1996(平成8)年12月


1日■欧州の鉄道事故学び惨事防げ 独自の調査機関が必要 来夏、各国の事例出版(京都)
  ■声 運転手のお話感激しました 和歌山市 島袋 輝子(主婦 48歳)(朝日)
2日■余部鉄橋通過断続的見合せ(京都)
  ■列車9本に乱れ JR奈良線で誤作動(京都)
  ■踏切事故で親子4人死傷 北海道のJR室蘭線(京都)
  ■2児降り列車に手振ったが… 母と3児踏切で死傷 JR室蘭線(朝日)
  ■朝の足乱れる 京滋一気に雪化粧 新幹線、30分遅れ(京都)
  ■阪急河原町駅でボヤ(京都)
3日■山梨実験線 調整試験スタート 走行路にリニア雄姿(京都)
  ■阪急「桂駅」に一部特急停車 「高槻市駅」は全車(京都)
  ■阪急のキセル防止装置 1年で効果8億円分(京都)
  ■実現なら東京−大阪1時間 時速500`リニア けん引走行試験(朝日)
  ■オウム特別手配 林容疑者 京都に潜伏 先月中旬まで 同居信徒を手配(朝日)
  ■キセル防止で8億円増収 阪急(朝日)
  ■高槻市駅に全特急停車 阪急ダイヤ改定(朝日)
  ■倉庫の扇風機焼ける 阪急河原町駅(朝日)
  ■林泰男容疑者を逮捕 地下鉄サリン 沖縄・石垣島で(京都)
4日■非常ドアなど体験 桃薗西陣小 ユニークな授業公開(京都)
  ■私鉄総連来春闘 減額要求を承認 2000円滅の1万8000円京都)
  ■固定資産税を新幹線財源に 全国18都道府県が決議(京都)
  ■賃上げ要求18000円 大手スト「事後対処」 私鉄総連の春闘方針案(朝日)
  ■貨物列車が脱線転覆 JR函館線(京都)
  ■パリ地下鉄爆弾テロ 血まみれ倒れる乗客 座席ふっ飛びドア曲がる(京都)
  ■パリ地下鉄で爆弾テロ 2人死亡、80人負傷 日本人4人けが(朝日)
  ■貨物列車が脱線転覆 JR函館線(朝日)
  ■JR東西線に”1番電車”(朝日)
5日■窓 停留所の乗客市バスが無視 上京区・吉村江里子(会社員・23)(京都)
  ■JR東西線 試運転スタート(京都)
  ■平日に片道157本を運転 ダイヤ発表(京都)
  ■旧福島駅跡地にホテルや飲食店 阪神が開発計画(京都)
  ■宝船の形の初もうで切符 叡山電鉄発売 7駅に限り何回も乗り降り(朝日)
  ■旧福島駅跡に24階建てビル 阪神電鉄が建設へ(朝日)
  ■北新地駅の終電は上下とも0時26分 JR東西線ダイヤ(朝日)
  ■落石に衝突し脱線11人けが JR福塩線(朝日)
  ■けがの4人帰国延期 パリ地下鉄テロ(朝日)
  ■「地下鉄サリンは麻原の指示」林郁夫被告、再び証言(京都)
  ■昨年のテロと同じ火薬使用 パリ地下鉄テロ(京都)
6日■国鉄民営化10年 債務処理に課題 運輸白書(朝日)
7日■整備新幹線 財源問題先送り 自民税調 拠出金制度結論出ず(京都)
  ■地下鉄東西線 醍醐−六地蔵 府も延伸に協力 府議会で荒巻知事表明(京都)
  ■昭和17年、天皇の伊勢参拝時 御召列車の資料発見 米原町役場 運行計画記す(京都)
  ■時速300`の新幹線 来年3月にデビュー(京都)
  ■地下鉄サリン特別手配 高橋容疑者を目撃? 山形 女性と一緒、飲食店に(京都)
  ■「情けない」と法廷発言批判 松本被告公判で元幹部(京都)
  ■社説 整備新幹線は凍結しよう(朝日)
  ■時速300`誇る 新「のぞみ」 被災地に「配慮」、220`のまま 新幹線−神戸市内 JR「騒音減る」(朝日)
  ■JR各社ダイヤ改定(朝日)
  ■「松本被告が犯行の指示」地下鉄サリン杉本被告(朝日)
  ■アジア交差点 タイ 公営路線バス 色違うと料金に差(京都)
8日■JRの経営改善を評価 96年度運輸白書(京都)
  ■山陽新幹線 雪で111本遅れ(京都)
9日■地下鉄など値上げへ 大阪市、審議会に諮問(京都)
  ■大阪市 交通・水道値上げ諮問 来夏にも実施 経営改善示さず(朝日)
  ■線路の改修間に合わず JR東西線尼崎駅(朝日)
10日■”二条駅行き”発車待ち 地下鉄東西線醍醐車庫公開(京都)
  ■大鉄局の跡地購入者募集へ 国鉄清算事業団(朝日)
  ■今川正彦・元京都市長死去の報 混乱の中で2期8年間 関係者の声(朝日)
  ■声 バス無料でも歩かなければ 姫路市 橋本 萬平(無職 83歳)(朝日)
11日■東海道新幹線にもJR西の新型車両 来秋から投入へ(京都)
  ■「はるか」の70人缶詰 架線切れダイヤ混乱 貝塚の阪和線(朝日)
  ■心斎橋−京橋間開業 大阪地下鉄(京都)
  ■大阪市営地下鉄 心斎橋−京橋午後に開通(朝日)
12日■来年3月8日に開業 JR奈良線・京都教育大前駅(京都)
  ■とぴっく関西 JR東西線3月8日開通 大阪の中心部を横断12.3` 学研と直結 キタなどに7駅 都心は地下(京都)
  ■複線化に伴いスピードアップ JR福知山線(京都)
  ■東海道線の新快速 高槻、尼崎に停車 山陰線と湖西線 朝夕1本増発 JR西ダイヤ改正(京都)
  ■福知山−天橋立間 臨時快速3本新設 KTRダイヤ改正(京都)
  ■国の無利子融資延長 旧国鉄の債務処理 増額は実質先送り 政府・自民方針(朝日)
  ■「JR、対応せぬならまた分割」 整備新幹線財源こじれ 自民推進議員が暴論(朝日)
  ■ダイヤ改定 「都市型」めざす JR福知山支社 東西線へ直通運転(朝日)
  ■特急増発や時間の短縮 KTRも見直し(朝日)
  ■3月8日に開業 JR奈良線 京都教育大前駅(朝日)
  ■スキー列車年内運休(朝日)
  ■新快速すべて高槻駅に停車 JR 春のダイヤ(朝日)
  ■濃霧 朝の足乱れる 府南部(京都)
  ■「スルッとKANSAI」阪急バスも来秋参加 共通カード(朝日)
13日■急行電車から煙 乗客500人避難騒ぎ 阪急高槻市駅(京都)
  ■新幹線スマートに 最高300` 東京初乗り入れ JR西日本(京都)
  ■大阪市営地下鉄 建設費が1400億円超過 6つの区間とニュートラム 乗客、見込みの7割(朝日)
  ■整備新幹線 JR納付金方式断念 自民と運輸省 「地方交付金で充当」案(朝日)
  ■列車誕生物語 〈1〉トワイライトエクスプレス 豪華列車で北海道へ行きたい データ示し社内説得 寝台車改造知恵絞る(読売)
14日■整備新幹線 一部着工先送りへ 財源問題 16日にも決着(京都)
  ■JR米原駅 勇気持ち暴力排除 全国初の協議会結成(京都)
  ■整備新幹線 8年ぶり本格着工へ 来年度、未着工区間の一部 地方負担増など財源に 20年で3兆円(朝日)
  ■阪急梅田 信号停車中電車扉開く 車掌勘違い(朝日)
  ■作業車全焼、架線切れる 朝の新幹線大混乱 静岡(京都)
  ■新幹線乱れる 静岡で架線切れ(朝日)
  ■列車誕生物語 〈2〉マリンライナー パノラマ車で瀬戸大橋を 最高の眺めうりものに 高い床と回転座席(読売)
15日■列車誕生物語 〈3〉スーパーシリーズ 低コストで魅力ある車両に 工夫満載 苦肉の改造 広い座席や流線形(読売)
16日■木津−北新地800円 田辺−北新地640円 JR東西線、運賃申請(京都)
  ■JR東西線 北新地−三ノ宮390円 割安の「特定運賃」申請(朝日)
17日■整備新幹線建設費負担 国と地方2対1 3省合意JRにも拠出要請(京都)
  ■社説 整備新幹線は国民合意の上で(京都)
  ■2兆円民間低利で調達 運輸省国鉄債務累増防止で(京都)
  ■窓 心優しい市バス運転手もいる 伏見区・佐々木義雄(自営業・62)(京都)
  ■防火設備は万全か JR京都駅ビルの査察 下京消防署(京都)
  ■整備新幹線の建設財源 2018年度までに計2兆7000億円 自民特別委方針(朝日)
  ■線路上に転落うつぶせ無事 地下鉄心斎橋駅(朝日)
  ■山陽新幹線乱れる 相生−新倉敷間停電(朝日)
  ■列車誕生物語 〈4〉新世代の快速電車221系 ライバル私鉄に勝たねば 明るく広い車両を 幅、高さ限界に挑む(読売)
18日■北陸・九州・東北の一部 整備新幹線着工へ 来年度から(朝日)
  ■列車誕生物語 〈5〉ローカル線のエース・キハ120 社員に士気、沿線に活気を 再設計、パワーアップ 線ごとに色を工夫(読売)
19日■JRの減免措置を廃止 自民3社、固資税全額納付へ(京都)
  ■来月8日から バス運賃値上げ 京阪宇治交通・阪急バス(京都)
  ■踏切で電車に衝突2人死亡 16歳、伏見の京阪で(京都)
  ■国?地方?どこが負担 整備新幹線 着工の財源 政府自民 事業費毎年増額あてに(朝日)
  ■電車にはねられ女性が死亡 バイクの少年も重体(朝日)
  ■京阪神 バス10社値上げへ(朝日)
  ■列車誕生物語 〈6〉新時代の特急群 時間短縮、観光ムードも 先頭車の”顔”に特徴 利用者に夢を提供(読売)
20日■JRの建設負担金は撤回 整備新幹線で政府(京都)
  ■地下鉄にはねられ男性左腕など重傷 丸太町駅(京都)
  ■時々刻々 整備新幹線 来年度から着工決定 借金残し、不安乗せて(朝日)
  ■旧国鉄長期債務本格処理策 97年に策定 自民委方針(朝日)
  ■救済命令取り消し JRの京都不採用事件(朝日)
  ■雪で新幹線に遅れ(朝日)
21日■97年度予算 大蔵原案 新幹線事業費 6.3%の減 国費ベース(京都)
  ■不正乗車1982件 JR西日本上半期まとめ 719万円”罰金”も(京都)
  ■「スーパー特急」方式 運輸・自民原案調整 23日にも正式発表(朝日)
  ■ファイル'96 3 JR山陰線電化 高速化へ複線化実現を期待 課題残り手放しでは喜べず(朝日)
22日■採算性高い区間先行 整備新幹線で自民特別委(京都)
  ■新幹線など焦点 予算の篠活折衝始まる(京都)
  ■整備新幹線北海道・長崎 来年着工見送りへ(朝日)
  ■声 整備新幹線の強行許せない 新座市 木村 久夫(JR東日本社員 42歳)(朝日)
24日■整備新幹線 着工順位先送り 8月に成案 政府決定へ 自民特別委は抵抗(京都)
  ■北陸・東北、フル規格 整備新幹線の建設で自民案 全線着工で決着へ(朝日)
  ■大阪外環状線に免許(朝日)
  ■JR東西線運賃認可(朝日)
25日■元JR部長を2月に尋問へ 信楽鉄道事故公判(京都)
  ■路面電車の発車OK 建設省が補助事業(京都)
  ■整備新幹線 全線着工へ 「バラマキ」へ自民暴走(朝日)
  ■1400億円 利払いを軽減 国鉄長期債務で政府(朝日)
  ■論壇 今こそ在来線の整備が必要(朝日)
  ■整備新幹線 自民党なお強硬 政府との再協議が難航(朝日)
  ■新幹線で名古屋から広島(朝日)
26日■整備新幹線建設問題 検討委で優先順位 政府・与党合意 順次、着工の見通し(京都)
  ■97年度政府予算案の詳報(抜粋)(京都)
  ■男性飛び込み新幹線乱れる JR京都駅(京都)
  ■特急にはねられ死亡 大山崎のJR踏切(京都)
  ■大みそか、元日増発 京都市バス・地下鉄(京都)
  ■来年度予算政府案 公共事業伸び悩み1.3% 国債残高254兆円に(朝日)
  ■98年度から本格的処理 国鉄長期債務で決定(朝日)
  ■整備新幹線も”決着” 経済界は賛否半ば 行革への姿勢問われる(朝日)
  ■JR二条駅周辺に 映像文化の施設 2000年春にオープン(京都)
  ■踏切内にトレーラー 直前にブレーキ 奈良(朝日)
27日■複合型映画館やテーマパーク JR二条駅南西に文化施設 活性化の起爆剤に 事業計画まとまる 2000年春に開業予定(朝日)
  ■防風対策 実現めどなく 余部鉄橋事故あす10年 運休・遅れ年間300本以上(朝日)
28日■整備新幹線 未着工区間保証はせず 山崎政調会長語る(朝日)
  ■「ゆったり帰省始まる」 JR京都駅(京都)
  ■路面電車の敷石 再生 震災で掘り出し奈良の城下町へ 75年に廃止の阪神電鉄国道線(朝日)
29日■市バス・地下鉄 共通乗車券カード 売り上げ2.4倍に増加 元日から新図柄も登場 京都市交通局(京都)
  ■大みそか終夜運転 JRと大手私鉄(朝日)
31日■チンチン電車も正月祝う 梅小路公園で鉄道友の会京都支部 初のしめ縄飾る(京都)



1日■欧州の鉄道事故学び惨事防げ 独自の調査機関が必要 来夏、各国の事例出版
 信楽高原鉄道事故の遺族や弁護士らでつくる「鉄道安全推進会議」(臼井和男会長、事務局・京都市右京区)はヨーロッパの鉄道事故調査の方法を視察し、1日発行の会報に報告を掲載する。来夏には、以前訪れた米国を含め各国の調査方法について単行本で出版する計画で「運輸省や鉄道事業者から独立した調査機関をつくるのが世界的な流れ。日本でも実現したい」としている。
 調査団は、臼井会長や弁護士の佐藤健宗事務局長、安部誠治・関西大学教授ら11人。8月下旬から9月上旬にイギリス、フランス、オランダの政府機関や鉄道会社などを視察した。
 調査報告によると、イギリスではかつて事故調査機関は運輸省にあったが、健康安全庁(HSE)に移されている。フランスには独立の調査機関はなく、運輸大臣が事故のつど招集しているが、常設の委員会が検討されている。
 オランダは1956年に独立の鉄道事故委員会(SOR)を設置、さらに安全性を高めるため鉄道、海、内陸水路、航空に分かれている調査委員会を統合する準備に入っている。
 また、オランダでは、1993年設立の国際運輸安全連合(ITSA)も訪れ、運輸事故の国際組織があることを知った。米国の国家運輸安全委員会(NTSB)はじめカナダ、スウェーデン、ニュージーランド、フィンランドの6ヵ国が加盟し、他の国の参加を呼びかけている。
 日本には、鉄道事故の常設の調査機関はなく、運輸省は91年の信楽事故では学識者による臨時の調査検討会を設置した。臼井会長は「鉄道事故では運輸省も調査対象になる。惨事を繰り返さず調査を公正に行うには、独立の調査機関が不可欠。行政改革の一つとして強く働きかけたい」と話している。
 会報はB5判、12ページで800部作製。約450人の会員や交通研究者、国会議員らに送る。(京都新聞)
■声 運転手のお話感激しました 和歌山市 島袋 輝子(主婦 48歳)
 「バス追う客を待った運転手」という先日の本欄の投稿、本当にほのぼのとするお話でした。こんな場合、ほとんどの運転手さんは発車してしまって知らないふりをするのですが、こんなに心やさしい運転手さんもいることを知り、うれしく思いました。
 都会でも田舎でも、やはり、その人その人の心の持ちようで、よくもなり、悪くもなるのだなあと、つくづく思わせる投稿でした。
 確かに、時間より早く停留所に行っていなかったのは、乗る方の落ち度かも知れません。しかし、息せききって停留所にたどり着いたとき、バスが待っていてくれたら、どれだけありがたいことでしょう。こんなときのうれしさといったら、言葉で言い表せないほどで、忘れられるものではありません。
 こんな運転手さんが増えてくれれば、バスに乗るのも温かい気分になり、ああ、あの運転手さんかしらと楽しみが出てきますね。さわやかなお話、どうもありがとう!(朝日新聞)
2日■余部鉄橋通過断続的見合せ
 1日午後5時45分ごろ、兵庫県城崎郡香住町のJR山陰線余部鉄橋の風速計が20bを記録したため、JR福知山支社は、同鉄橋を通過する列車の運転を断続的に見合わせた。この影響で新大阪行き特急「エーデル鳥取」が遅れるなど影響が出た。(京都新聞)
■列車9本に乱れ JR奈良線で誤作動
 1日午後1時20分ごろ、京都府相楽郡山城町のJR奈良線棚倉駅の信号が赤のまま変わらなくなった。
 天王寺指令室(大阪市)の連絡で調べたところ、綴喜郡井手町の玉水駅下りポイントに鉄片があり、列車が軌道上にないのにあるような信号が伝わる状態になっていた。
 鉄片は間もなく取り除いたが、快速、普通あわせて列車4本が運休したほか、列車5本が最高27分遅れ、約2000人に影響した。(京都新聞)
■踏切事故で親子4人死傷 北海道のJR室蘭線
 1日午前11時35分ごろ、北海道豊浦町船見町、JR室蘭線豊浦−大岸間の真狩道路踏切で、同町東雲町、主婦斉藤結花さん(35)のワゴン車に札幌発函館行き特急北斗8号(6両編成、山崎冽運転士)が衝突した。
 ワゴン車は約19bはね飛ばされて大破し、乗っていた斉藤さんと子供5人のうち、四男覧司君(5つ)と二女真由美ちゃん(2つ)が頭を強く打って間もなく死亡。斉藤さんは頭や首などに大けがをし、長男の結城君(10)も頭などにけがを負った。二男と三男は衝突前に車外に出ており無事。列車の乗員、乗客148人にけがはなかった。
 伊達署の調べでは、現場は警報器、遮断機付きの踏切。ワゴン車が踏切内に入ったところで遮断機が閉まって立ち往生したため、二男と三男が遮断機を上げようとしていたところに特急が衝突したらしい。
 特急は現場に約1時間停車した後、運行を再開、ほかに特急1本が20分遅れた。
 斉藤さんらは幼稚園の行事に行く途中だったという。(京都新聞)
■2児降り列車に手振ったが… 母と3児踏切で死傷 JR室蘭線
 1午前11時35分ごろ、北海道胆振支庁豊浦町船見町のJR室蘭線大岸−豊浦駅間の真狩道路踏切内で、立ち往生していた同町東雲町、主婦斉藤結花さん(35)運転のワゴン車に、札幌発函館行き上り特急列車「北斗8号」(6両編成)が衝突した。ワゴン車は約20bはね飛ばされ、住宅の物置に突っ込み大破。事故時にワゴン車に乗っていた母子4人のうち、斉藤さんの四男で保育園児賢司ちゃん(5つ)と、次女真由美ちゃん(2つ)の2人が頭を強く打って死亡した。斉藤さんは頭や腹に重傷、長男の小学4年結城君(10)も軽傷を負った。列車の乗客約150人にけがはなかった。
 道警伊達署の調べでは、事故直前まではワゴン車に母子6人が乗っていた。次男浩君(8つ)と三男悠司ちゃん(5つ)が、下りていた遮断機を「上げてきて」と斉藤さんに言われ、車外に出て遮断機を上げようとする一方、列車に懸命に手を振ったが、間に合わなかった。浩君と悠司ちゃんにけがはなかった。斉藤さんと子供たちは、午後から町内の施設で開かれる保育園のお遊戯会に行く途中だった。(朝日新聞)
■朝の足乱れる 京滋一気に雪化粧 新幹線、30分遅れ
 師走寒波に見舞われた2日朝、京滋各地は真っ白に雪化粧した寒い朝を迎えた。北部の山間部を中心に積雪が続き、雪の影響で、名神高速道路やJR新幹線など交通機関の一部に通行止めやダイヤの遅れが残った。
 京都市内ではこの日最低気温0.5度を記録(京都地方気象台)。小中高校生らが寒さの中を、雪をさけるように登校した。二条城(中京区)では、特別名勝の二の丸庭園にうっすらと雪が積もり、池の周囲や芝生、木々も冬の情緒いっぱい。東京から出張中の男性(40)は「雪景色の京都は初めて。それにしてもきれいで、紅葉も同時に見れ、幸運」と言葉を弾ませた。
 この雪の影響で、東海道新幹線は下りの豊橋−京都間で120`−130`の徐行運転を行い、京都駅で約30分の遅れが出た。上りは山陽新幹線で約10分の遅れが出た。JR奈良線でも午前6時18分に棚倉−上狛間で竹林が線路に倒れ、午前中の奈良−京都1往復が運休、近鉄電車へ振り替え輸送した。
 京都駅では目立った混雑はなかったが、タクシーを利用する通勤客が目立ち、普段は70台ほどが待機する同駅前の乗り場も、午前8時前後には待機の車が1台もなくなるほどだった。(京都新聞 夕刊)
■阪急河原町駅でボヤ
 2日午前8時40分ごろ、京都市下京区の阪急電車河原町駅で、ホームの清掃業者詰め所から煙が出ているのを駅員が見つけ、間もなく消火器で消した。
 京都市消防局の調べでは、詰め所内のごみが詰まったポリ袋が焦げており、詳しい原因を調べている。朝のラッシュ時でホームには大勢の乗客がいたが、けが人はなく、電車の運行にも影響はなかった。(京都新聞 夕刊)
3日■山梨実験線 調整試験スタート 走行路にリニア雄姿
 流線型のリニア実験車両が登場−。鉄道総合技術研究所、JR東海などが開発を進めているリニアモーターカー山梨実験線の総合調整試験が2日から始まり、けん引走行で実験車両が初めて車両走行路(ガイドウエー)上を走った。
 白地に青のラインが入った3両編成の車両は、午後零時15分ごら実験センター(山梨県都留市)手前のトンネルから姿を現し、近くの住民や鉄道ファンがカメラを構える中、時速20−25`で次のトンネル入り口までの約1.5`を往復して車庫に戻った。同センターの関秋生所長は「(目標の)時速500`には程遠いが、満足できる試験スタート」と笑顔を見せた。(京都新聞)
■阪急「桂駅」に一部特急停車 「高槻市駅」は全車
 阪急電鉄は2日、来年3月上旬のダイヤ改正から、京都線の高槻市駅に特急をすべて停車させ、また、平日朝ラッシュ時と夜間に河原町行き特急の一部を桂駅に停車させる、と発表した。
 菅井基裕社長が記者会見で明らかにした。同社長によると、高槻市駅は現在、休日を除く毎日、朝夕のラッシュ時に通勤特急が停車しているが、3月からはこれを廃止し、平日、土曜、休日を問わず、特急を終日、停車させる。
 桂駅に停車する特急は快速急行になる。(京都新聞)
■阪急のキセル防止装置 1年で効果8億円分
 阪急電鉄は2日、不正乗車防止装置「フェアライドシステム」を昨年10月に導入して以来、ことし9月までの1年間に約8億円の損失を防ぐことができた、と発表した。
 同システムは自動改札機を利用する際、定期券に乗車時の日付を、降車時にはその日付に二重線を印字すると同時に磁気的にも記録。印字などがない場合は、自動改札機を通過できなくして不正を防止する仕組み。
 同社によると、1年間で入場券の発売枚数が、導入前の1993年度に比べ46%に落ち込んだほか、1区間の普通乗車券、回数券の全発売枚数における割合もこの1年間でともに23%に減少。
 これらの数値を基に収受不能となっていた金額を推計した結果、キセル乗車などによる8億円の損失を防止できたことになるという。同社は、現在システム対象外の他社との連絡定期券にも適用されれば約11億円分の不正乗車を防ぐことができるとみる。(京都新聞)
■実現なら東京−大阪1時間 時速500`リニア けん引走行試験
 時速500`の安定走行をめざす超伝導浮上式リニアモーターカーの「けん引走行試験」が2日、山梨県のリニア実験線(都留市−大月市間の18.4`)で始まった。流線形の試験車両が、本線に初登場した。試験は来年3月まで続く。
 ディーゼル車に引かれ、時速25`で走行。車両と鉄道のレールにあたるガイドウエーとの間のずれをチェックや実験センターとの通信試験もした。
 JR東海は今後、車両の超伝導磁石を作動させて周辺への影響なども調べる。
 4月からは、本格走行試験に入り、実用化にメドをつけて東京−大阪間を約1時間で結ぶ構想だ。(朝日新聞)
■オウム特別手配 林容疑者 京都に潜伏 先月中旬まで 同居信徒を手配
 地下鉄サリン事件の殺人容疑で警察庁が特別手配しているオウム真理教「科学技術省」幹部の林泰男容疑者(38)を京都市伏見区内のマンションにかくまっていたとして、警視庁公安、刑事両部は2日、教団信徒の大洞(おおぼら)英子容擬者(27)を犯人蔵匿容疑で全国に指名手配した。林容疑者は11月中旬まで、このマンションに潜伏していたとされる。林容疑者は昨年6月まで、千葉県市川市内のアパートにいたことが確認されているが、その後の行方は分かっていなかった。警察当局は、林容疑者が警察庁の国松孝次長官(59)銃撃事件についても事情を知っている可能性があるとみており、関西方面を中心に追跡を強化している。
 調べでは、大洞容疑者は今年8月初旬から11月中旬までの間、京都市伏見区豊後橋町のマンション「リトル・ハイツ」2階の一室で、林容疑者と同居して同容疑者をかくまっていた疑い。1日に捜索と検証をした結果、林容疑者の指紋などが見つかったという。
 東京・新宿の青酸ガス事件の殺人未遂容疑で逮捕された八木沢善次容疑者(34)が、警視庁の調べに対し、10月にこのマンションに電話をかけ、林容疑者と話をした、などと供述。調べたところ、林、大洞両容疑者が住んでいたことが分かった。八木沢容疑者は、林容疑者とポケットベルや携帯電話などを使って連絡を取り合っていたという。
 調べによると、大洞容疑者は京都市内の飲食店でアルバイトをして生活費を稼いでいた。マンションは飲食店の客が7月中旬に契約し、同月下旬から大洞察疑者が住んでいた。林容疑者は11月中旬、大洞容疑者は11月下旬からいなくなっているという。(朝日新聞)
■キセル防止で8億円増収 阪急
 阪急電鉄は、昨年10月に全国に先駆けて本格導入した自動改札機によるキセル防止機能「フェアライド(公正な乗車)システム」で、年間約8億円の増収効果があったと、2日発表した。年間の運賃収入約1000億円の0.8%に当たり、システムの設備投資額(約15億円)を2年間で回収できる計算になる。
 「フェアライドシステム」は、自動改札機を通って乗車するときに定期券や切符に乗車場所や日時の情報が磁気入力され、降車するときにこの情報を自動改札機が読み取って扉を開ける仕組み。連続しない切符と定期券や2枚の定期券を別々に使って乗り降りしようとしても、降車駅の自動改札機で止められてしまう。
 同社によると、システム導入後、キセルに使われやすい入場券(150円)の年間発売枚数が54%減少。いちばん安い1区間の切符(同)の発売枚数も21%減った。これらの大半がキセルに使われていた、と見ている。(朝日新聞)
■高槻市駅に全特急停車 阪急ダイヤ改定
 阪急電鉄は2日、京都線のダイヤを来年3月上旬に改定し、すべての特急を大阪府高槻市の高槻市駅に停車させると発表した。このほか、朝のラッシュ時に大阪方面行き電車を増発し、混雑緩和を図る。
 高槻市駅には平日1日当たり、梅田行き55本、京都の河原町行き49本の特急を停車。朝のラッシュ時と夜には桂駅に止まる河原町行き快速急行を1日5本走らせる。これに合わせ、ラッシュ時のみ高槻市駅に止まる通勤特急は廃止する。現在、昼間時の高槻市−梅田間は急行で24分かかっているが、特急で21分に短縮される。
 また、朝のラッシュ時に、相互乗り入れしている大阪市営地下鉄の天下茶屋駅(大阪市西成区)行き普通電車を1時間に1本増やし、混雑率を現在の156%から「肩が触れ合っても新聞は楽に読める程度」という150%にまで下げる。(朝日新聞)
■倉庫の扇風機焼ける 阪急河原町駅
