1994(平成6)年 7月


1日■JR京都伊勢丹のシンボルマーク発表(京都)
  ■京都市交通局 組織改正 事業全般、健全化へ 経営推進室を新設(京都)
2日■臨時市会の招集請求 地下鉄建設費再膨張問題 共産党市議団提出へ(京都)
  ■京都市交通局 経営事業見直し 組織を改革し77人異動(朝日)
  ■西梅田の旧国鉄用地 売却へコンペ(朝日)
3日■北近畿タンゴ鉄道・夏の列車 特急など臨時329本増発(京都)
  ■帰宅ラッシュのホーム騒然 女性、突き落とされ死亡 大阪の地下鉄 乗客ら5000人影響 殺人の疑い 少年を逮捕(京都)
  ■ホームから落とされ死亡 少年が背中を押す 直後に電車、大阪・地下鉄 動物園前駅(朝日)
4日■超高速列車の安全性考える準備会が発足(朝日)
  ■臨時議会招集 共産党が請求 京都市地下鉄問題で(京都)
5日■議会挙げ再審議も 地下鉄問題臨時市会招集請求 各党、前向き姿勢(京都)
  ■1億円の損害賠償請求提訴 JR東日本、文春に(京都)
  ■地下鉄突き落とし事件 少年に観護措置(京都)
  ■電車に接触、重体 JR堅田駅(京都)
  ■関空とミナミを直結 バスターミナル 大阪湊町・9月に設置(京都)
  ■JR東日本訴起こす 「文春」問題(朝日)
  ■クレーン車架線切断 JR和歌山線が不通(朝日)
6日■緊急レポート 地下鉄東西線@ 衝撃−「建設費 また膨らむ」 建都記念 目玉のはずか(京都)
  ■金食い地下鉄ツケは市民に 京都市の建設費膨張問題 運輸省と責任押し付け合い 市職労は「リストラ許さぬ」(朝日)
7日■緊急レポート 地下鉄東西線A 挫折−甘かった投書計画 地価上昇 用地買収遅れ(京都)
  ■整備新幹線 建設問題 再び論議に 運輸省の白紙発言 省内に戸惑いの声(京都)
  ■特急「はるか」すべて京都発着 関空開港でダイヤ改正 1日29本 JR西日本(京都)
  ■地下鉄などで意見交換 明日の山科を考える 区代表ら行政と懇談(京都)
  ■始発電車も始発便に間に合わな〜い 関空線ダイヤ JR西日本 航空ダイヤ見えず苦心 最終便見送ると終電出た後…(朝日)
  ■週刊文春が写真間違う JR東日本批判記事(朝日)
  ■地下鉄東西線 建設費膨張を調査 京都市臨時議会 14日に招集(京都)
  ■電車68本運休 7万人に影響 阪和線で信号故障(朝日)
8日■緊急レポート 地下鉄東西線 誤差−相次ぐ契約変更 ズサン設計 工法まで一変(京都)
  ■窓 京都市交通局に物申す(京都)
  ■「写真は別人、週刊文春を販売禁止に」 JR総連仮処分申請へ(京都)
  ■地下鉄問題調査へ 14日に臨時市議会(朝日)
  ■近畿や周辺 ひさびさの雨激しく JR運休や停電も(朝日)
  ■「大成」など書類送検 地下鉄工事死亡事故(京都)
9日■緊急レポート 地下鉄東西線C 工期延長−工事遅れ悪循環 2工区 実質足踏み状態(京都)
  ■窓 運転手さんの親切にホロリ 長岡京市・中山治美(アルバイト・43)(京都)
  ■リフトバス運行を 車いす利用者ら 近鉄バスに要望書 向島ニュータウン(京都)
  ■「はるか」に乗って見学ツアーいかが 11日から募集(京都)
  ■週刊文春販売禁止求め仮処分申請 JR総連副委員長(京都)
  ■信号赤で列車行き過ぎ 花園駅、後続に乱れ(京都)
  ■JRとタクシー接触 伏見の奈良線踏切(京都)
10日■男性はねられ死亡 JR草津線石部の踏切(京都)
12日■緊急レポート 地下鉄東西線D 試算−予測去れていた膨張 国の認可得るため(京都)
  ■業界に採用増要請 運輸省 JRなどに文書送付(京都)
  ■京阪を”特急”スケッチ 駅前風景42景 わずか2日で 西宮えびすの神職(京都)
  ■少数労組にも事務所与えよ JR西日本に地労委(朝日)
  ■別人写真掲載で 週刊文春の回収認めず 東京地裁(朝日)
13日■緊急レポート 地下鉄東西線E 三セク−建設財源どう確保 超過分だけで940億(京都)
  ■特急「はるか」べっぴんさん ブルネル賞を受賞(京都)
  ■地下鉄東西線 夜間工事中止を 山科の住民ら市側に要望(京都)
14日■緊急レポート 地下鉄東西線F 財政−一般会計に打撃「再建団体」転落も(京都)
  ■東西線建設費の再膨張 きょうから臨時市会 京都市長が総点検報告 財源など審議(京都)
  ■窓 ホームで聴く音楽に心和む 伏見区・藤井節子(主婦・52歳)(京都)
  ■ここにもハイテク 地元企業の製品から 戦闘機の技術を民生転用へ 空中に浮かぶ計器表示 島津製作所(京都市中京区)(京都)
15日■緊急レポート 地下鉄東西線G 地下鉄東西線事業費膨張 厳しい追及相次ぐ 臨時京都市会 代表質問 市長答弁 リストラ進める(京都)
  ■地下鉄 臨時京都市会 「答弁あいまい」「議員しっかり」満員の傍聴席 期待はずれ市民怒り(京都)
  ■「建設費は高くない」地下鉄事業費膨張て内田助役 京都市臨時議会 管理不手際を強調 議員・市民から批判・不満(朝日)
  ■地下鉄 臨時京都市会 「早急に経費節減策」代表質問詳報 早期完成が市長の責任(京都)
  ■始発便でも大丈夫 南海 空港線のダイヤ JR意識し決定(朝日)
  ■「週刊文春の訂正不十分」JR総連福委員長(朝日)
  ■全車2階建て発車 JR東日本 座って通える新幹線(京都)
  ■「在来線配転は無効」JR西労組合員仮処分申し立て(朝日)
16日■市長部局で150人受け入れ 京都市方針 交通局リストラで 今後10年間に(京都)
  ■臨時地下鉄京都市会 「起債率15%超過も」 財務部長が見通し 3常任委で審議(京都)
  ■交通局の150人市長部局へ 臨時市会で市側が表明(朝日)
  ■JR京都駅構内で差別落書き相次ぐ(朝日)
  ■名札非着用で賞与減 JRに「人権侵害」と 大阪弁護士会が勧告(朝日)
  ■地下鉄が停電 24分後に復旧 鶴見緑地線(朝日)
  ■青鉛筆(朝日)
17日■地下鉄東西線 工期短縮の夜間工事や一般会計圧迫 生活へのしわ寄せ困る 市民から懸念や苦情(朝日)
18日■市民生活に大きな影響 地下鉄東西線建設遅れ 付近住民・夜間工事中止を要求 専門学校・通学の足確保に悩む(京都)
  ■急行が女性はねる 伏見の京阪線踏切(京都)
  ■ケヤキ並木復活の気なし 京都市 東西線遅れ再移植ムリ 御池通 この景観もう戻らぬ?(京都)
19日■地下鉄臨時京都市会 完成時期、改めて公表 95年半ばに最終的見直し 高額の地上権設定 正当性問う意見も 3委員会で審議再開(京都)
  ■保津峡 トロッコ列車で 嵯峨の結婚式場 1両借り切り景観満喫 来月24日1組募る 格安料金で観光客も祝福(京都)
  ■関空特急はるかに爆弾!? JRと府警が合同訓練(京都)
  ■高額?で地上権設定 地下鉄東西線 市議会で「声」出る(朝日)
  ■「はるか」に爆弾想定 JR西日本と警察合同訓練(朝日)
  ■重い足取り、そのまま会社 列車ホテルで800人一夜(京都)
20日■地下鉄東西線三セク出資金 民間の不足 市が対策 臨時京都市会 交通水道委 負担増大を示唆(京都)
  ■地下鉄臨時京都市会 交通水道委 現場の発注を追認 排水処理で大幅増額(京都)
  ■湖西線開業20年 はたちの夢路 立体交差@ たまごかにわとりか 便数増に”採算性”かべ(京都)
  ■整備新幹線先送り方針 白紙化 自民が一致(朝日)
  ■地下鉄東西線建設費削減で堀川駅の出入り口1つカット 駐輪場計画もなく不便 市会委で指摘(朝日)
  ■ブルトレにもリストラの波 「のぞみ」登場も影響 「みずほ」廃止へ 「あさかぜ」は1往復格下げ 12月ダイヤ改定(朝日)
21日■一般会計予算 数%枠設け執行抑制 京都市 東西線工費膨張で(京都)
  ■地下鉄臨時京都市会 「連携、十分でなかった」 市長ら答弁 黒字転換へ1300億必要(京都)
  ■湖西線開業20年 はたちの夢路 立体交差A 琵琶湖線を上回る伸び 拡大した”南北格差”(京都)
  ■「JR東日本など販売拒否やめろ」 文春問題で日本雑誌協会(京都)
  ■乗り合いバス赤字 客減り、過去最高額 昨年度(朝日)
  ■JR「湊町」が「JR難波」に 9月4日から改称(朝日)
  ■関空特急「はるか」遠く 大阪に暴風警報出たら 京都発は全面ストップ(京都)
22日■湖西線開業20年 はたちの旅路 立体交差B 鉄路の三角関係 人の流れ大きく変えた(京都)
  ■地下鉄臨時京都市会 委員会調査を終了 交通水道など3委 共産は継続を要求 きょう閉会(京都)
  ■地下鉄問題の「調査」を終了 京都市の臨時議会(朝日)
  ■東西線の事業費膨張問題 市長へ再度渓谷 臨時京都市会 決議採択、閉会(京都)
  ■京阪でポイント故障 運休、8万人に影響(京都)
  ■井原三津子 世界こだわり紀行(23) スイスアルプス 2大特急乗り比べ なんと鈍足、平均時速30〜40` 眺めのよさは世界屈指 おそさこそミソ(京都)
  ■ポイント故障し 通勤ダイヤ混乱 京阪電車(朝日)
23日■地下鉄臨時京都市会 消えぬ市民の行政不信 事業の「甘さ」改めて浮き彫り 当分財政の重荷に 議会のチェック機能、期待(京都)
  ■「文春」販売契約は存続 JR東日本 来週にも駅売り再開 東京地裁が仮処分決定(京都)
  ■予約はやや少なめ(京都)
  ■信楽事故 2件目の「不起訴不当」 JR元通信課長ら5人 「注意義務怠る」 地検 再検討迫られる 大津検察審が議決(京都)
  ■湖西線開業20年 はたちの旅路 立体交差C(京都)
  ■文春に実質「勝訴」の仮決定 JR東日本の販売中止問題「契約解除は無効」(朝日)
  ■地下鉄東西線建設費膨張問題 市長に厳しく再度の渓谷 京都市臨時議会 「猛省し責任果たせ」共産の問責決議は否決(朝日)
  ■福祉や教育財源確保は 問われる市長の指導力 市民生活への影響懸念(朝日)
  ■お盆列車は遅い出足 海外旅行は予約好調(朝日)
  ■信楽列車事故 「JR社員不起訴は不当」 大津検察審査会議決 危険性認識と指摘(朝日)
  ■京滋→関空 どの道選ぶ? 速さや料金比べれば… JR・便利だが高い 南海・乗り継げば半額 車・やっぱり遠い(京都)
24日■湖西線開業20年 はたちの夢路 立体交差D 袋小路からの脱出 環状線に飛躍の夢乗せ(京都)
25日■乗用車横転で舞鶴線遅れる 「あさしお」など6本(京都)
  ■JR嵯峨嵐山・トロッコ嵐山・京福嵐山・阪急嵐山 最寄り駅どこ? 知名度期待わかるが…(京都)
26日■地下鉄東西線 ルーズな実態 出入り口ない駅の建設 工事先行 手続き後追い 市「規則上問題ない」 業者が証言(京都)
  ■東海道新幹線30歳 シンボルマーク作成(京都)
  ■文春、販売を再開へ JR東日本駅売店(京都)
  ■週刊文春 今週号6万部 キヨスク販売(朝日)
27日■モノレール訴訟が「和解」 大阪空港に開通めど(京都)
  ■大阪モノレール訴訟 「住民への説明不十分でした」と陳謝 解決金で和解 府と豊中市 早期開通めざす(朝日)
28日■電車止めるいたずら急増 危険報知装置を作動させる不心得者 損害賠償請求も JR西日本 昨年度3200件 ワースト3は阪和線・片町線・奈良線(朝日)
29日■窓 喫煙コーナー場所配慮して 草津市・大林照子(会社員・29)(京都)
  ■地下鉄東西線問題 自治労市職が見解(京都)
  ■12月3日開業へ 第3セクター智頭線(京都)
  ■列車襲撃10人死亡 カンボジア 外国人含む30人連行 ポト派か(京都)
  ■列車襲われ9人が死亡 カンボジア(朝日)
  ■大阪−鳥取に新特急 JR12月ダイヤ改正 通勤新幹線も増強(朝日)
  ■大阪モノレール訴訟 解決金5000万円 原告・住民側へ(朝日)
30日■窓 地下鉄東西線 市民は訴える(京都)
  ■パリ市のガス灯など7基 京都市役所前広場 姉妹都市記念碑を一時撤去 地下鉄工事(京都)
  ■窓 地下鉄の冷房過剰でないか 中京区・伊藤けい(無職・60)(京都)
  ■窓 火事の時どうする 北大路バスターミナル 左京区・石橋道弘(元大学教員・65)(京都)
  ■亀岡の花火大会をトロッコ列車で見物 7日にJR西日本(京都)
  ■信楽鉄道列車事故 新たな2遺族と示談(京都)
  ■通勤定期券の自販機を設置 JR西日本(朝日)
  ■寝台特急から走行中に白煙 相生駅で停車(朝日)
  ■駅員寝過ごし3人乗れず JR関西線三郷駅(京都)
  ■ポイント故障で遅れ JR関西線(京都)
  ■駅員が寝過ごし出入り口開かず JR関西線三郷駅(朝日)
  ■ポイント故障 上下線不通に 新幹線東京駅(朝日)



1日■JR京都伊勢丹のシンボルマーク発表
 ジェイアール西日本伊勢丹は30日、京都駅ビルに出店する百貨店の店名を「ジェイアール京都伊勢丹」に決め、シンボルマークを発表した。
 店名は、出資しているジエイアールと伊勢丹両社に京都を組み合わせた。シンボルマークは三角形のフラッグで若々しさを、水平、垂直に開かれた空間に可能性を表現。伊勢丹の都会的イメージとジェイアールの安心感、コミュニケーション感を同時に伝えている。シンボルカラーは両社イメージカラーのブルー。同百貨店(売り場面積3万2000平方b)は駅ビル完成の平成8年秋に開店予定。(京都新聞)
■京都市交通局 組織改正 事業全般、健全化へ 経営推進室を新設
 京都市交通局は1日付で、地下鉄東西線の建設事業の推進体制の徹底を狙いとした組織改正と人事異動を行った。交通事業全般の経営のあり方の抜本的な検討、見直しを行う統括的な組織として経営推進室を新設したほか、東西線の建設状況に対応、業務が一段落した用地課や沿道対策課などを廃止、他課に統合した。また、局内に総合的に行程管理を行う「東西線建設行程管理委員会」を設置した。
 組織改正は1室増、2課減、6係減で3本部7部1室19課16事業所94係7区となる。異動規模は77人(うち昇任28人)。
 交通局は東西線の建設事業費が膨張、市点検・推進委員会で経営健全化対策を含めて総点検を行っていたことから、4月1日の定期異動では退職補充と市長部局からの局長級職員など最小限の異動にとどめていた。
 1日の異動について、交通局は点検・推進委員会の一定の結論が出されたことを受けて、▽リストラ取り組みへの推進母体の確立▽財務部門に地下鉄担当課長を設置し財務体制を強化する▽建設事業の進捗(ちょく) に合わせた組織、人員配置の見直し−の3点を最重点とした、と説明している。
 主な異動は次の通り。
 【部長級】兼経営推進室長 管理本部財務部長山村道弘▽高速鉄道本部管理部長(高速鉄道本部計画部長)山口雅孝▽同本部管理部参事(同計画部参事)窪田實(京都新聞 夕刊)
2日■臨時市会の招集請求 地下鉄建設費再膨張問題 共産党市議団提出へ
 京都市の地下鉄東西線建設事業費の再膨張問題で、共産党市議団は1日、同問題の解明を理由に田辺朋之市長に対し、臨時市会の招集を請求する方針を決めた。4日、同議員団18人の議員の連名で招集請求を提出する予定。
 東西線の建設事業費は今年2月市会で約1500億円の膨張が明らかになった後、4ヵ月後の先月27日には市点検・推進委員会がさらに770億円の上積みと工期再延長を報告した。同議員団は再膨張と再延長の原因のほか、財政見通しの明示を要求。5日間開催予定の市会交通水道委員会の場だけでなく、財政問題も含めた本会議での総合的な議論を求め、臨時市会招集の方針を固めた。
 臨時市会は地方自治法101条で議員定数の4分の1以上の招集請求が必要。京都市会は定数72人で、共産党は4分の1の18席を占めている。(京都新聞)
■京都市交通局 経営事業見直し 組織を改革し77人異動
 地下鉄東西線の建設費膨張問題に直面している京都市交通局は1日、計77人の人事異動と組織改革を発表した。経営事業を見直す経営推進室を新設し、ほぼ用地買収が終わった用地課縮小して用地係とするなど、工事の進み具合に合わせて組織替えをした。交通局は「今後リストラを一層進めるため」と説明している。
 内訳は部長級3人▽課長級16人▽課長補佐級23人▽係長級35人。課長級以上は次の通り。
 【部長級】経営推進室長(管理本部財務部長兼任)山村道弘▽高速鉄道本部管理部長(高速鉄道本部計画部長)山口雅孝▽同管理部参事(同計画部参事)窪田実
 【課長級】経営推進室担当課長(経営推進課担当課長)山川和彦▽同担当課長(高速鉄道本部用地課長)中村修二▽同経営推進課担当課長(同調整管理課担当課長補佐)沢井佳三▽同担当課長(管理本部事務効率課長)尾谷英樹▽管理本部財務課担当課長(高速鉄道本部沿道対策課長)柴崎郁二▽自動車本部管理担当課長(自動車本部業務技術部付)宅間耕一郎▽高速鉄道本部調整管理課担当課長(高速鉄道本部沿道対策課担当課長)赤井啓二▽同計画担当課長(同計画課長補佐)乾雅晴▽同建設一課長(同設計課長)井戸澄夫▽同建設一課担当課長(同工事課長)塚本浩一▽同建設二課長(同第二建設事務所長)野嶋久暉▽同建築課長(同設計課担当課長)両角雅彦▽同第二建設事務所長(同第二建設事務所副所長)福島健一▽同電車課担当課長(同運輸事務所副所長)真下武▽同運輸事務所副所長(同運輸事務所長補佐)彦惣輝夫▽同電気担当課長(同調整管理課担当課長)林泉(朝日新聞)
■西梅田の旧国鉄用地 売却へコンペ
 国鉄精算事業団は1日、JR大阪駅に隣接した西梅田地区の旧国鉄用地について開発企画を募るコンペ(設計協議)を実施すると発表した。2.57fの敷地を1区画1fと1.57fの2区画に分けて開発するが、事業単位を細分化し、敷地面積3500平方b以上の計画なら受け付ける。同事業団は、実現性のある企画を組み合わせて開発の青写真をつくり、今年度内の売却をめざす。
 今月20日に企画募集の説明会を行い、9月12日、13日に企画案を受け付ける。コンペには、事業をめざす企業や団体だけでなく、だれでも参加できる。賞金は優秀作1点に200万円、佳作数点に各30万円が渡される。(朝日新聞)
3日■北近畿タンゴ鉄道・夏の列車 特急など臨時329本増発
 北近畿タンゴ鉄道(KTR)は、夏季(7月−9月)の列車運行計画を発表した。海水浴・お盆期間(7月23日−8月16日)には計329本の臨時列車を増発するほか、夏の催しに合わせたイベント列車なども走らせる。
 特急「マリン丹後エクスプローラー(タンゴ・エクスプローラー)」は海水浴・お盆期間中、1日1往復京都。福知山軽油で大阪−久美浜間を結ぶ。
 特急「エーデル丹後」は、期間中の土、日曜日と海水浴・お盆期間中、大阪−天橋立間を1往復する。快速「みやづ」(JR線内急行)も期間中、同区間を1日1往復する。
 また、福知山−天橋立間を宮津で乗り換えなしで利用できる列車を、8月1日−8日の間に1日2往復運行する。
 文殊堂出船まつり(7月24日)には、福知山や西舞鶴、網野方面と天橋立を結ぶ臨時列車を計5本増発するほか、福知山花火大会(8月15日)、宮津灯ろう流し(8月16日)にも、臨時列車を増発する。(京都新聞)
■帰宅ラッシュのホーム騒然 女性、突き落とされ死亡 大阪の地下鉄 乗客ら5000人影響 殺人の疑い 少年を逮捕
 2日午後5時半ごろ、大阪市西成区太子一丁目の市営地下鉄御堂筋線動物園前駅のホームで、若い男が同市住吉区我孫子東、パチンコ店店員北条初技さん(55)を線路に突き落とした。北条さんはホームに入って来た中津発あびこ行き電車にはねられ、間もなく死亡した。西成署は、殺人の現行犯で大阪府豊中市の無職少年(18)を逮捕した。
 調べでは少年は、北条さんを突き落とす前に、相次いで2人の男性の服をつかんでホームから落とそうとし、口論になった。その後、電車が入って来たためベンチから立ち上がった北条さんの後ろに回り込み、突然突き飛ばしたという。
 駆け付けた駅員が少年の腕を持って取り押さえたが、少年は「もうしない。すいません」とおとなしく駅員の指示に従ったという。
 家族の話では、少年は幼いころから知的障害で、自宅近くの授産施設に通っている。この日は午後4時ごろ自宅を出て、同市浪速区内の祖母の家を訪問する途中だった。
 北条さんは大阪市内のパチンコ店での勤務を終えて帰宅の途中で、動物園前駅で地下鉄を乗り換えるため同ホームにいた。
 事故当時、ホームにはサラリーマンや動物園帰りの家族連れなど50−100人がいた。2、3分おきに電車が入るラッシュ時間帯のため、突然の惨事にホームは一時騒然となった。
 電車は現場に約10分間停車、乗客約5000人に影響が出た。
・悲鳴と叫び声響き渡る
 大声の叫び声。電車の急ブレーキの音。家族連れなどでにぎわっていたホームは突然、悲鳴に包まれた。
 2日午後、大阪市営地下鉄御堂筋線動物園前駅で起きた突き落とし事件。逮捕された少年は最初、ホーム中ほどの柱にもたれていた。ところが、急にホームにいた男性2人を突き落とそうとし、「何をするんだ」と口論に。うち1人が駅員を呼びに行っている間に、今度は歩いて来た北条初枝さん(65)の後ろに回って突き飛ばした。北条さんはホームから転落、うつぶせに倒れた。
 「早く助けないと!」の叫びが上がった。しかし直後に電車が進入、北条さんは電車の下に吸い込まれた。
 目撃した大阪市内の若い女性によると、突き飛ばした後駅員が駆け付けるまで、少年はぼんやりした様子で立ちつくしていたという。叫び声や悲鳴を聞いて、動物園帰りの家族連れは子供をかばって柱のかげに身を寄せるようにしていた。(京都新聞)
■ホームから落とされ死亡 少年が背中を押す 直後に電車、大阪・地下鉄 動物園前駅
 2日午後5時半ごろ、大阪市西成区太子一丁目、市営地下鉄御堂筋線の動物園前駅で、ホームを歩いていた同市住吉区我孫子東二丁目、パチンコ店事務員北条初枝さん(65)が大阪府豊中市内に住む少年(18)に背中を押され、線路上に転落した。乗客が北条さんを助けようとしたが、直後に中津発あびこ行きの電車(9両編成)にはねられ、頭を強く打って収容先の病院で間もなく死んだ。少年は駆けつけた駅員に取り押さえられ、西成署に殺人の疑いで現行犯逮捕された。
 調べによると、北条さんはホームの白線付近を東から西に向かって歩いていた。少年が後ろから近づき、いきなり北条さんの右側の背中を片手でつき、線路上に転落させた、という。ホームの乗客から「助けなあかん」という声が上がったが、直後に電車が入って来たため間に合わなかった、という。
 少年は大阪府から知的障害者一級の認定を受けており、自宅近くの授産施設に通い、板をみがく作業などをしている。この日は施設が休みで「大阪市内の祖母の家に行く」といって午後4時ごろ、家を出ていた。少年は調べに対して最初は「覚えていない」と話していたが、その後、「もうやりません」などと供述している、という。
 北条さんが転落したのは、下りホーム中央付近。動物園前駅の話では、北条さんが突き落とされた時は、ホーム上に1人いる駅員の交代時刻にあたっており、ホーム上に駅員はだれもいなかった。交代のためやってきた駅員がホームに到着したところ、乗客が騒いでいたため、この駅員が少年をホームの柱に押さえ付けるように取り押さえた。少年は「怖い」などと叫んでいたという。
 その直後に、駅員8人が駆け付け、北条さんをホーム上に引き上げたが、すでに動かなかった、という。
 事故当時、ホームには約100人の乗客がいた。近くの大阪市天王寺動物園が約30分前の午後5時に閉園したばかりで、ホームには子供を連れた家族もいた。乗客は駅員が少年を取り押さえ、北条さんを引き上げる様子を遠巻きに見守っていたが、親の陰に隠れる子や、ホームから階段を駆け上がる家族もいた。
 この影響で、当該電車が現場に8分間停車したほか、後続の上下計35本が最高10分遅れた。
・「朗らかな人」亡くなった北条さん
 北条さんは、8年前から大阪市東淀川区のパチンコ店の事務員として働いていた。いつもにこにこして、朝のあいさつを欠かしたことのない朗らかな人だったという。2日朝も「電車の中が暑かった」と言いながら出勤。午後5時過ぎ「お先です」と言い残して店を出て、家路についた。
 同店主任の藤原通明さん(50)は「5月の連休後に『初めて飛行機に乗って帰るんや』と、娘がいるという四国へ、とても楽しそうに旅立っていったのを覚えています。それまでは四国へ行ったことなんて聞いたことがなかったのに、虫が知らせたのでしょうか」と話していた。
 北条さんの住むマンションの家主(56)は「快活な人でした。私の夫が週に一回マンションの掃除に行くのですが『お孫さんにどうぞ』と書いて、玄関の前に袋に入れたお菓子を置いてくださったりしました」と驚いていた。(朝日新聞)
4日■超高速列車の安全性考える準備会が発足
 最高時速270`のJR「のぞみ」や開発中の300`超特急などの安全性や利便性を改めて見詰め直そうという「超高速列車(のぞみ号)問題を考える会」の準備会が、3日発足した。JRの労働組合である国労のメンバーらが中心となって計画し、弁護士、医師、大学教授らが呼びかけ人として参加した。
 一般利用者へも参加を呼びかける予定で、9月中の正式発足を目指すという。準備会事務局の連絡先は電話06-488-9952。(朝日新聞)
■臨時議会招集 共産党が請求 京都市地下鉄問題で
 京都市の地下鉄東西線問題で、共産党市議団は4日午前、田辺朋之市長に対し「地下鉄東西線の建設費の膨張に関する調査について」を議題として臨時議会の招集請求を提出した。
 請求は同市議団18人の連名、薦田守弘助役に手渡した。同市会の定数は72人で地方自治法101条に定める臨時市会の招集請求条件の市会定数の4分の1以上を満たしていることから、市長は議会を招集しなくてはならない。招集時期、議案審議の形式などは未定。
 市会では5日から交通水道委員会を開き、地下鉄東西線の建設事業費の大幅膨張をめぐって集中的な審議が行われる予定になっている。
 しかし、共産党市議団は同問題が財政や市長部局のリストラ策、沿線都市整備計画などと密接に関係することから、同委員会の場だけでなく、市会として総合的な審議が必要として請求に踏み切った。(京都新聞 夕刊)
5日■議会挙げ再審議も 地下鉄問題臨時市会招集請求 各党、前向き姿勢
 京都市地下鉄東西線の建設事業費の膨張問題は4日、臨時市会の招集請求が共産党市議団から出され、新たな展開となった。各会派の議員からは「常任委員会である交通水道委の存在はどうなるのか」と反発の半面、「再膨張で2月市会の論議の前提が崩れた。市民にとって重大で、関心の高い事項だけに議会挙げて再度審議することも必要」と積極的な意見も出ている。各会派は先行する形となるきょう5日の市会水道委で、委員会審議のあり方を含め、地下鉄問題への対応姿勢の明確化を迫られることになる。
 臨時市会招集請求は地方自治法101条に基づいて行われた。同法では定数の4分の1以上の請求があった時は、市長は臨時市会を招集しなければならない、とされている。
 共産党の若宮修団長は「東西線問題は、全議会的に議論されるシステムをつくるべき」と主張。「特別委員会か、交通水道・財政総務・建設の各委員会からなる合同審査会を設置して審議することが望ましい」と招集請求理由を説明する。これに対し、自民党市議団の江羅寿夫団長は「(臨時市会の招集請求で)5日の交通水道委員会は無用になる。責任追求して騒ぐだけなら無意味」と開催意義に懐疑的だ。
 地下鉄問題への対応を中心にこの日、議員団会議を行った公明党の中西賢治代表幹事は「委員会で審議するのがスジ」としながらも「重大な問題なので一般会計への影響など徹底的に追求したい。特別委員会を作る流れになるのもおかしくない」と同調の構えだ。
 一方、同じ自民でも交通水道委員会の高橋泰一朗委員長は「徹底究明するなら、大きなグラウンドで掘り下げて議論すべき」と前向き。
 社会党市議団の梅林等団長は「5日の交通水道委員会での委員長の調整を受けた上で、党としての対応を決めたい。基本的には、経常責任の追求を中心に厳しい姿勢で臨時市会にも臨みたい」という。
 民社クラブ議員団の宮本徹代表幹事は「委員会でも、集中的に論議できる。常任委員会をないがしろにするみたいだ」としながらも、「開く限りは一歩踏み込んだ前向きの議論をしたい」と意欲を見せた。(京都新聞)
■1億円の損害賠償請求提訴 JR東日本、文春に
 「週刊文春」の連載記事をめぐり管内の駅売店で同誌の販売を拒否するなど、発行元の「文芸春秋」(田中健五社長)と対立が続いているJR東日本(松田昌士社長)は4日「記事は事実に反しており名誉を傷付けられた」として、文芸春秋と週刊文春編集長らに1億円の損害賠償と謝罪広告を求める訴訟を東京地裁に起こした。
 これに伴いJR東日本は、週刊文春の販売差し止めなどを求めた6月20日の仮処分申請を取り下げた。
 訴訟でJR東日本は、週刊文春6月23日号に掲載された「糾弾レポートJR東日本に巣くう妖怪」のタイトルの記事は、不正な総会屋対策をしているような印象を読者に与えるなど、同社の名誉、信用を著しく傷付けた、と主張している。
 JR東日本側の提訴と仮処分申請の取り下げについて、文芸春秋側は「取り下げは当然の措置であり、株主総会を無事に終えたJR東日本が冷静さを取り戻したと評価したい。損害賠償請求については、訴状の内容を見た上で態度で決めたい。記事内容には十分な地震を持っている」と話している。(京都新聞)
■地下鉄突き落とし事件 少年に観護措置
 大阪市西成区の市営地下鉄御堂筋線動物園前駅のホームで2日、同市住吉区我孫子東、パチンコ店店員北条初枝さん(65)が線路に突き落とされ電車にはねられ死亡した事件で、西成署は4日、殺人の現行犯で逮捕した大阪府豊中市の無職少年(18)を同容疑で送検した。
 大阪地裁は同日、少年を10日間の観護措置とし、少年鑑別所に収容した。(京都新聞)
■電車に接触、重体 JR堅田駅
 4日午後8時判ごろ、大津市真野一丁目、JR湖西線堅田駅の下り一番線ホームで列車を待っていた男性が貨物列車にはねられ、病院に運ばれたが、頭などを強く打って意識不明の重体。
 目撃者の話しでは、男性は酒に酔った様子で、ホーム上から身を乗り出しておう吐していたところ、通過した貨物列車に頭が接触し、ホームに倒れたという。堅田署で男性の身元を調べている。男性は40−45歳くらいという。
 この事故の影響で、同列車が約20分間停車したほか、後続の2本の列車に最大19分の遅れが出た。(京都新聞)
■関空とミナミを直結 バスターミナル 大阪湊町・9月に設置
 関西国際空港の開港によって大阪・ミナミの玄関となる湊町地区に、同空港が開港する9月4日から、空港のリムジンバスなどが乗り入れるバスターミナルが設けられる。
 バスターミナルには、関西国際空港との間を結ぶリムジンバスが1日15本、大阪国際空港との間を1日42本が結ぶ。このほか、中・長距離の高速バスの発着タ−ミナルともなるよう誘致を進めている。
 ターミナル南側には市営地下鉄や南海電鉄、バスが乗り入れ、空港と都市を結ぶアクセス拠点となる大阪シティエアターミナルビルを建設中だが、完成が96年春になることから、暫定的にターミナルを設け、人の流れの定着を図ることにした。
