1995(平成7)年 6月


1日■ラッシュ混雑緩和へ「座席なし車両」導入 阪急、12日から(京都)
  ■17日から新駅舎使用 京阪宇治駅 駅前広場も近く整備(京都)
  ■阪急岡本−御影きょう運転再開 神戸高速三宮−花隈も(京都)
  ■元警部補を起訴 新幹線車内で窃盗(京都)
  ■阪急岡本−御影間が開通  神戸高速三宮−花隈も(京都)
  ■ラッシュ時 座席を収納 客、立場なし? 阪急電鉄(朝日)
  ■阪急の岡本−御影間、きょう開通(朝日)
  ■京阪宇治駅 移転工事終わり17日から新駅に(朝日)
  ■サリンまく方法考えよ 故村井氏 地下鉄事件前に指示 林容疑者供述 嫌ならやめいいい 麻原容疑者「マントラ唱えろ」(京都)
  ■男性はねられ即死 右京・JR山陰線(京都)
  ■カーナビならぬ 列車ナビを検討 JR貨物衛星使い位置検知 震災で20本”迷子”教訓(朝日)
2日■JR二条駅周辺整備 「3セク」を設立 京都市、松竹など出資(京都)
  ■地下鉄耐震対策が本格化 大阪市営など 老朽区間や駅を補強(朝日)
  ■JR二条駅南西に映像文化施設建設 企画運営会社発足(朝日)
  ■今治−大阪にバス(朝日)
3日■オウムの犯罪 解明の舞台法廷に(京都)
  ■私鉄値上げ 上げ幅圧縮で認める 物価安定政策会議 実施時期は慎重に(京都)
  ■神足駅に快速停車 朝夕のラッシュ時 JR、12日から改正(京都)
  ■私鉄運賃の値上げ 幅を圧縮し認める 物価安定全議が意見(朝日)
  ■六甲ケーブル7月に開通へ(朝日)
  ■強風で山陰線遅れる(京都)
4日■列島ライトアップ 夢へ前進 HSST新型リニア完成 早期実用化可能だが… 導入具体化は当分先 名古屋の三セク(京都)
  ■関空への交通 強風で乱れる(朝日)
5日■地下鉄サリン 麻原容疑者らあす起訴 東京地検 殺人罪は十数人(京都)
  ■輸送綱拡大へ 鉄道敷設合意 イスラエルとヨルダン(京都)
  ■サリン製造 麻原容疑者が指示 地下鉄事件の2日前 遠藤容疑者供述(朝日)
  ■殺人罪起訴は 教祖ら12人 地下鉄サリン事件(京都)
  ■大手私鉄 運賃値上げ 8月下旬に(朝日)
  ■サリンの袋 3b 至近距離で撮った 通勤の男性 使い切りカメラで(朝日)
6日■旧国鉄資産 2020fの売却了承 処分審 多彩な処分方導入(京都)
  ■高価値「JR京都駅西」建物提案方式で(京都)
  ■大阪−堺結ぶ旧京都市電ポントチョウ号 40年間おきばりやしたなぁー 新型導入でお別れ(京都)
  ■トラックが接触 レール15b湾曲 兵庫の山陰線、混乱(京都)
  ■地下鉄サリン 井上容疑者も関与供述 否認、麻原容疑者だけに(朝日)
  ■地下鉄サリン事件 オウム無差別テロの全容 教団あげて準備・実行 専門知識生かし分担(朝日)
  ■ドーム立つ旧国鉄用地売却へ 時価数千億円の大鉄局跡一等地(朝日)
  ■神戸高速の大開駅 床除き建て替えへ 駅全体の再開、来年3月(朝日)
  ■電車立ち往生 JR桜井線(朝日)
7日■地下鉄サリン法廷へ 麻原オウム教祖、殺人で起訴 実行の6人も 予備罪で9人、5人処分保留(京都)
  ■地下鉄サリン遺族「極刑望む」「判決見届けたい」医師関与に驚きも(京都)
  ■望見KANSAI 西梅田再開発 数年後にも斬新なビル(京都)
  ■麻原容疑者ら16人起訴 地下鉄サリン 殺人・殺人未遂罪など オウム、組織的犯行 東京地検「捜査かく乱目的」(朝日)
  ■オウム教 地下鉄サリンで起訴 次の焦点 仮谷さん事件 松本サリン・坂本弁護士失跡も「夏までには解決を」全疑惑解明なお遠く 捜査当局(朝日)
  ■「なぜ」ぬぐえぬ思い 地下鉄サリンの被害者たちに聞く(朝日)
  ■黙り込む出家信徒 地下鉄サリン起訴 尊師の潔白信じ… 教団、引き締め図る(朝日)
  ■地下鉄サリン事件 実行犯 11人の過去@ 丸ノ内線 中野坂上→霞ヶ関(朝日)
  ■犠牲者数を11人に修正 地下鉄事件(朝日)
  ■市バスとトラック衝突、乗客1人軽傷 右京の四条通(京都)
  ■女性ひかれ死亡 右京の山陰線踏切(京都新聞 夕刊)(京都)
  ■遠藤容疑者ら3人起訴へ 地下鉄サリン(京都)
8日■12日全面開通へ工事を完了 阪急神戸線(京都)
  ■新幹線 新大阪に第2指令室 JR東海とJR西日本 東京の「直下型」想定(朝日)
  ■地下鉄サリン 製造関与6人起訴(朝日)
  ■トラックが衝突し 市バス乗客がけが 四条通で信号待ち(朝日)
  ■鉄道橋を診断します 中国で三菱商事とJR総研 安全向上へ新事業(朝日)
  ■トンネル新工法はシールド 世界最大の掘進検使い 工期・費用を節約 大成建設(朝日)
  ■地下鉄サリン事件 実行犯 11人の過去A 丸ノ内線 池袋→霞ケ関 大企業内定けり出家 広瀬被告/ヨガに通い高校中退 北村容疑者(朝日)
  ■関西大手私鉄5社 運賃14.1%(平均)値上げ 9月1日に実施 運輸審答申 上げ幅圧縮(京都)
  ■関西私鉄5社14.1%値上げ 初乗り20−30円 運輸審答申 9月1日から(朝日)
  ■私鉄運賃アップ 再値上げも視野に? 阪急・阪神に被災”後遺症”(朝日)
9日■社説 私鉄値上げで言っておきたい(京都)
  ■JR西日本 定期券コピー許さん 不正防止に新種券 昨年度の不正乗車 7500万円返還請求(京都)
  ■2年半ぶりダイヤ改正 19日から京阪電鉄(京都)
  ■来春の開通めざし 電化工事急ピッチ 福知山−天橋立間(朝日)
  ■通勤、通学時間帯 12日から新快速停車 JR神足駅(朝日)
  ■地下鉄サリン事件 実行犯 11人の過去B 日比谷線 上野→×→霞ケ関 脱退3日再び教団へ 杉本被告/電車で本読み道場に 林容疑者(朝日)
  ■京阪がダイヤ改定(朝日)
  ■横浜駅の刺激臭事件 初の労災認定(朝日)
  ■JR東日本 STAR21 400`の壁ついに突破(京都)
  ■ニュートラムまたトラブル 送電故障、朝の足混乱(京都)
  ■のぞみが緊急停車 名古屋(京都)
  ■ラピート9月から1370円に 私鉄特急料金値上げ認可(朝日)
  ■環状線ダイヤ乱れ 2万5000人に影響 内回りで表示灯異常(朝日)
10日■音楽の”出前”します 関西吹連 60周年記念し駅コン きょう京都で第1回(朝日)
  ■地下鉄サリン事件被告 国選弁護人3人に 麻原被告、単独審理へ(朝日)
  ■飛び込み?若い男性 電車にはねられ即死 加古川のJR山陽線(朝日)
11日■阪急神戸線 あす全線開通 西宮北口−夙川間 震災から146日ぶり(京都)
  ■阪急神戸線、あす全通(朝日)
12日■西宮北口−夙川間復旧 阪急が全線開通 5ヵぶり 復興の力に(京都)
  ■生活のレール戻った 阪急全線開通 利用者喜び満面 商店、駅員ら「新たな出発です」(京都)
  ■阪急神戸線が全線開通 阪神は26日に(朝日)
  ■阪急全通「客足戻るか」不安も 商店主 人通り復活願う(朝日)
13日■「祇園祭」割引きっぷ JR西日本、発売へ(京都)
  ■地下鉄サリン 実行犯 11人の過去D 千代田線 北千住→霞ケ関 死の不可思議を追究 林被告(朝日)
  ■JR山陽線 ブルトレなど遅れる パンタ故障 乗客8万人に影響(京都)
  ■強風で関空線に乱れ(京都)
  ■通勤客ら8万人影響 JR山陽線 姫路−御着 貨物列車が故障 復旧まで7時間 上下45本運休(朝日)
  ■関空への交通 強風で乱れる(朝日)
14日■「777」の記念入場券 JR西日本が発売(京都)
  ■増える阪急の弱冷車 京都線、3両に(京都)
  ■早川容疑者を殺人予備で起訴 地下鉄サリン事件(京都)
  ■常磐線で異臭乗客ら病院へ(京都)
  ■声 理由分からぬ私鉄の値上げ 城陽市 斉藤 訓(団体職員 47歳)(朝日)
  ■声 混雑緩和図る具体策を示せ 座間市 和田 薫(自由業 23歳)(朝日)
  ■青鉛筆(朝日)
  ■「青春18きっぷ」発売 JRグループ(京都)
15日■地下鉄工事現場で出火 一時騒然(京都)
  ■夕刻の御池通黒煙もくもく 京都市地下鉄工事現場火災 30分後に鎮火 作業員1 人中毒(京都)
  ■電車待ちの間に買い物 ホームのコンビニ好調 売り上げ 大手店舗の2倍 阪急・十三駅(京都)
  ■JR天王寺駅前新ビル「天王寺ミオ」 9月14日開業(京都)
  ■99年横浜に本格リニア JR大船と遊園地結ぶ(京都)
  ■京に黒煙、一時騒然 地下鉄の工事現場(朝日)
  ■鎌倉−横浜で リニア導入へ ダイエー関連会社(朝日)
  ■東西線は鮮やかな朱色 車両のデザイン決まる 京都市地下鉄(京都)
  ■地下鉄火災教訓 安全対策を徹底 市交通局長(京都)
  ■大分の紛争でも救済命令 JR不採用で中労委(京都)
16日■グループ結集の軸に JR連合大会閉会(京都)
  ■地下鉄工事現場火災で 自主管理徹底求め緊急通達 京都市消防局(京都)
  ■山陰線などに特急定期券 JR西日本発売へ(京都)
  ■京の地下鉄は工費節約型(朝日)
  ■地下鉄工事緊急立ち入り調査 山科・火災事故で(京都)
  ■7月からJR西日本 特急用定期券を発売(朝日)
  ■地下鉄東西線 工事現場火災 「安全管理を徹底」市交通局長 市議会委で陳謝(朝日)
  ■京都市バスと衝突トラックの男性けが 岩倉操車場前(京都)
17日■声 家計の一大事 私鉄の値上げ 城陽市 趙 顕市(診療所職員 46歳)(朝日)
  ■山陽電鉄はあす全通(朝日)
  ■地下鉄事件で2容疑者逮捕 化学プラント建設関与(京都)
18日■京都市御池通地下駐車場工事 水2500d噴き出す くい打ちドリル 水道管破る(京都)
  ■参った! 今度は水浸し 御池通の水道管破損 事故続発、怒る市民 問われる市の管理体制(京都)
  ■日本ー遅い列車 運行がスタート 北海道(京都)
  ■2500d、京都水びたし 地下駐車場工事ミス 土のう500個で防御(朝日)
  ■噴き出す水に怒り 地下工事漏水事故 不安募らす住民(朝日)
19日■山陽電鉄が全線開通 5ヵ月ぶり(京都)
  ■ハンセン病の老歌人 あこがれのSLで旅 遺言がわりに歌集出版 高齢の機関車SLと呼びかへて力ふりしぼりレッツゴーゴー(朝日)
  ■山陽電鉄が全線で開通(朝日)
  ■駅員寝過ごし乗客乗り遅れ(京都)
  ■松崎委員長が会長に就任へ JR東労組(朝日)
  ■信号故障で ダイヤ乱れ JR山陰線(朝日)
20日■地下鉄工事火災駐車場工事漏水 「安全管理徹底せよ」 京都市自民市議団、市へ申し入れ助役、改めて交通局へ通達(朝日)
  ■解決を求めて国労など集会 JR不採用問題で26日(京都)
  ■地下鉄東西線山科工事現場 今度は労災事故 ブロック落下、1人重傷(京都)
  ■県課長補佐を痴漢容疑逮捕 JRの電車内(朝日)
21日■安全管理の徹底通達 地下鉄建設で京都市(京都)
  ■ポートライナー来月末に全線復旧(京都)
  ■コンクリート片2ヵ所に置く 城陽のJR奈良線(京都)
  ■2特急窓ガラス破損 JR湖西線新旭駅付近(京都)
  ■地下鉄工事 また事故 京都市 シンナーで中毒 作業員2人倒れる 国際会館駅工区(京都)
  ■市民「どうなってるの」 市側「業者の自覚しか…」(京都)
  ■線路にU字溝 列車緊急停車 JR奈良線で2度(朝日)
  ■走行中の「雷鳥」 窓ガラス割れる 2本で(朝日)
  ■人工島と対岸間 来月末には連結 新交通システム(朝日)
  ■京都の地下鉄また工事事故 3人、ンンナー中毒(朝日)
22日■京都市地下鉄工事 事故続発に市長陳謝 市の責任には言及せず(京都)
  ■時速400`の風発生 JR総研、米原に建設 国内最高の実験施設公開(京都)
  ■「市民に迷惑かけた業者に指導徹底を」地下鉄工事事故で市長(朝日)
  ■レール溶接8_開く 向日市のJR線(京都)
  ■神戸電鉄も全線開通(朝日)
23日■京都市に監督責任 地下鉄工事事故で 共産党京都市議団(京都)
  ■「はるか」草津まで 夏休み期間中 1日1往復延長運転(京都)
  ■神戸電鉄も全線開通 5ヵ月ぶり(京都)
  ■フィリピンの鉄道建設受注 三菱重と住商(京都)
  ■JR総研が実験用風洞(朝日)
24日■KTR 94年度決算 4億9000万円の赤字 過去最高 震災で乗客滅響く(京都)
  ■全面復旧へ急ピッチ 阪神本線(朝日)
  ■御池通の出水事故 実況見分、関係者から聴取 中立売署 機械の位置を再現 4棟浸水 過失浸害容疑の可能性も(朝日)
  ■5憶近い経常損失 北近畿タンゴ鉄道 昨年度決算(朝日)
  ■電車が正面衝突 乗客ら7人けが 千葉・銚子電鉄(京都)
  ■ポイント故障で遅れ JR東海道線(京都)
25日■阪神あす全線開通 160日ぶり、5本増便(京都)
  ■地下鉄ホームから転落 全盲男性はねられ死亡 大阪・天王寺駅(京都)
  ■始発と勘違い 赤信号を無視 銚子電鉄・正面衝突(京都)
  ■阪神本線もあす全通(朝日)
  ■動く鉄道模型親子で楽しむ 田辺高の研究部企画(朝日)
26日■倒木に衝突 快速車掌死亡 鹿児島、JR日豊線(京都)
  ■「ご苦労さま」阪神代替バス(朝日)
  ■論壇 在来新幹線網整備で増収図れ(朝日)
  ■話し合いを国労に要求 JR総連委員長(朝日)
  ■大阪−神戸 鉄道が完全復旧 阪神も全線開通 震災後160日ぶり(京都)
  ■復興 思い乗せ発車 阪神本線全線開通 自らの再出発重ね 乗客ら感慨深げ(京都)
  ■阪神も全線開通 160日ぶり(朝日)
  ■復旧3鉄道 試練乗せて JR・阪急・阪神 工事費ずしり 利用客は転出 減収…経営へのダメージ深刻(朝日)
  ■男性飛び込み即死 朝のJR三ノ宮駅(朝日)
27日■窓 地下鉄車両は安全性第一に 城陽市・斉藤 訓(団体職員・47)(京都)
  ■ホーム転落−電車−線路に伏せた! 20aのすき間 命を救った(京都)
  ■被爆電車で最後の集い 8月6日に広島で開く(朝日)
  ■地下鉄構内放送に「ソンシー」のテーマ 東京で電破ジャック(朝日)
  ■「株主」は1人 会社側は36人 JR西日本総会(朝日)
28日■「JR」「JT」「NTT」3共済厚生年金へ統合 年金制度一元化懇談会で−致(京都)
  ■JR西日本が株主総会開く(京都)
  ■望見KANSAI 鉄道大型風洞 騒音抑える実験施設(京都)
  ■安全管理徹底 市に申し入れ 地下鉄工事事故続発 市議会(朝日)
30日■窓 周遊券の旅関西では不便 橿原市・原田美樹(学生・21)(京都)
  ■金利低下で赤字減少 京福電鉄連絡決算(京都)
  ■神戸市バス4ルート 来月5日から正常に(朝日)
  ■押し花付き乗車券(京都)
  ■男に突かれ電車と接触 京阪京橋駅・男性重傷(京都)
  ■京阪電車へ客突き飛ばす 京橋駅、泥酔男逮捕(朝日)



1日■ラッシュ混雑緩和へ「座席なし車両」導入 阪急、12日から
 阪急電鉄は31日、神戸線が全線開通する6月12日のダイヤ改正に合わせ、ラッシュ時の混雑緩和策として新たに導入する「座席なし車両」(8200系)を公開した。「座席なし車両」は車内の全座席を折り畳んで収納することで、立っている乗客1人当たりの床面積を広げ、混雑感を解消するのが狙い。
 西日本の鉄道ではこれが初めて。
 同社では製造した4両を平日朝の上り「通勤急行」2本の先頭に西宮北口駅から2両ずつ増結。
 新型車両では「新聞が読める程度の」170−180%まで混雑を緩和できるという。(京都新聞)
■17日から新駅舎使用 京阪宇治駅 駅前広場も近く整備
 宇治橋の架け替えなどに伴い、移転工事が進められていた京阪宇治駅の新駅建設工事がほぼ完成した。近畿運輸局の検査を受け、6月17日の始発から使用を開始する。これにより、現在の駅舎は取り壊され、宇治市が進める同駅前の交通広場整備が本格化する。
 同駅の移転は平成3年12月から、京阪電鉄が府と同市の補助を受けて着手した。新駅は、現在の駅からJR奈良線をまたぐ北180bに新設。鉄筋コンクリート2階建て(一部3階)の駅舎と、両側に電車が停車できる島式のプラットホーム(長さ100b、平均幅約10b)を備えている。
 駅舎の1階は駅前に通じる連絡路で、車いすに対応できる11人乗りのエレベーターや、エスカレーター1基などがある。改札口と切符売り場となる2階には、現在の駅にはない自動改札機4台、車いすも使えるトイレ1ヵ所など。(京都新聞)
■阪急岡本−御影きょう運転再開 神戸高速三宮−花隈も
 阪神大震災で不通になっていた阪急神戸線岡本−御影間(神戸市、2.2`)と神戸高速鉄道三宮−花隈間(同、1.3`)は1日、震災後約4ヵ月半ぶりに復旧し、始発から阪急夙川−神戸高速新開地間で折り返し運転が再開する。これで阪急の不通区間は12日開通予定の西宮北口−夙川間を残すだけとなる。(京都新聞)
■元警部補を起訴 新幹線車内で窃盗
 京都地検は31日、岡山市奉還町二丁目、元岡山県警警部補岡崎勉容疑者(50)を窃盗罪で起訴した。
 起訴状によると岡崎被告は5月20日午後3時10分ごろ、岡山発東京行き新幹線車内で、乗客のポケットから現金12万5000円入りの財布を盗んだ、とされる。(京都新聞)
■阪急岡本−御影間が開通  神戸高速三宮−花隈も
 阪神大震災で一部区間が不通になっている阪急神戸線の岡本−御影間(2.2`)と神戸高速鉄道三宮花隈間(1.3`)が1日、震災後約4ヵ月半ぶりに復旧。始発から復旧区間を含む阪急夙川−神戸高速新開地間での折り返し運転を再開した。
 阪急は同区間では普通電車のみ運行。朝、夕のラッシュ時は8分間隔、閑散時は10分間隔で運転。
 これで阪急の不通区間は12日に開通予定の西宮北口−夙川間(2.7`)を残すだけとなった。(京都新聞 夕刊)
■ラッシュ時 座席を収納 客、立場なし? 阪急電鉄
 阪急電鉄は31日、6月12日から関西で初めて導入する座席のない車両を公開した。
 座席なし車両は、運転席のボタンを押すだけで座席が壁に収納される仕組み。
 阪急によると、従来の車両より体に感じる混雑率は約30%低くなるという。また、乗り過ぎを防ぐため、車両には体重計を設置し、混雑率が250%を超えると運転席に表示され、ホームで乗車を控えるようアナウンスすることにしている。
 阪急は、平日午前のラッシュ時に、西宮北口駅で梅田行きの通勤急行の先頭に2両を増結して走らせる。(朝日新聞)
■阪急の岡本−御影間、きょう開通
 阪神大震災で不通になっている阪急神戸線の岡本御影間(2.2`)が1日、運転を再開する。同時に神戸高速鉄道の阪急三宮−花隈間も開通し、夙川から新開地まで結ばれる。これにともない、西宮北口−御影間で運行している代替バスは西宮北口−夙川間に変更される。
 阪急神戸線の西宮北口−夙川間は12日に開通する予定。(朝日新聞)
■京阪宇治駅 移転工事終わり17日から新駅に
 平等院など宇治観光の玄関口、京阪宇治駅の移転工事が終わり、17日から新駅の利用が始まる。新駅は、宇治橋の北側のたもとにある現在の駅から約180b西側に移り、営業距離が変わるため、区間によっては運賃が安くなる。駅の跡地は、府道の拡幅や路線バスが発着する駅前広場に利用されるほか、駅ビルなどの建設も予定されている。
 新駅は、長さ約100bのホームの両側が、乗降場所になる。移転作業は、16日深夜から始まり、17日の始発から新駅の利用が始まる。
 ホームの東側に接して建設中の駅舎は2階建て計約1340平方b。1階は、コインロッカーや公衆電話などを置き、2階が改札口になる。外観は、平等院鳳凰堂を模した現在の駅舎にならい、瓦(かわら)屋根をかたどるなどした和風様式で、来春に完成する。
 同駅の移転は、宇治橋の架け替えに伴う周辺整備のひとつ。現在の駅の跡地約2900平方bは、新宇治橋につながる府道京都宇治線の拡幅用地に利用されるほか、駅前広場や駅ビルの建設が予定されている。
 駅舎の移転に伴い、京阪電鉄宇治線(宇治−中書島間7.8`)の営業距離が約200b短くなるため、区間によって運賃が10−60円値下げになる。安くなる主な区間は、観月橋駅までが170円(現行230円)▽天神橋駅までが350円(同360円)▽深草駅までが230円(同260円)=いずれも宇治駅から。(朝日新聞)
■サリンまく方法考えよ 故村井氏 地下鉄事件前に指示 林容疑者供述 嫌ならやめいいい 麻原容疑者「マントラ唱えろ」
 「サリンを地下鉄にまく。いい方法がないか、各自考えてくれ」−。刺殺されたオウム真理教「科学技術省」トップの故村井秀夫氏=当時(36)=から地下鉄サリン事件の実行を指示されてから、事件当日までの3日間の実行グループの動きを、「治療省」大臣で教団付属医院医局長林郁夫容疑者(48)が克明に供述した内容が1日、明らかになった。供述によると−。
 【指示】故村井氏は教団に対する強制捜査が追っていた3月18日ごろ、林郁夫容疑者のほか、「科学技術省」幹部の林泰男(37)、豊田亨(27)、広頼健一(30)、横山真人(31)の4容疑者の計5人に対し、個別に計画を打ち明けた。同日深夜になって山梨県上九一色村の施設に5人を集め、ばらまき役を依頼、「嫌ならやめてもいいぞ」と言ったが、だれも断らなかった。
 19日夜、実行犯5人は東京都渋谷区宇田川町のアジトで「諜報(ちょうほう)省」トップの井上嘉浩容疑者(25)や、「自治大臣」の新実智光容疑者(31)らと合流。井上容疑者は「霞ヶ関駅に着く5分か10分前にサリンをまけ。決行は午前8時だ」と指示し、だれがどの線に乗るか役割分担した。5人は午後10時すぎに地下鉄に乗って下見をした。
 【出撃】いったん上九一色村に戻った実行犯5人は20日午前3時ごろ、故村井氏から「第7サティアン」内で、サリン入りのポリ袋とビニール傘を手渡された。故村井氏は傘の先で袋を破り、サリンを発生させる方法を初めて説明し、5人に練習させた。「厚生大臣」の遠藤誠一容疑者(34)がサリンの解毒剤を渡し、5人は再び宇田川町のアジトに戻った。
 20日午前5時ごろから、5人は見張り・運搬役と2人1組になって順次出撃。林郁夫容疑者は新実容疑者と組み、途中、ポリ袋をくるむ新聞を買ったほか、コンビニエンスストアのような所で軍手やカッターナイフなどを買った。千代田線北千住駅で決行時刻に間に合うよう時間調整をしてから電車に乗り込み、新御茶ノ水駅に到着する直前、傘で袋を破り逃走した。
 【後悔】実行グループは午前9時ごろまでに全員が宇田川町アジトに戻った。サリン中毒の症状が心配なメンバーには、林郁夫容疑者が解毒剤を注射した。同容疑者はその後、自分で車を運転して中野区の教団付属医院へと向かったが、途中で目まいがしたため、同医院看護婦の村上栄子容疑者(30)に自分用の解毒剤を持ってこさせた。
 林容疑者は同日夜、上九一色村施設で教団代表の麻原彰晃容疑者(40)に事件を報告、良心のかしゃくにさいなまれている心境も告白した。しかし麻原容疑者は「世間ではオウムがサリンをまいたと言っているようだが…」と他人事のように話し、「マントラ(経典)を唱えなさい」などと述べた。
・「車内で中毒 傘を捨てた」 オウム幹部ら供述
 地下鉄サリン事件の実行犯として殺人容疑などで逮捕されたオウム真理教の複数の幹部が、警視庁合同捜査本部の調べに対し「犯行後、山梨県上九一色村の教団施設に車で戻る途中、メンバーの数人が中毒症状を起こしたため、サリン入りの袋を破るのに使った傘を多摩川の河川敷に捨てた」と供述していることが1日までに分かった。
 実行犯の1人として逮捕された教団「治療省大臣」林郁夫容疑者(48)とともに現場に行ったとされる「自治省大臣」新実習光容疑者(31)=殺人容疑などで逮捕=も、この事実を認めているという。
・サリン量産特別班 複数幹部供述 設計や建設分担
 山梨県上九一色村にあるオウム真理教施設「第7サティアン」でのサリン量産計画は、教団代表の教祖麻原彰晃容疑者(40)=殺人容疑などで逮捕=の指示で「サティアン建設」「化学プラント設計」「プラント建設」の3班で進められていたことが、地下鉄サリン事件で警視庁に逮捕された複数の幹部の供述で1日までに分かった。
 供述によると、各班の責任者には教団の古参幹部が就任。設計ミスが相次いだため昨年春に理工系出身者を集めて特別プロジェクトチームを編成、夏までにプラントを完成させたという。
 警視庁は、教団が極秘で進めていたサリン量産計画の全容がほぼ解明できたとして、黙秘を続けている麻原容疑者を追及している。
 調べによると、サリン量産計画は、麻原容疑者の指示で、刺殺された「科技省大臣」村井秀夫氏が計画の総責任者を務めた。「科技省」幹部の渡部和実容疑者(36)=同=が村井氏を補佐。
 「サティアン建設」班の責任者は「建設省大臣」早川紀代秀容疑者(45)=同で、建物の建築手続きを担当した。
 「化学プラント設計」班の責任者は「科技省」所属の、名古屋市の専門学校で電子制御システムを学んだ滝沢和義容疑者(26)=同=で、設計図作成を担当。「プラント建設」班の責任者は元プロボクサーで「科技省」所属の藤永幸三容疑者(34)=同=で、現場作業を監督していたという。
 各班の主要なメンバー以外にはサリン製造の目的は知らされず、作業はいずれも「極秘のワーク」と呼ばれていた。プラントの完成に貢献したとされる信者数人に昨年夏、麻原容疑者から宗教名が与えられたという。
 警視庁は、教団内での地位の昇進などを条件に信者にプラント設計や建設を急がせたとみて調べている。
 「第7」は昨年7月、本格稼働開始直後にトラブルが相次ぎ同12月プラントを閉鎖、サリン量産は失敗に終わり、地下鉄事件で使われたサリンは教団厚生省の「研究棟」でつくられた。(京都新聞 夕刊)
■男性はねられ即死 右京・JR山陰線
 1日午前8時10分ごろ、京都市右京区嵯峨野々宮町のJR山陰本線上り線で、園部発京都行き普通電車が線路上に横たわっていた男性をはね、男性は即死した。
 この事故で電車は現場に約15分停車したほか後続の上り電車3本も15−4分遅れ、通勤、通学の乗客ら約3000人に影響が出た。
 太秦署によると、男性は30−60歳ぐらいで、灰色のズボン、白色シャツ姿で、銀ぶちメガネ。(京都新聞 夕刊)
■カーナビならぬ 列車ナビを検討 JR貨物衛星使い位置検知 震災で20本”迷子”教訓
 人工衛星を使って、自分が運転している車の位置を車内のモニターで見ることができるカーナビゲーションシステムを貨物列車に応用した「列車位置検知システム」の導入をJR貨物(本社・東京)が検討し始めた。阪神大震災の際、携帯電話が使えなくなったため、輸送指令に列車の位置を伝えることが不可能になり、被災地で列車が”迷子”になった。このため、災害時でも位置を見失わないようにと構想された。導入されれば、日本で初めて人工衛星を利用した列車検知システムの登場となる。
 位置検知システムは、人工衛星が列車の位置を確認して地上のネットワークセンターに通信し、地上回線を使って輸送指令などにあるモニターの地図上に走行位置を表示する仕組み。人工衛星を使って列車の運行情報なども伝達できるため、地震などで無線施設が故障しても情報が遮断されないメリットがある。
 貨物列車は走行距離が長いことや、駅の数が少ないことなどから、旅客に比べて列車の位置をつかみにくい。このためJR貨物は、携帯電話を利用した「列車抑止情報表示システム」を去年9月、東海道、山陽両線の列車に導入した。
 阪神大震災で、同社の列車は約20本が現場に止まったままになった。ところが、発生直後、電話回線のパンクや故障で携帯電話もつながらず、位置を伝えることが全くできなかった。
 同社は7月末までに@地上回線が大規模地震などで破壊される危険はないのかA列車が長いトンネルに入ったとき、衛星が見失わないかBシステム自体の価格がどれくらいなのか−といった課題を解決し、具体案をまとめる考えだ。(朝日新聞 夕刊)
2日■JR二条駅周辺整備 「3セク」を設立 京都市、松竹など出資
 京都市が進めるJR二条駅周辺整備事業で、中核となる文化施設を企画する第三セクター会社「京都二条開発」の設立総会が1日、行われた。社長には前下京区長の伊吹邦彦氏を取締役会で選んだ。
 新会社は、資本金2億円で、本社は中京区西ノ京小堀町。出資比率は、京都市45%、松竹25%、三井物産15%、松竹京都映画と三和銀行、京都銀行が各5%。
 副社長には佐原信一松竹京都映画社長、取締役には奥山融松竹社長、北里敏明市助役らが決まった。
 文化施設は「情報による文化の継承と創出」を基本テーマに掲げ、マルチメディアや映像技術を駆使した劇場や未来体感空間、映像トリックワールドなどを計画している。
 記者会見で伊吹社長は「21世紀へバトンをつなぐ拠点づくりを目指したい」と抱負を述べた。奥山氏は「京都の映像文化の起爆剤になるよう、既存の撮影所とも連携した施設にしたい」と話した。
 新会社は、本年度中に全体の事業計画をまとめ、来年度に増資、事業会社に移行する予定。(京都新聞)
■地下鉄耐震対策が本格化 大阪市営など 老朽区間や駅を補強
 阪神大震災を教訓に、被災地以外の地下鉄の耐震対策がようやく本格化してきた。運輸省は5月の補正予算で107億円の補助費を計上して、営団地下鉄と東京都、大阪市、名古屋市の各公営地下鉄について、老朽化した区間や駅の補強に乗り出した。ただ、これまで地下鉄は地震には強いとされてきただけに、耐震対策は初めて手がけるところがほとんど。どこから補強に取りかかるか、狭いトンネルの中でどうやって早く工事を進めるかなど、課題は多い。
 これまで地下鉄のトンネルは、周囲の地盤と一体となって動くため、地震に強いとされてきた。しかし、阪神大震災で被害を受けた地下駅を運輸省が調査したところ、トンネル上部が下部より横に約4a大きく揺すられ、地盤の動きにトンネルがついていけずに破壊されたことが分かった。
 そこで運輸省は、まず大都市圏の地下鉄で老朽化した区間や駅を選び出し、その中から補強個所を抽出することにした。
 営団地下鉄では39の駅を選び出し、阪神大震災と同程度の地震に耐えられるかシミュレーションを始めた。ただ、シミュレーションには数ヵ月の時間と約5000万円の費用がかかる。営団より取り組みが遅れている大阪市や名古屋市では、まだ老朽化した区間の特定を進めている段階という。
 さらに、補強工事は営業が終わった深夜から早朝までに、狭いトンネルの中だけで進めなくてはならない。営団銀座線の場合、トンネル中央の中柱の間に、高さ約3b、重さ約3dのコンクリート製補強材を埋め込む補強も進めているが、大型工作機が入らないため、作業が終わるにはあと3年はかかるという。
 運輸省では夏までに、補強区間の選び方と補強工法について指針をまとめる方針だ。(朝日新聞)
■JR二条駅南西に映像文化施設建設 企画運営会社発足
 京都市が映画会社「松竹」などと共同ですすめる第三セクターの企画運営会社「京都二条開発」が1日、発足した。JR二条駅(中京区)南西の市有地に映像文化施設などをつくるためで、資本金は8億円。市が45%にあたる9000万円を出資し、2000年の完成を目指す。
 同社は京都市、松竹のほか三井物産など計6者が出資。社長には前下京区長の伊吹邦彦氏が就任した。
 今後、施設の設計など具体的なプランづくりを進め、1997年度から建設工事に取りかかるという。
 予定地は中京区西ノ京栂尾町、JR二条駅南西の貨物ヤード跡地7200平方b。
 同施設は、市が建設する「高度情報センタービル」内に設置する。最新の映像技術やマルチメディアを応用し、未来の都市体験ができる「未来体感空間」、「映像トリックワールド」などの映像体験ゾーンや劇場といった娯楽施設づくりを目指す。(朝日新聞)
■今治−大阪にバス
 阪神電鉄と瀬戸内運輸は夏休みの帰省客に利用してもらおうと大阪・梅田と愛媛県今治市を結ぶ高速バスを走らせることを決め、1日、近畿運輸局に認可申請した。認可されれば7月21日から8月31日の間、1日2往復で運行する。所要時間は5時間50分で料金は片道5000円。(朝日新聞)
3日■オウムの犯罪 解明の舞台法廷に
・地下鉄サリン 無差別大量殺人事件 41人の役割特定 麻原教祖ら起訴へ
 地下鉄サリン事件で逮捕されたオウム真理教代表の教祖、麻原彰晃容疑者(40)の刑事処分が6日決まる。捜査当局の調べに対する教団幹部らの供述や、70日以上に及ぶ教団施設の捜索で押収された物証などから起訴は確実。前代未聞の宗教団体による大量無差別殺人事件は、教祖の明確な犯行指示や事前の謀議の立証など、全容解明の舞台は法廷に移る。捜査当局は、教団の組織的関与が判明した松本サリン事件で麻原容疑者らを再逮捕する方針だが、失跡した坂本堤弁護士一家や拉致(らち)された仮谷清志さんの安否確認などと併せ「オウム捜査」の長期化は必至。再建を図る教団の動きが進む一方、一般信者の動向も注目され、波紋はなお広がりそうだ。
 地下鉄サリン事件で警視庁合同捜査本部は2日までに、殺人、同未遂容疑で逮捕したオウム真理教幹部ら34人の取り調べなどから、事件に関与したとされる教祖の麻原彰晃容疑者(40)ら計41人の役割分担を特定、犯罪史上例のない無差別大量役人事件の構図がほぼ明らかになった。麻原容疑者らの起訴は動かないとみられ、捜査当局は来週に予定される刑事処分に向け詰めの捜査を急ぐ。
 昨年6月に長野県松本市で死者7人を出したサリン事件も教団の組織的犯行と判明。捜査当局は、サリンの製造計画から松本、地下鉄事件を一連の犯罪としてとらえ、地下鉄事件の処分後、松本事件の殺人容疑で麻原容疑者らを再逮捕する方針。捜査の焦点は松本事件に移り、サリン事件全体の早期解決を目指す。
 捜査当局は5月16日、麻原容疑者をはじめ19人を逮捕、同17日には「化学班責任者」土谷正実(30)、「厚生省大臣」遠藤誠一(34)両容疑者を再逮捕するなどこれまでに34人を逮捕し、7人を特別手配した。
 サリン製造は土谷、遠藤両容疑者と「科学技術省次官」渡部和実容疑者(36)が中心になり、山梨県上九一色村の教団施設「第7サティアン」と両容疑者のそれぞれの研究棟で行ったことが分かった。
 地下鉄事件の実行行為は事実上の「諜報省大臣」井上嘉浩容疑者(25)が現場指揮し「治療省大臣」林郁夫容疑者(48)ら5人がサリンを仕掛け「自治省大臣」新実智光容疑者(31)ら5人が運搬、見張りをしていた実態が明らかになった。
 松本事件では遠藤容疑者ら5、6人が実行グループとして浮上。捜査当局は地下鉄事件の処分が出た後、実行犯の特定や詳しい犯行状況の捜査を本格化させる。
 また捜査着手のきっかけとなった目黒公証役場事務長仮谷清志さん(68)拉致(らち)事件でも、逮捕監禁容疑で逮捕した容疑者を追及、サリン事件の捜査と並行して仮谷さんの所在確認に全力を挙げる。
 関係者の証言から教団の犯行とされる横浜市の坂本弁護士一家失跡事件など残る重要事件についても、捜査態勢が整い次第、本格着手し、教団の非合法活動の全容に迫る。
・裁判の長期化必死 弁護士もしり込み
 オウム真理教をめぐる公判は、地下鉄サリン事件だけでなく、ほかの多くの事件も絡み合い、かつてないほど複雑な裁判になりそうだ。大きな社会不安を招いた事件だけに弁護を引き受ける弁護士は少なく、中心人物とされる麻原彰晃容疑者(40)の弁護人すら決まらない異例の事態。長期化も必至で「無罪主張が続けば、一審判決まで10年かかるのでは…」との声も出ている。
 一連のオウム教事件で、東京地裁は比較的法定刑の軽い罪に問われた被告のうち13人の審理を先に進める方針を固め、7月中旬にも初公判を開きたいとしている。しかし地下鉄サリン事件では、麻原容疑者らが松本サリン事件などにも関与していることは確実とみられるため、捜査との兼ね合いから初公判は「秋でも難しいのでは」(弁護士会幹部)との見方が強い。
 地下鉄サリン事件の容疑者41人(うち7人特別手配中)は、謀議・計画、薬品の調達、サリン製造、ばらまき実行などその役割が異なる。
 地裁は6日以降に起訴される被告をこうした面からグループ分けするが、罪を認めるかどうかなど争い方が違ってくれば審理の途中で公判の分離、併合が繰り返される。
 一方、公判に不可欠な弁護人の選任も難航している。東京の3つの弁護士会では当番弁護士を派遣。しかし地下鉄事件を含む一連の事件で5月末までに派遣した68人のうち裁判を担当することが決まったのは18人にとどまっている。
 人権団体などが弁護士を募る運動を繰り広げているものの「自分の安全や取材攻勢に遭ってほかの仕事ができなくなることが心配」「教団と弁護方針が合わないのでは」など多くの弁護士がしりごみしているのが現状だ。
 ロス疑惑の三浦和義被告の弁護をしたことがあり、今回は元ダンサー鹿島とも子被告(44)の弁護人を務める五十嵐二葉弁護士は「捜査段階で警察情報に基づく大量報道がなされ、多くの人が『あいつは悪いヤツだ』と思い込んでいる場合、裁判官も『無罪にしては世間が許さない』と考えがちだ。裁判官はクロという心証で公判に臨まないでほしい」と話している。
・サリンは”粗悪品”か 手作り装置で試行錯誤?
