1996(平成8)年 3月


1日■上水道2年ぶり黒字に 京都市公営企業新年度予算案 市バスは赤字膨らむ(京都)
  ■JR舞鶴線電化促進へ 「工事費」20億円計上 舞鶴市95年度補正予算に(京都)
  ■窓 地下鉄建設遅れ、原因解明必要 大山崎町・大島 豪(無職・67)(京都)
  ■安田生命など5社共同落札 梅田駅西旧国鉄用地(京都)
  ■カードで改札通過 京都市地下鉄 来月から新方式導入(京都)
  ■春風にぬれてトロッコ発車 保津峡に観光列車(京都)
2日■阪急伊丹駅 4階建て、2倍の広さに 再建計画概要発表 10年度完成めざす(京都)
  ■新幹線 近距離回数券 実質値上げへ(朝日)
  ■青春18きっぷ 切り離しダメ 実質値上げ… 春からルール変更(京都)
3日■阪神電鉄が全駅復旧へ 石屋川の新駅舎完成(京都)
5日■関西連絡橋の風規制見直し(京都)
  ■地下鉄サリン事件 虚像維持が目的 林郁夫被告調書「屈折した尊師」論(京都)
  ■これまでちょっとオーバーだったみたい 関空連絡橋 風帰省を緩和 風速計増やし弱い風で判定 列車停止、半分以下へ(朝日)
  ■旧国鉄借金、土地・株売っても20兆円 1人17万円 また国民負担 用地4000f「つけ回し」もう検討 新税や消費税の流用も(朝日)
  ■東海道新幹線に遅れ(京都)
6日■好評のフリー切符を廃止 ダイヤ改正でJR四国(京都)
  ■近鉄が新しい回数券 来月から導入(京都)
  ■「スルッとKANSAI」 記念カードが完成 5電鉄共通、20日から販売(京都)
  ■新幹線は91本遅れ(京都)
  ■Who's Who「静かな350`」へ意地 岩本謙吾さん 最高速列車設計(朝日)
7日■JR山陰線 二条−花園間 16日から高架線に 交通渋滞解消を期待(京都)
  ■阪急電鉄 もっと親しんで 駅長室衣替え 情報提供や乗場案内 24日からサービスセンターに(京都)
  ■窓 昇降装置付き市バス増設を 西京区・荒木 正幸(会社員・28)(京都)
  ■天橋立 歓迎準備に大わらわ 北近畿タンゴ鉄道が電化開業 16日一番電車 地酒・踊り・朝市…(朝日)
  ■阪急駅長室をサービス拠点に(朝日)
  ■山陰線・電化記念し乗車券などを発売(朝日)
  ■点検で新幹線に遅れ 7000人に影響(京都)
8日■再生 阪神大震災 がっちり鉄骨構造 阪神石屋川車庫が完成(京都)
  ■パソコン内蔵券売機を導入 近鉄、全国で初(京都)
  ■地下鉄工事で崩落1人死亡 大阪(京都)
9日■入場券2時間制限に(朝日)
10日■窓 「冬」の湖西線安全対策望む 高島町・上山 惟裕(会社員・53)(京都)
  ■特急が脱輪し約8時間運休 近鉄鳥羽−賢島間(朝日)
11日■踏切内「はるか」に女性はねられ即死 西京の東海道線(京都)
  ■新幹線停電7万人影響 遅れ最大4時間(朝日)
12日■東海道・山陽新幹線 大阪に第2の指令所 震災に備え 制御機能分散化へ(京都)
  ■「震災後」克明に記録  JR西日本が復旧誌を刊行(京都)
  ■新幹線第2指令所 18日に着工 新大阪で計画(朝日)
  ■声 新幹線よりも在来線の改良 寝屋川市 河島正好(会社員 58歳)(朝日)
  ■声 青春18きっぷ元通りにして 西宮市 永松信夫(会社員 60歳)(朝日)
  ■踏切で「はるか」に女性はねられ死亡 特急部分運休特遅れ(朝日)
  ■電化を記念し、鉄道展(京都)
  ■山陽新幹線で遅れ 岡山・信号回路故障(京都)
13日■新たに京都市文化財15件 旧二条駅舎や金閣寺の修羅(朝日)
  ■SLパネルや列車名票… 楽しい鉄道の世界展 電化記念し福知山で(朝日)
14日■11コース変更 京都定期観光バス、20日から(京都)
  ■大阪市ニュートラム事故 市幹部ら書類送検 大阪府警 安全措置とらず(京都)
  ■ニュートラム暴走、書類送検 「予想外の事故」 大阪市交通局幹部が会見 釈明を繰り返す(京都)
  ■JR山科駅前再開発ビル 大丸、出店、仮契約へ 京都市 「協議ほぼ合意」(京都)
  ■京都市 京阪バスと協定締結 市バス醍醐営業所 撤退で新年度早々にも(京都)
  ■車掌うっかり6分遅刻 京都駅山陰線 発車遅れ800 人影響(京都)
  ■北近畿へ行こう 16日にJR山陰線・KTR電化開業(京都)
  ■大阪市営「ニュートラム」暴走事故 交通局4幹部を書類送検 同種の事故、過去に3件 改善を怠った疑い(朝日)
  ■ニュートラム「暴走もうない」市は言うが… 再び無人化時代の流れ 原因しぼれず 消えぬ不安(朝日)
  ■'96春闘 私鉄「集団交渉」崩れる 事業多角化で労使変化 阪急・阪神・京阪が個別に 首都圏波及か(朝日)
  ■春走る電車 京都〜天橋立 上 地元の期待を乗せ16日発車 距離より時間 観光圏広く関東・九州へ 「活性化を生む」20分短縮(朝日)
  ■事故から5年慰霊碑に祈り 広島の橋げた落下(京都)
  ■新快速延長記念しカード 滋賀(京都)
15日■系列ホテルでキャンペーン JR西日本(京都)
  ■阪神の新車両デビューへ(京都)
  ■大阪−津山ノンストップ バス運行便を申請(京都)
  ■山陰線電化完成で記念乗車券発売(京都)
  ■JR発券システム1750台ダウン 全国のみどりの窓口(京都)
  ■GWにSL運転 北陸線米原−木ノ本間(京都)
  ■京都駅工事現場でボヤ 保温マット燃える(京都)
  ■京日記(京都)
  ■春はしる電車 京都〜天橋立 中 電化に乗り遅れ嘆く舞鶴線 直通特急減る痛手 厳しい人口の現状 地元の熱意(朝日)
  ■南海電車、車と衝突脱線 大阪・忠岡町 乗客けがなし 特急など200本運休(朝日)
16日■市バス事業 多額赤字で存続危ぐ 市会で京都市長 抜本的な改革必要(京都)
  ■私鉄春闘大詰めへ 6社集団交渉終了(京都)
  ■窓 無残な落書き景観だいな 西京区・福島はる枝(主婦・65)(京都)
  ■窓 バス遅れにも細かい配慮を 伏見区・立石嘉子(主婦・65)(京都)
  ■JR山陰線園部−KTR天橋立間 電化 きょう発車 京都主要駅 8−18分の短縮(京都)
  ■京阪にはねられ即死 伏見の踏切(京都)
  ■車運転の容疑者逮捕 南海電車脱線事故(京都)
  ■春はしる電車 京都〜天橋立(下) きょう開業 歓迎の準備整う 中核都市へ 福知山市「前進」 次の事業へ夢運ぶ 喜び半ばの大江町(朝日)
  ■園部−天橋立電化高速化 春の丹波路へ一番電車 「南北短縮」喜び乗せ(京都)
  ■はるか全列車京都駅発着に JRダイヤ改正(京都)
  ■JR山陰線・KTR 電化 府南北 沿線、歓迎にわく 二条−花園間高架、新駅舎 踏切渋滞が解消(京都)
  ■京阪特急と衝突 バイク男性死亡 伏見の踏切(京都)
  ■京阪事故死者の身元判明(京都)
  ■JR二条−花園駅 高架化工事が完成(朝日)
17日■北・中部の”高速化元年”開幕 園部−天橋立間(KTR・JR山陰線)電化開業 式典に500人 期待こめ知事ら祝辞(京都)
  ■国労組合員救済求める 中労委が申し立て(京都)
  ■夢たくし電化スタート 園部−福知山、KTR・福知山−天橋立 観光・生活ひらく春(朝日)
18日■地下鉄サリン事件1年 転機迎えたオウム追求(京都)
  ■テロの傷跡、今も深く 記憶消えぬ「3月20日」 「つらい」「世間偏見」思い抱き口閉ざす いやされない遺族、被害者(京都)
  ■雪崩で一時不通 JR飯山線(京都)
  ■関空連絡線乱れる 強風で、1万人影響(京都)
  ■JRと南海 強風で運休 関空連絡橋(朝日)
  ■JR紀勢線 落雷で不通(朝日)
  ■東西・烏丸線 「御池」は「烏丸御池」に 地下鉄15駅名決まる 12駅は仮称通り(京都)
  ■JR復帰訴え10年 国労組合員ら アルバイト・物資販売・ビル清掃… 生活と闘い両立 「今年こそ」の願い(朝日)
  ■地下鉄で事故 男女2人死亡 大阪、通勤の足乱れる(朝日)
19日■SL北びわこ号の 写真作品を募る JR西日本(京都)
  ■月末から増床工事 地下街ポルタ 安全祈りパーティー(京都)
  ■特急に2歳児はねられ即死 和泉(京都)
  ■鶴見緑地線を「ワンマン」化 大阪市、新年度から(朝日)
  ■地下鉄東西線駅名が決まる(朝日)
  ■はねられて2裁児死亡 和泉 JR阪和線踏切(朝日)
  ■神戸電鉄公園都市線 延伸区間が28日開業(朝日)
  ■スルッとKANSAIあすから(朝日)
20日■「地下鉄サリン」1年 4割以上が後遺症訴え 被害者追跡調査(京都)
  ■窓 暑すぎる車内 旅も不愉快に 伏見区・石田利三郎(無職・58)(京都)
  ■望見KANSAI 南海の空港線増収策 再逆転へ細やか作戦(京都)
  ■きょうから「スルッとKANSAI」”発車” 5電鉄共通プリペイドカード(京都)
  ■地下鉄鶴見緑地線 来月からワンマン化(京都)
  ■神戸電鉄の新線運賃認可(京都)
  ■地下鉄サリン事件 95.3.20あの時…傷跡残し1年(朝日)
21日■地下鉄サリン事件 東京地裁 井上被告の初公判 全被害者名を朗読 10件を一括審理(京都)
  ■オウム裁判 地下鉄事件の被害者3800人 氏名朗読5時間 井上被告初公判 冒頭から紛糾(京都)
  ■新型新幹線500系 初めて時速300` JR西日本がテスト(京都)
  ■地下鉄サリン 全被害者名を朗読 オウム井上被告初公判(朝日)
  ■新型新幹線が時速300`達成(朝日)
22日■地下鉄サリンなど10事件 「すべて麻原被告の指示」井上被告関与認める 東京地裁初公判 弁護人は無罪主張(京都)
  ■市バスと衝突、重体 乗用車の会社員 乗客4人もけが 山科(京都)
  ■石屋川車庫使用始まる 阪神、復旧すべて完了(京都)
  ■私鉄1万100円で決着 電力9社昨年同額 NTT200円アップ 春闘ヤマ越す(京都)
  ■紀勢線に新型特急 8月から18両投入(京都)
  ■私鉄大手、1万100円決着(朝日)
  ■変わる私鉄春闘 中央離れ ストなし定着 京阪は「改革」掲げる(朝日)
23日■JR西日本 経常利益27%増に 96年度事業計画 大震災から回復着実(京都)
  ■JR東日本・東海も事業計画を提出(京都)
  ■観光地へ快速の運行も 30日に京都市バスダイヤ改正(京都)
  ■時々刻々  JR 7社10年目の「予算」 西日本は過去最高の営業収入(朝日)
  ■死亡事故を教訓に 新幹線ドア改良へ(朝日)
  ■鉄道模型の「楽園」つくる(朝日)
  ■JR西初のゴルフ場 全コース完成 5月2日開業(京都)
  ■京阪天満橋−関空間 リムジンバス運行(京都)
24日■京都交通社長 川本恵三氏が内定(京都)
  ■窓 電化KTRに地元活性期待 丹後町・川戸 貞彦(農林業・56)(京都)
  ■窓 バス停留所にベンチ設置を 中京区・長谷冨至路(無職・82)(京都)
  ■JR九州 5年で2000人削減 経営計画概要 2000年度に配当めざす。(朝日)
25日■新実被告が認否を留保 地下鉄サリン公判(京都)
  ■JR 学研→阪神の直通快速 利便性向上へ 実現へ手ごたえ 荒巻知事(京都)
  ■ポートライナー停止 通勤客ら8000人に影響 ラッシュ時の神戸(朝日)
26日■窓 運転手さんの親切なひと言 南区・長谷川喬治(無職・68)(京都)
  ■東海道新幹線 品川新駅を認可 2003年度中の開業めざす(朝日)
  ■阪急スト回避(朝日)
  ■「大阪方面へ JR便利に」 知事、来春へ見通し(朝日)
  ■オウム裁判 林被告公判 「麻原」と呼び捨て 地下鉄サリン事件 泣きながら謝罪(京都)
  ■現代のことば 携帯電話とJR 森 浩一(同志社大学教授・考古学)(京都)
  ■林郁夫被告第2回公判 地下鉄サリンも認める(朝日)
27日■9社妥結、3社スト構え 春闘、京滋の中小私鉄バス(京都)
  ■山陽電鉄と車衝突 1人死亡1人けが(朝日)
  ■中小私鉄スト 一部は突入も(朝日)
  ■麻原被告計画と認定 地下鉄サリン初判決 田下被告懲役7年(京都)
  ■信号故障KTR遅れ 天橋立駅で460人影響(京都)
  ■京阪宇治交通スト突入 京の中小私鉄春闘交渉 京都バスなど妥結(京都)
  ■地下鉄サリン オウムの犯行 初の認定 麻原被告ら共謀 東京地裁判決 信徒に実刑7年(朝日)
  ■京阪宇治交通始発からスト(朝日)
28日■京都駅ビル訴訟に判決 府などの出資は適法 京都地裁 歴史的景観権判断せず(京都)
  ■京阪宇治交通のスト 5万5000人に影響(京都)
  ■新幹線沿い雑草火災(京都)
  ■通過する河川名 テロップで表示 東海道新幹線など開始(京都)
  ■終日乗降できる「えぇきっぷ」(京都)
  ■京都駅ビル会社への出資 「首長の裁量」認める 京都地裁判決(朝日)
  ■地下鉄東西線 全区間トンネル貫通 来年11月開業へヤマ越す(京都)
  ■広島新交通橋げた落下 元請け3人有罪 広島地裁 「安全意識欠いた」(京都)
  ■橋げた落下 広島地裁判決 元請け会社の3人有罪 2人は猶予つき 下請け1人は無罪(朝日)
  ■橋げた落下判決 遺族ら「軽すぎる」 傷、一家の生活にも(朝日)
29日■北陸新幹線 小松−南越の工事認可申請 鉄建公団、着工は未定(京都)
  ■窓 東海道新幹線 雪対策を願う 守山市・宮川正祐(無職・70)(京都)
  ■地下鉄東西線 来年11月には開業 トンネル12.7`貫通 秋から試運転13全駅にホームドア(朝日)
  ■長距離バス4路線 京都乗り入れ認可(朝日)
30日■スト回避は微妙 京阪宇治交通(京都)
  ■長距離バス4路線 京都乗り入れ認可(京都)
  ■トラック事故 列車4本運休 亀岡の山陰線踏切(京都)
  ■中小私鉄・バス一部はストか 和歌山・有田鉄道など(朝日)
  ■京阪宇治交通ストを中止(京都)
  ■島根のJR山陰線 遮断機下りず 特急が緊急停止 特急が緊急停止 運輸指令がミス(京都)
  ■普通電車故障し 福知山線乱れる(京都)
  ■3私鉄・バスストを回避 近畿(朝日)
  ■女性が列車にはねられ即死 奈良・王寺(朝日)
31日■JR、南海 関西空港線 強風で混乱(京都)



1日■上水道2年ぶり黒字に 京都市公営企業新年度予算案 市バスは赤字膨らむ
 京都市は29日、市バス、地下鉄、上水道、下水道の4公営企業会計の1996年度当初予算案を発表した。上水道、下水道事業は今年1月に料金を値上げしたため好転し、特に上水道は2年ぶりに黒字転換を見込む。しかし、市バスは赤字が膨らみ、経営難は一段と深刻化しそうだ。
 【市バス】週休2日制の定着などで、一般旅客数は1日平均3000人減を見込む。収入338億9400万円に対し、支出は381億5400万円。
 退職者増で人件費が12億8200万円増える。バス車両の更新を20両(95年度76両)に抑え、九条営業所南側用地の売却など経営努力をする。しかし、経常損益は43億5200万円の赤字。累積赤字は35億1000万円増え99億2300万円に。不良債務(資金不足)も99億3900万円にのぼり、経営は苦しさを増す。
 【地下鉄】京都コンサートホールの完成などで一般旅客数は1日平均1000人増を見込んでいる。
 収入は1197億5900万円、支出は1318億2200万円。地下鉄東西線、烏丸線北北進の建設にともなう減価償却費と支払い利息が依然大きく、経常損益は75億6700万円の赤字。前年度より17億3200万円改善するが、累積赤字は660億9200万円に。
 東西線の建設費は702億2000万円とピークを迎える。不良債務は63億円増の135億600万円と見込んでいる。
 【上水道】期末で9500件(1.5%)の使用者増の一方、節水意識の定着などで年間給水量は0.9%減を見込む。
 平均16.3%の料金値上げで、収益的収入は357億2000万円と10.7%増。収益的支出は353億8300万円と0.3%増で、差し引き3億3700万円の単年度黒字に転換する。累積剰余金も16億3100万円になる。
 【下水道】整備面積は70fを計画、平均使用者が2万件(3.6%)増えると見込んでいる。
 一般会計から繰り入れる汚水資本費補助金が24億円増え、料金も平均26.1%値上げしたため、収益的収入は616億500万円と14.4%の伸び。収益的支出は616億2100万円で2.3%の増。単年度赤字は1600万円だが、前年度に比べ赤字幅は縮小。累積欠損金は84億1900万円になる。(京都新聞)
■JR舞鶴線電化促進へ 「工事費」20億円計上 舞鶴市95年度補正予算に
 JR舞鶴線(綾部−東舞鶴間26.4`)の電化促進に取り組む舞鶴市は、電化工事に備え、工事費の一部20億円を、1995年度一般会計補正予算案に計上、1日開会の定例市議会に提案する。「今のところ電化実現の見通しは厳しいが、悲願達成への強い姿勢を示すため」(市企画室)という。
 20億円の財源は、舞鶴発電所建設計画に伴う、関西電力から市への協力金35億円の半分強を充当する。舞鶴市と綾部市でつくるJR舞鶴線電化高速化促進協議会への補助金の名目で支出する。
 今月16日開業する山陰線福知山−園部間の電化工事では、1`当たり2億円余りの工事費がかかり、JR西日本と地元自治体(府、沿線2市5町)が50%ずつ工事費を負担した。それにならい「電化にゴーサインが出れば、活用してもらう」(企画室)という。
 舞鶴線電化問題では舞鶴市はこれまで、JR西日本本社にたびたび実現を要望。利用者を増やすため、団体運賃補助や駅前駐車場整備、イベント列車運行などを実施、これまでに約10億円を投じた。さらに昨年6月には、電化の条件のひとつになっている西舞鶴駅舎改築などのため10億円の基金を設立、今年2月からは市職員に列車通勤を呼びかけている。
 しかし、舞鶴線の乗客数が減っていることなどを理由に、JR側から色よい返事がないため、より強いインパクトを狙って20億円計上に踏み切った。今後綾部市などにも同趣旨の拠出を働きかける。
 江守光起市長は「20億円は電化への熱意を示すもので、促進に大きく寄与すると思う」と強調する。
 これに対しJR西日本広報室は「決定もしない段階での工事費計上は、他では聞いたことがなく、地元側の支援、協力態勢として評価したい。今後、舞鶴線電化の必要性や収支、利用状況など見きわめたい」と話している。(京都新聞)
■窓 地下鉄建設遅れ、原因解明必要 大山崎町・大島 豪(無職・67)
 東京出身で、兄弟、親類の多くが東京周辺に住んでいるので、よく東京に行く。今年も2月中旬に所用で上京したが、帰りに一度行きたいと思っていた地下鉄博物館を訪れた。
 館内には私が子供のころ、渋谷から初めて乗った銀座線の車両が復元・展示されていたが、渋谷駅では地上の市電(後の都電)や高架の国電(現JR)よりも高いビルの3階から地下鉄が発着するのが珍しく、話題になっていたのを思い出し、懐かしかった。
 戦前の地下鉄は、この銀座線だけだったのが、戦後は丸の内線を皮切りに、次々と建設され、現在は営団、都営合わせて12路線が開通している。館内に掲示されている年表を見ると、最近の10年間では、有楽町線(28.3`)、新宿線(23.5`)、半蔵門線(10.8`)などが全線開通し、平成3年に6.3`が部分開通した最も新しい路線である北線も今年3月さらに一部開通、来年には全線21.4`が全線開通の予定になっている。
 このように、東京の地下鉄は年々新路線が開通し、便利になっていくのに、同じ大都市の京都の地下鉄東西線は着工以来、建設費がかさむばかりで、遅々としてはかどらず、まだ1`も開通しないのは実に不思議な感じがする。この工事の大幅な遅れ、建設費の増大は、今回の京都市長選挙の焦点の一つにもなっていたが、新市長によって原因を解明して、早期に完成することを心から願っている。(京都新聞)
■安田生命など5社共同落札 梅田駅西旧国鉄用地
 旧国鉄用地の売却を進めている国鉄清算事業団が、建物提案方式で購入者を募集していた梅田駅西側(大阪市北区梅田三丁目)の用地1.6fの入札が29日行われ、安田生命、大成建設など5社グループによる共同購入で落札された。ホテルなど4棟のビルが建つ予定で、完成は平成12年夏ごろの見込み。
 落札した5社は、2社のほか、健康保険組合連合会、ダイビル(本社・大阪市北区)、マルイト(同)。計画されている建物はテナントビルやホテル、病院を予定している。ビルは14−32階建てで、最も大きい安田生命・大成建設のテナントビルで、高さ130b、延べ床面積5万6000平方bとなる。
 総事業費は約900億円でうち、土地価格分は、約400億円とみられる。
 落札された梅田駅西側の用地は、旧電鉄の貨物ヤードだった場所。東側用地と合わせ、計2,6fの広さだったが、東側の約1fは、昨年3月に同じく建物提案方式で、大和ハウスなどへの売却が決定。3棟のビルが今夏にも着工する。(京都新聞)
■カードで改札通過 京都市地下鉄 来月から新方式導入
 京都市交通局は4月1日から、「トラフィカ京カード」を地下鉄の改札機に直接投入し、運賃を自動的に引き落とせるようにする。これまで同カードでいったん乗車券を買わなければならなかったが、新制度導入で券売機に並ぶ手間が省けることになる。
 同カードは94年7月に発売を始め、地下鉄と市バスの両方に使える。
 市バスは発売当初から、直接投入方式を採用していた。地下鉄は改札機の更新に合わせ、1992年度から順次、直接投入できる機械を導入。烏丸線の竹田−北山間の全駅にそろったため、スタートすることになった。近鉄への乗り入れ区間では使えない。
 カードは1000円、3000円、5000円の3種類。3000円のカードで200円分、5000円のカードでは400円分の割引になる。従来のカードも使えるが、改札機を通る際にカードの裏に残高を印刷するため、裏が無地のカードを4月1日から発売する。
 市交通局は「乗客の便を図ることによって、地下鉄と市バスの固定客を増やしたい」と話している。(京都新聞)
■春風にぬれてトロッコ発車 保津峡に観光列車
 京都・嵯峨から亀岡市までを走る観光トロッコ列車が1日、運転を始めた。昨年12月末以来2ヵ月ぶり。観光客らは、暖かい雨に洗われた保津川峡谷の緑に触れ、春の訪れを体感した。
 始発駅の京都市右京区・トロッコ嵯峨駅では、午前9時33分発の一番列車に、観光客60人が乗り込んだ。小雨がばらつく天候だったが、最低気温は7.1度(京都地方気象台調べ)と、暖かい朝。乗客らは、車窓の景色をのぞいたり、車掌の歌に手拍子を打つなど、春先の小旅行を楽しんだ。
 同列車は開業5年目。今月16日のJRのダイヤ改正に合わせ、嵯峨駅発着の列車が増える。嵯峨野観光鉄道は「昨年は震災の影響などで、観光客が落ち込んだが、今年の春は大いに期待したい」と話している。(京都新聞 夕刊)
2日■阪急伊丹駅 4階建て、2倍の広さに 再建計画概要発表 10年度完成めざす
 阪急電鉄は1日、阪神大震災で全壊した伊丹線伊丹駅ビルの再建計画概要を発表した。新しいビルは「伊丹阪急ビル」(仮称)で、4階建て。伊丹市が行う駅と周辺地域の都市計画変更の内容がまだ決まっていないため、着工時期は未定だが、阪急電鉄は平成10年度の完成を目指している。
 駅ビル再建に当たっては、阪急電鉄と伊丹市との協議で、駅ビルを阪急電鉄、周辺の駅前広場などを市が施工することで合意。震災前まで駅ビルをはさんで両側にあった駅前広場を、一つにまとめて駅の北西側に配置し、この広場と背中合わせの南東側に駅ビルを再建することになった。
 新駅ビルは、敷地5300平方bで地上4階、地下1階。延べ床面積は2万700平方bで、旧駅ビルの約2倍の広さ。地下から3階までが店舗、4階はオフィス。駅は3、4階の部分に入る。プラットホーム一面・線路数2線の構造で、震災前の2面・3線よリコンパクトになる。総事業費は約100億円。
 旧駅ビルは、2階建てで屋上に当たる部分が駅になっていたが、阪神大震災で全壊。阪急電鉄は、昨年3月、南へ約400bに仮駅を設置して運転を再開した。(京都新聞)
■新幹線 近距離回数券 実質値上げへ
 JR西日本は1日、今月16日から実施するダイヤ改定に合わせ、山陽新幹線の近距離回数券の値段を見直し、新たに週末用と平日用の2種類の回数券を売り出す、と発表した。近距離回数券は割引率を最大25ポイント圧縮し、事実上の値上げになる。新しい回数券は割引率は高いが、曜日が制限されるうえ、使用時に表紙券の携帯が必要になるなど不便になる。
 山陽新幹線の153区間中、距離が100`未満の39区間で回数券の値段を見直した。例えば、新大阪−西明石間の「自由席特急回数券」(6枚つづり)は現在、1万200円で割引率は32.8%だが、改定後は1万4040円に値上がりし、割引率も7.5%になる。39区間のうち38区間で値上がりする。
 新たに売り出されるのは、「ウィークエンド回数券」と、山陽新幹線では比較的利用客が少ない月曜から金曜の平日だけ使える「オフピーク回数券」。いずれも4枚つづりで、割引率は「ウィークエンド」が平均28.2%、「オフピーク」が同12.4%。
 JR西日本営業部は「新しい回数券は曜日の制限があるが、現行の回数券には制限がない。制限がある回数券より、制限がない回数券の方が割引率が大きいのはおかしいので是正した」と話している。(朝日新聞)
新しい「新幹線自由席特急回数券」
(6枚つづり)の値段(単位・円)
【主な区間】【現行】【改定】
新大阪−新神戸79808160
新大阪−姫 路1314017040
新神戸−姫 路1050014340
姫 路−岡 山1314017040
岡 山−三 原1314017040
三 原−広 島1170012480
広 島−徳 山1410018000
小 倉−博 多1110011520
■青春18きっぷ 切り離しダメ 実質値上げ… 春からルール変更
 これまでは5回分がばらばらに切り離せたJRグループの企画商品「青春18きっぷ」(5回分セット、1万1300円)が、今春の発売分から1枚の切符にまとめられ、切り離せなくなった。同一行程で旅行しない限り、友人や家族で利用し合うのは不可能となるルール変更に、利用者から「ばら売りなどが使えず実質的な値上げ」との声が上がっている。青春18きっぷは学生の長期休暇がある春、夏、冬休みを中心に、JR旅客6社が共同で発売する企画乗車券。年齢制限はなく全国の普通列車が1日間乗り放題になる。
 従来、5回分を回数券のような形で発行していたため、友人や家族で分けて使ったり、金券店や大学生協でばら売りされていた。
 ばら売りをしていた鹿児島大生協は「1枚買いにきた学生さんは驚いている。渋い顔で帰っていきます」と突然の変更に困惑顔。JR側は「本来、グループ旅行用に発売した切符。ばら売り対策や値上げではない」と話している。(京都新聞 夕刊)
3日■阪神電鉄が全駅復旧へ 石屋川の新駅舎完成
 阪神大震災で全壊し、昨年6月から仮駅で営業していた阪神電鉄石屋川駅(神戸市東灘区御影石町二丁目)の新駅舎が完成、3日始発から営業を開始する。
 石屋川駅は最後まで唯一、仮駅のまま残っていた。これで阪神電鉄の震災で被害を受けた全駅が復旧、20日に予定されている全壊した石屋川車庫(同区御影塚町四丁目)の全面使用開始で同電鉄の鉄道施設の復旧はすべて完了する。(京都新聞)
5日■関西連絡橋の風規制見直し
 JR西日本と南海電鉄は4日、関西空港連絡橋(泉佐野市)の風による列車規制について、風上側の風速を基にするよう変更、10日から運用する、と発表した。
 橋上では風が橋を通過する際、風下の方が風上より15−20%強くなることから運用を見直すことにした。
 JR西日本は運用の見直しで規制は半減すると期待している。(京都新聞)
■地下鉄サリン事件 虚像維持が目的 林郁夫被告調書「屈折した尊師」論
 「地下鉄サリン事件でハルマゲドン(最終戦争)を演出しようとしたのは、グル(尊師)としての虚像を維持し自分を世の中に認めてもらいたいという願望からだった」。オウム真理教元幹部林郁夫被告(49)が教祖麻原彰晃被告(41)について捜査段階の供述調書の中で「屈折した尊師」論を展開していたことが4日、元幹部豊田亨(28)ら3被告=地下鉄事件の殺人罪など=の東京地裁での公判で明らかになった。
 林被告の調書によると、麻原被告は「世界は三悪趣(地獄などの世界)の様相を示しており、ハルマゲドンを起こし人を家畜化し、人間の数をコントロールしようとする勢力がある」と主張。1993年に、ハルマゲドンは97年に起こると言い出していた。
 当時、弱視の一方の目が悪化、手の甲にビタミン注射を打つなどしており93年の後半には「自分は心不全だ」と、体調や死期への不安を口にしていたという。
 麻原被告は、ハルマゲドンを(秘密結社の)フリーメーソンに支配されている米国との戦争と考え、94年4月になると「ワシントンに原爆を落としたらどうなるか」と話したり、同年8月には「ロシアに渡航したらCIA(米中央情報局)に殺されるかも」などと話したりするようになった。
 「林調書」は地下鉄サリン事件について「オウム真理教が被害者という主張を認めさせると同時に、米軍の仕業と誤解させれば日本と米国の対決の構図となり、ハルマゲドンへの呼び水となると考えていたと思う」と分析。
 「ハルマゲドンの際に唯一の救済者は自分だという虚像を維持したかったからではないか」と推測している。(京都新聞)
■これまでちょっとオーバーだったみたい 関空連絡橋 風帰省を緩和 風速計増やし弱い風で判定 列車停止、半分以下へ
 関西空港と対岸の大阪府泉佐野市を結ぶ空港連絡橋(長さ3.75`)で強風による列車の運行停止が相次いでいることから、JR西日本と南海電鉄、関西国際空港会社は4日、風による規制を10日から事実上、緩和する、と発表した。連絡橋に設置されている風速計の数を増やして風上と風下を判定し、風下よりも弱い風上の観測値で規制する。これまでは、最も強い風を観測した風速計のデータで規制していたため、新しい方法だと規制の回数は半分以下になるという。
 連絡橋には現在、片側に3ヵ所、その反対側に1ヵ所の4ヵ所に風速都が設置されている。いずれかが最大瞬間風速25b以上(台風の場合は23b以上)を記録すると、橋の手前の信号が「赤」になる。
 規制の回数は、一昨年4月の運行開始から今年1月末までで、24日にわたる計45回。延べ約323本が運休し、約6万人が影響を受けた。しかし、ほとんどの場合、飛行機は平常通り運航されているため、規制の影響で出発客が飛行機に乗り遅れるケースも相次いだ。
 10日からは、風速計を新たに2ヵ所設置しで6ヵ所にする。連絡橋の陸側、中間、空港側にそれぞれ1対ずつ計3対になるため、それぞれで風上と風下を自動的に判断し、風の弱い風上の観測値で規制する。
 JR西日本などの実験によると、連絡橋を横切る風は、橋にぶつかって流れが上下に分かれるため、風下は風上より15−20%加速されることが分かった。新しい測定方法では、風下の風速計が最大瞬間風速25b以上を観測したとしても、反対側の風上の風速計で25b未満の風だった場合、規制されない。このため、規制の回数は、これまでの規制の実績に当てはめると半分以下になるという。
 3社ではさらに、風の通過量を60%に減らす防風スクリーンの設置を決めており、早ければ来年度中にも着工する。JR西日本安全対策室は「事実上の規制緩和になるが、安全上は全く問題ない」と話している。(朝日新聞)
■旧国鉄借金、土地・株売っても20兆円 1人17万円 また国民負担 用地4000f「つけ回し」もう検討 新税や消費税の流用も
 住宅金融専門会社(住専)の不良債権問題のあとに、さらに巨額な「国民負担」が控えている。この3月末には約28兆円に上る見通しの旧国鉄債務だ。国鉄改革時の閣議決定では、債務の返済に充てる土地の売却期限は1997年度末で、残された債務は国民負担とされている。運輸省や国鉄清算事業団は土地の売却に葬走するが、債務の全額返済は絶望的で、国民へのツケの回し方や精算事業団職員の再就職についても考え始めた。
◆膨らんで28兆円
 JR大阪駅のすぐ北側にある日国鉄大阪鉄道管理局跡地。約2fの土地は、清算事業団が子会社に貸し付け、その子会社が不動産会社にまた貸しして、現在はドーム形のゴルフ練習場が立っている。その契約期限が6月末で切れる。
 一時、約2500億円で売却して大型商業施設を誘致する予定だったが、長引く不況でとん挫。「都心の一等地を遊ばせておくよりは」と、日銭が稼げる賃貸しに乗り出した。しかし、来年度中にはさら地にして土地購入希望者の募集を始めなければならない。
 阪神大震災で被害を受けた神戸市長田区の旧国鉄用地で生活する住民らに対しても1月から、全壊した家を勝手に再建したのは不法だなどとして、土地の明け渡しと建物の撤去などを求める訴訟を相次いで起こしている。
 清算事業団が引き継いだ旧国鉄用地は約9000f。「売却期限」が迫るなか、まだ約4000fが売れ残っている。
 87年4月の国鉄の分割民営化の際、25兆5000億円あった旧国鉄債務は、清算事業団に移された。土地とJR各社の株式も引き継がれ、97年度までに土地を売って債務の大半を返済するはずだった。
