1993(平成5)年12月


1日■さよなら出稼ぎ列車 青森−上野間急行臨時に格下げ 数々のドラマ乗せ70年(京都)
  ■「鉄道輸送対応不十分」滋賀県会信楽列車事故特委 陶芸祭理事が答弁(京都)
  ■栄えた交通の要所 山科を紹介 駅前再開発を前に 京銀支店会場に 古地図や写真など37点 地域史家グループ(京都)
2日■JR西労 「脱退工作で団結権を侵害」賠償求めJR西日本を提訴(京都)
  ■列車同士衝突 30人が死傷 パリの北方(朝日)
  ■新幹線高架下で火災 愛知・ダイヤ乱れる(京都)
3日■JR東福寺駅 橋上化が完成 5日から利用開始(京都)
  ■近鉄 久津川駅 女性はねられ死亡(京都)
  ■水陸両用リニア列車 陸上での走行実験を初公開(京都)
  ■阪神電車 正月映画あしらうプリペイドを発売(京都)
  ■トヨタ11年連続でトップ 和光研 企業収益ランク 電機大手20位外へ JR東日本は3位 経常利益(朝日)
  ■レッカー転倒架線を切断 福知山線、列車乱れる(京都)
  ■JR西日本「今度は盤石」 囲碁列車に再挑戦 年末の北陸線 揺れ防止策重ね6年ぶり(朝日)
4日■近鉄事故の身元判明(京都)
  ■JR新大阪駅 ミニ水族館あすオープン(京都)
  ■賃上げ要求 平均7.9%に 私鉄総連討議案(朝日)
  ■ポーアイ12歳 沈下のシワ深く 波打つ倉庫、レールも(朝日)
5日■近江八幡付近で のぞみ汚物タンクに走行中ペンチ刺さる(京都)
  ■JR不採用問題 国労がシンポジウ(京都)
  ■社説 「政治」新幹線ははごめんだ(朝日)
6日■走る電車に自転車 東武伊勢崎線 投げ込み男逃走(京都)
  ■電車にひかれ男性が即死 地下鉄梅田駅(朝日)
7日■JR深草駅 完成さらに延期 95年度にズレ込む 用地買収遅れ影響(京都)
  ■旧国鉄米原操車場跡地 風洞試験施設建設へ(京都)
  ■路線バスと地域のかかわりを詳細に 立命大生が冊子出版(京都)
  ■「古都の街並と市電」展が好評 下京(京都)
  ■山陽新幹線補修 ムダ遣い約3億円 会計検査院指摘 足場見積もりずさん(朝日)
8日■乗用車放置容疑で男逮捕 JR奈良線衝突事故(京都)
9日■「野路・立命館」に協力を JR琵琶湖線の新駅名 大学がOBに要請(京都)
  ■400`突破 JR東日本の「STAR21」 鉄道史上国内で初(朝日)
  ■ニュートラム またまた運休(朝日)
  ■検査態勢見直しを ニュートラム事故で運輸省が通達(朝日)
10日■JR東海 社員が新幹線切符横流し 解雇含む55人処分 京都など改札担当 小遣い稼ぎ感覚(京都)
  ■のぞみ立ち往生 上下24本運休 名古屋駅・3時間(京都)
  ■「はるか」大空へ向け JR西日本関空直結特急 愛称決まる(京都)
  ■鉄板12枚落下 あわや大惨事 山科、地下鉄工事現場(京都)
  ■トレーラーの通過で地下鉄工事現場に穴 覆工板支柱折る(朝日)
  ■「のぞみ」立ち往生 名古屋で2時間半(朝日)
  ■ニュートラム立ち入り調査 近畿運輸局(朝日)
11日■英仏海峡 トンネル完成(京都)
  ■京都市は和風迎賓館 高速道建設が最重点(朝日)
  ■古都に巨大な「地下帝国」 地下鉄東西線工事急ピッチ(朝日)
  ■駅名、立命館は「ダメ」 伝統の「野路」地元が反発 「大学は後から来たのに」(朝日)
  ■京都お騒がせ地下鉄工事 水脈分断 北は浸水 南は井戸枯れ(朝日)
  ■関空連絡鉄道 JR、一部買い取り 日根野−前島駅間 約400億円で(朝日)
12日■STAR21 時速413`達成 JR東日本世界2位に(京都)
  ■来年度予算 地下鉄に助成を 14日から 京都市 国の補助獲得へ始動(京都)
13日■ニュートラムが走行中に非常停止 乗客のいたずらか(京都)
  ■ニュートラム また非常停止 いたずら? 扉開く(朝日)
14日■電車レールで車スリップ? 中学生3人負傷事故(朝日)
  ■初参り記念乗車券 20日、売り出し”発車” 天橋立智恩寺や元伊勢篭神社へ 北近畿タンゴ鉄道(朝日)
  ■STAR21が時速400`記録 JR東日本(京都)
15日■空調の故障で復旧操作ミス 「のぞみ」立ち往生(朝日)
  ■駅員が定期券改ざん JR九州2人解雇 発行装い差額着服(京都)
16日■JR関西本線 電化促進へ基金設置 南山城村 最低1億円めざす(京都)
  ■京都市 ハイビジョン使い 京の町変遷 データベースに 公募写真など収録 定点観測も きょう推進委開設(京都)
  ■JR京都駅改築計画 「建築確認取り消せ」市民900人 市長らを提訴(京都)
  ■京都駅改築900人が提訴 建築確認取り消し求め(朝日)
  ■パンタグラフ落下 JR伯備線が不通(朝日)
  ■木を歩く ホームから「クス」にょっきり(朝日)
17日■のぞみ走行中モーター破損 兵庫で緊急停車 前例なし 全車両緊急点検へ(京都)
  ■のぞみ モーター破損し立ち往生 姫路−西明石 全車両を緊急点検(朝日)
  ■ロープウェイで揺れる大原 計画が再び旧浮上 寂光院「文化破壊」と猛反発 観光業者意見二分 客減少に歯止め… 流れ変わり死活問題(朝日)
  ■のぞみモーター破損 原因特定できず 他の車両には異常なし 温度関知にシール 営業続行(朝日)
18日■のぞみ殺人起訴 責任能力あると判断(京都)
  ■市交通局管理者に三浦氏(京都)
  ■京都駅ビル改築 住民の意見陳述終わる 府都計審(京都)
  ■京都駅ビル文化施設 ホール、シアターなど設置 来月、運営会社を設立(京都)
  ■こっちの予算はどうなるの? 自治体に不安と焦り 政府予算越年編成 財源めど立たぬ 「目玉事業遅れる」陳情も取りやめ(朝日)
  ■雪で新幹線に遅れ(京都)
  ■新幹線、雪で遅れる 1万5000人に影響(朝日)
19日■JR東海 震撼 不気味な新幹線妨害事件 静岡・関ヶ原・彦根 転覆狙った? 第4の犯行阻止へ 針刺し事件も確信犯か(京都)
  ■スキーきっぷ発売 湖西行きの3種(京都)
  ■特急にはねられ即死 城陽の近鉄踏切(京都)
  ■外国人学校生の定期代格差 解消の検討要請 JRへ運輸省(朝日)
  ■行員装い300万円詐取 すっかり信用 JR高松駅が被害(朝日)
20日■鉄道電話使い 300万詐取 JR高松駅 元役員名乗る男らに(京都)
  ■都市づくり 主導は市民 米国・西海岸 4都市に見る(朝日)
  ■旧国鉄ローカル線用地 夢の跡 売れず寒い風 11路線113f 細長で用途狭く(朝日)
21日■カーブも速い新車両 京都−福知山1時間 JR西日本が開発へ(京都)
  ■独東西の国鉄、元日に統合 JRの例参考に民営化し再出発(京都)
  ■信楽事故 損害賠償訴訟 JRが責任全面否定 口頭弁論「車両貸しただけ」(京都)
  ■事故前日から車輪異常回転 のぞみモーター破損(京都)
  ■近鉄・東寺駅 地元の熱い望み実った エスカレーター完成 上り専用、上下に各1基(京都)
  ■終夜運転や増発 年末年始の市バスと地下鉄(京都)
  ■電車から煙、運休 JR奈良線宇治駅(京都)
  ■カーブはおまかせ(朝日)
  ■信楽事故 JR責任を否定 第1回口頭弁論 全面的に争う姿勢(朝日)
  ■野上電鉄などの補助金打ち切り(朝日)
  ■「のぞみ」再点検へ 28日までに全車両実施 運輸省、異例の指示(朝日)
  ■売れ行き不振です 市バス・地下鉄プリペイドカード 回数券に比べ割高 一度も利用のない車も(京都)
22日■TGV時速300`で脱線 横転免れけが人なし フランス(京都)
  ■時速300`脱線 仏・新幹線 幸いけが数人(朝日)
  ■雪で20分の遅れ 東海道新幹線(京都)
  ■名古屋−大阪間 雪の影響で新幹線徐行(朝日)
23日■スリ、線路に飛び降り捕物騒ぎ 40分停車、3万5000人に影響 JR品川駅(京都)
  ■通過列車と接触? ホームで男性死亡 JR大津駅(京都)
  ■関空へロボット電車 南海の新車両公開(京都)
  ■鶴見緑地線の門真延伸 大阪府・市が73億円 事業費の1/3 多額の負担(朝日)
  ■論壇 新幹線はフル企画でこそ有効 北村正哉(青森県知事=投稿)(朝日)
  ■青光り一番列車 関空乗り入れる 南海特急が完成(朝日)
  ■強風で通行止め JR山陰線余部鉄橋(朝日)
24日■日本”烈凍”大荒れ 東北新幹線6時間ストップ(京都)
  ■国鉄民営化不採用問題 JRに救済命令 中労委 北海道の450人対象に(京都)
  ■JR不採用 大阪事件 救済命令取り消す 中労委 北海道事件は救済(朝日)
  ■トラックと快速が接触 JR予讃線 影響3500人(朝日)
25日■道路飛び越え店直撃 南海暴走 検車係のミスか(朝日)
26日■連結金具は大阪で製造 新幹線妨害事件(京都)
  ■検車係がわき見か? 南海暴走(朝日)
  ■サンデーガイド ちいさな旅 歴史重ねた寺「日本永代蔵」の舞台 古い街並み保存の動き(朝日)
27日■トラックに列車が衝突 山陽線一時不通 岡山(朝日)
  ■ロープは兵庫で製造 新幹線妨害事件(京都)
  ■強風で早朝一部運休 湖西線(京都)
  ■新幹線妨害のワイヤロープ 兵庫県内の業者製造(朝日)
  ■湖西線ダイヤ 強風で乱れる 2本部分運休(朝日)
  ■線路わきに男性の死体 JR紀勢線(朝日)
28日■帰省の出足低調 JR(京都)
  ■空席が目立ち 帰省ゆったり JR(朝日)
  ■高槻駅、泥酔客ナンバー1 JR西日本8駅で調査 金曜夜10時過ぎ120人ベロベロ8駅計では290人も(朝日)
29日■声 スロープある橋上駅にして 大和郡山市 津金寿子(主婦 31歳)(朝日)
30日■新幹線でもゴミ分別 東海道・山陽 4割減狙い来春から(朝日)
  ■留学生にも愛用者続々 口コミで評判 青春18きっぷ(朝日)
31日■帰省の足一時ストップ 東海道・山陽新幹線 10万人に影響 線路破断などで(京都)
  ■SL”しめ縄”化粧 梅小路蒸気機関車館 ファンら迎春準備(京都)
  ■帰省混雑の新幹線ダウン 熱海−三島間 レール破損、一時運休(朝日)
  ■通信ケーブル ガイシが破損 新関門トンネル(朝日)
  ■「のぞみ」型の加速装置故障 28日夜、走行中に(朝日)
  ■終夜運転や初詣用電車 年末年始特別ダイヤ(朝日)



1日■さよなら出稼ぎ列車 青森−上野間急行臨時に格下げ 数々のドラマ乗せ70年
 北海道や東北の人たちの「出稼ぎ」の足として約70年間走り続けたJR青森−上野駅間の夜行急行「津軽」(奥羽線経由)と、後発の夜行急行「八甲田」(東北線経由)が1日のダイヤ改正で臨時列車に格下げになり、30日午後、最終列車が別れを惜しむ乗客を乗せ青森駅を出発した。
 ピーク時の昭和47年に約55万人を数えた出稼ぎ者が、昨年は16万5000人まで減ったのに加え、東北新幹線や夜行バスに乗客を奪われたのが格下げの理由で、今後は年末年始などの臨時運行になる。
 出稼ぎに出る時期は過ぎており、最後の定期便となった上り「津軽」の青森からの乗客は1割程度。座席指定券は約8割の売れ行きだった。定刻の午後4時49分、ゆっくりとホームを離れ、やみに消えていった。
 「津軽」は大正11年、無名の急行として、「八甲田」は昭和34年、準急としてそれぞれ運転を開始。昭和30−40年代の車内は、出稼ぎの人たちがあふれるほどだった。(京都新聞)
■「鉄道輸送対応不十分」滋賀県会信楽列車事故特委 陶芸祭理事が答弁
 滋賀県議会の信楽高原鉄道列車事故対策特別委員会が30日開かれ、事故当時の世界陶芸祭の実行委員会役員に輸送計画の実態などについてただした。
 委員会には同実行委員会理事だった上原恵美・現県政策監ら当時の役員3人が参考人として出席した。
 輸送能力に不安はなかったのか、との問いに対し上原政策監は「計画段階の入場者予想数35万人は過大ではないかとの指摘が多く、むしろ増便して赤字になったらどうするのか、という議論さえあった」と答弁。
 そのうえで、陶芸祭が始まり、予想をはるかに上回る人出に鉄道輸送が限度を超える状態だったにもかかわらず、現状を把握していなかったことを認めるとともに「駄車場の増設やシャトルバスの増便、交通情報を流すなどの対策をとったが、今思えば鉄道までは思いがいたらず、対応が十分ではなかった」と答えた。
 一方、JR西日本に求めていた公開質問状の回答も公表されたが、公判審理中を理由に事故原因や背景などについての回答はなかった。(京都新聞)
■栄えた交通の要所 山科を紹介 駅前再開発を前に 京銀支店会場に 古地図や写真など37点 地域史家グループ
 駅前再開発事業で大きく姿を変えようとしているJR山科駅周辺の歴史を多くの人に知ってもらおうと、地元の古地図や昔の写真などの史料を展示した「山科・街道と人々」が、同駅前の京都銀行山科支店ロビーで開かれている。
 山科区内の地域史家でつくる「山科の歴史を知る会」の主催。会場では「都名所図絵」、「再撰花洛名勝図絵」や「伊勢参宮名所図絵」などの史料をもとに、江戸時代から京と江戸を結ぶ交通の要所として栄え、伊勢参りの通り道としても親しまれた同駅周辺の様子を分かりやすく説明している。
 また、大正、昭和を通じて同区に住み、今でいうイラストレーターとして観光ポスターや絵はがきを描き人気があった故吉田初三郎さん(明治17−昭和30年)が手がけた山科区一帯の鳥撤図(ちょうかんず)や、車の往来がほとんどない現在の国道1号の風景写真など、計37点の史料を展示している。
 同会代表の佐藤治吉さん(60)は「山科駅前は戦争直後の姿を所々に残していたが、再開発ですっかり姿を変えるはず。しかし、交通の要所という重要性は昔から変わらないことを知ってもらえれば」と話している。1月30日まで。(京都新聞)
2日■JR西労 「脱退工作で団結権を侵害」賠償求めJR西日本を提訴
 組合の弱体化を目的とした組合員の脱退工作を組織的に繰り返すなど、不当労働行為によって会社側が労働組合の団結権を侵害したとして、JR西労(奥島彰委員長)は1日、JR西日本(本社大阪市、井手正敬社長)と同社の現場管理者5人を相手に、総額約3300万円の損害賠償を求める訴えを広島地裁に起こした。
 訴えによると同社の指導を受けた広島運転所長らは同運転所所属の組合員の中で、脱退が比較的容易と判断した組合員28人をリストアップ。対象の組合員に対し昇進などの利益誘導、出向転勤の不利益な扱いを示唆するなどして、7月ごろから10月までに組合員7人を脱退させた。
 また新幹線の座席などで針が見つかる「針置き事件」の多発について、同社幹部が同組合の上部団体による組織的な犯行であるかのように発言するなど、同組合を社会的に孤立化させ組織の弱体化を進めたという。
 今回の提訴について同社の矢吹静広島支社総務部長は「指摘のような不当労働行為はあるはずがないと考えている」としている。
 同組合は同社の運転士など約4100人で構成されている。(京都新聞)
■列車同士衝突 30人が死傷 パリの北方
 【パリ1日=大井屋健治】パリ北方約60`のワーズ県サンルーデスロン付近で1日午前7時40分(日本時間午後3時40分)ごろ、ペルサン発クレイユ行きの下り通勤列車とクレイユ発ペルサン行きの上り列車が衝突、仏国鉄(SNCF)当局者によると、両列車の運転士2人を含む3人が死亡、乗客27人が重軽傷を負った。
 仏国鉄などの調べでは、クレイユ行きの下り列車がサンルーデスロン駅付近で脱線、1両目の車両が並行して走る上り線路の上に横倒しになったところに上りのペルサン行きの列車が突っ込んだらしい。
 脱線した下り列車は普段から通勤通学者が利用しており、1日も、水曜で学校が休みだった小学生らを除き、高校生や通勤客が乗っていた。仏国鉄などで脱線の原因を調べている。(朝日新聞)
■新幹線高架下で火災 愛知・ダイヤ乱れる
 2日午前零時40分ごろ、愛知県豊橋市花中町のJR東海道新幹線高架下の資材置き場から出火、古い織機などの資材を全焼し線路下のコンクリートの壁面約200平方bを焦がし、約2時間後に鎮火した。
 新幹線は安全確認のため2日始発から現場付近で30`の徐行運転をしており、上下線とも各列車5分程度の遅れが出ている。
 JR東海は、新幹線施設部の係員がコンクリート壁面の補強が必要かどうか調べた上で通常運転に戻すとしている。(京都新聞 夕刊)
3日■JR東福寺駅 橋上化が完成 5日から利用開始
 JR西日本が奈良線東福寺駅で進めていた駅舎の橋上化が完成、5日から橋上駅としてスタートする。単線の奈良線輸送改善の一環で、引き続き構内に待機用線路を設ける工事に着手、来年6月の完成をめざす。
 東福寺駅は現在、接続する京阪電鉄と共同使用駅となっている。橋上化は行き違い設備工事に伴うもの。共同使用駅のシステムは変わらないが、橋上に改札、券売機を設けることで、京阪からの乗り継ぎ客の利便を図り、橋上駅側に身障者用入り口も新設した。(京都新聞)
■近鉄 久津川駅 女性はねられ死亡
 2日午後9時ごろ、城陽市平川の近鉄京都線久津川駅構内で、賢島発京都行き特急電車(4両編成)に、ホーム付近にいた女性がはねられ死亡した。
 城陽署の調べでは、女性は50歳くらいとみられ、赤色の花柄模様のコート、こげ茶色のズボン姿。所持品は黒色の手提げバッグで中に身元が分かる物はなかった。事故当時、現場には目撃者がいなかったが、運転士が線路上に女性が座り込んでいるのを確認、急ブレーキをかけたが間に合わなかったらしい。この事故で、特急電車は現場に12分間停車。後続の列車6本に最長15分の遅れがでた。(京都新聞)
■水陸両用リニア列車 陸上での走行実験を初公開
 九州大学を中心に、産学共同で水陸両用のリニアモーター列車の開発を進めている「マリーン・エクスプレス構想研究委員会」(委員長・太田俊昭九大工学部教授)は2日、小型の模型車両による陸上での走行実験を、福岡市東区の九大工学部で初公開した。
 マリーン・エクスプレスは、磁力を利用して陸上と海中に設置した軌道上に列車を浮上させて走らせる計画。天候の影響を受けることなく大量の人員、物流輸送が可能で軌道は橋はトンネルに比べ工事費が安い。
 この日の実験は、計画の5分の1の大きさの模型車両(長さ71a、幅50a、高さ20a)を使用。軌道面上のコイルに流す電流量を調節することによって、車両の永久磁石との磁気反発力を制御。10bの軌道上を秒速3bで直線走行させたほか、停止状態で浮上させた。
 太田委員長は「来年度から3−4年で、実物大モデルの走行実験や超電導方式の開発などにメドをつけたい」としている。(京都新聞)
■阪神電車 正月映画あしらうプリペイドを発売
 阪神電鉄は、米映画のキャラクターをデザインしたプリペイドカード「パーフェクト・ワールドハープカード」を、10日から梅田など主要駅で販売する。
 パーフェクト・ワールドは、11日から全国で公開される米国のアクション映画。カードには、出演のケビン・コスナーとクリント・イーストウッドを描いている。1枚1000円で、5000枚売り出す。
 また全線乗降自由の「'94新春どこでもパス」を、20日から梅田など主要駅の駅長室で販売する。定期券サイズで、今年から3年間のえとをあしらったデザイン。大みそかから4日間有効となる。西宮神社の初もうでお守り授与券などがついて大人用950円、小人用480円。問い合わせは同社運輸部業務課06(457)2258へ。(京都新聞)
■トヨタ11年連続でトップ 和光研 企業収益ランク 電機大手20位外へ JR東日本は3位 経常利益
 和光経済研究所は2日、東京証券取引所上場企業の1993年度上半期(4月−9月)の企業収益ランキングを発表した。これによると、経常利益では、トヨタ自動車が11年連続の首位を堅持した。一方、個人消費の冷え込みに加え、冷夏、円高の直撃を受けた電機大手は、上位20位からすべて姿を消した。
 調査の対象となったのは、東証1部、2部に上場している企業のうち、決算方法の異なる銀行、証券を除いた1516社。
 売上高では、7兆8700億円の伊藤忠商事が、90年以来4年連続のトップ。上位20位の顔触れは昨年同期と変わらず、大手商社や自動車、電機などの大手が顔をそろえた。
 経常利益では、前年同期に比べ25.6%の減益になったにもかかわらず、トヨタ自動車が1200億円の利益を上げた。10月に上場したばかりのJR東日本が初登場で3位となり、早くから販売時点情報管理(POS)システムなど情報投資に力を入れるなど独自の路線で経営効率を上げているセブンーイレブン・ジャパンが初めてベストテンに入った。また、住宅需要の回復に支えられた積水ハウスや大和ハウス工業などが順位を上げている。
 しかし、冷夏と急激な円高で大幅な減益となった電機は、前年同期に7位だった松下電器産業が25位に下がったほか、日立製作所(19位→24位)、ソニー(20位→63位)など軒並み順位を下げた。経常利益ランキング上位20位から電機大手がすべて姿を消したのは、同研究所が調査を始めた85年度以降初めてだ。(朝日新聞)
東証上場企業の1993年度上半期経常利益ランキング
順  位社 名経常利益前年同期
比増減率
今年度
前年同期
トヨタ自動車1,241▼25.68
NTT1,039▼ 1.84
JR東日本736▼ 1.19
富士写真フィルム688▼14.53
任天堂610▼23.90
三菱重工業610▼ 1.67
東京電力585▼12.00
関西電力490▼ 3.74
清水建設490▼ 3.77
1013セブン-イレブン・ジャパン4622.56
1110イトーヨーカ堂417▼14.83
1222三共39710.96
1314大和ハウス工業390▼11.02
1421武田薬品工業3887.39
1518積水ハウス3872.02
1616大日本印刷3870.50
1712中部電力385▼15.38
1867大林組375133.49
1924キリンビール3467.90
2011大成建設318▼30.81
〔銀行・証券は除く、単位・億円、▼はマイナス、和光経済研究所調べ〕
■レッカー転倒架線を切断 福知山線、列車乱れる