 2日午前8時40分ごろ、下京区四条通河原町西入ルの阪急京都線河原町駅の地下ホーム東側の倉庫付近から出火、中に置いてあった扇風機1台が焼けた。煙に気付いた駅職員が消火器で約7分後に消し止めた。同駅では出火場所近くの改札口を約5分間、通行止めにしたが、ホームにいた約50人の通勤客に混乱はなかった。けが人はなく、電車の運行にも影響はなかった。
 五条署の調べでは、倉庫は駅の東側階段下にあり、清掃作業員が倉庫内の空気を入れ替えようと扇風機を動かしたままにしていたところ、モーター付近から火が出たらしい。(朝日新聞)
■林泰男容疑者を逮捕 地下鉄サリン 沖縄・石垣島で
 沖縄県警は3日午前、地下鉄サリン事件の殺人、同未遂容疑で特別手配中の元オウム真理教幹部林泰男容疑者(38)が石垣島の港に信者で指名手配中の大洞英子容疑者(27)といるところを八重山署員が発見、逮捕した。2人は調べに対し、本人であることを認めた。警視庁に身柄を移送する。
 林容疑者は、国松孝次警察庁長官銃撃事件で、銃撃を供述した警視庁元巡査長(31)が「銃撃後、逃げる途中に一緒にいた」としており、事件の重要なカギを握っているとみて関連を追及する。
 オウム特別手配犯では元信者の北村浩一(28)、八木沢善次(34)、松下悟史(29)の3容疑者を相次ぎ埼玉県所沢市で逮捕、アジトの捜査などから林容疑者が11月中旬まで京都市伏見区のマンションに信者の大洞容疑者と潜伏していたことを突き止め、2日、犯人隠匿容疑で指名手配していた。
 沖縄県警などによると、林容疑者は本人であることを認め「もう疲れた」と供述しているという。
 調べによると、林容疑者は松本智津夫被告(41)=教祖名麻原彰晃=らと共謀、1995年3月20日、東京都内の営団地下鉄3路線5車両に猛毒のサリンを散布し、乗客11人を殺害、約5500人に重軽症を負わせた疑い。
 関連被告の冒頭陳述などによると、林容疑者は事前謀議の場で他の路線の実行犯よりも多いサリン袋の持ち込みを引き受け、地下鉄日比谷線で実際に、傘で袋を突き破り発散させたとされる。
 林容疑者は、教団「科学技術省」のナンバー3。東京都内の理工系私大を卒業後入信し、88年末ごろ出家。教団の機構改革で「科学技術省」ができるまでは「シークレット部隊」に所属し、麻原被告の密命で活動していたという。
 林容疑者は地下鉄サリン事件のほかに、松本サリン事件でサリン噴霧車を製作したとする殺人などの容疑と、地下鉄新宿駅青酸ソーダ事件の殺人未遂容疑でも逮捕状が出ていた。
 また東京都庁小包爆弾事件にも関与したほか、坂本弁護士一家事件では実行グループに無線機などを用意したとされる。(京都新聞 夕刊)
4日■非常ドアなど体験 桃薗西陣小 ユニークな授業公開
 文部省の生活科教育推進校に指定されている京都市上京区の桃薗西陣小で3日、生活科と理科の研究発表会が開かれた。校庭に市バスを運び込んで乗り物の使い方を学ぶなどのユニークな授業が公開され、体験に根差した学習に子どもたちも顔をほころばせた。
 同校は昨年度、一次統合で暫定的に開校し、来春からは近隣の聚落、成逸小と統合し西陣中央小になる。文部省のほか、市教委の理科教育推進校にも昨年度から指定され、統合に向けて子ども一人ひとりが意欲的に取り組む授業づくりを研究している。
 この日の発表会は、全国の小学校から教諭から約200人が参加した。2年生の生活科では、実際に京都市内を走っている市バスを教材に使った。子どもたちは大喜びでバスに乗り込み、「押しボタンはいくつついているの」「非常ドアはどうやって開けるの」と市交通局の職員に尋ねていた。
 5年生の理科では、グループに分かれて振り子や重りの動きを実験し、結果をパソコンに入力して、重さの性質や法則を調べた。(京都新聞)
■私鉄総連来春闘 減額要求を承認 2000円滅の1万8000円
 春闘の相場づくりに影響力を持つ私鉄総連(池村良一委員長、18万5000人)は3日、高知市で中央委員会を開き、来春闘の賃上げ要求額を96春闘より2000円引き下げ1万8000円(6.2%)とする執行部案を提案。方針案として承認した。来年2月の中央委員会で正式決定する。
 消費者物価が上昇傾向にあるため自動車、電機など有力組合でつくる金属労協(IMF・JC)は、来春闘の要求基準を1000円アップの「1万3000円中心」と決めており、要求引き下げは異例の措置。
 私鉄総連はすでに来春闘で事前にストライキを構えない「事後対処方式」を採る運動方針を決めるなど、従来の「対決型」春闘の在り方を見直す姿勢を強めており、今回の要求額引き下げもこうした動きの一環とみられる。
 あいさつに立った池村委員長は「新しい時代の中で第一歩を踏み出すものとして議論してほしい」とした上で「賃上げによって景気回復を後押ししないといけない」と訴えた。
 要求の内訳は、定期昇給相当分や物価上昇分などの実質生活維持分が計1万500円(3.6%)、生活向上分が7500円(2.6%)。
 96春闘では生活向上分を9500円要求したが、日経連を中心に「賃上げが運賃値上げにつながる」との批判が強まっていることなどを受け「要求額と妥結額の差が広がっており、新たな視点に立ち、これまで以上に実質的な賃金を獲得するため」として7500円に減額した。
 阪神大震災による打撃で2年連続「ストなし」交渉を強いられ「春闘の再構築」を迫られた私鉄総連は、来春闘では大手組合がまとまって経営側に賃上げを迫る中央集団交渉の拡大・強化を第一に取り組むことを確認。20日には例年より約1ヵ月早く民営鉄道協会に交渉方式を中央集団交渉とするよう申し入れる。(京都新聞)
■固定資産税を新幹線財源に 全国18都道府県が決議
 財源難で未着工になっている北海道や九州・長崎ルートなどの整備新幹線(4線7区間)に関係する全国18都道府県が3日、東京都内のホテルで総決起大会を開き、JRの固定資産税相当額を特定財源にするなどして、早期に全線を建設するよう政府などに求める決議文を採択した。
 この中で、自民党整備新幹線建設促進特別委員会の小里貞利委員長は「党税制調査会などを通じて固定資産税相当額600億円を財源にするよう税制の見直しや法整備を進めている。皆さんも自信と闘志を持って対応してほしい」など述ベJRの固定資産税を軸に財源確保を急ぐ方針を強調。
 北海道、青森、富山、長崎、熊本の各知事が大会参加者を代表して「運輸省や政党が一丸となって地元の悲願を実現してほしい」などと要請した。
 大会は、整備新幹線建設を国家プロジェクトと位置付け、公共事業費の重点配分やJRの固定資産税相当額を特定財源にするなどとの方法で全線の早期建設を目指すことなどを決議した。
 閉会後、都道府県代表はJR東日本、東海、西日本の本社や東京支社を訪ね、新幹線建設のため固定資産税を財源として拠出してくれるよう要望した。(京都新聞)
■賃上げ要求18000円 大手スト「事後対処」 私鉄総連の春闘方針案
 私鉄総連(池村良一委員長、18万5000人)は3日、高知市内で中央委員会を開き、来年の春闘方針案を決めた。賃上げ要求案は1万8000円(6.2%)で、今春闘での2万円(7.0%)より2000円低い。また、昨年と今年に引き続き、大手組合はストライキ権を確立するものの事前にストは構えず、会社回答を見てから対応を決める「事後対処方式」をとる、としている。職場討議のあと、2月の中央委員会で正式に決める。
 要求を引き下げることについて執行部は、上部団体の連合の要求基準「1万3000円中心」や他単産の要求に比べて突出感があり、経営側の抵抗感も強いことなどを挙げている。今年の場合、9000円だった要求と妥結額の開きをできるだけ縮めたい狙いもあるようだ。このため、今の組合員1人平均賃上げ方式を見直し、個別賃金方式への移行などを含めて検討を進め、この1、2年内に結論を出すという。(朝日新聞)
■貨物列車が脱線転覆 JR函館線
 4日午前5時50分ごろ、北海道亀田郡七飯町仁山のJR函館線仁山駅の北約1`で、札幌貨物ターミナル発梅田行き貨物列車(21両編成)が脱線、転覆、機関車を除く貨車すべてが線路わきのがけ下に転落した。同列車には長谷川哲夫運転士(53)が乗っていたが、けがはなかった。
 函舘線は七飯−大沼駅間の普通列車がストップしており、バスで代行輸送。特急は上下とも下り専用線を使って運行している。
 線路わきに敷設されている光ファイバーケーブルが切断されたため、一部駅で指定券などの予約システムに一時障害が出た。このほか北海道と本州を結ぶ日本テレコム経由の電話がかかりにくくなった。(京都新聞 夕刊)
■パリ地下鉄爆弾テロ 血まみれ倒れる乗客 座席ふっ飛びドア曲がる
 【パリ3日共同】ホームに入ってきた地下鉄の車内で、耳をつんざく爆発音。同時に血まみれになって倒れる乗客たち。車内の座席はふっ飛び、ドアはぐにゃりと折れ曲がるなど、爆発の強さを物語る。3日夕、パリの首都圏高速地下鉄で起きた爆弾テロ事件。「咋年の連続テロ事件がまた始まったのか」。パリっ子の胸に恐怖と不安がよみがえった。
 フランスのテレビ報道などによると、地下鉄に乗り合わせた学生は「爆発と同時に、女性の悲鳴が響き、車内はパニック状態になった。床に人が倒れ、何人かは血を流していた」と恐怖の模様を語った。
 別の男性は「黒い煙が立ち上り、近くにいた老女が倒れて目から涙を流したまま動かなくなった。命は助かったと思うが…」と唇を震わせた。
 爆破されたポールロワイヤル駅は地下鉄駅だが、駅の一部は地上に出ており、地上部分を覆うガラスの屋根は粉々に砕けた。近所の人は「地上部分がない完全な地下駅だったら、(爆発の威力が増して)もっと被害が広がっただろう」と話していた。(京都新聞 夕刊)
■パリ地下鉄で爆弾テロ 2人死亡、80人負傷 日本人4人けが
 【パリ4日=増田隆】パリ中心部の高速地下鉄RER(首都圏高速交通網)の駅で3日午後6時(日本時間4日午前2時)すぎ、電車内に仕掛けられていた爆弾が破裂し、2人が死亡、日本人旅行者4人を含む約80人が重軽傷を負った。負傷者のうち数人は重体。犯行声明は出されていないが、フランスでは昨年夏から秋にかけて、8人が死亡したRER列車爆破事件など旧仏植民地アルジェリアの反政府過激派による一連の爆弾テロがあり、同派による仏国内での爆弾テロが再び始まったのではないかとの見方が強まっている。
・アルジェリア過激派か
 ツアーを企画した旅行代理店「阪急交通社」(本社・大阪市)によると、けがをした日本人は、大阪府岸和田市の堀野正彦さん(50)と幸子さん(47)夫妻、東大阪市の井上史江さん(27)、奈良県北葛城郡河合町の村田千寿子さん(30)の4人。村田さんは鼓膜を損傷、ほかの3人は軽傷という。4人は11月27日から今月5日までのツアーに参加していた。
 爆弾テロの現場は、セーヌ川左岸リュクサンブール公園の南にあるRERのポールロワイヤル駅。ちょうど同駅に到著した電車に仕掛けられていた爆弾が爆発し、電車はドアが吹き飛ぶなど大破。夕方のラッシュ時で込み合っていた車内とホームにいた乗客多数が死傷した。生命が危ぶまれている人もおり、死者数はさらに増える可能性も高い。
 警察が調べたところ、爆発した電車内から13`のキャンプ用ガスボンベを利用した爆弾の破片が見つかった。
 パリのRERでは昨年7月に、今回の事件のあった駅から2つ離れた同じ線のサンミッシェル駅地下ホームに停車中の電車で爆弾テロがあり、8人が死亡。その後、10月までに青空市場や仏新幹線(TGV)をねらった約10件の爆弾テロが続き、アルジェリアで政府と事実上の内戦を続けているイスラム過激派「武装イスラム集団」(GIA)が一部について犯行声明を出していた。
 アルジェリアでは、政権側がイスラム勢力を国政から締め出すことを狙って悪法改正の是非を問う国民投票を実施し、8割を越える支持を得たばかり。アルジェリア政権を支援していると見られている仏政府に対する攻撃として、GIAが再びフランス国内で爆弾テロを開始したのではないかと仏メディアは見ている。(朝日新聞 夕刊)
■貨物列車が脱線転覆 JR函館線
 4日午前5時50分ごろ、北海道渡島支庁七飯町仁山のJR函館線大沼−仁山駅間で、札幌貨物ターミナル駅発大阪・梅田駅行きの貨物列車(長谷川哲夫運転士、20両編成)が脱線し、ディーゼル機関車と後ろの貨車部分が分離して貨車19両が線路わきに転覆した。
 JR貨物函館営業支店によると、20両はいずれも、ジャガイモなどの農産物や紙などを積んだコンテナ車で、うち19両は4、5b下の谷に転落しており、コンテナの積み荷の一部が付近に散乱している。長谷川運転士1人が乗っていたが、けがはなかった。(朝日新聞 夕刊)
■JR東西線に”1番電車”
 来年3月8日の開業に向けて工事が進んでいるJR東西線に4日、初めて営業用電車(6両編成)が乗り入れた。地下約25bにホームがある大阪市北区の北新地駅を時速25`でゆっくり通過。パンタグラフの集電能力や摩耗状態などを検査した。
 JR東西線は片町線の京橋駅と東海道、福知山線の尼崎駅を大阪の都心で結ぶ。(朝日新聞 夕刊)
5日■窓 停留所の乗客市バスが無視 上京区・吉村江里子(会社員・23)
 毎日、市バスで通勤しています。あまりにも腹立たしく我慢できず投稿する次第です。いつも職場からの帰宅は京都駅か、三哲から50番か9番の市バスを利用していますが、私が許せないないのはバスの素通りです。
 三哲でバスを待ち、京都駅からやっとバスが出てきたとホッとしていると、ウインカーも出さずに、無視して西洞院通を右折していきます。もちろん、そのバスは回送でも入庫するバスでもなく、客が乗っているバスなのです。1、2回やられた時は「こういう運転手も中にはいるのだろう」と、我慢していましたが、はっきり言って、70%は無視されています。もちろん何回も嫌な目に合っているのでバス停の一番前に目立つように立っていますし、他に待っていらっしゃる方もたくさんいるのです。
 一度、無視されかけた時、車が走る塩小路通を飛び出し、バスを止めたこともありました。バスが停留所に止まらないなんて言語道断です。三哲のバス停は本当に機能しているのでしょうか。京都の市バスは京都市民の足です。公企業だからといって、サービス精神もないどころか基本的な経営もろくにできないなんて、嘆かわしくてなりません。(京都新聞)
■JR東西線 試運転スタート
 大阪・京橋と兵庫・尼崎を結び来年3月8日に開業するJR東西線(全長12.3`)で4日、営業車両の試運転が始まった。
 車両は、グレーの車体に青の横線の入った新型車両「207系」。この日の試運転では、6両編成の同車両が尼崎を発着として、実際に営業する速さの2分の1の最高時速45`で3往復し、電気系統や信号関係などの試験を行った。試験運行は今月中句まで行われる。
 東西線は、JR西日本の鉄道の中で初の地下鉄。片町線や東海道線(神戸線)、福知山線から相互乗り入れができ、途中、北新地駅など7駅を設置した。(京都新聞)
■平日に片道157本を運転 ダイヤ発表
 JR西日本は4日、JR東西線の運転ダイヤを発表した。
 ダイヤは、朝の通勤時間帯と夕方の通勤時間帯を含むデータイムに分かれ、平日に片道157本の電車を運転する。
 朝の通勤時間帯に東西線に乗り入れる電車は、1時間当たり13本。うち木津発(一部は奈良発)と篠山口発の快速が各4本で、普通は、松井山手発と西明石発が各6本、四條畷発と新三田発が各3本。
 データイムでは、同志社前発(うち一部は木津発)と宝塚発の快速が各4本、松井山手発と西明石発の普通が各4本。この結果、北新地駅では午後9時まで快速と普通が交互に7、8分間隔で運転される。
 東西線への始発時刻は、四條畷発午前5時、尼崎発午前5時7分で、北新地駅の終発は上下線とも午前零時26分となっている。(京都新聞)
■旧福島駅跡地にホテルや飲食店 阪神が開発計画
 阪神電気鉄道は4日、大阪市福島区の阪神本線旧福島駅跡地に、ホテル、飲食店などを併設する複合ビルや賃貸マンションを建設する開発計画を発表した。17日に着工、1999年春の完成を目指す。(京都新聞)
■宝船の形の初もうで切符 叡山電鉄発売 7駅に限り何回も乗り降り
 叡山電鉄(左京区)は全線乗車可能で、指定された7つの駅では乗り降りが自由な初もうで乗車券の発売を始めた。
 宝船の形をしており、鞍馬寺など沿線の5社寺で授かる朱印(別料金)を集める台紙つき。価格は大人800円、こども400円。
 全線に1日中乗車でき、鞍馬、八瀬遊園、三宅八幡など7駅に限って何回乗り降りしてもかまわない。有効期間は来年1月1日から同月31日まで。5000枚を発売。問い合わせは同電鉄運輸部業務係(075・702・8111)へ。(朝日新聞)
■旧福島駅跡に24階建てビル 阪神電鉄が建設へ
 阪神電鉄は4日、大阪市福島区の旧福島駅跡地(約8300平方b)に、ホテルを中心にした24階建ての複合ビルと20階建ての賃貸マンションを建設すると発表した。複合ビルは杉村倉庫(本社・大阪市)と合同で建てる。2棟とも今月着工し、1999年春の完成を目指す。総事業費は約190億円。
 複合ビルは延べ床面積約4万3700平方b。1−3階と7−23階に阪神電鉄グループの「ホテル阪神」(290室)が移転する。梅田駅前にある現在のホテル阪神は取り壊される。賃貸マンションは延べ床面積約1万1300平方bで110戸設ける。(朝日新聞)
■北新地駅の終電は上下とも0時26分 JR東西線ダイヤ
 JR西日本は4日、片町線と福知山、東海道線を結ぶ東西線(京橋−尼崎)の来年3月8日開業後のダイヤを発表した。北新地駅からの最終電車は尼崎行きと片町線の四条綴行きとも午前零時26分発。現在、大阪駅からは京橋経由で片町線への最終電車が零時14分発だから、深夜帰宅者には便利になる。
 朝のラッシュ時には1時間当たり13本を運転。福知山線から快速4本と普通3本、東海道・山陽線の西明石駅から普通6本を直通させ、片町線の奈良、木津駅からは快速を4本新設する。(朝日新聞)
■落石に衝突し脱線11人けが JR福塩線
 4日午後1時50分ごろ、広島県府中市篠根町のJR福塩線で、府中発三次行き普通列車=真壁昭正運転士(40)、1両=が、軌道上に落ちていた岩(幅約70a、奥行き約70a、高さ約60a)に乗り上げて脱線したまま数十b走り、右に大きく傾いて止まった。進行方向の右側には芦田川が流れているが、転落は免れた。乗客約20人のうち、同県世羅郡甲山町伊尾、無職尾郷卓郎さん(78)ら11人が頭を打つなどして軽いけがをした。
 府中署の調べでぼ、福塩線は現場付近で芦田川と急斜面に挟まれ、大きくカーブしている。列車は時速30−40`で走行しており、真壁運転士が約100b手前で落石に気づいて急ブレーキをかけたが、間に合わなかったという。(朝日新聞)
■けがの4人帰国延期 パリ地下鉄テロ
 パリ中心部の高速地下鉄駅で3日夜(現地時間)に起きた爆弾テロ事件でけがをした奈良県北葛城郡河合町、会社員村田千寿子さん(30)ら4人は、当初の予定だった5日午後の帰国を延期した。
 テロ現場近くの病院に検査入院中の村田さんが「左耳が聞こえにくい」と訴えており、ほかの3人も大事を取って延期することにした。(朝日新聞)
■「地下鉄サリンは麻原の指示」林郁夫被告、再び証言
 オウム真理教松本智津夫被告(41)=教祖名麻原彰晃=の第18回公判が五日、東京地裁(阿部文洋裁判長)で開かれ、地下鉄サリン事件の検察側証人の元幹部林郁夫被告(49)が弁護側の反対尋問に「完ぺきに麻原の指示と理解した」と述べ、犯行を直接指示した村井秀夫元幹部=死亡当時(36)=のしぐさから松本被告の指示と認識した経緯をあらためて証言した。
 前回公判で不規則発言を繰り返し、退廷させられた松本被告は座り直したり、顔をなでたりしたほかはほとんど無表情で証言を聞いた。
 弁護側は林被告が検察側主尋問に「村井元幹部が『これは…だからね』と首を上下させてサリン散布を指示した」と証言したことについて、一緒に犯行を指示された元幹部広瀬健一被告(32)らはそうしたしぐさを覚えていないとして「そんなことはなかったのではないか」と尋問。
 林被告は「法廷でなかったことは言わない」と述べ、松本被告の指示を強調した。
 また、村井元幹部から犯行を指示された後、地下鉄事件の実行犯として3日逮捕された元幹部林泰男容疑者(38)から「何かいい(散布)方法を考えましょう」と話し掛けられたことなど、主尋問で証言した内容を繰り返した。(京都新聞 夕刊)
■昨年のテロと同じ火薬使用 パリ地下鉄テロ
 【パリ4日共同】パリ中心部の首都圏高速地下鉄(RER)で起きた爆弾テロ事件で、フランスの捜査当局は4日、犯行に使われた爆薬が、昨年パリで起きたイスラム原理主義過激派による連続爆弾テロに使用されたものと同じ黒色火薬であることを突き止めた。
 捜査当局は、爆弾にガスボンベや黒色火薬を使い、くぎを入れて殺傷力を高めている手口などから、アルジェリアのイスラム過激派「武装イスラム集団」(GIA)のテロと酷似しているとみて調べている。
 これまでの調べによると、爆弾は重さ13`のガスボンベに黒色火薬を詰め、くぎの入った袋に入れて4両目の折りたたみ式座席の下に置いてあった。(京都新聞 夕刊)
6日■国鉄民営化10年 債務処理に課題 運輸白書
 今年度の「運輸白書」を運輸省が6日公表した。10年目を迎えた国鉄民営化後の課題として、国鉄が残した27兆6000億円にのぼる長期債務の処理と、JR北海道、四国、九州、貨物会社の経営基盤の強化をあげた。
 「清算事業団は利払い負担との競争状態にある」。白書は、土地やJR株式など長期債務を返済する資産が残り少なくなったにもかかわらず、年間1兆円を超える利払い負担があり、債務を減らすどころか累増が避けられない現状を説明し、抜本的な対策が必要、と指摘した。
 また、経営が順調な東日本、東海、西日本の3JRに比べ、北海道などの「三島会社」は、赤字経営を支えるための「経営安定基金」の運用益が低金利のあおりで低下していることから、運用益を増やすことや設備投資に対する支援が必要、と主張している。(朝日新聞 夕刊)
7日■整備新幹線 財源問題先送り 自民税調 拠出金制度結論出ず
 未着工になっている整備新幹線(北海道新幹線など4線7区間)の建設財源問題で自民党税制調査会(林義郎会長)は6日、JR東日本などJR3社の固定資産税を財源とする拠出金制度の創設について「党の政策の中で結論を出す」として結論を先送りした。
 拠出金制度は同党交通部会が要望していた。党税調は10日から議論を再開する予定だが、JR3社や自治省が拠出に強く反対しており、制度が創設されるかどうか依然として微妙だ。
 会合終了後、記者会見した林会長らは先送りの理由について「党の公約であり、税制面からだけで結論を出せない。交通部会や党整備新幹線建設促進特別委員会の結論も見極め、党の政策として結論を出すことになる」など述べた。
 しかし、党税調はじめ党内には「新幹線建設には賛成だが、民間会社であるJRに固定資産税を建設費に拠出させるには税制として無理がある」「固定資産税は市町村税であり、地方自治体の意見を無視してよいのか」など異論も出ている。(京都新聞)
■地下鉄東西線 醍醐−六地蔵 府も延伸に協力 府議会で荒巻知事表明
 京都府の12月定例府議会は6日、本会議を続開し代表質問を行った。この中で、荒巻禎一知事は京都市地下鉄東西線の醍醐−六地蔵間への延伸について「沿線の利便性向上が図られるよう努力したい」と述べ、地下鉄延伸に府も協力していく姿勢を明らかにした。
 東西線延伸では、先月11日、荒巻知事と桝本頼兼京都市長の初のトップ会談で、桝本市長が六地蔵までの延伸について府の協力を求めていた。
 東西線は、JR二条駅(中京区)−醍醐(伏見区)を結び、来年11月開業の予定。醍醐以南については、市が地質調査や測量など基礎調査を行っている。
 地下鉄建設事業は、市が全面的に費用負担するのが原則だが、府は「府・市協調」の立場から1981年度から独自の補助を開始。東西線建設費の膨張で、国が特別の財政支援を始めた95年度から新たな貸し付けも始めた。同年度末現在、80億円を補助、22億円を貸し付けている。
 この日の代表質問では、林田洋(自民)、松尾忠昌(公明・新進)、山脇闊(社民・さきがけ・府民連合)の3議員が荒巻知事らの考えをただした。(京都新聞)
■昭和17年、天皇の伊勢参拝時 御召列車の資料発見 米原町役場 運行計画記す
 昭和天皇が1942(昭和17)年12月、戦勝祈願で伊勢神宮に参拝した際の「御召(おめし)列車」の運行計画資料が、6日までに滋賀県坂田郡米原町役場で見つかった。戦中の御召列車運行は当時の最高機密。まとまった資料はほとんど現存せず、専門家は「資料発見は、鉄道史解明のうえで極めて貴重」としている。
 資料は旧国鉄の米原機関区に保存され、10年前のJR移行の際、町役場が譲り受けた。木箱入りで、内容不明のまま保存されていた。このほど町職員が開けたところ御召列車の資料とわかった。
 「特別列車運転関係書類」と書かれたA4判ほどの表紙に、わら半紙多数がとじられている。このうち大阪鉄道局が出した「天皇陛下御召列車運転警護その他の件」はB5判61n。「防空」「警護」など運行関係者の任務内容が記されている。
 列車は主にC51型SLがけん引し、7両編成。御料車は前から5両目で、12月11日午前8時に東京駅を出発し、米原など東海道線を経て同日夕に京都駅に着いた。翌日は草津線、関西線などを経て午前10時に三重県の山田駅に到着。参拝の後、13日夕に東京駅に戻った。
 戦時中とあって警護に重点が置かれ、「空襲警報が出ても緊急停車しない」などと定めている。
 規制は一般列車にも及び、複々線での御召列車との並行運転は厳禁。通過待ち合いの列車に対しては、理由を一切告げずに「指示があるまで窓の幕を閉める」と指示し、乗客に御召列車が見えないようにした。
 御召列車に関する著作がある鉄道研究家・星山一男さんによると、戦時中、昭和天皇はほとんど首都圏を離れず、本格的な御召列車運行はこれが唯一。運行は事前発表されていたが、防空を考慮し、このときだけは事後発表で「当時、列車が空襲される危険もあったが、昭和天皇は戦勝祈願のため、あえて行ったのだろう」としている。(京都新聞)
■時速300`の新幹線 来年3月にデビュー
 JR西日本は6日、最高速度300`の新型新幹線「500系」(16両編成、1324人乗り)を来年3月22日から、山陽新幹線の新大阪−博多間で営業すると発表した。1日1往復で、当面新たな名称は付けず現行の「のぞみ」に加えてデビューさせる。