 ところが、債務は減るどころか95年度末には約28兆円に膨らむ見通しだ。清算事業団はこの8年間、約5000fの土地の売却で4兆2000億円を稼ぎ、JR東日本などの株式を約2兆円売った。だが、財投資金の利子などが年間1兆円も加算されるようになり、借金が借金を生んでいる。
 運輸省によると、手持ちの土地や株が今すぐ全部売れたとしても約20兆円は残るという。残った債務については86年1月の閣議で「最終的には国において処理する」と決まっている。これを単純に国民1人当たりで割ると負担額は約17万円。約5500円とされる住専の約30倍だ。
◆新幹線利用税
 「鉄道の走っていない沖縄県民や、国鉄に乗ったこともない子どもの財布から一律17万円を徴収するわけにはいかない」と、運輸省幹部。運輸省内ではいくつかの案がささやかれている。
 ひとつは、新幹線利用税の創設だ。期限を区切って東海道・山陽、東北、上越の各新幹線に利用税をかける。計画中の整備新幹線は建設財源が棚上げ状態だが、「この案なら、一石二鳥で解決」との声もある。
 消費税2%分を充当する案もある。来年4月から税率が3%から5%に引き上げられる予定の消費税の増加分か、さらに2%を上乗せして、その分を債務に充てる。「これなら約5年で債務は返済できる」とある運輸省幹部はいう。
 民営化後、業績好調なJR東日本、西日本、東海の3社に資金負担を求める意見も多く、「沿線の土地を半ば強制的に買わせる」という案も浮かんでいる。
 こうした動きに対し、JR西日本の井手正敬社長は「JRから取り上げようという風潮をつくってもらっては困る」とくぎを刺す。「新幹線の買い取りなどでJRは責任を果たしている。債務が膨らんだのは、政府が土地の売却にストップをかけたり、高い金利の財投資金を貸し付けたりしたため。責任は政府にある」と譲らない。
◆再就職は…
 「将来、あなたはどういう職種を希望しますか」。昨年12月、清算事業団の職員約2000人にこんな調査票が配られた。平均年齢52歳の職員の再就職先探しに役立てるためだ。
 清算事業団は債務の処理などの業務が終了した時点で、職員の雇用の安定・確保を図ったうえで整理することが閣議決定されている。土地処分のめどを97年度としているだけに、これに沿って雇用対策が動き出したわけだ。清算事業団の幹部は「2年後に整理されなくとも、組織の縮小の可能性は高く、今から準備が必要」と話す。
 回答の回収率は90%を超えた。「公務員か特殊法人職員」を第一希望にあげる職員は80%を越え、JRを第一希望とする職員も約10%いた。また、多くの職員が現在の居住地から通勤できる地域を希望したという。
 「正直、50歳をこえての再就職は難しい」と運輸省幹部は漏らす。非公式ながらいくつかの特殊法人やJRなどに受け入れを打珍したが、いい返事はなかったという。
 清算事業団の職員はこう話す。「土地を売れば売るほど、自分の退職が近づいてくる。まるで、自分の足を食べて生き延びるタコのようだ」(朝日新聞)
■東海道新幹線に遅れ
 滋賀県米原地方などの雪のため、東海道新幹線は5日午前、名古屋−新大阪間の一部で120`の速度制限をした。
 JR東海によると、下り列車は新大阪駅に10分から15分遅れて、上り列車は東京駅に5分程度遅れてそれぞれ到着。(京都新聞 夕刊)
6日■好評のフリー切符を廃止 ダイヤ改正でJR四国
 JR四国は、今月16日のダイヤ改正に合わせ「トクトクきっぷ」の一部を見直す。好評だった「阪神フリーきっぶ」を廃止、それより割高となる「大阪回数券」を新設するなどし、1億円の増収を見込んでいる。
 阪神フリーきっぷは平均割引率が約10%で、瀬戸大橋線の開通時、阪神方面への利用客を開拓するため創設された。
 同社は廃止理由について「利用者に浸透し過ぎ、ビジネスマンなども使うようになったため」としている。
 このほか「京都・奈良フリー乗車券」など3種も廃止となる。
 新設される大阪回数券は、四国内の主要30駅から大阪市内まで新幹線(自由席)を利用する4枚つづりで、平均約7%の割引となる。高知−大阪間は4枚分で所定額より4000円安い3万7200円、松山−大阪間は3640円安い3万9640円。(京都新聞)
■近鉄が新しい回数券 来月から導入
 近畿日本鉄道は、近鉄名古屋−近鉄難波間の「名阪特急回数券」を廃止し、新たに割引率の高い特急回数券「近鉄名阪得(まるとく)きっぷ」を4月1日から発売する。
 従来の回数券は5、11枚つづりの奇数枚数だったが、新しい回数券は4、10、20枚つづり。割引率は普通席が13.8%(4枚つづり)−21.2%(20枚つづり)、アーバンライナーのデラックスシートは13.7%(4枚つづり)−21.1%(20枚つづり)。回数券1枚当たりの値段はそれぞれ通常の運賃・料金より560−860円、610−940円安い。有効期限は3ヵ月。(京都新聞)
■「スルッとKANSAI」 記念カードが完成 5電鉄共通、20日から販売
 京阪神の五電鉄の路線を、1枚のプリペイドカードで乗り降りできるシステム「スルッとKANSAI」が、20日からスタートするのに先立ち、記念の共通カードが出来上がった。
 記念カードは、1枚が1000円−5000円。表面に5電鉄(阪急、阪神、大阪市交通局、能勢、北大阪急行)の路線図と、主な駅名が入った共通デザイン。20日から1ヵ月間、各駅の券売機で販売される。
 「スルッとKANSAI」は、ストアードフェアシステム(カードに料金を記憶させ、使用するごとに落としていく方式)を、5電鉄共通で行う試み。5電鉄のカードならどれでもOKで、残額が10円しかない場合でも、降車駅で精算すれば使える。利用範囲は、鉄道が計313`区間・237駅、バス(大阪市交通局)が446`区間・932停留所。(京都新聞)
■新幹線は91本遅れ
 東海道新幹線は5日、岐阜県から大阪府にかけての地域で降った雪のため、始発から名古屋−新大阪間で120−230`の徐行運転が続いた。雪がやんだ午後2時過ぎには正常運転に戻った。JR東海のまとめでは、この影響で「のぞみ1号」など91本の列車が5−15分遅れ、乗客約6万3000人の足が乱れたと見ている。(京都新聞)
■Who's Who「静かな350`」へ意地 岩本謙吾さん 最高速列車設計
 兵庫県加古川市生まれ。70年、国鉄入社。87年、JR西日本。試験実施部長。博多総合車両所に単身赴任中。48歳。
 鉄道と酒を愛した文章家、内田百閧ヘ「高級料亭やレストランより列車食堂のお酒がうまいのは、スピードがついているから」といった。
 そのありがたいスピードが300`、フランスのTGVと並ぶ世界最高速のJR西日本の「500系」列車を設計し、年内にも故郷、播柑平野を走る山陽新幹線に登場させる。
 高校に通う電車に興味を覚え、東大受験に行く東海道新幹線のスピードに感激して志を立て、ついに−ではまるでない。ジグザグ、デコボコ軌道を走ったすえだからこそ冥利(みょうり)を感じる。
 電気工学科を卒業し、国鉄に入ったのは教授の勧めだ。長期化する赤字、労使紛争は知っていたが、17年後の事態は予見すべくもない。
 各地での実習や工場勤務のあとに配属されたのが車両設計部門。新型電車の設計を次々に手がけて力量を示した。有望な若手技術者として奨励賞を受け、その賞金で長期の欧州鉄道視察にも行った。「車両屋」を自任した存分の7年間を過ごし、管理者として工場に出た。
 現場は労使紛争に明け暮れていた。それに忙殺され、暗然となりながらも分割、民営化は想像外だった。が、その到来は早かぅた。理由不明のまま西日本会社に割り振られ、現場管理や事務職的なポストを回った。車両を設計していたころが、ひたすらに懐かしかった。
 航空機と対決できる高速車両を開発する「高速化担当室長」に発令されたのは1991年6月。専門を外れて12年がたっていた。速度350`、大阪−福岡間2時間以内、と目標を示され、身震いした。
 試験車は350.4`を出した。が、当面は300`、2時間19分に抑える。パンタグラフなどが発する騒音を基準以下に収めるためだ。それでも速度は世界一、宿敵に対抗可能、と読む。「次は、静かな350`への挑戦。車両屋の意地です」
 鉄道には「目のなかで走られても痛くない」百聞先生でも、騒々しすぎては「お酒がまずくなる」というはずだ。(朝日新聞 夕刊)
7日■JR山陰線 二条−花園間 16日から高架線に 交通渋滞解消を期待
 京都市が進めているJR山陰線の連続立体交差化事業(二条駅−花園駅間、4.1`)がほぼ終了、ダイヤ改正が行われる16日から、同線は高架線に切り替えられる。立体交差化に伴い、12ヵ所の踏切が撤去され、交通渋滞解消や、線路で分断されている地域の都市機能充実が期待されている。
 高架線は、現在の山陰線に沿って建設され、レールを支える桁(けた)の両側に丸みを持たせて、古都の景観との調和に配慮した形になっている。
 すでに、高架構造本体はほぼ完成、軌道や電気工事もおおむね終わっており、7日から運輸省の検査が始まる。路線バス通行のため、唯一つながっていなかった右京区花園の府道と踏切で交差する部分は、最終バスが通過した15日深夜に接続作業を行い、16日の一番列車に間に合わせる。
 高架化に合わせ、二条、花園両駅のプラットホームも橋上に変更される。JR西日本は今回のダイヤ改正で、この区間に特急などを含め、現行より4本多い1日上下142本の列車を走らせる。
 また、これまで列車が走っていた現行の線路は、将来は側道として整備する。
 京都市とJR西日本は16日午前10時から、二条駅(中京区)で新駅舎の開業式を、同11時から京都リサーチパーク(中京区中堂寺南町)で開通式をする。
 連続立体交差化事業は、1990年3月に着工、92年3月に仮線に切り替えて高架化の工事にかかっていた。側道整備も含めた総事業費は 277億円。(京都新聞)
■阪急電鉄 もっと親しんで 駅長室衣替え 情報提供や乗場案内 24日からサービスセンターに
 阪急電鉄は京都線の河原町駅など、現在16の駅に置いているすべての駅長室と、梅田駅の助役室(計4ヵ所)を、今月24日から「サービスセンタ」に衣替えする。震災後から取り組んでいる「新生阪急・鉄道サービス見直し」の一環。駅長室の機能はそのままに、受付にカウンターやいすを置くなどして乗客への情報提供や、乗り場案内などに当たる。
 サービスセンターのモデルケースになるのは、宝塚線川西能勢口駅。同駅は24日から能勢電鉄の川西能勢口駅と一体の高架駅に切り替えられることが決まっており、それを機に駅長室の全面をガラススクリーンにする。
 内部には、新しく接客用のローカウンターを設置。授乳室や、コインで使えるファクスやコピー機も備える。
 他の15駅については、24日から表にシンボルマークを表示するとともに、順次、設備を更新。一部の駅ではカウンターに応対専門の女子職員を配置することも検討している。(京都新聞)
■窓 昇降装置付き市バス増設を 西京区・荒木 正幸(会社員・28)
 観光客や市民の足として活躍する京都市バスは、毎日多くの人々が利用する重要な交通機関です。この市バスも、老人や身体障害者など足腰の不自由なものにとっては利用が困難な場合があります。例え健常者であっても病気やけがなど、さまざまな理由で歩行が不自由になることがあります。通勤、通学のほかに、病院や福祉施設に通われる方も大勢おられます。バスの構造上、乗降時には大きな段差が生じますが、この段差が足腰の不自由な者には壁にも感じられます。
 最近、このような不便さを解消しようと、リフト付きバスが導入されつつあります。バスのステップが板状になり上下するリフトに早変わりするため、車いすの人はもちろん、歩行者も段差を気にせずバスを利用することができます。しかしながらバスへの昇降装置の取り付けは、価格などの点から、現状では市内全域での導入は困難なようです。
 現在、リフト付きバスは全系統のうち7系統に導入されています。少数のため1系統当たり最高10往復で、全体の本数としてはわずかなものですが、今後の増加に期待がかかります。多くの方々の協力のもとで運行される市バスを数多く利用し、公共交通機関としてのバスの特性を十分に活用することが、生活を豊かなものにすることにつながるのでは、と思います。(京都新聞)
■天橋立 歓迎準備に大わらわ 北近畿タンゴ鉄道が電化開業 16日一番電車 地酒・踊り・朝市…
 宮津市や天橋立観光協会などが、16日のJR京都−北近畿タンゴ鉄道(KTR)天橋立駅間の電化開業に向け、「一番電車」で天橋立を訪れる観光客の歓迎準備に追われている。待望の電化開業だけに、市も歓迎費用に100万円の補助金を出して支援する。
 歓迎準備は、宮津商工会議所など6団体による「KTR電化開業記念事業実行委員会」(会長・和田庄市会頭)が進めている。16日の一番電車で天橋立駅に降りる観光客らに、駅構内で鏡割りをして地酒を振る舞う。大なべで阿蘇海のアサリを使ったアサリ汁をつくり、宮津湾のイワシを使った長さ3b、直径約10aのジャンボちくわを焼き、特産品で温かな歓迎をする。
 また、宮津踊り振興会の女性10人がそろいの着物で「宮津節」などの民謡を踊り、天橋立観光協会文珠支部が郷土芸能の「能舞い」と「火の滝太鼓」を舞う。
 翌17日には、午前7時から宮津食品卸売協同組合(大西修理事長)が中心になって、同市漁師の同組合センター駐車場で「祝・電化ふれあい朝市」を開く。観光客を対象に約30店舗が、水揚げされたはかりの鮮魚や畑から直送の新鮮野菜を卸値で即売。イワシのつみれ汁などもサービスする。
 天橋立周辺の旅館では、宿泊客の夕食に電化開通祝いのタイを付ける計画もしている。
 一番電車は「特急・橋立1号」で、京都駅発午前9時25分、天橋立駅着が同11時19分。天橋立駅以北へは、ディーゼル特急「タンゴ・ディスカバリー1号」が天橋立駅発同11時24分、豊岡着が午後零時25分。いずれも、指定席は予約で満席状態という。(朝日新聞)
■阪急駅長室をサービス拠点に
 阪急電鉄は6日、すべての駅長室と、梅田駅の助役室の名称を24日から「サービスセンター」に変え、授乳室やサービスカウンターを設置するなど、駅の利用客が自由に出入りできるスペースにしていく、と発表した。「駅長室」の名前がなくなるのは全国の鉄道で初めてという。
 川西能勢口駅に新穀される駅長室を「サービスセンター」のモデルケースとして、現在整備中だ。全面をガラス張りにして、授乳室を設け、コピーやファクスも使えるようにする。ほかの駅のサービスセンターも順次、同様のサービスを提供できるよう改装していく計画。(朝日新聞)
■山陰線・電化記念し乗車券などを発売
 JR西日本福知山支社は山陰線園部−綾部間の電化と高速化の完成で、電化が開業する16日から記念乗車券を、これに先立ち10日からは記念オレンジカードを発売する。
 記念乗車券は綾部駅と福知山駅での発売で、京都までの往復乗車券。値段は綾部からが2520円、福知山からが2840円。いずれも1000枚の限定発売。発売は4月14日までの予定で、同15日までの期間中ならいつでも使えるが、特急を利用する場合は特急券が必要。記念オレンジカードは両駅のほか、兵庫県の和田山、豊岡、城崎などでも発売する。値段は1000円。
 記念乗車券、記念オレンジカードとも、郵送での申し込みを受け付ける。希望者は住所、氏名を明記し、80円切手を張った返信用封筒を同封のうえ、郵便小為替か現金書留で、〒623綾部市幸通り東石ケ坪7の1、JR西日本綾部駅、〒620福知山市天田無番地、JR西日本福知山駅へ。(朝日新聞)
■点検で新幹線に遅れ 7000人に影響
 山梨県東部を震源地とする6日深夜の強い地震の影響で、JR東海道新幹線は7日の始発から徐行運転をして線路点検を実施した。午前8時24分、徐行運転を解除したが、東京発大阪行きのぞみ301号など上下10本が10−34分遅れ、約7000人に影響が出た。(京都新聞 夕刊)
8日■再生 阪神大震災 がっちり鉄骨構造 阪神石屋川車庫が完成
 阪神大震災で全壊した阪神電鉄・石屋川車庫(神戸市東灘区御影塚町)の建て替え工事が完成、20日からの使用開始を前に7日、報道関係者に公開された。
 新しい車庫は、面積1.29fの高架型構造。線路数15本(旧車庫は13本)、車両収容数94両(同86両)で、鉄筋コンクリート構造だった柱やはりは鉄骨構造に変わり、架線から線路、まくら木まですべての設備が一新された。
 旧車庫は1968年に造られたが、震災で崩壊。止めてあった車両58両もすべてが脱線した。再建工事は、昨年4月から約78億円をかけ、進められていた。
 阪神電鉄は、石屋川車庫の使用を始める20日に全線でダイヤ改正を実施、梅田駅では午前10時から新造した「9000系」車両のデビューとなる出発式を行う。(京都新聞)
■パソコン内蔵券売機を導入 近鉄、全国で初
 近畿日本鉄道(大阪市)は7日、パソコン内蔵型の自動券売機を全国で始めて開発し一部で導入を始めた、と発表した。
 同鉄道によると、従来の券売機はマイクロコンピューターで制御されているが、容量の大きいパソコン内蔵型ではプログラム次第でさまざまなサービスが可能になるという。
 これまでに奈良線西大寺駅に5台設置するなど17駅で42台を試験的に導入、1996年度中に約170台を設置する計画。
 当面は「切符をお取りください」といった約20種類の音声案内など従来と同じサービスを行う。(京都新聞)
■地下鉄工事で崩落1人死亡 大阪
 8日午前9時半ごろ、大阪市中央区南船場、大阪市営地下鉄第7号線の延伸工事現場でコンクリートの塊が落下、同市此花区梅香、作業員松下一郎さん(49)が生き埋めとなった。松下さんは救出され、病院に搬送されたが約1時間半後に死亡した。
 南署の調べでは、松下さんは同僚数人と深さ約15bの地下鉄関連の地下通路工事現場で側面のパネルを清掃作業中だった。突然、頭上約2bから縦2b、横2b、厚さ30aのコンクリートの塊と土砂が松下さんの上に落下した。コンクリートは旧長瀬川の側壁部分とみられる。
 同署で事故原因などを調べている。(京都新聞 夕刊)
9日■入場券2時間制限に
 JR西日本は8日、新大阪−博多間の山陽新幹線全駅で今月20日から、入場券でホームに入れる時間を2時間に制限する、と発表した。入場券を使った不正乗車を防止するためで、出場の際に駅員が入場券の時刻をチェックし、2時間を超えた場合は新たに入場券分の料金を求める。東京−新大阪間の東海道新幹線各駅ではすでに実施している。(朝日新聞)
10日■窓 「冬」の湖西線安全対策望む 高島町・上山 惟裕(会社員・53)
 先日の下校時、JR湖西線の近江高島駅で、高2の息子と同級生数人が下車できず、次の駅で乗り越し料金を徴収された。原因は、当駅が審冷地区間内のため、冬期には乗降客がドアを手動で開閉しなれけばならず、手間取っている間に、車掌がドアスイッチを作動させ、発車したからである。
 高校生は年代的にも乗降マナーが悪く、登校時の電車が、いつも”遅刻発車”するのを目撃し、保護者の一人として、乗務員のご苦労に対し心苦しく思う。しかし、東海道新幹線の三島駅で、ドア開閉の確認ミスのドアが手動では開閉しにくいことで悪評だが、瞬発力のある高校生が難渋しているようでは、非力な高齢者や婦女子の対応が憂慮される。
 それだけに、乗務員は客層や時間帯に応じ、乗降の安全確認を徹底し、冬期だけでもワンテンポ遅らせて発車し、利用者を保護してほしい。湖西線は、この16日からのダイヤ改正で、待望の”湖西快速”も運行されることになり、地域住民の喜びも高まっている。この陰で悲劇が起きないよう、注意を願いたい。(京都新聞)
■特急が脱輪し約8時間運休 近鉄鳥羽−賢島間
 9日午前10時50分ごろ、鳥羽市船津町の近鉄志摩線赤崎11号踏切(船津−志摩赤崎駅間)付近で、賢島発京都行き特急(北井一運転士、4両編成)の最後尾の車両が脱輪し、約150b走った後に停車した。乗客25人にけがはなかった。この事故で、鳥羽−賢島間が、約8時間にわたって運休した。
 脱輪現場は、線路を切り替えるポイント(電気転てつ機)がある。近鉄では、列車通過中にポイントに異常が起きた可能性もあるとみている。(朝日新聞)
11日■踏切内「はるか」に女性はねられ即死 西京の東海道線
 11日午前9時ごろ、京都市西京区下津林中島町、JR東海道線の第一下津林踏切で、関西空港発京都行き特急「はるか4号」に、女性がはねられ即死した。 桂署の調べでは、女性は40−55歳で身長150−155a、肌色のジャンパーにエンジ色のズボン姿。身元の確認を急いでいる。
 同署によると、特急の運転士が踏切の約400b手前で、踏切内でしゃがみ込んでいる人を発見し、急ブレーキをかけたが、間に合わなかった、という。
 特急は現場に22分停車し、後続の上下線6本が最長23分遅れた。(京都新聞 夕刊)
■新幹線停電7万人影響 遅れ最大4時間
 山陽新幹線の新倉敷−新尾道問で10日、午前10時ごろと午後1時半ごろの2回、上下線の架線が停電した。この影響で上下19本が運休、96本に最高4時間14分の遅れが出て、約7万人の足が乱れた。
 JR西日本によると、最初の停電は午前10時ごろ。上下線の運転を見合わせ点検したところ、岡山県笠岡市の金浦トンネル(約2.1`)内で停車していた名古屋発博多行きの下り「ひかり63号」のパンタグラフにビニールのようなものが付着しているのが見つかった。さらに調べたところ、同トンネル内の架線に、トンネル補修工事に使った炭素繊維シートの一部が付着しているのが見つかった。
 午後1時過ぎ、上下線の運転を再開したが、午後1時30分ごろ、同じ区間で停電し、上り線で約5分間、下り線で約30分間、運転を見合わせた。(朝日新聞)
12日■東海道・山陽新幹線 大阪に第2の指令所 震災に備え 制御機能分散化へ
 阪神大震災を教訓に、JR西日本とJR東海が共同で設置を決めた「東海道・山陽新幹線第二総合指令所」(大阪市淀川区三津屋南三丁目)の建物概要が11日、両社から発表された。
 場所は、新大阪駅の西約3`の山陽新幹線と、北方貨物線に挟まれた地点。
 建物は4階建て、延べ床面積4200平方b。内部には列車の追跡や運転計画を一括して行う指令台「列車運行管理装置」のほか、列車集中制御装置(CTC)、電力遠方監視制御装置(CSC)などを設置。東京にある総合指令所が万一、使用不能になった場合でも指令を代行できる機能を備える。
 総事業費は134億円。工期は約3年で、1999年春の完成を予定。起工式は18日に現地で行う。
 東海道・山陽新幹線の総合指令所は現在、東京に1ヵ所あるだけ。今後、関東、東海地区での震災を想定した場合、どうしても西日本地域に2つ目の指令所を置く必要があり、昨年7月、両社の間で基本合意ができていた。(京都新聞)
■「震災後」克明に記録  JR西日本が復旧誌を刊行
 JR西日本は、阪神大震災で大きな被害を受けた同社の鉄道施設の被害、復旧活動などを記録した「阪神・淡路大震災鉄道復旧記録誌」を11日までにまとめた。
 記録誌は約1200ページで、山陽新幹線など阪神間の鉄道被害の詳細、復旧作業、輸送力の回復状況などを写真やグラフ、細かいデータを交えて克明に記している。同社は今後、全国の公立図書館をはじめ、主要大学、関係自治体、経済団体などに約1000部を配布するという。(京都新聞)
■新幹線第2指令所 18日に着工 新大阪で計画
 JR東海とJR西日本は11日、東京で大災害などが起きた際、東京にある東海道・山陽新幹線の総合指令所の代替施設となる「第二総合指令所」の建設を、18日から、大阪市淀川区のJR新大阪駅西側で始めると発表した。建物は4階建て延べ約4200平方bで、総工費は約134億円。1998年度に完成する予定。
 総合指令所は、列車集中制御装置(CTC)などで新幹線の運行状態を遠隔で監視して操作する、いわば「頭脳」。ここが機能しなくなると、全線で通常運行ができなくなる。
 第二総合指令所は、CTCや列車運行管理装置(コムトラック)などを備え、東京の総合指令所とほぼ同じ機能を持つ。(朝日新聞)
■声 新幹線よりも在来線の改良 寝屋川市 河島正好(会社員 58歳)
 先に発足した連立与党による整備新幹線検討委員会の狙いは、「計画凍結」でなく、1997年度予算にあるという。
 整備新幹線計画は、北海道、東北、北陸と九州2路線の計5路線、全長1500`の建設に巨費を投じようとするもので一部はすでに建設中である。
 国、関係自治体、そしてJRの3者に財政的な余裕があるなら、全国に新幹線網を張り巡らすのもよかろう。しかし、3者の「台所」事情を考えると、いったい、巨額の建設費の財源をどこに求める魂胆なのか、ふに落ちない。
 問題は、建設費の財源だけではない。運営主体のJR自体が、当初から採算性を危ぶんでおり、本音は乗り気でないと聞く。もし、計画通り、継続が強行されるなら、形はともかく、将来にわたって膨大なツケが国民に回ってくることは、自明の理であろう。
 国は、「住専処理問題」のほとぼりが冷めるのを待って、次は28兆円にもなるという「旧国鉄債務処理問題」を国民に突き付けてくるであろう。
 わが国の鉄道網の整備は、整備新幹線計画を凍結し、日進月歩の車両の設計・製作技術と、在来線の改善改良で対応するのが、「国益」と思う。「省益」や「県益」が優先するわが国の政治・行政の仕組みには、いら立ちが募るはかりである。(朝日新聞)
■声 青春18きっぷ元通りにして 西宮市 永松信夫(会社員 60歳)
 「青春18きっぷ」が、この春5枚つづりから1枚ものに変更になった。全国のJR線が、普通列車に限り1日中乗り放題ということで、「青春」とは銘打ってあるが、中高年も大いに利用している切符である。
 所属している山の会でも、発売される春・夏・冬の期間は、この切符を利用して遠出をする山行が計画される。1人で5枚利用出来ない時は、山仲間同士で譲ったり譲られたりし、大変重宝していた。
 また最近では金券ショップでばら売りもされるようになり、必要枚数だけ購入することも出来、一層便利になっていた。
 ところが今回の変更で、1人で利用する場合は別として、複数で利用する時は同一行程でなけれはならず、譲り合いも出来なくなった。この変更でJRの売り上げが増えるとは思えず、利用者の不便さだけが生じてしまった。
 年齢を問わず愛好者の多い「青春18きっぷ」のために、ぜひ5枚つづりに戻して欲しい。春休みも近い。有効期間は4月10日まである。今からでも遅くない。(朝日新聞)
■踏切で「はるか」に女性はねられ死亡 特急部分運休特遅れ
 11日午前9時ごろ、西京区下津林中島町のJR東海道線第一下津林踏切で、関西空港発京都行きの特急「はるか4号」(6両編成、乗客56人)が女性をはねた。女性は全身を強く打って死亡した。桂署の調べでは、運転士は「約 500b手前で人が線路に入ってきてしゃがみ込んだ。ブレーキをかけたが間に合わなかった」と話しているという。この事故で同列車が22分遅れたほか、特急2本が部分運休、特急など6本が最高23分遅れ、約1500人に影響が出た。(朝日新聞)
■電化を記念し、鉄道展
 JR山陰線と北近畿タンゴ鉄道(KTR)の電化(園部−天橋立間)を記念して、福知山市は15日から4月10日まで福知山城内で「楽しい鉄道の世界」展を開く。
 展示品は約250点。この中には、KTR宮福線の前身である北丹鉄道時代の蒸気機関車の写真パネルや、舞鶴−尼崎間を結んでいた阪鶴鉄道の中山寺駅舎の鬼瓦(かわら)など古いものもある。このほか、各線を走っていた車両の模型、新型特急の写真なども並べる。入館料は310円。火曜日休館。(京都新聞 夕刊)
■山陽新幹線で遅れ 岡山・信号回路故障
 12日午前5時40分ごろ、岡山県笠岡市の山陽新幹線福山−新倉敷間の上り線で、始発前で実際は列車がいないのにいるような表示が、東京指令所に出た。
 JR西日本で調べた結果、同区間の信号回路を制御する部分に断線が見つかり、午前7時20分ごろ復旧した。(京都新聞 夕刊)
13日■新たに京都市文化財15件 旧二条駅舎や金閣寺の修羅
 京都市教委はこのほど、市教委文化財保護審議会の答申を受け、新たな市文化財として、指定13件、登録2件の計15件を決めた。これで市文化財は計344件になった。
 内訳は、建造物が指定3件、美術工芸品が指定8件、民俗文化財が登録2件、史跡が指定1件。名勝が指定1件。
 建造物では、1904年建築の旧二条駅舎(中京区西ノ京栂尾町)が指定された。京都の近代化を体現する遺構としてだけでなく、明治期に建築された本格的な和風駅舎としては現存する唯一の例だという。JR西日本が昨年、保存を決めたことから指定した。
 また、美術工芸品では、金閣寺(鹿苑寺)の庭園から出土し、現在保存処理が施されている修羅2基も指定された。
 このほか、新たに指定、登録された市文化財は次の通り。
 【建造物】栗田神社本殿、幣殿、拝殿(東山区)▽尊勝院本堂(同)
 【美術工芸品】総画=絹本著色(ちゃくしょく)立花宗茂像(大慈院、北区)▽網本著色以心崇伝像(金地院、左京区)▽絹本著色天球院像(天球院、右京区)
 工芸品=刺繍(しゅう)種子阿弥陀(あみだ)三尊図(禅林寺、左京区)▽同(檀王法林寺、左京区)
 古文書=清水寺古記録(清水寺、東山区)▽真仁法親王日記(妙法院、東山区)
 【民俗文化財】梅林寺ジジバイ講(下京区)▽三栖の炬火(たいまつ)祭(伏見区)
 【史跡】羽東師坐高御産日(はづかしにますたかみむすび)神社境内(伏見区)
 【名勝】仁和寺庭園(右京区)(朝日新聞)
■SLパネルや列車名票… 楽しい鉄道の世界展 電化記念し福知山で
 JR山陰線と北近畿タンゴ鉄道(KTR)宮福線の電化開業を祝う「楽しい鉄道の世界展」が、15日から福知山市内記の福知山城産業館で開かれる。電化開業は16日からで、京都−天橋立間に新型の特急電車「はしだて」が登場する。同展は4月10日まで。
 展示されるのは、記念乗車券や列車名票、行き先表示板、SLの写真パネルなど計113点で、半数以上は北近畿鉄道友の会の正副会長やJR職員が出品した。同市開発公社からは「北丹鉄道」に関する資料、交通科学博物館(大阪市)の所蔵品からは「阪鶴鉄道」の時刻表などが出展される。
 開館時間は午前9時−午後5時。毎週火曜は休館。入館料は大人(高校生以上)310円、子ども(小学生以上)100円。(朝日新聞)
14日■11コース変更 京都定期観光バス、20日から
 京都市交通局と京阪バスが共同運営する京都定期観光バスは、20日から一部コースの内容や名称を変更して運行する。
 各コースの特色を、より鮮明に打ち出すため変更したという。「琵琶湖大津名所巡り」の琵琶湖文化館を堅田浮御堂に変更、「石清水八幡宮」のコースに月桂冠大倉記念館を加えるなど、全32コース中、11コースを変更した。いずれも所要時間を短縮、金額も安めに設定している。
 また春季だけの限定コースとして、20日から5月31日まで「トロッコ列車と高雄・嵯俄野」と「映画村と嵯峨野巡り」、4月4日から10日まで「ライトアップ京の夜桜」を運行する。
 申し込みは定期観光バス予約センター075(672)2100へ。(京都新聞)
■大阪市ニュートラム事故 市幹部ら書類送検 大阪府警 安全措置とらず
 無人運転の大阪市営新交通システム「ニュートラム」が1993年10月5日、終点の住之江公園駅(同市住之江区)で車止めに激突、乗客215人が重軽傷を負った事故で、大阪府警住之江署捜査本部は13日、「事故前に原因不明の3件のトラブルがあり、係員添乗などの安全措置を取っていれば事故は回避できた」として、業務上過失傷害などの疑いで同市交通局の当時の幹部ら4人を書類送検した。
 全国の新交通システム初の人身事故だったニュートラム衝突での書類送検は、各地で運行中の無人システムの安全管理に影響を与えそうだ。
 送検されたのは、車両の運行を担当する同局高速運輸部の高橋清・運転課長(58)志賀岩男・四つ橋線運輸長(56)と、車両の保守管理を担当する車両部の畚野(ふごの)信弘・元車両課長(56)、堀畑俊雄・元技術主幹(53)。
 調べでは、事故の直接原因は列車自動制御装置(ATC)の常用ブレーキの不作動で、事故前にも3件の原因不明のオーバーランが発生していた。うち2件は事故車両によるもので、91年5月には別の駅でホームの停止位置を約20b超えて止まるなど、事故と良く似たケースもあった。
 捜査本部は事故の「前兆」として重視、「同種のトラブルが終点駅で発生すれば、負傷者が出る危険性を予見できた」と判断した。
 その上で、運転課長、運輸長について「オーバーランの原因究明まで、緊急手動停車の係員を添乗させるなどの対策をとる注意義務があるのに怠った」と認定。
 元車両課長、元技術主幹についても「緊急時に非常ブレーキが作動するシステムに改善するなどの安全対策を取らなかった」として、4人の過失責任を認めた。(京都新聞)
■ニュートラム暴走、書類送検 「予想外の事故」 大阪市交通局幹部が会見 釈明を繰り返す
 「予想外の事態で、事故は全く予見できなかった」。ATC(列車自動制御装置)の故障が原因とみられるニュートラム暴走事故で、大阪府警が大阪市交通局職員4人を書類送検した13日、岸尾俊茂技術本部長ら同局幹部が記者会見した。
 送検の理由となった、事故前に発生した1991年と93年の3件のオーバーラン事故で安全対策を行わなかった点について、幹部は「当時ATC の安全神話は絶対で、信仰のようなものだった。ATCの故障ではなかったので、暴走、追突はあり得ないと考えていた」と答えた。