 ターミナルには空港のフライト情報を表示する装置も設ける。(京都新聞)
■JR東日本訴起こす 「文春」問題
 「週刊文春」の記事で経営体質を批判され、続編の掲載禁止などを求める仮処分を申請していたJR東日本(松田昌士社長)は4日、この申請を取り下げ、発行元の文芸春秋(田中健五社長)や筆者などを相手に、内金として1億円の損害賠償と謝罪広告の掲載を求める民事訴訟を東京地裁に起こした。JR東日本は「すでに雑誌は販売済みで、仮処分を求める実質的な意味がなくなったが、記事で名誉、信用を傷つけられたことに変わりはない」とし、管内の駅売店での同誌の販売中止は撤回していない。(朝日新聞)
■クレーン車架線切断 JR和歌山線が不通
 5日午前7時半ごろ、和歌山県那賀郡那賀町名手市場のJR和歌山線南出踏切で、同郡粉河町西川原、農業林芳弘さん(49)運転のクレーン車が通過する際、架線を引っ掛け、通信ケーブルを切断した。この事故で和歌山線は上下合わせて普通14本が現場付近で不通となり、通勤、通学の3600人に影響が出た。不通区間はバスで代行輸送した。(朝日新聞 夕刊)
6日■緊急レポート 地下鉄東西線@ 衝撃−「建設費 また膨らむ」 建都記念 目玉のはずか
 「市民の信託を受けて市政を推進すべき最高責任者としての責任、地方公営企業の業務を執行する管理者の責任は重大」。先月27日、京都市の田辺朋之市長は緊急記者会見、市長自身を含め特別職四人の減給処分を発表した。地下鉄東西線建設事業費の再膨張、再延長の点検結果の報告を前にけじめをつける、との判断だった。
 その20日ばかり前、6月6日夜。下京区の梅小路公園では華やかに平安建都1200年記念年の「祝典」行事が開かれた。壇上に並んだ関係者の中で、ひとり田辺市長の表情だけがさえなかった。
 田辺市長は、祝典の数時間前、市役所での「地下鉄東西線建設事業点検・推進委員会」で、東西線の総点検の途中経過についてワーキンググループの幹事会から衝撃的な報告を受けていた。
■こわ張る市長
 「建設費は約4900億円、完成はさらに1年近い延伸が必要」との内容だった。席上、田辺市長の表情はみるみるこわ張った、という。わずか4ヵ月前の2月予算市会で、建設費の3940億円への膨張を説明したばかりだった。工期については「96年(平成8年)末の完成は私の最大の責務」と答弁していた。
 幹事会は請負業者に工程表の提出を求め、精査をつくしていた。96年末完成については、大手建設会社の本社サイドから「工事で無理して事故でもあれば京都だけでなく全国の公共工事の入札参加停止処分を受ける。努力はしてもむちゃはするな」との指示が流れていた、といわれる。幹事会は早くも4月末には「96年末は無理」との結論を得ていた。しかし、工期が長引けば事務費や利息など間接費がかかる。ギリギリの短縮策が検討された。
 点検・推進委は報告で「完成は97年秋、同年夏を努力目標」とする。だが、実際には建設機概の増設、作業時間の延長が盛り込まれなければ、完成はさらに最大24ヵ月遅れ、「99年秋」までズレ込んだ、といわれる。
 結局、点検・推進委は計5回、下部の幹事会は計14回を数え、建設費の削減、工期の短縮策を練った。
 一方、建設事業責の上積みは工期延長による間接費の増加や工期短縮費用約113億円だけにとどまらなかった。京阪京津線の改修分担、幹線下水道や他鉄道の運行の安全を確保するための鉄道防護費用の増加が図られた。
■4710億円
 再膨張に衝撃を受けたのは、昨年12月に就任した三浦貞義・公営企業管理者(交通局長)も同じだった。「2月市会で京阪改修の負担分が残っており、若干の変動要素はあると思っていた。4月末か5月初めに『実は』と聞かされた時にはショックだった」と話す。4月人事で市長部局の民生局社会部長から異動した江草哲史交通局管理本部長は「引き継ぎでは何もなかった」と漏らした。
 点検・推進委は最終的に、一時はじき出した建設事業費4900億円を4710億円にまで圧縮した。キロ当たり建設単価は365億円、当初計画190億円の2倍近くになる。「小型車両方式の導入で建設費を大幅に抑えた。平安建都1200年記念事業の目玉」。鉄道免許事業認可の88年当時の説明がうつろに響く。
 京都市の地下鉄東西線の再度にわたる建設事業費の膨張、工期の延長が明らかになった。当初計画に比べ、完成は3年遅れ。巨額の建設事業費が市の財政を危機に陥れる。東西線の夢はどこで脱線したのか。5日、点検・推進委の報告を受けて開かれた市会交通水道委員会では「2月市会は何だったのか。交通局は基本的にすべてを公開する原則に立つべきだ」との指摘が出された。東西線の現状を採ってみる。(政経部地下鉄問題取材班)(京都新聞)
■金食い地下鉄ツケは市民に 京都市の建設費膨張問題 運輸省と責任押し付け合い 市職労は「リストラ許さぬ」
 「信じられないずさんだ」「ゼネコンの言いなりではないか」−。京都市の地下鉄東西線の建設費が2倍近くに膨らんだ問題で5日、市議会の交通水道委員会が開かれた。委員から資料提出要求が相次ぎ、結局、来週にも臨時市議会を開くことになった。市民生活へのしわ寄せが避けられず、市は厳しい再構築(リストラ)に取り組むが、建設費の膨張は当初から予測できた事態ともいえる。建都1200年記念事業の目玉として計画されながら、市政を揺るがす「騒動」に発展した背景に、何があるのか。
 「国がキロ当たり200億円以下でないと認めないというから、無理を承知で抑えこんだ」。運輸省は1988年、キロ当たりの建設費約190億円で東西線を認可したが、今回の見直しで365億円に跳ね上がった。「見通しが甘い」という批判に、市幹部はそう反論した。自民党の市議は「始めから無理は明白。それで免許を下ろした国の責任は大きい」という。
 「巨額膨張」と批判されているが、他都市の例と比べると、極端に高い訳ではない。キロ当たりの建設費は、横浜市3号線414億円▽大阪堺筋線401億円▽東京都の営団半蔵門線342億円▽名古屋市桜通線335億円(いずれも89年度以降開業分)といった具合だ。
 これに対し、運輸省鉄道局の丸山博・財務課長は「大丈夫というから認可したんだ」と怒りを隠さない。昨年、市と協議した際、「これ以上増えない」といったのに、今年に入り、建設費総額が2260億円も上積みされた。丸山課長は「よくもまた増えると言ったもんだ」とあきれており、地価高騰や工法変更など理由のある膨張には支援するが、「市の責任部分は負っていただく」。
 京都の市税収入は2年連続ダウンで、来年度の見通しも微減が横ばい。94年度予算では市の貯金である「基金」を258億円も取り崩し、残りは約60億円。昨年末には「財政非常事態」を宣言している。
 最悪の場合、今回の膨張分だけで、来年度にも数十億円前後を一般会計から取り崩す必要がある、と幹部はいう。膨張部分の手当てには、金利のない補助金と、30年間で少しずつ返せばいい市債の発行許可が不可欠だが、国が認めなければ、財政の破綻(はたん) は確実だ。
 市債が認められても「借金地獄」が待っている。すでに市の起債発行残高は国の指導を受ける一歩手前だ。また、財政再建団体になれば、国の基準より手厚い市単独の保育事業などが難しくなる。「まさに前門のトラ、後門のオオカミです」と幹部はつぶやいた。
 市は、強力なリストラを断行して国の財政支援を引き出す狙いのようだ。交通局については6月下旬、勧奨退職などによる970人の人員削減を発表。市長部局の削減も考えている。だが、膨張の一因といわれる契約変更は、交通局が建設する18工区だけですでに52回に及ぶ。「最初の競争入札による契約は何だったのか。ゼネコンの言いなりだ」との批判が集中したおり、市のリストラ攻勢には反発も強い。
 市職員労働組合(河内一郎委員長)は「失政の犠牲を市民に転嫁したり、職員の労働条件悪化を許さない」と声明。京都交通労組(政勝男委員長)も「受け入れられない」と反発し、社会党は同労組との共闘を表明。共産党は、市長辞任を視野に入れて政治責任を追求する構えだ。(朝日新聞)
7日■緊急レポート 地下鉄東西線A 挫折−甘かった投書計画 地価上昇 用地買収遅れ
 京都市が事業免許を申請、許可を得た1988年の当時は行政改革の嵐が吹き荒れていた。東西線のキロ当たり建設費は約190億円と算定されていた。烏丸線(竹田−北山)のキロ単価222億円に比べ、東西線の建設事業費はかなり抑え込まれた。
 「平安建都1200年に間に合わせたい、と無理やり低く抑えた計画を出して許可をもらったのではないか」。初めて約1500億円の膨張が報告され「地下鉄市会」となった今年3月2日の事業予算特別委員会でこう迫る江羅寿天議員(自民)に、北田貞雄前高速鉄道本部長は「厳しい数字ではあった」と当初計画の甘さを認めた。
 建設事業章2450億円、工期6年で、東西線は平安建都1200年に沸く京都市内をさっそうと走る動脈になるはずだった。
■烏丸線で経験
 東西線建設事業の旗ふり役の交通局長だった中坊仁寿治氏は当時、東西線計画を次のように説明している。「烏丸線工事が遅れた要因は用地買収だった。東西線は大半が道路下を通り、買収件数が少なくてすむ。準小型車両を使い、トンネルの断面を烏丸線の6−7割と小さくして工費を安くあげる」と。
 中坊氏は現在、東西線と連動して御池地下街・駐車場の建設を進める第三セクター「京都車場会社」の社長を務めている。2月市会では「中坊社長を委員会の参考人として招致すべき」との声も出た。
 「あの時代は経済も上がり調子。十分にいけるのではないかと思った」「烏丸線建設の経験もあり、技術者もいる。ノウハウはある、と気負っていた」。元高速鉄道本部長の小島泰男左京区長と、中坊氏の後を受けて、昨年12月まで交通局長だった依田満収入役らは強調する。
 しかし、工事は思い通りに進まなかった。91年をピークに京都の地価は全国一の上昇率となった。本格的工事にかかる前の用地買収に時間と金を費やした。建設ルートの三条通では京都と大津を結ぶ京阪・京津線の運行確保も大変な課題だった。京津線は一部路面電車として運行されている。道路を地表から掘るオープンカット工法は無理な場所があることも分かった。
 京津線を一時的に止め、バス輸送への振り替えを打診したこともあった。しかし、2両編成で1時間に十数本の電車をバスに振り替えたとしても、交通渋滞をどう乗り切るのか。妙案はなかった。結局、第三セクターの「京都高速鉄道」施工部分では工法変更を迫られ、建設事業費の当初計画比 254%増もの膨張につながっていく。
■三セクを採用
 京都高速鉄道の事業費超過は財源面で深刻な事態を招いている。三セク方式に対する国の補助制度がなかったため、当初から懸念があった。とくに自治省サイドからは採算と財源確保を心配する声が強かった。しかし、その一方、運輸省サイドからは東西線の開通で御陵−三条間の路線廃止に追い込まれる京津線の都市間交通機能の維持を求められていた。
 結局、市はこの区間を京阪電鉄の資本参加を求める三セク方式の採用に踏み切り、事業認可を得た。「地下鉄事業は単なる許可ではなく、いわば特許事項。国の指導によらざるを得なかった」と依田収入役は述懐する。
 そして、89年11月8日、中京区のホテルで待望の起工式が行われた。出席した関係者450人の顔は喜びと期待に満ちていた。(京都新聞)
■整備新幹線 建設問題 再び論議に 運輸省の白紙発言 省内に戸惑いの声
 今年2月の細川政権で、未着工区間などの建設計画を1997年以降、あらためて検討することで決着をみた整備新幹線建設計画見直し問題の論議が、来年度予算の概算要求に向け再燃しそうだ。
 亀井運輸相(自民党)が、6月30日の大臣就任後の記者会見で「3年後に先送りするという方針は白紙に戻す。来年度予算で事務当局と詰め、全線フル規格化で前に進めていく」と発言したからだ。
 今のところ運輸省幹部は「大臣からは、勉強してくれと言われているだけで、具体的な指示はない」「政権が代わったのだから前の政権を批判するのは当たり前」と表面上は平静を装っている。
 しかし運輸省は、見直しで最大のネックとなっている建設財源問題について「国の負担増」を明言しており、担当者の間からは「今更そんなことを言われても。いい知恵があったらとっくに出している」との戸惑いの声が漏れている。
 こうした省内の空気にも「大臣が(細川政権の方針を)死んだと言っているのに、職員が生きていると言うわけはない。そうならないように行ってもらいたい」と運輸省の鼻息は荒い。
 亀井運輸相は、昨年6月に自民党が衆議院議員選挙の公約としてまとめた「整備新幹線は全線フル規格化で早期に開業する」という見直し案づくりで、党の政調会長代理として大蔵省との調整に走り回った“実績”がある。
 それだけに見直しにかける思いは強いようで「自民党が政権に復帰したのだから選挙公約の自民党案が(見直しの)憲法。それを基に進める」と強調。「来年度予算で公共事業という観点から真水(一般財源)を増やすよう大蔵省に働き掛ける」と決意を語る。
 今後、新しい連立政権の製作協議の場で「全線フル規格化を確認」した上で予算編成に臨む考えも示しており、沿線自治体の間に再び期待感が強まりそうだ。(京都新聞)
■特急「はるか」すべて京都発着 関空開港でダイヤ改正 1日29本 JR西日本
 JR西日本は6日、関西国際空港開港に伴って9月4日付けで実施するダイヤ改正の内容を発表した。京都−空港感の特急「はるか」など、アクセス列車を上下合わせて1日167本運転する。
 関空アクセス関係では、京都−空港感に新造車のり「はるか」を1時間当たり2往復程度、1日29往復走らせる。途中停車駅は新大阪と天王寺で、最も早い列車は所要時間1時間13分。当初、かなりの本数を新大阪発着にする計画だったが、「京都で多くの大型プロジェクトが進んでおり、利用者が増えるだろう」(同社運輸部)とみて、すべて京都発着とした。
 大阪の京橋、湊町、天王寺と空港の間には、新造車両の「関空快速」を、1時間に1、2往復ずつ運転。阪和線の日根野−空港感に各駅停車のシャトル列車を上下18本走らせる。
 「今後、航空ダイヤが確定すれば、深夜、早朝に臨時はるかや快速を出すこともある」としている。
 一方、東海道線、湖西線、奈良線などのアーバン区間では、現在8両編成の新快速の一部12両化や、増発、運転区間延長、増結で通勤時間帯の混雑緩和を目指す。東海道、学研都市の両線では、週休2日の定着に伴って、土曜日を休日ダイヤ化する。(京都新聞)
■地下鉄などで意見交換 明日の山科を考える 区代表ら行政と懇談
 「明日の山科を考える」をテーマに、山科区内の地域代表者と行政関係者が懇談する会合が6日、区内のホテルであり、工期延長や工事費の膨張が問題となっている地下鉄東西線や山科駅前再開発事業をめぐって活発な意見を交わした。
 会合は、地域の発展と活性化にむけて毎年開いている山科区自治連合会連結協議会の総会で、今年で25回目。今年は、山科区の13学区の自治連合会長ら地域代表約70人のほか、田畑外志雄区長ら行政関係者約40人、地元選出の6人の市会議員ら計120人が出席した。
 同連絡協議会の会長会代表を務める堀井票男さんがあいさつしたのに続いて、10学区の代表者がそれそれの地域の課題について行政側の取り組みをただした。
 地下鉄東西線工事の進ちょく状況や、今後の工事日程などの質問に対しては、市交通局高速鉄道本部の山口巌本部長が「工事費が当初予定(2450億円)の倍近くに膨れ上がり、完成が1997年秋に延びた」と謝罪した上で、「しかし、市が一丸となって、97年夏の完成を目標に取り組む」と決意を語った。
 また、山科駅前再開発事業や、地域体育館の建設事業、道路や公共下水道といった都市基盤の整備を求める意見なども出され、行政の担当者が説明に応じた。(京都新聞)
■始発電車も始発便に間に合わな〜い 関空線ダイヤ JR西日本 航空ダイヤ見えず苦心 最終便見送ると終電出た後…
 JR西日本は6日、関西空港が開港する9月4日から実施するダイヤ改定について発表した。目玉は「関西空港線」。京都−関西空港間に新型特急「はるか」を1日29往復運転するほか、京橋、湊町発着の快速も走らせる。しかし、肝心の航空ダイヤが確定しない中での作業となったため、大阪市内からは始発列車に乗っても関西空港の始発便に間に合わなかったり、空港従業員が最終出発便を見送った後では終電に乗り遅れたりする恐れのあるダイヤとなった。「場合によってはやり直しも」と同社は話している。
 「はるか」は京都始発が午前6時15分で、最終が午後8時16分。逆に関西空港の始発は午前6時29分で、最終が午後9時48分。上下線ともほぼ30分間隔で走る。
 「はるか」は「京都−関西空港間、75分」が宣伝文句だが、朝夕のラッシュ時間帯は通勤電車の合間を縫って走るため、看板よりも23分も余計にかかる列車もある。全席指定で、予約は団体(15人以上)が8月1日、個人は同4日から受け付ける。
 大阪市内からの快速の始発は天王寺発午前5時39分で、関西空港発の最終は午後11時40分となっている。現時点で国内線、国際線の航空ダイヤとも確定していないが、全日空は関西空港の始発便として、午前6時半に出発する東京(羽田)行きを検討中だ。しかし、JRダイヤでは、始発電車に乗っても関西空港の到着が午前6時25分前後となるため、この全日空便には間に合わない。
 また、国際線では日航が午後11時発のホノルル行きを計画している。空港関係者がこの便の離陸を見届けてから駅に行っても、「終電は出てしまった後」となる恐れがある。(朝日新聞)
■週刊文春が写真間違う JR東日本批判記事
 JR東日本の労使関係を批判する「週刊文春」の連載記事をめぐり、駅売店での販売拒否や損害賠償請求訴訟に発展している問題で、7日発売の同誌が「松崎明JR東労組委員長裏人脈のキーパーソン」と題して掲載するグラビアに、まったく別人の写真が使われていたことが明らかになった。文春側は「当方の確認不足で誤った写真を掲載した」と全面的にミスを認めている。
 問題の写真は、ホテルのパーティで、松崎委員長の隣にグラスを手にした男性が並んで写っている。添えられた記事は、この人物をJR東日本と取引関係のある広告代理店の社長として実名で紹介。松崎委員長のシンクタンクの中心メンバーを務め、「自民党の元大物政治家を松崎氏に結びつけたりしている」として、松崎委員長の裏人脈づくりなどに強力した、などとしている。
 しかし、この人物は、実際にはJR東日本労組が主力となっている全日本鉄道労働組合総連合(JR総連)の佐藤政雄副委員長だった。佐藤副委員長は「国鉄分割民営化の前、1986年ごろの写真ではないかと思う。当時、松崎さんは動労中央本部委員長、私は副委員長で、一緒に写った写真があっても不思議ではない。文芸春秋には事実関係の説明と謝罪、訂正を求めたい」と話している。
 文芸春秋は6日、「週刊文春グラビア担当デスク」名で「人物を誤認して掲載してしまいました。当方のミスです。関係各位にお詫びいたします。次号で訂正いたします」というコメントを出した。(朝日新聞)
■地下鉄東西線 建設費膨張を調査 京都市臨時議会 14日に招集
 京都市の地下鉄東西線建設事業費の膨張問題で、田辺朋之市長は7日間、同問題に対する調査を議題に14日に臨時議会を招集する、との告示を行った。
 会期は本会議で決めるが、22日までの9日間となる見込み。
 東西線については今年2月の予算市会で、建設事業費が当初計画を1500億円上回る3940億円となることが報告された。ところが、その後、市点検・推進委員会で総点検の結果、さらに770億円の上積みが必要となり、総額4710億円となることが判明した。
 このため、同日、自民、公明、社会、民社クの4会派が「市会の検査が必要」との立場で、田辺市長に対して早期開会を申し入れた。また、共産党市議団も4日に地方自治法に基づく招集請求を行っていた。
 代表質問日時、委員会審議のあり方など具体的な市会日程については、議会運営委員会で決める。(京都新聞 夕刊)
■電車68本運休 7万人に影響 阪和線で信号故障
 7日午前6時半ごろ、大阪府岸和田市土生町のJR阪和線東岸和田駅構内の信号機が赤のまま変わらなくなった。30分後に係員の手信号で運転を再開した。朝の通勤時間帯の阪和線などが大幅に乱れ、関西空港線を合わせて計68本が運休したほか、53本が90分−25分遅れ、通勤通学客約7万人に影響が出た。(朝日新聞 夕刊)
8日■緊急レポート 地下鉄東西線 誤差−相次ぐ契約変更 ズサン設計 工法まで一変
 京都市の東西を直結、都市機能の充実に大きな期待を集めた地下鉄建設事業は、どこで構想との誤差を生じ始めたのだろうか。
 東西線は1989年11月8日の起工式に続き、翌90年2月には、堀川駅、押小路の両工区を手始めに着工命令が出された。関連整備事業との関連で着工が遅れた山科駅工区を除き、92年までに24工区の工事が次々に始まった。
 だが、わずか半年後には市交通局施工の堀川、御池、押小路の3工区で計5億円の契約変更が行われる。変更はその後も相次ぎ、93年度末には市直轄18工区すべてで計52回227億円、第三セクター「京都高速鉄道」施工7工区中の5工区で計20回234億円となり、合計462億円に達する。三セクの残り2工区の工事進捗(ちょく)率は4%(5月末現在)で、契約変更はさらに増える可能性がある。
■掘ってわかる
 確かに、土木関係者の間では地下工事に変更工事はつきもの、といわれる。「掘ってみて、補助工法が必要なことが初めてわかる」と言う。増える一方の追加工事に、市交通局の浅賀博理事(前高速鉄道副本部長)は「予想外の変更もあった」と主張する。
 東西線の設計は全線を市交通局が設計した。烏丸線の建設実績などを基準に免許申請の87年時点の積算だった、という。
 だが、烏丸線に比べ東西線の工事条件ははるかに厳しかった。山科と市街地を結ぶ三条通は一部で京阪京津線が路面を走る。誤差は工事の進捗につれ、覆いようもなく膨らんでいった。
 平安建都1200年記念年に間に合わせたい、との思いが拙速を招いたのかも知れない。当然、当初から計上されるはずの下水道など地下埋設物の移設費用まで抜け落ちていた。山口巌高速鉄道本部長は「巨大な下水管の防護方法の検討には時間がかかる。本体の工事の発注を優先、その後で下水道当局と協議する方式だった」と説明する。
■追加工事続々
 「図面が粗かった。後から後から必要な工事が出てくる。設計仕様にない追加工事や変更工事があった。契約変更を求めるのは当然」と請負業者側は主張する。全工区でこれまでに移設した下水菅は延べ7.6`、水道管は同14`、計76億円が必要だった。
 大規模な工法変更も目立った。京津線が乗り入れる山科区の御陵東工区は道幅が狭く、当初のオープンカット工法から土中に4本のトンネルを掘る国内初の「単線4本シールド工法」に変わり、事業費は23億円のアップとなった。
 三セク区間でも御陵駅、蹴上駅、三条京阪駅工区でオープンカット工法からパイプルーフ工法への変更が行われた。京津線や道路交通を確保するには当初計画での施工は不可能だった。パイプルーフは鋼管を横から差し込んで天井を作り、地上の道路や軌道を支えながら、その下を掘る工法だ。オープンカットに比べ、時間と金が格段に必要となった。道路幅員の狭さや京津線の存在は初めから分かっていたはず、との指摘もある。「免許時の工法選択が不十分だったと考えざるをえない」。三浦貞義公営企業管理者(交通局長)の口は重い。
 東西線の建設事業費の膨張に対して市民からは疑問の声が沸き起こっている。7日、田辺朋之市長は、市会から出された臨時市会の招集請求を受けて、14日に臨時市会を招集する告示を行った。(京都新聞)
■窓 京都市交通局に物申す
・不安な北大路ターミナル 左京区・石橋道弘(元大学教員・65)
 先日北大路バスターミナルの地下3階(地下鉄改札前広場から、北大路通へ出るエスカレーターに乗った。地下2階に当たる中段の平たん部分へ来て見上げると、老婦人が出口で座りこんでいる。つえの柄でエスカレーターの上の片方だけの靴を引き寄せている。私が昇り着くと「出口でつまずいてこけた。大丈夫だ」と言うが立てず続いて来た若い女性が助け起こした。
 このエスカレーターは地下3階の乗り口から北大路通の出口まで見通せない。上部で事故があると処置できない。モニターカメラの設置が必要だと思う。
 それにしても、バスの発着場と車庫が地下2階というのは甲種危険物取扱者の立場で見ても不安だ。燃料の蒸気や排気ガスはどうしてもたまる。3台のバスが横一列に並ぶ出入り口で事故が起こり、油が流れ落ち、火がついて炎が走ればお手上げだ。車庫ではよく散水している。湿度を高めて静電気の発生をおさえているのだろうが。ターミナル全体ひっくるめてのランニングコストが心配だ。どうもこのターミナルはバブル時代の設計のようだ。
・市幹部の無能 設計ミス招く 北区・東村久男(無職・82)
 北大路バスターミナルの不便さについては、当欄でも取り上げられていますが、これは一度でも利用したことのある人が、異口同音に唱える不満です。
 私もバス停を地下に入れた理由を市長、交通局長あての手紙や電話で何回も問い合わせていますが、そのやりとりから推察すると、管理職を除く、中間職以下の現場の職員は「下手な設計をしたものだ」と感じているようです。そして、その旨、上司に進言しても聞き入れられなかったともらす人もおります。また、一部のバス停を路上にしてほしいという要望には「北大路の路上にバス停をつくれば、ダイヤを組み替えなければならず、これには費用がかかる」とのことです。
 「バスプールで万一火災が起きたら、停留所にいた客、特に弱者はどうなるか」と問いますと「指導員が無事案内します」と言います。緊急の場合、果たしてその言葉通りにいくと信じていいか怪しいものです。
 地下鉄東西線が当初のずさんな計画のため、経費は2倍近くに膨れ上がり、完成も3年遅れるといわれます。北大路バスターミナルの設計ミスも、地下鉄東西線の誤算も、根は一つ。市幹部の無能に起因するとしか言いようがありません。市民の税金や国からの補助を安易に考えているから、こんなことになるのです。これが民間企業だったら、どんなことになるか考えていただきたいものです。
・許せぬ地下鉄ワンマン計画 大山崎町・大島 豪(無職・65)
 先日、所用で東京へ行った。私は東京出身で、兄弟、親類が東京周辺にいるので、よく行くが、ここ数年、上京するたびに驚くことは地下鉄の路線が増え、便利になっていくことである。
 一方、京都では、本紙の報道によると、地下鉄東西線の建設事業費が当初の計画から倍増し、しかも完成は3年も遅れるそうだ。
 また、膨張した建設費のつけが市民や利用者に押しつけられ、運賃の値上げも避けられないという。
 今回上京したときに何回か利用した東京の地下鉄の運賃は初乗り140円、2区間乗っても160円だった。同じ大都市の地下鉄でありながら、工事の遅れ、運賃などにこんな大きな格差があるのは何とも不可解な感じがしてならない。
 それに、京都市は膨大な建設費の穴埋めに職員の大量削減を行い、乗務員のワンマン化の計画もしているようだが、過日、東京で起きた都営地下鉄の人身事故が車掌やホームに駅員がいても防げなかった事故であったことを考えると、ワンマン化は乗客の安全を無視した、あまりにも無謀な計画で、絶対に納得できない。(京都新聞)
■「写真は別人、週刊文春を販売禁止に」 JR総連仮処分申請へ
 7日発売の「週刊文春」7月14日のグラビア写真に「松崎明JR東労組委員長裏人脈のキーパーソン」として取り上げられた写真は、同誌記事が指摘する人物ではなく、JR総連の佐藤政雄副委員長であることが分かり、佐藤副委員長は7日、週刊文春の発行元の文芸春秋社に、当該記事(を掲載した号)の販売などの禁止を求める仮処分を東京地裁に申し立てることを決めた。申し立ては8日になる見込み。
 また、JR総連は文芸春秋に対し、ニュースソースを明らかに謝罪するよう申し入れた。(京都新聞)
■地下鉄問題調査へ 14日に臨時市議会
 京都市の田辺朋之市長は7日、地下鉄東西線の建設費が膨らんだ問題を調査する臨時市議会を14日に開くことを告示した。(朝日新聞)
■近畿や周辺 ひさびさの雨激しく JR運休や停電も
 近畿を中心とした西日本で7日、ひさびさの雨が降った。猛暑続きで熱された上空に湿った空気が流れ込み、大気が不安定になったため、各地で雨脚が強まり、一時、大雨洪水警報や雷注意報が出た。雨と落雷で電車が止まったり、停電などの影響が出たが、雷雨は同日夜半までにおさまった。8日からはまた夏型の天気に戻るという。
 大阪管区気象台などによると、雨量を観測したのは、神戸、大津で9日ぶり、大阪、岡山、高松では7日ぶり。夕方の降り始めから、午後10時までに兵庫県生野町で110_、京都府丹波町72_、大津市43.5_、岡山市100_の雨が降った。
 雷雨の影響で、JRでは兵庫県内の姫新線三日月駅構内の信号が故障、約1時間半にわたって運転がストップしたほか、福知山線や山陽線、山陰線でも信号機の故障があり、加古川線や岡山県内の各線では、激しい雨で運転を見合わせる区間が相次いだ。
 雷の被害では、京都府亀岡市吉川町で電柱に落雷し、集会所の一部が焼けたほか、同市などで計1700戸が停電。滋賀県大津、草津両市で計5700戸、岡山県でも岡山市を中心に計6100戸が停電した。
 気になる梅雨明け。これまで大阪管区気象台では、平年並みの7月19日前後を見込んでいたが、このまま梅雨明けに向かう可能性も出てきた、という。(朝日新聞)
■「大成」など書類送検 地下鉄工事死亡事故
 ことし5月に京都市山科区の地下鉄東西線工事現場で起きた死亡事故で、京都下労働基準監督署は8日、大成建設(本社・東京都新宿区、山本兵蔵社長)、吉岡建設(同・高槻市、吉岡隆一社長)の2社と現場責任者2人を労働安全衛生法違反で京都地検に書類送検した。
 同署によると、大成建設ら2社と現場責任者の2人は、安全確保のため、労働者用の通路を設けなければならないのに、この措置を講じていなかった疑い。
 同現場では今年5月26日、見学者に付き添っていた講じ主任の小田秀樹さん(40)が工事用車両にひかれて死亡している。(京都新聞 夕刊)
9日■緊急レポート 地下鉄東西線C 工期延長−工事遅れ悪循環 2工区 実質足踏み状態
 「残念だが全体の完成時期は平成8年(1996年)末になる」。昨年2月25日、市会本会議での西脇尚一議員(自民)の「地下鉄東西線の完成時期は全市民的な重大関心事。計画通り6年度(94年)末に完成するのか」との質問に、田辺朋之市長は初めて、東西線の工期延長見通しを明らかにした。
 市長選を6ヵ月後に控えた中での工期延長表明だったが、政治日程に代えられない切迫した状況があった。この時点で、契約から2年も経過していた山科駅工区の着工が、できていなかった。地上の山科駅前市街地再開発事業との関係で、結局、工事着手にこぎ着けたのは市長の延長表明から1ヵ月後の3月25日となった。