 新大阪発は午前7時53分、博多着同10時10分。博多発は午後7時21分で、新大阪着は同9時38分。所要時間は2時間17分で、現行「のぞみ」より15分速い。途中停車は岡山、広島、小倉駅。
 JR西日本は500系を来年秋に東京まで乗り入れたいとしている。(京都新聞)
■地下鉄サリン特別手配 高橋容疑者を目撃? 山形 女性と一緒、飲食店に
 山形市の飲食店で5日夜、地下鉄サリン事件の殺人容疑などで特別手配中のオウム真理教元信者の高橋克也容疑者(38)に似た男が女性と一緒にいたと、同店経営者が6日、山形署に届けた。
 男は、警視庁が昨年3月にオウム真理教への強制捜査に踏み切った後に東京都内などで配られた教団を擁護する内容のタブロイド判大の新聞を店内に残していたことから、山形県警などは男が高橋容疑者である可能性があるとみて周辺の公園、JR駅、旅館などでの聞き込み捜査を急いでいる。また、隣接する各県警も情報の収集に乗り出した。
 女性は同じく特別手配中の菊池直子容疑者(24)の可能性もある。(京都新聞)
■「情けない」と法廷発言批判 松本被告公判で元幹部
 オウム真理教松本智津夫被告(41)=教祖名麻原彰晃=の第19回公判は6日午後も東京地裁で続けられ、地下鉄サリン事件の検察側証人の元幹部杉本繁郎被告(37)が事件の経緯などを証言した後に「麻原の口から本当のことを聞きたいと望んでいたが、最近の様子を聞くと、そんなことを望んだこと自体愚かだった。麻原の法廷での発言は幼稚で情けない」と述べ、松本被告を厳しく批判した。
 杉本被告は1986年に教団の前身「オウム神仙の会」に入信し、松本被告の専属運転手を務めていた元側近。何度か小声で独り言をつぶやいていた松本被告は、面前で批判され「一言いいですか」と発言を求めたが、阿部文洋裁判長から制止された。(京都新聞)
■社説 整備新幹線は凍結しよう
 理不尽とは、まさにこういうことをいうのではないか。
 旧国鉄の長期債務は27兆円を越す。それなのに、政府・自民党は債務処理を先送りしたまま、整備新幹線の建設を強行しようとしているのだ。
 運輸省と、自民党の新幹線建設促進特別委員会は、JR東日本、西日本、東海の固定資産税を半分に軽減する措置を継続するかわりに、同額(年間約580億円)を「任意拠出金」として運賃収入のなかから差し出せ、と3社に要求した。
 整備新幹線の未着工区間の建設費に充てるという。3社はこれを拒否しているが、政府・自民党側は「積年の財源問題に決着をつけたい」(運輸省幹部)と、押し切る構えを崩していない。
 「JRの負担分」が決まれば、国と地方を合わせてそれと同額の財源を確保し、建設を進めたいとしている。
 こんなおかしなやり方があっていいのだろうか。固定資産税は自治体にとって貴重な自主財源だ。JRの資産でも、運輸省や自民党の金でもない。
 それを、自分たちの財布から出すかのように扱う感覚には、あきれる。悪知恵を絞った運輸省も、飛びついた自民党も、少しは国民の目を恐れたらどうか。
 債務の抜本的処理策は、協議を来年度に持ち越した。借金は棚上げして、新たな国民負担増へ突き進もうというやり方だ。旧国鉄赤字の教訓はどこへいったのか、と問わずにはいられない。
 今年度の運輸白書は「債務処理の遅れは国民負担額を増加させることになる。本格的な処理策の確立が急務である」と指摘し、抜本的な対策が求められる状況にあるとの認識を示している。
 さらに、旧国鉄の赤字を膨張させた原因として、過剰な設備投資をあげている。政治家が選挙地盤を優先し、採算を度外視して新線建設を重ねたことが大きい。
 整備新幹線の建設を急ぐのは、その反省を生かすどころか、再び過ちを繰り返すことにほかならない。
 いや違う、というなら、政府・自民党はまず、旧国鉄債務の返済案を示すべきだ。財源はどうまかなうのか。新たな負担や歳出削減を求めるのか、それとも国債の山をさらに大きくするのか。
 過去の借金の返済策が固まるまで、整備新幹線の未着工区間の建設は、凍結するのが当然である。
 未着工区間をフル規格中心でつくろうという政府・自民党の構想は、凝問だらけだ。最低5兆2000億円はかかる財源はもちろんのこと、収支見通しすらほとんど示されていない。
 並行する在来線の大半が廃止に追い込まれるだろうし、貨物輸送もできなくなる。これでは沿線住民の日常生活は、かえって不便になりかねない。
 鉄道は自動車にくらべ、環境面でもすぐれた交通機関だ。しかし、高速鉄道で時間短縮をはかるにしても、ミニ新幹線や在来線の改良をうまく組み合わせるなど、もっと工夫をすべきではないか。住民の意向を確かめながら、もう一度計画を練り直してもらいたい。
 その際、新幹線の役割を、鉄道や航空機、自動車を含めた総合的な交通体系のなかで考えることが大切である。
 受益者が限られた利益誘導型の選挙公約を根拠に、族議員や運輸官僚がむやみに突っ走ることがあってはならない。橋本政権が掲げる財政構造改革にも反する。(朝日新聞)
■時速300`誇る 新「のぞみ」 被災地に「配慮」、220`のまま 新幹線−神戸市内 JR「騒音減る」
 世界最速の時速300`で来年3月、山陽新幹線にデビューする新型新幹線車両「500系」について、JR西日本は6日、阪神大震災で高架橋が崩壊するなど被害が大きかった阪神間では、現在の「のぞみ」と同じ時速230`に抑えて運転する方針を明らかにした。現在の「のぞみ」より騒音、振動とも低く抑えることが出来る、としている。地元市などの要望を受けて、被災地に配慮した格好だが、それでも騒音が環境基準値の70デシベルを超えるおそれもあり、沿線住民は「不安は消えない」と話している。
 JR西日本によると、500系は、新大阪駅から兵庫県西宮市の六甲トンネル入り口までの高架橋部分を時速230`で運転。同トンネル内は時速300`まで上げるが、再び230`まで落として新神戸駅を通過する。同県高砂市付近まで270`で走行し、以西は再び300`にスピードアップする。
 新大阪駅から高砂市付近までは、六甲トンネル内を除いて現在の「のぞみ」と同じ速度での運転となる。500系は車体を流線形にして空気抵抗を減らしたほか、新型のパンタグラフを採用するなど騒音、振動対策のための新しい技術を取り入れており、高架橋部分では現在の「のぞみ」より騒音が平均1−3デシベル、振動が同0−2デシベル低く抑えられる、と説明している。
 阪神間や神戸市内で速度を上げない理由について同社鉄道本部は「地震の影響を受けやすい地盤構造を配慮した」と話している。
 山陽新幹線は、震災で新大阪−姫路間の橋げた8ヵ所が落下し、708本の橋脚や支柱が折れたり、亀裂が入ったりした。沿線の住宅も家屋が損壊するなどの被害を受けた。このため兵庫県尼崎、伊丹、西宮の3市は同社に「沿線住民は震災以降、新幹線の走行に伴う騒音、振動により不安を感じている」として環境基準を守る速度で走行するよう要望していた。
 西宮市社会福祉協議会甲東支部の新幹線公害対策部会長代行、大蔭熊さん(69)は「騒音や振動の数値自体は改善されるとしても、生活実感とは差があり、信用できない。具体的なデータを示してほしい」と話している。(朝日新聞)
■JR各社ダイヤ改定
 JRグループは6日、来年3月22日にダイヤ改定を実施する、と発表した。山陽新幹線では最高時速300`の500系車両(16両編成)を新しい「のぞみ」として1日1往復運転する。
 停車駅は岡山、広島、小倉で、下りは午前7時53分新大阪発、上りは午後7時21分博多発。新大阪−博多間は2時間17分、新大阪−小倉間は1時間59分で、いずれも現在の「のぞみ」より15分早い。新大阪−広島間は9分、新大阪−岡山間は4分短縮される。
 紀勢線では来年3月8日から、新型特急「オーシャンアロー」のスピードアップを図り、新大阪−新宮間を現行より20分早い3時間35分で結ぶ。(朝日新聞)
■「松本被告が犯行の指示」地下鉄サリン杉本被告
 オウム真理教前代表の松本智津夫(麻原彰晃)被告(41)に対する第19回公判が6日、東京地裁(阿部文洋裁判長)で開かれた。検察側証人として出廷した杉本繁郎被告(37)は、地下鉄サリン事件の散布役を車で送迎したことなどを認めたうえで、犯行の指示が松本被告から出されていたという認識を示した。(朝日新聞)
■アジア交差点 タイ 公営路線バス 色違うと料金に差
 バンコクの公営路線バスには青と赤がある。青バスが2.5バーツ(約11円)。赤バスが3.5バーツ(約15円)。バス停で待っているとどっちも来る。行き先もルートも乗り心地も変わらない。
 9年前、バス値上げに反対が出た際、当局が考えついたアイデアが新旧両料金の2本立てによる運行。「節約したい人は青バスが使えます。だから値上げではありません」
 赤バスは車種が違い、扇風機付きでいすも上等だから別料金との触れ込みだった。だが半年もしないうちに扇風機が消え、青バスと何も変わらなくなった。
 青バスは年を追うごとに数が減った。ペンキで赤に塗り替えて、すまして走っている元青バスもある。いくら待っても来ないので、あきらめて赤に乗る人が増えた。
 ついに先日「青は今年いっばいで打ち切り」とこっそり発表された。「だまされた。でも怒る気も起きない」と市民は言う。要するに9年がかりでジワジワと値上げが実現。値上げ反対運動は不発に終わった。
 タクシーがメーター制になったのは4年前。が、まだメーターが付いてないタクシーも走っている。一気に「切り替え」や「廃止」をしない。業界の反対をかわすためメーターなしも許した。ただ新規登録はメーター付きだけ。メーターなしのタクシーもやがて消えていく。
 タイ人は軟着陸の名人なのだ。(共同 林憲一郎)(京都新聞 夕刊)
8日■JRの経営改善を評価 96年度運輸白書
 運輸省は7日までに1996年度の運輸白書を発表し、10年目を迎えた旧国鉄の分割・民営化を取り上げ、JR各社の経営改善を改革の成果として評価した。しかし、旧国鉄分割の負の遺産である長期債務の累増問題については「本格的な処理策の確立が急務」と、一般論を述べるにとどまった。
 白書によると、国鉄の旅客量は自動車の普及により、74年度をピークに減少に転じた。公社という経営形態から赤字ローカル線を抱え、多額の設備投資も続けざるを得ず、年々経営が悪化。87年に分割・民営化された。新たに発足したJRはこの間、運賃値上げを極力抑えつつ、職員数の大幅削減、サービス向上を実現。国鉄時代は国の補助金を下回っていた納税・納付金も、現在は逆転したと「自画自賛」している。
 債務処理策については、抜本処理の策定が事実上、来年以降に先延ばしされることから、具体策には言及していない。(京都新聞)
■山陽新幹線 雪で111本遅れ
 山陽新幹線は福岡、山口両県内の雪のため新岩国−博多間で7日の始発列車から徐行運転を実施、夕方から徐行区間は小郡−新下関間だけとなったが、ダイヤの乱れは終日続いた。
 JR西日本によると、博多発東京行きのぞみ8号など終列車までに上下111本が最高14分遅れ、約3万3000人に影響が出た。(京都新聞)
9日■地下鉄など値上げへ 大阪市、審議会に諮問
 大阪市は9日、同市公営企業審議会(坂本長作会長)に交通・水道両事業の経営改善策について諮問した。共に厳しい経営状態となっており、事実上両事業に関し値上げを求めた内容。答申が得られれば、市議会に提案、来年春から夏にかけ値上げが実施される見込みだ。
 大阪市営地下鉄は昨年度が217億円の赤字で本年度は264億円とさらに経営悪化が見込まれる。また、ニュートラム、バスも累積赤字が膨らむ一方の状態だ。水道事業も1993(平成5)年に値上げした後、いったん黒字になったが95年度以降は再び赤字に転落している。(京都新聞 夕刊)
■大阪市 交通・水道値上げ諮問 来夏にも実施 経営改善示さず
 市営地下鉄やニュートラム、バス、水道事業などの経営が悪化していることを受けて大阪市は9日、市公営企業審議会(会長、坂本長作・社団法人大阪市工業会連合会会長)に「交通事業および水道事業の経営改善方策」を諮問した。過去最高の累積赤字を抱える地下鉄など、窮状を強調しているが、経営改善については一部の人員合理化をうたっているものの、具体的な対策はほとんど示されておらず、事実上料金値上げを求めている。答申で値上げが認められれば、来夏までに4年ぶりの値上げとなる見通しだ。また、市は下水道についても13年ぶりに値上げする方針を固めており、来年は値上げラッシュの年となりかねない情勢だ。
・地下鉄 初乗り200円、水道 2割増か
 地方公共団体が運営する地下鉄などの公共交通機関などはバブル経済期の積極的な事業展開が裏目にでて、多くが赤字体質に転落している。大阪市の場合も例外ではない。しかし、今回の諮問では経営内容が苦しいにもかかわらず、引き続き新規路線の着工など事業拡大を打ち出している。中長期の経営見通しについて触れないまま、赤字を安易に料金値上げによって解消しようという大阪市の姿勢は、今後、市議会などで論議の対象となるだろう。
 大阪市は、具体的な値上げ幅などについては、審議会の答申を受けて検討するとしている。地下鉄は名古屋市と京都市が今年4月と9月にそれぞれ初乗り運賃を180円から200円にアップ。バスは神戸市が200円であることから、大阪市では地下鉄、ニュートラムの初乗りと、バスの運賃はともに現状の180円を200円とする方針だ。
 水道料金は、京都市が1月に平均16.3%、名古屋市が2月に19.8%引き上げた。大阪市の引き上げ幅も20%までの範囲となる可能性が強い。また、前回の93年の値上げ率は21.6%だったが、使用量が多いほど料金単価が上がる逓増制を緩和する方式だったため、少量使用者の値上げ率が上昇した。1ヵ月20dを使う標準家庭の場合、1050円から1520円と五割近く増えた。今回も同じ方式が取られれば一般家庭の負担はかなり増えそうだ。
 また、審議会に諮る方式をとってない下水道料金も、市は平均30%ほど値上げする方針を固めている。
 市は年明け早々にも審議会の答申を受け、来年3月の市議会に値上げ案を提案する方針。夏ごろまでに値上げとなる見通しだ。
 諮問によると、地下鉄は新線の建設やエスカレーターなどサービス施設の建設費の負担が大きいほか、乗客数が景気の低迷で伸び悩み、今年度は264億円の赤字が見込まれる。ニュートラムも14億円余りの赤字が、さらにバスも地下鉄の整備などで乗客が減り、10億円を超える赤字が予想されている。
 水道事業は相次ぐ異常気象などにより料金収入が減少。震災対策や高度浄水処理の実施に伴う経費増加もあり、21億円の赤字になる見通しだ。下水道は施設の更新時期になりつつあり、やはり70億円の赤字になる、という。(朝日新聞 夕刊)
■線路の改修間に合わず JR東西線尼崎駅
 来年3月8日のJR東西線(京橋−尼崎)開業にともない、三ノ宮、宝塚方面から大阪、北新地方面への乗り換えのため混雑が予想される兵庫県尼崎市の尼崎駅の線路改修作業が開業日に間に合わない見通しとなり、乗客は開業後半年間、乗り換えに階段を使ってホームを移動する不便を強いられる。JR西日本は「秋には同じホームでの乗り換えを完成させるのでしばらく我慢を」と言っている。
 例えば、昼間時に宝塚方面から大阪行きに乗って尼崎駅で北新地方面に乗り換える場合は、階段を上り下りして隣のホームに移らないといけない。また、大阪駅から宝塚方面行きに乗って尼崎駅で三ノ宮方面行きに乗り換える場合も別ホームになる。
 JR東西線は、片町線と福知山、東海道線を大阪市の中心部で結ぶ新線。尼崎駅はJR東西線と福知山、東海道線が交差する一大ターミナルになる。開業後はすべての新快速、快速電車が停車し、乗り換え客だけで1日十数万人になると予想されている。
 このため、同社は同じ方向であれは同じホームで乗り換えができるように、ポイントを新設するなどの線路改修作業に取りかかったが、間に合わなくなったという。(朝日新聞 夕刊)
10日■”二条駅行き”発車待ち 地下鉄東西線醍醐車庫公開
 京都市の地下鉄東西線の電車基地となる伏見区醍醐大溝町の醍醐車庫が9日、報道関係者に公開された。現在、全車両数の半数を超える8編成48両が搬入されており、来年11月の開業に向け、点検作業や試運転が行われている。
 東西線は、醍醐−二条駅間の12.7`で、90年1月に着工。レール敷設や架線工事を完了し、全体の工事進ちょく率は約90%となっている。醍醐車庫は、市が再開発に取り組んでいる醍醐団地の核となる商業施設「パセオ・ダイゴロー」の地下2・3階にあり、車両整備などにあたる。
 車両の搬入は今年5月に始まり、今月6日までに全14編成(1編成6両)のうち8編成分が入庫。来年5月末には全車両が搬入される。車両はコンピューター制御で、発・停車時などに加・減速を自動的に行える。車掌が乗車しないワンマン運転となるため、各駅にホームドアを設けるなどの安全策を講じる。(京都新聞)
■大鉄局の跡地購入者募集へ 国鉄清算事業団
 国鉄清算事業団は9日、JR大阪駅北側の旧国鉄大阪鉄道管理局(大鉄局)跡地(約2.2f)を売却するため、11日から購入荷望者を募集すると発表した。18日まで募集要綱を交付し、25日に説明会を開く。購入希望者があれば、来年3月上旬に入札し、同月中に契約にこぎつけたい、としている。
 大鉄局跡地はJR大阪駅周辺に残された超一等地で、ある信託銀行の試算によると推定価格は1000億円から1200億円。同事業団は、土地の購入希望者に建物の企画書を作らせたうえで入札を実施し、建物が完成した後で土地とともに引き渡す「建物提案方式」を採用する。すでに、大手百貨店の三越などが名乗りを上げている。(朝日新聞)
■今川正彦・元京都市長死去の報 混乱の中で2期8年間 関係者の声
 9日に死去の報が伝わった今川正彦・元京都市長は在任中、「古都税」の導入をめぐって京都仏教会と全面対立するなど、混乱の中で2期8年間、市政のかじ取りを担った。建設省出身で「根っからの技術屋」を自認し、地下鉄東西線の建設計画などを進めたことでも知られる。「人間的な温かみがある人」「信念に基づいて仕事をされた」など人柄や功績をしのぶ一方、「古都税」紛争の記憶から「宗教界に押し切られた」との印象を持つ声も聞かれた。関係者の声を拾った。
・人間的な温かみがある人という印象
 清滝智弘・京都仏教会常務理事 身体の調子がすぐれないと聞いていたが、突然の話で驚いている。古都税条例について激しく議論し合ったのも約10年前。人間的な温かみがある人という印象を受けた。ただし、政治的な駆け引きは上手ではなかったようだ。本人は古都税導入にあまり積極的でないように見えたが、仕方なく矢面に立たされたのだろう。
・180度違う考え持った人で対立点多かった
 木村万平・住環境を守る・京のまちづ<り連絡協議会代表 一部地域で高さ制限を緩和した総合設計制度など、京都の景観保全を目指すわれわれとは180度違う考えを持った方だったので、対立点は多かった。しかし、京都の活性化のため、ご自身の信念に基づいて誠実に仕事をされたのでしょう。ごくろうさまでした。
・地下鉄の建設など果たされた功績大
 荒巻禎一知事 今川さんは私が初めて知事に当選した時の市長さんであり、また、他府県での勤務を通じたお付き合いもあり、突然のご逝去に残念でなりません。京都市長として、地下鉄建設や都市計画に果たされた功績は大きいものでした。生前の数々のご功績とご遺徳、そしてお人柄をしのびながら、謹んで心から識見、厳正な判断力を発揮し、先駆的な政策を次々と打ち出された。最近、体調を崩し、闘病生活をされているという知らせに、一日も早い回復を願っていたのに、残念でならない。心からごめい福をお祈りします。とくに古都税紛争で大変ご苦労なさった
 塚本幸一・前京都商工会議所会頭 今川正彦さんとは、京都の市長、商工会議所会頭という関係で当時の林田知事とともに、様々な機会や会議で、京都の将来について熱意を込めて語り合った仲だった。とくに印象に残っているのは、古都税粉争で、大変ご苦労なさったことと、1987年に第1回世界歴史都市会議が京都で催される際、私が理事長をつとめる京都府総合見本市会館(パルスプラザ)のこけら落としのイベントとして世界歴史都市博覧会の同時開催を提案したところ、今川さんに賛同、協力してもらい、大きな成功をおさめられたことだ。今はただ、ごめい福を祈るはかりだ。
・宗教界の拝観拒絶問題でまずい点が
 評論家の冨士谷あつ子・武庫川女子大教授(女性学) 京都市政は、歴代の市長が病気で命を縮められるほど難しい。その中で今川さんは長命で幸いだったが、宗教界の拝観拒絶の問題でまずい点があった。寺は入れる、入れないと宗教人が私物化するものではないのに宗教界に押し切られてしまった。(朝日新聞)
■声 バス無料でも歩かなければ 姫路市 橋本 萬平(無職 83歳)
 私の住んでいる市の規則が、この12月1日から変わって、75歳以上の老人に市内に限ったバスの無料乗車券が配布された。
 市の中心部から2`余りの所に住んでいる私が、何かの用事で町に出掛けると、今までは片道200円、往復すると400円もかかった。月に大体2000円の回数券を2冊、4000円相当のバスに乗る私には、この料金はちょっと高すぎるように思っていた。月4000円も浮けば、新刊の単行本が2、3冊買えるので、この配慮はありがたいと思ったが、待てよ、と考えた。
 これまではバス料金が高いからというわけではないが、老人は歩かないと体が弱ると考えて、運動のため時折、片道なりあるいは往復を歩いて、町まで出掛けることを心掛けていた。そのためか、まだ足腰は丈夫で痛みはない。しかし、もし無料でバスに乗れるのであれは、金が要らないことと時間の節約を思って、安易にバスを利用する誘惑に負けるのではないかとの心配が起こった。
 歩くのをやめると体によくないことは言うまでもない。わずかの金のために健康を失っては、こんな引き合わないことはない。よし、今までの方針通りできる限り歩くことにしようと心に決めた。バスの無料券を前にしての、心の揺らぎがちょっと恥ずかしくなった。(朝日新聞)
11日■東海道新幹線にもJR西の新型車両 来秋から投入へ
 JR東海の葛西敬之社長は10日、大阪市内で記者会見し、JR西日本が来年3月のダイヤ改正で山陽新幹線(新大阪−博多)に投入する500系新型車両の「のぞみ」について「営業運転を開始して問題がなければ、来年秋にも東海道新幹線(東京−新大阪)に乗り入れることになる」との見通しを公式に示した。
 500系新幹線は、山陽区間で、フランスの高速鉄道TGVと並ぶ世界最高速の最高時速300`での営業運転を行う予定。現在は東海道区間での走行試験を重ねている。(京都新聞)
■「はるか」の70人缶詰 架線切れダイヤ混乱 貝塚の阪和線
 10日午後3時ごろ、大阪府貝塚市王子のJR阪和線王子踏切(警報機、遮断機付き)で、近くの建設会社「萬建設」の10dトラックが荷台を上げたまま横断しようとし、約5bの高さの架線2本を切断した。貝塚署は、トラックを運転していた大阪府和泉市府中町六丁目、柴谷茂容疑者(38)を過失往来危険罪で現行犯逮捕した。
 事故の影響で、阪和線は東岸和田−日根野間で上下線とも停電し、鳳−和歌山間と関西空港線(日根野−関西空港間)の全線で一時、運転を見合わせた。このため、JR西日本は南海電鉄や大阪市営地下鉄に乗客を誘導し、日根野駅と南海本線の泉佐野駅間などでバスを走らせた。
 阪和線と関西空港線では特急「はるか」や関空快速など上下9本の電車が駅と駅の間の線路上に立ち往生し、一部の電車では乗客が線路伝いに近くの駅まで歩いた。また、関西空港発京都行き特急「はるか32号」は、運転士が垂れ下がった架線を発見して、現場から約150b手前の線路上で停車。約70人の乗客は2時間半にわたって缶詰め状態になった。
 午後7時半ごろ、全線で運転を再開したが、ダイヤは終日乱れ、上下 152本が運休、102本が最高4時間半遅れ、約6万6000人が影響を受けた。
 同署の調べでは、柴谷運転手は、同踏切の東約30bにある廃材置き場に、運んできた廃材を下ろした後、トラックの荷台を下げるのを忘れていたらしい。
 架線切断事故は、ダイヤの乱れがラッシュアワーと重なり、JRや振り替え輸送先の南海電鉄で、夕刻まで混乱が続いた。
 JR天王寺駅では、構内アナウンスで振り替えの案内を繰り返したほか、乗客への説明のため、駅員らが改札口のわきに立った。同駅から南に向かう路線の9つのホームのうち、天王寺−鳳間で折り返し運行を続けた各駅停車の乗車ホームだけが、帰宅を急ぐ客でごった返した。
 事故現場近くで足止めとなった特急「はるか32号」に乗っていた大阪市生野区の豊川聖一さん(50)は「午後2時48分に関空を出発したが、しはらくして突然停車、そのまま3時間待たされた。アナウンスで事故の説明はあったが、電灯は消え、空調も止まり、不安な思いをした。トイレや洗面所の水も出なくなった。『はるか』は時々使うが、こんな目に遭ったのは初めて」と話した。
 振り替え輸送先となった南海電鉄の3路線の駅では、ラッシュアワーを前に、JR西日本とあらかじめ取り交わしてあった「振替票」を改札口に備えるなど、対応に追われた。
 JR環状線からの乗換駅となる南海新今宮駅では、午後5時過ぎから帰宅路を変更させられた通勤客が殺到した。同駅は入り口側の自動改札をフリーにし、駅員が「乗車券は改札機に入れず、そのままお通り下さい」と繰り返していた。(朝日新聞)
■心斎橋−京橋間開業 大阪地下鉄
 大阪市営地下鉄長堀鶴見緑地線(7号線)の心斎橋−京橋間(5.7`)が11日開業し、大阪市中央区城見一丁目の大阪ビジネスパーク駅で磯村隆文市長ら関係者約400人が開通を祝った。
 同線は鶴見緑地線(京橋−鶴見緑地間、5.2`)を延伸する形で1991(平成3)年に着工し、総工費約1555億円。新区間開業で路線愛称を長堀鶴見緑地線に変更した。
 心斎橋−京橋間は長堀橋、大阪ビジネスパークなど8駅で、地下鉄御堂筋線、堺筋線などと接続。通勤ターミナル駅の京橋と繁華街・心斎橋が直結した。(京都新聞 夕刊)
■大阪市営地下鉄 心斎橋−京橋午後に開通
 大阪市営地下鉄・鶴見緑地線の延伸区間(心斎橋−京橋間)の営業が11日午後に始まる。中央区城見一丁目の大阪ビジネスパーク駅では午前10時半から開通披露式があり、特別試乗電車が出発した。
 延伸区間は京橋から玉造までJR環状線とはぼ並行して南下、国道308号(長堀通)を西に折れて心斎橋にいたる延長5.7`。地下鉄の御堂筋、谷町など5路線とも接続し、この日から従来区間と合わせ長堀鶴見緑地線と改名された。
