1997(平成9)年 5月


1日■信楽高原鉄道事故 7回忌前に資料館を開設 信楽駅舎南側 ”傷跡”展示 風化させず(京都)
  ■日本も時速300`時代に(京都)
  ■主張・解説 JR不採用問題 7月にも判決 「負」の遺産 解決へ岐路 決着かさらに長期化か 処理の責任 政府・与党に 編集委員 中野 隆宣(朝日)
2日■窓 街のシンボル 新駅舎に期待 彦根市・馬場 一郎(建築士・56)(京都)
  ■線路に自転車 堺で、いたずらか(朝日)
3日■経済天気図 JR東西線のインパクト(京都)
  ■無事故、無災害の記録も延伸を 地下鉄烏丸線の国際会館駅で総合防災訓練(京都)
  ■乗車券の共通カードが好調 関西5交通機関(京都)
  ■レールバス「廃止」を撤回 ファンの声受け「休止」を申請 青森の南部縦貫鉄道(京都)
  ■「スルッと」の販売 初年度1300万枚超す(朝日)
4日■「トロッコ」運転再開 黒部峡谷鉄道(京都)
5日■路面電車の復活を願う 全国の愛好団体 30日から岡山でサミット(京都)
  ■なつかしの屋根付き木造貨車がお目見え 加悦町のSL広場(京都)
  ■GW Uターン始まる 新幹線に空席目立つ 大きな混雑なく(京都)
6日■150bオーバーラン 新幹線暴走 市道横切る 岡山の運転所構内 居眠り運転か(京都)
  ■電車にはねられ死亡 東山の京阪踏切で男性(京都)
  ■引き込み線新幹線脱線 岡山で未明 居眠りか(朝日)
7日■居眠り運転認める 新幹線のオーバーラン(京都)
  ■痛い「飛び石」 乗客軒並み滅 GW、JRと関西私鉄(京都)
  ■京都の東の玄関口 山科駅前地区 急ピッチで進む市街地再開発事業(京都)
  ■長野へ ゆっくり始動 北陸新幹線 試験車両が初走行(京都)
8日■赤信号で走った列車 リポート・信楽高原鉄道事故の真相 1 出発 「青に変わらない」制御盤も異常 安全確認せず(京都)
  ■窓 トロッコ列車 孫とワクワク 北区・前川嘉門(元大学職員・69)(京都)
  ■新幹線脱線 制動距離28bも不足 JR 安全対策を見直し(朝日)
  ■関空特急騒音対策 防音壁やレール改良 JRと南海、今年度着手(朝日)
  ■関空特急の騒音・振動問題 新幹線に準じた対策(朝日)
  ■GW連休短く 利用客は減少 北近畿タンゴ鉄道(朝日)
9日■赤信号で走った列車 リポート・信楽高原鉄道事故の真相 2 青信号「いつもと違う…」高原列車の姿 待避線になし(京都)
  ■特急「はるか」一時運休 琵琶湖汽船も 強風で一部欠航(京都)
  ■JR石山駅前広場 拡張工事で起工式(京都)
  ■全国のトロッコ”スクラム” 鉄道会社10社 7月に協議会設立 魅力アピールへ サミットも開催 高知で(京都)
  ■関空特急騒音 南海、沿線に防音壁 JR、弾性まくら木増設(京都)
  ■イベントガイド シスコのケーブルカーも登場 「日本の路面電車」展 (11日−6月29日、大阪市港区の交通科学博物館)(京都)
  ■京都市バスのドア 挟まれた女性 市相手に提訴(朝日)
  ■朝夕、計4往復増発 京都市地下鉄 22日から新ダイヤ(京都)
10日■赤信号で走った列車 リポート・信楽高原鉄道事故の真相 3 第一報 「脱線」から衝突! 難航する救助(京都)
  ■日本海高速鉄道の実現へ地方組織を 促進議連が働き掛け(京都)
  ■リムジンバス運行 関西国際空港会社 タイからの深夜便で(京都)
  ■関空深夜バス やっと発車します 関空交通、15日から でも料金は2倍(朝日)
  ■地下鉄烏丸線ダイヤを改正 22日から(朝日)
  ■旧国鉄債務28兆円 「負の遺産」今も重く 根強い負担論議「整備新幹線」拠出はね返す(朝日)
  ■JR西日本 民営化10年 目覚めた「獅子」 業績明暗 都市部で輸送力増強 比率高い赤字ローカル線(朝日)
11日■赤信号で走った列車 リポート・信楽高原鉄道事故の真相 4 前兆 11日前にも「赤」発車 誤出発装置正常に作動(京都)
12日■赤信号で走った列車 リポート・信楽高原鉄道事故の真相 5 専門家 装置の理解 不十分 増員もなく増便に対応(京都)
  ■関空−京都市内を運行 リムジンバス線申請 京阪バスなど3社(京都)
  ■郡山など震度4 新幹線一時運休(京都)
  ■関空リムジンバス 京都線7月開設へ(朝日)
13日■赤信号で走った列車 リポート・信楽高原鉄道事故の真相 6 食い違い 「伝えた」「聞かぬ」 優先テコ設置 今も法廷論争(京都)
  ■次期全総にリニアを 超党派国会議員 盛り込み働き掛け(京都)
  ■えき・ひと・まち 木津駅 ハイキングにもいい古くから交通の要所(朝日)
14日■赤信号で走った列車 リポート・信楽高原鉄道事故の真相 7 裏目 無認可で変更工事 安全運転への要望きっかけ(京都)
  ■三田、神戸から京橋、京都へ JR乗り換え客狙え 京阪”したたか商法”CM(京都)
  ■線路内に入り遊び? はねられ男児重体 茨木のJR東海道線(京都)
  ■カーテン開閉論争 眺めを楽しんで/JR側 車内照明が反射/労組側 JR東西線(朝日)
  ■線路内2男児 はねられる 茨木・JR東海道線(朝日)
  ■声 踏切の赤い色 景観を損ねる 相生市 吉田 晋爾(無職 57歳)(朝日)
  ■7回忌 悲しみ今も 信楽高原鉄道事故 現場に遺族の列(京都)
  ■国労組合員の配転救済命令 JR東日本に中労委(京都)
  ■京都市バスが自転車と接触 北区、学生軽いけが(京都)
  ■京都バス 21系統に再編成 大原・岩倉地域市バス廃止後 運行計画を発表 京都市交通局(京都)
  ■烏丸線延伸・京都総体 記念乗車券を発売 来月1、3日 京都市交通局(京都)
  ■東海道新幹線大阪第一車両所 非常制動装置ない線路も 幹線道に飛び出す危険 運輸省、改善指導へ(朝日)
  ■国労22人の配転・出向 中労委も救済命令 JR東日本に(朝日)
  ■信楽高原鉄道事故7回忌 遺族ら80人現場で法要(朝日)
15日■赤信号で走った列車 8 過信 見落とされた「予兆」 ダイヤ順守に焦りと重圧?(京都)
  ■悲しみこらえて 信楽高原鉄道七回忌法要 遺族94人が参列(京都)
  ■地下鉄東西線 小ぶりでも明るい車内 京都市議らが試乗(京都)
  ■関空リムジン運行を開始 深夜・早朝に対応(京都)
  ■電圧下がり列車遅れる JR京都駅、後続に遅れ(京都)
16日■旧国鉄債務「追加費用」 負担、一般歳出で 6兆4800億円、運輸省示す(京都)
  ■地下鉄5区 大人320円に 運賃を認可申請 京都市交通局(京都)
  ■5区320円の運賃申請 京都市営地下鉄東西線 13駅すべてホームにドア設置(朝日)
  ■勤務中、組合脱退を勧奨 JRの不当労働行為 兵庫県地労委認める(朝日)
  ■声 JR採用差別 公正な判決を 広島市 植村 和一(無職 70歳)(朝日)
17日■丹後へ特急など増発 夏の臨時列車運行計画 JR西日本(京都)
  ■夏の臨時列車441本を運転 JR西日本福知山支社(京都)
  ■JR夏の臨時2760本(朝日)
  ■「五輪」へ走る新型車両 軽井沢−長野 北陸新幹線テスト(京都)
  ■洛中洛外(京都)
18日■運転士勘違い 駅を400b通過 大阪のJR片町線(京都)
  ■窓 お答えします 後ろ向きの座席は構造上の制約から 京都市交通局整備課長 西村 新一(京都)
19日■北京→香港 返還控え、一足お先に 初の直通列車出発(京都)
  ■北京−香港 直通列車スタート 2500`を29時間40分で(朝日)
20日■シアター1200 SMAP中居さんらこけら落としに出演(京都)
  ■歴史のトンネル抜け1番列車 北京発香港着(京都)
  ■香港へようこそ(朝日)
  ■えき・ひと・まち 宝塚駅 「ファン広場」にはスター待つ人たち(朝日)
21日■地下鉄東西線 10月12日開業 醍醐−二条24分で結ぶ(京都)
  ■梅小路蒸気機関車館 7月にリニューアル 移築の旧二条駅舎 建築時はモスグリーン 往時しのび同色で復元(京都)
  ■空と陸、大混乱 欠航や運休相次ぐ(京都)
  ■電車のドアに挟まれ80b JR宇治駅・児童けが(京都)
  ■京の東西線10月開業(朝日)
  ■軌道に停止装置を増設 新幹線脱線 JR西日本 再発防止策を発表(朝日)
  ■引退の50両 まだ走りタイ JR西日本 気動車など寄贈(朝日)
  ■ドアに挟まれ線路に転落 JR宇治駅、小学生けが(朝日)
  ■強風猛威 足場倒れ死者 JRダイヤ大幅な乱れ(朝日)
  ■声 駅の伝言板はあってもよい 吹田市 柿木 薫(会社員 48歳)(朝日)
22日■JR西日本 3月期決算 2期連続で増収増益 「のぞみ」人気 新幹線好調(京都)
  ■電留線に非常停止装置 大阪・摂津市 新幹線車両所(朝日)
  ■踏切で4歳児はねられ死亡 堺の南海・高野線(朝日)
  ■新幹線の収入震災前水準に JR西日本微増益(朝日)
23日■JR高速バス値上げ(朝日)
  ■他人の引換証使用 JRで不正出張 和歌山・古座町長(朝日)
  ■苦しむ被害者 様子を証言 地下鉄サリン・公判(京都)
24日■JR3社 増収増益に(京都)
  ■JR決算 貨物除く6社増収 四国は黒字に転換(朝日)
25日■京福電鉄 嵐山線運賃上げへ(朝日)
26日■運賃は200円に 京都市地下鉄 北山から国際会館(京都)
27日■錦林営業所 縮小・廃止へ 地下鉄東西線開通に伴い 市バス経営悪化で 京都市交通局(京都)
  ■窓 回数券に出た消費税の矛盾 伏見区・後藤悦夫(無職・68)(京都)
  ■窓 素晴らしい三条通を望む 東山区・林 翠(無職・78)(京都)
  ■整備新幹線、2000年度まで凍結 財政改革会議 中間報告提出 地方補助金も抑制(朝日)
  ■古座町長が辞職届提出 JR不正乗車問題 和歌山(朝日)
  ■あーあ、また乗り継ぎ間に合わへん JR上り新快速 京都駅の遅れ2、3分慢性化 停車駅増加、工事で徐行運転(京都)
  ■京都市バス 4系統を廃止へ 地下鉄北々伸ダイヤ改正 全体で93本削減(京都)
28日■山科駅前再開発事業 70億円 さらに膨らむ 当初696億円 いまや883億円 京都市会で報告 市の負担増27億円にも 全体の事業期間 99年9月末まで延長(京都)
  ■地下鉄、京阪との乗り継ぎ 割引額 運輸省に報告 市交通局(京都)
  ■「5区」運賃を認可 地下鉄東西線で運輸省(京都)
  ■生まれ変わる京の交通 地下鉄・市バス(京都)
  ■京福電鉄社長に石田専務が昇格(京都)
29日■女子高生が飛び込み自殺 西宮のJR東海道線(京都)
  ■北へ発進 地下鉄烏丸線 上 4分 近づく洛北の町 生活、通勤 大きく変化(京都)
  ■国労紛争に和解勧告 東京地裁 JR側、その場で拒否(朝日)
  ■智頭線−見放したJR あ〜誤算 稼ぐ三セク 99年度黒字見込み 特急導入が的中 京阪神と短縮直結 三朝温泉・かに弁当好調(朝日)
30日■地下鉄東西線東野駅連絡横断歩道 出入口2ヵ所減る 新幹線の沈下防護対策迫られ 5年後元の4ヵ所 事業費も急増(京都)
  ■府に地下鉄東西線 延伸へ協力を要請 自民京都市議団(京都)
  ■5社そろって増益 関西大手私鉄3月期決算 阪急、阪神も黒字(京都)
  ■地下鉄東西線開業記念 地下鉄・市バス キャラクター&愛称大募集 京都市交通局(京都)
  ■「レインボーカード」に佐伯、吉原両画伯の作品 大阪市交通局(京都)
  ■北へ発進 地下鉄烏丸線 中 採算 住民の声届かず リスク大きい岩倉延伸(京都)
  ■窓 市民に愛される地下鉄運営を 上京区・宮内正太郎(団体役員・79)(京都)
  ■阪急・阪神、黒字に転換 関西私鉄5社 「震災復興」宣言も(朝日)
  ■山梨でも浮上走行開始 リニア、550`にも挑戦へ(京都)
31日■北へ発進 地下鉄烏丸線 下 バス 路線とダイヤ見直しへ バスの本数が激減(京都)
  ■開業準備急ピッチ 地下鉄烏丸線新設の2駅(京都)
  ■JR鷹取工場跡地に被災者向け住宅300戸 神戸市、4fを購入契約(朝日)
  ■新京都駅ビル 放水砲を設置 2基で消防車8台分 使わずに済めばいいですが…(京都)
  ■雑誌拾って100円で安売り 新宿駅で熱い攻防 違法な販売やめて・駅売店/ホームレスら・生活の糧 何が悪い(京都)



1日■信楽高原鉄道事故 7回忌前に資料館を開設 信楽駅舎南側 ”傷跡”展示 風化させず
 死者42人、重軽傷者614人の大惨事となった91年5月14日の信楽高原鉄道列車事故の7回忌を前に、信楽高原鉄道(北川啓一社長)は30日、当時の事故車両の部品などを展示した資料館「セーフティーしがらき」を滋賀県甲賀郡信楽町の信楽駅舎南側に開設した。
 資料館は鉄筋コンクリート造り2階建て、延べ約120平方b。駅舎と併設され、1階に資料を展示、2階は会議や展覧会ができるフリースペース。
 館内には事故車両「世界陶芸祭しがらき号」の曲がったままのプレートなど、事故を今に伝える部品のほか、事故の教訓を基に造られた新型車両のパネルを展示。事故後、遺族らが結成した「鉄道安全推進会議(TASK)」の活動や、同鉄道の歴史を紹介するコーナーもある。
 しゅん工式には、同鉄道や県、町などの関係者約30人が出席。北川社長は「資料館が鉄道安全への願いを発信し続けてくれることを期待したい」とあいさつした。続いて、事故当時社長だった杉森一夫・信楽町長が「完成を喜ぶべきだが、今でも申し訳ない気持ちでいっぱいです」と述べた。
 同館の建設は、事故後の車両解体をめぐり、遺族が「事故を風化させないで」と提案。遺族らと同鉄道が、示談交渉と並行して展示内容の検討を重ねてきた。
 TASKの臼井和男会長は「資料館が事故を後世に伝えてくれるよう期待している。今後も展示などを通じて鉄道事故防止を訴えていきたい」と話している。(京都新聞)
■日本も時速300`時代に
 3月のJRダイヤ改正で日本初の時速300`で走る新型500系「のぞみ」が山陽新幹線にデビュー、世界最高速のフランスTGV(高速列車の略語)と肩を並べた。33年前登場した日本の「新幹線」はフランスはじめ欧州各国の高速鉄道時代の呼び水となり、次いで米国、韓国、中国なども建設計画を打ち出した。
・騒音対策に新技術
 500系「のぞみ」は従来の300系「のぞみ」と比べ先頭部が極端にとがり車体も丸く航空機のようだ。走行抵抗を少なくし、トンネルに入った時の衝撃音を減らすためで、加えて騒音、振動など環境基準をクリアするために車体断面積を300系より約1割小さくしてパンタグラフ、台車に新技術を取り入れた。
 JR西日本の技術陣が「スピードだけでなく環境に優しく乗リ心地も良い」という自信作。営業運転開始前に試乗したフランス国鉄TGV担当者も「乗り心地が優れ、擦れ違い時の揺れがTGVより少ない」と優秀牲を認めた。
 1964年時速210`でデビューし世界に衝撃を与えた東海道新幹線も81年、パリ−リヨン間のTGV南東線が最高時速260`で開業するとスピード世界一の座を奪われた。欧州には在来線でも200`で走る列車があったが、TGVは新幹線に学び高速列車専用新線を走った。TGVは89年大西洋線の開業で300`を実現、日本の新幹線は7年半遅れでようやく追い付いた。
・国境越える高速列車
 日仏の成功に刺激を受け、88年以降イタリア、ドイツ、スペインでも時速250`以上の列車が次々とデビューした。スウェーデンでは振り子式列車で在来線の200`運転を実現。斜陽と見られていた鉄道が今大気汚染、エネルギー間題から再評価され、欧州統合を背景に90年に欧州高速鉄道網計画ができた。
 同計画によると、欧州全域で2005年までに時速250`以上の高速新線区間、200`の在来線改良区間を合わせて約15000`まで延長される。
 94年の英仏海峡トンネル開通でベルギー、フランスと英国を結んだ初の国際高速列車「ユーロスター」がその第一歩。昨年6月からアムステルダム−パリ間で走り始めた「TGVタリス」は将来ドイツ・ケルンに乗り入れる。ともに時速300`運転で欧州主要都市の距離離を縮めた。
・米国、アジアでも
 米国でも昨年ワシントン−ボストン間の在来線改良で最高時速240`の列車を走らせる計画を発表。フロリダ州の新線計画も打ち出された。アジアでは韓国がTGVの技術を導入、ソウル−釜山間を最高時速300`、2時間で結ぶ予定。中国、台湾も高速鉄道の計画を発表している。問題は巨額の建設費で、どう調達するか各国とも頭を痛めている。
・10年後には350`車両
 日本では今年10月、長野までの北陸新幹線が開業。300`を実現したJR西日本は10年後を目標に時速350`の車両の開発に乗り出す。これに対し東海道新幹線でのスピードアップが図れないJR東海は超電導磁気浮上式リニアモーターカーの実用化に500`の夢をかけている。
・外国に学ぶべき点多い
 東大工学部教授・曽根情さんの話 500系は優れた車両で、環境対策や走行性能の面では世界一ですが、乗客の立場ではまだ外国の高速鉄道に学ぶべき点は多い。時間や手間の点からは在来線への同じホームでの乗り換えを可能にすることが望まれます。
 飛行機と競争するなら詰め込み主義はやめ、居住性を改善し、いつでも座席が確保できるような、乗客の満足度を高めるサービスが必要です。(京都新聞)
■主張・解説 JR不採用問題 7月にも判決 「負」の遺産 解決へ岐路 決着かさらに長期化か 処理の責任 政府・与党に 編集委員 中野 隆宣
 国鉄がJRに移行して10年、地元JRへの就職を求める国労組合員ら1047人が国鉄清算事業団を解雇されてからでも7年の歳月が過ぎた。採用差別をめぐるJRの労使紛争のうち、中央労働委員会(中労委)の命令についてJR側と国労が東京地裁で争っている行政訴訟が、5月末に結審、7月にも判決という重要な局面を迎える。だが、いずれが勝訴しても法廷での争いはさらに長期化しかねない。不採用問題は国策として実施された国鉄改革の「負」の遺産で、処理の責任は政治にある。政府・与党は話し合い解決に向け、その責任を果たすべき時ではないか。
 1047人の大半を占める国労組合員966人は、北海道と九州を中心に36の闘争団を結成。生活とJR復帰の運動を両立させるため、アルバイトや物資販売のほか、造園など様々の事業で得た資金を各世帯に分配(月平均16万円余)する「組織自活」を続けている。病気や慣れないアルバイト先の事故で、すでに9人が亡くなった。
●怒り胸に10年闘争
 北海道旭川市から車で2時間余。残雪が野山を覆う音威子府(おといねっぷ)は人口約1300人の酪農の村だ。その村の公会堂で4月初め、音威子府闘争団(48人)の団員と家族の交流会が開かれた。
 「10年も頑張ってこられたのは、夫たちの扱われようへの怒りがあったから」と鈴木孝団長(42)の妻淑子さん(41)。分割・民営化に反対した鈴木団長たちは、国鉄時代に「余剰人員」として車掌などの本務から外され、人材活用センターへ、次いで清算事業団に「隔離・収容」された。
 「怠け者よばわりされ、家族までいじめられた悔しさは、絶対に忘れない」という団員・家族の思いは、いまも強い。
 家族を含め村民の1割強を占める闘争団員たちを、村は旧国鉄の社宅を買い取って村営住宅として提供したり、木工品づくりの工場や機械を無償貸与したりするなど支援している。
 「どこまで続くぬかるみぞ」。宇佐見秀明村長は不採用問題をそう嘆き、「JRの大株主である国は人件費の半分を出してでも、国の責任で彼らをJRに戻すべきだ」と話す。
●使用者責任に判断
 昨年8月、国労はJR7社へ「粉争の全面解決と労使関係の正常化」を申し入れ、これを受ける形で当時の永井孝信・労相が話し合い解決をJR側に求めた。JR西日本、東海、四国、九州の4社は話し合いに応じる構えを見せたが、JR東日本、北海道、貨物の3社は「裁判で決着する」と拒否した。
 北海道、九州の不採用事件に関する行政訴訟は、東京地裁民事11部で併合審理されている。争点は@採用に関して不当労働行為があった場合、JRに使用者責任があるかどうかA不当労働行為が成立するか否かB成立する場合の救済方法−の3点だ。
 萩尾保繁裁判長は大前提となる第一点の使用者責任について判断を示す審理方針を示し、5月28日に結審する。判決は夏ごろと見られている。
 JRに使用者責任なしとの判決が出れば、責任を認めたこれまでの地方労働委員会(地労委)、中労委の判断は「誤り」だったことになり、一部の救済を命じた中労委命令も否定される。労働委員会の命令を根拠にJR復帰を求めてきた闘争団の闘いが大きな支えを失い、転換を迫られるのは必至だろう。
 逆に使用者責任ありとなれば、「JRと国鉄は別法人でJRに当事者適格はない」「労働委員会で負けても裁判で勝てばいい」と言ってきたJR側には大きな打撃となる。
●国労つぶしも狙い
 国鉄改革をめぐる国会論議で、当時の中曽根康弘首相は「一人も路頭に迷わせない」と述べた。その元首相はいま、「総評を崩壊させようと思ったからね。国労が崩壊すれば総評も崩壊するということを明確に意識してやったわけです」と言ってはばからない。
 分割・民営化の裏に隠された「目ざわりな」国労つぶしの狙いは、組合員の採用率が北海道で48%(旧動労、旧鉄労などの鉄道労連99%)、九州で43%(同99%)という露骨な選別結果となって示された。「所属組合によって選別することは、あってはならない」と答弁した当時の運輸相は橋本龍太郎首相だ。「さらなる10年戦争」も懸念される不採用問題を話し合いで解決することは、国鉄改革の当事者だった首相の、もう先送りしてはならない課題であり責任だと思う。
《JR不採用問題》
 1987年4月の国鉄の分割・民営化では、希望しながらJRに採用されなかった約7600人が国鉄清算事業団に残り、JR復帰を求めて最後まで事業団にとどまった1047人が90年4月に解雇された。
 国労など3組合は、不採用を組合間差別の不当労働行為だとして地労委へ救済を申し立て、各地労委は訴えを全面的に認めて87年4月にさかのぼる採用などをJR側に命じた(27件、救済対象者約3100人)。
 JR側の再審査申し立てを受けた中労委の命令は、事件によって異なる。
 対象者の多い北海道と九州7県の事件に関する命令内容は、@不採用の一部について不当労働行為が成立し、その責任はJRにあるA清算事業団を解雇された者に限って公正に選考し直し、「相当数」を87年4月に採用された者として3年以内に就労させる、など。
 JR側は「当事者適格がない」として、命令取り消しを求める行政訴訟を東京地裁に起こし、組合側も救済内容が地労委命令より大幅に後退した点を不満として提訴、係争中だ。(朝日新聞)
2日■窓 街のシンボル 新駅舎に期待 彦根市・馬場 一郎(建築士・56)
 ゴールデン・ウイーク。朝のホームの雰囲気、客層は平日と違いカラフルな服装の親子連れや、グループの人たちが楽しそうだ。
 出勤の私も下りのホームで次ぎの電車を待つ。向かいのホームの後ろに立てられた看板には「河瀬駅橋上化工事」の大きな文字が見える。すでに仮設便所は完成し、仮駅舎の工事も進む。
 100年の風雪に耐えてきた木造の駅舎は近々、解体される運命らしい。跨(こ)線橋を支える鋳鉄製の柱の正面には「鐵道院」の文字が浮き出ている。吹き込む風や雪に困惑した駅舎だが、私の通勤歴35年をともに過ごした期間が懐かしい。
 財布の入った上着を車内に掛けたまま下車してしまい、慌てて駅員の世話になったこと。娘が車で迎えに来てくれているのに誤って乗り越し、またまたお世話になったことなど、次々と思い出され、感傷的になった。
 しかし、新旧の交代は必然と割り切って、再び看板の文字に戻る。「近未来に発展再生する街のシンボルとして人々の記憶の断片に残る駅」を目指してほしい。来春の完成に期待する。(京都新聞)
■線路に自転車 堺で、いたずらか
 2日午前3時ごろ、大阪府堺市日置荘原寺町の南海高野線萩原天神三号踏切付近に、コンクリート台(縦30a、横20a、高さ20a)1個とコンクリート製ブロック(縦約40a、横約20a、高さ約10a)1個、古い自転車2台が置かれているのを、通りかかった新聞販売所従業員(58)が見つけて堺東署に届けた。始発電車の運行には影響がなかった。同署は悪質ないたずらとみて、往来危険の疑いで調べている。(朝日新聞 夕刊)
3日■経済天気図 JR東西線のインパクト
 3月に開通したJR東西線が京阪神都市圏の人の流れや都市間競争に影響をもたらしつつある。
 神戸方面から京阪奈丘陵の学研都市線の「松井山手行き」や宝塚方面から京都府の「木津行き」など快速電車がかなり頻繁に運転されるようになり、生活圏が目に見えて拡大してきた。これとともに「北新地」「大阪天満宮」などの新駅が誕生、大阪市内の地下鉄との相乗効果も出ている。
 この中で最も注目されるのが尼崎駅周辺である。新快速をはじめ、ほとんどの電車が停車するため、8本のホームはフル稼働の状態だ。辺りは昔からの工場地帯だが、駅前のビール工場は、近く再開発され、街の様相は一変していくだろう。
 今年は国鉄が民営化されて10年。この間JRは次々と新機軸を打ち出し、阪急、阪神、京阪、南海、近鉄を追い上げてきた。国鉄時代はハード、ソフト、料金、あらゆる面で私鉄に歯が立たず、私鉄も路線によっては独占にあぐらをかいて、進歩の見られないところもあった。
 しかし民営化したJRによるスピードアップ、便数増加、斬新(ざんしん)なデザインの新車投入といった積極策の展開で、いまや既存の私鉄は追われる立場になった。「スルット関西」などの共通カードの普及で乗客ばん回に乗り出している。
 鉄道の本命はスピードだと思う。筆者は兵庫県川西市に住み、毎日神戸に通っているが、阪急宝塚線の高架化はいまだに完成せず、JRに水をあけられつつある。東西線開通はこの傾向に拍車を掛けるのではあるまいか。
 いま一つ気になることは、大阪周辺の交通が便利になればなるほど神戸との都市間格差が拡大するのではないかということである。神戸が震災復興のみならず、大阪とは違った「新しい都市の創造」に取り組まなければならない理由がここにある。(天玄)(京都新聞)
■無事故、無災害の記録も延伸を 地下鉄烏丸線の国際会館駅で総合防災訓練