 「トラブルは時間と労力をかけて調べている」としながら、3件の事故を公表しなかった点を追及されると、「混乱の中で漏れた」としどろもどろ。書類送検された畚野(ふごの)信弘車両課長=当時=は「3件のうち2件については報告を受けた記憶がない」と釈明を繰り返した。
 ニュートラムの最前部に乗っていて、今も肩に違和感が残るという大阪府阪南市の会社員長浜和男さん(33)は「車両が車止めに激突する悪夢を時々見ます。同じような事故が起きた段階で真剣に検証していれば事故は防げた」と批判した。(京都新聞)
■JR山科駅前再開発ビル 大丸、出店、仮契約へ 京都市 「協議ほぼ合意」
 京都市は13日、JR山科駅前再開発事業の中核施設となる再開発ビルB棟(仮称)への大丸(本社・大阪市)出店について「協議はほぼ合意に達し、そう遠くない時期に基本協定(仮契約)を結べる」との見通しを明らかにした。阪神大震災の影響で一時は協議が中断状態になっていた大丸の出店問題は、正式にめどがつくことになった。
 同日の市議会普通予算特別委員会で、内藤俊夫都市住環境局管理部長が答弁した。
 大丸は、商業・文化施設となる再開発ビルB棟の中核店舗として期待されている。約2万平方bの商業施設のうち半分近くを使う予定になっている。
 京都市は大丸と出店契約交渉を続けていたが、昨年の阪神大震災で大丸神戸店が約100億円の損害を出したため、協議は中断状態になっていた。しかし、大丸の売り上げの減少幅が予想より少なかったことから、11月に大丸の下村正太郎社長と当時の田辺朋之京都市長が協議再開に合意し、その後、出店を前提にした協議を続けている。
 13日の委員会で内藤部長は「協議はほぼ詰まっている。大丸側の社内手続きもあり、協定の時期は明言できないが、そう遠くない時期に結べると思う」と述べた。
 再開発ビルB棟は地上9階、地下3階建て、延べ床面積は約5万700平方b。大丸や地元商店などの商業施設やスポーツ施設、分譲住宅などが入る。総事業費約192億円で、98年6月に完成の予定。(京都新聞)
■京都市 京阪バスと協定締結 市バス醍醐営業所 撤退で新年度早々にも
 京都市交通局は13日、市バス醍醐営業所を廃止して管轄の山科区と伏見区醍醐地域から撤退する問題で、新年度早々にも京阪バスと同地域でのバス運行の引き継ぎについて、正式に協定を交わす方針を示した。同日の市議会事業予算特別委員会で、中谷佑一公営企業管理者(交通局長)が答えた。
 市交通局は、地下鉄東西線の建設に伴い87年に京阪バスと覚書を交換した。この中で、山科区内などを営業地域とし東西線開通で経営が打撃を受ける同バスの業務量確保について、東西線開通の2年前をめどに協議する、としていた。
 昨年9月に、97年11月の東西線開通に合わせて醍醐営業所を廃止し、管轄地域の営業権を京阪バスに一元化する方針を打ち出した。しかし、約1万枚の敬老乗車証の負担金などをめぐり交渉が難航し、協定を結ぶのが遅れている。
 中谷管理者は委員会で「路線や敬老乗車証についていぜん協議中だが、新年度の早い時期に協定を結ぶ」と述べた。
 市バスの撤退をめぐっては、山科自治連合会連格協議会会長会が昨年10月に「バス路線の縮小は必至」として、市長に対し運行廃止の再考と遠隔地から地下鉄駅へのバス運行強化を求める要望書を提出している。(京都新聞)
■車掌うっかり6分遅刻 京都駅山陰線 発車遅れ800 人影響
 13日午後6時42分ごろ、京都市下京区・JR京都駅山陰線ホームで、同駅発園部行きの下り普通電垂(4両、乗客500人)が、発車時刻を過ぎてもドアがしまらず、出発しなかった。
 駅員が調べたところ、乗務予定の車掌(20)が電車に乗っていなかった。緊急連絡でこの車掌が駆けつけ、6分遅れで発車した。このミスのため、上下線合わせて3本が5分前後遅れ、計約800人に影響が出た。
 JR西日本によると、この車掌は発車時刻を勘違いし、別のホームにある職員詰め所にいたという。(京都新聞)
■北近畿へ行こう 16日にJR山陰線・KTR電化開業
 「天橋立が急接近」−1993年から着手したJR山陰本線と北近畿タンゴ鉄道(KTR)宮福・宮津線の園部−福知山−天橋立間(89.1`)の電化・高速化事業力全面完成(綾部−福知山間は昨年から先行電化)、16日から開業する。
 京都市と丹波、丹後など北近畿を結ぶ動脈であるこの縦貫鉄道のスピードアップは京都府民の悲願であり、3年の歳月と総事業費160億円をかけて偉業を達成した。
 府負担は52億3000万円、沿線各市町が27億7000万円を負担した。まさに府民の鉄路と言える。これを機会に府北部と京都市、府南部の人や文化、経済の交流を一層深め、各地或の発展に寄与することが期待まれる。
・”夢の時間”結ばれた 大きな喜び フリーアナウンサ 百鳥 秀世
 いよいよ3月16日から、北近畿がグーンと近くになりますね。JR西日本・山陰線、北近畿タンゴ鉄道(KTR)・福知山−天橋立間(宮福線ほか)の電化によって、京都−宮津間が1時間40分になるということですが、宮津出身の私にとって、この1時間40分という時間は、まさに夢の時間といえるでしょう。本当に大きな喜びです。
 思えば、昔は大変でした。京都−宮津間は、3時間以上もかかっていましたから、いつも「新幹線なら東京まで行っている時間だ」と比較しながら、同じ京都府の中なのに、なんて遠いんだろうとタメ息ばかりでした。でも今度は違います。
 北近畿を、身近に感じて、夏の海水浴や冬のカニのシーズンはもちろんのこと、一年を通してたくさんの人に来てほしいです。また逆に北近畿から、京阪神などへも出掛けやすくなりますから、地元の人にとっても、本当に便利になると思います。
 私にとっても、そうです。毎週土曜日の午後、福知山で、KBS京都ラジオの「ワイド・ワイド北近畿」という番組を担当しています。この関係でJR西日本・山陰線とKTR・宮福線を利用して、京都−福知山−宮津を頻繁に行き来していますから、これからはもっと快適になることでしょう。
 自然に恵まれた地元の宮津に住んで、仕事は京阪神というライフスタイルも夢ではありません。
 今度のダイヤ改正によって時間が短縮されるのは、もちろんうれしいニュースですが、さらに注目したいのは、新車両の登場です。現在走行中の「タンゴエクスプローラー」や「エーデル丹後」に続き、「タンゴ・ディスカバリー」「レインボー」といったおしゃれで、スマートな列車が続々と登場します。今まで、どちらかというと暗いイメージだった山陰線やKTRに一段と明るさと活気をもたらせてくれるでしょう。
 時間の短縮と快適な旅をプレゼントしてくれるJR西日本とKTRの電化・高速化。鉄道関係者や京都府、沿線各市町の関係者の方々に感謝するとともに、ますます期待をしています。
 ももどり・ひでよ(KBS京都ラジオ、FM京都で活躍、宮津市日置出身)
・北部発展へ効果期待
 地域住民の悲願だったJR山陰本線園部−福知山間(54.3`)と北近畿タンゴ鉄道(KTR)福知山−天橋立間(34.8`)の全線電化が完成、いよいよ16日に開業する。京都府北部は京都市をはじめ阪神の大都市圏との時間的距離が短縮し、列車本数も増加。観光、ビジネスをはじめ、通勤通学など各方面で地域発展への効果が期待される。
 これまでの特急「あさしお」と急行「丹後」に代わり、「はしだて」京都−天橋立・4往復▽「たんば」京都−福知山・2往復(下り3本)▽「きのさき」京都−城崎・6往復(下り5本)の特急列車(定期)が新しく登場。大阪方面からは「文殊」新大阪−天橋立・2往復(下り1本)と「タンゴ・ディスカバリー」新大阪−天橋立・2往復が運行される。
 この結果、京都から、天橋立まで6往復、福知山まで12往復の特急が結び、利便性が飛躍的にアップ。また綾部駅では、綾部−東舞鶴、西舞鶴間をノンストップで走る快速「舞鶴リレー号」(上り7本、下り6本)が約半数の特急と接続する。
 電化により、京都−天橋立は1時間44分、京都−東舞鶴は1時間39分、京都−福知山は1時間11分、京都−綾部は1時間2分と、いずれも現行より18分−8分短縮(最速列車)。また京都−福知山間を直通で走る普通電車が上下合わせて29本設定され、園部での乗り換えが解消される。このほか、気軽に丹後観光が楽しめるように臨時快速「レインボー」が京都−天橋立間に運転される。
 さらにダイヤ改正に合わせて、JRとKTRは特急や快速にグレードアップした新型車両を投入するなど”丹波・丹後路の鉄道”は魅力的に生まれ変わる。
 しかし一方で、姿を消す急行列車を惜しむ声が聞かれるほか、電化から取り残される舞鶴では京都と結ぶ直通特急が2本に減少するなど、問題点と課題は残る。
・スマートな新車両デビュー JR特急電車など3種類 車いす利用者らに配慮も
 電化開業・ダイヤ改正に合わせて、3種類の新しい車両がデビューする。
 まず、電化されたJR山陰線とKTR宮福・宮津線を走るJRの特急電車。福知山線の特急「北近畿」と同じ「183系」で、北陸本線の特急「雷鳥」を化粧直しした。アイボリーホワイトを基調に、車窓部分が茶色、その下にブルーのラインが入る軽快なボディーカラー。グリーン車は座席が3列のゆったりした室内にグレードアップされた。
 4−8両編成で、特急の「はしだて」(京都−天橋立)「きのさき」(京都−城崎)「たんば」(京都−福知山)に使う。
 一方、KTRが新造したディーゼル特急「タンゴ・ディスカバリー」。「丹後発見号」の名の通り、電化された天橋立への観光客をさらに未電化の丹後地域へ引っ張るのがねらい。JR福知山線とKTR宮福・宮津線に登場し、大阪から未電化の網野、久美浜へ直通乗り入れするほか、天橋立や綾部で京都からの電車特急と接続するリレー号となる。
 外観は、丸みのある先頭部や青緑とグレーの外装で、丹後の海と山を表している。車内は、乗務員室の後ろに大きな窓をもつ「フリースペース(語らいの空間)」を設けた。車いす利用者用の回転シート、トイレには収納式のベビーベッドなど優しい配慮も。
 3つ目は、週末を中心に京都−天橋立間を走る臨時快速電車「レインボー」。JRの最新型「223系」車両で、現在は関西空港線や京阪神を結ぶ新快速に使われているが、府北部を走るのは初めて。青・白・こげ茶色のラインが入り、窓を大きくとっている。
・京都・天橋立間の電化・高速の完成にあたって −京都府知事 荒巻禎一
 京都府民の永年の悲願でありました、JR山陰本線の電化・高速化にあわせて、北近畿タンゴ鉄道(KTR)宮福線等の電化・高速化も、工事が無事完成し、京都・大阪から天橋立までが電車特急により結ばれることとなりましたことは、誠に喜びに堪えないところであります。
 この事業の完成により、3月16日には、JR電車特急「はしだて」や、KTR新型気動車特急「タンゴ・ディスカバリー」のデビュー、普通電車の直通運転等を中心とした大規模なダイヤ改正が行われ、時間距離の大幅な短縮とともに、利便性・快適性が向上し、京都府北・中部地域の活性化に大きく貢献するものと期待をいたしております。
 京都府といたしましては、今後とも、府域の均衡ある発展をめざし、京都縦貫鉄道構想による鉄道の近代化、高速化を順次進めるなど、総合交通体系の整備充実に向け積極的に取り組んでまいりたいと考えておりますので、皆様方の格別のご理解とご支援をお願い申し上げる次第であります。
・トンネルやホームを改良 線路、信号高速化に対応
 今回の電化工事に要した費用は、JR山陰線の園部−福知山間(54.3キロ)が約123億円、KTRの福知山−天橋立間(34.8キロ)37億円で、総額約160億円。電柱や変電所の新設、トンネルやホームの改良などで電車を走らせる施設を整備するとともに、高速走行に対応した。
 電柱 建てた電柱はJR区間1683本、KTR区間は661本の計2344本。大半はコンクリート製だが、一部鉄製もあり、高さは10−11b。
 変電所 高圧の交流電気を直流に変換し電車に送る変電所は、JRが胡麻、和知、山家、綾部の4カ所に、KTRが宮津、二俣の2ヵ所に新設した。
 トンネル改築 既存のトンネルは低くて電車が通れない。このため断面の上部を50a−70a拡大する改築を、下山・和知間の白鹿山や安栖里・立木間の明神山など9ヵ所のトンネルで行った。改築は日ごろ列車が走っている線路で実施するため、作業は連日深夜、4時間半のわずかの間に集中的に進め、一夜で掘削を終えるなど苦労が多かった(JR西日本綾部工事所)という。
 ホーム改良 山陰線の9駅で、電車の床に合わせてホームの高さを1.1bにかさ上げした。
 高速化 今回の電化区間は大半が単線で、駅付近は線路が上下線に分かれてふくらんでいるが、高速で電車が通過できるように、片方を高速専用に変更したり、直線にする1線スルー化を実施した。このほか、ロングレールの導入、まくら木を木製からコンクリート製に交換、信号設備や踏切の改良などで、高速化へ改善した。(京都新聞)
■大阪市営「ニュートラム」暴走事故 交通局4幹部を書類送検 同種の事故、過去に3件 改善を怠った疑い
 大阪市営の新交通システム「ニュートラム」が暴走して乗客212人が重軽傷を負った1993年10月の事故で、大阪府警捜査一課の住之江署捜査本部は13日、同種のオーバーラン事故が過去3回起きていたにもかかわらず、車両の改善や安全対策を怠ったことが事故につながったとして、市交通局の当時の担当課長ら4人を、業務上過失傷害と業務上過失往来妨害の疑いで大阪地検に書類送検した。一方、設計段階については、メーカーなどの過失は問えないと判断した。無人運転の公共交通機関で起きた事故について、刑事責任が問われるのは全国で初めて。
 書類送験されたのは畚野(ふごの)信弘・市交通事業振興公社常務理事(56)=事故当時、車両部車両課長▽堀畑俊雄・車両課長(53)=同、車両部技術主幹▽高橋清・運転課長(58)=事故当時も同じ▽志賀岩男・四つ橋線運輸長(56)=同。
 事故は、93年10月5日午後5時半ごろ発生。大阪市住之江区泉一丁目の市営ニュートラム南港ポートタウン線の住之江公園駅で、無人運転のニュートラム(4両編成、乗客約240人)が減速せずに停止点を通過し、約50b暴走して車止めに衝突、乗客212人が重軽傷を負った。
 ニュートラムは、運転士の役割をする自動列車運転装置(ATO)と、自動的に制限速度以下にする自動列車制御装置(ATC)を組み合わせ、コンピューターで運転を制御している。住之江公園駅では、ホームの約230b手前で発信される信号でATCによってブレーキがかかり、速度50`から35`に減速することになっていた。だが、事故を起こした列車は減速せず、車止めの直前で非常ブレーキが作動したがそのまま衝突した。
 捜査本部の調べでは、事故列車は地上信号を受け、車両に搭載されたATCが減速指令を出したが、この指令をブレーキ装置に伝える「中継継電器盤」内で一時的に電流が通じない現象(導通不良)が起きたため、指令がブレーキにまで伝わらなかったと判断した。しかし、再現実験では継電器盤内の故障個所は特定できなかった。
 事故を起こした「13号列車」は91年5月にポートタウン東駅に入った際にも減速せず、オーバーラン。さらに93年5月にもオーバーラン事故を起こしていた。また別の「16号列車」も同年6月にオーバーラン事故を起こしていた。市交通局は車両製造メーカーに依頼するなどして原因を調べたが、解明できず、そのまま運行を続けた。
 調べでは、畚野理事と堀畑課長は、同様の事故が再発する危険を十分予測できたのに、オーバーランしてもATCの非常ブレーキで列車が停車できると過信し、必要な対策を取らなかった過失があった疑い。高橋課長と志賀運輸長は、車両部に原因究明の徹底やオーバーラン防止のための安全対策を請じるよう申し入れる義務があったのに、怠った疑い。
 設計段階については「レベルの高い専門家が携わり、当時としては最高のシステムを備えていた」として、メーカーなどの過失は問えないと判断した。
 府警が把握している被害者は212人だが、大阪市交通局は215人を被害者と認定。事故後、ニュートラムに添乗員を乗せ有人選行している。
・予見可能性で見解対立
 《解説》無人運転のニュートラムの暴走事故で、「安全対策を怠った」として責任者を書類送検した大阪府警に対し、「事故の予見はできなかった」とする市の言い分は真っ向から対立している。今後、事故の予見性の有無は検察庁の判断にゆだねられるが、複雑な自動制御システムがからむ事故の原因解明の難しさも浮かび上がる。
 市側は「過去のオーバーランからはその後の事故は全く予測できなかった」と主張した。府警は「確実な安全対策を期すべきだったのに、漫然と運行を続けた」と指摘する一方で、立件の難しさも否定しない。
 法律専門家は「市が過去の事故後にとった対応策が十分だったかどうかを判断するのは難しい。送検したからといって、起訴できるかどうかは別だ」と話す。
 それでも府警が書類送検に踏み切ったのは、安全と信じられていた最新システムの暴走が社会に与えた衝撃の大きさを考慮した結果といえる。(小山 啄)
・ニュートラム 低公害・省力化を目的に、コンピューターを使った新システムで、高架専用軌道をゴム車輪で自動運行する、バスと鉄道の中間的な輸送機開。1981年3月に開業。現在、住之江公園−中ふ頭駅間6.6`で、上下合わせて455本(平日)を運行している。設計最高速度は時速60`。(朝日新聞)
■ニュートラム「暴走もうない」市は言うが… 再び無人化時代の流れ 原因しぼれず 消えぬ不安
 大阪市営ニュートラムの暴走事故で13日、大阪市交通局幹部4人が業務上過失傷害容疑などで書類送検されたことに、市側は「当時は最新の安全装置を信じ切っていた」と事故予見の難しさを主張する。しかし、200人を越す重軽傷者を出した大事故は現実に起こり、コンピューター制御による無人電車の「安全神話」が揺らいだ。事故後、市は有人運行に切り替える一方、安全対策に力を入れており、「暴走事故はもう起こらない」と強調し、再び無人運行に戻す構えも見せる。「教訓は本当に生かされているのか」。被害者や利用者の不安は消えない。
 大阪市交通局は13日午後、岸尾俊茂設技術本部長ら幹部が記者会見した。岸尾本部長は「関係職員4名が書類送検されたことを厳しく受け止める」とのコメントを読み上げた。
 事故後の安全対策に関して、車両だけでなく地上施設でも速度を測るよう改善したため、「今後はあのような事故は起こらない」と強調。「ニュートラムは無人運転を前提にしている。労働条件が厳しく、経営的にも苦しい」ため再び無人化をめざすと説明した。
 また、事故前の3回のオーバーランの原因が分かっていない点について、岸尾本部長は「事故まではATC(自動列車制御装置)は保安装置で、そのものが壊れるというような認識はなかった」と事故が予見できたという見方を否定。浜井正直車両部長は「ATCを宗教のように信じ込んでいた」と話した。
 書類送験された4人を代表して事故当時、車両課長だった春野信弘・市交通事業振興公社常務理事が記者会見した。過失責任については「今後の焦点になるのでコメントを差し控えたい」とした上で、「業務は精いっぱいやってきた」と話した。
 事故後、市は安全対策を強化。事故現場の住之江公園駅付近では速度超過防止に減速区間を長くしたり、車止めの緩衝方式をゴム式から油圧式に変更。また車両も事故原因とみられている中継継電器盤内の回路を二重にするなど改善した。
 しかし、トラブルは事故後も17件発生している。今年1月31日には停電によって中央コンピューターがダウンして全線が停止。運行再開直後には信号装置故障も起きている。
 技術担当者は「機械化に伴うトラブルはなくならない。大事故につながらないのは、何重もの安全装置が働いているため」と説明する。
 一方、神戸市内と人工島を結ぶ「ポートアイランド線」と「六甲アイランド線」の2路線で新交通システムを導入している神戸新交通。ニュートラムの事故後、一時的に添乗員を乗車させたが、今は無人運行に戻っている。「われわれのシステムは『安全最優先』の設計になっている」
 東京都と臨海副都心を無人運転で結ぶ「ゆりかもめ」を昨年11月から運行している東京臨海新交通は「設計の際にニュートラム事故も参考にしたが、保安施設を二重系統にするなど、こちらは100パーセントの安全を確保している」と話す。
・機械過信へ警鐘鳴らす
 国内で初めて起きた無人運転の新交通システムの暴走事故について、大阪府警が13日、大阪市交通局の責任者の書類送検に踏み切ったことは、交通機関の自動化が進む中で、あらためて機械過信の警鐘を鳴らしたといえる。
 今回の暴走事故以前にニュートラムで起きた3回のオーバーランのうち、91年5月と93年5月の2回は、暴走事故を起こしたのと同じ列車で起きた。事故形態が似ている91年のオーバーランでは、市交通局が車両メーカーに調査依頼し、「車両のATO装置の中のリレー部分で接触不良が起きたと推定される」との結果が出たという。
 しかし、市交通局は推定される不良個所の部品を交換して何回も試運転した結果、トラブルが起きなかったため、同じ車両を営業運転に使っていた。
 府警の調べに対し、市交通局の黄任者は「導通不良まで予見することは困難だった」と話したという。
 しかし、暴走事故後、市交通局は、回路に異常が生じた場合は自動的に非常ブレーキが作動するなどの対応策を取った。これは、それまでの安全対策が絶対ではなかったことを意味している。
 現在、新交通システムが無人運行されているのは、神戸、横浜、東京の3都市。運輸省は「安全性は100パーセント確保されていると考えている」。今回の書類送検は、こうした過信に対して、何重もの安全対策が必要なことを示した。
・メーカー側の責任も追及を
 中岡哲郎・大阪経済大教授(産業技術史)の話 無人運転中という前例のない事故に対して、運行管理していた大阪市交通局側の4人にだけ過失責任を問うのは酷な気がする。運転していたのは人ではなくコンピューターだったのだから、本来なら設計段階でのメーカー側の責任も明らかにすべきだと思う。事故原因に高度に技術的な問題がかかわっている場合は、司法機関だけでなく、海難審判所のような専門的な機関での責任の追及が必要ではないか。
・3回の前兆に無対策は過失
 交通評論家の久保田博さんの話 どんな最新技術でも事故は避けられない。ニュートラムの場合、開業から今回の事故までに10年以上経過しており、運行者に油断があったのではないか。大事故には必ず前兆がある。今回も同種のオーバーランが3回あったのだから、十分な対策を取らなかったことは過失と言わざるを得ない。だだ、フランスなどの新交通システムは無人運転が主流になっており、日本で今さら有人運転に戻すのは時代に逆行することになる。
・被害者たち、痛み今なお
 大阪府阪南市のコンピューター技師、長濱和男さん(33)は、いまだに事故の瞬間の光景を覚えている。
 長濱さんはニュートラムの先頭車両の一番前に乗っていた。同僚2人と大阪市住之江区の「インテックス大阪」で、ニュートラムに使われているのと同じようなコンピューター制御システムの見本市を見学した帰りだった。
 車両が駅を通り過ぎてから、車止めに衝突するまでの約5秒間。「下手したら道に落ちる」と思った。周囲の乗客も「止まれへん、ぶつかる」と叫んでいた。
 ドーンと音がして、体が飛んだ。体の右半分を、フロントガラスにぶつけて意識を失った。右肩と頭を強打し、鎖骨にひびが入り、全治1ヵ月と珍断された。約2ヵ月で職場復帰したが、1年以上病院通いが続いた。今でも寒くなると右肩がこるし、耳なりがすることもある。
 工場や上下水道などの無人自動制御システムの開発にかかわっている長濱さんは「1ヵ所でも部品がおかしくなって電子指令が伝わらなかったら、とりあえずシステムを停止させるという安全設計と、綿密なメンテナンス態勢をとっていれば、事故は防げる。せっかく最新式の無人交通システムを実現させたのに、管理の詰めが甘かった。事故は未然に防げたのではないか」と話す。
 大阪市交通局によると、事故の被害者215人のうち、212人について示談が成立し、補償総額は5億6849万円にのぼっている。最高額は6412万円。末成立の3人は、いずれも大阪府内に住む男性会社員(62)、女性会社員(27)、女性会社員(24)。3人はろっ骨骨折や首の打撲などが完治しておらず、示談交渉について「もう少し様子をみたい」と話しているという。(朝日新聞)
■'96春闘 私鉄「集団交渉」崩れる 事業多角化で労使変化 阪急・阪神・京阪が個別に 首都圏波及か
 ストを背景に中央集団交渉を続けてきた私鉄の春闘が変わろうとしている。阪神大震災の被害を理由に昨年に続いて阪急電鉄と阪神電気鉄道が個別交渉になったのに加えて、震災の影響がなかった京阪電気鉄道までが個別交渉を選んだからだ。鉄道事業の伸び悩みから各社とも多角化を進めており、鉄道部門だけで賃金を決めることに労使ともに抵抗が強まっている。こうした動きは首都圏の私鉄にも波及する、との見方がもっぱらだ。
 京阪電鉄労働組合は、1月16日付で「私鉄春闘は大きな曲がり角」との文書をまとめた。「各社の経営状態や労務構成が著しく違うため、これまでの横並びは限界」「鉄道部門での取り組みよりは、(他部門を含む)企業全体の取り組みが緊急の課題」など、私鉄総連が主導してきた春闘方式に異議を唱える主張が並ぶ。
 実際、京阪の売上高に占める鉄道事業の割合は5割近くにまで落ちてきている。企業のリストラ(事業の再構築)による通勤客の減少や子どもが減って通学者も減り、輸送旅客は頭打ちだ。沿線不動産開発の余地も少なく、今後の乗客増にも限界が見える。このため経営側は流通・レジャー事業などに力を入れる方針で、「会社の実情に合わせたほうが、労使ともメリットがある」と強調する。
 昨年の私鉄春闘は、阪神大震災で各社の業績格差が広がり、東西に分かれた交渉を余儀なくされた。このため、私鉄総連は今春闘の最優先課題に「集団交渉の復活」を挙げた。その直後の離脱。総連の池村良一委員長は京阪労組の出身だけに、苦しい立場に立たされた。「単組は単組の事情がある。自分は総連執行部としての責任を果たすだけ」と話すが、こうした動きはさらに広がる雲行きだ。
 関東私鉄の中で、離脱は時間の問題と見られているのが東京急行電鉄。いち早く多角化を進めてきた結果、1995年3月期決算では「非鉄道事業」収入が全体の6割を占める。労務担当の遠藤忠男専務も「いまのままの交渉形式でいいのかという気持ちはある」と、個別交渉への意向をのぞかせる。
 私鉄は昨年、運賃を値上げした。これまで鉄道部門は約3年ごとの値上げで安定した利益を稼いでこれた。だが、低成長下で公共料金の値上げはしづらくなっており、毎年一律に人件費を上げる現在の方式は、経営を圧迫しかねない。賃上げが運賃上昇につながっては、消費者の利益と対立し、組合の主張も通りにくくなる。
 近畿日本鉄道や南海電気鉄道は今回も集団交渉を続ける。「個別で交渉しても結局は集団交渉を横目にするしかない」というのが理由だ。だが、そうした私鉄も「今春闘が終った段階で、今後の方針をきちんと話し合うべきだ」(辻井昭雄・近鉄副社長)としており、私鉄春闘のあり方を巡る論議は今後、活発化しそうだ。(朝日新聞)
■春走る電車 京都〜天橋立 上 地元の期待を乗せ16日発車 距離より時間 観光圏広く関東・九州へ 「活性化を生む」20分短縮
 木々の新芽が膨らみかけた2月下旬、淡いアイボリーホワイトを基調に青の横線が入った6両編成の車両がJR福知山駅にお目見えした。京都と天橋立を結ぶ新型の特急電車「はしだて」の試運転。大阪−富山間の北陸線を走っていた特急「雷鳥」を改装した。
 同じ2月、雪が舞う天橋立駅に到着した「急行丹後1号」から十数人の女性グループが天橋立駅に降りた。天橋立を観光する関東方面からの一行だった。「待ち時間を入れてざっと6時間。沖縄までは空路で3時間弱。天橋立は遠い」と口をそろえる。
 新幹線「のぞみ」で東京−京都間の約514`が2時間14分、京都−天橋立間の123`は「急行丹後1号」で2時間40分かかる。京都−天橋立間が遠いのは観光客だけではない。丹後地方に住むほとんどの人が、京都との時間が短縮できたらと、切実な思いを抱いてきた。
 今回の電化開業で導入される「はしだて」は、京都−天橋立間を1時間44分で走る。これまでいちはん速いディーゼル特急より20分短縮される。京都発の14本の新型特急はすべて東京方面からの「のぞみ」と京都駅で接続され、東京−天橋立間は4時間余りで結ばれることになる。
 「電化によって、京阪神を照準にしていた観光事業のマーケットが、関東、九州方面にまで広がる」。天橋立のひざ元、宮津市文珠で旅館を経営する丹後キャンペーン推進協議会企画委員長の幾世淳紀さん(53)はこう期待する。1泊2日の旅行プランは、片道4、5時間が基準とされる。「これでようやく、他の観光地と同じ土俵に立てる」と、旬の海の幸に力点を置いたグルメ客誘致に懸命だ。
 JR山陰線の福知山駅から北へ延びる北近畿タンゴ鉄道(KTR)は、今年を「電化元年」と位置づけている。KTRは6年前、廃線の危機にあった旧宮福鉄道とJR宮津線が、府と沿線自治体の9割近い出資で、第三セクター鉄道として再出発した。営業距離114`は全国38社の三セク鉄道の中でも有数の長さ。昨年度の営業収益は14億7600万円で、三セク鉄道の中で上位にランクされる。
 勝本宗繁・KTR事業本部長(61)は「府と沿線自治体の公的資金に支えられ営業を続行できてきた。丹後地方を訪れる観光客は年間約600万人。うち7割が車利用だ。電化によって鉄道利用客を1割増にするのが当面の目標」という。
 今回の福知山−天橋立間の電化工事費は総額37億1000万円。府と沿線の福知山、宮津両市、大江町とで半額を負担、残りをKTRが借入金でまかなう。
 天橋立以西の未電化区間と、舞鶴線経由で京都−豊岡を走る区間には、新型ディーゼル特急「タンゴディスカバリー」が10両、導入された。購入費12億円は、沿線の福知山、綾部、舞鶴、宮津市と豊岡市を合む5市11町が、今年度から2年計画で負担する。
 丹後地方で京都市からいちばん速い久美浜町。片山茂町長(69)は「丹後半島の自治体は、過疎による人口減などで財政は豊かではない。しかし、鉄道への投資は将来を見越したものだ」と話す」
 丹後の衰退の原因を町長は、距離ではなく、時間的な遠さにあると見る。これが産業や文化の発展の妨げになってきたという。電化後は、久美浜町からでも京都市に日帰りで往復できるようになる。「20分の短縮は丹後の活性化に必ずつながる」と力を込めた。
 JR山陰線の園部−福知山間とKTRの福知山−天橋立間の電化・高速化工事が完成し、16日から京都−天橋立間に直通の特急電車が走る。ディーゼル特急で2時間を越えた同区間が大幅に短縮され、丹後はぐっと京都に近づいた。この春走る特急電車に寄せる地元の喜びや期待、不満を、府北部の市町に追った。(朝日新聞)
■事故から5年慰霊碑に祈り 広島の橋げた落下
 広島市安佐南区上安二丁目の新交通システム高架橋建設工事現場で橋げたが落下、15人が死亡した事故は14日、発生から丸5年がたった。「アストラムライン」上安駅前の事故現場に立つ慰霊碑では夜明け前、近くに住む塗装業金谷修さん(58)が長男昇さん=当時(28)=ら犠牲者の霊に祈りをささげた。
 刑事責任を問われた業者4被告の広島地裁判決を28日に控え、金谷さんはこの日午前4時前、菊の花束を持って慰霊碑を訪れた。
 「この静かな時間帯だと昇と話せるんです」。業者だけでなく、広島市の監督責任が重大と、同市などを相手に民事提訴している。「昇の悔しさはわしが必ず晴らしてやるから、心安らかに」と手を合わせ、供えてあった広島市長名の花束を碑の左わきに外した。(京都新聞 夕刊)
■新快速延長記念しカード 滋賀
 JRの春のダイヤ改正で、湖西線の新快速電車が高島郡内に初乗り入れするのを記念し、高島郡町村会は、運行開始の16日からオレンジカード(JR料金前払いカード)を発行する。
 ダイヤ改正で、大阪から直通の新快速が従来の近江舞子、堅田止まりから、同郡内の近江今津、伊香郡西浅井町の永原まで延長。カードは、高島郡が京阪神の通勤圏に入ったPRと、沿線住民の利用を促す狙い。デザインには新型車両223型をあしらい1枚1000円分を8000枚発行。今津、高島などの各町役場や、JR近江今津、安曇川ほか郡内各駅の構内観光案内所で販売する。(京都新聞 夕刊)
15日■系列ホテルでキャンペーン JR西日本
 JR西日本は、18日から1ヵ月間、ホテルグランヴィア京都(平成9年開業予定)など、グループ8ホテルの統一キャンペーンに乗り出す。
 同社が出資するホテルは、奈良ホテルなど営業中7館、開業予定が1館あり、昨年3月からチェーン名称を「JR西日本ホテルズ」と統一。今回、一段の集客力アップをめざし、春の観光シーズンを前に8館共同PRに全社で取り組むことにした。
 売り込みの第1弾には、同ホテルチェーンにちなんだクイズを用意。列車内の吊り広告や、駅張りのポスターで出題し、正解者1150人に、北海道ペア旅行などの賞品を贈る。
 ガイドブックも30万部を作製したほか、ホテル名を広告でアピールする。(京都新聞)
■阪神の新車両デビューへ
