1997(平成9)年 7月


1日■山陰線が復旧 脱線から2日ぶり(京都)
  ■株式上場を正式申請 京都など4取引所に JR東海(京都)
  ■「京阪奈新線着工へ努力」 来年度中に、と近鉄社長(京都)
  ■点 想像力(京都)
  ■えき・ひと・まち 新京都駅開業 希望 夢かなえる舞台づくり(京都)
  ■京日記(京都)
  ■JR東海が上場正式申請 4証券取引所に(朝日)
  ■年内にも事業免許申請 京阪奈新線で近鉄社長会見(朝日)
  ■市営バスなどきょう値上げ 大阪市(朝日)
  ■線路地盤流失 JR山陰線 運転を再開(朝日)
  ■運転ランプ故障 列車8本が運休 JR紀勢線(朝日)
2日■京津線縮小で大津支社廃止 京阪電鉄が機構改革(京都)
  ■価格は8月決定 JR東海株で事業団(京都)
  ■えき・ひと・まち 新京都駅開業 5 雑踏 人込みの中に安らぎ(京都)
  ■発売中止 東日本キヨスク・都営地下鉄(朝日)
  ■1万9000人、足奪われる 山陰線脱線事故 ほぼ平常ダイヤに(朝日)
  ■洛中洛外(京都)
3日■テレホンセンター新京都駅に開設へ JR西日本 駅問い合わせ「不通」解消狙い 支社管内分の電話転送(京都)
  ■えき・ひと・まち 新京都駅開業 玄関 京の印象 最初に演出(京都)
  ■JR京都駅ビル 市民団体が調査 7割、デザインに否定的(朝日)
  ■京都・神戸でもJR電話サービス(朝日)
4日■窓 市バス問題 さらに考える(京都)
  ■ジェイアール京都伊勢丹 関西初ブランドで独自色 店舗概要 若者向け品ぞろえ(京都)
  ■京都駅ビル西駐車場 12日にオープン 京都駅ビル開発(京都)
  ■えき・ひと・まち 新京都駅開業 7 創造 町づくりにも追い風に(京都)
  ■京都伊勢丹は若い女性標的 概要発表(朝日)
  ■タクシーに市バス接触 左京(朝日)
  ■二条駅から移転、保存 SLの拠点和風駅舎再現 梅小路機関車館(京都)
  ■山陰線信号機停電 特急など2本影響 スズメ感電でショート(京都)
  ■「取りこぼし」防止の特効薬? 関西のJR・私鉄 自動改札急ピッチ(朝日)
5日■「観光客は引き込む」JR西日本社長講演(京都)
  ■京都市交通局 接遇費 490万円・94年度 210万円・95年度 市民団体 情報公開請求で判明(京都)
  ■えき・ひと・まち 新京都駅開業 8 惜別 愛着を断ち「潮どき…」(京都)
  ■回数券1億円分を詐取 容疑のJR元職員を逮捕(朝日)
  ■京都市交通局接待費 94・95年度は700万円 市民団体資料入手 相手先開示されず(朝日)
6日■秋田新幹線 大雨20本運休 開業以来最大の乱れ(京都)
  ■えき・ひと・まち 9 憧憬 幼い日の夢は今も胸に(京都)
7日■JR福山駅でスリ 韓国人3容疑者を逮捕(京都)
  ■電車のボディーにジンベエザメの絵 大阪市営地下鉄(京都)
  ■えき・ひと・まち 新京都駅開業 出発 「新たな旅路」にエール(京都)
8日■京都駅ビル2施設の開業中止を申し入れ 市民団体(京都)
  ■新世紀の玄関口 生まれ変わる京都駅 1 広がる交通網 関西を結ぶ拠点に(京都)
  ■京都駅ビル「特定街区の要件満たさず」開業中止申し入れ 市民団体「道路幅確保してない」(朝日)
  ■四国で元気 女性駅長 契約社員 22駅に(朝日)
  ■記念入場募など発売(朝日)
9日■7地域から列車集合 9月11日 新京都駅開業に合わせ(京都)
  ■新世紀の玄関口 生まれ変わる京都駅 2 劇場効果 ターゲットは若者(京都)
  ■旧国鉄債務・国有林野向け「融資は不適当」資金運用審懇談会方針(朝日)
  ■休校相次ぎ交通も乱れ 京滋地方に大雨(京都)
  ■旅客用シャトル故障 関西空港(朝日)
10日■ポルタもポイントカード 11月から導入(京都)
  ■新世紀の玄関口 生まれ変わる京都駅 3 点から面へ 「回廊」の出発点に(京都)
  ■帰省ピーク8月13日(朝日)
  ■陶板レリーフ新たな門出 関空直行バス発車 JR京都駅(京都)
11日■あす開業(京都)
  ■社説 あすへ夢をのせ新京都駅”発車”(京都)
  ■新駅ビルの役割と課題 基幹駅として機能高める 周辺商業地 育成が今後のカギ 立命館大経済学部長(交通論)杉野 圀明氏に聞く(京都)
  ■新世紀の玄関口 生まれ変わる京都駅 4 競争時代 顧客拡大 意気込む(京都)
  ■舞鶴線の電化申請 JR西日本 99年開業へ 京都から直通特急(京都)
  ■京滋でも大雨被害 石垣崩れたり床上浸水(京都)
  ■整備新幹線着工の検討委が15日発足 政府・与党(朝日)
  ■新駅ホームに移設 JR京都駅の陶板壁画(朝日)
  ■NHK岡山の記者から聴取 酔って列車止める?(京都)
  ■地元の声反映 舞鶴線電化へ JR西日本が申請(朝日)
  ■NHK記者が列車止める? 岡山で事情聴取(朝日)
12日■新世紀の玄関口 生まれ変わる京都駅 5 都市再生 進まぬ整備プラン(京都)
  ■ごみ処理はお任せ JR貨物 本格的に売り込み(京都)
  ■JR関西線一時不通 加茂で落石警報作動(京都)
  ■新駅開業より1日早く 京都駅北交番が開所 中央コンコースの東側(京都)
  ■未来への発着点 JR新京都駅 きょうオープン(京都)
  ■古都の壮大な玄関口「新しい京都駅」、本日デビュー!(広告特集)(朝日)
  ■古都の新玄関 期待と戸惑い 西日本最大 JR京都駅ビル開業 「再生の起爆剤に」「市民不在」(朝日)
  ■ユーロトンネル再建計画を承認(朝日)
  ■線路わきで落石 JR関西線(朝日)
  ■えき・ひと・まち 京田辺駅 新市名公募したら「一体市」が3位に(朝日)
  ■新生京都駅 開業 未来開くターミナル 華やかな式典(京都)
  ■京滋に大雨・洪水警報 JR徐行名神、速度規制も(京都)
  ■新京都駅オープン 京都の玄関ざん新 新時代狙う4代目(京都)
  ■雨で山陰線 運転見合わせ(京都)
13日■終日ダイヤに乱れ 山陰線とKTR(京都)
  ■新JR京都駅 利用客 普段の3−4倍 秋の全面開業 膨らむ期待(朝日)
15日■京阪奈新線 関経連、資金提供へ 「応分の負担」開通に弾み(京都)
  ■御池通のケヤキ残して 住民が並木生かす整備案(京都)
  ■御池通のケヤキ並木守れ 市民民体対案(朝日)
  ■橋げた落下の賠償訴訟結審 広島の新交通(朝日)
  ■整備新幹線 着工順位を協議 政府与党検討委が初会合(京都)
  ■大型「ゲーセン」競争激化 京都市内 女性もターゲットに JR駅ビル セガ今秋出店へ(京都)
  ■10月8日上場 JR東海(朝日)
16日■関空から早朝臨時列車 JR西日本 19日から運行(京都)
  ■窓 レトロバスは京都にマッチ 上京区・羽田 春子(主婦・74)(京都)
  ■JR、関空発5時11分 未明到着便対応 19日から運行(朝日)
  ■ブルトレつらいよ スピード時代 旅客減り運転区間短縮へ(朝日)
  ■電車で駅で脱線中年 JR職員近鉄で痴漢容疑 大阪府職員はスリの疑い いずれも乗客にみつけられ…(朝日)
17日■窓 バスでの親切 優しさにお礼 左京区・今井 シカ(主婦・81)(京都)
  ■高島屋が名古屋へ JR東海の百貨店出資へ(朝日)
  ■大阪モノレール運賃 延伸区間は290円に(朝日)
18日■市バス 無駄なアイドリングやめて 温暖化防止へ環境団体が訴え 30分はザラ、1時間も 冷房のためなら、10分で十分(京都)
  ■国労組合員不採用問題 設立委員に審査権限 東京地裁 JRの責任認める(京都)
  ■JR東海の上場申請(朝日)
  ■「国労脱退勧奨は不当労働行為」 JR東海に中労委(朝日)
  ■東京−長野間7970円 北陸新幹線の料金申請 JR東日本(京都)
19日■京都駅中心 普通、新快速を増発 JR西日本秋のダイヤ改正(京都)
  ■京都駅ビル開業1週間 周辺も売上アップ ポルタ20−25%増 南北自由通路 人の流れに変化(京都)
  ■駅ビルで売り込め 西陣の新ブランド 工業組合が伊勢丹と開発(京都)
  ■京都駅の全面開業で JRが9月新ダイヤ(朝日)
20日■10月12日 地下鉄東西線 市民の期待乗せ多彩に記念行事 概要まとまる 「市役所前駅」で式典 試乗会、1日乗り放題(京都)
  ■窓 新京都駅にひとこと(京都)
  ■鉄道ファン生つばもの 老雄D51 とこまち並走(朝日)
21日■地下鉄サリンの悪夢 今もなお… 「心身に症状」「将来が不安」(京都)
  ■社説 京阪奈新線の延伸実現をめざせ(京都)
22日■花背「松上げ」観賞バス運行 来月15日、京都バス(京都)
  ■バス会社が地ビール工房 京阪宇治交通 レストラン26日開業 宇治(朝日)
  ■走る”ホテル” 2階建て・シャワー付きも 個室タイプで巻き返し 住宅メーカーと共同開発(朝日)
  ■被爆乗り越え浦上駅”100歳”(朝日)
23日■3セク鉄道 96年度実績 赤字、最高の30億円台 北近畿タンゴ、最多(京都)
  ■新京都駅 誤報、火事騒ぎ 訓練前 放送ボタン押す(京都)
24日■窓 バス停移動先明示がほしい 伏見区・佐々木義雄(自営業・63)(京都)
  ■客がブレーキ バス暴走防ぐ 横浜、運転手失神で(京都)
  ■ポートライナー故障で21本運休 神戸(朝日)
25日■京都市バス急停車でけが 市と運転手提訴 神戸の会社員 1300万賠償求め(京都)
  ■下りは分散 上りが集中 JR西日本 お盆の予約(朝日)
  ■「市バス急停止で骨折」 神戸の会社員 京都市と運転手に賠償提訴(朝日)
26日■JR西秋のダイヤ改正 長野への足 増強 スーパーはくと2往復を延長 京都−鳥取間に(京都)
  ■北陸新幹線 案内名称は長野行新幹線 10月1日開業 JR東が誤認乗車防止策(京都)
  ■京都駅ビル移転後 受け付け30分延長 府旅券事務所(京都)
  ■京都駅ビル内での犯罪防止へ 入居7企業が結束 全館オープン前に 対策協議会を設立(京都)
  ■信号機が故障 快速立ち往生 片町線同志社前駅構内(京都)
  ■ジェイアール東海 百貨店に資本参加 高島屋が正式決定(京都)
  ■旧国鉄長期債務の処理 特別会計作り、国債費で 運輸省98年度概算要求方針(朝日)
  ■JR京都駅南部に 京都市新庁舎 整備懇から声相次ぐ(朝日)
  ■青鉛筆(朝日)
  ■500系のぞみ東京乗り入れ 11月29日開始(朝日)
  ■いろいろ苦心しましたが… 長野行き新幹線に決めました 東京−長野 最短で一時間19分 JR東日本(朝日)
  ■強い風雨 京滋”厳戒” 台風9号 山陽新幹線、運休 交通乱れ 夏休み、行楽フイ(京都)
  ■線路に看板置く 神戸、男現行犯逮捕(京都)
  ■台風9号、西日本縦断屁あすも荒天の恐れ(朝日)
27日■台風9号 京滋も大荒れ 足乱れ 週末ひっそり(抜粋)(京都)
  ■南部の慢性的な交通渋滞どうする 城陽でシンポ(京都)
  ■国内トロッコ列車が”連結” 観光振興、協議会設立(京都)
  ■語録三重 ランの魅力を観光客に(京都)
  ■窓 JR舞鶴線電化に感慨(京都)
  ■鈍足台風、終日「足」乱れる 徳島・岡山抜け、けさ日本海へ 7府県で19人けが(朝日)
  ■台風9号 交通網乱れ催し中止 百貨店、はやばやと閉店(朝日)
  ■あ〜あ 水入り夏休み 旅行客、駅で足止め 催し中止、早々閉店(朝日)
  ■肥満型電車 混雑率が10%解消 鉄道総研開発(朝日)
  ■トロッコ列車で活力 全国協議会が設立(朝日)
  ■500人が6時間缶詰め 北陸線で特急立ち往生 敦賀(朝日)
28日■叡山電鉄貴船口駅近く 落石、線路ふさぐ 4時間1000人に影響(京都)
  ■山陽電車で踏切事故 神戸垂水(朝日)
29日■列車火災 乗客救え! 新装京都駅で初の火災訓練 緊急車両4台も出動(京都)
  ■新駅長に西川氏 JR京都駅(京都)
  ■窓 時刻表利用し旅行気分満喫 左京区・田口 元紀(自営業・48)(京都)
  ■JR京都駅周辺を美しく 駅と企業 区役所連体 清掃日決め一斉に(朝日)
30日■蹴上インクライン7年ぶり復元 地下鉄工事終え来月から 市民憩いの場に(京都)
  ■約涼トコッコ列車と花火見物参加者募る 開業記念しJR京都駅(京都)
  ■窓 新しい京の玄関に一言(京都)
  ■窓 二条駅の塗装に少し異議あり 上京区・宮内正太郎(団体役員・79)(京都)
  ■旧国鉄債務で社民党 一般会計での処理を提案(朝日)
31日■京都市バス全面再編 地下鉄東西線開業に伴い86→69系統に 16年ぶり 10月12日から(京都)
  ■地下鉄東西線 建設費の最終見込み額 当初計画の1.85倍(京都)
  ■三条京阪駅周辺 新たに広場確保 府都計審 整備計画を承認(京都)
  ■10周年記念で発売 信楽焼製の乗車券好評 信楽高原鉄道(京都)
  ■分割・民営化配転訴訟 国労14人の控訴棄却 仙台高裁支部 JRの責任否定(京都)
  ■大糸線の運転再開11月めど 豪雨被害から2年ぶり(京都)
  ■三条京阪駅前整備など可決 府都計審(朝日)
  ■大糸線11月にも再開(朝日)
  ■JR大糸線年内再開(読売)
  ■梅小路蒸気機関車館 雄姿再現 SL「義経号」を特別運転 体験乗車OK 8月中の土、日 お盆期間中も(読売)
  ■あすから 加悦では夏まつり SL解説やクイズ 鉄道ファン見逃すな!!(読売)



1日■山陰線が復旧 脱線から2日ぶり
 28日夜に京都府船井郡和知町広野で発生した普通電車の脱線事故などで不通になっていたJR山陰線の胡麻(同郡日吉町)−綾部間は、30日夜に復旧工事を終了。同日午後9時19分、京都発福知山行き下り快速電車が現場近くの下山駅(丹波町)を発車し、2日ぶりに運転を再開した。
 現場では事故発生後、昼夜兼行で復旧作業が続けられた。30日も約300人が作業。ショベルカーなどを使い、近くのグラウンドに積み上げた土を運んで、流出した線路路盤に盛り土。さらに盛り土の上にバラストを敷きつめ、約20b区間のレールを敷設した。(京都新聞)
■株式上場を正式申請 京都など4取引所に JR東海
 JR東海は30日、東京、名古屋、大阪、京都の四証券取引所に株式の上場を正式に申請した。JR株の上場は1993年10月のJR東日本、96年10月のJR西日本に次いで3社目。今年10月上旬の上場となる見通しだ。
 名古屋証券取引所に上場申請した斎藤蓊副社長は「上場が現実のものとなり、感慨はひとしおだ。さらに業績を向上させ、JR東海と国鉄清算事業団の債務返済のためにも気を引き縮めたい」と述べた。
 同社の発行済み株式数は224万株。国鉄清算事業団が全株保有しており、売り出し価格は同事業団による入札で決まる。売り出し株数は9月中に詰めるが、JR西日本株の上場では発行済み株式200万株の85%(170万株)を売り出したのに対し、約33万株の売れ残りが出たことから、JR東海の場合は全体の60−70%程度になるとみられる。(京都新聞)
■「京阪奈新線着工へ努力」 来年度中に、と近鉄社長
 近畿日本鉄道の田代和社長は30日、大阪市内での記者会見で、奈良線・生駒駅から延伸を計画している京阪奈新線について「従来に比べると、運輸省や関係する地元自治体から追い風が吹いている」と述べるとともに「障壁は多いが、来年度中の着工に向けて努力したい」と意欲を示した。
 京阪奈新線は、生駒駅から学研都市を経て京都線・高の原駅間約12`を直接結ぶ路線で、このうち生駒−登美ケ丘(奈良市)間の約8.5`が、2005年までに整備すべき区間とされている。新線開設には、国の鉄道整備基金の無利子融資を受けるため、第三セクター方式で進める予定だが、奈良県など地元自治体の財政支出がハードルとなっている。
 来年度中の着工を実現するための手順として、田代社長は「事業主体や、その出資比率をどうするかという問題について、年内には結論を出したい」と語った。(京都新聞)
■点 想像力
 先月2日。女性(25)は、いつものように京都市交通局の市バスに乗り込もうとした。左手を乗車口の手すりにかけたとたん、急にドアが閉まり、バスはそのまま発車。
 女性は約40b引きずられ、足は何度も地面を打った。ドアに挟まれた左手は痛みでうずいた。「助けて」。何度も叫んだ。運転手は、後方の車にクラクションを鳴らされ、ようやく事態に気付いた。
 市交通局の担当者らが、この事故をトップの局長に報告したのは、9日後だった。
 「死を覚悟した」という被害者の気持ちを、関係者は、少しでも考えてみたのだろうか。一歩間違えば、惨事につながりかねなかったことは、ほんの少しの想像力と常識があれば分かるはずだ。
 この事故の報道をきっかけに、市バスの不祥事が次々と明るみになった。コートをドアに挟まれ同じように市バスに引きずられた別の女性(54)は、事故から1年たったいまでも「怖くてバスに乗れない」と打ち明ける。体以上に、心に受けた傷は大きい。
 市交通局は、こうした被害者の心の傷をどう思っているのか。「運転手の教育は、いつも熱心にやっていたのだが」。取材中、こんな言葉を何度も聞いたが、むなしく響くだけだった。
 乗客を、安全に目的地に運ぶ。人の命を預かる仕事に携わる人間にとっては、最低限の条件だろう。仕事への誇りやモラルという以前の問題だ。市交通局全体が、人の命に対する感覚そのものを、失っているように思えてならない。
 先の被害者の市バスには、25人の乗客がいたという。「一生懸命に叫んだのに、だれも気付いてくれなかった」。彼女の言葉は、私たちの想像力、感覚をも問いかける。(社会部 脇坂純一)(京都新聞)
■えき・ひと・まち 新京都駅開業 希望 夢かなえる舞台づくり
 5月31日夜、山科のトンネルを抜けた新幹線「ひかり」が京都駅にすべりこんだ。車窓から見える京都の街並みは、東京での研修で疲れた心をやすらげてくれた。「あの建物が、私の夢をかなえてくれる」。ジェイアール京都伊勢丹の菊川多恵子さん(25)=下京区=の目には、京都駅ビルは、どんな絵でも描けるキャンバスのように白く輝いて映った。
 実家は京都駅から歩いて15分ほど。どこに行くのも駅を使った。幼いころの家族旅行、学生時代に大阪や神戸に遊びに行くのも、この駅が出発点だった。
 空気のようになくてはならない駅だが、乗客の立場からは厳しい評価をしてきた。
 「京都の玄関口といいながら、夜の8時を回ると、めっきり人は少なくなる。もっと、遅くまでにぎわう駅であってほしい」
・客に真心も提供
 学生時代、ホテルやレストランで結婚式や修学旅行生ら客を相手にするアルバイトを体験し、さまざまなシーンを演出する楽しさを知った。卒業のころ、新しい駅ビルに京都伊勢丹がオープンすることを知った。「ここで、客にいい商品と真心を提供したい」。迷うことなく93年に京都伊勢丹に入社、東京・新宿の伊勢丹本店で4年間の研修を積んできた。
 今年4月25日、婦人服のブティック「サンスリー」を経営する谷川乃文(のぶ)さん(47)=下京区=は絵本作家と婚約した。恋愛中、東京都武蔵野市に住む作家との出会いの場はいつも、京都駅だった。
 着々と完成に向かう駅舎を見つめながら、谷川さんは将来の夫と夢を語り合った。その夢は、駅ビルにオープンするファッション、レストラン、みやげ物店などの専門店街「The CUBE」(64店)での店づくりだった。
 1974年、谷川さんは京都市中京区のファッションビルに自分の店を初めて構えた。「私なりのすてきな服を、お客さんに着てほしい」。ところが、大学の移転などで若者がしだいに減り、94年に京都店を閉じた。「ファッションビルよりも、人が集まるターミナル型店舗の時代」。今は、集客力のある大阪のターミナルで3店舗を切り盛りしている。
 ある日、谷川さんは新しい京都駅ビルに専門店街ができるニュースを耳にした。「店にとっても私にとっても、京都は原点。もう一度、夢のある店を開きたい」
 応募142社の中から店づくりの独自性や商品開発力、商品構成などさまざまな審査を経て、入居店舗に選ばれた。開店に備えて、オリジナル商品作りも始めた。
 「ここ数年、会社を大きくしたい意欲に燃えるあまり、自分の店のカラーを出すことを忘れかけていました。彼との思い出がいっぱい詰まった京都駅を、第二のスタートの場にしたい」
・次は感動の涙を
 京都駅近くのビルの一室。「こんな組み合わせはいかがでしょう」。京都伊勢丹の菊川さんは広告代理店の社員らと熱心な論議を続ける。商品の展開や売り場の配置など店づくりに忙しい。新しい職場となる駅ビルも、じっくりと見学した。東京での研修では、客に怒鳴られ、涙を流したこともあった。
 「京都では、東京よりも時間が早く過ぎていくようです。この4年、苦しいこともあったけれど、開店の一日が終わったら、今度は仲間たちと感動の涙を流したい」
 伊勢丹、専門店街ともオープンまで2ヵ月余。「京都駅が、夢の舞台」と言い切る菊川さんと谷川さん。2人の照準はピタリ、開店日の「9月11日」に合っている。(京都新聞)
■京日記
 ◇…滋賀県と岐阜県は1日から15日まで、JR東日本の東京・山手線1編成(11両編成)を借り切り、車内を両県の観光地紹介やイメージアップのポスターで埋め尽くすPR作戦を繰り広げる。
 ◇…本州の中央部に位置する両県は「日本のまんなか」をキーワードに共同で観光PRを行っており、今回、イラストレーターの黒田征太郎氏と日比野克彦氏の共作による両県のイメージポスターも作った。
 ◇…車内の全ポスターのほか1車両のみ設置されているモニターテレビではPRビデオも流す。滋賀県分のポスターやステッカーは琵琶湖八景や信楽焼のタヌキなどを取り上げている。バカンスシーズンを前に、東京人の心を滋賀と岐阜で埋め尽くせますかどうか。(京都新聞)
■JR東海が上場正式申請 4証券取引所に
 JR東海は30日、名古屋、東京、大阪、京都の各証券取引所に上場を正式申請した。4月11日に事前申請を済ませており、6月24日の株主総会で1997年3月期決算が確定したため、正式申請に切り替えた。JRグループの上場は、93年10月に上場した東日本、96年10月の西日本に次ぎ3社目。東海の上場は今年10月上旬の予定。(朝日新聞)
■年内にも事業免許申請 京阪奈新線で近鉄社長会見
 近畿日本鉄道の田代和社長は30日の記者会見で、2005年の整備を目指している関西文化学術研究都市と大阪中心部を結ぶ「京阪奈新線」について、年内にも国に事業免許を申請する考えを明らかにした。また、沿線自治体や地元財界との間で詰めの協議をしている事業主体については、「(鉄道整備基金の無利子貸付制度などの)公的助成を利用したいが、そのために必要な自治体の参加では財政難のおりから(過半を出資するのが)難しい」(田代社長)と述べ、近鉄側が過半を出資する第三セクターに落ち着く見通しも明らかにした。
 同線は、近鉄奈良線生駒駅から学研都市内に同京都線高の原駅までの約12`を結ぶ計画。とりあえず生駒駅から奈良市登美ケ丘付近までの約8`を2005年までに整備する。(朝日新聞)
■市営バスなどきょう値上げ 大阪市
 大阪市営のバス、地下鉄、ニュートラムの運賃が1日、一斉に値上げされる。地下鉄、ニュートラムの初乗り運賃(3`以下)とバスの均一料金は、ともに20円アップの200円。値上げはいずれも1993年7月以来、4年ぶり。
 地下鉄とニュートラムは料金体系が変わり、従来の7つの区分から5つになる。新料金は次の通り。
 3`超7`以下 230円▽13`以下 270円▽19`以下 310円▽19`超 360円
 市バス回数券以外の定期券と回数券は、値上げまでに購入すれば値上げ後も有効期限まで使える。(朝日新聞)
■線路地盤流失 JR山陰線 運転を再開
 台風8号による雨でJR山陰線の地盤が流失した京都府船井郡和知町広野での復旧作業が終わり、不通になっていた下山−綾部間で30日午後9時20分から列車の運転を再開した。28日夜の脱線事故の後、同区間を走る列車は折り返し運転や福知山線へう回していた。(朝日新聞)
■運転ランプ故障 列車8本が運休 JR紀勢線
 1日午前6時10分ごろ、JR紀勢線の紀伊田原駅(和歌山県古座町)−紀伊有田駅間で、列車が走っていないのに、天王寺駅にあるJR西日本運輸指令室で列車の存在を知らせるランプが点灯した。後発列車の出発信号が青に変わらなくなり、特急2本を含む上下10本が最高約2時間半遅れ、普通列車6本が運休した。約1000人の乗客に影響が出た。
 JRはポイントを手動操作に切り替えるなどして午前9時ごろから運転を再開したが、影響はしばらく続く見通し。(朝日新聞 夕刊)
2日■京津線縮小で大津支社廃止 京阪電鉄が機構改革
 京阪電鉄は1日に行った機構改革で、今年10月の地下鉄東西線の開通に伴い、京津線の京津三条−御陵駅間が廃線となることから、同線の管理運営に当たる大津支社を廃止した。
 今回の機構改革は、経営戦略部門の強化、流通事業育成、組織の効率・簡素化が狙い。グループ事業室を経営政策室に吸収したほか、調査部、不動産企画部、文化・レジャー企画部を新設した。28の部・室の数に変化はない。
 この中で、京津線に関係する人員の縮小を見越して大津支社を廃止。同支社の大津管理部の業務を不動産事業本部に統合するとともに、大津運輸部は鉄道事業本部に移行した。ただ、機構改革後も、大津市浜大津での営業は従来通り継続する。
 機構改革に伴う人事異動では、伊藤貞男専務が代表取締役副社長(社長補佐)に就任、常務から昇格した中市喜八郎専務が新たに浜大津再開発事務所を担当する。(京都新聞)
■価格は8月決定 JR東海株で事業団
 国鉄清算事業団の西村康雄理事長は1日の会見で、6月30日に東京、名古屋など4証券取引所に株式上場の申請をしたJR東海の株式売却の日程を発表した。7月中旬に入札公告と売り出し公告を行い、8月に同事業団の資産処分審議会で売り出し価格を決定して10月上旬に上場する予定。売り出し株数は7月中旬に決めるが、発行済み株式数224万株の60−70%程度と見込まれている。
 一方、JR東日本株の二次売却について、西村理事長は「状況が許せば早くしたい」と述べ、JR東海の上場後早ければ年内にも売却の考えを明らかにした。(京都新聞)
■えき・ひと・まち 新京都駅開業 5 雑踏 人込みの中に安らぎ
 新駅ビルの巨大なシルエットが浮かぶころ、京都駅は昼間の機能的な顔から、優しい表情を帯び始める。
 構内の東端に近く、タクシー乗り場のそばの居酒屋。前田日出夫さん(55)=大津市=が会社帰りに、この居酒屋の小さなのれんをくぐって、もう10年になる。最初は、ふらっと立ち寄り、雰囲気に魅(ひ)かれ、常連の仲間入りした。
・ふれあいを創る
 間口は狭く、奥行きが深い。L字型のカウンター。白熱電球。
 前田さんは少し背を丸め、ゆっくりとコップを傾ける。
 「駅には、人と人とのふれあいがある。いろんな客が来る。会社員も、作業員も、どんな仕事かわからない人も。雑然としたところがいい」
 一期一会。一人で来る客が多く、隣で飲んでいるうちに、すぐに話し相手が見つかる。神戸の事件、夏のボーナス、香港、イチロー。次々に話がめぐり、人懐かしさを満たしてくれる。
 前田さんは下京区内にある仏檀メーカーの中間管理職だが、職業も、肩書も、ここでは話題に上らない。前田さんも「仕事」を脱ぎ捨てる。電車の発車時刻を気にかけながら、日本酒3合とつまみを2皿ほど。「昼間の嫌なことを忘れる。心が温まる」。快く、酔う。疲れが溶けていく。
 居酒屋は、東海道新幹線が開通した1964(昭和39)年から営業を始めた。駅の改築工事が始まるまでは、1番線ホームの中ほどにあった。新京都駅が開業すると、関西空港へ走る「はるか」ホーム付近に移る。しゃれた内外装に生まれ変わる。
 「大きくて、豪華。日本一の駅ビルや。そこで、私らが一杯飲む。こたえられないな」。冬。白いものが舞い込めば、雪見洒。夏。「暑い、暑い」とワイワイやって、冷や酒。あの、ホームの夜が戻ってくる。
 慌ただしく、足音が行き来する駅の構内。人は喧騒(けんそう)の中に、やすらぎを見いだしてきた。「人と肩を寄せ合っている」実感だ。
・きれいすぎるワ
 居酒屋が灯(ひ)を落とす午後11時過ぎ。ホームレスのシゲさん(68)が、人影まばらな八条口の食堂街そばの通路で、段ボールを広げてごろりと寝ころんだ。
 「公園はだれが来るかわからないから、怖いんだ。駅はうるさいけど、かえって落ち着く。安心して眠れる」。近くに数人、同じホームレスの人たちが、段ボールを広げている。
 鳥取で生まれた。30年ほど前に、大阪から京都に移ってきた。市内の旅館で住み込みで働いた時期もはさみ、もう20年近く、京都駅界わいで寝泊まりしている。
 「京都のまちは、過ごしやすかった。京都は好きだよ。けれど、最近の京都は大都会になって、野宿者を受け入れる雰囲気もなくなってきた」
 長くいた先代の駅舎に、愛着が深い。烏丸側にいたこともあったが、改築工事に追われた。「向こう側へはもう、行きたくない。烏丸側はきれいすぎて、居場所を見つけられない。昔とは違うんだ」
 布製のかばん一つを持って、昼間は近くの寺院境内や百貨店の屋上で時を過ごし、夜遅くに八条口に戻る。
 「新駅が開業すると、閉め出されるのではないか」。シゲさんに不安がつきまとう。よそへ、行くあてはない。
 「本当は働いて、安いアパートでも借りたい。年金をもらって、ちゃんとした暮らしがしたいんだ」
 「ガチャリ」。日付が変わるころ、構内に金属音が響いた。「きのう」と「きょう」をはっきり区切るように、幾つかの通路の扉が閉ざされた。
 シゲさんたちが起き出すのは、始発電車が動き出すころ。静寂のとばりがつかの間、駅ビルを包む。(京都新聞)
■発売中止 東日本キヨスク・都営地下鉄
 東日本キヨスク(本社・東京都千代田区)は、2日発売の写真週刊誌「フォーカス」(新潮社)の駅構内での発売を全面的に中止する。東日本キヨスクによると、発売中止の対象は首都圏を含むJR東日本の全エリア。約1400店舗で、毎週約3万部の「フォーカス」を販売している。
 同社は「被疑者は少年であり、顔写真を掲載するのは人権を侵害する。キヨスクでの発売は適当でないと判断した。あくまでも当初の考えだ」と話している。
 また都営地下鉄の売店の営業・管理などをしている東京都交通局協力会は1日夕、82店あるすべての売店での販売中止を決めた。東京都内大手書店の中には「店頭に並べるかどうか検討している」というところもある。
 JR西日本の関連会社で、駅などで売店を経営する西日本キヨスク(本社・大阪市北区)も1日、「容疑者の少年の顔写真が掲載されているのには問題がある」として、関連の約900のJR西日本の駅などの売店でフォーカスの今週号の販売を自粛することを決めた。
 大手コンビニエンスストアのローソン(本社・大阪府吹田市)は1日夕、全国の6300店に対し、一部不適切な個所があるとして、販売しないように指示を出した。同社広報課は「今回の事件の重要性と少年法の視点からみて、容疑者の写真を載せた雑誌の販売は自粛すべきだと判断した」と説明している。(朝日新聞)
■1万9000人、足奪われる 山陰線脱線事故 ほぼ平常ダイヤに
 和知町広野で28日夜、普通列車が脱線事故を起こした山陰線は30日夜、現場での運転を再開し、1日にはほぼ平常通りのダイヤに戻った。JR西日本福知山支社によると、不通だった3日間に奪われた乗客の足は1万9100人にのぼった。
 この間、列車の運転を休止したのは上下線合わせて28日が普通列車10本、特急7本の計17本。29日はまる1日不通となり、普通44本と特急11本の計55本を運休、特急21本を福知山線へう回。30日は普通35本、特急14本の計49本を運休、特急14本をう回させた。
 この結果、奪われた乗客の足は28日が約2000人、29日は8600人、30日は8500人にのぼった。復旧作業には延べ960人を動員した。
 現場は半径300bのカーブになっており、当分の間は速度45`に落とし、徐行運転をする。(朝日新聞)
■洛中洛外
 ◇…JR新京都駅の開業を間近に控えた2日、京都府警鉄道警察隊が、発足10周年を祝う記念式典を同駅前にある同隊講堂で開いた。関係者約50人が鉄道にかかわる犯罪の防止などへ決意を新たにした。
 ◇…鉄道警察隊は、1987年の国鉄分割・民営化と同時に、それまでの鉄道公安制度が廃止され、各都道府県の警察に業務が移って発足した。
 ◇…式典では、伊豆村敏隊長が「京都の鉄道の整備が進む中、10周年を節目に市民の期待にこたえる鉄道警察を目指したい」とあいさつ。今年のライフル射撃のワールドカップで優勝した小島則子さんが「一日鉄警隊長」となり、八条口などで痴漢犯罪の撲滅などを訴えた。(京都新聞 夕刊)
3日■テレホンセンター新京都駅に開設へ JR西日本 駅問い合わせ「不通」解消狙い 支社管内分の電話転送
 JR西日本は、新京都駅が開業する12日、列車ダイヤや運賃、指定席券の空席状況などに関する利用者からの問い合わせに応対する「京都テレホンセンター」を、京都市下京区の同駅構内に開設する。電話番号は075(352)5441。
 同社の京都支社管内の各駅では、1日約5700件の電話による問い合わせを受けている。だが、朝夕のラッシュ時には事務所が手薄になることから応対し切れず、「駅に電話しても通じない」という苦情が数多く寄せられていた。
 テレホンセンターは、こうした利用者の要望に沿うために新設される。今年4月から始まった「ファクスサービス」に続く、サービス向上策の第2弾。
 利用できるのは、午前6時から午後11時まで。ラッシュ時に各駅で電話に応対できない場合も、同センターに転送して案内業務を行うことにしており、京都支社では「1日2000件以上の問い合わせに対応できる」としている。
 JR西日本では、旧国鉄時代から大阪支社管内にテレホンセンターがあったが、それ以外の地域には設置されていなかった。同じ12日からは、神戸支社管内の姫路駅にも「神戸テレホンセンター」を開設する。(京都新聞)
■えき・ひと・まち 新京都駅開業 玄関 京の印象 最初に演出
 「きっつあん、その明るい笑顔でお客さんを、幸せにしてください」
 昨年、京都を訪れた修学旅行生からお礼の手紙が届いた。「きっつあん」こと、高田吉一さん=右京区=は京都駅を拠点に観光案内を得意とする個人タクシーの運転手。「こんな手紙もらうとうれしいね。少しでも京都を好きになってくれたんだ、と安心するよ」。京都の街を心底愛する67歳の顔に、笑みを浮かべた。
 毎年、3500万人以上の観光客が訪れる京都。他府県の人たちや外国人らにとって、京都駅は最初の「訪問地」。「駅での印象が、京都そのものの評価にもつながる。京都人として、初めてお客さんと接する観光タクシーの責任は重い」。親身になった応対、案内にも磨きがかかる。
・客の一言で奮起
 高田さんがタクシーのハンドルを握ったのは1954(昭和29)年。街中を走り回る「流し」の運転手だった。
 30年ほど前のこと。「京都で一番いい所に連れていってくれ。ありふれた場所では困る」。客は乗車するなり、そう言った。向かったのは金閣寺。自信をもって案内できるのは、この寺しかなかった。知っている限りの知識を出し切って、金閣寺の奥深さを説明した。
 だが、その客から返ってきた言葉は強烈だった。「京都のタクシーは、観光の宝の山にいながら生かし切っていない」。「観光都市・京都」で働くタクシー運転手として悔しかった。それからは、観光雑誌、歴史本を読みあさり、各社寺の住職にも教えをこいながら、勉強した。
 フルムーン旅行の熟年夫婦、若者のグループ、卒業旅行の学生たち…。今では、京都駅前で乗ってもらう客の雰囲気に応じて、仏像、京の歴史、庭園などと話題を使い分けられるまでになった。
 「観光タクシーを始めたのも、全国の老若男女と出会えるのも、京都駅のおかげ。この駅がなかったら、タクシー運転手は、辞めていたかもしれない」
 観光客を安心させてくれるのは、親切なタクシーの運転手だけではない。
 「鈴虫寺へは、28番のバスに乗って松尾大社前で降りて」、「妙心寺へは、C-1乗り場だよ。40分くらいかかる」。客の問いかけに間髪を入れずに答えるのは谷口旭さん(64)=伏見区=。バスの乗り場案内、乗車券の販売にと、京都駅に降り立つ全国からの観光客を出迎えてきた。観光案内所に寄らずに、真っ直ぐ谷口さんの所に立ち寄る観光客も多い。
・進取の精神表す
