1995(平成7)年 1月


1日■95年展望 京都市政 地下鉄建設費膨張の対応は 財政危機どう乗り切る 文化首都づくりも懸案(京都)
  ■地下鉄丸太町南改札口 今春からゲート自動開閉 車いすに「広き門」(京都)
  ■JR西日本女性車掌5年で100人以上 今夏から一般公募(朝日)
3日■「はるか」急停車 運転を取りやめ 非常ブレーキ作動(朝日)
  ■止まるはずの「雷鳥」が通過 JR湖西線堅田駅(朝日)
  ■列車転落 102人死亡 ミャンマー(朝日)
4日■故郷の香り土産にUターン 仕事始めへ 混雑ピーク 分散傾向とは言え(京都)
  ■不況、帰省せち辛く Uターンピーク みやげもスリムに(朝日)
  ■京阪宇治駅 新駅舎の建設着々 プラットホームなど姿見せる 完成は7月前後(京都)
  ■新幹線も児童改札に 「上越線」など来年度末にも JR3社合意(京都)
  ■関空無人走行電車ストップ 150人、20分間缶詰め(京都)
  ■ひかり故障 運転を中止 JR京都駅で(朝日)
5日■関空シャトル 約30分間停止 帰国客らに影響(朝日)
  ■カラーコーンや自転車が線路に ラピ−トはねる(朝日)
6日■窓 お答えします 「電車のドアの開閉」について(京都)
  ■年末年始の族客 5年連続で減少 関西私鉄5社の合計(京都)
  ■別れるJRの戦略 東はサービス 東海は中央新幹線 西は高速化(京都)
7日■聴覚障害者ら対象 JRが無料FAX(朝日)
  ■空や鉄道足乱れる 今冬一番の雪(朝日)
  ■「サンターバード」 新雷鳥の正式名称に(朝日)
8日■中旬に運賃値上げ申請 大手私鉄14社5月ごろ実施へ(朝日)
  ■私鉄値上げ 凍結解除で申請集中 混雑緩和工事など理由(朝日)
10日■京都市交通局 低公害バス導入 天然ガス燃料16日から走行(京都)
  ■転換迫られる日本 私の提言 JR西日本社長 井出正敬さん(京都)
  ■JR株売却の方法見直しへ 懇談会を設置(朝日)
  ■リフト付きバス南区の路線でも 新たに3台京都市導入(朝日)
11日■日本最初の電車 京を走って100年 京滋の鉄道ファンが記念イベント 講演や冊子発行へ(京都)
12日■私鉄5社が新回数券 値上げの”見返り”きっぷ10枚分で昼間専用−12枚 土日専用−14枚 5月ごろ発売(朝日)
  ■大阪モノレール 6.4`延伸を申請(朝日)
  ■電車にはねられ死亡 女子高生が自殺? JR加古川駅(朝日)
13日■新幹線の品川新駅建設了承 国鉄溝算事業団(京都)
  ■駅弁コンクール出品作品を募る 愛東町(京都)
  ■万博公園−国際文化公園都市東センター 大阪モノレールますます便利に6.4`延伸 事業特許申請(京都)
  ■山陽新幹線 開業20周年を記念して ロゴマークできた(京都)
14日■運賃割引手続きを簡素化(朝日)
  ■府北部、滋賀に大雪 新幹線など乱れ(京都)
  ■JR信越線 雪巻き込み脱線 列車5本立ち往生 400人が車内で一夜(京都)
  ■目を覚ませばそこは銀世界(京都)
15日■二条駅周辺整備 映像情報施設を建設 松竹に参加要請 京都市3セク設立へ 新たな文化拠点に(京都)
  ■窓 見たさわやか親切 園部町・馬場忠孝(会社員・53)(京都)
  ■名神(一部)などストップ 京滋北部大雪 JR各線でも遅れ(京都)
  ■タンゴ鉄道もダイヤが混乱(京都)
  ■山陰線特急と車衝突 雪で立ち往生 けが人なし(京都)
  ■列車衝突で死者150人超す バングラ北西部(京都)
  ■私立中学受験の帰途 電車にはねられ死亡 奈良・JR和歌山線(朝日)
16日■東京新事情 山梨リニア実験線 時速500` 開業にらみ(京都)
  ■ブルトレの巻き返し 電車化 新車化 2階建てオール個室 最高130`揺れ少なく 設計作業入り JR西日本が不振の「瀬戸」(朝日)
17日■リフト付きバス新路線 京都市交通局 計5系統、9台に(京都)
  ■リフト付きバス『新たに3台』障害者ら運行祝う やっと計9台遅い普及 京都市交通局(朝日)
  ■脱線列車内、動けず(朝日)
18日■手つけられぬ落下橋の復旧 山陽新幹線(京都)
  ■阪急京都線が復旧 草津線や関空線も再開(京都)
  ■『市電の時計塔』よみがえるノートルダム女子大キャンパスに2基(京都)
  ■死者1590人 不明1017人 兵庫県南部地震 救出難航、延焼も各地で 交通網復旧は長期化(朝日)
  ■鉄道 設計基準見直し急務(朝日)
  ■復旧へ補正予算も どう扱う鉄道や高速道(朝日)
  ■ダイヤ大混乱(朝日)
  ■新幹線橋崩壊 液状化現象か 尼崎市消防局調査(朝日)
  ■京都市地下鉄竹田駅で停止 後続電車遅れる(京都)
  ■運転再開「待ちかねた」 ”足”求め駅に殺到 兵庫県南部地震から一昼夜 被災地路線は閑散と(朝日)
  ■新幹線 全通早くても3月末 造り直す場所多く(朝日)
19日■鉄道の基準も 今週中にも委員会発足(京都)
  ■復旧まで3月以上 山陽新幹線 姫路−新大阪 予想を上回る被害(京都)
  ■空の便満席 臨時便を運航(京都)
  ■兵庫県南部地震 予想越えた急激な揺れ 耐震学者現地視察 同行記(京都)
  ■全線の開通は来年7月以降 阪急神戸線(朝日)
  ■耐震設計基準全面見直しへ 新幹線(朝日)
  ■鉄道寸断 代替輸送に海路案(朝日)
  ■鉄道など企業特別融資検討 日本開発銀行(朝日)
  ■「余震恐れ東京に避難」 乗客に被災者も JR京都駅(朝日)
  ■う回、国道9号渋滞 名神は京都南以東が復旧(朝日)
  ■救援物資を無料輸送へ JR貨物準備開始(朝日)
  ■一歩一歩立ち上がる 阪急宝塚線は復旧(京都)
  ■関西など大手私鉄 19.7%(平均)値上げ申請 4月から初乗り20−30円アップ(京都)
  ■河原町−梅田410円に欧米に比べて割高 設備投資、利用者にツケ 私鉄運賃値上げ申請(京都)
  ■私鉄19.7%値上げ申請 大手14社 JRよけ割高区間も 今春実施希望(朝日)
  ■「値上げ何もこの時期に」私鉄14社運賃申請 関西の市民反応複雑(京都)
  ■交通網、一部復旧 阪急宝塚線は全面的に(朝日)
20日■京都−新大阪 午後にも再開 東海道新幹線(京都)
  ■見舞いの列(京都)
  ■鉄道被害 阪急800億 阪神500億(京都)
  ■二条駅周辺整備 「映像施設」松竹と合意 3セク、2000年開業(京都)
  ■高架橋崩落や土砂崩れなど 活断層上に大被害集中(京都)
  ■JR・阪急・阪神 鉄道3社が助成を要請(朝日)
  ■国鉄清算事業団が仮設住宅用地提供(朝日)
  ■肉親思う列 西へ 背に両手に水や食料 薬値引に優しさ知る(朝日)
  ■代替ルートで協議を開始 運輸省と3社(朝日)
  ■ライバル社支援へ動く 重機提供や人員派遣 鉄鋼・JR・金融機関 復旧作業の「即戦力」にも(朝日)
  ■新幹線高架橋の耐震性 基準の見直し きょう初会合(京都)
  ■新幹線 京都−新大阪 きょう復旧(朝日)
  ■損害額、経営を圧迫 阪急・阪神復旧遅れる恐れも(朝日)
  ■「バイパス」山陰線混雑 乗車率200%も 姫路方面から目立つ(朝日)
  ■東海道新幹線 京都−新大阪開通へ 1時間に5本のペース(朝日)
21日■山陽新幹線 復旧は6月 JR福知山線きょう全通(朝日)
  ■「終着駅」の混雑解肖へ 新幹線 京都−新大阪が復旧(朝日)
  ■地下鉄の支柱壊れる 神戸市営三宮駅 「強い」の通説覆る(朝日)
  ■JR福知山線が全通 大阪から神戸・姫路 「う回ルート」確保(朝日)
22日■大阪と神戸 鉄道つながる 福知山線全線復旧(京都)
  ■直通快速などう回線を設定 あすから新大阪−姫路(京都)
  ■神戸高速、完全復旧は困難 鉄道、地下トンネル崩壊 少なくとも数年は寸断 阪神本線もメド立たず 兵庫県南部地震(朝日)
  ■梅田−甲子園間に ノンストップ特急(朝日)
23日■社説 JR奈良線複線化への課題(京都)
  ■JR山陽線西明石−須磨などきょう復旧(京都)
  ■六甲トンネル損傷 新幹線 内壁100ヵ所以上(朝日)
  ■阪神台震災 どうなる保険金支払い 鉄道会社 特別立法を期待(朝日)
  ■都市の生命線復旧へ急ピッチ 新大阪−姫路間にJRが直通の快速(朝日)
  ■代替バスも発車 通勤者ら長い列(京都)
  ■須磨−西明石間 JR、運転を再開(京都)
  ■「運転士足りない」阪急、半数出勤できず 進む復旧の足かせ(朝日)
  ■迫られる新幹線の補強 もろかったラーメン構造 設計に余裕もたせる必要 阪神大震災(朝日)
  ■神戸−西宮バス始動 会社・買い出しへ列(朝日)
  ■激震から1週間 動きはじめた街(朝日)
24日■不十分な鉄筋、耐震性落とす 阪神大震災 設計指示と相違 本格対策めど立たず JR調査団確認(京都)
  ■窓 集改札見直し不正乗車防げ 城陽市・斉藤 訓(田体職員・47)(京都)
  ■鉄道被害4120億円に 運輸省 復旧費補助固める(朝日)
  ■JR(芦屋から甲子園口)あす開通 阪神(青木−甲子園と武庫川線の全線)も26日予定(朝日)
  ■ディーゼルカー不足 非電化の播但線・加古川線 代替ルートで大動脈に JR西日本 余裕なく増発できず(朝日)
  ■電車にはねられ重傷 太秦で登校中の小1(京都)
  ■激しい上下動が高架橋つぶした 運輸省まとめ(朝日)
  ■ブルトレ運転再開へ 大阪・九州(朝日)
  ■代替バス運行開始 ポートライナー・六甲ライナー(朝日)
25日■政府が復興に本腰 鉄道など特別立法へ 基盤整備が急務(京都)
  ■JR西日本、上場延期へ 東海を先に運輸省検討 大震災の損害響く(朝日)
  ■ディーゼルカー貸し出し応援 JR東海(朝日)
  ■登校中の小1男児 列車にひかれ重傷(朝日)
  ■JR芦屋まで運転再開(京都)
  ■臨時通路に人波 JR芦屋駅 さあ大阪方面へ(京都)
  ■阪神大震災 大規模開発、軒並み延期 地下鉄路線は半分に 神戸空港も数年遅れ
  ■神戸市地下鉄 全線復旧に1年以上(朝日)
  ■春闘めぐり労組苦慮JR西労組「一時凍結」を決定(朝日)
  ■「安全総点検を実施」 国労中央委で委員長(朝日)
  ■阪神高速 環状線全線が開通 JR甲子園口−芦屋も(朝日)
  ■JR甲子園−芦屋が復旧 阪神高速環状線に車戻る 死者、5070人に(朝日)
26日■神戸で震度4 京都3(京都)
  ■JR上田辺駅周辺の区画整理変更を承認 府都計審 高架化ゴー(京都)
  ■JR西日本 株式上場に黄信号 震災被害で基準達成微妙(京都)
  ■「安全神話」粉々に 地下鉄 耐震基準の強化急務 大動脈を寸断 経済に大打撃(京都)
  ■青木まで開通 朝夕に特急も きょうから阪神電鉄(京都)
  ■阪神電鉄 甲子園−青木を再開 JRなど新大阪−姫路バス運行へ(朝日)
  ■須磨−神戸間開通しても 新長田・鷹取駅は素通り JRが見通し(朝日)
  ■「地下鉄は安全」神話崩壊 対策練り直し 全国事業体の技術者が調査(朝日)
  ■私鉄 阪神は独自春闘 労組が集団交渉離脱へ 震災への対策優先(朝日)
  ■松山−大阪の夜行バス再開 きょうJR四国(朝日)
  ■神戸へ鉄道つながる 阪神、青木(東灘)まで開通 大震災から9日ぶり(京都)
  ■阪神電車 神戸へ 甲子園−青木間ガレキの街走る(朝日)
  ■鉄建公団に支援要請 被害深刻な阪神・神戸高速・神戸電鉄 自社の要員では復旧困難と判断(朝日)
  ■値上げを申請 北大阪急行と阪堺電気軌道(朝日)
  ■新型車両で温泉の旅を(朝日)
27日■阪急三宮まで4ヵ月で開通 菅井社長 復旧へ全社一丸(京都)
  ■国道43号にバスレーン 震災復興 あすから専用で実施 西宮−三宮間 1時間で連絡(朝日)
  ■全線開通に6ヵ月以上 阪急神戸線(朝日)
  ■神戸の地下鉄被害 浅い部分に集中 設計基準の見直し必至(朝日)
  ■園児バスと列車が衝突 鹿児島、2人死亡(朝日)
  ■阪神大震災 中国道が全通 規制で渋滞20` 東西の物流が直結(朝日)
28日■一般会計7950億円 府の95年度当初予算案 地下鉄東西線、異例の援助(京都)
  ■JR西日本などが ノンストップバス 鉄道不通区間(京都)
  ■JR東海 上場難しい情勢 来年度 新幹線の減収響く(朝日)
  ■代替バス立ち往生 新大阪−姫路間 渋滞で打ち切り(朝日)
  ■ブルトレ運転 30日から再開(朝日)
  ■神戸高速大開駅 乗客30人、間一髪 崩壊直前に列車通過(朝日)
  ■西宮−三宮 直行バス きょうから運行(朝日)
  ■阪神大震災 耐震基準 「縦揺れ」を考慮せず(朝日)
  ■国道43号にバス専用道 鉄道不通区間 20−30分短縮か(京都)
  ■部分開通へ 車両運び込む 阪急神戸線(京都)
  ■大阪と中四国結ぶ貨物列車 う回ルート設定 来月下旬に運転再開(朝日)
  ■「貴婦人(SLやまぐち号)」工場で被災 修復めど立たず 観光地は「困った」(朝日)
29日■あす JR須磨−神戸 阪急宝塚−仁川 復旧(京都)
  ■地下鉄耐震基準見直し 運輸省 検討委の調査急ぐ(京都)
  ■JR山陽線 あすから全線開通(朝日)
  ■応急工事まっ最中 神戸市営地下鉄の三宮駅構内を公開(朝日)
  ■国道43号 バス専用線 夕に大渋滞(朝日)
  ■私鉄などへ国の負担検討 運輸相(朝日)
30日■JR山陽線神戸乗り入れ 始発から運転再開 神戸−芦屋 4、5ヵ月先(京都)
  ■阪神大震災 復興へ足どり確か 阪神 三宮−高速神戸 来月1日に再開(朝日)
  ■市民の足8割復旧 渋滞や工事で影響も 神戸市営バス(朝日)
  ■神戸−須磨 JR再開 新長田駅は通過 神戸駅からも代替バス(朝日)
  ■自転車持ち込まないで 「気持ち分かるが」混雑車内で危ない JRなど各社(朝日)
  ■通勤の足つながった JR、神戸乗り入れ やっと会社行ける 積み残しも相次ぐ(京都)
  ■被災地の学校7割再開 西宮 休校ほぼ解消 JR神戸−須磨が開通(朝日)
  ■市営地下鉄・板宿−県庁前 3月末までに復旧 神戸市見通し(朝日)
31日■新幹線もろさ露呈 耐震基準(京都)
  ■上場、96年度以降か 運輸省 JR西日本と東海株式(京都)
  ■映像使い未来体験 二条駅周辺再開発ビル 市、松竹と”遊び場”(朝日)
  ■山陽新幹線 初期微動を検知し停止 JR西日本新システム導入へ(朝日)



1日■95年展望 京都市政 地下鉄建設費膨張の対応は 財政危機どう乗り切る 文化首都づくりも懸案
 京都市は、地下鉄東西線の建設事業費の膨張などに起因する財政危機の克服と、歴史的環境を生かした文化行政をどう進めるのか、を問われる年となる。田辺朋之市長は、就任以来5年余りを過ぎ、今夏には2期目後半に入る。東西線を含め、継続中の都市基盤整備の着実な推進と、21世紀へ向けた「文化首都」づくりに力を注ぐ。平安建郡1200年で論議の高まりを見せた市民の「京都」意識をどのように結実させるのか。明確で力強い針路選択が田辺市政に求められている。
 市の財政は深刻な事能に直面している。1994年度予算は財政調整、都市計画事業、国鉄清算事業団所有地等取得の各基金の取り崩し・廃止で計258億円の財源を工面して編成した。前年度ベースで試算すると、歳入歳出収支で新年度は一般会計で313億円の単年度赤字が見込まれている。
 建設事業費が膨張した東西線の一般会計への負担はこれからが本格化する。第三セクターヘの出資金増や融資起債を行う予定だ。これに対し、基金残高は財調で約20億円などと底をつきかけており、新年度予算の財源確保がまず難題となる。起債(借金)への依存度の高まりで、後年負担の増大は確実だ。起債制限団体への転落も数年後に追っている。
 市は「平成の京(みやこ)づくり市政改革本部」を設け、リストラ(事業の再構築)で歳出削減に努めている。新年度には「新基本計画」の年次計画の見直しを行うが、現状では総額1兆7000億円となる事業の計画通りの実現は難しい。市庁舎建設の基本構想策定の見送りを含め年次計画は大幅修正となりそうだ。
 建都記念事業では京都コンサートホールが今春に完成、秋には開館する。勧業館新築や山科駅前再開発事業などの大型事業も正念場を迎える。地下鉄を含めた継続事業の投資的経費の確保と二条駅周辺整備など新たな事業の着手も望まれている。さらには田辺市政が特色とする健康都市構想の後退も許されない。高齢者や児童福祉の充実は緊急優先課題である。十分に手を打たなければならない。
 限られた財源の中で、文化行政の具体化も田辺市政の柱となる。古都京都の文化財は昨年、世界遺産の登録を受けた。周辺地域を含めた文化遺産の保全に向け、田辺市長は社寺との新たな信頼、協力関係を築くのが先決となる。
 世界文化自由都市宣言の第二次提案では「歴史と文化の『みやこ』づくり」へ京都歴史都市博物館の建設など文化創造への貢献が提唱された。「平安宣言」では京都を「世界の文化と文明の自由な交流の場」とされた。世界的認知を受けた歴史的環境と建都記念年の精神を取り込み「文化首都」を目指すには、市長の指導力を発揮させるスタッフの充実強化と文化行政の推進体制の確立が重要となろう。
 今年は統一地方選と参院選、場合によっては初の小選挙区制総選挙も考えられる。激動の政治状況の中で田辺市長を支えるのは、民意を十分にくみ取った市政の展開にほかならない。(政経部 黒田 清書)(京都新聞)
■地下鉄丸太町南改札口 今春からゲート自動開閉 車いすに「広き門」
 京都市交通局は地下鉄烏丸線丸太町駅南改札口に車いす利用者に対応できるリモートコントロール(遠隔制御装置)改札機を設置、今春から利用を始める。同駅上には府立総合社会福祉会館(仮称)ができる予定で、車いす利用者には便利になりそうだ。
 丸太町駅南改札口はふだん無人で自動改札機だけが置かれている。これまで車いすの利用者は南改札口に来ても、有人の北改札口まで回るか、駅員が南改札口まで来て対応していた。今回導入されるリモートコントロール改札機は利用者の乗車証などをテレビモニターで確認、北改札口の駅務室と有人ボックスに設置されている操作盤で、遠隔採作で改札ゲートの開閉ができる仕組みになっている。
 遠隔操作のできる改札口は地下鉄京都駅にもあるが、ゲー卜の間が車いすに対応できるようにはなっていない。丸太町駅の改札機はゲートを両開きにすれば90a幅の通路となり、車いすの改札が可能となる。
 設置費用は約1200万円、同時に行われているエレベーター新設と合わせ、車いす利用者の利用が一段としやすくなる。
 同改札機の導入は烏丸線13駅の中で初めて。市交通局は昨年12月から車いす利用者のために電車とホームの段差を解消する「渡り板」を全駅に配置している。(京都新聞)
■JR西日本女性車掌5年で100人以上 今夏から一般公募
 JR西日本が女性車掌の大量採用に踏み切る方針を固めた。今夏、大学や短大卒などの女性向け求人案内に初めて職種として「車掌職」を盛り込んで一般公募し、今後5年間に100人以上の女性車掌を養成する。女性車掌は現在、関西空港−京都間を走る特急「はるか」に乗務しているだけだが、同社はこの採用計画に伴って今秋から北陸線「スーパー雷鳥」など担当列車を増やし、5年後には大阪環状線にも乗務させる計画だ。不況のあおりで就職難の女子大生らには朗報となりそうだ。
 JR西日本に女性車掌が初めて登場したのは昨年9月。関西空港へのアクセス特急に乗務させるため、13人を京都車掌区に配属した。「事務職」として採用し、旅行センターなどに配属していた社員の中から希望者を募って選抜した。来年度からはこの社内募集に加えて、一般公募もしようというわけだ。 同社首脳によると、採用枠は毎年20−30人で、短大卒以上。関西空港の開港などで今後さらに外国人客が増えることを想定し、「語学堪能」を募集条件とする考えだ。
 乗務計画としては、まず今秋をめどに北陸線の特急「スーパー雷鳥」の新型車両(愛称「サンダーバード」、3月運転開始)を予定しており、10人前後を金沢車掌区に配属する。次いで阪和線や紀勢線を走る「スーパーくろしお」、山陰線の「あさしお」などの特急に乗務させるため、大阪車掌区や京都車掌区へも振り分ける。
 同社としてはこの計画と並行して労働省に労働基準法の改正を働きかけることにしている。現行法下では女性車掌は女子の深夜業の規制によって、午後10時から午前5時の間は勤務できない。これが男性車掌の反発や配属の難しさともなっている。(朝日新聞)
3日■「はるか」急停車 運転を取りやめ 非常ブレーキ作動
 2日午後4時10分ごろ、大阪府茨木市内のJR東海道線で、関西空港発京都行き上り特急「はるか」=8両編成=が走行中に突然、非常ブレーキが作動し、茨木駅に入る直前に急停車した。点検作業をし、約25分後に同駅まで徐行運転したが、速度を上げると再びブレーキが作動する状態だったため、運転を取りやめた。約300人の乗客は無事で、同駅で後続の快速電車などに乗り換えた。
 関西空港行き特急1本が運休したほか、新潟行き特急「雷鳥」など計12本が21−7分遅れ、約2500人の足に影響した。(朝日新聞)
■止まるはずの「雷鳥」が通過 JR湖西線堅田駅
 2日午後3時7分ごろ、大津市真野一丁日のJR湖西線で、新潟発大阪行き特急「雷鳥30号」(9両編成)が、停車予定の堅田駅を通過し、約400b行き過ぎて止まった。列車はその場に約7分間停車したあと、同駅で降りる予定だった乗客3人を次の雄琴駅で降ろした。3人は下り普通列車に乗り換えて堅田駅へ戻った。
 雷鳥30号と上下各1本の計3本が最高10分遅れ、約1000人の足に影響が出た。JR西日本によると、運転士の操作が遅れたらしい。(朝日新聞)
■列車転落 102人死亡 ミャンマー
 【ヤンゴン2日=山本博之】ミャンマーの国営新聞によると、先月30日早朝、ミャンマー第2の都市マンダレーと北部のミッチナーを結ぶ列車が脱線し、客車1両が峡谷に転落、他の車両も転覆し、102人が死亡、53人が負傷した。下り坂で、ブレーキが利かなかったのが原因という。死傷者に外国人は含まれていない模様。(朝日新聞)
4日■故郷の香り土産にUターン 仕事始めへ 混雑ピーク 分散傾向とは言え
 年末年始を郷里や旅先で過ごした人たちのUターンラッシュが、4日の仕事始めを前に3日午後からピークを迎え、JR京都駅は正月休みでリフレッシュした帰省客らで混雑した。また、名神高速道路も同日夜にかけて京磁で長い渋滞が発生するなど、ぐったりした”憂ターン組”の車が続いた。
 JR西日本、同東海によると、各地からのUターンは3日と4日がピーク。このところ、ラッシュを避けた分散型Uターンが広まっており、今年はピーク時の混雑も例年よりやや緩和する傾向という。
 それでもJR京都駅での東海道新幹線の乗車率は上りが午後3、4時台で180%となるなど、午後から軒並み150%を超える混雑になった。在来線も午後1時22分着の雷鳥26号(新潟発大阪行き)の200%を最高に定員を超える列車が続いた。
 関西国際空港と京都駅を結ぶ「はるか」も午後2時から7時まで満席。関空経由で同駅に到着した滋賀県秦荘町の主婦は「夫の単身赴任先の鹿児島で新年を迎えました。空港見物をしようと思って2時間余裕をとっていましたが、人がいっぱいであきらめました」とぐったりした様子。一方、家族3人でフィリピンを旅行した京都市山科区の男性は「便利で快適な旅ができました」と土産物を抱え日焼けした笑類を見せていた。
 また、名神高速道路は午後6時前に、天王山トンネルを先頭に下りが草津市付近まで約40`の渋滞となった。国道9号も同日正午ごろ、京都府八木町のJR八木駅を先頭に上りの京都方面行きが8`渋滞し、夜間になってもブレーキランプが赤い帯状で連なった。(京都新聞)
■不況、帰省せち辛く Uターンピーク みやげもスリムに
 「さあ、また仕事だ」−帰省客のリターンラッシュがピークとなった3日、開港後初の正月となった関西空港は海外からの帰国組で混雑したが、ターミナル駅の人出は、ふだんよりやや多い程度。ふるさとからの土産を両手いっはいに抱えた人の姿も心なしか少なく感じられ、分散型の休みの定着ぶりとともに、不況の影響もうかがわせた。
 関西空港の国内線は、大阪空港と分散されたこともあり、到着ロビーに目立った混雑はなかったが、北海道や九州から来る午後の便はほとんどが満席状態。関西空港駅を出発するJRの「はるか」と南海の「ラピート」も、昼過ぎの便から満席が続いた。旅客ビル2、3階の飲食店街にも、空港見物を兼ねた家族連れらの長い列ができた。
 松山市内の帰省先からもどった大阪府吹田市の主婦(50)は「いつもは船で帰っていますが、今年は開空ができたので、飛行機を利用してみました。でも『はるか』の料金も合わせると、びっくりするほど高くつきますね」。年末から札幌市内の妻の実家に家族4人で帰省したという和歌山県田辺市の会社員(50)は「正月に帰ったのは久しぶり。景気もようやくもどってきたようですが、交通費や土産代などで、かなり出費の多い正月でした」と話していた。
 午後から混雑が本格化したJR大阪駅。家族4人で金沢に帰省していた大阪府豊中市の会社員(42)は「行きも帰りも予約なしで座ることができた。不況で出控えた人が多かったのでは」とやや拍子抜けした様子。
 広島から新大阪駅に戻った東大阪市の会社員(37)は「冬のボーナスが思ったより少なかったこともあり、今年は帰省するのをやめようかとも考えた。会社の同僚や近所へ配るおみやげをいつもより減らした。ちょっぴりせち辛い正月でした」と話していた。
 同じく広島に帰省していた、卒業を控えた兵庫県西宮市の女子大生(22)は「地元で進学した女性の友達の中には、私と同様に就職がまだ決まっていない子が結構いて、励まし合ってきました」と、正月気分に浸り切れない悩みを漏らしていた。(朝日新聞)
■京阪宇治駅 新駅舎の建設着々 プラットホームなど姿見せる 完成は7月前後
 宇治橋の架け替えなどに伴い移転する京阪宇治駅の新駅建設工事が進み、プラットホームの鉄柱、屋根などが姿を見せ始めた。新駅は現駅より北約100bに建設、ホームは両側に電車が入る島式となる。現在の駅跡などは駅前広場に整備されるが、新駅はこれに先立ち7月前後の完成を目指している。
 京阪宇治駅の移転は、京阪電車が府、宇治市とともに4年度から取り組んでいる。現在の駅をJR奈良線の北側に移し、駅前をロータリーなどを備えた交通広場にする計画。
 進められている新駅設置は総事業費約8億7000万円。プラットホームの新設と、改札や駅務などを行う駅舎ビルを建設する。プラットホームの長さは現在と同じ100b、両側に電車が停車できる島式で平均幅は約10b。駅舎ビルは鉄筋コンクリート2階(一部3階)建て、延べ約1600平方b。
 駅前広場からは、JR奈良線の下を地下通路でくぐり、駅舎ビルで切符を買い、エスカレーター、エレベーター、階段でプラットホームに上がる設計になっている。
 工事は6年末までにプラットホームの床面、鉄柱に支えられた屋根、電車の引き込みレールなどが姿を見せ、駅舎ビルの地下と1階部分のコンクリート打ちが行われ、全体の4割近くまで進んでいる。
 これらが出来上がった後、電気、信号関係などソフト面のチェックや電車の試運転などが必要で、新駅として完成・使用できるのは、7月前後になる見込みという。京阪電車は「障害者らにも配慮して設計しており、市民や観光客に親しまれる新駅にしたい」と話している。(京都新聞)
■新幹線も児童改札に 「上越線」など来年度末にも JR3社合意
 これまで自動改札機を通れなかった「裏が白色」の特急・急行などの長距離乗車券がすべて磁気化されることになった。これに伴いJR東日本、東海、西日本の3社は、開業以来、有人改札だけだった新幹線に自動改札機を導入することを4日までに決定した。現在、乗車券磁気化のため、販売プリンターなどの改良を進めており、7年度末には東北、上越新幹線などの改札口に自動改札機がお目見えする。
 JRによると、新幹線をはじめとして特急・急行には乗車券のほかに特急・急行券や指定券が必要だが、従来の自動改札機は一度に2枚を読み取ることができなかった。今回、JR東日本が開発した自動改札機は1人が差し入れた券2枚を処理できる。乗車券や特急券のサイズを横5.7a、縦8.5aに統一することで実用化が可能となったという。
 自動改札機は、2年度からJR各駅に本格導入されたが、長距離乗車券はJR各社間を結ぶマルス(座席自動予約システム)と呼ばれるコンピューターで発券されており、各社の自動化に対する方針が一致しないと磁気化も難しかった。6年に入り、JR各社の在来線への自動改札機導入率が7割近くに達し、合意に至ったという。
 JR東日本によると、同社管内で発行される長距離切符は全体の約2%。これらが磁気化されれば、特別企画乗車券などを除き、自動改札機での対応が可能になる。現在併設されている有人改札については、「これからは身障者や、団体客、一部企画乗車券専用になる。それ以外の乗車券の方には自動改札機の利用を徴底したい」としている。
 同社は7年度末までに、東京、上野駅などの東北、上越新幹線停車駅に自動改札機を導入。JR東海も、10年までに、東海道新幹線全駅に設置する方針だ。(京都新聞 夕刊)
■関空無人走行電車ストップ 150人、20分間缶詰め
 4日午前7時10分ごろ、関西国際空港(大阪府)のターミナルビルと南ウイングの発着ゲートを結ぶ無人走行電車「ウイングシャトル」の本館駅で、先端駅から到着した電車が停車位置より約50a手前で停止した。
 運転指令所が手動に切り替えようとしたが、送電が止まり車両が動かなかった。このため約150人の乗客が約20分間車内に閉じ込められた。その後、係員が乗客を非常口から誘導。シャトルは約40分後に復旧した。(京都新聞 夕刊)
■ひかり故障 運転を中止 JR京都駅で
 4日午前7時54分ごろ、京都市下京区のJR京都駅で、岡山発東京行きの上り「ひかり102号」が、発車の際、5号車のブレーキが解除できなくなったため、そのまま運転を中止した。乗客約900人は後続の新幹線に乗り換えた。
 この故障で、後続の上り新幹線6本が最高で5分遅れ、8000人以上の足に影響がでた。JR東海で原因を調べている。(朝日新聞 夕刊)
5日■関空シャトル 約30分間停止 帰国客らに影響
 4日午前7時9分ごろ、大阪・泉州沖の関西空港で、旅客ターミナルビル南ウイングの本館と発着口を結ぶ無人自動旅客輸送車「ウイングシャトル」(3両編成)が、本館駅の手前で突然止まり、乗客150人が約20分間、車内に閉じ込められた。中央監視室から遠隔操作をしたがドアが開かなくなり、乗客は、係員の誘導で非常口から降車した。乗客はシンガポールなどからの到着客。けが人はなかった。
 シャトルは約30分後に運転を再開した。(朝日新聞)
■カラーコーンや自転車が線路に ラピ−トはねる
 4日午後8時10分ごろ、大阪府高石市加茂一丁目の南侮電鉄羽衣6号踏切(警報機遮断機付き)付近で、難波発関西空港行き特急ラピート(6両)が、線路上に倒れていた工事用カラーコーン(円すい形、高さ約70a)1本をはぬ飛ばした。約5分後、同踏切付近で関西空港発難波行き急行(6両)もカラーコーン1本をはねた。同23分ごろには関西空港発難波行き特急ラピート(6両)が同踏切付近の線路上に横倒しになっていた自転車1台と接触した。列車は3本とも現場に約2分間停車した。乗客らにけがはなかった。近くの羽衣駅から110番通報を受け、高石署は悪質ないたずらとみて、列車往来危険の擬いで調べている。(朝日新聞 夕刊)
6日■窓 お答えします 「電車のドアの開閉」について
 12月22日付当欄「重いドア開閉女性には困難」というご指摘についてお答えします。(JR西日本京都支社総務企画課長・坂本英浩)
 お客様には電車のドアを開けていただくことについて、大変ご不便をおかけしております。湖西線の近江舞子駅から永原駅までの間は、特に寒さが厳しいため、車掌扱いでドアを一斉に開けておきますと、車内の暖まった空気が車外に出ていき、代わりに車外の冷たい空気が吹き込んで車内が非常に冷えてしまいます。また近江舞子駅で折り返す電車についても、折り返す間、ドアを開けておきますと、同様に車内が冷えてしまい、車内のお客様に非常に寒い思いをしていただくことになります。
 同様のドアの取り扱いは、他の線区においても実施しておりますが、車内保温のためのやむを得ない措置ですので、ご理解とご協力をお願いいたします。(京都新聞)
■年末年始の族客 5年連続で減少 関西私鉄5社の合計
 近鉄、南海、阪急、阪神、京阪の関西私鉄5社は5日、年末年始(12月31日−1月3日)4日間の旅客輸送実績を発表した。
 5社合計の旅客数は5年連続で減少しており、今回は前年より39万1000人少ない1815万2000人(3.5%減)。期間中の輸送収入も前年より2.8%減少した。
 天候不順などで人出が振るわなかった中で、関西国際空港に乗り入れている南海が0.9%増、参拝客を増やした西宮えびす神社(兵庫県西宮市)を沿線に持つ阪神が1.2%増とそれぞれ利用客を増やした。
 また5社の系列遊園地計7ヵ所の年末年始入場者数も、前年比32.3%減の計約4万9000人と落ち込みが目立った。(京都新聞)
■別れるJRの戦略 東はサービス 東海は中央新幹線 西は高速化
 汽笛一声戸新橋を、と1872(明治5年)に蒸気機関車が走り始めて100年余がすぎた。時代はもうすぐ21世紀。SLが新幹線に代わり、国鉄がJRに衣替えしたいま、鉄道はどんな針路を選ぼうとしているのだろうか。西に長い線区を持つJR西日本が「飛行機とのスピード競争はまだこれから」と、「のぞみ」の270`を超える時速300`での営業運転を目指す新・新幹綽の開発を急ぐ一方で、JR東日本は「10分の時間短縮より、10円安く」を合言葉に、コストダウンに力を入れる。東海道新幹線1本で稼ぐJR東海は、東京−大阪を1時間で結ぶリニアモーターカーに希望を託す。JR各社が描く戦略は−。
