1995(平成7)年 2月


1日■湖西線・近江今津−小浜線上中結ぶ鉄道 調査結果県が発表 601億円の事業費が課題 黒字は30年後 事業化厳しく(京都)
  ■雪で東海道新幹線遅れ(京都)
  ■三宮に電車乗り入れ 阪神きょう再開高速神戸まで(京都)
  ■地下鉄に新耐震基準 運輸省が作成者手 土庄の影響再検討(朝日)
  ■補強だけで運転再開へ 橋げた落下 山陽新幹線(京都)
  ■三宮に電車入った 復興への足加速 阪神 単線で往復運転(京都)
  ■”震都”三宮地下に電車 阪神電車 高速神戸と往復運転 ホームに人波戻る(朝日)
  ■雪で立ち往生の車に列車衝突し一時遅れ 滋賀のJR線踏切(朝日)
2日■今津線は5日に全通 阪急(京都)
  ■聴覚障害者に呼び掛け JR京都駅 全国どこでも送受信(京都)
  ■被害額790億円 阪神電鉄の全事業(京都)
  ■鉄道など耐震基準 見直しへ視察次々 専門家ら(朝日)
  ■阪急今津線 5日に全通(朝日)
  ■阪神電鉄 損害額は790億円 約45億円の減収見通し 運賃の再値上げも(朝日)
3日■山陽新幹線 GW明け全通(京都)
  ■被害額、660億円に 阪急電鉄が下方修正(京都)
  ■地下鉄東西線の財源計画 京都市が見通し 30年間で赤字解消 一般会計振り替え 利子負担の軽減化(京都)
  ■新幹線全通5月上旬に 新大阪−姫路間 1ヵ月早まる 芦屋−神戸 東海道線も(朝日)
  ■花隈・三宮−新開地を再開 神戸高速で8日から(朝日)
  ■鉄道復日費3500億円に 運輸省まとめ(朝日)
  ■鉄道復旧まだだが… 神戸の駅弁復活 給水とプロパンで(朝日)
  ■地下鉄東西線 国が補助金 市、一般会計からも(朝日)
  ■ダイヤ改定 4月に延期 JR西日本(朝日)
  ■運賃値上げの公聴会 来月14、15日に(朝日)
  ■阪堺電車運賃値上げ 運輸審で認可(朝日)
  ■2万円賃上げ要求を決定 私鉄総連拡大中央委(京都)
  ■声 自動改札機が脱出遮る恐れ 豊中市 野中正浩(会社員 32歳)(朝日)
  ■京都府の新年度予算詳報 交通網(京都)
  ■阪神大震災で不通 新幹線分断の影響じわり JR 九州・四国も減収深刻 飛行機 フル回転大型機投入 中高生修学旅行直前で変更(朝日)
4日■山陽新幹線橋脚施工ミス 継ぎ目、被害集中(京都)
  ■阪神大震災 山陽新幹線の全面復旧 5月上旬は微妙に 運輸省検討委 耐震性強化を提言(朝日)
  ■山陽新幹線 橋脚施工ずさん 千葉工大教授指摘 「接合部の強度不足」(朝日)
  ■壊れた電車リサイクル(朝日)
5日■京浜急行銃撃事件 5人目の容疑者逮捕(京都)
  ■阪急今津線 全線が復旧(京都)
  ■戦後50年 社会部記者は見た 1964(昭和39年)東海道新幹線が開業 井上瑞穂
6日■地下街も耐震設計見直し 地下鉄の支柱損壊 基準変更に合わせ 建設省が検討(京都)
  ■阪急今津線が全線で開通(京都)
  ■神戸で震災後 阪急が初運行 高速鉄道・花隈−新開地間(朝日)
  ■三宮−新開地 きょう再開 阪神・山陽電鉄(朝日)
  ■阪神大震災 鉄道復旧へ苦渋・焦り 13社被害多大、減収追い打ち 耐震強化で全通に遅れ?(朝日)
  ■花隈−新開地今朝から開通 神戸高速鉄道(京都)
7日■代替バス4社が大阪−福山間を申請 JR西日本 住吉−三ノ宮に変更(京都)
  ■山陰線経由の貨物列車運行 JR貨物など(京都)
  ■阪急神戸線の全通8月末に 西宮北口−夙川間 独自に耐震工事(京都)
  ■阪急電鉄 神戸線全通は8月下旬 当初計画より1ヵ月遅れ(朝日)
  ■阪神電車が脱線 梅田−青木間が一時不通 未明回送中 尼崎駅構内(京都)
  ■阪神脱線 点検十分にせず 復旧に”あせり”か(京都)
  ■地下鉄東西線 大津から直通運転 京阪が京都市と基本協定(京都)
  ■阪神の回送電車脱線 未明の尼崎駅 15万人の足乱れる 震災で台車故障か(朝日)
  ■「市営地下鉄復旧早まる」 神戸市交通局 見通しを変更(朝日)
  ■鈴蘭台−長田 運転を再開 神戸電鉄(朝日)
  ■阪神電車脱線 バスに列ぐったり 通勤・通学を直撃 「泣きっつらにハチ」(朝日)
8日■京の地下鉄 耐震基準見直しへ 運輸省などの指針後に(京都)
  ■芦屋−住吉 きょう開通 JR東海道線(京都)
  ■電車の空気バネ作動せず 阪神電車事故、放置響く(京都)
  ■山陽新幹線 復旧工法案近く提出 JR西日本「開通見通し、変化も」(朝日)
  ■京都市地下鉄 耐震設計ごく一部 縦揺れの備え全くなし 国の新基準待ち補強策 東西線 現基準でいくしか(朝日)
  ■京阪京津線 東西線と接続へ(朝日)
  ■集団交渉から 離脱申し入れ 阪急、春闘で労組に(朝日)
  ■妙見ケーブル 値上げを申請 能勢電鉄、平均23%(朝日)
  ■声 停電時は開く仕組み 阪急電鉄広報室(朝日)
  ■阪神尼崎脱線事故 故障承知で走行(朝日)
  ■神戸市までJR開通 「2駅だが気分違う」 代行バスに長蛇の列(京都)
  ■JRも神戸まで開通 東海道線・芦屋−住吉間復旧 震災から23日(京都)
  ■回復、半年以上かかる見通し 新交通システム(京都)
  ■JR芦屋−住吉 運転を再開(朝日)
  ■六甲ライナーとポートライナー8月に運行再開見通し(朝日)
9日■新幹線偽造回数券出回る 大阪の金券店 125枚、150万円分(京都)
  ■偽造新幹線券125枚 初の磁気タイプ 大阪の金券店で換金(朝日)
  ■阪神、御影まで11日まで再開(朝日)
  ■JR芦屋−住吉 運転を再開(朝日)
  ■神戸新交通は8月下旬再開 ポート、六甲ライナー(朝日)
  ■賃上げ2万円(平均)要求 春闘スタート 阪神労組は震災で先送り 私鉄総連(京都)
  ■京急銃撃で2人達捕(京都)
  ■私鉄総連 賃上げ2万円を要求 春闘本格スタート 阪神は中央交渉離脱(朝日)
10日■神戸−灘間 20日ごろ開通 JR西日本が方針(京都)
  ■阪急、値上げ凍結 神戸線復旧、全線開通まで(京都)
  ■阪急全線で値上げ凍結 復旧完了の秋まで(朝日)
  ■JR九州子会社 東京協和に 20億円預金 高金利にひかれる?(朝日)
11日■近鉄も一部改正 来月16日から(京都)
  ■北陸線など4月ダイヤ改正 S雷鳥に新車両導入 JR西日本(京都)
  ■青木−御影間 きょう再開 阪神電鉄(京都)
  ■JR神戸−灘間20日再開 山陽新幹線 高架柱など耐震改築(京都)
  ■新幹線復旧 支柱に鉄板巻き補強 JR西日本 工法を決定 開通はGW明け(朝日)
  ■青木−御影間 きょう開通 阪神電車(朝日)
  ■JR灘−神戸間 20日始発から運転を再開(朝日)
  ■声 新幹線復旧は安全が最優先 鹿児島市 雨宮 仁(フリーライター 64歳)(朝日)
12日■新幹線 京都−新大阪 来月末に正常化(京都)
  ■神戸の地下鉄16日全線開通(京都)
13日■阪急神戸線で一部復旧 御影−王子公園(京都)
  ■光明池−和泉中央 泉北高速鉄道 4月から延伸(朝日)
  ■阪急の御影−王子公園開通(朝日)
14日■窓 踏切待ちでも感じ方は違う 福知山市・山口秀樹(中学校教員・34)(京都)
  ■運賃11%値上げ申請 男山ケーブル(京都)
  ■阪急も春闘の集団交渉離脱 復旧を最優先(朝日)
  ■阪神・近鉄・南海・京阪 運賃値上げどう説明? 来月中旬、公聴会予定 阪急、凍結決定で波紋(朝日)
  ■JR和田岬線 あす運行再開(朝日)
15日■JR播但線、福知山線、加古川線←→山陰線 う回ルート大混雑続く 乗客、通常の10−20倍 増発や増結追いつかず(京都)
  ■列車にひかれ被災男性即死 向日のJR線路で(京都)
  ■新超特急デビュー遅れ 山陽新幹線 車両メーカーが被災(朝日)
  ■鉄道復旧向け 阪神など5社 兵庫児・神戸市に助成要望(朝日)
  ■JR・阪急、低利融資 阪神は補助金で支援 運輸省検討(朝日)
  ■神戸阪急、来月10日再開 震災被害、全体で27億円(朝日)
  ■地下鉄工事を再開 神戸市営「海岸線」月内にも(京都)
  ■JR和田岬線が復旧(京都)
16日■神戸市営地下鉄 きょう全線開通(京都)
  ■私鉄春闘、東西分離に 中央集団交渉 京阪、南海、近鉄も離脱 ストなしの公算(京都)
  ■市営地下鉄 全線が開通 きょう1ヵ月ぶり 神戸(朝日)
  ■大阪−防府 バス運行へ 近鉄と防長交通(朝日)
  ■東須磨−須磨寺間 21日始発から再開(朝日)
  ■京都駅前と北大路駅上 来月誕生 京都市内に2ショッピングゾーン
  ■阪神大震災 山陽新幹線の高架橋 揺れ、地表の3−5倍 鉄道技術総研解析 共振現象で増幅(朝日)
  ■神戸市営地下鉄 1ヵ月ぶり全通(朝日)
  ■北大阪急行が値上げ(朝日)
17日■近鉄京都線立体交差化に41億円(京都)
  ■時時刻刻 震災1ヵ月 交通網復旧 残る「難所」(朝日)
  ■京都市新予算案 総額1兆5650億円 実質伸びゼロ 緊縮型 地下鉄に食われる「福祉」は4.8%増を確保(朝日)
  ■私鉄総連 スト構えず交渉か 震災考慮 ブロック別の公算大(朝日)
  ■大阪市営地下鉄 耐震強化へ来月着手 13憶5000万円 補正計上 まず高架橋補強(朝日)
18日■リムジンバスのダイヤ改正 京阪宇治交通関空国際便に合わす 来月17日から(京都)
  ■大阪−神戸 電車乗り継ぎOK JR・阪急・阪神リレー輸送(朝日)
  ■新幹線高架橋 無傷の柱590本も強化 山陽・東海道 耐震へ鉄板巻き(朝日)
19日■窓 新幹線の安全神話見直そう 守山市・宮川正祐(無職・69)(京都)
  ■洲本で震度4 JR山陽線徐行運転(京都)
  ■JR神戸−灘などあす開通(京都)
  ■「はるか」緊急停車 西京、放置自転車はねる(京都)
20日■JR神戸−灘 きょう開通 阪神三宮−岩屋も(京都)
  ■三宮−梅田 電車で通える きょうJR灘−神戸と阪神岩屋−三宮が開通 阪急乗り継ぎで(朝日)
  ■神戸−大阪 「電車で移動」可能に JR・神戸−灘 阪神・三宮−岩屋が開通(京都)
  ■山陽新幹線 5月連休前に全通へ(京都)
  ■商店街に通勤の列 神戸から大阪電車乗り継ぎ 駅間歩いて移動(京都)
  ■はねられ2人死傷 八木町のJR山陰線(京都)
  ■ニュートラムポイント故障 中ふ頭駅近く(朝日)
  ■列車にはねられ 作業員2人死傷 京都・八木町の山陰線(朝日)
  ■三宮−梅田 電車「リレー開通」運転再開 JR 灘−神戸 阪神 岩屋−三宮 一部区間は阪急 定期・回数券相互利用OK(朝日)
21日■新幹線車内で乗客刺す 殺人未遂容疑 男を現行犯逮捕(京都)
  ■山陽電鉄が一部復旧 須磨寺−東須磨間(京都)
  ■あの場所はいま 阪急神戸線 ”終着駅”いつまで(京都)
22日■北陸線中心に 春の臨時列車 JR西日本(京都)
  ■あの現場はいま 消えた名物ビル 空襲は生き延びたが…(京都)
  ■叡電、値上げ申請 15%、1区間200円に(京都)
  ■叡山電鉄値上げ申請(朝日)
23日■1日から運転再開 阪急甲陽線(京都)
  ■5月連休明け復旧 JR灘−住吉間(京都)
  ■東海道新幹線 震災で乗客75−80%に(朝日)
  ■JR新長田駅来月10日めどに仮駅舎(朝日)
  ■阪急甲陽線は 来月1日再開(朝日)
24日■京都市 公共工事 震災で遅れ 半数越す44件影響(京都)
  ■阪神本線、全通は秋 正常ダイヤ、来春以降 計画策定に着手(朝日)
  ■「大開駅」特異ケース(京都)
  ■あの現場はいま 阪神・石屋川車庫 車両の撤去はかどらず(京都)
25日■伊丹駅発着区間 阪急が値下げへ 仮駅開業に合わせ 来月中旬 距離短縮を重視(朝日)
  ■阪神本線、全面開通は9月末(朝日)
  ■申請通りに 値上げ方針 阪神電車の運賃
26日■阪神大震災 爪痕 地下の崩落 未経験の事態に絶句 科学の目地中に届かず
27日■CTCの故障で新幹線一時不通 姫路−相生間(京都)
  ■運行表示が誤点灯 姫路−相生一時不通 山陽新幹線14本運休(朝日)
28日■イベント列車も運行 KTR春のダイヤ(京都)
  ■私鉄運賃値上げ110番 京都消団連、あすと2日 京の消費者の声集約(京都)
  ■梅田−御影に特急 1日から阪神電鉄(京都)
  ■「トロッコ列車」が来月2日から再開(朝日)
  ■阪急が値下げ申請 伊丹駅発の運賃(京都)
  ■架線切断で 一時不通に JR関西線(朝日)
  ■震災時…神戸の地下に電車13本 乗客420人 1時間かけて3.2`歩き駅へ 唯一の頼りは非常用の電源(朝日)
  ■阪急が値下げ申請 伊丹駅発着の44区間分(朝日)



1日■湖西線・近江今津−小浜線上中結ぶ鉄道 調査結果県が発表 601億円の事業費が課題 黒字は30年後 事業化厳しく
 滋賀県は31日、JR湖西線の近江今津駅と同小浜線の上中駅を結ぶ新鉄道建設事業化の可能性をさぐる調査結果を発表した。
 実現すれば、京都−小浜間の所要時間は1時間弱と半分以下に短縮されるが、事業費は約600億円を想定。1日平均約6300人の観光客が利用して、やっと30年後に黒字に転換するなど事業化は厳しい状況−としている。
 福井県との合同調査で、民間の調査機関に委託し93、94年度の2ヵ年にわたって実施された。
 ルートは近江今津−上中駅間約19.8`で、▽単線電化で両駅間に日置前(今津町)、角川(同町)など3ヵ所に中間駅を設置▽特急列車は大阪−舞鶴間を1日6往復程度。普通列車は近江今津−上中間を1日20往復−と想定。
 こうした想定をもとにした事業費は湖西線との立体交差案が最も高く530億円。
 輸送需要は、福井県が独自に実施した嶺南地域の調査では、30年後の観光客ら定期外の利用を6279人と予測している。
 その場合、物価上昇などを考慮に入れた事業費は601億円に増えるが、自己資金や寄付など100%無償資金で構成されているとすれば、30年目で黒字への転換が見込まれる。
 一方、定期外利用を近隣の北近畿タンゴ鉄道並みとすると、30年後の需要予測は約2800人。黒字にはほど遠く、約240億円の運営補助が必要になるという。
 県では「今後も福井県と協議していくが、まず601億円の事業費をどうするか。加えて前提となる輸送需要が本当に確保できるのか、など難しい課題がある」としている。
 新鉄道構想は「琵琶湖・若狭湾リゾートライン」として、両県では地元自治体の長や議員らで建設促進期成同盟会を結成。独自の建設計画を検討するなど実現に向け取り組んでいる。(京都新聞)
■雪で東海道新幹線遅れ
 東海道新幹線は滋賀県・米原周辺の降雪のため、31日始発から午後にかけ、全列車に20分から30分の遅れが出た。JR東海によると雪は断続的に降り続いており、同線は終日遅れが出る見通し。(京都新聞)
■三宮に電車乗り入れ 阪神きょう再開高速神戸まで
 阪神電鉄は、不通が続いていた三宮−高速神戸間(2.4`)で、1日始発から運転を再開する。
 1列車(4両編成)による単線往復運転で、上下計94本。1日延べ4万7000人の輸送が可能になる。阪神電鉄線で三宮以西の区間が開通するのは、地震発生以来初めて。
 三宮−高速神戸間は、途中の三宮−元町間が阪神本線、元町−高速神戸間が神戸高速鉄道の線区。神戸高速鉄道は車両を持たず、この区間には、山陽電鉄なども乗り入れているが、地震発生以来、不通が続いていた。
 阪神電鉄は運転を再開している本線の梅田−青木間で混雑緩和のため、1日から昼間時間帯に特急電車上下72本を運転する。(京都新聞)
■地下鉄に新耐震基準 運輸省が作成者手 土庄の影響再検討
 運輸省は地下鉄のトンネルが地震時に受ける土圧の影響を見直し、新たな耐震基準の作成に着手した。地下鉄のトンネルは周囲の地盤と一緒に動くため耐震性が高いとされ、地震によってかかる土圧を実際に計算せずに建設された地下鉄が多い。しかし、阪神大震災では、激しい上下動による土圧で、神戸市営地下鉄や神戸高速鉄道のトンネルの天井や支柱が押しつぶされた。運輸省は、今回の地震でどの部分にどのような土圧がかかったのかを解明し、新基準を作成する。
 運輸省によると、地下鉄のトンネルは、いつも土による圧力を上下左右から受けている。このうち、最も大きいのは上下からの土圧で、左右からの土圧は上下からの数割程度という。地震時には地盤と一緒に上下動するとされ、上下からの土圧はほとんど無視し、左右からの土圧についてのみ2割程度の強化策をとってきた。
 このような現在の地下鉄の耐震構造の原点は、1927年12月に運転が開始された帝都高速度交通営団(営団地下鉄、東京都台東区)の銀座線の設計。営団地下鉄の前身の「東京地下鉄道」が、当時の内務省の方針に沿って25年に作成した耐震基準では、地震時の土圧を「水平方向」と「上下方向」に分けて想定し、「水平」は自重の2割か3割、「上下」はその半分以下で、「横揺れ重視」だった。
 営団地下鉄によると、設計に着手する2年前に発生した関東大震災が激しい横揺れだったことが、当時の内務省や設計担当者を横揺れに対して、かなり慎重にしたらしい。
 その後、国内で地下鉄を建設するにあたっては「地震で怖いのは横揺れ」という考えが一般的で、東京を除く多くの地下鉄が、地盤に応じた地震時の土圧の再検討をしなかったという。
 神戸市交通局や運輸省は「各地の地下鉄事業体が地震時の土圧を計算するなどして独自で耐震基準を作成するのは能力的に限度がある」と説明している。
 神戸市内の現場を視察した大阪市交通局の技術者らは今回の崩壊原因を「硬い花こう岩層が地表近くにあるなど、地形上の特徴が影響して上下に大きな土圧がかかった」とみている。
 運輸省も上下の土圧による影響を早急に耐震基準に盛り込まざるをえないと判断。強い土圧が予想される個所の支柱を多くしたり、鉄筋を増やしたりなどの強化策を急ぐ考えだ。(朝日新聞)
■補強だけで運転再開へ 橋げた落下 山陽新幹線
 阪神大震災で、橋げたの落下などで被害を受けた山陽新幹線の復旧について、JR西日本は1日、落下した橋げたを含む地上構造物を全面にわたり「補強工事」だけで運転再開する方針を固めた。
 同社は兵庫県西宮市の阪急今津線の線路上に落下し「阪急今津線跨(こ)線橋」のコンクリート製橋げた(長さ約31b、重さ約100d)計8本などについて現地調査した。その結果、強度に全く問題がないと分かったため、あらためて建設し直す必要はないと判断した。
 特に損壊の激しい新大阪−新神戸間の阪急今津線跨線橋と同じように落橋している新神戸−西明石間の伊川橋梁(りょう)などの橋げたを再使用するという。同跨線橋など計9ヵ所で落下した高架を支えていたコンクリート製橋脚についても地震以前より強い強度を確保できるとしている。(京都新聞 夕刊)
■三宮に電車入った 復興への足加速 阪神 単線で往復運転
 阪神電鉄は1日、阪神本線・神戸高速鉄道の三宮(神戸市中央区)−高速神戸(同)間2.4`で運転を再開した。阪神大震災で壊滅的な被害に遭ったミナト神戸の中心、三宮地区に被災後、鉄道が乗り入れるのは初めて。
 高速神戸駅と約300b離れたJR神戸駅からは既に山陽線が全線開通しており、乗り継ぎはあるものの三宮と兵庫県西部や岡山方面とのアクセスが格段に向上した。
 地下にある阪神三宮駅は地震による大きな被害がなく、高速神戸までのトンネル部分も調査の結果、電車の運行には支障のないことが判明。同社は、地震後トンネル内に残っていた4両編成の電車を使い、両駅間を単線で往復運転することになった。1時間に約3000人、バス約40台分の人を運ぶことができるという。
 始発は午前6時に三宮を出発、高速神戸までの途中、元町(神戸市中央区)など2駅に停車し約20分おきに運転。朝のラッシュ時は三宮に向かう上りが乗車率150%前後と普段の通勤時をやや上回った。
 阪神本線は大阪・梅田−青木(同市東灘区)間が既に開通しているが、全線復旧のめどは立っていない。(京都新聞 夕刊)
■”震都”三宮地下に電車 阪神電車 高速神戸と往復運転 ホームに人波戻る
 阪神大震災(兵庫県南部地震)のため不通になっていた阪神電鉄の三宮−高速神戸間(2.4`)が1日、始発から開通し、神戸市最大の繁華街、三宮に震災後初めて電車が乗り入れた。すでに神戸駅まで乗り入れているJR山陽線との乗り継ぎで、三宮は姫路方面とようやく鉄道で連絡、郊外からの通勤客らの人波が戻った。また、一部通行止めになっていた阪神高速道路の東大阪線と大阪港線は1日午後1時に全線開通。一方、関西の有力私大では、この日から入学試験が本格化、被災した受験生らも試練に挑んだ。
 朝のラッシュ時、姫路方面からの満員電車から通勤、通学客が、地下にある阪神三宮駅のホームに降り立つ光景が、久しぶりに見られた。単線のピストン輸送で、運行本数は震災前の10分の1以下。それでもJR神戸駅と三宮間で代替バスなどを利用していた人たちにとっては、道路渋滞などの心配もなくなった。
 神戸市西区の会社まで行くという芦屋市浜風町の高塚公郎さん(49)は「これで通勤時間が30分は早まるかな」。地震後は、三田方面へ電車で向かい、代替バスと徒歩で通勤に4時間前後かかった。「こういう状態だし、いらいらしてもしょうがない。座って新聞を読みながら電車待ちできるだけいい」
 神戸市灘区の中島久美子さん(20)は兵庫区の会社まで自転車で50分かけて通っていた。この電車の復旧でも通勤時間に大きな変わりはないが、「寒さをしのげるだけ、ありがたいです」と話していた。
 関西ではこの日から、兵庫県西宮市の関西学院大や大阪府吹田市の関西大などのマンモス大で入学試験が始まり、被災地の阪神間でも朝から試験会場に向かう受験生の姿が目立った。(朝日新聞 夕刊)
■雪で立ち往生の車に列車衝突し一時遅れ 滋賀のJR線踏切
 1日午前零時5分ごろ、滋賀県東浅井郡湖北町河毛、JR北陸線第二西堀踏切(警報機、遮断機付き)で、積雪のため踏切内に立ち往生していた近くの会社員伊吹一英さん(27)運転の乗用車に、金沢発越谷ターミナル行き貨物列車(19両編成)が衝突した。伊吹さんは、車外に出ていて無事。貨物列車は現場に33分止まったが、後続列車には影響なかった。
 滋賀県警虎姫署の調べでは、踏切には約50aの積雪があり、伊吹さんの車の底が雪につかえて動けなくなったらしい。(朝日新聞 夕刊)
2日■今津線は5日に全通 阪急
 阪急電鉄は1日、阪神大震災で不通だった今津線仁川−門戸厄神間1.9`を5日始発から再開する、と発表した。6日の予定だったが、復旧工事が順調に進み、1日繰り上げた。これで今津線は全通する。
 他の今月中の開通予定は次の通り。
 【JR】8日=東海道線芦屋−住吉【阪急電鉄】中旬=神戸線王子公園−御影【阪神電銑】中旬=本線青木−御影
【神戸電鉄】9日=有馬線鈴蘭台−長田(京都新聞)
■聴覚障害者に呼び掛け JR京都駅 全国どこでも送受信
 聴覚障害者などの利便を図るために、京都市下京区のJR京都駅で無料のファクスサービスが始まっている。身障者手帳を持つ耳の不自由な人たちであれば、電話の代わりとして気軽に使えるが、今のところ利用者は少ない。京都駅では「お困りの時は、遠慮なく使ってほしい」と一層の利用を呼び掛けている。
 同サービスは、だれにでも利用しやすい駅づくりを目指して、JR西日本が先月10日から実施した。同社管内の87ヵ所の主要駅で、業務用のファクス1台を開放、午前9時半から午後5時までの執務時間内であれば、耳や言葉の不自由な人たちの伝達手段としていつでも使える。
 京都駅では、烏丸出入り口の南側、仮駅舎内の内勤助役室にファクス機を用意している。同室で勤務する駅員に頼めば、全国どこでも、必要に合わせてファクスの送受信が利用できる。
 しかし、広く知られていないためか、これまでの利用は数件だけ。同駅では「サービス全般について、気軽に駅員に問い合わせてほしい」と話している。(京都新聞)
■被害額790億円 阪神電鉄の全事業
 阪神電鉄は1日、バスや不動産など関連事業の被害額が現在分かっているだけで90億円に上る、と発表した。既に明らかになっている鉄道事業を合わせると、790億円に達する。
 主な被害は、自動車事業でバス9台の軽い損傷や停留所の一部など。運動場遊園事業では甲子園球場の観客席に亀裂が入った。
 阪神は、土地建物事業で、三宮駅前のそごう神戸店のビルを区分所有している。北側の壁に上下に亀裂が入って激しく損壊しているが、阪神の持っている西側部分は比較的無事だったため、大きな損害額は計上していない。
 施設が使えなくなったことなどによる減収額は鉄道事業28億円、非鉄道事業17億円の45億円と予想している。(京都新聞)
■鉄道など耐震基準 見直しへ視察次々 専門家ら
 阪神大震災で大きな被害が出た鉄道、道路、港湾の各施設の耐震設計基準を見直すための視察が本格化してきた。運輸省が学識経験者らで組織した「鉄道施設耐震構造検討委員会」が1日から、初の現地視察を始めたほか、土木学会の震災調査団も同日から、道路、港湾などの現地調査に入った。来週には、空港や航空保安施設に関する調査団が関西空港や神戸空港の建設候補地などを視察する予定だ。
 この日、視察したのは、委員長の松本嘉司・東京理科大数授(コンクリート工学)やJR、私鉄、地下鉄の技術者ら20人。復旧費用約700百億円とされる阪神電鉄の本線や山陽新幹線の西宮市内の高架橋落下現場などで損壊状態などを調べた。
 松尾稔・名古屋大教授(地盤工学)を団長とする土木学会の第三次震災調査団も1−3日の予定で、阪神高速や神戸市営地下鉄などを調査する。
 空港の耐震基準の見直しについても、運輸省は「空港・航空保安施設耐震性検討委員会」(中瀬明男委員長・東京工業大名誉教授=土質工学)を組織、来週にも視察団を派遣する計画だ。(朝日新聞)
■阪急今津線 5日に全通
 阪神大震災で不通となっている阪急今津線の門戸厄神−仁川間(約1.9`)について、阪急電鉄は1日、運転再開を予定より1日繰り上げ、5日始発からにすると発表した。線路上に落下していた山陽新幹線の橋げたが撤去され、復旧工事が順調に進んだ。これによって今津線(西宮北口−宝塚)は全線開通となる。
 5日で、阪急の不通区間は、西宮北口−三宮間(約16.7`)と伊丹線の新伊丹−伊丹間(約0.9`)、甲陽線全線(夙川−甲陽園、約2.2`)の3区間となる。(朝日新聞)
■阪神電鉄 損害額は790億円 約45億円の減収見通し 運賃の再値上げも
 阪神電鉄は1日、阪神大震災の損害額が790億円に上り、今年度の減収が約45億円になるとの見通しを明らかにした。詳細については現在集計中としているが、今期の経常赤字は確実視される。阪神本線の御影−三宮間が壊滅的な被害を受け、復旧計画も立てられない状況となっていることから、来期も運賃収入の大幅な減少は避けられない情勢だ。同社はすでに4月1日実施の運賃値上げを運輸省に申請しているが、再値上げの可能性も出てきた。
 損害額の内訳は、鉄道事業約700億円、バス事業や甲子園球場、阪神パークなど運動場・遊園事業などで約90億円。今期の減収額は鉄道事業で約28億円、それ以外で約17億円にのぼるという。
 鉄道事業は、線路や高架橋の崩壊に加え、車両も約300両のうち約70両が使用不能になった。損害額の約700億円は鉄道収入の2年間分以上になる。また、阪神パークは鉄道の復旧を優先するため開園のめどが立てられず、六甲山人工スキー場も周辺道路が不通となっているため、当分の間、営業休止に追い込まれている。