 この仕事を始めたのは、20年以上も前。祖母から受け継いだ。まだ、京都駅から市電が走っていた。その後、バス、地下鉄の時代に。「京都は地上から、風情を味わう街。地下鉄や地下街ができて、かえって活気をなくしたように思う」。静かだが、するどい目で駅前を眺める。
 バスターミナルの一角にある小さなボックスが仕事場。交通局から委託を受け、一日乗車券や回数券などを販売し、その手数料が収入になる。「ほとんど客との会話はないけれども、帰り際に『無事に行楽できました。ありがとう』と言われるのがうれしい」
 駅舎の移り変わりとともに、バスやタクシーが待機する駅前広場の風景も様変わりした。新駅の北側約2万平方bにも、来年度中には新しい広場が完成する。
 昭和一ケタ生まれの高田さんと谷口さん。「新しい京都駅は、あまりにスケールが大きくて、なかなか溶け込めない」と。だが、「全国初の電車が走ったのは京都。この駅ビルも、京都人の進取の精神を表しているのかもしれない。新駅が、観光客の増加に結びつく建物になれば」。(京都新聞)
■JR京都駅ビル 市民団体が調査 7割、デザインに否定的
 京都の市民団体「まちづくり市民会議」(寿岳章子代表)は2日、開業を12日に控えたJR京都駅ビルについてのアンケート結果をまとめた。計画当時、景観論争を起こしたデザインを約7割の回答者が「よくない」と答えた。
 アンケートは6月、JR京都駅前などで1500枚のはがきを配って返送してもらった。回答は220人。
 「建物デザインをどう思うか」との質問には、「よい」と答えた人は約1割。「玄関口にふさわしいか」との質問には、「ふさわしくない」が約8割を占めた。
 自由記入欄には「京都の街との調和がない」「威圧感がある」といった意見が目立つ一方、「駅まで京都のイメージを押しつけなくてもいい」「大都市にふさわしい」との肯定的な意見もあった。
 市民会議は「今後の都市計画では京都の個性を反映させてほしい、という市民の意思表示ではないか」としている。(朝日新聞)
■京都・神戸でもJR電話サービス
 JR西日本は、列車の時刻や運賃、指定券の空席状況などの問い合わせに応じるテレホンセンターを京都、神戸支社管内に開設し、12日からサービスを始める。電話サービスの窓口はこれまで大阪市内にしかなく、京都、神戸エリアでは、朝夕のラッシュ時間帯などに駅へ電話しても通じないという苦情が寄せられていた。
 受付時間は、京都テレホンセンター(075・352・5441)が午前6時から午後11時まで、神戸テレホンセンター(078・360・8080、0792・23・8081)は午前9時から午後8時まで。ともに年中無休。(朝日新聞)
4日■窓 市バス問題 さらに考える
・乗客や市民も一体になって 山科区・前川 文江(パート・59)
 「鴨川の流れうらやむ市バスかな」とは、昨年市民から募集(川柳)の市バスの気持ちです。最近、市バスの事故がクローズアップされているが、私は4年前から月に40回以上、市バスのお世話になっている者です。路線はいろいろだが、そんなに乱暴な運転に出合ったことはない。多少、スピードアップとか、急ブレーキはあった。
 それは運転手の技能の悪さではない。車窓から見ていると、とにかく京都市民の交通マナーの悪さだ。バスレーンへの駐車、人、バイク、車のバス直前の飛び出し、割り込み、乗客もハッとする。運転手は、もっと頭にきていても言葉に出せない。ワンマンだから十分なサービスもしなくてはならない。かといって事故は仕方がないというわけではない。
 啓発の川柳を募集しても、市民新聞の呼びかけも功を奏しない。地方のバスと違って二重三重の路上駐停車のわずかな空間を定刻通りに走らせるのは至難のわざだ。私たちは、スムーズにバスが走れるように、バス、客、市民が三位一体となって原点から出発したい。私は、素晴らしい運転手さんに何度も出会っている。そして、きっと明るい家庭の方だと想像している。運転手さん、気力を落とさないで、明るく楽しく、勇気をもってお願いします。
・気配りのある運転手に感謝 上京区・中溝 茂子(主婦・68)
 朝の通勤、通学時には市バスの乗車は控えたいものですが、主人が水、土曜日の週2回、透析治療のため、午前8時半までに病院に着かなければならず、乗っております。
 透析通院を始めてから5年の年月が過ぎました。土曜日は空いていますが、水曜日は込んでおります。主人は79歳、市から無料乗車証を交付していただいて、どんなに助かっていることか。
 通勤の方も学生さんもいろいろ、席を替わってくださる方、優先席に座って替わろうとしない学生さん。運転手さんも運転の気苦労もずい分多いでしょうに、後部が込んでいる時に、前扉を開けて乗せてくださる親切な方。私は降車の際には必ずお礼を申し上げますが、「気をつけて」と優しく言葉をかけてくださる運転手さん。主人が入院しない限り、まだまだ市バスのお世話になります。ご親切に席を替わってくださる乗客の皆さん、そして朝の混雑時に優しく気配りしてくださる運転手さんに厚くお礼申し上げます。
・不親切と親切 正反対の対応 東山区・川端 とよ(無職・78)
 先月18日午前10時半、清水道バス停で修学旅行の女子中学生6、7人が止まったバスに「三十三間堂へ行きますか」と問うと、そのバスの運転手は「行かへん」と言ってドアをピシャッと閉めて走り去ってしまった。彼女たちは途方にくれてその場に座りこんだ。居合わせた私は、なぜ運転手さんが一言「あちらの乗り場から乗りなさい」と教えてやってくれないのかと残念に思った。
 清水道には二つのバス停がある。土地の者には分かりきったことだが、遠来の人には理解しにくい。また、同日正午ごろ、病院の帰り、東山七条に乗りたいバスが止まっていたが、距離的に間に合わないと見て、走りかけたが、あきらめてのろのろ歩き始めると、そのバスは発進をとめて、運転手さんが手招きで乗るように合図された。おかげで次の目的地へ時間内に到着できて大変助かった。一老人のために温かい心遣いをしてくださった運転手さんに心から感謝した。同日に出会った二つの型の運転手さんの心に、いろいろ考えさせられた。
 最近、とかくの問題があって運転手さんの資質が問われている折柄、交通局の上層部の方は、なお一層、運転手さんの指導に心くばりをしてほしいと願う。よそから来る人に「本当に京都はいい所」と思ってもらえるよう切に祈る。(京都新聞)
■ジェイアール京都伊勢丹 関西初ブランドで独自色 店舗概要 若者向け品ぞろえ
 ジェイアール西日本伊勢丹(京都市)は3日、9月11日にJR新京都駅ビル内に開業する「ジェイアール京都伊勢丹」の店舗概要を発表した。婦人服などで関西・京都初のブランドを多く取り込んで独自色を打ち出すとともに、ターミナル施設内にあることを生かし、郊外に住む若い世代向けの品ぞろえや、観光客を意識した京都らしい商品も充実させる。
 同店は地上11階、地下2階。売り場面積約3万3000平方b。婦人服・雑貨に3フロア、食料品に2フロアを充てる。
 伊勢丹が重点を置いてきた婦人服では、関西初登場のブランド「アナスイ」を入れ、同社の独自ブランド商品「オンリー・アイ」の売り場なども設ける。
 また、靴などにも関西初登場ブランドを入れ、京都の既存百貨店と異なる店作りを目指す。
 京都らしさを盛り込むため、西陣織工業組合と網織素材の小物を共同開発。「網織千年」のブランドで、クッションやコースターなどを販売する。
 食料品売り場は、京都の老舗の味を自由に詰め合わせられるコーナーを設けるほか、京都青果合同(京都市下京区)から直接に野菜を仕入れて直営販売する。
 駅ビル内という好立地のため、商圏は高槻市や草津市なども含めて約285万人を想定。伊勢丹が西日本初進出であるうえ、郊外から集客を見込み、新宿伊勢丹に比べ全般に若い層向けの商品を充実させる。
 売り場面積は、当初計画より約1万2000平方b縮小されたため、家具や書籍を扱わず、代わりにセガのアミューズメントテーマパーク「京都ジョイポリス」(約3000平方b)を設ける。
 初年度の売り上げ目標は320億円で、うち婦人服・服飾雑貨40%、食品27%、レストラン10%を見込む。(京都新聞)
■京都駅ビル西駐車場 12日にオープン 京都駅ビル開発
 京都駅ビル開発(京都市下京区)は12日午前8時から、JR新京都駅ビル別棟の西第二駐車場・駐輪場を開業する。
 中央郵便局の西隣に設けられ、9階建て。収容台数は車611台、自転車1000台、バイク100台。駐車場は午前6時から午後12時まで、駐輪場は午前6時半から午後11時まで営業する。
 駐車料金は、最初の1時間が600円で、以降30分ごとに300円。午前零時から6時までの夜間泊は1500円。駐輪料金は自転車の場合、1日150円、月2700円(学生2500円)。バイクは1日250円、月4500円。
 駅ビル全館開業の9月11日にはさらに、駅ビル内の3ヵ所に設けられた本棟駐車場もオープン。車の収容台数は計1250台となり、JR大阪駅ビル駐車場の約3倍の規模になる。(京都新聞)
■えき・ひと・まち 新京都駅開業 7 創造 町づくりにも追い風に
 先月末の木曜日の夕方。下京区の崇仁屋内体育施設3階の会議室に、崇仁まちづくり推進委員会のメンバー18人が集まった。将来の青写真を描くため、熱心な論議が続いた。
 窓から、新京都駅ビルが見えた。「堂々としている。こっちも負けられん」。同委員会リーダーで、崇仁学区自治連合会会長の奥田正治さん(54)=下京区=の胸に、そんな思いが込み上げた。
 崇仁地区は、京都駅の東側。1300世帯・3100人が暮らす。遠いところでも、駅から歩いて10分ほど。奥田さんたちに、駅は身近で親しい。「旅行に出かけても、電車が京都駅のホームに入ったら、もうわが家に着いた気分になる」
 1950(昭和25)年の秋。深夜、駅舎が燃え上がるのを見た。次の日、小学校から帰ってもまだ燃えていた。怖かった思いは、いまも忘れられない。
 まちづくり推進委員会は、昨年7月に発足した。「土地利用」「高瀬川」「施設」の3部会がある。高瀬川の流路変更や散策路の設置をはじめ、地区を福祉、住宅、商業などのゾーンに分けて整備を検討している。今年11月に計画を仕上げ、京都市に提出する。
 新京都駅ビルには、百貨店や劇場、ホテルなども入る。「駅で楽しむ」魅力が新たに加わり、多くの人を引き寄せる。
 奥田さんは「駅ビルは、町づくりの追い風になる」と言う。人が集まり、行き来し、交流する町にしたいからだ。
・もっと活気づく
 「駅ビルから洛東の観光地を目指し、この町を歩く人が増える。河原町通や塩小路通などの商店街も、もっと活気づくはず。町づくり計画では、駅ビルの効果も視野に入れている」
 家族連れが、ゆるやかな高瀬川に足を浸し、緑の散策路で憩う。「町のシンボル」旧柳原銀行で、町の歴史資料の展示に人が集まる。そんな光景も目に浮かぶ。
 奥田さんが、クリーング店を構えたのは、23歳のとき。30代後半のころ、店を兼ねた自宅が、市の住宅地区改良事業の範囲に指定された。
 いつまで、ここに住めるのか。他所に移ったら、商売はどうなるか。「ここを離れたくない」。将来に不安を覚え、生まれ育った町のこと、今後の暮らしのことを考えた。町づくりに奔走する原点になった。
 「駅ビルが脚光を浴びる今が、新しい町を形づくっていく好機。住民全員の力を一つにし、いい町にしたい。必ず実現させたい」
・魅力ある町模索
 南区の東岩本町、南岩本町、北河原町、南河原町。「東九条四ヵ町」と総称されることが多い。この町では今、市の「東九条福祉地域まちづくり計画」が進む。
 東九条改善対策委員会会長の岡本茂里さん(47)=南区=。京都駅八条口から、東へ500bほどのこの町で、駅ビルの新生を見つめてきた。
 「駅ビルは京都のシンボルにはなる。でも、この地域が追求しているのは、住民が安心して暮らせ、人として生きる町。駅ビルがどんな役割を担ってくれるのか、まだわからない」
 町には古い木造住宅が多く、住民の高齢化と合わせて、深刻な問題になっている。火災などの防災環境や福祉面での課題も残り、住民と市が新しい町の模索を続ける。
 「住んでいる人が、魅力を感じられるところにしたい。将来は、駅ビルに負けないような町に。それが夢」
 駅ビルの周りには、人々の暮らしがある。崇仁と東九条。生まれ変わった駅ビルと歩みを重ねるように。二つの町に新しい風音が聞こえてくる。(京都新聞)
■京都伊勢丹は若い女性標的 概要発表
 JR西日本と伊勢丹の合弁会社が事業主体となって、今年9月11日に開店するジェイアール(JR)京都伊勢丹の概要を、伊勢丹が3日発表した。伊勢丹が開発したオリジナルブランドを中心に、若い女性をターゲットにした店づくりになっている。
 新店舗は京都駅に隣接し、売り場面積は3万2000平方b。地上11階、地下2階で1−5階が化粧品、衣料品など婦人向け。地下1、2階が食品。10階にセガ・エンタープライゼスのアミューズメント施設、ジョイポリスが入る。ブランドとしては、靴のパトリックコックス、婦人服のアナスイなどが関西では初登場だ。
 駅ビルという立地条件を考え、レストラン街には京都のゆば、豆腐料理の店などを入れ、ビジネス客が仕事帰りに京都の味を楽しめるようにした、という。(朝日新聞)
■タクシーに市バス接触 左京
 3日午前10時40分ごろ、左京区聖護院山王町の東大路通で、停留所から発車しようとした京都市バスが停車中の個人タクシーに接触した。市バスには3人の乗客が乗っていたが、けがはなかった。(朝日新聞)
■二条駅から移転、保存 SLの拠点和風駅舎再現 梅小路機関車館
 JR西日本の梅小路蒸気機関車館の改装工事が終わり、4日、完成式が行われた。平安神宮を模した日本最古の和風駅舎「旧二条駅舎」が移築され、優美な姿がよみがえった。5日から記念イベントを繰り広げ、「SLの博物館」の充実を祝う。
 同館の改装は、鉄道開業100周年を記念した1972年の開館以来初めて。旧二条駅舎(1903年建築)はJR山陰線の高架化でいったん取り壊しが決まったが、市民からの保存要望が高まり、京都市と同社が約5億円をかけ同機関車館へ移築保存することにした。
 旧二条駅舎には、国内外のSL模型、資料などを展示。また、機関車館内の広場では、試乗できるSLスチーム号の走行距離を約100b延長し、一部でJR山陰線と並走するようにした。
 完成式には関係者ら約100人が出席。JR西日本の南谷昌二郎社長が「交通文化への理解を深める施設にしたい」とあいさつした後、関係者らがテープカットし、新たなスタートを祝った。
 5日からは、動く機関車としては日本最古のSL「義経号」を交通科学博物館(大阪市)から移して2日間、特別運転する。また、鉄道開業当時の京都や東京の鉄道締絵も8月末まで展示する。(京都新聞 夕刊)
■山陰線信号機停電 特急など2本影響 スズメ感電でショート
 4日午前2時50分ごろ、京都市右京区から京都府船井郡園部町にかけてのJR山陰線の嵯峨嵐山駅−園部駅間で、信号機が停電した。同5時半ごろ、信号機は復旧したが、出雲市行き下り寝台特急「出雲3号」が京都駅で30分停車、福知山線などを経由してう回運転したほか、園部発の上り始発電車が約25分遅れた。
 JR西日本の調べでは、千代川駅(亀岡市)構内の信号用高圧配電線にスズメが感電してショートし、停電したという。(京都新聞 夕刊)
■「取りこぼし」防止の特効薬? 関西のJR・私鉄 自動改札急ピッチ
 京阪神地区を中心としたJR西日本の各駅で、自動改札化が進んでいる。首都圏のJR線に比べて5、6年は遅れているといわれていたが、この10月にはJR西日本最大のターミナル・大阪駅の一部で使用が始まり、1998年度中には近畿圏の計245駅が自動改札となる。改札の混雑緩和の効果もあるが、狙いは「キセル(不正乗車)退治」。少子化や高齢化などで鉄道旅客が伸び悩むなか、在阪の私鉄各社も、自動改札機の機能強化で運賃の「取りこぼし」防止に躍起になっている。(社会部・羽場 正浩)
 JR西日本が導入を進めている自動改札システムは「Jスルー」と呼ばれる。乗車するときに定期券や切符に乗車場所と日時の情報が磁気入力され、改札を出る際、情報を機械が読み取って扉を開ける仕組み。
 乗車場所と日時の情報が記録されることで、入場券や1区間の切符だけで乗車し、手持ちの定期券で降りるというような、有人改札では見抜けないキセルが防げるようになる。
 同社は京阪神と奈良、滋賀、和歌山県の一部を含む「アーバンネットワーク」を中心とした各駅を対象に、96年度から配備を開始。3月に開業したJR東西線や、片町線などの計25駅ですでに導入済みだ。今月12日に新しくなる京都駅と、新大阪、大阪、三ノ宮、天王寺など、今年度中に82駅で使用が始まる。さらに来年度は阪和線、東海道・北陸線、山陰線、関西線などの138駅を加えて計245駅になる。
 同社が推定したキセル被害額は、アーバンネットワークの線区内だけで年間84億円に達し、在来線の運賃収入の1.7%になる。このうちの9割以上、79億円が防げるようになる。
 キセル防止機能の効果がすでに数字に表れているのが、いち早く導入した阪急電鉄だ。一昨年10月、既存の自動改札機を改良し、JRのような機能を取り入れた。1年目で、年間の運賃収入約1000億円の0.8%に相当する8億円の増収効果をもたらした。
 京阪電鉄は昨年2月に56駅で配備が売了。南海電鉄も98年度末までに自社駅の85%を占める99駅で整備し、年間10億円の増収を見込む。(朝日新聞 夕刊)
5日■「観光客は引き込む」JR西日本社長講演
 JR西日本の南谷昌二郎社長が4日、京都市東山区のホテルで開かれた京都商工会議所観光部会(部会長=木村陸朗京阪バス社長)で、新JR京都駅ビルの開業を契機とする京都の観光振興策について講演した。
 今月12日の新JR京都駅施設の開業を前に、同部会が招き、市内のホテル・旅館、土産物などの観光関連業者約600人が出席した。
 南谷社長は、国内外で観光客の誘致合戦が激化している現状を説明。京都観光について「豊かな観光資源を持っていても『待ち』だけで観光客が集まる時代ではない。新たな観光施設を作って引き込むことが大切だ」と指摘した。
 その上で、新京都駅ビル内に開設する商業、文化施設などの概要を紹介し、「京都の表玄関にふさわしい新都心づくりや全国への文化発信の拠点として、京都の新たな魅力になると確信している」と自信を述べた。(京都新聞)
■京都市交通局 接遇費 490万円・94年度 210万円・95年度 市民団体 情報公開請求で判明
 京都市交通局の接遇費が94年度490万円、95年度210万円にのぼったことが4日、市民団体が情報公開請求で入手した公文書の分析で分かった。また、市民団体は接待相手の名前が「プライバシー保護」などを理由に非公開とされたことについて同日、市に対し公文書公開条例に基づく異議申し立てを行った。
 この市民団体は「市民ウォッチャー・京都」(代表・白石克孝龍谷大助教授)。今年4月に、交通局の94−96年度の接遇関係の支出決定書、支払い伝票の公開を請求した。これに対し市は5月、整理済みの94、95年度分を公開した。
 同会と交通局によると、94年度の接遇は79件で、市職員を含む871人が出席した。95年度は54件で、出席者は572人だった。接待相手は国や自治体、民間企業で、支出目的は「懇談会経費」などとなっている。
 このうち、96年11月の大阪高裁判決の「相手を明かせない官官接待は1人6000円が限度」を超えたのは94年度31件、95年度8件あり、1人2万円以上のケースもあった。(京都新聞)
■えき・ひと・まち 新京都駅開業 8 惜別 愛着を断ち「潮どき…」
 「ずっと駅で商売したかった。断腸の思いだ」。京都駅観光デパートの仮店舗の2階。アクセサリー販売店を営む山本敏行さん(62)=伏見区=が、商品のネックレスを手にとり、ぽつりと言った。
 山本さんは新京都駅ビルの開業を機に、40年近く続けてきた店をたたむ。観光デパートが仮店舗での営業をやめる8月31日が、閉店日になる。
 店を続けるか、どうか。悩み抜いてきた。「新しい駅ビルで勝負してみたい」。そんな気持ちも強かった。
・生きる証だった
 しかし、ファッションの世界は個性化が進み、流行の風向きは急テンポで変わる。還暦をすぎた山本さんには、売れ筋が読みにくくなっていた。
 「私の感覚では、もうついていけない。量販店との価格競争も厳しい」。駅が生まれ変わるいまが、潮どきに思えた。自分自身を納得させ、新駅ビルへの出店を断念した。
 25歳のとき。義兄から店を任され、郵便局員から転身した。扱う商品はネックレス、イヤリング、ヘアバンド…。畑違いの仕事で勝手が分からなかったが、店に精魂を傾けてきた。
 これまで、店に顔を出さなかった日は20日ほどしかない。5年ほど前に、義兄から経営権を譲られた。
 「駅で働くのは楽しかった。駅には活気があったからね。店に立つことが生きている証(あかし)だった。店先での客との会話が、商売の何よりの勉強になった」
 顧客は観光客と、近辺からの買い物客が半々。東海道新幹線の開業や、大阪万博などの追い風も受けた。1980年ごろまで、商売は順調だった。少しずつ客足が鈍り、仮店舗に移ってからは売り上げが大きく落ち込んだ。
 観光デパートは、先代駅舎の完成と同時に、52年にオープンした。土産品店や飲食店など、30店ほどが軒を連ねている。新駅ビルの開業で、ほとんどの店舗が専門店街「The CUBE」に移り、営業を続ける。山本さんら5店舗が閉店したり、駅から撤退する。
・取引先から慰留
 山本さんの引退の意向を知った取引先から、慰留や支援の話も舞い込んだ。「これまで、商売で家庭を顧みなかった。これ以上、商売上の危険を冒し、家族に心配をかけることはできなかった」
 駅南側構内の近鉄高架下で、理髪店を経営する中場良樹さん(64)=下京区=は、駅舎の代替わり時期が、転機と重なった。
 かつての店は、乗降客の足音が聞こえる駅舎西口近くの地階にあった。駅の職員だけでなく、靴店や食堂、観光デパートの従業員ら「駅の住人」との立ち話が面白かった。
 旧国鉄の民営化の際、店の明け渡しを巡りJRと裁判で争ったが、後に和解が成立。前駅舎の解体工事が始まった4年前から、代替地として提供された現在の場所で営業している。
 人生の真ん中を過ごした先代の駅舎。新しい駅ビルに、以前の面影は探せない。「駅舎で働いていたのが、遠い昔のように思える。目をつぶらなければ、思い出も浮かばない」
 観光デパートの山本さんが、せわしげに土産品を選ぶ修学旅行生に、優しい視線を投げかけた。「京都の旅の好印象を壊さず、また来てもらえるように心掛ける。心の温かみも、一緒に持って帰ってもらう。それが、駅で働く者の使命だ」
 閉店日まで、いつもの白いカッターシャツで店頭に立つ。引退後の生活は、まだ思いつかない。「駅と離れた現実を、はっきり認めるのはつらいから」。新駅ビルが開業しても、しばらくは足を運ばない、と決めている。(京都新聞)
■回数券1億円分を詐取 容疑のJR元職員を逮捕
 旅行会社からJRに注文があったように装い、新幹線回数券約1億300万円相当をだまし取ったとして、和歌山地検は4日、大阪府泉佐野市中町一丁目、元JR西日本和歌山支社総務企画室審査係、八千堂一重容疑者(42)を詐欺の疑いで逮捕した。同容疑者は回数券のほとんどを金券ショップで換金、「酒代などに使った」と容疑を認めているという。調べでは、八千堂容疑者は運輸収入事務の手続きが適正になされているかなどの審査を担当していた1994年8月から96年4月までの間、10回にわたって、同社Tis本部和歌山営業支店の乗車券販売所などに旅行会社からの架空の注文書を提出。10−50枚つづりの新幹線エコノミー切符計195冊(1億295万9500円相当)をだまし取った疑い。(朝日新聞)
■京都市交通局接待費 94・95年度は700万円 市民団体資料入手 相手先開示されず
 京都市交通局が94年度と95年度に使った接待費は合計約700万円で、このうち官官接待をめぐる大阪高裁の判決が「相手先を公開できない接待の上限は6000円」とした金額を超える接待が、2年間で39件、合計約388万円あった。市民団体「市民ウォッチャー京都」(白石克孝代表)が4日までに情報公開請求で入手した資料でわかった。市は接待の相手先氏名を非公開としたため、同団体は、非公開決定の取り消しを求める異議申し立てをした。
 同団体は4月、交通局の接待費の支出が適正だったかを調べるため、支払伝票や支出決定書の公開を求めた。
 交通局が94年度に使った接待は79件、490万2349円、延べ871人。95年度は54件、210万9064円、延べ572人だった。
 このうち6000円を超す接待は、94年度31件、計約292万円。95年度8件、計約97万円だった。1人あたり2万円を超す例や、1回あたりの支払額が24万8000円の接待もあった。相手先氏名は、プライバシー保護を理由に開示されなかった。
 大阪高裁は昨年11月、大阪府泉南市の官官接待をめぐって「相手を具体的に明らかにできなければ、接待は1人あたり6000円が限度」との判決を出している。
 同団体副代表の中島晃弁護士は「相手先氏名が非公開では、接待の事実を確認できず、カラ接待の疑いが残る。地下鉄東西線の建設費が予定額を大幅に上回っており、職員が接待名目で高額の飲み食いをするのは許されない。申し立てが認められなければ、非公開決定の取り消しを求めた行政訴訟を考えたい」としている。(朝日新聞)
6日■秋田新幹線 大雨20本運休 開業以来最大の乱れ
 梅雨前線の南下に伴う大雨で運休が相次いだJR秋田新幹線は、5日午後3時50分にいったん運転を再開したが、午後4時45分ごろ、若手県雫石町で線路に立ち木が倒れかかったため約2時間にわたって再度運転を見合わせ、終日ダイヤが乱れた。JR東日本秋田支社によると、上下計20本が運休、部分運休し、6本に最高約2時間10分の遅れが出た。同新幹線のダイヤの乱れとしては3月の開業以来最大規模。(京都新聞)
■えき・ひと・まち 9 憧憬 幼い日の夢は今も胸に
 10歳にもならない少年のころだった。「おとうさーん」。南区に住んでいた少年は父親の職場だった京都駅に、時間があればかけつけた。列車を点検する父の後ろ姿がりりしく見えた。
 構内には家族も入れる共同浴場があり、よく入浴した。「駅員や売店のおじさん、みんなが家族のように付き合っていた。よい時代だった」。印刷出版業を営む荒川清彦さん(63)=大津市=は、少年時代を懐かしんだ。
・120年の歩み本に
 荒川さんも国鉄で働いたことがある。父親の職場への憧(あこが)れもあった。入社したのは、3代目の京都駅が完成した1952(昭和27)年。大阪駅と住吉駅に勤めたが、8年で退職した。「給料が安くてね。高給だった民間の会社にひかれた」
 国鉄は87年に民営化、JRとなった。今、学生の人気企業ランキングの上位を、常に占めている。「JRとして発展していくほど、国鉄時代の温かみが薄れていくように感じる」
 クリップではさんだゲラ刷りの本を、荒川さんはいとおしそうに手にした。『京都駅120年のあゆみ』。父との思い出が詰まる2代駅舎、京都に会社があり、数えきれないほど利用した3代駅舎。「京都駅は、私の人生とともに歩んできた。新駅ができるのを機会に、駅の歴史を形にして残したかった」
 〈昭和27年5月27日、新駅屋上で(3代目京都駅の)竣(しゅん)工式が盛大に行われた。長崎国鉄総裁、蟻川京都府知事、高山京都市長…照明はまだ高価だった蛍光灯が多用され、明るさをふんだんにただよわせていた〉。日本ペンクラブ会員の肩書をもつ荒川さんは、歯切れよい文章で120年を描く。ずしりとした歴史の重みが伝わってくる。
・心落ち着く場所
 駅は、子どもたちの夢を育む優しい表情を持っている。中学教師の島本由紀(よしのり)さん(41)=左京区=には、京都駅は遊園地よりも楽しい遊び場だった。
 中学生のころ、母親の裁縫箱からメジャーを持ち出し、入場券を手に1日中、大好きな列車を眺めた。停車中の車両を計り、模型も作った。その模型は今も、大切な宝物だ。
 「京都駅から伸びる2本のレールは、見知らぬ世界との接点に思えた。駅を出ていく長距離列車を眺めていると、何百`も離れた土地への夢が膨らんできた」
 東海道、山陰、北陸線…。郷愁を誘う列車が交差する魅力的な京都駅。全国の鉄道ファンと知り合い、写真や切符を交換しあった。そんなファンは、成人してからも大切な友人だ。
 社会科の教師。疲れたりしたら、足は自然と京都駅に。「駅の風景は様変わりしても、なぜか心が落ち着く。時々、古い車両に出合うと、旧友に会ったような気分になる」
 最近、構内で列車を追いかける子どもの姿が少なくなった。「いつの時代でも、鉄道は子どもたちの憧れのはず。心のゆとりがなくなったのだろうか」。教師としては、少し気になる。
 荒川さんの本は4代月駅舎の開業に合わせ、出版される。新しい1ページを飾る新駅。列車本数が増え、昔のような待合室はない。大きな吹き抜けに空中径路、デパート、シアター、ホテルなどが駅を彩る。「駅は時代を反映した建物。4代目の駅も、現代の京都を映し出しているのではないか」
 宝物の模型を見ながら、島本さんは「新しい京都駅も、子どもたちの夢を開かせる駅になってほしい」。(京都新聞)
7日■JR福山駅でスリ 韓国人3容疑者を逮捕
 京都府警捜査三課と鉄道警察隊は6日、スリをしたとして、窃盗の疑いで崔■弼容疑者(36)ら韓国人3人を現行犯逮捕した。
 調べでは、3人は6日午後1時20分ごろ、JR福山駅で新幹線から降車しようとした広島県福山市内の主婦(65)のショルダーバッグから財布(約8万円在中)を盗んだ疑い。
 府警によると、同日朝、JR京都駅構内にいた3人の様子がおかしいとして尾行していた。3人は5日に関西空港から入国したという。(京都新聞)
■電車のボディーにジンベエザメの絵 大阪市営地下鉄
 大阪の市街地を走る市営地下鉄の中央線に6日から、ジンベエザメなどをボディーいっばいに描いた電車が登場した。
 同線大阪港駅の近くにある大規模水族館「海遊館」の人気者にちなんだ。
 憤然と泳ぐジンベエザメやペンギン、ラッコ、魚の群れが6両編成の各車両の側面にカラフルに描かれている。海遊館に泳ぎ方や色などを聞いてデザイン化。青い空にはカモメも飛んで、涼しさいっばいだ。
 相互乗り入れの近鉄生駒駅と大阪港駅の間を、多い日で約20往復する。(京都新聞)
■えき・ひと・まち 新京都駅開業 出発 「新たな旅路」にエール
 暮れなずむ新京都駅ビル。ぽつぽつと明かりがともる。会社員居林晃一郎さん(28)=右京区=と、同井上左由利さん(30)=乙訓郡大山崎町=には、祝福のエールのように見えた。
 10月10日の午後2時半。2人は、駅ビル内の「ホテルグランヴィア京都」で挙式する。「新しい駅ビルで、新しい一歩を踏み出す。新鮮な気持ちで、2人の生活が始まる。最高にうれしい」
・運命的な出会い
 2人の出会いは昨年の5月。駅前のビルのエレベーター内だった。その半年ほど前に、共通の友人を通じて知り合い、お互いの顔と名前は知っていた。
 数え切れない人が行き来する駅前で、偶然の再会。「運命的な出会い」と感じた居林さんから井上さんに連絡をとり、親しい付き合いが始まった。
 居林さんは、JR西日本関連の広告代理店の京都支店に勤め、駅ビルの専門店街「The CUBE」のPRを受け持っている。子どものころから、駅が好きだった。「出会いや別れ、新天地へ、古里へ…。駅には、さまざまな人間模様が見える」
 井上さんは駅前の眼科機器卸販売会社に勤務。デートの待ち合わせは、いつも京都タワーの下だった。
 駅ビルの工事を、2人で眺めた。次第に全容を現すビルが、互いの信頼の深さに重なった。駅が完成するときに、結婚する。いつしか、そんな予感がふくらんでいた。
 「駅ビルが2人を見守ってくれていた。結婚式は、駅ビルで以外に考えられなかった」。「グランヴィア京都」が挙式を受け付けると、すぐに2人で申し込んだ。
 新京都駅が開業する今月12日の午後零時半すぎ。和菓子製造会社経営細井肇さん(55)、さと子さん(57)夫妻=左京区は、京都駅から札幌行きの寝台特急「トワイライトエクスプレス」に乗り込む。
 昨年暮れ、肇さんが体調を崩した。25歳から和菓子づくりに打ち込み、これまで病気らしい病気はしたことがなかった。京都市内の病院で受診し、直腸がんと告知された。
・「生」を見つめて
 「血の気が引いた。もうだめなのかと、絶望感にも襲われた」。冷たい風が街をよぎる今年1月下旬、手術を受けた。
 肇さんは、鉄道の旅が好きだ。旅行に出ると、いつも車窓の風景をビデオに収めてきた。寝台列車の連結部に立ち、車両のきしみやレールのうなりに耳をすませた。夕暮れの日本海沿いを走るトワイライトエクスプレスに、ずっとあこがれていた。
 北海道行きの旅行は、まだ入院中に肇さんが申し込んだ。体調が戻るかどうか、迷いもあった。「闘病の励みにしたい。旅行までに、きっと元気になってみせる」。さと子さんは「2人の大切な思い出に」と賛成した。
 今年、2人は結婚30年の節目。列車最後尾の「スイート」席を、長女(28)と二女(25)がお祝いに贈ってくれた。
 肇さんの手術後の経過は良好で、体力も順調に回復している。「これまで、働きづめだった。もう少しゆっくり生きてみたい。新たな出発の日が、駅が生まれ変わる日になった。真新しい駅のホームに立ったら、胸が詰まるだろう」
 居林さんと井上さんは結婚式の翌日、京都駅からヨーロッパヘのハネムーンに向かう。「互いを理解し合って、楽しい家庭を築きたい」
 新生活の希望に燃える居林さんたちと、身を寄せ合って「生」を見つめる細井さん夫妻。それぞれの旅路が新しい京都駅から始まる。(おわり)(京都新聞)
8日■京都駅ビル2施設の開業中止を申し入れ 市民団体
 京都駅建て替え問題対策協議会(伊藤督太郎代表)など5団体は7日、9月に開業予定のJR新京都駅ビル(下京区)のホテルとデパート施設について「進入道路が完全に完成していない。開業すれば周辺に重大な交通混雑をきたす」として、両施設の開業中止の申入書を桝本頼兼京都市長に提出した。また、荒巻禎一府知事、京都駅ビル開発株式会社にも郵送した。
 進入路(京都駅北口西通)は、西洞院通と塩小路通の交差点から駅前広場まで通じる全長350bの都市計画道路(歩道含め最大幅員17b)。
 この道路をめぐっては、同協議会メンバーらが92年、道路完成前なのに都市計画決定を理由に駅ビルの高さ規制を緩和する「特定街区」指定を行ったのは違法、として駅ビルの建築確認などの取り消しを求める訴訟を京都地裁に起こしている。
 申入書に対し、市では「道路は一部民有地の未換地を残してほぼ完成、すでに対面2車線通行しており交通に問題はない」としている。(京都新聞)
■新世紀の玄関口 生まれ変わる京都駅 1 広がる交通網 関西を結ぶ拠点に
 開業迫る新しい京都駅の西端から、特急「はるか」の白く優雅な車体が、関西空港に向かって走り出した。車内でビジネスマンが「指定席のキャンセルはないか」と車掌に詰め寄る。座席は海外に飛び立つ人の予約で既に埋まっていた。
 東海道新幹線に、東海道、山陰、奈良、湖西の各在来線がそろうJR京都駅。近鉄と京都市地下鉄が交錯し、3年前には関西空港線が空に直結する道を開いた。乗降客は1日約35万人。関西の「玄関」として揺るぎない地歩を築く。
・磨きかかる輸送力
 新駅施設の開業で、さらに輸送力に磨きがかかろうとしている。駅ビル生みの親であるJR西日本が、大幅なダイヤ改正を計画しているからだ。新ダイヤによる運行は、百貨店やホテルなど駅ビル施設が全面オープンする10日前。9月1日の予定だ。
 堀川通八条上ルのJR西日本京都支社5階。運輸課の松田直通さん(39)が、改正作業に取り組んでいた。ラッシュの終わった昼間、東海道線の京都−高槻を結ぶ普通電車は1時間に4本しかない。これまで大阪方面から来て高槻で折り返していた電車を京都まで延長し1時間8本にする。輸送力は一気に倍増する。「やっと8割くらいできた」と最後の追い込みをかける。
 ダイヤ改正は、これだけにとどまらない。京都発の電車を尼崎で宝塚線に乗り入れ、新三田へつなぐ輸送体系が設定されようとしている。新たな都市間ルートの誕生だ。
 9月1日には間に合わないが、1時間に2本の「はるか」を、朝の混雑時に3本に増強する計画も浮上してきた。大幅なスピードアップをもたらす奈良線、山陰線の一部複線化事業も着実な歩みをみせる。駅ビル開業に照準を合わせたJR西日本の積極的な戦略が動き出している。