 阪神電鉄の新しい急行用車両「9000系」が20日からデビューする。同社では、19年ぶりのステンレスカーで、計30両(5編成分)が製造された。
 銀色ボディーに赤線を入れたざん新なスタイル。新型の制御装置で乗り心地を向上させたほか、座席にバケットシート、停車駅と現在駅が一目でわかる電光表示板も採用した。
 阪神電鉄の電車は阪神大震災で、126両が被災。うち41両が廃車になり、不足分はすべて新造された。20日は、全線で新ダイヤがスタート。梅田駅では同日午前10時から発車式がある。(京都新聞)
■大阪−津山ノンストップ バス運行便を申請
 西日本ジェイアールバス(本社・大阪市)と、神姫バス(本社・姫路市)は14日、大阪−津山間ノンストップ便(中国自動車道経由)の運行を近畿運輸局に申請した。申請によると、運行開始は4月12日から。一日に両社2往復ずつ運行し、運賃は現行と同じ片道2600円。所要時間は片道2時間25分と、これまでの特急便に比べ20分の時間短縮になる。乗り場は大阪がJR大阪駅桜橋口、津山は同津山駅前。
 バスの愛称は「スーパーライナー津山」で、電話やトイレも備えている。(京都新聞)
■山陰線電化完成で記念乗車券発売
 JR西日本福知山支社は山陰線の電化完成を記念した「山陰線電化記念乗車券」と「山陰線電化記念オレンジカード」を発売する。
 記念乗車券は16日から綾部、福知山駅で各1000枚を発売。それぞれ京都までの往復乗車券で、綾部駅発2520円、福知山駅発売2840円。利用期間は4月15日まで。また、記念オレンジカード(1000円)は現在、山陰線の主要駅で発売している。
 双方とも郵送での申し込みも受け付けており、住所、氏名を明記した返信用封筒(80円切手添付)を同封し、郵便小為替または現金書留で綾部駅〒623綾部市幸通り東石ケ坪、福知山駅〒620福知山市天田まで。(京都新聞)
■JR発券システム1750台ダウン 全国のみどりの窓口
 14日午後3時54分ごろ、JR全線の乗車券や指定券を発券するオンライン・システム「マルス」の端末の一部機種がダウンするトラブルが起き、同機種を使用している東京駅など全国の「みどりの窓口」で約1時間にわたり指定券などを発売できなくなった。
 JR東日本によると、使えなくなったのは約7000台ある端末のうち、最新型2機種約1750台。(京都新聞)
■GWにSL運転 北陸線米原−木ノ本間
 JR西日本は14日、黄金週間に北陸線の米原−木ノ本駅間(22.4`)で「SL北びわこ号」を運転すると発表した。全席指定で、指定券は各運転日の1ヵ月前から全国のみどりの窓口などで発売する。
 運転日は4月27、28両日と5月3日から6日までの計6日間。愛称「ポニー」のC56型が客車5両(定員424人)を引いて1日1往復する。
 指定料金500円。運賃は米原−木ノ本間が390円。子供はいずれも半額。発車時刻は米原が午前9時10分と午後1時13分、木ノ本が午前11時6分と午後3時6分。(京都新聞)
■京都駅工事現場でボヤ 保温マット燃える
 14日午後3時半ごろ、京都市下京区烏丸通塩小路下ル、京都駅ビル新築工事現場6階に置いてあったウレタン製保温マットが燃えているのを作業員(23)が見つけ、119番通報した。駆けつけた作業員6人が消火器で消し止めたが、保温マットのロール12本(約1立方b)を焼いた。けが人はなかった。
 七条署などの調べによると、保温マットはコンクリートの凍結防止用で、現場に使用前のロール12本が積み上げられていた。当時、現場の真上の12階工事現場でガスバーナーを使って鉄骨を切断する作業中で、同署は火花が飛び散って引火したのではないかとみている。
 京都駅ビル工事所によると、京都駅ビル(仮称)は駅やホテル、商業、文化施設などの複合ビル(地上16階・地下3階建て)で、93年末に着工、97年度のオープンを目指している。(京都新聞)
■京日記
 JR山陰線の花形列車として23年間、丹波・丹後路を走り続けたディーゼル特急「あさしお」が春のダイヤ改正を機に、きょう15日限りで姿を消す。山陰線や舞鶴線沿線では、各地から訪れた鉄道ファンが、最後の従姿をカメラに収めている。
 「あさしお」は1972年に登場。現在は京都から東舞鶴、城崎、鳥取、倉吉、米子間を結んで12往復走っている。電化に伴うダイヤ改正後は、「はしだて」「たんば」「きのさき」の電車特急がバトンを受ける。
 JRは15日、東舞鶴駅(午前6時50分)、綾部駅(午後3時20分)、西舞鶴駅(午後7時)で「さよならイベント」を行い、「あさしお」の長年の労をねぎらう。(京都新聞)
■春はしる電車 京都〜天橋立 中 電化に乗り遅れ嘆く舞鶴線 直通特急減る痛手 厳しい人口の現状 地元の熱意
 JR山陰線と接続し、未電化の舞鶴線と北近畿タンゴ鉄道(KTR)の天橋立以西を走る新型ディーゼル特急「タンゴディスカバリー」。丹後の海と空をイメージした鮮やかな青と白の外観がまぶしい。舞鶴市の江守光起市長は、KTRが2月16日に開いた試乗会で、ゆったりした座席に腰を下ろした。
 「こんないい車両が、電車として舞鶴線を走ってくれれば…」
 KTR副社長でもある江守市長の頭をよぎったのは、電化に取り残された舞鶴線への思いだった。
 舞鶴線は、山陰線綾部駅から東舞鶴駅までの26.5`。駅は5つ。舞鶴市は1970年4月の市総合計画の中で、すでに舞鶴線の電化を盛り込んでいた。「危機感のない取り組みだった」と厳しく指摘する意見もあるが、府や旧国鉄、JRなどへの陳情を繰り広げた。
 「乗って残そう舞鶴線」をキャッチフレーズに利用促進を展開。15人以上の団体利用者へは運賃の30%を補助し、鉄道利用者に対する駅前駐車場の料金補助などもしてきた。
 舞鶴市のJR舞鶴線電化・西舞鶴駅整備推進事業本部によると、91年度から94年度の4年度だけでも、運賃補助の申請者は延べ8万4231人で、補助金は1865万円にのぼる。さらに市は、電化工事費の一部として20億円を基金として積み立て、JRに対する地元の熱意を見せつけている。
 しかし、JR西日本福知山支社経営企画担当の飯田直幸課長は、舞鶴線の電化の可能性についてこう説明する。「投資計画は輸送密度や乗車人員で検討する。舞鶴沿線人口は65年から横ばいで、電化しても乗客が増える要素がない。現在の状況が厳しいのに、電化すればなおさらです」
 山陰線の電化で、舞鶴−京都間の直通列車は特急タンゴエクスプローラー2往復、舞鶴−大阪間では特急エーデル北近畿1往復半だけ。急行はすべてなくなる。タンゴディスカバリーは綾部駅から特急のリレー号として、舞鶴線を各駅停車で走る。電化までは舞鶴−京都、大阪間の特急、急行が17本であるのに比べて、電化後の不便さは否めない。
 JR西日本福知山支社によると、京都−東舞鶴間の場合、リレー号の接続で特急の所要時間が従来より6分短縮され、1時間47分に。特急料金も820円安い930円になり、「乗り換えのわずらわしさはありますが、メリットがある」と強調する。
 しかし、特急が利用できる定期券パスカルで毎朝、舞鶴市から京都市内の勤務先へ通う公務員(45)は「直通列車だったので、ゆっくり座って寝ながら出勤できた。綾部で乗り換えとなると、座れないでしょうね。朝の2時間近くを立っているのはつらい」。舞鶴市からの利用者にとって、リレー号が増えた「便利さ」よりも、直通列車が少なくなる痛手の方が大きい。
 環日本海時代をといわれる中、地盤沈下が激しい舞鶴市。江守市長はJRからの「電化着工」の回答を待ち焦がれている。「鉄道と街の活性化は切り離せない。電化ができなければ、市の発展が妨げられる。京阪神などからの流入客を増やすには、電化しかないのですよ」(朝日新聞)
■南海電車、車と衝突脱線 大阪・忠岡町 乗客けがなし 特急など200本運休
 15日午前5時25分ごろ、大阪府泉北郡忠岡町忠岡東二丁目の南海本線泉大津8号踏切(警報機、遮断機付き)で、難波発和歌山市行きの区間急行電車(乗客約60人、6両編成)が、同町北出二丁目、トラック運転手松田将之さん(23)運転のワゴン車と衝突し、先頭車両が脱線した。電車は脱線したまま約300b走り、忠岡駅のホームのほぼ中央で先頭車両がホームにもたれかかる格好で止まった。乗客らにけがはなかった。ワゴン車は大破し、松田さんは頭に軽いけがをした。
 事故処理のため、南海本線の上りの泉佐野駅−泉大津駅間、下りの泉大津駅−貝塚駅間がそれぞれ不通になった。正午過ぎ、開通した。JR阪和線や南海バスへの乗り換えを呼びかけるとともに、前後区間で折り返し運転した。
 現場は難波と関西空港のほぼ中間で、午前中で、特急「ラピート」など計200本が運休し、通勤客や関西空港を利用する乗客ら約6万3000人に影響が出た。
 大阪府警泉大津署の調べでは、遮断機の下りていた踏切にワゴン車が突っ込み、電車の運転士は急ブレーキをかけたが間に合わなかったという。同署は松田さんを過失往来危険の疑いで調べている。
 南海電鉄が泉大津−泉佐野間で不通になった影響で、和歌山から大阪方面へ向かう利用客は泉佐野駅からいったん関西空港対岸にあるりんくうタウン駅へ回り、JR線に乗り換えて大阪へ向かった。日ごろ、人影もまばらな同駅も、この日は乗り換え客らでごった返し、駅員に事情の説明を求める通勤客も見られた。
 和歌山市の会社役員加納博さん(55)は「1時間ほど余分に通勤時間がかかり、会議にも遅れそうです」とあきらめ顔だった。(朝日新聞 夕刊)
16日■市バス事業 多額赤字で存続危ぐ 市会で京都市長 抜本的な改革必要
 京都市議会の事業予算特別委員会は15日、市長総括質疑をした。多額の赤字を抱える市バス事業について、桝本頼兼市長は「現状のまま推移すると存続すら危ぶまれる。交通事業から市の財政が破たんしていく危険性がなしとしない」と極めて厳しい認識を示し、「この数年のうちに抜本的な改革をやっていく時期だと思う」と述べた。
 桝本市長は「市民の足を守るのは公営企業の大命題だが、同時に採算性を無視しては公営企業の存在意味がなくなる。どう調和させ両立していくか、十分勉強して方向性を見いだしたい」とした。
 そのうえで、現時点での考えとして「公営企業としてやっていくこと、民間委託するものをきちっと押さえ、オール京都市としてどう考えていくか。将来の京都市を左右する大問題なので、しばらく時間を貸してほしい」と述べた。
 市バス事業は乗客減などのため年々、財政状況が悪化。94年6月には「市交通事業の経営健全化計画」をつくり、人件贅の抑制など経営努力を続けている。しかし、新年度予算案でも、累積赤字は35億1000万円増の99億2300万円、不良債務(資金不足)も99億3900万円を見込んでいる。
 一方、来年11月の地下鉄東西線(二条−醍醐間)開業後の延伸間題について、北里敏明助役は「今後、需要予測や路線の測量、事業費など具体的な検討が必要で、基本的な調査を行いたい」との方針を示した。(京都新聞)
■私鉄春闘大詰めへ 6社集団交渉終了
 春闘の相場づくりに大きな影響力を持つ私鉄総連(池村良一委員長)と大手私鉄6社の経営側との5回目の中央集団交渉が15日、東京・丸の内の日本民営鉄道協会(民鉄協)で行われた。
 2月27日から始まった集団交渉は今回ですべて終了。18日から私鉄総連3役と6社の幹部らによる少数交渉に入り、22日の回答日に向け交渉は大詰めを迎える。
 この日の交渉で組合側は「個人消費を拡大して景気を回復軌道に乗せるためには積極的な賃上げが不可欠だ」と指摘。「組合員は不規則、長時間労働で安全輸送を支えている。震災復旧への懸命の努力なども経営側は理解してほしい」として2万円(7.0%)の賃上げを求めた。
 これに対し、経営側は「2万円の要求根拠が不明確。旅客人員、旅客収入は下がっており、各社とも決して余裕はない」などと反論した。
 私鉄春闘は従来、大手9社の労組がストライキを背景に賃上げを追ってきたが、96春闘では阪神大震災による「緊急避難的措置」だった昨年に続き、2年連続の「ストなし」交渉となったうえ、阪急電鉄など関西3社が個別交渉となった。(京都新聞)
■窓 無残な落書き景観だいな 西京区・福島はる枝(主婦・65)
 京都の奥座敷水尾は、柚子(ゆず)の里として名高いが、春先の梅林も美しい。私はそれを求めて先日訪れてみた。ツボミはまだ堅かったが、やわらかな日差しに包まれた山里はのどかで、平和そのものだった。
 帰途、JR保津峡駅に初めて寄ってみて、びっくりした。駅前の公園風に造られた新しい施設に、よくもこれだけと思うほど、見るも無残な落書きである。赤と黒のスプレーで、実にくだらないことをおく面もなく書き散らしてある。絶景の場所だけに、背筋の寒くなる思いだった。
 聞けば暴走族の仕業で、暖かくなるとさらに増えるとのことだった。消しても消しても、いたちごっこで、JR側も警察も手を焼いているらしい。こんな保津峡駅を外国から来た人が見たら、どう思うだろうか。無法者たちには猛反省を促したい。警察の方々には、もっと頑張っていただきたい。私たちもこのような行為は絶対に許さないと、声を大きくしたい。(京都新聞)
■窓 バス遅れにも細かい配慮を 伏見区・立石嘉子(主婦・65)
 寒さの中にも心地よい春の日差しいっぱいの日曜の朝、出町柳バス停でバスの来るを待っていました。水辺でたわむれるユリカモメを見ながら時を過ごしていましたが、気がつくとまわりには人が増え、到着の遅いバスにいらいらとした雰囲気が漂い始めていました。一人のおじいさんは待ちきれず去って行かれました。中にはタクシー乗車も考えておられる人もあり、待つこと25分、その間市バスは1台も来ません。
 ようやく来た市バスに乗車したが「お待たせしました」と言う言葉もなく発車。すぐ座席に着いて窓際の張り紙を見ました。京都シティハーフマラソンのためにバスが遅れていた事を知り、その時、始めてすべてが理解できました。同じ張り紙がバス停に1枚でもはってあったら、多くの人たちがいらいらせず、また大切な時を無駄にしなくてすんだのにと思いました。
 用事を果たし帰途再び乗った市バス。「動きますから気をつけてください」「ありがとうございました」と運転手さんのきびきびしたさわやかな言葉。朝の気分の悪さも忘れ久しぶりにバスに思いをはせる一日となりました。市バス関係の方々のご苦労を感謝し、なお一層の細かい配慮をお願いする者です。(京都新聞)
■JR山陰線園部−KTR天橋立間 電化 きょう発車 京都主要駅 8−18分の短縮
 京都市内と府北部の時間的距離を縮める、JR山陰線園部−福知山間と北近畿タンゴ鉄道(KTR)の福知山−天橋立間の電化が完成し、16日、待望の一番電車が走る。京都と天橋立が電車で直結され、電化を観光面など地域活性化の起爆剤に−と願う北部の地元は、歓迎ムードに包まれている。
 これまでの特急「あさしお」、急行「丹後」に変わって、特急「はしだて」(京都−天橋立)、同「たんば」(京都−福知山)、同「きのさき」(京都−城崎)が登場。京都からの所要時間(最速特急)は天橋立まで1時間44分、福知山までは1時間11分、綾部まで1時間2分と、以前より18分−8分短縮される。
 これまで園部止まりだった普通電車が京都−福知山間を直通するなど、利便性もアップ。一方で、非電化区間の舞鶴線では京都への直通特急が上下7本から4本に減るなど、課題もある。
 16日は、沿線の関係各駅で、一番電車などの出発式があるほか、福知山市の三段池公園総合体育館では「電化・高速化開業式典」が、また、沿線各市町でも記念イベントを開き、”丹波・丹後路の鉄道新時代”を祝う。
・ダイヤ改正で時刻表取り換え 京都駅
 16日からのJRダイヤ改正に伴い京都市下京区のJR京都駅で15日夕、新しい時刻表の取り換え作業が行われた。
 京都駅で交換される時刻表は59枚。ちょうど、夕方のラッシュ時から作業が始まったこともあって、サラリーマンらが足をとめ、真新しい時刻表の交換作業を見守っていた。
 今回のダイヤ改正は、JR西日本の山陰線の園部−綾部間の電化、東海道・山陽本線の新快速電車の定期運行など話題の多い改正となった。
・行商のおばさん”閉店” 「足」の急行消え… 宮津−京都47年間通勤 車で続ける仲間も
 宮津市漁師の宮津食品卸売市場で仕入れ、京都まで列車を使って行商を営んでいたおばさん3人が、16日からの北近畿タンゴ鉄道(KTR)とJR山陰線の電化・高速化で、それぞれ転機を迎える。行商に便利な急行の廃止をきっかけに、高齢も加わり辞める人、車を使って続ける人…。15日、彼女たちと新鮮な海の幸などを乗せた最後の急行列車が、宮津駅を出発した。
 宮津市江尻の山内ミチ子さん(74)は、この日で、47年間営んできた行商生活に終止符を打つ。「年も年だし、今が引き際」と話す。電化によるダイヤ改正で、これまで利用していた急行が廃止となったほか、10年ほど前から痛めている両足が、年々増える荷物に耐えられなくなったという。
 山内さんはこの日、午前4時過ぎに同市場に着き、干し魚やねり製品、野菜などを仕入れると、市場の人たちから「寂しくなるね」「また顔を見せてや」の声をかけられた。「時代の流れだからしょうがない。今後はゆっくり過ごしたい」と、山内さん。京都では二条駅近くに民家を借り、仕入れた物を売っていた。「お客さんが待っているから、日・祝日以外は、毎日出掛けた」と話し、「お得意さんには『長い間かわいがってもらってありがとう』と言います」。
 数年前まで、同市場関係の行商仲間は5人はいたというが、最近では山内さんのほか、山中房子さん(87)=京都府中郡峰山町杉谷=、今井よ志枝さん(77)=与謝郡加悦町後野=の三人だけになっていた。山中さんも、定期券が切れる今月23日で廃業を予定。今井さんは、息子さんが運転する車で京都まで往復し、行商を続けるという。
 KTR宮津駅を午前7時27分に発車する急行「丹後2号」はこの日、少し遅れて1番線のホームに入り、大きな荷物を背負った行商のおばさんを乗せ、名残を惜しむかのように、ゆっくりと走り出した。(京都新聞)
■京阪にはねられ即死 伏見の踏切
 15日午後1時ごろ、京都市伏見区横大路下三栖東ノロ町の京阪本線新高瀬川踏切で、女性が淀屋橋行き急行電車にはねられ、即死した。急行は現場に11分停車し、後続の4本も最長11分遅れた。
 伏見署の調べでは、女性は40−50歳で身長153a、緑色ジャンパーに赤と黒のズボン姿。女性は傘をさしたまま踏切の南側からしや断機をくぐって線路に入ったといい、身元の確認を急いでいる。(京都新聞)
■車運転の容疑者逮捕 南海電車脱線事故
 15日早朝、大阪府泉北郡忠岡町の南海電鉄南海本線の踏切で起きた脱線事故で、大阪府警泉大津署は同日午後、過失往来危険などの疑いで路切内に進入した乗用車を運転していた同町北出、会社員松田将之容疑者(23)を逮捕した。(京都新聞)
■春はしる電車 京都〜天橋立(下) きょう開業 歓迎の準備整う 中核都市へ 福知山市「前進」 次の事業へ夢運ぶ 喜び半ばの大江町
・ぼんぼり200個飾る 天橋立駅前
 京都−天橋立間の電化・高速化が完成し、16日開業する。宮津市内では15日、北近畿タンゴ鉄道(KTR)天橋立駅周辺や宮津駅前の商店街などで、観光客らの歓迎準備が整った。天橋立駅前には約200個のぼんぼり、宮津駅前には商店街に約300個のちょうちんが、それぞれつるされた。KTR電化開業記念事業市実行委員会では「観光客を温かく迎えましょう」と、チラシを配るなど盛り上げに懸命だ。
 KTRは、天橋立−大阪間と網野−大阪間に2往復分の回数券タイプの割引切川符を16日から売り出す。天橋立からが1万4800円で通常料金より3360円安く、網野からは1万9200円で2060円安くなる。
 天橋立駅前から観光客を運ぶバスを運行している丹後海陸交通も16日から、宮津市内遊覧バス(1500円)、天橋立−傘松コース(1350円)、伊根湾−傘松コース(2500円)、丹後半島めぐり定期観光バス(3680円)を走らせる。
 問い合わせは、天橋立観光センター(0772・22・8030)へ。
 JR山陰線に登場する特急電車のお披露目があった10日、福知山駅には鉄道ファンら約400人が詰めかけた。構内は真新しい電車をバックに記念写真に納まる人たちでいっぱい。4両編成の車両は、指定席2両、自由席1両、グリーン車1両。京都と天橋立を結ぶ「はしだて」はこの4両編成のほか、自由席2両、指定席3両、グリーン車1両の6両編成もある。グリーン車は、従来の特急では横4列だった座席が3列になり、ひときわ広く感じられる。
 「まだか、まだかと思っていた電化開業がやってきた。これで、交通の要衝としての地位を上げられる」と、福知山市の中村稔市長は喜びを隠さない。
 市内にはJR西日本の支社があり、かつての国鉄時代には福知山鉄道管理局があった。市街地近くには21万平方bの広大な電車基地があり、今回の電化開業でも中心的な役割を果たしている。
 福知山商工会議所の田辺一彦専務理事は「電化は長年の悲願。園部−綾部間がつながった効果は大きい。京都縦貫自動車道の丹波町までの開通とあいまって、喜ばしいことだ。複線化されれば、もっと便利になる」と、さらなる高速化に期待をかける。
 府北部の鉄道網は、綾部で、福知山に向かう山陰線と、舞鶴への舞鶴線に、大きく二つに分かれている。いまのダイヤで、特急、急行はほぼ半数ずつ、両線に振り分けられた形になっている。それが電化開業後は、上下各14本の特急のうち、「タンゴエクスプローラー」(上下各2本)以外はすべて、福知山駅を経由するようになる。
 福知山駅で乗降する利用者にとって、特急電車の導入による時間短縮のメリットだけではない。大半は、綾部で乗り換えをする必要もなくなる。
 北近畿タンゴ鉄道(KTR)宮福線が通り、福知山市の北隣の大江町。酒呑(しゅてん)童子の伝説で知られる大江山のあるこの町は、「日本の鬼の交流博物館」をつくるなど、鬼をテーマにした町おこしを進めている。しかし住民は、予想以上に早い電化・高速化に、「歓迎しつつも、もろ手を挙げて喜べない心境にある」という。
 電化と同時に実施されるダイヤ改定で、上下各6本の特急が増発されるが、現在の普通列車に取って代わる形で組み込まれる。運転本数は1、2本多くなるものの、特急の多くは大江駅には停車しない。同駅の停車本数は現行より宮津行きで2本、福知山行きで4本減り、かえって不便になる。電化の目玉である時間の短縮で、しわ寄せを受けた形だ。
 複雑な思いを抱く沿線の町とは対照的に、福知山市は電化開業について、交通の拠点化だけでなく、北近畿の中核都市をめざすという構想の大きな一歩と位置づけている。懸案の「JR福知山駅付近の連続立体交差事業へのステップ」とみているからだ。
 現在、駅南地区での土地区画整理事業は約70%まで工事が進み、同駅北側の駅周辺地区も昨年7月に事業認可を受けた。両地区は、JRとKTRの線路で分断されている。一体として新都心づくりを進めるには、連続立体交差化は欠かせないという。
 中村市長は「電化開業ができてこそ、連続立体交差事業に進むことができる」と話す。工事の完了は約10年先の予定。特急電車は、21世紀への夢も運ぶ。(朝日新聞)
■園部−天橋立電化高速化 春の丹波路へ一番電車 「南北短縮」喜び乗せ
 JR山陰線と北近畿タンゴ鉄道(KTR)宮福・宮津線の電化・高速化(園部−福知山−天橋立間89.1`)の完成で、16日朝から新特急の一番電車が丹波、丹後路を走った。この日、JR二条−花園駅間(4.1`)の高架も開通し、京都−天橋立間は1時間40分台にスピードアップ、府中・北部と京都市がぐっと近づいた。JRグループが同日、2年ぶりに実施した合同ダイヤ改正に合わせてスタートした。
 JR山陰線とKTRの電化・高速化工事は、1993年からJR西日本、京都府、沿線市町などが総事業費約160億円を負担して進められた。
 電化開業で、これまでのディーゼル特急「あさしお」、急行「丹後」が廃止され、新たな特急電車「はしだて」など上下24本(1日)を運行。京都−天橋立間は18分から1時間近く短縮される。
 また、新大阪から福知山線経由で天橋立まで「文殊」や、KTR新車両「タンゴディスカバリー」(久美浜着)の特急上下5本(1日)も走り出した。
 JR京都駅では、午前9時から電化開業の記念式典が行われた。荒巻禎一京都府知事や井手正敬JR西日本社長らがテープカット、同25分発の新特急「はしだて1号」の出発を祝った。
 府北部では、KTR天橋立駅など各地で朝から電化開業式と電車の出発式があり、地元住民の熱い期待も乗せて”電化元年”のスタートを切った。(京都新聞 夕刊)
■はるか全列車京都駅発着に JRダイヤ改正
 JR西日本は、16日の始発からダイヤ改正を実施した。山陽新幹線では新神戸駅に停車するのぞみを増やしたほか、東京と岡山、広島を結ぶひかりの停車駅を減らし、東京−広島間で最大41分短縮された。
 在来線の山陰線関係のほかでは、関空特急はるかと智頭急行線経由の特急スーパーはくとの全列車が京都発着となり、新幹線との連絡が便利になった。草津発着のはるかは臨時扱いで、従来通り上下各1本走る。
 東海道・山陽線で平日午後9時台の新快速と快速を増発、一部の電車を延長運転するなど、仕事帰りのサラリーマンやOLにとっては歓迎されそうだ。(京都新聞 夕刊)
■JR山陰線・KTR 電化 府南北 沿線、歓迎にわく 二条−花園間高架、新駅舎 踏切渋滞が解消
 JR山陰線とKTR の電化・高速化がスタートした16日、京都市内や府北部の沿線主要駅で出発式など多彩な催しが行われ、住民らは青空に映える新電車を迎えて祝賀ムードに包まれた。また、花園駅までの高架と新駅舎が完成したJR二条駅では、駅周辺の再開発など今後の事業進展を望む声が聞かれた。
 JR京都駅の式典が始まった午前8時58分、勇壮な丹後・野田川太鼓に送られて出発した特急「きのさき1号」に乗り込んだ京都市上京区の自営業井上康太郎さん(68)は「夫婦で日帰り観光。年に4回ぐらい城崎温泉に行くが、電化で20分も時間が短縮されるのは大歓迎。これから旅行の回数が増えそう」と話していた。
 JR二条−花園間の高架と新駅舎完成記念式典が開かれた二条駅では、桝本頼兼京都市長やJR関係者、地元住民らが参加して、テープカットやくす玉割りなどのセレモニーで工事の完成を祝った。地元住民を代表して参加した多田房男さん(69)は「立体交差が完成し、旧二条通などの踏切での交通渋滞が解消する。お年寄りや子供らの安全面からもありがたい。ただ、地下鉄東西線との接続や駅西側を含めた周辺の再開発事業がこれからの課題として残っている」と話していた。
 春風に乗って電車が北進してきた府北部各地では、地域ぐるみで多彩な歓迎行事が催された。
 観光客向けに、ちょうちんや装飾でにぎやかに飾りつけられた宮津市の天橋立駅では好天にも恵まれて春らしい陽気に。ホームや線路沿いにも、アマチュアカメラマンらが詰めかけ、警笛を合図に出発する電車にシャッターを切っていた。
 「電化で観光活性にさらにはずみをつけよう」と、開業式後は駅周辺で、特急の到着に合わせて「宮津おどり」などの郷土芸能を披露したほか、宮津名物のアサリ汁やちくわを用意した「ふるまい朝市」の無料試食コーナーも登場。特急電車で到着したばかりの観光客らをもてなした。
 このほか、東舞鶴、福知山、綾部各駅などで、新型ディーゼル特急「タンゴ・ディスカバリー」や電車特急「きのさき」「たんば」などの出発式を行い、地元関係者らがテープカットやくす玉割りで電化を祝った。
・銘灸大学前駅が開業
 船井郡日吉町では、日吉(旧殿田)駅−胡麻駅間に新しく、鍼灸(しんきゅう)大学前駅が開業した。府内の山陰線で新駅が開設されるのは、1989年の太秦駅以来。無人駅で、上下合わせて1日51本が停車する。この日午前8時すぎ、同駅前で開業祝賀式典が開かれ、関係者がテープカットで新駅開業を祝った。
・新快速の延伸祝う 湖西線・近江今津駅
 JR湖西線では新快速電車が初めて滋賀県高島郡内に延伸運転、今津町のJR近江今津駅で、午前9時9分発上り新快速一番電車を前に記念セレモニーが行われ、テープカットとくす玉割りで延伸運転を祝った。
 JR湖西線はダイヤ改正で、早朝の通勤新快速上り1本を新設。デイタイムに姫路、大阪からの新快速電車1日9往復が従来の近江舞子、堅田止まりから近江今津、伊香郡西浅井町の永原まで延伸された。(京都新聞 夕刊)
■京阪特急と衝突 バイク男性死亡 伏見の踏切
 16日午前8時5分ごろ、京都市伏見区桃山井伊掃部西町の京阪本線上板橋踏切で、伏見区桃山町大島、伏見住吉小教諭滝田正樹さん(41)のバイクと淀屋橋行き特急電車が衝突、滝田さんが頭を強く打ち間もなく死亡した。
 伏見署によると、現場は警報機、遮断機のある踏切で、滝田さんは通勤途中だったらしい。同署で詳しい事故原因を調べている。
 この特急が現場に8分間停車したほか、後続の電車5本に最長5分の遅れが出た。(京都新聞 夕刊)
■京阪事故死者の身元判明
 京都市伏見区で15日午後、京阪電車にはねられ死亡した女性は、伏見署の調べで、近くの無職女性(52)と分かった。(京都新聞 夕刊)
■JR二条−花園駅 高架化工事が完成
 JR山陰線の二条駅(京都市中京区)−花園駅(右京区)間約4`の高架化工事が完成し、16日午前、開通式があった。両駅も新築され、木材をふんだんに使った古都らしいデザインの駅舎がお目見えした。
 京都市とJR西日本が取り組んでいた工事。新二条駅舎は、駅の西側に出現する新しい町並みと、東側の古い町並みをつなぐ門をイメージ、ホームから見上げると木の骨組みが見える。新花園駅も周辺の景観に配慮し、かわらぶきに似せた金属屋根になっている。(朝日新聞 夕刊)
17日■北・中部の”高速化元年”開幕 園部−天橋立間(KTR・JR山陰線)電化開業 式典に500人 期待こめ知事ら祝辞
 JR山陰線園部−福知山間と北近畿タンゴ鉄道(KTR)福知山−天橋立間の電化が開業した16日、福知山市三段池公園総合体育館で、開業記念式典が行われ、府や沿線自治体、JR西日本や工事関係者ら約500人が出席し、”丹波・丹後路の鉄道高速化元年”を祝った。
 荒巻禎一府知事はあいさつで「1978年当時、わずか7%だった府内の鉄道電化率が、園部−天橋立間の電化完成によって80%に伸びた。今後は舞鶴線の早期電化高速化にも積極的に取り組みたい」と語った。また、JR西日本の井手正敬社長は「電化完成による列車の高速化が府北部の発展に寄与することを願う」と祝辞を述べた。
 一方、地元を代表して中村稔福知山市長は「電化が府北部のイメージアップにつながり、経済や人的交流も活発になるよう期待したい。これを機に、地元としても活力ある町づくりに努力していく」と喜びを表した。来賓ら8人がくす玉を割り、府北部の悲願だった電化の完成を祝った。
 今回の電化は、総工費160億円と3年の歳月をかけて完成。電車特急「はしだて」「たんば」「きのさき」の登場で、京都−天橋立間が1時間44分になるなど、府の南北を結ぶ時間が短縮した。しかし、「観光優先」の批判の声や、舞鶴線が電化から取り残されるなど課題を残している。(京都新聞)
■国労組合員救済求める 中労委が申し立て
 国鉄の分割・民営化の際、JRに不採用になり、その後救済命令が出た国労組合員4人について中央労働委員会は16日までに、東京地裁に対し、JRの職場に戻すことを求める緊急命令をJR東日本などに出すよう申し立てた。不採用問題の救済をめぐって、中労委が緊急命令を申し立てたのは初めて。
 緊急命令申立書によると、中労委は昨年10月、国労東京地本横浜支部の組合員9人の不採用問題で、6人について採用の際に不当労働行為があったと認定。このうち就職済みの2人を除く4人を1987年4月のJR発足時にさかのぼり採用するよう、JR東日本とJR貨物に対して救済命令を出した。
 これに対しJR側が中労委命令の取り消しを求めて東京地裁に提訴したため、国労側が中労委に対して、緊急命令の申し立てを求めていた。
 申し立ての理由として中労委は「訴訟の判決が確定するまで現在の状態が継続することになれば、組合員の経済的損失、精神的苦痛が顕著となる」としている。(京都新聞)
■夢たくし電化スタート 園部−福知山、KTR・福知山−天橋立 観光・生活ひらく春
 JR山陰線の園部駅−福知山駅間と、北近畿タンゴ鉄道(KTR)の福知山駅−天橋立駅間の電化・高速化が完成し、16日から営業運転が始まった。京都駅で特急電車に乗れば、日本三景の天橋立まで1時間40分余りで到着し、これまでの最も早いディーゼル特急に比べて20分ほど短くなる。沿線各地ではこの日、さまざまな記念式典が催され、観光客の増加や地元の経済活性化などにかける関係者の期待は大きく膨らんだ。
・JR京都駅 野田川太鼓や特産品を配る
 JR京都駅では午前9時に記念式典が始まった。JR西日本の井手正敬社長が「地元の強い要望で電化事業が完成した。今後も山陰線をますます便利にして、丹波、丹後の発展に尽くしたい」とあいさつ。荒巻禎一知事も「山陰線の高速化は南北に長い京都府にとって永年の念願だった。観光をはじめ、雇用の創出や若者の定着に大きな力になる」と述べた。
 午前9時25分。野田川町からやって来た「野田川太鼓」のメンバーの勇壮な演奏に送られ、32番ホームからの一番電車の特急「はしだて1号」(6両編成)が出発した。ほぼ満席で、待ち受けていた鉄道ファンらが盛んにカメラのシャッターを切っていた。