 地下鉄サリン事件に続いて、松本サリン事件もオウム真理教の組織的犯行であることが捜査当局の調べで分かったが、2つの事件で使われた2つのサリンを比べると、製法に”進化”が見られる半面”荒っぽさ”も残されていたことが、残留物などからうかがえる。
 教団によるサリン製造の実質的責任者とされ地下鉄事件の殺人容疑などで逮捕された「化学班」責任者の土谷正実容疑者(30)は、警視庁合同捜査本部の調べに「平成5年11月に初めてサリンを合成し、計5回作った」と供述。山梨県上九一色村の土谷容疑者の研究棟などでサリンが作られた疑いが濃い。
 また、三塩化リンからサリンに至る生成の最終過程で、ロシアの文献をベースにした「研究室レベルでは考えつかない工業的アイデア」(専門家の話)が利用されたことが分かっている。
 一方、最近、同教団が5年秋に購入したコンピューター制御の自動反応装置がサリン製造に使用された可能性が注目された。しかし、装置自体が未発見で、専門家からは「手作りのサリン合成装置を使って試行錯誤を繰り返したのでは」という見方も出ている。
 地下鉄サリン事件の現場からは、ジエチルアニリンというサリン合成の反応を促進する特殊な化学物質が検出され、精製手法が「松本サリン」より進化したとして軍事関係者らに衝撃を与えた。昭和大薬学部の黒岩幸雄教授(毒性学)は「松本事件の後、新たな反応促進剤や蒸留プロセスを加えたのだろう」と推測する。
 しかし、地下鉄サリン事件で1400人以上の患者を治療した聖路加国際病院(東京都中央区)の医師は「サリンは殺傷能力が低い”粗悪品”の域を出ないのでは」と指摘する。同医師は「純粋なサリンは体内酵素コリンエステラーゼを完全に破壊するが、地下鉄事件の患者は約5時間でコリンエステラーゼの活性が回復した。精製度の高いサリンなら被害はもっと大きいはず」と首をひねる。
 結果から見ると、同教団のサリン製造能力は段階を踏んで進化したものの、最後まで試行錯誤の連続で”荒っぽい手法”を残していた可能性が強い。(京都新聞)
■私鉄値上げ 上げ幅圧縮で認める 物価安定政策会議 実施時期は慎重に
 物価安定政策会議(首相の諮問機関)は2日の特別部会(小島英敏部会長)で、関東、中部、関西の大手私鉄14社の運賃値上げ申請について「大幅な改定は避けるべきで、改定が必要と認められる場合でも改定率を極力圧縮し、実施時期も慎重に対処するべきだ」との意見をとりまとめ、上げ幅を圧縮する形での値上げを認めた。
 私鉄運賃の改定は通常、物価安定政策会議で認められた後、1週間以内に運輸審議会の答申を得て物価問題関係閣僚会議で決まる。だが今回は、7月に参院選を控えていることなどから、与党内では「実施時期を遅らせるべきだ」との意見が出ており、実際の改定時期がいつになるかは徹妙な情勢だ。
 大手14社は1月19日、混雑緩和を図る設備投資が経営を圧迫していることなどを理由とし、普通、定期平均値上げ率で19.7%の大幅改定を申請。しかし、物価が安定している中での値上げになることから、消費者などからも反対する声が強く、値上げ申請の審議が異例の形で引き延ばされてきた。(京都新聞)
■神足駅に快速停車 朝夕のラッシュ時 JR、12日から改正
 JR西日本は、東海道線の神足駅で12日から、朝夕のラッシュ時に、快速電車計24本を停車させる。かねてからの地元要望にこたえた。これにより同駅から大阪や、京都・堅田方面への所要時間が4−7分短縮される。
 停車する快速電車は、午前中(7時20分−8時20分)が、下り(大阪方面行き)の9本。午後(6時−9時)は、上りの15本。
 神足駅は、1日の乗降客が約2万8000人あるが、これまで快速電車の停車は昼間時間帯に限られていた。JR西日本では、地元からの7年越しの要望を受け、「乗り換え駅となる高槻駅の混雑解消にも役立つ」と、快速電車停車を決めた。(京都新聞)
■私鉄運賃の値上げ 幅を圧縮し認める 物価安定全議が意見
 物価安定政策会議(首相の諮問機関、議長・館龍一郎東大名誉教授)の特別部会は2日、関東、中部、関西の大手私鉄14社の運賃値上げについて、「改定率を極力圧縮し、実施時期についても慎重に対処すべきだ」との条件をつけて値上げを認める意見をまとめ、政府に提出した。
 実施時期、値上げ幅については今後、運輸審議会の答申を受けて政府が決める。平均19.7%の値上げ率は、前回の申請時より大きい。物価も安定している時期だけに、特別部会でも「大幅な運賃改定は避けるべきだ」との意見が強く、値上げ幅は圧縮されると見られる。(朝日新聞)
■六甲ケーブル7月に開通へ
 六甲山上駅と六甲ケーブル下駅を結ぶ全長1.7`の六甲ケーブルは、震災で大きな岩石が落ち、軌道をふさいだり、線路が曲がったりして不通のまま。落石の危険がある六甲ケーブル下駅から約50b区間を頑丈なトンネル構造にして、7月20日再開をメドに急ピッチで復旧工事が進んでいる。(朝日新聞)
■強風で山陰線遅れる
 3日午前8時40分ごろ、兵庫県城崎郡香住町のJR山陰線余部鉄橋付近で風速20bを記録、その後も断続的に強い風が吹いたため、列車の運行を一時見合わせた。このため京都行き特急「あさしお4号」が1時間遅れるなどダイヤが乱れ、約200人が影響を受けた。(京都新聞 夕刊)
4日■列島ライトアップ 夢へ前進 HSST新型リニア完成 早期実用化可能だが… 導入具体化は当分先 名古屋の三セク
 新世代交通システムである磁気浮上式リニアモーターカーの研究、開発を進める「中部エイチ・エス・エス・ティ開発」(本社名古屋市)でこのほど、新型車両HSST-100L型が完成した。同社がスタートしてから6年。夢のリニアモーターカー実用化に向けて大きく前進した。
 HSSTとはHigh Speed Surfae Transport(高速地表輸送機)の略。電磁石の吸引力を利用して浮上する。モノレールや新交通システムと同じ中規模都市交通を想定して、時速100`程度での走行実験が行われている。
 時速約300`も可能だが、同じリニアモーターカーでもJR東海などが開発を目指す、電磁石の反発力を利用するタイプとは技術が大きく違う。時速500`が目標のJR方式に比べ技術的なハードルははるかに低い。そのため早期の実用化が可能、というのがHSSTの特色の一つだ。
 HSST-100L型は1両の全長が14b、幅2.5b、高さは3.3b。従来の100型に比べ全長が5.5b伸び、幅は0.1b狭くなった。電磁石が組み込まれたエンジンに相当するモジュールを6個から10個に増やし、出力も増強。これまでの実験成果を織り込んで、実用に近づけた仕上げになっている。
 1991年から名古屋市南区の実験線(約1.5`)で100型を使った実験を開始。93年には、愛知県の委託で設立された実用化調査委員会(委員長・正田英介東大工学部教授)が100型は実用化に問題ないとの結論を出した。同委員会が設定した95の検査項目のうち92項目で5段階のA評価を得た。運輸省の調査・検討会でも同じ時期、「時速100`程度の走行では実用化に向け技術的に問題はない」とされた。
 現在、愛知の万博会場予定地、広島の新空港、神奈川の大船から遊園地へのアクセスなどにHSSTの導入が検討されている。特に愛知では、県が導入に前向きな姿勢を示している。2005年の万博会場に予定されている「あいち学術開発ゾーン」と名古屋市内を結ぶ東部丘陵線への導入を、鈴木礼治知事自ら「ぜひ実現させたい」と明言する。
 問題は、技術開発は最終段階に達しているが、導入が具体化されるのは当分先ということ。同社が実現に最も近いとみる3県でさえも、現在は将来の導入に向けて検討中という段階。同社の藤野政明技術部長は「1県で導入されれば、次々と決まると思うが」と早期の計画決定に期待を寄せている。(京都新聞)
■関空への交通 強風で乱れる
 JR西日本と南海電鉄は3日午後8時10分、風速が毎秒25bを超えたため、関西空港線のりんくうタウン駅と関西空港駅を結ぶ連絡橋の列車運転を見合わせた。また、関西空港と大阪、淡路、徳島を結ぶ高速船も、荒天のため夕方から計14便が欠航した。
 一方、札幌から大阪空港に向かっていた日本航空578便は周辺の天候悪化で大阪空港に下りられず、午後8時20分過ぎ、関西空港に着陸した。(朝日新聞)
5日■地下鉄サリン 麻原容疑者らあす起訴 東京地検 殺人罪は十数人
 地下鉄サリン事件で東京地検は5日、東京高検と最高検に捜査結果を順次報告し、殺人と殺人未遂の罪で、オウム真理教教祖、麻原彰晃容疑者(40)らを起訴することを決める。麻原容疑者の起訴は拘置期限の6日になる見通し。
 これまでの調べで、犯行を指示したとされる麻原容疑者をはじめ、サリンの製造、実行グループとみられる教団幹部らの容疑はすでに裏付けられたとしている。同事件で逮捕、送検された34人のうち、殺人と殺人未遂罪で起訴されるのは麻原容疑者のほか幹部ら十数人となりそうだ。
 サリンの原料調達や製造施設の建設などにかかわったとされる残りの容疑者については、殺人予備罪などでの処分を検討している。
 調べによると、麻原容疑者らは山梨県上九一色村の教団施設でサリンを製造し、3月20日午前8時ごろ、東京都内の地下鉄3路線5本の車両内にまいて、乗客、駅員ら12人を殺害し、約5500人を負傷させたとされる。
 逮捕された教団幹部らの供述によると、犯行計画は麻原容疑者の指示で、刺殺された教団「科学技術省大臣」の故村井秀夫氏=当時(36)=らが立案。「厚生省大臣」の遠藤誠一容疑者(35)、「化学班」責任者の土谷正実容疑者(30)ら数人がサリンを製造した。
 実行グループは指揮したとされる事実上の「諜報(ちょうほう)省大臣」の井上嘉浩容疑者(25)をはじめ「治療省大臣」の林郁夫容疑者(48)ら計11人で、うち8人が逮捕されている。
 サリンの原料を調達したとされる容疑者について、殺人予備罪などでの処分を検討しているのは、調達した原料が地下鉄でまかれたサリンの製造に使われたことの立証が難しいため。また、事件に使用されたサリンが遠藤容疑者の研究棟で製造されていたことが逮捕後の調べで判明した。(京都新聞)
■輸送綱拡大へ 鉄道敷設合意 イスラエルとヨルダン
 【エルサレム4日時事】イスラエルとヨルダンは4日までに、両国をつなぐ鉄道路線の敷設プロジェクト構想で基本合意した。内陸部と地中海、さらに紅海入り口のアカバ湾を結ぶことで、両国の物資輸送網を抜本的に拡充する。海外からの資金協力を仰いだ上、企業化調査に着手し、約10年後の開通を目指す。
 計画では、イスラエル北方の港町ハイファから東方のヨルダンの都市マフラクまでの約200`で路線を敷設。また、死海南側でも両国を20`の路線で結ぶとともに、南方のアカバ湾に向けた約140`の新線も設け、死海周辺での鉱物資源の新たな輸送・輸出経路とする。(京都新聞)
■サリン製造 麻原容疑者が指示 地下鉄事件の2日前 遠藤容疑者供述
 3月20日に起きた東京・地下鉄サリン事件で、オウム真理教「厚生省」トップの遠藤誠一容疑者(34)=殺人と殺人未遂容疑で逮捕=が4日までの警視庁築地・大崎署特捜本部の調べに対して、教団代表の麻原彰晃容疑者(40)=同=から、「事件の2日前に、サリンをつくれと指示された」と供述していたことが分かった。麻原容疑者が、事件について具体的な指示を出していたことを示す供述は初めてで、捜査当局は同容疑者の容疑を固めるうえで極めて重要とみて、遠藤容疑者をさらに追及している。
 供述によると、遠藤容疑者は事件2日前の3月18日、山梨県上九一色村の「第2上九・第6サティアン」で、麻原容疑者からサリンをつくるよう指示されたという。
 これまでの調べで事件に使われたサリンは、前日の19日に、山梨県上九一色村の「第6上九・第10サティアン」裏にある遠藤容疑者専用の実験棟で、同容疑者のほか「化学班」キャップの土谷正実容疑者(30)=同=と、「法皇内庁」トップの中川智正容疑者(32)=同=の計3人が製造したとされている。
 土谷容疑者らは、これまでの調べに対して、サリンの製造は認めたが、麻原容疑者については言及していなかった。
 土谷容疑者は、刺殺された教団「科学技術省」トップの村井秀夫氏から、事件前日の19日に「サリンを作ってくれ」と製造を指示されたことを供述している。
 教団「治療省」トップの林郁夫容疑者(48)=同=は地下鉄に乗り込み、サリンが入ったナイロンポリの袋を傘で刺して発散させたことを認めている。
 実行後に上九一色村の教団施設で麻原容疑者から、「世間ではオウムがサリンをまいたと言っているようだが、(教団の)シバ神にポア(魂を奪う意味)されてよかったね」と声をかけられたと供述している。
 また、林容疑者は教団の犯行の動機について、「教団への強制捜査が近くなっているので、目をそらす目的でやったと思う」と推測する供述もしていた。(朝日新聞)
■殺人罪起訴は 教祖ら12人 地下鉄サリン事件
 地下鉄サリン事件で東京地検は5日、殺人と殺人未遂容疑で逮捕、送検されたオウム真理教教祖麻原彰晃容疑者(40)ら34人について、麻原容疑者を含め、教団の事実上の「諜報(ちょうほう)省大臣」井上嘉浩容疑者(25)ら12人を殺人と殺人未遂の罪で、サリン製造にかかわった教団幹部ら14人を殺人予備の罪で、それぞれ起訴する方針を固めたもようだ。残る8人は処分保留となる見通し。
 東京地検は同日中に東京高検と最高検に捜査結果と処分方針を報告し、6日から13日にかけての各容疑者の拘置期限に順次起訴する。(京都新聞 夕刊)
■大手私鉄 運賃値上げ 8月下旬に
 運輸省は5日、9日にも今年1月に申請された私鉄大手14社と帝都高速度交通営団(営団地下鉄)の運賃値上げを認可、8月下旬をめどに実施する方針を明らかにした。大手私鉄は平均19.7%の値上げを申請しているが、5%前後圧縮し、15%前後の値上げ率になる見通しだ。今週開く運輸審議会の答申を受け、閣議の了解を得て、正式に決める。私鉄の運賃値上げはほぼ4年ぶり。
 阪神大震災で被害を受けた阪急電鉄、阪神電鉄は復旧まで運賃の値上げを見送ることにしていたが、6月中に完全復旧する予定で、結果的にはそろって値上げすることになった。(朝日新聞 夕刊)
■サリンの袋 3b 至近距離で撮った 通勤の男性 使い切りカメラで
 東京・地下鉄サリン事件が起きた3月20日朝、自動車関係の団体職員の男性(30)は通勤途中の霞ケ関駅で、電車内の床のサリン入り袋と広がった溶液を、約3bの至近距離からカメラに収めた。「夢中だったので危険を感じなかったが、思い返すだけでも怖い体験だった」
 男性は事件当日、午前7時に町田市の自宅を出て私鉄電車で、東京都港区の勤務先に向かった。乗り換えの地下鉄丸ノ内線赤坂見附駅から最後尾の車両に乗り込み、霞ケ関駅で降りたのが午前8時33、4分だった。
 日比谷線霞ケ関駅のホームに通じる階段を下りた。ホームで、駅職員数人が話している。年配の職員が「車内に薬品をまかれた。私も目が見えなくなってきた。危険なのでダイヤ回復の見込みは立たない」と、つらそうにいった。
 男性が「どの辺ですか」と聞くと、別の職員が「すぐ、そこですよ」と、先頭車両の後部を指した。
 車内の奥のドア近くの床に、折り畳まれた新聞紙の包みが見える。縦30a、横20a程度の大きさで、厚さは3、4aほどだった。破けた部分は確認できないが、新聞紙と周辺の床は、無色透明の液体で大きく長円状にぬれていた。「大きな事件になるかもしれない」。30bほど先の売店に走り、店頭にぶら下がった使い捨てカメラをつかみ取った。急いでつり銭を受け取り、走りながら、ビニール袋から取り出し、フィルムを巻き上げながら、フラッシュのチャージボタンを押す。
 先頭車両に戻ると、窓越しにシャッターを2回押した。液体は厚みがあって、粘り気があるように見える。石油ストーブの火を消した時のようなにおいがした。
 捜査員の姿などホームの様子も数枚撮った。この間、5分ほど。エスカレーターをかけ上がり、改札口を出た。
 タクシーで職場に着き、机のパソコンに向かうと画面が暗い。周囲も夕暮れ時のようにしか見えない。鼻水も止まらない。近くの病院に駆け込み、点滴や静脈注射の治療を受けた。
・12人、殺人で起訴へ
 東京・地下鉄サリン事件で東京地検は、逮捕された34人の容疑者のうち、6日に拘置期限の切れるオウム真理教代表の麻原彰晃容疑者(40)をはじめ12人を殺人、殺人未遂の罪で順次、東京地裁に起訴する方針を固めた模様だ。また、残る容疑者のうち14人については殺人予備罪を適用するとみられる。
・「尊師通達」3年で160件
 東京・地下鉄サリン事件で殺人などの容疑で逮捕されたオウム真理教代表の麻原彰晃容疑者(40)が、「尊師通達」という文書を連発して、信徒の生活をこまごまとした点まで管理していたことが5日、警視庁など捜査当局の調べで分かった。通達は、捜査当局が押収した1991年末から94年末にかけての3年間だけでも計約160件もあった。麻原容疑者は逮捕後、警視庁の調べに「多くの信徒が何をしているかは把握できない」などと供述していたが、捜査当局は、「通達」は同容疑者が信徒の生活を把握し、管理していたことを裏付ける資料とみて分析を進めている。
 通達には「尊師通達」「尊師特総通達」「尊師SPS通達」の3種類があり、ファクスなどで全国の教団施設に送られていた。
 「修行」の内容に関する指示のほか、教団が作製したビデオや本の販売の指示、昇格・降格人事、組織名の変更についての連絡、戒めや注意などがあった。麻原容疑者を指す「尊師」の名をつけた通達は、同容疑者の指示で出されていたとされる。
 人事に関する通達は、教団幹部の役職就任に関する連絡もあったが、大半は一般の信徒の処分と降格。それも「性欲の破戒を行ったため、信徒に格下げ」と、戒律で禁じている信徒間の恋愛を理由にした処分が大部分だった。また、1日2回以内に制限されている食事の回数や、信徒の修行態度を理由にした処分もあった。
 捜査当局は、麻原容疑者には一般の信徒の細かな戒律違反についても知らされ、自ら処分を決めていたことを裏付ける資料とみている。
 また、「(信徒が)高価な米を食べている…粗食をモットーとし、自己の向上を」などと信徒の食事の内容を注意する通達も出されていた。
 このほか、「(山梨県上九一色村の)村民へのあいさつの励行」を指示したり、「ビデオの販売は布施行とみなす」と、信徒に教団作製ビデオの売り込みを促したりもしていた。(朝日新聞 夕刊)
6日■旧国鉄資産 2020fの売却了承 処分審 多彩な処分方導入
 国鉄清算事業団の資産処分審議会(会長・亀井正夫住友電工相談役)は5日、東京の秋葉原駅貨物基地跡地(約3f)など8ヵ所の旧国鉄用地を「建物提案方式」で処分するなど計305件、約2020fの重要資産の売却を了承した。
 清算事業団はこれまで各年度の資産処分を4回程度に分けて審議会に諮ってきた。しかし、土地売却を1997年度までに終了するとした閣議決定の期限が迫ったことから、効率的に処分を進めるため、来年度以降の売却分も一括して諮問した。
 この日了承されたのは1件当たりの面積が1fを超すなどの重要資産。ただ東京・汐留の貨物基地跡地など大都市の超大型物件や土地利用計画が未定の土地計15件、220fを除外した。
 処分が了承された用地のうち大都市や県庁所在地などにあり、売却額が高額の土地16件、約49fについては、民間から用地利用計画を募集、公開入札する建物提案方式のほか、民間がマンションや戸建て住宅を分担する「民間住宅付共同分譲方式」「宅地分譲方式」など多様な処分方法を採用した。
 東京の渋谷駅貨物扱い所跡地(約1f)では商業ビルの建設を計画。秋田市の秋鉄グラウンド跡地(約2f)は40戸の住宅を民間が建設して分譲、群馬県の高崎操車場跡地(約2f)は50区画の宅地を分譲する。同事業団の計画では73件、約212fを公開競争入札にかける予定。(京都新聞)
■高価値「JR京都駅西」建物提案方式で
 5日開かれた国鉄清算事業団の資産処分審議会で、近畿支社管内では2府2県の計19ヵ所(総面積35.6f)の旧国鉄用地の処分が了承された。
 このうち、資産価値が高い「JR京都駅西」(京都市下京区、0.8f)や現在ゴルフ練習場などに貸し付けている「旧大阪鉄道管理局跡地」(大阪市北区、2f)など4ヵ所の商業地域については、民間業者から用地利用の建設計画を募集して公開入札する「建物提案方式」での処分が決まった。
 これで同支社管内で処分が決まっていない重要資産は「梅田駅北」(大阪市北区、20f)、「吹田信号揚」(同府吹田市、12.8f)など3ヵ所となる。
 今回、処分が了承された京滋のその他の物件は次の通り。
 舞鶴港駅(舞鶴市、1.2f)▽木津駅(京都府相楽郡木津町、1.1f)(京都新聞)
■大阪−堺結ぶ旧京都市電ポントチョウ号 40年間おきばりやしたなぁー 新型導入でお別れ
 「40年間ご苦労さま」−。京都市電引退後も阪堺電気軌道のチンチン電車として、大阪市と堺市の間を走り続けてきた愛称「ポントチョウ」の2両が廃車されることになり、鉄道ファンらの要望で5日夜、最後のお別れ走行会が開かれた。
 ポントチョウは昭和28年製。53年に同市電が廃止されたため、引き取られた。
 市電当時の姿を再現した緑と白のツートンカラーの車体に、木目が浮き出た窓枠と床など郷愁あふれるデザイン。市民や鉄道ファンの人気を集めていたが、新型車両導入に伴い、廃車が決まった。
 走行会は「なにわ・京の市電をしのぶ会」の代表、吉田修三さん(19)=大学生=が呼び掛けた。正面を「さようなら」のプレートで飾られ、午後6時45分、大阪府堺市の浜寺駅前を発車。同会のメンバーら20人を乗せて、大阪市の天王寺駅までの最後のお勤めを無事終えた。
 ”最終電車”に駆け付けた京都市出身で大阪市に住む江浪乕三(とらぞう)さん(93)は「子どものころ家の前を走っていた電車を思い出す。本当に懐かしい」と喜んでいた。(京都新聞)
■トラックが接触 レール15b湾曲 兵庫の山陰線、混乱
 5日午前9時50分ごろ、兵庫県朝来郡和田山町桑原の町道(幅員6.5b)で、同県多可郡中町高岸、株式会社シミズの大型トラック(長さ8.7b)の後部荷台が、道路に並行したJR山陰線のレールの連結部付近に接触、レール2本が約15bにわたり、幅約15−20a湾曲した。
 京都行き特急「あさしお4号」が現場近くに向かっていたが、道路工事中の作業員が発煙灯で知らせ、同特急(乗客約60人)は現場手前約150bで停車した。約1時間半後に復旧したが、特急計5本が和田山−福知山駅間で部分運休、普通1本が運休、乗客約500人が影響を受けた。
 和田山署の調べでは、同トラックの運転手が町道でバックしながら、方向転換しようとした際、誤って道路わきに後輪がはまり、そのはずみで荷台部分がレールに当たったらしい。(京都新聞)
■地下鉄サリン 井上容疑者も関与供述 否認、麻原容疑者だけに
 東京・地下鉄サリン事件で、殺人、同未遂容疑で逮捕されたオウム真理教「諜報(ちょうはう)省」トップの井上嘉浩容疑者(25)が、警視庁築地・大崎署特捜本部の5日までの調べに対して、「自分もかかわった」と事件への関与を認める供述を始めていることが分かった。地下鉄事件では、すでに教団「治療省」トップの林郁夫容疑者(48)らが容疑を認めている。教団代表の麻原彰晃容疑者(40)らが6日にも殺人罪などで起訴されるのを前に、事件に関与したとみられる主要幹部の中で、容疑を認めないのは麻原容疑者だけとなった。
 これまでの調べでは、井上容疑者は事件前日の3月19日夜、東京都渋谷区の活動拠点に林容疑者らサリンの「発散役」5人を集め、「霞ケ関駅に午前8時ごろ到着する電車に乗ってサリンを発生させろ」と指示し、当日も実行の指揮をしていたとされる。(朝日新聞)
■地下鉄サリン事件 オウム無差別テロの全容 教団あげて準備・実行 専門知識生かし分担
 3月20日朝、東京の都心は悪夢のような無差別テロに見舞われた。午前8時すぎ、営団地下鉄の霞ケ関駅に近づく5本の電車の中で、毒ガス「サリン」が広がり、通勤客や駅職員を襲った。死者12人、重軽症者約5500人。東京・地下鉄サリン事件は、警視庁築地・大崎署特捜本部の調べで、宗教団体オウム真理教が組織的に関与したことが明らかになった。代表の麻原彰晃=本名・松本智津夫=容疑者(40)ら41人の信徒に殺人と殺人未遂容疑で逮捕状が出て、5日までに34人が逮捕された。地下鉄事件は、どのようにして起きたのか。
・引き金
 1990年2月、麻原容疑者ら幹部25人が総選挙に立候補したが、全員が落選した。これが教団を攻撃的に変質させたとみられる。麻原容疑者は92年9月にハルマゲドン(最終戦争)を「予言」、11月には「都市の人口は10分の1ぐらいに激減する。使われるのは原爆、生物兵器、化学兵器のいずれか」と述べた。
 サリン製造の謀議は、そのころに始まったとみられる。麻原容疑者のほか、刺殺された教団「科学技術省」トップの村井秀夫氏と、「建設省」トップの早川紀代秀容疑者(45)らが加わったとされる。
・建設
 93年春、山梨県上九一色村で、「第三上九・第七サティアン」の建設が始まった。早川容疑者が総責任者になった。現場では、教団「建設省」幹部の池田悦郎容疑者(36)が指揮し、岡田弘幸容疑者(32)も加わった。
 元プロボクサーの藤永幸三容疑者(34)らが信徒すら遠ざける中で、数十億円をかけた化学プラントの建造が進んだ。「科技省」の高橋昌也容疑者(27)が配管、富樫若清夫容疑者(35)が6000ボルトもの高電圧を受ける配電設備など、専門を利用して分担した。
 サリン研究のため、教団に連れ戻された「化学班」キャップの土谷正実容疑者(30)の実験棟もできた。
 並行して薬品の購入が進んだ。教団が設立した薬品販売会社社長の長谷川茂之容疑者(26)が、「自治省」の寺島敬司容疑者(35)らと、サリンの原材料となる三塩化リンなどの化学物質を大量に買い付けた。
 村井氏は「早くしろ」と担当者をせかし続けた。
・製造
 93年夏、本格的な研究が始まった。村井氏の指揮のもとで、土谷容疑者と教団「厚生省」トップの遠藤誠一容疑者(35)が中心となり、「法皇内庁」トップで麻原容疑者の主治医でもある中川智正容疑者(32)、「科技省」の渡部和実容疑者(36)も参加した。
 93年10月には、2000万円もするスイス製自動合成装置を導入、1200万円の質量分析計も買った。
 土谷容疑者は実験棟に寝泊まりしながら、研究に明け暮れた。「厚生省」の森脇佳子容疑者(30)ら女性信徒が、実験データの記録などを手伝った。
 昨年7月上旬、化学プラントを稼働させたが、塩素ガスが発生、悪臭が周辺に広がり、本格使用を断念した。だが、実験棟での製造には成功し、土谷容疑者は何度かサリンをつくった。
・下調べから後始末まで
・標的
 今年3月18日夜、村井氏が教団「治療省」トップの林郁夫(48)、「科技省」幹部の豊田亨(27)、同省の横山英人(31)、広瀬健一(30)、林泰男(37)の五容疑者に「地下鉄でサリンをまく」と連絡、上九一色村に集めた。
 この数日前、教団は東京都品川区の公証役場事務長拉致事件で、捜査当局が教団施設の捜索を準備しているという情報を入手した。林郁夫容疑者は「捜査かく乱が目的だったと聞いている」と供述している。
 18日には、麻原容疑者が上九一色村の「第二上九・第六サティアン」で、遠藤容疑者に「サリンをつくれ」と指示したという。
 翌19日、村井氏はサリンの製造を土谷容疑者に指示。土谷、遠藤両容疑者はすぐに、遠藤容疑者専用の実験棟で、手製の設備を使ってサリンをつくった。ナイロンポリ袋11個に小分けし、村井氏に預けた。
 同夜、林郁夫容疑者ら5人に、運転役の教団「自治省」トップの新実智光(31)、同省の北村浩一(27)、杉本繁郎(35)、「諜報(ちょうほう)省」の高橋克也(37)、「建設省」の外崎清隆(31)各容疑者を加えた計10人が、東京都渋谷区のマンションの一室に集まった。
 間もなく、「諜報省」トップの井上嘉浩容疑者(25)が現れた。「霞ケ関駅に午前8時ごろ着く電車に乗れ。サリンは到着の5、6分前に発生させろ」と指示。「発散役」は電車に乗って下見をし、上九一色村に戻って、サリンの入った袋を傘で突く練習をした。
 そして3月20日未明、実行グループは村井氏からサリンと傘を、遠藤容疑者から解毒剤を受け取って東京へ向かった。途中で軍手や新聞を買った。
 林郁夫容疑者は千代田線、林泰男、豊田両容疑者は日比谷線、横山、広瀬両容疑者は丸ノ内線に乗り込み、計画を実行した。
 救急車のサイレンなどで厳然とする中、実行グループはマンションに戻った。「発散役」の5人の中に、気分が悪くなる信徒がいた。医師の林郁夫容疑者が全員に解毒剤を注射した。同容疑者も引き揚げる途中で気分が悪くなり、看護婦の村上栄子被告(30)=犯人隠避罪で起訴=に解毒剤を持って来させた。
 井上容疑者ら数人は、「発散役」の使った傘と着ていた服を回収して、東京都日野市まで車で行き、多摩川べりで焼いて捨てた。
 林郁夫容疑者はその後、上九一色村の施設で麻原容疑者に事件の報告をした。「良心の呵責(かしゃく)にさいなまれている」と打ち明けた。
 返ってきた言葉は「世間ではオウムがサリンをまいたと言っているようだが、シバ神にポアされてよかったね」だった。(朝日新聞)
■ドーム立つ旧国鉄用地売却へ 時価数千億円の大鉄局跡一等地
 JR大阪駅のすぐ北側にある旧大阪鉄道管理局跡地約2fを国鉄清算事業団が近く売却することになった。5日開かれた同事業団の資産処分審議会が売却を了承した。時価数千億円とも言われる都心の一等地にどんな買い手がつくのか。
 この土地には、現在、ドーム形のゴルフ練習場などが立っている。清算事業団が子会社に貸し付け、その子会社がこのうち約1fをゴルフ練習場を経営する不動産会社に来年3月末までの期限付きでまた貸ししている。
 資産処分審議会は5日、この跡地について、土地購入希望者から建物計画を募ったあとに売買契約を結ぶ「建物提案方式」を採用することを決めた。
 清算事業団は、近く募集を始め、4、5ヵ月後には契約にこぎつけ、その1年後には着工したい考え。旧国鉄用地は1997年度までに処分を完了することが閣議決定されているが、景気の低迷が続いている中、完了期限に間に合うかどうかは微妙とみられる。
 国鉄清算事業団の資産処分審議会は五日、事業団が所有する305件、約2020fの旧国鉄用地の売却と譲渡について、諮問通りに了承した。審議の必要な事業団所有地のうち、まだ諮問されていないのは、東京都内の汐留貨物駅跡地や旧国鉄本社ビル、大阪・梅田の貨物駅など15件、220fだけとなった。(朝日新聞)
■神戸高速の大開駅 床除き建て替えへ 駅全体の再開、来年3月
 運輸省は5日、阪神大震災でホームの天井が崩落するなどの被害を受けた神戸高速鉄道の大開駅の復旧方法を決めた。
 被害が少なかった床部はそのまま使うが、側壁や天井は新たに建て直す。その際、トンネル中央に並ぶ柱は太くし、鉄板を巻いて強化する。これで再び同規模の地震を受けても耐えられるという。8月末までにはホーム部分を完成させ、運行を再開する。ただ、改札口などの工事はなお時間がかかるため、駅全体の営業再開は来年3月ごろになるという。(朝日新聞)
■電車立ち往生 JR桜井線
 6日午前7時10分ごろ、奈良県橿原市曲川町のJR桜井線の畝傍−金橋間で、奈良発王寺行きの普通電車(4両編成、約150人)が故障し、非常ブレーキがかかってその場に停車した。約1時間後に運転を再開したが、後続の上下4本が運休、上下5本が最高15分遅れ、約1500人が影響を受けた。(朝日新聞 夕刊)
7日■地下鉄サリン法廷へ 麻原オウム教祖、殺人で起訴 実行の6人も 予備罪で9人、5人処分保留
 乗客ら12人が死亡し、約5500人が被害に遭った地下鉄サリン事件で、東京地検は6日午後、殺人と殺人未遂の罪でオウム真理教代表で教祖の麻原彰晃容疑者(40)=本名松本智津夫=や事実上の教団「諜報(ちょうほう)省大臣」井上嘉浩容疑者(25)ら計7人を、殺人予備罪で教団「厚生省」所属森脇佳子容疑者(30)ら計9人をそれぞれ起訴した。麻原被告らと一緒に逮捕、送検された教団信者のうち5人は事件への関与が薄いとして、処分保留とした。
 検察当局は犯行動機の一つに東京の目黒公証役場事務長仮谷清志さん拉致(らち)事件などの捜査をかく乱する目的があったとみており、犯罪史上例のない無差別テロ事件の真相解明は今後、法廷の場に移る。警視庁など捜査当局は今後、仮谷さん拉致事件や松本サリン事件などについて捜査に全力を挙げる。
 殺人と役人未遂の罪で起訴されたのは麻原、井上両被告のほか、教団「科学技術害」所属豊田亨(27)、同広瀬健一(30)、同横山真人(31)、「建設省」所属外崎清隆(31)、「自治省次官」杉本繁郎(35)の各被告。
 起訴状によると、麻原被告らは、刺殺された「科学技術省大臣」故村井秀夫氏と共謀の上、山梨県上九一色村の教団施設「ジーヴァカ棟」でサリンを製造。3月20日午前8時ごろ、東京都内の地下鉄3路線5車両で、サリンの入ったナイロンポリエチレン袋を先端をとがらせた傘で突き刺し、サリンを発散させ、乗客ら11人を殺害、1168人に重軽症を負わせた。
 死亡した被害者が11人となったのは、死亡者のうち1人の死因とサリン吸入との因果関係が確定できなかったためで、殺人未遂の被害者とされた。重軽症の残りの被害者については今後、起訴事実に追加の方針。(京都新聞)
地下鉄サリン事件の被告一覧
殺人、殺人未遂罪(7人)
氏 名年齢所 属経 歴役 割
麻原 彰晃(40)神聖法皇熊本県立盲学校事件全体を指揮
井上 嘉浩(25)諜報省トップ日本文化大中退地下鉄事件実行部隊を指揮
杉本 繁郎(35)自治省次官岡山商科大実行部隊の運搬・見張り役
豊田  亨(27)科技省東大大学院休学中地下鉄でサリンをばらまく
広瀬 健一(30)科技省早大大学院地下鉄でサリンをばらまく
横山 真人(31)科技省東海大工学部地下鉄でサリンをばらまく
外崎 清隆(31)建設省 実行部隊の運搬・見張り役
殺人予備罪(9人)
池田 悦郎(36)建設省 「第7」建設の現場責任者
渡部 和実(36)科技省次官東京工大「第7」の施設管理者
高橋 昌也(27)科技省 「第7」の配管設備を担当
岡  秀樹(23)科技省岐阜大農学部中退
滝沢 和義(26)科技省専門学校中退「第7」の設計責任者
畠山 博伸(39)科技省
原  吉広(36)科技省広島大大学院
森脇 佳子(30)厚生省故村井氏の元妻クシティガルバ棟の管理者
佐々木香世子(28)法皇内庁京都府立看護学校
■地下鉄サリン遺族「極刑望む」「判決見届けたい」医師関与に驚きも