 阪神の9月中間決算での今期見通しでは、売上高は約735億円、経常利益約60億円としていた。それでも現行運賃では、来期は設備投資負担が大きく、乗客も減少傾向にあることから、鉄道収支を約44億円の赤字と想定。これを補うため、1月19日に平均19.7%の運賃値上げを申請した。しかし、阪神大震災の復旧費や運賃収入は見込まれておらず、再検討せざるを得ない状況となっている。(朝日新聞)
3日■山陽新幹線 GW明け全通
 JR西日本は2日、阪神大震災のため新大阪−姫路間で不通だった山陽新幹線(新大阪−博多間)を当初予定より約1ヵ月早い5月連休明けにも復旧したい、と発表した。被災区間の被害状況を詳しく調べた結果、短縮が可能になった。(京都新聞)
■被害額、660億円に 阪急電鉄が下方修正
 阪急電鉄は2日、阪神大震災によって被害を受けた鉄道施設の復旧費を当初公表していた約860億円から約660億円に下方修正した。
 下方修正の主な理由は、当初、ビル倒壊で使用不能と判定された三宮駅が、その後の調査でホームの損傷程度が軽く十分使用できることが分かったため。高架が落ちた神戸線の西宮北口−夙川間も高架部を全面的に取り替えることで、逆に工事費が節約できる−という。
 阪急電鉄は、地震のため阪神間の鉄道線全体に大きな被害を受け、現在も神戸線、甲陽線、今津線などで不通が続いている。(京都新聞)
■地下鉄東西線の財源計画 京都市が見通し 30年間で赤字解消 一般会計振り替え 利子負担の軽減化
 京都市は2日、建設費の大幅膨張が問題となっていた地下鉄東西線の財源計画を明らかにした。昨年6月に点検・推進委員会でまとめた総額4710億円の建設費のうち、一部の46億円分を一般会計事業に振り替えるほか、第三セクター分でも市一般会計の無利子融資などを充て、利子負担の軽減を図る。事業収支も公的資金の活用と三セクの線路使用料の3年ごと改定で30年間までで累積赤字解消の見通しとしている。
 市交通局と理財局の財源計画によると、一般会計事業に振り替えるのは、公営建設区間のうち、ホームの乗客の安全施設として導入するホームドアのほか、地下広場、駐輪場建設負担金など計46億円。振り替えで公営区間の事業費は3114億円となる。
 膨張分は大半が国の補助対象として認められたものの、京阪電鉄の架線電圧の昇圧や出入り口工事など166億円分については対象外となった。
 三セク分では、一般会計から無利子で貸し出す転貸起債が認められたほか、府の貸付金が得られたことから、鉄建公団資金(P線資金)の利用を本年度までとし」利子負担の軽減を図る。建設費1550億円のうち、P線資金は建設利息を含め969億円となり、残り581億円を出資金と市一般会計からの無利子融資で充当する方針。府からの有利子貸付44億円も利用する。
 この結果、全体的な一般会計の負担は公営区間で1969億円、三セク区間で938億円の計2907億円となる。しかし、公営区間では約1180億円、三セク区間でも出資債の元利償還金や貸付金償還費について、それぞれ国の交付税措置があり、約1500億円の交付税を見込んでいる。
 三セク建設区間については、市交通局が線路使用料を払い、建設費の償却を行う。ことになっているが、市は当初の線路使用料を55億円と計算、3年ごとに10%の引き上げで、30年間で累積赤字を解消する計画にしている。
 市は2月予算市会に提案する新年度予算案から出資金や補助金などを盛り込むが、線路使用料の改定は直接、乗車料金の設定や値上げとからむだけに、論議を呼びそうだ。(京都新聞)
■新幹線全通5月上旬に 新大阪−姫路間 1ヵ月早まる 芦屋−神戸 東海道線も
 JR西日本は2日、阪神大震災(兵庫県南部地震)で不通となっている山陽新幹線の新大阪−姫路間の運転再開が5月上旬になるとの見通しを明らかにした。当初の復旧計画では6月初めとしていたが、損壊部分の詳細な調査をした結果、再使用できる橋げたや早期に修復が可能な場所も多く、工期が短縮できるという。これに伴い、在来線を含めた役旧費用は当初見込みの1630億円を1200億円に修正。山陽新幹線だけをみても、復旧費用は730億円から490億円に減額された。復旧は震災前の強度基準で進めるが、同社は2日付で鉄道本部に「山陽新幹線構造物研究会」を設置、復旧作業と並行して今後の補強対策を練る。
 JR西日本の計画では、山陽新幹線について、ゴールデンウイーク明けの5月8日ごろの全線運転再開をめざす。芦屋−神戸間で不通となっている東海道線も約1ヵ月早まり、同じ時期に全線開通の見通しで、復旧費は900億円から710億円に減額となるという。
 5月中旬は中学校の修学旅行が集中する時期。大手旅行会社によると、近畿圏の中学校の場合、1年間のうち約40%がこの時期に集中している。学校関係者は計画変更を迫られていたが、山陽新幹線の全線運転再開時期の前倒しで大きな混乱は避けられそうだ。
 山陽新幹線の震災前の平均乗車率は昨年度実績で48.5%だった。震災後は日によって大きな変動はあるものの、乗客の減少が著しい。同社によると、2月1日の場合、姫路−岡山間や小倉−博多間など3区間の単純平均値ながら、乗車率は約20%まで落ち込んでいる。減収額は現在集計中だが、これが復旧費用の負担以上に経営に大きな打撃を与えている。同社は復旧作業を急ピッチで進め、さらに運転再開の時期を早めたい考えだ。
 一方、鉄道本部に組織された山陽新幹線構造物研究会は、梅原利之常務を座長に、建設工事部や技術開発推進部の幹部ら約10人で発足した。高架橋の破損状況や地盤の状態、補修経歴などの調査結果を学識経験者らに分析してもらうなどして、今後の高架橋の構造強化策を探る。
 運輸省が高架橋などの耐震設計基準を見直すために組織した「鉄道施設耐震構造検討委員会」とも連携し、現在の復旧作業にも対策を反映させるという。(朝日新聞)
■花隈・三宮−新開地を再開 神戸高速で8日から
 阪急電鉄は2日、神戸高速鉄道の花隈−新開地間で6日始発から折り返し運転を始めると発表した。阪神、神戸高速鉄道の三宮一新開地間でも、阪神電鉄と山陽電鉄が6日から折り返し運転を始める。同区間のうち三宮−高速神戸間では、すでに阪神電鉄が1日から折り返し運転をしている。(朝日新聞)
■鉄道復日費3500億円に 運輸省まとめ
 運輸省は2日、阪神大震災で被害を受けたJR西日本や阪急電鉄など鉄道13社の復旧費の合計が3530億円に上ることを明らかにした。当初は4120億円と推定していたが、各社が被害現場を細かく調べた結果、当初見込みよりは少なくてすむことがわかった。JR西日本は1630億円から1200億円に、阪急電鉄は860億円から 660億円に減っている。この結果、阪神電鉄の復旧費は阪急を上回り、私鉄では最大の被害を受けたことになった。(朝日新聞)
鉄道の復旧費の見込み(単位・億円)
JR西日本1200
 山陽新幹線490
 在来線710
JR東海60
JR貨物20
阪神電鉄700
阪急電鉄660
神戸高速鉄道380
神戸市交通局200
神戸電鉄150
山陽電鉄70
神戸新交通60
大阪市交通局20
北大阪急行・北神急行10
合計3530
■鉄道復旧まだだが… 神戸の駅弁復活 給水とプロパンで
 鉄道がほとんど寸断されたままの神戸の街で2日、ひと足先に駅弁が復活した。幕の内、あなご、肉めし、すきやき…。本来の駅売りはまだ一部で、百貨店や企業への販売での再スタートだ。都市ガスも水道もないが、無洗米を調達、給水車とプロパンガスを活用。駅弁づくり90年余の伝統をもつ老舗(しにせ)業者の工場には、久しぶりに湯気が立ちのぼった。
 神戸市東灘区魚崎南町三丁目の「淡路屋」(寺本滉社長)。17日の地震の時は、約20人の従業員が駅弁の詰め込み作業を終えたばかりだった。設備は無事でけが人もなかったが、調理に欠かせないガス、水道が止まってしまった。
 交通網が遮断され、おかずの材料も届かない。従業員も多くが被災した。
 同社は1903年(明治36年)の創業。終戦直後に旧国鉄から神戸駅構内での営業許可を得た。「神戸牛」を目玉にした肉めしやビフテキランチ、加熱装置付きのすきやき弁当、ワインつき弁当などユニークな駅弁で全国に知られ、ファンも多い。
 「一番食料が必要とされている時に休業とは」。営業部長の町桂一さん(43)は悔しかった。
 被災しなかった兵庫県加古川市のプロパンガス販売会社からボンベを確保。水も同市からタンク車で20d搬入。米は洗わなくてすむ無洗米を調達することを思いついた。
 2日中に製造したのは幕の内、すきやき、肉めしなど約2500食分。まだ本来の4分の1程度だが、電力会社や大阪市、明石市の百貨店などに運んだ。JR神戸駅や宝塚駅など一部の駅売りも再開した。神戸市内の災害現場の建設会社や銀行などからも予約が入り、来週から届けるという。(朝日新聞)
■地下鉄東西線 国が補助金 市、一般会計からも
 京都市は2日、建設費が当初の約2倍に膨張した地下鉄東西線に対する国などの支援内容がほぼ固まったのを受け、今後の財源計画を明らかにした。運輸省が難色を示していた国庫補助が膨張分のほぼすべてで認められ、一部認められなかった施設は、東西線建設事業から外して一般会計の事業に振り替えるなどの措置をとっている。
 市の試算によると、市交通局の直営部分で、総額735億円の国庫補助が見込まれている。
 2度にわたる建設費の膨張が分かった昨年6月、運輸省は「膨張は京都市の落ち度であり、全額これまで通り補助の対象にはできない」と厳しい態度を明らかにしてした。しかし、「膨張はやむをえなかった」という市の主張がほぼ認められる形に落ち着いた。
 また、第三セクター「京都高速鉄道」(社長、依田満・市収入役)に対する一般会計の支援についても、自治省は昨年12月、資金を市が起債で調達することを認め、元利償還時にも、市の負担を軽くするため、国から交付税がおりることになった。
 市に必要な同鉄道支援の総額は455億円で、大部分で起債が認められそうだ。さらにその元利償還時には、市の直営部分の起債の償還と合わせ、総額約1500億円の交付税がおりると見込まれている。一方、駐車場負担金など国に補助が認められなかった事業は福祉、都市整備事業などとして、計46億円を一般会計の事業に振り替えた。この結果、東西線建設費は全体で計4664億円に圧縮されている。(朝日新聞)
■ダイヤ改定 4月に延期 JR西日本
 JR西日本は2日、北陸線や京阪神地区の通勤電車を対象に、3月17日に予定していたダイヤ改定を4月下旬まで遅らせると発表した。阪神大震災で、同社の保有する電車や客車約160両が壊れたり脱線したりしたほか、川崎重工業などに発注していた新車両も被害を受けた。この補修作業が間に合わないため、当初の計画を断念した。(朝日新聞)
■運賃値上げの公聴会 来月14、15日に
 私鉄大手などの運賃値上げ申請を審議している運輸審議会は2日、阪神大震災で大きな被害を受けた阪急、阪神を含む在阪の私鉄大手5社の公聴会を、3月14日と15日の午前10時から大阪市中央区馬場町の「KKR HOTEL OSAKA」で開くことを決めた。(朝日新聞)
■阪堺電車運賃値上げ 運輸審で認可
 大阪市と堺市を結ぶ路面電車、阪堺電気軌道(本社・大阪市)の運賃値上げが2日の運輸審議会で申請通り認められた。平均21.4%で、3月1日から実施の予定。1989年11月以来5年4ヵ月ぶりの値上げ。大阪、堺両市の市内乗り切り運賃は現行の180円から200円になる。住吉駅か我孫子道駅で乗り換えるときと、大阪、堺両市にまたがって乗る運賃は250円から280円にアップする。定期は平均15.1%値上げする。(朝日新聞)
■2万円賃上げ要求を決定 私鉄総連拡大中央委
 春闘の相場づくりに影響力のある私鉄総連(池村良一委員長、18万9000人)は3日、東京都内で拡大中央委員会を開いた。午後、2万円(7.0%)の賃上げ要求を正式に決め、経営側に対し9日に要求を提出する方針。
 要求額は94春闘に比べて2000円低く、2年連続の引き下げとなる。
 当初、この日に回答日やストライキの日程など闘争スケジュールも決める予定だった。しかし、阪神大震災の影響で阪神労組が、ストを背景に賃上げ交渉をする私鉄総連の統一闘争に参加しない方針を決めたことから、今月17日の中央闘争委員会まで決定を延期した。
 あいさつの中で池村委員長は「不満な時はストをうつなど闘う組織づくりをすることが重要だが、阪神大震災で大きな被害を受けた阪急、阪神など被災地の組合ではまず復興に全力を注ぎ、沿線の住民の気持ちを察して慎重に対応する必要がある」と述べ、被災地の組合が柔軟な戦術をとることに理解を示した。(京都新聞 夕刊)
■声 自動改札機が脱出遮る恐れ 豊中市 野中正浩(会社員 32歳)
 阪神大震災は大きな被害を出したが、もし発生した時間が昼間だったら、災害以外のパニックでの被害もかなりのものだったと思う。
 そこでふと凝問に思ったのだが、最近の駅の自動改札機が、災害発生特に駅から脱出する時の障害にならないだろうか。従来の人による改札だと、間を通るだけで脱出することが可能なのだが、自動改札では逃げ場を機械によって遮られるのではないか。
 経験のある人は分かると思うが、いったん閉じられた自動改札は結構固く閉じられており、緊急時にたくさんの人間が、そこを抜けて脱出できるのたろうか。また、その時に停電になった場合、自動改札を制御することができるのだろうか。
 災害発生時の脱出の時、自動改札に逃げ道を遮られた人たちがパニックを起こしてしまうということはないのだろうか。何か対策は講じられているのだろうか。ぜひとも電鉄会社の責任者に聞いてみたい。(朝日新聞)
■京都府の新年度予算詳報 交通網
 鉄道・バスでは、JR奈良線の復線化、舞鶴線の電化に向け、事業促進費1200万円を計上。JR山陰線と北近畿タンゴ鉄道(KTR)の園部−天橋立間の電化・高速化事業31億円、KTRの特急列車新造への出資3億6000万円、過疎地域でのバス路線維持へ補助5億7000万円、中小民間鉄道の安全向上や経営改善のための助成一億4000万円などを組んだ。
 また、建設費が大幅に膨らんだ京都市の市営地下鉄東西線建設を支援するため、27億5000万円(うち22億は第3セクターへの貸し付け)を新たに盛り込んだ。
 道路では、京都縦貫自動車道・綾部宮津道路建設促進で、府道路公社への出資と、公共・単独事業合わせて93億7500万円を組んだ。前年度当初に比べ2分の増。(京都新聞)
■阪神大震災で不通 新幹線分断の影響じわり JR 九州・四国も減収深刻 飛行機 フル回転大型機投入 中高生修学旅行直前で変更
 阪神大震災は、1日平均55万人、年間約2億人を運ぶ日本列島の大動脈・新幹線を分断した。不通となっている山陽新幹線新大阪−姫路間の再開は5月上旬になる見通しで、新幹線がこれだけ長期間途切れるのは、1964年の東海道新幹線開業以来初めて。航空会社は臨時使を出して代替輸送に力を入れているが、旅行を控える動きも出始めるなど影響は全国にじわじわと広がっている。
 ●東京駅の東海道新幹線ホーム。列車が入ると、JR東海の社員数人が乗車口に駆け寄る。一人ひとりの乗客に声をかけて指定席券を確認し、手元の表と突き合わせて、新しい座席番号を伝える。乗る車両が変わることもしばしばだ。
 地震4日後の1月21日から、東京−新大阪間はダイヤ通りの運行を始めた。しかし、地震前日に姫路以西に入っていたJR東海の列車15本が取り残された。このため「ひかり」の車両が足りなくなり、代わりに「こだま」や、逆に東海道区間に残されたJR西日本の車両などを使っているからだ。
 地震前に発売した指定席の中には、食堂車になっていたり、グリーン車の席が足りなかったりするものがある。地震直後から、徹夜で座席変更表を作った。
 JR各社の経営にも、打撃を与えた。JR西日本は大幅な減収が予想されるが、当初、減収見通しはおろか、新幹線の乗車率さえ発表しなかった。地震前には95年度中の上場を予定していたが、利益の大幅な落ち込みで上場の基準達成が難しくなっており、神経質になっている様子がありありと見られた。
 2日になってようやく折り返し運転している姫路−博多間の新幹線の平均乗車率が前年の4割弱に落ち込んでいることを明らかにした。巨額の復旧費負担もあり、95年度の株上場は絶望的になった。
 関西方面への旅客減や航空機への乗り換えで、山陽新幹線に接続する列車の乗客も減っている。
 JR東海は1日5、6億円の減収で、西日本と同様に96年度上場の基準達成は難しいとしている。JR九州は1日2億円の減収、JR四国も5000万円。両社とも規模が小さいだけに探刻で、JR九州は今年度決算が初の赤字に転落する見込みだ。
 山陽新幹線とは直接つながっていないJR東日本まで、5%程度の減収を鬼込む。「全般に、旅行や遊びを控える傾向が出ている」という。
 ●新幹線に代わってフル回転しているのが飛行機だ。新幹線「のぞみ」に客足を奪われていた羽田−岡山線や羽田−広島線は連日、満席に近い。全日本準輸は、主要幹線に使っている528人乗りのジャンボ機を広島線に投入、岡山線も大型化させた。
 震災後、1日30往復前後の臨時便が飛んでいる。廃止されていた大阪−広島、大阪−岡山といった短い路線も復活した。
 しかし、にぎわっているのは、新幹線の不通区間をまたぐ短中距離の路線だけ。臨時便の中には、利用率が10−20%でガラガラの路線もある。
 日本航空は、関西空港発の国際線で予約の2−3割がキャンセルされているほか、国内線も1月の利用率が昨年より少し減った。
 「地震で国際線はマイナス、国内線でトントン」という。日本エアシステムは、大阪空港と関西空港を発着する国内線の利用率が、地震前の45%から地震後は29%に落ち込んだ。
 ●福岡市の宮竹中学校の2年生149人は1月31日から2泊3日で、京都と奈良への修学旅行に新幹線で行くはずだった。
 ところが、山陽新幹線が不通になり、旅行会社と相談した結果、21日から広島県へスキーなどに行くことに変更した。
 松隈泰人校長は「見学コースを生徒が自分たちで研究して決め、ずっと前から準備してきたのですが…」と話す。福岡市では市立中学67校のうち17校が、3月までに京都や奈良へ行く予定だった。冬に集中したのは、オフシーズンで宿泊代が安いからだ。15校は急きょ旅行の延期を決め、行き先を広島県などに変えた。
 日本修学旅行協会に入った情報によると、阪神大震災で予定を変更した学校は全国に広がっている。
 東京都立高校のうち数校は、新幹線で広島方面に行く予定だったのを、飛行機で九州や沖縄に行くことにした。福岡県から新幹線を使って長野県などへスキーに行く予定だった高校約50校は、大半が飛行機で東京や名古屋回りに切り替えたほか、片道だけフェリーを使う学校もある。(朝日新聞 夕刊)
4日■山陽新幹線橋脚施工ミス 継ぎ目、被害集中
 阪神大震災で大きな被害を受けた山陽新幹線の橋脚は、施工ミスが原因で本来は一体であるはずのコンクリートに強度の弱い継ぎ目ができ、その部分に被害が集中していることが小林一輔千葉工業大教授(コンクリート工学)の現地調査で、3日までに分かった。
 施工の際、下部のコンクリートが固まってから上部のコンクリートを流し込んだため、継ぎ目ができたとみられる。
 同教授は「継ぎ目部分は鉄筋だけでつながった状態で、コンクリートには、地震に対する強度がほとんどなかったと考えられる。他の新幹線でも同じ問題がないか点検する必要がある」と話している。
 施工ミスが見つかったのは被害のひどかった西宮市内の橋脚。ほとんどの橋脚が、はりから約30a下の部分で真横に割れ、ひどい場所では上部が外れ落ちるように壊れていた。割れた部分の断面はほぼ平らで、断面には粘土のようなものが薄く付いていた。
 小林教授によると、粘土はコンクリートが固まる時に浮いてくる性質がある。被害を受けた部分は、いったん流し込んだ生コンクリートが固まった後に足したため、継ぎ目になっていたことが明らか、という。(京都新聞)
■阪神大震災 山陽新幹線の全面復旧 5月上旬は微妙に 運輸省検討委 耐震性強化を提言
 阪神大震災(兵庫県南部地震)による山陽新幹線や地下鉄の被害状況を視察した運輸省鉄道施設耐震構造検討委員会(委員長、松本嘉司・東京理科大学教授)は3日、記者会見し、復旧に当たっては、今回の地震にも耐えられるよう強化した耐震基準を適用すべきだとの見解を示した。JR西日本は、山陽新幹線の全線開通を当初予定より1ヵ月早めて5月上旬としたはかりだが、亀井静香運輸相も「新たな耐震設計をもとに工事を進めるべきだ」との考えで、山陽新幹線が5月上旬に役旧できるかどうかは、微妙な情勢になってきた。
 JR西日本は新大阪−姫路間で崩壊した高架橋や落下した橋げたの復旧にあたり、基本的に崩壊前と同じ設計を採用。横方向に鉄節を束ねる帯鉄節の量を増やすなど、耐震力を上げる補強を施したうえで構造物を建設し、連休明けの5月上旬に開通させる方針だった。さらに耐震構造検討委員会の結論が出た段階で、あらためて補強工事をするとしていた。
 会見した松本委員長は「これまで遠く離れた震源から伝わってきた構揺れに備えた設計基準にしてきたが、今後は、直下型地震による縦揺れに備えた基準を加味する必要がある」と語り、復旧工事の段階から耐震性を向上させる必要を認めた。
 委員会は、財団法人鉄道総合技術研究所や鉄道建設公団の協力を得て、今回の地震の揺れがどのように伝わり、高架橋などがどのように破壊されたかの解析を進める。解析には長期間かかるとみられ、5月の復旧には間に合わない可能性もある。
 松本委員長は「早期復旧のため、なるべく努力はするが、そのために安全が損なわれては困る」と述べた。また、壊れた高架橋の柱から貝がらが見つかったことや、帯鉄筋が破断していた事実を指摘。海砂を使ったため、塩分で鉄筋がさびて強度が低下していた可能性があるとして、この点についても調査することを明らかにした。
 運輸省は今後、JR西日本から新たに造り直す高架橋の設計図や工事計画が提出された段階で、松本委員長ら耐震構造検討委員会のメンバーに検討を依頼する。必要があれは手直しを指示して、従来より耐震性に優れた施設になるよう指導する方針だ。
 山陽新幹線の復旧については、亀井運輸相が3日午前の閣議後の記者会見で、「ただ単に早く列車運行を回復すればいいというわけではない」とJR西日本の早期復旧方針に懸念を表明。阪神大震災以上の震度に耐える新たな耐震基準で再建するべきだとしていた。
 JR西日本広報室は3日夜、「安全を大前提として全力をあげて復旧に取り組んでおり、運輸大臣の『安全第一』の方針に基づき取り組んでいく。復旧工事のあり方については、鉄道施設耐震構造検討委員会と綿密な連携をとり、その方針に沿って万全を期していく」とのコメントを発表した。全線開通のめどについては、浅沼唯明室長は「同委員会の考えに従う以上、現時点で変更はあるともないとも言えない」と明言を避けた。(朝日新聞)
■山陽新幹線 橋脚施工ずさん 千葉工大教授指摘 「接合部の強度不足」
 阪神大震災で損壊した山陽新幹線高架橋の橋脚を独自に調査した千葉工大の小林一輔教授(コンクリート工学)は3日、千葉県習志野市の同大学で記者会見し、「施工がずさんだったため、十分な強度がなかった擬いが強い」と指摘した。
 小林教授が調査したのは、兵庫県西宮市内の20本近い橋脚。柱上部の接ぎ足し部分が真横方向に切られたように損壊していた。
 施工指針を示す日本土木学会の鉄筋コンクリート示方書によると、コンクリートを接ぎ足す場合、先に流し込んだコンクリートが固まらないうちに次のコンクリートを入れ、接合部分が一体になるように施工しなければならない、とされている。
 小林教授によると、損壊した橋脚は、接ぎ足した面が一体化されていなかったことを示す壊れ方だった。柱部分のコンクリートが固まったあとに接ぎ足したためではないかとみている。
 その結果、外部からかかる力を鉄筋だけで受け止めることになったのではないかという。
 これに対し、JR西日本広報は「運輸省の耐震構造検討委員会の調査を待ちたい」としている。
 小林教授は89年1月から90年12月まで、日本土木学会コンクリート委員会委員長を務めている。以前から新幹線の橋脚について独自の調査を続けていた。(朝日新聞)
■壊れた電車リサイクル
 阪神大震災で壊れた電車から、必要な部品を取り出す作業が、兵庫県尼崎市内の解体場で行われている。まず神戸市東灘区御影塚町四丁目の阪神電鉄石屋川車庫で被災し、転覆した2両を、4等分に輪切りしてトレーラーで運んできた。台車部分にある車輪、モーター、クーラーなどの中から、使用可能な部品だけを取り出す。
 阪神電鉄車両部によると石屋川車庫は高架部分にあり、車両58両が壊れた。今回解体した2両を除く56両は、放置されたままで、まだ修理も解体のめどもたっていない。(朝日新聞)
5日■京浜急行銃撃事件 5人目の容疑者逮捕
 京浜急行本社(東京都港区)に平成4年10月、銃弾が撃ち込まれた事件で、警視庁捜査四課と原宿署は4日、銃刀法違反などの疑いで、東京都文京区向丘、指定暴力団松葉会系多田組元幹部久保利勝容穎者(57)を新たに逮捕した。同事件の逮捕者は5人となった。
 調べによると、久保容疑者はすでに同容疑で逮捕されている多田組元幹部の岡田広男容疑者(41)らと共謀、平成4年10月29日未明、港区高輪の京浜急行本社の窓ガラスに銃弾を撃ち込んだ疑い。(京都新聞)
■阪急今津線 全線が復旧
 阪急電鉄今津線の門戸厄神−仁川が五日始発から運転を再開、今津線全線(宝塚−西宮北口−今津)が復旧する。ダイヤも朝のラッシュ時に運行される宝塚、仁川発梅田行き準急を除き、ほぼ平常通りとなる。始発は西宮北口発が午前4時44分、宝塚発が同5時4分。朝夕ラッシュ時には約6分間隔で運行される。
 また、同電鉄は神戸高速に乗り入れている花隈−新開地で6日始発から運転を再開、三宮−高速神戸間の代替バス運行を中止する。阪急三宮−新開地の定期券所有者はこれまで通り、阪神三宮から高速神戸線を利用できる。(京都新聞)
■戦後50年 社会部記者は見た 1964(昭和39年)東海道新幹線が開業 井上瑞穂
 1964年7月、米国が月ロケットを打ち上げ。
 8月、大阪府が深夜喫茶の廃止を決める。
 同月、トンキン湾事件が起き、米国のベトナム戦争介入がはじまる。
 9月、神奈川県の大和市と厚木市に米軍ジェット機が墜落。
 同月、東京モノレール(浜松町−羽田間)が開業。大阪市営地下鉄御堂筋線の梅用−新大阪間が開業。
 同月、東京オリンピックが開幕。
 11月、佐藤第1次内閣が成立。米国原子力着水艦が佐世保に入港し、阻止闘争が行われる。
 同月、競馬で「シンンザン」が三冠馬達成。(65年に五冠馬)
 流行語は、五輪を映し「おれについてこい」「根性」「ウルトラC」など。
・夢の200`、試運転ヒヤリ
 私が鉄道担当になり、国鉄大阪鉄道管理局内の青灯(せいとう)クラブに所属したのは1964年(昭和39年)4月である。国・私鉄と船、空港を受け持つ記者クラブだ。「東海道新幹線があるぜ。『夢の超特急』だから、やりがいがあるよ」と同僚にいわれていたが、なかなかピンとこない。要するに、これまでの列車とはケタ違いの速度で突っ走るヤツがくるらしい。近く試運転を大阪でも始めるという。
 とにかく「夢」とお付き合いをするか。大阪・摂津市の新幹線鳥飼基地への々日参々が始まった。神戸から、大阪港から、淀川の鳥飼大橋を越え、工場で造られたスマートな列車が続々と集まってきた。
