1993(平成5)年10月


1日■わが社のコレクター 鉄道 知識の収集に重点 島津製作所航空機器事業部主査 斉藤英文さん(38)(京都)
  ■10月の空冷え冷え 不況風響く(朝日)
2日■3人を書類送検 保線作業員死亡事故(京都)
  ■北近畿タンゴ鉄道 行楽シーズンの臨時ダイヤ イベント列車含め延べ181本(朝日)
  ■JR作業中の事故死 責任者らを書類送検(朝日)
4日■京都駅ビル 59.8bで建築確認申請 JR西日本など市に 月内にも着工 完成は8年秋(京都)
  ■京都駅ビル 建築確認申請 不安と期待 交錯 下京消防署 反対派が抗議、騒然(京都)
  ■京都駅ビル 高層化計画確認を申請 JRと開発会社(朝日)
5日■あうとイン ”京都の顔”づくり始動 JR新駅ビル(京都)
  ■交通事業の健全経営目指し 指紋機関設置へ 京都市(京都)
  ■御池第2駐車場 新設議案を提出(京都)
  ■”湖上バス”運行を構想 検討会県が設置 通勤など多角利用へ(京都)
  ■作業員を書類送検 地下鉄工事死亡事故(京都)
  ■京都駅ビル高層化建築確認申請提出 着工へ向け「秒読み」に 段ボール6箱分の書類 反対派「見切り発車」と反発(朝日)
  ■地下鉄工事現場事故 建設社員を書類送検(朝日)
  ■京都市 運輸省幹部らを接待 共産が追及 地下鉄建設に縮み(朝日)
6日■大阪ニュートラム暴走 無人運転、車止め激突 住之江公園駅 乗客180人が負傷 帰宅時 満員、将棋倒し(京都)
  ■”ハイテク神話”崩れる 二重、三重の制御利かず(京都)
  ■あと4b あわや転落 ニュートラム暴走 流れる血 響く悲鳴 乗客「一瞬吹っ飛んだ」(京都)
  ■大阪市営ニュートラム 暴走 乗客約200人けが 電算制御 新交通システムで初の事故 無人運転 車止めに激突 ラッシュの住之江公園(朝日)
  ■電子制御 思わぬ弱点 二重のガード作動せず?
  ■「止まらん」乗客悲鳴 ニュートラム暴走 満員の車内将棋倒し 高架上「あわや転落」(朝日)
  ■橋げた工事で談合か 広島の新交通システム 事故の参考人が供述(朝日)
  ■代替バスに長い列 ニュートラム暴走事故(京都)
  ■ニュートラム衝突事故 交通局を強制捜査 大阪府警 制動回路故障が原因か(京都)
  ■事故車両で過去3回故障 ニュートラム いずれも電気系統(朝日)
  ■ニュートラム暴走 3分間にブレーキ異状 前・後続車は正常(朝日)
7日■ニュートラム衝突事故 制動回路根幹に故障? 大阪府警 押収資料の分析急ぐ(京都)
  ■運行6社に 安全点検指示 運輸省(京都)
  ■60歳以上なら鉄道運賃補助 笠置町が来月から(京都)
  ■ニュートラム事故 コスト削減 重い代償 合理化計画見直し必至 補償問題が赤字に拍車(朝日)
  ■新・京都駅は調和破壊 イタリアの学者ら14人 市長に手紙で訴え(朝日)
  ■疏水の工事・京都博覧会・路面電車… 古都近代化の足跡 12日から 錦絵や写真で紹介 京都市歴史資料館(朝日)
  ■シリーズ検証 消えた母 電車内に男児遺体 なぜ 衰弱の跡痛々しく(京都)
  ■ニュートラム暴走 運行データ解読できず 管理システム停止で 遅れる原因究明(朝日)
  ■「べんとーべんとー」JR西日本6駅・東海は5駅・四国は3駅 消え行く駅弁立ち売りの声 開かぬ窓と速度アップが原因(朝日)
  ■車両側の装置が異常 ニュートラム暴走原因 府警が見方強める(朝日)
8日■ニュートラム暴走、衝突 制動異常、裏付け 運行記録 回路働かぬ「0」表示(京都)
  ■「山科の碑」展 鉄道交通の歴史ひと目 民間グループが第4 弾 京信支店 太政大臣の揮毫も 写真、資料など18点紹介(京都)
  ■運転・制御装置ともに故障 3両目に異状表示 ニュートラム事故(朝日)
  ■ニュートラム 甘かった暴走対策 神戸・横浜は三重ガード(朝日)
  ■座席の針 検知器いかが メーカー、JRに売り込み(朝日)
  ■市バスと地下鉄利用 便利マップ”発車”へ(朝日)
  ■JR山科駅に短銃 電話通報で発見(朝日)
  ■ニュートラム衝突事故 故障の大半、電気系統 事故車両、過去4回も(京都)
  ■声 JRの割引になんで男女差 大阪市 橋詰宏山(無職 63歳)(朝日)
  ■ニュートラム事故で見舞い金 大阪市決める(朝日)
  ■新幹線レールにチェーン 5aのすき間狙う のぞみ 敷石飛散対策が裏目 捜査本部調べ(朝日)
  ■路面電車、ダンプ衝突 広島(朝日)
9日■強風で湖西線運転見合わせ 10本が運休(京都)
  ■三重連などに歓声 梅小路フェス 歴代のSL勢ぞろい(京都)
  ■整備新幹線で来月中に結論 見直し問題、連立与党(朝日)
  ■新幹線 姫路−岡山 ドア開かず客乗り越し(朝日)
  ■ニュートラム中央指令所 事故通報遅れる 交通局退庁後と判断(朝日)
  ■雷鳥44号4号車4番 車内で男性死亡 着いたのも4番ホーム(京都)
  ■ニュートラム事故の余波 人工島の憂うつ 学校・遅刻続出や遠足延期 タクシー・無料バスに客奪われ(朝日)
  ■回送電車、立ち往生 地下鉄谷町線(朝日)
  ■「座れる」通勤電車が人気 ”コーヒー1杯”の料金で快適に 満席続き増発…朝は限界に(朝日)
10日■ニュートラム事故 「手術8時間…私の耳戻ったわ」 車内で握り締め 大阪の20歳女性 母に「泣かないで」(朝日)
  ■事故の4車両 撤去作業開始(朝日)
11日■磁気切符が段ボールに JR東日本 再生技術を開発(京都)
  ■合理化案が「急停車」 ニュートラム 暴走で無人化棚上げ(京都)
  ■ニュートラム暴走事故 ちぎれた耳、くっついた 手術8時間 OL、車内で握り締め(京都)
  ■ATOとATCの異状 中央指令所に伝わらず 車両側には表示 ニュートラム事故(朝日)
12日■ニュートラム事故 運転再開めど立たず 原因解明「迷路」に(京都)
  ■負傷者増え209人に ニュートラム事故から1週間 運行めどたたず(朝日)
  ■立ち往生事故 運転士らを処分 大阪市営地下鉄(朝日)
  ■ロープウェイ停電で停止 140人閉じ込められる 六甲(朝日)
13日■大阪・ニュートラム 添乗義務の規程削除(2年前)148件のトラブルも市会に報告せず(京都)
  ■ニュートラム 終着駅付近に第3の安全装置検討 大阪市交通局(朝日)