・「京都発」を強化
 背景には、同社が競合する私鉄に対折し、阪神大震災を乗り越えて進めてきた京阪神近郊路線「アーバンネットワーク」の拡充策がある。京都駅はこの要(かなめ)の役割を担う。
 「旧国鉄時代に弱すぎた近郊路線を外に向かって延ばすとともに、都市間を直結することに努めてきた。それは『京都発』の強化にほかならない」と、鉄道本部の橋本光人運輸部次長は説明する。
 例えば、「はるか」は当初、確実に収益が見込める新大阪駅が発着点となるはずだった。しかし、それでは京都市内や山陰、北陸方面からの利用客が乗り換えを余儀なくされる。社内での大激論の末、「京都発着」に決まった。結果は1日約9000人の乗客のうち、半数が京都駅で乗降した。開通3ヵ月後には、6両編成を9両編成に増強する決断をした。
 「京都発」「直通運行」の重視−。この考え方は今、JR西日本の枠を超えて広がり始めている。
 新京都駅開業2日前の10日午前5時、京阪バスなど3社は、八条口と関西空港を直結するリムジンバスの共同運行を始める。「なぜ関空直通バスはないのか」という利用者の声にこたえてのスタートだ。
 日本航空は、12日のオープンに合わせて新装する京都シティエアターミナル(京都CAT)に、京都支店(中京区)の航空券発券カウンターを全面移転する。交通の大動脈の鼓動が響く。
 新京都駅ビルの建設は、JR西日本が威信をかけてきた大プロジェクトだ。南谷昌二郎社長はいう。「関西は京阪神三都の特徴と魅力を生かしてこそ活性化する。京都駅は、日本を代表する三都を結ぶ新しい交通網の拠点であり、京都を象徴する平成の記念碑だ」
 JR西日本が建設してきた京都駅ビルの改築が進み、12日に駅の開業を迎える。JR駅ビルとしては全国最大。9月11日の全面開業時には文化施設、百貨店、ホテルのそろった大規模複合商業施設がいよいよ動き出す。景観論争もひき起こした新駅ビル。21世紀に向けた京都のまちづくりや経済の活性化にどうつながっていくのかを探る。(京都新聞)
■京都駅ビル「特定街区の要件満たさず」開業中止申し入れ 市民団体「道路幅確保してない」
 「JR京都駅ビルは進入路の拡幅ができていない以上、開業の要件を満たしていない」として、地元の市民団体などが7日、同駅ビル内の中心施設になるデパートとホテルの開業中止を求める申入書を京都市に提出した。同駅ビルには、市が設けていた高さ制限を緩和するため、特例として「特定街区」制度が適用されているが、適用に必要とされる周辺道路の拡幅工事が、開業に間に合うか微妙になっている。
 申し入れをしたのは「住環境を守る京のまちづくり連絡会」(木村萬平代表幹事)、「まちづくり市民会議」(寿岳章子代表)など5団体。
 市の定めた「特定街区」の運用基準では、同街区に接する主要道路は幅12b以上の幅員が必要とされている。だが、市によると、区画整理事業が難航しているため、現在、長さ40bにわたって8bの幅しか確保できていない。事業の完成の見通しは立っていないという。
 このため、申入書では、「必要な道路幅が確保されないまま駅ビル施設全体の開業を強行すれば、渋滞により周辺交通に重大な支障をきたす」と訴えている。
 同駅ビルは、駅施設が12日に先行開業し、核施設とされるデパート「JR京都伊勢丹」と「ホテルグランヴィア京都」は、いずれも9月11日開業を予定している。(朝日新聞)
■四国で元気 女性駅長 契約社員 22駅に
 JR四国の各駅で女性の「駅長」が増えている。といっても、乗客数の少ない小さな駅が対象で、その全員が1年または半年単位の契約社員だ。女性「駅長」の採用は5年前から始まり、22駅になった。今年、新たに2駅が加わる。全線がローカル線といわれ、厳しい経営を強いられるJR四国が社員削減のために踏み切った合理化策の一環として批判もあるが、この女性「駅長」、お客さんには好評のようだ。(高松支局・牧山雪)
 香川県坂出市と高松市の間にある予讃線の鴨川駅は、これまで正社員が交代で勤務していたが、6月に女性契約社員に代わった。新しい「駅長」は、近くに住む主婦の高丸浩子さん(30)ら2人。午前7時から午後6時までの勤務を1日交代でする。仕事は切符や定期券の販売、集改札、駅の清掃など。4月から2ヵ月間、特訓を受けた。「いろんな人と出会うのが楽しい」と張り切っている。
 無人駅に女性「駅長」を配置して有人化した駅もある。香川県長尾町にある高徳線の造田駅と、白鳥町にある讃岐白鳥駅は、国鉄時代は無人だったが、今は岡田嘉子さん(42)ら3人の主婦が交代で管理する。
 JR四国は、これらの契約社員のことを「パートナー社員」と呼ぶ。週3日前後の勤務で、賃金は1時間当たり700円。人件費は正社員の半分以下だ。無人駅に女性「駅長」を置いたケースでは無賃乗車を減らす効果も出ているという。
 駅に女性契約社員を配置し始めたのは1992年から。すでに22駅で女性「駅長」が活躍しており、このうち社員から契約社員に代わった駅は15駅、無人駅に契約社員を置いたのは7駅。いずれも乗客数が70人から770人という小さな駅ばかりだ。
 全国のJR6社のうちJR四国以外に女性契約社員が「駅長」をしている駅はない。
 JR四国の96年度の営業収益は、約509億円。経営安定基金の運用費を入れると経常利益は約9億8000万円。3年ぶりの黒字になったが、依然として台所は苦しい。管内の駅は255駅でこのうち無人駅は111駅ある。四国全体の1日の乗客数は約17万人、東京・有楽町駅の利用客数とほぼ同じだ。「女性契約社員は、苦しい経営状況の中で地域に密着したサービスを続けるための打開策」とJR四国側。
 この10年間、収入、利益の上がらない鉄道事業の社員を減らし、ほかの関連事業に異動させることで、約3790人から約2870人に減らしてきた。今後の10年間で約250人を減らす予定という。ベテランの駅員や組合からは、知識や経験の浅い女性契約社員に現場を任せられるのか、との声が出ている。国鉄労働組合四国本部の河田芳久書記長は「契約社員では、とっさの事故に十分忙対応できない不安がある。契約社員を社員にし、大きな駅で教育を受けたあと独り立ちさせるように」と、JR四国側に要求している。
 これに対して、JR四国は「契約社員の配置駅は列車の連結など複雑な仕事がなく十分こなせるはず。万が一の時は、近くの駅から社員を派通するなどして対応したい」と話している。(朝日新聞 夕刊)
■記念入場募など発売
 JR西日本は、新しい京都駅の開業を記念して、入場券セットとオレンジカードを駅ビルの駅施設部分が開業する12日に発売する。
 記念入場券は4枚1セット(480円)を1万セット。新京都駅ビルの写真をプリントしたオレンジカード(1枚1000円)は6000枚を売り出す。12日午前5時半から、同駅の烏丸中央口など計3ヵ所で売り出す。(朝日新聞 夕刊)
9日■7地域から列車集合 9月11日 新京都駅開業に合わせ
 JR西日本は、新京都駅ビルが全館開業する9月11日に、北陸、九州、丹後など7つの地域から京都駅に向かう記念列車を運行させる。京都駅に初めて乗り入れる「500系のぞみ」など7種類の臨時列車が新駅ビル完成記念式の最中に京都駅に到着、開業を盛り上げる。
 京都駅に集合する記念列車は、福岡・博多発の「500系のぞみ」のほか、初めて滋賀・長浜発となる「はるか」、富山・魚津発「サンダーバード」、和歌山・紀伊田辺発「オーシャンアロー」、久美浜と網野発「タンゴディスカバリー」、鳥取・倉吉発「スーパーはくと」、大阪・天王寺発「223系」。
 日帰りや1泊2日で京都駅ビル見学や京都市内観光を楽しむ「京都見学ツアー」の参加者を乗せ、「のぞみ」は午前9時48分、他の6列車は午前9時59分にそろって京都駅に到着する。午前9時半からは新京都駅完成記念式、午前10時にはジェイアール京都伊勢丹開店が予定されており、祝賀ムードの真っただ中に滑り込むことになる。
 また、のぞみと223系を除く5種類の列車を午後1時半から午後3時半まで駅ホームに並べて展示。午前10時にはホームに止めたSLが汽笛を鳴らし、全館開業を祝う。京都見学ツアーの予約は、各列車が出発する駅や沿線の各駅で9日から随時開始する。(京都新聞)
■新世紀の玄関口 生まれ変わる京都駅 2 劇場効果 ターゲットは若者
 JR京都駅の「みどりの窓口」に10代の少女ら約100人が行列を作った。先月1日のことで、中には2日前からの泊まり込み組もおり、通勤客らの視線をよそに若い熱気が構内を包んだ。
・斬新な企画で演出
 彼女らの目当ては、新京都駅ビルに8月9日オープンする劇場「シアター1200」の公演チケットだ。若者らが熱狂する人気アイドルたちの京都初公演とあって、前売り券は2時間足らずでほぼ完売した。
 同劇場は、全国のJR駅ビルで初の常設劇場となる。座席数925。光や音などハイテクを駆使した最新の舞台装置を備える。しかも、「南座」しか商業劇場のない京都で、茶の間の人気者を多数擁するジャニーズ事務所、ホリプロ、吉本興業の大手プロダクションが、持ち回りで公演するという斬(ざん)新な企画が注目の的だ。
 同シアターの三宅章介支配人は「これまでの京都にない新しい文化をつくる。ターゲットは若者」と言い切る。
 看板タレントの「こけら落とし公演」で話題をさらうジャニーズ事務所は、8ヵ月間にわたって、若手メンバーによる創作ミュージカルを上演する。
 「京都に来た修学旅行生に夢を与えたい」。ジャニー喜多川社長は、公演を45分間に区切り、修学旅行の日程に組み込みやすくするなど集客と情報の全国発信に力を込める。
 新京極の「京都花月」撤退から10年ぶりの京都復帰となる吉本興業も、寄席や新喜劇にテレビで活躍する一線級タレントを投入し、「一見(いちげん)客を想定した新しい実験」(河井泉総合プロデューサー)を試みる。どこも駅を念頭に企画を練っているのだ。
 「アジアの表玄関」を標ぼうする福岡市。その繁華街の中洲近くに巨大な建物群がそびえる。昨年4月にオープンした複合商業施設「キャナルシティ博多」だ。ショッピングモールやレストラン街に、13スクリーンを備えた映画舘、ミュージカル専用劇場もある。
 福岡空港、JR博多駅、西鉄福岡駅とは、地下鉄などを使って15分以内という好条件。この交通アクセスを生かし、この1年間の利用客は約1600万人。うち娯楽施設は約6割を占めるという。観光客は九州一円から岡山県まで広がり、韓国、台湾の人も目立つ。
 「楽しく時間を過ごせる仕掛けで、都市の魅力を生み出し、集客のパイは広がった」。生みの親である藤賢一エフ・ジェイ都市開発社長は、人気の理由を分析する。
 大津市でも昨年11月、7スクリーンという京滋最大の映画館のある「大津パルコ」が開店した。長嶋高志店長は「週末は京都など市外からの来店客が6割」と、魅力的な都市装置の集客力を評価する。
新たな観光拠点に
 京都は、豊かな文化と歴史遺産を誇る「国際文化観光都市」だが、現代の若者の好奇心を満たす施設は数少ない。修学旅行生は84年の145万人をピークに年々減少、95年には最高時の3分の2まで落ち込んでいる。
 それだけに新京都駅ビルにかける地元の期待は大きい。中京区で団体旅館を経営する北原茂樹さん(47)は「ようやく社寺仏閣以外の観光拠点ができた。伝統分野でも体験学習などいろんな仕掛けを考えたい」と歓迎する。
 東映太秦映画村は今年3月、約60億円を投じてアニメ映像技術を駆使した屋内娯楽施設をオープンした。JR二条駅周辺でも複合映画館やアミューズメント施設の計画が進む。
 新駅ビルが、若者をも引きつける歴史都市の新しい顔になるかどうか。間もなく幕が上がる。(京都新聞)
■旧国鉄債務・国有林野向け「融資は不適当」資金運用審懇談会方針
 財政投融資制度の改革案を検討している資金運用審議会(蔵相と郵政相の諮問機関)の懇談会は8日の会合で、今月下旬にまとめる来年度財投計画に関する提言の中で、旧国鉄債務を抱える国鉄清算事業団と累積債務が膨らんでいる国有林野事業向けの融資について「不適当」とする意見を盛り込む方針を固めた。政府は今年末をメドに両債務の抜本処理策を決める方針だが、懇談会の提言で「待ったなし」の状況に追い込まれそうだ。
 来年度初めに27兆8000億円が残る見通しの旧国鉄債務は、約4割の11兆7000億円を財投資金に頼っている。一方、昨年度未に3兆5000億円を超えた国有林野事業の累積債務は全額が財投資金となっている。
 いずれも財投資金融資に伴う利払いが債務額を膨らませており、返済のメドは立っていない。懇談会では「確実かつ有利な方法で運用する、という財投資金の原則に反する」との認識で一致した。来年度から財投資金の新規融資をしないよう求める方向で調整する。
 政府・与党の財政構造改革会議は6月の報告書で、両債務について抜本処理策をまとめる方針を打ち出したが、具体案の検討は手つかずに近い状態で、この秋以降に本格化する見通し。債務の穴埋めが新たな国民負担につながるのは必至で、論議を呼びそうだ。(朝日新聞)
■休校相次ぎ交通も乱れ 京滋地方に大雨
 京滋地方は、9日早朝から局地的に激しい雨に見舞われ、学校が一部で臨時休校したほか、名神高速道路と京都縦貫自動車通が一時、速度規制を行うなど交通にも影響が出た。
 京都地方気象台は午前6時45分に京都府南部に、彦根地方気象台は同7時20分に滋賀県全域に大雨洪水警報を出した。両気象台によると、各地の1時間雨量は、京都市左京区・花背峠で48_(午前6時−7時)を記録したのをはじめ、中京区で25.5_(同7時−8時)、彦根市で42.5_(同8−9時)、近江八幡市で40_(同)、長岡京市で22.5_(同)を記録した。
 京都府内では、山城地域や北桑田郡内で小、中学校97校が休校したほか、木津高、府立養護学校など府立校12校も休校。授業開始を遅らせた学校もあった。滋賀県では草津養護学校など4校が休校した。
 JR湖西、北陸線は、一部区間で8時過ぎから9時半にかけ徐行運転を行った。
 京都地方気象台は「梅雨前線の活動が活発で、10日朝にかけて大雨の恐れがある」と警戒を呼びかけている。(京都新聞 夕刊)
■旅客用シャトル故障 関西空港
 9日午前5時ごろ、関西空港の旅客ターミナルビル本館と南ウイングの中間駅を結ぶ無人自動旅客輸送車「ウイングシャトル」(3両編成、定員243人)が一時、故障で動かなくなった。このため、同区間約350bを乗客は徒歩で移動した。(朝日新聞 夕刊)
10日■ポルタもポイントカード 11月から導入
 京都駅前地下街「ポルタ」(京都市下京区)は、11月に予定している増床、新装オープンに合わせ、ポイントカード「ポルタクラブ」を導入する。JR新京都駅ビルの開業で、買い物客の増加を見込み、カード導入で顧客拡大を図る。
 カードは、買い物100円ごとに3ポイントを与え、500ポイント貯まれば500円の買物券と引き換える。特別セールやクレジットカード「JRウエストカード」使用と組み合わせれば、最高7ポイントになる。
 98年3月末で会員数3万人を目指しており、11日から加盟各店などで会員募集キャンペーンを繰り広げる。
 また、アルファベットの大文字ばかりだったロゴマークを10日から、小文字入りに変更。マークの色も青基調からルビー色に変える。(京都新聞)
■新世紀の玄関口 生まれ変わる京都駅 3 点から面へ 「回廊」の出発点に
 1日の利用客が50万人見込まれる新京都駅ビルの周辺では、ホテルの新築が目覚ましい。昨春から今秋にかけて4ヵ所(計約1300室)がオープン。既存の8ヵ所と合わせると、総客室数はこれまでの1.5倍(約3900室)に跳ね上がる。
 昨年4月に開業した京都プラザホテル(南区)は、この地で40年以上続けたメッキ工場から転業した。「新たな設備投資より、『地の利』を生かしたかった」(清水幸雄社長)。駅ビルは、周辺の商売の形をも変えつつある。
・にぎわい烏丸口に
 駅周辺でホテル建設が進む一方で、その外側へ利用客を誘導する「装置」は乏しい。地元商店街の関係者は、駅ビルを琵琶湖で使う漁具の臥(えり)に例え、「入った魚は、絶対に出てこない」と、駅ビルの「一人勝ち」を懸念する。
 駅ビルには、歩行者用の南北自由通路ができるが、ビルの外側にまで客を誘導する通路ではない。京都府が92年に計画した、駅北側の塩小路通と南側の八条口を結ぶ地下自動車道路は技術的に無理と分かり、実現していない。日本有数のターミナルは、今のところ「点」でしかない。
 「行政が街の整備を進めるより、ソフト面での魅力づくりが重要だ」。京都市政策企画室の星川茂一参事は言う。駅北側の烏丸口では、周辺商店街や自治連合会、東西本願寺も加わって「にぎわいづくり推進連絡会」の準備会が10日に発足。京都の表玄関にふさわしい街づくりのあり方を模索する。
 枳穀邸や飛雲閣など東西本願寺の所有する歴史遺産や、駅近くの梅小路公園などを駅ビル内でPR、駅利用客を招き入れる「回廊」づくりを進める計画だ。
 市は、烏丸口西側に大学の共同利用施設「大学のまち交流センター」を2000年度に開設する。駅前広場でも今秋、車線や歩道のレイアウト変更工事に着手する。駅ビルに集まった客を面的に広げる新たな試みが始まっている。
 だが、駅南側の八条口周辺整備は難航している。バブル期の地価高騰を背景に地上げが横行、地権者が入り組んで、用地買収がままならないためだ。
 特に、八条口に面した3区画のうち、再開発ビル「アバンティ」の建った区画を除く2区画(計3.9fについて、京都市は90年、市主導の再開発をあきらめ、民間による開発に委ねた。だが、景気低迷で名乗りを上げる業者はない。
 地上げや道路拡幅の立ち退きで、街の元気もなくなっている。八条口近くの山王学区では、85年に5600人だった住民が、10年間で1300人も減少。虫食い状の更地も目につく。
・南部と結ぶ八条口
 こうした中、八条口近くに土地を所有する松下興産(本社・大阪市)は、オフィスビルを核にした複合施設による再開発の検討を開始。京都市も八条口広場を2階構造にして八条通を横断しやすくする構想を示した。
 京都市や京都経済界にとって、八条口の再開発は、市南部の油小路通を南北に貫く伏見区の「高度集積地区」(約600f)への呼び水でもある。来夏に高さ95bの京セラ本社ビルが完成する同地区は、将来の京都の新都心にも位置づけられている。
 京都経済同友会の道端進代表幹事は「南部開発が進めば、京都駅と関西文化学術研究都市がようやく一体化する」と評価。「高度集積地区は近代都市形成の核にすべき」と期待を込める。
 新京都駅ビルは、果して京都再生をにらんだまちづくりの起爆剤になるのか。京都の新しい「顔」はまだはっきり見えない。(京都新聞)
■帰省ピーク8月13日
 今年のお盆の帰省ラッシュに合わせたJR指定席券の販売が、全国のJR駅や旅行センター、旅行代理店などで始まった。JR西日本管内では9日、大阪、京都、三ノ宮駅などで発売前に購入希望者の列ができ、一部の特急や寝台特急の指定席がすぐに売り切れた。
 JR西日本が予想するお盆期間中(8月8−17日)の利用者総数は、昨年より5万人少ない314万人。ふるさとや行楽地へ向かう帰省のピークは8月13日、リターンは同17日が最も混雑すると見込んでいる。JRは山陽新幹線230本、在来線677本の臨時列車を走らせる。(朝日新聞)
■陶板レリーフ新たな門出 関空直行バス発車 JR京都駅
 JR新京都駅の開業を2日後に控え、旧駅の中央改札口上の壁面を20年間飾ってきた信楽焼の陶板レリーフ「京洛東山三十六峯四季」が10日、新駅の30番ホーム(関西空港特急はるかホーム)に移設・復元され、除幕式が行われた。
 レリーフは、京都の四季と名所を表現した縦2.7b、横22bの大作。1977年に日本芸術院会員だった故西山英雄画伯の原画をもとに、沖縄県立芸術大のルイ・フランセン教授が制作、旧駅舎に設置された。駅舎改築で取り壊しも検討されたが、保存要望が高まり、3分割してホームに移設・復元した。
 除幕式には故西山氏の妻成子さんやフランセン教授ら約100人が出席。フランセン氏が「復元され、西山先生も喜ぶだろう。私にとっても思い出深い作品」とあいさつした後、成子さんら関係者が除幕し、レリーフの復元を祝った。
 また、新駅開業による乗客増を見込み、京都駅八条口と関西空港を結ぶ「エアポートリムジンバス」も、この日から運行を始めた。
 京阪バス、大阪空港交通、関西空港交通の3社の共同運行で、八条口からの第1便が午前5時に出発、関空へ向かった。初日で乗客は少なかったが、バスガイドが運転手に花束を贈り、新路線の安全を祈った。
 リムジンバスは、京都発22便、関空発21便で、所要時間は1時間45分。運賃2300円(子ども1150円)。(京都新聞 夕刊)
11日■あす開業
 JR西日本と地元京都の一大プロジェクトとして建設が進められてきた新京都駅ビル(京都市下京区)のトップを切って、駅施設が12日開業する。8月に文化施設、9月に百貨店やホテル、公共施設などのオープンが続き、景観論争を呼んだ全国最大の駅ビルが、いよいよ動き出す。
 新駅ビルは、地上16階、地下3階で、高さ59.8b、東西約470bの巨大な複合施設。ジェイアール京都伊勢丹やホテルグランヴィア京都、シアター1200などが入る。
 4代目の京都駅では、駅の南北を結ぶ自由通路が開通し、中央部に駅西口が開設される。改札はほぼ自動化、関西空港の入り口となる京都シティエアターミナル(CAT)では、航空券の購入ができようになる。
 この新駅ビルは、東京大名誉教授で建築家の原広司氏が設計した。平安建都1200年記念事業として、JR西日本、府、京都市、京都商工会議所などが京都駅ビル開発会社を設立、93年12月に着工した。総事業費は約1500億円。
 駅ビルの全面開業に合わせ、JR西日本は9月のダイヤ改正で京都への輸送力増強を計画。京都の新たな商業集積地として、京都経済の活性化へ期待を集めている。
 12日は午前8時半から駅ビル地下1階で、CATの完成記念式、同9時半から烏丸中央コンコースで駅施設の完成と南北自由通路開通を祝う記念式を開く。(京都新聞)
■社説 あすへ夢をのせ新京都駅”発車”
 平安建都1200年記念事業として、JR西日本と京都府・市、経済界が一体になり建設を進めてきたJR新京都駅がいよいよあす開業する。
 京の新たなまちづくりと活性化への起爆剤に−と願う地元各界の多彩な夢をのせての出発進行だ。
 景観論議も呼んだ新駅ビル(地上16階、地下3階建て)は高さ約60b、東西約470bの巨大な建物だ。この中で12日の駅施設に続き、8月9日に劇場、9月11日にホテル、デパート、専門店街が開業し、全館オープンする。
 鉄道ターミナルと文、観、商…が合体したまさに大規模複合施設の誕生だ。これまで四条河原町に一極集中していた京の繁華街地図も、この機に二極構造へと大きく変身していくことだろう。
 駅中心に生まれる新都心が京都活性化へのインパクトとなり、このまち全体に波及効果が広まるのを期待したい。
 和装繊維業の構造的不況などから、京の地盤沈下が指摘されて久しい。国内外から訪れる観光客数もこのところ頭打ち傾向にあり、修学旅行生の数はピーク時の7割程度に落ち込んだままだ。
 その点で新駅ビルの誕生は、まず既存の商業地、商業施設にとって大きな刺激剤となりそうだ。
 集客力抜群の地に3万3000平方bの売り場面積をもつデパート、客室539のホテルができるのは、それぞれの業界にとって確かに脅威だろう。が、新旧双方で限られたパイを奪いあうようでは先に明るい展望は開けない。
 魅力ある商品づくりはむろんのこと、若者を引きつけるイベントや地域づくりなどに互いが知恵をしぼり、競いあって新たな客層を掘り起こしていくことが望まれる。そうすることで再び京都の活力も引き出せるのではないか。
 新たな劇場が駅ビル内にオープンするのも楽しみだ。四条にある南座が伝統芸能を中心とした日本の代表的な劇揚なのに対して、こちらは最新のAV(音響・映像)機器を駆使して、オリジナルのミュージカル上演に重点を置くという。
 京を舞台に「伝統と創生」がぶつかりあい、相互に刺激しあって、新しい文化情報がこの京都から日本、世界へと発信される日が待ち遠しい。
 新京都駅ビルにはこうした新都心の形成とともに、駅本来がもつ都市の玄関としての機能発揮にも期待がかかる。
 あすの開業にあわせて、京都市観光案内所が同時に業務を開始、9月には府の観光センターや国際センターもオープンする。地下鉄烏丸線の北々伸に続き東西線の開通も間近だ。とかく不評だった駅から市内各地への足の便もこれで改善されることになる。観光客へのサービス充実にいっそう努めてほしい。
 今後の大きな課題は、玄関がこれまでのように北にだけ向いたものでなく、南北に開かれたものにすることだろう。
 京都市は、京都駅から北は三山保全など自然と文化遺産の保存、市街地の再生に力を入れ、南は開発、新都市建設の方向で、まちづくり計画を進めている。
 が、残念ながら南部地域の具体的な将来像はまだ描けてはいない。新玄関の誕生を機に南北双方に開かれた風通しのいいまちづくりを目ざし、市民と行政が一緒になって論議を深めたいものだ。(京都新聞)
■新駅ビルの役割と課題 基幹駅として機能高める 周辺商業地 育成が今後のカギ 立命館大経済学部長(交通論)杉野 圀明氏に聞く
 新京都駅ビルでは、12日にJR京都駅が改装オープンし、9月にかけて駅ビルが全面開業する。京都で最大の複合商業施設となる。新駅ビルの役割と課題などについて、杉野圀明立命館大経済学部長(交通諭)に聞いた。(政経部 河内信一)
 駅は近代文明の象徴であり、まちの顔だ。今から42年前、学生だった私は前の京都駅が出来て間もなくのころ、京都へ旅に来て、駅ビルの8階建ての塔に、新しい時代の息吹を感じた覚えがある。
 駅の評価の仕方は多様である。それは、建造物そのもの、交通機能、社会的機能、経済効果、環境論的視点−などだ。新京都駅ビルは内外でいろいろな評価がされているが、概して建造物そのものや環境論的視点の論議に終始しがちではないか。もっと多面的に論じるべきだろう。
 建造物としての評価は、実際のところは利用しないと分からない。だが、駅舎単体としての問題点を挙げると、改築は駅北側の建物だけにとどまり、南側の新幹線駅舎との兼ね合いが今後に残された。
 日本の大都市の多くが、駅の高架化を済ませている中で、この2つの駅舎の間にある線路上の、地下を含めた巨大な空間に手をつけずに残したのは、新世紀への京都の宿題だろう。
 切符なしに行き来できる南北自由通路が開設されるが、烏丸通の行き止まり状態の解消にはなっていない。膨大な費用もかかり、一度に何もかもできないが、開発が期待される市南部地域への入り口の役割をも担う新駅ビルとしては、もっと論議されるべきだった。
 今後、地域建造物コンプレックス(複合体)として、駅周辺施設との調和にどの程度の配慮をするかも注目点だ。つまり京都タワーや東側のホテル群などにスムーズに行ける機能的統一性と利便性の向上だ。
 交通機能の面では、切符購入から乗車までが機能的で分かりやすいかどうか。シティエアターミナル(CAT)機能は、さらに充実されねばならない。
 国際化時代に対応する点では、外国人も利用しやすい案内表示板の設置が求められる。同じことは、体の不自由な人やお年寄りなど社会的弱者への対応にも言える。
 交通の要衝としての機能は東海道線、山陰線、奈良線、湖西線に京都市地下鉄、近鉄と接続し、JR西日本の基幹駅としての機能を今後も強めるだろう。
 大事なのは、乗り換え機能の強化だ。特にバスターミナルやタクシー乗り場との連絡だ。限られた土地の有効利用と利用の便宜を考えた整備が望まれる。
 社会的機能は、公共性の高い駅にとって特に重要な点だ。コンベンション機能を持ったホテルがあり、百貨店などショッピングセンター、さらに美術館、劇場スペースなど、全体としてかなりの施設が入ったのは評価できる。
 スカイガーデンなど利用客らがほっこりできるスペースがあるのもいい。新しい京都の観光資源になるだろう。惜しむらくは、京都の代表的文化を紹介できる博物館的機能があればもっと良かった。
 経済効果については、延べ床面積約23万平方bの大規模施設の誕生だけに、駅ビル全体で数千人単位の雇用が生まれる。これだけでも相当な経済効果だ。
 他方、周辺地域の商業との競合、さらに商業地域としての面的まとまりという点では協調性が問われる。経済的弱者の中小の商店を上手に育てて行くことが今後のカギになる。行政の役割が欠かせなくなろう。
 JR京都駅は、20世紀末の日本はもちろん、世界の技術の粋を集めた駅舎だ。一方で、利用する市民自らが、地域に根ざし世界に開かれた京都のシンボル、まちの顔として、公共施設である駅を社会的にも機能的にも育てていくという姿勢を忘れてはならない。(京都新聞)
■新世紀の玄関口 生まれ変わる京都駅 4 競争時代 顧客拡大 意気込む
 6月中旬、お中元の商品カタログを手に、京都近鉄百貨店の本田俊明婦人洋品部長は、京都市南部の住宅街を軒並み訪問して回った。「京都駅も新しくなりましたので、見学ついでに当百貨店にもお立ち寄りを」と売り込む。約1週間、同百貨店の従業員800人が足を運んだ世帯は3万軒にのぼった。
 同じころ、大丸京都店の社員も市地下鉄烏丸線沿線の1万軒を訪問した。中元商戦での大規模な外回りは6年ぶり。新京都駅ビルに入るジェイアール京都伊勢丹の9月開業前に「沿線での顧客開拓を進めるのが狙いだ」(大西哲雄販売促進部課長)。
 JR新京都駅ビルにオープンする百貨店、専門店、ホテル、文化施設は、年商計555億円を見込む。JR西日本の試算では、乗降客を除いたビル利用者は1日10万2000人だ。
 ジェイアール京都伊勢丹の川中英男社長は「大阪や神戸に流れていた客を京都に止め、滋賀や高槻市からも来てもらえる店をつくる」と、京都商圏の拡大を目指す。
 京都駅前地区の商業規模は、この数年じわじわと縮小。駅前地下街・ポルタと八条口「アバンティ」のイズミヤ京都店の売上高は、5年間で約2割落ち込んだ。伏見区の近鉄桃山店をはじめ、大津市や草津市など近郊で相次ぐ大型店の出店の影響だ。
 それだけに「新駅開業を商業活性化のバネに」と期待する声が強い。
・一極から二極化へ
 ポルタの辻本修美取締役営業部長は「縮小してきた駅前商圏が駅ビル開業で再び広がるのを機に、劣勢を跳ね返したい」と意気込む。京都近鉄百貨店の稲垣繁男社長も「四条界隈(わい)に一極集中していた商業集積の二極化が始まる」と言い切る。
 昨秋、東京・新宿では、高島屋の出店で他の百貨店も売り上げを伸ばした。古川満男京都駅観光デパート社長は、この「新宿百貨店戦争」を引き合いに出して「今や地域間競争の時代。駅ビルとの相乗効果を狙う」という。
 京都駅前に新たな商業集積地は誕生するのか。京滋の景気動向を調査する日銀京都支店の掘江久男支店長は「個人的見解だが、京都の中での消費者の移動は起こるだろう。『四条より下がらない』と言われるが、娯楽施設を併設した新駅ビルは魅力だ」と指摘する。
・若者を取り込め
 駅ビルを訪れる客をどう取り込むかが、京都商業界の焦点になりつつある。若い女性向けの商品にウェイトを置くジェイアール京都伊勢丹に対し、京都近鉄は「オーソドックスを貫きながら違いを出す」(稲垣社長)と戦略を秘める。観光客中心だった観光デパートは、ファッション分野に乗り出す。
 四条界隈の4百貨店は、いずれも今年3月から9月にかけて店舗を改装、対折策を進め始めた。高島屋は今春、地元商店街との連携強化のための担当ポストを新設。近くの娯楽施設と共同イベントも計画し、若者を四条に引き込もうとしている。
 近郊地域でも戦略を練っている。今秋開業の草津近鉄百貨店(草津市)では「地域密着型に徹し、地元の顧客を徹底的に開拓する」(浅田直実社長)として、開業日を当初予定の10月から9月に前倒した。
 新京都駅ビルは、商業ばかりか地元経済界にも影響を与えそうだ。掘江日銀京都支店長は「消費のパイの膨らみは、観光や地場産業にもプラス効果。商業界の生き残りをかけた切磋瑳磨(せっさたくま)は、必ず京都経済の底上げをもたらす」と予測する。
 駅ビルの全館開業まであと2ヵ月。京都経済界の力を試される時が来る。(京都新聞)
■舞鶴線の電化申請 JR西日本 99年開業へ 京都から直通特急
 JR西日本は11日、懸案の舞鶴線(綾部−東舞鶴間、26.4`)の電化・高速化に着手するため、必要な事業基本計画変更の認可を運輸大臣に申請した。認可が出次第今秋には着工、1999年秋の電化開業を目指す。
 計画では2ヵ所の変電所設置と、架線設置のためのトンネル(6ヵ所)掘り下げ、車両改造など行う。総工費約45億円で、うち車両改造を除く約40億円の半分を京都府と舞鶴、綾部両市が負担、残りの大半を地元の各種団体などでつくる「JR舞鶴線電化・高速化促進協議会」が支出する方向。
 電化後、福知山−東舞鶴間の普通列車が電車となるほか、京都−舞鶴間に直通の特急電車を運行する。
 昨年3月の山陰線電化の余波で、京都−舞鶴間の直通特急が激減。舞鶴線電化が沿線にとって大きな課題となり、府と舞鶴市などが強く実現を要望していた。昨年7月、東舞鶴駅の高架完成式で、同社の井手正敬社長(当時)が今世紀内の電化開業の意向を表明。同社で詳細を検討していた。
・10月にも起工式を 荒巻知事が期待感
 京都府の荒巻禎一知事は11日の記者会見で、JR舞鶴線の電化申請について、「環日本海時代に向けた府北部の重要なインフラ整備になる」と歓迎するとともに、「10月にも起工式をしたい」と述べ、早期着工へ府として協力していく姿勢を示した。
 この中で荒巻知事は、「舞鶴に鉄道敷設の声が高かった平安建都1100年の時には、対ロシアの政治・経済的意味合いがあった。今は、環日本海時代へ大きな意味を持つ」と評価した。(京都新聞 夕刊)
■京滋でも大雨被害 石垣崩れたり床上浸水
 梅雨前線の停滞で京滋でも10日、局地的に強い雨が降り、商店や民家で床上や床下浸水が相次いだ。民家の石垣が崩れたり、交通機関にも影響が出た。消防や土木事務所、警察関係者が出動し、土のうを積むなど被害防止にあたった。
 同日午後2時ごろ、京都市左京区一乗寺松原町、彫刻家小門光男さん(77)方の石垣(高さ約2.5b)が、長さ約11bにわたって崩れ、石や土砂など約20立方bが家の前の私道をふさいだ。けが人はなく、市消防局や左京土木事務所職員が防水シートや土のうで応急処置をした。
 また、30分後の午後2時半ごろ、山科区竹鼻外田町や同区東野狐薮町で側溝の水があふれた。美容院1戸が床上浸水したのをはじめ、民家など3戸が床下浸水した。東山区の東山ドライブウェーで枯れ木が道路に倒れたほか、右京区梅ケ畑殿畑町の山道わきの斜面が約5bにわたって崩れ、土砂が私道をふさいだ。
 また、滋賀県多賀町萱原の県道、草津市山寺町の県道、大津市伊香立生津町の林道の3ヵ所で土砂崩れが起き、通行止めになっている。
 鉄道関係は、雨に伴う徐行運転でJR山陰線、福知山線で特急7本と普通9本が40分から5分遅れた。(京都新聞)
■整備新幹線着工の検討委が15日発足 政府・与党
 整備新幹線4線7区間の新規着工順位などを決める政府・与党検討委員会が15日発足する。検討委のメンバーは、政府側が梶山静六官房長官、三塚博蔵相、古賀誠運輸相、白川勝彦自治相らで、自民党側は加藤紘一幹事長、山崎拓政調会長ら。事務局は運輸省鉄道局に置く。
 検討委は、開業後の黒字化のメドや、並行在来線の経営分離について地元自治体の同意を得られるかどうかなどを中心に検討し、着工順位を決める。(朝日新聞)
■新駅ホームに移設 JR京都駅の陶板壁画
 JR京都駅ビルの改築にともない、旧駅中央改札口に掲げてあった陶板壁画「京洛東山三十六峯四季」が新駅30番ホームに移設・復元され、10日、除幕式があった。ベルギーの造形家で壁画制作にあたったルイ・フランセンさんも出席。
 壁画は故・西山英雄画伯の原画をもとにつくられた縦2.7b、横22bの大作。清水寺や八坂神社など四季折々の古都の名所が描かれている。京都駅開業100年を記念して1977年、旧駅に飾られたが、今回の改築工事で一時は駅舎とともに取り壊すことも検討された。しかし、JR西日本が「国際観光都市の玄関口にふさわしい壁画」と判断、3つに分割したうえで新駅に移転・復元した。(朝日新聞)
■NHK岡山の記者から聴取 酔って列車止める?