 新大阪駅の出来上がりは少し遅れていたので、試運転は4月28日に鳥飼基地−米原間ではじまった。最初は時速30`のノロさから、見る見るスピードが上がった。100`、120`。青灯クラブの黒板に次々と更新速度が記録された。目標は200`突破である。
 6月30日。ついに「きょうにも200`突破」の日を迎えた。その瞬間を伝えるため、私たちも少し緊張気味に試運転列車に乗った。京都付近で200`が達成された。「大成功! よかった、よかった」−それから米原まで200`で走った。
 夕刊に「素晴らしいスピード」と原稿を送り終わり、ホッとした帰り道。青灯クラブの連中や国鉄の広報係の人と雑談していた時である。「200`…あれっ、何だ。危ないぞ!。運転室から車内放送で刻々と速度を知らせていた係員が突然、大声をあげた。
 ドカーン、バリバリ。
 バラスト(線路に敷き詰めた小石)がバン、バンと車体に当たる。ヒョイと車窓を見ると、黒い物体がロケットのように飛んで行った。
 急ブレーキがかかり、やっと列車が止まったのは2`先。バックして調べてみると、作業員らが溶接作業に使っていた重さが60`もある工業用酸素ボンベ(長さ1.5b、直径30a)をはねた、と分かった。
 ボンベは滋賀県草津市の草津川鉄橋の線路から200bも離れた田んぼにグサリ。近くに何軒も民家があった。
 新幹線の車体や運転にはほとんど支障がなく安全性の高さが証明されたが、問題はいつ、何が飛んでくるかわからない沿線住民の不安だ。
「新しい課題が」と原稿を送稿。東京の鉄道担当だった伊藤邦男記者がいろいろと手を入れて仕上げてくれたが、乗車していた約150人の技術者や報道陣をヒセリとさせたできごとだった。
 翌7月1日の試運転では210`を記録。やがて新大阪駅も完成し、試運転が本格化した。それに合わせ報道陣や関係者がひと足早く「夢の超特急」の乗り心地を体験したが、国鉄側が人々のトイレ使用回数を「正」の字を書いて調べていたのが、いまから思えは懐かしい。
 8月24日になると「こだま」ダイヤ(新大阪−東京5時間)で全線を使っての試運転。翌25日は「ひかり」ダイヤ(同4時間)で走った。
 鉄道記者の私はそのころ、新幹線のほかに、飛行機や水中翼船の試乗にも追われていた。「楽しいだろう。あやかりたいよ」と皆にいわれたが、本心は「冗談じゃない」。新幹線総局は運転士が寝過ごしたらまくらが膨らむ”目覚まし”仕掛けを開発したが、ぜひ新聞記者にも貸してほしいと思ったものである。
 5年半の歳月と3800億円の巨費を費やした東海道新幹線は、東京オリンピック目前の10月1日、開業。自動列車制御装置(ATC)や列車集中制御装置(CTC)、ロングレールなど新技術を満載した日本の大動脈として大きな役割を果たした。
 開業以来30年に東海道新幹線が運んだ旅客は約28億人。92年にデビューした「のぞみ」は最高時速270`で走り、新大阪−東京間を2時間半で結ぶ。
 新・新幹線が言われ、時速500`の「夢の列車」も話題になっている。酸素ボンベに肝を冷やした、あの日から見れば、それこそ夢のような気持ちである。
6日■地下街も耐震設計見直し 地下鉄の支柱損壊 基準変更に合わせ 建設省が検討
 阪神大震災による地下鉄の支柱破損は、地表を掘ってトンネルを造り、土を埋め戻す開削工法の部分に集中していたため、建設省などは5日までに、同じ開削工法で造られている全国の地下街の耐震設計を見直す検討を始めた。
 これまで、地下構造物は地震が起きても地盤と一緒に動くため、地上の建物より有利とされ、地下鉄の耐震基準は、水平方向からゆっくりと変形させる圧力を重視。地下街の耐震設計も地下鉄に準じている。
 しかし、阪神大震災で「地下は安全」との定説が覆され世界で初めて支柱が破損した。
 浅い地下、特に道路下の大規模な地下街や駐車場のほとんどは開削工法が採用されている。東京の八重洲や大阪の梅田地下街など主要都市の繁華街で広く利用されている。建設省都市局は「地下街だけを対象にした耐震基準はなく、建設事業者は基本的にトンネルと同じ設計指針で建造している。このため、地下鉄の基準が変更されれば、地下街の設計にも反映させることになる」としている。
 運輸省や土木学会の調査では、神戸市の地下鉄は、今回の直下型地震による激しい上下動で、トンネル上下方向からの土圧が強まり、柱が耐えられずに斜めに割れて壊れた。被害は神戸高速鉄道大開駅付近、地下鉄山手線三宮駅など、開削工法で造られた中でも地表から浅い部分に集中していた。
 運輸省の鉄道施設耐震構造委員会は「地下深くのトンネルは、上下左右の土が一体化し、上下方向だけの圧力が強まることはないが、浅いと、埋め戻した上部の土だけが動いて下に押す圧力になった」と分析し、地振動、地盤とトンネルの構造、柱の強度などを解析して、耐震基準を見直すことを決めている。
 阪神大震災では、神戸市中心部、三宮駅前の「さんちかタウン」など開削工法による地下街、地下駐車場の被害はなかったが、土木学会調査団は、活断層からの距離、軟弱地盤などの悪条件がそろえば地下街に被害が出る恐れがある、とみている。(京都新聞)
■阪急今津線が全線で開通
 阪神大震災で不通となっていた阪急電鉄今津線(今津−宝塚)の門戸厄神−仁川間が5日、始発の下り西宮北口発宝塚行き(午前4時44分発)から復旧し、同線は全線開通した。ダイヤはほぼ正常通りで運行。(京都新聞)
■神戸で震災後 阪急が初運行 高速鉄道・花隈−新開地間
 阪神大震災(兵庫県南部地震)で不通になっていた神戸高速鉄道の花隈−新開地間で6日、阪急電鉄が20日ぶりに運転を再開した。阪急が神戸市内で運行するのは震災後初めて。また、三宮−高速神戸間で1日から運転を再開した阪神電鉄はこの日から三宮−新開地間に運転区間を延ばし、山陽電鉄も同区間で運行を始めた。
 神戸高速鉄道は線路だけを保有する会社で、東西区間は阪急、阪神、山陽の3社が運行している。この日運転を再開したのはいずれも地下鉄区間。
 これに伴い、阪急などが運行していた三宮−高速神戸間の鉄道代替バスは運転を中止した。
 阪急の花隈−新開地間は午前6時過ぎから午後11時前までの営業で、約20分間隔の運転。阪神、山陽も運転時間はほぼ同じだが、朝夕のラッシュ時間帯は約7分間隔、日中は約10分間隔で運転する。(朝日新聞)
■三宮−新開地 きょう再開 阪神・山陽電鉄
 阪神大震災の被災地での交通網の復旧は5日、阪急電鉄の今津線が全線開通し、阪神高速道路湾岸線は天保山−中島間が開通した。また、不通になっていた神戸市の中心部を走る私鉄は6日、相次いで運転を再開する。
 阪急電鉄は6日、神戸高速鉄道の花隈−新開地間で運転を再開する。三宮−高速神戸間で1日から運転を再開した阪神電鉄や、山陽電鉄も6日から三宮−新開地間に延ばす。
 これに伴い、阪急などが運行していた三宮−高速神戸間の鉄道代替バスは運転を中止する。
 阪急の花隈−新開地間は午前6時過ぎから午後11時前までの営業で、約20分間隔で運転する。阪神、山陽も運転時間はほぼ同じだが、朝夕のラッシュ時間帯は約7分間隔、日中は約10分間隔の運転を予定している。(朝日新聞)
■阪神大震災 鉄道復旧へ苦渋・焦り 13社被害多大、減収追い打ち 耐震強化で全通に遅れ?
 マグニチュード7.2の激しい揺れは、鉄道の高架橋を落とし、橋脚や支柱に亀裂を入れ、駅舎をつぶした。急ピッチで復旧工事は進むが、いまだ、開通のめどさえ見えない区間もある。運輸省の調べでは、阪神大震災で被災した鉄道13社の復旧総額は3530億円。構造物はかりでなく、各社には「減収」の打撃も大きくのしかかっており、関係者に苦渋と焦りがにじむ。
◆開通のめど立たず
 「線路はゆがみ、橋は折れ、どこからどう手をつけていいやら、手の施しようがない状態です」
 被災5日目の1月21日、記者会見に臨んだ阪神電鉄の西川恭爾取締役・工務部長は、今にも泣き出しそうだった。
 震災当日の夜、西川部長は阪神本線の全面復旧見通しを「3ヵ月後」と述べた。だが、翌日からの調査で、高架橋の落下などの被害が神戸市東部を中心に次々と判明。車庫で電車が将棋倒しとなり、約300両のうち約70両が使用不能であることもわかった。
 運輸省が2日発表した被災状況調査によると、阪神の復旧費は約700億円。営業距離はわずか45`というのに、その額は私鉄最大。同社の2年分の運賃収入をも上回る。
 自社の技術陣と要員だけでは復旧は困難と判断した阪神は、技術力の豊富な日本鉄道建設公団に支援を要請した。だが、その力を持ってしても5日現在、全線復旧のめどは立っていない。不通による1日の減収額は約3000万円。非鉄道部門を含め、今年度の減収は約45億円と見込まれる。「創業以来、最大の試練」。同社幹部は顔をゆがめた。
◆地下鉄神話の崩壊
 帝都高速度交通営団の中島信技術開発担当部長は1月22日、約70年前の資料を調べ直した。この日の朝、神戸高速鉄道の地下駅崩壊を知った。「地震に強い地下鉄」。そう信じてきただけに、地下鉄の原点である「銀座線」の設計を、もう一度見つめ直したかったのだ。
 営団地下鉄の前身、「東京地下鉄道」が浅草−上野間で営業運転を始めたのは1927年12月。内務省の「道路橋設計準拠」などを基本に25年にまとめられた資料は、耐震構造を定めている。
 「最強地震力ニ依り部材ノ各部二生ズル最大応力ヲ考慮スルモノトス」
 そこでは、横揺れを指す「水平動」の地震時に、地下トンネルが地盤の状況に応じて自重の2割か3割、場所によってはそれ以上の力や重みを受けると想定している。だが、縦揺れを示す「上下動」の数値は横揺れの半分以下だ。
 横揺れ重視になったのは、23年に発生した関東大震災が激しい横揺れだったことが影響しているらしい。この思想はずっと受け継がれてきた。だが、阪神大震災では縦揺れがひどかった。
 神戸市交通局や運輸省鉄道局は「各地の地下鉄は自ら耐震技術の研究をするには限界があり、営団地下鉄のノウハウを採り入れて建設された。見直しが必要だ」と打ち明ける。地下鉄は70年目にして転機を迎えた。
◆揺れる「5月上旬」
 「耐震設計をクリアしないと営業開始できないわけだから、時間がかかったって仕方がない。先に期限切ってやるわけにはいかない。安全第一だ」。3日午前、閣議後の記者会見で、亀井静香運輸相はこう言って、JR西日本にくぎを刺した。前日、JR西日本は山陽新幹線の全線開通のめどを、5月上旬と発表していた。
 運輸相会見と同じ日の午後、耐震設計基準の見直しのため、学識経験者らで組織した運輸省の「鉄道施設耐震構造検討委員会」の松本嘉司委員長も記者会見で、「同じ地震でまた壊れるようでは困るし、早く開通させるために安全が損なわれても困る」と発言。同省の沢田詳技術参事官も「日程は承知していない」と話した。
 阪神大震災により、山陽新幹線の新大阪−姫路間では、高架橋が8ヵ所で落下し、708本もの橋脚や支柱が損傷した。その損害額は約490億円。姫路以西で営業運転はしているが、乗車率は約20%で、昨年同期の半分以下にまで落ちている。井手正敬社長は「95年度内の株式上場は歯を食いしばっても実現したい」と意欲的だが、運休が長引けばその分、減収額が増える。赤字転落すれば、上場の夢さえ断たれかねない。
 梅原利之常務・鉄道本部長は「崩壊前と同じ設計で優旧は進めるが、耐震力を上げる補強もする。運輸省の検討委の結論が出れば、それにも従う」と、安全第一を強調する。だが、検討委の結論が出るのは1−2年先。5月上旬の全線開通を実現するには、検討委に復旧工法案を事前に提出、承認を得た上で工事を進めるしかない。
 被災直後、井手社長は無念さを込めてこう話している。「大震災は、無駄遣いと批判されても200%安心なものを造ってきた国鉄の経験を軽々と超えた。絶対に壊れないものを造るのは神への冒とく。問題はどこで妥協するかだ」(朝日新聞)
■花隈−新開地今朝から開通 神戸高速鉄道
 阪神大震災で不通だった神戸高速鉄道花隈−新開地間1.5`が6日始発から運転を再開した。阪急電車を使い20分間隔で、当面1日96本を運転する。
 これに伴い、1日から運転を始めた阪神三宮−高速神戸間は新開地まで延長。阪神電鉄、山陽電鉄の電車を使い、ラッシュ時7分、日中10分間隔で運転。輸送力は平常の半分まで復旧した。(京都新聞 夕刊)
7日■代替バス4社が大阪−福山間を申請 JR西日本 住吉−三ノ宮に変更
 JR西日本は、東海道線の芦屋−住吉間が8日から運転再開されるのに伴い、これまで芦屋−三ノ宮間で運転していた代替バスを、「ノンストップ便」、「各停便」の両方とも同日から住吉−三ノ宮間にルート変更する。
 住吉駅の代替バス乗り場は、駅南側の創価学会神戸講堂前(国道2号沿い)、三ノ宮駅側は従来通り。ノンストップ便は、国道43号経由、各停便は山手幹線道経由で停留所は住吉、六甲道、灘、三ノ宮の4ヵ所となる。神戸−三ノ宮間のシャトルバスは、引き続き運行される。
 近鉄などバス4社は、JR山陽新幹線の新大阪−姫路間の復旧が遅れているのに伴い、大阪(近鉄上本町)−福山駅前間で、臨時高速バスを運転する。7日に運輸省へ臨時免許を申請、認可されれば10日からスタートさせる。
 4社は、近鉄のほか井笠鉄道、中国バス、鞆鉄道。臨時バスは中国自動車道、山陽自動車道経由の1日各社1便ずつの計4便で、所要時間は5時間。料金は大人3700円。(京都新聞)
■山陰線経由の貨物列車運行 JR貨物など
 JR貨物、JR西日本の両社は、地震で途絶している九州方面と関東方面の鉄道貨物輸送ルートを確保するため、11日から大阪−岡山間で、山陰線回りの臨時う回貨物列車1往復を運行する。
 う回ルートは、吹田から尼崎を通って福知山線に入り、山陰線の福知山、米子操車場を経て伯備線を走り山陽線の西岡山に出る全長513`。これまでの東海道・山陽線直接ルートに比べ、距離で330`、時間で約10時間も長くかかる。
 臨時貨物列車は10両編成で、コンテナなら片道約50個を輸送できる。現在、JR貨物が行っているトラックと船舶による貨物輸送と合わせると、1日にコンテナ約1200個分となり、地震前の4分の1の輸送量を確保できる、という。(京都新聞)
■阪急神戸線の全通8月末に 西宮北口−夙川間 独自に耐震工事
 阪急電鉄は6日、地震で不通が続いている神戸線の西宮北口−夙川間で、縦揺れにも対応する耐震強化工事を施しながら、高架部分を全面的に建設し直す方針を明らかにした。さきに運輸省鉄道施設耐震構造検討委員会が、鉄道復旧は「新しい耐震基準を適用すべきだ」と提言しているが、同社は新基準か示されるのを待たず、復旧を最優先する方法を選んだ。ただ、独自の耐震工事を行うことで神戸線の全面復旧見込みは8月末となり、当初予定よりは約1ヵ月遅れる。
 神戸線の西宮北口−夙川間では、高架部分の約1.6`で、橋脚が倒壊して、線路が道床ごと下の道路に落ちるなど、大きな被害が出た。同社は、この部分では高架橋や擁壁を含め施設すべてを造り直す万が、採算面で有利と判断。橋脚の太さを一回り大きくするなど独自の耐震設計による復旧工事を決めた。
 6日記者会見した阪急電鉄の山口益生常務は「鉄道事業者としては、一刻も早く電車を走らせる義務がある。委員会の結論が出るまでは、待てない。今は、耐震強化のよりどころになる基準はないが、独自の耐震工事をしながら、最短時間で復旧させる」と述べた。
 阪急電鉄が同日、発表した不通区間復旧予定時期は次の通り。
 【神戸線】夙川−岡本4月上旬▽岡本−御影=7月中旬▽御影−王子公園=2月13日(折り返し運転)▽王子公園−三宮=3月中旬【甲陽線】夙川−甲陽園=3月上旬(全線開通)【伊丹線】伊丹−新伊丹=3月中旬(伊丹駅近くに仮駅舎設置)(京都新聞)
■阪急電鉄 神戸線全通は8月下旬 当初計画より1ヵ月遅れ
 阪神大震災で寸断された鉄道網の復旧工事は急ピッチで進んでおり、7日から神戸電鉄の長田−鈴蘭台間が、8日にはJR東海道線の芦屋−住吉間が運転を再開する。被災後、1本も走っていない東京、大阪と中四国、九州間を結ぶ貨物列車も11日からの運行が決まった。阪急電鉄の神戸線は、13日から御影−王子公園間で営業運転を始めるものの、全線の開通は8月末の見込みで、当初計画よりも約1ヵ月も遅れそうだ。
 JR貨物は6日、東京、大阪−中四国、九州間を結ぶ貨物列車を11日から運転すると発表した。分断された東海道・山陽線に代わって、福知山、山陰、伯備線を使う「う回ルート」を設定、大阪から鳥取を回って岡山に抜ける。当面、大阪−岡山間に1日1往復(最大積載量約500d)を運転する。
 JR貨物によると、下りは大阪・吹田信号場を午後10時過ぎに出発、西岡山に翌日午後零時過ぎに到着。上りは、西岡山を午後2時過ぎに出て、吹田信号場に翌朝7時過ぎに着く。通常なら3時間程度で走る距離を、う回のために10時間以上も余計に走る。
 6日、阪急電鉄が明らかにした復旧計画によると、西宮北口−三宮間が不通になっている神戸線の全線開通は8月末。高架橋が落下した西宮北口−夙川間の復旧に手間取るため、という。
 阪急の部分開業計画によると、13日から御影−王子公園間で運転を始めるほか、3月に王子公園−三宮間と夙川−甲陽園間で、4月に夙川−岡本間、7月に岡本−御影間でそれぞれ運転を再開する予定。
 神戸電鉄は7日始発から、不通になっていた鈴蘭台−長田間で運転を再開する。早朝深夜を除き、1時間に上下それぞれ8本程度運行する。不通になっている長田−新開地間は代替バスを走らせる。(朝日新聞)
■阪神電車が脱線 梅田−青木間が一時不通 未明回送中 尼崎駅構内
 7日午前2時10分ごろ、尼崎市御園町の阪神電鉄尼崎駅で、回送電車(12両)の6−9両目が脱線、構内の本線上下線と西大阪線の線路をふさぐ形で停車した。阪神大震災で寸断された同電鉄は、神戸市東灘区の青木−梅田間まで運行していたが、この影響で始発から全面ストップした。復旧を急いだ結果、尼崎−梅田間など各区間で徐々に運行を始め、同10時すぎには、青木−梅田間が開通、同11時すぎ、残っていた武庫川線が復旧、全面運行を再開した。
 この間、同電鉄は尼崎、甲子園駅などで、大阪やJR東海道線駅などに向かう代替、振り替えバスを運行、各駅は通勤客らで大混雑した。三宮でも、西宮、芦屋方面へのJR、阪急の代替バスが3時間待ちなど混雑した。計218本が運休、同電鉄で計約15万人に影響が出た。JR、阪急電鉄なども含めると影響は60万人に及ぶとみられる。
 尼崎中央署、同電鉄の調べによると、12両は、震災の際、御影駅構内で脱線した特急、急行系の電車で、復旧作業後、点検のため尼崎駅東隣の車庫に移すところだった。
 この日、午前1時ごろ、御影駅を出発、前6両が、自力走行できない後ろ6両をけん引しながら、時速約15`で運転していたが、尼崎駅構内のホーム西端のポイントで脱線した。
 阪神電鉄は尼崎−甲子園間などで、代替バス運転し、JR東海道線の最寄り駅に連絡バスを運行した。
 梅田ー尼崎間、甲子園青木間、西大阪線は午前6時に後旧した。(京都新聞 夕刊)
■阪神脱線 点検十分にせず 復旧に”あせり”か
 7日未明に起きた阪神電鉄尼崎駅の脱線事故は、大震災で混乱する”足”に追い打ちをかけた。阪神電鉄は震災により、線路と石屋川車庫などが壊滅状態となり、保有車両314両の約4割に当たる126両が全半損した。今回の事故は、不足分を補充するため、被災車両を10分な点検ができないまま、本線上に回送した”あせり”が原因との指摘もある。
 御影駅には、震災時に42両の電車が残っていたが大半が脱線し、2両はスクラップに。今回、残る40両を再利用しようと計画。詳しい点検をするため尼崎車庫に運ぶ途中だった。
 しかし、御影駅には検査機器がなく、電気を通し、モーターの動きやブレーキなどを点検した程度で出発させた。事故が起こった線路、ポイントには異常がないことが確認されており、原因は車両側にあった可能性が高く、「ポイントを通過した際に、台車部分に負担がかかり、事故車両になんらかの故障が生じたのではないか」と、指摘する関係者もいる。
 震災で、大阪−神戸間の旅客輸送を担う大動脈が寸断された鉄道3社は日夜、必死の復旧作業を続け、早期の運転再開が望まれるが、あくまで安全や確実性が第一。以前にも増して市民の重要な足となっているだけに、より慎重な作業が望まれる。
・被災乗客うんざり
 7日未明の脱線事故は、朝の通勤客らを直撃、阪神間や神戸・三宮の代替バス乗り場に長い列ができた。三宮の芦屋方面行きバス乗り場では、最高3時間の待ち時間となるなど、震災で慣れたとはいえ、ラッシュと事故が重なり通勤客はうんざり。乗り継ぎと乗車待ちの長い通勤が続いた。
 阪神尼崎駅では午前8時過ぎに約300人の列ができた。「やっと電車が開通して、通勤が楽になると思っていたのに」と乗客は疲れが増した様子で、ホームからあふれた乗客が階下の改札口まで続いた。
 震災後、加古川市の自宅から通勤できなくなり、大阪市内の知人宅から阪神出屋敷駅まで通う会社員(45)は「ただでさえ不自由な思いをしているのに…。命を預けているんだから、事故のないようにしてほしい」と、タクシー乗り場へ。(京都新聞 夕刊)
■地下鉄東西線 大津から直通運転 京阪が京都市と基本協定
 京都市交通局と京阪電鉄(宮下稔社長)は、7日までに建設中の地下鉄東西線での京阪電車京津線の列車の直通運転に関する基本協定を締結した。京阪京津線は、山科区の御陵駅で東西線と線路を接続、中京区の市役所前駅まで直通運転し、従来通り大津からの都市間交通が確保できることになる。
 協定は京阪電鉄が東西線の開業時に、京都三条と大津を結ぶ京津線のうち、御陵−京阪三条駅区間を廃止するのに伴い締結した。直通列車は御陵駅で乗務を引き継ぎ、東西線側は市交通局の職員が乗り込んで運行する。御陵から大津側は従来通り京阪の職員が運行する。直通運転の実施で、市交通局は京阪に車両使用料を支払う。
 また、車両規格や電圧などの統一のほか、直通列車の運転本数をピーク時で1時間当たり8本、中間時で1時間当たり4本を基準とけするほか、京阪の直通列車の編成を終日4両とすることなど運転計画も定めている。
 運賃は東西線と大津線にまたがる場合は「それぞれの運賃を併算したものとする」と規定。運賃は長距離になるほど割安となるが、大津から市役所前までの利用者は、京阪と地下鉄運賃を合算した料金となり、従来より割高になる可能性が高い。
 東西線では、京津線と競合する御陵−三条間については、市と京阪電鉄などが出資した第三セクター「京都高速鉄道」が建設を担当、建設費は当初の約2.5倍の1550億円に膨張した。同区間は日本鉄道建設公団が工事を担当、三セクが買い取り、市交通局から線路使用料を徴収する。建設費膨張に伴う東西線建設財源計画では使用料は当初55億円で、以後3年ごとに10%の改定を行う方針が明らかにされている。
 東西線の開業は1997年秋の予定。(京都新聞 夕刊)
■阪神の回送電車脱線 未明の尼崎駅 15万人の足乱れる 震災で台車故障か
 7日午前2時10分ごろ、兵庫県尼崎市東郷園町の阪神電鉄の尼崎駅構内で、駅東側にある尼崎車庫に入ろうとした上り回送電車(12両連結)が脱線、阪神本線の線路を横断する形で立ち往生した。回送電車は阪神大震災(兵庫県南部地震)で故障した電車で、この日は車庫で修理をする予定だった。台車の異常に気付かずに、運転したため、脱線したらしい。阪神全線は始発から運転を見合わせたが、午前11時には運転を再開した。運転ダイヤは大幅に乱れて上下218本が運休、通勤通学客ら約15万人に影響が出た。
 阪神によると、脱線したのは12両のうち、前から6−9両の4両。地震のあった17日、御影駅構内で脱線した電車で、線路に戻した後もそのまま同駅に置いていた。12両は6両連結の電車2編成をつなげており、動力性能に異常がない1編成が残りの1編成をけん引する格好で、7日午前1時に尼崎車庫に向かって、御影駅を発車。尼崎駅の手前約100bのポイント付近を時速約10`で通過中に脱線した。
 故障車をけん引する際には、通電試験やブレーキ試験などをして出発させたという。しかし、車輪のひずみや台車のバネといった故障に気付かず、通常の線路を走る時よりも負担が掛かる線路の切り替えポイントで、台車に異常が発生、脱線した可能性が高いとみている。兵庫県警尼崎中央署でも原因を調べている。
 この事故の影響で、震災後に運転を再開している梅田−青木間など阪神全線は始発から全面ストップ。乗客をJR東海道線と阪急神戸線へ振り分けた。午前6時には阪神本線の梅田−尼崎問と甲子園−青木間、西大阪線全線が運転を再開、尼崎−甲子園間などで代替バスを運転した。
 脱線した車両は午前9時40分、尼崎車庫に入った。線路に異常がないことから、同10時すぎに尼崎−甲子園間、11時に武庫川線(武庫川−武庫川団地前)も運転再開した。(朝日新聞 夕刊)
■「市営地下鉄復旧早まる」 神戸市交通局 見通しを変更
 板宿−新神戸間で不通になっている神戸市営地下鉄の復旧について、神戸市交通局は7日、「3月いっぱい」としていた当初の見通しを変更し、「相当早まりそうだ」と明らかにした。トンネルの支柱の補強工事などが順調に進んだためで、具体的な運転開始時期の検討を急ぎ、10日過ぎにも方針を固める。
 運転区間についても当初は板宿−県庁前だけ開通させるとしていたが、県庁前−新神戸間も同時に復旧させ、全線開通に持ち込めないかとの検討も始めた。
 ただ復旧が早まっても、ホームの陥没など被害が大きい新長田、上沢、三宮の3駅については、当面、電車を通過させるだけで、乗り降りはできない見通しだ。(朝日新聞 夕刊)
■鈴蘭台−長田 運転を再開 神戸電鉄
 神戸電鉄は7日始発から、不通になっていた鈴蘭台−長田間で運転を再開した。これで、すでに開通していた三田、粟生方面から鈴蘭台経由で長田までの乗り入れが可能になった。さらに、神戸電鉄長田と神戸高速鉄道新開地の間で、代替バスの運行が始まった。(朝日新聞 夕刊)
■阪神電車脱線 バスに列ぐったり 通勤・通学を直撃 「泣きっつらにハチ」
 阪神大震災後、復旧を急いでいた鉄軌道が、脱線でまたストップした。7日未明、阪神電鉄尼崎駅構内で起きた事故の影響で、阪神電車は始発からダイヤが大きく混乱。尼崎ー甲子園間などは、一時、不通になった。甲子園や尼崎駅前には、代替バスを待つ乗客の良い行列ができ、疲れ切った表情で職場や学校に向かった。
 西宮市の阪神甲子園駅では、午前6時前からJR甲子園口駅まで乗客をピストン輸送する代行バスの運行が始まった。ピークの午前7時半すぎには、バス乗り場に400人以上の行列ができた。
 地震で自宅が全壊した神戸市東灘区の会社員(55)は、避難所の集会所からの出勤。「1月末まで会社を休んで炊き出しをしていて、やっと出勤を始めたらこんなことになった。地震に脱線事故。いろんなことがあるなあ」
 一方、JR甲子園口駅では、満員の振り替えバスが着くたびに改札口に人があふれた。西宮市鳴尾浜に住む会社員肥後靖己さん(51)は、バスをあきらめてタクシーで1100円かけてきた。
 「思わぬ出費です。梅田の会社には30分以上遅刻ですが、電話をかける時間もありません」
 阪神三宮駅の代替バス乗り場ではラッシュ時の午前8時半ごろに、約200bの乗客の列ができた。阪神電鉄の職員がマイクで「2時間近い待ちです」と告げると、客からため息がもれた。神戸市垂水区の会社員池田武司さん(53)は「会社まで3時間以上かかりそう。通勤で体力をほとんど使ってしまう」とぐったり。
 大阪の阪神梅田駅では、リュックサックや大きな手荷物を抱えた乗客ら数十人が脱線事故を和らせる掲示板を取り巻いた。英語の表示がないため事故を理解できない外国人客も多く、改札口の係員が身ぶり手ぶりの応対に追われた。