 3日午前10時10分ごろ、兵庫県多紀郡丹南町、JR福知山線丹波大山−篠山口駅間で、沿線の鉄骨組み立て作業中のレッカー車が線路側に倒れ込み、架線の一部を切断した。
 同線は停電し谷川−広野間で運休。JR福知山支社では、福知山発新大阪行き特急北近畿6号の乗客70人を谷川駅−三田駅間でバス代行輸送するなどして対応。各列車に大幅な遅れが出た。(京都新聞 夕刊)
■JR西日本「今度は盤石」 囲碁列車に再挑戦 年末の北陸線 揺れ防止策重ね6年ぶり
 「現在の電車は、横揺れや跳びはねがほとんどありません」−列車の乗り心地の良さを証明しようと、JR西日本が年末に「囲碁列車」を走らせる。北陸線にお座敷列車を運行し、車内で乗客に碁を打ってもらう。実は6年前にも同じ試みをしたが、碁石がずれたり吹っ飛んだりして、散々だった経緯がある。そこで、この6年間に様々な車両改良や線路対策を積み重ぬてきた。「もう失敗は許されない」。JRの担当者は緊張の面持ちで、再挑戦の日を待っている。
 「囲碁列車」は28日午前9時、大阪駅を出発。湖西線、北陸線を走って加賀温泉駅(石川県)に向かう。車内に畳を敷いたお座敷列車「あすか」を使い、約4時間の所要時間内に参加者に碁を楽しんでもらう。在来線では最高の時速220`運転も試みる。JR西日本と関西棋院が企画し、旅行パックとして売り出した。
 JR側の狙いは「揺れない電車の証明」。カーブや凹凸などちょつとした揺れでも、碁盤から石がずれてしまう恐れのある碁が立派に打てれば、乗り心地の良さをPRする格好の材料になる、と考えた。
 JR西日本は民営化直後の1987年12月にも「囲碁列車」を計画した。その時は、天王寺駅(大阪市)から白浜駅(和歌山県)まで阪和線、紀勢線を走らせたが、カーブの揺れが予想以上に激しく、碁石がずれたり飛んだりしたため、対局は中止されてしまった。
 再挑戦にあたっては、車両の横揺れ防止策として車輪を固定する台車の一部を改良したほか、ここ6年間に線路を整備してカーブを減らした湖西線、北陸線を選んだ。もちろん、凹凸を削ったり敷石をしっかり囲めて上下の揺れを無くすなど、線路に磨きをかける作業も続けている。
 JR西日本では今回の「囲碁列車」が成功すれは、より振動の影響を受けやすい「マージャン列車」にも挑戦したい、と話している。(朝日新聞 夕刊)
4日■近鉄事故の身元判明
 城陽市平川の近鉄久津川駅構内で2日夜、特急電車にはねられて亡くなった女性は、城陽署の調べで3日、宇治市の主婦(63)と分かった。(京都新聞)
■JR新大阪駅 ミニ水族館あすオープン
 JR新大阪駅(大阪市淀川区)の3階中央待合室に淀川の水を入れたミニ水族館が完成、5日オープンする。
 幅60a、縦、横、奥行きとも45aの水槽を2つ設置。数が少なく、絶滅が心配されているニッポンバラタナゴやメダカ、ヌマエビなど9種類80匹を入れている。
 自然観察グループ「淀川ネイチャークラブ」のメンバーや、近くの高校の生物研究部員がエサやりなど協力する。(京都新聞)
■賃上げ要求 平均7.9%に 私鉄総連討議案
 春闘の賃上げ相場に大きな影響力を持つ私鉄総連(鈴木完守委員長、約19万人)は3日、富山県宇奈月町で中央委員会を開き、来年の春闘の賃上げ要求を1人平均2万2000円、アップ率7.9%とする職場討議案を決めた。今春の要求より3000円、1.2ポイント低い。私鉄総連は、ここ3年間2万5000円を要求しており、額を引き下げたのは89年以来。(朝日新聞)
■ポーアイ12歳 沈下のシワ深く 波打つ倉庫、レールも
 神戸市のポートアイランドが、埋め立て完了後12年たったいまも、年に1−3aずつ不等沈下を続けている。ビルの下に空洞ができたり、倉庫の屋根が波打ったりしているほか、新交通システムのレールの継ぎ目にもずれが出てきた。神戸市は「沈下は予測の範囲内」としているが、神戸港ふ頭公社は今年度、約5億円を投入してコンテナヤードを補修し、神戸市も約5000万円をかけて、2基の歩道橋を付け替えた。
 ポートアイランドは、1966年から神戸市が中央区沖を埋め立てて造成した436fの海上都市。埋め立て総工費は2300億円に上った。86年からは、二期分として96年完成予定で約390fの埋め立てを進めている。
 不等沈下が激しいのは、島西部のコンテナヤード。三菱倉庫や日本郵船などが入居しているPC3事務所ビルでは、沈下を予測して埋め込んであった高さ10aの予備階段が地上に浮き上がり、新たに2段の階段(高さ30a)を付け足した。ビルの本体は、地下60bまでくいを打っているので沈下を免れているが、全体の地盤が下がったため、地面の下に深さ1bほどの空洞ができている場所もある。
 その近くの日本郵船の倉庫棟は、遠目にも屋根が波打っているのがわかる。使用している倉庫業者は「観光コースに組み入れたいくらいに、沈下がはっきりしとります」。日本郵船神戸支店によると、駐車スペースの沈下でコンテナ車の荷台と倉庫の搬入口に最高3、40aものずれができたため、これまでに4回も盛り土をした。
 神戸新交通会社によると、ポートライナーの市民病院前北約150bの地点でレールの継ぎ目にずれが出ている。乗客からも「体がゴトンと揺れる感じがする」という指摘があり、来年度にも改修する方針という。
 神戸市開発局は「去年島内30ヵ所で測定したところ、沈下量は年平均1−3a。事前予測の範囲内に収まっているので特に心配はしていない」と話している。
・利を急ぎ、コスト高に
 ポートアイランド第二期埋め立て計画にも参加している谷本喜一・神戸大学名誉教授(建設工学)の話 埋め立て後は沈下が落ち着かないのが普通。シンガポールでは、埋め立て後しばらくは分譲していない。神戸市は埋め立て後すぐに分譲し、利を急ぎ過ぎたため、かえって補修コストが高くついているのではないか。(朝日新聞 夕刊)
5日■近江八幡付近で のぞみ汚物タンクに走行中ペンチ刺さる
 3日夜、東海道新幹線の新大阪発東京行きのぞみ306号が近江八幡市付近を走行中、11号車の床下汚物タンクに長さ約18aのペンチが刺さっていたことが分かった。
 JR東海は、床下機器の間に置き忘れたペンチが走行中飛び出したか、線路上にあったペンチを跳ね飛ばしたとみて調べている。(京都新聞)
■JR不採用問題 国労がシンポジウ
 国鉄分割・民営化の際、国労などの組合員がJRに不採用となった問題で、職場復帰を求める国労は4日、今後の闘い方を論議するシンポジウムを東京都千代田区の自治労会館で開いた。中央労働委員会が今月中にも大阪と北海道の国労事件について命令を出す可能性が高いため、中労委に対し組合側の主張を認めた地方労働委員会と同様の救済命令を出すよう訴えるのが狙い。(京都新聞)
■社説 「政治」新幹線ははごめんだ
 整備新幹線の見直しについて、連立与党の方針が近く決定する。先月、専門委員会がまとめた中間報告では全線「フル規格」化を盛り込んだが、このままいくと、またもや「整備」ならぬ「政治」新幹線構想になりかねない気配である。
 政権を担ったとたん、「自民党より後退できない」と、新幹線をかつてのように選挙の票集めの道具にするとしてら、あまりに無責任だ。見直し作業を政治家たちのショーにしてはならない。
 整備新幹線は20年前に5つの路線の計画が決まったが、第一次石油危機や国鉄改革などのあおりで凍結状態が続いた。88年にそのうちの3線5区間で工事にとりかかることを決めたが、そのとき政府と自民党が「5年後の見直し」を約束した。今回の作業はそれを受けたものだ。
 5区間の着工を決めた際、運輸省は東海道新幹線と同じフル規格のほか、在来線のレールの横にレールをもう1本敷設する「ミニ新幹線」と「スーパー特急」という新規格をあみ出し、それらを混合することにした。建設費を安く切り詰める策だった。
 ところが、連立与党の見直し専門委員会中間報告は、21世紀初頭にすべてフル規格の開業をめざすというのである。
 5区間の工事の進行率は現在、わずか13%。建設費総額は2兆円に膨れている。もし全線フル規格化にすると、さらに必要な追加費は5兆円にのぼるという。
 この財源について、中間報告は公共事業費の上積みなどを求めているだけで、具体的な確保の方法を提示していない。
 大蔵省は「現在の財源は3線5区間で手いっぱい。新たな財源の見通しはない」と強く反対しているが、説得力のある材料は、中間報告からは見いだせない。
 採算性も疑問だ。赤字が確実とみられている路線もある。新幹線をつくれば在来線の経営を分離しなければならないが、「生活線」の廃止や第三セクター化を地域住民は本当に望んでいるのか。むしろ在来線の改良やスピードアップの方が地域にとって有用だとの声は少なくない。
 膨大な建設費で地元が一時的に潤うとしても、住民にとって本当に大事なのは開通後の地域の振興策のはずだが、その青写真はできているのか。まだまだ検討の要るむづかしい問題が山積みなのである。
 もともと全線フル規格化は7月の総選挙を前にしての自民党の選挙公約だった。連立与党になったら後退した、といわれては、次の選挙は戦えない。何がなんでも「フル規格」の文字だけは報告の中に入れてもらいたい、と地元議員が突き上げたとの話がもっぱらだ。
 「トンネル脱出論」もある。トンネルの中に止まったままだった新幹線計画に、ここでフル規格構想という明るい出口を地元に示したい、というのだそうだ。
 このような集票目当てのポーズは、新しい政権のとるべきことではあるまい。票の見返りに地元に利益を誘導してきたこれまでの政治の弊害を改めることこそ、政治改革、行政改革の目的のはずだ。
 本当に見直すべきは、自民党時代に公約した「フル規格」構想ではないのか。
 いまは計画通り3線5区間の建設を着実に進めるべきだ。併せて、航空、高速道路、在来の生活線を含めた国土全体の総合交通体系をどうつくるかを考えるなかで、新幹線の役割を位置づける必要がある。
 そのうえで整備新幹線の将来を描きだせばよい。幅広い理解を得るためにも、十分な時間をかけて検討すべきである。(朝日新聞)
6日■走る電車に自転車 東武伊勢崎線 投げ込み男逃走
 5日午後11時ごろ、東武伊勢崎線の新栃木発浅草雪上り準急電車が埼玉県越谷市蒲生西町一丁目の踏切に差し掛かったところ、突然線路上に自転車が投げ込まれ、矢田部光三運転士(24)が急ブレーキをかけたが、自転車をはね、約500b走って止まった。
 自転車が電車に食い込み、現場に約1時間停車した。約70人の乗客にけがはなかった。
 越谷署で悪質な列車妨害事件とみて調べているが、目撃者などによると、投げ込んだのは黒のジャンパーにジーンズ姿の30−35歳の男で、自転車を投げ込んだ後、逃走したという。(京都新聞 夕刊)
■電車にひかれ男性が即死 地下鉄梅田駅
 6日午前9時53分ごろ、大阪市北区の市営地下鉄御堂筋線梅田駅のホーム南端付近で、若い男性が戦利中央発中百舌鳥行きの下り電車(9両編成)にひかれ、即死した。この事故で電車は同駅に11分停車し、上下合わせて計25本が遅れ、約1万2000人の足が乱れた。
 曾根崎署の調べでは、男性は20−30歳。(朝日新聞 夕刊)
7日■JR深草駅 完成さらに延期 95年度にズレ込む 用地買収遅れ影響
 京都市会の普通決算特別委員会が6日再開され、都市計画局に対する質疑を行った。答弁の中で飯田正義都市計画部長は、JR奈良線・深草駅(仮称)の新設について「用地を所有する地権者の協力が現段階で得られず、目標にしていた1994年度内の完成は困難になった」と述べ、95年度にずれ込む見通しを明らかにした。
 深草駅は、同線の稲荷−桃山駅間(4.5`)の伏見区深草大亀谷東寺町に設置が計画されている。行き違い施設を備える有人橋上駅となる予定で、総事業費は約12億円。
 90年11月に駅の位置を決めた当初は、昨年の暮れまでに用地買収を済ませ、本年度内に完成する予定だった。買収の遅れから、本年3月の市会答弁で来年度いっぱいかかることが表明されたが、その後も進展がなくさらにもう1年ずれ込むことになった。
 同駅設置の工事期間は、18ヵ月かかるため、例え年内に用地買収が完了しても、完成は95年6月以降となる見込み。
 また、昨年度決算で緑地保全のため昨年12月に市が買収した吉田山(左京区)のマンション計画地は、予算額の8億5000万円に対し、地価の下落と実測面積の減少から約7億280万円となったことなどが報告された。(京都新聞)
■旧国鉄米原操車場跡地 風洞試験施設建設へ
 滋賀県・米原町の旧国鉄米原操車場跡地に、国内最大規模の列車騒音低減風洞試験施設を建設するため、用地を国鉄清算事業団から財団法人鉄道総合技術研究所(JR各社の出資で運営、JR総研)に売却することが6日、国鉄清算事業団の資産処分審議会(亀井正夫会長)で承認された。
 この日、随意契約で売却が決まったのは操車場跡地16fのうち5.7fで、JR総研向けはその中央部の2.4f。今後話し合いで価格が決まるが、近隣の公示価格は1平方b当たり1万5000円前後という。
 風洞試験施設は、列車の高速化に伴って、騒音防止が大きな課題になっており、特にパンクグラフなどの風切り音対策が急務とされることから、建設することになった。パンクグラフの実物や車体の小型模型に風を当て、調べるための装置で、計画によると幅3b、高さ2.5b、長さ8bの空力(空気砥折)騒音測定装置と、幅5b、高さ3b、長さ20bの空力測定装置からなり、騒音については時速400`、空力は300`まで対応できるようにする。来年度着工、1996年度完成の予定。
 操車場跡地のうち残る3.3fはJR貨物に売却、車両基地に利用される。(京都新聞)
■路線バスと地域のかかわりを詳細に 立命大生が冊子出版
 子供のころから路線バスの魅力にひかれた大学生が、自身の「バス体験」の原点という京阪宇治交通バス(本社・枚方市)と地域とのかかわりを調査した冊子「京阪宇治交通〜地域愛をのせて」を自費出版した。6日には、沿線の各自治体を訪れて、「図書館に置いてほしい」と1冊ずつ寄贈した。
 冊子をまとめたのは、大阪府枚方市楠葉、立命館大文学部地理学科4年生、三浦理司さん(23)。三浦さんは小学生のころからバスをカメラで追うようになり、バスにこだわり続けてきた。なかでも京阪宇治交通バスは「一番身近な存在。バラエティーに富んだ車体と、どことなく田舎くさいところにひかれる」という。
 3年前、「地域を住民のために運行するバスは身近な存在なのに、なぜ利用者は無関心なのか」と考えたことがきっかけで、冊子の出版を企画。統計資料や社史、沿線の郷土史、年1回行われる旅客流動調査への参加−など、丹念に続けてきた調査の成果をB5判110nにまとめあげた。
 冊子は、地域概観からはじまり▽路線形態・運行形態▽全系統概説▽定期旅客利用状況−の4部で構成。宇治市や宇治田原町、八幡市など府南部7市町の歴史と各路線のかかわりを、豊富なデータを駆使して解説し「身近な足として活躍している京阪宇治交通バスだが、利用者はもっとバスの歴史や地域性に目を向けて、愛着を持ってほしい」と、締めくくっている。
 京阪宇治交通本社管理部業務課の杉崎弘係長は「長時間かけて系統だったものにまとめたことに感心しています」と話している。(京都新聞)
■「古都の街並と市電」展が好評 下京
 京都の街を市電が走り抜ける懐かしい風景を集めた写真展「古都の街並と市電」が6日、下京区四条通高倉東入ル、中央信託銀行京都支店3階会議室で始まった。
 昭和38年12月に開設した同支店30周年を記念する企画。写真は市電の運転手を務めていた市交通局協力会の西田和雄さん(65)=宇治市伊勢田町=やその友人の作品約30点。旧南座や時代祭行列をバックに走る市電をとらえた貴重な写真がそろっている。
 同展と並行して、昭和38年の京都新聞など各紙の展示コーナーもある。いずれも14日まで。無料。また、15日午後1時からは江部洋一郎高雄病院副院長の健康講座「現代を取りまく環境と漢方」もある。受講希望者は中央信託銀行京都支店 (231)6161まで。(京都新聞)
■山陽新幹線補修 ムダ遣い約3億円 会計検査院指摘 足場見積もりずさん
 5bから10bもある山陽新幹線の高架橋の下面を補修する際、JR西日本が必要以上に足場を高く組んだ見積もりを出し、91、92年度に100件約6400万円の無駄な工事代金を業者に支払っていたことが6日、会計検査院の調べでわかった。国鉄時代から10年近くこの方法が続けられていたといい、「ムダ遣い」の合計は約3億円とみられている。
 山陽新幹線では1980年ごろから、高架橋のコンクリートのひび割れや、はく離が深刻。このため、JR西日本では樹脂をコンクリート表面に塗って劣化を防いでいる。この際、高架橋の真下に鉄パイプの足場を組んで作業している。
 会計検査院が指摘したのは、この足場の見積もり基準。JR西日本では高架の高さによって足場の高さや値段が変わり、その都度、見積もりしていたのでは繁雑で時間もかかると、80年代前半に国鉄が作成したマニュアルを使って、業者に発注していた。
 このマニュアルは作業空間の基準を「1.7b以内」とし、高架橋の高さに応じて10a刻みで、1段1.7bの足場を「何段組むのか」を示している。
 このため例えば、高架橋が6bの場合は、足場が2.5段(4.25b)では作業空間が1.75bとなって、「1.7b以内」の条件を満たさないため、「3段」(5.1b)組むとしている。
 しかし、これでは作業空間はわずかに90aしか確保できない。実際は、2.5段を組み、あとは厚板やジャッキなどで調整していたが、工事代金はマニュアル通りに3段分を支払っていた。
 JR西日本広報室では「検査院の調査内容についてはコメントできない」と話しているが、同社は今年度から作業空間を一律1.7bと設定した新しいマニュアルに改めている。(朝日新聞)
8日■乗用車放置容疑で男逮捕 JR奈良線衝突事故
 宇治市莵道のJR奈良線で10月15日朝、軌道敷内に置かれた乗用車に電車がぶつかった事故で宇治署は7日、電車往来危険と威力業務妨害の疑いで、城陽市寺田、無職武田久貴容疑者(23)を逮捕した。
 調べによると、武田容疑者は10月15日午前1時ごろ、宇治市莵道、JR奈良線の軌道敷内に乗用車を乗り入れ、同日午前5時半ごろに京都行きの始発電車(2両編成、乗客約20人)に衝突させた疑い。
 武田容疑者は乗用車の所有者で、宇治署は乗用車が放置されたとみられる時間帯に、現場付近から武田容疑者を乗せたというタクシー運転手の証言などから容疑を固めた。一方、武田容疑者は当夜、自宅から車で出たことは認めているが、軌道敷内に車を放置したことは否定している、という。(京都新聞)
9日■「野路・立命館」に協力を JR琵琶湖線の新駅名 大学がOBに要請
 来秋開業をめざして草津市野路町に建設中のJR琵琶湖線の新駅について、来春から理工学部が同市に移転する立命館大はこのほど、新駅の名称が「野路・立命館」となるよう協力を求める文書を滋賀県内の同大学出身者に送った。
 この文書では、近江野路宿で知られる伝統的な地元の地名と「新鮮なイメージの学園名」を組み合わせた「野路・立命館」が新駅名としてふさわしい、としている。(京都新聞)
■400`突破 JR東日本の「STAR21」 鉄道史上国内で初
 次世代新幹線の開発を目指すJR東日本の低騒音高速試験電車「STAR21」(9両編成)が、8日深夜から9日未明にかけて上越新幹線下り越後場沢−新潟間で行った高速試験運転で時速403`を達成し、国内の鉄道史上初めて時速400`の壁を突破した。
 記録達成したのは、燕三条通過直後の8日午後11時51分。加速の途中では時折激しい横揺れがあったが、約1分間400`台を維持した。
 STAR21は、高速化に適した車体研究を目的とした試験電車。重量は既存の新幹線電車の半分、モーター出力は50%アップさせ、400`達成に向けた国内記録の更新を続け、6日には391`を出していた。
 11日には、ドイツ国鉄が持つ406.9`世界歴代2位の記録(1位はフランス国鉄の515.3`)に挑む予定。
 もっとも、記録樹立がすぐに実用化に結びつくわけではない。JR東日本も「目的はデータ収集。東北・上越新幹線で300`や350`運転を考えているわけではない」という。(朝日新聞 夕刊)
■ニュートラム またまた運休
 9日午前4時半ごろ、大阪市住之江区の市営「ニュートラム」のフェリーターミナル−南港東駅間で、電車の動力電流が不通になり、市交通局電気指令所が送電を停止した。係員が調べたところ、この日未明、送電線の補修作業をした際、配線を間違えて接続していたことがわかり、つなぎ直して約1時間10分後、送電した。このため、午前5時17分中ふ頭発の始発から上下線計8本が運休し、バス代行運転したが、約150人に影響した。
 市交通局によると、配線ミスがあったのはフェリーターミナル駅の東約170b地点。午前零時50分ごろから、市の委託業者が、軌道側から電車に600ボルトの電流を伝える装置の工事中で3ヵ所の配線をした際、2ヵ所を取り違えてつないだため、約1`区間で電流が不通になった、という。配線の順番は線に張り付けたテープを色分けして示していたが、汚れて見えにくくなっていたことから作業員が間違えたらしい。
 交通局は住之江公園駅と中ふ頭駅から、それぞれ代行バスを出した。1日1万7000人前後と最も乗降客の多いポートタウン東駅では、振り替え輸送を知らせる看板を立て、利用者を誘導した。影響を受けたのは30人余り。ほとんどの乗客は駅員と顔なじみで、「また止まったんかいな」と苦笑する人もいたという。(朝日新聞 夕刊)
■検査態勢見直しを ニュートラム事故で運輸省が通達
 運輸省は9日、大阪市交通局に対し、10月5日に事故を起こした「ニュートラム」(南港ポートタウン線)の安全運行のため、事故原因の究明と各種機器の検査態勢の見直しを求める通達を交付した。先月の特別保安監査に基づくもので、秦野裕鉄道局長名で西尾正也大阪市長に対して行われた。
 通達は事故原因の徹底調査とともに、安全確保のための総合訓練の実施、機器の実態を踏まえた検査規定の見直しなどを指示。(朝日新聞 夕刊)