■再開発難航で
 同工区の工期は33ヵ月。それ一つ考えても延長は避けられない事態に陥っていた。「受注した時は半年待つだけと聞いていた。いつ着工できるのか、何度も市に問い合わせた」と、請負企業体の八手又武美作業所長は語る。同工区は現在も地権者との用地交渉がいまだ、全面解決していない。依然として、工事進捗(ちょく)の大きな障害となっている。
 山科駅前市街地再開発事業は、東西線建設と連動する沿線5大プロジェクト事業の一つである。市は東西線とともに、醍醐や三条京阪、市役所前の御池通、JR二条駅周辺で都市整備事業を同時進行させている。いずれも、まちづくりの核となる数百億円規模の拠点開発事業で、東西線建設工事の進捗と深くかかわっている。
 もちろん、5大事業だけが地下鉄工事の足を引っ張っているわけではない。
 第三セクター「京都高速鉄道」の施工区間では工事の遅れが隣接工区の遅れを招くという悪循環になっている。蹴上駅と東山駅の工区は、隣接のトンネル工事の発進基地に予定されている。が、オープンカットからパイプルーフへの工法変更などでの遅れの余波が隣接工区に及んでいる。両工区に隣接し、シールド工事を行う神宮道と東大路の2区間では、92年7月の着工から94年1月まで1年半もの間、現場事務所は先行して設置されたものの、実際の工事はほとんど進まず、工事進捗率1%の足踏みが続いた。
■96年末は無理
 三セク工事を管轄する日本鉄道建設公団の水本清志京都鉄道建設所長は「実質的には工事は止まっている。着工命令は結果的に見込み違いだった」と言い切る。
 両工区はともに、現在も「シールド(穴掘り)機械作成中」の状態にある。別の場所で製作されているシールド機械が地下に降ろされ、地下を進み始めるのは隣接工区の土木工事が完成した段階となる。両工区とも実際の工事は進まないまま今も、確実に工期だけが食いつぶされている。
 市長の市会答弁とは裏腹に、当時、現場の工事関係者の間では「96年末の完成なんて無理。工期の再延長は避けられない」とのささやきが交わされていた。今回、点検・推進委は「抜本的な検討を行った」として、シールド機械の増設など計74億円の工期短縮策を取り入れた、と報告した。
 8日、中京区では革新系団体が主催する「地下鉄問題緊急市民集会」が開かれた。巨額の建設事業費と工期再延長を招いた市政への批判が相次いだ。(京都新聞)
■窓 運転手さんの親切にホロリ 長岡京市・中山治美(アルバイト・43)
 最高気温36.6度という日、京都駅前の市バス乗り場から、祇園行きの臨時バスに乗った。
 このバスの運転手さんは、バス停ごとに待っている人に「祇園止まりです」とマイクで知らせる。外から行く先はたずねにくいものだが、バスの方から先に言ってもらえると助かる。その声を聞いて、乗りかけてやめた人もいた。
 修学旅行生らしい数人の乗客が「清水寺へはここでお降りください」の案内に下車して、寺と反対のほうへ歩きだすのが見えた。運転手さんはクラクションを鳴らし、「こっちこっち」と言いながら、ドアを開けてあげた。旅行生も「ありがとうございました」と大きな声で礼を言った。
 暑い時に旅行に来て、親切な人に出会うか、道に迷ってしまうかでは、全く思いでが違ってくる。見ていた私までうれしくなった。
 市バスの運転手さんは、観光客が一番世話になる人だ。大変だろうけど、京都の印象は自分にかかっているというぐらいの誇りを持って、親切な態度で頑張ってほしい。一つの親切が、受けた人だけでなく、周囲までもさわやかな優しい気分にしてくれるのだから。(京都新聞)
■リフトバス運行を 車いす利用者ら 近鉄バスに要望書 向島ニュータウン
 京都市伏見区の向島ニュータウンに住む車いす利用者たちが8日、同タウン内の愛隣デイサービスセンターで、近鉄京都自動車区の迎谷正男区長に、車いす利用者が介護者なしで乗り降りできるリフトバスの運行を求める要望書を渡した。
 近鉄バスは、ニュータウン内で巡回バスを運行している。ニュータウンの市営住宅には、車いす専用住宅が50戸あり、約200人が住んでいる。
 要望書を出したのは、同デイサービスセンターの利用者でつくる「近鉄バス改善要望対策委員会」(柏木正行代表)。同会によると、先月末、車いす利用者の一人が介護者なしで同バスに乗車し、下車する際、「あんまりひとりで乗らないでほしい」と乗務員に言われたという。要望書は「だれでも何ら差別されることなく利用できるはず」として、車両改善などを求めている。これに対し、迎谷正男区長は「要望書を会社に持ちかえって検討したい」と答えた。(京都新聞)
■「はるか」に乗って見学ツアーいかが 11日から募集
 JR西日本は関西国際空港開港時に運転を開始する関空特急「はるか」に一足早く乗り、関西国際空港駅を見学するツアーの参加者を11日から募集する。
 ツアーは今月24、30、31の3日間。いずれも午前10時半京都発で、途中の新大阪、天王寺からも乗車できる。営業運転では京都−新空港感往復が6860円なのに対し、軽食付きで4600円とサービス料金になっている。
 募集人員は各日とも160人。京阪神主要駅のみどりの窓口とJR西日本の旅行センター(Tis)で申し込みを受け付けている。(京都新聞)
■週刊文春販売禁止求め仮処分申請 JR総連副委員長
 7日発売された「週刊文春」7月14日号に、JR総連の佐藤政雄副委員長(58)の写真が別人として誤って掲載された問題で、佐藤委員長は8日、発行元の出版社「文芸春秋」を相手に同号の販売禁止などを求める仮処分を東京地裁に申請した。(京都新聞)
■信号赤で列車行き過ぎ 花園駅、後続に乱れ
 8日午後零時15分ごろ、JR山陰線花園駅(京都市右京区)で、場内信号機が赤なのに園部発京都行普通電車が駅に進入しようとし、信号機を90bを行き過ぎた所でようやくストップ。バックしたうえ信号が青に変わるのを待ってあらためて駅に入った。ホームの手前で止まったため事故にはならなかったが、同列車が8分遅れたほか、後続の2本が12−3分遅れ、500人の乗客に影響が出た。(京都新聞)
■JRとタクシー接触 伏見の奈良線踏切
 9日午前10時半ごろ、京都市伏見区深草極楽寺町のJR奈良線宝塔寺踏切(しゃ断機、警報機付き)で、奈良発京都行き快速電車とMKタクシーが接触した。けが人はなかった。電車は現場に約10分間停車し、奈良線京都−宇治間の普通電車2本が運休した。
 伏見署で原因を調べている。電車には約200人の乗客がいた。(京都新聞 夕刊)
10日■男性はねられ死亡 JR草津線石部の踏切
 9日午後6時18分ごろ、滋賀県甲賀郡石部町石部のJR草津線中郡道踏切=第一種踏切=で、遮断機をくぐった男性が京都発柘植行きの電車にはねられ、死亡した。
 水口署の調べによると、男性は年齢50歳ぐらい。白いTシャツ、グレーのズボン、黒短靴姿で、身元の確認を急いでいる。 この事故で、同電車が現場に約30分間停車したのを最高に、上下合わせて9本が遅れ、1800人の足に影響が出た。(京都新聞)
12日■緊急レポート 地下鉄東西線D 試算−予測去れていた膨張 国の認可得るため
 2450億円から3940億円、さらに4710億円に。地下鉄東西線の建設事業費はおよそ市民感覚から掛け離れたスケールで次々に膨張が明らかになった。約1500億円の膨張で「地下鉄市会」といわれるほど論議をつくした2月市会だったが、わずか4ヵ月後に論議の前提そのものが崩れる事態となった。
■「お願い書」
 事業費膨張で目につくのは追加工事、契約変更による土木費の増加だ。
 「お願い書」という文書がある。
 「当初契約の工事費に対して想定した以上の厳しい条件のもとで、各種の工事費が嵩(かさ)み、懸命に企業努力を続け最善をつくしておりますが、もはや工事管理に対応する範疇(はんちゅう)を超える内容となって全員苦慮している次第でございます」
 市交通局高速鉄道本部建設部長あてに各工区の建設請負業者の現場代理人が名を連ねた書面だ。文書では賃金や物価変動に基づく請負代金額の変更(契約書18条)、工事の変更中止(同15条)、図面と自然との不一致、条件の変更(同14条)について契約の「適切な見直し」を求めている。業界では「スライド条項」と呼ばれる。
 確かに地下鉄工事は他の建設工事に比べて変動要因が大きい、といわれる。請負業者にとっては、工事請負契約の中で、このスライド条項が請負金額を増額できるかどうかのカギを握ることになる。
 交通局は当初計画の2450億円の積算は烏丸線を基準にした、と説明している。しかし、「当初からだれもできるとは思っていなかった。国の認可を得やすくするために、予算を切り詰めた。典型的なのが補助金対象外の三セク方式を採用したことだ」と、契約変更で建設事業費が膨張するのは当初から予測されていたと証言する、当時の市中枢幹部もいる。
■早くも揺らぐ
 東西線の建設事業費の膨張は2月市会で初めて明るみに出た。だが、実際には部内の試算は何回か行われていた。市会で「平成4年(92年)6月段階で1160億円程度の膨張が判明していたのではないか」との北川明議員(自民)の追求に対し、井上幸郎交通局管理本部長(現中京区長)は「用地取得の第一回契約終了段階で一定の試算をした。内部資料として作成した」と早い時点での内部試算の存在を認めている。
 とは言うものの試算数字には特別の意味もある。補助金の関係もあって国との協議が欠かせないからだ。2月市会で報告した3940億円も「前年から国との協議を重ねて算出した」(山村道弘交通局経営推進室長兼財務部長)はずだった。しかし、この段階の市会質疑で東西線へ乗り入れる京阪・京津線改修費用の市分担分が計上されていないことが判明した。5月1日、市発行の市民しんぶんは地下鉄特集を組み「約1500億円の膨張」と伝えている。しかし、早くも試算は揺らいでいた。
 点検・推進委の内部検討の結果で再膨張はさらに約1000億円超過して約4900億円に達した。しかし、懸命の圧縮で総額4710億円にまで削減した。「社会、経済的変動がない限り、確実に達成できる」(江草哲史交通局管理本部長)との試算が、14日招集の臨時市会で論議される。(京都新聞)
■業界に採用増要請 運輸省 JRなどに文書送付
 運輸省は11日、関連業界団体などに来年春の新卒者の採用増を求める文書を送付した、と発表した。
 亀井運輸相が5日、関連企業に働き掛ける方針を表明したのに対応した措置。送付先はJR7社のほか、日本民営鉄道協会、全日本航空事業連合会、日本造船工業会、日本旅行業協会、日本ホテル協会など24団体。
 送付先団体から傘下の地方団体や各企業へ採用を増やすよう要請するとともに、各企業に対し労働省主催の地方での企業説明会への傘下も働き掛けてもらう。(京都新聞)
■京阪を”特急”スケッチ 駅前風景42景 わずか2日で 西宮えびすの神職
 新幹線車窓風景などのスピードスケッチを特技とする、西宮市の西宮えびす神社権宮司、吉井貞俊さん(63)が、京都と大阪を結ぶ京阪電車の駅前風景42景を、わずか2日でスケッチした。
 吉井さんは、休みを利用し、大阪・淀屋橋から京都・出町柳までを普通電車に乗り、一駅ごとに降りては、次の電車が来るまでのわずかな時間に、ホームなどからの景色を鉛筆でスケッチブックに収める早業に挑戦。まず4月14日、28駅を描き、同25日に残りを仕上げた。大阪・京橋駅からのツインタワービル、京都・四条、三条駅からの鴨川風景などいずれも早がきとは思えぬ克明な描写。
 街道筋の変遷を研究する吉井さんは、29日から8月10日まで守口市の京阪百貨店で作品展を開き、多くの高僧が通った比叡山延暦寺への古道スケッチなどと一緒に展示する。
 吉井さんは「京阪は畿内の中枢を貫く電車で、乗っているうち二都の風土感覚が見事に転換する様を描き出せればと、筆を走らせた」と話している。(京都新聞)
■少数労組にも事務所与えよ JR西日本に地労委
 JR西日本の少数労組である国労南近畿地方本部(坂本克生委員長)が、地域分会への貸与を会社側に求めたところ、組合員が少ないことを理由に拒否されたとして、大阪府地方労働委員会に救済を申し立てたのに対し、同地労委は11日、会社側の不当労働行為を認め、事務所の貸与を命令した。
 命令書によると、国労は旧国鉄時代、和歌山県の紀伊田辺駅構内にあった事務所を、1978年のJR発足に伴い、いったん会社側に明け渡した。その後、改めて同駅を拠点とする「田辺地域分会」に事務所を貸すよう求めたところ、会社側は「組合員数が少なく、(貸与しなくても)組合活動に支障がない」などと拒否。一方で、最大労組であるJR西労組の支部には同駅構内の事務所を貸していた。
 西労組の支部は約130人、国労の分会は約10人の規模だが、地労委は「(両労組に対する)異なった取り扱いには合理的理由が認められず不公平。少数組合の弱体化を図ったものと推認される」と判断した。(朝日新聞)
■別人写真掲載で 週刊文春の回収認めず 東京地裁
 「週刊文春」7月14日号がJR東日本の労使関係を批判する記事のグラビアで別人の写真を掲載した問題で、誤って写真を使われた全日本鉄道労働組合総連合会(JR総連)の佐藤政雄副委員長が、文芸春秋に雑誌の回収などを求めた仮処分申請について、東京地裁は11日、申し立てを却下した。
 同地裁はこの中で、「文春側が誤りを認めて次号で訂正すると約束しているうえ、一連の経過は新聞報道されており、発売を止めなければ損害を回復できなくなるとはいえない」として。
 佐藤副委員長は決定について「まことに遺憾。新聞報道が行われたからといって人権侵害の事実は消えない。今後、名誉棄損に対する損害賠償請求訴訟を起こすことも検討したい」とする内容のコメントを発表した。(朝日新聞)
13日■緊急レポート 地下鉄東西線E 三セク−建設財源どう確保 超過分だけで940億
 第三セクター「京都高速鉄道」会社が、地下鉄東西線建設事業の建設財源計画の焦点となっている。
 東西線は建設区間12.9`を市交通局の施工分(9.4`)と三セクの施工分(3.5`)に分けている。三セクの建設財源はP線資金と呼ばれる日本鉄道建設公団資金が充てられている。これは財政投融資資金の一部で、運輸大臣の指示によって鉄道建設公団が民営の新線などを建設、工事完成後に事業者が譲渡を受けるシステムとなる。
■25年間で償還
 三セクは鉄建公団が建設した線路を買収、それを市交通局に貸して線路使用料を取り、25年間で償還する計画になっている。従来、国の補助は路線取得の利子補給制度(5%超について国と市が折半)しかなかった。
 国は本年度から、三セクに対しても新規事業を対象に補助制度を創設した。愛知、埼玉両県内の三セク事業が対象となったが、京都市などの従前事業は対象外となっている。
 東西線は膨張した建設財源をどう確保するのか。とくに三セク部分では当初の2.54倍の1550億円が必要となる。超過分だけで940億円だ。
 市はP線資金などで1240億円、出資金で建設事業費の20%の310億円を確保する方針だ、という。しかし、民間企業がこの景況で出資に応じるかは疑問だ。市自身も出資比率51%で三セクに計158億円もの巨費を投じる余裕があるのだろうか。
 市は今春から三セクの資本金(15億円)の増資を呼び掛けた。市は本年度予算で授権資本60億円の51%の30億6000万円まで出資金を増やした。京阪電鉄など他の出資会社は景気低迷で倍額出資がやっと。2社は増資に応じなかった。損害保険3社が新たに出資を了解したが、新資本金は45億4000万円にとどまった。
■中央で異論も
 補助金制度のない三セク方式の導入には当初から異論があった。自治省も一般会計への波及を懸念、なかなか計画に同意しなかった、といわれる。東西線は三条−御陵間で京阪京津線と二重免許となることや、京津線の部分的な営業権放棄で大津京都の都市間交通が確保できない、との運輸省側の懸念もあった。
 自治省に対しては当時の今川正彦市長名で「迷惑はかけない」との趣旨の念書が入れられた、との話もある。当時、交通局長で計画の先頭に立っていた中坊仁寿治京都駐車場社長は念書について「記憶にない。ノーコメントだ」と口を閉ざす。京津線の乗り入れで都市間交通の実績を確保するとともに、京阪電鉄を含めた民間の資本参加で民活導入を図る。三セク方式の導入は時代の流れに沿った考えでもあった。
 出資金310億円の確保は大変だ。しかし、建設事業がストップすれば間接費だけで1ヵ月15億円の費用が必要になり、現場を去った技術者を再集結させるのは非常に難しい。さらに、交通局の線路使用料の大幅値上げは交通局の経営採算と料金設定を考えれば難しい。三セクは財源確保と償還計画という難問に直面している。今年1月、三セク社長を田辺朋之市長から引き継いだ依田満収入役(前公営企業管理者・交通局長)は「今の段階では何も言えない」と苦悩の表情を見せた。(京都新聞)
■特急「はるか」べっぴんさん ブルネル賞を受賞
 京都−関西国際空港間のアクセス特急「はるか」用車両として開発されたJR西日本の281系電車が、国際的に優れた鉄道デザインを対象とする第5回「ブルネル賞」を受けることになった。表彰式は10月18日に米国ワシントンで行われる。
 欧州のデザイナーや建築家によって1985年に創設された賞で、2、3年に1回国際コンペを開き、25部門ごとにブルネル賞を選んでいる。このほど米国フィラデルフィアで開催のコンペには、世界17ヵ国の鉄道事業者から300点が出品され、281系は「近距離旅客列車部門」での受賞が決まった。国内ではJR東日本の「成田エクスプレス」(253系)などに次いで3回目の受賞。
 281系電車は、ダイナミックな先頭部分のデザインと、真っ白のボディーに成層圏をイメージした鮮やかなブルーのラインが特徴。車内はシックな色調で統一されている。(京都新聞)
■地下鉄東西線 夜間工事中止を 山科の住民ら市側に要望
 京都市の地下鉄東西線の夜間工事の中止を求めて、山科区鴨戸町町内会(織部由造会長、550世帯)は12日、市交通局の三浦貞義局長、市会の井上与一郎議長、第三セクター「京都高速鉄道」の三者に対し要望書を提出した。
 要望によると、同町内会は東西線の御陵駅工区、御陵東工区の両工区に接しているが、沿道対策で夜間工事に伴う低周波振動などで住民が被害を受けており、住宅地域での夜間工事を中止するよう求め、臨時市会で無理のない工程と膨脹予算の再検討を行うよう要望、場合によっては夜間工事の差し止め仮処分も検討する、としている。
 地下鉄東西線では工期が当初計画から3年遅れ、1997年秋となるが、工期短縮を目的に一部の工区では昼夜間工事を行い、工事の進ちょくを図っている。
 要望に対し、市交通局は「工事は沿線住民の方々の十分な理解を得て進めるという基本方針で行っている。指摘を受けているのは三セク分だと思うが、夜間工事については話し合いを行う一方、現在は午後11時以降、ひどい騒音や振動を伴う工事は中止している」「と話している。(京都新聞)
14日■緊急レポート 地下鉄東西線F 財政−一般会計に打撃「再建団体」転落も
 当初計画の2倍近くに膨張した建設事業費4710億円は、地下鉄の公営企業会計だけでなく、京都市本体の市一般会計にまで打撃を与える事態となっている。
■遠い赤字解消
 今回の膨張の結果、市交通局区間の資金収支の単年度赤字が解消するのは開業後41年目、累積赤字解消は57年目になる。三セク区間では市交通局から受け取る開業時の線路使用料を当初計画の33億円から66.6%アップ、50億円としても、資金収支の単年度赤字解消は46年目、累積赤字解消は78年目となる。
 交通局区間での国の黒字転換指導基準は30年程度、三セク区間の日本鉄道建設公団への線路買い取り費用償還は25年だ。東西線はいずれも、実現にほど遠い数字となった。
 市交通局分の事業費全額を国が認定したとしても、国の補助は市一般会計の出資金・補助金、公営企業自身の負担とセットになる。補助金総額が増えれば一般会計負担もそれに応じて増える。市の出資金は今後4年間で約390億円が必要と計算されている。これまでの出資金と合わせ、出資金の元利償還金は1260億円となり、市はこの償金(市債)を30年間で返済することになる。
 また、補助金は今後13年間で約740億円となる。国の地方交付税で軽減措置があるにしても市一般会計には重荷となる。三セクの建設事業費の20%に充当する310億円への資本金増資も一般会計が頼り。市交通局の実質負担は1390億円に。開業後支援も考えれば、一般会計の悲鳴が聞こえそう。
■基金取り崩し
 消費的都市である京都市の財政はもともと脆(ぜい)弱、といわれる。歳入面では市税などの自主財源が少ない。その半面、歳出面では人件費や物件費、社会福祉などの消費的経費の割合が高く、建設事業など投資的経費の割合が少ない。加えて、近年の不景気で市税収入は落ち込んでいる。市の本年度一般会計予算は前年比2.6%増の6641億円となっている。しかし、歳入面では市債が22.5%を占めたほか、財政調整基金など基金の取り崩しと廃止で258億円の財源を都合してやりくりした。実質的には赤字の予算編成だった。
 地下鉄建設費がこの脆弱な財政体質に追い打ちをかける。財政調整基金の残高は21億円しかない。来年度予算を本年度と同ベースで編成すれば年間200億円以上の赤字ともなりかねない。京都市の場合は累積赤字が660億円以上となれば赤字再建団体への転落となる。赤字再建団体を免れたとしても、実質収支が一般会計で一定の限度額を超えて赤字になり、地方債の発行制限を受ける起債制限団体になる可能性は残る。「東西線工期の今後3年間が市の財政面でもヤマ場となる」と西晴行理財局財務部長は見ている。
 京都市はかつて1955年に赤字が続き、財政再建団体の指定を受けた。しかし、当時は地方税制の変更などの事情もあり、全国で558団体を数えた。赤字再建団体になった場合、使用料・手数料や保育などの措置費が国基準へ引き上げが図られることになるのはもちろん、大きな事業はすべて自治省の承認が必要となり、地方自治の主体性は大きく制限される。「再建団体だけは何としても避けたい」(人見米一理財局主計課長)。市の財政は正念場を迎えている。(京都新聞)
■東西線建設費の再膨張 きょうから臨時市会 京都市長が総点検報告 財源など審議
 地下鉄東西線の建設事業費膨張問題について調査する京都市の臨時市会は14日から始まる。初日は田辺朋之市長が「点検・推進委員会」の総点検内容について報告、各会派が代表質問を行う。建設事業費が2月予算市会から4ヵ月後に再膨張した点や工期遅延の原因、今後の財源問題、沿線での5大プロジェクト計画などについて審議する。会期は22日までの9日間となる見込み。
 論議の中心は2月に約1500億円の膨張とされていた建設事業費が先月末の点検・推進委報告で、さらに770億円増加、総額4710億円に再膨張したことと、工期が再度延び、当初計画から約3年の遅れとなった工期延長問題。
 とくに建設事業費が当初比約2倍となったことで、一般会計を含め財源対策をどうするのかも焦点となる。リストラ策などのほか、市長らの政治責任についても追及が予想される。
 臨時市会は地方自治法98条に基づき、地下鉄東西線の建設事業費膨張について調査、事務検査を行う。15日から交通水道、建設、財政総務の各委員会で審議、20日には3委員会の連合審査を行う予定。
 自民、公明、社会、民社クが開催を申し入れたほか、共産党は議員の連名で招集請求を行っていた。(京都新聞)
■窓 ホームで聴く音楽に心和む 伏見区・藤井節子(主婦・52歳)
 野洲に用事があり、行きは気が付かなかったが、夕方少し早く駅に着き、待ち時間が10分ほどあり、ホームに出ると、静にクラシック音楽が流れている。日ごろあまりクラシックには縁がない私だが、静に聴いていると、心も和み、普段バタバタ暮らしている私には素晴らしい点滴になった。
 普通なら、早く電車がこないかとイライラして待っていただろうに、逆に電車に乗るのが惜しいくらいだった。
 一日お勤めご苦労さまとの心遣いだろう。一日働いて疲れて帰宅する人、友達、プライベートで、気分的にイライラしている人も、多分この音楽で少しは、リフレッシュすることだろう。
 わたしも何か、ゆったりとした心持ちで家路に着き、夕食の支度をしながら、また一度、ゆっくりと、クラシックコンサートに出かけて見たいと思った。(京都新聞)
■ここにもハイテク 地元企業の製品から 戦闘機の技術を民生転用へ 空中に浮かぶ計器表示 島津製作所(京都市中京区)
 運転席の計器に目を落とさず、前を見たまま電車を運転ができる。速度やブレーキ圧などのデータは、フロントガラスの向こう側に空中に浮いた状懸で表示されているからだ。安全性向上をめざし、島津製作所が開発した「ヘッドアップ・ディスプレイ」。東京の都営地下鉄12号線に、4年前から導入されている。
 この装置は1970年代に米国で、戦闘機などの操縦席用に開発された。敵機から目を離さず、戦闘を続けるためで、映画「トップガン」にも登場した。日本ではF15戦闘機のライセンス生産を始めたとき、島津製作所が担当することになった。電車への応用は、冷戦終結で同社が積極的に進めている軍事技術の民生転用の一例という。
 なぜデータは空中に浮かんだように見えるのだろう。バックライト付きの液晶表示器から出たカラー画像(光)は、特殊なレンズによって拡大され、ハーフミラーになっているフロントガラスで反射されて運転手士の目に飛び込んでくる。画像(虚像)はフロントガラスの前方7bにできるよう調整されている。前の景色と同じ焦点距離なので、運転士の負担も小さい。
 「光は波長によって屈折率が違うのでレンズで像を拡大すると、どうしても形が少しゆがんだり色がずれたりしてしまう。それをレンズの材質や組み合わせによって補正、コンパクトな装置にまとめるのに苦労しました」と、航空機事業部の斎藤英文副課長。
 最近では生産ラインの監視装置にも応用が広がり、昨年春からは神戸製鋼の圧延ラインで使われている。材料にかかる引っ張り応力のデータが、制御室のガラスの向こう側に表示されるので、ラインの状態を見ながら運転できる。
 米国では、容疑者の車から目を離さず追跡しながら、指名手配などの犯罪情報も知ることができるよう、一部のパトカーにも配備されはじめている。
 「今では動画を映し出すことも可能になったので、応用範囲はますます広がるだろう。例えば劇場では、歌舞伎や文楽を見ながら、同時に解説やセリフを読める外国人VIP席を作ることができる」と斎藤副課長。夢は大きく膨らむ。(京都新聞 夕刊)
15日■緊急レポート 地下鉄東西線G 地下鉄東西線事業費膨張 厳しい追及相次ぐ 臨時京都市会 代表質問 市長答弁 リストラ進める
 京都市の地下鉄東西線建設事業費の膨張調査臨時市会本会議が14日開かれ、代表質問が行われた。2月市会報告からわずか4ヵ月後の建設事業費の再膨張と工期の再延長に「もう膨張、工期延長はないか」「行政不信を招いた責任は重い」など、議員の厳しい追及が相次いだ。田辺朋之市長は答弁で、建設事業費の膨張が一般会計にも大きな影響を及ぼすことを認め、事業の優先順位を明確にする必要性を強調、交通局だけでなく市長部局でもリストラ(事業の再構築)を進める方針を示し、第一次報告として来年度に取り組むべき内容を年内にまとめる意向を明らかにした。
 田辺市長は「『平成の京(みやこ)づくり』推進のための市政改革本部」の検討状況についての質問に対し、「(再膨張は)交通会計のみならず、一般会計にも多大な影響を及ぼす」との認識を示したうえで、「事業の優先順位を明確にし、財源、人員の重点的効率的配分に努める。本年末を目標に来年度取り組むべき第一次報告をまとめる」と答弁。さきに職員の大幅合理化を含めた経営健全化計画を明らかにした交通局だけでなく、市挙げてリストラを進める決意を示した。
 また、第三セクター「京都高速鉄道」の建設財源に関して、内田俊一助役はP線(日本鉄道建設公団)資金だけで事業費を確保するのは困難として、「建設費の20%をめどに出資金を増やしたい」と、一般会計の起債や民間の協力で計310億円の資金を確保する方針を明らかにした。
 三浦貞義企業管理者(交通局長)は計画当初に1`当たりの建設単価を200億円とする国の指導の有無について「国の指導はなかった」としながらも「工事条件の厳しさを十分反映してなかった」と計画の甘さを認めた。1997年秋に改めたばかりの工期の再延長については「点検結果で示した工期で完成できると確信している」と述べた。
 今後の東西線の延伸間題をただされた田辺市長は「まず醍醐−二条間を早期に完成させたい。道路整備事業の進捗(ちょく)を図り、適正規模で事業化を進める」と具体的計画の進行は慎重に行う考えを示した。
課題−市民の理解どう得るか
 地下鉄東西線の建設事業費の大幅膨張問題は、次世紀のまちづくりを念頭に置いた市の「新基本計画」にも大きな影響を及ぼしている。
 同計画は昨年春に発表、秋には事業具体化へ年次計画も策定された。東西線もこの中で96年完成と明記されている。
 しかし、大膨張の結果、東西線だけでなく、105項目、総額1兆7000億円の計画の実行が危うい状況となった。企画調整局の成瀬英夫活性化推進室長は「来年度は2年ごとの年次計画改定の時期。従来通り、とはいかないだろう」とみる。厳しい財政の下で、施策の優先順位をどう方向づけるか、が問われる。
 山科駅前整備や醍醐再生事業など沿線の5大都市整備事業は、都市基盤整備としてだけでなく、1日18万4000人と見込む乗客の利用促進に結びつく。同時に、5大事業はいずれも、2条から醍醐間の、各地域の活性化への起爆剤となる重要な位置を占める。また、洛西、六地蔵地区への延伸計画も残っている。全市的な市民の足の確立は大きな課題だ。
■しわ寄せに反発
 リストラ(事業の再構築)の実現の可否も、今後の市政に大きな影響を及ぼす。バス事業を含めて経営難に苦しむ市交通局は、経営健全化に向けて職員の大幅な削減計画案を提示した。市長部局への配転も含め、当初計画で東西線開業時3317人を予定した職員のうち970人を削減する、としている。現有職員に比べても475人の大幅合理化案である。
 これに対して、京都交通労組は「建設事業費膨張のしわ寄せを受けるいわれは全くない」と反発する。政勝男委員長は「公営交通のあり方も含め、市の他労組だけでなく全国の都市交通労組の支援、理解を得て対応したい」と構える。
 市長部局の労働組合の抵抗も強い。河内一郎市職労委員長は「労組としても区役所や管理統制部門、大規模事業局の見直しが必要だとは考えている。しかし、市長部局の改革の基本姿勢を先に示すのがスジ」とする。自治労市職の羽室武委員長も「組合も独自に事務、財政状況の見直し点検を行うが、市長部局からの合理化提示とどこまですり合わせられるかだ」と、神経をとがらせる。
 交通局だけでなく、市自身も「平成の京づくり推進のための市政改革本部」を1月にスタートさせている。担当の井尻浩義企画調整局理事は「相当厳しいものにならざるを得ない」と具体化作業を急いでいる。しかし、市は、近年では財政危機の打開を目的に76年、88年に改革への取り組みを行っている。が、その実効性には疑問もある。