 地震で自宅が半壊した西宮市の幼稚園教諭(21)は「東大阪市の親類宅から通っています。別に阪神電鉄を責めるわけではないけど、泣きっつらにハチですね」。(朝日新聞 夕刊)
8日■京の地下鉄 耐震基準見直しへ 運輸省などの指針後に
 京都市交通局は7日、阪神大震災で神戸市の地下鉄が大きな被害に遭ったことで、京都市でも地下鉄の耐震設計基準を見直す用意があることを市会交通水道常任委員会で明らかにした。しかし、具体的な内容については「一自治体だけでの検討は難しい。運輸省などの調査結果を待つ」としている。
 これまで地下鉄は地震の際、周囲の地盤とともに揺れて地上の構造物のように大きな力が加わらないため、特殊な場合を除き、地震の影響を考慮に入れなくてもよいとなっていた。
 しかし、阪神大震災では神戸市営地下鉄のトンネル中央を支える柱が400本以上倒れるなど大きな被害を出した。
 委員会では、京都市の地下鉄の耐震設計に関する質問に対し、山口巌市交通局高速鉄道本部長は「想定を超える被害が出たことで、従来の規格についても見直しが必要と思う」と耐震設計の基準見直しを検討する考えを示した。
 具体的な内容については「まず神戸の被害をあらゆる面から調査することが必要。一都市だけで考えられることではない」と答えた。東京の営団地下鉄や各政令指定都市の交通局などでつくる「地下鉄技術協議会」として調査、検討するほか、最終的には運輸省、建設省の基準見直しを待つことになる、との見方を話した。
 建設中の地下鉄東西線で耐震設計が行われているのは、地上に大きな構造物がある醍醐車庫や山科駅など4ヵ所に限られている。(京都新聞)
■芦屋−住吉 きょう開通 JR東海道線
 阪神大震災で不通だったJR東海道線芦屋−住吉間4.5`が8日始発から開通。震災から23日目で、ようやく神戸市内に東海道線で入ることが可能になる。
 同駅は既に開通した阪神電鉄本線青木駅より約1`三宮寄りにあり、大阪側から神戸市中心部へのルートはさらに便利になった。JR三ノ宮駅への代行バスも同日から住吉へ起点を移動する。
 運転間隔は大阪−住吉間がラッシュ時が1時間14本、日中8本。9日から日中に快速4本を増発する。このほか、日中は大阪−芦屋間に新快速4本が走る。
・15日ごろ復日 JR和田岬線
 JR西日本は7日、阪神大震災で不通となっている通称和田岬線(兵庫−和田岬2.7`)の復旧は15日ごろとの見通しを発表。これでJRの復旧見通しはすべて明らかになった。
・準急運転を再開 阪急今津線
 阪急電鉄は9日から今津線(宝塚−今津)で、宝塚発梅田行き準急の運転を再開する。停車駅は、宝塚−門戸厄神間の各駅と、塚口、十三、梅田。
 今津緯は、門戸厄神−仁川間で山陽新幹線の橋げたが落下するなど、損傷が大きかったが、2月5日から全線で運転を再開した。
・リムジン神戸線も きょうから運行
 関西空港交通など3社が共同運行して関西国際空港−JR三ノ宮駅前間を結ぶリムジンバス神戸線が8日から、国道43号のバス専用レーンを使用して運転を再開する。
 先月31日、大阪空港(伊丹)−関西空港間の伊丹線が復旧したのに続き、リムジンバス全11路線の運行が再開されることになった。
 神戸線は当面、通常より22往復少ない1日11往復で運行、所要時間は約2時間を予定している。(京都新聞)
■電車の空気バネ作動せず 阪神電車事故、放置響く
 尼崎市の阪神電鉄尼崎駅構内で7日未明、回送中の電車(12両)が脱線した事故で、同電鉄は同日午後から、同駅に隣接する尼崎車庫に搬入した脱線車両の本格的な原因調査を始めた。
 その結果、事故を起こした車両が1月17日の地震の際、本線御影駅(神戸市東灘区)で脱線、そのまま放置されていたため、車両の空気バネが作動しなくなっていたことが分かった。
 空気バネは車体と車輪の振動を吸収する装置。バネに空気を送り込む装置も故障したまま走行したため、走行の難しい尼崎駅前のカーブで車体の揺れを吸収できず脱線したとみられる。
 車両の出発前の検査でも、後半6両の24ヵ所の空気バネ全部と、3両に1つずつ設置されている空気圧調整用装置が地震で破損し、作動しない状態だったという。(京都新聞)
■山陽新幹線 復旧工法案近く提出 JR西日本「開通見通し、変化も」
 JR西日本の梅原利之常務・鉄道本部長は7日、大阪市北区の本社で記者会見し、「5月上旬開通」としている山陽新幹線の復旧工法案を近く、運輸省鉄道施設耐震構造検討委員余に提出する方針を明らかにするとともに、「開通時期の目標は変わりないが、同検討委の判断によっては(開通時期の)変化がありうる」と述べた。
 同社は2日、阪神大震災で不通となっている山陽新幹線の新大阪−姫路間の運転再開を、「5月上旬」と発表した。しかし、亀井静香運輸相や同検討委の松本嘉司委員長らは3日、「耐震設計の強化をしなければ営業開始はできない」と発言していた。
 梅原常務によると、現在、落下した高架橋の橋げたや折れるなどした支柱の耐震力を高めるために、独自に鉄筋やコンクリートの量を増やすなどの復旧工法案を検討中。これがまとまり次第、同検討委に提出して、承認を得たうえで工事に着手するという。(朝日新聞)
■京都市地下鉄 耐震設計ごく一部 縦揺れの備え全くなし 国の新基準待ち補強策 東西線 現基準でいくしか
 阪神大震災で神戸市の地下鉄に前例のない被害が出た問題で、7日開かれた京都市会交通水道委員会では、地下鉄の耐震性に関する質凝応答が繰り返された。市内の地下鉄で耐震設計を取り入れているのはごく一部。大半は全く施されておらず、市交通局は「国の基準変更を待って、補強策などを考える」と表明した。しかし、建設中の東西線の工期はすでに3年遅れで突貫工事中。委員からは「新基準ができても、いったん完成した後では難しいのでは」との疑問の声が相次いだ。
 神戸市では、市営地下鉄全体で計約200本の支柱が被害を受けたほか、神戸高速鉄道の大関駅(兵庫区)は約120bにわたって陥没、付近のトンネルも530bにわたって支柱が壊れた。復旧に1年以上かかるとみられ、専門家は「メキシコやアメリカの大地震でも被害の例はなく、世界で初めての事態」と指摘している。
 神戸の地下鉄では、特に、地上から掘り下げてトンネルを造り、後で埋め戻す「オープンカット(開削)工法」に被害が集中。東西線では、御地通や外環状線など、全体の約43%でこれと同じ工法が用いられている。
 京都市内の地下鉄烏丸、東西両線で耐震設計が取り入れられているのは、真上や近くに大きな建物のある7ヵ所に限られている。
 東西線では、河川の下になる鴨川横断工区(市役所前−三条京阪駅間)、ダイゴセンターが建設される醍醐駅と醍醐車庫、駅前再開発でビルが建つ山科駅、京都ホテルがある市役所前駅の5ヵ所。烏丸線では京都駅と北大路駅となっている。
 一定以上の加重がかからないその他の部分は、現行基準では耐震設計しなくてもよいことになっている。
 しかし耐震設計とはいえ、想定している揺れは、関東大震災級の「横揺れ」対策。阪神大震災では、想定外の「縦揺れ」で被害が拡大したとみられているが、これに対する備えは全くない状態だ。
 阪神大震災後、運輸省などは地下鉄の耐震設計基準の見直しに着手。しかし、結論が出るのは、かなり先のことになるとみられ、完成予定を1997年秋とする東西線では、間に合わないとの見方が強い。
 このため、委員から「完成後でも、新基準に従った構造物の補強ややり直しはできるのか」との凝問が相次いで出された。これに対し、山口巌・高速鉄道本部長は「一都市だけではどうしようもない。国の調査結果を待って対応を考えるしかない」と答えるにとどまった。
 ある市幹部は「これ以上の工事の遅れは許されない。今の基準で突っ走るしかない。新基準に合わせて一部補強することはできるだろうが、それも数10億円規模までで、100億円を超えるようなやり直しはとても無理だと思う」と話している。(朝日新聞)
■京阪京津線 東西線と接続へ
 京都市は7日開かれた市議会交通水道委員会で、建設中の地下鉄東西線に京阪電鉄京津線が接続し、現在の浜大津−三条までが、1駅延びて市役所前駅まで直通になること明らかにした。京阪電鉄では「車道との併用軌道が多い京津線が、地下に入ることでスピードアップが期待できる」と話している。
 乗り入れ区間は御陵駅から市役所前駅までの約3.8`で途中駅は蹴上、東山、三条。京津線は御陵駅の手前から地下に入り東西線に接続する。御陵から三条までの現在の地上線は廃線となり、名称も東西線に一本化される。
 市交通局は当初、三条までの乗り入れを考えていたが、折り返しのスペースがとれないため、市役所前駅までの乗り入れとなった。地下鉄烏丸線への接続ができる御地駅までの乗り入れは計画していないという。(朝日新聞)
■集団交渉から 離脱申し入れ 阪急、春闘で労組に
 阪急電鉄は7日、阪急電鉄労働組合(大埜雅彦委員長、組合員約5500人)に対し、「大手私鉄9社の中央集団交渉には参加せず、個別交渉で対応したい」と申し入れた。
 阪急労組は1月下旬の執行委員会で、従来通り中央集団交渉を行うことを決めているが、会社側の提案で再協議する。
 私鉄総連では、大震災で約790億円もの被害を受けた阪神電鉄が、今春闘の中央集団交渉からの離脱を労使間で確認している。(朝日新聞)
■妙見ケーブル 値上げを申請 能勢電鉄、平均23%
 能勢電鉄(本社・兵庫県川西市)は7日、能勢妙見宮にのぼる妙見ケーブル(黒川−山上駅、0.6`)の運賃値上げを近畿運輸局に申請した。大人220円を270円にするなどの内容で、平均値上げ率は23.1%。(朝日新聞)
■声 停電時は開く仕組み 阪急電鉄広報室
 3日の本欄に掲載された「自動改札機が 脱出遮る恐れ」について、回答させていただきます。
 阪急電鉄の自動改札機では、地震や火事など緊急の際の避難の妨げにならないよう、次のような対策を取っております。
 電気が通じている場合、改札係員が手元の「緊急」ボタンを押すことにより、自動改札機のすべてのドアを一斉に開けることができます。
 停電の場合は、すべてのドアが自動的に開くようになっております。
 このような仕組みで、自動改札機が緊急時の脱出を遮る恐れはございません。(朝日新聞)
■阪神尼崎脱線事故 故障承知で走行
 兵庫県尼崎市の阪神本線尼崎駅構内で7日未明、回送電車(12両連結)が脱線した事故で、阪神電鉄の西川恭爾取締役・鉄道事業本部副本部長らは大阪市内で記者会見し、原因について、脱線した電車は阪神大震災で脱線、故障した車両で、「車体を安定するために台車についている空気バネが故障しているにもかかわらず、走行させたため、ポイントを曲がり切れなかった」と説明、車両の搬送計画の甘さを認めた。
 阪神によると、動力性能に異常のない前寄り6両が、運転不能の6両をけん引していた。後の6両は震災後、21日間も御影駅に放置されたままだったため、バネめ役割をする風船のような空気袋から空気が抜けていたほか、空気を送り込むコンプレッサーも作動しなかった。(朝日新聞)
■神戸市までJR開通 「2駅だが気分違う」 代行バスに長蛇の列
 阪神大震災後JRで初めて大阪方面から電車が乗り入れた神戸市東灘区のJR住吉駅は8日、神戸駅と結ぶ代行バスから乗り継ぐ通勤、通学客らで早朝から混雑。住吉駅と国道2号沿いのバス乗り場間の約1`では、リュックに運動靴姿の会社員らが道路わきの傾いたビルを横目に道を急いだ。
 大阪市北区の勤務先に向かう神戸市長田区の会社員中利貞夫さん(57)は「芦屋駅から2駅分延びただけだが、気分的に全く違う。でも仕事で疲れた帰り道はつらい。早く全線開通を」と疲れ気味の様子で話した。
 JR西日本は、震災前の倍近い約10万人が住吉駅で乗降するとみて、ホームを約4b拡幅したほか、国道側のホームには仮設の出口を設置。約70人の駅員らが客を誘導した。(京都新聞 夕刊)
■JRも神戸まで開通 東海道線・芦屋−住吉間復旧 震災から23日
 阪神大震災(兵庫県南部地震)で不通となっていたJR東海道線芦屋−神戸間のうち、芦屋−住吉間4.5`が8日始発から運転を再開、大阪側から同線で神戸市内に入れるようになった。震災から23日目。これで神戸市中心部との通勤、通学などの便は良くなり、復興に一段と弾みがついた。
 神戸以西の山陽線は既に全面復旧しており、東海道線の不通区間も住吉−神戸間9.4`を残すだけとなった。同区間では住吉−灘間で高架橋が落ちるなど被害は大きいが、JR西日本は5月の連休明けにも全線開通させたい、としている。
 大阪側からの神戸市内乗り入れは、青木駅まで開通している阪神電鉄に次いで2番目。しかし、JR住吉駅の方が阪神青木駅より三宮に約1`近い。
 開通した大阪−住吉間は、朝夕のラッシュ時には普通電車だけの運行で、1時間に上下計28本。日中の時間帯も同じく普通電車を1時間に上下計16本運行。このほかラッシュ時以外に8日から大阪−芦屋間で新快速を、9日から大阪−住吉間で快速の運転を再開する。
 芦屋−住吉間の開通に伴い、8日から東海道線の代行バスも住吉−三ノ宮間に変更。ノンストップ便で所要時間が約30分に短縮。午前9時現在、住吉駅での込み具合は下りが150%前後、上りが70%前後。同駅から三ノ宮駅に向かう代行バス乗り場には約2800人の長い列ができた。
 東海道線は今後、神戸三ノ宮−灘問が1、2ヵ月後に、灘−住吉間が5月上旬に開通する予定。
 神戸−三ノ宮−灘間の鉄道被害は比較的軽く、工事を開始すれば3週間で完了する見通しだが、高架下テナントの立ち退き交渉などが絡み、復旧予定は決まっていない。(京都新聞 夕刊)
■回復、半年以上かかる見通し 新交通システム
 神戸市と同市の第三セクター神戸新交通は8日、神戸沖の人工島と陸部を結ぶ新交通システム「ポートライナー」(6両編成)と「六甲ライナー」(4両編成)の復旧に半年以上かかる、との見通しを明らかにした。人工島には港湾施設のほか、マンションやオフィスビルが立ち並ぶ。代行バスが走っているが交通渋滞で陸部とのアクセスが不便になっている。
 同市などによると、両ライナーとも橋げたの落下、鋼鉄やコンクリート製の橋脚の損傷が見られ、ポートライナーは橋げた・橋脚65ヵ所と2駅舎、六甲ライナーは橋げた・橋脚38ヵ所と3駅舎の大幅な修復が必要という。復旧費用は計210億円。神戸新交通は8月下旬までに両ライナーの運転を再開する。(京都新聞 夕刊)
■JR芦屋−住吉 運転を再開
 JR東海道線は8日始発から、不通になっていた芦屋−住吉問で運転を再開した。JRとしては震災後初めて大阪方面から神戸市内に電車が入った。これに伴い、代替のノンストップバスは住吉−三ノ宮間に運行区間を変更し、所要時間は約20分になった。(朝日新聞 夕刊)
■六甲ライナーとポートライナー8月に運行再開見通し
 神戸市は8日、阪神大震災の影響で不通になっている新交通システムのポートライナー(6.4`)と六甲ライナー(4.5`)の運行再開は8月下旬になるとの見通しを明らかにした。ポートライナーについては一部区間の再開で、全線復旧は年末ごろになる。復旧費用はポートライナーが約120億円、六甲ライナーは約90億円を見込んでいる。
 三宮とポートアイランドを結ぶポートライナーは、橋脚211基のうち34基、橋りょう213橋のうち31橋が落下したり傾くなどの被害が出た。三宮とポートターミナル駅は駅舎にも大きな被害が出た。これまで、ポートアイランド内を巡回するループ運行をしていたが、終点の三宮駅が使えず上下線の切り替えができないため、運行再開時には貿易センターー市民広場間、貿易センター−南公園間をそれぞれ単線で折り返し運転する。ポ−トターミナル駅は通過する。
 JR住吉駅(東灘区)と六甲アイランドを結ぶ六甲ライナーは、橋脚164基のうち20基、橋りょう143橋のうち18橋に同様の被害が出た。
 8月下旬には全線が運転再開できる見通しだが、工事の進み具合によっては住吉−魚崎間の再開が遅れる可能牲もある。(朝日新聞 夕刊)
9日■新幹線偽造回数券出回る 大阪の金券店 125枚、150万円分
 JR西日本は8日、新幹線自由席特急回数券の偽造券125枚を発見したことを明らかにした。届け出を受けた大阪府警曽根崎署は有価証券偽造、同行使と詐欺の疑いで捜査を始めた。
 偽造券は6日午前11時ごろ、大阪市北区梅田の金券店、東洋スタンプ駅前第三ビル店に持ち込まれた。大阪駅発行とされていたが、通常の回数券に比べて地紋が薄いので同店がJR大阪駅に照会。JR西日本で鑑定した結果、券面の番号に対応する発売記録がなく偽物と分かった。同社によると偽造券の額面総額は約150万円。
 偽物は「みどりの窓口」でコンピューター発券するタイプ。東京都区内−大阪市内のもので番号の重複はなくほぼ連番になっていた。同社は最低180枚が出回っているとみている。
 表面の文字は本物とほぼ同じだが、裏面に磁気を塗っていないので、光にかざしても反射しない。切符の手触りもややざらついている。
 偽造券を間違って買った乗客は全額を新たに払わなければ乗車できないことから、同社は、各駅構内に駅窓口や指定旅行代理店での切符購入を呼び掛けている。(京都新聞)
■偽造新幹線券125枚 初の磁気タイプ 大阪の金券店で換金
 JR西日本が発売している「新幹線自由席特急回数券」の偽造券125枚が、大阪市北区の金券ショップに持ち込まれて換金されたことが8日わかり、大阪府警曽根崎署は有価証券偽造などの疑いで捜査を始めた。偽造券は、JRの「みどりの窓口」のコンピューター端末機で発行する裏面が磁気タイプの切符をまねており、JRでは初めての被害例としている。発行番号が1枚ごとに違う連番になっているなど、大量に出回っている恐れもあることから、JR各社は、同日夕から主要駅に注意喚起のビラを張り出した。
 JR西日本の調べでは、偽造券は外観上、本物との区別が極めてつけにくい精巧な印刷という。本物に比べて原紙の表面がザラついた感じで紙質もやや薄く、表面は同社の発行を示す字模様の線が細かったり着色が薄かったりしている。また、印字された「こだま号・ひかり号」の「号」が同一ではなく、「口」と下部の「一」がくっついたり離れたりしている。裏面に磁気は入っておらず、色は本物よりやや黒いという。さらに、券面に記された発行番号はすべて違う数字でほぼ連番になっている。(朝日新聞)
■阪神、御影まで11日まで再開
 阪神電鉄は8日、運休中の青木−御影間(約2.5`、いずれも神戸市東灘区)の運転を11日始発から再開すると発表した。青木−三宮間で運転している鉄道代替バスも、御影−三宮間に変更される。これで阪神の不通区間は御影−三宮間の約6.1`となるが、この区間の被害が最もひどく、復旧のめどは立っていない。
 運転計画では、梅田−御影間は約12分間隔で運転される。青木−御影間は当分の間、徐行運転となるため、梅田−御影間の所要時間は急行で約35分の予定。(朝日新聞)
■JR芦屋−住吉 運転を再開
 JR東海道線は8日始発から、不通になっていた芦屋−住吉間で運転を再開した。JRとしては震災後初めて大阪方面から神戸市内に電車が入った。これに伴い、代替のノンストップバスは住吉−三ノ宮間に運行区間を変更し、所要時間は約20分になった。(朝日新聞)
■神戸新交通は8月下旬再開 ポート、六甲ライナー
 神戸市は8日、不通になっている新交通システムのポートライナー(6.4`)と六甲ライナー(4,5`)の運行再開は8月下旬になるとの見通しを明らかにした。ポートライナーについては一部区間の再開で、全線復旧は年末ごろになる。復旧費用はポートライナーが約120億円、六甲ライナーは約90億円を見込んでいる。
◆ファクスで交通情報を
 運輸省は、鉄道、バス、旅客船、航空機などの運行や不通区間、復旧見込みなどの最新情報を提供している。ファクス付き電話で情報センターに電話をかけ、説明に従って操作する。センターは、大阪(06・455・6000)▽広島(092・482・6000)▽東京(03・3940・6000)など。提供情報とボックス番号は次の通り。
 列車運行状況路線図(100)▽鉄道関連情報すべて(101)▽鉄道不通区間・復旧見込み(102)▽鉄道運行区間・運行状況(103)▽不通区間のう回ルート・運行状況(104)▽新幹線不通区間代替バス運行状況(105)▽鉄道代替バス運行状況(111)▽高速バス運休状況(112)▽路線バス運行状況(113)▽バス運行状況すべて(110)▽旅客船運航状況(120)▽航空機の臨時便運航予定(130)(朝日新聞)
■賃上げ2万円(平均)要求 春闘スタート 阪神労組は震災で先送り 私鉄総連
 春闘の相場づくりに大きな影響力のある私鉄総連(池村良一委員長、18万9000人)と加盟組合は9日、民間主要組合のトップを切って平均2万円(7.0%)の賃上げ要求を日本民営鉄道協会、各社経営側に一斉に提出、春闘本番がスター卜した。
 阪神大震災の影響で、阪神電鉄労組など一部の関西の労組は要求提出を先送りする方針を決めており、大震災が私鉄の労使交渉に大きな影を落としている。
 私鉄に続き、金属労協(IMF・JC)の造船重機労連が14日、鉄鋼、自動車の主要組合が15日に要求を提出する予定で、3月23日の春闘最大のヤマ場に向けて労使交渉が本格化する。
 大震災で打撃を受けた阪神電鉄労組がストライキを背景に賃上げを迫る中央集団交渉に参加しない方針を決め、同じように大きな被害を受けた阪急電鉄は、阪急労組に対し、中央集団交渉には参加せず、個別交渉に応じるよう申し入れている。
 両労組とも個別交渉になる可能性が高く、関西の他労組の中では、ストを背景にした交渉は避けるべきだとの意見も出ていることなどから、私鉄総連は今春闘に限って、中央集団交渉方式を見直すことも検討している。(京都新聞 夕刊)
■京急銃撃で2人達捕
 京浜急行本社(東京都港区)銃撃事件で、警視庁捜査四課と原宿署は9日までに、銃刀法違反などの疑いで、住所不定、指定暴力団松葉会系多田組元幹部篠崎裕(30)、東京都文京区根津、元会社役員菅宮明彦(35)の両容疑者を逮捕。同じ容疑で住所不詳、多田組元幹部井上英雄容疑者(29)を指名手配した。
 同事件の逮捕者は7人。指名手配は主犯格の元同組組長多田駿容疑者(48)を含め2人目。
 調べによると、篠崎容疑者らはすでに同容疑で逮捕された組員らと共謀、平成4年10月29日未明、港区高輪の京浜急行本社の窓ガラスに銃弾を撃ち込んだ疑い。(京都新聞 夕刊)
■私鉄総連 賃上げ2万円を要求 春闘本格スタート 阪神は中央交渉離脱
 主要単産のトップを切って私鉄総連(池村良一委員長、18万9000人)と傘下の約230組合が9日朝、賃上げなどの統一要求書を経営側の日本民営鉄道協会や各会社に提出し、今春闘が本格的にスタートした。私鉄総連の統一要求は、組合員平均2万円の賃上げと年間臨時給(ボーナス)0.2ヵ月分の上積みなどを柱としている。昨年、3.13%(労働省調べ)と過去最低の賃上げ率に抑えられた労働側は巻き返しを狙っているが、日経連は、経営環境の厳しさを背景に「賃上げの余地はない」と2年連続でベア・ゼロの方針を打ち出している。
 統一要求を受けた経営側は16日に労務委員会と大手各社の労担会議を開き、対応を話し合う。私鉄総連は、阪神大震災の影響で決定を先送りしていたストライキ日程などを、17日の中央闘争委員会で協議するが、スト設定は困難との声も一部には出ている。
 昨春闘では、私鉄大手14社のうち、関東の東武、東急、営団地下鉄、京成と関西の阪神、近鉄、南海、阪急、京阪の9社が中央集団交渉に参加した。しかし、今年は、阪神大震災で大きな被害を受けたため、阪神電鉄労組(高羽宣夫委員長、2400人)が要求提出を見送った。震災対策の進展状況などをにらみながら、時期をずらして個別交渉するとみられる。
 同じく大きな被害を受けた阪急電鉄労組(大埜雅彦委員長、約5500人)は、この日の要求に足並みをそろえたものの、今後の状況によっては中央集団交渉から抜ける可能性もある。(朝日新聞 夕刊)
10日■神戸−灘間 20日ごろ開通 JR西日本が方針
 阪神大震災で大きな打撃を受けたJR東海道線の不通区間のうち、神戸市の三ノ宮駅を含む神戸−灘間(4.9`)について、JR西日本は9日までに、最大約2ヵ月としていた復旧予定期間を早め今月20日を目標に運転を再開する方針を固めた。三ノ宮駅ホームの損傷が予想以上に軽かったことや高架橋下の店舗の経営者らとの話し合いがほぼまとまり補修作業のめどが立ったため。
 この開通で、5月上旬としている東海道線全線開通に向けての工期短縮にも大きく弾みがつきそうだ。(京都新聞)
■阪急、値上げ凍結 神戸線復旧、全線開通まで
 阪急電鉄(本社大阪)の菅井基裕社長は、今春に想定していた運賃値上げについて、阪神大震災で不通となっている神戸線が復旧する8月末まで先送りする考えを明らかにした。
 同社は先月19日、設備投資の圧迫などを理由に平均17.4%の値上げを運輸省に申請。同省は値上げ幅を圧縮して5月にも認可するとみられていた。
 菅井社長は「不通区間があるのに運賃を改定するのは申し訳ない」とし、阪急独自の意思として値上げ申請が認可されても、神戸線全通までは現行運賃に据え置くことを明らかにした。(京都新聞)
■阪急全線で値上げ凍結 復旧完了の秋まで
 阪急電鉄の菅井基裕社長は9日、大阪市北区の本社で記者会見し、運輸省に対して、4月1日実施で申請中の運賃値上げについて、「阪神大震災による不通区間の復旧作業が完了するまでは値上げを見送る」との方針を明らかにした。阪急の計画では、神戸線(梅田−三宮間)の全線開通を8月末としており、申請中の運賃値上げは10月まで全線で凍結されることが確実になった。また、今年度75億円、来年度も140億円の減収が見込まれ、2期連続の経常赤字は必至で、無配の可能性もあるとした。
 阪急は1月19日に、初乗り運賃を120円から150円とする平均17.4%の運賃値上げを4月1日から実施したいと、運輸省に阪神電鉄や近畿日本鉄道など大手私鉄13社とともに申請した。この運賃値上げ案は、震災前に来年度の鉄道収支のバランスが取れるように計算したもので、運輸省では公聴会を3月中旬に予定している。
 今のところ、4月下旬の認可、5月上旬の実施が有力となっているが、菅井社長は「乗客に鉄道代替バスの利用を呼び掛けるなど、不通区間があり不自由を掛けている状態で値上げはできない。復旧、ただちに値上げというわけにもいかない」と判断、申請運賃が今春に認可されても、当分の間、凍結する方針を囲めた。
 運輸省によると、新運賃の認可後、実施を長期間にわたって先送りした例はないという。しかし、鉄道営業法では、運賃値上げの際には「7日以上の公告」を定めているだけで、「認可後の実施日の設定は各社の判断にゆだねられており、申請を取り消すなどの必要はない」(業務課)としている。阪神大震災で被害を受けた阪神も運賃値上げを申請中だが、「現段階では何も申し上げられない」(広報課)と話している。
 一方、菅井社長によると、阪神大震災の阪急の復旧費用は約800億円。内訳は鉄道事業で約660億円、駅ビルなどの流通事業で約110億円、宝塚大劇場の修理などで約30億円という。
 また、今年度の減収額は約75億円(鉄道事業は約40億円)。鉄道代替バスの運行費など費用の増加を含むと経常赤字は確実で、減配や無配もあるとしている。来年度も鉄道不通区間の運賃、広告収入の減少や、運賃値上げの先送りなどで約140億円(同87億円)の減収を見込んでいる。阪急によると、経常赤字、無配となれば、1947年度の決算以来という。(朝日新聞)
■JR九州子会社 東京協和に 20億円預金 高金利にひかれる?
