1997(平成9)年 2月


1日■京都駅ビル詳しく紹介 構内にコーナー CGビデオも放映(京都)
  ■スムーズな列車利用へ JR山科駅に要望書 山階学区 社協など(京都)
2日■マンガで環境問題訴え 京都精華大生卒業作品 叡電車内に展示 つり広告ではありません(京都)
  ■新幹線 偽造回数券見つかる 新大阪など約20枚 被害拡大の恐れ(京都)
  ■フクロウの羽が、新幹線のパンタグラフになった 新時代の機械工学 バイオミティックス(読売)
3日■八戸−新青森 着工順位早い 整備新幹線で自民幹事長(京都)
  ■北陸線で特急雷鳥脱線 乗客無事、5時間不通に 敦賀のトンネル内(京都)
  ■整備新幹線全線着工 自民幹事長「難しい」(朝日)
  ■トンネルで「雷鳥」脱線 500人、3時間缶詰 敦賀、けが人なし(朝日)
  ■北陸線事故 特急25本運休 脱線車両の撤去完了(京都)
  ■車軸折れた「雷鳥」 軸受け部が過熱か 昨年5月の検査通過 北陸線多い「老朽車両」 JR「問題なし」(朝日)
4日■JR山陰線二条−花園間 複線化に着工 新年度から円町駅も(京都)
  ■京都市 新年度予算1.9%減に 一般会計 総額7010億円規模 市長が見通し 実質0.5%増に(京都)
  ■汐留駅跡地 わずか3723億円 旧国鉄債務処理、難航へ 電通などが3街区落札(京都)
  ■汐留跡は3700億円 旧国鉄債務減、焼け石に水 電通など落札(朝日)
  ■電車遅れ800人影響 JR嵯峨野線 連結トラブル(京都)
  ■脱線直前「異常音」「雷鳥」に連絡なく(朝日)
5日■京都駅 きょう開業120年 新たなる出発 新駅ビル完成も間近(京都)
  ■地下鉄利用して行政通信網設置 横浜市、来年度から実験(京都)
  ■核燃輸送列車が脱線 独環境省「放射能漏れなし」 仏東部(京都)
  ■消費税「転嫁」の春 分野ごとほぼ方針 JR「150・160円+10円」/高速道・酒類も 公衆電話は短縮 自販機据え置きも(朝日)
  ■JR西日本 150、160円区間 10円値上げへ 消費税アップで 初乗り上げず(京都)
  ■私鉄総連要求 1万8000円に 97春闘「ストなし」に(京都)
  ■洛中洛外(京都)
  ■情報に乗り遅れる? 山陽新幹線 電話かかりにくい ニュース速報出ず(朝日)
6日■整備新幹線5線 採算性見込める 小里氏 慎重派に反論(京都)
  ■大鉄局跡地に応募が3件 国鉄清算事業団(京都)
  ■旧大鉄局跡 3件の応募 清算事業団締め切り(朝日)
  ■舞妓さん一日駅長 JR京都駅 開業120周年(朝日)
  ■片町駅消えても片町線残る JR東西線開業 新駅設置へ(朝日)
  ■電車にひかれJR社員死亡 JR線朝霧駅構内(朝日)
7日■新型「のぞみ」同料金(朝日)
8日■難波駅前の3所有地売却 購入者を募集(京都)
  ■地下鉄サリン 村上春樹さんがノンフィクション 2周年の来月出版 「死ぬ意識よりまず仕事を…」(京都)
  ■村上春樹さん、「地下鉄サリン」に挑む 混乱・悲しみ・社会の無理解… 被害者ら60人の証言集、出版へ(朝日)
9日■車内での携帯電話使用禁止を求める 市民団体、鉄道11社に(京都)
10日■赤帽さん、古都で健在 制服は息子のを再利用(朝日)
11日■男性はねられ即死 西京、阪急踏切で(京都)
  ■新型のぞみ 走行中にボルト破損 来月デビュー 全車両で交換へ(朝日)
12日■家庭 障害者に地下鉄まだ不便 券売機表示見にくい/エレベーターわかりにくい 大阪の女性、46駅調査(朝日)
13日■バス停新設届け出制に 運輸省が規制穏和(京都)
  ■窓 旅に便利なフリーキップ 蒲生町・大塚 千代(主婦・69)(京都)
14日■97私鉄春闘 集団やめ個別交渉 大手 会社側会議で決定(京都)
  ■西武鉄道のレジャーランド構想 竜王 計画変更 ゴルフ場など先行 県リゾート構想影響も(京都)
  ■阪急電鉄 西宮球技場を改修 アメフット人気も考慮(京都)
  ■キップ代なら高すぎる!? 無人駅に400万円 千葉のJRに投げ込み(朝日)
  ■関西の私鉄 普通運賃10円アップ 消費税転嫁値上げ申請 初乗りは据え置き(京都)
  ■私鉄など値上げ申請 消費増税を転嫁(朝日)
  ■山陽電鉄 消費税転嫁せず 省力化進めJRに対抗(朝日)
  ■空港−千里中央 モノレール290円 運賃を申請(朝日)
15日■春闘個別交渉 私鉄総連が反発(京都)
  ■バスから列車 片道旅行好評 信楽高原鉄道(京都)
  ■近鉄と南海、長距離バス運賃を値上げへ 路線バスは現行通り(京都)
  ■バス5社値上げへ(朝日)
  ■線路敷き散歩の男性 列車にはねられ重傷 大津のJR東海道線(京都)
  ■JR関空特急 快速よりはるかに遅い 苦情受け一部短縮(朝日)
16日■信号故障で5本が運休 北近畿タンゴ鉄道(朝日)
17日■「和解」の大阪モノレール訴訟 原告団幹部に2800万円 元府建設事務所長ら渡す(京都)
  ■大阪モノレール 豊中の用地買収 訴訟団幹部に2800万円 府幹部、調達に関与(朝日)
18日■リニアが初の超電導自力走行 浮上は夏にも 山梨実験線(京都)
  ■スルッとKANSAl 京阪など9社導入へ 京都市交通局も前向き(京都)
  ■経済天気図 市バスの黒字化の方策(京都)
  ■京日記(京都)
  ■京都市97年度予算案 一般会計39年ぶり減額 マイナス1.9%、7013億5700万円 運動施設など料金アップ(京都)
  ■地下鉄・北山駅−国際会館駅 6月3日に開業(京都)
19日■京都市97年度予算案の詳報(抜粋)(京都)
  ■市バス赤字44億円 企業会計(京都)
  ■叡山電鉄も値上げへ(朝日)
  ■JR運賃 消費税分(1.94%)値上げ申請 西日本の電車特定区間 初乗り据え置き(京都)
  ■JRも値上げ申請 消費税率上乗せ分 競合区間には配慮(朝日)
  ■雪で新幹線遅れる(朝日)
20日■考えよう人に優しい街 中京中生徒がJR二条新駅舎を点検 点字ブロック使いホームへ(京都)
  ■私鉄総連 中央集団交渉を断念(朝日)
  ■青鉛筆(朝日)
21日■交通科学博物館 名物駅弁、一堂に あすから 陶器製茶器も販売(京都)
  ■北新地など新駅 7駅セットで紹介 JR東西線の開業 記念入場券を発売(京都)
  ■余罪は13億円? オレンジカード 3600万円分を詐取 容疑の元JR東社員を逮捕(京都)
  ■JR西社長に南谷氏 井手社長は会長就任へ(京都)
  ■大阪市 42年ぶりの減額 一般会計予算案 交通・水道値上げへ(朝日)
22日■チェックの甘さ認める 信楽高原鉄道事故 JR側幹部が初証言 大津地裁公判(京都)
  ■運賃1.92%値上げ申請 叡山ケーブル(京都)
  ■新幹線に新型券売機 京都駅などにJR東海(京都)
  ■新庄への延伸を決定 JR山形新幹線(京都)
  ■貨物列車立ち往生 JR、2000人に影響(京都)
  ■また すっぽり雪化粧 京滋の朝、交通乱れる(京都)
  ■強風で山陰線遅れる(京都)
  ■近畿に雪、交通乱れる(朝日)
  ■チチ松村のゴミを宝に 鉄道ファンの心もクギづけ(朝日)
23日■東海道新幹線 雪で終日乱れる(京都)
  ■窓 障害者配慮の新京都駅望む 伏見区・村井 清(会社役員・72)(京都)
  ■窓 人の温もりに包まれた京都 鳥取県・小谷 郁夫(中学教諭・27)(京都)
  ■ケヤキ並木 帰れない 京都・御池通 市民ら惜しむ声 地下鉄工事で移植→工期長引き根張り→結局、再移植ムリに(朝日)
24日■神戸市営「海岸線」 震災…完成遅れ工費膨張 地下鉄新線 急ブレーキ(朝日)
  ■JR西日本 大阪−姫路55分に短縮 2年後目標 新「新快速」登場へ(朝日)
  ■かんさい鉄道新時代 1 新ルート JRvs私鉄、第二幕へ(朝日)
25日■窓 JR藤森駅の開業を心待ち 伏見区・佐藤 順子(主婦・54)(京都)
  ■窓 駅などの清掃地域が担えば 伏見区・鈴木富三郎(会社役員・73)(京都)
  ■かんさい鉄道新時代 2 金縛り 「私鉄は線路造れぬ」(朝日)
26日■「風に弱い」もう言わせない 関空連絡橋防風柵完成(朝日)
  ■関西鉄道新時代 3 バリアフリー 私鉄の輪、近づくJR(朝日)
27日■一番列車は 10月1日発車 北陸新幹線(京都)
  ■地下鉄東西線 延伸計画 醍醐−六地蔵を優先 二条駅以西見直し 桝本市長表明(京都)
  ■「運転手マナー悪過ぎる」 バス会社に改善勧告 四国運輸局(朝日)
  ■かんさい鉄道新時代 4 新商売 生き残りかけ脱本業(朝日)
28日■関西3電鉄 南海・京阪・阪神 統一店名でコンビニ展開 4月下旬に1号店 仕入れ先共通化 独自商品開発も(京都)
  ■窓 駅に生えてたキノコにホッ 上京区・水島 督(学生・22)(京都)
  ■大阪城天守閣記念 乗車カードを発売 大阪市交通局(京都)
  ■南海・京阪・阪神 仕入れ共同 店名も統一 コンビニで提携(朝日)
  ■駅業務に学生バイト 南海電鉄が合理化で(朝日)
  ■京都市地下鉄東西線 宇治まで2.5`延長 98年度に事業免許を 他線と連絡 見込める需要(朝日)
  ■市バス・地下鉄運賃 消費税転嫁、来春に 京都市が意向(京都)
  ■「突然停電」で連携 開業目前 JR東西線 地下で避難訓練(京都)
  ■かんさい鉄道新時代 5 レール復権 街再生のきっかけに(朝日)
  ■Who's Who 星野鐘雄さん 関西高速鉄道常務(朝日)



1日■京都駅ビル詳しく紹介 構内にコーナー CGビデオも放映
 建設工事が進む京都駅ビル(仮称)を、一足早くPRする「京都駅ビルインフォメーションコーナー」が1日、下京区のJR京都駅構内に開設される。乗降客や市民らに、ビルの具体的な内容について理解を深めてもらう。
 京都駅ビル開発会社(同区)が、駅ビルについて気軽に情報を得られる場所にと設置を企画した。JR西日本が場所を提供し、同社が運営・管理する。
 コーナーは、西側陸橋の4、5番線ホーム階段付近の一角で、約10平方bのスペース。各種パンフレットをそろえるほか、駅ビル内部が一目で分かるパネルや、テナントのホテル、百貨店などのイメージ図も並べる。また駅ビルの内部、外観をコンピューターグラフィックで紹介するビデオも放映。カウンターでは、常駐の職員が市民からの質問に応対する。
 コーナーは、駅舎部分が完成する7月中旬に、京都市観光案内所などとともに、駅ビルのコンコース付近に移転する。(京都新聞)
■スムーズな列車利用へ JR山科駅に要望書 山階学区 社協など
 今月下旬に琵琶湖方面への列車旅行を計画している山科区内の高齢者や身体障害者の団体らが31日、JR山科駅に対し、送迎車用の駐車スペースや仮設トイレなどの設置を求める要望書を提出した。
 要望書を出したのは、旅行を主催する山階学区社会福祉協議会や山科老人いこいの家をはじめ、参加を予定している障害者、ボランティアグループら計16団体。
 要望書では、旅行当日にスムーズに駅を利用するため、送迎車用の駐車スペースや改札口の外側の仮設トイレの設置を求めるとともに、将来的にははホームへのエスカレーター、エレベーターの設置も要望している。
 この日は、各団体の代表7人が同駅を訪れ、田中宏司駅長らに要望書を手渡し、口頭でも要望した。
 田中駅長は「旅行当日の要望については検討したい」と話していた。(京都新聞)
2日■マンガで環境問題訴え 京都精華大生卒業作品 叡電車内に展示 つり広告ではありません
 京都市の叡山電鉄の車内で1日から、京都精華大美術学部デザイン科でマンガを専攻する学生の卒業作品展「環境マンガ 地球温暖化は防止できる!?」が始まった。12月に同市で開かれる地球温暖化防止京都会議(COP3)に向けて、マンガで環境問題の大切さを訴えている。
 同電鉄の環境キャンペーン車両「エコモーション号」の中に、今春卒業予定の4年生と大学院生計31人の作品40点をつり広告のように下げて展示している。「学生たちの作品をより多くの人に見てほしい」と、今年初めて実施した。
 湯船に浮かび「温暖化」が進む地球や、オゾンホールに落ちた地球など、環境破壊の現状を1こまマンガでユーモラスに描いた作品が多く、席を立って順番に作品を見て歩く乗客も。
 指導した牧野圭一教授は「身近な話題を作品化して、大勢の人にメッセージを伝えるのがマンガ。緑豊かな沿線で環境問題を考えてもらえたら」と話している。4月末まで展示する。(京都新聞)
■新幹線 偽造回数券見つかる 新大阪など約20枚 被害拡大の恐れ
 東海道新幹線の新大阪駅や名古屋駅で1日までに、サイズや色が本物とそっくりの使用済みの偽造指定回数券約20枚が見つかり、大阪府警などはJR東海関西支社から偽造券の提出を受け、捜査を始めた。今後、被害が広がる恐れがあるとして、JR各社は警戒を強めている。
 1月28日には、東京都内の金券ショップ十数店に、これとよく似た偽造券約600枚が持ち込まれ換金されたことが分かっており、関連を調べる。
 JR東海関西支社などによると、偽造券は、東京都区内−大阪市内と、東京都区内−名古屋市内の2種類。新大阪駅で1月29日に9枚、30日に4枚が発見されたほか、名古屋駅でも見つかった。
 いずれも「みどりの窓口」などで発券される6枚1組(東京−大阪間は7万4700円)の回数券で、「新宿駅発行」となっていた。サイズや表面の色は本物と酷似、記番号も一つ一つ違っていた。裏面は本物よりも黒っぽく、磁気データは刷り込まれていない。(京都新聞)
■フクロウの羽が、新幹線のパンタグラフになった 新時代の機械工学 バイオミティックス
 環境とのいっそうの調和を求められる科学技術に、生物が長い進化の過程で獲得してきた多様な能力を生かそう−。こんな考えから、動物の能力を学び機械工学に取り入れようという「バイオミメティツクス」が芽生えてきた。今春デビューするJR西日本の新型新幹線車両「500系」のパンタグラフに騒音防止のためフクロウの羽を模したぎざぎざが付けられたが、これはその代表的な応用例だ。開発を担当した同社の岩本謙吾・試験実施部長と、今春、バイオミメティックスの研究、教育を行う国内初の学科「基礎機械工学科」を生物理工学部に設置した近畿大の上田幸雄教授に、新しい分野の可能性を語ってもらった。(司会 科学部・松本 弘)
対談
 岩本 謙吾氏 JR西日本試験実施部長 1970年東京大工学部電気工学科卒。同年国鉄入社。87年JR西日本近畿圏運行本部車両部管理課長。91年総合企画本部技術開発室担当室長。92年技術開発推進部郡次長。95年現職。49歳。
 上田 幸雄氏 近畿大学教授 1955年大阪大工学部造船学科卒。62年米リーハイ大大学院博士課程(土木工学)修了。75年阪大溶接工学研究所教授(弾塑性学)。92年同研究所長。96年近畿大生物理工学研究所教授。64歳。
・新幹線500系開発の経緯
 −まず、500系開発の経緯を。
 岩本 JR西日本になって新しい車両で230`運転を始めました。東京−大阪は新幹線が定着していますが、ほぼ同じ距離の大阪−博多は飛行機が便利で旗色が悪い。これを新幹線にもってこようと、新しい車両を開発することになり、6両編成の試験列車「WIN350」を作って4年間勉強しました。当初の目標は350`の営業運転でしたが、投資効果などから、当面、300`の営業運転という経営判断がなされ、その車両として開発されたのが500系です。
 −300`営業運転という目標が設定されたわけですが、世界のレベルでは、どんなもんでしょう。
 岩本 フランスのTGVが300`の営業運転を行っており、それに並びます。今回のダイヤ設定では駅間の平均速度、始発から終点までの平均速度の両面でTGVを抜いて世界一になっています。
 上田 300`は飛行機に対抗した速度なのですか。それとも線路幅とかトンネルとかの条件から、とりあえずの最善は300`くらい、という判断なのでしょうか。
 岩本 線路やトンネルとかの条件と環境問題を考え合わせると、現状では300`が適当ということです。理想的な計算では、大阪−博多は550`ですから、300`で走ると2時間弱、実際には曲線で速度制限がありますから2時間17分になっています。
 −300`営業運転を実現するために技術的な困難さはありましたか。
 岩本 最大の問題は環境問題です。速度を上げても環境への影響を現状より悪くせず、できればよりよくなるのが理想で、最も時間と労力を費やしました。もう一つは乗り心地。とくにトンネルに入ったとき非常に大きな風圧を受け、車体が揺さぶられる。
 上田 乗っていると膨らんだり縮んだりしますね。
 岩本 圧力変動に耐えて乗り心地をよくするのが課題。山陽新幹線はトンネルが50%もありますから。
 −どんな工夫が。
 岩本 新幹線のトンネルはヨーロッパのものより小さいんです。小さいトンネルに大きな断面積のものが入ると、紙鉄砲の原理で、ドンといき、ショックがある。空気の圧縮で圧縮波ができますが、長いトンネルでは圧力変化が増大し、出口で波が漏れて「バーン」という昔が出る。
 そこで、まず先頭の形状を工夫しました。グループ会社のJR総研で、砲弾形のものをトンネルを模した簡の中に撃ち込む試験とコンピューター・シミュレーションをやりました。その結果、ある程度の長さが必要だが、長さだけではダメで、断面積変化率が一定、つまり先頭が直線でなく平方根で変化しないといけないと分かりました。
・フクロウの羽がつけられるまで
 −騒音問題についてはどうでしょうか。
 岩本 大学の先生も入って、空力委員会で勉強をしてもらった。翼型パンタグラフの前、「のぞみ」に付けているパンタグラフカバーの形状を工夫した。パンタグラフに風を当てないようにするものですが、あれは結構抵抗がある。走行抵抗を減らし、かつ機能を持たせるにはどうすればよいか。委員会の中にYS11設計に参加された先生がいて、その方がふろで実験され、「これがよかった」とかいろんな提言をされた。空力の現象は水中の現象と必ずしも一致しないが、速度が上がると水中での現象に近づいて役に立ちました。
 結局、パンタグラフカバーは限界がありました。一つは走行抵抗、それとパンタグラフカバー自体が音源になる。空力委員会でその音を減らそうと、シミュレーションをやりました。流れや圧力変動は計算できるが、それと音は結びつかない。音をコンピューターで計算するのは今の技術では無理なんです。眼界が見えたところで、それは捨て、全く新しい形の翼型に入ったわけです。
 上田 抵抗と音はある場合には結びつきますが、一般には結びつかない。音の発生源は渦ですね。
 岩本 渦です。音は圧力の変動ですから渦によって発生する。ところが、渦が大きいから音が大きいかというと、一義的には結びつかない。そこが難しい。
 上田 抵抗が大きくても音は下げられるのですね。
 岩本 端的な例は翼型パンタグラフの支柱です。最初、丸棒にしていた。丸棒は空気抵抗がものすごい。それを楕円形状と言うか翼に近い特殊な形にしたところ抵抗は確かに少ないが、音は大きくなる。丸棒の方が音が少ないんです。
 風洞実験で丸棒を斜めにして風を当てると、断面積は楕円で、音は増える。しかし、丸棒は抵折が大きくて使えない。渦が出ないよう楕円の形状を工夫したのですが、後ろで空気が剥離して渦を抑えきれない。苦肉の策として出てきたのがフクロウの羽です。ボルテックス・ジェネレーター(渦発生器)と言い、そこで剥離させて大きな渦が出ないようにした。
 上田 シミュレーションを繰り返して一番抵抗が少ない形に到達するでしょうが、ぎざぎざを付けるアイデアはそういう方向からは出て来ないですね。
 岩本 空力委員会に野鳥の会の方がいて、「フクロウが静かだよ」と教えられた。夜行性なので静かに獲物を捕まえなければいけないというわけですが、フクロウの羽は前にぎざぎざが付いているんですね。
 上預 フクロウの飛ぶ速さと新幹線の500系の速さは全然違う。速さが違うのにぎざぎぎが役に立つのが、興味深いですね。
 岩本 おっしゃる通り、その話は出ました。速さが違うから当てはまらないのでは。ただ、空力的な流れの中でボルテックス・ジェネレーターが役に立つことはあります。形状を変えれば300`でも役に立つ。
 上田 原理は役に立つということですね。
 岩本 原理は役立つが、そのままの形状では使えない。横のぎざぎざは何種類も作り、長さも高さもピッチも変え、一番いいところを求めました。大きすぎると抵抗を受け、300`になると、支柱がもたない。最終的にたどりついたのが三角形です。フクロウも三角形なんです。
 上田 三角形を三角形状に置いているんですね。フクロウの羽のぎざぎざとはだいぶ違う。だから原理は一緒だけれど、それを実現したときは元のものとはかけ離れている。
 岩本 パンタグラフは空気中で高速で走りながら上の電線から集電しているわけですから、安定でなければならない。そのための一番いい形は四角柱で、ずっと採用されてきました。四角柱はどの方向から風が当たっても揚力が変わらず、風を吹かしても振れない。逆に大きな渦を出し、音を出すのが難点なんです。
 空力騒音は速度の6乗に比例します。レールと車輪の音は最初は大きいが、300`を超えると、ほとんど空力騒音、空気を切る音です。1b間隔で20個マイクを置き、音を取ってコンピューター処理すると音源がわかる。実際、パンタグラフでピーツと鳴る。超指向性マイクなどで細かく角度を変えて調べ、風洞実験をした結果、一番上の集電部分だと分かった。それで出てきたのが翼型パンタグラフ。すると今度は空気中で安定という四角柱のいい機能が失われる。
 上田 四角がよかったのに、変えるとその辺に問題が出てくるのですね。
 岩本 安定でないとどうなるか。トンネルに入ると、風がバーッと後ろに抜ける。空気の流れに突入すると、翼型パンタグラフに揚力がついて上がったり下がったりする。そこで、真ん中を凹まして角柱に戻している。もっと静かなものができるでしょうが、第一世代ということです。
・バイオミティックスの展望
 −岩本さんの話を聞かれて上田先生、いかがでしょうか。
 上田 今のお話は目的があって目的に対して何をどう使うかですね。いろんなシミュレーションをして角柱から楕円になったりするわけですが、ぎざぎざを付けるのは、そういう思考の延長からは出てこない。いつも頭をやわらかくしていなければならない。その辺にバイオミメティックス的なものが必要だと考えているんです。若いときからそういうものを見る目があると、フレキシブルに「ひょつとしたらあれかも」といった発想ができると思う。
 私自身は造船工学を出てアメリカで土木をやり、溶接研究所で溶接もやった。大きな構造物を作るところから、つぶす所までやったわけです。コンクリートは圧縮には耐えられるが、引っ張りにはもたないとか、鉄では考えられないような現象を経験しているものですから、フレキシブルに考えられるようになった。若いときにいろんなことをやっておくと多様性を認識しながら取り組める。
 −バイオミメティックスが、どのような方向へ発展するとお考えですか。
 上田 新しい機械工学科を作る相談を受けて考えたのは、機械はますます硬くなっている、硬い材料で硬い物を作っていることです。そこから離れることが大事。その点、生物、生体は精度は悪いが、非常にフレキシビリティーがある。
 今までの機械工学的な視点から生体機能を見てもわからないところは多い。低いエネルギーで大きな運動ができるとか、水中の動物の抵抗。普通の抵抗の概念では、とうていそんなに速く動けない。サメの肌はざらざらで、普通ざらざらだと抵抗が増えるが、ある速さの領域では抵抗が減るらしい。イルカは皮膚にしわがよりながら進む。フクロウのぎざぎざのように抵抗を減らしているのか、抵抗に勝つ推力を肌で作っているのか。このようにバイオミメティックスのテーマはたくさんあるが、どう結びつけるかは難しい。
 −生体をまねればいいわけじゃない?