 岡山市西川原のJR山陽本線の踏切で、障害物検知装置の向きがずれたため貨物列車が緊急停止する事故があり、原因を調べている岡山県警東署が、往来危険の疑いもあるとみてNHK岡山放送局の記者(28)から事情を聴いていたことが11日、分かった。
 JR西日本によると、事故は8日夜、発生。列車の運転士が踏切から立ち去る男性を発見、調べたところ、踏切近くに記者の上着、名刺入れと携帯電話が落ちていた。
 JRから連絡を受けた東署の調べに、同記者は「洒に酔っていて全く覚えていない」と話しているという。(京都新聞 夕刊)
■地元の声反映 舞鶴線電化へ JR西日本が申請
 京都府のJR舞鶴線(綾部−東舞鶴間26.4`、単線)が電化されることになり、JR西日本は11日午前、運輸大臣に認可を申請した。今秋にも工事に着手し、1999年秋の電化開業を目指す。
 舞鶴線は1904年に開通して以来、非電化の状態が続いている。電化の進む山陰線経由の直通特急は、気動車(ディーゼル)を除いて乗り入れができず、早期の電化を望む地元自治体とJR西日本が協議を続けていた。
 電化工事にあわせ、駅の前後にある分岐器を改良して駅通過時の速度アップも図る。車両改造費を含めた総事業費は約45億円と見込み、京都府、舞鶴市、綾部市が工事費の2分の1を負担する。JR西日本は電化後に京都から舞鶴方面へ直通の特急電車を走らせ、沿線の利便性を高めたいという。(朝日新聞 夕刊)
■NHK記者が列車止める? 岡山で事情聴取
 岡山市西川原のJR山陽線・川の上踏切で8日夜、障害物の検知装置が作動して貨物列車が緊急停止し、現場にNHK岡山放送局の記者(28)の名刺入れと携帯電話が落ちていたことから、県警が列車往来妨害などの疑いで事情聴取していたことが11日分かった。記者は「酒に酔ってしまい何も覚えていない」と言っているという。
 JR西日本岡山支社の調べでは、8日午後10時10分ごろ、同踏切の信号が赤になり、東京ターミナル発浜小倉行き貨物列車が止まった。障害物を検知する発光装置(高さ約70a)4機のうち1つの上部の向きがずれており、同支社は何者かが強く押して動かしたとみている。
 緊急停止で貨物列車が14分遅れたほか、普通列車など12本が遅れ約2000人の足が乱れた。
 NHK岡山放送局の浅井昭義・副局長は「本人は午後9時ごろから局舎内で日本酒を飲んだ後、外出したと聞いている。今のところ、本人のせいで列車が止まったとは断定していない。事実関係が明らかになった時点で対応を考えたい」としている。(朝日新聞 夕刊)
12日■新世紀の玄関口 生まれ変わる京都駅 5 都市再生 進まぬ整備プラン
 京セラの新本社建設が、油小路通の京都市伏見区中島掘端町で進んでいる。来夏には、高さ95bという京都一の高層ビルが完成する。すでに86bまで建ち上がっており、工事中のビルからは、新京都駅ビルも見渡せる。
・誘導的施策なし
 「市の『保全・再生・創造』の都市計画が市民合意を得たので建設に踏み切った」と、同社の森篤専務は話す。稲盛和夫名誉会長が京都商工会議所会頭を務めていることもあり、「南部開発の誘い水になろうという思いもあった」と打ち明ける。
 しかし、京セラに続く企業は今のところない。森専務は「市は誘導的な手を打ってほしい」と注文する。
 「保全・再生・創造」のまちづくり施策は、92年6月に市まちづくり審議会が答申した。バブル景気の最中で、市が京都ホテル(中京区)に「総合設計制度」、新京都駅ビルには「特定街区」という都市計画上の手法で、ともに高さ規制を緩和し「60bビル」を認めていた時期だ。いわゆる「景観論争」が巻き起こっていた。
 新施策は、東山・北山・西山など自然・歴史的景観が残る北部を保全し、都心部を再生させるとともに、南部は新しい都市機能の集積を「創造」するとしている。新京都駅と八条通一帯は、再生−創造両地域をつなぐバッファゾーン(緩衝地帯)と位置づけた。
 保全地域では、景観整備条例などで規制を強め、土地買い取りも行う歴史的風土特別保存地区を2倍に拡大するなど一定の前進が見られた。だが、再生地域のうち、市が「田の字」と呼び、ビルの高さ規制を31bとした都心部(河原町−御池−堀川−五条各通の内側)や、高さ規制を撤廃した南部の集積地域は、有効な誘導施策がないこともあって、遅々としたままだ。
 市では、本年度内を目標に、「田の字」地域を町家の再活用も含めた「職住共存地区」に、十条通以南・宇治川以北の油小路通周辺を「高度集積地区」とする整備プランを策定する方針だが、「まだ『宿題』の域を出ていない」(東川敏春都市計画局理事)という状態だ。
 こうした市の対応に、京都ホテル改築をめぐり景観論争を展開した京都仏教会の清瀧智弘常務理事(広隆寺貫主)は、新京都駅ビルが保存−開発の境界になるとしたうえで、「市は保存を優先した再生地域のまちづくりプランを早急に立てるべきだ」と批判する。
 一方、南部では、ワコール(南区吉祥院)が10日、本社ビルの45bビル建て替えで、起工式を行った。日本電産も南区と向日市の境界に100bの新本社ビルを構想している。いずれも「高度集積地区」を外れており、市の整備方針とのちぐはぐさが目立つ。
 市の新庁舎建設問題も、まちづくりにどう位置づけるか、不透明なままだ。市は93年度に現在地での建て替え案をまとめたが、白紙に戻し、この6月に仕切り直しの新庁舎整備懇談会を発足させた。
・駅ビルのみが突出
 「南部に移転すれば開発の起爆剤になる。跡地活用で都心部も活性化する」(京都経済同友会・平井義久常任幹事)という意見がある半面、財政難を理由に二の足を踏む向きも多い。
 同友会の会合ではこんな声が出たという。「このままでは新京都駅ビルは北部と南部の壁になるだけだ」
 バッファゾーンは、二つの特色ある地域があってこそ意味を持つ。だが、現状は、新京都駅ビルのみが巨体を突出させ、未来図のない京都のまちを睥睨(へいげい)しているかのように見える。(おわり)(政経部 藤木泰嘉、大橋晶子、石川一郎、森実賢広、大阪支社編集部 布部拓男)(京都新聞)
■ごみ処理はお任せ JR貨物 本格的に売り込み
 JR貨物(本社東京都千代田区、金田好生社長)は11日までに、本社内に「環境事業推進室」を新設し、産業廃棄物(産廃)の鉄道輸送や処理センター建設など廃棄物処理事業に乗り出し、企業や地方自治体に売り込みを図っている。
 伸び悩んでいる鉄道貨物輸送改善策の一環。同社は「鉄道輸送はコストが安く、環境にも優しい。将来は自治体や異業種企業と協力してごみ発電などリサイクル事業も手掛けたい」と意気込んでいる。
 JR貨物は阪神大震災で出た木くず約3万8000dを貨車で首都圏に運んだ実績がある。最近は川崎市で生活ごみを臨海の処理施設までコンテナ輸送しているほか、埼玉県大宮市でも「さいたま新都心」の工事で出た建設残土を同県熊谷市まで運んでいる。
 しかし、いずれも運搬距離が数十`と鉄道輸送としては短く、採算は「良くてもとんとん」(広報グループ)というのが実態で、売り上げも年間数億円程度にとどまっている。
 そこでJR貨物は、廃棄物処理法改正などで責任が重くなった排出企業や自治体を狙って、廃棄物の運搬や処理事業への本格的な進出を開始した。
 具体的には来年4月ごろ完成する予定の東京貨物ターミナル(東京都品川区)に建設中の国内最大規模の産廃処理センターで、大手家電メーカーの関連会社と共同で1日160dの産廃処理やリサイクルを行う新規事業が最大の目玉になりそうだ。
 このほか、埼玉県越谷市の自動車工場から出るシュレッダーダスト(車の破砕くず)を福井県敦賀市まで運ぶ契約も結んでいる。
 家庭ごみでは、容器包装リサイクル法でリサイクルが義務付けられたペットボトルの輸送に狙いを定め、大都会から三重県や北九州市など全国に8ヵ所あるリサイクル工場まで鉄道輸送する契約を結ぶ計画を立て、自治体に打診している。(京都新聞)
■JR関西線一時不通 加茂で落石警報作動
 11日午後4時25分ごろ、京都府相楽郡加茂町銭司のJR関西線加茂−笠置間で、線路わきのがけに設置されている落石警報装置が作動。同区間の運転を見合わせて落ちていた岩を固定させ、4時間後に運行を再開した。
 JR西日本の係員が点検したところ、笠置駅から西3.6`のがけから落下した直径約1bの岩が落石止めさくで、さらに同50aの岩が切断した落石警報装置のワイヤーで止まっていた。線路上に異常はなく、けが人もなかった。
 午後5時8分から代替バスを同区間で運行、ワイヤーで岩をさくに仮固定させ、午後8時25分から徐行運転を再開した。この事故で、上下12本が運休、最大で約3時間15分遅れ、約950人の足が乱れた。(京都新聞)
■新駅開業より1日早く 京都駅北交番が開所 中央コンコースの東側
 七条署は11日、新京都駅の開業より1日早く、下京区の同駅ビル内に開設する「京都駅北交番」の開所式を行った。同署長や初代交番所長らが、京の玄関口を守る拠点として駅周辺の安全確保に努めたい、とあいさつした。
 京都駅北交番は広さ約50平方bで、駅ビル1階の中央コンコース東側に設けられた。所長を含む7人の七条署員が3交代勤務で、JRや近鉄、市営地下鉄の駅、駅ビル内の施設や駅前広場の治安を守る。
 この日、交番前で行われた開所式には、府警や駅の関係者ら約40人が出席した。木村六洋・七条署長や佐内茂・府警地域部長らのあいさつのあと、初代の同交番所長を務める大塚初志警部補笥じが「京都の玄関口を守る責任の重さを実感している。誠意をもって積極的に交番活動に取り組みたい」と決意を述べた。(京都新聞)
■未来への発着点 JR新京都駅 きょうオープン
・京都の新しい門 作家 菅 君江
 京都駅ビルがついに開業する。京都人も観光客もぎょつとするほどの斬新さだが、これが今後は京都の入り口、いわば現代版羅城門になるのだ。
 羅城門は京の都の門だった。門をくぐる行為は、異世界へ足を踏み入れるのと同じ意味を持つ。住宅の門の中は他家の領分だし、SFの分野ではスターゲートの向こうに遠い別の星系が広がっている。
 門の前に立つ人々は、異世界の様々なことに思いを馳せてきた。そこにしかない文物への憧れと期待、風俗の異なる人々と出会う時のときめきの予感。それは、この奥にあなたの思い描く夢の世界がありますよ、と、まず門自身が語りかけているに等しい。
 京都観光にやってくる人々は、まずこの駅ビルを見上げて「京都」という夢を見始めることになる。だからこそ、設計コンペの時からずっと、議論の中心は「京都らしいかどうか」だった。
 駅ビルに限らず、開発か否かの論争においては、皮肉にも常に、京都市が京都らしさのために掲げるスローガン「伝統と創生」が真っ向から対立してしまうように思う。伝統も創生も、人に提供すべき夢の一種だ。自覚と誇りと勇気を持って臨めば、両立できるような気がするのに。
 なにせ現代科学は素晴らしい勢いで進んでいるのだ。伝統的な町家の外観を保ったまま、内部にコンピューター配線を走らせてインテリジェンス化した人もいる。これこそ、ハード(入れ物)で京都独自の夢を保持し、ソフ卜(中身)で未来の創生に荷担するものではなかろうか。
 このバランスの良さを拡大して街全体をテーマパークにしてしまうのも、極端ではあるが観光都市の一つの選択だと思う。文化的な生活に必要だが売り物である「京都らしさ」にそぐわないもの、たとえば高容積の集合住宅や工場は、ファイバーで太陽光をたっぷり引いた地下に建造するなどして、徹底的に隠してしまってもいい。京の都という特権を活用して古き良き時代を演出し、その実、機能は大都市に引けを取らないなんて、想像しただけでも楽しくなる。
 町家の例とは反対に、京都らしさはハードだけに宿るものではないという視点も持っておきたい。最新の設備を駆使することでようやく貴重な伝統産業が綿々と受け継がれるのであれば、外観は超近代的でも仕方がないと思うのだ。他にないソフトを重視するという観点ではこれもまた京都の浪漫なのだから。
 私は、「伝統と創生」は今後の科学力をもってすれば折り合えるものだと信じている。大切なのは「京都」の自覚だ。ハードであれソフトであれ、都の夢を積極的に提供する努力を忘れ、京都らしさに頓着しなくなったその時には、潔く文化観光都市の名を返上する覚悟が必要ではないか。
 駅ビルというハードの中には、きっと京都の門にふさわしいソフトが詰めこまれることだろう。夢と浪漫を求める人々がこの門の向こうにどんな京都らしさを感じ取ってくれるかで、この街の行く末が決まってくる。
 現代版羅城門は、未来へ通じるゲートでもあるのだ。
すが・ひろえさん 1963年、京都市生まれ。府立桂高校時代からSF小説を書き始め、92年、93年に「星雲賞」を連続受賞。日本推理作家協会、日本SF作家クラブ会員。代表作に「メルサスの少年」、「雨の檻」、京都文化の特色を描いた「鬼女の都」など。
・京都発展、国際化に貢献 京都府知事 荒巻 禎一
 京都府の新しい玄関口として、平安建都1200年記念事業に位置付け建設が進められてきた新「京都駅」が、本日開業を迎えられましたことは、私ども京都府民の大きな喜びであります。
 京都駅ビルは、明治、大正、昭和に次ぐ4代目の駅舎のほか、文化施設、ホテル、商業施設をはじめ京都府旅券事務所、国際センター、観光情報センターなども入居する多機能な複合ターミナル施設であります。
 ここに集う「ひと」「もの」「情報」「文化」を府内外や世界に向けて交流・発信させる拠点として、また、京都の未来に向けた創造的な都市空間を形づくるものとして、明日の京都の発展や国際化に大きく貢献するものと確信しております。
 さっそく、8月の全国高校総体(インターハイ・京都総体)や、12月の地球温暖化防止京都会議などの開催で、多くの方々を新「京都駅」でお迎えできますが、この壮大で斬(ざん)新な京都のシンボルの姿を全国や海外に伝えていただけるものと楽しみにしております。
 京都駅ビルが、京都の新時代を担い、京都府全体の活性化に大きな役割を果たすことを期待いたします。
・「平成」を象徴する記念碑 JR西日本社長 南谷昌二郎
 平安建都1200年を契機にした地元京都の人々の熱意を受けて、新京都駅施設がようやく開業の運びとなりました。単に私どもの会社の駅やビルができたというだけでなく、京都の新しい玄関口と拠点ができたと考えており、市民の方々に喜んでいただけるものと期待しています。
 京阪神とひと口に申しますが、関西の3都市は、東京を中心に同心円状に発展した関東圏と異なり、一つひとつが特徴のある「まち」を形づくっています。そして、この3つの都の性格を生かした交流を、もっと活発にしていくことが大切だと思っています。
 京都は、まず思い浮かぶ古都というイメージとともに、1200年を超える歴史のそれぞれの時代時代に、常に新しいまちづくりに取り組んできたことが、特筆されるべきでしょう。
 新しい京都駅には、平成の時代を象徴する記念碑として、まちに溶け込んでいってほしい。さらに、南北自由通路、百貨店、ホテルなど駅の各施設が起爆剤となって、新たな商圏を確立し、これから発展していく京都のまちの中核となり、古都の新しい魅力を生み出すことを、なにより願っています。
・「観光振興元年」の弾みに 京都市長 桝本 頼兼
 新京都駅の開業を心からお慶び申し上げます。
 今、世界文化自由都市・京都の新たな歴史を開く門として、京都駅はモニュメンタルなデザインと多彩な機能を備えたわが国最大規模のグランド・ステーションに生まれ変わりました。
 新京都駅の完成は、地下鉄烏丸線の国際会館への延伸開通や10月の地下鉄東西線開業など本市の都市基盤整備と相まって、京都発展の大きな礎となり、京都観光の再生と飛躍をめざす新たなスタート「観光振興元年」の大きな弾みになると期待しています。
 また、本日から駅南北を結ぶ新たな歩行者空間・南北自由通路や新しい観光案内所を皆さまにご利用いただけるようになりました。
 祇園祭や8月の全国高校総体、12月の地球温暖化防止京都会議など世界の人々を新京都駅でお迎えできることを市民の皆さまとともに喜びたいと思います。
 この未来に先駆ける広大な駅空間から、京都の歴史や文化発見の旅が始まります。人、もの、情報が集い、交流し、旅立つ拠点として、21世紀の京都全体の発展に新京都駅の果たす役割は一層重要になります。
 京都駅のますますの発展を心から祈念いたします。
・経済活性化へ大きな役割 京都商議所会頭 稲盛 和夫
 近年、アジア諸国を中心とした訪日観光客の増加とともに、世界的な大交流時代の到来が予感される。これからの都市の魅力を形成するのは、幅広い分野で発信されるオリジナルな情報であり、京都が地域間競争で優位性を保つためにも、多様な分野で新たなニーズや雇用を創出する可能性のある集客・観光産業の見直しが今、求められている。
 こうした中、ガラス屋根や吹き抜けなど大胆な空間構成により完成した新京都駅ビルは、交通ネットワークの拠点としてだけではなく、人々が集い楽しめる京都の新しいランドマーク、文化の創造・発信拠点として、観光関連産業はもとより京都経済の活性化に果たす役割は大きく、7−9月の各施設のオープンを心待ちにしている。
 一方、京都南部では、京都高速道路やJR奈良線の高速化・複線化などの交通基盤整備が進み、関西文化学術研究都市のセカンドステージプランや木津川右岸地域整備構想なども具体化してきている。京都南部に求められる役割はますます大きくなってきており、この京都駅ビルが新たなゲートウェイとして、21世紀の京都再生
の起爆剤となることを期待したい。
・京の玄関 装い一新 商業地図 2極化へ 座談会 新京都駅ビルと京のまちづくり
出席者京都大大学院経済学研究科教授吉田 和男氏
 堀場製作所社長堀場 厚氏
 業態開発研究所所長モナト 久美子氏
司会小野賢次 京都新聞社取締役
堀場さん 新拠点形成に意義・多様な文化生かせ
吉田さん 空洞化現象止める・先進性と共存課題
モナトさん 若者が集う場所に・美観守るりが基本
 新しい京都駅ビルは、7月12日の駅開業をスタートに、9月にかけて文化、商業施設などの入った大規模な複合施設としてオープンする。JR京都駅周辺は駅ビルを核とした新しい商圏が誕生すれば、四条河原町を中心とした京都のこれまでの一極集中型の商業地図に大きなインパクトを与える。21世紀に向けて新駅ビルが京都の新たなまちづくりにどうつながっていくのか。京都大教授の吉田和男氏、堀場製作所社長の堀場厚氏、業態開発研究所長のモナト久美子氏に話し合ってもらった。(文中敬称略)
 −一部開業することになった新しい京都駅ビルをどう見るか。
 吉田 京都は厳しいジレンマを抱えたまちといっていい。それはまちの発展と保存が両立しないといけないからだ。その意味で、高さ規制が絡み景観論議を呼んだ新京都駅ビルは、京都の保存と開発の象徴的な存在といえる。市民らが新しい駅ビルに魅力を感じるまでには、そこそこ時間がかかるのではないか。
 堀場 京都は大きな意味で活性化しなければならない。明治時代にはいろんな文化・文明を取り入れて、水力発電所や市電、琵琶湖疏水など画期的なモノをつくり活性化した。新しくできる京都駅ビルが核となって、駅周辺が四条河原町周辺に加えて、京都のもう一つの拠点を形成するならば、大変意味がある。
 モナト 新京都駅ビルに百貨店のジェイアール京都伊勢丹が進出することで、既存の京都近鉄百貨店、地下街ポルタ、八条口のアバンティなど商業施設が、それぞれうまく結びつき、一つの面的広がりを持てば面白い。大丸、高島屋や綿小路を結ぶエリアを中核とした商業集積地域と同じ面的な強さを発揮させることによって、駅前付近が商業地域として活性化するのは可能だと思う。
 −京都駅ビルは商圏の拡大など京都経済に大きな影響を与えることになるのではないか。
 吉田 いま、地方の有力都市の多くで衰退現象が起きている。既存地域は規制の網がかかり、大店法(大型小売店舗法)の「規制」もあって、新たな開発の動きは勢い郊外が中心となり、人の流れも郊外へ郊外へという状況になっている。いわゆる空洞化現象だ。京都が駅ビル建設という形ででも商業圏の拡大に踏み込まなかったならば、京都の衰退につながる可能性もあった。
 モナト 聞くところによると、京都にやってくる修学旅行生の中には、自由時間があると、四条河原町から大阪・梅田に行き、「アメリカ村」で遊ぶ生徒も多いとか。非常に残念なことだが、果たして京都は若い人たちにとって魅力のある街なのか疑問を抱く。新駅ビルが若い人にアピールするものを打ち出せれば…。
 堀場 先日、京都駅で、劇場「シアター1200」のオープニングを飾る前売り券を買おうとする若い子の長い行列に出合い、驚いた。京都では大変珍しい現象ではないか。私がサッカーJリーグの京都バープルサンガ後援会長を引き受けた理由の一つは「若い人たちが燃えるきっかけをつくれれば」と思ったからだ。トリガー(引き金)をいくつもつくることが多様化社会の中では大切であり、駅ビルも一つのトリガー効果につながればいいと思う。
 −京都駅ビルの改築に当たっては、まちづくり、景観面からさまざまな論議が起きたが。
 吉田 都市を理解するうえ多様性にある。京都は過去の遺産も多いが、一方で、若者がエキサイトできるような場所も当然必要だ。都市の機能が強化されることによって、保存すべきところも保存されるようになる。もし京都が「保存しなければならない」という立場に偏り、街の機能が衰退していくと、それを支える基盤もなくなる。
 堀場 保存すべき地域は徹底的にやればいいが、経済効果が成り立つような緩和は都市経営のためには欠かせない。世界の古い都市でうまくやっているところはそうしている。
 吉田 都市がどうしても猥(わい)雑化するのはある程度やむを得ない。京都の場合は、この交通整理を十分にする必要がある。米国型よりも欧州型の都市のつくり方が京都には必要だ。欧州は中世以来、教会が中心にあり、ほとんど保存されている。中は全然違うが外側だけ残している。ゾーンニング(区域分け)ばかりで縛るのは賛成しないが、京都の場合は残さなければならないモノも多く、適宜適切なゾーンニングは必要だろう。その中で自由度を上げればいい。
 モナト 世界でも歴史的な街では保存ということで頭を痛めている。よく「京都は、さわれないから」と言われるが、例えば、イタリアなどでは12世紀以来、さわってはいけない道路がたくさんあったりする。工事に7年や8年かかるのは当たり前という感覚で、開発業者も気長に取り組む。
 その点、日本の開発基幹は非常に短く、その間にすべてやろうとするから無理が生じやすい。パリにデファンスという高度集積地区がある。日本ではもう終わった計画とみられているが、実際は2020年ぐらいまでの開発プランがあるほど。計画をつくる段階から、詩人や俳優まであらゆる層の市民が、最初から最後までかかわって徹底的に議論するのに対して、日本では形だけの市民参加で実質は行政が描いたプランの域を出ないから良い知恵が生まれない。
 堀場 パリの中心部の旧市街では、石壁だけを残して中を建て替えている。全部つぶして建て替えるより、はるかに費用がかかる。日本の場合は木造の問題はあるが、中は変えても外観は保存して行くべきだ。京都の場合、おしなべて制限し、おしなべて保存しようとして、結局ペンシルビルが立ち並ぶ状況に陥っている。
 −保存と開発のバランスをどうとるか。難しい問題だ。
 モナト 先進国の中で、日本ほど自治体の都市計画担当部局に力がない国はないと思う。リーダーシップを持たせないと、きれいな都市計画はできない。保存を含めて、まちを守るために行政の権力はある程度必要で、こうした考えは欧州では共通認識になっている。
 吉田 京都には狭い地域ではあったが、町衆という自治組織が仕切ってきたところがある。こうした機能が相対的に低下し、それに代わるものがない。勢い行政に頼ることになるが、実業界も含めて開発と保存のバランスを取らなければならない京都という価値観を共有するセンスに欠けるようだ。
 保存を考える場合、単に既にあるものを保存するというのではなく、もっと積極的であるべきだ。例えば、観光地として有名な平安神宮は決して古くはない。平安神宮のようなモノを積極的につくる発想が必要だろう。「おもしろ おかしく」を社是とする掘場製作所が新観光コースになってもいいわけだ。
 −京都駅ビルの完成で「南部地域の開発・発展の可能性が強まった」との見方もある。
 吉田 京都駅周辺はダウンタウン(繁華街)としての機能があまりなかった。高度集積地区としての整備が期待される南部地域にかけての開発は京都の多様性を高める点で面白い。
 モナト 確かに京都駅改築が一つのバネとなり、高度集積地区の開発の流れが出ているが、さらなるインフラ(社会資本)整備が進むことを望みたい。特に、伏見は経済開発面だけでなく、観光地としても高い魅力を持っている。
 堀場 その通りだ。京都ほどバラエティーに富む文化を持ったまちは珍しい。お茶、お花、芸妓、舞妓から近代の出版、印刷などあらゆる業種をバランスよく持っているまちは京都だけだ。京都にはなお多くの潜在能力がある。しかし、今日までほとんどアピールしてこなかったのではないか。
 −京都駅開業に続いて地下鉄東西線も10月に開通し、京都の交通体系は大きく変化するが。
 吉田 京都には昔、市電が走っていて、まちに合っていたが、モータリゼーションの波に押され廃止された。問題はその後ただちに代替交通機関ができなかったことだ。京都では鉄道の大半が繁華街の外にある。阪急以外はJR、京阪、京福しかりで、交通ネットワークが成立しなかった。山科や洛西地域は鉄道へのアクセスが悪い。その点、市電はネットワークができていた。地下鉄は代替交通機関として一番効率的だが、建設コストがかかりすぎる。だから洛西ニュータウンヘの交通機関としては、計画している地下鉄にこだわるのは得策ではない。別の発想による交通システムが望まれる。
 堀場 例えば、洛西地域へはモノレールのような割安なシステムが必要ではないか。
 吉田 ほかには白梅町と出町柳を路面電車で結ぶことで結構便利になる。京都の都市機能を考えると、碁盤の目を生かす交通システムを考えるべきだ。
 モナト 米国フィラデルフィアではいったん廃止した市電を一部復活する動きがある。旅行者にとっては、安心して回れる交通ネットワークが整備されていると便利に違いない。
 −都市計画の視点から将来のまちづくりをどう考えるべきか。
 モナト 京都には見えないコード(規定)がたくさんある。美観を守る京都のコードがまちづくりの中で生かされているか、はなはだ疑問。遊技施設の激しい音や奇抜な看板とか、観光産業に立脚しながら、それを守るコードがなさすぎる。まちづくりの基本コードを見直すべきではないか。
 堀場 実際、見直しは行われているが、その中身が中途半端だ。今後、京都市が建てる建物については将来こうあるべきだ、というモデルを建ててはどうか。具体例をあげると、御池通の電柱は、これが京都のメーンストリートの電柱デザインなのか疑う。市の行政だけでなく、まちづくりに対する市民意識の高まりも欠かせない。
 モナト 日本は公的施設のつくり方が下手だ。海外では商業と文化をどう一体にするか、自治体が採算を考えながら行っている。公共施設でも面白いカフェや施設があり、赤字を黒字にする努力をしている。
 吉田 保存と先進性をどう共存させるかが課題だろう。保存のために規制は必要だが、規制が経済の先進性をつぶしては意味がない。都市経営では両者の接点をどう見つけるかだ。ダウンタウンがない都市は面白くない。それをどうバランスよく取り込むかがポイントだ。新産業が自由にかつ実験的に仕事に取り組める場所も必要といえる。京都は大学をはじめ知的資源が多い。京都で勉強した優れた人材を流出させていいのか。その意味でも法律で企業を追い出していては駄目だ。
 堀場 当社を含めハイテク企業は京都に数多くあり、優秀な学生が来ることで世界で負けない競争力のある商品を生み出してきた。つまり京都は過去に人的なインフラは完成していたわけだ。だが、京都から大学の流出が進み、大切なインフラの一部が崩れつつある。工場も同じだ。新工場を建てるとき京都市内に建てるか検討したが、京都市内ではコストがかかりすぎる。理由は規制が強すぎるからだ。企業活動を行うには、まず理解に苦しむ規制を撤廃すべきだ。京都市の税収は頭打ちで到底、投資に回らないのが現状だろう。問題の解決には経済をもり立てることが第一だ。収入を伸ばし活性化するなど思いきった切り口で取り組まないと、ジリ貧から脱出はできない。
 −京都は、会議都市としてコンベンション機能を強化してきたが、今日では他都市に後れを取りはじめている。
 モナト アジアではシンガポールがコンベンション都市を宣言し有名だ。会議の誘致では、シンガポールは国としての戦略を持っている。海外の参加者に聞くと、「京都は3時間もあればいろんな観光を楽しめる。これほど魅力的な場所はほかにはない」という。それにもかかわらず、その魅力を売り出すセールスが下手だ。コンベンション都市を打ち出すなら、『アジアに向けてやる』という姿勢を鮮明にしている福岡市のやり方を見習うべきだ。京都は会議誘致に向け明確な戦略を持たなければならない。
 堀場 会議開催も一つの経営であり、経済効果だ。国際会議と観光・イベントなどをパッケージングすべきだろう。特にユーザーのニーズに合ったパッケージングが必要になる。例えば会議に同伴する夫人らが、どこで何をしたいかといったことを考慮して企画しているだろうか。『京都にはなんでもある。だから自由にしてくれ』では駄目だ。
 −京都駅ビルには世界に情報発信する機能の充実が求められる。
 堀場 世界的な観光都市の市民は、まちづくりや世界にアピールすることに、どれほど努力してきたか、今もしているかを京都の市民は知るべきだろう。また、京都の人がどれほど多くの観光客を受け入れる態勢を整えているか、となるとはなはだ疑問だ。観光客は期待に胸をふくらませ京都に訪れる。だが、多くは不満を持って帰っているのではないか。そこで精神的に開かれた心のインフラを整える必要がありそうだ。
 モナト やはり大切なのは人間の触れ合いによる情報インフラで、この整備が欠かせない。個人が横のつながりを持てば、もっと素晴らしい産業が生まれると思う。受け入れ態勢の問題では、住民のマナー向上が必要ではないか。京都の人には「観光に来ていただく」という意識が、まだまだ薄い。
 吉田 京都が世界に情報を発信するには、まず日本全国に発信しなければならない。例えば、京都大学だが、京都市民は『百万遍でいったい何をしてはるんやろ』と思っているに違いない。市民にすら大学は情報を発信していないのが現状だ。情報を発信できる場を設けることが大切だ。目に見えないコードはすべてが悪いのではない。問題は目に見えないだけに、それを分かりやすく解説する人が必要なのだ。ただ情報を発信するだけでなく、その姿勢を理解してもらう。その意味で京都の精神のインフラ整備、心を開くインフラ整備が求められる。
 −ありがとうございました。
 吉田和男(よしだ・かずお)氏 京都大経済学部卒。大蔵省主計局主査、大阪大助教授などを経て京都大経済学部教授。88年から現職。著書に「解明 日本型経営システム」「超円高時代の経済学」など。大阪府出身。
 堀場厚(ほりば・あつし)氏 甲南大理学部卒。カリフォルニア大大学院工学部電子工学科修了。72年堀場製作所入社。海外本部長、営業本部長、専務、生産本部長などを経て92年から現職。京都市出身。
 モナト久美子(もなと・くみこ)氏 津田塾大英文学科、コロンビア大大学院仏語学科卒後、パリ大第4(ソルボンヌ)大学院修了。商業開発コンサルティングの仕事を始め93年帰国。昨年5月から現職。兵庫県出身。
・買い物、娯楽、情報 新しい駅ビルから出発
 新京都駅でルがいよいよ完成する。きょう12日に「平成の京都駅」が開業、8月に劇場と映像施設、9月には百貨店とホテル、専門店街など商業施設が勢ぞろいして、全面オープンする運びだ。平安建都1200年記念事業として計画されて約13年。景観論争を巻き起こした高さ約60b・東西約470bの巨大な駅ビルは、京都活性化への期待と新しい街づくりの課題をかかえ、21世紀への扉を開く。
 新しい京都駅ビルは、1877(明治10)年の開業時の駅舎から数えて4代目にあたる。前駅ビルが老朽化したため、京都市が旧国鉄に改築を要請した。
 1984年に建都1200年記念事業に指定され、90年にはJR西日本と京都府・市、経済界が、京都駅ビル開発会社を設立。地元あげての一大プロジェクトとなった。
 駅ビル建設は91年に設計コンペを行い、高さ120b案も出る中で、建築家・原廣司氏(当時東京大教授)の案に決まった。高さ59.8bの最も低い案だった。しかし、同駅周辺の規制は31b。当時、京都ホテル(中京区)の60bへの高層化をめぐって激化していた景観論議に拍車をかけた。
 京都市は、高さ規制を緩和する都市計画法の特定街区制度を導入。ようやく93年12月に着工した。
 新京都駅ビルの総事業費は約1500億円。地上16階、地下3階、延べ床面積約23万8000平方bという国内最大級の規模を誇る。
 中央のコンコースは、吹き抜けと段丘状の構造で、盆地の京都をイメージ。一方、外観は金属パネルとガラスを多用して、近代的な装いとした。
 内部は、コンコースの東側にホテルと映像などを駆使した娯楽施設、西側に百貨店、1階と地下に専門店街を配置。国内有数の複合施設となっている。
 この駅ビル出現で、駅周辺は四条河原町など都心部の繁華街ときっ抗する商業集積地への変貌(ぼう)も予想される。経済界の懸案だった市内商圏の多極化に向けて競争時代を迎える。
 また、市内の交通網は、今年6月に地下鉄烏丸線が国際会館駅(左京区)まで延伸、10月には同東西線(醍醐−二条)が開通することによって一段と充実、関西国際空港と75分で結ぶ「国際ステーション」としての期待も大きい。
・観光・行政関係施設 仕事帰りに旅券申請
 JR西日本の美術館「えき」(延べ床面積約400平方b)が9月11日、7階にオープンする。ジェイアール京都伊勢丹が運営し、絵画や写真、ファッションなど幅広く展示する。
 観光関係施設では、京都市観光案内所が7月12日、駅前広場から2階の南北自由通路の近くに移る。京都府観光情報センター(下京区烏丸通七条角)も9月11日、9階にオープンする。広さは現在の5倍となり、相談カウンターを新設、土・日曜日、祝日もオープンへ。
 国際関係施設では、京都府旅券事務所(中京区)が8階に移転し、同8日から業務を始める。窓口終了時刻(午後4時)を延ばし、仕事帰りにも利用できるようにする。
 旅券の申請も整理券方式を導入する。
 京都府国際センター(府庁内)も同11日から9階に入る。不眠や留学生がくつろげる交流サロンや情報提供コーナーを設けるほか、日本語・外国語教室も開く。
 このほか、京都社会福祉会館(上京区)にある京都授産振興センターが同11日に9階に移り、福祉ショップを開く。府内の授産施設と共同作業所(計103ヵ所)の障害者が手掛けた陶器や革製品など各種の製品を販売する。これまでカタログ・出店販売に頼っており、初の常設店となる。
・ジェイアール京都伊勢丹 食料品売り場も充実
 ジェイアール京都伊勢丹は、JR西日本と伊勢丹が出資した会社「ジェイアール西日本伊勢丹」の百貨店で、9月11日に開業する。JR西日本が手掛ける初の百貨店。関東中心の伊勢丹グループにとっては、初の西日本進出となる。
 駅ビル西部分の地下2階から地上11階までを占める。延べ床面積は約8万平方b、うち売リ場面積は約3万3000平方bで、京都市内の百貨店では4番目の規模となる。
 衣料品は伊勢丹本社で仕入れ、ファッションに定評を持つ伊勢丹の強みを生かすほか、クレジットカードも伊勢丹と共通化する。食料品売り場(地下1、2階)は勤め帰りの女性らをターゲットに集客を図る。
主な施設のオープン日程
7月12日京都駅施設
 南北自由通路
 京都市観光案内所
 西第2駐車場
 (別棟駐車場)
8月9日シアター1200
9月8日京都府旅券事務所
9月11日ジェイアール京都伊勢丹
ホテルグランヴィア京都
専門店街「The CUBE」
美術館「えき」
京都府観光センター
京都府国際センター
京都授産センター
西第1駐車場
東第1、2駐車場
(本棟駐車場)
 10階の約3000平方bにはセガ・エンタープライゼスの娯楽施設が入る。ターミナル施設内という立地を生かし、商圏を広く構えて宣伝活動を展開。売り上げ目標は年間320億円を見込む。
・京都駅ビル専門店街 「The CUBE」 土産も衣料も
 京都駅観光デパートが9月11日、京都駅ビル専門店街「The CUBE」(ザ・キューブ)と愛称も新たに開業する。
 入居店舗は68店。店舗面積は約4500平方bと、いずれもかつての約2倍、衣料、服飾・雑貨の24店が入り、始めてファッション分野に乗り出す。このほか、書籍、雑貨関係18店、京名菓、京土産13店、飲食12店、クリーニング店が入る。
 1階と地下1階は「おみやげ小路」、地下2階は「ファッション・ストリート」、レストラン街は11階。
 「キューブ」は3乗の意味で、専門店街をつくるファッション、京土産、飲食の3業種の相乗効果を願って名づけられた。
・シアター1200 新喜劇もミュージカルも
 文化施設「シアター1200」は、京都の魅力を新しい形で味わえる観光拠点だ。劇場「シアター1200」のほか、平安貴族の暮らしをAV機器で体感する「ラテルナマジカ」などを備え、8月9日にオープンする。
 劇場「シアター1200」(925席)は、舞台が暗くなると客席が写るハーフミラーカーテンを採用。レーザーやスモークマシンを設け、幻想的なショーを繰り広げる。