 不動産会社への巨額融資で経営が破たんし、日銀などが出資する新銀行に救済されることになった東京協和信用組合(東京都港区)に、JR九州の金融子会社「ジェイアール九州リース」が20億円にのぼる巨額預金をしていたことが9日、明らかになった。JR九州は「通常の商取引。子会社の運用先までチェックしていない」としているが、高い金利にひかれて預けたものと見られる。
 ジェイアール九州リースは、昨年11月中旬に1ヵ月と1ヵ月半満期の定期預金計20億円を東京協和に預けた。日銀が12月上旬、経営難の東京協和と安全信組を解散して新たに受け皿銀行をつくると発表したため、同社は12月14日、満期を迎えた1ヵ月定期とともに、1ヵ月半の定期も途中解約したという。
 東京協和は、メーンバンクから支援を打ち切られた不動産会社へ融資するために都市銀行の大口定期預金の金利水準(約2.3%)より1%前後高い金利で幅広く資金をかき集めており、ジェイアール九州リースもこれに応じた形だ。
 ジェイアール九州リースは、JR九州の100%子会社として1988年7月に設立された。年商は約70億円。(朝日新聞)
11日■近鉄も一部改正 来月16日から
 近鉄は3月16日から京都線や奈良線などで、朝のラッシュ時を中心に一部電車の運転ダイヤを改正する。
 改正は、通勤用電車20両が新造されたのと、京都線三山木駅の駅ホーム延長工事完成などに伴い、東大阪線と田原本線を除く全線で実施される。
 京都線では、京都−近鉄宮津間に急行1本を増発(京都発午前7時58分)するほか、京都発午前8時11分の新田辺行き急行1本を近鉄宮津まで延長する。(京都新聞)
■北陸線など4月ダイヤ改正 S雷鳥に新車両導入 JR西日本
 JR西日本は10日、山陰線、湖西・北陸線などを中心にした列車ダイヤ改正を4月20日から実施する、と発表した。
 山陰線は、電化工事が進む園部−福知山間のうち綾部−福知山間(12.3`)が近く完成するのに伴う改正。湖西・北陸線は、阪神大震災で遅れていた特急「スーパー雷鳥」の新型車両(サンダーバード)が完成したことから、この新車両で大阪−金沢間を2時間20分台で結ぶ。スーパー雷鳥は、従来の7往復から12往復に増え、うち8往復がサンダーバード。
 また宝塚線では、207系通勤電車の新型車両39両を投入するとともに、運転区間を大阪−新三田から大阪−篠山口に延長。快速はすべて8両編成、普通は6両編成にする。(京都新聞)
■青木−御影間 きょう再開 阪神電鉄
 阪神電鉄は不通が続いていた本線の青木−三宮間のうち、青木−御影間(2.5`)の運転を11日から再開する。これで同本線は、梅田−御影間(25.1`)が完全復旧。残る不通区間は、御影−三宮間(6.1`)となり、代替バスの運行区間も同日から御影−三宮間に変更される。
 梅田−御影間の復旧で、本線を走る電車の本数も増加。上りが特急63本を含む98本、下りが同66本を含む285本の計563本となる。
 梅田−御影間の所要時間は急行で35分。運転速度は梅田−尼崎センタープール前までが通常の速さ(106`以下)、残る区間は65`以下になる。(京都新聞)
■JR神戸−灘間20日再開 山陽新幹線 高架柱など耐震改築
 JR西日本は10日、不通が続いている東海道線の神戸−住吉間のうち、神戸灘間について今月20日の始発から運転を再開する、と発表した。また、大きな被害に遭った山陽新幹線の新大阪−姫路間の高架柱など計708本を、外側から鉄板を巻くなどの工法で、阪神大震災と同程度の揺れに耐え得る程度まで造りかえる方針を明らかにした。
 東海道線の神戸−灘間は、高架下に300店以上のテナントが入居しているため、復旧工事にはテナントが一時退去する必要があった。このほど全店の了解が得られ、20日の運転再開に見通しがついたという。これで、20日以降も不通が続くのは、住吉−灘間の約4.5`部分(復旧は5月上旬)だけとなり、阪神間の鉄道輸送は大きく好転する。
 一方、山陽新幹線で耐震復旧工事が行われるのは、高架を支える鉄筋コンクリート製の柱や橋台。今後の揺れに対して柱が膨れないよう帯鉄筋の間隔を縮めて取り付け、上から柱全体に鋼板を巻き、間にコンクリートを流し込んで固める。けたを支える橋台では2本の脚柱の間にコンクリート壁を張り耐震性を上げる。(京都新聞)
■新幹線復旧 支柱に鉄板巻き補強 JR西日本 工法を決定 開通はGW明け
 阪神大震災で大きな被害を受けた山陽新幹線の復旧工事について、運輸省とJR西日本は、コンクリート高架橋の柱の鉄筋を増やしたうえで、周囲に鉄板を巻いて補強する工法を採用することを決めた。従来より強度が上がり、同クラスの地震に遭っても崩壊や橋げたの落下は避けられるという。JR西日本では早急に工事にかかるが、開通は5月の連休明けになる見込みだという。
 計画によると、破損した高架橋の柱計708本について、横方向に入れる帯鉄筋の間隔を従来の15aから10aに詰め、周囲を厚さ約6_の鉄板で上から下まで巻く。武庫川鉄橋の11本の橋脚については、周囲にコンクリートを塗って厚くしたうえで、鉄板を巻く。
 運輸省が学識経験者らで組織した「鉄道施設耐震構造検討委員会」(委員長・松本嘉司東京理科大数授)によると、新幹線の高架橋は、激しい構揺れと縦揺れを受けて柱の中の鉄節が外へはじけるように破壊した個所が多かった。柱を鉄板で巻き、帯鉄筋を増やすと、コンクリートの破損や鉄筋の変形防止に効果があり、たとえ支柱が壊れても倒壊する危険は避けられるという。
 鉄筋コンクリート支柱に鉄板を巻くと、実験では2倍から3倍の強さになるという。費用はJR西日本が復旧費として試算していた490億円の範囲内でも可能という。(朝日新聞)
■青木−御影間 きょう開通 阪神電車
 阪神電鉄は11日始発から、不通になっていた青木−御影間で運転を再開する。代替バスも青木−三宮間から御影−三宮間に変更となる。(朝日新聞)
■JR灘−神戸間 20日始発から運転を再開
 JR西日本は10日、東海道線の灘−神戸間で、20日始発から運転を再開すると発表した。(朝日新聞)
■声 新幹線復旧は安全が最優先 鹿児島市 雨宮 仁(フリーライター 64歳)
 阪神大震災による山陽新幹線の新大阪−姫路間の不通個所の復旧工事を急ぎ、当初の予定を早めて5月の連休明けに開通させる、といったJR西日本の見解に対し、現地の被害状況を視察中の運輸省関係委員会の委員長が「待った」をかけたという。亀井運輸相も「新たな耐震設計をもとに工事を進めるべきだ」と同意したというが、至極当然である。
 無残に損壊した高架橋の柱をテレビで見るにつけ、わずか3、4ヵ月で再建し、200`を超すスピードの高速車両を走らせるなど、素人目にも冒険だ。
 JRが突貫工事で5月初旬をめどに全線開通をあせる背景には、近畿圏の中学校の修学旅行が集中する時期的条件、さらに阪神間の不通によって、山陽新幹線の平均利用率が著しく低下したなどの事情があるようだ。
 しかし、新幹線建設当時に関係者を支配したそのような効率、利益最優先の発想が、海砂使用など安易な施工法によって、もろい高架橋の柱造りに関連したと言えないか。
 「せいては事を仕損ずる」ということわざがある。震災の教訓を十分に生かし、従来の遠離震源地による構揺れ中心から、新しい直下型地震の縦揺れを加味した安全工法採用のためなら、開通の時期遅延もやむを得ない。(朝日新聞)
12日■新幹線 京都−新大阪 来月末に正常化
 阪神大震災で、高槻市を中心に高架部の柱部分に損傷を受け、徐行運転を続けているJR東海道新幹線京都−新大阪間について、JR東海は11日までに、損傷した柱全体を鋼板で覆う本格復旧工事計画をまとめた。近く運輸省に提出する。これにより同線は3月末には震災前と同じ正常ダイヤで運行できる見通しとなった。
 計画によると、同区間の99本の柱は応急処置として損傷部分を外側からモルタルで固め、鋼板で包み込むなどしていたが、これを 損傷部分だけでなく柱全体を鋼板で覆う 微量のひびが入った柱も、ひびに樹脂を注入後、柱全体を鋼板で覆う−という内容で、同区間計172本を対象にしている。(京都新聞)
■神戸の地下鉄16日全線開通
 神戸市交通局は11日、地震によるトンネルや駅舎の被害で不通になっている市営地下鉄板宿−新神戸間を16日始発から運行再開させる、と発表した。被害が大きい三宮、上沢、新長田の3駅は通過するが、西神中央−新神戸間(22.7`)の全線が、地震発生から1ヵ月ぶりに復旧。右上方面への北神急行との相互乗り入れも行う。(京都新聞)
13日■阪急神戸線で一部復旧 御影−王子公園
 阪神大震災で不通となっている阪急電鉄神戸線西宮北口−三宮16.7`のうち、西寄りの神戸市内の御影−王子公園3.6`が13日復旧、始発から運転を再開した。
 震災で寸断された阪神間の鉄道はJR東海道線が大阪−住吉、阪神電鉄が梅田−阪神御影まで開通。阪急電鉄は乗り継ぎ旅客のために同日から阪急御影とJR住吉、阪神御影両駅を結ぶバスを運行した。
 両駅と阪急御影は約1`で、徒歩で乗り継ぐこともできる。
 阪急神戸線の全線開通は8月末。JR東海道線は5月上旬の予定。(京都新聞)
■光明池−和泉中央 泉北高速鉄道 4月から延伸
 堺市の中百舌鳥と泉北ニュータウンを結ぶ泉北高速鉄道(本社・大阪市)は13日、建設を進めている光明池−和泉中央駅間の運行を4月1日から始めると発表した。これで同線の運行区間は現行の中百舌鳥−光明池間の12.1`から2.2`延長されて14.3`となる。
 同鉄道はこの日、運輸省に運賃値上げを申請した。値上げ率は平均14.5%で、10`までの各区間は20円、10`以上の各区間は30円それぞれアップする。延長された光明池−和泉中央間にまたがって乗車する場合はさらに20円加算される。定期は平均14.4%上がる。実施は4月1日からの予定。3月5日からは朝夕ラッシュ時の便を増発し車両を増やすなどのダイヤ改定を行う。(朝日新聞 夕刊)
■阪急の御影−王子公園開通
 阪急は13日始発から、西宮北口−三宮間で不通となっていた神戸線のうち、御影−王子公園間の運転を再開した。
 神戸線の西宮北口−御影間、王子公園−三宮間が不通のため、阪急はJR西日本と阪神に振り替え輸送を依頼。同日から阪急御影駅と、JR東海道線の住吉駅、阪神御影駅を結ぶ連絡バスが運転を始めた。
 しかし、午前8時現在で、連絡バスの所要時間は阪急御影−JR住吉間で約10分、阪急御影−阪神御影間で約20分かかるため、乗車率は3割から4割ほど。阪急御影駅とJR住吉駅の間には通勤客らの歩く列ができていた。(朝日新聞 夕刊)
14日■窓 踏切待ちでも感じ方は違う 福知山市・山口秀樹(中学校教員・34)
 皆さんは踏切待ちをどう思われますか。時間の無駄? 損? 先を急いでいる時のいらだち。しかも左が通過したと思ったらまた右から−と開かずの路切となったら、どうでしょう。大損。どうにかしてくれってところでしょうか。
 私も以前はそうでした。特に1分1秒を争う朝の通勤時にはイライラの連続でした。先を急ぐ時でなくとも「カンカン」と聞けば、アーアとため息の一つもついていたものでした。
 ところが、それがガラッと一転しました。踏切待ちがかえって得したと思えるようになったのです。それはボランティアで出会った、電車が何より大好きな目の不自由なA君のおかげです。
 A君にとって「カンカン」はこれから楽しいショーが始まるぞという合図。電車が通ると、両手をおげて「オー、デンシャ!」と叫びつづけます。通過すると「アーア、イッチャッタ」とポツリ。次の電車が待ち遠しい様子です。A君にとって踏切は電車が楽しめる特等席なのです。
 私が見て楽しんでいるのは電車ではなく、このA君の「歓喜の舞い」なのです。
 物の長さが5a、10aと皆が同じ答えとなるのは、同じ定規で測ったからです。物の見方や感じ方は人間そのものが定規となるので、それぞれ異なって当然なのです。教師となって8年。教え子たちが、自分の定規を持てる子供に育ってほしいと願っています。(京都新聞)
■運賃11%値上げ申請 男山ケーブル
 京阪電鉄は14日、近畿運輸局に男山鋼索線(男山ケーブル)の運賃を2.1%値上げする運賃改定を申請した。
 申請によると、同鋼索線は八幡市−男山山上間の0.4`で、普通運賃現行180円を200円にする。定期運賃も2.1%値上げする。同線の93年度輸送人員は47万7000人で、ピーク時の78年と比べ31%減少するなど収益が悪化、値上げ申請に路み切った、という。(京都新聞)
■阪急も春闘の集団交渉離脱 復旧を最優先
 阪急電鉄の労働組合(大埜雅彦委員長、約5500人)は13日の中央委員会で、私鉄総連の大手で行っている春闘の中央集団交渉から離れることを決めた。阪神大震災で、神戸線を中心に大きな被害を出しており、復旧や震災対策を最優先させることにした。
 ただ、要求は、組合員平均2万円の賃上げと年間臨時給(ボーナス)0.2ヵ月分の上積みなど、私鉄総連と足並みをそろえる。(朝日新聞)
■阪神・近鉄・南海・京阪 運賃値上げどう説明? 来月中旬、公聴会予定 阪急、凍結決定で波紋
 阪神大震災で鉄路に約660億円の被害を受けた阪急電鉄が、運輸省に申請中の運賃値上げを今秋まで凍結したことが、同じように運賃値上げを計画している大手私鉄13社をあわてさせている。同じ関西の阪神神、近鉄、南海、京阪は、3月中旬に予定されている公聴会で利用者に値上げ理由をどう説明するかで頭を痛めている。
 阪急の菅井基裕社長が「神戸線に不通区間があるのに値上げしては利用客に申し訳ない」と、4月1日実施で申請している運賃値上げを、神戸線が完全復旧する8月末まで凍結する方針を発表したのは9日。その夜、各社の運賃担当者は事実確認に走った。なかには早々と会議を開いた社もある。
 値上げは震災前に予定していたもので、たまたま震災直後に申請となってしまった。とはいえ、公聴会では「この非常時になぜ、値上げなのか」という質問が予想され、各社はその答弁を考えていた。阪急の凍結で「被害の大きい阪急は値上げしないのに、被害も無い会社が値上げするのか」の答えも必要になった。
 「阪急の経営判断なのでコメントしようもない。近鉄は1日も早い認可を願っている」(近鉄・岡裕副社長)、「多大な被害を受けられたという事情を考慮された判断。ただ、当社の鉄道事業の経営が厳しいことに変わりはない」(京阪・金属 副社長)「当社としては、できるだけ早い認可を希望したい」(南海・久保勇専務)
 被害の無かった関西3社は値上げ申請の際に、各社一斉の横並び申請を「券売機の切り替えなどの投資が一度で済む」「不況で利用客離れが著しいのは各社とも同じ」などと説明したが、今度は「見送ったのは阪急の勝手」とばかり、値上げの必要性を強調する。
 そんな中で、最も困惑しているのは阪急と同じように被災した阪神だ。飯塚卓専務は「現時点では何も申しあげらない」としているが、その胸中は複雑だ。
 不通区間を抱える中での値上げが心苦しいのは阪急と同じだが、阪神本線の御影−三宮間の被害はひどく、いまだに復旧計画も立っていない。優旧には運賃収入の2年分以上に当たる約700億円が必要とされるうえに、運休による減収を考えあわせれば「一刻も早い値上げを」と願うのが本音だ。
 「企業基盤が違う」「阪急のスタンドプレー」。ジレンマの社内からそんな声が聞こえてくる。(朝日新聞 夕刊)
■JR和田岬線 あす運行再開
 JR西日本は15日始発から、神戸市兵庫区内を走る和田岬線(兵庫−和田岬)の運行を再開する。同線は、線路上に建物が倒壊する恐れがあったため不通になっていた。(朝日新聞 夕刊)
15日■JR播但線、福知山線、加古川線←→山陰線 う回ルート大混雑続く 乗客、通常の10−20倍 増発や増結追いつかず
 阪神大震災で不通となった阪神間の鉄道のう回ルートとして利用されているJR播但線、福知山線、加古川線の乗客が、震災後1ヵ月近くが経過し、不通区間の一部が開通した現在も、平常の10−20倍にのぼり、大きな混雑が続いている。
 震災で、JR西日本は、阪神間を結ぶ新幹線、東海道線、山陽線が壊滅的な被害を受けたため、これらを利用する乗客が、翌18日(先月)に列車運行が再開された山陰、播但線を利用し、京都−姫路間をう回。同22日には福知山線も開通したため、これら3線の利用客数がふだんの10倍以上に跳ね上がった。
 JR西日本は、快速など13本の増発や車両の増結、臨時バスの運行など、毎日の乗客数に応じて柔軟に対応しているが、道路事情の悪化、車両数やダイヤ設定の困難さなど、輸送量アップにも限界があり、混雑が解消されていないのが現状。
 連休前日の今月10日には、加古川線と福知山線を乗り継ぐ利用者は5341人と平常時257人の20倍。播但線と山陰線を乗り継ぐ乗客数は約8397人と平常時590人の14倍になるなど、各列車とも休日を中心に込み合っている。
 JR西日本福知山支社は「う回距離が短い加古川線よりも、運行本数や連結車両数の多い播但線の利用を」と呼びかけているが混雑の解消にはなかなか結びつかず、山陽線の不通区間が開通すると見られる2、3ヵ月先まではこの状態が続きそうだ。(京都新聞)
■列車にひかれ被災男性即死 向日のJR線路で
 14日午前9時40分ごろ、向日市寺戸町のJR東海道線向日町駅ホーム北側の線路上を歩いていた神戸市兵庫区湊町一丁目、無職赤澤精一さん(80)が、大阪発堅田行き上り新快速にはねられ即死した。新快速が現場で約15分停車したほか、上下合わせて7本の列車に5分から16分の遅れが出た。
 向日町署の調べでは、赤澤さんは独り暮らしで、居住していた宿泊所で地震に被災し、避難所の兵庫中学に身を寄せていた。神戸市発行の優待乗車証から身元が判明した。(京都新聞)
■新超特急デビュー遅れ 山陽新幹線 車両メーカーが被災
 JR西日本は14日、山陽新幹線で来年3月の営業運転を予定していた最高時速300`の新型超特急の運転計画をいったん白紙に戻す方針を固めた。阪神大震災で、車両メーカーや各種部品メーカーが被害を受け、10月ごろに予定していた新型車の完成が来年初めまで遅れることが濃厚となったためだ。同社は今秋にも運転計画を練り直す考え。営業運転前には4−5ヵ月の試運転期間が必要とされており、新型超特急のデビューは来夏以降にずれこむことが確実になった。
 JR西日本の新型超特急は「500系」と呼ばれ、営業運転速度としてはフランスの新幹線「TGV」と並ぶ世界最高の時速300`を予定している。昨年9月に発表した計画では、来年3月から臨時列車として新大阪−博多間で1日2往復程度の営業運転を始め、同区間を現在の2時間32分から2時間19分に短縮するとしていた。さらに翌年3月には1時問に1本程度の運転ダイヤを組み、東海道新幹線へも乗り入れ、東京−博多間での営業運転も検討していた。
 このため、同社は昨年11月に、川崎重工業(本社・神戸市)などの車両メーカーに対して、1編成(16両連結)を発注、ことし10月から新大阪−博多間で試運転に入る予定で、時速300`に対応する軌道の整備も進めていた。
 しかし、阪神大震災で川崎重工業や、台車などを担当する部品メーカーの神戸市内の工場が被害を受け、生産計画が狂った。(朝日新聞)
■鉄道復旧向け 阪神など5社 兵庫児・神戸市に助成要望
 阪神大震災で鉄道網に大きな被害を受けた阪神電鉄、山陽電鉄、神戸電鉄、神戸高速鉄道、北神急行電鉄の5社は14日、兵庫県と神戸市に対して、鉄道軌道整備法に基づく復旧への補助金と地方税の減免措置を求める要望書を提出した。
 鉄道軌道整備法は地震などの大災害を受けた鉄道会社に最高で国が25%、関係地方自治体が25%の公的補助ができると定めている。補助金を受けるには、災害によって向こう5年間の赤字が見込まれることなどが条件となるが、政府は適用条件の緩和を検討している。(朝日新聞)
■JR・阪急、低利融資 阪神は補助金で支援 運輸省検討
 運輸省は阪神大震災で大きな被害を受けた大手鉄道3社に対して、JR西日本と阪急電鉄は日本開発銀行の低利融資で、阪神電鉄は鉄道軌道整備法による補助金で、それぞれ復旧費を支援することを検討している。復旧費の見込み額はJR西日本が1200億円、阪急が660億円、阪神が700億円で、それぞれ復旧費の半額を支援する。(朝日新聞)
■神戸阪急、来月10日再開 震災被害、全体で27億円
 阪急百貨店は14日、阪神大震災の被害を受け休業していた神戸市内の神戸阪急の営業を3月10日から一部で再開し、4月中には全面再開することを明らかにした。物流センターなど一部で営業を再開している店はあるが、全面的な再開は、神戸市中心部にある百貨店の大型店舗の中では「復活」一番乗りになる。
 同社はこの日、阪神大震災による被害額がグループ全体で27億円になると発表した。被害の中心は、店舗の復旧費用や休業に追い込まれた三宮阪急の固定資産除却損など。
 神戸阪急は、壁面などが破損したが、まず全体面積の約7割にあたる地下1階から3階で開業する。全体での営業は4月になる。「神戸中心部で唯一営業を再開できた店鋪として、生活必需品を一部加えながら、百貨店ならではの品ぞろえで営業を再開する」(松田英三郎社長)としている。(朝日新聞)
■地下鉄工事を再開 神戸市営「海岸線」月内にも
 神戸市は震災で中断していた市西部と中央部の三宮を結ぶ新しい市営地下鉄「海岸線」の工事を、今月中にも再開する方針を15日までに決めた。
 沿線には震災前から再開発事業や住宅、道路の整備計画が予定されており、市交通局は「復興の先導的役割を果たすためにも、早く工事を再開して完成したい」としている。しかし、本格的な掘削工事は耐震設計基準見直し後になる。
 海岸線はJR新長田−三宮間の臨海部約8`を結ぶ計画で、建設費1800億円をかけ、平成10年度に完成予定。人口が減少傾向にある市臨海部の活性化策として、平成6年3月から工事が始まった。
 こうした海岸線の工事に合わせ@沿線の新長田駅前を再開発して店舗や住宅140戸が入るビルの建設や駅前広場の整備A兵庫貨物駅跡地に都市型住宅1700戸の「キャナルタウン兵庫」を造るB青果物の輸入基地として兵庫突堤と隣接の中央卸売市場の一体的整備−などが計画されている。
 長田、兵庫両区は木造住宅の密集地で、地震による火災や家屋倒壊が多発、市は「復興促進のためにも、早い工事再開が必要」と判断した。
 市交通局によると、2月中にも、和田岬地区(兵庫区)の工事を再開し、苅藻地区(長田区)の入札も実施。3月中には、JR新長田、神戸両駅周辺の入札を始めるという。
 現在、運輸省は地下鉄の耐震設計基準などを見直し中で、市は当面、樹木や水道管などを取り除く工事を進め、本格的な掘削工事は基準見直しの結果を受けて始める。
 既存の市営地下鉄(西神中央−新神戸)は地震でコンクリート柱250本が損傷したが、今月16日から新長田(長田区)、上沢(兵庫区)、三宮(中央区)の3駅は通過するものの、全線が開通する見通しが立った。(京都新聞 夕刊)
■JR和田岬線が復旧
 震災で運休していた、神戸市兵庫区の兵庫駅と和田岬駅の1区間(約2.7`)を結ぶJR和田岬線が15日朝、始発電車から運転を始め、地震発生以来約1ヵ月ぶりに復旧した。(京都新聞 夕刊)
16日■神戸市営地下鉄 きょう全線開通
 阪神大震災で不通になっていた神戸市営地下鉄の新神戸(中央区)−板宿(須磨区)間が、16日始発から運行を再開、同地下鉄は震災からほぼ1ヵ月ぶりに全線が開通する。被害の激しい三宮駅など3つの駅は、補修工事が終わるまでは通過する。
 震災前の1日当たりの利用者は約26万人。市交通局は、市中心部のオフィス街の復旧が遅れているため、約25万人の利用者を見込んでいる。
 運行は午前5時45分から午後10時38分まで。朝、夕のラッシュ時は4−6分間隔、昼間は7分半間隔で平常ダイヤの8割にまで回復。夜間は引き続き復旧工事を行う。
 同地下鉄は新神戸と西神中央(西区)間約23`で営業。震災のため地下の天井を支える支柱など基本構造部分にヒビが入るなどし、新神戸−板宿間約9`が不通になっていたが、市対策本部は24時間態勢で支柱約250本やレールなどの応急補修を進めてきた。(京都新聞)
■私鉄春闘、東西分離に 中央集団交渉 京阪、南海、近鉄も離脱 ストなしの公算
 春闘の相場づくりに大きな影響力を持つ私鉄総連(池村良一委員長)加盟の京阪、南海、近鉄の関西大手3労組は15日までに、阪神大震災の影響を考慮して、95春闘では、これまで関東の大手4労組(東武、東急、京成、営団地下鉄)と一緒に取り組んできた中央集団交渉に参加しない方針を固めた。深刻な被害を受けた阪神、阪急の両労組に加えた3労組の離脱が決まれば、私鉄大手の春闘交渉は、東西に分離して行われることになる。
 ストライキを背景に賃上げを迫る中央集団交渉は昭和42年に始まったが、東西に分離するのは初めて。95春闘では、全電通が震災に配慮してストを構えない方針を決めており、私鉄総連の動向は春闘全体に徹妙に影響しそうだ。
 3労組は、17日の私鉄総連中央闘争委員会でこの意向を伝え、理解を求める。3労組は、関東大手など主要労組が決著した後、関西ブロックとしてまとまって交渉するとみられるが、ストを構えずに交渉する「事後対処方式」を採用する方向で、ストなしとなる公算が大きい。阪神、阪急の2労組は、個別交渉になる見通し。
 関西労組の動向により、関東の労組もストを構えた交渉ができるかどうか徹妙な情勢となってきた。
 私鉄総連幹部によると、京阪、近鉄、南海の3労組は公共輸送機関として、被災者の足確保と住民感情を考慮、ストを構えて闘う戦術は難しいと判断して不参加方針を固めた。
