1995(平成7)年 5月


1日■山陰線で列車故障 丹波口駅、2000人影響(京都)
  ■「三都物語」キャンペーン下旬に復活 JR西日本 首都圏・西日本でCM 賀来さんが引き続き出演/歌は平松さん(朝日)
2日■山陽新幹線が 完全ダイヤに きょうから(京都)
  ■震災被害「貴婦人」修復終える あすから7日まで 梅小路で公開へ(京都)
  ■JR側11人再び不起訴 信楽鉄道事故 大津地検、再捜査で決定(京都)
  ■JR西日本元社長らに 再び不起訴処分 信楽鉄道事故で大津地検(朝日)
  ■地下鉄サリン 純度低かった?(朝日)
  ■架線が下がり 9000人の足影響 JR阪和線(朝日)
3日■オウム教 地下鉄事件に接点 サリン容器の素材は2種類 圧着機で独自製造か(京都)
  ■自作の鉄道模型 発車オーライ 山科の男性、7日に初の運転会 「はるか」など再現 客車や貨物車の編成も(京都)
  ■山陰線特急から煙 異常なく運転再開(京都)
  ■地下鉄ダイヤ8日から増発 神戸市営(朝日)
  ■山陰線の特急から煙 臨時停車で20分遅れ(朝日)
4日■名神上り(栗東−吹田)62`渋滞 午前中中心 一般道も各地で JRは北陸・南紀が満席(京都)
  ■SL「貴婦人」修復が終わる 京都で展示開始(朝日)
5日■カラス、行楽客怒らす 東北、上越新幹線44本運休 送電線に巣 ショート(京都)
  ■トイレに青酸化合物 地下鉄新宿駅 猛毒ガス発生狙う ビニール袋燃やす 反応直前、発見 1万人以上の致死量(京都)
6日■帰省ピーク今夕から JR京都駅(京都)
  ■数分の差で大惨事 新宿駅青酸事件 あわやガス発生寸前 恐怖と憤り「だれが、なぜ」 地下鉄事件と手口酷似(京都)
  ■新宿地下街に青酸ソーダ トイレのポリ袋から火、そばに希硫酸 青酸ガス発生寸前 消化の駅員4人に被害 殺人未遂容疑で捜査(朝日)
7日■火炎瓶事件のオウム「諜報相」ら 犯行後アジト再集結 翌日、地下鉄サリン事件 警視庁、関与追及へ(京都)
  ■新宿駅青酸ソーダ事件 休日の混雑狙う 捜査本部調べ 犯人、入念に下見(京都)
  ■三都物語 そろってこそ JR西日本復興へCM再開(京都)
  ■京阪で架線事故 枚方、20本運休(京都)
  ■新宿地下街事件 警官移動後に袋置く 犯人、下見して時間帯選ぶ(朝日)
  ■震災被害の「貴婦人」 修復終えて人気の的(朝日)
8日■仕掛けたのはトイレ個室 新宿駅青酸ソーダ事件 女性清掃員、移す 発生25分前 発火の仕組み捜査へ(京都)
  ■新宿青酸事件 袋、最初はトイレ個室に 清掃員、ごみと思い移動(朝日)
  ■「濡れなかったか」新宿青酸ガス事件 不審な2男性を目撃 別のトイレで発生直前に 液体運ぶ会話 もう一人不審な動き(朝日)
  ■新宿駅青酸ソーダ事件 「漏れてないか」と会話 不審な2男性目撃 箱を持ち「大丈夫」 別のトイレ 事件直前 詰めえりの服(京都)
  ■朝の「痛勤」少しは楽に? 新型車両 続々デビュー 京阪・ゆったり2階建て 阪急・座席なしTV付き JR・新快速をより速く(朝日)
  ■下り新幹線のレールが破損(朝日)
9日■「そうずら」方言 静岡、山梨の特徴 トイレの不審な2 人組 新宿駅青酸ソーダ事件(京都)
  ■新宿の青酸事件 ゴム製品で時限発火か 現場に燃え残り 硫酸入れ?袋に仕掛け(朝日)
  ■青酸ソーダは試薬 新宿事件 入手経路を調べる(朝日)
  ■発火2時間前個室にあった ガス発生物質の袋(朝日)
  ■避妊具で時限発火? 新宿駅青酸ソーダ事件 現場に燃え残り(京都)
10日■新京都駅ビル専門店街 トラディショナル&モダーン 基本コンセプトと概要決まる テナント募集 説明会に120人出席(京都)
  ■新宿駅青酸ソーダ事件 塩素酸化合物を利用? 時限装置 硫酸と混合し発火(京都)
  ■オウム麻原代表ら幹部十数人 殺人容疑を固める 地下鉄サリン 教団製造濃厚に 捜査当局 関与の信徒特定へ(朝日)
  ■異常音響き こだま停止 滋賀・愛知川町(朝日)
  ■島内区間12日復旧 六甲ライナー 全線は8月の見通し(朝日)
11日■オウム・麻原教祖ら 殺人容疑で立件へ 地下鉄サリン事件関与の20人絞る 捜査当局(京都)
  ■トークかんさい レールつながっている喜び ”鉄道魂”で早期復旧 JR西日本鉄道本部長 梅原利之さん(56)(京都)
  ■関空リムジンバス 新路線開設を申請 関西空港交通(京都)
  ■信楽鉄道事故 妻を失い、また家も… 震災乗り越え、神戸の男性 14日4回目法要参列へ(京都)
  ■阪急電車衝突 車の男性死亡(朝日)
  ■サリン・毒ガス京の備えは 市民不安高まる 消防署/地下街/病院 防護策に全力(京都)
  ■信号故障、近鉄乱れる 特急運休 通勤の足に影響(朝日)
12日■阪急宝塚線 特急を新設 来月4日、ダイヤ改正(京都)
  ■阪急宝塚線に特急(朝日)
  ■三宮駅東改札口前に定期券発売所を移転 神戸市バス・地下鉄(朝日)
  ■島内区間の運行を再開 六甲ライナー(朝日)
  ■京滋大雨 全域に警報 総雨量200_にも 各地でがけ崩れ(京都)
  ■阪神も値上げ凍結 申請中の運賃 全線開通の7月まで(朝日)
  ■JRなどで不通や欠航(朝日)
  ■「地下鉄サリン」当日 信徒が乗用車借りる 土谷容疑者?も同乗(朝日)
13日■JRに再雇用 不採用問題で運輸省が解決案(京都)
  ■山間部で200_越す 京滋の大雨 信楽鉄道は4本運休(京都)
  ■土屋容疑者らサリンを運搬か 「火炎瓶」グループと合流 「地下鉄」当日未明 都内アジトで(京都)
  ■大雨被害続く 鉄道一部が運休(朝日)
  ■「地下鉄事件の実験」報道 恐怖与えた罪 警察、適用示唆 平和の豪州 サリン衝撃 オウム牧場から分解物(朝日)
  ■オウム施設と地下鉄サリン 反応促進剤が同一製品 殺人容疑 立件へ有力物証(京都)
  ■新宿地下街の青酸ガス事件 袋の上に新聞紙 燃えやすくする狙いか(朝日)
14日■地下鉄サリン事件実行犯 逮捕者(オウム教捜査に拘置中)に容疑者2人 警視庁殺人容疑で再逮捕へ(京都)
  ■麻原代表の逮捕状請求へ 週明け早々にも オウム幹部ら十数人も 地下鉄サリン事件 殺人容疑 実行犯、約10人特定(朝日)
  ■踏切内で中1はねられ即死 住吉のJR阪和線(朝日)
15日■地下鉄サリン 麻原教祖が指示 警視庁 オウム幹部ら20人に殺人容疑 製造から実行まで 一利用実中にも逮捕状(京都)
  ■信楽事故 4年…初の合同 遺族要請 鉄道側応じる(京都)
  ■観光客ら3000人影響 京福嵐山線事故 電車60本が運休(京都)
  ■信楽高原鉄道事故 4周年に死者悼む(朝日)
  ■車衝突、電柱が倒れ 4時間、通行止め 嵐電も60本が運休(朝日)
  ■麻原 オウム教祖 逮捕状請求へ 「地下鉄」殺人容疑 幹部20人も 捜査当局、協議開始(京都)
  ■地下鉄事件 強制捜査 秒読み 最後の課題クリア 身柄確保 報復テロ封じ込め「教祖逮捕なら法的措置」オウム教上祐氏会見(京都)
  ■地下鉄サリンなど解明へ オウム教「諜報省」トップ 井上容疑者を逮捕 公務執行妨害の容疑(朝日)
16日■麻原教祖けさ逮捕 地下鉄サリン 殺人と殺人未遂容疑 オウム教計41人に逮捕状 十数人は既に拘束(京都)
  ■新横浜駅(市営地下鉄)で異臭 10人せき込み5人軽症(京都)
  ■元自衛官信者10−20人 特別部隊を編成 地下鉄事件関連追及(京都)
  ■新横浜駅異臭「いつまで」市民騒然(京都)
  ■麻原代表 けさ逮捕 地下鉄サリン殺人容疑で オウム幹部ら40人も 林(郁)容疑者も実行参加(朝日)
  ■「 製造サリン使い切る」土谷容疑者供述 地下鉄事件で(朝日)
  ■新横浜駅で刺激臭被害 3人が手当て(朝日)
  ■踏切にいたずら続発 JR奈良線の「支障報知ボタン」を作動 なぜか火曜の午後 府警、本格的対策へ(朝日)
  ■麻原オウム教祖逮捕 殺人容疑、山梨「第6」で 「地下鉄サリン」指示 組織的に製造使用教団信者14人も(京都)
  ■「日本は安全」思い消えた 「地下鉄」被害者ら(京都)
  ■報復テロに備えて厳戒 JR京都駅など(京都)
  ■組織犯罪構図明るみ 教祖指揮、側近が実行(京都)
  ■林容疑者も実行を自供 地下鉄サリン事件(京都)
  ■覚悟の教祖 めい想 戻るか平和な日々 暴かれるサリン犯罪 中3階に1人で 素直に逮捕応じる 捜索4時間(朝日)
  ■地下鉄サリン 豊田容疑者も実行 電車にポリ袋持ち込む(朝日)
  ■上九一色 見えぬ信徒の動向 進出6年 恐怖と隣り合わせ(朝日)
  ■オウム麻原代表 逮捕 「第六」隠し部屋で 地下鉄サリン殺人容疑 関与の信徒14人も(朝日)
17日■麻原教祖、容疑を否認 地下鉄サリン 本格取り調べ開始 井上容疑者、ら再逮捕 警視庁(京都)
  ■地下鉄事件と無関係を主張 上祐氏が会見(京都)
  ■神戸電鉄が6月完通(京都)
  ■地下鉄サリン事件 オウム教41人の役割解明 警視庁 麻原代表らが計画(朝日)
  ■「踏切妨害」の小2男子補導 JR奈良線(朝日)
  ■神戸電鉄 鉄道復旧が加速化早まる見込み 6月下旬に全線開通 神戸高速鉄道も 三宮−花隈間は6月上旬に(朝日)
  ■市営地下鉄の駅などコインロッカー封鎖 大阪市、テロ警戒(朝日)
  ■時速20`から上がらない… 朝の湖西線混乱(京都)
  ■電車ガラスに空き瓶投げる JR神戸線、けが人も(京都)
  ■土谷容疑者供述 「サリンは分散保管」 残るメンバーなお所持の恐れ(京都)
  ■「地下鉄」容疑 信者を逮捕(京都)
18日■土谷容疑者ら 3人を再逮捕 地下鉄サリン事件(朝日)
  ■子供・女性向け 夏の臨時列車 JR西日本(朝日)
  ■22日から 一部再開 ポートライナー(朝日)
  ■こども車両も初登場 JR西日本 夏の臨時列車(京都)
  ■智頭特急、京都まで(京都)
  ■阪神大震災 「ユレダス」電池切れ 新幹線の警報装置 走行中なら事故も(朝日)
  ■風速計の誤作動か 山陽新幹線に遅れ(朝日)
  ■麻原容疑者 東京地裁へ(朝日)
  ■地下鉄2線のダイヤ乱れる(朝日)
19日■JR松井山手駅東側にリムジンセンター 京阪宇治交通開設へ(京都)
  ■部下の行動知ってるか。私も把握できぬ 容疑には黙秘 雑談は滑らか 麻原容疑者(朝日)
  ■出頭した信徒逮捕 地下鉄サリン事件(朝日)
20日■新型車の特急「ひだ」発車へ JR、今夏の臨時列車(京都)
  ■残る7人指名手配 地下鉄サリン事件(京都)
  ■サリン製造は3ルート 捜査本部 教祖の指示追及へ(京都)
  ■地下鉄事件 「サリンで何人も死ぬ 袋破る時 良心の呵責」 オウム 林容疑者が心境(朝日)
21日■奈良線で警報機作動 列車停止、いたずらか(京都)
  ■「サリン中毒信者治療」林容疑者 実験から関与認める(京都)
22日■JR特急に飛び込み 近江町、男性が即死(京都)
  ■捕らえれば警部補 新幹線ですり容疑(朝日)
  ■手配の主犯格 元組長を逮捕 京浜急行銃撃事件(京都)
  ■JR西日本 カードかざすだけ 改札新方式 混雑緩和に期待も(京都)
23日■JR北海道・九州・四国3社の値上げ検討 低金利で赤字補えず 基金依存の目算狂う(朝日)
  ■島内区間で運転再開 ポートライナー 全通は8月下旬(朝日)
  ■オウム真理教 23人昇格へ「尊師通達」 地下鉄事件3日前発令 危険任務の条件か(朝日)
24日■阪急神戸線の全線開通 来月12日に早まる(京都)
  ■早川容疑者ら3人を再逮捕 地下鉄事件殺人容疑(京都)
  ■時速350`に挑戦 次期新幹線モデル 車両、走行試験へ 京都−米原間(京都)
  ■JRの不採用違法でない 組合員の控訴棄却(京都)
  ■信楽事故 JRの信号固定に過失ない 大津地検 遺族に不起訴理由を説明(京都)
  ■この人 JR東海の社長に内定した葛西敬之さん(京都)
  ■阪急神戸線 来月12日全線開通 岡本−御影間は1日から(朝日)
  ■須磨浦公園−滝の茶屋 来月中旬開通 山陽電鉄(朝日)
  ■JR次世代新幹線 あすから走行試験(朝日)
  ■地下鉄サリン 教団関与、後で知った 早川容疑者供述始める 計画の加担は否定(朝日)
  ■奈良の廃線トンネルで 宇宙観測 なぞの晴黒物質追う 今秋にも阪大核物理研究センター(朝日)
  ■阪急電鉄、赤字69億円 大震災響き上場以来初(朝日)
  ■地下鉄サリン 手作り装置で製造 土谷・遠藤容疑者供述 6`ずつ計5回(朝日)
25日■夏の臨時列車運転計画発表 JR福知山支社(京都)
  ■監査役に堀田元検事 富士急行(京都)
  ■道幅にハバきかすマイカーさんョ 市バスの円滑走行へ 京都市交通局 川柳、標語を募集(京都)
  ■3年余りで故障65件 旧式ドアに変更し減る(朝日)
26日■経常利益、62%滅 JR西日本 震災で572億減収(京都)
  ■JR西日本人事(6月1日、京都支社分=駅助役など除く)(京都)
  ■JR7社が減収 3月期決算 震災や不況響く(朝日)
  ■350`へ試走 次世代新幹線(朝日)
  ■角材9本を線路に放置 近江鉄道八日市線(朝日)
27日■山陰線で踏切事故 福知山、上下23本影響(京都)
  ■新幹線車内で盗み 京都、容疑の男逮捕(京都)
28日■「サリン、前日作る」地下鉄事件で士谷容疑者 拉致の捜査そらす?(朝日)
  ■声 戦後50年 新幹線(朝日)
29日■地下鉄サリン 逮捕・手配のオウム信徒 41人の役割ほぼ解明(朝日)
30日■原料、事件の夜隠す 地下鉄サリン「麻原容疑者が指示」(朝日)
  ■「サリン発生の傘多摩川に捨てた」 信徒供述(朝日)
  ■声 混雑する駅の心冷たい人々 久喜市 黄 秀娥(学生 24歳)(朝日)
31日■阪神電鉄本線 26日から再開 阪神間 3線完全復旧へ(京都)
  ■阪急、阪神は赤字転落 関西大手私鉄決算(京都)
  ■ズームカーの”引退”ツアー 南海・きょうから募集(京都)
  ■地下鉄サリン計10` 土谷容疑者供述 事件前日に製造(京都)
  ■来月の26日に阪神電鉄全通(朝日)
  ■地下鉄サリン 報告受けた麻原容疑者「後悔することはない」 林容疑者「腹が立った」(朝日)
  ■河川敷で傘の柄?発見 地下鉄サリン(朝日)
  ■地下鉄サリン事件の直前 教団直営店で謀議? 麻原容疑者ら幹部集結 深夜に乗用車20台(京都)



1日■山陰線で列車故障 丹波口駅、2000人影響
 30日午前10時15分ごろ、京都市下京区中堂寺南町のJR山陰線丹波口駅で、到着した京都駅発園部行き普通電車(8両)のすべてのドアが開かなくなった。
 車掌らが手動でドアを開けたが、点検のため電車の運行を打ち切ったため、乗客約500人は後続の列車に乗り換えるなどした。
 JR西日本によると、故障の影響で上下計2本が運休したほか、上下8本が13分から4分遅れ、約2000人に影響が出た。(京都新聞)
■「三都物語」キャンペーン下旬に復活 JR西日本 首都圏・西日本でCM 賀来さんが引き続き出演/歌は平松さん
 京都、大阪、神戸の3都市の魅力をアピールし、観光客の誘致を図ったJR西日本のキャンペーン「三都物語」が復活する。阪神大震災で神戸が大きな被害を受けたため中断していたが、観光都市・神戸をPRしてほしいという地元観光協会などの強い要望もあり、神戸を舞台に再スタートさせることにした。
 連休明けに、女優の賀来千香子さんが異人館街やハーバーランドでロケをする予定。
 5月下旬には、神戸の復興ぶりを伝えるテレビコマーシャルが首都圏、西日本各地に向け放映される。
 「三都物語」は1989年12月からスタート。歌手、谷村新司さんのキャンペーンソングと賀来さんが出演するテレビCMで幅広い人気を集めた。
 昨夏には関西空港開港直前の大阪を、昨秋には平安建都1200年を迎えた京都を舞台にしたCMを流し、ポスターやガイドブックを作るなどキャンペーンを展開した。今春に神戸に舞台を移してPRする予定だったが、CMの撮影を前に震災が発生。「観光どころじゃない」と中断していた。
 3月に入り、三都市と各観光協会、JR西日本で組織する「京都・大阪・神戸観光推進協議会」が誘致活動再開の検討を始めた。観光が神戸経済の大きなウエートを占めていることから、神戸国際観光協会がJR西日本に三都物語の再スタートを要望。神戸市のホテルや旅館の7割が営業を再開したことから、キャンペーン復活を決めた。
 テレビCMには引き続き賀来さんが出演し、異人館街やハーバーランド、夜景などの映像を流す。キャンペーンソングは、神戸市出身の歌手平松愛理さんが歌う「美し都 がんはろや We love KOBE」に決まった。5月下旬から6月にかけて放映される予定。(朝日新聞)
2日■山陽新幹線が 完全ダイヤに きょうから
 JR西日本は1日、阪神大震災から復旧し、一部区間で最高時速230`の徐行運転をしている山陽新幹線新大阪−姫路間について、2日始発から徐行を解除し所定速度での運転を再開する、と発表した。
 山陽新幹線はゴールデンウイークのピークを前に、同区間での「のぞみ」の最高時速270`運転が可能になり、これまで新大阪−博多間で約2分程度出ていた遅れが解消。震災から105日ぶりに完全ダイヤに復旧する。(京都新聞)
■震災被害「貴婦人」修復終える あすから7日まで 梅小路で公開へ
 「貴婦人」の愛称で親しまれ、JR山口線のSL季節列車として活躍しながら、車両検査先の神戸市内の工場で阪神大震災の被害にあった蒸気機関車「C57」1号機の修復が完了、3日から7日まで、京都市下京区の梅小路蒸気機関車館で一般公開される。
 「C57」1号機は1937年に建造、東北、関東方面で活躍した。72年に引退し、梅小路蒸気機関車館に展示されていたが、優美な姿にほれた愛好家の声にこたえ、79年、JR山口線小郡−津和野間を走る季節列車「SLやまぐち号」として復活した。
 ことし1月、4年に1度の車両検査のため、神戸市須磨区のJR鷹取工場の車庫に入っていたが、同17日の阪神大震災で、台座から車両が横転して連結器がゆがむなど、車両の下の部分が損傷した。
 交換部品も手薄で、工場自体も被災して天井のクレーンが使えないという悪条件だったが、山口県の観光協会や愛好家の強い要望に加え、JR西日本管内で現存する唯一の「貴婦人」だったため、廃車となったほかのSLの部品を代用するなどして、約1ヵ月がかりで修復した。
 一般公開でのイベントでは、展示走行やD51と連結して客車をけん引する体験乗車、写真展などを開催。終了後は、JR山口線での運行を再開する。(京都新聞)
■JR側11人再び不起訴 信楽鉄道事故 大津地検、再捜査で決定
 乗客乗員42人が死亡した信楽高原鉄道列車衝突事故で、大津検察審査会の不起訴不当の議決を受け、JR西日本の関係者11人を業務上過失致死傷などの容疑で再捜査していた大津地検は1日、全員をあらためて不起訴処分にした。今回の処分で、遺族がJR西日本の刑事責任を追及する手段はなくなった。
 不起訴処分の理由について同地検は「信楽高原鉄道関係者が赤信号で列車を出発させたことが事故の直接の原因で、JR西日本が設置した方向優先てこによる信楽駅の信号の赤固定は、刑法上の過失責任は問えない」と説明。行き違い場所で高原鉄道列車を待たずにJR列車が進行したことについても「青信号に従っての進行で過失はなかった」とした。
 11人は、滋賀県警が送検したJRの運転士や、「遺族の会」(吉崎俊三世話人)が告訴、告発した事故当時のJR西日本社長ら。
 大津地検は一昨年6月までに全員を不起訴処分にした。遺族の会からの不服申し立てを受けた大津検察審査会は昨年6月までに「方向優先てこによる信楽駅の信号赤固定や、運転士が行き違い場所で十分に安全確認しなかったことが事故につながった」として不起訴不当を議決していた。
 今回の不起訴処分について同会の秋田真志弁護団長は「JR西日本の弁解を上塗りした不当なものだ。今後は大阪地裁での民事裁判でJRの責任を明らかにしたい」と話している。
・JR側にも責任と主張 民事訴訟で信楽鉄道側
 平成3年5月の信楽高原鉄道事故で死亡した9人の遺族がJR西日本と信楽高原鉄道に損害賠償を求めた訴訟の口頭弁論が1日、大阪地裁(下方元子裁判長)で開かれ、信楽鉄道側が「事故原因はJR側にもあった」とする準備書面を提出した。
 これまでに同鉄道側は事故責任を認めているが、準備書面では、JRは列車を信楽鉄道線に乗り入れるに当たり、新たに信号システムを信楽鉄道に無断で設置、操作したと主張。この影響で信楽鉄道独自のシステムとの間で異常が発生し、信楽駅の信号が赤に固定されたため事故発生に至った、としている。(京都新聞)
■JR西日本元社長らに 再び不起訴処分 信楽鉄道事故で大津地検
 死者42人を出した1991年5月の信楽高原鉄道(滋賀県甲賀郡)列車事故で、大津検察審査会が「不起訴不当」としたJR西日本の元社長や社員ら11人に対して、大津地検は1日、再び不起訴処分とする裁定をした。
 検察審査会の議決を受けた同地検は関係者を改めて調べるなどの再捜査をしていた。その結果、「法的青任は予見可能性があって初めて問える」としたうえで、@事故は信楽高原鉄道側が衝突を回避する代用閉そく方式を守らなかったことなどに原因があるAJR列車を優先的に発車させる方向優先てこ(信号装置)の誤作動をJR西日本側が予見することは不可能だった−などとして、JR側に注意義務違反はなかったと結論付けた。
 同地検の頃安健司検事正は「第一次不起訴処分の判断を変更すべき理由はないと判断した」と説明している。
 元社長らは、業務上過失致死傷などの疑いで遺族らから告訴、告発されたが、大津地検は93年3月と6月に不起訴処分にした。これを不服とした遺族らの申し立てを受けた検察審査会は94年4月に「不起訴不当」と議決、議決書の中で、「多数の人命を預かる鉄道事業者は、安全に対しては最高度の注意義務が要求されている。JR西日本の社員らは、最高度の注意義務を尽くしていたとはいえない」などとしていた。
 この日の裁定で、JR西日本関係者の刑事責任は、会員が不起訴処分で決着したことになる。
民事裁判で追及継続 秋田真志・信楽列車事故被害者弁護団事務局長の話
 今回の不起訴処分は、JR側の弁解を上塗りしたに過ぎない。極めて不当だ。JRが、直接乗り入れにあたってずさんな安全体制、とりわけ信楽高原鉄道軽視の態度をとったことが、事故の主要な原因だ。弁護団は、民事裁判でJRの責任追及を継続し、真の原因を解明していく。(朝日新聞)
■地下鉄サリン 純度低かった?
 東京・地下鉄サリン事件で使われたサリンは純度が低く、製造後、しばらく時間を経過していた可能性のあることが、警視庁築地署特捜本部の調べで1日、明らかになった。サリンを入れた三層のナイロンポリ製袋の劣化が進んでいたことが分かったためで、捜査本部は、回収したサリンの分析を進め、純度や製造時期の特定を急いでいる。
 捜査本部のこれまでの調ベでは、事件に使われたサリンは厚さ0.1_前後の三層のナイロンポリ袋に密閉されていた。サリン入りの袋は全部で、11個見つかっているが、中にはそれをさらに二層のナイロンポリ袋に入れたものもあり、二つか三つの袋をまとめて新聞紙でくるんであった。
 このうち一番内側の三層の袋は、透明度が落ちるなど、劣化が進んでいたことが分かった。
 内容物のサリンは有機溶剤に溶かし込んで薄められていた。有機化学の専門家によると、不純物の多いサリンは密閉していても内部で化学反応が起きて、毒性が落ちるといい、捜査本部は分析作業を続けている。
 捜査本部では、事件に使われたサリンは、直前に製造されたものではなく、製造後、時間が経過して純度が低くなっていた可能性があるとみている。(朝日新聞)
■架線が下がり 9000人の足影響 JR阪和線
 2日午前9時50分ごろ、大阪府岸和田市大町のJR阪和線久米田駅で、構内の架線に接続しているワイヤ(直径1a、長さ約1b)が垂れ下がっているのを駅員が発見した。この事故の影響で和歌山発天王寺行き普通列車や天王寺発関西空港行き「開空快速」などが、付近で立ち往生。約40分後に運転を再開したが、京都−関西空港間の特急「はるか」など上下計30本が運休、59本が最高約40分遅れ、約9000人に影響が出た。
 JR西日本によると、垂れ下がったワイヤは、構内の架線の部品の一部。関西空港へのターミナル駅である天王寺駅では、連休で海外旅行などに出かける人たちで混雑しており、JR西日本では南海本線への振り替え輸送などで対応にあたった。(朝日新聞 夕刊)
3日■オウム教 地下鉄事件に接点 サリン容器の素材は2種類 圧着機で独自製造か
 東京の地下鉄サリン事件で犯行に使われたサリンの容器は、特徴の異なる素材を使用した2種類の「ナイロンポリ」が使われていたことが、2日までの警視庁など捜査当局の鑑定の結果分かった。2種類とも市販されていないことから犯行グループの”自家製”の可能性が強い。「オウム真理教」がこれらの「ナイロンポリ」を製造できるフィルム圧着機を購入していたことも判明、捜査当局はこの圧着機で地下鉄事件の容器が作られた疑いがあるとみて調べている。
 これまでに地下鉄事件で使われたサリン溶剤と同じ薬物が教団施設内から発見されているが、現場に残された物証と教団との”接点”が浮上したのは初めて。
 調べによると、地下鉄事件で使われた計11個のサリン容器はいずれもナイロンとポリエチレンを重ね合わせた「ナイロンポリ」製だったことが分かっているが、詳しく鑑定した結果、2つの製法に分けられることが判明した。
 1種類は、表面が厚さ約15ミクロンのナイロンで、内側に同じ厚さの「ポリ塩化ビニリデン」と厚さ5、60ミクロンのポリプロピレンのフィルムを重ね合わせた3層構造。「ポリ塩化ビニリデン」は空気を通さないのが最大の特色で、サリンが気化しても漏れ出さないようになっていた。
 もう1種類は、表面に約35ミクロンのナイロンを使い、内側に厚さ4、50ミクロンの「リニアーローデンシティ」と呼ばれるポリエチレンを重ね、接着剤として「ロトデンポリエチレン」と呼ばれる別のポリエチレンの1種を挟み込んでいた。このナイロンは衝撃に強いタイプで、袋を落としても簡単に破損しないという。
 内側のポリプロピレンやポリエチレンは、袋に封をするための熱着プレス機(シーラーを使った際、溶け出して接着剤の役目を果たすが、2種類ともこの部分が通常のナイロンポリよりも厚く、接着面がはがれにくい構造になっていた。
 一方、圧着機はフィルムを熱処理で張り合わせる「ドライラミネーター」と呼ばれる機械。都内の機械メーカーが製造し、名古屋市の会社に約1000万円で販売、愛知県の機械メーカーに引き取られていたが、平成5年暮れ、オウム関連企業の社員が約400万円で購入した。また都内の機械メーカーには、昨年暮れから今年にかけて計3回にわたり「株式会社オウム」の社員を名乗る男が「フィルムを売ってくれるところを紹介してくれ」と電話で問い合わせてきたという。(京都新聞)
■自作の鉄道模型 発車オーライ 山科の男性、7日に初の運転会 「はるか」など再現 客車や貨物車の編成も
 25年にわたって、自作の鉄道模型を作っている山科区の男性が、7日に同区の市東部文化会館で、初めての運転会を開くことになった。SLや関空特急「はるか」などが精巧に再現されており、子供たちの人気を集めそうだ。
 運転会を開くのは、山科区大塚元町の無職田中義一さん(68)。
 田中さんは鉄道の勇壮な姿にひかれ、子供のころから駅に足しげく通う鉄道ファン。機械好きなのも手伝って、昭和15年に部品からすべて手作りで鉄道模型を始めた。結婚や会社の倒産などで30年間中断したが、子供の結婚などを機に昭和55年ごろから再び始めた。「はるか」や客車、貨物車など20両近くが出来上がり、列車の編成が組めるようになったため、初めてお披露目することにした。
 模型は、すべて実物の30分の1で、長さ約60a、高さ約12aと市販のものより大型。例えばSL「C62」は、歯車などの稼働部品からパンタグラフや煙突などの装飾品まで200点以上を真ちゅうから削りだし、車体も真ちゅう板を丸めて作った。カーブでも車体が傾かないよう車輪部分にバネをはり、石炭をくべるかまは電気で光らせる細かさで、作るのに2年半近くかかったという。
 鉄道模型の魅力について田中さんは「車体の曲面具合をいかに実物に近づけるかがおもしろい。何度もテストしてやっと動いた時が一番うれしいですね」。でも「最近の電車は同じようなデザインで、作ってもつまらない」とも。運転会は「あかるい手造り鉄道模型展示運転会」と題し、午前10時−正午と午後零時半−3時の2回、会館内の1室を走らせる。(京都新聞)
■山陰線特急から煙 異常なく運転再開
 2日午後6時25分ごろ、京都市のJR山陰線保津峡−嵯峨嵐山駅間を走行中の特急あさしお10号(倉吉発京都行き、8両編成)で、6両目床下部分から煙が出ているのを乗務員が見つけた。
 嵯峨嵐山駅で臨時停車し、6両目のエンジンなどを点検したが、異常がなかったため、同車両のエンジンを切って約22分遅れで運転を再開した。約400人の乗客がいたが、混乱などはなかった。この影響で後続列車など上下各1本に最高5分の遅れが出た。(京都新聞)
■地下鉄ダイヤ8日から増発 神戸市営
 神戸市交通局は、市営地下鉄のダイヤを8日から改定する。ラッシュ時間帯の運転間隔を短縮して本数を増やすほか、始発から終電までの運転時間帯も延長する。
 改定後のダイヤでは、平日朝のラッシュ時間帯の名谷−新神戸間の運転間隔を現在の4分から約3分に短縮し、1時間あたりの本数を現在の15往復から19往復にする。
 西神中央−名谷間は1時間あたり1往復増やして14往復。平日1日あたりでは、名谷−新神戸間が現在より17往復多い166往復、西神中央−名谷間が12往復多い137往復となる。
 始発は西神中央発が22分繰り上がり午前5時23分、新神戸発も19分早くなり午前5時26分。終電車は新神戸発が午後11時、西神中央発が午後11時13分で各35分繰り下げとなる。(朝日新聞)
■山陰線の特急から煙 臨時停車で20分遅れ
 2日午後6時25分ごろ、京都市右京区のJR山陰線保津峡−嵯峨嵐山駅間で、走行中の倉吉発京都行き特急「あさしお10号」=8両編成=の3号車の床下から煙が出ているのを、車掌が見つけた。列車は嵯峨嵐山駅で臨時停車したが異状がなく、3号車のエンジンを切って約20分後に出発した。乗客約400人にけがはなかった。この事故で、同列車を含めて上下計3本が22−4分遅れた。(朝日新聞)
4日■名神上り(栗東−吹田)62`渋滞 午前中中心 一般道も各地で JRは北陸・南紀が満席
 大型連休中日の3日、京都市内の各道路は郊外へ出るマイカーで午前中を中心に渋滞。鉄道も北陸や南紀方面へ向かう特急列車が、ほぼ満席の状態となった。
 この日から5連休の企業が多く、行楽などの遠出はピークに。京都府警によると、名神高速道路は午前7時ごろから上り車線が混みはじめ、昼前には栗東から吹田付近まで62`の渋滞。しかし、下り車線は渋滞はなかったほか、上りの渋滞も夕方にはほぼ解消した。一般道では、午前中、国道9号が右京区五条通天神川から西京区大枝沓掛町まで、府道四ノ宮−四ツ塚線が左京区蹴上から山科区JR山科駅まで、それぞれ最高4`の渋滞だった。
 JRは、山陽新幹線下りが乗車率50%から150%、北陸方面の特急が110%から130%。京都発新宮行き特急「スーパーくろしお7号」は、同250%となった。(京都新聞)
■SL「貴婦人」修復が終わる 京都で展示開始
 神戸市の鷹取工場で修理中に阪神大震災にあった蒸気機関車「C57-1」の修復が終わり、3日から京都市下京区の梅小路蒸気機関車館で展示が始まった。7日まで体験乗車などのイベントがある。
 「C57-1」は1937年に造られ、最大長20.28b、1040馬力。「貴婦人」の愛称で親しまれた。宇都宮で空襲にあい、61年には土砂崩れで転覆するなど受難が多く、震災でも工場とともに大きな損傷を受けた。しかし、クレーンのかわりにレッカー車を使うなど、工夫をこらした作業で復活した。(朝日新聞)
5日■カラス、行楽客怒らす 東北、上越新幹線44本運休 送電線に巣 ショート
 4日午前6時20分ごろ、東北新幹線大宮−小山間が停電、同新幹線は東京−宇都宮間で上下線とも運転を見合わせた。約2時間後の午前8時23分に復旧したが、東北、上越の両新幹線44本が運休したのをはじめ、最高約2時間の遅れが出てゴールデンウイークの行楽客など約14万人に影響した。
 JR東日本の調べによると、停電の原因は茨城県猿島郡総和町の古河変電所近くの送電線にカラスが巣を作り、巣の小杖が別の送電線に触れてショートしたため。上り線への送電は間もなく復旧したが、下り線の停電が続き復旧が遅れた。ダイヤは午後9時ごろ正常に戻った。
 上野発盛岡行きやまびこ23号が大宮駅付近で立ち往生して2時間8分遅れたのを最高に、計169本の東北、上越両新幹線に約2時間−10分の遅れが出た。(京都新聞)
■トイレに青酸化合物 地下鉄新宿駅 猛毒ガス発生狙う ビニール袋燃やす 反応直前、発見 1万人以上の致死量
 5日午後7時40分ごろ、東京都新宿区の営団地下鉄丸ノ内線新宿駅東口近くの地下コンコース男子トイレで、床にビニール袋が2つ置かれ、うち1つが燃えているのを利用者が発見した。火は駅員がすぐ消したが、警視庁が調べたところ、袋の中身は1つが猛毒のシアン化ナトリウム(青酸ソーダ)約2リットル、もう1つは希硫酸約1.5リットルと分かった。2つの物質が化合すると猛毒のシアン化水素(青酸ガス)が発生することから、警視庁捜査一課は地下鉄構内で毒ガスを発生させ無差別殺人を狙った殺人未遂事件として新宿署に捜査本部を設置。袋に毒物を入れ地下鉄を狙う手口が地下鉄サリン事件と似ており、両事件の関連を調べるなど捜査に乗り出した。
 専門家によると、放置された毒物が完全に化合した場合、1万人分以上の致死量に相当するといい、発見が遅れればゴールデンウイークの繁華街で大惨事が起きるところだった。
 現場に駆け付けた駅員ら4人がのどの痛みを訴え病院で手当てを受けた。
 調べによると、燃えていた袋は約30a四方で、コメ粒状の青酸ソーダが入っており、もう1つの袋は約25a四方で、希硫酸が入っていた。希硫酸の袋は上部が結んであった。