  ■ハイタッチテクノ 次世代新幹線 鉄をアルミに換え車両軽く パンタグラフの騒音軽減が課題(朝日)
14日■嵐電にレトロ調新車両 建都1200年PR 来秋お目見え(京都)
  ■ニュートラム事故 終着駅通過時、速度は… 大半の乗客「30`」(朝日)
  ■どこかに明治の薫り残し おしゃれなレトロ調車両 建都1200年祝い来秋”発車” 京福電鉄嵐山(朝日)
  ■京都市交通局 地下鉄運輸職員12年ぶり募集 東西線開業へ運転士ら25人(京都)
  ■列車トイレ バクテリアで分解 「におい」食べちゃうぞ JR東日本 試験車両 評判も上々(京都)
  ■「火事だ」の声に列車飛び降り そこへ列車 49人死亡 ボンベイ(京都)
  ■中労委の初命令が年内に出る見通し JR採用差別事件(朝日)
  ■関西空港 ニュートラム事故に対応 無人運転車に安全対策(朝日)
15日■ニュートラム 電流遮断で暴走? ブレーキ始動配線 単系統が“弱点”に(京都)
  ■信楽事故民事提訴 人災の責任とって… 遺族ら 真実ほしい、と涙(京都)
  ■11億3600万円の賠償求め 信楽事故の遺族 提訴 23人 JRの責任追求(京都)
  ■地下鉄 開業後初めて職員を採用(朝日)
  ■電線工事中の事故 責任者ら書類送検(朝日)
  ■信楽鉄道事故 9遺族、賠償訴え 総額11億円「JRの責任問う」(朝日)
  ■信楽事故提訴 遺族放った「最後の」 願いは「事故原因の解明」(朝日)
  ■鉄道安全宣言 信楽町に要望 遺族らの会(朝日)
  ■「火事」、飛び降りた所へ列車 インドで49人死亡(朝日)
  ■JR線路上に無人の車 始発列車が衝突 宇治・奈良線 1 万2000人影響(京都)
  ■ATS誤動作 JR環状線(朝日)
  ■線路に盗難車 列車が衝突 JR奈良線乱れる(朝日)
16日■駅ビル計画の道路指定違法 住民ら取り消し請求(京都)
  ■JR京都駅地区区画整理 反対住民1300人 マラソン陳述へ 1人10分、26日間 府都計審決定(京都)
  ■京都発交流列車 トレランス号 今年も 京の佐竹さん夫妻 鉄道マニア 退職金投じ あす第5号和歌山へ(京都)
  ■ニュートラム事故で気が付いた 地元医師会、情報網充実へ(朝日)
  ■京都駅高層化問題で集会 きょう下京(朝日)
  ■反対1300人の聴取決定 駅ビル問題で京都府都計審「代表選べない」(朝日)
  ■電車に体重計つけました JR西日本が実験 混雑緩和に効果とか 平均体重から乗車人数出す(朝日)
17日■京都駅ビル改築 見直し求め集会 まちづくり市民連(京都)
  ■電車に接触、死亡 木津・JR関西線(京都)
18日■負傷者4人と示談 ニュートラム事故で初(京都)
  ■「のぞみ」カバー落下 重さ5`、車両所で確認 JR東海(朝日)
19日■ロッカーに短銃 守山駅、男から電話(京都)
  ■仮駅舎移転で和解 京都駅構内 飲食店立ち退き問題(京都)
  ■アルミ板脱落など3件もトラブル のぞみ(京都)
  ■冬の臨時列車2150本 JR西日本 昨年より15%滅(京都)
  ■利用5000万人を達成 阪急電鉄あすから記念カード発売(京都)
  ■「のぞみ」カバー脱落 原因は作業ミス(朝日)
  ■前方注視義務を添乗員の規程に ニュートラム事故で大阪市(朝日)
  ■障害者の割引切符 JRが券売機でも(朝日)
20日■この流線型で300`時代 まっしぐら 8年春からニュー新幹線で営業運転(京都)
  ■桂駅東口周辺整備 本年度内に着工 京都市 総合ターミナル化へ(京都)
  ■揺らぐ「安全神話」 ニュートラム「暴走」の波紋(朝日)
  ■新・超特急 96年デビュー JR西日本 世界No.1 時速300` 新大阪−博多2時間10分台(朝日)
  ■ニュートラム暴走事故 衝突速度は10` 大阪府警 破損状況から推定(朝日)
  ■ニュートラム代役 大阪市の直行バス 同じルートなのに路線バスより割高 鉄道料金の計算法適用 首かしげる住民(朝日)
21日■窓 バス値上げで見返りはなし 西京区・中村めぐみ(大学生・21)(京都)
  ■ニュートラム中継継電器 長期使用で摩滅? 数ヵ所に変形・変色(朝日)
22日■特急にはねられ即死 西京の阪急踏切(京都)
  ■事故から20日間は代行バス無料扱い ニュートラム運休で(朝日)
23日■快速と勘違い 停車駅を通過 JR東海道線(朝日)
24日■強風で断続運転 JR山陰線余部鉄橋(京都)
  ■ニュートラム 来月再開は微妙 非常ブレーキ ATOにも付加検討(朝日)
  ■小さな旅 阪堺・チンチン電車 沿線に”名所”点々 風景楽しみのんびりと(朝日)
25日■近鉄京都線で置き石(京都)
  ■ニュートラム暴走事故 一時的な接続不良か 中継継電器を鑑定へ(朝日)
  ■踏切で衝突、2人死亡 東北線、通勤乱れる(京都)
  ■列車と衝突し車の2人即死 JR宇都宮線踏切(朝日)
26日■京都駅ビル 建設へゴーサイン 96年秋完成めざす(京都)
  ■京都駅の建築確認 共産党市議団ら抗議(京都)
  ■JR京都駅ビル改築 市が建築確認(朝日)
  ■「重大な禍根残す」 京都駅ビル建築確認 市民団体、強く反発(朝日)
  ■JR東日本株 買い注文殺到 前場の売買成立せず 前引け気配値45万6000円(京都)
  ■JR東日本株 買い殺到 上場初日 前場は気配値(朝日)
  ■安全設備新設 国に認可申請 ニュートラム(朝日)
  ■非常ブレーキ「のぞみ」停車 関ヶ原付近で(朝日)
27日■座席の針 女児刺す 初の被害、幸い軽傷 兵庫・JR新快速(京都)
  ■来年度のJR上場 東海vs西日本(京都)
  ■公園都市線3.2`北伸 神戸電鉄完成は平成7年(京都)
  ■保有客車2000両突破で記念列車 近鉄、12月5日(京都)
  ■JR東日本株 初値60万円 公募価を大幅上回る(朝日)
  ■不況下のカネ余り実証 JR東日本株 初値60万円 有利な運用先求め 個人の金融資産が流入(朝日)
  ■「割高定期は差別」と人権救済申し立てへ 朝鮮学校生(朝日)
  ■「ひかり」緊急停車 新大阪駅停車の直前(朝日)
  ■「JR株」取引停止 東証 売買注文殺到で(京都)
  ■JR東日本株の取引過熱 東証 電算処理パンク(朝日)
