1996(平成8)年 4月


1日■声 新型新幹線は安全に徹して 大阪市 重岡敏明(無職 73歳)(朝日)
2日■JR長浜駅 ロッカーに1000万円(京都)
  ■旧国鉄 長期債務27兆5800億円に 精算事業団と運輸省発表 前年より7000億円増(朝日)
  ■青鉛筆(朝日)
  ■地下鉄東西線醍醐北工区 埋め戻した道路陥没 バイク転落1人けが 水道管から漏水(京都)
  ■地下鉄工事で「またか…」 怒り募らす市民 水道管水漏れ 固定不備の可能性(京都)
  ■道路が陥没 バイク転落 京都・男性けが(朝日)
3日■北陸新幹線 小松−南越間 「建設費は国負担で」 JR西日本 要望書を提出(京都)
  ■社説 鉄道整備を街づくりに生かせ(京都)
  ■JR・南海の予約状況ひと目 関空が到着客向けにサービス 「はるか」など空席○満席×で(京都)
  ■大震災で全壊 JR新長田駅きょう再開(京都)
  ■新婚列車ことぶき復活 昭和40年代の思い乗せて 京都・大阪−宮崎間、130組募る(京都)
  ■「旧国鉄の債務国民の負担に」 大蔵主計局長(朝日)
  ■発足10年目 JR 人事も動く 西日本の常務 四国の専務に−次期社長含み 東日本住田会長が名誉会長に(朝日)
  ■JR東日本、会長に山之内氏(朝日)
  ■元気運ぶコウノトリの絵1400枚 JR新長田駅 新駅舎が開業(京都)
  ■雪でトラブル 始発電車遅れ JR湖西線(京都)
  ■JR新長田駅新装 著名人メッセージ(朝日)
4日■中核市・姫路の困った”遺産” 撤去ままならぬモノレール軌道 公営第1号、休止20年余(朝日)
5日■固定資産税を全額納付意向 JR西日本(京都)
  ■18日にも上場仮申請 JR西日本株 9月公募めざす 運輸省 8000億円の収入期待(朝日)
6日■電車に坊やはねられ死亡 愛知川の近江鉄道(京都)
  ■線路にお年寄り、迫る電車 中2、遮断機くぐり救出 神戸(朝日)
7日■10年目の「国鉄改革」1 27兆円 財源先送り、ツケ膨張(朝日)
8日■オウム裁判 初公判(24日)へ埋まる外堀 関連の「サリン」「小銃」「薬物」裁判 「麻原指示」次々認定(京都)
  ■10年目の「国鉄改革」2 三島会社 基金での「安定」遠く(朝日)
9日■「京の新名所教えて」JR東海観光人気復活に力(京都)
  ■窓大きく空調完備 環状線に改良車両 JR西日本(京都)
  ■10年目の「国鉄改革」3 労働組合 東西でねじれ、勢力争い(朝日)
  ■福岡の女子高生 線路に飛び降りか(朝日)
  ■ニュートラム相次いで停止 大阪・住之江(朝日)
10日■望見KANSAI 山陽新幹線の地震検知警報システム「ユレダス」10月稼働へ 列車停止まで3〜4秒 初期微動を検知(京都)
  ■扉に男性の指 こだま急停車 JR広島駅(朝日)
  ■JR東日本 非常停車無線が盗難 直後に異常停止が12件(朝日)
  ■JR山陽線乱れる(京都)
12日■新幹線計画は慎重に 江主席 経団連会長に表明(京都)
  ■秀吉博とSLテレホンカードを販売 長浜観光協会(京都)
  ■タイガース号を運行(朝日)
13日■国鉄清算事業団 債務返済へ売却地PR 大阪にセンター(京都)
  ■北近畿周遊券など区間追加 JR西日本(京都)
  ■会社のうちそと 欧州の11ヵ国6300` 列車で9日間疾駆(朝日)
14日■10年目の「国鉄改革 5 整備新幹線 原点忘れて”我田引鉄”(朝日)
15日■旧国鉄用地の売却情報提供 大阪にセンター開設(朝日)
16日■JR西日本 18日に株式上場仮申請(京都)
  ■特急と車衝突 2人が死亡 奈良の近鉄線踏切(京都)
  ■特急と車衝突、2人死亡 奈良・香芝近鉄踏切 乗客も2人がけが(朝日)
  ■ニュートラム止まる ボタンいたずらか(朝日)
17日■「入札比率30%超す」 今秋の株式上場 JR西日本社長(京都)
  ■CTCが故障 山陰線乱れる 特急など部分運休(京都)
  ■JR西日本 高卒採用5割増 来春 大卒・短大卒も例年並み(朝日)
  ■中央線・千日前線 土曜は休日ダイヤ(朝日)
18日■高架工事6月から本格化 近鉄京都線 東寺−竹田間 2002年度に完成予定 仮線運行切り替え(京都)
  ■京阪電鉄 部長職に年俸制 課長と次長職に在任期限 7月から導入(京都)
  ■窓 不愉快なバス改善求む 携帯電話利用必要最低限に 大津市・加藤秀治郎(大学教員・46)(京都)
  ■窓 不愉快なバス改善求む 怒鳴る乗客に何ら対応なし 右京区・塩田勢津子(保母・41)(京都)
  ■嵐山へは電車が便利 28日調査参加募る パーク・アンド・ライド(朝日)
  ■南部のバス路線 もっと利用して 京都市交通局が時刻表配布(朝日)
  ■JR西日本 上場を仮申請(京都)
  ■東海道線乱れる 快速電車が故障(京都)
  ■JR西日本 株式上場を仮申請 10月から上場の見通し(朝日)
  ■架線ゆるみ 運転を中断 JR福知山線(朝日)
19日■地下鉄サリン 幹部に進言され承認 冒頭陳述 麻原被告の関与指摘へ(朝日)
  ■JR各社、広がる経営格差 本州3社、完全民営へ着々 西日本の上場仮申請(朝日)
20日■窓 JRの精算方法に疑問 中京区・岸上雅勇(無職・61)(京都)
  ■山陰線「電化」1ヵ月乗車率 不通電車が快調 特急は前々年の約89%に(京都)
  ■GW予約好調です 北陸方面、満席列車も JR西、下りピークは3日(京都)
21日■新幹線「新品川駅」 7年後完成へゴー(京都)
22日■踏切内で車が横転 近江八幡JR線 列車に運休や遅れ(京都)
23日■麻原被告あす初公判 地下鉄サリンなど3事件(京都)
  ■JR貨物株 来年度にも放出 運輸省 3割以上、関係企業に(朝日)
  ■処分とJR採用拒否 国労組合員敗訴の判決 大阪地裁(朝日)
  ■列車脱線、45人死傷 フィンランド(朝日)
24日■改札業務にも短大卒女性 JR東海、97年度採用(京都)
  ■高校生が飛び込み 亀岡のJR線、即死(京都)
  ■窓 禁煙のルール 一層の徹底を 大津市・方山 直(教員・45)(京都)
  ■11月に新駅 JR芦屋−摂津本山間(朝日)
  ■不発弾撤去のため 環状線が一部運休 大阪で27日(朝日)
25日■オウム麻原被告初公判 罪状認否を留保 独自の教義を展開 弁護側 公正審理求める 東京地裁 全容解明、長期化へ(京都)
  ■固まらぬ弁護方針 事件構図は検察ペースに(京都)
  ■とうとう独善「説法」 麻原被告初公判(京都)
  ■師団街道、一時通れず 高架に荷台引っ掛け(京都)
  ■JR大阪駅で「異臭騒ぎ」(京都)
  ■関空乗り入れ特急 騒音、振動の実態調査 南海とJR 8市2町沿線 大阪府など来月に(京都)
  ■麻原被告 罪状認否を留保 東京地裁の初公判 現在の心境陳述 弁護側「厳密な審理」要求(朝日)
  ■麻原被告陳述 事件触れず「説教」 「罪の意識」ほど遠く 「責任逃れ」怒る被害者(朝日)
  ■異臭騒ぎで電車遅れる JR大阪(朝日)
  ■無差別殺人を容認 麻原被告初公判 検察冒陳 地下鉄サリン事件など3件 東京地裁 教義ポアで正当化 故村井氏に実行指示(京都)
  ■麻原被告 第2回公判 検察側の冒頭陳述(要旨) 用事用語は原文のまま(京都)
26日■トレイン・マーク展 懐かしい列車愛称名板展示(27日−6月16日) 大阪市港区の交通科学博物館(京都)
  ■ビスタ・カー 改装「EX」に 近鉄大阪線、あすから(京都)
  ■住之江公園駅でニュートラム故障(朝日)
  ■SMAP追っかけファン12人不正乗車 首都圏から盛岡まで(京都)
27日■地下鉄鶴見緑地線 30日からワンマン化 大阪市営では初(京都)
  ■南海「ラピート」「はるか」に劣勢食い”止め”よう(京都)
  ■時々刻々 動くか旧国鉄一等地 売却期限まであと2年(朝日)
  ■駅弁の旅を JR福知山支社管内主要駅 新製品の7種 食べてみませんか(朝日)
  ■JR環状線半分ストップ 不発弾処理で1時間(朝日)
29日■JR姫新線 線路の下を掘削 ケーブルも2本切断 機械で深夜に犯行?(京都)
  ■大津の不明男児 東京で無事保護 新幹線内で発見(京都)
  ■線路盛り土削られる 龍野のJR線 列車通れば事故も(朝日)
  ■4歳坊やの連休一人旅 おうちは大津 京都のりかえ 新幹線で東京 お巡りさんビックリ(朝日)
30日■窓 サービス欠く新幹線の運営 亀岡市・西尾孝恵(主婦・25)(京都)
  ■小田原の東海道線 快速電車で異臭(京都)
  ■横須賀線の線路に置き石 100`の塊2個(京都)



1日■声 新型新幹線は安全に徹して 大阪市 重岡敏明(無職 73歳)
 JR西日本の新型超特急「500系」が、小郡−新下関間で時速300`を達成した。
 「500系」は、フランスの新幹線「TGV」と並ぶ世界最高の時速300`で営業運転し、新大阪−博多間を2時間19分で結ぶ。順調にいけば、年内にも営業運転を目指すという。
 これは素晴らしい技術の勝利と称賛するとともに、「狭い日本でなぜ急ぐ」との思いもある。航空会社とは別だから仕方がないのかも知れないが。そして、日本の国土の姿を思う。平地が少ないから、トンネルと橋の多い路線を列車は走る。時速300`で走る列車の風圧は、トンネルや橋などにどの程度の圧力がかかるのかと心配だ。
 2月10日、北海道古平町の豊浜トンネルの岩盤崩落事故は記憶にあたらしい。計算の上で大丈夫と言われれば、今の技術を信用するまでだが。
 長年、鉄工業者として鉄道関係の仕事にかかわった者として、新型新幹線の安全を願うとともに、営業運転開始の前に、今一度、レール、車両、トンネル、橋などの再点検を望む。(朝日新聞)
2日■JR長浜駅 ロッカーに1000万円
 1日午前11時15分ごろ、長浜市北船町のJR北陸線長浜駅構内のコインロッカーの中に、現金1000万円が置いてあるのを、ロッカー管理会社の営業所長が見つけ、長浜署に届けた。
 調べでは、現金は市販のごみ用とみられる黒いビニール袋に入っており、1万円札が100枚ずつ帯封でくくられていた。帯封には銀行関係者のものと思われる英字イニシャルや名字の印などが押されていた。
 ロッカーは使用時に料金を入れて施錠し、カギを抜き取る仕組み。当日の日付が変わるまでが使用期限だが、3日以上経過すると点検する。同署によると所長が先月28日午前11時ごろに巡回した際、このロッカーは施錠されていた。その後も施錠したままだったため所長が不審に思い、合いカギで開けたという。
 同署は事件との関連も考え、金融機関に照会して持ち主を捜している。(京都新聞)
■旧国鉄 長期債務27兆5800億円に 精算事業団と運輸省発表 前年より7000億円増
 運輸省と国鉄清算事業団は1日、旧国鉄から引き継いだ長期債務残高が同日現在で、前年同期より7000億円増えて27兆5800億円に達した、と発表した。1995年度中に売れた土地が4253億円で、計画の4割にとどまったことなどから、年間1兆円に上る利子分の穴埋めもできず、債務が膨れた。JR西日本株の上場の遅れも響いた。これで清算事業団が1987年に発足してから9年間で、債務は2兆1000億円増えた。株式や土地など清算事業団の手持ちの資産は約7兆円と推定され、残る国民の負担分は20兆円を超えた計算になる。
 土地の売却では、一般向けの住宅や商業用地は前年度の実績額を上回ったが、買い手の中心である国や地方自治体の分が前年度を下回った。運輸省などでは今年度は、JR西日本の上場による株式の売却収入に加え、東京・汐留の貨物駅跡地や品川駅の東口など大型物件の売却を急ぎ、債務を減らしたい、としている。
 この結果、96年度予算は土地と株式の売却で計1兆3000億円の収入が見込めるという。97年度初めには利子や諸費用を差し引いても債務は27兆5000億円に減る、と予測している。ただ、赤字のJR共済年金を厚生年金に統合するにあたり、清算事業団の負担分になる8000億円については、96年度予算に計上していない。土地が予定通り売れても、1年後の債務残高は予測値より3000億円多い27兆8000億円になりそうだ。(朝日新聞)
■青鉛筆
 京阪電鉄は1日、新しいマナーポスター「宇宙人KEI君の日記」を車内や駅に張り出した。テーマはリュックサック。乗車したら、手で持つか網棚へと訴えている。
 阪神大震災以来、若者を中心に、かばんやバッグ代わりに背負う人が増えた。去年秋ごろから同社にも、「じゃまになる」といった苦情が寄せられている。
 KEI君のモデルは新入社員。ポスターでは、大きなリュックを背負ったまま電車に乗り、地球人に注意されている。社会の常識の中では、まだまだ彼らは宇宙人?(朝日新聞)
■地下鉄東西線醍醐北工区 埋め戻した道路陥没 バイク転落1人けが 水道管から漏水
 2日午前3時45分ごろ、京都市伏見区醍醐北西裏町の外環状線で、バイクで北進中の山科区御陵中内町、警備員桑原光夫さん(35)が走行中、道路が陥没してバイクごと穴に転落、腰などに軽いけがをした。現場は地下鉄東西線醍醐北工区の上で、穴は幅約3b、長さ約10b、深さ約1.5bの大きさで、地下約1.5bにあった水道管(直径15a)から噴出した水が、地下鉄の工事現場に流れ込み、約30a冠水した。
 山科署や市消防局は原因を調べている。市交通局によると、現場周辺の地下鉄工事はほぼ終了しているといい、地下の水道管から漏水した水が周囲の土砂を流失させたために道路が陥没したとみている。
 山科署によると、桑原さんの直前に車が3台通過しており、桑原さんは「自分とバイクの重みで道路が陥没したように感じた」と話しているという。
 水道管は、現場の北約20bを東西に走る本菅から枝分かれし、現場の南にある消火栓に給水している。漏水個所は水道管の接続部だった。醍醐北工区をオープンカット工法で工事をした際は、水道管はワイヤで空中につり下げられ、先月18日に埋め戻し、その後、アスファルトを張ったという。
 水道管からの漏水は午前6時ごろに止まり、付近の民家などに断水の被害はなかった。この事故で、現場付近の外環状線は北行車線を通行止めにし、南行車線を交互通行させており、最長で南行が5`、北行が3`渋滞した。
 現場は、三宝院の南西約1`、地下鉄東西線の醍醐駅予定地の北約200b。
・迷惑かけ申し訳ない 野嶋久暉・京都市交通局 高速鉄道本部建投部長の話
 事故防止には注意してきたが、こんな事故が起こり、被害者や沿道の人にご迷惑や不安をかけ、大変申し訳ない。東西線の工事も最終段階に入っており、原因を十分調査し、二度と事故が起こらないよう気を引き締めてやっていきたい。(京都新聞 夕刊)
■地下鉄工事で「またか…」 怒り募らす市民 水道管水漏れ 固定不備の可能性
 2日未明、京都市伏見区の外環状線で起きた道路陥没事故は、地下鉄東西線の工事現場の真上で起きた。山科署や市交通局などが原因を調査しているが、漏水した水道管は地下鉄工事に伴い、埋め戻されており、工事が関係した可能性がある。市民は相次ぐ地下鉄工事関連の事故に不安と怒りを募らせている。
 市交通局は、陥没の直接原因は水道管の漏水で周囲の土砂が押し流されたためとみており、「管が老朽化していたのか、ほかに何か原因があるのか調査中」としている。この水道管は、地下鉄工事のオープンカット工法で掘り出されて元の位置でワイヤで空中につられ、その後、周囲の土砂が埋め戻されたという。
 市水道局によると、水道管は消火栓に給水するもので、1965年に敷設し、来年度に耐震性に強い管にかえる計画だった。漏水個所は水道管の接続部で、地下鉄工事の過程でつり工法で保全した際、固定措置を十分にしていなかったため、接続部分がずれて漏水した可能性があるとみている。同局配水課は「漏水量は100d以上」としている。
 市水道局の話では、地下鉄工事が関係するとみられる水道管の漏水事故は93年12月に、山科区の名神高速道路高架下ルの外環状線で、地下埋設の水道管の接続部分がはずれて、約2000dが漏れる事故があった。この時、市水道局は交通局に対し、安全対策の徹底を文書で申し入れた。
 市水道局の小林忠博給水部長は「以前にも既存の水道施設を破損しないよう十分な保護を申し入れているのに、事故が起きて残念。再度、申し入れを検討する」と話している。
 近くに住む主婦(38)は「今までの地下鉄工事関係の事故は人ごとと思っていたが、身近であったので恐ろしい。地下鉄の早期開通を楽しみにしているので、京都市はしっかり原因を調査して二度と事故が起こらないようにして欲しい」と怒りを込めて話していた。また、近くの曙保育園の矢島里美園長は「地下鉄工事でトラックがひっきりなしに通る場所だけに、これからも陥没がありそうで怖い。園児の通園が心配です」と声を震わせていた。(京都新聞 夕刊)
■道路が陥没 バイク転落 京都・男性けが
 2日午前3時47分ごろ、京都市伏見区醍醐高畑町の外環状線で、同市山科区御陵中内町、無職桑原光夫さん(35)運転のバイクが、幅約2b、長さ約8b、深さ約1.5bにわたって陥没した穴に、転落した。桑原さんは背中などを強く打って約1ヵ月のけがをした。
 京都市交通局によると、現場付近は地下鉄工事で土を埋め戻し、道路のアスファルト舗装などを終えている。埋め戻し作業などが原因で水道菅が漏水し、周囲の土砂が流出、道路が陥没したのではないかと見ている。(朝日新聞 夕刊)
3日■北陸新幹線 小松−南越間 「建設費は国負担で」 JR西日本 要望書を提出
 日本鉄道建設公団が先月末、整備新幹線のうち北陸新幹線小松−南越間の工事認可申請をした際、完成後の運営主体となるJR西日本(井手正敬社長)が@建設費の全額公共負担A大阪までの全線同時開業B並行在来線の分離−の3条件を運輸省に要望していたことが2日、明らかになった。
 要望そのものには法的な拘束力はないが、関係者は「JR西日本が、新幹線を建設しても利益がないので建設費を払えないと判断したことの表れ」と重視している。
 与党3党の整備新幹線検討委員会は、今年夏までに財源問題も含めた整備新幹線の新しい建設スキーム(枠組み)の大枠をまとめる予定。4日の同委ではJR各社からヒアリングを予定しており、JR西日本は今回の要望に沿った見解を述べるとみられる。
 現在の建設スキームではJRの負担割合は50%だが、既設新幹線の譲渡収入の一部も投入されるため、JRの実質的な負担は20%程度。残りを線路については国が40%、自治体が10%などとなっている。
 北陸新幹線に並行する北陸線は、これまで路盤改良などを進めた結果、全国のJR線でも最も速い路線のひとつとなっており、運輸省の試算でも時間短縮効果が他の線区に比べて小さい。
 また北陸新幹線は高崎−長野間が来年秋に開業するが、長野以西については建設区間が飛び飛びで、特に敦賀−大阪間についてはルートも決まっていない。このため東から順次開業するのが順当とみられているが、JR西日本にとっては「北陸地方のお客を東京に吸い取られてしまう」(JR関係者)懸念があり、大阪までの同時開業にこだわった。
 並行在来線の分離については、既に同委で分離する方針を確認している。(京都新聞)
■社説 鉄道整備を街づくりに生かせ
 南北に長く伸びた京都府内で、鉄道網の整備が着実に進んでいる。
 先月、JR山陰線と北近畿タンゴ鉄道(KTR)宮福・宮津線の園部−福知山−天橋立間(89.1`)で、電化工事が完成し、京都、大阪から新特急電車が走り出した。京都−天橋立間は従来に比べ18分から1時間も短くなった。
 来年着のJRダイヤ改正では、片町線(学研都市線)の木津駅から大阪、神戸、三田方面への直通快速電車の運行などに明るい見通しもついたという。関西学研都市と阪神地域との利便性は、一段と高まることになる。
 鉄道は大量輸送と高速性、定時性の高い公共交通機関である。その整備充実は南北の均衡ある発展、地域の振興に欠かせない。都市間の輸送力増強にとっても大きな役割を担っている。
 京都府では、その鉄道網整備が他府県に比べ大きく遅れをとっていた。本格的な取り組みが始まったのは、1980年代に入ってからである。
 当時、府内の国鉄電化率はわずかに6.9%しか進んでおらず、全国平均(38.3%)を大きく下回っていた。
 それが、奈良線(京都−木津間)や山陰線(京都−園部間)の電化・高速化など年を追って実現した。
 今回の山陰線園部以北とKTR線の電化開業で、電化率は80%(全国平均54.7%)まで上がった。ようやく遅れを取り戻し、さらに前進を見たのだ。
 赤字路線として廃線に追い込まれかけていた宮津線もKTR線としてよみがえったことも含め、まさに「鉄道復権」といっていい。
 この間、投資された総事業費は1000億円近くに上るというから、鉄道整備プロジェクトの重みがわかる。