 現場は地下鉄新宿駅東口の改札から約10bのトイレの入り口付近。2つの袋は密着するように置かれており、犯人は青酸ソーダの袋に火を付けて放置、隣の希硫酸の袋に燃え移らせ、流れ出した希硫酸と青酸ソーダを化合させようとしたらしい。
 希硫酸の袋が燃えなかったため、2つの物質は反応しなかったが、現場の空気中から硫化水素が検出されており、徹量な希硫酸が漏れ出していたらしい。
 警視庁の爆発物処理班がトイレから袋を持ち出したところ、強い刺激臭がしたため、営団は丸ノ内線の運転を約3分間停止した。
 駅員に「トイレで袋が燃えている」と最初に通報したのは35歳ぐらい、身長約175aで紺のスーツを着たサラリーマン風の男性だったという。(京都新聞)
6日■帰省ピーク今夕から JR京都駅
 京都の玄関口、JR京都駅では、新幹線、在来線とも6日午前中の乗車率が80−100%で、Uターン客による混雑はまだ始まっていない。JR西日本、東海とも、「Uタ−ンラッシュはこれから。今日の夕方から7日にかけてがピーク」と予想している。
 名神高速道路も午前9時半現在では、上り、下り線とも渋滞はなく、車の流れはスムーズ。日本道路公団では「6日夜から7日午前中にかけてが、ピークになるのでは」と見ている。
 京都府内の一般道路も、6日午前10時半現在、目立った渋滞は出ていない。府警の予想では、日本海方面から京都市内行きが、国道9号で午後3時から午後10時にかけて園部町河原町付近を先頭に5`、午後4時から7日午前零時にかけて八木町玉ノ井を先頭に3`の渋滞になるという。
 また、国道1号では南行きが午後4時から7時にかけて、京都南インターを先頭に最長4`の列ができる見込み。府警交通管制センターは「今年は黄金週間が7日までで例年より長いうえ、6日は土曜日で学校もあり、昨年以上に分散化している」と話している。(京都新聞 夕刊)
■数分の差で大惨事 新宿駅青酸事件 あわやガス発生寸前 恐怖と憤り「だれが、なぜ」 地下鉄事件と手口酷似
 「もし数分、発見が遅れていたら…」。地下鉄サリン事件の悪夢が、ゴールデンウイークでにぎわう新宿を襲った。5日夜、営団地下鉄新宿駅で起きた青酸化合物放置事件。対応が遅れ、青酸化合物と希硫酸が反応し猛毒の青酸ガスが発生すれば、再び多数の市民が巻き添えになる大惨事になるところだった。「だれが、なぜ…」。恐怖と憤りが人込みの地下街に広がった。
 事件から一夜明けた6日早朝の地下鉄新宿駅。通学途中の東京都杉並区の専門学校生(19)は「毎日通る通路でこんな恐ろしいことが起きるとは。防ぎようのないガスを凶器にするとは許せない」と話した。
 現場の男子トイレは、新宿駅地下の丸ノ内線とJRを結ぶ連絡路にある。事件当時は乗り換えの乗降客や繁華街・歌舞伎町での食事を終えた通行人らで最も込み合う時間帯だった。
 第一発見者から通報を受けた駅員の大類勝幸さん(31)は「現場に着くとビニール袋がオレンジ色の炎を上げて燃えていた。水を掛けるとトイレに白煙が充満した。のどに痛みを感じ、病院から帰って大変なものが燃えていたと知り、背筋が寒くなった」と恐怖を訴えた。
 地下鉄サリン事件以降、巡回の回数を増やすなど警戒を強めていた新宿署はショツクを隠せない。幹部は「通行人にけが人が出なかったのが、せめてもの救いだが…」と厳しい表情。
 東京・新宿の地下鉄駅構内で5日夜、シアン化ナトリウムなどの毒物が仕掛けられた事件は、地下鉄構内で毒ガスを発生させて無差別殺人を図ろうとした点など、地下鉄サリン事件と手口が酷似している。
 捜査当局が注目しているのは、いずれの事件も外気から隔てられた地下鉄構内を狙った点。今回の事件は発見が遅れ青酸ガスが発生していれば大惨事になった可能性が高いとしている。
 連休中の夜という人通りの多い時間帯を狙っており、人込みの中で毒物を発生させる点でも共通。袋に毒物を入れる手口も酷似、警視庁はサリン事件で使われた「ナイロンポリ」と素材などが同一かどうか、鑑定して詳しく調べる。
 今回の事件で犯行に使われた青酸ソーダは毒性が強く用途が限られているため、一般には入手が難しいとされるが、希硫酸とともに、オウム真理教の山梨県上九一色村の施設の捜索で、大量に発見されている。
 教団をめぐっては、麻原彰晃教祖が「4月15日に東京で大変なことが起きる」と”予言”、「新宿で何かが発生する」とのうわさが流れたことから、警視庁は約2万人の警官を動員して厳破態勢を敷いた。(京都新聞 夕刊)
■新宿地下街に青酸ソーダ トイレのポリ袋から火、そばに希硫酸 青酸ガス発生寸前 消化の駅員4人に被害 殺人未遂容疑で捜査
 5日午後7時40分ごろ、東京都新宿区西新宿一丁目の地下街メトロプロムナードで、男子用トイレに置かれていた2個のポリ袋のうち1個から火が出ているのを通りかかった会社員が見つけ、近くの営団地下鉄丸ノ内線新宿駅改札口にいた職員に通報した。職員が水をかけたところ、白い煙が噴き上がり、吸い込んだ4人の職員がのどの痛みを訴え、病院で手当てを受けた。警視庁が調べたところ、燃えた袋に顆粒(かりゅう)状のシアン化ナトリウム約2`グラム、もう1つの袋には液体の希硫酸1.5リットルが入っていた。両方を混合すると猛毒の青酸ガス(シアン化水素)が発生し、微量で人を殺すことができる。警視庁捜査一課は混合していた場合、1万3000人以上を殺害できるガスが発生していたと試算、無差別殺人を狙った犯行として新宿署に捜査本部を設け、殺人未遂容疑で調べを始めた。
 調べによると、袋は地下鉄新宿駅の東口改札口に近いトイレの中で、出入り口から約1b入ったところに置かれていた。袋は透明で、上が結ばれており、ティッシュペーパーの自販機前の床に、向かって左側に直径約20a、その右側に直径約25aの袋が接して並べてあった。
 駅職員の大類勝幸さん(31)ら4人が駆けつけた時、右側の袋が10aほどの黄色い炎を上げて燃えていた。バケツの水で消し止めた直後、白い煙がトイレの内部に充満した。当時トイレの中は無人だった。
 営団新宿駅では、3月20日のサリン事件の発生後、毎日午前に1回と午後の2回、職員が定期的に構内を見回っていた。5日も午後5時ごろ、職員が見回ったが、不審物は見かけなかったという。
 袋を発見した直後、駅側は地下コンコースの4ヵ所のシャッターを下ろし、ポリ袋を運び出すとともに、多数の乗客らを西口改札口に誘導した。大きな混乱はなかった。また、この事件で、丸ノ内線の電車は午後9時7分に全線でストップしたが、安全を確認して3分後に運転を再開した。
 捜査本部のこれまでの調ベでは、犯人はシアン化ナトリウムの入った袋にライターのようなもので火をつけたらしい。袋の上の方が焼けていた。
 シアン化ナトリウムは青酸ソーダとも呼ばれ、鉱石から金や銀を抽出したり、農薬の原料として使われたりする。水や水蒸気と接触すると、毒性や引火性のあるガスを発生する。
 シアン化ナトリウムと希硫酸の化合で発生する青酸ガスは無色でアンズのにおいがする。呼吸作用を止める働きがあり、致死量は0.06c。有機合成の原料となり、ネズミなど害獣駆除剤などにも使われる。シアン化ナトリウムとともに、毒物及び劇物取締法の毒物に指定されている。
 専門家によると、1.5リットルのシアン化ナトリウムと2`cの希硫酸を混合させると、約800cの青酸ガスができるという。(朝日新聞 夕刊)
7日■火炎瓶事件のオウム「諜報相」ら 犯行後アジト再集結 翌日、地下鉄サリン事件 警視庁、関与追及へ
 オウム真理教信者の元自衝官らが3月19日、東京・南青山の教団東京総本部ビルに火炎瓶を投げ込んだ事件で、リーダー格とみられる事実上の教団「諜報(ちょうほう)省大臣」井上嘉浩容疑者(25)=逮捕監禁容疑で特別手配=ら実行グループが事件後、再び都内のアジトに”集結”するなど不審な動きをしていたことが、6日までの警視庁の調べで分かった。実行グループが集結した翌朝、地下鉄サリン事件が発生していることから、警視庁はグループが地下鉄サリン事件に関与した疑いが出てきたとして、火炎瓶処罰法違反容疑で逮捕した元自衛官らを追及、グループの当日の行動確認など、両事件の関連捜査に全力を挙げている。地下鉄サリン事件に直接つながる可能性がある人物が浮上したのは初めて。
 火炎瓶事件は、教団内で”特殊工作”を担当する井上容疑者を中心にした6人の実行グループの犯行と分かっているが、警視庁は井上容疑者や元自衛官2人のほかに、新たに信者2人を特定。
 所在確認を急ぎ、地下鉄サリン事件への関与を追及する。
 調べによると、逮捕した元自衛官の供述から、教団総本部に火炎瓶を投げ込んだ後、元自衛官1人を除く5人が、総本部に近いアジトに再び集まっていたことが新たに判明した。
 元自衛官1人は当時現職で、地下鉄事件発生時刻は駈屯地に戻っていたが、残りの5人のうち名前が分かっている4人は、いずれもアリバイが不明という。
 新たに特定した火炎瓶事件の実行犯は、いずれも教団の非合法活動の中心といわれる「諜報省」メンバで、1人は愛知県警から免状等不実記載、同行使の疑いで指名手配されている男性信者(33)。別の1人は井上容疑者の直属の部下といい、警視庁が裏付け捜査を急いでいる。
 指名手配中の信者は麻原彰晃教祖のボディーガード役の1人で、柔道、空手いずれも2段の”武闘派”。昨年春ごろまで、愛知県・知多地方にある勤務先の寮に住んでいたが、その後行方が分からなくなり、三重県の自宅から捜索願が出ている。(京都新聞)
■新宿駅青酸ソーダ事件 休日の混雑狙う 捜査本部調べ 犯人、入念に下見
 東京・新宿駅の青酸ソーダ事件で、毒物の入ったビニール袋は、駅員の巡回や清掃業者が出入りする時間帯を外して仕掛けられていたことが、6日までの警視庁新宿署捜査本部の調べで分かった。現場を10分に下見した上で、休日の夕方の混雑時に狙いを定めた計画的な犯行とみて、捜査本部は、付近で不審な人物を見掛けた目撃者探しに全力を挙げている。
 また事件を発見、通報したのは帰宅途中の神奈川県厚木市の会社員(48)と分かった。
 一方、現場近くの地下通路と丸ノ内線の新宿駅、隣の新宿三丁目駅には計24台の防犯カメラが設置されていた。
 しかし録画機能がなく、捜査本部は、カメラ映像の監視を担当していた駅員が不審な人物を見ていなかったかどうか調べるほか、青酸ソーダなどが入っていたビニール袋の鑑定を急ぐ。
 調べによると、現場のトイレ付近では、午前と午後「2回ずつ駅員が巡回しており、午後は4時と8時半が見回り時間となっていた。また清掃業者は1日3回、ごみ籍の処理や掃除のため立ち寄っていた。(京都新聞)
■三都物語 そろってこそ JR西日本復興へCM再開
 「エキゾチックな街・神戸でお待ちしています」−。JR西日本などは阪神大震災後、取りやめていた京都、大阪、神戸の観光誘致キャンペーン「三都物語」を5月下旬から再開する。
 震災から100日余が経過、山陽新幹線の全線開通などで神戸の観光名所が徐々に明るさを取り戻しつつある中、「観光誘致で復興に弾みを」と神戸市や地元財界などから再開を望む機運が高まったためで、女優の賀来千香子さんでおなじみのテレビCMも「神戸編」から再スタートする。
 震災で神戸観光のシンボルの神戸港や北野の異人館街などは軒並み損傷。阪神間の交通網はズタズタになった。JRと関係3市などは「市民生活の基盤の復旧が最優先」「神戸抜きのキャンペーン継続は無意味」として、震災直後から中断していた。
 「神戸編」のCMは淡路島出身の作詞家阿久悠さん作詞、神戸市出身の歌手平松愛理さん作曲の「美(うま)し都 がんばろうや!WE LOVE KOBE」がキャンペーンソング。震災から着実に復興する「ミナト神戸」を象徴する夜景や異人館街、六甲山などを紹介する。
 震災後、観光客の激減で大打撃を受けた神戸市内のホテルや旅館などは4月末までに約70%が営業を再開。JR西日本では「元気になった神戸をアピールできれば」としている。(京都新聞)
■京阪で架線事故 枚方、20本運休
 6日午前11時ごろ、枚方市伊加賀寿町の京阪本線枚方公園−光善寺間の踏切(警報機、遮断機付き)で、近くの園芸会社「京阪園芸」のトラック=日高浩次さん(27)運転=が下りてきた遮断棒に接触。折れた遮断棒が引っ掛かり上り線の架線(高さ約6b)が垂れ下がった。
 約1時間半後に復旧したが、京都方面行きの上り線が一部区間で不通になり20本が運休。上下約90本が最高1時間10分遅れ、行楽客ら約5万人に影響が出た。
 枚方署の調べでは、現場の踏切は幅約15b。トラックには高さ約3bの植木が積んであり、同署は日高さんが無理して踏切を渡ろうとしたため、植木が遮断棒に当たったとみている。(京都新聞)
■新宿地下街事件 警官移動後に袋置く 犯人、下見して時間帯選ぶ
 東京都新宿区の地下街で、青酸ガスを発生させる物質の入ったポリ袋が見つかった事件で、ポリ袋が置かれたのは、地下鉄構内周辺の警戒に当たっていた警察官が移動した直後だったことが6日、警視庁新宿署捜査本部の調べで分かった。3月20日の地下鉄サリン事件以後、警戒は続いており、捜査本部は、犯人が事前に下見をして時間帯を選んだとみて、不審者の目撃者を捜している。
 地下鉄サリン事件では、丸ノ内線など3線の電車計5本に、ナイロンポリ袋に入れたサリンが置き去られ、12人が死亡した。このため、警視庁は連日、都内の地下鉄駅や地下街に警察官を出し、夜まで不審者や不審物の警戒を続けている。
 捜査本部のこれまでの調べでは、希硫酸とシアン化ナトリウムがそれぞれ入ったポリ袋2個のうち、シアン化ナトリウム入りの袋が焼けているのに通行人が気づいたのは5日午後7時40分ごろだった。
 営団地下鉄から掃除を請け負っている業者が午後6時50分ごろ、トイレの掃除を終えた時には不審物はなかった。警視庁の警察官が別の場所に移ったのはこの直後で、捜査本部は、犯人は掃除と警察官の移動を見届けたうえで袋を置き、火をつけたとみている。
 午後7時半ごろ、近くの会社員(30)が、トイレの中で大きな紙袋を持った小柄な男性と出くわしており、捜査本部が関連を調べている。
 一方、トイレ内の異常に気づいて地下鉄丸ノ内線新宿駅員に知らせたのは、神奈川県厚木市に住む男性会社員(48)と分かった。男性は「帰宅途中、現場のトイレに差しかかったら、出入り口から5、6人の男女が内部をのぞき込んでいた。後ろから中を見たら、ポリ袋が2つあった。袋から高さ約30−40aの炎が上がり、白い煙がトイレの奥の方に向かって流れていた。薬品のようなにおいがした」と話しているという。(朝日新聞)
■震災被害の「貴婦人」 修復終えて人気の的
 阪神大震災で被害を受け、修復を終えた蒸気機関車「C57-1」が、下京区の梅小路蒸気機関車館で公開され、人気を集めている。「貴婦人」の愛称がある機関車を、カメラに収めようと毎日やってくる鉄道ファンや、「ポー」と汽笛を鳴らして優雅に走る(約100b)姿に歓声を上げる子どもたちが訪れている。公開は7日まで。
 「貴婦人」は1937年製造、1040馬力。震災前まではJR山口線の小郡−津和野駅間で週末を中心に運転されていた。今年1月17日、神戸市の鷹取工場で4年に一度の点検を受けている時に震災にあった。
 入館料は大人260円、子ども(中学生まで)150円。(朝日新聞)
8日■仕掛けたのはトイレ個室 新宿駅青酸ソーダ事件 女性清掃員、移す 発生25分前 発火の仕組み捜査へ
 地下鉄丸ノ内線新宿駅の青酸ソーダ事件で、現場の地下トイレ入り口にあった青酸ソーダなどが入った2つのビニール袋は、事件発生25分前、女性清掃員(55)がトイレ内の大便用の個室で最初に発見、入り口まで運んでいたことが7日、警視庁新宿署捜査本部の調べで分かった。
 ビニール袋は、トイレ入り口に移動されてから発火していることから捜査本部は、時限式の発火装置が使われたか、入り口に運ばれた後何者かが火を付けたとみて、清掃員から発見時の状況を詳しく聴くとともに、燃えた袋を鑑定、発火の仕組みを調べている。
 青酸ソーダが入っていたビニール袋は白っぽい半透明、希硫酸の方は透明で、材質の異なる2種類の袋が使われていたことも判明、袋の種類の特定を急いでいる。
 調べによると、最初に発見したのは、地下鉄互助会に勤める女性清掃員。5日午後7時10分ごろ、現場のトイレを清掃した際に、4つ並んだ個室のうち、入り口から3番目の個室内の便器の前に、ちり紙などのごみに交ざって口を結んだビニール袋が2つ並べて置いてあったのを見つけた。
 女性清掃員は汚物を入れたいたずらと思い、別の清掃員がごみを回収しやすいようにトイレ入り口のちり紙自販機のわきに移動したという。
 この後の同7時35分ごろ、トイレ前を通り掛かった会社員(48)がトイレ入り口でビニール袋から炎が上がっているのを見つけ、駅員に届け出た。
・男性が薬局で希硫酸求める 事件の3日前
 新宿駅青酸ソーダ事件が起きる3日前の今月2日、横浜市西区の薬局に不審な男が現れ、希硫酸を買い求めようとしていたことが7日までに分かった。
 この薬局では希硫酸を扱っておらず、男はそのまま立ち去ったが、新宿駅での事件後、店長らが不審に思い、神奈川県警戸部署に届けた。同署は事件との関連があるとみて警視庁に報告するとともに、男の身元の割り出しを急いでいる。
 薬局によると、男が現れたのは2日午後1時すぎ。店に入るなり「希硫酸はあるか」とだけ尋ねた。店長ら2人が「うちでは扱っていない」と答えると、そのまま無言で立ち去った。男は30歳前後で、身長約170a、普段着で帽子や眼鏡は着けていなかったという。
 薬局の店長(84)は「近所では見かけない顔だった。希硫酸を求める客はほとんどいないので覚えていた」と話している。(京都新聞)
■新宿青酸事件 袋、最初はトイレ個室に 清掃員、ごみと思い移動
 東京都新宿区の地下街で、青酸ガス(シアン化水素)を発生させる物質の入った2つのポリ袋が見つかった事件で、袋は2つとも最初、トイレの個室内に置かれていたことが7日、警視庁新宿署捜査本部の調べで明らかになった。発火の約30分前に掃除に来た女性清掃員(55)が、ごみと判断してトイレ入り口付近に運んだという。当初は見つかりにくい場所に置かれていたことで、捜査本部は、不特定多数の人に危害を加えようとした犯人の意図が明確になったとしている。個室に出入りした不審者を捜すとともに、袋に火がつけられた方法を調べている。
 袋が置かれた男子トイレは、営団地下鉄丸ノ内線新宿駅東口の改札口近くにあり、入り口から見て右側に小便器が、左側に個室3室が並んでいる。
 調べでは、清掃員は5日午後7時10分ごろ掃除に来た際、一番奥の個室内の大使器の前に2つの袋が並べて置かれているのを見つけた。
 この時にはまだ火はついておらず、清掃員は個室内にあったちり紙などを拾ったあと、大きいごみを担当するほかの清掃員に回収してもらおうと、その2つの袋を入り口付近に運んだ。
 同7時40分ごろ、2つの袋のうちシアン化ナトリウムの入った袋から、火が出ているのを通行人が見つけた。もうひとつの袋には希硫酸が入っており、袋が燃えて2つが反応すれば、猛毒の青酸ガスが発生する仕組みになっていた。
 時限発火装置のようなものは見つかっていないが、化学反応などで袋が自他に発火する仕組みになっていなかったかどうか調べている。(朝日新聞)
■「濡れなかったか」新宿青酸ガス事件 不審な2男性を目撃 別のトイレで発生直前に 液体運ぶ会話 もう一人不審な動き
 東京都新宿区の地下街で、青酸ガス(シアン化水素)を発生させる物質の入った2つのポリ袋が見つかった事件で、事件発生の1時間半ほど前に、現場近くの別のトイレで不審な2人組の若い男性が目撃されていることが7日、警視庁新宿署捜査本部の調べで分かった。2人はトイレの同じ個室に入って、「漏れなかったか」などと液体を運んでいたことをうかがわせる会話を交わし、紙袋や発泡スチロールの箱を持っていたという。もう1人、不審な動きをした男性がおり、捜査本部は事件直前の犯人の可能性があるとみて、この3人を追っている。捜査本部は、この3人が事件に関係するとすれば、青酸ガス発生未遂事件は、複数の組織的犯行の疑いが出てくるとみて、この目撃情報を重視している。
 調べでは、不審な2人組が目撃されたのは5日午後6時ごろ。千葉県の会社員が、事件現場に近いJR新宿駅東口の公衆トイレに入ったところ、隣の個室で男性2人の話し声が聞こえた。2人は「漏れなかったか」「大丈夫ですよ」などと話していた。
 会社員が先に出て洗面台で髪をとかしていると、まず小柄な男が個室から出て、会社員を見て驚いたような類をした。白い薄手の手袋をして、腕に口の部分を折った40a四方ぐらいの白い紙袋を抱えていた。続いてもう1人が出てきて「おい」と声をかけると、小柄な方があわてて手袋をはずして紙袋に入れた。
 後から出てきた男は、縦、横40a四方、深さ25aぐらいのふたつきの発泡スチロールの箱を持っていた。ふたと本体の間にはった粘着テープは半分ほどはがれていた。
 会社員が不審に思って後をつけると、2人は新宿東口の横断歩道を渡って早足で歩いて行った。会社員は横断歩道の手前で、別の男性に後ろから「よう久しぶり」と肩をたたかれ、振り向いている間に2人組を見失ってしまった。肩をたたいた男性は人違いだったと言い訳をしたというが、2人の仲間の可能性があると捜査本部ではみている。
 2人組の小柄な方は、27、8歳で身長155a前後、やせ形で坊主頭。白い薄手のジャンパーにカーキ色のズボン、白いスニーカー姿だった。もう1人は30歳すぎで、身長170a前後、やせ形で頭髪は短め。カーキ色のジャンパーにジーンズをはいていた。肩をたたいた男性は、175aぐらいで、白っぼい帽子に青いジャンパー、黒のズボン姿だった。
 事件は5日午後7時40分ごろ、ポリ袋から炎が上がっているのが見つかったが、その30分前には現場のトイレ内に袋が置かれていたことが分かっている。
 捜査本部は、この2人が事件直前に近くのトイレ内で待ち合わせ、青酸ガスを発生させる物質の入ったポリ袋の受け渡しか、物質の確認をしていた可能性もあるとみている。(朝日新聞)
■新宿駅青酸ソーダ事件 「漏れてないか」と会話 不審な2男性目撃 箱を持ち「大丈夫」 別のトイレ 事件直前 詰めえりの服
 地下鉄丸ノ内線新宿駅の青酸ソーダ事件で、現場近くの別のトイレ内で事件直前、「漏れてないか」「大丈夫」などと小声で話していた不審な詰め襟服姿の若い2人組の男が目撃されていたことが8日、分かった。1人は中部地方とみられる方言の交じった言葉で話し、トイレから出る際、発泡スチロール製の箱を持っていたという。捜査本部はこの箱の中に青酸ソーダの入ったビニール袋を隠し持っていた可能性もあるとみて、目撃証言から似類絵を作成するなど2人組の行方を追っている。
 調べによると2人は、事件発生約1時間半前の午後5時55分ごろ、現場から約50b離れた新宿駅ビル1階のトイレで目撃された。
 目撃者(48)によると、2人が入ったトイレの大便用の個室から「おう、お前大丈夫か。漏れなかったか」「そうずら」「本当に大丈夫か」「先輩、絶対大丈夫です」などと小声で話し合っているのが聞こえたという。
 語尾に「ずら」を付けるのは中部地方などで使われる方言の特徴とされる。
 2人はいずれも20−30歳ぐらいで、詰め襟の服を着ていた。”先輩”とみられる男は身長約170aで、発泡スチロール製の箱を持っていた。箱は本体とふたの間に張った粘着テープが半分はげていた。
 もう1人は身長約155aと小柄で丸刈り。40a四方の紙袋を抱え、白い手袋をしていたという。
 不審に思った目撃者が後を追うと、2人組は新宿駅東口のカメラ店前に行き、横断歩道を渡った。目撃者はカメラ店の前で、黒のつば付き帽子をかぶり緑色のショルダーバッグを下げた見知らぬ男から「久しぶり」と声を掛けられ、振り向いたすきに2人を見失い、その直後に声を掛けた男もいなくなった。この男も2人の仲間とみられる。
 これまでの調べでは、犯行に使われた2つのビニール袋は、地下鉄の女性清掃員が5日午後7時10分ごろ発見、トイレ入り口のちリ紙自動販売機わきに移した。約25分後、通り掛かった会社員(48)がビニール袋が燃えているのを見つけ、駅員に届けた。捜査本部で、発火原因を調べている。
・2時間前から袋置かれる トイレの個室内に
 東京・新宿の地下鉄青酸ソーダ事件で、薬品の入ったビニール袋が、発生の約2時間前からトイレの個室内にあったことが、警視庁捜査一課の調べで8日分かった。
 調べでは、5日午後5時40分ごろ、地下鉄丸ノ内線新宿駅東口で、トイレを使おうとした男性(48)が、奥から2番目の個室内の便器前にある不審なビニール袋に気付いたという。
 袋は午後7時10分ごろ、女性清掃員が見つけ、トイレ入り口まで移したが、25分後、燃えているのが見つかった。
 捜査本部は焼け残ったシアン化ナトリウム(青酸ソーダ)の詰まった袋を科学捜査研究所で鑑定、発火の仕掛けなどを調べている。(京都新聞 夕刊)
■朝の「痛勤」少しは楽に? 新型車両 続々デビュー 京阪・ゆったり2階建て 阪急・座席なしTV付き JR・新快速をより速く
 座席なしや2階建て、特急なみの高速化−通勤ラッシュの解消を狙ったユニークな新型車両が今年、関西の通勤電車に続々デビューする。開発した鉄道各社は、通勤客を速く大量に運べるようにする一方で、テレビを設置したり座席間隔を広げたりと「快適さ」の向上も図ったという。ぎゅうぎゅう詰めが当たり前のサラリーマンの朝が少しは変わりそう? 京阪電鉄は淀屋橋−出町柳間を運行する通勤特急に12月から2階建て車両を登場させる。関西では近鉄の特急の一部が主に観光地向けに2階建て電車を走らせているが、通勤用としては初めてだ。2階建て車両は従来の車両を約1億円かけて全面改良。座席数は従来の58席から69席に。眺めのいい2階部分の座席は従来通り横4列だが、1階部分は横3列に減らし、シートも左右に広げてゆったり感を持たせる。
 同社では現在、通勤特急を11列車(各7両編成)運行している。当面、2階建て車両は1つの列車の中央の1両に導入する予定だが、評判がよければほかの10列車にも順次1両ずつ増結していく計画だ。
 阪神大震災で不通区間が残る阪急電鉄は、神戸線が全線開通する6月下旬に合わせ、関西圏で初めて座席のない電車を導入する。
 座席なし車両は、運転席のボタンを押すだけで座席が壁に収納される仕組み。平日の午前中のラッシュ時に、西宮北口駅で梅田行きの通勤急行の先頭に2両増結して走らせる。
 定員は通常の車両より23人多い155人。同社によると、これで体に感じる混雑率は3割程度低くなるという。また、「立っていることを忘れてもらおう」と各ドアの上に液晶のカラーテレビを設置。ビデオ放送のほか、ニュースや天気予報なども流す。
 速さが売り物のJR西日本は新快速電車の新しい車両を開発し、8月に東海道、山陽線にデビューさせる。新型車両の最高速度は、「スーパー雷鳥サンダーバード」などの新型特急と同じ時速220`。従来車両より10`速い。
 車両は、ラッシュ時の乗降がスムーズになるように座席を減らして出入り口のスペースを広くした。また、出入り口には補助シートを設け、デイタイムには座ることもできる。窓には復層ガラスを使い、混雑時でも曇らず外の景色を楽しめるようにした。(朝日新聞 夕刊)
■下り新幹線のレールが破損
 8日午前6時44分ごろ、東海道新幹線岐阜羽島−米原駅間の下り線で、列車の停止を指示する信号が出た。原因がわからなかったため、30`行で列車を通過させていたが、東京発博多行き「のぞみ1号」が通過中に山側のレールが折れて3aの空間が開いているのが見つかったため、同列車を緊急停車させ、下り線は午前8時15分から不通に結った。現場でレールをつなぐ応急処置をして午前10時過ぎに運転を再開したが、ダイヤは下りを中心に大幅に乱れている。
 JR東海によると、何らかの理由でレールにひびが入り、前の列車が通過した衝撃で一気に破断したものと見て原因を調べている。
 現場のレールは4年半前に交換しており、平均10年程度使用するレールの中ではそれほど古いものではないという。4月4日に超音波で検査したときには異状はなかったとしている。
 JR西日本は午前9時から同10時すぎまでに、新大阪から2本の博多行き臨時便を運行。ホームで待機していた下り線の利用客に対応した。(朝日新聞 夕刊)
9日■「そうずら」方言 静岡、山梨の特徴 トイレの不審な2 人組 新宿駅青酸ソーダ事件
 地下鉄丸ノ内線新宿駅の青酸ソーダ事件で、現場近くのトイレ内で不審な2人組の男が「そうずら」という方言を使って会話していたことが8日明らかになったが、言語学の専門家は「自然な会話だったとすれば、2人とも静岡や山梨県などの出身者で、現在もそこに暮らしている可能性が高い」と分析している。
 永瀬治郎・専修大教授(社会言語学)は「『そうずら』は『そうだよ』という意味で、相手の言葉に対し肯定的に答える時によく用いられる」と説明。地域は静岡、山梨県が最もポピュラーで、愛知県や岐阜県の一部でも使われるという。
 日本音響研究所(東京都渋谷区)の鈴木松美所長は「『そうずら』は山梨県南都留郡、都留市など同県南部や静岡県の伊豆地方などで特によく使われている」と話している。
 目撃者によると、2人はいずれも20−30歳ぐらい。青酸ソーダが入った袋が見つかった現場近くの別のトイレの個室で「おう、お前大丈夫か。漏れなかったか」「そうずら」などと小声で話していたという。
 永瀬教授は「『そうずら』は若い人も日常生活で使っているが、同郷出身者の間でないとあまり使わない。2人が他人を意識してしゃべっていないのなら、同じ地域の出身で今でもその地域に暮らしている可能性がある。2人の間柄もかなり親密」と推測している。(京都新聞)
■新宿の青酸事件 ゴム製品で時限発火か 現場に燃え残り 硫酸入れ?袋に仕掛け
 東京都新宿区の地下街にある公衆トイレで5日、青酸ガスを発生させる物質を入れた2個のポリ袋が見つかった殺人未遂事件で、焼けた方のシアン化ナトリウム入りの袋に、化学反応を利用して一定の時間がたてば自然に発火する装置が取り付けられていた可能性のあることが8日、警視庁新宿署捜査本部の調べで分かった。現場でポリ袋とは別のゴム製品の燃え残りが見つかった。1970年代の過激派テロで、爆弾の着火装置としてよく使われた硫酸を入れたゴム製品と、燃えやすい物質をセットにした小袋が取り付けられていたとみられ、捜査本部はさらに残留物などを調べている。
 調べによると、発火装置とみられる小袋が仕掛けられていたのは、シアン化ナトリウム入りのポリ袋の上部。発火物質を入れた小袋の内側に、硫酸を詰めたゴム製品が入っていたとみられる。硫酸はゴム製品を溶かして漏れ出し、外側の物質と反応、燃え上がる仕組みだったと、捜査本部ではみている。
 近くの営団地下鉄丸ノ内線新宿駅の駅員に、異状を知らせた会社員(48)は「袋から30−40aの炎が上がっていた」と説明している。
 ポリ袋が燃えただけで、高く炎が上がるのは不自然なのと、2時間前にトイレに入った人が火のついていないポリ袋を目撃していることから、捜査本部は何らかの時限発火装置がセットされていたとみていた。しかし、時計や乾電池を利用した装置は見つかっておらず、化学反応を利用したものではないかとみて調べていた。
 捜査本部は、硫酸の濃度が低かったか、ゴム製品が二重だったため、硫酸が溶け出て物質と反応する時間が、犯人の予想以上にかかった可能性があるとみている。ポリ袋の火は、駅員が消し止めたため、シアン化ナトリウム入りの袋と接して置かれてあった希硫酸入りの袋には移らず、青酸ガスの発生は避けられた。
 75年9月、東京都北区の自衛隊施設近くであった爆弾事件では、過激派メンバーが爆弾を施設に投げ込む前に爆発、2人が死傷した。警視庁によると、この時に使われた着火装置は、ゴム製品に入れた硫酸が溶け出て塩素酸ナトリウムと反応、爆発させる仕組みだった。ゴム製品を溶かして漏れ出るまでに数分かかったとみられる。
 71年10月に板橋区であったテロ事件では、スポイトから少量ずつ出る硫酸をいったん綿に染み込ませ、塩素酸ナトリウムと反応させて発火させる装置が使われた。(朝日新聞)
■青酸ソーダは試薬 新宿事件 入手経路を調べる
 東京都新宿区の地下街での青酸ガス発生未遂事件で、2つのポリ袋の片方に入れられていた類粒(かりゅう)状のシアン化ナトリウム(青酸ソーダ)は、メッキなどの工業用ではなく、大学や企業の研究室などで使われる実験用の試薬であることが8日、警視庁新宿署捜査本部の調べで明らかになった。試薬の場合、グラム単位の販売がほとんどで、現場に置かれたシアン化ナトリウムは2`と多量だったことから、捜査本部は不審な大量購入や盗難がなかったか調べている。
 試薬用は化学実験に使うため、純度が100%に近い。ほかの化学物質に溶けやすく、保存や扱いが容易なように、類粒状のものが主に500cか25c入りの試薬瓶で販売されている。ほとんどの化学関係の実験室が常備しているが、一般的な試薬のため、大量には置いていないという。
 シアン化ナトリウムのメーカーは国内に数社だけで、年間2万数千dが製造されている。試薬用は「試薬屋」と呼はれる代理店を通じて販売されており、代理店は多数あるが、一度に2`もの注文があれば目立つという。
 シアン化ナトリウムは毒劇物取締法の適用をうける毒物で、製造、販売には都道府県や国への登録が必要。試薬用は販売登録をしている薬局で、住所、氏名などを書いた書面を提出すれは購入できるが、実際に取り扱っている薬局はわずかで、販売する際には用途などを細かく聴取するよう都道府県が行政指導している。(朝日新聞)
■発火2時間前個室にあった ガス発生物質の袋
 東京都新宿区の地下街で5日、青酸ガス(シアン化水素)を発生させる物質の入った2個のポリ袋が発見された事件で、この袋は発火する約2時間前から、トイレの個室の中にあったことが8日、警視庁新宿署捜査本部の調べで分かった。この個室で、発火の約30分前に掃除に来た清掃員が袋を発見、トイレの入り口付近に移動させたことが分かっており、捜査本部は長時間経過してから発火させる仕組みだったとみて鑑定を進めている。(朝日新聞)
■避妊具で時限発火? 新宿駅青酸ソーダ事件 現場に燃え残り
 東京の地下鉄丸ノ内線新宿駅の青酸ソーダ事件で、現場の公衆トイレに置かれた青酸ソーダ入り袋の燃え跡の中に2枚重ねたとみられるゴム製避妊具の燃え残りがあるのが9日、警視庁新宿署捜査本部の調べで分かった。
 70年代の過激派の事件ではゴム製品と硫酸を使った時限発火装置が使われたことがあった。今回の事件現場のトイレでは発生直後に硫化水素が検出されていたことなどから、捜査本部は2重にしたゴム製品に発火性物質と硫酸を入れ、時間の経過でゴムが溶けて化学反応を起こし、発火する装置が使われたとみて、残留物の鑑定を急いでいる。