 上田 模倣でうまく行くとは思わない。生体を研究し本質を見極め、それをいかに役立てるかでしょう。例えばフクロウの原理を流体力学的に解明してみたらフクロウもそれを使っていた。フクロウが環境に合わせて進化してきたんですね。バイオに学ぶという視点から彼らが自然環境の中で獲得してきた能力を見る必要があると思います。
 −どんな学生を迎え入れて教育したいですか。
 上田 今までにない学問分野だと、興味津々で入ってくる学生は大歓迎です。日本中に機械工学科はたくさんあるのにバイオミメティックスを目指すのは、頭がやわらかい証拠。
 学問の狙いは分かっても実際の教育は難しい。一つはいろんなバイオミメティックスの例を見せ、生物と機械の関係を勉強する。もう一つの柱は計算機援用の教育。基礎的な勉強は十分やるが、難しい理論の詳細は飛ばしてシミュレーションで見せる。エンジニアは知識の中でというより実際の経験と実験から積み上げていく方が多い。見て、やって経験する。その中からエンジニアを育てる。難しいことは計算機で数値実験をやりながら、わからせる。
 −岩本さんは上田先生が話された新しい学問に何を期待されますか。
 岩本 今回の経験を通して思うのは自然界に学ぶ点は多いなということです。何かの問題に突き当たったとき、従来の概念を離れて多分野の人に聞いてみるとか、そういう広い視点を持った人は貴重だと思いますね。
 上田 学問の境界がなくなっているわけで、狭い領域でなく、ゼネラルに物が見られ、そこからエキスパートになるのがいい。機械だけでなく応用力学も物理の専門家もという、いろんな人がいるところで新しい扉が開くと思う。
 岩本 よくT字形と言いますね。工学(テクノロジー)のTですが、柱になるものに加え、幅というか、広がりがなければいけないということです。
 上田 これからのテクノロジーは効率と快適さの二つが大事な方向です。少々効率が悪くても使いやすい道具、人間の少しの失敗ならカバーしてくれる機械、多少曲がっても動く機械、そういうファジーな人間に合った機械が将来の形ではないか。人に優しい機械のために、効率を多少犠牲にしても、生物・生体のすばらしい特性を応用する方向に行くと思います。
 −貴重なお話、ありがとうございました。(読売新聞)
3日■八戸−新青森 着工順位早い 整備新幹線で自民幹事長
 自民党の加藤紘一幹事長は2日、整備新幹線について「八戸−新青森間は最も着工順位が早いところになる」と述べた。青森市で開かれた同党青森県連の政経文化セミナーのあいさつでの発言で「着工は財政再建の流れに耐え得るもの」とした上で「採算性やJRの同意などの条件をクリアしたところから着工する。条件のクリアが難しい区間もあり、できるところと、できないところがはっきりする」と話した。(京都新聞)
■北陸線で特急雷鳥脱線 乗客無事、5時間不通に 敦賀のトンネル内
 2日午後3時50分ごろ、福井県敦賀市堂のJR北陸線、第2衣掛トンネル(長さ約1400b)内の出口付近で、新潟発大阪行きの特急雷鳥34号(9両編成)の9両目が脱線した。乗客約500人にけがはなかったが、事故後約3時間半、列車内で待たされた。
 JR西日本金沢支社によると、車両に4本ある車軸のうち、後ろから2本目が折れ脱線した。また現場から手前約3`にわたってまくら木約4200本が損傷していることも分かり、同支社では事故との関連や事故原因を調べている。
 同支社は、故障車両を3日午前にも撤去する方針で、損傷のひどいまくら木を交換してから通常の運行に戻す予定という。
 事故があった北陸線上り線の敦賀−新疋田間が、下り線を使った交互運行を始めるまでの約5時間、運転ができなくなり、2日午後10時までに特急雷鳥40号など計28本が運休した。
 脱線した9両目に乗っていた乗客は8両目に移り、脱線車両だけを現場に残して新疋田駅まで輸送。同駅からは代行バスと臨時列車を乗り継いで大阪方面に向かった。
・大阪駅に列車ホテル
 JR西日本は2日、福井県敦賀市の北陸線トンネル内での特急雷鳥脱線事故で、北陸方面から大阪駅に到着する列車が大幅に遅れたため、同駅に到着する青森発特急白鳥(9両編成)を列車ホテルにすることを決めた。
・最高6時間の遅れ 京都駅、臨時列車も
 事故の影響で、京都駅では、大阪行き特急「雷鳥38号」が約6時間遅れて到着したほか、同「スーパー雷鳥サンタバード36号」など特急2本に5−4時間の遅れが出て、スキー客ら乗客の足が乱れた。
 JR西日本は終電後、京都発大阪行きの快速、普通各1本と野洲行き普通2本の計4本の臨時列車を運行する。(京都新聞)
■整備新幹線全線着工 自民幹事長「難しい」
 自民党の加藤鉱一幹事長は2日の青森市内でのあいさつで、整備新幹線の未着工区間建設問題について、「かなり難しく、よっぽどでなければ、と思うところもある。できるところとできないところがはっきりする」と述べ、全線着工は難しいとの認識を示した。(朝日新聞)
■トンネルで「雷鳥」脱線 500人、3時間缶詰 敦賀、けが人なし
 2日午後3時50分ごろ、福井県敦賀市堂のJR北陸線敦賀−新疋田間にある第2衣掛トンネル(延長1340b内で、新潟発大阪行きの上り特急「雷鳥34号」(9両編成)の最後尾の9両目が脱線し、列車が緊急停止した。9両目にいた乗客7、80人は8両目に乗り移り、9両目を切り離して約3`離れた新疋田駅まで運転した。乗客計約500人にけがはなかったが、ほぼ満席で、約3時間半にわたって列車内に閉じ込められた。3`前、車軸が破損 第2衣掛トンネルは敦賀駅と新疋田駅のほぼ中間にあり、高低差のために上り線だけが全国でも珍しいループ状になっている。列車は1両目の先頭部分がトンネルから顔を出した状懸で止まった。
 JR西日本の調べでは、9両目の4つある車軸のうち、前から3つ目が折損個所。現場の作業員の話では、左側の車軸の軸受け部分が過熱して折れたという。また、9両目と8両目をつなぐブレーキホースが切れており、このため非常ブレーキがかかったらしい。特急が停車した現場の手前約3`から、まくら木計4200本の相当数が損傷しており、同社は3`ほど手前で車軸が折れ、トンネル内のカーブで脱線したと見ている。
 走行中に9両目の車軸部分が破損したらしい。JR西日本金沢支社では「極めて珍しいケース」といい、原因を調べている。
 この事故で、上り線は敦賀−新疋田間で運転を見合わせ、金沢発大阪行きの特急「雷鳥40号」など計28本が運転を取りやめたのをはじめ、後続の列車のダイヤが大幅に乱れた。
 「雷鳥34号」の乗客は新疋田駅からバス10台で湖西線の滋賀・近江塩津駅へ。臨時列車に乗り換えて午後10時15分に約250人が大阪駅に着いたが、疲れた表情で精算の窓口に列を作り、払い戻しを受けていた。
 JRは午後9時10分から、運行可能な下り線を使って上下の交互運行を始めた。損傷したまくら木などの交換作業には時間がかかりそうという。
 9両目に乗っていた奈良県吉野郡大淀町、会社員佐々岡敏秀さん(47)は「がたがたという音をたててから2`ほど走ったと思う。網棚の荷物が落ち始めたので脱線だと分かった。一部の乗客は前の車両に逃げようとしてパニックになりかけた」と話した。
 6両目に乗っていた福井市内の会社員朝日靖幸さん(20)と安代さん(20)は「携帯電話もトンネル内で通じず、困った」と話した。
 また、大阪へ帰るという会社員(21)は「2、30分して車内アナウンスで脱線したと聞いたが、もっと早くに知らせてほしかった」と話した。(朝日新聞)
■北陸線事故 特急25本運休 脱線車両の撤去完了
 福井県敦賀市のJR北陸線トンネル内の上り線で2日発生した特急脱線事故で、JR西日本は3日午前、脱線した9号車をトンネル内から撤去。事故で損傷したまくら木約4000本のうち、傷みのひどい約1500本の交換作業を進めている。復旧は同日午後3時ごろになる見通しで、試験車両を運転して異常がなければ運転を再開する。
 JR西日本金沢支社によると、事故の影響で同日午前中の大阪、名古屋、米原発着の特急25本と、敦賀−近江塩津間の普通列車16本が運休した。現在、損傷していない下り線を使い単線運行しているが、上下線ともに30−40分の遅れとなっている。(京都新聞 夕刊)
■車軸折れた「雷鳥」 軸受け部が過熱か 昨年5月の検査通過 北陸線多い「老朽車両」 JR「問題なし」
 福井県敦賀市のJR北陸線敦賀−新疋田間にある第2衣掛トンネル内で2日午後、新潟発大阪行き特急「雷鳥34号」が脱線した事故で、JR西日本は3日、最後尾の9両目の4つの車軸の1本が軸受け部分で折れて脱線したことを明らかにした。現場では徹夜で復旧作業が続けられ、同日午前10時すぎ、事故を起こした車両の搬出を終えた。しかし、約3`にわたってまくら木が損傷しているため、事故のあった上り線は不通のままで、下り線を使った交互運転が続き、運休の列車が出るなどダイヤが乱れた。
 同支社によると、破損した車軸部は、9両目の車両を支えている4つの車軸のうち、前から3番目の左端部分。直径12−19aあり、車輪をとめる軸受けと車輪の間の部分が完全に折れていた。
 これまでの調べで、軸受け部が過熱し、この部分の車軸が高温になって強度が弱まって折れたとの見方が強まっている。JR西日本は折れた車軸の先端と軸受け部を取りはずして原因をさらに詳しく調べる。
 雷鳥34号が停車した現場の手前約3`にわたってまくら木が破損しており、交換が必要なのは約1500本あった。同支社では、折損した車輪がレールの外側にずれ、まくら木の犬くぎやコンクリートまくら木の留め金具を壊しながら走ったとみている。
 また、復旧作業は、脱線した車輪を車体の台車に溶接して固定。その下に仮の台車を敷き、ディーゼル機関車でトンネル内から移動させる方法をとり、トンネル内から引き出して午前11時、新疋田駅に運びこんだ。
 同支社によると、これまでに車軸が折れた事故としては、1988年10月、群馬県勢多郡赤城村宮田のJR上超線渋川−敷島駅間で、貨物列車の車軸が折れて脱線。下り貨物列車と衝突した事故があるという。
 脱線事故を起こした特急「雷鳥34号」は、485系と呼ばれる車両で、JR東日本の所有。1968年(昭和43年)5月に製造された。94年12月に解体検査(全般検査)され、昨年5月に重要部分の検査(要部検査)を通過していた。破損した車軸は要部検査で点検、検査されたが、製造以来、交換されていなかった。
 JR西日本によると、同社が所有する在来線の特急には昭和40年代製造の車両が北陸線を中心に470両ある。うち最も古いのは、同線を走る急行「きたぐに」やスキー列車「シュプール号」などに使われている583系。「雷鳥」の485系や同じ北陸線の持急「白山」に使われている489系、福知山線の特急「北近畿」に使われている183系も製造から約30年過ぎている。同社は、95年4月に北陸線に新型特急「サンダーバード」(681系)を導入したが、まだ66両しかない。
 同社によると、特急車両の交換の目安は30−40年。6年ごとに全般検査をし、3年または40万`走行ごとに要部検査を実施し、部品の交換などを続けており、製造後、30−40年では車両の強度に問題はないはず、という。
・特急25本運休
 特急「雷鳥」の脱線事故の影響で、同線敦賀−新疋田間の上り線は復旧作業のため、3日午後まで不通になった。
 同線を走る特急はこの間で下り線を使った交互運転となり、25本が運休の予定。敦賀−近江塩津間の普通列車は16本が運転を取りやめ、バスで代行運転した。(朝日新聞 夕刊)
4日■JR山陰線二条−花園間 複線化に着工 新年度から円町駅も
 京都市内のJR山陰線の二条−花園駅間(約2.1`)の複線化工事と、同区間に新設する円町駅(仮称・中京区西ノ京円町)が、2000年度開業を目指し、新年度に着工されることになった。桝本頼兼市長が3日の記者会見で発表した。
 山陰線二条−花園間の複線化は、市の都市計画事業である連続立体交差化事業の一環。1期工事としてすでに単線の高架橋(高さ8−9b)が完成し昨年から列車運行しており、複線化はその2期工事となる。
 工事は、同区間のうち円町駅構内を除く約1.5`に、既存高架橋の北側にもう1線分増設する。総事業費は約53億円で、市は97年度当初予算案に5億3000万円を計上する。市によると「総事業費のうちJR西日本が半額以上、市が残りを負担することで現在、調整を続けている」という。
 1日約8000人の乗降客が見込まれる円町駅は、地元に設置の要望が強く、80年に市議会で請願が採択された。高架橋の上に8両対応の島式ホーム(全長165b)を設けることにしており、新年度予算案に9000万円を盛り込む。総事業費29億円で、市では「府の財政支援、JR西日本の負担について協議中」としている。
 山陰線京都−園部駅間(34.2`)の複線化は、79年に国の認可が下り、89年に嵯峨嵐山−馬堀駅間(7.8`)が複線化されている。(京都新聞)
■京都市 新年度予算1.9%減に 一般会計 総額7010億円規模 市長が見通し 実質0.5%増に
 京都市の桝本頼兼市長は3日の記者会見で、1997年度の一般会計当初予算案について「前年度比マイナス1.9%減の総額約7010億円になる」との見通しを明らかにした。マイナス予算は財政再建団体に転落していた58年度以来、39年ぶり。しかし、地下鉄東西線の完成に伴う京都高速鉄道(第三セクター)への貸付金などが大幅に減少することから、支援分を除く実質的な伸びは0.5%増を見込んでいる。市の本年度一般会計当初予算は、昨年2月に市長選があったため骨格予算となり、7月補正で肉付けし、約7146億円とした。
 桝本市長は会見で、新年度予算案の規模が同肉付け予算に比べ約1.9%、136億円の減になるとした。しかし、今年11月に開業する地下鉄東西線の御陵−三条京阪区間を建設している市出資の第三セクター・京都高速鉄道への財政支援が、本年度の約222億円から約56億円に圧縮することなどから「実質的な予算案規模は0.5%、約31億円増加する」と述べた。
 歳入のうち、一般財源では市税を99億円増の約2668億円、地方交付税を100億円増の約933億円などと見込む一方、財源確保のため貯金である基金から約87億円を取り崩すとした。
 歳出では、昨年11月に示した市政指針の「もっと元気に・京都アクションプラン」(99年度まで)を「着実に前進させる」とし、新年度の主な事業として▽24時間対応の巡回型ホームヘルパーサービスの実施▽旧明倫小跡地に建設するアートセンターの基本設計▽京都・大学センターとの共同事業による社会人向け生涯学習講座「シティカレッジ」(約80講座)の開設▽ペットボトルの分別回収実施▽ベンチャー創業への融資制度新設−などを挙げた。(京都新聞)
■汐留駅跡地 わずか3723億円 旧国鉄債務処理、難航へ 電通などが3街区落札
 国鉄清算事業団は3日、旧国鉄の汐留貨物駅跡地(東京都港区)の19.4fのうち、銀座寄りの3街区計約5.3fの入札を行い、電通など3つの企業連合が計3723億円で落札した。落札者の中には、大型物件としては初めてシンガポールに本社を置くアジア企業も入った。
 汐留はまとまった面積を持つ都内最後の一等地で、今回の売却価格の単純平均は1平方b当たり700万円。運輸省は「おおむね予想通りの価格帯」としているが、3街区は2兆円ともいわれたバブル経済時代の価格に比べると、資産価値が大幅に目減りしていることが浮き彫りになった。
 売却収入は、28兆円に上る旧国鉄長期債務の返済に使われるが、今後本格化する大型物件の売却が順調に進んでも最終的な債務処理には国民負担が重くのしかかりそうだ。
 入札には11の企業連合が参加した。落札者はA街区の約1.7fが電通、B街区の約2.0fが三井不動産、松下電工、アルダニー・インベストメンツの連合、C街区の約1.6fが日本テレビ放送網。アルダニー社はシンガポール政府が出資している不動産投資会社と、香港の民間不動産投資会社が昨年設立したビル賃貸会社。
 各社の計画によると、25−47階建ての高層ビルが合計6棟建設され、本社をはじめとするオフィス、ホテル、商業施設が置かれる。1998年度末までに都市計画が決定、5−6年後に完成する見通し。 事業団は87年の国鉄分割・民営化に伴い約8800fの旧国鉄用地を継承。これまでに約5800fを約4兆6000億円で売却してきた。
 89年の閣議決定で「97年度までに実質的な土地処分を終える」とされた経緯から今回の入札を皮切りに96、97年度中に汐留、品川、旧国鉄本社ビルを含む東京駅周辺など大型物件の売却を行う。しかし、JR株などを合わせても資産価値は7兆円程度と見込まれており、最終的に国が処分することになっている残りの旧国鉄債務残高は元本だけで20兆円を超えるとみられている。
・国民負担増大の恐れ
 解説 汐留貨物駅跡地を皮切りに都心の大型不動産物件の入札が始まったことで、国鉄清算事業団による旧国鉄の資産売却、長期債務処理はいよいよ最終段階に突入する。
 しかし、予想されていたとはいえ、今回の汐留の落札額がバブル期に堆定されていた価格を大きく下回ったことは、今後の債務処理にとって大きな重荷になる。売却額が小さいほど、政府が最終的に処理する「国民負担分」が大きくなるからだ。
 政府は昨年暮れ、28兆円に上る長期債務の抜本処理策を今年中にまとめ、1998年度から着手することを閣議決定した。増税など大きな政治問題をはらむため87年の国鉄分割・民営化以来事実上先送りされてきたが、旧国鉄資産の売却が今年でおおむね終わり、国民負担分が確定する。背水の陣で臨まざるをえない。
 運輸省関係者は「最近公示地価を上回る土地売買がようやく都内で出てきたところだった」と汐留を「底値」で売らざるをえなかったタイミングの悪さを嘆く。株式市場も年初から低迷、10月に予定されているJR東海株上場に対する悪影響も懸念されているが、市況の回復を待つ余裕はない。だが、それも対策を後手後手にしてきた結末といえる。政府、与党が20兆円を超す国民負担分の財源として歳出削減努力を惜しみ、安易に増税や赤字国債発行など国民にツケを回す手段を選べば、大きな反発を招くことになろう。(京都新聞)
■汐留跡は3700億円 旧国鉄債務減、焼け石に水 電通など落札
 東京・汐留の旧国鉄貨物駅跡地の入札が3日、11社・グループが参加して行われ、計3723億円で落札された。国鉄清算事業団が旧国鉄から引き継いだ最高額物件の売り出しだったが、3月末には28兆円を超えるとみられる旧国鉄の長期債務減らしには、焼け石に水だ。
 今回売り出されたのは、跡地10fのうち、北側の5.3f。3つの街区に分けて入札した。浜離宮に近いA街区は電通、銀座に近いB街区は三井不動産、松下電工、アルダニー・インベストメンツ(本社・シンガポール)のグループ、C街区は日本テレビ放送網がそれぞれ落札した。
 清算事業団は落札総額以外は公表しなかったが、入札参加企業によると、A街区は3.3平方b当たり2550万円、B街区は2300万円、C街区は2132万円で落札されたという。
 3つの街区で計6棟の高層ビルが建設される予定。電通と日本テレビは本社ビル、松下電工は東京本社ビルを建てる。三井不動産とアルダニー社は貸しビルとホテルの建設を計画している。(朝日新聞)
■電車遅れ800人影響 JR嵯峨野線 連結トラブル
 4日午前7時20分ごろ、京都府船井郡園部町のJR嵯峨野線園部駅で、胡麻発京都行上り電車(4両編成)と同駅で待機中の別の車両(4両編成)の連結作業を行ったところ、運転士が、運転台のスイッチが連結完了を表示していないのに気づき、作業を一たん停止。点検後、車両を連結し直し運転を再開した。
 このトラブルで、同電車が約1時間遅れて同駅を出発したほか、後続の電車計4本が15分から4分遅れ、乗客約800人に影響が出た。JR西日本が原因を調べている。(京都新聞 夕刊)
■脱線直前「異常音」「雷鳥」に連絡なく
 福井県敦賀市のJR北陸線敦賀−新疋田間にある第2衣掛トンネル内で脱線した新潟発大阪行き特急「雷鳥34号」が敦賀駅を出発した際、車両の異常音に駅員が気付いていたことが3日、JR西日本の調べでわかった。折れた車軸からの音とみられるが、列車の乗務員に連絡されず、被害を大きくした疑いがある。
 JR西日本によると、雷鳥34号が敦賀駅を出発した際、最後尾の9両目付近からギーギーと音がしているのに気付いた駅員が、同社金沢支社(金沢市)の輸送指令に連絡した。輸送指令は同列車を止めるよう新疋田駅に指示しただけで、列車の乗務員には伝わらなかったという。
 敦賀駅の信号担当社員も出発時に異常音に気付いたが、新疋田駅に連絡しただけだった。
 また同社施設部によると、敦賀駅から約30`金沢寄りの踏切板に傷が発見されており、同駅到着のかなり前から車軸が折れていたことが考えられるという。(朝日新聞)
5日■京都駅 きょう開業120年 新たなる出発 新駅ビル完成も間近
・生まれ変わる京都駅〜京都駅の「戦後」が終わった〜武庫川女子大学教授 森谷尅久
 京都駅開業120年、この歴史はまさしく日本と京都の近代化の歩みそのものを示すものである。この間、駅舎は3代にわたり、いまようやく4代目の雄々しい新生を目前にしている。
 明治10年(1877)に建てられた駅舎については、残された錦絵や古写真によってしかその雄姿を偲ぶしかないが、大正3年(1914)8月に完工した駅舎は、当時の『京都日出新聞』が伝えるところによれば、「宏壮目を驚かす」巨大建築物であった。事実、この木曽桧材で建てられた駅舎は、麗姿という言葉がふさわしい機能実にあふれた、日本一の規模を誇るものだった。
 わたし自身の思い出も懐かしい、昭和16年(1941)はじめて「省線(国電)」で神戸に行った時の興奮は、この2代目京都駅を抜きにしてはありえなかった。しかし、戦後の京都駅はもう一変していた。立派な体格の「進駐軍」の軍人が「RTO(占領軍の鉄道運輸事務所)」と書かれた玄関口を多数往来し、一方カーキ色の兵隊服を着た日本人が買い出しのリュックサックをかついで、それこそ押し合い、へし合いの状況で駅前広場に群がっていた。兵隊帽をかぶった少年のわたしもその群れのなかにいた。
 雑踏という言葉があるが、戦後の京都駅玄関は恥も外聞も忘れてその雑踏のなかにあった。ある時はソ連からの帰還兵のすざまじいデモ行進を見たし、またある時は、闇米一斉取練りの列車の「ブッチャゲ」を見た。生きるための喧騒さが京都駅そのものであった。そうした京都駅がやや静まりを見せはじめた矢先、昭和25年(1950)11月、炎上した。その焼け跡を遠くから眺める多くの野次馬の間に、わたしもいた。
 乏しい資材・資金のなかから再建された京都駅は、少年の目にも市民の目にも明らかに落胆の色があった、「なんやこんなんか」「またつくり直さはるやろ」。それから数十年間、3代目京都駅はそのままであった。「あれでは観光京都の玄関といえまへんなあ」「地方駅並み、おまけに駅名も書いたらへん」「新幹線できたのにどうなってんねん」。京雀たちは悪態のかぎりを尽くしてのろっていた。
 平安建都1200年、この記念事業のなかに京都駅改築が指定された。わたしはこの時の感慨を覚えている。やっとこれで京都駅の戦後は終わる、と。
・21世紀にふさわしい京の顔 京都府知事 荒巻 禎一
 このたび、京都駅が開業120周年を迎え、京都府知事として心からお祝いを申し上げます。