 今度は沿線自治体の出番である。駅を中心に地域の歴史、文化を生かした個性豊かなまちづくりを進め、地域の振興、活性化につなげる必要がある。電化・高速化など鉄道網の整備、充実の意義もそこにあるはずだ。
 特に、駅舎の改築、鉄路をまたぐ自由通路、駅前広場、駐車場、駐輪場などの整備を急がなければならない。日吉町、木津町などで駅前周辺整備への取り組みが進んでいる。
 しかし、府中・北部地域に比べて南部地域の遅れは否めない。地元自治体の一段の奮起が求められる。
 鉄道網整備はまだ懸案が残っている。JRの奈良線複線化や舞鶴線の電化、高架となった山陰線二条−花園間の複線化などがそれだ。府と市町村、国鉄の民営化で10年目を迎えたJR西日本に一層の努力を望みたい。(京都新聞)
■JR・南海の予約状況ひと目 関空が到着客向けにサービス 「はるか」など空席○満席×で
 関西空港の旅客ターミナルビルにあるアクセス交通案内表示器に、新たにJRと南海電鉄の予約状況を知らせる鉄道空席情報表示器が取り付けられ2日、稼働した。
 関西国際空港会社が到着客へのサービスの一環として約1億円で新設した。
 情報表示器は、縦55a、横3b。国際線到着ロビーの1階と2階の計3ヵ所にある交通案内表示器(高さ約2.4b)の上段に加えた。
 情報は、JR西日本と南海電鉄とオンラインで結び、JRの「はるか」と特別快速「ウィング」、南海電鉄の「ラピート」をそれぞれ3本ずつ表示し、空席は○、残り少しは△、満滞は×で示している。日本語と英語が交互になる。強風で運転を見合わせた場合の情報も流す。(京都新聞)
■大震災で全壊 JR新長田駅きょう再開
 阪神大震災で全壊し、建て替えられたJR山陽線・新長田駅が、3日の始発列車から営業を始める。これを記念して同日午前9時半から駅2階コンコースで新駅舎開業式典が行われる。
 式典には、井手正敬JR西日本社長や、地元の神戸市長田区住民ら200人が出席。一日駅長に任命される地元の幼稚園児・長谷川泰亮ちゃんも加わり、テープカットとくす玉割で、新駅舎開業を祝う。
 新長田駅は、震災後の昨年3月10日から駅西側約200bの地点に仮駅舎を置いて営業を再開。この間、壊れた駅舎跡で全面建て替えを進めていた。
 新駅舎は1階に自由通路を設けて、駅の南北の交通を確保する一方、エレベーター2基とエスカレータ2基を設置。お年寄りや、体の不自由な人が利用しやすくした。(京都新聞)
■新婚列車ことぶき復活 昭和40年代の思い乗せて 京都・大阪−宮崎間、130組募る
 宮崎が新婚旅行ブームに沸いた1967−73年当時、国鉄(現JR)が大安吉日の毎翌日、京都・大阪−宮崎間に走らせた新婚列車「ことぶき号」が10月初めに”復活”する。熱年夫婦を南九州周遊に誘うキャンペーン「想い出ハネムーン」を実施中の宮崎県と県観光協会がその一環として、JR九州と同西日本の協力で企画した。
 今回は実際に「ことぶき号」を走らせるわけではないが、商品の内容は京都・大阪発3日間の日程で、車中で1泊、宮崎ではしにせのホテルに泊まり、行きか帰りのいずれかは空路を使用することになっている。
 価格は2人で8万円前後になる見込みで、通常より3−4割安いという。全国から130組を募る。問い合わせ先はJR九州販売課092(474)6810。(京都新聞)
■「旧国鉄の債務国民の負担に」 大蔵主計局長
 国鉄清算事業団の長期債務残高が27兆円を超えていることに関連して、大蔵省の小村武主計局長は2日の衆院予算委員会で、「最終的には国民の負担になっており、極めて重大な課題だ。未処分の土地、株式について早期、効果的な売り方をして、できるだけ減少させるよう努めたい」と述べた。新党さきがけの五十嵐ふみひこ氏の質問に答えた。(朝日新聞)
■発足10年目 JR 人事も動く 西日本の常務 四国の専務に−次期社長含み 東日本住田会長が名誉会長に
 JR西日本の梅原利之常務(57)が6月末にJR四国の専務として転出することが、2日明らかになった。JR四国の初代社長である伊東弘敦氏(63)の次期社長含みとみられる。JR東日本では、初代社長を務めた住田正二会長(73)が6月未で代表権を持たない名誉会長になる。JRは発足10年目に入って再び人事も動き出した。
 西日本の梅原常務は四国の伊東社長と同じ旧国鉄の技術畑出身。分割・民営化と同時に西日本の取締役になり、1989年6六月から常務を務めている。年間の売り上げが約500億円とJR7社の中で最少の四国は、かねてから西日本との合併もうわさされているが、西日本の首脳は「合併につながる人事ではない。人材の交流だ」と否定する。
 一方、住田会長は運輸事務次官を経て、国鉄再建監理委員会の委員として国鉄の分割・民営化に立ち会い、東日本の初代社長、会長として、東日本の「顔」をつとめた。
 後任会長は旧国鉄出身の山之内秀一郎副会長(62)。「JRになって10年。運輸省から人を出すという話はなかった」(同省幹部)という。(朝日新聞)
■JR東日本、会長に山之内氏
 JR東日本は2日、山之内秀一郎副会長が会長に昇格し、住田正二会長が代表権のない名誉会長に退く人事を固めた。松田昌士社長は留任する。
 来月の閣議に報告したうえで、6月末に開く株主総会後の取締役会で正式に決める。
 住田会長は運輸事務次官を経て、国鉄の分割・民営化の道筋をつけた国鉄再建監理委員会の委員を務めた後、1987年4月のJR東日本発足と同時に社長になった。93年6月から会長。JR東日本が10年目に入り業績も順調で、73歳になったことなどから若返りを図る。
・山之内秀一郎氏(やまのうち・しゅういちろう) 東大卒、56年に国鉄に入り、常務理事などを経て、87年JR東日本発足と同時に副社長になり、93年6月から副会長。62歳。(朝日新聞)
■元気運ぶコウノトリの絵1400枚 JR新長田駅 新駅舎が開業
 阪神大震災で全壊したJR山陽線新長田駅(神戸市長田区)の駅舎建て替えが終わり3日、新駅舎がオープンした。旧駅舎はホームの屋根や柱が倒壊、昨年3月10日から約200b西の仮駅舎で営業していた。これで、被災地の鉄道の仮駅舎は、阪急電鉄伊丹線の伊丹駅を残すだけとなった。
 この日午前5時15分、西明石行きの始発電車が山発。ホームの壁には、作詞家の阿久悠さんや漫画家の石ノ森章太郎さんらの「復興のために元気を運んでもらおう」との企画で、JR西日本が全国から募集したコウノトリのイラストを複写したタイル(15a四方)1400枚がずらりと並び、利用客の目を楽しませた。
 イラストの中には、将棋七冠王の羽生善治さんや、俳優の吉永小百合さん、竹中直人さんらの作品もある。
 新駅舎は2階建てで、改札口は中2階、ホームは2階。コンクリートくい120本を地中に打ち込むなど耐震性を向上させた。(京都新聞 夕刊)
■雪でトラブル 始発電車遅れ JR湖西線
 3日午前5時55分ごろ、滋賀県高島郡今津町のJR湖西線近江今津駅構内で、雪のためポイントが故障し、同駅始発の京都行き普通電車が発車できなくなった。同駅で調べたところ、ポイント内に雪が約3a積もり、ポイントが転換しなくなっていた。駅員が雪を取り除いて復旧したが、始発電車が17分遅れて同駅を発車した。(京都新聞 夕刊)
■JR新長田駅新装 著名人メッセージ
 阪神大震災で全壊した神戸市長田区のJR山陽線新長田駅の新駅舎が完成し、3日の始発から営業を再開した。上下線ホームの壁面には、神戸出身の女優浅野ゆう子さんの「KOBE 私の愛するふるさと」など、復興を願う著名人の手書きのメッセージとイラストをタイルにしてはめ込んだ。
 新駅は仮駅舎の東約200bで、元の駅とほぼ同じ場所に建てられた。エスカレーターと障害者用のエレベーター各3基、女子トイレに乳幼児連れの母親のためのベビーチェアなどを新設した。3日午前10時からの開業記念式典には、近くの幼稚園や駅前商店街の人ら約150人が招かれた。
 タイルのイラストなどは、各界の著名人21人でつくる「JR西日本応援団」が被災地を励まそうと、兵庫県の鳥コウノトリを措いて寄せるよう、それぞれの知人らに呼びかけた。ミュージシヤンの小室哲哉さんや、女優の吉永小百合さんらが描いた約200枚がタイルになった。(朝日新聞 夕刊)
4日■中核市・姫路の困った”遺産” 撤去ままならぬモノレール軌道 公営第1号、休止20年余
 1日に中核市になった兵庫県姫路市に、30年前に試みて挫折した都市経営の遣物がいまも残る。「姫路モノレール」。市街地を走る公営モノレールの全国第1号として30年前の1966年5月に完成したが、赤字経営で8年後に運行を休止し、さらに5年後には廃止された。しかし、軌道の全面撤去には巨額な費用がかかるため、まだ4分の3近くがそのままだ。世界文化遺産の姫路城とは対照的な、やっかいな遺産となっている。
●費用は30億円
 姫路市は96年度予算に「モノレール桁(けた)撤去費」1億円を計上した。高架化事業が計画されるJR山陽線をまたぐ地上約15bの旧軌道が工事の邪魔になり、62bにわたって橋脚と鉄橋、橋げた1基ずつを取り除く。撤去は84年、91年、92年に続いて4回目。
 路線は、JR姫路駅前から南西の手柄山中央公園までの1.8`。
 モノレールの姫路駅は再開発ビル建設に伴って取り壊されたが、複合ビルの4階部分を貫く大将軍駅と手柄山駅は出入り口に板を張ったりして、22年間も「封印」されたままだ。
 市の試算では、全面撤去に30億円かかる。全面撤去がいつになるかは分からないという。
●止まった時間
 手柄山駅構内に入った。駅舎は鉄筋2階建て。薄暗い旧修理工場の中に、4両の跨(こ)座式(馬乗り型)車両が残っていた。隣のホームには時刻表や広告がそのまま。30年前に戻ったような雰囲気だ。
 手柄山から姫路城を望むと、市街地の川沿いにゆるやかなカーブを描く旧軌道はまるで廃虚のようだ。「せっかくの景観を損なう」と、市民から空中遊歩道や広告塔として活用策が出たこともある。
 姫路駅に近い約300bは下が商店街。旧軌道わきの不動産業者は「高さ規制が残っていて、3階建てにもできない」とこぼす。
●市長代わって
 モノレールは、水族館やスポーツ施設がある手柄山中央公園に、観光客を運ぶ狙いでつくられた。路線を南北に延長する構想もあった。しかし、建設を推進した石見元秀市長(46−47年)が完成翌年の選挙で落選。財政健全化を唱える吉田豊信市長(67−83年)は「モノレール休止で学校がひとつ建つ」と訴えた。
 初年度こそ40万3000人の乗客があったが、路線バスの2−4倍と高い運賃がたたり、その後は2、30万人で低迷。多い年は2600万円の経常赤字を出した。13億9000万円の建設費の返済分も加えると、休止時の累積赤字額は11億5000万円だった。
 皮肉にも、そのころから地下鉄より建設費の安い都市モノレールは注目され始めた。休止した年には国庫補助制度ができた。市議からは「市のやりかたは時代に逆行する」と批判も出た。
 社団法人・日本モノレール協会の松崎邦彦事務局長は「赤字を恐れずに構想通り路線を延長し、利用者増を図ればよかった。累積赤字がなくなるまでに、ふつう20年ぐらいかかる」と話す。(朝日新聞 夕刊)
5日■固定資産税を全額納付意向 JR西日本
 JR西日本は4日、1996年度で軽減措置が終わる固定資産税を97年度から全額納付する方針を明らかにした。納付額は現在より年間100億円程度増え、280億円程度になる見込み。
 JR7社の固定資産税は1987年の分割・民営化以来、経営の激変緩和措置として旧国鉄から引き継いだ資産の課税標準額を2分の1にするなどの措置が10年間の期限付きでとられてきた。
 JR西日本幹部は「軽減措置の継続を要請するということも考え方としてはあるかもしれないが、今のところはきちんと払う考えだ」と話している。
 運輸省によると、軽減措置がなくなると、7社合計の納付額は現在の年間約900億円から約1500億円に増大する。
 しかし、業績が順調な本州3社に対し、北海道、九州などは経営基盤が弱いため、今後、軽減措置の取り扱いをめぐって対応が分かれることも予想される。(京都新聞)
■18日にも上場仮申請 JR西日本株 9月公募めざす 運輸省 8000億円の収入期待
 運輸省と国鉄清算事業団は1日、JR西日本の株式を1996年度内に売り出すため、早ければ18日にも東京、大阪両証券取引所へ上場を仮申請する方針を明らかにした。JR西日本株は株式市場の低迷や、阪神大震災による収益の悪化で2年続けて見送られていた。今年に入り市況が比較的安定していることから、昨年度の決算が確定する7月に本申請に切り替え、順調にいけば9月末にも発行済み株式200万株のうち百数十万株について公募し、10月に上場する予定だ。運輸省はJR東日本株の売り出し以来3年ぶりになる今回の放出で、約8000億円の収入が期待でき、約27兆5800億円の旧国鉄債務の増加の抑制につながる、としている。
 JR西日本は94年度には上場申請しながら、民営化に伴って政府が放出した日本たばこ産業(JT)株が大量に売れ残ったり、上場後も株価が低調だったりしたことから、上場を断念した。95年度は阪神大震災の被害で収益が悪化し、上場基準を割り込み、申請できなかった。
 今年度は株価が大きく動くのを避けるため、入札にかける株式の割合を増やしたり、入札から上場までの期間を縮めたりするなど、売却方法を改善する。運輸省では、先に上場したJR東日本株(約55万円)の価格が売り出しの価格の目安になり、投資家が過熱することはない、とみている。
 4月で旧国鉄の分割・民営化から10年目に入ったが、JR西日本が上場すれば、JR株の売り出しは93年度のJR東日本に続いて2社目となる。JR東海も上場基準を上回る業績を保っており、97年度の上場を目指している。
 JR7社のうち、清算事業団が保有する全株式を売り切って完全民営化するのが予想されているのは、東日本、西日本、東海の3社だが、運輸省では売り切る時期は同時にする方針。JR西日本をJR東海より先に売り出すのは、営業区域がより広く、幅広い個人投資家に受け入れられやすいからだ、としている。JR西日本の方が上場意欲が高いことも重視された。
 残るJR会社は業績が上場基準を満たす見込みが当面ないため、運輸省では将来は、JR貨物は物流業界に、JR北海道、九州、四国は地元財界や自治体などへの割り当てによる株式放出が考えられる、としている。(朝日新聞)
6日■電車に坊やはねられ死亡 愛知川の近江鉄道
 6日午前9時40分ごろ、滋賀県愛知郡愛知川町愛知川の近江鉄道の線路上で、近江八幡発米原行き電車が近くに住む同町愛知川、会社員原田喜代志さんの二男尚将ちゃん(2つ)をはねた。尚将ちゃんは頭などを打ち、間もなく死亡した。
 愛知川署は尚将ちゃんが遊んでいるうちに、線路内に入り込んだのではないかとみて調べている。
 現場付近は、田んぼに囲まれており、単線の線路の周辺にさくなどはなかったという。(京都新聞 夕刊)
■線路にお年寄り、迫る電車 中2、遮断機くぐり救出 神戸
 5日午後8時10分ごろ、神戸市須磨区須磨浦通2丁目のJR山陽線上り線で、線路内に座り込んでいた同市垂水区内の男性(81)を、須磨区若宮町一丁目、市立鷹取中学2年の堀一也君(13)が、背負って線路わきに救出した。電車が目前に追っている中での救出劇だった。
 須磨署によると、現場は複々線で、堀君は下り列車1本が通過した後に遮断機をくぐり抜け、線路内でさらに上り1本が過ぎるのを待って男性のところまで走り、男性を背負って線路の外に出た。その際、別の上り電車は数b先まで近づいていたという。
 男性は再び踏切内に入ろうとしたが、堀君は男性を近くのラーメン店まで連れていき、須磨署に通報した。同署によると、男性は体調が悪いのを苦にしていたといい、自殺を図ろうとしていたとみている。
 男性は須磨区内の自宅が阪神大震災で全壊し、垂水区のアパートで妻と2人で暮らしている。
 堀君は「怖かったけど、夢中で助けた。おじいちゃんは『ありがとう』と何回も握手をしてくれた。うれしかった」と話していた。(朝日新聞 夕刊)
7日■10年目の「国鉄改革」1 27兆円 財源先送り、ツケ膨張
 東京湾の臨海副都心と都心を結ぶ新交通システム「ゆりかもめ」がゆっくりと、無人の汐留駅を通過してゆく。モノレールの高架の下に広がる20fの空き地では江戸時代の仙台藩・伊達家などの大名屋敷跡の発掘が進む。
・売れても地価1/4
 旧国鉄の貨物線汐留駅跡地。バブル経済のころ都心に残る最後の再開発地として総額4兆円とはやされた。国鉄が残した借金を返すためまもなく売りに出される。今では1兆円にも満たない、とみられている。
 末期には年間2兆円の赤字を出し、労使紛争が絶えなかった国鉄は1987年に分割・民営化された。37兆円もの長期債務(借金)のうち、JRが分担した残り25兆円を国鉄清算事業団が抱えた。事業団が土地や株式を売っても穴埋めできない14兆円は「政府が責任を持つ=国民で負担する」と決めた。
 「国民負担」の財源は詰めなかった。国鉄改革に携わった運輸省OBは「打ち出の小槌(こづち)があるわけもなく、突き詰めれば増税か赤字国債を発行するしかない。それは中曽根内閣の旗印だった『増税なき財政再建』に反する。財源に向き合うのは先に延ばした」という。
 国鉄、電電、専売の3公社の民営化を「戦後政治の総決算」として踏み切った中曽根康弘元首相は「JRの株式がNTTのように高く売れて、借金は(計画以上に)返せると踏んでいた面もあった」と振り返る。当時はバブル経済が始まりかけた時期。地価や株価の「右肩上がり」は疑問をもたれなかった。
 バブル経済の絶頂期には、地価の高騰をあおらないように、政府が事業団の土地売却を凍結した。一転、バブル経済がしぼむと、土地は大きく値下がりし、JR株の上場も止められた。
・年間利子が1兆円
 事業団は土地の6割とJR東日本株の一部を売った。しかし、今年3月末の借金は、27兆5800億円と発足時より2兆円余り増えている。巨額の借金の利子が年間1兆円を超え、借金が借金を生み雪ダルマ式に増えていくからだ。
 汐留駅跡地など残った土地と株式は、あわせても7兆円に満たない。最終的な国民の負担分は20兆円を超えるとみられている。
 97年度末は土地を売り切るめどとされており、遅れている借金の処理策を議論せざるをえなくなる。年間500億円以上の利益をあげる東日本、東海、西日本のJR各社は、自分らの「懐」をあてにされないか、と懸念し始めた。
 東日本の松田昌士社長は2月15日、経団連に豊田章一郎会長を訪ねた。「そもそもJRは14兆円を超える借金を引き継いで出発した。頑張ってもうけた会社に当初の約束以上の負担を求めるようでは、政府の民営化事業の信頼にかかわるはずだ。株主訴訟だっておきかねない」
・税金投入どう説得
 豊田会長は「国鉄の借金は国全体の借金の一つ。ことさら取り出してJRに負担させるべきではない」と理解を示す。今月中旬にもJRの意見を採り入れた小冊子を外郭団体を通じて発行する。しかし、経団連の一部には「JRの言い分は、納税者で負担しろという、いわば増税キャンペーン。理屈は分かるが積極的に加担してよいのかどうか」という迷いもある。
 2日の衆院予算委員会で、新党さきがけの五十嵐ふみひこ氏が「旧国鉄の借金の処理には税金を使わざるをえない。時間がたつほど後世代の負担が増える」と主張した。これに対し大蔵省の幹部はさめた表情だ。「もちろん決着はつけたい。しかし政治家は、税金をつかうことを国民に納得させられるのか。他の予算を削ってまで、国鉄の借金返済に回すことが政治的に可能なのか」
 住宅金融専門会社(住専)問題で指摘される、「政治と行政の甘い見通しと問題の先送り」の構図が、ここにもある。
・閣議決定 自主財源を充ててもなお残る長期債務等については、最終的には、国において処理する。本格的な処理のために必要な「新たな財源・措置」については、雇用対策、用地売却等の見通しのおおよそつくと考えられる段階で、歳入・歳出の全般的見直しとあわせ、検討、決定する。(1986年1月)(朝日新聞)
8日■オウム裁判 初公判(24日)へ埋まる外堀 関連の「サリン」「小銃」「薬物」裁判 「麻原指示」次々認定
 オウム真理教の教祖麻原彰晃被告(41)=本名松本智津夫=の犯行指示・共謀が、関連被告の判決で次々に認定されている。起訴された17事件のうち地下鉄サリンや自動小銃密造、薬物密造など7事件で「麻原指示」が認められ、破産決定では松本サリンの検察側立証が全面採用された。直接手を下さず「犯罪命令」を出したとされる同被告は、4月24日の初公判を前に外堀が埋められつつある。
 「教団代表者松本らは、教団内でサリン生成のノウハウが確立していたことを奇貨とし、組織的かつ計画的に地下鉄サリン事件を企て、同時多発的にサリンを発散させた」
 3月27日、地下鉄でまかれたサリンの生成を手伝ったとして殺人ほう助罪などに問われた元信者田下聖児被告(26)の判決は、麻原被告の共謀を明確に認め「良心のかけらも失った宗教団体の狂った犯行」とまで言い切った。