 車内には、和知町ふるさと振興センターの片山俊明事務長(45)が同町職員らとともに乗り込み、特産品の甘納豆やハーブティーを乗客らに配った。片山さんは「時間の短縮というだけでなく、電化されたことによるイメージアップは大きい」とうれしそうに話した。
 乗客の宇治市広野町、公務員竹村晃一郎さん(58)は友人2人と一緒に天橋立への観光旅行へ。「便利になりました。でも、独特の雰囲気があったディーゼル特急が姿を消したのは少し残念」と話していた。
・天橋立駅 振る舞い酒や「龍舞い」披露
 特急「はしだて1号」は午前11時23分、到着予定時刻より少し遅れて終着の天橋立駅2番ホームに着いた。次々に降り立つ約300人の乗客らを歓迎するため、宮津民謡「宮津節」がホームに流れた。これに合わせ、地元のおどり振興会の女性たち約20人がそろいの着物姿で民踊を披露した。
 駅のロビーを乗客や関係者が埋めた式典では、鏡開きのあと、振る舞い酒が配られた。駅前広場では「朝市」も開かれ、特産のアサリ汁や焼きたてのジャンボチクワなどがサービスされた。地区に伝わる「火の滝太鼓」に合わせ「龍舞い」も披露され、式典に彩りを添えた。
 乗客の中には京阪神方面を中心に東京や九州からの観光客も目立った。北九州市小倉北区から親子3人でやって来た会社員小森楯雄さん(51)は「3年前に天橋立を訪れ、智恩寺の文殊さんに娘の高校合格祈願をした。娘は先日、その高校を無事卒業し、看護婦学校にも合格した。そのお礼参りです」と話していた。
 また、同駅では午前8時半から、天橋立発新大阪行き特急「文殊2号」の出発式もあった。徳田敏天・宮津市長(70)は「宮福、宮津両線はJRの合理化で廃線の危機にあった。府と府北部の自治体が中心になり第三セクターの鉄道会社を設立し、今日の電化開業を迎えることができ、感無量です」と、声を詰まらせながら話していた。
・福知山 くす玉割り 開業を祝う
 福知山市猪崎の三段池公園総合体育館では午前11時10分から山陰本線・宮福線等電化・高速化促進協議会主催の記念式典が開かれた。同協議会会長の荒巻禎一知事やJR西日本の井手正敬社長が、京都駅での式典に引き続いて出席。地元の市町長など関係者約500人が列席し、くす玉を割って電化、高速化開業を祝った。
 これに先立ち、JR福知山駅で午前9時から開業式典があり、中村稔・福知山市長は「21世紀を目前にしての電化、高速化の完成は、わが市にとって駅中心の都市づくりへの大きなステップになる。これからもJRと市が手を携えて、がんばりましょう」と述べた。
 福知山市につながる鉄道網は近年、急ピッチで整備が進んでいる。福知山線の新三田駅−篠山口駅間21.5`の複線化工事は来春に完成する見通しで、同線の尼崎駅と片町線の京橋駅を結ぶ片福連絡線も、やはり来春に開通する予定。完成後は、福知山市と大阪・ビジネスパーク、大阪駅週辺地区が直結される。
 式典に訪れた市民らは「新しい時代の到来」について語り、次々に到着する新型車両の写真を撮ったり、ビデオカメラに収めたりしていた。
・はずむ沿線 誕生を祝って一日駅長です
 電化スタートの16日、天橋立駅と宮津駅では6歳の誕生日を迎えた女児2人が一日駅長となり式典を盛り上げた。
 天橋立駅では、宮津市須津の会社員小谷進さん(38)の長女、詩織ちゃんが「文殊2号」の出発式で手を上げて出発を指示。宮津駅では、同市新浜の鮮魚卸商今中新一さん(36)の長女、美有ちゃんがディーゼル特急「タンゴディスカバリー」の出発を合図した。
 2人は同じ幼稚園に通う。詩織ちゃんは「夕べ寝る前から胸がどきどきしていた。でもうまくできた」。美有ちゃんも「楽しかった」と話していた。
・東舞鶴駅ではリレー号出発
 未電化のJR舞鶴線(綾部−東舞鶴間)東舞鶴駅では16日午前8時55分、山陰線綾部駅から舞鶴線、KTR線区をつなぐディーゼルのリレー号「タンゴディスカバリー」の出発式が始まった。山下毅・同駅長や地元の橘幼稚園児、舞鶴市、府関係者ら約50人が出席、一番列車の門出を祝った。
 あいさつに立った江守光起舞鶴市長は「タンゴディスカバリーは北部の振興と活性化のため、ふるさと丹後を走ってくれるだろう」と期待する一方、「山陰線と、KTRの一部が電化された。舞鶴線も電車が入るように懸命に努力する」と、述べ、舞鶴−綾部間が未電化のまま取り残されたことへのあせりやいらだちをちらつかせた。(朝日新聞)
18日■地下鉄サリン事件1年 転機迎えたオウム追求
・破防法や資産管理 信者失踪に捜査重点
 地下鉄サリン事件から始まったオウム真理教への徹底追及は、発生から1年で大きな転機を迎えている。破壊活動防止法適用への手続き、被害者の救済を含めた教団資産の処理問題が今後の焦点となる一方で、捜査当局も特別手配中の信者逮捕や教団内で失跡、死亡した信者の捜査に重点を移した。
 朝のラッシュ時間を狙った昨年3月20日の地下鉄サリン事件では11人が死亡、重軽症者は3796人に上った。警視庁は2日後に山梨県上九一色村などの教団施設を強制捜査。青酸ガス発生装置による殺人未遂事件(5月、7月)や都庁小包爆弾事件(5月)などが続発、一時は一般市民を巻き込む「全面戦争」の様相を示した。
 幹部信者の相次ぐ逮捕で、地下鉄事件は教団への強制捜査を阻止するためだったことが判明した。松本サリン事件や坂本弁護士一家事件など教団による犯罪も次々と発覚。麻原彰晃被告の逮捕、起訴は15回に及んだ。
 この間、宗教法人法に基づく解散請求と命令、同法の改正、破防法の団体初適用への動きと、事態は「オウム解体」に向け展開。解散決定に続く破産宣告で教団は財政基盤を完全に失う見通しだ。
 しかし、9月から本格化したオウム公判では麻原被告への根強い忠誠ぶりを見せる幹部信者も。全国の教団施設では、今も4、500人の信者が「修行」生活を続けているとされ、マインドコントロールの根深さを見せつけている。
・「心の迷走」続く元信者 修行求めチベットへ 世俗社会に満足できず
 「自分が知っているだけでも、3人は修行を求めチベットに行ってしまった」。オウム真理教の中枢部門で活動中、逮捕、釈放され、現在はフリーライターとして生活する元信者(27)は2月、都心のホテルでこう打ち明けた。
 教祖の逮捕、破壊活動防止法の適用方針決定、解散命令の確定。教団はこの1年「精神的支柱」「宗教活動」「経済基盤」のすべてを否定され、信者の一部は教団と縁を切ることになった。
 こんな中で元信者は「一般社会に完全になじんでいる脱会者は見たことがない」と話す。チベットに渡った脱会者の場合も「利潤追求を原則とする世俗社会に満足できなかった」という。
 「住専問題などをみても、さまざまな利権で動く一般社会には汚さを感じる。多くの人がその中で、絶対的な基準を求めないことが不思議でならない」。さまざまな価値観が交錯する現代社会に疑問を呈し、絶対的な指導性を持つ教祖に身をゆだねていた生活への郷愁を口にした。
 こうした考え方に対し「だから麻原にやられたんだ」と批判する脱会者もいる。「科学技術省」の幹部だった元信者(30)。かつての信者仲間に「上に立つ人間や組織に盲従する間違いを繰り返すな」と力を込めて訴えた。
 昨年、警視庁に逮捕され、処分保留で釈放された。当初は「長い間自分をゆだねていた(教祖の)存在がなくなりつらい思いをした」が、最近では「オウムでの生活は『無人島』のようなもの」と思えるようになった。
 「脱会者の中には『オウムは終わったから、違うグル(師)についてみよう』と考える人がいる。カウンセラーの感性や考え方をコピーさせられている場合もある。みんな、結局はリーダー任せ。自分の頭で考えていない」
 チベットヘの「回帰」、教祖に寄せる「郷愁」とそこからの「決別」…。麻原彰晃被告から「絶対的な帰依」をたたき込まれた元信者たちは、さまざまな形でそのくびきと向き合っている。
・こだわり続く 「宗教家麻原」「必ず奇跡起こす」
 昨年5月16日の逮捕から10ヵ月、オウム真理教の教祖麻原彰晃被告は一度も公の場に姿を見せないまま拘置生活を続けている。主要被告の公判で「凶悪な犯罪指揮官」ぶりが次々に暴かれ、君臨した教団組織も解体寸前。起訴された事件は15に上るが、反省の言葉どころか「必ず奇跡を起こす」と漏らし、なお「宗教家麻原」としての姿にこだわりを見せている。
 地下鉄サリン事件で初めて逮捕された直後、麻原被告は「目の見えない私に何ができるでしょうか」と否認。接見した弁護士に「弟子たちがサリンをつくったという事実もない」と訴え、初の起訴にも「動揺はしていない。国家権力はオウムつぶしの目的を持っていた」と反発した。
 妻が逮捕された夏前の、信者落田所太郎さんリンチ殺害事件の取り調べで「責任は私にある」と語り、秋にヤマ場を迎えた坂本弁護士一家殺害事件の捜査では、自分の二男と同い年の時に殺された竜彦ちゃんについて「後悔がある」と初めて人間的な言葉を口にした。
 だが姿勢は揺れ続けた。供述を始めた後、当時の担当だった横山昭二弁護士を慌てて呼び「破防法の適用などを免れ、大事な教義を守るために犯行を認めた」と弁解も。
 11月にイスラエルのラビン首相暗殺が起きると「1995年の終わりからまさにハルマゲドン(最終戦争)、第三次世界大戦へと動く」という予言が的中した、と胸を張った。
 自分の死を意識した言葉も多い。昨年のうちは「死刑を覚悟している」「11月10日までに自分は死ぬ」と漏らし、最近では「自己ポア」という表現を使ってキリストのような「死と復活の奇跡」の実現を予告するようになった。
 1日おきの絶食で体重が激減し、体力の衰えも目立ち始めた。二転三転の末に決まった初公判は4月24日。東京地裁の 104号法廷で麻原被告の肉声が聞かれる日は、あと1ヵ月後に迫ってきた。(京都新聞)
■テロの傷跡、今も深く 記憶消えぬ「3月20日」 「つらい」「世間偏見」思い抱き口閉ざす いやされない遺族、被害者
 わが国の犯罪史上最悪の無差別テロとなった地下鉄サリン事件から間もなく1年。解散命令によって、宗教法人オウム真理教は既に消滅、資産処理の動きも進んでいる。しかし遺族の無念はいやされず、心身の後遺症に苦しむ被害者も多い。「グル」麻原彰晃被告(41)に盲従し、なお心の迷走を続ける信者。サリン・テロの衝撃は国内外に治安対策の見直しを迫った。新興宗教にひかれる若者らの悩み、宗教法人の在り方…。事件は現代社会にさまざまな重い課題を投げ掛けている。言い尽くせぬ思いを胸に、犠牲者11人の遺族と約3800人の被害者は再び「3月20日」を迎える。
 地下鉄サリン事件の遺族・被害者は1月、弁護士の協力を得て「被害者の会」を結成、自らの状況をようやく語り始めた。会の有志は20日、地下鉄駅構内への献花など追悼行事を計画、事件の風化防止に努めている。
 半面、事件のショックから心的外傷後ストレス障害(PTSD)など精神的後遺症を抱え、日常生活に支障のある会員もおり「今も地下鉄に乗れない」「人込みや水たまりが怖く、現場には行けない」との声も。
 会に参加していない人の中には、そうした思いさえ胸の奥に秘めた「声なき声」の持ち主も多い。事件の記憶は今も生々しい。
 「事件1年を機に、後遺症などに苦しんでいる被害者の状況を訴えなければ、世間から忘れ去られてしまう」。「被害者の会」で代表世話人を務める高橋シズヱさん(49)は2月末、東京都内の自宅マンションで力を込めた。
 営団地下鉄霞ヶ関駅助役だった夫一正さん=当時(50)=を失ったシズヱさん。「この事件を遺族や被害者の個人的な苦しみに終わらせたくない」として、仲間とともに当事者の心情を訴えてきた。
 心身の傷。周囲の無理解。治療や訴訟費用はかさみ、労災補償を受けられない人もいる。後遺症に悩む被害者の女性(29)は「世間も国もだれも助けてくれない」と悲痛な表情を見せた。
 こうした意見を外部に表明できる会員はまだ少ない。多くの被害者は「つらくて話せない」「精神的な後遺症に対する世間の偏見がある」などの思いを抱え、今も口を閉ざし続けている。
 高橋さんの元には最近「お話を聞いて目が覚めました。『生きていてよかった』と初めて考えることができました」などとしたためた手紙が届いた。
 「被害者の方からの手紙は初めてです」と高橋さん。夫の遺影の傍らで「みんながこんなふうに心を開き『苦しんでいるのは自分だけじゃない』と気付いてくれれば」と静かに語った。
・後遺症に苦しむ日々 半日勤務、給与減る
 オウム真理教幹部らによる昨年3月の地下鉄サリン事件では、多くのサラリーマンらが被害に遭った。労災認定されたのは約3700人。しかし、療養補償や休業補償が支給されても、今まで通り職場に復帰できるとは限らない。サリンによる心身の後遺症。初めは同情的だった周囲の視線もいつしか冷ややかなものに。事件1年後、東京で働くサリン被害者を追った。
 東京都内の大手民間会社に勤める男性(42)。一昨年、都内に新事業所を設立するプロジェクトの担当者に選ばれた。「2000人以上の社員から自分が抜てきされた。胸を張ってできる仕事だ」。プロジェクト完成に向け最後の打ち合わせがある日、事件に巻き込まれた。
 10日余りの入院の後、職場に復帰。2日酔いのような頭痛を抱えながら、朝6時に起床して終電で帰るという生活を続けていたが、8月下旬、ついにダウン。医師からは心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断された。上司から「席がなくなることはないから休め」と指示され、約3ヵ月休んで現在は半日勤務。
 労災認定を受けたが、出勤していない期間があるため、人事考課にも影響が出て給料は月額6000円カット、ボーナスも約1割減額された。男性は「経済的な不安はあるが、女房や子供の顔を見ると『頑張らなくちゃ』と思う」と話す。
 東京都杉並区の流通会社に務める女性社員(31)は、丸ノ内線で社内の会議に向かう途中、中野坂上駅で事件に遭遇。サリン中毒で現在も意識不明の重体だ。
 会社は、医療費以外に必要な入院関連費用を負担したほか、労組も募金活動で約150万円の見舞金を家族に渡した。
 労組書記長(37)は「3年間は休職を認め、事件前と同額の給与とボーナスの支給を確約させた。復帰後はリハビリを兼ねて軽作業をしてもらう予定です」と労使が協調して支援、1日も早い退院を祈っている。
 一方で、労災を受けられず苦しんでいる人たちも。霞ヶ関駅で被害を受けたコンピューター関連会社の経営者(61)は「体がだるく、いまだに鼻がひりひりする。鼻を湿らす機械を買ったりして、治療費以外に70万円ぐらい持ち出しになった」と打ち明ける。
 「社員は『まだ体の調子が良くないのかな』といった変な顔で見ている。周りの人に理解されないのは本当につらいが、泣きごとを言ってはいられない」と自らを励ます日々が続いている。
 ほかに「地下鉄で通勤できず、車で通える会社に転職した」(29歳、男性)などのケースもあり、事件の傷跡は今も職場の周辺を取り巻いている。
・「精神の問題」議論が必要 宗教評論家 松沢正博
 地下鉄サリン事件は、日本人の宗教に対する誤解を浮き彫りにし、認識を新たにさせたと思う。その誤解の一つは「宗教団体がテロはしない」ということ。イスラム教教派間の争いや「十字軍遠征」、「一向一揆 (いっき)」にみられるように、宗教は本質的に戦争や暗殺、テロを引き起こす危険性を内に含んでいる。
 2つ目は単純な「カルト宗教」批判。今は伝統仏教になっている宗派の中にも当時の物差しではカルト的要素があった。仮に完全にカルト宗教を禁止すると新しい宗教や宗派が興る余地がなくなるため、禁止には注意がいる。
 現代はマーケットに管理された「大衆消費社会」。物質主義に支えられたこの大衆消費社会もいずれ破たんするのは確実だが「次に来るもの」はまだよく分からない。
 オウム真理教の信者は大衆消費社会への不安を敏感につかみ「次に来るもの」を模索した人々ともいえる。「次」が見えず、適切な受け皿が出てこない限り、形を変えて”第二のオウム”が出現する危険性は十分ある。
 米国では「ニューエージ運動」など、宗教とは別の角度から物質主義を否定し、精神的なものを重視したアプローチが進んでいる。日本でも環境保護運動などが盛り上がるのは同じ理由からだ。さまざまな動きは精神社会への移行を示すものだと思う。
 凶悪犯罪を引き起こしたオウム教など既存の新・新宗教が「次」の受け皿になり得ないことは明らかで、「次」を模索する人々はばらばらの星雲状態になっている。
 こうした中、犯罪集団のオウム真理教は許しがたいが、それを「特殊なもの」として破防法適用など強権発動で排除しても根本的な解決にはならない。むしろこの事件をきっかけに、これまで宗教と無縁だった人々も巻き込んで「精神の問題」などについて議論するべきで、その過程で「次」が見えてくるのではないか。
化学兵器テロ対策へ「起こり得る」と強い関心
 【米国】クリントン大統領ら政府首脳はたびたび事件について言及、”化学兵器テロ”の防止対策強化を強く訴えている。1月の一般教書では、大統領が地下鉄サリン事件を教訓に「毒ガスは永久に廃棄しなければならない」と化学兵器禁止条約の早期履行を促した。
 議会では、上院政府活動委調査小委員会が5ヵ月にわたり、中央情報局(CIA)などの支援を得て事件の調査に当たり、同種の出来事が米国内でも起こり得るとの認識を広げた。
 特に注目されるのは、首都ワシントン市議会が大統領に同様の事件発生に備えた対策の立案を要請、厚生省公衆衛生局と市当局が中心となって緊急対応チームを結成することが決まった。今夏のアトランタ五輪に向けても対策が立てられつつある。(ワシントン)
 【ロシア】事件直後、裁判所が教団モスクワ支部=既に閉鎖=の建物や銀行口座などを仮差し押さえ、信者の家族らが起こしていた民事訴訟でも同国内での布教活動を禁止するなど迅速に活動の封じ込めに動いた。上祐史浩被告(33)の後を継いだ大内利裕幹部(43)に対しては、ロシア検察庁などで構成する特別捜査班が身柄を拘束せずに調べを続けている。
 教団のロシア進出で全面的な協力をしたとされるロボフ安全保障会議書記は、麻原彰晃被告らとの関係について今も口を閉ざしており、エリツィン政権中枢とのかかわりは闇(やみ)の中だ。(モスクワ)
 【韓国】朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が化学生物兵器を所有しているとみている韓国では「いつでも起こり得る事件」として政府、国民が強い関心を示した。
 オウム信者侵入への警戒感も強く、昨年4月には金泳三大統領がオウム教信者の国内浸透を防ぐため全国の空港や港で入国者への検問強化を指示、日本警察から通報を受けた幹部の写真を配布するなど神経をとがらせている。
 政府はソウルと釜山の地下鉄駅や公共の場所での検問や安全点検を強化、毎月定例の民間防衝訓練の日に地下鉄駅などで毒ガス、毒劇物の流出事件に備える訓練をしている。(ソウル)(京都新聞)
■雪崩で一時不通 JR飯山線
 17日午前9時40分ごろ、長野県下水内郡栄村のJR飯山線横倉−平滝間で、十日町(新潟県)発長野行き上り普通列車(3両編成)が、雪崩で線路をふさいだ雪に乗り上げ、先頭の1両が脱線した。乗員乗客48人にけがはなかった。
 同線は戸狩野沢温泉−十日町間が午後6時まで不通となりバスで代替輸送。上下10本の列車が部分運休し、約500人の足に影響が出た。(京都新聞)
■関空連絡線乱れる 強風で、1万人影響
 17日午前8時20分ごろ、大阪府泉南郡田尻町の関西空港連路線の空港連格橋で風速25bを観測したため、JR西日本と南海電鉄は列車の運転を一時、見合わせた。午前9時35分運転を再開したが、その後も25bを超える強風が吹き、断続的にストップ。JRと南海合わせ特急を含む上下計45本が運休し、約1万人に影響が出た。(京都新聞)
■JRと南海 強風で運休 関空連絡橋
 17日午前8時20分ごろ、関西空港と対岸を結ぶ連絡橋で風速25b以上の風が観測されたため、同橋をわたるJR西日本と南海電鉄が一時、運転を見合わせた。JRは快速電車など上下23本、南海電鉄は特急「ラピート」など同22本を運休し、両社は代替バスで乗客を運んだ。
 大阪管区気象台によると、発達した低気圧が日本海を通過し、これに強い南風が吹き込んだ。風が収まった午前10時半ごろに運転は再開されたが、計約1万人が影響を受けた。(朝日新聞)
■JR紀勢線 落雷で不通
 17日午前8時12分ごろ、和歌山県西牟婁郡すさみ町のJR紀勢線和深−見老津間で高圧線に落雷、信号機が動かなくなり白浜−串本間が不通となった。午後零時50分に運転を再開したが、この間、特急8本など計12本が運休し、特急、普通計16本に最高4時間半の遅れが出て、約2200人が影響を受けた。不通となった白浜−串本間はバスで代行輸送した。(朝日新聞)
■東西・烏丸線 「御池」は「烏丸御池」に 地下鉄15駅名決まる 12駅は仮称通り
 京都市は18日、来年11月に開業する地下鉄東西線(二条−醍醐間12.7`)と来年7月開業の烏丸線の延伸区間(2.6`)の駅名を発表した。東西線は13駅のうち10駅は仮称をそのまま適用。烏丸御池など3駅は、分かりやすくするため仮称駅名を変更した。烏丸線の延伸区間の2駅は仮称通りになった。
 東西線の駅名は西から二条、二条城前、烏丸御池、京都市役所前、三条京阪、東山、蹴上、御陵、山科、東野、椥辻、小野、醍醐。
 このうち、京都市役所前(仮称・市役所前)は、京阪大津線の別所駅が副名称の(大津)市役所前で親しまれているため区別した。烏丸御池(仮称・御池)は、東西線側から見た場合でも駅の位置を分かりやすくするため、最寄りの交差点名から選定。烏丸線の現「御池」も烏丸御池に改称する。二条城前(仮称・堀川)は、観光客にも分かりやすくするため、知名度の高い二条城の名称を使う。
 烏丸線の延伸区間では、仮称通り松ケ崎、国際会館とした。
 東西線は1989年11月に起工式をした。今月28日には、トンネルが一本につながる貫通式が行われる。同日の市議会交通水道委員会で明らかにした。(京都新聞 夕刊)
■JR復帰訴え10年 国労組合員ら アルバイト・物資販売・ビル清掃… 生活と闘い両立 「今年こそ」の願い
 国鉄がJRに移行してから、4月で10年目に入る。希望しながらJRに採用されなかった旧国鉄職員1047人が、国鉄清算事業団を解雇されてからでも、6年の歳月が流れた。大半を占める国労組合員(966人)は、北海道と九州を中心に36の闘争団を結成。アルバイトや物資販売のほか、ビル清掃などをする27の「事業体」を起こし、生活と運動を両立させながら、JR復帰を訴え続けている。すでに9人が亡くなり、「今年こそ解決を」との思いは強い。
・零下の街で
 零下の北海道・美幌町の食堂に11日夜、国労・美幌闘争団(9人)の団員と家族が集まった。三浦成代さん(45)の長男(17)が、札幌市の調理師専門学校に進学するのを祝う会だ。「おめでとう」。久しぶりに、笑い声がはじけた。
 涙ぐむ三浦さんの左手に銀色の腕時計が光る。2年前の夏、脳内出血で45歳で亡くなった夫の斎さんの形見だ。
 斎さんは、測量のアルバイトをしながら、職場復帰を夢見ていた。夫の死後も、三浦さんは闘争団に残った。「国鉄マンとしての夫の無念を晴らしたいんです」。保険外交員をして、3人の子どもを育てている。
 団員の平均年齢は35歳。全国で一番若い。農家の出荷を手伝い、長野県のスキー場へリフト係として出稼ぎするなど、アルバイトで暮らしている。収入を7家族で分ける。平均して月15万7000円。
 「みんな家族なんです」と副団長の長縄孝則さん(36)。妻の真由美さん(33)も、ダイコンの選別などアルバイトをしながら、「主人が鉄道で働く姿を子どもたちに見せてあげたい」と願う。
 オホーツクの海は、流氷に覆われていた。「もう6年もたったんだ」。網走で流氷を見つめながら、北見闘争団(27人)の成田雄一さん(41)はつぶやいた。国鉄清算事業団を解雇された春、初めてのアルバイトが、海に出て、ホタテの稚貝を網で引き上げる仕事だった。午前4時から6時間。いつかはJRに戻ると言いきかせながら、きつい作業に耐えた。
・流浪の旅
 「まさか、首を切られるとは」。JR九州・篠栗線の直方駅構内に事務所がある筑豊闘争団(88人)の武富ヒロ子さん(49)は、JRへの不採用を通告された1987年2月16日のショックを今も忘れられない。
 前年の11月、同じ国鉄職員だった夫の克暢さんががんで死亡。直方機関区の事務職員から、「余剰人員」扱いされて清算事業団の「前身」ともいえる人材活用センターに送り込まれた武富さんは、3人の男の子を抱えて途方に暮れた。国労を脱退した筑豊地区の3組の共働き夫婦はすべて採用されたから、武富さんの不採用の理由が、分割・民営化に反対する「国労だから」というのは明らかだった。
 長男、次男がサラリーマンになったが、まだ三男は4月から高校生。「10年目」の解決にかける期待は大きいものの、「差別責任をあいまいにした解決は嫌だ」と思っている。
 路線バスの車掌だった小松原登美子さん(48)も、人材活用センター−清算事業団−解雇−闘争団の道をたどった。
 JRへの不採用を言い渡された当時、中学2年生だった長女は18日に結納を交わし、4月に結婚する。次男も高校に進学する。気ぜわしい日々のなかで、小松原さんはこれまでを「悪いことを何もしていないのに、流浪の旅のような肩身の狭い思いだった」と振り返り、早期解決に向けた意欲を新たにしている。
 36闘争団の11人の女性を支援するため、フリーライターの江川紹子さんらの呼びかけで「国労だから、女だから、そんな差別は許さない女のネットワーク」が90年2月に結成された。国連の規約人権委員会に差別の実情を訴えるなどの活動を続けている。
〈JR採用差別問題〉
 87年4月の国鉄の分割・民営化では、旧国鉄職員約20万人がJRに採用されたが、採用を拒否された約7600人が国鉄清算事業団に残り、JR復帰を求めて事業団にとどまった1047人が90年4月に解雇された。
 国労など3組合は、不採用を組合間差別の不当労働行為だと地方労働委員会に救済を申し立て、各地労委は訴えを全面的に認めて、87年4月にさかのぼる採用などをJR各社に命じた(27件、救済対象者約3100人)。
 JR側の再審査申し立てを受けた中央労働委員会は、これまで20件について命令を出し、「不当労働行為の責任はJRにあり、清算事業団を解雇された者の一部を採用せよ」とした。JR側は「当事者適格がない」として命令取り消しを求める行政訴訟を起こし、組合側も地労委命令より救済内容が後退した点を不満として提訴、係争中だ。(朝日新聞 夕刊)
■地下鉄で事故 男女2人死亡 大阪、通勤の足乱れる
 18日朝、大阪市営地下鉄の御堂筋線と谷町線で2件の人身事故があり、計68本の電車が最高12分遅れ、朝の通勤客ら約5万人に影響が出た。
 午前7時55分、谷町線天王寺駅で八尾南発大日行き電車(6両編成)がホームに入ってきた直後、50歳くらいの男性が線路に転落し、はねられた。男性は病院へ運ばれたが、全身を打っており間もなく死亡した。同線は29本が最高6分遅れ、約1万5000人に影響が出た。天王寺署は身元を確認している。
 午前7時56分ごろには御堂筋線本町駅で、中津発天王寺行き電車(10両編成)に20歳すぎの女性がはねられ、即死した。運転士は現場の約50b手前で線路上にうずくまっている女性に気づきブレーキをかけたが間に合わず、約85b過ぎた所で停止したという。
 同線は39本が最高12分遅れ、約3万5000人に影響が出た。東署は自殺とみている。(朝日新聞 夕刊)
19日■SL北びわこ号の 写真作品を募る JR西日本
 JR西日本は、北陸線の米原−木ノ本駅間(22.4`)で季節運転している「SL北びわこ号」の写真作品を募っている。
 北びわこ号は昨年8月から計3期にわたって運転され、愛称「ポニー]のC56型や愛称「貴婦人」のC57型などが人気を集めた。今年の黄金週間にも運転される予定で、湖北観光の新しい催しになっている。
 対象は四つ切り判の白黒かカラー。作品の裏に住所、氏名、年齢を書いて〒601京都市南区西九条北ノ内町、JR西日本京都支社「SL写真展係」へ。締め切りは4月15日。(京都新聞)
■月末から増床工事 地下街ポルタ 安全祈りパーティー
 下京区の京都駅前地下街・ポルタの増床工事の着工を今月末に控え、京都ステーションセンターは18日、地元の自治会、商店街の代表者を招き安全祈願記念パーティーを開いた。
 この中で同センター側は、建設中の京都駅ビルとの関連で計画している南北の自由通路について「地域活性化に役立つものと位置づけている」と述べた。
 また、地元商店街の代表者は「駅ビル建設とポルタ増床の波及効果に期待している。駅ビルの完成に近い時期に増床工事が終わるよう努力してほしい」とあいさつした。
 ポルタの増床計画は、北西角の約4800平方bを開発。駅ビルから塩小路通の北側まで南北約100bの自由通路などを設けるほか、15−20店舗の出店などを計画している。総事業費は約50億円で、完成は来年10月の予定。増床に伴い、地下街の改装や店舗配置の見直しも計画している。(京都新聞)
■特急に2歳児はねられ即死 和泉
 18日午後2時半ごろ、大阪府和泉市池上町のJR阪和線踏切内で、関西空港発京都行き特急「はるか」が、近くにすむ土木作業員伊藤卓志さん(24)の長男優也ちゃん(2つ)をはね、優也ちゃんは即死した。
 和泉署の調べでは、優也ちゃんは同日午前から母と近所の祖母宅に遊びに来ていたが、昼食時以降、姿が見えなくなっていた。(京都新聞)
■鶴見緑地線を「ワンマン」化 大阪市、新年度から
 大阪市は18日、市営地下鉄鶴見緑地線(京橋−鶴見緑地)を新年度からワンマン運転に切り替えることを明らかにした。市交通局は経営が悪化したため、今後五年間で約1500人の職員削減を検討しており、ワンマン化はその一環。ホームに同市の地下鉄としては初めてバックミラーを取りつけるなど安全対策を取る、という。地下鉄のワンマン運転は仙台市や福岡市などですでに始まっているが、大阪市では初めて。
 これまで同線は運転士と車掌の2人が乗車していたが、運転士だけになる。(朝日新聞)
■地下鉄東西線駅名が決まる
 京都市は、来年11月に開業する京都市地下鉄東西線(伏見区醍醐−JR二条駅間、12.7`)の駅名を18日、発表した。これまで仮称で呼ばれた市役所前、御池、堀川各駅が、それぞれ「京都市役所前」「烏丸御地」「二条城前」に変わった。残る10駅は仮称と同じになった。
 正式の駅各は、東から順に醍醐、小野、椥辻(なぎつじ)、東野、山科、御陵、蹴上、東山、三条京阪、京都市役所前、烏丸御地、二条城前、二条−の計13駅となる。東西線の開通時には、現在の烏丸線御地駅も東西線と同じ「烏丸御地」に変わる。
 また、烏丸線北山駅からの延伸に伴って新設される2つの駅は、南から「松ケ崎」「国際会館」となる。(朝日新聞)
■はねられて2裁児死亡 和泉 JR阪和線踏切
 18日午後2時半ごろ、大阪府和泉市池上町一丁目のJR阪和線信太山南2番踏切(警報機遮断機つき)で、近くの土木作業員伊藤卓志さん(24)の長男優也ちゃん(2つ)が関西空港発京都行きの特急電車にはねられ、病院に運ばれたが間もなく死亡した。
 和泉署の調べによると、優也ちゃんは母親の麻弥さん(20)と一緒に、踏切近くにある麻弥さんの実家に遊びに来ていた。昼食後に優也ちゃんの姿が見えなくなったため、麻弥さんたちが捜していた。
 目撃者の話などによると、優也ちゃんは飼っていた子犬を追って、遮断機が下りていた踏切内に入ったという。
 事故のため上下合わせて13本が最高17分遅れ、2本が部分運休。3200人に影響した。(朝日新聞)
■神戸電鉄公園都市線 延伸区間が28日開業
 兵庫県三田市のニュータウンと、JR三田駅や神戸市を結ぶ神戸電鉄公園都市線の延伸区間(フラワータウン−南ウッディタウン−ウッディタウン中央間、3.2`)について、近畿運輸局は19日、申請通りの運賃を認可した。延伸区間は28日に開業する。
 認可によると、三田−南ウッディタウン、ウッディタウン中央間は普通運賃が330円、通勤定期(1ヵ月)が1万2480円。湊川−南ウッディタウン、ウッディタウン中央間は普通運賃が630円、通勤定期(同)が2万2360円になる。(朝日新聞 夕刊)
■スルッとKANSAIあすから
 大阪市営地下鉄やバス、阪急電鉄、阪神電鉄、能勢電鉄、北大阪急行のすべての駅、区間を1枚のブリペイドカードで乗り降りできる新システム「スルッとKANSAI」が20日スタートする。
 1000円から5000円のプリペイドカードを購入すれば、自動改札機を通すだけで、237あるすべての駅から乗り降りと、延べ706`に及ぶすべての鉄道、バス路線にまたがっての乗り換えが可能になる。乗り換えのときに新たに切符を買う手間が省ける。(朝日新聞 夕刊)
20日■「地下鉄サリン」1年 4割以上が後遺症訴え 被害者追跡調査
 昨年3月20日の地下鉄サリン事件に巻き込まれた重軽症者に対し、共同通信社は19日までに追跡アンケートを実施した。回答を寄せた157人のうち、4割を超える69人が精神面や身体面に後遺症を訴えていることが明らかになった。