 調べでは、現場に残っていた青酸ソーダ入りの袋の燃えた部分にゴム製品の半分ほどの燃えかすが残っていた。現場のトイレでは、通報の約2時間前に個室内に青酸ソーダなどを入れた2つの袋が放置されていたのが目撃されており、清掃作業員がトイレ入り口に移してから約30分後に青酸ソーダの袋から発火した。
 希硫酸の袋に火が燃え移ると袋が溶けて両方の物質が反応、青酸ガスが発生する仕組みになっていたが、青酸ソーダが自然発火するのは考えにくいという。(京都新聞 夕刊)
10日■新京都駅ビル専門店街 トラディショナル&モダーン 基本コンセプトと概要決まる テナント募集 説明会に120人出席
 来年秋のオープンを予定している新京都駅ビルの専門店街の基本コンセプトがこのほど決まった。運営主体の京都駅観光デパートによる初のテナント募集説明会が9日、京都市中京区の京都商工会議所で開かれ、京都市内の関係業者約120人が出席した。同デパートによると、駅ビル専門店街は地上1階と地下1、2階部分で構成。計約5000平方bのエリア内に約50−65の専門店をそろえる計画。
 専門店街の基本コンセプトは、伝統と新しさを盛り込んだ「トラディショナル&モダーン」。1階(約500平方b)と地下1階(約1000平方b)部分を「おみやげ小路」とし、小路感覚で京銘菓をはじめ京漬物や伝統工芸品、各種小物・雑貨などを販売するコーナーにする。
 地下2階部分約3500平方bを「ファッションストリート」として位置づけ、既存の駅前地下街「ポルタ」や百貨店のJR京都伊勢丹と連動する形で他にない新感覚のファッションストリートを展開する。業種的にはアパレル、服飾雑貨、ファッション雑貨を中心に予定している。
 1階の京銘菓コーナーと地下1階部分には従来、京都駅観光デパートにテナントとして入っていた店舗から優先的に希望を募ることにしているが、この日から始まった説明会は、新機軸を担う地下2階部分のファッション関係の出店希望業者に的を絞って開いた。
 説明会では古川満男観光デパート社長らが概要説明を行った。
 今後は15日から23日まで申し込みを受け付けたあと選考。6月をメドに京都市外の業者対象の説明会も実施する予定で、今夏をメドに仮契約した意向。
 問い合わせは同デパート企画開発部 075(371)1087。(京都新聞)
■新宿駅青酸ソーダ事件 塩素酸化合物を利用? 時限装置 硫酸と混合し発火
 地下鉄丸ノ内線新宿駅の青酸ソーダ事件で、シアン化ナトリウム(青酸ソーダ)入りのビニール袋に仕掛けられた発火装置は、硫酸と塩素酸化合物を混合させて爆発性のある「塩素酸」を発生させ、ビニール袋を燃やす仕組みだった可能性の高いことが、9日までの警視庁新宿署捜査本部の調べで分かった。
 ビニール袋には粒状の青酸ソーダの中に数個の黒い粒が混入していた。塩素酸は有機物と接触すると爆発、発火することから、有機リンなどの有機物質を混入することで塩素酸を爆発させビニール袋が燃え上がるようにしたとみて黒い粒など残留物の詳しい分析を急いでいる。
 調べでは、青酸ソーダの袋は、最初に地下トイレで目撃されてから約2時間後に自然に燃え出しており、時限式の発火装置が使われたとみられる。
 しかし、現場から半分焼け残ったゴム製の避妊具が見つかっただけで、機械式の時限装置はなかった。
 70年安保闘争などで過激派が使用した爆弾や火炎瓶の中に、硫酸と塩素酸ナトリウムを混合して自然に発火させる仕組みが利用されていることから、今回の発火装置にも硫酸と塩素酸化合物が使われた疑いが強まった。
 硫酸と塩素酸ナトリウムが混合すると、塩素酸と硫酸ナトリウムが発生する。発火装置はこうした性質を利用している。(京都新聞)
■オウム麻原代表ら幹部十数人 殺人容疑を固める 地下鉄サリン 教団製造濃厚に 捜査当局 関与の信徒特定へ
 オウム真理教のサリン製造疑惑を捜査している警視庁など捜査当局は9日、死者12人と約5500人の重軽傷者を出した3月20日の東京・地下鉄サリン事件で使われたサリンは、山梨県上九一色村のオウム真理教施設で製造された疑いが強まったとして、製造に関与したとみられる麻原彰晃代表(40)ら教団幹部十数人について、殺人容疑で強制捜査に踏み切る方針を固めた。捜査当局は、サリン製造について殺人予備容疑による刑事責任追及を検討していたが、地下鉄事件との関連がきわめて濃厚になったとして容疑を切り替えた。捜査当局は、地下鉄事件のサリンばらまきにかかわった信徒や、製造に関与した信徒の特定を進めている。
 捜査当局は9日までに、静岡県富士宮市の教団富士山総本部から、新たにポリ袋の接着機5台以上を押収。東京・地下鉄サリン事件で使われたナイロンポリ袋との関連を調べたところ、このうち一台の接着部分の幅と模様が、よく似ていた。
 接着機の電熱線が取り換えられていたため、この機械で地下鉄事件の袋を接着したとは断定できないが、同種の機械が使われた可能性は極めて高いとみている。
 また、地下鉄事件のサリンは、ジエチルアニリンという化学物質に溶かし込まれていたが、新たにヘキサンも溶剤に使っていたことが分かった。この2種類の化学物質は、上九一色村の教団施設でも発見されており、捜査当局は地下鉄事件と教団とを結び付ける有力な証拠とみている。
 これまでの調べで捜査当局は、上九一色村の「第三上九・第七サティアン」に隣接するプレハブ小屋の実験施設で、サリン製造の過程でできる副生成物や分解物を検出、教団がここでサリンを製造したとみている。第七サティアンに隠されていた化学プラントからも副生成物を検出しており、教団はここで大量のサリン製造を計画し、一部は稼働させたとみられる。
 サリン製造については、1993年春ごろ、麻原代表が教団「科学技術省」トップで刺殺された村井秀夫氏(36)と相談を始めたとされる。教団がこのころから、必要な薬品や機材の購入を始めていたことが分かっている。
 これまでに押収した資料や逮捕された約200人の信徒の供述から、教団における麻原代表の権力が絶大であることが分かっており、捜査当局はサリン製造の謀議に麻原代表が加わったのは確実とみている。
 また、化学プラントとプレハブ小屋から、サリン製造に関与した人物の痕跡を発見。教団「厚生省」ナンバー2で「化学班」キャップの土谷正実容疑者(30)=犯人隠避容疑で逮捕=、同省トップの遠藤誠一容疑者(34)=同=や「科学技術省」幹部らを、直接製造に関与した人物としてリストアップしている。
 捜査当局は今後、地下鉄事件で使われたサリンが、教団で製造されたことをさらに裏付けるために、サリンの成分や不純物の詳しい分析を進める。
 また、地下鉄事件前日の3月19日に、東京都港区の教団東京総本部に火炎瓶が投げ込まれた事件を指揮したとされる「諜報(ちょうほう)省」トップの井上嘉浩容疑者(25)が、地下鉄事件でも指揮していた疑いが強まったとして、行方を全力で追うとともに、関与したほかの信徒の特定を急いでいる。(朝日新聞)
■異常音響き こだま停止 滋賀・愛知川町
 9日午後4時33分ごろ、滋賀県愛知郡愛知川町石橋のJR東海道新幹線上り線で、新大阪発東京行き「こだま442号」(16両編成)の薮崎郡司夫運転士(38)が、「ドーン」という異常音に気付いて停車した。列車を調べたが異常は見当たらず、12分遅れで発車した。後続の「ひかり254号」が現場付近で徐行運転するなど、約300人に影響が出た。(朝日新聞)
■島内区間12日復旧 六甲ライナー 全線は8月の見通し
 神戸新交通は9日、阪神大震災で橋脚が破損するなどして全線が不通になっている六甲ライナー(4.5`)の一部区間の運転を12日から再開すると発表した。復旧作業が予想より順調に進み、6月初めとみられた再開時期が早められたという。全線開通は8月下旬の見込み。
 運転を再開するのは、六甲アイランド内のアイランド北口駅−マリンパーク駅間(1`)。当面は単線の往復運転で、所要時間は約5分。乗務員による手動運転になる。アイランド北口駅とJR住吉駅、阪神魚崎駅の間はそれぞれ代替バスを運行する。
 始発は、マリンバーク駅発が午前6時20分、アイランド北口駅発が午前6時25分。午後10時台の始めまでは15分間隔で、その後は20分間隔。最終はマリンバーク駅発午後10時40分、アイランド北口駅発午後10時50分。1日66往復する。
 運賃は代替バスも含めて大人240円。代替バスのみの利用は200円。(朝日新聞)
11日■オウム・麻原教祖ら 殺人容疑で立件へ 地下鉄サリン事件関与の20人絞る 捜査当局
 オウム真理教(麻原彰晃教祖)に対する強制捜査を進めている警視庁など捜査当局は10日までに、教団が施設内で製造したサリンを東京の地下鉄サリン事件で使用したとみて、サリンの「製造」から「使用」までの各局面で事件に関与したとみられる幹部ら4グループ計約20人の絞り込みを終えた。
 捜査当局は「法皇」として絶対的な権力を持つ麻原教祖が、それぞれの局面に深く関与したのはほぼ確実として、殺人容疑で教祖を含む幹部らの刑事責任を追及する方針で、立件に向け検察当局との最終的な協議に入るとともに、裏付け捜査を急いでいる。一連の教団に対する捜査で、サリン事件は全容解明へ大詰めを迎えた。
 捜査当局はこれまで、サリン製造工場と断定した山梨県上九一色村「第7サティアン」の検証や、サリン製造の中心人物とみられる「厚生省」化学担当幹部、土谷正実容疑者(30)ら逮捕した約200人のオウム教信者の取り調べを進めた。
 調べに対し、一部の幹部らが教団のサリン製造や地下鉄事件へのかかわりについて供述を始め、教団の地下鉄事件への関与の疑いが濃厚になった。
 このため捜査当局は@「第7サティアン」の建設Aサリン原材料の購入Bサリンの製造C地下鉄サリン事件の実行行為−の4つの局面について捜査。その結果「製造犯」について「第7」に出入りしていた土谷容疑者らを中心にした「化学班」のメンバーを絞り込んだ。
 また「自治省」幹部で薬品購入のダミー会社役員長谷川茂之容疑者(26)=道交法違反容疑で逮捕=が、他のダミー会社役員の教団幹部らとともにサリンの原材料を購入していた実態をほぼ解明した。
 さらに約2年前の「第7」建設時、「建設省大臣」早川紀代秀容疑者(45)=建造物侵入容疑で逮捕=が総責任者を、「建設省」幹部の池田悦郎容疑者(36)=軽犯罪法違反で逮捕=が現場責任者をそれぞれ務めていたことが判明。他の幹部の供述などから、当初からサリン製造の目的で「第7」を建設した疑いを強めている。
 一方、地下鉄サリン事件前日に発生した教団総本部に対する”自作自演”の火炎瓶襲撃事件のメンバーが、火炎瓶事件後、東京都渋谷区内のアジトに集結、次の犯行準備をしていたことが分かった。
 この結果、火炎瓶事件で逮捕した信者の供述などから、事実上の「諜報(ちょうほう)省大臣」井上嘉浩容疑者(25)=特別手配=を中心とした火炎瓶事件の実行グループと、教団の非公然活動に従事する信者らで構成するグループが地下鉄事件の実行犯グループとして浮かんだ。
 さらに「自治省大臣」新実智光容疑者(31)=犯人隠匿容疑などで逮捕=らが関与した疑いも出ている。(京都新聞)
■トークかんさい レールつながっている喜び ”鉄道魂”で早期復旧 JR西日本鉄道本部長 梅原利之さん(56)
 阪神大震災で大きく傷ついたJR東海道・山陽線と、山陽新幹線は4月初め、相次いで全面復旧した。激震は、レールをアメのように曲げ、高架橋を次々に落下させた。ずたずたの大動脈の復旧には、当初、6ヵ月以上はかかると見られた。だが、実際には3ヵ月足らずで達成された。その裏には、鉄道マンたちの不眠不休の努力があった。陣頭指揮を取った梅原JR西日本鉄道本部長に、復旧へ奮迅した2ヵ月半を振り返ってもらった。
 −4月1日に、東海道線が全面開通しました。どんな気持ちでしたか。
 「六甲道駅で、上り一番電車を見送ったのですが、涙がこみ上げ、なんとも言えない心持ちでした。レールがつながっている、ということは、これほどうれしいことなのか、と感じました」
 −在来線、新幹線とも最初から2ヵ月半で、全面復旧できる見込みはあったのですか。
 「最大限の好条件がそろったら、2−3ヵ月でできると思っていました。しかし、記者会見で『2−3ヵ月で』と言った時には、勇気が要りましたね。現場に機材が運べるか、運ぶための道路は通行可能か、必要な人員が集まるか…は、不確定だった。半年から1年かかる、という見方もあったのです。しかし鉄道マンとして、そんな長期間の不通は許されない。どうしてもやり遂げたい気持ちが言わせた『2−3ヵ月』でした」
 −早期復旧実現の要因は何でしょう。
 「住民の方々や、JRグループの協力が大きかった。運輸省の指導も適切でした。それらと共に、社員の力があります。労使が一体になりましたからね。鉄道魂ですよ。開業以来の危機に鉄道魂が沸き起こった。みんなが復旧へ向けて価値観を共有できた。それが、何よりうれしかった」
 −山陽新幹線は、8ヵ所で落橋がありました。今後の安全対策は。
 「2年間に全線7000ヵ所で、80数億円かけて落橋防止工事を実施します。絶対の安全はあり得ないとしても、それを目指す努力を続けます。今回の震災でも乗客の事故死者は出なかった。新幹線の安全神話は崩れていない。神話は今後も継承していきます」
 −復旧をやり終えた今の感想は。
 「いざとなったら助け合える。人間て、なんて素晴らしいんだろう、と思っています」(大阪支社・井戸洋)(京都新聞)
■関空リムジンバス 新路線開設を申請 関西空港交通
 関西空港交通は10日、関西国際空港と大阪市中心部のビジネス街を結ぶリムジンバスの新路線「天満橋線」の開設を近畿運輸局に申請した。
 6月下旬から運行を開始する予定で、空港アクセスのリムジンバスは12路線になる。
 申請によると、新路線は大阪市中央区本町(大阪コクサイホテル前)−関西空港を1日8往復し、大阪府庁や京阪電鉄天満橋駅に途中停車する。
 所要時間は本町−関西空港が約60分、天満橋−関西空港が約45分。料金は片道大人が1300円、小人が650円。(京都新聞)
■信楽鉄道事故 妻を失い、また家も… 震災乗り越え、神戸の男性 14日4回目法要参列へ
 「信楽鉄道事故と阪神大震災で、2つのトンネルを歩いているようなもの。出口へ向かってひたすら進むだけです」。4年前の1991年5月14日に起きた信楽鉄道事故で妻・辰子さん=当時(52)=を亡くした神戸市東灘区森北一丁目、中原邦夫さん(60)は阪神大震災では自宅も失った。重なる不幸を乗り越えて14日に滋賀県・信楽町の慰霊碑前で営まれる事故以来、4回目の法要に参列する。
 借り住まいの自宅西隣のアパートにある手作りの鎌倉彫り数十点。「家内の思い出だけは失ってはならない」と、震災直後、中原さんが辰子さんの位はいや写真パネルとともに、柱の傾いた家から運び出した思い出の品だ。辰子さんが生前、趣味で作っていた鎌倉彫りの盆や皿は丹念に仕上げられ、今でもつやを失わない。「思えば、家内があの列車に乗ったのも、鎌倉彫りのデザインの参考にと、世界陶芸祭に行くためでした。事故の2日前、時刻表を買って信楽に行くダイヤをめくっていた姿が、昨日のことのようです」と思い返す。
 戦災を乗り越えた築80年の家は、この1月17日の震災で柱が傾き、3ヵ月後に地響きとともに倒壊した。中原さんは1ヵ月間は車の中で過ごし、現在は半壊したアパートでの生活が続く。倒壊した家の再建のめどは立たない。業者の都合で、先月に予定されていた家の撤去はいまだ行われていない。だが、「天災はだれに訴えようもない。家族が無事だっただけでも幸いです」と、前向きな姿勢を崩さない。
 一昨年10月、「犠牲者遺族の会」がJR西日本らの事故責任をめぐり、大阪地裁に起こした訴訟は、なお数年続くとみられている。こうした中原さんには、家の再建という課題が加わった。「トンネルの出口に着くまで、歩き続けるだけ。出口は、きっと明るい所であると信じています」と願う。(京都新聞)
■阪急電車衝突 車の男性死亡
 10日午後9時40分ごろ、大阪府豊中市庄本町二丁目、阪急電鉄神戸線の旧庄本踏切で、梅田発西宮北口行き普通電車(8両編成、竹井清隆運転士)が軽自動車と衝突した。軽自動車は燃え上がり、運転していた男性が焼死した。電車に乗っていた約1200人の乗客にけがはなかった。同線は大阪行きが約20分後に、西宮北口行きが約1時間10分後に運転を再開した。豊中南署の調べによると、軽自動車はクラクションを鳴らして前の車を追い越し、遮断機の下りた踏切に突っ込んで行った。(朝日新聞)
■サリン・毒ガス京の備えは 市民不安高まる 消防署/地下街/病院 防護策に全力
 国民を無差別テロの恐怖に陥れた東京・地下鉄サリン事件、横浜の異臭事件、さらに厳戒下の新宿駅で起きた青酸ソーダ事件−。市民を巻き込む無差別殺人に、緊張と不安は募る妄だ。京都でも異臭騒ぎが起きるなど、人々の関心は高い。警察官や駅員らが地下街を中心に巡回を強化、消防など行政機関も対策を練っている。「京都の備えはどうなのか」。防護態勢を点検した。
化学大隊が発足
 京都市消防局は4月28日、サリン事件など各地で続発した一連の有毒ガス事件を受け、急きょ特別編成の「化学機動大隊」を発足させた。
 メンバーは救助隊や救急、消防隊などの隊員らで構成し、総勢で70人。新たに、防毒衣のほか、サリンに含まれるリン酸エステルの検知機、サリンの中和剤、現在の装備よりも長時間使用できる空気呼吸器などを購入し、万一に備えて態勢を強化した。
 隊が発足した当日の午後、伏見区の市消防学校で新装備の点検や指揮系統の確認などを訓練。解散したわずか30分後の午後5時ごろ、突然、「阪急電車で異臭発生」の通報があり、下京区の阪急河原町駅に急行。初日から初出動となった。空気呼吸器を身につけた隊員らが地下にある阪急河原町駅への階段を駆けおりたが、結局、異常はなく、胸をなで下ろした。
 小川輝明・消防救助課担当課長は「あってはならないことだが、初動態勢は整えた。府警や自衛隊と連携し、さらに安全対策を確かなものにしたい」。
・録画カメラ増設
 京都市内の地下鉄各駅やJR京都駅構内、京都駅前の地下街「ポルタ」などでは、ビデオ録画装置付きの防犯監視カメラの新設や増設を急いでいる。ガードマンらの巡回や府警鉄道警察隊員の乗車警戒も一段と強化した。
 市営地下鉄を運行する京都市交通局は4月27日、有毒ガス発生に備えた「マニュアル」を作った。不審物発見時の対処方法、風上への避難誘導−などを決めている。
 しかし、営業施設部は「風上に避難誘導といっても、判断は非常に難しい」と打ち明ける。電車がホームに到着するだけで風が吹き抜け、瞬時に風向きが変わってしまうからだ。危険を避けようと、電車を通過させるとホームにさらに強い風が巻き起こり、気流は反転する。構内の強制排気装置で地上に有着ガスを排出するにしても、近隣への二次災害が懸念され、地上の風向を見極めることが必要になるという。
・解毒剤など備蓄
 京都市内の各医療機関も万一の事態を想定して、解毒剤の購入や患者の受け入れ態勢を整えるところが増えた。
 京都第一日赤病院(東山区)は、4月18日からサリンなど有機リン酸系毒物の解毒剤PAM(パム)や硫酸アトロピンを順次購入し備蓄している。
 また、第二日赤病院(上京区)も中毒治療に関するマニュアルを作成し、専門外の医師でも急患に対応できるようにした。
 行政機関もバックアップしている。京都市衛生局はゴールデンウイーク前の4月27日、市立病院(中京区)にPAM200本、硫酸アトロピン300本を備えた。
 京都府保健福祉部も薬品卸業者に在庫を調べるとともに、病院などから解毒剤の要請があった場合に迅速に対応できるように連絡先を確認した。
 重本清志・保健福祉部次長は「厚生省がまとめたサリン事件の治療実績などを参考に、万一に備え、救急隊や病院と連絡を密にしている」と話している。(京都新聞 夕刊)
■信号故障、近鉄乱れる 特急運休 通勤の足に影響
 11日午前4時半ごろ、大阪市天王寺区上本町六丁目の近鉄上本町駅で、信号を制御する保安装置が故障して難波線(難波−上本町)全線と大阪線(上本町−伊勢中川)の上本町−鶴橋間の信号が赤のまま変わらなくなった。
 このため、難波線と奈良線(上本町−奈良)は始発から手信号に変え、特急を除いて運行、同6時50分に信号が復旧した。
 大阪線は上本町−鶴橋間と特急を運休。難波方面は他の上り電車も鶴橋、弥刀、高安の3駅で折り返しで運転し、大阪市営地下鉄の千日前線と中央線への振り替え輸送を行った。同7時45分から特急以外の運転を再開した。
 この事故で、特急24本を含む171本が運休するなどして、約8万5000人が影響を受けた。
 近鉄によると、上本町駅構内で架線の点検作業をしていたクレーン車のアーム部分が架線と接触したため、保安装置が故障したらしい。
 この事故の影響で、近鉄大阪線の鶴橋駅で一時改札制限をするなど、通勤・通学客の足が乱れた。
 鶴橋駅は大阪、奈良両線のホームがあり、JR大阪環状線から伊勢、名古屋方面に向かう乗換駅。4ヵ所の改札口で30分の延着証明書を約8000枚発行した。
 不通になっていた大阪線の鶴橋−上本町間は午前7時45分に運転を再開。始発駅の上本町駅を満員で出発し、次の鶴橋駅では、沿線の大学などに通う学生ら数千人がホームに残された。このため、鶴橋駅では同7時45分から20分間、大阪線の名古屋方面行きホームで改札制限をした。上本町駅では同9時までに、50分遅れの延着証明を5000枚用意。3ヵ所の改札口で客に配った。(朝日新聞 夕刊)
12日■阪急宝塚線 特急を新設 来月4日、ダイヤ改正
 阪急電鉄は11日、特急の新設などによるラッシュ時の時間短縮と混雑緩和を盛り込んだ宝塚線の新ダイヤを6月4日始発から実施する、と発表した。
 当初4月に改正を予定していたが、阪神大震災のため実施が2ヵ月遅れとなった。
 今回のダイヤ改正の目玉は、朝、夕のラッシュ時に新設された特急電車。午前は宝塚発の上り2本、午後は梅田発の下り2本を運転。途中停車は川西能勢口、石橋、十三の各駅で、従来の急行に比べ、宝塚発の上りで8分、梅田発の下りで5分時間短縮する。(京都新聞)
■阪急宝塚線に特急
 阪急電鉄は11日、宝塚線で6月4日からダイヤ改定を実施すると発表した。朝夕の通勤ラッシュによる混雑を緩和するのが主な目的で、同線の創業以来初めて特急を新設する。
 特急は平日の朝と夕方に2本ずつ運行し、朝は10両編成、夕方は8両編成を走らせる。停車駅は十三、石橋、川西能勢口の3駅。(朝日新聞)
■三宮駅東改札口前に定期券発売所を移転 神戸市バス・地下鉄
 神戸市交通局は、市バス・地下鉄の三宮臨時定期券発売所を神戸市総合インフォメーションセンター(中央区三宮町一丁目)内から、地下鉄三宮駅東改札口前に移転し、15日から営業を始める。営業時間は午前7時半から午後7時半まで。休業日は日曜・祝日(ただし、月末や月初めに日曜・祝日が重なる場合は午前10時から午後5時まで営業)。そのほかの市バス・地下鉄の定期券発売所と営業時間、休業日は以下の通り。
 湊川公園駅(正午から午後7時、火曜休業)▽新長田駅(同時間帯、日曜・祝日休業)▽名谷駅(午前7時から午後7時、日曜・祝日は午前10時から午後5時、水曜休業)▽西神中央駅(正午から午後7時、木曜休業)▽神戸駅前(午前10時から午後6時、日曜・祝日休業、ただし月末や月初めに日曜・祝日が重なる場合は午前10時から午後5時まで営業)▽阪神御影臨時(市バス普通区のみ、午前11時から午後六時、水曜休業)。
 詳しくは、市バスが同市交通局営業課(078・322・5946)、地下鉄が同管理課(078・322・5959)へ。(朝日新聞)
■島内区間の運行を再開 六甲ライナー
 神戸新交通の六甲ライナー島内区間、アイランド北口駅−マリンバーク駅間の運転が12日から再開する。当面は単線の往復運転で、所要時間は約5分。始発は、マリンパーク駅発が午前6時20分、アイランド北口駅発が午前6時25分。最終は、マリンパーク駅発午後10時40分、アイランド北口駅発が午後10時50分。1日66往復する。
 同ライナー島内区間の運行再開に伴い、アイランド北口駅−阪神魚崎駅間に代替バスが新設される。アイランド北口発が午前6時半から午後10時15分まで、魚崎発が午前6時40分から午後10時半まで、それぞれ50便運行。途中、南魚崎に止まる。運賃は代替バスのみが大人200円。六甲ライナーを含めると240円。(朝日新聞)
■京滋大雨 全域に警報 総雨量200_にも 各地でがけ崩れ
 京都地方は11日夜から12日朝にかけて大雨が降り続き、12日午前、府内全域に大雨・洪水警報が発令された。総雨量は12日だけでも京都市内で100_(午前11時現在)を突破、5月の1日の総雨量としては、過去最高だった1902年5月5日(98.4_)を上回る大雨を記録した。この大雨の影響で、府内各地でがけ崩れなどの被害や臨時休校が相次ぎ、列車ダイヤにも遅れがでた。
 京都地方気象台によると、11日午後2時の降り始めからの総雨量は、12日午前11時現在、京北町で203_を記録したのを最高に、京都市内でも153_に達するなど、各地で100_を超えた。この雨で鴨川が午前8時10分に警戒水位の1.2bを突破したほか、桂川も午前10時に同3.5bを超え、嵐山・渡月橋が同11時50分通行止めとなった。京都府や京都市は、災害警戒本部を設置して警戒に当たっている。同気象台によると、雨は12日午後まで降り続き、降り始めからの総雨量は府内で所により250_に達する見込み。
 JR西日本は山陰本線と山陽本線、福知山線の一部線区で早朝から徐行運転を行い、通勤・通学列車に5−15分の遅れが出た。
 山陰本線では、午前4時半分過ぎに亀岡駅の雨量計が220_を記録したため、亀岡−並川間と、千代川−八木間でそれぞれ時速30`の徐行運転を実施。(京都新聞 夕刊)
■阪神も値上げ凍結 申請中の運賃 全線開通の7月まで
 阪神電鉄は12日、運輸省に申請中の運賃値上げについて、阪神大震災による不通区間の復旧作業が完了し全線で運転再開されるまでは値上げを見送る方針を囲めた。現在、阪神本線(梅田−元町)の御影−西灘間(3.1`)が不通のままになっており、同社の計画では7月上旬に開通する。運賃値上げは5月下旬に認可される見込みで、実施は1ヵ月以上凍結されることになる。
 運賃値上げについては、同じく震災で不通区間が残っている阪急電鉄が、神戸線(梅田−三宮)全線開通見込みの6月下旬まで値上げしない方針をすでに決めている。このため、認可後しばらくは、被災した2社とそれ以外の大手私鉄との運賃格差が続くことになりそうだ。
 阪神は1月19日に、初乗り運賃を120円から140円とする平均19.7%の運賃値上げを、大手私鉄13社とともに申請した。運輸省は今月下旬にも上げ幅を圧縮して値上げを認可する見通しで、通常なら1週間の公告の後、直ちに実施される。
 阪神の震災による被害額は関連事業を含めて約790億円で運賃収入の2年半分に当たる。阪急が運賃の値上げ凍結を明らかにした2月の段階でも復旧のめどが立っておらず、当初は阪急を除く他社と同時に値上げを実施する意向を示していた。
 ところが先月、全線開通がこれまでより2ヵ月余り早まって7月上旬になる見通しとなった。このため@値上げ実施を全線開通まで凍結したとしても1ヵ月ほどの期間で済むA不通区間が残る間は値上げしても代替バスで対応するなど乗客に不便をかけるBライバルの阪急が据え置いている間に競争力が落ちる危険がある−などの理由で凍結方針を固めた。
 運賃値上げ申請によると、阪神や阪急など関西の大手私鉄5社の平均値上げ率は平均19.1%。初乗り運賃は、現在は5社とも120円で横並びだが、阪急、近鉄、南海、京阪の4社が30円アップなのに対し、JRや阪急との競合が激しい阪神は20円アップにとどめている。
 不通になっている阪神本線の御影−西灘間は震災で約2`にわたって高架橋が崩れた。当初、土中の基礎から造り直す予定だったが、調査の結果、損傷がなかったことから、復旧時期が短縮できたという。しかし、車両は震災前の約8割しか確保できず、全線開通しても来年3月ごろまでは運転本数が減少することになりそうだ。(朝日新聞 夕刊)
■JRなどで不通や欠航
 JRは山陰、福知山、山陽、関西各線などの一部区間が時速110`の徐行運転。紀勢線の紀伊日置−紀伊富田間が一時、不通になった。JR西日本によると、午前中で約13万人が影響を受けた。
 高速道路は、中国自動車道の福崎−山崎間が事故で一時、通行止めになったほか、同自動車道や名神高速道路など10路線の全線または一部区間で、時速50`の速度規制がされた。また、関西空港と淡路島の洲本港、津名港を結ぶ高速船などが、大雨と霧の影響で一部運航を見合わせた。
 一方、神戸、奈良、和歌山市などの公立小、中、高校で臨時休校や自宅待機が相次いだ。
 大阪管区気象台は、午前6時から夕方までの降雨量を近畿中北部で平均40_、南部で平均30_とみており、多いところでは100_に達する、としている。(朝日新聞 夕刊)
■「地下鉄サリン」当日 信徒が乗用車借りる 土谷容疑者?も同乗
 東京・地下鉄サリン事件が起きた3月20日未明にオウム真理教信徒の1人が静岡県富士市でレンタカーを借りていたことが12日、警視庁など捜査当局の調べで分かった。この車には同教団「化学班」キャップでサリン製造に関与した土谷正実容疑者(30)に酷似した人物が同乗していた。捜査当局は、レンタカーは東京都内に立ち入っていないとみているが、借りた時期が地下鉄サリン事件の直前であることから、レンタカーを借りた目的など詳しく調べている。(朝日新聞 夕刊)
13日■JRに再雇用 不採用問題で運輸省が解決案
 国鉄の分割・民営化の際、国労組合員ら1047人が地元JRに不採用となった問題で、運輸省側が国労と全動労に、不採用者をJRに再雇用するという解決案を非公式に提示していることが12日、関係者の話で明らかになった。解決案は「名誉回復措置」として、国鉄清算事業団を解雇された平成2年4月にさかのぼって全員を地元JRにいったん採用、一部を除いて即日退職させた上で、希望者全員をJR東日本、西日本に就職あっせんする、としている。
 最終的な解決まで休職扱いとなることから、その間の賃金の一定額を補償する案も盛り込まれており、試算では約150億円に上るとされる。
 不採用問題をめぐる紛争が長期化していることから、運輸省側が収拾に乗り出したとみられる。(京都新聞)
■山間部で200_越す 京滋の大雨 信楽鉄道は4本運休
 12日、京都地方を襲った集中豪雨は、京都地方気象台によると、降り始めから午後10時現在までに京都市中心部で193_、綴喜郡田辺町で174_、舞鶴市で168.5_などの総雨量を記録した。また北桑田郡京北町では243.5_、京都市左京区の花背峠で241_と、山間部で200_を超えた。
 京都府警や京都府によると、この雨で府内の10ヵ所でがけ崩れが起き、土砂や倒木が道路をふさいだ。このうち8ヵ所は12日夕方までに復旧したが、与謝郡岩滝町の府道など一部は、午後10時現在も通行規制して復旧工事を急いでいる。
 さらに亀岡市や船井郡園部町などの4戸が床下浸水し、同市の調整池があふれて付近の小屋1棟と車2台を流した。八幡市の木津川では、男性(26)が中州に取り残されたが、消防に救助され、無事だった。
 また学校関係では、府内の公立幼稚園・学校計149校が臨時休校、46校が午後の授業を中止するなどの措置をとった。
 大雨洪水警報が発令された滋賀県内では、高島郡朽木村荒川で、降り始めからの雨量が午後九時現在、305_を記録したのを最高に、各地で午後5時ごろまで強い雨が降り続いた。このため国道1号が、大津市の逢坂山、甲賀郡土山町の鈴鹿峠で規制雨量に達し、また大津市伊香立途中町の国道367号では土砂崩れのためそれぞれ通行止めになった。国道1号は13日午前零時10分、解除された。
 JR湖西線は徐行運転のため16本が最大29分遅れ、1600人に影響がでた。信楽高原鉄道は午後1時21分から上下4本が運休となり250人が足止めを食うなど交通に影響が出た。
 また、八日市市や蒲生郡安土町など県中部を中心に、あわせて民家14戸が床下浸水した。(京都新聞)
■土屋容疑者らサリンを運搬か 「火炎瓶」グループと合流 「地下鉄」当日未明 都内アジトで
 サリン製造を供述したオウム真理教の「化学班」責任者、土谷正実容疑者(30)=逮捕=と、教団「科学技術省」幹部の林泰男容疑者(37)=指名手配=の2人が、地下鉄サリン事件当日の3月20日未明、東京都内の教団アジトで、東京総本部への火炎瓶襲撃事件の実行犯グループと合流していたことが12日、警視庁など捜査当局の調べで明らかになった。
 実行犯グループは、地下鉄サリン事件にも関与した疑いが浮上しており、警視庁など捜査当局は、土谷容疑者らが教団施設からサリンを都内に運び、グループに手渡した疑いもあるとみて当日の行動などを追及している。
 調べによると、火炎瓶事件の実行犯グループは、元自衛官らで構成する計6人。事件を指揮したりリーダーは、事実上の「諜報(ちょうほう)省大臣」井上嘉浩容疑者(25)=逮捕監禁容疑で特別手配=とされる。
 6人は犯行後、東京都渋谷区内の教団アジトに再び集結、地下鉄サリン事件の犯行準備をしていた疑いがあるとされるが、捜査当局は土谷、林両容疑者がこのアジトにサリンを運び込み、井上容疑者らに取り扱いの説明をした可能性もあるとしている。
 また、静岡県富士市で3月20日午前2時ごろ、オウム教信者と土谷容疑者に似た男がレンタカーを借りていたことが分かった。2人は同日夕、車を返したが、走行距離は約940`に及んだという。
 富士市−東京間は約200`で、同日未明に東京に行き、再び引き返すことは十分可能で、捜査当局は土谷容疑者がレンタカーをサリン搬送に使用した可能性があるとみている。
 土谷容疑者は、仮谷さん拉致(らち)事件で指名手配中の信者をかくまったとして犯人隠匿容疑で逮捕された。林容疑者は、自動車の車検証の変更記入をしなかったとして道路運送車両法違反の疑いで指名手配された。刺殺された「科技省大臣」村井秀夫氏の直属の部下でサリン製造に関与した疑いが持たれている。(京都新聞)
■大雨被害続く 鉄道一部が運休
 近畿地方に降り続いていた大雨は12日夕になってようやく雨足が弱まった。しかし、川が増水して道路が冠水したり、鉄道が一部区間で運休するなどの被害が続いた。