 翌日の破産決定は、地下鉄事件に加え松本事件も「教団松本支部設置をめぐる訴訟の結末を危ぶみ進行の防害とサリンの効果を試すため、担当裁判官らを殺害する計画を立てた」と認定。民事とはいえ、麻原被告主導の根拠として検察側立証を全面的に採用した。
 サリンに関連する事件で麻原被告はすべて「有罪認定」を受けたと言えるほど。
 量産プラントにかかわった3被告に対する3月22日の判決は.「ハルマゲドン(最終戦争)」の到来などを説法で繰り返した麻原被告が、毒ガスによる無差別殺人を計画し「これを使うとどこかの大都市が壊滅する」などと具体的に説明したと指摘した。
 薬物類の密造事件も「麻原指示」の認定が進んでいる。最初の司法判断は昨年11月の麻酔剤チオペンタール密造判決。「スパイチェック」などで使用量が増えたため密造を命じたと判断した。
 サリン製造を「麻原被告の独自の教義に従った武装化の一環」とした森脇佳子受刑者(31)らの判決(2月)は、覚せい剤密造の共謀も認め「宗教的儀式に覚せい剤を使用する教団の発想は欺まんに満ちたまやかし」と薬物漬けの教団を批判した。
 幻覚剤LSDやメスカリンでも麻原被告を中心とした組織ぐるみの犯罪とする判決が相次ぎ、サリンと並ぶ武装化の柱だったロシア製自動小戯「AK74」約1000丁などの童産計画も教義を実現しようという麻原被告の指示で始まったとする判断が出ている。(京都新聞)
■10年目の「国鉄改革」2 三島会社 基金での「安定」遠く
 人口1543人。宮崎県西米良村の浜砂梧郎村長に、JR九州の石井幸孝社長から一枚の文書が届いたのは、昨年暮れのことだ。隣の熊本県湯前町との間を1日2往復する路線バスを3月末に廃止させたいという内容だった。
 村あげての陳情で3月末の実施は免れたが、「年内もつかどうか」と村長は危ぶむ。今年度予算には、村営バスの運行も想定し約5000万円の経費を計上した。国や県から補助金が出るが、その額次第では、村民1人当たり最高4300円の負担を強いられる。
・100円稼ぐのに146円
 国鉄の分割・民営化時、国鉄バスは鉄道とともにJR各社に引き継がれた。本州の3社は1年後にバス事業を子会社化したが、北海道、四国、九州の3島会社は、採算が取れないため、直営のままだ。
 JR九州は、バス路線のうち平均乗車数5人未満の区間が3割を占める。100円稼ぐのに146円かかる。石井社長は「廃止対象路線は、お年寄りや小学生らの利用が多く、本来、公的なサービスで補うべきだ」と訴える。
 大都市圏を抱え、新幹線を引き継いだ本州3社と違い、3島会社の経営が苦しいことは、分割案をつくった国鉄再建監理委員会も分かっていた。それでも、分割したのは、客の利用範囲が各地域内でほぼ完結しており、経営規模も妥当との理由からだった。
 委員会の一員だった住田正二・JR東日本会長は、「3島の経営に十分配慮した措置はとった」と振り返る。国鉄の債務の負担をさせない。赤字を補えるだけの収益を生み出す総額1兆3000億円の経営安定基金も設けた。それが命綱のはずだった。
・金利低迷に胃痛め
 JR北海道で、6800億円にのぼる基金の運用を担当する小池善明・財務部長は、毎朝、胃が痛む。出社前に自宅のケーブルテレビで為替や債券の利回りなどを確認する。
 現在の平均利回りは5.6%。1%が68億円に当たるから、下がれば下がるほど運用益は減り、赤字の穴埋めはおぼつかなくなる。「来年はさらに0.5%ほど下がりそうだ」。小池部長の胃痛はやみそうにない。
 経営安定基金は当初、国鉄清算事業団に年利7.3%で貸し付けるという、いわば国が運用益を保証する形で始まった。3年目から一定の割合で返却される元金については、3社が自主運用する仕組みだ。
 JR北海道の場合、最初の5年間は、赤字額にほぼ匹敵する年額500億円近い運用益を生んだ。
 その支えもあって、道内で一番稼げる札幌−函館間の競争力をつけるため、路盤を改良した。新型特急も投入した。総額154億円かかったが、時間は30分短縮され、乗客は1日約500人増えた。
 一方、スーパーや居酒屋、自動車学校など40近い会社を設立し、2割の社員を出向させた。去年9月には深名線を廃止し、バスに転換させて年間10億円の赤字を1億円に減らした。
 合理化と増収の努力によって、会社発足時に比べ営業赤字は130億円減った。ところが、バブル崩壊とともに金利が低下し、国が予想した運用益の確保もできなくなっている。
 「お客様に乗っていただけるよう知恵もしぼった。赤字を減らすため、社員にも苦労をかけた。努力が報われない今のシステムはおかしい」。大森義弘社長のぼやきはおさまらない。
・両刃の剣の値上げ
 3島会社は今年1月、民営化後初の運賃値上げに踏み切った。年間数十億円の増収が見込めるが、値上げは客離れも誘う。
 「21世紀も生き残れるようがんはろう」。JR四国の伊東弘敦社長は1日、56人の新入社員に呼びかけた。同社の売り上げは東京のJR新宿駅1駅分にすぎない。四国でも高速道路が増え、車社会が進む。鉄道は逆風の中にある。
・最終答申
 北海道などのローカル線の多い地域においても、分割・民営化によって、それぞれの地域の実情に即した交通体系のあり方を踏まえ、地域に密着したきめ細かい営業施策を展開することによってこそ、地域の交通機関にふさわしい効率的な経営体制の確立が可能となる。より多くの鉄道が再生され、地域住民の期待に十分こたえていくことが可能となる。(国鉄再建監理委員会の「国鉄改革に関する意見」)(朝日新聞)
9日■「京の新名所教えて」JR東海観光人気復活に力
 「あなたのお勧めの京都を紹介してください」。首都圏向けに京都キャンペーンを続けているJR東海は、京都市内や近郊に住む人が推薦する京都の新名所を募集している。京都の奥深い魅力を京都人自らに掘り返してもらうことで新しい観光資源を生み出し、観光京都の人気回復に期待をかける。
 JR東海は一昨年、パックツアーや通常の京都観光では体験できない情報を紹介する無料の会員組織「KYOTO◆CLUB」を作った。高台寺(京都市東山区)で早朝の掃除を体験する「朝のお掃除隊」や非公開の文化財を巡るツアー、「華道家元お花教室」などの独自イベントを週1回企画しているほか、京都の宿泊施設などと提携し特典を設けている。
 首都圏を中心に1年目は約8万5000人、2年目は約5万人が登録し、年間延べ10万人近くの会員を京都に呼び込んだ。3年目を迎え、京都の魅力をさらに引き出すため、今回は地元の人から見た京都の観光施設やスポット、新しい京都の魅力を感じさせる催しを募集することにした。
 はがきに観光施設の場所や新しい催し内容、推薦理由ととともに、住所、氏名、年齢、職業を書き、4月末までに〒604 京都市中京区二条通烏丸西入ル、「KYOTO◆CLUB」京都デスクへ。(京都新聞)
■窓大きく空調完備 環状線に改良車両 JR西日本
 JR西日本は、大阪環状線などで走っている103系電車1編成(8両)を室内を中心に改装し、グレードアップした改良モデルを9日から同線にデビューさせる。
 改良車両は、これまで天井にあった扇風機をなくし、フラットな空調システムに変えて、すっきりさせた。窓の数を減らし、一つ当たりでは大きくするなど随所に改良を加えた。
 103系は大阪環状線のほか阪和線、福知山線など近畿地方を中心に、広島の呉線など中国地方でも活躍している。今後比較的製造年数が新しい約300両についても改良を進めていくとしている。(京都新聞)
■10年目の「国鉄改革」3 労働組合 東西でねじれ、勢力争い
 埼玉県大宮市で1日、JR東日本の入社式が開かれた。会社のチャーターバスから会場に向かう新入社員たちに、国労などの組合員が加入を呼びかけるビラを差し出すが、だれも受け取らない。「車内で指示されたから」と、一人が打ち明けた。
 会場内で話を聞いた5人の高卒社員は、すでに同社の最大組合、JR東労組(5万5000人)に加入していた。今年はじめ、東労組員が「組合活動の説明をしたい」と菓子折りを持って自宅へ訪ねて来た。最大組合で昇進にもプラスになるなどと説明したという。
・最大労組から脱退
 その東労組から昨年暮れ、旧鉄労系の組合員が飛び出し、JRグリーンユニオン(330人)を結成した。脱退の理由に、東労組を主導する松崎明会長(旧勤労委員長)ら旧勤労系の「独善的な組織運営や過激な政治方針」を挙げる。東労組の上部団体の、JR総連(8万4000人)と対立するJR連合(8万1000人)に加盟する方針だ。
 グリーンユニオンの結成に向けて旧鉄労グループが昨年9月15日、大宮市内で開いた秘密の会合には、東労組の菅家伸委員長ら執行委員も参加していた。それが発覚し、東労組は先月20日、執行委員4人の執行権停止などを決めた。菅家委員長については、病気入院中のため、「処分保留」とされている。
・民営化で離合集散
 国鉄時代の労働組合は、最大組合の国労と、闘争の激しさから「鬼の」と呼ばれた動労、国鉄当局に協力的な鉄労などに分かれていた。それらが1987年の分割・民営化をめぐって離合集散し、「水と油」の関係だった動労と鉄労などが手を結んだ鉄道労連(当時13万人、現JR総連)が最大勢力となった。
 だが、旧動労系が多数を握った総連執行部が、90年の大会でスト権の確立を各単組へ提起したのをきっかけに、総連からの脱退が相次いだ。旧鉄労系を中心とする脱退組は、国労から分かれた旧鉄産総連系と合流し、92年5月にJR連合を結成した。
 その結果、東日本、北海道、貨物の3社ではJR総連系が、東海、西日本、四国、九州の4社ではJR連合系が多数派となった。会社と協調する最大組合が東と西でねじれ、「労・労対立」を反映して会社間にもあつれきが生まれている。
 「東日本で、多数派を結集する努力をやめてはならない」。JR連合の出井勝彰会長は、グリーンユニオンの旗揚げを歓迎し、強調する。総連と連合の勢力争いは、東日本を「主戦場」に厳しさを増しそうだ。
・残る「不採用問題」
 「JRは大きな立派な会社となった。庭も周りもきれいにしたらどうか。国鉄改革の際の運輸大臣だった総理の見解を聞きたい」
 1月末の衆院予算委員会で、伊藤茂委員(社会民主党)は、紛争が続くJRの不採用問題をただした。橋本龍太郎首相は「司法の場などで係争中であり、見解は控えたい。労使の対応を見守り、できることがあれは努力したい」と述べただけだった。
 分割・民営化の前年、国鉄には約27万7000人の職員がいた。このうちJRに採用されたのは約20万人。5万人近くが退職し、希望しながら採用されなかった約7600人を合む約2万4000人が国鉄清算事業団に移った。
 地元JRによる採用を求めて事業団にとどまった国労などの組合員1047人は、再就職対策の期限切れの90年4月に、事業団も解雇されたが、不採用を不当労働行為と認めた地方労働委員会の救済命令を支えに闘い続ける。
 政労使による話し合い解決を模索する森井孝信労相は「国鉄改革という国策がもたらした大きなトゲで、政治の責任で抜かなければならない課題だ」という。
 だが、分割・民営化に反対した国労の姿勢を批判し続けるJR総連は、採用に反対している。JR7社の社長は「話し合いで解決する余地はない」と語り、軟化の兆しはない。
・付帯決議 各旅客鉄道会社などにおける職員の採用基準および選定方法については、客観的かつ公正なものとするよう配慮するとともに、本人の希望を尊重し、所属労働組合などによる差別などが行われることのないよう、特段の留意をすること(86年11月28日、参院・国鉄改革に関する特別委員会)(朝日新聞)
■福岡の女子高生 線路に飛び降りか
 8日午前5時35分ごろ、福岡県田川市千代町のJR日田彦山線で、田川後藤寺駅発田川伊田駅行きの回送列車(2両編成)に同市内の県立女子高校生(17)=同県川崎町在住=がはねられ、即死した。女子高校生は事故直前に高さ約7bの陸橋から線路に飛び降りたらしい。
 田川署の調べでは、女子高校生は7日昼ごろから、行方が分からなくなっており、自宅に「捜さないでください」というメモが残されていた。同暑は自殺ではないかとみて調べている。(朝日新聞)
■ニュートラム相次いで停止 大阪・住之江
 8日午後2時55分ごろ、大阪市住之江区南港東二丁目の市営ニュートラム南港東駅の東約400bで、中ふ頭発住之江公園行き列車(4両)が、接触検出器の作動で非常停止した。この事故で同列車を合む5本が最高5分遅れ、約400人に影響が出た。同市交通局によると、ハトが先頭車の前部にある検出器に接触したためらしい。
 また、同日午後3時15分ごろ、同区泉一丁目の同市営ニュートラム住之江公園駅で、出発しようとした住之江公園発中ふ頭行き列車(4両)が、非常停止ボタンが押されて停止し、約1分間遅れた。同市交通局によると、車両に駆け込んだ乗客がドアにはさまれそうになり、他の乗客が非常停止ボタンを押したらしい。(朝日新聞)
10日■望見KANSAI 山陽新幹線の地震検知警報システム「ユレダス」10月稼働へ 列車停止まで3〜4秒 初期微動を検知
 JR西日本が山陽新幹線に昨春、導入を決めた早期地震検知警報システム「ユレダス」が、機器の設置を終え、今年10月から稼働を始める。これまでのほぼ2倍の速さで感知して、列車を止めることができる新装置。どの程度まで有効なメカニズムなのか、同社鉄道本部などを取材した。
 山陽新幹線の地震検知警報はこれまで、沿線23ヵ所の変電所内に置かれた地震計に頼ってきた。地震計は、40ガル(ガルは揺れの加速度を表す単位)以上を感知すると作動して架線の電気を遮断、同時に列車には非常ブレーキがかかる。
 しかし、変電所の地震計が感知する揺れは、地震が起きた際に起こるP波(初期微動)とS波(本震)のうち、遅れて届くS波の方で、早期感知には難点があった。
 ユレダスは、先に届くP波を検知、続いて来るS波の大きさを電算機で瞬時に予測、分析できる。危険と判断した場合は警報を出し、変電所の電気を遮断して列車を止める。この間の所要時間は3−4秒、といわれる。
 P波の伝わる速さは秒速8`、S波は同4`なので、従来の地震計に比べ、ユレダスは理論上、2倍速く地震へ対応できることになる。
 ユレダスを開発したJR総研の調査では、地震の規模がマグニチュード5.5より小さい場合、鉄道構造物には、ほとんど被害が出ないことが分かっている。こうしたデータを、ユレダスに与えておくと、弱い地震で不要な運転ストップを繰り返さずにすみ、効果はさらに大きい。
 JR西日本では、平成3年ごろからユレダスの導入を検討していたが、昨年の阪神大震災を機に、総事業費8億円をかけ、関係機器の設置を進めていた。
 山陽新幹線で、ユレダスの検和装置が設置されるのは、鳥取、浜田、福岡、延岡、高知の5ヵ所。ほかにJR東海が設置してすでに運用している舞鶴、金剛山、新宮の3ヵ所の検知装置も共用する。一つの検知地点で半径100`以上の揺れを感知できるので、この計8地点で山陽新幹線の全線をすっぽリカバーできる。
 「新幹線車両は完全停止している場合、地震で倒れることはまずありません。問題は、高速で走っている時の地震発生です。ユレダス導入は、減速までの時間を、これまでよりさらに縮めることができ、保安度は確実に向上します」。JR西日本施設部では、そう話す。
 ユレダスの検知装置はすでに東海道新幹線に14ヵ所、青函トンネルに4ヵ所、首都圏に5ヵ所設置されている。金剛山などJR東海が設置している3ヵ所は以前から作動中なので、この地点のカバー範囲に入る山陽新幹線の新大阪−加古川間約67`では、回線がつながった昨春から実質的には運用が始まっている。
 鳥取など新設の5地点すべてで運用が始まる10月までは、検知装置に地震データを蓄積する作業を続け、地震解析度に磨きがかけられる。(京都新聞)
■扉に男性の指 こだま急停車 JR広島駅
 9日午後6時ごろ、広島市南区松原町のJR広島駅新幹線ホームで、発車直後の広島発博多行き「こだま579号」の前から4両目の扉に、男性(35)が右手人さし指を挟まれているのを駅員が見つけた。駅員がホームの柱にある緊急停止ボタンを押したため新幹線は約1b進んで停車し、男性にけがはなかった。この列車と、博多発岡山行き「こだま562号」が6−3分遅れた。
 JR西日本広島支社によると、男性は小倉に向かう途中だったが間違えて広島で降り、発車間際に急いで乗り込もうとして指を挟まれたらしい。(朝日新聞)
■JR東日本 非常停車無線が盗難 直後に異常停止が12件
 JR東日本の車両から、非常時に周辺の列車を緊急停止させるための「防護無線」4個が盗まれていることが9日、明らかになった。盗難後の8、9日に千葉県内で計12件の無線の異常発信が起きて、一部ダイヤが乱れた。警視庁は盗まれた無線が使われた可能性もあるとみて調べている。
 同社の調べによると、6日午前9時半ごろ、新宿発甲府・河口湖行きの普通列車の運転席から「防護無線」1個がなくなっていることに運転士が気づいた。そのまま運転を続け、同夜、警視庁鉄道警察隊に盗難届を出した。翌7日、同列車のほかの5つの運転席を調べたところ、3ヵ所で無線が盗まれていた。
 一方、8日午前7時14分から午後5時40分にかけてと9日夕に千葉県内の京葉線市川塩浜−海浜幕張駅間や総武線の小岩−津田沼駅間などで計12件の異常発信が起き、同区間を走っていた列車が数分間止まるなどしてダイヤが乱れた。
 盗んだ無線で発信すれば、列車を止めることはできる。しかし、電圧の調節が難しいことなどから、こうしたシステムに詳しい者の犯行の可能性が高い、と警視庁では見ている。(朝日新聞)
■JR山陽線乱れる
 10日午前9時50分ごろ、明石市大久保町のJR山陽線大久保駅で、同駅の運行制御盤に、駅構内に電車が入っていないのに存在を示す表示が出た。
 JR西日本は手信号で仮復旧させた後、係員が点検し、午前11時35分ごろ復旧した。姫路発草津行き新快速など計10本が最高17分遅れた。(京都新聞 夕刊)
12日■新幹線計画は慎重に 江主席 経団連会長に表明
 【北京11日共同】北京を訪れている経団連の訪中代表団(団長・豊田章一郎会長)は11日午後(日本時間同)、人民大会堂で江沢民主席と約40分会談した。豊田会長は「農業を含む環境・エネルギー分野や長江(揚子江)の総合開発計画、北吉−上海の高速鉄道(新幹線)計画で協力したい」と述べ、21世紀の日中友好の記念碑となる大型プロジェクトを積極支援する意向を表明した。
 これに対し、江主席は「外資は自分たちの力に合わせて利用したい」との基本方針を表明。新幹線計画を例に挙げて「技術は日本にも欧州にもある。問題は600億−700億元(7800億−9100億円)の資金。私は良い話と思う。多くのことをやりたいと思うが、少しずつやらねばならないこともある」と語り、同計画を慎重に進めていく考えを示した。
 また、江主席は中国の経済発展が脅威になるとのいわゆる”中国脅威論”について、「中国は周りに緊張を与えることはしないし、善隣友好を望んでいる」と前置きした上で、「その考え方は、間違っている。(中国の経済が発展せず)12億人の食糧がなくなったら(中国は)世界の脅威になる」と反発した。(京都新聞)
■秀吉博とSLテレホンカードを販売 長浜観光協会
 「北近江秀吉博発会」の開催に合わせ、長浜観光協会が同博とSL北びわこ号のテレホンカード計4種類を販売している。
 いずれも使用度数50で価格は800円。
 同観光協会(長浜市役所内)や長浜駅観光センター、市内の主要ホテルなどで販売し、博覧会場でも取り扱っている。また郵送も〒526 長浜市高田町12−34 同観光協会で受け付けている。(京都新聞)
■タイガース号を運行
 阪神電鉄は恒例となったイベント列車「タイガース号」を5月25日に梅田−甲子園間で運行する。午後零時8分梅田発。同2時から予定されている対ヤクルト戦を観戦する。
 官製はがきに代表者の住所、氏名、年齢、電話番号と参加者会員(5人まで)の氏名と年齢を記入し、〒553 大阪市福島区海老江1の1の24、阪神電鉄運輸部営業課タイガース号係へ。5月7日必着。
 当選はがきが送られたら、チケットと引き換える。大人2000円、子供(小学生以下)1800円。問い合わせは同社タイガース号係(06・457・2258)へ。(朝日新聞 夕刊)
13日■国鉄清算事業団 債務返済へ売却地PR 大阪にセンター
 国鉄清算事業団近畿支社は15日から、大阪市北区のJR大阪駅北口に「大阪土地情報センター」を開設する。
 管内(近畿2府4県)に残る計300件・205f旧国鉄用地の売却を促進するねらい。売却物件の冊子や入札予定地の情報、用地の図面などを提供する。月曜−金曜の午前11時半から午後7時まで営業する。
 旧国鉄用地の売却は、現在、約28兆円といわれる旧国鉄債務を返済するうえで、最重要課題になっている。問い合わせは 06(376)8038。(京都新聞)
■北近畿周遊券など区間追加 JR西日本