 サリン中毒による身体的後遺症だけでなく、事件の衝撃から阪神大震災の被災者にもみられる心的外傷後ストレス障害(PTSD)が深刻化している実態も判明。サリンの重軽症者については、一部医療機関を除いて調査は実施されておらず、被害者の救済に向け、国など公的機関の早急な取り組みが求められている。
 調査は2−3月にかけて約3800人の重軽症者のうち、住所などが分かった約450人にアンケート用紙を郵送、配布。17−74歳(平均年齢38.1歳)の157人(男性91人、女性66人)が回答した。
 このうち事件後に入院した人は67人で、2人がいまだに「意識障害」と「神経衰弱状能亡で入院中。10人が通院治療を続けている。
 後遺症については43.9%(69人)が「現在もある」と回答。このうち心身両面での後遺症を訴えた人は10.7%(20人)。身体面だけの症状を訴えた人は20.4%(32人)、精神面だけの症状は10.8%(171人)だった。
 身体的後遺症としては「目が痛く、文字がかすむ」「視力が極端に低下した」など目の障害に関する訴えが多い。ほかに「温度変化に順応できない」「疲れやすくなった」などの回答もあった。
 精神面では「狭い空間が恐ろしい」「麻原(彰晃被告)に追いかけられる悪夢を見る」と恐怖体験に今も悩まされるなど、多くがPTSDとみられる悩みを訴えている。
 また「地下鉄に乗れない」「夜眠れない」など日常生活にも深刻な影響が出ており、通勤が困難になるなど事件当時勤めていた職場を辞めた人も目立った。
 治療責などの自己負担金額は、判明した99人分で計約932万円に上り、労災認定されていない人の医療責、交通費の自己負担などだった。最高100万円の医療費を支払った被害者もいた。(京都新聞)
■窓 暑すぎる車内 旅も不愉快に 伏見区・石田利三郎(無職・58)
 私たち夫婦は先日、金婚を記念して、1泊2日の旅をした。折も折、かにシーズンであり、かにの賞味を主眼としたグルメの旅を計画、行き先は網野で、夕日ケ浦温泉の入浴にも希望を持った。のんびりとした旅を望んで、往復ともにJRの急行を利用して、指定席までも予約して取った。
 乗り込んだ列車は、進むに従って車内の温度が次第に上昇してきた。私はコートを脱ぎ、さらに上着まで脱いだが、それでも暑かった。たまりかねた乗客のなかには、窓を少し持ち上げて、冷たい外気を入れる風景も目にした。
 車内の温度計を見ると、水銀柱は26度を指していた。車内にはしばしば車掌が検札に回って来るが、温度の調整はしないのだろうか。客が気持ちよく乗車するためにも温度の調節は必要だと思う。
 楽しいはずの旅だったが、JRの車内の異常な高温に不愉快な思いをさせられた旅であった。(京都新聞)
■望見KANSAI 南海の空港線増収策 再逆転へ細やか作戦
・「鉄人28号」の別名
 南海電鉄は、空港線の乗客数が特急「ラピート」を中心に、伸び悩んでいるため、今月から本格的に旅客誘致・増収策へ乗り出した。並走するJR西日本の特急「はるか」との乗客輸送競争では、関西国際空港の開港以来、ラピートがずっとリードしていたが、昨年6月から形勢が逆転。以来、両社の差はやや広がりつつある。増収策は、一挙に多勢をばん回とはならないものの、ゴールデンウイークをヤマ場とみて、細かいジャブを積み重ねる作戦を立てている。
「ラピート」と「はるか」の比較表(今年)
 運転本数
(上下、1日当たり)
1編成当た
り車両数
乗車率
(2月)
輸送人員
(1月の1日平均)
乗車料金
(空港まで片道)
ラピート61本6両50.7%7035人難波から1370円
はるか60本6両(49本)
9両(11本)
55.2%8372人京都から3430円
 ラピート、はるかの両特急は、1994年9月4日の関西空港開港の日から、同時にスタート。「鉄人28号」の別名でよばれる奇抜なスタイルで人気を集めたラピートが、滑り出しから快調だった。一時は乗車率が80%にも上り、1ヵ月ごとの乗客数でも、はるかをリードし続けた。
 しかし、開港後の熱気がさめた昨年春ごろから空港の見学客が急減。はるかに比べ、空港見学客の比率が多かったラピートの乗車率は50%台に下がった。
 さらに、JRがはるかの編成を変え、車両数を一部列車で6両から9両に増やしたこともあり、昨年6月の輸送実績で、ラピート7999人、はるか8350人(共に1日平均)と形勢が逆転した。
・わくわくプランなど
 近畿運輸局がまとめた今年1月の月間輸送実績では、はるかの25万9520人(対前年比23.1%)に対し、ラピートは21万8077人(74.2%)。開港以来の累計では、まだラピートが7万5000人上回っているが、これも間もなく逆転しそうな情勢だ。
 「このままでは差が広がるばかり。なんとか再逆転を」と、南海電鉄が打ち出した増収策は3つ。
 うち、今月16日から始めたのが空港見学企画商品の発売で、「わくわくプラン」と名付けた。空港線の鉄道運賃と、空港島見学の料金を10%割引のセットにして、これに4月6日オープンの新展望台で始まる機内食サービスを、オプションで付ける。難波、岸和田など8駅で今年12月末まで販売するが、ちなみに難波発のセット券は、3200円−2840円になる。
 2弾目は4月1日から6月末までのラピート特急券無料引換券。日本航空の沖縄線キャンペーンと提携して売り出し、搭乗客に機内で提供するサービスブック(計約4万部)に、この券をセットする。売り上げは約3000万円を見込んでいる。
・難波駅の施設改善も
 続いて4月20日からは、ラピートと南海観光バスを組み合わせた関空・ベイエリア団体見学ツアーを売り出す。難波−空港−サントリーミュージアム−難波を結ぶA、Bの2コースがあり片道ずつをラピートとバスの交互利用にする。南海サウスタワーホテルで豪華な昼食を味わうのもセールスポイントで、5月10日までの期間中に1200人以上の利用を予想している。
 南海電鉄の鉄道事業本部の細井康史営業課長は「ラピートは、デビュー以来、全国に名が広まり商品価値は衰えていない。乗りたいと思っている人はたくさんあり、どう集客するかです。全国へ展開している自社のバス路線との提携が今後の課題になるでしょう。お客さんが利用しやすいよう難波駅での施設改善もやります」と話している。(京都新聞)
■きょうから「スルッとKANSAI」”発車” 5電鉄共通プリペイドカード
 阪急電鉄など京阪神の5電鉄の路線を、1枚のプリペイドカードで乗り降りできる共通改札システム「スルッとKANSAI」が20日からスタートする。
 システムに参加したのは、阪急、阪神、大阪市交通局、能勢、北大阪急行。5電鉄のいずれかが発売したカードなら、システム全体の237駅と、大阪市交通局のバス停留所932ヵ所で、乗り継ぎ、乗り降りができる。
 スタートを記念して20日午前11時から、大阪市北区梅田の地下街「ディアモール大阪・ディーズスクェア」で、記念行事を開催。ドラえもんのぬいぐるみがPRのチラシを配るほか、クイズに答えたお客に景品を贈る。また、同日から5月末まで、指定された5電鉄(または3電鉄)の各駅を乗り継ぐと、景品がもらえるラリーも行われる。(京都新聞)
■地下鉄鶴見緑地線 来月からワンマン化
 大阪市交通局は18日の市議会で、今年4月から市営地下鉄鶴見緑地線をワンマン化することを明らかにした。
 市営地下鉄は、94年度決算で約300億円の赤字となり、交通局は「ワンマン化で何とか経費を削減したい」という。(京都新聞)
■神戸電鉄の新線運賃認可
 近畿運輸局は19日、神戸電鉄(神戸市)が申請していた公園都市線フラワータウン−ウッディタウン中央間(3.2`)の開通に伴う運賃設定を認可した。
 公園都市線フラワータウン−ウッディタウン中央間は28日営業開始の予定。(京都新聞)
■地下鉄サリン事件 95.3.20あの時…傷跡残し1年
・ぬれた床 ふらつき車外へ 「電車に薬品」意識失う
 都心から約20`、埼玉県草加市周辺では霧のために電車が遅れることがよくある。濃霧注意報が出ていたあの朝、東京・東銀座の自動車会社に勤める田中ひろみ(23)は、いつもより2本早い東武伊勢崎線に乗った。
 北千住駅に着いたのが7時半ごろだった。そこから始発の地下鉄日比谷線に乗り換えれば、確実に座れる。いつもそうしている田中が乗ったのが、46分に発車した中目黒行き「A720S列車」だった。前から3両目、真ん中のドアから入って、すぐ右側の席に座った。
 6つ目の秋葉原駅あたりで、のどに痛みを感じた。周りの乗客の様子に変化はない。気のせいかな、と田中は思った。
 すぐ近くに立っていた中田修(30)は群馬県板倉町から東京・人形町の紙販売会社に通勤する途中だった。秋葉原駅の次の小伝馬町駅で、若い女性が床に流れだしていた液体の上で転んだ。女性はすぐに立ち上がって、「だいじょうぶです」と答え、ハンカチで手をふいた。押されてバランスを崩したのだろうか。
 そのとき、嫌なにおいがし、乗客がせき込み始めた。中田はもう一つ先の人形町駅で降りて会社に向かった。途中でめまいと息苦しさを感じ、結局5日間入院することになった。
 人形町駅の次、茅場町駅は地下鉄東西線との乗換駅で乗降客が多い。立っていた客がたくさん降り、座っている田中の目にも車内は見通しがよくなる。すいたな。ほっとした途端、変なにおいがしてきた。左斜め前のドア付近の床が、ドアと同じぐらいの幅でぬれていた。
 のどの痛みは続いていた。急に視界が暗くなった。会社に遅れてもいいから少しホームで休もう。そう思って立ち上がり、ぬれている床を歩いた。ふらつきながら手すりにつかまって、車外へ出た。
 ホームの壁にもたれて、しゃがみこんだ。次の電車が来た。「人を呼んできてあげようか」。降りてきた年配の男性が声をかけてくれた。田中は事情を説明しようと立ち上がった。「電車に薬品みたいな…」。後は覚えていない。気がつくと、病院のベッドだった。
 その次の八丁堀駅で、「A720S列車」に乗った千葉県浦安市内の男性(35)は、中目黒のコンピューター会社に勤めている。田中が降りた同じ車両に乗り込もうとしたとき、すれ違いに降りてきた若い女性がホームにうずくまった。貧血だろうか。
 車内に入ると、空席が見つかった。いつもは座れないのに…。腰を下ろした斜め向かいの席で、20歳前後の女性が前かがみになったまま、動かないのに気づいた。
 床にたまった液体の上に、新聞紙が乗っている。吐いた物を洗った後かな、と思っているうちに、甘酸っぱいにおいがしてきた。途端に気持ち悪くなり、周りが暗くなった。
 鈍い大きな音がした。40歳ぐらいの男性が液体の上に倒れていた。近くの男性が、「止めろ、止めろ」と叫びながら壁の非常通報ボタンを押した。8時11分。異変は、「爆発事故」として全線に伝わった。
・動かぬ女性、みんなで担ぎ タクシー止め次々押し込む
 「A720S列車」より5本後の北千住発中目黒行き「A738S列車」は、「爆発事故発生」の報を受け、小伝馬町駅で運転を中止、回送扱いになった。
 3号車中央のドア近くに立っていた信用金庫職員、阿部信行(47)は、千葉県流山市から小伝馬町の3駅先、八丁堀まで通う。自宅を出てから1時間以上。みんな降りたが、また動くかもしれないと、空いた席に座った。外が騒がしい。
 ホームに降りると、近くの丸い柱のわきに水枕のような袋が見えた。ぬれぞうきんをスーツと引きずったように液体が広がっていた。「A720S列車」に仕掛けられ、乗客がこの駅でホームにけり出したサリン入り袋だった。
 液体をまたいだとき、洗浄剤のようなにおいが鼻をついた。改札口の方へ歩き始めると、若いミニスカートの女性が倒れていた。自分のベージュのトレンチコートを脱いでかけてあげたが、まったく反応がない。
 乗客が出口に向かっていた。「外に出してあげましょうか」。周りの人にそう言って、阿部は女性にかけたコートをはおり直した。5、6人で女性を運び出すことになった。近くにいた別の女性が「カバンを持ちます」と言ってくれた。自分の茶色いカバンを預かってもらった。
 阿部は左肩を担いだ。ずっしりと重くてずり落ちそうになるのを、何度も担ぎ直した。改札口を出て、やっと階段を上がり、歩道に寝かせた。「だいじょうぶですか」と、声になったのかどうか。ガクンとひざが折れ、意識を失った。10日間も入院した。
 足立区から中野区の職場に通うマンション管理会社員、岩崎峰夫(60)は、2号車に残っていた。様子がおかしいのでホームに出てみると、後方の改札口まで30人ぐらいが列をなして倒れている。自分も目がシバシバしてきた。
 早く出なくては。初めは急ぎ足だったが、だんだん息苦しくなり、改札口にたどり着くころには足がもつれていた。両側に人が倒れている階段を、見ず知らずの5人で、手を引っ張り合うようにして上った。地上にはたくさんの人が倒れているのに、救急車は1台しかいなかった。
 衛生管理士の資格を持つ岩崎は、前の会社で、工場でけがをした人たちの応急手当てをしてきた経験がある。「何とかしなくては」と、車道に向けて手を挙げた。乗用車は通りすぎて行くが、タクシーは止まった。反対車線からもリターンしてきてくれた。助手席に1人、後部座席に3人ずつ、次々と担ぎ入れた。何がなんだか分からない。通行人や乗客がみんな手を貸した。
 「タクシーが来ます。具合の悪い方は三井(記念病院)か聖路加(国際病院)に行ってください」。警官らしい人の言葉に、川口房子(49)=江戸川区=は従った。ホームの液体の上をピチャピチャと歩いてしまい、目が見えなかった。傍らにうずくまっていた女性を「一緒に病院に行きましょう」と車に押し込んだ。「もう2人頼む」と革ジャン姿の若い男性が続いた。
 ホームで暴れて取り押さえられている人を見て「あれが爆弾犯人か」と思いながら地上に出た船舶塗料製造販売会社員の福井聡(24)=荒川区=は、ここで12、3人に肩を貸した。そのうちに目まいがして、道路標識の白い棒がふくらんで見えてきた。激しくせき込む福井に、「あんたも病院に行った方がいい」と一緒に肩を貸していた人が声をかけた。
 タクシーを止めながら、朝だというのにどんどん日が暮れていくように岩崎は思えた。夕やみの中で10台ぐらい止めたころからフラフラしてきた。肩を貸してあげた人と二回、一緒によろけた。「これで15台目ですね」と、駅員の声が聞こえた。「もうダメだ。おれも病院に行くよ。後はよろしく」。そう言い残して15台目に乗った。岩崎は7日間入院した。
・乗るたび頭痛、緊張感 通勤に耐えられず退社
 小伝馬町駅のホームでサリン袋をまたいだ紙販売会社員、安岡昭(57)は、20人ほどの患者が並んだ病院の静察室で「水で流さないと肝臓がいかれる」と言われた。点滴を受けながら、警察官が大量に持ってきたスポーツドリンクを飲んだ。7本飲んで、やっと尿が出た。横にいた患者は、9本飲んでも出なかった。
 通院を指示された安岡は翌日、埼玉県鳩ケ谷市の自宅を出てJR京浜東北線の西川口駅ホームに立つ。約20bも離れた人のライターの火が、目に突き刺さるようだった。明るい場所ではいまも目が痛くなる。商談でゴルフをする時は、サングラスを手放せない。
 人形町駅で「A720S列車」から降りた中田修も、瞳孔(どうこう)を開く目薬を差された後、明るさが苦手になった。5日間入院して職場復帰したが、白い紙を見られるようになるまで3ヵ月かかった。
 目に見える症状ばかりが後遺症ではない。
 今年1月上旬、中田は営業の仕事で車を運転中に気分が悪くなる。車を止めて、救急車を呼んだ。病院で中田はサリン事件の被害に遭ったことを説明した。医者は「疲れではないか」という。あちこちの病院で調べてもらったが、原因は分からない。
 茅場町の駅で意識を失った田中ひろみは12日間入院した後、自宅療養を続け、5月の連休明けに職場復帰した。そのときから通勤経路を変えた。遠回りだが、日比谷線に乗ることだけはできなかった。
 しかし、しばらくすると日比谷線以外でも、地下鉄に乗ると頭痛や緊張感に襲われるようになった。通勤に耐えられなくなり、11月に退社した。いまも勤めに出る気にならない。
 埼玉県宮代町から通勤中にサリンを吸ったOL(25)の中毒症状は重くはなかった。だが、会社で「変なにおいがするね」という声を聞くと」仕事が手につかない。怖くなって仕事中に病院へ駆け込んだことが2回ある。1ヵ月後、「もう、だいじょうぶだから」と医師にあきれられた。「この病院には二度と来られない」と思った。
 その後、年末まで別の病院の精神科に通院した。
 「気持ちの問題とは分かっているんですけど、私ダメなんです」。医師は「あれだけの事件だったんだから、自分を責めないことです」と言ってくれた。(敬称略。肩書、年齢は当時)
・つらい気持ち受け止めて 「心の後遺症」治療で専門医
 地下鉄サリン事件の後遺症に悩む25人の患者を診察し、80人余りにアンケートをした聖路加国際病院の中野幹三・精神科医長は、「心の後遺症」をこう語る。
 「通常の範囲を超える恐怖の体験をした後、かなり長い期間にわたり、さまざまな心身の不調を訴える症状を、心的外傷後ストレス障害(PTSD)という。サリンの後遺症は、その典型といえる。ふとしたきっかけで事件現場がよみがえり、強い恐怖心を抱くのが特徴だ。例えば、水たまりを見たとか異臭がしたとかいうことが原因で、ひどい時には、また事件が起こったという感覚に陥り、パニックに近い状態になる。ほとんどの人の場合、これに激しい頭痛や吐き気、めまいなどの体の反応を伴う。そして、体調が悪いのも自分のせいだと責める方向にいくと、ますます悪化してしまう」
 その治療法について、中野医長は「つらい、という気持ちを受け止めることが第一。『そんなこと、たいしたことない』と言うのではなく、大変なことだと理解するように努める。そして、壊された安心感を取り戻すことが大切だ」と、周囲の理解転求めている。(朝日新聞)
21日■地下鉄サリン事件 東京地裁 井上被告の初公判 全被害者名を朗読 10件を一括審理
 地下鉄サリン事件など10事件に関与したとして殺人罪などに問われたオウム真理教元幹部井上募浩被告(26)の初公判が21日、東京地裁で開かれ、起訴された全事件が一括して審理された。植村立郎裁判長は冒頭手続きで、地下鉄サリン事件の起訴状に記載された被害者全員(死者11人、負傷者3796人)の氏名などを読み上げるよう検察側に要請。これを受け検察側は被害者全員の氏名などの朗読に入った。正午すぎまでに約2500人分を読み上げた。
 重要事件に関与したとされる教団「大臣」級の裁判で全事件が初公判から審理されるのは初めてで、井上被告はすべての起訴状が朗読された後にまとめて認否を行う予定。
 被告弁護団は裁判所などとの協議で、刑事訴訟法の原則重視などを理由に、地下鉄サリン事件の起訴状に記載された被害者全員の名前、加療期間などを読み上げるよう要求、検察側は既に審理入りした元幹部中川智正被告(33)らと同様、朗読の省略を主張していたが、植村裁判長は「法がどこまで予定しているか議論はあるが被告側が要求している」などとして初めて全員の朗読を要請した。被害者が多数に上る事件の公判で、全氏名の朗読は異例。
 起訴状朗読に先立つ人定質問で、井上被告は職業を「無職です」と答えた。
 井上被告は事実上の「諜報(ちょうほう)省大臣」で非合法活動の中心人物とされるが、昨年10月の拘置理由開示で「オウムの救済手段は間違っていた」と自己批判。12月末には脱会届を公表するとともに、信者らにあてた文書で教祖麻原彰晃被告(41)の過ちを痛烈に批判していた。
 起訴された事件は地下鉄サリンのほか、目黒公証役場事務長仮谷清志さん監禁致死、信者落田耕太郎さんリンチ役人、都庁小包爆弾、大阪市の浜口忠仁さんVX殺人、東京の二つのVX殺人未遂、新宿青酸ガス、教団東京総本部に火炎瓶を投げるなどした二つの自作自演事件の計10件。三菱重工業侵入事件や宮崎県の旅館経営者略取誘拐など多数の事件への関与も捜査当局の調べで判明している。(京都新聞 夕刊)
■オウム裁判 地下鉄事件の被害者3800人 氏名朗読5時間 井上被告初公判 冒頭から紛糾
 「3800人の氏名を読めば5時聞かかる」「刑事訴訟法の原則により朗読を」−。オウム真理教の数々の重大事件に関与したとされる元幹部井上嘉浩被告(26)の初公判は、弁護側の要請で地下鉄サリン事件の全被害者の氏名、治療期間が読み上げられる異例の展開となった。
 地下鉄事件から1年と1日目に当たる21日午前10時すぎ、事件の指揮官とされる井上被告が東京地裁104号法廷に姿を見せた。白いシャツに黒色スーツ姿。被告席に着く前、正面の検事らに一礼し、続いて傍聴席の方を向いて思い詰めたような表情で深々と頭を下げた。
 人定質問では「井上嘉浩です」「はい、無職です」と大きな声で早口に答えた。
 この後、10事件の起訴状朗読の前に、弁護側が地下鉄事件について「起訴状の(全文)朗読が刑事訴訟法の原則であり、『別表の通り』では被害者に失礼」として重軽症者3796人全員の氏名、治療期間の朗読を要求。検察側は「仮に1人5秒としても5時間かかる。慣行で別表は省略している」と難色を見せたが、植村立郎裁判長は「弁護側の強い意向があるので、読んでいただければ」と要請した。
 10時半から始まった地下鉄事件の起訴状朗読では、7人の検事が交代で立ち上がり、延々と被害者名を朗読。被告席の井上被告は分厚い起訴状を両手で持ち、被害者一人ひとりの名前を目で追って確認していた。
・恐怖忘れない 地下鉄サリン1年で遺族ら
 昨年3月の地下鉄サリン事件から1年を迎えた20日午後、遺族、被害者らが東京都内で記者会見し「事件の恐怖をわれわれは忘れないが、皆さんも忘れないでほしい」などと心境を訴えた。
 「被害者の会」代表世話人で、営団地下鉄助役の天一正さん=当時(51)=を失った妻高橋シズヱさん(49)は@被害者の裁判傍聴A国による被害補償B精神的後遺症などの治療体制の整備−などを求める声明を発表した。
 高橋さんはこの日までの生活を「前代未聞の事件で前代未聞のショックを受け、人生の底なし沼に引きずり込まれるようだった」と回想。
 被害者の野口美織さん(25)は「この一年は生き地獄としか言いようがない」と振り返った上で「被害者は差別を受けているが、勇気を出して精神科で治療してほしい」と呼び掛けた。
 また会見で「娘を殺した林春男(特別手配容疑者)を早く捕まえてほしい」との遺族の手紙も読み上げられた。(京都新聞 夕刊)
■新型新幹線500系 初めて時速300` JR西日本がテスト
 JR西日本は20日から21日未明にかけて、山陽新幹線の新下関−小郡間で新型新幹線500系の走行試験を実施、同車両としては初めて時速300`を記録した。
 同社は、国内最高となる時速300`での営業運転に向けて2月から走行試験を続けており、今後時速320`まで速度を上げて走り込み、早ければ年末の臨時列車でデビューする。(京都新聞 夕刊)
■地下鉄サリン 全被害者名を朗読 オウム井上被告初公判
 オウム真理教の違法活動の多くに関与したとされる教団「諜報(ちょうほう)省」トップ井上嘉浩被告(26)の初公判が21日午前、東京地裁で開かれ、地下鉄サリンなど5事件の審理が始まった。「起訴状別表に書かれた被害者名の朗読を省略するのは、刑事訴訟法に反するうえ、被害者にも失礼にあたる」という弁獲団の強い要望で、被害が立件された地下鉄サリン事件の死傷者3807人の氏名や加療日数が一人分ずつ読み上げられる異例の展開になった。起訴事実に対する罪状認否や検察側冒頭陳述は午後に持ち越される見通しだ。
 井上被告は冒頭の人定質問で、住所を「決まっておりません」、職業を「無職です」と答えた。続いて、地下鉄サリン事件の全被害者名の朗読を求める弁護団と、「全部を読み上げれは5時間はかかる」と朗読省略を主張する検察側とで、議論が戦わされた。
 井上被告は昨年5月の逮捕以来、VXガスなど10事件で起訴された。うち、地下鉄サリン、元信徒落田耕太郎さんリンチ殺害、教団東京総本部での火炎びん投げつけ、日本女子大学元教授宅時限爆弾、公証役場事務長仮谷清志さん拉致の5事件が、この日と翌22日の両日に連続審理される。
 地下鉄サリン事件では、これまでに土谷正実(31)ら9被告の公判で審理が始まっているが、起訴状別表全部が法廷で朗読されたことは一度もなかった。(朝日新聞 夕刊)
■新型新幹線が時速300`達成
 年内デビューを目指し、山陽新幹線の徳山−博多間で試験走行を続けているJR西日本の新型超特急「500系」(16両編成)が21日午前零時ごろ、小郡−新下関間で時速300`を達成した。
 「500系」は、フランスの新幹線「TGV」と並ぶ世界皐偽の時速300`で営業運転し、博多−新大阪間を2時間19分で結ぶ。順調に行けば、年末の臨時列車として山陽新幹線に登場する予定。(朝日新聞 夕刊)
22日■地下鉄サリンなど10事件 「すべて麻原被告の指示」井上被告関与認める 東京地裁初公判 弁護人は無罪主張
 地下鉄サリン事件など10事件で、殺人罪などに問われたオウム真理教元幹部井上嘉浩被告(26)は東京地裁(植村立郎裁判長)で21日夕まで続けられた初公判で「すべての事件について関与したことは間違いありません」と事実関係を認めた上で、教祖の麻原彰晃被告(41)から「捜査をかく乱しろ」などと命じられたことを指摘。「すべて松本智津夫氏(麻原被告)が修行の名の下に指示したことです」と供述した。
 また、被害者や遺族らへの謝罪も口にし「裁判で松本智津夫氏に立ち向かい、事実を明らかにすることで償いたい」と述べた。
 弁護人は「断れば殺される危険があった」などとして全事件について法律論で無罪を主張した。
 井上被告の意見陳述によると、1994年1月の落田耕太郎さん事件では、落田さんが暴れると麻原被告は「できないならおれがやる」と叫んだ。昨年5月の新宿青酸ガス事件の前に、村井秀夫元幹部=死亡当時(36)=から「尊師の逮捕を阻止するためにできることは何でもやれ」と指示され、麻原被告からも「4月30日にとにかく捜査をかく乱しろ」と命令されていた。
 さらに、麻原被告が東京都中野区の駐車場経営者に対するVX殺人未遂事件(94年12月)で「これはVXの実験だ」などと言って直接指示したり、大阪市の浜口忠仁さん殺害事件(同)でも「VXをひっかけてポアしろ。公安のスパイであることは間違いない」と命令したりしたことも明らかにした。
 しかし麻原被告との関係では「共謀ではなく、絶対的命令を修行として実行した。指示を拒否すればポアの名の下において殺されるという恐怖や経験があり、断れなかった」などと述べ@VXでは死に至らないと思っていたA青酸ガスや都庁爆弾事件では人を殺害するとは考えていなかったB地下鉄事件の犯行メンバーではない−などと主張した。
 最後に麻原被告について「自らを法皇とする真理の国家を形成することを予言の成就と定め教団武装化に向かわせた。修行と称し犯罪行為に関与させた」などと批判した。
 検察側は地下鉄サリン、落田さん殺人、二つの自作自演、仮谷清志さん監禁致死事件の冒頭陳述を行った。同地裁は予定していた22日の期日を取り消した。(京都新聞)
■市バスと衝突、重体 乗用車の会社員 乗客4人もけが 山科
 21日午後8時15分ごろ、京都市山科区日ノ岡堤谷町の府道で、西進中の寝屋川市高宮、会社員平井淳さん(25)の乗用車が対向車線にはみ出し、東進の醍醐車庫行きの市バス(尾形彰運転手)と衝突した。弾みで乗用車は回転し、後続の乗用車と接触した。平井さんは意識不明の重体。市バスの乗客25人のうち、山科区内の会社員(24)ら4人が足などに軽いけがをし、後続の乗用車に同乗の女性も首に軽いけが。
 山科署では、事故当時、雨が降っていたため、平井さんの乗用車が道路中央の京阪京津線のぬれた線路でスリップし、対向車線にはみ出したのではないかとみて調べている。現場は「日ノ岡」のバス停付近で、バスは同バス停で乗降客がなかったため素通りした、という。この事故で、京阪京津線は上下線計7本が最高で45分遅れ、600人に影響が出た。(京都新聞)
■石屋川車庫使用始まる 阪神、復旧すべて完了
 阪神大震災で全壊、約8ヵ月をかけ復旧した阪神電鉄の石屋川車庫(神戸市東灘区)は、震災から1年2ヵ月ぶりに20日から全面使用が始まった。また同時にダイヤ改正を実施、同電鉄の震災復旧はすべて完了した。
 同電鉄は阪神本線の復旧を優先、昨年6月末の全線開通後、車庫の復旧工事に着手した。
 新しい車庫は旧車庫と同じ高架式。バラストと呼ばれる砂利敷きから、コンクリート製のスラブ軌道に生まれ変わり、支柱も鉄筋コンクリートから耐震性を高めるため鉄骨製に。
 19日夜から20日未明にかけて、電車17編成90両が20日の始発からの運転に備え次々と入庫。完成後も電車の姿がまばらだった車庫は、久しぶりに電車で埋められ元の姿を取り戻した。(京都新聞)
■私鉄1万100円で決着 電力9社昨年同額 NTT200円アップ 春闘ヤマ越す
 大手私鉄6社の経営側と私鉄総連の中央集団交渉は21日夜、昨年実績を150円上回る1万100円(3.38%)の賃金引き上げと年間一時金(ボーナス)5.4ヵ月(昨年同月数)の回答で労使が合意、春闘は大きなヤマを越えた。
 阪神大震災の「緊急避難的措置」だった昨年に続き、2年連続の「ストなし」交渉となったが、組合側の意向を受け入れた形で経営側が1万円を超す回答を出したことから、今後も「ストなし」の流れが加速するとみられる。
 公益グループの電力9社は同日午後、いずれも昨年同額(東京電力で7700円)で決着。NTTは昨年実績を200円上回る9500円(2.8%、昨年同率)で妥結した。
 金属大手に続き私鉄、NTTが額で前年実績を上回る賃上げとなったことで、96春闘の増額回答の流れに弾みがつきそうだ。
 この日の私鉄交渉は、経営側が過去最低だった昨年実績と同じ9950円を提示したが、NTTや金属労協の主要労組の大半が、増額回答を引き出したことなどから総連側は「昨年と同率は譲れない」と強く反発、再考を求めた。
 このため経営側は6社の社長会を開いて検討、さらに150円の上積みに応じることで合意。組合側も中央集団交渉参加の六社と対角線交渉の5社を合わせた11社の平均賃上げ率が昨年と同じ3.38%になることから、受け入れを決めた。
 中央集団交渉の結果を受けて行われた名鉄、西鉄など対角線交渉組の折衝も同額で決着。震災の後遺症などを理由に個別交渉となった関西の3社のうち、京阪電鉄は同額での受け入れを決め、阪急電鉄も同額回答を目指す。(京都新聞)
■紀勢線に新型特急 8月から18両投入
 JR西日本は、今夏から京都・大阪と南紀を結ぶ特急「くろしお」に新型車両を投入、所要時間と乗り心地の向上を図る。
 「くろしお」は現在、京都・新大阪・天王寺と新宮・白浜間で1日上下30本が運行されているが、この線区にはカーブ地点が多く、速度が上がりにくいため、曲線に強い車両の登場が待たれていた。
 新たに投入される新型車両は「283系」と呼ばれる振り子型車で計18両。最高速度も現行車両に比べ10`速い130`まで出せる。運転開始は8月の予定。
 新型車両と同時に、JR西日本は、和歌山−新宮間(約200`)で線路施設の高速化工事を実施、曲線部の直線化などを進める。(京都新聞)
■私鉄大手、1万100円決着
 賃上げをめぐる私鉄大手六社の中央集団交渉は、経営側が21日夜昨年実績より150円高い1万100円(率では昨年と同じ3.38%)を組合側に提示し、私鉄総連(池村良一委員長、18万5000人)もこれを受け入れて妥結した。私鉄総連をはさんで個別に交渉していた京浜急行、京王帝都、相鉄、名鉄、西鉄の各社も、それぞれ同額の回答で妥結した。これにより今春闘は最大のヤマ場を越えた。
 阪神大震災の後遺症の残る阪神、阪急と集団交渉方式に疑問を示す京阪は、個別交渉で臨んでいたが、京阪も同額の内容で妥結した。阪急と阪神は22日以降交渉を続ける。
 昨年実績への上積みを目指した組合側は、最低でも1万円台に乗せるよう主張。経営側は、金属大手など他産業に比べて「突出感」がある1万円台乗せに強い難色を示していた。
 結局、経営側は、組合側がストライキを設定しなかった点などを配慮して、150円上積みした格好。
 残る中小組合は、27日始業時からの24時間ストを設定し25日までに回答を追っている。
 連合が21日夜まとめた賃上げ集計結果(126組合、146万人)によると、賃上げ額は組合員1人あたり約8600円(加重平均)で、昨年実績を約340円、上回り、率では昨年とほぼ同率となっている。(朝日新聞)
■変わる私鉄春闘 中央離れ ストなし定着 京阪は「改革」掲げる
 始発電車からストライキを構えて経営側に賃上げを迫る−。春闘相場に影響力をもつ大手私鉄労組の交渉方式がいま大きな岐路に立っている。阪神大震災の余波で中央集団交渉の足並みが乱れたうえ、ストを背景に回答を求める交渉方式を2年連続で断念。流れが来年以降も定着するとの見方も一部に出てきた。労組員の中には「回答を待つだけの『春答』だ」と自嘲(じちょう)気味の声も。春闘ヤマ場の22日、全国の大手私鉄はストのない通常通りの朝を迎える。
 「ストを構えていないと緊迫感がないなあ」。21日午後、大阪市北区の私鉄労組関西地連で、同地連の野村恭三書記長はつぶやいた。この夜、中央集団交渉は経営側からの回答を組合側が受け入れ、妥結した。
 関西の大手私鉄は、阪神、阪急、京阪、近鉄、南海の5社。うち阪神と阪急が阪神大震災の後遺症を理由に、昨年に続いて中央集団交渉から離脱し、京阪も「春闘改革」を掲げて離脱した。