10日■JR東海 社員が新幹線切符横流し 解雇含む55人処分 京都など改札担当 小遣い稼ぎ感覚
 JR東海の名古屋、京都、新大阪の駅の出改札担当社員が、乗客から回収した検印のない新幹線回数券などを金券ショップへ持ち込んで売りさばいていたことが9日までに分かった。同社は同日までに55人を懲戒解雇、諭旨解雇などの処分にした。
 JR東海によると、不正な換金をしていたのは44人で、うち33人が平成3年以後入社した高卒社員。同社は「若い社員への指導方法を再検討する必要がある。深刻に受け止めたい」としている。
 処分は、44人については懲戒解雇3人、諭旨解雇3人、出勤停止(5−25日)など。また名古屋、新大阪、京都などの駅長、助役ら11人が管理責任者として戒告厳重注意処分を受けた。処分された社員は、発車間際に乗車したため改札口で検印を押されず、車内でも検札を受けなかった新幹線回数券を抜き取り、金券ショップに横流しして不正に換金していた。
 こうした検札印のない切符は使用済みのスタンプを押した後、通常かぎ付きの着札箱に保管。その後管理者が本社に送り、焼却処分になる。ほかに切符の不正使用をしてもうけていた社員もいた。「小遣い稼ぎ感覚」で、多い社員は1年以上前から20万円以上不正に利益を得ていたケースもあったという。
 10月初めに横流しの事実を知った社員が通告、内部調査していた。
 同社は、極めて厳しい処分をし、被害額も特定できないので告訴は考えていない、としている。(京都新聞)
■のぞみ立ち往生 上下24本運休 名古屋駅・3時間
 9日昼前、名古屋駅付近で緊急停車したJR東海道新幹線の東京発博多行きのぞみ9号は、現場で約3時間立ち往生した。JR東海は午後2時すぎ、救援車両を出して名古屋駅にけん引し、約900人の乗客は臨時列車などに乗り換えた。
 この事故で同新幹線下り線は東京−名古屋駅間で不通となり、上下24本が運休。後続の列車に最高で約2時間半の遅れが出るなど、約4万6000人が影響を受けた。(京都新聞)
■「はるか」大空へ向け JR西日本関空直結特急 愛称決まる
 来年9月の関西国際空港開港に合わせ、京都と空港を直結するJR西日本の新型特急の愛称が9日、「はるか」と決まった。同社が公募、「流星」「はばたき」など全国から3万5000件の応募があり、社内審査で「はるか」に決めた。選定の理由を「すがすがしい印象で、はるかな世界とのアクセスをイメージさせ、外国の人にも発音しやすい」と説明している。
 「はるか」は5両編成で、定員200人。最高速度130`で、京都−新大阪−天王寺−空港のルートを1時間25分で走る。運転は1時間に1、2往復。手荷物を持たずに乗車できるCATサービスを京都駅で行うため、先頭部に荷物室を設けるのが特徴。(京都新聞)
■鉄板12枚落下 あわや大惨事 山科、地下鉄工事現場
 9日午後9時15分ごろ、京都市山科区勧修寺閑林寺、外環状線の市営地下鉄東西線の工事現場で、大型トレーラーが道路を通過したところ、道路上を覆っていた鉄板(縦3b、横1b、厚さ20a)がはずれ、計12枚が約10b下に落ち、道路は6b四方にわたって陥没した。地下には工事関係者はいなく、後続の車もすぐに止まったため、けが人はなかった。
 山科署では、トレーラーが通過した際、鉄板を支えているH鋼が折れ曲がったためとみて工事関係者から詳しく聴いている。トレーラーの運転手(51)は「突然、体に強い衝撃を受けた。そのまま通過したがびっくりした」と話していた。(京都新聞)
■トレーラーの通過で地下鉄工事現場に穴 覆工板支柱折る
 9日午後9時15分ごろ、山科区勧修寺閑林寺の外環状線の地下鉄東西線醍醐南工区工事現場で、大阪府岸和田市の横山運輸所属の大型トレーラー(石橋一夫運転手)が通過した際、地下鉄工事のために開けている穴を覆う覆工板の支柱が折れ、覆工板12枚が外れた。このため道路に約36平方bの穴が空き、トレーラーの後輪が穴に落ちたが、自力で脱出した。運転手にけがはなかった。(朝日新聞)
■「のぞみ」立ち往生 名古屋で2時間半
 9日午前11時半ごろ、東海道新幹線の三河安城−名古屋間を走っていた東京発博多行きの「のぞみ9号」(16両編成、乗客900人)が、名古屋駅の1`手前で突然止まり、自力走行ができなくなった。列車は現場に2時間半立ち往生し、別の列車にけん引され午後2時過ぎ、名古屋駅に着いた。この事故で東海道新幹線の下りは、東京−名古屋間が3時間近く、不通となり、上下24本が運休、21本に最高で2時間半を超す遅れが出て、約4万5000人の足に影響が出た。
 「のぞみ9号」の乗客の中には、運輸省の招きで来日中の中国鉄道省部長(鉄道大臣)らがいて、「のぞみ」の試乗をしていた。
 JR東海によると、原因は「のぞみ9号」の電源制御装置に何らかの故障が生じ、架線から電源が取れなくなった。このため車内は空調も停止、車両回収にも手間取り、乗客は名古屋駅を目前にして長時間、缶詰め状態となった。(朝日新聞)
■ニュートラム立ち入り調査 近畿運輸局
 10月5日に217人の負傷者の出る事故を起こした大阪市交通局の「ニュートラム」の安全確保のため、運輸省は10日、近畿運輸局による立ち入り調査を実施、事故防止対策や車両の整備態勢などを査察した。
 ニュートラムの運行は11月19日から再開されているが、その後も車両故障などが起きている。このため近畿運輸局による異例の立ち入り調査となった。(朝日新聞 夕刊)
11日■英仏海峡 トンネル完成
 【パリ10日共同】フランスと英国を結ぶ英仏海峡トンネルの工事が完成し10日、英仏合弁の建設企業体、トランスマンシュ社(TML)から施主のユーロトンネル社に引き渡された。海峡トンネルは全長50.5`で、うち37`が海底部分。トンネル内では時速130`で走行し、横断列車は35分で走り抜ける予定だ。来年3月にはトラックを積んだカートレインの営業が始まり、4月には乗用車向けのサービスも開始される。5月6日の正式の開通式典は、ミッテラン・フランス大統領とエリザベス英女王が出席。パリ−ロンドン間は3時間で結ばれる。(京都新聞)
■京都市は和風迎賓館 高速道建設が最重点
 京都市は10日、来年度政府予算に対する重点要望項目をまとめた。最重点要望として、和風迎賓館や京都高速道路計画の建設着手、地下鉄東西線、山科駅前地区市街地再開発事業への財政支援の充実、の4項目を揚げている。
 14日に田辺市長ら市幹部が東京で、地元選出国会議員などに対する要望活動を行う。(朝日新聞)
■古都に巨大な「地下帝国」 地下鉄東西線工事急ピッチ
 京都市の中心部を東西に横切る市営地下鉄東西線の工事が急ピッチで進んでいる。平安建都1200年を祝う目玉事業のひとつだったが、完成予定は1996年末に。建設現場は鋼材が縦横に張り巡らされ、トンネルが延々と続く。古都のど真ん中に出現した巨大な「地下帝国」を、のぞいて見た。
 東西線は将来、長岡京市と伏見区方面を結ぶ総延長約30`の計画。第一次事業区間として伏見区醍醐と中京区のJR二条駅までの12.7`の工事が90年1月から始まった。
 京都市交通局は第一次事業区間の完成時期を建都1200年の来年度末としていたが、関連のJR山科駅前の再開発事業の遅れなどで、ずれ込んだ。総事業費も2450億円を見込んでいたが、用地買収費が高くつくなど見直しを迫られている。
 だが、完成すれば醍醐からJR二条駅まで所用時間は22分、市役所前まで17分。「市民の足」としての活躍が期待されている。(朝日新聞)
■駅名、立命館は「ダメ」 伝統の「野路」地元が反発 「大学は後から来たのに」
 滋賀県草津市野路町に来春開校する立命館大びわこ・くさつキャンパスの玄関口になるJR東海道線の新駅の名称をめぐり、大学側と地元自治会が対立している。大学の生き残りをかけて新キャンパスを売り出そうと、駅名に「立命館」を入れることを主張する大学側、由緒ある地名の「野路」にこだわる自治会。決定期限の来春まで、両者の駆け引きが続きそうだ。
 草津市は、市南部の副都心としてJR新駅の誘致を計画。1986年に商工関係者らで草津市南部新駅設置期成同盟会(宇野淳一会長)を結成した。企業や市民から集めた寄付金3億7000万円のほか、市が30億6000万円、JR西日本が1億7000万円を負担することで、草津−瀬田駅間5.2`の中間に新駅開設が決まった。来年9月の開業をめざして建設が進む。
 期成同盟会は大学側からの要望を受け、昨春の理事会で駅名候補として「野路・立命館」を決定。来春までにJR西日本に提示し、交渉に入るはずだった。しかし、地元自治会から「千載集に『あすもこむ野路の玉川萩こえて色なる波に月宿りけり』と詠まれ、史書の吾妻鏡にも出てくる伝統ある地名を大事にしたい。立命館をはずしてほしい」と異議が出て、審議をやり直すことになった。
 新駅建設地周辺の地権者でもある元自治会長は「区画整理で苦労し、駅前の土地を提供したのは地元住民。後から進出してきたところの名前を入れるのは、絶対認められない」と反発する。
 一方、大学側は「JR片町線の『同志社前』をはじめ、学校名を冠した駅は多い。大学は公共施設に近いものだし、文化、学術の印象が地域のステイタスを高める」と反論。「野路・立命館」案を支持するよう求めるビラを作って滋賀県内の同窓生7800人に送るなど、反撃に出ている。
 問に立つ期成同盟会は「来年3月がJRへの要望期限。なんとか両者をまとめたいが、見通しは立たない」と頭を抱える。JR西日本広報室は「地元の提案を受けて決定することになるだろうが、まだ具体的な話がないのでなんとも言えない」と静観している。(朝日新聞 夕刊)
■京都お騒がせ地下鉄工事 水脈分断 北は浸水 南は井戸枯れ
 良質な地下水に恵まれている京都市の中心部で、井戸が枯れたり、逆にビルの地下が浸水したりする被害が相次いでいる。平安建都1200年記念事業として建設の進む地下鉄東西線が、北から南へ流れている地下水脈を分断してしまったためらしい。都心部だけでも4、5000の井戸があるといわれ、暮らしに密着している土地柄だけに、被害補償をめぐるトラブルが続出。市民の聞からは「地下水脈の破壊は、古都の伝統産業や食文化にも影響を与えかぬない」と心配する声も出ている。
 市交通局によると、被害が出始めたのは地下鉄東西線の工事がスタートした3年ほど前から。二条駅−鴨川横断工区間の東西約2.6`、南北約800bの範囲内で、最近、被害が目立っているという。ルートに当たる御池通の掘削で、北から南へ流れる地下水脈がいたる所でせき止められたのが原因とみられている。
 市交通局の調査では、御地通の北側は井戸の水位上昇で、くみ上げポンプが故障したりビルの地下が水浸しになるなどの被害が9件確認されている。
 逆に、御地通の南側は井戸枯れが深刻だ。祇園祭の神事に使われる井戸のほか、京豆腐や京葉子の店などが使う井戸の被害が68件出ている。井戸水の味が売り物の新京極通のすし店は「水道では商売にならない」と、10月から1ヵ月余り店を閉め、井戸を掘り直した。
 市交通局は、地下鉄工事現場の周辺に掘った観測井戸で水位の変化を見ながら工事を進めており、浸水や井戸枯れの被害に対しては、くみ上げ用や排水用のポンプを取り換えたり、新たに井戸を掘り直すなどの補償措置をしている。しかし、原因が地下鉄工事によるものかどうかをめぐり、市側とトラブルになっているケースもある。
 京都市は、今年3月に策定した新基本計画で「地下空間」の活用を打ち出した。御地通では地下鉄にあわせ、市内最大規模の地下駐車場(約900台収容)の建設が進められている。堀川通などで地下高速道路も計画されており、市は被害の拡大に頭を痛めている。
 南北に走る烏丸通の下を通る地下鉄烏丸線(1981年開通)の建設工事でも被害は出たが、今回ほど大きくはなかったという。地下水脈が北から南へ流れているため、烏丸線の工事では地下水脈を分断するまでには至らなかったことが関係しているようだ。
 市交通局は「地下水への影響が出ることは予想していたし、やむを得ない面もある。着工前に住民への説明会を開き、理解は得られていると思う。因果関係が認められる被害には対応している」といっている。
 岡太郎・京都大学防災研究所教授(内水災害)は「工法を工夫して井戸枯れなどの影響を最小限に食い止める一方、浸水対策として、地下室などの防水性を高めることも必要だ」と話している。(朝日新聞 夕刊)
■関空連絡鉄道 JR、一部買い取り 日根野−前島駅間 約400億円で
 JR西日本は11日、関西国際空港に乗り入れる連絡鉄道(11.2`)のうち、日根野−前島駅(仮称)間(大阪府泉佐野市、4.3`)を関西国際空港会社から約400億円で買い取る方針を明らかにした。この区間は開空会社が建設し、JR西日本が使用料を払って借りることになっていたが、巨額な建設費の負担に悩む開空会社の要請もあって、「経営が安定し、体力がある今のうちに買い取った方が得策」(井手正敬社長)と判断した。
・関空会社収支好転を期待
 関空会社は総額1兆円を超える借入金を抱え、1日約2億円の利払いに苦しんでいる。この売却ができれば、借金が減るうえに、支払い方法によっては、収支にも好影響を与えることになる。このため、8月から始まった連絡鉄道使用料の交渉の中で、JR西日本に買い取りを求めていた。
 連絡鉄道は阪和線日根野駅から空港駅までの間を関空会社が約1500億円をかけて建設した。計画にあたり、関空会社は発足した1984年、前島駅から東側の部分については、それぞれ南海電鉄と旧国鉄に建設を求め、南海は泉佐野−前島駅間を建設した。しかし、日根野−前島駅間については、旧国鉄は膨大な赤字を抱え、この要請を断ったため、関空会社が建設した。
 8月から始まった使用料交渉では、関空会社が建設費を30年の元利均等払いにする形で、使用距離などに応じ、JR西日本(日根野−空港駅間)は年85億円、南海(前島−空港駅間)は40億円とする使用料を提示。その一方で、JR西日本に対し、民営化7年目を迎え経営も安定していることから日根野−前島駅間の買い取りを働きかけていた。
 この部分の建設費は、レール建設費や線路の土地代、建設期間中の金利など合わせて総額約410億円で、これが買い取り価格の土台になる。
 JR西日本は、@30年の使用期間を経ていずれ譲渡条件が問題になるため現段階の評価額で買い取ったほうが得策A借金して買い取ることになるが、今は金利も安いB災害時の補修が自己責任でやりやすくなる−などから買い取りを決断した。一括払いにするか、分割にするかといった支払い方法や支払い期間については今後、関空会社や金融機関などと協議する。
 関空会社経営企画部はJR西日本の方針決定について「多額の借金を減らせるわけでありがたい。話がまとまるよう可能な限り努力する」と歓迎している。
 一方、JR西日本と南海が共通で乗の入れる前島−空港駅間の年間使用料は、JR西日本が50億円弱、南海が40億円弱の線で交渉が進むとみられる。(朝日新聞 夕刊)
12日■STAR21 時速413`達成 JR東日本世界2位に
 JR東日本が開発中の次世代新幹線「STAR21」が11日深夜、上越新幹線の越後湯沢−新潟間でのテスト走行で世界第2位の最高速度である413`を達成した。「STAR21」は8日深夜にこれまでの日本記録を更新する403`を達成したばかり。JR東日本では13日以降も最高速度試験を続ける予定だ。
 列車最高速の世界記録は、フランス国鉄の「TGV」が1990年に出した515.3`。3位がドイツ国鉄の「ICE」が88年に作った406.9`となる。
 国内記録は2位がJR西日本の「WIN350」の350.4`、3位がJR東日本の「400系(つばさ)」の345`。JR東海の「300系(のぞみ)」は4位の325.7`。(京都新聞)
■来年度予算 地下鉄に助成を 14日から 京都市 国の補助獲得へ始動
 京都市は来年度の国の予算編成にあたって、14日から田辺朋之市長を先頭に予算要望行動を展開する。来年度はとくに、平安建都1200年にあたることから記念事業への特別の配慮のほか、健康都市、福祉のまちづくりを推進するための事業など16項目を最重点に国の補助準得などに全力を挙げる。
 建都関連事業では、建設中の地下鉄東西線と延伸工事中の烏丸線への助成。なかでも第三セクター方式(市出資50%)で事業を進めている山科区御陵−三条京阪間について財政的支援の充実を求めている。また、新十条通など京都高速道路の整備促進や梅小路公園で開催される全国都市緑化フェアや京都和風迎賓館の着工などを要望する。
 歴史都市の再生では、祇園地区や高台寺などで計画している電線類の地中化整備促進、歴史的風土特別保存地区の増大への事業費確保、山科駅前地区市街地再開発事業の推進などについても要望する。
 このほか、健康でやすらぎのある福祉のまちづくりを目標に、高齢者福祉行政への財政援助の拡大や、現行の保育所の措置制度の維持についても求める。景気対策では、京都の伝統地場産業である和装産業の振興について、特に配慮を要望していくことにしている。
 14日に田辺市長と関係各局長が地元選出国会議員らに対して要望活動を行うほか、月末までには各省庁への要望を行うとともに、大蔵原案内示後は東京事務所に京都市予算対策本部を設置する。
 市では今夏の概算要求前に、84項目の要望を関係各省庁に伝えている。(京都新聞)
13日■ニュートラムが走行中に非常停止 乗客のいたずらか
 13日午前8時25分ごろ、大阪市住之江区の住之江公園駅−平林駅間を走行中の市営新交通システム「ニュートラム」(4両編成)が、非常信号により停車した。最後尾車両の非常扉が開けられていたためで、添乗員が安全を点検して約5分後に運転を再開した。
 同列車のほか、上下線の計13列車が最寄り駅に停車して約700人に影響が出た。同市交通局は乗客による悪質ないたずらとみて、調べている。
 調べによると、何者かが非常扉用の鉄製の取っ手カバーを開け、中のハンドルを回して扉を開けた後、再びカバーを閉じていたため、扉が約10a開いた状態になっていた。
 ニュートラムは、暴走事故を起こし、11月19日に運行を再開したばかり。(京都新聞 夕刊)
■ニュートラム また非常停止 いたずら? 扉開く
 13日午前8時25分ごろ、大阪市住之江区泉1丁目の大阪市営「ニュートラム」で、住之江公園駅を発車した列車(4両編成)が約150b走ったところで非常停止した。大阪市交通局で調べたところ、列車最後部にある非常扉が約10a開いていた。このため、扉を閉めたうえ、他に異状がないことを確認して5分後に運転を再開した。この非常停止で、上下15本が最高5分遅れ、乗客700に影響した。
 大阪市交通局によると、非常扉を開けるハンドルの外側に金属製のふたがあるが、非常用のため施錠はしていない。ハンドルが「開」の一になっており、いたずらの可能性もあるという。(朝日新聞 夕刊)
14日■電車レールで車スリップ? 中学生3人負傷事故
 山科区日ノ岡堤谷町の府道で11日、中学生3人をはねて、沿道の田村呉服見せ(田村明さん経営)に乗用車が飛び込んだ事故は、山科署の調べで、乗用車が小雨でぬれた京阪電鉄のレールにスリップしたのではないかとみている。
 調べによると現場は、京阪電鉄京津線の軌道がある直線道路。同署は「レールの幅と車の幅がほぼ同じで、雨の降る日は特に滑りやすい。運転手はスピードに注意してほしい」と呼びかけている。被害を受けたことのある近所の主婦(47)は「この3年間で8回ほど車が近くの民家に飛び込んできた。雨が降るたび恐怖を感じる」と話している。(朝日新聞)
■初参り記念乗車券 20日、売り出し”発車” 天橋立智恩寺や元伊勢篭神社へ 北近畿タンゴ鉄道
 北近畿タンゴ鉄道(事業本部・宮津市)は、宮津市の天橋立智恩寺(文殊堂)、元伊勢篭神社などへの初参り用の記念乗車券を、20日から売り出す。
 記念乗車券は、智恩寺への初参り客向けには智恵の輪を形どったもの、元伊勢篭神社と大江町の元伊勢内宮皇大神社向けには絵馬を形どったものにし、いずれもその下に往復乗車券がついている。
 4種類があり、福知山−大江山口内宮−天橋立間1440円▽福知山−大江山口内宮間720円▽宮津−大江山口内宮間600円▽西舞鶴−天橋立間1220円。宮津、福知山、西舞鶴の各駅で発売する。発売、使用期間は来年2月11日まで。通信販売もする。乗車券代に郵送料72円を添え、宮津市鶴賀の同鉄道営業課へ。(朝日新聞)
■STAR21が時速400`記録 JR東日本
 JR東日本が開発を進めている次世代新幹線「STAR21」が13日深夜、上越新幹線下り線越後湯沢−新潟間でのテスト走行で時速420`を記録、鉄道の国内最高速度をまた塗り替えた。
 STAR21は11日にドイツ国鉄のICEを抜く世界2位の時速413`を達成したばかり。世界1位はフランス国鉄TGVの時速515.3`。(京都新聞 夕刊)
15日■空調の故障で復旧操作ミス 「のぞみ」立ち往生
 東海道新幹線で9日、下り「のぞみ」が立ち往生し、東京−名古屋間が3時間近く不通となった事故で、JR東海は14日、のぞみの空調装置に生じた故障に対し、乗務員が誤った対応をした結果、電源が切れてしまった、との原因をまとめて発表した。
 JR東海によると、まず空調装置の電源がショートし、列車に5基ある電源の1つが切れた。通常ならば、走行に支障が出ないが、乗務員が誤った復旧操作をした結果、他の電源も切れ制御電圧全体が低下、名古屋駅の手前で走行不能になった。
 空調装置の故障は部品の1つが欠けていたためで、JR東海は同じ時期に納入された計24両について点検している。(朝日新聞)
■駅員が定期券改ざん JR九州2人解雇 発行装い差額着服
 JR九州の社員2人が実際に発行した定期券より短い区間の券を発行したように操作して差額を着服、同社から諭旨解雇されていたことが15日分かった。また、北九州市の門司車掌区で車内乗車券発行機2台が紛失、この機器を使い約100万円がだまし取られていたことも分かり、福岡県警が調べている。
 JR九州によると、解雇されたのは北九州市内の折尾駅員(34)と若松駅員(42)の2人。