■未決着のものも
 点検・推進委の総点検報告には未決着の要素も含まれている。京阪京津線改修の費用分担もその一つだ。京阪電鉄は市と協議の最中だ。「工事許可申請など手続きは全部終了した。改修工事は3年かかる。夏以降の着工になると工期に余裕がなくなる」。同社東西線準備室の坂本富司雄部長は、着工準備が整っているだけに気が気でない。
 14日から臨時市会が始まった。田辺朋之市長は再度の建設事業費の膨張、工期延長を市民にわびるとともに、「21世紀に向け市の発展に欠かすことのできない事業」と、東西線建設事業の意義を改めて強調した。
 東西線は着工から完成まで8年、4710億円の巨費が投じられる。開業までにはまだ多くの課題が積み残されている。カギは市民の理解をどう得るかにかかっている。=おわり(政経部地下鉄問題取材班)(京都新聞)
■地下鉄 臨時京都市会 「答弁あいまい」「議員しっかり」満員の傍聴席 期待はずれ市民怒り
 「市の答弁はあいまい」「議員もしっかりチェックをしていたのか」−。膨れに膨れた地下鉄東西線の建設事業費をめぐって、14日開かれた京都市の臨時市会には多くの市民が傍聴に詰めかけた。2月市会報告からわずか4ヵ月、総額4710億円という市民感覚からほど遠い巨額の事業費が一般会計にまで深刻な影響を及ぼすとあって真剣に審議を見守った。しかし、この日の代表質問では市民の疑問を解き明かすまで至らなかったようで、議会審議への注文も相次いだ。
 本会議開会一時間前の午前9時前から、市会傍聴席入り口に約50人の市民が並び、傍聴席はほぼ満席。本会議場で繰り広げられる田辺朋之市長ら市側と議会五会派の6議員との「攻防」を見つめた。
 「質問に真っすぐ答えていない。この事態を本気で考えているのか」。初めて傍聴に来た左京区の主婦横山康子さん(53)は市側の答弁に納得いかない様子。「『点検した』というが、点検結果が妥当かどうか」と首をかしげる。
 伏見区のパート事務員保田みちるさん(47)も「疑問を明らかにしようとの姿勢が感じられない。安易に市民生活にしわ寄せされそうで、たまらない」。西京区の団体職員柏木教卿さん(50)は「一番知りたいのは、なぜこんなに膨張したのかだ。期待はずれだ」。
 「市民への影響を市会で全部明らかにしてほしいと思って来た」という東山区の製陶業勝野修子さん(58)は「工事にかかる前に基本的にやるべき調査がなされておらず、無責任極まりない。赤字再建団体が取りざたされているが、問題を市民に負わせるようなことは許せない」と怒り、伏見区の主婦上原裕見子さん(40)は「本会議だけでなく、15日から始まる委員会も傍聴させてほしい」と注文をつけた。(京都新聞)
■「建設費は高くない」地下鉄事業費膨張て内田助役 京都市臨時議会 管理不手際を強調 議員・市民から批判・不満
 京都市の地下鉄東西線建設費が再膨張し、当初計画の約2倍になった問題を調査する京都市の臨時市議会が14日、始まった。冒頭、田辺朋之市長は「市民、市議会に心よりおわびする」と2月議会に続いて再び陳謝した。一方、内田俊一助役は「他都市に比べても今回の事業費は妥当だ」と述べるとともに、問題は事態の掌握と事務管理に不手際があったことにあると強調。各会派からは「舌の根も乾かぬうちの再膨張」といった批判が続出し、傍聴席は関心の高さを反映して市民らでほぼ満員となった。
 議会ではまず、地方自治法に基づく検査権を行使し、市側に必要な報告と書類の提出を求めることを全会一致で決議。報告に立った田辺市長は「市財政は厳しいが、全庁の行財政の効率化で難局を乗り切る」と説明。東西線を「市の発展に欠かせない事業」と位置付け、完成に向けた決意を述べた。
 内田助役は、一般会計から東西線建設事業への持ち出しは2000年度がピークになり、同年度だけで最低でも174億円にのぼる可能性があることを明らかにし、市財政の危機的状況を訴えた。一方で国への支援要請では「他都市と比べても妥当な事業費であることを理解してもらう」と述べ、初めて「建設費は高くない」との認識を示した。
 代表質問では、山本豊氏ら共産党市議が「契約変更を見てもゼネコンの言いなり。市長らの減給だけでは済まされない」と政治責任を追求し、京都高速道路など大型プロジェクトの見直しを要求。
 高橋泰一朗(自民)も「建設の進行管理に問題があったと言っても、議会は何度も建設費の公表を求めてきており、あきれてものが言えない」と批判し、「市職員のベースアップの先延ばしや大幅人員整理など大胆なリストラを」と求めた。
 ふだんはほとんど人のいない傍聴席だが、この日は125人が詰め掛け、答弁に不満な市民からやじが飛ぶなど、議場は一時騒然となった。
 15日から交通水道、建設、財政総務の各委員会に分かれ、一般会計への影響や財源、リストラ策などについて審議を進める。会期は22日まで。(朝日新聞)
■地下鉄 臨時京都市会 「早急に経費節減策」代表質問詳報 早期完成が市長の責任
 14日開かれた地下鉄東西線の建設費再膨張に関する臨時京都市会本会議の各会派代表質問と市理事者側の答弁の詳報は次の通り。
 ▽高橋泰一朗議員(自民)
 一、免許を受ける時、1`当たりの建設費を200億円以下とするよう国の指導があったか。
 一、一般会計の支援は長期的財政運営にどんな負担となるのか。
 一、京阪電鉄に対する応分の負担をどう考える。
 一、第三セクターヘの資金をどう確保するのか。
 【国の指導】
 交通管理者 建設費は87年時点の烏丸線の実績や物価情勢を踏まえて、市が責任を持って試算した。免許取得のために費用を抑えたものではなく、国の指導もなかった。しかし、工事条件の厳しさを反映してなかった。
 【財政負担】
 内田助役 一般会計負担は市施工区間の出資金・補助金で計2000億円、30年で返済。ピークの2000年の負担は152億円。三セク区間では出資金増額に起債を充てると30年間で280億円の負担となる。今後の財政運営で吸収し、完成させたい。
 【京阪との協議】
 市長 開業後の運行についての基本協定は、早期に締結する。三セクの第2株主でもあることから、応分の負担を申し入れた。積極的な協力を求めていく。
 【三セク財源】
 内田助役 P線資金(日本鉄道建設公団資金)以外に、本市独自の支援措置が必要。出資金を建設費の20%に拡充する。低利・無利子貸付も考えている。
 ▽山本豊議員(共産)
 一、減俸処分だけで責任を果たしたといえるか。辞任が当然だ。
 一、再々膨張や工期の再々延長は絶対ないか。
 一、ゼネコン言いなりの契約変更ではないか。
 【行政責任】
 市長 事業の進行管理に重大な問題があったと深刻に受け止めている。責任を明確にするため、私をはじめ、助役、収入役に厳しい処分を行った。一日でも早い完成を目指し取り組みを進めるのが私の責任だ。
 【再々膨張】
 市長 点検結果通りに完成できると考えている。
 【ゼネコンいいなり】
 内田助役 設計変更はやむを得ず必要と判断したもののみ行っており、市の積算基準に基づいて厳しくチェックした。適正な工事費となっている。
一般会計に多大な影響
 ▽安井勉議員(社会)
 一、実際の土木工事が進む前から費用増大と完成時期の見直しに迫られていたのではないか。
 一、全庁的な取り組みとはどんなことか。市政改革本部では点検・推進委とどう連携し、内容の取りまとめを行うのか。
 一、東西線及び関連都市整備事業推進本部は、今後どう運営していくのか。
 【費用と工期】
 市長 工期は昨年2月市会で96年末となることを明らかにした。建設費は92年6月はまだ精査中で国との協議もなかった。さらに精査して圧縮し、国との協議を指示。その後、昨年秋の予算編成作業で約1500億円にもなるとの報告を受け、市財政全体に影響が懸念される事態となり点検・推進委で総点検を行った。
 【全庁的取り組み】
 市長 今回の点検結果は一般会計にも多大な影響を及ぼすことは必至で、市政改革本部でも今回の内容を十分に踏まえ、行財政の改革に取り組む。当面の緊急的経費節減取り組みは速やかにまとめ発表する。来年度に取り組むべき第一次報告は年末までに取りまとめたい。
 【推進本部の機能】
 内田助役 推進本部は地下鉄東西線建設事業そのものの全体工程については必ずしも十分な連絡調整がされていなかった。今後は市長部局、交通局の連携を密に事業推進を図る。
 ▽宮本徹議員(民社ク)
 一、東西線の推進体制は、従来のポストを抱えたままの「当て職」ではなく、専属メンバーによるチームを編成すべきでは。
 一、東西線の開通による経済波及効果を公表し、開通効果を市民に示して理解を求めてはどうか。
 一、右京・洛西への西進については、点検推進委の報告に「道路整備の状況を勘案する」とあるが、市長の決意をお聞きしたい。
 【推進体制】
 市長 交通局管理本部の財政セクションが予算を通じた総合的な進行管理を担当し、工程管理は高速鉄道本部に新設した「工程管理委員会」が、三セクとの連携を密に行っている。さらに管理者が予算・工程管理を統括する。事業経営の健全化を推進する組織としては「経営推進室」を設置し、体制を強化した。
 【経済効果】
 内田助役 開通により、山科・醍醐方面と都心部が定時、短時間で結ばれ、雇用や市民所得の増大をもたらすなどの波及効果が考えられる。事業効果を定量的た測定する手法を開発しており、作業がある程度進んだ段階で試算を公表、市民の理解と協力を得たい。
 【洛西延伸】
 市長 洛西方面への延伸は、新京都市基本計画や運輸政策審議会の答申でも、事業化すべき路線としている。まず醍醐−二条間を早期に完成させ」道路整備の進ちょくを図ったうえ、適正な規模で進めたい。
・「上積み金額甘い」
 ▽坂口芳治議員(共産)
 一、72回にも及ぶ契約変更の内容に数々の問題点がある。
 一、点検結果の報告では膨張部分が正しかったのかの検討がない。上積み金額に甘さはなかったのか。
 【契約変更】
 市長 できる限り早期に着手すべきとの判断から工事発注した。しかし、その後の工事進ちょくに伴う劣悪な地質条件や狭あいな道路条件などが重なり、工程の遅れを生じ、また経費の増大も生じてきた。
 【膨張分の検討】
 内田助役 点検推進委員会で市長部局と交通局が一体となって再検討した。適正に処理している。
 ▽永嶋久仁朗議員(公明)
 一、1400億円を超える三セク区間の建設費は全体のアキレスけんとなるのは必至。どのような建設費の管理をしていたのか。
 一、1日の乗客数予測と需要掘り起こし策は。
 一、御池地下駐車場事業が総費用の増額を招いている。合わせて、開業延期による影響も聞きたい。
 【三セク区間の管理】
 内田助役 三セク区間の進行管理は会社が行うのが基本だ。交通局は東西線全線の整合性ある建設を推進するため、会社に役員、主要職員に職員を参画させ、会社、公団と緊密な連携を保つよう努力してきた。しかし、三者の連絡調整が十分でなかった。今後は打ち合わせ会を定例化して管理体制を強化したい。
 【乗客見込み数】
 交通管理者 当初は開業時で1日平均18万4000人を見込んでいた。その後、醍醐センターの整備計画も確定し、さらに乗客数の増加が見込める。今後は大規模集客施設や住環境整備、良好な民間プロジェクトの誘導により、さらに需要を喚起したい。
 【御池地下駐車場】
 内田助役 当初は地下鉄と同時完成をめざしたが、地下鉄開通の見直しで、地下街が96年末に先行して完成する。地下街の開業を遅らせると資金面で問題も生じ、テナントについても遅くとも開業1年半前には募集しなければならず、早急に開業の時期を確定するよう努力したい。
・市長責任など3団体が要求
 京都市の地下鉄東西線建設事業費の再膨張問題で、府商工団体連合会(若宮精二会長)など3団体が14日、田辺朋之市長の責任を追及する抗議を行った。
 府商工連は、総会での特別決議として▽臨時市会で膨張問題のすべての資料を提出する▽田辺市長は責任を取って自ら辞するべきなどの三点を要求した。
 「京都障害児者の生活と権利を守る連絡会」(梅原正之会長)は「交通事業の経営健全化計画に交通労働者の大幅削減が含まれているが、障害者には命にもかかわる問題」と抗議した。
 「ストップ・ザ・高速道路・祥栄の会」(金井弘会長)は「福祉や教育などの予算を削り、大型開発だけ続けるというのでは市民生活は大変なことになる。市に財源がないなら、高速道路の計画はやめるべき」と高速道路計画の白紙撤回を求めている。(京都新聞)
■始発便でも大丈夫 南海 空港線のダイヤ JR意識し決定
 南海電鉄は14日、関西空港が開港する9月4日から本格開業する「空港線」などの列車ダイヤを発表した。新型特急「ラピート」は難波−関西空港間をノンストップで走るタイプと、途中の主要駅に停車するタイプの2種類をほぼ1時間に各1本ずつ運転するほか、急行を日中約20分間隔で運転する。競合するJR西日本を意識したダイヤとなっており、JRが大阪市内から始発電車に乗っても始発便に間に合わないのに対抗して、関西空港に6時前に到着する電車を設定している。
 難波関西空港間を最速29分で走るノンストップ特急を「ラピートα(アルファ)」、新今宮、堺、岸和田、泉佐野に停車する特急を「ラピートβ(ベータ)」(難波−関西空港間の所要時間、最速34分)とした。平日の午前7時台から午後10時台に、両タイプの特急を約30分間隔で上下59本運転する。いずれも全席指定で8月1日から予約を受け付ける。
 また、急行(同43分)は1時間当たり3本が基本で、平日は上下110本を運転する。
 関西空港の始発便は午前6時半の全日空東京行きが最有力。JR西日本の始発は午前5時39分天王寺発となるために、この便には間に合わない。南海は難波始発(各駅停車)を同4時45分にするなど、関西空港に午前6時前後に到着する電車を2本設定、「始発便への送客はお任せ」と話している。
 空港発の終電は午後11時半だが、開港後に到着便などの状況をみて、時間延長も検討するという。(朝日新聞)
■「週刊文春の訂正不十分」JR総連福委員長
 「週刊文春」7月14日号のグラビアで、全日本鉄道労働組合総連合会(JR総連)の佐藤政雄副委員長の写真が別人と誤って掲載された問題で、佐藤副委員長は14日、「訂正の仕方が不十分だ」と主張し、文芸春秋を相手に、4行の訂正文が掲載された同誌21日号(14日発売)の回収などを求める仮処分を東京地裁に申請した。(朝日新聞)
■全車2階建て発車 JR東日本 座って通える新幹線
 JR東日本が開発したオール2階建て新幹線Max(マックス)の営業運転が15日朝から東北、上越新幹線で始まった。一番列車のMaxとき474号は午前7時22分、上越新幹線の高崎駅を100%を超える乗車率で出発、東京へ向かった。
 増え続ける新幹線通勤・通学に対応するため、日本で初めて全車両を2階建てにし、グリーン座席を倍増、一般座席を約30%増やし、全体で座席数を約40%増やした「座って通える新幹線」を目指している。
 営業初日は東京駅など主要駅で出発式、花束贈呈などが行われた。
 普通の座席より約70a低いマックスの1階席からは、景色が防音壁に遮られ楽しめないという欠点もあり、長距離旅行客にどう受け入れられるかが今後の課題。1階に座った乗客からは「通勤とはいえ、高い料金を払うのだから、外が見られないのはちょっと不満」という声も出ていた。
 東北、上越新幹線では1日2往復半ずつ運転されるが、東北新幹線では車両点検時間をつくるため水、木曜は従来型の新幹線が走る。(京都新聞 夕刊)
■「在来線配転は無効」JR西労組合員仮処分申し立て
 新幹線の運転士として勤務していたJR西日本労働組合(JR西労)の組合員2人が、在来線の勤務に配置転換されたのは「業務上の必要がなく、組合の組織破壊をねらったものだ」などとして、JR西日本を相手取り、配転先で業務に従事する義務がないことを確認する仮処分を15日、大阪地裁に申し立てた。
 2人の運転士は、1987年のJR発足以来、大阪新幹線運転所に勤務していたが、6月3日付でそれぞれ大阪市内の在来線の電車区に配転された。
 申立書では、「『新幹線運転士は新幹線内で運用する』という職種の限定の合意が存在しており、運転方式や規程が全く異なる在来線に異動させる業務上の必要はない」などと配転の無効を主張。2人のほか、同時期に新幹線から在来線に配転された21人の運転士中、18人が西労の組合員だったことから、「配転は西労に対する不当労働行為」と訴えている。
・姿勢 理解できない JR西日本の垣内剛取締役人事部長の話
 余剰人員の活用にかかわる転勤問題については、各組合と事前に十分話し合い、実施している。JR西労だけが、なぜこのような姿勢をとり続けるのか理解できない。(朝日新聞 夕刊)
16日■市長部局で150人受け入れ 京都市方針 交通局リストラで 今後10年間に
 京都市は15日、地下鉄東西線建設事業費の大幅膨張に伴う市交通局の経営健全化計画のリストラ(事業の再構築)案に関連して市長部局で今後10年間に約150人を受け入れる方針を明らかにした。市会財政総務委員会の東西線建設事業点検・推進委員会報告に関連して坪倉譲人事部長が説明した。リストラ案の職員削減の対応策として市長部局への配転などが挙げられているが、市長部局が受け入れ人数を示したのは初めて。
 点検推進委の報告では交通局の経営健全化策で職員定数の削減計画が示され、東西線開業時の当初の人員に比べ970人、昨年度末現在の人員に比べ475人の削減案が明らかにされている。
 市長部局は現在の475人のうち事務、技術部門の約150人について、今後10年間に受け入れる計画。市長部局では職員定数(1万348人)を増加させず、退職者の自然減、採用の縮小により平準化して受け入れる方針。
 交通局では東西線の建設事業費膨張やバス事業の経営不信に伴い職員の合理化を含むリストラ案をまとめ、先月27日に明らかにした。削減案では勧奨退職やレイオフの実施や外郭団体への派遣のほか、市長部局への配転などを具体策として上げていた。(京都新聞)
■臨時地下鉄京都市会 「起債率15%超過も」 財務部長が見通し 3常任委で審議
 京都市の地下鉄東西線の建設事業費の膨張の調査を目的とした臨時市会は15日から交通水道、財政総務、建設の3常任委員会で審議した。交通水道委では2月市会から4ヵ月後の事業費再膨張した点などについて三浦貞義公営企業管理者(交通局長)が実情掌握についての責任は重大で申しわけなかった」と陳謝した・財政総務委では西晴行理財局財務部長が、起債率が15%を越えるとの見通しを明らかにした。
 交通水道委では、約1500億円の膨張が報告された2月市会から4ヵ月後に、さらに770億円の上積みとなり、工期も再延長された点について、議員から強い不信感が示された。
 また、市施工区間で93年末にすでに土木工事費が当初予算の852億円を越え、942億円となっていた点から点検の遅れが巨額の膨張につながったのではないか、との指摘があった。
 東西線の開業当初の収支についての質問に対し、江草哲史交通局管理本部長は「運輸収入110億円、雑収入5億円に対し、人件費30億円、線路借り上げ料50億円、減価償却など270億円で235億円の赤字となる」との見通しを示した。
 財政総務委では、財政見通しやリストラ策への取り組みなどについて質疑があった。この中で西部長は、東西線建設事業に対する市の一般会計からの支援措置に伴って公債費負担が増加することなどから「市の起債制限比率は15%に届く可能性が大きい」との見通しを明らかにした。
 起債制限比率が15%を越える自治体は、起債の許可について国の指導を受ける。京都市の起債制限比率は92年度で13.0%となっている。
 建設委員会では東西線沿線での関連5大事業の完成時期や交通局の負担明細などの資料要求が行われた。(京都新聞)
■交通局の150人市長部局へ 臨時市会で市側が表明
 地下鉄東西線の建設費膨張問題を調査する京都市の臨時市議会は15日、交通水道、財政総務、建設の各委員会が開かれた。475人の交通局職員の人員削減計画について市側は、市長部局が来年度から9年間で150人を受け入れることを明らかにした。
 交通局職員削減について、坪倉譲・人事部長が財政総務委員会で説明した。交通局の事務系職員と、地下鉄建設にかかわった土木や建築などの技術系職員を対象にし、市バス運転手など技能系職員は含まない。市長部局の退職希望者の補充の形で、交通局職員を受け入れるという。
 しかし、運輸省は支援の条件として「市全体のリストラが必要」としているほか、奥山茂彦氏(自民)も委員会で「市長部局のリストラを進めるべきだ」と指摘。これに対し、井尻浩義・企画調整局長は「年内に一定の方向を出したい」と述べるにとどまった。
 交通水道委員会では、有吉節子(共産)が山科区の御陵東工区で半年ごとに計5回も契約変更し、当初契約額の約60億円が約93億円になった例を挙げ、「どんぶり勘定で契約し、交通局とゼネコンの話し合いまかせで歯止めがかからない」と批判した。
 これに対し三浦貞義・交通局長は「事態を早期ら掌握てだきなかったことには責任を感じている」と謝った。しかし、山口巌・高速鉄道本部長は、駅舎や線路などの構造物(本体部分)の変更はあまりなく、土質や交通、住民対策など、本体工事に入るための準備部分(仮設部分)の変更が大きかったと説明。「軟弱地盤や地下水、交通問題での警察の要請など、予期しない要素が変更の原因にある」と述べた。
 一方、永嶋久仁朗氏(公明)が「運輸省がキロ当たりの建設費を200億円以下に抑えろと指導したのか」とただしたが、三浦局長は「なかった」と否定した。(朝日新聞)
■JR京都駅構内で差別落書き相次ぐ
 下京区のJR京都駅のトイレに同和地区を差別する落書きが相次いで書かれたことが15日、部落解放同盟府連合会(駒井昭雄委員長)の調べでわかった。
 同連合会によると、13日午後10時半ごろ、同駅八条口1階東側にある男子トイレの個室の壁の落書きを駅の清掃員が見つけた。さらに14、15の両日も見つかったという。落書きは3ヵ所とも青の油性フェルトペンで書かれていた。(朝日新聞)
■名札非着用で賞与減 JRに「人権侵害」と 大阪弁護士会が勧告
 氏名札を着用していなかったことを理由にボーナスカットの処分をしたのは不当だとして、JR西日本(本社・大阪、井出正敬社長)の社員4人から出されていた人権救済の申し立てについて、大阪弁護士会は15日、人権侵害にあたると認め、井出社長あてに勧告書を提出した。
 勧告書によると、JR西日本は就業規則に基づき人事部長が決めた厚生業務規程で、接客の職務など4項目の職務に従事する社員を対象に氏名札のついた衣服を貸与し、着用を義務づけている。人権救済を申し立てた4人は1989年5月から91年12月にかけ、氏名札をつけていなかったことなどを理由に、ボーナスを5%カットされる懲戒処分を受けた。
 同弁護士会では、4人はコンクリート板の製造や観葉植物のリースなどを担当していることから、氏名札の着用を義務づけられている職務ではないと判断。「理由のない懲戒処分は財産的、精神的な権利侵害」として人権侵害の事実を認めた。
・大内謙・JR西日本開発事業本部長の話 当社の規程に基づき総合的に判断したものであり、ご指摘内容は妥当なものと考えていない。(朝日新聞)
■地下鉄が停電 24分後に復旧 鶴見緑地線
 15日午後3時19分ごろ、大阪市都島区東野田町二丁目の市営地下鉄鶴見緑地線京橋駅で、下りホームに入ってきた京橋発鶴見緑地行きの電車(4両編成)の左側車内灯がすべて消えているのを、運転士が見つけた。運転士がいったん車内の電源を切り、再度電源を入れたところ、鶴見緑地線下り線の電車に通電している電車線が停電。別の駅に止まっていた上り、下り4本のうち、下り1本の車内灯も消えたが、約2分後に再送電した。故障した電車を移動させた後、24分後に復旧した。
 復旧までの間、京橋駅のホームでは約250人の乗客が待たされ、一部が振り替え輸送の同市営バスに乗り換えた。ほかの駅ではほとんど混乱はなかった。
 大阪市交通局は、電車の車内灯や冷暖房装置に電気を通す低圧電源装置が故障したため、ヒューズがとんだのではないかとみて調べている。(朝日新聞)
■青鉛筆
 ▽最高気温が観測史上最高の37.6度を記録した岡山市で15日、全国の風鈴を車内にぶらさげた路面電車が走り出した。来月20日まで。
 ▽1両の電車に、岩手県の竹風鈴や兵庫県の明珍風鈴、福井県の越前塗り風鈴など、12都府県の名産の風鈴17個を天井からつり下げた。市内4.7`区間を1日15往復する。
 ▽岡山電気軌道が昨年から始めた行事で、電車がカーブに差しかかるたびに「チリン、チリン」。冷夏の去年に比べ、かつてない酷暑に「今年はで−れ−、涼しく感じるかも」と岡電。(朝日新聞)
17日■地下鉄東西線 工期短縮の夜間工事や一般会計圧迫 生活へのしわ寄せ困る 市民から懸念や苦情
 京都市の地下鉄東西線の建設費が再膨張した問題で、「生活へのしわ寄せは困る」という市民の声が相次いでいる。作業時間の延長で工期短縮を図る市の方針に、地元は「夜遅くまで騒音がひどくなる」と心配。市バスの赤字路線の廃止や一般会計への影響も避けられない見通しに、障害者団体や消費者団体も、市民の足や福祉が切り捨てられるのではと懸念している。
 「せめて夜くらいは静かに寝させてほしい」。自宅の地下で夜11時まで工事が続く山科区御陵鴨戸町の無職男性(63)はいう。
 「御陵駅工区」の真上にある自宅の庭には、くい打ち機械に圧縮空気を送るコンプレッサーの排ガスが漂い、うなり音で窓ガラスが小刻みに揺れる。
 町内には70歳以上のお年寄りが約90人住んでおり、町内会長の綾部由造さん(63)は「数人のお年寄りが頭痛や不眠を訴え始めている」と話す。
 4月から24時間、くい打ちの騒音が始まった。「暑くなっても窓を開けられない」との住民の訴えを受け、京都高速鉄道は7日から、午後11時以後はコンプレッサーの使用をやめた。
 しかし市は、建設費のこれ以上の膨張を防ごうと、作業時間の延長による工期短縮を打ち出している。同町内会は「再び夜中も機械が動き出したらたまらん」と12日、市に要望書を提出。「夜間工事を中止しないなら、工事差し止めの仮処分申請も辞さない」と訴えた。
 市は、交通局職員の削減や、赤字バス路線の縮小などでリストラを行う方針だ。
 これに対し、「市バスを便利にする南区連絡会」(木下義次会長)は6月末、「市民の足である市バスの縮小・廃止はするな」と抗議。身体障害者らでつくる「京都障害児の生活と権利を守る連絡会」(梅原正之会長)も13日、「交通局職員の削減は障害者の命にかかわる」と申し入れた。
 臨時市議会の始まった14日には、「京都消費者団体連絡協議会」(原強・事務局長)が「安易な一般会計からの繰り入れや料金増額にたよらないこと。市民サービスの切り捨てにつながるようなことは絶対にしないこと」と求めた。
 市民の心配に、市は「社会的弱者への最低限の責任は果たしていく」(中谷佑一理財局長)と話しているが、財政の見通しは厳しい。(朝日新聞)
18日■市民生活に大きな影響 地下鉄東西線建設遅れ 付近住民・夜間工事中止を要求 専門学校・通学の足確保に悩む
 京都市の地下鉄東西線建設事業の遅れが市民生活に大きな影響を及ぼしている。工期の遅れを短縮するため、昼夜間工事となった工区では、近隣住民が夜間工事の中止を求め、沿線への移転を来春に控えた専門学校では通学の足の確保に頭を悩ませるなど、当初の94年度完成を折り込んだ関連プロジェクト計画に深刻な影響を与えている。
 「窓ガラスがビリビリ振動する。寝ようとして横になると頭にも響いてくる」。山科区の御陵鴨戸町町内会(550世帯)は今月12日、市交通局などに対し、夜間工事の全面中止を求める要望を出した。
▽工期短縮策がアダ
 問題としているのは同町に隣接する御陵駅工区。第三セクター「京都高速鉄道」が建設する。織部由造同町内会長は「低周波の空気振動がひどい。地下に入れば音も発生しないとの説明だったのに、まったく話が違う」と訴える。
 東西線は当初計画から3年遅れ、完成は97年秋。しかし、織部会長は「工期が夜間工事を前提にしているなら、たまらない。これ以上の犠牲はがまんできない」と夜間工事中止を求める仮処分申請も辞さない構えだ。
 京都高速鉄道の丹後勝弘建設課長は「防音シートを張り、大きな音の出る機械は午後11時以降は使わないようにしている。住民には迷惑をかけないよう話し合っていきたいが、工期短縮には夜間工事をやめるわけにはいかない」と対応に苦慮している。
▽沿線への移転
 山科区蜘辻西浦町に、来年春、府医師会看護専門学校が移転する。交通の便が良い中京区から94年度の東西線開通を見込んだ移転計画だった。「なんでそんな不便な所に移転するのかと会員に反対された。地下鉄もできるからと説得した」。横田耕三府医師会会長はこう振り返る。目算が違ってしまった。
 開校を前に約900人の生徒の通学の足の確保が難問として浮上している。バスを乗り継いで片道1時間かかる生徒も出る、という。「地下鉄ができていたら半分で済んだだろう。バスのチャーターも検討しなければ」と横田会長は対策に頭を痛める。
▽御池地下街は
 関連プロジェクトも徹妙な波紋を広げている。京都市役所前駅の地下1階に約70店舗が入る予定の御池地下街は、完成が96年末にずれ込む見通しだ。
 御池通に近い寺町通に59店が軒を連ねる寺町専門店会商店街。地下街完成に合わせ商店街の改修を検討、府と市が3分の1ずつ拠出する補助金を当てにして計画を進めていた。
 ところが、地下鉄建設の遅れのあおりで工事を進めるメドが立たない。同振興組合の石野猛理事長は「工事で撤去されたゲートを元に戻す必要があるため、商店街の改修は完成後でなければできない。府からは来年度の申請がない場合は、補助制度の存続が微妙とも聞いている」と、気をもむ。
 10日に新装オープンした京都ホテルの地下店舗26店も、当初は御池地下街との同時開業を期待していた。しかし、目算は外れ、ホテルと地下街との連絡通路はふさがれたままだ。薬・化粧品店の前林正典社長は、「ショッピングゾーンの一角としてではなく、ホテル内の売店としてのみやげの品ぞろえも必要になった」と、営業戦略の転換を強いられた形だ。(政経部地下鉄問題取材班)(京都新聞)
■急行が女性はねる 伏見の京阪線踏切
 17日午前9時20分ごろ、京都市伏見区三栖向町の京阪本線表町踏切(警報機、遮断機付き)で、女性が出町柳行き急行電車にひかれ、即死した。
 伏見署の調べでは、女性が遮断機をくぐり、踏切内に入るのに、約50b手前で運転士が気づき、非常ブレーキをかけたが間に合わなかったという。女性は35−45歳で、身長約150a。水色半袖シャツに白地に紺色柄の半ズボン姿。同署は身元の確認を急いでいる。(京都新聞)
■ケヤキ並木復活の気なし 京都市 東西線遅れ再移植ムリ 御池通 この景観もう戻らぬ?