・ロボット化でコスト滅
 「10分の時間短縮よりは10円安く」と技術開発の力点を、速度アップより、膨大な金額が掛かっている保守費用の削減へ向けるのが、JR東日本。
 同社の山之内秀一郎副会長は「東日本地域では、既に飛行機との時間競争は、JRが勝った。これ以上高速化するよりは、メンテナンスの省力化でコストを浮かし、運賃をできるだけ上げない方向が、わが社の長期ビジョン。それが利用者への最大のサービスと考えている」と説明する。
 石川県小松市にある建設機械メーカー「コマツ」の試験線では、レールとまくら木を留めるボルトを自動的に取り付ける大型ロボット「ファスニングセッター」が実用化に向けてテストを続けている。総重量10dの小型電車のようなロボットが、レールを走りながらセンサーでまくら木の穴を見つけては、ガチャガチャ、ガッチャンとボルトを瞬く間に取り付けていく。
 東京の山手線では5年に1回すべてのレールが交換される。こうしたボルト蹄めは深夜の3K作業の代表格でコストも高い。安全を守るために欠かせない作業だが、それを自動化、省力化するロボットだ。
 開発に当たったコマツ・建設ロボット部の中尾豊さんは「現在は200b間のボルトの取り付けに約10人で1時聞かかっている。ロボットを使えば4人で1時間に250b進めます」と話す。
 JR東日本ではこのほかにも、定期点検時に電車の各部を清掃するお掃除ロボットや、架線の張り換えを自動化する電車ロボットなど、3Kと呼ばれる作業から人間を解放する技術が次々に実用化されている。
・リニアカーにかける
 JR東海は、磁気浮上式列車(リニアモーターカーを使った中央新幹線計画に社運をかける。
 日本の大動脈である東海道新幹線。ラッシュ時には1時間に約10本が東京駅を出発し、ダイヤはほぼ限界状態。このままでは、いくら需要が高まっても増発はできない。
 JR東海の副島広海専務は「JR東海が持つ主要線区は東海道新幹線1本と言ってもいい。経営の拡大を図るにはバイパス路線としての中央新幹線が欲しい。ぜひリニア方式で実現したい」と夢を語る。
 時速500`、中央自動車道に沿って東京−大阪を1時間で結ぼうというリニアは、既存の鉄道の枠を超えた新交通手段。山梨県に実験線が建設中で、技術開発の進み具合を見ながら、本格導入のゴーサインを出せるかどうかが1999年に決まる予定だ。
 レールも車輪も使わない、まったく新しい列車だけに十分な安全性の検証が必要という声もあるが、JR東海は「個々の部品はできた。あとは組み上げてテストするだけ」(同専務)と自信満々。果たしてリニアは浮上することができるのか、タイムリミットは迫っている。
・振動・騒音 300キロの戦い
 深夜の山陽新幹線。山口県内の小郡−新下関駅間で、JR西日本が次世代新幹線として開発中のWIN350が、時速300`で走る試験を繰り返す。
 車内に「アクティブサスペンションを起動します」という放送。コンピューター制御で振動を打ち消す仕組みだ。
 スイッチが入ると、それまでメモ帳に字を書くこともやっとだった振動が、波が引くように収まる。乗り心地は「のぞみ」よりはるかに上という印象だ。
 「どうです。なかなかいいでしょう」と笑うのはJR西日本の日高秀登技術開発推進部長。「揺れのパターンを瞬時に分析して、油圧で縦横のクッションの強さを調節します。スピードアップは振動、騒音との戦いですよ」
 高速走行時の騒音、振動は速度が2倍になると、64倍にも増大するといわれる。新型モーターなどの開発でスピードは上げられるようになったが、騒音と振動を克服しなければ高速営業運転は望めない。
 WIN350ではほかにも、梟が羽を広げた形の翼型パンタグラフや、ジェット機の機首のような形の先頭車両など、これまであまり重視してこなかった空気抵抗の軽減に取り組み、低騒音・低振動化を目指している。
 日高部長はJR西日本が高速化へ進む動機を「航空機との時間競争です」と語る。
 山陽新幹線の下りを利用する乗客は、大阪からではなく東京からが中心。「東京から博多までの長い線区を持っているのと同じ。スピードアップで、羽田から関西以西への航空機の乗客を新幹線に乗り換えさせたい」という構想だ。
・技術の成果 相互交流を 井口雅一東大工学部教授
 国鉄を分割した目的の一つは、地域に密着した運営を期待したからだ。JR東日本はメンテナンス技術開発による運用コストの削減を、東海は革新技術のリニアモーターカーによる東京・大阪の一体化を、西日本はWIN350による次世代新幹線列車を、とそれぞれ地域のニーズを踏まえた技術開発課題に取り組んでいる。国鉄分割の意義からみて喜ばしいことだ。
 しかし、JR東海と西日本にとっても運用コス卜の削減は必要だ。JR東日本も高速化を望まないわけではない。そこで技術開発成果を相互に交流させてほしい。
 いまや日本の新幹線技術がすべての点で世界をリードしているわけではない。うかうかしていると、日本周辺のアジア諸国を、欧州で開発された新幹線が走り回ることになる。
 競争ばかりでなく、相互の協調を図り、鉄道技術開発の資金と人材とを効率よく活用してほしい。(京都新聞 夕刊)
7日■聴覚障害者ら対象 JRが無料FAX
 JR西日本は6日、耳や言葉の不自由な人を対象に、主要87駅で無料のファクスサービスを始めると発表した。
 サービスは10日からで、実施する駅は金沢、京都、大阪、関西空港、三ノ宮、岡山、広島、松江など。時間は午前9時半から午後5時まで。希望者は「身障者手帳」を駅員に提示すれは、送・受信とも無料で利用できる。(朝日新聞)
■空や鉄道足乱れる 今冬一番の雪
 強い寒気団に覆われた西日本の各地は6日、日本海側を中心に一時激しい雪が降り、同日午後3時までに鳥取県大山町で59aを記録したほか、福井県大野市で39a、金沢市で22aと今冬一番の積雪となった。このため、空や陸の交通機関に遅れや欠航などの乱れが出た。
 JR木次線は島根、広島県境で30a−50aの積雪を記録、出雲横田−備後落合間で一時運休した。福井県勝山市内では32aの積雪となり、京福電鉄の発坂駅で電車が動けなくなった。(朝日新聞)
■「サンターバード」 新雷鳥の正式名称に
 「サンダーバード1号が発車します」。1960年代にテレビで人気のあった英国人形劇をしのばせるこんなアナウンスが、3月からJR北陸線の主要駅で響くことになった。JR西日本は6日、3月に走り始める同線の特急「スーパー雷鳥」の新型車両の愛称「サンダーバード」を、列車の正式名に格上げすると発表した。
 正式名は「スーパー雷鳥サンダーバード」。3月17日から大阪−金沢間を今の「スーパー雷鳥」よりも8分短縮して、2時間29分で結び、1日8往復走る予定。
 この名付け親は井手正敬社長。いったんは「愛称」で了承したが、正式名ではないため、時刻表には「サンダーバード型車両使用」と記されるだけで、しかも駅の放送でも愛称を連呼できないことから、井手社長は思い直した。
 正式名への格上げを機に、当時の人形にテレビ宣伝などで一役買ってもらうなど、鉄道本部はあやかり商戦を展開することにしている。(朝日新聞 夕刊)
8日■中旬に運賃値上げ申請 大手私鉄14社5月ごろ実施へ
 関東、中部、関西の大手私鉄14社は、今月中旬に運賃値上げを申請することを決めた。帝都高速度交通営団(営団地下鉄)も同時に値上げを申請する方向で検討している。私鉄の値上げ申請幅は15−22%で、平均18%程度。運輸省は値上げ幅を圧縮したうえで認可する方針で、値上げ実施は5月ごろになる見通しだ。昨年の政府の公共料金値上げ凍結以来、大手の公益事業者では初の値上げ申請となる。
 値上げを申請する大手私鉄は、関東は東武鉄道、西武鉄道、京成電鉄、京王帝都電鉄、小田急電鉄、東京急行電鉄、京浜急行電鉄、相模鉄道の8社。中部は名古屋鉄道。関西は近磯日本鉄道、南海電気鉄道、京阪電気鉄道、阪急電鉄、阪神電気鉄道の5社。5月に値上げが実施されると、名鉄は1990年3月の14.4%から約5年ぶり、営団地下鉄が90年11月の11.8%から約4年半ぶり、関東と関西の13社が91年11月の平均22.8%から約3年半ぶりとなる。
 値上げ申請の理由として、いずれも景気低迷などによる利用客数の伸び悩みや定期券から回数券への移行を挙げている。とくに関東の私鉄各社は、混雑緩和に向けた大規模な輸送力増強工事のため鉄道部門の業績が悪化しており、収支改善を理由にしている。営団地下鉄も収支の悪化を理由にしている。(朝日新聞)
■私鉄値上げ 凍結解除で申請集中 混雑緩和工事など理由
 関東、中部、関西の大手私鉄14社と帝都高速度交通営団(営団地下鉄)が7日、運賃値上げ申請の方針を決めた。もともと各社は昨年秋ごろに値上げを申請したいと考えていたが、政府の公共料金凍結方針を受けて、凍結が解除される年明けまで申請を見送っていた。この結果、値上げ申請が出たまま凍結中の東京都営地下鉄やバス、タクシーと合わせ、今年前半に公共交通機関の運賃値上げが集中することになりそうで、値上げ幅圧縮の政府方針がどれだけ貫かれるかが今後の焦点となる。
 値上げの理由は、景気低迷などの影響で、定期券が減って回数券が増えたり、長距離客の利用が減ったりして、運賃収入が伸び悩んでいるためだ。その一方で、営業費用の半分近くを占める人件費は毎年のベースアップで着実に増えているという。関東の主要私鉄や営団地下鉄は、混雑緩和に向けた新線建設や複々線化工事を大規模に進めており、減価償却費や金利などの負担が膨らんでいる。
 日本民営鉄道協会のまとめでは、1993年度の鉄道部門の収支率(税金や配当金を含む支出に対する収入の割合)は、値上げを予定している14社のうち11社が支出超過(赤字)だった。大手15社(西日本鉄道を含む)の平均は99.2%で、2年ぶりの赤字となった。94年度に入っても収支悪化は続いている。
 これまで大手私鉄は鉄道部門が赤字になるたび、3−5年ごとに値上げを繰り返してきた。前回の値上げは、営団地下鉄と名古屋鉄道が90年、関東と関西の私鉄13社が91年で、過去のサイクルからみると94年が値上げの時期に当たっていたが、公共料金凍結で先送りされた。
 さらに値上げの背景には、輸送力を増強する工事の資金を運賃値上げで先取りする「特定都市鉄道整備積立金」という制度が94年8月から拡充され、運賃に上乗せできる範囲が広がったこともある。これを受けて東武鉄道や東京急行電鉄などは、今回の運賃値上げに、収支改善のための分に加えて、工事資金充当分も上乗せする方針だ。
 私鉄各社は「鉄道事業の営業費用のうち7割は人件費など固定的な経費であり、混雑緩和のための工事は今後も進めなけれはならないので、経費削減の余地は限られている」と主張する。
 しかし、物価上昇率は低いままで、一般の商品では低価格品が広まっているのに、鉄道運賃が定期的に上がっていくことに対しては、批判が強まりそうだ。
 政府は公共料金値上げ凍結の解除に当たって、実施時期を遅らせたり値上げ幅を圧縮したりするほか、値上げの根拠を情報公開するなどの基本方針を決めている。
 運輸省は値上げ幅をできるだけ圧縮して認可する万針だが、政府の基本方針がどれだけ生かされるかが問われることになりそうだ。(朝日新聞)
10日■京都市交通局 低公害バス導入 天然ガス燃料16日から走行
 京都市交通局は、天然ガスを燃料とした低公害バス1台を初めて導入する。また、車いす用の昇降リフト付きバス3台を増やし、16日から走らせる。
 低公害バスは、都市ガスに使われる天然ガス(メタンガス)が燃料。排ガス中の窒素酸化物(NOX) がディーゼルエンジンのバスに比べ60−70%低い。硫黄硬化物(SOX) や黒煙もない。価格は1台2600万円で、国と市一般会計から4分の1ずつ補助を受ける。
 また、車いす用の昇降リフト(ステップエレベーター)バスは、前方乗降口の階段が地上まで降りて、車いすを車内へ持ち上げる。増車する3台は車両の前後に車いすのマークと愛称の「ふれあい号」のプレートを付け、78号系統(京都駅−西大路九条−久世工業団地前)で運行する。リフト付きバスは計9台となる。
 このほか、一昨年の平安建都記念事業宣伝のため車体にマスコットなどを描いたバス20台を通常の市バスと同様の色に塗り替える。費用は最初のマスコットを描いた分を含め計3000万円で、建都記念協会と交通局、市交通広告協同組合が負担する。(京都新聞)
■転換迫られる日本 私の提言 JR西日本社長 井出正敬さん
 国内の政治、経済、社会が、出口の見えない閉塞(そく)状況に直面している。この状況を切り開く新たな方向として、「地方分権」とともに、地域経済社会の活性化が大きなテーマになってきた。国鉄の分割民営化から8年を経過、「地域の発展なくして、鉄道事業の進展なし」をテーマに経営戦略を進める井手正敬西日本旅客鉄道(JR西日本)社長に地域活性化への視点を聞いた。
 最優先の課題に
■鉄道事業の経営者として、地域活性化に果たす役割をどう考えるか。
 「もともと国鉄を分割民営化した背景には、競争原理の導入とともに、鉄道事業を地域密着型に改め、それぞれの地域の活性化を促そうとの発想があった。それまで国鉄の施策はすべて東京中心で、関西には首都圏の余剰輸送力を回すという考えしかなかった。JR西日本になって8年を経たが、駅員マナーの改善や主要都市間のスピードアップなど、多くの体質転換ができたと思っている。JR東日本やJR東海に比べ、経営基盤が弱いのに、企業として肩を並べるところまできたのは、地域活性化を経営の最優先課題にしてきたからだ。」
■現在目標とする経営方針は。
 「関連開発事業に力を入れ、2001年までに鉄道事業との割合を、今の9対1から7対3にしたい。現在、京都駅ビルと岡山駅ビル、天王寺ターミナルビルの建設を3大プロジェクトと位置づけ、地域の支持を鉄則に取り組んでいる。京都駅ビルを例にとれば、もしも営利目的だけ追求するなら、デパートやホテルの入りやすい設計にしただろう。コンペ形式で多様なアイデアを検討したのは、世界の歴史文化都市にどんな表玄関がふさわしいか熟慮するためだった」
■関西や京都の発展について、どんな青写真を描いているか。
 「東京一極集中が良くないことは分かっている。これを是正するのに、最も大きな可能性を秘めているのが関西だ。ただ、関西が発展するためには、東京とは異なる青写真を描かなければならない。まず、都市ごとの『顔』を確立する。そして、都市間の『連携』を強化するという相反する二つの要素が必要になる。京阪神がそれぞれ個性を保ちながら、密接な協力関係を築かなくてはならないのだが、これまではそれが不十分だった。原因の一つとして、関西の都市圏輸送が私鉄中心だったため、地域の開発計画も京阪間や阪神間といったような狭い範囲に限定したものが多かったことが挙げられる。今後は関西全体を有機的に発展させるために、JR西日本が主導権を握らなければならないと考えている」
より対象を広く
■今後、関西国際空港へのアクセス機能をどう見通すか。
 「関西国際空港は、アジアのハブ(中核)空港として世男から注目されている。半面将来は名古屋や金沢など近隣空港と関空を結ぶ国内線が取れなくなる可能性が指摘されている。海外を見ても、パリのド・ゴール空港には高速のTGV(フランス新幹線)が乗り入れ、近隣国の各主要都市へは鉄道が旅客輸送の主役を担っている。関空のアクセスも、単に京阪神に客を送るという概念から発展して、例えば京都駅から『はるか』を北陸まで延ばすなど、より広範な地域を対象にする必要がおる。それが引いては関西へのヒト、モノの流れを促進し、活性化への基盤づくりにもつながると考えている」
・都市再開発
 京都での大規模な都市再開発・京都駅ビル建て替えは、古都の景観論争を経てて96年秋の完成をめざして建設が進む。高さ59.8b、地上16階地下3 階建て、延べ床面積は約23万8000平方b。吹き抜けの大コンコースや都市型コンベンションホテル、百貨店と専門店の複合商業施設、文化施設なども設け、21世紀における京都の表玄関にふさわしい都市ゾーンに造り替える。
 91年の国際設計コンペで高さが現行規制(30b)を超えるため、京都市が特定街区制度を導入。京都の景観変貌(ぼう)を心配する市民らが反対運動を展開した。
 もともと、大阪、神戸にと比べて商業エネルギーが低いといわれる京都。駅機能と百貨店やホテルなどの複合機能を連動し、都市間競争の切り札とするのが狙いだ。
 いで・まさたか 1959年東京大学卒、旧国鉄入社。再建実施推進本部事務局長として分割民営化に手腕を振るう。87年、分割民営化とともに西日本旅客鉄道副社長。92年から現職。関経連副会 長。福井県出身。59歳。(京都新聞)
■JR株売却の方法見直しへ 懇談会を設置
 今年度中に予定していたJR西日本の株式の売却・上場が延期されたのを受けて、国鉄清算事業団は9日、JR株の売却方法の見直しについて意見を聴くための懇談会を設置すると発表した。メンバーは証券会社役員、銀行や保険会社などの機関投資家、株式アナリストら24人で、同事業団の正式な諮問機関である資産処分審議会の株式等処分部会の委員も全員入っている。今年4月ごろまでに意見や提案をまとめる。(朝日新聞)
■リフト付きバス南区の路線でも 新たに3台京都市導入
 京都市交通局は16日から、車いすに乗ったままでも乗り降りができるリフト付きバスを新たに3台増やし、京都駅前−久世工業団地前(南区)路線で走らせる。1日に13往復。これでリフト付き路線バスは計9台となり、交通局は「これからも台数を増やす」と話している。
 この路線沿いには市洛南障害者授産所や市洛南身体障害者福祉会館などがあり、車いす利用者が多いことから導入が決まった。
 交通局は91年12月からリフト付きバスの運行を始めた。現在、阪急桂駅と洛西ニュータウン間の「西5号」、同ニュータウンと四条烏丸間の「29号」、京阪三条と立命館大学を結ぶ「12号」「15号」の4路線で6台が走っている。
 購入費は1台2800万円。普通のバスよりも1000万円も高いという。(朝日新聞)
11日■日本最初の電車 京を走って100年 京滋の鉄道ファンが記念イベント 講演や冊子発行へ
 日本最初の電車が京都を走って今年で100年。京都と滋賀県の鉄道ファンでつくる鉄道友の会・京都支部(高山礼蔵支部長)は、今月29日に記念講演会を開くほか、電車の歴史などをつづった小冊子を作り、「電車発祥の地」を広くPRする。同会は「電車を通して、京都の地域史を一般市民とともにふり返りたい」と話している。
 日本最初の電車は1895年(明治28年)2月、京都電気鉄道会社が七条停車場(現JR京都駅前)から竹田街道を経て伏見町油掛までの6.7`で開業した。時速は10`程度で、15分おきに走り、乗客は電車を呼び止めて乗車することもあったという。
 同じ年の4月には、同停車場から枳殻邸前、木屋町通を通って岡崎までの木屋町線も開設。1918年(大正7年)に市が同鉄道を買収した後は、次々に新路線が開通、78年(昭和53年)まで市民の足として親しまれた。
 鉄道友の会・京都支部では、節目の年にちなみ、電車の発祥地を広く伝えよう−と、多彩なイベントを計画した。29日には中京区の京都アスニーで記念講演会を開催。吉川文夫・同会東京支部長が「チンチン電車からのぞみまで」をテーマに話す。
 また、同会では記念冊子を作製。京都支部のメンバー250人が、動力機材や車両改廃の変遷など電車の発達の歴史をはじめ、市電への思い、旅行記などを寄せ合う。
 同会京都支部・森俊朗事務局長は「日本初の汽車の開通(新橋−横浜間)はよく知られているが、電車については知らない人も多いのでは。これを機に、京都の電車の魅力を伝えたい」と話している。(京都新聞)
12日■私鉄5社が新回数券 値上げの”見返り”きっぷ10枚分で昼間専用−12枚 土日専用−14枚 5月ごろ発売
 近鉄、南海、京阪、阪急、阪神の関西大手私鉄5社は、新しい割引回数券を発売する方針を固めた。使える時間や曜日に制限があるものの、割引率は現行回数券の約2−3倍になる。5社は週明けにも運賃値上げを運輸省に申請するが、新回数券についても同時申請し、5月ごろ実施を見込んでいる運賃値上げに合わせて発売したい考えだ。新回数券は、いわは値上げの「見返り」。運賃値上げへの反発を少しでも和らげようという苦肉の策でもある。
 5社が計画しているのは「昼間割引回数券」と「土日割引回数券」の2種類。各社は現在、普通乗車券10枚分の値段で11回乗車できる割引率約9%の回数券を発売しているが、新しい2つの回数券はこの割引率が高くなる。
 「昼間割引回数券」は、利用時間帯を平日の午前10時から午後4時までとする代わりに、普通乗車券10枚分の値段で12回乗車できるものとする。例えは150円区間なら、1500円が発売価格となり、乗車券は12枚つづり。割引率は約17%となる。
 また「土日割引回数券」は土曜、日曜しか利用できないが、普通乗車券10枚分の値段で14回乗車できるもので、割引率は約29%にもなる。有効期間はいずれも3ヵ月間とする見通し。
 「昼間割引回数券」と同様の回数券は、JR西日本が1983年6月から京阪神地区を対象に「昼間(午前10時から午後5時)特割きっぷ」として発売している。割引率は区間によって異なるが、17−51%と高く、競合区間では私鉄の現行回数券よりも安い場合が大半。5社は運賃値上げで、さらに料金格差が広がることによって客離れが進むことを懸念した。
 5社は来週にも15−22%の運賃値上げを関東大手8社などと一斉に運輸省に申請する計画。(朝日新聞 夕刊)
■大阪モノレール 6.4`延伸を申請
 大阪府などが出資する第三セクター「大阪高速鉄道」は12日、大阪大学病院前(茨木市美穂ケ丘)−東センター(同市佐保)間のモノレール路線6.4`の延伸事業について、運輸・建設両省に特許申請した。茨木、箕面両市にまたがって開発中の「国際文化公園都市」への足となる。2004年春の開業を目指す。総事業費は約740億円。(朝日新聞 夕刊)
■電車にはねられ死亡 女子高生が自殺? JR加古川駅
 12日午前7時45分ごろ、兵庫県加古川市加古川町篠原町のJR山陽線加古川駅で、若い女性が網干発大阪行きの新快速(12両編成)にはねられ、即死した。この事故で、上りの14本が2分から29分遅れ、約7600人が影響を受けた。
 加古川署の調べで、女性は、持っていた学生証から高砂市内の私立高校2年生(16)とわかった。ホーム中央付近から線路上に飛び降り、しゃがみこんだという。新快速は非常ブレーキをかけたが、間に合わなかった。同署は自殺とみて、動機などを調べている。(朝日新聞 夕刊)
13日■新幹線の品川新駅建設了承 国鉄溝算事業団
 国鉄清算事業団の資産処分審議会は12日、JR東海が東海道新幹線の新たな玄関として建設を予定している東京・品川の新駅建設計画を認め、建設予定地を含む事業団予定の土地利用計画変更を了承した。
 これにより新駅建設計画は、既に建設を認める方針を打ち出している東京都の承認を得た上で、JR東海と建設予定地に土地を所有する事業団、JR東日本などとの用地買収交渉に焦点が移る。
 新駅建設は東海道新幹線の輸送力増強が狙い。現在のJR品川駅東側の4.8fの敷地に、上り下り各2線合計4線と、3線の車両基地を新設する計画。(京都新聞)
■駅弁コンクール出品作品を募る 愛東町
 滋賀県愛東町は、今秋オープンする「あいとうマーガレツトステーション」で売り出す駅弁コンクールの出品作品を募集する。
 募集するのは豊かな田園地帯が広がる愛東らしさをPRできる駅弁。だれでも応募できる。入賞作品には金賞(1点)5万円、銀賞(2点)2万円、銅貨(6点)1万円を贈る。
 応募は17日までに町役場内の町農業指導センター 0749(46)0211へ。(京都新聞)
■万博公園−国際文化公園都市東センター 大阪モノレールますます便利に6.4`延伸 事業特許申請
 大阪高速鉄道は、茨木市の万博記念公園駅から国際文化公園都市(平成25年完成予定、計画人口5万人)東センターまでの約6.4`のモノレール軌道事業について12日、運輸・建設省に事業特許を申請した。同鉄道と大阪府が共同で進めている国際文化公園都市線(仮称)建設計画に基づく手続き。特許取得後に工事認可申請などを行い8年度に着工、平成16年度の開業を目指している。
 大阪高速鉄道のモノレールは現在、南茨木駅から東の柴原駅まで約10.2`間で営業。万博記念公園駅から北側の国際文化公園都市に向けて、全長9.1`の新路線が敷設される。昨年には、一期事業として万博記念公園駅から大阪大学病院前まで2.6`で工事が始まった。
 大阪大学病院前から東センター前までは二期事業で、総事業費は740億円。路線は複線で、終点の東センターを含め区間内には計4つの駅が設置される。(京都新聞)
■山陽新幹線 開業20周年を記念して ロゴマークできた
 JR西日本は、山陽新幹線・岡山−博多間開業から、今年で20周年になるのを記念して、ロゴマークを作製した。大型シールにして新幹線車両に張りつける一方、乗務員が制服の胸章として着用する。
 ロゴマークは青地に、黄色で「20」の数字を描き、20本の白い線で新幹線車両の外形を表現している。コンセプトは「いつも楽しい旅」。同社は「今後も、安全性と高速性を追求しながら、サービスに努める−という思いをこめたデザインです」と宣伝している。
 ロゴマークと共に、同社は20周年記念のイベント列車運行(3月11日)や、絵画コンクールなどを予定している。(京都新聞)
14日■運賃割引手続きを簡素化
 政府は17日の閣議で、昨年11月成立の許認可整理法に盛り込まれた規制緩和策のうち、鉄道やバスなどの運賃や料金を設定、変更する手続きの簡素化について、4月1日から施行することを決める。
 路線バスや旅客船、フェリーの運賃は、5割までの割引なら運輸省の認可が不要になり、届け出ですむ。(朝日新聞)
■府北部、滋賀に大雪 新幹線など乱れ
 大雪となった14日、京都府北部では、福知山、綾部、舞鶴各市の市街地で17−20a、宮津市上世屋で87aなど、今冬一番の積雪。幹線道路では朝から除雪車が出動し、足の確保に追われた。
 この雪で午前7時15分ころ、兵庫県養父郡八鹿町、JR山陰線八鹿駅構内のポイントが1時間余り、切り替え不能となり、福知山行き普通電車が最高3時間半遅れたほか、山陰線や福知山線などのダイヤの乱れが続いている。
 北近畿タンゴ鉄道も宮津線で、同様のトラブルで京都行き特急タンゴエクスプローラー2号が1時間半遅れて網野を出発したほか、野田川−丹後大宮間で倒木のため運転不能になった。同宮福線も30分前後、軒並み遅れた。
 JR京都駅でも、雪の影響で東海道新幹線の下り列車に10−15分、博多発などの上り列車に10分程度の遅れが出た。また在来線は雪に加えて、東海道線野洲駅付近での列車故障で同線の新快速などが約1時間に渡ってストップ。乗客からの問い合わせが相次いだ。(京都新聞 夕刊)
■JR信越線 雪巻き込み脱線 列車5本立ち往生 400人が車内で一夜
 大雪のため13日夜から14日朝にかけて、JR信越線で上野発妙高高原行き「あさま35号」など5本の列車が立ち往生、スキー客ら約400人が列車内などで夜を明かした。乗客らはバスに乗り換えたりして目的地に向かった。
 信越線は14日午前11時20分すぎ、復旧した。
 JR東日本によると、13日午後7時45分ごろ、長野、新潟両県境のJR信越線妙高高原−黒姫間で妙高高原発長野行きの普通列車が雪を車輪に巻き込み、脱線。このため、あさま35号など上下線計5本の列車が最寄りの駅などで運転を見合わせ、約400人の乗客がバスなどに乗り換えた。
 脱線復旧後、新たに上り線レールにひびが見つかったが、レールを交換、午前11時20分すぎ、運転を再開した。
 航空関係では羽田発富山行き全日空883便など2便が欠航した。(京都新聞 夕刊)
■目を覚ませばそこは銀世界
 関西から雪の信州へ向かうJR西日本の「シュプール号」が今冬も昨年末からスタート。4月2日までに延べ約1130本を運転、約33万人のスキー客を運ぶという。京都駅からも週末を中心に深夜、スキー客がどっと乗り込み、「冬の風物詩」となっている。が、かつての長蛇の列は見られず、シュプール号の大半は寝台車か全席指定席。スキーも宅急便で先送りというらくらくツアーで、ことしは白馬方面が人気とか。
 一方、安価で大学生に人気の夜行バスは、バブルがはじけたとたんに激減。年末年始には1社で7、8台の信州行きが出ていたが「マイカー相乗り組が増えたんとちがいますか。毎週末1、2便程でさっばり」(ヤサカ観光バス)とこちらはケチケチムードに様変わりのようだ。(京都新聞 夕刊)
15日■二条駅周辺整備 映像情報施設を建設 松竹に参加要請 京都市3セク設立へ 新たな文化拠点に
 京都市は14日までに、JR二条駅西側の貨物ヤード跡地に映画会社「松竹」(東京都中央区、奥山融社長)の参加を求めて、最先端技術を導入した映像情報文化施設を建設する方針を固めた。二条駅周辺整備の中核施設とする計画で、新年度に第三セクター方式の企画運営会社を設立する準備を進めている。松竹は現在、鎌倉市に建設中の「鎌倉シネマワールド」に対応する西の拠点として、前向きに検討を始めた。
 映像情報施設が計画されているのは、中京区西ノ京栂尾町のJR二条駅西側の貨物ヤード跡地にある四角形部分の市有地(約7500平方b)。市は山陰線の高架化に伴って、新たな西の都心形成を目標に周辺地域を含めた区画整理事業を進めている。四角形部分は文化、観光ゾーンと位置づけ、利用計画の策定を急いでいた。
 同施設は、市が建設するビル内に設置、松竹の映像ノウハウを活用した屋内型の体験アミューズメント施設となる。マルチメディア技術を利用、VR(人工現実感)など最先端技術を導入する。また、日本映画発祥の地でもある京都の映画の歩みなどを紹介する映像文化博物館的なフロアも考えられている。
 市は新年度中に松竹にも出資を求めて第三セクター方式による企画運営会社を設立、具体的なプランの検討に入る。完成は1997年秋の予定の地下鉄東西線の開業から遅くない時期を目標とする。松竹は鎌倉・大船撮影所で、最先端システムを導入したテーマパーク「鎌倉シネマワールド」を建設中で、今年10月に開業する。京都市は映画を通じた縁と、シネマワールドのノウハウの活用を期待して、同社に参加を要請した。
 二条駅周辺整備事業は約13f。山陰線の東西地域の一体的な都市基盤整備を進めている。土地区画整理は総事業費約 260億円で95年度までの予定。(京都新聞)
■窓 見たさわやか親切 園部町・馬場忠孝(会社員・53)
 正月早々、JRの車中でさわやかな光景に出合ったのでご紹介したい。
 4日昼過ぎ、私は岡山の自宅から単身赴任地の京都へ戻る途中であった。岡山駅で切符を買う際に、急に思い立って新幹線を利用せずに普通列車の乗り継ぎで帰ることにした。
 車内は岡山駅では、ほぼ満員であったが、二つ三つと駅を過ぎるにつれガラガラになっていった。そこへ同年輩の一人の品のよいご婦人が乗ってきて私の席とちょうど反対側の窓側に席をとった。彼女は空いているのにもかかわらず、当たり前のように手荷物を網だなに置き、ハンドバッグをひざの上に置いて座った。
 車掌が回ってきたとき、彼女は新快速に乗り換えるための駅名と、手持ちの切符で高槻で途中下車できるかどうかを尋ねた。車掌は必要最小限のことだけ答えて足早に立ち去った。
 すると車掌とのやりとりが耳に入ったのであろう、近くの席の女性がやってきて、平日の新快速はその時間帯には高槻には停車しないこと、姫路での乗り換えは3分しかなく、ホームも変わることを教え、よかったらご案内しますと告げたのであった。その後、乗り換えた車中で、まるで友人同士のように笑みを浮かべて話し合っている姿が見受けられた。
 まさに鈍行の旅の楽しさを味わわせてもらった。(京都新聞)
■名神(一部)などストップ 京滋北部大雪 JR各線でも遅れ
 大雪警報が2日連続で発令された滋賀地方は14日、今冬一番の積雪となった。湖北・湖西を中心に断続的に雪が降り続き、高速道路の一部が通行止めになったほかJRに遅れが出た。 京都府でも舞鶴、宮津の市街地などですっぽり白銀におおわれた。
 彦根地方気象台による午後11時現在の各地の積雪は伊香郡余呉町柳ケ瀬85a、高島郡今津町63a、彦根市43a、坂田郡伊吹町春照24aなど。
 この雪で、名神高速道路の栗東−大垣インタチェンジ間と北陸自動車道の米原−長浜間の上下線が通行止め。また、一般道も国道1号線の甲賀郡石部町以北や161号の大津市横木以北などでチェーン規制された。 また、JR湖西線は安曇川駅と近江今津駅構内で午後7時過ぎ、大雪のため相次いでポイントが転換不良となった。間もなく復旧したが、北陸線の雪による遅れが重なり、上下あわせて約30本に最高1時間近い遅れが出るなど、約3000人の足が乱れた。(京都新聞)
■タンゴ鉄道もダイヤが混乱
 京都府北部地方の積雪(14日午後4時現在)は、福知山市内で20a、同雲原90a、宮津市上世屋85a、与謝郡加悦町の与謝峠で100aにも達し、各地とも今冬最高の積雪となっている。
 積雪による家屋被害などは14日午後8時現在でていないが、JR山陰線、北近畿タンゴ鉄道の宮津、宮福線では終日、ダイヤが大幅に乱れ、特急や普通列車合わせて10本が部分運休した。JR西日本福知山支社では14日夕方から、今シーズン初めて山陰線豊岡−福知山間にラッセル車を走らせ除雪作業を続けている。(京都新聞)