 JR西日本は12日、「北近畿ワイド周遊券」など3種類の周遊券の区間を、今月20日発売分から一部追加すると発表した。
 鳥取から京都までの山陰地方をカバーする「北近畿ワイド」と、小型版の「城崎・若狭ミニ」には、新たに北近畿タンゴ鉄道(西舞鶴−天橋立−豊岡、福知山−宮津)の全線が周遊区間に加わり、天橋立などの観光地へのアクセスが便利になる。
 その分、ワイドで2700円、ミニが1460円値上げされる。(京都新聞)
■会社のうちそと 欧州の11ヵ国6300` 列車で9日間疾駆
 9日間で11ヵ国6300`。花王パーソナルケア商品開発部の規矩田(きくた)聖治さん(34)は、こんな「短期速成」旅行が極味だ。ヨーロッパを列車で駆け巡る。
 小学生のころから電車好きで、長崎大学在学中は、東京まで毎回違うルートを列車で帰省した。ヨーロッパに初めて行ったのは1993年。10日で8ヵ国を回り、94年にはノルウェーからポルトガルまで11ヵ国を縦断した。
 11ヵ国縦断では、ノルウェーのベルゲンを出発、コペンハーゲン、ハンブルクを経て、翌々朝にはウィーンに到着。さらにミュンヘンを経由してその日のうちにドイツ・ロマンチック街道の入り口まで到達した。この間に市内観光をし、列車を乗り継ぐ。
 「時間との戦いのような旅行です」と苦笑する。2回の旅をまとめて出版した「ヨーロッパ鉄道旅日記」には、こんな目の回るような旅の日々がつづられている。
 「でも、点から点に移動する飛行機と違って、車窓の風景が徐々に変わっていく。アナログの楽しさがある」。今年のゴールデンウイークは、ギリシャとトルコへの旅を計画中。フィンランドからモロッコへの旅行が次の目標だ。(朝日新聞 夕刊)
14日■10年目の「国鉄改革 5 整備新幹線 原点忘れて”我田引鉄”
 「北の新時代へ、東京−札幌3時間57分」。盛岡−札幌間の東北・北海道新幹線の早期完成を呼びかける意見広告が3月、新聞や週刊誌に登場した。
 広告を出した青森県は「何としても今年は着工を決める」と張り切るが、大蔵省幹部は「建設費はどうするのだ」とあきれる。
・JRは負担増警戒
 「整備新幹線には反対しない。ただし、建設費用は国にお願いしたい」
 今月4日、連立与党の整備新幹線検討委員会で、JR北海道、東日本、西日本の首脳はそろって新たな負担増をけん制した。
 連立与党は年内に北海道、東北、北陸、九州の未着工区間約1050`について、財源や負担割合、着工順位を決める方針で、1月に検討委を組織した。この日は、JRからの初めての意見聴取だった。
 「負担は新幹線開業によるもうけの範囲内と考えるが、その額は極めて小さい」(北海道)
 「巨額な工事費などを勘案すれば事業採算性が厳しく、経営体力をはるかに超える事業となる」(東日本)
 「JRによる建設費の負担は考えられず、全額公共負担で建設が行われることが必要だ」(西日本)
 JR3社が提出した意見書にはこう記されていた。
 検討委は来週から地元の意見も聴く。だが、誘致にはやる熊本県などの地元側でさえ、財源問題には「既存の新幹線は国策だったのに…」と逃げている。
 整備新幹線の基本計画は1972年にまとまった。国鉄の経営危機もあって凍結が続いたが、分割・民営化の翌88年、自民党が「選挙公約で先送りできない」などと、北陸の高崎−長野間や九州の八代−西鹿児島間など5区間約405`の着工が決まった。
 建設費は2兆2000億円で、負担割合は国35%、JR50%、地方15%。運輸省の試算では、未着工区間の約1050`を東海道新幹線とじ「フル規格」でつくるには、さらに5兆2000億円が必要という。
 山形新幹線のように在来線も走る「ミニ新幹線」。在来線を高速化する「スーパー特急」−かつて、整備新幹線にはこんな規格もあった。88年に405`の着工を決めた際、運輸省が建設費が安く、時間も短縮できるとして考えた一石二鳥の策だった。
 地元は「ウナギを注文したらアナゴやドジョウが出てきた」とやゆしたが、最終的には地元も了承し、工事は始まった。
・一転、フル規格に
 ところが94年、当時の亀井静香運輸相が「いずれはフル規格にするのだから、アナゴでは二重投資になる」と、方針をフル規格化にひっくり返した。元運輸相はいまも「公共投資630兆円の2%でつくれる」と、大蔵省に予算配分の見直しを迫っている。
 運輸省は今年度で打ち切りとなるJRの固定資産税の軽減措置分をあて込む。打ち切りで生じる毎年約600億円の税収を回そうというものだが、これだけでは財源不足の解消につながらない。省内には「アナゴやドジョウが忘れられない」との声が根強い。
 岩手県の「一戸町東北本線を守る会」(約3000人)の山火武津夫事務局長は3月、自民党と社民党の本部を訪れた。整備新幹線の開業で、並行する在来線はJRから分離され、地元での運営が決まっている。
・在来線存亡の危機
 山火さんは「いずれ東北線は廃止に追い込まれる。経営は引き続きJRで」と訴えた。両党の回答は「経営分離が必要」(自民党)、「変更はできない」(社民党)だった。在来線の廃止は、JR貨物にとっても深刻だ。棚橋泰社長は「存亡の危機」という。
 国鉄再建監理委員として、国鉄改革の青写真を描いた加藤寛・千葉商科大学長は、こう語る。
 「国鉄が破たんした一因は政治家の『我田引鉄』で、それを防ぐための民営化でもあった。整備新幹線ができれは、地方空港もさびれる。もっと総合的に交通網の整備を考えるべきだ」
 第二の国鉄をつくってはならない。それが改革の原点だったはずである。(おわり)
・運輪省基本方針
 @国土の均衡ある発展を達成するためには、高速の幹線交通体系の整備が不可欠であるA「第二の国鉄」は絶対につくらない。JR各社に対して、過大な設備投資を求め、経営に悪影響を及ぼしてはならないB新幹線による幹線の整備に向けて、現実的な考えに立つ必要がある。従来型を大前提としていては、問題の打開は著しく困難である(1988年8月11日、政府・与党の着工優先順位専門検討委員会に提出された運輸省資料)(朝日新聞)
15日■旧国鉄用地の売却情報提供 大阪にセンター開設
 27兆円に及ぶ旧国鉄債務を抱える国鉄清算事業団は15日、JR大阪駅北側に「土地情報センター」をオープンさせた。売却予定の旧国鉄用地について、入札情報や300万円以下の少額物件の概要などを市民に提供し、売却の促進を図る狙い。(朝日新聞 夕刊)
16日■JR西日本 18日に株式上場仮申請
 JR西日本は18日、東京、大阪の両証券取引所に株式上場の仮申請を行う。6月下旬の株主総会で95年度決算の承認を受けた後正式申請を行う。
 同社は、阪神大震災で鉄道施設に大きな被害を受けたが、損失分は94年度中にほぼ処理を終えている。96年3月期の経常利益は530億円と、上場基準の400億円を大きくクリアする見通しになっている。
 仮申請は、今月19日以降、京都、名古屋、広島、福岡の各証券取引所でも行う。(京都新聞)
■特急と車衝突 2人が死亡 奈良の近鉄線踏切
 15月午後9時20分ごろ、奈良県香芝市下田西の近鉄大阪線の踏切で、鳥羽発上本町行き特急と軽乗用車が衝突。車は大破し、乗っていた2人が即死した。
 特急は窓ガラスが割れ、乗客2人が手などに軽いけがをし、大阪府柏原市の病院に運ばれた。
 高田署の調べでは、踏切は警報機、遮断機付き。死亡した2人はいずれも40−60歳の男性だが、身元などは分かっていない。同署は身元確認を急ぐとともに、事故の原因を調べている。
 特急は20分遅れて運転を再開した。
 現場は近鉄下田駅の西側で、国道168号との踏切。(京都新聞)
■特急と車衝突、2人死亡 奈良・香芝近鉄踏切 乗客も2人がけが
 15日午後9時15分ごろ、奈良県香芝市下田西三丁目の近鉄大阪線の踏切で、鳥羽発近鉄上本町行き上り特急電車(6両編成)と軽重塁早が衝突した。軽乗用車は大破し、乗っていた男性2人が即死した。電車の乗客42人のうち、2人が頭や手などに軽いけがをした。
 同県警高田署によると、現場は国道168号と交差する遮断機と警報機がある踏切。(朝日新聞)
■ニュートラム止まる ボタンいたずらか
 15日午後4時20分ごろ、大阪市住之江区南港中6丁目の市営ニュートラムの運転指令所で、南港東駅での異常発生を知らせる表示板が点灯した。同駅員が点検したところ、上りホームの非常停止ボタンが押されていた。この影響で全列車9本が停止、最高3分遅れて約500人の足が乱れた。大阪市交通局は、いたずらの可能性が高いとみている。(朝日新聞)
17日■「入札比率30%超す」 今秋の株式上場 JR西日本社長
 JR西日本の井手正敬社長は16日の定例会見で、今秋に予定されている株式上場について「売り出しは、一度にできるだけ多くを放出したい。入札の比率は30%を超すはず」との見通しを示した。
 井手社長は、上場の効果についても触れ「これまであった政府の保護がなくなり、民間企業として本当に自分の足で立つことになる。職員にチャレンジ精神もでてくると思う」と述べた。
 JR西日本の発行予定株式は200万株。一昨年に上場を予定していた。しかし、先行したJT株売り出しで入札段階の人気が過熱し、その後の一般公募売り出しの価格がはね上がって売れ残りが出た。このあおりでJR西日本株の上場も見送られた経緯がある。
・来春の採用3割増へ
 JR西日本は16日、来年春に入札する新卒採用数を全体で約640人と、今春に比べ約3割強増やす方針を明らかにした。大卒の数は変わらないが、乗務員職を中心に高卒を約5割多く採る。
 今春入社するのは、大卒105人、高専卒40人、短大卒40人、高卒293人の計478人。来年は退職者の補充や職種の人員構成比のバランスから、高卒を450人に増やすほか、短大も10人多く採用する。(京都新聞)
■CTCが故障 山陰線乱れる 特急など部分運休
 16日午後2時50分ごろ、JR山陰線船岡(船井郡園部町)−立木(同和知町)間で、また同3時半ごろ、山陰線山家駅(綾部市上原町)構内で、各信号やポイントが、JR西日本福知山支社内の列車集中制御装置(CTC)から遠隔操作できなくなった。
 同福知山支社は、これら区間内を走行中の列車を停止させるとともに沿線各駅に職員を派遣して処置した結果、午後3時32分に船岡−立木間が、同4時12分に山家駅構内が復旧した。
 この影響で、京都行き特急「きのさき8号」と天橋立行き特急「はしだて5号」が福知山−京都間で、また普通上下2本が福知山−園部間で部分運休したほか、城崎行き特急「きのさき7号」など特急1本、普通3本が10−40分遅れ、約500人の足が乱れた。同支社で遠隔操作不能の原因を調べている。(京都新聞)
■JR西日本 高卒採用5割増 来春 大卒・短大卒も例年並み
 JR西日本は16日、1997年4月の新卒者採用で、高校卒業者の採用を前年実績に比べ約5割増の450人に引き上げる計画を明らかにした。今後、運転士や駅務など現業部門で、大量の定年退職者が出るためだ。87年のJR西日本発足以来の大量採用となる。大卒や短大卒も例年並みに採用する予定で、新卒者全体では約3割増になる見通しだ。
 JR西日本の社員数は95年度末で約4万7000人。同社は適性規模は4万人と見ており、約7000人が余剰人員とされている。これまで早期退職制度を充実させるなど、人員の縮小に努めてきており、高卒についても92年度までは、採用を控えてきた。
 しかし、分割民営化の当時、全体の4割近くを占めていた40−50歳代の社員が、今後10年で現業部門を中心に毎年約1000人ずつ定年退職する見通しになっている。井手正敬社長は「技術の継承を円滑に進めるためにも、今後は400人規模の人材を確保していく必要がある」としている。
 このほか、大卒は100人、高等専門学校卒は40人、短大卒は50人ほど採用する予定。全体では昨年実績の478人に比べ33.9%増の640人になる。(朝日新聞)
■中央線・千日前線 土曜は休日ダイヤ
 大阪市交通局は27日から、市営地下鉄の中央線と千日前線で土曜日を休日ダイヤに変更する。現在は御堂筋線を除いて、月曜日から土曜日まで平日ダイヤになっているが、週休2日制の定着で土曜日の利用状況が休日に近づいたことから見直した。
 これに合わせ、休日ダイヤの内容を改定する。現行に比べ、朝のラッシュ時間帯に中央線の上りで2本、千日前線で上下1本ずつ増発する。同時に、中央線と相互乗り入れしている近鉄東大阪線も土曜日を休日ダイヤに切り替える。(朝日新聞)
18日■高架工事6月から本格化 近鉄京都線 東寺−竹田間 2002年度に完成予定 仮線運行切り替え
 京都市と近鉄が進めている近鉄京都線東寺−竹田間の連続立体交差化事業は、仮緯への運行切り替えがこのほど終わり、早ければ6月から本格的な高架工事に入る。完成は2002年度の予定。
 高架工事区間は、東寺駅南側と竹田駅北側を流れる鴨川右岸までの約2`。十条、上鳥羽口の両駅も高架駅となる。本年度は基礎工事を進める。総事業費は284億5000万円。
 1993年の着手以来、既に旧線西側にある堀川暗きょ上への仮線敷設を終え、昨年12月から上り線、このほど下り線も仮線で運行に切り替えた。旧線レールも外し、現在、まくら木や旧駅の撤去を進めている。
 電車の円滑な運行や将来の増発をにらんで新設する待避線の高架部はひと足早く建設工事に着手しており、一部で姿を現している。
 完成すれば、国道1号と同24号を結ぶ十条通や久世橋通、国道1号の補完を目的に整備中の油小路通など6ヵ所の踏切がなくなり、渋滞緩和や踏切事故防止などが期待される。
 京都市内での同線の未高架区間は、竹田−向島間の一部を残すだけとなる。(京都新聞)
■京阪電鉄 部長職に年俸制 課長と次長職に在任期限 7月から導入
 京阪電鉄は、管理職の人事・賃金制度を抜本的に見直し、部長職に年俸制、課長と次長職には在任期限を設けるなどの新制度導入を決めた。7月1日から実施する。
 同社の役職(管理職)は部長、次長、課長、課長補佐の4種で、現在の総数は全社員の1割弱に当たる285人。新制度は、部長職(78人)に年俸制度を適用して、自分が立てた目標の達成度と会社への貢献度で給与を決める。評価は八ランクあり、上下の最大年収格差は約400万円になる。
 課長と次長職は、課長で10年、次長で7年を過ぎても上位職につけなかったり、57歳を過ぎると、役職から除外する。その場合、給与・賞与は10%ダウン、昇給も従来の50%となる。役職にとどまる場合も、能力に応じてマネジメントを担う管理職と、部下のいない専門職に分ける。
 次長以下の賞与には、5ランクの業績評価を採り入れ、能力と業績に応じた支給に改められる。
 このほか、役職が上がらなくても意欲が低下しないよう役職とは別に、4ランクの資格制度(理事、参与、主幹、主事)を新設。47歳で退職金とは別に2000万円の加算金を付ける早期退職優遇制度も新設する。(京都新聞)
■窓 不愉快なバス改善求む 携帯電話利用必要最低限に 大津市・加藤秀治郎(大学教員・46)
 先日、大阪空港から京都まで空港バスを利用したが、車内で携帯電話をかけまくる客が一人いて、非常に不愉快な思いをした。乗車時のアナウンスでも、何も注意をしていなかったが、必要最低限に控えるようなことを求めてもよいのではないか。
 新幹線では、携帯電話の利用はデッキで、と呼びかけており、それでも守らない人もいるが、放送があるおかげでデッキに行ってくれる人もいるのである。
 バスは狭い空間だけに、それなりのマナーが特に求められよう。関係会社のお答えを待ちたい。(京都新聞)
■窓 不愉快なバス改善求む 怒鳴る乗客に何ら対応なし 右京区・塩田勢津子(保母・41)
 13日の土曜日、夜遅く市バスに乗った時のこと。後ろの方で、酔っぱらっているのか大柄な男の人が若い女の人の席の前に立ちはだかり、大声で怒鳴っている。女の人は、うつむいて小さくなっていました。男の人が、いまにもつかみかかりそうなのに乗客は皆知らんぷり。
 私は意を決して、男の人に話しかけました。逆上されるといけないので、できるだけ優しく「お兄さん、どうしはったんですか」と。しばらく話していると男の人が怒鳴らなくなったので、女の人に「一緒に降りようね」と約束して、目的地で降りることができました。
 後で聞くと、まったく和らない男の人で、最初はバスの前の方で怒鳴っていたらしく、それなら運転手さんも知っていたろうに、運転手さんはどうして何もしなかったのか、と腹が立ってしまいました。交通局ではこういう時のマニュアルを研修していないのでしょうか。結果的には事なきを得たけれど、素人が下手な対応をして逆上されたら大変な事になりかねないと思うと、とても怖かったです。交通局のお考えを、ぜひ聞かせていただきたいです。(京都新聞)
■嵐山へは電車が便利 28日調査参加募る パーク・アンド・ライド
 駅の近くに駐車場をつくって車を止めさせ、目的地へは公共交通機関を使う「パーク・アンド・ライド」方式を交通渋滞の解消策として提言している「パーク・アンド・ライドの実施を求める市民委員会」(渡辺洋事務局長)と「交通運輸労働組合京都地方協議会」が28日、京福電鉄の車両を借り切り、嵐山・嵯峨地区でこの方式の効果を調査、PRする。同委員会は「電車で嵐山に行く便利さを実感していただきたい」と一般の参加を募っている。
 当日は午前10時に京福電鉄四条大宮駅に集合。電車で嵐山駅に到着した後は午後2時まで自由行動で、同2時半ごろ四条大宮駅に戻る。この間、同委員会のメンバーらは周辺の駐車場や交通状況の調査をしたり、パーク・アンド・ライドの長所を訴えるビラを配ったりする。参加無料。問い合わせは京交運(075・801・7839)へ。(朝日新聞)
■南部のバス路線 もっと利用して 京都市交通局が時刻表配布
 京都市中心部に比べて利用客が少ない南部の市バス路線をもっと利用してもらおうと、市交通局は今月下旬から、南部の各バス停留所の時刻表を停留所近くの各戸に配ることを決めた。
 81種類3万部を作製。自治会などの協力を求めて配布するという。南部地域を担当している横大路営業所の路線は、100円の収益を上げるのに1993年度は平均197円かかった。94年度は207円とさらに悪くなっているという。市交通局自動車課の担当者は「利用が少ないと財政的に路線を維持することが難しくなる。できるだけ大勢の方に乗っていただきたい」と話している。(朝日新聞)
■JR西日本 上場を仮申請
 JR西日本は18日、株式上場を東京、大阪両証券取引所に仮申請した。22日までに名古屋、京都、広島、福岡の各証取所にも順次、仮申請する。6月下旬に開く株主総会後に正式に申請し、10月をめどに上場が実現する見通しだ。
 JR株の上場はJR東日本以来約3年ぶり、2社目になる。JR西日本は1994年8月に初めて上場を申請したが、株式市況の低迷や阪神大震災の被害による財務内容の悪化などで、上場が見送られていた。
 最近の株式市況の回復でようやく申請にこぎつけたもので、この日午前、大証には南谷昌二郎副社長が訪れ申請書類などを提出。これを受け大証は、事業内容や業績の推移など上場基準に沿った審査を始める。
 今回放出するのは、国鉄清算事業団が保有する発行済み株式総数200万株のうちの150万株前後。売り出し価格が高くなるのを避けるため、入札比率を五割近くまで引き上げ、残りは公募にする。上場後も1株当たり年1割の配当を継続する方針。(京都新聞 夕刊)
■東海道線乱れる 快速電車が故障
 18日午前7時50分ごろ、JR東海道線の向日町−西大路間を走行中の網干発米原行き快速電車に自動的にブレーキがかかり、停車した。
 運転士が調べたところ、ブレーキ菅のエア漏れでブレーキが作動したことが判明。応急処置をして徐行で運転を再開、京都駅で運転を打ち切った。同快速が部分運休となったほか、上下8本が最高8分遅れ、約7400人に影響が出た。(京都新聞 夕刊)
■JR西日本 株式上場を仮申請 10月から上場の見通し
 JR西日本(本社・大阪市)は18日、東京と大阪の両証券取引所に、株式上場の仮申請をした。株式市場の低迷や阪神大震災による収益悪化で2年続けて上場が見送られてきたが、最近は市場が安定しているうえ同社の業績も回復してきたため、政府から上場手続きに入ることが認められた。JR株の上場は1993年10月のJR東日本に続いて2社目。
 19日以降、広島、福岡、京都、名古屋の各取引所にも順次、仮申請する。6月下旬の株主総会で96年3月期決算が確定した後、本申請に切り替え、10月から上場される見通しだ。
 JR西日本は資本金1000億円。95年3月期には、震災の被害を受け、経常利益が前期比62.7%減の204億円に落ち込んだが、96年3月期決算では売上高で前期比5.7%増の9240億円、経常利益で530億円を見込んでいる。
 仮申請は、上場までの期間を短くするため特定の企業に認められている手続きで、各証券取引所は過去の決算内容などをもとに実質的な審査を始める。