  ■ニュース三面鏡 ニュートラム事故で欠損の耳接合 医師の粘り、成功生む 病院の救急体制も奏功(朝日)
28日■ポイント故障で阪急上下8本運休 河原町 1万3000人影響(京都)
  ■京都市バス 新車89台を導入 本年度 リフト付き、一挙倍増(京都)
  ■駅ビル改築審査請求へ 京都の17住民団体(京都)
  ■窓 「終日禁煙」になぜ灰皿必要 山科区・梅垣直樹(大学生・22)(京都)
  ■値下げ相次ぐ京銘柄 反動で置き去り JR株異常人気に危ぐも(京都)
  ■JR株過熱崩れる相場 平均株価2万円割れ招く 売買停止で不安感「市場回復」あてはずれ(京都)
  ■JR株過熱 大証に注文殺到 東証取引再開できず(朝日)
  ■JR東日本株56万円に下落 大量の売り注文(京都)
  ■JR株56万円 東証 売り殺到また中断(朝日)
29日■京福電車と車衝突 乗客にけが人なし 右京(京都)
  ■東海道新幹線 一時不通に 岐阜で男性飛び込み(京都)
  ■神足−高槻でも遅れ(京都)
  ■神鉄「公園都市線」延伸工事の安全祈願(朝日)
30日■JR東日本株 思惑外れの続落 市場の将来心配の声も(朝日)
31日■精算事業団は大もうけ JR株 上場で市場混乱(京都)



1日■わが社のコレクター 鉄道 知識の収集に重点 島津製作所航空機器事業部主査 斉藤英文さん(38)
 鉄道ファンの形にもいろいろある。模型作り、資料収集、メカの研究、時刻表の旅…。斉藤さんは中学生時代からそのすべてを楽しんできた。
 模型はHOゲージとNゲージの手作りが100両近く。資料は「鉄道ジャーナル」「鉄道ピクトリアル」など3種類の専門雑誌のバックナンバーがほぼ4半世紀分そろっている。「でも私の楽しみは、モノではなく知識の収集の方にあるんです」と笑う。
 大学は機械工学を専攻。鉄道研究会に入った。会誌編集のため、毎日カメラをぶら下げ、話題の新造車両を取材することに。知識豊富な先輩たちに触発され、興味の対象は模型作りから次第にメカニックなものに移っていった。
 島津入社後は一貫して航空機器関係を担当。その斉藤さんが4年前、大好きな鉄道車両に自分の開発技術を反映させることになった。「運転席前方に走行データを示す航空機用ヘッドアップディスプレーを鉄道用に開発したのです。都営地下鉄で実装テストに立ち会いましたが、話をするうちこちらが鉄道の専門用語をボンボン出すのですっかり信用されてしまった」−斉藤さんにとって今、趣味の世界と仕事の世界は一つにとけあっている。
 「仕事で疲れた頭をリフレッシュするために趣味を持て、なんてよくいいますが、私にとっては最も胸ときめくことが仕事であり趣味でもある。365日好きなことをやれるのは、一番のぜいたくでしょうね」(京都新聞 夕刊)
■10月の空冷え冷え 不況風響く
 さわやかな秋空が広がり、1日、10月がスタート。学生やOLらは衣替えし、動物園では暖房に火が入った。出口の見えない不況下、就職が決まらない女子学生が企業の内定式を横目に職探しをする姿が見られた。赤い羽根共同募金も、目標額達成が気がかりな様子。多額の地価税の申告をした企業の担当者らからはため息が聞こえた。
・開業30年に…
 東海道新幹線はこの日で、開業30年目。新大阪駅では改装工事の完了と合わせ、午前10時から記念式典が行われた。
 日本の大動脈も昨年度は不況によってビジネス客が減少。JR発足後初めて、収入、旅客数とも前年度から2%ダウンを記録した。JR東海の幹部は「改装で駅が明るく利用しやすくなったのを機に、旅客数も伸びて欲しい」と話していた。
・仮駅舎がオープン
 JR京都駅の新駅ビル建設に伴い、完成まで3年間使われる仮駅舎のオープニングセレモニー「ありがとう、よろしく京都駅」が1日、JR京都駅で行われた。井手正敬JR西日本社長が「21世紀を迎える京都にふさわしい駅に生まれ変わる」とあいさつ。1952年以来41年間使われてきた3代目の現駅舎が閉じられた。(朝日新聞 夕刊)
2日■3人を書類送検 保線作業員死亡事故
 長岡京市調子のJR東海道本線で起きた保線作業員の死亡事故を捜査している京都府警捜査一課と向日町署は1日、当時のJR西日本向日町保線管理室長の水野尚二容疑者(50)と、工事を請け負っていた大阪軌道整備(本社・高槻市)課長の西田弘容疑者(59)、同社の軌道工事管理者の神代正信容疑者(43)の3人を業務上過失致死の疑いで、書類送検した。
 事故は2月9日深夜、線路の補修をしていた作業員が、現場の隣接線路を走ってきた工事用臨時列車にひかれ、死亡した。(京都新聞)
■北近畿タンゴ鉄道 行楽シーズンの臨時ダイヤ イベント列車含め延べ181本
 北近畿タンゴ鉄道(事業本部・宮津市)はこのほど、秋の行楽シーズンに走らせる臨時列車のダイヤを発表した。期間は1日から11月30日までで、「ミカン狩り」「ええにょぼの里伊根の舟屋を訪ねて」などのイベント列車を含めた延べ181本。主な臨時列車のダイヤ、運転日は次の通り。
 【特急タンゴ・エクスプローラー81号】大阪発7時35分(京都、福知山、宮福線経由)久美浜着11時19分【同82号】久美浜発13時14分(宮福線、福知山、二条経由)大阪着16時48分=いづれも9−11日、11月20、21、23、27、28日。
 【特急エーデル丹後】大阪発10時5分(福知山線、宮福線経由)天橋立着12時31分▽天橋立発16時41分(同)新大阪着19時18分=2、3、9−11、16、17、23、24、30、31日、11月3、6、7、13、14、20、21、23、27、28日。
 【快速みやづ】大阪発9時7分(福知山線、宮福線経由)天橋立着12時4分▽天橋立発15時12分(同)大阪着17時56分=11月30日までの毎日。JR線内は急行。【急行丹後82号】天橋立発17時57分(西舞鶴、綾部経由)京都着20時51分=11日。(朝日新聞)
■JR作業中の事故死 責任者らを書類送検
 長岡京市のJR東海道線保線作業現場で今年2月、工事用臨時列車にはねられて作業員1人が死亡した事故で、府警捜査一課と向日町署は1日、工事を発注したJR西日本の当時の保線管理室長や現場責任者ら3人を、業務上過失致死の疑いで京都地検に書類送検した。
 送検されたのは、水野尚二・JR西日本嵯峨野保線区向日町保線管理室長=当時=(50)▽施工業者の大阪府高槻市西面南四丁目、建設会社「大阪軌道整備」の西田弘・線路課長(59)と神代正信・軌道工事管理者(43)の3人。(朝日新聞)