 各地の気象台によると、降り始めから午後8時までの雨量は大阪136_、京都188.5_、神戸158_、奈良143.5_。
 京都市右京区の嵐山・桂川では昼前に、380aの警戒水位を超えたため、渡月橋が通行禁止になり、周辺道路も冠水した。また、亀岡市西別院町では調整池の護岸壁が倒れ、近くの車2台と農機具小屋一棟が約30b流された。
 大阪市平野区瓜破五丁目の市立瓜破小は、校区の一部が水位の上がった大和川をはさんで南側にまたがっているため、5時間目の授業を途中で打ち切り、全児童を下校させた。
 JRは山陽線、関西線、などで計50本が運休し、450本が最大6時間遅れるなど終日ダイヤが乱れ、約22万人が影響を受けた。関西空港線は強風のため、午後零時10分ごろから約30分、電車の運転を見合わせ、JRと南海の8本が運休した。(朝日新聞)
■「地下鉄事件の実験」報道 恐怖与えた罪 警察、適用示唆 平和の豪州 サリン衝撃 オウム牧場から分解物
 オーストラリア(豪)連邦警察は11日、オウム真理教が所有していた西オーストラリア州の牧場で発見された、羊の死体の毛や土壌からサリン分解物が検出されたと記者会見で発表した。豪州はこれまでテロ事件などとは無縁の国だっただけに、衝撃は大きかった。マスコミは「東京の地下鉄事件の実験が豪州で行われた」と報じた。サリンはいつ、どのような形でつくられたのか、あるいは持ち込まれたのか。連邦警察はそこを焦点に捜査を進めている。(パース〈オーストラリア〉=玲木健)
目撃
 記者会見後、報道陣十数人は直ちに検出現場のパース北東部にある「パンジャワン・ステーション(牧場)」へ。
 警察が手配した小型チャーター機で約2時間。見渡すかぎりの砂漠地帯にパンジャワン牧場はあった。約20万fはあるという。赤土の上に低木が広がる。
 報道陣をグループにわけて、四輪駆動車で”視察ツアー”。羊の死体が発見されたところは「ここから離れたところだ」としか明かさない。
 牧場に散在する建物のひとつ、ドアに「豊田研究所」と書かれた小屋の中に台所があった。「ここが実験室に使われていた」と案内役の警視。元の管理人はここに大量の薬品があり、サリンの原料となるフッ化水素もあったのを見た、と証言している。
 薬品を押収した倉庫や、電気室などを見た。電気室には、日本語で作動方法が書かれた発電機などがあった。
 豪連邦警察が、サリンの分解物検出を発表した翌12日、信徒らが、牧場内で「化学防護服」を着ていたことがわかった。牧場近くに住む、先住民アボリジニーが昨年、牧場内にある簡易滑走路上で、信徒数人が化学防護服を着ていたのを2回目撃していた。ヘルメットをかぶり宇宙服のようだったという。それをみてアボリジニーは「こわくなった」という。地元出身議員が牧場近くに住むアボリジニーたちに影響がなかったかどうか、同日朝電話して目撃談を聞いた。
トップ
 サリン分解物の検出は、メディアにとっても驚きだった。記者会見に先立ち、「いまさらなにを発表するのだろう」と、当惑する記者もいた。連邦警察はすでに約1ヵ月前、牧場から押収した薬品を分析し、「サリン製造とは関係なし」と発表していたからだ。
 会見当日の11日夜、豪テレビ各社はトップニュースで、実験が行われた牧場の様子を詳細に伝えた。シドニー・モーニング・ヘラルド紙は、東京で起きた地下鉄サリン事件の実験が、豪州の牧場で行われた、と報じた。
 豪州国内には、たちまち不安が広がった。オウム真理教の豪州での活動は、1993年、初めて明るみにでた。同年9月、麻原彰晃代表を含む教団の信徒25人が、パース空港に塩酸などの危険物を持ち込もうとして、「厚生省」トップの遠藤誠一容疑者(34)=逮捕済み=と「法皇内庁」トップの中川智正容疑者(32)が危険物持ち込みの罪でそれぞれ2400豪j(1豪j=63円)の罰金刑を受けた。このときの一行の荷物には、プラスチック容器や瓶入りの化学薬品のほか、ビーカーやガスバーナーなどの実験道具もあった。
 野党はこの事実をつきつけて、「当時なぜ徹底的な捜査をしなかったのか」と政府を攻撃。カー司法相は「押収した薬品は、金鉱脈の探索という目的に符合していた」と述べたうえで、その後の信徒の再入国は拒否している、と弁明。サリン分解物発見に関しても、「市民に危害を与えるものではない」と、不安解消につとめた。
ひつじ
 連邦警察のアラン・ミルズ副長官は、11日の会見でサリンについて、「実験が行われたかどうかはいう立場にないが、豪州で取得されたものではない」と語った。サリンが海外から持ち込まれたか、実験によって生成されたのかどうかは、なお不明のまま。
 オウム真理教が豪州に進出したのが確認されているのは、危険物持ち込み騒ぎに先立つ93年6月。「マハーポーシヤ・オーストラリア」という会社を設立して約57万豪jで牧場を購入した。麻原代表も設立発起人の一人だった。車なら近くの町まで160`はある。人里離れており、化学実験には最適といえる。それまで豪州内で表だった活動のなかった同数団は、「秘密実験所」がほしかったようだ。牧場の元管理人も「信徒らは、肝心の羊の世話は全くできなかった」と話している。
 連邦警察は、今後の捜査しだいでは、外国人が豪州人に恐怖を与えたり危険にさらしたりした罪で、刑事手続きをとる可能性を示唆している。(朝日新聞)
■オウム施設と地下鉄サリン 反応促進剤が同一製品 殺人容疑 立件へ有力物証
 東京の地下鉄サリン事件で使われたサリン溶液の反応促進剤とオウム真理教の山梨県上九一色村の施設から見つかった反応促進剤が、いずれも京都市内の化学メーカー製の同一の「ジエチルアニリン」だったことが13日、警視庁の調べで分かった。
 捜査当局は、教団が製造したサリンが地下鉄事件で使われたと断定、近く殺人容疑で強制捜査に踏み切る方針を固めているが、この反応促進剤が地下鉄事件とオウム真理教とを結ぶ有力な物証の一つとなった。
 調べによると、上九一色村の教団施設「第7サティアン」のプラントでは、三塩化リンから5工程を経てサリンを製造したとされ、捜査当局は製造の最初と最後の段階でジエチルアニリンを反応促進剤として使ったとみている。
 地下鉄事件の現場に残っていた溶液を科学捜査研究所で鑑定したところ、教団施設から見つかったものと成分が一致、捜査当局は同一製品と断定した。さらに輸入品なども含め市販の製品と比較したところ京都市内の化学メーカーの製品と分かった。
 このジエチルアニリンは、静岡県警が消防法違反容疑で逮捕した教団幹部、長谷川茂之容疑者(26)が社長を務める教団関連会社「ベルエポック」が平成5年夏ごろから半年の間に数回に分け、計50`をこの化学メーカーの代理店の取次店から購入していた。(京都新聞 夕刊)
■新宿地下街の青酸ガス事件 袋の上に新聞紙 燃えやすくする狙いか
 東京都新宿区の地下街で5日、青酸ガスを発生させる物質の入ったポリ袋が置かれた事件で、トイレの個室内に置かれた2つの袋のうち、シアン化ナトリウム(青酸ソーダ)の入った袋の上に新聞紙がかけられていたことが13日、警視庁新宿署捜査本部の調べで明らかになった。この袋には、ゴム製品を使った発火装置が仕掛けられていたことが分かっている。捜査本部は、新聞紙は袋を燃えやすくして希硫酸との混合を早め、青酸ガスを確実に発生させることを狙った犯人の意図を示すものとして、新聞の配達地域などの特定を急いでいる。
 調べでは2つの袋は、営団地下鉄丸ノ内線新宿駅東口改札近くの男子トイレで、一番奥の個室内の便器の前に、接するようにして並べて置かれていた。
 新聞紙は、シアン化ナトリウムが入った袋を覆うようにしてかけられていた。もう片方の袋には希硫酸が入っており、袋が燃えて2つの物質が混ざれは、猛毒の青酸ガスが発生する仕組みになっていた。
 これまでの調べでは、5日午後5時40分ごろ、個室を利用したイラストレーターの男性が2つの袋を見ている。同7時10分ごろには、掃除にきた女性清掃員が見つけ、かけられていた新聞紙を回収したあと、2つの袋もごみとしてトイレの入り口近くに移動させた。
 30分後の同40分ごろ、2つの袋のうち、シアン化ナトリウムが入った袋から火が出ているのを通行人が見つけ、駅員が水で消火した。
 新聞は配達や販売地域によって一部の記事の内容が異なっている。捜査本部は袋にかけられていた新聞紙を回収して、記事を分析したうえ、販売、配達地域が特定できないか調べている。
 また2つの袋は、コンビニエンスストアなどで販売されているポリ袋だったことが分かっており、捜査本部は同じ種類の袋を扱っているストアやスーパーなどで、不審者が買いに来なかったかどうか、聞き込み捜査を続けている。(朝日新聞 夕刊)
14日■地下鉄サリン事件実行犯 逮捕者(オウム教捜査に拘置中)に容疑者2人 警視庁殺人容疑で再逮捕へ
 オウム真理教に対する強制捜査で警視庁が逮捕、拘置中の信者の中に、死傷者約5500人を出した東京の地下鉄サリン事件に実行犯として関与した疑いの強いオウム教信者2人がいることが13日、警視庁など捜査当局の調べで分かった。
 警視庁は、地下鉄事件の被害者の目撃証言や、逮捕信者の供述からこの2人を特定した。
 捜査当局は近く麻原彰晃教祖を含む教団幹部に対し地下鉄事件の殺人容疑で強制捜査に踏み切る方針を固めており、警視庁は強制捜査着手と同時にこの2人を同容疑で再逮捕する方針。
 実行犯の一部が判明したことで、教団のサリン製造と地下鉄事件とのつながりが決定的となった。今回判明した2人以外に「自治相」新実智光容疑者(31)=犯人隠匿容疑などで逮捕=が犯行を指示するなど中心的に事件にかかわった疑いが出ており、捜査当局は他の実行犯の特定を急いでいる。
 捜査当局はサリン事件が発生した地下鉄3路線5車両について、乗客からの聞き込み捜査などで、被害が発生した際の通過駅などを捜査、犯人の乗降駅を特定し、車内や駅周辺での不審者捜査に全力を挙げた。
 一方、捜査当局は教団幹部ら中心に信者約200人をこれまでに逮捕したが、軽犯罪法違反の現行犯で逮捕した「法皇官房」幹部(40)が持っていた大量の信者の顔写真を押収。現場での不審者の目撃と対照して実行犯の絞り込みを進め、一部の信者の供述と合わせて実行犯2人を割り出した。
 地下鉄サリン事件は3月20日午前8時すぎ、都内の地下鉄日比谷、丸ノ内、千代田の3路線5車両でサリンが仕掛けられ、乗客、駅員ら約5500人が神経ガス中毒で病院に運ばれ、うち12人が死亡した。(京都新聞)
■麻原代表の逮捕状請求へ 週明け早々にも オウム幹部ら十数人も 地下鉄サリン事件 殺人容疑 実行犯、約10人特定
 猛毒サリンがまかれ、12人の死者と約5500人の重軽症者を出した東京・地下鉄事件で、警視庁など捜査当局は13日までに、地下鉄にサリンを置き去った実行犯として、オウム真理教の信徒10人前後をほぼ特定した。この中には、別の容疑ですでに逮捕された信徒も含まれている模様だ。捜査当局は、教団が組織ぐるみで山梨県上九一色村の施設でサリンを製造し、使ったとみて、事件に関与したとみられる麻原彰晃代表(40)をはじめ、実行犯を含む教団幹部ら10数人について殺人容疑で週明け早々にも逮捕状を請求し、強制捜査に乗り出す。捜査当局は、この強制捜査を機に教団の関与が疑われる数々の事件についても全容を解明する構えだ。
 捜査当局は、これまでの家宅捜索で押収した資料の分析や、供述などから、上九一色村の「第三上九・第七サティアン」裏にあるプレハブ小屋の実験棟で、教団「化学班」キャップの土谷正実容疑者(30)=犯人隠避容疑で逮捕=が中心となってサリンを製造したうえ、第七サティアン内部に隠された化学プラントでも量産を計画し、一部は稼働させたとみている。
 地下鉄事件でまかれたサリンを調べたところ、容器のナイロンポリ袋の接着面が教団の富士山総本部(静岡県富士宮市)で押収した接着機のものと、よく似ていたことが分かった。さらに、地下鉄サリンから検出された2種類の溶剤と同じ化学物質が、上九一色村の教団施設で発見された。
 また土谷容疑者が調べに対して、「一昨年から、サリンを実験のためにつくり、保存した」と製造を認める具体的な供述を始めた。一昨年の10月は、麻原代表が初めてサリンに言及した時期で、教団「科学技術省」トップで刺殺された村井秀夫氏と相談を始めたとされている。
 このころから、サリン製造に必要な薬品や機材の本格的な購入を始めており、捜査当局は、教団内部で絶大な発言力を持つ麻原代表の指示の下、サリン製造に取り組んだとみている。
 一方、捜査当局は、地下鉄事件前日の3月19日に、信徒の元自衛官が東京都港区の教団東京総本部に火炎瓶を投げ込んだ事件で、指揮役を務めた教団「諜報(ちょうほう)省」トップの井上嘉浩容疑者(25)が、地下鉄事件でも実行グループの指揮を執っていたとみている。
 捜査当局は、これまでに逮捕した約200人の信徒の供述などをもとに、井上容疑者の指揮で動いた地下鉄事件の実行犯10人前後を割り出し、その容疑固めを進めてきた。
 週明け早々に逮捕状を請求し、同時に強制捜査の準備を始める。不測の事態に備えて多数の機動隊員、捜査員が動員される見通しだ。(朝日新聞)
■踏切内で中1はねられ即死 住吉のJR阪和線
 13日午後2時15分ごろ、大阪市住吉区長居東四丁目のJR阪和線の踏切で、日根野発天王寺行き普通電車に、同区長居四丁目、中学1年壁野貴彦君(12)がはねられ、頭を打って即死した。
 住吉署の調べでは、壁野君は下り電車が通過した後、自転車に乗ったまま高さ80aの遮断棒をくぐって線路に入り、上り電車にはねられたという。友人2人と長居公園にサッカーの練習に行くところだった。
 この事故で、上下8本が運休、関西空海発京都行き特急「はるか30号」を含め、上下計12本が17−3分遅れた。(朝日新聞)
15日■地下鉄サリン 麻原教祖が指示 警視庁 オウム幹部ら20人に殺人容疑 製造から実行まで 一利用実中にも逮捕状
 東京の地下鉄サリン事件で、警視庁など捜査当局は14日までに、逮捕したオウム真理教の幹部信者らの供述や押収資料などから、サリンばらまきの実行計画は麻原彰晃教祖の指示に基づく組織的犯行と断定した。捜査当局は役人容疑で麻原教祖ら約20人について強制捜査に着手する方針を固めているが、検察当局との実務レベルの協議をほぼ終了。検察当局は一両日中にも、麻原教祖らの逮捕について最終判断をするもようだ。警視庁は、検察当局の承諾が得られ次第、逮捕状を請求する構えで、捜査の最終的な詰めや逮捕状請求に向けた準備を急いでいる。
・遠藤容疑者 製造関与認める
 教団内の複数の最高幹部がサリンの製造から地下鉄事件の実行に関与していることから、捜査当局が、教団内で絶対的な権力を持つ麻原教祖の関与があったことは確実とみて逮捕信者らを追及したところ、麻原教祖の指示を裏付ける供述を得た。
 捜査当局と検察当局は、これらの供述や押収資料を総合的に分析した結果、「製造」から「ばらまき」までのすべての局面に麻原教祖の指示があったと判断。サリン事件の中心人物とみて役人容疑で刑事責任を追及する方針を固めた。
 これまでの調べに対し、サリン製造にかかわったとされる教団「化学班」責任者土谷正実容疑者(30)=犯人隠匿容疑で逮捕=が「サリンをつくった」と供述、「厚生省大臣」遠藤誠一容疑書者(34)=同=も製造への関与を認めた。
 また地下鉄サリン事件の目撃証言などから、警視庁がすでに別の容疑で逮捕、拘置中の容疑者の中に、事件の実行に直接関与した2人が含まれていたことが判明した。さらに、ほかの逮捕された信者の供述から、非公然部隊のトップとされる「自治省大臣」新実智光容疑者(31)=犯人隠匿隠避容疑で逮捕=が実行計画に深く関与していた疑いが強まった。
・「サリン置いた」 逮捕の容疑者供述
 警視庁が逮捕、拘置中のオウム真理教信者のうち捜査当局が東京の地下鉄サリン事件の実行容疑者とみて追及している2人が「サリンを地下鉄に置いた」などと具体的に犯行を認める供述を始めていることが14日分かった。
 2人のうち1人は「地下鉄に置かせた」と犯行を指示したことを認めている。地下鉄事件の容疑者が犯行を認める供述をしたのは初めて。
 調べによると、2人は別の事件で警視庁に逮捕されたが、地下鉄事件の現場の目撃証言や他の信者の供述から関与が判明した。
 警視庁で追及した結果、1人は「サリンの袋を地下鉄に持ち込んで置いた」、もう1人は「サリンを置かせた」などとそれぞれ供述した。(京都新聞)
■信楽事故 4年…初の合同 遺族要請 鉄道側応じる
 死者42人を出した信楽高原鉄道事故の4回目の法要が14日、滋賀県甲賀郡信楽町黄瀬の事故現場で雨のなか、しめやかに営まれた。今年から、遺族側の意向で信楽高原鉄道(SKR)側と合同で営まれ、遺族ら約80人が参列した。
 これまで法要は「遺族の思いが反映されない」とする遺族側と、高原鉄道で別々に開かれていた。しかし、事故から4年経過し、補償も大きく進展。主要回忌以外の年でも毎年、法要を行い鉄道安全への思いを新たにしようと、遺族側が合同法要を要請、鉄道側がこれに応じた。
 会場では、この日を迎えた遺族らの思いを犠牲者に伝えようと、短冊のついた「鎮魂の鈴」が用意された。車や列車で到着した参列者は法要の開始前、短冊に思い思いのメッセージを書き込み、慰霊碑の参道わきに張られたロープにくくりつけていた。
 午前10時半からの法要では、雨のため、慰霊碑前に設営されたテントで読経。遺族が焼香を続ける中、事故発生時刻の午前10時32分に、高原鉄道の上り列車が現場を通過、最徐行して弔苗を響かせた。午後は、同町長野の町開発センターで事故を契機に、鉄道事故調査の第三者機関の設立を目指し遺族らが結成した「鉄道安全推進会議」の総会が開かれ阪神大震災での鉄道の地震対策などについて討論会が開かれた。(京都新聞)
■観光客ら3000人影響 京福嵐山線事故 電車60本が運休
 14日午前9時40分ごろ、京都市右京区太秦下刑部町の三条通で、同区の会社員(30)の乗用車が道路北側の京福電鉄嵐山線の電柱と商店に衝突した。
 電柱が線路側に倒れ、架線が垂れ下がったため、同線の四条大宮−惟子ノ辻間が不通となり、三条通も広隆寺前交差点−天神川間の約800bが通行止めになった。会社員は額などを切り軽傷、商店玄関のガラス戸が壊れ、後続の乗用車が事故車両に接触したが他にけが人はなかった。
 同線は午後2時前に復旧したがこの間、往復計60本の電車が運休し、太秦署によると、嵐山方面などへの観光客や修学旅行生ら約3000人が影響を受けた。また、京都バスや市バスは丸太町通や四条通へう回して運行した。
 京福電鉄では、復旧作業の間、惟子ノ辻−嵐山間で折り返し運転をしたほか、四条大宮、嵐山、惟子ノ辻の各駅でバスなど他の交通機関への案内を行い「混乱はなかった」といっている。また、沿線の観光地でも、この日は雨のため人出は多くなく、事故による大きな影響はなかったという。(京都新聞)
■信楽高原鉄道事故 4周年に死者悼む
 42人の死者を出した信楽高原鉄道(滋賀県甲賀郡信楽町)列車事故から四周年を迎えた14日、事故現場の信楽町黄瀬の慰霊碑前で、遺族ら約100人が出席して犠牲者のめい福を祈る法要が同鉄道によって営まれた。事故をめぐるJR西日本の刑事責任は、今月1日に大津地検が関係者の不起訴処分を決めており、遺族らは複雑な思いを胸にして霊前に臨んだ。
 14日現在で、亡くなった人の遺族と両鉄道会社で示談が成立しているのは、鉄道関係者を除き、27人。10人については示談が成立していない。(朝日新聞)
■車衝突、電柱が倒れ 4時間、通行止め 嵐電も60本が運休
 14日午前9時45分ごろ、右京区太秦下刑部町の三条通で、同区嵯峨朝日町、会社員荒川幹也さん(30)運転の普通乗用車が道路わきの電柱に衝突。電柱は三条通と京福電鉄嵐山線の線路をふさぐ形で倒れた。この事故で、約4時間にわたって、三条通の広隆寺前交差点−天神川交差点間約800bが通行止めになり、京福電鉄も約60本が運休し、3000人の足に影響が出た。荒川さんは頭などに軽いけがをした。
 太秦署の調べでは、荒川さんは京福電鉄の軌道敷を走って前の車を追い越し、走行車線に戻る際、後輪がレールで滑って道路左側の電柱にぶつかったらしい。(朝日新聞)
■麻原 オウム教祖 逮捕状請求へ 「地下鉄」殺人容疑 幹部20人も 捜査当局、協議開始
 死傷者5500人を出した東京の地下鉄サリン事件で、警視庁はオウム真理教(本部静岡県富士宮市)が組織的にサリンを製造、地下鉄で使用したと断定、15日午前、検察当局との最終協議に入った。協議が終わり次第、同日午後、殺人容疑で教団最高責任者の麻原彰晃教祖をはじめ幹部ら約20人の逮捕状を請求、一両日中に一斉逮捕に乗り出す方針。警視庁など捜査当局は各種の鑑定結果から教団がサリンを製造、地下鉄事件で使用したと断定。実行犯の一部を特定し、逮捕した幹部の供述などからサリン製造、事件実行の各局面で麻原教祖が関与したと断定した。
 犯罪史上例のない無差別大量殺人事件は、2ヵ月足らずで最終局面を迎えた。捜査当局は今後、長野県松本市のサリン事件などについても関連を追及、教団絡みの事件の全容解明を目指す。
 警視庁など捜査当局は3月22日から山梨県上九一色村施設などを強制捜査。「第7サティアン」からサリンの生成を示す残留物を検出、サリン製造工場と断定。犯人隠匿容疑で逮捕した「化学班」責任者土谷正実容疑者(30)が「サリンを作った」と製造を認める供述をした。
 一方、警視庁が逮捕し拘置中の信者2人が「地下鉄にサリンを置いた」「麻原教祖が指示した」と供述。
 麻原教祖の指示の下「自治相」新実智光容疑者(31)=犯人隠匿容疑などで逮捕=が全体を指揮、事実上の教団「諜報(ちょうほう)省大臣」井上嘉浩容疑者(25)=公務執行防害容疑で逮捕=を現場の実行グループの中心とする地下鉄事件の構図がほぼ明らかになった。
 地下鉄事件は3月20日午前8時すぎ、地下鉄3路線の計5車両で袋に入ったサリンが漏れ出した。(京都新聞 夕刊)
■地下鉄事件 強制捜査 秒読み 最後の課題クリア 身柄確保 報復テロ封じ込め「教祖逮捕なら法的措置」オウム教上祐氏会見
 オウム真理教の上祐史浩緊急対策本部長は15日午前、東京都杉並区の教団杉並道場で記者会見し、麻原彰晃教祖に対する逮捕状請求の動きについて「尊師は体調最悪で、無理やり取り調べれば村井秀夫氏に続いて第二の犠牲者が出ることになる」と抗議、「万一不当逮捕されれば、最大限の法的措置を取る」と語った。
 同日未明、逮捕された井上嘉浩容疑者について「全く連格が取れず、報道で初めて知った。地下鉄サリン事件で井上にはアリバイがある」と話した。
 会見で上祐氏は、地下鉄サリン事件に絡教団の疑惑に対し、用意したコメン卜を読み上げて反論。教団施設からサリン自体が見つかっていないことを指摘し「土谷正実容疑者の『サリンを製造した』との自供はねつ造」などと主張した。
 報道陣から井上容疑者のアリバイを具体的に説明するように求められ、上祐氏は「今、明らかにすると警察につぶされる可能性がある」と拒否した。
 井上嘉浩容疑者(25)の逮捕で、地下鉄サリン事件の殺人容疑での強制捜査は、秒読みの段階に入った。
 警視庁など捜査当局は、井上容疑者が地下鉄サリン事件の現場で犯行を指揮したと断定しており、容疑の裏付けが取れ次第、麻原彰晃教祖をはじめとする幹部ら約20人に対する殺人容疑の逮捕状請求に踏み切る方針。
 オウム真理教に対する殺人容疑の立件に当たり、捜査当局がクリアすべき課題は@麻原教祖の指示の裏付けA井上容疑者の身柄確保−の2点だった。
 特に事件の全容解明には、教団全体の組織的な犯行を証明するため麻原教祖の具体的な指示があったかどうかが大きなポイントとなる。この点について捜査当局は、逮捕した信者の証言や、押収した教団の資料からほぼ裏付けられたとしている。
 最後まで残った課題は、井上容疑者の身柄の確保だった。井上容疑音は、教団の非公然活動の中心人物。地下鉄サリン事件に直接関与した疑いがあるほか、さまざまな拉致(らち)監禁事件にかかわったとされる。
 こうしたことから捜査当局は、役人容疑での強制捜査に着手した場合、井上容疑者を中心とした非公然グループが、捜査への報復のためサリンなどの毒物によるテロ事件を引き起こしかねないとして、強制捜査着手に先立ち同容疑者の身柄確保が不可欠と判断、行方追及に全力を挙げていた。(京都新聞 夕刊)
■地下鉄サリンなど解明へ オウム教「諜報省」トップ 井上容疑者を逮捕 公務執行妨害の容疑
 サリン製造や使用、逮捕・監禁などオウム真理教をめぐる数々の疑惑のカギを握る人物とされる教団「諜報(ちょうほう)省」トップの井上嘉浩容疑者(25)が東京都秋川市内で発見され、15日未明、警視庁に公務執行妨害容疑で現行犯逮捕された。東京・地下鉄サリン事件で、麻原彰晃代表(40)らについて殺人容疑で強制捜査することを決めている警視庁など捜査当局は、教団の非合法活動の実行犯グループの中心人物とみられる井上容疑者の逮捕が、全容解明に向けて大きな弾みになるとしている。
 捜査当局は、井上容疑者について東京都品川区の目黒公証役場事務長拉致事件で、現場で指揮していたとして逮捕・監禁容疑で特別手配していた。
 このほか、井上容疑者は地下鉄事件の実行犯グループや、元自衛官らによる東京都港区の教団東京総本部への「自作自演」の火炎瓶事件を指揮するなど、教団の非合法活動の実行部隊の中心人物とみている。このため、麻原代表に対する強制捜査があった場合、報復行動に出る可能性もあるとみて、全力で行方を追っていた。
 調べに対して、「黙秘します」と一言だけ話し、その後の調べには応じていないという。
 警視庁公安部の調べによると、14日午後11時すぎ、秋川市平沢の五日市街道で、赤坂署の捜査本部から武器等製造法違反の疑いで捜索差し押さえ令状が出ている乗用車を停車させた。
 乗っていた女性1人と3人の男性を福生署に任意同行し、車と身体の捜索を行おうとしたところ、4人は捜査員の胸を突くなどしたため、いずれも公務執行妨害の疑いで現行犯逮捕した。同署は車の中から、ノート型のパソコンやメモ類など約500点を押収した。
 4人は調べに対して黙秘したが、助手席にいた男が身長や顔の特徴が井上容疑者と似ていたことから、指紋照合した結果「井上容疑者と一致した。同容疑者は「鈴木俊之」名義の偽造免許証を持っていた。
 4人が乗っていた乗用車の所有者は信徒の関係者で、武器を製造していた疑いがある山梨県上九一色村の教団施設に出入りしていた。女性は教団「法皇官房」に所属する岡本祐佳容疑者(33)。
 16日、公務執行妨害容疑で東京地検に身柄送検した後、逮捕・監禁容疑に切り替えて再逮捕する方針。
・逮捕状請求へ協議 代表ら30人 警察と検察
 12人の死者と約5500人の重軽症者を出した東京・地下鉄サリン事件で、猛毒サリンを製造し、地下鉄で発散させたとして、警察、検察当局は15日、オウム真理教の麻原彰晃代表(40)を含む幹部信徒らについて、殺人容疑などで逮捕状を請求するための最終協議に入る。3月22日の一斉捜索以来、全国規模で展開してきた同教団への捜査は最大のヤマ場を迎える。
 逮捕状請求の対象者は、15日未明、公務執行妨害容疑の現行犯で逮捕された教団「諜報(ちょうはう)省」トップの井上嘉浩容疑者(25)をリーダーとする実行犯グループ十数人をはじめ、計画や製造グループを合わせると、30人前後になるとみられる。
 警察、検察当局は、このうち行方が把握できていて実際に逮捕可能な容疑者がどれだけいるかなど、細部の詰めを行っている模様だ。
 捜査当局は、これまでの捜索で押収した資料や、逮捕した約200人の幹部を含む信徒らの供述などから、地下鉄事件で使われたサリンは山梨県上九一色村の教団施設で製造されたとみている。
 サリン製造を計画したのは、「ハルマゲドン(最終戦争)」を「予言」して戦争に備えるように呼び掛けた麻原代表や、これを実現させようとした教団幹部らとみられる。
 製造に関与したのは、犯人隠避容疑で逮捕された教団「化学班」キャップの土谷正実容疑者(30)、「厚生省」トップの遠藤誠一容疑者(34)らで、2人はサリンの製造を認める供述を始めている。
 井上容疑者を指揮者とし、地下鉄車内への持ち込みや見張り役をした実行犯グループの中には、警視庁に別の事件で逮捕され、容疑を認める供述をしている容疑者もいる。(朝日新聞 夕刊)
16日■麻原教祖けさ逮捕 地下鉄サリン 殺人と殺人未遂容疑 オウム教計41人に逮捕状 十数人は既に拘束
 地下鉄サリン事件で警視庁は15日夜、オウム真理教(本部静岡県富士宮市)が猛毒の神経ガス「サリン」を組織的に製造、使用したと断定、殺人・同未遂容疑で教団代表の教祖麻原彰晃容疑者(40)=本名松本智津夫=をはじめ教団幹部ら計41人の逮捕状を取った。16日早朝、一斉逮捕に乗り出す。警視庁は41人について、地下鉄サリン事件で死亡した12人に対する殺人容疑と、けがをした約5500人に対する殺人未遂容疑を適用した。
 16日の家宅捜索は山梨県上九一色村施設に捜査員ら約1000人を動員し、麻原容疑者が潜伏している可能性のある「第6サティアン」を中心に午前6時前から開始、全国の教団施設への捜索も行う。
 12人が死亡、5500人以上が被害を受けた前例のない無差別殺人は、オウム真理教による毒ガスを使ったテロと判明、発生から約2ヵ月で解決に向かう。
 警視庁は東京・目黒の公証役場事務長拉致(らち)事件など、教団に縮む事件についても全容解明を目指すとともに、長野県松本市のサリン事件や横浜の弁護士一家失跡事件などとの関連も追及する。
 調べによると、殺人容疑などで逮捕状が出た幹部は、既に別の容疑で逮捕されている教団「化学班」責任者土谷正実容疑者(30)、「厚生相」遠藤誠一(34)、「建設相」早川紀代秀容疑者(45)、「自治相」新実智光容疑者(31)、事実上の「諜報(ちょうほう)相」井上嘉浩容疑者(25)ら。
 41人中これら幹部を含め十数人が別の事件で逮捕されている。
 警視庁は、上九一色村の施設で麻原容疑者ら幹部を逮捕後、警視庁に身柄を護送する。ヘリコプターでの移動も検討したが、天候などの影響を考慮、陸路で護送する可能性が高い。
 警視庁など捜査当局は15日、山梨県上九一色村施設などの家宅捜索で得た物証や検証、鑑定結果について検察庁と最終的な協議を行った。
 この結果@「第7サティアン」からサリンの存在を示す残留物を検出A土谷容疑者らがサリン製造を供述B拘置中の信者が「地下鉄にサリンを置いた」と供述、実行犯を特定した−などから、役人容疑などでの地下鉄事件の立証は十分と判断した。
 さらに、逮捕した信者が地下鉄事件への関与を供述、幹部の証言などから「製造」「実行」の各局面で麻原教祖の指示は確実として、逮捕状請求に踏み切った。(京都新聞)
■新横浜駅(市営地下鉄)で異臭 10人せき込み5人軽症
 15日午後9時10分ごろ、横浜市港北区新横浜の市営地下鉄新横浜駅で異臭が発生、近くにいた客ら約10人がせき込むなどの症状を訴え、うち同市鶴見区上の宮、夏目京子さん(53)ら男女計5人が横浜労災病院に運ばれ手当てを受けた。同病院によると、症状はいずれも軽いという。
 神奈川県警などが異臭の原因を調べている。現場は新横浜駅の地下鉄とJRを結ぶ連格通路の階段付近で新幹線などから地下鉄に乗り換える乗客らが急にせき込んだことから「様子のおかしい人がいる」と駅員に通報があった。乗客は「つんと鼻を突くにおいがした」と訴えているという。
 横浜市消防局は現場に指揮本部を設置。「煙が見えた」との情報があったため、救急車5台のほか消防車も出動した。地下鉄のダイヤに影響はなかった。
 横浜市では3月以降計5件の異臭事件・騒ぎが起きている。うち4月19日には西区のJR横浜駅構内などで175人が目やのどの痛みなどを訴え、うち21人が入院した。同月21日午後には、同区の大型専門店ビル「横浜ビプレ21」店内で異臭がし、買い物客ら29人がのどの痛みを訴える騒ぎがあった。(京都新聞)
■元自衛官信者10−20人 特別部隊を編成 地下鉄事件関連追及
 オウム真理教(麻原彰晃教祖)が、信者の元自衛官10−20人を集め、非合法活動の組織とみられる「特別部隊」を編成していたことが、15日までの警視庁など捜査当局の調べで分かった。
 東京総本部ビルヘの火炎瓶襲撃事件や、警視庁運転免許試験センターヘの侵入事件は、自衛官を中心とした「特殊工作チーム」の犯行と判明しているが、「特別部隊」はこれとは別に、教団が特別な軍事訓練を受けた元自衛官を集めたとみられる。
 捜査当局は、教団が銃器や化学兵器を持たせ、武装決起を企てていた可能性もあるとみて、実態の解明を急いでいる。また地下鉄サリン事件についても、入念な計画に基づき同時多発的に車両を狙うなどの手口から、軍事知識に精通した元自衝官の関与もあり得るとしている。
 調べによると、特別部隊は信者の中から教祖に忠実で専門知識や武闘の面で優れているとされる元自衛官を選抜。自衛隊時代の訓練や専門的な軍事知識を生かし、非合法活動に従事していた疑いがあるという。
 教団内には現職、元職合わせて50人を超す自衛官の信者がいるといわれる。
 捜査当局は、逮捕された教団最高幹部の手帳に、ロシア製戦車や核弾頭などの購入計画のほか、「95年11月戦争」などと本格的な武装闘争をにおわせる記述があったことから「特別部隊」が、武器の密造、買い付けなど教団”武装化”に大きな役割を担っていた可能性もあるとしている。(京都新聞)
■新横浜駅異臭「いつまで」市民騒然
 悪質な異臭事件の標的は、また横浜だった。今度は港北区の市営地下鉄新横浜駅。地下鉄サリン事件、先月19日の横浜駅異臭事件、そして新宿駅青酸ソーダ事件…。「いつまで続くのか」。オウム真理教の麻原教祖に逮捕状が出たどしゃ降りの15日夜、家路を急ぐ乗客で込み合う新横浜駅周辺に緊張が走った。
 「変なにおいがする」「のどが変だ」。煙はなかったが地下鉄のJR側出口付近で約10人の乗客らが突然せき込み始め、相次いで駅員らに異常を訴えた。サイレンを鳴らし、次々に到着するパトカーや消防車。駅前ロータリーには緊急車両50台以上が集まり、騒然とした雰囲気に包まれた。
 現場では、警察官が「気分が悪い人は、すぐ申し出て…」「危険ですので現場から離れてください」とスピーカーで怒鳴る。
 現場にいた大学生田中雅仁さん(21)は「歩いていると後ろから『悪臭がする、逃げろ』という声が聞こえ、慌てて逃げた。また横浜で異臭騒ぎが起きるなんて…」と話していた。(京都新聞)