 京都市の御池通のケヤキ並木の街路樹の復活が、地下鉄東西線建設の遅れで危うくなっている。御池通へ戻すとの前提で民間の畑に移植されたケヤキはすでに梅小路公園(下京区)など市内の他の公園に再移植された。現在のところ、市にはケヤキを復活させての御池通整備構想はなく、ケヤキも地下鉄計画変更の余波を被った形となっている。
 御池通のケヤキ並木は樹齢50年を超え幹回り1bクラスの大木ぞろい。堀川通から鴨川までの並木は同通のシンボルとなっていた。
 地下鉄東西線の烏丸通御池付近から鴨川までの御池駅工区、堺町工区、市役所前工区の建設工事に伴い撤去されることになったが、市民から保存を求める声が出され、この区間のケヤキ144本はいったん移植、地下鉄工事終了後に戻し、並木を復旧する計画としていた。
 市交通局は89年に40本、90年に104本を撤去、95年冬には元の御池通に戻す予定で、右京区や滋賀県内の民間の畑で移植保管していた。
 ところが、東西線は昨年2月に工期を2年近く延長、今回の事業総点検の結果、さらに10ヵ月伸び、工期は当初の3年遅れの事態となった。市は1本当たり年間約50万円の管理費がかさむこともあって、途中で枯れた4本を除き、昨年冬から梅小路公園に100本、左京区の宝が池公園や岡崎公園などに40本を再移植した。
 これまでの費用は移植費3億円、管理費1億6000万円、再移植費2億7000万円の合計7億3000万円。東西線事業費からの出費だった。同通は将来、シンボルロードとして整備される計画だが、まだ構想もできていないうえ、ケヤキをさらに移植すれば木に悪影響が出ると言われ、同通へ復帰する可能性は一層少なくなった。
 市公園緑地課は「市民の目に触れる場所に移す方が良いと判断した」と公園での活用を強調するが、市は地下鉄建設に加えて御池のケヤキ復旧でも約束をほごにする結果となりそうだ。(京都新聞 夕刊)
19日■地下鉄臨時京都市会 完成時期、改めて公表 95年半ばに最終的見直し 高額の地上権設定 正当性問う意見も 3委員会で審議再開
 京都市の地下鉄東西線問題を調査する臨時市会は18日、交通水道、財政総務、建設の3委員会で先週に続き審議を再開した。交通水道委では各工区の契約書類の検査、閲覧を行った。質疑で交通局は工期は1995年半ばに最終的な見直しを行い、完成時期を改めて公表する考えのあることを明らかにした。また、工事区間の地上権設定で1平方b当たり約798万円の高額場所について、正当性を問う意見も出た。財政総務委員会では今後の同事業展開に関連、大幅な契約変更は市長部局に報告を求める方針を明らかにした。また、建設委員会では山科駅前再開発区域の未買収部分について今月中の買収に全力を挙げ、できない場合は法的措置の検討に入る方針を示した。
・交通水道委
 交通水道委では午前中、市交通局施工区間の工事契約書類の検査、閲覧が行われた。図面や契約書類、事業増の一因となっている特記事項の内容などについて工事担当者の説明を求めながら調べた。
 午後からの質疑では物価変動に伴う契約変更や夜間工事など工程短縮への市民理解の求め万、事業推進の見通し、地上権設定問題、建設費膨張の公表経過などについて質問した。
 契約変更では業者団体がまとめて物価へのスライドを求める「お願い書」を出している点の指摘に対し、山口巌高速鉄道本部長は「本来は個々に提出すべき性格のもの」と対応に問題があったことを認めた。また、同事業の市民への公表経過について三浦貞義公営企業管理者(交通局長)は「昨年11月末段階で市長に1490億円の膨張となっていることを報告した。市の判断で2月予算市会で公表した」と説明した。
 工期などの公表に関して江草哲史管理本部長と山口本部長は「平成7年(95年)に土木工事以外の電気工事などの契約を行う際に、工程をもう一度見直す。最終的な結果については議会に報告する」との考えを示した。
 また、中京区の御池通木屋町下ルの不動産会社所有の駐車場などの土地(計約727平方b)について、地下鉄通過に伴う地上権設定が58億円と他の地上権設定費用と比べて異常に高いのではないか、との指摘があったが、小森浩高速鉄道副本部長は「不動産鑑定士の鑑定を得てやっている」と説明した。
・市長部局もチェック 赤字再建団体に陥る可能性 放置すれば高い確率
財政総務委
 財政総務委員会では今後の東西線の事業の進め方や市長部局との連携、赤字再建団体に陥る可能性などについて質問した。
 今後の事業挺進について、小濱本一企画調整局長は東西線事業が一般会計に大きな影響を及ぼすとの認識を示した上で、「重要なものについては市長部局へ報告を受け、相談する」と述べ、交通局だけでなく市長部局からもチェックする方針を明らかにした。
 赤字再建団体に陥る可能性について、中谷佑一理財局長は「このまま放置するとかなり高い確率で赤字再建団体になる」との見通しを示し「ぜい肉を落として、可能性を少しでも低くしたい」と市長部局でもリストラ(事業の再構築)が欠かせないとの認識を示した。中谷局長は「税収の見通しが悪い上、今回の東西線建設事業費の負担が加わった」と同事業の影響を強調した。
 また、免許時と実際の建設費の乖離(かいり)が明らかになった時期はいつかとの質問に、井尻理事は「用地買収のめどがつき、土木工事の当初契約を行った91年度末が節目だった」と答弁し、建設事業費の膨張はこの時点で生じていたことを明らかにした。
・早期円満解決に全力 山科駅前の唯一残った地権者 「交渉は急進展」
建設委
 建設委員会では東西線事業の工期の遅れと関連を持つ山科駅前地区再開発事業や御池通のケヤキの復元問題などについて質疑が行われた。
 懸案の山科駅前の用地買収問題について、内藤俊夫都市建設部長が「唯一残っていた地権者との交渉は、ここ数日で急進展している」と報告、早期の円満解決に全力を挙げる姿勢を強調した。
 山科駅前の用地買収では、地権者120人のうち64人が再開発ビルに入居できる権利変換の手続きを済ませて仮設店舗などで営業、55人が金銭補償を得て転出している。
 内藤部長は「残り1件の買収が遅れると、点検・推進委員会が出したタイムスケジュールにも影響を及ぼす。今月中には決着させたい」との強い決意を示す一方、「万一、円満解決しない場合には、都市再開発法に基づく土地明け渡し請求などを行う必要がある」と、場合によっては法的措置に踏み切る方針を示した。
 また、御池通のケヤキについて、竹沢忠義建設局長は「御池通の緩速車線は事故が多く、将来的には見直す方向で検討している。道路の形状が変われば、植栽スペースも変化し、ケヤキの扱いも違ってくる。他の公園で有効活用したほうがよいのではないか」と述べ、移植されたケヤキを御池通に戻すのは難しいとの見解を示した。このほか、地下埋蔵物の移設で分割工事となった市役所駅前工区の事業費が37億円の膨張となった問題について、蜷川一朗技監は「結果的に当初の工法では不可能と分かり、最も安全な分割工法をとった。甘かったと言われればその通り」と釈明した。(京都新聞)
■保津峡 トロッコ列車で 嵯峨の結婚式場 1両借り切り景観満喫 来月24日1組募る 格安料金で観光客も祝福
 保津峡の涼風をほおに受けながらトロッコ列車の中で結婚式をあげませんかと、右京区嵯峨の民間結婚式場が来月24日、観光客に人気のトロッコ列車を借り切った結婚式を企画、挙式カップル1組を募集している。
 企画したのは、嵯峨釈迦堂藤ノ木町の結婚式場・チャペル嵯峨野。年間の挙式数が300組を突破した記念に、嵯峨野観光鉄道会社の協力を得て、初めて実施することにした。
 トロッコ列車(4両編成)のうちの1両を借り切り、当日午後零時56分に、ウエディングベルならぬ発車のベルで亀岡駅を出発。トロッコ嵐山駅に到着するまでの約20分間、チャペル嵯峨野で行っているのと同様のキリスト教式の結婚式を車内で行う。
 司祭(牧師)も乗り込み、結婚指輪の交換や愛のキッスも通常どおり。渓谷美を満喫しながら、同乗の一般観光客らの祝福に包まれ、2人の人生の門出を祝う。
 参列者は30人までと限定されているが、挙式費用は、「感謝のサンキューとしゃれて」、総額3万9000円の格安でサービス。ウエディングドレスなど新郎新婦の衣装の貸出料や記念写真なども含まれている。同社では「新婚さんであればだれでもOK。安上がりに一生の思い出がつくれるのでは…」と、多数の応募を期待している。
 希望するカップルは、25日までにチャペル嵯峨野(861)0555へ申し込めばよい。(京都新聞)
■関空特急はるかに爆弾!? JRと府警が合同訓練
 京都−関西国際空港間のアクセス特急「はるか」の開通を9月4日に控え、JR西日本と京都府警などは18日、走行中の「はるか」に爆弾が仕掛けられたとの想定で合同訓練を行い、緊急時の連絡体制や避難誘導の仕方などをチェックした。
 訓練には「はるか」に乗務予定の女性車掌などJR西日本職員と京都、大阪両府警の警察官約140人が参加した。特急は午後1時半過ぎに京都駅を発車。約1時間後、JR西日本新大阪総合指令室に「爆弾を仕掛けた」と電話が入ったとの想定で訓練を始めた。
 指令室は110番通報するとともに、無線電話で車掌や京都府警鉄警隊員に通報。車掌らは乗客役のJR職員や警察官約50人を他の車両に避難させた後、いすの下などを捜索、座席の上にあった「不審物」を見つけ、天王寺駅で待機していた大阪府警鉄警隊員に処理を託した。
・女性車掌制服で登場
 またこの日、関空特急「はるか」に乗務する女性車掌13人が、制服を着用してJR京都駅に勢ぞろいした。
 制服はべ−ジュの落ち着いた感じのスリーピーススーツ。同色のスチュワーデスのような制帽と、胸には紫と黄色の縞(しま)模様のスカーフでアクセントを付けている。今月13日に京都車掌区に配属され、現在、在来線で特訓中。9月4日からの運行では、男性車掌とペアを組んで乗務する。(京都新聞)
■高額?で地上権設定 地下鉄東西線 市議会で「声」出る
 地下鉄東西線の建設費膨張問題を調査する京都市の臨時市議会で18日、中京区御池通木屋町の「鴨川横断工区」で1992年4月。727平方bの土地の「地上権」の費用として、総額58億円、1平方b当たり約798万円を支払っていたことが明らかになった。バブル期の付近での地価に匹敵する評価額といい、「地上権とは思えない高額だ」と関係者は話している。
 市議会交通水道委員会で。鈴木正穂氏(社会)が指摘した。土地は地下鉄東西線が京都市役所前から三条京阪に至る工区上にある。設定は92年4月8日付けで、所有者は不動産業者という。鈴木氏は地上権の設定費用は地価の3分の2が相場で、高すぎる のではないかと指摘した。
 市交通局によると、地上権は地下鉄が地下を通ることでビルの建設ができなくなるなど土地利用に制限が加わるため、補償する意味がある。価格について小森浩・高速鉄道本部副本部長は「価格については鑑定士の評価を得てやっている」と答えた。
 また、市内の不動産業者によると、付近のバブル時の土地取引は高額が1平方b当たり1060万円。92年当時は五百数十万円、現在では380、90万円が相場という。(朝日新聞)
■「はるか」に爆弾想定 JR西日本と警察合同訓練
 関西空港へのアクセス特急「はるか」の運転開始を控え、JR西日本と京都・大阪両府警は18日、「列車に爆弾がしかけられた」との設定で、列車を使った大がかりな合同訓練をした。JR西日本が戦後初めて採用した女性車掌13人も乗客にふんして参加した。
 訓練は同社と両府警の約140人が参加し、京都駅を午後1時32分に出発。新大阪駅を過ぎたころ、JR西日本新大阪総合指令室から「4号車に爆弾を仕掛けたという爆破予告があった」との連絡を受け、車掌と鉄道警察隊員が4号車の乗客を他の車両に誘導。座席の上や旅行者の荷物置き場で不審物を発見、天王寺駅で乗客を避難させた。(朝日新聞)
■重い足取り、そのまま会社 列車ホテルで800人一夜
 静岡県内の大雨の影響による東海道新幹線の遅れで終電に間に合わなかった乗客などのためJR東海は19日未明、東京、名古屋、京都、新大阪の各駅に新幹線などの車両を利用した“列車ホテル”を設置。計約800人が一夜を過ごした。
 東京駅の17番ホームでは「こだま」の車内に宿泊した約200人の乗客らが、19日午前5時すぎ、一斉に車内放送で起こされた。
 長時間の列車の遅れと、それに続く窮屈な車中泊のため乗客は皆、目を充血させ、疲れた様子。
 横浜市のOL(25)は休みを取って京都へ遊びに行った帰りで、ジーパンにTシャツの軽装。「バッグにスーツを入れてあったので、会社で着替えます。このまま大手町へ出勤です」と言いながら、大きなショルダーバッグを肩に、重そうな足取りでホームを降りて行った。(京都新聞 夕刊)
20日■地下鉄東西線三セク出資金 民間の不足 市が対策 臨時京都市会 交通水道委 負担増大を示唆
 京都市の地下鉄東西線建設事業の第三セクター「京都高速鉄道」建設部分の建設財源確保について、三浦貞義公営企業管理者(交通局長)は19日、建設財源の一部として計画している同社への出資金について、「民間資金の確保ができない場合は市責任で対策を講じる必要がある」と、市一般会計による出資への期待を表明した。また、膨張した市施工事業費の全額が国の補助対象となるかについては「非常に厳しい」と述べ、一般会計負担の大幅増額が避けられないとの見通しを示した。
 当初計画の610億円から1550億円に建設事業費が大幅膨張した三セクの建設財源について、同日の臨時市会交通水道委員会で明らかにした。同区間ではP線資金(財投資金による日本鉄道建設公団資金)以外に建設事業費の20%の310億円を三セク会社に出資している市と民間会社が出資比率を上げ建設財源とする方針が点検・推進委の報告で示されていた。
 三浦管理者は、現下の景気状況から、民間からの出資の可能性が低いのではないか、との議員の指摘に対し、協力要請に全力を挙げる考えを示すとともに、「点検・推進委の報告は市として最終的には一般会計で責任を持つ姿勢を示している」などと述べ、市に出資割合以上の建設財源確保の期待を表明した。市は本来の出資分51%で一般会計からの出資額が158億円となるが、三浦管理者の発言は、残り152億円の相当部分についても市負担となる可能性があり、一般会計負担の増大を示唆したことになる。
 また、三浦管理者は市施工区間の建設財源問題について、今年2月段階の約1500億円から、4ヵ月後にさらに770億円の再膨張となった事態に関し、「国と折衝を始めたところだが、非常に厳しい見通しであるのは事実」とだけ述べ、公営区間の事業費の全額を国の補助対象として認められるかどうかについての明言を避けた。(京都新聞)
■地下鉄臨時京都市会 交通水道委 現場の発注を追認 排水処理で大幅増額
 京都市の地下鉄建設事業をめぐる臨時市会は19日、交通水道委員会を再開した。同委では、工事に伴う濁水の排水処理に関して、後追い契約で実際の処理が行われている問題や、工事点検作業で一部の駅の出入り口が削減されたことの是非、大規模工法変更による設計費のロスなどについて質疑が行われた。
 濁水排水処理については、本来の契約では下水道処理を原則としているが、山科地区の工事現場などでは河川排水処理を行い、当初6億円の費用が18億円と膨らんでいる、として、議員が実情を追及した。
 これに対し、奥田博章高速鉄道本部建設部長は、12工区で日量4000dの排水処理は下水道の処理能力を超えていると説明、「4業者に依頼、機械設置は5000万円程度だが、環境基準を満たすために管理運営費が必要となり、今後を含め約18億円となった」と答弁した。しかし、この濁水排水処理費用が契約変更事項などに含まれていない点については、「現場レベルで確認書を交わし、局としても承認を与えて契約より先行して行っている」と契約に基づく発注ではなく、後追いの形で行っていることを認めた。
 工費削減では、御池通堀川東側で予定されていた地下鉄出入り口が削られたことに関連し、「1万3000人の利用予想をしている場所で出入り口が削られ、4000人を予想している場所で当初計画通りとなっている」と、妥当性に疑問が出された。
 これに対し、小森浩高速鉄道副本部長は「御池掘川東の出入り口には料金センターを建設する予定。今回の点検では当面の経費からは落とした」と、含みをもたせた答弁を行った。
 また、オープンカットとパイプルーフの両工法で計画をしていた御陵東工区について、着工から1年半後に工法を変更、4本の土中掘削を行う4連シールドとして、事業贅が23億円追加されるなど計約93億円に膨張した点について質疑があった。
 この中で変更で不要となった当初の設計費用について、浅賀博交通局理事は「当初の工法で隣接地を買収して行えば試算では105億円かかった」としながらも、「全体の設計費用は約7300万円で、そのうち当初の工法での設計は約4000万円だった」と設計責用の増加を認めた。
・市会委員会の傍聴制度を 消費者団体が要望書
 京都消費者団体連絡協議会(原強事務局長)は19日、京都市会の委員会傍聴制度を実現するよう求める要望書を井上与一郎議長に提出した。
 要望書では、同協議会が地下鉄東西線問題を審議する交通水道委員会への傍聴を申請したが、認められなかったことをあげ、市民が委員会を傍聴したり、内容を知ったりできるよう、モニターテレビの設置や議事録の整備などを含め、委員会の傍聴問題について結論を出すよう求めている。
・市長の責任追及決議 京都市職労
 京都市職労(河内一郎委員長)は19日の中央執行委員会で、地下鉄東西線の建設事業費膨張と工期延長問題に関して、田辺朋之市長の責任を追及する特別決議を行った。
 決議では、臨時市会での議員からの追及に対し、市長が「膨張はやむを得ない」と答弁したことについて、「全容を明らかにすることもなく『やむを得ない』ではすまない」として、「辞職も含めて自らを処するべき」としている。(京都新聞)
■湖西線開業20年 はたちの夢路 立体交差@ たまごかにわとりか 便数増に”採算性”かべ
 昭和49年開通のJR湖西線が、きょう20日、開業20周年を迎える。全線高架の鉄路は、山科−近江塩津間74.1`。琵琶湖の西岸を走り、近畿と北陸を結ぶ。湖西新時代へと夢をつなぐ沿線。一方で採算の道を踏み外せないJR。鉄道がもたらした波動と表情、そして次の時代への新たな動きを追ってみた。(湖西支局藤田浄元、滋賀本社 森実覧広)
 湖西線の北部沿線、高島郡マキノ町と隣の伊香郡西浅井町は最近、時期を合わせて「乗ってふやそうダイヤ」と訴えた高さ7b、幅1.2bの看板を地元4駅に掲げた。
 「若い人が学校を卒業すると町を出ていく。工業団地も造ったが、人口が増えない。なによりも湖西線のダイヤをもっと増やして便利にしてもらわないと」。高島郡マキノ町の前川富重町長(62)はいまなお、こんな嘆きが止まらない。
 北部沿線にとって湖西線の20年は陳情の歴史でもあった。開通2ヵ月前、国鉄が発表したダイヤは、とても納得できる内容ではなかった。滋賀、高島両郡7町でつくる湖西振興開発期成同盟会を中心に国鉄への増便、新快速の延伸を求める陳情が始まった。
 不便だったダイヤは少しずつ改善された。とくにJR西日本発足(昭和63年)後、2回目のダイヤ改正となった平成元年3月、アーバンネットワーク(都市圏輸送)化として京都−近江舞子間の大幅な輸送力アップ(1日18往復)が図られた。
 一方、新快速終着駅の近江舞子から以北は電車の便がグンと少なく、京都−近江今津間の電車は朝夕のラッシュ時を除くと1時間に1本。近江今津以北になると2時間に1本の時間帯まであり、直通以外は近江今津での待ち時間も加わる。北部住民らの”南北格差”に対する不満は根強い。
 同社京都支社によると、山科−和邇間の上り通勤時間帯の平均乗車率は170%、これに対し近江今津−永原間はいずれも10%未満。北部沿線自治体の陳情に同支社は「公共性の大切さを考えて利便性の向上に努力している。しかし採算無視で電車は走らせられない」。
 「JRはいつもソフトに応対するが、収益を優先するスタンスは変わらない」(同郡今津町企画課幹部)。電車の便さえよければ人口が増え、利用度が高まるとする自治体。一方、客が多ければ便を増やすというJR。20年間のやりとりは結局、「にわとりが先か卵が先か」といった解けない論議でもあった。
 同線では来春にも新型車両「681系」を使った新特急が最高160`で営業運転を予定、北陸と近畿を結ぶ「幹線」としての役割が一層高まる。
 地方路線と幹線の2つの”顔”を持つ湖西線は、これから青年期に入る。沿線の陳情が過去の思い出に変わる日は、果たしていつだろうか。
 メモ 山科−近江塩津間に19駅。高速運転に対応した高規格鉄道。CTC(列車集中制御装置)で制御、全線が高架・土盛りで道路との平面交差は無い。現在、大阪から北陸への特急、急行のうち急行「きたぐに」以外の特急雷鳥など27本が同線を経由。(京都新聞)
■整備新幹線先送り方針 白紙化 自民が一致
 自民党は19日、党本部で整備新幹線建設促進特別委員会(三塚博委員長)を開き、整備新幹線の未着工区間の扱いを3年先送りしたことし2月の細川政権の与党方針を白紙に戻すべきだ、との考えで一致した。全区間の早期着工・完成を目指して95年度予算編成に臨むよう、社会、新党さきがけ両党との調整を進める方針だ。
 亀井静香運輸相も19日の閣議後の記者会見で「整備新幹線や空港の整備など重点施策をこなしていくため、別枠で財源を確保するのが現実的だ」と特別枠化に積極的姿勢を示した。
 自民党は単独政権時代の88年、政府との間で高崎・長野間など3線5区間の着工を申し合わせた際、5年後に建設計画を見直すことにしていた。これに対して旧連立与党は2月、財源のめどが立たないことから、未着工区間は97年以降に着工区間や財源負担を決めるとして、事実上先送りしていた。
・「全線フル規格 賛成しかねる」 JR西日本社長
 JR西日本の井出正敬社長は19日の定例記者会見で、整備新幹線問題で亀井静香運輸相が全線フル規格とする見直しを表明していることについて、「受益の範囲内でやるというのが基本原則であり、1日も早く現行計画を進めてもらいたい。見直し案に、にわかには賛成しかねる」と語った。
 JR西日本管内では北陸新幹線の大阪・上越間についてスーパー特急用の新線と在来線を組み合わせて整備することになっている。井出社長は全線フル規格にして、国が建設費を全額負担した場合でも「並行在来線を捨てることになりかねなず、貨物輸送や都市圏輸送をどうするかが問題となる。見直しは現行計画が成果を収めてからでいい」と述べた。(朝日新聞)
■地下鉄東西線建設費削減で堀川駅の出入り口1つカット 駐輪場計画もなく不便 市会委で指摘
 地下鉄東西線事業の再検討を進めていた「点検・推進委員会」(委員長、田辺朋之市長)が、建設費膨張を圧縮するため、二条城南の堀川駅にできるはずだった出入り口をひとつ削っていたことが、19日の市議会交通水道委員会で明らかになった。また新「御陵駅」では、現在京阪電車の3駅を利用している客が集まるのに、自転車駐輪場の建設予定がないなど、利便性低下の指摘が相次いだ。3日間に計13人の委員が質問した同委員会は、午後7時半、審議を終えた。
 カットされたのは、中京区堀川御池の堀川通東側に沿って設けられる予定だった出入り口。福島滋弥委員(自民)が指摘した。
 2つの大きなホテルがあり地元住民の要望も強いため、二条城南の押小路通沿いに設けられる2ヵ所の出入り口に加えて建設し、地下通路で結ぶはずだった。
 市交通局によると、カットによる節約額は約6億円。すでに用地として570平方bを約25億円で買収しているが、これは別用途に使うという。
 同委員は「長い堀川通を渡って歩く苦労が分からないのか」と厳しく批判した。
 高嶋弘恵委員(公明)は、山科区の御陵駅に駐輪場計画がない問題をとり上げた。
 現在の京阪京津線の九条山、日ノ岡、御陵の各駅が廃止され、利用客は主に御陵駅を使うことになる。一方、醍醐、椥辻、東野、山科などの駅では駐輪場が建設されるため、高嶋委員は「2万4000人と最大級の利用が見込まれ、駅が今より遠くなる人が多いのにおかしい」と、市バスの充実などの配慮を求めた。(朝日新聞)
■ブルトレにもリストラの波 「のぞみ」登場も影響 「みずほ」廃止へ 「あさかぜ」は1往復格下げ 12月ダイヤ改定
 「ブルートレイン」の愛称で親しまれてきたJRの寝台特急列車の一部が、12月のダイヤ改定で廃止されることになった。利用者数の低迷によって、東京と長崎、熊本を結ぶ「みずほ」が姿を消し、1日2往復ある「あさかぜ」(東京−博多、下関)のうち1往復分がお盆や年末、年始にしか走らない季節列車に格下げとなる。新幹線や飛行機に比べて時間はかかるものの、旅情がある夜行列車にはファンも多く、JR西日本などは人気回復策も検討している。
 この計画は「みずほ」などを運行するJR東日本、西日本、九州、東海の4社間で合意したもので、近く正式発表される。
 JRの調べでは、東京発の九州、中国、四国方面の下り列車9本の平均乗車率は1990年の66%から下りがへり続け、新幹線の「のぞみ」の登場(92年)でさらに落ち込み、昨年は50%となった。とくに九州方面は東京駅発が午後4−7時台と比較的早いため、40人くらいしか乗らずに発車することも珍しくな このため、JR東日本は「利用の少ない寝台特急のために朝夕のラッシュ時に通勤電車が待たされるのは不合理。ニーズがあるにしても本数が多過ぎる」と、大幅な削減を主張していた。
 その結果、東京と長崎、熊本を結ぶ「みずほ」は、同じ区間を寝台特急の「はやぶさ」「さくら」も走っていることから不必要と判断した。「あさかぜ」は、東京駅の出発時刻が20分しか差のない1号と3号を1本化するなどして、定期列車を毎日1往復に減らす。「みずほ」の場合、下りは京都駅午前零時17分、大阪駅同49分と遅い出発のため、関西から長崎や熊本への足としても利用されていた。
 JR西日本鉄道本部長の梅原利之常務は「夜間を有効に活用できる寝台特急の需要は、将来も確実にあり、関西発着のブルトレの火は消さない。古くなっている車両を新しくしてスピードアップや料金の見直しを行って人気回復を図りたい」と話している。
 《注》東京や大阪からの寝台特急が初めて九州に乗り入れたのは関門トンネルが全通した1942年。その後、58年の「あさかぜ」をトップに、「ブルトレ」の愛称の元になった青色の客車を次々に導入。60年代後半から70年代前半は「走るホテル」とも呼ばれて全盛を誇ったが、東海道・山陽新幹線の全通で利用客は減少に転じた。現在、東京−博多間の所要時間は平均16時間前後で、「のぞみ」の3倍以上もかかるが、料金はあまり差がない。(朝日新聞 夕刊)
21日■一般会計予算 数%枠設け執行抑制 京都市 東西線工費膨張で
 地下鉄東西線建設問題を審議する臨時京都市会は20日、3委員会の連合審査会を開き、蔦田守弘助役が本年度の一般会計予算の一部の執行を抑制、財政節減策を実施する方針を明らかにした。数%の枠を設定、事務物件費や超勤料、事業費のうち削減可能な項目について今月中をメドに各部局へ通達する。同市で予算の執行抑制を一定の枠を設けて行うのは初めて。