 2人は、一般の駅では定期券の発券作業を機械でやっているのに対し、無人駅では発行区間を手書きで控えに記入することを悪用。
 折尾駅の駅員は昨年6月と10月の2回、無人駅の窓口で定期券を発行した際、実際の発行区間より短い区間を控えに記入し、その差額計3万7700円を着服。若松駅員も昨年10月、別の無人駅で同様の手口で7940円を着服したという。(京都新聞 夕刊)
16日■JR関西本線 電化促進へ基金設置 南山城村 最低1億円めざす
 南山城村は15日、12月定例議会を開き、JR関西本線の電化促進を目指す基金の設置を決めた。
 設置されるのは「関西本線近代化整備促進基金」で、長年の懸案であるJR関西本線の電化・複線化を促進するうえでの財源措置。JR関西本線の路線のうち同村を走る亀山(三重県)−加茂間61`は、単線・非電化のまま、運行本数も少なく、沿線自治体ではJR側に電化の早期実現を要請してきた。
 しかしJR側は、巨額の費用がかかるうえ、利用者も少ないことなどから、採算面から電化には消極的。京都府や三重県による関西本線整備基礎調査では、工事費や用地費の総額は約100億円という。このため将来、電化工事が行われることになれば、地元の負担は重くなる。基金はこれを見越して設置した。
 基金は、本年度はまず500万円でスタート。以降、毎年、村財政からの積み立てや寄付、募金などで、最低1億円は積み立てたいとしている。村によると、同趣旨の基金設立は、今年春に上野市(三重県)が約5000万円を計上、続いて阿山郡伊賀町(同)が12月定例議会で基金設立の議案を提出したという。(京都新聞)
■京都市 ハイビジョン使い 京の町変遷 データベースに 公募写真など収録 定点観測も きょう推進委開設
 京都市は、平安建都1200年記念イベントとして行う「ハイビジョンでみる『まち』の変遷」事業の推進委員会を16日に設け、これまでの京のまちの移り変わりをデータベース化するとともに、建都1300年まで定点観測を続ける作業に本格的に着手する。
 この事業は、京都らしい景観の保全が大きな課題となっている中で、創造的な再生を図るための基礎資料づくりが狙い。
 市は今春、市民から昔の市内の写真を公募し、2224点の資料を収集してきたが、庁外の有識者らの参加も求めて、さらに幅広く同事業を展開することにした。16日午後2時から中京区のホテルで開く第1回会議では、今後の事業内容や推進体制などを協議する。
 計画によると、データベース化は3部構成。第1部を文献や復元模型、洛中洛外図を中心にした「平安時代から遷都1100年まで」、第2部を公募写真などを集大成した「遷都1100年から建都1200年まで」、第3部を市内全域の定点観測網から景観情報を集める「建都1200年から建都1300年へ」とする予定。
 定点観測は、市内中心部や周辺区のメーンストリートの交差点を選び、一定期間ごとに建都1300年の2094年まで映像資料を収集し続ける。
 市はハイビジョンによるデータベース化について「情報が損なわれず、検索性や一元管理にすぐれ、今後のまちづくりの視点を提供できる」と期待。来年4月には、同時期までにハイビジョン収録した資料を作品としてまとめ、市民に公開する予定。(京都新聞)
■JR京都駅改築計画 「建築確認取り消せ」市民900人 市長らを提訴
 京都市下京区のJR京都駅改築計画をめぐり、京都市が駅ビル計画を建築確認したことに対し、同駅周辺の住民や市民約900人が16日、「都市計画法に違反する高さ緩和決定に基づく建築確認は違法」などとして、田辺朋之市らを相手に、建築確認の取り消しと執行停止などを求める訴えを京都地裁に起こした。
 京都駅改築をめぐっては、京都市が高さ制限を緩和する「特定街区」を導入した都市計画を決定したことに対し、同じ住民らが計画の無効確認訴訟を起こしたが、先月5日、京都地裁が訴えを却下する門前払い判決を言い渡したため、この都市計画を前提とする建築確認の取り消しを求めた。
 訴えによると、京都市は、新京都駅設計案(高さ59.8b)の選定後、特定街区制度の導入を決定。今年9月、同街区指定に必要な駅周辺の道路指定を行い、10月、駅ビル計画を建築確認した。
 住民らは、「駅ビルは、京都独自の歴史的景観を破壊する」としたうえで▽区画整理事業計画が決定されておらず、道路指定は違法▽特定建物のための都市計画決定は、都市計画法に違反する−などと都市計画の違法性を主張、「違法な都市計画を前提とする建築確認は違法」として取り消しを求めている。
処分はいずれも適法
 武居桂・京都市住宅局長の話 京都駅改築をめぐる処分はいずれも適法に行った。訴状をよく検討して対応したい。(京都新聞 夕刊)
■京都駅改築900人が提訴 建築確認取り消し求め
 JR京都駅ビルの改築高層化計画をめぐって、京都市が駅北側に新設する都市計画道路を事業計画の決定前に指定し、駅ビルの建築確認をしたことについて、周辺住民ら約900人が16日、同市の建築指導部審査課長と田辺朋之市長を相手どり、道路指定と建築確認の取り消しを求める訴えを京都地裁に起こした。
 訴えによると、建築確認の前提となる道路指定は、建築基準法で土地区画整理事業の事業計画決定が必要とされているのに、まだ事業計画が京都府都市計画地方審議会で審議されている段階で指定し、それをもとに建築確認をしたのは違法、などとしている。
 訴えに対し、武居桂・市住宅局長は「それぞれ法に基づいて適正に行ったものだ」と話した。(朝日新聞 夕刊)
■パンタグラフ落下 JR伯備線が不通
 16日午前7時20分ごろ、鳥取県日野郡日野町根雨のJR伯備線根雨駅構内で、発車しようとした出雲市発岡山行き特急「やくも2号」(6両編成、乗客約100人)2両目のパンタグラフの一部がないのを運転士が見つけ、運転を取りやめた。
 JR米子支社の調べでは、根雨駅の前の岸本−伯耆溝口で架線が損傷し、これにパンタグラフが引っかかって落ちたらしい。伯備線は米子−根雨間で午前中不通となり、岡山発出雲市行き特急「やくも3号」が運休したのをはじめ、特急5本が米子−岡山間などで部分運休。JRは計1900人余りの客をバスで代行輸送した。(朝日新聞 夕刊)
■木を歩く ホームから「クス」にょっきり
 寝屋川市の京阪・萱島駅に高架のホームを突き抜けて1本のクスノキが空にのびる。高架化工事に伴い、移植か切り倒し、あるいは保存か、で地元住民と話し合いの結果、今の形で折り合いがついた。その姿は1980年の工事完成以来、「すっかり駅の顔になった」(同電鉄)。評判を呼んでテレビや雑誌でも紹介された。
 根回り約7b、高さ約20b。根元から見上げにも先は高架がさえぎる。ホームに開いた口からのぞき込むと、幹の中ほどの枝が収まりきらずに切り落とされている。根を伸ばす余地がない上、栄養源である枝が少ないため、樹勢は衰えるばかり。地元の要請で治療を受けているが、診察した大阪みどりのトラスト協会は「珍しい、おもしろい、という面だけが注目されているが、抱えている問題はあまりに多い」と先行きを心配する。
 周辺は河川のはんらんが絶えなかった土地である。小高い場所に立つこの木が避難場所になり、やがて人々を災害から守る神木として祭られることになったという。駅構内には早朝からお参りの鈴の音が響く。「これだけ話題になるのも木への関心が高まった証拠」と愛護運動を進める古箕繁雄さん(80)は言う。「でも、木自身は何も言わんから、どない思っとられるんでしょうなあ」(明)(朝日新聞 夕刊)
17日■のぞみ走行中モーター破損 兵庫で緊急停車 前例なし 全車両緊急点検へ
 16日午後1時46分ごろ、兵庫県高砂市の山陽新幹線を走行中の博多発東京行きのぞみ14号で、台車の異常を知らせる運転台のランプが点灯し、緊急停車した。JR西日本は同列車を最寄りの姫路駅までバックさせ、同駅で運転を打ち切った。乗客約600人は姫路駅から後続のひかりなどに乗り換えた。
 JR西日本が車両を調べたところ、5号車の台車にあるモーターの一部が破損しているのが見つかった。走行中にのぞみのモーターが破損したのは初めて。同社は問題の台車を博多総合車両所に送って詳しい原因を調べるとともに、「前例のないケース」と重視して、のぞみ全車両の緊急点検を指示した。
 JR西日本によると、モーターの軸を支える円形のふた(アルミ製)の取り付けボルト8本がいずれも折れたり、なくなったりして、ふたが外れかけていた。また、このふたがモーター軸とともに回転して車軸に接触した跡もあった。
 このモーターは15日夜の点検では異常がなく、同社はのぞみ14号として運転中にふたの内部のベアリング部分で異常が発生して破損、モーター軸の回転が不規則になり破損が各部に広がったとみている。のぞみ14号は広島駅近くを走行中、床下から異常音が続いたため、新大阪駅で車両を交換する予定だった。
 山陽新幹線上り線は姫路−西明石間が1時間半にわたって不通になり、上下計10本が運休や部分運休、39本が最高1時間40分遅れ、約1万5000人の足が乱れた。
 のぞみは9日にも名古屋駅の手前で突然ストップ、東海道新幹線下り線の東京−名古屋間が2時間40分も不通になる事故があった。
・考えられないケース
 JR西日本の香本芳正車両課長の話 今回のようなモーターの破損はひかりでも例がなく、考えられないケースだ。早急に徹底的な原因調査をしたい。(京都新聞)
■のぞみ モーター破損し立ち往生 姫路−西明石 全車両を緊急点検
 16日午後1時45分ごろ、山陽新幹線の姫路−西明石間を走行中の博多発東京行き「のぞみ14号」(乗客約600人)の台車に異状が発生し、同列車は緊急停車した。JR西日本は約50分後に運転を打ち切り、姫路駅に逆走させて検査。主モーターの1個が破損し、ギアケースにも約40aにわたって亀裂が入っているのが見つかった。「のぞみ」のモーターの破損事故は初めてで、製造上の欠陥の恐れもあることから、同社は17日始発までに「のぞみ」全車両のモーターの緊急点検を実施する。
 この事故で上り線の岡山−新大阪間は約1時間25分不通となり、10本が運休、39本が遅れて約1万5000人に影響した。
 JR西日本によると、破損したのは5号車に4個ある主モーターのうちの1個。モーターの回転軸を支える「鏡ぶた」と呼ばれる円筒形のアルミ製軸受け(直径約45a、長さ約14a、厚さ約2a)を、モーター本体に固定しているボルト(直径1.2a、長さ4.5a)が8本とも折れていた。
 鏡ぶたはモーター内に異物が入らないようにする役目もあるが、固定位置からずれており、一部が車輪を結んでいる車軸に接触して溶けていた。
 JR西日本では「予想もしなかった深刻な事故」(車両課)と話しており、故障車を大阪第一車両所に運んでモーター破損の原因を調べる。緊急点検はJR東海も実施する。
 故障車の乗客は、姫路駅に臨時停車した後続の「ひかり42号」などに乗り換えた。
・乗客うんざり
 約1時間半も車内に缶詰めにされた「のぞみ」の乗客らは「故障が多過ぎる」と、うんざりしていた。引き返した姫路駅で、臨時停車した「ひかり」に乗り込んだが、座れない人も多かった。
 3歳の子どもを連れて実家の福岡県から静岡県へ帰る途中の主婦、野田順子さんは「明るいうちに帰ろうと、『のぞみ』に乗ったのに」。仕事で三重県に行くという福岡県の会社員(49)は「5時に仕事の約束がある。これでは間に合いませんよ」と怒っていた。
 「のぞみ」が停車した姫路駅の駅員は乗客からの乗り継ぎ列車の問い合わせに追われ、後続車両の受け入れ準備に走り回っていた。(朝日新聞)
■ロープウェイで揺れる大原 計画が再び旧浮上 寂光院「文化破壊」と猛反発 観光業者意見二分 客減少に歯止め… 流れ変わり死活問題
 京都・大原の三千院近くと比叡山を結ぼう、という京阪電気鉄道(大阪市)のロープウエー建設計画が再燃、開発か景観保護かをめぐって、地元が揺れている。計画は一度、3年前に打ち出されたが、地元の反対で沈静、それが最近になって、再び急浮上してきた。
 観光客の長期減少傾向に歯止めをかけようと、積極的な観光業者らに対し、同じ業者の中でも一方は「客の流れが変わるのは死活問題」と猛反発。予定地は建礼門院ゆかりの寂光院の借景だけに、同寺も「1000年の間守ってきた文化の破壊だ」と強く反対している。
 計画は1991年3月、京阪側から地元に打診された。三千院近くから奥比叡ドライブウェイの横川駐車場間約2.8`を165人乗りの大型ゴンドラ2基で結ぶ。所要時間は約7分。年間124万5000人の利用客を見込む。同社では「現在数時間かかっている行程を大幅に短縮でき、参拝客増が期待できる」としている。
 しかし、地元の観光業者で作る大原観光保勝会がいったん反対を決めたため、大原自治会は拒否を京阪側に伝えた。だが、今年2月、京阪は見返りに多目的ホールの建設に協力するなどと提案。「大原活性化の起爆剤に」と期待する観光業者の声が強まり、自治会で再検討を始めた。
 大原自治会によると、同地域への観光客数は、1970年前後の最盛期には年間120万人あったが、現在は80万人を切り、修学旅行生も減ったという。全世帯の3分の1は観光関連といわれる土地だけに、このままではじり貧になると心配する業者も多い。
 こうした動きを受け、京阪電鉄は7、8両月に再度、説明会を開催。自治会も11月に全住民にアンケートを実施。結果は、回収率35%ながら賛成が64%を占め、反対28%を上回った。
 一方、予定地の比叡山系を借景とする寂光院の小松智光住職(84)は、10月に知事、京都市長らに抗議文を送った。小松住職は「この借景の中に、ロープウエーがブラブラ上り下りするのは耐えられない。歴史的な情緒を楽しみに来る方に申し訳ない。絶対やめてほしい」と訴える。同寺周辺の観光業者も、観光施設や土産物屋の利用客が三千院や比叡山側に流れると不安を募らせている。
 賛否両論の板挟みになった形の自治会は「アンケートや保勝会の結論を尊重しながら考えたい」(久保達彦会長)と話している。
 予定地の比叡山系一帯の京都府側は、歴史的風土保存区域と第1種風致地区に指定され、「現計画では寂光院の借景に入るのは避けられず、ルート変更などの指導もありうる」(市風致保全課)という。
 京阪電鉄は、市に景観破壊の有無をチェックしてもらうなど環境保全に十分配慮するとしており、「同意が得られれば、2、3年をめどに実現したい」と話している。(朝日新聞)
■のぞみモーター破損 原因特定できず 他の車両には異常なし 温度関知にシール 営業続行
 山陽新幹線で16日、走行中の「のぞみ」が主モーターの破損などにより立ち往生となった事故を調べているJR西日本は、17日午前中に「のぞみ」全車両を対象にした台車の緊急点検を終えた。保有9編成(1編成=16両)のうち、問題の台車のほかには全く異常はなかった。しかし、原因は特定できず、鉄道総合技術研究所(JR総研)に究明を依頼する。また、これまで主モーターの温度上昇を一切検知していなかったことが、今回の事故を未然に防止できなかった要因とみて、温度を感知するシールを添付する緊急処置を施した。
 問題の台車は17日午前4時過ぎ、大阪第一車両所で車体から取り外され、細かい検査が行われた。主モーターの回転軸を支える「鏡ぶた」と呼ぶアルミ製軸受けがずれて、車軸に接触し、一部が溶けていたことに加え、新たに主モーターの回転をギアに伝える「継手(つぎて)」が変形しているのが分かった。さらにギアケースに内蔵された小さい歯車も破損、潤滑油約3.2リットルがすべて流れ出ていた。
 JR西日本では、東芝製の主モーターが原因との見方をしているものの、特定できていない。東芝製のモーターはJR西日本の「のぞみ」に118基搭載されている。
 緊急点検では破損のあった主モーター、継手、ギアケースを中心に検査したが、他の台車に異常はなかった。JR東海でも30編成を対象に実施しているが異常は見つかっていない。
 ただ、これまでモーター性能を信頼し、温度検知など故障の前兆をとらえる検査態勢を敷いていなかったことが、立ち往生事故を引き起こしたとして、「サーモラベル」と呼ぶ温度を検知するシールをすべての主モーターに添付した。
 JR西日本の森下逸夫・車両部長は「仕業点検や入庫時にサーモラベルを確認することにより、今回のようなモーター破損事故は未然に防げる。走行中の異常については従来の監視機能が働くので、安全運行に支障はなく、営業運転を続ける」と話している。(朝日新聞 夕刊)
18日■のぞみ殺人起訴 責任能力あると判断
 東海道新幹線「のぞみ」車内で8月、乗客の会社支店長が刺殺され、取り押さえようとした警官も重傷を負った事件で、静岡地検沼津支部は17日、殺人罪などで奈良市南紀寺町、無職中村克生容疑者(27)を起訴した。
 中村被告は、事件当時覚せい剤を使用したいたことや動機について意味不明の供述を繰り返すなど精神障害の疑いもあるとして精神鑑定にかけられていた。
 同支部によると、鑑定の結果、中村被告は犯行当時覚せい剤中毒と覚せい剤による精神障害の状態にあったが、程度は軽く、心神耗弱状態で限定的な責任能力があると判断した。
 同支部の調べでは、中村被告は約2年前から毎日のように覚せい剤を乱用していた。(京都新聞)
■市交通局管理者に三浦氏
 京都市の田辺朋之市長は17日、収入役に起用した依田満氏の後任の公営企業管理者(交通局長)に、三浦貞義交通局自動車本部長を任命した。三浦公営企業管理者は自動車本部長を退職、同事務取扱となる。
 三浦貞義氏(みうらさだよし) 京都大経済学部卒、1960年採用、電車、企画、総務各課長と総務部長を歴任。88年から自動車本部長。56歳。京都市出身。(京都新聞)
■京都駅ビル改築 住民の意見陳述終わる 府都計審
 京都府都市計画地方審議会(会長・天野光三京都大名誉教授)が先月8日から続けていた、JR京都駅ビル改築に反対する住民からの意見陳述聴取が17日、終わった。
 意見陳述は、駅ビル改築に伴い京都市が周辺で行う土地区画整理事業計画案に対する府都計審に当たって、住民が申し立てた。
 当初は住民1297人が口頭陳述を希望したが、実際に意見を述べたのは全体の8.2%の107人だった。(京都新聞)
■京都駅ビル文化施設 ホール、シアターなど設置 来月、運営会社を設立
 平成8年秋に完成する京都駅ビルの文化施設運営会社が、来年1月に設立される。地元企業と興行関連会社10社が出資。京都の伝統と世界の最新トレンドを同時に実現する映像を中心とした情報・遊空間づくりを進め、アミューズメント性高い21世紀の京の新名所をめざす。
 運営会社は資本金4億9000万円。出資するのは京都駅ビル、オムロン、京セラなど地元6社と興行関連のジェイ音楽企画(京都市)、ジャニーズ事務所(東京)、ホリプロ(東京)、吉本興行(大阪)。この中の5社が発起人となり、1月早々にも発起人会、同中旬以降に設立総会を開く予定で準備を進めている。
 文化施設は16階建て駅ビルの東側、ホテル棟部分9階までの約1万平方bを使い、24時間体制で国際文化観光都市夕−ミナルにふさわしい事業を展開する。
 構想では京都の文化を素材にした独自のミュージカルなどを公演する約1000席のメーンホールや、京の景観、生活映像を直径15bのドームなどに映し、深夜まで飲食営業も行うシアターのほか、ギャラリー、カフェ、ミュージアムショップなどが設けられる。ビル内の各施設に映像情報を一元的に発信するスタジオも設置する。オープンは平成9年春の予定。文化施設だけで年間300万人の集客を想定している。(京都新聞)
■こっちの予算はどうなるの? 自治体に不安と焦り 政府予算越年編成 財源めど立たぬ 「目玉事業遅れる」陳情も取りやめ
 深刻な不況をしり目に政府の来年度予算案編成が17日、年明けにずれ込むことになった。2月の予算議会に向けて当初予算案編成を迫られる各自治体は財源の見通しがはっきりしないことに焦りの色を隠せない。目玉となる事業の着工が遅れるとの懸念を表明するところも出ている。
 来年の平安建都1200年に向けた記念事業が目白押しの京都市。地下鉄東西線や梅小路公園の建設、山科駅前市街地再開発事業など、補助金縮みの大規模プロジェクトが多いだけに、国の予算編成に神経をとがらせている。
 来年度予算を審議する定例議会の開会日は2月18日。同市主計課は「国の予算案内示が1月中ならなんとかなるが、2月にずれこむと例年通りの形での予算案づくりは難しくなる」。
 大阪市も「1月末まで国の予算編成が遅れると、市の編成作業も後が詰まって大変になる」(河合均財務課長)という。
 整備新幹線の沿線自治体は当惑している。北陸新幹線の金沢−富山・小矢部間24`の工事が昨年8月に始まった石川県。来年度はこの区間の継続事業に加え、北陸新幹線金沢駅の新築工事の着工も5月に予定されている。しかし政府予算案が決まらないと、県の負担額の詳細が決まらず、県予算の編成も遅れる。「早く予算案を示してくれないと来年いくら出していいのか分からない」。具体的なルートすら示されていない福井県は「いつまで待てばいいのか」とぼやく。
 福祉など生活に密着した事業にも不安が出ている。大津市では、国庫補助で大津市民病院の敷地内に来年度に予定している老人リハビリ施設の着工が、大幅に遅れる可能性も出ている。
 大雨のたびに地滑り被害が出る島根県では来年度、地盤の弱い100ヵ所余りを対象に「農地地滑り対策事業」を予定している。工事の事前に実施するボーリング調査は梅雨期にするのが理想だが、このままだと業者への発注ができないため、雨量が多くなる秋まで待たなければならない。着工も数ヵ月遅れることになりそうという。
 大阪府は大蔵省の腹づもりを探ろうと、東京事務所の職員が情報収集に走ったり、自治省出身の財政課幹部が電話で本省と直にやり取りしているが、確証が取れない。「これも連立政権の影響でしょうか。政策決定の過程が見えてこないんです」とある幹部。
 財源についても各自治体は税収不足に加え、税制改革に伴って地方財政計画がどうなるか、めどが立たず頭を悩ませる。約15億円の税収減が予想される京都府宇治市は、財源を国がどう補てんしてくれるのかが関心事。同市幹部は「来週にも上京するつもりだ」といらだつ。
