前」の2つの駅を設ける。大阪港からコスモスクエアまでは地下鉄を延伸、コスモスクエアまでは現在、住之江公園−中ふ頭を走っている大阪ニュートラムが運行する。
 トレードセンター前駅は、人工島・咲洲(さきしま)内のアジア太平洋トレードセンターや大阪WTCビルに隣接している。同線の開通で咲洲地区と人気スポットの天保山地区とが直結する。また、地下鉄区間には、市営地下鉄中央線と近鉄東大阪線が相互に乗り入れ、都心部とのアクセスが飛踏的に向上する。(京都新聞)
■香港と新空港、23分で結ぶ 特急お披露目 設備はリッチ…でも4月開港に間に合うの?
 【香港16日共同】香港で16日、来年4月に開業予定の香港新国際空港と香港島中心部を結ぶ特急電車のお披露目式が行われた。
 現在の空港は、航空機の発着が既に満杯の状況。安全性でも問題が指摘されて久しい。
 香港島中心部のビジネス街と、同島の西にあるランクオ島に建設中の新空港を結ぶ電車は、海底トンネルと世界最長の道路・鉄道併用つり橋である青馬大橋を含む2つの橋で海峡を3回渡る。所要時間は23分。
 ドイツとスペインの合弁企業が造った電車は、全席に飛行機のビジネス・クラスの座席を設置。各席に航空機発着状況やニュースを伝えるテレビが付く。
 関係者は新空港開港が低迷する香港観光を活性化することを期待しているが、鉄道工事は遅れ気味で、空港への足の確保が空港開港に間に合わない可能性もある。(京都新聞)
■窓 東西線 悲喜こもごもの発車
・新しい発想の交通行政求む 左京区・小山 和彦(団体職員・41)
 地下鉄東西線の開通で、いよいよ京都市の交通網も新しい時代に入ったという感がします。そこで、次はこの交通網をより活用して利用者の利便を図ってみてはどうかと思います。
 地下鉄や私鉄ターミナル付近では、途方もない数の不法駐輪に行政は頭を悩ますことになりますが、それはなぜかと考えてみる必要があります。現在のように、不法駐輪を責める、強制撤去を定期的に行う、などの方法では問題が解決しないのではありませんか。不法駐輪をしている人の側の意見を私は聞いてみたことがあります。そこで分かるのは通勤、通学をする人は、交通機関の便利さを求めると同時に、交通費も気になるのです。地下鉄やターミナルまで自転車で来る人は「歩いてくるのには少し遠いけれど、バスで来るのは費用がもったいない」という距離の人が多いようです。
 そこで、ある時間内、ある時間帯などでは同じ料金で地下鉄やバスが自由に乗り換えできる策などの発想の転換をすべきです。通勤、通学の人の足を楽にしてあげること。それこそ私たちが、生活が豊かになったと実感できることなのです。地下鉄東西線の開通でバス系統が減り、今までより不便になった人も多くいるとのこと。無駄に出費したくないから便利なはずのバスを利用せず、自転車に切り替える、という本末転倒の話。ある意味で、不法駐輪の山は交通行政への無言の抗議とも受け取れます。新しい発想の交通体系を市民も参加して考え、他都市が模範とする「新交通都市京都」をつくってみませんか。
・CO2の削減に鉄道交通網を 八幡市・中嶋 敬(会社員・30)
 地下鉄東西線が開通した。これにより烏丸御池で烏丸線と十文字に結ばれ、京都の地下鉄新時代が幕を開けた。時間短縮をはじめJRや私鉄とのアクセスも一層便利になった。
 しかし、京都はまだまだ鉄道が不足しているように思う。各所で起こる車の渋滞。現状では京都観光も満足にできないのではないか。京都市内に高速道路が計画されているというが、渋滞解消の効果はどのくらい見込めるか疑問に思う。それに周辺住民の騒音問題も予想される。また、今や地球全体で二酸化炭素(CO2)削減が叫ばれているが、車の排気ガスは問題である。今後は道路よりも鉄道による交通アクセスが重要になってくると思う。
 東西線の開通で、JR山陰線や京阪、阪急、近鉄の各私鉄との連絡が便利になった。今後も、例えば京津線のように京福電車との直通乗り入れで三条京阪−京福嵐山の直通運転や、叡電の八瀬−大原の延伸、また都心部では京都駅−七条通−東大路−北大路−千本通−大宮通−七条通−京都駅の地下鉄環状線などを考えていただきたいと思う。
・京津線に見る市民の柔軟さ 伏見区・石山 都樹(大学受験生・19)
 いら立たしそうに「パオーン」と鳴いた。京津線の日ノ岡駅付近、九条山駅からカーブに身を合わせ順調に下ってきたのに、電車は前方を右折待ちの車にふさがれてしまった。やっと行けると力むと、信号が赤に。そんな風景はしょつちゅうだった。
 私にとって、あの路面電車は物心がついた時から当たり前にあった一番身近な乗り物だった。小学生の時は、九条山駅まで50円玉を握りしめて走り、友達の家へ遊びに行った。校区外の蹴上駅にいたのが見つかり、しかられたこともあった。中学生のころは、思い立ってすぐにでも三条京阪から河原町へ出られた。いざ失うという時になって、あれやこれやと思い出す。
 電車は地下へもぐり、あの姿が見られなくなるのは寂しいことだ。しかし、大事なことは、いら立ちの中にも、どこか、こっけいさを帯びて「パオーン」と鳴いていた不器用な、しかし愛すべきあの路面電車を受け入れていた”柔軟さ”を忘れないことのように思う。
・長年親しんだ市バスに別れ 山科区・黒瀬 一栄(無職・84)
 東西線開通前日の11日正午前、山科の大宅打明町バス停から三条京阪行き市バス東9号に乗る。地下鉄運行でこの市バスとはお別れとなるので心寂しく、愛着を胸いっぱいにためながら。
 大体、市バス9号は「敬老パス」での乗客が多い。「今日で最後ですなあ。名残惜しいことで…」「私らは明日からは、ちょつと便利が悪くなりますねん」と見知らぬ老人から話しかけられた。
 山科区東野に土地を買い、わが家を建てて30年。市バス東9号と過ごした長い歳月。万感の思いが頭の中をよぎる。4人家族で過ごしたわが家も今は私1人。毎日のようにこのバスを利用してきたので別れはつらい。後ろ髪引かれつつ、三条京阪前で降りた私は、去り行くバスの後ろ姿に「長い間ご苦労さま。ありがとう。パイパイ」と心の中でつぶやきました。
・冷たい応対に積み重なる不満 左京区・小西由希子(会社員・29)
 地下鉄東西線の開通に伴い、市バスのダイヤが改正された。私の通勤経路は東西線の恩恵を受けない(烏丸線も同じ)にもかかわらず、路線の変更やバス本数が減少している。一体どういうことであろうか。
 交通局の累積赤字は増える一方で、その財源はわれわれの税金によって賄われている。自分の愛用していたバスは廃止されるのに、赤字負担だけを強いられるのは納得し難い。
 先日、早朝のバスの車内で、いやな光景を目にした。1万円札の両替を申し出た女の子に、運転手さんは「両替も釣り銭もありません」と冷たい態度。気の毒に思ったご婦人の方が回数券を差し出され、その場は収まったが、運転手さんの応対にあきれてしまった。もちろん、こういったケースはまれであろうし、大半の運転手さんは両替できる方を車内アナウンスで求め、乗客の協力を得て事なきを得るのであろう。ダイヤ改正で腹立たしい思いの中、こういったことが積み重なると市民の不満は募るばかりである。
 一般企業では社員教育は重要なウエートを占めている。一人ひとりが会社の顔なのだ。度重なる市バスの悪評には、もううんざり。便利で愛される市民の足は一体、いつになったら実現できるのであろうか。
・早速出掛けた好きな動物園 伏見区・金山恵津子(主婦・56)
 「この秋 夢と未来が走り出す」−。醍醐から二条まで12.7`を24分で走る地下鉄東西線。完成まで7年余りの歳月をかけた京都では2番目の地下鉄、期待とともに心からお祝いを申し上げたい。
 この地下鉄を早速利用してどこかへ出かけようと夫から誘われ、すぐに動物園を選んだ。植物にはあまり関心がないが、動物ならほとんど好き。動物園は、いくつになっても心ひかれる場所となっている。最近、長年飼っていた愛犬を亡くした寂しさが、動物に接したい気持ちをかり立てたのだ。数多くの動物たちを見ることで少しは心をいやせたように思う。特におとぎの国は、動物を本当に身近に眺められ、手で触れられるものもいて、いつもと変わらず子供のようにはしゃいでいる私に気がついた。
 こんな動物園を訪れることを容易にしてくれた東西線には感謝の気持ちでいっぱいだ。駅、車両とともに、走っている音までが新しい。また、プラットホームの安全性を考慮した今までにない形式が素晴らしい。
・釈然としない代替路線決定 東山区・植西 武司(無職・73)
 地下鉄東西線の開通とともに、われわれの地区では長年走っていた市バス3路線が廃止され、代替として京阪バスの1路線のみとなり、とても不便になった。
 しかも、この京阪の1路線は五条坂から烏丸五条経由四条大宮へ行くなじみのない路線です。10月に発表されるまで、常識として当然四条へ出られるものとばかり思っていたので、期待はずれもはなはだしい現状です。われわれが四条へ出るとは四条高倉、河原町から縄手辺りを指すのです。京阪バスだから当然三条京阪と四条京阪行きは入るものと思っていました。
 市会議員の方も、かねがね2路線は入ると明言していたので今回の措置は釈然としません。市交通局や京阪バス側からも住民に対する一度の公聴会もなく、住民不在、利用者不在のまま路線決定をされたのは残念です。市当局の何らかの説明を望みます。