 昨年の春闘は阪神大震災の影響で、それまでの中央集団交渉が東西に分離され、被災地への配慮からストも構えなかった。今年は「伝統の復活」が目標だったが、経営側は労組側の足並みの乱れを突くようにストヘの拒否反応を示し、労組側も最終的に見送った。
 野村書記長は19日夜、京阪労組が約1600人の組合員を集めて開いた総決起集会で「ストを背景にするなら中央集団交渉に応じないという経営側の姿勢が、震災を口実に強まっている」と警戒感をあらわにした。
 一方、京阪労組の田中陽一委員長は「大手私鉄の間でも、すでに労働時間や労働条件に格差が出ている。(一律の賃上げを求める)中央集団交渉の役割は終わった。賃金は各社が独自に決めるべきではないか」と強調する。
 京阪の総務部は個別交渉に踏み切った理由として、@今後、地下鉄の延長などで乗客が奪われるA売上高に占める鉄道事業の割合が五割近くまで落ち、鉄道部門だけで賃金を決める交渉に疑問をもった−など京阪の事情を挙げている。
 阪神と阪急の背景は異なる。大手私鉄労組のある幹部は「阪神は震災でけい動脈を切られたが、阪急は足の骨を折った程度ではないか」と例え、阪急の場合は震災よりもバブル崩壊による関連事業の減収が響いている、と指摘する。(朝日新聞)
23日■JR西日本 経常利益27%増に 96年度事業計画 大震災から回復着実
 JR西日本は22日、1996年度の事業計画を発表した。阪神大震災の影響から着実に回復し、経常利益は前年度比27%増の520億円と、上場基準400億円突破を見込み、早期株式上場を最大の年度目標としている。
 96年度は、国鉄民営化による会社発足から10年目に当たる。事業計画は次の10年に向け、経営基盤確立に取り組む。
 主軸の鉄道事業では、引き続き施設の耐震補強に力を入れるほか、山陽新幹線に新型500系車両を投入して時速300キロの営業運転を目指すための試験運転や、近畿圏の都市輸送充実へ福知山線新三田−篠山口間の複線化準備を進める。関連事業では、京都駅改築事業の完成を急ぐ。
 96年度の収支予算は、総額1兆1801億円。営業収入9404億円のうち、旅客運賃収入が8268億円と、前年度より7%の増収を見込んでいる。債務総額は、95年度末で1兆4700億円あるが、96年度で118億円を償還する。
 設備投資は計1200億円。片福連絡線開業へ向けた車両基地整備や、山陽新幹線の高速化準備などが中心。南谷昌二郎副社長は「会社発足当初、売り上げの1%だった経常利益が、いま7%まで向上した。株式上場は、96年度で確実に果たしたい」と語った。(京都新聞)
■JR東日本・東海も事業計画を提出
 JR東日本とJR東海も22日、1996年度の事業計画を運輸省に提出した。
 東日本は売上高を95年度計画並みの1兆9563億円、経常利益は1.9%増の1030億円と予想。設備投資としては、97年3月に開業予定の秋田新幹線や首都圏の輸送力増強などに総額2901億円を計上する。旧国鉄時代からの長期債務については、96年度までの5年間で当初目標を超える5030億円を返済できる見通し。
 東海は売上高を95年度計画比2.1%増の1兆1089億円、経常利益を37.1%増の647億円と予想。設備投資には総額1840億円かける計画で、山梨県のリニアモーターカー実験線は近く完成する予定。96年度中に車両の試運転に入る。一部の駅にはエスカレーターなど障害者用施設を充実させる。(京都新聞)
■観光地へ快速の運行も 30日に京都市バスダイヤ改正
 京都市交通局は22日、市バスの利便性の向上や運行の効率化を図るため、系統の新設、変更やダイヤ改正を行うと発表した。30日から実施する。
 主な内容は次の通り。
 【系統の新設】快速5号=主要鉄道駅から観光地へ快速運行。休日のみ。京都駅前−四条烏丸−四条河原町−三条京阪前−京都会館美術館前−宮ノ前町(永観望)−銀閣寺前▽特M1号=原谷地域から北大路バスターミナへ直通運転。M1号の一部を経路延長。原谷−立命館国際関係学部前−金閣寺道−北大路バスターミナル
 【系統の一部経路延長】西6号=桂御陵坂団地の開発に伴い東桂から桂御陵坂まで延長▽55号=終点の四条大宮を四条烏丸まで延長
 【系統の一部経路変更】17号=経路の途中で京都駅前に連絡▽持18号=上鳥羽馬廻地域のバス系統の循環方向を統一▽52号=四条大宮、二条駅前など鉄道駅と接続
 【系統の統廃合・短縮】4号=4号と14号を統合し4号に一本化▽特東10号=東10号を延長し特東10号に統合▽特42号=42号を短縮し特42号に▽特59号=山越から北大路バスターミナルまでに短縮
 【新設停留所】桂御陵坂▽九条七本松(以上東行き、西行き)▽北大路駅(西行き)
 【停留所名の変更】常盤・嵯峨野高校前(旧常盤)▽大宮交通公園前(旧大宮御土居)▽京都コンサートホール前(旧萩ケ垣内町)
 【ダイヤ改正】週休2日制の拡大など旅客需要の変化に伴い、土曜・休日ダイヤを中心に改正。休日は観光の閑散期を基本ダイヤにし、観光シーズンには臨時バスを運行。効率化を図る(京都新聞)
■時々刻々  JR 7社10年目の「予算」 西日本は過去最高の営業収入
 JR7社は22日、旧国鉄からJRに移行して10年目にあたる1996年度の事業計画を運輸省に申請した。阪神大震災の影響から脱して輸送量が回復、JR西日本が過去最高の営業収入を見込むほか、北海道、四国、九州も1月に発足以来初めて値上げした効果が出て、全社が収入、損益とも95年度予算に比べ改善する見通し。
 各社の営業収入は、95年度実績見通しと比べて貨物がほぼ横ばいとなる他は、1−10%程度の伸びを見込んでいる。95年度に経常赤字だった4社も、北海道を除いて四国、九州、貨物は黒字になる、とみている。
 西日本の営業収入は9404億円の見通し。震災の影響から低めに抑えた95年度の当初計画より 577億円の増加を見込み、分割民営化後の最高だった93年度実績(9376億円)を上回る。96年度半はには上場する予定だ。東海も97年度の上場を目指す。
 一方、北海道、四国、九州は、客離れを避けるため小幅な値上げにとどめた。
 営業赤字を補うために、分割・民営化に伴って設けられた経営安定基金の運用益も金利低下から減っており、厳しい状況が続く。
・「快走」「低迷」明暗くっきり 好業績で債務減 本州3社 高速道路利用車と競合 3島・貨物
 巨額の借金を抱えていた国鉄が6つの旅客会社と1つの貨物会社に分割・民営化されて、4月1日で10年目に入る。JR7社が22日発表した新年度の「予算」は、快走する本州3社と、低迷する残り4社とに明暗が分かれた。「黒字が出る条件を整えた」。当時運輸相だった橋本龍太郎首相が、こう胸を張って送り出したJR各社の現状を追った。
●値上げせず
 「昨年の11月以降、業績は底を脱した。分割から10年目を迎え、一時代の締めくくりの年にしたい」。JR東海の葛西敬之社長は好調な業績を受けて、21日「新年度も運賃値上げせず」と宣言した。西日本の井手正敬社長も「今後2年間は値上げをしない」と明言している。
 JRの発足前に政府が試算した毎年の値上げ率は、北海道と四国が各6%、九州5%、西日本4%、東日本と東海が各3%だった。今年1月に北海道、四国、九州の「3島会社」が初めて値上げしたが、西日本、東日本、東海は値上げなしでやってきた。阪神大震災の直撃をうけた西日本も、営業収入が分割民営化以降で最高になると予測するなど、震災の痛手をほぼ乗り越えた。「大きな試練を克服するなかで、鉄道の再生・発展に確信を得られた」。南谷昌二郎副社長はそう振り返り、2年続きで見送られた株式上場にも「今年こそは間違いない」と自信をみせる。上場をにらんで、来週には、証券アナリストを招いた説明会を開く予定だ。
JR7社、96年度予算とスタート時の業績
 営業収入経常損益
東日本19,563
15,657
(2.7)1,030
766
(3.0)
東 海11,089
8,746
(2.7)647
607
(13.5)
西日本9,404
7,632
(1.8)520
81
(▼1.9)
北海道1,052
919
(3.7)▼ 37
22
(−)
四 国502
352
(10.6)2
10
(−)
九 州1,768
1,298
(2.7)18
15
(−)
貨 物2,057
1,727
(0.3)2
59
(−)
合 計45,435
36,331
2,182
1,516
単位・億円、上段は96年度予算で、( )内は
前年度実績見通し比の増減率%、下段は87年
度決算。▼はマイナス
 JRの発足前に政府が試算した毎年の値上げ率は、北海道と四国が各6%、九州5%、西日本4%、東日本と東海が各3%だった。今年1月に北海道、四国、九州の「3島会社」が初めて値上げしたが、西日本、東日本、東海は値上げなしでやってきた。阪神大震災の直撃をうけた西日本も、営業収入が分割民営化以降で最高になると予測するなど、震災の痛手をほぼ乗り越えた。「大きな試練を克服するなかで、鉄道の再生・発展に確信を得られた」。南谷昌二郎副社長はそう振り返り、2年続きで見送られた株式上場にも「今年こそは間違いない」と自信をみせる。上場をにらんで、来週には、証券アナリストを招いた説明会を開く予定だ。
 年間2兆円近い売り上げから1000億円の利益を稼ぎ出す東日本は、旧国鉄債務のうち、約7兆円を分担したが、これまでに1兆7000億円を返してきた。
 ただ、関連事業はまだまだ。大手私鉄には関連事業が5割前後を占める会社もあるのに、JR各社は9割が鉄道収入だ。
●頼りは「官」
 四国の1年間の売り上げは、新宿駅の1年分と同じほどしかない。営業赤字を埋めるため分割時に持参金として3社へ渡された合計1兆3000億円の経営安定基金は、低金利で利回りが稼げない。「いずれは利用者に負担増をお願いせざるを得ないかもしれない」。四国の広野八哉専務は早くも再値上げに言及した。
 3島会社は高速道路を走るバスなどとの競争が激しい。九州は、輸送量が福岡市など都市圏内で微増を保っているが、都市を結ぶ輸送は横ばいか微減。
 この9年間に全国で廃線になった1500`の半分を占める北海道は、客離れにつながる大幅な値上げはできず、赤字が続く。小池明夫総合企画本部副本部長は、「設備投資を国や自治体にも負担してもらって、黒字にしたい」と「官」頼みをのぞかせる。
 苦しい台所は、トラック輸送に押されるJR貨物も同じ。業績差に連動して7社の給与に差がつき、金田好生副社長は「今やどんじり」。
●28兆円借金
 「国鉄清算事業団にとっても厳しい状況になると心配している」。22日の閣議後の記者会見で、亀井善之運輸相は公示地価の下落に顔を曇らせた。
 上場した東日本株や全国の計5000fの土地売却などで、10兆5000億円を稼いだが、金利などを13兆円払ったので、25兆5000億円あった長期債務は、今年度末28兆円に届く。
 業績が好調な本州3社の懐をあてにする声もあるが、「鉄道活性化がわれわれの使命。その障害になることは引き受けられない」「(南谷・西日本副社長)などと、3社とも猛反発している。亀井運輸相は「今は土地と株を一生懸命売るしかない」と繰り返すばかり。だが、資産をすべて売却できても7兆円ほど。残りを国民全体で負担するとなれば、1人あたり17万円の勘定になる。(朝日新聞)
■死亡事故を教訓に 新幹線ドア改良へ
 東海道新幹線の三島駅で昨年12月、高校生が「こだま」に引きずられて死亡した事故への対策として、JR東海と西日本は22日、事故を起こした車両と同型の「0系」車両のドアを1年がかりで改良する計画を明らかにした。
 車内の気密性を高めるため、「0系」車両は現在、ドアを閉じると同時に外側へ押し付ける構造になっている。両社は、時速30`までは、この押し付け動作が起きないようにして、発車直後に体の一部などがはさまれても、容易に引き抜けるように改良する。(朝日新聞)
■鉄道模型の「楽園」つくる
 コンピューターソフト全社アプト社長の浅野薫さん(56)は、模型列車を思い切り走らせるため、東京都江戸川区の親族のビルを借り受けて、レール総延長約300bの大型ジオラマを作った。「楽園(がくえん)鉄道」と名付け、今年から1時間600円で一般に開放している。
 集めた模型はざっと600台。楽園鉄道を作る前は、トイレの壁に立てかけて保管できる大きさの板の上に小型のジオラマを作って、片道走行させていた。せっかくのコレクションが生かされないと、一念発起。「借金のかたまりでも、無理やりやった」
 6基の運転台がジオラマを囲む。古ぼけた駅や民家のほか、山や谷、城もある。小型ビデオカメラが設置されていて、迫力のある映像を見ることもできる。
 「鉄道模型は、知的な趣味です。資料や、自分の思い出の中から、どのような風景を抽出して表現するか。想像力が必要です」(朝日新聞 夕刊)
■JR西初のゴルフ場 全コース完成 5月2日開業
 JR西日本グループ初のゴルフ場「グランベール京都ゴルフクラブ」(京都府船井郡丹波町実勢)の全体工事がこのほど完成。昨年10月から営業中の西コース18ホールに次いで、残りの東コース18ホールが5月2日オープンする。
 開発・運営するのは、JR西日本や丹波町などが出資する「丹波高原開発会社」(小金沢章吾社長、資本金1億円)。
 会員募集(2次)は4月中旬からで、個人会員が1口2200万円、法人会員同2500万円。(京都新聞)
■京阪天満橋−関空間 リムジンバス運行
 京阪バスは23日から、京阪電車の天満橋駅と関西空港の間に早朝や夕刻に往復7便のエアポートリムジンバスを運行する。同区間ですでに運行している関西空港バスとあわせ、1日に往復21便となる。
 同区間のバス運賃は1300円。京阪出町柳駅から特急電車に乗り、天満橋でリムジンバスに乗り換えると、乗り換え時間を含め約1時間50分(運賃合計1750円)で関西空港に着く。(京都新聞)
24日■京都交通社長 川本恵三氏が内定
 京都交通(本社・亀岡市)は、23日までに、新社長に川本恵三京聯自動車社長を迎える役員人事を内定した。川本哲雄現社長は、会長に就任する。28日の株主総会で正式決定する予定。
 同社は、今期(95年1−12月)の決算で、阪神大震災の影響による貸切バス部門の不振と、路線バスの乗客減などで前期に続き赤字となる見込み。このため、今年に入って希望退職などで社員の20%の約110人を合理化するなどリストラ(事業の再構築)を進めている。
 川本新社長は、同グループのタクシー会社・京聯自動車(京都市)のほか、京都タクシー(舞鶴市)の社長を兼任しており、交通3社の連携強化で経営基盤の安定を図る意向とみられる。
 川本 恵三氏(かわもと・けいぞう)成城大卒。1975年大都産業入社。89年京聯自動車、京都タクシー両社常務、91年間専務、94年同社長。京都乗用旅客自動車協会副会長。44歳。京都府出身。(京都新聞)
■窓 電化KTRに地元活性期待 丹後町・川戸 貞彦(農林業・56)
 「京都−天橋立間の電化に伴い、16日からKTRダイヤが大幅に変わった。ディーゼル特急「あさしお」が引退、新特急「はしだて」や「文殊」などが、宮津線を走る。先日、全戸にKTR時刻表が配布された。これを見ると大阪−丹後間が大変、便利になった。
 私はかつて大阪−峰山間を5時間(バスも含む)くらいかけて、京都経由か、豊岡回りで往復していた。宮福線が開通後は、多少時間が短縮されたが、JRとの連絡が悪くて待ち時間が多かった。
 引退した「あさしお」には、数え切れないくらい乗ったものだ。惜しむ声もあるが、おんぼろ列車で汚いうえに騒音が大きく、特急という名に値しない低速だった。しかし料金は、A特急で高かった。楽しみは西舞鶴からのタイずしの車内販売だった。新ダイヤでもあるのだろうか。
 地元民としても、観光客はKTRを利用してほしい。キャンピングカーで食料も飲料もすべて持参、車内に寝泊まりして、大量のごみを捨てて行く最近のアウトドアライフは、非常に迷惑である。レジャーカーが何万台丹後半島へやって来たところで、地元への経済的効果は、全く期待できない。KTRも創意工夫で客を呼び込んでもらいたい。スーパーやガソリンスタンドのようにポイント(点数)による大幅割引を提案する。(京都新聞)
■窓 バス停留所にベンチ設置を 中京区・長谷冨至路(無職・82)
 バス停にベンチを望む声が多い。特に私たち老人には立ったまま3分間待つのも大変だ。市の管理係長さんのお話ですと「道路幅が2.5b以上ないと設置できない」とのこと。
 そこで私は提案する。既設のベンチは車道に向いているが、これだと立ち上がるとき、よろめいて車道に転げる危険がある。だからベンチをバスの進行方向の反対に向け、一列に並べれば幅も半分以下ですむし、何脚でも設置できると思う。道幅も1.5bもあれば通行のさまたげにもならない。バスの進行方向の反対に向けるという訳は、バスを待っている間、次に来たのはどこ行きかを早めに確かめられるからだ。いすの底辺に50`ぐらいの重い材料を使えば、別に穴を掘って埋めなくても簡単に動かないと思う。
 せっかく頂いている無料乗車券を生かすためにも新しく規則を作ってでも、ぜひ設置をお願いする。(京都新聞)
■JR九州 5年で2000人削減 経営計画概要 2000年度に配当めざす
 JR九州は来年度からの5年間で、社員を2000人減らして1万1500人にするとともに、2000年度には株主への配当実現を目標とした新中期経営計画の概要を固めた。人員削減が実現すれは、適正な人員規模となり、2000年度には60億円の経常黒字になる、と試算している。
 JR九州は、1987年の民営化時に社員1万5000人で発足。この9年間に約1500人を減らしたが、人件費の負担が経営の足を引っ張ってきたという。このため、今年4月から@社員の出向制度の見直しA最大で退職金を45%割り増しする早期退職者優遇制度を導入する。計画によると、一方で、新規採用を抑える。さらに、「新たな採用システムの導入」「雇用形態の多様化」との方針に沿って、専門能力をもつ人材をパートで採用する契約社員制度や給与の年俸制も検討する。
 こうした合理化などによって、「2000年度に配当を実現し、株式の公開・上場をめざす」とし、初めて配当の具体的な目標年度を設定した。(朝日新聞)
25日■新実被告が認否を留保 地下鉄サリン公判
 オウム真理教幹部新実智光被告(32)の第2回公判が25日、東京地裁(田尾健二郎裁判長)で開かれ、殺人、殺人未遂罪に問われた地下鉄サリン事件が審理された。
 罪状認否で新実被告は「認否については留保します」と述べ、どの時点で認否するかとの裁判長の質問に「次回以降、考えがまとまってからにしたい」と答えた。
 検察側の冒頭陳述によると、教祖麻原彰晃被告(41)は昨年3月、教団への強制捜査が実施されるという危機感を抱き、警察組織に打撃を与え首都を混乱させるため地下鉄にサリンをまくことを決意。村井秀夫元幹部=死亡当時(36)=が麻原被告の了承を得て、元幹部林郁夫被告(49)らばらまき実行グループ5人を選定、さらに実行者を犯行現場まで送迎する支援者として新実被告ら5人を選び、組み合わせも決めた。
 元幹部遠藤誠一被告(35)らが準備したサリン混合液11袋が村井元幹部から実行グループに渡され、同年3月20日朝、地下鉄霞ヶ関駅を通過する5電車にまかれた。その際、新実被告は千代田線にまいた林被告を送迎した。(京都新聞 夕刊)
■JR 学研→阪神の直通快速 利便性向上へ 実現へ手ごたえ 荒巻知事
 荒巻禎一京都府知事は25日午前の記者会見で、JR西日本に要望していた片町線(学研都市線)と関西線の関西文化学術研究都市から大阪・神戸方面への直通快速電車の運行について「まず間違いないという感触を得ている」ことを明らかにした。
 来春、JR片福連絡線(京橋−尼崎間12.3`)が開通するのをメドに実現すると見られ、関西学研都市と阪神地域との利便性が大きく向上しそうだ。
 JR片福連絡線は、大阪府、大阪市、JR西日本などが出資する第三セクターで、1989年に着工。来春に完成、開通する予定となっている。これに合わせて、府はJR西日本に対し、昨年からJR片町線の木津駅から神戸方面(東海道線)と、宝塚、三田方面(福知山線)への直通快速電車の終日運行・増便を求めていた。
 同時に、加茂駅発のJR関西線でも大阪駅までの快速の増便と、木津−平城山間に新駅を設置するよう要請。新駅は来春街開きを予定する関西学研都市・木津南地区の玄関口となる。
 現在は通常、JR片町線の木津発片町行きは1時間に1.5本で、神戸や三田方面には乗り換えが必要。関西線は加茂発大阪(難波)行きが1時間に2本だけ。
 木津、精華、田辺の学研3町の町長も実現をJR西日本に要望しており、荒巻知事は「JR西日本からほぼ要望に沿えるだろうとの答えをもらった」と実現への手ごたえを述べた。(京都新聞 夕刊)
■ポートライナー停止 通勤客ら8000人に影響 ラッシュ時の神戸
 25日午前7時56分ごろ、神戸・三宮と人工島ポートアイランド(神戸市中央区)を結ぶ新交通システム「ポートライナー」(営業区間6.4`)で、三宮駅を発車した直後の回送車両(6両編成)が急に減速して止まった。このため電車9本が運転を見合わせた。午前9時6分、運転を再開したが、通勤客8000人の足が乱れた。(朝日新聞 夕刊)
26日■窓 運転手さんの親切なひと言 南区・長谷川喬治(無職・68)
 よく市バスの運転手さんについての批判がこの欄に載っていますが、先日、私は丸太町七本松から九条車庫行きのバスに乗りました。この運転手さんの仕事ぶりには感心いたしました。バスが動くときには「動きますよ」と、動くときに揺れるのを予告してくださるのです。
 また次の停留所へのテープが流れたあと、運転手さんは「丸太町御前です」とはっきりいわれ、停車したときには、どのお客様にも「ありがとうございました」それに続いて「足元に気をつけてください」「自転車にも気をつけて」の連発です。私の後ろの座席の方があまりの親切ぶりに「この運転手さんはよくやってくれますね」と私に話しかけられました。その後、九条通へ出るまで、この声が続き車内の雰囲気は何ともいえぬ明るさがありました。
 昨年来、世の中は、なにかと事件が起こり、常に暗い気持ちになりがちでしたが、ちょっとした気遣い、心遣いに私はほのぼのと明るさを感じました。私は降りるときに、この運転手さんに心からお礼を申し上げ「これからも元気で頑張ってください」と励ましの言葉を送りました。(京都新聞)
■東海道新幹線 品川新駅を認可 2003年度中の開業めざす
 運輸省は25日、JR東海が申請していた東海道新幹線の品川新駅(東京都港区)の建設計画を認可した。JR東海は週内にも国鉄清算事業団などから建設用地を購入して新年度に着工、2003年度中の開業をめざす。開業時の運転ダイヤはまだ白紙だが、JR東海は品川発着の「のぞみ」や「ひかり」などの運転開始により、現在、1時間当たり最高片道11本の運転となっている東海道新幹線の輸送力を同15本に増やせるとみている。
 認可された計画では、新駅の名称は「品川」。国鉄清算事業団やJR東日本、JR貨物が所有する東海道線の品川駅東口付近の土地を買い、長さ約410bのホームを2面つくる。概算建設費は約1097億円で、1日約6万人の利用を見込んでいる。
 JR東海によると、東海道新幹線は1時間当たり最高片道15本の運転が可能だが、東京駅では車両の整備や清掃などをするため4本を車両基地との回送電車に振り当てており、実際の営業運転本数は同11本にとどまっている。このため、整備や清掃などができ、折り返し駅ともなる品川新駅をつくることで、営業運転本数を同15本に増やせるという。
 一方、品川新駅計画は、今年度末で28兆円にも膨らむとされる旧国鉄債務の削減にもつながる。建設用地約2.3fのうち、約0.9fは国鉄清算事業団が所有する。JR東海は購入価格を明らかにしていないものの、運輸省や清算事業団は200億−300億円の売却益を見込んでおり、「債務の減少に大きく寄与する」(豊田実・運輸事務次官)としている。
 JR東海の葛西敬之社長は「国鉄時代から必要とされていた施設だが、用地の価格が低下して事業の採算性が改善された。いまは輸送量が横ばい状態だが、いずれ増強が必要となるとみられ、建設は必要」と話している。(朝日新聞)
■阪急スト回避
 阪神大震災の後遺症を理由に個別の賃上げ交渉をしていた阪急電鉄は25日、経営側が昨年実績より1600円高く、私鉄大手の中央集団交渉の妥結額より1000円低い9100円(組合員平均2.69%)を組合側に提示した。さらに来年度に限り、一時金(1人平均2万円)を支給する内容を盛り込み、阪急労組もこれを受け入れて妥結した。27日に設定していたストライキは回避された。(朝日新聞)
■「大阪方面へ JR便利に」 知事、来春へ見通し
 荒巻禎一知事は25日の記者会見で、片福連絡線(京橋−尼崎間)が来春の開通を予定しているのに関連し、「学研都市を合む府南部と大阪方面を結ぶJR線のダイヤが便利になりそうだ。JR西日本に要望してきた結果、まず間違いないという感触を得た」と語った。
 片福連絡線は、学研都市地区を通るJR片町線と兵庫県内の福知山線を大阪キタの都心を通って結ぶ。木津町や加茂町など府南部の町から、同線の開通に伴って大阪方面への利便性の向上を求める要望が出されていた。
 荒巻知事や府交通対策課によると、要望が実現すると、木津駅(木津町)からJR片町線と片福連絡線を通って、福知山線の宝塚、新三田方面への直通列車が運行されることになりそうだという。(朝日新聞)
■オウム裁判 林被告公判 「麻原」と呼び捨て 地下鉄サリン事件 泣きながら謝罪
 地下鉄サリン事件で、車内にサリンをまいた実行メンバーの一人とされるオウム真理教「治療省大臣」林郁夫被告(49)の第2回公判が26日、東京地裁(三上英昭裁判長)で開かれ、殺人罪などに問われた同事件が審理された。
 林被告は罪状認否で「その通り間違いありません」と起訴事実を全面的に認めた。さらに、「麻原の命令とはいえ、卑劣な行為によって命を奪われた方や被害者に何とおわびしてよいか分からない」などと泣きながら謝罪した。
 また、林被告は自分が置いたサリン袋を片付けようとして地下鉄職員が死亡した崇高な行為と、医師である同被告が引き起こした殺人行為を比べたことをきっかけとして「麻原のまやかしに気付くことができた」と述べた。
 これに先立つ起訴状朗読に絡み、林被告の弁護人は「被告人は犠牲者のめい福や被害者の回復を祈るために何度も起訴状を読んでいる」として被害者名朗読の省略を認めた。
 検察側冒頭陳述によると、林被告は麻原彰晃被告(41)らと共謀、山梨県上九一色村の教団施設でサリンを生成した上、昨年3月20日午前8時ごろ、都内の地下鉄3線計5車両の中で先をとがらせた傘でサリン入りの袋を突いて発散させ、計11人を役害、3796人に中毒症を負わせた。(京都新聞 夕刊)
■現代のことば 携帯電話とJR 森 浩一(同志社大学教授・考古学)
 月に2、3度さまざまの用件で上京する。大学で授業のあるときは、授業をすませてから新幹線にのったり、逆に東京を昼ごろに乗って大学の会議におくれないようにする。若いころかなり身体は鍛えてあるつもりだが、それでも最近は年のせいか疲れを感じることがある。
 つい最近のことだ。東京に着くまでに少しでも元気を回復するため、余分に運賃をだしてグリーン車に乗った。東京ではすぐに講演をせねばならないので、仮眠しておこうと計画したわけである。疲れていたため、逢坂山トンネルを抜けるころには眠ってしまった。
 ところがである。電話のベルの音で飛びおきた。数列前の男が大声で話しだす。車内では”他のお客さまの迷惑になるので携帯電話はデッキでお願いします”とくり返して放送されているが、無視もよいところだ。この男は僕が気づいただけで、東京までに8回かけていた。このほか回数は1、2度だったが、ベルがなって話しだした男が2人いた。
 1週間ほどあとでもう一度グリーン車に乗ったが、この日も3人が何度かずつ携帯電話で話していた。ベルが鳴ると、恐縮してデッキヘ急ぐ人もいるにはいるが、そういう良識派よりふてぶてしさの見本のようなのが多い。
 僕が最近グリーン車を利用した2回とも、静かな状態で熟睡でなくとも、うとうとして疲れをとろうとした計画はぶちこわされてしまった。何のために余分のお金を払ったのか意味がなくなった。こういう状況がつづくと、客同士のトラブルがおこることは必至である。
 そこで2つの質問をしたい。一つは携帯電話を作って売りまくっている企業にたいしてである。新たな社会的ないらいらの原因をつくりだし、それを野放しにして増大させていることが平気なのかということである。アメリカではやっとピストルなどを製作する企業にも、批判がくわえられつつあるというが、僕にとっては隣席で延々と話しまくる携帯電話も脳の平静さにとっては凶器なのだ。
 第二の質問はJRに聞きたい。以前よりも車内放送を多くして、携帯電話の使用者に注意をうながしていることでまったくの無策ではないことはわかる。だが数年前なら、一つの車両にそういう不心得者は一人いるかいないかだったのが、今では多いときは3人もいるではないか。僕は車掌が注意するのを見たことはない。ということは、あの車内放送は何なのか。放送で注意をよびかけていますというだけの責任のがれにすぎないのか。そのうちに航空機のなかでもかけだし、飛行用の計器に異常をきたし、事故がおきることもあるかもしれない。
 車内で携帯電話をかける人は”おれたちにはかける自由がある”というだろう。だが少なくとも僕には”静寂さを保つ自由がほしい”。それと何よりも、人間の発明した道具によって人間と人間との関係が劣悪化されていくことはやりきれない。人間ってもっと賢いはずなのに、変なことだ。(京都新聞 夕刊)
■林郁夫被告第2回公判 地下鉄サリンも認める
 オウム真理教「治療省」トップ林郁夫被告(49)の第2回公判が26日午前、東京地裁であった。この日は地下鉄サリン事件の審理が行われ、林被告は罪状認否で「その通り間違いありません」と述べ、起訴事実を認めた。この後、用意したメモを見ながら「帰依していた麻原の命令だったとはいえ、私たちの卑劣な行為によって命を奪われた方々やそのご遺族、またいまだに心や体に傷を負っておられる方々に申し訳なく思っております」と涙で言葉を詰まらせながら謝罪の言葉を述べた。
 検察側冒頭陳述によると、林被告らサリン発散の実行役の信徒5人は昨年3月18日早朝、山梨県上九一色村の教団施設で故村井秀夫幹部から、強制捜査の目先を変えるために都内の地下鉄の車内でサリンをまくことを指示された。翌日、林被告らは東京都渋谷区のアジトで現場指揮者の井上嘉浩被告(26)から細かな指示を受けた。
 20日午前6時前、林被告は、新実智光被告(32)運転の車で営団地下鉄千代田線千駄木駅へ行き、そこから地下鉄で北千住駅まで行き、午前7時48分発の電車に乗り込んだ。新御茶ノ水駅に近づき、電車が減速したとき、新聞紙で包んだサリン入りの袋二つを足元に落とし、ビニール傘の先端で突き刺してサリンを発散させた。
 犯行後林被告は、渋谷アジトに戻ってきた実行役がサリン中寺を起こしていたため治療薬を注射するなどした。その後、車で上九一色村に戻ろうとしたが、途中、自分もサリンの中寺症状が出たため自分で注射を打ち、午後9時ごろ、上九一色村に戻ったとされる。(朝日新聞 夕刊)
27日■9社妥結、3社スト構え 春闘、京滋の中小私鉄バス
 京都府と滋賀県に路線を持つ中小私鉄、バス14社の春闘労使交渉は26日夜までに叡山電鉄など9社が妥結した。残る5社のうち京福電鉄など3社は労使間の話し合いがつかず、27日始発からのストを構え、27日未明までぎりぎりの交渉が続けられた。
 27日午前1時現在、24時間ストを設定し交渉を続けているのは、京福電鉄と京都バス、京阪宇治交通。近畿運輸局の調べでは、3社が終日ストに入った場合、計約3800本、約11万6000人に影響が出る見込み。
 決着した9社のうち大手並みの1万100円の回答を得たのは叡山電鉄と京福バスの2社。
 京都交通と江若交通の2社はストを延期して、交渉を継続している。(京都新聞)
■山陽電鉄と車衝突 1人死亡1人けが
 26日午後9時半ごろ、兵庫県明石市田町一丁目の山陽電鉄本線硯町踏切に同県小野市青ケ丘町、木村信彦さん(43)運転の乗用車が進入し、新開地発東二見行きの普通電車(四両編成)と衝突した。乗用車は大破し、木村さんが全身を強く打って死亡、助手席の神戸市西区岩岡町岩岡、無職古村孝之さん(39)もけがをした。電車には135人の乗客がいたが、けがはなかった。電車は現場に約1時間停止した。
 明石署の調べでは事故当時、踏切は警報機が鳴っており、遮断機も下りていたという。(朝日新聞)
■中小私鉄スト 一部は突入も
 春闘で大手私鉄並みの賃上げを求め、27日始発から24時間のストライキを構えて経営側と交渉している私鉄労組関西地連加盟の中小私鉄とバスの組合のうち、同日未明までに10組合が妥結してストを中止した。山陽電鉄や神戸電鉄など16組合は阪神大震災による後遺症などを理由にストの延期を決めた。残りの組合は引き続き交渉を続け、一部は時間切れでストに突入しそうだ。
 ストを予定しているのは次の各社の組合(観光バス専業を除く、カッコ内は本社所在地)。