 一般会計のほぼ6割を国庫に頼る高知県は「各部局の事業を査定する基準すらない」と嘆く。当面は見込みによる予算編成作業に取り組み、国の予算案がはっきりしてから組み替えるとあきらめ顔だ。和歌山県では「不確定な部分が多くなるので、見切り発車で予算案を編成せざるをえない」という。
 例年、師走に繰り広げられる東京での陳情も今年は様相が変わりそう。年末向けに予約した東京の宿舎をキャンセルしたところも相次いでいる。しかし、大蔵原案内示が2月にずれ込むと、首都圏の私大受験のピークとも重なり、宿の確保がますます難しくなる。「いちげんのところでも、もぐりこむしかないかもしれない」(徳島県)と困惑顔だ。(朝日新聞)
■雪で新幹線に遅れ
 JR東海道新幹線は18日、滋賀県坂田郡米原町の米原駅周辺で雪がちらついたため徐行運転し、始発上下合わせて4本が最高4分の遅れを出した。午前9時ごろには、通常に戻った。(京都新聞 夕刊)
■新幹線、雪で遅れる 1万5000人に影響
 JR東海道新幹線は18日朝、滋賀・岐阜県境付近の降雪のため、名古屋−京都間の一部の区間で始発から徐行運転した。上りの「ひかり200号」が16分遅れたのをはじめ、上下合わせて20本が遅れ、1万5000人に影響した。雪による同新幹線の遅れは今冬初めて。
 天候が回復したため、JR東海は午前8時50分に徐行規制を解除し、ダイヤは間もなく平常に戻った。
 彦根地方気象台などによると、冬型の気圧配置の影響で、17日深夜から18日早朝にかけて滋賀県内や岐阜県・関が原付近で断続的に降ったという。(朝日新聞 夕刊)
19日■JR東海 震撼 不気味な新幹線妨害事件 静岡・関ヶ原・彦根 転覆狙った? 第4の犯行阻止へ 針刺し事件も確信犯か
 「新幹線で事故が起きたら取り返しのつかない惨事になる。何としても犯人を逮捕し、第4の犯行を防がなければ…」。帰省シーズンの年の瀬が迫っているだけに、警察庁幹部の心配は募る。新旧の刑事局長が現場を視察したが、一般乗客に無用の不安感を与えてはいけないという配慮も脳裏をかすめる。JR東海管内で6月以来、岐阜、滋賀、静岡3県で続いた東海道新幹線の悪質な列車防害事件。同社管内だけで約150件に上る座席などへの針刺し事件も不気味だ。東京五輪の昭和39年に開業し、1列車で約1300人、年間1億3000万人以上を運ぶまでになった日本の大動脈。JR東海を震撼(かん)させた防害事件の犯人は列車転覆も射程に入れているのだろうか。30年目に入った「安全神話」が今、脅かされている。
・見えぬ犯人像
 「転覆の恐れは十分にあった」。6月に岐阜県・関ヶ原町でワイヤが巻かれた事件についてJR総研が出した鑑定結果だ。8月に彦根市で使用されたチェーンについては、滋賀県警が専門機関で現在調査中。「レールに巻かれたワイヤ、チェーンなどは列車の排障器で排除できる」と、乗客の不安を和らげるのに躍起になっていたJR東海は衝撃を受けた。
 11月9日夜のショックはさらに大きかった。推定10`のコンクリート塊(かい)が高さ約2bの金網フェンスを越えて静岡県・長泉町の三島駅付近の軌道内に置かれ、ひかりが衝突したのだ。「静岡が一番危なかった」とJR東海幹部も顔をゆがめる。数分間隔の過密ダイヤに滑り込み、短時間で手際良く防害工作をする手口。一般人には素人離れしているように映る。
 岐阜では防護フェンスを破った侵入口から離れたトンネル近くの線路にワイヤロープが仕掛けられた。滋賀では、直径1.5aの鉄の輪をつないだチェーンを留め金具(シャツクル)を立てて固定。その上、停止信号がつかないような細工もしていた。列車がいずれも切断し、事なきを得た。
 「悪徳政治蚊共因果応報じゃ」「真面目働く者は馬鹿を見る」(原文のまま)。
 訳が分からないのは現場にこのような内容の「墨子」を名乗る犯行声明が残されていたことだ。滋賀ではまくら木に金丸信前自民党副総裁ら複数の政治家と司法、警察のトップの名も刻まれていた。
 「政治的な不満のようだが、内容は支離滅裂で特定の主義主張は読み取れない」南雲明久警察庁捜査一課長の分析だ。転覆を狙った確信犯か、いたずら的な愉快犯か。現状では犯人像を断定する材料はないが、岐阜、滋賀は同一犯、静岡は両事件に触発された犯行との見方が捜査当局内で強まっている。
・労組ピリピリ
 「警察は針刺し事件を組織的犯行とみているようだ」。須田寛・JR東海社長の9月の記者会見での発言も波紋を広げた。
 JR東海労の佐藤政雄委員長は「暗に東海労が犯人であるかのようにフレームアップ(でっち上げ)している」と猛反発。逆に、「会社側がスト対策で組合を過激派扱いする内部文書がある」と応酬した。
 同労組のある幹部は「松川事件(昭和24年)では、国労の組合員らが内部犯行に及んだとして逮捕されたが、最高裁でえん罪と立証された。事件を組合の仕業とでっち上げ、攻撃材料にするやり口は変わらない」と語気を強める。
 組合側がことさら神経質になるのは、JR東海の労使関係がこのところ厳しさを増しているからだ。東海労組合員が3月に会社側職員に暴行を加えたとして逮捕、起訴猶予となった件で会社側は9月10日、懲戒解雇2人を含む33人を処分。国鉄民営化後、初の労働争議に縮む解雇だった。
 6月には労務の実質的な最高責任者である葛西敬之副社長が、講演に訪れた長野県松本市の信州大で何者かにペンキをかけられる事件も起きている。
 「組合と事件が関係あるなどと口にしたことは一度もない」。当のJR東海幹部は強く否定するが、不思議なのは同様に新幹線を抱えるJR東日本と西日本が警流体制を取りながらも「あの手口と同じ防害はうちでは起きないのでは…」と表面上、楽観している点だ。
 真相は依然、やぶの中だが、東京−新大阪駅間は約550`。沿線の重点パトロール、防護フェンスへのセンサー設置の検討。警察、JR東海当局はひそかに警戒を強めているが、この鉄路を守り切る妙案を今のところ持ち合わせていない。(京都新聞)
■スキーきっぷ発売 湖西行きの3種
 JR西日本は、滋賀県湖西地区のスキー場までの列車とバス、ロープウェイなどをセットにした「スキーきっぷ」を18日から発売した。
 「びわ湖バレイスキーきっぷ」「比良山スキーきっぷ」「箱館山スキーきっぷ」の3種。各スキー場までの普通列車自由席券とバス、ロープウェイなどがセットになっている。料金(大津駅発の場合)びわ湖バレイが大人2970円(こども1430円)、比良山が同3080円(同1560円)、箱館山が同3650円(同1820円)など。
 発売期間は平成6年3月15日まで。利用機関は同3月21日まで。有効期間は7日間。発売個所は主要駅のTis(旅行センター)やみどりの窓口で。(京都新聞)
■特急にはねられ即死 城陽の近鉄踏切
 18日午後8時すぎ、城陽市寺田の近鉄寺田3号踏切で京都行き特急=槻木治運転手(31)=が線路内にいた女性をはねた。この女性は全身を強く打ち即死。同特急は現場に約10分間停車、乗客にけがはなかった。
 城陽署の調べによると、槻木運転手は、女性が遮断機の降りていた同踏切の東側から線路内に入り、線路上にうつぶせになるのを約100b手前で見つけ、急ブレーキをかけたが間に合わなかった、という。同署では自殺とみて女性の身元を調べている。(京都新聞)
■外国人学校生の定期代格差 解消の検討要請 JRへ運輸省
 朝鮮学校など在日外国人学校の児童・生徒が使うJRの通学定期運賃が、日本の小、中、高校生より割高となっている問題で、運輸省がJR各社に来年4月からの格差是正を検討するよう要請していることが、わかった。国鉄時代の1968年にできた運賃格差が来春、解消に向けて動く可能性が出て来た。
 JRの通学定期運賃は大学生、専門学校生など大人を100とした場合、高校生はその10%、中学生は30%、小学生は65%、幼稚園など小児は50%をそれぞれ割り引くことになっている。朝鮮学校の初・中・高級部は日本の小・中・高校に相当するが、学校教育法上は「各種学校」となっていることを理由に、この割引の適用を受けていない。他の在日外国人学校や各種学校も同様だ。
 運輸省がJR各社に求めているのは、JRの現行制度の中で運用を変え、例えば各種学校の中で12歳未満は小学校、15歳未満は中学と、18歳未満は高校と同じ割引率にするなどの案。
 JR各社は以前から、次回の運賃改定をめどに、現行の学校の種別による割引制度を改め、年齢による一本化を検討している。12歳以上はおとな運賃、それ未満は子供運賃、とする民間鉄道や営団地下鉄の方式だ。この方式にすれば、各種学校の生徒でも区別がなくなる。
 しかし、運賃改定の時期は未定で、早くとも「1、2年後」との見方が強い。また、この方式では中・高生の定期運賃が値上げとなる問題点もある。
 一方で、6年前から本格的に始まった格差是正を求める運動は、最近一段と強まっている。10月には国連の「国際人権規約」に基づく国際会議でもとりあげられた。日弁連も「是正勧告」を出す公算が大きい。
 そうした中で、運輸省も現行制度での早期是正に切り替え、今回の要請を民鉄方式に変わるまでの「段階的措置」と位置づけている。
 これに対しJR側は@外国人学校の中には、日本の6・3・3制と異なる教育制度を持つ学校もあり線引きが困難A小・中・高校に相当する各種学校の線引きは本来、文部省がすべきだ−などとし、あくまで民鉄方式導入による是正にこだわっている。ただし、時期については「運賃改定とは切り離し、来年4月の新学期に合わせて実施できないか、検討中」(JR東日本首脳)としている。
 運輸省は運賃改定と切り離して実施することについては、制度を換えることになるので手続き的にも困難と、難色を示しており、是正の方法をめぐる調整が今後のカギになりそうだ。(朝日新聞)
■行員装い300万円詐取 すっかり信用 JR高松駅が被害
 高松市浜ノ町、JR高松駅(大田健三駅長)が、銀行員を名乗る男に、自動券売機や料金払い戻しなどに使う手持ち保管金約300万円をだましとられていたことが18日、わかった。被害届を受けた高松北署は詐欺事件として捜査している。
 同駅の話によると、今月5日午後5時半ごろ、JR四国の元役員と称する男性の声で「手持ちに多額の金があるといけないので、今から銀行員を派遣する」と鉄道電話で連絡が入った。間もなく取引銀行の行員を名乗る男が現れ、同駅の出入札助役が応対。手持ち保管金約300万円を男に手渡したという。
 その際、男は「必要なら後で取りに来てください」と夜間金庫キーと思わせるカギを渡したため、助役はその場ではすっかり信用した。その直後になって不審に重い、男を捜したが、すでに姿がみえなかった。
 この男は身長160aぐらいで、40〜50歳だったという。(朝日新聞)
20日■鉄道電話使い 300万詐取 JR高松駅 元役員名乗る男らに
 JR四国高松駅(大田健三駅長)が5日、料金の払い戻しや自動券売機などに使う現金300万円を、JR四国の元役員を名乗る男らにだまし取られていたことが19日分かった。同駅から被害届を受けた高松北署は詐欺事件として調べている。
 高松駅などによると5日午後4時半ごろ、高松駅に元役員と名乗る男から、「多額の現金が手元にあるのはよくないから」と鉄道電話で連絡が入った。約1時間後、その男から派遣された銀行員だと称する男が現れたので、同駅の現金などを管理する助役が、駅にあった約600万円のうち半分を1万円札で手渡したという。
 自称銀行員の男は40−50歳ぐらいで身長160aぐらい。紺色のスーツ姿。男は「現金が必要になったらこのキーで出してくれ」と助役に夜間金庫のかぎようのものを渡し信用させていた。
 鉄道電話はJRの内部などで業務用に使う電話。最近は一般の旅行代理店や旅館なども加入している。
 名前を使われた元役員は実在するが、北署などの調べでは事件とは関係ないという。(京都新聞)
■都市づくり 主導は市民 米国・西海岸 4都市に見る
 「クオリティー・オブ・ライフ」(生活の質)という言葉をどこでも聞いた。都市開発・再開発が近年急速に進んだ米国。そこでは、大気汚染や交通渋滞などへの反省から、都市の成長を一定の水準以下に抑える「成長管理」思想や、低所得者、歩行者など弱者優先社会を求める動きが、各地で起きている。それだけにとどまらず、生活の質をより高めるために、市民が一歩進んで政府の行動を監視し、自ら計画して行動する段階に移っている。西海岸の都市からそうした動きを紹介する。(編集委員・内仲 英輔)
・ポートランド バイパス建設反対はまず提案を出して
 オレゴン州の中心都市ポートランドのホテルの宴会場は今年5月、知事を始め、住民運動家や政治家、文化人ら600人を超える人びとではなやいだ。州の土地利用計画法制定20周年の祝賀会。中心は、同法のウォッチドッグ(番犬)を自任する民間団体「オレゴン千人の仲間」である。
 土地利用計画法は1973年、全米でも初めての画期的な法律として成立した。広大な州土、とくに農地を開発から守るため、土地保全・開発委員会(LCDC)が定める州全体の基準(ゴール)に従って、県や市がそれぞれ土地利用計画を立てなけれはならないというものだ。環境保護派として知られた当時の知事、トム・マッコール氏が推進した。
 同法の最大の特色は、スプロール(無秩序な都市の膨張)を防ぐため、20年先の発展を見込んだアーバンバウンダリー(都市成長境界線)を設定、その境界の外での開発を厳しく制限している点だ。日本の都市計画法が定める市街化区域に似た考え方だ。
 「せっかくの法律が順守されるよう監視する市民運動を起こしたい」−法律の成立後間もなく、一人の青年弁護士が知事に手紙を送り、協力を求めた。知事の賛同を得たその青年、ヘンリー・リッチモンド氏は寄金を集め、75年に「オレゴン千人の仲間」を発足させる。
 会員は弁護士、建築家、教員、商店主から一般のサラリーマンまで幅広く、約600人だった。
 知事の任期を終えたマッコール氏も、少し遅れて会長に就任した。
 当初は、州の下請け的な仕事が多かった。だが、やがて州当局と対立する意見も積極的に主張、また地域の草の根グループ育成に努めるまでに力をつけた。
 さらに、庶民に手の届く住宅の開発や、海洋資源・野生動物の保護なども活動に加えた。同州の土地利用関係の係争が少なく、住宅価格が比較的安定しているのは「千人の仲間」の功績が大きい。
 そうした活動の集大成ともいうべきものが、「土地利用・交通・大気保全の関連研究」(LUTRAQ)。全国から専門家を集め、大気を汚さず、交通渋滞も起こさず、生活の質を維持する方法論の大型研究を続けている。
 そのLUTRAQは、ケーススタディーとして、州交通局が交通混雑の解消を目ざして計画したウェスタンバイパスを取り上げた。地域の住民から「静かな生活が乱され、環境を汚染する」「美しい自然が破壊され、農業に悪影響が及ぶ」などとして反対運動が起きていた計画だ。路線がアーバンパウンダリーの外を通るのも問題だった。
 LUTRAQが中間報告で示した代案を要約すれば「バイパスがなくても、現行の路面電車網を拡充、沿線に住宅や事業所を計画的に配置すれば、渋滞を招くことなく、快適で質の高い市民生活を確保できる」というもの。単に賛否の意見の表明だけでなく、具体的な対案を提出する積極策に第一歩を潜み出した。
 専門家による厳密なシミュレーションを経た提案だけに、交通局も無視できず、連邦政府の要求する環境影響調査(EIS)の対象案の一つに加えて真剣に検討せざるを得なくなった。結論はまだ出ていないが、民間のこの種の代案が正式に取り上げられるのは、全米でも初めてのケースという。
 こうした実績を手本に、すでに隣のワシントン州を始め、フロリダ、マサチューセッツ、ハワイなど各州に「千人の仲間」が結成されている。20年近く事務局長を務めたリッチモンド氏は、この秋後進に道を譲り「オレゴンの成功を全米に広めたい」と各地を飛び回っている。
・サンフランシスコ 古いホテル改修し ホームレスらを救う
 サンフランシスコの中心街。ユニオン広場を囲むようにホテルやデパート、一流のブランド店が並ぶ。名物のケーブルカーが車輪の音をきしませながら往復する。その喧喋(けんそう)と通り一本隔てて接するのが、テンダーロイン地区だ。
 大都会の繁栄に押しのけられた形のこの地区の荒廃は一目でわかる。ホームレスや麻薬中毒者、失業者が日中からたむろする。
 しかし、ここは多数の母子家庭や単身者、障害者を含む低所得者層約2万5000人が30の街区にひしめく人口密集地区でもある。
 「このままでは地域社会が崩壊してしまう」という悲痛なにこたえたのが、テンダーロインコミュニティー開発機構(TNDC)。81年、キリスト教の一宗派が地域住民と協力して古いホテルを取得、低所得者向け居住用ホテルに改修したのを機に設立された。
 当時、周辺に無数にあったSROと呼ばれる低料金の長期滞在用ホテルが、次々に取り壊されたり、もっと利益の上がる事業に転換したりして、住んでいた人たちが行き場を失うなど、住宅事情が悪化していた。
 13年目の現在9棟(1棟は他団体と共有)、1000室余を保有している。取得費用の中心は、大口小口の寄付と、連邦が地方政府を通じて配分するコミュニティー開発包括補助金(CDBG)である。
 大企業からごく普通の市民まで、能力に応じて寄付に寛大なのが、米国だ。税制など手厚い優遇措置があってのことだが、ケリー・クーレン事務局長は、大口の協力者として、この地区に接する有名ホテルと、市内に本拠をおく全米規模の大銀行の財団を挙げた。このほか、日常活動や改修工事に無償で参加しようというボランティアも多い。
 各棟の運営は年間200万jに上る家賃でまかなう。その家賃は主に単身者対象のホテルが月額約220−330j、小家族も住めるアパートが同370−650j。市価より2、3割は安いというが、居住者の年収も6000−1万2000j程度と低い。
 しかし、その活動は単に住宅の供給にとどまらず、「いかにして近隣の連帯を強めるかにある」と強調する。近隣とはこの場合、同じアパートの住人同士を示すが、このため各棟は、広いサロンを設けたり、各階に食堂を兼ねた共同炊事所をおくなど工夫して、互いの交流を図っている。
 運営にはアパートごとの住民組合が参加、その代表はTNDCの方針を決める理事会の正式メンバーだ。さらに60人余いるTNDCのスタッフの3分の1は住人を雇用している。
 このようなコミュニティー(地域社会)に根差し、コミュニティーの再興をめざす非営利の住宅供給活動は、全米では2000を超えると推定されている。
・シアトル 中心部に住めば通勤渋滞は解消
 「中心街では16万人が働くのに、そこに住むのはわずか1%。大半は自動車通勤だ。これらの人々がここに住めば、まず車の数が減り、渋滞や大気汚染、事故が減る。商業が活性化する。通勤時間が短くなれば、家庭で過ごす時間が増え、クオリティー・オブ・ライフも向上する」
 米国北西部最大の都市シアトル(ワシントン州)のユニオン湖南端約190fに緑に恵まれた職住近接の町「シアトルコモンス」を建設しようとする民間運動のジョエル・ホーン事務局長は、熱っぽく語り出した。
 話は一昨年、地元紙が書いた「湖畔に大規模な公園を」という提案記事にさかのぼる。当時ホーン氏は、経営していたコンピューターソフト会社を売却し、気楽な「主夫業」を楽しんでいた。だが、たまたま読んだ記事に興味をひかれ、公共事業に経験の深いジェリー・ジョンリン弁護士に相談した。
 「豊かな町づくりの提案は市民の義務」とすっかり共鳴した2人は、賛同者を集めて非営利組織シアトルコモンズを結成、ジョンソン氏が会長に就任した。現在、各界から54人の理事、15人のスタッフ、それに多数のボランティアが登録している。
 中心街のビジネス区域とほとんど地続きのこの地区は、古くからの住民もいる。しかし、発展から取り残され、低層の工場や事務所の間に駐車場や空き地が目立つ。62年シアトル万博開催のため、多くの建物を立ち退かせて駐車場に転用したのが衰退の始まりだった。
 2年がかりで昨年まとまった構想は、約30fの広大な中央市民公園をつくり、それを囲むように1万8000人が居住する住宅を建設するというもの。住宅の2割は低所得者用とし、さまざまな人種、階層が共存できるようにする。既存建物の多くは取り壊すが、新しいビジネス用地を準備して、2万1000人の雇用を確保。地区内は歩行者優先で、通勤も公共交通機関を優先するという。
 総事業費は3億8000万j。ホーン氏は「シアトルの最高層ビル、コロンビアタワーの建設費と同じ。たいした額ではない」という。公共施設は、最終的には市に移譲、住宅は民間部門が受け持つ計画で、低所得者用住宅は、非営利団体が寄付や補助金を仰いで建てる方法を研究中だ。
 すでに計画に賛同したマイクロソフト社の創業者の1人が2000万jを出資したほか、多くの資金が寄せられ、公園用地などの先行取得を始めている。
 シアトル市は現在、市の総合計画を策定中だが、その特色は、市域の各所にアーバンビレツジと呼ばれる職住近接の拠点地区を設ける点だ。多くの大都市が人口の抑制と分散に動いているとき、人口の増大にもつながるこの計画は、他都市からも注目を集めている。
 コモンズの提案はこのアーバンビレッジの構想を先取りしたもので、市長は議会に計画の支持と予算措置を要請、先月、全会一致で承認された。ホーン氏は「計画は、実現の可能性を検討する段階から、時期、方法の段階に進んだ。広範な支持を得るために根気よく地元への説明を続ける」と張り切っている。
・パサデナ 古い町並み守っても近代的再開発はできた
 ロサンゼルスの東、車で30分ほどのパサデナ市。中心街に隣接して12の街区からなる旧市街地オールドパサデナは、100年も前から、地中海風の美しい建物が立ち並び、周辺都市も含む経済圏の中心的役割を担っていた。
 しかし、第二次大戦後は様相が異なり、市の東部に近代的なビルが建ち始め、また、大型ショッピングセンターが生まれるなどして、衰退に向かった。「赤電」と呼ばれ、市民の足として親しまれていた路面電車が60年ごろ廃止されたのも致命的。駐車場さえ乏しいこの地区は、完全に取り残されてしまった。