・駅車両に安全防犯の改善を 右京区・加藤 政一(無職・36)
 待ちかねた電車が走り出した。開業の12日、二条−醍醐間に往復乗車するため、そそくさと二条駅へ向かった。やっぱりあれか。以前からバスの中から駐輪場のようなものが見えていた。まさか駅とは。正直言って二条駅の印象は悪い。小さくポツンと立っているのだ。あれでは夜は危ない。付近にJR駅、ホテル、交番はあるが少し離れている。千本通の向かいは学校だ。横が更地で何もない。開発が待たれるところである。
 各駅のホームはよくできている。ホームドアのことだ。酔っばらいも転落しようもない。しかし、乗降のマナーが悪いと、出る人と入る人が当たってしまう。せめて白線を引くとかしてほしい。
 次に肝心の電車。確かに速くて乗り心地は良いが、小さくなった分、通路が狭い。醍醐行きは立っていたので一層そう感じた。大きく重いバッグでも置かれたら、つまずいて転びかねない。それにリュックも同じである。便利さや速さだけでなく、防犯面など不都合も出てきます。一つずつ改善していただけるようお願いしたい。(京都新聞)
■東京駅の旧国鉄用地返還訴訟 買い取り条件に和解 東京地裁
 JR東京駅八重洲口に立つ国際観光会館ビルをめぐり、国鉄清算事業団がビルを所有する「株式会社国際観光会館」を相手取り、明け渡しを求めて東京地裁で争っていた訴訟で、事業団と観光会館は16日、観光会館の筆頭株主である三井不動産が会館ビルの土地約3700平方bを買い取ることで和解した。和解金額は約115億円とみられる。
 会館ビルの敷地は、国鉄時代に貸したまま返還されていない土地の中では最高額の物件だった。関係者によると、土地の周辺価格は約300億−400億円とされるが、会館側が借地権を主張していること、旧国鉄用地の処分のめどが1998年3月に追っていることなどから、実勢価格よりもかなり低く抑えられた。
 この土地は51年に旧国鉄が観光会館に貸した。ホテルや観光関係事業の運営が使用目的で、観光会館は地上8階地下2階のビルを建てて3年ごとに契約し更新してきた。
 債務返済にあてるため、事業団は87年3月に契約を打ち切ったが、会館側は借地権を主張し、明け渡しに応じなかった。このため、事業団は94年10月、観光会館を相手取り、建物の取り壊しと土地の明け渡しを求める訴えを東京地裁に起こした。(朝日新聞)
■ATS切断強まる 大月駅事故 JR側見方 回送列車側ミスか
 山梨県のJR中央線大月駅で起きた列車衝突事故で、JR東日本幹部は16日、朝日新聞の取材に対し、「(事故を起こした)回送列車の運転士が入れ替え作業中に自動列車停止装置(ATS)のスイッチを切った可能性が高い」として、スイッチの取り扱いに手違いがあったとの見方を明らかにした。山梨県警の調べでもATSの故障は認められず、同県警は回送列車の運転士から、引き続き事情を聴いている。
 調べではATSのスイッチは事故後、「ON」の状態になっていた。このため、ATSそのものの故障で非常ブレーキがかからずに衝突したのではないかともみられていた。
 だが、山梨県警が故障がないことを確認し、回送列車と同じATSを搭載した車両に対するJRの緊急点検でも異常はなかった。こうしたことから、ATSのスイッチを切った以外に考えられないとの見方をJRは強めた。
 運転士が大月駅で入れ替え作業をするのは1年10ヵ月ぶりだった。JR東日本幹部は「何か勘違いをして入れ替え作業中にスイッチを切ってしまったのではないか」とみている。(朝日新聞)
■JR西日本もATSを点検
 山梨県のJR中央線大月駅で12日に起きた列車衝突事故を受けて、JR西日本は16日、約2600車両を対象に自動列車停止装置(ATS)の一斉点検を始めた。
 点検する車両は、地上からの停止信号を受信するATSの「車上子」と呼ばれる装置を搭載している全車両で、同社が所有する在来線の車両約6200両の42%に当たる。試験用の発信装置を使い、16日から約1週間かけて35ヵ所の車両基地などで実施する。車両側のATSの作動点検は随時しているが、一斉点検は同社では初めてという。
 JR東日本はすでに、約3900両を対象にATSの点検を進めている。(朝日新聞)
■線路ポイント故障 山陽新幹線遅れる 西明石駅
 16日午後3時45分ごろ、兵庫県明石市の山陽新幹線西明石駅の下り線で、ホームの約160b手前にある線路のポイントが同駅通過用のまま変わらなくなった。この状態だと列車は下りホームに停車できないため、駅員が手動で切り替えた。約2時間後に復旧したが、通過列車もポイントの手前で一時停止するなど、東京発博多行き「ひかり51号」の47分を最高に下り計14本が遅れた。
 JR西日本によると、ポイントを制御するケーブルの一部が断線していたのが原因という。(朝日新聞)
■「阪急電鉄車両史」ビデオ・プレゼント!
 これまで鉄道ビデオを次々と発表してきたABCが阪急電鉄創立90年に当たり「阪急電鉄車両史 Forever Maroon」を発売。
 開業以来変わらないマルーン色で親しまれてきた阪急電鉄の車両を第1号車から現在まですべての形式を紹介。その雄姿を見ていただく。懐かしのP6や920系車両はもちろん、貨車救援車から西宮北口の平面交差、最近の車両の新設備まで、資料としても貴重なものだ。このビデオを5人に抽選でプレゼント。
 はがきに住所、氏名、年齢、職業を明記して、〒531-01大阪市北区大淀南2、ABC番組宣伝部「阪急電鉄ビデオ」係まで。10月22日(水)必着。(朝日新聞 夕刊)
■JR切符横領 元社員に実刑 和歌山地裁
 新幹線のエコノミー切符計約1億8000万円相当をだまし取るなどして、詐欺と業務上横領の罪に問われた元JR西日本和歌山支社総務企画室審査係、八千堂一重被告(42)=大阪府泉佐野市=に対する判決公判が17日午前、和歌山地裁であった。柴山智裁判官は「職務を利用した短絡かつ常習的な犯行で被害も多額」などとして、懲役3年(求刑懲役5年)の実刑判決を言い渡した。弁護側は控訴の手続きをとった。(朝日新聞 夕刊)
■大阪港咲洲トンネル開通し600人渡り初め
 鉄道と道路を併用した国内初の海底トンネルとして、大阪市などが臨海部で建設を進めていた「大阪港咲洲(さきしま)トンネル」の道路部分が、17日開通し、記念式典があった。テープカット後、市関係者ら約600人が車に分乗し、渡り初めをした。都心部と咲洲をつなぐ道路として、南港大橋と阪神高速湾岸線に次ぐ3つ目のルートになる。(朝日新聞 夕刊)
■線路わきに車転落 電車1本が遅れる 奈良の近鉄
 17日午前2時ごろ、奈良県北葛城郡河合町広瀬台一丁目の町道で、大阪府柏原市国分本町、スナック経営堅木貢さん(50)運転の乗用車が路肩のフェンス(高さ1.6b)を破って約6.5b下の近鉄田原本線の線路わきに転落、横転した。約3時間後にクレーン車が乗用車を引き上げたが、新王寺駅始発の西田原本行き上り普通電車の発車が約10分遅れた。竪木さんは頭などに軽いけが。
 西和署の調べでは、堅木さんは道路が左に曲がっているのに気づかず直進したらしい。堅木さんの呼気1リットル中から0.54_グラムのアルコール分を検出したため、同署は過失往来妨害と道交法違反(酒気帯び運転)の疑いで事情を聴いている。(朝日新聞 夕刊)
18日■新線模様 地下鉄東西線開業 4 浜大津 にぎわい戻す新風に期待
 真新しい水色の車体が交差点で大きくカーブし、ゆっくりと坂道を上っていく。駅を取り囲むように、工事中の巨大なビル群が立ち並ぶ。町はやっと生まれ変わろうとしている。
 京阪電鉄京津線、石山坂本線が接続する大津市の浜大津周辺では、来年の市制100周年を控え再開発が急ピッチで進む。バブル崩壊で再開発計画は一時中断したが、来春は商業施設が相次いで完成し、転機を迎える。そこへ東西線開通が重なった。
 「この日を大津市民あげて待ちわびていた。京都と大津が一体になって、世界の観光都市として発展するための足になる」。12日早朝、同駅であった出発式で山田豊三郎市長は期待を込めてあいさつした。
 東西線に乗り入れることとなった京阪電鉄は、ホーム延長や地下鉄規格の新車両導入などに約200億円をかけた。現在、湖岸側で進める再開発も約200億円をかける。「港やなぎさは京都にない魅力。観光客も呼び込みたい」と同電鉄。
 しかし、本当に浜大津に集まる人の流れができるのか。市内や隣接市などには相次いで大型店が進出しているうえ、乗り入れが必ずしも利用者にとって「便利になった」と手放しで喜べる内容ではない。
 大津市から三条までの運賃は最高で1.7倍近くの「値上げ」。京阪本線からは、切符を買い直さなけれはならない。乗り入れも烏丸御地手前の京都市役所前までで、地下鉄烏丸線やJR山陰線とは直結しない。
 浜大津商店街振興組合の田中昭三理事長は「京都から来るどころか、これまで浜大津に来ていた人たちも減ってしまうかも」と不安げだ。
 そもそも浜大津の再開発は、湖上交通の衰退に加え、湖西方面へ走る江若鉄道が1974年、浜大津を通らずに京都へ直通するJR湖西線に置き換わったことが大きなきっかけになっている。このときも駅前の人通りは大きく減った。
 東西線開通を迎えても、期待感はない。「定期券をより安くて速いJRに切り替えたという人が何人もいる」からだ。
 浜大津がにぎやかだったころの写真が、駅近くのしにせ「三井寺力餅本家」に飾ってある。36年の写真には、電停いっぱいにあふれる人と交差点を行き交う人たちが写っていた。