 新しい7駅は、松屋町駅に人形のショーウインドーを設置するなど地域の特徴を採り入れた。車両は、これまでの鶴見緑地線と同様に小型のリニアモーター車でワンマン運転となる。(朝日新聞 夕刊)
12日■来年3月8日に開業 JR奈良線・京都教育大前駅
 JR奈良線の稲荷駅−桃山駅間に建設中の新駅「京都教育大前駅(仮称)」=京都市伏見区深草大亀谷町が、JR西日本のダイヤ改正に合わせ、来年3月8日に開業することになった。
 新駅は、稲荷−桃山間約4.5`のほぼ中間にあたる。総工費は12億8000万円で、京都府と京都市、JR西日本の3者で負担し、95年3月から工事を進めている。
 奈良線が単線のため、行き違い施設を備えており、ホーム(2本)の長さは6両編成に対応できる125b。駅舎(300平方b)は橋上式で、エスカレーターも設置する。
 新駅は1日約1500人の乗降客が見込まれており、正式名称は来年早々に決まる見通し。
 また、JR西日本は京都駅−新駅間の2001年完成を目指して、来年度から複線化工事に着手する予定にしている。(京都新聞)
■とぴっく関西 JR東西線3月8日開通 大阪の中心部を横断12.3` 学研と直結 キタなどに7駅 都心は地下
 大阪の中心部を横断するJR東西線(京橋−尼崎間)が来年3月8日、開通する。片町線や東海道線(神戸線)、福知山線と相互乗り入れし、繁華街・キタなどに設けられる新しい7駅は、それぞれ市営地下鉄など他の交通機関ともリンクする。関西文化学術研究都市と神戸、宝塚方面が一本のレールで結ばれるようになり、京阪神の人の流れを大幅に変えそうだ。(大阪支社・増田良春)
 東西線は全長12.3`。このうち都心部の10.2`が地下で、JR西日本にとって初の本格的な地下鉄となる。すでに試運転が繰り返されている。
 駅は、京橋と尼崎の間に7駅が設けられる。京橋方面から大阪城北詰、大阪天満宮、北新地、新福島、海老江、御幣島(みてじま)、加島の各駅。
 現在の片町駅近くにできる大阪城北詰駅は、地元町内会の武内寛一副会長(53)らが「100年も続いた片町駅の名前を残して」と要望していたが、JR西日本が押し切った。同線の開業とともに、片町線の京橋−片町間(500b)は廃止される。
 新駅が接続する交通機関は、大阪天満宮駅が地下鉄南森町駅、北新地駅が同西梅田駅、海老江駅が同野田阪神駅と阪神電鉄野田駅など。ほかにもバスターミナルなどの近くにある。
 各駅は、ホームの壁面タイルに地域の特色を表すカラーとシンボル的なワンポイントデザインが施されたのが特徴。「利用者に地下駅を容易に識別してもらう」(JR西日本)のが狙いだ。
 例えば、北新地駅は江戸時代の元禄のころから蔵屋敷が並ぶ全国の米市場の中心だったとして、茶色のタイルに黄金色の稲穂をデザインした。また、大阪天満宮駅は天満宮の御神紋・梅をデザインし、タイルは薄い藍(あい)色とした。
 運行される車両「207系」は7両編成。平日の1日当たりの運行本数は片道157本になる。JR大阪駅と約400bの地下通路で結ばれる北新地駅では、午前5時台から翌日午前零時台までに、木津、奈良などと神戸、宝塚などを結ぶ快速、普通の各電車が行き来し、乗降客は1日約14万人が見込まれている。
 JR西日本は、東西線には片町線の利用者の50%、福知山線の40%、神戸線の30%が流入すると予測。この結果、大阪環状線の大阪−京橋間の混雑解消のほか、同社取締役の村山繁樹鉄道本部営業部長は「都心への通勤、乗り入れが便利になるだけでなく、京都府南部と神戸、宝塚などの近郊行楽がよりしやすくなる」と話している。
 東西線の開通は大阪市内のタクシー業界などに大きな影響を与えそうで、ある運転手は「北新地では夜のタクシー客が減るのは確実。それでなくてもタクシーが多過ぎるのに。どうにもならん」と嘆いていた。
 経過 1971(昭和46)年、片町線と福知山線の利用者増に伴い、都市交通審議会が都心への輸送路整備のため片福連絡線の新設を打ち出した。しかし、当時の国鉄は厳しい財政状況にあり着工できず、分割民営化後の88年、鉄道敷設を第三セクター・関西高速鉄道会社が、運営をJR西日本が行う分離方式で整備することを採用、建設した。総建設費は3400億円。(京都新聞)
■複線化に伴いスピードアップ JR福知山線
 JR福知山支社は11日、来年3月8日実施のダイヤ改正を発表した。
 ダイヤ改正と同時に行う福知山線(新三田−篠山口間)の複線化に伴い、電車のスピードアップを図る。同線では、大阪発篠山口行き通勤快速電車が7分短縮し、59分となるほか、特急「北近畿」が3分から8分短縮、福知山−大阪間を最短1時間25分で結ぶ。
 山陰線と舞鶴線では、利用の少ない普通列車5本で綾部−福知山間、西舞鶴−東舞鶴間の運転を取りやめるなど区間見直しをした。
 乗客サービスとして、山陰線と福知山線で通勤・ビジネス客の自由席利用の多い朝夕方の特急4本で自由席を72席増やし、混雑解消を図る。(京都新聞)
■東海道線の新快速 高槻、尼崎に停車 山陰線と湖西線 朝夕1本増発 JR西ダイヤ改正
 JR西日本は11日、来年3月8日に実施する在来線ダイヤ改正の概要を発表した。
 それによると、東海道線では、新快速電車を高槻と尼崎にすべて停車させる。しかし、京都−大阪間、大阪−三宮間の所要時間は変わらない。また現在、大阪止まりで午前7時台に1本、同8時台に3本ある新快速電車を2本ずつ米原行き、野洲行きとする。
 山陰線では、午前6時5分に京都に着く亀岡発普通電車を1本増発。また現在、夕方の京都発園部行き快速電車4本を福知山行きとする。
 湖西線では京都発午後6時47分の快速電車(永原行き)を1本増発する。
 奈良線では、京都に午前6時54分に着く奈良発普通電車を1本増発。現在、4両編成で運転している京都着午前7時53分を6両編成にする。また、稲荷−桃山間に新設される京都教育大前駅(仮称)には、京都行き54本、奈良行き53本の普通を停車させる。
 このほか、関西線では久宝寺に「大和路快速」を除く快速をすべて停車、加茂・大阪、高田・難波の直通快速を増やす。(京都新聞)
■福知山−天橋立間 臨時快速3本新設 KTRダイヤ改正
 北近畿タンゴ鉄道(KTR)=事業本部・宮津市は11日、来年3月8日に行うダイヤ改正の内容を発表した。福知山−天橋立間で3本の臨時快速を新設するほか、普通列車の所要時間の短縮など、地元客の利便を優先した内容。
 JR西日本のダイヤ改正に合わせて実施される。現在より約1時間運転時刻が繰り上がるJR山陰線上り特急「きのさき2号」への接続列車として、天橋立から西舞鶴を経て綾部まで特急「タンゴディスカバリー22号」を増発する。
 また、朝の時間帯に天橋立−網野間で運転している特急、急行各1本を、夜の時間帯に置き換え、運行区間も天橋立−久美浜、豊岡間に延長、京都発のJR下り特急「はしだて7号」からの乗り継ぎの便を図る。
 ビジネス客には、京都行き特急「はしだて4号」を宮福線大江駅に停車させるほか、特急の回送車両を使った「臨時ビジネス快速」を福知山−天橋立間に、1日上下3本新設。また、不評だった普通列車の離合待ち時間を見直し、所要時間を宮津線上下6本で46−15分、宮福線の宮津発福知山行き1本で17分それぞれ短縮する。(京都新聞)
■国の無利子融資延長 旧国鉄の債務処理 増額は実質先送り 政府・自民方針
 国鉄清算事業団が引き継いだ27兆6000億円に上る旧国鉄の長期債務について、政府・自民党は年内に返済財源を決めるのを断念、国の一般会計からの無利子融資の増額や、低利の民間融資への一部借り換えで、年間約9000億円に上る事業団の利払いを抑える方針を決めた。このうち国の無利子融資の増額は、利払いを事業団から国に振り替えるだけで、実質的には先送りといえる。国全体でみると借金を重ねて利払いをしのぐ「弥縫策(びほうさく)」に変わりない。
 事業団の長期債務残高は、年金の負担などの費用を除くと23兆8000億円ある。国はすでに5兆3000億円を無利子融資しており、今年度末でその期限が来るが、これを延長する。
 さらに来年度中に返済しなければならない4兆700億円の一部も無利子融資に振り替える。
 金額は大蔵・運輸両省で調整中だが、債務の平均利率は約5%なので、1兆円だと事業団の利払いは約500億円減る。だが大蔵省は「事業団の利払いは見かけ上減っても、国の負担は変わらない」として数千億円規模にとどめる考えを示している。(朝日新聞)
■「JR、対応せぬならまた分割」 整備新幹線財源こじれ 自民推進議員が暴論
 「JRがきちんと対応しないならもう一度、分割してやろう」−。11日に開かれた自民党の交通部会(部会長・村田吉隆議員)と整備新幹線建設促進特別委員会(委員長・小里貞利議員)の合同会議で、財源問題がこじれたことにいらだつ整備新幹線推進派議員から、こんな「暴論」が飛び出した。
 JR東日本、東海、西日本が支払う固定資産税の半減措置を継続する見返りに、その分を建設費の半分に充てるという「小里案」には、JRや自治省が強く反発し、こう着状態が続いている。自民党の幹部も「財源問題は関係者の合意がなされなければならない。財源のあてのない計画はできない」(山崎拓・政調会長)という姿勢だ。
 この日の会合では、一部の議員から「国鉄清算事業団の債務に結論も出さないで新幹線の独り歩きはよくない」(中野正志議員)との意見も出たが、推進派の「JRは株を国が持っている特別な会社。き然とやろう」「国策だ」などとの声に押され、年内決着を確認した。
 前日には「造れないなら離党だ」と陳情に訪れた自民党の長崎県議団と加藤鉱一幹事長が声を荒らげて応酬する場面もあった。
 小里委員長らは一部の建設を先送りしたり、在来線を活用した高速化で事業費を抑制したりして理解を得たい、としている。だが、自治体やJRは「税金が入る自治体と新幹線ができる自治体が異なるのが不満」(大阪府吹田市)「事業費の大小を問題視しているのではなく、不合理な課徴金制度につながる財源案自体に反対だ」(JR西日本)との立場を変えていない。(朝日新聞)
■ダイヤ改定 「都市型」めざす JR福知山支社 東西線へ直通運転
 JR西日本福知山支社は11日、福知山線の新三田−篠山口間の複線化完成、JR東西線の開通に合わせて来年3月8日に実施するダイヤ改定を発表した。通勤列車の増発、所要時間の短縮、東西線への直通運転など都市型鉄道をめざした内容になっている。
 福知山線では朝の通勤時間帯に、篠山口−木津、同志社前間に新設3本を含む計五本の直通電車を運転する。現在、大阪発になっている篠山口行きの電車2本を木津発にする。
 夕方は午後5時−8時の間、大阪−篠山口間を59分で結ぶ速達快速(新三田−篠山口間では相野に停車)を1時間に1本ずつ走らせる。大阪−新三田間の普通電車3本を篠山口まで延長運転する。
 同線にパターンダイヤを設定し、朝の通勤時間帯の篠山口−大阪間はほぼ9分間隔で、昼間の閑散時と、夕方の大阪−篠山口間の電車は各時間とも同じ発時刻で運転する。
 複線化の完成で行き違いがなくなるため、大阪−篠山口間の所要時間(平均)は下りが3分、上りが4分短縮され、ともに1時間8分となる。特急「北近畿」の大阪−福知山間も最大で8分短くなる。
 山陰線では、但馬地域から東京、京阪神へより早く到着できるように特急電車の時刻を見直し、「きのさき2号」の城崎発を約1時間繰り上げる。舞鶴方面からは「タンゴ・ディスカバリー」が綾部駅で接続する。「きのさき2号」の時刻繰り上げに伴い、「タンゴ・エクスプローラー2号」を約1時間繰り下げる。また、「きのさき2号」は新たに江原と八鹿に停車する。
 通勤やビジネスの乗客が特急を利用しやすいように、福知山線の「北近畿19号」と山陰線の「はしだて2号」、「きのさき2、9号」の自由席を1両分拡大する。
 夕方の山陰線は、午後5−7時台の京都−園部間の快速を福知山まで直通化し、乗り換えを解消する。同8時台の快速は現在も直通しており、夕方の快速4本すべてが直通となる。(朝日新聞)
■特急増発や時間の短縮 KTRも見直し
 北近畿タンゴ鉄道(略称KTR、事業本部=宮津市)はJR西日本のダイヤ改定に合わせて来年3月8日からダイヤを見直し、特急列車の増発や快速ビジネス列車の新設、普通列車の時間短縮などを図る。
 特急の増発はJR特急「きのさき2号」の運転が繰り上がり、「タンゴ・エクスプローラー2号」が約1時間繰り下がるため、新たに天橋立から「タンゴ・ディスカバリー22号」を西舞鶴経由で綾部まで運転、「きのさき2号」の京都行きに接続して利便性を確保する。
 また、利用客の少なかった早朝の特急「タンゴ・ディスカバリー12号」(網野−天橋立)と、急行「タンゴ・レインボー1号」(天橋立−網野)を廃止して、利用の多い夜間に、特急「タンゴ・ディスカバリー7号」(天橋立−豊岡)と急行「タンゴ・レインボー4号」(久美浜−天橋立)の2本を新しく走らせる。また特急列車を大江駅に停車させる。(朝日新聞)
■3月8日に開業 JR奈良線 京都教育大前駅
 京都市は11日、JR奈良線の稲荷−桃山間に建設中の京都教育大学前駅(仮称)の開業日が、来年3月8日に決まったことを明らかにした。
 稲荷−桃山間は、駅間距離が約4.5`と長く、地元住民から新駅の設置を求める声が上がっていた。このため、JR西日本、府、京都市が総工費12億8000万円をかけ、昨年3月から工事に着手していた。
 ホームの長さは125b。車いすのまま乗り込めるエスカレーターも設置する。利用客は1日に1400−1500人程度を見込んでいる。(朝日新聞)
■スキー列車年内運休
 JR西日本は、20日から運転を予定していた北陸線経由のスキー列車「シュプール白馬・栂池」を、土石流災害の影響で、今月いっぱい運休する、と11日発表した。神戸発糸魚川行き「シュプール白馬・栂池11号」と糸魚川発姫路行き「同12号」、姫路発糸魚川行き「同13号」の3本。発売された乗車券、急行券などは、手数料なしで払い戻しをする。(朝日新聞)
■新快速すべて高槻駅に停車 JR 春のダイヤ
 JR西日本は11日、大阪を中心とした都市圏輸送(アーバンネットワーク)のダイヤ改定を、JR東西線の開業に合わせて来年3月8日に実施する、と発表した。
 東海道・山陽線では、新快速電車をすべて高槻駅に停車させる。現在、同駅には平日の昼間時と、土、休日にしか停車していない。
 関西線では、大規模ニュータウンのある京都府相楽郡加茂町の加茂駅から大阪駅までの直通の快速を、朝ラッシュ時の1時間当たり1本から5本に増発。奈良県大和高田市の高田駅からJR難波駅までの直通快速も1本から5本に増やす。また、大阪府八尾市の久宝寺駅に新たに快速を停車させる。
 奈良線では京都市伏見区の稲荷−桃山間に新駅を開業し、上下107本の普通電車を停車させる。(朝日新聞)
■濃霧 朝の足乱れる 府南部
 12日朝、京都府南部を中心に濃い霧が発生した。綴喜郡田辺町では見通しが20b以下、相楽郡木津町では50b以下(京都地方気象台調べ)になり、列車が遅れるなど通勤、通学客の足に影響が出た。
 京都地方気象台によると、放射冷却に伴って起きた現象で、午前7時50分に府南部に溝霧注意報を発令した。地面の温度が上がった正午ごろにはほぼ晴れた。
 この霧の影響で、JR奈良線では午前7時半から9時にかけ、徐行運転のため計5本の列車に最高10分の遅れが出た。また、近鉄京都線も各列車が5−8分程度遅れた。
 国道24号など府南部の主要道路でも、ライトを付けたノロノロ運転の車が数珠つなぎになり渋滞した。(京都新聞 夕刊)
■「スルッとKANSAI」阪急バスも来秋参加 共通カード
 阪急バス(本社・大阪府豊中市)は12日、1枚のブリペイドカードで阪急電鉄や阪神電鉄など5つの鉄道と大阪市交通局のバスのすべての路線を利用できるシステム「スルッとKANSAI」に来年秋から参加することを決めた。北摂や阪神間、京都市西部などの阪急沿線を中心に66路線で常業している阪急バスの参加で、「スルッと」を利用できる鉄道、バス路線の延長キロは、現在の762.6`から倍以上の1676.3`に延びる。「スルッと」は阪急、阪神、大阪市交通局、能勢電鉄、北大阪急行で3月20日にスタートした。各社が発行する1000円から5000円のプリペイドカードを自動改札機に通すだけで、運賃が自動的に引き落とされる仕組み。
 阪急バスは、バスの乗車口と降車口にそれぞれ小型の改札機を設置し、カードを投入して乗り降りできるようにする。各営業所単位で順次導入し、2000年度までに全路線に完備する計画。システム導入費は約6億2000万円。
 「スルッと」には他に、南海電鉄と京阪電鉄が1999年度からの参加を決めている。(朝日新聞 夕刊)
13日■急行電車から煙 乗客500人避難騒ぎ 阪急高槻市駅
 12日午後4時10分ごろ、阪急電鉄京都線の高槻市駅内で、ホームに停車中の梅田行き急行電車(8両編成)の7両目から煙が出ているのを車掌が見つけ、乗客約500人を避難させるとともに、消火器で間もなく消した。上下線の特急や急行など合わせて41本が最高11分遅れ、約2万人に影響が出た。
 同電鉄広報室によると、車両の床下の配線に付着したごみが燃えたという。(京都新聞)
■新幹線スマートに 最高300` 東京初乗り入れ JR西日本
 最高時速300`−。フランスの新幹線TGVに肩を並べる世界最高速度の新型車両「500系」が13日未明、東海道新幹線区間での試験運転のため、東京駅に初乗り入れした。
 JR西日本が開発した車両で、先頭部は戦闘機のような流線形。「のぞみ」の名前で来年3月22日、山陽新幹線新大阪−博多間にデビューし、来秋には東京−新大阪間にもお目見えする予定だ。
 500系は新大阪−博多間を、これまでより15分短い2時間17分で結ぶ。
 東海道新幹線では、ダイヤが過密なうえ、300`で走行できる区間が短く時間短縮効果があまり期待できないため、JR東海は東京−新大阪間の最高速度を現行の「のぞみ」と同じ270`に設定し、東海道新幹線にも500系を導入することにした。
 丸みを帯びたグレーのボディーにブルーのラインの500系は13日午前1時18分、東京駅の17番線ホームに到着。運転席の窓はまるでカプセルのようだ。13日の走行試験では騒音や振動などのテストをする。(京都新聞 夕刊)
■大阪市営地下鉄 建設費が1400億円超過 6つの区間とニュートラム 乗客、見込みの7割
 大阪市交通通局が1983年以降に開設した地下鉄6区間と、81年開業のニュートラムで、建設費が当初の計画を超過し、その総額は1400億円余りに上ることが分かった。一方、収益の中心となる乗車人員は計画段階での見込みを大きく下回り、約7割にとどまっている。現在、地下鉄などの経営状況は過去最悪で、市交通局は9日に料金値上げを打ち出した。ずさんな見通しが料金にしわ寄せされる構図で、今後の新線建設計画にも大きな影響が出そうだ。
 市交通局によると、今月11日に開業したばかりの長堀鶴見緑地線の心斎橋−京橋間は当初、建設費が1189億円の計画だったが、366億円増えて1555億円になった。93年に完成した堺筋線の動物園前−天下茶屋間は456億円の計画が236億円増えて692億円になった。
 また、ニュートラムも計画の270億円から150億円増えるなど、地下鉄6区間とニュートラムでの超過総額は1409億円に上っている。
 一方、乗車人員では、90年の花博に合わせて完成した長堀鶴見緑地線の京橋−鶴見緑地間(旧鶴見緑地線)は1日8万1000人の計画だったのに対し、実際は3万9000人と半分以下。85年にできた中央線の深江橋−長田間も14万7000人の予定が8万2000人にとどまっている。開設直後で実数値の出てない長堀鶴見緑地線の心斎橋−京橋間を除く5区間のうち、3区間が計画以下。乗車人員の総数は33万3000人で、計画の46万7000人を大きく下回っている。
大阪市営地下鉄・ニュートラムの当初計画と実績
 建設費
(計画)
(億円)

(実績)
(億円)
乗車人員
(計画)
(人/日)

(実績)
(人/日)
長掘鶴見緑地線 心斎橋−京橋11891555165000
長堀鶴見緑地線 京橋−鶴見緑地101411088100039000
堺筋線 動物園前−天下茶屋4566921800025000
御堂筋線 あびこ−なかもず1094150213800097000
中央線 深江橋−長田45859814700082000
谷町線 守口−大日1251401100022000
ニュートラム2704207200068000
この結果、旧鶴見緑地線は経営に必要な費用が収益の3倍を超える赤字状態で、ニュートラムは昨年度10億円を超える欠損を計上。地下鉄全線とニュートラムの累積赤字は過去最悪の計1676億円に達している。
 市交通局は13日午後、市議会の協議会で、すでに新規着工の方針を固めている「森小路大和川線」の建設について正式表明する。同線は、大阪市東淀川区から東住吉区までの約18`で、建設費は約4400億円。路線が市中心部を外れることなどから、すでに採算を危ぶむ声が市内部からも強く出ている。しかし、市交通局は「新線を建設すれば周辺開発も進み、新たな利用者も生まれる。採算は取れる」との姿勢を崩していない。(朝日新聞 夕刊)
■整備新幹線 JR納付金方式断念 自民と運輸省 「地方交付金で充当」案
 自民党と運輸省は整備新幹線未着工区間の財源問題で、JRに対する固定資産税の半減措置を予定通り今年度で打ち切り、全額納付により浮く地方交付税交付金を沿線自治体の建設費負担の一部に充てる方針を固め、自治省や大蔵省と調整に入った。運輸省などはJRの固定資産税の軽減を継続する代わりに、建設財源としてJRに納付金を拠出させる案を打ち出していたが、JRなどが反対したことから方針転換した。古賀誠運輸相は13日の閣議後の会見で明らかにした。
 JR東日本、東海、西日本の3社に対する固定資産税の優遇措置が切れれば、全国約1200の自治体の税収が合計で年間約600億円増える。この結果、東京都など交付金をもらっていない自治体分を除き、交付税交付金に年間約300億円のゆとりが生まれる。
 新しい財源案は、これを整備新幹線の建設費を負担する沿線自治体への交付金の増額に振り向ける、というもの。JRに対しては、線路の貸付料を前払いさせる形で年間数百億円の負担を求めることにしている。整備新幹線の建設費の負担割合は、着工区間ではJRが50%、国が35%、地方が15%だが、この案では地方や国の割合が高くなる。
 運輸省などは年間の財源は計1500億円と見込み、20年間で3兆円規模の建設費を確保したい、としている。
 ただ、国や地方の財政負担が高くなるほか、交付金の使途を事実上しばる形となるため、「使途を制限してはならない」とする地方交付税法(第三条)に反する恐れもある。(朝日新聞 夕刊)
■列車誕生物語 〈1〉 トワイライトエクスプレス 豪華列車で北海道へ行きたい データ示し社内説得 寝台車改造知恵絞る
 国鉄が分割民営化され、来春で10年。JRになって経営やサービスの改義、株式の上場など取り巻く環境は大きく変わったが、鉄道会社の〈顔〉ともいうべき車両も、大胆なデザインを取り入れ様々なスタイルが登場した。JR西日本のこうした列車、車両はどのようにして生まれたか。誕生までの背景を紹介する。
 日本海に沈む夕日を浴びながら濃緑色の列車が北に向かう。パノラマサロンカー「サロンデュノール」のソファではカップルが景色に見とれ、食堂車「ダイナープレヤデス」ではスタッフがフランス料理のディナーの準備に余念がない。
 JR西日本が誇る豪華寝台特急「トワイライトエクスプレス」。大阪−札幌間を約21時間で走る国内最長距離の列車でもある。
 「オリエント急行のような列車を札幌まで走らせよう」。日本にそれまでなかった豪華列車が誕生する契機となったのは、青函トンネル開通を翌年3月に控えた1987年夏、営業本部長・本田勇一郎(現日本旅行専務)の提唱だった。
 しかし、その熱意とは裏腹に「そんな悠長な客がいるわけがない」と社内の反応は冷ややかだった。本田は周囲を説得するため、大阪駅から半径30`以内に住む各500人を調査し、「8割が北海道旅行を望み、うち4割強が豪華列車で行く夢を抱いている」というデータを導き出した。副社長の井手正敬(現社長)がようやくゴーサインを出したのは1年後だった。
 車両は従来のブルートレイン用寝台車を改造することになったが、目玉は「スイート」(2人用)、「ロイヤル」(1人用)と名付けた個室寝台。目指すのはシティホテル並みのサービスだった。計5つの部屋ごとにシャワーとトイレが必要となるが、そのために床下に上水と汚水用の計4000リットルの巨大タンク設置という難問が待ち受けていた。
 改造に携わった車両課副課長の真野辰哉(現広報室次長)は「国鉄時代なら『そんなタンクは不可能。室数を減らせ』となった。けど『絶対必要な装備だ』とみんなで知恵を絞った。トワイライトは鉄道のロマンを実現させる車でしたから」と振り返る。
 台車部分を除くと、表さ20bの車体の床下に開いている空間は約12b。そこには、非常電源用のバッテリーやブレーキ用のエアタンクなど必要な機器がぎっしり詰まっている。
 真野の部下だった鎌谷寿志(現広報室主席)は、タンクの直径を小さくするため1200リットルと700リットルの2連式タンクを考案。「機器類をきれいさっぱり取り払い、タンクを最優先で取り付け、余った所へ機器を配置した。発想の転換でした」と話す。そうした工夫が実り、デビューしたのは89年7月だった。
 間もなく、人気俳優の松平健さんと女優の大地真央さんが新婚旅行で乗車。1両ごと借り切って話題となり、JR西日本の看板列車となった。誕生は難産だったが、今では切符の入手が困難なほどだ。(敬称略)(読売新聞)
14日■整備新幹線 一部着工先送りへ 財源問題 16日にも決着
 整備新幹線の財源問題で運輸省は13日、JR東日本などJR3社が来年度から納める固定資産税600億円を地方交付税で調整し、約半額を特定財源として建設費の一部に充てる方式を創設するため自治、大蔵両省と調整に入った。これを受けて自民党整備新幹線建設促進特別委員会(小里貞利委員長)は16日にも、「地方交付税方式」で政治決着を図る方針。
 だが、特定財源が予定の半分程度に減ることから、未着工区間(北海道新幹線など4線7区間)のフル規格による全線開業は絶望的となり、一部区間の着工先送りなど当初計画の変更は必至の情勢だ。