 犯罪史上例のない宗教集団による無差別テロの真相解明は、法廷の場へ。たまたま通り掛かっただけの乗客ら12人の命を奪い重軽症者約5500人を出し、国内だけでなく海外も震撼(しんかん)させた地下鉄サリン事件。発生から79日目の6日、オウム真理教教祖の麻原彰晃容疑者(40)らが殺人などの罪で起訴された。肉親を失った遺族の悲しみは深く「思い出したくない」「極刑を望む」と語る人も。悪夢の背景に、生きる座標軸を見失いオウムにひかれた若者たちの姿が浮かび、日本社会の病巣も透けて見える。松本サリン事件、坂本弁護士一家失跡事件、仮谷さん拉致(らち)事件…。「起訴されると思っていたから動揺していない」と麻原容疑者。全面解決に向け急ピッチの捜査当局にとって「これからが正念場」だ。
 大都会の朝のラッシュ時間を狙った無差別犯行で12人が死亡、5500以上が被害に遭った地下鉄サリン事件。オウム真理教の麻原彰晃教祖ら起訴の知らせにも、帰らぬ肉親を思う遺族の胸の中は「極刑を望む」「思い出したくない」など、さまざまに波打っている。
 埼玉県越谷市の会社員藤本雅人さん(32)は、会社役員だった父武男さん=当時(64)=を通勤の日比谷線で失った。「起訴は第一歩。こんな事件が二度と起きないためにも極刑を望みます」。雅人さんは「判決確定まで何年かかるか分からないが、どういう人物が事件を起こしたのか、最後まで裁判を見届けます」と言う。
 営団地下鉄職員の菱沼恒夫さん=当時(51)=は千代田線霞ヶ関駅ホームで、サリンの袋と知らずに片付けた直後倒れ、死亡した。妻の美智子さん(51)=埼玉県大宮市=は麻原被告について「黙秘や言い逃ればかりであきれ果てています。いつまで虚勢を張るつもりでしょうか。わたしも一度は裁判を傍聴しようと思います」。そして「サリンをまいて夫を死に追いやったのが、人命を救うはずの医師だったことに驚いています」と声を震わせた。
 千葉県木更津市の会社員中越辰雄さん=当時(54)=は丸ノ内線で通勤途中に事件に遭った。長女の真紀さん(24)は「事件のことは思い出したくありません。それで父が帰って来るわけでもないし…。ただ、裁判は判決が出るまで見守るつもりです」と話した。
・完全撤退まで不安 上九一色
 オウム真理教の施設「サティアン」で有名になった山梨県上九一色村は人口約1700人。麻原彰晃教祖らの起訴に、住民らは「教団の解散に向けて一歩前進」と評価する一方で「施設の完全撤去と信者の完全撤退が実現するまでは安心して暮らせない」と不安を隠さない。
 「起訴で大きなヤマを一つ越した。だが村には長い道のりが残っている」と話すのは渡辺勝美村長(74)。法廷での早期審理と事件の全容解明、厳重な処罰を望む。
 また国に対して「教団の解散請求手続きだけでなく、家に帰りたい信者は帰し、帰れない信者には適当な職をあっせんして他の場所に移したり、精神科の専門家を付けるなど社会復帰対策に真剣に取り組んでほしい」と注文を付けた。
 地元富士ケ嶺地区の江川透区長(59)は「村に居残り続けている信者らが起訴のニュースを知って、少しは考えを変えてくれれば」と期待する。宗教法人法に基づく解散請求が出ても完全撤退までには何年もかかる見通しだが「そんなに待てない。破防法を適用してもらうのが一番手っ取り早い」と話す。
 「第7サティアン」近くに住む主婦(46)じは「やっとか、という感じ。これまでの行政や警察の対応の遅さには憤りすら感じる。一刻も早く信者全員が村から出て行ってほしい」と語った。
・「動揺はしていません」 麻原被告が心境
 オウム真理教教祖の麻原彰晃被告(40)は殺人、同未遂罪で起訴された直後の6日夕、拘置中の警視庁本部で弁護士と接見し「逮捕されたときから起訴されると思っていたから動揺はしていません。国家権力はオウムつぶしの目的を持っていた」などと心境を語った。
・大半の信者、沈黙守る 上九一色村などの施設 警視庁捜査一課長 「まだ一端、これから」
・地下鉄職員「今も悪夢が」
 【事件現場】警察庁をはじめ中央省庁が集中し、テロの標的になった地下鉄霞ケ関駅。病院で治療を受けた駅の職員(40)は「後遺症を心配している。一時入院した同僚は精神的ショックが大きく、今でも悪夢に襲われることがある」と終わりのないサリンの恐怖を語った。
 地下鉄築地駅近くの喫茶店店長綱谷功樹さん(34)も駅の換気口から出たガスを吸い、病院で治療を受けた。「一段落してよかった。社会全体がおかしくなっていると思う。軌道修正する意味でも早く厳しい判決を」と訴えた。
・「コメントはできません」
 【上九一色村】オウム真理教の中枢施設がある山梨県上九一色村と静岡県富士宮市では、麻原教祖ら教団幹部の起訴にも信者の大半は沈黙を守った。
 教団のロシア製ヘリコプター「ミル17」が置かれている富士宮市のヘリポートで見張りをしていた若い男性信者は、世間話には笑顔で応じていたが、教祖起訴の話題になると「感想を聞きたい気持ちは分かりますが、コメントできません」。
 上九一色村の「第3サティアン」に向かっていた男性信者は起訴に「あ−、そうですか。予定通りですね」と答えただけだった。
・扉を閉ざし周辺に静けさ
 【東京総本部】麻原教祖ら16人が役人罪などで起訴された東京・南青山のオウム真理教・東京総本部は扉が固く閉ざされ、時折、出入りする信者も無言。”穏健派路線”を唱える上柘史浩緊急対策本部長も中に閉じこもったままで、周辺は静けさに包まれた。
 総本部前には約50人の報道陣が集まったほかは、見物人もまばら。
 通りがかった練馬区の自営業の男性(61)は「事件は、オウム真理教がやったのはほぼ100パーセント間違いないと思う。麻原被告らの起訴は当然だ」と淡々と話していた。
 【東京地検】東京・霞が関の法務・検察合同庁舎では、午後4時から東京地検の甲斐中辰夫次席検事が記者会見。ワシントン・ポスト紙やAP通信社も会見に臨んだ。記者団からの質疑が相次ぎ、同地検の会見としては異例の1時間以上に及んだ。1時間超える異例の会見に甲斐中次席は、時折笑みを浮かべながら淡々と質疑に応答。捜査上困難だった点について「マインドコントロールされた容疑者の黙秘の壁にぶつかり、それに呼応した特異な弁護活動があった」などと述べた。また「未解明の関連事件は警察と連携してさらに捜査を進めたい」とした。
関連事件の解決へ意欲
 【警視庁】「1年以上やってるような気がします」。目黒公証役場事務長拉致(らち)事件発生以来、陣頭指揮を執ってきた警視庁の寺尾正大捜査一課長は、3ヵ月余の捜査を振り返った。
 午後4時すぎ、約40人の記者を前に起訴事実を説明。「オウムの犯罪の一端が明らかになっただけ。まだこれから。きちんと捜査し全容解明したい」と両腕を組んで気を引き締めるように話す。
 しかし、逃走容疑者の追跡に加え、教団に絡む数々の事件も控えており、捜査員にしばらく休日はないという。(京都新聞)
■望見KANSAI 西梅田再開発 数年後にも斬新なビル
 JR大阪駅に隣接する旧国鉄コンテナヤード基地跡(大阪市北区梅田三丁目)に、学校やオフィスビルを建設する国鉄清算事業団の「西梅田地区再開発」が、本格的に動き出した。早ければ本年度中にも、予定のビル3棟が着工する。計画には、旧国鉄用地の処分法に悩む清算事業団が新しく編み出した「建物提案方式」が採用され、同方式の今後を占ううえでも注目される。用地の南側では、阪神電鉄の再開発計画も動き出しており、3−4年後には、一帯が新しい大阪の顔として生まれ変わる。
・建物提案方式を採用
 今回の用地売却に当たって採用された「建物提案方式」は、購入者(落札者)から、清算事業団が土地代金を借り入れ、別の会社(清算事業団の出資会社)が建物を完成させたうえで、購入者に土地と一緒に引き渡す仕組み。購入者は、事前に日本開発銀行から資金の最大40%までを低利融資してもらえるうえ、工事期間中に清算事業団から、貸した代金の金利を受けられる利点がある。
・東側、本年度中に着工
 清算事業団は昨年9月に、まず「どんな建物を配置するか」についての企画案コンペを行った。計9件の応募があり、優秀案1件と佳作3件が決まった。
 これをもとに清算事業団が決定した開発計画は、用地を東側1.0f(物件1)と、西側1.5f(物件2)に分割。東側には学校やオフィスビルなど3棟、西側にはホテルやオフィスの入る43階建てビルなど3棟を建てる、という内容だった。
 実際の土地購入者を決める今年3月の入札では、東側を先のコンペで優秀案を提示した三和銀行などの企業グループが落札した。西側は入札者がなく、今後の重要課題として残った。
 東側の土地購入者に決まった三和銀行のグループは、大和ハウス工業、学校法人・モード学園、林業の清水産業などがメンバー。用地には大和ハウス工業の本社ビル(24階建て)や、モード学園が経営する専修学校ビル、清水産業のオフィスビルのほか、地下には300台収容の駐車場が設けられる。総事業費は約800億円。本年度中に着工して、平成11年春の完成を目指している。
・成功へ、ふくらむ期待
 清算事業団近畿支社の岩田眞用地企画課長は「設計を詰めている段階だが、3棟とも都心にふさわしい斬新(ざんしん)なビルになる。ここを、新しい売却方式の成功例にしたい」と話す。
 建物提案方式は、清算事業団が昨年初めて発表した土地売却の切り札。今月5日の資産処分審議会で了承された売却地の中にも、京都駅西(京都市下京区・7900平方b)、旧大鉄局跡(大阪市北区・2万平方b)など4ヵ所で、同方式が採用される。
 清算事業団は現在、旧国鉄の累積債務26兆9000億円を抱え、年間の利払いだけで1兆5000億円に上る。バブル崩壊後、少しでも多く有利に土地売却を進めたい折から、西海田の開発成功へ寄せる期待は大きい。(京都新聞)
■麻原容疑者ら16人起訴 地下鉄サリン 殺人・殺人未遂罪など オウム、組織的犯行 東京地検「捜査かく乱目的」
 東京地検は6日、3月の地下鉄サリン事件について、「捜査のかく乱」を目的の一つとしたオウム真理教の組織的犯行と断定、代表者の麻原彰晃(本名・松本智津夫)容疑者(40)ら7人を殺人と殺人未遂の罪で、9人を殺人予備罪で、それぞれ東京地裁に起訴した。死者11人、重軽症者約5500人を出した無差別殺人事件の捜査は、「首謀者」とされる麻原容疑者らの起訴により、大きな節目を迎えた。これを受けて警視庁など捜査当局は、当面、教団への強制捜査の突破口となった「公証役場事務長拉致事件」に捜査の重点を移すとともに、「松本サリン事件」「坂本弁護士一家失跡事件」など、一連の教団関連容疑事件の解明を目指す。また、宗教法人法に基づくオウム真理教の解散請求や、教団への破壊活動防止法適用可否をめぐる動きも今後、本格化しそうだ。
 この日、処分の対象者となったのは、殺人と殺人未遂容疑で逮捕された計34人(ほかに特別手配が7人)の中で、拘置期限がくるなどした21人。このうち5人は、犯行への関与が薄いとして同事件については処分保留のまま釈放された。残る13人の処分は今月中旬までに順次、行われる。
●麻原容疑者が首謀
 東京地検は、地下鉄サリン事件を計画・指揮したのは、麻原容疑者と教団「科学技術省」トップで刺殺された村井秀夫氏の2人であり、「諜報(ちょうほう)省」トップの井上嘉浩容疑者(25)が現場の指揮者と認定した。麻原容疑者本人は直接、手を下さなかったが、殺人などの共謀共同正犯に問えると判断した。
 同地検は@事件2日前に「麻原容疑者からサリンをつくれと指示された」とする教団「厚生省」トップの遠藤誠一容疑者(35)の供述A事件後に麻原容疑者から、「(教団の)シバ神にポア(魂を奪う意味)されてよかったね」と言われたという「治療省」トップで発散役の林郁夫容疑者(48)の供述−などを起訴を支える重要な柱に据えたとみられる。
 これに加え、麻原容疑者や故村井氏ら教団幹部が協議を重ねていたことや、組織運営の細かい部分まで麻原容疑者が掌握していたなど、教団の指揮・命令系の仕組みを、麻原容疑者の犯行関与を裏付ける状況証拠として積み重ねた模様だ。
●殺人か殺人予備か
 今回、処分対象となった21人は、いずれも殺人、殺人未遂容疑で逮捕、送検されたが、半数を超える14人が殺人予備罪や処分保留となった。殺人罪の最高刑が死刑なのに対して、殺人予備罪は2年以下の懲役と大きな差がある。
 東京地検は、地下鉄サリン事件で使われたサリンは、事件直前に山梨県上九一色村の教団施設にある遠藤容疑者の実験棟「ジーヴァカ棟」で製造されたサリンと認定した。
 殺人罪などでの起訴は、麻原、井上両容疑者のほか、この「ジーヴァカ棟」のサリンを地下鉄車内に発散させたり、運び役となったりした実行犯に絞られた。一方、「ジーヴァカ棟」以外の施設である「第三上九・第七サティアン」などを建設したり、そこでサリンを製造したりした容疑者は殺人予備罪となった。
 処分判断の分かれ目となったのは、「ジーヴァカ棟」でつくられ、地下鉄サリン事件に使われたサリンの製造や使用に関与したかどうかだった。
●動機「複合的」とも
 東京地検は、事件の目的のひとつに「公証役場事務長拉致事件で教団に捜査が及びかけたため、捜査をかく乱しようとした」と指摘。起訴状では「霞ケ関駅に停車する電車」を対象にサリン発散を企てたとする記述がされた。
 しかし、検察当局は、犯行動機はこれだけではなく、「複合的」との見方をとっている。サリンによる同様の無差別殺人である松本サリン事件など、一連の教団関連事件の解明とあわせて、教団がこうした事件を起こした背景事情を分析し、動機を確定していくとみられる。(朝日新聞)
地下鉄サリン/逮捕者と特別手配者(呼称略)
【計画・命令】
麻原 彰晃(40)代表殺人、殺人未遂罪で起訴
早川紀代秀(45)建設省トップ拘置中・製造施設建設も関与
【実行】
(指揮)
井上 嘉浩(25)諜報省トップ殺人、殺人未遂罪で起訴
(サリン発散)
林  郁夫(48)治療省トップ拘置中
横山 真人(31)科学技術省殺人、殺人未遂罪で起訴
広瀬 健一(30)科学技術省殺人、殺人未遂罪で起訴
豊田  亨(27)科学技術省殺人、殺人未遂罪で起訴
(運転・見張り)
新実 智光(31)自治省トップ拘置中
杉本 繁郎(35)自治省ナンバー2殺人、殺人未遂罪で起訴
外咲 清隆(31)建設省殺人、殺人未遂罪で起訴
【サリン製造】
中川 智正(32)法皇内庁トップ拘置中
遠藤 誠一(35)厚生省トップ拘置中
土谷 正実(30)厚生省拘置中
森脇 佳子(30)厚生省殺人予備罪で起訴
垂井 明美(40)厚生省処分保留
宮崎乃理子(34)厚生省処分保留
佐々木香世子(28)法皇内庁殺人予備罪で起訴
細川 高伸(28)西信徒庁拘置中
【サリンの原料購入】
長谷川茂之(26)自治省拘置中
【サリン製造施設の建設等に関与】
渡部 和実(36)科学技術省殺人予備罪で起訴
池田 悦郎(36)建設省殺人予備罪で起訴
岡田 弘幸(32)建設省拘置中
富樫若清夫(35)科学技術省拘置中
高橋 昌也(27)科学技術省殺人予備罪で起訴
藤森 幸三(34)科学技締省拘置中
滝沢 和義(26)科学技術省殺人予備罪で起訴
原  吉広(36)科学技術省殺人予備罪で起訴
岡  秀樹(23)科学技術省殺人予備罪で起訴
畠山 博伸(39)科学技術省殺人予備罪で起訴
柏田  健(33)科学技術省処分保留
関野 行雄(36)科学技術省拘置中
片山  浩(27)科学技術省処分保留
畑島 俊司(29)科学技術省拘置中
角川 知己(39)科学技術省処分保留
【特別手配中の7人】
(容疑はいずれも殺人、殺人未遂)
林  泰男(37)科学技術省
寺島 敬司(35)自治省
北村 浩一(27)自治省
端本  悟(28)自治省
中村  昇(28)自治省
高橋 克也(37)諜報省
菊地 直子(23)厚生省
■オウム教 地下鉄サリンで起訴 次の焦点 仮谷さん事件 松本サリン・坂本弁護士失跡も「夏までには解決を」全疑惑解明なお遠く 捜査当局
 オウム真理教による東京・地下鉄サリン事件で、代表の麻原彰晃容疑者(40)らが6日、殺人、殺人予備罪などで起訴され、逮捕された34人の容疑者に対する東京地検の処分が今月中旬までに出そろうため、今後の捜査の焦点は教団の関与が疑われているほかの事件に移る。警視庁など捜査当局は、公証役場事務長の仮谷清志さん(68)拉致事件に最優先でとりかかり、続いて長野県松本市のサリン事件や坂本弁護士一家失跡事件の捜査を進め、夏ごろまでに、社会的反響の大きいこの3つの事件の解決に全力を挙げる方針だ。ほかにも、自動小銃密造、覚せい剤製造など懸案が山積しており、すべての事件の解明には長期戦の覚悟で臨む。
・仮谷さん事件
 捜査当局が仮谷さん事件を重視しているのは、一連のオウム疑惑捜査のきっかけになった事件であるうえ、殺人容疑などで逮捕されている教団「法皇内庁」トップの中川智正容疑者(32)が「薬物注射で死亡した仮谷さんの遺体を焼いた」と供述しており、捜査に緊急性があると判断しているからだ。
 捜査当局は山梨県上九一色村の教団施設の焼却炉などを、7日にも逮捕・監禁致死容疑で捜索し、遺体焼却が確認できれば、仮谷さんへの薬物投与にかかわったとみられる中川容疑者と教団「諜報(ちょうほう)省」トップの井上嘉浩容疑者(25)=殺人罪などで起訴=らを同容疑で再逮捕する。
 さらに事件当時、拉致に使われたレンタカーのほかに、信徒が乗ったもう1台の車があったことが確認されており、捜査当局は、関与したとみられるほかの信徒の特定を急ぐ。
・松本サリン事件
 昨年6月の松本サリン事件については、教団「化学班」キャップの土谷正実容疑者(30)=殺人容疑などで逮捕=が、事件前にサリンを製造したことを供述している。これまでの捜査から、サリン噴霧装置を積んだ車が使われた疑いが強まっており、事件の計画、サリン製造、噴霧装置の製作、発散の実行役など十数人がかかわったとみられている。
 事件の中心人物は、ほとんどが地下鉄事件で起訴されている。警視庁と長野県警は合同捜査本部を組んで、関与した信徒を殺人容疑などで再逮捕し、ほかの信徒を割り出していく見込みだ。地下鉄事件同様、麻原容疑者の関与と指示、犯行の動機の解明が焦点になる。
・坂本弁護士事件
 坂本堤弁護士一家3人は、1989年11月3日夜から4日未明にかけ、自宅からいなくなった。
 坂本さんは、出家した信徒の母親から相談を受けたのをきっかけに、教団側との交渉にかかわり、中心になって被害者の会を結成した。行方不明直前に教団幹部らと面談しており、自宅に教団のバッジが落ちていたことから、教団の関与がとりざたされてきた。警視庁は神奈川県警と合同捜査本部をつくり、事件の全容解明に乗り出す。
・小銃・薬物密造事件
 自動小銑密造事件では、信徒の車や教団施設の柱の中などから自動小銃の部品や試作品が見つかっている。
 薬物製造では、土谷容疑者が自分の実験棟で、覚せい剤や幻覚を起こす麻薬を製造していたことを認め、女性信徒2人が製造に関与したとして逮捕された。
 小銃、薬物とも製造の目的と関与した人物などを捜査で明らかにしていく。
・その他の事件
 教団の関与を示す直接の証拠や供述は浮かんでいないが、3月30日に起きた警察庁の国松孝次長官銃撃事件と、5月5日に東京都新宿区の地下街での青酸ガス発生未遂事件についても、発生した時期や手口などから、関連を捜査している。
 また出家信徒が、修行中や教団の付属医院で死亡した時に、埋葬許可の申請が出されていないなど、遺体の処理に不明朗な点がある。捜査当局は、こうした不審な死亡事案についても調べる方針だ。
・麻原容疑者 公判長期化か「共犯」供述がカギ
 東京・地下鉄サリン事件で6日起訴されたオウム真理教代表の麻原彰晃容疑者(40)は、これまで容疑事実について黙秘しており、公判でも否認の態度を示す可能性が高いとみられる。その場合、公判の長期化は必至だが、検察側は「麻原代表にサリン製造を指示された」という教団「厚生省」トップの遠藤誠一容疑者(35)の供述などを軸にした立証に自信を示している。一方、サリン製造・散布の実行犯に麻原容疑者の意向を伝えたとされる「科学技術省」トップの村井秀夫氏が刺殺されたため、今のところ麻原容疑者の関与を直接裏付ける証拠は少ない。共犯とされた信徒らが、法廷で麻原容疑者と歩調を合わせるのかどうかが、公判の展開を左右しそうだ。
 これまでの取り調べに対して、逮捕された容疑者のうち、幹部を含めたかなりの信徒が容疑事実を認めているといわれる。仮に、麻原容疑者が、地下鉄サリン事件が教団の犯行だったことを否定することで自分の無罪を主張しようとすれは、こうした「共犯」の供述すべてについて信用性を争わなければならない。多数の「共犯」の証人尋問が延々と続く事態は、避けられなくなりそうだ。
 一方、刑事弁護のベテラン弁護士らは、麻原容疑者関与についての「最重要証人」、故村井氏が取り調べを受けないまま死亡したことを指摘。麻原容疑者が「犯行は村井氏らが独断で進めたもので、自分は知らなかった」と主張する可能性もあると予想している。
 この場合、検察側は、遠藤容疑者の供述などを立証の中心に据え、「教団の組織、命令系統からみても、麻原代表の承認なしに、巨額の費用と労力をかけてサリンを製造・散布したとは考えられない」との主張を合わせて展開する構えだ。
 いずれにしても、容疑を認めた信徒らが法廷で捜査段階の供述を維持するかどうかが、麻原公判の行方を決する大きなカギになる。すでに、逮捕された信徒の一部が教団派遣の弁護士を解任するなど、「教団離れ」も表面化している。教団の統制がきかなくなった被告が、麻原容疑者に不利になるのを承知で、殺人の起訴事実を認め、量刑の軽減を狙う法廷戦術をとれば、麻原容疑者は苦しい立場に追い込まれる。
 また、今後、松本サリン事件や公証役場事務長拉致事件など、教団の組織的関与が疑われる別な事件の捜査が本格化するとみられる。これらの事件は、立件されれば教団の反社会的体質を多角的に浮かび上がらせる事例として、地下鉄サリン事件の公判上も大きな意味を持つ。なかでも松本サリン事件は、教団とサリンの深いかかわりをさらに裏付けるものとして、検察側立証に極めて有利な材料となり得る関係にある。
 地下鉄サリン事件では最終的に30人前後が起訴されると予想され、東京地裁は、検察側が認定した事件への関与の形、程度などによって、いくつかのグループに分けて公判を開くとみられる。別事件の捜査の進展によっては、麻原容疑者を含む一部の初公判が、今年冬ごろにずれこむこともありそうだ。
・麻原容疑者起訴状要旨(敬称略)
 被告は、宗教法人オウム真理教(以下、「教団」という)の代表者であるが、教団所属の故村井秀夫、井上嘉浩ら多数の者と共謀のうえ、いずれも東京都千代田区霞が関二丁目の営団地下鉄霞ヶ関駅に停車する地下鉄日比谷線、千代田線及び丸ノ内線の各電車内等にサリンを発散させて不特定多数の乗客等を殺害しようと企て、山梨県上九一色村富士ケ嶺九二五番地の一所在の「ジーヴァカ棟」と称する教団施設内においてサリンを生成したうえ、
 第一 一九九五年三月二十日午前八時ころ、日比谷線秋葉原駅直前付近を走行中の北千住発中目黒行き電車内において、床に置いたサリン在中のナイロン・ポリエチレン袋三個を所携の先端をとがらせた傘で突き刺し、サリンを漏出気化させて電車内等に発散させ、秋葉原駅から築地駅に至る間の同電車内または各停車駅構内等において、岩田孝子(当時三三)ほか六名をしてサリンガスを吸入させるなどし、よって、同日午前八時五分ころから同年四月十六日午後二時十六分ころまでの間、小伝馬町駅構内ほか六ヵ所において、サリン中毒により右岩田ほか六名を死亡させて殺害するとともに、
 岡田三夫(当時五一)ほか七百六十四名をしてサリンガスを吸入させるなどしたが、同人らに対し、各加療日数を要するサリン中毒症の各傷害を負わせたにとどまり、殺害の目的を遂げなかった。
 第二 同じころ、日比谷線恵比寿駅直前付近を走行中の中目黒発東武動物公園行き電車内において、同様に、サリンを漏出気化させて発散させ、恵比寿駅から霞ケ関駅に至る間の同電車内または各停車駅構内等において、渡辺春吉(当時九二)をしてサリンガスを吸入させるなどし、神谷町駅構内において、サリン中毒により同人を死亡させて殺害するとともに、尾開千恵子(当時五三)ほか百六十七色をしてサリンガスを吸入させるなどしたが、同人らに対し、各加療日数を要するサリン中毒症の各傷害を負わせたにとどまり、殺害の目的を遂げなかった。
 第三 同じころ、丸ノ内線御茶ノ水駅直前付近を走行中の池袋発荻窪行き電車内において、同様に、サリンを漏出気化させて発散させ、
 御茶ノ水駅から新高円寺駅に至る間の同電車内または各停車駅構内等において、中越辰堆(当時五四)をしてサリンガスを吸入させるなどし、同人を死亡させて殺害するとともに、浅川幸子(当時三一)ほか百十八名をしてサリンガスを吸入させるなどしたが、同人らに対し、各加療日数を要するサリン中毒症の各傷害を負わせたにとどまり、殺害の目的を遂げなかった。
 第四 同じころ、千代田線新御茶ノ水駅直前付近を走行中の我孫子発代々木上原行き電車内において、同様に、サリンを漏出気化させて発散させ、新御茶ノ水駅から霞ケ開駅に至る間の同電車内または各停車駅構内等において、高橋一正(当時五〇)ほか一名をしてサリンガスを吸入させるなどし、高橋ほか一名を死亡させて殺害するとともに、斉藤由香(当時二五)ほか五十名をしてサリンガスを吸入させるなどしたが、同人らに対し、各加療日数を要するサリン中毒症の各傷害を負わせたにとどまり、殺害の目的を遂げなかった。
 策五 同じころ、丸ノ内線四ッ谷駅直前付近を走行中の荻窪発池袋行き電車内において、同様に、サリンを漏出気化させて発散させ、四ッ谷駅から新宿駅に至る間の同電車内または各停車駅構内等において、古川実(当時三七)ほか六十四名をしてサリンガスを吸入させるなどしたが、同人らに対し、各加療日数を要するサリン中毒症の各傷害を負わせたにとどまり、殺害の目的を遂げなかった。
・一斉逮捕で全容把握 東京地検次席検事 「当然の手法だった」
 6日、記者会見した東京地検の甲斐中辰夫・次席検事は、地下鉄サリン事件をこう語った。「極めて閉鎖的な集団による組織的・計画的な犯行であり、教団ぐるみの証拠隠滅、犯人隠匿工作が行われていた」。警視庁と東京地検が選んだ捜査手法は、見えにくい教団組織の中枢にいる麻原彰晃容疑者(40)が主導した犯罪を裏付けるため、事件に関与した疑いがある信徒らを同時に多数逮捕して一斉に取り調べ、役割を分担して組織的に行われた事件の全容を一気に解明することだった。逮捕後の捜査で事件に使われたサリンそのものが特定され、別のサリンをつくっていたとされる信徒らは殺人予備罪に問われることとなった。
 5月16日の麻原容疑者らの一斉逮捕に至るまでの捜査では、同容疑者が地下鉄サリン事件を計画・指揮したことを直接示す証拠の収集が難航したとされる。教団「科学技術省」トップで麻原容疑者とともに事件の中心となったとみられる村井秀夫氏が刺殺されたことに加え、サリンを製造して、地下鉄車内にまくという一連の行為にかかわった大勢の信徒らの役割分担も複雑だった。
 こうした状況の下で、捜査当局は41人に上る逮捕状を取り、麻原容疑者をはじめ多くの信徒らを地下鉄サリン事件の殺人容疑で相次いで逮捕する捜査手法に踏み切った。その結果、「事件の2日前にサリンの製造を指示された」など、麻原容疑者の関与を直接、間接に示す複数の供述が得られ、教団の組織実態などの状況証拠も囲まったとされる。
 甲斐中次席検事は記者会見で、今回の事件の特異性を指摘したうえ、こうした捜査について「任意同行に応じない大勢の人間を取り調べないと全容が解明できなかった。逮捕者が多数になったが、当然の捜査だったと思う」と語った。
 一方、一連のオウム真理教に関連する捜査で、多数の信徒に対する軽微な犯罪での逮捕が相次いだとして、懸念が出ていることについては「捜査は刑罰法規と刑事手続きにのっとり、適正にやっており、違法な点はない。大型の組織犯罪では、背後関係や背景事情を考慮して強制捜査の当否を決めることがあり、こうした手法は従来、行われてきたことだ」と強調した。
・サリンはもうない 捜査当局断定
 東京・地下鉄サリン事件で東京地検と警視庁築地・大崎署特捜本部は6日、逮捕された容疑者らの供述とこれまでの捜査から、完成したサリンと完成直前の物質は、事件に使われるか処分されるかして、いずれも残っていないと断定した。
 地下鉄事件に使われたサリンは、保存されていた直前物質を使って前日に製造されたが、11袋に分けて車内にまかれた量と製造量がほぼ一致しており、すべて事件に使われたとみられる。事件以前に製造されたサリンや直前物質は、逮捕された容疑者の供述などから、すべて処分されたという。
 サリン大量製造の疑いが持たれている「第三上九・第七サティアン」の化学プラントについては、製造の途中段階まで行われたことが確認されているが、ここでサリンを完成させたという供述は得られていない。捜査当局では「供述がないからといって、サリンが売成しなかったと断定はまだできない」として、化学プラントの検証を今後も続けることにしている。
・各国が報道 ロシア・米・英
 【モスクワ6日=徳永晴美】ロシア国営テレビニュース番組は6日、「麻原彰晃代表と同調者らは、東京の地下鉄でのガス攻撃と、教団の反対者の殺害などの殺人容疑により、死刑の恐れがある」と報道した。
 【ニューヨーク6日=上治信悟】米CNNテレビは6日朝(日本時間同日夜)のニュースで、麻原容疑者らが殺人罪などで起訴されたことを伝えた。麻原容疑者の逮捕後もメディアは事件やオウム真理教について報道を続けている。
 【ロンドン6日=ヨーロッパ総局】英BBCテレビなどは6日、オウム真理教の麻原彰晃代表らが殺人、殺人予備罪などで起訴されたことを簡単に伝えたが、この日はむしろ、渡辺美智雄元副総理の韓国「統治」発言に対して、韓国内で反発のデモが起きたことなどの方に、日本関係のニュースの関心が集まった。(朝日新聞)
■「なぜ」ぬぐえぬ思い 地下鉄サリンの被害者たちに聞く
 東京・地下鉄サリン事件で、通勤、通学の途中、被害を受けた人たちは、今も後遺症に苦しんでいる。猛毒サリンをまく計画を立てた者や実行犯に対する憎しみは消えず、「なぜ」という思いもぬぐいきれない。被害者の気持ちを聞いた。
・後遺症の苦しみ今も
 東京都江戸川区、会社員、大橋賢一さん(41)頭痛がひどい。何かに集中すると、目の上で痛みが始まり、後頭部に広がっていく。ガンガンする。会議などで5分以上も話すと、痛みは一昼夜続く。鎮痛剤を飲んでも、短時間ましになるだけだ。後遺症についての情報や、事情に詳しい医者を、さがしているところだ。
 地下鉄には怖くて乗れず、タクシーか徒歩にしている。地上の電車でも、まず乗った瞬間に頭に痛みが走るし、トンネルに入ると、激しく痛む。
 東京都足立区、会社員、男性(28) 入院は3日間。退院当初はコンピューターに向かうと5分で吐き気がし、目も疲れた。いまも目は疲れやすい。通勤の経路も変えた。事件にあった日比谷線は使わないようにした。いまも地下鉄に乗ると息が苦しくなる気がする。
 彼らが言っていることをマスコミで見聞きすると、とても正気ではない。自分たちがやったことを反省し、きちんと社会にお返ししろと言いたい。
 埼玉県蓮田市、営団地下鉄職員、石井和夫さん(43) 小伝馬町駅の現場でお客さんの誘導などに追われて、5分間ほど走り回っていた。病院に運ばれた時は、呼吸停止の重掟だったと聞いた。12日間、入院し20日余り自宅療養した。
 いまも首筋に重苦しい感覚が残る。それにいままでは見なかった夢を見る。内臓の破裂した死体がごろごろところがっているような残酷な夢だ。
 東京都足立区、全社員、小熊美津男さん(44) 事件後、ひどい肩こりに悩んだ。さらに、めまいも続いている。医者にはサリンとは関係ないと言われるが気持ちが悪い。酒はもともと飲まず、健康には自信があったので、いまの不調はいっそう、不気味だ。
 事件の瞬間、駅のホームに倒れていた男性が苦しそうにもがいており、胸をさすっていた。後になって、あの男性が亡くなった人ではないかと思えて、見捨てたような気が、いまもしている。
 信徒は、この教団の考えが間違っていることを理解してほしい。常識はずれのことでも、実行しないといけないシステムがおそろしい。
 埼玉県草加市、会社員、光野充さん(53) 13日間入院し、いまも疲れやすい。地下鉄のホームで倒れた人を介抱しようとした。足が上下にはげしく震えていて、とても押さえられなかった。その人は、亡くなった。どんなに苦しんだか、その苦しさを犯人にも感じさせてやりたい気持ちだ。
 茨城県つくば市、会社員、橋本康弘さん(55) 以前通り、同じ地下鉄を使って通勤している。しかし、頭痛が完全に治らない。血圧も高いままだ。どうも、事件のことを意識すると症状が出るようだ。忘れなさいと言われるが無理だ。容疑者に対しては、法的処分を厳正に行ってほしいと願うだけだ。
 埼玉県春日部市、会社員、築達弘典さん(32) 16日間、入院した。意識が戻ったのが、2日目の夕方だった。いまも、めまいはとれない。私は幸い助けられ、元の生活に戻れたが、この犯罪は絶対に許せない。思想犯だから、かりにいまの容疑者が死刑になっても、安心できない。
 埼玉県蓮田市、公務員、宮山明雄さん(42) 夕方になると、目や体が疲れてくる。地下鉄に乗るのは今でもいやだ。「何もなければいいが」と思いながら乗る。勇気がいる。
 麻原容疑者が人間の心を持っているのであれは、自分がいかにとんでもないことをやったのかを認識すべきだ。もし、自分の子供や妻がサリン事件の巻き添えになっていたとしたら、どうなのか。
・動機解明へ強い願い
 千葉市美浜区、会社員、太田順子さん(23) 築地駅のホームで気を失った。気がついたのは、墨田区内の病院のベッドだった。目のかすみや頭痛に悩まされ、9日間入院した。4月中旬に久しぶりに地下鉄に乗った時は本当に怖かった。密室に閉じ込められ、逃げ場がない不安感が押し寄せてきた。
 オウム真理教がサリンをまいたのだとしても、憎しみは感じない。ただ、何のために関係のない人々を殺したのか理解できない。犯人には死刑以外の罰をきちんと受けてほしいが、もっと重要なことは、裁判の過程で不可解な動機を明らかにすることだ。
 埼玉県鷲宮町、会社員、吉秋満さん(55) 今でも、目や体が疲れやすい。よく助かったと思う。事件の解明をあいまいに終わらせないようにしてほしい。実行犯は、亡くなった人や入院した人たちに対する相当な償いをすべきだ。
 千葉県野田市、団体職員、田中克和さん(57) オウムの幹部たちは、麻原容疑者の指示で行ったと供述している。いずれは事件の真相が、白日の下になるよう期待する。死者に当然報いるだけの罪を償ってほしい。