 現在、JR西日本の発行済み株式200万株すべてを保有している国鉄精算事業団は今後、今回放出する株式数などを詰める。売却益はすべて、旧国鉄の債務返済にあてられる。(朝日新聞 夕刊)
■架線ゆるみ 運転を中断 JR福知山線
 18日午前10時45分ごろ、兵庫県氷上郡春日町黒井のJR福知山線第一平松踏切付近で、架線がゆるんで垂れ下がり、通りかかった福知山発大阪行きの快速電車(乗客約80人)が停車した。電車は現場付近で、運転を見合わせている。現場は単線で、他の電車も運転を見合わせている。JR西日本福知山支社によると、正午現在、復旧の見通しは立っていない、という。(朝日新聞 夕刊)
19日■地下鉄サリン 幹部に進言され承認 冒頭陳述 麻原被告の関与指摘へ
 オウム真理教前代表の麻原彰晃被告(41)は昨年3月に起きた地下鉄サリン事件の直前、教団幹部ら6人と乗り合わせた教祖専用車の中で強制捜査のほこ先をかわすための協議をし、幹部から「地下鉄にサリンをまくしかない」などと進言され、承認した、と複数の幹部が捜査当局に供述していたことが18日、明らかになった。麻原被告がこの事件の計画段階から探く関与していたことを裏付ける新しい供述内容で、検察側はこれを、24日から東京地裁で始まる麻原被告の公判の冒頭陳述で明らかにする見通しだ。
 これまでの捜査や公判では、@この専用車内で麻原被告が、遠藤誠一被告(35)に宗教名で呼びかけ「ジーヴァカ、サリンを作れ」と命じたことAサリン発散を終えた林郁夫被告(49)らを麻原被告がねぎらったことが明らかにされている。しかし、幹部が居並ぶ場で麻原被告がサリン事件を決意していたとする供述は、これまで開示されていなかった。
 専用車内でのこうしたやりとりは、地下鉄サリン事件での麻原被告の共謀を立証するうえで核心ともいえるもので、今後の審理で大きな焦点の一つになりそうだ。
 今回、新たに明らかになった供述によると、麻原被告らは昨年3月17日、東京都杉並区内で、遠藤誠一被告(35)らが教団内で昇進したことのお祝いをした。その会が終わった同日深夜、麻原被告らは教祖専用の外車ロールスロイスに乗って山梨県上九一色村の教団施設に向かった。
 専用車には、運転手役の信徒を含め計7人が乗っていた。向かい合わせに6人が座れる後部客室部分には、麻原被告、その隣に故・村井秀夫幹部、麻原被告の正面に井上嘉浩被告(26)が座り、ほかに遠藤被告、青山吉伸被告(36)、起訴されていない別の幹部(27)もいた。
 車内で、麻原被告は村井幹部と、警察の強制捜査が迫っていることなどについて話していたが、この場で、井上被告らが「尊師、サリンを地下鉄にまくしかないと思います」などと進言。麻原被告は「ジーヴァカ、サリンを作れ」という言い方で、地下鉄にサリンをまくことを承諾したという。(朝日新聞)
■JR各社、広がる経営格差 本州3社、完全民営へ着々 西日本の上場仮申請
 JR西日本が18日、東京と大阪の証券取引所に株式上場の仮申請をした。株式市場の低迷や阪神大震災による収益悪化で2年続けて延期されていたが、10月にも上場される見通しになった。来年度にはJR東海も上場する計画で、1993年に上場したJR東日本を先頭に、本州3社は完全な民間会社になる日も遠くない。一方で、業績が低迷する北海道、九州、四国の「三島会社」とJR貨物は上場のめどがたたず、差が開くばかりだ。
●三度目の正直
 JR西日本株の売却収入は、すべて旧国鉄の債務返済にあてられるので、直接の恩恵はない。だが、「何かあれば政府がなんとかしてくれる、と考えがちだった親方日の丸的な体質から、不特定多数の株主に対して全社員が経営責任をもつ民間企業体質への転換につながる」と、井手正敬JR西日本社長はメリットを強調する。
 今後は、固定資産税を半額にする措置が来年3月末で打ち切られて年間120億円の負担増となるほか、自治体と共同出資して建設中の新線が来年度から開通するため、年間140億円の使用料が必要だ。営業距離の半分は赤字という問題もあり、一層の経営努力が必要だ。
●東海も自信満々
本州のJR3社の内容
 東日本東 海西日本
資本金2000億円1120億円1000億円
発行済み400万
(うち250万売却)
224万200万
売上高1兆9563億円1兆1089億円9404億円
経常利益1030億円647億円520億円
総資産6兆6344億円6兆 931億円2兆3639億円
売上高と経常利益は来年三月期の見通し、
総資産は昨年9月末
 JR東海は、今年度の経常利益で、上場基準の448億円を大幅に上回る647億円をみこむ。ドル箱の東海道新幹線に加え、低金利で金利負担が減ったことが追い風となった。「上場時期は政府や国鉄清算事業団が決めることだが、いつでも上場できる状態」と自信たっぷりだ。
 ただ上場後も、「JR会社法」によってさまざまな制限は残る。代表取締役の人選や毎年の事業計画をはじめ、社債の発行や長期の借り入れ、財産の処分についても運輸相の認可が必要だ。
 政府保有株がゼロにならないかぎり常に規制の網がかぶさり、経営判断をゆがめる恐れも残る。
●JR株の行方
 国鉄清算事業団が抱える旧国鉄の長期債務は27兆6000億円。今年度はJR西日本株の75%ほどにあたる150万株ほどを売り出して、6000億円から8000億円の収入をみこむ。
 事業団は利払いだけで年間1兆円を超えるので、来年度はJR東海224万株のうち150万株程度を売り、その後の早いうちに本州3社の残りの株を一斉に売却する方針だ。
 一方、JR貨物はトラック輸送との競争などから赤字続き。国から与えられた基金の利子で経営を支えてきた「三島会社」も、上場は難しそうだ。
 「地域鉄道の性格が強い三島会社は上場せず、地元の経済界などに株を買ってもらう」(広野八哉JR四国専務)という選択が現実的のようだ。
・「市場へ影響小さい」 証券業界
 証券関係者の多くは、JR西日本株の上場に見合う程度は株式市場へ資金が流入するとみて、大きな影響はでないと予測している。しかし、JTなど政府保有株の追加売却が今後も予定されているので、売り出しの時機によっては株式の供給がダブつく恐れもある。JT株やJR東日本株の上場後、相場全体が急落した経緯もあり投資家からは「二の舞いにならなければいいが」との声も出ている。
 日興リサーチセンター投資調査部の三宅一弘主任研究員は「JTとJRで約1兆円の資金調達になるだろうが、ギリギリ吸収できる。ただ、1日平均の売買代金が5000億円を割る水準まで取引が落ちると負担になるので、売り出す時機が重要だ」と指摘する。山一証券投資情報部の鈴木久雄次長は「政府保有株の放出は過去に何度も失敗したが、株価の回復局面で売り出すのは初めて。今なら大きな負担にならない」。JR東日本の株価などが売り出し価格の指標になるため、「みんなが飛びついて過熱した過去の例は繰り返さない」(大和総研投資調査部・三宅淳司氏)との見方が強い。
 一方、ある生命保険会社の株式担当者は「政府保有株は相場の下り坂に大量売却され、需給が崩れた。今年も6月以降は株価が下がるとの見方が強いから、同じパターンになる可能性もある」と話し、投資する側からの不安をのぞかせた。(朝日新聞)
20日■窓 JRの精算方法に疑問 中京区・岸上雅勇(無職・61)
 4月16日、孫に会いに京都より大阪天王寺区の長女の自宅に行った。非常に楽しくうれしく幸せな時間を過ごし、孫に送られ帰路についた。
 問題はここからである。JR京橋←→桃谷間は150円区間だが、よく利用するので回数券を使用している。当日、私は大阪駅まで所用があったので、桃谷駅から回数券で乗車し大阪駅で下車、駅の精算所で回数券に10円を出して精算しようとした(桃谷→大阪駅間は160円)。ところが、係員から回数券の乗車区間を越えた場合は、越えたところから下車駅までの料金を支払ってもらわないと困る、と言われ桃谷→京橋の150円回数券と京橋→大阪駅の150円の合計300円を請求された。
 私は不愉快に思い係員に話をしたが、JRの精算はこの方法であると言われた。私の後で精算する人の列ができたので私はあきらめたが、ここで一言申し上げたい。せめて精算の時に桃谷−京橋間の回数券を返します。桃谷駅改札時の検印は取り消しますので、後日使用してください。その代わり桃谷→大阪間の料金160円をいただきます。このセリフで処理してほしかった。JRの精算方法では、これは駄目なのでしょうか。(京都新聞)
■山陰線「電化」1ヵ月乗車率 不通電車が快調 特急は前々年の約89%に
 園部−綾部間の電化から1ヵ月たったJR山陰線の列車乗客数は、特急が前々年(1994年)同期より2万6000人減ったものの、普通電車は同6万2000人増え、ほぼ予想通りに推移していることが、JR西日本のまとめでわかった。
 まとめは、阪神大震災で主要路線の不通が続いた前年との比較を避け、前々年同期比で行った。
 今回の電化に伴い山陰線にデビュ−した「きのさき」「はしだて」など電車特急の乗客数(3月16日−4月15日)は、計20万2000人と、前々年実績の89%。普通電車は126万2000人で同105%だった。
 特急の乗客が減ったのは、電化と同時に実施された3月16日のダイヤ改正で阪神地区から京都駅を経由せずに、山陰方面へ向かう特急や急行が増えたため、とみられる。
 主な特急列車の1ヵ月間の乗車率は、「きのさき」が59%、「はしだて」64%、「たんば」40%。北近畿タンゴ鉄道の「タンゴエクスプローラー」は、121%と高率だった。
 JR西日本では「特急の乗客減は織り込み済み。乗車率が60%あれば、特急列車としては好成績といえる。普通列車の乗客は確実に伸びており、電化の効果は十分出ている」という。(京都新聞)
■GW予約好調です 北陸方面、満席列車も JR西、下りピークは3日
 JR西日本は19日、今季ゴールデンウイーク期間中(4月26日−5月6日)の列車指定席予約状況をまとめた。京都駅、大阪駅を中心にした新幹線と在来線を合わせた全体の予約率(18日現在)は45%。混雑のピークは下り列車が5月3日、上りは5月5、6日となっている。予約率が特に高いのは在来線の北陸方面で、下り(北陸行き)が58%、上りが59%。曜日によっては既に満席の列車もある。
 反対に空いているのは山陰方面で、上り下りとも予約率29%と低調。南紀方面も40%台で、まだ余裕がある。
 新幹線は、博多方面、東京方面の上下ともに50%近くに達し、前年を10−17ポイント上回る出足。乳幼児連れで出かける家族客に人気の新幹線「ファミリーひかり」は、満席の列車が出ており、同社では「早めにご予約を」と話している。(京都新聞)
21日■新幹線「新品川駅」 7年後完成へゴー
 東海道新幹線の「品川新駅」建設計画がこのほど認可され、JR東海は2003年の完成を目指して年内に着工する。
 輸送力の増強が第一の目的だが、阪神大震災の教訓を生かし、大災害時はにサブターミナルとして機能させる狙いもある。JR東海では、この新駅ができると回送列車を大井車両基地へ運ぶ手間が省け、今より4本の増発が可能になるほか、ダイヤの安定性や弾力性の確保にも貢献できるとしている。
 新駅は現在の品川駅に併設。ホームの長さは410bで、本線2本、副本線2本、留置線3本、橋上駅舎を建設する。工事費約1097億円。(京都新聞)
22日■踏切内で車が横転 近江八幡JR線 列車に運休や遅れ
 21日午後6時半ごろ、近江八幡市日吉野町のJR東海道線日吉野踏切(警報機、遮断機付き)で、姫路発長浜行きの新快速電車の運転士が、踏切の信号発光機が作動しているのを見つけ、列車を止めた。踏切北側の線路上に軽ライトバンが横転しており、近江八幡−篠原間が約30分不通となったため、上下3本の列車が運休したほか14本が最高50分遅れ、約3500人の足に影響がでた。
 近江八幡署によると、軽ライトバンはスピードを出し過ぎて踏切直前の右カーブを曲がり切れず、線路内で横転したらしい。軽ライトバンの運転手は現場におらず、同署が行方を捜している。(京都新聞)
23日■麻原被告あす初公判 地下鉄サリンなど3事件
 オウム真理教の教祖麻原彰晃被告(41)の初公判が24日、東京地裁で開かれる。麻原被告は午後に行われる罪状認否で、この日審理入りする地下鉄サリンなど3事件について、はっきりした認否をしない可能性が高い。
 今後の公判では各事件について「明確な指示をしたわけではない」などの認識を示し「麻原被告の絶対的な指揮命令による組織的犯行」との検察側構図と全面対決、審理は長期化することになりそうだ。
 12人から成る国選弁護団は昨年11月以降、検察側から開示された証拠の検討などを重ねてきたが、検察側が主要幹部の調書を開示していないことなどを理由に「麻原被告の役割が不明」などとして、初公判では意見留保などの戦術を取る見込みだ。
 麻原被告の一連の事件の審理で検察側は、「ポアしろ」という宗教用語が教団で殺人の指示を意味していたことなど、同被告の弁明の外堀を埋める立証にも力を入れるとみられる。
 検察側は調書を証拠申請せず証人尋問で立証する方針を固めており、かつての「弟子」たちが「尊師」の前でどこまで検察側主張に沿った証言をするのかが、裁判の大きなポイントになりそうだ。
・4遺族傍聴へ 東京地裁が傍聴席確保
 24日に予定されているオウム真理教教祖麻原彰晃被告(41)の初公判について、東京地裁は22日、計96席ある傍聴席のうち、2席を地下鉄サリン事件の遺族用に確保することを決め、関係者に通知した。
 遺族・被害者側はこれを受け、24、25両日の公判に計4人の遺族を傍聴させる方針を決めた。
 同事件で損害賠償請求訴訟を起こした遺族、被害者の代理人によると、24日の傍聴者の1人は事件で死亡した営団職員高橋一正さん=当時(50)=の妻で「被害者の会」代表世話人のシズヱさん(49)。残り3人の氏名は明らかにできないという。
 遺族らは2月「麻原被告の公判では特別傍聴券を確保してほしい」などと同地裁に申し入れていた。
・「オウム裁判」 1審有罪104人
 オウム真理教関連事件で、ことしに入って22日までに全国で39人が判決を受け、昨年と合わせ一審判決を受けたのは計104人となった。昨年3月の教団強制捜査開始以降に起訴された177人の6割に当たり、いずれも有罪で、うち34人は実刑判決。91人が一審で確定したほか、実刑判決を受け二審で控訴棄却された1人が確定した。(京都新聞)
■JR貨物株 来年度にも放出 運輸省 3割以上、関係企業に
 運輸省は国が保有するJR貨物の発効済み株式38万株の3割以上を1997年度にも放出する方針を固め、調整に入った。株式市場への上場ではなく、大手の物流業者や石油などエネルギー関連業界の荷主、金融機関のほか、JR旅客会社などに割り当てる方針。JR貨物は93年度から赤字が続いており、株式を貨物輸送に関連する業界などに公開することで、連携を深め経営基盤を強めるのが狙いだ。
 JR貨物の95年度の決算は売り上げが2051億円と前年より微増するものの、経常赤字は86億円に膨らむ見通し。運輸省は、物流業者や荷主に株式を保有してもらうことで、経営合理化を進めるとともに、競合するトラック輸送と連携した輸送体系を組める、と期待している。現在は赤字会社なので、証券市場へ株式公開するのは難しいため、関係企業に出資してもらうことにした。
 売却する株価の算定方法などは今後、決める。大手物流会社や荷主などの一部には、将来、運転手不足が予想されることやトラックとの一環輸送による業務の効率化を考え、取得に意欲を示す企業もある。
 JR貨物の資本金は190億円、総資産額は2570億円。2003年度には、鉄道事業部門の人員を約1300人減らして7000人にし、売り上げを2650億円にする計画を進めている。運輸省はJR貨物の株式放出を27兆6000億円に上る旧国鉄の長期債務減らしにもつなげたい考えだが、「赤字に苦しむ企業の株を引き受ける関係企業がどの程度あるのか」という冷めた見方もある。(朝日新聞)
■処分とJR採用拒否 国労組合員敗訴の判決 大阪地裁
 国鉄の分割・民営化前年の1986年、大阪鉄道管理局が国労組合員の電車運転士らに、電気機関車の機関士や検査係への「転換教育」を課した。これを、「不当労働行為」と抗議したことで停職1−6ヵ月の処分を受けた41人と、そのうち、処分を理由にJR西日本への採用を拒否された2人が、国鉄清算事業団(提訴当時は国鉄)やJR西日本などに処分の無効や地位の確認などを求めた訴訟の判決が22日、大阪地裁であった。松山恒昭裁判長は「原告らの行為は教育を実質的に妨害し、職場秩序を乱したもので、処分は懲戒権者の裁量の範囲内」などと述べ、組合員らの請求をいずれも棄却した。
 原盤口側は、@貨物列車の激減で電気機関車は減っていて、機関士を増やす理由はなく、転換教育も必要なかったA抗議は実力行使もなく短時間だったのに、免職に次ぐ重い処分にしたのは処分権の乱用にあたる「などと主張していた。
 また、6ヵ月の停職処分を受けたことを理由に、JR西日本への採用を拒否された2人が社員としての地位の確認を、採用されたものの低賃金に格付けされた35人が、正常な賃金等級の確認をそれぞれ求めていた。
 判決は、採用拒否についても「労働契約関係がそのままJRに引き継がれるわけではなく、権限の乱用にあたらない」として、原告の訴えを退けた。(朝日新聞)
■列車脱線、45人死傷 フィンランド
 【ロンドン21日=共同】フィンランドからの報道によると、ヘルシンキ北方45`の町ジョケラ付近で21日早朝、乗客約200人を乗せた寝台列車が脱線し、4人が死亡、41人が重軽傷を負った。死傷者に外国人が合まれているかは不明。(朝日新聞 夕刊)
24日■改札業務にも短大卒女性 JR東海、97年度採用
 JR東海は23日、1997年度の新規採用計画を発表、この中で駅の改札や切符販売窓口に女性の短大卒営業職を導入することを明らかにした。
 女性の現場業務は西日本が車掌、東日本が旅行センター窓口に就いており、私鉄では名鉄などが改札業務に導入している。
 新規採用は前年度実績より16人多い約390人。内訳は大卒70人で、初めて導入する女性の短大卒営業職が30人。このほか短大を含む大卒女性の一般事務職は15人で、高専と高卒男子は275人の計画。短大卒営業職は東京、静岡、名古屋、京都の各駅で勤務する予定。(京都新聞)
■高校生が飛び込み 亀岡のJR線、即死
 23日午後5時40分ごろ、亀岡市篠町山本のJR山陰線地蔵トンネルの亀岡側出口の西側で、男性が園部発京都行きの普通列車に飛び込み、全身を打って即死した。
 亀岡署の調べでは、所持品などから同市内の高校生で三重県の私立高校の1年生(15)と判明、現場に残っていたリュックサックのなかには遺書と見られるメモ書きがあった。
 同高は全寮制の高校で、校長の話では、この生徒は今年4月8日に入学、11日からは「親身にしているいとこに会いたい」といって学校を欠席し、亀岡市の自宅に帰省していた、という。
 この事故のため、同線は上下線とも最大で30分の遅れがでた。(京都新聞)
■窓 禁煙のルール 一層の徹底を 大津市・方山 直(教員・45)
 今はJRも他の私鉄も「終日禁煙」となっている。喫煙コーナーを設け、その他の場所は禁煙となって久しい。
 私は、たばこのにおいをかぐと頭痛がするほどなので、鉄道会社の「終日禁煙」はありがたい。嫌煙ムードが高まる中で、この確立されたルールは今後ともぜひ守ってほしい、と思う。
 だが、中には「どこでたばこを吸おうとおれの勝手だ」と考えておられる人もおられるようで、時々プラットホームをスパスパやりながら歩いてゆく人を見ることもある。
 そこで各鉄道会社に再度「駅構内では決められた場所で禁煙する」というキャンペーンをお願いしたい。喫煙者の中には「たばこを吸わない人間にとって、煙は苦痛以外の何物でもない」ということを理解できない人がいるようなので、ぜひお願いしたい。
 たばこは吸う人にとっても、横で吸われる人にとっても体によくないのだ。(京都新聞)
■11月に新駅 JR芦屋−摂津本山間
 JR西日本は23日、東海道線の芦屋−摂津本山間に建設している新駅を11月に開業させることを明らかにした。駅名は「甲南山手」と運輸省近畿運輸局長に届け出ている。
 甲南山手(仮称)駅は一昨年秋、神戸市東灘区森北町一丁目に着工。その後、駅の南側は阪神大震災で大きな被害を受け、神戸市が土地区画整理事業の区域に決定した。このため、震災前から計画されていた駅前北広場(約2200平方b)に加え、防災対策として南側に駅前南広場(約3000平方b)と幅17bの幹線道路の建設を決め、地元と協議を進めている。
 線路が高さ約3bの盛り土の上にあるため、駅舎は盛り土をくりぬく格好で線路下に建設する。建設費は約10億円。開業後は1日304本の普通電車が停車し、約2万人の乗降客を見込んでいる。(朝日新聞)