 京都駅は、明治10年に初代の駅舎が開設されて以来、明治・大正・昭和・平成の各時代において、府民の暮らしや京都の歴史を支えて続けてまいりました。
 現在、JR西日本をはじめ多くの方々のご尽力により、「平安建都1200年記念事業」のひとつとして、京都駅の改築が進められ、いよいよ本年夏にはこの壮大な事業が完成を迎えますとともに、全国高等学校総合体育大会や地球温暖化防止京都会議(COP3)等に国内外から集う多くの方々を「新京都駅」で迎えることができ、おおきな喜びと感激を覚えるものでございます。
 この「新京都駅」は、交通ネットワークの拠点としては勿論のこと、京都と全国や海外とを結ぶ活発な交流拠点、新しい文化の創造・発信基地として、大きな役割を果たすものと期待されており、21世紀にふさわしい京都の顔として、ますます親しまれ、発展されますよう心からお祈り申し上げます。
・新たな発展の歴史を開く門 京都市長 桝本 頼兼
 京都駅の開業120周年を、心よりお祝い申し上げます。
 京都駅の開業は、西南戦争のあった明治10年。以来、3代のそれぞれ趣のある駅舎が、観光都市京都の表玄関として人々の訪れと旅立ちを見守ってきました。折しも開業120周年のこの年、世界文化自由都市・京都の21世紀、新たな発展の歴史を開く門として4代目の新京都駅が誕生しようとしています。
 今年は8月に全国高等学校総合体育大会、12月には地球温暖化防止京都会議(COP3京都)等の開催が予定されており、国内外の多くの人々を新しい駅舎でお迎えできることは誠に喜ばしいことであります。
 本市では駅舎改築に併せ、駅南北をつなぐ新たな歩行者空間の整備や京都にふさわしい駅前広場整備の取組など、駅周辺地区を含め、京都に新たな活力をもたらす重要な拠点として各種の事業を進めています。
 新京都駅が世界に向け、京都情報の発信と人々の交流拠点として、今後、益々大きな役割を果たされていくことを心から期待しております。
・21世紀に翔る京都駅ビルへどうぞ 西日本旅客鉄道 京都駅長 藤井二夫
 明治、大正、昭和、平成と、その時々の世相を映し出会いを重ねて、お蔭さまで京都駅が 120周年。時あたかも建都1200年記念事業の一つとして今秋オープンする新京都駅ビル、更には新生JRも10年と記念すべき喜びが重なった2月5日を迎えることができました。
 現在は、大工事中でありますので120周年としての大々的な取組は控えつつも、私たち京都駅社員は、長い間のご愛顧に少しでも感謝の意を表そうと新駅ビル開業準備の傍ら、平成8年度を「京都駅開業120周年」と位置づけ、各界のご協力を碩きながら各種イベントや記念旅行を企画して参りました。今、私たちの前には国際観光文化都市の玄関口として相応しい第4代目新京都駅ビルが雄姿を出現させつつあります。
 「文化の香りと躍動する街のメディアとしての駅」のコンセプトのもとに、駅ビル内を通る南北自由通路には駅機能を備えるとともに、ホテル、デパート、専門店のほか1000席のメインホールを擁する文化施設「シアター1200」や駐車場を併せ持つ複合ビル。ホテルとデパートに挟まれた大空間には50bの高さの大アトリウム、訪れる人々が気ままに歩き、佇める楽しさに満ちたコミュニティープラザや空中径路など、これまでの駅のイメージを一新した情報と文化の発信拠点…出来上がりを想像するだけでも胸がトキメキます。
 古都のロマンと超近代的な夢が広がる京都へのお越しを心からお待ちいたしております。
・国内最大規模の複合機能 古都に映える”玄関口”
 京都駅が今、新世紀に向かって大きく生まれ変わろうとしている。
 その京都駅が2月5日のきょう、開業120年を迎える。1877年に開業して明治、大正、昭和、平成にわたり駅舎3代が府市民の生活を支え、内外から多数の客人たちを迎え入れ、京都の玄関口として親しまれてきた。そして、この記念すべき年にふさわしく、4代目の駅舎「新京都駅ビル」が今秋いよいよ完成。国内最大規模のJR駅になるとともに多様な機能をあわせもつ複合施設であり、その誕生は、国際文化観光都市・京都の”新しい顔”として大いに期待されている。はたしてどんな駅ビルができるのか。開業記念を機会に京都駅の120年を振り返るとともに、新しくなる京都駅ビルを紹介しよう。
 1877年2月開業 初代京都駅は、1877(明治10)年2月5日に開業。赤レンガ造り2階建ての洋風建築は、文明開化の時代を象徴し、地名からとって市民たちは”七条ステンショ”と呼んでいたという。開業当時は神戸まで1日6往復。乗降客は1日100人程度で、そのほとんどが貴族、上級軍人、財閥関係者。線路は上りと下り、貨物の3線しかなく、英国製炭水車付き機関車がひく列車が活躍していた。
 その後、利用者が次第に増えて手狭になり、京都で大正天皇即位の御大典が行われることから、1914(大正3)年8月15日、現在地に華麗な2代目駅舎が建て替えらている。ルネサンス様式の外観と内部の豪華さは、国鉄駅舎の中でも群を抜き、京都のシンボルとして親しまれた。
・二代目全焼し3代目
 ところが、1950(昭和25)年11月18日に火災で全焼。3代目が1952(同27)年5月27日に建てられた。当時としては直線を強調した思い切ったデザインだとされ、今回の4代目誕生までの長い間、京都の玄関口としての役目を果たした。
 もちろん、建物ばかりでなく、鉄道路線や環境などの側面も大きく変わった。ことに、1964(同39)年の東海道新幹線の開通、1987(同62)年の国鉄民営化・JR発足は、京都駅にも大きな変革をもたらし、現在では、1日1350本の列車が発着、30万人が乗降し、主要駅としての地位を不動のものにしている。
京都駅120年の歩み
明治12新橋−横浜間にわが国初めて鉄道が開通
   大阪−神戸間が開通
   下京区大宮塩小路付近に京都仮駅舎。京都−大阪間の仮営業始まる
 10初代京都駅が現在地の北約140bに完成。明治天皇を迎えて盛大な開業式を行う
 13  逢坂山トンネル工事が完成し、京都−大津間が全通
 22  東海道線が全通
 28  京都市電が東洞院塩小路−伏見下油掛で開業
 29  新橋−神戸間に初の急行列車を運転。所要時間17時間20分
 3011  山陰線の前身・京都鉄道が京都嵯峨間で開業。2年後に京都−園部間が全通
 39  鉄道国有法公布
 40  京都鉄道、国有となる
  10  関西線、奈良線、片町線の前身・関西鉄道も国有化
 45  京都−出雲市間が全通、山陰線となる
大正152代目駅舎が現在地に完成。皇居の覧所、京都御所に劣らない天皇のご休憩所を設けた
 10  東山、逢坂山両トンネルが開通し て京都−大津間の新線工事が完成
 12  京都駅南口を開設
昭和10  特急つばめ号、東京−神戸間の運転開始。所要時間9時間
 呉海兵団入団輸送列車の見送り人が跨線橋を降りようとして転落。死者77人、重軽傷者157人
 2511182代目駅舎が失火で全焼
 2727総工費4億240万円をかけて3代目駅舎が完成。規模は2代目の7倍、初代駅の12倍
   10  京都駅観光デパート開業
 3910  新幹線東京−新大阪間の営業開始
 40  「みどりの窓口」開設
 4311  自動券売機コーナー新設
 44  旅行センター営業開始
 49  湖西線が開業
 50  新幹線、博多まで延長開業
 51  京都−二条間の高架化完成
 5511  駅前地下街「ポルタ」開業
 56  京都市営地下鉄が営業開始
 60  駅直営「ダイヤショップ」開店
     京都駅改築協議会が発足。建都1200年事業の一つとして、京都駅を京都の玄関口にふさわしいものにすることを目ざす
 61  烏丸口に駅舎炎上以来36年ぶりに「京都駅」の看板復活
 62  京都駅開業110年記念イベント
     国鉄分割・民営化してJRグループ(6旅客鉄道会社など11の民間会社・法人)がスタート
 63  東海道本線の大阪−京都間の愛称はJR京都線、京都−米原間は琵琶湖線、山陰本線の京都−園部間は嵯峨野線に
平成  近畿圏の大都市鉄道網「アーバンネットワーク」確立へ
     京都駅改築協議会の決定に基づいて「京都駅開発準備」設立
   嵯峨野線・京都−園部間が電化
   10  「京都駅ビル開発 」が設立、改築事業がスタート
   東海道・山陽新幹線が30億人達成
     京都駅改築設計コンペで原廣司氏の設計が最優秀作品に
 12  京都市が京都駅関連の特定街区など都市計画決定3件を告知
   東海道・山陽新幹線に「のぞみ」登場
   10  駅改築に伴い仮駅舎開業
   12  新京都駅ビル改築着工
   JR西日本管内全駅で終日禁煙を実施
     関空特急「はるか」が登場 京都CATがオープン
   10  東海道新幹線が開業30周年
 17阪神大震災で京都駅発着のJR線が一時運休、その後に運転再開 新幹線も区間運休
     山陽新幹線が震災から81日ぶりに全面開通
   次世代新幹線車両の初の時速300`テスト
     京都駅ビル(仮称)上棟式
 京都駅開業120年
・活性・国際化促す拠点 地上16階 地下3階 デザイン超近代的 建都1200年事業
 4代目となるのが、今建設中の駅ビル。平安建部1200年記念事業に指定され、京都の活性化と国際化を促進する新しい拠点として、京都市、京都府、京都商工会議所、JR西日本などが計画を進めてきた。
 ライトグレーの外観は、金属パネルとガラスの超近代的なデザイン。鉄筋コンクリート造で地上16階地下3階建ての新駅ビルは、高さ59.8b、東西の長さ470b、南北の最大幅80bもあり、延べ床面積は約24万平方b。3代目の駅舎が高さ31b、延べ床面積が2万4500平方bだったことからおおよそ高さで倍、規模で10倍の巨大ビルとなる。
・六つの顔の複合施設
 駅ビルの建物設置者は、JR西日本と京都駅ビル開発の2社。その概要は、駅機能に加えて5つの機能をあわせ持ち、交通ネットワークの拠点だけでなく、多くの人々が集って楽しめる複合施設となっている。中央コンコースを中心に、その東側にホテル施設と文化施設、西側に複合商業施設と駐車場。それらの施設を広場と通路が連絡する。
・列車増強、便利さ充実 生活圏、関空ルート直結 輸送体制の一大拠点
 京都駅では現在、JRの東海道本線と山陰本線、湖西線、奈良線、そして東海道・山陽新幹線の列車が発着し、私鉄の近鉄京都線が乗り入れている。
 JR西日本では、国内最大規模の新駅ビルの完成にあわせて、各線の列車増強や新車両開発、サービスの充実など、本格的な都市型輸送サービス網「アーバンネットワーク」を構築。新京都駅を輸送体制の一大拠点の一つとし、輸送力の拡大を図っていく。
 なかでも、京都と関西国際空港を直結する関空特急「はるか」は重要。アーバンネットワークによって75分で関空に到着し、新京都駅は、国際化が進むなか、北陸や山陰方面の生活圏も含めた起点として需要が多くなってくる。
 また、新幹線は、現在241本が発着。JRでは「グランドひかり」でスピードアップ、「のぞみ」の東京・博多間の延長運転も行った。近く世界最高時速300`めざす次世代新幹線車両「500系」も登場し、新京都駅ビルはビジネスや観光の人たちで溢れる。
・人・モノ・情報も活発に 京都の活性化に期待
 そうした新京都駅ビルがもたらす効果は、地元京都を活性化していく上で期待が非常に大きい。駅ビルの開業は、今年7月に駅施設が行われ、その後に他の施設もあいつぐ。
 今後は、その複合施設を京都の新しい顔としてどのように生かしていくかが最大のポイント。人やモノ、情報の交流を活発にし、京都が世界の歴史文化都市、先端都市として発信していくことが必要だ。また、新駅ビルは、南北を分断するのではなく、南北交流の接点となり、元気な京都を生み出す街づくりを進めていくことが望まれる。
 京都市では、駅ビルの北・烏丸口と南・八条口の広場の整備を計画しており、烏丸口は景観を配慮して緑と潤いのある空間に、八条口は新しい都市機能を目指す市南部に向けて立体的な施設配置に。その二つの広場は駅の南北自由通路でつながる。また、駅ビルの南部周辺の街づくりも期待され、一帯はまさに新しい都市拠点となる。JR東海の土井浩京都駅長は「お客様の利便性が向上する整備をしていきたい。北口に駅ビルが完成したら南北の自由通路で新幹線側にも人が流れ、駅全体がにぎやかになる」と期待を寄せる。
 平安遷都1100年の1895(明治28)年には、東京遷都で火が消えたようになった京都の産業・経済に活路を見いだそうと日本初の市電を走らせたほか、遷都1100年記念祭を開き、平安神宮の創建、内国勧業博覧会を開催するなど、20世紀に向かう京都の近代化の礎を築いた。
 新京都駅ビルは、奇しくも京都駅開業120年、JR発足10周年の今秋に誕生する。京都のエネルギーを結集してもう一度奮い立たせる起爆剤となりえるか。21世紀に向けて、新しい文化を創造する架け橋となることが期待される。
・京都駅開業120周年 記念イベント
 JR西日本では、平成8年度を「京都駅開業120周年」の年とし、昨年4月からこれまでに数々の記念旅行や記念イベントを行ってきた。2月5日のきょうから行われるイベントを紹介すると−。
〈京都駅開業120周年イルミネーション〉 11日まで、京都駅構内奈良線付近。
〈一日駅長〉 5日、西跨線橋。午前10時に舞妓さんの一日駅長委嘱式。「はるか21号」の車掌さんに花束贈呈、構内巡回も。
〈写真・パネル、子供絵画展〉 11日まで、西跨線橋。午前9時30分から午後5時30分まで展示。
〈義経号の模型展示〉 11日まで、西跨線橋。
〈120周年記念入場券発売〉 1セット(大人2・子供1)300円、5000セット。5日から完売まで。
新京都駅ビル各施設の開業予定
駅 施 設7月中旬以降
シアター12008月
ホテルグランヴィア京都9月11日
ジェイアール京都伊勢丹9月中旬ごろ
ザ・キューブ9月中旬ごろ
〈120周年記念オレカ発売〉 1枚1000円、6000セット。5日から完売まで。
〈オレカプリンター〉 5日、西跨線橋。撮影してあなたのオリジナルオレンジカードを作成。1枚1000円(額面500円)。
〈宇治茶コーナー〉 11日まで、西跨線橋。(京都新聞)
■地下鉄利用して行政通信網設置 横浜市、来年度から実験
 横浜市は4日、下水道や地下鉄に業務連絡用などに敷設されている光ファイバーを利用して、市役所と区役所など出先機関を結ぶ広域情報通信網「情報スーパーハイウェー」の実用化実験を国や企業と協力して1997年度から始めることを決めた。
 下水道と地下鉄の光ファイバーをつないで利用するのは全国でも初めての試み。地下施設の活用で、災害に強い通信手段を低価格で確保するのが狙いという。
 同市によると、横浜市役所と西区役所を市営地下鉄の光ファイバーや市内2ヵ所の下水道ポンプ場のラインと結び、市役所から同市西区のランドマークタワーに設置した監視カメラの映像や各種防災情報などを送信する。
 横浜市は実験結果をみて防災情報のほか各種申請手続きの電子化を進めていきたいとしている。
 現在、横浜市の光ファイバーは下水道18`b、地下鉄33`bで、主にそれぞれの業務連絡などに使用している。(京都新聞)
■核燃輸送列車が脱線 独環境省「放射能漏れなし」 仏東部
 【ボン4日共同】フランス東部のドイツ国境近くの町アパシュで4日午前6時40分(日本時間同午後2時40分)ごろ、使用済み核燃料を積んでドイツ北部からフランス経由で英国に向かっていた貨物列車が脱線した。ドイツ環境省は「放射能漏れは認められず危険はない」と発表、負傷者などもなかった。
 同省によると、事故現場は国境からフランス領内に約500b入った地点で、ドイツ南西部ザール州政府が現場に専門家を派遣、フランス側と事故原因などを調べているが、「今のところテロの可能性はない」としている。
 ドイツ側では事故原因について、線路の一部が破損していたか、線路が貨車の重さに耐え切れず脱線したとの見方が出ている。
 同省は、使用済み核燃料は専用の容器に収められているため、貨車が横転しても放射能漏れなどの心配はないとしている。(京都新聞)
■消費税「転嫁」の春 分野ごとほぼ方針 JR「150・160円+10円」/高速道・酒類も 公衆電話は短縮 自販機据え置きも
 消費税率が4月1日から5%に引き上げられるのを受けて、公共料金やビールやたばこなど、さまざまな消費分野で新しい価格が固まってきた。4日には、JR東日本と西日本が方針を明らかにしたのをはじめ、ビール業界も将来の税率の再引き上げをにらんで、キリンビールが従来の「内税」から「外税」に切り替える新価格を発表した。多くの業界は転嫁を原則にしているが、公共料金でも黒字が出ているはがき、封書は据え置くなど、業界によって対応は分かれている。
 消費税車引き上げに伴う価格変動の見通しを、現在まで固まっている業界ごとにまとめたのが表。
 JR西日本は大阪中心部や京阪神間などの120円の初乗り運賃を据え置く一方、現行の150円、160円区間の運賃をそれぞれ10円ずつ値上げする方針を固めた。2月半ばにも運輸省に申請する。
 このほか、特急料金など一部の料金についても値上げを検討、全体として運賃・料金の改定を適正な幅に抑えると説明している。
 JR本州3社は1989年の消費税導入の際に、初乗りなど低額区間の運賃を据え置き、値上げをしていない。今回はJR東日本が初乗り120円を10円値上げする方針を固めている。
 私鉄や路線バスも転嫁の方向。全体の売り上げが消費税の転嫁分を上回らないように、区間を選んで値上げする。大手の私鉄は導入時に初乗りは据え置いており、運輸省によると、今回も初乗りの値上げはなさそう、という。
消費税率引き上げで予想される価格の変動
郵  便郵便事業が黒字のため、はがき50円、封書80円、小包料金など現行通り据え置き
電  話加入電話は2%分転嫁。公衆電話は10円単位の求ま、通話時間を2%短縮の方針
電気・ガス電気、ガスとも転嫁。3月に使った分が含まれない5月検針分の料金から
高速道路日本道路公団は原則転嫁だが、転嫁幅は2%よりは圧縮する方針
私  鉄全体で転嫁分以上の増収にならないように区間を選んで値上げする
路線バス初乗りや均一区間を上げず、中長距離の値上げで調整する企業が多くなりそう
法人タクシー現行運賃に1.94%をかけ、10円単位で切り捨てて転嫁。加算距離でも調整
個人タクシー非課税業者として、据え置きを運輸省が指導している
国内航空転嫁。3月末までに買えば旧料金で乗れる。距離見直しなどで値下げの路線も
酒  類ビール・洋酒などは希望小売価格を内税方式から外税方式に変更して転嫁
清涼飲料(自販機)一部メーカーが据え置きの方向で検討中
たばこ(JT)118銘柄中、23銘柄を10円値上げし、残りは据え置き。平均値上げ率は1.93%
自 動 車転嫁。人気車種で注文しても登録が4月以降になる場合、消費者は不利益も
銀行手数料現金自動機の時間外手数料(自行分)を103円から105円にするなど転嫁の方針
デパート原則、外税のまま。三越は本体価格のほかに、消費税を含んだ一括価格を表示
NHK受信料転嫁。5円未満の端数は切り捨て。カラー契約(訪問)が月1395円に
 清涼飲料は、スーパーなどでは外税をそのまま転嫁するが、自動販売機は10円以下の端数の引き上げは困難なため、日本ペプシコーラなどが現行の110円を据え置く方向で検討している。ただ、最大手のコカ・コーラグループの出方を待って、結論を出そうとしているメーカーが多い。
 たばこも、日本たばこ産業(JT)は、銘柄をしぼって10円値上げする。
 外税の電気、ガス料金はそのまま転嫁されるが、4月の検針分に3月の使用分が含まれるため、5月の検針分から5%の税率が適用される。
 郵便料金が現行通り据え置きとなるのに対して、電話料金は、NTTの場合、加入電話は4月1日の通話から2%分がそのまま転嫁される。公衆電話は、市内通話で現在1分10円だが、通話時間を2%短縮する方針で、単純計算すると1.2秒短くなる。
 日本道路公団は消費税アップを高速道路料金に転嫁する方針だが、値上げ幅は2%よりはやや圧縮する方針。東京−大阪(吹田)間は、現在の1万450円が、100円−200円程度の値上げになると見られる。
 事業者で対応が分かれそうなのがタクシーだ。法人タクシーは現在の運賃に1.94%をかけて、10円単位で切り捨てる。メーターが上がる距離を短くすることで調整する。東京の場合、初乗り650円(中型)が660円に上がり、加算距離も280bで80円上げていたのを、274bにする。
 個人タクシーは非課税業者として、据え置くよう運輸省が指導している。(朝日新聞)
■JR西日本 150、160円区間 10円値上げへ 消費税アップで 初乗り上げず
 JR西日本は5日、4月の消費税率引き上げに伴う運賃改定で、初乗りの120円を据え置くとともに、150円と160円区間をそれぞれ10円ずつ値上げする方針を明らかにした。
 運輸省が示した平均1.94%の値上げをそのまま適用した場合、運賃が250円以下の区間は10円未満を四捨五入すると現行の運賃に据え置かれる計算になる。しかし、250円以下の区間の収入に対する消費税引き上げ分を賄う必要があるため、乗客数が比較的多い2区間の運賃を値上げすることにした。
 260円以上の区間は運輸省が示した方針に沿って値上げする。
 120円の初乗り運賃を10円値上げするJR東日本とは対照的に、現行のまま据え置くのは「運賃体系全体に対する乗客のイメージ悪化を防ぎ、大手私鉄との競争力を維持する」(JR西日本役員)狙いがある。
 JR西日本は、今月中旬までに現行260円以上の区間の運賃や特急などの料金の具体的値上げ案を運輸省に申請する。(京都新聞 夕刊)
■私鉄総連要求 1万8000円に 97春闘「ストなし」に
 春闘の相場づくりに影響力を持つ私鉄総連(池村良一委員長、18万人)は5日、都内で中央委員会を開き、97春闘の賃上げ要求額を1万8000円(6.2%)とする闘争方針を正式に決定。10日に経営側に要求を提出する。
 交渉では、事前にストライキを構えない「事後対処方式」を採る方針。阪神大震災で関西の私鉄が大きな打撃を受けた95春闘以来、3年連続の「ストなし」交渉となるのは確実で、要求額についても消費者物価が上昇傾向にある中、96春闘より2000円引き下げる異例の対応だ。
 私鉄総連は、大手組合がまとまって経営側に賃上げを迫る中央集団交渉を「私鉄春闘の基軸」と位置づけているが、95春闘では震災の打撃によって崩れ、関東と関西に分かれた分離交渉となった。(京都新聞 夕刊)
■洛中洛外
 ◇…京都市下京区のJR京都駅で5日、開業120周年の記念セレモニーが行われ、上七軒の舞妓、勝悠衣さん(19)が1日駅長を務め、華やかに開業記念日を祝った。
 ◇…同駅は、1877(明治10)年2月5日に赤レンガ造り2階建ての駅舎で開業。大正、昭和、平成の各時代ごとに駅舎が生まれ変わり、建設中の新駅ビルは4代目になる。
 ◇‥・勝悠衣さんは藤井二夫駅長と一緒にテープカット。特急「はるか」のホームで、乗客や車掌に花束を手渡し構内を巡回、キャンデイーなどを配った。同駅は初代から3代目までの駅舎の写真をあしらった記念入場券(3枚セット・300円)も発売している。(京都新聞 夕刊)
■情報に乗り遅れる? 山陽新幹線 電話かかりにくい ニュース速報出ず