 ジャニーズ事務所が年間8ヵ月間、吉本興業とホリプロが各2ヵ月間ずつ公演する。8月のこけら落とし公演では、京都の伝説を盛り込んだショー「ジャニーズファンタジー『KYO TO KYO』」を上演、中居正広さんやV6ら人気タレントが連日、特別出演する。
 来年1月から吉本興業の新春寄席やチャンバラ新喜劇、3月にはホリプロのミュージカル「嘆きの天使」を予定している。
 「ラテルナマジカ」(75人収容)では、コンピューターグラフィックスで合成した大型映像や立体音響を駆使。降雨機も使い、平安朝の世界に誘う。
 このほか、「ドームシアター」(約240席)は、京の四季をドーム状のスクリーンで楽しみながら食事ができる。修学旅行生や観光客、地元の若者を中心に、劇場部分で年間65万人、全体で約200万人の入場を見込んでいる。
・ホテルグランビア京都 規模は府内2番
 ホテルグランヴイア京都は、9月11日開業する。客室数は539室にのぼり、府内のホテルでは新都ホテルに次いで2番目の規模だ。
 「グランヴイア」は、「グランデイス=大きい、素晴らしい」と「ヴイア=道」という意味のラテン語を組み合わせた造語。
 宴会場は1400人収容から30人収容まで大小12室。大理石のバージンロードがあるチャペルや神式など4結婚式場を備える。レストランは日本料理など14店が入る。
 JR西日本100%出資会社「ジェイアール西日本ホテル開発」が手掛けた初のホテル。同社出資の大阪、岡山など計7ホテルとグループをつくり、共同で広告・営業活動を繰り広げる。数ホテルで会員カードも共通化する。
・駐車場 1250台を収容
 京都駅ビル開発会社は、京都中央郵便局の西隣に9階建ての西第2駐車場(別棟駐車場)を7月12日にオープン。続いて9月11日には駅ビルに西第1駐車場(3−9階)と東第1駐車場(地下3階)、東第2駐車場(地下1階)を開業する。
 収容台数は計1250台の大駐車場で、西第2駐車場には、自転車1000台、バイク100台を収容する駐輪場も設ける。
 西第1・2駐車場はいずれも西洞院通、東第1・2駐車場は東洞院通が出入り口になる。
・新駅ビルへの期待と課題−利用者の声
 新しい京都駅の開業に向けて、駅利用者など市民の声は−。
・アイドル近づく
 大阪でのコンサートで、よく京都駅を利用する南区の高校生・橋爪彰子さん(17)
 劇場「シアター1200」のこけら落とし公演を見たくて、前売り券発売前日から並んだのにチケットが買えず、友達からやっと手に入れました。
 ジャニーズジュニアのコンサートを横浜まで見にいくほどのファンだから、京都でコンサートが見られるのはとてもうれしい。ジュニア単独のコンサートも関西では初めてで楽しみ。京都の繁華街でアイドルと会うチャンスも増えそうだし、アイドルとの距離が近くなる気がするなぁ。
・周辺にも人出を
 京都駅近くの七条通商店街で帽子店を経営する下京区の栗田博さん(70)
 駅ビルの外観はなんや城壁か軍艦みたいで、京都らしくないし、あまリイメージはよくないですな。デパートや劇場が一緒になった大きい複合施設だから、他府県からもたくさん来そうだけど、人出が駅だけなのか、周辺も巻き込むかは開業してみないと…。
 おなじみさんはたくさんいるけれど、それに頼ってるだけでは商店街の発展は望めない。仏壇・仏具店などの伝統産業は大丈夫と思うが、日用品や飲食関係は厳しくなりそうですな。
・おしゃれに食事
 JR奈良線を利用して京都市内で買い物する宇治市の主婦・三浦豊実さん(45)
 新しい駅ビルは京都にふさわしくないという意見も聞くが、ビルのガラス面に空の雲が写ったりしてきれいだし、私は良い印象を持っています。
 全面開業の9月には、さっそく京都伊勢丹に行きたいですね。関西では初の進出だし、どんな雰囲気なのか楽しみ。おしゃれなレストランでもあれば、家族で食事を−と思うし、シアター1200も主婦が足を運びたいと思うような公演やコンサートを企画してほしいですね。
・障害者へ対応は
 自らも車いすで、障害者と健常者の垣根のない社会を目指す日本自立生活センター事務局長の矢吹文敏さん(52)
 駅ビル内の各施設が、障害者を受け入れる態勢をどこまで整えているかがポイントだ。駅施設は、プラットホームからエレベーターを使い移動できるらしいが、駅員が障害者にどこまで付き添えるのか、駅自体の対応も気になる。
 JR西日本の駅員からJR東海の駅員に、荷物のように扱われ、バトンタッチされたこともあった。理想としては駅員が障害者個人個人の付き添いの要望に応じてもらえればと思う。
・案内を充実して
 近鉄京都線の高の原駅から通勤する精華町のOL・石川洋子さん(23)
 百貨店のなかでもファッション性が高いので有名な伊勢丹ができるのはうれしい。関西最初の出店が京都というのもいい。会社帰りに毎日のように通いそう。アイカード(伊勢丹のクレジットカード)も申し込みました。専門店街も内装などに気を遣ったおしゃれなレストランがあれば行きたい。
 今までの駅はごちゃごちゃして分かりにくいので、表示や案内を充実させ、分かりやすい駅に変身してほしいです。
・通勤の便改善を
 JRで山科駅から向日市に通勤する伏見区の会社員・山際晋司さん(34)
 個人的には派手好きなので、しゃれた駅ビルができたな、という感じです。景観についても特に違和感はなく、デパートができれば買い物なども便利になります。
 駅ビル開業に合わせ、9月から京都−高槻間の各駅停車が、昼間を中心に増強されるのはいい。ただ、朝の通勤ラッシュ時は15分間隔でなく10分間隔にしてほしい。午後5時以降の各駅停車は京都どまりが多く、しかも山科方面は別のホームからの発車で移動が面倒だ。
・サービス機能たっぷり 新京都駅施設 高さ60b吹き抜けも
 1877(明治10)年の京都駅開業以来、通算4代目となる駅舎が完成、その第1弾として12日からJR京都駅施設がオープンする。関西国際空港と直結し、JR西日本の新しい「玄関口」、京阪神都市圏のアーバンネットワークの要(かなめ)駅として、新たな門出を迎えた。
 新京都駅の中央コンコース(1階)は、広さ約1800平方b、高さ約60bの吹き抜け。天井部分はガラス屋根で全面覆われ、青空をも見通せる巨大空間だ。
 乗降ホームは「基本的に従来通り」(JR西日本京都支社)。中央コンコースから烏丸中央改札口を通ると、1番線ホームでは北陸方面行きの特急「スーパー雷鳥」などに段差なしで乗車できる。
 在来線の各ホームにはエレベーター、エスカレーターが新たに設置された。お年寄りや体の不自由な人にとって、乗り換えの苦労が少しは減りそうだ。
 駅施設の新機能として、切符なしに烏丸口側から八条口側に縦断する「南北自由通路」が開設される。
 駅ビル2階のほぼ中央部分を幅約12b、長さ約240bで貫く大型通路。在来線部分の跨(こ)線橋に隣接し、新幹線京都駅をくぐり抜けて八条通側につながっている。
 この南北自由通路のほぼ中央付近に、駅西口が新設される。既存の八条西口は12日から廃止となる。新西口は、ジェイアール京都伊勢丹や専門店街でのショッピングにも便利になりそうだ。
 駅では、新幹線京都駅側を除いて、新たに全改札口が自動化される。新西口には「みどりの窓口」も設けられる。
 関西空港へのアクセスは一層快適になる。94年9月に開設された京都シティエアターミナル(京都CAT)が、仮駅舎から地下1階に移転する。
 CATは、日本航空と日本アジア航空利用の場合、駅で荷物を預ければ海外の目的地の空港まで運んでくれるシステム。同航空2社のチケットが新たにCAT内で購入できるほか、航空荷物も自動コンベアーで運ぶ。
 関西空港まで最速75分で結ぶ特急「はるか」のグリーン車利用の乗客は、CATに隣接する喫茶ラウンジでソフトドリンクのサービスも受けられる。
 こうしたサービス向上の背景には、京阪バスなど3社が今月10日、京都駅八条口から関西空港に直結する空港バス(リムジンバス)の共同運行を始めた影響もあり、新駅のサービス機能は一段と充実する。
・歴史 120年経て4代目誕生
1872(明治5)9月12日=新橋−横浜(桜木町)間に日本初の鉄道開通
76(同 9)9月5日=大宮塩山小路付近に京都駅仮駅舎。京都−大阪間の仮営業開始
77(同 10)2月5日=初代京都駅完成。翌日から営業開始
80(同 13)7月15日=逢坂山トンネル完成、稲荷経由で京都−大津(浜大津)間が開業
89(同 22)7月1日=米原−馬場(膳所)間が開通し、東海道線全通
95(同 28)1月31日=平安遷都千百年記念の内国勧業博覧会開催を前に、日本初の市街電車が東洞院塩小路−伏見下油掛で開業
96(同 29)9月1日=新橋−神戸間に初の急行列車運転。所要時間17時間22分
97(同 30)11月16日=京都鉄道が京都−嵯峨間で開業。2年後、京都−園部間全通
1906(同 39)3月31日=鉄道国有法公布
7(同 40)8月1日=京都鉄道国有化
12(同 45)3月1日=京都一出雲間が全通、山陰線となる
14(大正3)8月15日=京都駅の2代目駅舎が現在地に完成。ルネサンス様式の外観と内部の豪華さを誇る
21(同 10)8月1日=東山、新逢坂山両トンネル開通。京都−大津間の新線開業
30(昭和5)10月1日=東京−神戸間に特急「つばめ」運転開始。所要時間9時間
34(同 9)1月18日=京都駅で呉海兵団入団輸送列車の見送り人がホーム階段から将棋倒しとなり転落。死者77人、重軽傷者157人
50(同 25)11月18日=2代目京都駅舎が失火で全焼
52(同 27)5月27日=3代目京都駅開業。10月に京都駅観光デパートがオープン
56(同 31)11月19日=米原−京都間電化完成、東海道線全線電化
58(同 33)11月1日=東京−神戸間に電車特急「こだま」運転開始。所要時間7時間20分
64(同 39)10月1日=東海道新幹線開業
72(同 47)3月15日=山陽新幹線新大阪−岡山間開業
74(同 49)7月20日=湖西線が開業
75(同 50)3月10日=山陽新幹線、博多まで全線開業
76(同 51)3月16日=山陰線京都−二条間高架化完成
80(同 55)11月27日=京都駅前地下街「ポルタ」開業
81(同 56)5月29日=京都市地下鉄が京都−北大路間で営業開始
84(同 59)10月1日=奈良線電化開業
87(同 62)4月1日=国鉄分割・民営化
88(同 63)7月16日=宮福鉄道開業
   6月11日=京都市地下鉄烏丸線京都−竹田間延長開業▽8月に近鉄京都線と相互乗り入れ開始
90(平成2)3月10日=JR山陰線・京都−園部間電化
   4月1日=北近畿タンゴ鉄道(KTR)開業
91(同 3)5月8日=JR京都駅改築設計コンペで原廣司氏の設計が最優秀作品に選ばれる
92(同 4)12月2日=京都市がJR京都駅改築関連の都市計画決定告示
93(同 5)3月18日=東京−新大阪間に新幹線「のぞみ」運転開始
   12月7日=京都駅ビル改築着工
94(同 6)9月4日=関西空港へ京都発の直通特急「はるか」運転開始。京都シティエアターミナル(京都CAT)開設
95(同 7)1月17日=阪神大震災。新幹線の全面復旧まで81日間かかる
96(同 8)3月16日=山陰線園部−福知山間、KTR福知山−天橋立間電化
97(同 9)7月12日=通算で4 代目、JR京都駅開業
(京都新聞)
■古都の壮大な玄関口「新しい京都駅」、本日デビュー!(広告特集)
・京都の未来をつくる創造的な都市空間 京都府知事 荒巻 禎一
 新「京都駅」の開業は、私ども京都府民の大きな喜びであります。
 京都駅ビルは、駅舎をはじめ、文化施毀、ホテル、商業施設のほか京都府旅券事務所等の公的施設も入居する多機能な複合ターミナル施設であります。ここに集う「人」「もの」「情報」「文化」を府内外や世界に向けて交流・発信させる拠点として、また、京都の未来に向けた創造的な都市空間として、明日の京都の発展や国際化に大きく貢献するものと確信しております。
 8月の京都総体や12月の地球温暖化防止京都会議などで新「京都駅」を訪れる多くの方々が、この壮大で斬新な新しい京都のシンボルの姿を全国や海外に伝えていただけるものと楽しみにしております。
・平安速都1200年を記念して進められていた京都駅改築プロジェクト。このたぴ駅施設と別棟駐車場が他施設に先行してオープンを迎えました。新しい京都駅ビルは、駅、ホテル、商業施投、文化施設、広場、通路、駐車場の機能を持つ国内最大規模の複合施設で、9月までには全施設がオープン。人、モノ、情報が交流する新しい京都文化の発信拠点として、期待が高まつています。
・充実する交通ネットワーク
 交通ネットワークの拠点として輸送力の拡大を目指すJR西日本。駅ビルの完成に合わせ、春から各線の列車増強や新車両開発、サービスの充実などさまざな事業を展開しています。
 JR西日本では「のぞみ」の東京・博多間の延長運転を行うなど乗客の利便性の向上を図っています。さらに世界最高時速300`を目指す次世代新幹線車両「500系」の運転も予定されています。
 また、国際化の窓口として重要な役割を担う京都駅。駅ビルの地下1階には、「CAT」(シティエアターミナル)を開設。カウンターで搭乗手続きをすませて荷物を預け、エスカレーターで1階へ行くと、関空アクセス特急「はるか」ののりばに。海外へのアクセスもより便利に、迅速になります。
・南北の行き来も便利に
 『南北を分断するのではなく、交流の接点に』のコンセプトに基づき、烏丸口と八条口は「南北自由通路」で結ばれます。今までは駅東側の地下通路を通るしか方法はありませんでしたが、これにより七条側と八条側が改札を通らずに行き来できるように。通路の中央には「西改札口」が新設されます。
 駅ビルのもうひとつの名所になりそうなのが、コンコース西側から伸びる幅26メートル171段の「大階段」。訪れる人々の憩いの場として作られたものですが、まるで劇場のような迫力のあるスペースです。
・京都らしさが生かされた設計
 駅の中心は、ドーム型のガラス屋根に覆われた、大吹き抜けの「中央コンコース」。天井には全長185メートルもある「空中径路」が作られています。ここは自由に通ることができ、上からは京都の街並み、さらには五山の送り火までも見渡せます。
 門をイメージした駅内部の随所には、京都らしさが生かされています。コンコース上には「烏丸小路広場」、「室町小路広場」があり、それぞれ烏丸通り、室町通りと一直線につながり、街並みと一体に。落ち着いた風情は、まさに外国に開かれた「門」のイメージがぴったりです。
・楽しさいっぱいの駅の街
 8月9日(土)には日本初の駅ビル内のエンターティンメント施設「シアター1200」がオープン。劇場ではジャニーズ事務所、吉本興業、ホリプロがオリジナル公演を開催します。
 9月11日(木)には「ジエイアール京都伊勢丹」、「専門店街ザ・キューブ」、「ホテルグランヴイア京都」がオープンします。
 伊勢丹は関西初の出店。店内は、屋上まで突き抜ける「カスケード・エスカレーター」で各フロアをつないだ個性的な空間デザインです。京都観光デパートは「専門店街ザ・キューブ」に。ファッション面にも力を入れたおしゃれなショッピングゾーンになります。「ホテルグランヴィア京都」は15階建てで、客室は539室。チャペルや室内プールもあるシティホテルです。
 また、駅ビルには本棟、別棟合わせて1250台を収容できる駐車場を併設。
 駅のアクセスを最大限に生かし、集う、遊ぶ、憩うの街の機能をミックスさせたユニークな京都駅ビル。ここから21世紀の新しい京都らしさを発信します。(朝日新聞)
■古都の新玄関 期待と戸惑い 西日本最大 JR京都駅ビル開業 「再生の起爆剤に」「市民不在」
 景観論争を巻き起こしたJR京都駅ビル(京都市下京区)が12日、開業し、古都の新しい玄関に人波が流れはじめた。ガラスを基調にした高さ59.8b、幅約470bの巨大な空間で、駅ビルとしては西日本最大の規模を誇る。百貨店、ホテル、劇場も8月以降に店開きする。観光低迷と企業流出に悩む地元京都は、「京都発」の情報・文化を増やす起爆剤になると期待をかける。だが、街並み保存を訴える市民のなかには「京都らしさを喪失していく一歩を踏み出した」との根強い批判があり、「古都再生」への思いが交錯する。(京都支局)
・切り札
 「京都の新しい歴史を開く門として、文化や情報を発信する拠点として、新しい時代をひらく起爆剤になると確信している」。巨大な吹き抜けになった烏丸中央コンコースで午前9時半に始まった記念式典で、桝本頼兼京都市長が招待客170人を前に力説した。
 同市は駅ビル着工前の1993年、古都の町並みが残る駅北部を「調和再生地域」、駅南部を「都市機能集積地域」とする街づくり構想を打ち出した。駅南部の街づくりの足がかりに位置づけたのが駅ビルだった。その年の暮れ、南部(伏見区、南区)の約600fを「高度集積地区」に指定、企業誘致の切り札として、高さ制限を事実上撤廃した。
・激戦に
 式典で、JR西日本の南谷昌二郎社長は「京都の新しい財産になることを願う」と強調した。
 同社は、9月の全面開業後の利用客を1日63万人、JR京都伊勢丹やホテルグランヴィア京都が入居する駅ビル全体の年間売り上げを600−700億円と見込む。JR西日本グループの鉄道部門を除く売上高は現在、約2500億円で、駅ビルのグループへの寄与は極めて大きい。
 しかし、京都経済を支えてきた織物業が構造不況に苦しみ、既存の百貨店、ホテルなどの駅ビル対策も進んで激しい競争にさらされるのは確実だ。
・個性は
 「駅ビルは、バブル経済期の街壊しの大きな象徴だった」。市民団体「まちづくり市民会議」の事務局代表の弁護士、中島晃さんはこう振り返る。90年に市民運動約10団体で「のっぽビル反対市民連合」を結成し、JR京都駅と京都ホテルの高層化に反対して署名活動や集会、ビラまきを繰り返した。今月初めにも、駅前でアンケートを実施した。回答した220人のうち約8割は「デザインが古都の玄関口にふさわしくない」と答えた。
 京都の東、西、北の遠景は山だが、今後は南が駅ビルとなる。「巨大な人工物がスカイラインになったのは、京都の1200年の歴史で初めてだろう。こんな結果になったのは、デザイン面で市民の意見が全く取り入れられなかったからだ」と悔やむ。
 景観論争で京都市側などと激しく対立した京都仏教会(有馬頼底理事長)の常務理事、清滝智弘・広陵寺貫首は「表玄関に雑居ビル的なものがほんとうに必要だったのかという思いは今も残る。京都はどこにでもある都市を目指して進んではいけない」と話した。
・JR京都駅ビル
 地上16階・地下3階で、延べ床面積が約23万8000平方b。1877年(明治10年)に開業した初代京都駅から数えて4代目の駅舎となる。JR西日本と、京都府、市など計44団体・企業でつくる第三セクターが共同で、平安建都1200年記念事業として93年12月に着工、総工費は約1500億円。計画より約3年遅れの開業。
 ミュージカル劇場など文化施設が8月9日、百貨店やホテル、専門店街が9月11日に営業を始める。12日早朝から、シティーエアターミナルとビル構内を南北に抜ける自由通路の利用が始まった。(朝日新聞 夕刊)
■ユーロトンネル再建計画を承認
 【ロンドン11日=共同】英仏海峡トンネル運営会社のユーロトンネルは10日のパリでの株主総会で、87億ポンドの債務のうち、47億ポンドを軽減する再建計画を正式承認した。
 軽減額のうち10億ポンドは株式に転換。37億ポンドは将来、株式転換できる転換社債にして債権銀行が保有する計画。
 同社は工事費の膨張や、開業遅れによる利払い負担の増加で経営危機に陥り、一昨年9月に利払いを停止。国別で最大の融資元である邦銀35行を含む日米欧の債権銀行団225行と交渉し、昨秋に再建案がまとまっていた。(朝日新聞)
■線路わきで落石 JR関西線
 11日午後4時25分ごろ、京都府相楽郡加茂町のJR関西線加茂−笠置間で、落石警報装置が作動した。JR西日本が調べたところ、約50aの石が転げ落ちて落石検知用のワイヤを切断、線路から約5b上部で止まっていた。(朝日新聞)
■えき・ひと・まち 京田辺駅 新市名公募したら「一体市」が3位に
 4月に市制を施行した京田辺市の玄関口。もとは田辺駅だったが、東西線開通に伴う3月のダイヤ改正で一足早く改称された。駅の出入り口がある西側は、古くからのまちの中心地。東側は、近鉄新田辺駅前を中心に新しいまちづくりが進み、同志社大学田辺キャンパスなどに通う学生らでにぎわう。新旧の市街地を結ぼうと、線路をまたぐ連絡通路を含めた新駅舎の建設計画が進んでいる。
 駅から西へ歩いて約30分、とんちで知られる一休禅師が晩年を過ごした「酬恩庵」に着く。「一休寺」の名で親しまれる観光地で、市制施行を前に公募した新市名案では「一休市」が3位に食い込んだほどだ。
 さらに西へ足を延ばすと「甘南備(かんなび)山」の登山道につく。開発が進む市内にあって、緑が残る貴重なエリア。標高217bの山頂にある展望台からは平野部を一望できる。(朝日新聞)
■新生京都駅 開業 未来開くターミナル 華やかな式典
 JR西日本と京都府、京都市、地元経済界をあげて取り組んだ新京都駅ビル(京都市下京区)は12日、駅施設の開業を迎えた。8月1日に京都で開幕する全国高校総体に合わせ、駅ビルに入る文化、商業施設に先がけての開業で、同日午前に記念式典を行い新駅誕生を祝った。景観論争を巻き起こした全国最大の駅ビルは、京都の「未来への出発点」として一歩を踏み出した。
 新京都駅は、1877(明治10)年の開業から数えて4代目。高さ59.8b、東西約470bの巨大施設で、平安建都1200年記念事業として93年12月に着工、総事業費1500億円をかけ建設を進めてきた。
 新駅の開業は、この日午前4時、駅ビル2階の南北自由通路の開通に始まり、これまで駅舎ではばまれていた南北の往来が開けた。
 駅完成と南北自由通路開通の記念式は午前9時半、高さ48bの吹き抜け空間に、色とりどりの友禅染が垂れ下がる烏丸中央コンコースで行われ、地元財界や府、市関係者ら約400人が出席した。
 JR西日本の南谷昌二郎社長は、国鉄分割・民営化以来最大の事業となっただけに、感激の面持ちで「新駅ビルを21世紀に向けた京都の新たな財産にしたい」とあいさつした。駅ビルに京都経済活性化への期待を寄せる桝本頼兼京都市長も「京都の新たな歴史を開く門として、平安建都1300年への発展の起爆剤になると確信している」と述べた。
 京都市と友好都市盟約を結ぶ中国・西安市の韓■鈞西安駅長が、開業を祝って秦の始皇帝が愛用した銅製馬車のミニチュアを藤井二夫・JR西日本京都駅長に贈呈。テープカットと同時に、吹き抜けに7色のテープと紙ふぶきが舞い、関係者らの拍手と歓声がわき起こった。
 新京都駅ビルは、8月9日に文化施設・シアター1200、9月11日にはジェイアール京都伊勢丹とホテルグランヴィア京都などがオープンし、全館開業する。(京都新聞 夕刊)
■京滋に大雨・洪水警報 JR徐行名神、速度規制も
 梅雨前線が西日本に停滞し、京滋は12日も、断続的に雨が降り京都府全域、滋賀県全域に大雨・洪水警報が発令された。京滋の各気象台は、大雨に関する情報を出し、引き続き河川の増水や、がけ崩れに注意するよう呼びかけている。
 鉄道は、JR東海道線の米原−能登川間などで徐行運転を行い、15ー5分の遅れが出た。道路では、名神高速道路の天王山トンネル−岐阜・木曽川橋間で50`の速度規制が行われた。
 8日夕の降り始めからの総雨量(午前10時現在)は、京都市左京区の花背峠で245.5_に達したのをはじめ、美山町198.5_、京北町166.5_、京都市129_、滋賀県では、彦根市で232_、志賀町南小松で231.5_になった。
 気象庁によると、梅雨前線は対馬海峡から近畿地方の北部を通って東海地方にかけて停滞。12日朝になって九州地方から中国地方に強い雨雲がかかり、1時間に30_前後の強い雨が降り始めた。
 梅雨前線はゆっくり南下する見込みで、13日にかけて九州、中国地方では1時間に50_以上、四国、近畿、北陸、東海地方でも1時間に30−40_の激しい雨が降る恐れがあるという。
 13日朝までに予想される雨量は九州地方北部の多いところで200−250_、九州地方南部と中国地方で150−200_、四国、近畿、北陸、東海地方で120−150_の見込み。(京都新聞 夕刊)
■新京都駅オープン 京都の玄関ざん新 新時代狙う4代目
 新生・京都駅の心臓が12日早朝、鼓動を始めた。明治、大正、昭和の各時代ごとに、京都の人やまちの変遷をじっと見守ってきた京都駅は、高層の4代目に生まれ変わった。午前5時過ぎ、雨の中、一番列車が4番ホームから発車した。ふき抜けの中央コンコースはオープン式典に彩られ、乗降客らは真新しい自動改札機、券売機に「平成駅舎」を実感。烏丸口と八条口を結ぶ南北自由通路には、早くも観光客らの人波が押し寄せ、華やかな開業初日となった。
・コンコース 活気ある場所へ期待
 新京都駅の顔となる中央コンコースでは、午前4時、7台の自動改札機がスイッチオン。最初に改札口を通った建設業田代秋雄さん(62)=豊中市=は「立派な駅だ。京都駅前が四条河原町や祇園のように、活気ある場所になるのでは」と、期待を寄せた。高さのふき抜け。改札口頭上の壁面には、長さ12bの西陣織の反物80枚が彩り豊かに垂れ下がる。開業式典が始まる9時過ぎには、広さ約1800平方bのコンコースは人がきで埋まり、身動きできないほど。見学にやってきたという主婦岸久江さん(60)=京都市東山区=は「きょうは私の誕生日。日本を代表する駅が誕生して涙が出るほどうれしい」。
・南北自由通路 便利、明るくていい
 駅ビル2階のほぼ中央部を貫く南北自由通路。切符なしで烏丸口から八条口側に縦断する長さ240bの自由通路には、周囲がまだ薄暗い午前4時から利用が始まった。見学を楽しみに早起きしたという無職田村信一さん(62)=京都市南区=は「烏丸口側の百貨店などに行くのにかなりう回していたが、これで便利になる」とうれしそう。
 通路は、烏丸口から八条口まで歩いて3分ほど。ガラス越しに動き始めた列車をビデオに撮っていた小学6年芝野康史君(11)と母親の真理子さん(43)=宇治市=は「地下通路と違い幅も広いし、明るいのがいい」。そのそばで、雨の駅ビルを背景に記念撮影する姿も。
・プラットホーム もう少し古風ならば
 夜が白み始めた午前5時5分、激しい雨音が屋根を打つ4番ホームから、西明石行きの一番電車が発車、新駅のスタートを切った。
 ベンチで電車を待っていた会社員築山務さん(47)も=京都市伏見区=は「もう少し京都らしく、古風に造れなかったのでしょうか」と感想をもらした。
 土曜とあって、会社員や生徒らの姿はまばら。それでも、時間がたつにつれて乗降客も増え出し、この日から使用が始まった橋上の西改札口からも次々と乗客が。滋賀県の実家に帰る途中の主婦近藤春美さん(43)=向日市=は「デパートなどがオープンしたらぜひ、訪れたい」と秋を楽しみにしていた。
・地階 気分一新しサービス 地下1階では、午前6時から京都シティエアターミナル(京都CAT)が営業を開始。関西空港から韓国・釜山市へ行くため、一番にCATを利用した女性(68)=上京区=は「エスカレーターを降りた所に受け付けがあり、荷物をすぐに預けられるので楽になった」。職員らも「新しい駅で、新たな気持ちで利用者サービスに努めたい」と明るい表情。
 午前7時すぎには、売店や土産品店などが初日の店開き。ただ、ビジネスマンや家族連れの中には「地下への入り口がわからず迷った」という人や、「上へ通じる階段はどこ」などと駅員に尋ねる姿もあった。
●床面積は府内最大 新京都駅ビル
 高さ59.8b(地上16階、地下3階)、東西約470b、南北約60b。NTTのネットワークセンター南別館(南区)の約66b、京都ホテル(中京区)の約60bに次いで、京都市内で3番目に高いビル。延べ床面積約23万8000平方bは府内で最大規模で、京都高島屋(下京区)の約5倍に当たる。
 駅周辺は高度地区で、建物は高さ31b以下に規制されていたが、1992年に京都市が「特定街区」の都市計画決定を行い、新駅ビル建設が実現した。
・私の夢と期待 京在住の3人語る
 新しい京都駅は、京都の街に何をもたらしてくれるのか。京都在住の3人に、新京都駅に寄せる夢と期待と思いを語ってもらった。
まちの中心広がれば 評論家 森 毅さん
 新駅を見た時、旧駅舎を懐かしむ思いが3割、新しいものを面白がる気持ちが7割ぐらいやった。京都は保守的といわれるけど、1000年以上の時代の変化を乗り切ってきた街でもあるし、今回も新たな変化を楽しみたい。
 京都人にとって、まちの中心は御所で、いまだに『御所に近いほどいい』という感覚がある。新しい京都駅の開業をきっかけに中心がいくつも増えれば、都市機能に広がりが出る。企業のオフィスも今は四条烏丸界わいに集中しているがこれからは洛南方面にシフトしていくんとちゃう。
・美しさは絶対必要 イラストレーター 永田 南さん
 高さばかりに関心があって、ビジュアルな見方をしてこなかったが、覆いがとれた時に、「何?、これは」とがく然とした。絵にたとえると、京都という大きな1枚の風景画の中で、京都駅は少しもふさわしくないし、美しいと思えない。絵というのは額縁の中の余白を含めて見るものだが、京都駅は額縁ぎりぎりいっぱいで圧迫感がある。
 経済性だけを考えて造ったのでしょうが、周囲の環境の中で、どう美しいかが絶対に必要だ。駅は人が集い、出会いの場所でもある。もっとロマンの生まれる所であってほしい。
・温かさを失わないで パーソナリティー 諸口あきらさん
 私にとって京都駅は野球のベンチのような場所。仕事に出かける時、列車を待つ時間の売店のおばさんや車掌との語らいは、バッターボックスに向かう選手が監督やコーチから「頑張ってこい」と励まされるような気分になる。
 駅は現代的な装いに一新されたが、人々の温かいふれあいが昔のまま残る雰囲気は失わないでほしい。列車の発着場としてだけでなく、市民が気軽に作品展を開けるような身近な文化スポットとして、親しまれる駅になってくれれば。そうなったら、私も作品を展示したいですね。
●「壁のよう」違和感も
 新しい京都駅ビルは京都の「玄関」にふさわしいと思いますか。新駅ビルは計画段階から、その「巨体」ゆえに景観論議のマトになってきた。開業を迎えたいま、市民や観光客に改めてその印象を聞いた。
 「近未来的でいい。21世紀を感じさせる」「派手すぎて、京都には似つかわしくない」。外観の評価は肯定、否定それぞれの意見にほぼ二分された。
 多くの人が、「ざん新」「現代的」との印象を挙げた。その中で肯定派は「新時代の象徴になるのでは」「街の中核施設として期待が持てる」と、京都の発展に新駅が果たす役割に思いを寄せる。一方、否定派にとっては、「ざん新」な印象がかえって「京都らしくなく、どこでも造れそう」「奇抜で落ち着きがない」の意見につながった。「壁のよう」「昔の軍艦みたい」と、その大きさに改めて驚き、違和感を抱く声もあった。(京都新聞 夕刊)
■新京都駅ビルの印象は■
島本千晶さん(24)
右京区・学生
賛否両論あるだろうが、モダンでいいと思う。これまでの京都には、なかった建物。時代が変わる象徴として、ふさわしいのでは
小川文子さん(86)
下京区・無職
先を考えて建てられたのでしようが、派手すぎて落ち着きがない。どこの街でも造れそう。京都らしさがなくてどこか心寂しい
藤井 一さん(28)
大阪市・団体職員
京都のイメージと違う建物。エレベーターも少ないと聞いているし、新しい自動改札も使いづらい。障害者の身になった対策を
藤村早苗さん(15)
亀岡市・高校生
おしゃれで、近未来的な感じがしていい。京都ではこうした建物はほかにないし、百貨店もできる。通学の楽しみが増えた
上野宗一さん(73)
中京区・無職
観光客が駅に着いて、京都に来た感じがするでしようか。大きな建物なので、旅行者や年寄りが迷わないように、案内表示を整えて
城山照雄さん(45)
大津市・消防職員
京都駅は観光客だけでなく、ビジネスマンの利用も多い。駅ぐらいは伝統に固執せず、ざん新で、多機能な施設であっていい
梅田昭子さん(51)
東京都杉並区・主婦
京都の新しい一面を見るよう。落ちついた色づかいも京都の雰囲気に合っている。ただ、ホームから京都タワーが見えないのは残念
ダーリア・キニョネスさん(25)
米国
以前の駅に比べて、大きく立派になった。古い社寺が多い京都には似合わないかもしれないが、時代の進歩も街の発展には必要
河村府美さん(29)
山科区・看護婦
近代的すぎて、京都の風景に合わない。住民も発展を望んでいるとは思うが、みんなが本当に望んでいた建物なのか疑問に思う
岸原正敏さん(44)
野洲町・郵便局員
京都を南北に分ける大きな壁ができた感じ。慣れるまでには時間がかかりそうだが、全体が開業したら真っ先に内部を見てみたい
ギデイさん(22)
イスラエル・学生
日本の伝統建築と最先端の建築が混在する二面性も、京都の魅力。輝く大きな駅ビルが、新しい京都の文化を生み出してくれそう
安江和子さん(50)
大津市・会社員
古い京都の中で、ざん新なデザイン。ミスマッチが逆に面白い。他の交通機関への乗り換えが不便で、駅前の整備に期待したい
清水貴哉さん(17)
西京区・高校生
京都のまちには派手すぎる建物。あまり好きじゃない。百貨店などの開業後は、駅全体が混雑して通学しにくくなるのでは
森 好子さん(50)
草津市・主婦
お寺巡りが好きでよく京都に来るが、古都のイメージからいえば新駅はちょっと奇抜。建物が大きいので、案内表示を充実してほしい
柴崎靖子さん(58)
城陽市・主婦
今の京都には似合わないかもしれないが、21世紀の京都にはふさわしいと思う。街の中核として期待している
吉田安志さん(22)
南区・学生
ガラス張りなど近未来的な雰囲気がいい。これくらいの高さがちょうどいい。面白い突起物もあり、好感の持てるデザイン
荒川雅之さん(19)
愛知県江南市・学生
ガラスを多用したデザインは現代風だが、京都らしさという点ではものたりない。木を使った建物なら温かみがあっていいのだが
樋口信一さん(74)
下京区・洒店経営
昔の軍艦のようだ。今は違和感もあるが、時が過ぎれば愛着もわくだろう。京都らしさよりも、21世紀を先取りした印象の建物だ
本郷昇雄さん(49)
伏見区・運転手
もう少し古風な感じでもよかったと思うが、街の発展のためにはいいのでは。今までにない、新しい観光施設になると期待している
佐原朋子さん(44)
伏見区・自営業
いいとも、悪いとも思わない。人が交差する駅独特の雰囲気が感じられない。読みにくい京都の今後を象徴しているようにも思う
■雨で山陰線 運転見合わせ
 活発な梅雨前線が居座り京滋地方に降り続いている大雨の影響で12日、JR山陰線は午前9時46分から下夜久野−梁瀬駅(兵庫県山東町)間、同55分から山家−綾部駅間、同10時14分には和知−綾部駅間で運転を見合わせた。また、舞鶴線綾部−渕垣駅間は徐行運転している。下夜久野−梁瀬駅間は午前11時55分、運転を再開した。
 一方、JR琵琶湖線(東海道線)は同日午前7時半ごろから正午前まで、米原−能登川駅間で30`以下の徐行運転を行っている。このため上下線とも15分程度の遅れが出てダイヤの乱れが続いている。また長浜方面行きの新快速は、同8時過ぎから草津駅以東の運転を打ち切り、同駅で折り返し運転を行った。
 湖西線でも午前8時25分ごろから約1時間、比叡山坂本−蓬莱駅間で部分的に徐行運転を行ったほか、同10時15分から1時間余、北小松−新旭駅間で徐行運転を行った。(京都新聞 夕刊)
13日■終日ダイヤに乱れ 山陰線とKTR
 大雨のため列車の運行がストップしていたJR山陰線の綾部−和知駅間は12日午後1時24分、運転が再開された。しかし、同線は、特急上下各9本、普通上下計40本など計60本が部分運休、福知山線の特急上下各1本の運休とあわせ、約5300人に影響が出たほか、終日、ダイヤが乱れた。
 北近畿タンゴ鉄道(KTR)は12日午前7時39分、宮津線の丹後神野豊岡間で、同8時3分に東雲−丹後由良間で運転を見合わせたが、いずれも同10時ごろまでに運転を再開した。しかし、久美浜発西舞鶴行きの特急「タンゴディスカバリー4号」が久美浜−野田川間で運休するなど計16本の列車が運休または部分運休した。列車の遅れは最高140分に達するなどダイヤが乱れた。(京都新聞)
■新JR京都駅 利用客 普段の3−4倍 秋の全面開業 膨らむ期待
 コンコースを行き交う人々のざわめきや記念行事の音楽が、大きなガラス屋根に響いた−。12日開業したJR京都駅ビル(下京区)は国際観光都市・京都の新しい玄関口になる。平安建都1200年記念事業として建設を進めてきたJR西日本や地元関係者からは喜びの声が聞かれ、駅ビルがこの秋、劇場、百貨店など多彩な機能が集まった「街」になることに期待がふくらんだ。
 まだ薄暗い午前4時半。いつもなら人影もまばらな駅ビルだが、この日は早朝から記念入場券を買い求める鉄道ファンや、構内を南北に抜ける自由通路が開通したのを見に訪れた市民らでにぎわった。午前5時5分に出発する一番電車に乗るという山科区の女性(21)は「新駅の開業日だったんですね。きれいになった」と話しながら、京友禅などの反物約80本が飾り付けられた烏丸中央改札口に駆け込んだ。
 記念入場券の販売が始まった午前5時半には、神戸市から来たという学生ら約30人が列を作った。南北自由通路では、宇治市の主婦芝野真理子さん(43)と小学校6年の康史君(11)の親子が「便利になった。記念式典をビデオ撮影して帰ります」と話した。
 駅施設と南北自由通路の開業を祝う式典は吹き抜け空間になっているコンコースであり、京都橘女子高校のブラスバンド部の演奏が幾何学模様を描くガラス屋根にこだました。