 埼玉県、会社員、女性(23) 当日は倒れている人を介抱していて、気分が悪くなった。多くの容疑者がいるが、この事件をどのようにして起こしたかをはっきり知りたい。おそらく納得できはしないだろうけれど、少なくとも、かれらの口からはっきり答えてほしい。
 東京都足立区、会社員、竹内孝宏さん(22) 事件の時、車内放送があったらしいが、私は耳が不自由で何が起こったのか分からなかった。病院では症状については、筆談で応じてくれたが、事件の全体がわかったのは、翌日、新聞を読んでからだった。
 入院した夜は、「耳が悪いうえに、目も悪くなるのではないか」との思いで、眠れなかった。緊急の場合、車内のどこかに、文字で情報を伝える工夫をするとか、駅員が手話をできるようにするなどしてほしい。
 麻原容疑者らはいつまでも否認しないで、早く本当のことを話してほしい。
 世間を騒がしておいて、今さら、オウム真理教を改善しようとしても信用されるわけがない。
 埼玉県、全社員、高木健一郎さん(35) 私のなかで事件は過去のことになっている。麻原容疑者まで有罪に持ち込むのは難しいのではないか。指示したといっても、立証できるのだろうか。できなければ、理不尽な判決になる。
 彼らはヘリコプターを買ったり、サリンをつくったり、我々とは価値観が違う。しかも、いまも同じ考えを持った信徒が活動していると思うと、あきれるしかない。
・法の裁き一刻も早く
 埼玉県春日部市、志田実さん(60) 都庁を定年退職するまで、あと10日で被害に遭った。残念だ。18日問入院したが、2日間の記憶がない。事件後、正体のしれない怖い夢を見て、楽しい夢や明るい夢を見なくなった。警察が、よくここまで追い詰めたと思う。麻原容疑者は「武士は何も言わない」などと逃げ回っているが、捕らえてみればただの小悪人だった感じだ。麻原容疑者や事件にかかわった幹部は、責任を取って、潔く罪に服してほしい。
 埼玉県草加市、会社員、金子晃久さん(32) 昔に比べて、用心深くなった。1人で夜道を歩いていると不安になり、振り返ってしまう。警察の取り調べに、本当のことをいわない態度は不愉快だ。裁判は、最短で結論をだしてもらいたい。麻原容疑者やサリンをばらまいた幹部たちは、死刑になって当たり前だ。
 埼玉県上尾市、会社員、黒川寿さん(32) 事件のことはあまり意識しないようにしているが、あわを吹いて倒れている人を何人も見た。死ぬと実感した。
 犯人は本当に「やらなきゃよかった」と思うほど苦しみ、そのうえで極刑を甘んじて受けてほしい。さもないと我々は、被害の受け損になる。賠償金などの問題ではない。
 千葉県成田市、営団地下鉄職員、岡野光政さん(50) あれだけのことをやったのだから、早く本当のことを言ってほしい。裁判が長引けば、事件のことが社会の記憶から薄れていく。できるだけ早く判決を出してもらいたい。
 東京都足立区、団体職員、関沢郁乃さん(23) 4日間、入院した。今も仕事をしていると目が疲れやすい。麻原容疑者や事件に加わったオウムの幹部には腹立たしさを覚える。「メロンなんて食べてる時ではないでしょう」と言いたい。11人も亡くなっだのだから、死刑にされてもおかしくないと思う。
 東京都江東区、医師、勝俣範之さん(31) 私は、クリスチャンだから、犯人には個人的恨みはない。むしろ、医者として、入院して命を助けてもらったという貴重な体験ができたと思っている。麻原容疑者は別として、幹部の人たちは指示されて行動したのだから、むしろ同情する。法できちんと裁いてほしい。
 東京都足立区、会社員、栗田洋子さん(19) 目の前で(乗客が)次々と倒れていった場面は、いまもはっきり覚えている。一番厳しい罪で罰してほしい。当時、着ていた服は、毒ガスに汚染されたということで、すべて捨てさせられた。私にとっては何年もの思い出がこもったものだった。
 千葉県柏市、会社員、紙井智子さん(27) 目の痛みが3週間ほど続いた。あの日の出来事はいまも信じられない。目の前で「あ、息が止まった」と言われた人がいた。生き地獄だった。厳しく裁くのは当然だ。教団の財産を処分して事件の被害者の救済に役立てるべきではないか。
 埼玉県、会社員、女性(22) 亡くなった人のことを考えれば、容疑者らは償いきれない罪を犯したと思う。マスコミは、加害者のオウム真理教のことを多く報道するが、被害者の声や現状をもっと取り上げてほしい。これだけ大変なことだということを伝えるべきだ。(朝日新聞)
■黙り込む出家信徒 地下鉄サリン起訴 尊師の潔白信じ… 教団、引き締め図る
 オウム真理教代表の麻原彰晃容疑者(40)の起訴で、信徒は一層黙り込むようになった。山梨県上九一色村の施設群や静岡県富士宮市の富士山総本部に残る数百人の出家者らは、麻原容疑者の逮捕後、しばらくは出入りしていた近くのコンビニエンスストアにも姿を見せなくなった。教団側は説法会や通達で「外部の情報に影響されないように」と引き縮めを図っている。
 富士山総本部の警備役の20代の男性信徒は「教団がなくなっても、友人と共同生活してでも信仰を続けたい。尊師が罪人なんて、信じたくない」と話した。玄関から出てきた若い男性信徒も「潔白なのに。(教団の)無実を信じている」と言った。
 麻原容疑者が逮捕された時に潜んでいた教団施設の「第二上九・第六サティアン」の前にいた男性信徒は「話すことはない」と言ったきり黙々となべを洗い続けた。信徒の多くは麻原容疑者の起訴にも、冷静に振る舞っている。
 麻原容疑者の逮捕後しばらくは、報道陣に教義を熱心に説いたり、コンビニエンスストアに立ち寄って雑誌の記事を目で追う信徒の姿が見られた。しかし、最近は、報道陣の姿を見ると無視したり、逃げたりするようになった。
 富士山総本部では今月1日から2日間、麻原容疑者の妻(36)らによる説法会が開かれた。信徒の動揺を静めるため、麻原容疑者の説法ビデオを放映したという。上九一色村の施設にいる出家信徒も、バスや車で集まり、参加した。
 教団内部ではこの間、「マスコミ報道を信用しないように」とか「外部と接触しないように」と繰り返し信徒に命じ、麻原容疑者の起訴による影響を抑えようとしていたといわれる。
 信徒のかたくなな態度も、教団にとどまろうと自分自身に言い聞かせている表れのようにも見える。教団所有の大型ヘリコプターを警備していた男性信徒は「俗世間では暮らせない。人間関係に自信がないから。修行に専念したい。逮捕や起訴のことなど、下っ端に聞きにこないで」と話した。(朝日新聞)
■地下鉄サリン事件 実行犯 11人の過去@ 丸ノ内線 中野坂上→霞ヶ関
 津軽富士と呼はれる岩木山は、まだ残雪を頂く。山のふもとには、濃い緑のリンゴ畑が一面に広がっている。
 この津軽平野の青森県板柳町に、外崎(とのざき)清隆(31)の実家がある。母親(54)は5月初め、清隆の弟2人とともに東京に向かった。
 都内の警察署で、7年ぶりに外崎と面会した母親は、こう呼びかけた。
 「元気だったか。体は大丈夫か」
 外崎は無表情に、「教団を抜けるつもりはない」としか言わなかった。約5分間の面会で、母親は〈ふつうの目つきではない。何かに取りつかれているのか〉と思う。
 外崎の生家は小さな農家で、50eほどの水田を耕す。父親は酔っては「オレは、分家だから農地が少ない。車の免許も取らせてもらえなかった」と、ぐちばかりこぼしていた。外崎は、それを聞くのがいやだった。
 「津軽は嫌いじゃない。でも、農家は継ぎたくない」と友人に漏らしていた。
 中学時代、あだ名は「ヒヨコ」だった。成績は中ぐらいで授業中に手を挙げて質問することも少ない生徒だった。
 1982年3月、地元の県立高校を卒業した外崎は、ローカル列車に乗り、故郷を後にした。東北新幹線が開通する直前のこと、夜行列車で東京を目指す。
 横浜市内のガソリンスタンドに勤めた。しかし、1年ほどで辞めて津軽に戻った。家でぶらぶらして、半年後に、中学時代の友人の誘いで、埼玉県熊谷市内の磁石製造工場に出稼ぎに出た。
 84年の春に津軽に帰り、その秋、川崎市内の自動車部品製造工場に出稼ぎに出た。21歳になった85年の春、再び津軽に戻り、秋になって、神奈川県内のテレビ部品製造工場に出かけた。
 出稼ぎの期間、中学時代の友人らと、一緒の寮に暮らしたことがある。休みには都内で働く故郷「板柳」出身の友人が、よく集まった。
 映画や女性の話に熱中しているとき、外崎が突然、みんなを驚かせた。
 「今度、インドに旅行に行がねはならね」
 「富士山に修行に行く」 86年の夏、神奈川県から帰郷した。友人らと、ゆかた姿で青森市のねぶた祭りに出かけ、彼もはねた。
 それから2ヵ月ほどして、2人の出稼ぎ仲間にオウム出版の本が、郵送されてきた。差出人は外崎で、住所はオウム真理教の都内の道場になっていた。
 翌87年3月、父親ががんで亡くなった。葬式の後、町内の食堂に姿を見せた外崎に、顔なじみのおばさんが「お父さん、死んだんだから、家継がないとね」と話すと、彼は黙ってうなずいていた。
 一周忌にも、外崎は帰郷した。見知らぬ男性2人が一緒だった。「もう少し家にいたら」という親類の勧めに耳をかさず、彼は2日後、2人の男性に連れ去られるように姿を消した。教団の資料では、この年の夏に出家したことになっている。
 その後、彼が家に戻ったことはない。
 外崎は今年4月初め、麻薬及び向精神薬取締法違反容疑で逮捕された。母親は近所の人たちに「大きな罪ではないので、家に戻れるかもしれない」と話していた。
 1ヵ月ほどして、彼は、地下鉄サリン事件の実行班として再逮捕された。
 外崎が、最初に津軽を出た82年、横山真人(31)は地元・神奈川県内の東海大学工学部応用物理学科に入学した。
 神奈川県平塚市の湘南キャンパスで、いつもジーパンとTシャツ姿で通す。友人からボウリング場に誘われても断ることはなかった。学生食堂の会話では、いつも聞き役に回っていた。
 86年4月、大学を卒業と同時に、電子部品の中堅メーカーに入社して、群馬県内の工場に配属された。独身寮から通勤し、機械の保守を担当していた。
 新入社員を紹介した社内報の「自己PR欄」で約50人の同僚は、仕事への意気込みや性格などを詳しく書いた。ところが、横山の欄には、生年月日と血液型しかない。
 入社1年目の夏、長期休暇から戻った横山は「本屋でオウムの本を見た。オレにはあれだ」と同僚に話した。
 週末、「実家に行く」と言って出掛けるようになった。このころから、教団のヨガ道場に通い始めたらしい。
 89年2月、彼は、出家を理由に退職を申し出た。
 「私は(教団内で)偉くなりたいんです。それには土、日だけの修行では足りない」と言って、「これを読んで勉強して下さい」と、上司にオウム出版の本を渡した。
 最後のページにはここの本を粗末にする者はバチが当たる」と記してあった。
 それから3ヵ月後、彼は、家族の反対を押し切って、「人類を救うために」と、出家した。(呼称略)
 東京・地下鉄サリン事件の実行班は、「サリン発散役」の5人、「運転・見張り役」だった5人、そして総指揮をとった井上嘉浩容疑者(25)の計11人とされる。
 それぞれの過去を追った。(朝日新聞)
■犠牲者数を11人に修正 地下鉄事件
 東京・地下鉄サリン事件で、事件による死者とされてきた12人のうち東京都品川区豊町一丁目、無職堀安雄さん(当時76)について、東京地検と警視庁築地・大崎署特捜本部は6日、「サリン中毒による死亡と証明できない」として除外した。これによって、事件の死者は11人となった。
 調べでは、堀さんは以前から心臓に持病があり、中毒死ではなく、病死の疑いが強いとされた。(朝日新聞)
■市バスとトラック衝突、乗客1人軽傷 右京の四条通
 7日午前10時半ごろ、京都市右京区梅津北広町の四条通で、滋賀県野洲郡中主町六条、ロジコム運輸滋賀営業所の大型トラック=村井俊夫運転手(24)=が、京都駅行きの市バス=森鉄雄運転手(47)=と衝突、バスの乗客の西京区嵐山東海道町、松木成之助さん(74)が割れた窓ガラスで右腕を切る軽傷を負った。市バスには約40人の乗客がいた。
 太秦署の調べでは、四条通沿いの工場から出ようとした大型トラックが曲がりきれず、切り返そうとバックしたところ、東行き車線で信号待ちしていた市バスと衝突したという。(京都新聞 夕刊)
■女性ひかれ死亡 右京の山陰線踏切(京都新聞 夕刊)
 7日午前6時20分ごろ、京都市右京区花園坤南町のJR山陰線踏切(警報機、遮断機付き)で、女性が亀岡行き普通電車にひかれ死亡した。太秦署の調べでは、京都市中京区内の無職の女性(71)で、遮断機をくぐり踏切内に入ったという。事故で、同電車が現場付近で22分間停車したのをはじめ、上下計12本が31分から3分遅れ、約8000人に影響が出た。(京都新聞 夕刊)
■遠藤容疑者ら3人起訴へ 地下鉄サリン
 地下鉄サリン事件で東京地検は7日、殺人と役人未遂の罪で、同日が拘置期限のオウム真理教「厚生省大臣」遠藤誠一(35)、「化学班」責任者土谷正実(30)、事実上の「法皇内庁長官」中川智正(32)の3容疑者を起訴する。
 殺人と殺人未遂罪での起訴は、6日の教祖麻原彰晃ら7被告と合わせて10人となる。
 これまでの調べでは、遠藤容疑者ら3人は麻原被告や刺殺された「科学技術省大臣」故村井秀夫氏らと共謀した上、山梨県上九一色村の教団施設でサリンを製造。3月20日午前8時ごろ、東京都内の地下鉄3路線5車両で、サリンの入った袋を傘で突き破ってサリンを発散させ、乗客ら11人を殺害するなどした疑いが持たれている。
 遠藤容疑者は麻原被告から事件の2日前の18日、「サリンを急いで作れ、地下鉄で事件を起こすのに使う」と指示され、土谷容疑者と一緒に散布したサリンを遠藤容疑者の研究棟「ジーヴァカ棟」で製造。中川容疑者は製造されたサリンをナイロンポリエチレン袋に充てんした、とされる。
 サリンの充てんされた袋を地下鉄車両内で傘で突き破ったとされるのは、6日に起訴された「科学技術省」所属豊田亨被告(27)や、「治療省大臣」林郁夫容疑者(48)ら。林容疑者は拘置期限の9日に起訴される見通し。(京都新聞 夕刊)
8日■12日全面開通へ工事を完了 阪急神戸線
 阪神大震災で不通が続いている阪急電鉄神戸線の西宮北口−夙川間(2.7`)で、復旧工事がほぼ完成した。これで、12日の全面開通が実現する。
 西宮北口−夙川間は、震災で軌道敷と高架橋が3ヵ所にわたって崩落。阪急電鉄では、この区間のほぼ全域で、橋脚・道床を含むすべての施設を建設し直していた。震災から4ヵ月半余りたった現在、崩落個所はすべて震度7にも耐えうる構造に変えられ、ひと回り太くなった高架橋が姿を現した。
 9日夜には、実際に電車を走らせる予備走行の計画もあり、10日からは本格的な試験走行を行う。(京都新聞)
■新幹線 新大阪に第2指令室 JR東海とJR西日本 東京の「直下型」想定
 阪神大震災で新幹線設備が予想以上の被害を受けたのを踏まえて災害時の体制を検討していたJR東海とJR西日本は、7日までに、東海道・山陽新幹線の運行を管理する第二指令室を、2社で協力して新大阪駅近くに建設することで合意した。東京での直下型地震を想定した対策で、東京にある総合指令室が被害を受けた場合のバックアップ機能を果たす。
 設置場所で合意した新大阪駅付近は、@新幹線の高架下などに社有地が確保できるAJR東海・西日本の管轄区間の中間地点にあるB東京から離れていて地震の危険を分散できる、などの理由から選ばれた。
 総合指令室は、東北・上越新幹線の総合指令室とともに東京・八重洲にある。指令室にある列車集中制御装置(CTC)などの運行管理システムは、新幹線の運行状態を監視して遠隔操作する、いわば「頭脳」。ここが地震などで機能しなくなると、東海道・山陽新幹線は被害を受けていない区間も含め、全線で通常運行ができなくなる。
 第二指令室は、2社が共同して運営する。
 通常は保守要員だけを配置し、緊急時には指令室に勤務した経験がある社員らが駆けつけ、業務にあたる。
 今夏には結論を出して着工したい意向だが、本格的な設備にした場合、費用は概算で100億円以上かかるという。
 JR西日本は4月から「大規模災害対策検討委員会」(委員長、南谷昌二郎副社長)を開催し、第二指令所の設置や本社機能の代替、通信網の多重化などについて協議している。大阪市北区にある本社の機能については、大阪が災害にあった場合、京都支社(京都市南区)に一時”疎開”できるようにする方向で準備を進めている。(朝日新聞)
■地下鉄サリン 製造関与6人起訴
 東京地検は7日、3月の地下鉄サリン事件で使われたサリンの製造に関与したとしてオウム真理教「厚生省」ナンバー2で「化学班」キャップの土谷正実容疑者(30)、同省トップの遠藤誠一容疑者(35)、「法皇内庁」トップの中川智正容疑者(32)の3人を殺人と殺人未遂の罪で、ほかの3人を殺人予備罪で東京地裁に起訴した。この事件に絡むサリン製造グループの起訴は初めて。土谷容疑者らは、昨年6月の松本サリン事件で使われたサリンの製造などにも関与した疑いが持たれており、捜査当局は今後、同事件でも詳しく調べることにしている。
 殺人予備罪で起訴されたのは、教団信徒の長谷川茂之(26)、藤永幸三(34)、富樫若靖夫(35)の各容疑者。また、関野行雄(36)と畑島俊司(29)の2信徒が処分保留で釈放された。(朝日新聞)
■トラックが衝突し 市バス乗客がけが 四条通で信号待ち
 7日午前10時半ごろ、右京区梅津北広町の四条通で、滋賀県甲賀郡石部町宮の森二丁目、運転手村井俊夫さん(24)運転のトラックが、停車中の市バス=森鉄雄運転手=の右側面に衝突した。バスの乗客の西京区嵐山東海道町、松木成之助さん(74)が、割れた窓ガラスで手に軽いけがをした。
 太秦署の調べでは、トラックが、道路に面する工場から四条通に出る際、切り返しのために後退中、後方をよく注意していなかったらしい。バスは信号待ちで停車中だった。(朝日新聞)
■鉄道橋を診断します 中国で三菱商事とJR総研 安全向上へ新事業
 鉄道が旅客、貨物輸送の大動脈となっている中国で、鉄道橋の安全性を教断するビジネスに、三菱商事とJRの鉄道総合技術研究所(JR総研)が参入することになった。まず試験的に今月末から来月初めにかけて、黒竜江省ハルビン市の鉄橋を検査した後、国内の幹線に対象を広げていく計画だ。
 中国は検査態勢が不十分なため、古くて強度がわからなくなった橋が多く、鉄道の電化・高速化を妨げている。頭を痛めた中国鉄道省が、日本側に診断技術と機材の提供を要請していた。機材は1組3000万円弱で、日本側は100組単位の商売になると見込んでいる。
 最初に検査するのは、ハルビン市を流れる嫩江(ネンチアン)にかかる全長830b、高さ11bの鉄橋。1933年の完工で、老朽化のため通過列車は時速45`に減速している、という。検査には中国側から鉄道省の工務局とハルビン管理局、鉄道科学院が参加する。
 診断機材は、JR総研が開発した携帯型を利用。橋脚部分に重さ30`のおもりを数回当てて、起きる振動を測ったり、列車が通過する時に橋げた部分に起きる荷重やたわみ、揺れを測定する。
 検査結果から安全に通過できる列車の重さと速度の限界のほか、橋が落下するなど重大事故に結び付く亀裂が、今はなくても将来いつ、どの部分にできるかを予測できる、という。データを蓄積して、橋ごとの「診断カルテ」をつくり、今後の補修工事に利用する。
 中国の鉄道は全長7万`。全体の2割に当たる4500の橋が、1949年の建国以前につくられたもの。中国側は今後、首都北京と広東省広州市を結ぶ大動脈、「京広線」などで検査を進める計画だ。(朝日新聞)
■トンネル新工法はシールド 世界最大の掘進検使い 工期・費用を節約 大成建設
 大成建設は世界最大のシールドマシン(掘進機)を使って縦方向にトンネルを掘る「シールド工法」を開発した。従来工法に比べて25%程度、工期と費用が節約できるという。地上の鉄道で営業を続けながら路線下にさらに鉄道用トンネルを造る複々線化工事などに活用する。
 シールド工法は、筒状のシールドの内部でトンネルの内壁を造りながら、先端に取り付けられた刃を回転させて掘り進む。横方向にトンネルを掘るのに使われる工法だが、大成はこれを縦方向のトンネル(竪坑)に応用した。これまで最大のシールドは東京湾横断道路に使われている直径14.1bだが、「シールド」では直径20bのシールドが使える。
 鉄道などの大きな構造物を地中深くに造るには、機械の搬入口や、完成後の乗客の避難口などのために、直経が大きい竪坑が必要とされる。従来は、地中に壁を造って坑の周囲を囲い、内部をパワーショベルなどで掘り下げる「連続地中壁構築工法」が使われていた。
 従来のシールドが直径より奥行きが長い茶筒形だったのに対し、「シールド」では、刃を回転させるモーターなど内部の機器を工夫し、奥行きを抑えた「たらい形」にしたため、地上の線路の下に潜り込ませて竪坑を掘ることが可能になった。
 すでに日立建機がシールドマシンの設計を終えており、早ければ今年度中にも実際の工事に使われる予定。(朝日新聞)
■地下鉄サリン事件 実行犯 11人の過去A 丸ノ内線 池袋→霞ケ関 大企業内定けり出家 広瀬被告/ヨガに通い高校中退 北村容疑者
 早大理工学部の教授(68)は10日、まな弟子の広瀬健一(30)一家の故郷を訪ねる。
 1986年の夏、その山梨県内の村で研究室の10人が参加して合宿をした。広瀬の親類の経営する民宿だった。
 理論物理の卒業論文や修士論文のテーマについて討論している席だった。広瀬がいきなり発言した。
 「僕は人間の健康法に興味を持っている」
 東洋医学めいた内容に仲間は「何だ。それは物理か」と苦笑いした。教授は〈変なことを言い出したな〉と思う。
 地下鉄サリン事件で広瀬が起訴され、教授は当時の広瀬の姿を重ね合わせていた。
 〈広瀬が「幼いころ、イワナやヤマメをよく釣った」と話していた、その地を再訪したい。シヤクナゲの咲く山道を歩けは、憂うつな気分も少しは晴れるかもしれない〉
 87年の春、広瀬は応用物理学科を首席で卒業した。修士課程に進み、超伝導の研究を本格的に始めた。
 その6月、教授は広瀬の研究成果を織り込んだ連名の論文を京都での国際会議に提出した。しかし、論文は認められず、送り返されてきた。
 広瀬は「判定はナンセンスだ」と教授に話す。高校時代から、常にトップクラスを走っていた彼にとって、多分、初めてのつまずきだった。
 「この研究を続けても、ものになる気がしない」と先輩に漏らすようになった。
 それから1ヵ月ほどして、オウム真理教のヨガ道場に通い始めた。「書店で立ち読みした本がきっかけだった」と友人らに言う。「修行をすれは頭が良くなる」と、研究仲間も誘うようになった。
 翌88年10月、研究室に来るなり、「先生、出家することにしました」。本人の希望で大手電機メーカーの研究所に就職が内定していた。
 1週間後、教授はほかの教官と一緒に研究棟のロビーに広瀬を呼び出した。
 教授「この時期に内定をけるのは非常識だよ。先方に失礼だ。君は将来を約束されている。研究を続けろ」
 広瀬「悪いとは思います。でも教団は将来、大学をつくる。出家しても物理の研究はやめません」
 教授「若者を家出させる、ふらちな宗教だ」
 広瀬「釈迦(しゃか)も同じことをして非難された。宗教の初期は、そういうもので、正しい行いです」
 教授「空中浮揚は、慣性の法則に反する。学問を積んだ者が、ばかなことを、なぜ信じる」
 広瀬「見た」
 計3回の説得にもかかわらず、広瀬は修士課程修了の直後に出家した。
 出家後も1年ほどは研究室を訪れ、書物をあさり、教授に〈レーザー研究かな〉と思わせる質問もぶつけた。
 その後、教授は広瀬との連名の論文を仕上げ、スイスでの国際会議で発表した。広瀬の3年間の研究成果が国際舞台で認められた。しかし、広瀬は今もそれを知らない。
 教授は考え続けている。
 〈サリンの袋を渡された時、地下鉄に向かう時、彼は何を考えていたのだろうか〉
 名古屋市内の私立高校に通っていた北村浩一(27)は1年生の秋ごろから突然、欠席が目立つようになった。「風邪で休みます」「腹痛で登校できません」。3、4日続けて休むことも多かった。
 ある日、職員室に呼び出した担任教師に、北村は「だれにでも能力はある。そのうちきっと、力を発揮できると思う」と話した。
 2年生になって、教室にほとんど姿を見せなくなった。担任教師が家庭訪問すると、北村は「明日から学校へ行きます」。翌日は登校するが、次の日から欠席してしまう。
 自宅の部屋で「短時間睡眠で能力を上げる方法」などと書かれた本を読んでいた。ヨガに興味を持ち始め、横浜などで開かれたヨガのセミナーなどに通うようになった。
 85年2月、3年への進級を前に、退学を決めた。母親と2人であいさつに来た北村に担任教師が話しかけた。「学校を辞めても、勉強は続けるんだよ」
 「はい」
 「両親を心配させては、だめだぞ」
 「はい……」
 うつむきかげんの北村はこの日も、口数は少なかった。
 退学した後、両親を説得して出家した。
 それから丸10年が過ぎた。地下鉄事件の殺人、殺人未遂容疑で特別手配されている。
 指名手配の前、母親は「帰ってきてほしいとは思う。でも、自分の意思で入ったので、その意思を尊重したい」と話していた。(呼称略)
 捜査当局の調べでは、東京・地下鉄サリン事件で、広瀬健一被告は営団地下鉄丸ノ内線池袋駅から乗り込んで、サリンを発散させ、北村浩一容疑者が広瀬被告の送迎をしたとされる。(朝日新聞)
■関西大手私鉄5社 運賃14.1%(平均)値上げ 9月1日に実施 運輸審答申 上げ幅圧縮
 運輸審議会(運輸相の諮問機関、石山陽会長)は8日、関東と名古屋、関西の大手私鉄14社と帝都高速度交通営団(営団地下鉄)が申請していた運賃値上げを認める答申を亀井運輸相に提出した。私鉄各社の値上げ率は景気への影響や円高差益の還元を考慮し、全社平均で14.7%(申請19.7%)に圧縮、実施時期も夏休みの需要期後にずらした。
 亀井運輸相は9日の物価問題関係閣僚会議に答申を報告、了承を得て同日にも9月1日からの実施を認可する。関東と関西の私鉄が一斉に値上げするのは1991年11月以来3年10ヵ月ぶりで、認可から実施まで3ヵ月近くも空くのは初めて。
 関西5社の値上げ率は、申請より5.0%圧縮されて平均14.1%となった。前回(1991年11月実施)に比べ、0.9ポイント高く、ここ14年間では最高の上げ幅となった。特に、通勤定期の割引率は、40%台の4社のうち3社が30%台に下がり、通勤族には懐の痛む軟となりそう。
 答申された各社の値上げ率は、阪神が最も高く14.9%。次いで、南海14.8%、近鉄14.4%、京阪13.5%、阪急13.1%と続いている。
 初乗り運賃は、5社とも現行120円から150円(阪神のみ140円)にする申請がそのまま、認められた。これに伴い、競合するJR線の運賃を上回る線区も増え、阪急神戸線では三宮−王子公園間の普通運賃が150円となり、JR(元町−灘)より30円高くなる。
 通勤定期の値上げ率は、5社平均で17.0%。割引率は、これまで京阪を除く4社とも40%台を維持していたが、答申では阪神が36.1%と一挙に6.0%も下がったのをはじめ、近鉄を除き軒並み30%台に落ちた。
 京都からの主な通勤定期運賃(1ヵ月)は、阪急の河原町−梅田が1万4790円(現行1万4200百円)、京阪は三条−淀屋橋が1万4720円(同1万4020円)、近鉄では京都−丹波橋が7200円(同6030円)−などとなる。
 今年1月の申請で5社は、定期を中心にした運賃収入の落ち込みと、輸送力増強のための設備投資増大を理由に挙げていた。答申通り認可されると、5社の増収率は平均21.4%となる見通し。(京都新聞 夕刊)
■関西私鉄5社14.1%値上げ 初乗り20−30円 運輸審答申 9月1日から
 私鉄大手14社の運賃値上げ申請を審議していた運輸審議会(石山陽会長)は8日、平均14.7%の値上げ率が適当、と亀井静香運輸相に答申した。申請では19.7%の値上げ率だったが、「各社に一層の経営努力を促すため」として5%幅圧縮した。このうち近鉄、南海、京阪、阪急、阪神の関西5社の値上げ率は平均14.1%で、初乗り運賃は近鉄、南海、京阪、阪急の4社が現行の120円から150円に、阪神が120円から140円になる。
 運輸相はこの答申を、9日に予定されている物価問題関係閣僚会議の了承を得て即日認可する。実施は9月1日の予定。5社の値上げは、1991年11月以来となる。
 5社の平均値上げ率は、前回の13.2%を大きく上回り、81年5月以来14%を超えた。各社別=別表=に見ると、阪神が最高の14.9%。次いで南海、近鉄、京阪、阪急の順になっている。
 答申では、今回の値上げによる全国消費者物価への影響を、14社合わせて0.06%と試算している。
 競合するJR西日本よりも運賃が高くなる「逆転区間」は普通運賃でこれまでの24区間から48区間に増える。南海の難波−和歌山市間がJRの天王寺−和歌山問(820円)より50円高くなる。すでに逆転区間となっている近鉄の難波−奈良間も、JRの天王寺−奈良間との差額が30円から80円に拡大する。通勤定期では、この逆転区間がさらに増え、現在の70ヵ所から104ヵ所になる。
私鉄値上げ率(%)と初乗り運賃
 普通
運賃
通勤
定期
通学
定期
平均初乗り
運 賃
近鉄11.019.019.014.43`150円
南海13.916.115.014.83`150円
京阪12.814.117.513.53`150円
阪急11.315.616.713.14`150円
阪神12.119.815.014.94`140円
関西5社11.817.017.614.1
 定期割引率は、5社平均で通勤が40.3%(現行43.0%)、通学が79.7%(同80.5%)。申請は通勤が40.8%、通学が80.5%だったが、前回に続いて割引率が申請より低く、利用者負担が重くなる内容になった。通勤ラッシュ緩和のための設備投資が値上げの主な理由になっていることから、答申では、ラッシュの原因をつくっている利用者が負担すべきだとしている。
 また、実施を9月1日まで延ばすことについて、運輸省は、景気の回復が本格化していないこと、阪神大震災の被害で私鉄の不通区間が残っていることなどを配慮した結果だと説明している。震災の被害を受けた阪急と阪神は、値上げが認可されても全線開通するまでは実施を凍結することを表明していたが、結果的に開通後、一斉実施されることになった。(朝日新聞 夕刊)
■私鉄運賃アップ 再値上げも視野に? 阪急・阪神に被災”後遺症”
 阪神大震災で大きな被害を受けた阪急電鉄と阪神電鉄は、今回の運賃値上げで新たな試練に直面することになった。値上げ率は震災前の経営状態をもとに計算されており、収支の均衡を図るためには再度の値上げは必至。しかし、他社との競合を考えると上げたくても上げられず、両社の幹部は再値上げに否定的だ。
 被災地の阪神間には、JR、阪急、阪神の3線が並行して走っている。安さと便利さを売り物にする私鉄に対し、JRは速さを強調、互いに競い合ってきた。ところが、震災で、そのバランスが崩れてしまった。
 4月1日、JR東海道線がほかの私鉄に先駆けて全線開通した。この日から5月31日までの乗客数の対前年比を見ると、阪急神戸線が70%、阪神全線が88%なのに対し、JR東海道、山陽線は112%。不通区間の残る阪急と阪神の乗客がJRに流れていることを示している。
 阪急は今月12日、阪神は同26日に全線で運転を再開する予定だが、JR西日本の井手正敬社長は「歩留まりを期待していないというとうそになる」と発言。JRは、夏に大阪−姫路間でさらにスピードアップを図った新型車両の新快速電車を登場させ、流れてきた客の引き留めを狙っている。
 今回の値上げで、阪急・阪神とJRとの運賃格差は、普通運賃が大阪−三宮(三ノ宮)間で110円から90円に縮小。通勤定期(1ヵ月)では、JRが1万1740円なのに対し、阪急・阪神は1万2250円と逆転してしまった。値上げはいまや、「安い私鉄」の看板を下ろし、攻めるJRに白旗を上げる行為にもなりかねない。
 今回の運賃値上げの目的は、1995年度の鉄道部門で収支均衡を図ることだ。しかし、震災で、阪急が550億円、阪神が620億円の被害を被り、95年度の減収も阪急が114億円、阪神が95億円を見込んでいる。今回の申請内容は震災前に計算された数字で、95年度に収支が均衡するためには、再度の値上げが必要になる。
 しかし、再値上げは、弱まった競争力を一気に失わせる恐れがある。阪急の菅井基裕社長は「(再値上げは)全く考えていない。認められた運賃でその日その日のベストを尽くすしかない」。阪神の飯塚卓専務は「(再値上げについては)まだ何とも言えない。まず復旧が先決で、その後、当社の経営状態を考えて決めたい」と慎重だ。
 阪急の社員(25)は「確実に乗客が減り、危機感を感じている。これまでは『まず復旧』と突っ走ってきたが、これからはさらに気持ちを引き締めてサービスの向上に努めなければ」と話していた。上げたくても上げられない状態の中で、阪急と阪神には一層の経営努力が求められている。
・「震災あり仕方ない」「復興は値下げ」
 大手私鉄の運賃値上げについて、阪神大震災の被害を知る利用客からは「しょうがない」とあきらめの声も漏れた。だが、大阪−三宮(三ノ宮)間の通勤定期がJRより高くなってしまうなど、これまで私鉄の最大の強みだった「安さ」の魅力は消えつつある。「JRも使ってみたら案外便利だった」と、私鉄からの乗り換え希望者。客離れをどう食い止めるのか。値上げは、震災で大きな赤字を抱えた私鉄各社にとっても厳しい選択になる。
 「値上げは地震の前から言っていたことだし、仕方ない。復旧工事で費用もかかるだろう。その分、駅の構内に郵便ポストを設置したり、乗り継ぎを便利にするなどのサービスをよくしてくれるなら…」と大阪府豊中市の会社員、小野由美子さん(31)。震災前は阪急で豊中から三宮まで通勤していたが、現在は阪急で梅田まで行き、JRに乗り換えて元町に通っている。
 大阪市西区に住む会社員、石川佳樹さん(26)は批判的だ。震災前、阪神電鉄の梅田−元町間を利用して、神戸市中央区に通勤していた。いまはJRで大阪から神戸まで通っている。「値上げ理由について納得できるように説明すべきだ。これまでは梅田始発の阪神の方が便利と思っていたが、乗ってみるとJRでも座れるし、終電も遅い」と話す。
 被災地でも批判とあきらめの声が交じる。西灘−御影駅間が復旧工事のため今も不通になっている阪神。西灘駅で、御影駅行きの代替バスを待っていた兵庫県明石市の会社員磯上茂一さん(47)は「せっかく再開した後に値上げするのは困る。でも、しかたないでしょう。会社に行くのに都合がいいので、ほかの交通機関は考えられません」。