 山陽新幹線の車内は、電話がかかりにくく、ニュース速報も見られない−。こんな苦情がJR西日本に寄せられている。列車無線システムが旧式で、電話回線に限りがあるためだ。東海道や東北、上越新幹線はすでに新型の列車無線システム「LCX方式」を導入して、電話回線を大幅に増やし、ニュース速報を流してラジオの受信も可能にしているが、新大阪駅から西に行くとプッツン。新幹線では山陽の車内だけが外部の情報から取り残されており、同社は来年度から新型システムヘの切り替え工事に取りかかる。
 現在、山陽新幹線に使われている列車無線システムは空間波方式と呼ばれるもの。山の山頂などにアンテナを置き、列車と電波で交信している。
 この方式ではアンテナと列車との距離が一定でないため、電波が不安定で、地形によっては電話がかかりにくくなる。また電話回線は160`の区間内で6回線しか使えず、しかも1編成当たり同時に使用できるのは2回線だけ。「のぞみ」は1編成(16両)に8台の公衆電話があるが、そのうち2台が使用中だと残りの6台は使えない。
 ラジオも受信できず、電光掲示板があっても流れるのは停車駅や車内の案内、JR西日本の広告だけ。いわば”情報砂漠”といった状態だ。
 東海道新幹線では、電話回線数は山陽の4倍の24回線で、かかりにくくなるケースはほとんどないという。また、余裕のある回線を利用して、ラジオの電波を送信し、車内で受信できるようにしている。(朝日新聞 夕刊)
6日■整備新幹線5線 採算性見込める 小里氏 慎重派に反論
 行財政改革などに絡んで慎重論が出ている整備新幹線建設問題で、自民党整備新幹線建設促進特別委員会の小里貞利委員長は5日までに「整備5線には相応の採算性が見込まれ、行財政改革に逆行しない」とする反論をまとめた。「マスコミや国民の一部にある誤解を解きたい」と近く反論を公表するとともに、都道府県などに配布する予定だ。
 この中で小里委員長は採算性について「民間シンクタンクの調査で盛岡−札幌間でも開業7年目で786億円の収支が見込まれるなど、路線によっては開業直後から黒字になるよう仕組んである。第二の国鉄になるとの批判は当たらない」としている。
 行財政改革との関係については「(新幹線建設の)公共事業関係費は年間340億円で国の公共事業関係費10兆円の0.3%にすぎず、キロ当たりの工事費は高速道路より格段に安く、投資効果も大きい。整備新幹線が改革に逆行する象徴のように言われることは納得できない」と反論している。
 また「JRの経営や緊縮財政に配慮し、予算化するのは全整備計画区間約1000`のうち約220`に絞り込んだ」と”ばらまき予算”との批判をかわしている。
 このほか小里委員長は、鉄道は大量輸送、安全性、省エネ効果、経済波及効果、環境対策などの点で、他の交通機関より優位にあるなどとして新幹線建設の妥当性を訴えている。(京都新聞)
■大鉄局跡地に応募が3件 国鉄清算事業団
 国鉄清算事業団近畿支社は5日、JR大阪駅北側の旧大鉄局跡地(大阪市北区大深町)の建物提案に3件の応募があったことを明らかにした。今後、提案内容を審査したうえ3月3日に入札を行う予定。
 同地は面積約2.1fの角地。JR大阪駅北口や地下鉄御堂筋線梅田駅のほか阪急電鉄梅田駅もすぐ近くにある超一等地。東京に本社のある大手百貨店などが進出意欲を示しており、売却額を含め入札結果が注目されている。
 同地は1992(平成4)年にJR西日本の本社が北区芝田二丁目の現在地に移転後、更地となった。昨年6月まで敷地の約半分がゴルフドームとなっていたが、業者との契約期限が終了し同事業団が建物提案方式で売却先を募集していた。(京都新聞)
■旧大鉄局跡 3件の応募 清算事業団締め切り
 国鉄清算事業団近畿支社は5日、JR大阪駅北側の旧大阪鉄道管理局(大鉄局)局舎跡地地区(約2.2f)の売却に関して、一般から募集していた土地利用・建物建設の企画案の受け付けを締め切った。建物を建てて購入者に売却する「建物提案方式」を採用しているが、出店の意向を示している三越とパルコを含め3件の提案があった。
 事業団は2月中旬までに企画案の事業内容や建築、資金計画などの審査を終え、3月3日前後に入札を実施する方針。(朝日新聞)
■舞妓さん一日駅長 JR京都駅 開業120周年
 JR京都駅が1877年(明治10年)に開業してから5日でちょうど120年となり、京都・上七軒の舞妓(まいこ)、勝悠衣さんが一日駅長をつとめ、藤井二夫駅長がテープカットをしたり、京都と関西空港を結ぶ特急「はるか」の車掌らに花束を渡したりして120周年を祝った。
 初代京都駅は赤れんが造りの2階建てだったが、2回建て替えられ、現在は52年(昭和27年)にできた駅舎を1日平均約30万人(新幹線を除く)が利用している。今年7月中旬には4代目となる新駅ビルの駅施設部分が開業する予定。
 同駅では、120周年記念行事として、初代駅舎などの写真パネル展や機関車・義経号の模型展示、茶摘み娘による宇治茶のサービスも11日まで続けられる。(朝日新聞)
■片町駅消えても片町線残る JR東西線開業 新駅設置へ
 運輸審議会は6日、JR東西線の開業(3月8日)に合わせ、JR片町線(片町−木津)の片町−京橋間(0.5`)の路線廃止を承認した。JR西日本から廃止の申請が出されていた。近く廃止許可される。路線の廃止にともない、片町駅(大阪市都島区片町)もなくなるが、片町線の名前について同社は「変更しないが、学研都市線という愛称を定着させていく」と話している。
 片町駅はJR西日本管内でも屈指の老舗駅。1895年(明治28年)、民間鉄道「浪速鉄道」(片町−四条畷)の開業と同時に始点駅として建設された。浪速鉄道はその後、民間の「関西鉄道」に買収され、片町−木津間に延伸。1907年(明治40年)に国有化され、片町線となった。
 JR東西線は京橋と尼崎を結ぶ12.3`の新線。片町駅から250b離れたところに地下駅「大阪城北詰駅」が新設される。このため、同審議会は、片町−京橋間はJR東西線による代替輸送が可能と判断し、廃止を承認した。片町駅前の商店街などは新駅に歴史の古い「片町」の名前を残すよう要望している。(朝日新聞 夕刊)
■電車にひかれJR社員死亡 JR線朝霧駅構内
 6日午前9時20分ごろ、兵庫県明石市大磯谷のJR山陽線朝霧駅構内で、播州赤穂発野洲行き快速電車が線路上にいた男性をひいた。男性は即死した。この事故で、上り普通電車など6本が最高13分遅れるなど約1500人の乗客に影響が出た。
 明石署の調べでは、持っていた運転免許証などから神戸市須磨区横尾五丁目、JR西日本社員石井興爾さん(57)と分かった。同社によると、運転士が線路上に横たわっている人影を見つけ、非常ブレーキをかけたが間に合わなかったという。(朝日新聞 夕刊)
7日■新型「のぞみ」同料金
 JR西日本は6日、山陽新幹線に3月22日デビューする新型「のぞみ」(500系)の特急指定料金について、現在の「のぞみ」(300系)と同額で運輸省に申請した。新大阪−博多間は6090円(普通車、通常期)で、来週にも認可される。新型「のぞみ」は現在の「のぞみ」より新大阪−博多間で15分早い。(朝日新聞)
8日■難波駅前の3所有地売却 購入者を募集
 国鉄清算事業団近畿支社は7日、大阪市浪速区のJR関西線難波駅前の所有地2ヵ所を建物提案方式で売却することを決めた。28日午後2時から、購入希望者(法人)に対する募集説明会を開く。
 売却地は、大阪市再開発地区計画区域の難波駅前東側約7600平方b、南側約8900平方b、西側約4700平方b。いずれも旧国鉄の貨物基地で商業地域。容積率は600%だが、再開発地区計画で東側と西側は同1000%、南側は同900%まで緩和される。募集要綱の交付は12日から。入札は6月上旬の予定。(京都新聞)
■地下鉄サリン 村上春樹さんがノンフィクション 2周年の来月出版 「死ぬ意識よりまず仕事を…」
 「ノルウェイの森」などのベストセラーで著名な作家村上春樹さんが、地下鉄サリン事件の被害者たちに一人ひとり独自にインタビューし、事件当時の生々しい実態や被害者の率直な声を直接伝えるノンフィクション「アンダーグラウンド」を完成させていることが、7日分かった。その中で地下鉄職員は「まず自分の仕事を何とかやらなくちゃ」と思ったことを語っている。
 体験を語った被害者は50人以上、亡くなった人の家族や関係者も含めると60人が証言しており、同事件で、これほど多くの被害者の声がまとまって世に出るのは初めて。事件2周年の3月20日ごろに講談社から刊行されるが、大きな反響を呼ぶだろう。
 「アンダーグラウンド」は1995年末から1年間の取材で書き上げた、400字詰め原稿用紙で約1700枚、700nを超える大作。インタビューした人たちのプロフィルの後、被害者たちが自分の体験を一人称で語っていくという構成。
 地下鉄車内にまかれたサリンを処理しようとして倒れ、亡くなった営団地下鉄職員の高橋一正さんを病院まで運んだテレビ東京の運転手の「そのときには高橋さんはまだ生きていたんです」という声。
 同じ営団職員で奇跡的に助かった豊田利明さんは、がくがく体が震える中、「死ぬという意識よりは、まず自分の仕事を何とかやらなくちゃ」と思っていたという。
 現職自衛官の幹部や当時中学生だった少年。サリン事件をきっかけに翌日、妻に離婚話を持ち出した人。オウム真理教の井上嘉浩被告と高校の同級生で、同じバスで通学した被害者もいて、それぞれの人間ドラマが語られている。
 中でも全くの寝たきり状態だった女性被害者が兄の献身的看病で、奇跡的に回復し始め、呼び掛ける村上さんの手をしっかりと握りしめ、「元気になったらどこに行きたいですか?」という問いかけに「いいうにいあん」(ディズニーランド)と答えるなど感銘を与える場面も多い。
 夫・和田栄二さんを亡くした直後に長女を出産した葉子夫人のはきはきとした知的な語りの中に深い悲しみが伝わってくる長文の話もある。
・被害者側から考えた 村上春樹さんの話
 地下鉄サリン事件は無差別暴力。もしかしたら自分も遭っていたかもしれない。だからどんな人が被害に遭ったかに興味があった。でも僕が知りたいことは、報道では出ていなかった。自分で調べるしかないと思った。一人ひとり詳しく書いたのは、後遺症で頭が痛いということを伝えるだけでも、細かい事実をたくさん書き込まないといけないから。
 それにオウム真理教とはいったいどういうものか。オウム側の報道は多かったが、オウム的なるものが被害者の側からどう見えてくるかということも、自分なりに考えてみたかった。多くの人に、できれば裁判中のオウムの人たちにも読んでもらいたい。(京都新聞)
■村上春樹さん、「地下鉄サリン」に挑む 混乱・悲しみ・社会の無理解… 被害者ら60人の証言集、出版へ
 「ノルウェイの森」などの物語を書いてきた作家村上春樹さんが、地下鉄サリン事件の被害者、関係者など約60人に、当時の体験を聞いた初めてのノンフィクション「アンダーグラウンド」を、来月20日付で出版する。混乱する現場が緊迫感をもって再現されるとともに、恐怖、苦痛などの体験がひしひしと伝わってくる「証言集」だ。
 1995年3月20日の地下鉄サリン事件では、被害者総数は死者11人、約3800人の重軽傷者が出た。オウム真理教事件とは日本社会や自分にとって何だったのか知りたいと、村上さんは昨年1月から12月にかけて、被害者50余人、遺族や医師などに会った。
 原稿用紙約1700枚にもなる「アンダーグラウンド」では、一人ずつ人間像を村上さんが書き、話の内容を一人称で紹介している。たとえば営団地下鉄霞ケ関駅では、サリンを処理しようとして亡くなった高橋一正さんを病院まで運んだテレビ会社の運転手や、現場にいあわせた女性の乗客、職員の豊田利明さんらが、混乱を生々しく語る。
 また、夫の和田栄二さんが亡くなったあと、長女を出産した嘉子さんは、愛する人を奪われた悲しみを語る。寝たきり状態になって今もリハビリ中の女性被害者をはじめ、精神的にも肉体的にも後遺症に苦しむ人も多い。
 さまざまな声からは、警察、消防、病院、どこも危機管理に弱く、被害者の後遺症への理解も対応も行き届かない日本社会の問題点も浮かび上がる。
 村上春樹さんの話 オウム真理教の側からの報道は多いが、被害者からはほとんどない。被害者の普通の視線を重ねていけば、一番大事なことも見えると考えた。取材して、事実の重み、強さはすごいとひしひしと感じました。いろいろ考えたことはあるが、告発の本のつもりではなく、まず被害者の痛み、悲しみから何かを考えてほしいと思っています。(朝日新聞)
9日■車内での携帯電話使用禁止を求める 市民団体、鉄道11社に
 電磁波の健康への悪影響を訴えている市民団体「高圧線問題全国ネットワーク」(ガウスネット、事務局・東京都東大和市、懸樋哲夫代表)は8日までに、JR東日本、小田急など首都圏の鉄道会社11社に対し、電車と駅構内で携帯電話の使用禁止を求めることを決めた。近く会社側に申し入れる。
 同ネットによると、車内やホームなどでの使用は他人に迷惑になるだけではなく、発生する電磁波で心臓ペースメーカーが正常に作動しなくなるなど医療機器に影響を与える。
 さらに米国やスウェーデンなどの研究では、脳腫瘍(しゅよう)や神経過敏症などを起こす原因になることが報告されているという。
 このため鉄道会社に対し、たばこと同じように車内と駅構内での携帯電話の使用を禁止するとともに、緊急使用する乗客のために、構内に分煙室のような施設を用意すべきだと主張している。
 同事務局は「郵政省などは電磁波を放置しているが、欧米では訴訟に発展するなど危険性が社会問題になっている。車内アナウンスで使用者に自粛を頼むだけでは効果はない」とし、今後首都圏以外の鉄道会社に対しても使用禁止を呼び掛ける方針だ。
 ガウスネットの連絡先は 0425(65)7478。(京都新聞)
10日■赤帽さん、古都で健在 制服は息子のを再利用
 駅の構内で客の荷物を運ぶ「赤帽」さん。最近はマイカーと宅配便の普及で、あまり見かけない。でもJR京都駅では、超ベテランの2人が昔ながらの制服制帽姿で伝統を守っている。仕事ぶりを見ていたら、思わず声援したくなった。(星乃 勇介)
 「赤帽」は八条中央口案内所付近に午前7時から午後5時ごろまで待機している。運び賃は大きさによって1個400円か500円。改札口で見回すと、近くの柱に寄り添って立つ赤い帽子が見える。いなければ案内所の人がマイクで呼んでくれる。「赤帽さん、赤帽さん」
 「はいはい」と中村輝雄さん(66)がすっ飛んできた。詰め襟の上着。ズボンのすそを靴下の中に入れた独特のスタイル。赤帽歴40年。
 年季を経た帽子は、ひさしの上がほころび、髪の毛が飛び出している。「京都駅」の縫い取りも「都」の字がすり切れて読みとれず、何ともレトロな雰囲気。年は私のおやじよりひと回り上だ。
 実は、上着は長男(28)の高校時代の制服のボタンを付け替えて利用しているが「昔っからこのスタイル。新調する気も起きなくてね」と、変える予定はない。
 現在は8割がJTBや八条中央口案内所に予約して来る固定客。外国の賓客もあるが、ふだんは祇園のお茶屋さんや転勤族の商社マン、骨とう屋さんといったおなじみさんが多い。台車に積んだり、手に持ったりして、主に新幹線ホームとの間を行き来する。
 中村さんが1956年に始めた時、同僚は30人前後いたが、高齢化と後継者不足で次々減り、いまは年上の元生(もといき)定雄さん(70)だけ。1日交代で勤め、月のあがりはチップも含め平均10万円。「老化防止みたいなもんじゃ」。確かに荷物さばきも足取りもしっかりしていた。
 JR各社によると、現在も昔のままの赤帽が残っているのは東京、上野、名古屋、京都、佐世保ぐらい。いずこも高齢化しているという。
 京都駅には”青帽”もいるというので、烏丸中央口の「ポーターサービス」をのぞいてみた。こちらは大きさにかかわらず1個200円。午前6時から午後10時まで、バイトの若者ら十数人が働く。青い帽子と制服が目印。京都と関西空港を結ぶ特急「はるか」の乗降客がメーンだ。
 大きな荷物の観光客が多いのに、エスカレーターやエレベーターが未整備だったので、JR西日本の関連会社が94年11月から旅客介助の一部として始めた。取扱量は1日100−200個。利用者は増えているが、建設中の駅ビルが今夏完成したら”青帽”は廃止という話も出ている。(朝日新聞 夕刊)
11日■男性はねられ即死 西京、阪急踏切で
 10日午後2時40分ごろ、京都市西京区桂清水町の阪急電鉄京都線の桂川西踏切で、遮断機をくぐった男性が梅田行きの下り普通電車にはねられ即死した。
 桂署によると、男性は45−55歳で、身長約165a。黒色のコートとズボン、ブーツ姿だった。
 桂署は自殺と見て、身元の確認を急いでいる。
 普通電車が現場に約12分停車したほか、後続の下り電車6本が最高で11分遅れた。(京都新聞)
■新型のぞみ 走行中にボルト破損 来月デビュー 全車両で交換へ
 山陽新幹線に3月22日デビューするJR西日本の新型「のぞみ」(500系)が、去年11月の試験走行中、車輪の外側で車軸を受ける「軸箱」のふたを取り付けるボルト1本が折れていたことが10日、明らかになった。メーカーの製造ミスが原因で、JR西日本は1編成(16両)すべてのボルトを、太くして強度の高い材質のものに取り換えることを決め、作業に取りかかった。同社車両部は「このまま営業運転していたら大きな事故につながりかねない重大なミスだ」と話している。
 新型「のぞみ」は、世界最速の時速300`で運転し、新大阪−博多間を現在の「のぞみ」より15分早い2時間17分で結ぶ。秋には東京まで乗り入れる計画だ。
 JR西日本によると、去年11月3日、新大阪−博多間を試験走行したあと、福岡県のJR博多総合車両所で、台車の検査で、鉄製のボルト1本(長さ30a、直径1.8a)が折れているのが見つかった。その後の調べで、メーカーがボルトを設計通りに製造していなかったためと判明。このメーカーは約4両分、約130本のボルトを製造していたが、JR西日本は安全対策のために設計段階から見直し、他のメーカーのボルトを含め全車両のボルト512本を作り直すことにした。作業は3月8日までに完了予定で、営業には影響はないという。(朝日新聞)
12日■家庭 障害者に地下鉄まだ不便 券売機表示見にくい/エレベーターわかりにくい 大阪の女性、46駅調査
 暮らしの中からまちづくりを考える活動をしている「おんなの目で大阪の街を創る会」が、大阪市営地下鉄の検証を続けている。1年がかりで全体の約半分にあたる46駅の調査を終え、中間報告をまとめた。新型の低床式券売機の表示が車いすからは見にくいことや、エレベーターの設置場所がわかりにくいことなどを細かく指摘。「みんなが関心を持つことで使いやすい地下鉄になれば」という。
 「創る会」は大阪市立婦人会館が開いた「女性のための都市環境講座」の卒業生13人で3年前に設立した。
 月2回の学習会を続ける中で、会員の1人でパーキンソン病のある辻野文子さん(70)が「地下鉄の階段が苦手なので、少し待ってでもバスを使う」と漏らしたことが、取り組みのきっかけになった。お年寄り100人に地下鉄についてのアンケートをし、障害者団体に相談しながら調査票をつくった。
 検証は、1人が車いすに乗り、階段から券売機、改札、ホームと、実際に地下鉄に乗る手順で進めた。調査票にエレベーターや点字ブロックの有無、ホームと電車のすき間、段差などを記入。5、6人がひと組となって1つの駅を調べるのに、約2時間かかった。
 車いすの人に配慮してお金を入れる位置を低くした低床式券売機は、多くの駅に導入されていた。しかし、実際に車いすで使ってみると、前面が斜めになっているため、天井の蛍光灯が反射して表示が見にくかった。また、乗り継ぎや枚数を指定するボタンが上の方にあって、手が届きにくかった。券売機が太い柱の前に据えられていて、車いすが入りづらい駅もあった。
 このほか、エレベーターがあっても場所の表示がわからず右往左往したり、列車が停止線どおりに止まらず、ホームの視覚障害者誘導ブロックが役に立たなかったりといったケースも目立った。
 一方で、啓発のために点字プレートに文字が併記してある駅や、券売機の横に周辺の地図が置かれている駅もあり、心配りが感じられた。
 報告では、これらの検証結果に加えて、「駅の中にゆったりしたベンチや緑を置いてくつろげる空間を」「女性の駅員さんも増やして欲しい」といった提案もしている。14日に中間報告をもとに、大阪市交通局との話し合いをもつ。
 会員の酒井礼子さん(47)は「お年寄りや障害者の目で見ると、日ごろ気付かないことがいろいろ見えてくる」。会長の三好桂子さん(61)は「たとえ設備は同じでも、駅員さんの配慮や乗客のマナーによって、使い勝手は随分違う。だから多くの人に関心を持ってほしい」と話している。(朝日新聞)
13日■バス停新設届け出制に 運輸省が規制穏和
 運輸省は12日までに、運輸相の認可を必要とするバス停留所の新設と廃止を1997年度から届け出制に改めることを決めた。規制緩和の一環で、近く道路運送法に基づく運輸省令改正などの手続きに入る。
 路線バスの停留所を新設または廃止する場合、現在はバス会社など自動車旅客運送事業者が地元自治体などの了解を得た後、地方運輸局を通じ、運輸相に申請する。(京都新聞)
■窓 旅に便利なフリーキップ 蒲生町・大塚 千代(主婦・69)
 家の近くを近江鉄道が通っている。昔は、米原や多賀大社(多賀町)に行くときなどに乗った。修学旅行の際も利用した。1時間に1本の電車で、野良仕事をする人には、時計代わりにも−。
 近年は、自動車が便利になり、ほとんど乗らなくなっていたが、2、3年前から、毎月第2、4土曜日に乗り降り自由な「フリー・キップ」が登場した。
 昨年夏、そのキップを使って、同窓生たちと彦根へ出かけた。みんな「電車など長いこと乗ったことがない」と、大喜びだった。
 今度は、このキップを利用して、お友達と長浜の盆梅や城、鉄道館などを見てこようと計画した。「電車内で会いましょう。返事はいりません」と、はがきを出した。さて、どれだけの方が集まるか、楽しみにしている。(京都新聞)
14日■97私鉄春闘 集団やめ個別交渉 大手 会社側会議で決定
 日本民営鉄道協会(民鉄協)に加盟する大手私鉄15社は13日、京都市内のホテルで労務担当役員会議を開き、97春闘では従来の大手労使による中央集団交渉から各社ごとの個別交渉に切り替える方針を決めた。私鉄総連側は、14日の中央闘争委員会で対応を協議するが経営側の意向は堅く、1967年に始まった集団交渉による私鉄春闘が終焉(しゅうえん)を迎えることになりそうだ。
 会議では「15社のうち半数以上が参加すれば」との条件付きで集団交渉への参加を表明した会社もあったが、個別交渉を求める社が大勢を占めたため、結論としては全社一致で個別交渉に賛成した。
 記者会見した民鉄協の遠藤忠男労務委員長(東急専務)は「今年に限っての方針」と述べたが、集団交渉をやめる理由として「時代の変化が底流にある。それぞれの会社の経営実態を反映した交渉でありたい」としていることから、来年以降集団交渉は復活する可能性は低い。
 私鉄春闘は従来、大手各社の労使が私鉄総連と民鉄協を窓口として集団交渉。金属大手の回答を受け、組合側がストライキを背景に各社横並びの回答を引き出していた。