■麻原代表 けさ逮捕 地下鉄サリン殺人容疑で オウム幹部ら40人も 林(郁)容疑者も実行参加
 オウム真理教のサリン製造・使用疑惑を捜査している警視庁築地署の特捜本部は15日、麻原彰晃代表(40)を含む教団幹部ら41人について、殺人と殺人未遂容疑の逮捕状を取った。16日早朝から、一斉逮捕に乗り出す。約半数がすでに逮捕されている。その中には東京・地下鉄サリン事件の実行グループの一人として、教団「治療省」トップで付属医院長の林郁夫容疑者(48)=犯人隠避容疑で逮捕=が含まれ、「地下鉄車内にサリンを持ち込んだ」と容疑を認めていることが分かった。また、逮捕した教団幹部の供述などから、持捜本部は教団が製造したサリンは、ほとんど残っていないとの見方を強めている。
 調べによると、麻原代表と林容疑者らは共謀し、山梨県上九一色村の教団施設で製造したサリンを袋詰めにして新聞紙にくるみ、3月20日朝、営団地下鉄の丸ノ内、日比谷、千代田各線の電車5本に置き去ってガスを発生させ、乗客や駅員12人を殺害、約5500人に重軽症を負わせた疑い。特捜本部のこれまでの調べでは、地下鉄事件の実行犯は、15日未明に東京都秋川市内で逮捕された教団「諜報(ちょうはう)省」トップの井上嘉浩容疑者(25)を含む11人とみられる。林容疑者ら車内に持ち込んだグループのほか、サリンを駅まで運んだり、見張り役をした信徒がいたことを突き止めている。
 医師の林容疑者が実行犯に加わったことについて、特捜本部は、サリンで自らが死傷するおそれがあるため、毒物の知識を持ち、治療ができる専門家を加えて、確実に実行しようとしたとみている。
 林容疑者は慶応大医学部を卒業。専門は心臓外科で米国の病院での研究実績もある。1989年に入信、90年に出家した。東京都中野区の付属医院長を務め、麻原代表の主治医でもある。これまでの調べで、同容疑者は、複数の監禁事件に関与したことが分かっている。
 脱会を希望した元ピアニストの女性(23)を昨年12月から約3ヵ月間、上九一色村の教団施設で、頭を殴ったり、全身麻酔の薬物を注射したりして意識障害に陥らせたうえ、コンテナに閉じ込めた監禁容疑で逮捕、起訴された。
 東京都品川区の公証役場事務長の仮谷清志さん(68)拉致事件でも、都内から上九一色村の施設に連れて来られた仮谷さんに対して、井上容疑者の指示で「自白剤のような薬物を注射した」と供述しているという。
 この事件で特別手配されている松本剛容疑者(29)をかくまう目的で、指紋を削り取る手術をしたとして4月28信、90年に出家した。東京都中野区の付属医院長を務め、麻原代表の主治医でもある。これまでの調べで、同容疑者は、複数の監禁事件に関与したことが分かっている。
 脱会を希望した元ピアニストの女性(23)を昨年12月から約3ヵ月間、上九一色村の教団施設で、頭を殴ったり、全身麻酔の薬物を注射したりして意識障害に陥らせたうえ、コンテナに閉じ込めた監禁容疑で逮捕、起訴された。
 東京都品川区の公証役場事務長の仮谷清志さん(68)拉致事件でも、都内から上九一色村の施設に連れて来られた仮谷さんに対して、井上容疑者の指示で「自白剤のような薬物を注射した」と供述しているという。
 この事件で特別手配されている松本剛容疑者(29)をかくまう目的で、指紋を削り取る手術をしたとして4月28日、犯人隠避容疑で再逮捕された。(朝日新聞)
■「 製造サリン使い切る」土谷容疑者供述 地下鉄事件で
 オウム真理教でサリン製造の中心人物とされる教団「化学班」キャップの土谷正実容疑者(30)=犯人隠避容疑で逮捕=が、警視庁築地署特捜本部の調べに対して、「製造したサリンは使い切った」という内容の供述をしていたことが15日、分かった。サリンを使った事件の再発を警戒して、全国規模で捜索を続けてきた捜査当局は、残量がない可能性が高いとしても、万一に備えて警戒を続ける。
 逮捕当初、黙秘を続けていた土谷容疑者は、その後、サリン製造についての供述を始め、製造量にも触れて「地下鉄事件で使い切った。もう、ないでしょう」などと具体的な供述をしたという。
 捜査当局の調べによると、地下鉄事件では、計11個のナイロンポリ袋に入れられたサリンが5つの新聞紙の包みに分けられ、5本の電車内に置き去られた。
 また土谷容疑者は、1月にプレハブ実験棟での製造を再開したことを明らかにしており、捜査当局は、保存してあったサリンとこの時期に製造したサリンを合わせて、地下鉄事件に使ったのではないかとみて、裏付けを急いでいる。(朝日新聞)
■新横浜駅で刺激臭被害 3人が手当て
 15日午後9時17分ごろ、横浜市港北区新横浜二丁目の市営地下鉄新横浜駅の新幹線側の出入り口付近で刺激臭が濃い、神奈川県警によると、付近にいた地下鉄の利用客ら約10人がせき込んだり倒れたりした。横浜市消防本部や病院などによると、横浜市港南区の鈴木裾之さん(32)、同市鶴見区の夏目京子さん(53)と、北島雄さん(14)が手当てを受けた。いずれも軽症という。
 現場からは不審な残留物などは確認されておらず、病院に搬送された一人は、症状から「過換気症候群」ではないかとみられている。(朝日新聞)
■踏切にいたずら続発 JR奈良線の「支障報知ボタン」を作動 なぜか火曜の午後 府警、本格的対策へ
 JR奈良線の長池駅(城陽市長池里開)周辺の踏切の「踏切支障報知ボタン」を作動させるいたずらが、続いている。府警鉄道警察隊は辺りをひんぱんに巡回するなど、本格的な対策に乗り出した。作動するたびに列車に遅れが出ているが、JR西日本は「踏切の安全を確保するためのボタンなので、押さないでとも言えないし」と対応に困っている。
 JR西日本によると、9日午後4時11分ころ、JR奈良線の長池駅に近い踏切の支障報知ボタンが作動。さらにその後、近くの2つの踏切でもボタンが相次いで押され、2時間の間に計6回作動した。
 ボタンは踏切そばの地上約1bのところにおいてあり、押すと信号が点滅。気付いた運転士が列車を停車させ、踏切周囲を点検することになっているが、いずれの場合も踏切の周囲に異状はみられなかった。
 この3つの踏切ではその1週間前の2日午後にも、2回ずつの計6回、支障報知ボタンが押された。また、そのさらに前週の4月24日には、長池駅構内の線路のポイントに小石がはさまれ、4本が運休するなど4500人に影響が出た。
 鉄道警察隊は、ボタン作動はいずれも火曜日の午後に起きていることから、同一人物による悪質ないたずらの可能性が高いとみている。
 JR西日本は「そもそも支障報知ボタンは踏切周囲の安全確保のためにあるが、こう続くと、定刻運行ができなくなってしまう」と苦り切っている。
・京都市内では電話 「異臭する」と”悪乗り”
 一方、京都市内でも、東京の地下鉄サリン事件に”悪乗り”したとみられるいたずら電話が続いている。
 4月30日午前9時20分過ぎ、若い男性の声で「堀川通四条下ルで異臭がする」と堀川署に電話があった。多数のパトカーや消防車が現場に駆けつけたが異常は全くなかった。電話の際、男性は偽名を名乗り、連絡先として告げたのも使われていない電話番号だった。
 さらに、今月11日午後11時半ごろ、やはり若い男性の声で「堀川通三条上ル東側で変な臭いがする。10人ぐらいの通行人が倒れている」と119番通報などがあった。これも事実無根の情報だった。男性は「近くの電話ボックスからかけている」と言ったが、逆深知した結果、現場から遠く離れた公衆電話からかけられたことがわかった。府警は「きわめて悪質ないたずらで、軽犯罪法に触れる」と厳しく警告している。(朝日新聞)
■麻原オウム教祖逮捕 殺人容疑、山梨「第6」で 「地下鉄サリン」指示 組織的に製造使用教団信者14人も
 東京の地下鉄サリン事件で警視庁など捜査当局は16日午前、オウム真理教(本部静岡県富士宮市)代表で教祖の麻原彰晃容疑者(40)=本名松本智津夫=を山梨県上九一色村の「第6サティアン」内で発見、教団が組織的にサリンを製造、使用したとする殺人・同未遂容疑で逮捕した。また午前10時までに、同容疑で教団「科学技術省」ナンバー2の渡部和実容疑者(36)ら、女性2人を含む幹部、信者計14人を逮捕した。
 死者12人を含む5500人以上の被害者を出した地下鉄サリン事件は犯罪史上例のない宗教団体による無差別大量殺人と判明。発生から58日目で首謀者とされる麻原容疑者が逮捕され、解決に向け大きく動き出した。捜査当局は、地下鉄事件の全容解明とともに監禁など教団絡みの事件の解決を急ぎ、長野県松本市のサリン事件や坂本弁護士一家失跡事件などとの関連を追及する。
 警視庁の井上幸彦総監は16日午前、会見で、教団が製造した未使用のサリンはないとの見方を示した。
 警視庁は15日、麻原容疑者とサリンの原料調達、製造、実行行為などにかかわった計41人の殺人・同未遂容疑の逮捕状を取り、16日朝から全国の23都道府県で教団施設計130ヵ所を一斉捜索。
 調べでは、麻原容疑者らは共謀し、不特定多数の人を殺害しようと企て、あらかじめ上九一色村の教団施設内でサリンを製造。3月20日朝、都内の地下鉄3路線5本の地下鉄車両内にまいて、乗客、駅員ら約5500人を殺傷した疑い。
 サリン製造は「化学班」責任者土谷正実(30)、「厚生相」遠藤誠一(34)両容疑者=いずれも犯人隠匿容疑で逮捕済み=らが中心となり、地下鉄事件の実行犯は事実上の「諜報(ちょうほう)相」井上嘉浩容疑者(25)が指揮。「治療相」林郁夫容疑者(48)=犯人隠匿隠避容疑で逮捕済み=も実行犯に加わっていたという。
・再発防止に全力 首相
 村山首相は16日午前、オウム真理教の麻原彰晃教祖が逮捕されたことを受けて、首相官邸で緊急記者会見した。この中で、首相は「(オウム真理教が製造した)サリンを隠匿、所持している可能性も否定できない」と指摘、今後、製造されたサリンの有無の確認に全力を挙げる考えを示した。同時に、地下鉄サリン事件などの再発防止と不測の事態に備えて万全の警戒懸勢を取っていく決意も併せて強調した。
 さらに、宗教法人法の見直しに関しては「必要があれば、検討したい」と述べた。(京都新聞 夕刊)
■「日本は安全」思い消えた 「地下鉄」被害者ら
 「いつまで後遺症におびえなきゃならないのか」「日本は安全、という漠然とした思いが消えてしまった」。麻原容疑者の逮捕で地下鉄サリン事件の真相解明は大きく進んだ。しかし、通い慣れた電車で突然起きた毒ガス事件は、人々の体に、心に、容易にいえない傷を刻み付けた。
 丸ノ内線で被害に遭った東京都杉並区の女子大学院生(28)は「何となく体調がおかしい、というのがずっと続いてるんです」と不安がる。
 入院は4日で済み血液検査結果もすぐ正常値に戻ったが、動くペン先を見ると目が回り、ノートに字が書けなかった。今も目が痛み、パソコンの画面が見つめられない。
 5月上旬、外出中急に気分が悪くなり、救急車で運ばれたが、原因は不明。「病院に相談しても『自分で気を付けてください』と言われるだけ。いつまで『ひょっとしたらサリンの後遺症では』とおびえなくちゃいけないのか」と力なくつぶやく。
 会社員今関益男さん(28)=千葉県市川市=は小伝馬町駅で事件に巻き込まれた。駅の階段を上っていると、周りの人が急にせき込み始めたため、地上に出て通る車を片っ端から止め、重症者を病院に運んだ。しかし30分もたつと、自分も視界が暗くなり、息苦しくて立てなくなった。「入院したのは2日だけですが、暗い所は見えにくいまま」と話す。(京都新聞 夕刊)
■報復テロに備えて厳戒 JR京都駅など
 麻原容疑者逮捕による報復など万一の事態に備え、京都市内でも京都府警機動隊員ら警察官らが駅やターミナル、繁華街など人出の多い場所の警戒を強めた。
 下京区のJR京都駅では、朝のラッシュ時の午前8時前後を中心に、警察官やJR職員、市営地下鉄の職員らが出て、地下街を中心に駅の構内や周辺で不審者や不審物を点検。ごみ箱やコインロッカーを入念にチェックした。
 JR、市営地下鉄でも職員を出し、見回りの回数を通常時より増やすなど、車内の点検やホーム上の不審物を点検。駅前の電光掲示板に「麻原容疑者逮捕」の速報が流れると、通勤のサラリーマンや学生らが足を止めて見入り、警察官の姿を横目に見ながら急ぎ足でバス乗り場などへ向かった。(京都新聞 夕刊)
■組織犯罪構図明るみ 教祖指揮、側近が実行
 地下鉄サリン事件で警視庁が殺人、殺人未遂容疑で逮捕状を取った41人全員の氏名と役割が16日、明らかになった。麻原彰晃容疑者の指令の下、猛毒サリンを製造、使用した組織犯罪の全容が判明した。
 教団の「裏組織」を操る「建設省大臣」早川紀代秀容疑者(45)や「自治省大臣」新実智光(31)、「厚生省大臣」遠藤誠一(34)両容疑者ら、複数の省庁にまたがる教祖側近が製造プラント建設、原料調達、製造、実行の4グループに分かれ、40人の大部隊をコントロールしたとみられる。
 サリン製造の化学プラント建設は、早川容疑者を中心に現場責任者の池田悦郎容疑者(36) ら建設省メンバーと大阪大工学部卒の高橋昌也容疑者(27)が担当。
 「自治省」幹部の長谷川茂之容疑者(26)らがダミーの薬品会社をつくり、サリンの原料となる毒物三塩化リンなどを入手した。
 犯行のかぎとなるサリンの生成には「厚生省」幹部の「化学班」キャップ土谷正実(30)や「科学技術省」ナンバー2の渡部和実(36)両容疑者が中核的な役割を演じたとされ、教祖の「侍医」中川智正容疑者(32)ら医師グループも関与したとみられる。(京都新聞 夕刊)
■林容疑者も実行を自供 地下鉄サリン事件
 地下鉄サリン事件で警視庁が殺人などの疑いで逮捕状を取った41人のうちの1人が、オウム真理教付属医院の院長で教団「治療省大臣」林郁夫容疑者(48)=犯人隠避容疑で逮捕=だったことが16日、分かった。調べに対し、林容疑者はサリンの入ったナイロンポリ容器を地下鉄車内に持ち込み、穴をあけた犯行の実行犯だったことを自供したという。(京都新聞 夕刊)
■覚悟の教祖 めい想 戻るか平和な日々 暴かれるサリン犯罪 中3階に1人で 素直に逮捕応じる 捜索4時間
 東京・地下鉄サリン事件の主役が、霧にかすむ「サティアン」の隠し部屋から姿を見せた。事件の総指揮をとったとして、16日、殺人容疑などで逮捕されたオウム真理教代表の麻原彰晃容疑者(40)。この11年間、「教祖の地位」に君臨した麻原容疑者は、ハルマゲドン(最終戦争)を予言、「毒ガス攻撃を受けている」と発言する一方で、教団の武装化を進めた。自らの言葉を実現するかのような、サリンばらまきの無差別テロ。数々の疑惑の解明は、これから本格化する。
 麻原容疑者は捜索開始から約4時間後に、これまで捜査当局が存在を確認できなかった「第六サティアン」の2階と3階の間にある「隠し部屋」に1人でいるところを逮捕された。この部屋は天井の高さが2bと低く、4畳半もない狭さだったという。
 捜査員が部屋に入った時、麻原容疑者はめい想していた。逮捕状を示すと、覚悟していたのか、抵抗することもなく、素直に応じた。捜査員によると、麻原容疑者は顔色も良く、健康上の問題はないように感じたという。
 第六サティアン内の構造は複雑になっていた。いたるところが壁で仕切られ、通路が迷路のように巡らされているほか、多数ある個室のほとんどにかぎがかけられていた。
 捜索開始前、麻原容疑者は1階と2階の問にある中2階に潜んでいるという情報があり、捜査員らはしばらく、1、2階周辺を重点的に捜索したため、発見までに時間がかかったという。
 午前9時45分、濃い霧の中で、捜査員らの動きが突然、あわただしくなった。山梨県上九一色村にある「第六サティアン」。10時35分、霧が薄れた。それに合わせるかのようにパトカーを先頭に、11台の車列がゆっくりと走り始めた。4台目、青のワゴン車の後部座席に麻原容疑者の姿が見える。麻原容疑者だけが着ら約る赤紫色の信徒服。捜査員に体を押さえられるように右側の席に座り、まっすぐ前を見つめたまま。ひげは伸び、髪は肩までかかっていた。
 大粒の雨の中、車は県道に出た後、国道139号を東に。河口湖インタから中央自動車道に乗り、東京へ向かった。
 第六サティアンの強制捜査が始まったのはこの日午前5時35分。200人近くの捜査員、機動隊員が建物の周りを固める中、エンジンカッターで鉄の扉を切り、次々と内部に入った。
 間もなく、ヘッドギアをつけた信徒らが機動隊員に腕をつかまれて出てくる。しかし、その中に麻原容疑者の姿は見えない。「麻原容疑者はまだ確認できていない。中の部屋をいま、くまなく調べている」と捜査員。その直後、周囲に霧が発生し始め、視界は数メートルになった。
・信徒は平静
 麻原容疑者の逮捕を前に16日朝、山梨県上九一色村の教団施設や静岡県富士宮市の総本部では、信徒らは表面的には大きな動揺を見せることなく、強制捜査に入った捜査員や機動隊を抵抗せずに受け入れた。
 上九一色村で、「第六サティアン」のある「第二上九」敷地内に午前5時15分ごろ、迷彩服を着た捜査員が入ると、4人の男性信徒がさえぎるように立ちはだかった。しかし、機動隊員に囲まれると、抗議することもなく黙りこくり、プレハブ小屋に集められての身元確認にも淡々と従った。
 富士宮市の総本部でも抵抗はなく、捜索に入る機動隊に笑蕨で話しかける信徒もいた。
 麻原容疑者に逮捕状が出た後も、信徒らは「尊師(麻原容疑者)を信頼している。出家生活を続けたい」と話した。「第一上九」でトラックに工具を積み込んでいた男性信徒(25)は、怒ったような口調で「サリンは作ってもいないし、まいてもいない」。他の信徒も「毒ガス攻撃を受けているので、研究用にはサリンを作っていたかもしれない」「仮に疑惑を持たれていることをやったとしても、尊師の考えに基づいているなら何も言えない」と語った。
・「中3階なかなかわからなかった」 井上警視総監会見
 麻原容疑者逮捕を受け、警視庁では井上幸彦総監が午前10時前から、約100人の報道陣を前に記者会見した。「午前9時45分、麻原彰晃こと松本智津夫容疑者を、殺人及び殺人未遂罪で逮捕しました」。顔がやや紅潮している。
 容疑について総監は「サリンを発生させ、無筆(むこ)の市民を殺傷させるという犯罪史上例を見ない事件」としたうえで、「被疑者の取り調べを徹底し、全容解明に努める」と述べた。
 報道陣から、麻原容疑者の居所をつかむまでに時間がかかったのではないか、と聞かれて「当初は中2階の小部屋に、という話もあつた。なかなか中3階という装置が施されているのがわからず、ようやくたどりついたが、内部構造は相当に複雑だった」と説明した。(朝日新聞 夕刊)
■地下鉄サリン 豊田容疑者も実行 電車にポリ袋持ち込む
 東京・地下鉄サリン事件で、電車の中にサリンを置き去った実行犯グループ11人の中にオウム真理教「科学技術省」幹部の豊甲亨容疑者(27)が含まれていることが16日、警視庁築地署特捜本部の調べで分かった。豊田容疑者は15日未明、教団「諜報(ちょうほう)省」トップで地下鉄事件を指揮した井上嘉浩容疑者(25)らとともに、公務執行妨害容疑で逮捕されている。
 調べでは、豊田容疑者は「治療省」トップで教団付属医院長の林郁夫容疑者(48)=犯人隠避容疑で逮捕=らとともに、3月20日午前8時ごろ、営団地下鉄の電車の中にサリン入りのナイロンポリ袋を持ち込んでガスを発生させ、多数の死者と重軽症者を出した疑い。
 豊田容疑者は、兵庫県内の私立高校を卒業。東大理学部物理学科を出て、同大大学院物理学専攻の修士課程に進み、素粒子学を研究した。その後、博士課程に進んだが、1992年に「半年ほど旅に出たい」と家族らに手紙を出して出家した。
 教団の出版物では「物理学のエキスパート」と紹介され、人類最終戦争に使われる兵器を解説して「マイクロ波などを使ったプラズマ兵器が存在する」などと述べていた。(朝日新聞 夕刊)
■上九一色 見えぬ信徒の動向 進出6年 恐怖と隣り合わせ
 「やっと、ここまでたどりついた。しかし、オウムが完全撤退するまで村の平和は戻らない」。オウム真理教施設のある山梨県上九一色村富士ケ嶺地区の約750人の住民は、麻原彰晃容疑者の逮捕に安堵(あんど)の表情を見せながら、なお見えない教団幹部の影と施設に残る数百人の一般信徒の動向に不安を感じている。教団が村に進出して6年、住民はその間、恐怖と隣り合わせに生きてきた。
 麻原容疑者が暮らしていた教団中核の「第二上九・第六サティアン」から、 150bほどの別荘地に住む篠崎勤さん(45)と美由紀さん(30)夫妻は、ここ数日、眠れない日が続いていた。美由紀さんは車いす生活。勤さんは村に「捜査員は完全装備。私たちに防轟マスクを貸与してほしい」と訴えてきた。
 東京・地下鉄サリン事件の翌日の3月21日、警察車両が続々と村に集結してきた。勤さんは東京に出張中で、家には美由紀さん1人だった。周囲に人はいない。別荘の管理人が美由紀さんを事務所に避難させ、駆けつけた勤さんと車の中で一夜を明かした。
 自動車事故で下半身不随になった美由紀さんのために、1992年11月、東京都調布市からここに移住した。近くに教団施設があるのは、まったく知らなかった。昨年3月、大音響のマントラ(お経)が流れ始め、生活は一変した。
 「オウム、オウム、オウム…」。窓を閉め切り、テレビの音量を上げても音は消えない。
 8月12日夜、たまりかねた勤さんは、木刀を持って第二上九の裏から単身で乗り込んだ。「帰って来なかったら警察に連絡しろ」と言い残した。信徒5人に取り囲まれた。「マントラをやめろ」と力いっぱい叫んだ。信徒は手を出さなかった。「よく拉致されずにすんだ」と、いま思い返すとぞっとする。
 その後の10月、自宅の電話が盗聴されていることが分かった。松本や地下鉄のサリン事件、横浜の異臭事件のそれぞれの約10日前には、「CBI(教団建設省)ですか」などと不審電話がかかってきた。自宅近くでは、第二上九から別荘地に通じる秘密の抜け道も見つかった。
 今回の強制捜査で、指導者を失い、信徒らは今後、どのような動きに出るのか。「私たちにとって麻原代表の逮捕は、平和な村を取り戻すための出発点にすぎない」と夫妻は言う。
 教団の完全撤退運動の先頭に立ってきたオウム真理教対策委員会の前副委員長・竹内精一さん(67)、サリン製造工場だった第七サティアン近くに住む農協嘱託職員の岡本法恵さん(68)も同じ思いだ。
 竹内さんらはいま、住民自身が当事者となって宗教法人オウム真理教の解散講求を裁判所に求めることも検討し、弁護団も準備を進めている。岡本さんらは「もうこれ以上、行政に任せきりにできない」と言う。
・地下鉄サリン 犯人への憤り今も 被害者に後遺症続く
 無差別テロの東京・地下鉄サリン事件の被害者は、今でも肉体的、精神的な後遺症に悩んでいる。麻原容疑者の逮捕の報に、それぞれが、割り切れない気持ちを抱き続けている。
 岡井友香さん(22)は、千葉県柏市の自宅から勤務先へ通う営団地下鉄日比谷線の小伝馬町駅のホームで、サリン事件に遭遇した。
 突然、目がぼやけ、呼吸が苦しくなった。入院先の病院では、だれもいないはずの病室でだれかが会話している。形のはっきりしない物影が動く。数日間、幻聴や幻覚に襲われた。
 いま、体調ははぼ戻った。しかし、それまで毎週末のようにショッピングに行っていた新宿や池袋へ出かける気がしない。
 道端で倒れた空き缶から、ジュースがこぼれていた。「もしかしたら」と、反射的に避けて通った。雨の日の水たまりも、「あの日」を思い出させる。
 テレビでオウム真理教の番組を見るたびに、「とっとと捕まえてよ」と内心、怒りが込み上げた。麻原容疑者が、いつまでも逮捕されないことにいらだちもした。「もし、自分の目の前に彼がいたら、『私が何をしたっていうのよ』と、首でも絞め上げたい気持ちに、とらわれていました」
 千葉県流山市の銀行員の阿部信行さん(48)はいまも不眠症に悩む。夜中の2時、3時まで寝られない。そうかと言えば、朝は5時半ごろには目覚める。いつも寝不足のまま、仕事に臨む状態で、「退院してからも体調が悪い。だんだん犯人への怒りが込み上げてくるんですよ」と言った。
 あの日、乗っていた地下鉄は小伝馬町駅で停車したまま、動かなくなった。ホームに出ると、女性が倒れていた。ほかの客数人と地上まで運び上げたことを覚えている。そこから先の記憶はない。数時間後に気付いたら、東京都千代田区の三井記念病院の集中治療室にいた。
 4月3日から、職場に復帰した。最初の数日は地下鉄に乗る時間帯も、車両もずらして出勤した。「でも、逆に同じ時間帯には犯行は起きないだろうと自分に言い聞かせている」
 家族を失った遺族の多くは、まだ心の整理ができないでいる。
 営団地下鉄職員だった天の菱沼恒夫さん(51)を失った、埼玉県大宮市の美智子さん(51)は語った。
 「教祖の顔を見ても、怒りや憎しみがわかない。それよりも、電車にサリンを置いた犯人の顔を見たい。どんな人なのか。決して許すことはできない」
 事件後、心労が重なり、胃には大きな潰瘍(かいよう)が二つもできた。いまも病院通いを続ける。「あの日から時間が止まってしまったみたい」と言う。
・「人込みに神経使う」「地下鉄使えなくて」街の声
 オウム真理教への強制捜査を受けて、関西空港では16日早朝から空港施設の厳戒態勢が続いている。
 関西空港署は午前5時から、当直勤務者20人の全員態勢で、ゴミ箱やトイレなどを重点的に調べた。また、関西国際空港会社保安部も巡回を強化、警備員に旅客ターミナルビルや貨物施設などすべてを再点検するよう指示した。
 スイスヘ夫婦で旅行に出かけるという大阪府阪南市箱作、無職山田忠さん(61)は、強制捜査の情報をラジオで聞き、「早く、サリンや横浜の異臭事件の真相をつきとめてほしい。何かあったらと思うと、人込みにいる時には特に神経を使う」と話していた。
 阪急梅田駅では、阪急電鉄が、ガードマンをふだんの倍の20人に増員して警戒。曽根崎署も、20人の制服警官が午前7時から警備に当たった。
 また麻原容疑者逮捕と同時に、署員や府警本部の機動隊員ら計約170人が駅構内や地下街に出動した。
 梅田駅近くの保険会社に勤める大阪市淀川区、会社員森岡美帆さん(27)は「代表が逮捕されたので、少しは安心。”不審物を発見したら知らせて”という車内放送が本当に気持ち悪かった。4月中旬は、地下鉄をやめて、梅田まで地上を通る阪急で通勤していた」と話した。
 地下鉄御堂節線に向かっていた堺市のOL遠藤久美さん(21)は「地下鉄のごみ箱使用が制限されたりして、まわりの乗客がみんな怪しく思えた。でも、本当にこれでサリンはないのかな。あんまり過剰警備な国にはなってほしいと思わないけれど…」と話していた。
・テロ撃破し厳重警備 警視庁
 麻原彰晃容疑者の逮捕に伴い警視庁は16日、全警察官の3分の1を動員し、都内に厳重な警備態勢をとった。オウム真理教が製造したサリンの残量はない可能性が高いが、教団の非合法活動に関与していたとみられる容疑者が、多数逃走を続けていることから、報復の無差別テロ事件を警戒している。
 警視庁は約4000人の常設機動隊に加え、各警察署から要員を集めた特別機動隊を編成。通常は3交代制をとっている交番も、警察官の3分の2を出す態勢をとっている。
 警戒は、過去に同様の事件が起きた駅や電車内のほか、空港、球場、両国国技館、イベント会場など、人の集まる場所を重点にしている。これまでの同種事件では、犯人が警察官の動向をつぶさに観察していたとみられることから、私服警察官による警戒も強化している。
・西日本各地も支部など捜索
 西日本でもオウム真理教の支部や道場など教団施設がある大阪、京都、和歌山、石川、福井、広島、高知の各府県で16日早朝から捜査当局が一斉捜索をした。
 京都市下京区の京都支部では午前7時すぎ、カナリアのかごを持った捜査員を先頭に約20人がなだれ込むようにビル2階にある支部に入った。その後、信徒と見られる女性3人と男性1人が京都府警堀川署へ任意同行された。(朝日新聞)
■オウム麻原代表 逮捕 「第六」隠し部屋で 地下鉄サリン殺人容疑 関与の信徒14人も
 オウム真理教が、山梨県上九一色村の施設で猛毒サリンを製造し、東京の営団地下鉄にはらまいて12人の死者と五千数百人の重軽痘者が出た事件で、教団幹部らに指示を与え、中心的な役割を果たしたとして、警視庁は16日午前9時45分、代表の麻原彰晃=本名、松本智津夫=容疑者(40)を殺人、同未遂容疑で逮捕した。サリン製造の謀議や原材料の購入、製造、地下鉄車内への置き去りのそれぞれに関与した信徒40人にも同容疑での逮捕状を用意しており、午前11時までに14人を逮捕した。捜査当局が最も重視していた地下鉄サリン事件は、麻原容疑者の逮捕で、解決に向けて大きく前進。これを突破口に捜査当局は、宗教団体の組織的な非合法活動という、史上まれな事件の全容解明に全力を挙げる。
 この日朝、警視庁など捜査当局は、全国の教団関係施設約130ヵ所で一斉捜索を始めた。このうち麻原容疑者がいた上九一色村の「第二上九・第六サティアン」には午前5時48分、捜査員約30人が入り、約4時間後、2階と3階の間にある隠し部屋で麻原容疑者を発見、逮捕した。
■指示・謀議
 捜査当局は、押収資料や連捕者の供述から、麻原容疑者の指示で教団が組職的にサリンを製造し、地下鉄事件で使ったと判断した。
 調べでは、麻原容疑者は1993年春ごろ、刺殺された教団「科学技術省」トップの故村井秀夫氏にサリン製造を指示。村井氏は、はかの幹部と相談したうえ、教団関連会社社長の長谷川茂之容疑者(26)らに原材料となる薬品や化学機器の鰐入を要請して、製造に着手したとされる。
 麻原容疑者は同年10月、信徒に対して、サリンを含む毒ガスについて言及した。サリンの製造、使用には、終末を予言して、演出しようとする同容疑者の意向が探くかかわっていたと捜査当局はみている。
■製造
 警視庁は3月22日、東京都品川区の公証役場事務長拉致事件に絡み、上九一色村の教団施設などを一斉に家宅捜索した。この後、捜査当局は全国で次々に捜索や、関連事件の摘発に乗り出し、約200人の信徒を逮捕、数万点の資料を押収した。
 異例の長期にわたる検証の結果、上九一色村の教団施設「第三上九・第七サティアン」に隣接するプレハブ実験棟で、サリン製造の過程でできる副生成物や分解物を検出。「化学班」キャップ土谷正実(30)、「厚生省」トップ遠藤誠一(34)両容疑者の指紋も発見した。また第七サティアン内に隠されていた化学プラントからも副生成物を検出した。
 サリンを製造したのは、土谷容疑者を中心とする「化学班」の数人とみられる。土谷容疑者はプレハブ実験棟に住み込んで研究、製造を担当。地下鉄事件には、主にここで今年1月ごろに製造されたサリンが使われたとみられる。調べに対して土谷容疑者は「サリンをつくり、保存した」と供述しているという。
■実行
 3月20日朝、営団地下鉄の丸ノ内、日比谷、千代田の営団3路線計5本の電車内に、サリン入りのナイロンポリ袋をくるんだ新聞紙の包み5個を置き去った。
 前夜に教団東京総本部に火炎瓶が投げ込まれた事件は、15日に公務執行妨害容疑で逮捕された井上嘉浩容疑者(25)が元自営官らを組織し、捜査のかく乱を狙ったことが明らかになった。井上容疑者はこの後、元自営官らとは別の信徒グループを指揮し、地下鉄事件を実行したとされる。このグループには教団「治療省」トップの林郁夫容疑者(48)と、「科学技術省」幹部の豊田享容疑者(27)も加わっており、林容疑者は「サリンを車内に持ち込んだ」と供述した。
 捜査当局は、@静岡県富士宮市の施設で押収した袋の接着機と、地下鉄事件でサリンを入れていた袋の接合面の幅や模様が酷似していたA地下鉄サリンの分析で検出したジエチルアニリンとヘキサンが、上九一色村の施設にあった−ことなどから、教団製造のサリンが使われた疑いが極めて強いとの鑑定結果を得た。
「サリン残りは処分」土谷容疑者
 オウム真理教の施設でサリン10`が製造され、地下鉄事件で10`近くが使われて、残りはすべて処分きれていたことが、教団「化学班」キャップの土谷正実容疑者(30)=犯人隠避容疑で逮捕=らの捜査当局に対する供述や押収した資料などで15日、分かった。
 逮捕当初、黙秘を続けていた土谷容疑者は、その後、サリン製造についての供述を始め、製造量にも触れて「つくったのは計数十`で、地下鉄事件で10`近く使い、残りは証拠隠滅のため、水と反応させて処分した」などと具体的な供述をしたという。押収した資料にも、裏付けるデータがあるとされる。
代表以外の逮捕者
 麻原彰晃容疑者のほかに逮捕されたのは、次の各容疑者。
■「科学技術省」ナンバー2 渡部和実(36)▽片山浩(27)▽岡秀樹(23)▽原吉広(36)▽滝沢和義(26)▽広瀬健一(30)▽畠山博伸(39)▽横山英人(31)▽角川知己(39)▽柏田健(33)■「厚生省」垂井明美(40)▽森脇佳子(30)■「自治省」ナンバー2 杉本繁郎(35)■「諜報(ちょうほう)省」 高橋昌也(27)=以上、殺人・殺人未遂容疑(朝日新聞 夕刊)
17日■麻原教祖、容疑を否認 地下鉄サリン 本格取り調べ開始 井上容疑者、ら再逮捕 警視庁
 警視庁は16日、地下鉄サリン事件の殺人・同未遂容疑で逮捕したオウム真理教代表で教祖の麻原彰晃容疑者(40)=本名松本智津夫=らの本格的な取り調べを始めた。また同日午後、すでに公務執行防害容疑で逮捕していた事実上の教団「諜報(ちょうほう)相」井上嘉浩容疑者(25)と「科学技術省」ナンバー4の豊田亨容疑者(27)の2人を同容疑で再逮捕、地下鉄事件の逮捕者は19人になった。麻原容疑者は調べに対し「目の悪い私がそんな事件をやれるでしょうか」などと容疑を否認。「私は健康です。手を触れないでください」などと話したという。他の容疑者も黙秘か否認の態度を取っているが、警視庁はこれまでの捜査や逮捕信者の供述で、麻原容疑者が指示し教団が組織的にサリンを製造、地下鉄事件を実行したのは確実とみている。
 警視庁は同日、地下鉄サリン事件と目黒公証役場事務長拉致(らち)事件の捜査本部を統合、合同捜査本部を築地署に設置した。
 捜査本部は新たに逮捕した幹部信者の取り調べを突破口に、犯罪史上前例のない宗教教団による無差別大量殺人事件の全容解明を目指すとともに、事務長拉致事件など教団による事件の解決を急ぎ、長野県松本市のサリン事件や坂本弁護士一家失跡事件などとの関連を追及する。
 この日、静岡県富士宮市の総本部など全国の 130ヵ所で行った一斉捜査は、夕方までにほとんど終了した。一部施設では17日も捜索、検証を続ける。