 南谷昌二郎・JR西日本社長は「京都駅開業120年、JR発足10年という記念の年に開業でき、うれしい。四条河原町に続く京都の集客拠点、文化発信拠点として活性化の役に立ちたい」と話し、荒巻禎一知事は「日本の文化を世界に発信する大きな役割が期待される。駅ビルが新しい時代に向けた活性化の先導役になるよう願う」と述べた。
 南北自由通路に新設された西改札口を次々に乗降する人の流れを見ながら藤井二夫駅長は「普段の3、4倍の利用客に来てもらえた。強い関心をもっていただき、感激している。京都の第一印象が良くなるようなサービスにつとめたい」と感慨探げに話していた。
・搭乗手続き業務も
 12日、新しい京都駅の開業に伴って、駅ビルを南北に抜ける「自由通路」や京都市観光案内所、航空機の搭乗手続きができる京都シティーエアターミナルなどの利用が始まった。他の主な施設の開業日程は次の通り。
 【8月9日】ハイテク技術を使った劇場「シアター1200」【9月8日】府旅券事務所【同11日】JR京都伊勢丹、ホテルグランヴィア京都、専門店街「ザ・キューブ」、美術館「えき」、府観光センター、府国際センター、京都授産振興センター、西第一駐車場、東第一・二駐車場。(朝日新聞)
15日■京阪奈新線 関経連、資金提供へ 「応分の負担」開通に弾み
 関西経済連合会の新宮康男会長は14日の定例記者会見で、関西文化学術研究都市の幹線鉄道として、近鉄と地元自治体が来年度着工を計画している「京阪奈新線」(近鉄・生駒−高の原間、約12`)の整備を促進するため、事業に当たる第三セクター会社に関経連も資金を提供し、全面的にバックアップする考えを明らかにした。
 新線は、国の運輸政策審議会で2005年までに建設すべき路線とされているが、全線開通に1600億円、当面の整備目標である生駒−登美ケ丘(奈良市)間(約8.5`)だけでも1000億円の費用がかかることから、資金面の調整が難航していた。
 学研都市推進機構の会長を兼任する新宮会長は、「学研都市では研究所建設が着々と進んでいるのに、交通が不便と指摘されている。資金提供の詳細を決めるのはこれからの作業だが、関経連としても応分の負担をしたい」と述べた。今月22日には、奈良県をはじめ地元自治体などとともに、着工の前提となる運輸省の補助制度の適用を政府に陳情する予定。
 新線建設については、事業の中心となる近鉄が先月、「運輸省や関係する地元自治体から追い風が吹いている」(田代和社長)と、来年度着工に向けて資金面で手ごたえがあることを明らかにしている。これに関経連の支援が加われば、さらに開通への展望が開けるとみられる。(京都新聞)
■御池通のケヤキ残して 住民が並木生かす整備案
 京都市が、沿道のケヤキ並木を撤去・移植して2000年度の完成を目指している「御池通シンボルロード」事業で、地元住民らでつくる「御池通の欅(けやき)を守る会」(岩井一夫会長)は14日、現状のケヤキ並木を生かす整備案をまとめた。近く市に提案する。
 市の計画では、シンボルロード(木屋町通−堀川通間、約1.7`)は、車道を6車線・26bに、歩道も「にぎわいのある大通り」を目指して両側各12bに拡幅する。このため、木屋町通から掘川通間の分離帯のケヤキ並木を順次、撤去・移植しており、現在は室町通−堀川通間の68本を残すだけになっている。
 同会では、市の計画について「大樹になっているケヤキ撤去は、景観などを損なう、歩道幅も現状で十分」と主張。整備案では、分離帯のケヤキと歩道側のプラタナスを残し、交差点などに植え込みを作ってベンチを設置するなど、「ミニ公園」化して、市民や観光客らの憩いの空間にすべきだと提案している。
 同会会員で京都造形芸術大講師の造園建築家マーク・ピークー・キーンさん(39)は「車社会のシンボル道路になっては、京都の顔にふさわしくない。御池通には緑豊かな風情が良くにあう」と話している。(京都新聞)
■御池通のケヤキ並木守れ 市民民体対案
 御池通(中京区)のケヤキ並木を守ろうと、地元の市民団体が14日、京都市のつくる整備計画への対案を発表した。「親しまれてきたケヤキを残し、人を中心にした街づくりを考えた」と今後、市側に提案していく方針だ。
 「御地通の欅(けやき)を守る会」(岩井一夫・世話人代表)の趣旨に賛同した左京区在住の米国人造園建築家、マーク・ピーター・キーンさん(39)が案を練った。
 市の計画では、側道をなくして歩道を広げ、ケヤキの多くを移植して若木を植える。鴨川−堀川通間の1.7`が対象で、すでに半分以上の区間でケヤキを移植している。
 対案によると、対象になるのはケヤキがまだ移植されていない室町通から堀川通までの約550b。ケヤキを現在の場所にとどめ、側道と歩道には花こう岩の敷石をおく。所々は歩道を少し広げ、公衆電話やベンチ、掲示板などを置いて憩いのスペースにする。
 キーンさんは「ケヤキが緑のトンネルをつくる姿は京都の最も美しい風景の一つ。すべてを白紙に戻して新たに整備し直すという市の計画は理解に苦しむ」と訴えている。市街路建設課は「地元の声にはよく耳を傾けて事業を進めたい」としている。(朝日新聞)
■橋げた落下の賠償訴訟結審 広島の新交通
 広島市の新交通システム「アストラムライン」の工事現場で1991年3月に起きた橋げた落下事故で、死亡した15人のうち3人の遺族が広島市や国、工事業者らを相手に総額約3億9700万円の損害賠償を求めた訴訟が14日、広島地裁(佐藤修市裁判長)で結審した。判決は早ければ年内にも言い渡される。
 訴訟では、和解に向けた話し合いもあったが、発注者の市に安全管理の責任があるとする原告側と、否定する市側が対立、決裂した。(朝日新聞)
■整備新幹線 着工順位を協議 政府与党検討委が初会合
 整備新幹線の今後の着工順位などを協議する政府・与党の整備新幹線検討委員会は15日午前、首相官邸で初会合を開いた。
 検討委は昨年暮れの政府・与党合意に基づき、北海道、長崎新幹線など未着工の7区間について、各区間ごとに@収支採算性AJRからの並行在来線の経営分離についての関係自治体などの同意−などを中心に検討し、年末の来年度予算編成時までに結論をまとめる予定。
 与党や関係自治体からは早期着工を望む声が出ているが、政府内には財政当局を中心に「新幹線より財政再建を優先させるべきだ」との意見も強く、与党側と、財政構造改革を最大課題とする官邸がどう折り合って着地点を見いだすかが最大の焦点になる。
 政府側から梶山静六官房長官、三塚博蔵相、古賀誠運輸相らが、与党側からは山崎拓自民党政調会長ら自民、社民、さきがけ3党の代表のほか小里貞利自民党整備新幹線建設促進特別委委員長らが出席。
 会合は、梶山官房長官の司会で始まり、同長官が検討委発足までの経緯を説明。古賀運輸相が採算性や並行在来線問題など主な議題について補足説明したが、実質的な論議は次回に持ち越した。次回開催日や議題は運輸省が調整して詰めることになった。
 検討対象になるのは北海道新幹線(ルートの公表など)、東北新幹線(八戸−新青森間の工事)、北陸新幹線(長野−上越間の工事)、同(富山駅整備)、同(小松駅と福井駅の整備)、九州新幹線(新八代−船小屋間の工事)、長崎新幹線(武雄温泉−長崎間のトンネル工事など)の7区間。全長約220`で、全未着工区間(1050`)の約5分の1に相当する。(京都新聞 夕刊)
■大型「ゲーセン」競争激化 京都市内 女性もターゲットに JR駅ビル セガ今秋出店へ
 京都市内で大型のゲームセンターの出店が相次ぎ、競争が激しさを増している。新たに建設されたJR京都駅ビル内にも今秋、大手ゲームメーカーが直営の大型アミューズメント施設の出店を予定。既存のゲームセンターも女性グループや家族連れ客を狙って新機種の導入などにしのぎを削り、ゲーム戦争の様相を見せている。
 京都市内では、大手ゲームメーカーのタイトーが6年前に中京区内の繁華街に2ヵ所のアミューズメント施設を相次いで出店。昨年11月には伏見区にセガが直営店をオープンした。翌月には同じく大手のナムコが中京区の河原町通沿いの地下1階・地上7階建てのビルにアミューズメント施設を開店、地元の中小のゲーム業界を巻き込んで競争が激化した。
 さらに、セガは9月にJR新京都駅ビル10階の全フロアに大型アミューズメント施設の出店を予定、地元ゲーム業界を驚嘆させている。同社は家族連れらをターゲットに大人と子どもが一緒に遊べるバーチャル(仮想)ゲーム機、3D(立体)ゲーム機など最新施設を導入する計画で「遊園地の要素がある実体験型の施設で、満足してもらえるはず」と意気込んでいる。
 2、3年前から顔写真のシールが作れる遊技施設が若い女性たちにヒットしたのをきっかけに、若いカップルだけでなく、女性グループや家族連れの客層に焦点を当てているのが最近の業界の傾向。ゲーム業界は「仮想で子どもを育てるテレビゲーム」など新機種の導入に力を入れるとともに、女性向けのバラエティーグッズ店や、待ち合わせに利用できるレストルームを備えるなど、知恵を絞っている。
 日本アミューズメントマシン工業協会(東京)は「全国的にゲームセンターが大型化し、淘汰(とうた)の時代に入っている」と現状を分析。京都府アミューズメント施設営業者協会も「ゲームセンターは男性の遊び場と思われていたが、女性向けのゲーム機の開発などで、がらりと様相が変わった」と話している。(京都新聞 夕刊)
■10月8日上場 JR東海
 古賀誠運輸相は15日の閣議後の記者会見で、JR東海の株式を10月8日に上場すると発表した。今回売却する株式数は150万株で、発行済み株式224万株の67%に当たる。昨年のJR西日本株の売却で、170万株を売り出したものの、137万株(発行済み株式の68%)しか売れなかったことから、売却株式の比率を同程度に抑えることにした。
 このうち、入札で70万株、一般売り出しが80万株。18日に入札を公告し、8月4日から7日まで入札書を受け付け、21日に落札者が決まる。(朝日新聞 夕刊)
16日■関空から早朝臨時列車 JR西日本 19日から運行
 JR西日本は15日、関西空港で今年5月から運航を始めたタイ国際航空の深夜便に対応するため、今月19日から現在の始発列車より約1時間早いノンストップ・シャトル電車(6両編成)を、関西空港−日根野駅(泉佐野市)間に走らせる、と発表した。南谷昌二郎社長が定例会見で明らかにした。
 深夜便は、関西空港を中継点にバンコク−ロサンゼルス間を結び、空港の24時間運用の先駆けとして期待されている。バンコク発が月、水、金曜の午前零時40分、ロス発が火、木、土曜の午前3時40分に、それぞれ関西空港に到着するが、35分後に発車する関西空港交通のリムジンバスしか、大阪の都心へ向かう交通手段がない。
 シャトル電車は、当面は臨時列車として運行される。ロサンゼルスから来る利用者をターゲットに、火、木、土曜の午前5時11分に空港を発車し、ノンストップで日根野に5時21分に到着。阪和線の快速電車に接続し、新大阪には6時21分に着ける。現行の関西空港駅の始発電車は、午前6時2分発。(京都新聞)
■窓 レトロバスは京都にマッチ 上京区・羽田 春子(主婦・74)
 レトロ京都の街にふさわしく、良いなあ、と感じるものがありました。チンチン電車風車体の市バスです。梅雨の晴れ間は、もう夏。蒸し暑さが上乗せされて、不快度が急上昇の昼下がり。四条河原町のバス停でバスを待つこと20分。人と車の雑踏と騒音のなか、我慢の時間が過ぎて行きました。その時、スーツと美女出現の感じで、あのバスが入って来たのです。
 今までも時折、通過してゆくのを見かけて良いなと思っていましたけれど、繁華街のごちゃごちゃした風景の中なのに、その姿は新鮮で、優しく、感覚的にとてもすてきと、魅了されました。そして観光京都の演出に、ぜひ市バス全車をレトロ調にしてはと思いました。といっても不況感未解消の現在、予算がないからと、実現不可能案件として処理してしまうでしょう。
 そこで、町衆の力で早期実現を、と考えが飛濯しました。市バス全車両改装事業債(仮称)を、市が発行。協賛市民が任意にその債券を購入。市は、その市民に債券償還期限まで配当金(利子)として、市バス優待乗車券を発行するというのはいかがでしょう。ちょっと早い真夏の夜の夢として市長さん、音頭をとって、実現に向けて発車オーライしていただけませんか。(京都新聞)
■JR、関空発5時11分 未明到着便対応 19日から運行
 関西空港で5月から運航が始まった未明発着便の到着客の足を確保するため、JR西日本は19日から、対岸のJR阪和線日根野駅(大阪府泉佐野市)行き早朝列車を週3日、1日1本走らせることを決めた。日根野駅では、わずかな待ち時間で新大阪行き快速電車の始発に接続するため、新幹線で遠方へ向かう人には少し便利になりそうだ。
 対象となる便は、毎週火、木、土曜の午前3時40分、ロサンゼルスから関空に到着するバンコク行きのタイ国際航空便。列車(6両編成)はこれにあわせて運行し、平常ダイヤの始発より約1時間早い午前5時11分に関西空港駅を出発。日根野駅で、同24分発新大阪行き快速電車に乗り換えられる。
 閲空は、未明便の到着客の交通手段としては、割高な深夜料金になる大阪駅行きリムジンバスだけだった。利用がどれだけあるか未知数なため、JR西日本は「状況を見ながら当分の間、運転したい」としている。(朝日新聞)
■ブルトレつらいよ スピード時代 旅客減り運転区間短縮へ
 JR九州は15日、東京駅と九州を結ぶ寝台特急(ブルートレイン)のうち「はやぶさ」の九州側の始発・終着駅をこれまでの西鹿児島駅から熊本駅に、「富士」は南宮崎駅から大分駅にそれぞれ変更し、運転(営業)区間を短縮する方針を決めた。利用者が減少しているためで、11月のダイヤ改定から実施する計画だ。
 JR九州によると、両特急とも東京まで20時間余りかかることなどから、新幹線や飛行機に客を奪われ、1本当たりの旅客数はともに平均150人前後と、1990年度の半数以下に落ち込んでいる。特に「はやぶさ」の西鹿児島−熊本間と「富士」の南宮崎−大分間を利用する人は30人弱で、その半数以上は九州域内の移動だけに使っているという。(朝日新聞)
■電車で駅で脱線中年 JR職員近鉄で痴漢容疑 大阪府職員はスリの疑い いずれも乗客にみつけられ…
 大阪府警南署は15日、朝の満員電車内で女性に痴漢行為をしたとして、奈良市疋田町一丁目、JR東海大阪南予約サービスセンター主席、松本正昭容疑者(48)を府迷惑防止条例違反容疑の現行犯で逮捕した。
 調べでは、松本容疑者は15日午前7時40分ごろから約30分間、近鉄の奈良発難波行き上り快速急行電車内で、奈良市内の専門学校生(18)の体を触るなどした疑い。
 松本容疑者の隣にいた奈良県生駒市内の会社員(43)が、専門学校生がうつむいて泣いているのを見かねて同容疑者を問い詰め、日本橋駅で駅職員に突き出したという。
 調べに対し、同容疑者は「(痴漢行為は)やめられない。鉄道会社は男女それぞれ専用の車両をつくってほしい」と話しているという。
 近鉄広報室は「鉄道職員としてもってのほかの行為。残念だ」といっている。
 大阪府農林水産部の職員が、大阪市内の地下鉄駅ホームで女性から財布を盗んだとして、窃盗容疑で逮捕されていたことが15日、わかった。
 逮捕されたのは、農業協同組合課主事(35)。調べでは、主事は2日午後6時半ごろ、同市西成区太子一丁目の市営地下鉄堺筋線「動物園前」駅ホームで、同市東淀川区に住む女性(22)の持つ手提げバッグから、現金約1万円とクレジットカードなどの入った財布を盗んだ疑い。
 近くにいた会社員に見つかって駅事務室まで連れて行かれ、盗んだ財布を投げ出したため、駆けつけた西成署員に逮捕された。
 主事は1980年4月に府に採用され、96年4月から同課で農協合併に関する仕事をしていた。(朝日新聞)
17日■窓 バスでの親切 優しさにお礼 左京区・今井 シカ(主婦・81)
 先日、主人と2人で府立病院へ行った帰り、京都駅行きのバスに乗った時のことです。バスは満員で立っているのがやっとでした。その時、30歳ぐらいの男の方が、すぐ主人に席を譲ってくださいました。そして間もなく、つり革にぶら下がっている私を後ろの席が空いたからと、わざわざ丁寧に連れていってくださり、窓が西側でしたので、日除けのカーテンまで閉めて座らせてくださいました。見知らぬ人から、こんな温かい心遣いをいただき胸がいっぱいになりました。
 今の世の中、自分のことで必死です。まして年寄りは迷惑顔で見られ勝ちですのに、あんなに優しくしていただいて涙の出る思いでした。その方はすぐ前の方へ行かれましたので、お礼を申し上げる間もありませんでした。申し訳なく思っております。どこのどなたか存じませんが、この紙面をお借りして厚くお礼申し上げます。本当にありがとうございました。
 バスを降りて主人と2人で、今の世の中にあんな気持ちの優しい人がおられるのかと、しみじみうれしさを感じました。(京都新聞)
■高島屋が名古屋へ JR東海の百貨店出資へ
 高島屋は16日、JR東海が名古屋駅に建設している百貨店の運営会社、「ジエイアール東海百貨店」に資本参加する方針を明らかにした。出資比率などをJR側と詰め、25日の取締役会で正式決定する。百貨店には「高島屋」の商号が検討されており、事実上、高島屋の名古屋進出になりそうだ。
 2000年春の開業を目指すJR東海の百貨店は、店舗面積約8万平方bと国内最大級の計画。1996年2月に業務提携した高島屋の協力で、人材教育などの準備作業を進めている。JR側は未経験の事業を成功させるため、高島屋の出資を求めていた。
 JR側が高島屋の資本参加を求めていたのは、ブランド力や品ぞろえに定評のある高島屋との提携強化が巨艦店舗の成功に欠かせないため。高島屋も昨年秋に開業した新宿高島屋が軌道に乗り始め、他地区に本格進出する余裕が出た。(朝日新聞)
■大阪モノレール運賃 延伸区間は290円に
 近畿運輸局は17日、8月22日に開業する予定の大阪モノレールの延伸区間、南茨木−門真市間(7.9`)の運賃について、同モノレールを運行する大阪高速鉄道の申請通り認可した。
 廷伸区間の南茨木−門真市間は290円。既存の路線を含めると、門真市から乗った場合、最長区間になる大阪空港までが500円、千里中央まで410円、万博記念公園まで350円などとなる。(朝日新聞 夕刊)
18日■市バス 無駄なアイドリングやめて 温暖化防止へ環境団体が訴え 30分はザラ、1時間も 冷房のためなら、10分で十分
 エンジンを掛けたまま駐停車する「アイドリング」のストップ運動を、市は展開中だが、市バスの各車庫で長時間、アイドリングしながら待機するバスがみられる。30分程度はざらで、中には1時間以上のケースも。車内に冷房を効かすには10分ほどのアイドリングは必要だが、「車の排気ガスは地球温暖化につながる。無駄なアイドリングは即刻、止めるべき」と、環境団体のメンバーらは訴えている。
 市交通局の本部がある壬生車庫(中京区)。昼過ぎに停車していた市バスは、運転手も車から離れ、無人のまま40分以上もエンジンがかけっぱなし。隣に止まっていたバスも、運転手は乗っていたが、発車するまで20分ほどアイドリングしていた。
 また、洛西バスターミナル(西京区)では、運転手がいないまま1時間以上も「放置」され、中には冷房をかけていながら窓を開けて、エンジン音を響かせているバスもあった。アスファルトの路面は、排気ガスで至るところが黒くなっている。さらに、九条車庫や錦林車庫などでも、長時間、アイドリングする市バスが見られた。
 こうしたアイドリングについて、市交通局は「冷房を効かせ、乗客に快適に乗ってもらうため」と説明しながらも、「エンジンは、発車の5分から早くても10分前に掛ける」との指導をしているという。市バスと同車種の車両を使う京阪バスでも「冷房のためのアイドリングは発車前の7、8分で効く」と話す。
 市交通局などによると、市バス1台が1日に30分間、アイドリングすると、1年間で地球温暖化の原因となる二酸化炭素を130`以上、酸性雨や大気汚染につながる窒素酸化物を約5`放出するという。
 地球温暖化防止京都会議(気候変動枠組み条約第3回締約国会議)に向けて活動している団体「環境市民」事務局(中京区)の能村聡さんは「多くの市民がマイカーに乗らずに市バスを利用することで、二酸化炭素の削減にも協力している。無駄なアイドリングは、環境をよくしたいという市民の意識を無視することにもなる」と、改善を要望している。
 中西忠・市交通局自動車課長の話 車庫に帰ってきたときは、すぐエンジンを止めるように指導しているが、徹底されていないのは残念。全営業所の所長を集め、無駄なアイドリングをしないように徹底的に指導していく。(京都新聞)
■国労組合員不採用問題 設立委員に審査権限 東京地裁 JRの責任認める
 国鉄分割・民営化の際、JRに不採用となった東京など5都県の国労組合員の救済を命じた中労委命令の取り消しを、JR東日本などが求めた行政訴訟の口頭弁論で、東京地裁の高世三郎裁判長は17日、「JRへの採用基準を示した設立委員には、国鉄が行った採用候補者の選定が適正だったかどうか審査する権限があり、その選定に不当労働行為があった場合には設立委員も責任を負う」とする初めての見解を示した。
 設立委員の行為はJRに継承されるとされており、東京地裁の見解は、もともとJRには責任がなかったとする考えを否定したことにもなり、すでに結審している北海道、九州の国労組合員をめぐる訴訟の判決にも影響を与えそうだ。
 また中労委に対しては、救済命令の理由には問題があるとして、差し替えを検討するよう求めた。
 国鉄改革法は、設立委員が採用者の基準を示し、これに従い国鉄が採用者名簿を作成、設立委員が採用すると規定している。
 高世裁判長は、国鉄が採用基準に違反するような名簿作成をした場合、設立委員は国鉄にやり直しを命じる権限があると指摘。仮に国鉄が、国労組合員であることを理由にその組合員を名簿に載せず、設立委員がそのことを認識しながら黙認したとすれば、設立委員も不当労働行為の責任を負うとした。
 この日の訴訟で対象になっているのは宮城、福島、東京、神奈川、静岡の5都県の国労組合員26人で、このうち14人に対して救済命令が出ている。北海道と九州の国労組合員の訴訟については、東京地裁の別の部で審理されたが、5月に結審し、裁判所が労使双方に和解勧告している。(京都新聞)
■JR東海の上場申請
 東京、名古屋、京都、大阪の各証券取引所は17日、JR東海の株式の上場を大蔵大臣に申請した。上場予定日は10月8日。売却株式数は150万株で、このうち入札が70万株、一般売り出しが80万株。8月4日から7日まで入札の申し込みを受け付け、21日に落札者を決める。(朝日新聞)
■「国労脱退勧奨は不当労働行為」 JR東海に中労委
 JR東海と国労近畿地方本部が争っている不当労働行為再審査事件で、中央労働委員会(中労委)は17日、関係労使に命令を出した。同社管理職による国労組合員への脱退勧奨を、国労の弱体化を意図した不当労働行為だとして、同社が今後、同様の行為を繰り返さないことを文書で明らかにするよう命じている。(朝日新聞)
■東京−長野間7970円 北陸新幹線の料金申請 JR東日本
 JR東日本は18日、10月に開業予定の北陸新幹線の特急料金などを運輸大臣に申請した。今月末にも認可される見通し。
 それによると、東京から長野までは運賃、特急料金合わせて7970円、上田までが6490円、軽井沢までが5750円などとなっている。東京−長野間は在来の信越線特急あさまに比べ1260円高い。
 内訳は、特急料金(通常期指定席)が東京から長野まで4080円、軽井沢まで3230円など。東北、上越新幹線と同じ料金設定で、繁忙期はいずれも200円上乗せになる。運賃は在来の信越線と同じ。
 グリーン料金も東北、上越新幹線と同じ料金設定で、100`まで1240円などとなっている。回数券や定期券の値段は申請が認可されてから決定するという。
 東京と長野間の所要時間はノンストップの同新幹線「あさま」で約1時間20分と、在来特急より約1時間36分短縮され、東京−軽井沢間は新幹線開通で約1時間に。
 同社営業部は「軽井沢は通勤圏となり在来特急と比べ、特急料金のアップは940円で、長距離バスにも十分対抗できる」としている。(京都新聞 夕刊)
19日■京都駅中心 普通、新快速を増発 JR西日本秋のダイヤ改正
 JR西日本は18日、新京都駅ビル商業施設のオープンに合わせ、京都駅を中心にした輸送力増強などを盛り込んだ9月1日からのダイヤ改正を発表した。
 京都駅関連では、東海道線の京都−高槻間で、午前9時以降の昼間時間帯の普通電車を、現行の1時間4本から8本に増やす。
 山陰線の快速電車は、夕方の通勤時、下りの園部方面行きだけだったが、午前9時4分の園部発を加える。停車駅は亀岡、嵯峨嵐山、二条で、京都には午前9時36分に到着する。
 奈良線では、午前10時から午後4時台の宇治折り返し電車を城陽まで延ばし、新田、城陽両駅の京都行き普通電車を1時間に2本から3本に増やす。
 このほか、東海道線の新快速電車では、午後11時40分大阪発・午前零時38分野洲着を新たに追加。午後10時13分米原発の電車を大阪着から姫路着に区間延長する。(京都新聞)
■京都駅ビル開業1週間 周辺も売上アップ ポルタ20−25%増 南北自由通路 人の流れに変化
 JR新京都駅が開業し、18日で1週間経った。全国最大の駅ビルを見物に訪れる乗降客らでにぎわい、周辺の京都近鉄百貨店や駅前地下街・ポルタの売り上げも例年より増加、早くも「新駅効果」が表れ始めている。
 JR西日本の調べによると、新駅の券売機の売上高は、開業の12日が前年同時期に比べ24%増になり、翌13日は同33%増となった。「新駅ビル見物の乗降客が増えたのが主な要因」(京都支社総務企画課)とみている。
 京都近鉄百貨店の入店客数は開業から6日間で前年同期比2.7%増、売上高も7.2%増になった。売上高の減少傾向が続いていたポルタも、14日の売上高が同35%増と久々にプラスになり、その後も連日20−25%増で推移。八条口側の「アバンティ」の核店舗イズミヤ京都店も、12日以降の売上高は同5%増になった。
 開業日以降、梅雨前線の停滞で悪天候が続いたが、新駅周辺は例年以上の活気。イズミヤ京都店の芝崎忠店長は「駅ビル全館開業の9月には、さらに売り上げ増が見込めそうだ」。
 駅ビル2階を南北に貫く南北自由通路の開通は、駅周辺の人の流れにも変化をもたらしている。ラッシュ時を中心に、同通路に人波ができ、「新設の西改札口からの乗降客が烏丸中央改札口を上回っている」(JR西日本)という。
 半面、八条口側の近鉄名店街は「乗降客の流れの変化で客足が鈍りがち。売上高は横ばいで駅開業のプラス効果は表れていない」として、9月の全館開業に向け対策を検討する、という。(京都新聞)
■駅ビルで売り込め 西陣の新ブランド 工業組合が伊勢丹と開発
 西陣織工業組合は、今年9月にJR新京都駅ビルにオープンする「ジェイアール京都伊勢丹」と共同で、西陣織のリビング用品や小物などの新商品を開発した。若者向けファッションを中心とする同百貨店との共同で、伝統の技に現代感覚を取り入れた新しい西陣織ブランドづくりを目指す。
 同組合が百貨店と商品開発をするのは初めてで、京都市の支援を受けて昨年4月から着手。京都伊勢丹と西陣産地内の織物業者10社で新商品づくりを進めてきた。
 新商品は「絹織千年」のブランド名で同百貨店内で販売。クッションやコースター、化粧ポーチ、名刺入れなどの小物やネクタイなど計13品目をそろえる。西陣織独特の風合いを生かしながら、赤や青、緑など鮮やかな色彩や新感覚のデザインを取り入れた。
 同百貨店では「消費者の反応をみながら商品を拡充していきたい」としている。(京都新聞)
■京都駅の全面開業で JRが9月新ダイヤ
 JR西日本は18日、9月1日に実施する京阪神地区のダイヤ改定の内容を発表した。同11日の京都駅ビルの全面オープンにあわせた改定が中心で、東海道線高槻−京都間で普通電車を増発、午前10時ごろ以降の同区間の乗車本数を現在の1時間4本から8本に倍増させる。これで高槻駅での新快速への乗り換えが便利になるという。
 また改定に向けて、福知山線と東海道線、東西線の連絡駅になっている尼崎駅のポイントを改良。福知山線から東西線への乗り換えを同一ホームにする。(朝日新聞)
20日■10月12日 地下鉄東西線 市民の期待乗せ多彩に記念行事 概要まとまる 「市役所前駅」で式典 試乗会、1日乗り放題
 10月12日に開業する京都市地下鉄東西線(醍醐−二条)の記念事業の概要がまとまった。前日の11日に開業記念式典を開催、12日早朝、東西の始発駅で「発車式」を行い、新しい交通動脈の門出を祝う。市民試乗会、開業日の1日乗り放題チケットの発売など多彩な事業も計画している。
 地下鉄東西線は、1990年1月に着工され、7年10ヵ月の歳月と4600億円以上の事業費を要した。醍醐−二条間(13駅)12.7`を24分で結び、1日平均15万6000人の乗客を見込んでいる。
 記念事業は、10月11日から同26日を「東西線フェスタ'97」として繰り広げる。
 この中で、ハイライトとなる開業記念式典は、11日、市役所前駅(中京区)で開催、市関係者や沿線住民代表らが出席し、完成・開通を祝う。開業日の12日早朝、醍醐駅(伏見区)と二条駅(中京区)で、それぞれ発車式を行い、待望の一番電車が走り出す。
 開業に先立って、10月5日には市民試乗会を実施。12日には地下鉄の一日乗車と二条城、動物園に入場できる特別記念乗車券を発売する。
 また、13駅周辺をチェックポイントにした「東西線ウォークラリー」(期間中)の開催や、山科区総合庁舎前(12日)、市役所前(19日)でのフリーマーケットなども予定されている。
 このほか、伏見区・醍醐寺が、国宝の五重塔や金堂を3年ぶりに公開するなど、沿線での協賛事業の企画も進んでいる。(京都新聞)
■窓 新京都駅にひとこと
・建築物よりもサービス大事 左京区・岡田 風子(無職・56)
 景観論争を起こした京都駅ビルが一部開業しました。作家の菅浩江さんは「京都駅ビルは京都の入り口で現代版羅城門である。羅城門は京の都の門である」と書いておられます。
 まさに、その通りだと思います。私は、まだ実際に駅ビルを見ていませんから本当のことは分かりませんが、報道されていることを見ている限り、がっかりしました。若者にはいいかもしれませんが、お年寄りの方にはどうでしょう。皆さんはどう思われたでしょうか。また観光客の方は、どう感じられるでしょうか。これから、いろんな論議が交わされることと思いますが、外見よりビルの中で働いておられる方々の親切で、優しいサービスが一番ではないかと思います。
 そして、われわれ京都市民も外来者の方々に優しく接しなければと思います。これから駅ビルがどうなっていくかということは、京都市民がどうしていくかということではないでしょうか。ですから、どうしていくかを考えることが課題ではないでしょうか。
・マナー向上の新発信基地に 志賀町・溝 好雄(団体嘱託・60)
 道路交通や駅構内のマナーは関西が悪いと言われている。私は、なかでも京都が特に悪いと感じている。
 新しい京都駅が開業した。JRは、この機会に乗降マナーだけでなく駅構内の通行マナー向上運動を、ぜひ推進していただきたい。構内通行は右側にしてはどうか。関東では構内各所に、その表示がされています。
 その効果的方策として、中央に一条の太い黄線を引いて、区分通行を明確にされることを提案します。新京都駅誕生に合わせて、気持ちよい駅とするため、京都人も当然のマナーは守りましょう。そうして新京都駅を関西の公衆道徳向上の発信基地といたしましょう。
・構内の大空洞空間むだでは 左京区・西村 三郎(無職・74)
 建築中から、なんと巨大な空母か小山のようなものができるのかと思って見ていた。完成してみて全く驚いた。あれだけ高層建築問題でもめた末に完成したものが、これだったのかと思わざるを得ない。
 高さ60bの建物の中に、高さ50bの大空洞は、何たる無駄かということである。もちろん、高さいっぱいを部屋として利用している部分もあるが、大空洞をこれらの実用空間として埋めれば、無理やり高さ60bに固執することはなかったのでは、と思う。航空写真を見ても、京都の町を南北に二分するものであるかが分かる。また、あの東西の長さを考えれば、その北側は日当たりが悪く、駅前は雪が積もれば惨めな状況を呈するだろう。どうみても、古都京都の玄関にそぐわない建物である。
 また、近年、建築設計の奇をてらったものが多く見られるが、建築主は遊びではなく十分採算を考えて投資するべきで、またJRのような公共企業は資金が調達できるからといっても無駄金は節約すべきだろう。
・市内の観光に地名表示板は 中京区・藤原辰三郎(自営業・72)
 開業した新京都駅は、建設に際して景観論争を呼び、反対もあって、古都の面影と近代的発展の二つの道を歩まねばならぬ京都市の宿命を私たちに見せつけた。新駅が古都にはざん新すぎるとの批判もあるが、今後、末長く京都市の玄関として古都の発展に寄与することを切に望みたい。
 さて、全国から古都のイメージを夢見て訪れる観光客を失望させぬよう、市は1200年の歴史をフルに活用した施策を講じてほしい。そのひとつに京都市の地名がある。他の都市では行政上の都合から、地図を見ても数字が並んでいて昔の地名が消えている。京都の都市部は「丸竹夷二…」のわらべ歌のとおり昔の地名が現在でも通用して、それに「上ル、下ル」がつく。他県からの運送業者は「くだる」と読むが、私は正確な読み方を教えて、京都市の北高南低の地形から北を「あがる」と説明している。しかし、持論では内裏(皇居)が北にあり、内裏の方向を「あがる」と呼んだのではと思っている。昔、京都へは「上洛」といい、関東へは「東下」などと言った。
 そこで、市は地名表示板を市内各所に取り付けたらどうか。観光客は、地名を見て古都へ来た実感がわき、地図と見比べて自分の位置を確認して、楽しい市内観光ができるのではないだろうかと思う。
・広い空間快適 期待持てそう 南区・藤岡 晴美(無職・67)
 汽笛が鳴って蒸気機関車が発車する。ガタン、ゴトンとレールの継ぎ目から響く音が穏やかに聞こえてくる。京都駅の近くで育った私の子守歌である。
 駅に悲しい記憶がある。出征兵士を見送る家族で、駅はごった返していた。陸橋からホームへ下りる階段が混雑、後ろから押し寄せる人波で前の人が転んだ。傾斜した階段をドミノ倒しに人が折り重なって落ちた。圧死者が出た。悲鳴が津波となって伝わってきた。戦前の遠い出来事である。
 うす暗いプラットホームにSLが入って来る。人が降りて人が乗る。旅の始まりと終わりが交差する。期待と安ど。哀愁と旅情がそこはかとなく漂っている空間。駅が好き。汽車が好き。旅が好きの私には、この雰囲気が好きで、毎夜、京都駅へ足を向ける。煩瓦(れんが)造りの二代目の京都駅のころであった。
 SLが姿を消し二代目駅舎も焼失した。三代目京都駅は四角だけの無味乾燥な建物で四代目までの”つなぎ”でしかなかった。そしていま「バッチ・ワーク京都駅」が駅の部分だけ開業した。物見高いことでは人後に落ちない私は、隣組の新築祝いの気持ちで雨の中を駅へ出向いた。南北自由通路だけしか歩けなかったが、紅白の幕が張りめぐらされ華やいでいて、何よりも広々とした空間が心地よかった。映画の予告編を見ている気分だが、それでも本番への期待が十分に持てた。京都駅は観光のスポットになりそうである。
・近隣駅周辺も整備と美化を 南区・斉藤雄一郎(牧師・62)
 12日は雨模様であったが、見事に京都市の顔・新駅舎が多目的のビルディングとして開業した。長く京都市に住んでいる者としては驚きもあり、不安もある。しかし、駅舎に入って気持ちが変わった。
 第一に工事中からのことではあったが、駅員さんが親切である。第二に地方から来る方々には案内板や、その他の指示が分かりやすくなった。第三には、やはり、きれいになった。やがて列車ダイヤも改正されて、今よりもまた便利になる。だから、少し京に似合わぬ南の壁(駅ビル59b)も、他の三方の奥ゆかしい山脈を引き立ててくれると思いたい。
 そこで願うことは、南区、下京区の発展である。どうしたらよいか。JRと行政当局には、近くの小駅周辺の(例えば、私の近くの西大路駅周辺など)一層の整備と、気持ちよく利用できる美化のために、ごみをまき散らすようなマナーの悪さの追放と、親切な対応を始めていただきたい。(京都新聞)
■鉄道ファン生つばもの 老雄D51 とこまち並走
 黒煙を吐きながら全力で疾走する蒸気機関車D51 を、最新鋭の秋田新幹線「こまち」が優美にエスコート−。秋田県内のJR奥羽線で19日、新旧車両の並走シーンが出現した。秋田新幹線開業を記念して、JR東日本が企画した。25年前に引退した「老雄」のカムバックと、「こまち」の流線美が同時に見られるとあって、沿線には全国から集まった鉄道ファンのカメラの放列ができた。
 SLの背後から、スピードを落とした「こまち」がゆっくり近づいてくると、車内は大きな歓声に包まれた。約2分間の並走の間、乗客は「こまち」の乗客に向けて手を振ったり、カメラを構えたりした。
 D51は19日から3日間、「SLあきた号」として秋田−横手間の約70`を1日1往復。このうち、秋田−大曲の約50`間で1日7回、新幹線とのすれ違いや並走の場面がある。約3000枚の切符は先月28日に全国で発売されたが、開始後わずか2分で完売した。(朝日新聞)
21日■地下鉄サリンの悪夢 今もなお… 「心身に症状」「将来が不安」