 地下鉄烏丸線に新設された国際会館駅(左京区岩倉大鷺町)で2日、市交通局と消防局の総合防災訓練が行われ、同駅職員や左京消防署員らが緊迫した表情で臨んだ。
 6月3日の開通を前に、同駅はほぼ完成。現在は車両のテスト走行を繰り返している。地下鉄烏丸線は開業した昭和56年から無事故、無災害だが、万一の災害に備え交通局や消防署員、地元消防団の連携を深めようと訓練が計画された。
 訓練は松ケ崎駅を出た車両から出火、国際会館駅の手前約90b付近で停車し、35人の乗客が車内に閉じ込められたとの想定で開始。駆けつけた駅職員が消火器で初期消火にあたり、車両前部の非常扉を開けて乗客を駅へ誘導した。消防隊は放水し、救助隊は担架でけが人を運ぶなど、それぞれの役割を再確認しながら訓練に当たっていた。(京都新聞)
■乗車券の共通カードが好調 関西5交通機関
 阪急電鉄など関西の5交通機関は2日、同じプリペイドカードで全線自由に乗り降りできる「スルッとKANSAI」の1996年度の利用状況をまとめた。阪急のカード発売枚数が前年度の5割増になるなど好調で、5社の合計は約1377万枚に達した。
 昨年3月からシステムを共通化したのは、阪急と能勢電鉄のほか阪神電気鉄道、北大阪急行、大阪市交通局。乗り継ぎの後、精算の手間がかからず、京阪神の各地へカード1枚で行けるのが人気の理由だ。
 92年から能勢電鉄と乗車券を共通化している阪急は、同社の「ラガールカード」の発売枚数が約926万枚と前年度比50.3%増。「共通化して便利になった」(阪急)ことで、95年度の伸び率約14%を大幅に上回った。能勢電鉄も前年度比26.8%増の約24万枚となった。
 京阪電鉄など他の私鉄や京都市、神戸市の交通局も加入することが決まっており、99年度には17社、総延長キロ数はバスも含めると約2200`になる。(京都新聞)
■レールバス「廃止」を撤回 ファンの声受け「休止」を申請 青森の南部縦貫鉄道
 経営難から今月5日で廃止される予定だった青森県の南部縦貫鉄道(社長・福士孝衝七戸町長)が、従来の鉄道部門の廃止方針を転換して「休止」を東北運輸局に申請、2日、同局から許可された。
 福士社長は「廃止を急いで後世に悔いを残すより来年3月末まで、観光資源として残せないかさまざまな方法を検討してみる」と語り、約1年かけ生き残り策を探る考えだ。
 同鉄道はバスそっくりの車体から「レールバス」の愛称で親しまれ、廃止決定後、全国の鉄道ファンが殺到するなど廃止を惜しむ声が多く寄せられていた。そうした声を受けて4月30日、これまでの廃止方針を変え「休止」申請を東北運輸局に提出した。
 同鉄道は1962年に営業を開始。1両編成で野辺地−七戸間約21`を約40分で走っているが、バスやマイカーなどに客を奪われ利用客が激減。ピークの69年に年間約23万人いた利用客が、最近は2万人程度に落ち込んでいた。(京都新聞)
■「スルッと」の販売 初年度1300万枚超す
 1枚のプリペイドカードで、関西の複数の私鉄やバスなどを利用できるシステム「スルッとKANSAI」のカード販売総数が初年度、1377万3000枚、総額252億4400万円にのぼったことが2日、加入5電鉄でつくる同協議会のまとめで分かった。乗り換えの際に切符を買う手間が省ける便利さが受けて「予想以上の成績」(同事務局)という。
 「スルッと」は、阪急電鉄、阪神電鉄、大阪市交通局、能勢電鉄、北大阪急行の5電鉄・局が去年3月20日から始めた。各社発行のプリペイドカードに互換性を持たせ、切符のかわりに駅の自動改札機を通せば運賃が引き落とされる。
 去年4月から今年3月までの1年間、各社が販売したカード枚数は阪急が最多の925万9000枚。次いで大阪市交通局の292万9000枚、阪神が107万3000枚などだった。阪急の場合、定期券や回数券を除いた乗客の4人に1人までが同カードを利用した。
 「スルッと」には今後、神戸市交通局、京都市交通局、京阪電鉄、南海電鉄、大阪高速鉄道(大阪モノレール)、神戸電鉄、阪急バスなど12社・局が1999年度までに参加する予定。(朝日新聞)
4日■「トロッコ」運転再開 黒部峡谷鉄道
 北アルプスの谷間を縫って走る黒部峡谷鉄道(富山県宇奈月町)のトロッコ電車が3日、5ヵ月ぶりに全線運転を再開した。電車は宇奈月と樺平(けやきだいら)を結ぶ20.1`を1時間20分かけて走る。
 この日は曇り空だったが、全線開通を待ち望んだ大勢の乗客を乗せた電車は、大峡谷に架かる橋や岩盤むき出しのトンネルの中を音を立てて進み、観光客は新緑の生い茂る雄大な姿をたんのうしていた。(京都新聞)
5日■路面電車の復活を願う 全国の愛好団体 30日から岡山でサミット
 都市の公共交通機関として復活し始めている路面電車の普及を民間からバックアップしようと、全国の市民愛好団体が30日から3日間、岡山市で「路面電車サミット97 in OKAYAMA」を開く。
 熊本市が日本で初めてドイツから輸入し10月にもお目見えする予定の路面と段差が少ない低床車両や、東京都武蔵野市が導入している小型コミュニティーバスなどを参考に、身障者、高齢者、主婦らの交通弱者に対して優しい公共交通機関の在り方を論議する。
 また、主催団体の一つの「路面電車と都市の未来を考える会」(事務局岡山市、岡将男会長)がまとめた先進地、欧州の視察報告を基に、中心市街地からの自動車の締め出しや、路面電車優先の信号設置、郊外でのバスとの接続など路面電車を都市中心部の足としてよみがえらせるための交通政策も考える。
 路面電車は排ガスがなく低騒音で、建設費も極めて安い。岡会長は「欧州では、環境面や交通弱者の足確保の観点から、大幅な公的支援を得て路面電車が定着しつつある」と、日本でも工夫によって普及が進むことを強調している。
 問い合わせは同会事務局、086(235)9556。(京都新聞)
■なつかしの屋根付き木造貨車がお目見え 加悦町のSL広場
 1873年製造の2号蒸気機関車をはじめ、客車やモーターカーなど貴重な車両を展示している加悦町滝の「加悦SL広場」(カヤ興産経営)にこのほど、1926年製造の屋根付き木造貨車「ワブ3」が仲間入りした。
 全長6.2b、幅2.4b、高さ3.1b。26年の加悦鉄道開業直後から、丹後ちりめんや小荷物などの輸送に使用され、68年に廃車になるまで、約43万dの貨物を輸送した。その後、カヤ興産が保管していたが、雨ざらしだったため木製の屋根が腐るなど傷みが目立っていた。
 昨年11月の同広場移転オープンを機に、この貨車を展示車両に加えようと、同社が修理を開始。忠実に姿を再現するため、床やドアの一部は、製造当時から使われている木材をそのまま残した。「全国的にも、大正時代に製造した屋根つき木造貨車が残っているのは珍しいのでは」と同社は言っている。(京都新聞)
■GW Uターン始まる 新幹線に空席目立つ 大きな混雑なく
 今年のゴールデンウイークもきょう限り。連休をふるさとや観光地で過ごした家族連れらのUターンが4日、始まった。鉄道、道路とも大きな混雑はなく、Uターンのピークは5日午後からとみられる。
 JR京都駅(京都市下京区)では、新幹線の乗車率が上りが平均50−60%、下りが70−80%と空席が目立った。在来線も大阪行き特急「雷鳥16号」が200%、北陸方面からの列車がほぼ100%だったほかは、山陰や南紀方面からの列車は60%前後、関西空港を結ぶ「はるか」も混雑は見られなかった。
 各ホームでは、旅の思い出を胸にホッとした表情で家路につく人が目立った。北海道で酪農体験をしてきたという東山区の学生(22)は「5日はゆっくり休んで疲れをとり、もとの生活にもどりたい」と話していた。
 また、道路関係では、名神高速道路は上り線が午前中に高槻バス停を先頭に15`、下り線は午後4時ごろから天王山トンネル付近で約16`渋滞した。京都府内の主要道路では、国道1号南行車線が名神・京都南インター入り口付近で約1.7`、国道9号は京都方面行き車線が船井郡丹波町須知で約3`渋滞した。(京都新聞)
6日■150bオーバーラン 新幹線暴走 市道横切る 岡山の運転所構内 居眠り運転か
 6日午前2時5分ごろ、岡山市北長瀬本町、JR山陽新幹線の岡山新幹線運転所構内で、入れ替え作業中の新幹線(12両編成)が時速約25`で車止めを乗り越えて進み、構内を通る幅約5bの岡山市道を横切って、本来の停止位置から約150b行き過ぎて停車した。
 先頭車両の前部の台車2軸が脱線、車両先端部分が金網を突き破り電柱に衝突するなどして破損したが、田之縁数博運転士(48)ら車内にいた2人にけがはなかった。市道も通行車両などはなかった。
 岡山県警は、田之縁運転士が居脹り運転してブレーキをかけ損なったとみて調べている。
 新幹線車両の脱線事故は珍しく、JR西日本は現地対策本部を設置、原因究明と復旧に当たっている。
 岡山西署の調べでは、この車両は点検整備のため、列車を止めておく留置線から引き上げ線に移動中だったという。
 JR西日本によると、運転所構内用の列車自動制御装置(ATC)が入っていたという。
 車両が電柱に衝突し架線が垂れ下がったため運転所構内が一時停電した。(京都新聞 夕刊)
■電車にはねられ死亡 東山の京阪踏切で男性
 5日午後9時5分ごろ、京都市東山区一橋野本町の京阪電鉄踏切で、線路内にいた男性が淀行き普通電車にはねられ、頭を強く打って死亡した。同電車は現場で約8分停車したが、後続に影響はなかった。
 松原署の調べでは、男性は60ー70歳、身長約165aで、ベージュのセーターに緑っぽいズボンをはいていたという。同署は身元の確認を急ぐとともに原因を調べている。(京都新聞 夕刊)
■引き込み線新幹線脱線 岡山で未明 居眠りか
 6日午前2時5分ごろ、岡山市北長瀬本町、JR岡山新幹線運転所の引き込み線で、新幹線の車両=田之縁数博運転士(48)、12両編成=が車止めの砂利を乗り越えて脱線した。先頭車両が市道(幅約5b)にはみ出し、さらに運転所のコンクリート電柱を倒して停止標識から約40b行き過ぎ止まった。乗っていた運転士2人にけがはなかった。
 この事故で現場の架線が垂れ下がったため、所内をいったん停電させたが、午前5時47分に仮復旧し、運行に影響はなかった。
 JR西日本の調べによると、この車両は5日夜運転所3番線に入庫した。点検のために引き込み線へ時速約25`で移動していた。
 岡山西署は田之縁運転士が居眠り運転していたとみている。田之縁運転士は構内だけに限られた運転士で、前日午後4時半から勤務についていた。
 運転所はJR岡山駅の約2`西。この車両は前日、臨時列車の「ひかり166号」として、岡山を午後8時12分に発車、新大阪まで行った後、岡山へ回送されていた。
 JR西日本などによると、山陽新幹線で脱線事故があったのは開業以来初めてという。(朝日新聞 夕刊)
7日■居眠り運転認める 新幹線のオーバーラン
 JR山陽新幹線の岡山新幹線運転所構内で車両がオーバーランし、車止めを乗り越えて市道を突っ切った事故で岡山西署は6日、業務上過失往来危険の疑いで田之縁数博運転士(48)から事情を聴くなど本格的な調べを始めた。
 田之縁運転士は同署の調べに対し事故当時、居眠りしていたことを認めている。またJR西日本の聴取に対し同運転士は、居眠りし気付いて非常ブレーキをかけたが間に合わなかったと話しているという。
 JR西日本によると、田之縁運転士は5日午後4時半から6日午前8時15分までの約16時間、休憩を挟みながら仮眠なしで勤務するはずだった。4日も午後4時半から5日午前8時15分まで働いている。
 同社の岡山支社広報室は「きつい勤務が居眠りにつながった可能性は否定できない」としている。
 同社は具体的に再発防止策を検討するという。(京都新聞)
■痛い「飛び石」 乗客軒並み滅 GW、JRと関西私鉄
 西日本旅客鉄道(JR西日本)と近鉄、京阪、阪急など関西大手私鉄5社は6日、今年のゴールデンウイーク期間中の乗車状況をまとめた。JR西日本の新幹線と在来線を合わせた利用客が254万人と、前年に比べ12%減少したのをはじめ、私鉄5社の合計も2517万人、同5.6%減となった。
 JR西日本は、先月25日から今月5日までの11日間の利用状況を集計した。新幹線は126万人でマイナス12%、在来線は128万人でマイナス13%とともに減少した。
 今春オープンした大阪ドーム最寄りの大正駅で、券売機の切符発売枚数が前年の3.2倍に増え、500系新型車両が人気の新幹線「のぞみ」の利用者が横ばいだったほかは、関西空港線の特急「はるか」が18%減少、特急と急行の乗客は湖西線の京都−敦賀間で13%、山陰線の二条−亀岡間で14%も落ち込んだ。
 一方、大手私鉄5社は、JR西日本ほどではなかったが、先月26日から今月5日までの10日間の乗客の合計が、近鉄834万人(対前年比6.3%減)、京阪431万人(同5.8%減)、阪急715万人(同5.5%減)、阪神235万人(同4.4%減)、南海302万人(同4.8%減)と軒並みダウン。合計で約5億2000万円の減収になった。
 この結果について、JR西日本は「昨年は前半に3連休、後半に4連休があったが、今年は後半の3連休だけで、あとは飛び石の休日となったため。また、3連休初日の3日に雨が降ったことも行楽ムードに水を差した」と分析。
 私鉄5社は「プロ野球の阪神の試合に大物外国人選手のグリーンウェルが出場した4日だけ、阪神の乗客が前年より31.1%も増えたのが目立つ程度で、期待外れだった」(南海)と話している。(京都新聞)
■京都の東の玄関口 山科駅前地区 急ピッチで進む市街地再開発事業
 今秋の地下鉄東西線開業により、一層の発展が期待される山科。特に交通の要衝地として京都の東の玄関口となっている山科駅前地区では市街地再開発事業が急ピッチで進んでいる。来年10月には「まちびらき」の予定だが、その事業の内容を紹介してみよう。
・魅力的なターミナル空間創造 住まいや生活に潤い
 山科駅前地区は山科地域の中心地として古くから発展してきたが、公共施設の整備の遅れや、建物の老朽化が目立ってきた。そのため、市街地の再開発によって公共施設と建築物を一体的に整備し、都市機能と都市環境を向上させる構想が打ち出された。
 平成元年度に都市計画が、同3年度に事業計画がそれぞれ決定され、権利変換手続きなどをへて同5年度から工事着手し、来年10月までには完成することになっている。
 この事業の推進が魅力的なターミナル空間を創るとともに、住まいや日常生活に潤いを与え、山科地域のコミュニティーネットワークの拠点となるものと熱い期待が寄せられている。
 山科駅前地区約2.8fを施行区域として、公共施設や再開発ビルが徐々に姿を見せ始めている。
 公共施設の整備として植栽、歩道、広場などは山科地区をとりまく自然・歴史環境と調和したデザインや配置の工夫を施し、再開発ビルの各棟は地下道を通じて地下鉄とも結ばれる。地下広場の壁には京都らしさをイメージし、触れると音楽が奏でられる「シンフォニーウォール」がはめ込まれるなど、訪れる人に安らぎを与えてくれる。
 駅前通りは幹線道路として幅員22bに広げられる。また駅前には交通ターミナルとして、バスやタクシーが乗り入れる駅前広場が設けられる。その地下には市内最大級で1900台の自転車・ミニバイクを収容する駐輪場が昨年オープンした。さらに防災機能を併せもった山科駅前公園も整備される。
 再開発ビル計画ではA・B・C・Dの4棟が建設され、商業施設、業務施設、健康・文化施設、住宅などが配置される。建物の周辺にはオープンスペースが確保され、ゆとりと潤いのある都市空間を生むことになる。
・再開発ビル4棟を建設 核にホテルや百貨店 健康、業務施設や住宅も
 【A棟=ターミナルコミュニティーゾーン】
 ターミナルに面しており、駅前の顔となる。地下2階、地上8階建てで延床面積は約8400平方b。地上1階から8階まではブライトンのホテルが入る。レストランをはじめ客室100室(宿泊人数185名)、5つの宴会場、浴室なども整ったくつろぎの空間となる。また、地下1・2階、地上2階には飲食店や薬局、理容室なども入る。
 【B棟=カジュアルショッピングゾーン】
 この地区の核となる最大の建物で、にぎわいに満ちたゾーンとなる。延床面積は約5万1000平方bで、地下3階、地上9階建て。中央部分には4層吹き抜けのアトリウムが設けられ、駅前通りに対してのにぎわいを演出する。
 核店舗として地下1階から地上4階までの北半分に大丸が出店、地階と1階は食料品と雑貨、2階が婦人用品雑貨・生活雑貨、3階は服飾雑貨、4階を趣味雑貨と多目的ホールに使うほか、専門店も約50店舗が入る予定になっている。
 南側5階と6階はプール及びトレーニング室を備えた健康・文化施設となる。プールの天井は開閉式で明るい開放的なイメージが漂う。午前7時から午後9時までオープンし、一般に利用できる。スクールレッスンも行う予定だ。
 また北側5階から9階は3LDKを主としたファミリータイプの住宅95戸が建設され、うち84戸が分譲される。地下2階から3階には施設利用者、「まち」への来客者用として264台収容の公共駐車場が配置されている。
 【C棟=シティサービスゾーン】
 生活サービスを提供する都市型施設として金融機関(京都中央信用金庫)や事務所が入り、ターミナル型オフィスをめざす。
 延床面積約1万2200平方bで地下2階、地上9階建て。地下1階から地上3階までは8区画に区分され業務施設となる。地上4階から9階まではB棟と同じく3LDKを中心としたファミリータイプの住宅67戸を建設。うち66戸が分譲される。なお住宅分譲は両棟とも今年9月以降に行う。
 【D棟=アミューズメントゾーン】
 地下2階、地上7階建てで延床面積約6200平方bで、既に平成7年に完成し、アミューズメント施設やオフィスで構成される。
 京都の東の玄関口が整備されることにより、さらなる発展の基礎が築かれ、地域のみならず京都全体の活性化につながる。
 この地域の愛称は一般募集で決まることになっており、21世紀に向けて、親しみのある「カジュアルターミナル」としての役割を担ってくれるに違いない。(京都新聞)
■長野へ ゆっくり始動 北陸新幹線 試験車両が初走行
 10月1日開通予定の北陸新幹線軽井沢−長野間(75.6`)で7日、日本鉄道建設公団とJR東日本による初の走行試験が始まり、ドクターイエローと呼ばれる試験車両が長野へ向かって走った。
 7両編成のドクターイエローは同日午前9時50分に軽井沢駅を出発。時速30`のゆっくりしたスピードで、架線、線路の具合などを調査。このほか、電気周波数が異なる地域にまたがる走行に対応するために設置される周波数切り替え装置の作動状況なども点検し、長野駅までの所要時間は約8時間。
 試験走行は6月末まで続ける予定で、今月17日からは実際に北陸新幹線を走る新型車両「E2系」が登場する。(京都新聞 夕刊)
8日■赤信号で走った列車 リポート・信楽高原鉄道事故の真相 1 出発 「青に変わらない」制御盤も異常 安全確認せず
 信楽高原鉄道で起きた大惨事から14日で、まる6年の時を刻む。死者42人。原因や責任を問う刑事、民事裁判は審理のヤマ場を迎えようとしている。事故当時うかがい知れなかった関係者の行動と、心の揺れが、徐々にではあるが裁判を通して明らかになってきた。なぜ列車は、単線を赤信号で発車したのか。関係者の供述や法廷証言をもとに、あの時、人間がどのように判断し、行動したのかを、改めて検証してみた。(社会部 鈴木哲法)
 1991年5月14日。その日は、朝から抜けるような5月晴れだった。
 信楽高原鉄道の列車運行を担当する里西孝三主任は午前8時10分ごろ、滋賀県甲賀郡信楽町の信楽駅に出勤した。ロッカー室で制服に着替え、いつものように駅務室で、会社から貸し与えられた懐中時計をNTTの時報に合わせた。
 春の交通安全運動の一環として、近畿運輸局の係官がこの日、安全対策などの査察に来ることになっていた。泊まり明けの職員から、係官が昼前に信楽駅に到着する下り列車で来ることを知らされた。
 午前10時10分、貴生川発の下り列車(3両)が定刻より約3分遅れて信楽駅1番ホームに到着した。満員に近い約250人の乗客があった。改札口南側の臨時集札所は混雑し始めた。県立陶芸の森で開催中の世界陶芸祭のために特別に設けられていた。連休後の平日にもかかわらず陶芸祭は連日、人気を集めていた。
 到着列車は、折り返し午前10時14分貴生川行き上り列車として発車する予定だった。車庫から1両増結され計4両編成となった。里西主任は、列車を出発させるためホームの先に立っている信号機を青にしようと、駅務室にある制御盤のテコを倒した。2、3度テコを倒したが、出発信号は青に変わらなかった。
 上り、下りの列車の進行方向がわかる制御盤の盤面には、なぜか下り列車が信楽駅方向に向かっていることを示す表示灯が点灯していた。
 下り列車はいま信楽駅に到着したばかりだ。次にJR草津線から高原鉄道に乗り入れるJR臨時列車「世界陶芸祭しがらき号」は、貴生川駅を発車する前だ。信楽駅に向かって走行する列車がない以上、点灯するはずがない。
 里西主任は、駅務室とホームの間にいた上司の中村裕昭業務課長に、異常を伝えた。中村課長は制御盤を見て、信号設備工事会社から派遣されていた八木沢守係長を呼ぶように言った。
 八木沢係長はこの時、臨時集札所で乗客の切符を集める手伝いをしていた。「きょうはアルバイトが少ないので」と頼まれ、列車を降りる客に応対していた。制御盤に下りの表示灯が点灯しているのを見た後、信号機を点検するため、電気設備のリレー室に急いだ。
 信楽町役場に年金の書類を出した後、1両目で発車を待っていた信楽町牧、無職辻キサさん(74)は、運転士が「しばらくお待ちください」と車内放送するのを聞いた。駅員らは列車と信号機の方を行き来し、ばたばたしていた。「3、4人の駅員さんが何か心配そうな顔をして話をしておられましたが、内容まで分かりませんでした」
 時間は刻々と過ぎた。だが、出発信号は青に変わらない。里西主任はこの時、中村業務課長から「腕章を出せ」と怒鳴られた、という。トラブルで信号機が使えない場合には、代わりの運行方法として、腕章をした人間が運転士とは別に乗り込むことになっていた。
 里西主任は駅務室の用品箱から、腕章を取り出して中村業務課長に渡した。腕章を受け取った別の職員、中村業務課長、近畿運輸局の係官を出迎えに行く奥村清一常務らが列車に乗り込んだ。
 午前10時25分ごろ、貴生川行きの高原鉄道の上り列車は赤信号のまま、定刻より11分遅れて発車した。だが、発車前に、行き違い場所の小野谷信号揚に職員を派遣して、対向列車の位置などの安全確認はされないままだった。
 JR臨時列車「世界陶芸祭しがらき号」は、定刻より約2分遅れの午前10時18分、世界陶芸祭に向かう乗客ら716人を乗せ、貴生川駅を発車していた。(京都新聞)
■窓 トロッコ列車 孫とワクワク 北区・前川嘉門(元大学職員・69)
 娘が3人の小さな子供を連れて帰ってきて、静かなわが家は、てんやわんやの大騒ぎとなった。孫はかわいい。妻と娘と相談の結果、嵯峨嵐山のトロッコ列車に乗ることとなった。私も乗ったことがないので想像もつかなかった。たまたま、本紙にトロッコ嵯峨駅の新駅舎完成の記事を見て大きな力を得た。
 さすがにゴールデンウイークの期間中なので駅舎の中は満員の盛況であった。何か夢見るようなロマンチックな心地がした。プラットホームに立つと、やがて、オトギの国から出てきたような列車が入ってきた。胸がワクワクするように感じた。3人の孫の顔もうれしさで輝いていた。
 トンネルを通り抜けて眼下にみる保津峡の景色は素晴らしかった。新緑に映えて太陽の光にきらきら輝く川面をゆく保津川下りの舟を見るのも楽しかった。わずか20分あまりの乗車時間であったが、自然の美しさの中に牧歌的な雰囲気を十分に味わった思い出に残る一日であった。(京都新聞)
■新幹線脱線 制動距離28bも不足 JR 安全対策を見直し
 JR西日本の岡山新幹線運転所構内で6日未明に回送中の新幹線車両が脱線した事故で、本来40bの制動距離が必要なのに、車止めまでわずか12bしかなかったことが7日、同社の調べでわかった。自動列車制御装置(ATC)の一種が働いたものの、制動距離が28bも足りないことになり、新幹線の安全対策の欠陥が露呈した形だ。同社の岡山支社はこの日、事故対策委員会(委員長・浅沼唯明支社長)を設置、人材運用を含め、安全対策を総合的に見直す方針を確認した。また、JR東海やJR東日本も点検に乗り出した。
 JR西日本によると、今回の事故では、先頭車両にいた運転士(48)が居眠り運転をしていたといい、本来止まらねばならない停止位置目標とさらにその先の停止限界標識に気づかず、時速約25`でそのまま突き進んでいったらしい。
 停止限界標識より10b離れたところの軌道内に「03(ゼロサン)信号」というATCの一種があり、地上を走る車両に「絶対停止」という信号を送る仕組みになっている。信号をキャッチした車両は急ブレーキをかけるが、すぐには止まれない。
 今回は、車両が「03信号」から3b離れたところに盛られた高さ約50aの砂利と、さらに9b先にある4本の鋼材を山形に組んだ高さ約1.2bの車止めをそれぞれ壊した。
 ATCは、先行列車との間隔や線路上の条件によって、列車の制限速度を自動的に制御する。ただし、運転所の構内では本線と違い、どんな場合でも時速30`以下に自動的に設定されるだけで、あとの判断は運転士に任される。
 JR西日本の説明では、停止限界標識をオーバーランした場合でも、砂利盛りと車止めの二つで車両は止められるはずという。しかし、設備は山陽新幹線が開業した1972年ごろに造られ、構内は場所にゆとりがなかったという。(朝日新聞)
■関空特急騒音対策 防音壁やレール改良 JRと南海、今年度着手
 関西空港に乗り入れるJR西日本と南海電鉄の騒音間題で、両社や大阪府などでつくる「騒音・振動等問題協議会」は7日、対策案をまとめた。開港後に急増した特急列車によって深刻化した騒音・振動を、防音壁設置やまくら木改良などで軽減させるのが主な内容で、費用は両社がそれぞれ負担する。新幹線には環境基準があるが、在来線は騒音をめぐる規制の対象外だった。今年度から改良工事に着手し、数年間で完了させる。