 しかし、97春闘では東急労組が、定期昇給分を含む平均賃上げ方式から定昇を除くベアだけの要求に切り替えるよう求め私鉄総連と対立、集団交渉への参加を保留していた。
 阪神大震災が起きる以前は、関東4社と関西5社の計9社が参加してきたが、大震災後に阪神、阪急が離脱し、96春闘では京阪も抜けて六社に減っていた。
 このため参加を容易にしようと97春闘で私鉄総連は、3年連続で事前にストを構えない方針を打ち出したほか、要求を2000円引き下げるなど従来の「対決型」春闘を見直す姿勢を強めていた。中央集団交渉を「私鉄春闘の基軸」と位置づけてきた私鉄総連にとって打撃は大きく、私鉄春闘だけではなく春闘相場にも影響を与えそうだ。(京都新聞)
■西武鉄道のレジャーランド構想 竜王 計画変更 ゴルフ場など先行 県リゾート構想影響も
 滋賀県蒲生郡竜王町で、西武鉄道会社(本社・埼玉県所沢市)が、計画中の大規模レジャーランド建設の構想を計画変更していたことが13日までに明らかになった。県や町に提出された変更手続きによると、ゴルフ場と一部のレジャー施設の建設を先行させ、中心施設の遊園地建設は当面保留するとしている。今のところ遊園地建設のめどはついておらず、県のリゾート構想への影響も避けられそうにない。
 同社がレジャーランドを計画しているのは、名神竜王インター周辺の竜王町薬師、山中、小口の3地区にまたがる約250fの丘陵地。
 92年に同社が発表した構想では、遊園地(90f)、ショッピングモール(30f)、ゴルフ場(130f)の3施設を計画。遊園地は、メリーゴーラウンドや観覧車、大型スーパーコースターを備えたアミューズメント・ゾーンを計画していた。
 同社では「早ければ2年後の着工を目指し、各施設が同時オープンするよう配慮する」としていた。しかしバブル後の経済状況の変化もあり、採算面の不確定要素も強いことから遊園地計画の保留に踏み切った。
 同社は、今月から薬師地区など地元で新しい計画の説明会を開催。変更後の計画では、ゴルフ場は従来計画通り建設するほか、オートキャンプ場やマウンテンバイクコースなどの「ファミリーオートパークゾーン」(40f)を整備する。今年中に環境アセスメントに着手、99年に建設着工し、2001年のオープンを目指している。
 構想の中心施設だった遊園地について、現地の窓口となる西武不動産滋賀事務所は「時代に合った新しい形で施設内容を検討し、段階的に整備する方針」と話しており、具体的な内容や建設時期は未定だ。地元の竜王町は、計画変更を受け入れ、遊園地構想についても早期実現を求めている。
 西武鉄道の竜王リゾート構想は「琵琶湖リゾートネックレス構想」の「希望が丘重点整備地区」に位置づけられ、中部、湖南地域の中心施設となっていた。同ネックレス構想は、県内15市町村の7重点整備地区で展開しているが、バブルの崩壊などで民間企業の進出が不調で新規事業は全体の4分の1程度しか完成していない。(京都新聞)
■阪急電鉄 西宮球技場を改修 アメフット人気も考慮
 ○…阪急電鉄は、アメリカンフットボールの会場として親しまれている阪急西宮スタジアム南隣の西宮球技場(西宮市深津町)の改修をこのほど始めた。
 ○…老朽化した施設の一新と近年、アメリカンフットボールの観客が女性を中心に増え続けているのを考慮して約3億円で環境を整えることにした。
 ○…ベンチスタンドを1000席増築、4000人収容とし、3階建ての本部棟を新築、選手用ロッカー室などを充実させる。照明灯や駐車場も整備する。完成は8月の予定。(京都新聞)
■キップ代なら高すぎる!? 無人駅に400万円 千葉のJRに投げ込み
 13日午前11時半ごろ、千葉県館山市二子のJR内房線九重駅で、改札口に設置してある集札箱の中に現金約400万円が投げ込まれているのを、点検に訪れた隣駅の職員が見つけた。館山署は拾得物として持ち主を捜している。7駅(約30`)離れた内房線の浜金谷駅(富津市)では、昨年5月から今年1月にかけて7回にわたり計約1050万円が集札箱に投げ込まれており、同署は関連を調べている。
 調べでは、現金は利用客が乗車券などを入れる集札箱(縦23a、横30a、高さ38a)に入っていた。いずれも使い古された1万円札で、4つの束に分けられていた。
 九重駅は無人駅のため、隣の館山駅の職員が月に何回か点検に訪れている。先月末に点検したときには現金はなかったという。
 九重駅の1日の乗降客は200人余り。(朝日新聞)
■関西の私鉄 普通運賃10円アップ 消費税転嫁値上げ申請 初乗りは据え置き
 関東、関西、中部の大手私鉄14社などは14日午前、4月からの消費税率の引き上げ分を転嫁する運賃・料金の値上げを運輸省に申請した。いずれも初乗り運賃は据え置いた。認可されれば、4月1日の販売分から実施する。
 関西の近畿日本鉄道、阪急電鉄、京阪電鉄、阪神電鉄、南海電鉄の大手私鉄5社の申請によると、普通運賃は主に10円アップする。しかし、近鉄は、現行250円までは据え置き、530円までは10円、960円までは20円、1020円以上は30円それぞれ引き上げる。この結果、京都−竹田の200円は変わらず、京都−大久保は10円アップの290円となる。
 阪急は、現行180円までの区間と270円区間は据え置き、他は10円上げる。河原町−梅田は390円(現行380円)となる。京阪も200円までは現行通りだが、250円以上は10円ずつアップし、三条−淀屋橋は400円(同390円)になる。
 定期運賃の改定率は1.95%−1.71%で、1ヵ月当たり通勤で50円−500円、通学で10円−120円引き上げる。
 各社の運賃はすでに3%の消費税が含まれており、今回の申請では、現行運債に103分の105を乗じ、四捨五入して10円単位で端数処理するのを原則とした。しかし、同処理で5%分が過不足の場合、普通運賃や定期運賃で調整。この結果、各社の改定率は近鉄の1.89%のほかは4社とも消費税アップ分の1.94%となった。
・空港バスなど3社も
 阪急バス、大阪空港交通、阪神電鉄のバス3社も14日午前、消費税アップに伴う運賃改定を申請した。阪急バスは、定期、回数券、高速路線16線の普通運賃にそれぞれアップ分1.942%を転嫁する。一般乗合路線の普通運賃は、1月に改定したばかりで、現行通りとする。
 大阪空港交通は、10路線のうち、京都二条城前−伊丹、京都都ホテル前−伊丹は20円アップし、1280円、1370円。阪神電鉄も回数券、定期を値上げするが、一般路線の普通運賃は現行通り。(京都新聞 夕刊)
■私鉄など値上げ申請 消費増税を転嫁
 関西の私鉄大手など鉄道会社11社は14日、消費税率の引き上げに伴う運賃値上げを運輸省に申請した。各社の普通運賃は区間によって10円から60円値上げされる。認可されれば、消費税が5%となる4月1日から実施する。定期券は3月末までに購入すれば、旧運賃で使える。
 申請したのは、近鉄、南海、京阪、阪急、阪神の私鉄大手5社と、神戸高速鉄道、神戸電鉄、北大阪急行、能勢電鉄、泉北高速鉄道、大阪モノレール。東武、西武、名鉄など関東、中部の私鉄大手九社と東京の営団地下鉄も同時に申請した。
 JR西日本も、京阪神などの初乗り運賃120円を据え置く一方、150円、160円区間を10円ずつ値上げする方針を固めており、来週にも申請する。(朝日新聞 夕刊)
【鉄道会社】【主な申請内容】
近  鉄280円以上の区間を10−60円値上げ
南  海310円以上の区間を10−30円値上げ
京  阪250円以上の区間を10円値上げ
阪  急210円以上の区間を10円値上げ
阪  神220円以上の区間を10円値上げ
神戸高速鉄道140円区間を150円に
神戸電鉄280円以上の区間を10円値上げ
北大阪急行100円区間を110円に
能勢電鉄250円以上の区間を10円値上げ
泉北高速鉄道250円以上の区間を10円値上げ
大阪モノレール250円以上の区間を10円値上げ
■山陽電鉄 消費税転嫁せず 省力化進めJRに対抗
 山陽電鉄は14日、消費税率の引き上げ分を運賃に転嫁しないことを決めた。阪神大震災の影響で利用者数が落ち込んだまま回復しておらず、値上げすると利用者がますますJRに流れると判断した。自動改札機を整備するなど省力化を進め、年約2億8000万円の負担増を穴埋めしていく方針。
 同社は震災で約60億円の損害を受け、国と兵庫県、神戸市から計26億円の補助金を受けた。5ヵ月後に全線で運転を再開したものの、利用者が戻らず、去年1月20日に平均14.4%の値上げを実施した。震災前に比べ、現在も利用者数は約10%減のままだという。
 同社によると、消費税率引き上げ分を上乗せすると、三宮−姫路間は神戸高速鉄道の値上げ分が加わり30円アップの960円になる。JR西日本は三ノ宮−姫路間で20円アップの950円にとどまる予定。このため山陽は、運賃を据え置くことで同間を940円に抑え、JRとの競争力を保つことにした。
 ただし、1月から導入された「上限価格制」を採用、14日に消費税率引き上げ分の運賃値上げ申請をし、いつでも値上げができる態勢をとった。(朝日新聞 夕刊)
■空港−千里中央 モノレール290円 運賃を申請
 大阪モノレールは、4月1日に開業する大阪空港−柴原間(3.1`)の運賃を14日、運輸省近畿運輸局に申請した。消費税率引き上げ分を含み、同間は220円、大坂空港−千里中央間は290円。(朝日新聞 夕刊)
15日■春闘個別交渉 私鉄総連が反発
 春闘の相場づくりに大きな影響力を持つ私鉄総連(池村良一委員長)は14日、都内で中央闘争委員会を開き、大手私鉄15社の経営側が中央集団交渉を解消して各社との個別交渉に切り替える方針を決めたことについて対応を協議した結果、「受け入れられない」として、集団交渉確立に向け全力を尽くすことを確認した。
 今後は各加盟組合と連携し、大手各社に対して集団交渉への参加を求めた働きかけを展開する。19日には再び中央闘争委員会を開き最終的な方針を決める。
 私鉄総連は中央集団交渉を「春闘の基軸」を位置づけ、大手15社が個別交渉の方針を打ち出したことに対して強い反発を示しているが、経営側の意向が堅いことから方針を覆すのは極めて難しい情勢だ。
 今後の対応について、記者会見した池村委員長は「日数はあまりないが最大限の努力をする。全大手組合が一丸となって対応する」と決意を表明。坪根真書記長は「個別交渉にすると言ったところでも、実態の違いがある。集団交渉をさらに追求したいところもある」と指摘、「(過去に集団交渉参加の)実績があるところなどと一緒になって成立のための努力をする」と説明した。(京都新聞)
■バスから列車 片道旅行好評 信楽高原鉄道
 信楽高原鉄道(北川啓一社長)が厳寒にもかかわらず、連日、団体観光客らの人気を集めている。一昨年から旅行代理店とタイアップ、バスツアーに組み込んだ列車での片道旅行が好評で、慢性的な赤字に悩む関係者を喜ばせている。
 旅行代理店とのセット企画は、大阪や名古屋方面からのバスツアー客が中心。信楽焼の窯元で絵付けや買い物をした後、信楽駅でバスから列車に乗り換え、貴生川駅まで24分の旅行を楽しんでもらう。
 「ほのぼのとしたローカル線の持ち味が楽しみ」と列車を待つ名古屋市からの女性客(50)。企画した旅行代理店も「山間の木立を縫うように走る列車は珍しく、冬場の『雪見列車』も都市部の観光客にアピールしているようです」と話す。
 同鉄道の乗客数も、このセットを導入した95年度は団体客が4万8000人と、前年度の4倍増。全体の旅客収入も1億2000万円で約1400万円アップした。
 赤字に苦しむ同鉄道だが、94年度は損益が3億6000万円だったのに対し、昨年度は事故犠牲者への補償金の大幅減少で約1億8000万円にまでになった。(京都新聞)
■近鉄と南海、長距離バス運賃を値上げへ 路線バスは現行通り
 近畿日本鉄道と南海電鉄は14日、4月からの消費税アップに伴い長距離高速バスの運賃改定を近畿運輸局に申請した。両社とも、一般路線バス運賃は現行のままとする。
 申請によると、近鉄は、仙台、福島、宇都宮など8路線の特急線をすべて改定。京都駅八条口−仙台、同八条口−福島駅東口はともに230円アップの1万1930円、1万2130円などとなる。(京都新聞)
■バス5社値上げへ
 阪急バス、阪神、近鉄、南海、大阪空港交通の5社は14日、消費税率の引き上げに伴うバス運賃の値上げを運輸省に申請した。阪急バスと阪神は一般乗合路線の普通運賃を据え置き、近鉄と南海は高速バスだけ値上げする。大阪空港交通は大阪空港(伊丹)路線を値上げして関西空港路線は据え置く。認可されれば、消費税が5%となる4月1日から実施する。(朝日新聞)
■線路敷き散歩の男性 列車にはねられ重傷 大津のJR東海道線
 15日午前5時25分ごろ、大津市別保二丁目のJR東海道線下り線「別保第一踏切」付近で、同市内の無職の男性(69)が、大阪ターミナル行き貨物列車にはねられ、頭の骨を折る重傷を負った。
 大津署の調べによると、男性は妻と2人で線路敷きを散歩していて事故にあったらしい。同列車が現場に55分間停車したのをはじめ、後続の列車17本に遅れが出たほか、JR湖西線の普通列車1本が運休するなど利用客3000人に影響が出た。(京都新聞 夕刊)
■JR関空特急 快速よりはるかに遅い 苦情受け一部短縮
 「特急料金を払ったのに快速より遅い」という乗客の苦情を受け、JR西日本は3月から、関空特急「はるか」の到達時間短縮に乗り出す。対象になるのは土曜日と休日に走っている関西空港行きの3本で、天王寺−関西空港間を5−7分早くする。しかし、平日の「はるか」については「電車が込んでいて、これ以上の時間短縮は無理」と断念。快速の方が早い逆転現象はしばらく続きそうだ。「はるか」は関西空港の開港に合わせてデビューした新型特急。天王寺−関西空港間を1日上下計60本ノンストップで走り、最も速い列車で29分で結ぶ。
 ところが、平日の午後6時36分に天王寺駅を出る「はるか49号」が関西空港駅まで48分かかるなど、平日で上下九本、土曜・休日で3本が同間で40分以上かかっている。
 同区間は関空快速が昼間時などの最速電車で45分、関空特快ウイングが41分で結んでおり、乗客から「快速より遅い特急は設定すべきでない」といった苦情が絶えない。
 このためJR西日本は3月8日のダイヤ改定に合わせて、同区間で42−43分かかっている土曜・休日の「はるか」3本を35−38分まで時間短縮する。これで土曜・休日の「はるか」はすべて40分以下になる。「はるか」は沿線住民との間で騒音が問題になっているが、同社はこのスピードアップによる影響はほとんどないとしている。
 一方、平日については、遅い「はるか」が朝夕の通勤ラッシュ時間帯に集中しているため、手が付けられないという。(朝日新聞 夕刊)
16日■信号故障で5本が運休 北近畿タンゴ鉄道
 15日午前6時55分ごろ、宮津市文珠の北近畿タンゴ鉄道(KTR)天橋立駅で、回送電車の到着直後、信号機が故障した。このため、同駅発京都行き特急はしだて2号が運転をとりやめた。天橋立駅と福知山駅間が部分運休したほか、後続の特急など4本が一部区間で運転をとりやめた。
 この影響で乗客合わせて約350人の足が乱れた。同鉄道の調べだと、線路の信号回路の絶縁部に鉄片が入ったためらしい。約50分後に復旧した。(朝日新聞)
17日■「和解」の大阪モノレール訴訟 原告団幹部に2800万円 元府建設事務所長ら渡す
 大阪府が進める大阪モノレール建設をめぐり、当時の府モノレール建設事務所長だった浜田捷一土木部副理事(54)らが、用地交渉を有利に進めるため、立ち退き補償金とは別の解決金名目で、現金2800万円を対象地の住民に渡していたことが16日までに分かった。
 この住民は、モノレール事業認可取り消しを求める行政訴訟の原告団幹部だった。訴訟は1994年7月、住民側が取り下げる形で事実上和解していることから、現金が原告の切り崩し資金に使われた舞いも浮上しているが、府は「解決金と訴訟取り下げは無関係」と否定している。
 府土木部の説明によると、モノレール沿線となる同府豊中市蛍池地区の住民との用地交渉が難航していた92(平成4)年秋ごろ、駅前再開発事業の準備組合副理事長だった不動産業者(56)が「補償金以外に解決金があれば話し合いが進みやすい」と浜田副理事に進言。浜田副理事は「立ち退きに最後まで反対している原告団幹部が応じれば、用地買収が前進する」と判断し、提案に応じたという。
 不動産業者は、建設事業に参入を希望していた豊中市内の建設会社に資金調達を依頼。浜田副理事は「よろしく頼む」と建設会社にあいさつしたという。
 92年12月1日、同地区の府建設事務所分室で、建設会社が用意した現金2500万円を受け取り、不動産業者とともに原告団幹部に渡したほか、翌年3月にも200万円を渡した。(京都新聞)
■大阪モノレール 豊中の用地買収 訴訟団幹部に2800万円 府幹部、調達に関与
 今年夏に全線開通する大阪モノレール(大阪空港−門真駅)の建設をめぐり、大阪府豊中市の市街地で用地取得が難航していた1992年12月と翌年3月の2回、当時の大阪府土木部モノレール建設事務所長(54)が立ち会うなどして、建設促進派の地元不動産業者が、立ち退きを拒んでいた同市内の自営業者に現金計2800万円を渡していたことが16日、大阪府の調査で明らかになった。元所長はこの金の調達でも、同じ不動産業者とともに府の受注実績のある建設会社2社に依頼するなど深くかかわっていた。府は「難航する用地交渉のためとはいえ、逸脱した行為で不適切だった」として、処分も検討している。
 大阪モノレールは大阪府などが事業主体となり82年に着工。92年暮れには大半の用地の買収を終えていたが、豊中市蛍池地区で用地取得が難航。住民数十人が、事業認可の取り消しを求めて大阪地裁で争うなどしていた。
 大阪府によると、金を受け取った自営業者は、モノレール蛍池駅舎の建設用地のビル内で店舗を営業しており、立ち退き交渉が最後までもつれ、原告団の幹部でもあった。不動産業者は、モノレール建設に伴う同駅前再開発事業組合の副理事長を務め、府と立ち退きを拒否する住民側との「仲介役」だったという。
 92年5月ごろから立ち退き交渉が本格的に始まり、仲介役の不動産業者や元所長らが自営業者を何度も訪問するなかで、「補償金とは別に解決金的な金で交渉がまとまるかも知れない」と、不動産業者が元所長に持ちかけた。
 これを聞いた元所長が府と受注実績があり、再開発事業に関心を持っている建設会社に「よろしく頼む」と金の調達を依頼。同年12月1日、建設会社の社員がモノレール建設事務所蛍池分室に現金2500万円を持参した。
 その金を、元所長と不動産業者が自営業者の店舗を訪ね、手渡した。翌年3月にも建設会社から調達した現金300万円を、不動産業者が自営業者に手渡した。自営業者との立ち退き交渉は、1回目の金が手渡される前日の92年11月30日にまとまったという。
 元所長は「用地交渉が難航しているときであり、仲介してくれる不動産業者の申し出を手伝ったという意識だった」と話す。自営業者は「店舗が移転すると借金が返せなくなると思って立ち退きを拒んでいたが、不動産業者が資金を貸してくれるというので移転に応じた。無利子で、担保は差し出していない」といい、うち1000万円は93年5月に不動産業者に返済したと話す。だが、その後、不動産業者と連絡が途絶えるなどして、残り1800万円は借りたままだという。(朝日新聞)
18日■リニアが初の超電導自力走行 浮上は夏にも 山梨実験線
 JR東海と鉄道総合技術研究所(JR総研)などは17日、超電導磁気浮上式リニアモーターカー山梨実験線で初めて実験車両を超電導状態にしてリニアモーターを起動し、自力走行実験を行った。
 低速のため車両は浮上しない車輪走行だが、4月3日には本格的な走行試験を始める予定で、最高時速550`実現に向け、調整の最終段階に入った。この日は山梨県都留市の実験センター付近で3両編成の実験車両のけん引用ディーゼル車を分離、車両に取り付けた超電導磁石とガイドウエー(車両走行路)側壁の推進用コイルを反応させて超電導状態で推進力を生み、低速用車輪で自力走行。
 午後零時半ごろから同センター前の100b前後を、時速20−30`の低速で往復、15秒ほど走っては約10分間停止し、車両内の測定係の職員が走行状態を細かくチェックした。午後2時すぎには約1`を自力で連続走行した。
 同センターの関秋生所長は「順調な仕上がり。夏ごろには時速150−200`で浮上走行できるのではないか」と話した。(京都新聞)
■スルッとKANSAl 京阪など9社導入へ 京都市交通局も前向き
 1枚のプリペイドカードで他社の電車も利用できる共通乗車システムを実施している「スルッとKANSAI協議会」(会長・楢崎雄二大阪市交通局総務部長、加盟5社)は17日、京阪電鉄など9社が1999(平成11)年度までに同システムを新たに導入すると発表した。同協議会は、京都、神戸の両市交通局も導入に前向きといい、関西の交通機関でスルッとKANSAIの輪が広がりそうだ。
 同協議会は、同システムを実施している阪急電鉄(ラガールカード)、大阪市交通局(レインボーカード)、阪神電鉄(らくやんカード)、能勢電鉄(パストラルカード)、北大阪急行(レジオンカード)の5社で昨年12月発足。この日、初会合を開いた。
 楢崎会長によると、協議会にはこれまで、各電鉄会社などからシステム導入に向けた問い合わせが相次ぎ、この日、導入が確定した京阪電鉄、南海電鉄、大阪港トランスポートシステム、泉北高速鉄道、神戸高速鉄道、神戸電鉄、山陽電鉄、北神急行電鉄、阪急バスの九社の協議会加盟を承諾したという。システムの導入は7社が99年度としているが、阪急バスは今年9月から順次、大阪港トランスポートシステムは12月に導入する見込み。
 9社がすべて実施すると、同システムが行き渡る鉄道距離は708.4`となり、JRを除く関西圏の鉄道の52%になる。
 協議会にはこのほか、京都市交通局、神戸市交通局、大阪高速鉄道(大阪モノレール)、神戸新交通からも積極的な問い合わせがあるという。
 同システムは、阪急電鉄が92年4月に導入したのを受けて各社が追随した。協議会がまとめた昨年4月から12月までの「スルッとKANSAI」の利用状況によると、5社あわせたカード発売枚数は972万5000枚、178億円で、普通乗車券に対する利用率は14.2%。楢崎会長は「1000万枚、200億円を突破する勢い。各社からの参加希望は予想以上で、公共交通機関としてさらに企画を打ち出し、PRしていきたい」と話している。(京都新聞)
■経済天気図 市バスの黒字化の方策
 京都市バスの乗客数は年々減っていて、平成7年度の事業収支は14億円の赤字だそうだ。毎日44万人の客を運びながら、1日約400万円の赤字がつみ重なる。
 市民しんぶんは「バス1運行に1人多く乗っていただけると年間6億円の増収。市民の皆さんの積極的なご利用が経営改善の大きな力」と呼びかけていた。しかし、バスに多く乗る=商品をたくさん買ってもらうためには、商品そのものが良いことが第一だ。市バスは便利だな、サービスも気持ちいいなあというのでなければ、進んでは乗ってくれまい。
 便利さということでは、路線の工夫もさることながら、もっと早く渋滞なしに走ってほしい。そのためには、せめて通勤時だけでも交通規制(マイカー制限など)を強く進めたい。