 1995年3月の地下鉄サリン事件に巻き込まれた被害者が、健康被害や当時の状況などを独自に調査した結果が20日までにまとまった。被害者自らの手による追跡調査は初めて。被害者の多くが身体、精神の両面に何らかの症状を抱え、将来に強い不安を感じている実情が浮き彫りになり、心的外傷後ストレス障害(PTSD=Post Traumatic Stress Disorders)をうかがわせる回答も目立った。
・PTSDとの関連も色濃く 被害者自ら調査
 調査は、事件から2年以上たち、行政の支援がほとんどないことなどに危機感を持った被害者の会社員、野口美織さん(27)らが実施。今年4月、連絡先が分かった被害者やその家族ら約130人へアンケート用紙を配布し、10代から70代までの計71人(男性40人、女性31人)から回答が寄せられた。
 現在の健康状態について、過半数の39人が「事件前より悪い」と答えた。具体的な症状を複数回答してもらったところ、22人が「疲れやすい」、21人が「視力が落ちた」としたほか、「悪夢を見る」(12人)「情緒不安定になった」(12人)「不眠」(10人)「地下鉄に乗れない」(7人)「閉所恐怖症」(4人)「事件当日の記憶欠落」(4人)などPTSDとの関連を示す回答も多かった。
 回答した中の1人は事件当時妊娠中で、その後無事に出産したという。
 事件当時職に就いていた人のうち、引き続き仕事を続けているのは39人で、休職中は2人。事件後に退職した人は11人おり、このほか3人が「退職させられた」と答えた。
 事件直後に入院したのは46人で、平均入院日数は6.9日。いまも20人が通院し、あらためて入院している人は1人。診療科は「神経内科・精神科」が最も多い13人で、「内科」(8人)「眼科」(6人)など。
 現在残っている自覚症状としては「頭が痛い」(14人)「目がちかちかする」(11人)「目が痛い」(10人)「体の力が抜けるようだ」(7人)などが挙げられた。
・PTSD 心的外傷後ストレス障害。事件や災害、事故などに巻き込まれた被害者が、強烈な精神的ショックによって心に外傷を負い、感情を失ったり、悪夢や外傷体験の一場面が突然よみがえるフラッシュバックなどの「再体験」に苦しめられること。フラッシュバックは日常生活で目にした何気ない風景などが引き金となって現れ、被害者にはあたかも事件の現場に連れ戻されたような感情や身体的苦痛がよみがえるとされる。ベトナム帰還兵の精神的後遺症から米国で1970年代に研究が始まり、日本では地下鉄サリン事件のほか、阪神大震災などでPTSDの問題が指摘された。(京都新聞)
■社説 京阪奈新線の延伸実現をめざせ
 関西文化学術研究都市と大阪圏を結ぶ幹線鉄道「京阪奈新線」が事業化に向け動きだした。第二ステージに入った学研都市建設の大きな弾みとして、早期開業を期待したい。
 その一方、学研都市の中核部である精華・西木津地区などへの同線の延伸は、見通しが立たないままだ。是非とも必要な都市インフラだけに、具体化をめざす関係者の真剣な検討を求めたい。
 「京阪奈新線」は、近鉄奈良線・生駒(生駒市)−同京都線・高の原(奈良市)間、12.2`の鉄道だ。89年の運輸政策審議会答申で2005年までに開業する路線とされ、第一段階として生駒−登美ケ丘(奈良市)8.5`を建設する方向で検討が進められてきた。
 その結果、事業主体を近鉄と奈良県、奈良市、生駒市などによる第三セクターとする方向が固まり、2005年度開業に向け、98年度中にも着工する運びとなった。学研都市推進機構の会長を兼ねる新宮康男関西経済連合会会長も先日、関経連が資金提供する考えを表明した。明22日には関係者が上京し、補助制度の適用などを政府に要望する。
 生駒−登美ケ丘を先行する背景には、高山地区(生駒市)の第二工区建設計画がこのほど正式に決まったことがある。同工区は国立奈良先端科学技術大学院大などのある第一工区(45fに隣接する288f。計画人口は2万3000人で、2003年度に街開きを目指す。登美ケ丘と近いだけに新線の採算性向上に寄与すると期待できるからだ。
 もっとも、新線の建設費は生駒−高の原の全線で1600億円、生駒−登美ケ丘だけでも1000億円かかるとされる。このため、残る登実ケ丘−高の原の建設はめどがついていない。
 それ以上に見通しが暗いのが、同線から京都府域へ通じる支線の整備だ。89年の運輸政策審答申は、京阪奈新線とともに@同線から分岐し、精華・西木津地区を通って近鉄京都線・新祝園に接続A同線を高の原から東へ延ばし、木津地区と接続−する2支線を「検討すべき新線」とした。だが、現状では両線とも採算面などから具体化の見込みはない。
 確かに精華・西木津地区の場合、想定人口は2万5000人で周辺地域の開発予測などを加味しても、採算ラインに乗るのは容易でなかろう。
 しかし、同地区は各種大型研究施設が集中する学研都市の顔である。今後も国立国会図書館関西館や勤労体験プラザなどの建設が続く。公共交通がバスだけでは、来訪者にも居住者にも不満がつきまとい、ひいては学研都市のイメージダウンにもつながりかねない。
 同地区の重要性や、開発がこれから本格化する木津地区の将来性を思えば、鉄道は是非とも必要だ。また、京阪奈新線の本線は、学研都市と大阪圏のパイプを太くするだけという点にも、京都の関係者は留意しておくべきだろう。
 21世紀のパイロット・モデル都市を掲げる学研都市であれば、安全、低コストで、環境負荷が少ない未来型の新交通システムを開発し、世界へ発信するくらいの気概があっていい。関係者には新線延伸の早期実現へ、新交通システムを含め、技術面、コスト面などあらゆる角度からの知恵と工夫が望まれる。(京都新聞)
22日■花背「松上げ」観賞バス運行 来月15日、京都バス
 京都バスは、洛北の夏の夜空を彩る祭典「松上げ」(左京区花背)に合わせて8月15日夜、特別観賞バスを運行させる。
 バスは午後6時、叡山電鉄出町柳駅前を出発する。8時半ごろ花背交流の森に到着し、松上げを観賞した後、11時すぎに出町柳駅に戻る。運行台数は5台、定員は計200人。雨天の場合は中止。料金は大人1800円、子ども900円。申し込みは京都バス運輸部(871)7521へ。(京都新聞)
■バス会社が地ビール工房 京阪宇治交通 レストラン26日開業 宇治
 京阪宇治交通(本社・大阪府枚方市)が宇治市宇治金井戸の天ケ頼ダム近くに整備していた地ビール工房を核にしたレストラン「ガーデンズ天ケ瀬」が完成、26日にオープンする。バス会社だけに”ビールバス”を運行、飲酒運転の心配なく安心して飲食してもらい、バスとレストラン両方の売り上げ増をねらう。
 75周年の記念事業で、多角経営の一つ。地ビール工房は、カナダから輸入したプラントで、日本人好みのビール3種類をつくる。初年度は66`リットルを生産する。人気の地ビールは全国で約70社が開業しているが、バス会社の参入は初めてという。ブランド名はバスにちなみ「Busby(バスビィ)」と付けた。
 ビールプラントを眺めながら、地ビールを味わい、バーベキューやなべなど豊富なメニューを楽しめる。年中無休で、初年度は13万5000人の集客、約2億円の売り上げを目標にしている。
 一方、目玉のビールバスは、京阪くずは−松井山手−JR宇治−京阪宇治ルートと、久御山−近鉄大久保−JR宇治−京阪宇治ルートがあり、いずれも終点が「ガーデンズ天ヶ瀬」。料金は往復800円。佐々木浩司社長は「バスで来て安心して飲んでください。緑豊かな自然の中で飲み干す地ビールは格別」とPR。(朝日新聞)
■走る”ホテル” 2階建て・シャワー付きも 個室タイプで巻き返し 住宅メーカーと共同開発
 「ブルートレイン」の愛称で親しまれているこれまでの寝台特急に代わり、ビジネスホテル並みの内装を施した個室タイプの新型寝台車両が来年、JR西日本とJR東海にお目見えする。客離れが進む寝台特急の巻き返しを図ろうと、車両を電車化して速度をアップさせるほか、住宅メーカーとの初の共同開発で快適さを高める。2階建てやシャワー付き個室も登場し、現在の「瀬戸」(東京−高松間)、「出雲」(東京−出雲市・浜田間)の後継車両として投入する。
 JR西日本とJR東海によると、新型寝台電車は7両編成で、うち5両が2階建て。液晶テレビや洗面台、シャワーを備えた「A個室」(1人用、6室)と、1人または2人用の「B個室」(計112室)があり、定員150人の8割までが個室の寝台になる。
 現在の「瀬戸」「出雲」はほとんどの寝台がカーテンで仕切られているだけで、女性客らに「プライバシーがない」と敬遠されていた。1日1往復の「瀬戸」では乗車率が平均64%、2往復の「出雲」は47%と低迷していた。
 電車化することによって、最高速度は10`速くなり、所要時間はそれぞれ1時間程度短縮される。「出雲」のうち1往復を山陽・伯備線経由の新型車両にし、1往復は従来の車両で山陰線経由のまま残す。来春までに西日本の3編成、東海の2編成が完成し、早ければ来年夏にも走らせる予定だ。
 東京−高松、東京−出雲市間は航空路線と競合しており、JR両社は「飛行機の最終便のあとに出発し、始発便の到着前に目的地に着くようなダイヤにしたい。車両のグレードアップでビジネス客らの需要が見込める」と期待している。(朝日新聞 夕刊)
■被爆乗り越え浦上駅”100歳”
 原爆の爆風とせん光を浴びて駅舎が全壊し、駅員と乗客が一瞬のうちに命を失う悲劇に遭った長崎市のJR浦上駅が22日、開業100年を迎えた。装いを新たにした駅舎に原爆のつめ跡はなく、平和祈念像、爆心地公園などへの最寄りの駅として大勢の客を迎えている。この日、駅で開かれた記念式典ではJR職員が龍(じゃ)踊りを披露、参加者たちは、改めて「平和」をかみしめた。
 式典では、近くの幼稚園児が一日駅長を務め、博多行きの特急列車に出発の合図を送った。(朝日新聞 夕刊)
23日■3セク鉄道 96年度実績 赤字、最高の30億円台 北近畿タンゴ、最多
 運輸省が22日までにまとめた1996年度の第三セクター鉄道38社の経営成績(速報値)によると、経常収支が黒字だったのは弘南鉄道(青森)など8社で、残る30社が赤字だったことが分かった。赤字額は計約30億1900万円で前年度より約2億7300万円増え、過去最高を更新した。
 国鉄分割民営化のあおりで、国鉄から地元の第三セクターに経営移管された路線の経営が厳しく、基金を食いつぶして地元自治体から財政支援を受けている社が出るなど一部の第三セクター鉄道は危機的状態だ。
 運輸省によると「96年度の単年度収支で黒字になったのは弘南鉄道のほか、鹿島臨海鉄道(茨城)愛知環状鉄道(愛知)伊勢鉄道(三重)樽見鉄道(岐阜)平成筑豊鉄道(福岡)甘木鉄道(福岡、佐賀)松浦鉄道(長崎、佐賀)の7社。
 弘南鉄道や松浦鉄道のように駅の増設や、駐輪場の設置など独自の経営努力で黒字にこぎつけた社もあるが、工業地帯を抱え周辺の人口が多いなど鉄道需要の大きい地域を走る路線を持っている社が多い。
 赤字額が最も大きかったのは、北近畿タンゴ鉄道(KTR=京都、兵庫)で、前年度比約1億8000万円増の5億9900万円だった。昨年3月の完全電化・高速化に伴い、減価償却費が2.6倍増の4億5000万円に膨らんだのが影響した。
 一方、全国の三セク鉄道の中でJRと特急を相互乗り入れしているのはKTRを含め3社、自線区内での特急運行は同社のみで、完全電化による特急増発効果などで、旅客運輸収入は10.3%の伸びとなった。
 KTR以外では北海道ちほく高原鉄道(北海道)の4億6200万円、のと鉄道(石川)の3億1900万円などの順。今年3月に開業した北越急行(新潟)は3億1600万円の赤字だった。
 利用者の減少に加え、車両など設備の老朽化で新たな投資を余儀なくされた鉄道が多い。1億6600万円の赤字になっている会津鉄道のように基金を取り崩しても収支が改善せず、福島県など関係自治体からの運営費支援を受けて鉄道を維持している社もある。
・信楽高原鉄道 7160万円の赤字
 滋賀県の信楽高原鉄道(北川啓一社長)は、7160万円(前年度比4560万円増)の赤字になった。
 営業報告書によると、部門別経常損失は▽鉄道部門5322万円▽旅行業など付帯事業358万円▽補償部門2697万円。累積赤字は11億9880万円。
 一方、輸送人員は66万9000人で、前年度比2.8%の伸びとなった。(京都新聞)
■新京都駅 誤報、火事騒ぎ 訓練前 放送ボタン押す
 23日午前11時ごろ、開業したばかりのJR新京都駅(京都市下京区)が火事と、七条署から119番通報があった。3分後に誤報と分かり、乗客らに大きな混乱はなかったが、消防車2台が出動し、駅構内に火災を知らせる自動放送が流れる騒ぎとなった。
 市消防局などによると、京都駅北交番で勤務中の七条署員が、新京都駅ビルの中央防災センターから「駅構内で火事が発生」との緊急放送を聞き、七条署に無線で連絡、同署が119番通報した。同センターはこの日の午後に、駅ビル内の「シアター1200」で防災訓練を予定しており、同センターの職員が訓練前に緊急放送システムのボタン操作を確認していて、誤って押してしまったらしい。
 通報を受けた市消防局は下京消防署から消防車2台を出動させた。駅構内では、火事を知らせる緊急放送が流れ、JR西日本の駅員ら関係者が事実確認に追われた。
 JR西日本は「防災センターからは訓練の事前通知もなく、驚いた。お客さまに混乱がなくよかった」といい、七条署は「訓練のことは聞いていない。通報した署員の対応は仕方ない。センターの連絡体制が、あまりにもお粗末だ」と話している。同防災センターは「関係者にご迷惑をおかけした」と平謝りしていた。
 JR新京都駅は今月12日に開業、「シアター1200」は8月9日のオープンを前に、防災訓練を予定していたという。(京都新聞 夕刊)
24日■窓 バス停移動先明示がほしい 伏見区・佐々木義雄(自営業・63)
 さる21日、四条河原町にある高島屋まで行った。用事も終わり、いつものとおり5番の市バスに乗って京都駅まで帰ろうと思い、停留所までやって来た。ところが、そこには停留所はないのである。
 5番の市バスが止まる所は、祇園さんの御旅所となっている所である。この17日には祇園祭の山鉾巡行は終わっているものの、まだ祭りは続いている。従って、御旅所の辺りは、まだまだいろいろな行事が行われている。恐らく、そのために、いつもの市バスの停留所は西か東かのどちらかに移動させられていたのであろう。それは、なにも今年だけのこととは思われぬ。それなら、なぜ、いつもの停留所のところで、そうしたことを明示しないのか。私の目が節穴だったということでもあるまいものをと思われる。
 私自身は毎年、この時期に四条河原町の繁華街へ出掛けるということはないであろうが、多くの市民、それに市外からの観光客にとっては、京都市交通局のやり方はいささか不親切のように見える。ときには、職員を配置して仮停留所を教えるような心遣いがほしいような気がする。(京都新聞)
■客がブレーキ バス暴走防ぐ 横浜、運転手失神で
 23日午後、横浜市神奈川区片倉町の県道を走行中の同市営バスの車内で、突然気を失った運転手に代わり乗客の一人が機転を利かせてブレーキを踏み、暴走を防いでいたことが24日、分かった。乗客一人が腕に軽いけがをしたが、他の十数人は無事だった。
 暴走を防いだのは同市保土ヶ谷区頼戸ケ谷町、アルバイト太田正則さん(19)。神奈川署は「太田さんは運転免許は持っていなかったが、とっさの判断で乗客を危険から救った立派な行動だ」と話している。
 調べでは、バスは横浜駅西口を発着する循環路線で、23日午後2時20分ごろ、片倉町の停留所を発車して間もなく運転手(42)がくも膜下出血などで気を失い倒れた。
 客の一人が「運転手がおかしい」と叫ぶと、後部座席にいた太田さんが運転席に駆け付けてブレーキを踏み、ハンドルを左に切って、約80b先でガードレールに接触して停止させた。(京都新聞 夕刊)
■ポートライナー故障で21本運休 神戸
 24日午前7時26分ごろ、神戸市中央区の神戸新交通ポートアイランド線(ポートライナー)三宮駅から15b先のポイントが故障し、運行が全面的にストップした。自動運転から手動運転に切り替え、午前8時23分から運転を再開したが、上下線計21本が運休した。朝のラッシュ時と重なり、乗客約4300人に影響が出た。(朝日新聞 夕刊)
25日■京都市バス急停車でけが 市と運転手提訴 神戸の会社員 1300万賠償求め
 「京都市バスの運転手が安全確認を怠って急ブレーキをかけたため、けがをした」として、神戸市東灘区内の会社員(48)が24日、京都市と運転手(54)を相手取り、約1300万円の損害賠償を求める訴訟を京都地裁に起こした。
 訴状によると、会社員は4月15日午後零時半ごろ、下京区のJR京都駅北側で市バスに乗車し両替のため立っていた。運転手が急発進し急停車したため、前部ドアのステップに倒れ胸の骨を折る1ヵ月のけがをした、としている。
 会社員は「急停車などする場合は乗客にあらかじめ警告する注意義務があるのに、運転手は怠った」と主張している。
 会社員と市交通局の話によると、会社員は友人と観光に来ていた。事故後はそのまま乗車し、翌日に市交通局に苦情を申し出た。
 市交通局の山川和彦管理課長は「事故当時約60人が乗車していた。運転手は『だれかに押されて倒れたと思った』と説明している。訴状を見た上で対応を検討したい」としている。(京都新聞)
■下りは分散 上りが集中 JR西日本 お盆の予約
 JR西日本は24日、お盆期間中(8月8−17日)の新幹線・在来線の指定席予約状況(23日現在)を発表した。全体の予約率は下りが9−14日の6日間に49−62%と分散しているのに対し、上りは17日がピークの74%になるなど、15日からの3日間に集中している。
 JRによると、お盆期間中の関西を中心とした指定席は上り、下り合わせて約190万席あり、このうち45%が予約済み。新幹線は、下りの博多行き「のぞみ」「ひかり」が14日までの日中の列車に満席が目立つ。博多発の上りも15日以降の日中がほぼ満席になっている。新幹線の全体では、午前9時までか、午後6時以降の列車に空席が多いという。在来線は山陰方面への特急「スーパーはくと」の人気が高い。(朝日新聞)
■「市バス急停止で骨折」 神戸の会社員 京都市と運転手に賠償提訴
 京都市バスの急発進と急停止で骨折などのけがを負ったとして、神戸市東灘区の会社員(48)が24日、市と運転手を相手取り、約1280万円の損害賠償を求める訴えを京都地裁に起こした。
 訴状によると、この会社員は今年4月15日午後、東山区の京都国立博物館に向かうため京都駅から市バスに乗車。運転手がこの直後にバスを急発進、さらに急停止させたため、体がステップ部分にたたきつけられてろっ骨を折るなど約1ヵ月のけがを負った、としている。市交通局は「訴状を見ていないので、内容を検討したうえで対処したい」としている。(朝日新聞)
26日■JR西秋のダイヤ改正 長野への足 増強 スーパーはくと2往復を延長 京都−鳥取間に
 JR西日本は25日、今秋10月1日と11月29日にダイヤ改正を実施すると発表した。10月には長野行新幹線開業に合わせて接続特急を増便、11月には「500系のぞみ」の東京初乗り入れで東京−博多間を4時間台で結ぶ。
 長野行新幹線開業に伴い、東京−越後湯沢間ノンストップ「あさひ」に接続する特急「はくたか」(金沢−越後湯沢間)を現行の早朝1往復から夜間を加えた2往復に増便する。
 11月29日には、東京−博多間に初めて「500系のぞみ」を投入、1日3往復する。到達時間が現行の「300系のぞみ」より15分短縮、4時間49分で運行できる。
 また、京都−倉吉間の特急「はくと」をすべて「スーパーはくと」に改め、1日6往復のうち2往復分を倉吉から鳥取まで延長する。さらに岡山−鳥取間を2時間前後で結ぶ智頭線経由の特急「いなば」を1日3往復運行する。(京都新聞)
■北陸新幹線 案内名称は長野行新幹線 10月1日開業 JR東が誤認乗車防止策
 JR東日本は25日、10月1日開業予定の北陸新幹線のダイヤ編成と、時刻表や駅の案内などで使う路線名を「長野行新幹線」にすると発表した。整備新幹線としての正式名称の「北陸新幹線」だと、北陸方面に向かう乗客が誤って乗る恐れがあることを理由に挙げている。
 ダイヤによると、東京−長野間はノンストップの最も早い列車1往復を含め1日24往復(計48本)。東京発のノンストップ下りの所要時間は1時間19分。最も遅い各駅停車は1時間56分かかる。
 途中の軽井沢駅には上下30本が停車、小海線と接続する佐久平駅には上下32本が停車する。これとは別に東京−軽井沢間に1日4往復し、途中各駅に停車する。
 東京発長野行きの下り始発は午前6時20分、最終は午後10時6分。長野発の上り始発は午前6時2分、最終は午後9時41分。
 路線名は時刻表の目次などで「長野行新幹線(北陸新幹線)」と表示、新規に開業する安中榛名−長野間の各駅での改札口などの案内掲示は乗り間違えの恐れがないため単に「新幹線」とし、東京駅などでは「長野行新幹線」と表示する。車内、駅での案内放送は「長野新幹線」とし、外国人客向けのローマ字表記は「Nagano Sinkansen」とする。(京都新聞)
■京都駅ビル移転後 受け付け30分延長 府旅券事務所
 京都府は、9月8日に新京都駅ビルに移転・関所する府旅券事務所での申請受け付け・交付時間を延長する。また、申請書類の事前チェックや交付パスポートを検索できる機器を導入し、来所者の利便を図る。
 府旅券事務所(中京区烏丸通綿小路北西角)での窓口時間は現在、午前9時午後4時となっている。これを、駅ビル8階に移る新事務所では、申請受け付けを30分延長し午後4時半までに、交付は火・木曜に限り3時間延ばし同7時までにする。舞鶴出張所も、受け付けのみ同4時半に延長する。
 また、旅券事務所では、受付時に必要書類の記載漏れなどを事前にチェックし、整理番号を渡して、順番が来れば電光掲示板と音声で知らせる。交付パスポートは検索機で取り出し、待ち時間の短縮に役立てる。
 府によると、交付時間を午後7時まで延ばすのは、大阪府、佐賀県に次いで3番目という。(京都新聞)
■京都駅ビル内での犯罪防止へ 入居7企業が結束 全館オープン前に 対策協議会を設立
 京都駅ビル内に入居する企業が25日、「京都駅ビル防犯対策協議会」を設立、施設内での犯罪を防ぐため、一体となって対処することにした。
 構成メンバーは西日本旅客鉄道京都駅、ジェイアール西日本ホテル開発、ジェイアール西日本伊勢丹、京都駅観光デパート、シアターアーツ1200、京都ステーションセンター、京都駅ビル開発の計7社。
 9月11日の全館オープンを前に、各社間や七条署との情報交換や研修などを縞密に行い、暴力団犯罪や少年非行、不法駐輪などの不法事案の未然防止と発生時の適切な対応を図る。
 この日の設立総会では、会則などを確認するとともに、会長に京都駅ビル開発の山本正昭総務部長、副会長にジェイアール西日本ホテル開発の中村仁総務部長、ジェイアール西日本伊勢丹の土師総一総務部長を選んだ。(京都新聞)
■信号機が故障 快速立ち往生 片町線同志社前駅構内
 25日午後10時50分ごろ、京田辺市三山木のJR片町線同志社前駅構内で信号機が赤のまま変わらなくなり、木津行きの快速電車が同駅手前で停車、2時間、立ち往生した。JR西日本大阪支社が信号機故障の原因を調べている。
 この事故で、上下線計4本が部分運休したほか、後続の電車8本にも遅れが出て、約800人の足が乱れた。(京都新聞)
■ジェイアール東海 百貨店に資本参加 高島屋が正式決定
 高島屋は25日の取締役会で、JR東海が名古屋駅前で開業を予定している百貨店に資本参加し、「高島屋」の商号使用を認めることを正式決定した。百貨店の運営子会社「ジェイアール東海百貨店」に高島屋が30%程度を出資、社名も「ジェイアール東海高島屋」に変更する見通し。
 百貨店は2000年春オープンを目指して建設中の「JRセントラルタワーズ」の中核施設。収益の9割以上を鉄道部門に依存するJR東海にとって、関連事業部門強化の切り札となる。昨年2月の高島屋との業務提携で百貨店経営のノウハウを蓄積する一方、資本参加による「高島屋」のブランド使用をJR東海が求めていた。(京都新聞)
■旧国鉄長期債務の処理 特別会計作り、国債費で 運輸省98年度概算要求方針
 運輸省は25日、8月末までの1998年度予算の概算要求の中に、旧国鉄長期債務の本格処理策として、国鉄清算事業団を廃止して同事業団が抱える長期債務を新たにつくる特別会計に移管した上で、一般会計からの歳出を繰り入れて処理することを盛り込む検討に入った。
 長期債務は今年4月には28兆円を超えた。清算事業団が保有する土地やJR株を処分しても、22兆−23兆円が残る。
 大蔵省が今月初めに示した概算要求のルールでは、長期債務処理についての特別枠などは新設されなかった。また、公共事業や社会保障などに充てる一般歳出の伸びは抑制されているため、一般歳出で長期債務を処理することも難しくなった。
 このため、長期債務を、発行残高が250兆円程度の国債と同じと位置づけ、一般会計予算のうち国債利払いや償還に充てる国債費で処理する案が浮上した。国が長期債務を処理していく考えを明確にする狙いだ。
 特別会計を新たに設けるのは、国のほかの債務と区別し、長期債務の処理状況を明らかにする狙いがある。
 また、運輸省はより低利の財政投融資資金への借り換えや、現行の財投制度では認められていない繰り上げ償還、金利減免についても求めていく方針だ。
 一方、大蔵省は鉄道、航空、高速道路の利用者から運賃・料金に上乗せして徴収する総合交通利用税など、債務償還のために新たな特定財源の創設を求めている。(朝日新聞)
■JR京都駅南部に 京都市新庁舎 整備懇から声相次ぐ
 老朽化が進む京都市庁舎の今後のあり方を話し合う第2回新庁舎整備懇談会(座長、内井昭蔵・滋賀県立大教授)が25日、市内のホテルで開かれた。委員からは交通網の整備や経済活性化などの観点から、改めてJR京都駅の南部に庁舎機能の移転を求める声が相次いだ。
 新市庁舎の候補地はこれまで、現在地のほか、JR二条駅周辺、JR丹波口駅周辺、JR京都駅南側、伏見・油小路通沿線の計5ヵ所が挙げられてきたが、市側はまず、二条駅と丹波口駅周辺は用地確保が難しくなった、と状況を説明した。
 委員からは「市を東西に走るJR線が南北の交通を遮ってきた。南部に新市庁舎を移転することで」、交通網の整備が進む」「京都経済の低迷が問題になっているいま、再開発が求められている南部に移転することで活性化が図れるのではないか」など、南部移転を求める意見が相次いだ。
 また、「現庁舎はもてなしや憩いの場として用い、事務的な機能を南部に移すなど、市庁舎機能を二拠点に分散してはどうか」との意見も出た。一方、地下鉄東西線開通で利便性が向上する現在地がやはり新庁舎建設地としてふさわしい、との意見もあった。(朝日新聞)
■青鉛筆
 開業10周年を迎えた信楽高原鉄道(本社・滋賀県甲賀郡信楽町)が陶坂の記念乗車券を製作し、25日からの「信楽陶器まつり」に合わせて信楽駅で発売を始めた。
 縦9a、横18a、厚さ1aで、重さは250c。一昨年12月から運行している新型車両「SKR301号」とタヌキの絵が描かれている。
 貴生川−信楽間の大人、子供1人ずつのセット往復券と同じ1360円で2000枚を発売するが、「価格の半分は製作費」とか。問い合わせは同社総務課(0748・82・3391)へ。送料別で、郵送にも応じる。(朝日新聞)
■500系のぞみ東京乗り入れ 11月29日開始
 JR西日本とJR東海は25日、11月29日に実施する東海道・山陽新幹線と一部在来線のダイヤ改定を発表した。3月に新大阪−博多間に登場した新型車両500系「のぞみ」が初めて東京に乗り入れ、東京−博多間を1日3往復、4時間49分で結ぶ。これで車両に余裕が出る300系「のぞみ」を東京−広島、岡山間の「ひかり」として使い、両区間の所要時間も短縮される。
 東京−博多間は現在、時速270`の300系「のぞみ」が1日13.5往復している。ダイヤ改定ではこのうちの3往復を最高時速300`の500系にし、300系よりも到着時間が15分早くなる。
 また、「のぞみ」の新横浜停車が1日3本から16本に増える。
 東京ー広島、岡山間の「ひかり」は300系車両の投入に加え、いくつか停車パターンがある新大阪以西の停車駅を新神戸、姫路、岡山、福山、広島に統一。東京から広島まで平均43分、岡山まで同15分の短縮になり、停車しなくなる駅には「こだま」を増発する。在来線では、岡山−鳥取間を約2時間で結ぶ智頭線経由の新特急「いなば」が1日3往復する。(朝日新聞)
■いろいろ苦心しましたが… 長野行き新幹線に決めました 東京−長野 最短で一時間19分 JR東日本
 JR東日本は25日、今年10月1日に開業する北陸新幹線「あさま」のダイヤと案内名を発表した。東京−長野間(222.4`)は最短の直行で下り1時間19分、上り1時間21分。平均到達時間は1時間37分。現在の半分に短縮される。地元との間でもめていた路線の愛称は見送られ、乗客への案内は「長野行(ゆき)新幹線」となる。「あさま」は東京−長野間を1日24往復する(うち直行は1往復)。始発と最終は、東京発下りが午前6時20分と午後10時6分、長野発上りが午前6時2分と午後9時41分。東京−軽井沢間は最短1時間3分で結ばれる。
 北陸新幹線は1970年に成立した「全国新幹線鉄道整備法」により計画が決定した新幹線で「北陸新幹線」が正式名。長野から上越地方を抜け、日本海沿岸を走って大阪まで結ばれる計画になっているが、長野以北は未着工区間だ。
 ホームでの表示などに使う路線の愛称について、JR東日本は「北陸方面へ向かう乗客が誤って乗ってしまう恐れがある」として「北陸」の二文字を使わないことに決めていた。これに対し、新幹線の延長を望む長野以北の自治体からは「長野でストップするような名前では困る」といった声が寄せられていた。
 このため、JR東日本は「長野新幹線」と言い切ることは避けた。下りホームはこの名で表示するが、上りホームは「新幹線」とだけ掲示する。
 時刻表には「長野行新幹線(北陸新幹線)」と併記する。だが、車内や駅構内での放送は聞き違いを防ぐため「長野新幹線」とする。JR東日本は「沿線の人たちもある程度理解してくれると思う」と話している。(朝日新聞)
■強い風雨 京滋”厳戒” 台風9号 山陽新幹線、運休 交通乱れ 夏休み、行楽フイ
 台風9号の接近に伴い、京滋地方でもJR山陽新幹線の運休や道路の規制など交通に影響が出たほか、日本海も波が荒れ始め、夏休みや週末の行楽や帰省の家族連れらをがっかりさせた。全国高校野球大会の予選など屋外行事も中止が相次いだ。市街地の人影もまばらで、市民は自宅で被害防止に備えた。
 山陽新幹線は午前10時ごろからほぼ全面運休し、京都駅では、新大阪以西に行く予定の乗客が乗車券や特急券のキャンセルを求めてごった返した。
 家族4人で福岡に帰省を予定していた京都市中京区の会社員園田初夫さん(36)は新幹線中央改札口前で、携帯電話で実家に帰省できないことを連絡。「私以上に子供ががっかりしています。いろいろ遊ぶ計画を立てていましたから」と、あきらめて帰宅していた。
 また、JR西日本によると、関西空港駅の風速が強いため、同空港行き特急「はるか」は午前6時すぎから、京都−日根野(泉佐野市)間で折り返し運行している。
 瀬戸大橋線の「マリンライナー」や、予土線の松山−高知間で運転を見合わせているほか、予讃線の岡山−松山間の特急「しおかぜ」が始発から運休した。
 名神高速道路は午前8時50分から、京都南−西宮間で50`の速度規制をした。
 また、京都市東山区の円山公園音楽堂で午後6時半から予定されていた中学、高校生の吹奏楽「土曜コンサート」が中止になるなど催しの中止も相次いだ。(京都新聞 夕刊)
■線路に看板置く 神戸、男現行犯逮捕
 26日午前4時半ごろ、神戸市東灘区北青木三丁目、阪神電鉄の青木東踏切の線路上に、男が近くにあった高さ1.6bの立て看板を置いたのを新聞配達員が見て110番、駆け付けた東灘署員が往来危険の現行犯で逮捕した。電車の運行に影響はなかった。
 逮捕されたのは、同区北青木、仮設住宅、無職渋川義恭容疑者(62)。「ついやってしまった」などと容疑を認めており、同署で詳しい動機を調べている。(京都新聞 夕刊)
■台風9号、西日本縦断屁あすも荒天の恐れ
 台風9号は26日午前、強い勢力を保ったまま北上を続け、夕方にも四国東部から紀伊半島にかけて上陸、西日本を縦断する可能性が強まってきた。台風接近に伴い、西日本では暴風域が広がっており、JR山陽新幹線は午前10時からほとんどが運休、空や海の便も大部分が欠航し、交通機関はまひ状態に陥った。各地の催しやスポーツ行事も次々に中止され、大荒れの週末となっている。
 大阪管区気象台によると、台風9号は大型から中型に衰え、26日午前11時現在、室戸岬(高知県)の南南東約110`を時速約20`で北に進んでいる。中心気圧は960ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は40bで、中心から半径約190`以内では、風速25b以上の暴風雨になっている。昼までに四国東部や紀伊半島、近畿中部の一部が暴風域に入り、室戸岬で最大瞬間風速52.2bを記録。近畿各地では1時間に40_前後の強い雨が降っているところもある。
 上陸後のコースは、兵庫県から岡山県にかけて本州を横切り、27日朝には福井県の若狭湾から島根県東部の日本海側に達するとみられる。日本海の高気圧に進路を抑えられて速度が遅く、暴風雨が長時間続くのが9号の特徴で、27日になっても日本海側を中心に荒天が続く恐れがある。このため気象台では土砂崩れや浸水の注意を呼びかけている。
 26日午前9時までの1時間に、奈良県・日出岳で45.5_、和歌山県・色川で37_を記録している。同日午前6時からの24時間の予想雨量は、近畿南部で200−400_、多い所で700_に達し、中部で150−200_、多い所で300_、北部は100−150_、多いところで250_になるとみられている。
 大阪湾では26日午後11時50分の満潮と台風通過が重なるため、湾岸では2b前後の高潮になる恐れがある。
・山陽新幹線、大半が運休
 台風による強風の影響で、交通機関は大きく乱れており、午後にはさらに運休や欠航が見込まれる。
 JRは、山陽新幹線が午前7時から午前10時までに上下線6本が運休、午前10時以降は一部を除いてほとんどが運休した。伯備線の特急「やくも」なども運休となり、本州と四国を結ぶ瀬戸大橋線も海上部分の区間が運休となった。
 海の便は、大阪南港と別府を結ぶ関西汽船、大阪南港と志布志を結ぶブルーハイウェイライン、東神戸と松山を結ぶ三宝海運が全便を欠航したほか、大阪南港と新門司を結ぶ名門大洋フェリー、泉大津と新門司を結ぶ阪九フェリーなどが一部の便の欠航を決めた。
 空では、午前11時までに、四国方面への便を中心に関西空港で計71便、大阪空港で計143便が欠航した。午後にかけて、さらに欠航は増える見込み。
 関西空港と対岸を結ぶJR、南海の空港線は午前6時すぎ、強風のため運転を見合わせ、乗客をバスで代替輸送した。また、連絡橋は午前4時に時速40`の速度規制をした。(朝日新聞 夕刊)
27日■台風9号 京滋も大荒れ 足乱れ 週末ひっそり(抜粋)
 台風9号の北上に伴い、京滋は26日午後、暴風域に入って雨脚がさらに強まり、倒木による民家の損壊や床下漫水などが相次いだ。被害の拡大に備えて、自主避難する住民もいた。JR山陽新幹線のほか、在来線の東海道線や山陰線などに運休が広がり、交通が大きく乱れた。百貨店は閉店時間を繰り上げ、夕方までにシャッターを下ろし、週末の街はひっそりしていた。市民は「被害が最小限であってほしい…」と、刻々と変わる気象情報を気にしながら、不安な夜を過ごした。
・被害 府内の15世帯避難 滋賀の男性2人がけが
 京都府警や京都府によると、府内全域で26日、15世帯37人が台風のため自主的に避難した。
 同日夕、京都市左京区松ケ崎掘町、無職前田国男さん(65)方で、北側の雑木林の木が5本倒れ、屋根の一部が壊れた。2階寝室が雨もりし、さらに周りの木が倒れる危険があるため前田さん夫妻は近くに避難した。
 相楽郡笠置町では同日夕、民家2戸が床下浸水し、家人2人が親せき宅に避難した。また同町の町営住宅の住民13人もがけ崩れを心配し、近くの町立産業振興会館に一時避難、舞鶴市や綾部市でも13人が小学校などで一夜を過ごした。
 京都府警などによると、強風のため京都市西京区や八幡市の路上など府内14ヵ所で倒木があった。
 一方、滋賀県では、彦根市や東浅井郡虎姫町で、雨戸を閉めようとして自宅2階から転落するなど、男性2人がけがをした。
・鉄道・バス 特急や快速運休相次ぐ JR新幹線や在来線
 JR山陽新幹線は午後もほぼ全面運休となり、約5万2000人が影響を受けた。東海道新幹線も午後5時20分ごろから米原−京都間で、断続的に運転を見合わせた。
 京滋の在来線では、東海道線と湖西線で新快速が午後1時半から運休。奈良線も午後2時から快速電車の運転を取りやめた。
 また山陰線は、午後3時15分ごろ亀岡駅構内で、強風で倒れた木が架線にかかり、木を取り除く作業のため、一時運行に影響が出た。特急は午後4時から運休し、相互乗り入れしている北近畿タンゴ鉄道(KTR)でも特急、急行を運休した。丹後半島に旅行するため、JR京都駅に来た京都市山科区の大学生竹村宏一さん(21)は、山陰線の特急の運休で乗車をキャンセル。「使わなかったお金で買い物でもします」と話していた。