4日■京都駅ビル 59.8bで建築確認申請 JR西日本など市に 月内にも着工 完成は8年秋
 JR西日本と京都駅ビル開発会社は4日午前、京都駅ビル(仮称)の建築確認を京都市に申請した。これで、今月中にも建設着工の運びとなる見通しで、3年後の平成8年秋には、高さ60bの京の新しい玄関口が誕生する。同ビルの建設は計画発表以来、景観面から大きな論議を呼んだが、建設具体化によって、21世紀の京都の姿をにらんだまちづくり論争の輪を一層拡大することになりそうだ。
 申請によると、新ビルは高さ59.8bの地上16階(鉄骨造り)、地下3階(鉄骨鉄筋コンクリート造り)建て、東西約480b、延べ23万8500平方b。
 原廣司東大教授の設計で、中央部からの吹き抜けの大空間と段丘を持つコンコースをメーンに、東側に客室550室の京都最大級の都市型コンベンション・ホテルとミュージアムシアターなどの文化施設。西側に売り場面積3万2000平方bの百貨店と、専門店など複合商業施設を設ける。また関西国際空港直結のCAT(シティエアーターミナル)や直結列車発着のための構内改良も計画している。
 建築確認適合通知を受ければ、現駅舎解体と並行して今月中に着工、完成は平成8年秋を予定している。工事施工は大林組、鉄建建設と米国系企業のフルーア・ダニエル・ジャパンなど五社の共同企業体で、総工費は1000億円近くが見込まれている。
 同駅ビル改築は、平安建都1200年記念事業の主要施設として、当初平成6年秋に完成予定だった。しかし、現行の高さ規制(31b)の倍近い高層ビルとなるため、京都市が特定街区制度による規制緩和を行うなど都市計画上の手続きに手間取り、着工が延びていた。
・世界に発信 活用が課題
 京都駅ビルが、3年後の完成に向け動き出した。京都の新都心創造を担う駅ビルは、地元経済の活性化、国際都市としての機能アップ、そして南部開発の象徴として、まさに京都の命運を握る役割を求められているといえるだろう。
 大規模ホテル、百貨店、文化施設を併設することで京都駅地区の集客力は格段に高まる。これにより京都商業地図は四条河原町との二極化が進むだろう。当然、駅周辺商業者の経営条件はより厳しくなることが予想される。共存共栄と一段のレベルアップを目指しての努力など行政、JR、地元のこれまで以上の協力が不可欠となる。
 駅ビルの目指す国際性と情報発信機能も新時代のカギを握る。関西国際空港と直結するものの、専用特急で85分と近畿の主要都市で最も時間がかかる。歴史都市京都を世界に発信する基盤は整うが、これをどう活用するかが今後の大きな課題になるだろう。
 一方、京都市は駅ビル完成を機に市南部の活性化を図るため、駅南再開発に向け、同地域の高さ制限を緩和する方針を打ち出した。規制緩和をめぐっての論議が再燃し始めている。まちづくりは市南北結節点に建つ駅ビルを核にいよいよ正念場を迎える。
 駅ビルが、機能をフルに発揮し、所期の目的を果たせるかどうか、市民は厳しい目を注いでいる。(解説)(京都新聞 夕刊)
■京都駅ビル 建築確認申請 不安と期待 交錯 下京消防署 反対派が抗議、騒然
 21世紀の京都のシンボルとなる京都駅ビル(仮称)が3年後の完成に向け、第一歩を踏み出した4日、建築確認の申請窓口の下京消防署は建設に反対する市民グループがつめかけて激しく折議、一時は小競り合いもみられ騒然とした。地元関係者の間でも、賛成と反対、不安と期待が交錯し、これまでからさまざまな話題に包まれてきた駅ビルは、南部再開発もからんだ景観問題や商業施設など、今後もその是非を巡って論議が高まりそうだ。
 午前10時、建築主のJR西日本と京都駅ビルの担当者4人が京都市下京区の下京消防署を訪れ、工事着工のための建築確認を申請した。
 一方、この日の申請を知り同署に待機していた市民グループの代表ら十数人は受付窓口である予防課に申請を受け付けないよう訴えた。応対した職員に田辺市長あての折議文を手渡し、JR西日本の職員らと押し問答。「申請をやめよ」「市民の話を聞け」と怒号があがり、もみあいが続く。階段で市民団体のお年寄りが倒れ悲鳴が上がる一幕も。
 こうした混乱の中、担当者らは、市民グループらの制止をかいくぐるように、図面や文書など確認申請のための資料が詰まった段ボール6箱を次々3階の会議室に運び込んだ。室内では署員が5000点に及ぶ書類を1時間にわたリチェック。11時過ぎに申請受理の領収書を担当者に手渡した。
 京都駅ビル開発では、「通知を受ければ山陰線部分などで、すぐに杭(くい)打ちを始める。工事は36ヵ月で、地下と地上工事を同時進行させる。早くつくることが使命と考えている」(谷口紀久常務)という。
 一方、駅ビルに反対する「のっぽビル反対市民連合」事務局長の中島晃弁護士は「いまの段階でなぜ建築確認を申請するのか。駅ビル改築に関連して駅周辺の区画整理事業に市民1300人が意見書を出している」と怒りを表した。
 逆に駅前商業地区連絡協議会代表の樋口信一七条商店街振興組合理事長は「やっとゴーサインが出る。商売の不安も少しあるが、期待が大きい。完成で四条河原町に負けないにぎわいを。外国人客も増えるからわれわれも地域全体で知恵を出し、活性化をはかりたい」と歓迎している。
・本格着工に理解を 井手正敬JR西日本社長の話 京都駅ビル開発を設立以来、三年が経過した。この間、設計コンペや都市計画上の手続きなど多くの事前準備を進めてきたが、確認申請によって事業は大きく動き出したことになる。1日には仮駅舎も開業、現駅舎の撤去を開始し本格的着工に進む。みなさんのご理解をいただきたい。(京都新聞 夕刊)
■京都駅ビル 高層化計画確認を申請 JRと開発会社
 古都の景観論争を巻き起こしているJR京都駅の改築高層化計画について、JR西日本と京都駅ビル開発会社は4日午前、京都市に対し、建築確認を申請した。市は3週間以内に確認を出す予定で、JRなどは、早ければ今月中にも着工する。しかし、当初、平安建都1200年にあたる来年の秋を予定していた完成は、一連の手続きの遅れから大幅にずれ込み、96年秋となる見込みだ。高層化に反対している市民グループはこの日、京都市と同開発感謝に抗議した。
 申請によると、3万8000平方bの敷地に、建築面積3万2000平方b、地上16階地下3階、延べ床面積23万8000平方bを建てる。