 一部予算の執行抑制は、東西線の建設事業費の大幅膨張で、一般会計に深刻な影響が出る事態となったことに関連する措置。年初に発足させた「平安の京(みやこ)づくり推進市政改革本部の緊急的な取り組みの具体策として薦助役が明らかにした。同助役は、市の本年度一般会計予算の財源を基金の取り崩しに頼ったほか、地下鉄建設支援で一般会計に深刻な影響が及ぶため、市長部局のリストラが必要となっている、との認識を示したうえで「緊急予算以外の一部の執行抑制を考えている。光熱費やコピー代、超過勤務の抑制などを行う。さらに来年度予算編成段階で全庁的な対策を講じる」と述べ、すでに計上している経費の節減に全力で取り組む方針を明らかにした。
 このほか、一部の事業予算について数%の枠を設け抑制を図る。扶助費などは対象外となるが、一般会計当初予算は6641億円で、節減目標は相当の額となる見込み。市は今月中に対象項目をまとめる。来年度以降に行うリストラ策については年内に集約する考え。
 同審査会では田辺市長も「中長期的に一般会計は非常に厳しい状況にある。公営企業も存続の危機になっている。交通局のリストラはもちろんだが、市長部局のリストラもキモをすえてやりたい」との決意を表明した。(京都新聞)
■地下鉄臨時京都市会 「連携、十分でなかった」 市長ら答弁 黒字転換へ1300億必要
 京都市の地下鉄東西線建設事業費の膨張問題をめぐる臨時市会は20日、交通水道、財政総務、建設の3委員会が連合審査会を開き、市長総括質疑を行った。質疑では「約1500億円の膨張を審議した2月市会は何だったのか」など厳しい追及があった。答弁で田辺朋之市長は「市と交通局の連携が十分でなかった」と進行管理上の反省点を改めて述べるとともに、都市機能の充実に欠かせない事業と建設の意義を強調した。
 東西線では建設事業費が当初計画の2倍近い4710億円に膨張したことに伴い、一般会計に深刻な影響が及ぶことが確実となっているが、市交通局が国の指導基準の開業後30年程度で黒字転換するために必要な資金投入についてただされたのに対し、内田俊一助役は「現行制度の公営分出資、補助を除き、約1300億円の資金が必要」と資金需要の逼迫(ひっぱく)状況を説明した。
 さらに、第三セクターの「京都高速鉄道」を採算ベースに乗せるための建設財源の確保について、内田助役は「500億から600億円の無利子の金が必要となる計算」と述べ、出資金以外に一般会計で相当の資金手当てが必要となる、との認識を示した。
 東西線建設事業で復元を前提に移植された御池通のケヤキ並木について内田助役は「シンボルロード構想の中で考えたい」と答弁。従来のケヤキ並木をそのまま復元するのは困難なものの、烏丸通以西に残るケヤキ並木を活用、若木を含めて新たな構想で緑空間を形成したい、との考えを示した。
 審査会では「2月市会は何だったのか」「もう膨張、工期延長はないのか」などと厳しい追及も行われ、田辺市長は市長部局でも厳しいリストラを推進するとの方針を示すとともに、「今後は財政的な部分、工程管理の部分など役割をはっきり決めて、交通局と市が一体となって事業の推進を図りたい。平安建都1200年事業の目玉中の目玉事業として私の最も重要な事業」と述べ、不退転の決意で完成を目指す考えを繰り返し述べた。(京都新聞)
■湖西線開業20年 はたちの夢路 立体交差A 琵琶湖線を上回る伸び 拡大した”南北格差”
 湖西線の乗客数は20年間でどんなふうに変わったのだろうか。
 全線(西大津−永原間)の1日平均乗車人数は開通翌年の昭和50年度が2万288人。20年後の昨年度は4万4917人。伸び率は221%に達する。
 一方、対岸の琵琶湖線(米原−大津間)はこの間、13万9022人から18万6924人となり、134%の伸び率。両線とも滋賀県の引き続く人口増を反映して乗客を増やしているものの、伸び率の面では湖西線の成長が目ざましい。
 また駅ごとの乗車人数はどうだろうか。
 都市近郊の南部(西大津−和邇)で大きく増えた半面、北部でほぼ平行線に止まった。このため南部の乗客数が、全線の75%(平成5年度)としだいに比重を高め、乗客数の上で南北の格差が開きつつある。
 16年前、滋賀郡志賀町北浜に転居し、和邇駅から京都市内に通勤する会社員吉田敏孝さん(46)は「当時、堅田駅のホームから琵琶湖が見えたんですけどね。いまは住宅が建ち並んで、様変わりしました。がら空きだった通勤電車は、都会並みのラッシュになってしまった」と振り返る。
 大津市の北隣、志賀町の人口は開通当初、9823人だったが20年で1万8900人と2倍近くに増えた。北村正二同町長は「町民の多くは開発より、自然を保全する町づくりを望んでいるのではないか。町国土利用計画で開発を抑制している。町の人口は2万4、5000人が限界だと思う」と語る。
 鉄道をテコにした都市化の波は、実は、志賀町の北部から高島にかけて止まっている。実際、高島郡南端、高島町の人口は、20年、ほぼ静止していた。ところが、3年前から住宅開発が少し増えだし、長年の懸案だった高島駅前の土地区画整理事業(15.6f)を昨年着工した。やっと波動が伝わる気配だが、萬木綱一町長は「高島の町は、今まで生活の場として知られなさすぎた。これから自然が残った環境が見直され、クリエーティブな仕事をする人たちに認められるだろう」と、新たな期待。
 JR西日本京都支社エリアの鉄道は、6本ある。平成5年度の線別の1日平均乗車人数は、第1位が琵琶湖・京都線(588636人)、第2位が湖西線(44917人)。トップとは大差だが、関西での湖西線は、なかなかの位置とみえてくる。
 メモ 湖西線の駅ホームは19駅中、西大津と近江今津駅が最長の320bで15両連結の電車に対応できる。唐崎、蓬莱、新旭、近江中庄、小野の5駅は、8両対応。そのほかは12両対応の260b。このためラッシュ時でも8両を超える車両編成はできない。(京都新聞)
■「JR東日本など販売拒否やめろ」 文春問題で日本雑誌協会
 JR東日本による「週刊文春」の販売拒否問題で、日本雑誌協会(理事長・田中健五文芸春秋社長、加盟出版社80社)は20日、「出版の自由は読者の手に届く自由があってこそ成り立つ」として、JR東日本側に販売拒否の中止を求める声明を出した。声明文はJR東日本、鉄道弘済会、東日本キヨスクの3社に送付するという。
 副理事長の若菜正集英社社長らによると、雑誌協会は理事長の会社が当事者であることもあり、当面成り行きを見守る姿勢を取った。
 しかし、販売拒否から約1ヵ月経過しても解決の糸口さえ見つからないため、加盟各社から「販売の自由が確保されないと言論・出版の自由は守れない」との声が高まり、この日の役員会で声明発表が決まった。(京都新聞)
■乗り合いバス赤字 客減り、過去最高額 昨年度
 運輸省が20日まとめた1993年度の全国の乗り合いバスの収支状況によると、バスを30台以上保有する公営、民営をあわせた217社のうち、8割強に当たる181社が赤字だった。会社の経営収支を合計すると、経常赤字額は前年度より118億円増えて953億円となり、過去最高となった。景気低迷や休日増などで利用客が前年度に比べ2.8%減ったことが主な原因だ。赤字などを理由に100社前後が運賃値上げを希望しており、中小バス業者からは公共料金凍結の例外として年内に値上げを申請するところが出てきそうだ。
 民営バスでは185社のうち36社が黒字だったが、公営バス32社はすべて赤字、経常収支率(支出に対する収入の割合)は、民営が平均94.4%と前年度なみだったのに、公営は平均84.9%で前年度に比べ3.3ポイントも下がった。これは支出の約4分の3を占めている人件費が、民営は同1.7%減ったのに、公営は逆に同1.7%増えたことが大きい。運輸省自動車交通局は「民営に比べて公営は合理化努力が足りない」とみている。
 93年度は175社が平均6.9%の値上げをした。現在、値上げ申請が出ているのは、東京都営バスなど7社。このうち地方の中小会社である長崎県大島の大崎自動車については、運輸省は年内の値上げを認める方針だ。このほか函館市営バスなどが値上げ申請を予定している。(朝日新聞)
■JR「湊町」が「JR難波」に 9月4日から改称
 JR関西線の「湊町」駅が、9月4日から「JR難波」駅に改称する。これで「難波」駅は、南海や地下鉄など計6駅にもなるが、JRは「駅付近の再開発事業も進みつつあり、将来はウチの難波が中心になる」と自身たっぷりだ。(朝日新聞)
■関空特急「はるか」遠く 大阪に暴風警報出たら 京都発は全面ストップ
 JR西日本は、関西国際空港と京都を結ぶ空港特急はるかについて、大阪府に暴風警報が発令された場合、京都発の運転をすべて見合わせることなどを、21日までに決めた。
 はるかは関西新空港が開港する9月4日に開業。京都−関西空港を新大阪、天王寺に途中停車して上下58本運行されるが、同社は、空港行きが前提のはるかが途中で打ち切りになると、利用者に迷惑が掛かるためとしている。
 強風対策として同社は、風速が30b以上になると列車を停止。新空港と対岸の泉佐野市を結ぶ空港連絡橋部では、25b以上(台風時に23b以上)を記録した場合、橋への列車の進入規制をするなどの運行基準を設けていた。
 だが、同社が鉄道総合研究所(JR総研)と検討した結果、「過去のデータから大阪府に暴風警報(秒速20b以上)が発令されれば、始発駅の京都を発車しても、連絡橋を通過する1時間10分後ごろには、進入規制を越える強風が吹く可能性が高い」と判断した。(京都新聞 夕刊)
22日■湖西線開業20年 はたちの旅路 立体交差B 鉄路の三角関係 人の流れ大きく変えた
 「江若鉄道があったころは、土産物店や飲食店がずらっと並んで人があふれてましたなあ」。大津市浜大津の老舗(しにせ)・三井寺力餅本家の遠藤糸子店主(57)は遠い昔のことのように表通りに目をやった。
 浜大津はかつて、今津に延びる江若鉄道の発着場で、京阪線や国鉄大津駅との中継地としてにぎわった。しかし、江若の廃線、これに続く湖西線は大津駅を経由せず山科駅と連絡、乗り換え客が姿を消した街は急速に求心力を失った。湖国一を誇った繁華街だが、今や日曜日も人通りはまばらで、シャッターを閉じた店の目立つ商店街は灯が消えたよう。市内の小売販売額に占めるシェアも江若廃線前の30%から、一昨年には10%以下に地盤沈下している。
 湖西線の開通時、大津市商店街連盟会長だった山田直之助さん(76)は「西大津をにぎやかにすると市に説得され、やむを得なかった」と振り返る。中心部をそれた湖西線の玄関口として、大津市は西大津駅近くに庁舎を移転、新都心づくりへの期待が集まった。
 が、開業から20年経った今も、駅前は空地が目立ち、小規模なテナントビル、アパートが点在する。「人通りはないし、好機と思って来たのにひどいもんですわ」。駅向かいの喫茶店主(43)は憤りを隠さない。
 西大津駅建設に伴い、一面畑だった周囲の地価は、京都駅まで約10分の至便さから一気に10倍に高騰。市の区画整理も地権者や周辺住民と調整がつかず笛に浮いた。その後、大手スーパー進出や高層マンション計画も浮上したが、バブル崩壊の後、鳴りを潜めたまま。
 一方、東海道線に湖西線、京阪線が連絡する山科駅では昨夏から、雑然とした駅前を再生し「通過点の返上」を掲げる再開発工事が始まっている。駅南側2.8fに百貨店、ホテルを核とした9階建てビル4棟や広場を建設、4年後の完成を目指す。高度成長に乗って周辺の住宅開発が進み、湖西線開通もあって乗降客が急増するなか、地元要望から20年、京都の東ターミナルは次の時代に移ろうとしているのだ。
 かたや浜大津は「かつてのにぎわいを」の願いを込めた再開発ビルが、着工直前に出店予定の百貨店が撤退する憂き目にあって2年、今春やっと進出企業が決まった。
 湖西線開業から20年。駅前再開発を足場に新段階へ向かう山科に対し、いまだ進行表が見いだせない西大津。そして浜大津は再び夢への一歩を踏み出した。人の流れを変えた鉄路に翻弄(ほんろう)されつつ、三者三様の思惑が交錯する。
 メモ 江若鉄道は、地元代議士らを発起人に沿線住民が株主となって大正10年に営業開始。浜大津−近江今津間約51`に計24駅を数え、昭和39年度の年間旅客は387万人。当初から赤字続きで、湖西線開通に先立ち44年11月に廃止された。(京都新聞)
■地下鉄臨時京都市会 委員会調査を終了 交通水道など3委 共産は継続を要求 きょう閉会
 地下鉄東西線の建設事業費の膨張に関して開会中の臨時京都市会は21日、交通水道、財政総務、建設の3委員会を開き、各委員会での調査を賛成多数で終了した。臨時市会はきょう22日、本会議を開き、各委員会の委員長が審議状況を報告、決議案などを審議して9日間の会期を終え、閉会する。
 3委員会ではいずれも自民、公明、社会、民社クの4会派が調査終了を、共産が継続調査を求めた。
 交通水道委では「一日も早い開通と徹底的な合理化により交通局を黒字体質に」(自民)、「工事の進捗(ちょく)、労組との交渉、国への要請の状況のほか、京阪との話し合いの進展などの委員会への速やかな報告を」(公明)、「今日の事態を厳しく反省、早期建設や財源確保に最大の努力を払い、労使交渉は健全な合意に基づき進める」(社会)、「建設費、工期が二度と変更されないよう最大限の努力を傾注、市民の信頼を回復、西進にも最大限の配慮を」(民社ク)との意見が述べられた。
 共産は議会運営委員会で「ゼネコン言いなりの膨脹実態の一部が明らかになった。三セクの書類審査は行われず、審議も不十分でゼネコン、三セク関係者、前管理者が参考人として呼ばれていない」などとして継続審査を要求する、との見解を述べた。同党は地方自治法100条に基づく調査特別委員会の設置を提案する予定。(京都新聞)
■地下鉄問題の「調査」を終了 京都市の臨時議会
 地下鉄東西線の建設費膨張問題を審議した京都市の臨時市議会は21日、賛成多数で、地方自治法第98条の「検査権」による調査の終了を決めた。共産党は、「審議は不十分」として閉会中の調査継続を求めたが、自民、社会、公明、民社クラブの各派はいずれも調査終了を主張した。22日の本会議で閉会する。(朝日新聞)
■東西線の事業費膨張問題 市長へ再度渓谷 臨時京都市会 決議採択、閉会
 地下鉄東西線の建設事業費膨張問題を調査していた臨時京都市会は、22日午前10時すぎから本会議を開き、調査の終了を決めるとともに、建設事業費の膨張、工期の延長について「三たびこのような事態を招かないよう田辺市長に対し厳しく再度警告する」との内容の決議を採択し閉会した。東西線の建設費膨張については今年2月市会でも警告決議が採択されており、異例の再決議となった。
 本会議では交通水道、財政総務、建設の三常任委員長が審議内容の報告を行った後、地方自治法98条に基づいて開かれた臨時市会の調査を賛成多数で終了することを決めた。
 この後、自民、公明、社会、民社クが提出した決議案を賛成多数で採決した。
 決議は「完成時期や建設費の大幅見直しにより、市財政全体に深刻な影響が必至である」と指摘。理事者に対し再度猛省を求めると同時に、「国の財政支援確保と交通局及び市長部局の行財政改革を中心としたリストラにより、三たびこのような事態を招かないよう田辺市長に対し、厳しく再度警告するとともに、これ以上の変更を生じさせず一日も早く完成させ、市民に対する責任を果たすよう強く求める」としている。
 共産党は地方自治法100条に基づく調査特別委員会の設置案と、「自らの進退を含めて責任を厳しく問う」との内容の田辺市長に対する問責決議案を提案したが、否決された。(京都新聞 夕刊)
■京阪でポイント故障 運休、8万人に影響
 22日午前5時55分ごろ、京阪本線寝屋川信号所(大阪府寝屋川市)のポイントが動かなくなった。およそ1時間40分後に自然復旧したが、午前10時半ごろまでの間に、後続の急行と準急合わせて3本が運休、普通も含めて91本が15−3分遅れ、8万人に影響が出た。
 現場は、寝屋川車庫から京都方面行き本線へ出る所のポイントで、制御関係の接点不良とみて会社側で原因を調べている。(京都新聞 夕刊)
■井原三津子 世界こだわり紀行(23) スイスアルプス 2大特急乗り比べ なんと鈍足、平均時速30〜40` 眺めのよさは世界屈指 おそさこそミソ
 エクスプレス(特急)というにはどちらものんびりすぎる。なにしろ平均時速30〜40`あまり。世界広しといえどもこんなにおそい特急列車はないだろう。
 ところが、その「おそさ」こそがミソである。スイスアルプスの自然美をストップモーションを見るようにじっくり堪能できるからだ。
 スイスの南東、マッターホルン観光の拠点ツェルマットから小粋なレイクリゾート、サンモリッツまでの268`を7時間かけて走る「氷河特急」と、サンモリッツの北のクールからイタリアのティラノまで全長145`を4時間かけて南下する「ベルニナ特急」。眺めの良さにかけても世界で指折りだというこの2つの列車を乗り比べる旅に出た。
・楽しい車窓風景
 ピラミッド型の秀麗なマッターホルンを後にして、ツェルマットを発った真っ赤なボディーの氷河特急はガタゴト走り続ける。深い谷、氷河にキラキラ輝く峰。山あり川あり、花々の咲き乱れる緑の野原に遊ぶ牛や羊たち。車窓風景はとても変化に富んでいる。窓を開けていると、車外からおいしい空気と一緒に時おり牛の首に付けられたカウベルのカランカランという音色が流れ込んでくる。
 スイスならではの大自然を満喫するのにこれ以上すばらしい交通手段がほかにあるだろうか。田舎の小さな通過駅でも、徐行したり止まったりして対向列車を待つことがある。鉢植えの鮮やかな花々でかわいく飾られた駅には、たとえば、きりりと帽子を正した駅長さんがいて、抱擁を交わす美しいカップルがいて、ホームのベンチでひなたぼっこをする犬を連れた老人がいる。列車が動き出すまでのほんの数分間、名も知らぬ村の人々の人生ドラマを車窓から垣間見る楽しみは捨て難い。
・光る純白の氷河
 氷河特急よりも氷河がよく見えるというベルニナ特急のうわさは本当だった。
 標高2254bのベルニナ峠を越え、ヨーロッパ一高所を走る列車として鉄道ファン垂えんの列車なのだ。途中、特急と同じ路線を走る各駅停車に乗り換えてディアヴォレッツァ下車。そこからロープウエーで約10分も上れば、青空のもと純白の氷河が目の前に一大パノラマを見せてくれる。4000b級の山々が自分の目線にあることが不思議でしかたない。
 そこからアルプグリュムまで再び列車で南下を続けると、今度は湖が目だってきた。それも緑色を白濁させた優しげな色合いだ。流れる川の水も同じくミルクでも溶かし込んだかのような色を呈している。これこそが氷河が溶けてできた水なのだろう。あまりにも神秘的な風景にしばしウットリと見とれてしまう。
 ふと気が付くと、車内にはイタリア人の学生たちが大勢乗ってきていて、楽しげにワイワイおしゃべりを始めている。陽気なイタリア語の飛び交う車中で、私はこの列車があと1時間あまりでイタリアとの国境にさしかかろうとしているのを思い出していた。
 【アクセス】9月、関西国際空港開港後は、スイス航空の直行便がチューリヒへ週3便就航する。所要約13時間。チューリヒからサンモリッツまでは列車で約4時間【時差】現在夏時間なので、日本より7時間遅れ【ビザ】3ヵ月以内の観光は不要【通貨】1Sfr(スイスフラン)=約75円【公用語】ドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語。英語はよく通じる【旅の注意点】氷河特急は私鉄でユーレイルパスが利用できず、値段はやや高め。夏のピーク時は込み合うので予約をするのがベター。また氷河特急の食堂車でのランチはおすすめ。名物の傾いたワイングラスも有名(揺れてもこぼれない仕組み)。(京都新聞 夕刊)
■ポイント故障し 通勤ダイヤ混乱 京阪電車
 22日午前5時50分ごろ、大阪府寝屋川市木田元宮二丁目の京阪本線寝屋川車庫にある上り出庫線のポイントが動かなくなり、午前7時半ごろまで電車が車庫から出られなくなった。この影響で運行ダイヤは同10時過ぎまで乱れ、上下150本が最高15分遅れ、約8万人に影響した。(朝日新聞 夕刊)
23日■地下鉄臨時京都市会 消えぬ市民の行政不信 事業の「甘さ」改めて浮き彫り 当分財政の重荷に 議会のチェック機能、期待
 地下鉄東西線の建設問題で開かれていた7月臨時京都市会は22日、「三たびこのような事懸を招かないよう田辺朋之市長に対し厳しく再度警告する」との内容の警告決議を採択、閉会した。審議では改めて事業の進行管理の甘さが浮き彫りになったほか、当初計画の2倍近い総額4710億円となった巨額の建設財源確保の問題と、増額が一般会計にもたらす深刻な影響も明らかになった。度重なる当初計画変更で生じた市民の行政不信に対し、市はどう理解を求め、市民期待の「足」を完成させるのか。田辺市長のリーダーシップの発揮はもちろんのこと、議会が十分なチェック機能を果たすことを市民は注視している。
・進行管理
 「事業の進行管理に問題があった」。臨時市会の冒頭で田辺市長は建設事業費の再膨張、工期の再延長を謝罪した。委員会審議でも「なぜ再膨張、再延長を招いたのか。2月市会からわずか4ヵ月後にまた変更となったのか」と議員から厳しい追求が相次いだ。
 市側からは「予算担当部門と工事担当部門との連携が不十分だった」(内田俊一助役)、「現場での状況把握がきちっとトップに上がっていなかった。トータルに工程管理ができていなかった」(江草哲史交通局管理本部長)などの反省点が出された。
 市は今後、高速鉄道本部に工程管理委員会を新たに設置するほか、全庁的に企画推進会議などで推進体制を強化する構え。「電気工事などの発注を終える来年度半ばに最終的な工期の見直しをしたい」(山口巌高速鉄道本部長)とする交通局に対し、「大幅な変更を伴う工事については市長部局への報告を求め、相談する」(小濱本一企画調整局長)と市長部局の眼が厳しく光ることになる。
・財源対策
 東西線建設事業費の大幅膨張は一般会計への深刻な影響が確実となった。相次ぐ膨張見直しで、運輸省など国もシビアな見方をしているといわれる。市直轄工事分についても全額を国が補助対象と認定するかどうかは「非常に厳しい」(三浦貞義公営企業管理者)という状況だ。
 第三セクター「京都高速鉄道」部分の建設財源確保も大変だ。「建設段階で独自の助成が必要」(内田助役)だが、一般会計も市税収入の落ち込みで苦しい。「基金も残り少ない。来年度予算編成も大変危うい状況」(薦田守弘助役)で、赤字再建団体への転落や起債制限団体となる可能性も論議された。
 92年度の市決算の起債率は22%。15%を超えれば起債制限団体となる。市は交通局だけでなく、市長部局でも大幅リストラを検討、予算執行の抑制を含めた行財政改革を行うが、東西線建設事業がヤマ場を迎える今後3年間の建設財源出資の増加は避けられない。さらに、開業後の収支やバス事業を含めた公営交通の経営は当分の間、一般会計を含めた市の財政に大きな重荷となりそうだ。
・市民理解
 臨時市会は市民の行政不信を解消するまでには至らなったようだ。
 行政に提言を続ける「グループ市民の眼」の久本育生運営委員は「事業費膨張の実態を早期に市民に開示しなかったのは、市の閉鎖的、密室的な体質の表れ。体質改善も大きな課題だ」と市の姿勢を批判する。寺町専門店会商店街振興組合の石野猛理事長も「新しい御池通をどう作っていくのか。市の計画には、地域住民の意見が反映されていない」と、ケヤキ並木の復元が論議された御池シンボルロード構想が市民抜きの計画になることを警戒する。
 「議会もこれまで、東西線問題を先送りしてきた責任がある」(京都三条商店街振興組合・井上道治理事長)。議会への注文も厳しい。井上理事長は「設計や契約などはっきりしない部分が多い。議員はもっと突っ込んで追及すべきだった」とも。しかし、半面で「市会で事業責や工期が改めて約束されたので、商店街の活性化につながるよう研究を深めたい」との期待も寄せた。(地下鉄問題取材班)
・真相の究明に引き続き全力 共産党市議団声明
 地下鉄問題を審議した臨時京都市会の閉会を受けて、共産党市議団は22日、引き続き真相の究明と市長責任の追及、リストラ計画の阻止に全力を挙げる、との声明を発表した。
 声明では臨時市会の役割を評価したうえで、調査特別委員会の設置や前公営企業管理者の参考人出席に反対した他会派を批判、建設費の膨張など田辺朋之市長が真相隠しに終始した、などと指摘している。(京都新聞)
■「文春」販売契約は存続 JR東日本 来週にも駅売り再開 東京地裁が仮処分決定
 「週刊文春」の連載記事をめぐりJR東日本(松田昌士社長)側が管内の駅売店で同誌の販売を拒否している問題で、東京地裁の園部秀穂裁判長は22日、同誌について取次先の鉄道弘済会(三坂健康会長)と発行元の「文芸春秋」(田中健五社長)との間の販売契約がJR東日本管内で継続していることを認める仮処分の決定をした。
 鉄道弘済会の取り次ぐべき部数を明示するよう求めた、文春側の申し立てについては「双方の協議で適当な部数の取り次ぎが再開されると予想される」と述べ、退けた。
 双方とも決定に従う意向を表明しており、今後、文芸春秋と鉄道弘済会の間で部数などが協議された上で、来週にもJR東日本の駅売店での販売が再開される見通しになった。
 決定理由で園部裁判長は、文芸春秋と鉄道弘済会の販売契約は拘束力がある継続的なものだと指摘。記事がJR東日本の名誉を傷付けたかどうかは別として、文芸春秋は鉄道弘済会に対して長年の信頼関係を壊すような不法行為を行っていないなどとして、鉄道弘済会が文芸春秋に出した通知で、契約が解約されたとは認められない、と述べた。
 JR東日本に対する同誌の販売妨害禁止の申し立てについては「JR東日本の意向は文芸春秋と鉄道弘済会の契約関係に影響しない」として仮処分の必要性を認めなかった。
・当方の主張も通る JR東日本側が会見
 東京地裁の仮処分決定について、JR東日本の荻野洋・広報部長と鉄道弘済会の茂手木一二三・新聞雑誌部長が22日、決定書を手に会見した。
 荻野部長は「決定では、文春側の主張の多くが却下されており、当方の主張も通った形。納得できる部分もあり、勝訴ととらえている。今後、文春と鉄道弘済会の協議が整えば、週刊文春が東日本キヨスクの店頭に並ぶこともあり得る」と、事態は販売再開へ向けて動き出す可能性があることを示した。また茂手木部長は「文春との協議は25日から始まると思う。誠意を持って交渉に当たるつもりだ」と、販売再開に前向きとも取れる発言をした。(京都新聞)
■予約はやや少なめ
 お盆期間中(8月11−18日)の指定席予約状況をまとめた。予約率は関西から各方面向けが定員の50%(対前年97%)、関西向けが定員の48%(同95%)にとどまっている。同社は「ここ数年、当日買いが増える傾向で、利用者数としては昨年並みになるだろう」と話している。ピークは帰省が12、13日Uターンが15、16日。