 阪急夙川駅から西宮北口駅行きの代替バス乗り場。伊丹市内の鉄鋼部品メーカーに勤める西宮市内の男性(60)は、電車と代替バスを乗り継いで通勤する。「震災や円高、不景気で中小企業は最も苦しい時期。そんな時に大手私鉄が一斉に値上げするのは解せない。よそがやるからうちも、というのでは競争原理が働いていない。復興のために、値下げしてもいいぐらい。ただ、阪急と阪神は復旧費用も莫大(はくだい)だろうし、仕方がないとも思う」と話していた。(朝日新聞 夕刊)
9日■社説 私鉄値上げで言っておきたい
 大手私鉄14社と営団地下鉄の運賃が9月1日から平均14.7%アップする。運輸審議会が各社からの値上げ申請(平均19.7%)に対し、上げ幅を圧縮して認める答申を出し、亀井運輸相が認可する運びとなった。1991年11月以来、3年10ヵ月ぶりの値上げである。実施を夏休みの後にずらすのは、値上げによる利用者の心理的負担や景気への悪影響を防ごうとの気遣いだろう。
 現行の私鉄運賃制度は鉄道部門での収支均衡を土台にしている。各社とも旅客が横ばいや減少傾向にある一方で輸送力増強など投資をしているだけに、値上げも一定理解できないわけではない。
 だが、素直に値上げを認めるには、どうも割り切れないというのが、大半の利用者・市民感情と思う。
 第一は、物価が安定しているのに、なぜ値上げかという疑問である。関西大手5社(近鉄、阪急、南海、京阪、阪神)の値上げ率は平均14.1%(申請19.1%)で、通学定期は17.6%、通勤定期も17.0%のアップとなる。
 他業界ではリストラに懸命だし、価格破壊など競争も激しい。賃上げも少ない今日だけに、算定方式があるにせよ、首をひねりたくなる。
 また、審議会は定期の割引率はこれまで高すぎた、との認識だが、負担する親や通勤定期の自己負担を伴うサラリーマンらには、まことに厳しい。雇用や賃金に先行き不安があるいま、値上げが買い控え・出控えムードを呼べば、景気腰折れの要因にもなりうるだろう。
 一斉値上げへの疑問もぬぐえない。関西5社の先の3月期決算によると、旅客収入では2社が増収、不動産や観光など他部門を含む売上高では3社が前期を上回り、経常利益では4社が減益。業容が違うのに、値上げが14.9%から22.1%という横並びは理解しにくい。
 阪神大震災で大きな被害を受けた阪急はこの12日、阪神も26日に全線開通する。関係者の懸命の復旧努力によるもので敬意を表するが、両社で定期客離れが顕著なのも事実である。他社も含め今後の収支によっては、日を置かずにまたぞろ値上げとならないかどうか。
 同時に、各社は値上げによる増収で、ラッシュの混雑緩和、お年寄りや障害者のためのエレベーターなどの整備をどう進めるか、異体的に示してほしい。経理内容の完全な公開の必要性も、値上げ申請時に指摘した通りである。
 私鉄各社は従来、合理化、省力化とともにスピードアップや新型車両開発などサービス競争にしのぎを削ってきたが、阪神大震災は改めて「安全第二を浮き彫りにした。肝に銘じてほしい。(京都新聞)
■JR西日本 定期券コピー許さん 不正防止に新種券 昨年度の不正乗車 7500万円返還請求
 昨年度中にJR西日本の駅や列車内で見つかった定期券と乗車券の不正使用は、計3236件で、割増分を含めた返還請求総額は、7500万円にのぼることが、8日までの同社の調べで明らかになった。同社は、とくに定期券の不正使用を減らすため、7月からカラーコピー防止機能を持つ新種の定期券発売を始める。
 まとめによると、不正乗車は、変造や期限切れ使用など定期券に関するものが最も多く1215件。返還請求額全体でも、6700万円と全体の89%を占めた。
 支払い請求の最高額は、広島県内の駅で摘発された60歳代の男性で、総額420万円。この男性は4年前に期限切れになった1ヵ月定期券を、年月日表示の数字を指で押さえ隠す手口で連続使用していた。
 定期券の不正使用では最近、カラーコピーを使用するケースが目立ち始めておリ、同社は券の原紙を変えた「コピー対策定期券」を開発。7月から売り出す。表面に特殊印刷し、コピーをした場合、表面に「コピー」の文字が現れる。券の下部に帯線を入れ、1年ごとに帯の色を変えて、不正使用しにくいよう工夫した。同社は年間850万枚をこの券に替える方針。(京都新聞)
■2年半ぶりダイヤ改正 19日から京阪電鉄
 京阪電鉄は8日、京阪本線、鴨東線、宇治線、交野線で通勤ラッシュの混雑を緩和するため、約2年半ぶりのダイヤ改正を6月19日から実施する、と発表した。今回の改正は当初、3月末に予定していたが、新型車両を発注した神戸市内の工場が阪神大震災で被災し、車両の納入が遅れたため延期されていた。
 改正では平日の午前7、8時台の輸送力増強。本線では樟葉発淀屋橋行きの急行2本を、宇治線では上下各2本の普通を増発するほか、本線の準急や区間急行計4本に車両を増結するなどラッシュ時の混雑率を緩和する。
 JR奈良線と競合する宇治線では終日、電車を増発。平日は上下各15本、土曜は同17本、休日は同11本を新たに運行。これまで約15分間隔だった昼間の運転を約7.5分間隔にする。このほか、平日の午後10時以降の時間帯の宇治線、交野線の運転本数を増やすなどして、本線との連絡を改善する。(京都新聞)
■来春の開通めざし 電化工事急ピッチ 福知山−天橋立間
 京都と丹後をより早く結ぶため、北近畿タンゴ鉄道(事業本部・宮津市)の宮福線と宮津線の福知山−天橋立駅間で、高速・電化工事が、急ピッチで進められている。来春の開通予定で、電化が完成すると、京都−天橋立駅間が特急で現在より約25分短縮され、約1時間40分で結ばれる。
 高速・電化工事は、宮福線が福知山−宮津駅間の30.4`区間で、宮津線は宮津−天橋立駅間の4.4`区間で進められている。
 高速化は曲がりくねった場所の外側レールを高くして傾斜をつける路線改良や継ぎ目を少なくしたロングレール化などが行われている。
 電化は、線路両側の電柱建設から、電車に送る1500ボルトの直流送電線、電車のパンタグラフが擦れるトロリー線、トロリー線をつり下げるちょう架線などを張る工事だ。
 京都−天橋立駅間を走る電車の車種や本数は、JR山陰線との絡みがあり、まだ決まっていない。
 現在走っている北近畿タンゴ鉄道の特急タンゴエクスプローラーなどディーゼル列車はこれまで通り走るが、電化改良で、時間短縮ができるものと期待されている。(朝日新聞)
■通勤、通学時間帯 12日から新快速停車 JR神足駅
 長岡京市のJR東海道線神足(こうたり)駅に、大阪方面への通勤・通学客のため、12日からラッシュ時に限り、快速電車が停車することになった。
 JR西日本によると、周辺の人口増などで、神足駅の1日の乗降客は、京都−高槻間の途中駅では最多の約2万8000人。1989年から93年までに20%増えているが、現在は普通電車だけが停車している。
 12日からは、午前7時28分−8時16分の間、大阪方面行きのみ、快速9本が停車する。高槻で普通電車を快速に乗り換え、30分かかっていた神足から大阪までが、直通で26分に短縮される。
 また午後6時11分−8時56分の間は、大阪方面から京都方面へ向かう上りのみ、快速が15本停車する。(朝日新聞)
■地下鉄サリン事件 実行犯 11人の過去B 日比谷線 上野→×→霞ケ関 脱退3日再び教団へ 杉本被告/電車で本読み道場に 林容疑者
 3月9日の夜遅く、杉本繁郎(35)の広島市の実家の電話が鳴った。母親(70)が受話器を取ると、オウム真理教の出家信任となった一人息子の声が耳元に響いた。
 「元気か」
 「元気じゃ」
 「ぼくも元気じゃけん」
 「いま、どこにおるの」
 「東京におる」
 「周りに2人おるだけじゃ」とも言った。1ヵ月に1度ほどの「定期電話」だった。
 それから10日ほどたった午後3時ごろ、母親は女性からの電話を受けた。
 「杉本君は元気ですから」と言う。そんな電話は初めてだっただけに、不審に思った母親が問いただすと、女性はこう説明した。
 「杉本君は『お袋がこういうこと聞いたら、大泣きするじゃろう』とか、言ってましたよ」
 その直後、東京・地下鉄サリン事件は起きた。母親は、「息子からの伝言」の意味を知ることになる。
 杉本は1982年、岡山市内の私大を卒業後、広島市内で証券会社に就職したが、体調が思わしくなく、1年4ヵ月で退職した。少し間を置いて勤めた建設会社は2ヵ月で倒産したため、失職した。
 日暮れになると、広島市内の町外れにある喫茶店に、毎日のように顔を出す。
 カウンターの一番奥の定位置に座った。日焼けした男性が現れて声を掛けた。
 「お−っ、また来とったんか」。高校時代に陸上部員だった杉本は、顧問の恩師(55)が帰宅途中に週2、3回、その喫茶店に立ち寄ることを知って店に通い出す。
 「お前、アホか。考える暇があったら働け。働いてなんぼのもんよ」
 恩師にしかられながら、杉本は世間話に興じた。
 1年ほどがたち、杉本の姿は喫茶店から消えた。
 健康法としてヨガを習い始め、オウムの本を読みふけるようになった。麻原彰晃(40)の「空中浮揚」が表紙を飾る「超能力秘密の開発法」が自宅の部屋の本棚に並ぶ。
 87年ごろ、杉本は「ヨガをやりたい」と両親に説明して出家した。母親は〈悪い道を選ぶことはないだろう〉と思い、引き留めなかった。
 4、5年がたつ。教団幹部の新実智光(31)らが訪ねてきて、「杉本が教団の車で逃げた」と両親を問い詰めた。
 その直後、息子から実家に電話があった。
 「教団を脱退した。先に脱退した友だちがおるから、そこへ寄って相談して、就職を決めてから帰る」と話す。
 両親は「そんなこといいから、はよ家に帰っておいで」と説得して、その夜のうちに帰ることになった。
 父親(72)は広島駅のホームまで迎えに行った。列車から降りた息子は手ぶらで、「帰ってきたよ」と言った。
 顔つきは出家前と変わっていなかった。両親は、分厚いビフテキを平らげる息子を見て、一息ついていた。
 戻って3日目、新実ら信徒3人が、杉本を教団広島支部に連れ出した。杉本は「また(教団に)帰るから」と言って再び家を出た。今回も両親は口をはさまなかった。
 93年8月、父親が広島市内の病院に入院した。母親が教団に連絡すると、息子は白いオウム服姿で現れた。
 手術の前日、親子3人は30分ほど会った。息子は「頑張ってね」と言ったが、さらに付け加えた。
 「人間は、死んだら生まれ変わるんじゃから」。以前よりも、息子の目元はきつくなっていた。
 見舞った後、息子は「かあさん、久しぶりだから、食事しようか」と話した。
 それ以後、二度と会うことはなかった。
 83年の春、工学院大学電気工学科を卒業した林泰男(37)は「就職はいつでもできる」と母親を説き伏せ、インドなどに放浪の旅に出た。
 計3年間にわたる2回の旅のあと「体が硬直する」と訴えるようになった。病院を回ったが、原因は分からない。
 母親の友人の紹介で神奈川県内の「おがみ屋」に通う。行き帰りの電車でオウムの本を読むようになり、教団のヨガ道場に通い始めた。
 入信後の87年の秋、東京都内の小さな配電工事会社に就職し、現場監督を務めた。
 88年の夏ごろから、林の使っていた会社の車の走行距離が、増え始めた。問い詰めた社長に、林は「(静岡県)富士宮に教団施設の建設で通っている」と答えた。
 その年の暮れ、富士宮市の教団富士山総本部は完成した。そして、林は出家した。(呼称略)
 林泰男容疑者=殺人、殺人未遂容疑で特別手配中=は営団地下鉄日比谷線上野駅から乗り込み、秋葉原駅直前付近で車内にサリンを発散させ、杉本繁郎被告=殺人などの罪で起訴=が林容疑者の送迎をしたとされる。(朝日新聞)
■京阪がダイヤ改定
 京阪電鉄は8日、宇治線(宇治−中書島)で列車本数を大幅に増やすなどのダイヤ改定を、19日から実施すると発表した。
 列車を平日で1日15本、土曜日で同17本、休日で同21本増発する。
 このほか、京阪本線の樟葉−淀屋橋間で朝の通勤時間帯に急行を2本増発するなど、ラッシュ時の混雑緩和を図る。(朝日新聞)
■横浜駅の刺激臭事件 初の労災認定
 JR横浜駅周辺で4月19日に発生した刺激臭事件で、横浜南労働基準監督署は8日、労災申請を出していた横浜市港南区の会社員(31)に対し、労災認定したことを明らかにした。この事件で労災認定は初めて。(朝日新聞)
■JR東日本 STAR21 400`の壁ついに突破
 JR東日本が開発中の次世代新幹線「STAR21」が8日深夜、試験走行で時速430`を記録、日本で初めて時速400`の壁を突破した。同社が持つ国内最高速度391`を上回り、フランス国鉄、ドイツ国鉄に次ぐ世界3位の記録。
 試験走行は上越新幹線の越後湯沢−新潟間の下り線で実施され、午後11時50分すぎ、燕三条駅を通過直後、運転席の速度計が「400」を表示すると乗り込んだ約100人の技術者の間から拍手がわいた。
 STAR21は東海道・山陽新幹線のぞみを上回る時速350`域での営業運転を可能にするための実験車両で、航空機技術を取り入れて車両重量を従来の新幹線の半分にし、空気抵抗を極力少なくするスマートな外観になっている。
 JR東日本では今月中にさらにスピードを上げたテストを実施する予定で、世界2位の記録達成が期待されている。(京都新聞 夕刊)
■ニュートラムまたトラブル 送電故障、朝の足混乱
 9日午前4時半ごろ、大阪市営新交通システム「ニュートラム」で送電を始めたところ、フェリーターミナル−南港東駅間の上り線約800bで、送電できないトラブルが発生した。
 同市交通局で原因を調べたところ、フェリーターミナル駅の南約170b付近で、前日取り換え工事をした電車線(側壁に取り付けた送電用の線)で、電気を流すケーブルと電車線との接続に間違いがあることが分かった。
 このトラブルで始発から上り4本、下り4が運休し、約150人の乗客に影響が出たため、交通局は代行バスを運転した。(京都新聞 夕刊)
■のぞみが緊急停車 名古屋
 9日午前11時半ごろ、JR東海道新幹線の東京発博多行き「のぞみ9号」が名古屋駅の約400b手前で緊急停車した。
 このため同新幹線下り線は同日正午現在、東京−名古屋駅間でストップしており、JR東海は原因を調査するとともに、復旧に全力を挙げている。JRでは妨害事件の可能性は薄いとみている。(京都新聞 夕刊)
■ラピート9月から1370円に 私鉄特急料金値上げ認可
 近畿運輸局は9日、近鉄と南海から申請のあった特急料金の値上げについて、近鉄が平均18.6%、南海が同11.2%値上げすることを認可した。この日認可された私鉄大手14社の運賃値上げに合わせて9月1日から実施する。
 近鉄特急の難波−名古屋間は運賃込みで、現行の3540円から4060円になる。南海の難波−関西空港間を走る特急「ラピート」は1250円から1370円になり、JRの天王寺−関西空港間の開空特快「ウイング」(指定席)との差は140円に縮まる。
 近畿運輸局はまた、近鉄、南海、京阪のケーブル線の運賃についても平均 5.4− 6.7%の幅で認可。9月1日から実施する。(朝日新聞 夕刊)
値上げ後の私鉄とJRの特急料金、運賃のと比較(単位円)
近鉄特急難 波−名古屋4060
新幹線ひかり(指定席)新大阪−名古屋6060
南海特急ラピート難 波−関西空港1370
JR特急はるか天王寺−関西空港2230
JR関空特快ウイング(指定席)天王寺−関西空港1510
JR開空快速天王寺−関西空港1010
■環状線ダイヤ乱れ 2万5000人に影響 内回りで表示灯異常
 9日午前6時40分ごろ、大阪市都島区中野町のJR大阪環状線桜ノ宮駅で、京橋発大阪行きの内回り普通電車が同駅を発車しようとしたところ、ドアが閉まったことを示す運転台の表示灯が点灯しなくなった。このトラブルで同電車は9分遅れで発車。この影響で内回り電車9本が運休になったほか、12本が最高15分遅れ、約2万5000人が影響を受けた。JR西日本で原因を調べている。(朝日新聞 夕刊)
10日■音楽の”出前”します 関西吹連 60周年記念し駅コン きょう京都で第1回
 関西吹奏楽連盟(松平正守理事長)は、鉄道駅などで地元の所属バンドが演奏する「駅コン」を今月から2年間かけて近畿一円で開く。連盟創立60周年の記念事業で「町の中に音楽を”出前”しよう」との願いを込め、ステッカーも作った。
 計画では、近畿2府4県のJR、私鉄駅など約1500ヵ所で開く。同連盟に所属するバンドは1600以上あるので、ほぼ1バンドが1ヵ所で演奏する。
 「駅コン」は、朝日新聞社と朝日放送が共催。10日午後2時半、京都市の京阪三条駅前広場でスタートし、京都市立勧修中学校、花園高校、京都橘女子高校が出演する。
 また、17日午後3時からは枚方市の京阪樟葉駅前広場で、枚方市立第三中学校、同楠葉中学校、東海大学仰星高校が、24日午後2時からは大阪モノレール千里中央駅前で箕面市立第五中学校が、それぞれ演奏する予定。
 問い合わせは、関西吹奏楽連盟(06・231・0131内線6064)へ。(朝日新聞)
■地下鉄サリン事件被告 国選弁護人3人に 麻原被告、単独審理へ
 東京・地下鉄サリン事件で起訴されたオウム真理教信徒のうち、国選弁護人を選任する必要がある全員について、東京地裁が、特殊事件に適用される国選弁護人選任制度「特別案件」に指定する見通しになった。殺人、殺人未遂罪に問われた被告には、3人の国選弁護人をつける異例の態勢になりそうだ。ほかの教団関連事件の被告も、大半は特別案件に指定される見込み。教団代表の麻原彰晃被告(40)=殺人、殺人未遂罪で起訴=は9日、私選弁護人を選任したが、東京地裁はほかの被告と異なる部に一人で係属させ、「単独審理」とする方針だ。(朝日新聞)
■飛び込み?若い男性 電車にはねられ即死 加古川のJR山陽線
 10日午前9時50分ごろ、兵庫県加古川市平岡町新在家三丁目のJR山陽線で、若い男性が長浜発姫路行き下り新快速にはねられて即死した。
 加古川署の調べでは、男性は高さ約1bのフェンスを乗り越えて、電車に飛び込んだらしい。高校の生徒手帳を持っており、身元を調べている。(朝日新聞 夕刊)
11日■阪急神戸線 あす全線開通 西宮北口−夙川間 震災から146日ぶり
 阪急電鉄は、阪神大震災で不通になっていた神戸線の西宮北口−夙川間(2.7`)で、12日始発から運転を再開する。神戸線は地震発生から146日ぶりに梅田−三宮間の全線が開通することになる。
 神戸線の西宮北口−夙川間は、地震によって高架軌道が4ヵ所にわたって崩落するなど大きな被害を受けた。阪急電鉄は、高架を含めたこの約2.5`区間の鉄道施設をすべて新しく造り直す方針を決め、工事を進めていた。当初、復旧は8月末とみられていたが、最新工法の採用などで2ヵ月あまり早まった。
 開通に先がけ、同区間では10日朝から、運輸省の検査を兼ねた試験走行が行われた。高架橋のたわみの度合などを入念に点検した結果、同日夕に運輸省から運転再開が承認された。
 阪急神戸線の開通で、被災地の鉄道路線のうち、12日以降も残る不通区間は、阪神電鉄本線の西灘御影間(3.1`)など4区間となる。(京都新聞)
阪神大震災で被害を受けた鉄道路線の今後の復旧予定
6月12日阪急電鉄神戸線夙川−西宮北口(2.7`)
16日山陽電鉄本線須磨浦公園−滝の茶屋(2.7`)
18日山陽電鉄本線
神戸高速鉄道東西線
板宿−高速長田(1.9`)
22日神戸高速鉄道南北線
神戸電鉄有馬線
新開地−長田(2.3`)
26日阪神電鉄本線西灘−御影(3.1`)
8月中神戸高速鉄道東西線高速長田−新開地(2.0`)
■阪急神戸線、あす全通
 阪神大震災で被災した阪急神戸線は12日、不通になっている西宮市の西宮北口−夙川間(2.7`)で運転を再開し、全線開通する。これにともない、同区間で運行している代替バスを廃止する。
 開通と同時に、12日始発から、神戸線でダイヤ改定を実施する。
 関西の電車では初めて座席のない車両(2両)を導入し、梅田行きの通勤急行に西宮北口駅で増結させる▽朝のラッシュ時に10両編成の電車をこれまでの10本から14本に増やす▽通勤特急と通勤急行を新設し、塚口駅や武庫之荘駅にも停車させる−などを計画している。
 全線開通は当初、8月末の予定だったが、沿線住民らの協力で24時間態勢で修復工事ができたことなどから短縮できたという。(朝日新聞)
12日■西宮北口−夙川間復旧 阪急が全線開通 5ヵぶり 復興の力に
 阪急電鉄神戸線(梅田−三宮)が12日、阪神大震災から146日ぶりに全線開通した。最後まで不通になっていた西宮北口−夙川間(2.7`)で、同日始発から運転が再開され、JR線に続いて阪神間の幹線鉄道が1本につながった。26日には阪神本線も全線開通する予定で、被災地住民にとって復興への大きな原動力となる。
 復旧した神戸線の西宮北口−夙川間は、震災で西宮高架橋の4ヵ所が倒壊した。
 阪急電鉄は総額150億円をかけ、この区間約2.5`で高架(延べ1.6`)を含む鉄道施設のすべてを建設し直す工事を進めていた。新しい橋脚は約150本が立てられ、鉄骨鉄筋コンクリート工法の採用で、阪神大震災並みの地震にも十分耐えるとしている。
 当初、開通の時期は8月末と見込まれていたが、沿線住民の協力や新工法の採用などで、2ヵ月あまり早まった。
 この日の1番電車は、西宮北口駅発午前4時36分発の上り梅田行き。同37分には、下り三宮経由新開地行き電車が同駅を出て、前日まで不通だった夙川までの区間を、乗客を乗せた電車として初走行した。始発の乗客は上下とも30人ほどだったが、ラッシュ時に入ると西宮北口、夙川の両駅ともホームに人があふれた。午前8時には、どの車両も混雑率は100%に達し、震災前の混雑がよみがえった。
 開通に合わせて、阪急電鉄は同日から神戸線のダイヤ改正を実施。通勤特急・急行の新設や座席収納式電車の導入などで今後、遠のいた乗客の足の取り戻しを図る。(京都新聞 夕刊)
■生活のレール戻った 阪急全線開通 利用者喜び満面 商店、駅員ら「新たな出発です」
 エンジ色の電車が、146日ぶりに帰って来た。12日、開通した阪急神戸線の西宮北口−夙川間。線路沿いにはまだ地震の傷跡が残るものの、不便をかこってきた乗客たちや沿線の商店主らはさすがにうれしそうだ。西への鉄路がすべて断ち切られた震災直後、家族や親類の安否を気遣う人々や、大阪へ買い物に向かう被災者らで埋まった西宮北口駅周辺と、沿線の表情を追った。
 前夜から泊まり込んだ西宮北口駅の山原信雄駅長(52)は、午前4時37分、新開地行き一番電車を感無量の表情で見送った。
 「地震直後は、電車は当分動かないな、と思った。事故もなく、よく再開までこぎつけられた。今日から新たな出発です」。
・遅く出られる
 梅田行き通勤特急を待つホ−ムでは、夙川から大阪川市内の化学メーカーに通勤する野田直子さん(26)が「代替バスは時間が読めず、早めに家を出ていた。これからは30分以上、遅く出ても間に合います」とホッとした表情だ。
 神戸線沿線には神戸大や関西学院大、甲南大のほか私立の中学、高校や大学が多い。大半はこれまで始業時間を繰り下げるなどしてきた。
 約2700人の女子中・高生が通う夙川学院(西宮市)の増谷和人副校長(44)は「始業時間を9時半から平常の9時に戻しました。早めの開通には感謝しています」と話す。大阪市内から同高に通う2年生の生徒は「北口駅から学校まで約1時間歩いていました。今日からは楽になります」と笑顔をこぼした。
・続々営業を再開
 西宮北口駅は一時、通常約7万人の乗降客が最高25万人になったこともあった。駅前の自転車販売店では在庫の70台が売り切れ、駅近くにはボランティアグループの拠点がいくつもできた。
 南出口前の中ノ島商店街。約40店の半分以上は閉店したままだが、営業を再開する店も出始めている。10日前から再開した「くるみ食堂」の松本幸子さん(50)は「店じまいした所もあるが商売人はやっぱり店を開けんと…。これで西宮競輪のお客も増えるでしょうし、なじみ客も戻ってきてくれると思います」と期待する。
 西宮北口−夙川間は、全長2.7`のうち、1.6`が「西宮高架橋」と呼ばれる高架構造。その下には約150の店舗が入り、3つの商店街をつくっていた。震災で阪急が高架橋すべてを建設し直すことにしたため、商店主たちは立ち退き、3月から周辺5ヵ所に集団で仮店舗を構えた。
・これから出直し
 その一つ、夙川センター商店会(39店)は17店が市内2ヵ所に分かれ、プレハブ平屋の仮店舗を出した。しかし、周辺の人口は震災前の半分以下に減り、売り上げも以前の3分の1ほどに。どの仮店舗も神戸線の全通を心待ちにしていた。同商店会会長の大江清陸さん(55)は「町から人の姿が消えたのが一番つらかった。でも、電車が戻れば人も戻ってくる。これで商店会も新しく出直せる」。24店が集団移転したニューフタバ商店街の理事長を務める生花店主福岡良降さん(46)も「阪急が動かないと商売になりません。開通には拍手喝さいです」と、ともに喜びを隠し切れない。
 仮店舗が、元の高架下に戻るのは来春以降。それまでは、電車の音を近くに聞きながら仮店舗で、歯を食いしばっての営業が続く。
・復旧に550億円 阪急電鉄被害見積もり
 神戸線が全線開通した阪急電鉄にとって、今後は全壊した伊丹線・伊丹駅や、半壊した三宮駅ビルなどの施設再建が当面の課題となる。
 同社が見積もる復旧費用は、鉄道施設分440億円、兼業施設分110億円の計550億円。
 被害がとくに大きかった神戸阪急ビルと伊丹駅は、取り壊しが決まった。伊丹駅は再建する場合、約65億円の費用と、1−2年の工期が必要と見込まれている。三宮駅ビルは、上階の映画館などがすべて撤去された。駅の機能だけを残しているが、復旧には約45億円が必要で、再建計画はまだ具体化していない。
 95年3月期の同社決算は、税引き後損益で69億3900万円の赤字。来期も税引き後損益で40億円の赤字が見込まれており、施設再建の道は険しい。
 一方、古い木造店舗などが多く、約40軒が倒壊するなど被害が大きかった西宮北口北出口東側の北口市場では、5年後を目標に再開発ビルを建てる計画が浮上している。市内の仮設住宅から、毎日バイクで市場跡を見にきている同市場隆盛会長の湯口国広さん(54)は「電車は通っても、市場の復興はこれから。しばらくしたら、よそで食料品の商売を再開し、早く戻ってきたいね」と静かに語った。(京都新聞 夕刊)
■阪急神戸線が全線開通 阪神は26日に
 阪神大震災で被災した阪急神戸線が12日、全線で運転を再開した。兵庫県西宮市内の西宮北口−夙川(しゅくがわ)間(2.7`)で高架橋が落下するなど鉄路を分断されてから146日ぶりに復活した。同間で走らせていた代替バスは廃止された。被災した阪神間の鉄道の中では、4月1日のJR東海道線、同8日の山陽新幹線に続く全線開通になる。現在も不通区間が残る阪神本線は今月26日に復旧する。
 西宮北口−夙川間は、高架橋の橋げたが4ヵ所落ちた。約500本の橋脚や支柱のうち、9割が折れたり、亀裂が入った。このため、高架橋をすべて取り崩し、新たに鉄骨鉄筋コンクリート構造の高架橋を新設した。
 高架下にはテナントが入っており、当初は同意取り付けのため工事にすぐに取りかかれず、全線開通は8月末の予定だった。その後、沿線住民らの協力で24時間態勢で工事ができたことや、高架橋の支柱数を減らすかわりに耐震性を高める設計を採用したことなどで開通が早まった。(朝日新聞 夕刊)
■阪急全通「客足戻るか」不安も 商店主 人通り復活願う
 阪急神戸線が全線開通した12日、約5ヵ月ぶりに、同線の駅や周辺の商店に活気が戻った。だが、周囲にはまだ、がれきの街が広がる。震災前の客足に戻るかどうか、不安の声も交じった。
 兵庫県西宮市の夙川駅では午前5時19分、梅田行きの普通電車が到着すると、乗客約10人が待ちかねたように乗り込んだ。ラッシュのピークとなる午前8時ごろには、駆け込み乗車のサラリーマンの姿も見られ、あわただしい朝のラッシュ風景が戻った。この春、伊丹市内の大学に入学した西宮市鷲林寺の藤井美聡さん(18)は、初登校から代替バスを利用して通学していた。「今までは40分早めに家を出ていた。通学が楽になります」と喜んだ。
 同駅構内の売店で18年間働く中村清子さん(63)は「常連さんも戻った。でも、お客さんは少なめ」。駅前でお好み焼き店を経営する阪口和雄さん(47)は「街が完全に復興するまで、本来の客足は戻らないのでは」と心配する。
 西宮北口駅では、午前7時半ごろから混雑し始めた。定期券売り場にはJRや阪神電車との連絡定期券の払い戻しをする乗客が列を作った。
 神戸市中央区の三宮駅にも人波が戻った。構内の書店の客足はかつての3割に減り、閉店時間を1時間半早めている。「帰宅前に寄ってくれるお客さんが増えるのでは」とアルバイトの吉村佳浩さん(22)。売店の女性(56)も「人通りがにぎやかになった。客足も戻ってきてほしい」と期待していた。(朝日新聞 夕刊)
13日■「祇園祭」割引きっぷ JR西日本、発売へ
 JR西日本は、20日から祇園祭山鉾巡行を御池通の観覧席で楽しめる指定観覧席券とJR、京都市営地下鉄の往復乗車券をセットにした「祇園祭観覧割引きっぷ」を、近畿圏の主な駅のみどりの窓口、旅行センターで発売する。
 割引はJR乗車券分についてのみで、平均割引率は16%。大阪駅から発着の場合、大人4200円、子供3550円になる。発売席数は800席、7月15日まで。(京都新聞)
■地下鉄サリン 実行犯 11人の過去D 千代田線 北千住→霞ケ関 死の不可思議を追究 林被告
 阿含宗(あごんしゅう)の大祭礼「阿含の星まつり」は、京都・山科で行われる。
 1984年2月、愛知県内の私大2年生だった新実智光(31)は阿含宗の信徒に交じって」護摩の火を見た。
 目の不自由な男性の手を引いて参道を歩き、「あなたに出会ったのは運命です」と言われた。その言葉に「本当に感激した」。
 その月、麻原彰晃(40)は3年間ほどいた阿合宗を去り、オウム真理教の前身「オウム神仙の会」を設立した。
 新実は大学3年生ごろ、ヨガに興味を持つ。「『ノストラダムスの大予言』は全巻を読んだ。最近、密教の本に凝っている」と友人に話す。
 卒業と同時に勤めた愛知県内の食品会社を辞め、両親に「2、3年、ヨガの修行をさせてくれ」といって、「オウム神仙の会」に出家した。
 新実の友人は最近、思う。
 〈新実が手を引いた相手は麻原だったかもしれない〉
 「実行班」最年長の林郁夫(48)は65年、慶応大学医学部に進む。専門は心臓外科で米国留学時に阿含宗の前身「観音慈恵会」に入信した。
 オウム教の出版物『心の流浪の果てに』で、阿含宗への入信の経緯に触れている。
 《大学を卒業後の生活の中で(中略)自分に欠けている部分、欠点を補いたい、完璧な円にしたいなと思ってたんです。それで原始仏教の本をいろいろ読んだとき、解脱や悟りができるなら》と。
 林は84年2月、茨城県東海村の国立療養所晴嵐荘病院に循環器科の初代医長として迎えられた。「優しくて、手術の腕がよい」との評判で、患者が頼ってきた。
 多くの知り合いを阿含宗に入信させたが、当人は《途中から、だんだん既成の仏教教団のように(中略)自分との間に距離ができたような、そんな感じでした》。
 89年2月、阿合宗での10年余の活動をやめ、オウム真理教に入信した。
 その年の暮れ、患者からの「大量の水を飲ませられ、変な自然食を食べさせられた」との苦情が院長の耳に入った。院長は林を呼び出す。
 「オウム真理教の治療方法は、ここでは許されない」
 「治療法は心臓病にいい」
 「やりたいなら、できる病院に行きなさい」
 林は即座に「分かりました」と応じていた。
 《手術は慎重に慎重を重ねてやっていた。それでも何人かは死ぬ。理屈では割り切れない、不思議な力が作用していると認めざるを得ません》
 翌90年1月、林は退職し、約3ヵ月後に家族4人で出家した。林の執刀で心臓手術を受けた女性(71)は間もなくして、あいさつ状をもらう。
 《一日も早く悟りと解脱を得て、偏りのない心をもって社会に還元できるよう努力する所存です》とあった。
 「実行班」最年少の井上嘉浩(25)は84年、京都市内の中学2年生の時、兄に連れられて阿含宗の祭礼に行く。新実も出かけた年に当たる。
 翌85年の祭礼に、井上は友人をしきりと誘った。友人は「受験の前やで。行ってる場合か」とあきれた。
 井上は「精神を鍛える」と言って空手を習う。少林寺拳法(けんぽう)や気功法、チベット密教にも手を染め、オウム真理教に行き着く。
 京都の私立高で入信を隠さなかった。授業中にノートをほとんどとらず、いすの上で座禅を組み、めい想した。
 87年の高校3年生の時、教団機関誌に井上の「空中浮揚」の写真が載った。友人はいぶかって聞く。
 「ウソちゃうか。本当に浮いたんか」。井上は「ほんまや」と笑って答えた。
 88年、東京の私大に進む。上京して半年で大学をやめ、出家した。
 井上の《願望》と題した手作りの絵本がある。
 84年の暮れ、中学3年生の時の授業で作った。オウム教に出あう直前で、関係者は「井上のすべてが分かる」と話す。
 黒鉛筆で、駅の階段から満員電車の人波が続く。
 《朝夕のラッシュアワー/時につながれた中年達/夢を失い/ちっぼけな金にしがみつき/ぶらさがってるだけの大人達』
 汚水が川に流れ込み、空き缶が三つ、流れている。
 《工場の排水が/川を汚していくように/金が人の心をよごし/大衆どもをクレージーにさす……』 高層ビル街に大きな太陽が昇り、ビルの窓を染める。
 《時間においかけられて/歩き回る一日がおわると/すぐ、つぎの朝/日の出とともに/逃げ出せない、人の渦がやってくる》
 夜汽車の赤いテールライトが走り去っていく。
 《救われないぜ/これがおれたちの明日ならば/逃げ出したいぜ/金と欲だけがある/このきたない人波の群れから/夜行列車にのって……》(呼称略=おわり)
 林郁夫被告は、営団地下鉄千代田線北千住駅から乗り込み、新御茶ノ水駅の直前付近で車内にサリンを発散させ、新実智光容疑者が林被告の送迎をしたとされる。また、井上嘉浩被告は地下鉄サリン事件の現場指揮者とされる。(朝日新聞)
■JR山陽線 ブルトレなど遅れる パンタ故障 乗客8万人に影響
 12日午後11時20分ごろ、姫路市日出町のJR山陽線上り線の姫路−御着間で、東福山発東京タ−ミナル行き貨物列車(24両)のパンタグラフが故障、立ち往生した。
 後続の岡山発西明石行き普通電車が同区間で停車、下関発東京行きブルートレインあさかぜもパンタグラフが故障したため姫路駅で停車した。