 駅舎のほか、百貨店「ジェイアール西日本伊勢丹」を核にした店舗、JR西日本系列のホテルなどが入る。総工費は約1000億円で、規模は大阪駅ビルの1.5倍にあたる。
 JRや京都府、京都市などが出資する第3セクターの駅ビル開発会社は91年、駅周辺の31bの高さ規制の中で国際コンペ(設計競技)を実施、高さ59.8bの原広司・東大教授の作品を選んだ。(朝日新聞 夕刊)
5日■あうとイン ”京都の顔”づくり始動 JR新駅ビル
 JR西日本と京都駅ビル開発は4日、京都駅ビルの建築確認申請を行った。明治10年に完成した初代京都駅から数えて4代目の駅ビルはいよいよ着工へと向かう。完成は平成8年秋。駅ビルは京都の玄関口という役割だけでなく、市南部開発に向けたかなめであり、かつ京都のシンボル的な建築物となる。それだけに市の総合設計制度改正による規制緩和とも連動して、高さ問題で景観論議を呼び。反対運動も巻き起こっている。市民の間にさまざまな関心と波紋を投げかけながら、建設へ踏み出した新しい京都駅ビルの周辺を克明に追った。
・活性化の起爆剤に 総合設計制緩和で 南部整備に課題
 京都駅ビルが着工に向けて動き出した。東西480b、高さ60b。事業費はざっと1000億円。ビル内部に、旧駅舎はもちろん、東寺の五重塔や東本願寺御影堂などもすっぽり入る、京都の戦後を通じて最大の建造物である。それだけに、これまでも期待や反発など景観問題も含め多くの議論を呼んできたし、今後も21世紀へ向かう京都のまちづくり論議の焦点になるのは間違いない。
 京都市が打ち出したまちづくり計画の中で、駅ビルは、保全・再生の市北部と開発・活性化の市南部の接点に位置する。京都の顔としての役割だけでなく、京都市南部の開発と活性化に向けて大きなインパクトをあたえる建造物であり地元経済への波及効果も大きい。
 駅周辺から南部方面に目をやると、さまざまなプロジェクトが計画または実行に移されつつあることがわかる。京都市が高度集積地区と位置づける新油小路通の京都ファッション産業団地、その南の伏見区向島に構想される洛南新都市、さらに向こうの京阪奈丘陵に着々と施設建設が進む関西学研都市などがある。
 一方で来年秋開港の関西国際空港を始め、将来展望では第二名神、リニアエキスプレス(超高速中央新幹線)構想などの国土開発軸が想定されている。こうした南に広がる活性化の要にあるのが、京都駅ビルだ。
 田辺市政が南部開発を掲げた背景には、京都市の相対的な地盤沈下がある。工場流出、工業出荷額の低迷、事業所数の減少、交通基盤の遅れなど他の政令指定都市と比べてその凋落(ちょうらく)ぶりが目立つ。地元経済産業界のいらだちと不満は相当なものだ。
 市自身も、伸びない税収と、和装など低迷する地場産業対策に頭をひねっていた。市は昭和63年に敷地の一部を公開空地として一般開放することを条件に容積率の割り増しを与える総合設計制度を導入。
駅ビルの歩み
1983年5月京都市が旧国鉄に駅改築を要請
84年10月平安建都1200年記念事業推進協議会が駅改築を記念事業に指定
85年4月JR西日本、京都市、京都府、京都商工会議所が駅改築協議会を設置
88年11月駅改築協議会が準備会社設立と平成6年の駅ビル完成を目指す基本計画案を決定。
89年4月駅開発準備会社設立
90年9月JR西日本、地元行政、経済界などが出資する京都駅開発準備会社が駅改築実行計画を策定
10月京都駅ビル開発会社を設立、資本金4億5000万円。44企業・団体が出資。その後増資し資本金は60億円に。
91年5月設計コンペで原廣司・東大教授の作品に決定。地下3階・地上16階で高さは約60。
10月駅施設、ホテル、デパート、ホールなど多様な施設を盛り込んだ総合的な駅改築基本計画を発表
92年12月府都市計画審議会の都市計画変更案を示認を受けて京都市が京都駅地区特定街区の都市計画を決定
93年1月京都市がJR西日本の仮駅舎に建築確認
3月市民ら約600人が京都市を相手取って都市計画決定等の無効確認の訴えを起こす
7月JR京都駅の改築計画縦覧開始
9月京都駅地区土地区画整理事業に1300人から出された反対意見書を府都市計画審議会が審議
10月 1日京都駅仮駅舎オープン
10月 4日JR西日本と京都駅ビル開発が建築確認申請、当初計画より2年遅れる8年秋の完成を予定
 そして先日、同制度をさらに緩和、市南部の高さ制限を事実上撤廃する大きな決断を行った。開発誘導策である。京都駅南のバッファゾーン(緩衝地帯)は高さ60bも可能との考えを示すと同時に、南部に高度集積地区を設定した。高さ制限ではなく容積率制限に転換したのがポイントだ。
 新駅ビルと合わせて93年秋は、京都市にとって南部開発が本格始動の段階に入った年として記憶されるのは間違いない。だが、京都駅ビルは巨大さゆえに高さや景観はもちろん、さまざまな分野で波紋を投げかけている。
 高層化に反対する運動も根強い。まして大学流出、観光客の減少などの現状に加えて不況の長期化が進むだけに、既存の市街地である市北部の購買力、経済力などのパワーや潜在力を削ぎ落とさないか−という懸念を持つ業界も少なくない。
 一方、市南部では駅南部の緩衝地帯をバブル崩壊後の痛手の中でどう市街地形成を図っていくのか。高度集積地区でも総合設計制度は万能ではない。秩序ある面的整備やゾーン整備には市の行政指導がカギとなる。企業、市民レベルのまちづくりへの高い意識も不可欠だ。いずれも難しい問題だが、それがなければ、無株序な開発となり、景観も著しく低下する危険性をはらんでいる。一部住民からの激しい批判と反発はその点にもある。
・一体的発展に寄与
 京都の経済界は、国際文化観光都市にふさわしい玄関口の整備と地元にもたらす活性化効果を評価し、一様に歓迎と期待の姿勢を表している。
 京都商工会議所の塚本幸一会頭は「1200年の中核的事業である新京都駅は、国際文化観光都市の玄関にふさわしいざん新な内部空間と国際性、文化性を備えており、新しい情報発信の拠点となる複合ターミナルだ。京都の活性化と南北地域の一体的発展に大きく寄与すると思う」と駅ビルの持つ意味を強調、計画の前進を喜ぶ。
 京都工業会の西八條實会長も「伝統産業と先端産業が並立するこの産業都市を21世紀に向け発展させるために京都駅の一新は心強い存在になるだろう」と評価、「この際学研都市や近隣地区へのアクセス整備も望みたい」とエールを送る。