 4代目の遠藤糸子さん(60)は、子供のころからこの駅周辺を見つめ続けてきた。「昔は船が一隻着くと、京都へ帰る人でいっぱいになった。みやげ物屋も10軒以上あって客引きをしあっていた」と懐かしむ。「再開発で今よりはましになるでしょうけど、昔のようなにぎわいがどこまで戻るか」
 写真の左上には「京都ゆき急行20分」と書かれた看板が写っている。急行は交通渋滞と無縁だった34年に生まれ、81年まで走っていた。一方、地下鉄乗り入れで3分短縮した三条までの所要時間は21分。「同じ線が地上から地下に変わるだけで運賃が上がってしまうなんて。大津の印象が悪くならないか心配です」と遠藤さん。
 京都は地下鉄となったが、大津は路面電車のまま。湖水の色をあしらった車両がどんな「新風」を運んでくれるのだろう。(佐々木 英輔)
・浜大津再開発 大津市の拠点として、再開発や港の整備などを市と滋賀県、民間が進めている。駅前に建設中の17階建ての再開発ビルには、住宅とダイエー系列の専門店街「オーパ」が入り、湖岸では約3.8fの敷地に、琵琶潮ホテルや映画館などの娯楽施設が入る「浜大津アーカス」を京阪電鉄が建設中。来春の完成に合わせ、バスターミナルの改装工事や駐車場整備なども進む。(朝日新聞)
■JR西日本、冬の臨時列車 初の「長浜盆梅ホリデー号」 「全車指定ひかり号」復活も
 JRグループ旅客6社は17日、年末年始(12月26−1月5日)を中心とする冬の臨時列車のダイヤを発表した。それによると、全国の主要50線区での下り特急、急行の予想利用客は昨年より約1%多い約602万人。年末の帰省ラッシュは12月26日から始まり、30、31日がピークで、Uターンは来年1月3、4日に集中すると見込んでいる。
 JR東海は年末年始、東海道新幹線東京−新大阪間で臨時「のぞみ」を1日最大17本運行、「のぞみ」は定期列車と合わせるとほぼ1時間に2本の割合となる。
 JR西日本は全車指定席の新幹線ひかり号を5年ぶりに復活させるほか、来年1月10日から長浜市で開かれる恒例の盆梅展に合わせて、快速「長浜盆梅ホリデー号」を初めて走らせる。
 JR西日本は、期間中の利用客を前年並みの1832万人と見込んでいる。定期列車が増えたため、新幹線と在来線を合わせた臨時列車の本数は、前年の約4分の3の1584本となった。
 全車指定のひかり号は、帰省客の指定席志向にこたえ、12月26日から来年1月6日まで運行する。年末のピーク時は、1日6本。人気の「500系のぞみ」などの増発分を加えると、新幹線全体では1日最高9本の臨時列車が走る。
 長浜盆梅ホリデー号は、会期中の来年2月末までの土曜と休日に、大阪−長浜間を1日1往復する。京都からは午前9時20分発、ノンストップで10時23分に長浜に着く。帰りも同様に午後5時31分長浜発、6時37分京都着となる。
 このほか、大みそかから元旦にかけて、初もうで客用に、草津−京都間と松井山手−新三田間の普通列車を初めて終夜運転する。(京都新聞)
■JR、冬の臨時列車
 JR西日本は17日、この冬(11月29日−来年2月28日)の臨時列車を発表した。年末年始の帰省やUターンに座席を取りやすくするため、全車指定の特急「サンダーバード」(大阪−富山)の1日2往復に加え、今季は山陽新幹線で全車指定の「ひかり」(新大阪−博多)を1日最大6本増発する。
 期間中の同社の増発列車は新幹線、在来線合わせて1584本。長野冬季五輪の観客向けとして、来年2月6日から同23日にかけて、全車指定の夜間急行「白馬・栂池」(姫路−白馬)、同「妙高・志賀」(姫路−長野)を毎日各1往復走らせる。
 また、鳥取大学の受験生のために去年運転した京都発着の直通特急「ビクトリーはくと」に加え、岡山を発着する智頭線回りの同「ビクトリーいなば」を2月24日(往路)、25日(復路)に運転する。(朝日新聞)
■ラピートにはねられ即死 短大生? 泉大津で
 18日午前8時50分ごろ、大阪府泉大津市二田町一丁目の南海本線北助松6号踏切(警報機、遮断機付き)で、関西空港発難波行き特急ラピートβ(上村浩司運転士、6両編成)に若い女性がはねられ、全身を強く打って即死した。同市内の短大生(19)とみられ泉大津署で身元の確認を急いでいる。下りていた遮断機をくぐって線路内に入ったらしい。現場は、松ノ浜駅のすぐ北側。
 電車は、現場に15分停車。後続3本に最大10分程度の遅れが出た。(朝日新聞 夕刊)
■電柱が折れて近江鉄道不通
 18日午前5時ごろ、滋賀県近江八幡市末広町の国道421号で、広島県比婆郡東城町川東、備北運送の大型トラック=中村美吉運転手(37)=と、対向車の京都市南区唐橋南琵琶町、運送会社「キッカ」の軽トラック=大山益弘運転手(45)=とが衝突。はずみで、大型トラックが道路わきのガードレールを突き破って暴走し、近江鉄道末広第2踏切近くの電柱を折った。この事故で、同鉄道八日市線は始発から全線不通となって約2000人の足に影響が出たが、昼すぎに全面復旧する見込みという。同鉄道はバスで代行輸送している。
 大山運転手は右腕の骨を折って重傷。(朝日新聞 夕刊)
■管内全車両「異常なし」 JR東日本の点検
 山梨県のJR中央線大月駅で起きた列車衝突事故で、JR東日本は18日、事故を起こした回送列車と同じ自動列車停止装置(ATS)を搭載している管内の全車両約3900両を緊急点検した結果、すべて異常はなかったと発表した。
 緊急点検は15日から4日間、JR東日本管内の45ヵ所の車両基地で行われた。JR東日本によると、「止まれ」という電気信号を車両に向けたところ、すべての車両の警報ベルが鳴って非常ブレーキもかかったという。(朝日新聞 夕刊)
■トラック同士衝突、電柱折る 近江鉄道八日市線が不通
 18日午前5時ごろ、近江八幡市末広町の国道421号で、京都市南区唐橋南琵琶町、宅配業キッカの軽トラック=大山益弘運転手(45)=と広島県比婆郡東城町、備北運送の大型トラック=中村美吉運転手(37)が衝突、大型トラックはさらに国道沿いの近江鉄道八日市線の高圧電柱に衝突した。大山さんは腕の骨を折るなど重傷、中村さんは足に軽傷を負った。
 この事故で、高圧電柱が根元から折れたため、同線は午前5時41分の始発(八日市駅発)から不通になった。同鉄道はバスによる代替輸送を実施したが、本格復旧は昼ごろまでかかり、約2000人の足に影響がでるとみている。
 近江八幡署は、軽トラックが対向車線にはみ出したため、避けようとした大型トラックが高圧電柱に衝突したとみて調べている。(京都新聞 夕刊)
■JR側が関係 書類任意提出 大月駅の列車衝突事故
 山梨県のJR中央線大月駅構内で12日夜に起きた特急スーパーあずさと回送列車の衝突事故で山梨県警捜査本部の捜査員が18日午前、JR東日本東京地域本社三鷹電車区(東京都三鷹市)を訪れ、回送列車の運転士(24)の運行記録や勤務日報など関係書類の任意提出を受けた。
 捜査本部は業務上過失傷害容疑での家宅捜索令状も用意したが、JR側が資料提出に応じたため、令状は執行しなかった。(京都新聞 夕刊)
19日■本物そっくり鉄道模型 叡山電鉄鞍馬駅 最新型まで21点展示
 左京区鞍馬本町の叡山電鉄鞍馬駅で18日、鉄道展「鉄道模型・in鞍馬」が開かれた。構内には模型が展示され、駅の外では、子どもたちが鉄道模型の操作を楽しんだ。
 同展は、10月14日の「鉄道の日」にちなんで、電車に親しみを持ってもらおうと、昨年から始まった。
 駅構内には、鉄道模型愛好家が作った叡山電鉄のカラフルな模型21点が展示された。大正年代の木造の電車から、この10月にデビューしたばかりの「きらら」の車両まで、本物そっくりの精巧な車体が、訪れた人を驚かせた。
 駅の外では、京阪電鉄の社員で作る模型クラブ「KCRC」が、子どもたちに模型電車の運転方法を指導。子どもたちは、模型の走るスピードを変えては、大きな歓声を上げていた。
 停車中の電車内では、懐かしい電車の写真パネル、プレートなどの鉄道グッズが販売された。同展は、19日も午前10時から午後4時まで同駅で行われる。(京都新聞)
■不通の八日市線復旧 近江鉄道
 18日早朝、近江八幡市末広町の国道421号で起きたトラック同士の衝突で、高圧電柱が折れ、始発から不通になっていた近江鉄道八日市線(八日市駅−近江八幡駅)は、同日午後零時43分の近江八幡駅発の電車から全面復旧した。この事故で、利用者約2000人の足に影響が出た。(京都新聞)
■新線模様 地下鉄東西線開業 5 二条 姿現さぬ「現代の朱雀門」
 JR二条駅(中京区)のプラットホームに立つと、西に広がる操車場跡の向こうに、立ち並ぶ製材所や木材倉庫が見える。その一角に、窓明かりの漏れるログハウスがあった。
 そこで喫茶店を開く松尾盛一さん(50)の本業は、80年近く続く木造住宅施工会社の4代目。市営地下鉄東西線の建設に合わせた二条駅周辺の区画整理事業で換地を迫られ、移転するのを機に近く、5階建ての駐車場兼テナントビルを建てることにした。
 「これからは、本業よりビル経営に力を入れざるを得ない。失敗は許されません」着手する。7階建て、延べ床面積約3万9000平方bで、建設費は105億円にのぼる。