 1994年9月に関西空港が開港したのに合わせ、都心と最短約30分で結ぶ特急列車として、JR西日本阪和線に「はるか」、南海電鉄本線に「ラピート」が運行した。開港直後から「騒音、振動がひどくなった」という沿線住民の苦情が各市町に相次いだ。大阪府などが昨年5月に測定したところ、沿線の騒音は最大で91デシベルに達し、新幹線の騒音の環境基準(住居地域70デシベル、商工業地域75デシベル)を大きく上回っていることがわかった。
 対策案では、南海電鉄が住宅に隣接する延べ約3`の沿線に防音壁を設置するほか、同社とJR西日本がいずれも、レールの表面を滑らかにする工事などで騒音を軽減する。また、まくら木の底や側面をゴムで覆った弾性まくら木を使い、振動を抑える。協議会は、騒音は10デシベル程度、振動は3デシベル程度、軽減できると見込んでいる。
 騒音対策について鉄道会社と交渉を続けてきた沿線住民は「新幹線の騒音基準はクリアしてほしいが、どれだけの効果があるかわからない」と話している。(朝日新聞)
■関空特急の騒音・振動問題 新幹線に準じた対策
 《解説》「関空特急」の騒音・振動問題で、JR西日本と南海電鉄が打ち出した対策は、同じ悩みを抱える各地の鉄道の騒音・振動対策にも一石を投じそうだ。
 鉄道沿線の環境問題について環境庁は、新幹線については住宅地の騒音を70デシベル以下とする環境基準を1975年に定めている。振動についても76年に70デシベル以下の指針を示した。
 ところがJRの在来線や私鉄には、新線の建設や大規模改良時を除いてこうした基準や指針はない。「線路のすぐわきに住宅があったり、線路の構造や通行列車の種類が多様だったりして、一律の基準を設けるのは現実的に困難」(環境庁)という理由からだ。
 新幹線では、レールのまくら木や砕石の下にゴムの緩衝材(弾性まくら木など)を敷いたり、車輪と接するレールの頭頂部を滑らかにする(レール削正)などの対策がとられている。JR西日本が阪和線で実施する騒音・振動対策はこれに準じるもので、「在来線での弾性まくら木やレール削正は当社管内では初めて」という。
 南海電鉄が設置する防音壁についても、JRの在来線では津軽海峡線で延長8.5`を取り付けた例はあるが、ほかの私鉄を含めても珍しい。「新幹線以外でこれだけの対策を同時に進めるのは、ほとんど前例がない」(運輸省鉄道局環境対策室)ことだ。
 JR西日本の特急「はるか」と南海の同「ラピート」は、関西空港への「速い足」になっている。住民から要望のあった列車の減速については今回は盛り込まず、今後の検討課題にとどめた。JR西日本の井手正敬社長(現会長)は去年9月、「騒音を減らす努力はするが、利便性との兼ね合いで、どこまでが(騒音・振動の)受忍の限度かということを議論する必要がある」と語っている。
 今回の対策は、あくまで応急措置だ。今後の抜本対策に向けて、住民を交えた息の長い協議が欠かせないだろう。(朝日新聞)
■GW連休短く 利用客は減少 北近畿タンゴ鉄道
 北近畿タンゴ鉄道(事業本部・宮津市)は7日、大型連休中(4月25日−5月5日)の利用客状況をまとめた。それによると、宮津、宮福線の特急・急行が2万100人(前年比73%)、普通が3万2800人(同88%)で、いずれも昨シーズンを下回った。「好天に恵まれたものの連休が短かったため近郊型のレジャーになり、マイカー利用が多かった」と分析しており、「特に遠距離客や家族連れの減少が目立った」という。
 乗車率の高かった下り列車は、3日の新大阪発「タンゴ・ディスカバリー11号」で27%、上りでは5日の久美浜発「同16号」で201%だった。(朝日新聞)
9日■赤信号で走った列車 リポート・信楽高原鉄道事故の真相 2 青信号「いつもと違う…」高原列車の姿 待避線になし
 JR京都駅のホームは軽装の夫婦連れら世界陶芸祭を楽しみにする乗客であふれていた。JR臨時列車「世界陶芸祭しがらき号」(林光昭運転士)は、あっという間に乗客で埋まり、定刻より5分遅れの午前9時30分に始発の京都駅を発車した。
 「3両目に乗ろうとしたが乗れそうになく、2両目、1両目と前に進んだ。車内は身動きが自由にできず、すし詰め状態だった」と城陽市の会社員。定員の約2.5倍の乗車率だった。
 世界陶芸祭号は、草津線の貴生川駅から信楽高原鉄道(単線)に乗り入れ、水口町の小野谷信号場で、先に待避線に入って停車している高原鉄道列車を右手に見ながら、その間に通過し、信楽駅に到着することになっていた。
 大津駅を過ぎたころ、乗客の中に気分が悪いと訴える中年の女性が2人あり、車掌室で休んでいたが、うち1人は草津駅で降りた。
 草津線などの運行管理をする亀山CTCセンター(三重県亀山市)では、世界陶芸祭号が遅れていることを知り、午前9時44分ごろ、遠隔操作で下り方向の走行を優先させる「方向優先テコ」を作動させた。
 方向優先テコを操作すれば、小野谷信号の上り出発信号を赤にし続け、上りの高原鉄道列車を停車させておくことができ、予定通り行き違いが可能となる。
 貴生川駅に到着した世界陶芸祭号は、停車時間などの短縮でやや遅れを回復。定刻より約2分遅れの午前10時18分発車、信楽高原鉄道に乗り入れた。依然、超満員で7、8人の乗客がホームに残った。
 午前10時25分ごろ、上りの高原鉄道列車が赤信号のまま発車した信楽駅では、里西孝三主任が急いで駅務室に戻り、制御盤に赤信号で発車したことを示す「誤出発ランプ」が点灯しているかどうか確かめた。
 赤信号で発車すると、線路上の検知装置が、小野谷信号場の下り出発信号を強制的に赤にする。下りの世界陶芸祭号は、小野谷信号場内で停車して正面衝突は防げるはずだった。
 里西主任は誤出発ランプの点灯を見るのは初めてだった。しかし、信楽駅の制御盤では小野谷信号場の信号機の状態は分からず、本当に作動しているか不安があったという。
 「信楽指令、感度あれば応答せよ」。発車して間もなく、駅務室の無線機に、列車に乗り込んだ中村裕昭業務課長からの声が飛び込んできた。「八木沢係長を呼んでくれ」
 世界陶芸祭号は午前10時半ころ、小野谷信号場にさしかかった。先に待避線に入って停車しているはずの高原鉄道列車の姿はなかった。
 林運転士は、高原鉄道を30回ほど往復していた。上り列車が到着していない時もあった。その時の下り信号は赤だった。
 だが、この日は青信号だった。「いつもと違うかなと感じたが、上り列車は何かの事情で信楽駅に止まっていると思った」。青信号だったので通過した。
 沿線は新緑が鮮やかだった。信楽駅まであと5.6`。ゆるやかな下りから、カーブになった。時速54`前後。
 その時、高原鉄道列車が目の前に現れた。「だめだ」。林運転士は非常ブレーキをいっぱいにかけて目を閉じた。
 白色ボディーの高原鉄道列車と、肌色のJR世界陶芸祭号の先頭車両が、空に向かって山のように盛り上がっていた。(京都新聞)
■特急「はるか」一時運休 琵琶湖汽船も 強風で一部欠航
 メイ・ストーム(5月の嵐)と呼ばれる低気圧が日本海を通過した8日、京滋地方にも南から湿った暖かい空気が流れ込み15bを超す強い風が吹き荒れた。
 京都地方気象台によると、この日午前9時過ぎ、瞬間風速が10bを超し、同10時16分には最大瞬間風速15.7bを記録。また、滋賀県でも午後零時21分に最大瞬間風速16.1bを記録(彦根地方気象台調べ)した。
 この日午後2時ごろ、大阪府泉南郡田尻町、関西空港駅の風速警報装置が強風のために作動したため、同駅に乗り入れているJR西日本と南海は、関西空港連絡橋(りんくうタウン−関西空港駅間)の運転を見合わせた。
 運行再開した午後6時20分までに、JR西日本が京都発の特急「はるか」など上下46本、南海は特急「ラピート」など同44本が運休または部分運休した。両社は代替バスを運行したが、計約1万2100人に影響した。
 琵琶湖では強風のため湖上に白波が立ち、琵琶湖汽船が県立博物館のある烏丸半島と大津港などを結ぶシャトルボートの運航を一部取り止めるなどの影響が出た。(京都新聞)
■JR石山駅前広場 拡張工事で起工式
 ラッシュ時の混雑を緩和しようと、JR石山駅の駅前広場を拡張する改良工事の起工式が8日、大津市の同駅前で行われた。
 式には関係者約70人が参加し、高梨雅明助役が「駅前広場を拡張し、バスやタクシー乗り場の増設と待機場所の分離を行う。みなさんの協力を」とあいさつ。
 付近は、JRと京阪の駅が向かい合っているが、駅前広場のバス、タクシー乗り場が限られていることなどから、朝夕の混雑がひどく、今回の工事で約500平方b拡張し、全体で2500平方bの広さとする。
 また、バス乗り場が1ヵ所から3ヵ所に、タクシー乗り場が2ヵ所から3ヵ所に増えるほか、歩道に屋根を付けて歩きやすくする。完成は来年3月の予定。(京都新聞)
■全国のトロッコ”スクラム” 鉄道会社10社 7月に協議会設立 魅力アピールへ サミットも開催 高知で
 京都の嵯峨野観光鉄道、JR四国など観光用のトロッコ列車を運行している全国の鉄道会社10社は8日、7月下旬に「全国トロッコ列車協議会」を設立、合わせて自然と一体となって走るトロッコ列車の魅力を語り合うサミットを開催すると発表した。
 山や峡谷に窓のない車両などをゆっくり走らせ、乗客に自然を満喫してもらう趣向のトロッコ列車は、1971年の黒部峡谷鉄道(富山県)を皮切りに、北海道から九州までの各地で10社が営業している。
 各路線とも風光明美な遠隔地にあり、これまで情報交換する場がなかったため、協議会を発足させることにした。ほかには、長良川鉄道(岐阜県)、島原鉄道(長崎県)、南阿蘇鉄道(熊本県)などが参加する。
 サミットは、協議会の設立を機に、野趣豊かなうえ、自動車に比べて環境にやさしいトロッコ列車をアピールしようと、7月27日午後1時半から、JR四国が列車を運行している清流・四万十川流域の高知県西土佐村で開く。橋本大二郎知事らゲストと一般公募による約500人の参加者が、「トロッコの旅と環境」をテーマに話し合う。
 嵯峨野観光鉄道の長谷川一彦社長は「自然と共生できるトロッコ列車の素晴らしさを、より多くの人に知ってもらいたい」と意気込んでいる。(京都新聞)
■関空特急騒音 南海、沿線に防音壁 JR、弾性まくら木増設
 関西空港に乗り入れている特急電車の騒音・振動問題で、運輸省、大阪府、沿線の市町と鉄道2社でつくる「南海本線・JR阪和線騒音・振動問題協議会」は7日、大阪市で会合を開き、原則として鉄道2社の負担で、騒音のひどい地区に防音壁などを設置する緊急対策を本年度から本格的に実施することを決めた。
 同協議会の中間報告によると、南海電鉄は1997年度から3年間、毎年480bの防音壁を沿線に設置した後、最終的に計3`の設置を予定。
 振動を減らすために底面や側面をゴムで覆った弾性まくら木は、96年度に100b敷設しており、今後3年間に増設して計520bとする。
 JR西日本は防音壁については自己資金難から「公的支援があれば検討する」としたが、弾性まくら木は96年度の320bも含め、今後3年以内に計2720bとする。
 レールを削ったリポイントを撤去する騒音対策も行うが、地元から要望の強かった電車の減速には、緊急対策の効果を見定めた上で引き続き協議する、とした。
 府と沿線自治体が昨年5月行った騒音調査では、関西空港に乗り入れている南海の「ラピート」、JRの「はるか」ともに騒音の平均値は86デシベルで地下鉄の車内騒音とされる80デシベルを上回っていた。(京都新聞)
■イベントガイド シスコのケーブルカーも登場 「日本の路面電車」展 (11日−6月29日、大阪市港区の交通科学博物館)
 かつては日本の都市交通の主役を務め、現在、欧米では公害の少ない交通手段として見直されている路面電車を、模型や写真パネルと、乗車券などの資料を通して紹介する。懐かしい京都市電のありし日の雄姿も、写真で登場する。
 展示されるのは、札幌市、鹿児島市など全国19路線で、今も活躍する路面電車の写真パネル、1903(明治36)年から69年まで66年間、大阪市内を走り続けた大阪市電の模型、乗車券、路線案内図など。
 また、23日から6月8日までは、大阪市とアメリカ・サンフランシスコ市の姉妹都市40周年を記念して、大阪市電30号と、サンフランシスコのケーブルカーの現物が、特別に披露される。
 入館料は、高絞生以上が400円、4歳以上が100円。問い合わせは交通博物館 06(581)5771。(京都新聞)
■京都市バスのドア 挟まれた女性 市相手に提訴
 京都市バスに乗車しようとしてドアに挟まれたのは運転手の確認が不十分だったためとして8日、市内に住む主婦がバスの運行を管理する同市公営企業管理者(市交通局長)とバスの運転手(52)を相手取り、約770万円の損害賠償を求める訴えを京都地裁に起こした。
 訴状によると、この主婦は1994年5月13日、北区小山東大野町の北大路通にある「北大路新町西行き」バス停から、乗車のためステップに足をかけていた際、運転手が主婦に気付かずにドアを閉めたため、主婦は右腕を挟んだり背中を強く打ったりするなどした。
 同市交通局は「警察の調べでは挟んだ事実はないとされており、はっきりさせたい」と話している。(朝日新聞)
■朝夕、計4往復増発 京都市地下鉄 22日から新ダイヤ
 京都市交通局は9日、地下鉄烏丸線北々伸(北山−国際会館間、2.6`)の6月3日開業に伴うダイヤ改正を発表した。
 新ダイヤでの運行は、開業に先立ち22日から実施する。
 本数は土曜、日曜・祝日は現行通りだが、平日は朝のラッシュ時に3往復、夕方に1往復増発し混雑の緩和を図る。
 終電車は、最終の新幹線・新大阪行き「のぞみ」に京都駅で連絡するよう繰り下げ、竹田駅からの上りは現行より15分遅い午後11時38分発、北山駅からの下りは23分遅い午後11時51分発とする。
 来月3日は正午開業で、一番列車は上りが北山駅を午後零時1分、下りが国際会館駅を同零時2分に発車する。(京都新聞 夕刊)
10日■赤信号で走った列車 リポート・信楽高原鉄道事故の真相 3 第一報 「脱線」から衝突! 難航する救助
 時間との闘い
 カーブを曲がった。その時だ。
 木の生い茂った土手から、顔から血を流した男性が国道307号に転がり落ちてきた。
 滋賀県坂田郡近江町宇賀野、会社員北村進さん(53)の乗用車は、妻や谷村秀美さん(42)らを乗せ、ちょうど国道307号を走っていた。世界陶芸祭が開かれている滋賀県立陶芸の森は、もう目の前だった。
 「列車が転覆している−」。北村さんは民家に駆け込んだ。
 5月14日午前10時37分。滋賀県警本部通信指令室(大津市)に、北村さんから110番通報が入った。これが事故の第一報だった。
 北村さんの車を降りた谷村さんは、男性の頭の出血をタオルでおさえ、ネクタイやベルトをゆるめた。白カッターシャツに緑の腕華が目に入った。男性は「私はいいので、中(列車)をお願いします」と言った。
 高原鉄道列車の臨時車掌に駆り出されていた信楽高原鉄道旅行センターの田原稲生さん(32)だった。
 この時の様子を来日中の日系ブラジル三世で新聞記者の草野一海さんが撮影していた。「写真の右、確かに私です。左側の女性は看護婦さんと言っておられたように思いますが…」。谷村さんが、写真と田原さんの名前を知ったのは、今年の3月のことだ。
 甲賀郡消防本部の救助隊員12人は、現場から9`離れた野洲川河川敷で訓練に励んでいた。「信楽で列車事故」。無線機のがなり声にせかされ、オレンジ色の作業服のまま出動した。
 信楽駅を高原鉄道列車が発車する直前に、列車が行き違う小野谷信号場に行くよう指示された高原鉄道の神山昇主任は、倉田富司施設主任と2人で白色軽トラックで信号場を目指していた。JR世界陶芸祭号と行き違いさせるポイントを切り替えるカギを手にしていた。
 国道307号に出て間もなく、右手に列車の前部が盛り上がった高原鉄道の車両が目に飛び込んだ。
 「列車が脱線している」。倉田主任は軽トラックの無線で信楽駅へ叫ぶように通報した。午前10時40分ごろだった。線路に近づくと、車体の前が空に向け45度の角度で折れ曲がったJR世界陶芸祭号があった。「衝突しとる! けが人もいる」。二報を入れた。
 昼前に到着予定の近畿運輸局の係官に説明するため、信楽駅事務室の自席で、踏切など安全対策案を考えていた山本長生施設課長は「頭の中が真っ白になった」。
 直後、事故の列車内は不思議なほど静かだった。
 甲賀郡消防本部の上村光男さん(43)と堂山吉広さん(40)は、3階建てほどの高さに傾斜したJRの先頭車両の前部に入った。約50人の乗客が車両の底に折り重なっていた。
 乗客の手足が座席にはさまり、人の重みで引っぱり出せない。「早く助けて」。小さな声が、むこう側で何度も消えていった。「みなさん、体力も気力もすでになかったのだと思います」
 車両は鉄板が厚く、切断は難しい。国道側と山側の窓にロープを張り、上から順に救出するしかなかった。救助作業は難航、時間との闘いだった。出動服はまたたく間に血で染まった。
 高原鉄道の運転席から、淵本繁運転士=当時(51)=の遺体を収容し、救助作業を終えたのは、日付が変わった15日午前零時を過ぎていた。
 死者はJR30人、高原鉄道12人。重軽傷者は合わせて614人。大惨事だった。(京都新聞)
■日本海高速鉄道の実現へ地方組織を 促進議連が働き掛け
 目本海沿岸をミニ新幹線など高速鉄道網で結ぶ構想を推進している自民党の日本海高速鉄道整備促進議員連盟(綿貫民輔会長)の発起人代表が9日、運輸省内で記者会見し、青森、京都、山口など関係12府県に対し、地方組織の設立を働き掛けることを明らかにした。
 この中で桜井新・同連盟幹事長は「実現には地元とJRの協力が欠かせない。今月中に開く予定の総会には地方組織に参加してもらいたい」などと述べた。(京都新聞)
■リムジンバス運行 関西国際空港会社 タイからの深夜便で
 関西国際空港会社は9日、今月から未明に発着を始めたタイ国際航空の到着後の陸上交通手段を確保するため、15日から関西空港と大阪市内を結ぶリムジンハスを運行する、と発表した。
 タイ国際航空の深夜便は関西空港を中継点にバンコク−ロサンゼルス間を航行しており、空港の24時間運用の先駆けとなった。
 ところが、バンコク発が月、水、金曜日の午前零時40分、ロス発が火、木、土曜日の午前3時40分にそれぞれ到着するにもかかわらず、この時間帯に鉄道、バス、海上交通のアクセスは用意されていないため、空港のロビーで夜を明かす乗客が多数いた。
 新たなリムジンバスは、関西空港交通が当面運行する。航空機が到着してから35分後に出発し、約50分でJR大阪駅前に着く予定。料金は大人が2500円で、昼間(1300円)の倍近い。(京都新聞)
■関空深夜バス やっと発車します 関空交通、15日から でも料金は2倍
 関西空港で深夜旅客便の発着が始まったことに伴って、同空港への到着使に連絡するリムジンバスが15日から走ることになった。国内航空3社と南海電鉄が出資している関西空港交通が9日、空港と大阪駅を結ぶ深夜便の運行を近畿運輸局に許可申請した。
 深夜バスは、今月2日から同空港に週6便発着しているタイ航空機の到着35分後に空港を出発する。深夜料金となるため、日中の料金に比べて約2倍の大人2500円、小学生1250円となる。
 同空港は、開港3年目にして「24時間空港」となったが、採算性などの理由から空港へのアクセスが確保できていなかった。このため、関西国際空港会社が、関西空港交通に交渉してきた。当面は、赤字便として運行することになるという。(朝日新聞)
■地下鉄烏丸線ダイヤを改正 22日から
 京都市交通局は、22日から地下鉄烏丸線のダイヤを改正する。同線の北部延伸に伴うもので、9日に開かれた市議会交通水道委員会で明らかにした。
 平日の朝夕ラッシュ時間帯を約30分ずつ拡大し、午前7時半から9時半、午後4時から8時とし、朝3往復、夕方1往復増発する。土曜休日の運行本数に変更はない。
 また、要望が多かった京都駅発最終の発車時刻を、下り新幹線のぞみ到着後に変更。上りは午後11時45分、下りは午前零時5分にそれぞれ繰り下げる。
 延伸区間の北山駅から国際会館駅間の営業運転は6月3日から。一番列車となる上りは、北山駅午後零時1分、下りは国際会館駅発午後零時2分となる。(朝日新聞)
■旧国鉄債務28兆円 「負の遺産」今も重く 根強い負担論議「整備新幹線」拠出はね返す
 旧国鉄長期債務の処理に向けて、自民党の特別委員会が財源の検討に入った先月半ば、JR西日本の井手正敬会長は、橋本龍太郎首相と親しい財界人の誘いに応じ、都内で懇談した。
 「(財源に)JRの運賃に税金をかけて返済に充てても、金利だけで年間1兆3000億円に達する債務からすればわずかだ。JRにしてみれは、それによって競争力を失い、この10年、必死に続けてきた経営努力が水泡に帰す」
 政府内にくすぶるJRへの追加負担論議を強くけん制する井手会長に、この財界人は「(国鉄改革当時の)中曽根首相は国鉄を悪者にして国民の怒りに火を付けた。JRの追加負担を言う前に行革が筋だが、橋本政権にあらゆる政策的経費を伸びゼロに抑え続けるくらいのやせ我慢ができるだろうか」ともらしたという。
 JRと分かれた国鉄清算事業団が引き継いだ債務はいまや28兆円に膨らみ、抜本的な処理は避けて通れない状況だ。
 JR東日本の松田昌士社長、JR東海の葛西敬之社長とともに、旧国鉄の分割・民営化の旗を振った井手会長は「国鉄改革の過程で、JR各社はさまざまな負担にこたえてきた。追加負担に応じなけれはならない道理はない」と主張し続ける。
 JR各社は発足にあたって旧国鉄の資産を引き継いだが、同時に本州3社と貨物会社は長期債務の一部を負担した。さらに91年には本州3社は新幹線を買い取り、このために増えた借金の支払利息と減価償却費が3社の経営に重くのしかかることになった。
 井手会長が「国鉄債務問題の前哨戦」と位置づけて臨んだのが、昨年暮れの整備新幹線の建設財源問題だった。
 昨年度で期限が切れるJR3社の固定資産税の軽減分を「納付金」、「拠出金」として整備新幹線建設の特定財源にしようとした政府・自民党のごり押しを、最後は「企業として株主に説明がつかない」の一点ではね返した。
 国鉄改革の際に総裁室長として、運輸相だった橋本首相と知り合い、井手会長は太いパイプを持つといわれている。「行革をどこまで断行できるかが政権の生命線になるはずだ」と、JR各社と足なみをそろえて、政治の要求に真っ向から立ち向かう構えだ。
 過去の「負の遺産」である国鉄債務から、「行革」という建前だけで果たして逃れられるだろうか。
・JR西日本・南谷昌二郎社長にインタビュー 「値上げなし」お客支持 企業論理で政治と距離
 民営化後のJRに課せられた大きな使命が鉄道の再生だった。国鉄末期のたび重なるストや運賃値上げで荒廃した鉄道が、再び国民の足として機能するようになり、この10年はおおむね成功だと思っている。
 本州3社の中では、鉄道の営業利益を見ても、私どもは劣っていますよね。株価で東日本と2割の差がついているのはなぜかということは、経営者としてつねに考えていかなければならない。しかし、現時点では配当でJR東日本に後れをとっているわけではないし、間接部門のリストラにしてもJR西日本がもっとも進んでおり、株主の利益には十分責任を果たしている。
 今後も人口密度の高い都市部の鉄道事業は採算がとれると思う。住宅開発は進むでしょうし、その足として鉄道が機能し得るわけですから。都市圏にもまだ単線区間があり、複線化などで伸びる余地は十分ある。しかし、経営全体に目を転じると、極めて厳しいと言わざるを得ない。
 借金を減らしながら、運賃値上げに頼らず、経営基盤を強固にしていくという努力は今後も続ける。われわれがこの10年間お客さまから支持されてきたのは、何よりも値上げをしなかったからで、この事実は重いですよね。
 昨年暮れの整備新幹線問題では、民営化された企業の論理でものを言うことができ、(政治圧力を跳ね返したのは)それが重んじられた結果だと思う。政治との距離を保ち、利用者や株主に向いた企業になるためにも、国という大株主が持っている株式を一日も早く完全公開しなければいけないのでしょうね。(談)(朝日新聞)
■JR西日本 民営化10年 目覚めた「獅子」 業績明暗 都市部で輸送力増強 比率高い赤字ローカル線
 国鉄の分割・民営化で誕生して満10年を迎えたJR西日本の経営は、「眠れる獅子(しし)が目を覚ました」と競合する私鉄を驚かせる好業績の光と、先行きのさまたげとなる構造的な問題のカゲが交錯する。山陽路を疾走する世界最速の新型「のぞみ」に代表される輸送力の増強、サービスの向上による経営改善の軌跡を追うと同時に、将来に重くのしかかる赤字ローカル線や、国鉄の債務問題の行方を探る。(鈴木 淑子)
 山口県西部の美祢市大嶺町を走るJR美祢線の支線、大嶺−南大嶺間(通称大嶺線、営業距離2.8`)が3月31日、92年にわたる歴史にひっそりと幕を閉じた。国鉄の民営化からちょうど10年。本州で初めての廃線となった。
 かつては地元の炭鉱の石炭を運ぶ路線として活況を呈した時代もあったが、1971年の閉山を機に年々利用客が減少して、95年度は1日平均の利用客が14人だった。
 廃線には、地元への説明から運輸大臣への認可申請まで3年以上もかかった。JR西日本は「JRに引き継がれた路線は今後も残るのが前提だ。大嶺線の廃線は特殊なケースで、むしろ、ここまでよく営業してこられた」(広島支社)と強調する。
 運輸業界に詳しい野村証券金融研究所の橋本尚人研究員は「不採算路線の廃止もタブーではないという新たな経営の一歩を踏み出した象徴的な出来事だ」とみる。
 JR西日本は、東日本や東海に比べローカル線の比率が高く、営業距離約5000`のほぼ半数を占める。そのほとんどが赤字路線だ。同社の売上高に対する営業利益の比率が、東日本と東海に比べて低い水準にとどまっているのはこのためだ。96年3月期で15.0%だったのに対して、東日本は19.6%、東海は34.0%になっている。