 事態を憂慮した地主や商店主など地元の人たちがパサデナ中央改良協会を結成して、3ヵ所の駐車場を新設した。が、すでに手遅れで、市は71年、この地区を完全に取り壊して再開発する方針を発表した。銀行や電話会社などが高層のビルを建てるほか、ショッピングセンターやオフィスビル、駐車場などを整備する大がかりな再開発計画だった。
 この動きに対し、「せっかくの美しい町並みを壊し、単調な箱型ビルを並べるなんてまっぴら」と、市民の間から猛然と反対の声がわき起こった。パサデナ歴史協会をはじめ、民間団体が次々に声を上げた。
 市が実施をためらっている間に、市も資金を出して検討を依頼していた民間のグループが、小規模業者に配慮しながら町並みの保存を図れば、再活性化が可能とする「オールドパサデナ計画」を発表、これがきっかけで、流れが変わった。
 市の反応は素早かった。それまでの行きがかりにとらわれず、市民の声を入れ、歴史的建造物破壊防止緊急条例(78年)、市街地保存地区(同年)、オールドパサデナ地区デザインガイドライン(79年)などを次々に制定し、町並み保存路線に転換した。地区では、勝手な建て替えは認められず、新築の場合も、周辺の町並みに合わせたデザインガイドラインに従わなけれはならなくなった。
 地主や開発業者の間にはこうした規制に不満が強く、いくつもの争いがあった。例えば10年ほど前、ある業者が貴重なアールデコ様式の建築群を一括買収し、巨大なショッピングセンターに建て替えると発表した。このときは、市民の猛反対で出資者が手を引いたため、業者も断念せざるを得なかった。
 いま、オールドパサデナは、古い外観を残しながらも、一歩中へ入ると近代的な商店や一流レストランが並び、活況は完全によみがえった。かつてタクシー会社のガソリンスタンドと車庫だった建物は、パティオ(中庭)のあるしゃれたレストランに姿を変えた。新築の駐車場ビルさえも、周辺の建築との調和を乱さぬようデザインに工夫がこらされている。
 「市は、道路の改良や駐車場の建設には投資をしたが、民間開発業者に補助金を出すようなことはなかった。市民の力にバックアップされたルネサンス、再開発の成功物語として、全米の関心を集めています」と市住宅・開発局の計画管理官マーシヤ・ルードさんは、誇らしげだった。(朝日新聞)
■旧国鉄ローカル線用地 夢の跡 売れず寒い風 11路線113f 細長で用途狭く
 6年前の分割民営化の際に、不採算部門として建設途中で切り捨てられ、沿線自治体などに売却されることになっていた旧国鉄のローカル線用地の半分近くが売れ残っていることが20日、分かった。放置されているのは、北海道、近畿、中国、九州など11路線で計約113f。国鉄清算事業団が売り込みに走り回っているが、幅5bほどの細長い軌道用地で用途が限られているうえ、バブル経済崩壊で税収が落ち込んでいる自治体からは色よい返事は返って来ない。中には、奈良県・吉野地方の過疎地を結ぶ阪本線のように、工事の約9割が完成しながら投げ出され、橋、堤、トンネルが残がいのように残っている所もある。
 国鉄清算事業団近畿支社などによると、奈良県五条市と吉野郡大塔村を結ぶ計画だった阪本線は総延長23`。紀伊半島を貫く「五新鉄道」構想の一部として1939年に着工。50年近い歳月をかけ、約2`を残すまでに路盤工事が進みながら、87年の分割民営化で放棄され、約40億円が無駄になった、という。
 売却対象にしているのは、西日本JRバスが専用道として使っている部分を除いた約12`、計約5万平方bの鉄道用地。しかし、処分できたのは国道拡幅用の50平方bだけ。五条市街を縦断する長さ240bの高架橋など7つの橋、5つのトンネルは「無用の長物」になっている。
 「遊歩道や自転車道にいかがですか」。担当者は、奈良県などに足を運ぶが、県は「購入計画はない」とつれない。五条市も「市道として一部を買い取りたいが、なにしろこのご時世、財政的にすぐにというわけにはいかない」という。
 地元で鉄道誘致の運動をした「五新鉄道期成同盟会」は90年、目的を果たせないまま解散。早期完成請願運動の担当者だった元五条市助役の窪田久雄さん(68)は「跡地を見ると何とも寂しくなる」と語る。
 国鉄清算事業団などによると、建設途中で工事が放棄され、事業団が売却するために旧国鉄から引き継いだ路線用地は全国で15線あり、広さは計240f。総額約 00億円が投入されたという。
 このうち事業団がこれまでに売却できたのは127fにすぎず、完売したのは興浜線(北海道)、名羽線(同)、小国線(熊本県)、油須原線(福岡県)の4線だけ。沿線市町村などが、生活道路や緑道の名目で購入している。しかし、阪本線をはじめ、根北線(北海道)、佐久間線(静岡県)、中津川線(岐阜、長野県)などの11線はほとんど処分できていないか、切り売り状態だ。
 事業団は「もともと鉄道目的の用地のため、利活用の制約がありセールスポイントがなくて苦労する」とこぼす。97年度をめどに処分完了するとされているが、その道は険しい。(朝日新聞 夕刊)
21日■カーブも速い新車両 京都−福知山1時間 JR西日本が開発へ
 JR西日本は20日、山陰線や福知山線、紀勢線などカーブの多い区間を高速で走れる新型車両の開発を進めていることを明らかにした。「西暦2000年には実用化させたい」といい、京都−福知山間(88.5`)が今より30分ほど速い1時間足らずで結ばれることになる。
 これらの「亜幹線区間」は山のため急カーブが多いうえ、駅構内のポイントも急角度のケースが多く、列車の速度を上げられない。特急の平均速度は速くて80`台、遅い場合は50`台にとどまっている。幹線の新大阪−金沢間(263.8`)が、最も速い「スーパー雷鳥」で2時間25分。3分の1の距離の京都−福知山間を特急「あさしお」が約1時間半かかるなど格差が目立つ。
 カーブを緩くするには卜ンネル化しなければならず、1ヵ所掘るのに数百億円の工事費が必要。代替手段として鉄道総合技術研究所と合同で、新型車両開発に乗り出した。
 重心を移動してカーブでの遠心力を和らげる「振り子式電車」(381系)が旧国鉄時代から伯備線などで走っているが、計画では新しい車両は振り子機能を一層強化。さらに、車体をカーボンファイバー強化プラスチックにして軽量化、車両と車両の間に台車を置く「連節型」を採用して、今の車両より全体の高さを50aほど低くし、重心を下げるなどを検討。
 1両の長さも通常の車両の半分程度にし、左右の車輪を別々の動きができるようにしてカーブへの対応力をアップ。あらかじめカーブやポイントの状況をコンピューターに入力し、自動制御する。一部軌道の手直しも行い、幹線並みの最高130`、平均100`以上、カーブのスピードも今の振り子電車より30%高めることにしている。
 JR西日本技術開発推進部は「亜幹線区間では、高速道路整備で、スピードの面で鉄道の立ち遅れが目立つ。新型車両でばん回したい」と言っている。(京都新聞)
■独東西の国鉄、元日に統合 JRの例参考に民営化し再出発
 【ボン20日共同】旧西ドイツ国鉄と旧東ドイツ国鉄が来年1月1日に合体し、ドイツ鉄道株式会社としてスタートする。
 冷戦終結や欧州共同体(EC)統合に伴う東西欧州の輸送量の増大に対応した戦後最大の鉄道改革の一環。民営化によって経営コストを大幅に低減し、赤字を克服するとともに、鉄道網の拡充とスピード化を図る。
 民営化は日本の国鉄分割などを参考にし、株式会社の下に@旅客輸送A貨物輸送B線路整備−の3部門を設置。2002年にそれぞれ独立した株式会社に移行する。
 助成金などをめぐって連邦政府と州政府との調整が難航、計画に黄信号がともっていたが、各州政府代表で構成する連邦参議院が17日に民営化法案を可決、最終決着した。
 両国鉄の700億マルク(約4兆5000億円)以上に上る累積債務は、連邦政府が肩代わりし、石油税の引き上げなどで賄う。老朽化した旧東ドイツ鉄道網の新設・補修贅として330億マルクを援助する。
 ドイツはこれまで道路優先社会だった。しかし、アウトバーン(高速道路)をはじめ道路の輸送量がパンク状態になり、車の排ガスによる環境汚染も深刻化。そこで陸上輸送の比重を道路から鉄道に移し、同時に鉄道赤字を解消する一石二鳥策として、連邦政府は昨年夏に鉄道重視策への転換方針を打ち出した。(京都新聞)
■信楽事故 損害賠償訴訟 JRが責任全面否定 口頭弁論「車両貸しただけ」
 死者42人を出した一昨年5月の信楽高原鉄道列車衝突事故で、犠牲者9人の遺族23人がJR西日本と高原鉄道両社を相手取り総額約11億4000万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が20日、大阪地裁(林泰民裁判長)で開かれた。JR側は「JR列車とされる車両は、貴生川−信楽駅間では高原鉄道の列車で、事故は高原鉄道列車同士の正面衝突だった」と事故責任を否定、全面的に争う姿勢を見せた。
 答弁書でJR側は、信楽高原鉄道と締結した「車両直通運転契約」「直通乗り入れに関する協定」などに基づき、「高原鉄道線内では、JR西日本は車両と人員を貸与しただけ」とした。一方、高原鉄道側は損害賠償責任を認めた。
 この訴訟で原告側は、事故原因について▽高原鉄道列車が進路の安全確認を怠った▽JR側の安全管理に落ち度があった−などと主張、鉄道両社に慰謝料と逸失利益などの賠償を求めている。この日の意見陳述では、妻を亡くした吉崎俊三原告団長(60)=宝塚市=ら3人が「JRの責任を認めさせる事が犠牲者に対する供養であり、われわれの使命」と述べた。第2回口頭弁論は3月14日の予定。(京都新聞)
■事故前日から車輪異常回転 のぞみモーター破損
 兵庫県内の山陽新幹線で16日、走行中ののぞみ14号のモーターが破損した事故で、破損したモーターに付いた車輪が事故前日から事故までに、280回も空転や滑走などの回転異常を繰り返していたことが20日、明らかになった。
 同車両の自動列車制御装置(ATC)の作動状況を監視する「ATCチャート」と呼ぶ記録から判明したもので、JR西日本は事故前日の夜、この記録をチェックしていながら、事故の前兆だった異常な車輪の空転を見逃していた。同社は「異常に気付いていれば事故は防げた」としており、甘いチェック体制に批判が集まりそうだ。(京都新聞)
■近鉄・東寺駅 地元の熱い望み実った エスカレーター完成 上り専用、上下に各1基
 京都市南区の近鉄京都線・東寺駅に、かねてから地元から強い要望のあったエスカレーターが完成、関係者や住民らが集まって20日、しゅん工式が行われた。
 同駅はホームが地上約7bの高架上にあり、周辺は高齢者が多いほか、毎月21日の東寺の縁日には、多数の利用者であふれるため、地元がエスカレーターの設置を要望。近鉄側が昨年9月から約10億円をかけて、整備していた。
 完成したエスカレーターは上り・下リホームに各1基。どちらも斜面の長さ約12bで、上り専用。利用者数に合わせて、上リホーム側が1人用、下リホーム側が2人用となっている。
 この日のしゅん工式には、住民ら約30人が出席。テープカットとくす玉を割って、完成を祝った後、真新しいエスカレーターを見学してまわった。(京都新聞)
■終夜運転や増発 年末年始の市バスと地下鉄
 年末年始の初もうで客に対応するため京都市交通局は20日、市バスと地下鉄の臨時運転計画を発表した。
 31日大みそかから元旦にかけては、壬生から北野天満宮前を経て平安神宮前までの区間を往復する特201号系統と、京都駅前から北野天満宮前を経て同駅前に戻る特50号系統を、午後10時から午前5時半までおおむね15分間隔で終夜運転。
 また、地下鉄も最終を約2時間延長して、午前1時半ごろまでおおむね30分間隔で運行する。
 ほかに1日から4日までは京都駅前から平安神宮、銀閣寺、八坂神社、清水寺、北野天満宮の各方面、1日から3日までは伏見稲荷大社行きの市バスを臨時増発する。(京都新聞)
■電車から煙、運休 JR奈良線宇治駅
 20日午後2時50分ごろ、宇治市宇治のJR奈良線宇治駅で宇治発京都行き普通電車が発車しようとしたが動かないため、運転士が調べたところ、先頭車床下の制御機器用の木箱から煙が出ていた。同電車は運転を取りやめ、乗客15人は後続の電車に乗り換えたが、同電車を含めて上下5本が運休、6本が20分−2分遅れ、1300人に影響が出た。JR西日本が原因を調べている。(京都新聞)
■カーブはおまかせ
 JR西日本は、鉄道総合技術研究所(JR総研)と共同で、急カーブでも時速100`で走ることのできる在来線用の新型特急を開発し、2000年にも伯備線、紀勢線に導入する計画を、20日発表した。
 新型特急は「WEST-21」と名付けられ、台車が最大の特徴。JR西日本によると、現在の車輪は左右が一体化しているが、新しい台車は左右の車輪が独立して動く。さらに台車の位置を現行の車体の下ではなく、車両と車両の連結部に置く。より曲がりやすくするために、車両の長さも半分程度に短くする。
 これらにより、これまで時速65`が限界となっている半径300bのカーブを、直線並みに時速100`以上で通過できる、という。
 JR西日本は、新型特急を伯備線「やくも」、紀勢線「くろしお」の後継車として2000年をめどに配備する考えだ。実現すると、新大阪−新宮間は、現行「くろしお」の約4時間が約3時間に、岡山−米子間は、同「やくも」の約2時間が約1時間半に、それぞれ短縮される見通しだ。(朝日新聞)
■信楽事故 JR責任を否定 第1回口頭弁論 全面的に争う姿勢
 1991年5月、死者42人、重軽傷者614人を出した信楽高原鉄道列車衝突事故をめぐり、犠牲者9人の遣族がJR西日本(本社・大阪市)など2社を相手取り総額約11億3600万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が20日、大阪地裁(林泰民裁判長)で開かれた。被告のJR西日本は事故の責任を否定、全面的に争う姿勢を示した。もう一方の被告である信楽高原鉄道(本社・滋賀県信楽町)は、賠償責任を認めたうえで、原告の主張する損害額などは争うとした。
 訴えの中で遺族側は、JR西日本が信号工事を無許可で行い、この工事が事故の引き金になったと指摘している。しかし、事故をめぐっては信楽高原鉄道の社員ら3人が業務上過失致死傷罪などで起訴されたものの、JR西日本の幹部らは刑事訴追されていない。
 口頭弁論では原告・弁護側の意見陳述があり、木村澤東弁護団長は無許可の信号工事を挙げ「JR西日本の安全対策欠如が真の事故原因だ」と主張した。
 遺族側は「信楽列車事故遺族訴訟原告団」を結成、3人が意見陳述した。団長の兵庫県宝塚市の会社員吉崎俊三さん(60)は「100パーセントの人災事故にもかかわらず、事故の責任を明確にできない。JR西日本の不誠実な態度に怒りを感じる」と述べた。
 事故で夫を失った大阪府茨木市の後藤泰子さん(50)は「安心して乗った主人は殺されたのに、JRに刑事責任はないという。泣いて事をおさめろというのですか」と訴えた。
 これに対し、JR西日本は答弁書で「(事故区間では)契約上、信楽高原鉄道に車両と乗員を貸与しており、事故は信楽高原鉄道の列車同士の衝突だ」などとして、事故の責任を否定した。(朝日新聞)
■野上電鉄などの補助金打ち切り
 赤字経営が続く地方の民営ローカル鉄道に対して、運輸省が交付している「欠損補助金」について、同省は来年度から、野上電気鉄道(和歌山県)、栗原電鉄(宮城県)、弘南鉄道(青森県)、上田交通(長野県)の計4社の補助を打ち切る。4社のうち2社は、「並行道路がある」という理由で、残る2社は「経営が好転した」というのが、打ち切りの理由だ。野上電気鉄道は今年いっぱいで廃業に追い込まれそうだ。(朝日新聞)
■「のぞみ」再点検へ 28日までに全車両実施 運輸省、異例の指示
 山陽新幹線で16日に走行中の「のぞみ」の主モーターが破損して立ち往生となった事故で、運輸省は20日、JR西日本、東海両社に対して、年末年始のラツシュが始まる28日までに「のぞみ」全車両(30編成)の台車の緊急点検を実施するよう指示した。両社は事故後、台車の点検を実施、「異状はない」として営業運転を続けているが、同省鉄道局はモーター破損という初めての事故を重大に受け止め、利用客の安全と定時輸送を万全とするため、異例の「再点検」を指示したものだ。
 JR西日本の調べによると、故障した16日の「のぞみ14号」の5号車の台車は、主モーターの軸受けが破損していたほか、主モーターの回転をギアに伝える「継手(つぎて)」が3分の1ほど無くなっていた。さらに、ギアケースにも約40aに渡って亀裂が入り、中の歯車も欠けていた。
 走行中の異状を記録する「ATCチャート」と呼ぶ記録器を調べたところ、5号車の車輪が事故前日の15日から空転を繰り返していたことがわかった。このため、JR西日本では破損は主モーターの異状から起こったと推測、詳しい原因の究明を鉄道総合技術研究所(JR総研)に依頼した。
 主モーターの破損を重視した運輸省鉄道局は20日、JR西日本、東海両社に対して@台車の緊急点検の実施A今後の安全対策B原因の早期究明−を指示した。また、問題の台車を分解して原因究明にあたっているJR西日本の博多総合車両所(福岡県)に九州運輸局の職員を派遣し、車両担当者から破損状況や検査態勢などを聴いた。
 台車の緊急点検はすでに、JR西日本、東海両社とも16日から17日にかけて全車両を対象に実施。JR西日本ではその際、再発防止策として、主モーターに温度上昇を検知するシールを張り付けた。運輸省の指示を受け、同社ではこのシールやATCチャートを活用した再点検を今週中にも実施する計画だ。(朝日新聞)
■売れ行き不振です 市バス・地下鉄プリペイドカード 回数券に比べ割高 一度も利用のない車も
 京都市交通局が7月から導入した市バス、地下鉄共通のブリペイドカード「トラフィカ京カード」の売れ行き、利用が低調だ。回数券に比べ割高で、地下鉄では乗車券に交換しなければならない不便さがネックに。市バスでは全く利用がない光景も珍しくなく「このままでは宝の持ち腐れ」との声も出ている。
 同カードは1000円、3000円、5000円の3種類で、3000円と5000円には6.3%と7.4%のプレミアが付いている。市バスでは降車時に読み取り機に通し、地下鉄では券売機で乗車券に引き換えて使う仕組み。
 市交通局の話では、同カードの売れ行きは開始当初の7月と委託契約販売が含まれる8月の2ヵ月は何とか月平均約1万3000枚、約3000万円に達したが、9月から前月の半分以下にガタ減り。9、10月は6−7000枚、1300万−1500万円しか売れず、4ヵ月の販売額は交通局の目標額の4分の1の約8800万円にしかならなかった。同カードが定期外の収入に占める比率はわずか1%強。
 市バスでは運行中に一度も利用がない車両もある。ある運転手は「全く利用がありませんなあ。回数券より割高だし(多区間系統では)乗るときにもカードを入れなければならないので手間がかかるからでは」と難点を認める。
 同様のプリペイドカードでは、阪急電鉄が89年から始めている「ラガールカード」があるが、同カードは直接、集改札機に通すことができる便利さがあり、92年度販売実績は359万枚、約56億5000万円に上る。定期外収入に占める比率は10.9%と好調で、京都市の市バス・地下鉄とは好対照。
 市交通局経営推進室は「小銭が無くても乗れるように市民の便宜を目的に導入したが、良く売れているとは言えないかもしれない。財政事情が許せば本年度から3年計画でカードを地下鉄の集改札機に直接通せるように機器を更新していきたい」と話している。(京都新聞 夕刊)
22日■TGV時速300`で脱線 横転免れけが人なし フランス
 【パリ21日共同】フランス新幹線(TGV)の列車(7両編成)が21日午前7時15分(日本時間同日午後3時15分)ごろ、パリの北方約100`のアミアン付近を高速走行中に旅客車両5両が脱線したが、横転を免れたため、乗客にけが人はなかった。
 フランス国鉄の発表や現場からの報道によると、列車はベルギー国境に近いバレンシエンヌ発パリ行きで、乗客は約170人。事故当時、営業運行の最高速度に近い時速約300`で走っていた。
 TGVは各車両が強く連結している上、車両間を貫く「しん棒」で強化されているため、脱線車両は前後の動力車両に支えられて、横転を免れた。
 現場からの報告によると、列車は脱線後も約2`突っ走ったが、横倒しにならなかったため、車体には大きな損傷はなかった。
 国鉄は事故列車をパリに回送して原因を調べるが、数日来の大雨で線路のバラストが緩んだとの見方が出ている。
 事故のあったTGV北線は今年5月の開業。乗客の話だと、車両は激しく上下に振動したが「床に伏せろ」とだれかが叫んだため、ほとんどの人がこれに従ったという。
 この事故のショックで血圧の上がった乗客6人が車内で応急処置を受け、うち1人が病院に移送されたが、事故による負傷者はなかった。
 フランスが誇るTGVの脱線事故は1981年の営業開始以来、2回目。前回は88年2月にブルゴーニュ地方で線路に落下したコンクリート塊に乗り上げて脱線したが、速度が時速約150`だったこともあって横転は免れ大事に至らなかった。
・仏新幹線は連接方式 日本はまだテスト段階
 JR東日本の車両技術者によると、21日に脱線事故を起こしたフランスの新幹線(TGV)では、車両の連結部下にモーターなどを納めた台車を配置する「連接台車」方式が採用されている。
 連接台車のメリットは@カーブでの揺れが少なくなるA台車部分が座席と離れるので騒音も小さくなる−など乗り心地が向上する点。当然、車両と車両の連結も強くなる。
 日本の新幹線はすべて「非連接方式」で、台車は客車の下に納められており、連接方式は日本の場合、JR東日本が開発中の次世代新幹線STAR21などでテストが行われている段階。(京都新聞)
■時速300`脱線 仏・新幹線 幸いけが数人