 さらに、同区間の不通の影響で、ブルートレイン彗星、あかつきなど後続の上り電車が岡山県内などで次々に止まり、一連の故障で東海道・山陽線の乗客8万人に影響が出た。
 JR西日本は網干−姫路間などで損傷した架線を復旧し、山陽線は13日午前6時18分に運転を再開した。
 同社で調べたところ、網干−御着間の3ヵ所で架線が損傷しており、摩耗した貨物列車のパンクグラフが架線を損傷したのが原因らしい。あさかぜはこの損傷した架線を通り故障したとみている。
・京都駅でもダイヤ乱れる
 この事故でJR京都駅でも13日朝、東海道線などで始発からダイヤが大幅に乱れ、通勤客に影響が出た。
 JR西日本によると、南宮崎発東京行き寝台特急「富士」が竜野駅で5時間58分の遅れとなったのを最高に、同社管内で午前中、上下90本が遅れ、14本が運休、約8万人が影響を受けた。同社は近江八幡−米原間で午前9時半から近江鉄道による振り替え輸送を行うなどした。京都駅では大阪方面から到着した快速、普通電車などが軒並み200%を超える乗車率となり、延着証明を受ける人が目立った。(京都新聞 夕刊)
■強風で関空線に乱れ
 関西国際空港と対岸を結ぶ空港連絡橋で13日午前7時10分から強風のため、南海電鉄とJRの各空港線が運転を見合わせた。
 25分後に運転を再開したが、南海電鉄の下り特急、JRの下り快速など計5本が部分運休、南海の上り急行などが10分から15分遅れ、約800人に影響が出た。(京都新聞 夕刊)
■通勤客ら8万人影響 JR山陽線 姫路−御着 貨物列車が故障 復旧まで7時間 上下45本運休
 12日午後11時20分ごろ、兵庫県姫路市日出町のJR山陽線姫路−御着間で、東福山発車京貨物ターミナル行きの貨物列車がパンタグラフの故障で停車した。これに伴って同区間は停電し、後続の岡山発西明石行き普通電車も同区間で停車。また下関発東京行きの寝台特急「あさかぜ号」も姫路駅で停車した。この影響で山陽、東海道線のダイヤは13日午前中まで乱れが続き、同日午前中で上下45本が運休したほか90本が遅れて通勤客ら約8万人に影響が出た。
 JR西日本の調べでは、貨物列車のパンタグラフが、架線と接触する部分で変形していた。網干−御着間で、架線のつり金具がパンタグラフに引っかかってはずれるなど、損傷したらしい。
 停電でとまった普通電車の乗客約130人は13日午前1時10分ごろ、JR社員らの誘導でその場で電車を降り、タクシーで宝殿駅まで移動、宝殿発大阪行きの臨時電車に乗り換えた。「あさかぜ号」は約250人の乗客を乗せたまま、5時間半後の同日午前4時50分ごろに運転を再開したが、名古屋駅で運休した。
 JR西日本の調べで、網干−御着間の架線が3ヵ所で架線のつり金具がはずれるなど損傷していたことが分かり、点検作業を終えて7時間後の13日午前6時20分ごろ復旧した。(朝日新聞 夕刊)
■関空への交通 強風で乱れる
 梅雨前線に発達した低気圧が接近した13日朝、近畿地方で強風が吹き、JR西日本と南海電鉄は午前7時10分、最大瞬間風速が25bを超えたため、関西空海線のりんくうタウン駅と関西空海駅を結ぶ連絡橋の列車運転を見合わせた。同7時35分に運転を再開したが、計7本が部分運休し、3本の列車が遅れて、約800人の足に影響が出た。
 淡路島と関西空港を結ぶ高速船も同7時前から欠航した。
 また、エアーニッポン大阪空港発、高松空海行のYS11など2便が視界不良のため欠航した。(朝日新聞 夕刊)
14日■「777」の記念入場券 JR西日本が発売
 JR西日本は13日、数字の「7」が3つ並ぶ「平成7年7月7日」の日付入り記念入場券を7月7日から発売する、と発表した。
 入場券は七夕にちなんだ図柄の台紙付きで、1枚140円(大阪電車特定区間の各駅は同120円)。同月31日までの間、217の主要駅で約20万枚を発売する。
 また、JR西日本では「789」(平成7年8月9日)ときれいに数字が並ぶ記念入場券を8月9日から発売する予定。(京都新聞)
■増える阪急の弱冷車 京都線、3両に
 阪急電鉄は19日までに、京都線の弱冷車を従来の1両から3両に増やす。
 京都線では8両編成のうち、これまで京都方向から2両目だけだったが、新たに4両目と7両目も弱冷車にする。6両編成は現行の2両目のみ。
 弱冷車は、普通冷房車が温度26度なのに対して、28度に設定。弱冷車には車窓上部にステッカーを張り、表示する。(京都新聞)
■早川容疑者を殺人予備で起訴 地下鉄サリン事件
 地下鉄サリン事件で東京地検は13日、サリン製造プラントの建設にかかわっていたとして殺人予備罪でオウム真理教ナンバー2の「建設省大臣」早川紀代秀容疑者(45)を起訴した。
 早川被告は教団最高幹部の1人として教祖の麻原彰晃被告(40)=殺人罪などで起訴=らとともに地下鉄サリン事件の計画立案にかかわっていたとみられていたが、謀議に加わっていたとする有力な証拠が得られず、殺人、同未遂罪での起訴は見送られた。
 また東京地検は同日、殺人、同未遂罪で地下鉄サリン事件の実行犯とされる教団「自治省大臣」新実智光容疑者(31)を、殺人予備罪で「建設省」所属岡田弘幸容疑者(32)を、それぞれ起訴した。(京都新聞)
■常磐線で異臭乗客ら病院へ
 13日午後6時45分ごろ、千葉県柏市のJR常磐線北柏駅に到着した取手発綾瀬行きの上り電車の4両目の乗客が「変なにおいがする」と駅員に通報、車内に入った駅員と乗客の2人がのどの痛みなどを訴え、救急車で柏市内の病院に運ばれた。
 柏署などの調べによると、病院に運ばれたのは、同駅の駅員宮内豊さん(37)=茨城県新治郡玉里村栗又=と千葉県柏市中央、主婦大宮昭子さん(60)。頭痛や吐き気などの症状があり経過観察のため入院するが、軽症だという。
 異臭のあった車両には約15人の乗客がおり、通報を受けた駅員2人が車内に入った。大宮さんも同駅から乗り込んだ際に被害に遭った。ほかに気分の悪くなった人はいないという。
 同署が車両内を検証した結果、有毒ガスなどは検出されなかった。(京都新聞)
■声 理由分からぬ私鉄の値上げ 城陽市 斉藤 訓(団体職員 47歳)
 大手私鉄の運賃の値上げが認可され、9月1日から実施される。値上げ率圧縮など、一定の考慮はされているようであるが、社会状況に照らして、今回の値上げ理由は、とりわけ分かりにくい。
 「価格破壊」で低価格商品が出回り、郊外にはディスカウントストアが乱立している。円高差益還元で電気料金の据え置きもいましばらく続きそうである。そして何よりも給与のアップも足踏みをしている。
 各企業は「リストラ」などで息をひそめている。ところが、今回の私鉄各社は、値上げの理由に運賃収入の落ち込みと輸送力増強のための設備投資の増加をあげている。毎朝の通勤ラッシュの混雑を体験する者として「運賃収入の落ち込み」は当然と言えは当然である。とくに乳幼児や老人などは、大混雑にはじきとばされるという感じである。輸送力増強も、車両の増結でお茶を濁しており、増発はおぼつかない。
 値上げをするなら通勤ラッシュの混雑を解消してからにしてほしい。改善されなければ「乗れない」電車にはだれも「乗らない」。(朝日新聞)
■声 混雑緩和図る具体策を示せ 座間市 和田 薫(自由業 23歳)
 大手私鉄と営団地下鉄の運賃値上げが決定した。阪神大震災で赤字になる私鉄の値上げはやむを得ないが、その他私鉄の運賃改定は納得できない。
 円高で発電コストが下がっているうえに、私鉄各社が抱える借入金の支払利息も、度重なる金利引き下げで負担が軽減されているはずだ。それなのに値上げとは、コストが上昇したと言っては値上げした旧国鉄と同じではないか。
 今回の改定で、JRより運賃が高い区間も出た。ひと昔前の常識では考えられないことだ。私鉄各社は値上げの根拠として、通勤、通学の混雑緩和を主張するが、値上げの割には、混雑緩和のテンポが遅い。
 安易な値上げを防ぐため、政府は運賃改定を認可せず、私鉄各社が保有する広大な、非鉄道事業用地の一部だけでも開発利益の還元のため売却し、その利益で値上げを見送るべきだ。
 混雑緩和のために必要な建設費用を具体的に示し、中長期の経営計画を抜本的に見直した上で、それでも、赤字になるというなら、はじめて運賃改定について、検討しようではないか。(朝日新聞)
■青鉛筆
 JR西日本は、ラッキー7が並ぶ平成7年7月7日から、記念台紙付きの入場切符を発売する。切符の端に日付を示す「7−7−7」が印刷されている。
 同社管内の217の駅で、19万9100枚を売り出す。値段は、一般の入場券と同じ1枚140円(大阪電車特定区間は120円)。
 震災の影響や、円高で海外に旅行客が流れたことから、新幹線や特急の乗車率の落ち込みが目立つJR。鉄道旅行をPRする記念切符で乗車率も「フィーバー」するかどうか。(朝日新聞)
■「青春18きっぷ」発売 JRグループ
 JRグループは来月1日から、普通列車(快速を含む)の自由席なら距離に関係なく1日中乗り放題の「青春18きっぷ」を発売する。
 発売期間は8月31日までの2ヵ月間。利用できるのは7月20日から9月10日まで。全国の主要駅、旅行会社などで取り扱う。5枚つづりが1セットになっており、発売額は1万1300円。
 この切符は「青春18」の名称になっているが、年齢に関係なくだれでも利用できる。1枚で、その日のうちなら距離に関係なく何回でも乗り降りできるのが特徴。ただし、新幹線を含む特急、急行、JRバスは利用できない。(京都新聞 夕刊)
15日■地下鉄工事現場で出火 一時騒然
 14日夕、京都市役所に近い同市中京区御池通河原町交差点の地下鉄東西線工事現場から出火し、地下に充満した黒煙が一時は空高く立ちのぼった。繁華街に近く、消防車など13台が出動。周囲は帰宅途中の通行人らで混乱し、騒然とした雰囲気に包まれた。(京都新聞)
■夕刻の御池通黒煙もくもく 京都市地下鉄工事現場火災 30分後に鎮火 作業員1 人中毒
 14日午後6時ごろ、京都市中京区御池通河原町交差点の市営地下鉄「市役所前駅工区」工事現場で、水道管の切断作業中に出火し、黒煙が交差点一帯に立ち込めた。市消防局が約30分後に消した。作業員の東山区八坂新地富永町、桜井一夫さん(54)が地下約5bの現場に取り残されたが、間もなく消防隊員に誘導されて脱出した。煙を吸い一酸化炭素中毒で軽症。
 中立売署や市消防局によると、現場では4人の作業員が不要になった古い埋設水道管(長さ約40b、直径1.6b)をアセチレン・バーナーで切断し、撤去する作業をしていた。水道管の腐食防止用アスファルトの被膜にバーナーの火が引火したらしく、15日朝から現場検証して調べる。
 現場付近は市役所や京都ホテルなどがあるビジネス・繁華街。仕事を終えたサラリーマンらが消火活動を見守った。近くの京都ホテルでは、地下の入り口から地下1、2階の貴金属店や喫茶店など20軒のショッピング・フロアに煙が流れ込み、一時、地下入り口のシャッターを下ろした。
 地下鉄東西線市役所前駅工区は全長370bで、91年7月に着工し、オープンカット工法で工事が進められている。
 地下鉄東西線の工事にからむ火災は初めてで、市交通局は「工事請負業者に、注意深く作業をするよう安全点検の強化を指示した」と話した。(京都新聞)
■電車待ちの間に買い物 ホームのコンビニ好調 売り上げ 大手店舗の2倍 阪急・十三駅
 阪急電鉄が駅のホームで始めたコンビニエンスストアの1日の売り上げが、大手コンビニ店の倍に達するほど好調だ。コンビニは、改札外の駅構内にあるのが一般的で、ホームにあるのは珍しい。営業時間は午前7時から午後11時までで駅売店と違い、文房具など品ぞろえが豊富で、電車の待ち時間などを利用する乗降客にとって格好の買い物スペースとなっている。
 阪急は今後、設置駅を増やすほか、JR西日本なども導入を検討している。本業の鉄道部門の低収益性に悩む中で、流通部門を重視する電鉄各社からも関心を集めそうだ。
 このコンビニは4月に、乗降客が1日10万人という神戸線、宝塚線などが交わる十三駅(大阪市)のホームでオープンした。1日の売り上げは、開業当初から100万円弱を確保し、6月12日の神戸線の全線開通で2割増に迫る勢い。この売上高は、同社の系列会社が展開する駅売店1店に比べ6倍、大手コンビニのローソン1店当たりのほぼ倍に匹敵する。
 乗降の場という役割に加え、「駅自体に流通面での利用価値を付けることによって、物販を拡大する」(阪急)との考えだ。
 来店客は1日2000−3000人。利用者は「改札から出なくても弁当を買ったり、雑誌を立ち読みしたりできて便利」と話している。(京都新聞)
■JR天王寺駅前新ビル「天王寺ミオ」 9月14日開業
 JR天王寺駅前に建設が進められていたライフファッションビル「天王寺ミオ」がこのほど完成。内装を整えた後、9月14日からオープンする。「天王寺ミオ」(大阪市天王寺区悲田院町)は、JR西日本や南海電鉄が出資する天王寺ターミナルビル会社が、総事業費約400億円で2年前に着工した。
 地上14階、地下2階、延べ床面積5万9260平方b。中核大規模店は置かず、衣料や飲食、雑貨などの専門店ばかり約250店が出店する。
 1階には、JR天王寺駅に直結する改札口が設けられ、電車の乗降客が直接、ビル内へ入っていける構造。同社では、タ−ゲットを20−35歳の女性に絞り、今後のPRに力を入れる。(京都新聞)
■99年横浜に本格リニア JR大船と遊園地結ぶ
 ダイエーグループのドリーム開発(本社横浜市)は14日、神奈川県鎌倉市のJR大船駅と横浜市戸塚区の遊園地「横浜ドリームランド」を結ぶ交通機関として常電導磁気浮上式リニアモーターカー(HSST)を導入する方針を明らかにした。
 1997年に着工、99年の開業を目指す。空港内など限定的に導入しているケースはあるが、公共交通機関として本格的にリニアモーターカーを採用するのは世界で初めてという。
 計画では、支柱の強度不足で67年から運行を休止している同社のモノレール「ドリームランド線」(JR大船駅−ドリームランド、延長5.3`)の橋げたを撤去、新たにリニア線を建設する。投資総額は約300億円。(京都新聞)
■京に黒煙、一時騒然 地下鉄の工事現場
 14日午後6時ごろ、京都市中京区河原町通御池の京都市地下鉄東西線の工事現場で火事があり、地下トンネルから地上2、30bの高さまで黒煙が噴き出した。現場は京都ホテルや京都市役所、銀行などが立ち並ぶオフィス街。一時は数百人がハンカチで口を覆うなど騒然となった。
 火事は、京都市消防局の消防車約20台が出動し、約30分後に消し止めた。直径165a、長さ50bの水道管の表面が15bにわたって燃えた。工事関係者ら3人が一時、地下に取り残され、同市東山区八坂新地富永町、桜井一夫さん(54)が軽い一酸化炭素中毒で診察を受けた。
 同市消防局の調べでは、地下鉄工事のため既設の水道管を取り除く作業中で、ガスバーナーの火が水道管表面の腐食防止剤に燃え移ったらしい。
 消防隊員が消火のためトンネル内に入ろうとしたが、煙が充満。道路表面を覆っていた鉄板をクレーンで取り除いた。
 現場前の京都ホテルには、約380人が宿泊。空調装置が煙を吸い込むおそれがあったため、一時、運転を止めた。ホテル側は「建物に影響はない」と繰り返し放送し、大きな混乱はなかった。(朝日新聞)
■鎌倉−横浜で リニア導入へ ダイエー関連会社
 ダイエーは14日、グループ各社が全額出資する子会社「ドリーム開発」(本社・横浜市)が神奈川県鎌倉市のJR大船駅と横浜市の遊園地「横浜ドリームランド」間で、常電導磁気浮上式リニアモーターカー(HSST)を導入することを明らかにした。1997年度中に着工し、99年の開業を目指している。建設予定費は約300億円。(朝日新聞)
■東西線は鮮やかな朱色 車両のデザイン決まる 京都市地下鉄
 京都市の地下鉄東西線で運行する新車両のデザインが15日、決まった。車両の色は烏丸線と同じ銀色地で、カラー帯は「朱色」。烏丸線の「緑色の帯」と識別しやすくした。車両もやや小型になる。
 新車両はステンレス製で、スピード感を出すため、先頭部がわずかに「く」の字形に傾斜させている。同線に乗り入れる京阪京津線の車両の規格に合わせるため、1両の長さが16bと烏丸線車両より4bも短くなる。
 新車両は90台購入し、6両連結で運行する。1編成約10億円。来年4月に試運転を開始し、1997年秋の開通を予定している。
 東西線は、経費節減のためワンマン運行となる。運転手が自らドアを開閉するため、全駅のプラットホームには安全施設となる「ホームドア」を設置する。(京都新聞 夕刊)
■地下鉄火災教訓 安全対策を徹底 市交通局長
 14日夕に京都市中京区の地下鉄東西線工事現場で起きた火災で、市交通局の中谷佑一局長は15日午前に開かれた市議会交通水道委員会で「二度とこういう事故のないよう安全対策を徹底する」と謝罪した。
 また、山口巌高速鉄道本部長が「消防、警察の調査結果を路まえ、東西線の他の24工区、烏丸線の北々進の工区でも、安全対策の総点検を行う」と述べ、事故の起きた市役所前駅工区の工事については「できるだけ早い時期に再開したい」と述べた。(京都新聞 夕刊)
■大分の紛争でも救済命令 JR不採用で中労委
 国鉄の分割・民営化の際のJRへの不採用問題で、中央労働委員会は15日、16人が救済を申し立てた国労の大分県の紛争について「採用手続きの少なくとも一部に不当労働行為があった」と認定、JR九州に対し、平成2年4月に国鉄清算事業団を解雇された組合員に限定して、あらためて選考した上で採用することを求める救済命令を出した。
 命令は、国労の北海道、九州の他県の紛争などと同様の内容。
 中労委は救済対象者数について「相当数」として明らかにしていないが、国労によると、8人(うち1人死亡)だという。
 九州では国鉄のなかった沖縄を除く各県の国労が救済を申し立てており、これで九州の命令はすべて出そろった。
 命令書によると、中労委は国鉄の不当労働行為の責任はJRが負うと判断。その上で@国労と他組合との採用率に著しい格差があったA採用の基準となった職員管理調書の評価項目が国労組合員に不利な内容になっていた−などから不当労働行為があったと結論付けている。(京都新聞 夕刊)
16日■グループ結集の軸に JR連合大会閉会
 JR連合(出井勝彰会長)の定期大会は2日目の15日、「JRグループ全組合員の結集軸となりうる産別組織を目指し、組織の強化・拡大に取り組む」などとする運動方針案を採択して閉会した。役選では出井会長を再選した。
 質疑では、JR北海道などのいわゆる「三島会社」の厳しい経営状態について「各社の自助努力には限界がある」と、産別としての取り組みを求める意見が出た。
 また、出井会長が前日提起した国労への組織統一の呼び掛けについては「時宜を得たものだ」との肯定的な受け止め方と「国労との日常的な対立は今もあり、組合員の理解が得られない」と反発する意見の賛否両論が出た。(京都新聞)
■地下鉄工事現場火災で 自主管理徹底求め緊急通達 京都市消防局
 14日夕方の京都市中京区・市営地下鉄工事現場での火災発生をうけて、松井延夫・京都市消防局長は15日、市内の各消防署長に対し「地下鉄工事現場の自主防火管理体制の徹底指導」を求めた緊急通達を行った。
 通達は▽火気使用、禁煙管理▽危険物、高圧ガスの管理▽始業、終業時の点検▽防災設備の保全−など防災上の順守事項の徴底をはじめ、自衛消防組織の消火訓練や災害予防計画の再確認などを強く指導するよう求めている。
 この通達をうけ、管内に地下鉄工事現場のある山科、中京、東山、左京、伏見醍醐の各署・分署は立ち入り検査などを実施する。
 14日の火災は、中京区御池通河原町交差点の「市役所前駅工区」工事現場で発生。中立売署と市消防局は、作業員が不要になった古い埋設水道管をアセチレンバーナーで切断中、水道管の腐食防止用アスファルトの被膜にバーナーの火が引火したと見ている。(京都新聞)
■山陰線などに特急定期券 JR西日本発売へ
 JR西日本は、山陰・舞鶴線の京都−福知山−東舞鶴間など在来線5区間で、新しく特急列車専用の通勤・通学(大学生)定期「パスカル」を、7月1日から発売する。
 パスカルが使えるのは、京都−福知山−東舞鶴間のほか、福知山線の福知山新大阪、紀勢・阪和線の白浜−天王寺、山陰線の米子−出雲市、北陸線の福井富山の各区間。対象区間内を走る普通列車と特急、急行の自由席が利用できる。
 一般の通勤定期と同じく1、3、6ヵ月の3種類があり、1枚のパスカルに含まれる特急利用分の料金は1ヵ月券の場合、普通片道特急券30日分の値段に設定した。
 京都−福知山間(片道特急料金1130円)の1ヵ月パスカルでは、特急利用分の料金は3万3900円。通勤定期運賃と合わせた発売料金は7万3620円になる。(京都新聞)
■京の地下鉄は工費節約型
 京都市は15日、地下鉄東西線に導入する車両デザインを公表した。 車両は準小型で、長さ16b、幅2.48b、高さ約3.5bのステンレス製。 6両編成で最高600人を運ぶ。車体には朱色など暖色系のストライプを入れ、車内の座席はふじ紫色。「優しさ」や「心地よさ」を演出するという。市交通局は来年5月ごろ、14編成分(84両)を導入する予定だ。費用は約136億円。
 同線は、京都市伏見区の醍醐と中京区のJR二条駅まで全長12.9`を結ぶ。89年11月に着工し、97年秋の完成を目指している。工法変更などで建設費が計画の2倍近い4710億円に膨らみ、市議会などで問題になった。経費節減のため、標準型の導入をやめて準小型に。これにより、掘削などの工事費が2、3割安くすむ。運転手1人のワンマン運行で、1日約18万人の利用を見込んでいる。(朝日新聞)
■地下鉄工事緊急立ち入り調査 山科・火災事故で
 14日夕、京都市役所前の地下鉄東西線工事現場で火災が発生したことを受け、山科消防署と伏見消防署醍醐分署は16日、山科区内の地下鉄工事現場で緊急立ち入り調査をした。
 京都市消防局は管内に地下鉄工事現場を持つ山科、伏見、中京、東山、左京の各消防署に対し、火災発生後の15日、防火体制の指導強化を促す緊急通達を出した。立ち入り調査はこれを受けて行われた。
 山科消防署はこの日午前、管内の工区計7.7`で実施、熊谷和男署長ら40人が工事現場に入った。各工区では現在、多岐にわたる工事が行われており、▽消火器が作業場所近辺に設置されているか▽溶接作業の周辺に燃えるものが置かれていないか▽ガスボンベの管理状況は万全か−などを点検。防火対策の徹底を促した。伏見消防署醍醐分署も午後2時から一斉に立ち入り調査を行った。(京都新聞 夕刊)
■7月からJR西日本 特急用定期券を発売
 JR西日本は15日、在来線の特急(自由席)を利用できる特急用定期券(愛称・パスカル)を7月1日から発売すると発表した。すでに売り出しているJR九州とJR四国の場合は、特急が走る全線で使えるのに対し、JR西日本の場合は区間が限定されている。
 利用できるのは、福知山線の新大阪−福知山▽北陸線の福井−富山▽山陰・舞鶴線の京都−福知山−東舞鶴▽紀勢・阪和線の天王寺−白浜▽山陰線の米子−出雲市の5区間。割引率は通勤、通学ともに50%。例えば、大阪−三田間の1ヵ月定期では、運賃が2万400円、特急料金が1万8600円で合計3万9000円になる。(朝日新聞)
■地下鉄東西線 工事現場火災 「安全管理を徹底」市交通局長 市議会委で陳謝
 地下鉄東西線の工事現場で14日夜に起きた火災について、中谷佑一・市交通局長は15日の市議会交通水道委員会で、陳謝し、工事現場での安全管理を徴底させる意向を示した。
 委員会の冒頭、中谷局長は「市民のみなさんに迷惑をかけて申し訳ない。二度とこうした事故が起きないよう安全管理の徹底をはかる」と謝った。
 梅林等議員(社会)が「地下の工事現場でのガス取り扱いはどうなっているのか」と質問。野島久暉建設部長は「消防局の指導に従って取り扱い、防災計画書通りに工事を進めた」と答えた。
 また、地表から掘り進むオープンカット工法を採用した今回の工事では、排煙方法について特に想定していなかったことも明らかにした。(朝日新聞)
■京都市バスと衝突トラックの男性けが 岩倉操車場前
 16日午前7時5分ごろ、京都市左京区岩倉西五田町の市バス岩倉操車場前市道で、操車場から出てきた京都駅行き市バス=土山哲弘運転手(49)=と、市道を走行していた亀岡市篠町浄法寺、建築作業会社「ビケ」のトラック=山口雅之さん(29)運転=が衝突。トラックに同乗の西京区大技沓掛町、同社従業員上村武志さん(19)が左足骨折のけがを負った。
 下鴨署は、バスが安全をよく確かめずに市道に出たのが原因ではないかとみている。バスは出発地点の岩倉操車場前バス停に向かう途中で、乗客はなかった。(京都新聞 夕刊)
17日■声 家計の一大事 私鉄の値上げ 城陽市 趙 顕市(診療所職員 46歳)
 9月1日から私鉄運賃が値上がりするという。我が家では看過出来ない家庭経済の一大事である。
 と言うのは、我が家では、3人の子供が私鉄通学しているからだ。市バス、市営地下鉄も併用しており、これらの定期代だけでもかなりの出費になる。
 3人の子供は朝鮮学校に通っているのだが、各種学校扱いということで、市ならびに府からの財政補助、もしくは助成がほとんどないらしい。だから小学校から高校に至るまで、授業料はもちろん、教科書代、給食費、各種診療費と月々かなりの出費を余儀なくさせられる。
 少なくない給料をいただいている我が家(共稼ぎ)でもこたえる。ここしばらく妻と私は、新しい服、新しい靴などはほとんど買ったことがない。
 さらに住宅ローン、リフォームローンの支払いがある。おまけに最近、シロアリによる被害が判明した。また金である。ついついぼやきたくもなる。
 ならば日本の学校に通わせたらよいと言う人もいる。しかし、現在の日本の学舎で、真に朝鮮人として生きていくことの出来る教育が期待出来るかどうか、はなはだ疑問である。とまれ9月1日からは、さらに「ぼやき」の回数が増えそうである。(朝日新聞)
■山陽電鉄はあす全通
 阪神大震災の被害で不通になっていた山陽電鉄の須磨浦公園−滝の茶屋間(2.7`)が、16日の始発から運転を再開した。板宿−西代間(1.0`)も18日に再開予定で、山陽電鉄は全通することになる。
 全壊した塩屋駅舎は、元あった位置から300b東側に仮ホームを建設しての再開となった。また、相互乗り入れしている神戸高速鉄道の西代−高速長田間(0.9`)も、18日に再開する。高速長田−新開地間の再開は、8月中になる見込み。(朝日新聞)
■地下鉄事件で2容疑者逮捕 化学プラント建設関与
 地下鉄サリン事件で警視庁の合同捜査本部は17日、サリン製造プラントの製造に関与したとして殺人、同未遂の疑いでオウム真理教「科学技術省」所属三塚芳広(30)、「自治省」所属山内信一(26)両容疑者を逮捕した。ともに同容疑で指名手配していた。地下鉄事件で逮捕されたのは計38人となった。
 調べでは両容疑者は、教団代表で教祖の麻原彰晃容疑者(40)=信者の殺人容疑で再逮捕=ら多数と共謀、3月20日午前8時ごろ、営団地下鉄の3路線、5車両の車内でサリンを発散させ、乗員、乗客ら約5500人を死傷させた疑い。
 両容疑者は山梨県上九一色村の教団施設「第7サティアン」の化学プラント建設に携わったとされる。(京都新聞 夕刊)
18日■京都市御池通地下駐車場工事 水2500d噴き出す くい打ちドリル 水道管破る
 17日午後3時35分ごろ、京都市中京区御池通高倉東入ルの京都市営御池第二地下駐車場建設工事現場で、大型くい打ち機が地下約1.5bに仮設された上水道菅(直径40a)を破った。水が地上に噴き出し、御池通北側の間之町−堺町間約200bにわたってあふれた。市水道局は約1時間後に水を止めたが、約2500dが流出し、現場付近のカメラ店やブティックなど4店が床下浸水するなど被害が出た。けが人はなかった。同通では14日には、現場から約600b東の市営地下鉄東西線工事現場で火災があったばかり。
・4店、床下浸水
 中立売署と市消防局の調べによると、当時、下請け業者がくい打ち機で地面に穴をあける「土留め」作業をしており、くい打ち機のドリルが地中の水道管を誤って突き破ったとみて、作業員らから詳しい事情を聴いている。
 破損個所から水は高さ1bほどで噴きあげ続け、帯状に約2000平方bが最大で深さ30a近く冠水した。消防隊員や工事関係者らが土のう470個を使って付近の商店や住宅などへの浸水を防ぐとともに、道路のマンホールのふたを開けてあふれ出た水を排水。市水道局員が水道管のバルブ2ヵ所を止め、約1時間後の午後4時半にやっと止水したが、浸水した店舗などでは店内のじゅうたんが汚れるなどした。破損による断水や濁水はなかった。
 止水作業のため、御池通の烏丸−東洞院間の東行車線は約1時間半にわたって通行規制された。
 市水道局によると、流出した水量は一般家庭が1日に使う量に換算すると、約2500世帯分にあたる。第二地下駐車場は93年春に着工し、来年末に完成予定。御池通間之町−御幸町の地下に2層式約2万3500平方b、630台の駐車場を予定している。(京都新聞)
■参った! 今度は水浸し 御池通の水道管破損 事故続発、怒る市民 問われる市の管理体制
 17日午後起きた京都市営地下駐車場工事現場での水道管破損事故は、流出した約2500dもの水で京都の目抜き通りの1つの御池通を東西約200b、幅10bにわたり、約1時間も水浸しにした。現場はビルや商店などが立ち並ぶオフィス街。浸水被害は4軒に抑えられたものの、商品や床のじゅうたんが思いもせぬ浸水被害を受けた商店主らは「どういうことか。仕事にならない」と怒りをあらわに。3日前には同通の市営地下鉄東西線工事現場で火災が発生。市は工事現場での安全管理徹底を明言した矢先だけに、相次ぐ事故に市の工事管理のあり方が厳しく問われそうだ。
 冠水した地区では、消防署員30数人と工事関係者約100人が現場の土で急きょ、土のうを作り、ひざ下まで水につかりながら付近のビルや商店、民家に濁水が流れ込まないように懸命に玄関前などに積み上げるなど、大雨による水害なみの対応に追われた。
 土はそれでも足りず、ダンプカー4台分を現場に搬送、浸水防止に当たった。
 現場近くの家具店「インテリア三都屋」は、1階倉庫にある会議用テーブルやいすなど20個が浸水被害を受けた。河原善治社長(65)は「刷り上がったばかりの商品カタログ150冊も台無しになった。どうしてくれるのか。すぐ近くの地下鉄工事現場でこの前にも火災があったばかりなのに」と話し、泥水でぬれた段ボール箱などを外に運び出していた。
 床が水びたしになったカメラ店やブティックでも、土のうのすき間から入りこむ水のため、商品を次々と奥の棚の上に避難させるなどした。1時間後に水は引いたが、店主や店員らは、泥水で汚れた床のじゅうたんやガラスドアなどの後始末をしながら、「これでは営業できない」と怒っていた。
 今回の事故は、大型くい打ち機で誤って水道管を破るという単純ミスが原因。火災があった地下鉄工事現場は市交通局の所管だったが、駐車場工事は都市建設局。現場に駆けつけた京都市土木計画課の小野安二担当課長は「水道管の位置は十分調査し、正確に把握していた。穴を掘る工事が計画より北にずれていたために起きたミス。先日、地下鉄工事現場で火災があり、安全施工を徹底するよう指示した矢先で、ご迷惑をかけて申し訳ない」と話した。(京都新聞)
■日本ー遅い列車 運行がスタート 北海道
 北海道の釧路湿原を走り、「日本一遅い列車」として人気があるJR北海道の観光列車「くしろ湿原ノロッコ号」が17日、今年の運行を始めた。
 同列車はJR釧網線のうち釧路駅から釧路湿原駅(臨時駅)を経て塘路(とうろ)駅まで約27`を1時間弱かけて走る。幌馬車風の観覧車など5両編成。車窓から夏を迎えた緑の湿原や蛇行して流れる釧路川を間近に眺められる。
 夏休みには家族連れや本州からの観光客でにぎわう。運行は1日1往復。10月8日までで7、8月は毎日、それ以外の月は土、日と祝日が中心。(京都新聞)
■2500d、京都水びたし 地下駐車場工事ミス 土のう500個で防御
 17日午後3時35分ごろ、京都市中京区御地通高倉東入ルの同市御地第二地下駐車場の工事現場で、土止め作業をしていた作業員がくい打ち機で誤って地下の水道管を破断し、大量の水が噴き出した。約1時間後に止まるまでに流出した水量は計約2500dに及んだ。一時は周辺の歩道など半経十数メートルにあふれ出し、商店など4棟が床下浸水した。約600b東の御地通沿いでは、14日に地下鉄工事現場で火事騒ぎがあったはかり。
 この出水で、消防隊員らが土のう約500個を現場の周りに積み上げ、周辺へ流れ出すのを防いだ。また、府警が周辺の通行を一時規制し、交通渋滞も起きた。
 市消防局の調べでは、現場は建設中の市営地下鉄東西線のすぐ近く。地下駐車場の建設工事のため、土止め用のH鋼を入れる溝を掘る作業中、誤ってくい打ち機が地下1.5bにある水道管に触れたらしい。直径約40aの水道管で、大量の出水となったという。
 御地町内会の上板英夫会長は「先日の火災に続く出水。事故続きで困ったものだ。工事の遅れを取り戻そうと急ぐのはわかるが、不注意が多すぎるのではないか」と話していた。(朝日新聞)
■噴き出す水に怒り 地下工事漏水事故 不安募らす住民
 もう少し注意して工事ができないのか一。17日の京都市の地下工事漏水事故で被害を受けた近所の人たちは、頭を下げて回る市の担当者や業者に不満の声をぶつけた。御地通では14日にも、地下鉄工事現場で火災を出したばかり。1993年7月にはやはり地下鉄工事で路面陥没を起こしている。住民らは「次には、人にも被害が出るのでは」と不安を募らせている。
 事故発生時は、路面から水が噴水のように噴き出て一時は水柱が3bほど上がった。御池通は片側通行止めになり、車のクラクションと土のうを担いで走り回る作業員の怒号が飛び交い、一時騒然となった。
 事故現場に近いブティックには地面から3、4aの高さまで水が入った。店員らは商品を棚に上げたり、非常階段の上に運び出したりの作業で大わらわ。商品の一部がぬれるなどの被害が出た。
 同店の六波羅弘躾さん(47)は「突然、水が侵入してきてどうしようもなかった。神戸に出している店も震災の被害を受けたし、今年は踏んだりけったり」と話していた。
 家具店でも、テーブルやいすの入った段ボール箱約20箱が水浸しに。経営者の河原善治さん(65)は「十分に注意して工事しているんでしょうけどね」と厳しい表情だった。