 国鉄改革で廃止対象とされた路線の切り離しが終了した90年、JR西日本は残されたローカル線の効率化を進めるため「鉄道部」制度を導入した。駅、社員の管理から鉄道の臨時増発などの業務運営まで権限を本社から委譲された鉄道部長が、独立採算組織の長として経営にあたる。現在は27ある。だが、道路整備が進み、地域の産業の衰退などによって、構造的に輸送量の減少に歯止めがかからず、経営環境は例外なく厳しさを増している。
 JR西日本の鉄道収入の4割を稼ぎ出す山陽新幹線は、採算性が悪いローカル線部門を補う余力があるのだろうか。
 ある区間で飛行機と新幹線の輸送人員を合わせた輸送量のなかで、両者の比率を比べると、JR東海のエリアである東京−大阪間では新幹線が8割を超え、圧倒的に有利だが、JR西日本の大阪−博多間は、阪神大震災で利用客が航空機に移ったこともあり、65%程度にとどまる。
 同社がシェア拡大の切り札と期待をかける「500系のぞみ」は、最高時速300`で営業運転する。フランスの高速鉄道「TGV」と並ぶ世界最高速度を誇り、新大阪−博多の所要時間を従来より15分短縮して2時間17分で結ぶ。
 現在は1編成だが、今秋までに4編成に増やし、東京にも乗り入れる予定で、今年度10億円の増収を見込む。ただ、東京−新大阪間はカーブが多いため300`運転ができないうえ、大阪から遠ざかるほど利用客が減る。時間短縮の効果は限られ、新車両投入に伴うコストアップを回収できない可能性が大きい。
 JR西日本は民営化後、京阪神地域の線区を「アーバンネットワーク」と名付け、重点的に輸送力を増強してきた。阪神大震災のあった94年度に輸送人員こそ足踏みしたものの、収入につながる輸送人員と輸送距離を乗じた輸送人キロは初年度に比べ45%伸び、鉄道収入に占める割合は山陽新幹線に迫る38%に達した。
 しかし、長期的には企業のリストラや少子化で通学・通勤の利用者の増加が頭打ちとなるだけに、今後の収入増の柱が何になるのか、明確な見通しは立っていない。
 JR西日本の経常利益は、96年3月期に566億円となり、民営化初年度の88年3月期の約7倍になった。売上高も今年3月期には、阪神大震災前の94年3月期の9376億円を上回る見通しだ。こうした「好業績」の裏にひそむ構造的な弱点を同社は抱えている。
・鉄道各社、人件費重く
 日本企業の人件費負担は国際的にみて高い。売り上げの急増を期待しにくい中、企業は雇用慣行の見直しや間接部門の生産性向上を迫られている。
 朝日新聞社が景気アンケートを実施している関西企業70社のうち、人件費の情報を開示している60社の1995年度決算で売上高に対する人件費の比率をみると、上位には近畿日本鉄道(37%)、JR西日本(36%)、阪急電鉄(25%)の鉄道各社のほか、運輸・海運、ホテルなどの労働集約型の産業が並ぶ。電力・ガスも、非製造業平均(8%)を上回っている。
 下位の任天堂(2%)は従業員が少なく、高収益体質を誇る。松下電器産業(9%)なども合理化投資を進め、製造業平均(16%)を下回っている。(データは和光経済研究所調べ)(朝日新聞)
11日■赤信号で走った列車 リポート・信楽高原鉄道事故の真相 4 前兆 11日前にも「赤」発車 誤出発装置正常に作動
 91年5月14日の大惨事で、信楽高原鉄道も、列車に乗っていた奥村清一常務や中村裕昭業務課長ら職員5人の命を失った。
 事故後まもなく、信楽高原鉄道が、事故が起きた11日前の「5月3日」にも赤信号で発車していたことが、滋賀県警の調べで分かった。
 14日と同じく、3日も、信楽駅の上り出発信号が赤から青に変わらず、上り列車は赤信号のまま発車した。
 3日は、赤信号の発車を検知して対向列車側の信号を強制的に赤にする「誤出発検知装置」が正常に作動。JR世界陶芸祭号は小野谷信号場内に停車し、事故には至らなかった。
 「5月3日」の模様を関係者の供述や証言でたどると、次のようだった。
 3日に信楽駅で列車の運行担当をしていたのは、14日とは別の運転主任だった。3日午前10時14分発の貴生川行き上り列車を発車させるため、ホームの前方にある上り出発信号を青にしようと駅務室の制御盤のテコを倒した。だが信号は青にならなかった。
 「えらいこっちゃ、信号が出やん」。運転主任は大きな声を上げた。信号設備工事会社から派遣された八木沢守係長は外出していて、その場にいなかった。
 信号を使えない場合、代わりの運行方法として、発車以前に行き違い場所の小野谷信号場(無人)に駅長役の職員を派遣。信楽−小野谷間に対向列車がないことを確め、信楽駅の運転主任と電話で打ち合わせた後、発車させなければならないことになっていた。
 「小野谷に、だれか人をやらんと」と運転主任が話すと、中村課長から「人がおらんやないか。だれを行かせるんや」と言われたという。
 連休さなかの祝日。信楽町で開催中の世界陶芸祭は、1日で約4万2000人の入場者があり、信楽駅も大混雑していた。3日は、奥村常務も改札の手伝いをしなければならない忙しさだった。
 列車は定刻より10分遅れて赤信号で発車した。中村業務課長は小野谷信号場のポイン卜の切り替えなどのため乗り込んだ。
 対向列車の信号を強制的に赤にする「誤出発検知装置」が正常に作動しても、信楽駅では、小野谷信号場の信号機の状態は分からないシステムになっている。運転主任は、世界陶芸祭号側の信号が間違いなく赤になっているか、不安だった。
 運転主任は小野谷信号場に行こうと、マイカーに乗った。道路が空いていれば10分ほどで行ける。だが、「自分は運行責任者で駅を離れてはいけない」と思い、途中で駅に引き返した。「居てもたってもいられない気持ちでした」。その時の気持ちを、運転主任はそう証言した。
 だが、発車する前、ホームにいた中村課長から小野谷信号場に行くように依頼されたという職員の供述もある。この職員は、小野谷信号場の安全確認のため車で向かったが、陶芸祭人気で国道307号が渋滞して前へ進めず、駅に戻った。中村課長に改めて相談しようと引き返したところ、列車はすでに発車していたという。
 高原鉄道列車が発車して約15分後。運転主任は、中村課長から小野谷信号場に着いたと電話を受けた。小野谷信号場の世界陶芸祭号側の下り信号が、赤になっていたのだと分かり、ほっとした。
 惨事が起きた5月14日、運転主任は泊まり明けで信楽駅構内でポイント清掃をしていた。大惨事となった2度目の赤信号発車について裁判で、こう話した。
 「3日に誤出発装置が働いたので、働くと思っていました」
 なぜ、14日は誤出発装置が正常に作動せず、小野谷信号場の世界陶芸祭号側の信号が「青」になってしまったのか。(京都新聞)
12日■赤信号で走った列車 リポート・信楽高原鉄道事故の真相 5 専門家 装置の理解 不十分 増員もなく増便に対応
 信楽高原鉄道が導入した信号システムは、万が一、赤信号で列車が発車しても、線路上にある「誤出発検知装置」を踏むと、信楽駅と小野谷信号場を結ぶ回線の電流が切れ、対向側の信号を強制的に赤にし続け、対向列車を停車させる仕組みになっている。
 91年5月3日も、赤信号で発車したが、この装置が正常に作動したため、間一髪で惨事を免れた。しかし、事故当日の5月14日は、この装置が作動せず、対向車両側の信号は「青」だった。
 原因は何なのか。捜査の目は、事故当日の14日、信楽駅の電気設備室で信号トラブルを点検中だった、信号設備工事会社から派遣されていた八木沢守係長に向いた。
 滋賀県警は、運輸省交通安全公害研究所の鉄道技術評価研究室長に信号システムの鑑定を依頼した。その結果、「人為的な配線が行われた可能性が非常に高い」ことが分かった。
 大津地検は、事故から1年7ヵ月後の92年末、信号システムの回線接続を誤操作したとして八木沢係長や、電気設備など鉄道施設を担当する山本長生施設課長、列車運行担当の里西孝三主任の信楽高原鉄道側の3人を、業務上過失致死傷罪などで起訴した。
 「増員もされず、信号の専門家が補充されることもなく、社内には信号システムのことをちゃんと理解できている人はだれ一人いないような状態でした」
 信楽高原鉄道の運転主任の一人は、裁判所に提出した書面で、当時の高原鉄道の社内状況についてこう述べている。
 信楽高原鉄道は、国鉄分割民営化で廃線の岐路にたち、滋賀県や信楽町などが株主になり、87年に第三セクターで発足した。
 事故当時、高原鉄道の常勤職員は、奥村清一常務や中村裕昭業務課長、山本施設課長ら20人で、旅行センターを除くと、鉄道関係職員は17人だった。列車運行の責任者である駅長役は、4人の運転主任が交代で務めていた。
 奥村常務は信楽町職員出身で鉄道にあまり詳しくなく、運輸業務は旧国鉄で運転の助役をした中村課長が支えていた。山本施設課長は旧国鉄では一貫して線路の管理などに当たる保線区に所属していた。
 91年4月20日からの世界陶芸祭の開催に伴い、高原鉄道は、主催者の滋賀県などから輸送力アップを要請される。信楽駅から貴生川駅までの14.7`(単線、約23分)を、それまでは1日に15.5往復だったのが、陶芸祭の期間中は、JRの乗り入れを含めて1日に26往復に増便された。
 信号システムや行き違い場所の小野谷信号場は、輸送力アップに対応するために新設された。
 陶芸祭直前の91年3月、信号システムの説明会が、2回にわたり信楽駅で行われた。工事会社の説明の後、運転主任は中村課長に「わからなかった。どうして取り扱いするのですか」と聞くと、中村課長も「わしも分からんのや。(工事会社に)個々に聞いてくれ」と答えたという。
 この信号システムの新設工事の現場監督をしていたのが八木沢係長だった。高原鉄道の要請で、八木沢係長は高原鉄道に世界陶芸祭期間中、常駐することになる。
 八木沢係長は裁判でこう述べている。
 「私は信号装置の専門家ではなく、そのことは派遣を要請された信楽高原鉄道の関係者も承知されていました。作業については記憶が定かでなく、私は列車を出発させないよう要請しており、(高原鉄道が)信号を無視して出発することまで予測できませんでした」(京都新聞)
■関空−京都市内を運行 リムジンバス線申請 京阪バスなど3社
 京阪バス(京都市南区)と関西空港交通(大阪府泉佐野市)、大阪空港交通(大阪府池田市)の3社は12日、関西空港と京都市内を結ぶ共同運行のリムジンバス京都線の事業免許を近畿運輸局に申請した。7月上旬から、JR京都駅八条口−関西空港間を30分−1時間おきに運行する。
 申請では、京都駅八条口発は午前5時発から午後9時発まで計19便、二条城前(中京区)発着・三条京阪(東山区)経由が2便、山科区大宅の京阪バス山科営業所(地下鉄東西線開業後は伏見区醍醐を予定)発着が1便。関西空港からは午前6時発から午後10時発まで計21便を運行。
 所要時間は約1時間45分を予定。運賃は大人2300円(子供1150円)で、年間22万4000人の利用を見込む。JR西日本の「はるか」と比べ、所要時間で最大約半時間遅いが、料金は約3割低く抑えた。
 関西空港と各地を結ぶリムジンバスは、開港当初から宇治線や滋賀線など18路線が運行。京都線開設は遅れていたが、バス需要が伸びているうえ、名神高速道路の拡幅で定時走行のめどがついたため申請に踏み切った。(京都新聞)
■郡山など震度4 新幹線一時運休
 12日午前7時59分ごろ、東北地方から関東地方にかけて、やや強い地震があり、福島県の郡山や白河などで震度4を記録した。気象庁の観測によると、震源地は福島県沖で、震源の深さは約60`、地震の規模はマグニチュード(M)5.7と推定される。津波の心配はない。
 福島、宮城両県警などによると、地震の影響による人的被害の報告はなかったが、東北新幹線が宇都宮−古川間で一時運転を見合わせ、異常がないことを確認し、午前8時5分に運転を再開した。後続などに10分前後の遅れが出ている。JR在来線も福島、宮城両県で東北線、常磐線など計5線が一部区間で運転を見合わせるなどした。
 高速道路は常磐自動車道全線と磐越自動車道のいわきジャンクション−いわき三輪間が地震直後から通行止めとなったが、午前8時55分に解除された。
 このほか地震直後に福島県船引町で電柱の変圧器1個が焼け、約1900戸が約20分間停電した。東北電力で原因を調べている。
・銚子では震度1
 12日午前9時31分ごろ、千葉県の銚子で震度1の地震があった。気象庁の観測によると、震源地は千葉県東方沖で、震源の深さは約50`。(京都新聞 夕刊)
■関空リムジンバス 京都線7月開設へ
 関西空港交通、京阪バス、大阪空港交通の3社は12日、関西空港とJR京都駅八条口を結ぶリムジンバス京都線の開設を、近畿運輸局に申請した。共同運行方式により、京都発22使、関空発21便を毎日走らせ、京都−関空間を1時間45分で結ぶ。運行開始は7月上旬の予定。
 関西空港へのリムジンバスは現在、18路線あるが、京都線は初めて。名神高速、近畿・阪和自動車道などを経由し、一部の便は京都市内で二条城前、京阪三条駅などにも停車する。京都発は午前5時−午後9時、関空発は午前6時−午後10時で、1時間に1、2本運行する。運賃は中学生以上2300百円、小学生1150円。(朝日新聞 夕刊)
13日■赤信号で走った列車 リポート・信楽高原鉄道事故の真相 6 食い違い 「伝えた」「聞かぬ」 優先テコ設置 今も法廷論争
 行き違い場所の小野谷信号場で、JR世界陶芸祭号の下り出発信号が「赤」にならなかった理由は、信号設備工事会社から派遣された係長が信楽駅構内の電気設備の回線を誤操作した可能性が高いとされ、信楽高原鉄道の専門家不在が浮き彫りになった。
 では、大惨事の発端となった信楽駅の上り出発信号はなぜ、「青」にならず「赤」になってしまったのか。
 滋賀県警の捜査は、草津線などの運行や貴生川駅の信号を扱うJR亀山CTCセンター(三重県亀山市)に設置されている遠隔繰作の「方向優先テコ」に向いた。
 方向優先テコは、草津線から乗り入れるJR列車の到着などが遅れた場合に、下り方向の走行を優先し、小野谷信号場の上り信号を赤にし続け、上り列車を信号場に停車させておくことができる。
 事故後、この方向優先テコの設置をめぐって、信楽高原鉄道は「知らされていなかった」と主張。一方、JR側は「連絡した」と話し、双方の言い分が食い違っていることが分かった。
 世界陶芸祭の開催に伴い、高原鉄道は信楽駅と小野谷信号場、JRは貴生川駅と亀山CTCセンターの信号システムの工事を受け持った。工事はそれぞれ別々の業者に発注された。
 事故の前年の90年9月、信号システム導入について、信楽高原鉄道とJRの打ち合わせ会議が大阪のJR西日本本社で開かれた。
 信楽高原鉄道は山本長生施設課長、中村裕昭業務課長、下請けの信号設備工事会社、基本設計を担当する会社の部長、JRは電気部信号通信課、運輸部管理課、亀山CTCセンターなどの担当者が出席した。
 「行き違い場所の小野谷信号場の上り出発信号を抑止(赤に)する機能が欲しい」。JR西日本側はこう要望したという。
 JR世界陶芸祭号など貴生川発の下り列車が遅れた場合、信楽発の上り列車が先に貴生川駅に到着すると、高原鉄道ばかりでなく、草津線のダイヤにも影響するためだ。
 JRの要望に対し、高原鉄道の下請け設計会社の部長は「小野谷信号場は高原鉄道の設備なので、JRさんが扱うのはおかしいんとちがいますか」と言ったとされる。会議中、信楽高原鉄道の2人の課長からはあまり発言がなかったという。
 会議から数日後、高原鉄道側は、信楽駅内に方向優先テコと同じ作用をする「抑止ボタン」を設置する図面案をJRに送った。
 図面を見たJR担当者らは「JR側で操作できる方がベター」と、方向優先テコの設置を決め、高原鉄道側に連絡することにした、と供述している。
 JRの担当者は「(設計会社部長に)電話をし、方向優先テコを設けるので、抑止ボタンはいらないと伝えた記憶がある。電話の相手は(信号設備工事会社の部長)だったかもしれない」としている。
 しかし、高原鉄道側の設計会社部長は、電話は受けていないという。信号設備工事会社部長も「JRから抑止ボタンを取ってくださいとは言われたが、方向優先テコをつける話は聞いていない」と証言している。
 「言った」「聞いていない」。方向優先テコの設置の経過をめぐって、いまも双方が真っ向うから裁判で争っている。
 さらに捜査で、JRと連絡をとらずに、信楽高原鉄道が別の信号工事をしていたことが分かった。この工事が、方向優先テコを含んだ信号システムを変化させ、信楽駅の信号は「赤」になり、事故の誘発につながっていく。(京都新聞)
■次期全総にリニアを 超党派国会議員 盛り込み働き掛け
 東京−大阪間を約1時間で結ぶというリニア中央エクスプレス(リニア中央新幹線)の建設促進国会議員連盟(奥野誠亮会長、約100人)は12日、リニア中央新幹線を21世紀初頭までに着工することを次期全国総合開発計画(次期全総)に盛り込むよう国土庁や運輸省などに働き掛ける方針を固めた。
 しかし、全線建設には約13兆円もの事業費が見込まれており、整備新幹線と同様、財源問題が最大のネックになりそうだ。
 同議連は東京、大阪をはじめ、ルートになるとみられる神奈川、山梨、長野、愛知、奈良、三重、大阪の9都府県選出の超党派議員(共産党除く)で結成。
 国土庁が次期全総で新たな国土軸として高規格鉄道ネットワークの構築などを打ち出すことを踏まえて「首都圏、中部圏、近畿圏の日本経済の動脈を時速550`で運行するリニアモーターカーの必要性は高い」(連盟)として同新幹線建設の実現を目指すことにした。
 リニア中央新幹線はリニアモーターカーの実用化と同時に、東海道新幹線のバイパス機能として建設が計画された。JR東海と鉄道総合技術研究所は、今年4月から山梨県内の実験線を使って浮上試験や走行安定性、制御能力に関する試験を開始した。
 ドイツでは21世紀初頭の開業を目指し、日本と異なる方式のリニアモーターカーによる実用実験が行われているが、財源難から事業費が削減された経緯がある。(京都新聞)
■えき・ひと・まち 木津駅 ハイキングにもいい古くから交通の要所
 古くから交通の要所として栄えた。奈良時代には、淀川・木津川の水運を利用して都(平城京)へ運ぶ物資がここで陸揚げされ、現代ではJR片町、奈良、関西の各線や国道が交差している。
 奈良と京都を結んだ古代の主要幹線「山背古道」も走っていた。これを現代によみがえらせようと、地元自治体や住民グループが、木津町から城陽市までの約20`のコースに手製の案内板を埋め込んだり、散策会やシンポジウムを開いたりして沿道の魅力をPRしている。木津駅周辺には名所旧跡や古い家並みが多く、ハイキングの好スポットになっている。
 駅の東側では、住宅・郡市整備公団が関西文化学術研究都市・木津中央地区の開発を始める。面積246f、計画人口1万3900人で、京都大学第3キャンパスの候補地の一つでもある。駅の西側でも市街地の再開発が計画されており、街の表情は大きく変わろうとしている。(朝日新聞)
14日■赤信号で走った列車 リポート・信楽高原鉄道事故の真相 7 裏目 無認可で変更工事 安全運転への要望きっかけ
 大惨事は、信楽駅を出発する上り列車の信号が「赤」だったことから始まった。では、なぜ「青」にならず「赤」になったのか。
 滋賀県警の調べで、信楽高原鉄道が無認可で信号システムの変更工事を行っていたことが明らかになった。この変更工事で、信号機の連動が当初より変わり、さらにJR亀山CTCセンター(三重県亀山市)の方向優先テコを操作する時期によっては、信楽駅の信号が「赤」になることが分かった。
 変更工事は、運転士の一人が、列車の運転をスムーズにするためにと、信号機の色の表示について要望したことがきっかけだった。
 「安全サイドの変更やから、やりたい」。世界陶芸祭に伴い、運用開始が間近に迫った91年3月5日、信楽高原鉄道の運輸担当の中村裕昭業務課長から、山本長生施設課長はこう頼まれたという。山本課長は、近畿運輸局への認可申請をするまでに間に合わないと考え、反対したという。
 しかし、変更工事は、その3日後に行われた。新設された信号システムに対する指定検査機関の検査合格を受けた当日だった。
 「3月5日」から変更工事着手までの経過を供述や証言でたどると、次のようだった。
 5日に高原鉄道から信号システムの変更工事の要望を聞いた信号設備工事会社の部長は、機器の移設や材料を手配する時間的余裕がなく、信号装置メーカーに高原鉄道の要望を伝えた。
 メーカーの担当者は変更案の図面を作り2日後、高原鉄道に送った。翌日、図面が下請けや孫請け…と渡される過程で、工事関係者の間の連絡が不十分なまま工事が行われたという。
 変更工事を知った信号設備工事会社の部長は「びっくりして、何でやったんだと(工事関係者を)叱(しか)った」と証言している。
 図面を作ったメーカー担当者は「あくまで案で、口頭でもいいから、近畿運輸局に即、申請すべき」と信号設備工事会社の部長に申し入れたという。
 結局、高原鉄道が「手続きをする」ということで、話がついたとされる。
 JRが設置した方向優先テコは、もともと貴生川発の下り列車が遅れた場合に、下り方向の走行を優先し、小野谷信号場の上り出発信号を赤にし続け、上り列車を信号場に停車させるだけのものだった。
 ところが、この変更工事で信号システムが一部変わり、5月14日は方向優先テコの操作で下り方向の走行を優先する作用が小野谷信号場を超えて、信楽駅の信号機にまで及んだというわけだ。
 配線の変更工事をした業者は「手続きがとられていなかったことは事故後知った。元に戻せと指示されたら、2時間もあれば十分でした」と供述している。
 運転の安全の理由で行われた変更工事が、結果的に信楽駅の「赤」につながったとは、事故後の捜査で分かるまで、だれも知らなかった。
 高原鉄道は、近畿運輸局への認可も受けず、JR側に変更工事を知らせていなかった。だが、高原鉄道側は「JRの方向優先テコの設置を聞いていれば、『信楽駅の赤信号』の原因は分かったはず」と主張する。
 これに対し、JRは「方向優先テコの設置を伝えているし、(もともと付けることになっていた)貴生川駅の方向テコと機能は同じだ」と、双方の言い分がぶつかりあい裁判で争っている。
 JRは、近畿運輸局への届けをせずに方向優先テコを設置、高原鉄道も無認可で変更工事をしたとして、両鉄道会社と担当者が93年、鉄道事業法違反で略式起訴され、罰金刑を受けている。(京都新聞)
■三田、神戸から京橋、京都へ JR乗り換え客狙え 京阪”したたか商法”CM
 京橋まではJR、そこから京都へは京阪で−。京阪電鉄(本社大阪市)が今春から始めたテレビコマーシャルがちょっとした話題を呼んでいる。ライバルのJR西日本(同)が3月に東西線を開業したことを逆にチャンスととらえ、乗り換えの利用客を増やそうというしたたかな商法だ。
 CMは15秒間で、タレントの渡辺満里奈さんが「三田、神戸方面のみなさん!京都は、京橋から、京阪で!」と呼び掛ける。3月下旬から近畿圏で流れている。
 JR東西線は尼崎(兵庫県尼崎市)と京橋(大阪市)の2駅を結ぶ21.5`。東西線にはJRの福知山線や東海道線、片町線の各車両が相互に乗り入れるため、大阪のベッドタウンの兵庫県三田市や神戸市から、京都、大阪、奈良にまたがる「関西文化学術研究都市」までが直結した。
 CMに出てくる京橋は、大阪と京都を結ぶ私鉄の京阪線と東西線との乗り換え駅。CMは、京阪が路線を持たない三田、神戸方面の人にJRで京橋まで来てもらい、京都へは京阪を利用してもらおうというのが狙いだ。
 京阪は「東西線は、大阪府の北東部では京阪と競合する。しかし、発想を前向きに変えて、新しい需要を掘り起こすチャンスだと考えた」(宣伝課)と話している。
 一方、JR西日本の南谷昌二郎社長は「鉄道のネットワークを相互に有効に使うという施策を見習わなくてはならない。京阪は鉄道のあるべき原点を取り上げられたと思う」としている。(京都新聞)
■線路内に入り遊び? はねられ男児重体 茨木のJR東海道線
 13日午後3時45分ごろ、茨木市庄一丁目のJR東海道線で、草津発姫路行き新快速電車(8両編成、乗客数約500人)が、線路内にいた同市庄、会社員古賀等さん(25)の長男翔太くん(5つ)と、同所、会社員近江厚誠さん(25)の長男厚稔くん(5つ)をはねた。
 翔太くんは線路の土手下にある側溝に転げ落ち、頭を強く打って意識不明の重体。厚捻くんも手首を折る重傷。
 茨木署などの調べでは、2人は線路内に入って遊んでいたらしく、運転士が発見して非常ブレーキをかけたが、間に合わず電車と接触した。事故後、厚稔くんは自力で家に帰っていた。
 現場はJR茨木駅の北東約2`。高さ約4bの土手の斜面に階段があり、上り口は高さ約1.5bのフェンスで囲まれているが、線路沿いにフェンスなどはなかった。近所の人の話では、ときどき子供が土手や線路沿いを歩いていたという。
 電車は現場に約20分間停車し、後続の電車上下5本が運休、6本が遅れ、約4000人に影響が出た。(京都新聞)
■カーテン開閉論争 眺めを楽しんで/JR側 車内照明が反射/労組側 JR東西線
 JR西日本が乗客に電車の前方の景観を楽しんでもらおうと、東西線(京橋−尼崎)を中心に運転室出入り口ドアのカーテンの開放を計画しているのに対し、国労近畿地方本部が13日記者会見し、「車内照明が前面のガラスに反射して、運転に支障がでる」と反対を表明した。
 運転室のカーテンは、運転士の真後ろと運転室出入り口ドアに1枚ずつある。昼間は両方とも開けてきたが、夜間やトンネル通過時は車内照明の反射を避けるため閉めてきた。会社はカーテンについて、遮光シールを張る代わりに15日から、夜間、トンネルでも開けることにした。1日から試験的に実施している。
 運転士らは「トンネル内の景観を見せてどうするのか」と反発している。(朝日新聞)
■線路内2男児 はねられる 茨木・JR東海道線
 13日午後3時45分ごろ、大阪府茨木市庄一丁目のJR東海道線の下り線で、線路内にいた近くの会社員古賀等さん(25)の長男で幼稚園児の翔太ちゃん(5つ)と、同、会社員近江厚誠さん(25)の長男で幼稚園児の厚稔ちゃん(5つ)の2人が、草津発姫路行きの新快速(8両編成)にはねられた。翔太ちゃんは頭を強く打ち病院へ運はれたが、意識不明の重体。厚稔ちゃんも左手首などに大けがをした。