 【パリ21日=大井屋健治】パリ北方約130`のショーヌで21日午前7時ごろ、バランシェンヌ発パリ行きの新幹線TGV8両編成)の一部が脱線、乗客数人が軽いけがをした。
 仏国鉄(SNCF)によると、脱線したのは5両。事故当時列車は時速約300`で走行中で、多くの乗客は座席から投げ出された。しかし、脱線した車両が横倒しにならなかったため、負傷者が少なくてすんだという。
 原因について仏国鉄は、前夜からの雨で線路の地盤が緩んでいたためではないかとみている。(朝日新聞)
■雪で20分の遅れ 東海道新幹線
 東海道新幹線は、岐阜圏・関ヶ原付近で降った雪のため、22日朝の始発から名古屋−新大阪間で徐行運転を続けた。この影響で上りは名古屋駅で15−10分、下りは新大阪駅で20分前後の遅れが出た。(京都新聞 夕刊)
■名古屋−大阪間 雪の影響で新幹線徐行
 21日夜から米原−関ヶ原付近に降った雪の影響で22日朝、新幹線は始発から、名古屋−大阪間で120`と170`の徐行運転をしている。
 JR東海によると、上りが名古屋を15分から10分遅れて発車、下りは新大阪に20分遅れて到着している。(朝日新聞 夕刊)
23日■スリ、線路に飛び降り捕物騒ぎ 40分停車、3万5000人に影響 JR品川駅
 22日午後6時ごろ、東京都港区のJR山手線品川駅の電車内で、男が若い女性のショルダーバッグに手を差し込み、スリをしようとしたのを張り込んでいた警視庁捜査三課の捜査員3人が見つけた。
 捜査員が逮捕しようとしたところ、男は捜査員に体当たりして電車から飛び降り、線路上を大崎駅の方向に走って逃げた。捜査員が追いかけたが、見失った。
 この捕物騒ぎで山手線、京浜東北線、東海道線の電車が最高約40分間ストップ、ダイヤが乱れた。
 同課の調べによると、犯人は身長165aぐらい。黒セーター、紺色ズボン姿でサングラスを掛けていた。現場に犯人が持っていたハングル文字で書かれた本が落ちていたことから、同課は最近都内で急増している韓国人スリの疑いがあるとみて捜査している。
 JR東日本によると、同43分に運転を再開したが、山手線は18本が運休、34本が遅れ、京浜東北線は8本運休、16本が遅れ、東海道線も16本に遅れが出るなど乗客約3万5000人に影響が出た。(京都新聞)
■通過列車と接触? ホームで男性死亡 JR大津駅
 22日午後9時35分ごろ、JR大津駅の下り4番ホームで、男性が顔から血を流して死んでいるのを乗客が見つけた。大津署では、通過列車と接触したのではないかとみて、身元の確認を急いでいる。
 これまでの調べでは、ホーム上にあおむけの状態で倒れており、ほぼ即死状態だった。現場を同時刻ごろ通過した貨物列車に「男性が吸い込まれるように倒れた」との乗客の目撃から、同署は貨物列車が現場を通過した際、男性と接触したと見て調べている。
 男性は年齢5、60歳くらい。草色のレーンコートに灰色の背広を着ており、茶色の布製の帽子に、黒い短靴を付けていた。(京都新聞)
■関空へロボット電車 南海の新車両公開
 大阪・泉州沖の関西国際空港に乗り入れる南海電鉄のアクセス特急「ラピート」の第1号車となる1編成6両が完成し22日、横浜市の東急車両横浜工場で公開された。
 ノーズが突き出しロボットを連想させる形の先頭車と、ユニークなだ円形の窓。海上に浮かぶ新空港をイメージしてメタリック・ブルーで統一されたボディーカラー。新特急ラピートは開港後、大阪・難波と新空港の間42.8`を29分で結び、1時間に上下2本ずつ運転される計画だ。
 ラピートの空港島への初の乗り入れとなる試運転は、来年4月に行われる。(京都新聞)
■鶴見緑地線の門真延伸 大阪府・市が73億円 事業費の1/3 多額の負担
 1997年、大阪府門真市などで開かれる夏期国体の足として、大阪市営地下鉄「鶴見緑地線」の門真市への延伸を目指す大阪府と大阪市は、総事業費244億円の約3分の1に当たる73億円を「開発者負担金」として支出する方針を固めた。国体開催までに開通するには来年度に着工する必要があるため、国の補助額を減らして来年度予算編成で事業採択されやすくなることを狙った措置。地下鉄事業をめぐり、自治体がこれほどの負担金出すのは極めて異例だ。
 鶴見緑地線の延伸計画は、大阪市鶴見緑地駅と大阪府門真市の門真南駅間を結ぶ1.3`。同線は花の万博前に鶴見緑地−京橋間が開通した。その後、心斎橋を経て大正区までの延伸がすでに決まっており、今回の延伸計画が認められると、総延長は約15`になる。
 府市が負担を予定する73億円は、門真南駅の建設工事。8両編成の電車が止まるホームや駅舎分の費用を自治体が独自に負担、延伸工事の誘致を促進することにした。
 事業採択されれば、国は、この地元負担分を除いた建設費の約2割を地下高速鉄道建設費の名目で補助するが、市などの試算では、地元負担のない場合より約19億円少ない35億円の補助額で済むという。73億円の負担内訳については、府と市が協議している。
 府と市は来年度中の着工を目指して国に新規事業採択を働きかけてきたが、今夏の概算要求には、盛り込まれなかった。
 しかし、夏期国体でメーン会場になる「府立門真スポーツセンター」へのアクセスを開催までに整備する必要がある▽門真南駅予定地では第二京阪道路のジャンクション建設計画も進んでおり、駅の着工が後になると40〜50億円余分に費用がかかる▽通勤通学の足確保−などの理由から、来年度予算での事業採択を求めてきた。
 大阪市では昨年、鶴見緑地線のOBP(大阪ビジネスパーク)駅(仮称、中央区)の建設に際し、企業側が約100億円の「地下使用料」を無償にする形で開発利益を還元した例がある。(朝日新聞)
■論壇 新幹線はフル企画でこそ有効 北村正哉(青森県知事=投稿)
 整備新幹線の見直し問題が、政府・与党で議論されています。「新幹線」の建設をどう進めていくかについて、さまざまな意見があります。「今後建設が予定されている地域は、人口が少なく、採算性が悪い」という意見もあります。
 先日は、朝日新聞社説で「“政治”新幹線はごめんだ」との意見も出ました。私どもの青森県は、この20年間、フル企画の新幹線の実現を目指して、要請を続けてきました。その立場から、地元としての考えを述べたいと思います。
 新幹線計画本来の目的は、国土政策上、あるいは交通運輸政策上の観点から高速鉄道ネットワークはどうあるべきかという点にかかわってきます。さらに高速交通ネットワークの形成の重要性については、国土政策の基本ビジョンである四全総にもうたわれています。国土の均衡ある発展、東京一極集中排除などは緊急の課題でもあります。採算性のみでは律することができない、大きくて基本的な国家的要請に基づいて新幹線計画が策定されたはずです。
 採算性を度外視し、JRに過度の負担をさせることは私も反対です。第二の国鉄をつくってはならないと思います。だからこそミニ新幹線でなくて収支改善効果の大きいフル規格にすべきだと考えるのです。そしてJR負担を受益の範囲内とし、国家的プロジェクトとして公共事業に準じて建設してほしいとお願いしてきたのです。
 財政当局からは、財政の効率性から反論があるでしょう。しかし、それでは、地方には公共投資が不必要というのでしょうか。地方の活性化は必要ないのか、と申し上げたいのです。既設新幹線が地域開発に与えた例からすれば、財政の効率性をことさら強調する議論には納得しかねるものがあります。
 「整備新幹線は“政治”新幹線だ。政治家の票集めの道具だ」といったような意見については次のように考えます。
 新幹線がどうあるべきかということは、21世紀に向けて日本はどうあるべきかという大きな政治的問いかけと同じではないでしょうか。
 私たち地域住民はこれまで「新幹線の希望の灯は消さない」という言葉を信じつつ、新幹線の建設実現を訴えて参りました。もともと東北新幹線(盛岡−青森間)は1973年にフル規格による整備計画が策定され、その後ルートも駅舎の位置もアセスメントも公表され、国民に対して約束されました。そして、国土縦貫幹線としての重要性から、東北・北海道1500万人の地域住民はもとより、政治的にも全政党によって超党派で支持され訴え続けられてきたものです。
 88年に当面の措置として暫定案が出されましたが、同時に5年後の見直しも約束され、従来の全線フル規格で造るという計画は生きていることが念を押されています。従って、以前の自民党の公約も、今度の連立与党の新幹線見直し専門委員会の中間報告内容も、すべて純粋にフル規格であるべきだという理念に基づいたものであることに間違いなく、とても票集めを目的としたものなどとは考えられないのであります。
 「国全体の総合交通体系の観点から議論すべきだ」という意見もありますが、四全総の思想も全国新幹線鉄道整備法の精神もまさに国土の総合交通体系の観点から生まれたはずです。私どものフル規格運動も、まさしくこの観点から続けられています。
 東京−青森間は国土の主軸となる日本列島縦貫幹線の形成に欠くことのできない最重要区間です。現在高速化が進められているフル規格新幹線では近い将来最高時速350`メートルの運転を目指しておりますが、かりにミニ新幹線で整備されれば日本の国土幹線が将来とも時速130`メートル以上は望めないことになります。
 最高時速350`メートル運転が実現されれば、東京−青森間は約2時間半で結ばれ、首都圏からの1日交流圏となります。フル規格新幹線によってこそ鉄道の特性が発揮できる圏内となると考えるのです。地方分権の確立にも大きく寄与するはずです。
 21世紀を迎えようとしている今日、私どもは未来を見据えた政策を政府に期待するものであります。どうか、北海道から九州までは日本国土の背骨を通し、その喉(のど)元に当たるべき東北新幹線(盛岡−青森間)については、全線フル規格で建設するとの決定をしていただきたいのです。(朝日新聞)
■青光り一番列車 関空乗り入れる 南海特急が完成
 関西国際空海へ乗り入れる南海電鉄の特急「ラピート」の一番列車(6両)が22日、完成した。ラピートはドイツ語で「速い」という意味。鈍く突き出た先頭車両はこの名前をイメージしたという。客席の丸窓も航空機を連想させる。来年1月中旬にも、横浜市金沢区の車両メーカーからJR貨物の電気機関車に引っ張られて大阪入りし、その後、時速130`の試運転を繰り返し、来年9月の開港に備える。
 「ラピート」は大阪・難波−関西空港間を29分で結ぶ。今年4月から、東急車両製造で製作が始まり、約8ヵ月かかって1編成6両が完成した。車体は海上空港である関西空港にちなんで「輝く青」。客室は252の全席が指定で、5、6号車は居住性を高めたスーパーシート車両となっている。トランクを入れる荷物スペースや電話、自動販売機も備えている。(朝日新聞)
■強風で通行止め JR山陰線余部鉄橋
 兵庫県城崎郡香住町、JR山陰線の余部鉄橋が20−30b強風のため、22日午後8時15分から通行止めになり、浜田(島根県)発東京行き寝台特急「出雲4号」が午後8時20分から鳥取駅で停車したほか、普通列車なども途中駅で停止している。JR西日本米子支社によると、2時間半以上の遅れが出ている。(朝日新聞)
24日■日本”烈凍”大荒れ 東北新幹線6時間ストップ
 強い寒気団にすっぽりと覆われた23日の日本列島は北日本を中心に雪交じりの強風が吹き荒れ、東北新幹線が6時間にわたってストップしたのをはじめ、空や陸の交通網は大幅に乱れた。海も大しけとなり、福島県沖の太平洋では漁船2隻が遭難、計7人が行方不明となるなど冬将軍の猛威にさらされた。
 東北新幹線は宮城県内の強風のため同日午前8時45分から白石蔵王−仙台間でストップ。この影響で同線は一時、盛岡−大宮間で上下線とも運転を見合わせた。午後2時38分運転を再開したが、52本が運休、34本が最高5時間56分遅れ、約5万1000人が影響を受けた。
 東海道新幹線も関ケ原などの雪のため、始発から徐行運転。92本に30分前後の遅れが出たが、午後3時半ごろまでにほぼ平常運転に戻った。影響人員は約7万1000人。
 また、空の便も日本エアシステムの花巻−名古屋便などで欠航が相次いだ。
 オホーツク海上の発達した低気圧の影響で、大陸から強い寒気団が流れ込み、青森、山形、福島の山間部で110−148aの降雪を記録した。
・西日本各地も強風と積雪
 全国的に典型的な冬型の気圧配置になった23日午前、西日本各地は強い風が吹き積雪を記録した。
 大阪管区気象台によると、滋賀、兵庫、鳥取各県、京都府の日本海側で20−30aの積雪。
 JR山陰線と福知山線は、上下計24本が最高で50分遅れ、乗客約2400人に影響した。(京都新聞)
■国鉄民営化不採用問題 JRに救済命令 中労委 北海道の450人対象に
 国鉄の分割・民営化の際のJRへの不採用問題で、中央労働委員会(中労委、萩沢清彦会長)は24日、北海道と大阪の国労事件について命令を出した。最大の争点とされたJRと国鉄の関係では「国鉄の不当労働行為の責任はJRが負う」と判断し、JRの当事者適格を認めた。
 その上で1704人が救済を申し立てた北海道事件では「少なくとも採用手続きの一部に不当労働行為があった」と認定、JR北海道とJR貨物に対して、平成2年4月に国鉄清算事業団を解雇された国労組合員(国労調べで451人)を対象に、改めて当時の採用基準に基づいて選考した上で採用するよう求める救済命令を出した。
 しかし、2人が申し立てた大阪の国労事件では「不当労働行為に該当しない」と、大阪府地労委の命令を取り消し、国労側の救済申し立てを棄却した。
 一連の不採用事件での中労委命令は初めて。JRは当事者適格の判断を、国労は大阪の事件での命令をそれぞれ不満として行政訴訟に持ち込む可能性が高い。(京都新聞 夕刊)
■JR不採用 大阪事件 救済命令取り消す 中労委 北海道事件は救済
 1987年4月の国鉄の分割民営化に絡むJRの採用差別事件で、中央労働委員会(中労委、荻沢清彦会長)は24日、初の命令を交付した。命令が出たのは、国労関係のJR北海道・JR貨物(北海道)事件とJR西日本(大阪)事件の2件。命令は、両事件について、「不採用に不当労働行為があった場合は会社が責任を負わなければならない」と、北海道、大阪の地方労働委員会(地労委)の判断を支持。その上で、北海道事件については、一部に不当労働行為があったとして、90年4月に国鉄精算事業団を解雇された組合員の「相当数」を、87年4月にさかのぼって採用し、今後3年以内に就労させる、などの救済をJR側に命じている。しかし、大阪事件については、不当労働行為は成立しないとして、大阪地労委の救済命令を取り消した。
 使用者責任についてJR側は、「国鉄とJRは別法人で、JRには当事者適格がない」と主張してきた。だが、命令はその主張を採用できないと退け、「責任はJRに貴族すると解するのが相当」との判断を示している。
 そして、北海道事件では、「国労と他組合の間に採用率(希望者に占める採用者の割合)で著しい格差がある」などと指摘し、「一部につき不当労働行為が成立する」と認定。精算事業団の被解雇者のうち、希望者を対象に改めて採用者を選考し、87年4月にさかのぼって採用した者として扱うとともに、命令交付日から3年以内に就労させるよう命じた。就労の職種・職場については国労と協議し、採用した者には、解雇された90年4月以降、就労するまでのボーナスを含む所定内賃金の6割を支払うよう命じている。
 一方、大阪事件については、不採用になった2人が86年に国鉄当局の行った教育指導を妨害し、停職6ヵ月の処分を受けたことを指摘。国鉄が2人を採用者名簿に載せず、JRが採用しなかったことは、「不当労働行為に該当するとは言えない」とした。(朝日新聞 夕刊)
■トラックと快速が接触 JR予讃線 影響3500人
 24日午前7時50分ごろ、香川県坂出市本町一丁目、JR予讃線の富士見町踏切(警報機、遮断機付き)で、岡山発高松行き快速電車マリンライナー5号が、高松市三谷町、運送会社「三渓運送」の大型トラック=岡田邦博運転手(42)=が積んでいた鋼材と接触した。電車のフロントガラスが割れ。松本嘉夫運転士(51)が顔に軽いけがをした。この事故で、電車は現場に約1時間停車、快速など上下8本が運休、特急など上下28本が最高1時間20分遅れ、約3500人に影響が出た。(朝日新聞 夕刊)
25日■道路飛び越え店直撃 南海暴走 検車係のミスか
 25日午前9時20分ごろ、大阪府泉南郡田尻町嘉祥寺の南海本線羽倉崎駅にある羽倉崎検車区(車庫)で、回送中の電車(4両編成)が車止め(高さ約50a)を乗り越えて約20b暴走、道路(幅4b)反対側の仏壇店「日進堂」(佐々木増光さん経営)のシャッターにめり込んだ。隣の電気工事店の事務所兼資材置き場も壊れた。けが人はなかった。
 南海電鉄運転指令の話では、事故の起きた検車区内には、自動列車停止装置(ATS)はなく、完全な手動運転。事故当時、検車係員(28)が運転していた。電車はレールを曲げた形の車止めを乗り越えジャンプする形でフェンスをなぎ倒し、道路を横切って突っ込んだという。通常は時速15`以下で運転することになっているが、当時は15`を超えるスピードが出ていたらしい。
 この電車は、難波発羽倉崎行きの急行電車(8両編成)としてこの日午前9時15分に羽倉崎駅に到着。4両ずつに切り離し、事故車両は清掃のために入れ替え中だった。運行には異常がなかったことなどから、同運転指令は、検車係員のブレーキ操作ミスではないか、とみている。
 「日進堂」の経営者佐々木さん(52)によると、この日午前10時10分ごろ、妻と出勤し、店舗のガレージに電車が突っ込んでいるのを知った。シャッターが押し倒され、天井も落ち、約30平方bの店内はぐちゃぐちゃになっていた。展示してあった仏壇も二、三壊れた。佐々木さん夫婦は、堺市浜寺船尾東三丁目の自宅から通勤。いつもは午前9時半ごろ、店に着いているが、この日はたまたま家を出るのが遅れたため事故に遭わなかった、という。
 佐々木さんは「喫茶店に寄ってのんびりしていたため遅れたが、いつも通り出勤していたら大変な目に遭っていた。電車が突っ込まなければいいが、と心配はしていたが、まさかこんなことが起こるなんて。年末で納品に追われているのに、頭がいたい」と話していた。
 羽倉崎検車区は日常運用している電車の整備などをする車庫で、敷地面積が約3万7370平方bあり、約170両を収容できる。
 現場は、関西国際空港の対岸で造成が進む「りんくうタウン」のすぐ南西で、泉佐野市との境付近。電車が突っ込んだ仏壇店などは貸しガレージとなっている。(朝日新聞 夕刊)
26日■連結金具は大阪で製造 新幹線妨害事件
 滋賀、岐阜両県で起きた東海道新幹線列車妨害事件で、犯行に使われた連結金具が大阪市内で製造されたものであることが、25日までに滋賀県警捜査本部の調べで分かった。
 この連結金具は建設現場などで重い物をクレーンでつり下げる際などに使われ、「シャックル」と呼ばれる。鉄製で、事件ではレールに数回巻きつけたチェーンやワイヤーロープを固定するために使われていた。
 捜査本部は金具の用途が限られていることから販路の特定などを急いでいる。
 事件は6月10日、岐阜県不破郡関ヶ原町で東海道新幹線の上り線にワイヤーロープが巻かれ、列車の車輪で切断されているのを点検中の作業員が発見した。
 次いで、8月28日深夜、滋賀県彦根市で下り線を走行中の「のぞみ」が異音を感じ急停止。太さの違うチェーンがレールに巻かれ車輪で切断されていた。どちらの事件も同様の連結金具でワイヤやチェーンが留められていた。(京都新聞)
■検車係がわき見か? 南海暴走
 25日朝、大阪府田尻町にある南海電鉄の羽倉崎検車区(車庫)で起きた回送電車の暴走事故で、大阪府警泉佐野署と南海電鉄は、電車を運転していた検車係員のわき見によるブレーキの掛け遅れが事故の原因とみて調べている。
 泉佐野署の調べに対し、この係員は「よそ見をして気が付くと車止めに突っ込んでいた」と話しているという。また、事故後の記者会見で、南海の林禎彦・取締役鉄道事業本部次長も係員が事故直後に現場の責任者に「ブレーキミスをしてしまった」と報告していたことを明らかにしたうえで、「うっかりミスによる事故」との見解を示した。
 暴走した電車の復旧作業は同日午後2時ごろから始まった。大型クレーン2基で店舗に突入した車両をつり上げ、同5時過ぎに車庫内のレールに戻した。事故車両が横断して止まった道路の幅が狭いうえに、周辺に電線が多いため作業が手間取った。
 一方、南海は再発防止のため、26日から沿線に7ヵ所ある検車区すべてで安全運行の再教育の実施と、当分の間、検車係が車庫内で電車を運転する際に、主任級の社員を添乗させることを決めた。(朝日新聞)
■サンデーガイド ちいさな旅 歴史重ねた寺「日本永代蔵」の舞台 古い街並み保存の動き
 来年9月に開港する関西国際空港の地元、大阪南部の泉州地方は、南海本線とJR阪和線の2つの鉄道沿いにまちが延々と連なる。その泉州で、貝塚の街並みは一味違う雰囲気が漂う。山手と海辺を結ぶ小さな鉄道のレールの両側に、歴史を重ぬた寺があった。井原西鶴の「日本永代蔵」の舞台になった水間寺と、豊臣時代に一時、本願寺が置かれた願泉寺だ。(安東 建)
 今年9月に阪和自動車道が全線開通したため、貝塚には車でも行きやすくなったが、鉄道で訪れた。総延長が5.5`のミニ鉄道、水間鉄道に乗る楽しみがあったからだ。
 水間鉄道の貝塚駅から終点の水間駅まで、電車は朝夕のラッシュ時が15分おき、昼間は20分おきに単線の路線を行き来する。10駅の全区間を乗っても所要時間はたったの14分だ。
 大正時代末期に、水間寺への参拝客を運ぶために登場した水間鉄道。開業当初からの駅舎が残る水間駅から街道筋を歩き、5分ほどで水間寺の正門前に出る。奈良時代に聖武天皇の勅願寺として僧行基が開いたという天台宗のお寺。秬谷(きびたに)川と蕎原(そぶら)川の2つの川に挟まれた場所に立つことから、「水間」の名がついた、と伝えられている。
 正門の前を流れる蕎原川に太鼓橋がかかる。文化8年(1811)に建立されたという本堂と、「日本永代蔵」にまつわる三重の塔が見える。