■山陰線特急と車衝突 雪で立ち往生 けが人なし
 14日午後7時47分ごろ、京都府船井郡和知町安栖里のJR山陰線安栖里駅西約200bの踏切で、京都市西京区北福西町、タクシー運転手木村達弥さん(54)の乗用車が圧雪でスリップして立ち往生。約2分後に来た倉吉発京都行き特急あさしお10号と衝突し、乗用車は20b飛ばされて大破した。木村さんは車外に出ていたため無事。列車の乗客約80人にもけがはなかった。
 特急は同駅で運転を打ち切り、乗客は後続の急行などに乗り換えた。JR西日本は下り線を使って運転を続けた、特急など6本に約2時間の遅れが出た。
 現場付近は当時約30aの積雪があった。(京都新聞)
■列車衝突で死者150人超す バングラ北西部
 【ニューデリー14日英同】バングラデシュからの報道によると、北西部ディナジプール地区のヒリ駅で13日夜、列車の衝突事故が起き、地元警察によると、少なくとも150人が死亡、500人が負傷した。
 事故が起きたのは首都ダッカの北西約270`にある高原の駅。
 北西部のパルビティプルから南部クルナへ向かう途中の40両編成の急行列車が停車中の普通列車に猛スピードで衝突、普通列車の機関車と乗客で満員だった客車3両が脱線。さらに急行列車の先頭部分が普通列車にめり込んだ。(京都新聞)
■私立中学受験の帰途 電車にはねられ死亡 奈良・JR和歌山線
 14日午後2時半ごろ、奈良県北葛城郡王寺町葛下一丁目のJR和歌山線王寺−畠田間で、同県御所市櫛羅(くじら)、医師堀江浩章さん(42)の長男で同市立大正小学校6年真浩君(16)が、和歌山発王寺行き普通電車(2両編成)にはねられ即死した。
 西和署などの調べでは、電車の運転士が線路上を電車と同じ方向に走っている真浩君を見つけ、ブレーキをかけたが、間に合わなかったという。真浩君は、この日入学試験のあった私立西大和学園中学校(同県北葛城郡河合町薬井)で受験しての帰りだった。現場は同中学校と最寄り駅の王寺駅の間。(朝日新聞)
16日■東京新事情 山梨リニア実験線 時速500` 開業にらみ
 東京・大阪間をわずか1時間で結ぶリニアモーターカー(超伝導磁気浮上式鉄道)の実験線の建設が山梨県で進んでいる。21世紀初頭の開業をにらんでの総延長42.8`の本格的な線路。97年春からは先行区間18.4`を使って本格走行実験が行われる予定で、実験に使う車両も今夏までに搬入される。建設を進めるJR東海は「99年度には実用化のめどをつけたい」と意気込みを見せている。
 リニアモーターカーは磁気の力を利用して浮力と推進力をつける。磁気コイルが設置された断面が凹型のコンクリート線路の中央を底面から約10a浮いて平均時速500`で走る。実験は国鉄時代の72年から行われ、現在では実用化に障害となる技術的な問題はほとんどないとされている。宮崎県の実験線(7`)では517`を出した。
 山梨実験線では大月市と都留市にまたがる先行区間の5つのトンネルはすでに貫通。車両基地など関連施設、相模川や中央自動車道をまたぐ橋の建設も着実に進んでいる。
 実験車両は現在、愛知県・三菱重工小牧南工場で造られているが、航空機のような形通り、航空機の製作技術がいたるところに使われている。リニアの心臓部ともいえる超伝導磁石の開発・実験は東京都国立市の鉄道総合技術研究所(JR総研)で行われている。
 しかし、実用化するとなると膨大な費用がかかる。「コストダウンも研究中」(JR東海)だが、東京・大阪間の新線建設となると用地買収だけでも途方もない額になる。JR東海ではリニアを中央新幹線の有力車両と位置づけているものの、その中央新幹線自体がまだ基本計画段階。リニアにしても「実用化は未知数」(運輸省)だ。(京都新聞)
■ブルトレの巻き返し 電車化 新車化 2階建てオール個室 最高130`揺れ少なく 設計作業入り JR西日本が不振の「瀬戸」
 「ブルートレイン」の愛称で親しまれる寝台特急が「変身」の時を迎えた。JR西日本は、東京−高松間を走る「瀬戸」の車両を2階建てでオール個室の新型電車に切り替える方針を固め、設計作業に入った。最高速度も在来線では最も速い130`とする計画で、来年末の営業運転を目指している。世界でも例のない2階建て寝台電車の開発で、JR西日本は新たな夜行列車の旅を演出し、客離れが深刻なブルトレの立て直しを狙う。
 計画によると、新型電車は1編成を9−15両とし、3両に2両の割合で2階建ての車両を連結したのが大きな特徴。東海道・山陽新幹線などで営業運転中の2階建て新幹線のような構造で、1階、2階合計で28の1人用個室をつくる。通常の平屋車両には、乗客が自由にくつろげるサロンや飲食ができるカフェテリアのほか、2−4人用個室などを配置する。
 オール個室化することで、テレビやビデオ、音楽サービスなどを計画しているほか、各室に電話を設置して、ホテル並みのモーニングコールも検討している。
 今のブルトレは青色の客車を機関車がけん引しているが、電車化によって最高時速は20`程度速くなり、東京−高松間ならば1時間以上の短縮が図れるという。また、停車や発車の度にガタンという客車特有の揺れもなくなり、寝心地は良くなる見込みだという。
 東京と四国、山陰、九州を結ぶブルトレは、1970年代初めには「走るホテル」として人気を呼んだ。しかし、山陽新幹線が博多まで開業した75年を境に、10時間以上の所要時間や、各寝台がカーテン1枚で仕切られている仕様が女性客らに「プライバシーがない」などと敬遠されて、利用客は下降の一途をたどっている。
 昨年12月のダイヤ改定では統廃合が図られ、「あさかぜ」が減便、「みずほ」が姿を消した。それでもその後1ヵ月間の平均乗車率は50%に満たず、不振が続いている。このため、JR東日本はJR西日本や九州などに「ブルトレ廃止」を提案している。
 だが、JR西日本は寝台特急の需要は根強いと判断、車両を一新して巻き返しを狙うことにした。現在、車両を保有する「瀬戸」「出雲」「あさかぜ」のうち、平均乗車率が30%台と最も不振を極める「瀬戸」を第一候補とした。
 今後もJR各社間ではブルトレ統廃合が協議される予定だが、JR西日本は2階建て寝台電車への切り替えによる「存続」を訴えていく方針だ。(朝日新聞)
17日■リフト付きバス新路線 京都市交通局 計5系統、9台に
 車いすのまま乗降できる京都市営バスの「リフト付きバス」の新路線開通セレモニーが16日、京都市下京区のJR京都駅前で行われ、市交通局職員や市民グループのメンバーら約40人が新車両の誕生を祝った。これで、市内を走るリフト付きバスは計5系統、9台になった。
 新たに導入されたのは、京都駅前−久世工業団地前(南区)間を運行する78号系統の3台。1車両につき2台の車いす乗車が可能で、毎日13−16往復する。
 この日は、体に障害のある人たちが利用できる交通機関の普及のため運動を続けているパーフェクト・バスを走らせる会と、日本自立生活センターの2団体を代表して、車いすの岩本永子さん(60)がバス運転手に花束を贈呈。続いて、同会員ら2人が試乗した。(京都新聞)
■リフト付きバス『新たに3台』障害者ら運行祝う やっと計9台遅い普及 京都市交通局
 車いすに乗ったまま乗り降りできるリフト付きバスの導入を求めてきた「日本自立生活センター」(南区、長橋栄一代表)は16日、京都市交通局がこの日から新たに3台追加したリフト付きバスの運行を祝うセレモニーを、JR京都駅前で行った。全国で普及が進むリフト付きバスだが、市内では車や自転車の違法駐車と財政難に阻まれ、市バス全体の1%未満。車いすで自由にバスを使えるには、まだ時間がかかりそうだ。
 新たに運行されたのは、JR京都駅と久世工業団地(南区)を結ぶ78号系統。3台で1日13往復させる。
 セレモニーは午前9時半から始まり、メンバーが運転手に花束を贈呈。車いすの2人が自力でバスに乗り込んだ。同センター事務局長の矢吹文敏さん(50)は「普及のペースはまだ遅いが、自分で時間を選択し自由に外出する幅が広がるのはうれしい」と話した。
 市交通局は、91年度と93年度に計4路線で6台のリフト付きバスを導入。93年度の利用者は年間1000人を突破した。今回の増車で9台になったが、それでも全バス928台の1%に満たない。価格も1台2800万円と普通のバスより1000万円高く、市街地の狭い道路では乗降が危険なこともあって導入しにくいという。交通局では「今後も増やす努力を続けたい」と話している。(朝日新聞)
■脱線列車内、動けず
 JRの西ノ宮−芦屋間では、神戸行きの「シュプール白馬・栂池号」が大きく脱線した。スキー帰りの姫路市の会社員玉田智さん(24)は車両と車両の間の洗面所にいた。「大きな横揺れれで動けなかった。30秒ほどして電車が止まった。線路わきから『子供が埋まっている』と女性の声が聞こえ、仲間が助けにいった。私は車掌の指示で、約1`東の西台市消防局まで走りました」と興奮していた。
 阪神電車は高架式線路が断続的に落ち、至るところでまくら木や敷石が道路などに散乱した。大石駅と新在家駅の間では下り電車が大きく斜めに傾いて脱線、線路は数百メートルにわたって波打ってねじれていた。3両目に乗っていた神戸市灘区の会社員(57)は「床にたたきつけられた。脱線事故かと思ったが外には火の手も見えた」と話した。約40人の乗客のうち、十数人は大けがをしていたようだったという。
 伊丹市の阪急伊丹駅では、駅舎が一部傾き、停車中だった列車が大きく傾いたという。乗客から叫び声があがり、駅員がマイクで注意するよう連呼した。プラットホームにいた同市内の会社員(58)は「急にグラグラと地上が揺れたので、周囲がざわめいた。乗客にけががあったかどうかはわからない」と話している。(朝日新聞 夕刊)
18日■手つけられぬ落下橋の復旧 山陽新幹線
 JR西日本は17日、地震の影響で不通になっている東海道線の尼崎−西明石間と、山陽新幹線の新大阪−姫路間の2ヵ所の復旧について、場合によっては2−3ヵ月の期間がかかるとの見通しを明らかにした。2ヵ所とも、線路を支える橋りょうが落下するなどの被害があったためだが、大動脈だけに、社会経済上にも深刻な影響が出そうだ。
 山陽新幹線の尼崎−西明石間では、神戸市西区の伊川橋りょうなど計9ヵ所で、橋りょうや高架橋が落下。ほかに高架橋の横ずれや路盤陥没などが各所で発生し、ほとんど手がつけられない状態になっている。
 とくに被害の大きかった伊川橋りょうは、昭和45年にしゅん工。設計では、震度6、200ガル(ガルは地震による揺れの加速度の単位)まで耐えられる構造になっていた。JR西日本では「今回の地震では局所的に、震度7、600ガル程度の力が加わったはずで、計算外の事態が起きた、と言える」と説明している。(京都新聞)
■阪急京都線が復旧 草津線や関空線も再開
 関西の鉄道網は地震発生から各所で寸断され、17日夕刻まで、マヒ状態が続いた。
 JRは、東海道新幹線が京都−新大阪間の高架橋10ヵ所が損傷し運転再開には時間がかかりそう。山陽新幹線は新大阪−姫路間で全くメドが立たず、岡山−博多間のみ運転を再開。姫路以西の復旧にはなお1両日かかる見込みだ。
 JR在来線は、17日夜までに東海道線の米原−京都間、山陰線の京都−園部間、草津線、学研都市線、関西空港線、北陸線などが運転を再開。湖西線、山陰線、奈良線の全線は、18日朝までに全面復旧する見通し。東海道線の高槻−姫路間、宝塚線の尼崎−新三田間は18日以降の運転ができない状態。
 私鉄は京阪、近鉄、南海の全線が17日中にほぼ平常ダイヤに戻った。阪急は京都線が午後4時すぎに全線開通したものの、伊丹駅が倒壊した伊丹線をはじめ被害が続出。18日は神戸線の梅田−西宮北口のみ始発から仮復旧する見込み。
 阪神は、地震発生当時に走行中の5本の電車がすべて脱線、終日全線がスットプした。18日は、梅田−甲子園間で始発から運転を再開する予定。(京都新聞)
■『市電の時計塔』よみがえるノートルダム女子大キャンパスに2基
 京都市民に長い間親しまれた「市電の時計塔」2基が、左京区のノートルダム女子大キャンパスにこのほど再建され、年配の教職員や保護者らを懐かしがらせている。
 再建された時計塔は、昭和3年に「昭和天皇御大典」記念として、当時の市電軌道があった主要地点に建てられたもののうち、左京区の百万遍交差点と東山区の祇園石段下交差点にあった3基。昭和53年に市電廃止とともに撤去されたが、工事を担当した市内の業者が払い下げを受けて保管していた。
 この話を聞いた同大学が「由緒ある時計塔を復活させたい」と購入し、キャンパス整備の一環として昨年完成させた「ユニソン会館」前の庭園に設置した。1基は時計のかわりに照明灯を取り付け、銀色の塗装も一新、市電を知らない若い学生にも「しゃれたモニュメント」と好評を得ている。(京都新聞)
■死者1590人 不明1017人 兵庫県南部地震 救出難航、延焼も各地で 交通網復旧は長期化
 兵庫県・淡路島付近を震源に、17日早朝、大きな被害をもたらした「平成7年(1995年)兵庫県南部地震」の犠牲者は、時間がたつとともに増え続けた。警察庁などの調べによると、午後11時45分現在、死者は兵庫、大阪、徳島の3府県で計1590人、建物の倒壊による生き埋めなど行方不明者は兵庫県で1017人にのぼった。西宮市内では、土砂崩れで28人が生き埋めになった。神戸市内の木造住宅の密集地の火事は、夜になっても燃え広がっている。尼崎市内で高架が崩壊した山陽新幹線と、神戸市内などで崩れた高速道路は、いずれも当分復旧しない見通しだ。道路もいたるところで寸断され、建物の下敷きになった市民の救出活動は困難を極めている。経済活動にも大きな打撃となるのは確実だ。
 近畿管区警察局などのまとめによると、兵庫県内の死者は1584人。生き埋めなど行方不明者は1017人。大阪府内の死者は5人。徳島県内でも1人が死亡した。
 特に神戸市東部の東灘区や灘区、芦屋市などの被害がひどく、それぞれ200人以上の死者が出た。建物の倒壊による生き埋め、火災も相次いで発生した。
 西宮市内の仁川では土砂崩れが発生、川岸の12軒が全壊し、28人が生き埋めになった。芦屋市打出町五丁目ではマンションが倒壊した。
 神戸市内ではこれまでに139件の火災が発生。古い木造住宅が密集している長田区では各地で出火し、夜になっても炎上を続けている。
 伊丹市内の阪急電鉄伊丹駅では駅舎が半壊、3階のホームや停車中の電車が2階部分に落ち、1階にある伊丹警察署駅前交番で警察官1人が死亡した。神戸市兵庫区の兵庫警察署でも1階が崩れ、署員1人が死亡した。
 兵庫県警の調べによると、阪神高速神戸線や湾岸線では県内9ヵ所で橋げたが崩壊するなどし、橋げたから車ごと転落したり、下敷きになったドライバーら計14人が死亡した。
 神戸市によると、阪神間で午後9時50分現在、約50万世帯が停電しているという。午後11時半現在、市内の小学校など330ヵ所の避難所に約9万2000人が避難している。同市では毛布と弁当とおにぎりを配り、自衛隊についてもさらに応援を要請している。
 大阪府警の調べでは、府内の火災は27件発生し、ガス爆発事故3件、ガス漏れ 303ヵ所、水道管破裂13件、信号故障426件があった。被害は兵庫県と隣接した豊中市など北摂地区や大阪市を中心に広範囲にわたっている。
 兵庫県南部地震で壊滅的な被害を受けた近畿では、兵庫県内を中心に交通網など都市機能の復旧がかなり長期化しそうだ。JR西日本、阪急、阪神の3社の対策本部によると、JR山陽新幹線と東海道線、山陽線、阪急神戸線、阪神本線の全面復旧には、2、3ヵ月かかる見通しだという。
 橋げたの落下などが相次いだ高速道路では、阪神高速が18日も全面通行止めの見込み。近畿、西名阪の両自動車道も全線で復旧の見通しが立っていない。
 電話は交換器の故障などで、不通になった神戸市内を中心に、各地から衛星無線車や移動電源車を出して応急措置を取っているが、50%の通話規制が続いている。兵庫県、大阪府の計約91万6000世帯が停電したはか、ガス漏れ、断水などの被害も相次いでいる。これらの復旧にも、かなりの時間がかかりそうだ。(朝日新聞)
■鉄道 設計基準見直し急務
 鉄道網は17日午後7時現在、JR西日本の京阪神地区の約半数と、阪急の神戸線や阪神全線は依然として運転不能となっている。京阪、南海、近鉄はほぼ全線、阪急も京都線は運転を再開した。
 山陽新幹線の新大阪−新神戸間の被害が最もひどく、兵庫県西宮市で5ヵ所、尼崎市で2ヵ所、伊丹市1ヵ所の計8ヵ所で、橋げたが落ちたり、橋脚が折れたりした。新神戸−西明石間でも神戸市西区で橋げたが落ちた。
 JR西日本によると、山陽新幹線の高架は全線の約4分の1で、橋脚などの耐震設計は震度6程度。エネルギーの大きさを表す単位「ガル」で、200ガルが基準という。今回の地震では、新神戸駅の地震計が561ガルを記録、在来の山陽線鷹取駅では616ガルを記録したという。同社鉄道本部は「落下した橋げたには想像をはるかに超えるエネルギーがかかった」としている。
 同社は鉄道総合技術研究所に橋脚の亀裂などの詳細や分析を依頼。18日の調査結果を受けて、復旧計画を決めるという。ただ、在来の東海道・山陽線と同時に復旧作業は難しいとしており、在来線の復旧作業を優先すれば、山陽新幹線の全線開通は5月以降までずれこむ可能性が強いという。
 また、阪急も神戸線や宝塚線は一部区間で運転は再開するものの普通列車のみ運行の仮復旧が続く見込み。最も被害の大きかった神戸線の全面復旧は1−2ヵ月後としている。
 国鉄の技術者時代に設計基準の策定にかかわった松浦章夫・金沢工大数授(構造工学・鉄道工学)は「新幹線の構造物が破壊されたところでは、予想を超える強い地盤の変形があったと思う。設計基準の見直しが必要かもしれない」と話している。(朝日新聞)
■復旧へ補正予算も どう扱う鉄道や高速道
 17日未明に起きた兵庫県南部地震の被害の復旧のため、莫大(はくだい)な災害復旧費が必要なことから、大蔵省は建設省や国土庁などと協議を始めた。被害が甚大なことから、復旧には1994年度予算の予備費(残高約1000億円)では足らないのは明らか。建設省は「当面は倒壊した道路や橋げたなどを撤去する事業を優先的に行いたい」としている。被害状況が年度内にまとまれば、第二次補正予算を組む可能性が出てきた。
 公共事業でつくる一般国道や橋が災害で被害を受けた場合、通常は3分の2の補助率で国費をつぎ込んで復旧工事をするほか、河川や学校、国立病院などもそれぞれ災害で被害を受けた場合の国庫負担率が決められている。さらに、被害が国民経済に著しい影響を及ぼす大災害の場合、政令で「激甚災害に対処するための特別の財政援助に関する法律」(激甚災害法、1962年施行)による「激甚災害」に指定されれば、国庫負担率が上がる。
 しかし、国が直接建設する施設でない鉄道や公団が運営する高速道路は激甚災害法にも規定がない。JR西日本や阪神、阪急などの鉄道の自然災害による被害は「鉄道軌道整備法」の災害規定が適用される。その場合、国・地方自治体が4分の1ずつ復旧費を負担できるが、「赤字会社の赤字路線」が原則。今回はこの要件に当たらないが、運輸省では「被害額が甚大な場合は特例的に黒字会社にも適用できる」(鉄道局施設課)としている。
 また、阪神高速道路が大きな被害を受けたことについて国土庁防災局は「これはどの被害は過去に例がない」として、復旧工事にあたる阪神高速道路公団への補助の方法を検討している。(朝日新聞)
■ダイヤ大混乱
 この地震で府内の交通機関にも大きな影響が出た。
 JR西日本京都支社と福知山支社によると、地震の発生直後から山陰線などの運行を取りやめ、線路の安全点検をした。福知山線などで少しずつ運転を再開したが、特急、急行は運転を全面休止、普通列車の運転取りやめも相次ぎ、列車ダイヤは終日乱れた。
 私鉄では京阪と近鉄が午前8時すぎまでに運転を再開したが、阪急は午後2時まで運休した。京都市地下鉄烏丸線は午前6時すぎから平常運転を始めた。
 北部では北近畿タンゴ鉄道(KTR)も午前10時20分に運行を再開したが、19本が一部、全区間で運休。両線の28本が終日4時間半から20分の遅れになった。
 また、府内の名神高速道路、京磁バイパス、舞鶴自動車道の各線は午前5時55分から通行止めになった。舞鶴自動車道では、日本道路公団福知山管理事務所が路面を点検したところ、三田西−丹南篠山口間を中心に、幅1、2a、長さ数aの路面のひび割れが十数ヵ所で見つかった。舞鶴西−春日間は午後6時50分から開通した。京滋バイパスは上り線のみ午後1時25分から開通した。
 府教委と京都市教委によると、地震による影響で園部町小桜町の府立園部高校など4校が休校に、伏見区深草鈴塚町、市立伏見工など26校が始業時を遅らせるなどした。小中学校はほぼ平常通り授業を行った。また、同志社高校や平安中・高校など府内の私立学校のほとんどが、休校や授業カットなどの措置をとった。
 また、両教委とも各学校などに対し、学校施設の安全点検などを指示した。(朝日新聞)
■新幹線橋崩壊 液状化現象か 尼崎市消防局調査
 山陽新幹線の橋脚が壊れた兵庫県尼崎市の現場で、液状化とみられる現象が起きていたことが、尼崎市消防局の調査で分かった。
 同消防局によると、液状化現象が起きたと見られる同市常松一丁目の現象は、橋脚の上半分が押しつぶされ線路が約20bにわたって宙に浮いた地点から約300b西。2本の橋脚の根元からヘドロ状になった砂の様なものが噴き出て、約10平方bにわたって水たまりのように広がっていた。
 堂本嘉巳・尼崎市消防局長は「液状化現象による可能性が強い。武庫川と猪名川に挟まれた地形や地層を再度検証し、補強して復旧する必要があると思う」と話している。(朝日新聞)
■京都市地下鉄竹田駅で停止 後続電車遅れる
 18日午前10時ごろ、京都市伏見区竹田の市地下鉄烏丸線竹田駅構内で、新田辺駅発北山行きの電車(6両編成)が突然動かなくなった。乗客は同駅で別の車両に移り、約20分後に発車した。この間、同線は上下線ともストップ、後続の電車が10分前後遅れ、約3000人の乗客に影響が出た。
 市交通局では、電気的トラブルが原因ではないかとみて調べている。(京都新聞 夕刊)
■運転再開「待ちかねた」 ”足”求め駅に殺到 兵庫県南部地震から一昼夜 被災地路線は閑散と
 京都−大阪間で18日朝、JR東海道線、阪急京都線の通勤電車がようやく動き始めたが、運転本数が少なく、ぎゅうぎゅうづめ。各駅で乗り切れない乗客がホームにあふれ、改札制限もあった。
 大阪への通勤客が多い大阪府高槻市のJR高槻駅では午前7時半ごろから、改札口前に通勤客が並び始めた。1時間ほどで、南北にそれぞれ4、500bの長い列ができ、JRはロープで誘導路をつくり、改札制限した。
 「あわてないで並んで下さい」「ゆっくり進んで下さい」と、駅員がハンドマイクを使って呼び掛け、電車が来るたびに数百人ずつがホームヘ。駅には17日夜から、電車の運行状況を問い合わせる電話がひっきりなしに掛かり、長谷川征男駅長らが泊まり込んで対応した。
 ふだんより早めに家を出たという同市牧田町の男性(53)は「きのうは電車がないので休んで、家でテレビにくぎ付けになっていた。この分だと、何時に会社に着けるかわかりませんね」。
 京都市山科区のJR山科駅では、午前7時ごろから列車に乗り切れない数百人がホームいっぱいになり、午前8時から8時半にかけて改札制限をした。京都駅から10人近い職員の応援を得て対応したが、「ストの時以来です」と駅員。
 山科駅は京阪京津線と接続している京阪山科駅のホームも午前7時から9時すぎまで人でいっぱい。JR東海道線草津駅では、午前7時過ぎ、通勤、通学者らがホームに殺到した。このため7時50分から8時40分まで改札制限した。ピークの午前8時半には改札口で約300人の乗客が入場を制限された。
 阪神は梅田−甲子園間で運転を再開したが、被災地に近くて出勤する人が少ないためか、混雑はなかったという。
 阪急は18日中に宝塚線の雲雀丘花屋敷−宝塚間を仮復旧させたい、としている。
・岡山空港に臨時便
 兵庫県南部地震で山陽新幹線がまひ状態になっているため、日本エアコミユーター(JAC)は18日から3日間、岡山−大阪間にYS11(64人乗り)とSAAB(36人乗り)を1日に計3往復させる臨時便を運航することを決めた。大阪空港は午後1時20分、午後2時20分、午後4時15分発。岡山空港発は午後2時25分、午後3時25分、午後5時15分。全日空(ANA)は18日も岡山−羽田間に臨時便1往復を運航し、定期便4往復もB767-300(288人乗り)など大型機に代えて対応している。(朝日新聞 夕刊)
■新幹線 全通早くても3月末 造り直す場所多く
 兵庫県南部地震で、東海道・山陽新幹線は開業以来、空前の被害を受けた。新大阪−西明石間では、9ヵ所で橋脚が折れたり、橋げたが落ちたりした。JR西日本は18日、鉄道総合技術研究所(JR総研)と共同で、倒壊状況やかろうじて残った同区間の高架橋の亀裂などを調査して、復旧計画を同日中に策定する方針だ。しかし、前日までの調べでは、基礎から造り直さなけれはならない場所が多過ぎて、全通するのは早くても3月末、手間取れば5月以降にずれ込むという。
 JR西日本によると、山陽新幹線は全線の約4分の1が高架橋。関東大震災の時に壊れなかった建物の研究から、自重の20%にあたる横方向の力が加わった場合、ひびやコンクリートがはげ落ちるといった破損は出ても、折れたり完全に破壊されたりしない強度で計算されている。震度6程度の耐震設計といい、これをエネルギーの大きさ(重量加速度)を示す単位「ガル」で表すと、200ガルが、通常の姿勢を保つ限界値という。
 ところが、神戸市西区の伊川B 橋りょうのように、橋脚が強度の大きい途中部分でおしつぶされる形で折れた。同社が地震計を調べたところ、新神戸駅で561ガル、在来の山陽線鷹取駅で616ガルを記録していた。同社の梅原利之鉄道本部長は「関東大震災を超える直下型地震特有のすさまじい縦揺れで、橋脚が瞬間的に破壊された」と見ている。
 同社によると、山陽新幹線のうち、岡山−博多間の高架橋は地盤の状態によって強度を変える設計が行われており、軟弱地盤の場合、20%強度を上げて、耐震性を強化している。だが、新大阪−岡山間の高架橋はこうした対策はなく、一律に同じ基準でつくられている。今回の地震でも、震源に近い区間のすべての高架橋が壊れたわけではなく、被害場所が点在していることから、地盤の影響もあったとする見方も社内にはある。
 東海道新幹線の京都一新大阪間では、10ヵ所で橋脚の鉄筋がむき出しになるなどの被害が出たものの、橋げたが落下したケースは1ヵ所もなかった。JR東海によると、この区間は早ければ1−2週間程度で復旧する見通しだ。(朝日新聞 夕刊)
19日■鉄道の基準も 今週中にも委員会発足
 兵庫県南部地震で東海道・山陽新幹線の高架橋の落下やひび割れが相次いだことを重視した運輸省は18日、新幹線だけでなく、私鉄、JRを含めた鉄道施設の耐震基準の見直しをする耐震構造委員会を今週中にも発足させることを決めた。現地の被災状況を視察した亀井運輸相が同日夜、同省で記者会見して明らかにした。
 震度6度の地震には耐えられるように建設された新幹線に、大きな被害が出たことについて、運輸相は「(今回の地震は)予想を超えた大きなものだった」と述べた。(京都新聞)
■復旧まで3月以上 山陽新幹線 姫路−新大阪 予想を上回る被害
 地震の影響で運転不能になっている関西の鉄道区間のうち、JR山陽新幹線姫路−新大阪間と、東海道・山陽線尼崎−西明石間の復旧について、JR西日本は18日、復旧までには3ヵ月以上かかる可能性がある、との見方を示した。
 山陽新幹線で被害がとくにひどいのは新大阪から西明石の間。9ヵ所で橋脚が落下しているため、徹夜の作業が続いている。18日朝は、JR総研の職員らが詳しく点検したが、被害は予想以上に大きいことがわかった。
 東海道・山陽線の尼崎−西明石間も芦屋、須磨周辺で被害が甚だしく、梅原利之鉄道本部長は「2区間とも、3ヵ月で復旧するのは、とてつもなく厳しい」としている。また、JR東海は不通になっている京都−新大阪間について同日、今村元関西支社長が「21日中にも運転を再開できそうだ」と語った。
 一方、大阪市営地下鉄御堂筋線の新大阪−江坂間は18日午後11時すぎ運行を始め、大阪市交通局の路線はすべて復旧した。神戸市営地下鉄も同3時から西神中央−板宿駅間で運行を再開。阪神電車西大阪線(野田阪神−大物間)も同5時半から電車が発車。被害の比較的少ない地域の交通は徐々に回復し始めた。(京都新聞)
■空の便満席 臨時便を運航
 兵庫県南部地震でJR新幹線が新大阪−姫路間で止まったため、関西、大阪の両空港は18日、九州や中、四国、東京へ向かう人で混雑した。
 日本航空、全日空、日本エアシステムの国内航空2社は同日、関西から東京、九州、四国方面に臨時便を計37便運航し、多くを大型機に切り替えた。
 ほとんどの便が満席で関西空港では、全日空の福岡、東京行きに100人近い人がキャンセル待ちに並び、カウンターの担当者が対応に追われていた。また伊丹空港では日本エアシステムが、通常フライトのない岡山行きの臨時便を2便組んだが、集まった乗客が乗り切れず、急きょ1便増発した。各社とも今後も臨時便などで対応する予定。(京都新聞)
■兵庫県南部地震 予想越えた急激な揺れ 耐震学者現地視察 同行記
 駅ビル・「帯鉄筋」少なく 新幹線・不等沈下が遠因 木造民家・重すぎた屋根
 「予想をはるかに超える被害だ」。崩れ落ちた新幹線高架やビルの惨状に、地震災害を見慣れたはずの防災専門家も息を飲んだ。大阪市で開催中の第4回目米都市防災会議の参加者が18日、地震から一夜明けた被災地を現地調査した。三浦房紀・山口大教授(耐震工学)と宮野道雄・大阪市立大助教授(住居安全工学)に同行、特徴的な被害が出た阪神間3ヵ所で直下型都市震災の実際を見た。(科学部・士竪俊一郎)
 駅ビル崩壊 阪急伊丹駅の駅ビルは3階建てが2階建てになっていた。1階の吹き抜け部分が押しつぶされ、電車を乗せたままプラットホームが落ちている。鉄筋コンクリートの柱はボキリと根元で折れ、ぐにゃりと曲がった鉄筋がむきだしだ。
 三浦教授は「柱が完全に座屈して押しつぶされていますね。大きな横揺れによる典型的なせん断破壊です。折れた柱を見ると、柱を支える縦の鉄筋を束ねるフープ(帯鉄筋)が少ないようだ」と指摘した。1968年ごろの建築で、81年に強化された耐震基準の適用前の建物だった。
 宮野助教授も「補強の壁がなく、柱だけのピロティー形式の吹き抜けによく見られる壊れ方だ。鉄筋を覆うコンクリートをかぶりと呼ぶが、横揺れで柱に亀裂が入ってかぶりがはがれ落ち、鉄筋だけでは支えきれなくなり折れる。75年の大分中部地震でのホテル倒壊がその例だ」。
 電車の撤去作業が行われていたが復旧には最低2、3ヵ月かかるとみられる。
 新幹線高架落下 2人が一番驚いたのが、伊丹市内2ヵ所で起きた山陽新幹線の高架落下。「昨年のロス地震のような高架落下は日本では起こらない、と防災関係者は言いましたが、これではそんな偉そうな口はきけませんね」。
 約40bのコンクリート製橋げたがブロックごと落ちた。橋げたを支える4対の橋脚は根元や真ん中で粉々に砕け折れ、線路が宙づりになっている。
 三浦教授は「これもせん断破壊ですが、地盤を見て下さい。落ちた所だけ少し低くなっています。元は水田らしいので、恐らく地質が一様でない不整形地盤。不等沈下していたところへ地震で橋げたがたわみ、両端の支柱に力が集中して折れたのでは」と推理した。
 付近には大きな亀裂が走った支柱があちこちに。近所の人は「余震のたびに亀裂が大きくなる。倒壊しないか不安だ」と訴えた。「落下したのが始発前だったのが不幸中の幸い」と三浦教授。完全復旧はかなり先になりそうだ。
 木造民家倒壊 西宮市高木東町。阪急西宮北口駅の近くの住宅地で倒壊した木造民家を見た。2階建てらしい民家がペシャンコだ。屋根瓦がすべて落ちている。
 「こんな倒れ方は見たことがない。よほど強い揺れだったのだろう。倒れたのは大半が古い和風民家。柱やはりを補強する羽子板ボルトのような金具があまり見当たらない」と宮野助教授は指摘する。
 「苦の民家は屋根瓦の下にふき土を厚く敷くので、屋根が重い。竹を編んだ土を塗った壁も柱と一体で働かないので、もともと地震には強くない。4隅に2階までの通し柱をしない建て方も影響があっただろう」。(京都新聞)
■全線の開通は来年7月以降 阪急神戸線
 兵庫県南部地震で寸断された鉄道区間を抱えるJR、阪急、阪神は18日、それぞれの復旧計画を明らかにした。
 JR西日本と東海の計画では、東海道新幹線は20日まで東京−京都間の折り返し運転だが、21日中には新大阪まで運転できる見通しだ。だが、山陽新幹線は当面、姫路−博多間の運転となる。尼崎で折り返しとなっている東海道線は、19日には甲子園口まで、来週中には芦屋まで延びる見込み。西明石で折り返しの山陽線も来週中には須磨まで運転の計画だ。
 阪急は19日から宝塚線(梅田−宝塚)が全線復旧し、今津線(今津−宝塚)も来週中には運転再開する計画だ。だが、神戸線の西宮北口−三宮間は全線開通が来年7月以降となる見通し。このため、梅田や三宮には連絡できないが、4月をめどに夙川−王子公園を部分開通させる。阪神は西大阪線が18日夕に開通。本線の甲子園−青木間と、武庫川線が来週にも復旧する見通し。だが、本線の青木−元町間は、全面復旧まで3ヵ月以上かかるとしている。(朝日新聞)
■耐震設計基準全面見直しへ 新幹線