 滋賀の近江鉄道は米原−貴生川間が午後7時15分から、信楽高原鉄道は午後7時すぎ全線で運休した。
 一方、関西線は午後1時15分から加茂−亀山(三重県)間で運転を見合わせたが、午後9時半すぎに加茂−伊賀上野(同)が再開。運行が見合されていた関西空港線のりんくうタウン−関西空港間は午後10時14分、運転が再開された。
 西日本JRバスは、東京や横浜行きなど全10台の夜行高速バスを全面運休。京都バスは京都駅−比叡山山頂の路線を、午後から運休し、2往復が運行を取りやめた。滋賀の近江バスの八日市君ケ畑線と京阪バスの一部も運休した。(京都新聞)
■南部の慢性的な交通渋滞どうする 城陽でシンポ
 慢性的な交通渋滞に悩む山城地方の交通問題を話し合う「第2回京都南部交通問題シンポジウム」が26日、城陽市富野の同市産業会館で開かれた。
 交通運輸労組京都地方協議会と宇治・城陽・久御山地区労組協議会が、城陽市長選挙に交通問題を反映させるため3年ぶりに開催。住民ら60人が参加した。
 主催者らが、城陽市は「南北交通に比べ東西は利便性に欠ける」「排気ガスによる大気汚染は大都市並み」、宇治市も「幅18b以下の狭い道路が多い」「バスや電車の運行回数が少ない地域がある」などと問題点を発表。
 引き続き、立命館大の土居靖範教授が「京都南部交通の現状と解決のための提言」と題して講演し、道路整備の遅れや公共交通のサービスの低さを指摘。だれでもスムーズに移動するための「交通権の保障」が必要として▽街づくりのなかで交通システムを考える▽自動車依存から公共交通優先への移行▽路線電車の見直し−などを提案した。(京都新聞)
■国内トロッコ列車が”連結” 観光振興、協議会設立
 観光客向けのトロッコ列車を運行する全国10社が26日、自然と調和した観光の振興を目的に「全国トロッコ列車協議会」を設立し、高知市で初会合を開いた。
 この日は各社が運行状況などを説明。「遊園地の絶叫マシーンだけでなく、これからはトロッコのような自然に親しむ観光が重要になる」などの意見が出た。
 協議会は嵯峨野観光鉄道のほか北海道のJR釧網線から熊本県のJR肥薩線まで10路線の10社で構成。初代会長は昭和20年代から営業運転している黒部峡谷鉄道の山口裕康社長が選ばれた。次回は来年、北海道で開く予定で、今後定期的に情報交換する。(京都新聞)
■語録三重 ランの魅力を観光客に
 せっかく名勝の嵐山で仕事をしているんだから、鉄道マンとして観光事業でも力を試してみたい
 トロッコ列車の嵯峨野観光鉄道が経営する西日本最大のラン園「嵯峨野ランアート」(右京区嵯峨天竜寺車道町)の寳谷正二園長(48)は「京都はラン栽培の先駆けの地。嵐山の観光客にランの魅力を伝えたい」と熱っぽく話す。
 国鉄時代から勤めたJR西日本から出向し、1994年3月から観光鉄道のランアートへ。開園3年目にして、ようやく軌道に乗ってきたが、「トロッコ列車と比べ、ラン園の知名度はまだ低い」と言う。
 今は、駅とラン園を往復する毎日だ。どちらにも、やりがいを感じるという。
 「トロッコ列車は天然の自然、ラン園は人工の自然を楽しむのが本来の狙い。双方をいかに連動させるかが課題」と次の観光戦略を練っている。(京都新聞)
■窓 JR舞鶴線電化に感慨
・マイカー控え通勤に利用を 園部町・河村 清(無職・72)
 JR舞鶴線(綾部−東舞鶴間)電化・高速化が、いよいよ10月に着工の運びとなった。取り残されていた舞鶴線の電化は、沿線住民の感慨ひとしおだ。特に綾部−東舞鶴間は、園部−綾部間と異なり、トンネルが少ないことなどから、電化はやりやすいと思います。ところが、電化されても乗車率が、どれだけあるのか。乗車率の悪い園部−綾部間は、特急電車のために、普通電車が細々と走っているように見えるのです。
 もちろん、この区間は、過疎地帯で、とりわけ船岡、日吉あたりでは京都方面へは園部までマイカー通勤で、あと電車で行く人が多いとのことです。だから、乗車率は、電化前とほとんど変わっていないと思います。せっかくの電車が走るなら、住民はそのスピードと安全を利用すべきではないでしょうか。京都や福知山へのマイカー通勤者は、車はJRの最寄り駅までとし、あと電車を利用することで、普通電車を増発させることになると思います。
 電化の目標は速い、安全、大量輸送にあると思います。従って、過疎地域のマイカーの人も、最寄りJR駅までマイカーで、あとは電車を利用するように協力が必要と思います。それと京都市内、福知山市内でも、市内交通機能を低下させているのは車であることは、マイカーの人たちが一番知っていることではないでしょうか。
・府北部全体の活性化に弾み 久美浜町・浜岡 均(嘱託・64)
 JR舞鶴線の電化が申請され、10月にも着工、1999年秋の電化開業を目指すことが発表された。山陰線とKTR宮福線は昨年3月に開業して、舞鶴線だけが取り残された感じだった。だから、悲願の達成は舞鶴だけの喜びではなく、丹後や地方全体の喜びである。
 荒巻知事が「環日本海時代に向け、府北部の重要なインフラ整備になる」と歓迎しているし、京阪神との時間は短縮され、流入人口の増加、観光やビジネスのプラス面も多いと思う。府北部は豊かな自然、特に大浦半島、丹後半島などの海岸線は、まれにみる美しいものであり、観光資源の活用が待たれる。
 山陰線、KTR宮福線の電化についで舞鶴線の電化がはずみとなって、舞鶴から久美浜までの発展策がさらに検討され、府北部全体の活性化ができ、丹後地方の時代の到来を期待したい。(京都新聞)
■鈍足台風、終日「足」乱れる 徳島・岡山抜け、けさ日本海へ 7府県で19人けが
 台風9号は、26日夕方に四国東部へ上陸してから播磨灘に抜け、夜になって岡山県備前市付近に再上陸、中型で並みの強さに衰えた。このまま北上して、日本海側に抜ける見通し。台風の接近、通過に伴って西日本から東海の一部まで暴風域が広がり、紀伊半島から四国にかけて強い南をもたらした。JR山陽新幹線は午前11時すぎから終日運休、空や海の便も大部分が欠航して交通機関に大きな影響が出た。また、風や高波のために各地でけが人が相次いだ。
 台風の強風による交通機関の乱れは、各地で終日続いた。
 山陽新幹線は、新大阪−広島間で午前11時すぎに通常の運行を打ち切ったが、岡山−広島間で臨時の「こだま」2本を運行した。広島−博多間は「こだま」が1時間に2本程度運転したが、残りは運休した。このため、26日中の運休は上下137本、影響人員は約5万2000人に達した。
 JRの在来線では、中国地方を中心に山陽線、伯備線、山陰線などで一部の列車が相次いで運休した。紀勢線の和歌山−新宮間が不通になり、東海道・山陽線の新快速、奈良線の快速などが運転を取りやめた。27日は新幹線・在来線とも始発から正常運転の見込みという。在来線への影響は近畿だけで運休約700本、影響人員約11万8000人に及んだ。
 海の便は、高松−神戸、小豆島−高松を結ぶフェリーをはじめ、大阪や神戸と九州、四国を結ぶ航路などで、ほとんどの便が終日欠航した。
 空の便は午後、さらに大きな影響が出た。関西、大阪両空港は、午後からの国内便がほとんど欠航となった。高松空港は、国内、国際線38便のうち午前中の3便を除き、いずれも欠航。徳島空港でも始発の1便が飛んだだけで、終日運航を取りやめた。(朝日新聞)
■台風9号 交通網乱れ催し中止 百貨店、はやばやと閉店
 西日本を直撃した台風9号は26日、府内にも大きな影響をもたらした。強風などで2人がけがをしたほか、JRの特急などが相次いで運休し、繁華街では百貨店が軒並み繰り上げ閉店した。週末に予定されていた行事も多くが中止になった。台風はゆっくり北上しており、27日夕までの総雨量は山間部で約200_に達するとみられるため、府災害警戒本部は引き続き風雨に対する警戒を呼びかけている。
 京都地方気象台によると、降り始めからの総雨量は午後8時現在、左京区・花背峠で71.5_、京北町・比賀江で62_を記録。府は同日朝、災害警戒本部を設けた。
 府警によると、北区金閣寺町の鹿苑寺(金閣寺)境内で午前9時40分ごろ、観光に来ていた仙台市の会社員(26)が、突風で折れたもみじの枝(直径7a、長さ3.3b)を腹部に受け約1週間のけがをした。また、同11時すぎ、北区北野白梅町の路上を歩いていた同区内の無職の女性(86)が強風にあおられて転倒し、軽いけがを負った。
 風雨は南部で午後から強まり、京都市内で午後零時38分に最大瞬間風速23.7bを記録。JR西日本福知山支社は午後3時半から、天橋立発京都行き上り特急「はしだて8号」など山陰線上下特急11本と普通2本を運休したのをはじめ、福知山線、播但線で特急、普通計27本の運転を見合わせた。笠置町の国道163号が木津川の増水で一時通行止めになった。
 また、亀岡市千歳、山科区日ノ岡など8ヵ所で送電線に樹木が接触するなどし、夕刻から計約7790戸が約30分から約3時間停電した。
 京都市内繁華街の人出は普段の週末の半分程度で、四条河原町阪急が午後3時に繰り上げ閉店したほか、百貨店4店が「お客様の交通の便」を理由に、閉店時間を4時間半から2時間半繰り上げて閉店した。行事の中止も相次ぎ、京都染織青年団体協議会が京都市の鴨川で計画していた「京の夏まつり」の友禅流しや東山区円山公園音楽堂の中高生の吹奏楽「土曜コンサート」が取りやめになった。(朝日新聞)
■あ〜あ 水入り夏休み 旅行客、駅で足止め 催し中止、早々閉店
◆混雑
 山陽新幹線がほぼ運休したJR新大阪駅では昼過ぎから、途中下車した親子連れやサラリーマンらでごったがえした。JR西日本は台風情報を駅内で随時放送し、改札口前に臨時案内所を設けるなど対応に追われた。
 タクシー乗り場には長い列ができ、待合室ではスーツケースを抱えて眠り込む旅行者の姿も。親類ら5人で東京から九州へ向かう途中だった千葉市の主婦泉谷みゆきさん(36)は正午、新大阪駅に着いたところで新幹線がストップし、大阪で1泊する羽目に。「久々の里帰りだったのに、もう最悪です」
 JR西日本は、接続列車がない新幹線の乗客が駅で一夜を明かせるよう、26日午後10時半ごろから広島、岡山両駅の在来線ホームに仮眠のための車両を用意した。
 この時期1日約5万人が利用する関西空港では、相次ぐ欠航に戸惑う乗客の姿が目立った。ターミナルビル4階の国際線出発ロビーで、欠航を知らせる電光掲示板を見上げてため息をつく人も。空港島にあるホテルのフロントには、この日の宿を求める乗客からの問い合わせがひっきりなしで、576室ある部屋は満室となった。
◆中止続々
 大阪府の堺、和泉両市ではこの日、身体障害者のスポーツ大会「ふれ愛びっく大阪」のテニスとカヌーのデモンストレーション大会が開かれる予定だったが、台風の影響で中止になった。京都染織青年団体協議会が鴨川で行う予定だった「京の夏まつり」の友禅流しも取りやめに。神戸市で27日に3年ぶりに開かれる予定だった「神戸まつりヨットレース」も中止が決まった。
 週末は子ども連れでにぎわう遊園地なども休園が相次いだ。岡山県倉敷市に18日に開園したばかりの都市型テーマパーク「倉敷チボリ公園」は初めての休園。大阪市の天王寺動物園や兵庫県の宝塚ファミリーランド、神戸ポートピアランドもこの日朝から休園となった。
 街頭の人影もまはらで、近畿の百貨店では従業員の帰宅時間や客の安全などを考慮して営業時間を短縮する店が相次いだ。大阪・梅田の阪急百貨店や阪神百貨店は通常より4時間半早い午後3時に閉店。店の入り口には閉店を知らせるビラが張られた。京都や神戸の百貨店も相次いで閉店時間を繰り上げた。(朝日新聞)
■肥満型電車 混雑率が10%解消 鉄道総研開発
 未来の通勤電車はちょっぴり太め?すし詰め状態の現在の通勤事情を緩和しようと、車体幅を3.1bに広げた車両の開発に、鉄道総合技術研究所(鉄道総研、東京都国分寺市)が成功した。従来の車両は箱型で車体幅は2.8bが中心だったが、全体に丸みを帯びたことで車内の空間が広がり、混雑率は10%以上解消できるという。28日に東京国際フォーラムで開かれる「鉄道技術連合シンポジウム」で発表される。
 鉄道総研は一昨年7月、都市圏輸送の混雑緩和を目的に、車両や駅舎、信号の改良などを進める「都市鉄道プロジェクト」を設置した。
 今回開発された車両は「ワイドボディーカー」といい、今年2月に1両分の試作車(長さ20b、高さ2.5b)が完成した。現在、鉄道総研の実験線に置かれており、台車ができあがり次第、自力で走らせて安全性に問題がないかどうかなど調べる。
 運輸省の「普通鉄道構造規則」により、鉄道車両の車体幅は3b以下と決められている。@ホームにぶつかる危険性があるA幅が広いとどの程度横揺れするのか分からない−ことなどが理由とされ、通勤電車は箱型が主流だった。
 今回開発された車両は、ホームにぶつからないよう車体の両側面の下部を引っ込ませ、真ん中付近を膨らませている。その結果、車体は丸みを帯び、幅は3.1bにまで広げることに成功した。
 座席を下部の膨らんだ側面に寄せることで、1両あたりの面積も従来より3.5平方b広い34.5平方bとなった。座席数は従来と変わらないが、1両あたりのつり革の数は46個増える。
 混雑率は例えば、「体が触れ合い、相当な圧迫感がある」(200%)から、「体は触れ合うが新聞は読める」(180%)に緩和されるという。(朝日新聞)
■トロッコ列車で活力 全国協議会が設立
 トロッコ列車を活用した観光振興や地域の活性化を目指す「全国トロッコ列車協議会」が設立され、第1回会合が26日、高知市内のホテルであった。トロッコ列車を走らせる全国の鉄道会社10社が参加した。
 同協議会は、観光客誘致などについての情報を交換し、沿線の自然環境の保全を目的としている。27日に高知県幡多郡西土佐村で予定されていた「全国トロッコ列車サミット」は台風9号のため中止された。(朝日新聞)
■500人が6時間缶詰め 北陸線で特急立ち往生 敦賀
 26日午後3時ごろ、福井県敦賀市小河口のJR北陸線新疋田駅から約2`下り付近で、大阪発富山行き特急「サンダーバード27号」(9両編成)が走行中に徐々にブレーキがかかったため、非常停止した。同特急は6時間近く現場に停車し、乗客約500人が車内に閉じこめられた。
 JR西日本金沢支社によると、先頭から2両目の8号車のブレーキがかかったまま動かないため、7−9号車の乗客に、6号車以降の車両に移動を要請。故障車両の8号車と連結している7号車と9号車を他の6両と分割し、機関車で敦賀駅までけん引した。3両を同駅に収容した後、同8時43分、現場に残っていた6両で運転を再開した。
 乗客を車内に6時間近く缶詰めにしたことについて、同支社は「現場は国道8号沿いだったが、線路との間に川が流れていたため、バスなど他の交通手段による代替輸送ができなかった」と説明している。
 同支社によると、乗客にけがはなく、故障の原因を調べている。この事故で特急6本が運休、普通6本が区間運休したほか、特急など19本が約6時聞から5分遅れ、約1万1000人に影響した。(朝日新聞)
28日■叡山電鉄貴船口駅近く 落石、線路ふさぐ 4時間1000人に影響
 西日本を通過し被害をもたらした台風9号の影響は27日も残り、京都では線路上への落石や、民家の屋根がわらが落ち、通行人が軽傷を負うなどの事故があった。
 同日午後2時47分ごろ、京都市左京区山端壱町田町、叡山電鉄修学院駅内に設置された落石・倒木警報機が作動。約10分後に鞍馬駅を出発した電車(2両編成・上田克己運転手)が、同区鞍馬貴船町の貴船口駅南約10b付近の線路の上や周辺に石が多数落ちているのを発見し、近くの左京消防署鞍馬出張所に届けた。同電車は、異常発生の連絡を受け、先に貴船口駅で乗客約10人を降ろしておりけが人はなかった。
 この事故で、同電鉄では市原−貴船口間で2台の臨時代行バスを出し、利用客に対応。約四時間後に全面復旧したが、計約1000人の足に影響が出た。
 下鴨署によると、現場に落ちていた石は20個余り。小さいので直径50aくらい、大きいもので同約2bほどもあり、うち7個が線路をふさぐ形で落ちていた、という。現場の西側は高さ5b近いがけが続いており、台風通過に伴う雨で地盤が緩み、落石が起きたのではないかとみて調べている。(京都新聞)
■山陽電車で踏切事故 神戸垂水
 28日午前10時10分ごろ、神戸市垂水区五色山八丁目、山陽電鉄の歌敷山踏切で、横断中に立ち往生していた兵庫県姫路市飾磨区英賀東町一丁目、アサカ運輸の保冷車=木原譲運転手(20)=に、新開地発姫路行きの下り普通電車(4両編成)が接触、保冷車の右後部が大破した。同電車の乗客約40人にけがはなかった。この事故で、山陽電鉄は上下線とも須磨−明石間で不通になり、JRに振り替え輸送している。
 兵庫県警垂水署の調べによると、保冷車が踏切を南から北に横断しようとしたところ、反対側から車が来たため、踏切内で停車して車をやり過ごした。その後、発車しようとしたが、発進できずに遮断機が降りた。木原運転手は発炎簡で合図を送り、普通電車の運転士もブレーキをかけたが間に合わず、保冷車の右後部に接触。同電車は約15b走って停車し、保冷車は電車の側面に寄り掛かる形で傾いて止まった。木原運転手は、垂水区内の小売店などにめん類を搬送する途中だった。
 普通電車の乗客にけがはなく、運転士らが誘導して最寄りの霞ヶ丘駅とJR舞子駅に徒歩で向かった。近所の女性(31)は「大きな音の後に、プシューという音がしたので、外に飛び出した」と話していた。(朝日新聞 夕刊)
29日■列車火災 乗客救え! 新装京都駅で初の火災訓練 緊急車両4台も出動
 京都市下京区のJR京都駅で28日、JR社員や市消防局、地元消防団らが合同で、列車火災を想定した消防・救助・救急訓練を行った。
 12日に京都駅が新しくなってオープンして以来、初めての消防訓練で、災害発生時の各機関の連携を強化するのが目的。JR社員らでつくる同駅自衛消防隊や下京、南消防署の救急隊や救助隊員、地元の皆山消防分団員ら約150人が参加した。
 「一番線に到着した列車内で火災が発生。多数の乗客が煙に巻かれ、一酸化炭素中毒や火傷を負い、列車内には閉じ込められた乗客がいる」との想定で、救急車など緊急車両4台も出動する大がかりな訓練になった。
 参加者らは車両に向かって放水し、消火活動をする傍ら、互いに連絡をとりながら列車内に取り残された乗客を迅速に救出。応急救護所で手当てに当たった。
 構内にいた乗降客らは、サイレンがけたたましく鳴り響き、本番さながらの訓練を繰り広げる訓練参加者の動きを、神妙な面持ちで見守っていた。(京都新聞)
■新駅長に西川氏 JR京都駅
 JR西日本は28日、8月1日付でJR京都駅の新駅長に西川浩光神戸支社営業課長を充てる人事を発表した。藤井二夫駅長は本社秘書室長に就任する。
 西川氏は64年、国鉄に入り、87年の民営化以降、JR西日本鉄道事業本部課長代理、京都駅助役、芦屋駅長などを歴任、95年6月から現職。53歳、大津市出身。(京都新聞)
■窓 時刻表利用し旅行気分満喫 左京区・田口 元紀(自営業・48)
 最近、時刻表を利用して旅行コースを計画する趣味に凝っている。まず目的地を決め、そこに手ごろな料金で設備のよい宿泊施設があるのを確かめると、その後は途中の交通機関の連絡具合を調べるために時刻表とにらめっこする。
 遠隔地は日数や費用がかかるので敬遠して、いわゆる「安近短」の場所を選ぶのだが、それでもJRや私鉄の各線と路線バスや定期航路のルートを自分で結ぶ作業は、未知の世界を切り開く趣があって、案外楽しいものである。さらに、目的地まで一気に行ける特急を利用しないで、その途中までしか行かない普通列車を乗り継ぐ。時間が掛かっても、駅の持ち時間や昼食場所を考慮しなければならなかったりして、いながらに旅行気分が味わえる。
 実際には、速度が遅く鈍行列車を何回も乗り換えるのは、面倒くさくて疲れるに違いないが、希望どおりの時間内に目的地までたどり着けた時は、まるで時のパズルを見事に解明したようで、計画のだいご味を満喫できるのだから、不思議なことである。(京都新聞)
■JR京都駅周辺を美しく 駅と企業 区役所連体 清掃日決め一斉に
 JR京都駅周辺を美しくしようと、同駅をはじめ駅前地区の企業や下京区役所などが近く、「京都駅前周辺美化活動推進連絡協議会」を発足させることになった。
 新しい駅ビルが開業したのを機に、駅職員や駅前地区の企業がこれまで個別に実施してきた清掃活動を一元化。ごみや空き缶などがない美しい街並みを目指し、1ヵ月に1、2回の統一清掃日、清掃地区を決めて一斉に取り組むことにした。地域の自治組織との連携も探める考えで、下京区役所は京都市がごみ袋などを市民グループなどに提供する補助事業の適用を受けられないか検討している。
 現在、京都駅や駅前地区の企業などで具体的な連絡協議会の運営方法を詰めており、8月中旬までに正式発起人会を開く方針。発起人の一人でJR京都駅の藤井二夫駅長は「国内だけでなく海外から来る観光客に、京都がきれいな街だというイメージをもってもらいたい」と話している。
 京都駅前地域の美観保持などについては、京都商工会議所が6月、京都市や京都駅ビル開発など関係団体に、一体的な取り組みをするよう要請していた。(朝日新聞)
30日■蹴上インクライン7年ぶり復元 地下鉄工事終え来月から 市民憩いの場に
 地下鉄東西線蹴上駅の建設工事のため、レールなどが撤去されていた左京区南禅寺福地町の蹴上インクラインが、7年ぶりに復元された。8月1日から再び、市民が自由に散策できる憩いの場として復活する。
 蹴上インクラインは琵琶湖疏水を通行した船が高低差のある岡崎−蹴上間を行き来できるよう、斜面に幅20b、長さ600bにわたり複線のレールを敷き、積み荷ごと台車にのせ運ぶ施設。1891年に完成し、終戦直後まで利用されていた。
 1983年に市の文化財に指定され、昨年6月には国の史跡にもなっており、市民がハイキングに訪れるなど親しまれていた。
 同インクラインのすぐそばで、蹴上駅の建設工事が始まったのに伴い、90年3月から市民の立ち入りを禁じたうえ、桜並木やレール、枕木などを撤去し、工事用の車両や建設資材を置く場所として利用していた。
 工事の終了に合わせ、昨夏から復元の工事に取りかかり、傷んだ枕木を新調したり、レールを元通りに敷くなどし、7年前の姿を取り戻した。(京都新聞)
■約涼トコッコ列車と花火見物参加者募る 開業記念しJR京都駅
 JR京都駅(下京区)は8月7日に、新京都駅開業を記念して催すイベント「納涼 トロッコ列車と花火見物」の参加者を募集している。
 当日は、午後6時半にトロッコ嵯峨駅(右京区)に集合、7時2分発の臨時卜ロッコ列車で出発する。夕暮れの嵯峨野の山沿いを走り抜け、到着したトロッコ亀岡駅のホームから花火を観賞する。帰りは9時15分に同駅を出発、トロッコ嵯峨駅に9時45分に到着し解散する。
 費用は1人5500円(弁当、菓子、飲み物付き)。トロッコ亀岡駅ではビールやジュースが飲み放題になる。定員は220人。申し込みと問い合わせはJR京都駅「みどりの窓口」(352)5420へ。(京都新聞)
■窓 新しい京の玄関に一言
・発想の転換に夢が広がった 伏見区・佐藤 満子(主婦・70)
 買い物帰り、うわさに聞く京都駅を見に行った。びっくり仰天、これが京都駅かと。中の空間は、もっとびっくり。あまりに高く広い。空中サーカスができる。その下ではピエロが玉乗りしている。夢の世界がどんどん広がる。素晴らしい。私にとっての京都駅は、一瞬にして夢と希望を与えてくれた。
 外から見て、乗り物に弱い私は、まるで遠い国から来たお客のように思えた。京都のイメージがしない新しい建物です。人、それぞれに思いはあるでしょうけど、京都は新旧入り交じった建物の多い中、見事に発想の転換がなされた。これから京都へ来る人もアッと驚かれることでしょう。21世紀は、いろいろのものが変わることでしょう。健康で長生きしたいと思います。
 それにつけても、まず夏休みに来る二人の孫に見せてやりたいと一日千秋の思いでいっばいです。ここまで素晴らしい駅造りに携わってくださった大勢の関係者の方々に感謝とお礼の思いです。
・長蛇の列なすトイレに不安 宇治市・前田 栄子(主婦・48)
 新しく生まれ変わった京都駅。ちょっと寄ってみました。建物としては、でこぼことしたずうたいばかり大きく、あまり好きになれそうにないと思っていました。でも、設備はやはり、いろいろ考えてつくったのだろうと思われるところが多く、うれしくなりました。
 トイレの近い私は早速トイレを探しました。そこで目に入ったのはエレベーターマーク。エレベーターの多いのには驚きました。さてトイレですが、正面改札近くのトイレは長蛇の列でした。高速道路で団体バスで立ち寄った時のようでした。あきらめて他へ回りましたが、急ぎの人へ、ほかのトイレの案内があればよかったと思いました。
 それに、ここのトイレは車いす用トイレだったのですが、長蛇の列に車いすが入れるかしらと心配になりました。老若男女すべての人に使いやすいようにつくっていますと自信をもった声を聞かせていただきたいものです。(京都新聞)
■窓 二条駅の塗装に少し異議あり 上京区・宮内正太郎(団体役員・79)
 JR嵯峨野線が全線高架になり、それに伴い二条駅の改装、地下鉄東西線工事のため、駅周辺も整備され、大変きれいになった。駅舎も前のものは撤去され、今度はシンプルな駅舎が建てられた。
 ここでちょっと気になるのはプラットホーム上部に建築された黒色の巨大なおわんを伏せたような雨よけ上屋である。千本通走行中のバス車窓からも巨大な上屋が飛び込んでくる。関東から入洛した友人が開口一番「二条駅が変わったね。昔の京都の面影がない」と。新しい京都駅が完成し、種々話題をまいているが、それと極めて対照的である。京都駅が京のフロント(玄関)なら二条駅は京の西の玄関である。この直ぐ東には二条域もあるのに…。もう少し京風のものはできなかったのか。
 最近マンションや公共の建物でも京の景観をそこなわぬよう設計がなされている。塗装について言えば”黒”はどうも陰湿なイメージが漂う。せめてライト・ブルー、モスグリーン等の方が明るく感じられるが。東西線の開通とともに、JR二条駅は西の玄関としてますます利用客が増えると思う。(京都新聞)
■旧国鉄債務で社民党 一般会計での処理を提案
 社民党の国鉄長期債務問題等対策プロジェクト(座長・瀬谷英行参院議員)は29日、28兆円を超えた国鉄長期債務の処理策について、基本的考え方をまとめた。国鉄長期債務を国の借金として明確に位置づけ、一般会計に移して、徹底した行財政改革で生み出される一般財源をもとに処理すべきだとしている。国鉄債務問題の解決を「行財政改革の起爆剤」とするよう求めている。また、具体的な処理策を決めるために、政府・与党の協議機関を創設することを政府や自民党に提唱する方針だ。(朝日新聞)
31日■京都市バス全面再編 地下鉄東西線開業に伴い86→69系統に 16年ぶり 10月12日から
 京都市交通局は31日、10月12日開業の地下鉄東西線(醍醐−二条)と、6月に開業した烏丸線北々伸(北山−国際会館)に伴い、市バス系統を全市的に見直し、現行の86系統から69系統に再編することを決めた。10月12日から実施する。全面再編は、81年の地下鉄烏丸線(京都−北大路)開業以来。
 市中心部の系統では、整理統合9、経路変更14、新設4で、現行73系統が69系統になる。走行キロ数は、乗客の減少率と同じ4%減の1日8万2200`とする。
 整理統合は、御池通や四条通と洛北地域を結ぶ系統などで、その一方、北部と南部の循環系統、河原町通の快速バス系統などを新設する。
 系統再編のうち、山科・醍醐地域の13系統は、廃止し京阪バスに運行を引き継ぐことがすでに決まっている。また、今回の再編とは別に、大原・岩倉地域の4系統は6月から廃止され、京都バスに移行している。
 交通局では、今回の再編で、市バスの乗客は、山科・醍醐地域も含め現在より7%減の38万4000人になると試算している。
 系統再編については、学識経験者らによる研究委員会が1月、46−25系統まで整理できるとする「少系統多便型」報告書をまとめたが、交通局では「乗り継ぎ変更による混乱などを避けるため、今回は現行系統をベースに見直した」という。
 今後、再編後の運行本数やダイヤを決める。実施日を越える定期券は、手数料(500円)を無料にして払い戻す。
 また、山科・醍醐地域での京阪バスは、現行の43系統が28系統に再編されるが、1日の走行キロ数は現在と同じ6200`を確保する方針という。(京都新聞)
■地下鉄東西線 建設費の最終見込み額 当初計画の1.85倍
 京都市交通局は31日、地下鉄東西線(醍醐−二条、12.7`)の建設費の最終見込み額をまとめた。総額は、当初計画の1.85倍の4537億円だが、事業見直し後の95年の見積額を2.7%、127億円下回った。
 内訳は、第三セクターの京都高速鉄道が担当した区間(御陵−三条京阪、3.3`)が、1544億円で当初比2.5倍、見直し後に比べ0.3%、6億円減少。残る交通局区間は、2993億円で当初比1.6倍、見直し後に比べ3.8%、121億円の減額となった。
 減額のうち59億円は、企業債の発行利率の低下など間接費で浮いた。また、水道・ガス菅はいったん別の場所に埋設し、工事終了後に元のルートに戻していたが、大阪ガスなどにそのまま使用してもらうよう協力要請するなど、節減に努めたという。
 これに伴い、一般会計からの持ち出しとなる出資金と補助金は、53億円減の計1301億円となる。
 東西線の建設費は、89年の着工後、地盤状況に伴う工法変更や、工程管理の不備による工事期間の延長で大幅に上昇した。94年に事業の全面的な点検・見直しを実施、95年に新たな財源計画を立て、ホームのドア設置費など46億円を建設費とは別枠の市事業費として扱うことにしていた。(京都新聞 夕刊)
■三条京阪駅周辺 新たに広場確保 府都計審 整備計画を承認
 京都府都市計画地方審議会が30日、京都市上京区内で開かれ、地下鉄東西線(醍醐−二条間)の開業に伴う三条京阪駅周辺整備として、都市計画道路の変更など9件を承認した。これにより、同駅前は東西線開業後、駅舎や軌道が撤去されて新たに広場を確保、バスやタクシー乗り場を設置してターミナル機能が充実される。
 三条京阪駅前整備は、駅西側の川端通と北側の三条通を拡幅し、現在はバスターミナルにもなっている大和大路本町通を東へ移動させ、歩行者用のL字型広場(4200平方b)を確保する。歩行者用のスペースは、現在の2倍となる。
 広場南側にはバスやタクシー乗り場を設置するほか、移動後の大和大路本町通と三条通との結節点には、東西線の三条京阪駅の出入り口を設置。現在の大和大路本町通や京津線三条駅のある部分は、京阪電鉄の事業予定地となっており、商業施設の建設が予定されている。
 審議会では、このほか、宇治市東部の交通渋滞解消のため同市五ケ庄−平尾台に計画されている都市計画道路(約2.1`)のルートの一部変更、平等院南門付近の府道大久保宇治川線の法面を約400bにわたり、幅16bに拡張することも承認した。(京都新聞)
■10周年記念で発売 信楽焼製の乗車券好評 信楽高原鉄道
 信楽高原鉄道が開業10周年に合わせて、25日から販売している信楽焼製の記念乗車券の売れ行きが好調で、同鉄道は「ファンが定着してうれしい」と大喜びだ。
 同鉄道は、毎年11月に、翌年のえとを描いた信楽焼製の「えと切符」を5000枚売り出すほか、開業1周年と3周年にも、陶板製記念切符を発券してきた。
 今回の10周年記念切符は、縦9a、横18a、厚さ7_。信楽−貴生川間の往復の親子ペア券となっている。信楽焼特有の茶色をベースに、自慢の安全車両とタヌキの図柄が楽しい。
 10周年記念切符は1枚1360円。まだ若干余分があるという。問い合わせは同鉄道 0748(82)3391へ。(京都新聞)
■分割・民営化配転訴訟 国労14人の控訴棄却 仙台高裁支部 JRの責任否定
 1987(昭和62)年の国鉄分割・民営化直前の配置転換命令は、国労弱体化を目的とした不当労働行為だったなどとして、国労秋田地方本部の組合員だった14人(現仙台地方本部山形県支部所属)が、JR東日本を相手に元の職場で勤務する権利の確認などを求めた訴訟の控訴審判決が30日午後、仙台高裁秋田支部であった。
 守屋克彦裁判長は「JR東日本と国鉄が実質的に同一で(国鉄の)責任を当然JRが継承するとする原告側の主張は採用できない」として一審の秋田地裁判決を支持し、労組員の控訴を棄却した。
 国労秋田池本の今井伸書記長は記者会見し「国労本部と連絡を取り、来週中にも上告するかどうか決めたい」と述べた。
 判決によると、JR東日本の設立委員は87年2月、秋田保線区の保線管理係などだった原告14人に4月から同社で採用すると通知。国鉄は3月10日付で14人に秋田県から山形県内への配転命令を出し、同月16日には設立委員が、JRに採用された後も国鉄による配転先へ配属すると通知した。(京都新聞)
■大糸線の運転再開11月めど 豪雨被害から2年ぶり
 JR西日本は30日、1995年7月の集中豪雨被害で不通となっていたJR大糸線の南小谷(長野県小谷村)−小滝(新潟県糸魚川市)間(21.7`)について、11月中をめどに運転を再開すると発表した。
 来年2月の長野冬季五輪開催時には、大阪から同線を経由して会場までの臨時急行を出すという。
 大糸線は、並行する姫川が豪雨ではんらんし、橋6本や路盤約2`が流された。
 同社は、同区間に代行バスを出す一方、昨年1月から復旧工事を始めていた。(京都新聞)
■三条京阪駅前整備など可決 府都計審
 府都市計画地方審議会(天野光三会長)は30日、東山区の三条京阪駅周辺整備計画や城陽市のごみ処理施設建設計画など6項目計9件の都市計画をいずれも全員賛成で原案通り可決した。
 三条京阪駅周辺整備は、京都市の地下鉄東西線建設にともなう再開発計画。同駅前広場を約5倍の約4200平方bに拡張すると同時に、周辺の道路の位置を変更する。委員から「交通渋滞が起きないか」との意見もあったが、府警交通規制課が「京阪電鉄などと十分協議する」と説明。出席した委員26人全員が賛成したという。
 同審議会は「委員の自由な発言が阻害される」などとして、今回も会議の冒頭を除き、非公開だった。(朝日新聞)
■大糸線11月にも再開
 1995年7月の集中豪雨で線路の路盤などが流失して以来、不通のままになっているJR大糸線南小谷(長野県小谷村)−小滝(新渇県糸魚川市)間(約22`)について、同区間を管轄するJR西日本は30日、10月末に復旧工事が終了し、早ければ11月中に運転が再開できるとの見通しを明らかにした。地元の長野県は来年2月の長野冬季五輪までの運転再開を要望していたが、開催に間に合うことになる。(朝日新聞)
■JR大糸線年内再開
 JR西日本は30日、1995年7月の北信越地方の豪雨で鉄橋などが流失、2年以上も不通になっている大糸線南小谷(長野県)−小滝(新潟県)間約21`について、年内に運転を再開すると発表した。
 現在は代行バスが1日4往複しているが、再開後は被災前と同じ上下27本の列車が運行。同区間の不通で、関西から北陸、大糸線経由のスキー列車「シュプール号」は、北陸線糸魚川駅からバスに乗り換える方法と中央線経由の2通りに分かれていたが、この冬からは元のルートに一本化する。鉄道部分の複旧費は約65億円。(読売新聞)
■梅小路蒸気機関車館 雄姿再現 SL「義経号」を特別運転 体験乗車OK 8月中の土、日 お盆期間中も
 JR西日本は30日、アメリカから1880年(明治13)に輸入されたSL「義経号」を、8月中の土、日曜日とお盆に京都市下京区の「梅小路蒸気機関車館」で特別運転することに決めた。
 義経号は北海道・手宮(小樽)−札幌間の鉄道開通に合わせて「弁慶号」とともに輸入された。1923年に民間企業に売却され、52年に鉄道80周年を記念して国鉄が、鷹取工場(神戸市)で原形に複元。国鉄の分割民営化後はJR西日本が引き継いだ。
 現在は大阪市港区の交通科学博物館で展示されているが、蒸気機関車館がリニューアルオープンしたのを記念して、今月5、6日に同館へ運んで運転。好評だったので、引き続き夏休みが終了するまで留め置くことになった。
 運転日は2日から31日までの各土、日曜日と13、14、15日。午前11時、午後1時半、3時半の1日3回、客車(定員約100人)を引いて構内を走る。入館料は大人400円、小人100円、義経号の体験乗車は大人200円、小人100円。問い合わせは同舘(075・314・2996)へ。(読売新聞)
■あすから 加悦では夏まつり SL解説やクイズ 鉄道ファン見逃すな!!
 昔懐かしい蒸気機関車(SL)が見られる加悦町滝の加悦SL広場で8月1日から7日まで、「加悦SL夏まつり」(同町青年会など主催)が開かれる。
 同広場には、1873年にイギリスから輸入された日本で2番目に古いSL「2号機関車」や、1893年に新橋で製造され「マッチ箱」と呼ばれた「ハ4995号客車」など23両が屋外展示されている。
 期間中は、午前10時から午後6時まで、鉄道ファンがSLの特徴や歴史を説明するガイドツアー、小学生以下の子供を対象にした鉄道クイズなどが行われる。また、3日には同広場の駐車場でフリーマーケットが開かれる。
 関連行事として、7日午後8時から同町民会館で、日本ナショナルトラスト協会員の小竹三恵子さんが「イギリスにおける文化財・遺産の保護活動 ナショナルトラストってなぁに?」と題して講演。講演とフリーマーケットは無料。同広場の入場料は、小学生以下300円、中学生以上500円。(読売新聞)