 特別委によると、新方式は@JR3社が本年度で期限切れになる固定資産税の減免措置(2分の1の軽減、年間約600億円)を廃止し、3社は来年度から全額を市町村に納めるA全額納付によって収入の増えた市町村を対象に地方交付税で財政調整し、建設資金をねん出する−という仕組み。約300億円を見込んでいるという。
 しかし、自治省サイドは「JR3社が固定資産税を全額払うことになれば、3社の所得が減ることになって法人税などが減額される。地方交付税は法人税などの一部が原資になっており、地方交付税の総額が減る。結果から言えば、200億円を切るのでは」と特別委の構想を疑問視している。
 地方交付税で調整して特定財源をねん出にするだけでは財源はとうてい足らず、民間会社になったJRの負担の在り方や、国と地方の負担をどう見直すかなどが今後の課題として残りそうだ。
 未着工区間の建設費は推定で約5兆2000億円。特別委は費用負担率を建設中の北陸新幹線高崎−長野間など3線5区間と同じ「JR50%、国35%、地方15%」とすることを既に表明している。(京都新聞)
■JR米原駅 勇気持ち暴力排除 全国初の協議会結成
 JRグループ企業と関連企業の行う公共運搬事業から暴力団の不法・不当行為を排除するため、同グループ企業と関連企業は13日、「JR東海・JR西日本米原地区暴力団排除対策協議会」を設立した。JR駅関係の暴排協議会の結成は全国でも初めて。
 JR米原駅がびわこ線、北陸本線、東海道本線、東海道新幹線が通過する交通の要衝になっていることから、同地区で結成された。
 米原町下多良の町商工会議所で開かれた結成総会には、JR西日本京都支社をはじめ、JR西日本の大橋昇一郎米原駅長、キヨスク関係者ら約70人が出席。会長に増田巌JR東海(新幹線)米原駅長を選出した。
 増田会長は「警察や暴力団追放県民会議と連携を取りながら、勇気を持ってあらゆる暴力を排除していこう」とあいさつ。同会議の前田修一専務理事が「企業対象能力の実態とその対策について」講演した。
 総会は「JR関係業界一丸となって暴力団排除活動を展開し、健全な公共輸送事業の実現を」とする暴力団排除に関する決議を採択し、閉会した。
 総会後、「暴力団追放」のタスキを掛けた出席者がJR東海新幹線改札口、JR西日本改札口で乗降客らに暴力の追放を訴えた。(京都新聞)
■整備新幹線 8年ぶり本格着工へ 来年度、未着工区間の一部 地方負担増など財源に 20年で3兆円
 東北、北陸、九州など整備新幹線の未着工区間(1050`)の一部が1997年度から、着工される見通しとなった。地方交付税交付金などで財政支援し、沿線自治体の負担を増やし財源を確保することで、自民党や大蔵、自治、運輸省の調整が進んでいる。来年度予算に盛り込まれる見通し。整備新幹線の着工は94年に駅舎の整備だけを先行させた区間もあるが、本格的な着工は89年以来、8年ぶりになる。
 運輸省や自民党の建設推進派は、年間の建設費を1500億円−1800億円、20年間で3兆円以上の事業費を見込んでいる。「財政構造改革元年」とされる来年度予算だが、自民単独政権の復活や推進派議員に押される形で着工に踏み切ることになる。
 関係省庁でほぼ合意した新たな財源案は、JRに対する固定資産税の半減措置を予定通り打ち切り、全額納付する。それに伴い地方財政にゆとりがうまれることから、相当額の300億円などを入れて地方負担を引き上げるもの。具体的には沿線自治体に対する地方交付税交付金を増額し、建設費にあてる案が有力。
 国と地方との負担割合は3対2とし、新幹線のリース料を前払いしたり、開業で受ける利益に応じてJR各社も負担したりする。現在、工事中の区間の、建設費の割合は国が35%、地方が15%、JRが50%だが、未着工区間では、JRの負担率は下がり、地方が上がる形となる。
 自民党ではこれまで「財源問題の決着が着工の前提」(山崎拓・政調会長)としてきたが、財源の確保でほぼ見通しがついたとして、来年度予算案に、未着工区間の工事費などを盛り込む方向になった。今後、財源の規模と負担割合を詰め、着工する区間や線路の規格を決める。まとまりきらなければ、来年度予算では、着工を前提にした準備費として計上する可能性もある。
 また総額の工事費が膨らむ恐れがあるため、運輸省を中心に、工事費を抑制する方法を検討する。
 未着工区間の全線を東海道新幹線と同じ規格で整備するなら最低5兆2000億円が必要だが、ルートが確定していない区間などを先送りしたり、在来線の路盤を強化して高速化を図る「スーパー新幹線」(最高速度200`)などを用いたりして、建設費を抑える方向だ。
 整備新幹線は1973年の「整備新幹線計画」に基づき、北海道、東北、北陸、九州の鹿児島と長崎に計5路線、全長約1500`を着工することになっている。着工は国鉄の経営危機で延期されていたが、88年に東北、北陸、九州・鹿児島の一部405`の工事開始が決まった。未着工の1050`については、94年2月に細川政権が財源難のために「97年以降に決める」と先送りしたが、村山政権になって方針が転換。着工順位や財源の負担割合を決めることを申し合わせていた。しかし、財源問題にめどがたたないことから、難航していた。(朝日新聞)
■阪急梅田 信号停車中電車扉開く 車掌勘違い
 13日午後3時15分ごろ、大阪市北区の阪急梅田駅構内で、河原町発梅田行き普通電車(6両編成、約300人)がホームから約170b手前の場内信号機の前で停車中に突然、進行方向右側のすべての車両の扉が開いた。約30a開いたあとすぐに閉じたため、乗客にけがはなく、電車はそのまま同駅ホームに入った。
 阪急電鉄によると、車掌がホームに到着したと勘違いして扉を開けたらしい。(朝日新聞)
■作業車全焼、架線切れる 朝の新幹線大混乱 静岡
 14日午前3時40分ごろ、静岡県藤枝市大洲二丁目の東海道新幹線の上り線で、作業中の線路施設保守用車両のエンジンルームから出火、車両を全焼して約1時間後に消えた。けが人などはなかった。
 上り線の架線が切れたため、同新幹線上り線は始発から静岡−掛川間で運転を見合わせたが、午前8時56分、運転を再開した。現場付近で徐行しながら運転していた下り線も午前7時半ごろから、架線張り替え工事で停電したため約1時間半にわたり運転を見合わせた。
 JR東海によると、事故によるダイヤの乱れは午前中いっぱい続き、名古屋発東京行きひかり190号など上下計54本が1時間59分−10分遅れ、乗客約3万3000人が影響を受けた。
 藤枝署やJR東海などによると、保守用車両は道床安定作業車と呼ばれ、線路内の砂利をならして安定させるのが目的。長さは約17bで、ディーゼルエンジンで動いている。同日午前零時50分ごろから時速3`ぐらいで徐行しながら作業をしていたが、エンジンルームから出火してブレーキが利かなくなり、約250bほど進んだところで止まったという。同署などで出火原因などについて調べている。藤枝市消防署から消防車8台が出動、消火に当たった。
・乗客ら不安 JR京都駅
 JR京都駅でも午前中、上下線ともダイヤが大幅に乱れた。下りは、博多行きひかり31号が約1時間47分遅れで到着したほか、11本(午前10時現在)が1時間−20分程度遅れた。上りは、新大阪発ひかり206号の37分を最高に、計18本(同)が20−5分遅れで着いた。
 駅の窓口には、乗客からの問い合わせや電話が相次ぎ、各ホームでは、乗客らが不安そうな表情で列車の到着を待っていた。(京都新聞 夕刊)
■新幹線乱れる 静岡で架線切れ
 14日午前3時40分ごろ、静岡県藤枝市大洲の東海道新幹線上り線で、線路の整備をしていたディーゼル列車から出火、1時間余りにわたって燃えた。この火事で、新幹線の銅製の送電用架線が溶けて切れた。JR東海は午前7時前に保守用列車を移動し、架線を張り替え、午前8時56分復旧した。作業は上下線を停電させたため、静岡−掛川駅間で運転を見合わせた。東海道線は、始発からダイヤが大きく乱れた。
 JR東海によると、保守用列車は、線路のバラスト(砕石)を固める作業車が通った後、押し上げられた線路を押さえ、レールを安定させるための作業をしていた。JR東海は、保守用列車の出火原因を調べている。
 現場は、静岡駅と掛川駅の間の大井川付近。
 新大阪駅でも東京発博多行き「ひかり31号」が1時間46分遅れて到着するなど、発着のダイヤが大幅に乱れた。JR西日本は同駅から博多行きの「のぞみ」と「ひかり」を臨時運転して対応した。
 JR東海は始発から係員計23人を新幹線乗車口などに急きょ配置した。スピーカーで「東京方面は定刻に出ますが、到着は1時間以上の遅れが見込まれます」と放送。臨時に机を置いて設けた案内所には、20人ほどの列ができた。窓口では切符の払い戻し作業に追われた。
 午後から東京都内で結婚式に出席する予定の大阪市内の中年夫婦は「こんなときに限って…。もう、間に合わへんわ」と、いらだっていた。(朝日新聞 夕刊)
■列車誕生物語 〈2〉マリンライナー パノラマ車で瀬戸大橋を 最高の眺めうりものに 高い床と回転座席
 1988年春は、日本の鉄道にとって青函トンネル以外にもう一つ、画期的な出来事があった。本州と四国を結ぶ「瀬戸大橋」の開通だ。当時のJRグループのポスターには北海道、本州、四国、九州の4島が鉄路でつながったことを示す「一本列島」というコピーが使われていた。
 大橋を渡る「瀬戸大橋線」の開業を見越し、国鉄は分割1か月前の87年3月、宇野線(岡山−宇野)に当時開発して間もない最も新しいタイプのステンレス製近郊電車213系を24両投入した。
 JR西日本の初代岡山支社長として着任した日高秀登(現岡山ステーションセンター社長)は「観光スポットとして売れる。インパクトの強い商品を作れ」と部下にハッパをかけた。
 この指示を受けた輸送課長の宇都宮道夫(現技術開発推進部次長)は開業前、瀬戸大橋線を走る工事車両に何度も乗った。ひらめいたのが、岡山と高松を約1時間で結ぶ213系の快速「マリンライナー」用パノラマグリーン車を新しく造ることだった。
 「橋の上からの眺めは最高。これを売り物にしない手はないと報告したら本社も乗り気でね」
 保守用に橋に付けた歩道の欄干が視界を遮らないよう床の高さを従来より25a上げた。窓に向き合い景観を楽しんでもらうため、定期列車としては日本で初めて座席を360度回転できるようにした。
 開業に合わせて造った213系はグリーン車が6両、普通車が3両。JR西日本になって初めての記念すべき車両だった。普通車はステンレス製だが、グリーン車は窓を大きくしたため、強度や車体成型の制約から鉄鋼製になった。
 「大橋開通後、初めてのゴールデンウイークには、京阪神からもどっと人が来たため、岡山駅では朝7時ごろから入場を制限してね。5分後に臨時電車を出すと案内しても、みんなマリンライナーに乗りたがってだれも離れなかった」
 宇都宮の目には、その時の光景が今でも焼き付いている。(敬称略)(読売新聞)
15日■列車誕生物語 〈3〉 スーパーシリーズ 低コストで魅力ある車両に 工夫満載 苦肉の改造 広い座席や流線形
 JR西日本には、「スーパー雷鳥」(北陸線)、「スーパーくろしお」(紀勢線)、伯備線経由で岡山−出雲市間を走る「スーパーやくも」と名付けられた3特急がある。このスーパーシリーズが生まれたのは、「金をかけずに乗客に喜んでもらえる車両を」とする〈苦肉の策〉からだった。
 シリーズ第1号となった大阪と北陸を結ぶ「スーパー雷鳥」の前身「雷鳥」は、JR発足当時、1日の輸送量が1万人近くもあるドル箱列車だった。だが、走っていたのはクリーム色に赤いラインの全国どこでも見られる485系特急電車。
 車両としての魅力に乏しく「これでは北陸自動車道に負ける。もっとお客様のニーズに従って考えるべきではないか」と、新車両化を打ち出したのが「三部長会」だった。営業本部長の本田勇一郎(現日本旅行専務)、取締役車両部長の井沢勝(現ジエイアール西日本コミュニケーションズ社長)、運輸部長の五味一彦(現奈良ホテル社長)からなり、非公式の会ながら、新生JRのシンクタンクの役割を果たしていた。
 だが、当時、485系はできてからさほど年数がたっておらず、一から新型車両を造るのはコスト面で合わない。何より、新型を造る財政的な余裕もなかった。そこで、次善の策として考え出されたのが改造だった。
 座席の間隔を広げ、リクライニングシートを採用。車両編成の中間にあったグリーン車を先頭に移し、前を流線形のパノラマにするなどさまざまな工夫が凝らされた。その狙いを「何より見た目に『やったな』という印象を与えたかった」と、車両副課長だった真野辰哉(現広報室次長)は明かす。
 白いボディーに青い帯を巻いた「スーパー富鳥」が登場したのが89年春。「三部長会」の発案で、同年7月には南紀の観光客を呼び込もうと「くろしお」の381系を改造した「スーパーくろしお」がデビューし、新大阪に乗り入れた。同じ車種の「スーパーやくも」も94年12月から運行を姑めた。
 すでに「スーパー富鳥」「スーパーくろしお」は、新型の後継車両が誕生し旧型となってしまったが、いまだに根強い人気がある。(敬称略)(読売新聞)
16日■木津−北新地800円 田辺−北新地640円 JR東西線、運賃申請
 JR西日本は16日、来年3月8日に開業するJR東西線(京橋−尼崎、12.5`)の運賃を運輸省に申請した。早ければ年内にも認可される見通し。
 申請によると、東西線は、東海道線京都−西明石間などと同じく電車特定区間の運賃を適用する。この結果、京橋−大阪天満宮120円、京橋−北新地150円、京橋−尼崎210円などとなる。北新地−三ノ宮は、大阪−三ノ宮と同額の390円。木津−北新地800円。同志社前、田辺−北新地は640円。
 北新地駅と大阪駅は約400b離れているが、東西線の各駅での乗降に限り、1枚の切符で、北新地駅と大阪駅はいったん改札を出ても再び入場できるようにする。また、北新地−京橋、北新地−尼崎の定期券や回数券は、環状線大阪−京橋、東海道線大阪−尼崎も利用できる。(京都新聞 夕刊)
■JR東西線 北新地−三ノ宮390円 割安の「特定運賃」申請
 来年3月8日に開業するJR東西線(京橋−尼崎)の各駅からの運賃について、JR西日本は16日、運輸省に申請した。年内にも申請通り認可される。北新地−三ノ宮間や北新地−宝塚間は、並行する私鉄に対抗するため、通常より3割ほど安い「特定運賃」とし、大阪発着と同額になる。
 申請によると、北新地−三ノ宮間は普通運賃が390円、通勤定期(1ヵ月)が1万1740円。北新地−宝塚間は普通運賃が320円、通勤定期(同)が9580円。
 私鉄と比較すると、北新地−三ノ宮間は、阪急と阪神の梅田−三宮間より普通運賃が90円高いが、通勤定期(同)は510円安い。北新地−宝塚間は阪急の梅田−宝塚間より普通運賃は50円高いものの、通勤定期(同)は1230円安くなる。
 北新地駅から尼崎駅以遠の運賃はすべて大阪駅からの運賃と同じになる。
 このほか、北新地駅と大阪環状、東海道、福知山、片町線の各方面を結ぶ定期券と回数券で、近接する大阪駅からも乗降できる制度を新たに設ける。北新地駅と大阪駅は約300b離れているが、地下街でつながることなどから定期券と回数券に限って一体とみなした。大阪駅発着の定期、回数券も同様の扱いにする。これで、朝は大阪駅で降りて、夜は北新地駅から乗って帰ることも可能になる。
 また、「大阪市内」発着の乗車券については、大阪駅と北新地駅の間を歩いて乗り換えることができる。(朝日新聞 夕刊)
17日■整備新幹線建設費負担 国と地方2対1 3省合意JRにも拠出要請
 北海道新幹線など未着工の整備新幹線(4線7区間)の財源問題で、運輸、大蔵、自治の3省は16日、国と地方がおおむね2対1の比率で建設費を負担することなどで合意した。
 合意内容は@来年度予算で未着工区間と北陸新幹線など建設中の区間(3線5区間)の建設費を一本化して計上するA建設費は国、地方、JRで負担し、負担割合は国と地方でおおむね2対1とし、JRからも建設負担金(新設)などを支出させる−など。
 これを受けて自民党は同日、整備新幹線建設促進特別委員会(小里貞利委員長)の役員会で合意内容を了承。17日の党三役会で来年度着工を決める方針。
 未着工区間は1989年以来8年ぶり、また73年に整備計画が決定してから24年ぶりに整備新幹線全5線が建設着手される。
 しかし、3省合意の中には、JRの負担として「施設利用料金」のほか、新たに「建設負担金」として整備新幹線乗り入れ効果による受益を拠出する制度を盛り込んでおり、JR側の対応が注目される。
 今回の総事業費には、建設中の北陸新幹線など3線5区間の建設費も含まれており、実際に未着工区間の建設にいくらを回すかは今後詰めることになる。
 運輸省は「建設区間の完成は2008(平成20)年、未着工区間は2018(同30)年を予定し、未着工分を合わせた総事業費は2兆7000億円になる」と説明している。
 来年度の総事業費は建設中を含め約1734億円になる見通しで、負担額は@国が約1064億円、地方が約532億円とし、負担率をおおむね2対1とするAJRは建設負担金など約138億円を拠出する−という内容。
 財源の内訳は、国が一般財源約340億円と特定財源(既設新幹線施設売却費の一部)約724億円の計約1064億円。地方は一般財源と地方交付税分計約532億円。JRは施設使用料と建設負担金の計約138億円になる。(京都新聞)
■社説 整備新幹線は国民合意の上で
 財源難で未着工だった整備新幹線(北陸、北海道、東北、九州の4線7区間)の来年度着工が、政府、自民党の間で固まった。計画が1973(昭和48)年に策定されて以来、夢と期待をはぐくんでこの日を待ちわびていた関係者には朗報だろうが、厳しい財政事情に直面している中で、急いで計画を推進すべきかどうか疑問が残る。
 運輸・大蔵・自治の3省によれば、建設費は国と地方がほぼ2対1の割合で負担し、JRも建設負担金(来年度は約8%)を出す形で、きのう合意した。2018(平成30)年までに未着工区間を含めた全線約1500`の完成をめざし、総事業費は2兆7000億円(運輸省試算)としている。
 当初計画のうち冬季五輪がらみの北陸新幹線高崎−長野間をはじめ3線5区間は1980(昭和63)年以降工事が始まった。しかし、残り1000`余は財源難の壁にぶつかり、細川連立内閣当時の94年に先送りされた経緯がある。
 JRに対する固定資産税の減免措置がことしで終わるのを機に、この分を財源にあてこんだ建設計画が浮上した。減免措置を継続する代わりに相当額をJRが拠出する案は、さすがに地方自治体などの反発が強まって撤回したものの、全館納付による地方財政の「ゆとり」を利用して、建設費の地方負担を確保するしくみには変わりはない。
 運輸省の試算でも年に千数百億円という建設贅は、大きな財政負担だ。既設新幹線と同じフル規格で建設するなら未着工分だけで5兆2000億円(93年価格)との試算もある。小型化や在来線の活用で”節約”をはかるとしても、運輸省の見積もりは相当甘い。後年度の財政負担はもっと大きくなる恐れがある。
 先週、財政制度審議会(蔵相の諮問機関)が、財政の危機的状態の建て直しを求めた報告書を出した。同審議会は、あらためて国鉄清算事業団の長期債務などにふれ、財源問題、採算性、並行在来線の扱いなどを検討し、国鉄改革の趣旨に反しない新たな基本構想を確立しなければ、未着工区間に着工すべきではないと強調した。各省や自民党はこの指摘にどうこたえるのか、説明をききたい。
 この秋、日本世論調査会(京都新聞社など加盟)が整備新幹線問題で行った調査では「着工すべきだ」が28%「着工すべきでない」が33%「どちらともいえない」が37%−と国民世論に十分な合意があるとはいえない。整備新幹線は見切り発車ではなく、財政問題はじめ、これからの総合的交通体系、国民生活や価値観も視野に入れた検討をし、合意と納得を得た上で堂々と発車させたい。(京都新聞)
■2兆円民間低利で調達 運輸省国鉄債務累増防止で
 運輸省は16日、約28兆円(元本)に上る旧国鉄長期債務の累増を防ぐため、来年度に返済期限が来る償還額のうち、2兆−2兆数千億円を市場金利を基準とする借入期間1−3年、金利1%程度(2年)の民間低利資金で調達する方針を固めた。年間300億円程度の金利軽減効果が見込める。
 運輸省によると、来年度は元利合わせて5兆円弱の資金が必要になる。このうち約1兆6000億円は国鉄清算事業団の土地、JR株式など資産売却収入、3600億円は一般会計からの無利子融資の返済期限を延長して賄う予定。
 残りは1兆4900億円の民間資金と1兆6500億円の財政投融資資金の元本返済額。このうち民間資金の全額と財投資金のうち数千−1兆円弱を低利資金にシフトする。(京都新聞)
■窓 心優しい市バス運転手もいる 伏見区・佐々木義雄(自営業・62)
 冬の夜は、暮れるのが早い。午後5時にもなると、外は真っ暗になる。私は府立病院前にある京都府立文化芸術会館でちょっとした催し物があり、7時ごろ会館を出た。
 市バスに乗って京都駅まで帰ろうと思って、バス停へ向かう。見ると「4」番のバスがやって来る。ちょつと駆けたが、間に合わぬ。バスは発車してしまった。「まあ、いいか」と内心思い、ゆっくり歩いていると、バスのクラクションが鳴る。するとバスが目の前に止まり、後ろのドアが開けられたのである。私はバスに乗り込み、運転手に「ありがとう」とお礼を述べたのは、申し上げるまでもない。
 当欄を読ませてもらっていると、しばしば市バスや運転手に対しクレームの文章を拝見する。私も市バスや地下鉄の利用度に関しては、人後に落ちないつもり。だが、あまりそうした不愉快なことを体験した覚えがない。それどころか、さきほどのように心優しい態度に接し、非常にうれしく思っている。
 バスに乗って、河原町御池にある京都ホテルの前にくる。ホテルの前の木や生け垣にはイルミネーションがキラキラときらめいていた。私には、その輝きが一段と美しく見えた。(京都新聞)
■防火設備は万全か JR京都駅ビルの査察 下京消防署
 来年夏のオープンに向けて、工事が急ピッチで進むJR京都駅ビル(下京区)の防火査察が、16日行われ、下京消防署の幹部署員らが広いビル内を細かくチェックした。
 防火査察には同消防署の山本隆一署長をはじめ、署員10人が参加。同駅ビルの商業施設や駅舎、ホテル、文化施設などのうち、この日は商業施設を中心に査察した。
 署員らは工事責任者の案内で、ヘリポートなどが完成している12階の屋上から見て回った。
 空調施設など機械室を点検したあと、順に各階の作業場を査察した。階段などに置かれている消火器を調べたり、地下1階の中央防災センターを視察。溶接の現場付近に燃えやすいものが置かれていないか−など点検していた。
 同駅ビルはほぼ外装工事が終わり、工事の進ちょく率は約60%。大型のクレーン車が屋上で作業中で、金属音やセメントのにおいが立ち込めていた。査察した署員も「本当に大きな建物。無事に完成してほしいと話していた。(京都新聞)
■整備新幹線の建設財源 2018年度までに計2兆7000億円 自民特別委方針
 自民党の整備新幹線建設促進特別委員会(小里貞利委員長)は16日、整備新幹線の建設を2018年度までに2兆7000億円をかけて進める方針を決めた。すでに工事中の3線5区間(405`)は1兆2000億円かけて2008年度、未着工区間(1050`)は1兆5000億円かけて2018年度の完成を目標にしている。運輸省は全線の工事費を7兆4000億円と試算しており、財源の規模が4割弱にとどまることから、未着工区間については実際には建設区間の絞り込みや在来線の路盤を強化した「スーパー特急」の採用など、工事費の縮減を迫られることになる。
 また同委員会は、着工区間と未着工区間を合わせた来年度の建設財源も示した。国の一般財源が340億円、沿線自治体の負担が530億円、東海道や山陽など既設新幹線をJRが買い取り、国に分割払いすることで建設財源にしている「新幹線特定財源」が724億円とし、これらに加えて、JRから線路の貸付料などを最低130億円ほど徴収して、計1700億円以上を見込んでいる。建設費の負担額は国が1064億円、地方が530億円となり、負担の割合はほぼ2対1になる、と説明している。(朝日新聞)
■線路上に転落うつぶせ無事 地下鉄心斎橋駅
 17日午前9時半ごろ、大阪市中央区の市営地下鉄御堂筋線心斎橋駅で、京都府宇治市に住む男性郵便局員(46)がホームから線路上に転落した。直後に列車がホームに入ったが、男性はレールとレールの間にうつぶせになり無事だった。この事故で30本の電車が最高5分ほど遅れ、約5000人に影響した。(朝日新聞 夕刊)
■山陽新幹線乱れる 相生−新倉敷間停電
 17日午前11時10分ごろ、山陽新幹線の相生−新倉敷間で上下線とも停電した。同間で運転を見合わせ約20分後に運転を再開したが、その後、再び停電した。この影響で上下とも20分程度の遅れが出た。JR西日本で原因を調べている。(朝日新聞 夕刊)
■列車誕生物語 〈4〉新世代の快速電車221系 ライバル私鉄に勝たねば 明るく広い車両を 幅、高さ限界に挑む
 JR西日本は1987年のスタート時点から2兆3000億円もの国鉄債務を背負っていた。その年度の経常利益はたったの80億円。今年度の予想経常利益の約7分の1しかなかった。
 そうした〈逆境〉の中で、車両部車両課長の森下逸夫(現取締役福岡支社長)は「商売道具」である車両を分析、一つの結論に達した。
 「JRの経営を軌道に乗せる起爆剤は、快速、新快速用の新車を開発し、京阪神の客を呼び込むことしかない」
 東海道線や山陽線を走るオレンジと緑に塗り分けた快速用電車の中には、走り出して20年以上たつ車両もあり、いかにも古かった。新快速電車は比較的新しかったが、いかんせんドアが片側2か所しかなくラッシュ時の乗降に時間がかかった。これでは「私鉄王国」といわれる近畿で、ライバルの私鉄に勝つ見込みは薄かった。
 「明るく広い車両を作れ」。これが森下の新型車に対する基本的な考え方だった。明るくするのには窓の面積を大きくするのが一番だが、反面、車体の強度は小さくなる。「そういう難しいことを考えるのが、君たちだ」。10人の開発チームに、森下のゲキが飛んだ。
 鉄道には「車両限界」がある。すれ違う列車や駅のホーム、信号機などに車体がぶつからないように車体の断面の大きさを規制。在来線では幅が3b、屋根はレールからの高さが4.1bとなっている。