 地元町内会によると、今年1月に市や業者と住民の集会があり、市側は、安全に万全を期す▽夜間の騒音に配慮する▽万一の事故の場合は補償する−などを約束したという。しかし、4月にはコンクリート入りのポンプ車を洗うホースが破裂して付近の車や家の窓ガラスなどに被害が出る事故もあったという。(朝日新聞)
19日■山陽電鉄が全線開通 5ヵ月ぶり
 阪神大震災で不通になっていた山陽電鉄西代−板宿間(神戸市、1`)が18日始発から運転を再開。同電鉄は震災後約5ヵ月ぶりに西代−姫路間が全線開通した。また、神戸高速鉄道高速長田−西代間(0.9`)も同日始発から運転を再開した。
 震災で山陽電鉄は山陽塩屋駅などでホームや路盤が損傷したほか、山陽須磨−須磨浦公園間を中心に全線の計16ヵ所で擁壁の倒壊などの被害が相次いだ。西代−板宿間などで震災前から行っていた地下化工事を進め西代駅は地下駅として営業を再開した。
 その他の主な不通区間の復旧予定は次の通り。
 ▽6月22日 神戸高速鉄道新開地−湊川間(0.4`)、神戸電鉄湊川−長田間(1.9`、全線開通)
 ▽6月26日 阪神本線御影−西灘間(3.1`、全線開通)
 ▽8月 神戸高速鉄道新開地−高速長田間(2.0`、全線開通)(京都新聞)
■ハンセン病の老歌人 あこがれのSLで旅 遺言がわりに歌集出版 高齢の機関車SLと呼びかへて力ふりしぼりレッツゴーゴー
 ハンセン病の後遺症で、目が不自由になり、香川県・屋島沖の小島にある国立療養所「大島青松園」で車いす生活を送っている歌人斉木創さん(81)が18日、少年時代の思い出が詰まっているSLに乗るため、JR山口線小郡から津和野までの約63`を「SLやまぐち号」で旅をした。録音したテープをもとにこの旅を詠み、これまでに詠んだ約1万首から選んだ歌に加えて歌集「SLの旅」を遺言代わりに出版する予定だ。
 旅には、療養所職員、ボランティアの女性ら計5人が付き添った。「みんな、ようしてくれて。汽車の中で、何度も何度も、うれし泣きしてしもうて。こんなにうれしかったことは、生涯に一度もなかったです」
 らい予防法で、療養所に収容されてから、丸62年。おいやめいには「創おじさんは、昔に死んだ」と肉親が言ってある。
 SLの音は60年以上も前、JR山陽線わきの自宅に閉じこもった中学生時代、耳に慣れた。「世間から隠れ住んだ孤独な少年時代、あえぎあえぎ坂道を上る蒸気機関車に同じ生き物のような共感を覚えた」
 遺言は書かない。「歌集は遺言代わりに血縁を切った肉親にささげる」という。
 斉木さんは1957年の第一回花宴賞、同年の第二回角川賞(入選)を受けている。この日、終着の津和野駅でこう詠んだ。
 「高齢の機関車SLと呼びかへて力ふりしぼりレッツゴーゴー」(朝日新聞)
■山陽電鉄が全線で開通
 阪神大震災で被災した山陽電鉄が18日始発から、板宿−西代間(1`)で運転を再開し、神戸市と姫路市を結ぶ約60`の全線が5ヵ月ぶりに開通した。同電鉄が乗り入れている神戸高速鉄道も、西代−高速長田間(0.9`)が復旧した。
 山陽電鉄は、塩屋、板宿、西代各駅の駅舎やホームが損壊するなど、約70億円の被害を出した。1982年から地下化工事が続けられていた板宿−西代間は4月中旬に開通する予定だったが、この日2ヵ月遅れの営業開始となった。
 神戸高速鉄道の高速長田−新開地間(2`)は、依然、復旧工事が続いており、JR線須磨−神戸間での振り替え輸送は21日まで続けられ、22日以降に廃止される。板宿−湊川公園間で続いている神戸市営地下鉄での振り替え輸送は、22日以降、長田−湊川公園間に短縮される。阪急、阪神との相互乗り入れは、神戸高速が完全復旧する8月に再開される予定。(朝日新聞)
■駅員寝過ごし乗客乗り遅れ
 19日、千葉県船橋市若松のJR京葉線南船橋駅で、当直の駅員が寝過ごし、駅入り口のシャッターを開けなかったため、駅に入れなかった乗客が、同駅午前4時54分発車の新習志野発東京行き上り電車に乗り遅れた。
 JR東日本によると、乗り遅れた乗客は6人。乗客は約10分後の後続電車に乗ったという。(京都新聞 夕刊)
■松崎委員長が会長に就任へ JR東労組
 JR総連の最高実力者といわれるJR東労組(5万6000人)の松崎明委員長は、長野県松本市で開かれている同労組定期大会2日目の19日、執行委員会で委員長辞任を表明した。規約改正で新設される予定の会長に就任し、後任には菅家伸書記長が昇格する見通し。大会最終日の20日に正式に承認される見込みだ。
 国鉄の分割・民営化以降、委員長を務めている松崎氏の任期は来年6月までだが、任期途中で役職定年の60歳を迎える。定年後も何らかの形で続投を望む声が多く、本人も強い意欲を示しているため、会長ポストの新設が提案された格好だ。規約改正案によると、会長は「委員長を助け、組合を総括する」となっており、影響力に大きな変わりはないとみられている。(朝日新聞 夕刊)
■信号故障で ダイヤ乱れ JR山陰線
 19日午前8時ごろ、京都市右京区太秦のJR山陰線太秦駅で、構内の信号機が赤のまま変わらなくなり、園部発京都行きの普通電車(8両編成、約1200人)が同駅手前で停車した。信号機は約20分後に自然復旧したため、普通電車も運転を再開したが、この影響で後続の上下4本が運休、上下15本が最高40分遅れ、約1万2000人の足が乱れた。(朝日新聞 夕刊)
20日■地下鉄工事火災駐車場工事漏水 「安全管理徹底せよ」 京都市自民市議団、市へ申し入れ助役、改めて交通局へ通達
 京都市の地下鉄東西線と御池第二地下駐車場の工事現場で火災や漏水事故が相次いだ問題で、自民党市議団(津田幹雄団長)は19日、安全管理の徹底を申し入れた。北里敏明助役は「事故により市民生活に影響を及ぼしたことは遺憾だ」として、改めて安全管理の徹底を図るよう交通局などに通達を出した。
 京都市では14日、地下鉄東西線の工事現場で火事が起きた。3日後には、約600b西の御池第2地下駐車場工事現場で杭(くい)打ち機が誤って水道管を破断、約2500dの水が道路に噴き出す事故があった。自民党市議団は「いずれも工事を注意探く行っていれば防げた初歩的なミス」として、工事現場の総点検と安全管理の徹底を申し入れた。(朝日新聞)
■解決を求めて国労など集会 JR不採用問題で26日
 国鉄の分割・民営化に伴う北海道、九州を中心とした国労組合員ら1047人の不採用問題が、運輸省側の非公式解決案が示されるなど重要な局面を迎えていることを受け、国労などは26日、東京・日比谷公会堂で集会「JRに人権を。1047人の復職を求める」を開き、早期解決に全力を挙げる。
 不採用問題で運輸省側が非公式に提示した案は@1047人の名誉回復を図るため、全員をいったん地元JRに採用した上で、女性や障害を持つ組合員を除いては退職A希望者は本州のJRに就職をあっせんB国鉄清算事業団を解雇された後の未払い賃金を支払うなどとなっている。これに対し、国労側は「1047人全員を採用することが最低条件だ」として運輸省案には難色を示している。(京都新聞 夕刊)
■地下鉄東西線山科工事現場 今度は労災事故 ブロック落下、1人重傷
 20日午前8時20分ごろ、京都市山科区御陵原西町の市営地下鉄「御陵東工区」工事現場で、大阪市天王寺区筆ヶ崎、作業員森永峰雄さん(45)が、台車から落ちたコンクリート・ブロックにあたり、骨盤損傷などの重傷を負った。
 山科署の調べによると、ブロック(横1b、縦約3b)はトンネルの側壁の1部で、重さ約2d。森永さんら5人が地下約10bの坑内でブロック3個を電動トロッコで運搬作業中、牽引車と台車の連結部の異常で、台車からブロックがずり落ち、そばで運搬の補助をしていた森永さんにあたったとみて、調べている。
 同工区は山科区御陵別所町−御陵原西町までの528bで、シールド工法で掘り進められている。1991年9月着工、本年度末に完成予定。
 京都市は、中京区の地下鉄東西線などの工事現場で火災や水道管破損事故が相次いだため、19日に庁内各局に安全管理を徹底するよう通達を出していた。(京都新聞 夕刊)
■県課長補佐を痴漢容疑逮捕 JRの電車内
 兵庫県警垂水署は20日、JR山陽線の快速電車内で女子大生に迷惑な行為をしていたとして、明石市内に住む兵庫県福祉部の課長補佐(45)を県迷惑防止条例違反の疑いで現行犯逮捕した、と発表した。
 調べでは、課長補佐は19日午後10時ごろから約10分間、須磨−垂水駅を走っていた下り快速電車内で、ドア近くに立っていた神戸市内の女子大生(22)に身体を密着させるなどの行為をした疑い。近くにいた会社員が、課長補佐を引き離して垂水駅で下ろし、同駅員の通報で駆け付けた垂水署員に引き渡した。課長補佐は少し酒に酔っていたという。(朝日新聞 夕刊)
21日■安全管理の徹底通達 地下鉄建設で京都市
 京都市山科区の市地下鉄東西線建設現場で20日午前に発生した労災事故を受け、京都市交通局は同日、中谷佑一管理者(交通局長)名で安全管理の徴底を求める通達を出した。
 通達は、事故防止に向けて安全管理対策の総点検と、請け負い業者への指導の徹底、事故発生時の原因の究明などを求めている。(京都新聞)
■ポートライナー来月末に全線復旧
 神戸市は20日、阪神大震災で高架が落下するなどして不通となっていたポートライナーの全線復旧が当初予定より約1ヵ月早まり7月末になる見通しを明らかにした。
 ポートライナーは神戸沖の人工島ポートアイランドと市内を結ぶ全長6.4`。震災後は代替バスが運行、5月22日に島内区間のみ再開していた。一方、六甲ライナー(全長4.6`)も、六甲アイランドと市内を結ぶ区間の復旧が約1ヵ月早まり7月末に。全線復旧は8月下旬の予定。(京都新聞)
■コンクリート片2ヵ所に置く 城陽のJR奈良線
 20日夕、城陽市内のJR奈良線で、線路上にコンクリート片を置くいたずらが2件あった。電車や乗客に被害はなかった。城陽署は電車往来危険罪の疑いで捜査している。
 同日午後5時5分ごろ、同市下大谷、奈良線広野踏切の南約100bで、京都発奈良行き快速電車=6両編成=の運転士(48)が線路上に置かれたコンクリート片3個を発見。非常ブレーキをかけたが間にあわず、粉砕して停車した。
 さらに7分後、同じ現場付近で、奈良発京都行きの快速電車=同=が線路上のコンクリート片1個の手前で急停車。いずれも電車は1分半から1分間遅れて出発した。
 同署の調べでは、置かれていたのは信号用ケーブルを覆うU字型(長さ50a、幅と高さ各10a、厚さ2.5a)のコンクリート片。(京都新聞)
■2特急窓ガラス破損 JR湖西線新旭駅付近
 20日午後3時40分ごろ、滋賀県高島郡新旭町旭のJR湖西線新旭駅付近を走行中の新潟発大阪行きの特急雷鳥32号で、乗客から車両窓ガラスが割れたとの通報があった。車掌が先頭車両の進行方向石側の窓ガラス1枚が割れているのを確認。京都駅でテープで応急処置し、予定通り大阪駅に到着した。
 また同時刻、同付近で大阪発富山行きの特急雷鳥29号でも車両3台でそれぞれ窓ガラス1枚ずつ計3枚が割れた。敦賀駅で同様の処置を施した。いずれもけが人、列車の遅れなどの影響はなかった。JR西日本で原因を調べている。(京都新聞)
■地下鉄工事 また事故 京都市 シンナーで中毒 作業員2人倒れる 国際会館駅工区
 21日午前9時55分ごろ、京都市左京区岩倉大鷺町、市営地下鉄烏丸線「国際会館駅工区」の地下工事現場で、作業員2人が中毒症状を起こして倒れるなどし、市消防局の救急車で病院に運ばれた。下鴨署や市消防局の調べでは、シンナー中毒で軽症という。
 地下鉄関連工事では、今月14日に東西線工事現場で火災があったのをはじめ、ブロック落下や市営地下駐車場工事現場での水道管破損など事故が相次いでいる。
 病院で手当てを受けたのは東山区花見小路通三条下ル、兼崎雅晃さん(24)、向日市寺戸町西野、越本耕作さん(21)。
 下鴨署などの調べでは、この日午前9時ごろから、兼崎さんら4人の作業員は地下10bの現場で、防水用シートを接着剤で側壁に付ける作業をしていたといい、接着剤が揮発してシンナー中毒を起こしたとみて、工事関係者から作業状況を詳しく聴いている。
 工事関係者によると、中毒症状を起こしていた兼崎さんらを現場事務所備え付けの担架にのせるとともに、穴に出ている鉄筋を曲げるなどして空間を確保、工事用の大型クレーン車の先端を地下10bまで延ばして地上へ担架を運び上げたという。
・国際会館駅工区 左京区岩倉大鷺町の、全長412bの区間。地下鉄烏丸線北山駅から同国際会儲駅(仮称)までの総延長2.6bを4工区に分け、総工費約420億円で行われている国際会館線延伸工事のうちの最北端の工区。
 工事は平成5年7月から8年6月までの予定で、オープンカット工法で進められており、5月末の進ちょく率は63%。現在は、駅の本体を建設中で、コンクリート壁に防水シートを張る作業を行っていた。
 工事は、大成建設や奥村組土木工業など6社の共同で行われている。(京都新聞)
■市民「どうなってるの」 市側「業者の自覚しか…」
 京都市の市営地下鉄工事現場で21日朝、また事故が起きた。火災や水道管破損などに続き、今月に入って地下鉄関連の事故は4件目。連続する事故に、市民からは「地下鉄工事はどうなっているのか」といった批判の声も上がっている。
 続発する地下鉄工事現場の事故に、市の北里敏明助役は「残念だ。安全対策を十分講じ、細心の注意を払って工事を進めるよう施行業者にお願いしている。再度注意を促すが、業者の自覚を待つしかない」と、話す。また直接、現場を担当する交通局建設第一課の井戸澄夫課長も「安全対策には、万全を期しているつもりだが」と言葉少ない。
 市は、地下鉄東西線建設現場での火災と市営地下駐車場工事現場での水道管破損事故が続いたため、19日、全庁の各局に対し、公共工事の安全管理を徹底底するよう助役名で通達した。市交通局も20日、地下鉄全29工区の責任者に対し、現場の安全管理の総点検などを指示したばかり。
 建設費が大幅膨張したうえ、当初予定より遅れ気味の地下鉄建設工事が、相次ぐ事故でさらに遅延が心配されるが、北里助役は「事故は人為的なミスが原因で、工事に根本的な欠陥があるわけではなく、進ちょく状況にも影響はない」と話している。(京都新聞)
■線路にU字溝 列車緊急停車 JR奈良線で2度
 20日午後5時6分ごろ、京都府城陽市久世下大谷のJR奈良線で、京都発奈良行きの快速列車(6両編成)が線路をふさいで置かれていたコンクリート製のU字溝(長さ1b、幅12a)をはね、緊急停車した。乗客約180人や列車に異常はなく、間もなく運転を再開した。さらに、同13分ごろにも、奈良発京都行きの快速列車(6両編成)が同じ場所で、やはり線路をふさいでいたU字溝を発見し、直前で停車した。約2分後、U字溝を取り除いたうえで発車した。
 城陽署は、同1人物による悪質ないたずらとみて捜査している。(朝日新聞)
■走行中の「雷鳥」 窓ガラス割れる 2本で
 20日午後3時40分ごろ、滋賀県高島郡新旭町のJR湖西線新旭駅付近を走行していた大阪発富山行き特急「雷鳥29号」(10両編成、約600人)の乗客から、窓ガラスが割れたと車掌に連絡があった。車掌が調べたところ、後ろ寄りの1号車と2号車、3号車で1ヵ所ずつ窓ガラスが割れていた。「雷鳥」は敦賀駅に到着後、ガラスにテープを張る応急処置をした。
 また、同じころ新旭駅付近を走行中の新潟発大阪行き「雷鳥32号」(9両編成、約500人)の前寄りの1号車でも窓ガラス1ヵ所が割れているのが分かり、京都駅でテープを張った。いずれも乗客にけがはなかった。(朝日新聞)
■人工島と対岸間 来月末には連結 新交通システム
 神戸市は20日、震災で不通になっている人工島と対岸を結ぶ新交通システムについて、ポートライナーの中公園−三宮間(2.9`)と、六甲ライナーのアイランド北口ー魚崎駅間(2.3`)の運転再開は、当初見込みの「8月中旬」より早まり「7月末」になりそうだと発表した。また、神戸電鉄の新開地−長田間と、市バスで最後まで運行できずにいた一路線は、いずれも今月22日に再開することが正式に決まった。
 ポートライナーと六甲ライナーを運行する神戸新交通会社によると、沿線住民の協力で昼夜連続の復旧工事ができたため、開通が早まったという。残る六甲ライナー魚崎−住吉駅間(1.2`)は駅舎の被害が大きいことなどから、復旧は8月下旬になる見込み。
 神戸市交通局も、市バス73路線のうち最後まで運転再開できなかった9系統(吉田町一丁目−地下鉄上沢駅前の巡回路線)を、今月22日から再開する。(朝日新聞)
■京都の地下鉄また工事事故 3人、ンンナー中毒
 21日午前9時55分ごろ、京都市左京区岩倉大鷺町の市営地下鉄烏丸線の建設工事現場(地下約10b)で、作業員の越本耕作さん(21)と兼崎雅晃さん(24)の2人がシンナー中毒で倒れた。2人を含む計3人病院に運ばれ、いずれも症状は回復したという。
 京都市営地下鉄では、14日に東西線の建設現場で火災が発生して1人が一酸化炭素中毒になった。20日にも、同線の現場で台車からコンクリートブロックが荷崩れし、1人が大けがをした。また、17日には沿線の同市営地下駐車場の建設工事現場で出水事故が起きている。(朝日新聞 夕刊)
22日■京都市地下鉄工事 事故続発に市長陳謝 市の責任には言及せず
 続発している京都市の地下鉄工事現場での事故で、田辺朋之市長は21日の記者会見で「周辺住民をはじめ市民に迷惑と不安を与え、申し訳ない」と陳謝した。だが、一連の事故原因は「工事の当事者の不注意で起こったもので、工事進行上の問題とは全くかかわりない」と述べ、発注業者に対し工期の短縮を求めている京都市の責任については言及しなかった。
 地下鉄関連工事では、今月14日に中京区の東西線工事現場で火災が発生したのに続き、17日の水道管破損、20日には山科区でブロック落下など事故が続発した。
 京都市は緊急局長会議や助役通達で安全管理の徹底を指導していたが、21日朝には左京区の烏丸線延伸工事現場で、作業員3人がシンナー中毒で病院に運ばれ、事故の再発を防げなかった。
 建設の遅れを取り戻すため安全管理が十分ではなかったのではないか、との指摘に対して、田辺市長は「作業員が工事を熟知していなかったり、たまたま部品のピンが抜けるなど当事者が十分に注意していれば防げた」と話し、工期短縮と事故の関連性を否定した。
 そのうえで田辺市長は「交通局に対し、安全管理にさらに万全を期すよう業者への指導を徹底させる」と述べた。
 京都市は、山科区の東西線で作業員が重傷を負ったブロック落下事故で、市競争入札取扱要綱に基づき「安全管理が不適切だった」どして、22日にも請負業者を事故発生日にさかのぼり約1ヵ月間、市の公共事業の指名競争入札から外す。(京都新聞)
■時速400`の風発生 JR総研、米原に建設 国内最高の実験施設公開
 鉄道総合技術研究所(JR総研、東京)は21日、滋賀県米原町に建設中で、世界トップクラスの時速400`の風を起こせる大型風洞実験施設を公開した。
 新幹線の高速化で課題となる環境問題やエネルギー問題などの実験を行うのが目的。高速の風を車両の模型やパンクグラフに吹き付け、「風切り音」や空気抵抗値などを測定。得られたデータを低騒音車両の開発などに生かす。
 風洞はこれまで国内では自動車メーカーの最大風速毎時280`の施設が最高だった。
 また、航空機開発が主な目的の「ドイツ・オランダ風洞」(アムステルダム郊外)など世界レベルの風洞と比べ、施設内の風の音が小さく、より精度の高い騒音測定ができるのが特徴。
 この日は、既に据え付けが終わった出力7000キロワットの大型送風機のファン(直径5b、羽根の長さ約1b)やデータ解析を行う計測棟など施設の心臓部が公開された。
 風を回流させる1周230bの風路など残る建物部分の完成を待ち、機器類を搬入する。平成8年3月末、完成の予定。(京都新聞)
■「市民に迷惑かけた業者に指導徹底を」地下鉄工事事故で市長
 京都市の地下鉄建設沿線で相次ぐ事故について、田辺朋之市長は21日の定例記者会見で「市民に迷惑をかけ、誠に申しわけない。業者への指導を徹底したい」と話した。建設資材を運ぶ台車が脱線して作業員が大けがを負った20日の事故については、請け負った建設会社を当分の間、新たな工事入札に参加させない参加停止措置にする方針を明らかにした。
 工期短縮のため、東西線では1日20時間の工事が行われている所もある。田辺市長は事故の背景について「工期短縮によるあせりは関係ない。いずれも当事者の不注意で起きた」と強調した。
 東西線ではこの1週間に火災、出水事故、台車脱線事故が続いた。さらに21日には烏丸線延伸現場で、作業員2人が被害を負うシンナー中毒事故が発生した。(朝日新聞)
■レール溶接8_開く 向日市のJR線
 22日午前3時40分ごろ、向日市鶏冠井町佃のJR東海道線向日町−神足間の内側線で、レールの溶接部分が約8_開いているのを神足駅員が発見。開口個所のレールを2bにわたって取り換え、午前6時20分ごろ復旧した。
 この事故で、東京発高松行き寝台列車「瀬戸」が11分遅れたのを最高に下り4本が11分−5分遅れ、約600人に影響が出た。(京都新聞 夕刊)
■神戸電鉄も全線開通
 阪神大震災のため運休していた神戸電鉄の新開地−長田駅間(2.3`)が22日、始発から運転を再開し全線が復旧した。
 六甲山北側と神戸市の市街地を結ぶ同電鉄は、長田駅以北については2月7日までにはぼ復旧を終えていた。この日間通した区間は、トンネル内に亀裂が入るなど被害が大きかったが、震災から約5ヵ月ぶりに通常ダイヤに戻ることができた。
 26日に全線開通する阪神の西灘駅は、高架の新しい駅舎が完成し、22日始発から使用を開始した。(朝日新聞 夕刊)
23日■京都市に監督責任 地下鉄工事事故で 共産党京都市議団
 共産党京都市議団は22日、地下鉄工事で事故が相次いでいることで「公共事業であり、市の監督責任をあいまいにすることは許されない」として安全対策と再発防止に全力を尽くすよう田辺市長と中谷公営企業管理者(交通局長)に申し入れた。(京都新聞)
■「はるか」草津まで 夏休み期間中 1日1往復延長運転
 JR西日本は、関西国際空港−京都間の特急「はるか」を夏休みの期間中、1日1往復だけ草津駅まで延長運転すると、22日発表した。
 実施期間は、7月21日から8月31日まで。延長されるのは早朝の草津発1本、夜の空港発1本の計2本。県内では、大津にも停車する。特急料金を含めた大人運賃は、草津空港間が4820円、大津−空港間が4510円。
 はるかは、昨年9月に運行をスタート。すべて京都発着で、途中停車駅は新大阪と天王寺だけ。新ダイヤでは1便増え、1日31往復となる。草津−空港間の所要時間は1時間35分前後となる。
 滋賀県は関空アクセスの利便を図るため、昨年11月に県内への延長運転を同社に要望していた。JR西日本では「パスポートの発給件数の伸びや、はるかの発券状況、乗客調査で滋賀方面の利用者が増えていることが分かった。9月以降については、利用実績を見てから検討したい」(運輸部)としている。(京都新聞)
■神戸電鉄も全線開通 5ヵ月ぶり
 阪神大震災で不通となっていた神戸電鉄(神戸市)の長田−湊川間(1.9`)が22日始発から復旧、同電鉄は約5ヵ月ぶりに全線再開した。開通後は震災前のダイヤで運行する。
 神戸高速の湊川−新開地間(0.4`)も同時に復旧、市中心部と北部のニュータウンが1本の路線でつながった。
 同高速で不通の新開地−高速長田間(2`)は、8月中に復旧の見込み。(京都新聞)
■フィリピンの鉄道建設受注 三菱重と住商
 三菱重工業と住友商事は22日、共同でフィリピン・マニラ市の鉄道建設を香港のエドサ・LRT社から約4億jで受注したと発表した。日本企業による海外の鉄道建設の一括受注は始めてという。
 マニラ市内の幹線道路に建設される最新型の路面鉄道で、全長は約18`。住友商事と三菱重工は車両を含む全システムの供給と、駅舎、車両基地、土木工事などを行う。開業は1998年の予定。(京都新聞)
■JR総研が実験用風洞
 直径5bの巨大扇風機。強化プラスチック製の12枚の羽根が高速回転すると、最大で時速400`の風が起こる。JR総研が滋賀県米原町に建設している「大型低騒音風洞」。現存する風洞の最大風速が280`だから、完成すれは国内最大の風洞になるという。このほど、心臓部の送風機が取り付けられた。
 風速400`の中に物体を置くと、時速400`で走ったときと同じ風圧を受ける状懸になる。JR東海などが開発中の次世代新幹線の模型や、パンタグラフの実物を測定部に設置すれば、高速走行時に発生する風切り音や空気抵抗の様子を再現できる。
 もう一つの特徴は風洞そのものの騒音が小さいことだ。風速300`の状態で発生する騒音は75デシベルで、海外の既存の風洞で最も静かなものが81デシベルだから、世界でも類を見ない高性能の低騒音風洞になる、という。
 総工費は約80億円。来年1月に完成し、同3月から本格運転を始める。(朝日新聞)
24日■KTR 94年度決算 4億9000万円の赤字 過去最高 震災で乗客滅響く
 北近畿タンゴ鉄道(KTR=社長・谷岡豊次京都府参与)は23日、1994年度の決算を発表した。阪神大震災で乗客が減ったことなどから経常収支は4億9000万円の過去最高の赤字となった。30日の定時株主総会で承認を求める。
 決算によると、運賃収入を柱にした営業収入は14億7631万円、人件責、修繕費などの営業支出は19億6691万円、これに営業外損失を加えた経常収支は、4億9666万3000円の赤字で、前年度より約1億2000万円悪化した。
 全国の第三セクター鉄道(37社)の中でで初めて最下位に落ち込んだが、同社では営業収入が都市型鉄道の愛知環状鉄道、鹿島臨海鉄道に次いで3番目で、営業支出にはJR線にも乗り入れる特急車両の減価償却費1億7000万円も含まれており「良質赤字だ」としている。赤字分は、国やKTR経営対策基金(約15億円)から助成し、全額補てんされる。
 また、来春のJR山陰本線とKTR 宮福線の電化に伴い、非電化部分との接続用の車両を新たに10両購入することを決めた。このため、新株1万株を発行し、資本金を12億円増資して26億円とする。
 株主総会では、任期満了に伴い取締役19人、監査役4人を選任。その後の取締役会で、代表取締役社長に谷岡豊次府参与を再任、し、同専務・事業本部長に勝本宗繁元府宮津振興局長を新任する。(京都新聞)
■全面復旧へ急ピッチ 阪神本線
 26日の全面再開に向け、復旧工事が続く阪神本線。震災の影響で、5ヵ月以上も御影(神戸市東灘区)−西灘(同市灘区)間の3.1`が不通となっている。これまで、神戸方面からの終点になっていた西灘駅では、震災直後に上り線の上に作った仮駅舎を撤去し、その分の線路を引き直す作業が、大勢の作業員らの手で急ピッチに進んでいる。簡易クレーンでレールをつり上げ、水平をとってコンクリート製のま<ら木を並べる。阪神電鉄本社によると、作業は開通直前の25日夜まで続き、再開後は、ほぼ震災前の輪送力に戻る。(朝日新聞)
■御池通の出水事故 実況見分、関係者から聴取 中立売署 機械の位置を再現 4棟浸水 過失浸害容疑の可能性も
 中京区御地通高倉東入ルの京都市御地第二地下駐車場工事現場で17日に約2500dの水が噴き出した事故について、中立売署は23日、現場付近を実況見分した。この事故では、近くの商店など4棟が床下浸水し、商品やじゅうたんが水びたしになる被害が出ており、同署は過失浸害の容疑が成り立つ可能性もあるとして、工事関係者から事情を聴いている。
 実況見分は午前10時から始まり、下水、ガス、水道など、各配管の位置や構造について調べた。事故は、作業員が誤って地下の水道管を破断したためとみられており、水道管を傷つけたくい打ち機を事故時の位置に移すなどして、当時の詳しい作業内容について工事関係者から説明を受けた。
 京都市建設局によると、出水事故が起きた駐車場建設工事は、熊谷組、竹中土木、東急、東亜、公成の共同企業体が主体となっていたという。同署は、工事手順に問題がなかったかなどについて、各企業の作業責任者から事情を聴く方針。(朝日新聞)
■5憶近い経常損失 北近畿タンゴ鉄道 昨年度決算
 第三セクターの北近畿タンゴ鉄道(KTR、本社・上京区)は23日、1994年度決算を発表した。経常損失は過去最高の4億9600万円。同社によると、全国に37社ある第三セクター鉄道のうち、最大の揖失額になるという。30日の株主総会で承認される見通し。
 決算によると、運輸収入などの営業収入は14億7600万円、減価償却費や人件費などの営業支出は19億6600万円。これに営業外損益を加味すると、前年度よりも約1億2000万円増の経常揖失になった。
 損失増の主な理由は、修繕費が前年度に比べて約1億5000万円増加したためという。同社は「95年度以降は国庫から経常揖失に対する補てんがなくなるため、94年度中に修繕費を多く使った」と説明している。
 94年度の輸送人員は290万人。阪神大震災の影響で1、2月の乗客が減ったため、同社の宮津線が開業した90年以来、初めて前年度より落ち込んだ。(朝日新聞)
■電車が正面衝突 乗客ら7人けが 千葉・銚子電鉄
 24日午前6時10分すぎ、千葉県銚子市愛宕町の銚子電鉄線の本銚子−笠上黒生間で電車同士が正面衝突。乗客の同市内の女子学生西村志穂さん(18)や下り電車の大川聖運転士(30)ら4人が頭や足を骨折するなどして重傷、3人が軽いけが。
 銚子署の調べによると、電車は上下とも1両編成。両車両とも前の1輪ずつが脱線し傾いているという。
 同線は全線6.4`の単線。笠上黒生駅構内の複線部分で上下線がすれ違うが上り電車が下り電車を待たずに進行したため衝突したらしい。上り電車に通学途中の学生など4人、下り電車に1人の乗客がいた。(京都新聞 夕刊)
■ポイント故障で遅れ JR東海道線
 24日午前11時ごろ、JR東海道線高槻駅構内で下り線のポイントが変わらなくなり、京都発関西空港行き特急「はるか19号」の発車が12分遅れるなど、下り線10本に20分から2分の遅れが出、上下線4本が運休した。約4000人が影響を受けた。(京都新聞 夕刊)
25日■阪神あす全線開通 160日ぶり、5本増便
 阪神大震災で不通になっていた阪神電鉄本線の御影−西灘間(3.1`)が、あす26日始発から運転を再開する。これで阪神本線は160日ぶりに全線が開通、被災地の鉄道不通区間のうち、残るのは神戸高速鉄道の高速長田−新開地間(2.0`)だけとなる。
 阪神電鉄は、震災で鉄道施設全体に約570億円にのぼる損害を受けた。とくに本線の御影−西灘間は、道路をまたぐ鉄橋が8ヵ所で落下したほか、高架橋の一部も崩壊。沿線にある石屋川車庫がほぼ全壊して、車両計126両が損傷した。同社では、この区間で計365本の高架橋脚を新しい橋脚に交換、線路上の鉄道施設もほとんどを作り直した。
 復旧は当初、9月末とみられていたが、補修だけで済む高架橋脚の数が意外に多かったことや、地元住民の復旧工事協力などもあって、3ヵ月早まった。
 全線開通の26日に合わせて、同社はダイヤ改正を実施。一日の運転本数を震災前より5本多い595本に増やし、乗客の取り戻しを図る。当面、運転可能の車両は、258両(震災前は314両)だが、11月から順次、新造車両を投入して来年3月までには震災前を上回る車両数を確保する。(京都新聞)
■地下鉄ホームから転落 全盲男性はねられ死亡 大阪・天王寺駅
 24日午後零時20分ごろ、大阪市天王寺区茶臼山、大阪市営地下鉄谷町線の天王寺駅下り線ホームで、大阪府岸和田市内の病院に入院中の無職の男性、藤井春美さん(61)が線路に転落し、間もなく入ってきた都島発文の里行きの電車(6両編成)にはねられ即死した。
 天王寺署の調べでは、藤井さんは全盲、難聴で、白いつえをついて黄色い点字ブロックに沿って歩いていたという。
 目撃者によると、ホームの端の点字ブロックが切れているところで、藤井さんがホームからそれて線路に落ちそうになったのを反対側のホームにいた人が見つけ、「危ない」と声を掛けたが転落。はい上がろうとしていたところに電車が入ってきたという。
 藤井さんは、慢性肝炎などで昨年11月末から岸和田市土生町の小南記念病院に入院していた。病院などによると23日午前、「京都の友人宅へ行く。明日の夕方に帰る」と、外泊許可を取って外出していた。
 同駅のホームには、縁から約70a内側に、幅約30aの点字ブロックが敷いてある。電車は現場に約5分間停車した後、運転を再開、後続の電車上下約20本に数分の遅れが出た。(京都新聞)
■始発と勘違い 赤信号を無視 銚子電鉄・正面衝突
 24日朝、千葉県銚子市の銚子電鉄線の本銚子−笠上黒生間で電車が正面衝突、7人が重軽傷を負った事故で、銚子署などは、上り電車の須永建一運転士(27)が始発と勘違いし赤信号を無視して進行したのが事故の原因とみて現場検証する一方、業務上過失致傷の疑いで、入院中の同運転士から事情を聴いている。(京都新聞)
■阪神本線もあす全通
 阪神大震災で被災した阪神本線は26日の始発から、不通になっている御影−西灘間(3.1`)で運転を再開し、震災から160日ぶりに全線開通する。24日に運輸省の立ち入り検査が終了した。25日に試運転をする。阪神の全通で、鉄道の残る不通区間は、神戸高速鉄道の新開地−高速長田間、ポートライナーの三宮−中公園間、六甲ライナーの住吉−アイランド北口間の3区間だけになる。
 阪神は、全通にともない、不通区間で走らせていた代替バスと、阪神御影駅と阪急御影駅を結んでいた連絡バスを廃止する。(朝日新聞)
■動く鉄道模型親子で楽しむ 田辺高の研究部企画
 田辺町河原の府立田辺高校で24日、地域の子供たちに鉄道模型を楽しんでもらおうと、「鉄道模型フェスティバル」が開かれた。土曜休業日を利用したボランティア活動として同校の鉄道研究部の生徒が企画。親子連れら約300人が訪れた。
 円形に敷いた1周約25bの線路などで、実物の150分の1と80分の1の模型約400両を運転。子供たちは自分で制御器を操作し、京都と関西空港を結ぶJRの特急「はるか」などおなじみの電車の模型を走らせ、歓声を上げていた。
 部長で3年生の森一洋君(17)は「模型で楽しみながら鉄道のことを少しでも知ってもらえれば」と話していた。(朝日新聞)
26日■倒木に衝突 快速車掌死亡 鹿児島、JR日豊線
 25日午前9時20分ごろ、鹿児島県曽於郡財部町北俣のJR日豊線で、線路上に倒れていた木に西鹿児島発宮崎行きの快速電車が衝突、車掌の浜崎善文さん(35)=鹿児島市東郡元町=が前部窓ガラスを突き破った木の枝で頭などを強打、死亡した。