 兵庫県南部地震で新幹線の高架橋が破壊された問題で、亀井静香運輸相は18日、臨時閣議後の会見で、新幹線など鉄道高架橋の耐震設計基準を全面的に見直し、高架橋設計にかかわってきた東京理科大学の松本嘉司教授(コンクリート工学)を委員長とする「鉄道施設耐震構造検討委員会」を発足させることを明らかにした。
 運輸省によると、委員会はJRや私鉄、鉄道総合技術研究所などの専門家ら20人で構成する。新しい設計基準は、今後復旧される新幹線はもちろん、既存の新幹線や今後建設される整備新幹線すべてに適用されるという。(朝日新聞)
■鉄道寸断 代替輸送に海路案
 「梅田と三宮間が開通するのは早くてもあと1年半から2年はかかる」。18日午後5時過ぎ、記者会見した阪急電鉄の山口益生常務はこう予測した。
 阪急の被害総額は推計で800億円。なかでも震源に近い神戸線は被害が最もひどい。鉄道本部の会議で、「例えば、単線でも運転する方法はないか」「1日でも1分でも早く列車を通すのが鉄道会社の使命だ」との意見が相次ぐ。そんな中、寸断された西宮・夙川−神戸・王子公園間に4編成の電車が閉じ込められているのに気付いた。
 「4編成のうち、1編成はダメだが、これを活用しよう」「車庫はないが、線路の上でも整備はできる」。梅田や三宮には連絡できないものの、夙川−王子公園間の復旧優先、部分開業が決まった。それでも、開通は3ヵ月先だ。
 一方、18日にJR西日本で会見した近畿運輸局の植井繁・鉄道部長が、阪神間の旅客輸送手段として「海の利用」をほのめかすと、同席した池田伴雄・運行部長が間髪を入れずに「港の損傷を修復しなけれはならず、実現には課題が多い」。
 本来なら鉄道の代わりを果たすバスが、道路網のまひで役割を果たせる状態になっていないのが現実だ。
 同運輸局の担当者は「海の利用は奇抜な発想と受け止められるかも知れないが、『陸が先か海が先か』という検討もせざるを得ないほど、陸の交通の被害が深刻だということです」と話している。(朝日新聞)
■鉄道など企業特別融資検討 日本開発銀行
 日本間発銀行は18日、阪神地域の生活関連施設の復旧のため、特別融資を実施する方向で検討に入った。対象に見込まれているのは、鉄道、電気、ガス、情報、小売り分野などの企業で、近く各企業に対しヒアリングを行い、融資の額や金利など異体的な条件を詰める見通し。
 開銀ではライフライン関連のほか、震災で生産設備が破壊された阪神地域の製造業に対しても、復旧関連融資を実施する方向で、情報を収集している。
 各企業へのヒアリングは、東京でも実施する考えで、大蔵省などと協議して特別枠の骨格を早急にまとめたいとしている。(朝日新聞)
■「余震恐れ東京に避難」 乗客に被災者も JR京都駅
 兵庫県南部地震で、新幹線は18日、京都−東京間の折り返し運転になった。JR京都駅は関西の東の玄関口になり、在来線や私鉄から乗り換えるビジネス客にまじって、地震の被災者の姿も見られた。
 神戸市灘区森後町一丁目、すし店経営藤本繁さん(53)と妻の昭子さん(52)、長女の希代さん(26)は、地震の時はマンションの6階にいた。余震の恐れがあるため東京に住む大学生の長男(22)のもとへ避難することにした。
 18日午前4時、自宅近くを通りかかったタクシーに乗り5時間かけて大阪の淀屋橋にたどり看き、京阪電車などを乗り継いで京都駅まで来た。昭子さんは「家の周囲はがれきの山。昨日は何も食べず、淀屋橋で飲んだコーヒーが温かかった。いまでも揺れている感じです」と話した。
 仙台市若林区の会社員大久保源一さん(33)は17日未明、出張のためにJR新大阪駅近くのホテルで寝ていて地震に遭い、ベットから転げ落ちたという。地震でこの日の会議は中止に。淀屋橋まで歩いて京阪電車で京都にやってきて、親類宅に泊まった。「これから仙台に戻ります、ホテルの部屋は14階で、生きた心地がしなかった」という。
 新幹線の「始発駅」になった上りホームの売店は、乗車前の客が詰めかけ、普段の2−3割増の売り上げだった。駅弁の「萩の家」の販売スタンドは、100食近い弁当が工場から到着するたびに10−15分程度で売り切れに。売店の新聞も昼前にはほとんどはけてしまった。
 一方、「終着駅」の下りホーム売店は開店休業状態。「午前中売れたのはたばこ1箱だけ。全線開通まで下りホームは全滅です」と店員は話す。(朝日新聞)
■う回、国道9号渋滞 名神は京都南以東が復旧
 府内の道路網やJR、私鉄は18日になっても阪神方面へ向かう車の渋滞や列車の運休が続いた。
 名神高速道路は17日深夜に京都南インタ以東が上下線とも復旧した。目立った渋滞はなかった。しかし国道9号は、被災地の阪神方面をう回しようとする大型トラックなどが名神高速道路や国道1号から流れ込んだ。このため18日朝は京都市内から園部町方面にかけて上下とも30−50`の大渋滞になった。府警は交通警察官を出したり、信号を調整するなどして対応した。
 舞鶴、福知山両市を結ぶ国道175号も17日深夜から18日正午過ぎまで5、6`の渋滞が続いた。舞鶴自動車道も舞鶴西料金所によると、通過車両はふだんの2倍以上で、うち7割以上がトラックだった。
 JR東海道線は京都−大阪間が18日始発から運転を再開し、1時間に3本程度の快速が走ったが、新快速は終日運休した。
 阪急京都線は速度制限のため始発から特急上下計40本が運休。午後1時からは平常運転に戻った。
 JR福知山支社管内では18日朝から特急、急行の大半は運転を取りやめた。(朝日新聞)
■救援物資を無料輸送へ JR貨物準備開始
 地震から一夜明けた18日、兵庫県南部の被災地に各方面からの救援物資運搬の動きが活発になった。
 JR貨物は同日、救援物資の無料輸送について具体的な準備を始めた。神戸市や西宮市など地元自治体と協議したうえで、数日内には被災地が求める物資を各地から無料で輸送できる態勢を整える方針だ。
 同社が被災地への救援物資の輸送を無料で引き受けるのは1993年7月の北海道南西沖地震以来。関西支社営業部は「阪神地方の災害に対して運んだ例は、おそらく過去になかったはず」と話している。
 大動脈の山陽線は尼崎−西明石間の復旧のめどが立っていない。このため同社では、不通区間はトラックに積み替えて現地まで運ぶ計画で、日ごろタイアップしている運送業者との調整も進めている。
 また、神戸市灘区の神戸港・摩耶ふ頭には18日夕、NTTの作業車十数台や通信機材を積んだ関西汽船のフェリーが大分県の別府から到着した。大手スーパーのダイエーは19日にも、非常用の食料品や毛布などトラック数十台分の救援物資を大阪南港から東播磨港(加古川市)までフェリーで運ぶ予定だ。(朝日新聞)
■一歩一歩立ち上がる 阪急宝塚線は復旧
 兵庫県南部地震で運休の続いていた阪急電鉄宝塚線の雲雀丘花屋敷−宝塚間が19日の始発から復旧、同線は全区間で通常ダイヤに戻った。
 同電鉄は、神戸線が19日も西宮北口以西が不通で、運転も普通電車だけ。伊丹線、今津線、甲陽線は依然、運休のまま。
 一方、阪神電鉄は本線の甲子園以西と武庫川線が19日も運休。JR西日本は東海道線尼崎−甲子園口が19日始発から復旧したが、甲子園口−西明石間と、福知山線塚口−広野間が不通。新幹線の京都−姫路間の運休も続いている。(京都新聞 夕刊)
■関西など大手私鉄 19.7%(平均)値上げ申請 4月から初乗り20−30円アップ
 近鉄、阪急、京阪、南海、阪神の関西大手五社を含む私鉄14社は19日朝、運輸省に平均19.7%の運賃値上げを申請した。大手そろっての値上げ申請は平成3年以来4年ぶり。14社とも4月1日実施を目指している。関西の各社は初乗り運賃を現行120円から150円(阪神のみ140円)とするなど平均19.1%のアップで、昭和50年以来の高い率。値上げ理由は輸送力増強などで多額の投資をする一方で、乗客数の減少などで経営が悪化しているため−としている。だが、京阪神間では普通、通勤定期とも競合するJR線の運賃を上回る区間がかなり出ることから客離れを懸念する声も出ている。
 関西5社の値上げ率は南海が最も高く20.7%。以下、近鉄19.1%、阪神19.7%、京阪17.8%、阪急17.4%と続いている。運賃とともに南海、近鉄の2社は特急料金の改定も申請。近鉄では京都−賢島が1840円(現行1250円)。
 私鉄の運賃収入は、定期券の客を中心に各社ともここ数年、大きな落ち込みを示しており、関西5社とも今回の申請では、通勤定期の引き上げ(18.1%−24.1%)に力点を置いた。この結果、通勤定期の割引率は近鉄を除く4社がすべて40%台から30%台に下がる。
 京磁のターミナルからの主な通勤定期運賃(1ヵ月)は、阪急・河原町−梅田が1万6100円(現行1万4200円)、京阪・三条−淀屋橋が1万6070円(同1万4020円)、同・三条−浜大津が1万260円(同8620円)、近鉄・京都−奈良が2万530円(同1万6000円)。
 これら申請の通勤定期運賃を競合のJRと比べると、京阪・三条−淀屋橋はこれまでの運賃差が逆転して、JR(大阪−京都)の方が310円安くなる。阪急・河原町ー梅田もJRが逆転して340円安い。普通運賃でも私鉄がJRを上回る区間が京阪神間で増えている。
・時差回数券など導入へ
 運賃値上げを申請した私鉄14社は、これと合わせ19日、新たに「時差回数券」(オフピークチケット)と「土、休日割引回数券」(サンキューチケット)の導入を発表した。
 「時差回数券」はラッシュ時の乗客分散がねらいで、従来の回数券をさらに値引きして、10枚分の運賃で12枚が買える(割引率16.7%)。利用できるのは月−金曜日の午前10時−午後4時。「土、休日割引回数券」は、50`b以内の駅間で利用でき、10枚分の運賃で14枚が買える(割引率28.6%)。(京都新聞 夕刊)
■河原町−梅田410円に欧米に比べて割高 設備投資、利用者にツケ 私鉄運賃値上げ申請
 今回の運賃値上げ申請は、私鉄、営団とも値上げ幅が大きいうえに内外価格差の問題も絡んで利用者の不満を呼びそうだ。
 私鉄14社の申請値上げ率は1981年の20.9%以来の高い水準。営団も77年の66.7%以来の高率だ。経済企画庁の1994年版物価リポートによると、日米欧の鉄道運賃(100`)はJRを100とすると、英国が96、ドイツが68、米国が65となっている。
 今回の申請では大半の社が初乗りでJRを上回る。一方、長距離は値上げ後も私鉄や営団がJRより安いケースが多いが、格差は縮小する。
 私鉄側は「欧米では国が経費補助や赤字補てんしている」(大手)と反論する。しかし、ラッシュ時の混雑率が私鉄14社平均で170%に上るなど、欧米では異例の「すし詰め列車」が走る日本では利益率は高いはずで、今回の値上げ申請には疑問が残る。
 私鉄などが値上げのよりどころとする設備投資負担増加も、投資が後手に回ったため、地価や工費などの増大につながった面も強く、結果的に利用者につけを押し付けた形だ。不動産、観光など関連事業の経費を鉄道部門に組み入れているとの疑問も相変わらずぬぐいきれず、一層の経営内容の公開が不可欠である。
 また運輸省は今後、昨年に申請済みの都営地下鉄などの運賃値上げも認めるとみられるが、高速道路料金など相次ぐ公共料金の値上げラッシュに私鉄、営団だけでなく政府に対する消費者の反発も強まろう。(京都新聞 夕刊)
■私鉄19.7%値上げ申請 大手14社 JRよけ割高区間も 今春実施希望
 近鉄、東武、名鉄など私鉄大手14社は19日午前、運輸省に4月1日実施を希望する平均19.7%の運賃値上げを申請した。各社とも輸送力増強などに伴う投資の増加で、鉄道部門の収支が悪化したとしている。このうち近鉄、南海、京阪、阪急、阪神の関西5社の値上げ率は平均で19.1%で、初乗り運賃は現行の120円から20−30円高くなり、競合するJR西日本よりも運賃が高くなる「逆転区間」も多い。認可されれば5社の値上げは、1991年11月以来となる。今年は公団住宅の家賃や高速道路料金、火災保険料などの値上げも見込まれ、物価が上昇し、家計を圧迫するのは必至だ。関東では東武鉄道、西武鉄道、京成電鉄、京王帝都電鉄、小田急電鉄、東京急行電鉄、京浜急行電鉄、相模鉄道の8社が申請した。
 運賃値上げを申請したのは、近鉄、南海、京阪、阪急、阪神の関西5社と、東武、西武など関東8社、名鉄の中部1社の計14社。近鉄、南海は特急料金の値上げもあわせて申請した。また、東京の帝都高速度交通営団(営団地下鉄)も同日、運賃値上げを申請した。
 関西5社の場合、平均値上げ率は19.1%(普通運賃17.4%、定期21.5%)で、関東8社の平均19.9%に比べると率は低いが、前回申請の16.8%は大きく上回った。運輸省は率を圧縮してから認可する方針だ。
 各社別=別表=に見ると、もっとも値上げ率が高いのは南海の20.7%。次いで近鉄、阪神、京阪、阪急の順となっている。定期券の平均割引率は、通学定期がほぼ現行通りで、通勤定期は少し引き下げられた。
 初乗り運賃は66年1月以降、5社同額だが、近鉄、南海、京阪、阪急は今の120円から150円とした。JRや阪急との競合が激しい阪神は140円にとどめた。
 各社とも、輸送力を増強するための工事費や新型車両の導入、エスカレーターや自動改札機の設置などのため、設備投資の負担が大きいことを値上げの理由にしている。乗客数が減少傾向ということもあり、現行運賃のままでは、95年度の鉄道部門の収支は、関西5社合計で661億円の赤字になると試算している。
 値上げにより、南海の難波−和歌山市間などは、JRよりも高くなるほか、すでに逆転区間となっている近鉄の難波−奈良などの区間でも、JRとの運賃格差が拡大する。
 このため、各私鉄では、値上げに対応したサービス向上策として、平日午前10時−午後4時に利用できる「時差回数券」や土、日曜、祝日だけ使える割引率の高い回数券を設定することにしている。
私鉄14社の運賃値上げ申請率(%)と初乗り申請運賃
 普通運賃通勤定期通学定期平均初乗り運賃
近 鉄17.424.119.919.93キロ 150円
南 海19.522.220.720.73キロ 150円
京 阪17.618.117.817.83キロ 150円
阪 急15.720.217.417.44キロ 150円
阪 神17.823.019.719.74キロ 140円
関西5社17.421.919.119.7−−
東 武17.322.818.719.84キロ 130円
西 武10.714.914.312.64キロ 130円
京 成12.813.913.013.23キロ 130円
京 王19.821.120.520.34キロ 130円
小田急21.829.124.424.44キロ 130円
東 急23.626.724.924.93キロ 110円
京 急18.722.220.220.33キロ 130円
相 鉄18.919.517.619.13キロ 130円
名 鉄18.123.021.421.23キロ 160円
14社平均18.122.019.919.7−−
・「安い私鉄」看板下ろす?
 かつては安さと便利さで「私鉄王国」とさえいわれた近蔵圏の鉄道事情は、関西大手私鉄5社の運賃値上げ申請によって大きく様変わりしそうだ。申請通り実施されると、初乗り運賃は阪神を除く4社がJRを上回り、すでに一部区間で起こっていたJR運賃を私鉄運賃が上回る「逆転区間」もあちらこちらで出現する。阪急や阪神は兵庫県南部地震で寸断された鉄路の復旧費用にばく大な資金が必要とあって、「一刻も早い実施と理解を」と話すが、利用客にとっては割り切れなさも。「安い私鉄」の看板が揺れている。
 申請では、南海の難波−和歌山市間は、現行の790円が900円となり、JRの天王寺−和歌山間の820円に比べて30円安い運賃が、一気に80円も高くなる。JRと同額の250円となっている阪急の梅田−高槻市(JRは大阪−高槻)も、阪急が40円高くなる。
 また、今でもJRが30円安い阪神の梅田−尼崎間は230円となって、JRの大阪−尼崎間との格差は70円に、近鉄の難波ー奈良間も570円とJR天王寺−奈良間との差は120円まで広がる。
 定期ではJRよりも割引率が高い通学定期はまだ圧倒的に私鉄が安いが、1ヵ月の通勤定期では逆転も起きる。
 京阪の淀屋橋−三条間(申請額1万6070円)、阪急の梅田−河原町間(同1万6100円)は、JRの大阪−京都間(1万5760円)を上回り、阪急と阪神の梅田−三宮間(いずれも申請額1万3100円)もJRの大阪−三ノ宮間(1万1740円)より1360円高くなる。
 もちろん、大勢としては依然私鉄が安いが、JRは1987年の発足後、消費税導入に伴う値上げを除いて運賃を凍結。対する私鉄は今回がこの間、2度目の値上げとなり、競争力の低下は確実だ。スピードやラッシュ時の運転本数もJRが優位に立つ。わずかにお年寄りや身体障害者に対するエレベーターなどの施設の実績や今後の整備計画が目立つ程度だ。
 近鉄や南海は「やはり私鉄離れが心配」。阪急や阪神は「安さだけが選択の要素ではない」とはいうものの、「ある程度は覚悟」と表情はさえない。阪急、阪神両社は地震のため西宮以西などが当分の間、運転不能な状況下での値上げ申請だけに、利用客からの風当たりも強くなる。被害額は阪急が800億円、阪神500億円と見込まれる。両社は「ますます経営は苦しくなる」と理解を求めている。(朝日新聞 夕刊)
■「値上げ何もこの時期に」私鉄14社運賃申請 関西の市民反応複雑
 「何もよりによって、この時期に…」「殺生や」。19日、関西の大手私鉄14社がそろって平均19.7%の運賃値上げを運輸省に申請したのに対し、兵庫県南部地震で交通網が寸断され通勤、通学の足を奪われた市民の間からは、やるせなさと不満が入り交じった複雑な声が上がっている。
 京都市下京区の阪急烏丸駅で、大阪梅田へ向かう会社員高本秀也さん(21)=同市西京区=は「本当に経営が困難なら仕方ない面もあるが、地震で止まった直後だけにタイミング的にどうか…。企業の交通費への影響が大きいし、家計にも響いてくる。非常に痛い」と複雑な表情。
 阪急電鉄を利用して通学する、北区の大谷大4回生下市佳苗さん(23)=西京区=は「交通費は全部自分でまかなっており、とても影響が大きい。コーヒーも我慢しないと。私鉄もプリペイドカードを値引きするなど、値上げ分を還元してほしい。私鉄の値上げが諸物価にははね返らないことを願います」と心配そう。
 阪急梅田駅から、ポリタンクやおにぎり、紙皿などを抱えて西宮市の友人宅へ向かう主婦和田君子さん(63)=大阪市城東区=は「友人の近所でも死者が大勢出ており、現地では生活するのもやっと。そんな所を走る鉄道が、こんな時に値上げなんて殺生です」とやりきれない様子。
 京都消費者団体連絡協議会事務局長の原強(45)さんは「消費者の立揚からすれば、値上げはない方がうれしいが、前回値上げから3年半も経っておればやむを得ない。ただ、値上げ理由となっている輸送力の増強などが実態のあるものかどうか、点検していく必要がある」と受け止めている。(京都新聞 夕刊)
■交通網、一部復旧 阪急宝塚線は全面的に
 阪急宝塚線は19日の始発から全面復旧し、平常ダイヤでの運転を再開した。宝塚駅から梅田に向かう列車の乗客は、いずれも通常時に比べて少なめだった。復旧していないJR福知山線からの乗り換え客がいないのが原因と、阪急ではみている。
 JR東海道・山陽線は、大阪以東で、新快速をのぞいて平常運転に戻った。草津、京都、高槻など主要駅の混雑具合も、ふだんの通勤ラッシュと同じ程度だったという。しかし、兵庫側は西明石−甲子園口間が不通のため、姫路駅などの利用客はいつもの3、40%程度だった。
 一方、不通になっていた高速道路のうち、西名阪自動車道、関西空港自動車道、阪和自動車道と近畿自動車道(松原−東大阪南)がいずれも19日午前2時に開通、中国自動車道(吉川以西)と舞鶴自動車道が同日午前7時に開通した。阪神高速道路も午前零時以降、松原線のほぼ全線と、東大阪、湾岸、北神戸線の一部が開通した。(朝日新聞 夕刊)
20日■京都−新大阪 午後にも再開 東海道新幹線
 地震による橋脚の破損などで、不通になっている東海道新幹線京都−新大阪間は、20日午後1時ごろから運転を再開できる見通しがついた。JR東海が19日発表した。運転本数は未定だが、同社では「1時間当たり3本以上は確保したい」としている。(京都新聞)
■見舞いの列
 東海道新幹線は3日ぶりに仮復旧し、ひかり43号が1番列車として20日午前10時7分、東京駅を新大阪へ向け乗車率約20%で出発した。JR東海は、午後にかけ被災地へ向けたお見舞いラッシュが本格化するだろうとみている。
 東海道新幹線は20日いっばい平常の約7割の運転だが、JR東海は21日はさらに運転本数を増やしたいとしている。
 ホームには30分以上前から、大きな救援物資を持つ人の列ができた。(京都新聞)
■鉄道被害 阪急800億 阪神500億
 阪急電鉄は19日、兵庫県南部地震による被害額が鉄道施設だけで800億円に上るとの推定を明らかにした。流通や娯楽施設を含めると1000億円を超える可能性もおる。
 阪神電気鉄道は、鉄道施設の被害が500億円に達した模様だ。(京都新聞)
■二条駅周辺整備 「映像施設」松竹と合意 3セク、2000年開業
 京都市の田辺朋之市長は19日の記者会見で、二条駅周辺整備事業の中で計画している映像アミューズメント施設に映画会社「松竹」から参加合意の回答を得たことを明らかにした。来年度に市と松竹などの出資で第三セクター方式の企画運営会社を設立、5年後の2000年に開業する。
 映像アミューズメント施設は二条駅周辺整備事業の中核施設として計画、市の新たな文化観光拠点として期待している。市が建設する高度情報センターの中のフロアに、最先端のマルチメディア技術を駆使した劇場や映像体験施設などを設ける予定。
 設置場所はJR二条駅西側の区画整理地内の市有地(7200平方b)で、西口交通広場の南側。市が高度情報センタービルを建設、この中にまちづくり情報を提供する「まちづくり情報センター」(仮称)とともに設置する。
 市は松竹との間で、出資額や施設プランなどについて協議を進める。新年度には第三セクター出資分を予算計上する方針。(京都新聞)
■高架橋崩落や土砂崩れなど 活断層上に大被害集中
 阪神地域を襲った大震災・兵庫県南部地震の甚大な被害の多くが、地下の活断層に沿った線状の地域に集中していることが分かった。山陽新幹線の高架橋の連続崩落も西宮市内の大規模な土砂崩れも、活断層の直近で起きていた。阪神地方は、広大な地域の地下に広がる活断層群の上に乗っている。地震でこれらの活断層が相次いで動き、大被害を引き起こしたことを示すものだと専門家は指摘している。
 山陽新幹線の長期不通を招いた高架橋の崩落は、JR西日本によると8ヵ所で起きた。うち4ヵ所は、六甲トンネルの入り口(西宮市)付近の約1`の区間に集中している。いずれも、橋脚の上部が激しい揺れで崩れていた。
 これらの現場は、地下に活断層があると推定されていた場所の北端にある(「新編日本の活断層」=東京大学出版会=による)。さらに、この断層は阪急電鉄・今津線を横切り、西宮市街へと向かっているが、今津線と交差する地点にある阪急門戸厄神駅では、電車が脱線していた。
 さらに、この断層の南端付近では、大型ビルが崩れ落ちたり、阪神高速道路の高架橋が2ヵ所で崩れたり傾いたりしている。
 この断層の約2`西方にある「甲陽断層」でも、南端の阪急夙川駅付近で電車の高架橋が3ヵ所で崩落した。そのそはでも、線路わきの4階建てマンションが倒壊、線路をふさいでいる。
 西宮市仁川地区で、12世帯、30人以上をのみこんだ大規模な土砂崩れも、この断層のほぼ真上だった。駅ビルが崩れ電車が脱線した阪急伊丹駅も、「伊丹断層」という断層のほぼ真上に建てられていた。
 大被害の発生地点と活断層の一致について、大阪市立大理学部の中川康一教授(都市地盤構造学)は「被害のすさまじさからみて、地震でこれらの断層が相次いで動いた可能性が高い」と説明している。(京都新聞)
■JR・阪急・阪神 鉄道3社が助成を要請
 兵庫県南部地震によって鉄道網が寸断されたJR西日本、阪急、阪神の3社は19日、政府に対して鉄道軌道法整備法による助成を申し入れる方針を固めた。3社の推計によると、被害額は合計で2000億円を超える見通しであるほか、今後、大幅な運賃収入減も想定されるなど、経営の圧迫が避けられないことから判断した。
 鉄道軌道整備法では、鉄道が地震などの大規模災害を受けた場合、被害額の最高25%の国の助成を定めている。だが、その条件として「災害で5年間以上の赤字が確実なこと」などと定めている。このため、鉄道以外の事業収入で利益確保が可能な大手の鉄道会社への適用は、難しいのが実情で、3社は「特例」として国の助成を要請する方針だ。(朝日新聞)
■国鉄清算事業団が仮設住宅用地提供
 国鉄清算事業団は19日、兵庫県南部地震の被災者救済用として神戸市内の所有地2ヵ所、計1万6400平方bを、同市に一時的に無償提供することを決めた。灘区にある信号場跡地の9400平方bと、東灘区の住吉駅近くにある宿舎跡地の7000平方bで、神戸市はこれらの土地に仮設住宅を建てる方針。
 事業団は、加古川市や西宮市、大阪市内にある所有地6ヵ所、計約18万平方bについても、各自治体に一時提供を申し出ている。(朝日新聞)
■肉親思う列 西へ 背に両手に水や食料 薬値引に優しさ知る
 地震から3日目を迎えた被災地。食料や身の回り品を届けようと、神戸市などに向かう故郷の肉親たちが増えている。
 大阪・梅田の阪神梅田駅では、被災地へ向かう電車に、米や水、野菜が詰まったバッグをもつ人たちが続々と乗り込んだ。肉親の安否を気遣う人々だ。壊れた家を残して避難する「疎開」の人や百貨店での買い出しの人も加わり、ホームは一時、通勤ラッシュ並みの混雑になった。
 阪神は、西宮市の甲子園駅と梅田駅の間で12分間隔でピストン運転している。ホームは大きな荷物を抱えた人であふれかえった。西宮市浜町に住む親類に食料を運ぶ奈良県桜井市の自営業の男性(46)は。「食べるものが底をついた、と昨日親せきから連絡があった。甲子園駅から歩いて向かいます」。
 大阪市北区の金融サービス会社の社員6人はそれぞれ水の入った10、20リットルのポリタンクと弁当数個を手に電車に乗り込んだ。「避難所の同僚や食料がないと連絡してきた上司へ、歩いて向かいます」
 梅田駅に隣接する阪神百貨店には、午前10時の開店前、約1000人が並んだ。ほとんどの人は開店と同時に地下の食料品売り場に向かい、ペットボトルの水や茶などを買い求めた。ペットボトルは1人1本に販売を制限したが、1時間で売り切れ。おにぎりやカップめん、総菜のほか、カセットコンロや生理用品、懐中電灯、ポリタンク、寝袋なども午前中に品切れに。
 列をつくっている人たちは疲れきっているのか、みな無表情。宝塚市川面町の会社員(33)は、自宅は無事だったが、親類が1人行方不明のままで、買った物資を持って捜しに行くという。「緊急物資を電車で運んで販売してほしい」と訴えた。
 一方、甲子園駅。名古屋市の主婦井上洋子さん(54)は夫(55)と一緒に、新幹線が不通になっているため、近鉄、地下鉄と乗り継いで、7時間かけて着いた。神戸市東灘区に住む息子のために、ペットボトル6本やカップめん10個を持参。息子の婚約者のためにパンティストッキングも持って来た。途中、大阪市内の薬店で、被災地に向かうことを知った店員が670円の薬を500円に値引きしてくれた。「被害の悲惨さの一方で、人の優しさも知りました」(朝日新聞)
■代替ルートで協議を開始 運輸省と3社
 運輸省近畿運輸局とJR西日本、阪急、阪神は19日、高架橋の落下などで寸断された阪神間の鉄道網が回復するまでの旅客輸送ルートの設定について協議に入った。新大阪−姫路間が不通となっている山陽新幹線の代替案としては、東海道線の尼崎から福知山線、播但線を経由して姫路を結ぶルートが有力。また、西宮市内と神戸市内を結ぶ輸送手段としては、3社共同のバス運行が検討されている。(朝日新聞)
■ライバル社支援へ動く 重機提供や人員派遣 鉄鋼・JR・金融機関 復旧作業の「即戦力」にも
 兵庫県南部地震で打撃を受けた会社をライバル会社などが支援する企業間の応援活動が動き出した。鉄鋼メーカーやJR各社が、いち早く会社の垣根を越えた応援活動を見せ、地域の中小金融機関の間では、被災地の金融機関に支援活動を申し出るなどの動きも見られる。
 神戸製鋼所は兵庫県南部地域に生産施設を集中させているため、今回の地震で大きな打撃を受けた。神戸市の神戸製鉄所と同県加古川市の加古川製鉄所は全面休止に追い込まれた。加古川製鉄所では海外から鉄鉱石や石炭などの原料を輸入して保管、荷揚げ用のクレーンや保管区域が破壊されたため、荷揚げできない状態となっている。
 このため、神戸製鋼所は地震直後に、新日本製鉄をはじめNKK、川崎製鉄、住友金属工業の4社に支援を要請。4社はとりあえず、加古川製鉄所で荷揚げできるようになるまで、海外から神戸製鋼所に来る原料を、それぞれの製鉄所で肩代わりして引き受けることを承諾した。さらに、復旧の状態によっては、神戸製鋼所が受注した鋼材の一部を他社が代わりに生産することも検討されている。
 また、倒壊したクレーンについては、新日鉄などの数社に代用クレーンの提供を依頼。新日鉄は、高炉を止めている堺製鉄所のクレーンの提供を検討している。
 また、東海道や山陽新幹線などが不通になっているJR西日本では、他のJR各社から人員派遣などの支援を受けている。JR東日本は19日に13人の社員を派遣。JR鉄道総合技術研究所は14人を派遣して、復旧のための技術的なアドバイスをしている。JR九州も派遣申し入れをしており、JR西日本としては、橋げたなどの調査を依頼することにしている。JR各社はもともと旧国鉄で、保線作業などの仕事が共通しているため、復旧作業には「即戦力」となりそうだ。
 一方、大阪府茨木市に本店のある摂津信用金庫は19日、阪神間の10の信用金庫に対し、「何か支援できることがあれは、教えてください」というファクスを送った。通信回線の混乱などで、まだ返事は届いていないが、摂津信金としては、極力、協力体制を整えていくことにしている。
 さらに、取引先企業や関連会社、部品供給会社などへの人員派遣の動きは出ているが、会社業務と直接関係のない支援の動きも出始めた。神戸市東灘区に住む社員が犠牲になった兼松は、各部署で、取引先企業の社員の安否の確認作業の応援を実施している。(朝日新聞)
■新幹線高架橋の耐震性 基準の見直し きょう初会合
 兵庫県南部地震で破壊された新幹線などの高架橋の耐震設計基準を全面的に見直すため、運輸省が設置した「鉄道施設耐震構造検討委員会」(委員長、松本嘉司・東京理科大教授)は、20日に初会合を開く。
 18日に被災地を視察した松本委員長は「これまでの耐震設計は、地震による水平動の揺れに対して耐えられるよう考えてきた。今回は直下型地震による上下動を受けたと考えられ、こうした点も考えに入れた設計が必要かもしれない」と話した。(京都新聞)
■新幹線 京都−新大阪 きょう復旧
 不通になっていた東海道新幹線の京都−新大阪間は、20日午後1時ごろから運転を再開することになった。これで東海道新幹線は全線が開通。不通区間は山陽新幹線の新大阪−姫路間だけになる。JRは、福知山線の宝塚−広野間が19日夕に仮復旧。塚口−宝塚間も21日に運転を再開する。阪急伊丹線は21日朝から、新伊丹−塚口間で折り返し運転をする。(朝日新聞)
■損害額、経営を圧迫 阪急・阪神復旧遅れる恐れも
 兵庫県南部地震で、阪神間を走る私鉄はJRなどとともに大きな被害を受けた。19日には、関東の私鉄などとそろって運賃の値上げ申請をしたはかりだが、値上げによる収入増が吹き飛ぶような損害額になることは確実で、経営を大きく圧迫する要因となる。自力での資金調達には限度があり、国の助成などが思うように得られなければ、鉄道の復旧にも遅れが出かねない。
 阪急電鉄は、今回の地震による被害総額が、鉄道事業だけでざっと800億円と見ている。神戸線の西宮北口−夙川間で800bにわたって高架線が落ちているのに加え、伊丹駅や三宮付近は壊滅的な状態で、今後、災害状況がもっとはっきりしてくれはさらに被害額が増える可能性もある。
 阪神電鉄は「三宮の地下線区間に入れないため、全体の被害状況がつかめない」としているが、被害総額は500億円以上になるとの見通し。阪急も阪神も、不動産事業などを含めた企業全体の単年度の営業利益を3倍以上、上回る損害額となっている。
 一方で、鉄道は国の予算を投じてつくる建設物ではないため、公共事業の復旧工事を補助する法律の対象とはならない。「鉄道軌道整備法」の災害規定は適用対象だが、「赤字会社の赤字路線であること」「1`当たりの輸送人員が800人規模の事業者であること」など、条件にしばりがあるため、具体的な援助のめどはたっていない。(朝日新聞)
■「バイパス」山陰線混雑 乗車率200%も 姫路方面から目立つ
 兵庫県南部地震で阪神間の主要交通網が遮断されたため、普段はローカル色の強いJR山陰線と播但線が、山陽側の「バイパス」として利用者が急増している。乗車率が200%に達した列車もあり、JR西日本は19日、臨時列車の運転など、対応に追われた。同日午後3時ごろに福知山線が宝塚駅まで開通し、阪急宝塚線に乗り継げるようになり、20日からは山陰線の混雑は緩和される見込みだ。
 JR福知山支社によると、乗客が増え始めたのは18日午後からで、姫路駅から播但線を経由して、和田山駅で山陰線に乗り換える乗客が目立つという。
 同支社は19日、播但線の寺前−和田山間に普通2往復、山陰線の鳥取−京都間に特急1往復、福知山−和田山間に普通3往復の臨時列車を運転した。特急列車を中心に2、3両ずつを増結した。