 関東の大手4労組の中には「大震災の影響を考えると、ストの設定は世論の理解を得られない」として、これまでのストを背景にした中央集団交渉は難しいという見方もあり、17日の中央闘争委でストが設定できるかどうか微妙な情勢になっている。
・鉄道復旧に800億円 運輸省が支援策 8事業者に補助へ
 運輸省は15日、阪神大震災で被害を受けた鉄道事業者への支援策を固めた。
 阪神電気鉄道など8事業者に総額約800億円を国と自治体が補助する@日本開発銀行からの低利融資は総額約1300億円とし、金利は融資後5年間は3.75%と4.25%の2本立てにする−が主な柱。17日に閣議決定し、政府が24日に国会に提出する1994年度第2次補正予算案に盛り込む。
 震災被害があった事業者は計13事業者。このうち復旧費補助の対象となるのは阪神電気鉄道のほか、JR貨物、神戸新交通、山陽電気鉄道、神戸市営地下鉄、神戸高速鉄道、神戸電鉄、北神急行。
 これら事業者には鉄道軌道整備法に基づき、国、地方自治体が復旧費の4分の1ずつを負担する。同法は補助対象について厳しい利益基準を設けているが、運輸省は省令などで要件を緩和する。
 開銀の低利融資は、復旧費の半額補助を受ける事業者のうち公営の神戸市営地下鉄を除く7事業者に対し復旧費の4分の1を金利4.25%で5年間、6年目以降は現行の鉄道整備向け金利である4.75%で貸し付ける。一方、企業規模が大きかったり、被害が軽微で復旧費補助を受けないJR西日本、JR東海、阪急電鉄、北大阪急行の4事業者には、開銀が復旧費の半額を金利3.75%で五年間、6年目以降は4.75%で融資する。
・震災での特例と強調 私鉄総連
 20年近く続いていた私鉄総連の中央集団交渉が事実上崩れたことは、今後ストライキを背景にした戦術がとれるのか、大きな課題を残したことになり、私鉄総連は重大な岐路に立たされたといえる。
 執行部は今回の措置について、阪神大震災というかつてない事態が発生したことによる今春闘限りの特例と強調している。しかし、阪神、阪急が大震災で受けた被害は深刻で、集団交渉から離脱した2社の労組が、来春闘で一緒に闘えるという保証はない。
 これまで集団交渉に参加してきた関西の5労組のうち、被害がほとんどなかった近鉄など残りの3労組の中央集団交渉離脱む、住民感情を考えてスト設定に難色を示したことがきっかけだった。このため、関東の大手組合委員長の中では「このまま集団交渉が形がい化するのではないか」と心配する声もある。
 私鉄総連は今月3日の拡大中央委員会で、平均2万円の賃上げ要求を決め、9日に経営側に要求を提出しているが、スト日程などの闘争スケジュール決定は中央闘争委まで延期していた。
 経営サイドでは以前から「これだけ各社の業績に格差があるのに同一回答をするのは無理がある」として、個別交渉に変えるべきだとの意見が強かった。
 大震災によるアクシデントとはいえ、これをきっかけに個別交渉を求める声が強まるのは必至で、今後一層私鉄総連の指導力が問われることになる。(解説)(京都新聞)
■市営地下鉄 全線が開通 きょう1ヵ月ぶり 神戸
 阪神大震災で不通になっていた神戸市営地下鉄の板宿−新神戸間(8.8`)が、16日の始発から運転を再開する。被害が大きい三宮、上沢、新長田の三駅は通過するが、これによって同地下鉄は1ヵ月ぶりに西神中央−新神戸間(22.7`)の全線が開通する。新神戸−谷上間の北神急行との相互乗り入れによる直通運転も同時に再開される。
 朝のラッシュ時間帯は4分間隔、夕方は6分間隔、それ以外の時間帯は7分半間隔で運転する。
 震災では、駅舎やトンネルを支えるコンクリート製の柱のうち約310本に亀裂が入るなど大きな被害を受けた。
 残る3駅のうち新長田駅は3月中にも開業できる見通しだが、上沢、三宮両駅はなお時間がかかり、全面的に復旧するのは約1年後になる見込みという。(朝日新聞)
■大阪−防府 バス運行へ 近鉄と防長交通
 近鉄と防長交通は15日、大阪−防府間で臨時高速バスを運行するため運輸省に申請した。許可が得られれば17日から運行を始める予定。大阪市の近鉄上本町駅2階高速バスセンターとJR岩国駅前、徳山駅前、防府駅前を結ぶ。山陽新幹線の新大阪−姫路間の開通まで走らせる。近鉄高速バスセンター(06・772・1631)と防長高速バス予約センター(0834・32・7733)で1ヵ月前から電話予約を受け付ける。(朝日新聞)
■東須磨−須磨寺間 21日始発から再開
 山陽電鉄は15日、不通になっている東須磨−須磨寺間の運転を21日始発から再開すると発表した。また、須磨寺−須磨浦公園間は5月中旬、西代−東須磨間と須磨浦公園−滝の茶屋間は7月中旬にそれぞれ再開する予定。(朝日新聞)
■京都駅前と北大路駅上 来月誕生 京都市内に2ショッピングゾーン
 京都市内の2つの駅を拠点に、この春、ショッピングゾーンが相次いで誕生する。JR京都駅前の京都近鉄百貨店(下京区烏丸通七条下ル、池野泰正店長)と地下鉄北大路駅の上に建設中の「キタオオジタウン」に入る北大路ビブレ(北区小山上総町、小山哲雄店長)。近鉄は新装オープンで3月4日から本格営業、ビブレは同10日からスタートする。
 京都近鉄百貨店は一昨年6月から増改築工事をしてきた。事業費は約150億円。店舗面積は約40%憎え、約3万9000平方bに。京都最大のターミナル前という地の利を生かし、日々の暮らしに密書した品ぞろえと観光客の要望も満たせる京都らしい店づくりを目指す。
 すでに昨年11月、地下に精肉と野菜、鮮魚を売る生鮮市場がオープン。集中レジ方式を採用し、売り上げはこれまでの3倍に増えたという。
 京都らしさを出すのは、地下の「京の酒蔵」売り場。50軒の酒蔵から地酒を取り寄せる。
 また、店の南西入り口にイベントや待ち合わせのできる1階から5階までの吹き抜け空間を作り、新しく160台収容の地下駐車場も設ける。
 池野店長は「いずれJR京都駅のターミナルビルが完成すれば、四条に匹敵するようなショッピングゾーンの一角を担うことになる」と売り上げ増を期待する。
 一方、北大路ビブレの店舗面積はテナント、共用部分を合わせて2万1000平方b。全国に28あるビブレの中では2番日の大きさ。
 「キタオオジタウン」は市交通局の北大路地区有効利用計画に基づく事業で、民間会社の北大路都市開発が市から土地を借りて建てている。ビブレのほか、3月10日同時オープンの飲食店ゾーン、すでに昨年3月から使用開始した市バスターミナル、4月に一部が開放される同市北文化会館などが入る。
 1階は食料品やDCブランド店、2階は女性衣料、3階は男性と子ども衣料、4階は家電や輸入雑貨売り場など。レストランや有料のスポーツ施設、地元のテナントも入る。地下には、自転車1000台分の駐輪場と車350台分の駐車場を設けた。
 1階の中央には4階吹き抜けのセンタープラザがあり、展示会などが開ける。1階通路は地下鉄の乗降客が通れるように午前5時から同零時まで開放される。
■阪神大震災 山陽新幹線の高架橋 揺れ、地表の3−5倍 鉄道技術総研解析 共振現象で増幅
 阪神大震災(兵庫県南部地震)の地震動(揺れ)は、山陽新幹線のコンクリート高架橋に作用した場合、地表面の3−5倍の強さに増幅される性質を持っていたことが16日、財団法人鉄道総合技術研究所(JR総研)の解析で明らかになった。地震動の特定の周波数と高架橋が同調して共振現象を起こすためで、山陽新幹線での9ヵ所に上る橋げたの落下など、高架橋部分で被害が大きくなった一因とみられる。ただ、破壊のひどさに比べ震動の継続時間が10数秒と短いことから、地盤の影響や、共振のほかに大きな破壊力をもつ衝撃的な力がさらに働いた可能性もあるとしている。
 同研究所は、地震動が構造物にどのような力を及ぼすかをグラフ化する応答スペクトルと呼ばれる手法で解析した。JRの駅や変電所6ヵ所に置かれた地震計が記録した揺れのデータを集め、それぞれ新幹線高架橋に作用すればどのように揺れるかをコンピューターで計算した。
 それによると、山陽新幹線西明石駅では地震計が記録した最大加速度は水平方向が397ガル、垂直方向が319ガルだった。この揺れが高架橋ではどうなったかを計算した「応答加速度」はそれぞれ1800ガル、500ガルとなり、水平方向は4倍以上に増幅されることがわかった。応答速度も毎秒1bに達しており、大きな破壊力を示した。
 水平方向の応答加速度が1800ガルに達すると、高架橋は自重の約1.8倍、設計荷重の9倍の力で横から押される形になる。橋脚の破壊など周辺の被害状況と、今回の解析結果は対応しているという。
 また、橋げたの落下が集中した兵庫県尼崎市から西宮市にまたがる区間の北側にあるJR宝塚駅のデータでは、新幹線高架橋の応答加速度は水平で地表の約3倍の2000ガル、垂直で約2倍の800ガルだった。断層に近い鷹取駅では水平が3倍強の2100ガル、垂直は5倍を超す1500ガルという結果が出た。各観測地点で得たデータでも増幅が確認された。
 一方、新大阪駅や新大阪変電所の応答加速度は水平で600−800ガルにとどまっており、被害が比較的軽かった状況と合っていたという。
 解析を担当した中村豊・ユレダス推進部部長は「応答スペクトルを見る限り、縦揺れは応答速度も小さく、構造物の破壊にはそれほど影響していないと推測される」と話している。(朝日新聞 夕刊)
■神戸市営地下鉄 1ヵ月ぶり全通
 阪神大震災で一部区間が不通になっていた神戸市営地下鉄が16日の始発から全線で運転を再開した。市の中心部にあたる三宮駅など、被害の大きかった3つの駅はまだ復旧工事中で素通りするが、神戸の市街地を東西に結ぶ市民の足が1ヵ月ぶりにつながった。この日開通したのは、板宿−新神戸間(8.8`)。これによって、市西部の西神中央駅から相互直通区間を経由して北神急行の谷上駅までが1本の電車で行ける。(朝日新聞 夕刊)
■北大阪急行が値上げ
 地下鉄御堂節線と千里ニュータウンを結ぶ北大阪急行(江坂−千里中央)の運賃値上げが16日開かれた運輸審議会で申請通り認められた。平均値上げ率は15.8%。4`までの各区間は20円、4`以上の各区間は10円ずつ引き上げる。このため、梅田−千里中央間は320円から330円になる。定期は平均15.7%値上げする。3月1日から実施する予定。(朝日新聞 夕刊)
17日■近鉄京都線立体交差化に41億円
 都市基盤
 地下鉄東西線の関連事業では、御池地下街・地下駐車場に63億1900万円、二条駅周辺整備に24億9200万円、山科駅前地区再開発に113億1900万円を計上した。二条駅周辺整備では映像文化施設の企画会社の設立に9000万円を出資する。
 都市計画道路では、鴨川東岸線(中央橋−十条通)など重要幹線道路の改良に72億3300万円、JR山陰線(二条駅−花園駅)、近鉄京都線(東寺駅−鴨川)などの立体交差化事業に41億4500万円を盛り込んだ。
 公園緑地では、梅小路公園への「四季の森」整備に33億7600万円、岡崎公園の整備などに1億5900万円、鴨川左岸の植栽帯整備に6200万円を投入する。(京都新聞)
■時時刻刻 震災1ヵ月 交通網復旧 残る「難所」
 六甲山と大阪湾にはさまれ、東西に細長い阪神地域を通る鉄道や道路は震災で依然、分断されたままだ。通勤・通学や貨物輸送は不自由を強いられ、生活再建のネックにもなっている。手がつけやすい不通区間の復旧は進んでいるものの、崩落した高架橋部分など、開通時期の見通しさえ立たないところがある。復旧費用も巨額だ。運輸省の概算では、鉄道関係で3530億円。道路は、阪神高速道路公団分だけで5000億円と見積もられている。地震から1ヵ月。「難所」ばかりが残った。
・鉄道 「新線の建設と同じ」
 阪神地域と大阪をつなぐ通勤、通学の動脈はJR、阪急、阪神の3本。すべて、途中の高架部分が落ち、代替バスに頼る。
 阪急神戸線は、大阪から西宮北口駅までは、地震翌日の1月18日に復旧した。しかし、そこから西へ進めない。
 難所は西宮北口−夙川間の2.7`。うち1.6`の高架部分が崩れ落ち、支柱約500本が倒れたり亀裂が入ったりした。全線開通のめどは「8月末」。阪急電鉄の山口益生常務は「修理は、新線の建設と同じだ」と話す。
 阪神の場合、事態はさらに深刻だ。大阪から神戸市内まで入り、3月1日からは西灘−新開地の運転も再開するが、御影−西灘間は、復旧のめどが立てられない。同区間では高架橋が延べ約3`崩れた。西川恭爾取蹄役は「高架下の約200のテナントとの交渉に時間がかかる。同意を得ても、狭い側道にどうやって大型機械を入れるのか」と頭をかかえる。
 車両も痛手を受けた。保有する314両のうち126両が被害を受け、70両は修理ができない。全線開通しても、車両不足で震災前のダイヤを維持できない恐れがある。
 JR在来線の最大の難所は、東海道線の住吉−灘間。この区間の作業だけで、500人が働き、50台の大型建設機械がうなりを立てる。途中の六甲道駅は3階建ての高架の橋脚部分が崩れている。JR側は5月上旬の開通を目指すが、駅新築までの約1年間は、電車を1本も止められない。
 新幹線も5月上旬開通を目指す。「これからは工期との戦い」と、JR西日本の井手正敬社長は話す。
 708本の支柱が壊れ、8ヵ所の高架橋が落下した。鉄筋を増やし、周囲に鉄板を巻く工法で、支柱を造り直したり、補強したりする。幹部の1人は「完成すれば、同規模の地震に見舞われても、高架橋が落下したりはしない」という。
 阪急や阪神など4私鉄が乗り入れる神戸高速鉄道。地下の大開駅は、ホームの天井がV字形に崩れ落ち、「地下鉄は大地震でも安全」という神話を打ち砕いた。運輸省鉄道施設耐震構造検討委の松本嘉司委員長も「世界でも例のない激しい被害」と表現する。
 同社技術部の幹部は14日午後、東京・霞が開の運輸省鉄道局を訪れた。大開駅の図面を示し、詳しい被害状況を説明した。
 「どうしましょうか」。損傷が大きく、復旧工法については、こう言うしかなかった。
・道路 「長い道のり」「時期なお検討」
 橋げたが約630bにわたって倒壊し、神戸、西宮市内の計5ヵ所で落橋した阪神高速道路神戸線(39.7`)。震災前、1日約18万台が往来した動脈は途切れたままだ。いま、大手ゼネコンの作業員ら約2000人が重機を使って橋脚などの撤去工事にあたっている。同公団幹部は「できるところは復旧した。神戸線は2、3年がかりの長い道のりになる」とため息をつく。
 被害が集中した武庫川以西の約28`区間は、公団の調査で、橋脚1175本の半数余りが損傷を受けた。うち約150本は撤去の必要がある。これまで約4割を撤去したが、残りを撤去するには「相当の時間がかかる」という。
 昨年4月、全線開通した湾岸線(55.8`)は、「六甲アイランド大橋」の橋げたのズレ修復が難点となり、全面復旧は10月中旬にずれ込む。
 六甲山の北側を通り、列島を東西に結ぶ中国自動車道は、片側1車線の対面通行だった吹田−西宮北間が、12日から上下各2車線通行になった。しかし、被害が集中する宝塚−西宮北間(13.2`)では、宝塚高架橋(667b)の橋脚を数本撤去する必要があるため、復旧には半年はかかる。
 名神高速道も復旧は半年後になる。西宮市の瓦木西高架橋の橋げた2枚(約35b)の落橋が障害となっている。
 一方、阪神間の国道の6路線は、計32ヵ所で落橋や路面に亀裂ができるなど被害を受け、西宮市の171号と神戸市中央区の浜手バイパスがいまも通行止め。近畿地方建設局は「落橋した部分の周囲の橋脚などを点検しており、復旧時期は検討中」としている。(朝日新聞)
■京都市新予算案 総額1兆5650億円 実質伸びゼロ 緊縮型 地下鉄に食われる「福祉」は4.8%増を確保
 京都市は16日、一般会計6912億8900万円など総額1兆5650億円にのぼる1995年度当初予算案を発表した。景気回復を見越した法人市民税の増収と、基金の取り崩しや市債発行で、表会計は前年度の伸び率(2.6%)を上回る4.1%増を確保した。しかし、増加分はほぼ全額が地下鉄東西線の建設費補助に回され、実態は伸びゼロの緊縮予算。市は「福祉だけは後退させない」と強調している。国民健康保険料は5年連続で据え置かれた。17日から開かれる2月定例市会に提案される。
●歳出
 一般会計は、財政非常事態が続く中で約272億円の伸びを確保した。94年度にどん底だった法人市民税が、24%増を見込めるという好材料に支えられた面もあるが、税額は93年度より少なく、ピークだった90年度のやっと6割。伸びを確保するため、”借金”と”貯金の取り崩し”に頼らざるをえなかった。
 しかも東西線を建設する第三セクターへの支援だけで230億円。公営区間への支援の増加分約27億円を含めると、一般会計の増額分は帳消しとなる。実態は総枠でほぼ増額なしの厳しい予算となった。
 95年度予算案にめぼしい新規事業はほとんどない。これについて市は「コンサートホールなど数年に分けて進めてきたいくつかの事業が、94、5年度に次々と仕上がるため」と説明する。
 市が充実を強調する「社会福祉費」は、4.8%、84億円の増。構成比も0.2ポイント増えた。特別養護老人ホームやデイサービスセンターの新設・助成金増など(計約42億円)のほか、東西線二条駅に作る転落防止用のホームドア、烏丸線五条駅のエレベーター(計約22億円)も、社会的弱者対策として含まれた。
 逆に教育文化費は、マイナス21.8%、約170億円減となった。94、5年度でコンサートホールや桂川地域体育館などが完成を迎えるため。消防費も、市民防災センターの完成を受けてマイナス5.4%になった。
 一方、約307億円、19.5%増と最大の伸びとなった「都市建設費」は、構成比で社会福祉費を上回った。増加分のほとんどは、地下鉄東西線への貸し付けや出資金などの支援策で占められている。
 総務費では、94年度に続いて20億円の市庁舎整備基金を見送った。
●歳入
 市税は、法人市民税の好調に支えられて5.3%増と3年ぶりに増加に転じた。地方交付税も大きく伸びて115億円増。それでも不足する分を、財政調整基金60億円、都市計画事業基金55億円を取り崩して補い、市債も7.3%増発した。
 この結果、市債発行残高は、94年度当初見込みよりさらに約700億円膨らんで約7056億円もの巨額にのぼった。一方で自由に使える基金はわずか19億円とほぼ底をついた。「貯金は少なく借金ばかり」という市財政の体質がますます強まっている。(朝日新聞)
■私鉄総連 スト構えず交渉か 震災考慮 ブロック別の公算大
 日本民常鉄道協会は16日、大手各社の労務担当役員会議登用都市で開き、今春闘への対応を話し合った結果、今年は阪神大震災という特殊事情を考慮して、私鉄総連(池村良一委員長、18万9000人)側に、ストライキを構えずに交渉に臨む「事後対処方式」をとるよう要望することで一致した。私鉄総連内部でも、「緊急避難として、事後対処もやむなし」との意見が大勢を占めているため、スト権は確立するものの、スト日程を設定せずに回答を求める方針を、17日に東京都内で開く中央闘争委員会で決める見通しだ。私鉄大手の組合がストを構えずに交渉するのは、1979年以来になる。
 民鉄協の労担会議ではまた、京阪、南海、近鉄の関西3社が、中央集団交渉に参加せず、関西だけの「ブロック交渉」を進める考えを示した。
 一方、関東の東武、東急、京成、営団地下鉄4社は、交渉方式についての意向を明らかにせず、その判断を民鉄協労務委員会の高井潤三委員長(京阪電鉄専務)らに一任した。
 私鉄総連本部と関東4社の労組は、中央集団支渉を崩すことに難色を示しており、17日の中闘委では、関東、関西の意見調整が焦点になると見られる。
 また、電力総連では、被害の大きい関西電力労組がスト権確立の投票を行わない方針で、他の労組もこれに足並みをそろえる方向で検討を進めており、21日の中央委員会で正式に決める。(朝日新聞)
■大阪市営地下鉄 耐震強化へ来月着手 13憶5000万円 補正計上 まず高架橋補強
 大阪市交通局は17日、地下鉄全線(約106`)で高架橋や地下部分の耐震強化工事に着手する計画を策定した。来月から360ヵ所の高架橋を対象にした落下防止の補強工事に取り掛かる。このため、今年度の補正予算で13億5000万円を計上する。また、アーチ状の地下部分に石を積み上げただけの造りや鉄筋が入っていないコンクリートで造ったものがあることから、4月にも耐震性の調査を開始する計画で、来年度予算に2億5000万円の調査費を盛り込む。
 大阪市営地下鉄は、震災によって、御堂筋線江坂駅で橋脚35本中12本がひび割れ、コンクリートがはがれるなどした。中津−江坂間でも高架の橋げたが最大18aずれた。補修と同時に、橋脚に厚さ9_の鉄板を巻くなどの補強を実施した。復旧総額は約19億円に上るという。
 高架部分は山陽新幹線などと同様に、水平方向で自重の2割、垂直方向で同1割の力に耐えられる耐震基準で設計されている。これまでも 524ヵ所ある橋脚のうち、鉄道や道路をまたぐ164ヵ所について落下防止工事を実施した。
 しかし、阪神大震災で新幹線や高速道路の高架橋が大きな被害を受けたことから、残りの360ヵ所についても今年度中に工事にとりかかることを決めた。工事は橋脚の上部を拡幅し、橋げた同士を連結させるなどする。
 一方、地下部分は4月から補強計画を策定するための調査を始める。地下部分は、1960年8月に独自に制定した設計基準で建設が進められた。ただ、この設計基準は、地震による揺れは短時間で終わるため、通常時の土圧に耐えられる設計で地下構造物の安全性が保たれるとして、結果的に地震に対する強化策がとられていなかった。
 さらに、42年5月に開通した4つ橋線の大国町−花園町間でコンクリート製アーチに鉄筋が入っていなかったこと、56年6月に開通した同線の花園町−岸里間でアーチが石積みで造られていたことなど、耐震性が十分とはいえない区間もある。このため、全線で「健全度調査」を実施。調査結果に基づいて来年度中にも耐震工事に取りかかりたいとしている。(朝日新聞 夕刊)
18日■リムジンバスのダイヤ改正 京阪宇治交通関空国際便に合わす 来月17日から
 京阪宇治交通は17日、関西国際空港と府南部を結んでいるリムジンバスの運行ダイヤを、3月17日から改正すると発表した。これまでの実績から、4往復全便をより利用者が多い時間帯に変更する。
 リムジンバスは、関空が開港した昨年9月スタ−ト。12月4日には利用者1万人を達成、阪神大震災で一時運行休止の事態もあったが、予想以上の乗降客を数えている。
 この中で利用者の多くは国際便に乗ることが分かり、これに合わせたダイヤに組み替えた。新ダイヤは往路が宇治車庫発午前4時半、同5時10分、同9時半、午後2時半。復路の関空発が午前10時45分、午後5時15分、同7時15分、同9時15分になる。
 運賃、運行ル−トなどは現行通り。(京都新聞)
■大阪−神戸 電車乗り継ぎOK JR・阪急・阪神リレー輸送
 阪神大震災で鉄道網が寸断されている大阪−三ノ宮(梅田−三宮)間が20日から、バスを利用せずに電車だけで行き来できるようになる。JR西日本は同日から灘−神戸間、阪神電鉄も岩屋−三宮間を運転再開する。2路線とも神戸市東灘区から灘区にかけて不通区間があるが、阪急電鉄ではその不通区間にあたる御影−王子公園間で運転中。このため、JRと阪急、阪神と阪急を乗り継げは、大阪−三ノ宮間は鉄道だけで通勤、通学が可能になる。これに合わせて、JRと阪急、阪神と阪急は相互の定期券などで無料乗車できる振り替え輸送に合意した。ただし、JRと阪神では、定期券などの相互融通はできない。この「リレー輸送」に加えて、JR、阪急、阪神とも引き続き鉄道代替バスを運行するため、輸送力は大幅に高まる。
 このリレー輸送の実現に伴い、JRの大阪−三ノ宮間の定期券や回数券を持っていれば、阪急の御影−王子公園などに無料で乗車できるようになった。同様に阪神の定期券などで阪急に、阪急の定期券などでJRと阪神に、それぞれ無料で乗れる。
 一方、JRは20日から住吉−灘間で、阪神も20日から御影−岩屋間で、ノンストップと各駅停車の代替バスを走らせる。阪急は20日から西宮北口−三宮間のノンストップ便を廃止、各駅停車便を増発する。(朝日新聞)
■新幹線高架橋 無傷の柱590本も強化 山陽・東海道 耐震へ鉄板巻き
 運輸省とJR西日本は、山陽新幹線の高架橋の復旧に当たり、損傷を受けた鉄筋コンクリート柱にだけ巻くことにしていた鉄板を、損傷を受けていない柱にも巻いて強化する方針を決めた。専門家によると、一つの高架橋の中に鉄板を巻いた柱と巻かない柱があると、全体の強度にばらつきが出る可能性があるという。JR東海も、東海道新幹線で破損した高架橋については、損傷にかかわらずすべての柱に鉄板を巻く。新たに対象となる柱は両新幹線で計約590本になる。
 運輸省は、今回の地震で損傷を受けた柱についてのみ、損傷部分を修理したうえで、上から下まで厚さ6_の鉄板で巻いて、同程度の地震に耐えられるよう補強する方針を打ち出していた。
 ただ、新幹線の多くの高架橋は8本の柱で支えられ、これらが一体となって荷重を分担して地震などに耐えるよう設計されている。このため、一部の柱にだけ鉄板を巻くと、巻かない柱にひずみが集中するなどの問題点が、専門家から指摘されていた。
 山陽新幹線の高架橋では、倒壊したり、破損したりした柱は計708本。被害を受けた高架橋には、無傷の柱が約500本あり、運輸省は鉄板で巻いて、同等の強度を持たせることにした。