 「建物の形は、朱雀門をイメージしている。平安時代、この地は朱雀大路が通っていた。もう一度、都のセンターラインにしたい」。同ビルを建設・運営する第三セクター「京都二条開発」の上田誠総務課長は意気込む。
 しかし、整備計画はバブル期をくぐり、修正を迫られた経緯がある。当初は、百貨店などを誘致するはずだった。バブル崩壊で文化施設に変更した今も、軌道に乗っているとはいえない。
 複合ビルは、2階から4階を「アミューズメントセンター」(三井物産)と「デジタル関連施設」(京都二条開発)にする構想はあるが、具体的な青写真はない。市がほかに取得している約5100平方bの土地も、「建設の時期も中身も決まっていない」(市拠点整備課)状態だ。
 さらに、郵政省の外郭団体が4年前、約1万5000平方bの用地を取得して発表した「健康増進センター構想」も、具体的内容は詰まっていない。約3200平方bを所有する国鉄清算事業団も、「土地の売却先は、具体的には決まっていない」としている。
 二条駅周辺には、約30の木材業者が木材置き場や製材所を構える。業者らは当初、市の整備を「集客施設ができ、木の良さを知ってもらう機会が増える」と好意的だった。しかし今、姿を現さない事業に不満の声が広がる。
 京都木材協同組合の竹内茂行理事長は「空き地に何ができるかは3、4年前に聞いたが、その後なしのつぶてです」と不満を隠さない。
 JR二条駅近くのビル屋上にあがって、付近をながめた。殺風景な空き地、アスファルトの道、雑然と並ぶ木造家屋が眼下に広がる。
 ログハウスで松尾さんは、こう話していた。
 「私のビルにどんなテナントが入るか、まだわからない。街に活気が出るには10年以上かかるかもしれませんね」
 「現代の朱雀門」をどこか覚めた目で見ている感じがした。
 来春までに、松尾さんのログハウスは撤去され、跡地は二条駅西口広場に姿を変える。(橋本 卓)
・二条駅地区土地区画整理事業 貨物ヤード跡地の再開発と御地通などの整備を中心にした事業で、面積は13.2f。1989年に京都市が都市計画決定した。施工終了は2000年の予定。事業費は210億円。市は一帯を「情報・観光・交通の西の玄関」と位置づけている。 おわり(朝日新聞)
21日■地下鉄東西線開業1週間 乗客予想やや下回る
 京都市の地下鉄東西線(醍醐−二条間、12.7`)は、今月12日の開業から1週間が経過した。1日平均の乗客数は14万9000人で、当初予想(15万6000人)をやや下回った。市交通局では「予想の範囲内」としながらも、「平日の利用者を増やし、週末は秋の観光シーズンに向けて沿線の観光地を積極的に紹介したい」としている。
 市交通局によると、乗客数は開業日から18日までの1週間で、計104万6000人だった。開業日は、沿線の商店街や二条駅周辺などで開業イベントも実施されたこともあり、23万人にのぼった。
 しかし、通勤・通学者が主流となる平日の翌13日は16万人、14日は13万9000人となり、平日6日間の1日平均は13万6000人だった。
 今回の結果について、交通局は「当初見込まれた地下鉄沿線の拠点整備の遅れもある。定期券の切り換え時期のズレなどもあり、東西線利用の安定した数字が現れていない」と話している。
 一方、東西線と二条、山科各駅で接続するJRは、「これまで、市中心部から京都駅経由で亀岡方面に行っていた乗客の流れが、二条駅経由に変わった感がある」(JR西日本京都支社)という。
 交通局は、現在、東西線沿線で進行中の拠点整備が完了すると見られる2002年には、1日の旅客数を20万7000人とはじいており、「利便性のアピールや沿線の観光地をPRするなどして、利用者を増やしていきたい」としている。(京都新聞)
■きらり逸品 手製の模型列車 消えゆく名車両を再現
 『市電や、今月、一部区間が廃止になった京津線の車両など、懐かしい列車の模型約150点が、書斎の本棚に並ぶ。鉄道友の会京都支部副支部長の大西卓さん(64)=左京区田中上柳町=のコレクションだ。
 祖父と父が鉄道の技術者だったこともあり、幼いころから鉄道に親しむ機会が多かった。電車に乗ったり、構造を調べたりするだけでは飽き足らず、高校時代には、友の会の前身、東京鉄道同好会に入った。その後、25年余りをかけて、私鉄を含む全国の鉄道すべてに乗車した。
 模型は、路面電車や戦前の車両を中心にそろえた。市販されていない車両は、材料や資料を集め、組み立てるほどの熱の入れよう。「友の会に自分で模型を作っている先輩がいて、その影響で模型づくりも始めました」。大正時代の「京阪電車100型」や父が設計した市電の「600型」など、今は見られない名列車を再現するのがだいご昧という。
 とくに、関心を持つのが路面電車。「軌道に車を入れないなど徹底した措置をとれば、まだまだ路面電車が有効ではないか」。
 模型を手に、路面電車への思いを語る。(京都新聞)
■JR西日本 中央線事故繰り返さぬ より安全性の高い自動列車停止装置 ATS-P米原−網干間に導入 3年後メドまず山科−兵庫間
 JR西日本は20日、東海道・山陽本線の米原−網干間(209`)に、これまでのATS(自動列車停止装置)より安全性の高いATS-P形を2000年度末までに導入する、と発表した。山梨県大月市のJR東日本中央線の衝突事故で、従来のATSが作動しなかった可能性があるため、年内にも緊急度の高い山科−兵庫間で作業に着手する。
 ATSは、列車が停止信号機に接近すると、自動的にブレーキがかかるようにして、安全を確保するシステム。従来のタイプは、速度によっては列車が停止位置を越えてしまう可能性があった。P形は、列車上の装置が停止するのに必要な速度のパターンを認識し、速度オーバーの場合は停止信号機のかなり手前から自動的にブレーキをかけるため、停止位置を越えることがないという。
 JR西日本は90年から、列車本数の多い阪和線や大阪環状線など134`の区間にP形を導入。今回は、米原−網干間の525の信号機周辺と、この区間を運行する286の車両を対象に、機器の整備を行う。完了すれば343`がP形の区間となる。山科−兵庫間の約300の信号機周辺については、来年度末までに供用開始する。総工費約72億円。
 またJR西日本は、安全性の高いP形の導入によって通過列車がより正確に把握できるため、西草津(草津市)など14ヵ所の踏み切りで、警報機の作動時間を短縮できるとしている。(京都新聞)
■信号異常ダイヤ混乱 JR学研都市線
 20日午後4時10分ごろ、京田辺市山手中央のJR西日本学研都市線、松井山手駅で信号機が赤のまま変わらなくなった。このため、松井山手−木津間が約1時間半不通となり、2500人の通勤客らの足に影響が出た。
 JR西日本の調べでは、この事故で宝塚発木津行きの快速列車が出発できず、同駅で折り返し運転に切り替えたのを始め、上下12本が松井山手−木津間で運休。このほか、快速電車など8本が最高で1時間半遅れた。
 松井山手−木津間は、京阪電鉄交野線、近鉄京都線などで振替輸送した。JR西日本では原因を調べている。(京都新聞)
■東西線コーナー登場 伏見・醍醐中央図書館 鉄道の資料集める
 伏見区の醍醐中央図書館はこのほど、地下鉄東西線開業を記念して、特設コーナーを設けた。鉄道関係の本などが人気を呼び、貸し出しが相次いでいる。
 特設コーナーには、京都駅を特集した雑誌、京都市や大阪市の地下鉄工事に関する行政資料、鉄道が登場する文学作品など約200冊を集めた。また、東西線の工事を撮影したパネルの展示や、さまざな鉄道の走る音が録音で聴ける。
 連日、子どもらが訪れ、気に入った本を手にしたり、貸し出しを受けている。ヘッドホンで、列車の走行音を耳にする主婦もみられる。同図書館では、予想以上の好評さに、本の追加も検討中という。特設コーナーは11月15日まで。(京都新聞)
■記者の選んだ 新・ふるさとのアングル 福知山電車基地(福知山市半田) 照明に包まれ休息の時
 福知山市西部の夜空を、照明灯が明るく照らす。一日の仕事を終えた電車が、翌日の出発までひととき休息する。JR西日本福知山電車基地。
 22万3000平方bで、阪神甲子園球場の6倍の広さ。1986年のJR山陰線、福知山線の電化に伴って建設された。
 JR福知山駅から専用の線路を通って基地に入る。午後7時ごろから1本、また1本と戻り始め、一番遅い電車が入るのは午前零時を過ぎる。それでも10時すぎには20本入る線路のうち、非常用などを残して18本まで埋まるという。
 仕事から戻った車両を、きらめく構内照明が優しく迎える。暗やみを照らす照明と、その中に浮かび上がる色とりどりの電車の列は、幻想的な光景だ。基地の塩見隆司副助役が「これからの季節、濃霧が発生することが多くなる。肌をさす寒さだが、霧の中に浮かぶ電車がまたきれいでね」と感慨深げに話してくれた。
 電車の明かりは、車内清掃や車体洗浄などを済ませたあと、ようやく消える。一番早い電車は午前4時すぎには出発する。それまでのわずかな時間、どんな夢を見るのだろうか。(北部総局 太田敦子)(京都新聞)
■信号機故障でダイヤ乱れる JR松井山手駅で
 20日午後4時10分ごろ、京田辺市のJR片町線松井山手駅で、宝塚発木津行き快速電車(7両編成、乗客約100人)が出発しようとしたところ、信号機が赤のまま変わらなくなった。約1時間半後に復旧したが、上下12本の列車が部分運休し、同8本が最高90分遅れ、約2500人に影響した。JR西日本はこの間、京阪本線、近鉄京都線などで振り替え輸送をした。(朝日新聞)