 逮捕者のうち「建設省」幹部池田悦郎容疑者(36)=軽犯罪法違反容疑で逮捕=や井上容疑者ら別の容疑で拘置中に殺人・同未遂容疑で逮捕状の出た4人はそれぞれの拘置場所で再逮捕した。
 同様に別の容疑で拘置中の容疑者が10人おり、順次、再逮捕するとともに、未発見の容疑者14人は17日以降、指名手配する方針。
・実行部隊 「化学班」が中核 警視庁調べ 行動隊は見張り役
 東京の地下鉄サリン事件で、サリンを製造したとされるオウム真理教の「化学班」の科学者グループが、実際に地下鉄にサリンを仕掛けた実行部隊の”中核”だったことが、16日までの警視庁など捜査当局の調べで分かった。
 実行部隊は計十数人で、「化学班」メンバーを中心に「自治省」や「諜報(ちょうほう)省」メンバーで構成する「行動隊」グループが見張りや護衛役を務め、2、3人ずつ5班に分かれて、3路線5本の電車にサリンを仕掛けたとみられる。
 これまで「化学班」メンバーはサリン製造、「行動隊」メンバーは実行部隊と役割分担されていたとみられていたが、警視庁は、教団が犯行を確実に実行するため、猛着のサリンの取り扱いに慣れた製造グループを実行犯の中心に据えたとみて調べている。
 実行部隊の”中核”とされるのは「治療省大臣」林郁夫容疑者(48)=犯人隠匿隠避容疑で再逮捕、「化学班」責任者土谷正実容疑者(30)=犯人隠匿容疑で逮捕、「科学技術省」幹部豊田亨容疑者(27)=殺人容疑などで再逮捕=ら科学者、医者5人。
 地下鉄車内で猛毒の神経ガスをまき、逃走することは高度の専門知識なしには不可能で、逮捕されている信者の供述などから「化学班」メンバーが実行部隊だったことが判明した。(京都新聞)
■地下鉄事件と無関係を主張 上祐氏が会見
 オウム真理教の上祐史浩緊急対策本部長は16日夕、東京・南青山の教団東京総本部で、殺人容疑などで教祖麻原彰晃容疑者が逮捕されて以後初めて会見し「不当な逮捕だが、信者は仏教徒らしく冷静に受け止めている」と述べた。その上で「尊師が逮捕されたからといって有罪が決まったわけではない。教団は地下鉄サリン事件と無関係、との見解は変わっていない」とあらためて主張した。
 会見で上祐本部長は今後の教団の運営について「尊師は霊的な指導者で信者にとっては逮捕されようがされまいが関係ない。法的な問題は緊急対策本部で対応するが、そのほかの実務的な問題は、残った幹部をりーダーに立て対応したい」と集団指導態勢で臨む方針を明らかにした。
 上祐本部長によると、麻原容疑者は逮捕直前、家族に「逮捕はシバ大神の祝福」と話していたという。(京都新聞)
■神戸電鉄が6月完通
 神戸電鉄と神戸高速は16日、阪神大震災でそれぞれ不通となっていた神戸市内の長田−湊川、湊川−新開地間が6月下旬には復旧するとの見通しを明らかにした。
 この開通で神戸電鉄は全線が復旧、市中心部と北部のニュータウンが結ばれることになる。
 神戸高速が阪急電車と相互乗り入れしている阪急三宮−花隈間は6月上旬に復旧、同高速の残る不通区間は長田区、兵庫区内の一部だけとなった。(京都新聞)
■地下鉄サリン事件 オウム教41人の役割解明 警視庁 麻原代表らが計画
 東京・営団地下鉄のサリン事件で、警視庁築地署の特捜本部は16日午後から、殺人と同未遂容疑で逮捕したオウム真理教代表の麻原彰晃=本名・松本智津夫=容疑者(40)の本格的な取り調べを始めた。捜査本部は、麻原容疑者が立案し、信徒に指示した組織ぐるみのテロとみており、これまでに、逮捕状の出た信徒41人の役割をほぼ解明した。同日までに逮捕した27人の取り調べで裏付けを進めるとともに、所在の分からない容疑者14人の行方の追及に全力を挙げている。
 警視庁は同日、築地署特捜本部と、東京都品川区の公証役場事務長拉致事件の大崎署特捜本部による合同捜査本部を設置した。
 調べでは、麻原容疑者ら41人は共謀し、不特定多数の殺害を計画。山梨県上九一色村の教団施設で製造したサリンをナイロンポリ袋に詰めて、3月20日午前8時ごろ、日比谷、千代田、丸ノ内各線の5本の地下鉄車内で発生させ、12人を殺害し、多数の重軽症者を出した疑い。
 捜査本部は、41人は@謀議・計画A薬品の調達Bサリン製造C置き去り役という4つの役割を分担したとみている。
 謀議・計画は、麻原容疑者と刺殺された教団「科学技術省」トップの故村井秀夫氏がまず行った。これに「建設省」トップの早川紀代秀容疑者(45)が加わり、製造施設の建設に着手した。
 「第三上九・第七サティアン」や、その裏のプレハブ実験棟の建設現場では、同省幹部の池田悦郎容疑者(36)が指揮した。「科技省」の高橋昌也容疑者(27)が配管など、富樫若清夫容疑者(35)が配電の設計などを担当したとみられる。
 調達役は、教団関連の薬品会社2社の社長を務める長谷川読之(26)と「自治省」所属の寺島敬司(35)の両容疑者が主に務めた。
 実際の製造は教団「厚生省」ナンバー2で「化学班」キャップの土谷正実(30)と、「厚生省」トップの遠藤誠一(34)の両容疑者が中心。「法皇内庁」トップの中川智正容疑者(32)も基礎研究に参加し、「科学技術省」ナンバー2の渡部和実容疑者(36)らも補佐したとみられる。
 渡部容疑者は第七サティアンの施設責任者で、プレハブ実験棟の施設責任者は「厚生省」の森脇佳子容疑者(30)だった。「建設省」の岡田弘幸容疑者(32)と、「科技省」の藤永幸三容疑者(34)は、警備を担当した。
 製造の主体とみられる科学技術省所属の信徒は最多の17人の逮捕状が用意され、このうち12人が殺人などで、1人がほかの容疑で逮捕されている。
◇殺人、殺人未遂容疑で逮捕状が出た容疑者41人◇
◆−殺人、殺人未遂容疑で逮捕 ◎−別の容疑で逮捕
代表麻原 彰晃(40)
建設省池田 悦郎(36)
 外崎 清隆(31)
 早川紀代秀(45)
 岡田 弘幸(32)
科学技術省渡部 和実(36)
 広瀬 健一(30)
 横山 真人(31)
 滝沢 和義(26)
 高橋 昌也(27)
 原  吉広(36)
 岡  秀樹(23)
 相田  健(33)
 片山  浩(27)
 角川 知己(39)
 畠山 博伸(39)
 豊田  亨(27)
 藤永 幸三(34)
  林  泰男(37)
  富樫若清夫(35)
  関野 行雄(36)
  畑島 俊司(29)
厚生省森脇 佳子(30)
 垂井 明美(40)
 遠藤 誠一(34)
 土谷 正実(30)
  菊池 直子(23)
  宮崎乃理子(34)
自治省杉本 繁郎(35)
 新実 智光(31)
 長谷川茂之(26)
  寺島 敬司(35)
  北村 浩一(27)
  端本  悟(28)
  中村  昇(28)
諜報省井上 嘉浩(25)
  高橋 克也(37)
法皇内庁 中川 智正(32)
  佐々木香世子(28)
治療省林  郁夫(48)
西信徒庁  細川 高伸(28)
 実行グループについて捜査本部は教団「諜報(ちょうほう)省」トップの井上嘉浩容疑者(25)を指揮役とする11人を特定している。車内にまいたことを認めている「治療省」トップの林郁夫容疑者(48)や、「自治省」トップの新実智光容疑者(31)のほか、「科技省」ナンバー3の林泰男(37)、同省ナンバー4の豊田亨(27)の両容疑者ら教団幹部が、実際の現場に姿を現した。
 2人が1組で5つの現場を受け持ったとされ、杉本繁郎容疑者(35)ら「自治省」メンバーらも関係していたとみられる。
・麻原容疑者は否認
 16日、殺人と殺人未遂容疑で警視庁に逮捕されたオウム真理教代表の麻原彰晃容疑者(40)は、これまでの調べに対して、「目の見えない私が、そんなことをできるでしょうか。信じてもらえないでしょうが」と容疑を否認した。
 また麻原容疑者は、山梨県上九一色村の教団施設「第二上九・第六サティアン」で発見された際、同行した医師が脈をとろうとしたところ、「私は健康だ。弟子にも触らせていない」と手を払って拒絶した。さらに警視庁は健康診断を行おうとしたが、「私は大丈夫」と述べたという。(朝日新聞)
■「踏切妨害」の小2男子補導 JR奈良線
 城陽市長池にあるJR奈良線の里開踏切などで、踏切支障報知装置のボタンがいたずらで押される事件を捜査していた城陽署は16日午後、同市内の小学2年生の男子児童(7つ)が同踏切の報知装置のボタンを押しているのを見つけて補導した。
 同市内のJR奈良線の3つの踏切ではこの2日と9日、踏切周辺に何も異常がないのに報知装置のボタンを押して電車を止めるいたずらが計12件も起きており、同署が鉄道営業法違反の疑いで調べていた。同署は、この小学生が一連のいたずらに関係していなかったかどうか事情を聴いている。(朝日新聞)
■神戸電鉄 鉄道復旧が加速化早まる見込み 6月下旬に全線開通 神戸高速鉄道も 三宮−花隈間は6月上旬に
 神戸電鉄と神戸高速鉄道は16日、不通になっている新開地−長田間の開通時期を8月上旬から6月下旬に早めると発表した。同区間は、湊川−長田間でトンネル2本の壁に亀裂が入るなどの被害を受けたため、2月から修復工事にかかっていた。トンネル近くに廃棄物置き場が確保されたことや、付近住民の協力で夜通しの作業が可能になったことなどから工期が1ヵ月以上短縮できたという。新開地−長田間が開通すれは、神戸電鉄の全線が開通、三田や有馬、三木市方面と神戸の中心部が結ばれる。
 また、神戸高速鉄道は阪急三宮−花隈間の開通時期を、これまでの8月中から6月上旬に早める。同区間は高架橋の橋げたが落下するなどの被害を受けた。復旧工事に、線路の北側道路が使用でき、大型機械を運び入れることができるようになったことなどから、工期短縮が可能になったという。(朝日新聞)
■市営地下鉄の駅などコインロッカー封鎖 大阪市、テロ警戒
 オウム真理教への強制捜査に伴う報復テロを警戒して、大阪市交通局は16日から、市営の地下鉄やニュートラムの主な駅で、コインロッカーを封鎖するとともに車内や構内の見回りを強めた。捜査の進み具合をみながら22日まで警戒態勢を続ける。
 コインロッカーが封鎖されるのは、地下鉄の99の駅のうち、「梅田」や「なんば」など主な48駅の計66ヵ所。使われていないロッカーから、キーを抜いて「使用中止」の紙を張っていく。(朝日新聞)
■時速20`から上がらない… 朝の湖西線混乱
 17日午前9時55分ごろ、滋賀県滋賀郡志賀町のJR湖西線比良−近江舞子間で、京都発近江今津行きの上り普通電車(4両編成)の速度が時速20`から上がらなくなり、近江舞子駅に3分遅れで到着後、運転を見合わせた。このため、この電車を先頭に京都−近江今津間で上下7本が運休、1本が4分の遅れ。1300人に影響が出た。
 JR西日本によると、車両の故障が原因とみられ、向日市のJR西日本向日町運転所に車両を回送し調べるという。(京都新聞 夕刊)
■電車ガラスに空き瓶投げる JR神戸線、けが人も
 16日午後9時ごろ、明石市大久保町のJR神戸線西明石−大久保間を走行中の長浜発網干行き新快速の4両目のドアの窓ガラスに直径20aぐらいの穴が空いた。投げられたと見られるドリンク剤の空き瓶が車内から見つかった。新快速は加古川駅でガラスにテープを張り5分遅れで出発した。けが人はなかった。
 また午後10時5分ごろにも、同線大久保駅近くで米原発上郡行き快速電車にコーヒー飲料の瓶が投げられ、2両目のドアのガラスが割れた。乗客の男性2人に割れたガラスの破片が当たり、うち1人の目に破片が入り、手当てを受けたが軽傷。
 明石署は、同一犯人による悪質な瓶の投てき事件とみて捜査している。(京都新聞 夕刊)
■土谷容疑者供述 「サリンは分散保管」 残るメンバーなお所持の恐れ
 オウム真理教「化学班」が中心となって製造、地下鉄サリン事件で使用されたサリンの残りは、同班責任者の土谷正実容疑者(30)ら化学班を中心とした複数のメンバーが分散して保管していたことが、17日までの警視庁などの合同捜査本部の調べで分かった。捜査本部は分散保管したサリンの一部を現在も所持している恐れもあるとみて、残るメンバーの所在確認を急いでいる。
 捜査本部は容疑を否認している教団代表の教祖、麻原彰晃(本名松本智津夫)容疑者(40)の取り調べを続け、組織的に行われたサリン製造や使用の指示などについて追及、事件の全容解明に全力を挙げる。
 地下鉄事件の殺人容疑で逮捕状が出ていて所在の分からない容疑者14人については、指名手配して行方を追及する方針。
 これまでの調べに対し、土谷容疑者は「自分が保管していたサリンはすべて処分した」と供述。しかし「残ったサリンについて(メンバーは)それぞれ自分のことしか分からない」と説明している。(京都新聞 夕刊)
■「地下鉄」容疑 信者を逮捕
 東京の地下鉄サリン事件で静岡県警富士宮署は17日午前、殺人と殺人未遂の疑いで静岡県富士宮市人穴、オウム真理教「法皇内庁」所属の信者、佐々木香世子容疑者(28)を逮捕した。
 調べによると、佐々木容疑者は他の信者らと共謀し、山梨県上九一色村の教団施設内でサリンを生成し、3月20日午前8時ごろ、東京の地下鉄日比谷線秋葉原−築地間を走行中の電車内でサリンを発生させ、乗客や営団職員ら12人を毀害し、5500人余に傷害を負わせた疑い。(京都新聞 夕刊)
18日■土谷容疑者ら 3人を再逮捕 地下鉄サリン事件
 東京・地下鉄サリン事件で、警視庁築地、大崎両署の合同特捜本部は17日午後、オウム真理教代表の麻原彰晃=本名・松本智津夫=容疑者(40)を殺人と殺人未遂の疑いで、東京地検に送検した。またサリン製造の中心的存在だった教団「化学班」キャップで「厚生省」ナンバー2の土谷正実(30)と、「厚生省」トップの遠藤誠一(34)の両容疑者ら3人を殺人と殺人未遂容疑で再逮捕し、「法皇内庁」トップの中川智正容疑者(32)ら5人を新たに逮捕した。同じ容疑で逮捕状が出た41人のうち、同日午後9時までに29人が逮捕された。
 このほか再逮捕されたのは、「科学技術省」の藤永幸三容疑者(34)で、化学プラントのある第七サティアンの施設警備を担当していたという。
 中川容疑者以外の新たな逮捕者は、教団「科学技術省」の関野行雄(36)、「厚生省」の宮崎乃理子(34)、「科学技術省」の畑島俊司(29)と富樫若清夫(35)の各容疑者。(朝日新聞)
■子供・女性向け 夏の臨時列車 JR西日本
 JR西日本は17日、7月1日から9月末までの夏季の臨時列車ダイヤを発表した。子供や女性向けのアイデア車両を登場させる。
 7月21日から8月31日の間、新大阪−博多間でファミリー用の新幹線「ひかり」を運転する。6両のうち1車両を改造し、車両の約半分のスペースを子供用のプレールームとして開放、カーペットを敷いて子供が遊べるようにする。1日1往復。
 さらに、神戸−信濃大町(長野県大町市)間を走る寝台急行「リゾート白馬」(6両編成)と、神戸−高山(岐阜県高山市)間の寝台急行「リゾート奥飛騨」(3両編成)に女性専用の寝台席を設ける。「白馬」は7月21日から8月20日まで、「奥飛騨」は8月4日から同19日まで1日1往復。(朝日新聞)
■22日から 一部再開 ポートライナー
 ポートライナーが、島内の区間で22日から運行を再開する。
 中公園駅と北埠頭駅を南回りに結ぶU字状の区間を1日に49往復する。北埠頭駅発の便は午前6時17分から午後10時27分まで20分間隔。中公園駅発の便は午前6時38分から午後10時43分まで20分間隔。運賃は震災前と同じ1乗車 240円だが、島の内外を結ぶ代替バスだけ利用する場合の運賃は200円のまま。島内北側の高架が修復される6月初旬からは、左回りで島内を巡回する運行に切り替える予定という。
 定期券の発売は、5月18日から市民病院駅前の臨時定期発売所で、午前10時から午後6時半まで。問い合わせは神戸新交通総務課(078・302・2500)へ。(朝日新聞)
■こども車両も初登場 JR西日本 夏の臨時列車
 JR西日本はこのほど、7月1日から9月30日までの夏の臨時列車の運転計画を発表した。
 期間中の増発本数は、夏休みやお盆の時期を中心に山陽新幹線523本、在来線2980本の計3503本で、昨年よりやや少ない。
 新幹線ひかりや鳥取方面への特急マリンはまかぜなど一部列車に、子供の遊び場を設けた「こどもスペース車両」が初お目見え。座席を外したカーペット敷きの車内でアニメビデオの鑑賞などができる。
 また、信州方面への急行リゾート白馬などの車両の一部を改造し、女性専用の寝台席を新設する。(京都新聞 夕刊)
■智頭特急、京都まで
 第三セクター鉄道の智頭急行(本社鳥取市)は、7月1日から9月30日までの間、鳥取方面と新大阪駅を結ぶ特急スーパーはくと6本全部を京都まで延長運転する。
 延長運転するスーパーはくと1−6号には盆の期間を中心に、普通指定車1両をそれぞれ増結する。鳥取−京都間は所要約3時間。
 智頭急行では利用状況が良ければ定期列車も運行させたいとしている。(京都新聞 夕刊)
■阪神大震災 「ユレダス」電池切れ 新幹線の警報装置 走行中なら事故も
 走行中に大きな地震があると、新幹線が自動停止する地震動早期検知警報システム(ユレダス)が、阪神大震災の際、中継所のバッテリーがあがるという初歩的なミスのため、機能していなかったことが明らかになった。新幹線が運行を始めるより前に地震が起きたため、実害はなかったが、「世界初のインテリジェント地震警報システム」(開発した鉄道総合技術研究所)という割には、お粗末な運用実態だ。バッテリーの点検は年に1度しか行っておらず、最後の点検は去年6月だった。
 ユレダスは、地震の初期微動であるP 波(縦波)を検知し、必要なら運転停止の指示を自動的に出す。地震の本体であるS 波(横波)が線路に到達するまでの間に新幹線の速度は落ち、被害は小さくなる。
 1月17日の阪神大震災の際にも、奈良県御所市の検知器からすぐ、大阪府摂津市にある大阪中継所へ運転停止の指示が送られた。本来なら、この中継所から大阪、京都などにある変電所に送電停止の指示が出され、新幹線が停電を検知すれは急ブレーキがかかるシステムになっている。
 当日は地震の影響で大阪中継所も停電し、中継所に設置してあった非常時のバッテリーが稼働するはずだった。ところがバッテリーは作動せず、中継所から変電所に指示を伝えることができなかった。
 新幹線の始発は上下ともに午前6時で、地震発生の14分後だった。地震がもう少し遅く起きていれば、重大な結果をもたらした可能性がある。
 ユレダスは92年3月からJR東海が運用を始めており、バッテリーはその直前に設置された。絶えず充電される方式になっていたが、バッテリー自体の寿命がきていたらしい。JR東海によると、耐用年数は8年(保証期間1年)となっているが、4年で更新する計画で、今年3月には取り換える予定だった。
 JR東海は「問題のバッテリーはすぐに交換した。今年度中には、バッテリー能力が下がると警報を発する装置も取り付ける」(広報室)と話している。
・ユレダス(UrEDAS)Urgent Earthquake Detection and Alarm Systemの略。過去の大地震や将来予想される地震の震源域近くの14ヵ所に検知器を設置。初期微動の伝わり方や振幅などから、過去のデータを使って地震の規模と震源をコンピューターで計算、新幹線の運行に支障があると判断すれば自動的に運転停止の指示を出す。(朝日新聞 夕刊)
■風速計の誤作動か 山陽新幹線に遅れ
 18日午前7時46分ごろ、山陽新幹線広島−新岩国間の広島市佐伯区利松に設置した風速計が30b以上の強風を記録したため、広島駅の西約10`付近を走行中の上下計2本が約3分間停車した。運転再開直後には、広島−新岩国間で2回、架線が停電したが、いずれも3分間で復旧した。この影響で、博多発新大阪行きひかり130号など上下計4本が14−9分遅れた。
 JR西日本は、風速計の誤作動とみて、原因を調べている。(朝日新聞 夕刊)
■麻原容疑者 東京地裁へ
 東京・地下鉄サリン事件で、殺人・殺人未遂容疑で逮捕されたオウム真理教代表の麻原彰晃容疑者(40)が18日午前9時45分、東京地裁での拘置質問を受けるため、留置されている警視庁から同地裁に移された。
 東京地検への送検手続きは、警備上の理由から検察官が警視庁に出向いたため、麻原容疑者が外に出るのは、山梨県上九一色村で逮捕され、警視庁に護送された16日昼以来。麻原容疑者の姿をカメラに収めようと、150人以上の報道陣が集まった。
 警視庁と桜田通りを挟んで建つ東京地裁側は、合同庁舎の裏門を開け、警視庁から通りを突っ切るだけで入れる異例の態勢を取った。パトカーに先導された護送用のワゴン車は窓にカエアンがかかり、10秒足らずで地裁に入った。(朝日新聞 夕刊)
■地下鉄2線のダイヤ乱れる
 18日午前4時40分ごろ、大阪市浪速区の地下鉄大国町駅南約100bのポイント地点で、回送列車が突然停車し、自力走行できなくなった。後続の列車に故障列車を連結して移動させたが、同駅を通る御堂節線、四つ橋線の列車約60本に最高約20分の遅れが出て、約4万8000人に影響が出た。回送列車内の発電機の故障が原因らしい。(朝日新聞 夕刊)
19日■JR松井山手駅東側にリムジンセンター 京阪宇治交通開設へ
 宇治市から綴喜郡田辺町を経由、関西国際空港を結ぶリムジンバスを運行している京阪宇治交通は、バス停のあるJR松井山手駅(田辺町山手中央)の東側に待合室と乗車券販売所などを兼ねた「学研山手リムジンセンター(仮称)」を建設、7月末には営業を開始する。
 計画によると、センターは総ガラス張りの1階平屋建て(276平方b)。喫茶コーナーを備えた待合室、乗車券販売所を設けるほか、旅行案内や印鑑証明の取り次ぎ業務なども行う。営業は午前5時−午後11時を予定。(京都新聞)
■部下の行動知ってるか。私も把握できぬ 容疑には黙秘 雑談は滑らか 麻原容疑者
 東京・地下鉄サリン事件で、殺人などの容疑で逮捕されたオウム真理教代表の麻原彰晃=本名・松本智津夫=容疑者(40)は18日朝、拘置質問を受けるため、警視庁から東京地裁に移された。
 警視庁築地、大崎両署の合同捜査本部のこれまでの調べに対して、容疑についでは黙秘を続けているが、雑談には応じて「多くの信徒が何をしているかは把握できない」などと話しているという。
 麻原容疑者は、取り調べの捜査員に「あなたは部下を何人持っていますか」と聞き、捜査員が8人と答えると「みんなが何をしているか、すべて知っていますか」と質問。捜査員が知らないと言うと「そうでしょう。私にも信徒がたくさんいる。信徒のだれが何をしているかは把握できません」と話したという。留置場で大の字になって眠り、ご飯とみそ汁を残さず食べているという。
 また、16日に逮捕された時、潜んでいた山梨県上九一色村の教団施設の隠し部屋は、長さ約3.3b、幅1b、高さ65aで、内部には、かばんやかごに分散して約960万円があったことが分かった。捜査員がのぞいた時、麻原容疑者は寝転んでいたという。
・10日間の拘置決定 東京地裁
 東京地裁は18日午前、殺人・殺人未遂容疑で逮捕、送検されたオウム真理教代表の麻原彰晃容疑者(40)に対して、検察側の請求通り18日から10日間の拘置を認める決定をした。拘置場所は警視庁、弁護人以外の接見が禁止される。
 麻原彰晃容疑者は18日の東京地裁での拘置質問で、裁判官に氏名や年齢などを答えたものの、容疑事実については黙秘した模様だ。拘置質問の時点で、弁護人は決まっていなかった。(朝日新聞)
■出頭した信徒逮捕 地下鉄サリン事件
 東京・地下鉄サリン事件で、警視庁築地、大崎両署の合同特捜本部は18日、オウム真理教「西信徒庁」信徒の細川高伸容疑者(28)を、殺人と殺人未遂の疑いで逮捕した。
 細川容疑者が所属する西信徒庁は、西日本地域での信徒の勧誘活動など担当している。18日夕、静岡県警富士宮署に出頭して逮捕された。(朝日新聞)
20日■新型車の特急「ひだ」発車へ JR、今夏の臨時列車
 JR東海は、今夏の臨時列車増発に合わせてJR西日本と共同で、新しく大阪・神戸と高山を結ぶ特急「ひだ」と、夜行寝台急行「リゾート奥飛騨」をデビューさせる。
 関西から飛騨・北陸方面に向かう避暑客をねらう設定で、両列車とも1日1往復。「ひだ」は、東海道・高山線経由で、運転日は7月21日−8月3日。車両には、西日本初お目見えの85系ワイドビユー電車を使う。京都駅の発着時間は、下り(高山行き)が午前10時7分、上りが午後7時。
 「リゾート奥飛騨」は、東海道・湖西・北陸・高山線経由で、8月4−19日の運転。京都駅発着は下りが午後9時46分、上りが午前4時43分。
 これらを含めJR東海は7−9月の夏季期間中、在来線、新幹線で臨時列車1819本を運転する。(京都新聞)
■残る7人指名手配 地下鉄サリン事件
 地下鉄サリン事件で警視庁などの合同捜査本部は19日、殺人・同未遂容疑で逮捕状が出ていて所在が分からないオウム真理教「科学技術省」ナンバー3、林泰男容疑者(37)ら7人を指名手配した。
 捜査本部は殺人・同未遂容疑で、教団代表で教祖の麻原彰晃容疑者(40)=本名松本智津夫=ら41人の逮捕状を取り、19日までに麻原容疑者ら22人を逮捕、9人を再逮捕しているほか、別の容疑で3人を既に逮捕、拘置している。
 捜査本部は手配した7人の行方追及に全力を挙げ、事件の全容解明を目指す。
 指名手配されたのは、林容疑者のほか「厚生省」メンバー菊池直子(23)、「自治省」メンバー寺島敬司(35)、同北村浩一(27)、同端本悟(28)同中村昇(28)、「諜報(ちょうほう)省」メンバー高橋克也(37)の7容疑者。(京都新聞)
■サリン製造は3ルート 捜査本部 教祖の指示追及へ
 地下鉄サリン事件を捜査している警視庁などの合同捜査本部は19日までに、オウム真理教のサリン製造が、教団「科学技術省次官」渡部和実(36)、「化学班」責任者土谷正実(30)、「厚生省大臣」遠藤誠一(34)の3容疑者=いずれも殺人・同未遂容疑で逮捕=によって、3つのルートで行われていたと断定した。
 サリン製造は、殺人・同未遂容疑で逮捕した教団代表で教祖の麻原彰晃容疑者(40)の指示を受け、「科学技術省大臣」だった故村井秀夫氏=当時(36)=が全体を総括。最終的に山梨県上九一色村の「第7サティアン」で量産を目指していたとみられ、捜査本部は麻原容疑者らを追及している。
 調べでは、サリン製造の化学プラントと判明した「第7」の実質的責任者は渡部容疑者。渡部容疑者は東京工業大生産機械工学科を卒業、電機メーカーでコンピューター周辺機器の設計に携わった。この経歴を生かし、サリンの量産プラントの稼働を目指したが、事故が重なり、昨年末までに稼働を断念した。
 「第7」プラントの運用には林泰男容疑者(37)=殺人・同未遂容疑で指名手配=ら「科技省」のメンバーもかかわったという。
 土谷容疑者は教団のサリン研究に実験段階から携わり、「第7」裏に専用の研究棟「クシティガルバ棟」を与えられていた。昨年6月の長野県松本市のサリン事件の以前からサリンを作ったと供述。村井氏に渡し、余ったサリンは分解処理していたという。
 地下鉄事件では、直前に新たにサリンが作られ、遠藤容疑者が自分の研究棟で、土谷容疑者の協力の下に作っていたことが判明。
 3人の担当者への製造指示は村井氏が行っていたが、麻原容疑者が直接に指示を与えていた疑いもあることから捜査本部は教団内の具体的な指示系統について3人を追及している。(京都新聞)
■地下鉄事件 「サリンで何人も死ぬ 袋破る時 良心の呵責」 オウム 林容疑者が心境
 東京・地下鉄サリン事件で、地下鉄車内にサリン入りの袋を置き去った実行グループの1人として警視庁築地・大崎署合同持捜本部は、19日、オウム真理教「治療省」トップの林郁夫容疑者(48)=犯人隠避罪で起訴=を、殺人、殺人未遂の疑いで再逮捕した。持捜本部のこれまでの取り調べに対して、林容疑者が「サリン入りの袋に穴を開ける際、良心の呵責(かしゃく)にさいなまれ、何度もやめようと躊躇(ちゅうちょ)した」と、犯行時の心境を詳述していることが分かった。持捜本部は、容疑者しか語りえない心境として重視している。
 調べでは、林容疑者はほかの実行グループのメンバーとともに、地下鉄事件前日に教団幹部からサリン入りの袋を渡され、当日朝、新聞紙にくるんで地下鉄車内に持ち込み、傘の先で袋に穴を開け、逃走したとされる。
 林容疑者を含む実行グループが発散させたサリンで、営団地下鉄3路線5電車の乗客ら12人が死亡し、約5500人が重軽症を負った。
 林容疑者は4月8日に監禁容疑で逮捕され、同月28日には犯人隠避容疑で再逮捕され、地下鉄事件についても「自分が地下鉄車内にサリンを持ち込んだ」と供述していた。
 取り調べの中で捜査員が、実行時の心境を尋ねると、林容疑者は「地下鉄に乗り込み、持っていた袋を床に置いてふとまわりを見渡すと、たくさんの通勤客の姿が目に飛び込んできた」と当時の状況を話し始めた。
 さらに林容疑者は「私は医者だ。人の命を救うために仕事をしてきたはずだ。それなのに、いまこの袋を傘の先で破ってサリン液を出せば、何人もが一度に死んでしまうと思った。良心の呵責にさいなまれ、躊躇して何度もやめようと思ったが、教団の命令には逆らえなかった」と話したという。
 まさに、サリンを持ち込み、発散させた者でなけれは話せない状況と心境であり、捜査員は息をのんで聞いたという。
 林容疑者は慶応大医学部出身で、専門は心臓外科。米国の病院での研究実績もある。病院勤務時代は「腕のいい外科医」として評判で、患者や同僚の信頼も厚かったという。
 1989年に入信、90年に出家した。東京都中野区の教団付属医院長を務めるなど、妻で信徒のりら容疑者(46)=犯人隠避で逮捕=と夫婦で、教団の医療部門を担当していた。
 林容疑者と接見した弁護士が、「もう一度『先生』と呼ばれるようになってほしい」と言うと、同容疑者は涙ぐみ言葉に詰まったという。(朝日新聞)
21日■奈良線で警報機作動 列車停止、いたずらか
 20日午後7時半ごろ、宇治市木幡正中、JR奈良線の北木幡踏切で警報機が作動し、奈良発京都行きの普通列車(4両編成)が手前で停止。運転士が路切に異常がないのを確認し、2分後に発車した。
 宇治署の調べでは、踏切はJR木幡駅から北へ約200b。JR奈良線では今月に入って城陽市内で、警報機の作動ボタンを押すいたずらが相次いでおり、同署で原因を調べている。(京都新聞)
■「サリン中毒信者治療」林容疑者 実験から関与認める
 地下鉄サリン事件で、地下鉄車両内でサリンを発散させたことを自供したオウム真理教「治療省大臣」林郁夫容疑者(48)=殺人容疑などで再逮捕=が、警視庁合同捜査本部の調べに対し「サリンの製造実験の際、神経ガス中毒の信者を治療した」と供述、実験段階から事件に深く関与したことを認めていることが20日、分かった。
 これまでの調べで「化学班」責任者土谷正実(30)=同、「厚生省大臣」遠藤誠一(34)=同=の2容疑者がサリン製造の事実を認めているが「治療省大臣」が初期の段階から関与していたことから、警視庁は教団が組織ぐるみで計画的にサリンを製造していたことが裏付けられたとして、指示したとされる教団代表麻原彰晃容疑者(40)=殺人容疑などで逮捕=を追及する。
 供述によると、山梨県上九一色村にある土谷容疑者専用の「クシティガルバ棟」や化学プラント「第7サティアン」で行われた製造実験や量産試験で、林容疑者ら教団の医師グループが中着症状を訴えた信者を治療した。
 特にサリンの量産に向け「第7」のプラントの稼働を始めたところ、原材料から完成品に至る計5工程のうち最終工程までいく前の段階で、ラインから有毒物質が大量に漏れ出し、建物内や周辺にいた複数の信者らが鼻皿を出すなど体の不調を訴えたため、サリンの解毒剤などを使い、治療に当たった、としている。
 警視庁はサリン製造計画の当初から、製造中の事故に備え、林容疑者ら教団付属医院医師グループらが信者の治療を担当することが決まっていたとみている。
 教団のサリン製造は、麻原容疑者の指示で「科学技術省大臣」の故村井秀夫氏=当時(36)=らが中心になって計画したとされ、山梨県上九一色村の土谷、遠藤両容疑者のそれぞれの研究棟、「第7サティアン」の3つのルートでサリンが製造されたことが判明している。
 教団のサリンのプロジェクトチームは林容疑者ら「治療省」と「厚生省」「科技省」の混成だったとみられ、警視庁は、麻原容疑者の具体的な指示内容などを調べている。(京都新聞)
22日■JR特急に飛び込み 近江町、男性が即死
 21日午前1時25分ごろ、滋賀県坂田郡近江町岩脇のJR東海道線善光寺踏切(警報機のみ)で、男性が東京行き寝台特急列車=12両編成=にはねられ、全身を強く打ち即死した。寝台特急列車は男性をはねたあと、約200b進んで停止した。乗客にけがはなかった。米原署の調べでは、運転士は男性が踏切内に入り立っているのを約70b手前で発見。警笛を鳴らし急ブレーキをかけたが間に合わなかったという。
 男性は30歳から50歳。身長約160a、青色ジャンパーに黒色ズボン、黒革靴。所持品はなかった。同署は自殺と見て、男性の身元の確認を急いでいる。
 寝台特急列車は現場で約30分遅れて出発。後続の上り寝台特急列車など4本が最高30分ほど遅れた。(京都新聞)
■捕らえれば警部補 新幹線ですり容疑
 岡山発東京行きの新幹線ひかり114号の車内で20日午後3時10分ごろ、岡山市奉還町二丁目、岡山県警警部補岡崎勉容疑者(50)が窓際にかけてあった名古屋市内の会社役員(65)の背広内ポケットから現金12万5000円入りの財布を抜き取ったのを、すり犯摘発のため車内に乗り込んでいた京都府警の捜査員が発見。岡崎容疑者を窃盗の疑いで現行犯逮捕した。岡山県警は21日、岡崎容疑者を懲戒免職処分にした。
 調べでは、岡崎容疑者は岡山県警鉄道警察隊勤務で、この日は非番だった。乗車券も持っていなかった。調べに対し、「株取引の損失の穴埋めと、新築した住宅のローン返済で、給料のほとんどが取られていた」と、多額の借金返済に追われていたことを供述し、容疑を認めているという。
 垂井尚士・岡山県警監察課長の話 県民の安全を守るべき警察官がこのような罪を犯し、心からおわびする。再発の絶無を期したいと考えている。(朝日新聞)
■手配の主犯格 元組長を逮捕 京浜急行銃撃事件
 平成4年10月の京浜急行本社(東京都港区)銃撃事件で、警視庁捜査四課と原宿署は22日、銃刀法違反などの疑いで、指名手配していた主犯格の東京都港区南麻布、指定暴力団松葉会系多田組元組長多田駿容疑者(48)を逮捕した。