 また、東海道新幹線の新大阪−京都間でも、延長約12`にわたって、亀裂が入ったりコンクリートがはがれたりした柱が計172本あった。JR東海と運輸省は、これらも山陽新幹線と同じく、損傷部分を修復したうえで鉄板で巻くと同時に、損傷を受けていない約90本にも鉄板を巻くことにした。
 運輸省は当初、「鉄板を巻いた柱と巻かなかった柱が混在しても、強度上には大きな問題はないと思う」としていた。しかし、山陽新幹線で損傷した柱にだけ鉄板を巻いて復旧することが決まってから、関係者からも指摘が出て、内部で再検討。今回の方針変更について、「見た目に不安感を与えると、各社が自主的に判断した」と説明している。
 これで、鉄板を巻く柱は1.7倍に増えることになる。工期が延びたり復旧費が膨らんだりすることはないという。
 山陽新幹線については5月の連休明けに、東海道新幹線については3月末までに、復旧工事を終える。東海道新幹線の損傷区間は現在、時速120`に減速運転しているが、復旧が終われば順次、通常運転に切り替えるという。(朝日新聞 夕刊)
19日■窓 新幹線の安全神話見直そう 守山市・宮川正祐(無職・69)
 JR西日本は、時速300`で山陽新幹線を走る新型車両について、来年3月としていた営業運転の開始時期を見直す方針を固めたとの報道があった。
 これは地震のため、車両の完成がおくれたことと、試運転への影響が避けられないためとするのが、その理由である。
 新幹線は開業以来、人身事故皆無といった立派な実績を誇ってきたが、今回の阪神大震災はこういった神話を根底から覆してしまうといった大きな衝撃を与えた。もしも新幹線運行中に大地震発生ということを考えると、いまでも背筋がぞーっとする思いがある。
 現在、急ピッチで復旧工事が進められているが、被災個所の復旧だけでなく、この際、全線にわたって高架橋の耐震度など徹底した安全性の総点検をすべきだと考える。
 高速化ももちろん大切ではあるが、何はともあれ、いま、足元を見直す好機であり、このことは天が与えてくれた警鐘と受け止めるべきである。
 スピードが上がることを歓迎する人よりも、「安全」と「安心」を願う人が大多数であることを常に念頭においてほしい。(京都新聞)
■洲本で震度4 JR山陽線徐行運転
 18日午後9時37分ごろ、洲本で震度4(中震)を記録するなど近畿地方で強い地震があった。大阪管区気象台によると、震源地は淡路島で、震源の深さは約20`。地震の規模を表すマグニチュード(M)は4.9。兵庫県南部地震の余震とみられる。余震で震度4を観測したのは計8回目。これまで最も大きかったのは1月17日に計3回記録したM4.9。
 JR山陽線の一部などで一時徐行運転をした。ほかに被害はなかった。
 淡路島では津名町などで10秒前後の長い揺れを感じた。北淡町役場では余震に「あっ」と立ち上がる人も出て、役場内に残っていた職員2、30人が一時テレビの前に集まった。町職員は「余震には慣れているが、ここ1週間で一番大きかった」と話した。
 各地の震度は次の通り。
 震度4(中震)洲本▽震度3(弱震)神戸、和歌山、北淡町(淡路島)▽震度2(軽震)姫路、徳島、岡山、高松、津山、多度津、京都、豊岡、奈良、鳥取、境、大阪・西淀川、神戸・垂水▽震度1(微震)上野、大阪、福山、舞鶴、高知、潮岬、室戸岬、彦根、米子、松江、呉、西宮市(京都新聞)
■JR神戸−灘などあす開通
 阪神大震災で不通となっているJR東海道線神戸−灘間と阪神本線三宮−岩屋間が20日、運転を再開する。両区間の開通に合わせ、既に営業運転を開始している阪急神戸線王子公園−御影間を乗り継げば、各線の代行バスを使わず大阪(梅田)−三ノ宮(三宮)間をラッシュ時でも約1時間で移動が可能になる。
 JR西日本、阪神、阪急両電鉄3社の駅間距離は、最も離れているJR住吉駅と阪急御影駅間が徒歩で約15分。このため、3社は定期券か回数券を持つ乗客には他社の電車にも乗車できるよう便宜を図る。(京都新聞)
■「はるか」緊急停車 西京、放置自転車はねる
 18日午後8時すぎ、京都市西京区下津林南中島町のJR東海道線下津林第一踏切で、京都行き上り特急「はるか48号」が軌道上に放置された自転車をはね飛ばし、現場に緊急停車した。障害物よけのカバーが傷ついただけで異常はなく、8分遅れて運転再開した。
 桂署は、悪質ないたずらとみて捜査している。(京都新聞)
20日■JR神戸−灘 きょう開通 阪神三宮−岩屋も
 阪神大震災で不通になっているJR東海道線神戸−灘間4.9`と阪神本線三宮−岩屋間2.4`が20日始発から運転を再開する。両社のいずれかと、既に開通している阪急神戸線御影−王子公園間を乗り継げば、大阪(梅田)−三ノ宮(三宮)間がラッシュ時でも約1時間で移動可能になる。
 定期券や回数券の乗客が他社の電車に乗れる振り替え乗車も阪急、阪神、JRの社で同日から始まる。長時間の代行バス待ちを強いられた通勤通学客の足は飛躍的に便利になるとみられている。(京都新聞)
■三宮−梅田 電車で通える きょうJR灘−神戸と阪神岩屋−三宮が開通 阪急乗り継ぎで
 阪神大震災で運休が続いていたJR東海道線の灘−神戸間と、阪神電鉄の岩屋−三宮間が20日から運転再開となる。JRは住吉−灘間、阪神は御影−岩屋間が依然として不通区間として残るが、2線にほぼ平行して走る阪急電鉄がその不通区間にあたる御影−王子公園間を運転していることから、震災以来34日ぶりに、代替バスを使わずに電車だけで大阪−三ノ宮(梅田−三宮)間が往復できるようになる。3社の代替バスも運転されるため、阪神間の輸送力は大幅に高まる。
 大阪(梅田)から三ノ宮(三宮)まで行く場合の鉄道の乗り継ぎは、@JR東海道線で大阪から住吉まで行き、そこから徒歩(約1.3`)で阪急の御影に向かい、御影から王子公園まで乗車。さらにJRの灘まで歩き(約400b)、再び東海道線で三ノ宮まで行くA阪神なら梅田から御影まで行き、徒歩(約900b)で阪急・御影まで出て、王子公園に。そこから阪神・岩屋まで歩き(約900b)、阪神で三宮に向かう−となる。阪急・御影とJR・住吉、阪神・御影の各駅間には連絡バスも運行されている。
 この「リレー輸送」の実現に伴い、JRと阪急はそれぞれの定期券や回数券で大阪−三ノ宮間を利用できるようにしたほか、阪神と阪急も同様の措置を取ることで合意した。
 また、20日からJRは住吉−灘間で、阪神は御影−岩屋間でノンストップと各駅停車の代替バスを走らせる。阪急は西宮北口−三宮間のノンストップ便を廃止、各駅停車便を増発する。(朝日新聞)
■神戸−大阪 「電車で移動」可能に JR・神戸−灘 阪神・三宮−岩屋が開通
 阪神大震災(兵庫県南部地震)で不通になっていたJR東海道線神戸−灘間4.9`と阪神本線三宮−岩屋間2.4`が20日始発から運転を再開した。新たな開通区間と、既に運転している阪急神戸線王子公園−御影間やJR東海道線住吉−大阪間、阪神本線御影−梅田間を乗り継げば、代行バスを使わない阪神間の移動が震災後35日目で初めて可能になった。
・3社の定期で乗り継ぎOK
 JRなど3社は同日から定期券や回数券の乗客を対象に不通区間は他社の電車に乗れる振り替え乗車を開始。各社の駅間を歩けば長時間の代行バス待ちをせずに通勤通学ができるとあって、乗り換え駅となった阪急王子公園駅は前週の約5倍の客が乗降、ピーク時の午前8時前には約850人が乗車した。
 この開通に伴い、阪急は同日から三宮−西宮北口間の代行バスのノンストップ便を廃止、各駅停車便に一本化した。
 一方、阪神とJRは同日から代行バスの運行区間を短縮、JRは灘−住吉間、阪神は岩屋−御影間とした。
 3月1日には阪神本線岩屋−西灘間0.6`が、上旬に阪急神戸線三宮−王子公園間3,1`がそれぞれ開通する。阪神間の全線開通はJRが5月上旬、阪急が8月末の予定。車庫陥没など被害の激しい阪神は見通しが立っていない。(京都新聞 夕刊)
■山陽新幹線 5月連休前に全通へ
 阪神大震災で新大阪−姫路間が不通になっている山陽新幹線について、JR西日本首脳は20日までに「5月連休前の開通を目指したい」と語った。
 同社はこれまで開通時期について、連休明けとしていた。
 利用客が激増するゴールデンウイーク前に交通網の大動脈、東海道・山陽新幹線が全線開通すれば、被災地の復興に向けても大きく弾みがつくほか、JRの減収にも歯止めがかかりそうだ。
 同首脳によると、復旧工事の進み具合などから判断して、現段階ではこれまでの予定より約10日早い開通を目標としている、という。
 開通に際しては、不通区間の中で比較的被害の軽かった西明石−姫路間を先に再開するなどの措置は取らず、一気に新大阪−博多間全線で営業運転する予定。
 開通当初1週間程度は徐行運転し、博多発の列車を10分以内の遅れで新大阪に到着させる。
 灘−住吉間が不通となっている東海道線についても、山陽新幹線同様に連休前復旧に向け全力を挙げて工事を進めており、現在通過駅となっている新長田駅を含め阪神間の全駅で乗降可能になる。(京都新聞 夕刊)
■商店街に通勤の列 神戸から大阪電車乗り継ぎ 駅間歩いて移動
 JR東海道線神戸−灘間と阪神電鉄三宮−岩屋間が開通、JRと私鉄を乗り継げば神戸から大阪へ電車通勤が可能となった20日、灘駅周辺は電車乗り換えの私鉄駅へ歩く人が目立ち、普段静かな商店街は突然の通勤通学ラッシュとなった。
 電車が着くたびに大阪方面に向かう人たちがどっと下車、阪急電車に乗り継ぐ人と代行バス組に分かれた。
 電車乗り継ぎ組が多く、背広姿のサラリーマンらがコートの襟を立て足早に阪急王子公園駅に向かった。
 王子公園駅ではJRの定期券、回数券を持っている人に振り替え乗車票を用意し対応。午前8時までに7500枚が配られた。
 神戸市垂水区の会社員橋本俊彦さん(52)は「これまではハーバランドから船で大阪へ通っていたが、電車の方が早いと思ってきた。毎日、日替わり通勤やと笑った。
 阪神岩屋駅でも大阪方面に向かう乗客がどっと降り、代行バスで御影駅まで行き、再び阪神電車へ乗り込む人たちであふれた。
 震災後初めて”開業”した神戸市中央区のJR三ノ宮駅。通勤客やプラカードを持って短大の入試会場への案内をする学生、臨時ダイヤを書き写すOLなどで込み合った。同駅から東へ約500bの代行バス乗り場では、JRと阪神のバス停が撤去されたが、それを知らずに来て戸惑う人の姿も見られた。(京都新聞 夕刊)
■はねられ2人死傷 八木町のJR山陰線
 20日午前7時35分ごろ、京都府船井郡八木町八木嶋のJR山陰線で、園部発京都行きの普通電車に、線路内で作業準備をしていた亀岡市馬路町の建設会社員、奥村降さん(42)が、はねられ、即死。近くにいた日吉町上胡肺の同社員、瀬下徹さん(57)も右腕骨折などの重傷。列車の乗客、乗員約300人にけがはなかった。
 園部署の調べでは、2人は町道をまたぐ線路敷を3aから10aほど高くするため、仮設の橋けたを設けて古いコンクリート製のけたをけずる作業に携わっていた。作業は午前8時半から始める予定だったが、2人は線路内に入って工事現場の下見をしていたという。
 現場は、吉富−八木駅間で、見通しの悪いカーブを過ぎて約70bの地点。
 事故のため、山陰線は上下9本に最大16分の遅れが出た。(京都新聞 夕刊)
■ニュートラムポイント故障 中ふ頭駅近く
 20日午前8時32分ごろ、大阪市住之江区南港中五丁目、大阪市営ニュートラム中ふ頭駅の約250b手前で、住之江公園発中ふ頭行き電車(4両編成、乗客約80人)が中ふ頭駅2番線ホームヘ入ろうとしたところ、自動的に切り替わるはずのポイントが切り替わらなくなった。同電車は現場で約9分間停車。作業員が手動で、ポイントを隣の1番ホームヘ切り替え、同電車を同ホームへ入れて、乗客を降ろし、1番線ホームだけを使って運転を再開した。(朝日新聞 夕刊)
■列車にはねられ 作業員2人死傷 京都・八木町の山陰線
 20日午前7時35分ごろ、京都府船井郡八木町八木嶋のJR山陰線の線路内で、作業員の亀岡市馬路町、奥村降さん(42)と船井群日吉町上胡麻、瀬下徹さん(57)が、園部発京都行き普通列車(8両編成)にはねられ、奥村さんは全身を打って即死、瀬下さんも重傷を負った。乗客300人にけがはなかった。列車は現場に約15分間停車し、後続列車も10分前後遅れた。(朝日新聞 夕刊)
■三宮−梅田 電車「リレー開通」運転再開 JR 灘−神戸 阪神 岩屋−三宮 一部区間は阪急 定期・回数券相互利用OK
 阪神大震災で運休が続いていたJR東海道線の灘−神戸間と、阪神本線の岩屋−三宮間が20日始発から運転を再開した。東海道線は住吉−灘間、阪神本線は御影−岩屋間が依然として不通区間として残っているが、2線の不通区間をほぼ埋めるように阪急電鉄が御影−王子公園間を運転していることから、震災以来34日ぶりに、代替バスを使わずに電車だけで大阪−三ノ宮(梅田−三宮)間が行き来できるようになった。
 三ノ宮(三宮)から大阪(梅田)まで行く場合の鉄道の乗り継ぎは、JR東海道線で三ノ宮から灘まで行き、そこから徒歩(約400b、約5分)で阪急の王子公園に向かい、王子公園から御影まで神戸線に乗車。さらにJRの住吉まで歩き(約1.3`、約15分)、再び東海道線で大阪まで行く。阪神本線の場合は三宮から岩屋まで行き、徒歩(約900b、約14分)で阪急王子公園まで出て、阪急神戸線で御影に。そこから阪神御影まで歩き(約900b、約14分)、阪神本線で梅田に向かう。阪急御影とJR住吉、阪神御影の各間には連絡バスも運行されている。
 この「リレー輸送」の実現に伴い、JRと阪急、阪急と阪神は、それぞれの定期券や回数券で大阪−三ノ宮間をお互いに利用できるようになった。
 また、同日からJRは住吉−灘間で、阪神は御影−岩屋間でノンストップと各駅停車の代替バスを走らせた。午前9時現在、JR住吉駅では灘行きのノンストップバスの乗り場に約2000人が並び、待ち時間は約2時間。JR灘駅では住吉行きのバス乗り場に約2500人が約2時間半待たされた。阪急は西宮北口−三宮間のノンストップ便を廃止、各駅停車便を増発した。
 JR灘駅では、約4分ごとに列車がつくたびに、王子公園駅への歩道は大阪に向かう会社員らでいっばいになった。JRの開通区間が延びたため、この日から大阪市中央区内の会社に通い始めた神戸市長田区の会社員南条功さん(54)は「まだ会社まで長いが、バスを使わず、自分の足と電車で行けるので、会社に出勤することにしました」と話していた。
 阪急御影駅では午前7時ごろからラッシュが始まり、前日までの約4倍の乗客で改札口が混雑した。
 定期券と回数券の乗客へのJRと阪神との振り替えも、この日から始まり、相互乗り入れに。振り替え乗車券は磁気のない紙片で自動改札機を通らないが、うっかり入れてしまう乗客も続出して、しばしば機械がストップ。その度に駅員が詰まった乗車券をピンセットで取り出していた。
 神戸市長田区の自宅から大阪市中央区の勤務先へ向かう会社員小村桂一郎さん(30)は「バスは渋滞の具合で会社に着く時間がまちまちだったので、始業4時間前に家を出ていた。今日からは時間の計算ができる」と喜んでいた。
 一方、この日から直通電車が乗り入れてきたJR三ノ宮駅では、ビジネス街やポートアイランドに通う会社員やOLが次々と到着した。
 神戸市須磨区の女子高校生(15)はこれまで、JRで神戸駅まで来て神戸高速鉄道の高速神戸駅で乗り換え、三宮まできていた。乗り換え時間に手間取り、自宅から神戸市灘区内の学校まで約2時間かかっていたという。「1本でこれるようになり、通学時間が1時間ほど早くなりました。今日は午前7時までゆっくり寝ることができた」と話していた。(朝日新聞 夕刊)
21日■新幹線車内で乗客刺す 殺人未遂容疑 男を現行犯逮捕
 20日午後零時20分ごろ、静岡県掛川市付近を走行中の新大阪発東京行き東海道新幹線上りひかり106号の1号車内で、乗客の奈良県北葛城郡王寺町太子、門真公共職業安定所(大阪府)職員立辻博さん(45)が突然、男に登山ナイフ(刃渡り約 a)で胸などを刺された。
 立辻さんは直後の停車駅の静岡駅から病院に収容された。胸や手など七ヵ所を刺され、左胸の傷が肺まで達する重傷を負ったが、生命に別条はないという。
 警戒のため乗車していた京都府警の鉄道警察隊員2人が殺人未遂の現行犯で青森市の無職A容疑者(64)を逮捕、静岡中央署で調べている。
 1号車には40人がいたが他にけが人はなかった。
 A容疑者は昭和59年から平成2年まで、青森市内の病院で精神分裂症の治療を受けていた。(京都新聞)
■山陽電鉄が一部復旧 須磨寺−東須磨間
 阪神大震災で被災し運休していた山陽電鉄本線西代−滝の茶屋間7.8`のうち東須磨−須磨寺間1.5`が21日始発から運転を再開した。
 東須磨、須磨寺の両駅とも既存の開通区間とはつながらない変則的な一部復旧。山陽電鉄は当面、午後9時以降は20分間隔、それ以外の時間帯は15分間隔で東須磨−須磨寺間を往復運転する。(京都新聞 夕刊)
■あの場所はいま 阪急神戸線 ”終着駅”いつまで
 大阪−神戸間には阪急電鉄、JR西日本、阪神電鉄がほぼ平行に線路を並べて走っている。被害が大きかったのは高架が多く海側を走る阪神だったが、山側を走る阪急も甲東園近くで立体交差している今津線が長さ31b、重さ約100dの山陽新幹線の橋げたが落下するなど各所で寸断された。
 阪急で被害が最も激しかったのは神戸線の西宮北口−夙川間の高架部分。線路が下の道路わきまでずり落ちた。
 復旧は当初、半年後の7月中旬とみていたが、その後の調べで柱200本以上が損傷し、高架部分1.6`を完全に造り直すには柱を太くしたり、くいを深くするなどの耐震設計を強化しなければならず、全線開通は8月末と阪急ではみている。
 地震発生から現在まで西宮北口駅が大阪から被災地への”終着駅”。地震後初めて迎えた週末の1月21、22日には、倒壊した高架の横を大きなリュックサックを背負って梅田からやってくる見舞いの人や、被災地からの買い出し組の姿が目立った。(京都新聞 夕刊)
22日■北陸線中心に 春の臨時列車 JR西日本
 JR西日本は21日春の臨時列車運転計画を明らかにした。阪神大震災で被災した山陽新幹線や東海道線は大型連休が始まるまでに復旧できるかどうか微妙なので、今回は北陸線中心にしている。
 北陸線には4月20日のダイヤ改正で登場する新型特急「スーパー雷鳥」(大阪−富山間)を5月3日から7日まで1往復増発。上越新幹線の2階建て車両MAXと長岡で接続する「かがやき」(金沢−長岡間)も春休みと大型連体期間中は1往復増やす。
 このほか、紀勢線の「くろしお」(天王寺−白浜間)や関西空港線の「はるか」(京都−関西空港間)も春休みと大型連休中に増発する。(京都新聞)
■あの現場はいま 消えた名物ビル 空襲は生き延びたが…
 1月17日午前5時46分、乗客約40人を乗せた6両編成の阪急梅田行き普通電車は三宮駅を出発した。東に200b進んだところで地震が発生。乗客2人、運転士、車掌の計4人が重軽傷を負い、三宮駅にいた7人の駅員は崩れた駅ビルから辛うじて避難した。車番7027の電車がダイヤ通り出発していなかったら…。
 阪急三宮駅、阪急百貨店三宮店などが入っていた「神戸阪急ビル」は激震で側壁が崩落、北側の入り口が完全にふさがれた。阪急三宮店はいち早く閉鎖を決定、地震から11日目にビルの取り壊しが始まり、2月に入ってすぐに廃きょと化した。復旧工事は急ピッチで行われ、被害が少なかった西側のプラットホームへ電車が滑り込むのは3月中旬になる見込み。
 昭和11年に完成、独特のアーチ型天井などで親しまれたハイカラな名物建築で、戦争でも焼けなかった神戸・三宮のシンボルが阪神大震災でひとつ消えた。(京都新聞 夕刊)
■叡電、値上げ申請 15%、1区間200円に
 叡山電鉄(本社京都市左京区)は22日、叡山本線と鞍馬線(計14.4`)の旅客運賃を平均14.9%値上げする運賃改定を近畿運輸局に申請した。
 申請によると、1区間(初乗り)運賃を現行の170円から200円にするなど普通運賃を15.1%値上げする。この結果、出町柳−八幡前が250円(現行220円)、出町柳−市原360円(同320円)、出町柳−鞍馬400円(同350円)などとなる。定期の平均割引率は、通勤が46.3%(現行46.9%)、通学64.2%(同63.7%)とする。3月20日から実施したい意向。
 同社は91年11月に平均10.7%の値上げをしたが、新車両の導入など輸送施設近代化の設備投資が92年度から4年間で14億円を超える。現行運賃のままでいくと、95年度には鉄道事業で1億3500万円の収入不足に陥るため、値上げ申請に踏み切った、という。(京都新聞 夕刊)
■叡山電鉄値上げ申請
 叡山電鉄(本社、京都市左京区)は22日、平均14.9%の運賃値上げを近畿運輸局に申請した。認められれば3月20日から新運賃に変わる。
 値上げを予定しているのは叡山本線(出町柳−八瀬遊園、5.6`)と鞍馬線(宝ケ池−鞍馬、8.8`)の2路線。初乗りは200円(現行170円)になるなど、普通運賃は平均15.1%上がり、定期券も平均14.4%値上げされる。設備投資などの経費がかさみ、1995度の鉄道事業は赤字が予想されるためという。(朝日新聞 夕刊)
23日■1日から運転再開 阪急甲陽線
 阪急電鉄は22日、阪神大震災で不通が続いている甲陽線(夙川−甲陽園間2.2`)の運転を、3月1日始発から再開する、と発表した。再開後は平常ダイヤに戻る。(京都新聞)
■5月連休明け復旧 JR灘−住吉間
 JR西日本は22日、不通が続いている東海道線の灘−住吉間(4.5`)について、5月の連休明けに4本の線路とも同時に復旧させる、と発表した。
 灘−住吉間は、両駅の中間にある六甲道駅周辺で高架の橋脚約900本が破壊され、今回地震で最も大きな被害を出した。(京都新聞)
■東海道新幹線 震災で乗客75−80%に
 JR東海の須田寛社長は22日の記者会見で、東海道新幹線の現在の乗客数が、阪神大震災の影響で東京寄り区間で前年同期の85%、新大阪寄り区間で75%にとどまっていることを明らかにした。不通だった京都−新大阪間は開通し、震災直後より回復しているが、山陽新幹線の新大阪−姫路間の不通が続いているうえ、観光旅行の出控えも響いている。依然として1日当たり5−6億円の減収が続いているという。
 乗客数は特定区間での車内検札をもとに調べている。1月17日−2月16日の震災後1ヵ月間では、前年同期に比べて東京寄り区間が平均81%で、のぞみ(小田原−静岡)63%、ひかり(同)79%、こだま(新横浜−小田原)94%だった。新大阪寄り区間(米原−京都)では平均66%と減少が大きく、のぞみ48%、ひかり67%、こだま78%にとどまった。山陽新幹線の不通で岡山、広島、博多方面への乗客が減ったため、とくに「のぞみ」の落ち込みが大きい。(朝日新聞)
■JR新長田駅来月10日めどに仮駅舎
 JR西日本は22日、阪神大震災で壊滅的な被害をうけ、通過駅となっている山陽線の新長田駅に3月10日をめどに仮駅舎を設けると発表した。また、5月上旬に運転再開を予定している東海道線の住吉−灘間の六甲道駅も、駅舎の損壊がひどく当初は通過駅とする計画だったが、再開に合わせて仮駅舎を設ける。
 5月の東海道線復旧は当初、複々線のうち複線だけで開通させる予定だった。しかし、復旧作業がはかどる見通しが立ったため、全線を複々線で再開させる。(朝日新聞)
■阪急甲陽線は 来月1日再開
 阪急電鉄は22日、阪神大震災で不通となっている甲陽線の夙川−甲陽園間(2.2`)を3月1日から運転再開すると発表した。夙川駅を通る神戸線は上下線とも依然として不通のため、大阪や神戸方面への乗り継ぎはできない。再開に伴い、甲陽園−西宮北口間で運行中の鉄道代替バスは同日から、夙川−西宮北口間に変更となる。
 甲陽線の営業時間は午前6時前から午後11時過ぎの予定で、朝夕のラッシュ時は約8分、日中は約15分間隔で運転する。(朝日新聞)
24日■京都市 公共工事 震災で遅れ 半数越す44件影響
 阪神大震災のため京都市が発注する公共工事の半分以上に人手不足や資材搬入の遅れなどの影響が出たことが、23日開かれた同市の2月定例市会本会議で明らかになった。地下鉄東西線工事でも資材が届かなくなるなどの影響が出たが、中谷佑一公営企業管理者(交通局長)は答弁で「一時的に資材や技術者が不足したが、工期や事業費は厳守する」と強調した。
・交通局長市会答弁 東西線は工期厳守
 京都市の調べによると、外郭団体を含む市発注の公共工事(5億円以上)79件のうち、今回の地震で影響を受けたのは44件(56%)に上った。内訳は、被災地の復旧作業による人手不足が13件、工場の被災が6件、交通渋滞による資材の搬入遅れが21件、資材の品薄が19件となっている。
 地下鉄東西線建設工事では、地震発生から数日間は交通が寸断されて資材が届かなかったり、作業員が被災地の復旧作業に取られ、25工区中23工区で影響が出た。
 コンサートホール建設や近鉄の立体交差工事の現揚でも人手不足となったほか、勧業館の建設工事では、尼崎市にある塗装材料の工場が閉鎖となったため、他地域の工場から取り寄せるまで作業を一時中断した。
 このほか、京都市内のガス工事業者が被災現場の復旧にかかりきりになっており、5億円以下の公共工事では区画整理事業のガス管埋設や、道路工事の際に行うガス管の付け替えなどの作業に3ヵ月程度の遅れが出ている現場もあるという。
 答弁で内田俊一助役は「ライフライン関係の技術者が総動員されていることから、今後、被災地の復興が本格化した場合の影響が懸念される」として、建設省に対して十分な配慮を要請したことを明らかにした。(京都新聞)