 京都のホテルや観光業者も、競争激化を覚悟しつつ、歓迎を表明。日本ホテル協会の福持通京都支部長は「来年の関西国際空港開港にともない、空港直結のCAT(シティーエアーターミナル)など駅施設が充実するのはうれしい」と語り、「アクセス向上と人の流れの増大が見込まれ、ホテル協会としても、こうした表玄関の機能を最大限に生かして入洛客を増やすよう努力したい」と話す。
 また、京都観光旅館連盟の野村尚武会長も「駅ビルが完成すれば、全国からの観光客に大きく京都を印象付けることができ、効果は大きい。他の大都市の駅ビルに右へ倣えするだけではなく、文化施設の充実などによって京都らしさをさらにアピールできれば」とオリジナルな施設となることに期待を寄せた。
 これに対して、地元の各商店街では、駅ビル建設が駅周辺の開発だけにとどまらず、京都の町全体の活性化につながるような施策の推進を期待する声が強い。
 京都商店連盟の大橋進也会長は「狭い地域間の損得勘定にこだわっていてはこれからの京都の発展は望めない。大阪、神戸に負けない経済力を持つためにも、行政には駅ビルを核として京都全域が活性化するような総合施策を立ててもらいたい」と述べ、具体的には駅ビル建設にともなう京都駅のアクセス機能や駐車施設などの充実と、京都の町全体に人の流れが促進される方策などを要望している。
 四条繁栄会商店街振興組合の寺内多香祠理事長は「京都の消費者が京都以外の店で買い物する額は年間1500億円にも達している。もはや地域間競争の時代ではない。玄関をまず整備することで、座敷である各商店街への収客を図ることが重要な時期」との見方を示す。駅ビルへ進出する百貨店が新たな競争相手となる大丸京都店でも「駅機能の向上と周辺ゾーンの整備が、引いては京都全体の活性化につながる」と評価した。
・高層手法に批判も
 新しい京都駅が大規模な高層建築となることは、駅ビル改築が平安建都1200年記念事業に位置づけられ、駅舎機能だけでなく商業、ホテル、文化などの各施設をも含むことから、1991年の設計コンペ以前の段階で予想されていた。
 コンペでは、シンボル的な建物であることを理由にデザイン優先の方針が取られ、現行31bの高さ規制が設計の案件に入れられなかった。応募作品の中には、高さ120bに達するものもあった。
 審査会で決まった原廣司氏の作品は、対象となった7作品の中では59.8bと一番低かった。が、これとて現行規制の枠内では建設不可能。市は、一定範囲の地区について容積率や高さ制限を個別に決められる都市計画法上の「特定街区」を初めて適用、昨年12月の府都市計画地方審議会の商認を受けた。
 こうした経過は、同駅改築計画が常に先行し、法的手続きが後からやって来る印象を市民に与えた。もともと改築計画に対しては反対住民から古都の景観に影響を与えると批判があったことに加えて、こうした手続き面の強引さも反対運動の盛り上がりに拍車をかけたといえよう。
 そして、こうした批判に対する反論として用意された1200年記念事業というシンボル性さえも、市が来月から施行する新総合設計制度によって、同駅南口を含むバッファゾーンに60b級のビルが建築可能となれば、周囲に埋没する。
 象徴性を持ちえない駅ビルは、規制緩和の呼び水としてのみ後世に語り継がれることになりはしないだろうか。
・新京都駅舎
 鉄筋コンクリ−卜造り地上16階地下3階建て。高さ59.8bに達するうえ、東西の長さが480b、南北の幅が80bに及び、延べ床面積約24万平方bの巨大ビルとなる。
 旧駅舎の高さが31b、延べ床面積2万4500平方bなので、おおよそ高さで倍、規模は10倍に膨張する。
 谷型に広がるガラス屋根の大空間コンコース(長さ220b、幅27b)を中央に置き、その東側にコンベンション・ホテル施設、西側には複合商業施設を配置。また、4500平方の劇場空間、3000平方bの交流空間など文化施設を各所に設け、京都文化発信の拠点とするほか、地下や別棟に計1250台の駐車揚もつくる。外観はガラスと金属パネルの超近代的デザインに包まれる。(京都新聞)
■交通事業の健全経営目指し 指紋機関設置へ 京都市
 京都市は、4日の市会事業会計特別委員会で地下鉄、バスの交通事業の抜本的経営改善を目的に年度内のできるだけ早い時期に市長の私的諮問機関として「市交通事業経営健全化対策委員会」(仮称)を発足させる方針を明らかにした。
 健全化対策委員会は地下鉄事業が東西線で巨額な建設費が必要で、開業したとしても財政的に厳しい状況に置かれることや、バス事業も利用客の減少傾向が続くなど経営の改善には、全庁的な視点が必要との判断から、設置を進めることにした。
 同委員会は関係各部局のほか、学識経験者や経済関係者ら民間の専門家らで構成。地下鉄の需要喚起に結び付けるため、沿線の公共施設の配備や民間施設の誘導策、経営の効率化策、第三セクターの経営のあり方などの点について論議、意見を集約する。
 厳しい財政状況が続くバスと地下鉄事業について、一般会計からの繰り入れを含め、今後の経営をどのように行うのか、との質問に佐藤達三助役が答えた。
 各都市の交通事業についての経営健全化委員会は、横浜市で今年7月に発足、内部効率化のほか、財政計画など4つの専門部会を設けて審議を行っているほか、札幌市でも同目的の委員会を設置している。(京都新聞)
■御池第2駐車場 新設議案を提出
 京都市は4日、会期中の9月定例市会に、御池第二駐車場(仮称)新設工事の請負契約議案を追加提出した。8日の本会議で審議される。
 同駐車場は、地下鉄東西線と併せて建設中の御池地下駐車場に隣接し、これを拡大する形で設置される。御幸町通から高倉通付近までの約330b間に、地下2層式延べ2万3500平方bの駐車場を建設し、630台分のスペースを確保する。
 熊谷組など5社の公共企業体が92億7000万円で請け負い、1995年3月の完成予定。(京都新聞)
■”湖上バス”運行を構想 検討会県が設置 通勤など多角利用へ
 かつて隆盛を誇った琵琶湖の水上交通の復活を−と滋賀県は、観光航路のみの現在の湖上の交通機関を拡充、通勤や観光などに役立てる構想をまとめ、庁内に検討会を設置した。湖岸の停留所に寄港する「湖上バス」などの運行をイメージしており、琵琶湖博物館など文化施設が集積する草津市・烏丸半島へのアクセスとしての利用も期待される。