 事件に絡んで多田組の元組員6人が既に起訴されている。同課は京浜急行の平松一朗社長宅(神奈川県鎌倉市)で起きた銃撃事件も多田容疑者が指示したとみており、企業テロの全容解明を進める。
 調べによると、多田容疑者は元組員と共謀して、平成4年10月29日未明、港区高輪の京浜急行本社の窓ガラスに銃弾を撃ち込んだ疑い。
 犯行当時、多田容疑者は韓国に出国していたが、同課は多田容疑者が犯行を指示した後、アリバイづくりのため出国していたとみて追及する。
 多田容疑者は2月1日、共犯の多田組元組員が逮捕されたのに気付き、韓国、フィリピンに逃走。5月6日に帰国し、22日、原宿署に出頭した。事件は、平松社長の親族が経営していた婦人服製造会社の倒産整理をめぐる多田容疑者と平松社長側とのトラブルが原因とみられている。(京都新聞 夕刊)
■JR西日本 カードかざすだけ 改札新方式 混雑緩和に期待も
 JR西日本は、改札口でカードをかざすだけで通り抜けできる「非接触型フリーパス乗車システム」を開発、このほど大阪市北区の同本社内で実施した実用化テストに成功した。
 従来に比べ改札時間が短縮され混雑緩和に役立つほか、「キセル乗車」の防止などにも効果が期待され、次のステップの試験運用を目指す。
 新システムは、改札口のチェックマシン(読み取り機)から発する電波で集積回路(IC)内蔵の特殊なカードの情報を解読。有効期限、利用区間などをチェックし、運賃精算の内容などを画面表示する仕組み。
 利用区間が定まった定期券タイプのカードの場合、従来型の自動改札機のように改札口でいちいち定期券を取り出し、機械に挿入する手間が省ける。
 プリペイドカードタイプのカードを購入すれば、駅で切符を買う必要がなくなるほか、乗り越した場合でもカードの残額から自動的に引き落とされるため、精算手続きの必要がない。
 また、同じカードが連続して改札を同一方向に通過した場合や乗車駅の記録がないカードが改札を通過した場合などは警報ブザーが鳴るため不正乗車の防止にも効果を発揮しそうだ。(京都新聞 夕刊)
23日■JR北海道・九州・四国3社の値上げ検討 低金利で赤字補えず 基金依存の目算狂う
 JR北海道、JR九州、JR四国の「3島会社」が、民営化後初めての運賃値上げを検討している。旧国鉄の分割にあたって「持参金」として3社に渡された経営安定基金=キーワード参照=の運用益で、年間数百億円の営業赤字を補ってきたが、低金利が続き、補てんしきれなくなったためだ。値上げは客離れを招く命取りにもなりかねず、3島会社のあり方に再考を迫る声もあがっている。
 JR九州は民営化後、新型車両を導入、列車本数も50%近く増やし、1日の乗車人数は発足当初の68万人から昨年度には85万人まで伸びた。売上高も約400億円増えた。
●今や「不安定基金」
 JR北海道では、空知地方を走る深名線の廃止について16日、地元が受け入れを決めた。路線距離は、当初の3177`から2621`まで減った。「リストラも増収策もしたが、運用益の減少には追いつかない。もっとどんどん人の首も、線路も切るなら別ですが」。JR北海道の小池明夫取締役は自嘲(じちょう)気味に話す。
 JR北海道は527億円、JR四国は149億円、JR九州は288億円の営業赤字を抱えて生まれた。現在、それぞれ106億円、36億円、21億円縮小させた。しかし、基金約1兆3000億円の運用益は今年度、ピークより211億円少なくなる見込みで、赤字の縮小分を食いつぶす。「いまや『不安定基金』」とJR九州幹部は嘆く。
●増益効果を疑問視
 都市圏のように大量集中輸送ができない3島会社の経営難は当初から予想され、運賃値上げが前提になっていた。しかし、値上げへの利用者の反応は厳しい。札幌市の主婦、小沢公子さん(45)は「食料品など小売店でのモノの値段は下がっているのに、交通費だけ上がるのはおかしい」と話す。値上げ幅によっては、バスとJRの安い方を使うという。
 3島会社は、高速バスと厳しく競争している。JR四国の場合、昨年11月に松山自動車道がのび、収入の6割を担う予讃線は1日500万円程度の減収となった。四国内は縦横に高速道路の整備が計画されているうえ、マイカーとの競争もある。値上げが増益につながるとは限らない。
●枠組み再編論議も
 亀井静香運輸相は、「本州の3社はもうかっているんだから、JRグループ内で何とかできないか」として、運輸省内での検討を指示した。長距離運賃のJR各社間の配分の見直しなどの案が一部にはある。しかし、これらは「経営責任が不明確になる」として、改革当初に否定された考え方。独立会社である以上、融通しあうのは難しい。
 本州3社も反発する。JR西日本の井手正敬社長は「グループで資金援助したら、どんぶり勘定だった国鉄時代の悪癖になる。国策として地方の鉄道を切るか切らないか、地元が支えるかどうかを考えるべきだ」と話す。
 国鉄改革に携わった運輸省OBは「3島の経営は基金で大丈夫と考え、それほど議論しなかった」と振り返る。三島会社は2年後には、固定資産税の軽減措置などの「特典」も失う。「特典」継続か、3島会社の鉄道規模や、経営に地方自治体や地元財界を加えるかなど、新たな枠組みづくりが必要になりそうだ。
・キーワード 経営安定基金
 国鉄改革の際、赤字路線が多く、経営が苦しいことが予想された北海道、九州、四国−の3社に与えられた基金。各社は運用益で営業赤字を補うことになっている。基金は、JR北海道が6822億円、JR四国が2082億円、JR九州は3877億円。運用方法は、国鉄清算事業団への貸し付けで、政令で定められた年7.3%の利息を受け取っている。ただ、貸付金は徐々に3社に返される計画になっており、各社の自社運用分が増えている。97年からは全額、自社運用になる。
 事業団への貸付金の利息は変わらないが、自社運用分の利回りが、最近の低金利で下がっている。(朝日新聞)
■島内区間で運転再開 ポートライナー 全通は8月下旬
 阪神大震災で不通になっていた三宮とポートアイランドを結ぶ新交通システム、ポートライナー(全長6.4`)が22日、島内区間(2.7`)で運行を再開した。北埠頭−中公園駅間はまだ不通のため、島内6駅を往復運転する。
 ポートライナーは橋脚211基のうち34基、橋りょう213橋のうち31橋が落ちたり傾いたりしたが、被害が比較的軽かった島内区間は当初の8月下旬の復旧見通しが早まった。全区間は駅舎の被害が大きかったポートターミナル駅を除き、8月下旬に再開する見込みだ。(朝日新聞)
■オウム真理教 23人昇格へ「尊師通達」 地下鉄事件3日前発令 危険任務の条件か
 東京・地下鉄サリン事件の殺人容疑などで追及されているオウム真理教が、3月から7月までに、上級幹部「正悟師」に信徒23人を大量昇格させる予定だったことが、警視庁など捜査当局が押収した資料で23日、分かった。地下鉄事件でサリンをまき散らした教団「治療省」トップの林郁夫容疑者(48)=殺人、殺人未遂容疑で逮捕=らも、当時、教団で同じ程度の修行階級に属し、事件後に2、3階級の「特進」が決まっていた。捜査当局は、これを条件に危険な任務を遂行させようとしたとみて調べている。
 調べでは、一連の家宅捜索で教団施設から大量昇格を計画する「尊師通達」が見つかった。通達は3月17日発令で、同日から7月までの毎月17日付で、計23人の「正悟師」昇格を予定していた。
 「正悟師」は、殺人などの容疑で逮捕された教団代表の麻原彰晃容疑者(40)の最高位「尊師」、5人しかいないとされる「正大師」に次ぐ階級。
 地下鉄事件の3日前の3月17日付通達によると、事件の指揮役を務めた「諜報(ちょうほう)省」トップの井上嘉浩(25)=殺人、殺人未遂容疑で逮捕=と池田悦郎(36)=同=の両容疑者がまず「正悟師」に昇格し、4月17日付でサリン製造の中心人物の「化学班」キャップ土谷正実容疑者(30)=同=が続く。
 地下鉄事件で、サリンをまき散らしたとみられる5人は、この後で昇格が決まっていた。
 5人は、林郁夫容疑者のほか、同容疑で逮捕された豊田亨(27)、広瀬健一(30)、横山真人(31)の各容疑者と特別手配された林奉男(37)容疑者。林郁夫、林泰男、豊田の3容疑者はそれまで、「尊師」から数えて5番目の階級にあたる「菩長」。横山、広瀬の両容疑者はそのすぐ下の「菩長補」だった。
 5月17日付で横山、広瀬両容疑者、6月17日付で豊田容疑者と、麻原容疑者の主治医の中川智正容疑者(32)=同=が、7月17日付で林郁夫、林泰男両容疑者がそれぞれ昇格することになっていた。
 捜査当局によると、教団内の階級は、修行の進み具合のほかに、与えられた仕事の出来、不出来によって上下したとみられる。
 刺殺された「科学技術省」トップの故村井秀夫氏は昨年春ごろ、電極のついた帽子を開発して、教団に多額の「布施」名義の現金収入をもたらした功績で、「尊師」に次ぐ「正大師」に昇進したという。
 また土谷容疑者も、昨年6日の松本サリン事件のあと、それまでなかった教団の呼び名をもらい、昇格した。捜査当局は、地下鉄事件でも教団が同ランクの信徒を競わせ、成功の報酬に昇格を約束することで、確実な成果を狙ったとみている。(朝日新聞 夕刊)
24日■阪急神戸線の全線開通 来月12日に早まる
 阪急電鉄は、23日、阪神大震災で不通になっている神戸線の全線開通が6月12日になる、との見通しを発表した。
 神戸線は、現在も岡本−御影間(2.2`)と、西宮北口−夙川間(2.7`)の2ヵ所で不通が続いている。同社では、それぞれの区間について、復旧見通しを6月上旬から下旬にかけて、としていた。
 しかし、その後の道路事情の好転や、復旧工法の見直しなどで工事が予想以上に進み、岡本−御影間は6月1日に、西宮北口−夙川間は同12日に開通する見通しがついた。
 記者会見した菅井基裕社長は「運輸省の検査には、十分な自信がある。全面開通と同時に、震災前より充実した神戸線のダイヤ改正を行いたい」と述べた。また、同日、神戸線三宮駅と西隣の神戸高速鉄道・花隈駅間も同じく6月1日に開通する見通しがついた。これで阪急電鉄と、神戸高速鉄道が結ばれる。
・山陽電鉄一部区間 来月16日運転再開 板宿−姫路直通に
 山陽電鉄は23日、阪神大震災で不通になっていた本線の須磨浦公園−滝の茶屋間(2.7`)が、6月16日をメドに運転再開できる見込みになった、と発表した。予定通り復旧すれば、同線は板宿−姫路間が直通運転となる。(京都新聞)
■早川容疑者ら3人を再逮捕 地下鉄事件殺人容疑
 地下鉄サリン事件で警視庁合同捜査本部は23日、殺人、同未遂容疑でオウム真理教「建設省大臣」早川紀代秀(45)、「自治省大臣」新実智光(31)、「建設省」幹部岡田弘幸(32)の三容疑者を再逮捕した。
 早川容疑者は、教団代表で教祖の麻原彰晃容疑者(40)の参謀役。組織の実質ナンバー2として、麻原容疑者の事件への関与を解明するカギを握る人物。新実容疑者も麻原容疑者の側近で、地下鉄事件の実行犯グループのリーダー格とされる。
 捜査本部は「参謀」と「実行犯」の二人の再逮捕で、一連のサリン事件の全容解明を一気に進めたい考えだ。(京都新聞)
■時速350`に挑戦 次期新幹線モデル 車両、走行試験へ 京都−米原間
 JR東海が、次期新幹線車両の参考モデルとして昨年暮れに試作した「300X」の走行試験が、25日から京都−米原間でスタートする。期間は約2年間。1週間に2回程度の割合で続け、慣らし運転終了後は350`に挑戦する。
 「300X」は、6両編成で、両端の先頭車両は「ラウンドエッジ型」と「カスプ型」(アヒルのくちばし状)の異なった形になっているのが特色。現在、営業運転している最新型の「300系」(のぞみ型)に比べ、サイズはひとわまり小さいが、車軸の距離を広げ安定を良くしたり、車両の揺れを抑える装置を採用するなど、各部分に新技術を採用している。
 試験は、車体の走行安定性や乗り心地、騒音の大きさなどを調べるのが主眼で、走行速度は当面270`に抑えられる。車両は、浜松基地に置かれ、本線営業終了後、京都駅−米原駅へ片道試験運転し、未明に浜松駅に戻る。(京都新聞)
■JRの不採用違法でない 組合員の控訴棄却
 昭和62年の旧国鉄分川割民営化の際、JR東日本に採用されなかった千葉動労の組合員11人が「JRと旧国鉄の実体は同じで、不採用は事実上の解雇に当たり違法」として、JR東日本に雇用継続の確認などを求めた訴訟の控訴審判決が23日、東京高裁であった。
 越山安久裁判長(退官により野田宏裁判長が代読)は「JRに採用されなかった職員は、国鉄清算事業団との間で雇用関係が続いており、解雇されたとは言えない」としてJR東日本の不採用を正当と認定。請求を退けた一審の千葉地裁判決を支持し、組合員の控訴を棄却した。
 JRの分割民営化反対派組合員の不採用問題をめぐる高裁判断は初めて。(京都新聞)
■信楽事故 JRの信号固定に過失ない 大津地検 遺族に不起訴理由を説明
 大津地検は23日、信楽高原鉄道列車衝突事故で、業務上過失致死傷容疑で再捜査したJR西日本関係者11人を改めて不起訴処分にしたことについて、「犠牲者遺族の会」(吉崎俊三世話人)に処分の理由を説明した。
 同地検で開かれた説明会には、同会の遺族と弁護団の12人が出席。地検幹部が「信楽高原鉄道関係者が赤信号で列車を出発させたことが事故の原因で、JR西日本が設置した方向優先てこによる信楽駅の信号赤固定に過失はない」など、JR西日本の刑事責任を問えなかったことを明らかにした。
 説明を受けた秋田真志・弁護団長は「再捜査では、JR西日本管内での事故例しか参考資料にしていないうえ、事故の11日前に起きた信号トラブルについてもJR西日本の見解をただしていないなど、内容は疑問が残る」と話し、今後、大津地検に質問状を提出するという。吉崎世話人は「処分理由は、JR側の言い分をうのみにした内容で、納得できない」と話した。(京都新聞)
■この人 JR東海の社長に内定した葛西敬之さん
 温和な風ぼうだがタカ派、野心家、やり手との評価が定着している。アイデアマンで大変な読書家でもある。
 JR東日本の松田昌士社長、JR西日本の井手正敬社長とともに「国鉄改革3人組」といわれた。「3人組と呼ばれることは不愉快だった。今は2人を特に意識していない」
 国鉄時代は主に労務を担当、歯に衣(きぬ)着せぬ物言いで国労との交渉に当たり、切り込み隊長役を務めた。職員局次長時代、国鉄清算事業団への片道切符といわれた人材活用センターを設立、国鉄マンを次々と送り込んだ。政治家とのパイプづくりにも励み、組合対策には強引な手法も辞さなかった。
 「民営化後はただ夢中で、あっという間だった。逆戻りはあり得ない」
 1990年には49歳の若さで副社長にと出世街道をひた走った。しかしその後は、私生活で写真週刊誌の標的になったこともあってやや足踏み。
 副社長時代は実質的に経営全般の指揮を執ってきたといわれる。リニア新幹線の推進派で、品川新駅建設にも積極的だ。
 阪神大震災の影響で本年度に予定されていたJR西日本の上場がずれ込んだため、JR東海の上場は来年度になる可能性が高い。
 「上場の具体的な準備をできるだけ早く進めるため」(須田寛社長)早めの登板となった。強引な手腕にものをいわせるブルドーザー型社長の登場は、その行動力のために風当たりも強い。もろ刃の剣となりかねない実力の真価がこれから問われることになる。
 東京と名古屋を頻繁に行き来する新幹線の中ではもっばら読書。歴史ものをはじめあらゆる分野の本を読む。洋書は「年間1500nを読むと決めている」。趣味は音楽鑑賞。東京都出身。54歳。(京都新聞)
■阪急神戸線 来月12日全線開通 岡本−御影間は1日から
 阪急電鉄は23日、阪神大震災で不通になっている神戸線の岡本−御影間(2.2`)を6月1日から、西宮北口−夙川間(2.7`)を同12日から運転再開すると発表した。被害が大きかった西宮北口−夙川間の復旧時期について同社は当初、8月末としてきたが、住民の協力や工事の工夫で工期を短縮できたという。
 6月1日には神戸高速鉄道の阪急三宮−花隈間も開通し、夙川から新開地までが結ばれる。西宮北口−御影間で運行している代替バスも6月1日からは西宮北口−夙川間に変更し、全線開通後に廃止する。
 阪神電鉄は不通区間の御影−西灘間の乗客を阪急神戸線の御影−三宮間に振り替え輸送している。6月1日からは阪神の定期や回数券を持っている客は夙川−三宮間まで乗車できる。
 阪急は全線開通と同時にダイヤ改定を実施。関西で初めて座席のない車両(2両)を2本導入し、梅田行き通勤急行に西宮北口駅で増結させる▽朝のラッシュ時に10両編成の列車を10本から14本に増やす▽通勤特急と通勤急行を新設し、塚口駅や武庫之荘駅にも停車させる−などを計画している。(朝日新聞)
■須磨浦公園−滝の茶屋 来月中旬開通 山陽電鉄
 山陽電鉄は23日、不通になっている須磨浦公園−滝の茶屋間(2.7`)で6月16日ごろから運転を再開する、と発表した。同区間内にある塩屋駅は震災で駅舎とホームが崩壊したため、元の位置から約300b東に仮駅舎を設ける。運転再開にともない、須磨浦公園−垂水間で運行している代替バスを中止する。しかし、西代−板宿間は不通のままのため、JR(神戸−垂水間)と神戸市営地下鉄(湊川公園−板晴間)との振り替え輸送は継続する。(朝日新聞)
■JR次世代新幹線 あすから走行試験
 JR東海は23日、次世代新幹線として開発中の試験車両「300X」の走行試験を25日深夜から米原−京都間(67.7`)で始めると発表した。(朝日新聞)
■地下鉄サリン 教団関与、後で知った 早川容疑者供述始める 計画の加担は否定
 地下鉄サリン事件で23日、殺人などの容疑で再逮捕されたオウム真理教「建設省」トップの早川紀代秀容疑者(45)が警視庁の一調べに対して、「事件後、教団がやったと知らされた」などと教団の関与を一部認める供述を始めた。同容疑者は、教団の事実上の「ナンバー2」で非合法活動の最高責任者とみられているが、自分自身の事件への関与は依然否定しているという。警視庁は、同容疑者が事件の計画段階から中心になっていたとみて、さらに追及している。
 早川容疑者は、地下鉄サリン事件の前後の3月17日から22日にかけてロシアに滞在していた。同容疑者は、帰国した後で幹部から、「教団がやったと知らされた」と供述しているという。
 しかし、サリン事件の計画に加わったことについては依然否定を続けている。警視庁は、早川容疑者が自分自身の事件への関与を隠すため、事件当時、ロシアに渡っていた可能性が高いとみて、渡航の目的についても詳しく聴いている。
 早川容疑者は、これまでに教団を脱会する意思を表明した文書を警視庁に提出した。教団を通じて依頼した弁護人も解任し、教団から距離を置こうとする姿勢を見せている。
 地下鉄サリン事件については、これまで教団「治療省」トップの林郁夫容疑者(48)が実行グループに加わったことを認め、「化学班」キャップの土谷正実容疑者(30)がサリンの製造を認めている。
・早川容疑者ら3人を再逮捕 地下鉄サリン
 東京・地下鉄サリン事件で、警視庁築地・大崎署合同特捜本部は23日、オウム真理教「建設省」トップの早川紀代秀(45)、同省幹部の岡田弘幸(32)、「自治省」トップの新実智光(31)の3容疑者を、殺人と殺人未遂の疑いで再逮捕した。
 調べでは、3容疑者は教団代表の麻原彰晃容疑者(40)=殺人、殺人未遂容疑で逮捕=ら多数の信徒と共謀、山梨県上九一色村の教団施設で製造したサリンを3月20日午前8時ごろ、営団地下鉄の丸ノ内、日比谷、千代田各線の5本の電車にまき散らし、12人を殺害し、重軽症者約5500人を出した疑い。(朝日新聞)
■奈良の廃線トンネルで 宇宙観測 なぞの晴黒物質追う 今秋にも阪大核物理研究センター
 旧国鉄の分割民営化の際、不採算部門として完成間近に廃線となったローカル線のトンネルが、最先端技術を駆使した宇宙暗黒物質の観測基地に生まれ変わる。宇宙線や地中の放射性物質の影響を受けにくい場所を探していた大阪大学核物理研究センター(江尻宏泰センター長)が「条件にぴったり」と目を付けた。今秋にも観測を始める。
 宇宙観測基地に生まれ変わるのは奈良県吉野郡大塔村の天辻トンネル。幅約4.6b、高さ5.2bで、総延長は5`。奈良県五条市と和歌山県新宮市を結ぶ旧国鉄の五新鉄道・阪本線のトンネルで、日本鉄道建設公団が1967年から5年間かけて掘った。
 しかし、80年の国鉄再建法で五新鉄道は不採算部門として切り捨てられ、9割方完成していた阪本線の工事も止まった。
 一帯は標高800b前後の高地で、トンネルは地下500bの辺りを通っている。計画によると、トンネルのほぼ中央部に同センターが開発した精密宇宙望遠鏡「エレガント5、6号」を設置する。ニュートリノなどの宇宙からやってくる粒子を観測して、大阪府茨木市美穂ケ丘の同研究センターのデータ解析装置と結ぶ。宇宙を形づくっている成分と考えられているなぞの「暗黒物質」の正体をつき止めたい、という。(朝日新聞)
■阪急電鉄、赤字69億円 大震災響き上場以来初
 阪急電鉄が23日発表した1995年3月期決算は、阪神大震災の影響で、当期損益は69億円の赤字に転落した。同社の当期赤字は、49年の上場以来初めてで、期末配当も見送った。
 神戸線の不通など震災による減収額は59億円。このため売上高は1772億円と、前期に比べ7.4%減少した。経常利益も42億円と、前期に比べ半減した。また、被災した設備の除却損や修繕費など、震災による特別損失180億円を計上した。
 96年3月期の売上高の見通しは、震災前に申請した値上げによる増収分106億円を加え、1960億円に回復するとみられる。しかし、震災による減収額も114億円に増えるほか、特別損矢としてさらに61億円を処理するため、当期利益は2期続けて赤字になる見込み。(朝日新聞)
■地下鉄サリン 手作り装置で製造 土谷・遠藤容疑者供述 6`ずつ計5回
 東京・地下鉄サリン事件で使われたサリンは、殺人と殺人未遂容疑で逮捕されたオウム真理教「化学班」キャップの土谷正実容疑者(30)と「厚生省」トップの遠藤誠一容疑者(34)が、山梨県上九一色村の遠藤容疑者の細菌実験棟で、ガラス管やフラスコなどをつなぎ合わせた手作りの化学合成装置を使って製造していたことが、警視庁築地・大崎署合同特捜本部の調べに対する両容疑者の供述などで24日、明らかになった。2人は刺殺された教団「科学技術省」トップの故村井秀夫氏の指示で、この装置を使い、今年に入り5回に分け、約6`ずつ計約30`のサリンを製造したという。
 合成装置の一部は家宅捜索で発見、押収されており、持捜本部でサリンの残留物がないかどうか調べている。
 合成装置は、複数の物質を同時に注入し、混ぜ合わせることができる「三つ口フラスコ」とビーカーや試験管などをガラス管やチューブでつなぎ、温度管理装置などを接続したものとみられている。
 土谷容疑者はこれまでに、「つくった約30`のサリンのうち10`は地下鉄事件に使い、残りは水と反応させて処分した」と供述している。
 この手作りの合成装置とは別に1993年10月、土谷容疑者が都内の代理店を訪れ、約2000万円でスイス製の自動化学合成装置を購入、同容疑者専用のプレハブ実験棟に設置した。化学薬品の何段階もの連続反応をコンピューターで自動制御するもので、確実にサリンが製造できる。
 昨年末まで土谷容疑者はこの自動装置を使って、自分の実験棟でサリンを製造していたとみられており、特捜本部は当初、地下鉄事件のサリンもこの装置でつくったとみていた。
 ところが、土谷容疑者が「地下鉄事件のサリンは、遠藤容疑者の実験棟でつくった」と話したため、2人を追及したところ、遠藤容疑者の棟に手作りの合成装置を設置し、サリンをつくったことを供述したという。
 昨年7月に起きた教団施設周辺の悪臭騒ぎで、サリンの副生成物が検出されたことが今年1月初めに発覚。地下鉄事件のサリンの製造を始めようとした時には、土谷容疑者の実験棟にも疑惑の目が向けられていたため、この棟に設置してあった自動装置は、あえて使わなかったとみられている。
 遠藤容疑者の実験棟の内部からは、ほとんどの実験機材が運び出されていた。残されていた機材の大半が高温滅菌されるなど、証拠隠滅工作が行われていたことが明らかになっている。(朝日新聞 夕刊)
25日■夏の臨時列車運転計画発表 JR福知山支社
 JR西日本福知山支社は7月1日から9月30日までの夏の臨時列車の運転計画を発表した。但馬、丹後、若狭方面の海水浴揚へ直行する「マリン列車」やお盆の帰省・Uタ−ンに便利な臨時列車のほか、定期列車の増結を行うが、「但馬・理想の都の祭典」の終了などで、運転本数は昨年比6%減の計334本。
 海水浴輸送では、京都−久美浜間に特急「タンゴエクスプローラー」(上りは豊岡始発)、京都−小浜間に特急「マリンあさしお」を運転。午前中に目的地に到着できるように運転時刻を設定したほか、駅から海水浴揚へ直行する「マリンバス」を接続する。
 また、「エーデル北近畿7、16号」を東舞鶴−若狭高浜間、「あさしお5、12号」を城崎ー竹野間で延長運転する。
 盆・Uタ−ン輸送では、城崎−大阪間の特急「北近畿86号」など特急、急行計8本を運転する。(京都新聞)
■監査役に堀田元検事 富士急行
 富士急行は24日、東京地検特捜部検事時代にロッキード事件の捜査を担当し、現在は弁護士の堀田力氏を6月29日付で非常勤の社外監査役に迎えると発表した。
 堀田氏は1991年に法務省官房長から弁護士となり、福祉活動でも活躍している。(京都新聞)
■道幅にハバきかすマイカーさんョ 市バスの円滑走行へ 京都市交通局 川柳、標語を募集
 京都市交通局は、来月20日から市違法駐車等防止条例が施行されるのに合わせ、迷惑駐車追放やマイカー自粛など、市バスの円滑な走行を宣伝する川柳、標語を募集する。
 川柳、標語とも20字以内。官製はがき1枚に作品1点を記入。「川柳の部」「標語の部」を明記したうえ、簡単な趣旨説明と住所、氏名、年齢、性別を書いて〒604京都市中京区壬生坊城町48 同市交通局経営推進室へ。
 応募期間は来月20日から7月10日まで(当日消印有効)。入選作はポスターやチラシなどに掲載する。
 問い合わせ先は京都市交通局 075(822)9106。(京都新聞)
■3年余りで故障65件 旧式ドアに変更し減る
 新幹線に「のぞみ」が登場してから3年余り。この間、「のぞみ」のドアがホームで開いたまま閉まらなくなるなどの故障が65件起きていることが、JR東海とJR西日本の調べで分かった。高速で走っている時に空気が渦を巻いて起こる音を防ごうと最新式のドアを採り入れたが、故障しやすいことが判明。「ひかり」や「こだま」と同じ従来型の引き戸式ドアに設計変更したところ、故障は減った。新しく造られる「のぞみ」の車両のドアはすべて引き戸式にしており、JRご自慢の最新技術は短命に終わりそうだ。
 引き戸式ドアは、車体の内側でドアが左右に動いて開閉する仕組み。新幹線では1964年の創業時から「ひかり」と「こだま」に採用してきた。
 このタイプはドアが閉じた状態で車両の内側にへこみができるため、「のぞみ」のようにスピードが速いとドア周辺で空気が渦を巻き、異音が発生する。これを防ぐため、92年3月に登場した「のぞみ」には最新式の「プラグドア」を採用。閉じるときにシリンダーでドアを外の方向に押し出し、でこぼこができないようになっている。
 ところが、プラグドアはトンネル内に入った時などの気圧の変化で油圧バネが故障するケースが続出。JR東海によると、「のぞみ」の登場から1年間に、列車が駅に到着したのにドアが開かずに乗客が降りられなくなったり、逆に開いたドアが閉まらなくなるといったトラブルが28件も起きた。いずれもホームでの出来事で、事故は起きていない。新タイプのドアは高価で、防音効果もさほど表れず、JR東海とJR西日本は93年春から「のぞみ」のドアを引き戸式に設計変更した。
 現存、「のぞみ」は37編成(1編成=16両)あり、プラグドアは20編成、引き戸式は17編成運行している。これまでのドアの故障は引き戸式の分も含めて65件。うち、プラグドアが51件、引き戸式は14件。引き戸式ドアの故障は、石などの異物がドアに挟まるなど単純な原因がほとんどだった。
 JR東海は「旧式に戻すと、費用も安くすみ、故障も減った。営業を続ける過程で行ったりきたりすることも進歩の一つだと考えている」(広報室)と話している。(朝日新聞 夕刊)
26日■経常利益、62%滅 JR西日本 震災で572億減収
 JR西日本は25日、95年度決算を発表した。阪神大震災による減収が572億円にのぼり、売上高は前期比6.8%減の8741億7200万円。経常利益は同62.7%減の204億3200万円にとどまった。震災に伴う施設復旧費用など288億円を特別損失に計上したが、持ち株を売却するなどで144億円を特別利益に繰り入れたことから、税引利益は75億円を確保。株式上場に余力を残した。
 鉄道運輸収入は、新幹線が震災の影響で、前期比15%減の3079億円と大きく落ち込んだが、在来線は定期客の増加などがあり同0.6%減の4591億円にとどまった。関連事業は、不動産販売収入の減少などで営業収益は前期比19.8%減の182億円だった。
 来期は経常利益410億円、税引利益は201億円になると見込んでいる。(京都新聞)
■JR西日本人事(6月1日、京都支社分=駅助役など除く)
 京都支社次長(鉄道本部営業部次長)三浦英之▽同(金沢支社工務部長)田村亙▽同安全対策室長(草津駅長)小野茂▽京都駅長(開発事業本部)藤井二夫▽山科駅長(京都駅助役)田中宏司▽向日町駅長(山科駅長)中村信一▽宇治駅長(守山駅長)吉見聖征▽京都車掌区長(京都支社人事課担当課長)安達征太郎▽梅小路運転区長(米原列車区助役)菱田峯天▽京都保線区長(吹田保線区長)田村敬三▽嵯峨野保線区長(米原保線区室長)田中忠沼▽京都工事区長(京都支社施設課)山本等
 ▽米原駅長(鉄道本部運輸部主幹)大橋昇一郎▽草津駅長(秘書室主幹)野村通彦▽守山駅長(京都支社人事課)井上俊夫▽貴生川駅長(彦根駅助役)林弘幸▽堅田駅長(鷹取駅長)八木俊紀▽安曇川駅長(堅田駅助役)奥村茂喜▽近江今津駅長(向日町駅助役)若林三二(京都新聞)
■JR7社が減収 3月期決算 震災や不況響く
 JR7社の1995年3月期決算が25日出そろい、景気回復の遅れによる国内旅行の低迷や阪神大震災の影響などで売り上げは全社が前年を下回った。九州、四国、貨物の3社は経常赤字、残り4社もそろって減益となった。今年度も国内旅行は低迷する見通しで、阪神大震災の影響が一部に残ることなどから、各社とも売上高はほぼ横ばいの予想をたてている。
 各社とも売り上げは昨年末まで前年同期をやや上回っていたが、今年1月の阪神大震災で、山陽新幹線や東海道・山陽線が不通となり、旅客、貨物とも落ち込んだ。
 特に被災地域を走るJR西日本は、震災の影響で、売り上げが関連事業などを含めて572億円の減収、332億円の経常減益になった。ほかにもJR東海が350億円、JR貨物も104億円の減収になる影響が出た。
 また、JR九州、JR四国は、分割・民営化の時に営業赤字を補うために経営安定基金が設けられたが、その運用益が金利低下で減少したため、2社とも87年の設立以来初めて経常赤字となった。同様に経営安定基金を持つJR北海道も、経常黒字は保ったものの大幅な減益だった。このため、3社は分割後初の運賃値上げの検討をしている。(朝日新聞)
JR7社の1995年3月期決算
 売上高営業利益経常利益
東日本19543(▼1.0)3881(▼6.8)992(▼2.2)
東 海10839(▼2.7)3430(▼12.3)387(▼39.9)
西日本8741(▼6.8)1011(▼26.0)204(▼62.7)
九 州1699(▼1.5)▼260(  -)▼5(  -)
北海道1019(▼3.8)▼421(  -)1(▼69.7)
四 国470(▼6.2)▼132(  -)▼5(  -)
貨 物1969(▼4.3)▼35(  -)▼82(  -)
単位は億円、カッコ内は前期比増減率%、
▼はマイナスか赤字
■350`へ試走 次世代新幹線
 次世代新幹線としてJR東海が開発した試験車両「300X」の走行試験が、25日深夜から26日未明にかけて米原−京都間(67.7`)で始まった。京都駅をスタートした300Xは米原駅まで時速270`で走行。理論上の最高時速は450`だが、当面、270`から350`で走り、車体の振動や騒音などを測定する。試験は2年間の予定で、将来は、現在の新幹線や新しい新幹線の車両に技術を応用し、東京−新大阪間の時間短縮を目指す。
 同社によると、300Xは昨年12月に車両が完成。空気抵抗を小さくするため、形を変えた2台の先頭車両をつくった。アルミ合金を用いて軽量化を図った4種類の車体からなる。(朝日新聞 夕刊)
■角材9本を線路に放置 近江鉄道八日市線
 26日午前5時50分ごろ、滋賀県八日市市野口町、近江鉄道八日市線の線路上に、長さ約1.5bの角材9本が束ねて置かれているのを、八日市駅発近江八幡駅行き始発列車(1両編成)の那須正司運転士(39)が見つけ、急ブレーキをかけたが間に合わず、約100b引きずって止まった。約20人の乗客らにけがはなかった。(朝日新聞 夕刊)
27日■山陰線で踏切事故 福知山、上下23本影響
 26日午後零時過ぎ、福知山市厚中町、JR山陰線本庄踏切(警報機、遮断機付き)で、同市問屋町、福知山地方森林組合の普通トラックの木材つり上げ用アーム(鋼鉄製、高さ5.1b)が電車の架線に接触、架線が垂れ下がった。JR福知山支社は福知山−下夜久野駅間で列車を停止、約4時間半後に復旧作業を終えた。
 このため、新大阪行き特急「北近畿14号」など特急4本、普通4本の計8本が運休、京都行き特急「あさしお6号」など15本が12分から最高1時間半、遅れるなど約1000人に影響が出た。(京都新聞)
■新幹線車内で盗み 京都、容疑の男逮捕
 京都府警鉄道警察隊は26日、窃盗の疑いで山口県下関市宮田町二丁目、無職平田嘉男容疑者(58)を逮捕した。
 調べでは、平田容疑者は4月21日午後4時ごろ、JR京都駅に停車中の新幹線に乗り込み、乗客の男性(51)が車内窓際に掛けておいた背広の内ポケットから、現金約11万円の入った財布を盗んだ疑い。
 平田容疑者は調べに対し、容疑を否認しているという。(京都新聞)
28日■「サリン、前日作る」地下鉄事件で士谷容疑者 拉致の捜査そらす?