 福知山駅では京都行きの特急が到着するたびに、普通列車からの乗り換え客らで込み合った。特急列車のほとんどは、到着するまでに廊下やデッキに立っている客が多く、駅員が客の後ろから押して詰め込む場面があちこちで見られた。
 列車待ちをしていた兵庫県明石市の会社員(32)は、地震が起きてから初めて大阪の会社へ出る予定。「家は壊れなかったが、家の中の掃除に追われていた。普段なら、1時間余りで会社に着けるのに、今日は1日がかりです。当分は同僚の家に泊まるつもりです」
 福知山駅は「平日の特急の乗車率は80%程度。観光シーズンでもこれほどの乗客はなかった」と話している。(朝日新聞)
■東海道新幹線 京都−新大阪開通へ 1時間に5本のペース
 東海道新幹線は、不通になっていた京都−新大阪間が20日午後1時ごろ、上下線とも運転を再開し、全線開通する。
 この日、東海道新幹線は上下線とも、ひかり、こだま合わせて1時間に5本のペースで運転する。途中、高槻付近で徐行運転をするため、約15分の遅れが生じる見込み。これによって、東京−新大阪間のダイヤは約7割まで復旧することになる。
 在来線では山陰、福知山、播但の各線で20日、臨時列車を運転している。京都から福知山、和田山を経由して姫路に出るルートを利用する客が増えているための対応策という。(朝日新聞 夕刊)
21日■山陽新幹線 復旧は6月 JR福知山線きょう全通
 不通となっていた鉄道のうち、21日から運転再開となるのは、JR福知山線の塚口−宝塚間と阪急伊丹線の塚口−新伊丹間。福知山線はこれで全線開通となり、東海道・山陽線では行けない大阪−姫路間が、福知山線、山陰線、播但線経由で約4時間で結はれる。一方、JR西日本は20日、山陽新幹線の全線開通が当初見込みから1ヵ月以上も遅れ、6月初めになると発表した。新大阪−姫路間の損壊が予想以上にひどかったという。
 甲子園口での折り返しとなっている東海道線は25日に芦屋、来月中旬に住吉まで運転区間を西に延伸し、山陽線も西明石折り返しが23日に須磨、31日に神戸まで東へ運転を延はす計画だ。しかし、全線開通は6月初めになるという。新幹線と在来線を合わせた復旧費は1600億円以上にのぼる見込みだ。
 また、阪急は20日、神戸線の全線開通が当初予定より1年近く早まり、8月初めになると発表した。建て直しと見込んでいた三宮駅が、修復可能になったためという。伊丹線の新伊丹−伊丹間が運転できるのは来年夏の見通しだ。(朝日新聞)
■「終着駅」の混雑解肖へ 新幹線 京都−新大阪が復旧
 地震のため京都−姫路間が不通になっていた東海道新幹線は20日午後、京都−新大阪間が復旧した。西へ向かう新幹線の「終着駅」として、被災地に水や食料を届けようとする人たちで混雑したJR京都駅も、徐々にふだんの顔を取り戻しつつある。
 京都駅のコンコースは20日午前中まで、大きな荷物を背負って新幹線から阪神方面への在来線に乗り換える姿が目立った。携帯用ガスコンロや寝袋、ヘルメットなどを持った人も。
 神戸市長田区の実家を目指す茨城県下館市の会社員河崎律宏さん(24)は、ボストンバッグに飲料水20リットル、缶詰、薬など約30`を詰めた。どこからでも連絡できるよう携帯電話も買った。
 「家族は無事だが家はどうなったかわからない。列車で行けるところまで行って、あとは歩きます」(朝日新聞)
■地下鉄の支柱壊れる 神戸市営三宮駅 「強い」の通説覆る
 兵庫県南部地震で神戸市営地下鉄の三宮駅の鉄筋コンクリート支柱(高さ4.7b、約90a角)が多数破損していたことが、20日までに同市の調査でわかった。地下鉄は地上の建造物に比べ地震に強いと言われており、支柱の破壊状況を調べた土木学会調査団の団長、田村重四郎・日本大生産工学部教授は「世界に例をみない現象」と話している。今回の地震の強い揺れが、地震に強い地下鉄という通説を覆した形だ。
 神戸市交通局によると、支柱が壊れたのは、同駅の機械室などがある区画。約60本ある支柱のうち約20本の表面が崩れ、鉄筋がむき出しになっていた。コンクリートの破壊は内部まで及んでおり、補修が必要という。
 このため、同地下鉄路線のうち、三宮駅を中心に板宿−新神戸の区間が不通となっている。
 地中の構造物は地盤と一緒に動くため、地震で加わる力が地表の建造物よりも小さく、「地下トンネルは地震に強い」と、言われてきた。1985年のメキシコ地震でも、多くの中高層ビルが倒れたのに、地下鉄内部はコンクリート壁にごく細いひびが入った程度だった。89年に米サンフランシスコ一帯を襲った地震などでも、地下鉄の被害は報告されていなかった。(朝日新聞)
■JR福知山線が全通 大阪から神戸・姫路 「う回ルート」確保
 JR福知山線の塚口−宝塚間と阪急伊丹線の塚口−新伊丹間が、21日始発から運転を再開した。福知山線は全線開通となり、平常ダイヤに戻った。これで東海道・山陽線に代わる大阪駅と神戸、姫路方面を結ぶ「う回ルート」も確保された。
 大阪市内から神戸市内へ向かう場合は、大阪駅から福知山線で三田駅まで行き、神戸電鉄に乗り換えれは鈴蘭台駅まで行ける。そこから神戸駅までのバスがある。神戸電鉄の谷上駅で、北神急行に乗り換えれは新神戸駅まで行ける。所要時間は2時間余。
 姫路市へは、福知山線と山陰線で和田山駅まで行き、播但線に乗り換えれば姫路駅へ行ける。所要時間は約4時間。福知山線の谷川駅で加古川線に乗り換えれは、加古川駅へも出られる。所要時間は約5時間。(朝日新聞 夕刊)
22日■大阪と神戸 鉄道つながる 福知山線全線復旧
 阪神間の交通網のうち鉄道は21日、JR福知山線の塚口−宝塚間が復旧して全線開通。同線と神戸電鉄三田線などを乗り継ぐルートで大阪市内と神戸市内の行き来が可能となった。
 JRで22日以降も始発から運転できないのは、山陽新幹線の新大阪−姫路間、東海道・山陽線の甲子園口−西明石間、山陽線の兵庫−和田岬間の3線区。
 阪急電鉄は21日、伊丹線の塚口−新伊丹間が復旧したが、神戸線の西宮北口−三宮間の復旧には半年、甲陽線の全線も3ヵ月はかかるとみられる。
 阪神電鉄は、26日には甲子園−青木間が復旧する見通しだ。
 道路では、閉鎖されている名神・京都南−吹田間の下り線が23日午前零時から通行できることになった。国道2号はほとんどの区間で不通の状態が続いている。43号も3ヵ所で通行止め。171号は通行止めの2ヵ所をう回すれば走れる。(京都新聞)
■直通快速などう回線を設定 あすから新大阪−姫路
 JR西日本は21日、不通になっている山陽新幹線新大阪−姫路間の乗客輸送を確保するため、福知山線−山陰線−播但線を経由するう回ルートを設定。23日から直通快速を1日1本運行する。
 う回輸送は、新大阪から尼崎を経て福知山線の福知山まで行き、山陰線の和田山から播但線で姫路へ出るコース。直通快速のほかに、姫路−和田山間には1日4往復のノンストップ快速を走らせ、和田山駅で山陰線の特急、急行列車と乗り継ぎの便を図る。姫路−新大阪間は最短3時間20分で結ばれる。う回ルートを利用する長距離の乗客は、特急、急行料金が不要となる。
 JR西日本では、う回輸送開始と同時に、休止していた智頭線特急「スーパーはくと」の運転を、姫路−鳥取・倉吉間で再開(上下3本)する。(京都新聞)
■神戸高速、完全復旧は困難 鉄道、地下トンネル崩壊 少なくとも数年は寸断 阪神本線もメド立たず 兵庫県南部地震
 阪急・三宮駅、阪神・元町駅と山陽電鉄の西代駅を結び、各社が相互乗り入れしている神戸高速鉄道(本社・神戸市中央区)が運輸省近畿運輸局に対し、兵庫県南部地震による神戸市兵庫区内の地下トンネルの崩壊などで、全線の完全復旧は不可能と報告していることが、21日わかった。全線開通のためには新たなトンネルを造らねばならないといい、阪神地区と姫路方面を結ぶ唯一の私鉄ルートは少なくとも数年間、寸断される恐れが出てきた。
 近畿運輸局などによると、被害がひどいのは、大開駅(神戸市兵庫区)西側にある国道28号交差点下の地下トンネル。国道が陥没する格好でトンネルの支柱を押しつぶしており、国道の強度を考えると、修復は不可能な状態という。
 神戸高速鉄道は、神戸市や阪急、阪神、山陽電鉄、神戸電鉄などが出資する第三セクター。営業キロ数は7.6`と短いが、いわは私鉄各社のインタチェンジの役割を担っている。地下鉄と同じく、路線のほとんどが地下トンネルを走っている。
 阪急、阪神は梅田から、神戸高速鉄道を経由して山陽電鉄の須磨浦公園まで乗り入れ運転。姫路方面からは山陽電鉄が神戸高速鉄道を経て阪急・六甲、阪神・大石まで乗り入れている。また、途中駅の新開地から湊川までの支線には、神戸電鉄が三田方面から乗り入れている。全線で1日約15万人の利用があるという。
 乗り入れ各社は自社線の復旧に懸命だが、神戸高速鉄道の寸断が長期化することで、復旧後の運転計画の大幅な見直しを迫られることになる。
 阪神電鉄(本社・大阪市福島区)は21日、阪神本線の御影(神戸市東灘区)−西灘(同市灘区)間が修復計画さえ立てられないほど崩壊しており、梅田−元町間の全面復旧のめどがまったく立たない状態であることを明らかにした。同社は被災直後、全線開通の復旧見通しを3ヵ月程度としていた。社内には復旧まで1年以上との予測もあり、経営計画の立て直しは必至だ。
 阪神電鉄によると、御影−西灘間では高架橋が8ヵ所落下しているほか、路盤が傾いたり橋脚が折れたりしており、事故直後の外観調査より深刻であることが判明した。一般道路をまたぐ高架橋は、修復可能な高架橋でも「道路通行優先」で撤去を余儀なくされるなとのケースも多く、復旧計画はまったく立てられないという。
 保有する314両のうち、134両が被害を受けたこともわかった。約500億円としている被害額もさらに増える見通しだ。
 今後の阪神本線の運転計画としては、現在運転されている梅田−甲子園間を、26日から青木まで西へ延ばし、さらに2月中旬までには御影まで延はす。御影以西の復旧計画は策定できない状態だが、場合によっては全線開通に先駆けて、西灘−元町間を部分開業したいとしている。(朝日新聞)
■梅田−甲子園間に ノンストップ特急
 阪神電鉄は22日、梅田−甲子園間でノンストップ特急を臨時運行する。梅田発甲子園行きは8本、甲子園発梅田行きは4本。このほか急行と普通がそれぞれ12分間隔で出る。(朝日新聞)
23日■社説 JR奈良線複線化への課題
 JR奈良線(京都−木津間34.7`)の複線化を求める動きが高まっている。沿線住民・自治体の強い願いでもあり、早期実現を期待したい。
 昨年末には、京都府知事の私的諮問機関「府公共交通網整備研究会」の鉄道部会が、同線の高速化・複線化を提言した。これに先立ち、京都、宇治、城陽、奈良、井手、宇治田原、山城、木津の4市4町でつくる「JR奈良線複線化促進協議会」も、9万人近い署名を添え、JR西日本などへ要望書を出している。
 いずれも、関西学研都市や木津川右岸地域整備などによる輸送需要の増大を複線化の理由にあげる。城陽市・長池駅近くに2002年W杯サッカー会場が計画され、5万人規模の観客の足として「複線化が不可欠」との声も地元に強い。
 同線は、旧国鉄時代の1984年10月に電化されて以来、電車の本数、乗客とも着実に増加してきた。現在の運行本数は電化前から倍増。1日当たり輸送人員も92年度で4万6500人と、電化直後の85年度より77%増えている。
 とはいえ、近鉄京都線との格差は、依然著しい。例えば朝のラッシュ時の1時間当たり運行本数は、JR奈良線5本に対し、近鉄は16本、所要時間もJRの京都−木津が49分−68分に対し、近鉄はほぼ同距離の京都−西大寺が37分(急行)という実情だ。
 このため、先の提言は複線化と同時に高速化を掲げ、軌道の改修や駅設備改良、追い越し設備の設置など、スピードアップの具体策を提示した。また、輸送力増強、利便向上へ、宇治−新田間などの新駅設置や快速の増便などもあげた。もっともな提案といえよう。
 提言を受けた府は、JR西日本の事業決定と運輸大臣の認可を経て、来年度中にも着工をみたい意向という。
 だが、実現への課題になるのが、事業費の分担や事業の優先順位をめぐる地元自治体の対応であろう。全線の複線化には、用地買収や鉄橋改修などで数百億円を要するとみられる。それだけに、将来の輸送需要や投資効果を見通し、段階的に事業を進める方策が現実的だろうが、そうなると、事業内容や地元負担をめぐって、ここまでそろえてきた自治体間の足並みに、乱れが生まれかねない。
 また、事業化に対する微妙な温度差も気になる。宇治市は宇治駅改築や市内新駅設置などへ、事前調査を早くも実施する構えだが、京都市は複線化への具体的な動きに至っていないという。
 JR側の事業決定前に、これらの調整が欠かせないが、各自治体には、住民・利用者の納得できる方向を選択するよう、十分な検討を望みたい。(京都新聞)
■JR山陽線西明石−須磨などきょう復旧
 兵庫県南部地震で不通になっているJR西日本と阪急電鉄は23日から、新たな区間で運転を再開する。復旧するのは、JR山陽線西明石−須磨間と阪急今津線門戸厄神−今津間。(京都新聞)
■六甲トンネル損傷 新幹線 内壁100ヵ所以上
 阪神大震災で、山陽新幹線の新大阪−西明石駅間にある六甲トンネル(16250b)と神戸トンネル(7970b)の内壁などに、亀裂が100ヵ所以上も入っていたことが、22日までにJR西日本の調べでわかった。その長さは最大で数十メートルに達しているという。JR各社によると、これまで地震で新幹線のトンネルが損傷した例はない。今回の地震では、地震に強いとされてきた地中構造物の被害が相次いでおり、設計基準の見直しを迫られそうだ。
 JR西日本によると、六甲、神戸両トンネルについて、同社とJR東海、鉄道総合技術研究所の専門家が中に入り、目視で被害の状況を調べた。その結果、両トンネルのコンクリート内壁に、合わせて100ヵ所以上の亀裂が見つかった。
 六甲トンネルでは、長さ数十メートルにわたるものが3ヵ所あった。トンネル内部検査用の通路も、100b以上の範囲で多数の亀裂が入り、傾いたり段差ができていた。
 神戸トンネルでも、長さ数メートルの亀裂が1ヵ所見つかったという。
 同社によると、両トンネルとも、線路には異常はなかった。「亀裂はいずれも補修ですむ」としているが、必要な期間は、はっきりしていないという。
 損傷の程度が特にひどい六甲トンネルは「六甲断層系」を横切る形でつくられ、数本の活断層を貫いている。今回の地震は、この断層系の活動で起きたと考えられている。
 今回の地震では、神戸高速鉄道の地下トンネルが崩落し、神戸市営地下鉄でも三宮駅の鉄筋コンクリート支柱が約20本壊れるなど、地中構造物の被害が出ている。
 京都大工学部の柴田徹教授(土質工学)は「被害は想像をはるかに超えている。内壁に段差ができたり、一部でもはがれ落ちていれは、復旧は手間取るだろう。被害状況を徹底的に調べ、設計基準を考え直さなけれはならない」と話す。(朝日新聞)
■阪神台震災 どうなる保険金支払い 鉄道会社 特別立法を期待
 高架橋の落下や駅舎が倒壊した鉄道会社の被害額は膨大で、阪急は約800億円、阪神は約500億円。JR西日本も井手正敬社長が「3けたの億単位、それも上の方と覚悟している」と話す。政府の特別立法による助成を希望しているが、今のところ、復旧費用は自前で調達するしかない。
 土木構造保険というのもあり、台風の大雨による土砂成れや洪水などで橋脚が壊れたり崩れたりした場合は適用されるが、地震や戦争、テロによる被害には保険金はおりない。
 この保険にJR西日本は、昨年3月に初めて1年契約で加入した。地震はダメと分かってはいたが、「震災も対象だったらなあ…」。担当者は深いため息をついている。(朝日新聞)
■都市の生命線復旧へ急ピッチ 新大阪−姫路間にJRが直通の快速
 JR西日本は23日から、山陽新幹線や東海道・山陽線の代替ルートになっている福知山、山陰、播但線を増発し、3線を経由する新大阪−姫路間の直通快速を運転する。同区間は約4時間でつながる。
 大阪から三宮に向かうには、22日現在、鉄道3社の中で阪急が最も西まで復旧しており、西宮北口まで行ける。25日にはJRが芦屋まで、26日には阪神が青木まで運転を再開する見通し。青木から三宮までは約8`。阪神武庫川線も26日、復旧する予定だ。
 う回する方法として、JR福知山線と神戸電鉄、北神急行を乗り継げは新神戸までつながる。このルートは現在、最も神戸市の中心部と通じているため、週末には多くの人が利用した。福知山線では1時間に1、2本の臨時列車を走らせているが、23日以降は通勤客も増えることが予想され、JR西日本は臨時列車を運転する一方、時差通勤を呼びかけている。
 また、阪急や阪神、JRは、路線が復活している西宮市と三宮の間で、代替バスの運転も23日から始める。
 姫路方面から三宮に向かうには、JRの西明石−須磨間が23日に開通する。同社は今月末に神戸まで復旧する計画で作業を進めている。山陽電鉄は2月上旬、明石−霞ヶ丘間がつながる見込み。
 住宅地の多い伊丹、宝塚、西宮周辺から大阪への路線では、JRの福知山線や阪急宝塚線が完全復旧し、阪急伊丹線は伊丹と新伊丹をバスで代替輸送し、西宮北口までつながっている。
 しかし、西宮、宝塚両市境付近からは道路事情も悪く、交通手段が乏しいのが実情。この地域を走る阪急今津線は西宮北口−門戸厄神間が23日早朝から、西宮北口−今津も同日夕に運転が再開される。同線の全面復旧は月末になりそうだ。(朝日新聞)
■代替バスも発車 通勤者ら長い列
 「ようやく大阪へ通えます」。早朝の寒さにコートの襟を立てた会社員やOLが週明けの23日、神戸・三宮に長い列をつくった。阪神大震災で不通となっていた阪神地区で鉄道3社の代替バスが運行スタート。
 JRと阪神、阪急各電車の「臨時駅」はJR三ノ宮駅東約200bに”同居”。各社の職員がマイクで案内、午前6時半、一斉に始発バスが満員の乗客を乗せ大阪方面に走り出した。
 駅前には午前5時すぎから、ネクタイ姿の会社員やリュツクサックを背負った学生らが並んだ。6時すぎ、阪急バスに乗ろうと神戸市須磨区妙法寺、OL久保みゆきさん(24)が来たときは既に始発は定員を超え次のバスに回された。
 「昨夜のテレビで知って、朝一番に来た。大阪で経理の仕事をしているので、いま休むわけにはいかない」と久保さん。
 同区若草町、会社員落合康之さん(21)は「昨日の夜、車で大阪へ向かったが大渋滞で引き返した。カーラジオでバスの運行のことを知ってこちらにした。自宅から三宮まで出るのが大変なので、ウイークデーは大阪に泊まり、週末に家の片付けに帰ってきます」と話していた。(京都新聞 夕刊)
■須磨−西明石間 JR、運転を再開
 兵庫県南部地震で不通になっていたJR山陽線須磨−西明石間が23日午前の始発から運転を開始した。30`の徐行運転のため15分から20分程度の遅れが出るという。(京都新聞 夕刊)
■「運転士足りない」阪急、半数出勤できず 進む復旧の足かせ
 寸断された鉄路の修復が急ピッチで進むとともに、私鉄の阪急電鉄では運転士不足が深刻化している。神戸線に所属する約200人の運転士の半数以上が、神戸市などに居住しており出勤がままならない。他線の運転士を振り分けようにも習熟訓練をしなけれは乗務できない。近くその訓練に入ると運輸省には届け出たが、一朝一夕に人数が増えるわけでもなく頭を痛めている。
 阪急によると、神戸線の運転士約200人のうち、神戸市、芦屋市など被災地区に約150人が居住。家が壊れるなどして、出勤どころではないという。徒歩やJRなどを乗り継いで出勤している運転士も約50人いるが、やり繰りはきつい。
 同線の運転士は通常、梅田−三宮間を1日平均2.5往復程度の乗務だが、いまは運転距離が短くなったとはいえ、梅田−西宮北口間を倍以上で乗務している。21日からは神戸線の支線にあたる伊丹線の塚口−新伊丹間が、23日には今津線の一部区間も開通した。復旧が進めは進むだけ人繰りは苦しくなる状況となっている。
 運転士に負担が掛かり過ぎると「安全」にかかわる。とはいえ、輸送力増強の要望も強い。このため、近く宝塚線の運転士の習熟訓練を始め、少しずつ運転士を確保していくという。
 阪神も同じような状況だが、運転士約160人のうち約90人が出勤。「いつもよりは乗務時間は長いが、何とかやり繰りできる」。(朝日新聞 夕刊)
■迫られる新幹線の補強 もろかったラーメン構造 設計に余裕もたせる必要 阪神大震災
 阪神大震災(兵庫県南部地震)では山陽新幹線の高架橋が8ヵ所にわたって崩落し、新幹線の安全性に大きな凝問を投げかけた。崩落した高架橋は、いずれも「ラーメン(枠)構造」と呼はれる構造で、山陽新幹線だけでなく、東海道など他の新幹線でも広く使われている。復旧には4、5ヵ月かかる見通しだが、これをきっかけに、設計基準の見直し、既存の橋脚の補強対策などが求められている。
 JR西日本によると、高架橋が崩落したのは兵庫県の尼崎市内で3ヵ所、西宮市内で4ヵ所、神戸市内でも1ヵ所。このほか、高架橋にひびが入るなどの被害が2件。崩落区間は合わせて約580bに及んだ。
 崩落した高架橋は全部、鉄節コンクリート製で、4本または8本の橋脚を上部で連結、テーブルのようになったラーメン構造だった。
 大阪大工学部の松井繁之教授(橋りょう工学)によると、橋脚が1本1本離れている場合に比べて水平方向の揺れに強い。その分、橋脚は細くてすみ、建設費も安上がりという。
 さらに、1本が壊れても連結された他の橋脚が支えてくれるため、崩落などの大被害につながりにくいとされている。
 橋脚は、自重の2割の力で構から押されても壊れないように設計されていた。地震の横揺れの加速度に換算すると200−400ガル程度で、震度6の烈震にも耐えられる強さにあたる。
 しかし、今回の地震は神戸市の一部などで震度7の激震。JRの地震計で記録された加速度も最大616ガルで、旧国鉄時代を含めて最大だった275ガルの2倍以上だった。「上から重みのかかった橋脚が、設計基準をはるかに上回る横揺れを受け、せん断破壊が起こった」と、専門家の見方は一致している。
 ただ、設計の基準は古いものだった。1978年の宮城県沖地震の際、建設中の東北新幹線でひび割れなどの被害が発生、翌79年、せん断破壊防止のための帯鉄節の強化などが基準に盛り込まれたが、72年に一部開業した山陽新幹線には、それ以前の基準が適用されている。
 京都大工学部の家村浩和教授(耐震工学)は「これまで経験のない強い揺れだったとはいえ、設計の古さも崩壊の大きな要因。既存の橋脚についても、周囲に鉄板やカーボンファイバーを巻くなど、補強対策を考えるべきだ」と言う。
 今回の地震は始発の新幹線が走り出す前に起きたが、仮に12時間後だったら、高架橋が崩落した新大阪−西明石間を上下合わせて7本の「ひかり」「のぞみ」が走っていた。定員約1300人(16両編成)の車両が脱線すれば−。
 東海道新幹線では、沿線に置かれた地震計が最初の揺れを感知すると送電を自動的に止める、「ユレダス」システムを92年に導入した。
 しかし、このシステムを開発した鉄道総合技術研究所(JR総研)によると、新幹線が完全に止まるまでには1分半程度かかるという。時速270`の「のぞみ」では、停止までに2`以上走ってしまう。短時間に強い揺れが来る今回のような直下型地震では、高架橋が崩落した場合、列車の落下などを防げるとは言い切れないのが現実だ。
 走行中の列車が今回のような大地震に耐えられるかどうかも、確かめられていない。「高架橋などの構造物が壊れない限り、脱線しない、ということが設計の前提になっている」(JR総研)からだ。
 これまで、日本の橋の耐震性は世界最高水準といわれてきた。建物に比べ、地震による被害は極めて少なかった。しかし、今回は高速道路でも高架橋の崩落が相次いだ。
 東京大生産技術研究所の山崎文雄助教授(土木工学)は「日本の構造物は基準ぎりぎりの線を狙って建てられてきた。設計にもう少し余裕を持たせるよう、考え直すときなのかもしれない」と指摘する。(朝日新聞 夕刊)
■神戸−西宮バス始動 会社・買い出しへ列
 阪急西宮北口駅前のバス停には、救援物資を運ぶ人や、被災地にある会社に向かう会社員らが数百bにわたる列をつくった。神戸・三宮方面へのバスはほぼ15分おきに出ているが、2時間待ちの状態。三宮にある港運会社の社員(64)は「会社の業務はまったく機能していないと聞いているが、心配なので、様子を見にいきたい」と話した。
 午前6時過ぎに奈良市の自宅を出た弁護士小松英宣さん(50)はボランティア仲間6人と、神戸市内にある小学校に、トイレの消毒剤などを運びに行く途中。「においがひどく、衛生上、かなりひどい状態と聞いている。とにかく応援したかった」と話している。 着ぶくれたうえ、大きな荷物を持った人が多い。バスは観光用のを回したのが目立ち、1台に4、50人が乗ると満員になる。「もっと詰めて」の声がとび、「いつになったら乗れるのか」のため息も。
 三宮から来たバスが西宮北口前に到着した。乗客の1人、主婦野口弘子さん(36)は、神戸市東灘区内の知人宅を午前5時に出てバスに乗ったという。「大阪に近所の子の粉ミルクや皮膚炎を抑える塗り薬を買いに行きます。食べ物以外の物資は被災地の自分たちが調達するしかないのでしょうか」と、阪急電車に乗り継ぐため西宮北口駅へ急いだ。
 午前9時前に西宮北口前に着いた神戸市灘区青谷町の会社員高村芳憲さん(27)は「東へ向かう分はスムースに流れて三宮から1時問ほどで着いた。勤め先が大阪市内にあり、いつまでも休むわけにいかないので大阪市内の親類方に身を寄せます」と、毛布の包みを抱えて足早に駅を目指した。
 神戸市灘区の親類方を目指してバス待ちの列に並んだ大阪府大東市の会社員藤岡高治さん(59)は、両手に食品や医療品を詰めたバッグを抱えていた。「おいが長田区で焼け出された。ひどい様子を電話で聞き、何時間かかっても救援物資を届けたくて」。また西宮市から神戸のポートアイランドにある会社に出勤するという男性(40)は「家の片付けが一段落してやっと会社に行く余裕ができた。初出勤ですが、ほとんど無事な顔を見せるだけ」と話した。(朝日新聞 夕刊)
■激震から1週間 動きはじめた街
 阪急伊丹駅 駅ビルの1階部分が崩れ落ち、交番勤務の警官1人が死亡した阪急伊丹駅。屋上の駅にとり残された電車8両の撤去は終わり、大型クレーン車やパワーショベルなどを使ってホームの屋根やレールを撤去する作業が続いている。壊れたビルはほとんど手つかずの状態。そのわきで伊丹−新伊丹駅間を10分ごとにピストン輸送している代替バスを待つサラリーマンらが列をつくっていた。
 阪急電鉄によると、駅舎全体を建て直すには、設計段階からの検討が必要で復興までには1年半はかかるという。(朝日新聞 夕刊)
24日■不十分な鉄筋、耐震性落とす 阪神大震災 設計指示と相違 本格対策めど立たず JR調査団確認
 阪神大震災(兵庫県南部地震)で橋げたの落下など大きな被害を受けた山陽新幹線の橋脚部分が、設計図とは異なる”手抜き工事”になっていたことが分かった。JRの現地調査団が確認した。被害の引き金になったかどうかは不明だが、耐震性能を落としていたことは間違いない、という。国民が信頼し切っていた日本の動脈、新幹線。震災はその弱点を浮き彫りにした。
・簡単だった止め方
 手抜きがあったのは鉄筋コンクリート製橋脚の鉄筋の施工方法。
 同新幹線の橋脚には、垂直方向に何本もある鉄筋を束ねるため、帯鉄筋が15a間隔(東北、上越新幹線は10a)で巻かれている。帯鉄筋は地震などで大きな力がかかった時、鉄筋がばらばらになって橋脚が破壊されるのを防ぐ重要な役割がある。
 しかし、この結束方法が設計と異なっていた。設計では大きな力がかかった時、帯鉄筋が簡単に外れないように端を垂直の鉄筋の1本に巻き付ける形で固定するはずだった。
 ところが地震後、現地調査団が調べたところ、兵庫県西宮市を中心に発生した損傷個所の帯鉄筋は、両端を直角に曲げただけの簡単な止め方になっており、この部分が外れてしまっていた。
 建設当時の機材では、設計通りの方法で帯鉄筋を入れるのは手間が掛かることもあり、管理が厳しい現場を除いて、簡単な止め方が手抜きとも考えずに一般的に使われていたらしい、という。
 調査団のメンバーは「帯鉄筋の結束は不十分だった。設計図通りに結束してあっても壊れたかもしれないが、耐震性を落とす結果になっていたのは確か」と認める。
・崩れた地霊対策
 地震国の日本。昭和30年代から建設が始まった新幹線は当初から、地震対策が宿命づけられ、時代とともに厚みを増してきた。
 30年代から40年代にかけて建設された東海道・山陽新幹線は震度6 を想定し、橋脚部分などは自重の20%の横からの力に耐えられる設計基準だった。50年代にかかる東北、上越新幹線では25%に見直される。
 一番古い東海道新幹線は東海地震対策もあって、盛り土に杭を打ち込んだり、支柱に鉄板を巻き付けるなど補強措置が講じられた。「場所によっては基準を大幅に超える耐震性を持たせた」と国鉄時代から補強に携わった研究者。
 山陽新幹線も橋脚の補強はしてなかったが、落橋防止装置の装着は進んでいた。だが、装置をつけた橋げたも落ち、脈々と築き上げた地震対策はもろくも崩れた。
 地震発生当日の17日、JR東海の佐野守彦・新幹線鉄道事業本部副本部長は「JR西日本で高架橋が崩壊したケースはわが社では考えられない」と発言。JR各社や旧国鉄OB技術陣の反発を食らった。「軽々しくあんなことを言っていいのか」「慎重に原因を詰めなければならないのに、調査前からあんな言い方とは」。地震対策が崩れた衝撃は鉄道技術陣の間に不協和音となって広がった。
・どう説明したら
 「もし設計基準自体が不足していたなら、国民にどう説明すればいいのか。できたら、施工ミスとか地盤など原因が特殊化できればいいのだが」と旧国鉄技術者OB。
 JR関係者にとって、帯鉄筋の施工問題の判明は皮肉な朗報となりそうだが「本質的な問題は、想定以上の地震が来たことに尽きる」と東海道新幹線土木構造物調査委員会委員を務める西岡隆・筑波大教授は指摘する。
 「基準の3倍もの地震が来たのだから、設計を見直さなくてはならない。柱の太さを倍にしたり、鉄筋の数を増やしたり」と同教授。
 新幹線の総延長は2045`にも及び、整備新幹線への影響も避けられない。「作り直せとの声も出てくるだろうが、100年に1回の大震災にどれくらい費用を掛けるのか」(旧国鉄新幹線総局幹部)。
 JR東海の田中宏昌・新幹線鉄道事業本部長は23日の記者会見で話した。「(東海道新幹線を)震災前の同じ状況に戻すだけであれば1ヵ月で済むが、(本格的な)対策となるとどれだけかかるか…」(京都新聞)
■窓 集改札見直し不正乗車防げ 城陽市・斉藤 訓(田体職員・47)
 お正月に愛宕山へ登った。清滝から登り、水尾の里へ下り、JR保津峡駅まで歩いた。同駅は無人駅で車内で乗車券を求めるようになっている。
 3日午後4時38分発の京都行きに乗ったのは、われわれ親子2人と女の子のグループの5人ほどであった。車内も立っている人がないぐらいで、空席もある。それにもかかわらず切符を売りに来ない。結局、終着駅に着くまで来なかった。
 そういえば、保津峡駅の待合室には使用済みの乗車券がごみのように散乱していた。中には遠距離からの1区間の明らかに不正乗車に使用した切符も見受けられる。
 結局、近鉄乗り換え口に行っても精算できないため、一度駅の外へ出てから近鉄の切符を買うことになった。
 鉄道旅客の不正乗車がいろいろニュースになるが、不正乗車をさせない仕組みづくりよりも、基本的な乗車券の発売および集改札のシステムを確立することが大事である。
 乗車券の発売では、「金額表示(保津峡から230円区間行き)よりも行き先表示(保津峡駅から京都行き)」に改めるべきであるし、現在の技術をもってすれば可能と考える。そして、集改札システムでは、特に集札は確実に実施する方法を徹底しなければ、ただ乗りはなくならない。
 自動化を進めている私鉄もあるし、車掌が集札している路線もある。保津峡駅を利用してみて、JRの赤字が再発しないか懸念するようになった。(京都新聞)
■鉄道被害4120億円に 運輸省 復旧費補助固める
 運輸省は23日、阪神大震災による鉄道11社の復旧費用の見込み額が、合計4120億円にのぼることを明らかにした。運輸省は復旧費を補助する方針を固め、大蔵省などと調整に入っている。
 中小の鉄道には、鉄道軌道整備法の災害復旧補助金制度で対応できるが、現行制度のままでは、大手の阪急電鉄や阪神電鉄には適用しにくいため、今回に限って条件を暖和する特例措置や特別立法を検討している。日本開発銀行の低利融資も活用する考えで、経営規模が大きいため補助金支出が難しいJR西日本には、融資による支援が主体になる見通しだ。
 各社の被害額で大きいのは、JR西日本の1630億円、阪急の860億円、阪神の700億円。不通による運賃収入の減少分は含まれていない。
 鉄道軌道整備法の補助制度は、国と自治体が災害復旧費の半分までを負担するというもの。補助は、会社独自には復旧が著しく困難な場合に限定しており、復旧費が年間運輸収入の1割以上 鉄道事業と全事業の収支が、過去3年間で赤字、または災害後5年間の赤字が確実−という厳しい条件がある。
 赤字経営の中小鉄道が、災害によって路線廃止に追い込まれかねないような場合を想定している。最近では、集中豪雨にあったJR九州や、雲仙・普賢岳噴火で被害を受けた島原鉄道が補助を受けた。(朝日新聞)
鉄道の復旧費見込み
(運輸省調べ、単位・億円)
JR西日本1630
 (山陽新幹線 730)
 (在来線   900)
JR東海60
JR貨物40
阪急電鉄860