 茨木者の調べでは、2人が線路わきに立っているのを約50b手前で運転士が見つけ、急ブレーキをかけたが間に合わず、電車の側面のタラップ部分が接触したらしい。(朝日新聞)
■声 踏切の赤い色 景観を損ねる 相生市 吉田 晋爾(無職 57歳)
 JR西日本株式会社様 踏切の防護さくを赤の蛍光色にすっかり塗り替えてしまわれましたね。踏切事故の防止を考えられてのことだと思います。しかし、本当にあの色でなけれは安全は確保できないものでしょうか。
 私はよく、貴社の列車を利用します。車窓からの景色を楽しみながら乗っています。だが、踏切に差しかかって、あの刺激的な色を目にすると、強い不快感を覚えます。蛍光色は、夜間には車のライトに反射して効果的かもしれません。しかし、昼間のあの色は余りにも強烈です。鳴りっぱなしの警報機のようです。
 都市では色が過剰にはんらんし、私たちは無神経になってしまっています。そして、ますます強力な手段に訴える傾向があります。そのせいかどうか、踏切の安全対策までが暴力的になってはいないでしょうか。せっかくの沿線の景観を殺伐としたものにしてはいないでしょうか。
 貴社の営業区域は都市部だけでなく、海辺から山間まで広域にわたります。それだけに格段の配慮が求められています。新緑の美しい季節を迎えました。田園にあの色は似合いません。あまりにも安易な措置ではないかと思うのですが、いかがでしょう。お考えをお聞かせください。(朝日新聞)
■7回忌 悲しみ今も 信楽高原鉄道事故 現場に遺族の列
 死者42人、負傷者614人を出した信楽高原鉄道列車事故の7回忌にあたる14日、滋賀県甲賀郡信楽町黄瀬の事故現場で、犠牲者遺族の会主催の慰霊祭法要がしめやかに営まれた。
 法要は、午前10時半から行われ、小雨の中、京滋などから遺族ら約100人が参列した。事故発生時に近い10時32分、信楽発貴生川行きの列車が弔苗を鳴らしながら現場の急カーブをゆっくりと走り抜けると、遺族たちは1分間の黙とうの後、犠牲者一人一人の名前が刻まれた慰霊碑前に設けられた献花台に白や黄色の菊の花をささげ、焼香してめい福を祈った。
 遺族の一人で読経した大阪市浪速区の浪速寺大僧正、中田明通さんは「あれから6年がたちましたが今も悲しみは尽きません。ただただ、めい福を祈るのみです」と言葉少なに語っていた。また遺族の会の吉崎俊三世話人は「月日のたつのは早いが、今もJR西日本が出席しないのには腹がたつ」と声を詰まらせながら話していた。
 遺族たちはこの後、午後1時から信楽町役場横の町開発センターで行われた信楽高原鉄道(北川啓一社長)主催の7回忌法要に臨んだ。同事故をめぐっては、大津地裁で、業務上過失致死傷罪などに問われた信楽高原鉄道関係者らの審理が、また大阪地裁で、9遺族がJR西日本と同鉄道に損害賠償を求めた訴訟が続いており審理はヤマ場を迎えようとしている。(京都新聞 夕刊)
■国労組合員の配転救済命令 JR東日本に中労委
 東北・上越新幹線の運転士だった国労組合員25人が国鉄・分割民営化の際、不当な配属差別を受けたと申し立てていた問題で、中央労働委員会(山口俊夫会長)は14日、配属発令は不当労働行為に当たるとして、すでに元の業務に復帰した3人を除く22人について、あらためて配属を見直すようJR東日本に求める救済命令を出した。
 命令書によると、25人は旧国鉄時代、上野新幹線第二運転所で新幹線の運転業務を担当していたが、1987年4月1日のJR発足以降、ペンキ塗りや草取りなどの雑作業や飲料水の自動販売機事業などの職場に配属された。
 旧国鉄時代にJRへの配属通知が出されているが、中労委は、JRと旧国鉄の関係について「配属に不当労働行為があった場合、その責任はJRが負う」と判断した。(京都新聞 夕刊)
■京都市バスが自転車と接触 北区、学生軽いけが
 14日午前8時35分ごろ、京都市北区北大路通加茂街道の交差点で、加茂街道に左折しようとした京都産業大行き市バス=藤井八郎運転手(50)=と、横断歩道を渡ろうとした上京区衣棚通上立売下ル、大学生阪本伸貴さん(20)の自転車が接触、阪本さんは飛び降りたが足に軽いけが。市バスの乗客70人にけがはなかった。
 上鴨署によると、藤井運転手は「左折する際、横断歩道の手前でいったん停止し、横断者が途切れたと思って発進した」と話しているといい、原因を調べている。
 今年に入り、市バスは4月9日と同17日に追突事故を起こしており、京都市交通局は4月18日から1ヵ月間を「緊急事故防止月間」に指定している。山川和彦・市交通局自動車本部管理課長は「事故防止に頑張ってきたのに、また事故を起こし残念だ。改めて利用者の信用回復に全力を挙げる」としている。(京都新聞 夕刊)
■京都バス 21系統に再編成 大原・岩倉地域市バス廃止後 運行計画を発表 京都市交通局
 京都市交通局は14日、地下鉄烏丸線北々伸(北山−国際会館間)開業に伴う左京区大原、岩倉両地域の市バス廃止後のバス運行計画を発表した。従来の市バス・京都バス計17系統250本(往復)を、京都バスが21系統222本に再編成して運行を引き継ぐ。
 実施は烏丸線北々伸開業(6月3日)翌日の同4日から。
 市交通局は、地下鉄の北々伸で同地域のバス利用客の大幅減少を予想。競合する京都バスとの「共存は困難だ」とし、今年2月、市バス路線を引き継ぐ協定を京都バスと結んでいた。
 運行計画によると、市バスの「北4」「北6」など、4系統79本(乗客数1日平均4900人)を廃止。新たに京都バスが市北部のターミナルとなる烏丸線国際会館駅への連絡強化を柱に編成し、運行する。
 現行の市バスで、大原地域の2系統21本は4系統26本に、また、岩倉実相院地域の1系統55本は7系統52本となる。
 国際会館駅を経由するのは従来の2系統から8系統に増える。
 一方、敬老・福祉乗車制度は同地域の21系統の京都バスに適用する。一部を除く市内全域の対象者が利用できる。
 また、京都バスと市バスの乗り継ぎ定期券を一部停留所に限って発行する。通勤で20%、通学で30%割り引く。公営と民間バス間の乗り継ぎ料金の設定は、全国では徳島市だけという。
 地下鉄との乗り継ぎは、現在も京都バスと京都交通との間で普通券、定期券で実施しており、その制度を適用する。(京都新聞 夕刊)
■烏丸線延伸・京都総体 記念乗車券を発売 来月1、3日 京都市交通局
 京都市交通局は14日、来月3日の地下鉄烏丸線北山−国際会館間の開業と、8月の全国高校総体(インターハイ・京都総体)開催にちなんで、それぞれ記念の市バス・地下鉄共通のプリペイド(前払い)カード「トラフィカ京カード」を発売すると発表した。
 額面は各1000円で、5000枚販売する。烏丸線開通記念は北山の緑を基調に、沿線の国立京都国際会館と五山送り火「妙法」をデザインし、来月3日に発売する。
 京都総体記念は、江戸時代の「毬杖(きゆうじょう)遊戯」と昭和初期の二条高等女学校でのバスケット、昨年の山梨総体の写真をあしらい、発売日は同1日。
 発売場所は市バス・地下鉄の案内所、市バス営業所など。問い合わせは市交通局乗客案内所 075(801)2561へ。(京都新聞 夕刊)
■東海道新幹線大阪第一車両所 非常制動装置ない線路も 幹線道に飛び出す危険 運輸省、改善指導へ
 東海道新幹線の車両基地である大阪府摂津市のJR東海大阪第1車両所(鳥飼基地)で、車両を止めておく「電車留置(電留)線」の軌道に、車両が所定の停止位置をオーバーランした場合に自動で非常ブレーキを働かせるセンサーが設置されておらず、最悪の場合、敷地に接する大阪中央環状線に飛び出す危険性のあることがわかった。JRの内規では、電留線へのセンサーの設置は義務づけられていないが、JR西日本の岡山新幹線運転所構内で6日、回送車両が車止めを越えて一般道路に飛び出した事故が起きただけに、設置の必要性を指摘する声が出ている。岡山の事故をきっかけに、運輸省はJR東日本、東海、西日本とともに、施設の実態調査に乗り出しており、こうした危険個所については改善を指零する方針だ。
 大阪第一車両所は東海道新幹線の本線わきにあり、敷地面積約37f。東西2`、南北230bに及ぶ車両所内には、本線から進入してくる着発線17本、点検や清掃のための車庫線7本、電留線21本などの線路がある。幹線道の大阪中央環状線に接するのは車両所西側の電留線(西電留線)16本で、線路の車止めから歩道まで最短で約20bしかない。
 新幹線は本線を走行する際、自動列車制御装置(ATC)で速度が自動抑制されるが、車両基地の構内では時速30`を超えないように設定されるだけで、あとの判断は運転士に任される。さらに車両基地の場合、場所によってATCの一種の「03(ゼロサン)信号」のセンサーがあり、行き過ぎた車両に「絶対停止」という電波信号を送って非常ブレーキを作動させる仕組みになっている。
 大阪第一車両所では、03信号装置は着発線などに設置されているものの、電留線にはない。オーバーランした場合、軌道の端の砂利盛りや車止めに突っ込ませて停止させることになる。ところが岡山の事故では、運転士が居眠りをして停止限界標識を通り過ぎ、非常ブレーキが働いたものの、線路の制動距離が足りず、砂利盛りや車止めを越えて一般道路に飛び出した。砂利盛りや車止めでは限界があることを示したといえる。
 JR東海によると、西電留線では、停止位置目標の約20b手前でいったん止まった後、時速5`以下でゆっくり進んで所定位置に停止する決まりになっている。大阪第一車両所では国鉄時代の1973年と、分割民営化後の92年に脱線事故があったが、西電留線では事故は起きていないという。
 JR東海の社員約490人でつくる国労大阪新幹線支部(保田治委員長)は、設備の改善を会社側に申し入れる方針だ。(朝日新聞 夕刊)
■国労22人の配転・出向 中労委も救済命令 JR東日本に
 国鉄の分割・民営化の際に、JR東日本・上野新幹線第二運転所の国労組合員25人が運転業務(本務)から外され、売店などへ配転・出向させられた配属差別をめぐる再審査申し立て事件で、中央労働委員会(中労委)は14日、命令を出した。この配属は「国労組合員であることを理由にした不利益扱い」で、労働組合法違反の不当労働行為に当たり、その責任は会社にあると指摘。すでに本務に復帰した3人を除く22人について、改めて配属や勤務指定を公正に見直し、「是正すべきと判定した者」を、国労と協議のうえ、本務に戻すよう命じている。
 この事件では、国労の救済申し立てを受けた東京都地方労働委員会が1989年6月、25人全員について「配属の発令がなかったものとして扱え」と本務復帰を命じたが、それを不服として会社側が中労委へ再審査を求めていた。
 中労委命令によると、JRへ移行した87年4月に同道転所で運転業務につく国労組合員はゼロになった。これについて命令は「他組合との間に著しい格差があり、国労の弱体化を意図した支配介入だ」と判断。22人のうち、まだ売店などに勤務している18人については要員状況などを考慮しながら配属を、すでに同運転所に戻ったものの運転以外の業務を指定されている4人については勤務指定を、それぞれ見直すよう命じた。また、見直しと判定結果を中労委へ報告することも命じている。(朝日新聞 夕刊)
■信楽高原鉄道事故7回忌 遺族ら80人現場で法要
 信楽高原鉄道(本社・滋賀県甲賀都信楽町)とJR西日本の列車が衝突、死者42人と重軽傷者約600人を出す大惨事となった列車事故から7回忌を迎えた14日、信楽町黄瀬の事故現場などでは遺族らが法要を営み、悲しみを新たにしていた。
 事故現場の慰霊碑前で営まれた法要には、雨の中、遺族ら約80人が参列した。2両編成の列車が午前10時半、弔意を示す警笛を鳴らしながら現場を徐行で通過。事故の起きた午前10時35分には、犠牲者のめい福を祈って黙とうし、代表して住職中田明道さん(84)=大阪市浪速区=が亡き長女、晶子さん(当時42)らのために読経した。
 この日午後からは信楽高原鉄道が町内のホールで法要を主催し、遺族らも参列。ただ、JR西日本側は「出席要請は受けていない」として、午前中の法要に続き参加しない方針だ。
 この事故では、信楽高原鉄道の当時の運転主任ら3人が業務上過失致死傷などの罪に問われて大津地裁で公判中。大阪地裁でも、9遺族がJR西日本と信楽高原鉄道を相手取り、損害賠償を求めて係争中だ。(朝日新聞 夕刊)
15日■赤信号で走った列車 8 過信 見落とされた「予兆」 ダイヤ順守に焦りと重圧?
 世界陶芸祭に合わせ、新しく導入された信号システムではあったが、信楽高原鉄道、JR双方の打ち合わせや連絡が十分でなかったことが、浮き彫りになった。
 信楽高原鉄道列車は、単線の路線を赤信号で発車するという、やってはならない危険性を、なぜ、いとも簡単に踏み超えたのだろうか。
 91年5月14日と同じように赤信号で発車した「5月3日」は、線路上の誤出発検知装置が正常に作動し、惨事には至らなかった。本来、検知装置は列車が万が一、間違って赤信号で発車した場合、安全なように設置されたものだ。
 高原鉄道の運転主任は「誤出発装置が働けば、対向(JR世界陶芸祭号)の信号が赤になるということが頭の中にありました」と述べている。信号システムへの過信、油断があったのだろうか。
 「定時運転に一番神経を使います。遅れると、行き違い列車や接続列車も被害を被る。列車の遅れでお客さんの商談が失敗したと聞いたこともあります」。高原鉄道の運転士の一人はこう話す。
 鉄道は、交通機関の中でも特にダイヤ順守を求められる。定時運行が乗客の信頼の礎であることは、昔も今も変わらない。
 世界陶芸祭の開催に伴い滋賀県などから輸送力アップを要請された高原鉄道にとって、連日押し寄せる乗客への対応は初めての経験でもあった。鉄道利用者は、関係者の予想を大幅に上回っていた。
 事故当日、高原鉄道列車は、世界陶芸祭の乗客を乗せたJR列車と小野谷信号場で行き違うことになっていた。だが、高原鉄道列車は予定より出発時間が約11分遅れていた。ダイヤ順守への焦り、重圧がなかったとはいえないだろう。
 生存者の供述や証言では、高原鉄道の列車に乗り込み亡くなった中村裕昭業務課長=当時(54)=が、「5月3日」「5月14日」の2度とも発車を「指示」したとされる。
 5月3日に駅長役を務めた運転主任は「怒鳴られ、従わざるをえない状況に追い込まれました。それ以上言えなかった」。裁判の中でこう話している。
 信楽高原鉄道の服務規程は、鉄道係員は上長(上司)の指揮命令や指示が法規に違反し、列車の運行などに危険を及ぼす恐れがあるときは、上長にその旨を述べて指揮を受けると定めている。
 2度目の赤信号で発車し惨事となった「5月14日」の里西孝三運転主任も、安全確認の必要を感じながら、発車を止めることができなかったと述べている。
 信楽高原鉄道は、赤字の第三セクターで、常勤職員はわずか20人だった。旧国鉄や近江鉄道などを退職し、第二の人生を選択した人たちが多く、男性職員の平均年齢は52歳だった。
 中村業務課長は運転畑を歩み、旧国鉄で助役を務めた。衝突したJR世界陶芸祭号の林光昭運転士のかつての上司でもあった。
 JRとどんな交渉の経緯があったのか、社内でのやりとりはどうだったのか。亡くなった中村業務課長は、生存者の一方的な話に反論することも、無念さを語ることもできない。「責任感が強い人だった」と職員は言う。
 惨事はさまざまな出来事が積み重なって起きた。事故に至るまでには危険を知らせる予兆もあった。それを知り、それを生かすのも人間だ。
 まる6年を迎えた14日、信楽町で法要がしめやかに営まれた。犠牲者の慰霊碑には信楽高原鉄道職員の名も刻まれている。あの日は抜けるような青空だったが、五月雨が石碑を濡(ぬ)らし、高原鉄道の列車が弔苗を鳴らした。(おわり)(京都新聞)
■悲しみこらえて 信楽高原鉄道七回忌法要 遺族94人が参列
 信楽高原鉄道列車事故から6年。14日信楽町で行われた七回忌法要で、遺族らは今も消えぬ悲しみをこらえ、鉄道側はあらためて安全運転を誓った。しかし、事故のもう一方の当事者・JR西日本は今回も法要には参加せず、「七回忌までには決着を」と願う遺族との落差を浮き彫りにした。
・遺族たち
 信楽町開発センターで行われた同鉄道主催の法要には、犠牲者24人の遺族計94人が参列した。
 母高子さんと親せき2人を一度に亡くした信楽町江田の会社員久保正さん(29)は、事故当時1歳だった長男の翼君(7つ)を連れて出席。「この6年は翼の成長とともに流れていきました。気の強かったおかあちゃんに、翼の成長をちゃんと報告しました」と話した。
 法要後は、会場で鉄道安全推進会議(TASK)の総会が開かれ、遺族らは鉄道事故調査のための第三者機関設置をあらためて関係機関に求めていくことを確認した。
・高原鉄道
 事故当時、同鉄道社長だった杉森一夫・信楽町長は法要で、「6年たっても痛恨の思いは募るばかり。遺族の方の言葉は、一言一言を胸に刻んでおきます」と、語りかけた。また北川啓一社長が、信楽駅構内に先月末開設した鉄道資料館「セーフティーしがらき」や、遺族たちの提言に基づいて導入した新型安全車両を紹介、今後も事故防止に努めることを約束した。
・JR西日本
 同社は、この日午前7時ごろ、同町黄瀬の事故現場に立つ慰霊碑に南谷昌二郎社長が献花した。両社広報室は「合同主催した三回忌法要でけじめはついたと考えている。献花で犠牲者の方々のめい福を祈りたい」と話している。(京都新聞)
■地下鉄東西線 小ぶりでも明るい車内 京都市議らが試乗
 京都市議会・交通水道委員会の委員らが15日午前、今年10月の開業を目指し、建設・準備の最終段階に入っている地下鉄東西線(二条−醍醐、12.7`)に試乗した。
 午前10時20分、中京区の市役所前駅に、ステンレスのシルバーの地色に京都の「わび・さび」を表す朱と紫の2色のラインが入った電車(6両編成)が到着。委員や報道陣ら約60人が乗り込んだ。
 東西線は、京阪京津線が乗り入れるため、同線車両に合わせて、烏丸線の車両より小ぶりだが、紫色の座席がクリーム色の床にしっとりなじんでいる。電車はややスピードを落としながら、醍醐駅まで25分(運行時は17分)をかけて走行した。
 委員らは「思っていたよりも車内は広く、色調も明るい。乗り心地はまずまず」などと感想を話していた。
 市交通局では、ブレーキ調整などの車両性能テストを続けるほか、7月からは仮ダイヤで通常業務を想定した訓練も行い、開業に備える。(京都新聞 夕刊)
■関空リムジン運行を開始 深夜・早朝に対応
 アジアの拠点空港を目指す関西空港で15日早朝、今月から同空港に初めて深夜・早朝乗り入れを開始したタイ航空便に対応するため、リムジンバスが運行を始めた。同空港はアクセス面でも本格的な24時間空港としての体制を整え出した。
 同空港−JR大阪駅前間を走るリムジンバスの出発時刻は、航空機到着の35分後に設定。ダイヤ通りならばバンコクからの便が到着する月、水、金曜は午前1時15分、ロサンゼルス発が着く火、木、土曜は午前4時15分に同空港を発車する。
 15日の第1便は、ロスからの到着便を受け、定刻の5分遅れの午前4時20分に空港を出発。関空で降りた9人の乗客中3人が乗り込んだ。
 深夜・早朝便の運賃は、片道で大人2500円、小児1250円。7月上旬には、同空港からJR京都駅前に向け午前6時始発のリムジンバスも運転を開始する。(京都新聞 夕刊)
■電圧下がり列車遅れる JR京都駅、後続に遅れ
 15日午前6時15分ごろ、JR京都駅に到着した大阪行き急行「きたぐに」の架線電圧が低下、発車できなくなった。車両点検を行っていたところ電圧が自然に回復し、29分後に出発した。
 このトラブルで東海道線下りの特急、新快速など後続列車計13本が3−29分遅れ、通勤客ら約1万1000人に影響が出た。JR西日本京都支社が原因を調べている。(京都新聞 夕刊)
16日■旧国鉄債務「追加費用」 負担、一般歳出で 6兆4800億円、運輸省示す
 運輸省は15日、28兆円を超える旧国鉄の長期債務のうち、年金負担として来年度以降に総額6兆4800億円が必要とされる「追加費用」について、国鉄清算事業団がなくなった後は国の一般歳出の中の社会保障費用で負担することになるとの見方を示した。
 同日開かれた自民党の国鉄長期債務問題特別委員会で明らかにした。
 これに対し、財政構造改革で一般歳出の削減を目指す大蔵省は、一般歳出で負担することに強く反発。今後、追加費用の処理をめぐってJRへの追加負担問題に発展する可能性が高くなった。
 国鉄の鉄道共済年金は今年4月、厚生年金に統合された。しかし、1956年6月以前は積立金がなく、国鉄清算事業団が全額を追加費用として負担している。運輸省の試算によると、98年度は3250億円、99年度は3270億円など、2060年度まで計6兆4800億円が追加費用の総額とされている。
 国鉄清算事業団は保有する資産の売却が終了すれば解散することになっており、その後の将来費用の負担をどうするかは未定。
 鉄道共済年金が厚生年金と統合する以前は、JR7社が90年度から96年度まで毎年度220億円の負担を任意で特別に行っており、今後大蔵省などからJRへの追加負担問題が出てくる可能性が高い。(京都新聞)
■地下鉄5区 大人320円に 運賃を認可申請 京都市交通局
 京都市交通局は15日、地下鉄東西線(醍醐−二条間、12.7`)の今年10月開業に伴い新設する地下鉄5区の運賃を近畿運輸局に認可申請した。
 5区は、営業キロ数で15`超−19`以下で、東西線・醍醐−烏丸線・国際会館(6月3日開業)間や、東西線・醍醐−烏丸線・竹田間など12区間。
 普通運賃は大人320円、子供160円。
 定期代は6ヵ月の通勤定期で7万2580円、大学生向けの通学(甲)で5万1840円などとなる。(京都新聞)
■5区320円の運賃申請 京都市営地下鉄東西線 13駅すべてホームにドア設置
 京都市交通局は15日、今秋に予定している市営地下鉄東西線(醍醐−二条駅間、12.7`)の開業に伴う、運賃の認可申請を近畿運輸局にした。東西線は工事がほぼ終わっており、この日、市議らが試運転車両に乗り込み、醍醐駅などを視察した。
 申請した運賃は、東西線と烏丸線を乗り継ぐ場合に生じてくる5区(15`−19`)の320円(小児160円)。醍醐−国際会館(18.7`)や醍醐−竹田(17.2`)に適用される。また、5区の定期券は、通勤が3ヵ月3万8310円、中高生の通学が3ヵ月2万1890円などとなっている。
 市議らの視察は、運転手らの訓練用に運行されている試運転車両を使った。市役所前駅から醍醐駅の間で試乗し、醍醐駅や地下にある車両基地を視察した。
 東西線は、13の駅すべてのホームにドアを設置しているのが特徴で、車両が到着すると、車両のドアに連動してドアが開く。転落事故防止などの安全対策のほか、列車風を防いだりする効果も期待できるという。(朝日新聞)
■勤務中、組合脱退を勧奨 JRの不当労働行為 兵庫県地労委認める
 JR西日本の鷹取工場(神戸市須磨区)で勤務していた元国労組合員が、上司から勤務時間中に組合脱退を勧奨されたのは不当労働行為にあたるとして、国労近畿地方本部などが出した救済申し立てに対し、兵庫県地方労働委員会(元原利文会長)は、元組合員7人のうち3人に対する不当労働行為を認定、JR西日本に勧奨行為を繰り返さないよう誓約書の提出を命じた。残りの4人については証拠不十分などで棄却、却下した。
 地労委の命令書によると、3人はいずれも電車の検査・補修を担当していた。2人は1994年3月、上司の職場長や助役から勤務時間中に脱退用紙に印鑑を押すよう求められたり、出向を打診された後に脱退を求められたりした。(朝日新聞)
■声 JR採用差別 公正な判決を 広島市 植村 和一(無職 70歳)
 国鉄がJRになって10年。先日の本紙によれば、国労組合員らのJR不採用をめぐる行政訴訟の判決が、7月にもあるという。
 国鉄改革当時、「一人も路頭に迷わせない」と言った元首相は今、当時の意図が国労つぶしにあったことを公言している。そもそもこのような所属組合による採用差別を命じたのはだれなのか。
 JR側は、JRと国鉄は別法人で、この問題には責任がない、と主張していると聞く。はたしてそうだろうか。国鉄からJRへ移る職員の選別はだれが指示したのか。JRは、どのような選択により要員を確保したのか。選別にかかわった国鉄の管理者が、そのままJRの管理者になっていることをどう考えているのか。
 時として裁判が政治におもねる傾向がうかがわれるが、今回のこの件に関しては納得のいく公正な判断を期待してやまない。
 橋本龍太郎首相は運輸相だった当時、「所属組合による選別はあってはならない」と言ったという。政府は、選別に苦しみ、耐えている不採用者に早く春の光を当ててほしい。(朝日新聞)
17日■丹後へ特急など増発 夏の臨時列車運行計画 JR西日本
 JRグループ旅客6社は16日、夏休みの時期などを中心とする夏季(7月1日−9月30日)の臨時列車の運行計画を発表した。
 このうちJR西日本は期間中の利用者を新幹線と在来線合わせて2072万人と見込んでおり、計2760本の臨時の特急、急行を運行する。
 京都駅からの主な臨時列車では、倉吉(鳥取)行きの特急「はくと」をお盆期間(8月9日−17日)に1日1往復、豊岡(網野)行きの特急「マリンタンゴエクスプローラー」、新宮行きの特急「マリンくろしお」を8月19日から8月10日まで1日1往復運行する。
 また、7月5日から9月28日までの土・日祝日に柘植(京都)−福知山間で快速「丹波路ホリデー」、京都−天橋立間で快速「天橋立ホリデー」を1日1往復運行する。
 一方、東海道新幹線は毎週金曜日の夜などを中心に上下10本の「のぞみ」を増発、全車指定席のひかりもお盆時期に計56本運転。山陽新幹線は3月にデビューした500系のぞみをお盆と敬老の日の連休に1往復増便するほか、夏休み期間中は子供が自由に遊ぶことのできる「こどもサロン」を連結したファミリーひかりも運行する。(京都新聞)
■夏の臨時列車441本を運転 JR西日本福知山支社