■不発弾撤去のため 環状線が一部運休 大阪で27日
 大阪市城東区鴫野西二丁目の建設工事現場で不発弾が見つかり、27日午前10時半から午後零時半ごろまで撤去作業がある。JR西日本は、午前10時半から作業終了まで、大阪環状線の大阪−京橋−天王寺間を全面運休し、大阪発着の大和路快速はJR難波発着に、京橋発着の関空特快「ウイング」と関空快速は大阪発着に切り替える。5万人に影響があるとみられ、市営地下鉄や近鉄、京阪への乗り換えを誘導する。(朝日新聞)
25日■オウム麻原被告初公判 罪状認否を留保 独自の教義を展開 弁護側 公正審理求める 東京地裁 全容解明、長期化へ
 オウム真理教教祖麻原彰晃被告(41)=本名松本智津夫=の初公判は24日午後も東京地裁(阿部文洋裁判長)で開かれ、麻原被告はこの日審理入りした地下鉄サリンなど3事件についての罪状認否を留保した。同被告は「絶対自由、絶対幸福、絶対歓喜を得てもらうための実践などによって生じるいかなる不自由、苦しみも頓着(とんちゃく)しない」などと独自の教義を展開した上で「これ以上のことをここでお話しするつもりはありません」と述べた。阿部裁判長が「起訴事実については自分の実践として行ったということですか」と問いただしたが、弁護側が質問を遮って「留保の趣旨だ」と説明、その後、弁護人の意見として「公正な審理をお願いしたい」などと要望した。
 教団トップが、裁判で起訴事実への認否を先送りし、教義を正当化する発言をしたことで、教団内の指揮系統を含めた事件の全容解明作業は長期化する見通し。今も残る信者や公判中の元幹部らにも大きな影響を与えそうだ。
 この日審理されたのは、麻原被告が問われた17事件のうち地下鉄サリン、信者落田耕太郎さんリンチ殺害、麻酔剤チオペンタール密造の3事件。
 麻原被告は午後4時半前に始まった罪状認否で「逮捕される前も後も一つの心の状態で生きている」と切り出し、「それは聖慈愛、聖哀れみ、聖賞賛の実践。そして三つの実践によって生じるいかなる不自由にも頓着しない聖無頓着」などと言葉を並べた。
 弁護側は「被告の結論は、その認否を留保するという趣旨。弁護人らも同様」と説明した上で報道などによる予断を排し、公正な手続きによる裁判をするよう求めた。さらに検察側が共犯者の調書を開示せず、共謀の内容を明らかにしていないことに対し「弁護人の側に防御と弁護の方法がない」と強く折議した。
 これに先立つ起訴状朗読では、弁護側の希望により地下鉄サリン事件の被害者3807人の氏名、被害程度などを記載した別表も全文読み上げられたため、同事件の起訴状朗読は昼の休廷などを挟んで3時間40分にわたった。
 初公判は午後5時前、閉廷した。25日に第1回公判が開かれ、検察側の3事件の冒頭陳述と弁護側が同意した証拠の調べが行われる。(京都新聞)
■固まらぬ弁護方針 事件構図は検察ペースに
解説 オウム真理教の教祖麻原彰晃被告が24日の初公判で起訴事実に対する罪状認否を留保したことで、注目の「教祖裁判」は当面、争い方や弁護方針がはっきりしないまま進行する事態となった。オウム事件の解明には麻原被告自身の真相告白が重要だが、このままだと検察側のペースで事件の構図が固まっていくことになりそうだ。
 麻原被告の裁判はこの日審理入りした地下鉄サリンなど3事件を皮切りに、起訴された17事件すべての冒頭手続きを7月までに終える方向で調整が進められている。順調に行けば、秋の公判から検察側立証に移る見通しだ。
 検察側は最大の焦点である一連の事件での「麻原指示」などを立証するため、供述調書ではなく幹部被告らの証人尋問を求める方針を固めており、これらの「弟子」たちが「尊師」と仰いだ麻原被告の面前でどこまで真相を語れるかが重要なポイントとなる。
 この点で、麻原被告が事件に対する明確な姿勢を示していないことがどう影響するかは未知数だが、検察側は証人尋問による立証に大きな自信を示している。
 麻原被告は一連の事件へのかかわりの有無を弁護団に語っているとされ、一定の時期には弁護団が起訴事実への考え方を述べるとみられるが、現時点では方針が確定していない状態だ。
 この日の法廷でも、クルタ(宗教服)着用の申し立てや起訴状読み間違え部分の読み直し要求などに見られるように、法廷技術を駆使した「引き延ばし策」とも取られかねない対応が目立った。
 事件をめぐる本質的な法廷論争がないまま公判がいたずらに長期化する事態も予想され、裁判所の強い訴訟指揮が注目される。(京都新聞)
■とうとう独善「説法」 麻原被告初公判
 証言台に立った”教祖”は、かつて信者たちに説いた教義をそっくり法廷で繰り返した。注目の罪状認否が行われた24日午後の麻原彰晃被告(41)初公判。「すべての魂が絶対自由を得るために…」「哀れみの心によって不幸を取り払ってあげようと…」。独善的な宗教論をとうとうと展開、時には居眠りしているかのようなそぶりも見せながら1日目の審理は終わった。長期化を思わせる裁判の進行に「捜された人間の人権はどうなるのか」と遺族。元信者は「凶悪犯罪を起こしながらごう慢な発言だ」と落胆した。逮捕以来一年ぶりに登場した被告の姿に列島各地から「無責任」と怒りの声も起きた。
・証言台 教祖ぶりしがみつく 元信者「ごう慢な発言だ」
 「私は逮捕前も、逮捕された後も一つの心の状態で生きてきました」−。これまで、罪を悔い「教祖の指示」を告発した被告信者らが向かった証言台。独自の教義の名の下に、凶悪犯罪を命令したとされる「主宰者」がそこに立った。麻原彰晃被告は罪状認否をせず「絶対の真理」などの宗教用語を交え、裁判官らにも「説法」。落ち着いた声でよどみなく「心の状態」を説明し、教祖ぶりを誇示する態度を取り続けた。
 「絶対の真理を知らない不幸、苦しみ、不自由に対し哀れみの心を持ち、それを取り払ってあげたい」
 午後4時半前、麻原被告が意見陳述を始めた。5分近く宗教論を展開した後「これ以上のことをここでお話しするつもりはありません。以上です」と結んだ。
 阿部文洋裁判長が「自分の実践として実行したということですか…」と認否を確認しようとすると、弁護団がそれを遮って「被告はこれ以上言うつもりはありますか」と質問。麻原被告は「ありません」ときっぱり言い、認否はできないまま打ち切られた。
 公判が終わり、係官に退廷を促された麻原被告は素早く立ち上がり、手錠を掛けられると予想したのか、両手を前に突き出した。しかし、手錠は掛けられず、両手を前に出したまま、入廷の時より早い足取りで法廷を後にした。
 午後の法廷は午前中に引き続き、4時前まで地下鉄サリン事件の被害者名簿の読み上げが続いた。麻原被告は何度も座り直して目を強く閉じたり、伸びたひげに手をやるなど落ち着かない様子。独り言をつぶやくようにわずかに唇を動かす。顔をゆっくり上下させ、居眠りしているように見えることも。
 麻原被告の意見陳述前、一部の照明が消えて一時薄暗くなるハプニング。裁判官らは天井を見上げるなどしたが、麻原被告はじっと動かなかった。
 続く弁護田の意見陳述は20分以上』その間、麻原被告は両手を前に組み、ほとんど身じろぎもしなかった。
・傍聴者 「居眠り姿に本質見た」
 自らもオウム真理教によるサリン攻撃の標的になったとされる滝本太郎弁護士は初公判傍聴後、「こんなやつに命を狙われたのか」と怒りの表情を見せた。罪状認否を避けて都合の良い宗教論を展開した麻原被告。滝本弁護士は「法廷で居眠りを繰り返す姿を信者も見た方がいい」と吐き捨てるように言った。
 オウム真理教を追い続けるジャーナリストの有田芳生さんも「こっくりこっくりしているのを見て、事件にまともに向かおうとしていないことが分かった。彼の本質を見たような気がした。馬脚を現した感じだ」と憤慨していた。
 オウム裁判の傍聴に何度も並び今回初めて席を確保した東京都町田市の大学生宮本貴章さん(20)は「宗教的な言葉で自己を正当化しているだけ。自分はまったく魅力を感じなかった」とあきれた様子だった。
・自分の命が惜しいだけ 夫失った妻ら会見
 「愛する家族を殺されたらどう思うか」「法廷で居眠りなんかせず、正座して謝ってほしい」。地下鉄サリン事件の遺族、被害者ら女性4人が24日、麻原彰晃被告の公判後に東京・霞が関の弁護士会館で記者会見し、激しい怒りの心情をぶちまけた。
 会見したのは営団地下鉄助役だった夫高橋一正さん=当時(50)=を失ったシズヱさん(49)、同じく助役の夫恒夫さん=当時(51)=を亡くした菱沼美智子さん(52)と、出勤中に被害に遭い後遺症に悩む平田智子さん(24)ら。
 「今日は麻原と対決するんだ」と思い、黒のワンピースを着て気持ちを引き締めたというシズヱさんは、夫の写真をバッグに入れて法廷に。居眠りしていたように見える麻原被告について「教団代表として取るべき態度か疑問。自分の命が惜しいだけとしか見えない」とハンカチで目頭を押さえた。
 菱沼さんは「謝罪の言葉は一言もなく、怒りを通り越してあきれた。主人が聞いていたら無念に思うだろう」と肩を振るわせ、平田さんは「いつか人間の心を取り戻して謝罪してほしいが無理でしょう」と怒った。
 また弁護士が事件で娘を殺された別の母親の手紙を代読。手紙は「坂本弁護士一家事件をしっかり捜査してくれていたら、TBSが(ビデオ問題を)通報していたら、サリン事件は起きなかった」と神奈川県警とTBSを批判していた。(京都新聞)
■師団街道、一時通れず 高架に荷台引っ掛け
 24日午前10時40分ごろ、京都市東山区一橋野本町、JR奈良線高架下の師団街道で、南行中の三重県上野市問屋町、ナガタ貨物自動車の大型トレーラー=崎谷孝二さん(46)運転=の荷台の上部が高架部分に引っ掛かり、南行北行の2車線をふさいで停車した。事故処理のクレーン車が車体を引き出したが、師団街道の塩小路通から九条通の間約1`が、約2時間半通行止めになり、市バスなどがう回した。
 松原署の調べでは、トレーラーの荷台が高架の高さ制限(3.4b)を超えていたため引っ掛かったという。(京都新聞)
■JR大阪駅で「異臭騒ぎ」
 24日午後6時40分ごろ、大阪市梅田のJR大阪駅7番線ホームで、到着した西明石発高槻行普通電車(7両編成、乗客約500人)の先頭車両の乗客から「異臭がする」と苦情があった。JR西日本は同駅で乗客を全員降ろすとともに警察に通報した。けが人などはなかった。府警曽根崎署などが列車内を調べているが、通報者は既に立ち去っており、不審物などは見つかっていないという。
 この日は東京地裁でオウム真理教の麻原彰晃被告の初公判があったことなどから、大阪市消防局が消防車など15台を出動させるなど付近は一時騒然とした。(京都新聞)
■関空乗り入れ特急 騒音、振動の実態調査 南海とJR 8市2町沿線 大阪府など来月に
 関西空港へ乗り入れる特急電車の騒音が沿線で深刻化していることから、大阪府などは5月に約1週間をかけ、南海本線とJR阪和線沿線で、騒音・振動公害の実態を調査することを24日までに決めた。
 1994(平成6)、年9月の開港以来、住民から「騒音がひどくて眠れない」という苦情が増え、各自治体が独自に調査していたが、大阪府が中心となり、初めて一斉に調査することになった。堺市、岸和田市など8市2町の10数地点に騒音計と振動計を置いて計測する。
 開港後、南海電鉄は「ラピート」JR西日本が「はるか」の直通特急を登場させ、開港前と比べ、1日の特急が両社で計約60往復増えた。運転間隔も約30分から約10分間隔に縮まった。
 新幹線の環境基準値は住宅地で70デシベル以下だが、堺市などの調査では90デシベルを超える地点もあるという。
 在来線の新設については、昨年12月、昼間60デシベル以下、夜間55デシベル以下という環境庁の騒音対策指針が定められたが、両線とも、既に建設されており、指針の適用対象外となっている。
 大阪府は、新幹線の環境基準値や新設線の対策指針を参考にし、騒音、振動がひどい地点は、防音壁の設置や線路の高架化などの対応策を両社に求めることも検討する。(京都新聞)
■麻原被告 罪状認否を留保 東京地裁の初公判 現在の心境陳述 弁護側「厳密な審理」要求
 24日午前から東京地裁で開かれたオウム真理教前代表、麻原彰晃被告(41)=本名・松本智津夫=の初公判は午後の法廷で地下鉄サリン、落田耕太郎さんリンチ殺人、麻酔薬製造の3事件についての罪状認否に移り、被告、弁護団は、ともに起訴事実に対する認否を留保した。弁護団は意見陳述などで「厳密な審理」の必要性を強調し、検察側の証拠開示が不十分であると批判した。一連の「オウム事件」裁判の中核に位置づけられる「麻原公判」は、冒頭から激しい攻防を繰り広げる展開となった。25日の第2回公判では、検察側の冒頭陳述に続き、弁護側が検察側提出証拠の採否についての意見を述べる。
 一連のオウム裁判では、麻原被告への強い帰俵を表明し、起訴事実についての認否を黙秘している被告もいる。麻原被告の認否留保は、そうした信徒被告の公判や、今も教団に残る信徒たちの今後にも影響を与えそうだ。
 注目の罪状認否で、麻原被告は「いかなる不自由、不幸、苦しみに対して、一切とんちゃくしない」などと、独自の宗教論を交えて現在の心境を表現した。そのうえで、「今、私はそれ以上のことをここでお話しするつもりはありません」と述べた。
 続いて意見陳述に立った渡辺脩弁護団長は「被告人意見の結論は、認否を留保するという趣旨だ」と説明し、弁護団も同様に認否を留保した。
 意見陳述の中で、弁護側は「社会的予断」を排除した審理の必要性を強調。地下鉄サリン事件での麻原被告の共謀の有無を最大の問題ととらえ、@一連の事件の中での位置づけなどが明らかにされないと、実行行為の観点からだけでは「共謀」を絞り込めないA検察側は、地下鉄サリン事件と麻原被告との結びつきを示す証拠を全く開示しておらず、起訴の対象とされる具体的な行為を認識できない−などと主張した。
 起訴された17事件のいずれについても直接には手を下していないとされる麻原被告の公判では、共犯として起訴されている幹部被告らへの指示や、事前の打ち合わせなど、「共謀」の有無が争点になるとみられる。ただ、麻原被告の裁判では共謀をめぐる共犯者の主要な供述調書は依然、開示されていない。弁護側の意見陳述は、こうした検察側の姿勢を批判するものとなった。
 この日は、午前の法廷から昼の休憩を挟んだ起訴状別表の全文朗読が午後4時前まで続いた。弁護側は、被害者名の読み間違いや、被災場所の読み落としなどを指摘して、検察官が4ヵ所を改めて朗読した。
 罪状認否に先立ち弁護側は、審理対象になった3事件での「共謀」の内容や共謀者全員の氏名、地下鉄サリン事件の実行犯がサリン入りの袋を傘で突き刺した回数など、80項目を超す釈明(説明)を検察側に求めた。
 検察側は9項目に答えたが、残りについては「釈明の要はない」「冒頭陳述ないし立証段階で明らかにする」と述べるにとどまった。弁護側はこれに納得せず、5人の弁護人が相次いで「起訴状には実行行為者の名前が出ていない」などと主張した。弁護側は阿部文洋裁判長に対しても、検察側に釈明させるよう求めたが、阿部裁判長は「訴因は一応、特定されている」として応じなかった。
・法廷で師弟対決 検察側きょう幹部証人申請
 オウム真理教前代表麻原彰晃被告(41)の公判をめぐり、東京地検は、主な教団幹部被告たちの調書を証拠申請せずに、被告本人を法廷に呼ぶ証人尋問の形で立証していく方針を決めた。25日の第2回公判で、地下鉄サリンなど審理が始まった事件について、遠藤誠一被告(35)ら幹部数人を検察側証人として申請する見通し。これにより麻原被告の法廷は、師弟対決を軸に展開していくことになる。
 検察側が証人として申請する準備を進めているのは、地下鉄サリン事件では、遠藤被告のほか、林郁夫被告(49)、中川智正被告(33)ら。落田耕太郎さんリンチ殺害事件ではへ杉本繁郎被告(36)らを予定している。
 検察側はこれまで、麻原被告の国選弁護団に対し、共犯者とされる幹部の調書の一部に限って開示してきた。教祖との共謀を捜査段階で認めた幹部の供述内容が麻原被告側に伝わると、将来その幹部に圧力がかかる恐れがあることなどを理由に挙げている。さらには、証拠採用に弁護側が同意する見込みが薄い調書類までも開示するのは、法廷戦略上好ましくないとの判断もあるようだ。
・罪状認否留保 被告と弁護団「妥協」の判断
 《解説》麻原彰晃被告のこの日の罪状認否は、「教祖」としての自負を示したい被告本人と、極刑判決も予想される裁判での防御を法的な立場から模索する弁護団の意向を重ね合わせた結果とみられる。
 麻原被告は、昨年10月に予定されていた初公判の直前には、起訴事実を否認するだけでなく、地下鉄サリン事件では教団の関与そのものまでも争う考えだったと伝えられる。
 初公判の半年延期が、麻原被告をめぐる状況を変えた。
 起訴されている17事件のうち、共犯とされる被告の審理が始まった落田耕太郎さんリンチ殺人など12事件について、法廷で麻原被告の関与を認める信徒被告が現れた。
 弟子の相次ぐ離反に全面否認は苦しい状況となったが、なおかなりの影響力は保持している身。こうした中で、麻原被告は「弟子とけんかしたくない」と漏らし、この日の意見陳述では宗教用語を駆使しつつ、内容は抽象的なものになった。
 他方、国選弁護団には、発生時期とは無関係に17事件の審理の順序が決められていくことへの反発が強い。「事件の全体像がつかめないうちに一部の事件についての認否を明確にして、他の事件審理への対応を拘束したくない」との考え方ではほは一致している。
 被告本人と弁護団の思いの「交点」が、この日の認否留保だったといえよう。(朝日新聞)
■麻原被告陳述 事件触れず「説教」 「罪の意識」ほど遠く 「責任逃れ」怒る被害者
 静まり返った法廷に、地下鉄サリン事件の3800人を超す被害者名簿を朗読する検察官の声が響く。24日、10件の殺人・殺人未遂事件を含む17事件の罪に問われて東局地裁の法廷に初めて立ったオウム真理教教祖、麻原彰晃被告(41)は、その膨大な名前の朗読にもほとんど表情を変えなかった。ひとりよがりな言葉を並べたて、罪の意識をみじんも感じさせない意見陳述には、「人間として許せない」「全く理解を超えている」という非難や怒りの声が出ている。
 「今、私はそれ以上のことをここでお話しするつもりはありません」。24日、東京地裁で裁判が始まって6時間半後の午後4時半、麻原彰晃被告(41)が、約3分間にわたって述べた起訴状についての意見陳述で、法廷にいた人々がはっきりと理解出来たのは、最後のその言葉だけだったのではないか。証言台に立った被告は、午前中から被告席に座り続けた疲れも見せず、低く、落ち着いた声で、難解な独自の宗教観をゆっくりとした口調で披露。とうとう、問われている事件についての意見は一切口にしなかった。
 午前中の人定質問に続いて、麻原被告が再び話すことが出来る罪状認否が行われたのは、3時間半に及ぶ地下鉄サリン事件の被害者の名簿朗読が終わり、さらに弁護団が検察側に起訴事実についての釈明を求めた後だった。
 それまでの時間をじっと目をつぶって待っていたかのように、罪状認否になると、被告はしっかりとした足取りで、証言台の前に立ち、裁判長をまっすぐ見上げるように胸を張った。
 裁判長が黙秘権について説明した後、起訴状について意見がありますか、と聞くと、被告は少し声を抑え気味にして話し始める。「私は、逮捕される前から、そして逮捕された後も、一つの心の状態で生きてきました」
 信徒に話をするときもこんな具合なのか、厳かな感じを与えたいという計算からなのか。
 しかし、その発言の内容は、「聖慈愛の実践」「聖哀れみの実践」「聖賞賛の実践」などと独特の「麻原語」が並ぶだけで、ほとんどの人たちには分からない。どうやら自分は、人々を救済したいとやってきたが、身の上に「不自由」「不幸」「苦しみ」が生じた。しかし、これには一切頓着(とんちゃく)しない、というのが、今の心境だ、と言いたいらしい。だから、何もここでは言いたくない、というのだった。
 その意味不明の内容に、たまりかねた裁判長が、「そうすると今、検察官の読んだ起訴状の内容については、心の実践として行ったのです加こと聞こうとすると、今度は弁護団が一斉に反発。しばらく裁判長とやり合ったが、弁護人の一人が、「あなた、これ以上言う意思、ありますか」と最後に念を押すと、麻原被告は、「ありません」とはっきり答えて、被告席に戻った。
 意見陳述に立つ前、少し青みがかっていた被告の顔は、その後しばらくは少し紅潮したように見えた。
 この日の法廷が終わったのは、午後5時少し前。午前10時から、たっぷり1日を費やした法廷が閉廷されたとき、被告席を立って、法廷出口に向かう被告は、付き添おうとしてのばす刑務官の手を振り払うようにして、午前中には見せたことのないような早足で、法廷を出ていった。
・「現段階でなおなぜ認否留保」 次席検事が批判