 4日の県議会一般質問で、勝義隆企画部長が明らかにした。
 琵琶湖では、古くから湖上交通が栄えており、戦前には1日数十便の船が、旅客や貨物などを運んでいた。
 しかし、鉄道や道路の発達で次第に衰退。現在では観光航路だけとなり、琵琶湖汽船とオーミマリン(彦根市)を合わせ38便になっている。構想では、湖岸の数ヵ所の停留所を経由しながら旅客を運ぶ「湖上バス」のほか、行き先を自由に選べる「湖上タクシー」などの案も上がっており、県企画部では「これらを含めて多面的に検討したい」としている。
 県庁内に発足した「滋賀県湖上交通検討会」は、今月12日に初会合を開き、琵琶湖汽船、オーミマリン両社から経営や運行について説明を受けるほか、年内に3回程度の会合を開き、湖上交通に関する制度や法規などについて検討することにしている。(京都新聞)
■作業員を書類送検 地下鉄工事死亡事故
 今年5月、京都市山科区の市営地下鉄工事現場で鉄パイプが倒れ、歩行者が死亡した事故で山科署は4日、業務上過失致死の疑いで茨木市南春日丘、土木建築業「大隅工業」従業員三好幸一作業員(40)を書類送検した。
 調べによると、三好作業員は5月28日、山科区御陵原西町の地下鉄東西線工事現場で、クレーンで鉄パイプの上部を固定しないまま、地盤改良機を使って鉄パイプを地中から抜いたため、鉄パイプが倒れた。この際、鉄パイプの上部に取り付けたゴムホース(長さ1.5b、直径4a)が歩道を歩いていた山科区日ノ岡堤谷町、無職多賀谷孝子さん(83)にあたり、内蔵失血で死亡させた疑い。
 三好作業員は作業員5人を指揮し作業中で別の作業員が鉄パイプを固定したかを「しっかり確認しなかった」と話している、という。(京都新聞)
■京都駅ビル高層化建築確認申請提出 着工へ向け「秒読み」に 段ボール6箱分の書類 反対派「見切り発車」と反発
 景観論争のきっかけとなったJR京都駅ビルの60b高層化計画は4日、JR西日本などが建築確認申請を京都市に提出したことで、事実上、着工へ向けての「秒読み」段階に入った。高層化に反対してきた市民グループは「見切り発車」と強く反発。建築阻止に向けて、法的手段に訴えることも検討している。
 建築確認申請はこの日午前10時、上田信二・JR西日本建築工事課長、椎名信義・京都駅ビル開発会社常務取締役建設部長、設計者の原広司・東大教授の夫人でアトリエ・ファイ建築研究所長の原若菜さんらが下京消防署に提出した。
 高さ59.8b、東西約480b、延べ床面積23万8000平方bという、市内では最大規模の建築計画とあって、書類は段ボール6箱分。申請の用件を備えているかどうかのチェックだけで1時間近くかかった。
 一方、申請に先立ち、「ストップ・ザ・京都破壊 まちづくり市民連絡会議」のメンバーら約10人が同署を訪れ、抗議の申し入れ書を山田高次・予防課長に手渡した。
 メンバーらは@高さ規制を緩和する特定街区制度の適用条件となる都市計画道路設定に必要な駅周辺の区画整理事業計画が、府の都市計画地方審議会で審議されているA現在の駅ビル観光デパートのテナントの移転問題が解決していないB新駅ビルは歴史都市京都を南北に分断するとともに、重大な景観破壊を引き起こし、周辺の中小商業者に壊滅的打撃を与える−などの問題点を指摘。「駅周辺には、世界遺産条約に基づく文化遺産への推薦が決まった東寺や西本願寺があり、駅ビルの高層化計画は条約の趣旨に反する」と、申請を受理しないよう求めた。
 しかし、署側は「申請があれば、受理せざるを得ない」として、突っぱねた。
 同会議事務局長の中島晃弁護士は「区画整理事業の事業計画決定を待たずに、手続きを進めることは市民を愚ろうするもので、府都計審が全くおざなりにすぎないことを自ら暴露するようなものだ。建築阻止に向けて何らかの法的な措置をとりたい」と話している。(朝日新聞)
■地下鉄工事現場事故 建設社員を書類送検
 今年5月28日、山科区御陵原西町の地下鉄東西線の建設作業現場で、同区内に住む無職多賀谷孝子さん(当時83)が作業用パイプについていたビニールホースに当たって死亡した事故で、山科署は4日、機械を操作していた大隅工業(本社・大阪府茨木市)社員(40)を業務上過失致死の疑いで京都地検に書類送検した。
 調べによると、この社員はコンクリートの注入などに使った鉄製パイプの抜き取り作業をしていた際、パイプの先端がクレーンのフックにかかっていることを確認してから機械の操作をしなければならなかったのに確認を怠った疑い。(朝日新聞)
■京都市 運輸省幹部らを接待 共産が追及 地下鉄建設に縮み
 京都市が建設を進めている市営地下鉄烏丸線の延伸線(国際会館−北山間約2.6`)の計画などに絡んで、市が昨年度、監督官庁の運輸省幹部らの接待に計約290万円を費やしていた、と共産党市議団が4日、明らかにした。市は東京の料亭などでの一部の支出については認めている。市民団体も公文書公開条例に基づき、関係資料の公開を求める方針。
 同市議団によると、わかっているだけで昨年4月から今年3月にかけ、33回にわたり、計288万円余りを支出していた。
 同市議団の調査書によると、支出額が多いのは運輸省幹部らに対するもので約195万円。昨年5月には烏丸線延伸協議の名目で、市幹部8人が運輸省幹部8人を東京・赤坂の料亭に招き、料理代などに約60万円を支出。さらにこの時の送迎費として約19万円を使い、中には1人で約6万9000円のタクシー料金を使っていたケースもあったという。
 交通局側は運輸省幹部ら31人に対し、「接遇」費として5回にわたり計約123万円を使ったことを認めている。他については「コメントできない」としている。
 監督官庁に対する「接遇」について、依田満・交通局長は「世話になることに対する謝意であり、社会的な通念の範囲で支出している。他の都市でもやっていることだと思う」と話している。(朝日新聞)
6日■大阪ニュートラム暴走 無人運転、車止め激突 住之江公園駅 乗客180人が負傷 帰宅時 満員、将棋倒し
 安全システム働かず
 5日午後5時半ごろ、大阪市住之江区泉の大阪市営の新交通システム「ニュートラム南港ポートタウン線」住之江公園駅で、中ふ頭先住之江公園行き電車(無人運転、4両編成)が高架上にあるホームの停止位置を56bオーバラン、ゴムクッションのついた鉄製車止め(高さ約1.5b)に衝突した。電車はほぼ満員の約290人が乗っており、乗客の金沢市円光寺、会社社長宮下英夫さん(46)ら180人が市内20数ヵ所の病院に運ばれ、うち京都府相楽郡木津町、増田和典さん(57)ら42人が入院した。けが人が多く、駅前で応急手当てを受けて帰宅した人もいた。