 JR西日本福知山支社は16日、夏の臨時列車(7月1日−9月30日)の運行予定を発表した。
 山陰線と福知山線、播但線合わせて、増発分は前年比77%の441本。山陰線に「舞鶴号」、播但線に「マリンはまかぜ」などを運転、福知山線の「丹波路ホリデー」の運転日を拡大する。今年3月、大阪の東西線が開通したのに合わせ、7月の「大阪天神祭」と8月の「篠山デカンショ祭」に、東西線直通の列車を運転する。
 昨年は、海水浴・お盆期間の臨時列車に「マリン」号の愛称を使っていたが、今年は海水浴期間(7月19日−8月10日)の臨時列車にのみ使う。一方、山陰線の「嵯峨野・嵐山ホリデー」と、「丹波高原ライナー」は廃止する。(京都新聞)
■JR夏の臨時2760本
 JR西日本は16日、夏季(7月1日−9月30日)の臨時ダイヤを発表した。期間中に増発される列車は、山陽新幹線が563本、在来線の特急・急行が2197本で、定期列車を含む総運転本数は昨年より2%多い6万8287本になる。(朝日新聞)
■「五輪」へ走る新型車両 軽井沢−長野 北陸新幹線テスト
 白と青のツートンカラーの新幹線が長野に−。10月1日に開業する北陸新幹線の長野県内の軽井沢−長野間(75.6`)の走行試験で17日、実際の営業運転に使われる新型のE2系車両がJR軽井沢駅をスタート、冬季五輪を控えた長野駅に向けて信濃路を走った。
 8両編成の新型車両は祝賀セレモニー後の午前10時40分、軽井沢を出発。在来線の特急あさま号並みの時速110`で西へ進み、途中駅の佐久平、上田は停車を想定して徐行しながら通過、約1時間後に、新幹線乗り入れに備えて全面改装した長野駅へ。走行テストは6月末まで続けられる。(京都新聞 夕刊)
■洛中洛外
 ◇…時代劇のキャラクターを描いたイラストバスが京都市内を走り、修学旅行生らの人気を集めている。京都バス(本社・右京区)と東映太秦映画村(同)がタイアップして運行させた。京都観光のイメージアツプに一役買っている。
 ◇…イラストバスは水戸黄門、銭形平次などがシルクスクリーン印刷で描かれており、今年3月に4台を配備。現在は京都駅、三条京阪、四条河原町から嵐山方面への各路線を巡回しているという。
 ◇…修学旅行生らも、カラフルなバスが目を引いた様子で、思わず記念撮影していた。京都バスと同映画村は「人気は上々。観光客アップにつながれば」と期待をかけている。(京都新聞 夕刊)
18日■運転士勘違い 駅を400b通過 大阪のJR片町線
 17日午後2時25分ごろ、大阪府大東市のJR片町線野崎駅で、松井山手発西明石行きの普通電車(7両編成)が停車予定の野崎駅で止まらず、ホームを完全に通り過ぎ、約400bを走ったところでやっと停車した。
 電車は後続車両が迫っていたため、3分間停車した後に発車。約300人の乗客のうち、野崎駅で下車するつもりだった約10人は、次の住道駅から引き返した。
 JR西日本の調べでは、電車のブレーキや列車自動停止装置(ATS)に異常はなく、運転士が普通電車を快速と勘違いし、野崎駅を通過しようとしたのが原因らしい。
 運転士と車掌が駅通過直後に気が付き、それぞれ非常ブレーキをかけて停車したという。
 この事故で電車2本が最高4分間遅れ、約700人の足に影響が出た。
 JR西日本は「乗務員の不注意でお客さまにご迷惑を掛け申し訳ありませんでした」と話している。(京都新聞)
■窓 お答えします 後ろ向きの座席は構造上の制約から 京都市交通局整備課長 西村 新一
 日ごろ、市バスをご利用いただきましてありがとうございます。2日付の当欄にご意見をいただきました左京区・田口喜美さんの「後ろ向き座席不安を隠せず」についてお答えいたします。交通局では、乗降に便利なように出入り口のステップをなくした、超低床「ノンステップバス」を東京都、名古屋市、大阪市と共同開発し、公営バスとして国内で初めて導入しました。
 このバスは、入り口から出口まで床面に段差がなく、お年寄りや体の不自由な方々にも楽にご利用いただけますが、バスの後方部分は、ご指摘どおリエンジンなどさまざまな機器があるため床が一段高く、タイヤ部分も車内に大きく張り出します。このような構造上の制約の中で、少しでも多くの座席をつくる工夫をした結果、後ろのタイヤ部分は、座席の一部を後ろ向きに設置せざるを得なかったものです。
 今回の初めての導入にあたり、アンケート調査を実施し、ほとんどのお客さまからご好評をいただいておりますが、田口さんのご意見と同様に座席の配列などについてのご提言もいただいておりますので、これらのご意見を今後のバスの導入計画に生かし、乗りやすく快適な市バスを目指してまいります。ご意見ありがとうございました。(京都新聞)
19日■北京→香港 返還控え、一足お先に 初の直通列車出発
 【北京18日共同】返還まで1ヵ月余りと迫った香港と北京を結ぶ初の直通列車が18日朝、北京西駅を出発した。同駅では出発に先立って記念式典が行われ、呉邦国副首相、韓抒浜鉄道相らが返還直前の初運行への「熱烈な祝賀」をあいさつで述べた。
 香港までの所要時間は約30時間。19日には香港からも直通列車が北京へ向かう。しかし、片道で1000元(約1万5000円)前後の運賃は、中国の平均的労働者の月給の約2倍で、庶民には高根の花だ。(京都新聞)
■北京−香港 直通列車スタート 2500`を29時間40分で
 【北京18日=鈴木暁彦】北京と、返還を控えた香港を乗り換えなしで初めて結ぶ定期旅客列車の第1便が18日午前7時半、北京西駅を出発した。古い京広線(北京−広州)を利用して約2500`を29時間40分で走り、19日午後1時10分に香港・九竜駅に到着する。
 出発式で呉邦国副首相が「直通列車の運行が香港の繁栄と安定に貢献することを願う」とあいさつした。新華社電によると、構内には香港から多数の記者が取材に掛けつけた。興奮のあまり出発時刻を忘れ、動き出した列車に飛び乗ろうとして、鉄道公安官に阻止された記者も出るほどだった。
 列車は18両編成で、全座席が寝台だ。また、上海−香港間の直通列車は19日の開業で、ともに隔日運行される。(朝日新聞)
20日■シアター1200 SMAP中居さんらこけら落としに出演
 新京都駅ビル内に8月9日オープンする劇場「シアター1200」のこけら落とし公演の概要が19日、固まった。「ジャニーズファンタジー『KYO TO KYO』」を同月末まで上演し、中居正広さんやV6らが特別出演。京都の故事や伝説を盛り込み、修学旅行生や観光客にも京都の今と昔を知ってもらえる幻想的なショーを繰り広げる。
 「KYO TO KYO」は、ジャニーズ事務所の若手「ジャニーズJr.(ジュニア)」と「関西ジャニーズJr. 」のメンバーが中心となって上演する。8月末までは同事務所所属の有名タレントが連日、交替で特別出演。
 初日の9日には、KinKi Kidsや京都出身の森光子さんが出演。さらに月末までには近藤真彦さん、香取慎吾さん、東山紀之さんらも登場する。
 歌とダンスで構成し、五条橋上での牛若丸と弁慶の対決や光源氏の物語など、平安時代から現代までの京都の姿を紹介。前売り券は6月1日から各プレイガイド、JR西日本主要駅のみどりの窓口・Tis(旅行センターで一斉に発売。全席指定で公演により4000円から8000円(税込み)。(京都新聞)
■歴史のトンネル抜け1番列車 北京発香港着
 【香港19日共同】中国への返還まで1ヵ月余りとなった香港に19日、北京から初の直通列車が到着した。九竜駅では盛大な歓迎式典が行われ、双方の当局者らは返還を前に中国と香港の一体化を強調した。
 この日、予定より10分遅れて九竜駅に着いた一番列車の便名は返還の年に合わせた「97」。乗客はブラスバンド演奏の出迎えを受け、待ち構えた報道陣に取り囲まれた。北京への観光の帰りという香港人女性は「初の直通列車に乗れてうれしい。飛行機より値段も安いし、また乗りたい」と話していた。
 直通列車は北京−香港間約2500`を約30時間で結ぶ。香港の九広鉄道公司と北京鉄道局が共同で運営、隔日運転で香港から北京まで普通席が934香港j(1万5224円)。
 歓迎式典で北京鉄道局の幹部は「直通列車の運行は香港と内地の繁栄に寄与する」と述べ、折り返しの北京行き列車の出発式典で、香港の曽蔭権財務長官は「香港と中国のきずながますます強まる」と語った。(京都新聞)
■香港へようこそ
 【香港19日=坂尻信義】香港返還よりひと足早く、北京と香港を乗り換えなしで結ぶ定期旅客列車の第1便が19日午後、香港・九竜駅に到着した。従来の京広線(北京−広州)を使い、所要時間は約30時間。列車は香港の高層マンション群を走り抜け、予定から15分ほど遅れて関係者や市民が待ち受けるホームヘすべり込んだ。
 中国からの1番列車が香港に到着してから約2時間後、北京への第1便が出発した。香港返還後は、北京と香港を新しい行程で結ぶ京九鉄道が開通する。(朝日新聞)
■えき・ひと・まち 宝塚駅 「ファン広場」にはスター待つ人たち
 観光スポットは、駅前のソリオ1あたりから市立手塚治虫記念館までの「花のみち」かいわいに集中している。ヅカファンや歌劇団の生徒など、女性が圧倒的に多いエリアだ。
 観劇の時間がなくても宝塚ワールドが味わえるのは、宝塚大劇場の建物の1、2階。歌劇グッズや飲食の店が並び、ピンクの色調の華やいだ雰囲気だ。
 大劇場の楽屋口、通称「ファン広場」にはスターを待つ人たちが集まる。公演の前後1、2時間がチャンスという。
 花のみちは桜並木が続く歩道。もとは川の堤だったため一段高くなっている。道沿いの商店は、阪神大震災で壊滅状態となったが、1999年には復興に向けてヨーロッパ調の再開発ビルが完成する。
 武庫川にかかる宝来橋は通称S字橋。カーブを描いた橋の上には「小川」が流れ、植木が茂っており、遊歩道のようだ。(朝日新聞)
21日■地下鉄東西線 10月12日開業 醍醐−二条24分で結ぶ
 京都市は20日、地下鉄東西線(醍醐−二条、12.7`)の開業日を「10月12日」と決めた。90年1月の着工以来、7年10ヵ月の工期と4600億円以上の巨費をかけた大動脈が、あと4ヵ月半で動き出す。
 東西線は当初、平安建部1200年の94年度末完成を目指した。しかし、用地買収の遅れや設計・工法変更などで工期が大幅に延び、建設費も予定の2倍近くに膨らんだ。
 その後、工事は順調に進み、桝本頼兼市長が今年3月の市議会で「10月開業」を明らかにした。
 東西線は、醍醐−二条駅間(13駅)を24分で結ぶ。1日の見込み乗客数は平均15万6000人。御陵駅からは京阪京津線が市役所前駅まで乗り入れる。
 東西線関連事業である市役所前駅の地下街「Zest(ゼスト)御池」は、同線開業より一足早く10月4日午前10時にオープンする。
 桝本市長は、この日の記者会見で「開業日が決まり感無量だ。田辺朋之前市長らの労苦に思いを致したい」と述べ、今後、10月11日に予定している開業式典など、記念事業を企画・推進するプロジェクトチームの庁内設置を明らかにした。(京都新聞)
■梅小路蒸気機関車館 7月にリニューアル 移築の旧二条駅舎 建築時はモスグリーン 往時しのび同色で復元
 SLの博物館として親しまれてきたJR西日本の梅小路蒸気機関車館(京都市下京区)が、7月5日にリニューアルオープンする。入り口部分に移築された旧二条駅舎は、解体調査の結果、1904(明治37)年の建築当初、内部がモスグリーンだったことが分かり、この色調に復元することになった。
 旧二条駅舎は、平安神宮を摸して作られ、和風の駅舎では日本最古。JR山陰線の高架化に伴い、撤去が必要になったが、惜しむ声が高まり、JR西日本と京都市が移築保存を決定。同機関車館の一部として生まれ変わることになった。
 内部の柱や腰板は、移築前はベージュ色だが、JR西日本と市の解体調査で、建築されてから6回塗り替えられ、最初は神戸市の「風見鶏の館」にも使われているモスグリーンだったことが分かった。このため、往時をしのび同色で復元するとともに、文献に残っている出札窓口も設けることにした。
 新蒸気機関車館には、JR学研都市線・京田辺駅の周辺整備事業に伴い、同駅前に展示されているSL「C11」の実物を移設。国内外のSLの模型約30両や二条駅の変遷を紹介するパネルを展示するほか、蒸気機関車情報の検索システムも設ける。
 また、試乗できるSLスチーム号の走行距離を東側に約100メートル延長し、一部はJR山陰線と並走させる。(京都新聞)
■空と陸、大混乱 欠航や運休相次ぐ
 近畿・中国地方は20日、突風や落雷による航空、鉄道のダイヤの乱れが相次いだ。山陰地方ではこの日午前、悪天候による視界不良で、大阪(伊丹)−米子、出雲各空港間の計2往復、4便が欠航した。
 山陽新幹線は午後1時20分ごろ、西宮市にある武庫川風速計で風速30bの強風を記録したため、新大阪−新神戸間で上下線とも運転を見合わせた。約10分後に運転を再開したが、午後2時10分ごろまで徐行運転を続け上下計7本が最高10分遅れ、約2700人に影響が出た。
 午前11時10分ごろ、兵庫県佐用町のJR姫新線佐用駅で落雷があり、姫路発津山行き快速が三日月−佐用間で約20分間運転を見合わせた。上下計8本が最高で21分遅れ、約260人に影響が出た。
 午後2時から2時15分には、奈良県桜井市草川のJR桜井線で強風で架線に竹やビニールが引っ掛かっているのを運転士が発見。上下計2本が天理−桜井間を部分運休したほか、奈良発和歌山行きの普通電車が37分遅れたのを最高に、上下計5本が37−8分遅れた。
 この日、近畿・中国地方全域に雷注意報が、奈良、和歌山、滋賀3県に強風注意報が発令されていた。(京都新聞)
■電車のドアに挟まれ80b JR宇治駅・児童けが
 20日午前9時25分ごろ、宇治市宇治のJR奈良線宇治駅ホームで、京都発奈良行き普通電車のドアに男の子が右手を挟まれ引きずられているのを駅員が発見、電車は約80b走り急停車した。男の子はホームと電車とのすき間から線路上に転落し、頭や顔などに軽いけが。
 宇治署の調べによると、男の子は同市内の小学生(10)。弟(7つ)と2人で病院に行くため同駅で下車しかけたが、弟が降りて来ず、ドアが閉じるのを防ごうとして挟まれたらしい。(京都新聞)
■京の東西線10月開業
 京都市は20日、地下鉄東西線(二条−醍醐間、12.7`)の開業日を10月12日と発表した。関連事業の一環として整備している御池地下街「ゼスト御池」(中京区)の開業日も10月4日に決まった。
 同線は13駅あり、中京区のJR二条駅から東山や蹴上などを通り伏見区醍醐までを24分で結ぶ。運賃は、初乗り区間(3`まで)が200円、全線乗った場合(11`を超え15`以下)は290円。
 市は現在、建設費を4664億円と見積もっており、開通後は1日あたり15万6000人の乗客を見込んでいる。
 同線は1990年に着工したが、用地買収の難航や工法の変更などで建設費が当初計画の約2倍になり、94年度中に見込んでいた開通時期も2年以上遅れていた。(朝日新聞)
■軌道に停止装置を増設 新幹線脱線 JR西日本 再発防止策を発表
 山陽新幹線の岡山新幹線運転所構内で6日、回送中の車両が敷地外に飛び出した脱線事故で、JR西日本は20日、今後の対策を発表した。事故が起きた引き込み線については、段階的に速度を感知して非常ブレーキを作動させる装置を新たに設置する。ほかの新幹線車両所の類似個所にも、非常ブレーキ信号装置や砂利盛りを新設し、飛び出し事故の再発を防ぐことにしている。
 岡山新幹線運転所に新設される装置は「速度照査式」と呼ばれ、引き込み線を走行する車両が所定の停止位置目標までに十分減速していない場合、一定の速度を超えていれは途中で非常ブレーキを作動させる仕組み。そのための地上センサーを今年度中に2ヵ所設置する。当面の対策として、入れ替え作業時の速度を従来の時速30`以下から15`以下に抑えている。
 岡山の事故を受けて同社が管内3ヵ所の新幹線運転所・車両所を点検したところ、博多総合車両所(福岡県那珂川町)でも、車止めと一般道などが近接した類似個所が4ヵ所あった。これらについても、非常ブレーキ信号装置(1ヵ所)を設置し、砂利盛り(3ヵ所)を設けるほか、速度抑制も当面実施する。(朝日新聞)
■引退の50両 まだ走りタイ JR西日本 気動車など寄贈
 JR西日本の山陰線などを走っていた気動車(ディーゼル車)と客車合わせて50両が、タイに渡り、現役列車として再び活躍することになった。昨春、タイ国鉄から「車両が足りないので、使わなければ欲しい」と同社に譲渡の要請があり、解体する予定だった車両を贈ることにした。
 無償譲渡されるのは、ディーゼル車が22両、客車28両で、いずれも1962−78年の製造。つい最近まで現役だった車両もあるが、線路の電化などに伴って使われなくなり、車庫に眠ったままスクラップになる運命だった。
 6月10日から25日にかけて大阪港で船積みし、タイに輸送される。首都バンコクと地方都市を結ぶ長距離列車の主力車両として使われるという。(朝日新聞)
■ドアに挟まれ線路に転落 JR宇治駅、小学生けが
 20日午前9時23分ごろ、宇治市宇治宇文字のJR宇治駅で、京都発奈良行き普通電車(6両編成)が、ホームにいた同市木幡、絵画教室経営中井義弘さんの長男で小学校5年生の健太君(10)の右手をドアに挟んだまま発車した。駅員の通報で電車は70bほど走ってホームの端で停車したが、健太君は電車の速度について走れなくなってホーム上を引きずられたうえ、手が抜けたはずみに約1b下の線路に落ちた。電車は止まりかけていたので、顔などに軽いけがをしただけですんだ。
 宇治署の調べによると、健太君は弟(7つ)と通院のためにこの電車で同駅にやってきたが、弟が降りてこないのに気づき、あわてて閉じかけたドアに手をかけたところを挟まれたらしい。同署では、電車の運転士や車掌らから事情を聴いている。(朝日新聞)
■強風猛威 足場倒れ死者 JRダイヤ大幅な乱れ
 荒れ模様となった20日、大阪市内の発掘現場で足場が倒れて2人が死傷、JRのダイヤが乱れるなど各地であらしが吹いた。
 午後1時半ごろ、大阪市平野区長吉出戸七丁目の遺跡発掘調査現場で、財団法人大阪市文化財協会が写真撮影用に建てた高さ約10bの足場が突風のため倒れ、足場の上で撮影をしていた同協会の池田研さん(32)=豊中市北桜塚四丁目=とアルバイト池田啓剛さん(34)=兵庫県西宮市大谷町=が転落した。啓剛さんは全身を強く打ってまもなく死亡、研さんも足などの骨を折った。
 平野署などの調べでは、足場はスチール製で最高部り広さは縦1.2b、横約3.6b。四方をワイヤと鉄パイプで支えていた、という。現場は、市が1993年に着手した区画整理地地の一角。旧石器時代からの集落跡などが残る長原遺跡がある。
 午後2時20分ごろには兵庫県西宮市鳴尾浜三丁目の南西約百bの海上で、タグボート日開丸(約50d)、松本義久船長ら3人乗り組み)=香川県観音寺市瀬戸町三丁目、松本清一さん所有=が強風にあおられて転覆した。3人は転覆直前に救命ボートに乗り移って無事だった。
 JR西日本でもダイヤが乱れた。午前11時7分ごろ、兵庫県佐用町の姫新線佐用駅で落雷のため信号が変わらなくなり、上下8本が遅れた。山陽新幹線も午後1時18分ごろ、西宮市内で、風速計が秒速30bを記録したため、約10分間、新大阪−新神戸間で運転を見合わせた。運転再開後も約40分間、徐行運行したため、上下7本が遅れた。(朝日新聞)
■声 駅の伝言板はあってもよい 吹田市 柿木 薫(会社員 48歳)
 先日の本紙「消える伝言板」の記事で、1年ほど前のことを思い出した。
 帰宅時、いつものように改札を出ると、目の前の伝言板に「定期券を拾って下さった方ありがとう」。疲れた気分がいっぺんに吹っ飛び、自宅までが近かった。「まだまだ捨てたもんじゃないなあ」と独り言。字の様子から、かわいい女性を想像する。阪急関大前駅で、学生が多い。落としたのも拾ったのも学生だろうが、今風の学生にちょっとがっかりさせられることが多い中で、ホッとするような話だ。
 記事によると、伝言板は今後、新規には設置されないとのこと。それはそれで時代の流れと理解はできるが、しゃくし定規にしなくても……。各駅の主体性にまかせたらいい。
 今日も何げなくチラッと横目で見る。私はなくすには惜しいなあと思う。(朝日新聞)
22日■JR西日本 3月期決算 2期連続で増収増益 「のぞみ」人気 新幹線好調
 西日本旅客鉄道(JR西日本)は21日、1997年3月期決算を発表した。通期決算としては、昨年10月の株式上場後初めて。新幹線収入が阪神大震災前の水準近くまで回復し、京阪神を中心とした在来線の利用もほぼ順調に推移したため、2期連続の増収増益となった。
 売上高は前期比2.1%増の9560億円となった。「のぞみ」人気で山陽新幹線が5.4%伸び、運輸収入全体では前期比1.8%、152億円増えて、8391億円になったことなどが主な要因。
 早期退職優遇制度の適用者が予想以上に多く、退職金などの営業費用が300億円増加したため、営業利益は前期比7.3%減の1300億円にとどまったが、低金利による支払い利息の減少で経常利益は同0.7%増の560億円、法人税の減少で税引利益は同29.7%増の335億円となった。
 配当は、株式上場記念分の1000円を加え年間6000千円とする予定。
 98年3月期は、固定資産税の軽減措置がなくなる上、第三セクター・関西高速鉄道の所有する東西線の使用料が138億円かかるため、売上高は若干伸びるものの、経常利益は15%減の480億円、税引利益は25%減の252億円を見込んでいる。(京都新聞)
■電留線に非常停止装置 大阪・摂津市 新幹線車両所
 JR東海は21日、大阪府摂津市の東海道新幹線大阪第一車両所の電車留置線(電留線)などについて、非常停止装置の設置を含む車両の飛び出し事故防止策を決めた。敷地外への脱線事故が起きたJR西日本の岡山新幹線運転所の引き込み線と同様に、車止めと一般道が近接している19ヵ所が対象。いずれも非常停止装置がなく、運輸省が改善を指導していた。
 JR東海管内には大阪と東京、名古屋など4ヵ所に新幹線の車両基地があり、同社によると、線路が行き止まりの場所が計58ヵ所ある。このうち、大阪第一車両所の西電留線16本と、隣の引き込み線1本、組み替え線2本の計19ヵ所については、車止めから幹線道路までの距離が短く、岡山のような事故の可能性が指摘されていた。
 飛び出し事故を防ぐ対策として、車両に絶対停止の信号を送る「03(ゼロサン)信号」装置を車止め付近に設ける。また、この装置の手前にも、決められた速度を超したら非常ブレーキが作動するセンサーを設置する。(朝日新聞)
■踏切で4歳児はねられ死亡 堺の南海・高野線
 21日午後2時15分ごろ、大阪府堺市南野田の南海電鉄高野線北野田二号踏切(遮断機、警報機付き)で、近くの自営業泉谷眞二さん(36)の長女美邦ちゃん(4つ)が、極楽橋発難波行きの急行列車(乗客105人)にはねられ、全身を強く打って死亡した。この事故で、列車は現場に9分間停車したが、後続の列車に影響はなかった。
 黒山署の調べでは、現場は、泉谷さんの自宅から東へ約80b。美邦ちゃんは自宅前で眞二さんと遊んでいたが、目を離した間に一人で踏切まで歩いていったらしい。(朝日新聞)
■新幹線の収入震災前水準に JR西日本微増益
 JR西日本が21日発表した1997年3月期決算は、山陽新幹線の運賃収入が震災前の水準をほぼ回復し、売上高は9560億円と、前期に比べ2.1%増えた。早期退職優遇制度の実施による退職金負担の増加などで、営業利益は7.3%減ったが、借入金の返済を進め、支払い利息が減ったことにより、経常利益は前期比0.7%増の560億円と、かろうじて増益を確保した。
 在来線の運賃収入は、震災で不通だった私鉄からの乗り換え需要があった前期を下回ったが、新幹線の増収がこれを埋めた。また、期末に消費税率アップに伴う定期券や回数券などの先買いが110億円程度あったことも寄与した。
 98年3月期は、固定資産税の軽減措置が切れることにより税負担が増えるほか、JR東西線の開業に伴う施設使用料の支払いなどの負担増があり、経常利益は80億円減の480億円と、減益に転じる。鉄道部門の売り上げは微増と見込んでおり、新型新幹線の東京乗り入れなどで輸送力増強を図る。関連事業部門では今年夏の京都駅ビルの開業で不動産賃貸収入の増加を見込んでいる。(朝日新聞)
23日■JR高速バス値上げ
 運輸省は22日、西日本ジェイアールバス(本社・大阪市)が申請していた名神高速バスの運賃値上げを認可した。平均値上げ率は13%で、6月1日から実施される。輸送需要の伸び悩みによる収支の悪化と消費税率アップ分の運賃転嫁が理由。主要区間では、大阪−名古屋が2900円(現行2600円)、京都−名古屋が2500円(同2200円)、京都−名神八日市が1150円(同1000円)になる。(朝日新聞)
■他人の引換証使用 JRで不正出張 和歌山・古座町長
 和歌山県古座町の城盛治町長(78)が、東京出張の旅費を公費から受け取りながら、他人名義の「戦傷病者乗車券引換証」などを使ってJRの特急に乗り、名古屋駅で切符を没収されていたことが分かった。引換証を使うと運賃・料金は無料。城町長は「間違って使った」と話している。
 引換証を交付している県は22日、町長に経過を報告するよう求めた。
 城町長の東京出張は20日。19日に町役場で旅費約3万6000円を受け取った。同じ日に古座駅で支持者の引換証を使い、紀伊勝浦−東京(名古屋経由)の乗車券など、往復の切符計6枚を入手した。町職員が引換証に支持者の名前を書き、駅で引き換えたという。
 名古屋に向かう特急に乗車中に検札で不正が発覚し、切符は没収。自分も戦傷病者手帳を持っている町長は「自分の引換証と間違えた」などと説明、名古屋駅でとりあえず乗車を認める「便宜乗車」の証明書の発行を受けて予定通り出張し、22日、町に戻った。(朝日新聞)
■苦しむ被害者 様子を証言 地下鉄サリン・公判
 オウム真理教松本智津夫被告(42)=教祖名麻原彰晃=の第38回公判が23日、東京地裁(阿部文洋裁判長)で開かれ、地下鉄サリン事件当日、被害者の女性らを車で病院に搬送した会社員が「路上で3、40人が横たわったり、ハンカチで顔を覆ったりしていた」と苦しむ被害者の様子を証言した。