 また、サービスについて、市は職員研修を充実し「お客さまクレームゼロ運動」に取り組んでいる。旧国鉄が民営化されて最も大きく変わったのは、改札係があいさつをするようになったことだと思う。市バスでも、ごく少数ではあるが降車の客に「ありがとう」と声をかける運転者がいる。それが当たり前の風景になった時に、1運行1人と言わぬ増客数が実現できる。
 さらに、バス事業の今後の展望として、地域による民営化も検討されているようだ。民間企業は、長びく不況の中で生産性の向上、経費効率化と削減、そして新市揚の開拓に必死の思いで取り組んでいる。とくに赤字企業のリストラ姿勢は厳しい。公共的性格を持つとはいえ、市バス事業の見直しにも取り入れてもらいたい。(陣)(京都新聞)
■京日記
 ◇…滋賀県立近江高等技術専門校(坂田郡近江町岩脇)の生徒が製作したSL「北びわこ号」の金属模型が、同列車の季節運転開始に合わせ、長浜市北船町の旧長浜駅舎鉄道資料館で展示されている。
 ◇…模型は、実習の一環として、機械加工科の生徒を中心に資料を集め、約1年半がかりで仕上げた。実物の10分の1で、全長1.5b、高さ35a、幅25a。旗盤など工作機械で成型した。
 ◇…動輪や車軸も忠実に再現されており、ピストンに圧縮空気を送り込むと車輪が回る。木製の展示台は、木造建築科や金属成形科が製作した。展示は3月10日まで。展示後は来年3月までにボイラー部分を仕上げて自走できるようにする。(京都新聞)
■京都市97年度予算案 一般会計39年ぶり減額 マイナス1.9%、7013億5700万円 運動施設など料金アップ
 京都市は18日、一般会計7013億5700万円、特別・企業会計を合わせ総額1兆5560億8700万円にのぼる1997年度当初予算案を発表した。一般会計は、市長選後の96年度7月補正後に比べ1.9%減で、39年ぶりのマイナス予算となった。市政指針「京都アクションプラン」に基づき、都市基盤整備や高齢化対策などに重点を置いている。一方、文化・運動施設など36種類の使用料・手数料や国保科を引き上げ、上下水道料金などにも消費税率アップ分を転嫁する、市民にとって厳しい内容になっている。19日開会の2月定例議会に提出する。
 歳入では、法人市民税が景気回復で持ち直すものの、固定資産税が評価替えの影響で初めて減収となるため、市税全体の伸びは国の地方財政計画(4.7%)を下回る3.9%と見込んだ。
 また、地方交付税、地方消費税導入に伴う府税交付金は増加するが、市債のうち一般財源の補てん債は61億円落ち込む。
当初予算案規模
一般会計7013億5700万円
特別会計5324億9400万円
企業会計3222億3600万円
1兆5560億8700万円
 財政状況は引き続き厳しく、歳入不足を補うために財政調整基金などの取り崩しや事務事業の見直し、使用料・手数料の改定で、134億円の財源手当てをした。
 歳出は、基盤整備関係では、地下鉄烏丸線北々伸(6月開業)、東西線(11月開業)建設などで、一般会計から企業会計に160億7800万円を繰り出し計258億700万円を計上。第三セクターの京都高速鉄道に55億8500万円を支援する。東西線関連の御池地下街(10月開業)建設にも34億5900万円を盛り込んだ。
 先に強行着工した左京区静市市原町の「東北部清掃工場」(仮称)建設に49億4100万円を積んだ。
 高齢者福祉では、特別養護老人ホームの建設・助成(計8ヵ所)に77億3400万円、ホームヘルパー派遣には31億2700万円を支出し24時間対応(巡回型)にも一部着手する。
 地球温暖化防止京都会議(気候変動枠組み条約第3回締約国会議)関連では、2億2800万円を計上した。各種イベント開催のほか、環境保全の行動計画「京(みやこ)のアジェンダ21」(仮称)を策定する。
 商工関係では、商業クレジット一括処理システム構築に1億円、インターネットでの観光情報発信に1900万円などを新たに手当てした。(京都新聞 夕刊)
■地下鉄・北山駅−国際会館駅 6月3日に開業
 京都市は18日、地下鉄烏丸線の北山駅−国際会館駅間(2.6`)を6月3日に開業する、と発表した。建設工事が順調に進んだため予定より1ヵ月早めた。
 烏丸線の北々伸工事は、93年7月に着手した。宝が池工区で地下水対策に手間取り、95年に事業費を当初見込みより49億円増額し470億円に修正、開業も3ヵ月遅れの今年7月としていた。
 その後、工事機械を増強するなど進ちょくに全力を挙げた結果、今年4月中旬には北山通の路面復旧などを含め工事が完了する見込みとなった。5月に運輸省が完成検査を行い、正式に開業認可を受ける。新設する駅は、松ケ崎と国際会館(いずれも左京区)の2ヵ所で、北山−国際会館間を4分、京都駅−国際会館間は20分で結ぶ。竹田からの料金は、北山までと同じ4区料金の大人290円。(京都新聞 夕刊)
19日■京都市97年度予算案の詳報(抜粋)
 京都市が18日発表した1997年度当初予算案のうち、一般会計(7013億5700万円)に盛り込まれた主な事業は次の通り。
・交通 JR奈良線一部区間を複線化
 「JR西日本が97年度から5年間かけて実施するJR奈良線京都−JR藤森間(5.1`)宇治−新田間(3.2`)の複線化整備事業に2億4200万円を補助。また、JR山陰線の二条−花園間(2.1`)の複線化に5億3000万円、新駅「円町」に9000万円を計上した。
 今夏の新京都駅ビル開業などに伴う駅周辺整備として、1億円をかけて烏丸通七条−塩小路間の公共地下歩道(198b)を改装する。
 京都高速道路整備に2億4300万円を積み、新十条通の用地買収を阪神高速道路公団から受託、関連事業の調査も実施する。駐車場案内システム導入(3年計画)に3億円を予算化、コントロールセンターなどを設ける。(京都新聞)
■市バス赤字44億円 企業会計
 18日発表された京都市の市バス、地下鉄、上・下水道の4公営企業会計の1997年度当初予算案によると、上・下水道を除く2事業で単年度赤字が続く。
 市バスは地下鉄東西線などの開業で乗客の大幅減が予想され、赤字は本年度より30億円増の44億円となる見込み。地下鉄も金利負担などで178億円の赤字が見込まれ、ともに経営建て直しが急務となっている。
 市バスは、乗客が前年度比4.6%減少、収入は5%減の327億3000万円となる。職員を1割削減するが、支出は路線再編経費などで4.6%増の386億3000万円を計上、経常赤字は44億1000万円となる。不良債務は86億5000万円に見込み。
 地下鉄は、烏丸線北々伸と東西線の開業で収入増となるが、建設費の償還や企業債の支払い利息が膨らみ、178億2000万円の経常赤字が見込まれる。累積赤字は816億2000万円となり、不良債務も276億6000万円に増大する。
 上水道は、利用者増で経常黒字4000万円、累積黒字は14億8000万円となる。
 下水道も利用者増による増収と低金利による支払い利息の軽減で、3億円の経常黒字に転じ、累積赤字は75億5000万円に縮減する。(京都新聞)
■叡山電鉄も値上げへ
 叡山電鉄(京都市)は18日、消費税率の引き上げに伴う運賃の値上げを運輸省に申請した。初乗り(200円)は据え置き、250円以上の区間を10円ずつ値上げする。認可されれば、消費税が5%となる4月1日から実施する。(朝日新聞)
■JR運賃 消費税分(1.94%)値上げ申請 西日本の電車特定区間 初乗り据え置き
 JR西日本などJR旅客6社は19日、消費税率の引き上げに伴う運賃改定を運輸省に申請した。JR西日本の新運賃は、現行にアップ分1.94%を乗じ、10円未満の端数は四捨五入するが、京都−西明石間などの電車特定区間や大阪環状線は、初乗り120円を据え置く一方で、端数を切り上げる区間もある。認可されれば4月1日から実施する。
 申請によると、電車特定区間以外の普通運賃は、15`(140円−230円)までは現行通りとし、京都−瀬田(17`)など16`以上(310円以上)は10円−510円引き上げる。
 電車特定区間は、京都西大路など3`までの初乗り120円と、京都−長岡京など11`−15`の210円、16`−26`の290円は据え置くが、4`−6`の150円、7`−10`の160円はそれぞれ10円引き上げる。京都−高槻(21.6`)など21`以上(370円以上)は10円−120円アップになる。
 通勤、通学の定期運賃はすべて現行に1.94%を乗じ、10円未満の端数は四捨五入する。
 新幹線では、「のぞみ」の特急券(指定席)が京都から岡山まで4430円(値上げ分90円)、広島まで5460円(同100円)などとなる。
 JR東日本は山手線と東京近郊路線(電車特定区間)の初乗り運賃を15年ぶりに10円値上げし、130円にする。
 JR貨物も同日、運賃の総額に5%の消費税を上乗せする申請を出した。(京都新聞 夕刊)
■JRも値上げ申請 消費税率上乗せ分 競合区間には配慮
 JR旅客6社は19日、消費税率の引き上げに伴う運賃値上げを運輸省に申請した。JR西日本は、大阪を中心とする大都市圏路線について、初乗り運賃の120円を据え置き、150円、160円の区間をそれぞれ10円ずつ値上げする。東海道新幹線の東京−新大阪間は現行の1万3480円(普通車指定席、通常期)から1万3750円に値上げされる。認可されれば、消費税が5%となる4月1日から実施する。定期は3月末までに購入すれば旧運賃で買える。
 6社とも現行の運賃、料金に消費税率の引き上げ分に当たる1.94%を上乗せして10円未満を四捨五入した。さらに全体で1.94%を上回らないよう、区間を選んで10円未満を切り捨てるなどして調整した。
 JR西日本は私鉄と並行する大都市圏の限られた区間を通常より2、3割安く抑えている「特定運賃」について、10円未満を切り捨てる。例えば、大阪−三ノ宮間は390円、天王寺−奈良間は450円のまま据え置かれる。
 阪急、阪神の梅田−三宮は300円から310円に、近鉄の難波−奈良間は530円から540円に値上げされることから、私鉄各社にも影響が出そうだ。
 JR東日本は、東京近郊の路線について初乗り運賃の120円を130円に値上げする。結果、120円区間はJRグループの中ではJR西日本の大阪周辺の路線だけになる。(朝日新聞 夕刊)
■雪で新幹線遅れる
 東海道・山陽新幹線は19日、雪のため、始発から名古屋−新大阪間と三原−新岩国間で速度を落として運転。新大阪駅と名古屋駅では雪を落とす作業をした。新大阪駅発着の列車で30分程度の遅れが出た。(朝日新聞 夕刊)
20日■考えよう人に優しい街 中京中生徒がJR二条新駅舎を点検 点字ブロック使いホームへ
 中京区の中京中の生徒18人が19日、学校近くのJR二条駅の新駅舎が障害者にとって利用しやすく整備されているかを点検し、すべての人に優しい街づくりについて考えた。
 3年生の社会科の選択授業「環境と福祉を考える」の一環で、生徒たちは10月から週に1回、身近な地域が体の不自由な人たちに対してどんな配慮がされているかを調べている。
 この日は昨年3月に開業した二条駅の新駅舎を見学し、駅前や構内に障害者用のどんな設備があるかを調べた。実際に点字ブロックをたどってホームに上がった生徒らは、待合室に視覚障害者向けの誘導設備がないことや、電車とホームとのすき間や段差の大きさに気付き、「最新の駅なのに障害者にとって不便なところが多い」と驚いていた。(京都新聞)
■私鉄総連 中央集団交渉を断念
 私鉄総連(池村良一委員長、18万人)は19日、都内で中央闘争委員会を開き、30年間続いた大手私鉄労使による中央集団交渉(中央集交)について、今春闘は断念することを決めた。個別労使による交渉を主張した経営側の姿勢が固かったためという。同総連ではそれに代わる「新しい交渉のテーブルづくり」を提唱し、24日に開かれる日本民営鉄道協会の労務担当役員会議まで、経営側に水面下での働きかけを続けるとしている。
 委員会後、会見した坪根真幸記長は「今月13日に個別交渉方式を表明した経営側の姿勢は固く、従来の形の中央集交の確立はできないと判断せざるをえない」と話した。続けて「多くの労使が参加できる新しいテーブルをつくりたい。もちろん総連本部も加わる」と語った。「テーブル」の具体的な形は労使で相談して決めるとしている。
 総連には、春闘統一闘争に不参加を申し出て承認された小田急労組や、今春闘の参加を保留している東急労組を除き、各単組の労働三権(交渉権、スト指令権、妥結樺)がすでに委譲されている。総連としては「同一価値労働、同一賃金」を目指す産業別の統一闘争の基本は、あくまで守りたい考えだ。
 当初予定した通り、交渉のヤマ場は3月18、19日、スト権確立投票も3月11日に集約する。(朝日新聞)
■青鉛筆
 今年4月1日で国鉄分割・民営化から満10年を迎えるJRが、来月から新幹線全線を含む特急3日間乗り放題の「謝恩フリーきっぷ」や「記念オレンジカード」を全国で発売する。
 カードの絵柄には、北海道の大地を走る「スーパーおおぞら」やJR九州の「ソニック」、来月開業の秋田新幹線「こまち」など各社の人気車両の写真を選んだ。
 「地味だ」「もっと派手な商品はないのか」といった社内の声もあったが、JRに残っている「借金」は昨年3月末で約12兆円。「景気も悪いし、自分たちだけお祭り騒ぎするわけにもいかないので」と担当者。(朝日新聞)
21日■交通科学博物館 名物駅弁、一堂に あすから 陶器製茶器も販売
 ○…交通科学博物館(大阪市港区波除3丁目)は22日から、JR西日本管内の名物駅弁を、いながらにして食べられる「97JR西日本駅弁の旅」を開催する。
 ○…販売するのは、城崎の「かに釜めし」、草津の「八景弁当」、岡山の「桃太郎の祭ずし」など18種と、最初の駅弁といわれる「汽車弁当」(おにぎり2個)や明治期の「幕の内弁当」。
 ○…200円の「汽車弁当」以外は800円−1200円。駅弁のほか、懐かしい陶器製の茶器も限定販売する。開催は4月6日までの日曜、祝日と第2、第4土曜日。入館料が別に必要。同博物館は06(581)5771。(京都新聞)
■北新地など新駅 7駅セットで紹介 JR東西線の開業 記念入場券を発売
 JR西日本は、3月8日に開業するJR東西線(京橋−尼崎、12.3`)を記念した入場券セットを開業の日から発売する。
 入場券セットは、大阪城北詰、大阪天満宮、北新地、新福島、海老江、御幣島、加島の新しい7駅の入場券(硬券)を1組にし、B4判を2つ折りにした台紙に組み込んだ。台紙には、路線図や各駅のシンボルカラー、ワンポイントデザイン、駅周辺の由来などを紹介している。840円。発売数は1万セット。各駅と京橋、尼崎、大阪の3駅でも発売する。記念入場券は1枚120円で単品でも発売する。
 また、記念オレンジカード(1枚1000円)も同日から総数1万8000枚を発売する。(京都新聞)
■余罪は13億円? オレンジカード 3600万円分を詐取 容疑の元JR東社員を逮捕
 警視庁捜査二課は21日、オレンジカードなど約3600万円相当をだまし取ったとして詐欺の疑いで、東京都品川区南大井、元JR東日本財務部会計課主席、本多豊容疑者(37)を逮捕した。本多容疑者はオレンジカードなど計約13億円相当をだまし取っていた疑いが持たれており、同課で余罪を追及している。
 調べによると、本多容疑者は昨年5月初旬から下旬にかけて4回にわたり、JR東日本びゅうプラザ蒲田で、都内の生命保険会社から注文されたように装い、代金後払いでオレンジカードやイオカードなど5800枚、計約3600万円相当をだまし取った疑い。
 本多容疑者はだまし取ったオレンジカードなどを金券ショップで換金。一部は前回までにだまし取ったカードの代金の支払いに充て残りは消費者金融への返済や遊興費に使っていた。
 同容疑者は1993年7月ごろから昨年5月下旬まで205回にわたり、オレンジカードなど計約13億1000万円相当をだまし取っていた疑いが持たれており、JR東日本の代金が返金された分を差し引いた実損額も約1億3000万円に上るという。
・再発防止に全力で
 JR東日本・佐々木信幸広報部長の話 JR発足10周年を迎え、接客サービスの向上や安全の確保に社員一丸となって取り組んでいる中で、このような不祥事を起こしたことは誠に残念。事実関係を分析する中で、必要な対策は取っているが、さらに指導を徹底し、全力を挙げて再発防止に取り組む。(京都新聞 夕刊)
■JR西社長に南谷氏 井手社長は会長就任へ
 JR西日本の井手正敬社長は21日、大阪市内で記者会見し、4月1日付で南谷昌二郎副社長が社長に昇格する人事を発表した。井手社長は代表権のある会長に退く。角田達郎会長は取締役相談役に就任する。
 2月24日の取締役会で正式に決定する。
 昨年10月に念願の株式上場を果たし、3月8日にはJR東西線が開業するなど重要な経営課題に一応めどがついたため、南谷副社長にバトンを渡すことにした。
 井手社長は「今年は民営化10年という節目の年でもある。一人の人間が長く実権を握るのは公共性の高い民間企業にふさわしくない」と話した。今後、会長として財界などの対外活動を分担する。
 南谷 昌二郎氏(なんや・しょうじろう)東大経済学部卒。64(昭和39)年、国鉄に入り、国鉄民営化により87年、JR西日本取締役に就任。常務、専務を経て94年6月から副社長。55歳。愛知県出身。(京都新聞 夕刊)
■大阪市 42年ぶりの減額 一般会計予算案 交通・水道値上げへ
 大阪市は21日、1997年度予算案を発表した。一般会計は前年度比2.2%減の1兆8803億円で、55年度以来、42年ぶりのマイナスとなった。国体向けのスポーツ施設の建設が一段落したのに加え、食糧費などを圧縮したため。一方で、地下鉄、ニュートラム、バスなど交通事業と、上、下水道について値上げを決めた。消費税の課税対象になっている公共料金も4月からアップ分を上乗せする。
 一般会計の歳出のうち、最も減ったのは土木費で、2%減の2497億円。また、食糧費を30%以上減らしたり、割高と批判された特別養護老人ホームの建設単価を下げたりして支出を抑制した。
 借金である起債も2656億円で14%余りの減。しかし、残高は過去最高の1兆7802億円に増加した。
 歳出を増やしたのは民生費で6.4%増の3801億円。特別養護老人ホームの定員目標(99年度)を4300人から6750人に変更。児童の虐待を防止する専門家グループの設置などにも取り組む。
 公共料金の値上げでは、地下鉄、ニュートラムの初乗りとバスの均一料金は180円を200円にアップ。地下鉄、ニュートラムの定期は通勤一区の場合、1ヵ月で7350円から8040円にするなど平均10.3%上げる。バスの定期は乗り継ぎなしの場合、2`未満に限り据え置く。2`以上では、通勤1ヵ月の場合で7560円から8400円にする。
 水道は平均12.3%引き上げ、1ヵ月20立方bを使う標準的な一般家庭で1520円(消費税抜き)を1920円(同、26%増)にする。下水道は平均29.4%の値上げで、標準家庭で625円(消費税抜き)が910円(同、46%増)になる。市は交通は7月、上、下水道は6月にそれぞれ上げる方針。(朝日新聞 夕刊)
22日■チェックの甘さ認める 信楽高原鉄道事故 JR側幹部が初証言 大津地裁公判
 1991年5月の信楽高原鉄道事故で業務上過失致死罪に問われた元同鉄道社員ら3人の第39回公判が21日大津地裁(中川隆司裁判長)であり、鈴木勝・元JR西日本電気部長に対する証人尋問が行われた。当時のJR側幹部が証人に立ったのは初めて。
 鈴木元電気部長は、事故当時、JR西日本で信号システムを統括する立場にあった。事故の遠因と弁護側が主張する小野谷信号所の「方向優先てこ」の設置に関して、JR西日本内部で定められている部局間の会議や図面の二重チェック、信楽高原鉄道側との話し合いがなかったのではとの弁護側の質問に対し「部下は『やった』といっているが、それを証拠づける資料は見ていない」などと証言し、JR側のチェック体制に甘さがあったことを認めた。
 同事故では、JR西日本と信楽高原鉄道が優先てこ設置を運輸省の認可を得ずに行ったとして、両社と各担当者が鉄道事業法違反で書類送検されている。(京都新聞)
■運賃1.92%値上げ申請 叡山ケーブル
 京福電気鉄道は21日、消費税率の引き上げに伴い、叡山ケーブルの運賃改定を近畿運輸局に申請した。値上げ率は1.92%で認可されれば4月1日から実施する。
 改定後は、八瀬遊園−比叡間の片道が530円(現行520円)、往復が1040円(同1020円)になる。(京都新聞)
■新幹線に新型券売機 京都駅などにJR東海
 JR東海は21日、新幹線の指定席特急券や乗車券などを、従来より短時間に購入できる新型の券売機を、東京、名古屋、京都、新大阪の各駅に3月1日から導入すると発表した。
 同社によると、利用客が券売機の画面案内に従って操作すれば、指定券1枚の発行に約90秒かかっていた従来の3分の2程度の時間で購入できる。また、新幹線の指定席回数券やのぞみ回数券、エコノミーきっぷ(東京都区内−大阪市内)で裏が黒か灰色の磁気化券であれば、座席を指定することができる。ただし、東海道新幹線区間内のものに限る。(京都新聞)
■新庄への延伸を決定 JR山形新幹線
 JR東日本は21日、山形新幹線の新庄駅(山形県新庄市)までの延伸計画を正式に決めた。3月中にも運輸省に認可を申請、1997年度中に着工する。
 計画では、総事業費351億円で奥羽線山形−新庄間(61.5`)の軌道幅を新幹線と同じ幅に改良し、ミニ新幹線の「つばさ」を走らせる。(京都新聞 夕刊)
■貨物列車立ち往生 JR、2000人に影響
 22日午前1時半ご川ろ、長岡京市内のJR東海道線長岡京−山崎駅間で、福岡行き貨物列車の機関車が故障し、立ち往生した。このため、後続の下関行き寝台特急「あさかぜ」が乗客約250人を乗せたまま貨物列車を押し、高槻駅に収容した。
 JR西日本によると、このトラブルで、下り普通電車1本が運休したほか、あさかぜやスキー列車「シュプール」など下り線で計16本が149分−4分遅れ、約2000人に影響が出た。(京都新聞 夕刊)
■また すっぽり雪化粧 京滋の朝、交通乱れる
 京滋地方は22日朝、強い冬型の気圧配置の影響で厳しく冷え込み、北部を中心に各地で雪が降った。京都市内で午前9時現在、3aの積雪を記録したほか、舞鶴11a、彦根7a、大津2aの雪が積もり、鉄道や道路網などに一部影響が出た。
 最低気温氷点下 2.4度を記録した京都市内は、21日午後からの降雪ですっぽりと雪化粧した。午前中も時折、雪が強く降り、厚着の市民らが足もとを気にしながら通勤、通学していた。幹線道路では、徐行する車が目立った。
 滋賀県でも、21日夕方から断続的に雪が降り、厳しい冷え込みも手伝って早朝の幹線道路は凍結、ノロノロ運転が続いた。
 この雪の影響で、京滋の鉄道のダイヤも乱れ、JR東海道新幹線は始発から名古屋−新大阪駅間で徐行運転、京都駅に到着する下り列車が30−45分程度遅れた。京都駅発着の在来線も、一部が3分ほど遅れた。
 道路関係では、舞鶴自動車道や京都縦貫自動車道で通行止めやチェーン規制の区間が出た。名神高速道路では天王山−岐阜県境間で50`の速度規制が行われ、上り線が滋賀県甲賀郡の菩提寺パーキングを先頭に一時、約30`の渋滞となった。