■JR米原・網干間 最新ATS設置へ
 JR西日本は20日、東海道・山陽線の米原−網干間(209`)で年内にも、列車の暴走を防ぐ自動列車停止装置(ATS)の最新型「ATS-P型」の設置工事を始めることを明らかにした。山梨県のJR中央線大月駅で起きた列車衝突事故でATSの信頼性に関心が集まったが、同社は「従来型に比べて赤信号の手前で確実に停止でき、保安度は向上する」としている。
 これに対し、P型は信号機の手前で確実に止まれるよう列車の速度と距離に応じた減速路線を自動的に計算し、この曲線を超える速度を出した段階でブレーキがかかる。列車本数の多い阪和線、大阪環状線など、大阪市内を中心とした計約134`区間で整備してきたが、東海道・山陽線は未着手だった。普通、快速、特急などを選別できる機能も利用し、交通量の多い沿線14ヵ所の踏切の警報作動時間を列車ごとに変えることで、横断のための待ち時間を1時間当たり3−10分短縮できる。来年度末から2000年度末にかけて順次、使用を始める。総工費は約72億円。
 大月駅での衝突事故は、一方の列車の運転士がATSの電源を切っていた可能性が指摘されているが、「P型はめったに電源を切る必要がない」という。(朝日新聞)
■電車にひかれ男性が重傷 大阪・地下鉄駅ホーム
 21日午前10時36分ごろ、大阪府東大阪市川俣一丁目の大阪市営地下鉄中央線高井田駅の下りホームで、大阪市淀川区十八条一丁目、無職稲本良一さん(83)が線路上に転落し、入ってきた大阪港発生駒行きの電車(6両編成)にひかれ、左足首に重傷を負った。
 大阪府警布施署の調べでは、稲本さんは「誤って落ちた」と話しているという。(朝日新聞 夕刊)
22日■北陸線で地盤陥没 京都駅で特急3本影響
 21日午後5時10分ごろ、富山市窪本町のJR北陸線上り線で線路の地盤が、線路沿いに長さ約6b、幅約4bにわたって約0.8b陥没した。このためJR西日本は、北陸線の富山−滑川間で上下線とも運転を見合わせ、バスで代替輸送をしている。
 JR京都駅では、上り特急「サンダーバード46号」が約110分遅れたのをはじめ、特急「雷鳥44号」が約80分遅れで到着。また、「雷鳥42号」は金沢で運転が打ち切られて、臨時電車が運行されるなど上りの特急3本に影響が出た。(京都新聞)
■JR西日本に「環境チーム」 京都会議へ知恵
 JR西日本の南谷昌二郎社長は21日の記者会見で、環境問題プロジェクトチームを社内に発足させたことを明らかにした。12月に気候変動枠組み条約第3回締約国会議(温暖化防止京都会議)が開かれるのをきっかけに、環境問題への取け組みを考える目的という。JRの環境問題といえば騒音や振動だったが、「鉄道は二酸化炭素(CO2)の排出が少なく、自動車や飛行機に比べれは優等生」(南谷社長)とPRする狙いも強いようだ。
 プロジェクトチームは山崎正夫・常務鉄道本部長をリーダーに12人で構成。3つの分科会と11のワーキングチームを置き、全体では100人以上の規模となる。9月30日に発足し、週1回程度の会合をしているという。CO2や廃棄物の削減策、環境関連の事業化、社外への情報提供を念頭に、12月までには、大まかな取り組み内容を決めたいとしている。
 導入が議論されている炭素税がガソリンなどにかけられれば、鉄道の競争力が高まるが、南谷社長は「炭素税に期待し、よりかかった経営にするのはまずい。炭素税がなくても自動車に負けないようにしなくてはいけない」と述べた。(朝日新聞)
23日■あっ立ち往生 列車ドシーン 実際に衝突させ訓練
 踏切内で立ち往生した乗用車に急行が衝突して脱線、死傷者6人の事故になった−という想定の事故復旧作業訓練が22日、神奈川県海老名市の小田急電鉄海老名電車基地で、実際に列車と車を衝突させて実施された。
 現業職員ら600人が見守る中、軽乗用車に、5両編成の列車が衝突した。人が歩く程度の速度だったが、乗用車の側面は大きくへこんだ。(朝日新聞)
■サッポロからナガノへ 4 タイヤ 地下鉄用から技術革新
 「今だから言える」と前置きして、タイヤメーカー・ブリヂストンの新交通推進室勤務、山口勝敏さん(57)が語る。「とんでもない失敗だった。自信を持って納入したタイヤが満足に使えなかったのだからショックだった」
 1971年12月。冬季五輪を3ヵ月後に控えた札幌市は、選手村のある真駒内からフィギュアスケート会場近くまでの12.1`に、世界で初めてゴムタイヤで走る地下鉄を開通させた。
・2万`ですり減る
 トラブルはすぐ起きた。トラックで10万`は走れたタイヤが、2万`ですり減ってしまった。
 「タイヤの最大手としてのメンツがかかっていたね」と山口さん。大急ぎの改良が要求された。多様な路面のテストコースを作り、ゴムの配合比率を微妙に変えた。
 3ヵ月後、小さな直径で大重量を支えることができ、すり減りにくい地下鉄専用タイヤが誕生する。山口さんは「タイヤ開発の一つの礎だ」と自負している。
 そのノウハウと貴重なデータは一般のタイヤに生かされた。「長距離高速用」「省燃費」「高い操縦安定性」…。それまでトラック、乗用車など、車種別商品しかなかった業界に、用途別のタイヤ販売という旋風が起きた。
・トラックも発展
 トラックメーカーの日野自動車広報部によると、タイヤとトラックの発展は相関関係を持つ。「小さな直径のタイヤの登場で、荷台を低くし、顔物の積載量を増やしたトラックを設計できた」という。
 タイヤやトラックの改良が進んだそのころ、中央、北陸、東北などへ高速道が伸び始めた。73年10月、全路線の収支換算で高速道路利用料金を決める「プール制」が導入された。東名高速道の利益が新路線の建設費にもなるという手品のような仕組みだ。
 85年以降、トラック輸送は貨物量の約9割を担う。
 夜の高速道は東京めがけて突っ走る九州や東北ナンバーのトラックでいっぱいだ。「最近はゴルフやスキー、産地直行便など、個人客の荷物が増えている」と、宅配便最大手のヤマト運輸。
 新幹線が開通したものの、競技施設間に有効な大量輸送機関のないナガノ。車洪水をさばく交通規制と、選手、役員の輸送問題が大会成功のカギの一つとされている。(京都新聞 夕刊)
24日■サッポロからナガノへ 5 スキー人気でドル箱路線に
 札幌市の南東約40`にある新千歳空港。夕方、誘導路に東京へ向かうジャンボ機が並ぶ。里帰り、観光、仕事…。1996年度の国内線の飛行機利用者は約8200万人。このうち東京−札幌間は約760万人。航空3社が1日34往復を運航、単一路線として旅客数世界一のドル箱路線だ。
・スタートは苦肉の策
 札幌冬季五輪が開かれた72年、全日空が初めて北海道へのスキーツアーを売り出した。「まだ飛行機は商用か法事で使う時代。スキーで乗るのは論外という雰囲気で、売れるとは、とてもとても…」と全日空商事の伊豆芳人さん(43)は手を振る。2泊3日で4万円以上。1ヵ月分の月収に相当した。1年目の参加者は数百人に終わった。
 その翌年の石油ショック。所定内労働は2000時間を割り、週休2日制が導入される。毎年2倍3倍と、ツアー参加者が急増した。
 「先見性があったと言われるとうれしいが、ガラガラだった冬の札幌線を一人でも埋めようと考えた苦肉の策だった」と、伊豆さんは種明かしした。
 今では2泊3日、食事、リフト代込みで、通常の往復運賃より安いパックも登場。北海道へのスキーツアー客は年間40万人にもなる。
 その多くが一度は滑る札幌市郊外の手稲山(1024b)。札幌五輪のスキー大回転、回転の競技会場は、五輪から5年後の77年にスキー場としての営業が始まった。
 市民用のスキー場は札幌市周辺に既にあり、当初は「採算が合うか分からなかった」(スキー場関係者)が、今では札幌中心部のホテルから手稲山に向かうスキーバスの列は日常の風景だ。
・「安・近・短」の時代
 日本中が「リゾート」に踊ったバブル経済の時期。北海道でも、数百億円単位の大規模開発が進んだ。ゴルフ場、ホテルと合わせて、スキー場は「三種の神器」とされた。
 経営難が伝えられる北海道中部のリゾート地。原野だった土地にタワーのようなホテルが建てられ、家族4人が一晩10万円を費やす非日常的な空間となっていた。
 ブームは、バブル経済崩壊とともに消える。明かりがともらないコンクリートの魂、木が切り倒されたはげ山が残った。
 国内レジャーが「安近短」の時代に開かれるナガノは、冬のレジャーに何を残すのだろう。(おわり)(京都新聞 夕刊)
25日■地下鉄に”夢”乗せ 園児の図画16点 東山図書館 作品を展示
 東山図書館で、東山区内の保育園児らが描いた地下鉄の図画作品展が開かれている。園児らが、自由にイメージを膨らませて描いたカラフルな地下鉄の絵が、来館者を楽しませている。
 作品展は、子供の目で見た電車を描いてもらい、地下鉄東西線の開業を盛り上げるのが目的。9月に同区内の保育園8園の園児が描いた絵の中から、16点を並べた。友達と一緒に楽しそうに地下鉄に乗っている場面や、勢いよく走る地下鉄の車両を多くの人が見ている様子などが、明るい色づかいで生き生きと描かれている。31日まで。(京都新聞)
■JR福知山支社が冬の臨時列車運行