 松本被告は尋問中に「だれも殺してない」「地球を救う」などと日本語と英語で交互に独り言を繰り返した。
 会社員は検察側証人。証言によると、地下鉄車両内にサリンが散布された直後の1995年3月20日午前8時半ごろ、車で通勤途中に通り掛かった小伝馬町駅近くの交差点で、苦しんでいる人を病院に運ぶように頼まれ、男性1人、女性2人を乗せた。
 女性の1人は既に意識がなく、休も冷たかった。男性は「駅では毒ガスを吸った人がたくさんいて苦しんでいる」と話したという。(京都新聞 夕刊)
24日■JR3社 増収増益に
 JR東日本、西日本、東海のJR3社の1997年3月期の決算が23日、出そろった。鉄道事業が順調に推移したことから3社とも増収増益となった。ただ、98年3月期は消費税の引き上げの影響などから3社とも減益を予想している。
 売上高は、JR東日本が1兆9679億円(前期比0.5%増)、JR西日本が9560億円(2.1%増)、今年10月に株式上場を予定しているJR東海が1兆1462億円(3.0%増)。経常利益はJR東日本が1041億円(1.9%増)、JR西日本が560億円(0.7%増)、JR東海が663億円(6.1%増)だった。(京都新聞)
■JR決算 貨物除く6社増収 四国は黒字に転換
 JRグループ7社の1997年3月期決算が23日出そろった。旅客収入が堅調だったことから、JR貨物をのぞく6社が増収、貨物と北海道をのぞく5社では、四国が黒字に転換、東日本、東海、西日本、九州の4社は増益となった。
 運輸収入は、本州3社では順調に増加した。
 東日本はこの1年間で長期債務を566億円減らし、4兆8580億円とした。5年間では5202億円削減し、91年度の新幹線買い取り時に掲げた5年間で5000億円削減の目標を達成した。
 JR西日本は、山陽新幹線の運賃収入が、「のぞみ」の利用増などで震災前の水準に近づき、売上高は前期比2.1%増。
 貨物は、4期連続の経常赤字だった。(朝日新聞)
JR7社の97年3月期決算
 売上高営業利益経常利益
JR東日本19,679( 0.5)3,834(▼ 0.1)1,041( 1.9)
JR東海11,462( 3.0)3,806(  0.5)663( 6.1)
JR西日本9,560( 2.1)1,300(▼ 7.3)560( 0.7)
JR北海道1,047( 2.8)▼381(▼ 6.1)▼ 35(153.5)
JR四国509( 5.3)▼ 83(▼29.6)9( − )
JR九州1,767( 0.1)▼177(▼23.4)19(157.4)
JR貨物1,908(▼2.7)▼ 49( 65.8)▼106( 19.0)
(単位・億円、カッコ内は前期比増減率%、▼はマイナス)
25日■京福電鉄 嵐山線運賃上げへ
 京都・嵯峨野観光の足になっている嵐山線(11`)の運賃値上げを、京福電気鉄道(本社・京都市)が近く近畿運輸局に申請する。早ければ今秋にも値上げしたい意向だ。多くの私鉄がほぼ3年ごとに値上げしている中、嵐山線の運賃は6年以上据え置かれてきたが、利用者の減少が止まらず、全社的にも債務超過に陥る恐れがあるためだ。
 四条大宮、北野白梅町と嵐山を結ぶ嵐山線は広隆寺や天龍寺、東映太秦映画村などを結ぶ観光路線。現行運賃は1990年暮れに平均10%値上げされ、四条大宮−嵐山間210円。
 一部区間が路面電車だったり、民家の軒先を走ったりしており、沿線住民にも親しまれているが、京都を訪れる観光客の減少で、95年度の利用者は948万人と、30年前に比べ36%減った。
 京福電鉄は福井県でも、福井市と景勝地・東尋坊に近い三国港や、永平寺を結ぶ越前線(59`)や、路線バスを営業。沿線の過疎化に伴う利用者の落ち込みは嵐山線より深刻で、国や地方自治体からの補助金も焼け石に水の状態だ。(朝日新聞)
26日■運賃は200円に 京都市地下鉄 北山から国際会館
 近畿運輸局は26日、6月3日に開業する京都市地下鉄烏丸線の延伸区間(北山−国際会館、2.6`)の運賃を申請通り認可した。北山駅から、途中の松ケ崎駅、終点の国際会館駅へはいずれも200円になる。市交通局では、今年10月12日の地下鉄東西線(醍醐−二条、12.7`)開業に伴い、醍醐−国際会館間などを対象に、新たに5区運賃(大人320円)を設けることにし、現在、近畿運輸局に認可申請している。(京都新聞)
27日■錦林営業所 縮小・廃止へ 地下鉄東西線開通に伴い 市バス経営悪化で 京都市交通局
 京都市交通局は26日、10月の地下鉄東西線(醍醐−二条間)開通に伴い、市バス・綿林営業所(左京区)を10月から他営業所の支所に縮小し、1年後をめどに廃止、操車場にすることを明らかにした。五条(右京区)、洛西(西京区)両営業所も統合する方針で、統合時期などは、7月に予定している全市的な運行体系の見直しを踏まえて決める。
 この日の5月定例議会・交通水道委員会で、江草哲史同局管理本部長が報告した。
 市バスは、乗客の減少傾向に加え、6月に営業開始する地下鉄烏丸線北々伸(北山−国際会館間)と、東西線開通で経営悪化が予想されている。
 交通局では、昨年5月に経営再建策をまとめ、収益性が低い横大路、醍醐両営業所を廃止するとともに、残る7営業所を5ヵ所に再編する方針を決定。地下鉄両線の開業で大きな影響を受ける綿林営業所の廃止と、横大路、醍醐に次いで営業係数が悪い五条、洛西両営業所を統合する方向で検討を進めてきた。
 綿林営業所(職員約170人)は現在、バス79台で五系統の運行を行っている。交通局では、支所にした後、地下鉄の乗客の推移を踏まえ、1年後に廃止し操車場にする予定。職員の削減を図るほか、用地(8900平方b)の半分から3分のも他用途に活用する。
 また、同委員会では交通局が、烏丸線北々伸開業に伴う岩倉・大原地域の市バス(4系統)の廃止と京都バスの代替運行が、今月23日に近畿運輸局の認可を得たことを報告した。(京都新聞)
■窓 回数券に出た消費税の矛盾 伏見区・後藤悦夫(無職・68)
 京都では、市バスと私鉄5社の共通回数券が発売されている。私は、いつも三条京阪駅構内の売店で、この回数券を購入していた。この店では、4月から消費税率の引き上げに伴い、引き上げ率2%分、すなわち3000円のものについては60円、2000円のものについては40円それぞれ値上げし、これを買わされていた。
 当初は価格訂正表示がされていなかったが、4月中ごろには、訂正価格および「消費税含む発売額変更」と訂正印刷されている。ところが、さる19日、たまたま市交通局案内所で同じ回数券を買い求めたところ、ここでは従前のまま3000円のものは3000円、2000円のものは2000円で売っていた。
 公共交通機関の、しかも共通の回数券の価格が、発売する店によって異なるなど考えてもみなかっただけに、何とも納得がいかない。課税店、非課税店などの関係かもしれないが、まさに消費税の生んだ矛盾と言えるのではなかろうか。共通回数券の発売を委託する交通機関各当局におかれても、統一価格発表に向けての方策を検討され、早急な改善を望む。(京都新聞)
■窓 素晴らしい三条通を望む 東山区・林 翠(無職・78)
 私の家の前の三条通を走る京阪電鉄・京津線とは、50年来のお付き合いです。電車の音をやかましく感じたことはありません。間断ない自動車の音に比べれば、むしろ心地良いぐらいです。11月の地下鉄・東西線の開業を機に、慣れ親しんだこの電車とお別れです。少し寂しいですが、街が便利になるのだし…と、思いなおしています。
 ただ、一つ心配なことがあります。今までは電車のおかげで、自動車の数や、スピードが抑えられてきました。ところが、線路が撒去された三条通を、大量の自動車が猛スピードで走り、騒音、振動が増大するのは困ります。できましたら三条通の自動車を2車線にし、極力スピードを制限、両側に幅の広い歩道をつけてもらい、素晴らしい住環境にしてほしいと思います。
 先日、地下鉄工事が終わり、道路整備中の御池通を歩きました。歩道が以前の倍以上に拡幅されているのを見て、わが意を強くしました。三条京阪から山科まで、電車の代わりに広い歩道、緑豊かな植え込み、並木ができれば、素晴らしいなと思いました。(京都新聞)
■整備新幹線、2000年度まで凍結 財政改革会議 中間報告提出 地方補助金も抑制
 政府・与党の財政構造改革会議(議長・橋本龍太郎首相)は26日午後、首相官邸で総会を開き、企画委員会座長の加藤鉱一自民党幹事長が与党三党を中心にまとめた中間報告を提出した。中間報告では、分野別の歳出削減の方向として@社会保障費の伸び率は高齢者数の増加による影響分以下に抑制A公共投資は拠点空港など物流効率化の分野を重点整備B地方自治体への補助金は災害復旧などを除き各省ごとに毎年度削減し、新規補助金は抑制−などを盛り込んだ。整備新幹線の新規着工については、2000年度までの集中改革期間中、事実上、凍結する方針を打ち出した。
 同会議は今月中に2回程度総会を開き、具体的な数値目標を盛り込んだ最終報告をまとめる。
 中間報告は、高齢化社会を迎えて、増大する社会保障費の伸びを抑制するため上限を定めた指標を設定する方針を掲げた。指標は高齢者人口の増加率などをもとに設定することを検討している。一方、財政再建の推進によって景気回復の足取りを鈍らせないため、経済構造改革で掲げた物流コストの引き下げなどに公共事業の重点を置く。
 公共事業全体としては、公共投資基本計画の期間延長により投資額を縮減、内容を見直す。ウルグアイ・ラウンド農業対策費の計画期間も延長し、全体の事業内容を見直す。しかし、補正予算への計上見送りについては、自民党内の反発から明記していない。
 防衛費と政府の途上国援助(ODA)は、集中改革期間中は「思い切った抑制を行う」などとして、対前年度比マイナスとする方針を示した。中期防衛力整備計画(中期防)を今年中に見直すことも盛った。(朝日新聞)
■古座町長が辞職届提出 JR不正乗車問題 和歌山
 和歌山県古座町の城盛治町長(78)が東京出張の旅費を公費から受け取りながら、他人名義の「戦傷病者乗車券引換証」などを使ってJRの特急に不正乗車した問題で、城町長は26日、町議会議長あてに辞職届を出した。
 城町長は、23日に開かれた臨時町議会で、他人名義の引換証の使用について問われ、「引換証は支持者にもらった。確認しなかったのは自分のミスだ」と説明。「辞職は考えていない」と答弁していたが、25日に後援会と話し合い、辞意を固めたという。不正乗車が明るみになってから、町民らから町長への不信の声も強まっていた。
 古座町議会は近く臨時議会を開く予定で、辞職に同意すれば、公選法に基づき、50日以内に町長選挙をする。
 城町長は1987年に初当選し、現在3期目。(朝日新聞)
■あーあ、また乗り継ぎ間に合わへん JR上り新快速 京都駅の遅れ2、3分慢性化 停車駅増加、工事で徐行運転
 JR東海道線(京都線)の京都駅で、上りの新快速電車が今春のダイヤ改正以降、夕方から夜間の通勤ラッシュ時間帯にダイヤより2、3分、慢性的に遅れる状態が続いている。JR西日本はダイヤ改正で停車するようになった尼崎駅と高槻駅の乗り降りや大阪−京都駅間の工事の徐行運転で時間がかかっているためと説明しているが、他の電車への乗り継ぎに遅れた乗客らは「JRの運行計画がずさん」と怒っている。
 ダイヤが乱れているのは、主に平日の午後5時から9時までの上り新快速電車(計16本)。ほとんどの電車が3月8日のダイヤ改正以降、大阪駅で1分前後、京都駅で1−4分延着し、京都駅でJRの奈良線や近鉄、地下鉄などに乗り換える乗客がわずかの時間差で間に合わなくなるケースが続出。乗客が駅ホームを走る光景も珍しくなく、苦情が相次いでいる。
 JR西日本京都支社の説明によると、3月から開業したJR東西線との乗り換え駅になる尼崎駅と、土日祝日と平日昼間に限って停車していた高槻駅にすべての新快速電車を停車するようにダイヤを改正。JRは、大阪−京都駅間にある余裕時間(1分余り)などで、尼崎、高槻両駅の乗降時間などをねん出し、大阪−京都駅間の所要時間(29分)を変更せず、京都駅着を改正前と同じ時刻に組んでいた。
 ところが、尼崎駅と高槻駅の乗降客がJRの予想を上回って多く、乗り降りに時間がかかっているうえ、平成11年までの予定の吹田駅構内の線路下の道路拡幅工事や摂津富田−高槻駅間の橋りょう工事に伴って、80`に徐行運転していることもあってダイヤに遅れが出ているという。
 延着のおわびのアナウンスが繰り返されている京都駅で乗客の草津市の会社員(28)は「走って乗り換える人をよく見かけるが、事故でも起きたらどうするのか。ダイヤ改正に無理があったなら、改めれば済むことなのに」とJRの対応に首をひねり、別の草津市の会社員(32)は「草津駅でも(草津線への)乗り換えに間に合わず困っている人がいる。JRはいつもこうですわな」と憤っていた。
 JR西日本京都支社の竹村平一輪送課長は「乗客の乗り降りをスムーズにしてもらったり、停車駅への進入スピードを上げ、時間短縮を図る努力をしたい。今のところ、ダイヤ改正は考えていない。商品(ダイヤ編成)をつくるうえで、速さは考えざるをえない」と話している。
 JR西日本が、実際の所要時間に合わせて京都−大阪駅間の運行計画を見直すダイヤ改正に消極的な背景には、同区間で路線が競合し乗客争奪にしのぎを削る私鉄の阪急、京阪とのスピード競争もあるとみられている。(京都新聞 夕刊)
■京都市バス 4系統を廃止へ 地下鉄北々伸ダイヤ改正 全体で93本削減
 京都市交通局は、地下鉄烏丸線北々伸(北山−国際会館間)の6月3日開業に伴い、市バスの4系統廃止と運行ダイヤ改正を4日から実施する。
 廃止系統は、北大路バスターミナ−岩倉実相院間の「北4」、同−大原間の「北6」と「臨北6」「特5」。
 ダイヤ改正は、山科区を除く市内全域の計32系統。このうち、洛西地域の「西1」「西2」「西5」など6系統は運行本数を増やし、地下鉄烏丸線延伸で影響を受ける京都駅−岩倉操車場前間の「5」や四条烏丸−立命館大学前の「55」など25系統は減らす。全体では93本の減で、総運行本数(約5000本)のほぼ2%にあたる。
 また、市バス廃止で新設する市バス・京都バスの連絡定期券(通勤2割引、通学3割引)を発行する停留所を上高野、洛北高校前、北大路バスターミナル、花園橋、高野橋東詰の5ヵ所とした。(京都新聞 夕刊)
28日■山科駅前再開発事業 70億円 さらに膨らむ 当初696億円 いまや883億円 京都市会で報告 市の負担増27億円にも 全体の事業期間 99年9月末まで延長
 京都市は27日の市議会・建設委員会で、山科区・山科駅前地区市街地再開発(2.8fの事業費が、前回の見直し額よりさらに70億円膨らみ、約883億円になることを明らかにした。増額分の一部は再開発ビルの市保留床となり、売却で回収可能だが、それを除いても市の負担増は約27億円にのぼる見通し。
 山科駅前再開発は、10月12日に開業する地下鉄東西線(醍醐−二条間)の関連事業で、4棟の再開発ビルを建設し、公共施設やホテル、百貨店などの商業施設、住宅を一体的に整備する。89年に都市計画決定され、92年に事業計画が決まった。
 事業費は、計画当初696億円とされたが、93年5月に地権者らへの補償費や金利負担の増加で約117億円増額された。
 今回の増額の内訳は、再開発ビルに入らずに移転した自営業者ら権利者への補償費などが24億円、駅前広場のグレードアップと連絡地下道の新設など公共事業の追加分15億円、民間会社に売却予定だったプールなどを市施設とするための整備費19億円、設計・施工費や住宅分譲経費が12億円となっている。
 市では、移転者への補償で、再開発ビルに移転者が持っていた入居の権利(床面積)が資産(保留床)になり、将来売却できる、としている。このほかの負担は、市が約27億円、国庫補助約10億円という。
 一方、この日の答弁では、「まち開き」は予定通りの98年10月に行うが、仮店舗(3階建て・延べ1000平方b)の撤去と跡地整備のため「全体の事業期間を99年9月30日まで1年間延長する」とした。また、客室100室を予定しているホテル会社とは「当面は売却ではなく賃貸にすることで協議している」と報告した。
 委員会では、委員から「事業期間の延長も事業費の増額も、市に厳しさが足りないからだ」という厳しい指摘が出された。(京都新聞)
■地下鉄、京阪との乗り継ぎ 割引額 運輸省に報告 市交通局
 京都市交通局は27日、10月12日開業の地下鉄東西線(醍醐−二条間、12.7`)と京阪電鉄との乗り継ぎ運賃のうち、地下鉄側の割引額を運輸省に報告した。京阪側の割引額は正式にはまだ決まっていない。
 東西線は、京阪京津線が御陵駅(山科区)−京都市役所前間に乗り入れる。このため、御陵駅(山科区)を越えて乗車する場合、2つの鉄道事業者を利用することになり、「初乗り運賃」が二重になって運賃が急激に高くなる。
 例えば、普通券の三条京阪−浜大津は、地下鉄・三条京阪−御陵(230円)と京阪・御陵−浜大津(同)の合算の460円となり、現在の京阪・三条京阪−浜大津(310円)よりかなり割高となる。
 割引は、利用者への激変緩和策で、この日の同省への報告では、10月から約3年間、暫定措置として三条京阪−浜大津などで50円、蹴上−四ノ宮など双方の初乗り運賃区間の乗り継ぎは60円安くする。暫定期間後の割引額はそれぞれ20、30円とする。
 一方、京阪側は当初の約3年間、三条京阪−浜大津などで20円、初乗り区間の乗り継ぎは30円割り引く予定にしている。
 地下鉄の定期券の割引率は、今年10月からの1年間、通勤で35%、通学で70%、その後の2年間は通勤17−20%、通学43−45%とし、暫定期間終了後は、浜大津までの乗り継ぎに限り9−15%とする。
 また、市交通局ではこの日、地下鉄・三条京阪−山科の定期券の割引率を同省に認可申請した。それによると、10月から1年間は通勤9−20%、通学57−65%、その後の2年間は通勤4−10%、通学39−45%となっている。(京都新聞)
■「5区」運賃を認可 地下鉄東西線で運輸省
 運輸省は27日、京都市の地下鉄東西線の開業に伴い新設した「5区」運賃を認可した。
 5区は、醍醐から来月3日開業の烏丸線北々伸・国際会館までなど、東西線と烏丸線を乗り継ぐ12区間で、営業キロ数は15`超−19`以下。今月15日に運賃認可を申請していた。
 5区の普通運賃は、大人320円、子供160円で、定期券は6ヵ月の通勤定期で7万2580円などとなる。(京都新聞)
■生まれ変わる京の交通 地下鉄・市バス
 京都市交通局は、6月3日の地下鉄烏丸線北々伸(北山−国際会館間)、10月12日の同東西線(醍醐−二条間)の開業と、市バスの系統再編にちなみ、地下鉄、市バスそれぞれのイメージキャラクターのデザインと愛称を募集する。
 東西線開通などで生まれ変わる京都の交通のイメージを、親しみやすいキャラクターと愛称で表現しようと企画した。
 デザインは6色以内。最優秀の市長賞各1点に10万円、優秀賞1点に5万円、佳作3点に各1万円(小中学生には文具券)を贈る。
 官製はがきかA4判までの用紙に、デザインと愛称を併記すること。締め切りは6月27日、発表は7月上旬。応募、問い合わせは市交通局「キャラクター&愛称募集係」=〒604 京都市中京区壬生坊城町 075(822)9113へ。(京都新聞)
■京福電鉄社長に石田専務が昇格
 京福電気鉄道は28日、石田栄一専務(56)が社長に昇格する人事を発表した。山上晴也社長(68)は取締役相談役に就任する。6月25日の株主総会後の取締役会で正式決定する。
 山上氏は93年から4年間社長を務めた。採算悪化で廃線も検討された越前線を当面2000年度まで存続させるめどをつけたのを機に、トップの若返りを図ることにした。
 石田 栄一氏(いしだ・えいいち)京都大法学部卒。1963年京阪電気鉄道に入社。事業開発室部長などを経て89年に京福電気鉄道に移り、取締役、常務を経て93年から専務。56歳。大阪市出身。(京都新聞 夕刊)
29日■女子高生が飛び込み自殺 西宮のJR東海道線
 28日午後6時半ごろ、西宮市郷免町のJR東海道線で、長浜発姫路行き新快速電車に、線路わきの茂みから女性が飛び込み、全身を強く打って即死した。電車は急停車したが、乗客約900人にけがはなかった。
 西宮署の調べでは、女性は芦屋市に住む私立高校2年生(17)。自宅に「生きていても楽しくない」と書かれたメモを残しており、同署は自殺とみている。
 両親は「いじめはなかったと思うが、最近仲の良い友達が転校して気落ちしていたようだ」と話しているという。(京都新聞)
■北へ発進 地下鉄烏丸線 上 4分 近づく洛北の町 生活、通勤 大きく変化
 京都市左京区、岩倉方面への新たな動脈として期待される市営地下鉄烏丸線が6月3日、北伸する。これまで終点だった北山駅から松ケ崎、国際会館の2駅が誕生し、新区間の所要時間はわずか「4分」。京都へのコンベンション(会議)誘致を高めるだけでなく、市民生活や観光振興にも大きな変化をもたらす。北伸を前に、洛北の町の表情や住民の思いを聞いた。(社会部 松下亜樹子)
 国立京都国際会館(左京区)にほど近い閑静な住宅街。会社員古村源蔵さん(60)=左京区岩倉南池田町=は毎朝8時すぎに自宅を出て、最寄りのバス停で京都駅行きの京都バスに飛び乗り、勤め先の下京区の呉服卸会社に急ぐ。
 「職場まで35分ほどかかる。ラッシュ時は満員で立っていることが多く、結構疲れます」
・夜の帰宅に強い味方
 地下鉄が北伸すれば、国際会館駅から乗り、四条駅で降りて、約20分で会社に着ける。夜9時半以降は帰宅のバスがなく、北山駅からタクシーで帰ることが多かった。終電が午後11時台の地下鉄は、古村さんにとって強い味方になる。「京都駅だけでなく、近鉄とも接続し、洛南地域もぐっと身近になった感じです」
 通称「きつね坂」と呼ばれる山道の北側に広がる岩倉地域。のどかな農村地帯だったが、宅地開発が進み、現在8300世帯、2万2000人が住む。宅地用の土地区画整理も見られ、地下鉄が北伸すれば、住宅はまだ増えるだろう。
 国際会館駅のそばにある同志社高(生徒1220人)、松ケ崎駅に近いノートルダム女子大(学生1441人)、京都工芸繊維大(同4277人)などの生徒や学生の通学も便利になる。
・通学新ルート期待
 奈良市から通う同志社高1年の女子生徒(15)は、近鉄と地下鉄を乗り継いで1時間ほどかけて北大路駅に着き、そこから市バスに約20分揺られて登校している。地下鉄なら北大路−国際会館間は「6分」。市バスへの乗り換えの時間も省かれ、朝の貴重な時間が随分と短縮できる。
 「ゆっくり座って本も読める。試験前だったら英単語ぐらい覚えられるかな」と、新しい通学ルートに期待を寄せる。
 北山駅まで延伸した烏丸線を、さらに北伸する工事に市が着手したのは1993年7月。国の補助金約120億円を含む総事業費470億円をかけて整備した。北山駅から北山通に沿って東に進み、「松ケ崎駅」を設置した。この駅から宝ケ池の東側をかすめて北上し、「国際会館駅」が設けられた。
・関空までおよそ100分
 新区間は延長2.6`。国際会館−北山間駅は松ケ崎駅をはさんでおよそ2分ずつで走る。京都駅には20分で着く。うまく乗り継げば、関西空港にも100分ほどで行ける。まさに、洛北が「世界に近づいた」といえる。
 国際会館駅の1日の乗客数は、御池駅とほぼ同じの1万6000人を見込み、松ケ崎駅も7500人程度を予想している。小森浩・市交通局高速鉄道本部長は「烏丸線が岩倉まで延び、10月には東西線が営業を始める。これで南北と東西の地下鉄の大動脈ができる」と、21世紀に向けた高速鉄道に自信をのぞかせる。
 烏丸線の北伸は、交通の不便さなどから近年、大きな国際会議が避けられる傾向にあった国立京都国際会館の悲願だった。しかし、南北に長く住宅街が広がる岩倉の住民には「もう一駅、北に延びてほしかった」との複雑な思いが、今も消え去っていない。(京都新聞)
■国労紛争に和解勧告 東京地裁 JR側、その場で拒否
 JR北海道などJR4社が、国鉄の分割・民営化の際に採用を拒否された国労組合員の救済を命じた中央労働委員会(中労委)の命令を取り消すよう求めた訴訟で、東京地裁は28日、両当事者と国労、国鉄清算事業団の4者に対し、和解の席に着くよう勧告した。
 この日は原告、被告双方の最終弁論が行われ、訴訟は結審した。しかし、萩尾保繁裁判長は続けて、和解を勧める意見を表明。その中で「紛争発生以来10年の歳月を数え、早期に抜本的な解決を図るべき時期に来た」と述べ、6月末までに和解に応じるかどうか回答するよう求めた。
 当事者らがこれに応じれは和解協議に移るが、JR側はその場で「和解の席に着く余地はない」と拒否した。(朝日新聞)
■智頭線−見放したJR あ〜誤算 稼ぐ三セク 99年度黒字見込み 特急導入が的中 京阪神と短縮直結 三朝温泉・かに弁当好調
 第三セクター鉄道「智頭(ちず)急行」が快走を続けている。JR山陽線上郡駅−JR因美線智頭駅間(56.1`)の智頭線を経由して鳥取と京阪神を結ぶ特急「スーパーはくと」「はくと」は、1996年度の乗客数が前年度に比べて2割以上も増えた。99年度には単年度収支で黒字も見込んでいる。全国には第三セクターの鉄道会社が36社あるが、多くはかつての国鉄改革の際、需要が見込めないと一度は切られた路線で、「黒字を見込めること自体が珍しい」(運輸省鉄道局)。この路線を手放したJR西日本は思わぬ誤算に、智頭線を経由した新特急の導入を検討している。(鳥取支局 菅野 俊秀)
 山陰有数の温泉地・三朝温泉の玄関口になるJR倉吉駅前。週末の「スーパーはくと」が到着する時間になると、バスターミナルには旅館の送迎バス十数台が横付けして客を待ち受ける。
 三朝温泉の宿泊客は96年に約55万4000人になり、前年に比べて約12%も増えた。「今では平日でも客足が絶えない」と関係者は喜ぶ。
 鳥取県の調べでは、95年に日帰りを含めて三朝温泉を訪れた観光客は約152万人で、40年ぶりに県西部の皆生温泉を抜いた。県観光課は「やはり智頭急行効果が一番の要因」と分析する。