 日本永代蔵の「泉州水間寺利生銭(りしょうのぜに)」という話はこうである。江戸の回船問屋の若者が、寺から一貫文もの大金を借り、13年目に8112貫文にして返し、それに感激した寺僧らが、その喜びを語り伝えるために三重の塔を建立した、というのだ。その後、三重の塔は焼けたが、現在の塔は天保年間(1830−44)に再建されたと言われる。
 厄除(やくよ)け観音として有名で、今でも厄年の人たちがモチ米などを供える。その昔、信仰深い人々が持ち寄った作物が、貨幣の形で困った人に貸し出され、勤勉な人々はそれを元手に資本を増やす。西鶴の時代も今も、人の営みは変わらない。
 この寺は、代々、座中(ざなか)と呼ばれる壇家たちの自治組織によって運営されてきた。60歳になれば得度して、僧籍に入り、仏に奉仕する人もいる。その一人、山本数一さん(60)=法名・覚真=に会った。「昔、この辺りは和歌山から大阪をつなぐルートにあたり、交通の要衝として栄えましたよ」
 水間鉄道で貝塚の中心地まで引き返す。南海貝塚駅から海側に行くと、すぐ願泉寺。
 付近は、今も江戸時代の商家や造り酒屋などの古い建物が多く残る。近年の開発で、市民の間に、街並みの保存の動きも盛んだ。いまは府道となっている旧国道26号沿いを歩くと、江戸時代の紀州街道と、回船業で発展したかつての貝塚をしのばせる。
 また、願泉寺の本堂では、「願泉寺シアター」の名で舞台が設けられ、能の上演や時にクラシックの演奏会などがある。街おこしの中心となっている。
 水間寺には南海貝塚駅で水間鉄道に乗り換え、終点へ。大人250円、小人130円。1月1−3日の3日間は、初もうで用の特別ダイヤが組まれる。水間寺の行事などの問い合わせは、午前9時から午後4時までの間、0724-46-1355へ。(朝日新聞)
27日■トラックに列車が衝突 山陽線一時不通 岡山
 26日午後7時10分ごろ、岡山県浅口郡里庄町里見のJR山陽線松尾沖一踏切(警報機、遮断機付き)で、エンストで立ち往生したトラックに三原発岡山行きの普通列車が衝突した。トラックの運転手は逃げて無事、乗客らにもけがはなかった。山陽線は上下線ともに不通になったが、午後11時過ぎ復旧した。(朝日新聞)
■ロープは兵庫で製造 新幹線妨害事件
 岐阜県・関ヶ原町と滋賀県彦根市で起きた新幹線列車妨害事件で、岐阜での犯行に使われたワイヤーロープは、兵庫県内の業者が製造していたことが27日までの岐阜県警捜査本部の調べで分かった。同本部は近畿、中部を中心にワイヤーロープの流通経路などの割り出しに全力を挙げている。
 岐阜、滋賀両県警はこれまでの調べで同一犯による犯行とみて共同捜査本部を設置し、列車往来危険容疑で捜査を進めている。(京都新聞 夕刊)
■強風で早朝一部運休 湖西線
 27日午前5時40分すぎ、滋賀県滋賀郡志賀町で風速が30bを越えたため、JR西日本は、湖西線比良−近江舞子間上下線の運転を見合わせた。午前6時半ごろには再開したが、この風の影響で青森発大阪行き特急寝台「日本海2号」が50分遅れたのをはじめ上下計4本の列車に影響が出た。(京都新聞 夕刊)
■新幹線妨害のワイヤロープ 兵庫県内の業者製造
 岐阜県不破郡関ケ原町で6月、東海道新幹線の線路にワイヤロープが巻きつけられていた列車妨害事件を捜査している岐阜県警捜査本部は27日までに、ワイヤロープが兵庫県内の業者の製造したものであることを突き止めた。同県警は流通ルートの解明を急ぎ、現場に残された「犯行告文」の捜査などと併せ、対象を絞っていく方針だ。
 岐阜の事件で使われたワイヤロープは約11bで太さ約9_。かなり使い古してあったという。現場には、1.1から1.7bに切断されたワイヤロープ7本と、2個の留め金異が残されていた。ワイヤロープを7重にビニールで束ねて線路に巻き付け、金具で留めていたとみられる。同県警は、ワイヤロープのしんなどの特徴から、製造元を特定した。
 金具には刻印がなく、多県にまたがって製造されていることから、製造元を突き止めていないという。(朝日新聞 夕刊)
■湖西線ダイヤ 強風で乱れる 2本部分運休
 27日午前5時40分ごろ、滋賀県滋賀郡志賀町のJR湖西線の比良川鉄橋で、風速計が30bを記録したため、比良−近江舞子駅間で電車の運転を見合わせた。約40分後に運転を再開したが、普通電車上下2本が部分運休したほか、特急寝台車など4本が最高50分遅れ約1000人の足が乱れた。(朝日新聞 夕刊)
■線路わきに男性の死体 JR紀勢線
 27日午前7時15分ごろ、和歌山県海南市冷水、JR紀勢線の線路わきに、男性の死体があるのを下り快速電車の運転士が見つけ、和歌山県警海南署に届けた。同署の調べによると、年齢は60−70歳で、黒の革ジャンパーに黒のズボン、紺色のサンダル姿だった。同署では列車にはねられたとみているが、現場付近には道もなく、人が立ち入るような場所でないことから事件と自殺の両面で捜査している。(朝日新聞 夕刊)
28日■帰省の出足低調 JR
 仕事納めの28日、JR大阪駅や、新大阪駅を発車する博多方面の新幹線「ひかり」、北陸、山陰などに向かう特急はいずれも平日並みの乗車率で、帰省の出足は低調になっている。
 JR西日本は「不況の影響で帰省が短期集中型になっているためでは。ピークと見込まれる30日には例年同様の混雑になるはず」と分析している。
 新幹線では「のぞみ」が乗車率70−90%と比較的好調なのを除き、「ひかり」や「こだま」はほとんどが10−40%台。
 在来線も北陸方面の特急「雷鳥」が30−40%。山陰方面に向かう特急「北近畿」も30%と、いまひとつの状態が続いている。
 JR西日本が15日に発表した指定席の前売り状況も前年より5%下回っており、長引く不況が帰省の足にも暗い影を落としているようだ。(京都新聞 夕刊)
■空席が目立ち 帰省ゆったり JR
 東海道・山陽新幹線や北陸、紀勢線などで、正月をふるさとで過ごそうという帰省客らが目立ち始めた。しかし、官庁や多くの企業は28日が仕事納めとあって、午前中は一部の列車を除いて空席が多かった。指定席の予約状況などから、JR西日本は帰省ラッシュのピークは30日とみているが、「例年より閑散。不況のための出控えでしょうか」と当惑している。
 午前中の自由席の混雑率は、新大阪を出発する午前6時発博多行き「ひかり131号」が満席、同9時12分発博多行き「ひかり31号」は乗車率が120%。天王寺駅では午前8時発新宮行きの特急「スーパーくろしお1号」が満席になった。
 しかし、例年、混雑する北陸線の特急「スーパー雷鳥」や、山陰線の「エーデル鳥取」は30−70%と低調。全席指定の新幹線「のぞみ」も普段よりは若干込み合っている程度。(朝日新聞 夕刊)
■高槻駅、泥酔客ナンバー1 JR西日本8駅で調査 金曜夜10時過ぎ120人ベロベロ8駅計では290人も
 酒を飲んで、いい気分で電車に乗った事までは覚えているけれど、気がついたら終着駅−例年、年末年始の酔客に手を焼くJR西日本が「起こしても起きない」「車内で大の字」など、酔客の実態調査をこの年末、東海道・山陽線の終着駅となる8駅で初めて実施した。それによると、午後10時以降の「大とら」の数は平均175人、金曜日は290人にも上った。あまりの多さに、JRの担当者は「新年会ではこんなことのないように」と話している。
 調査は12月1日から24日まで、通勤電車の終着駅となる米原、野洲、京都、高槻、大阪、西明石、姫路、網干の8駅で実施。月曜から金曜の午後8時から午前1時半過ぎまで上下125本を対象に調べた。
 最も「大とら」が多かったのは高槻駅。「車内から降りようとしない」「歩けない」「駅員にからむ、怒鳴る」などの酔客が午後10時以前の上り7本で平均20人、以降の上り10本では同80人に増えた。金曜日は、それぞれ50人、120人にのぼった。
 次いで多かったのは午後8時以降に上り16本の終着となる野洲駅。駅員らは午後10時以降に平均35人、金曜日の深夜は65人の「お世話」をした。午後9時ごろの酔客は「寝ていても声を掛ければ、すぐ起きる」が、11時を回るころには「なかなか起きない」。金曜日になると、午後8時ごろから「まったく起きない」「通路に大の字」が出現するという。
 下り18本の終着駅になる網干駅も午後10時以降は平均20人。駅員が声を掛けると「なんで、起こすんや。戻る電車がないやないか」と、怒鳴るのがこの駅の平均的な酔客像という。その他の5駅は、金曜日が平均15人で、月−木曜日は8人だった。
 この調査は今年が初めて。JR西日本の担当者は「不況で、これまでならタクシーで帰っていたお客さんが電車で帰宅するようになり、その分、泥酔客も多くなっているのだろう。それにしても、毎日、こんなにお世話をしているとは思わなかった」とあきれている。(朝日新聞 夕刊)
29日■声 スロープある橋上駅にして 大和郡山市 津金寿子(主婦 31歳)
 先日、本紙の地方版に2つの橋上駅の話題が載っていました。橋上駅になり、すっきりし、乗り換えも便利になる、という駅のコメントもありました。
 しかし、駅に上がるためには長い階段を利用しなけいといけません。ホームへ下りるのも階段です。車いす利用者や高齢者にとって、駅の橋上化は便利なものとはいえません。
 歩道にある多くの段差や傷害物を超え、さらにホームまでの長い長い階段があります。
 橋上駅には、せめてゆるやかなスロープをつくっていただきたいと思います。ハンディキャップがあっても、どこにでも住め、どこにでも行ける町づくりこそ、だれもが住みやすい町づくりにつながるのではないでしょうか。
 これからできるという新駅舎が、高齢化など将来を見た設計となることを願ってやみません。傷害児を育てる一人の母として。(朝日新聞)
30日■新幹線でもゴミ分別 東海道・山陽 4割減狙い来春から
 1964年の開業以来、「一括収集方式」をとってきた東海道新幹線のごみ処理について、JR東海は来春から、再利用、省資源を前提にした分別収集を始める。将来、ごみの約40%の減量・再利用化を目指す。JR西日本も山陽新幹線で共同歩調をとり、高速鉄道として世界最高の利用者がある東海道・山陽新幹線で初めて、体系的なごみ対策が取られることになった。
 両社が分別収集を始める背景には、ごみが予想を上回るペースで増え続け、「パンク状態」が近づいていることがある。
 JR東海によると、東海道新幹線の車内、駅から出るごみは、1日に約60d。年間だと人口約24万人の静岡県清水市の量に匹敵するという。不況で利用者は減ったが、ごみは92年度が87年度の約1.5倍にも増えた。
 ビジネス客が乗客の約80%を占めるため、駅弁容器など食事に関係したごみが55%、新聞・雑誌類28%、缶・瓶類は約21%となっている。
 車内の分別収集はまったく行っておらず、あらゆるごみを一緒に処理する大井焼却場(東京)の処理能力は、1日25d程度。1時間で最大11本の新幹線が走る今の状況を想定しなかったためだ。自治体の協力も限界に近い。
 こうしたことから、JR東海は90年、技術本部を中心に「ごみ対策プロジェクト」をつくった。1日約24dのごみが出る山陽新幹線を運営するJR西日本では、鉄道本部流通グループが駅弁容器の無公害化などに取り組んできた。
 JR東海が呼びかけて開いた今月24日の初協議では、対策の3本柱を、発生源、車内、駅構内とすることで合意。このうち、発生源対策は、駅弁の容器を来春までに、20−30%軽く小さくする。缶も雑誌も一緒に捨てる車内のごみ箱を、一般ごみと缶・瓶類の分別型に切り替えることにした。
 車内販売業者や旅行会社、団体客には車内の収集方法を徹底化する。駅でも、ごみ箱の切り替えや一部撤去を進める。アルミ缶への統一も目指す。必要な人員や設備なども来春をめどに詰める。
 JR東海は、一連の対策が完成すれば、全体の約40%を再利用できる、と試算している。今城勝・JR東海技術本部副本部長は「課題は多いが、省資源、環境対策は企業の大切な仕事」と話している。
 JR各社では、都市圏の輸送が中心で新聞・雑誌類が約60%を占めるJR東日本が、東北、上越、山形の3新幹線で弁当箱のエコロジー化(無公害化)や東京23区内での分別収集をしている。西日本も、関西都市圏で分別収集などを行っている。(朝日新聞)
■留学生にも愛用者続々 口コミで評判 青春18きっぷ
 日本で生活している外国人留学生の間で、JRの「青春18きっぷ」が人気を呼んでいる。鈍行列車しか利用できないが、全国を格安に旅行できるのが、物価高や円高で苦しむ留学生に受けた。この冬休み、長距離の鈍行では、大きな荷物を抱えた外国の若者たちの姿が目立っている。
 青春18きっぷは、JR鉄道全線の普通列車や航路に1日乗り放題の乗車券。春、夏、冬と学生の休みに合わせて販売される。5枚1組で1万1300円。切り離して使え、乗車日の当日限り有効。金券ショップなどでも販売している。
 チケット業者などによると、青春18きっぷを購入する外国人留学生が目立ってきたのはここ半年ほど。日本人学生の間でも、不景気になった1年ほど前から利用者が急増しており、学生間の口コミで評判が広がったらしい。
 外国人旅行者向けには、特急や急行も利用できる割安な「ジャパンレールパス」があるが、長期に滞在する留学生は使えない。大阪外国語大学の大学生協では、留学生の関心が高い青春18きっぷの英文紹介パンフレットを今秋作った。
 夜の快速「ふるさとライナー九州」に大阪から博多まで乗車したタイ人留学生ウライワンさん(21)は、日付が乗車中に変わるため片道で2枚購入した。それでも新幹線自由席の3分の1以下の4520円。「円が安くなったといってもまだまだ円高。母国からの仕送りや奨学金で学ぶ留学生には、とても助かります」
 長崎のハウステンポス見学で同じ列車に乗り合わせた南アフリカの留学生タニア・アルコックさんは「来日前から日本各地を旅したいと思っていた。学生なので多少時間がかかっても安い方がありがたい」と話していた。(朝日新聞)
31日■帰省の足一時ストップ 東海道・山陽新幹線 10万人に影響 線路破断などで
 30日午前7時56分ごろ、静岡県熱海市福道町付近の東海道新幹線熱海−三島間で、東京発新大阪行きのこだま407号に停止を命じる異常信号が出た。JR東海が原因を調べたところ、下り線のレールにひびが入り破断していた。同9時12分から上下線ともストップし、復旧作業をして約30分後に運転を再開した。
 JR東海によると、東京発新大阪行きのこだま409号が88分遅れたのをはじめ上下約80本のダイヤが乱れ年末の帰省客ら約10万人に影響した。
 破断は1ヵ所で、左右から応急金具を取り付けて補強し、現場付近約7`の区間で70`の徐行運転をした。
 一方、同日午前2時ごろ、山陽新幹線新下関−小倉間の新関門トンネル(18.7`)内で通信ケーブルの金属金具1個が線路に落ちているのを係員が見つけた。
 JR西日本は午前6時すぎから小郡−小倉間で上下線の送電を止めて、金具を取り替えた。博多発東京行きのひかり30号など2本に数分の遅れが出た。
 落ちていたのは、10bごとに取り付けてあるケーブルの延焼防止用の金具。列車が跳ね飛ばした石などが金具に当たり、破損したのではないかという。
・大混雑みられず 帰省本格化のJR京都駅
 古里への帰省や正月休みの行楽が一段と本格化した30日、東海道新幹線の熱海−三島駅間で起きた線路の破断などのトラブルが人出を直撃。JR京都駅では、大きな混雑はなかったものの、大きな荷物を抱えうんざり顔で列車を長時間待つ乗客の姿が目立った。
 この日、京都駅発着の下り新幹線は事故のため午前中、軒並み1時間以上遅れ、午後もダイヤの乱れが残った。構内では、たくさんの荷物を抱えてベンチで列車を待つ家族連れや、不安気に発着掲示を見やる若者グループらも見られた。
 ただ、車内の込み具合は、約1時間20分遅れて到着した博多行き「ひかり37号」などの160%が目立ったぐらいで、ホームでの大きな混雑もなく、自由席の乗降口付近に時折、列ができる程度だった。
 親子3人で広島県に帰省するという京都市左京区のキルトショップ経営有岡達さん(45)は「列車の遅延で、もっと込み合うと思っていたが、ゆったり帰れそうです」とホッとした表情だった。
 一方、北陸、山陰などの在来線は、午前中には空席があったものの、午後からは「雷鳥」を中心に混雑を見せた。JRでは「正月帰省や行楽でも、遠出は敬遠されたよう。やはり不況の影響でしょうか」と話している。
 道路では、マイカーの帰省などで午後から夕方にかけて、名神高速道下り線の天王山トンネル付近で約2`の渋滞が見られたほかは国道1、9号などを含め、平日よりやや少ないくらいの交通量。
 府警交通管制センターでは「企業などの休暇が長期化し、分散型帰省がいっそう進んだ」と見ている。ただ31日夜半からは、初もうでの車も加わり、名神上り線の天王山トンネル付近で約10`の渋滞が予想される、という。(京都新聞)
■SL”しめ縄”化粧 梅小路蒸気機関車館 ファンら迎春準備
 鉄道友の会京都支部の会員が30日、京都市下京区の梅小路蒸気機関車館に展示されている機関車にしめ縄を飾った。SLもこれですっきりと迎春準備を整えた。
 72年の開館以来、SLファンの会員が毎年実施している。今年も高山禮蔵支部長ら20人が参加した。
 扇型をした車庫には、山口県の山口線で初もうで号として「出張」しているC57以外の16台のSLが勢ぞろい。D51や8620型など往年の主力機関車は、正面のナンバープレートのペンキを塗り替え、ワックスをかけられてピカピカ。
 会員らは手分けして、プレートの下にしめ縄を飾りつけたり、「迎春」「あけましておめでとう」などと書かれた手づくりのヘッドマークを取り付けた。蒸気機関車館は1月4日から開館する。(京都新聞)
■帰省混雑の新幹線ダウン 熱海−三島間 レール破損、一時運休
 30日午前7時56分ごろ、東海道新幹線の下り熱海−三島間で、列車制御の信号電流が切れ、付近を走行中の列車が緊急停車した。JR東海が調べたところ、静岡県熱海市福道町付近の下り線で片方のレールがひきちぎれ、幅1aの溝ができていた。同9時40分、運転を再開したが、この間、復旧作業のために同区間で上下線とも全列車の運転を休止、帰省客の足が大幅に乱れた。上下合わせて80本の列車が最高88分の遅れとなり、10万人に影響が出た。
 この日は帰省ラッシュのピークで、東京発の「ひかり」は軒並み110−120%の乗車率。朝から混雑していた東京駅のホームも一時、混乱した。東京駅からは運転休止中も再開に備えて多少の遅れで次々と発車、途中で数珠つなぎ状態となり、乗客は車内で運転再開を待った。
 JR東海が原因を調べているが、レールは寒さで圧縮したり、もともと亀裂があった場合などに折れることがあるという。新幹線のレールには自動列車制御装置(ATC)の電流が流れており、切断されると運行できなくなる。このため応急措置としてレールの切損部分の外側を鉄片で結び、現場付近は終日、徐行運転にした。営業運転終了後、レールを取り換えるという。(朝日新聞)
■通信ケーブル ガイシが破損 新関門トンネル
 30日午前2時ごろ、JR山陽新幹線新下関−小倉駅間の新関門トンネル内を巡回中の係員が、通信ケーブル延焼防止用のガイシの破片が落ちているのを見つけた。JR西日本は、ガイシの取り付け作業を実施。このため、午前6時発の始発の東京行き「ひかり」など上り列車2本が3−9分遅れで博多駅を発車、300人が影響を受けた。(朝日新聞)
■「のぞみ」型の加速装置故障 28日夜、走行中に
 東海道新幹線京都−新大阪間で、この28日に「のぞみ」型編成の「ひかり」の加速レバーが一時、故障していたことが30日、わかった。
 JR東海によると、列車は東京発新大阪行き「ひかり283号」で、大阪府摂津市内を時速120`で走行中の28日午後11時35分ごろ、運転士が加速しようとしたところ、自動車のアクセルに当たる運転台の「マスターコントロールハンドル」が利かなくなった。
 運転席にいた別の乗務員が、運転台の前部の機器室を調べると、ハンドルやモーターに電気信号を送るはめ込み式の接続部分が外れていた。手でつないだら復旧、新大阪駅には定刻で着いたという。
 この編成は、昨年3月から営業運転を開始、今月21日まで、車体をバラバラに分解して行う「全般検査」を受けたばかり。運用上、「ひかり」のダイヤで走っていた。JR東海は、検査の際の作業ミスが原因と見ている。(朝日新聞)
■終夜運転や初詣用電車 年末年始特別ダイヤ
 JR西日本と関西大手私鉄5社は、年末年始に特別ダイヤを組んで、終夜運転や沿線の神社への初詣(はつもうで)用臨時電車を運転する。乗り放題のフリー切符なども発売する。
 概要は次の通り(価格は大人用)
 【JR西日本】大みそかの終夜運転は東海道、山陽、奈良、大阪環状、関西、桜井の各線が約30分間隔。福知山線は約1時間、阪和、羽衣線は約40分間隔の運転。
 元日早朝には大阪−志賀間に「初日の出蓬莱山号」などの臨時電車を運転。また、1−6日には奈良線の京都−稲荷間に臨時の快速を運転する。
 京阪神地区のフリー切符「新春初詣乗り放題きっぷ」は1300円。主要駅では賞品が当たる「新春・初夢スタンプラリー」も行う。
 【阪急】3日までは日・祝日ダイヤ。
 大みそかは神戸線、宝塚線、京都線とも約30分間隔で普通電車を終夜運転。京都線は特急、急行も運行する。
 【京阪】本線と宇治線、交野線は31日は休日ダイヤ、1−3日は正月ダイヤ。
 大みそかは、本線と鴨東線は約10−20分間隔、交野線、宇治線は約20分間隔で終夜運転する。
 指定駅で自由に乗り降りできる「初詣乗車券」は800円(京津線は550円)。
 【近鉄】4日までは休日ダイヤ。
 大みそかは、臨時特急「越年号」などを難波、上本町、京都から宇治山田間、あべの橋から橿原神宮前などへ終夜運転。急行や普通も、路線ごとに20−60分おきに増発する。
 年始も、大阪や京都から伊勢や奈良方面へ特急や急行を増発する。
 全線フリーの「ニューイヤー近鉄遊レールパス」は3800円。(朝日新聞)