 方面別で満席の列車が目立つ日は次の通り。
 【関西発】新幹線=山陽方面は11−13日、東京方面は15−17日▽北近畿・山陰=12、13日の午前(午前中の「あさしお」は14日も)▽九州=11−14日▽北陸=11−13(「トワイライトエクスプレス」「白鳥」「日本海」は関西発・着とも期間中を通して満席の日が多い)【関西着】新幹線=山陽方面からは15−18日、東京方面からは12、13日▽北近畿・山陰=15、16日(午後の「あさしお」は14−17日)▽九州=15、16日▽北陸=15−17日(京都新聞)
■信楽事故 2件目の「不起訴不当」 JR元通信課長ら5人 「注意義務怠る」 地検 再検討迫られる 大津検察審が議決
 死者42人、重軽傷614人を出した信楽高原鉄道列車衝突事故で、遺族から業務上過失致死傷罪などで告訴告発され不起訴となったJR西日本関係者6人の処分について審査していた大津検察審査会は22日、元電気部信号通信課長ら5人について「不起訴不当」とする議決書を大津地検に送った。同審査会は今年4月末、不起訴になっていた同社前社長ら関係者7人についても不起訴不当を議決しており、同地検はJR関係者を業務上過失致死傷容疑などで再捜査する。
 議決書では、方向優先テコが事故を誘発したとは言えない−とした検察の判断に対し、「設計段階ですでにミスがあり、関係者はシステムの機能・操作法を熟知していなかった」と指摘。事故以前に発生した信号トラブルについても徹底した原因究明を行わず、関係者が注意義務を怠っていたのは明白、とした。
 また、改ざんした「優先テコマニュアル」(通称)を滋賀県警に証拠として提出したとして、証拠いん滅罪で告訴告発され不起訴になった同社運行管理部輸送管理責任者ら2人については、「マニュアル改ざんは、JR西日本の事故責任を免れるための組織ぐるみの企業防衛の一環」として、うち一人に不起訴不当の判断を下した。
・批判、謙虚に受け止め
 頃安健司・大津地検検事正の話 十分に検討の上再捜査し、適正な結論を下したい。検察への不信感がある、という批判については謙虚に受け止める。
・時効迫り捜査急いで
 秋田真志・犠牲者遺族の会弁護団事務局長の話 JRの組織ぐるみでの証拠いん滅行為を指摘するなど、主張が認められた。一部時効も迫っており、早急な捜査を望む。
・コメントできない
 福田広蔵JR西日本総務部主幹の話 コメントできる立場にないので、コメントは差し控えさせていただきます。(京都新聞)
■湖西線開業20年 はたちの旅路 立体交差C
 「比良山に年十数回来る。その度に湖西線を利用するが、山が駅から近いのがありがたい。沿線の眺望がよく、電車に乗るのも楽しみです」。比良駅からバスで10分、滋賀郡志賀町北比良の比良山ろくリフト乗り場で、寝屋川市の会社員泊勝志さん(50)は、こんな、ふうに話した。
 湖西観光の大きな魅力は、景観と自然に恵まれた琵琶湖と山岳。京阪神から手近な自然探訪、エコロジー体験、アウトドアといった要素が人気を高めている。高島郡での観光は、夏の水泳、マリンスポーツ、冬のスキー(沿線に6ヵ所)、登山、竹生島参拝、名勝・旧跡の探索など、1年を通して楽しめる。同郡への入り込みの観光客は、平成4年度に年間200万人の大台を超え、昭和54年の約94万1000人から216%も伸びた。県内平均の147%を大きく上回り、滋賀観光の急成長株と目されている。
 昨年、既存の団体を再編して発足した高島地域観光振興協議会は「自然体験型の地域観光」と推進イメージをまとめ、振興に力が入る。実際、郡内では、高島町ガリバー旅行村、新旭町風車村、安曇川町「びわ湖こどもの国」、朽木村「いきものふれあいの里」といった自然体験型の施設が整い、京阪神などからの近郊観光型の利用者が急増している。
 JR西日本京都支社は「沿線の観光資源はJRにとっても乗客誘致の資源」といい、沿線の観光振興に協力姿勢をのぞかせる。
 昨年夏、大津市と隣の志賀町は共同で東京駅八重洲口で「こんなに近い大津・志賀」をキャッチフレーズに「物産展」を開いた。同市の安孫子邦夫観光物産課係長(47)は「湖西の観光地は遠い所と思われているが、湖西線を使えば観光メッカ京都から近いと売り込んだ。沿線には観光客を呼び込めるだけの潜在力が十分ある」という。沿線市町村は「観光の大動脈」湖西線への期待を、開業当初から今なお変えていない。
 高島観光の泣きどころは宿泊施設の不足なのだが、北部の今津町、マキノ町に、初の本格的なホテルが建設中で、今秋から来春に、それぞれ開業する。日帰り主体の湖西観光は、滞在型、近郊リゾートへと、転換に差しかかっている。同時に郡内各地に散在する観光の施設・資源と湖西線が、今後、どう交通ネットを組んでいくのか。改めて問われている。
 メモ 平成5年の湖西線沿線観光客数(県まとめ)は大津市1345万8000人(対前年比2.7%増)、滋賀郡242万9000人(同5.5%減)、高島郡198万(同2.8減)。高島郡内の日帰り観光客は174万3000人、全体の88%。(京都新聞)
■文春に実質「勝訴」の仮決定 JR東日本の販売中止問題「契約解除は無効」
 JR東日本管内の駅売店で「週刊文春」の販売が中止されている問題で、同誌を発行する文芸春秋の仮処分申請に対し、東京地裁は22日、「鉄道弘済会が取次契約の解除を通知したのは無効で、契約は存続している」と判断し、文芸春秋が契約上の権利を持つ地位にあることを仮に定める決定をした。文春側の実質的な「勝訴」で、今後、両者間で取り次ぎ再開に向けた協議が行われることになる。
 この日の決定で園部秀穂裁判長は、文芸春秋と弘済会との取り次ぎ契約について、35年間にわたって継続されていることや、仕入れ部数を除いて仕入れ条件や返品方法などを詳細に規定していることをあげ、「拘束性のある継続的な契約」と指摘した。
 そのうえで、弘済会が「記事で文芸春秋との信頼関係がなくなった」などとして解約を通知したことの効力を検討。@解約条項は弘済会が営業できなくなった場合を想定したもので、今回は契約の存続を弘済会に強いることが酷だという事情はなかったA「週刊文春」の記事がJRに対する不法行為に当たるかどうかは別として、文芸春秋が弘済会に対する不法行為を行ったとは認められず、両者間の信頼関係は破壊されていない−と判断し、「契約は存続している」と結論づけた。
 一方、決定は、「契約が有効ならば、当事者間の協議で契約に従って適当な部数の受領、取り次ぎが再開されることが予想される」と指摘し、キヨスクに一定部数の「週刊文春」を取り次ぐよう求めた仮処分申請は却下した。
 また、JR東日本に対して「週刊文春」の販売を妨害しないよう仮処分を求めていた点については、「JR東日本の指示は弘済会と文芸春秋との取次契約に影響を及ぼさず、取引は維持されるので、仮処分の必要はない」と退けた。(朝日新聞)
■地下鉄東西線建設費膨張問題 市長に厳しく再度の渓谷 京都市臨時議会 「猛省し責任果たせ」共産の問責決議は否決
 地下鉄東西線の建設費膨張問題を調査していた京都市の臨時議会は22日、本会議を開き、田辺朋之市長に対し「三たびこのような事態を招かないよう、市長に対し厳しく再度警告する」との議決を、自民、公明、社会、民社クの賛成多数で採択、閉会した。今年2月市会でも警告決議が採択されたばかりで、異例の事態となった。
 決議は「市財政全体への影響は必至。猛省を求めるとともに、国の支援とリストラで1日も早く地下鉄を完成させ、責任を果たせ」と求めた。
 共産党は地方自治法100条に基づく調査特別委員会(百条委)の設置と、市長の問責決議案を提案したが、否決された。(朝日新聞)
■福祉や教育財源確保は 問われる市長の指導力 市民生活への影響懸念
 「三たびこのような事態を招かないよう厳しく警告する」。地下鉄東西線の建設費膨張問題を調査した京都市の臨時市議会は22日、2度目の警告決議を発して閉会した。しかし市幹部からは、何とか乗り切ったと安どの声さえ聞かれる。膨張の原因、市幹部の経営責任、市民へのしわ寄せ、そんな疑問に対する説明はあいまいなまま、市は「リストラ断行」「財源確保」に向けて走り出した。しかし、なお強い反発が予想され、田辺朋之市長の指導力が問われている。(吉岡一記者)
 「市の最低限の責任は果たす」。巨額の膨張で、市民が最も心配する福祉、教育などへの影響については、中谷佑一理財局長がこう発言しただけ。「財政再建団体に陥る可能性がある」などと市は強調したが、具体的な影響について説明はなかった。
 「財政が危ないといっても仮定の話ばかり。何を議論すればいいのか」との批判が議員から続いた。しかし市は、「国の支援策が固まらなければ、説明できない」と突っぱねた。
 すでに保育料などでの負担増も予想されている。が、福祉予算の削減は政治的に踏み切りにくいとの見方が強い。しかしそれも現状維持が精いっぱい。特養老人ホームの充実など新しい事業はほとんど無理ではないかと、市幹部は話す。
 市は、膨張の責任も否定した。市内部で、国にも責任ありとする声や、交通局と市長部局で批判し合っていた2月と異なり、今議会は一貫して「事態の招握が遅れたのが問題。建設費の膨張は仕方がなかった」との立場を通した。
 山口巌・高速鉄道本部長は「最初の積算には自信がある」と述べ、「土木工事の属性として、予期しない建設費の膨張はよくある」と言い切った。
地下鉄東西線建設事業の経過
1988年7月 東西線醍醐−二条間鉄道事業免許(建設費2450億円)
89年11月 東西線起工式
92年6月24日内部文書で建設費3600億円に膨張と報告。公表されず
93年2月25日工期を96年末まで延長、建設費膨張は発表せず
 8月8日田辺朋之市長再選
94年2月3日建設費が1490億円膨張し、当初の約1.6倍の3940億円に
 2月9日東西線事業点検・推進委初会合
 6月20日労組に交通局のリストラ案提示
 6月23日工期を97年秋まで延長、建設費が770億円膨張し、当初の約1.9倍の4710億円に
 6月27日点検・推進委、「財政再建団体の可能性」を盛り込んだ報告書公表。市長ら特別職が半年間、減給10分の3
 7月1日交通局が経営事業見直しの機構改革実施
 7月14日臨時市議会始まる
   22日再度の警苫決議。市会閉会
 「京都の建設費は高い」としていた内田俊一助役も、今議会では「他都市に比べ、建設費は妥当だ」と180度の転換ぶり。「ゼネコン言いなり」の批判をかわした。
 だが、770億円もの再膨張は、本当に分かっていなかったのか。市幹部は「ごく一部は薄々可能性を知っていたのでは。地下鉄が完成するころに発表し、批判を和らげるつもりだったようだ」とすら漏らしている。
 東京都で企画調整局長を務めた柴田徳衛・元東京経済大教授は、こう話す。
 「経済成長が続いた時代、公共工事といえばあいまいな見積もりで契約し、ゼネコンの言いなりに膨張させ、業界、政界、役所がともに利益を得ていた。それでも経済成長が帳じりを合わせてくれた。しかし、バブル崩壊後の低成長でそのシナリオが破綻(はたん)し始めており、京都でもその矛盾が出たということではないか。これからは、甘い積算でとにかく工事さえ始めれはいいというやり方は通用しない」
 議会の追及をかわした市が次に当たるのは、リストラ案に強く反発している交通労組の説得だ。「徹底したリストラを」と求める自民党などと、「職員へのしわ寄せは許さない」と反発する労組との問で、市の立場は厳しさを増してきそうだ。
 税収増が望めない現状の下、来年度予算の編成に当たって、どの事業を削って、どの事業を優先するかという政治的に微妙な選択も迫られよう。(朝日新聞)
■お盆列車は遅い出足 海外旅行は予約好調
 JR旅客6社は22日、お盆期間(8月11日−18日)の指定席予約状況をまとめた。帰省のピークは12、13日、Uターンは15、16日となる見通しだ。JR西日本によると、関西発着の予約率は定員に対して約50%で、昨年同期に比べると予約の出足はやや遅い。
 東海道・山陽新幹線は、東京発博多行きの「のぞみ」「ひかり」が11日から14日午前中まで完売状態。博多発東京行きも14日午前から込み始め、18日までほぼ満席となっている。
 国内の航空5社と大阪入国管理局大阪空港出張所などは22日、お盆期間中(8月11日−21日)の大阪空港発着航空便の予約状況をまとめた。国際線は、円高や新しい割引制度の浸透で好調そのもの。出国を予定している観光客は前年同期を7.8%上回る10万3370人にのぼり、過去最高となった。
 一方、国内線の予約数は71万6169人で、昨年同期より2.5%増の横ばいだった。(朝日新聞)
■信楽列車事故 「JR社員不起訴は不当」 大津検察審査会議決 危険性認識と指摘
 死者42人を出した滋賀県・信楽高原鉄道の列車事故で、業務上過失致死傷罪や証拠隠滅罪などで遺族に告訴・告発されたJR西日本の社員らを大津地検が不起訴処分としたのに対し、大津検察審査会は遺族側の主張を全面的に盛り込んだ「不起訴不当」の議決をし22日、関係者に通知した。
 同検察審査会は今年4月、JR西日本幹部らに対する業務上過失致死傷罪などの不起訴処分についても「不起訴不当」と議決している。
 議決所などによると、JR西日本は信楽高原鉄道への乗り入れに際し、JR列車を優先的に運行させるため、対向列車を待避場所の信号で止める優先てこを設置した。しかし同鉄道との打ち合わせもなく、鉄道事業法に違反した無認可工事で、信号が赤のまま変わらなくなるなど、信号誤動作の原因の一つになった、としている。
 大津地検は、JR側に注意義務違反はなかったと結論した。これに対し検察審査会は、JR西日本の信号通信課長ら5人が最高度の注意義務を尽くしていたとはいえない、と判断した。
 優先てこのマニュアルは1991年3月にJR西日本の亀山指令所が作成。「当初の設備要求と異なり、使用が困難」など設計ミスを指摘する記載があった。しかし事故の約3ヵ月後、本社運行管理部の指示で同指令所所長が、設計ミスに触れた部分を削除するなど、マニュアルを作り直して滋賀県警に提出した。
 検察側は、客観的事実は歪(わい)曲されていないため違法性が極めて低いとしたが、検察審査会は「優先てこの危険性を認識しながら使っていたという事実を会社ぐるみで隠そうとしたもので、極めて悪質」と指摘した。
 遺族らの弁護団は「検察審査会はJR西日本の組織犯罪を明快に認め、我々の主張を全面的に認めてくれた。
これだけの証拠に目をつぶって不起訴処分とした検察に強い不信を覚える」と語った。
・頃安健司・大津地検検事正の話 (不起訴処分が)納得できないという検察審査会のご指摘をふまえて、改めて再捜査し、適正な結論を出したいと考えている。
・福田広蔵・JR西日本総務部主幹の話 当社としてはコメントできる立場にありませんので、コメントは差し控えさせていただきます。
・検察への不満改めて示す
 《解説》JR西日本の過失責任を問わなかった検察に対し、大津検察審査会は再び「不起訴不当」の議決を突き付けた。組織ぐるみで責任逃れを図ったJR側の市政は、市民感覚ては到底納得できないことを改めて示したものだ。
 滋賀県警の調べに対し、JR側は当初、優先てこの存在そのものを明らかにしなかった。優先てこが信号誤動作の原因だったことに捜査が及ぶと、マニュアルを改ざんして設計ミスに触れた記述を削除。そのうえ、古いマニュアルの破棄も指示していた。
 大津地検に提出した意見書の中で、県警はこうした対応を厳しく批判している。「証拠隠滅工作で、徹底した企業防衛を図った」「一貫した対決姿勢で、捜査をかく乱」
 こうした報告がありながら、なぜJR西日本の責任を問えなかったのか。市民の集まりである検察審査会が2度までも不起訴処分に疑問を投げかけた事実は重く、検察には厳正な再捜査が求められている。(社会部・寺西淳)(朝日新聞)
■京滋→関空 どの道選ぶ? 速さや料金比べれば… JR・便利だが高い 南海・乗り継げば半額 車・やっぱり遠い
 9月4日、関西国際空港が開港する。アジアの拠点空港としての意味付けはとてつもなく大きいが、空港を利用する市民にとっては、いまと比べてどれだけ便利になるのかが最大の関心事だ。特に京滋の利用客は、大阪空港より倍ほど遠くなるだけに、新空港へのアクセスが不安。JRの直通特急「はるか」の前評判は高いのだが…。(社会部 布部拓男)
・高速道ルート
 大阪・泉州沖に浮かぶ関西国際空港は、京都から約100`離れている。大阪空港までなら43`。この差がどうでるか−今月はじめに京都市内の中心部から、名神高速道路、近畿自動車道を経て、阪和自動車道、空港連絡橋を利用したコースを試してみた。
 午後零時半に京都市中京区烏丸通夷川を大型バスでスタート。吹田料金所付近でノロノロ運転があったものの、比較的スムーズな流れ。それでも空港島に到着したのは午後2時半。ちょうど2時間かかった。「やっぱり遠い」「飛行機に乗るには余裕を持って3時間は見んといかんやろ」とは同行者の感想だ。
 豊中市の大阪空港へは、京都駅八条口前から大阪空港交通バスを利用すると、すんなりいって約55分。当然のことながら、関西国際空港は遠い分だけ時間と料金が余分にかかる。
・鉄道ルート
 JR特急「はるか」に乗ってみよう。6月初旬、JR西日本は一般参加者を公募してはるかの試乗会を行った。
 京都から新大阪、天王寺を経て、乗り換えなしに関西国際空港に向かう。京都での乗車時、参加者らは「新快速よりは車内がゆったりしている」程度の感触だった。が、関西空港駅に着いて改札を抜けると、そこは空港夕−ミナルビルの真ん前。この日は試運転で90分くらいかかったが、「これは便利」と参加者らはうなっていた。
 バスの場合は、たとえば大阪空港に行くのに名神高速道路の渋滞状況によっては大幅に延着することもあるように、利用者にとって不安な要素が入る。ところが、はるかだと、最短73分で京都から関西圏際空港へ、しかも京都駅のシティーエアターミナル(CAT)で搭乗手続きを済ませば、手荷物だけで乗車できる。
 開港を前に多くの人が「距離的に遠くても関西国際空港の方が、時間通りに行けてしかも楽」という。7日に発表されたダイヤで、はるかはすべて京都発着となった。
 3430円。京都から関西国際空港まではるかで行くとこれだけかかる。グリーン車はさらに720円増し。この高い料金が、便利なはるかの弱点といえようか。
 南海が走らせる空港特急「ラピート」は、大阪・難波から関西空港までを最短29分で結び、1250円。京都の阪急、京阪、近鉄沿線から大阪地下鉄を乗り継いでいくと、はるかの半額近くで済む。京都市中心部から難波までは1時間と少し。所要時間は合計90分あまりだ。
 そのラピートに乗ってみた。いかつい外観とは裏腹に、茶系統の配色で統一された車内は明るく、楕(だ)円形の窓が空の旅を連想させる。乗り心地も悪くない。やや冷たい感じの残るはるかの車内に比べ、ムード面では勝りそう。荷物を持たない送迎客なら、京都からでもラピートを選べるのでは。
・評価いろいろ
 実際に新空港を利用しようという京都の人らは、どう評価しているのか。京都駅前の旅行社で新婚旅行の予約をしていたカップルは「京都で搭乗手続きができるので、新空港が断然、便利」。左京区の輸入雑貨店経営者(47)は「大阪発成田経由が減るから、少しくらい遠くなっても平気」という。
 一方、「遠くなる分、コストがかかる」と伏見区の輸出入代行業者は悩む。京都消費者団体連絡協議会の原強事務局長は「遠いし高いし大変やなあ」と前評判に懐疑的。さて、あなたはどのルートを選択する−。(京都新聞 夕刊)
24日■湖西線開業20年 はたちの夢路 立体交差D 袋小路からの脱出 環状線に飛躍の夢乗せ
 母なる琵琶湖に沿って街が開け、古くから交通の要衝とされた近江路。しかし、京阪神や中京圏に開かれた湖南、湖東地域に対し、琵琶湖はその広大さゆえに、湖西や湖北を”袋小路”にとどめてしまった。その琵琶湖岸を、ぐるりと一周する電車で結ぼうというのが琵琶湖環状線構想だ。
 現在、交流式の北陸線長浜−近江塩津間と湖西線永原−近江塩津間を琵琶湖線と同じ直流方式にして連絡、双方向に電車を周回させる。県内の一体感や流動性を高める目的もあるが、多くの電車便が手前で折り返してしまう県北西部に大阪、京都からの直通電車を回すことが最大の狙いだ。
 3年前に琵琶湖線からの新快速乗り入れが実現した長浜では、前後の2年間で乗車人数が57%増、ガラス館で知られる「黒壁」の観光客数は3.2倍に跳ね上がった。湖西、湖北の1市18町村は環状線促進期成同盟会を旗揚げし、「長浜に続け」と意気込む。県も「乗車機会が2倍となるほか、大都市への通勤圏、日帰りの観光地として活性化効果は計り知れない」と鉄道網整備の最優先課題に位置づけている。
 交流区間の直流化に見積もられるハード投資約40億円は地元負担でもクリアできる額だが、やはり問題は運行経費を利用客で賄えるかどうか。「環状線こそダイヤ問題解決の切り札」というマキノ町は、駅周辺での住宅建設や湖岸のリゾート開発に全力。西浅井町も県の補助を受け、老朽化した近江塩津駅舎の改築を目指すなど、「”長浜効果”が冷めないうちに」と急ピッチで受け皿づくりを進めている。
 一方、環状線を目指す滋賀県に北方の後ろ盾が登場した。福井県の小浜線上中駅−湖西線近江今津駅(20`)をつなぐ新線「琵琶湖・若狭リゾート線」構想で、今秋には両県合同の「事業化可能性調査」がまとまる。ともに両県内で遅れの目立つ嶺南(小浜市など)、湖西地域が手を携えようとの100年来の計画で、福井側は小浜−京都間を1時間圏内で直結し小浜線電化を実現したい考えだ。一方の滋賀県側は、膨大な建設費や採算面の難題に加え「水泳客を持っていかれる恐れも」と慎重な姿勢だが、福井側のラブコールは環状線実現への援軍には違いない。
 湖西線は、沿線の期待と挫折をはらみつつようやく成人を迎えた。そして今、遅ればせながら南からは都市圏拡大の波に、北からは輸送力増強の声に揺さぶられつつ、真価が問われる働き盛りに差しかかる。
 メモ JR西日本の電化路線は交流(2万ボルト)、直流(1500ボルト)の両方式に分かれ、在来線の9割以上が直流、新幹線は交流を使用。相互の乗り入れには25−60bの絶縁区間を必要とし、現在は湖西線永原−近江塩津間、北陸線長浜−虎姫間に設置。(おわり)(京都新聞)
25日■乗用車横転で舞鶴線遅れる 「あさしお」など6本
 24日午前10時10分ごろ、綾部市中山町のJR舞鶴線の線路の上に、平行する国道27号を走っていた舞鶴市の女性の乗用車が運転を誤りフェンスを突き破り横転した。このため、特急「あさしお3号」をはじめ特急、普通列車上下6本が25−38分遅れた。女性にけがはなかった。(京都新聞)
■JR嵯峨嵐山・トロッコ嵐山・京福嵐山・阪急嵐山 最寄り駅どこ? 知名度期待わかるが…
 現在、渡月橋の近辺には、500b東南に阪急「嵐山駅」、北約150bに京福「嵐山駅」、さらに北西約1`離れて嵯峨野観光鉄道「トロッコ嵐山駅」があり、直径約2`の広い範囲に3駅が分散している。
 なかでも、観光客が戸惑う一因となっているのが、3年半前に小倉山のふもとにできたトロッコ嵐山駅。同鉄道は嵯峨駅−亀岡駅間を渓谷沿いに走り、年間60万人が利用する人気路線。1日8往復の運行があるが、このうち半分の昼間4往復がトロッコ嵐山駅止まりで、乗降客も多い。しかし「嵐山駅」と名乗るものの、渡月橋へは約1`離れ、歩いて20分以上もかかるため、「渡月橋はどこ?」と迷う観光客が後をたたないという。
 地元の小倉山自治会(長尾明子会長)は「道を尋ねられて、困ってしまう町内の人も少なくない」という。同自治会は今月初め、駅名を地元の町名に合わせた「トロッコ小倉山」か「トロッコ野の宮」に変えてはと、嵯峨野観光鉄道に要望した。しかし同鉄道は「嵐山の方が全国的に知られ、観光客が増えると、地元観光業者からも期待されているので」と、改称する気はない。
 これに加えて、9月4日からは現在のJR「嵯峨駅」が、JRとしての嵐山の最寄り駅であることをアピールする「嵯峨嵐山駅」に名称変更する。渡月橋から北東約1`も離れているが、4つ目の「嵐山」駅になる。
 トロッコ嵐山駅に近い小倉山山ろくにある常寂光寺の長尾憲彰住職は「嵯峨駅の名称変更は結構だが、このままでは、あっちも嵐山、こっちも嵐山ということになってしまう。地元には昔からの歴史的ないい地名がたくさんある。すべてを嵐山でくくる風潮はどうかと思う」と話している。(京都新聞 夕刊)
26日■地下鉄東西線 ルーズな実態 出入り口ない駅の建設 工事先行 手続き後追い 市「規則上問題ない」 業者が証言
 出入り口のない駅の建設、正式契約をせずに進む数億円単位の先行工事−。建設計画を大幅変更し、建設事業費が当初計画の2倍近い4710億円に膨張、工期も3年遅れとなった京都市の地下鉄東西線の工事は、必要な工事を先行、正式な手続きが後追いする形で進められている実態が、建設請負業者らの証言で分かった。市交通局は「会計規則上の問題はない」との見解だが、出入り口工事まで後から発注するやり方は、発注段階から大幅契約変更を前提としている。地下鉄東西線の建設事業はどのように進められているのか。建設現場の一端を探った。
 醍醐南工区(伏見区)は東西線の起点となる醍醐駅と地下車庫を建設している。全25工区の中でも最大規模の工区。当初79億2000万円で大手ゼネコンと地元建設業者の共同企業体(JV)が受注した。現在はすでに本体工事の準備の仮設工事を終了、本体工事を昨年9月から始めた。同工区の工費は3回の契約変更を重ね114億3000万円に膨らんだ。
・ホームと外枠だけ
 ところが、本体工事では外枠の「く体工事」と駅ホーム部分などの工事は行われているが、駅に不可欠の出入り口や地下に下りる階段工事はまだ行われていない。いわば出入り口のない地下駅の建設が進んでいることになる。「当初の図面に書かれていたのは、ホームと外枠だけだった」(請負企業体の井口詔一郎所長)ため、同部分の工事は笛に浮いた状態。「その他の部分は追加工事として請け負っており、いずれ出入り口なども同様の形で発注される」(井口所長)という。
 同工区では、同時に車庫の間仕切りや業務用の階段をつくる工事も進められている。この工事も実は当初の設計図面に入っていなかったが、交通局の指示で工事材料を含め「億の単位を下らない」(井口所長)額の工費を業者側が負担、業者が工事を先行して行っている。
 「先行工事」は他の工区にもある。安朱工区(山科区はトンネル工事の一部をダイナマイトを使った発破工法から機械による掘削に契約変更せずに行っている。小野駅工区(同)の埋設物の防護工事も未契約工事だ。
 東西線工事の契約変更は、これまでに23工区で計72回を数える。出入り口のない設計での発注では途中の変更は避けられないわけで、それが契約変更が目立つ一因とも言えそうだ。
・急ぐものから先に