 JR福知山支社は12月1日から来年2月28日までの間、冬の味覚を楽しむ温泉客や帰省客向けの臨時列車のダイヤをまとめた。総本数は244本で、重油流出で客足が遠のいた前年の15%減だが、客足の回復で4%増の乗客を見込んでいる。
 「味めぐり」列車は福知山、播但、山陰線を走らせ、京阪神から丹後への直通特急を中心に184本運転する。年末、年始には、播但線に新大阪−浜坂間に急行「ふるさと但馬」を新設する。
 大阪−江原間の「シュプール神鍋・鉢伏」は快速で、金曜日の夜に大阪を出て日曜日の夜に戻る1泊半のコースとして1、2月に運転する。また、1月2、3日に香住−京都間で「初詣開運号」を1往復させ、10日には豊岡−出雲間に車中泊の快速「出雲大社初詣号」を運転する。(朝日新聞)
26日■秋の大文字山を散策 東西線開業記念 沿線で「ウォーク」
 地下鉄東西線の開業を記念して沿線を歩く「大文字山ウォーク」(京都市教委主催)が25日、大文字山一帯で開かれ、親子連れ200人が参加した。
 この日は、東西線・蹴上駅近くの左京区の市国際交流会館を出発して、哲学の道、大文字山三角点を経て、山科区の市野外教育施設「やましなの家」までを、約3時間かけて歩いた。
 木々が色づき始めた沿道には、南禅寺や毘沙門堂といった名所や、市内を一望できるポイントもあり、参加者らは思い思いに散策を楽しんだ。
 親子で参加した右京区山ノ内の公務員小西章さん(47)と小学四年生の暢君(10)は「電車好きなので参加しました。今日は天気もいいし気持ちいい」と話していた。(京都新聞)
■新京都駅 障害者への優しさ完備? 凹凸解消評価できるが 自由な移動難しい 京の連絡会改善要求へ
 新しい京都駅の使い勝手を障害者の立場から検証しようと、京都障害児者の生活と権利を守る連絡会(梅原正之会長)が25日、京都市下京区の京都駅ビルで実地調査を行った。
 車いすの8人を含む約30人が6班に分かれ、障害者単独での利用を基準に、駅構内のエレベーターの位置や大きさ、トイレの入りやすさなどを調べた。
 ホームの凹凸が解消された点は評価されたが、山陰線ホーム近くの車いす用トイレは狭い通路を直角に曲がらねばならず、入りにくいという声が聞かれた。自動券売機の一部は、車いすの目の高さからは運賃の金額などの液晶表示が見づらいという声もあった。
 JR線のホームから直接、地下鉄に乗り継ぐエレベーターはなく、車いすは烏丸中央口の改札を出て、タクシー乗り場の先にあるエレベーターを利用する必要があった。新駅の目玉の南北自由通路も、車いすはエレベーターを乗り継ぐ必要があり「不自由だ」との声が上がった。
 車いすで参加した京都市下京区の男性(67)は「遠慮しながら利用する状況。移動の自由を保障してほしい」と話していた。連絡会は、近く調査結果をまとめ、JRや京都駅ビル側に改善を求めることにしている。(京都新聞)
28日■東西線延伸(醍醐−六地蔵)議会提案を表明 京都市 宇治も12月市会に
 京都市は27日、地下面東西線の醍醐−六地蔵(宇治市)延伸について、京都、宇治両市議会の議決を得る考えを明らかにした。京都市の地下鉄を市域外の宇治市に設置する場合に必要な手続きで、延伸実現へ一歩踏み出すことになった。京都市議会は来月の11月定例会に、宇治市議会は12月定例会に諮ることにしている。
 地方自治法では、自治体施設を他の自治体に設置する際に、関係する議会の議決を義務づけている。両市議会の議決が得られれば、両市は協議書を交わし、延伸に向けた本格的な話し合いに入る。
 京都市交通局によると、延伸予定区間(2.5`)のうち、宇治市域部分は、駅も含め約500b。駅はJR六地蔵駅西側付近を想定している。この日行われた市議会交通水道委員会で、小森浩同局高速鉄道本部長は「宇治市の六地蔵駅前整備計画との整合性も考えながら、進めていきたい」と答弁した。
 また、延伸計画で建設事業費を約七百億円と見積もった根拠について、小森本部長は「東西線のトンネルや駅舎建設費を参考に算出した」と述べるとともに、「車庫や変電所などの設備がいらないので、予定した費用に大きな狂いはない」と、建設費膨張にはつながらない見通しを示した。
 東西線の延伸計画は、来年度政府予算要望で、新規の地下鉄建設事業としては全国で唯一、概算要求に盛り込まれており、実現への期待が高まっている。(京都新聞)
■京都市バス 全4086停留所 時刻表、ホームページに 全国初めて
 京都市交通局は、インターネットのホームページ上に、市バス全停留所(4086ヵ所)の時刻表の掲載を始めた。すべての停留所をホームページ上に網羅するのは、全国の公営交通では初めてといい、自宅など特定地点周辺のバス時刻を集中的に調べるのに、威力を発揮しそうだ。
 ホームページ上の停留所名を読み方(50音順)で検索すると、その停留所に停車するすべてのバス路線の時刻表が表示される。市内の停留所に設置してある時刻表と同様、平日、日祝日などに色分けされ、分かりやすく示されている。
 交通局や各営業所には、バス時刻に関する問い合わせも多く、これまでは希望者にはコピーをとって渡していた。今後は、インターネットで素早く検索して情報提供できるほか、市民が自分で市内すべての時刻を調べることも可能になる。
 時刻表掲載のアイデアを考えたのは、交通局の若手職員11人。同局は「柔軟な発想から生まれたプラス志向のサービス。全国からアクセスできるので、新たな需要喚起策にもなる」(経営推進課)と話している。
 アドレスは、http://www.city.kyoto.jp/kotsu/main.htm (京都新聞)
■窓 地下鉄東西線に望む改良点
・京阪乗り入れ烏丸御池まで 東山区・長谷川 晃(大学教授・63)
 待望の地下鉄東西線が開通したので、さっそく乗ってみて驚いたことが2つあるので、改良を要望したい。
 まず、京阪線の乗り入れ区間が、市役所止まりとなっていることだ。東西線を利用する大多数の乗客は、烏丸線との乗り継ぎを期待しているにもかかわらず、どうしてその一駅手前で折り返し運転をするのか。京阪にしてみれば、今まで三条まで来ていたのを1駅延長したつもりだろうが、同じことなら、どうしてもう1駅延長しないのか、私には分からない。
 次に、山科駅から市内へ向けての料金だ。山科から御陵までは京阪の方が安く、それを超えて東山の方まで行くと地下鉄の方が安くなる。どうして烏丸線と近鉄の場合のように、乗り入れや、料金の統一ができないのか。
 この2点は、いずれも乗客の便宜より鉄道側の都合で生じた問題だろう。せっかく便利なものができたのだから乗客の利便も考慮した運用をお願いしたい。
・不満が残ったバス路線変更 北区・椋梨 景雄(無職・60)
 地下鉄東西線の開通で、市バスの路線やダイヤの改定などが実施されました。一部のバス停の名称も変更になりました。これを機会に路線変更が行われるかと期待しておりましたが、期待外れの路線がありました。
 それは「山城高校前」が、今回変更により「府立体育館前」になり、ふさわしいと思いますが、このバス停には京都市内へ行く8、10、26号系統だけです。府立体育館ではご承知のとおり過日も高校総体があり、そのほか年間を通じて各種催しがあります。どちらかというと、京都駅や三条京阪から来られる方が多く、現在では「大将軍」のバス停で降車、徒歩で府立体育館に行かれます。
 8、10、26号系統のバスを狭い一条通を通さずに、交通安全のためにも、往復府立体育館前を通されたらいかがですか。現状では「お客さまを大切に」の精神に反するように思います。府市協調と言われておりますが、何かわだかまりがあるように思いますが、いかがでしょうか。ご提案します。
・環状線導入でもっと便利に 八幡市・中嶋 敬(会社員・30)
 地下鉄東西線の開通で南北の軸である烏丸線、東西の軸である東西線の十字型の地下鉄網ができた。京都都市圏330万人の足、また京都観光の足として考えた場合、この十字型に京都駅−七条−東山−北大路−千本−大宮−七条−京都駅の環状線をつくり「田の字」型の地下鉄網を形成してはどうだろうか。アクセスや時間短縮の面でかなり便利になると思う。
 最大のネックは財政面だと思うが、長期的な構想として着手していけばいいと思う。さらに「田の字」の外にあたる部分を延伸させ郊外と都心部を結ぶ。
 北の国際会館は京都の重要地であることには違いないが、丸太町以北の乗客数が少ないので叡電の岩倉駅まで延伸。南の竹田は発展してきている新堀川を通り、京阪の中書島−淀間に新駅をつくりアクセスする。
 東の醍醐は工事を順調に進め、六地蔵へ。西の二条は洛西、長岡京への早期着手と交差するであろう京福との直通運転を考える。また、バス路線の変更や駅の設置場所は周辺住民と協議し、京都の地下鉄をつくりあげていただきたいと思う。(京都新聞)
■JR割引切符つき 無利子国債提案へ 国鉄債務で財政改革会議
 約28兆円の国鉄長期債務問題の処理策を検討している政府・与党の財政構造改革会議(議長・橋本龍太郎首相)は27日、個別財源案を検討する分科会を開き、JRの割引乗車券を特典にした無利子国債の発行を提案することで一致した。国鉄債務の金利負担を軽減するための「奇策」だが、負担を求められるJR各社からは反発も予想される。