 東京地検の甲斐中辰夫・次席検事は24日夕方の記者会見で、麻原被告が起訴事実の認否を留保したことについて、「地下鉄サリン事件の起訴以来10ヵ月余りが経過しており、10分な準備期間があった。検察側としては手持ち証拠の開示については一般事件以上に積極的に行っており、現段階になってもなお、認否ができないというのは理解できない」と批判した。
・人間の言葉で謝って 元信徒ら
 オウム真理教前代表の麻原彰晃被告(41)は初公判で、事件にからむ発言はいっさいせず、かわりに「教祖」としての意見を述べた。サリン事件の被害者は「とんでもない責任逃れ」と怒り、元信徒は「信徒引き締めの強烈なメッセージ」と危機感を抱く。麻原被告の意見陳述の受けとめ方を追った。
 地下鉄サリン事件の当日、営団地下鉄日比谷線小伝馬町駅で被害を受けた千葉県成田市の営団職員岡野光政さん(51)は、「おわびのひとことでも…」と言いかけて途中で言葉をのみ込み、こう続けた。「出すわけないか。人間じゃないから人間らしい言葉は出ない。人間の言葉は聞こえないんでしょう」
 同駅のホームで事件にあった千葉県柏市の会社員岡井有香さん(23)は、「いまさら、麻原には何も期待していない。謝る言葉も出てこないと思っていた。でも、亡くなった人もいる。せめて表面だけでも謝る気持ちを持つようになってほしい」と言った。
 元信徒のある女性は「麻原がしゃべったことはオウムの教義そのもの。信徒なら100回も200回も聞いたことのある内容で、自分はまだ教祖だと強調したいのでしょう。いつかは教祖の言葉ではなく、一人の人間としてしゃべり、謝辞してほしい」。
・「ばかにしてる ごまかしだ」市民らも憤り
 オウム真理教前代表、麻原彰晃被告の意見陳述をどう聞いたか。街で尋ねた。
 神戸市灘区のJR灘駅で大阪市内の勤め先から帰ってきた会社員多田繁さん(18)は「みんなが知らない言葉を並べて、適当にごまかしている。なめていますね。オウム真理教の信徒が幸せになるために、だれかを犠牲にするのは人間として許せない。教団のトップを名乗るなら、事件がもとで迫害されている教団の人たちのためにも、罪を素直に認めるべきだと思う」。
 京都市中京区の寺町商店街で友人を待っていた小倉幸子さん(50)は「人をばかにしている陳述。普通なら自分のやったことに対する反省の心があるはずなのに、全く理解を超えている。信者にはまだ麻原被告を信じている人がいる。若く、これから日本を支えてもらわなければならない人を巻き込んだ罪は重いと思う」と怒っていた。
 大阪・梅田の地下街で友人と待ち合わせをしていた大阪市城東区のOL増田律子さん(33)は「なに寝ぼけたことぬかしとんねん、と思います。言葉の羅列だけで意味なんて全然ないですやん」。JR大阪駅で、兵庫県尼崎市の会社員中村守さん(61)は「自分勝手な、独自の世界での解釈に基づく陳述だ。私も長女が東京で勤めているから、地下鉄サリン事件が起こった時は本当に心配でたまらなかった」と話していた。
・「深い絶望感 やり切れぬ」故坂本弁護士の母
 故坂本堤弁護士の母、さちよさんは24日、初公判での麻原被告の様子を聞いて、横浜法律事務所の小島周一弁護士に「なんと言ってよいかわからないが、鳥肌が立つような深い絶望感に襲われた。非常に腹が立つと同時にやり切れない気持ちだ。事実を語ってほしい」と電話を通じて話したという。
・「だれの裁判なのか」遺族ら
 「だれの裁判か分かっているのだろうか。人間の心に目覚めて謝罪してほしい」。麻原彰晃被告の初公判を受けて24日夕、同被告らを相手に損害賠償請求をしている「地下鉄サリン事件被害対策弁護団」が開いた記者会見で、裁判を傍聴した被害者の遺族らは怒りをぶちまけた。
 事件で、営団地下鉄霞ケ関駅助役の夫を亡くした高橋シズヱさん(49)は「(麻原被告が)目が見えないっていうから被害者の名前を読み上げているのに、居眠りなんかしないでほしい。(人定質問に対して)『名前を捨てた』と言うなら、法廷で権利や自由を主張しないでほしい」と訴えた。
 被告が罪状認否を留保したことについて「やってないなら、堂々と否認すればいい」と批判する高橋さんは、「罪を認めて、真実を明らかにしたいという被告もいる。本当かどうかわからないが、そういう気持ちは受け入れたい。そうでないと、これからの人生が余りにもむなしい」とも述べた。(朝日新聞)
■異臭騒ぎで電車遅れる JR大阪
 24日午後6時40分ごろ、大阪市北区梅田三丁目のJR大阪駅7番ホームに到着した西明石発高槻行き普通電車(7両編成、乗客約500人)から降りた乗客が「先頭車両で変なにおいがしている」と駅員に告げた。このためJR西日本は電車の運転を取りやめ、乗客全員をホームに降ろし、後続列車に乗り換えるよう誘導した。同社は電車を同駅の引き上げ線に移動させて点検したが、異常は発見されなかったという。後続の快速電車など3本が2分程度遅れた。曽根崎署の調べでは、体の異常を訴える乗客はおらず、不審物も見つからなかった。(朝日新聞)
■無差別殺人を容認 麻原被告初公判 検察冒陳 地下鉄サリン事件など3件 東京地裁 教義ポアで正当化 故村井氏に実行指示
 オウム真理教教祖麻原彰晃被告(41)=本名松本智津夫=の第2回公判が25日、前日の初公判に引き続き東京地裁(阿部文洋裁判長)で開かれ、地下鉄サリンなど3事件の冒頭陳述で検察側は「麻原被告は『ポア』と称して役人を正当化し、一般人に対する無差別大量殺人を容認していた」と指摘。教団に対する強制捜査を事実上不可能とするため、事件2日前の昨年3月18日未明、会合から帰る車の中で、村井秀夫元幹部=死亡当時(36)=に「お前が総指揮でやれ」と、地下鉄サリン事件の犯行計画を具体化して実行するよう命じた、と主張した。検察側は信者落田耕太郎さん=当時(29)=リンチ殺害事件に関し、麻原被告の供述調書を初めて証拠申請した。
 検察側冒頭陳述によると、麻原被告は車中で村井元幹部や元教団顧問弁護士青山吉伸被告(36)らから「強制捜査の可能性が高い」と言われたことから、無差別テロを敢行することが、強制捜査に打撃を与えるとともに独自の教義に合致すると考え、地下鉄でサリンをまき多数の乗客らを殺害することを決意。村井元幹部はその場で実行犯として幹部林泰男容疑者(38)ら4人を選任し、麻原被告が元幹部林郁夫被告(49)を加えるよう指示していた。また検察側は、麻原被告が説法で人を殺すことを「ポア」と称して正当化し、一般人に対する無差別大量殺人も容認していた、と指摘。
 また麻原被告は、元幹部遠藤誠一被告(35)にサリンをつくれるかどうか確かめた上、製造を指示。19日から20日未明にかけてつくったサリン約6リットルは村井元幹部から実行グループに渡され、20日朝、東京・霞ケ関駅を走る地下鉄3路線5電車でまかれ、11人が死亡、3796人が重軽症を負った。
 公判ではこの後、検察側が証拠請求を行った。午後は弁護側が同意した証拠について、要旨が朗読される。
 ほかの2事件の冒頭陳述で検察側は、落田さん事件で麻原被告が「ポアするしかないか」などと犯行を指示した、と指摘した。
 麻原被告は1994年1月30日、元信者保田英明被告(28)らに命じ、山梨県上九一色村の教団施設内に侵入し保田さんの母親を連れ出そうとした落田さんの首を絞めて殺害、遺体を焼却処分させた(殺人、死体損壊罪)。
 さらに麻原被告は教団内にスパイがいないかどうかチェックしたり、教義を植え付けたりする宗教儀式に使う目的で、94年11月ごろから昨年2月ごろにかけ、遠藤被告らに麻酔剤チオペンタールナトリウム計1.7`を密造させた(薬事法違反罪)。(京都新聞 夕刊)
■麻原被告 第2回公判 検察側の冒頭陳述(要旨) 用事用語は原文のまま
地下鉄サリン事件 実行の2日前に謀議 「やるなら警視庁の近く」
一 犯行に至る経韓
 ▽犯行の動機
 松本は、村井らに指示し、平成六年六月二七日、長野県松本市内で、いわゆる松本サリン事件を起こしたが、同七年一月一日、同日付けの読売新聞に「山梨県の上九一色村でサリンを生成した際の残留物質である有機リン系化合物が検出された」旨の記事が掲載されていることを聞知した。
 松本は同事件が教団により起こされた事件であることの発覚を恐れ、教団施設に対する警察の捜索に備えて、教団がサリンを生成していたという証拠を残さないようにするため、そのころ、村井を介して、同事件後も残存サリンを保管していた土谷に指示し、山梨県西八代郡上九一色村所在のクシティガルバ棟と称する教団施設(以下「クシティガルバ棟」)で、残存サリン全部を処分させた。
 その後、松本は、井上らに指示して、同年二月二八日、目黒公証役場事務長假谷清志を拉致して監禁し、死亡させる事件を起こしたが、犯行直後、警察に発覚して警視庁の捜査が始まり、その後、新聞、週刊誌等で同事件に教団が絡んでいるかのような報道が大々的になされた。
 ▽松本らの共謀状況等 松本は近く警察の教団に対する大規模な強制捜査が実施されるという危機感を抱き、平成七年三月一八日未明ころ、教団幹部の会合から帰途の車中で、村井及び青山らに対し、警察の強制捜査の可能性につき意見を求めたところ、村井らは、強制捜査の可能性が高い旨意見を述べた。
 そこで松本は、首都中心部を大混乱に陥れるような無差別テロを敢行することにより強制捜査の実施を事実上不可能にすることが、警察組織に打撃を与えるとともに、特殊な教義にも合致すると考え、松本サリン事件でその効果を実験済みであったサリンを地下鉄列車内で撒き、多数の乗客らを殺害することを決意し、村井に対し、「お前が総指揮でやれ」などと、本件犯行計画を具体化して実行するよう命じ、村井は了解した。
 松本は、本件犯行に使用するサリンを新たに生成させなければならないと考え、直ちに車中で、遠藤に、新たにサリンを生成することが可能であることを確かめた上、遠藤に犯行計画に使用するサリンを生成するよう命じた。
 ▽遠藤らによる本件サリン生成等
 村井は、土谷及び中川らに命じて、平成五年一一月ころから同六年二月ころまでの間、三回にわたり、サリンを生成させたことがあり、同七年一月ころ、土谷らが残存サリンを処分した際、中間生成物であるメチルホスホン酸ジフロライド(以下「ジフロ」)約一・四キログラムが処分されず、中川が隠して保管していることを知っていたので、同年三月一八日ころ、中川に対し、ジフロを遠藤のところに持って行き、同人とともに早急にサリンを生成するよう指示した。
 遠藤は、中川からジフロを受け取り、その後、土谷から、ジフロとイソプロピルアルコールを反応させる方法でのサリン生成方法を教示されたが、同月一九日、まだサリンを生成していなかったところ、松本から、第六サティアンの自室で、「早くやれ。今日中に作れ」と命じられ、サリンの早期生成を決意した。
 そこで遠藤は、中川と共に、サリン生成に必要な器具を準備してこれをジーヴァカ棟内の実験室に設置した上、サリン生成に用いる薬品を土谷に用意してもらい、これらをクシティガルバ棟からジーヴァカ棟へ運び込んだ。
 そして、遠藤及び中川は、ドラフトと称する強制排気装置を設置したジーヴァカ棟内の実験室において、同日夜、約三〇パーセントのサリンを含有する六ないし七リットルの混合液を生成した。同液体は、ヘキサン、ジエチルアニリンを含み、透明な部分と薄茶色の部分の二層に分かれていたが、土谷が遠藤の依頼で分析したところ、いずれの層にも生成されたサリンが含まれていることが確認された。
 遠藤は、生成した液体にサリンのほかヘキサン、ジエチルアニリンの不純物が含まれていたことから、そこからサリンだけを分留しようと考え、土谷に対し、これに要する時間を尋ねたところ、半日から一日は必要であると言われたため、その日のうちに分留することは不可能であると判断し、松本の指示を仰ぐこととした。遠藤は、第六サティアンの松本の部屋へ行き、同人に対し「できました。ただし、まだ純粋な形になっておらず、混合物です。」と言って、生成したサリンが混合液の状態である旨報告するとともに同人の指示を仰いだところ、同人は、遠藤に対し、「いいよ、それで。」と言って、サリンを分留せず、混合液の状態のままで本件犯行に使用することを了示した。
 村井は、上九一色村所在の第七サティアンと称する教団施設(以下「第七サティアン」)において、中川に対し、かねて教団が特注により業者から購入していた横約五〇センチメートル、縦約七〇センチメートルの大きさのナイロン・ポリエチレン袋(以下「ナイロン袋」)をサリンを入れる容器として渡した。
 遠藤は、ジーヴァカ棟において、中川と共に、これを約二〇センチメートル四方の大きさに切り取った上、圧着機を用い、開放している部分を圧着して袋を作り、給油ポンプを用いて、サリンの混合液約六〇〇グラムずつを入れ、注入口の部分を密封してサリンの入った袋一一袋を作った。
 さらに、運搬途中で、袋が破損したりして中のサリンが漏出しないようにするため、これらを約二五センチメートル四方の大きさに切り取って作ったナイロン袋に入れて二重袋にした。遠藤は、これらのサリンが入ったナイロン袋一一袋を段ボール箱に入れて第七サティアンヘ持参し、村井に渡した。
 その後遺藤は、村井の指示を受けて、サリンの袋詰めに使用したものと同じナイロン袋に水を入れたものを五袋くらい作り、これを第七サティアンヘ持って行き、村井に渡した。
 ▽村井の部屋における犯行の謀議等
 村井は、平成七年三月一八日早朝ころ、第六サティアン三階の自室において井上に対し、地下鉄でサリンを撒くという犯行の実行者らを支援して成功させるよう指示した。
 そのころ、林泰男、廣瀬健一、豊田亨、横山真人、及び林郁夫の五名に対し、警察の強制捜査の目先を変えるために、同月二〇日の朝、東京都内の地下鉄の列車内にサリンを撒くことを指示した。その際、村井は、サリンをヨーグルト等の容器に入れ、その蓋を開けてサリンを車内にこぼすというのが松本のアイデアであるなどと述べて、本件犯行が松本の指示によるものであることを示唆したが、その時点では具体的方法までは決まっておらず、林泰男ら実行者にもさらに良い方法がないか考えるよう指示した。
 村井、林泰男、・廣瀬、横山及び井上は、同月一八日午後三時ころ、村井の自室に集まり、廣瀬らが購入した地下鉄の路線図等を見ながら検討した。そして、村井は、井上らに対し「警視庁に近い出口はどこだろう。どうせやるんだったら、警視庁に近い方がいい。」などと言い、警視庁に近い場所にある地下鉄霞ヶ関駅を走行する帝都高速度交通営団日比谷線(以下「地下鉄日比谷線」)、同営団丸ノ内線(以下「地下鉄丸ノ内線」)及び同営団千代田線(以下「地下鉄千代田線」)の三つの路線にサリンを撒くことを指示するとともに、乗客が多いラッシュ時に実行するということで、同月二〇日の午前八時に各路線で一斉にサリンを撒くことを指示した。
 さらに、村井は、林泰男らに対し、各路線の霞ヶ関駅での警視庁側出入口の位置、方向等を確認させた上、進行する列車の何両目にサリンを撒くのがよいのかも検討させた。
 その後、村井は、各実行者を犯行現場まで自動車で送迎するなどの支援をする者として、自治省大臣の新實、同省次官の杉本繁郎、同北村浩一、同外崎清隆及び高橋克也の五名を選定した上、実行者及び運転者らに東京に行くよう指示した。
 ▽東京集結と犯行現場の下見等
 林泰男、廣瀬、豊田、横山及び杉本は、平成七年三月一九日午前九時ころ、普通乗用自動車二台に分乗して第六サティアンを出発し、東京都杉並区今川四丁目二三番五号(以下「杉並アジト」)に立ち寄り、その後、同日午後零時過ぎころ、自動車二台に分乗して犯行時に使用するメガネ、かつら等を購入するなどして、杉並アジトに戻った。
 その後、井上は、杉並アジトに立ち寄った際、林泰男らに対し、同日午後八時ころに、東京都渋谷区宇田川町二丁目二六番渋谷ホームズ四〇九号室(以下「渋谷アジト」)に集合するよう指示した。
 その後、渋谷アジトには同日午後八時ころ、林泰男、廣瀬、横山、豊田、杉本、高橋、新實、北村及び外崎の九名が到着し、井上は杉並アジトで林泰男らと分かれた後、教団の在家信者に電話して本件犯行に使用する普通乗用自動車三台の借用を申し込み、同日午後九時ころ、渋谷アジトに到着し、林郁夫は実行者らがサリンを吸入した場合に備え、その治療薬として硫酸アトロピン、パム等の薬液や注射器等を携帯し、同日午後九時三〇分ころ、渋谷アジトに到着した。
 渋谷アジトに集合した井上、林泰男、廣瀬、豊田、横山、杉本、外崎、林郁夫、新貫、北村、及び高橋の一一名は、井上主導の下で、それぞれの実行者が担当する地下鉄の路線を決めるとともに、井上は、林泰男らに対し、村井が決めた実行者と運転者の組み合わせを伝え、さらに犯行の実行に当たっての細かい注意事項を指示した。
 実行者及び運転者らは、平成七年三月一九日午後一〇時ころ、普通乗用自動車数台に分乗して渋谷アジトを出発し、それぞれが担当する地下鉄の路線の犯行場所である降車駅に行き、実際に地下鉄の列車に乗車するなどして犯行現場の下見をし、また、犯行直後の降車駅付近の待機場所を決めたりした後、渋谷アジトに戻った。
 ▽犯行方法の予行演習とサリンの交付 実行者らが、渋谷アジトで、犯行準備をしていたところ、平成七年三月二〇日午前一時三〇分ころ、村井から林泰男に電話があり、サリンの用意ができ、それを渡すので第七サティアンまで受け取りに来るように、また、その際、サリンの具体的な撒き方を教示するので、実行者全員が一旦戻って来るよう指示した。林泰男らは直ちに渋谷アジトを出発し、同日午前三時ころ、第七サティアンに到着した。
 村井は、遠藤から、サリン入りナイロン袋一一袋を受け取った後、井上に対し、ナイロン袋を突き破るのに使用するため、先が金属製になっている傘を購入してくるよう指示した。井上は、同日午前二時三〇分ころ、静岡県富士宮市内でビニール傘七本を購入して戻り、それを村井に渡すと、同人は、科学技術省次官の滝澤和義に指示して、傘の先端部の金具部分をグラインダーで削らせて、先を尖らせた。
 村井は、同日午前三時ころ、第七サティアン一階において、井上の立ち合いの下で、戻って来た林泰男ら五名の実行者に対し、傘の先でナイロン袋を突き破ってサリンを漏出、気化させる方法を採るが、二重袋になっているので、地下鉄の列車内に持ち込む際には、事前に、突き破り易いように外側のナイロン袋を取り除いておくことなど、サリンを撒く具体的方法及びその際の注意事項を指示した。
 そこに、遠藤が、村井の指示で作った水が入ったナイロン袋五袋を持ってきたので、村井は、林泰男ら実行者に対し、その袋を傘の先で突き刺し、犯行の予行演習をするよう指示した。ナイロン袋を裸のまま列車内の床に置いて、それを傘で突き刺すと他の乗客に不審がられるので、犯行時は新聞紙で包んだほうがよいという意見も出たので、水が入ったナイロン袋を新聞紙で包み、これを同様に傘の先で突き刺したが、そのようにしても別段支障は生じなかった。
 その後、村井は、サリンの入った袋が一一袋あるので、実行者一名につき二袋ずつだと一袋余ることから、林泰男らに対し「袋は全部で一一袋ある。一人だけ三袋になる。誰がやってくれるか」と言い、三袋のサリンを撒いてくれる者を募ったところ、林泰男が、それを申し出た。そして、林泰男ら実行者が、村井から、サリン入りナイロン袋一一袋及びビニール傘約五本を受け取り、サリン入りナイロン袋一一袋については、豊田のショルダーバッグ内にしまった。
 また、村井は、遠藤に指示して持ってこさせたサリン中毒の予防薬であるメスチノン錠剤各一錠を、林泰男ら実行者に配布させ、その際、遠藤において、それを犯行の二時間前に服用するよう指示した。林泰男らは、普通乗用自動車二台に分乗して、同日午前五時過ぎころ、渋谷アジトに戻った。
 ▽犯行直前の準備
 渋谷アジトに戻った林泰男らは、豊田が運んできた一一袋のサリンの入ったナイロン袋を、それぞれ実行者に分配した。林郁夫は、他の実行者らに対し、サリンの被害をこうむった場合に注射するようにと、サリンの治療薬の硫酸アトロビン二アンプル分(二ミリリットル)を吸入した注射器を一本ずつ渡した。
 このように準備した後、林泰男ら実行者と運転者は、平成七年三月二〇日午前六時前後ころ、普通乗用自動車に乗って、渋谷アジトを出発した。
 二 犯行状況
 (略)
 三 各列車内及び停車駅におけるサリンの漏出・気化並びに同列車の運行状況等
 (略)
 四 被害状況
 (略)
 五 犯行後の状況
 ▽犯行後の行動と罪証隠滅工作
 林郁夫は、新實と共に渋谷アジトに戻って来た後、同所に戻ってきた林泰男ら実行者や運転者が、サリン中毒の症状を呈していたことから、林泰男らに対し、用意しておいたサリン中毒の治療薬である硫酸アトロビンやパムを注射して治療を行った後、普通乗用自動車を運転して渋谷アジトを出発したが、途中、自らもサリン中毒になったことが判り、硫酸アトロピン注射の治療をし、その後、同日午後九時ころ、第六サティアンに戻った。