 駅の出入り口が当初設計にないことについて、市交通局建設第二課の山崎糸冶課長補佐は「用地買収が終わらないと出入り口の場所は確定できない。住民の要望などもある。ともかく急ぐものから先につくろうとの考えから。地下鉄の工事としてはこれが一般的」と説明する。「先行工事」については、「手間のかかる契約変更のために、いちいち工事を止めるわけにはいかない」とも話す。
 交通局によると、「先行工事」は業者に設計変更の案をいくつか作らせる。その中から、交通局が各工区の現地に派遣している現場監督が、安全性や経済性などを判断して仕様を選ぶ。そして交通局が「設計変更事前確認通知書」と呼ぶ文書を業者に送る。工事費は後日、正式に設計変更して数量や金額を確定した上で契約変更を行い、年2回の「中間払い」で支払われる。
・信用頼りに立て替え
 しかし、現実問題として「先行工事」には業者側も不安を漏らす。「会計規則上の問題はない」と山口巌交通局高速鉄道本部長は話すが、契約を結ぶまでは立て替え工事の形となり、業者側には「市との信頼関係が頼り」となる。安朱工区では工事用道路の舗装費用をめぐって費用の折り合いがつかず、業者側が1000万円を負担したまま交渉が中断している、との証言もある。
 相次ぐ契約変更について山崎課長補佐は「初めから工事条件をすべて確定して発注するのは無理。時間や金がもっとかかる。それよりも経験の豊富なJVの力を借りて図面を作る方が早くできる。東西線工事の契約変更の回数は公共工事として決して多くはない」と強調した。(政経部地下鉄問題取材班)(京都新聞)
■東海道新幹線30歳 シンボルマーク作成
 JR東海は25日、今年10月1日に東海道新幹線が開業30周年を迎えるのを記念し、シンボルマークを作成したと発表した。
 マークは地球をイメージした青い円形で、上部に太陽を表す丸が、下部に3日月がデザインされ、「これからも。」と表記し、今後とも安全・安定輸送に取り組む決意を示したという。
 大きさはドアのわきに張る車両用(直径36a)と職員が胸に着けるエンブレム用の2種類。9月中旬から約1ヵ月間使用する。
 JR東海ではこのほか、9月から10月にかけて、記念行事を行う。京都では9月30日から10月1日までJR西日本と共催で高速鉄道国際会議を開催する。(京都新聞)
■文春、販売を再開へ JR東日本駅売店
 文芸春秋が東京地裁に申し立てていた週刊文春の販売再開に関する仮処分が22日認められたのを受け、同社と鉄道弘済会は25日、協議し、28日発売の「8月4日号」からJR東日本管内の駅売店で販売を再開することで合意した。6月16日発売号から始まった販売拒否は6週で終わることになる。(京都新聞)
■週刊文春 今週号6万部 キヨスク販売
 JR東日本管内のキヨスクで「週刊文春」の販売が中止されている問題で、発行元の文芸春秋と取次業者である鉄道弘済会は25日、東京地裁が先に出した「取次契約解除は無効」という仮処分決定を受けて、28日発売の8月4日号から販売を再開することで合意したるJR東日本の経営体質を批判する記事が載った6月16日発売の週刊文春が販売拒否されて以来、約1ヵ月半ぶりに同誌が全キヨスクの店頭に並ぶことになった。
 文芸春秋によると、弘済会に納入する8月4日号は約6万部で、これまでの約11万部の半分強にあたる。(朝日新聞)
27日■モノレール訴訟が「和解」 大阪空港に開通めど
 大阪府北部を東西に走る「大阪モノレール」(運行会社・大阪高速鉄道)の建設計画をめぐり同府豊中市の住民が都市計画事業の認可取り消しを建設大臣に求めていた行政訴訟で、原告の住民は26日、補償の確約や同鉄道による”解決金”の支払いなどを条件に訴訟を取り下げ、事実上の「和解」が成立した。
 モノレールは南茨木(同府茨木市)−千里中央(豊中市)間が平成2年に部分開業、ことし9月には千里中央−柴原間が開業予定。訴訟の解決で、大阪空港までの開通のめどがようやくついた。(京都新聞)
■大阪モノレール訴訟 「住民への説明不十分でした」と陳謝 解決金で和解 府と豊中市 早期開通めざす
 大阪府内の衛星都市を環状に結ぶ大阪モノレール計画の第1期事業区間(大阪空港−阪急南茨木駅間13.7`)で、事業認可の取り消しを求めていた「大阪モノレール訴訟」は26日、原告の豊中市の住民が訴えを取り下げ、計画を進めている大阪府などとの間で事実上和解が成立した。行政側がルート決定にあたって地元説明が不十分だったことを認めたうえで、モノレールを運行する第三セクター「大阪高速鉄道」(本社・豊中市)が「解決金」を支払うという内容。これにより大阪モノレール計画は現行ルートを維持したまま、本格的に動き出すことになった。
 林実・豊中市長と金盛弥・府土木部長の連名で出した確約書で、豊中市は「ルート選定の経過説明等において十分とはいえない点があり、その結果、長期訴訟を招いたことについて、誠に遺憾であると思っております」と陳謝し、今後は住民と話し合いながら環境対策などを進めることを約束。大阪府も立ち退き補償について「個々の希望を最大限尊重し、適切な代替地の斡旋(あっせん)など、誠意ある対応に努める」としている。これを受けて、大阪高速鉄道が「地元対策費」の名目で、解決金として住民側に訴訟費用の一部を支払うことになる。
 第1期事業では、阪急宝塚線蛍池駅付近のルートがS字形に曲がり、住宅や商店の密集地域を通過するため、地元の約250世帯が立ち退き対象となった。このうち約100人が1982年8月、「計画に住民の意向が反映されておらず、ルート選定も行政の裁量の範囲を超えている」などとして、府知事と豊中市長を相手取り、都市計画決定の取り消しを求めて大阪地裁に提訴した。
 この訴訟は一、二審とも住民側が敗れ、最高裁で88年10月、上告棄却となった。これとは別に住民側は建設大臣を相手取り、軌道事業などの認可取り消しを求めて提訴。判決予定だったこの日、住民側が訴えを取り下げた。
 坂和章平・原告弁護団長は「裁判を通じて、豊中市からの要望で、モノレールのルートが大きくゆがめられたことなどを明らかにできた。行政側の公式な陳謝は、住民運動の大きな成果だ」と話している。
 26日夕、豊中市内で開かれた住民側の集会で、林実・豊中市長は「率直に改めるべきは改めたい」と行政の対応に問題があったことを認めた。同席した大阪府の岡田好彦・都市整備局長も「今後の用地交渉は誠意をもって対応したい」と話した。
 金盛弥・大阪府土木部長の話 訴訟取り下げを真摯(しんし)に受け止め、蛍池地区のまちづくりに誠心誠意取り組み、モノレールの早期開業に努めたい。(朝日新聞)
28日■電車止めるいたずら急増 危険報知装置を作動させる不心得者 損害賠償請求も JR西日本 昨年度3200件 ワースト3は阪和線・片町線・奈良線
 踏切で車が立往生などした場合の「異変」を電車に知らせる、押しボタン式の支障報知装置を作動させるいたずらが、JR西日本の管内で急増している。同社の調べでは、昨年度のいたずら件数は1990年度の10倍近い約3200件に上る。踏切事故を防ごうと、この間に同社は報知装置を約2倍に増やしたが、いたずらはそれをはるかに上回る。中には年100回以上の取り扱いが、すべていたずらだった路線もあった。同社は不心得者への損害賠償請求などを検討し始めた。
 同社管内の踏切は6139ヵ所。JRとして発足した87年当時、年間約160件もあった踏切事故の防止のため、同社は、車の立ち往生などを自動的に検知する「障害物検知装置」と合わせ、報知装置の整備を進めてきた。90年度末に報知装置は2101ヵ所だったが、昨年度末には4026ヵ所になった。そのかいあって、事故数も約100件まで減少した。
 ところが、いたずらは急増。90年度はいたずらで電車が止まったのは355回だったが、92年度には2073回ボタンが押され、このうち1962件がいたずらで、1205回電車が止まった。
 昨年度はさらにひどく、3358件の取り扱いのうち、本当に「危険」だったのはわずかに164件しかなく、残りはいたずら。電車は、何も起こっていない踏切の手前で2145回も急停車した。今年度も6月末現在で、1300件を超えるいたずらがあり、ペースは昨年度を上回っている。
 同社によると、昨年度のいたずら発生件数ワースト3は阪和線、片町線、奈良線の順。それぞれ221件、117件、113件の取り扱いがあったが、本当の「危険」はそれぞれ11件、2件、4件しかなかった。とくに奈良線はここ数年ひどく、92年度は113件の取り扱いのすべてがいたずらだった。管理全体の傾向として、いたずらの発生は平日の午後2−5時に集中しているという。
 取り付ければ必ずいたずらされる状況とはいえ、事故を未然に防ぐ手段としては効果があることから、同社は今年度800ヵ所、来年度180ヵ所の踏切に報知装置の整備を計画している。
 報知装置による電車の停車時間は平均は5−10分弱。同社は、いたずらで電車を止めた者には「ダイヤの遅れ」に対する損害賠償を請求するなど、強い姿勢でのぞむことも考えている。(朝日新聞 夕刊)
29日■窓 喫煙コーナー場所配慮して 草津市・大林照子(会社員・29)
 私は瀬田駅から守山駅までJRを利用して通勤している者ですが、とても気になっていることがあります。それは守山駅の灰皿の位置です。
 JRは以前は、通勤ラッシュ時間帯(確か午前7時から9時までと午後5時から7時までだったと思います)は禁煙タイムだったのが、3、4ヵ月ほど前から24時間禁煙になり、喫煙コーナーが設置されました。
 瀬田駅では、構内の一番端に近いところに喫煙コーナーがあるので、改札口前で待っていても全然気にならないのですが、帰りの守山駅では、改札口前にだけベンチが2つ置いてあり、(瀬田駅でもそうですが)そのすぐ横に灰皿が置いてあるのです。そして、その灰皿のまわりでは常に喫煙者が数人だばこを吸ってらっしゃるのです。そこに灰皿があるのですから、当然、駅員さんも何も言いません。
 私はたばこの煙が大の苦手であり、あまり周りで何人も吸っておられると、頭痛が起こるぐらいです。そのため仕事からの帰宅途中、駅でベンチが空いていても、とても座ることなどできずに改札口から離れたところで立って待っているという状態です。ぜひ灰皿の移動をお願いしていものです。こんなお願いは、私だけのわがままでしょうか。(京都新聞)
■地下鉄東西線問題 自治労市職が見解
 自治労京都市職員労組(羽室武委員長)は28日、市地下鉄東西線の建設事業費膨張問題について「責任体制の確立」「組合と協議し市政に対する信頼回復」を求める見解を明らかにした。
 自治労市職は度重なる事業費膨張、工期延長を「計画から今日に至るまでの責任体制と進行管理に大きな問題がある」と指摘したうえで、市長部局のリストラ・合理化について「問題は建設費の増加についてありのままに報告をおこない市民の理解を得ようとしなかった当局にある」として、市政改革本部での検討を東西線とは切り離すべき、としている。(京都新聞)
■12月3日開業へ 第3セクター智頭線
 鳥取、岡山、兵庫3県の自治体などで組織する第三セクター鉄道「智頭急行」(社長・西尾邑次鳥取県知事)は28日、鳥取県・智頭町と兵庫県・上郡町を結ぶ智頭線(56.1`)の開業日を12月3日とし、JR因美線と山陽線に乗り入れ、新大阪−鳥取間を2時間半で結ぶ特急列車などの運行計画を発表した。
 目玉となる特急の本数は、新大阪−鳥取間が1日2往復、新大阪−倉吉間が1日1往復と毎日運行の臨時1往復の計4往復。このうち3往復は新型車両で、智頭線内は最高速度130`で運転、臨時の特急はJRの改良車両となる。いずれも編成車両は5両、定員は250人。
 また普通列車は上郡−大原間に17往復、大原−智頭間には12往復を運行するほか、智頭線列車の一部を同線からJR因美線経由で鳥取まで直通運行。列車の編成は2−1両でワンマン運転する。(京都新聞)
■列車襲撃10人死亡 カンボジア 外国人含む30人連行 ポト派か
 【プノンペン28日共同】プノンペンの鉄道当局者が28日明らかにしたところによると、カンボジア南部カンポート州で26日午後、乗客約300人が乗った列車がポル・ポト派とみられる武装集団に襲撃され、10人が死亡する事件が起きた。武装集団は乗客から金品を強奪した後、外国人3人とカンボジア人約30人をいずれかへ連れ去った。
 外国人はフランス人とみられ、日本人はいないもよう。同派による列車襲撃は過去数年多発しているが、これだけ多くの人質を取った事件は初めて。
 当局者によると、列車はカンポートからシアヌークビルに向かう途中で、線路上に仕掛けられた地雷のようなものが爆発、停車したところを襲われた。列車に同乗していた政府軍兵士2人が応戦、射殺れた。集団はAK自動小銃や対戦車砲などで武装していた。
 カンボジア南部ではこのところポト派がゲリラ活動を強めており、今年4月にカンポート州でボランティアの米国人女性が誘拐(後に解放)されたほか、シアヌークビル近くでも英国人2人とオーストラリア人1人が誘拐され、殺害された可能性が強まっている。(京都新聞)
■列車襲われ9人が死亡 カンボジア
 【プノンペン28日=真田正明】カンボジア南部のカンポート州で26日、プノンペン発カンポート行きの列車がポル・ポト派とみられる武装集団に襲われ、乗客や兵士ら計9人が死亡、多数がけがをした。
 内務省の調べでは、同日午後、同州コンポントラク郡に列車が通りかかったところ、列車の床下で爆発が起き、同時に数十人の武装集団が発砲してきた。
 武装集団はさらに約200人の乗客の荷物を奪った後、乗客全員を降ろして近くのジャングルに連行した。乗客のほとんどはその後解放されたが、数人の若い男性と鉄道警備員1人、外国人3人がなお拘束されているという。
 カンポート州では昨年8月にも、列車襲撃事件があり、10人が死亡している。(朝日新聞)
■大阪−鳥取に新特急 JR12月ダイヤ改正 通勤新幹線も増強
 JR西日本は28日、12月3日から実施するダイヤ改正の概要を発表した。増加する新幹線通勤客をにらんで「ひかり」「こだま」を増強するほか、在来線では、大阪−鳥取間を現在より1時間半短い2時間半でつなぐ新特急を走らせる。また、利用者数が低迷する「ブルートレイン」の一部を廃止する。
 新幹線通勤の客は、5年ほど前から毎年約3割ずつ増えている。山陽新幹線では、単身赴任者用に月曜朝だけ運転している岡山発新大阪行き臨時「ひかり」を、月曜から金曜まで毎日運転するほか、「こだま」を岡山−広島間、小倉−博多間で増発する。
 大阪と鳥取を結ぶ新特急は、京阪神から鳥取への短絡ルートとなる第三セクターの智頭急行開業に合わせて1日3往復運転する。(朝日新聞)
■大阪モノレール訴訟 解決金5000万円 原告・住民側へ
 原告の住民側が訴えを取り下げ、事実上和解が成立した「大阪モノレール訴訟」で、モノレールを運行する第三セクターの「大阪高速鉄道」(本社・豊中市)は28日、住民側に訴訟費用の一部として5000万円を支払うことを決めた。訴訟取り下げにあたっての「解決金」で、同社はモノレール建設促進のため地元対策費として計上する。(朝日新聞)
30日■窓 地下鉄東西線 市民は訴える
・建設費膨張は議会にも責任 中京区・伊藤三郎(無職・82)
 地下鉄東西線の建設費膨張問題を調査していた京都市議会は、市長に対し「三たびこのような事態を招かないよう厳しく再度警告する」という決議を採択したという。
 このような膨大な市財政への負担を生じさせた市長の責任が、議会の簡単な決議で集結するとは市民に対する責任を何も感じていないということだと思う。
 「再びこのようなことのないようにいたします」というのが失態をおかした役所のきまり文句であるが、三たびこのような事態を招かないようにという議会の警告は、よく考えれば、全くおかしなものである。三たびというのは初めの警告が何の効果もなかったということである。こんな市長に三たびこのような失態をするなといっても無駄であろう。
 議会の責任を反省することもなく、市長に警告をすることで議会の責任を果たしたとでも思っているような議会などは、理論上存在の必要もないといえる。議員は選挙に際してどういう公約を市民にしてきたかを考えてもらいたい。膨大な市民への損害をどう考えておられるのであろうか。
・「疏水」と並ぶ世紀の大事業 中京区・辻 重行(無職・63)
 京都の地下鉄東西線は総工費が4710億円、完成が平成9年秋になることを知りました。
 私は以前、地下鉄の工事現場を見学させてもらったこがありますが、工事は道路の下を掘っていくわけですから、道路が落ちてこないよう上は鉄柱で支え、また側面も崩れないように支えながら地下数十bの空洞をつくり、その中でいろんな機械を動かすのです。土地の上に建物をつくるような派手さの全くない、まさに縁のしたの力持ちのような大工事そのものでした。
 今夏、日本全国は猛暑と雨不足で揺れています。でも、京都市民には「琵琶湖疏水」のおかげで、この100年間、水道水源が確保されてきました。水不足に悩む他都市の方から見れば、まさにうらやましい限りでしょう。いまさらながら100年前の先人の遺業に感謝しています。
 しかし、この事業には当時反対もあったと聞きます。大金をかけすぎるとか、税金を取り過ぎるとか、事故が起こらないとか…。でも、疏水が完成すると、電気が通り、電車が走り、水運もでき、生活がどんどん便利になって、当時の人々は花火を打ち上げて喜んだと聞いています。
 京都市内は道路が狭く、やたらと信号が多いのが特徴です。そんな中で、建都1200年を記念する重要な事業として取り組まれている地下鉄東西線は、大量輸送機関として欠くことのできない「私たちの足」となり、それが「琵琶湖疏水」と同様、今後の京都市の発展の土台となっていくような気がします。
 建設費は市民の税金であり、これ以上の負担が増えるのは困りますが、一日も早い完成を心から望んでおります。
・消えるケヤキ 寂しさと不安 左京区・森本千代美(会社員・32)
 御池通のケヤキ並木復活の気なしという本紙の記事を読み、ショックです。
 私は5年前、御池通に面した事務所に配転され、さて、また心機一転で頑張って仕事とようとした時、初めて妊娠しました。精神的にも、仕事と妊娠の両立でストレスがたまり、体も不調になりがちの日々でしたが、緑豊かなケヤキをながめるのが唯一の心安らぐひとときでした。
 どっしりと根を張り、太くたくましいケヤキからこぼれる木漏れ日を、手にあてて遊んだり、交通事故の多発する御池通で、無事故で過ごせたのも、ケヤキが人を守ってくれているのではと思っていました。
 今は新しい事務所に移り。ケヤキ並木とはもう何年も合っていなかったのですが、いつもケヤキの木陰で涼んでみたいと思っていました。
 地下鉄東西線の工事の遅れが、以外なところに影響を及ぼしていることに驚くとともに、まだ知らないだけで、多くのところに、いろいろな影響を及ぼしているのではと、不安になっています。(京都新聞)
■パリ市のガス灯など7基 京都市役所前広場 姉妹都市記念碑を一時撤去 地下鉄工事
 京都市役所前広場(京都市中京区)の姉妹都市の記念碑などが地下鉄東西線建設工事に伴い正面の噴水像1基を除き、一時姿を消すことになった。6都市から贈られた8基の記念碑は29日で7基の撤去を完了した。撤去された記念碑などの復元は地下鉄工事などが終了する3年後の1997年以降となる予定で、姉妹都市友好のシンボルは当分の間、倉庫で眠ることになる。
 市役所前広場には同市と友好、姉妹都市関係にある世界の各市から寄贈された記念碑など8基のほか、歴史都市会議モニュメント、市民憲筆記念碑などが配置されていた。いずれも地下鉄東西線の建設工事や駐車場などの工事が行われるため、真正面にある噴水のフィレンツェ市のプッチーノ像(寄贈70年)を除き移設することになった。
 撤去作業は91年11月から開始、パリ市のガス灯2基(同66年)のほか、ボストン市のガス灯2基(同68年)、ケルン市のモザイク焼き(同72年)、キエフ市のマジョルカ焼き(同78年)、西安市の大雁塔(同82年)の7基が順次撤去された。
 同日はプッチーノ像西側に残っていたパリ市のガス灯の1基の撤去作業がクレーン車などを使って慎重に行われた。撤去した記念碑などは交通局などが倉庫に保管する。
 地下鉄工事は97年秋、駐車場工事は96年末までそれぞれ行う予定。姉妹都市記念碑などは、両工事の終了後、市役所前広場の整備と合わせて復元される計画となっている。(京都新聞)
■窓 地下鉄の冷房過剰でないか 中京区・伊藤けい(無職・60)
 京都の地下鉄の車内は、なぜあんなに寒いのでしょうか。私がいつも乗るのはラッシュ時ではないので、人が少ないせいか、一度設定した温度を変えることができないのか、とにかく、人間を冷やす冷蔵庫に入っているようです。上着を着ないといられないほど冷やすのは過剰サービスです。
 世の中は省エネの時代です。まして京都の地下鉄工事は市民の知らないうちに、気の遠くなるほどの赤字を出して、いまや市民の怒りの的になっています。
 市長や、えらい人の一時的減給など、お体裁的なことより、地下鉄車内の温度を2度か3度あげる方が、よほど経費の節減ができるのではないでしょうか。(京都新聞)
■窓 火事の時どうする 北大路バスターミナル 左京区・石橋道弘(元大学教員・65)
 バスターミナルは常識的な構造であるべきだ。この原則を破ると、不便かつ非常の際、逃げ切れない。
 北大路バスターミナルの乗降場は地下2階にあるのだから、ここから直ちに上がって北大路通へ出られる通路をつくるのが当然である。ところが、当ターミナルは一度地下3階に下り、長々と廊下を歩き、地下鉄改札口前広場に達し、この地下3階から北大路通に上り着く。これでは火災などの事故発生時、慣れた人でもウロがくる。初めての人は万事休すだ。
 近ごろ規制緩和のあおりで、避難誘導設備の設置が軽視されているようだ。当ターミナルもご多分にもれない。床面から1b以内の高さに設置する廊下通路誘導灯がらく、天井からつり下げる室内通路誘導灯が少数あるだけだ。煙が出ると見えなくなる。
 現行法にはないが、廊下や室内の壁面の床から1bぐらいの高さに点字式の誘導標識を設置すべきだと思う。停電して発煙したとき、これを手で探って方向を定め避難できるからである。目の不自由な人も一般人も利用できる。
 バスの地下2階の出入り口東南側のガソリン使用の一般車の2段式駐車場と、北側バス車庫にはさまれて乗降場がある。両者に炎が走れば、乗降客はどうなるのか。不気味である。(京都新聞)
■亀岡の花火大会をトロッコ列車で見物 7日にJR西日本
 JR西日本は来月7日、亀岡市で開かれる平和祭花火大会を納涼トロッコ列車で見物する旅行の参加者を募集している。
 当日は午後6時半にトロッコ嵯峨駅に集合。7時に出発し、亀岡で花火見物のあと、9時4分に嵯峨駅に帰ってくる。
 参加費は、弁当とビールなど飲みもの代を含め、大人、子供とも5500円。花火、記念品のプレゼントもある。
 問い合わせは同社京都駅(343)4481 へ。(京都新聞)
■信楽鉄道列車事故 新たな2遺族と示談
 死者42人を出した信楽高原鉄道列車衝突事故で、29日までに新たに「犠牲者遺族の会」(吉崎俊三世話人)の2犠牲者の遺族とJR西日本、信楽高原鉄道の間で示談が成立した。これで乗客の犠牲者37人中、示談が成立したのは23人となった。
 22人の遺族でつくる同会では、今年1月までに10人の示談が成立、1犠牲者の遺族が現在交渉中。(京都新聞)
■通勤定期券の自販機を設置 JR西日本
 JR西日本は29日、通勤定期券の自動販売機を8月1日から大阪、垂水の2駅に設置する、と発表した。新幹線定期券、私鉄との連絡定期券、裏面に磁気情報のない定期券を除く通勤定期を継続して購入する際、現在使っている定期券を機械に入れると、新たな定期券を購入できる。
 設置台数は、大阪駅が2台、垂水駅が1台。発券まで40秒−1分と、有人の場合の半分で済む。
 自動定期券発売機は、JR東日本がすでに二百数十台を設置しているほか、関西の大手私鉄などもすでに導入している。JR西日本では、利用状況をみながら他駅への設置を建都していくという。(朝日新聞)
■寝台特急から走行中に白煙 相生駅で停車
 29日午後10時25分ごろ、兵庫県揖保郡の山陽線網干−竜野駅間で、新大阪発都城行きの寝台特急「彗星」が走行中、7号車出入り口付近にある配電盤から白い煙が出ているのを車掌が発見、相生駅で緊急停車した。
 7号車の乗客を他の車両に移し、網干電車区の係員が検査。走行に影響がないと判断して、午後11時20分、同駅を出発した。配電盤がショートを起こしたらしい。乗客150人にけがはなかった。(朝日新聞)
■駅員寝過ごし3人乗れず JR関西線三郷駅
 30日午前4時35分ごろ、奈良県生駒郡三郷町のJR関西線三郷駅で、同駅のシャッターが閉まったままになっていたため、3人の乗客が目的の電車に乗車できないトラブルがあった。
 JR西日本によると、同時刻に乗客からの電話連絡を受けた駅員が、急いでシャッターを開けたが、待っていた3人は同駅を午前4時37分に発車する王寺発湊町行きの下り始発普通電車に乗り損なったという。
 同者では、同駅員が寝過ごしたのが原因としている。(京都新聞 夕刊)
■ポイント故障で遅れ JR関西線
 30日午前4時25分ごろ、京都府相楽郡木津町木津のJR関西線木津駅構内で、線路保守用車(1両)が、ポイントが切り替わっていないのにもかかわらず線路を走行したため、ポイントが動かなくなった。数分後に復旧したが、下り電車など2本が3分−5分遅れた。
 JR西日本で原因を調べているが、保守用車がポイントの手前で一時停止せず、そのまま走行したためらしい。(京都新聞 夕刊)
■駅員が寝過ごし出入り口開かず JR関西線三郷駅
 30日午前4時35分ごろ、奈良県生駒郡三郷町立野南のJR関西線三郷駅で、駅の出入り口のシャッターが始発電車の到着時刻になっても開かないのに、駅を訪れた客が気付いた。客からの電話で、駅に泊まり込んでいた当直の職員が間もなくシャッターを開けたが、始発の王寺発湊町行き普通電車に乗る予定だった3人の客が20分遅れで次の電車に乗った。
 JR西日本によると、委託している民間会社の社員1人が駅舎に当直しており、毎朝午前4時過ぎまでにはシャッターをあけるが、この日は寝過ごしたという。(朝日新聞 夕刊)
■ポイント故障 上下線不通に 新幹線東京駅
 27日午後9時10分ごろ、東京駅から約500b西にある東海道新幹線のポイントが動かなくなり、上下線とも不通になった。約1時間10分後に復旧したが、広島発東京行き「ひかり94号」が38分遅れて東京駅に到着したほか、東京発新大阪行き「のぞみ303号」が50分遅れて発車。上下24本に最大で1時間半後の遅れが出た。
 JR東海によると、故障したポイントは、東京駅に発着するすべての新幹線の動きをさばいており、コンピューターで自動制御されている。ポイントが動かなくなる直前、自動列車制御装置(ATC)に停止信号が出ており、同社は、現場付近で信号回路に異常が発生したと見て原因を調べている。(朝日新聞)