 無利子国債は高金利の国鉄債務と置き換えることで、年間約6000億円とされる利払いを軽減するねらいがある。しかし、購入者にとっては利息収入がないため、購入を促進する意欲が高まらないとみられる。だが、当初、検討された相続税の軽減措置は、大蔵省が「かえって相続税の税収が減り、財政を悪化させる」と反発していた。(朝日新聞)
■地下鉄東西線 乗客、予測を下回る 交通局は強気の見通し
 京都市は27日、地下鉄東西線の開業後11日間の利用者数が1日平均で14万1000人だったと発表した。当初、1日あたり15万6000人の利用者を見込んでおり、予想を若干下回っているが、同市交通局では「乗ろうかまだ迷っている市民も多く、これから増える」と強気の姿勢をみせている。
 東西線は開業日の12日は23万人の利用者があり、翌13日は平日にもかかわらず16万人が乗ったものの、その後は微減傾向で、少ない日は12万人台になるという。同局は、当初の利用見込みは山科や醍醐、二条など各駅周辺の開発事業の完成を織り込んだ上での数字とし、その前提を考えれはまずまずの出だしと判断している。
 また、この期間中の烏丸線の利用者数は1日平均で24万6000人だった。東西線開業前1週間の1日平均(22万3000人)よりも増加しており、同局は東西線への乗り継ぎ効果と見ている。
 江草哲史・交通局管理本部長は「まだ、利用増が見込める雨の日を経験しておらず、しばらくすれば秋の観光シーズンにも入る。新たな交通機関ができたばかりで、沿線の市民も利用方法について揺れている部分もあると思う」と述べ、1ヵ月ほど様子を見たうえで具体的な評価をしたいとしている。
■山科・醍醐地区の京都市バス廃止 「住民に強い不満」 市議会委 自共が追及”共闘”
 京都市議会交通水道委員会が27日開かれ、地下鉄東西線の開業にあわせ山科・醍醐地区で市バスが廃止され京阪バスに一本化されたことについて、1週間に70件の意見が市民から寄せられたことが報告された。議員の間からは「それは氷山の一角で市民の間で不満は大きい」と指摘する意見が相次いだ。
 市民から寄せられた意見は「不便になった」「乗り継ぎが必要になりお金がかかる」など。
 これに対して、伏見区選出の山本豊議員(共産)が「地下鉄ができてバスがなくなったら、それはありがた迷惑だ」と、地元で困惑の声が広がっている状況を説明し、「もうからないから走らせないでは公共交通の意味がないのではないか」と指摘した。
 続いて、山科区選出の川中増次郎議員(自民)が、「確かに赤字路線だったが、地元の意見も聴き、見直せる部分は見直すべきだ」と述べた。
 市交通局は「地区内での人の流れを調査し、改善点があれば京阪バスとの協議会に諮りたい」と答弁した。(朝日新聞)
■インターネットに全停留所の時刻表 京都市内の市バス
 京都市交通局は、市民が市バスを利用する際に役立ててもらおうと、インターネット上に市内の全停留所ごとの時刻表の掲載を始めた。停留所に張られている時刻表と同じものを、パソコンの画面上で見ることができる。時刻表は計4086種類になるといい、公営交通では初めての試みという。接続は「http://www.city.kyoto.jp/kotsu/main.htm」。(朝日新聞)
29日■奔流底流 前途厳しい低公害車導入 京都市 公用車、天然ガス市バスなど 高額、補給所難点も
 地球温暖化防止京都会議を目前に控え、京都市は車の排気ガスによる大気汚染対策に力を入れている。11月からは、清掃局のごみ収集車の燃料として、廃食油から再生したバイオ・ディーゼル燃料を用いるほか、公用車に最新の低公害車を導入、排ガスの総量を減らす取り組みも進めている。だが、こちらの方はコストの問題や、天然ガスの補給所が一ヵ所しかないなどインフラ整備の遅れもあって前途は厳しそうだ。(政経部 吉岡清)
 「京都市の先見性、英断に拍手したい」。9月19日の市議会本会議で代表質問に立った市議(京都市民クラブ)は、再質問で賛辞を贈った。市が、全国に先駆け、清掃局のすべてのごみ収集車を対象に、バイオ・ディーゼル燃料(BDF)を導入する方針を明らかにしたからだ。
 BDFは、廃食油にメタノールなどを加えて精製した再生油で、値段や燃費は軽油並み。市によると、排ガス中の硫黄酸化物がゼロ、黒煙が通常の6分の1、二酸化炭素も微減するという。当面の供給は業者からだが、将来的にはてんぷら油など各家庭の廃食油のリサイクルを目指す方針だ。
 一方、慢性化する交通渋滞で、排ガスによる大気汚染が一向に改善される気配がないため、市は93年に「自動車公害防止計画」を策定した。まずは行政から、と対策に乗り出した。
 その柱が、公用車への低公害車導入だ。年々増やし、現在、保有する低公害車は電気自動車1台、天然ガス自動車1台、ハイブリッドバス7台、アイドリングストップバス27台の計31台にのぼる。
・低Nox車31台
 同時に、ことし6月からは、これ以外の公用車についても、各メーカーの厳しい排ガス基準をクリアした低Nox車に順次変更を進めており、2ヵ月間で31台が低Nox車となった。
 市環境保全室の板倉豊自動車公害係長は、市の公用車について「職員から4WDがほしいとか、車体の色とかで不平も聞くが、環境保全が優先。最新の排ガス規制適合車や低公害ディーゼル車への乗り換えを促進する」と話す。
 市交通局も、現在1台ある天然ガスで走るバスを11月には、一挙に5台増やす。改造費は1台約800万円。コスト高もあるが、一番の難点は、燃料の補給施設が現在、市内に1ヵ所しかないこと。交通局幹部は「いちいち補給所まで行かねばならず、不便だし、補給走行のロスもある」とこぼす。
 国は昨年度から全国の自治体を対象に「低公害車集中導入事業」を行っているが、費用の半分は自治体の負担とあって、導入がはかどらないのが実情だ。
・CO2 減は少し
 「金を取るか、環境をとるか」。理財局職員がため息をつくように、市が導入を計画する天然ガス車や低Nox車などは、排気ガス中の窒素酸化物は減るが、その分、価格にはね返る。しかも、温暖化を招く二酸化炭素はそんなに減らない、という。
 二酸化炭素の観点から言えばなるべくディーゼル燃料が望ましい、という池上詢京都大大学院教授(燃焼工学)は「二酸化炭素を減らすのと窒素酸化物を減らすことは相反する。同時に減らすのは難しい」と説明。
 そのうえで、BDFについては「両方が減る。市の取り組みは評価できる。今後、燃料コストなどをどう抑えるか課題になるだろう」と指摘する。
 市は「一過性の取り組みにしてはならない。京都会議が終わっても低公害車に順次、移行させていきたい」と言う。成果を目に見える形で示し、事業者や市民の理解と協力を得る必要があると同時に、温暖化防止という地球規模の環境問題に取り組む京都会議を、大気浄化への新たな出発点、とするぐらいの気構えがほしい。(京都新聞)
■干支を描いた陶板製乗車券 信楽高原鉄道発売へ
 信楽高原鉄道(本社・滋賀県甲賀郡信楽町長野)が11月1日から、来年の干支(えと)のトラをデザインした陶板製の記念乗車券「とら年親子キップ」を発売する。
 干支乗車券は、地元の信楽焼を利用した同鉄道のPR作戦。今年で9枚目。干支乗車券以外にも今年7月の開業10周年記念乗車券なども発売しており、愛好家の人気を呼んでいる。
 トラの乗車券は縦11a、横16a、厚さ1a。茶色の信楽焼陶板を車両型に焼き、窓からかわいいトラの親子が顔を出している。信楽−貴生川間往復の親子ペア券で、大人900円と子供460円の計1360円。実際にも使える。
 同鉄道では、今年も5000枚を発売する予定だが、毎年、全国から多数の注文があり、すぐに完売するという。信楽駅で販売するほか、郵送も受け付けている。問い合わせは同鉄道 0748(82)3391へ。(京都新聞)
■廃車ずら〜り 廃線を車庫がわりに18両 京阪京津線 九条山周辺 カメラ持ち鉄道ファンも
 京都市営地下鉄東西線の開業にあわせ、廃線になった京阪電鉄京津線の九条山駅(山科区)周辺線路に、2両編成の列車18両が数珠つなぎに並んでいる。地下鉄乗り入れで京阪電鉄が新車両を購入したため、廃車になった31両の一部だ。11月中に運び出されるが、いずれも製造後30年以上たった年代物。鉄道ファンらが並行して走る道路上から別れを惜しんでいる。
 京阪電鉄によばは、車庫が手狭で、廃線になった線路上を代わりに使っている。現在、つり革やスピード計、前照灯など細かな部品の取り外し作業をしている。車両本体は11月下旬、鉄骨切断機で2分割し、トレーラーで運び出して廃棄処分する予定。取り外した部品の数々は、ファンらに販売することになるという。(朝日新聞)
■通信衝星使いJR復旧訓練 東海が新幹線事故想定
 集中豪雨に見舞われ新横浜−小田原が停電、崩れた土砂に上りの「ひかり」が乗り上げて先頭車両が脱線。こんな想定でJR東海は29日、東京都品川区の新幹線車両基地で、実際に新幹線車両を使った大掛かりな事故復旧訓練を行った。
 この訓練は会社発足以来毎年行っており、11回目。今回はできるだけ早く事故現場の様子を把握して復旧するため、事故現場の映像を通信衛星を使い対策本部に電送する訓練も初めて取り入れた。
 訓練は社員ら約600人が参加して午前10時すぎから始まり、車両に下り線の車両を横付けし、渡り板を使って社員が真剣な表情で乗客を次々に誘導。脱線車両を機材を使ってレール上に戻す訓練も盛り込まれた。(京都新聞 夕刊)