 井上、林泰男及び新實らは、渋谷アジトにおいて、テレビのニュースで本件被害状況が大々的に取り上げられ、都内が大混乱に陥っていることを知り、本件犯行計画が一応成功したことが判った。そこで、林泰男、新章、井上らは、本件犯行に使用したビニール傘、衣類などを焼却し、罪証隠滅を図ろうと考え、同日午後零時三〇分ころ、東京都日野市内の多摩川河川敷において、ビニール傘、衣類などに灯油をかけた上、ライターで点火して焼却、第六サティアンに戻った。
 ▽松本が実行者から犯行の報告を受けた状況
 横山、廣瀬及び豊田は、第六サティアンに戻ってから、平成七年三月二〇日午後三時ころ、村井と共に同サティアン一階の松本の自室に行き、椅子に座っている松本の前の畳に座った。松本は、「シヴァ大神にポアされた」と述べ、本件犯行により死亡した者はポアされ高い世界に転生したと伝え、本件犯行が松本の意思に基づくものであるので安心するよう述べた。
 新實、林泰男及び杉本も、同日午後四時ごろ、報告をするため松本の自室に行き、自分たちのホーリネームを名乗った上、新實が、本件犯行により死者が発生していることを報告した。すると、松本は新實らに対し、「これは、ポアだからな。分かるな。瞑想しなさい。そして、『グルとシヴァ大神とすべての真理勝者方の祝福によってよかったね』という詞章を一万回唱えなさい。」と指示した上、新實らの労をねぎらい、新實らにおはぎとジュースを与えた。
 林郁夫は、第六サティアン三階にいたところ、松本から、自分のもとにくるよう連絡を受けたため、同日午後一一時ころ、松本の自室に行き報告すると、松本は、林郁夫に対し「マントラを一、○○○回唱えなさい」などと指示した。
 ▽松本の指示による罪証障滅工作
 松本は、平成七年三月二一日正午ころ、遠藤を第六サティアンに呼び、同人に対し、サリンのナイロン袋詰めに使用したシーラーを、信者向けの粉末飲料でべとべとにしておくように述べて、罪証隠滅工作を指示し、処分をさせた。
 ▽本件逮捕時における松本の状態等
 松本は、本件犯行後、自己に捜査の手が及ぶことを警浦し、自己の所在を判らないようにするため、専用運転手らに命じて、自分が乗車してないのに専用車を東京等に移動させたりして偽装工作をした。また、松本は、その後、第六サティアンの二階の天井裏にある縦三・三五メートル、横一・〇三メートル、高さ五〇センチメートルの広さの隠し部屋に潜み、本件逮捕の際は、右隠し部屋に隠れていたところを警察官に発見され、逮捕された。(京都新聞 夕刊)
26日■トレイン・マーク展 懐かしい列車愛称名板展示(27日−6月16日) 大阪市港区の交通科学博物館
  昭和20年代から30年代にかけて活躍した旧国鉄の特急・急行列車の「トレイン・マーク」のレプリカ約50点を展示する。
 トレイン・マークは、列車の先頭や最後尾に取り付けられた列車愛称の名板。「つばめ」や「かもめ」はとくに有名で、当時は子供絵本に必ず登場するほどポピュラーな存在だった。
 今回、展示するレプリカは、東海道線や北陸線など主要幹線で、花形列車として活躍した有名な列車を選び、JR西日本鷹取工場に依頼して製作した。「さくら」「はつかり」「なにわ」「比叡」「ゆのくに」…などで、本物と変わらない出来栄え。ほかに、同博物館が所有する実物のトレイン・マーク(あかつき、みずほ、日本海など)も同時に展示する。(JR大阪環状線弁天町駅下車)。06(581)5771。(京都新聞)
■ビスタ・カー 改装「EX」に 近鉄大阪線、あすから
 近畿日本鉄道は、2階建て特急車両「ビスタ・カー」の一部を全面改装して、新たに「ビスタEX」とし、27日から大阪線に走らせる。
 「ビスタEX」は4両編成(定員252人)で、真ん中の2両が2階建て車両。これまでのビスタ・カーの外装色に使われていたオレンジとブルーに、ホワイトを加えた3色となり、外観が一段と引き締まった。
 2階建て車両は、上階の窓に展望がよりきくよう曲面ガラスを採用。席間の距離を2a伸ばし、シートの色も一新した。階下は定員6人のサロン風シートを配置した。
 1編成当たりの改造費は1億6000万円。近鉄では、今後さらに3編成の「ビスタEX」を完成させ、名古屋線などに順次、投入する。京都線へのデビューは、来年度以降になる。
 近鉄ビスタ・カーは、昭和33年に登場。現在、第3世代となる15編成が運行している。(京都新聞)
■住之江公園駅でニュートラム故障
 25日午後2時37分ごろ、大阪市住之江区泉一丁目、市営ニュートラム住之江公園駅の2番線で、停車していた中ふ頭行きの電車(4両編成)が発車できなくなった。乗客約100人は1番線の電車に乗り移り、ダイヤより3分遅れて発車。
 その後1番線だけを使って運行を続けた。応急処置の後、約2時間後に故障した電車を検車区に回送、2番線の使用を再開した。
 大阪市交通局の調べでは、先頭車両の扉の開閉などに使う空気圧縮機が故障し、過電流が流れたらしい。(朝日新聞)
■SMAP追っかけファン12人不正乗車 首都圏から盛岡まで
 人気アイドルグループ「SMAP(スマップ)」のコンサートが盛岡市で6日開かれた際、女性ファン12人が首都圏からJR盛岡駅まで新幹線を不正乗車し、岩手県警鉄道警察隊に補導、注意されていたことが25日までに分かった。
 同警察隊によると、12人は東京都や神奈川県などに住む10代、20代の女性ファン。東京駅などで入場券だけ購入して東北新幹線に乗り、盛岡駅で下車。駅の改札口付近で盛岡の友人のファンから盛岡駅の入場券を受け取るという「手口」で、改札口を通過しようとした。
 しかし、入場券に入る時の検印がないのを駅員がチェックして不正乗車が分かり、警察隊に通報した。JRは運賃を支払わせたが、うち数人は同じような使用済み入場券を何枚か持っていたという。(京都新聞 夕刊)
27日■地下鉄鶴見緑地線 30日からワンマン化 大阪市営では初
 大阪市交通局はこのほど、今月30日から市営地下鉄鶴見緑地線のワンマン(1人乗務)化を実施すると発表した。
 地下鉄のワンマン化は既に東京や仙台、名古屋、福岡などで実施されているが、大阪市営地下鉄では初めて。
 1990(平成2)年に開業した同線は、京橋駅と鶴見緑地駅を結ぶ5.2`。ワンマン化に伴い列車自動運転装置(ATO)による運転の自動化や、ホームに大型バックミラーを設置して乗降客の安全を確認するなど、約30億円かけて安全設備を導入する。
 同市営地下鉄は94年度決算では約300億円の赤字となっており、交通局は「ワンマン化で経費を削減したい」としている。(京都新聞)
■南海「ラピート」「はるか」に劣勢食い”止め”よう
 南海電鉄は26日、JRの「はるか」にくらべ劣勢となっている空港線の特急「ラピート」の乗客獲得に向け、停車駅を増やす方向で検討していることを明らかにした。新停車駅には、泉大津駅などが候補に上がり、今秋から実施する見通し。
 ラピートは「α」と「β」の2種があり、αは難波空港駅間をノンストップ、βは同区間で堺、岸和田など4駅に停車している。
 停車駅を増やすのは「β」で、地元から要望の強い泉大津駅のほか、りんくうタウン駅などが検討されている。
 26日の定例会見で、川勝泰司社長は「JRに対折するには、空港利用客以外の、沿緯に住む人たちの乗車を拡大するしかない」と秋のダイヤ改正時に停車駅増加の実施を示唆した。
 ラピートは、一昨年9月の関西空港開港以来、乗客数で「はるか」をしのいでいたが、昨年6月から逆転。平成7年度の輸送実績(南海電鉄調べ)では「はるか」の330万7000人に対し、「ラピート」293万5000人と、大きく差をつけられている。(京都新聞)
■時々刻々 動くか旧国鉄一等地 売却期限まであと2年
 東京・品川駅東側、汐留の貨物駅跡地、大阪駅前…。「東京、大阪の都心部に残された一等地」をうたい文句に、国鉄清算事業団が1000億円を超える「高額物件」を次々に売り出す。27兆円余の債務返済の一部に充てる狙いだ。閣議決定された売却期限まであと2年を切ったが、不動産市況は依然として冷え込んでいる。「一等地」は果たして動くのか。(経済部・吉岡桂子、社会部・松崎幸治)
・市況冷え揺れる思惑 自治体より「競争入札」人気
●試金石?
 26日に、事業団が東京・渋谷で開いた売却説明会には、不動産会社や金融機関の関係者ら約400人が集まった。対象物件は品川駅の東側に広がる6.3fだ。「近い将来、東海道新幹線の新しい駅もできます」と事業団の担当者はPRに熱を入れた。夏に購入希望者を募り、今年度中に入札する計画だ。
 5月下旬には20fと最大規模の汐留地区の説明会がある。さらにその後、大阪駅前、東京駅前の八重洲地区とJR本社ビル、秋葉原駅前と説明会が続く。
 事業団が「売れる」と期待する土地は、計約1500f。地価高騰をあおるとしてバブル期に売却が凍結された土地が目立つ。
 西村康雄・同事業団理事長は「あちこちから問い合わせがある」と売却に自信をみせる。ある大手不動産会社の首脳も「汐留などをどう開発するかで、不動産会社の力量が試される」と意欲を示す。
 しかし、バブルの最盛期には4兆円とはやされた汐留地区も、いまや数千億円と見積もられるほど、地価は下がった。入札が最低価格にも達せず失敗に終わったら、「不動産市況をさらに悪化させる」との声もある。
●焼け石に水
 事業団が昨年10月から抽選方式で売り始めた300万円以下の土地は、空前の「ヒット商品」となった。廃線になった地方の無人駅周辺などが中心だが、1000平方b規模という広さが人気を呼んだ。郵便で申し込める手軽さもあって、71件の土地に14万件余りの応募があった。「夢を買いませんか」という宣伝文句も受けた。
 1物件につき1人1通に制限した12月の第2回募集にも、58件に対し約6万2000通の申し込みがあった。今月に抽選した28件には約7200通の応募で、人気物件は800倍を超す競争率を記録した。今後も、北海道を中心に約300件を売り出す予定だ。もっとも、今月までの売り上げは総額約2億4000万円。27兆円余の借金を考えると、焼け石に水だ。
●板ばさみ
 「駅前の物件を入札にかけるのは待ってもらえませんか」。今月中旬、中国地方のある県庁の担当課長が運輸省を訪れた。県では買えそうもないが、一等地だけに、街の看板にふさわしい買い手を探したい。そんな思いからだ。
 これまで、事業団の「お得意さん」は自治体だった。公的な利用を優先したからで、売り上げ全体の7割以上を占めている。ところが、1995年度は、自治体への売却が2000億円と前年度より約800億円減った半面、公開の競争入札は過去最高の912億円と、様相が変わった。
 事業団は94年度まで、風俗営業法の規制対象となるパチンコ店などには基本的には売らず、投機目的の購入を防ぐため転売も禁じていた。その規制が95年度から緩和され、鳥取市や札幌市の土地をパチンコ業者が落札した。
 「ゲームセンター、冠婚葬祭場、安売り店などの購入意欲も目立つ」(運輸省)といい、自治体の思惑通りにはいきそうにない。
 事業団の土地は国民の財産だ。地元の意思は尊重する必要がある。しわし、規制でがんじがらめにすれば売れず、国鉄が残した借金は返せない。「どちらも大事で板ばさみ状態」(運輸省)だ。
・国鉄精算事業団の土地処分
 旧国鉄の資産と長期債務を引き継いだ事業団は、土地とJR各社の株式を売って、債務の返済をする特殊法人。土地は1995年度までに、全体の6 割にあたる約5800fを約4兆6000億円で売った。残る3500fのうち2000fは、鉄道林など資産価値が極めて小さい。
 当初、25兆5000億円だった債務は、年間1兆円を超える利払いがかさみ、現在は27兆6000億円。運輸省は残った土地を4兆円弱、株式を約2兆円と見積もっており、すべてが売れても20兆円を超える債務が残るのは確実だ。(朝日新聞)
■駅弁の旅を JR福知山支社管内主要駅 新製品の7種 食べてみませんか
 JR西日本福知山支社管内の福知山駅や豊岡駅など主要駅では、この春から駅弁の新製品7種類が登場した。
 福知山駅で販売している「天橋立ずし」(900円)は、かに、ちりめんじゃこ、のり、錦糸(きんし)たまご、あさりを使って天橋立が描いてある。
 豊岡、城崎両駅では、昔なつかしい柳ごうりを使った「柳ごうり弁当」(5000円、予約制)と、ピクニック気分いっぱいの「バスケットランチ」(2000円)。ともに前日までに予約すれば、列車まで(両駅で)届けてくれる。
 和田山駅の「とってもヘルシーDAチョーン」(1200円)は、低脂肪、低カロリーのヘルシーメニューとして米国で人気のあるダチョウ肉を、初めて使った弁当。
 篠山口駅は、丹波の黒豆ごはんに、ボタン肉甘煮やフキ、タケノコなどの煮付けがついた「ふる里弁当」(1100円)。
 綾部駅の「丹波路への誘い」(700円)は、お酒のつまみにもなる一口サイズの弁当。西舞鶴駅では「かに釜(かま)めし」(1100円)を販売している。(朝日新聞)
■JR環状線半分ストップ 不発弾処理で1時間
 大阪市城東区内で見つかった不発弾の処理のため、JR西日本は27日午前10時半から約1時間、大阪環状線の東半分に当たる大阪−京橋−天王寺間を全面運休した。大型連休の初日とあって、駅は私鉄や地下鉄に乗り換える人たちで混雑した。環状線の半分が全面運休したのは、阪神大震災発生直後の点検を除くと、1987年のJR西日本が発足して以来初めて。
 不発弾は、JR京橋駅近くの城東区鴫野西二丁目で福設中の市立城東スポーツセンター・女性いきいきセンター東部館の敷地で見つかった。長さ約1.8b、直径0.6bの米国製1d爆弾で、米軍が第二次世界大戦で投下したものとみられる。
 陸上自衛隊第三師団などが午前10時半から撤去を始め、市や府警城東署などでつくる対策本部は作業の間、現場から半径300bの範囲を立ち入り禁止に指定し、住民約3900人を一時避難させた。
 上下36本が運休し、約2万人が影響を受けた。JR西日本は混雑に備えて、職員をいつもより約100人増やして主な駅に配置した。(朝日新聞 夕刊)
29日■JR姫新線 線路の下を掘削 ケーブルも2本切断 機械で深夜に犯行?
 28日午前4時ごろ、兵庫県竜野市竜野町中井のJR姫新線けやき坂トンネル西約1`で、線路北側の下り斜面が掘られ、通信ケーブル2本が切断されているのを信号異常を調査中の姫路鉄道部係員が発見した。
 竜野署の調べによると、斜面が深さ約5b、幅約3bにわたって削られ、レールも約1bが浮いた状態だったという。
 現場にはキーを付けたままの大型掘削機械が放置されており、竜野署はこの機械を使った列車往来危険容疑事件として捜査している。
 掘削機械は同県飾磨郡の建設会社の所有。以前から斜面下の約3000平方bで中型パワーショベルやトラックなどを使い土砂の一時保管や選別作業をし、27日は午後4時半ごろ作業を終わった。
 掘削機械はどの作業員が来ても動かせるように、日ごろからキーを付けたままにしていたという。
 JR姫新線は午前9時半すぎ復旧したが、上下14本が運休し約1500人に影響が出た。(京都新聞)
■大津の不明男児 東京で無事保護 新幹線内で発見
 27日夕から自宅を出たまま行方不明になっていた大津市見世一丁目、会社員岡崎安男さん(39)の二男で、市立志賀幼稚園児の慎君(4つ)は同日夜、東京駅で無事保護されていたことが28日、分かった。1人で電車を乗り継ぎ新幹線に乗ったらしい。
 大津署によると慎君は、27日午後11時ごろ、新大阪発東京行きの東海道新幹線ひかり280号に1人で乗っているのを乗務員に発見され、身元が分からないまま警視庁丸の内署に保護された。慎君は名前や住所を問われても答えなかったが、署内のソファで眠り、元気だったという。
 28日朝、東京都児童相談センターに移されたあと、靴に書かれていた名前から身元が分かった。同日午後、両親が同センターに迎えに行き自宅に帰った。(京都新聞)
■線路盛り土削られる 龍野のJR線 列車通れば事故も
 28日午前4時ごろ、兵庫県龍野市龍野町中井のJR姫新線本竜野−太市間で、線路の盛り土が高さ約5b、幅約3bにわたって削り取られ、線路わきに埋めてあった通信ケーブル2本が切断されているのをJR西日本の係員が見つけた。最終列車が通過した後だったが、線路や枕木(まくらぎ)が宙づりになっており、もし列車が通れは、事故につながる可能性があった。兵庫県警龍野署は、線路北側の建設残土置き場にあったパワーショベルを使った悪質な犯行とみて、往来危険容疑で調べている。
 調べによると、午前1時50分ごろ、姫路市飾西にある姫路鉄道部の通信電話が鳴ったままの状態になり、姫新線の通信ケーブルが一部使えなくなったため、切断個所とみられる本竜野駅と太市駅間を係員が点検してわかった。
 盛り土は、単線の線路の中央付近まで削られており、片側の線路と枕木の半分付近までが宙づりになり、線路は約50bにわたってずれていた。また、線路南側に設置されていたキロポスト標識(合成樹脂製、長さ2b)が、約70b東の線路上に置かれていた。
 最終列車は午前零時ごろ現場を通過しており、始発が通過するのは午前5時10分ごろの予定だった。JR西日本によると、通信電話が鳴らなければ気付かなかった可能性もあるという。(朝日新聞)
■4歳坊やの連休一人旅 おうちは大津 京都のりかえ 新幹線で東京 お巡りさんビックリ
 27日夕から行方不明になっていた大津市見世一丁目、会社員岡崎安男さん(39)の次男の大津市立志賀幼稚園児慎ちゃん(4つ)は、警視庁・丸の内署に無事保護されていたことが、28日わかった。慎ちゃんは1人でJR湖西線と新幹線を乗り継ぎ東京まで行ったらしい。
 調べによると、27日午後11時ごろ、新大阪発東京行き「ひかり280号」の車掌が、東京駅へ着く直前に車内を歩いている慎ちゃんを見つけた。保護した丸の内署が、自分で名乗り、靴の内側にも「おかざき・しん」と書いてあったのを頼りに全国の警察に手配し、大津署が照会してわかった。岡崎さんが28日夕上京し、東京都立児童相談センターで待っていた慎ちゃんを抱き上げた。
 岡崎さん方は、近くにJR湖西線西大津駅がある。慎ちゃんは父親に「電車を乗り継いできた」と話しており、駅員が気づかない間に改札口をくぐって京都駅まで行き、新幹線に乗り換えたらしい。捜していた大津署員は「4歳の子があんな、遠くまでよく一人で…。無事でよかった」と驚いていた。
 慎ちゃんは、27日夕方自転車で遊びに出たまま行方が分からなくなり、同署、消防署、自治会など約300人が深夜まで捜していた。(朝日新聞)
30日■窓 サービス欠く新幹線の運営 亀岡市・西尾孝恵(主婦・25)
 関東より、この地に嫁いだ私にとって、新幹線はとても大切な足です。昨年の4月に娘を出産してからも何度となく利用していますが、納得できないことがありました。
 先日、いつものように新幹線に乗り、ベビーカーを預けようとすると「そういうことはグリーン車でしかしない」との返事でした。おむつを替えようと思い、トイレに行くと、おむつ替えのシートはなく、車掌さんに言うと「どこに乗ってるのか」と聞かれ、「自由席です」と言うと、そしたら席で替えろ、と言われました。子供のおむつを座席で替えるのは完全なマナー違反なので、なおも言うと、また「そしたらグリーン車に乗れ」との返事でした。
 これでは、まるでグリーン車に乗らないと人間的な扱いをしないと、言っているようなものです。歩けない幼児を連れての旅行に、ベビーカーはとても大切なものです。しかし、大変かさばりますので、何とか預かってもらえないかと思い、お願いしたのに、けんもほろろに言われたのでは楽しいはずの旅行もだいなしです。JRはどのように考えているのでしょうか。「デッキに置いておけ。しかし自分で管理しろ。盗まれてもこっちには責任がない」とも言われました。
 あと車内温度のこと。冬はとても暑いし、夏は逆にしんから冷えるほどの温度になっています。車掌さんに温度のことを言っても「これ以上のことはできない」と言われました。そこまで冷やす必要があるのか教えてください。もう少し乗客のことを考えた運営をしてほしいものです。(京都新聞)
■小田原の東海道線 快速電車で異臭
 30日午前10時20分ごろ、神奈川県小田原市国府津のJR東海道線二宮−国府津間を運転中の品川発熱海行き快速アクティの乗客が「変なにおいがする」と車掌に訴えた。JR東日本は国府津駅でこの電車の運転を打ち切った。乗客に異常はなかった。
 同社によると、ドア付近の床に液体がこぼれており、これが原因らしい。(京都新聞 夕刊)
■横須賀線の線路に置き石 100`の塊2個
 30日午前5時ごろ、神奈川県鎌倉市扇ガ谷のJR横須賀線鎌倉−北鎌倉間の寿福寺踏切の北約80bで、久里浜発東京行き上り普通電車(11両編成)が、線路上に置かれた重さ約100`のコンクリート塊(縦40a、横40a、高さ34a)2個をはね、緊急停車した。乗客約500人と運転士にけがはなかった。(京都新聞 夕刊)