 乗客26人のうち2人がむち打ちなどの軽いけがを負い、病院に運ばれた。24日午後以来、鹿児島県を見舞った大雨の影響で、線路わきのがけの木が滑り落ちた、とみられる。
 大隅署の調べによると、快速電車は2両編成で、時速約60`で走行。浜崎さんは1両目の前部右側の助手席に乗っていた。倒木は根元の周囲が約70a、高さ約9b。(京都新聞)
■「ご苦労さま」阪神代替バス
 阪神本線が26日に全線開通するのに伴い、不通区間の御影−西灘駅間を走っていた代替バスの最終便が25日夜、運行された。
 阪神電鉄の代替バスは、震災6日後の1月23日から走り始めた。当初、三宮−甲子園駅間だったが、路線の復旧に伴い徐々に区間が短くなり、3月13日から現在の区間に。延べ9万2000本、500万人以上が利用し、沿線住民の足になった。
 御影駅から西灘駅に向かった最終便には、乗客と同電鉄関係者約40人が乗車した。乗務前に阪神電鉄の女子社員から花束を渡された最終バスの運転手、前田智さん(58)は「当初は道路の状態がひどく、すし詰めのお客さんを3時間も立たせたままだった。本当に気をつかいました」と感慨探げだった。(朝日新聞)
■論壇 在来新幹線網整備で増収図れ
 混雑緩和への多額の設備投資などを理由に大手私鉄の運賃値上げが認可されたが、JR北海道、四国、九州のいわゆる三島会社でも国鉄分割・民営化後初めての運賃値上げが取りざたされている。今年3月期の決算で北海道が赤字寸前、四国、九州が赤字になったためだ。しかし価格破壊が進む今日、それなりの理由のある私鉄値上げですら利用者は不満をもらしており、まして三島会社の場合、「赤字だから運賃値上げ」では理解は得られまい。全国一律の運賃体系も崩れ(すでに幹線と地方交通線の二重体系がある)、三島会社線利用者の不公平感も生じて利用者離れがさらに進むことは明らかだ。
 ただ、三島会社は経営基盤が弱いなかで地域密着型の経営を目指し、三島会社を含むJR旅客6社ではこれまで20%以上の生産性向上を達成しており、運賃据え置きのまま利益を確保してきた。この点は、JRの企業努力の成果として積極的にPRされてよいと思う。
 とはいえ、三島会社では特に単線区間が多く、電化の区間も少ないため、スピードアップがままならず、利用者が減っている。JR全体の数字だが、営業2万203`のうち、複線以上の区間は5964`、電化区間は9679`に過ぎない(1991年度未)。すなわち現在のJRは、本来「時間」をサービスする運輸事業でありながら、ハードが貧弱であるために、種々のサービス改善努力なども上滑り気味だ。利用が伸びない分、今後の増収も期待できそうにない。早急に電化・複線化に着工し(新幹線の災害復旧のように)、将来性が高まるよう全体を底上げする必要がある。
 他方、整備新幹線は採算性がもともと疑問視され、田中角栄元首相の列島改造論に始まり、村山(富市)内閣でも、フル規格着工に向けて大きく動き出すなどきわめて政治的色彩が強い。着工済みの3線5区間は地域が限定され、地方の新たな都市集中につながる面も否めない。むしろ将来は地方分散型の国土の形成が必要であり、面的な地域交流軸という広域的整備の観点から見ると、各幹線とも数十億円規模で実施でき、採算性を伴う幹線鉄道網の整備が中核に据えられるべきだ。幹線鉄道網整備でカバーできない部分は、国内航空ネットワークをきめ細かく構築すれば整備新幹線に代替できよう。
 幹線鉄道網の整備は、既存の幹線の輸送力を増強するものだけに、国鉄時代に政治主導で「我田引鉄」的に行われた新線建設復活の余地は少ない。民営化で透明化された経営体質は政治介入を許した旧国鉄とはかけ離れている。ただ、幹線網整備を怠れば、三島会社は増益に必ずしもつながらない値上げに頼らざるをえず、再び国鉄化しかねない。不採算路線の整理も進むだろう。
 三島会社の鉄道網整備資金の調達は、3社の自力では無理である。本州三社との体力差を理由に、経営安定基金が三島会社だけに与えられている事実を考慮すると、既設新幹線の譲渡収入の一部や国の公共事業関係費、地元負担などを含んだ整備新幹線の事業費約2兆円(95年度約2000億円)を充てる方法が妥当だろう。工事もさほど進んでいない。収益性の高いJR本州3社からの資金融通策も検討できるが、国鉄時代のどんぶり勘定が経営責任の不明確化を招いた経緯があり、旧国鉄の債務返済も急務であることを考えると本州3社からの調達は難しい。
 具体的には、日本鉄道建設公団に対し、整備新幹線の事業費を幹線鉄道の整備資金として配分し直す方法が考えられる。現行の在来線整備は、各鉄道事業者が費用負担し、公的には借入金の利子だけが補給される仕組みのため、元金が回収されるめどが立たないと着手されない。
 ところで鉄道は、単位輸送量当たりの二酸化炭素排出量が自家用車の8分の1であり、21世紀型省エネ社会を念頭に私的自動車輸送からの移行の受け皿になる必要もある。
 さらに三島会社とローカル線の背後にある過疎問題から、社会資本整備による地方分権や福祉社会の実現を考えると、国費などでまかなう在来の鉄道網整備は単なるJRの基盤強化にとどまらない。公共事業の拡大で雇用創出効果もあり、地方経済の活性化に資するともいえ、国民の解も得やすいといえるだろう。(交通ライター=投稿)(朝日新聞)
■話し合いを国労に要求 JR総連委員長
 JR総連(福原福太郎委員長、8万5000人)の第11回定期大会が、25日から2日間の日程で静岡県熱海市で開かれた。あいさつで福原委員長は、JRに不採用になった国労組合員らが地元JRへの復帰を求めている問題について、「(亀井静香運輸相らによる)政治解決の動きがあるが、不明朗な政治決着は国鉄改革に逆行し、認められない」と述べた。
 同時に福原委員長は、激しく対立しあっているJR連合が国労との協力関係を模索していることに触れ、「国労はどうするのか。憲法擦護などの問題を含め、国労に話し合いを呼びかけていく」と語った。(朝日新聞)
■大阪−神戸 鉄道が完全復旧 阪神も全線開通 震災後160日ぶり
 阪神大震災(兵庫県南部地震)で不通になっていた阪神本線御影−西灘間(3.1`)は26日、震災後160日ぶりに復旧し、同線は始発から梅田−元町間の全線が開通した。4月初めのJR東海道線、6月中旬の阪急神戸線に次いで同線が全面開通したことで、阪神間の鉄道は震災前の状態にほぼ戻った。不便を強いられてきた被災地の通勤、通学の足がようやく改善され、復興にもいっそうの弾みがつきそうだ。
 この日、阪神電鉄では震災前とほぼ同じ1日595本のダイヤで運行したが、乗り入れ運転をしている神戸高速鉄道新開地−高速長田間(2.0`)が依然不通のため、梅田−新開地間での折り返し運転となった。
 震災で同線は御影−西灘間の高架橋8ヵ所が約2`にわたって損壊。全線で駅舎やホームの損傷が相次いだほか、石屋川車庫(神戸市東灘区)の倒壊などで保有車両の約4割が全半壊するなど、鉄道施設の被害額は同社の年間総売上高の約8割に当たる約580億円に上った。
 阪神電鉄は延べ約30万人を動員して24時間態勢で復旧に当たった。損傷した高架の支柱計約660本のうち約360本を新しくつくり、柱に銅板を巻くなどの補強をした。
 当初、全線開通は9月末とみられていたが、高架の基礎部分に損傷がなかったことや作業環境が予想以上に早く整ったことなどから工期短縮が可能になった。
 並行するJR、阪急の開通後は同線の利用客は震災前に比べ約15%減少。3月末までの運賃収入の減収額が約5億円に上るなど、不通の長期化、経営への影響が深刻化していた。(京都新聞 夕刊)
■復興 思い乗せ発車 阪神本線全線開通 自らの再出発重ね 乗客ら感慨深げ
 震災で橋脚が崩れた震災当日から約5ヵ月−。線路わきには空き地となった焼け跡が点々とする中を26日朝、被災地復興のシンボルのフェニックスマークを付けた一番電車が走った。乗客たちは「電車も私もこれからがスタート」と自らの復興に思いを重ねた。
 午前4時38分、阪神御影駅では、箕輪幹也駅長の合図で御影−西灘間を走る元町行き普通電車が出発。下リホームには手塚昌利阪神電鉄社長や工事関係者ら約150人が万感の思いを込め、拍手で見送った。
 石屋川駅から一番電車に乗り込んだ近くの女性(64)は「大変な復旧工事の様子を家から見ていたので本当にうれしい」と声を弾ませた。
 大阪市へ通勤途上の神戸市灘区の会社員は1月17日の地震発生時に阪神電車に乗っていた。電車は脱線したが、けがはなかった。「震災で自宅は全壊。灘区内にようやく家を借りた。何もかも失ったが、電車も私もこれからがスタートですね」と感慨深げ。
 160日ぶりにラッシュが戻った阪神三宮駅。次々と改札口を通り抜けて行く人の流れに、原豊駅長(45)は「昨日に比べて倍近い利用客。やはりこうでなくては」と明るい表情だった。
 大阪の阪神梅田駅も午前5時に元町行きの始発電車が乗客約30人を乗せて出発。先に全通したJR、阪急の影響もあってか、ラッシュ時の人波は少ないという。
 それでも同駅の蜂谷正夫助役(43)は「待ち望んだ開通。早くJRに流れた客足が戻るといいのだが」と期待を込めていた。
・終電時刻は30分繰り上げ 車庫全壊の後遺症
 26日、ようやく全線開通した阪神本線は、御影以西の各駅で終電の時刻が震災前に比べ約30分早まる。
 石屋川車庫(神戸市東灘区、約1万6000平方b)が地震で全壊し、夜間の車庫代わりになる駅まで車両を移動せざるを得ないためで、残業のサラリーマンや酔客の不便は当分の間続きそうだ。
 震災で高架式の同車庫はコンクリート支柱が損傷し、上層階の床板が崩れるなどして58両も全半壊。車庫は修復困難だったため解体された。
 このため、営業を終えた車両は始発までの間、梅田駅など10ヵ所の駅に分散してホームを車庫代わりにすることになった。
 阪神は来年3月までには同車庫を再建する予定。
 新ダイヤの終電は、上り元町発石屋川行きが24時32分から24時4分に、下り御影発元町行きが24時32分から23時51分になる。
・通勤人口減で争奪戦激化 阪神間3線新たな競争
 被災企業の移転などで通勤人口が減少した阪神間では、JR、阪急、阪神の3線が出そろったことで”小さくなったパイ”をめぐる新たな競争が始まる。
 神戸、芦屋、西宮3市の人口は5月末現在で計約5万5000人減少。特に神戸市では、就職者人口の約3.6%に当たる約2万8000人が離転職したという。
 こうした中、「利用客取り込み」を最初に仕掛けたのがJR。4月初旬、東海道線の開通時に、ラッシュ時の大阪−三ノ宮間を3線で最短の19分で結ぶ新快速を大増発。
 復旧に手間取る両私鉄をしり目に利用客を対前年比で10−15%増加させた。
 さらに6月中旬の阪急全通に合わせて快速をスピードアップし輸送力増強策を重ねた。
 一方、阪急は通勤特急などを新設したり、混雑緩和の切り札として座席なしの新型車両を導入して巻き返しに出た。
 多くの車両が壊れた阪神は、震災前の約八割の車両数でほぼ同じ便数を確保しての再スタート。
 私鉄両社は、4年ぶりの運賃値上げを今秋に控えているだけに、JRとの競合駅を特急停車駅に変更するなど、先行したJRを意識した利用客のつなぎ止め策を展開する。
 山と海に挟まれたわずか数 の間に3本の鉄道が並行する阪神間。ようやくすべての線路がつながったが、「これからが正念場」と各社の幹部たちは気持ちを引き締める。(京都新聞 夕刊)
■阪神も全線開通 160日ぶり
 阪神大震災で分断された阪神電鉄・阪神本線の最後まで不通区間として残っていた御影−西灘間(3.1`)が復旧し、26日始発から運転を再開した。阪神本線は震災から160日ぶりに全線開通した。これで大阪と神戸を結ぶ鉄道は、4月1日のJR東海道線、同8日の山陽新幹線、今月12日の阪急神戸線に続き、すべてが1本につながった。
 同区間の再開一番電車は、御影発元町行きの各駅停車。午前4時38分、御影駅を出発した。ホームから社員や工事関係者ら約150人が拍手で見送った。朝の通勤ラッシュ時間帯の乗車率は150%で震災前よりやや少なかった。
 御影−西灘間で走らせていた代替バスと、阪神御影駅と阪急御影駅を結んでいた連絡バスは廃止され、すっかり被災地の風景のひとつになっていたバスに乗り換える光景は消えた。鉄道の残る不通区間は、神戸高速鉄道の新開地−高速長田間、ポートライナーの三宮−中公園間、六甲ライナーの住吉−アイランド北口間の3区間。
 阪神電鉄は当初、同区間の復旧見通しを9月末としていたが、高架橋の基礎部分を再利用できることが分かり工期が短縮できたこと、沿線住民や自治体の協力で道路側道を復旧工事用に全面使用できたことなどから開通時期が早まった。
 ダイヤもほぼ震災前の状態に戻った。しかし、126台の車両が被災したため、この日から使える車両は震災前より56台少ない258台。このため、朝のラッシュ時間帯では、1時間当たり26本と、震災前より2本少なくなった。また石屋川車庫が使えなくなったため、御影駅以西の最終電車は震災前より約30分早くなる。(朝日新聞 夕刊)
■復旧3鉄道 試練乗せて JR・阪急・阪神 工事費ずしり 利用客は転出 減収…経営へのダメージ深刻
 阪神本線が全線開通し、これで阪神間を並行して走っているJR、阪急、阪神の3線がすべてつながった。各社とも24時間態勢で復旧工事を続けた結果、全線開通が当初の予定より3ヵ月から2ヵ月早まった。しかし、3社は膨大な復旧費を抱え、今後も減収が経営を圧迫するのは必至。被災して沿線を離れた住民も多い。3社にとっての本当の試練はこれからになりそうだ。 復旧工事にかかった費用と減収額(1994年度)は表の通りで、山陽新幹線を抱えるJR西日本がそれぞれ1020億円、572億円と飛び抜けている。また同社の代替バス運転日数は68日間で他2社の半分以下だったが、輸送人数は延べ約557万人で最も多かった。
 しかし、経営へのダメージは、新潟県から福岡県まで路線がまたがるJR西日本より、京阪神で運行している私鉄2社の方が大きい。94年度決第で阪急は上場以来初めて赤字に転落、阪神も45年ぶりに赤字になった。特に阪神間の路線しか持たない阪神電鉄は、復旧工事費が常業収入の11カ月分に相当する。
鉄道3社の被災状況
 全線開通日復旧工事費減収額代替バス
94年度95年度
見込み
運転日数輸送人数
JR西日本4月1日
(東海道線)
4月8日
(山陽新幹線)
1020億円572億円500億円68日間延べ約557万人
阪急電鉄6月12日550億円59億円114億円145日間延べ約170万人
阪神電鉄6月26日620億円28億円95億円154日間延べ約517万人
 阪神電鉄は国と兵庫県、神戸市から275億円の補助金を受けることになった。また、日本鉄道建設公団にも支援を要請。1月26日から3月31日までの間、同公団の職員3人が同電鉄に出向き、被害状況の調査などをした。
 鉄路はつながっても完全復旧まではまだ多くの課題が残る。阪神は高架の石屋川車庫(約1.6f)が倒壊し、314台あった車両のうち126台が被災。26日の全線開通時に使用できたのは258台だけだった。同車庫再建は来年3月末の予定で、現在はさら地のままになっている。阪急も伊丹駅と三宮の神戸阪急ビルが倒壊し、完成まで少なくとも1年半から2年はかかるとされている。
 沿線住民の数も減っている。JR西日本の調べでは、震災から5月末までに神戸、芦屋、西宮の3市の流出人口は約5万5000人、神戸市内の事業所の閉鎖や移転による離転職者数は約2万8000人で、鉄道利用者は6.4%減少する計算になるという。沿線住民が同じ市内でも山間部や臨海部に移る例も多く、実際の影響はもっと大きくなりそうだ。同社の井手正敬社長は今月20日の記者会見で「阪神間では今後、少なくなった客を取り合うことになる。他社に負けないよう努力して客を引き留めたい」と話した。
・ラッシュ戻り休む暇なし
●三宮駅売店
 阪神三宮駅では、午前7時半ごろから、地下鉄などから乗り換える通勤通学客でホームがあふれかえった。ピークの午前8時過ぎには、足早に改札口を通り抜ける人の波や駆け込み乗車の光景も見られ、朝のラッシュ風景が戻った。
 震災前、1日に約11万人あった同駅乗降客は、約2万人に激減していた。構内の売店で働く池田久子さん(61)は「今日はすごい活気。休む暇もありません」と言いながらもほっとした表情だ。
 JRと阪急の回数券を買い、勤め先の西宮市内まで通っていた神戸市北区青葉台、会社員宮崎恒春さん(37)は「震災直後は三田経由で3時間半かけて会社まで通った。通勤が楽になります」と喜んだ。
 神戸市北区大池見山台、会社員有本恭子さん(27)は、並行するJR東海道線を使って西宮市内まで通っていた。JRが復旧する前は代替バスを乗り継いで約2時間かけて通勤していた。「冬の朝の厳しい寒さの中で、代替バスの行列に並んでいたころは、こんな状態がいつまで続くのかと思ったけど、いつの間にか半そで姿。5ヵ月たったんですね」と振り返った。
・残っているのは商店主くらい
●沿線商店街
 阪神本線の沿線は、阪神大震災の被害が大きかった地域のひとつ。家を失うなどして、住み慣れた地を離れた住民も多い。かつて沿線の活気を支えた商店主たちにとって、鉄道の開通は復興への入り口にすぎない。
 阪神西灘駅からひとつ大阪寄りの大石駅。震災前、1日平均約1万3000人の乗降客があったが、この日は半分ほど。
 駅の下を流れる都賀川沿いにテント張りの仮設店舗が数十並ぶ。お好み焼き店を経営している児山綾子さん(58)は、駅の改札口近くにあった店と自宅を震災で失った。「駅を利用していた会社員は、もうこの周辺に住んでないので、電車の利用者が少ないのでしょう。駅周辺に残っているのは商店主ぐらいですよ」と言う。
 大石駅周辺には、高架下を中心に約300店の飲食店や雑貨店が立ち並んでいたが、ほとんどが解体されている。駅の東にあった灘大石市場には40件を超える商店が入っていたが、営業再開の見通しが立たない店も多い。
 阪神電車の石屋川車庫そばの東灘区御影塚町四丁目で、食堂を経常している青木淳一さん(66)は、「店を閉めていた3ヵ月はつらかった」と振り返る。崩れた高架橋の撤去工事の粉じんで1日中、せきがとまらない。ガスが復旧した4月10日に店を再開したが、常連だった高架下の個人商店や運送会社の社員は近くにおらず、今は工事関係者がわずかに訪れるだけという。
 御影駅高架下の商店街は、代替バスに乗り換える客が立ち寄り、客足は震災前に比べ2、3割増えた。吉村和雄副理事長(48)は「御影らしい風景だった昔ながらの酒蔵が並ぶ町並みも地震で崩れた。地場産業が復興しなければ周辺の商店に活気が出ない」と心配そうに話した。同商店街は、西隣の新在家や大石駅周辺に折り込み広告を配るなどして新たな客の獲得を目指すという。(朝日新聞 夕刊)
■男性飛び込み即死 朝のJR三ノ宮駅
 26日午前9時10分ごろ、神戸市中央区のJR三ノ宮駅で、ホームに入ってきた網干発野洲行きの快速電車(8両編成)に男性客が飛び込み、はねられ即死した。同9時49分に運転を再開したが、上下3本が運休したほか、17本が39分−4分遅れ、約9000人が影響を受けた。
 葺合署によると、男性は年齢40−45歳くらいで、緑色のシャツにグレーのズボンをはいていた。同署は自殺とみている。(朝日新聞 夕刊)
27日■窓 地下鉄車両は安全性第一に 城陽市・斉藤 訓(団体職員・47)
 地下鉄東西線の車両デザインが、ステンレス地に朱色の帯と決まったという。また、烏丸線より車長が4b短くなり、ワンマン運転のための設備も施されるという。
 デザインの発表で、イメージアップが図られ、開業への期待が高まることだろう。しかし、実際の開業までこれから解決されるべき課題もいろいろあるだろう。利用者側から次のような点を検討、考慮してほしい。
 一つは、車長が短くなることによる車両の揺れの防止である。カーブの多い京津線は、京阪本線よりもひどい揺れを感じる。揺れを極力少なくして、乗り心地いいものを望む。
 二つ目は、ワンマン運転の安全性を最大限考慮してほしい。ホームドアを設置するにしても、ラッシュ時のドアヘのはさまり、ホーム出入り口での人の流れのコントロールには不安がある。
 三つ目は、烏丸線にはない長い距離を走行し、また京阪との相互乗り入れが考えられていることから、主要駅のみ停車の快速も必要ではないか。これは、京津線の準急のように追い越し設備がなくても可能だと思う。開業までの2年間に、利用者への利便性を高めるため、いっそうの工夫をお願いしたい。(京都新聞)
■ホーム転落−電車−線路に伏せた! 20aのすき間 命を救った
 26日午前9時15分ごろ、豊中市蛍池東町の阪急宝塚線蛍池駅下りホームで、通勤途中の同市新千里南町、言語療法士北尾由紀子さん(20)が線路に転落。そこに梅田発雲雀丘花屋敷行き普通電車が同駅に停車するため低速で入ってきたが、北尾さんはとっさに線路上に伏せたため電車の下に入り込む形なり、右肩と腰を打つなど1週間の軽傷で済んだ。
 豊中署の調べでは、北尾さんは電車通勤の途中で気分が悪くなり、同駅でいったん下車してホームで休んでいた。次の電車に乗ろうとホームの端に立ったところ、また気分が悪くなってふらつき、転落したという。
 阪急電車によると、車輪の設地面と車両下は最も狭い場所では2、30aの間隔しかなく、「少しでも動けば電車に接触するはず。かすり傷で済んだのは奇跡的だ」と話している。(京都新聞)
■被爆電車で最後の集い 8月6日に広島で開く
 50年前、広島市の路面電車の中で被爆した人たちが、原爆が投下された8月6日に、いまも市内を走る被爆車両に乗って集いを開く計画を26日、被爆者の団体「電車内被爆者のつどい」(石田明代表)が発表した。当時の記憶をたどり、半世紀にわたる人生を語り合う。集いはこれで3回目になるが、体験者の高齢化が進んでおり、この企画はおそらくこの夏が最後になるという。消息不明の人も目立ち、主催者は広く参加を呼びかけている。
 最初の集いは1974年、広島県原爆被爆教職員の会会長でもある石田さん(67)ら爆心地近くの八丁堀で被爆し、奇跡的に生き残った7人が「市電己斐行き被爆者の集い」として聞いた。90年に2回目の集いを開いた。
 爆心地から1`余り離れた天満町付近を走る車内で被爆した長崎県佐世保市の市丸智代さん(74)は、息子2人を連れ、現在の平和記念公園近くにあった自宅に帰る途中だった。今も両腕にケロイドが残り、右腕は曲がったままだ。「生きていることを確認し合いたい」と話す。
 計画では、被爆した計70両の中で、修理を重ねていまも現役で走っている4両のうちの1両に乗る。広島駅前から原爆ドーム前に向かい、原爆が投下された午前8時15分に車内で黙とうする。原爆ドームで献花した後、路面電車を運行している市内の広島電鉄本社で座談会を開く。問い合わせは広島電鉄電車部管理課(082-242-3551)へ。(朝日新聞)
■地下鉄構内放送に「ソンシー」のテーマ 東京で電破ジャック
 26日午後4時すぎ、東京都の営団地下鉄銀座線・銀座駅と有楽町線・永田町駅で構内放送のアナウンスができなくなり、代わりにオウム真理教のテーマ曲とみられる音楽が計12分間流れた。大きな混乱はなかったが、電車の発着の安全確認が手間取り、ダイヤが数分間乱れた。両駅はそれぞれ、繁華街や政府の中枢に最も近い。警視庁は、威力業務妨害や電波法違反(違法無線の開局)の疑いもある悪質な電波ジャック事件とみて捜査を始めた。
 営団地下鉄と築地、麹町両署によると、電波ジャックが起きたのは銀座駅が午後4時から約5分間、永田町駅が午後4時20分から約7分間。
 銀座駅では、浅草方面行きのホーム天井に取り付けている4台のスピーカーから音楽が流れ出した。地下鉄サリン事件で起訴された麻原彰晃被告(40)らオウム真理教の幹部らが「真理党」として1990年2月、総選挙に立候補した時のテーマ曲に酷似していたという。
 永田町駅でも雑音の後に、「ソンシー(尊師)、ソンシー」という歌声の入った曲が流れ、マイクの電源を切っても続いた。放送設備がすべて使えなくなり、「ドアが閉まります」など発車の予告が出来ず、新木場行きの出発が約4分間遅れた。
 営団地下鉄などによると、構内放送はVHF帯の電波を使っており、両駅とも周波数は同じ。設備には異常はなかった。1_ワットという弱い電波を利用しており、同程度以上の出力の電波がホーム周辺で発射されたとみられる。
 永田町駅の売店の女性店員は「かなり大きな音量だった。ホームや電車内の客は一時、『何だ。何だ』と厳然となった」。銀座駅の売店の店員も「何かの予告みたいで気味が悪い」と話していた。(朝日新聞)
■「株主」は1人 会社側は36人 JR西日本総会
 JR西日本の株主総会が27日午前11時から、大阪市北区のホテルで開かれた。現在、同社の株主は国鉄清算事業団だけのため、株主としては同事業団の西村康雄理事長1人が出席した。
 JR西日本は年度内の株式上場をめざしていたが、阪神大震災の影響で1995年3月期決算が大幅な経常減益になったほか、このところの株式市場の低迷で実現が難しくなった。
 総会には井手正敬社長ら36人の役員が出席。決算内容を説明したあと、西村理事長が災害対策や事業見通しなどについて質問、30分余りで終了した。(朝日新聞 夕刊)
28日■「JR」「JT」「NTT」3共済厚生年金へ統合 年金制度一元化懇談会で−致
 各年金制度の代表らでつくる「公的年金制度の一元化に関する懇談会」(座長・貝塚啓明中央大教授)は27日、日本鉄道共済組合(JR共済)、日本たばこ産業共済(JT共済)、日本電信電話共済(NTT共済)の3共済を厚生年金と統合する方向で意見が一致した。
 今回の合意により、財政が破たんしているJR、JT共済が救済されるとともに、厚生年金など8つの制度に分かれている現行の被用老年金制度は5つの制度に統合されることになる。
 懇談会では、年金受給者が増え、それを支える現役被保険者数とのバランスが崩れて財政難に陥っているJR、JT共済などと、財政が比較的良好な厚生年金などの間に生じている負担と給付の公平を図るため、一元化の方法を検討していた。
 懇談会は最終報告書を8月中にもまとめ、公的年金制度関係閣僚会議に提出する予定で、厚生省は統合された形での制度運営を1997年4月からスタートさせたい意向だ。
 また、この日の懇談会では、統合後の当面の制度運営は厚生年金グループ、私学共済・農林共済のグループ、国家公務員共済・地方公務員共済のグループの3グループの枠内でそれぞれ協力していく方向とすることについても確認した。
 三共済統合に伴い予想される厚生年金の財政への悪影響については@被用老年金制度全体で支え合うA統合される各共済は一定以上の積立金を厚生年金へ移管する−こととなったが、具体的な方策についてはさらに検討を進める。(京都新聞)
■JR西日本が株主総会開く
 JR西日本の株主総会が27日午前、大阪市内のホテルで開かれた。株式上場が実現していないため、唯一の株主である西村康雄国鉄清算事業団理事長が、1994年度決算や阪神大震災を受けての災害時体制整備、運賃改定などについて質問。総会は約40分で終了した。
 総会では申請中の株式上場問題についての質問はなかった。JR西日本は上場に向けて準備を進めているが、株価低迷を理由に「年度内の上場は極めて苦しい」(井手正敬社長)としており、95年度中に上場できるかどうか微妙な情勢だ。(京都新聞)
■望見KANSAI 鉄道大型風洞 騒音抑える実験施設
 新幹線など高速で走る列車から出る騒音を、できるだけ低く抑えるための実験施設として、JR総研(鉄道総合技術研究所)が滋賀県・米原町に設置する「大型低騒音風洞装置」の建設工事が進んでいる。すでに据え付けが終わった7000`hの送風機は、時速400`の風を生み出す。
 国内の風洞装置としては規模、性能ともに最大。近い将来、新幹線を時速350`以上で営業運転する日に向け、来年4月から本格的な運用が始まる。
 装置は、事業費約80億円で昨年6月に着工した。完成すれば、これまで国内ナンバーワンだった本田技研工業の風洞実験装置(最大風速時速280`)をしのぐ。
・心臓部に巨大ファン
 性能の高さを象徴しているのが、装置の心臓部となる巨大な送風機だ。ファン回転部の直径は5b。12枚の動翼と、17枚の静翼が付いている。動翼の長さは1bもある。
 施設全体は、風を送って音を測定する実験棟のほかに、計測棟、管理棟、準備棟の4棟に分かれ、1つの工場ほどの規模がある。
 実験の際は、送風機で起こした風を、長さ約94bの「コ」の字形の風路を通して測定部室(幅20b、高さ13b、長さ22b)に送り込む。測定部室には、向かい合う壁面に2つの風路が突き出す形で開口(幅3.0b、高さ2.5b)しており、この間に車両模型などを置き、風を走らせて騒音データを記録する。
・最も静かな測定室
 実物大の列車車両は、目標物として、大きすぎて測定部室には入らないので、通常は5分の1程度の車両模型が使用される。しかし、乗用車程度の大きさなら十分収容できる。
 測定部室内は天井、壁の全面に吸音クサビが取り付けられた無響室の構造になっている。「ここでは、人が会話してもほとんど聞き取れません。不要な音を排することが風洞試験の最大のキーポイントですから。完成すると、世界でも最も静かな測定室になります」。JR総研の丸岡昭・風洞建設推進部長は、自信を込めそう話す。
 装置の名称にも入っている「低騒音」は、丸岡部長の説明するように、風洞内で風を起こした時に起こる余計な騒音(暗騒音)のレベルが低い−という意味。設計では、風速300`(毎時)での暗騒音は75デシベルと、国内外の同型装置でも最も低い値を示している。
・75デシベルを目標に
 装置完成後の実験の主眼は、新幹線を時速350`以上で運転した時に発生する騒音の低減。鉄道車両騒音は転動音(車輪が回転する音)、パンタグラフなど車体の風切り音、車体下部の集電系機器から出る普の3種に分けられるが、いま最も厄介なのは、パンタグラフの騒音といわれ、これが実験の中心になると見られる。
 国の環境基準では、住宅地区の騒音は70デシベルだが、環境庁の最近の調査によると、新幹線沿線でこの基準を達成しているのは、まだ3分の1の地区だけだ。JR総研では、時速350`運転時で、沿線騒音75デシベルを目標としており「新しい風洞装置で、目標達成の方策を見いだしたい」としている。(京都新聞)
■安全管理徹底 市に申し入れ 地下鉄工事事故続発 市議会
 地下鉄東西線の建設現場などで事故が相次いでいる問題で京都市議会建設委員会(山口幸秀委員長)は27日、安全管理の徹底を京都市に申し入れた。
 申入書は「工事の安全管理はすべてに優先しなければならない。事故の原因が業者の不注意にあるとはいえ、市の監督責任が厳しく問われる」として「公共工事現場での事故は、市民に迷惑を及ぼし、行政全般への不信感を増すことにもなりかねない」と指摘している。(朝日新聞)
30日■窓 周遊券の旅関西では不便 橿原市・原田美樹(学生・21)
 私の友達に言わせれば、私鉄網の特に発達している関西には、うらやましさを感じると言います。けれども、ひとたび京都、奈良、そして大阪への足を考えると、南近畿周遊券の旅は、とても不便だと口をとがらせるのです。
 京都の街の中は、バスか地下鉄だし、奈良だって、近鉄で行く方が、はるかに便利。大阪は地下鉄で北から南まで、すぐに移動できるでしょう。そんなことはだれでも知っているのに、どうしてJR線と私鉄線とバスと地下鉄などを、組み込んだ周遊券が発売されないのかしら。JRだって今では、みんな民営なのにねえ…。
 こんなぼやきを、嫌というほど聞かされたのです。静岡に住んでいるだけに、彼女は、ずいぶん興味深い関西への旅を苦々しく体験しているのでしょう。
 そう言えば、私も京都から奈良へは、JRに乗ったことなど一度もありません。観光のメッカ、京都から奈良への足は確かに不自然です。縄張り根性をなくして、便利さを追求する声を、私は挙げてみたくなりました。(京都新聞)
■金利低下で赤字減少 京福電鉄連絡決算
 京福電気鉄道が29日発表した95年3月期の連結決算は、経常赤字が3億9900万円で前の期の6億4900万円に比べ赤字幅を縮小した。金利低下による支払い利息の低減とコスト削減が寄与したためで、当期損益は3億7300万円の赤字に。売上高は前期比0.3%減の266億9800万円。
 今期も、前期並みの売上高268億円、経常赤字4億4000万円、最終損失1億6000万円を見込む。(京都新聞)
■神戸市バス4ルート 来月5日から正常に
 神戸市交通局は29日、阪神大震災のため運転ルートを変更していた同市営バス15路線のうち、「急行2」「2」「18」「91・92」の4系統を、7月5日から震災前の正常ルートに戻すことにした。(朝日新聞)
■押し花付き乗車券
 山梨県河口湖町で7月16日まで開催中の「河口湖ハーブフェスティバル」に合わせて、富士急行が記念乗車券を発売している。ハーブの押し花が張ってあり、ラベンダーの香りがする。
 乗車券はフェスティバル会場の「河口湖駅」と、縁起の良さそうな駅名の「寿駅」の区間で、1枚370円。富士急行の大月駅から河口湖駅までの12の有人駅で1000枚を限定販売する。
 問い合わせは富士急行鉄道課「ハーブ」係 0555(22)7106。(京都新聞 夕刊)
■男に突かれ電車と接触 京阪京橋駅・男性重傷
 29日午後10時50分ころ、大阪市都島区東野田町の京阪電車京橋駅のホームにいた宝塚市川面、読売テレビのカメラマン香月清英さん(46)が後ろから男に突き飛ばされ、入ってきた淀屋橋発出町柳行きの特急に接触した。香月さんは跳ね返ってホームに転倒し、左肩の骨を折るなどして1ヵ月の重傷。
 都島署は殺人未遂の現行犯で住所不定、無職繁昌悦郎容疑者(57)を逮捕した。
 調べでは、繁昌容疑者は酔ってホーム上の人たちに次々と因縁を付けて回っており、顔に軽いけがをしていた。ホームの京都寄り側で電車待ちをしていた香月さんに近づいたところ、「あっちへ行け」などと注意されたため、腹いせにやった、と供述している。(京都新聞 夕刊)
■京阪電車へ客突き飛ばす 京橋駅、泥酔男逮捕
 大阪市都島区東野田町二丁目の京阪電鉄京橋駅の京都方面行きホーム上で、29日午後10時45分ごろ、酔った男が突然、ホームに立っていた宝塚市川面四丁目、会社員香月清英さん(46)を、駅に入ってきた淀屋橋発出町柳行き特急列車(7両編成)に向け突き飛ばした。香月さんは列車側面にはね飛ばされ、腕や肩の骨を折って重傷。男は、駆けつけた大阪府警都島署員に殺人未遂の現行犯で逮捕された。
 都島署の調べでは、男は鹿児島市生まれ、無職繁昌悦郎容疑者(57)。切符を持っておらず、泥酔状懸だった。(朝日新聞 夕刊)