阪神電鉄700
神戸高速鉄道380
神戸市交通局200
神戸電鉄150
山陽電鉄70
神戸新交通20
大阪市交通局10
合 計4120
■JR(芦屋から甲子園口)あす開通 阪神(青木−甲子園と武庫川線の全線)も26日予定
 地震発生から1週間がたち、阪神地域の交通網が徐々につながってきた。しかし、代替バスや複数の鉄道路線を経由してう回するルートは混雑がひどく、全面復旧が待たれる。運輸省が23日現在の鉄道の被害状況と復旧見込みをまとめた。少しずつ運転区間は延びていくが、東海道線や山陽新幹線がつながるのは6月ごろで、阪神の御影−元町や神戸高速の新開地−元町などは具体的な復旧計画も立てられないほどの打撃を受けている。(朝日新聞)
鉄道の不通区間と被害と復旧見通し(23日現在 運輸省まとめ)
区 間主な被害復旧見込み
JR山陽新幹線新大阪−姫路高架橋倒壊4〜5カ月
 東海道線甲子園口−芦屋高架柱倒壊25日開通予定
  芦屋−住吉ホーム損傷2月20日前後
  住吉−灘高架橋倒壊4〜5ヵ月
  灘−神戸高架橋損傷検討中(1〜2ヵ月)
 山陽線神戸−須磨ホーム陥没1月中
  兵庫−和田岬電柱倒壊未定
阪急神戸線西宮北口−夙川橋脚破損6ヵ月
  夙川−王子公園高架橋落下3ヵ月
  王子公園−三宮三宮駅損傷6ヵ月
 伊丹線新伊丹−伊丹伊丹駅損傷1年半
 今津線門戸厄神−宝塚高架橋倒壊30日開通予定
 甲陽線全線高架橋倒壊3ヵ月
阪神本線甲子園−青木高架橋倒壊26日始発開通予定
  青木−卸影高架橋倒壊2月中旬
 武庫川線全線架線切断26日始発開通予定
神戸市交通局山手線全線トンネル損傷未定
 西神線新長田−板宿トンネル破損未定
神戸新交通ポートアイランド線全線高架橋倒壊未定
 六甲アイランド線全線高架橋倒壊未定
神戸電鉄有馬線湊川−長田土どめ壁崩壊6ヵ月
  長田−鈴蘭台線路沈下2 週間
  有馬口−有馬温泉のり面崩壊2ヵ月
神戸高速東西線新開地−元町電気設備損傷未定
  高速神戸−三宮電気設備損傷目標6ヵ月
  新開地−西代トンネル崩壊目標6ヵ月
 南北線全線大被害なし未定
山陽電鉄本線西代−霞ヶ丘線路崩壊陥没6ヵ月
  霞ヶ丘−山陽明石架線切断1週間
■ディーゼルカー不足 非電化の播但線・加古川線 代替ルートで大動脈に JR西日本 余裕なく増発できず
 阪神大震災で寸断された東海道・山陽線に代わって、兵庫県内のJR播但線や加古川線が、通勤の大動脈となった。2線とも電化されておらず、これまでは大型トラックと同じディーゼルエンジンを積んだ「気動車」で細々と運転していた。突然の主役交代でJR西日本は、このローカル線の増強に懸命だが、その決め手は気動車。「電化の波」に押されて減少気味とあって、自社線でも余裕のある所は少ない。兄弟会社のJR東日本や東海、四国にも助けを求め始めた。
 加古川市のOL(23)は23日、9日ぶりに大阪市北区の会社まで出動した。加古川駅午前5時37分発の加古川線の始発に乗り、谷川駅で福知山線に乗り換え、大阪駅についたのは約4時間後だった。「加古川駅では5両だった列車は、途中の西脇市駅で2両に。窓から乗り降りする客が出るほどの大混雑でした」と目を丸くした。
 被災で東海道・山陽線は寸断され、加古川駅や姫路駅から大阪駅への足は、福知山線が全線復旧となった21日まで事実上、断たれていた。23日は地震後初めての月曜日。通勤客がどっと押し寄せた。
 姫路−和田山間を走る播但線も始発から乗車率200%の大混雑。昼過ぎには広島や博多から東京方面へ向かう客が「う回」のためにホームにあふれ、約300人が乗車できない列車も出て、乗客からは「本数をもっと増やせ」の声も。
 JR西日本によると、加古川線や播但線は通常1日約50両でまかなっている。この日のために、金沢や岡山支社などに気動車の姫路集結を呼び掛けたが、各支社でも管内ローカル線の運転を減らすわけにもいかないため、集まったのはたったの8両。「とにかく増強したくても、車がない」と鉄道本部は苦り切る。
 同社の気動車の保有台数は約800両。国鉄時代の1970年代から同社の電化は急ピッチで進んでおり、その分、気動車は減少してきた。同社の幹部は「まさか再び、気動車が脚光を浴びるなんて、思いもよらなかった」と話している。(朝日新聞)
■電車にはねられ重傷 太秦で登校中の小1
 24日午前8時10分ごろ、京都市右京区太秦組石町の京福電鉄線路上で、同区太秦森ケ東町の市田雄亮君(7つ)=太秦小1年=が、四条大宮行き電車=中村彰利運転士(23)=にはねられた。市田君は右足を折るなどの重傷。電車は現場に約20分停車、後続が約15分遅れた。乗客約100人にけがはなかった。
 現場は京福太秦駅の西約10bで、太秦署によると、市田君は登校のため徒歩で線路を横断しようとしたといい、事故原因を調べている。(京都新聞 夕刊)
■激しい上下動が高架橋つぶした 運輸省まとめ
 運輸省鉄道局は23日、阪神大震災による山陽新幹線や私鉄の被害状況をまとめ、現場写真を公開した。新幹線の高架橋は多くが、上から押しつぶされたように壊れていた。地下鉄でも支柱が押しつぶされ、天井が崩れ落ちていた。運輸省によると、いずれも水平の揺れに加えて、上下に激しい力が加わったためという。現在の鉄道の耐震設計基準は、水平の揺れに対する基準が重視されているため、今後は上下の揺れに対する対策が求められそうだ。
 山陽新幹線では、六甲トンネル周辺など新たに被害が分かった2ヵ所を加え、11ヵ所で高架橋が落ちる被害があった。約7bの鉄筋コンクリートの柱が、地面にめり込むように押しつぶされたり、中に入っていた鉄筋をアメのように曲げながらずり落ちていたものが多かった。
 運輸省の専門家らによると、鉄道の破壊状況から水平方向に加えて、上下方向でも設計基準以上の力が加わった可能性がある。
 鉄道の耐震設計基準は、水平方向には自重の2割、上下方向にはその半分の1割の力に耐えるようになっている。専門家らは「これまで陸から離れた海底で起きた地震に備えて、水平の揺れを重視してきた。上下の揺れへの基準も厳しくする必要があるかもしれない」と話す。
 在来線や私鉄でも、高架橋に被害が多かった。JR東海道線では住吉−灘間2`で、阪急電鉄神戸線は西宮北口−夙川間0.2`で、阪神電鉄本線は青木−御影間2`にわたって、高架橋が壊れた。これらの被害で、約300両の車両が被害を受けた。
 地下鉄でも、神戸市営地下鉄で170ヵ所で支柱が破壊され、神戸高速鉄道の大開駅(神戸市兵庫区)は120bにわたって崩れ、付近のトンネルも530bにわたって支柱などが壊れるなど、上下動による被害が目立った。(朝日新聞 夕刊)
■ブルトレ運転再開へ 大阪・九州
 大阪−九州間の寝台特急(ブルートレイン)が、来週にも運転を再開する見通しだ。阪神大震災で広島や福山、九州と大阪を結ぶ直通列車は、現在、1本も走っていない。このため、JR西日本はJR九州と中国地方の利用客が乗車しやすく、東海道新幹線との接続もいい、臨時の運転ダイヤの策定について協議に入った。ただ、東京−九州間のブルトレの運転再開は、不通となっている東海道・山陽線の復旧までは困難な情勢だ。
 JR西日本の計画では、京都−長崎・佐世保間の「あかつき」、新大阪−西鹿児島間の「なは」のいずれか1往復で運転を再開。早期に2列車とも運行させたい考えだ。被災によって不通となっている甲子園口−須磨間は、代替ルートとなっている福知山、山陰、播伯の各線を走ってう回する。
 広島、福山で乗降しやすいように、下りは新大阪発の時刻を午後11時台に設定して、広島の到着を午前5−6時台にする。上りは、新大阪着を午前6時ごろとし、東海道新幹線への接続をスムーズにする計画だ。
 一方、東京−九州のブルトレについては関係のJR各社で検討しているが、路線が長大で、代替ルートの通過時間が朝のラッシュ時間帯に当たってしまうなど運転ダイヤの策定が難しく、再開のめどは立っていない。(朝日新聞 夕刊)
■代替バス運行開始 ポートライナー・六甲ライナー
 神戸新交通は24日から、不通になっている神戸市の中央部と人工島のポートアイランド、六甲アイランドを結ぶポートライナー、六甲ライナーの暫定代替バス運行を始めた。区間は神戸税関前−市民病院前(ポートピア大通り西側)と、御影本町三丁目(剣菱酒造前)−六甲アイランド北口。午前7時の市民病院前、アイランド北口発から、午後9時15分の税関前、御影本町三丁目発までの間、15分から30分間隔で運行される。大人200円、子ども100円。(朝日新聞 夕刊)
25日■政府が復興に本腰 鉄道など特別立法へ 基盤整備が急務
 政府は24日、阪神大震災被災地の激甚災害指定に伴い、本格的な復興対策に乗り出した。水道・電気の復旧や生活物資の確保など応急対策とは別に、寸断された交通網の復旧や被災地域の都市機能について、具体的な再建策を早急に示したいとしており、被災地救済のための特別立法制定などが今後の焦点になる。
 激甚災害の対象外となる港湾施設や、経営状況によっては鉄道軌道整備法による救済規定を受けにくい大手私鉄支援を対象にした新法の制定、阪神高速道路公団、公共性の高い企業への日本開発銀行の低利融資制度実現に向けた法改正など、新たな法整備が可能かどうか関係省庁を中心に検討を始めている。
 被災者救済のための措置としては、これまでに大蔵省が災害減免法、雑損控除制度など現行制度を適用、住宅や家財に損害を受けた人の所得税を減免する措置を取ったほか、厚生省が災害救助法で被災した遺族に最高500万円の弔慰金支給などを決めた。
 「総額10兆円を下らない」(貝原兵庫県知事)といわれる阪神大震災の被害の多くは新幹線、高速道路、港湾などの都市基盤に集中しており、都市の復興に必要な資金をどう手当てするかが、神戸市など関係自治体や政府にとって緊急な課題となっている。
 さらに、震災復興に向け94年度予算の予備費1000億円の支出を決めたほか、補正予算についても2月初めの94年度第2次補正予算案編成を目指して取り組みを急ぐ方針だ。(京都新聞)
■JR西日本、上場延期へ 東海を先に運輸省検討 大震災の損害響く
 運輸省は、1995年度に予定していたJR西日本の株式上場を延期する方向で検討を始めた。JR西日本は阪神大震災で1630億円に上る損害を受けたうえ、山陽新幹線や在来線の不通で運賃収入が大幅に減り、上場基準の達成が難しくなってきたためだ。運輸省は、JR西日本の上場を延期した場合、代わりにJR東海を95年度に上場する考えで、すでにJR東海に対して上場申請を準備するよう指示した。
 JR西日本が95年度に上場するためには、95年3月期決算で400億円の経常利益または税引き前利益を出す必要がある。昨年11月時点で予想していた経常利益は520億円だが、地震による利益の目減りが120億円を超えるのは確実とみられる。
 JR西日本は復旧費の公的補助を要望しているが、上場基準を満たすために国の補助金で利益を確保することはできない、というのが運輸省の判断だ。5月ごろに不通区間が全面開通したとしても、業績の見通しが不透明な段階での上場は投資家に不安を与え、売り出し価格や売れ行きに影響する、との理由もある。JR東海も阪神大震災で東海道新幹線に60億円損害を受け、運賃収入も減っているが、西日本に比べると被害は小さい。
 運輸省は、JR本州3社の全株を放出する完全民営化は3社同時とする方針で、JR西日本を96年度に上場できれは、JR民営化計画に大きな狂いは出ないとみている。(朝日新聞)
■ディーゼルカー貸し出し応援 JR東海
 JR東海は24日、JR西日本にディーゼル機関車2両、ディーゼルカー6両の計8両を貸し出す、と発表した。東海道・山陽線が寸断されたことで、電化されていない播但線や加古川線が代替ルートとして、通勤の大動脈となっている。JR西日本はこの2線の増発や大阪−九州間の寝台特急の運転再開を計画しているものの、ディーゼルカーが不足して困っていた。(朝日新聞)
■登校中の小1男児 列車にひかれ重傷
 24日午前8時10分ごろ、右京区太秦組石町の京福電鉄嵐山線太秦駅西側の軌道内で、同区太秦森ケ東町、会社員市田弘之さん(36)の長男、市立太秦小学校1年雄亮君(7つ)が、嵐山発四条大宮行きの列車(2両編成、乗客約100人)にひかれた。雄亮君は足や腹などに重傷を負った。列車は現場に約20分停止し、後続の1本が15分程度遅れた。
 太秦署の調べでは、雄亮君はランドセルを背負って登校途中だったという。(朝日新聞)
■JR芦屋まで運転再開
 阪神大震災被災地の企業の8割前後が25日、震災後初の給与支給日を迎えた。中には地震でコンピューターがダウンするなど、会社の機能が一時まひした企業もあり危ぶまれたが、手作業で準備を続けるなどして対応し、ほとんどの企業が予定通り支給。神戸市など被災地の銀行は、給与を引き出す客で一時、込み合った。企業の中には、取引金融機関の振り込み業務がストップのため、現金支給に切り替えたところも出た。一方、本社が焼失し、給料をもらうあてのない人も出た。
 この日、JR東海道線の不通区間の一部で運転が再開されるなど、交通機関やライフラインの復旧も急速に進んでおり、市民生活は全体として回復の軌道に乗りつつある。
 甲子園口(西宮市)−須磨(神戸市須磨区)間で不通になっていたJRは、25日始発から東海道線の甲子園口−芦屋(芦屋市)間6.3`の運転を再開。26日に、阪神電鉄が甲子園−青木(神戸市東灘区)間などで運転を再開。
 警察庁によると、25日午後零時45分現在、地震による死者は兵庫県5057人、大阪府13人の計5070人で、行方不明は69人。(京都新聞 夕刊)
■臨時通路に人波 JR芦屋駅 さあ大阪方面へ
 震災9日目の25日朝、JR神戸線の甲子園口−芦屋間約6`で運転が再開、阪神間と大阪方面との動脈の一つが息を吹き返した。朝のラッシュ時は、思ったより乗客は少なかったが、芦屋駅構内も地震のため、下り線が使えず、線路上にベニヤ板で張られた臨時通路を確保。乗降客が一緒に利用するため混雑した。
 大阪市内の商社に勤める神戸市灘区鶴甲のOLは「被害地域の社員は100人ぐらいおり、行きたくても行けなくて困っていました。これでやっと会社へ行けます」と笑類で電車に駆け込んだ。
 芦屋での午前8時半現在の乗車率は上下線とも100%前後で、通常のラッシュ時間帯より少なめ。午後にかけて、買い出しの人が増えるとみられ、かなりごった返しそうだ。(京都新聞 夕刊)
■阪神大震災 大規模開発、軒並み延期 地下鉄路線は半分に 神戸空港も数年遅れ
 阪神間で進められている大規模プロジェクトが、阪神大震災(兵庫県南部地震)のあおりで軒並み、凍結や完成延期に追い込まれている。神戸市の地下鉄計画は、採算面での不安と沿線の復興事業を最優先するために、計画距離を半分に縮小。国の予算で着工への道筋が示された神戸空港の開港予定も2、3年遅れる見通しだ。山と海の巨大開発などで発展してきた阪神地区の街づくりのスケジュールは一変しそうだ。
 計画変更が最も多いのは神戸市。三宮と新長田間約8`を結ぶ市営地下鉄海岸線の計画区間を、約半分に縮小する。沿線が地震で壊滅状態になり、全線建設しても採算面で不安が出てきたからだ。
兵庫県内の主な開発計画の見直し
施設名建設費計画場所見直し内容
神戸空港3000億円ポートアイランド沖3`2003年ごろの開港目標が2、3年遅れる
西宮マリナシティ2400億円西宮市の海浜地域2000年完成目標だが、見通しつかず
地下鉄海岸線1800億円神戸市の中央部計画区間約8`を半分に縮小
芸術文化センター400億円西宮市の阪急西宮北口駅南側1998年秋の完成予定時期を見直し
新国際会議場265億円ポートアイランド2期区当面凍結
 ドーナツ化現象が進む市中心部再開発の切り札として、昨年3月に兵庫区で着工したばかり。震災で沿線部の復興に費用がかさみ、建設事業費をねん出することが困難になったため、31日に予定されていた長田区内での工事入札も延期するという。
 「市の念願」とも言える神戸空港計画も例外ではない。1995年度の政府予算案に「着工準備調査費」(2000万円)が計上されたが、復興優先のため、「開港は2003年ごろより2、3年遅れそうだ」(神戸市幹部)。計画自体については「壊滅した市内の経済を回復させるためにも、空港建設は不可欠」と推進の姿勢を崩していない。
 神戸市のポートアイランドを沖合に拡張する2期工事の核として、97年に着工予定だった新国際会議場の建設も凍結される。マルチメディアの活用や3000平方bの多目的ホールなどが売り物で、新年早々に計画を発表したばかりだった。
 「当面、新規プロジェクトに支出する余裕は全くない」と市幹部は話す。今後、被災者の市民税減免や、家屋の倒壊などによる固定資産税などの激減が予想されるからだ。山を削って海を埋め立てる「神戸商法」のペースが落ちるのは必至だ。
 兵庫県などの事業にも影響が出ている。
 阪急西宮北口駅前に計画されている4つのホールをもつ芸術文化センターは、98年秋に完成する予定だった。だが、駅前は住宅倒壊などで大打撃を受けた。貝原俊民知事は「周辺が復興しないのに、センターだけが建つのはどうか。全体の調整が必要」と再検討を示唆する。
 明石海峡大橋が開通する98年春の完成を目指している「淡路島国際公園」の建設も、遅れそうだ。震災でいたんだ周辺道路の復興が長引く恐れがあるためだ。尼崎市との協力で、同市の海岸部約330fを再開発する計画も、市の財政事情ひっ迫で具体化が遅れ気味。同市幹部は「不況に加えて今度は震災。ダブルパンチだ」と語る。
 民間プロジェクトも事情は同じだ。西宮市の海浜地区に、住宅メーカーなどが約24fのリゾート地を建設している「西宮マリナシティ」。震災後、建設現場につながる西宮大橋が通行止めになったままだ。完成は2000年の予定だが、開発の担当者は「現場の様子すらわからない」と嘆いている。
■神戸市地下鉄 全線復旧に1年以上
 阪神大震災で、神戸市営地下鉄(新神戸−西神中央、22.7`)の構造を支える柱のうち、200本近くに大きな被害が出ていることが、25日までの神戸市の調べで分かった。全線復旧には少なくとも1年から1年半はかかると市は見ている。復旧費は約200億円を見込んでいる。
 市によると、三宮、上沢、新長田の各駅で、合わせて約70本のコンクリート製の支柱にヒビが入ったり、鉄筋がむき出しになっていた。特に三宮駅では、大きな余震があれば地上の道路が陥没しかねないという。
 また、新長田駅と湊川公園駅の間の3.3`では、上下線を仕切るコンクリート製の中柱約100本が同じような被害を受けていた。
 市では現在運行している区間(西神中央−板宿、13.9`)を新長田まで1.2`復旧させるのに半年、さらに新神戸駅までの全線が使えるのは1年から1年半かかると見ている。(朝日新聞 夕刊)
■春闘めぐり労組苦慮JR西労組「一時凍結」を決定
 阪神大震災は、間もなく労使交渉の本番を迎える春闘にも重苦しい影を投げかけている。労働側の大勢は「春闘は春闘としてきちんと取り組んでいく」(芦田甚之助・連合会長)だが、「春闘どころではない」と、すでに取り組みの「一時凍結」を決めた労組もある。被害状況が明らかになるにつれ、交渉時期を遅らせたり、賃上げ要求を断念したりする組合も出てきそうだ。
 地震の発生直後から、被災地の各単組はもちろん産業別の各単産も、組合員の安否の確認や義援金集めなどに追われている。
 そんな状態の中で、例年、ストの行方が注目される私鉄総連は26日に中央闘争委員会を開き、春闘方針を協議する。焦点は、被害の大きい阪急電鉄と阪神電鉄の両労組が大手労組の中央集団交渉や統一ストに参加するかどうか。大手各社の大幅な運賃値上げの申請もあって、「被災地の住民感情を考えれば、両労組をスト対象から除外することもやむをえないのでは」という声が他労組からも出ている。
 山陽新幹線などに大きな被害が出たJR西日本のJR西労組は、先に「非常事態声明」を発表。「会社の赤字転落は確実で、発足以来の危機だ」とし、復旧のメドが立つまで震災対策を最優先して、「春闘の取り組みは一時凍結する」ことを明らかにした。春闘関係の会議はすべて中止または延期する方針。上部団体のJR連合の出井勝彰会長は、「要求断念まではないと思うが、減収見通しなどをよく聞いてみないと…」と言う。
 全国港湾労組協議会の坂野哲也議長は「神戸港は壊滅的。中小の港運会社はつぶれる恐れもあり、春闘どころではない」と話す。ほかの労組には「神戸の仲間のためにも頑張ろう」と呼びかけているものの、一部には「シュンとなる春闘にならざるをえない」と弱気の声もある。
 神戸市長田区では、全国シェアでかなりの割合を占めるという靴の部品製造など中小のゴム工場が、火災で大きな被害を受けた。それらの労組が加盟するゴム労連では「要求さえ出せない組合もあるだろう。各組合の考えをよく聞いて対応を検討したい」と言う。
 神山製鋼所では、神戸製鉄所の高炉が停止し、本社ビルも使用不能状態で、団体交渉の場所もないため、労組の要求提出や支渉が遅れるのは必至。鉄鋼労連の檜皮谷壹保書記長は「交渉ピッチを速めてもらえば、大手5社の統一回答は維持できる。ただ、一時金には影響(格差)が出るかもしれない」と懸念する。
 ゼンセン同盟では、スーパーのダイエーなどで非組合員を含む34人もの死者が確認された。災害担当のある役員によると、春闘方針を論議した先の中央執行委員会では、発言がほとんどなく、「例年の、さあ頑張っていこうという雰囲気がまるでなかった」そうだ。
 このほか、自動車総連や電機連合は、一部に要求を断念する組合があるだろうとしながら、「大手の交渉にはほとんど影響がない。それ(地震)はそれ、これ(春闘)はこれで行く」と話している。
 一方、全国労働組合総連合(全労連)は、被災者の救援のため、加盟労組の全組合員に対して、「賃金一日分の拠出を」と義理カンパを呼びかけている。(朝日新聞 夕刊)
■「安全総点検を実施」 国労中央委で委員長
 国労の中央委員会が25日、東京・八重洲の国労会館で開かれた。あいさつで永田稔光委員長は、国鉄清算事業団(旧国鉄)との間で争っていた202億円の損害賠償請求訴訟と国労会館の明け渡し訴訟が昨年末に和解解決したことについて、「残るJRの採用差別事件などを解決するための土俵ができた」と評価。
 また、阪神大震災に触れて「安全面の緊急総点検を展開する」と述べるとともに、政府に対して、新幹線などの鉄道高架の耐震設計基準を全面的に見直すよう求めた。(朝日新聞 夕刊)
■阪神高速 環状線全線が開通 JR甲子園口−芦屋も
 25日午前零時から開通するのは、阪神高速環状線の全線のほか、池田線の梅田入り口−環状合流(南行き)と環状土佐堀−梅田出口(北行き)、堺線の津守−環状合流(北行き)と高津−津守(南行き)、東大阪線の環状合流−森之宮(東行き)。
 これで堺線も全線開通。東大阪線は環状線以東の東行きが通れる。西行きは緊急輸送車優先の規制があり、近畿自動車道から入る車しか走れない。
 運転不通となっていたJR東海道線の甲子園口−芦屋間が、25日始発から運転を再開する。これに伴い、甲子園口−三ノ宮間の代替バスは芦屋−三ノ宮間に変更となる。また「新快速」も同日から米原、京都−大阪間で運転を始める。(朝日新聞)
■JR甲子園−芦屋が復旧 阪神高速環状線に車戻る 死者、5070人に
 不通になっていた阪神高速環状線など「交通の動脈」が、25日開通し、大阪市内の中心部を走る高速道路に8日ぶりに車が戻った。阪神高速堺線の全域や名神高速の一部でも通行止めが解除され、地震の発生以来、渋滞することが多かった大阪の幹線道路の流れはこの日朝、かなりスムースになった。一方、兵庫県の被災地では、他府県や近隣の市への被災者の引っ越しが本格化。市民生活も再生に向けて動き始めた。
 阪神高速環状線を走る車は、朝のラッシュ時間帯も少なく、流れは日曜日なみの順調さ。神戸、池田、守口各方面に連絡する路線がまだ通行止めになっているためで、大阪市内中心部の出入り口でも渋滞はなかった。
 JR東海道・山陽線は不通になっていた甲子園口−須磨間のうち、甲子園口−芦屋間が25日の始発から運転を再開。運転区間がわずか6.3`神戸寄りに延びただけだが、大阪から神戸市内などへ救援物資を運ぶ人や通勤する客らで、早朝から混雑した。
 阪神の甲子園−青木間と武庫川線も26日から開通する見込み。
 神戸市内では、不通が続いている神戸新交通ポートアイランド線と六甲アイランド線の代替バスが24日から運転されたのに加えて、25日からはJRの神戸−須磨間を結ぶ路線バスが運行を再開した。
 警察庁などのまとめによると、25日午前11時45分現在の地震による死亡者は、新たに7人増えて5070人(うち兵庫県5057人、大阪府12人)。行方不明者は兵庫県だけで69人。(朝日新聞 夕刊)
26日■神戸で震度4 京都3
 25日午後11時16分ごろ、近畿地方を中心に地震がおった。各地の震度は神戸、西宮が4(中震)、大阪と京都が3(弱震)、洲本、舞鶴と彦根が2(軽震)だった。大阪管区気象台によると、震源地は兵庫県東部で、震源の深さは20`、マグニチュードは4.7だった。兵庫県南部地震の余震とみられる。
 この地震で東海道新幹線下り4本が京都駅と京都新大阪間で停車した。阪急電車神戸線は運転を見合わせたが、午後11時50分から徐行運転を再開した。また京都線、宝塚線でもダイヤに乱れが出た。阪神電鉄でも梅田−甲子園口間など全線で運転を中止した。
 また、名神高速の西宮−京都東間上下線が通行止めとなった。
 その他の震度は次の通り。
 震度2=奈良、豊岡、鳥取、北淡町(淡路島)▽震度1=和歌山、岡山、徳島、高松(京都新聞)
■JR上田辺駅周辺の区画整理変更を承認 府都計審 高架化ゴー
 京都府都市計画地方審議会(会長・天野光三京都大名誉教授)が26日、京都市内のホテルで開かれた。綴喜郡田辺町のJR上田辺駅と近鉄三山木駅周辺の鉄道高架化に伴う土地区画整理事業の変更など、11件をいずれも原案通り承認した。
 近接する両駅の一帯を整備する事業で、当初はJR、近鉄両線はそのままで、これを横切る幹線道路を地下にくぐらせる計画だった。制度改正で高架化に国の補助金が導入できるようになり、土地の有効活用のため計画を変更。事業費180億円、2006年の完成。
 延伸工事中の地下鉄烏丸線松ケ崎駅(京都市左京区)で駅と一体化した駐輪場を設ける計画も認められた。(京都新聞)
■JR西日本 株式上場に黄信号 震災被害で基準達成微妙
 運輸省などが1995年度の株式上場を計画しているJR西日本は、阪神大震災の被害により上場基準の達成が微妙となり、来年度上場に黄色信号が点灯してきた。
 同省は、来年度上場を前提に、さまざまな支援策を検討しているが、証券業界は、収益見通しが不透明なまま上場を強行すれば昨年上場した日本たばこ産業(JT)株と同様に、投資家の証券市場離れを加速する可能性もあると、慎重な対応を求めている。
 運輸省は、JR西日本の震災被害に対する復旧費用を1630億円と見積もっている。救済策として国と地方自治体が費用の半分を補助する鉄道軌道整備法の特例適用や特別立法制定、日本開発銀行による低利融資などを検討中だ。
 しかし、この補助金を受けると、原則として年5%以上の配当ができなくなり、上場後の10%配当という上場基準に抵触する。受けなければ、山陽新幹線不通による減収を考慮すると、期末の経常利益または税引き前利益が400億円以上という基準を満たせない恐れも出てくる。
 政府や東証が、補助金の配当規制の緩和などの特例を認めれば上場は可能だが、「被害額や業績に対する影響が確定しないうちは何を言っても仕方がない」(大蔵省証券局幹部)としており、政府の最終方針の決定は5月ごろになる見通しだ。
 市場関係者の間では「上場基準だけが問題ではない。旅行需要の落ち込みは避けられず、大減収も予想される。業績の見通しがはっきりするまで延期するのが筋では」(証券系調査機関)と、来年度上場に批判的だ。(京都新聞)
■「安全神話」粉々に 地下鉄 耐震基準の強化急務 大動脈を寸断 経済に大打撃
 地下鉄の安全性については、これまでハイウェー以上の神話があった。しかし、その安全神話も今回の震度7の激震の前に崩れ去った。
 「地下鉄が地震で壊滅するなど、日本はもちろん世界中でも聞いたことがない」。東村衛・神戸市交通局長は、今でも信じられないといった表情だ。
半年で開通を
 阪急、阪神と山陽の各私鉄間を結ぶ神戸高速鉄道は、大開駅構内で地上の国道28号が陥没したため、トンネルの天井部分が押し、つぶされて崩壊、支えていた柱35本が折れ曲がった。他の2ヵ所でも、230本の支柱にヒビが入り、新開地から阪急三宮に向かう高架部では橋げたが落下した。
 同鉄道の試算では、被害額は480億円にのぼる。落下した橋げたを取り除くなどの復旧工事はすでに始まっており、中田善司社長は「神戸市民の大切な足なので、半年後には全線を開通させたい」と決意を語った。
 一方、新興住宅地と繁華街の三宮やJR新神戸駅を結ぶ神戸市民の足・市営地下鉄は、三宮、上沢、新長田の各駅付近で、計170本の支柱がヒビ割れし、コンクリートが剥(はく)落、中の鉄筋が露出した。真ん中辺りが異常に膨張した支柱もあり、地震の縦揺れで想像を絶する力が上下から加わったことを物語っている。
 市交通局によると、支柱の大半は補修して使えるといい、すでに修復工事が始まっている。しかし、全面復旧までには、早くても1年はかかる見通しで、工事費は200億円にのぼる予定。
 全面復旧までの間は、被害のなかった区間で折り返し運転をするが、利用客の大半を占める三宮方面への通勤・通学は当分の間、不自由を強いられそうだ。
 市交通局の説明では、市の地下鉄設計基準に耐震の項目はなかった、という。他都市の地下鉄も同様だといい、東村局長は「今回の被害を目の当りにし、改めて耐震設計の基準を設ける必要性を痛感した」と話している。
 市営地下鉄を持つ京都市交通局によると、日本土木学会のトンネル標準示方書で、地下鉄は地震の際、周囲の地盤とともに揺れて地上の構造物のように大きな力が加わらないため、特殊な場合を除いて地震の影響を考慮に入れなくてもよいとなっており、この基準を取り入れている自治体が多いという。(京都新聞)
■青木まで開通 朝夕に特急も きょうから阪神電鉄
 阪神大震災以来、不通だった阪神電鉄甲子園(西宮市)−青木(神戸市東灘区)間が26日始発から運行を再開する。震災後、初めて朝夕に特急が走る予定で、同社は「梅田−青木間のダイヤは平常の80%まで戻った」と話している。
 JR東海道線は26日始発から甲子園口−芦屋間のラッシュ時の時間当たりの運行本数を8本から10本に増やす。山陽線は31日までに神戸−須磨間が復旧する予定。(京都新聞)
■阪神電鉄 甲子園−青木を再開 JRなど新大阪−姫路バス運行へ
 阪神大震災の発生から8日たった25日、被災地では倒壊したビルや高速道路のとりこわしが進み、町なかには商用車や会社員の姿も目立ち始めた。26日には不通になっていた阪神電鉄の一部区間の運転が再開するなど、大阪−神戸間の交通の使がさらに改善される。
 阪神電鉄は本線の甲子園−青木間と武庫川線の全線(武庫川−武庫川団地前)で26日始発から運転を再開する。本線は大阪・梅田−神戸・青木間がつながることになる。これに合わせて、同社は代替バスルートを本線に近い国道43号沿いに変更する。
 西日本JRバスと神姫バスは27日から、不通になっている山陽新幹線新大阪−姫路間で、直通バスを運転する。同日に開通見込みの中国自動車道と播但連絡道を使って、約2時間で走る。始発は新大阪発午前8時40分、姫路発が同6時半で、1日10往復。JRの新幹線、在来線の切符や定期券を持っていても「代替扱い」されず、片道1600円の運賃が必要となる。
 警察庁などのまとめによると、地震による死亡者は25日午後10時45分現在で5074人(うち兵庫県5060人、大阪府14人)。行方不明者は兵庫県でなお61人いる。(朝日新聞)
■須磨−神戸間開通しても 新長田・鷹取駅は素通り JRが見通し
 阪神大震災で不通になっているJR山陽線の須磨−神戸間の運転再開を計画しているJR西日本は25日、同区間の途中駅である「新長田」「鷹取」のホーム損傷が予想以上にひどくて復旧に手間取るため、来週初めにも予定されている開通時、2駅を電車が素通りし、1本も停車させることができない恐れがある、との見通しを明らかにした。神戸市長田区と鷹取駅のある須磨区は被害がひどく、計約1万1000軒が損壊、焼失し、約6万7000人が避難所での生活を強いられている。JRは代替バスの運行や、2駅の中間に仮駅を設けるなどの検討に入った。
 JRによると、新長田駅はホームが傾斜しているうえに、いたるところで陥没が起きている。鷹取駅も陥没がひどい。
 須磨−神戸間は通勤電車が走る「電車線」2本と、寝台特急などが走る「列車線」2本の複々線となっている。「電車線」は線路が波打つ状態で復旧に時間が掛かるため、JRは「列車線」を使って運転を再開する考え。ところが、「列車線」にはホームがない。仮設のホームを造ろうにも、新長田駅は高架橋上にある。鷹取駅も線路が盛り土で高い位置にあり、ともに仮駅設置は難しいという。(朝日新聞)
■「地下鉄は安全」神話崩壊 対策練り直し 全国事業体の技術者が調査
 全国の地下鉄事業体の技術者で組織する「地下鉄技術協議会」が、阪神大震災でトンネルの天井崩落などの被害を受けた神戸市内の地下鉄の現場調査を開始した。復旧作業に協力するとともに、被害データを収集する。第一陣は大阪市交通局の技術陣で、25日、神戸市営地下鉄の不通区間を視察した。帝都高速度交通営団(東京、営団地下鉄)や名古屋市交通局も今後、調査に加わる意向。各事業体とも「地震に強い」とされてきた地下鉄の安全神話を再検証し、地震対策を練り直す考えだ。