 開発チームはこれに挑戦、車体幅は従来の快速電車より5a広い限界ぎりぎりの2.95bにし、天井はクーラーを小さくして16a高い2.33bにした。窓も縦1b、横87aとワイドにした。車体強度は、波形の補強部材を鋼板に張り付けて保った。
 89年3月のダイヤ改正で登場したこの221系は、居住性の高さから人気が非常に高く、「JR西日本の車両の基本コンセプト『明るく、広く、静かで快適』を決めた」と車両課主席としてチームに参加した松岡成康(現車両部主幹)はいう。
 今やすっかりJR西日本の主力電車となった221系は、京阪神の三都はもとより琵琶湖畔や大和路を快走。デビューした年は8億6200万人だった大阪周辺の輸送人員を、昨年度は10億1200万人に伸ばす〈立役者〉となった。(敬称略)(読売新聞)
18日■北陸・九州・東北の一部 整備新幹線着工へ 来年度から
 整備新幹線の財源案が固まったのを受け、未着工区間(1050`)のうち九州新幹線・鹿児島ルートの博多−八代、北陸新幹線の敦賀−大阪を除く区間、東北新幹線の八戸−青森が来年度から順次、着工される見通しとなった。
 将来は東海道や山陽新幹線と同じ「フル」規格化することを前提に、在来線の路盤を強化して高速化を図る「スーパー特急」方式で建設する。北海道新幹線の青森−函館、九州新幹線・長崎ルートの新鳥栖−長崎も「スーパー特急」方式を前提に、来年度からルートの確定作業を始める。自民党と運輸省が17日、明らかにした。
 このうち、来年度の着工分については、自民党内で最終調整を進めている。
 新鳥栖−長崎、青森−函館の本格着工、北陸新幹線の長野−糸魚川間の工事については、財源に限りがあることから自民党内にも異論があり、着工時期が確定できない可能性もある。
・交付金出し自治体支援 財源を確保 自民
 整備新幹線の建設について自民党は17日、地方交付税交付金で財政支援して沿線自治体の負担を増やすことなどで、2兆7000億円(着工区間=1兆2000億円、未着工区間=1兆5000億円)の財源を確保し、2018年度の完成を目標に整備することを決めた。
 未着工区間の財源は、当初の見込みより2割弱に縮小されたことから、同党の整備新幹線特別委員会の小里貞利委員長は17日の記者会見で「整備区間を最小限にとどめ、規格も現実的に対応することが必要」と述べ、自民党が公約としてきた既設の新幹線と同じ「フル」規格ではなく、当面は在来線の路盤の強度を高めて高速化を図る「スーパー特急」方式で整備を進める方針を示した。(朝日新聞)
■列車誕生物語 〈5〉ローカル線のエース・キハ120 社員に士気、沿線に活気を 再設計、パワーアップ 線ごとに色を工夫
 神話の里、奥出雲を走る木次線の急こう配を、深緑色を基調にもえぎと山吹に彩られたディーゼルカーが軽やかに登って行く。ローカル線非電化線区の切り札として投入された軽快気動車・キハ120だ。
 JR西日本路線約5000`のうち半分をローカル線が占める。これらの線区は、豪雪地帯や山岳地帯が多く、沿線住民も常に「赤字線はいつか切り捨てられるのではないか」という不安を抱えている。
 こうした地域の実情にあったダイヤを阻んだり、営業活動をしたりしてサービスアップを図ろうと、1990年から92年にかけて、JR西日本のエリア内名地に27の鉄道部が設けられた。
 中でもキハ120は、「鉄道部の社員の士気を高め、沿線住民にJRは地域の活性化にも努めるという意気込みを示すために導入した」と車両部検修課副課長だった奥田文恭(現車両郡主幹)はいう。
 もとは新潟鉄工が第三セクター鉄道用に製造したディーゼルカーだったが、JR西日本仕様に再設計された。車輪の直径を76aから86aに大きくし、エンジンも330馬力の強力タイプにした。
 色は線区ごとに変え、木次線の車両は「新緑や紅葉が鮮やかな斐伊川沿いに展開する雄大な渓谷美」をイメージし、越前大野鉄道部(福井県)の車両は、白山連峰の山並みを2列に配したオリーブグリーンで表現。91年度から今年度までの6年間で、10鉄道郡11線区に89両が配置された。
 「ローカル線に新車が来た、JRになって変わったと、大変な話題になりました。私たちもやる気がわいたし、お客様にも『元気が出た』と喜んでいただいて、わずかですが利用者が増えているんですよ」
 越前大野鉄道郡の部長沢田孝二がいうように、ローカル線のエースは、過疎化の進む町や村に思わぬ励みももたらしている。(敬称略)(読売新聞)
19日■JRの減免措置を廃止 自民3社、固資税全額納付へ
 JR東日本、東海、西日本のJR3社に対する固定資産税と都市計画税の特例措置(2分の1の減免措置)を廃止することが、18日決まった自民党の1997年度税制改正大綱に盛り込まれた。これによリJR3社は、来年度から固定資産税約1200億円(推定)の全額を関係市町村に納付することが確定的となった。
 JR3社の固定資産税をめぐっては、政府・自民党が北海道新幹線など未着工になっている整備新幹線4線7区間の建設財源の一部に充てるため、3社に減額相当額(約600億円)の拠出を要請したが、3社の反対で断念。
 その後、固定資産税が市町村に納付された後、地方交付税による財政調整で約300億円の建設資金を調達する方法に転換せざるを得なかった経緯がある。
 一方、経営が厳しいJR北海道、四国、九州の3社については、特例措置の5年間延長が決まった。
 また、新幹線の開業でJRから経営分離され、地元の第三セクター鉄道になる並行在来線については、新たに固定資産税と都市計画税の10年間減免(2分の1)などの支援策が取られることも決まった。
・JR側に負担 自民方針批判 整備新幹線で菅氏
 民主党の菅直人代表は18日午後の記者会見で、整備新幹線建設問題で自民党が国、地方、JR3社に建設費を負担させる方法を採用したことについて「民間企業に(建設負担金支出を)強制するのは法治国家で可能なのか。無理なやり方で形だけつけるやり方は納得できない」と述べ、自民党の方針を批判した。
 菅氏はまた「新幹線だけでなく高速道路や飛行場などの財源とも併せて議論すべきだ」と述べ、公共交通体系全体の中で検討すべきだとの考えを強調した。(京都新聞)
■来月8日から バス運賃値上げ 京阪宇治交通・阪急バス
 運輸省は19日、宇治市を中心に府南部地域にバス路線を持つ京阪宇治交通(本社・枚方市)が申請していたバス運賃値上げについて、運輸審議会の商認を得て申請通り認可した。平均値上げ率は3.5%。来年1月8日から実施される予定。
 改定後の運賃は、京阪宇治−宇治市役所などの最低運賃が160円(現行150円)に、新田辺−京阪八幡は120円(同380円)などとなる。同社の運賃値上げは2年ぶり。同一運行区間の京阪バスと奈良交通の同調値上げも認可される。
 また、阪急バス(本社・池田市)の運賃値上げ申請も認可され、桂駅東口−物集女170円(同160円)など平均4.8%値上げされる。同一運行区間で京都市バスも同調する。実施予定日は同じく1月8日。(京都新聞 夕刊)
■踏切で電車に衝突2人死亡 16歳、伏見の京阪で
 18日午後9時40分ごろ、京都市伏見区淀池上町の京阪本線池上踏切(遮断機、警報機付き)で、2人乗りバイクが出町柳行き普通電車に衝突、バイクの1人が全身を強く打ち、京都府久世郡久御山町、無職安藤絵利さん(16)が1時間半後に、16歳の少年が2時間20分後に死亡した。電車には数十人の乗客がいたが、けが人はなかった。
 伏見署は少年の身元確認を急ぎ、バイクの運転者の特定や事故原因を調べている。運転士や目撃者の話では、遮断機が下りていたが、バイクが踏切に進入、電車が急ブレーキをかけたが間に合わなかったという。現場は淀駅から東約250bの地点。同電車が現場に5分間停車したが、後続に大きな影響はなかった。(京都新聞)
■国?地方?どこが負担 整備新幹線 着工の財源 政府自民 事業費毎年増額あてに
 整備新幹線の未着工区間1050`の一部が8年ぶりに来年度から着工される。政府・自民党は、着工区間を含めて総事業費2兆7000億円とする建設計画を新たに作り、国、地方、JRの財源の負担割合も組み替えた。「フル規格」新幹線より小型の「スーパー特急」方式を多用するなどで、工事費を大幅に抑えたという自信作だ。だが、この計画は相変わらず、沿線に夢を売り、負担をごまかす「まやかし」に包まれている。(吉岡桂子)
 現在、工事中の3線5区間の財源は、年間1414億円で、国が35%、地方が15%、JRが50%の割合で負担している。JRが東海道など既設の新幹線を買い取った代金の一部を分割払いして生み出している「特定財源」は、JRと国の両方の負担分に繰り入れていた。
 新たに着工する区間を含む来年度以降の財源は、国が地方の2倍を負担するような形を作った。だが、実態は「特定財源」をすべて国の負担分に移動させただけだ。
 ●8000億円のなぞ
 総事業費2兆7000億円のうち、建設中の区間を除く、来年度から建設を始める未着工区間の工事費は1兆5000億円。運輸省は、未着工の全線を東海道新幹線並みの「フル規格」で建設した場合、5兆2000億円かかると試算していた。新計画で3兆7000億円が倹約できたのは、区間の絞りこみや「スーパー特急」方式の採用によるものだ。
 一方、未着工区間の建設のために新たに確保できた財源は、地方が負担する年間320億円のみ。JR東日本、東海、西日本に対する固定資産税の半減措置が予定通り今年度で打ち切られ、納税に伴って地方財政にゆとりがうまれるので、地方交付税交付金の形で未着工区間の沿線の自治体に還流されることになった分だ。
 未着工区間の完成目標とされる2018年度まで、来年度から毎年約320億円ずつを地方が負担したとしても得られる財源は7000億円程度だけ。未着工区間の工事費とする1兆5000億円には、約8000億円も足らない。
 ●楽観すぎる前提
 では「約8000億円」はどこから調達するのだろうか。運輸省の説明は@国の公共事業費が来年度以降年率5%ずつ増額されるA国の増額につれて、地方も増額するBJRが、整備新幹線の線路のリース料の前払いや完成による増益分の一部を吐き出す−という。
 しかし、大蔵省は真っ向から否定する。「公共事業費の削減すら迫られているのに、毎年の増額を前提にするとは楽観的すぎる」という。
 新たな資金のあてもないのに、事業規模だけ打ち上げる姿勢に、JRも反発する。JR東日本の松田昌士社長は「利益が上がるはずだから負担しろというが、一体、どんなものがいつできるか分からないのに、私企業が同意できるはずがない」とにべもない。
 事業額を膨らませて、財源を確保しないのは沿線の住民に対する「うそ」だ。沿線地域からは「うそ」は許さないと、今後も政府・与党に財政負担を迫るだろう。逆に、財源が確保できた時は、予定されない負担を「だれか」が負わされる。
 与党や運輸省は、未着工区間の需要予測、新幹線の規格別の建設費の試算、収支の見通しなど、肝心なデータは「途中で数字がもれると混乱する」として公表を避けた。それらは区間の決定と同時に公表されるが決めてからデータを出しても役に立たない。(朝日新聞)
■電車にはねられ女性が死亡 バイクの少年も重体
 18日午後9時40分ごろ、伏見区淀本町の京阪電鉄本線の踏切内で、少年が運転するバイクが、淀発出町柳行き普通電車=広瀬実運転士(47)、7両編成=にはねられた。伏見署の調べでは、後部座席にいた女性(16)が死亡した。少年も重体。(朝日新聞)
■京阪神 バス10社値上げへ
 運輸省は19日、大阪、兵庫、京都の3府県を中心に営業しているバス会社10社から申請が出されていた路線バスの運賃値上げを申請通り認可した。来年1月8日から実施される。
 認可されたのは阪急バス(本社・大阪府豊中市)、南海電鉄(大阪市)、神姫バス(兵庫県姫路市)、近鉄(大阪市)、阪神電鉄(同)、京阪宇治交通(京都府宇治田原町)、淡路交通(兵庫県洲本市)、金剛自動車(大阪府富田林市)、水間鉄道(同貝塚市)、西谷自動車(兵庫県宝塚市)。10社と競合する他社の路線の運賃も同調して値上げされる。
 平均値上げ率は2.8−8.5%。近鉄と阪急バス、阪神、神姫バスは、主要駅を中心にした一定の範囲内の停留所で自由に乗り降りできるミニ(ゾーン)定期の新設が認められた。各社とも値上げの理由として、週休2日制や少子化による定期利用者の減少、阪神大震災による旅客数の減少、人件費などの経費増加などを挙げている。(朝日新聞 夕刊)
バス会社平均値上率主な申請内容
阪急バス4.6%1区200円を210円に
南海電鉄3.7%1区220円を230円に
神姫バス4.7%最低運賃150円を160円に
近  鉄2.8%1区を4`240円から2`220円に
阪神電鉄4.6%1区200円を210円に
京阪宇治交通3.5%最低運賃150円を160円に
淡路交通5.9%最低運賃140円を150円に
金剛自動車8.5%最低運賃140円を150円に
水間鉄道3.5%最低運賃150円を160円に
西谷自動車5.0%最低運賃150円を160円に
■列車誕生物語 〈6〉新時代の特急群 時間短縮、観光ムードも 先頭車の”顔”に特徴 利用者に夢を提供
 1994年9月、関西人の大きな期待を受けて泉州沖に新国際空港が生まれた。これに合わせ、JR西日本の新しい特急時代が幕を開けた。
 トップを切ったのが関西空港と国際観光都市京都を結ぶ「はるか」(281系)だ。「いつもの駅から、世界へつながる」をキャッチフレーズに、空港へのアクセスだけではなく、来年オープンする「新・京都駅のシンボル列車に」との願いも込められた。
 阪神大震災で大打撃を受けた東海道線と山陽新幹線がようやく復旧した95年4月には、大阪と北陸を結ぶ「雷鳥」グループに「サンダーバード」(681系)が登場した。試作9両は92年秋に完成したが、長い試験の末の量産化だった。
 雷鳥の乗客は、北陸への温泉客が大半を占めるように思われがちだが、実は6割がビジネス客。開発チームのチーフを務めた松岡成康(現車両部主幹)は「しかし、東京と大阪を移動するのとは違い、『北陸に出張したらうまい物を食べよう』と、観光気分に浸れる要素もいる。これがカギだった」と話す。
 ビジネスマンが望むのは所要時間の短縮。将来、大阪から北陸線に入るまでに通る湖西線で、在来線特急では国内最高の時速160`を出せるように強力なモーターを搭載した。空気抵抗を少なくするため、先頭を三角のロングノーズにした。
 同時に、観光ムードも楽しんでもらうため、乗り心地を良くしようと、座席の前後の間隔を旧型雷鳥の91aから97aに。「ところが、定員は同じ580人を確保せよと言われて。結局、トイレの数を減らしてしのいだんですよ」と松岡は苦笑いする。
 白浜、串本、勝浦。冬でも暖かく、温泉や見所が多い紀勢線にも、「くろしお」の後継となる「オーシャンアロー」(283系)が今年デビューした。
 取締役営業部長村山繁樹ら営業サイドの戦略は「ターゲットは若い女性」。車両部長高木亨も「うちで唯一リゾート特急を走らせることができる線だから」とこれにこたえた。先頭車はイルカの顔をイメージし、普通車には海側の床から天井までに大きな窓を付けた展望ラウンジを作った。
 「黒潮躍る南紀の海に向かって矢のように走る」の名の通り、283系は来年3月から性能をフルに発揮、新大阪−新宮間を20分も短縮して走る。
 常務取締役鉄道本部長の山崎正夫は、この10年の車両を振り返り「利用者が乗ってみたい、夢がある、と感じてもらえる車ができたと思う。高速道路網や強力な私鉄各社との競争があったからこそ、ここまで知恵を絞れた」と総括する。(敬称略=おわり)社会部・浅野博和(読売新聞)
20日■JRの建設負担金は撤回 整備新幹線で政府
 政府、自民党は19日、未着工区間の建設手順などを盛り込んだ整備新幹線建設の基本スキーム(枠組み)を来年度予算編成に一定のめどがつく23日までに策定する方針を固め、大蔵、自治両省、JRなどと調整に入った。
 基本スキームのうち、財源については、国と地方が一般財源と特定財源で負担し、JRは「鉄道施設利用料」(推定年間約70億円)を支払うことが固まった。JR東日本など3社が強く反対していた、新線開業に伴ってJRに入る予定の収益の一部を建設費に繰り入れるという「建設負担金」案は事実上撤回された。この結果、財源は年間1700億円弱に圧縮される。(京都新聞)
■地下鉄にはねられ男性左腕など重傷 丸太町駅
 19日午後1時50分ごろ、京都市中京区の地下鉄丸太町駅で、上京区の無職男性(66)が北山行き電車にはねられ、左腕などに重傷を負った。
 中立売署によると、電車が駅に到着する直前に、男性がホームから線路に飛び降りるのを運転士らが目撃しており、自殺を図ったとみて調べている。
 同電車は現場に7分間停車したほか、上下線の計6本が最大で10分遅れ、乗客約1300人に影響が出た。(京都新聞)
■時々刻々 整備新幹線 来年度から着工決定 借金残し、不安乗せて
・財源・ルート、密室の断
 整備新幹線問題が迷走のすえ、来年度から「着工」する。橋本龍太郎首相が唱える「財政構造改革元年」に8年ぶりの新規着工予算がつくことには、自民党内にも「国滅んで新幹線残る」(党幹部)との懸念がある。それでも、総事業費2兆7000億円の財源問題も、最終段階に入ったルート選定も、密室の協議で進んでいく。将来の事業費増大への対応策も、27兆円にのぼる旧国鉄の借金問題も、置き去りにしたまま発車のベルが鳴っている。(政治部・坪井ゆづる 経済部・吉岡桂子)
 ●水面下の作業
 須賀龍郎・鹿児島県知事「九州ルートは悲願です」
 福島譲二・野本県知事「八代まで何とかつないでほしい」
 小里貞利・自民党整備新幹線建設促進特別委員長「お気持ちはよくわかるが、国の財政事情とのはざまで苦しんでいる」
 19日夕、衆院第一議員会館の小里氏の部屋。数日後の着工ルート決定を前に陳情は熱気を帯びた。小里氏はこの日、古賀誠運輸相、三塚博蔵相、整備新幹線建設促進議員連盟会長の森喜朗・自民党総務会長らとも会談を重ねた。
 しかし、調整内容は非公開だ。税金の使い方が密室で決まり、だれが責任者なのかもあいまいなままだ。
 たとえば「地方交付税方式」。旧宮沢派の小里氏と古賀氏が9日、同派の白川勝彦自治相に「これがダメなら新幹線ができなくなる」と依頼。15日の小里氏と森氏の極秘会談で大枠の数字を決めた。
 財源策を突き詰めれば「財政再建」論とぶつかるだけに、あえて過程は水面下の調整にゆだねよう…。こんな雰囲気が自民党内に広がる。
 「札幌から鹿児島・長崎を結ぶ整備新幹線は21世紀初頭の全線フル開業をめざします」。自民党は10月の総選挙の公約にこう掲げ、各地の異体名も挙げて「早期着工」を約束していた。
 「選挙であれだけ言って、何もしないわけにはいかない」(運輸相経験者)。着工必要論は自民党の単独内閣になって加速した。しかし、残る作業のルート選定は地域の利害が絡む。「本当に血が出るような調整」(加藤鉱一幹事長)が求められる。
 ●採算への疑問
 「コロコロと考え方が変わって、JRの負担の理念は何だったのか」。JR西日本の金井耿常務は19日の定例会見で、この日に小里氏が発表したJR負担分の一部見直し案を評価しつつも、首をひねった。
 「江戸時代じゃあるまいし、政治的に強制されて、無理な支出はあり得ない。暴挙だ」。国鉄本社のあったJRビルで東日本、西日本、東海の3社長がそろって会見し、財源案をこき下ろしてから2日。突然の方針転換に、豊田実運輸事務次官は会見で「プロジェクト自体が進むことを優先する」と説明に苦慮した。
 本州のJR3社が建設費の新たな負担に神経質なのは、採算性を疑問視しているからだ。沿線地域が強調するバラ色の収支は、時速350`でノンストップなど、非現実的な条件が前提になっている。
 19日、自民党の国鉄長期債務問題特別委員会が債務処理策の年内策定の先送りを正式に決めた。3ヵ月間の検討の成果は「97年中に結論を出す」。
 委員らは口々に言った。「借金を返すために消費税を上げるといえるのか」「当面は国債に置き換えるしかない」。国債も国の償金だ。
 「借金の問題にも、新幹線ぐらい永田町に応援団がいてくれたら」。運輸省の担当者がつぶやいた。
・JRの負担金前払い案修正 自民促進特別委
 自民党の整備新幹線建設促進特別委員会の小里貞利委員長は19日、記者会見し、整備新幹線の未着工区間の建設財源の負担方法の中で、JR東日本などに対して、整備新幹線の開業後に発生する利益を想定して、その一部を着工時から前払いするよう求めていた部分を修正する、と発表した。JR側が「着工時に利益額を算定できず、まして他社の営業地域の建設費は支払えない」と反対したのを受け入れた。
 具体的には、他社の営業地域の建設費用の負担は求めず、自社が運行する線区についても、収支の見通しが明らかになる「完成が間近になってから」前払いを協議することにした。線路の貸付料は従来通り、徴収する。
 未着工区間の建設財源のうち、JR負担分をめぐっては、運輸省と自民党は当初、JR本州3社の固定資産税の半減措置を継続し、その相当額を建設費として出させる案を提示したが、自治体からも反発を浴び、撤回している。
・「北陸は利益ない」 JR西日本 建設に反発
 北陸新幹線について、JR西日本は「建設しても利益はほとんどない」と反発している。同社管内で、工事中の区間は在来特急を走らせる方式に規模が縮小されたのに対し、在来線の北陸線はスピードアップを図っており、両線の格差が縮まっているためだ。
 北陸新幹線は、大阪市と上越新幹線の高崎駅を結ぶ約600`。大阪−上越間はJR西日本、上越−高崎間はJR東日本が運営する。
 東海道新幹線などと同じフル規格で整備されるのは、来年秋に開業する予定の長野−高崎間だけ。すでに建設が始まっている金沢−石動間と魚津−糸魚川間は在来線と同じ狭いレール幅の「スーパー特急」方式だ。約3600億円かけても金沢−東京間は3時間20分かかる。JR西日本は、来年3月開業する新潟県内の新線に、新型特急を在来線最高の時速140`で走らせ、同間を3時間43分で結ぶ。
 同社首脳は「北陸線は軌道整備すればもっと時間短縮できる。巨費を投じてまで建設したくないのが本音だ」と話している。(朝日新聞)
■旧国鉄長期債務本格処理策 97年に策定 自民委方針
 27兆6000億円に上る旧国鉄の長期債務問題で、自民党の国鉄長期債務問題特別委員会(委員長・亀井善之・前運輸相)は19日、1997年中に本格的な処理策を策定し、98年度から返済する方針をまとめた。年末の閣議決定へ向け、党内の調整を進める。来年度予算では、年間1兆円近い利払いの軽減策として、国の一般会計からの無利子融資の増額や、低利な民間融資への借り換え策で対応する、としている。
 国鉄清算事業団が土地やJR株など資産を売却して返済した後も、20兆円以上の債務が残る。自民党は年明けから具体的な返済方法を議論するが、今のところ、返済財源のめどはたっていない。(朝日新聞)
■救済命令取り消し JRの京都不採用事件
 国鉄の分割・民営化に絡んでJR西日本、JR貨物と国労近畿地方本部が争っていた「京都不採用事件」について、中央労働委員会(中労委)は20日、命令を交付した。関係する組合員2人が再就職し、救済を求め続ける意思がないと表明したため、中労委命令は、2人の不採用を不当労働行為と認定した京都府地方労働委員会の救済命令を取り消す内容となった。これで、中労委が再審査した27件の不採用事件のすべてに関する命令が出そろった。(朝日新聞 夕刊)
■雪で新幹線に遅れ
 東海道・山陽新幹線は20日、滋賀県坂田郡米原町付近の降雪のため、始発から名古屋−京都間で時速170`まで速度を落として運転し、新大阪駅と名古屋駅で雪を落とす作業をした。このため、新大阪発東京行き「のぞみ300号」が名古屋駅に11分遅れで到着するなど、上下とも10分程度の遅れが出た。(朝日新聞 夕刊)
21日■97年度予算 大蔵原案 新幹線事業費 6.3%の減 国費ベース
 20日の97年度予算大蔵原案で、北陸新幹線など建設中の整備新幹線3線5区間の事業費として、国費ベースで約286億円(本年度比6.3%減)を内示した。事業費ベースでは約1258億円で、本年度比で約743億円(37.1%)の減少となった。
 これまで集中投資が行われた冬季五輪を控えた北陸新幹線高崎−長野間が来秋には完成する予定でヤマ場を越えたためで、来年度からは東北新幹線(盛岡−八戸)など残る4区間の本格的な工事に移る。
 運輸省は、公共事業重点化枠の配分(後日決定)を加えると、概算要求額約340億円の満額に近い予算が確保できるとみている。
 一方、北海道新幹線など未着工の4線7区間については、現在、政府・与党が建設区間と未着工区間を一本化した整備計画の基本スキーム(枠組み)を策定中で、査定額は復活折衝に回された。運輸省は概算要求では事項要求にとどめ、金額は示していなかった。(京都新聞)
■不正乗車1982件 JR西日本上半期まとめ 719万円”罰金”も
 JR西日本はこのほど、本年度上期(4月−9月)に確認した不正乗車の取り扱い件数をまとめた。件数は1982件で、請求総額は4740万9000円となった。
 まとめによると、不正乗車は定期券によるものが919件で全体の46.4%だが、請求額は約4200万円と全体の9割近くを占めた。形態は、期間経過332件、区間外乗車320件、中間無札153件、他人使用63件、偽造改変44件など。
 改変では、東海道線神戸駅で4月17日、40歳代の男性会社員が平成5年10月8日までの定期券を、フェルトペンで平成8年に書き換えていたのを見つかり、 952日間の往復運賃の3倍、計719万7120円を請求されたケースがあった。
 JR西日本は、近畿で不正乗車による損失額は年間81億円と推定。一昨年6月から検札を強化し、95年度は年間4500件の不正乗車を確認、1億900万円を請求している。(京都新聞)
■「スーパー特急」方式 運輸・自民原案調整 23日にも正式発表
 整備新幹線の未着工区間のうち、来年度から新たに着工する区間の原案が明らかになった=表。未着工区間の新規財源は、地元負担で増額された年間300億円しかないが、政治的な配慮から各地域へのバラマキ型になっている。どの区間も、路盤は東海道新幹線と同じ強度で造るが、軌道の幅は在来線と同じ狭軌の「スーパー特急」方式。23日にも正式に発表される見通しで、運輸省や自民党が最終調整している。