 京都地方気象台によると、次第に冬型の気圧配置が緩み、23日は平年並みの気温に戻る、という。(京都新聞 夕刊)
■強風で山陰線遅れる
 22日午前零時25分ごろから、兵庫県香住町の山陰線余部鉄橋で断続的に風速20bを突破したため、JR西日本福知山支社は、列車運行の抑止、再開を繰り返した。
 この影響で、始発から普通列車上下4本が部分運休したほか、大阪行き特急はまかぜ2号が1時間半遅れるなど、乗客約400人の足が乱れた。(京都新聞 夕刊)
■近畿に雪、交通乱れる
 西日本では冬型の気圧配置が強まり、近畿、北陸地方では22日朝から雪となった。この影響で同日午前10時現在、京都縦貫自動車道の千代川インタ−丹波インタ間などが通行止めになり、名神高速道路上り線が滋賀県甲西町付近から京都南インタ付近まで約30`渋滞するなど、週末の足が乱れた。
 東海道新幹線は始発から名古屋−新大阪間で徐行運転をし、午前中に30分程度の遅れが出た。JR神戸線などでも、朝の快速電車に5分程度の遅れが出た。
 大阪管区気象台によると、午前9時現在の積雪は豊岡市14a、京都市3a、大津市2a、神戸、奈良各市1aなど。(朝日新聞 夕刊)
■チチ松村のゴミを宝に 鉄道ファンの心もクギづけ
 1月の終わり、テレビの仕事で鹿児島に行ってきました。廃線になった鉄道を歩くという内容で、旧国鉄の山野線と宮之城線の残ったレールやトンネル、駅などのなごりを見てきたのです。
 あまりそういう物には関心はなかったのですが、鹿児島に一度も行ったことがなかったので、これはイイ機会だという不純な動機がもとでした。
 同行したのが、鉄道写真家の南正時さんという方で、日本をはじめ、世界中の鉄道の写真を撮りまくっていらっしゃる、とても物知りで優しい人でした。この南さんが、鉄道のことをその都度丁寧に教えて下さるので、いつもと違った視点から、それらを見ることができました。
 それにしても、さびたレールというのはもの悲しいものです。かつてこの上を立派な機関車や列車が走っていたのです。それが今やさびれ果て、草木に覆われ、見えなくなっている場所もありました。
 もちろん、廃線になったレールや駅を撤去して、サイクリングロードなどにしている所もあります。しかし予算のない所は、そのまま放置してあり、哀れな残がいと化しています。
 ところが、南さんの話では、この残がいが鉄道マニアにとって宝の山らしいのです。山野線のある駅の近くの小屋に、昔、駅で使用されていた機械や事務用品、道具や看板などが山のように無造作に放り込まれてあったのです。
 南さんはそれを見て「これは、このままでは盗まれてしまいます。すぐにどこかに保管して記念館を建てて飾るべきです」と町の役人さんに嘆願していました。
 そう言われると、確かに今までゴミのように思っていたそれらが、貴重な物に見えてくるのです。
 山野線には大川ループと呼はれる、山をゆっくりと回りながら登っていく場所がありました。そのトンネル内で南さんが、一本の大きなさびたクギを拾いました。
 それは犬の頭のような形をしているので、犬クギと呼ばれる、レールをまくら木にとめるクギです。廃止された鉄道の歴史が刻まれているからということで、これまた鉄道マニアにはうれしいものらしいのです。
 南さんは「記念にどうです!!」と言って僕に下さいました。僕はそれをアリガタク預き、帰りの飛行機で引っかからないか心配でしたが、何とか無事に持ち帰ることができました。(朝日新聞 夕刊)
23日■東海道新幹線 雪で終日乱れる
 東海道新幹線は22日、関ケ原付近の雪のため名古屋−新大阪間で上下線とも始発から徐行運転を実施した。JR東海によると、午後4時には速度を170−230`に上げたが、ダイヤの乱れは終日続いた。
 東京発博多行きのぞみ1号の新大阪駅到着が42分遅れたのを最高に、上下計209本の列車が約40−5分遅れ、約12万5000人の足が乱れた。(京都新聞)
■窓 障害者配慮の新京都駅望む 伏見区・村井 清(会社役員・72)
 新築中の京都駅が7月中旬にオープンの予定です。ところが、北側正面の改札、八条口改札からの階段と、各ホームの階段にエスカレターがほとんど設置されておりません。
 駅利用者は、商用、帰省、旅行などいろいろで、特に関西空港行き「はるか」の始発駅でもあり、荷物や大きなカバンを持った人たちが多く、階段の昇降に苦労しております。私も身体障害者ですが、駅の階段で見知らぬ人たちに助けられ、カバンを持ってもらった経験があります。
 完成間近の駅の各階段にエスカレーターが設置されるのか心配です。それも、昇降両方でないと、老人や身体障害者や荷物を持った旅行者は困ります。ホテルやデパートがあり、見かけは立派な駅でも、乗降客に不親切な駅になっては大変です。地下鉄や私鉄の主な駅にはエスカレーターかエレベーターが設置されています。京都の玄関である京都駅も、ホームに通じる各階段に昇降用のエスカレーターかエレベーターが設置された便利な駅の完成こそ、利用客のためのサービスだと思います。(京都新聞)
■窓 人の温もりに包まれた京都 鳥取県・小谷 郁夫(中学教諭・27)
 週末を利用して、京都の一泊旅行をした。奥の深い京の街が好きで何度も訪れている。今出川から銀閣寺へ行こうと、たまたま乗車、した市バスの広告スペースに、市内の小学生の習字作品が全面に張られていたのに驚かされた。私の住む中国山地の山あいの過疎地域は完全なマイカー社会で、ごくわずかな乗客を乗せたバスが走っているが、この取り組みを行うことで人々の目が公共交通機関に向かうのではないかと思った。わが子の絵見たさにバスを選ぶ客も多いに違いない。
 バスを降りて、しばらく哲学の道を歩いた。銀閣寺の入り口の門前で、おじさんに道を尋ねた若い二人連れの女性が、説明を受けたあと「ありがとうございました」と、笑顔で返していた。街と人の雰囲気が訪れる人を心地よくさせ、自然と、あのような言葉が出るのだろう。
 「ありがとう」といえば、四条河原町での出来事も忘れられない。市バスから、私に続いて降車した女子高校生が運転手さんに「ありがと」と、感謝の意を表していた。私はハッとして、その女子高生の顔を見た。彼女のおだやかな表情や、ふるまいを知った私は、寒さも忘れ、温かく幸せな気持ちになった。そして、また京の街を訪れて歩こう、そう心に誓った。(京都新聞)
■ケヤキ並木 帰れない 京都・御池通 市民ら惜しむ声 地下鉄工事で移植→工期長引き根張り→結局、再移植ムリに
 祇園祭や時代祭の行列が練り歩く京都・御池(おいけ)通のケヤキ並木が、道路下の地下鉄東西線開通に伴う京都市の整備計画などで、ほとんど撤去されることになった。植えられてから半世紀近い歳月をへて、古都を代表する堂々とした並木に育っていた。市は代わりにケヤキの若木を植える意向だが、住民からは「愛着が深い今のケヤキを何とか残して」と惜しむ声が上がっている。
 御池通は、市中心部の中京区などを東西に走る幅約50bの幹線道路。もともと民家が立て込んでいた地域で、太平洋戦争末期、空襲による火災を防ぐ防火帯としてつくられた。ケヤキは1953年以後、二条城から市役所前までの1.7`の分離帯に213本植えられ、高さ約13bにまで成長した。
 市街路建設課によると、市役所寄りの約1.2`部分のケヤキ145本は90年、地下鉄工事の邪魔になるため、「工事が終わるまで」の約束で市内の公園などに移植された。しかし、工事が当初より約3年遅れたこともあり、移植先で根を張ってしまった。「再移植はケヤキへの負担が大きすぎる」(同課)として、御池通には戻さない方針を決めた。
 その西の二条城に近い約0.5`に残るケヤキ68本も、地下鉄開通を受けた御池通の「シンボルロード整備計画」に基づいて車道幅を広げるため、現在より約4b歩道寄りに移す。市の調査で多くの木が弱っていることがわかり、比較的元気な約20本以外は、環境のいいところに移植するか処分する方向で固まった。
 市側は、御池通の整備にあわせて、これまでのケヤキの代わりに高さ4、5bのケヤキの若木を植える意向で、沿道住民を対象に説明会を開いたが、疑問や反発の声が続出した。
 近くに住む染色業片山克己さん(55)は「御池のケヤキは、京都の真ん中で戦後の街を見守りながら成熟してきた。市民にとって意味深い木で、何とかこの場所に残す方法を考えるべきだ」という。
 京都大工学部の三村浩史教授(都市計画学)は「街路樹の問題は、大通りの設計全体とかかわる。この際、古都の大通りにふさわしいデザインの公開コンペをするなど、広く市民を含めた議論をしたらどうか」と提案している。(朝日新聞)
24日■神戸市営「海岸線」 震災…完成遅れ工費膨張 地下鉄新線 急ブレーキ
 1999年春の開業を目指し、神戸市が建設している市営地下鉄海岸線(新長田−三宮間、7.9`)で、阪神大震災のために工事が大幅に遅れたうえ、建設費が100億円単位で膨らむ可能性が高まってきた。94年3月に着工したが、震災で工事は約半年中断。再測量や耐震設計を導入後に本格工事にかかり、工区によっては完成が1年以上遅れる可能性が出てきた。このため、建設費の減額につながる設計見直しも始めた。震災で大きな被害を受けた長田、兵庫区など沿線人口の回復具合によっては、採算性の見直しも避けられないという。(神戸支局・永島 学)
●線路つながらない
 13工区のうち、震災前は御崎車庫工区など2工区で着工。震災で市交通局職員は、不通になった市営地下鉄西神・山手線(新神戸−西神中央、22.7`)の復旧に追われるなどして、工事は中断した。
 市交通局は95年5月に現地測量を始めた。鳥取市沖の「基準点」からの座標値(距離と方角)をもとに工事を発注しており、震災で座標がずれていると線路がつながらない可能性があるからだ。その結果、全線で東方向に平均約15aずれていたことが判明。測量図を修正し、工事を再開した。地下の柱を太くし、コンクリート内部の鉄筋を増やすなど耐震設計への見直しもした。これだけで半年以上の遅れになる。
●工事に国道使えず
 JR神戸駅と地下通路で結ばれる海岸線の神戸駅の工事契約は、震災のあった95年初めの予定が同年7月未に遅れた。
 神戸駅の計画地の地上を国道2号が走り、駅の南端はJRと約2b、阪神高速道路神戸線の橋脚と約1bの近さ。このため、阪神高速の復旧工事で昨年8月末まで地下鉄工事用に国道を使えず、工事はほとんど進まなかった。
 単純計算で、この工区は当初予定より1年以上遅れ、24時間態勢で遅れの取り戻しを図っている。
●現場にがれきの山
 震災の影響を直接受けた場所もある。深さ15bにつくる御崎車庫(約4f、兵庫区)は、完成すれば全国最大級の地下車庫になる。震災から約4ヵ月間、倒壊して道路をふさいだ家屋などのがれき置き場になり、最大約4万立方bが山積みになった。プレハブ2階建て事務所は、95年3月まで被災者の避難所だった。
 その年の夏から工事を再開したが、地下を掘り下げるため1日約5000dくみ上げている地下水には、多量の鉄分が含まれていた。鉄分は市の水質基準10ppmを上回る約40ppmで、そのまま流せず、市は特注の大規模ろ過処理機3基を投入した。これだけで10億円近くかかる見通しだ。
●人口どれだけ戻る
 沿線の長田区と兵庫区は震災の被害が大きく、震災前と比べて人口が計約6万人減ったままだ。市は完成後の1日あたりの利用客を13万人と見込んでいたが、震災後は「ざっと10万人ではないか」(市交通局)という。人口の回復具合によっては、採算見通しの見直しが必要という。
 市の計画では、海岸線の建設費は1800億円。1`あたりの建設費は約225億円になる。
 地下鉄工事の建設費は埋設物が分からないため、地下の特殊な状態を想定せずに試算しているという。京都市営地下鉄東西線(醍醐−二条間、12.7`)では、当初は1`あたり192億円の計画が367億円に。大阪市営地下鉄の長堀鶴見緑地線・心斎橋−京橋間(5.7`)は、1`あたり208億円の見込みが272億円に膨らんだ。
 笹山幸俊市長は「1800億円以内に抑える」と強調する。しかし、市関係者には「建設費の超過は、設計見直しなどで対応できる規模ではないのでは」という声もある。
・神戸市営地下鉄海岸線 若者の人口流出が著しい兵庫区や長田区など市南西部で、下町的な情緒を残す住宅地と工業地域の活性化を促すため、廃止された市電路線とほぼ重なる形で導入された。JR新長田駅、市営地下鉄西神・山手線に乗り換えできる新長田駅から三宮付近までを10駅で結ぶ。1996年3月までに13の金工区を発注した。車両が小さめの中量地下鉄をリニアモーター式で走らせる。(朝日新聞 夕刊)
■JR西日本 大阪−姫路55分に短縮 2年後目標 新「新快速」登場へ
 JR西日本は、東海道・山陽線に走らせている「新快速」をスピードアップする新「新快速」計画を決めた。現在、新快速に使われている最も新しい型の車両を使って、最高時速を120`から130`に上げる。これによって、大阪−姫路間は一時間を切る。JR西日本は早ければ2年後にも実現したいとしており、競合する阪急、阪神、京阪にとってはさらに手ごわい存在になりそうだ。
 計画によると、大阪−姫路間は61分から55分に▽大阪−三ノ宮間は19分から16分に▽大阪−京都間は29分から26分に−それぞれ短縮される。
 スピードアップする車両は一昨年8月から導入した223系で、時速130`走行の能力を備えている。JR西日本は高速運転に対応できるよう、東海道・山陽線の線路を改修し、新型の自動列車停止装置(ATS)を設置するなどして安全対策も図る。1999年3月のダイヤ改定からの実施を目指す。
 新快速は国鉄時代の70年に登場。89年には新型車両を導入して朝夕の通勤ラッシュ時間帯にも走らせた。89年度に比べ、95年度の新快速利用客数は、大阪−三ノ宮間で257%、大阪−京都間で190%も増えている。このため同社は、新快速のニーズが高まっていると判断した。
 スピードアップは大阪−京都で72年以来。大阪−姫路は90年、大阪−三ノ宮は91年以来になる。
 時速130`は、北陸線を走る特急「サンダーバード」や山形新幹線の在来線部分の最高速度と同じ。踏切のある線路では600bの制動距離を確保しなければならず、在来線では青函トンネル内などを除き、130`が上限だという。
 東海道・山陽線に並行して走る私鉄は、例えば阪急の特急で梅田−三宮間が27分、梅田−河原町問が39分と、スピードの面ではJRに大差をつけられている。(朝日新聞 夕刊)
■かんさい鉄道新時代 1 新ルート JRvs私鉄、第二幕へ
 朝7時すぎ、JR片町線松井山手駅に止まった7両編成の普通電車に、サラリーマンらが次々乗り込む。大阪府との境に近い京都府綴喜郡田辺町にあるこの駅を発車した電車の車内は、三つ先の駅でほぼ身動きできない状態に。京橋駅でJR大阪環状線に乗り換え、大阪駅まで行くのにざっと1時間かかる。
 3月8日に開通するJR東西線(京橋−尼崎、12.5`)は、大阪市の都心部の地下を東西に貫く。片町線(木津−片町)は京橋駅で都心に直結し、松井山手駅から新設の北新地駅までは半分近くの約37分に縮まる。
 梅田周辺の通信サービス会社に勤務する田辺町の会社員(53)は2年前、開通をにらんで大阪府枚方市から引っ越してきた。「いまの京橋駅での乗り換えは面倒。開通後は北新地で降ります」という。
 京橋駅に近い大阪ビジネスパーク。ここに大阪支店を構える東京海上火災では、阪急宝塚線と大阪環状線を乗り継いで通勤していた社員数人が、2枚の定期券をJRの1枚に切り替える。
 阪急宝塚線と並行するJR福知山線の電車は、尼崎駅でJR東西線に乗り入れる。兵庫県宝塚市や川西市からの利用者は、京橋駅まで乗り換えなしで行けるようになる。北新地など他の新駅周辺の企業でも、切り替えの動きが出ている。
 一方、西ノ宮駅から大阪駅に通う会社員(31)は「JR東西線の開通でかえって不便になる」という。東海道線から大阪方面への普通電車の半分近くはJR東西線に乗り入れるため、大阪駅に行く本数が減る。しかも、JR東西線内では9駅すべてに電車がとまり、西ノ宮−北新地間は23分と、西ノ宮−大阪間より7分も余計にかかる。
 JR東西線の便利さは、大阪の都心部を境に「東高西低」の形だ。
 「トクとごらんください。定期券のおねだんです」。関西の主な新聞に最近、JR西日本の全面広告が掲載された。「3月8日、いよいよJR東西線開業」の文字とともに、近畿圏にある主なJR駅間の定期券の運賃表が出ていた。便利さと同時に安さを売り込む戦略だ。
 JR西日本は、北新地から宝塚や三ノ宮を結ぶ区間に、通常の運賃より2、3割安い特定運賃を設定し、私鉄に対抗する。北新地−宝塚間の1ヵ月通勤定期は、阪急の梅田−宝塚間より1230円、北新地−三ノ宮間は阪急、阪神の梅田−三宮より510円安くなる。
 JRは、私鉄などから1日6万8000人がJR東西線に移ると見込んでいる。
 逆に、京橋−淀屋橋間で競合する京阪電鉄は、地下鉄長堀鶴見緑地線の影響と合わせて年間約20億円の減収、尼崎−梅田間を並走する阪神電鉄は約7億円減ると試算する。一方で、阪急電鉄は「便利さと不便さが相殺され、影響はほとんどない」と分析する。
 JRが民営化して4月でまる10年。私鉄との間で繰り広げられてきた競争は、JR東西線の開業でさらに激しくなろうとしている。新しい時代に入る関西の鉄道を追った。(朝日新聞 夕刊)
25日■窓 JR藤森駅の開業を心待ち 伏見区・佐藤 順子(主婦・54)
 「いよいよだな」−そう思いながら、ふと立ち止まって完成間近い駅舎を見る。3月8日、JRの新駅「JR藤森」が開業する。わが家から、ほんの少し歩いた所にできるこの新駅を、畑地の時から見守ってきた。たくさんの工事関係者の方々が従事され、トラックの出入りも頻繁になり、警備をされる方も忙しくされている。
 一人のおじさん(といっても同年齢くらい)と、顔見知りにもなり、互いにあいさつも交わすようになった。その方は、いつも丁寧で、注意深く歩行者を誘導されていて、通る私たちも、さわやかで気持ちがいいものである。関係者の方々も事故のないよう常に気遣っておられるのは当然のことながら、一日の工事終了後の道も、いつも掃いて整理されているのが、とても心うれしい配慮と感謝している。橋上駅舎のため、エスカレーターも車いす対応型を設置されるとか。駅周辺には340台収容の駐輪場も整備されるとある。
 わが家の娘も大阪方面に通学しているので、利用できれば時間の短縮にもと期待している。(京都新聞)
■窓 駅などの清掃地域が担えば 伏見区・鈴木富三郎(会社役員・73)
 JR奈良線の、稲荷駅と桃山駅の間に新設される「JR藤森駅」と京都駅間に要する時間は8分、運賃は180円である。この短い時間と安い費用から派生する新駅の利便性は、極めて高いと予測される。京都駅が持つ多様な付帯機能は、今秋には、さらに大きく拡大されるし、その将来性にかける夢は限りなく広がる。従って、この地域に住む人々は、長年の懸案であった新駅開設に伴い、これらの利便を半永久的に受けられる。
 そこで提案であるが、地域住民は新駅が快適に利用されるよう、駅とその周辺の清掃整備を受け持つこととし、それに高齢のボランティアが参加するルールを決めていただきたい。私たち高齢者にとって、身近に生きがいがあり地域社会に貢献できることは、何にもましてうれしいことである。しかも、作業に加わることによって新しい人間関係が派生し、良き隣人としての交流の輪が駅を中心にひろがることになる。
 阪神大震災の被災者が、恩返しのため油の回収に努めておられる姿を見て、日本人にもようやくボランティアの精神がしっかり根づいてきたように思う。高福祉政策の恩恵を享受しているわれわれは、事情の許す限り努めて社会奉仕活動に励むべきであり、それが心身共の健康につながることになるのではなかろうか。(京都新聞)
■かんさい鉄道新時代 2 金縛り 「私鉄は線路造れぬ」
 淀川をまたぐ長さ610bの赤川鉄橋を、18両編成の貨物列車が通過していく。すぐ横の手すりを隔てた板張りの通路を、人が行き交う。この通路を取り壊してもう一本線路を敷き、JR西日本の電車を走らせる工事が来年、始まる。
 大阪外環状線。既存の貨物線を利用して、新大阪駅と大阪府八尾市の久宝寺駅の20.3`を南北に結ぶ。JRや大阪府などが出資した第三セクター会社が旅客用の線路を建設し、JRが施設使用料を払って電車を運する。
 建設費約1200億円のうち4分の1以上の約310億円は、国と沿線自治体から補助される。残りは第三セクター会社への出資金と借入金でまかなう。国の補助金は運輸省管轄の特殊法人「鉄道整備基金」から出る。貨物線の利用を条件に第三セクター向けに新設された制度の、適用第一号となった。
 この基金には無利子融資制度もある。新線建設など13路線が融資を受けたが、いずれもJRや、JR関連の第三セクター、公営地下鉄の事業に限られている。
 「1円でも多く金利のない安定資金が欲しいが、現状ではハードルが高い」
 近鉄の田代和社長は去年12月の記者会見で表情を厳しくした。関西文化学術研究都市と大阪を結ぶ京阪奈新線(生駒−高の原、約12`)の計画について聞かれた時のことだ。運輸省や近鉄などでつくる研究会は採算性が厳しいと判断し、整備対象を生駒−登美ケ丘(仮称)間の約8`に縮小した。それでも約1000億円の建設費を調達するめどが立たず、計画は暗礁に乗り上げている。
 近鉄だけではない。阪神電鉄の西大阪線の延伸工事(西九条−難波、約4`)は30年前にいったん着工したが中断したままだ。1000億円を超える建設費が壁になっている。京阪電鉄の中之島線(天満橋−玉江橋、約3.1`)計画も約1500億円の建設費に阻まれ、具体化していない。
 鉄道整備基金の利用は、新幹線をJR各社に売った収入の一部が基金の財源になっているいきさつや、JRの「公共性」をより高く見る運輸省の資勢によって事実上、閉ざされている。「今のままでは私鉄はもう線路をつくれない」と京阪の伊藤貞男鉄道事業本部長。計画の段階で私鉄は金縛り状態になっている。
 JR東西線は大阪外環状線と同様に、第三セクター会社が建設し、JRが施設使用料を支払う。建設費約3400億円は、JRと大阪府・市、他の民間企業が出資した資本金 800億円以外は借入金。最初の10年間に年間約200億円、その後年間100億円を返済するが、30年間は赤字経営が続く。
 JRが支払う使用料は年間138億円。それも3年ごとに10%引き上げられる。同線の利用者からの収入だけではまかない切れず、JRは「ほかの路線への波及効果で穴埋めしたい」とそろばんをはじく。
 JR東西線の開通でダイヤに余裕のできた大阪環状線を活用して全体の輸送力を高め、増収につなげる考えだ。しかし、利用者が計画通り増えるかどうか。JRには、開通する新線の負担がのしかかる。(朝日新聞 夕刊)
26日■「風に弱い」もう言わせない 関空連絡橋防風柵完成
 関西空港の連絡鉄道で26日始発電車から、強風対策が始まった。橋の一部に防風柵(さく)が完成し、信号システムの風速規制値が緩和された。強風でストップする回数は、これまでのほぼ半分の年間10回程度に抑えられるという。
 防風柵が設置されたのは、りんくうタウン、空港島のそれぞれの橋の取り付け部分で、合わせて約650bの区間。26日午前、風はそれほど強くなく、南海電鉄の特急「ラピート」やJRの特急「はるか」などが、いつも通り走行した。