 「地下鉄技術協議会」は札幌、横浜、名古屋、福岡の各市営地下鉄など、約10事業者の土木、防災技術者らで組織している。定期的に会合を持って技術交流を図っている。
 25日は、協議会の幹事である大阪市交通局の土木や防災の技術者ら五人が、不通となっている新神戸−新長田間を視察した。今後、ほぼ全線が地下軌道となっている神戸高速鉄道も検証する予定だ。
 阪神大震災によって、神戸高速鉄道では、神戸市兵庫区の大開駅付近のトンネル天井部を支える柱が約30本も押しつぶされるように折れ曲がり、上を走る国道が陥没した。神戸市営地下鉄も三宮駅などで柱の鉄筋がむき出しになったり、トンネル側面に亀裂が入ったりした。大阪市交通局や営団地下鉄の技術陣によると、ロサンゼルスやメキシコの大震災でもこうした被害は出ていないといい、「世界で初めての被害」状況となっている。
 これまでトンネルなどの地下構造物は、地震が起きても地面と一緒に揺れるため、「地震に強い」とされてきた。地震対策は各事業体によってばらばらで、対策を講じていない事業所もある。(朝日新聞)
■私鉄 阪神は独自春闘 労組が集団交渉離脱へ 震災への対策優先
 阪神大震災で鉄道網に壊滅的な打撃を受けた阪神電鉄の労働組合(高羽宣夫委員長、組合員約2400人)が25日の組合委員会で、私鉄総連の大手9社で行ってきた春闘の中央集団交渉から今年は離脱し、時期を遅らせて独自に行う方針を決めた。同労組が集団交渉から離脱するのは初めて。集団交渉の中核的な労組だっただけに、地震の被害が春闘の足並みにも影響することになった。
 組合委員会は今年の春闘方針を正式に決めるため開かれた。執行部からまず、輸送機関に従事する企業の労組として、地域住民の足の確保と被災した組合員の救済と支援に全力をあげるべきだとの考えが示された。
 高羽委員長は26日に開く私鉄総連の中央闘争委員会(大手労組の委員長らで構成)に出席し、離脱決定への理解を求める。阪神労組では正式には2月3日の拡大中央委員会で離脱を決め、鉄道の復旧と被災者の救済の目鼻がついた時点で改めて賃上げを要求するという。
 私鉄の春闘は、阪神、阪急電鉄、東武鉄道など大手9社の労組と経営側が集団で交渉して相場を決めてきた。
 一方、阪急電鉄の労組(大埜雅彦委員長、同約5500人)は23日の執行委員会で、従来通り中央集団交渉を行うと決めた。(朝日新聞)
■松山−大阪の夜行バス再開 きょうJR四国
 JR四国は26日から松山−大阪間の夜行バス「どっきん松山号」の運行を再開する。同号は一部不通になっている阪神高速道路(池田線)の代替として近畿自動車道(吹田−東大阪間)を使い、阪神高速道路東大阪線(森ノ宮出口)経由で難波・堺方面に行く。(朝日新聞)
■神戸へ鉄道つながる 阪神、青木(東灘)まで開通 大震災から9日ぶり
 阪神大震災の被害で高架の橋げたが崩れるなどした阪神電鉄本線は、26日の始発から甲子園(兵庫県西宮市)−青木(神戸市東灘区)間が9日ぶりに運転を再開した。梅田(大阪市)−甲子園間は既に運転されており、震災後初めて大阪と神戸市の一部が鉄道で結ばれた。
 特急や急行も運転された。同市の中心、三宮地区まで全線開通のめどは立っていないが、前日に芦屋(同県芦屋市)以東で動き出したJR東海道線と合わせ、阪神間の動脈は徐々に回復してきた。
 また、27日午前7時からは中国自動車道も全線で開通する予定で、道路網の復旧も進む。
 この日の阪神電鉄の電車は大阪方面に通勤する会社員や、逆に被災地に救援物資を届けるリュック姿の人らで最高150%ほどの乗車率。一部区間で徐行のため5分程度の遅れが出た。
 大阪、神戸間の鉄道は阪神、阪急、JRの3線がともに高架橋崩壊などの被害を受けた。阪神以外の全線の開通見通しは、阪急は王子公園(神戸市灘区)以西が未定。JRも一部区間は4、5ヵ月先になるという。
 阪神は同日、西宮市内を走る武庫川線(武庫川−武庫川団地)も全線で運転を始めた。(京都新聞 夕刊)
■阪神電車 神戸へ 甲子園−青木間ガレキの街走る
 阪神大震災(兵庫県南部地震)から10日目の29日、最も多くの犠牲者を出した神戸市東灘区に震災後初めて電車が走った。甲子園以西が不通になっていた阪神電鉄の本線は、運転区間を約9`延はし、震災でがれきとなった青木(おおぎ)駅周辺に朝の出勤風景が戻った。交通網に加え、ガス、水道などの復旧も徐々に進んでいる。
 阪神はこの日、本線の甲子園−青木間と武庫川線で、運転を再開した。前夜の余震直後から、作業員約50人が線路や高架橋などの点検作業にあたり、始発からの再開にこぎつけた。余震で一時運転を見合わせた東海道新幹線では、約30人が新大阪駅の「列車ホテル」で、夜を明かした。
 一方、兵庫県内の水道は神戸、宝塚市などで復旧が進んでいるが、芦屋市はまだ98%余の世帯が断水。神戸市で約半数、西宮市でも約8割など、7市3町の約62万世帯で断水が続いている。(朝日新聞 夕刊)
■鉄建公団に支援要請 被害深刻な阪神・神戸高速・神戸電鉄 自社の要員では復旧困難と判断
 阪神電鉄、神戸高速鉄道、神戸電鉄の3社は26日までに、日本鉄道建設公団(鉄建公団)に復旧の支援を要請した。阪神大震災で、3社の被害額は紺1710億円にも上り、自社の技術陣と要員だけでは復旧は困難と判断した。鉄建公団は近く、復旧計画の策定や作業要員の派遣などに乗り出す方針だ。
 日本鉄道建設公団法は、鉄建公団の業務主体を整備新幹線や片福連絡線といった新線建設と定めている。今回の支援は、運輸省が特例として初めて「災害復旧」を認めたことから実施される。
 阪神は、本線の御影(神戸市東灘区)−西灘(同市灘区)間で高架橋が8ヵ所落下しているほか、路盤が盛り上がったり橋脚が折れたりしており、いまだに修復計画も立てられていない。被害額も当初約500億円とみていたが、調査を進めるほど額が膨らみ、現在の推計では鉄道収入の約2年分以上にもなる700億円となっている。
 また、神戸高速は神戸市兵庫区の大開駅付近で地下トンネルの柱が30本以上折れるなどして、約380億円の被害を受けた。神戸電鉄も長田(同市長田区)−湊川(同市兵庫区)間のトンネルの天井が崩れたり、橋脚に亀裂が入ったりするなど、被害額を約150億円とみている。いずれも、自社だけでは復旧作業が長期化するため、各種の鉄道施設の技術が最高な鉄建公団へ支援を求めた。(朝日新聞 夕刊)
■値上げを申請 北大阪急行と阪堺電気軌道
 大阪市郊外の千里中央−江坂間を走る北大阪急行電鉄(本社・豊中市)と、大阪市と堺市を結ぶ路面電車の阪堺電気軌道(本社・大阪市)が26日、運賃値上げを近畿運輸局に申請した。3月初めの実施を希望している。北大阪急行は1989年4月以来、阪堺電気軌道は89年11月以来の値上げとなる。関西の私鉄では、すでに近鉄など5社が運賃値上げを申請しており、これで申請が出そろった。
 申請によると、北大阪急行は、2`までの初乗り運賃を80円(現行60円)に、2`を超え4`までは100円(80円)、4`を超え6`までは120円(110円)に値上げする。定期と回数券の割引率は据え置く。直通運転している大阪市営地下鉄御堂節線へ乗り継ぐ場合には、2社にまたがる区間の運賃から10円(小児は5円)を割り引く制度を新設する。
 阪堺電気軌道は、大阪、堺両市の市内乗り切り運賃を200円(現行180円)に、住吉駅などで乗り換えるか、大阪、堺両市にまたがって乗る運賃を280円(250円)にすることを申請した。定期は平均15.1%値上げする。(朝日新聞 夕刊)
■新型車両で温泉の旅を
 JR西日本は3月17日に予定するダイヤ改正に合わせて、北陸線の特急に新型車両57両を導入、「スーパー雷鳥」を1日7往復から12往復にふやすなど、サービス改善をはかる。
 新車両は「雷鳥」をもじって「サンダーバード」型(681系)と名付けられ、先頭部を鋭角に切ったダイナミックなデザインが特徴。在来線最高の時速160`運転を想定した性能を持ち、当面は最高130`で走る。試作車9両と合わせて681系はこれで計66両となり、新型車両を使う8往復は「スーパー雷鳥サンダーバード」という新名称になる。
 このダイヤ改正に伴って大阪−金沢間の所要時間は最短で8分短い2時間29分となる。さらに始発、終発時刻の繰り上げ、繰り下げで北陸の温泉地での滞在時間を伸ばすことが可能になり、同社は「温泉の旅をゆっくり楽しんでほしい」とPRしている。(朝日新聞 夕刊)
27日■阪急三宮まで4ヵ月で開通 菅井社長 復旧へ全社一丸
 阪急電鉄の菅井基裕社長は26日の記者会見で、阪神大震災によって大きな被害を受けた神戸線など鉄道線の復旧見通しについて説明。「全線が元通りになるのは、少なくとも6ヵ月かかる見込みだが、費用などは自助努力で乗り切りたい」と語った。
 菅井社長が示した復旧見込みによると、神戸線の西宮北口−夙川間が6ヵ月またはそれ以上、夙川−岡本間が約3ヵ月、御影−王子公園間は2月末ごろ、王子公園−三宮間は約4ヵ月。また、甲陽線全線が3ヵ月、今津線全線が2月6日ごろまで−となっている。
 このうち、神戸線の御影−王子公園間は、他の復旧を待たず2月末から運転を再開。王子公園−三宮間は、できるだけ三宮に近い地点まで復旧を急ぎ、その地点からUターン運転とする。御影から大阪方面へは、最寄りのJR線、阪神本線の駅までバス輸送する。
 伊丹線は、全壊した伊丹駅の再建に1年半はかかるため、伊丹駅から300bの場所に仮駅を置いて塚口まで結ぶ。この方法だと1ヵ月半で復旧できる、としている。
 水損被害などがあった、宝塚歌劇は大劇場が3月末、バウホールが2月末に、営業を再開する。
 菅井社長は「こういう時こそ、一丸となり会社を新生する気で事に当たりたい」と意気込みを語り、鉄道の復旧費用は「先に示した860億円よりは、少なくなりそうだ」との見通しを明らかにした。
 阪神間を走る阪急は、神戸線の西宮北口−夙川間で、道床が線路ごと崩壊するなど約20ヵ所で被害を受けた。伊丹線、今津線も同様で26日現在、西宮北口−三宮間など計4線区が不通になっている。(京都新聞)
■国道43号にバスレーン 震災復興 あすから専用で実施 西宮−三宮間 1時間で連絡
 近磯地方建設局は26日、阪神大震災(兵庫県南部地震)で倒壊した高速道路の橋脚などの撤去作業がほぼ終了した国道43号に、バス専用レーンを新設することを決め、28日から実施する。これにあわせてJR、阪急、阪神の3社は、現在の代替バスとは別に「急行バス」や「ノンストップ便」を同国道で運行する方針。1日約4万人が利用する3社の代替バスの輸送力が増強され、所要時間の大幅短縮が実現しそうだ。
 阪神高速神戸線の復旧のめどが立たないなか、これまで阪神間を結ぶ動脈は、事実上、国道2号だけだった。しかし、2号は緊急輸送道路として一般車両の通行が規制され、被災地域の住民は交通の便の悪さに泣かされてきた。同建設局は、地震から10日がたち、活発になってきた市民活動を重視、新しい市民の足確保が必要と判断した。
 バス専用レーンが設けられるのは、神戸・三宮から西宮市西宮本町までの約17`区間。通行可能な車線が少なく、狭くなっている神戸市深江地区と同市岩屋地区−三宮間はバス専用にし、西宮市から大阪方面(4車線)にかけては一般車両にも開放する。
 この措置に関して建設省は「とにかく、市民活動を少しでも普段の状態に近づけるため、通勤、通学などの時間を短縮することを優先した」と話している。
 専用レーンを使った代替バスが運行されれば、三宮から西宮北口まで、これまで片道3時間あまりかかっていた国道2号ルートに比べ、所要時間は約2時間短縮される見込み。
 近畿運輸局は現在の2号ルートの運行もそのまま続ける方針で、被災者の利便性は大幅に高まりそうだ。
 また、緊急輸送道路である国道2号の混雑を緩和するため、警察庁と阪神高速道路公団は、28日から阪神高速湾岸線の大阪−神戸・魚崎浜出入り口間の通行を再開することを決めた。(朝日新聞)
■全線開通に6ヵ月以上 阪急神戸線
 阪急電鉄の菅井基裕社長は26日、大阪・梅田の本社で被災後初めて記者会見し、鉄道の復旧見通しを明らかにした。計画では、西宮北口−三宮間が不通となっている神戸線は全線開通まで6ヵ月以上かかるが、電車の走行が可能な区間は部分開業を進め、来月末にも御影−王子公園間の運転を再開する。
 また、宝塚−門戸厄神間が運休中の今津線は来月6日を全線開通の目標とし、駅舎が崩壊した伊丹駅も3月中旬には仮駅舎を南寄りに造り、新伊丹−伊丹間の運転を再開する方針だ。これらの復旧費用は約860億円にのぼるという。(朝日新聞)
■神戸の地下鉄被害 浅い部分に集中 設計基準の見直し必至
 阪神大震災によって、地下鉄のトンネル内で起きた柱の破損や天井の崩落は、地下の浅い部分ほど被害の大きいことが、神戸市営地下鉄、神戸高速鉄道などの調べで分かった。地表から掘り進んだ後で埋め戻す開削工法で造られており、トンネルの上に埋め戻した土と、下の地盤とが違った揺れ方をした可能性があるという。運輸省も注目しており、設計基準の見直しの焦点になりそうだ。東京や大阪でも、早くできた地下鉄は浅い場所を走っており、補強対策が必要になるとみられる。
 神戸市交通局によると、市営地下鉄山手線の三宮駅では、地下1、2階にある約30本の柱が壊れ、鉄筋がむき出しになった。しかし、地下3階には目立った損傷はなかった。
 地下1階の天井は地表からわずか3b下。これに対し、地下3階は地下約20bにつくられている。
 また、上沢駅では、地下1、2階とも約40本の柱が壊れたが、地下1階の方がひどかった。
 神戸高速鉄道では、大開駅付近でトンネルの柱が30本以上折れ、天井が陥没した。被害区間の深さは2.5−5b。地下8bの湊川駅など、より深い区間では被害はなかった。
 両線とも、地表から掘り下げ、ふたをする開削工法で建設された。トンネルの大部分は、地下数メートルの比較的浅いところを通っている。
 柱はいずれも、斜めに割れる形で壊れており、高速道路や新幹線の高架橋の橋脚の壊れ方と似ていた。このため、「埋め戻した土が、下の地盤と別の動きをして壊れたのではないか」という見方が強い。
 京都大工学部の柴田徹教授(土質工学)は「地震の揺れは、地表に近いほど強まる傾向がある。周囲の地盤と一体となって揺れるため地震に強いという地中構造物の特長が、浅い場所ほど薄らぐのも確かだ」と言う。
 東京の営団銀座線や丸の内線、大阪市営御堂筋線なども開削工法で建設された。銀座線、丸の内線は地下5.9−11.3b、御堂筋線も大部分は地下3−4bを走っている。
 運輸省鉄道局技術企画課では「浅い部分でたしかに、地上の高架橋と同じように壊れている。開削トンネルの地震に対する強度について再検討したい」と言っている。(朝日新聞)
■園児バスと列車が衝突 鹿児島、2人死亡
 26日午前8時40分ごろ、鹿児島県喜入町中名(なかみょう)のJR指宿枕崎線瀬々串−中名駅間の樋高(てだか)踏切で、西鹿児島発喜入行きディーゼル列車(4両編成)と、同町一倉の一倉保育園の通園用マイクロバスが衝突し、バスは約50b引きずられて左中央部が大破した。乗っていた園児14人は救急車やパトカーで鹿児島市内の病院などに運はれたが、2人が死亡、2人が意識不明の重体、9人が重軽傷を負った。県警指宿署は、バスを運転していた同町町議で園長の弓指(ゆみさし)正幸容疑者(59)を、業務上過失傷害と道交法違反容疑で現行犯逮捕した。(朝日新聞)
■阪神大震災 中国道が全通 規制で渋滞20` 東西の物流が直結
 阪神大震災(兵庫県南部地震)発生以来、一部区間が不通になっていた中国自動車道は27日午前7時、10日ぶりに全線開通した。被災後、東西を結ぶ初めての高速道路で、寸断されていた物流が復活する。一部区間で1車線の対面通行規制をしている影響もあり、午前11時半すぎには、上り車線で宝塚東トンネル付近を先頭に19`、下り車線で同18`の渋滞が出た。また、う回する車で近畿自動車道の上り車線が吹田を先頭に22`、名神高速の下り車線が吹田インタを先頭に30`の渋滞。
 中国自動車道の開通に伴い、西日本JRバスと神姫バスは共同で、同自動車道と播但連絡道を使って、不通になっている山陽新幹線新大阪−姫路間を結ぶ直通バスを運行させた。利用客が多く、乗り切れない乗客も出た。
 第二神明道路は28日午前零時から、神戸・須磨−伊川谷間が開通し、緊急物資輸送のため一般車の通行規制はあるものの、全線が通行できるようになる。
 JR西日本は27日から、山陽新幹線や東海道・山陽線の代替ルートになっている播但線の姫路−和田山間にノンストップの快速を1日2往復増発した。
 兵庫県内の水道は、芦屋市と西宮市の大半や神戸市のほぼ半数など計約60万世帯で断水が続いている。ガスの供給が止まっているのは大阪府の一部を含めた約85万世帯。電話は約2万回線が今月中に応急修理される見込み。(朝日新聞 夕刊)
28日■一般会計7950億円 府の95年度当初予算案 地下鉄東西線、異例の援助
 荒巻禎一京都府知事は27日の定例記者会見で、1995年度当初予算案の概要を明らかにした。一般会計の予算規模は約7950億円で、対前年度当初比5.5%増だが、肉付けした6月補正後と比べ1.7%減になるとの見通しを示した。阪神大震災に伴う府防災計画の大幅な見直しや、建設費が膨張している京都市の地下鉄東西線建設に向け、第三セクターに2年間で約40億円の貸し付けなどを盛り込む。
 荒巻知事は、来年度予算編成方針を示した中で、見積もった府税収入は「約2700億円と、バブル期の91年度より700億円も減収する」との見通しを説明した。府政史上初の3年連続減収で「財政環境は極めて厳しいが、第4次府総合計画の推進防災計画の見直しは進めなければならない」と強調した。
 主な事業としては、府防災計画を全面的に見直す方針で、関係費用をはじめ災害予備費の増額や通信体制の整備、救援網の設置などを計上する。
 また、京都市の地下鉄東西線建設支援について荒巻知事は「府県が政令都市の地下鉄建設にここまで踏み込んで貸し付けるのは異例だが、市のひっ迫した事情を考慮した」と述べた。
 このほか、2002年に予定されているサッカーのワールドカップ(W杯)に関連して、新たに建設するスタジアムについて「JR長池駅や第二名神に近い城陽市富野に25−30fの用地確保ができることになった」として基本設計費を予算化する。「Jリーグも念頭に置きながら、将来、生涯スポーツのメッカにしたい」との考えを示した。
 2月定例議会には、全国で初めて開発などへの行政指導を盛り込んだ「府行政手続き条例」案を提案することも明らかにした。(京都新聞)
■JR西日本などが ノンストップバス 鉄道不通区間
 JR西日本、阪急電鉄、阪神電鉄の3社は、通行止めになっていた国道43号が28日から全線開通するのを受けて、阪神間の鉄道不通区間で走らせている代替バスに、ノンストップ便を追加し、28日始発から国道43号経由で運行を始める。
 ノンストップバスは、これまでの代替バスに比べ、いずれも約20分の時間短縮になるという。3社の運行計画は、JR(芦屋−三宮)が午前6時から午後10時半まで3−5分間隔で、1日計430便。阪急(西宮北口−三宮)が午前6時半から午後10時まで4−20分間隔で165便、阪神(青木−三宮)が午前6時半から午後10時まで3−10分間隔で340便。
夜間寝台特急 10日から運転 JR西日本
 JR西日本は、阪神大震災の発生以来、全面運休していた夜間寝台特急(ブルートレイン)の運転を30日始発から再開する。福知山、山陰、播但の各線を経由するう回ルートを利用、通常より約3時間半多くかけて関西と九州をつなぐ。
 運転が再開されるブルートレインは「なは81、82号」(新大阪−熊本)と「あかつき81、82号」(京都−長崎・佐世保)。両特急とも、7両編成で、運転は1日1往復。「なは」の下りは新大阪午後9時21分発、「あかつき」の下りは京都午後8時2分発。乗車券は30日午前10時から発売する。(京都新聞)
■JR東海 上場難しい情勢 来年度 新幹線の減収響く
 JR東海の須田寛社長は27日の記者会見で、阪神大震災の影響で、東海道新幹線は1日あたり約20%の5億−6億円の収入減となっていることを明らかにした。このため、来年度に株式上場する場合の基準である448億円の経常利益を今年度あげることは難しくなっているとの見通しを示した。JR西日本も来年度の上場が困難視されており、旧国鉄の長期債務返済の柱の一つであるJR株の処分計画は大きく狂うことになる。
 東海道新幹線は大阪府内で高架橋に被害を受けたが、程度は比較的軽く、20日には開通にこぎつけた。現在、東京−新大阪間のダイヤはほぼ平常通り運行している。
 しかし、山陽新幹線の一部区間が不通のため、九州、中国地方への旅客を中心に、輸送量が減少。前年同期と比較すると小田原−静岡間で「ひかり」80−85%、「こだま」90%、名古屋以西では「ひかり」65−70%、「こだま」80%にまで落ち込んでいる。山陽新幹線の復旧は6月初めごろと見られており、単純計算でも今年度分の減収は360億−440億円に上る見通しだ。
 さらに、復旧費の支出も加わるため、今年度の経常利益は事業計画で目標にした554億円はもちろん、来年度に株式上場する場合の基準である、資本金(資本金1120億円)の4割の448億円を確保することも難しくなっているという。
 須田社長は「もともと山陽新幹線への直通旅客は20%あり、この減少分が直接響いた形だ。今後経費の節減に一層努力するが、かなり厳しい状況だといわざるを得ない」という。(朝日新聞)
■代替バス立ち往生 新大阪−姫路間 渋滞で打ち切り
 不通になっている山陽新幹線の新大阪−姫路間の代替輸送として27日朝から運転を始めた高速バスが、中国自動車道のあまりの渋滞のひどさに途中で運転を打ち切った。予定通りの区間を走ったのは1本もなく、最寄りのJRの駅で乗客を降ろしたり、運転を取りやめたりした。バス会社は28日もJR福知山線の三田駅と姫路駅間にコースを変更して再挑戦するが、当初の目的の「代替」機能は果たせない。
 高速バスは27日から、西日本JRバスと神姫バスが運転を始めた。新大阪−姫路間を約2時間で結び、1日10往復を予定していた。利用客の期待も多く、始発便は両駅とも約150人が3台に分乗、乗り切れない人も出た。
 ところが、姫路駅午前6時半発の始発便3台は、中国道に入った途端に渋滞に巻き込まれ、ノロノロ運転に。午後5時半過ぎになっても、西宮名塩サービスエリア付近までしか進めなかった。乗客のほとんどはあきらめて、サービスエリアから徒歩で最寄りのJR西宮名塩駅まで歩くなどした。1人だけが、姫路駅に引き返すバスで戻った。
 一方、新大阪午前8時40分発の始発便3台は、大阪・池田インタから中国道に入る予定だったが、こちらもインタに向かう渋滞で立ち往生。午後2時過ぎになっても池田インタに入れないため、運転をあきらめ、新大阪駅に引き返した。利用客の途中下車が相次ぎ、引き返した時は約30人に減っていた。
 JRバスと神姫バスは午後2時40分以降のバスの出発を断念。渋滞に巻き込まれているバスにもJR福知山線の三田駅への行き先変更や引き返しを無線で連絡し、利用客約1100人に運賃を全額払い戻した。
 28日はコースを三田−姫路間に変更して、1日10往復運転する。所要時間は1時間半。バス会社の担当者は「あんまり当てにならない」と話している。(朝日新聞)
■ブルトレ運転 30日から再開
 JR西日本などは、全面運休していた大阪−九州間の寝台特急(ブルートレイン)の運転を30日から再開する。新大阪−熊本間の「なは」と、京都−長崎・佐世保問の「あかつき」で、いずれも1日1往復。阪神大震災で不通になっている区間は、福知山、山陰、播但の各線をう回する。被災後、近畿と中国、九州方面を結ぶ直通列車が走るのは初めて。
 「なは」の下りは午後9時21分、上りは午前6時33分に新大阪を発着、「あかつき」の下りは午後8時2分、上りは午前9時57分に京都を発着する。東海道新幹線への接続をスムーズにするためのダイヤ設定となった。座席の発売は30日午前10時から。(朝日新聞)
■神戸高速大開駅 乗客30人、間一髪 崩壊直前に列車通過
 阪神大震災で被災した地下鉄構内の神戸高速鉄道大開駅(神戸市兵庫区)のホームの上の天井が崩れ落ちる直前、乗客約30人を乗せた山陽電鉄(本社・神戸市長田区)の特急列車が通過していた。17日朝の地震でホーム中央のコンクリート柱が大破して天井がずり落ちたが、列車はわずか数秒前に通過、幸いけが人はなく、間一髪のところで惨事を免れた。山陽電鉄は「通過駅だったのが幸いしたが、それでも時間がずれていたら…」と胸をなでおろしている。
 山陽電鉄運転課の話によると、この特急は東二見駅(兵庫県明石市)発阪急三宮駅行きの6両編成。神戸、大阪方面に向かう通勤客約30人が乗っていた。地震発生1分前の17日午前5時45分、定刻通りに大開駅の1つ手前の高速長田駅を発車、スピードは時速58`だった。大開駅は通過駅で、地震発生と同じ午前5時46分に通過した。
 畝本忠則運転士(49)によると、列車の先頭車両が大開駅のホーム東端から90bほど行き過ぎたところで、大きな横揺れを感じた。前照灯が消え、目の前は真っ暗になった。とっさに制動レバーを前に倒し、非常ブレーキをかけた。列車は約100b走って停車。ホームから列車の最後部まではわずか100bだった。1両目と2両目の車輪が脱線していたが、乗客は乗務員の誘導で地上に逃れ、無事だった。畝本運転士は「何が起きたか分からなかった。でこぼこ道にほうり出されたような振動だった」という。
 大開駅は、地震で上下線の中央にあるコンクリート柱約40本が押しつぶされ、厚さ50aのコンクリート天井が約120bにわたって3、4bもずり落ちた。列車の長さは114b。停止位置、制動距離からみて、畝本運転士が構揺れを感じた時、最後尾の車両(長さ19b)はホームを抜け切っていなかったとみられる。(朝日新聞)
■西宮−三宮 直行バス きょうから運行
 阪神大震災(兵庫県南部地震)で、高速道路の高架部分が倒壊した国道43号のがれき撤去作業がほぼ終わり、28日、バス専用レーンに西宮、芦屋方面と神戸市中心部の三宮を結ぶ「ノンストップ便」が運行される。寸断された鉄道の代替手段だ。山陽電鉄も不通になっていた一部区間で運転を再開、交通網の復旧は順次進んでいる。しかし、27日朝に全線開通した中国自動車道は深夜まで渋滞が続いた。
 「ノンストップ使」はJR西日本と阪急電鉄、阪神電鉄の3社がそれぞれ各社ごとに運行する。運転区間はJRが芦屋−三ノ宮間(予定所要時間約45分)▽阪急が西宮北口−三宮間(同60分)▽阪神が青木−三宮間(同40分)。運行時間はJRが午前6時−午後10時半、阪急と阪神は午前6時半−午後10時で、3社とも日中は10−20分の運転間隔だが、朝夕のラッシュ時は3分間隔にする。
 代替バスはすでに、23日から国道2号などを使って運行を始めている。1日約4万人の利用があるものの、国道2号などの「救援道路」では復旧作業や緊急車両の通行が優先されるうえ、一般道路の渋滞が重なり、片道3時間かかる時間帯もある。バス専用レーンは、市民の足の利便性を少しでも高めてもらうために設けられた。
 一方、全線開通した中国自動車道を使って、西日本JRバスと神姫バスが山陽新幹線新大阪駅−姫路駅間で共同運行した直通バスは渋滞のため、10往復20便のすべてが途中で運転打ち切りか、出発見送りとなった。28日からはJR福知山線三田駅−姫路駅間にコースを変更する。
 第二神明道路は28日午前零時から、神戸・須磨−伊川谷間が開通。また、山陽電鉄は27日午後5時半、不通となっていた山陽明石−霞ヶ丘(神戸市垂水区)間の運転を10日ぶりに再開した。(朝日新聞)
■阪神大震災 耐震基準 「縦揺れ」を考慮せず
 阪神大震災は、死者・行方不明者が5000人を超え、損壊した家屋が9万棟近くにのぼる戦後最悪の被害をもたらした。「関東大震災級に耐える」という前提で築かれた「街」は打ち砕かれ、鉄道、高速道路の復旧には、年単位の日数が必要だ。「想定外」という言葉で、この惨状を説明できるのか。過信はなかったのだろうか。
 夜明け前、JR西日本の中島康正道転士(33)は、特急「スーパー雷鳥」を運転していた。
 電車区から始発の神戸駅に向かう途中。時速約90`で三ノ宮駅に近ついた。「突然、ドーンと真上に突き上げられるような衝撃を感じた。大きな石か何かに乗り上げたと思った」
 脱線。ヘッドライトが消え、窓の外に、もうもうとした砂煙だけが見えた。非常ブレーキが自動的にかかり、列車は2、300b暴走して止まった。
 JR西日本の運行責任者梅原利之鉄道本部長(55)は神戸市東灘区の自宅でふとんの中にいた。
 揺れが収まると、すぐまくら元の置き時計をみた。
 午前5時46分。「新幹線が走り出す前でよかった」と思った。
 山陽新幹線の始発列車博多行き「ひかり131号」は、新大阪駅14番ホームに入っていた。14分後に発車の予定だった。
 西に8`離れた尼崎市からその先の神戸市にかけて、計9ヵ所で高架が崩れていた。新大阪から現場まで数分。速度は最高時速220`に達する。急ブレーキをかけても、止まるまで70秒、2.4`かかる。
 地震が起きれは、新幹線は自動的に送電が止まり、その場で非常ブレーキがかかる仕組みになっている。12両、総重量720dの列車が、崩壊現場に突っ込んでいたら……。悪夢がJR関係者を打ちのめす。
 この瞬間の揺れを、神戸市灘区の神戸大学工学部地下トンネルの装置が記録していた。
 南北方向の加速度270ガル、東西方向305ガル、垂直方向447ガル。
 初めて数字を示された時、建設省の技術幹部は絶句した。「装置の故障ではないのか。日本で100ガルを超える垂直加速度が観測されたことは記憶にない」
 建設省の調査団は今回の地震について、最大で約600−800ガルの揺れがあったとし、約300−400ガルとの推定がある関東大震災を上回ったと発表した。これは構揺れの水平方向の加速度の数値だった。調査団は、縦揺れの垂直加速度には触れなかった。
 「設計鉛直(垂直)震度は、原則として考慮しないものとする」
 建設省が橋の耐震基準を定めた通達「道路橋示方書(しほうしょ)」の第4章に、設計の際には縦揺れの穀響を考慮しないと明記されている。
 建設省が橋の耐震基準を定めた通達「道路橋示方書」には、横揺れ対策として、「耐震基準0.2」が規定されている。構造物自体の重さの20%の力がかかっても、壊れないという数字だ。今回、倒壊した阪神高速道路神戸線もこの基準に沿って造られている。
71年に縦揺れを削除
 1923(大正12)年の関東大震災では、都内のほとんどのビルが瓦解(がかい)したが、丸の内の日本興業銀行本店は無傷で残った。この建物が約0.13という耐震基準で設計されていたため、それを上回る0.2という横揺れの耐震基準が一律に決められた。
 道路橋の耐震基準も、大地震のたびに地域や地盤の特性も加味して改定され、高められてきた。
 縦採れについては、阪神高速神戸線を含め、道路橋はある時期まで0.1という強度を持たせていた。しかし、71年の基準改定で縦揺れ基準は消えた。
 建設省の担当者によると、「縦揺れの影響は軽微なのに、それを設計に反映させるとなると、金と手間がかかる」との理由だったらしい。示方書の策定に当たった専門家も、「設計段階での計算がわずらわしかったという言葉につきる」と説明する。
 「最近では、コンピューターの中でモデル化した構造物の揺れ具合を計算する。その揺れのデータは過去に起こった強震の横揺れ成分だけを使う。経験のない縦揺れは加味しなくてもいいだろう、という流れになっている」
影響無視し検証せず
 鉄道の高架橋も同じような経過をたどった。
 関東大震災を機に国鉄は耐震設計を導入した。道路橋と同様の基準だったが、66年に国鉄が山陽新幹線の建設にあたって作成した「新幹線鉄筋コンクリート構造物設計要項」には「鉛直方向の地震荷重は一般に考えない」と書かれている。
 コンクリートの構造物は、もともと縦揺れに対しては十分な強度を持っているとして、無視しても問題はないとされてきた。実際に地震で揺さぶられた場合、縦揺れが及ぼす影響は検討されてこなかった。
 地震翌日、ヘリコプターで山陽新幹線の被災現場を見た元国鉄技術者の松本嘉司・東京理科大教授は「今後は縦方向の力を設計に採り入れなければならないかもしれない」と語った。
 ビルやマンションの耐震設計でも、関東大震災を機に定められた「耐震基準0.2」という数字が基礎となっている。
 日本の土木建設の世界では、すべての構造物について、「関東大震災級の地震に耐える」という表現が使われ続けてきた。
 しかし、そもそも関東大震災の加速度はどうであったのか。その測定装置がなかった時期の出来事とあって、明確ではない。
「自信がなくなった」
 89年に米西海岸を襲ったロマプリータ地震では横揺れで橋げたが落ちたペイブリッジや高速道ばかりが注目され、震源近くの縦揺れによる家屋や橋の被害には目が向けられなかった。「ロマプリータを真剣に考え、日本も反省すべきだった」という声がいま、専門家の間に広がっている。
 地震発生直後、耐震工学の第一人者、東大名誉教授の伯野元彦氏は米テレビ局CNNのインタビューを受けた。「これまで日本の構造物は大丈夫だと言い続けてきて、すまないと思わないか」と聞かれ、「私もどうしていいかわからない。自信がなくなった」と答えた。
 伯野氏は今回の被災地を2度見て回った。「耐震工学は経験則の積み上げで進歩する。今回、反省すべきところは素直に反省して真実に迫るという姿勢が最も必要だ」と語っている。(朝日新聞)