 3月20日の東京・地下鉄サリン事件で、警視庁に殺人などの容疑で再逮捕されたオウム真理教「化学班」キャップの土谷正実容疑者(30)が、サリン製造を命じられたのは事件直前で、つくったのは前日の19日だったと供述していることが27日、分かった。東京都品川区の公証役場事務長拉致事件で、警視庁が教団への一斉捜索に入る直前だったことから、教団が捜査の矛先を変えさせ、その間に証拠隠滅を図ろうとしたのが事件の動機だったと、捜査当局はみている。今後、殺人などの容疑で逮捕した教団代表の麻原彰晃容疑者(40)が、事件にどう関与したかについて追及する。
 捜査当局は、教団が地下鉄サリン事件の実行を3月20日に選定した理由が、動機を探るうえで極めて重要とみて、逮捕した容疑者の供述や押収した資料の分析を進めてきた。
 これまでの調べに対して、土谷容疑者は、刺殺された教団「科学技術省」トップの故村井秀夫氏に「19日にサリンをつくってくれ」と事件直前に製造を指示され、山梨県上九一色村にある「厚生省」トップの遠藤誠一容疑者(34)の細菌実験棟で遠藤容疑者とともにつくったと供述したという。
 さらに、教団「治療省」トップで、地下鉄へのサリン発散を認めた林郁夫容疑者(48)は「教団への強制捜査が近くなっているので、目をそらす目的でやったと思う」と、教団の動機を推測する供述をしている。
 公証役場事務長の仮谷清志さん(68)が拉致されたのは2月28日。警視庁大崎署の特捜本部は、早い段階で捜査の焦点を教団に絞り、教団幹部の松本剛容疑者(29)=逮捕・監禁容疑で逮捕=を容疑者の1人とみて、3月15日には拉致に使われたワゴン車を公表した。
 前後して、教団への強制捜査の方針を囲め、警察庁との協議を重ねていた。この中で、サリン所持容疑がある教団への強制捜査時には、防護服や防護マスクの必要性が確認され、防衛庁に貸与や装着訓練の要請をした。その結果、装着訓練は3月19日、強制捜査は22日と決まった。
 教団側がこうした捜査側の動きを察知して、捜査をサリン事件に向かわせ、強制捜査の計画を遅れさせて、その間にサリン製造や拉致事件など、教団の一連の不法行為の発覚につながる証拠を隠そうとしたという見方だ。(朝日新聞)
■声 戦後50年 新幹線
・見切り発車は公害置き去り 北九州市 藤本和男(団体役員 62歳)
 1964年10月1日、東海道新幹線東京−新大阪間が開業した。9日後に東京オリンピックの開幕を控え、まさに「滑り込みセーフ」の離れ業だった。安全対策や公害対策の、確たる見通しのないままの見切り発車だったため、新幹線を巡るトラブルはいまだに解決されていないし、今後も起こるだろう。
 新幹線の元々の計画は、日中戦争最中の38年、東京−下関間を9時間で結ぶ「弾丸列車」を走らせる構想が下敷きになっている。計画では工期は約10年。41年に新丹那トンネルや、日本坂トンネルなどのトンネル区間から着工された。しかし、太平洋戦争が破局に向かいはじめた43年には、工事は全面ストップとなった。
 戦後の混沌(こんとん)期に東海道本線の輸送力が完全に行き詰まってから、かつての「弾丸列車」構想が、「新幹線」構想として浮上し、59年4月、工事が再開されたことは記憶に新しい。
 私は現役時代、労働基準監督官として大阪−岡山間では主にトンネル、岡山−博多間では高架橋の臨検監督を何度も行ったが、安全面の対策、騒音対策などはお粗末の限りだった。近代技術の塊のような新幹線は誕生したが、沿線住民は騒音、振動、電波障害などに悩まされることになった。新幹線時代の到来は、早急な開発への反省と、「真の豊かさとは何か」を問いかけている。
・効率追い続け悔い残さぬか 広島市 泉 善守(無職 75歳)
 新幹線が華々しく開業したのは1964年10月1日、山陽新幹線が博多まで延長されたのが75年3月10日である。この間好景気の波に乗り、時には景気の刺激に利用され、公共事業として莫大(ばくだい)な金を費やしながら、新幹線は速く、快適、安全で、画期的な乗り物として国民にもてはやされ、重宝がられてきた。
 しかし、私はこのプラス面だけを評価する気にはなれない。その裏では、自然破壊、騒音、時代に逆行する東京一極集中、ローカル線の切り捨て、住民の意向を無視した政治駅の弊害などがあり、それが民営化のひずみと重なっている。
 膨大な赤字は清算事業団に肩代わりさせ、不当解雇した組合員は採用せず、破産した年金の救済をよそへ押し付け、しかもドル箱の新幹線主体のダイヤで運行している。株式を上場するといわれても、何とも白々しい。
 東北、上越に飽き足らず、整備新幹線でこれ以上の環境破壊を続けることは、後世に悔いと負債を残すこととなる。
・直下型地震に対策は万全か 流山市 小西 繁(会社員 60歳)
 新幹線開業の年の5月、国電の運転士から新幹線運転士として転勤しました。同僚に送り出されるとき「真っ先に事故で死んでしまうんじゃないのか」といわれたのを忘れません。
 しかし、30年余、新幹線は死傷事故ゼロの記録が続いて当然だと思っています。時速200`の速度を初めて経験したとき、あの背すじが寒くなるような感覚を思い出しますが、そんな高速でも新幹線は安全だという確信がありました。
 ATC(自動列車制御装置)は、安全を根底にしてできているからです。それはフェイルセーフという疑わしいときは必ず電車が停止する方向に働くようになる設計思想と相和して、完全なものにしています。
 自然現象に対しても列車を止める思想が徹底しています。風速計、雨量計がATCに直結していますし、沿線から離れた地点の地震計も同様です。しかし、直下型地震は心配です。阪神大震災は、運転時間帯でなかったのが幸いでした。もう一つ将来に気がかりなのは、トンネルや橋など新幹線建造物の老朽化です。これをどう安全に乗り越えるかが今後の課題でしょう。
・初乗りの姑は覚悟秘め出陣 東京都 田中 寛子(主婦 57歳)
 新幹線開通早々に、明治生まれの姑(しゅうとめ)が、家族の中で一番乗りすることになった。娘婿らを護衛に付けてのご出立だが、超スピード列車への挑戦は、無事に戻れるという保証はないので、おだぶつになるかもしらんとの覚悟も秘めて、しかし、ひるむことなく堂々の出陣だった。
 その姑が、英雄気取りで帰ってきて「なんてこっちゃない、ただ速いばっかだ」と感想を述べ、「お前ちゃも乗ってみらっしゃい」と勧誘にリキを入れることしきりになった。
 この姑、以前はデパートのジュウタンの上を、草履を脱いで足袋でおそるおそる歩き、水洗トイレに仰天して、便所から水が噴き出たと騒いだエピソードの持ち主だが、今や、新幹線を”流線形列車”と説いて悦に入っている。
 しかし、若いころ、初めて見た蒸気機関車のほうが、流線形列車より、なんぼか「べっくらこえた」そうで、蒸気機関車を見た時の感激には及ばなかったという。それでもめい土の土産には上等な体験だと上気し、いっぺんでも連れ合いにも乗せてやりたかったと亡き夫に思いをはせた。
 その後、上越新幹線にもチャレンジし、だれよりも多くの乗車を積み重ねた姑は「ハイカラな世ん中を見せてもろて幸せもんじゃった」と言い残して長い旅路についた。
・沿線補償金が転がり込んで 西宮市 花岡武文(無職 69歳)
 昭和35年ごろだったか、当時の給料から考えると、とてつもない金額で、小さいながらも家を買った。たんぼの広がるのどかな田園風景の残る大阪市東淀川区西淡路町である。
 しばらくして近くに国鉄の大きな駅(新大阪駅)ができ、東京と結ぶ弾丸列車が走る大工事が始まるらしいとのうわさが広がった。四つつじには「沿線被害者同盟」の名による掲示が出され、家々にも集会の知らせや反対の趣旨のちらしが配布された。
 集会に出ると、発起人らしい人々が盛んに檄(げき)をとばしていた。いわゆる抗議集会である。
 抗議行動もしたが、工事は始まり着実に進行して行った。ある晩集会があり、役員から「国鉄側が、沿線被害補償費として線路に近い家には、その距離に応じて一定の金額を支払いたいと言ってきている」という説明があった。
 拙宅もその補償対象内に入り、当時としては高額な補償費をいただき、家の購入費用に充当し、肩の荷が軽くなった。本当に「棚からぼた餅(もち)」の感があった。
 新幹線完成の時は、試乗招待を受け、名古屋往復を家族一同で楽しんだ。約30年前の思い出である。
・旅の風情消え孤独感味わう 高松市 和田幸雄(無職 63歳)
 旅は人を日常性から解放し、未知なものに出あうことによって心を豊かにしてくれる。
 私の旅は、各駅停車から始まり、夜行列車、寝台列車、新幹線へと移り変わっていった。その過程でいろいろな人と知りあい、いろいろなことを経験した。
 ところが、初めて新幹線に乗った時に奇妙な光景を目にした。みんなものも言わず、週刊誌を読んでいるか、居眠りをしている。
 ミカンを食べながら、向かいの人と話をしながら旅をするのとは違っていた。群衆の中の孤独のようなものを感じた。その後、研究会や同窓会、結婚式などに度々利用しているうちに、自分もそうなっていることに気づいた。
 新幹線ができたことによって、人はもちろんのこと、物を運んだり、情報を運んだりすることが便利になり、都市と地方の文化の差が縮まってきたことは確かだ。一日で目的地を往復できる。定年後の私の旅む楽になった。
 しかし、何となく味がない。景色が飛んでゆくのである。そこで新幹線と在来線を併用して旅を楽しんでいる。新幹線はもうこれ以上速くならないでいい。
・母校は移転し実家は線路に 大阪市 鯛天晶子(小学校教員 43歳)
 私にとって人生の転機が新幹線と言っても過言ではない。もし新幹線が開通しなければ、引っ越しも、友との別れもなかったのだから…。
 昭和38年、当時私は6年生だった。日本で初めての東京オリンピックが次の年開催されるということで、日本中は開催に向けて工事が始まった。
 交通輸送量の増加をはかるという意味で当時夢の超特急ができるというのは、大人たちにとってすごいことだった。
 でも私たち子供にはつらいこともあった。新大阪駅と梅田駅を結ぶ地下鉄(御堂節線)開通に向けて、その路線にあたる家々は立ち退きになった。小学校も移転した。幼稚園から6年生まで楽しく過ごしていたのに、2学期、それも終わりごろ、転校が決まった。
 友達の中には同じ地域の別の所へ移り住んだ人もいたが、我が家は祖父が70歳近いこともあり、店をやめることになり引っ越すことになった。
 もしこの転機がなけれは、私はどんな人生を歩んでいただろうか。6年生の秋、写生会でかいた絵は、なんと新大阪駅の工事現場の鉄骨だったのである。今では実家に帰る時、地下鉄で元の自分の家の上を通っている。
あのころは 科学の独走が不安 70年代後半を目ざして、国鉄は超高速のリニアモーター列車を東京−大阪間に走らせる見通しがついたという。新幹線の誕生から十数年で時速500`の実現−驚くべき科学技術の進歩である。だが私は考える。いったい科学文明はこれ以上進む必要があるのだろうか、と。人間は昔から大して変わらないのに、科学だけが人間を追い抜いて独走する。「人間疎外」の危険をいいながらみずから「疎外」化を推し進めるとすれば、人間とは実に勝手なものだということになりはしないか。
 リニアモーター列車の模型写真を見ると、戦時中の少年向き冒険小説にあった火星の列車によく似て、何ともグロテスクである。ミサイルといい、月旅行といい、そして超高速列車といい、空想科学小説の描いた世界がだんだん夢でなくなってゆく。そのうちに「見えない飛行機」が開発されるようになるかも知れない。
 経済発展のことはよく知らないが、新幹線では遅すぎるのだろうか。「ナショナル・プロジェクト」の陰に、鉄道輸送の地域格差是正や雪害対策など、庶民の生活に密着した地味な公共事業がおろそかにされる心配はないのか。東京から神戸へ行くのに東海道線でなくわざわざ中央本線経由で行く人がいた。車窓の山岳風景が好きだからという。それが「人間」の旅というものだろう。
 科学の急進歩が、人間生活のある面を便利に快適にする半面、大切なものを人間から奪ってゆくことも忘れてはなるまい。科学の歩みにストップをかけるのは人間である。科学文明よ、いいかげんで歩みをとめよ。(鎌倉市・大学講師)=昭和45年1月6日、東京本社版「声」(朝日新聞)
29日■地下鉄サリン 逮捕・手配のオウム信徒 41人の役割ほぼ解明
 死者12人と約5500人の重軽症者を出した東京・地下鉄サリン事件で、警視庁築地・大崎両署の合同捜査本部は、殺人、殺人未遂容疑で逮捕状を取ったオウム真理教の信徒41人の役割分担を29日までの調べで、ほぼ解明した。これまでに教団代表の麻原彰晃容疑者(40)ら34人を逮捕、逃走を続けている7人を特別手配しているが、押収した資料や信徒の供述から、大別して謀議・計画、施設の建造・警備、薬品の調達、サリン製造、電車内への置き去り役を分担していたことを割り出した。特捜本部は、個々の役割とつながりについてさらに分析し、容疑を固めている。
 サリンを製造し、地下鉄の電車にばらまくという事件全体の「謀議・計画」は、麻原容疑者と、刺殺された教団「科学技術省」トップの故村井秀夫氏、「建設省」トップの早川紀代秀容疑者(45)の3人が練ったとされる。
 この計画に沿って、山梨県上九一色村にサリン製造のための施設建設が始まる。「第三上九・第七サティアン」は、早川容疑者が建設の総責任者になった。「建設省」幹部の池田悦郎容疑者(36)が現場責任者として指揮を執り、「科学技術省」の高橋昌也容疑者(27)が配管設備、富樫若清夫容疑者(35)が配電設備を担当したとみられる。「建設省」の岡田弘幸容疑者(32)もこれに加わった。
 第七サティアンは「重要施設」として、一般の信徒も近づけなかった。その警備を担ったのが、元プロボクサーで「科技省」の藤氷幸三容疑者(34))だった。
 「薬品調達」の中心は、私立大学薬学部出身の長谷川歳之容疑者(26)で、教団関連の薬品会社2社の社長を務めていた。サリンの原材料、三塩化リンなどの化学物質の大量買い付けを、教団「自治省」の寺島敬司容疑者(35)とともに実施した。
 サリンの研究は、施設や薬品などがそろった1993年に本格化した。故村井氏のほか、教団「法皇内庁」トップで麻原容疑者の主治医でもある中川智正容疑者(32)、「厚生省」トップの遠藤誠一容疑者(34)に、「厚生省」ナンバー2 サティアン裏に専用の実験棟を持っていた。ここでサリン製造の実験データの集約や、作業の補助をしていたのが、「厚生省」の森脇佳子(30)、垂井明美(40)、菊池直子(23)、宮崎乃理子(34)の女性容疑者だった。
地下鉄サリン事件に関与したとされる主な容疑者の役割
(村井氏以外はいずれも容疑者、※は特別手配者)
●謀議・計画
 麻原彰晃、故相井秀夫氏、早川紀代秀
●施設ま建造・警備
 早川(総責任者)
 池由悦郎(現場責任者)
 高橋昌也(配管設備担当)
 富樫若清夫(配電設備担当)
 岡他弘幸(建設)
 藤永幸三(警備)
●薬品調達
 長谷川茂之、※寺島敬司
●サリン研究・製造
 村井氏、中川智正、遠藤誠−、土谷正実、渡部和実、森脇佳子、
 垂井明美、※菊地直子、宮崎乃理子、細川高伸
●実行
 井上嘉浩(指揮)
▼置き去り役
 林郁夫、豊田亨、横山真人、※林泰男、広瀬健一
▼送迎役
 新実智光、北村浩一、高橋克也、外崎清隆ら
「実行」グループは、「諜報(ちょうほう)省」トップの井上嘉浩容疑者(25)を指揮役に計11人。千代田線など3線の電車5本にサリン入りの袋を持ち込んでガスを発散させたのは、「治療省」トップの林郁夫(48)、「科技省」の豊田亨(27)、横山真人(31)、林泰男(37)、広瀬健一(30)の5容疑者。
 この5人を駅に送り迎えしたのが、「自治省」トップの新実智光(31)、同じ「自治省」の北村浩一(27)、「諜報省」の高橋克也(37)、「建設省」の外崎清隆(31)の各容疑者らとされている。
 「西信徒庁」の細川高伸容疑者(28)は事件後、土谷容疑者とともにサリンの実験データなどを隠滅した疑いが持たれている。(朝日新聞 夕刊)
30日■原料、事件の夜隠す 地下鉄サリン「麻原容疑者が指示」
 山梨県上九一色村のオウム真理教施設の地下で発見されたサリン原料の大量の三塩化リンなどは、教団代表の麻原彰晃容疑者(40)=殺人・殺人未遂容疑で逮捕=の指示で、別の場所から移されていたことが29日、警視庁築地・大崎両署の合同捜査本部の調べで分かった。指示は東京・地下鉄サリン事件の当夜だったという。麻原容疑者は調べに対して、容疑の黙秘、否認を続けているが、捜査本部は少なくとも証拠隠滅に関与した疑いが濃厚になったとみて追及している。
 一連の事件で、警視庁など捜査当局に逮捕された信徒の供述や調べでは、麻原容疑者は3月20日夜、教団「科学技術省」トップの故新井秀夫氏らに対して、三塩化リンとフッ化ナトリウムの2種類の化学物質を、施設内の倉庫から「第二上九・第六サティアン」そばの「治療棟」と呼ばれる建物の地下などに隠すよう指示したという。
 これを受けて、村井氏らは翌21日にかけて三塩化リンなどを移動させて隠したが、捜査当局は3月22日からの一斉家宅捜索でドラム缶185本の三塩化リンを発見、押収した。麻原容疑者を逮捕した今月16日の捜索でも、治療棟1階の鉄板の下のコンクリートをはがしたところ、新たに275本の三塩化リン入りドラム缶を発見した。
 有機化学の専門家によると、三塩化リンとフッ化ナトリウムはサリンを製造する時に不可欠な物質という。
・東信徒庁トップ逮捕
 警視庁公安部は29日、犯人隠避容疑で指名手配したオウム真理教「東信徒庁」トップの飯田エリ子容疑者(34)を、同日午後、同容疑で逮捕した。(朝日新聞)
■「サリン発生の傘多摩川に捨てた」 信徒供述
 東京・地下鉄サリン事件で、警視庁築地・大崎両署の合同捜査本部に殺人、殺人未遂容疑で逮捕されたオウム真理教の信徒が取り調べに対し、「サリンの発生に使った傘を逃げる途中、多摩川に捨てた」と供述していることが29日、分かった。捜査本部は30日、捨てたとされる場所を捜索して傘の発見に努める。(朝日新聞)
■声 混雑する駅の心冷たい人々 久喜市 黄 秀娥(学生 24歳)
 初めて日本にきた時、びっくりしました。なぜ日本の電車はそんなに込むんだろう、理解ができなかった。
 駅の中で、立ってるだけであたまが混乱してしまう。ちょつとのんびりしたいけれどもむりです。すぐうしろの人に押される。みんな駅に入ると、なんかすっかり変わってしまう。
 ある日の朝、私はとんでもないことにあいました。いつものように電車にのって、学校に行く途中、ちょうど電車がくる1分前につきました。みんなあいかわらず、きれいにならんで、表情はおちついていました。
 やがて電車がきました。ところがみんなつぎからつぎに押し込んで、めちゃっくちゃ電車に入り込んだ。あまり混乱して、足をふまれて靴を落としてしまいました。
 「ちょっとまって、くつを落としちゃったの」と私は叫んで、あわてて拾おうとすると、みんなの足に靴をけられて、ついに線路におちてしまいました。
 あの日私は遅刻しました、早く出たのに遅刻してショックだった。
 みんな自分のことしか考えないで、席をとりたがって、人が困っているのに知らないふりをしていました。
 東京の人の冷たさにあきれてしまいました。私は駅員の人に、靴を拾ってもらい次の電車にのって学校に行きました。(朝日新聞)
31日■阪神電鉄本線 26日から再開 阪神間 3線完全復旧へ
 阪神電鉄は30日、阪神大震災(兵庫県南部地震)で御影−西灘間(神戸市、3.1`)が不通になっている阪神本線について、これまで「7月上旬」としていた開通時期をさらに早め「6月26日始発から梅田−元町間の全線で運転を再開する」と発表した。
 これで同線は震災後約5ヵ月ぶりに全面復旧し、既に開通しているJR東海道線、6月12日全通予定の阪急神戸線と合わせ阪神間の3線が同月中に震災前の状態に完全復旧。被災地の復興にもいっそう弾みがつきそうだ。
 同社は「全線開通後は特急や急行の一部を除き、ほぼ震災前のダイヤで運行する」としている。(京都新聞)
■阪急、阪神は赤字転落 関西大手私鉄決算
 関西私鉄大手5社の1995年3月期決算が30日出そろった。阪神大震災で直接被害を受けた阪急電鉄と阪神電気鉄道が当期損益で赤字に転落。近畿日本鉄道などほかの3社も、景気回復の遅れやコスト増などで経常利益が2けたの減益と、いずれも厳しい決算となった。
 本業の鉄道部門は、企業の雇用調整に加え、昨夏の猛暑と大震災による外出の手控えが影響し、阪急、阪神、京阪電気鉄道の3社で定期券収入が減少した。
 特に震災で不通が続いた阪急、阪神は旅客収入の減少幅が大きく、修繕費など多額の災害損失も響いた。阪神は土地売却益と、兼業部門の不動産分譲で辛うじて経常段階で増益を確保している。
 近鉄は三重県のテーマパーク「志摩スペイン村」の開業で長距離輸送が増加。南海は関西国際空港の開港で空港−大阪・難波間の輸送が好調となり、景気などによる減収要因を補った。だが南海は同路線に投入した新型車両の減価償却費で、近鉄は人件費やレール修繕費が増え、それぞれ減益。
 96年3月期は5社ともに申請中の運賃値上げ実施を見込み、阪急、阪神を除いて増収増益に転じる見通し。(京都新聞)
■ズームカーの”引退”ツアー 南海・きょうから募集
 南海電鉄は30年以上にわたって高野線の主力として活躍、5月末で”引退”する21000系車両(ロマンスシート型)の「ラストランツアー」の参加者を31日から募集する。
 ツアーは6月4日実施予定で、難波(大阪市)−極楽橋(和歌山県高野町)間を往復、撮影会などを予定している。同車両は昭和33年から7年間に計8編成が製造され「ズームカー」の愛称で親しまれてきた。
 申し込みは5月31日午前10時から、南海電鉄難波駅2階「総合サービスセンター」で。定員は128人で先着順。(京都新聞)
■地下鉄サリン計10` 土谷容疑者供述 事件前日に製造
 地下鉄サリン事件で、地下鉄車内にばらまかれたサリンについて、オウム真理教「化学班」責任者土谷正実容疑者(30)=殺人容疑などで逮捕=が警視庁合同捜査本部の調べに対し「事件の前々日から準備に入り、事件前日、約10`を教団厚生省の研究棟でつくった」と供述していたことが30日までに分かった。
 車内に残されたサリン容器の大きさなどから捜査本部が推定した量とほぼ一致しており、捜査本部は、地下鉄事件のサリンは3月18日から19日にかけ、土谷容疑者が山梨県上九一色村にある「厚生省大臣」遠藤誠一容疑者(34)=同=の研究棟で約10`製造したと断定した。
 調べによると、土谷容疑者は「地下鉄事件のサリンは遠藤容疑者の研究棟で自分がアドバイスしながらつくった。3月18日から準備を始め、19日に約10`のサリンを製造した」と供述した。すでに刺殺された「科技省大臣」散村井秀夫氏=当時(36)=の指示だったとしている。
 製造されたサリンは計11個のナイロンポリ製の袋に分けられ、教団「治療省大臣」林郁夫容疑者(48)ら実行グループ5人がそれぞれ地下鉄車内に持ら込んだとされる。
 捜査本部で林容疑者らを追及した結果、5人の役割が判明した。
 それによると、林郁夫容疑者が千代田線に、「科学技術省」幹部林泰男(37)と同豊田亨(27)の2容疑者が日比谷線に、「科技省」メンバー横山真人(31)と同広瀬健一(30)の2容疑者が丸ノ内線にそれぞれ乗車、車内でサリン入りの袋を傘で突き、サリンを流出させたという。5人は事件前日、上九一色村の教団施設で、故村井氏から直接「地下鉄でサリンをまけ」と指示され、サリン入りの袋を手渡されたが、その際、林泰男容疑者は自ら進んで他のメンバーより1つ多い3袋を持って行ったという。
・多摩川の捜索 傘の柄を発見
 地下鉄サリン事件で、警視庁合同捜査本部は30日、サリン入りの容器を破るのに使われた傘が捨てられたとみられる東京都日野市の多摩川河川敷周辺を捜索、川のよどみの中から焼けた傘の柄など数点を発見し、この日の捜索を終えた。
 実行犯として逮捕された信者の一人が「事件で使った傘や衣類を焼いて川に捨てた」と供述しており、捜査本部は発見した柄などを持ち帰って事件と関係があるかどうか鑑定を急ぐ。
 調べによると、発見した柄は木製で先端の部分が金属製。供述によると、事件に使われた傘は「ナイロンポリ」製の袋を破りやすいように先端をとがらせてあったという。(京都新聞)
■来月の26日に阪神電鉄全通
 阪神電鉄は30日、阪神大震災(兵庫県南部地震)以来、不通になっている御影−西灘間(3.1`)で、6月26日から運転を再開させると発表した。これで阪神は全線開通し、神戸高速鉄道の区間と合わせて梅田−新開地間が一本で結はれる。同じように不通区間を抱えている阪急電鉄は6月12日に全線開通する予定で、阪神の開通によって大阪と神戸を結ぶ鉄道がすべてつながることになる。
 また同社は、運輸省に申請中の運賃値上げについて、全線開通までは見送る方針を決めており、この日、6月26日までは実施しないと発表した。
 御影−西灘間は約2`にわたって高架橋が崩れるなど大きな被害を受けた。当初、開通予定は9月末だったが、高架橋の土中の基礎部分がほとんど損傷がなかったことからその分の工事が不要になり、復旧時期が短縮できたという。(朝日新聞)
■地下鉄サリン 報告受けた麻原容疑者「後悔することはない」 林容疑者「腹が立った」
 東京・地下鉄サリン事件で、電車の中にサリンを発散させたとして殺人、殺人未遂容疑で逮捕されたオウム真理教「治療省」トップの林郁夫容疑者(48)が、警視庁築地・大崎署特捜本部の調べに対して、事件後に教団代表の麻原彰晃容疑者(40)=殺人・殺人未遂容疑で逮捕=と会った際、「まるで他人事のように言われ、腹立たしい気持ちになった」と供述していることが30日、分かった。持捜本部は、この時のやり取りが麻原容疑者の事件への関与を解明するうえで重要な手掛かりになるとみて、詳しく調べている。
 供述によると、林容疑者は3月20日に営団地下鉄千代田線の電車にサリン入りのナイロンポリ袋2個を持って乗り込み、傘でつついて穴を開けてサリンガスを発生させた。その後、教団「自治省」トップの新実智光容疑者(31)の運転する車に乗って逃走、山梨県上九一色村の教団施設に戻った。
 林容疑者は、ここで麻原容疑者と会って事件の報告をし、「良心の呵責(かしゃく)にさいなまれている」と話したところ、麻原容疑者から、「後悔することはない」という趣旨の言葉が返ってきたという。
 調べに対して、林容疑者は当時の心境について「期待したようなねぎらいの言葉ではなかった。他人事のように事件を話し、腹立たしくむなしい気持ちになった」と供述しているという。
 麻原容疑者はこのやり取りの際、死ぬことによって魂がより高い位置に到達できるという意味で教団内で使われる「ポア」という言葉を用い、「(教団の)シバ神にポアされてよかったね」とも言ったという。
 特捜本部は、事件を報告した時の麻原容疑者の言葉をきっかけに、教団と麻原容疑者に失望して見切りをつけた林容疑者が、詳しい供述を始めたとみている。
 一方、これまでの調べに対して、麻原容疑者は容疑を否認しているが、特捜本部は林容疑者に対する言葉を詳しく分析することで事件への関与が明確になるとみて、麻原、林両容疑者を追及している。(朝日新聞)
■河川敷で傘の柄?発見 地下鉄サリン
 東京・地下鉄サリン事件で、殺人、殺人未遂容疑で逮捕されたオウム真理教の信徒が「サリンを発生させるのに使った傘や衣類を焼いて捨てた」と供述したことから、警視庁築地・大崎署特捜本部は30日、東京都日野市の多摩川河川敷で捜索をした。焼け跡と傘の柄とみられる金属片などを発見し、関連を調べている。
 これまでの調べでは、3月20日午前8時ごろ、営団地下鉄の5本の電車内で、教団「治療省」トップの林郁夫容疑者(48)=殺人、殺人未遂容疑で逮捕=ら5人が、持ち込んだサリン入りの袋を傘でつついて穴を開け、ガスを発散させたとされる。
 その後、林容疑者ら実行グループは、別の容疑者が運転する車で逃走する途中、日野市の多摩川河川敷に立ち寄り、数本の傘や事件当時に着ていた衣類などを焼き、川に捨てたという。
 捜査本部は、証拠隠滅のほか、傘や衣類に付着したサリンで容疑者グループが中毒になるのを防ごうとしたとみている。(朝日新聞)
■地下鉄サリン事件の直前 教団直営店で謀議? 麻原容疑者ら幹部集結 深夜に乗用車20台
 地下鉄サリン事件直前の3月18日深夜、オウム真理教代表で教祖の麻原彰晃容疑者(40)=殺人容疑などで逮捕=や教団幹部が、東京都杉並区内にある教団経営の精進料理屋に集結し、会合を開いていたことが、31日までの警視庁など捜査当局の調べで分かった。
 この会合は、強制捜査前に捜査当局が麻原容疑者の所在を確認した最後の場所とされ、麻原容疑者のほか複数の教団最高幹部らが出席していたとみられる。
 地下鉄事件や警視庁による強制捜査の直前に当たることから捜査当局は、事件の事前謀議や証拠隠滅工作の打ち合わせが行われた疑いがあるとみて、会合の内容や出席した幹部の顔触れなどについて、逮捕した信者らを追及している。
 調べによると、会合は3月18日深夜から翌日の未明にかけて杉並区高円寺南にある麻原容疑者の娘の名が店名になった精進料理屋で開かれた。午後11時半ごろ、20台ほどの乗用車が店に横付けにされ、麻原容疑者ら教団幹部が入店。19日午前1時ごろ、再び集結した出迎えの車に乗って解散したという。
 会合中には、付近の商店を若い信者が訪れ「メモ帳代わりになるノートはないか」などと尋ね、ノートやメモ帳を買い込んだのも目撃されており、捜査当局は何らかの会議が開かれた可能性が高いとみている。
 会合直後の3月20日早朝には地下鉄サリン事件が発生、22日には目黒公証役場事務長拉致(らち)事件による警視庁の強制捜査が始まった。
 付近の住民らによると、精進料理屋は昨年夏ごろから山梨ナンバーの車で現れた信者らが順次改装作業を行い、秋ごろから開店していた。(京都新聞 夕刊)