 【鉄道・バス兼業】有田鉄道(和歌山県吉備町)
 【鉄道】京福電鉄(京都市)、紀州鉄道(和歌山県御坊市)
 【バス】金剛自動車(大阪府富田林市)、京阪宇治交通(大阪府枚方市)、京都バス(京都市)、御坊南海バス(和歌山県御坊市)、龍神自動車(同県田辺市)、明光バス(同県白浜町)、熊野交通(同県新宮市)、大十(同県海南市)(朝日新聞)
■麻原被告計画と認定 地下鉄サリン初判決 田下被告懲役7年
 地下鉄サリン事件で使われたサリンの製造を手伝ったなどとして、殺人ほう助罪などに問われたオウム真理教元信者田下聖児被告(26)の判決公判が27日、東京地裁で開かれ、山田利夫裁判長は教祖麻原彰晃被告(41)が地下鉄事件を計画、実行したと認定した。
 さらに事件は警察組織に打撃を与えるのが目的だったとし「人間としての良心のかけらをも失った犯行というほかなく、いささかの酌量の余地もない」と厳しい言葉で断罪。「法秩序に対する重大な挑戦で、断じて許すことができない」と指摘した。
 その上で「被告は実行に不可欠な部分にかかわった」として懲役7年(求刑懲役10年)を言い渡した。
 地下鉄サリン事件では教団幹部ら計13人が殺人、殺人未遂罪などで起訴されているが、判決は初めて。
 一連のサリン事件では、これまで松本事件の2被告、サリン量産プラント関係の3被告がそれぞれ殺人予備罪で実刑判決を受け、いずれの判決も麻原被告の指示を認定。地下鉄事件も同様の判断となったことから、サリンの製造、ばらまきについて麻原被告の公判に向けて「外堀」が完全に埋まった形となった。
 田下被告は「つくっているものがサリンと知らなかったし、使用目的も分からなかった」として無罪を主張していたが、山田裁判長は「サリンと察知したのは自然な思考の流れ」などとして退けた。(京都新聞 夕刊)
■信号故障KTR遅れ 天橋立駅で460人影響
 27日午前7時ごろ、宮津市文珠、北近畿タンゴ鉄道(KTR)の天橋立駅構内で信号装置が故障し、同駅発の京都行き特急「はしだて2号」が、約20分遅れて出発した。さらに、京都行き特急「タンゴ・エクスプローラー2号」が8分遅れるなど後続の計10本も15分−5分遅れ、通勤客ら約460人の足に影響が出た。
 電車特急が遅れたのは、今月16日の電化開業(JRとKTRの園部−天橋立間)以来初めて。KTRで故障の原因を調べている。(京都新聞 夕刊)
■京阪宇治交通スト突入 京の中小私鉄春闘交渉 京都バスなど妥結
 26日夜から続いていた京都の中小私鉄3社の春闘交渉は、27日早朝までに京福電鉄、京都バスが妥結し、予定していたストを中止した。しかし、京阪宇治交通は労使間の話し合いがつかず、同日始発から24時間ストに突入した。
 京阪宇治交通は、宇治市、城陽市、八幡市、田辺町など府南部地域を中心に路線バスを運行しており、正午までに935本が運休し、約2万4000人の足に影響が出た。
 京滋に路線を持つ私鉄、バスがストに入ったのは1993年以来3年ぶりとなった。(京都新聞 夕刊)
■地下鉄サリン オウムの犯行 初の認定 麻原被告ら共謀 東京地裁判決 信徒に実刑7年
 昨年3月の地下鉄サリン事件で使われたサリンの生成に関与したなどとして、殺人ほう助などの罪に問われた元オウム真理教「厚生省」所属の田下聖児被告(26)に対する判決公判が27日午前、東京地裁であった。山田利夫裁判長は同事件について「教団前代表の麻原彰晃被告(41)ら幹部が共謀しオウム真理教の組織一体となって遂行した犯行」と認定。そのうえで田下被告に懲役7年(求刑懲役10年)の実刑判決を言い渡した。地下鉄サリン事件について刑事裁判として初めての司法判断で、判決は事件と教団との関係を全面的に認めた。この朝、警視庁に拘置されていた麻原被告は東京拘置所に移監された。
 判決は地下鉄サリン事件について「麻原被告らが、教団内でサリン生成のノウハウが確立していたことを奇貨とし、多数の乗客がいる密閉性の高い地下鉄車内と駅構内を狙って同時多発的にサリンを発散させ、死亡11人、負傷者3796人の大惨事を引き起こした」と述べ、「今までに例を見ない凶悪な犯行で日本国中を恐怖と不安に陥れただけでなく、新しいタイプのテロとして諸外国をも震かんさせた」と、事件が社会に与えた影響にも言及した。
 さらに犯行の動機について「警察組織に打撃を与え、首都中心部で大事件を起こすことで教団への捜査の矛先をそらすためだった」とし、「教団の維持存続という、わい小な目的のために人命の尊ささえ否定し、人間としての良心を失った宗教団体による狂った犯行というほかはない」と断じた。
 田下被告は公判で「自分が手伝っていることがサリンの生成とは知らず、殺人の準備をしているとは思っていなかった」と犯意を否認していたが、判決は捜査段階での自供の自然さなどを指摘、「田下被告は殺人目的に用いられることを知りながら、教団幹部の遠藤誠一被告(35)らを手伝ってサリン生成に不可欠な部分にかかわった」と弁護側の主張を退けた。
 地下鉄サリン事件では田下被告のほか、首謀者とされる麻原被告、サリンを生成したとされる3被告、実行役の8被告の計12人が殺人と殺人未遂罪で起訴され、麻原被告を除く会員の審理が始まっている。(朝日新聞 夕刊)
■京阪宇治交通始発からスト
 春闘で大手私鉄並みの賃上げを求め、27日始発から24時間のストライキを構えて経常側と交渉していた私鉄労組関西地連加盟の中小私鉄とバスの組合のうち、バスの京阪宇治交通(大阪府枚方市)の組合が時間切れで始発からストに突入した。御坊南海バス(和歌山県御坊市)の組合はいったんストに入ったが、その後、スト延期を決め、午前8時50分から正常ダイヤに戻った。(朝日新聞 夕刊)
28日■京都駅ビル訴訟に判決 府などの出資は適法 京都地裁 歴史的景観権判断せず
 JR京都駅の改築をめぐり、京都府、京都市が京都駅ビル開発会社へ公金を出資したのは公共性のない違法な支出として、京都市下京区新町通北小路下ル、会社役員伊藤督太郎さん(77)ら住民約2000人が荒巻禎一京都府知事、田辺朋之前京都市長、同駅ビル開発会社(南谷昌二郎社長)を相手に、公金計6億円の返還などを求めた訴訟の判決が27日、京都地裁であった。
 松尾政行裁判長は「出資の判断は知事、市長の裁量に委ねられており、駅ビル改築計画の目的などに照らせば、出資は妥当で違法とはいえない」として、住民の訴えを棄却した。
 判決によると、京都駅ビル開発は90年に設立。府、市はおのおの資本金の5%に当たる3億円を、同年から92年まで3回に分けて出資した。
 訴訟では▽駅ビル改築に公金を支出する公益性があるか▽改築は都市計画法などに違反するか▽駅ビルは歴史的景観権を侵害するか−などを争点に争われていた。
 松尾裁判長はまず、公金の出資には公益性が必要とした上で、「公益性の判断は首長の裁量権の範囲」と指摘し、「同社の設立経緯や目的などに照らすと、首長は裁量権を乱用したとはいえない」とした。
 また、「駅ビル改築は府、市の財務行為ではなく、仮に改築が都市計画法などに反していても、出資がただちに違法になるものではない」と認定した。歴史的景観権については判断を避けた。
 判決について原告弁護団は「第三セクターの事業について、自治体首長にほぼフリーハンドの広い裁量権を認めてしまっている。控訴は検討する」と批判した。一方、京都府、京都市はそれぞれ「出資を適法と認めた妥当な判決」「当方の主張が認められた」とするコメントを発表した。(京都新聞)
■京阪宇治交通のスト 5万5000人に影響
 27日早朝からストに突入した京都府南部地域をエリアとする京阪宇治交通の春闘労使交渉は、同日夜になっても話し合いがつかず、終日ストとなった。この日一日で、路線バス2364本すべてが運休となり、約5万4600人の足に影響が出た。
 組合側は第2波の24時間ストを30日早朝に設定しており、労使間の交渉が続いている。(京都新聞)
■新幹線沿い雑草火災
 27日午後11時20分ごろ、大津市国分一丁目のJR東海道新幹線沿いののり面で雑草火災が発生。すぐ消したため、新幹線に影響はなかった。
 大津署によると、現場は線路わきのフェンスの外側で、約8平方bが燃えたといい、出火原因を調べている。(京都新聞)
■通過する河川名 テロップで表示 東海道新幹線など開始
 近畿地方建設局などは27日までに、新幹線の東京−博多間で、通過する河川名を車内の電光掲示板にテロップ表示するサービスを始めた。
 近畿地建によると、表示するのは、関東から九州までの一級河川9つ。河川に近づくと、各車両の車内両端にある電光表示板に「まもなく加古川(川幅447m)を渡ります」などと2度、表示する。(京都新聞)
■終日乗降できる「えぇきっぷ」
 叡山電鉄(本社・京都市左京区)は4月1日から、叡山本線(出町柳−八瀬遊園)と鞍馬線(宝ケ池−鞍馬)の全線各駅で終日乗り降りできる1日乗車券「ええきっぷ」を発売する。
 出町柳、修学院、鞍馬の各駅窓口で発売する。価格は1000円。購入時には利用日欄が空欄になっており、利用者が記入した日に限って利用できる。(京都新聞)
■京都駅ビル会社への出資 「首長の裁量」認める 京都地裁判決
 京都駅ビルの改築事業を進めている第三セクター「京都駅ビル開発」(南谷昌二郎社長)に京都府と京都市が出資したことに対し、「公共性の薄い企業に公金を支出したのは違法だ」として、地元住民が同社と荒巻禎一知事、当時の田辺朋之市長を相手取り、出資したそれぞれ約3億円の公金の返還を求めた住民訴訟の判決が27日、京都地裁であった。松尾政行裁判長は「第三セクターへの出資が公共性、公益性にかなうか否かの判断は首長の広範裁量にゆだねられている」として、住民側の訴えを棄却した。
 判決は、「自治体が第三セクターへ出資する場合は公共性が必要」としたうえで、「両首長の判断が著しく妥当性を欠くとは言えず、裁量権の範囲を越えているとは認められない」とした。「駅ビルの改築は都市計画法、建築基準法に違反する」「高層の駅ビルは住民の『歴史的景観権』を侵害する」とする住民側の主張については、判断を示さなかった。
 原告代理人の弁護士は「首長の裁量権を極めて広く認めており、不当だ」と反発している。
 訴えていたのは京都府民、京都市民各約2000人。住民らは、同社に対する公金支出は違法として1990年から92年にかけて、府、市に監査請求したがいずれも却下されたため、91年から93年にかけ、三次にわたって提訴した。「京都駅ビル開発」は90年9月、JR西日本60%、京都府、京都市各5%、京都商工会議所1.3%などの出資比率で設立された。京都駅ビルは、高さ約60bで地上16階、地下3階。駅舎のほか、ホテルやデパートなどの施設が入る。(朝日新聞)
■地下鉄東西線 全区間トンネル貫通 来年11月開業へヤマ越す
 京都市が建設を進めている地下鉄東西線(二条駅−醍醐駅間12.7`)のトンネル工事が全工区で終わり、28日午前、東西線の烏丸御池駅で貫通式があった。京都の都市交通の新しい動脈として期待される同線は、建設費膨張や完成時期の遅れなど曲折があったが、来年11月の開業へ向けてひとつのヤマを越えた。
 コンクリートがむき出しの烏丸御池駅のプラットホームでの式には、桝本頼兼市長や田辺朋之前市長をはじめ工事関係者ら約200人が出席した。
 桝本市長が「東西線は幹線道路下での建設で難工事だった。今後も大事業の完成へ最大限の努力を傾注したい」とあいさつした。続いて同市長や田中のぼる市議会議長らが鏡開きをして貫通を祝った。
 東西線は平安建都1200年記念事業として1988年11月に起工式をし、90年1月に着工した。
 94年2月に、建設費が当初計画の2倍近い約4710億円に膨張することが判明した。94年度に予定していた完成時期も大幅にずれ込み、大きな問題に発展した。
 その後の工事は順調に進み、28日までに山科駅工区を最後に全区間のトンネル工事を終え、一本につながった。
 今後は軌道工事や駅の建築、設備・電気の工事を進め、来年10月完成、同11月に開業する予定。既に運転士を採用し、烏丸線を使って訓練を始めている。今年5月に車両を搬入し、10月からは試運転をする。(京都新聞 夕刊)
■広島新交通橋げた落下 元請け3人有罪 広島地裁 「安全意識欠いた」
 広島市の新交通システム「アストラムライン」工事現場で1991年、橋げたが落下、23人が死傷した事故で、業務上過失致死傷罪などに問われた元請け会社「サクラダ」(千葉市)の元橋りょう工事部長神馬清被告(57)ら3人と、下請けの川鉄運輸(神戸市、現川鉄物流)社員、原田哲被告(44)の計4人の判決公判が28日、広島地裁で開かれた。
 片岡博裁判長はサクラダの3被告について「初歩的な安全意識を欠き、建設工事への信頼を損ね、市民にも不安を与えた責任は重大」として、元課長で現場監督だった小島修被告(52)に禁固2年6月(求刑禁固4年)、神馬被告ら2被告に禁固2年6月−2年、執行猶予4−3年(求刑いずれも禁固3年)を言い渡した。原田被告は「単なる調整役にすぎず、事故を予見できなかった」と無罪とした。
 判決理由で、同裁判長は「作業計画の確認や現場の監督を怠った上、落下防止措置も取らなかった」と小島被告らの過失を認定した。判決によると、91年3月14日午後2時すぎ、長さ約63b、重さ約60dの鋼鉄製橋げたが高さ約10bの橋脚上から落下、県道の車11台を押しつぶすなどし、市民、作業員計15人が死亡、8人が重軽傷を負った。
 公判で、神馬被告と川鉄運輸社員の2人は、それぞれ「工事部長は抽象的な監督をするだけで、具体的作業への注意義務はない」「工事の知識がないため、事故の予見はできなかった」などと無罪を主張。小島被告ら2人は大筋で起訴事実を認めていた。
・橋げた落下事故 1991年3月14日午後、広島市安佐南区の新交通システム高架橋の工事現場で、据え付け作業中の橋げた(長さ約63b、重さ約60d)が作業員もろとも落下、約10b下の県道で信号待ちの車などを押しつぶし、市民10人と作業員5人の計15人が死亡、8人が重軽傷を負った。新交通システムは3年半後に控えた広島アジア競技大会に向け建設中で、真下の県道北側は作業に使い、通行可能だった南側に橋げたが落ちた。(京都新聞 夕刊)
■橋げた落下 広島地裁判決 元請け会社の3人有罪 2人は猶予つき 下請け1人は無罪
 広島市の新交通システム「アストラムライン」の高架橋建設工事現場で1991年3月、据え付け中の橋げたが落ち、下の県道で信号待ちしていた乗用車を押しつぶして23人が死傷した事故で、業務上過失致死傷罪などに問われた元請けの建設会社「サクラダ」(本社・千葉市)と下請けの「川鉄運輸」(現・川鉄物流、本社・神戸市)の当時の工事担当者ら4被告に対する判決公判が28日午前、広島地裁であった。
 片岡博裁判長は「基本的な危険感覚の鈍さがもたらした被害結果は余りにも重大」と述べ、業務上過失致死傷罪に問われた「サクラダ」の3被告のうち、直接の現場責任者に禁固2年6月(求刑禁固4年)の実刑、他の2被告に執行猶予つきで禁固2年6月−2年(同禁固3年)を言い渡した。重過失致死傷罪に問われた「川鉄運輸」の工事担当者については、「現場監督の地位にはなく、事故も予見できなかった」として無罪(同禁固3年)とした。
 各被告の量刑は、「サクラダ」の元橋りょう工事部長(工事統括責任者)、神馬清被告(57)=禁固2年、執行猶予3年▽元工事第二課長(現場代理人)、小島修被告(52)=禁固2年6月▽元工事第二課員(現場補佐役)、小園淳被告(32)=禁固2年6月、執行猶予4年。無罪となったのは、「川鉄運輸」の元経理庶務係長(連絡調整役)、原田哲被告(44)。
 裁判では、4被告の監督責任と、事故防止措置をとらなかった過失責任などが争われた。
 判決理由で片岡裁判長は、事故原因について、橋げたが逆台形で重心が偏っていたにもかかわらず、ジャッキを乗せるH型鋼の組み方を誤ったうえ、橋げたの底面の補強板のない部分にジャッキをあてたことから、底面がくぼんで橋げたのバランスが崩れたと判断。「サクラダ」の3被告は事故が起こることを十分予想できたのに、作業の監督を怠り、転倒防止用のワイヤも設置しないなど、注意義務に反する過失が重なったと認定した。
 一方、原田被告については、単なる連絡調整役で現場監督の職務権限や能力もなく、具体的な危険性を予見することはできなかったとの判断を示した。
・橋げた落下事故 1991年3月14日午後2時過ぎ、広島市安佐南区の新交通システムの高架橋建設現場で、ジャッキを使って橋脚上に下ろそうとしていた鋼鉄製の橋げた(長さ63b、重さ60d)が約10b下の県道に落下、信号待ちしていた乗用車など11台が橋げたの下敷きになり、転落した作業員も合め15人が死亡、8人が重軽傷を負った。
 遺族3人は92年8月、国と広島市、サクラダ、川鉄運輸の4者を相手取り、約4億円の損害賠償を求めて広島地裁に提訴。残る12人の遺族はサクラダとの示談が成立している。
 新交通システムは、広島市中心部と市北部を結ぶ交通施設として94年に完成した。総延長は18.4`。(朝日新聞 夕刊)
■橋げた落下判決 遺族ら「軽すぎる」 傷、一家の生活にも
 60dもの橋げたが落ち、23人の死傷者を出した「人災」が裁かれた。広島市の新交通システム工事現場で1991年3月に起きた橋げた落下事故で、広島地裁は28日、元請け会社の幹部社員3人の監督責任を厳しく指摘した。しかし、下請け会社幹部には「事故が予見できなかった」と無罪に。「どんな判決であろうと、もうあの人たちは帰ってこない」。鋼鉄の塊に息子や妻、夫を押しつぶされた遺族らは、それぞれの思いを胸に判決を聞いた。
 60人分の傍聴席は遺族らで埋まった。
 「初歩の知識に属する危険感覚や安全意識を欠き、姿勢自体に重大な問題があった」
 片岡裁判長が読み上げる判決を、広島市安佐南区高取南二丁目、塗装業金谷修さん(58)は家族の遺影をひざの上に置いて聞いた。この朝、日課にしている事故現場に足を運び、慰霊碑に手を合わせて裁判所にやってきた。
 閉廷後、顔をしかめ、「軽すぎる。みんな実刑でないと」と話した。
 あの事故で、塗装業を縦ぐはずだった長男の昇さん(当時28)を亡くした。建築士の資格を取るなめ勉強をしながら仕事に励む自慢の息子だった。公判の傍聴などで仕事を離れることが多くなり、2年ほど前に店を閉じた。
 車で外出中の妻を亡くした広島市安佐南区相田三丁目、戸村孝司さん(41)は、自宅のテレビで判決を聞き、すぐに仏前に報告した。「これで気持ちに区切りをつけたい」
 広島県警の警察官だった。3年前、長男(14)と長女(12)の世話をするため20年間勤めた県警に辞表を出した。いま、兄(43)が経営する衣料品販売会社に勤めている。「あの事故は、一家の生活をも押しつぶした」ともいった。
 事故は、三次、四次の下請けにも重くのしかかる。
 「ひ孫受け」の建設会社「日拓工業」(長崎県佐世保市)は、派遣した6人の従業員のうち3人を失った。井上拓社長は、清掃や後片付け程度の仕事で、高いところでの危険な作業とは知らなかったという。
 事故後、得意先からの仕事が入ってこなくなり、一時は50人近くいた従業員も次々に去っていった。「人を死なせるような仕事なら、しない方がましだ」。いまは、食品販売業や不動産業の手伝いをして生計をたてている。
・大和英明・川鉄物流取締役総務部長の話 社員には過失がなかったと信じていた。裁判所が事実関係を正しく認定し、無罪判決を出されたことに安堵(あんど)している。
・平岡敬・広島市長の話 5年前の事故は終生忘れることはできない。法的責任は裁判所の判断にゆだねている。この事故の重大さを痛感し、再び不幸な犠牲者を出さない決意と、安全対策に一層の努力を傾けることが、御霊に報いる最良の道と考えている。
・「監督責任」厳しく指摘
 解説 広島の橋げた落下事故をめぐる刑事裁判で注目されたのは、下請け、孫請けの作業員を中心にして進められていた工事で、元請け業者の幹部社員の監督責任がどこまで認められるかということだった。
 発生当時、事故現場で橋げたの降下作業をしていた作業員は5人。いずれも降下作業の経験のない下請け、孫請けの作業員だった。その裏には、バブル経済期の建設ラッシュによる人手不足で、熟練作業員の確保が難しかったという事情がある。検察側は、こうした人員配置を合めた元請け側のおざなりな工事計画が、初歩的ミスにつながったとしてきた。
 公判で、被告となった元請け会社の幹部社員らは、直接の作業監督は下請け側に任せていたと主張。一方、下請け業者の社員は「実務作業をまかされていただけ」と述べるなど、責任のなすり合いに終始してきた。
 しかし、判決は、下請け側の責任者を無罪とする一方、工事の統括責任者としての元請け会社の幹部らの監督責任を厳しく指摘した。工程が細かく分かれて権限が分散しがちな請負工事での、元請け側の責任を明確にした形だ。
 今回の刑事裁判では、捜査段階で広島県警が「事故防止義務は原則として業者側にある」と判断したため、発注者の広島市の責任は問われなかった。しかし、広島市が元請け業者を総括的に指揮する立場にあったことを考えれば、行政もまた今回の判決を重く受け止めるべきだろう。(冨田佳志)(朝日新聞 夕刊)
29日■北陸新幹線 小松−南越の工事認可申請 鉄建公団、着工は未定
 日本鉄道建設公団は28日、北陸新幹線の石川県・小松−福井県・南越間(67.9`)について、環境影響評価が終了し工事準備が整ったとして、運輸大臣に工事実施計画認可の申請をした。南越−福井県・敦賀間(約30`)については基本ルートを公表した。
 小松−南越間には中間駅として福井駅など3駅が設置される予定で、新設する南越駅以外はいずれも既存のJR駅に併設する。工事費は約5100億円。着工時期などは未定。
 新たにルートを公表した南越−敦賀間は、南越駅を南下して山岳部をトンネルで抜け敦賀駅に至る。今後環境影響評価や地元との調整に入り、ルートの詳細を詰める。
 北陸新幹線は、来年秋に群馬県・高崎−長野間が開業する予定。
 今回の認可申請とルート公表については、整備新幹線について94年末に関係大臣で申し合わせた「見直しスキーム(枠組み)」に盛り込まれていた。
 ルートがまだ未公表の北海道新幹線や北陸新幹線の残る敦賀−大阪の扱いも含め、新たな工事実施計画の申請など整備新幹線の今後の建設スケジュールについては、今年6月にも与党三党の新幹線検討委員会で中間取りまとめをする新スキームで方針を決める。(京都新聞)
■窓 東海道新幹線 雪対策を願う 守山市・宮川正祐(無職・70)
 この冬は寒波の来襲が度重なり、例年になく降雪が多かった。雪が降ると、たちまちにして交通機関にその影響が表れる。高速道路とともに東海道新幹線も例外ではない。「関ケ原付近の積雪で名古屋−新大阪間でおよそ何分の遅れ、このため何万人に影響」といった情報がとめどなく繰り返される。
 わが国の新幹線は、開業以来人身事故は皆無といった功績は立派だが、大動脈を受け持つ東海道新幹線は、残念なことに自然現象に弱いといった大きな問題を抱えており、この欠点が毎年降雪時に露呈する。
 後発した上越新幹線は日本有数の豪雪地帯を運行するが、雪による遅れや運休の例はほとんど聞くことがない。建設に際して雪害防止に関する優秀な技術力が結集され、投入されたからだと承知している。東海道新幹線とは地形や道床の構造など条件的に異なる面はあるが、こうした上越新幹線のノウハウがたとえ一部ではあっても今にして、なぜ取り入れられないのかといつも疑問に感じている。
 JR当局は、全力を注いで早急に根本的な改良を図り、毎年繰り返す小手先だけの対応といった愚を改められるよう望みたい。(京都新聞)
■地下鉄東西線 来年11月には開業 トンネル12.7`貫通 秋から試運転13全駅にホームドア
 京都市の地下鉄東西線が、起点から終点まで1本のトンネルでつながり、これを祝う貫通式が28日、中京区烏丸通御地の建設中の地下駅で催された。同線の区間は、伏見区醍醐−中京区JR二条駅間、全長12.7`。建設費の膨張や工期の延長と、たて続けに問題が表面化したが、一歩ずつ完成に向かっている。今後は地下駅建築など仕上げの工事にかかり、10月から試運転を開始。来年11月には開業する見通しだ。
 烏丸御地駅のプラットホームであった貫通式には、京都市幹部、建設に携わった建設会社の役員、市議ら約100人が出席した。1月に辞任した田辺朋之前市長も姿を見せた。
 あいさつに立った桝本頼兼市長は「東西線は、京都市の経済の活性化と、保存と開発が調和したまちづくりに欠かすことができないもの。完成に向けて、気を緩めることなく最大限の努力を傾ける」と述べた。出席者はその後、線路が引かれたトンネル内を、約800b東にある京都市役所前駅まで歩いた。
 13駅のすべてにホームドアを採用する。電車が到着すると、電車のドアと連動してプラットホームのドアも開き、乗り降りする方式だ。ホームへの転落を防ぐための設備だという。
 東西線は、建都1200年にあたる1994年の完成福めざし、89年11月、総事業費2450億円で着工した。ところが93年2月、2年の工期延長が明らかになった。翌94年は2度にわたって事業費の膨装が発表され、当初計画の約1.9倍にあたる4710億円に。バブルの崩壊に伴う税収の減少とあいまって市財政を直撃。原因究明を求める臨時市議会が招集されるなど、大問題なった。
 地下鉄東西線の全体構想は総延長30`におよび、六地蔵(京阪六地商駅、宇治市)−山科−御池通−太秦−洛西−長岡(阪急長岡天神駅、長岡京市)を結ぶ。「市の発展に欠かすことができない大動脈」という位置づけで、京都市は今年から、延伸地域で地質調査を始めた。しかし、市税収入の落ち込みなどが災いし、具体的な計画はまだ決まっていない。
 運輸政策審議会は1989年5月、東西線について「2005年までに整備する(売成する)ことが適当な路線」(六地蔵−西大路間)▽「2005年までに整備に着手することが適当な路線」(西大路−洛西間)▽「今後整備について検討すべき路線」(洛西−長岡間)と答申した。
 東西線の効果について市は、交通渋滞の緩和、商業振興・観光客の増加などに伴う税収の増加などをあげる。建設費が当初の約1.9倍に膨れ上がった後も、市は延伸について、「今後も取り組む」という立場だ。
 ところが、財源となる市税収入は92年度の2592億円を最高に、決算額では2年連続で落ち込んでいる。さらに、東西線建設の借金など、今後30年間で計1200億円を一般会計から支払うという試算もある。
 地質調査は醍醐−地蔵間と二条−西大路間で進めているが、市交通局は「本当に延伸するかしないかを見極めるための調査でもある。しかし、財政的な裏付けがないと、囲も延伸をなかなか認可してくれない」と話している。(朝日新聞)
■長距離バス4路線 京都乗り入れ認可
 運輸省は29日、近畿日本鉄道など5社が運行する、大阪と仙台、福島、宇都宮、大宮の各市を結ぶ長距離高速バス4路線について、京都駅八条口への乗り入れを認可した。乗り入れにともない、路線も西名阪・東名阪自動車道経由から名神高速経由に変更する。4月26日から運行を始める。(朝日新聞 夕刊)
30日■スト回避は微妙 京阪宇治交通
 私鉄関西地連加盟の中小45組合のうち、有田鉄道(和歌山)などの5組合が30日始発からの24時間ストを構えて29日、大詰めの賃上げ交渉を行っている。山陽鉄道、京都バスなどの9組合は予定していたストを延期した。
 27日に終日ストとなった京阪宇治交通の春闘労使交渉は29日行われ、賃上げ額をめぐって深夜まで話し合いを続けた。組合側は27日に続き、第2波の24時間ストを30日始発から予定している。30日午前1時現在、交渉は継続中で、スト回避は撒妙な情勢となっている。(京都新聞)
■長距離バス4路線 京都乗り入れ認可
 運輸省は29日、近畿日本鉄道など5社から申請のあった長距離高速バス4路線の京都駅(八条口)乗り入れを、申請通り認可した。運行開始は4月26日で、運行便数は4路線とも1日1往復。
 京都駅への乗り入れが認可されたのは、大阪発着の仙台線、福島線、宇都宮線、大宮線。近鉄と、共同運行する宮城交通、福島交通、関東自動車、国際興業の計5社が、今年2月に近畿運輸局に申請していた。
 4路線とも現在、西名阪や東名阪道を経由して運行しているが、京都駅乗り入れにより26日以降は名神高速道経由になる。(京都新聞)
■トラック事故 列車4本運休 亀岡の山陰線踏切
 29日午後8時半ごろ、亀岡市千代川町川関のJR山陰線の川関踏切で、兵庫県朝来郡山東町矢名瀬町、会社員田中日出男さん(43)運転の4dトラックが遮断機の柱に衝突して線路上で動けなくなった。同踏切に近づいていた京都発園部行き快速電車が約50b手前で停車。クレーン車でトラックを移動し、運転が再開されるまでの約1時間10分、電車は乗客約300人を乗せたまま立ち往生した。このほか、上下線の4本が運休、8本が遅れ約1500人に影響が出た。
 この事故でトラックに同乗の田中さんの長男康弘ちゃん(5つ)が顔に軽傷。田中さんにけがはなかった。亀岡署で原因を調べている。(京都新聞)
■中小私鉄・バス一部はストか 和歌山・有田鉄道など
 春闘で大手私鉄並みの賃上げを求め、30日始発から第2波の24時間ストライキを構えている私鉄労組関西地連加盟の中小私鉄とバスの組合のうち、29日夜までに妥結しなかった一部の組合が時間切れでストに突入する可能性がある。
 ストを予定しているのは次の各社の組合(観光バス専業を除く、カッコ内は本社所在地)。
 【鉄道・バス兼業】有田鉄道(和歌山県吉備町)
 【バス】京阪宇治交通(大阪府枚方市)、淡路交通(兵庫県洲本市)(朝日新聞)
■京阪宇治交通ストを中止
 30日早朝から第2波のストを設定していた京阪宇治交通の春闘労使交渉は、同日午前2時半に妥結、ストを中止した。(京都新聞 夕刊)
■島根のJR山陰線 遮断機下りず 特急が緊急停止 特急が緊急停止 運輸指令がミス
 JR山陰線の島根県・来待−宍道間の単線の踏切で28日、運輸指令などが感知システムの仕組みを知らなかったため、特急が通過する際に遮断機が下りない状態が発生していたことが、30日分かった。特急の運転士が踏切手前で気付き、緊急停止したという。
 JR米子支社によると、この遮断機は、列車が踏切に近づくと(A地点)自動的に下り、踏切付近(B地点)通過後数秒で上がり、その先方(C地点)で列車の通過を最終確認する。この3段階の感知システムは、上下いずれか先にA地点に達した列車が優先されるという。
 ところが、28日午前9時半すぎ、下り列車がA地点の来待駅に着き遮断機が降下した後に故障したため、上り列車を先に踏切を通した。このため上りの普通列車が踏切(B地点)を通過した際、下り列車が通過したと「誤認」して遮断機が上がり、後続の上り特急がC地点を通った時も、下り列車が通過したものとして、遮断機は上がったままだったという。
 JR米子支社は「一般の踏切と違って上りと下りを切り替えた際、次の列車に遮断機が対応できないことを、指令本部は全く知らなかった。踏切ごとの仕組みを徹底するとともに、改修した」としている。(京都新聞 夕刊)
■普通電車故障し 福知山線乱れる
 30日午前9時55分ごろ、JR福知山線新三田−道場間の上り線の架線が停電しているのに、JR西日本の新大阪総合指令室の指令員が気付いた。
 調べたところ、新三田発大阪行き普通電車が三田−道場間を走行中に故障、道場駅に到着後走行できなくなっていた。
 間もなく通電、乗客は後続の電車に乗り換えたが、上下7本が運休、3本が最高30分遅れ、約3000人に影響が出た。
 同社で故障原因を調べている。(京都新聞 夕刊)
■3私鉄・バスストを回避 近畿
 春闘で賃上げを求めている中小私鉄とバスの組合のうち、30日始発から第2波の24時間ストライキを構えていた私鉄労組関西地連加盟の京阪宇治交通(大阪府枚方市)と有田鉄道(和歌山県吉備町)など3組合は、同日早朝までに経営側と妥結し、ストを回避した。(朝日新聞 夕刊)
■女性が列車にはねられ即死 奈良・王寺
 30日午前6時40分ごろ、奈良県北葛城郡王寺町本町二丁目、JR和歌山線の門前踏切(警報機、遮断機あり)で、同郡上牧町の女性(25)が、王寺発奈良行きの普通列車(4両編成)にはねられ、即死した。
 この事故で、普通列車が現場に38分間停車したほか、王寺−難波間で上下線各1本が運休し、8本が遅れた。
 奈良県警西和署の調べでは、女性は踏切内で横たわっていて、運転士が急ブレーキをかけたが、間に合わなかったらしい。(朝日新聞 夕刊)
31日■JR、南海 関西空港線 強風で混乱
 関西空港線は30日午後、25b以上の強風に見舞われ、JR西日本と南海電鉄が延べ5時間にわたって運転を見合せた。
 両鉄道は乗客をバスで代替輸送したが、あわせて約2万3000人が影響を受けた。
 運転がストップしたのは午後1時55分から同4時7分までと、同4時45分から同7時35分までの2回。
 JR西日本によると、京都午後1時16分発の「はるか31号」など特急、快速など上下計46本が運転を休止し、約8000人がバスに乗り換えた。南海電鉄は特急「ラピート」など上下20本が難波−関空間で運休したのをはじめ、空港線は上下計59本がストップ、約1万4900人が影響を受けた。(京都新聞)