 鳥取、倉吉両駅で売られている名物の駅弁「かに寿し」も、智頭急行の開業後に年間の売り上げが15%伸びた。JTB関西営業本部では、鳥取県への1泊2日のパック旅行参加者が6割増えたという。「増加分はほとんどが智頭急行の利用者で、智頭急行が鳥取への旅行需要を開拓した」とみる。
 智頭急行は「ローカル免許の三セク路線を特急が走れる規格にしたのが当たった」と胸を張る。
・新幹線の夢
 中国山地に隔てられた鳥取県にとって、京阪神への交通アクセス確保は長年の課題だった。
 94年12月に智頭急行が開業するまで、乗り換えなしで鳥取と大阪を結ぶ特急は播但線を経由する「はまかぜ」と福知山線経由の「エーデル鳥取」の4往復だけ。しかも、ともに4時間以上かかっていた。中国自動車道を走る高速バスも同じぐらいかかる。
 それが智頭急行のスーパーはくとは2時間半と、約1時間半も短縮した。社長として陣頭指揮する西尾邑次・鳥取県知事は「智頭急行が劇的とも言える時間短縮を実現してくれたおかげで、もはや鳥取は遠くて不便な所ではなく、ぐっと身近になった」と、イメージ効果を強調する。
 鳥取県は兵庫や山口など四県でつくる山陰新幹線建設促進期成同盟会の事務局を務めている。中国5県で構成する中国横断新幹線整備促進協議会にも名を連ねる。この2つの新幹線は73年に基本計画線になっているが、具体的な進展は何もない。
 毎年、予算編成の時期たど折に触れて計画推進を国に陳情しているが、熱気があるとはいい難い。「新幹線の夢がもういらないとは言えない。でも、智頭急行の開業で運動がしりすぼみになったのは事実だ」と県交通政策課も認めている。
・JRも便乗
 JR西日本は、新たに智頭線経由で岡山−鳥取間に特急を走らせたい意向を明らかにしている。「智頭線は鳥取と山陽側をつなぐ最短ルート。京阪神と結ぶだけに使うのはもったいない」と、前身の旧国鉄が見切りをつけた路線に熱い視線を送る。
 実現すれば、岡山−鳥取間は約2時間で結ばれる。津山以北で採算が悪化している因美線の急行「砂丘」を廃止することになるが、「砂丘」より30分の短縮になるという。新幹線からの乗り換え客など1日3往復程度の需要はある、とそろはんをはじいている。
 「智頭急行の特急の昨年度実績は当社予測の2.5倍。これほど大幅な時間短縮は前例がなく、予測を誤った」(JR西日本)。同社にとっては手痛い誤算だった。
・智頭線 1966年に旧国鉄線として着工。路盤工事の9割を終えた80年、工事中止に追い込まれた。86年に鳥取、岡山、兵庫の3県などが第三セクター「智頭急行」を設立して工事を再開し、地方幹線として主に国の事業費負担で完成させた。国鉄時代を含む総事業費は442億円。路線の高規格化に伴ら費用23億円分を除いて智頭急行が無償譲渡を受けた。
 現在は最高時速130`を誇る自社車両の「スーパーはくと」5往復と、JR西日本の「はくと」1往復が倉吉・鳥取−京都間を走る。智頭急行とJRは相手の車両が自社の路線を走る際、互いに車両の使用料を払っており、95年度は智頭急行に差し引き5億3200万円が入った。(朝日新聞)
30日■地下鉄東西線東野駅連絡横断歩道 出入口2ヵ所減る 新幹線の沈下防護対策迫られ 5年後元の4ヵ所 事業費も急増
 京都市営地下鉄東西線東野駅(山科区)に隣接し、建設省京都国道工事事務所が工事を行っている同駅との連絡通路・国道1号地下横断歩道の国道への出入り口が当初の4ヵ所ではなく、2ヵ所でスタートすることが29日、分かった。すぐ近くの新幹線の沈下防護対策を強化する必要があり、残り2ヵ所の完成は5年後になる見込み。事業費も約16億円から、約30億円にふくらみ、京都市の負担額も増える。
 地下横断歩道は、国道1号北側地下にできる東野駅を利用するために、同国道を横断する住民が増えることが予想され、安全確保と利便性を目的に設置される。事業主体は建設省京都国道工事事務所だが、事業費のうち39%は京都市が負担する。
 京都国道工事事務所の説明では、国道1号の交差点の地下約8bに約500平方bの広場と、東西南北に地上への出入り口計4ヵ所を設け、本年度中の完成を目指していた。
 しかし、京都市の地下鉄東西線の工事(シールド工法)で新幹線の高架が1.6_沈下したことが分かった。沈下の許容量は3_で範囲内だったが、地下横断歩道工事による沈下を避けるため、防護工事を強化することにした。
 このため、横断歩道の全体工事を北側と南側に分けて、先に北側だけを完成させることにした。北東と北西の出入り口2ヵ所は地下鉄開業の10月12日に間に合うが、南西と南東の2ヵ所は5年後の2002(平成14)年3月までを目指しているという。また、防護工事を強化したことや工事を分割したことなどで、事業費は、最終約に約30億円にふくらむ見込み。
 建設省京都国道工事事務所の市川晴雄副所長は「設計段階で新幹線への影響を詰めきれなかった面はあるが、安全のために見直した」と説明する。また、負担増になることが分かった京都市交通局の中川嘉博計画課長は「難工事だが、横断歩道は市民のために必要な工事で、やむをえない」としている。
 国道1号の南側に住む山科区東野片下り町の公務員(53)は「南側の出入り口の完成が遅れると、交通量の多い国道1号を渡らないと東野駅へ行けない」と、同横断歩道の一日も早い完成を望んでいる。(京都新聞)
■府に地下鉄東西線 延伸へ協力を要請 自民京都市議団
 京都市議会の自民党議員団はこのほど、市が98年度の事業免許取得を目指している市地下鉄東西線(醍醐−二条間・10月開業)の宇治市・六地蔵方面への延伸について、京都府に建設促進への協力などを申し入れた。
 運輸省の98年度政府予算への概算要求に向けて、北川明団長らが草木慶治副知事に要請した。(京都新聞)
■5社そろって増益 関西大手私鉄3月期決算 阪急、阪神も黒字
 関西の大手私鉄5社の97年3月期決算が29日、出そろった。震災復旧がほぼ完了した阪急と阪神が黒字転換して復配、5社そろって増益となった。ただ、売上高は土地建物の販売などの不振で、京阪と南海が前期をわずかに下回った。
 当期の5社の鉄道事業は、輸送人員が合計で24億1000万人と、前期より0.8%減少した。しかし、一昨年9月に実施された運賃値上げが、通年で増収につながったため、合計の旅客収入は6%増の4718億円にのぼった。
 これに災害復旧費用の減少が業績回復の要素に加わった阪急は、3年ぶりに税引利益が59億円に黒字転換。阪神は経常利益が14億円と前期の3倍以上に膨らんで税引利益も20億円に。阪急が2期ぶり、阪神が3期ぶりに配当を復活した。
 京阪は、分譲住宅の販売状況が厳しく、売上高が0.2%減の1164億円に伸び悩んだが、営業費用を約13億円経費削減して68億円の経常黒字を計上。近鉄は、旅客収入が順調に伸び、売上高を5.4%、経常利益を35.5%増やした。(京都新聞)
関西私鉄大手5社の97年3月期決算
企業名売上高経常利益税引利益
近 鉄2606( 5.4)174( 35.5)112(4.1)
阪 急2302( 11.3)93( 70.6)58( -)
京 阪1164(▼0.2)68( 11.4)35(6.9)
南 海1172(▼0.2)49( 0.7)29(7.5)
阪 神737( 6.9)14(204.4)20( -)
【注】単位億円、()内は対前期の伸び率、
▼はマイナス、−は比較できず
■地下鉄東西線開業記念 地下鉄・市バス キャラクター&愛称大募集 京都市交通局
地下鉄烏丸線北々伸 6月3日開通(北山−国際会館間)/地下鉄東西線10月12日開業(醍醐−二条間)
 京都市の21世紀へ向けた東西・南北の広域鉄道ネットワークが、来月3日の地下鉄烏丸線北々伸(北山−国際会館間)の開通と、10月12日の地下鉄東西線(醍醐−二条間)の開業によって誕生する。
 東西線は醍醐駅−二条駅間の13駅を約24分で結び、東西の交通事情を大きく改善することになる。さらに都心部では、JR山陰線二条駅、地下鉄烏丸線御池駅、京阪本線三条駅と交差連絡し、東部では御陵駅で京阪京津線との路線接続、JR山科駅では東海道線、湖西線と交差連絡するなど各鉄道ターミナルとの直結により、京都都市圏の鉄道網形成に大きな役割を担うものと期待される。
 京都市交通局では、10月12日に開業する地下鉄東西線(醍醐−二条間)を記念して、「地下鉄」と「市バス」それぞれのマスコットキャラクターのデザインと愛称を募集している。
 募集内容は、ますます充実し、便利になる京都の交通をイメージする自由な発想で、わかりやすく楽しいキャラクターデザイン(未発表オリジナル作品に限る)。なお、最優秀賞のキャラクターは、開業までの期間及び開業後の地下鉄・市バスの交通広告や各施設への使用が予定されている。
【応募方法】「地下鉄」の部、「市バス」の部とも官製ハガキ裏面を使用(特殊な場合はA4判までの白い用紙でも可)。形式は縦横自由とし彩色は6色以内で写真は不可。いずれもキャラクターの愛称を併記し、住所、氏名、年齢、電話番号、職業(学校名)を明記の上、ご応募ください。応募点数に制限はありませんが、一枚につき一点。但し、地下鉄・市バス両方応募の方は併記も可。※採用の作品の著作権は京都市交通局に帰属。応募作品の返却はしません。また、印刷物等に使用しやすくするために補作することもあります。
【応募資格】プロ・アマは問いません。どなたでもご応募ください(但し著作権の使用に制約のない方)。
【締切り】平成9年6月27日(金)当日消印有効。
【発 表】7月初旬に新聞紙上等で行います。
【 賞 】「市バス」の部=京都市長賞(1点)10万円、優秀賞(1点)5万円、佳作(3点)各1万円。「地下鉄」の部=京都市長賞(1点)10万円、優秀賞(1点)5万円、佳作(3点)各1万円。
※小・中学生の場合は相当額の文具券となります。
【応募先】〒604 京都市中京区壬生坊城48 京都市交通局「キャラクター募集&愛称」係へ。(京都新聞)
■「レインボーカード」に佐伯、吉原両画伯の作品 大阪市交通局
 ○…大阪市生まれの洋画家、佐伯祐三画伯と吉原治良画伯の作品が、大阪市交通局のブリペイドカード「レインボーカード」(3000円券)に登場することになった。大阪の地下鉄や市バスを利用する通勤客や旅人にとって、小さな楽しみが一つ増えそうだ。
 ○…カードの絵柄に採用されたのは、パリで絵を学び、フォービズムの影響を受けた佐伯画伯の「人形」と、抽象画の世界をリードした吉原画伯の「犬と花」。それぞれ、6月1日、7月1日から発売される。
 ○…「人形」は、パリの骨董(とう)品店で佐伯画伯が買った人形がモデルとなっており、流し目の表情が印象的。「犬と花」は、乾いた都会のセンスが光る逸品。ともに建設が計画されている市立近代美術館の所蔵品で、関係者らは「大阪が生んだ芸術に多くの人に触れてほしい」と話している。各限定2万枚。(京都新聞)
■北へ発進 地下鉄烏丸線 中 採算 住民の声届かず リスク大きい岩倉延伸
 北伸は松ケ崎と、国際会館の2駅にとどまった。岩倉地域の中心部までは届かなかった。
 「もう1駅伸びれば、住民の地下鉄の利用はもっと便利になった」と、岩倉自治連合会の安原英会長(76)は複雑な表情で言う。
 烏丸線は北山−竹田駅間が1972年に鉄道事業の免許を国から取得したが、北山駅以北は白紙の状態だった。
・延伸求め活発に要望
 北の玄関がまだ北大路駅だった85年、岩倉自治連は北伸を求め、活発に動いた。5月に市議会に提出した請願では、国際会館から1`ほど北にある叡山電鉄・岩倉駅(左京区岩倉忠在地町)近くまで路線を伸ばすよう要望した。
 署名を集めたところ、1万1000人もの住民らが協力し、87年に当時の今川正彦市長(故人)に送った。89年3月には、約6000世帯で「岩倉地区地下鉄推進委員会」を結成し、活動の広がりを図った。
 地下鉄の駅はほぼ1`間隔で設けられ、距離的には「岩倉」に駅があっても不思議ではない。叡山電鉄は岩倉地域に4駅あり、合わせて1日約3500人の乗客がある。
 地下鉄が来れば当然、通勤・通学客の奪い合いが起こりそうだが、浅田統史・同電鉄専務は「岩倉駅近くに新駅できれば、相乗効果が生まれ、観光面や地域の活性化につながったのではないか」と予測する。確かに、洛北の鞍馬、貴船方面に向かう観光客は地下鉄から叡電に乗り換え、車の渋滞に巻き込まれることなく目的地に着けるだろう。
・国際会館で止まった
 しかし、北伸は国際会館で止まった。なぜか。市交通局は「採算に合わない」と説明する。
 北山駅−国際会館駅間の建設費は、1`あたり約180億円。岩倉地域のような住宅地の地下を掘れば、単価はさらに上がる。「採算を合わせるには、1つの駅の周辺に5万人以上の人口が必要」(小森浩・交通局高速鉄道本部長)といい、2万2000人の岩倉地域への北伸はあまりにリスクが大きいとの理由だ。
 国立京都国際会館は1966年に開設された。高山義三市長(故人)が「今は不便だが、交通アクセスは必ず整備する」と約束し、誘致したといわれる。
 市にとっては、国際会館への地下鉄北伸は差し迫った課題だった。同会館では年間300件前後の学会や会議、イベントなどが開かれるが、最近は大規模な会議は敬遠され気味。他都市に同様の施設が誕生し、会議の誘致合戦は年々激しさを増している。
 北伸ルートが論議されていた当時、地下鉄建設を担当した元助役の奥野康夫さん(68)は「国に北伸を陳情しても、国際会館までさえ、色よい返事はなかなかもらえなかった。市には東西線の建設もあり、岩倉の中心部への北伸は厳しい状況だった」と振り返る。
・三セク話も一時浮上
 元助役で、岩倉の住民でもある城守昌二さん(68)は「市と民間企業が共同出資して運営する第三セクター方式での岩倉中心部への延伸も一時浮上した」と話すが、具体化するまでには至らなかった。
 結果的に、延伸ルートは、まず国際会館の最寄りに駅舎を設定し、そこから北山駅まで効率よくつなぐという順序で考えられた。
 12月に同館で開かれる地球温暖化防止京都会議(気候変動枠組み条約第三回締約国会議)は当初、神戸、横浜、名古屋などが誘致に名乗りをあげ、し烈な争いとなった。「決め手になったのは京都の土地の魅力と過去の開催実績、そして地下鉄延伸でアクセスが便利になること」と橘正忠館長は満足そうに話す。
 市の計画には、これ以上の烏丸線の北伸はない。(京都新聞)
■窓 市民に愛される地下鉄運営を 上京区・宮内正太郎(団体役員・79)
 地下鉄東西線が10月に、営業開始するという。これは烏丸線開通以来、16年ぶりである。当初、建都1200年の94年の4月未完成を目指したとのことだったが、何はともあれ開通に祝福の言葉を贈る。
 しかし、地下鉄の先進都市である大阪、名古屋両市の営業路線距離と比すれば、あまりにも貧弱な距離である。しかも両市は戦災都市、本市は非戦災都市であり、そのころと現在では技術や建設機器など格段の相違があるのに、醍醐から二条間(12.7`)の工事に7年10ヵ月、費用4600億円以上というのには驚く。
 いまここで、その遅れや費用の膨大さを難詰するのではないが、過去、全国に先がけて路面電車を廃止した本市が、その時点で、その後の都市交通を立案し、手がけていたら、と思う。戦災を受けぬ本市が「観光京都」の美名に甘え、観光行政に偏向したのでは…。戦災という大きなダメージを受けながら焼け跡から立ち直り、路線を拡大した大阪、名古屋両市と対照的であり、大いに学びたい点である。
 そして、この開通によって市中心部から醍醐地区へは便利になる一方、逆のことが言える。便利、不便は背中合わせだ。醍醐地区バス路線の廃止や変更があるやに聞くが、当局は、地元住民の声を取り上げ、今後ますます多様化する都市交通の現況を直視し、市民から愛される地下鉄、市バスの運営を期待したい。(京都新聞)
■阪急・阪神、黒字に転換 関西私鉄5社 「震災復興」宣言も
 29日出そろった関西大手私鉄5社の1997年3月期決算は、95年9月の運賃値上げが寄与して、そろって経常増益となった。阪神大震災で大きな被害を受けた阪急電鉄、阪神電気鉄道がともに最終損益が黒字に転換し、阪急が年間で震災前と同じ5円に復配し、阪神は期末に4円に復配した。
 2社とも沿線人口の減少などで輸送人員は震災前の水準をいぜん下回るが、阪急は「震災の影響はほぼ払拭(ふっしょく)した」(大橋太朗専務)と業績回復を宣言、回復の足取りがやや鈍い阪神も「99年3月期までには通常の姿に戻る」(藤井純常務)としている。
 各社の輸送人員は、病原性大腸菌O(オー)157被害で夏場の客足が遠のき、震災からの復旧の遅れで前期の落ち込みが激しかった阪急、阪神を除いて、減少した。JR西日本の通勤路線の開業などで、利用客の流出が続いている。南海電気鉄道、京阪電気鉄道は、不動産など関連事業の収益が悪化し、鉄道事業の値上げによる増収効果が相殺されて、減収となった。(朝日新聞)
■山梨でも浮上走行開始 リニア、550`にも挑戦へ
 JR東海と鉄道総合技術研究所が開発を進めている超電導磁気浮上式リニアモーターカーの浮上走行試験が30日午前、山梨県大月市−都留市間の山梨リニア実験線で始まった。宮崎実験線(宮崎県日向市−都農町)では既に実施しているが、山梨での浮上走行は初めて。
 試験は都留市にある実験センター付近の約1.5`を中心に実施。午前10時50分すぎ、3両編成の実験車両が東京寄りの九鬼トンネルから出たところで、初めて浮上した。
 リニアは時速約100`で浮上できる仕組みになっている。しかし、最初は車両などの確認のために車輪走行で約180`に達してから、浮上走行に移り、6月6日までは取りあえず最高時速は250`程度で、設計通り浮上するかどうかを確認する。
 この後は次第に速度を上げ、本年度内に世界最高の550`に挑戦する予定。(京都新聞 夕刊)
31日■北へ発進 地下鉄烏丸線 下 バス 路線とダイヤ見直しへ バスの本数が激減
 「変な話ですが、地下鉄ができて、うちは少し不便になるんですよ」。家電販売店経営山本敬一さん(40)=左京区岩倉花園町=は苦笑する。
 山本さんの二男は、自宅前の停留所から「北4」系統の市バスで北大路駅近くの京都教育大付属京都小に通っている。「北4」は北伸に伴って廃止される。
・通学費増える場合も
 京都バスが同じ路線を引き継ぐ。本数は10分の1に激減し、通学時間帯にはなくなる。「これからは、国際会館駅行きの京都バスに乗り、地下鉄に乗り継いで通学させなければならない。途中で何かあったら」と心配する。通学費も、バスだけの時に比べて高くなりそうだ。
 廃止になる市バスは、「北4」をはじめ、「北6」「臨北6」「特5」の計4系統79本。主に大原三千院(左京区大原)や岩倉実相院(同区岩倉)から北大路バスターミナルを往復する路線で、通勤、通学などに4系統で1日当たり約5000人が利用している。
 廃止される市バス路線は、地域全体で見れば、以前から同じ地域を走る京都バスがおおむね引き継ぐことになっている。住民たちは「民間バスに切り替われば、不採算路線はすぐに切り捨てられてしまうのではないか」との不安を隠さない。
 市交通局と京都バスは引き継ぎの協定書を交わしている。洛北方面の運行コースや本数を変える際には双方で協議することにしている。
・早急に乗降客数調査
 「民間会社も公共交通機関の一つであり、簡単に路線を切ることはしない」と交通局は楽観的にみているが、京都バス側は「早急に乗降客数を調査し、5年以内には見直しが必要になる」と、早くもけん制球を投げる。京都バスの年間乗客数は市内全域で約1100万人。うち岩倉、大原地域で300万人以上を占めている。地下鉄との競合で、路線やダイヤの見直しは避けられそうにない。
 国際会館駅西側の地上一帯には駅前広場(広さ4200平方b)が造られ、バスなどの発着場にもなる。国際会館駅は1日1万6000人の利用が予想され、自宅から駅まで1−2`の住民にとって、自転車やバイクは最も手軽な乗り物といえる。
 松ケ崎駅には開業と同時に有料の地下駐輪揚(1200台)がオープンするが、国際会館駅では広場近くに設けられる有料の仮設駐輪場(1600台分)で当面、対応することになる。3000台収容の本格的な地下駐輪場の完成は3年先の予定だ。
・迷惑駐車駐が増加心配
 駅周辺での駐輪公害はどの駅でも悩みの種だ。国際会館駅近くに住む自営業者(41)は「緑豊かな宝が池公園と閑静な住宅地の環境を守らなければならない。住民一人ひとりが、駐輪マナーを向上させていかなければ」と、迷惑な駐輪の増加を心配する。
 延伸後のダイヤによる訓練運転が22日から繰り返されている。新区間の運転車両は、瞬く間に北山−国際会館間2.6`を駆け抜ける。国際会館駅を地上に出ると、巨大な国立京都国際会館が目前に見え、岩倉の住宅街が広がる。京都市の中心部から洛北方面へのアクセスは、確かに便利になったといえる。
 しかし、北伸した地下鉄を、豊かな歴史にはぐくまれた洛北の街の発展にどうつなげていくかは、行政と住民のこれからの課題だろう。
 住民の期待と不安も乗せて、来月3日正午過ぎ、国際会館駅を一番電車が発車する。(京都新聞)
■開業準備急ピッチ 地下鉄烏丸線新設の2駅
 京都市の地下鉄烏丸線北々伸(北山−国際会館駅、2.6`)が、6月2日正午に開業する。着工から3年11ヵ月、待望の「その日」を目前に、新設の松ケ崎、国際会館両駅では、市交通局の職員が営業ダイヤ通りの運転や運行管理機器の習熟、券売機の点検などに追われている。
 国際会館駅では、すでに駅員が常時3人詰めている。駅務室の監視盤のモニターテレビや自動改札口をチェック、開業後と同じ勤務体制についている。
 同駅では開業式典の飾りつけや地元団体による記念写真展の準備も進められ、真新しい構内はお祝いムードでいっぱい。
 また、今月22日からは北々伸開業後のダイヤに移行しており、北山駅で乗客を降ろした車両をそのまま使い、乗務員や駅員が最終段階の習熟訓練に励んでいる。(京都新聞)
■JR鷹取工場跡地に被災者向け住宅300戸 神戸市、4fを購入契約
 神戸市は30日、同市須磨区大池町のJR鷹取工場跡地(約18f)のうち約4fに、阪神大震災の被災者向け復興賃貸住宅約300戸を供給する計画を明らかにした。JR西日本から土地の引き渡しを受けた後、住宅・都市整備公団に売却。同公団が今年度後半に着工し、来年度末の完成を目指す。JR西日本との間で4fの売買契約を結んだのを受け、公団に土地の買い取りと住宅建設を要請していた。
 市が買収を予定している同跡地10fの一部で、契約額は56億3100万円。入居希望に対し、復興住宅の供給戸数が少ない市西部地区で住宅の大量供給を図るため、市は昨年夏、跡地に約1000戸を建設する意向を表明。跡地全体を、震災復興土地区画整理事業区域に指定していた。(朝日新聞)
■新京都駅ビル 放水砲を設置 2基で消防車8台分 使わずに済めばいいですが…
 7月12日の開業に向けて建設が進むJRの新京都駅ビル(京都市下京区)の中央コンコースに、自動制御の放水砲が設置された。2基で消防車約8台分の放水能力を誇る、という。放水砲の設置は関西では関西国際空港や大阪ドームなどに続き、5ヵ所目となる。建設主体の京都駅ビル開発は「威力は十分だが、使わずに済むことを願いたい」と話している。
 放水砲は、中央改札口のある東西の延長100b、南北30bのガラス張りの中央コンコースの北側に設置した。柱の高さ12bの部分に各1基を据え付けた。放水砲の本体は長さ90a、口径10aの可動式の放水口がついている。
 「射程距離」は最高150bあり、吹き抜けのコンコースのガラス屋根(地上50b)まで十分に放水が届く。2基の放水能力は消防車の7.6台分の毎分4600リットルにも達する。
 赤外線火災検知器と炎感知器で火災を探知すると、ビル内の中央防災センターにあるコンピューターが判断して、放水砲の筒先の向きや角度を調整する。自動放水もできるが、誤差動も考えられ、4台のテレビカメラで状況を見て手動で放水を始めるようにした。システム全体に約2億6000万円をかけた。
 今月中旬に京都市下京消防署が行った稼働試験で、計画通りの働きを見せた。駅ビル開発は「放水する対象が巨大すぎ、放水銃では対応できないため、放水砲の導入に踏み切った。2基で十分にカバーできるが、使わないに越したことはない」と話している。(京都新聞 夕刊)
■雑誌拾って100円で安売り 新宿駅で熱い攻防 違法な販売やめて・駅売店/ホームレスら・生活の糧 何が悪い
 「1冊100円」の看板に集まる通勤客。「売れ残りが増えて困る」とぼやく店員。1日の乗降客が約320万人に上る日本一のターミナル、東京・新宿駅を舞台に、雑誌販売をめぐりホームレスのグループと構内の売店が熱い攻防を繰り広げている。
 ホームレスのグループは、乗客が捨てた真新しい雑誌をごみ箱から拾って定価の半値以下で販売。ホームレス側は「生活の糧」と主張しているが、中には1ヵ月に400万円も稼ぐ露店もあるという。警視庁新宿署は5月13日、歩道を無許可使用したとして道交法違反容疑でホームレス五人を逮捕。雑誌安売りの摘発に乗り出した。
 露店は渋谷、池袋などの駅にも広がっており、その陰で打撃を受けている売店は「違法な販売はやめてほしい」と神経をとがらせている。
 ホームレスの男性によると、露店で1冊100円で販売される雑誌は、「運び屋」が駅のごみ箱から拾い集め、1冊40−50円で露店に卸している。「安いのは当然。何も悪いことはしていない」と売り子の男性は話す。
 「道路の無断使用は違法では」との指摘に対し、露店を経営する男性(48)は「働けない仲間のために稼いでいる。文句があるなら仕事を与えてくれ」と声を荒らげる。
 露店の常連客らは「どうせ一度読んだら捨ててしまうので、駅の売店で買うより得だ」(学生)「安ければいい。露店が違法であろうと僕には関係ない」(会社員)とホームレスのビジネスを後押し。
 これに対し、正規の売店関係者は「店の仕入れ品が紛失することがよくある。新品の雑誌が発売日の朝から露店に陳列されているのを見ると、複雑な気持ちだ」と疑心暗鬼。新着雑誌にシートをかぶせたり、見張り要員を付けるなど”自衛”に躍起だ。(京都新聞 夕刊)