 建設費は総額1兆5000億円。スーパー特急方式に対して、東北新幹線の青森県が強く反発、東海道新幹線なみの「フル規格」への格上げを求め、地元議員らが党幹部への陳情を続けている。運輸省などは厳しい財政事情を説明しているが、青森では自民党県議の「離党宣言」まであり、格上げとか、逆に返上とか、流動的な部分もある。北陸新幹線については、富山県を中心に地元から着工区間の変更を求める動きが出ている。
 一方、北海道新幹線と九州新幹線・長崎ルートについては、当面は駅舎の整備などにとどまる可能性が強い。(朝日新聞)
整備新幹線・新規着工区間の原案
ルート区  間
北 海 道木古内〜上 磯
東   北八 戸〜青 森
北   陸新黒部〜富 山
加賀温泉〜芦原温泉
王子保〜南今庄
九州・鹿児島船小屋〜熊 本
九州・長 崎武雄温泉〜大 村
■ファイル'96 3 JR山陰線電化 高速化へ複線化実現を期待 課題残り手放しでは喜べず
 JR山陰線の園部−福知山間と、北近畿タンゴ鉄道(KTR)の福知山−天橋立間の電化開業を前にした3月8日、福知山市役所の市長室で中村稔市長は「これで、福知山駅を含め、軌道の立体交差事業に進むことができる」と、喜んだ。
 3月16日の電化開業に伴うダイヤ改定は、同市には福知山駅を発着する特急の本数が増えるというメリットがあった。しかし一方で、舞鶴線は電化から取り残され、KTR沿線の大江町も特急の多くが停車しないので手放しでは喜べなかった。
 昨年5月、福知山に着任にした時は、特急も急行も気動車だった。油のにおいとディーゼルエンジンの騒音。買い物などで京都市内へ出た帰り、京都駅の山陰線ホームで発車を待つ特急の窓から見ていると、園部行きの普通列車が電車で、それから先へ行く特急が気動車というのは、何とも寂しい思いがした。1年もたたないうちに、京都から城崎や天橋立まで直通で電車が走るとわかっていても、何か遠い先のことのようにも感じていた。
 それが、昨年12月のダイヤ改定発表あたりから実感がわき始めた。年が明けて電化に備えての試運転が始まり、続々と特急用車両が福知山運転支所に到着した。この車両、新しそうな顔はしているが、「新型」というわけではなかった。北陸線を走る485系(雷鳥型)を直流用に改造した183系。正体がわかっていても、目の前にすると新鮮味を感じた。
 電化前に特急用に使われていたキハ181系は最高速度が120`で、183系電車と変わりはない。が、発車時や減速した後の加速は、電車に及ばない。綾部−福知山間で、電化前と電化後を時刻表上で比較すると、電化前は10分かかっていたのが、電化後は8−9分で走っている。こうしたスピードアップの積み重ねが「京都−福知山間の所要時間が最速列車で11分短縮」につながっているのだろう。京都から2時間以内で行けるようになった天橋立では、観光客が前年より3割程度増えた、という。
 特急だけでなく、普通列車も電化による「恩恵」を受けた。気動車だった時、京都方面へは園部駅での乗り換えが必要だった。それが今では、福知山駅で乗り込んだ電車が、園部駅で京都行きの電車に連結され、そのまま京都まで行ける。急行がすべて特急化されたこともあって、普通電車の利用客も増えているそうだ。
 舞鶴線は、JR西日本の井手正敬社長が7月13日の東舞鶴駅付近高架事業の完成式で電化を表明し、ほのかな光が見えてきた。山陰線にとっては、さらなる高速化の手段として、複線化が望まれる。「京都−福知山間60分以内」。福知山市は北近畿の中核都市をめざしているが、市民の一人として、その実現を願っている。(上野 満男)(朝日新聞)
22日■採算性高い区間先行 整備新幹線で自民特別委
 整備新幹線の未着工区間建設問題で、自民党の整備新幹線建設促進特別委員会(小里貞利委員長)は21日、加藤紘一幹事長ら党五役や古賀誠運輸相らに対し、採算性の高い区間を先行して着工する整備計画案を23日までに取りまとめる意向を伝えた。
 5役と古賀運輸相は基本的に了承したものの、加藤幹事長は「もう少し時間をかけるのも一つの方法」と述べ、性急に結論を出すことに異論を唱えた。
 党内には地域の利害が衝突しやすい整備区間の着工順序や軌道の規格決定などの整備計画の結論を財源手当てと切り離して先送りすべきだとする意見があり、最終決着は来年度予算案が決定する24日ぎりぎりまでもつれ込みそうだ。
 特別委は21日午前、党五役に対し、国と地方がおおむね2対1の負担率で建設費を負担する財源計画を説明した。
 加藤幹事長は「ばらまきではなく重点的な建設を検討すべきだ」とする首相の意向を伝え、特別委は首相の趣旨に沿った整備計画案策定を約束したという。
 その後、記者会見した小里委員長は「約1050`(未着工区間の総延長)を絞って作業に入れという指示だ」と述べ、特別委のワーキングチームで早急に整備計画案をまとめ、年内に基本スキームを策定する意向を明らかにした。
 着工区間を絞った場合、東北新幹線八戸−青森間、北陸新幹線長野−糸魚川間、九州新幹線・鹿児島ルートに比べ、採算性の低い北海道新幹線と九州新幹線・長崎ルートの2線2区間は着工が大幅に遅れる可能性が強く、地元自治体の反発が予想される。(京都新聞)
■新幹線など焦点 予算の篠活折衝始まる
 1997年度予算の大蔵原案内示を受け、大蔵省と各省庁との復活折衝が21日から始まった。
 例年、復活折衝の主役となっている防衛費は、既に原案内示前に自民、社民、さきがけ3党間で早々と合意済み。このため、整備新幹線の未着工区間の建設問題や、5000億円に拡充された公共投資関係の「重点化枠」配分などが焦点となる。
 重点化枠は公共投資の事業別、省庁別占有率(シェア)が固定化しているとの批判を受けて設けられた。各省庁は、道路や港湾など従来型の事業への要求を控え、下水道整備や住宅対策など国民生活の質の向上につながる分野に絞って予算獲得を狙う。(京都新聞)
■整備新幹線北海道・長崎 来年着工見送りへ
 整備新幹線の未着工区間(1050`)の建設で、自民党は21日、来年度から新たに着工する区間を絞り、北海道と九州・長崎ルートについては事実上、着エを見送る方針を固めた。
 同日、加藤紘一幹事長ら執行部と党整備新幹線建設促進特別委員会の小里貞利委員長らの協議で一致した。
 協議で執行部側は、建設に全く手をつけていない北海道と九州・長崎ルートの2線については、@着工を10年程度、遅らせるA建設の「灯」を消さないために来年度予夢で調査費を計上する、との選択肢を示し、小里氏らに検討するよう指示した。小里氏としては、建設促進を求める地元の声に配慮して、調査費を計上させたい意向だ。(朝日新聞)
■声 整備新幹線の強行許せない 新座市 木村 久夫(JR東日本社員 42歳)
 「JRがきちんと対応しないのなら、もら一度分割してやろう」などと整備新幹線の「未着工」財源問題で、政治家(屋)が暴論を吐いた。私は、多くの仲間と苦労をして10年を迎えようとしているJRに、国鉄時代にない愛着を感じるとともに、政治家のそうした言動に怒りをおぼえる。
 民間企業として一本立ちしていくために、固定資産税の減免措置を受けていたのが、来年からきちんと固定資産税を払おうとしているとき、なぜそれを整備新幹線の財源にしなければならないのか。そこに政治の横暴を感じる。
 自民党は整備新幹線について、JRに建設資金を負担させる「拠出金制度」から、地方交付税交付金で財政支援して沿線自治体の負担を増やす「地方交付税方式」に方針を変え、2018年度完成を目標に整備することを決めた。何のことはない、負担がJRから地方自治体に移っただけのことである。
 旧国鉄債務は28兆3000億円(1997年度当初)にものぼる。これらの膨大な借金をどう解消していくのかの具体案がないまま、”暴論”を述べる方々は、自らの子の代、孫の代の社会をどう保証していくのだろうか。
 この「第二の国鉄づくり」ともいえる事態に対して、JRへの移行に努力された当時の首相や政治家の方々から「異議あり」との声が聞かれないことに、危機感と疑問を感じる。(朝日新聞)
24日■整備新幹線 着工順位先送り 8月に成案 政府決定へ 自民特別委は抵抗
 政府は23日までに、北海道新幹線など整備新幹線未着工区間(4線7区間)の建設について、整備区間や着工順位などの調整が難しいと判断、整備計画の結論を先送りし、来年8月をめどに成案をまとめることを決めた。24日に自民党やJR各社などと意見調整し、政府・自民党の合意に持ち込む方針。
 一方、建設賛成派議員が多い自民党整備新幹線建設促進特別委員会(小里貞利委員長)は政府側の見送り案を拒否し「閣僚折衝まで持ち込み、政治決着を目指す」として23日中にも独自の整備計画案を策定する構え。
 党内には「来年度予算に未着工区間の建設費を確保できた今、利害が絡んだ問題の結論を急ぐ必要はない」として政府方針を支持する意見もあり、先送りの可能性が高いが、最終決着は閣僚折衝までもつれ込みそうだ。
 今後の対応について運輸省は@未着工区間の4線7区間を「北海道・東北」「北陸」「九州」の3ブロックに分け、それぞれに国、地方、JRによる協議機関を設立し、整備区間や着工順位を協議するA各ブロックの結論を政府・自民党が最終決定し、予算配分する−などと説明している。(京都新聞)
■北陸・東北、フル規格 整備新幹線の建設で自民案 全線着工で決着へ
 北海道、東北、北陸、九州・鹿児島、長崎の整備新幹線の未着工区間(1050`)の建設問題で自民党は24日午前、全線で1997年度から何らかの形で着工する案をまとめた。総延長距離は220`で、合計の事業費は1兆3000億円。運輸、自治両省は「議論が足りない」として着工区間の選定を来夏まで先送りするよう求めていたが、自民党が土壇場で各地域の強い要望に配慮した案をまとめたことで自民案に政府が歩み寄り、同日夕にも決着する見通しだ。
 自民党は同日朝、党整備新幹線建設促進特別委員会(小里貞利委員長)の最終案を党役員会で了承した。それによると、北海道、東北、九州・鹿児島は来年度から着工。いったん見送りを決めた北海道、九州・長崎ルートも来年度から環境影響調査を始め、順次トンネルの工事を始める。新幹線の規格も、地元の意向を受けて、東北、北陸は「フル規格」に格上げした。(朝日新聞 夕刊)
■大阪外環状線に免許
 運輸審議会は24日、大阪府東部を走る新線「大阪外環状線」(新大阪−久宝寺、20.3`)を建設する第三セクター「大阪外環状鉄道」社と、JR西日本に、鉄道事業法に基づく事業免許を出すことが適当であると答申した。25日に免許が出される。1998年度に着工し、2006年度の完成を目指す。
 大阪外環状線は、JR城東貨物線を複線、電化して旅客線化する。大阪府、大阪市など沿線自治体とJR西日本が出資した大阪外環状鉄道が施設を建設し、JR西日本が電車を運行する。事業費は約1300億円。(朝日新聞 夕刊)
■JR東西線運賃認可
 運輸省は24日、来年3月8日に開業するJR東西線(京橋−尼崎)各駅からの運賃を、JR西日本の申請通り認可した。北新地−京橋間は150円、北新地−尼崎間は160円。北新地駅から尼崎駅以遠の運賃はすべて大阪駅からの運賃と同額になる。(朝日新聞 夕刊)
25日■元JR部長を2月に尋問へ 信楽鉄道事故公判
 1991年5月の信楽高原鉄道事故で業務上過失致死傷罪に問われた元同鉄道社員ら3人の第38回公判が24日、大津地裁(中川隆司裁判長)であり、来年2月21日に開かれる次回の公判で、事故当時JR西日本の電気部長だった鈴木勝氏の証人尋問を行うことが決まった。
 この日の公判で弁護団は、JR関係者ら22人の供述調書を開示するよう求める意見書を提出。「滋賀県警の警察官が証人に立った前回公判では、JR関係者が自らの責任を認めた供述調書の内容が明らかになり、証拠開示の必要性は証明された。鈴木氏以外の調書についても、証拠を開示しないまま公判を続ければ、いたずらに時間を延ばすだけで非効率だ」と意見を述べた。(京都新聞)
■路面電車の発車OK 建設省が補助事業
 「路面電車は発車オーライ」。建設省が97年度予算で新規に要求していた路面電車を地方都市で復活させるための軌道整備補助事業が、24日までに認められた。路面電車の軌道部分を「道路整備の一環」として既存の車道上に建設する。地下鉄がない県庁所在地など地方中核都市で今後、公共交通手段の切り札として復活を目指す。
 97年度は適用第1号として愛知県豊橋市で私鉄の路面電車をJR豊橋駅前まで延伸させる。このほか、札幌市や広島市、長崎市などで延伸させる。建設費は地下鉄が1`当たり300億円程度掛かるのに対し、路面電車は車道の転用で済むため、1`当たり約10億円と少ない。
 利点として、排ガスを出さずラッシュ時に定時走行が確保できることや、運転免許を持たない老人や階段が苦痛な社会的弱者に最適なことが挙げられている。(京都新聞)
■整備新幹線 全線着工へ 「バラマキ」へ自民暴走
 これが政治なのか。整備新幹線問題で自民党は24日、二転、三転の果てに、5つの未着工区間のすべてに広く、薄く予算をつける案をまとめた。同日夜、大蔵省が財政再建に逆行するとの理由で抵抗し、最終決着は持ち越した。が、途中経過から見えてきたのは旧来型の「バラマキ」予算へひた走る自民党の姿だ。収支見通しも、時間短縮効果も明らかにしないまま、将来の税負担を招きかねない見切り発車がまかり通るなら、財政構造改革も行政改革も先行きは暗い。(政治部・坪井ゆづる、経済部・吉岡 桂子)
・地域エゴただ傍観 自民幹部
責任者不在
 24日午前11時。自民党本部。自民党案をまとめた党整備新幹線建設促進特別委員会の小里貞利委員長は記者会見で、運輸、自治両省が前日に決着先送りを求めたことに、「複雑に入り交じった利害関係は(先送りしても)容易に整理できない」と反論した。「高度な判断」との言葉も使い、案を仕上げた政治の力を誇示した。しかし、新幹線問題をめぐっては、自民党内で「あれは族議員ならぬ地域エゴ議員のゴリ押しだ」という冷めた視線が飛び交った。
 「触らぬ神にたたりなしだ」。加藤鉱一幹事長や山崎拓政調会長ら自民党幹部は事態をただ傍観した。責任者になるのを避けようとしたのは、「早期着工」が党の公約とはいえ、前面に出ても世論の評価を得られない、と考えたからだ。
整備新幹線の経緯
1970年全国新幹線鉄道整備法制定【佐藤内閣】
72年北海道、東北、北陸、九州(鹿児島、長崎)の5路線の基本計画決まる(5月)【田中内閣】
73年5路線の整備計画(最高設計速度、建設費など)決まる(6月)【同】
83年臨調答申をうけ、行革大網を閣議決定。国鉄再建の緊急対策として整備新幹線は凍結へ(9月)【中曽根内閣】
87年凍結見直しな閣議決定(1月)国鉄の分割・民営化(4月)【同】
88年東北、北陸、九州・鹿児島の建設を決定北陸・ 高崎−軽井沢間から順次、着工へ
90年(8月)【竹下内閣】
94年当面は着工区間の建設を優先し、新規着工は97年以降に検討と、事実上の「凍結」(2月)【細川内閣】
 自民党が政権に復帰、2月の「凍結」を解除。96年中に新規着工を決める、と方向転換(12月)【村山内閣】
96年連立与党の整備新幹線検討委員会発足(1月)総選挙(10月)自民党・建設促進特別委員会再開(11月)新規着工を決定(12月)【橋本内閣】
 この無責任体制の中で、自民党は衆院選のキャッチフレーズ「オープン」を、かなぐり捨て、水面下での調整を進めた。着工区間の優先順位を決めるには、切り捨てる地域がでることも見込まれた。いったん北海道、長崎ルートの見送りが固まったが、結果はそうはならなかった。涙をのむ地域への説得や、事情を説明する責任という政治の使命は、忘れさられた。
 24日夜、そんな自民党案に、政府は首を縦に振らなかった。協議不調の知らせに、整備新幹線建設促進議員連盟会長でもある森喜朗総務会長は「総務会で決定したことに政府の賛成が得られないのは異常な事億。政党政治からすれは極めて危険だ」。
 夜の総務会でも、新幹線特別委でも、政府の言い分を評価する意見は、まったくなかった。
・涙の陳情、財源は「?」 周辺自治体
「次は線路」
 「九州をよろしく」「北陸もお忘れなく」。24日朝、各地の陳情団が、自民党本部4階に陣取り、役員会に向かう橋本龍太郎首相らに声を浴びせた。「うちだけ先送りは困る」という大合唱だ。
 北海道、長崎の先送り説が流れたときには、他地域は沸いた。青森県の職員からは「これで、うちはフル規格だ」との喜びの声ももれたほどだ。一方で、長崎県の高田勇知事はこの1週間、涙を流しながら自民党三役を回った。ようやく環境影響評価調査後のトンネル工事が決まり、「これは着工です。23年間、調査ばかりだった。トンネルは一歩前進」と喜ぶ。
 しかし、財源には知事自身が首をかしげる。「フル規格に格上げになった線区がある。これで(未着工分の総事業費)1兆3000億円ですむんだろうか」。「うちだって向こう20年間、トンネルだけというわけにはいかない。トンネルの次は線路だ。この事業費では足りないよ。財源の見直しが必要になる」
・与党案 政府が抵抗しきょう再協議
 来年度予算編成の焦点となっている整備新幹線の未着工区間の建設問題をめぐり、三塚博蔵相、古賀誠運輸相、白川勝彦自治相ら政府側と、加藤鉱一自民党幹事長ら自民、社民、さきがけ3党の首脳が24日夕、首相官邸で協議した。東北、北陸を東海道新幹線などと同じ「フル規格」で、九州・鹿児島ルートを「スーパー特急」方式で来年度から着工するとした自民党案を3党で了承したことに対し、威相と自治相が「財政構造改革に逆行する」と難色を示し、決着を持ち越した。25日に再協議する。
 政府と大蔵省は24日中に来年度予算の編成作業を終える方針だったが、整備新幹線問題が難航しているため、25日の予算の閣議決定までの段取りに影響が出る可能性もある。
・「これが政治主導だ」皮肉る官僚
経過は密室
 24日夜、古賀誠運輸相はぶぜんとした表情で記者会見した。「正直いってい合意したと思っていた」と、根回し不足へのいら立ちも見せた。途中経過の密室性を批判されると、「必要な資料は公開してきた」。だが、運輸省はこれまで建設費の新たな試算や、規格に応じた時間短縮効果、需要予測などを公開したことはない。未着工区間全線(1050`)をフル規格で建設した場合の工事費の試算は、1994年4月時点の5兆2000億円から更新していない」。
 「先送り」か「決着」か。「フル規格」か「スーパー特急方式」か。大揺れの展開のなか、官僚の間には政治家への不満も高まった。「やはり先生は最後には自らの線区を重視する。これではまとまるものもまとまらない」。
 そして、自民党案に対しては、「官僚バッシングばかりですが、政治主導で予算を組めば、このようになる。それでも国民はよいのですかね」。(朝日新聞)
■1400億円 利払いを軽減 国鉄長期債務で政府
 27兆6000億円に上る国鉄清算事業団の長期債務の処理について政府は24日、金利負担による債務の増加を抑制するため、来年度予算で18兆4000億円にのぼる有利子債務のうち、3兆円を政府の一般会計に付け変えて利払いを肩代わりさせたり、財政投融資資金から借りている2兆1000億円をより低利な民間融資に切り替えることを決めた。年間9000億円に上る利払いを約1400億円軽減できる。債務の抜本処理については、1998年度以降に先送りされた。(朝日新聞)
■論壇 今こそ在来線の整備が必要
 昔は乗り物は鉄道しかなく、人も物も鉄道が頼りだった。今は様々な乗り物ができ、人は状況に応じて使い分けられる。ところが整備新幹線の熱に浮かされた人たちは、時代が昔のまま止まっているようである。新幹線を含め鉄道は、飛行機や自動車などの乗り物の一つに過ぎなくなってしまった。貨物はほとんどなくなり、旅客輸送もある程度まとまった需要がある都市の間を3、4時間以内で結ぶ幹線の都市間輸送と、通勤・通学輸送に限られてきている。新聞の社説でも、旧国鉄債務処理と財源の問題を理由に整備新幹線の凍結を主張しているのは当然である。しかしもし、財源問題が解決しても建設は凍結すべきである。
 この流れを無視し、ローカル線を造り続けた結果、建設費の債務が増加していったことが、国鉄の累積債務問題の原因であった。ところが、整備新幹線の建設論者にはこの反省が全くない。
 建設論者は、輸送の軸としての高速交通網の形成や時間短縮効果により地域の発展に寄与すると主張するが、これは成り立たないといえる。
 この例を九州新幹線鹿児島ルートと東北新幹線で示してみたい。東海道山陽新幹線は東京−博多間が「のぞみ」で5時間余かかる。飛行機だと都心からアクセス時間を入れても同区間は約3時間半である。1995年の延べ利用者は約620万人で、毎日片道約30便(1万1000席)が飛んでいる。このほか、鹿児島や熊本へも、東京からそれぞれ10便程度の直行便が出ている。一方、東京−大阪間は新幹線、飛行機ともに約3時間であるので、利用者は新幹線が飛行機を圧倒している。
 このように、旅客輸送で高速輸送軸と呼べる役割は、乗車時間が4時間以上になると飛行機に移ってしまう。山陽新幹線の利用者も、東海道新幹線の半分以下になっている。
 こうしてみると、九州の整備新幹線は、九州内の都市間輸送を担うことが主な役割になる。現在博多−西鹿児島間は、1日当たり片道14列車、約6000人の供給輸送力の特急で足りている。ここに片道1時間当たり1万人もの輸送能力がある新幹線を建設することは無駄である。在来線の改良と停車駅の整理で所要時間が3時間余になれば、飛行機や高速バスには十分対抗できる。
 東北新幹線や北海道新幹線についても同様である。東北新幹線については、対北海道を考えなければならないが、もし新幹線が完成しても東京から青森まで3時間半、札幌までは6時間以上かかる。一方飛行機の東京−札幌間は、アクセス時間を含めて3時間半である。この路線は利用者数が世界一で、95年は延べ760万人の利用があり、片道1日約35便(1万6000席)が飛んでいる。新幹線が完成しても、飛行機の優位はここでも動かない。盛岡以北の新幹線は、東北地方と北海道の都市間輸送が主となるため大量輸送の需要はない。従って高速交通の輸送の軸は依然として飛行機である。
 鉄道の高速化は、山形新幹線(ミニ新幹線)で成功したように在来線の改良で実現できる。さいわいこれらの区間は線路の線形もよい。
 環境問題を含め、将来を考えた国土の縦貫輸送軸は、貨物輸送も可能な在来線である。在来線は、低速、高速の旅客列車も貨物列車も走れる設備を備えている。車両の高性能化や曲線の改良、高速で通過できるような駅の改良などをすれば、少ない設備投資でも高速列車の運転が可能である。新幹線建設にかける莫大(ばくだい)な投資の何分の一かを在来線に使い、便利で料金が安い列車をもっと走らせるべきである。
 長野五輪の影響もあって、北陸新幹線は長野まで開通することになった。これに伴い、信越線横川−軽井沢間の廃止、軽井沢−篠ノ井間の第三セクター化が決定している。この区間の需要見込みである1日1万4000人の輸送は、現在の信越線の特急でも十分まかなえる。8000億円の建設費をかけながら、信越線の輸送量を二分したに過ぎないことになる。
 新幹線の建設により、地域住民の足である在来線が切り捨てられ、住民の税金で鉄道を維持しなければならない事態が全国各地で起こることは、絶対に避けるべきである。大嶋健司 軽井沢・新幹線を考える会運営委員、早大追分セミナーハウス管理人=投稿(朝日新聞)
■整備新幹線 自民党なお強硬 政府との再協議が難航
 来年度予算編成の焦点になっている整備新幹線の未着工区間の建設問題で、25日午前、三塚博蔵相、古賀誠運輸相、白川勝彦自治相ら政府側と、加藤鉱一自民党幹事長ら自民、社民、さきがけ3党の首脳らが、前日に引き続いて官邸で詰めの協議をした。財政再建を訴える政府と、公約実行を唱える自民党との調整は難航しており、同日午後の予算案を決める閣議の開催が遅れる可能性も出てきた。
 大蔵省は24日深夜、自民党に打開策として、北海道と九州・長崎ルートのトンネル工事、北陸の富山駅などの整備を当面見送り、計1200億円を削減する案を提示した。しかし、自民党側はすでに3党で合意した自民党案で押し切る構えを崩さず、25日の官邸での再協議は平行線をたどり、20分ほどで中断した。午後に再開する。
 自民党側が歩み寄るためには、党内の強硬な着工論を抑える手続きが必要で、執行部は厳しい党内調整を迫られる。(朝日新聞 夕刊)
■新幹線で名古屋から広島
 JR西日本は、4月から九月の間に発覚した不正乗車の内容をまとめた。合計1982件で、請求額は、ほぼ前年同期と同じ4740万円。なかには、アイドルタレントを追いかけて名古屋駅から広島駅まで新幹線に無賃乗車した2人の女子高校生(17)もいた。
 2人は8月2日、乗車券も入場券も持たずに、名古屋駅から博多方面行き「ひかり」に乗り、車内枚札をくぐり抜けた。広島駅ではほかの乗客にまぎれて改札口を出ようとしたところを駅員に見つかった。名古屋駅でも同横の手口で改札を通ったらしい。2人とも名古屋−広島間の特急、乗車券の3倍に当たる3万8010円を請求された。
 個人の請求額の最高は、兵庫県相生市の40歳代の会社員で、719万7000円。通勤定期の有効期限を示す平成5年の「5」の数字を、油性フェルトペンで「8」に書き換えていた。(朝日新聞 夕刊)
26日■整備新幹線建設問題 検討委で優先順位 政府・与党合意 順次、着工の見通し
 整備新幹線建設問題で政府、与党は25日、政府・与党間で検討委員会を設けて、与党がまとめた整備新幹線4線の同時着工などの整備計画案をあらためて協議することで合意した。
 この結果、東北新幹線八戸−新青森など未着工だった4線7区間(総延長約1050`)の建設が、建設中の3線5区間とともに来年度から順次着工される見通しとなった。
 着工の優先順位などが検討委員会にゆだねられることになったことから、大蔵省は財政の増大に一定の歯止めがかかったと見ている。これに対し、自民党や関係自治体は「個別区間の整備計画を先送りしたわけではない。建設が本格化する」と評価、あいまいさを残した政治決着となった。
 政府・与党間で合意した基本スキーム(枠組み)によると、財源計画は、北陸新幹線高崎−長野など建設中の3線5区間の整備を優先し、建設費は国と地方がほぼ2対1の比率で負担。JRは受益の範囲でレールなど施設使用料を支払う。2018年度までの総事業費は約1兆2000億円(JRの鉄道施設利用料を除く)を見込んでいる。