 連絡鉄道はこれまで、通常時は瞬間風速25b、台風時は同23bで運転が中止される風速規制が行われていたが、26日からは一律26bに上げられた。(朝日新聞 夕刊)
■関西鉄道新時代 3 バリアフリー 私鉄の輪、近づくJR
 「関西空港へ行こか!」「それやったら天下茶屋からラピートに乗ったら安うで行けるよ」。チラシに大きな文字が躍る。南海電鉄の庄司敏明・関西空港駅長(58)は今月10日朝、阪急京都線の茨木市駅で、利用客にこのチラシを配った。
 南海は去年10月、ダイヤを改定し、難波発の関空特急「ラピートβ」をすべて大阪市西成区の天下茶屋駅に停車させた。同駅に接する地下鉄堺筋線の天下茶屋駅には、阪急京都線の電車が乗り入れている。沿線住民に、ラピートを利用してもらおうという狙いだ。
 ダイヤ改定前、この沿線から鉄道で関西空港に行くには、地下鉄、南海と2回乗り換えていた。これが面倒でJR京都駅まで戻り、関空特急「はるか」を利用する人も多かった。
 ラピートは、空港が開港した1994年9月、月間の利用者が31万人で、「はるか」の24万人に大差をつけた。しかし翌年6月に逆転され、今では4万人も少ない。南海はダイヤ改定で月約1万5000人の増客につながったとする。
 大阪を中心とするJR西日本の大都市圏路線は「アーバンネットワーク」と呼ばれる。JR京都線や大和路線などと線区に愛称をつけ、割安の特定運賃にしてほかのローカル線とは扱いが別になっている。この鉄道網に新幹線や在来線特急がからみ合う。「はるか」も新大阪駅や京都、滋賀方面まで乗り入れている。
 南海は、難波で途切れるラピートの敗因を、JRとの利便性の差にあると分析する。南海だけでなく、JRの鉄道網を大きな脅威とみる私鉄は、ほかの私鉄や地下鉄とスクラムを組み、対抗しようとしている。
 阪急と阪神は去年10月、梅田−三宮間の通勤定期でどちらの電車も利用できるようにした。阪神と山陽電鉄は、梅田−姫路間の直通運転に近く乗り出す。
 大阪・梅田のホテル阪急インターナショナル「花風の間」で17日夕、阪急、阪神の専務、能勢電鉄、北大阪急行の常務、大阪市交通局の総務部長が金屏風(きんびょうぶ)を背に顔を並べた。去年3月にスタートした「スルッとKANSAI」に参加している4社1局の代表だ。
 「スルッと」は、共通のプリペイドカードを自動改札機に通せば、参加する鉄道のすべての駅、区間を利用できる。99年度までに京阪や南海など新たに九社が加わることが、発表された。大阪市交通局の楢崎雄二総務部長は「これでネットワークが2.7倍に広がる」と胸を張った。
 対するJRは、JR東西線の開通をきっかけに、アーバンネットワークの自動改札化に乗り出す。独自の機械を設置するが」約30億円の追加投資で「スルッと」のカードを使えるようにできる。「スルッと」には不参加だった従来の方針の変更も検討し始めた。大都市圏外をどうするかなどの技術的な課題があるが、私鉄側に参加を拒む空気はない。
 会社ごとに途切れていた関西の鉄路は、次第に垣根が低くなっている。JRの攻勢が私鉄の結束を生み、JRもその輪に接近を試みる。同時に、鉄道部門を軸にしてきた私鉄は姿を変えようとしている。(朝日新聞 夕刊)
27日■一番列車は 10月1日発車 北陸新幹線
 長野冬季五輪に合わせ建設している北陸新幹線は「10月1日開業」に向けて準備が進んでいることが、26日分かった。
 レールの敷設などの工事は既にほぼ終了し、並行在来線である信越線の一部区間廃止許可などの法的な手続きを残すだけとなったためで、JR東日本は春から営業用車両での検査、試験走行を繰り返し、開業に備える。
 北陸新幹線の高崎−長野間(117.4 `)は1989年に整備新幹線として初のフル規格で着工した。全区間の50%以上はトンネルで、長いトンネルは山腹に横穴を開け、4ヵ所から同時に掘るなどの突貫工事を進めた。レールや架線の敷設や、軽井沢など4つの駅の改修もほぼ3月には終了する見込みとなった。(京都新聞)
■地下鉄東西線 延伸計画 醍醐−六地蔵を優先 二条駅以西見直し 桝本市長表明
 京都市の桝本頼兼市長は27日午前の2月定例市議会本会議で、地下鉄東西線醍醐−六地蔵間、二条−西大路間の延伸計画について「2路線を同時に事業化するのは極めて困難。醍醐−六地蔵間を優先して整備したい」と述べた。また、二条以西は「ルートの再検討が必要」とし、路線計画を見直す方針を示した。
 今年11月に醍醐−二条間(12.7`)が開業する地下鉄東西線の延伸計画は、醍醐−六地蔵(約2.5`)、二条−西大路(約1`)が、89年の運輸省の運輸政策審議会答申で「2005年までに整備が適当な路線」として位置づけられ、市が計画路線の沿線を中心に地質や埋設物の調査などを進めている。
 着工には運輸省の鉄道事業免許が必要だが、国の財源枠などから、一都市で複数路線が同時に補助採択された例がない。
 こうした状況を踏まえ、桝本市長は答弁で「2路線の同時事業化は困難」とした。その上で、「六地蔵方面は商業施設の集積や開発が著しく、京阪(宇治線)、JR(奈良線)との連絡もあり、相当の需要が見込まれる。広域的な交通ネットワークの形成につながり、市の活性化に寄与する」と述べ、醍醐−六地蔵間の着手を優先する方針を明らかにした。
 一方、二条以西については、「天神川以西の早期の道路整備が見込めないことなどから、洛西へ至るルートは再検討の必要があり、一定の期間を要する」と述べ、現行の二条から西大路経由で洛西まで延ばす計画路線図を見直す考えを示した。
 市では、延伸の順位を明確にしたことで、醍醐−六地蔵間について「98年度以降のできるだけ早い時期に運輸省に免許申請を行い、運輸政策審の答申に盛り込まれている2005年完成を目指したい」(交通局)としている。
 醍醐−六地蔵間のルートは外環状線沿いとなるが、六地蔵駅をどこに設けるかなどはまだ決まっていない。事業費は、路線建設だけで700−800億円が見込まれるという。(京都新聞 夕刊)
■「運転手マナー悪過ぎる」 バス会社に改善勧告 四国運輸局
 四国運輸局は26日、コトデンバス(本社・高松市、山田修三社長)に対し、乗り合いバスと貸し切りバスの安全やサービスの向上に努めるよう、改善勧告を出した。この1年、「運転手のマナーが悪い」「客がいるのに停留所を通過した」などの苦情が相次いだためで、サービス全体が指導の対象となるのは全国的にもめずらしい。
 四国運輸局によると、昨年県内から寄せられた苦情・要望は19件あり、うち16件がコトデンバスだった。今月10−17日、運輸局の職員が乗客としてバスに乗り、実情を調べた。その結果、「運転手が乗客にあいさつしない」「定刻よりも早く出発してしまう」など、接客や運転マナーに対する苦情がほぼその通りだったため、18日に本社の立ち入り検査をしたうえ、改善勧告に踏み切った。
 この日、山田社長を呼び、利用者からの苦情があったら全従業員に指導を徹底して再発防止に努める▽運転者に対する安全運転教育を徹底する▽停留所で予定時刻より早く出発しないよう指導する、など7項目を勧告した。3月21日までに、具体的な改善計画を立てるよう求めている。
 コトデンバスは「本社に直接きた苦情もある。至急検討して対策を練りたい」と答えた。同社は県内最大手で、年間利用者は約560万人。(朝日新聞 夕刊)
■かんさい鉄道新時代 4 新商売 生き残りかけ脱本業
 夜の阪急電車。帰宅途中の物流会社係長(40)は、満員の車内で急にトイレに行きたくなった。扉近くにしゃがみ込み、次の駅でホームを走る−。
 朝日放送制作のドラマ「幸運の女神」の1シーンだ。演じるのは俳優の萩原流行さん。先月29日夜、阪急電車を1編成(6両)借り切り、今津線の西宮北口−宝塚間を3往復させて撮影した。阪急には、60万4800円の料金が支払われた。
 駅舎、ホームの使用料は1時間5万円。職員の立ち会い料金は1人1時間5000円、つり革は5本1組で1000円…。阪急は駅構内や車両などの撮影料金を制度化している。一昨年10月に始めた新商売だ。関西の鉄道では初の試みとあって、ドラマや映画、CMなどの撮影依頼が絶えない。これまで39件約650万円を売り上げた。
 阪急のほか近鉄、南海、京阪、阪神の私鉄大手5社の利用者は1995年度で計約24億2000万人。4年連続して落ち込み、ピークの91年度より約1億7000万人も減った。各社は、沿線人口の伸び悩みや、阪神大震災でいち早く復旧したJRに移行する人が増えていることなどが原因と分析。鉄道収入の増加は期待できないとみて、新しい事業に乗り出している。
 京阪は大阪府枚方市の遊園地「ひらかたパーク」に約60億円をつぎ込み、「ひらパー」という愛称で去年夏、リニューアルオープンさせた。近鉄は一昨年11月からコンビニエンスストアを展開、これまでに60店を開店させた。
 5社の営業収入に占める鉄道事業の割合は、96年度の中間決昇(同年4−9月)で、近鉄の79%から阪神の41%まで。JR西日本の98%に比べ、鉄道の比重は低い。
 「もう鉄道で食っていこうとは思わない。ワンマン運転や無人駅化で徹底的に自動化、省力化を図り、将来は鉄道部門を分社化することになる」。ある私鉄大手の幹部はこう予想する。
 「はじめまして。Be・Happyです」。24日朝、DJの三好貴久子さんの声がFMラジオから流れた。スタジオは、大阪・西梅田に3月19日開業する40階建ての高層ビル「ハービスOSAKA」の地下1階にある。
 阪神が建設した「ハービス」のPRにと、高さ190bのビルのてっぺんにアンテナを設けて開局した。半径25`のエリアで、梅田のOLやビジネスマンをターゲットに音楽などを24時間放送する。
 ビルの建設費は同社の年間営業収入に匹敵する約600億円。ホテルを軸に、レストランなどの商業施設、オフィスが入居する。テナント収入を年間80億−100億円と見込んでいる。
 阪神は震災で約480億円の被害を受けた。そのうち約200億円は国や兵庫県、神戸市から補助を受けたが、利用客は落ち込んだままで、復旧にかかった負担が重くのしかかる。
 「阪神グループの将来はハービスOSAKAにかかっている」。手塚昌利社長はこう言い切る。(朝日新聞 夕刊)
28日■関西3電鉄 南海・京阪・阪神 統一店名でコンビニ展開 4月下旬に1号店 仕入れ先共通化 独自商品開発も
 南海、京阪、阪神の関西3電鉄がコンビニエンスストア事業で提携する。各社が4月以降、独自に展開するコンビニの店舗名を統一して多店舗化を進め、大手のコンビニチェーンに対折する。
 南海電鉄の川勝泰司社長が27日の記者会見で明らかにした。仕入れ先を共通化して経営効率の向上も目指す。独自の商品を共同開発する計画もあるという。近く3社で協議会を作り、店舗名や仕入れ先などを決める。
 京阪電鉄が4月下旬に枚方市の樟葉駅構内で開業する1号店から統一名称を使う。南海電鉄は9月にも大阪市中央区の難波駅構内に1号店を開業。阪神電鉄の出店は未定という。
 川勝社長は「当面は駅の構内や鉄道沿線に出店するので競合の心配はない。事業が軌道に乗ればもっと広い範囲で出店を考える」と話している。(京都新聞)
■窓 駅に生えてたキノコにホッ 上京区・水島 督(学生・22)
 今春から入社する予定の会社の研修に出かけようと、阪急西院駅のホームで、梅田行きの電車を待っていたときのことです。線路に目をやると、敷き詰めてあるたくさんの石ころの間からキノコらしきものが生えているではありませんか。
 そういえば、以前に、マナーのない人によって駅のホームに捨てられた飲みかけの缶ジュースの中身を、清掃員の方が線路の所に流しておられる光景を見たことがありました。これらの、いろいろな飲み物が、ちょうど良い水分や栄養となり、西院駅が日光の当たらない地下の駅であること、湿度や温度などの案件もそろってキノコが生長したのだと思います。
 空き缶をホームに捨てる人が悪いのか、ある人にとっては缶入り飲料の容量が多すぎるのかという問題は別としても、このキノコのおかげで、少し、ほのぼのとした気持ちになれました。今まで4年間も大学への通学でこの駅を利用してきたのに、全く気づきませんでした。最近できたキノコなのかもしれません。ものの見方を変えれば、単調な繰り返しに思える毎日の中でも、楽しく面白いことが見つかったり、悩みが、ほんの少しだとしても、楽になることがあるような気がしました。(京都新聞)
■大阪城天守閣記念 乗車カードを発売 大阪市交通局
 ○…大阪市交通局は、3月1日から大改修で美しくよみがえった大阪城天守閣を記念したプリペイド乗車券「レインボーカード」を発売する。
 ○…緑色の屋根や白壁、黄金色の鯱鉾(しゃちほこ)など輝きを取り戻した天守閣を、黄金色と放射状の線でより映えるようイラスト、中央に「平成の大修理」の文字を添えた。
 ○…カードは1種類のみで、1枚1000円。2万枚の限定発売で、大阪市地下鉄各駅の定期券発売所や売店、案内所などで売り切れるまで発売する。(京都新聞)
■南海・京阪・阪神 仕入れ共同 店名も統一 コンビニで提携
 南海電気鉄道、京阪電気鉄道、阪神電気鉄道の3社は、コンビニエンスストア事業で提携する。店舗名を統一するとともに、仕入れを3社で共同化することで仕入れ価格の引き下げにつなげる考え。
 京阪が4月に樟葉駅(大阪府枚方市)構内に第一号店を開業するのをはじめ、南海が9月までに難波駅(大阪市)で、阪神も秋以降に出店する計画で、3社は当面、自社の鉄道沿線に年5店程度のペースで出店する。各社の出店地域が競合しないことから、提携に踏み切った。すでにコンビニ事業に参入している近畿日本鉄道、阪急電鉄などに対抗する。(朝日新聞)
■駅業務に学生バイト 南海電鉄が合理化で
 南海電気鉄道は4月から改集札や案内など駅業務の一部を学生アルバイトで代行する。人件費を抑制するねらいで、現在、第一次分として40人を募っており、新年度までに約150人を登録する考えだ。
 正社員と同程度の駅業務の研修を実施し、朝夕のラッシュ時間帯に難波、新今宮、堺など約30駅に人員を配分する。これまでラッシュ時の乗降客整理を担当するアルバイトはあったが、改集札などの駅業務では全国でも珍しいという。(朝日新聞)
■京都市地下鉄東西線 宇治まで2.5`延長 98年度に事業免許を 他線と連絡 見込める需要
 京都市は27日、11月開業を目指して現在建設中の地下鉄東西線(二条−醍醐間、21.9`)を今後、醍醐(伏見区)から六地蔵(宇治市)まで2.5`延長する方針を明らかにした。1998年度中の事業免許の取得を目指す。東西線建設を巡っては建設費が見込みに比べ倍近くに膨れ上がり市民の批判を招いた経緯があるが、交通局は「今回は慎重に事業計画を立てる」としている。
 桝本頼兼市長が2月定例議会で西脇尚一議員(自民)の代表質問に答えた。
 市はこれまで、地下鉄延長計画を、醍醐−六地蔵間と二条−洛西間(10.0`)の2ルートで検討しており、地質調査や測量、国との折衝をしてきた。桝本市長は「国の補助採択の現状を考慮すると2路線を同時に事業化することは極めて困難」と述べ、醍醐−六地蔵間の建設を優先的に整備する意向を示した。
 理由としては、@六地蔵付近に大型店が相次いで進出しているうえ、JR奈良線や京阪宇治線との連絡も良く需要が見込まれるA広域的な交通ネットワークの形成が図れ、活性化に役立つB二条以西については早期の道路整備が見込めずルートの再検討が必要−の3点を挙げた。
 97年度は、事業計画を煮詰めるとともに環境影響評価などを実施していく方針という。
 地下鉄東西線については運輸省から免許を取得した88年、キロ当たりの建設費を190億円と見込んでいたが、見直しで倍近い365億円に跳ね上がった。市は一時、「財政非常事態宣言」を出すなど混乱した。現時点での総事業費は4658億円を見込んでいる。
 今年は地下鉄東西線の開通のほか、地下鉄烏丸線の延長区間(北山−国際会館間、2.6`)も6月に開通する予定。
・宇治の3団体 早期延伸要望
 宇治商工会議所、宇治市観光協会、宇治市北の玄関街づくり協議会の3団体が27日、京都市地下鉄東西線の醍醐−六地蔵区間(2.5`)の早期延伸を宇治市と同市議会に要望した。同区間は2005年までの整備が適当とされているが、同市北部地域の発展のため、京都市と協議する宇治市に働きかけた。(朝日新聞)
■市バス・地下鉄運賃 消費税転嫁、来春に 京都市が意向
 京都市は28日午前の2月定例議会本会議で、今年4月の消費税率引き上げに伴う運賃改定を見送る方針の市バス・地下鉄運賃については、来春をメドに転嫁する意向を示唆した。薦田守弘副市長が議員の質問に答えた。
 消費税率の2%引き上げで、市は4月から上下水道や中央卸売市場の使用料など8項目に転嫁することにし、今議会に条例改正案を提案。しかし、市バス・地下鉄運賃については、昨年9月に運賃改定したこともあり、転嫁を見送ることにしている。
 薦田副市長は、消費税率上昇分の転嫁見送りで、市バスでは年間3億6000万円、地下鉄で同3億4000万円の税負担増が見込まれるとしたうえで、「企業内努力だけでは限界がある。他都市や民間事業者の対応を注視し、おおむね1年後をめどに消費税改正に見合う運賃改定について検討する」と述べた。
 現行運賃は、市バスの均一区間が大人220円、地下鉄の1区が同200円、2区間230円などとなっている。(京都新聞 夕刊)
■「突然停電」で連携 開業目前 JR東西線 地下で避難訓練
 JR東西線(兵庫・尼崎−大阪・京橋間)の3月8日開業を控え、JR西日本は28日午前、同線の大阪天満宮−大阪城北詰駅間で、列車が駅間で長時間停車した場合に備えた乗客の避難誘導訓練を同社社員約100人が参加して実施した。
 同線12.5`のうち10.2`が同社にとって初の地下構造の鉄道となるため、乗務員や駅係員らが緊急時対応に習熟することが目的で、同線での訓練は列車火災、異常漏水時対応訓練に続いて2回目になる。
 訓練は、大阪天満宮駅を発車した上り電車(6両)が時速50`で加速運転中、突然停電し、大阪城北詰駅手前約460bで停車したことを想定。
 乗務員、駅員らの連携でトンネル照明を点灯させるなどしたほか、先頭車両の運転台の貫通扉と最前部の乗降扉を開け、はしごや座席シートを渡してトンネル側壁の避難通路に乗客に見立てた社員80人を降車させ、大阪城北詰駅まで誘導した。(京都新聞 夕刊)
■かんさい鉄道新時代 5 レール復権 街再生のきっかけに
 京都、大阪、奈良の3府県にまたがる関西文化学術研究都市の一角にある京都府綴喜郡田辺町は、3年前に人口5万人を超え、この4月に市制を施行して「京田辺市」になる。
 町の南部にあるJR片町線の上田辺駅周辺では昨年12月、区画整理事業が計画決定された。南隣の精華町にまたがる約340fの山林で、ニュータウンや研究施設を建設し、駅と町道で結ぶ計画もある。
 片町線とともに、JR東西線につながる福知山線の沿線では、神戸三田国際公園都市の開発が進む。三田市の人口は10万人を超え、増加率は全国でいちばん高い。
 学研都市と国際公園都市を合わせた計画人口は52万人。国土庁大都市圏整備局大阪事務所の生嶋文昭所長は、JR東西線について「両都市を結ぶ大動脈。片町線や福知山線の沿線で新たな核をつくるきっかけにもなる」と話す。
 JR尼崎駅一帯の約9fでは、尼崎市が再開発を進めている。計16棟のマンションや市営住宅が完成。2000年度までにスーパーやホテルも進出し、約1350世帯、約4000人が住む街に生まれ変わる。
 同駅には、JR東西線の開通とともに、東海道線の新快速と快速もすべて停車する。臨海部を中心に工場が撤退、縮小し、産業の空洞化と人口減少が進んでいただけに、市側は「人を呼び込める魅力ある都市づくりを進め、市の再生につなげたい」と意気込む。
 大阪市西淀川区にできる新駅の御幣島(みてじま)駅から徒歩5分の15階建て新築マンション。この3月上旬から購入者に引き渡されるが、昨年4月の売り出し当日に243戸を完売した。競争率は平均12倍、最高で35倍。不動産会社の担当者は「昨年手がけた近畿のマンションのなかで、最大の反響だった」と驚く。
 北新地駅を抱える大阪・キタの繁華街は、景気の低迷で客足が鈍っている。同駅の利用客は1日約14万人と見込まれている。北新地料飲協会理事長の岸本辰三さんは「企業の交際費が抑えられており、変革の時期にきている」。街は開通を「再生の起爆剤に」と盛り上がる。
 かつて私鉄王国といわれた関西で、鉄道各社は沿線に住宅地を開発し、鉄道利用者を増やしていった。しかし、JRを含む利用者は頭打ちだ。街の成熟や、バブル経済の崩壊で開発熱が冷めたこともあるが、道路整備の影響が大きい。
 今年4月には大阪と奈良を結ぶ第二阪奈道路が開通する。来年春には明石海峡大橋が完成し、来年度中には山陽自動車道の神戸−山口が全線つながる。第二名神(名古屋−神戸)や京奈和自動車道(京都−和歌山)の計画も進む。
 道路優先の交通体系に対して、大阪産業大の天野光三学長(交通計画)は、環境問題や交通事故の増加などで限界にきていると疑問を投げかけ、「道路につぎ込まれる税金を鉄道に回して新線の整備やサービス向上を図れば利用者は倍増する」と指摘する。
 3月8日に開通するJR東西線には「鉄道復権への足がかり」(JR西日本鉄道本部)との期待が込められている。(おわり)(朝日新聞 夕刊)
■Who's Who 星野鐘雄さん 関西高速鉄道常務
 JR西日本が、「アーバンネットワーク(都市交通網)の充実」と胸をはるJR東西線(片福連絡線)が3月8日、開業する。
 京橋−尼崎間約12.5`。8割以上が地下という難工事だった。建設主体の第三セクター「関西高速鉄道」で、資金確保や工程管理などにあたった裏方は、「国鉄、JR時代を通じて14年間、このプロジェクトにかかわることができました。多くの人々の力を結集し、やるべきことはやったという感じです。いまは『明鏡止水』の心境」と語る。
 「水の都」の地下は砂と粘土が層をなし、地下水位が高い。薬液注入で地盤を固め、深い工区では揚水して水圧を下げ、掘削した。海老江駅の現場では予想外の地下水が噴出。工法の変更を余儀なくされ、開業が2年遅れる一因となった。
 「淀川をトンネルがくぐるのは初めて。一番深いところは水面下約41b。阪神大震災の揺れでも変状はなかった」
 鉄路には、幼いころから愛着があった。呉服商の父が京都に仕入れに出かけるのを、久留米駅まで見送った。小学生のとき、一家は母の実家がある日本の磁器発祥地、佐賀県有田町に。少年期から映画に熱中したが、なかでも「戦場にかける橋」など鉄道の登場するシーンが心に残っている。大学で交通工学などを学び、国鉄を志望したのは「全国どこにいても、レールはふるさとにつながっている、と思ったから」。勤務の先々で、レールに耳をつけてきた。
 新線は京橋−尼崎間を17分で結ぶ。片町線(愛称・学研都市線)、福知山線(同・宝塚線)、東海道線(同・神戸線)などにも直通電車が走り、大阪と兵庫、京都、奈良の沿線がつながる。一日の予想乗降客数は約46万人。
 神戸市に住むだけに「震災復興にも役立つものと信じています」。会社への通勤に自ら新線を利用する予定だ。
 「『鉄道ルネサンス』というドラマの成功を祈っています。主役は、もちろんお客様と新車の207系車両です」(文・林 梓生)
 福岡県生まれ。63年、国鉄に入社。90年、JR西日本取締役建設工事部長。94年、関西高速鉄道へ。57歳。(朝日新聞 夕刊)