■国道43号にバス専用道 鉄道不通区間 20−30分短縮か
 阪神大震災で倒壊した阪神高速道の高架の撤去が進んだのに伴い、28日から国道43号にバス専用レーン(西宮市−神戸市灘区)が設定された。
 JR西日本、阪急電鉄、阪神電鉄は同日から43号を利用する新路線のバスを運行。従来の路線と同じく、神戸市の三宮までの鉄道不通区間をカバーし、所要時間が20−30分短縮される見通し。各社の運行するバスは1日計約520便だったのが、同1400便に大幅に増便される。(京都新聞 夕刊)
■部分開通へ 車両運び込む 阪急神戸線
 震災で西宮北口駅以西が寸断されている阪急神戸線で、部分開通させるため、28日朝、車両が陸路から王子公園駅に運び込まれた。
 車両4両を搭載したトレーラーが、大阪府摂津市の正雀車庫から4時間半がかりで到着。午前8時前から、1台目の滑車部分が160dクレーンでつり下げられ、線路内に搬入された。1時間半後にはえんじ色のボディー部分が滑車の上に取り付けられ、車両1台が完成した。(京都新聞 夕刊)
■大阪と中四国結ぶ貨物列車 う回ルート設定 来月下旬に運転再開
 阪神大震災で分断されている東京・大阪と中四国・九州を結ぶJRの貨物列車が2月下旬にも運転を再開する見通しとなった。東海道・山陽線に代わる「う回ルート」の設定について、JR貨物とJR西日本の両社が合意した。最短のう回ルートは旅客列車が優先されるため、京都から鳥取を回って岡山に抜ける。大阪以西の輸送力は現在、代替のトラック輸送を合わせても被災前の約10分の1以下に落ちており、生鮮品値上がりの一因になっている。
 震災以来、大阪以東と中、四国を結ぶ貨物列車は1本も運転されていない。両社によると、最短のう回ルートである福知山、播但線経由は、旅客列車の運転ダイヤが過密になっているため、京都から山陰線で伯著大山(鳥取県)を回って、伯備線で倉敷(岡山県)に行くルートを取る。来月下旬から、とりあえず1日1往復(最大積載量約500d)で発車の予定だ。
 山陰線の城崎(兵庫県)−伯著大山は単線のうえ、電化もされていない。このため、列車がすれ違うには貨車の連結が最大10両(同約250トン)で、ディーゼル機関車でけん引するしかない。通常ルートに比べて距離で約2.2倍、所要時間は13時間で約10時間も余計にかかる。
 運転再開に1ヵ月も要するのは、JR貨物の乗務員の訓練のためだ。同社の運転士にとっては山陰線の単線区間などは初めての区間となる。運輸省令ではこうした場合、一定の習熟期間が義務づけられている。
 被災前、東海道・山陽線は1日約5万dの輸送力があり、中四国・九州間から、大阪・東京方面に野菜や化学薬品などを運んでいた。震災後は寸断された鉄路に代わり、トラックや貨物船で約4000dの荷物を運んでいる。しかし、輸送力不足や道路渋滞などによる到着時間の遅れが探刻になっている。(朝日新聞 夕刊)
■「貴婦人(SLやまぐち号)」工場で被災 修復めど立たず 観光地は「困った」
 「貴婦人」の愛称で親しまれているJR山口線の蒸気機関車(SL)「やまぐち号」(車体名=C57 1)も阪神大震災で被害を受けていた。神戸市で定期検査中に被災したもので修復の見通しは立っていない。やまぐち号は山口県小郡町−島根県津和野町を定期的に運行する全国で数少ないSL。思わぬ災害に関係者は、祈るような気持ちで復活を待っている。
 JR西日本の鷹取工場(神戸市須磨区)によると、やまぐち号は昨年12月3日、4年に1度の定期検査のため同工場に入った。ボイラーや車輪などを外して点検、修理したあと、2月3日に小郡町の運転区に帰る予定だった。
 地震が起きた17日は、組み立て作業の途中で、動力部のボイラーを載せた車体を数本のジャッキで支えていたが、揺れで崩れ落ち、車体の一部がひずんだ。機関車に接続する炭水車も傾き、一部が傷んでいる恐れがある、という。
 3月下旬を予定していた運行開始の延期は避けられない。
 鷹取工場の羽田充・工程管理科長は「機関車の部品は特殊で、交換は難しい。最悪の場合、もとに戻らない可能性もあり、作業再開のめども立たない。残念だ」と語る。
 年間約3万人がやまぐち号で訪れる津和野町の中島巌町長は「観光客が多い津和野はSLとは切っても切れない間柄。大阪のJR本社まで出向いてでも、在来線などの復旧が終わったらすぐに走れるよう頼みたい」と話している。
 やまぐち号 1937年に製造。75年末に国内からSLはいったん資を消したが79年、「やまぐち号」が復活した。以来毎年、3月下旬から11月ま盲での休日や夏休み期間中運行し、年間約5、6万人の乗客がある。現在までに約100万人が乗車した。(朝日新聞 夕刊)
29日■あす JR須磨−神戸 阪急宝塚−仁川 復旧
 JR西日本は、不通になっている東海道・山陽線の須磨−芦屋間のうち、30日から須磨−神戸間での運転を再開する。これに合わせ、三宮−芦屋間で運行している代替ノンストップバスも神戸−芦屋間(三宮経由)に延伸する方針。これで、東海道・山陽線の不通区間は30日以降、約7.3`縮まって、芦屋−神戸間(13.9`)となる。
 東海道・山陽線は、六甲道駅の前後と、新長田駅前後の2ヵ所でレールが浮いたり、擁壁が崩れるなど地震の被害が最も激しい。JRの現場調査で、六甲道駅の前後は復旧に相当手間取るものの、新長田駅ではふだん使わない回送線や、和田岬線につながる線路を利用すれば運転を再開できることが判明。非電化の回送線に新しく架線を張るなどの工事が進み、30日から使用できるようになった。
 しかし、新長田駅の駅舎は完全に崩壊して仮駅設置も難しいため、乗降揚としては西隣の鷹取駅を使う。鷹取駅構内も被害は大きくふだん使わない列車線(新快速など専用)に仮ホームを設置して急場をしのぐ。
 残る不通区間が復旧して全線が開通する見通しについて同社では「地震直後の見込み通り5月末から6月初めごろ」としている。
 阪急電鉄の今津線宝塚仁川間も30日に開通する。(京都新聞)
■地下鉄耐震基準見直し 運輸省 検討委の調査急ぐ
 運輸省は阪神大震災で神戸市の地下鉄が大きな被害を受けたことを重視、28日までに地下鉄の耐震設計基準を見直すことを決めた。しかし、国としての地下鉄の被害調査はまだ行っておらず、鉄道施設耐震構造検討委員会による現地調査を急ぐ。
 具体的な見直し作業は検討委員会で行うが、同省は周辺の地質などに応じて基準を細かく設定する必要もある、としている。
 地下鉄は東京、京都のほか、札幌、横浜、名古屋、福岡など全国9都市で約530`が営業しているほか、都市部では一般鉄道が部分的に地下に潜るケースも多い。
 これら地下構造物の耐震基準は、基本的には地上と同様で、関東大震災級の地震に耐えるようになっている。
 しかし、今回の震災ではトンネルの中央を支える柱が400本以上壊れ、駅も崩壊するなど大被害を出した。
 被害を受けた場所は地表を掘り下げ、後から上部を埋める開削工法で作られた場所がほとんど。地中を掘り抜くシールド工法の新幹線六甲トンネルは、壁の一部がはがれた程度で大きな被害はなかった。
 運輸省鉄道局は「開削工法はどうしても上部の埋め土が緩くなり、被害を受けやすい」としている。
 地下鉄の耐震性も、縦揺れは横揺れの半分を基準に算出しており、同局は「その比率が逆転するようなケースは予想していなかった」としている。(京都新聞)
■JR山陽線 あすから全線開通
 JR西日本は28日、運休が続いている神戸−須磨間(約7.3`)を30日始発から運転再開すると発表した。これで、山陽線(神戸−下関)は13日ぶりに全線開通となる。これに伴い、同社と運輸省近畿運輸局、兵庫県警の三者は、芦屋−三ノ宮間で運行中の鉄道代替バスを、芦屋−神戸間に延長する方向で協議に入った。道路規制の問題が解決すれは、山陽線の全線開通に合わせて30日にも運行が始まる見通しだ。(朝日新聞)
■応急工事まっ最中 神戸市営地下鉄の三宮駅構内を公開
 阪神大震災でトンネルに亀裂が入るなどして、全線の約3分の1の区間が不通となっている神戸市営地下鉄(西神中央−新神戸、22.7`)三宮駅構内の一部が28日、震災後初めて報道陣に公開された。ホームやコンコースは無事だったが、地下1階中央の電気室などに被害が集中しており、ここだけで鉄節コンクリート柱約30本が破揖。応急の補強工事の真っ最中だった。
 JR三ノ宮駅前の東出入り口から、動かないエスカレーターの階段を下って地下1階のコンコースに入った。自動改札機や切符販売機が整然と並び荒廃した地上の光景とは対照的だ。
 駅内の空調を制御する換気機械室、隣の電気室、信号通信室に計約30本ある鉄節コンクリート柱(長さ4.7b、90a角)はところどころコンクリートがはげ落ち、鉄節がむきだしになっている。うち、1本は、亀裂が面全体に及び、鉄節は根元の部分で大きく膨らんでいた。
 機械室内で、作業員3人が足場をつくり、鉄製のジャッキで柱の補強作業をしていた。地下2、3階のホームや線路に被害はないが、市は地下1階から同3階までの柱204本すべての付け替えも検討中で、復旧のめどはたっていない。
 市交通局によると、不通になっているのは板宿−新神戸の8.8`区間。新長田駅近くではトンネルに亀裂が入ったり、線路が盛り上がるなどしている。また、三宮、上沢両駅構内では計約70本の鉄節コンクリート柱が破損しているという。(朝日新聞)
■国道43号 バス専用線 夕に大渋滞
 阪神大震災の交通渋滞を緩和するため、28日から国道43号に新設されたバス専用レーンは一般車の進入が相次ぎ、午後5時過ぎには大渋滞となった。この日からスタートした鉄道代替バスの「ノンストップ便」もノロノロ運転となり、午後6時にJR三ノ宮駅を出発したバスは、午後10時過ぎになってようやく芦屋に到着した。阪急の三宮駅発西宮北口行きは5時間以上もかかった便もあった。
 一方、国道2号などを走る「各駅停車便」は今まで通り1時間ほどの遅れはでたが、三ノ宮−芦屋間の平均所要時間は約2時間半。午後5時過ぎは「ノンストップ便」よりも1時間以上も早い便もあった。(朝日新聞)
■私鉄などへ国の負担検討 運輸相
 亀井静香運輸相は28日、阪神大震災の現地視察のため訪れた兵庫県庁で、被害を受けた私鉄、JRなどの全面復旧に4000億円を超える費用が見込まれることに対し、国として費用負担などを検討していることを明らかにした。
 貝原俊民知事が、私鉄の復旧費用について「運賃収入で負担するのは困難。新しい助成制度を含めて支援してもらいたい」と要請した。これに対し、亀井運輸相は「政令や法改正も含めて、国として復旧に万全を尽くしたい。すでに省内で検討を始めている」と述べ、国がてこ入れして、早期の復旧を図る考えを示した。(朝日新聞)
30日■JR山陽線神戸乗り入れ 始発から運転再開 神戸−芦屋 4、5ヵ月先
 阪神大震災(兵庫県南部地震)から30日で2週間、JR西日本は山陽線の須磨(神戸市須磨区)−神戸(同市中央区)間7.3`で運転を再開した。JR、阪急、阪神3社のうち、震災後神戸市の中心部に乗り入れるのはJRが初めて。山陽線(神戸−門司)はこれで全線が開通、神戸が姫路、岡山方面と結ばれた。
 山陽線につながる東海道線(東京−神戸)は、高架橋の落下など損壊が激しく、芦屋(同県芦屋市)以東しか運転されていない。JR西日本は芦屋−三ノ宮に加え、三ノ宮−神戸間で新たな代替バスを運行し乗客の足の確保に当たった。阪急、阪神なども神戸駅近くの高速神戸−三宮間にバスを走らせた。
 山陽線の運転本数はラッシュ時に1時間14本と、平常時の45%。昼間の時間帯は約80%で快速も運転された。しかし須磨−神戸間は30`の徐行のため約15−5分の遅れが出た。
 須磨−神戸間3駅のうち、ホーム陥没などで改修に4、5ヵ月かかる新長田駅(神戸市長田区)には停車せず、近くの連絡線を使ってう回した。
 代替バスが運行される三ノ宮−神戸間2.5`は道路が渋滞すれば片道1−2時間かかることが予想され、JR西日本は利用客に徒歩による移動を呼び掛けた。
 神戸−芦屋間は復旧作業の終了区間から順次、開通させるが、神戸市灘区や東灘区内で被害が大きいため、全線がつながるのは4、5ヵ月先になる見通し。
 この日は阪急電鉄今津線の宝塚(同県宝塚市)−仁川(同市)間も始発から復旧。同線は門戸厄神(西宮市)−甲東園(同市)間で交差する山陽新幹線の橋げたが線路上に落下しているため、JR西日本がクレーン車を使い撤去作業をした。
 神戸市中心部では、2月1日から阪神電鉄も三宮−高速神戸間で単線の折り返し運転を始める。(京都新聞)
■阪神大震災 復興へ足どり確か 阪神 三宮−高速神戸 来月1日に再開
 阪神大震災(兵庫県南部地震)の発生から2度目の日曜日を迎えた29日、被災地と大阪などを結ぶ鉄道、代替バスは救援物資などを抱えた人たちで終日混雑した。兵庫県伊丹市では、仮設住宅の入居抽選が行われ、休校が続いていた西宮市の市立小中学校、幼稚園のほとんどで30日から授業が再開される。約27万人が生活している避難所などでのインフルエンザの拡大が懸念されるため、兵庫県は高齢者を対象に予防ワクチンの接種を始めた。
 被災後、運休が続いていたJR山陽線の神戸−須磨間と阪急今津線の仁川−宝塚間が、30日始発から運転を再開する。さらにJR西日本と阪急、阪神は三宮−神戸・高速神戸間を往復するシャトルバスの運転も始める。
 JRは西明石−神戸間で、朝のラッシュ時に普通電車を1時間に14本、昼間は快速4本を含めて10本運転する。
 また、大阪−九州間の寝台特急(ブルートレイン)の運転も再開し、被災後、近畿と九州が初めて列車でつながる。新大阪−熊本間の「なは」と京都−長崎・佐世保間の「あかつき」で、福知山、山陰、播但線をう回する。
 一方、阪神は29日、三宮−高速神戸間の運転を2月1日から再開すると発表。単線によるピストン輸送だが、神戸市の中心部で地下鉄が動き出す。
 大阪方面から被災地に最も近い神戸市東灘区の阪神青木駅に設置された代替バスの臨時停留所には29日、リュックや台車つきのバッグを持った人たちが長い列をつくり一時は500人以上になった。JR芦屋駅や阪急西宮北口駅でも、夕方になって、リターンする人たちで混雑、三宮とのノンストップバスには2時間以上待つ人も出た。
 生活関連施設の復旧作業も進み、水道は、宝塚市で9割以上、神戸市東灘区や長田区などでも通水区域が広がり、被害地域の約6割で断水が解消された。ガスは3万世帯以上へ供給が再開されたが、大阪府と兵庫県の約82万世帯への供給が止まっている。(朝日新聞)
■市民の足8割復旧 渋滞や工事で影響も 神戸市営バス
 被災地の市民の足である路線バスが急ピッチで復旧している。29日までに、神戸市内を走る市営バス73路線のうち58路線が全面または部分的に走り出し、西宮、芦屋市内など被災地東部の阪神、阪急バスも動き始めた。ただ渋滞や復旧工事など、道路状況によっていったん復旧した路線が再びストップすることもあり、バス会社などでは「不安定な状態はしばらく続く」と話している。
 神戸市営バス 29日現在、動いていないのは石屋川−メリケンパーク、鷹取町−吉田町、阪神御影−渦森台など市街地を中心にした15路線。これ以外の58路線は、一部で折り返しや、う回があるものの運行中。運転本数は正常に近い路線もあれは1時間に2本程度など、時間帯や道路状況によって変動が大きい。
 運行していない路線系統番号は1、8、9、18、29、30、32、34・35、38、41、80、81・82、91・92、101、123。
 阪神バス 阪神間の主な19路線のうち10以上の路線がそれぞれ一部で動いている。阪神尼崎駅と阪神西宮駅や西野を結ぶ路線、阪神甲子園駅と西宮団地、浜甲子園、武庫川団地、鳴尾浜の路線など。西宮市内を循環する山手線は西回り、東回りとも一部の停留所を飛ばして運転している。
 阪神甲子園駅−誠成公倫会館前が29日、渋滞で片道3、4時間もかかり30日以降、運休を検討するなど、同バスは「その日にならないと、どこをどれだけ走れるか、わからない」という。
 阪急バス 西宮、芦屋両市内で運休が多い。それ以外の地域の主な路線は、部分運休やルート変更があるものの、はぼ平常運行に向かっている。
 西宮市内で運転しているのは阪急西宮北口駅と上ケ原、二見町、朝凪町を結ぶ路線など4線。
 芦屋市内ではJR芦屋駅から苦楽園、または芦屋病院を経由する循環線や芦屋浜営業所からJR芦屋駅を経由する循環線など4路線。(朝日新聞)
■神戸−須磨 JR再開 新長田駅は通過 神戸駅からも代替バス
 JR山陽線の神戸−須磨間が30日始発から運転を再開することで、山陽線(神戸−門司)は13日ぶりに全線開通となる。これに合わせて、JR西日本は30日から鉄道不通区間である三ノ宮ー神戸間にシャトルバスを運転する。芦屋−三ノ宮間で運行中の代替バスとの乗り継ぎにより、分断された東海道・山陽線は鉄道とバスのリレー輸送ながら、ようやく一本につながることになる。
 JRの神戸−須磨間の運行計画によると、朝夕のラッシュ時間帯は普通電車を約4分間隔、日中は快速電車も含めて6分間隔で運転する。ただ、途中駅の新長田駅は、ホームの傾斜や陥没がひどいうえ、仮駅舎の建設も難しいことから、復旧まで電車は1本も停車しない。
 同様に損傷がひどい鷹取駅(神戸市須磨区)の場合は、隣接するJR鷹取工場内の引き込み線に山陽線の線路をつなぎ、工場内に仮駅舎を建設して、電車の「通過」を防いだ。
 新長田駅の利用客は当分の間、鷹取駅か兵庫駅まで歩くしかない。
 一方、三ノ宮−神戸間のシャトルバスの運転は午前6時から午後10時半まで。所要時間は約20分としているが、一般車も走るコースを取ることから、遅れも予想される。また、阪急も30日から高速神戸−三宮に同様の代替バスを走らせる。(朝日新聞)
■自転車持ち込まないで 「気持ち分かるが」混雑車内で危ない JRなど各社
 復旧工事が進むJR西日本、阪急、阪神の駅で自転車を持って電車に乗ろうとする客が相次いでいる。被災地を走る各社の鉄道代替バスは一部区間に路線が限られており、渋滞やバス待ちで時間は計算できないとあって、駅から目的地までの「足」に使おうと、持ち込みを図るらしい。他の客の迷惑になるため、駅員は断っているが、鉄道の寸断が原因とあって、各社とも「気持ちは分かるが…」と心中は複雑だ。
 震災後の阪急梅田駅。男性客が自転車を持ち込もうとして、駅員に止められた。駅員の問いに、男性客は「駅から遠い被災地まで物資を運ぶので」と答えた。阪急によると、この様子を見た人から「許してあげれは」という声も出た。
 同社の話では、他の駅でも似た事例が相次いでいるという。同社は「長距離を歩くのは大変だと思うが、混雑している車内では周囲の客が自転車の金属部分でけがをすることも考えられる」と訴えている。
 JRや阪神でも同じように自転車を持って入ろうとする客がいるが、両社は「生活物資を運ぶ人たちで混雑しているので物理的にも無理」と話す。
 鉄道網が徐々に復旧しているが、被災地付近は道路事情が悪く、バイクや自転車が重宝されている。阪急西宮北口では、西宮市が救援物資の運搬などに役立ててもらおうと、自転車の無料レンタルサービスを実施している。
 3社とも鉄道営業法に基づき、折りたたみ式や分解式の自転車については、袋に入れれば260円の「手回り品」切符で持ち込める。だが、普通の自転車の持ち込みは以前から「禁止」している。(朝日新聞)
■通勤の足つながった JR、神戸乗り入れ やっと会社行ける 積み残しも相次ぐ
 阪神大震災で寸断されていた通勤ルートが30日、2週間ぶりに1本の糸でつながった。JRが神戸まで乗り入れ、バスを乗り継いで三宮経由でJR芦屋か阪神・青木へ。乗り換え、待ち合わせに混雑が加わる苦難の通勤が続くが、着実な復興を示すように、早朝から多くのサラリーマンやOLが新しいルートで会社を目指した。
 明石方面からの各電車はいずれも超満員。JR須磨駅では、快速電車を待っても乗れずに積み残される客が相次いだ。
 大阪市内の会社に勤める神戸市須磨区の古谷和永さん(46)は「地震以来、自宅待機が続いたが、神戸駅まで電車が通るようになったので、待機は終わった。きょうは神戸・ハーバーランドから船に乗って大阪へ行くが、通勤にはまだ不便なので、金曜まで会社の寮に泊まりたい」と話していた。
 JR芦屋駅や阪神青木駅では、明石、加古川からJRと代替バスを乗り継いで大阪方面へ出勤する人がいた。
 大阪・淀屋橋の会社に向かう神戸市西区伊川谷町の会社員(57)は「震災以来、初出勤。JR明石駅から電車に乗り、神戸駅からバス2台を乗り継いで来た。自宅から2時間かかったが、これでやっと会社に行けます」とほっとした様子。
・三宮まで徒歩30分
 神戸駅では、乗り継ぎのバスに乗り場へ駆け足で急ぐ客でコンコースはごった返した。駅の出口ではJR職員がハンドスピーカーで「バスは込みます。歩いても三宮まで30分で行けます」と徒歩を呼び掛けた。
 神戸駅から三宮までの代替バスに乗り込んだ明石市の公務員吉川佳寿美さん(27)は、三宮から阪急六甲までさらにバスを乗り継ぐ。「いつもより1時間早く自宅を出たが30分以上は遅れそう」とあきらめ顔。
 大阪・日本橋に勤める神戸市西区の会社員、山口諭さん(31)は神戸駅から三宮まで歩いた一人。「これまでは逆方向の電車に乗って加古川線、福知山線を乗り継いでいたが、5時間以上かかっていたので大変だった。今日は3−4時間で行けそうです」と、長時間通勤も大して気にならない様子だった。
・線路南側焼け野原
 JR山陽線が震災の影響の激しい神戸市街地に乗り入れたことで、車窓から初めて惨状を目の当たりにした乗客から驚きの声が上がった。電車が鷹取駅の手前に差し掛かると、線路の南側は一変して焼け野原。見慣れた建物や風景が跡形なく消え、変わり果てた様子に「ひどいなあ」「まるで空襲だ」などの声が漏れた。(京都新聞 夕刊)
■被災地の学校7割再開 西宮 休校ほぼ解消 JR神戸−須磨が開通
 阪神大震災(兵庫県南部地震)から2週間目の30日、不通となっていたJR山陽線(神戸−門司)の神戸−須磨間が始発から運転を再開、山陽線は全線開通にこぎつけ、震災後初めて神戸市中心部に電車が乗り入れた。分断状態が続いていた東海道・山陽線は、神戸−芦屋間(13.9`)が代替バスによる乗り継ぎという変則的な形ながらも、ようやく一本化され、被災地を貫く動脈が本格的に動き出した。西宮、宝塚両市を結ぶ阪急今津線も宝塚−仁川間が開通した。一方、西宮市では、大半の市立校が授業を再開し、休校状態から再スタートを切った兵庫県内の被災地の学校は約7割に達した。
 西宮市の84の小中学校、幼稚園ではこの日、72校、園で再開した。給食が用意できないため、午前と午後の2部授業制にしたり、学年別に隔日で授業をしたりする学校もあった。尼崎市では、校舎に大きな被害がでた武庫北小など3つの小学校と市立尼崎高校が、近くの学校の教室を間借りして再開にこぎつけた。
 西宮市樋ノ口町二丁目、樋ノ口小学校(705人)では午前8時過ぎから児童たちが次々と校門をくぐった。数ヵ所に亀裂の入った校庭で全校集会があり、谷口煕校長から5人の児童が亡くなったことが伝えられると、校庭は一瞬静まり返った。
 多くの学校では、児童や生徒が互いの顔を合わせるだけで終了。親類や知人を頼って家族ぐるみで疎開している子どもも多く、教室には空席が目立った。本格的な授業は31日から始めるところが多いという。
 兵庫県教委によると、震災で休校していた県内の562校のうち、この日で、397校で再開されることになる。
 須磨−神戸間が復旧したJR山陽線の神戸駅では、午前5時4分、下り普通列車が出発、約15分後には上り列車も到着。電車が到着するたびに、兵庫県西部方面から通うサラリーマンや、被災した市民を見舞う人たちが次々にホームに降り立った。大阪に向かう客も多く、駅前のバス停留所やタクシー乗り場には長い列ができた。
 西明石を午前7時34分に出た電車には数百人が乗り込んだ。車内は震災前以上の混雑ぶりで、途中の各駅では乗り切れずに次の電車を待つ人もいた。同線は23日に西明石−須磨(神戸市須磨区)が復旧したものの、神戸市の中心部まではバスに乗り換えなけれはならなかった。そのバスが渋滞に巻き込まれることも多く、西明石駅周辺から三ノ宮(神戸市中央区)の勤務先に通うには3、4時間かかっていたが、この日から1時間半ですむようになったという。
 三ノ宮のバス停留所では、大阪方面に向かう客が多く、午前9時すぎ、JRの代替バスだけで約2000人が行列をつくった。東海道線の復旧見込みは、芦屋−住吉(神戸市東灘区)が2月10日ごろ、住吉−神戸が4、5ヵ月先という。
 阪急今津線は、30日の始発電車から仁川−宝塚間で新たに運転が始まった。不通になっている門戸厄神−仁川間では、西宮市上大市で、同線をふさぐように落下したJR山陽新幹線の高架橋をクレーン車で持ち上げる工事もこの日午前8時半から始まった。阪急電鉄は2月6日にも同線を全線開通させたいという。(朝日新聞 夕刊)
■市営地下鉄・板宿−県庁前 3月末までに復旧 神戸市見通し
 神戸市交通局は30日、現在西神中央と板宿の間で折り返し運転をしている市営地下鉄について、3月末までには板宿から県庁前まで運転区間を延ばす見通しを明らかにした。その先の県庁前から新神戸までの間の全面復旧には1年ほどかかるという。一方、市バス6路線は30日から、三宮までの乗り入れを始めた。同市交通局によると、市営地下鉄は県庁駅までの運転が再開になっても、駅構内の柱の破損が激しい新長田と上沢の2駅は通過することになるという。
 市バスについては、計73路線のうち、30日に新たに1路線が再開して運行再開は計59路線になった。三宮への乗り入れを始めたのは、灘区の石屋川から新神戸を経由してJR神戸駅周辺までを結ぶ路線や、阪急六甲と三宮間の路線など。(朝日新聞 夕刊)
31日■新幹線もろさ露呈 耐震基準
 阪神大震災は、多くの人命と家財を一瞬に奪うと同時に、基幹鉄道と道路をずたずたに断ち切った。中でも新幹線の被害が大きい。以前から、関東大震災クラスの地震でも大丈夫−といわれていたが、あっさりもろさをさらけ出した。東海道新幹線は、1日60万人の利用客のうち、平日はその約60%がビジネスマンという日本経済を支える重要な動脈である。新幹線利用の日帰り出張が日常化しているいま、新幹線のもろさは、その上に乗った「ガラスのビジネス社会」をも白日にさらけだした−といえないだろうか。
 味の素本社食品開発部(東京)の坂口誠さん(48)は、地震が起きた17日のその時刻に、在来線でJR新大阪駅のホームに着いたところだった。連休で家族のいる大阪へ帰り、午前6時12分発「のぞみ302号」に乗るはずだった。
 「電車の中で、いきなりドンと突き上げられた。地震があと30分遅く、新幹線に乗った後だったら、と思うとぞっとする」
 坂口さんの乗るつもりだった東海道新幹線は、京都−新大阪間で7ヵ所の橋脚が損傷した。山陽新幹線も橋げたが9ヵ所で落下、2ヵ所で橋脚が倒壊した。地震発生がもう30分遅ければ、京阪神間の両新幹線には6本の列車が走っていたはずだ。1列車当たり約1000人の乗客がどうなったか、容易に想像がつく。
 高架など新幹線施設の耐震構造は、平成4年に「限界状態設計法」と呼ばれる新基準が示されたが、想定震度はおおむね6。高架に関しては「自重の20%の重さを横方向から受けても耐えられること」を基本にしている。地震により受ける加速度の限界も200ガル程度。今回のような直下型で震度7、場所によって600ガル以上という烈震は、想定されていなかった。
 列車の地震対策では、東海道新幹線が「ユレダス」と呼ばれる感知・停止システム、山陽新幹線も地震計測定値による自動停止装置を備えている。しかし橋脚損壊などの重大事態では、これらの対策も有効に働かない可能性がある。新幹線運転士の一人は「200`ではブレーキをかけても止まるまで90秒かかる。とても間に合わない」と話す。
 新幹線の「安全神話」は再構築できるのか。京都大工学部の柴田俊忍教授は、こう指摘する。
 「自然災害はどんなに対策のシステムを考えても、防ぎようがない場合がある。われわれは便利さを追求しすぎているのではないか。そんな現代文明そのものを考え直した方がいい」
 だが、こうした議論とは別に、ビジネスに新幹線が不可欠であるのはまちがいない。新幹線の安全性、耐震性は絶対的な命題だ。
 安全技術開発の中心になるJR総研は「ユレダスなどは優れた装置であり、さらに改良もできる。高架の耐震設計も、これまで予想しにくかったファクターにまで安全率を求めるようにしており、より強い構造物をつくれる」と話す。が、耐震基準をどこに置くのか、増大するコストをどうクリアするか、課題は重い。
・ガル 加速度を表す単位。物が重力で落下する時の加速度は秒速980aだが、これが980ガル。地震では、この数値が大きくなるほど揺れは強い。(京都新聞)
■上場、96年度以降か 運輸省 JR西日本と東海株式
 運輸省は31日、阪神大震災で被害を受けたJR西日本とJR東海の株式上場を延期する方向で検討に入った。両社とも上場は1996年度以降になる可能性が強い。
 JR西日本は収益の柱である山陽新幹線や、関西の通勤在来線などに総額1630億円の被害が出ている。山陽新幹線は運行再開に4−5ヵ月要するなど復旧作業は長期化、営業収入も大幅な減少が予想される。JR東海も山陽新幹線の不通が長引く影響で、東海道新幹線の営業収入の目減りが避けられない。
 同省は、JR西日本に対する日本開発銀行の低利融資などの救済策を財政当局と調整しており、救済策の具体的な内容や被害の詳細、復旧作業の進み具合を見極めた上、95年3月期決算見通しがまとまる3月に最終判断する方針だ。
 運輸省は当初、JR西日本株は94年度中の上場を予定していたが、昨年秋の日本たばこ産業(JT)株の売り出し不調を受け、上場を95年度にいったん延期した。しかしJR西日本は震災復旧費負担に加え数百億円の減収により95年3月期決算で、上場基準である400億円の利益確保は絶望的な情勢。このためさらに延期する方向。
 同省は、JR東海の先行上場も検討した。しかし同社も60億円の震災被害に加え中国、九州方面の山陽新幹線の利用客減少で約400億円の減収となる見通しで、上場基準の448億円の利益達成は極めて困難になっている。
 運輸省は国鉄清算事業団が現在保有している150万株のJR東日本株の一部を売却することも検討しているが、株式市況の不振から95年度はJR3社株すべてについて上場、売り出しが延期される可能性もあり、旧国鉄債務処理計画の練り直しを迫られそうだ。(京都新聞)
■映像使い未来体験 二条駅周辺再開発ビル 市、松竹と”遊び場”
 JR二条駅(中京区)周辺の再開発事業を進めている京都市は、駅西南に「高度情報センタービル」を建設し、ビル内に、松竹(東京都中央区)と共同で”映像を使った遊び場”を設けることを決めた。同時に、町づくりへの市民の関心や理解を探めるための「まちづくり情報センター」(仮称)も設置する。2000年度の開業を目指す。
 予定地は広さ約7200平方bの市有地で、同駅西口の「交通広場」南隣にある。
 松竹の協力で運営する”遊び場”は「映像関連にぎわい施設」と銘打ち、95年度に同社との共同出資で第三セクター方式による企画会社を設ける。最新の映像技術やマルチメディアを応用し、宇宙体験、未来の都市体験ができる「未来体感空間」、激流下りや水中散歩が体験できる「映像トリックワールド」、劇場などの娯楽施設づくりを目指すという。
 「まちづくり情報センター」では、市民活動に開する情報などを市民に提供していく情報システムを導入する。具体的な内容は「世界文化自由都市宣言」でうたう「まちづくりセンター」も視野に、詰めるという。(朝日新聞)
■山陽新幹線 初期微動を検知し停止 JR西日本新システム導入へ
 JR西日本は31日、予想震源域に置かれた地震計で揺れ始めの微動を検知し、列車を早期に減速、停止させる新システムを山陽新幹線に導入することを決めた。阪神大震災で山陽新幹線は高架橋が落下するなど、約730億円もの被害を受けたことから、高速運転する列車の安全確保を急いだ。高架橋の強度などについても近く、鉄道本部に「耐震構造研究会」(仮称)を新設し、対策を練る方針だ。
 現在の地震検知システムは、駅や変電所に備え付けられている感震器が、地震の主要動である「S波」(横波)を一定以上感じた場合、自動的に送電を止めて列車を停止させる。
 「地震動早期検知警報システム」は、予想震源域のセンサーが、S波よりも進高速度の速い小さな震動である「P波」(縦波)をとらえ、コンピューターの演算によって地震の規模や震央距離を算出。沿線に大きな影響が予想される場合は、警報を発して送電を止める。これにより、列車はS波の到達までに減速、停止することができるという。
 鉄道総合研究所などによると、地下の岩石中のP波速度は毎秒平均約8`で、深さとともに増加する。これに対しS波速度はP波の約半分という。
 JR西日本によると、山陽新幹線は全線の約4分の1が高架橋。時速270`で走行中の「のぞみ」が停止するまでには最低3.9`走り、90秒かかる。時速220`の「ひかり」でも2.4`、70秒かかる。それだけに、列車が崩壊場所の直前で止まるまでの時間確保が地震対策の焦福になっていた。
 設置や運用計画については、6月初めの運転再開をめざす山陽新幹線の復旧状況を見極めたうえで近く決める。投資額は十数億円に上る見通しだ。
 このシステムは、東海地震を想定した防災対策強化地域を200`以上も走る東海道新幹線では、1990年9月から運用されている。だが、山陽、東北、上越の各新幹線では採用されていない。
 JR西日本は、被災後の地震対策協議の中では最優先の改善策として実施する。(朝日新聞 夕刊)