 来年度予算には、建設中の3線5区間に約1635億円、未着工区間に約100億円の合わせて約1735億円の総事業費を計上。中に建設費抑制のため、どんな軌道でも運行できる軌間自由可変電車の実用化などを盛り込んだ。
 また未着工区間の整備計画については、収支採算性や在来線の経営分離の行方などを考慮しながら着工の優先順位や事業費の配分などを決める。検討委員会の組織や発足時期などは今後詰める。
 与党案では@東北新幹線八戸−新青森、北陸新幹線長野−上越間をフル規格で来年度着工するA北海道新幹線新青森−新函館間と九州新幹線長崎ルート武雄温泉−長崎間などでトンネル工事などを実施するB北陸新幹線の富山、小松、福井駅を整備する−ことなどが盛り込まれている。
・調整で難航は必至
 迷走した整備新幹線建設問題は、1997年度政府予算案決定の25日という土壇場で政治決着した。だが、限られた予算の中で未着工区間(4線7区間)の着工順位や、事業費の配分という難問の解決は政府、与党でつくる検討委員会の場に持ち越された。
 特に着工順位の決定は、関係自治体やJRの関心が高く、利害も絡むだけに、検討委の調整作業は難航しそうだ。
 運輸省の試算では、未着工区間の総事業費は完成目標年度としている2018年度まで計約1兆2000億円。当初試算額(全線フル規格、5兆2000億円)の約4分の1にすぎない。今後、JRの施設利用料などが入るとしても、このままでは当初計画の縮小は避けられず、財源問題が再浮上しそうだ。
 整備新幹線建設をめぐっては、国民の世論は分かれている。国鉄長期債務(約28兆円)処理問題に加え、膨大な国の借金を抱えて財政再建への取り組みが求められている中で、当面赤字必至の整備新幹線がなぜ必要なのか、という論議はほとんどされていない。
 推進派の議員や知事は地域振興や地域格差の是正などを主張するが、空港や道路を含めた高速交通体系全体の中での位置付けが不明確で、関係自治体の住民と恩恵を受けない住民などとの間での新幹線問題に対する温度差は開く一方だ。
 旧国鉄の分割・民営化に当たった元役員は「今後、国は収支採算性予測などのデータを公表し、着工順位など利害が絡む問題は当事者を交えた第三者機関で決定すべきだ」と指摘している。(解説)(京都新聞)
■97年度政府予算案の詳報(抜粋)
・国鉄債務の抜本処理策 財源問題で先送り
 1997年度予算の旧国銑長期債務対策は、利払いの一部軽減措置だけで終わり、抜本処理は先送りされた。
 年明けに再開する自民党の国鉄長期債務問題特別委員会を中心に検討されるが、増税など財源問題がネックとなり、難航は必至だ。
 運輸省は概算要求で、債務残高28兆3000億円(97年4月)のうち、国鉄清算事業団の資産を売却した収入で返済できない元本約20兆円と利子の抜本処理策を年末までに決めるよう求めた。
 「資産売却後に残る債務は国民負担とする」という政府の既定方針に沿う内容だ。しかし、財源問題で政府内の調整がつかず、次善の策として19兆円余りの有利子債務をそっくり一般会計からの無利子融資に置き換え、年間9000億円の利子を消す「止血」策も検討したが、大蔵省の抵抗で実現しなかった。
 結局、97年度予算では無利子融資への切り替え3兆円と、財政投融資からの借り入れを圧縮し低金利の民間資金を大幅に調達する−などの措置で、年間約1400億円の利払い負担を軽減するにとどまった。それでも「97年度の資産売却が予定通り進めば、残高は98年4月に28兆円に減る」(運輸省)という。
 抜本策は返済期間30年で、年1兆数千億円を返済するという運輸省案を軸に検討、来夏にはまとめる方針。だが主な財源となる歳出の削減と配分見直し、消費税率アップなどの増税案は、既得権益を守ろうとする政・官・業の抵折や、国民の反発を招く。政府、与党とも二の足を踏むのは確実で、関係者からは「運輸省などがあえて悪役となり、突破口を開くしかない」との指摘も出ている。(京都新聞)
■男性飛び込み新幹線乱れる JR京都駅
 25日午後7時8分ごろ、京都市下京区・JR京都駅の東海道新幹線上リホームで、男性が線路内に飛び込み、東京行き「のぞみ24号」にはねられたのを駅員が発見、同列車を急停止させた。男性は全身を強く打って約1時間後に死亡した。
 七条署の調べによると、男性は20歳代ぐらいで作業着姿。同ホーム西側付近から新幹線に飛び込み、近くにあったカバンの中に遺書が残されていたことから、自殺とみて身元確認を急いでいる。
 同列車は現場に約40分停車し、同7時50分に運転を再開した。
 JR東海によると、東海道新幹線は同日午後6時35分ごろ、滋賀県坂田郡米原町の米原駅でも、新大阪行き「こだま425号」のパンタグラフに鳥が引っ掛かって、岐阜羽島−米原間の上下線が停電する事故もあり、合わせて上下線26本が最高1時間8分遅れ、約1万3000人の足に影響した。(京都新聞)
■特急にはねられ死亡 大山崎のJR踏切
 25日午後零時50分ごろ、京都府乙訓郡大山崎町円明寺、JR東海道線の踏切(遮断機なし)で、近くの無職北浦フミさん(79)が大阪行き特急電車にひかれ、死亡した。警報機は電車の接近を知らせていたといい、向日町署で原因を調べている。
 この事故で、特急電車が現場に31分停車したほか、後続の上下電車の合わせて16本が遅れた。(京都新聞)
■大みそか、元日増発 京都市バス・地下鉄
 京都市交通局は、大みそかから元日にかけて、初もうで客のため2系統の市バスを夜間臨時運行し、地下鉄烏丸線の運行時間も延長する。
 臨時運行する市バスは、京都駅前−四条大宮−西大路四条−北野天満宮前−千本今出川−四条大宮−京郡駅前の「循環特50号系統」が、31日午後8時50分から1日午前4時55分まで15分−25分間隔で走行。四条大宮−西大路四条−北野天満宮前−出町柳駅−平安神宮前を往復する「特201号系統」が31日午後9時35分から1日午前5時10分まで10分−20分間隔で走る。
 地下鉄は運行を2時間延長し、上下線とも4本を増発し北山、竹田両駅とも1日午前1時30分を最終発とする。(京都新聞)
■来年度予算政府案 公共事業伸び悩み1.3% 国債残高254兆円に
 政府は25日の臨時閣議で、総額77兆3900億円(今年度当初予算比3.0%増)の1997年度一般会計政府予算案と、51兆3571億円(同4.5%増)の財政投融資計画を決めた。予算案が織り込んでいる消費税率の引き上げと特別減税打ち切りにより、納税者の負担は年間7兆円増える。年金保険料の引き上げや医療保険改革による医療費負担増も加わる。これに対し歳出は、整備新幹線の未着工区間の新規着工を決めるなど、ばらまきの色彩も濃い。硬直的な公共事業の配分見直し、医療費の抑制などの抜本改革も先送りされた。政府案は、1月に召集される通常国会に提出される。
 増税などにより税金と社会保障負担が国民所得に占める割合を示す国民負担率は、96年度の見通し(37.2%)を2ポイント近く上回る39%程度になりそうだ。国民負担率は医療費の患者負担を含まないため、国民の実質的な負担増はさらに大きい。
 国債発行は、今年度当初予算より4兆3000億円余減額した。建設国債は96年度当初予算より2060億円増の9兆2370億円、赤字国債は4兆5280億円減の7兆4700億円とした。国債発行残高は、96年度補正予算分も含め、97年度末には、約254兆円になる見込みだ。
 政策的経費である一般歳出の伸びは1.5%。公共事業は今年夏の概算要求基準(シーリング)で決まった伸びを維持し、NTT株活用事業を含めた公共事業関係費は1.3%増とした。公共投資の重点化枠(公共事業費4000億円、施設費1000億円)を大蔵原案内示後に政治主導で配分したが、事業別、省庁別シェアの変動はごく小幅にとどまった。
 基礎研究への投資などに充てる科学技術振興費は、96年度に比べ2.9%増と高い伸びにした。図書館などの社会教育施設の補助金廃止を含め文教施設費は11.3%減。
 大蔵原案で1.3%増とされた政府の途上国援助(ODA)は、最終的に2.1%増となり、沖縄の米軍基地移転関連経費を含む防衛関係費(移転関連を除けは1.98%増)と同じ伸び率となった。
 医療保険改革では、サラリーマンなどの医療費の本人負担を1割から2割に引き上げた。また、現在、月額1020円の高齢者の医療費の自己負担の引き上げは、1回500円で月4回を上限とすることで決着した。医療費を抑制するための診察報酬制度や薬価制度の抜本改革は先送りされ、医師や製薬業界の既得権に踏み込まない中途半端な改革にとどまった。
 28兆円にのぼる旧国鉄債務問題や3兆円を超す累積債務を抱える国有林野事業でも、抜本処理策づくりは後回しにされた。
・整備新幹線 区間あいまい決着 政府と3与党 検討委設け着工順位
 政府と自民、社民、さきがけ3党は25日、整備新幹線の未着工区間の建設について、政府と3党で検討委員会を設け、優先順位をつけたうえで着工することを決めた。3党側は当初の自民党案に盛り込んだすべての区間の着工が認められたと主張しているが、政府側は区間を絞り込む余地を残したとしており、双方が都合よく解釈できる「あいまい決着」になった。
 政府と3党の合意によると、未着工区間の事業規模はJR各社の負担分を除き、2018年度までで1兆2000億円。来年度は整備新幹線建設事業費1735億円のうち、100億円を未着工区間のために確保する。検討委員会は今後、区間ごとの収支や用地確保の見通し、JR各社の負担割合などを詰める。(朝日新聞)
■98年度から本格的処理 国鉄長期債務で決定
 政府は25日@来年4月には28兆円に達する国鉄清算事業団の長期債務の処理計画を1997年中に策定し、98年度から本格的な処理を始めるA清算事業団の職員を98年度末までに半減する−と閣議決定した。来年度の予算案では、一般会計での利払いの肩代わりや低利な民間融資への借り換えなどによる金利負担減にとどまっている。
 運輸省の試算によると、長期債務を30年間で返済する場合、年間約1兆5000億円の財源が必要となる。消費税などの増税、JRなど交通機関の利用者による負担、他の予算の削減などの意見もあるが、国民に負担を求める議論だけに、まとまっていない。運輸省などは、各地で公聴会を開くなど国民の意見を聴きながら、処理計画の策定を急ぎたい、としている。(朝日新聞)
■整備新幹線も”決着” 経済界は賛否半ば 行革への姿勢問われる
 来年度政府予算案に、8年ぶりに整備新幹線の着工が盛り込まれた。バラマキ予算の復活との批判も聞こえるなか、財政再建を声高に叫び、「痛み」を伴う行財政改革を求めてきた経済界・産業界は、賛成、反対が相半ばしている。総論賛成、各論反対という「55年休制」が蘇(よみがえ)ったようにもみえ、経済界の行財政改革に対する姿勢が改めて問われそうだ。
 経団連など経済4団体のトップは25日に政府案決定を受けてコメントを発表したが、焦点となった整備新幹線問題に積極的には触れていない。わずかに、根本二郎日経連会長が「歳出削減、財政再建、構造改革の方向が明示されていないようにみえるのは遺憾」とした。
 着工が見込まれる地域は、当然ながら、もろ手をあげて賛成している。地域利害からは距離がある経済同友会の牛尾治朗代表幹事も、17日の会見で「民主主義は、個別利害の調整を通じて方向性を出す制度」とのべ、消極的ながら追認する意向を示していた。
 また、荒木浩東京電力社長は「核燃料リサイクルの基地がある青森にはそれなりの予算配分があって当然」と積極的に賛成の意向を表明。
 こうした賛成論に対し経済同友会副代表幹事の転法輪奏・大阪商船三井船舶会長は真っ向から異論を唱えている。「国鉄債務問題が片付いていない時期に、着工するのはおかしい。開通しても、黒字になる見込みもなく、負担の公平の観点からみても納得がいかない」と反対論をぶち上げた。
 西垣覚・東海銀行頭取も「行財政改革の掛け声の中で、整備新幹線問題が8年ぶりに浮上したことに矛盾を感じ、(全区間を同時に着工するとの自民党の主張は)まことにおかしい議論と感じていた」と疑念を示した。また、太田宏次・中部電力社長は「必要があるから着工するのだろうが、赤字路線になればJRの負担になる。(優先順位については)収支見通しを考えてもらいたい」と事業の進め方に注文をつけた。
・JR本州3社、不満・批判隠さず
 整備新幹線の新たな区間の着工が来年度の政府予算案に盛り込まれたことに対し、JR本州3社は「決定過程に極めて問題がある」と批判している。
 JR東日本の松田昌士社長は「株式も上場しているので、整備新幹線のような大プロジェクトについては、経営に悪影響を与えないように、十分に検討をして進める必要がある」と話す。JR負担のあり方が二転三転したことを振り返り、「(負担を求める場合に)情報開示を前びろにしてほしい。十分な意思疎通が必要だ」と行政の手続きを批判する。
 また、JR西日本の井手正敬社長は、「年中、政治家や行政の相手に追われていては、経営に専念できるはずがない」と不満を隠さない。(朝日新聞)
■JR二条駅周辺に 映像文化の施設 2000年春にオープン
 京都市と第三セクター会社「京都二条開発」は26日、地下鉄東西線の関連事業であるJR二条駅周辺整備のメーン施設で、新時代の映像情報文化のメッカを目指す「京都二条文化施設」(仮称)の概要を発表した。「映画の都・京都」にちなみ、大小の映画館からなる複合型映画館を設けるほか景観とまちづくりをテーマにした情報センターも開設し、2000年春にオープンする。
 市では、JR二条駅の高架化と地下鉄東西線建設を踏まえ、周辺の大規模な再開発を行っており、同施設はその拠点。
 敷地は二条駅南西側の約7200平方b。施設規模は地上7階・地下2階(延べ面積約3万9000平方b)で、建設費約105億円、マルチメディア関連の施設整備費約80億円の見込みで、来年秋に着工する。
 日本での映画100年(97年)も記念して設ける複合型映画館は、米国で映画産業を斜陽から救ったとされる「マルチプレックスシアター」方式。6・7階に入る大小12の映画館がそれぞれ異なる時間帯で上映するため、観客は多彩な映画を選び楽しめる。
 マルチメディア技術を生かした娯楽施設は2−4階で、コンピューター・グラフィックスと音声を交えて平安時代などの異次元空間を体験できる。また、「デジタル・スクール」を開設し、マルチメディア時代における映像、音声、文字などを駆使するソフト制作の人材育成を目指す。
 「市景観・まちづくりセンター」(仮称)は5階に入居する。94年の平安建都1200年を記念し、市が制作した平安京の大型模型(1000分の1)にモニター画面をセットし、現在のまちの様子と比較できるようにするなど、まちづくり情報の拠点としていく。
 完成後、市と映画会社「松竹」などでつくる京都二条開発が施設運営にあたるのに伴い、同社の資本金を35億円(現在6億1000万円)に増資する。(京都新聞 夕刊)
■踏切内にトレーラー 直前にブレーキ 奈良
 26日午前9時45分ごろ、奈良県香芝市北今市下田西のJR和歌山線下田駅構内にある南馬場踏切で、障害物を知らせる信号が点滅しているのを、和歌山発王寺行き普通電車(2両)の運転士が発見、非常ブレーキをかけた。踏切内にはトレーラーの荷台があり、電車はその直前で停止したため、乗客約100人は無事だった。
 JR西日本の調べでは、踏切付近でトレーラーのけん引車から荷台がはずれたらしい。(朝日新聞 夕刊)
27日■複合型映画館やテーマパーク JR二条駅南西に文化施設 活性化の起爆剤に 事業計画まとまる 2000年春に開業予定
 京都市と、同市が松竹などと共同で設立した第三セクター「京都二条開発」(伊吹邦彦社長)は26日、JR二条駅南西に建設を予定している「京都二条文化施設」(仮称)の事業計画を発表した。施設には、大小12のスクリーンを有する複合型映画館や、最先端の立体映像を駆使したテーマパークなどが入る。市は「二条駅周辺の活性化に向けた起爆剤にしたい」と意気込んでいる。
 予定地は、JR二条駅南西の貨物ヤード跡地約7200平方bで、敷地内に約2000平方bの多目的広場を整備する。施設は地上7階、地下2階建てで、延べ床面積は約3万9000平方b。
 6、7階に入る映画館の収容人数は、計2600人。最新の映像・音響施設を備えるという。2階から4階には、コンピューター・グラフィックスや音響を駆使したアトラクション施設を予定。この中に、マルチメディア社会の先端企業を育成することを目的とした人材養成機関も併設する。
 5階には、市が運営する「景観・まちづくりセンター」(仮称)が入り、京町屋や袋路の再生についての相談業務や、町づくりのための研修室などを備える。このほか、飲食・物販施設や駐車場(210台収容)もつくる。
 総事業費は105億円。1997年秋に着工し、2000年春に開業の予定。(朝日新聞)
■防風対策 実現めどなく 余部鉄橋事故あす10年 運休・遅れ年間300本以上
 兵庫県城崎郡香住町余部(あまるべ)のJR山陰線余部鉄橋を通過中の回送列車が、突風にあおられて41b下の工場に転落し、乗務員や作業員6人が死亡した、余部鉄橋事故から28日で10年を迎える。事故現場は日本でも有数の強風地帯。JR西日本は鉄橋の改良を進めるため風洞実験などを続けてきたが、抜本的な安全対策はまだ講じられていない。風速20bになれば列車を止めることが唯一の”安全策”で、毎年300本以上の運休や遅れが出ている。
 事故は1986年12月28日午後1時25分に起きた。カニ加工場がつぶされ、死者のほか、6人の重傷者を出した。JR西日本と兵庫県は事故後、鉄橋の架け替えやバイパス線の新設を検討したが、100億円以上かかることや鉄橋がまだ80年ほど使えることから、94年に兵庫、鳥取両県が、鉄橋(長さ310.59b)に防風フェンスを設ける計画を立てた。
 鉄道総合技術研究所(東京都国分寺市)に模型を使った風洞実験を委託。フェンスの網目を小さくし、壁の状態にすると防風効果が出ることが実証された。しかし、壁だと12年(明治45年)に完成した橋脚の強度に不安があり、95年の実験完了以後、データは眠ったままだ。両県はこれまでに調査費計約5200万円をつぎ込んだが、フェンス実現のめどはたっていない。
 現在の安全対策は、強風が吹けば列車を止めること。余部鉄橋の運行制限基準は事故後、風速25bから20bに強化された。JR西日本福知山支社の調べでは、運休したり橋の手前で30分以上停車した列車は昨年の536本を最高に91年が413本、90年が354本、94年が314本。今年も26日現在ですでに314本を数える。余部鉄橋を通過する旅客列車は年間約1万9000本。今年は乗客約1万4000人が運休や遅延の影響を受け、代替バスを利用したりしている。
 JR西日本福知山支社は「山陰線は赤字ローカル線。鉄橋の架け替えには多額の費用がかかり、いまのところ風速規制以外の対策は検討していない。列車を運休させるには勇気がいるが、安全のためには規制を守るのは責務だと考えている」と話す。(朝日新聞 夕刊)
28日■整備新幹線 未着工区間保証はせず 山崎政調会長語る
 自民党の山崎拓政調会長は27日、整備新幹線の未着工区間の建設問題で、政府と自社さ3党が検討委員会を設けて優先順位をつけて着工すると合意したことに関連して、「あれだけの計画が実行されると担保されたわけではない」と述べた。採算性やJR、地元自治体の意向などを詰める検討委員会の結論によっては、自民党がまとめて3党案になった着工計画の一部が見送られる可能性があると認めた発言だ。党本部で記者団に語った。(朝日新聞)
■「ゆったり帰省始まる」 JR京都駅
 新しい年を古里で迎える帰省ラッシュが28日、鉄道や幹線道路などで始まった。帰省の分散化が進む傾向の中、JR京都駅でも大きな混雑はなく、お土産を両手に持った家族連れや正月休みを利用して旅行へ出掛ける人らが、ややゆったりと電車に乗り込んでいた。
 JR京都駅では、この日午前、新幹線の乗車率が下りで70−80%、上りで40−50%と大きな混雑はなく、在来線も雷鳥が60−70%ほどだった。新幹線を利用の京都市中京区の主婦(42)は「博多の実家まで帰りますが、混雑していないので安心しました。親が病気なので、地元でゆっくりと過ごしたい」と話していた。
 JR西日本、東海は「午前中の出足はいまひとつだが、この日午後から29日にかけてがピークになるのでは」と話している。古里からのUターンのピークは4、5日になりそう。
 一方、名神高速道路や国道1、9号など京都府内の主要幹線道路は、目立った渋滞は起こっていない。京都府警交通管制センターは「名神高速もスムーズに流れている。帰省ラッシュの出足は、予想より遅く、28日午後3時ごろから始まるのでは。今のところ国道9号や京都縦貫道、舞鶴自動車道など丹後方面に向かう道路にも、雪の心配はない」としている。(京都新聞 夕刊)
■路面電車の敷石 再生 震災で掘り出し奈良の城下町へ 75年に廃止の阪神電鉄国道線
 阪神大震災の復旧工事で掘り出された路面電車の敷石約1万個が、奈良県高市郡高取町の城下町のまちづくりに再利用されている。南北朝時代からの山城、高取城跡までの旧街道を石畳にする事業に活用しており、「御影石の敷石は歴史的な景観にマッチする」と同町。敷石の引き取り先を探していた建設省兵庫国道工事事務所も「絶好の引き取り先が見つかった」と歓迎している。
 旧阪神電鉄国道線の敷石で、平均的なもので長さ70a、幅40a、厚さ10a。同国道線は1975年に全面廃止されたが、国道2号の西宮市から芦屋市までの約4`は埋め込まれたままだった。
 同国道事務所によると、震災後の道路復旧工事で約3万個を掘り出したが、引き取り先にと期待していた地元の公園には仮設住宅が立ち並び、敷石を使う場が少なくなったため、各地の自治体などに呼びかけて再利用先を探していた。
 明日香村の南隣にある高取町は、古墳や城跡、城下町などの歴史遺産を生かしたまちづくりに取り組んでいる。
 その手始めとして今年11月、標高584bの山の頂上にある高取城跡まで続く4`の「土佐街道」のうち、約1.2`を石畳と土色のカラー舗装にする工事を始めた。敷石を歩道部分の石畳に使うことにし、今年2月から5月にかけて7、8回、町の負担でトラックで神戸から運んできた。
 高取城の本格的な築城は約400年前、郡山城主の豊臣秀長によるとされる。江戸時代は高取藩2万5000石の城下町。「土佐街道」の両側には当時の石積みの水路が流れ、旧家老屋敷の長屋門や、築城の際に飛鳥から運ばれたといわれる古代の石像「猿石」もある。「古代から近世まで歴史がみえる」のが町の自慢だ。
 しかし、最近、空き家や老朽化で建て替えられる家も増え、町では、古い民家を買い取って活用する計画も進めている。筒井良盛町長は「町の歴史の1ページとして敷石を大切にしていきたい」と話している。(朝日新聞 夕刊)
29日■市バス・地下鉄 共通乗車券カード 売り上げ2.4倍に増加 元日から新図柄も登場 京都市交通局
 京都市の市バス、地下鉄共通の乗車券カードが人気を集めている。元日から新しい図柄を追加発売するほか、新年度には季節折々のカードの発売を計画している。
 市では、93年に市バス専用と、市バス・地下鉄共通乗車券カード「トラフィカ京カード」を導入した。市バスは当初からカードで直接乗車できたが、地下鉄は券売機でいったん切符に買い換える必要があり、地下鉄でのカード利用は伸び悩んでいた。
 本年度から地下鉄でもカードで直接、乗車できるようにしたところ、共通カードの売り上げが急上昇。4月から10月まで7ヵ月間の売り上げは、前年同期の2.4倍にあたる2億4500万円になった。
 交通局では2種類の共通カード(発売額1000円と3000円)のうち、3000円は利用額が3300円で回数券と同じ割引率であるうえ、市バスに乗車でき、乗車区間や使用期間の制限もないため「使いやすくなって人気が出たのではないか」と分析している。
 1月からは、現在の4つのデザインに白川女を描いた山口華陽の日本画「朝露」を追加する。また、新年度には、桜や柳など四季の花をカード化して観光客に売り込みを図るほか、慶弔や贈答品用のオリジナルカードも検討している。(京都新聞)
■大みそか終夜運転 JRと大手私鉄
 JR西日本と関西の大手私鉄、大阪市営地下鉄は、大みそかに終夜運転するほか、年末年始に特別ダイヤを組んで臨時電車を走らせる。概要は次のとおり。
 【JR西日本】31日から1日にかけて東海道・山陽線の西明石−京都間や奈良線、大阪環状線、関西線、桜井線、福知山線、阪和線、片町線で終夜運転する。初日の出に合わせ、志賀(湖西線)と西明石、姫路行きの大阪発快速電車を臨時運転する。
 【近鉄】5日まで休日ダイヤ。31日から1日にかけて伊賀線を除く全線で終夜運転する。臨時特急を大阪、京都から伊勢、橿原神宮方面などに運転する。
 【南海】5日まで土・休日ダイヤ。31日から1日にかけて難波−関西空港、難波−河内長野間などを約30分間隔で終夜運転。1−3日は午前10時から午後5時まで、急行が住吉大社駅に臨時停車する。
 【京阪】31日から5日まで特別ダイヤ。31日から1日にかけて淀屋橋−出町柳間の急行と、淀屋橋−三条間、交野線、宇治線の普通が10−20分間隔で終夜運転する。
 【阪急】5日まで休日ダイヤ。31日から1日にかけて京都線、神戸線、宝塚線とも20−30分間隔で終夜運転する。1−5日は宝塚線で臨時特急を運転する。
 【阪神】5日まで休日ダイヤ。31日から1日にかけて梅田−高速神戸(一部、新開地)間、尼崎−西九条間の普通が約30分間隔で終夜運転する。
 【大阪市営地下鉄】5日まで土・休日ダイヤ。31日から1日にかけて約30分間隔で終夜運転する。(朝日新聞)
31日■チンチン電車も正月祝う 梅小路公園で鉄道友の会京都支部 初のしめ縄飾る
 京都と滋賀の鉄道愛好家らでつくる鉄道友の会京都支部(約 250人)のメンバーが30日、京都市下京区の梅小路公園で、チンチン電車や梅小路蒸気機関車館の機関車にしめ縄を飾り、迎春準備を整えた。
 同支部の機関車のしめ縄飾りは、蒸気機関車館が開館した翌年の1973年から毎年、行われている。今年は機関車館の隣で運行しているチンチン電車にも一緒に正月を祝ってもらおうと、初めてしめ縄を飾ることにした。
 この日は、支部員約30人がチンチン電車乗り場に集合。運転席へのぼり、しめ縄を車両の前後のヘッドランプの上にしっかりと結び付けた。しめ縄は来月15日まで飾られる。(京都新聞)