■梅田・野田駅間 阪神で停電 1万2000人に影響
 29日午前8時40分ごろ、阪神電鉄本線の梅田−野田駅間が停電となり、同区間を走行中の列車上下14本が停止した。12分後に送電が再開されたが、地下にある梅田、福島両駅の照明が一瞬消えたほか、上下の列車計59本が最大20分遅れるなどし、約1万2000人に影響が出た。阪神電鉄によると、同区間の架線や駅に電気を供給している同電鉄の淀川変電所(大阪市福島区海老江八丁目)の緊急停止用回路が誤動作したとみられ、原因を調べている。この影響で、梅田、福島、野田の3つの駅で構内の照明や券売機などの電源が一時、切れた。(朝日新聞 夕刊)
30日■比叡山ホテル年明けに解散 京阪電鉄
 京阪電鉄は29日、比叡山国際観光ホテルなど京都市内に3ヵ所の宿泊施設を経営する子会社、比叡山ホテル(資本金3億円)を年明けをめどに解散し、清算すると発表した。
 競争激化により宿泊客が減少し、1993年度から債務超過が続いているため。観光ホテルは建物を撤去し、跡地には若者向けのホテルを建設する。(京都新聞)
■リムジンバス 急伸 京都方面に路線が増え 関空へのアクセス 4−9月まとめ
 近畿運輸局は29日、関西空港と近畿各地を結ぶ鉄道、バス、旅客船など公共交通機関の97年度上半期(4−9月)の輸送状況を発表した。総輸送人員が微増にとどまる中で、京都方面などに路線が増えたリムジンバスの利用客が前年同期比で12%強増加。一方、旅客船は約13%も減少した。
 上半期の総輸送人員は合計1138万3000人で、対前年同期比1.4%増。うち主力の鉄道は876万3000人。JR西日本が474万6000人、南海が401万7000人で、総人員数、各社別でも、ほぼ前年並みに落ち着いた。
 これに対しリムジンバスの利用者は、207万人に伸びた。京都線など2路線が加わって全18路線に拡充されたため、この半年間は毎月、前年同月実績を1割以上も上回り、合計では前年より12.4%伸びた。逆に神戸や淡路島、徳島などに連絡する旅客船は、54万9000人と前年実績を12.9%下回った。
 関西空港への公共交通アクセスの構成比は鉄道が77%、リムジンバスが18.2%、旅客船が4.8%。(京都新聞)
■窓 お答えします バス運行について 京都市交通局経営推進課 担当課長 閑本 俊雄・京阪バス業務部次長 山内 紀夫
 17日付掲載の「釈然としない代替路線決定」についてお答えいたします。東山区を通り、山科・醍醐地域と都心部を結ぶバス運行についてでございますが、山科・醍醐地域は、地下鉄東西線開業の影響でバスのお客さまが現在の半分以下と大きく減少することが見込まれ、地下鉄東西線開業後は、市バスと京阪バスの2事業者で運営することは非常に困難なので、同地域の主たる事業者である京阪バスに一元化し、市バス系統の代替えも含めて京阪バスで、一体的に運行することといたしました。
 京阪バスの路線設定等につきましては、山科・醍醐等地域の交通量調査や東西線開業後の需要予測調査を行い、各路線や各バス停留所でのご利用状況なども参考にしながら、京都市と京阪バスとで十分に協議し、具体的な経路や系統などについての設定を行ったものです。四条河原町方面へは、五条通の京阪バス系統または、東山通の市バス系統をご利用いただくようお願いいたします。
 今回、いただきましたご意見につきましては、今後のご利用状況などを十分勘案したうえ、検討してまいりたいと考えておりますので、よろしくご理解のほどお願いします。(京都新聞)
■旧国鉄債務 財投分を一括償還へ 金利圧縮狙い 財政改革会議 郵貯剰余金補てん
 28兆円にのぼる旧国鉄長期債務の処理策を検討している政府・与党の財政構造改革会議は29日、企画委員会を開き、財源策の大枠を整理した。その結果、金利負担を軽減するため、財政投融資資金からの高金利の借入金を繰り上げ償還し、低金利資金に借り換えることが固まった。繰り上げ償還で生ずる財投の「損失」は、郵便貯金特別会計の剰余金の繰り入れで補てんする方針だ。また、金利負担を更に下げる手段としてJRの割引乗車券付き無利子国債の発行が有力とされ、JRに協力を求めることになった。
 道路財源の転用には賛否両論が出てまとまらなかった。また、新幹線整備の抑制についても、賛否が分かれた。運輸省をはじめとする歳出の大幅削減で財源を生み出すべきだとの意見も出た。
 財投資金の繰り上げ償還は、高金利時代の借入金が多く、平均金利が5%を超えて大きな負担となっているために行う。財投からの借入金など8兆1000億円を返済し、現在の金利水準である2%台の資金に借り換えれば、来年度6600億円とされる金利負担のうち約3000億円が軽減される見通しだ。
 繰り上げ償還によって生ずる財投の損失の穴埋めには、「財投資金が高金利で運用されていることの受益者」という理由で、郵便貯金特別会計の剰余金を充てる。約4兆3000億円にのぼる剰余金の一部をいったん一般会計へ繰り入れた後、財投の損失分の補てんに回す。
 無利子国債は、相続税など税の減免特典をつけたものが検討されてきたが、かえって税収減を招くなどの理由から、「他の方策を講じたうえでやむを得ない場合の最終手段」として位置づけた。これに対し、JRの割引乗車券付き無利子国債は、「閑散期に限定すれば、JRにとっても販売促進につながるのではないか」とし、JRに協力を求めて実現を探ることになった。(朝日新聞)
■旧国鉄債務 元本返済は迷走 借り換えより本格処理を
 《解説》19日の政府・与党の財政構造改革会議の企画委員会でまとまった旧国鉄債務処理の財源案は、財投資金の繰り上げ償還にしろ、JR割引乗車券付き無利子国債の発行にしろ、当面の利払いを抑える「止血策」(山崎拓・自民党政調会長)にすぎず、元本をどう返すのかという肝心の点には踏み込んでいない。なかでも高利の財投資金を低利資金に借り換え、穴を郵便貯金事業の黒字で埋めるという案は、政府の右のポケットにあるおカネを左のポケットに移すことにすぎない。
 事業団が抱える16兆円の有利子債務の7割に当たる11兆8000億円が、資金運用部からの借入金や政府保証付きの事業団債などの財投資金だ。平均金利は過去の高金利を反映して年5%を超え、負担が重いのは事実だ。
 しかし、低利資金への借り換えで生じる「損失」を補てんするとされた郵貯の剰余金は預金者に返すべきだ、との意見も強い。また、剰余金は金利情勢で大きく変化するため、財源としての継続性も疑問だ。
 政府・与党の「努力」を示すとともに、郵便貯金事業の国営維持をねらって、メニューに並べたなら本末転倒だ。
 一方で、元本返済の財源論は迷走している。自動車重量税などの道路特定財源を利用する案には、賛否両論を併記するにとどまった。航空、鉄道利用者にも負担させる「総合交通税」も議題には上ったが、明確な方向は打ち出せなかった。
 返済を進めるには、思い切った歳出削減か、新税で財源を確保するかの二つしかない。どちらも痛みを伴うが、財源を決めないままでは、過去と同じ過ちを繰り返しかねない。(畑川剛毅、堀江隆)(朝日新聞)
■ATS切断と信号誤認 大月駅事故 回送運転士二重ミス
 山梨県大月市のJR中央線大月駅でおきた特急「スーパーあずさ」と回送列車の衝突事故で、山梨県警の事故捜査本部は29日、回送列車の善家敦志運転士(24)が自動列車停止装置(ATS)を切り、停止信号にもかかわらず本線に突入したミスが重なったことが原因、と発表した。捜査本部は来週中にも、業務上過失傷害と過失往来危険の疑いで善家運転士の本格的な事情聴取を始める方針だ。(朝日新聞)
■声 JRダイヤ改正は「安全第一」を優先 JR西日本神戸支社 総務企画課長 難波 克興
 9月1日からのダイヤ改正にからむ神戸市の方の本欄へのご投稿「JRのダイヤ 余裕はあるか」(10日付)について、ご説明いたします。
 当社も発足10年目を迎え、この間、お客様のニーズにこたえるべく、新車投入をはじめ設備改善をおこない、サービス向上を目指したダイヤ改正を繰り返してきました。
 今回のアーバンネットワークを中心としたダイヤ改正でも、神戸線の新快速を早朝、夜間に各1往復増発したところです。
 ご指摘の「この列車は遅れています…」のアナウンスにつきましては、定時運行の確保のためであり、お客様の乗り降りによって列車が遅れる可能性がある場合を中心に実施しているものです。
 また、新快速、快速の尼崎停車については、停車に必要な時間は、東西線の完成で、工事に伴う列車の徐行がなくなったことなどによって生み出したもので、安全性を損なうものではありません。
 今回のダイヤ改正は当然のことながら「安全第一」を優先したものであり、今後とも安全の確保とサービスの充実にまい進してまいりますので、ご理解とご協力をお願いします。(朝日新聞)
31日■山陽電鉄が1路線減 明石海峡大橋バス
 来春開通する明石海峡大橋のバス事業に参入を決めている山陽電鉄(本社・神戸市)が31日、予定していた路線のうち神戸・名谷−淡路島・岩屋間の1路線を取り下げる変更を近畿運輸局に申請した。
 大橋のバス事業には10社が路線免許を申請しているが、参入路線が計16路線と多いため、同電鉄は再検討して縮小を決めたという。今回の取り下げで、同電鉄の路線免許の申請は徳島バスなどと共同運行する神戸・三宮−徳島間などの4路線5系統になる。(朝日新聞 夕刊)