■阪神本線、全通は秋 正常ダイヤ、来春以降 計画策定に着手
 阪神電鉄は、阪神大震災(兵庫県南部地震)で最も被害を受け不通が続いている阪神本線の御影−西灘間(約3.1`)の開通について、今秋を目標とする復旧計画の策定に書手した。これまで同社は同本線の全線開通時期を「未定」としていたが、詳しい被害状況がわかり、復旧作業を進める上で同意が必要な高架下の入居者などとの交渉が本格化してきたことから、10−11月に照準を合わせた復旧計画づくりに入ったもの。ただ、仮に全線開通となっても車両の修復が間に合わず、正常な運転ダイヤに戻るのは、さらに半年以上かかるという。
 現在、阪神本線は御影−岩屋間(約3.7`)が不通になっている。このうち西灘−岩屋間(約0.6`)は3月1日から運転を再開するが、御影−西灘間では高架橋が8ヵ所落下したほか、路盤が傾いたり橋脚が曲がったりしており、優旧のめどさえたっていなかった。
 これまで復旧計画が策定できなかったのは、作業環境の整備が主因。石屋川−大石間の約1.9`の高架橋下には約200の店舗が入居しており、復旧工事を進めるにはこの店舗にいったん立ち退いてもらわなけれはならず、現在交渉を急いでいる。
 また、線路わきの道路が北側約4b、南側約6bと狭いうえに、周辺の民家が倒壊して道路をふさいでいるため、クレーン車などが進入できない。こちらも所有者の了承が必要だが、これはほぼ全戸で同意を得た。
 阪神では3月中に、こうした交渉やがれきの撤去を完了させる予定。運輸省の「鉄道施設構造検討委員会」にも耐震力を高めた復旧工法案を提示、承認を得た上で、遅くても4月初めには本格的な復旧工事に入りたい意向だ。これまでの調査では御影−西灘間の高架橋は揖傷がひどく、新しく造り替えの必要がある構造物も多い、という。
 店舗や民家との交渉次第で開通時期は前後するが、阪神本線にほぼ平行して走るJR東海道線が5月上旬、阪急神戸線が8月末を開通目標としており、運賃収入の目減りも深刻となる。それだけに同社幹部は「JRから半年以上遅れたくない」と話している。
 一方、車両の修復、新造計画は今後詰めるが、石屋川車庫で58両が将棋倒しになるなど、314両のうち70両は修復もできないほど壊れた。このため、今秋に全線が開通しても車両不足で、震災前の運転本数を維持するのは不可能としており、運転ダイヤが通常に戻るのは来春以降になる見通しだ。(朝日新聞)
■「大開駅」特異ケース
 神戸高速鉄道の大開駅(神戸市兵庫区)が崩れたのは、土木関係者に大ショックだった。世界でも初めてのケースだけに、「地下鉄の安全神話は崩れた」とさえいわれた。
 が、谷本親伯(ちかおさ)京都大工学部助教授(トンネル工学)はこう反論する。「大半の地下構造物はほとんど無傷だったのだから、地下構造物は危ない、と見るのは性急すぎる。大開駅はむしろ特異なケースと考えるべきだ」
 大開駅の地下ホームは鉄筋コンクリート製中柱が折れ、天井がV字型に崩れ落ちほぼ全壊した。駅真上の道路面も約三b陥没した。
 同駅は地面を掘り下げ、埋め戻すオープンカット工法で造られた。プラットホーム部分は幅約17b、高さ約7bの箱状で、その上に埋め戻した土の厚さは4.8bだった。
 谷本助教授は駅崩壊の過程を次のようにみる。@激しい縦揺れで上の土の重さが天井にのしかかったA中柱と側壁の両方で支えるはずの荷重が、中柱だけに集中したB中柱が座屈し壊れて天井が落ち、側壁も横からの圧力で内側に傾いた。
 「地中を掘り進む掘削工法ではトンネル上部の地盤同士で重さを支え合うが、オープンカット工法では埋め戻した土の重さがそのまま天井にかかりがち。しかし、今回は工法だけでなく、駅の構造が設計条件を満たしていたか、十分な施工管理がされていたか、もっと調べる必要がある」
 神戸大工学部の調査では、大開駅のほか市営地下鉄の三宮駅、上沢駅などでも中柱が破損した。が、修復可能な程度で済み、ほかの鉄道トンネルや地下街、地下駐車場に被害はなかった。そして「概して地上構造物に比べ被害は小さく、地下構造物は耐震性に優れている」と結論付けている。
 地下構造物が地震に強いとされたのは、構造物全体が周囲の地盤と一緒に動くので外力があまり加わらない、と考えられたからだ。地震の揺れも地表に比べ地下は深くなるほど小さくなる。このため、ガスや水道管、石油貯蔵施設などを除いて地下構造物には耐震基準はなかった。
 しかし、今回の震災で地下構造物も、まったく安全とは言えないことが分かった。大西有三京都大工学部教授(路盤基礎工学)も「地下鉄駅では天井と床で、揺れによるゆがみや変位に大きな差が出ることが数値シミュレーションで明らかになった。今後、動的解析などの耐震設計法を地下構造物にも導入することが課題だ」と話している。(京都新聞 夕刊)
■あの現場はいま 阪神・石屋川車庫 車両の撤去はかどらず
 地震発生は午前5時46分。5000以上の死者を出した大震災だったが、通勤ラッシュの時間帯だったら、高速道路、新幹線を含め被害は計り知れなかったことだろう。
 阪神電鉄は尼崎発梅田行きの4時46分が始発、神戸市灘区の大石−新在家間では走行中の電車が脱線するなど乗客29人がけがをした。
 東灘区の石屋川車庫を出る始発電車は4時37分発の梅田行き。普段なら午前7時ごろ車庫から続々と電車が出て行くが、地震で58両が脱線、動けなくなった。
 阪神では臨時に確保した大阪の埋め立て地まで陸地を搬送し脱線車両の撤去作業を進めているが、1両の長さは19b、重量は32dもあり、大型クレーンでつり上げ、トレーラーで搬送する作業は思うようにはかどらない。また道交法などで昼間の搬送はできないため、1日2、3台のペースがやっと、全車両の撤去までにはかなりの日数がかかりそうだ。(京都新聞 夕刊)
25日■伊丹駅発着区間 阪急が値下げへ 仮駅開業に合わせ 来月中旬 距離短縮を重視
 阪急電鉄は、阪神大震災で駅ビルが崩壊した伊丹線の終着駅である伊丹駅(兵庫県伊丹市)を3月中旬にも仮駅で営業するのに合わせて、同駅発着の約40区間で乗車券、定期券を「値下げ」や「払い戻し」する方針を固め、運輸省との調整に入った。仮駅はこれまでの駅ビルよりも約400b南に建設される予定で、その分、運賃計算の基本となる営業距離は短くなる。駅ビルの復旧が遅れ、仮駅での営業が数年間に及ぶ恐れもあるため、阪急は異例の値下げに踏み切ることにした。来週、近畿運輸局に申請する。
 阪神大震災で、3階建ての伊丹駅ビルでは3階にあるホームや線路が停車中の電車といっしょに崩落、2階の飲食店街や1階の派出所や金融機関などを押しつぶした。阪急は再開発計画を伊丹市などと協議中だが、復旧計画はまだまとまっていない。駅ビル新築となれば、着工から2年以上の工期が必要なことから、同社は仮駅を造って3月中旬から営業を始めることにした。
 大手私鉄の運賃は「対キロ区間制」といい、利用者から乗車した距離に応じた区間の運賃を徴収している。このため、駅が400b移動することで、いくつかの区間で運賃が変わってくる。
 運輸省鉄道局によると、仮駅を設置した場合に必ず運賃改定をする鉄道営業上の規則はない。鉄道会社から申請があれば、仮駅と本来の駅との距離や仮駅の使用期間などに応じて運賃改定を認めたり、指導したりするが、これまで仮駅が数年に及んた例がなく、「値下げ」は恐らく初めてという。
 阪急は、仮駅が元の駅に隣接していない▽仮駅の使用が数年間に及ぶ可能性がある▽終着駅で運賃計算がしやすく混乱が少ない−などの理由から運賃改定の方針を固めたもので、運輸省は申請通り認可するとみられる。
 運賃改定が認められれば、運賃は仮駅の営業開始日から、伊丹−関大前間など約10区間で20−40円の運賃値下げとなり、伊丹−梅田間や伊丹−三宮間など約40区間の通勤・通学定期が、1ヵ月定期で最大約400円の値下げとなる。また、すでに購入、使用中の定期券についても、仮駅の営業開始日から有効期限の日数に応じて、払い戻しされる。これに伴う減収や自動券売機の改造費用は数億円に上る見通しだ。(朝日新聞)
■阪神本線、全面開通は9月末
 阪神電鉄は24日、阪神大震災で分断された阪神本線を九月未をめどに全線開通させると発表した。被害が最もひどかった御影−西灘間(約3.1`)にある高架橋の修復工法が運輸省から承認されたほか、作業を進める上で立ち退きが必要な高架下の入居者との交渉にめどがついた。ただ、損壊した車両が多く、全線開通しても朝夕のラッシュ時間帯は、震災前に比ベて約9割の運転本数しか確保できないという。
 阪神によると、高架橋の復旧は山陽新幹線などと同様に、支柱の鉄筋の量を増やしたり鉄板を巻き付けるなどして耐震性を高める。高架橋上にある石屋川車庫は震災時、58両が入庫しており将棋倒し状態になり、橋脚も壊れた。これまでに34両を取り出したが、残りの車両の搬出は4月末で、車庫の完全復旧は来年3月末になる見通しだ。(朝日新聞)
■申請通りに 値上げ方針 阪神電車の運賃
 阪神電鉄の飯塚卓専務は24日、大阪市内で記者会見し、4月1日実施で申請中の運賃値上げについて、「震災前でも鉄道事業の収支が悪化していたため、値上げをお願いした。震災後は役旧費に約700億円が見込まれ、経営基盤は窮迫しており、1日も早く値上げを認めていただきたい」などと述べ、阪神本線が分断された状態でも運賃値上げに踏み切る方針を明らかにした。
 阪神は、阪急など大手13社とともに1月に平均19.7%の運賃値上げを運輸省に申請した。しかし、阪急が、値上げを見送る方針を打ち出したことから、対応が注目されていた。
26日■阪神大震災 爪痕 地下の崩落 未経験の事態に絶句 科学の目地中に届かず
 神戸市兵庫区にある神戸市営地下鉄上沢駅の鮫島利昭助役は地震以来、無人のホームの巡回を続けている。
 今月16日の市営地下鉄の全線開通後も、上沢駅は閉鎖され、4つの入り口は閉ざされたままだ。
 駅の天井を支える柱の半数近くに亀裂が入り、壁のタイルが落ちている。壊れた柱をおびただしい数の鉄骨が支えている。
 1月17日早朝、地下1階の駅長室にいて、床にたたきつけられた。
 目の前をテレビが飛び、タンスほどもある金庫が2bも前に動いた。
 地下2階のホームに到着したばかりの電車には150人ほどが乗っていた。
 「電車は当分、動かん。地下にいたら危険や」
 もう一度揺れたら、駅がつぶれると思った。乗客を誘導し地上に出た。つぶれた建物群と真っ黒な煙が、目の前に広がっていた。
 市営地下鉄では上沢のほか、三宮駅、新長田駅などで、天井を支える計250本の鉄筋コンクリート柱が損傷。3駅は2ヵ月から1年は使えなくなった。
 神戸高速鉄道の大関駅では35本の柱がつぶれ、トンネルの天井が約120bにわたって崩落した。
 すぐ西側では、線路の側壁が334bにわたって割れ、15aも内側にせり出した。柱の損傷は計251本にのぼった。
 地下鉄の破壊は、世界で初めての事態だ。地下に築かれた「人工空間」は、崩れ落ちた。
 日本の地下鉄建設の草分けといえる帝都高速度交通営団(東京)の中島信・技術開発担当部長は、神戸の状況が信じられなかった。
 前身の「東京地下鉄道」が浅草−上野間で営業運転を始めたのは1927年12月。70年近く、営団は地下鉄の技術をリードしてきた。「われわれが知らないことが起こった」と中島部長はいう。
 地下の構造物は、周囲の地盤の圧力に耐えられるよう、もともと強固に造られている。
 しかも、地震がきても周囲の地盤と一体となって揺れるので、壊れにくいと信じられてきた。
 9500人が死亡した85年のメキシコ地震では、地下鉄はコンクリート内壁に細いひびが入った程度だった。89年に米サンフランシスコ一帯を襲ったロマプリータ地震でも、被害の報告はない。
 地震でダメージを受けた「経験」がない地下鉄の耐震基準が、根本的に見直されることはなかった。
 だが、地下鉄の駅やトンネルを囲む地盤が、地震でどんな動きをするのか、科学的に解明されているわけではなかった。 ビルや橋など地上の構造物なら、材料も構造も正確にわかっている。コンピューターに地震波を入力して計算すれば、揺れ方もかなりの精度でつかめる。
 構造物に地震計を設置すれば、計算結果と実際の揺れの差も検証が可能だ。
 ところが、地盤はいくつもの層にわかれ、地点によって構成も違う。土の粒の大きさも一様でない。
 「地盤がどう揺れるか正確にはわかっていない」と、多くの専門家は認める。
●”縦揺れ”が犯人?
 地下鉄の耐震基準は「東京地下鉄道」が1925年、関東大震災の被害を教訓に定めたものが基礎になっている。構揺れが重視され、縦揺れは、半分程度しか考慮されてこなかった。
 今回の地震は縦揺れが大きかった。神戸大の地震計の記録では、縦揺れは最大447ガル。構揺れの305ガルを上回った。
 運輸省の「鉄道施設耐震構造検討委員会」の松本嘉司委員長は「耐震基準を早期に改める必要がある」と語る。
 一方で、「強い横揺れが破壊の主因」という異論も提出されている。
 ある大手建設会社の技術者は「トンネルの下の地盤と上の地盤とで揺れの大きさが違ったため、四角いトンネルがひし形にゆがみ、壊れた」と分析する。
 損傷したトンネルは、いずれも地面を掘り下げる開削方式で建設された。被害は地下3−8bほどの浅い場所に集まっている。
 地下の浅い場所では、地震の揺れは地表に近づくほど増幅されるという。
 被害をまぬがれた地下施設もある。ガソリンスタンド地下タンクの損傷はゼロ。電線、電話回線、ガス管、下水道施設を一つのトンネルにおさめた共同溝にも大きな被害はなかった。
 神戸・三宮の地下街「さんちか」も、ガラスが2枚割れた程度ですんだ。
 京都大工学部の足立紀尚教授(地盤工学)は「同じ構造なのに、壊れたり、壊れなかったりだ。原因について、いまは何とも言いようがない」と話す。
●埋め立て地もろく
 「人工空間」では、埋め立て地にも大きな被害が出た。
 神戸市東灘区の埋め立て地。液化石油ガス(LPG)タンクわきの高さ約50bの鉄製のパイプの先に、真っ赤な炎がともる。1ヵ月余りが過ぎたいまも消えることはない。
 液状化で傾いたタンクのガスを燃やし続けている。ガスを冷却し液体に保つ装置が故障、燃やさないと爆発の恐れがあるという。
 隣のLPGタンクは配管が破損し、周辺住民7万人に避難勧告が出された。
 足利工業大の太田外氣晴教授(地震工学)は「沖積層や埋め立て地などの軟弱地盤では、揺れの実態は一層つかみにくい」という。
 神戸港では239の岸壁(バース)の8割以上が崩壊した。ほとんどの岸壁が海底の地盤に直接置かれた「重力式」だった。
 激しい揺れで岸壁が持ち上がったところに、液状化した土砂の圧力が加わり、壊れたとみられる。
 神戸市内の3つの石油コンビナートでも、415基の石油タンクのうち、107基が液状化で傾いた。
 だが埋め立て地の地盤を信用せず、地下数10メートルの固い層まで基礎くいを打ち込んだ高層ビルなどでは、大きな被害は報告されていない。
●確かめられぬ真実
 神戸市が人工島「ポートアイランド」の地下に埋設していた地震計が、今回の地震波をとらえていた。
 地震計は地下12b、同28b、同79bに置かれ、地表に置かれた地震計の記録と比較できる。
 地下の地震波は、知られていた波とまったく違う、奇妙な形をしていた。縦揺れは地表に近づくほど増幅されていたのに、横揺れは逆に弱められていた。「液状化を示す波」として分析が進められている。
 京都大工学部の柴田徹教授(土質力学)はいう。
 「地震で地盤がどう揺れるか、計算はしている。だが、それが真実か、確認するすべはほとんどない」
27日■CTCの故障で新幹線一時不通 姫路−相生間
 27日午前6時17分ごろ、JR山陽新幹線姫路−相生間で停電をきっかけに列車集中制御装置(CTC)が赤信号状態のまま戻らなくなった。JR西日本は午前6時半の始発から同区間を上下線とも運休にし相生−博多間で折り返し運転をしていたが、同8時23分、運転を再開した。
 上下線でひかり、こだま計14本が全面、部分運休したほか、姫路発博多行きひかり133号が約1時間半遅れるなど上下10本に遅れが出て、約3000人の足に影響が出た。(京都新聞 夕刊)
■運行表示が誤点灯 姫路−相生一時不通 山陽新幹線14本運休
 27日午前6時20分ごろ、山陽新幹線の運行表示板に、姫路−相生間に列車が入っていることを示す在線表示が誤って点灯した。このため同間に列車が入れなくなった。午前8時ごろ復旧、同8時23分から運転を再開したが、姫路発博多行きの「ひかり131号」など上下14本が運休。上下10本が1時問32分から4分遅れ、約3000人の足に影響が出た。
 JR西日本の調べで、姫路駅構内で信号関係ののヒューズが切れていたことが分かり、原因を調査している。(朝日新聞 夕刊)
28日■イベント列車も運行 KTR春のダイヤ
 北近畿タンゴ鉄道(KTR=本部・宮津市)は、3月1日から6月30日までの春の臨時ダイヤを発表した。京都発大阪・福知山線経由の特急「タンゴ・エクスプローラーを冬に引き続き運行するほか、イベント地への臨時列車も用意した。
 直通臨時列車では、年末年始の帰省やUターンで好評だった京都発大阪・福知山線経由の特急「タンゴ・エクスプローラー81号(久美浜行き)」と、折り返しの豊岡発福知山線・大阪経由京都行きの「同82号」をゴールデンウイーク期間中の4月29日から5月7日までの休、祝日に運転する。
 3月いっぱいとゴールデンウイーク中は、特急タンゴ・エクスプローラー、あさしおや急行丹後が、丹後由良、木津温泉、丹後神野、久美浜各駅に臨時停車する。イベント用には、3月21日の大江山女子駅伝、4月16日の網野チューリップ祭りなどのイベント列車を往復で運転する。(京都新聞)
■私鉄運賃値上げ110番 京都消団連、あすと2日 京の消費者の声集約
 京都消費者団体連絡協議会(京都市中京区)は、私鉄運賃値上げについて消費者の声を電話で受け付ける「私鉄運賃・サービス問題110番」075(251)1552を、3月1日と2日の午前10時から午後4時まで開設する。
 近鉄、南海など関西5社を含む大手私鉄が現在、平均約20%の運賃値上げを運輸省に申請している。同110番は、大阪で開かれる民間公聴会や運輸審議会の公聴会に、京都の消費者の意見を反映させるため企画した。
 京都消団連では「運賃値上げが、果たして消費者に還元されるのか。日ごろから感じているサービス面の問題など、率直な意見を寄せてほしい」と話している。
 私鉄運賃問題民間公聴会は、関西5社の代表らが出席し、10日午後1時から大阪府立消費生活センター(大阪市北区)で開かれる。参加希望者は主催の関西消費者団体連絡懇談会 06(941)3745 へ。(京都新聞)
■梅田−御影に特急 1日から阪神電鉄
 阪神大震災で本線の御影−石屋間3.7`が不通になっている阪神電鉄は27日、特急電車を3月1日から梅田−御影間に走らせる、と発表した。
 被災した電車1編成(6両)の修理が完了。御影より三駅梅田寄りの青木で折り返していた特急を御影まで延長できるようになった。梅田−御影間の所要時高は32分。
 この措置で、御影発の電車は1日181本から245本に約35%増加。最も込む午前8時台で180%に達する御影発の混雑はかなり緩和されそう。(京都新聞)
■「トロッコ列車」が来月2日から再開
 嵯峨野観光鉄道(京都市右京区)は27日、京都・嵯峨野の里を走る「トロッコ列車」を3月2日から再開する、と発表した。
 同列車はトロッコ嵯峨、トロッコ嵐山−トロッコ亀岡間の約7.3`を結ぶ4両編成の観光列車で、1日8往復する。運転期間は12月29日まで、毎水曜日運休(祝日を除く)。(朝日新聞)
■阪急が値下げ申請 伊丹駅発の運賃
 阪急電鉄は28日、近畿運輸局に伊丹線伊丹駅発の運賃値下げを申請した。
 阪神大震災で倒壊した同駅の代わりに建設中の仮駅の位置が400bずれ、運賃計算キロが短くなったため。
 同社は3月中旬の運転再開と同時に値下げし、伊丹駅が再建されるまで実施するとしている。
 値下げするのは、普通運賃・回数券が伊丹−神崎川(現行200円が160円)など計8区間。定期券は通勤・通学とも44区間で下がる。(京都新聞 夕刊)
■架線切断で 一時不通に JR関西線
 28日午前7時5分ごろ、奈良県北葛城郡王寺町久度二丁目、JR関西線王寺駅東約600bの下り線の架線が切れているのを、快速電車の運転士が発見した。送電を止めて復旧工事をしたため、同線の柏原−法隆寺駅間の上下線が不通になった。午前9時35分、運転を再開したが、上下線90本が運休した。(朝日新聞 夕刊)
■震災時…神戸の地下に電車13本 乗客420人 1時間かけて3.2`歩き駅へ 唯一の頼りは非常用の電源
 阪神大震災が起こったとき、神戸市内の地下の鉄道トンネルには13本の電車と約420人の乗客がいた。市営地下鉄や神戸高速鉄道によると、どの電車も緊急停止や停電で止まり、乗客はトンネルを3`以上も歩くなどして脱出、全員が地上に逃れ、けが人もなかった。防災の専門家は、非常用電源で照明が確保できたことや、地上への階段が壊れなかったことなどが役立ったとみて、今後の防災対策に生かすよう求めている。
 1月17日午前5時46分すぎ、同市北区の北神急行電鉄谷上駅にある運転指令所の地震計が震度6を表示した。全線で停電し、新神戸−谷上間のトンネル(7.3`)にいた2本の電車への送電も止まった。
 運転指令の尾崎守完さん(40)が無線で確認すると、1本は新神戸駅の約1`手前にいた。乗客は約20人。運転士からの連絡は「新神戸駅までは下り坂。そのまま下れば、なんとか駅へたどり着ける」。
 もう1本は、ほぼ中間で止まっていた。谷上駅から3.2`。車内に11人の乗客がいた。
 「線路が傷んでいるかもしれ谷ない。ディーゼルの救援車を出すのは無理だ。歩くしかない」。同6時15分、谷上駅から運輸課主任、安田正記さん(46)ら2人が救出に向かった。
 トンネルの照明には非常用蓄電池が付いていて、1時間ほどもつ。それも途中で尽き、懐中電灯が頼りだった。
 6時55分に到着。運転席から乗客を降ろし、壁際を縦1列に並んで歩いた。谷上駅に着いたのは、地震発生から約2時間後の午前7時50分。
 市営地下鉄の上沢駅(兵庫区)には、2本の電車の約170人の乗客が集まった。3台の公衆電話に数十人の列ができた。駅舎の柱91本に亀裂が入り、壁もはがれ落ちていた。どこからか、水が流れ込んでいた。「でも、お客さんは、なかなか動かなかった。地上もひどい状況だったから」と鮫島利昭助役(60)。
 照明の非常用蓄電池のおかげで、真っ暗になる事態は避けられた。同6時20分に、非常用の自家発電装置からの電気も届いた。
 阪神電鉄の春日野道−元町間のトンネルでも、2電車が動けなくなった。元町駅助役の近成敬一さん(48)は駅の約150b手前で止まった急行を見て、「これはだめだ」と思った。窓ガラスが割れ、扉もグニャと曲がっていた。真っ黒なほこりがたち込めていた。
 「車体が側壁に当たったのだろう。けが人がなかったのが本当に不思議だ」
 4人の乗客を地上に誘導した。
 阪神、阪急、山陽、神戸の4電鉄が乗り入れる神戸高速鉄道では、5本の電車が地下で止まった。
 大開駅では山陽の特急が通過した直後、天井が120bにわたって崩れ落ちた。最後部まで、わずか100bほどだった。
 神戸高速鉄道によると、地震発生の45秒後に非常用のディーゼルの自家発電装置が作動。送電線にも被害はなく、照明は3分の1程度が生きた。
 各社とも自家発電装置に大きな被害はなく、非常用蓄電池とで最低限の照明が確保できた。空冷式と水冷式がほぼ半々で、水冷式には冷却水の貯水タンクが併設されていた。今回の震災では、水冷式の自家発電装置が断水で使えなくなったという報告が多い。
 また、市営地下鉄の自家発電装置は、ゴムの振動吸収材の上に置いていた。特別な地震対策ではなかったが、市交通局電気課では「破損防止に効果があったかもしれない」と話す。(朝日新聞 夕刊)
■阪急が値下げ申請 伊丹駅発着の44区間分
 阪急電鉄は28日午前、近畿運輸局に伊丹線の終着である伊丹駅発着の44区間の運賃値下げを申請した。阪急は3月中旬から、阪神大震災で崩壊した伊丹駅の約400b大阪側に仮駅を造って営業を再開する予定。その分、運賃計算の基本となる営業距離が短くなり、仮駅の使用期間も約2年に及ぶ公算が大きいことから、異例の値下げ申請に踏み切った。
 申請によると、仮駅の営業開始日から運賃を値下げする。値下げの対象となるのは普通運賃で8区間、通勤・通学定期で44区間ある。例えば、伊丹−関大前は現行250円が230円に、伊丹−箕面は280円が250円となる。通勤定期(1ヵ月)は伊丹−梅田が同7450円から7200円に、伊丹−三宮が9900円から9700円に、それぞれ値下げされる。使用中の定期券についても、有効期間の満了後に、定期券と引き換えに「差額」を払い戻すという。
 阪急は、阪神大震災で高架橋が落下するなど鉄道部門だけで約660億円の被害を受けた。神戸線の西宮北口−三宮間は8月末まで運休が続く見通し。大手私鉄13社とともに4月からの運賃値上げを申請していたが、菅井基裕社長が「不通区間があり、乗客に不便を掛けているうちは値上げはできない」と、認可を受けても今秋まで運賃値上げを凍結すると表明している。今回の「値下げ」も、利用客への配慮とみられる。
 一方、駅舎が崩壊した山陽線の新長田駅や阪神本線の西灘駅も仮駅での営業を計画しているが、JR西日本や阪神電鉄は仮駅が本来の駅に隣接していることなどから、値下げを申請する考えはないとしている。(朝日新聞 夕刊)