 新交通システムは神戸、大阪など都市部で導入されているが、大事故は初めて。大阪府警は住之江署に捜査本部を置いて事故原因などの捜査を始めた。大阪市も対策本部を置いた。近畿運輸局は事態を重視、安全確認までニュートラムの運転中止を指示した。
 同市交通局は信号系統、あるいは電気系統の故障で人為ミスは考えられないとしている。
 電車は衝突のショックでガラスが割れるなどしており、捜査本部は約30`の速度で衝突したとみている。
 ニュートラムの運行は、コンピューター制御のATO(自動列車操縦装置)、ATC(自動列車制御装置)で無人運行しており、管理は中ふ頭駅近くの中央指令所で行っている。
 大阪市交通局によると、同駅付近では軌道上の地上装置から車両装置への電波指示で、駅から150b地点で時速50`から40`へ、70b地点で25`に、ホーム直前では15`に減速し、停止線に止まるという。
 しかし、駅関係者の話では、事故列車は時速約20−30`で暴走してきたといい、市交通局では駅近くの地上装置と車両装置との連絡が何らかの原因でうまくいかなったのではとみて調べている。
 同電車は2ヵ月ごとの点検を前日に行ったばかりだった。
 乗客の話では、通常だと減速する地点でブレーキがかからず、そのうち「非常ブレーキがかかる」という自動アナウンスがあったという。駅の事務室はホームの下にあり、事故に気付くのが遅れた。
 ニュートラムは、午前7時から午後9時までは乗務員は乗せておらず、残りの時間は車内警戒などのため添乗員が一人乗務している。
・消防局発表は194人
 ニュートラム事故の負傷者数について大阪府警は180人(うち42人入院)と発表しているが、大阪市消防局は現場で治療を受けた人を含め6日午前零時現在で194人としている。(京都新聞)
■”ハイテク神話”崩れる 二重、三重の制御利かず
 5日事故を起こした大阪市営新交通システム・ニュートラムは、コンピューターによる自動制御で無人で運転、中央指令室が運転状況を把握しているが、電車が暴走した場合に停車させるためには停電させるしか方法がない。
 今回の事故は、こうしたコンピューター全面依存型のシステムが正常に働かなかったために生じたもので、ハイテク時代の盲点を示したものといえる。
 大阪市交通局によると、ニュートラムは低い側壁に囲まれた軌道上をゴムタイヤで走行する。車両は、住之江公園駅と反対側の終点である中ふ頭駅近くにある中央指令室の自動列車制御装置(ATC)、自動列車操縦装置(ATO)からの信号を、軌道に埋め込まれた誘導線から無線で受信、位置を確認しながら自動運転する。
 駅の手前200bのポイントを過ぎるとATOで減速、停車する仕組みで、非常事態にはATCで非常ブレーキがかかるはずだったが「事故車は減速せず、非常ブレーキもぶつかる直前まで働かなかった。
 昭和56年の開通当初は「慣れていない乗客に安心感を与えるため」(同市交通局)計器を操作しない添乗員が車両前部に1人乗務。車内の非常停止ボタンを押せばATCで非常ブレーキが利くが、平成3年から「省力化」のため約3分の2の車両で添乗員を廃止、事故車も完全に無人運転だった。
・”人”忘れた技術革新
 大谷良一立命館大教授(産業技術論)の話 採算があわずに有人を無人システムに切り換えたとニュースで知って驚いている。まずコンピューター、機械というものは、原理的に故障する危険性をはらんでいる。とくに今日、コンピューターやマイコンを組み込んだもので、電磁波障害によるさまざまな事故が起こっている。これはいたるところに飛び交っている電磁波が他のシステムに影響し、本体が故障してなくても、機能を異常にさせるためだ。これが、大阪のような大都市では、どのような状態にあるか。さらに、高架周辺の事故など、技術者が予期しない現象が十分起こりうる。こんな状態のなかで、人間の命にかかわるような交通機関に人間をひとりも乗せないというのはなんたる技術革新かと思う。大変けしからんことで、認可した運輸省の発想を疑う。
 交通評論家の角本良平さんの話 新交通システムの事故は初めて聞いた。システム自体については問題はなく絶対安全と考えていたので驚いている。原因としては、車両や軌道などの保守のミス、部品の欠陥が考えられるが、この点を追及して、事故を教訓により安全な交通機関にしなければならない。(京都新聞)
■あと4b あわや転落 ニュートラム暴走 流れる血 響く悲鳴 乗客「一瞬吹っ飛んだ」
 「ドン!」と突き上げる衝撃とともに、満員の乗客が床にたたきつけられた。血を流し、横たわる通勤客がいる。5日夕、大阪市住之江区の大阪市営・新交通システム「ニュートラム」住之江公園駅で電車が車止めに激突、乗客180人が負傷した。コンピューターで制御された電車が、なぜ暴走したのか。高架駅のすぐ下の道路には車が行き交っており、あわや二重の惨事になるところだった。
 電車は時速約25`から減速しながら、コンクリート製の車止めに取り付けられたラバーに衝突して止まった。先頭車両の前部は塗膜がはげ落ちたうえ、へこみ、正面の運転席の窓ガラスが割れた。車止めの約4b先は最先端のコンクリート壁で、その向こう側は十数b下の道路だった。
 住之江病院に運ばれた城陽市平川大将軍、近畿大3年岩本忠寿さん(22)は、前から2両目か3両目のドア近くに立っていた。「『急ブレーキをかけます』とアナウンスがあったとたん、何かにぶつかった。1bほど飛ばされ、人の上にかぶさるように倒れた」
 岩本さんは、授業でポートタウンを見学し、友人と帰宅する途中だった。「女性らの悲鳴が響き、友人が頭から血を流していた。仲間とドア付近にあったインタホンを押したが、すぐに応答しなかった。ドアが開くまで3、4分かかった」と話し、レントゲン検査を受けた。
 枚方市藤阪元町の丸山真一さん(22)は「倒れた後、ドアを開けようとしたが、なかなか開かなかった」と話す。しばらくして救助員が、1両目の車内からドアを開けてくれた。「ようやく倒れた友人を肩に担いで脱出できた」。
 車両の損傷はそんなにひどくはないが、乗客らは衝突時に相当激しいショックを受けたと話す。
 会社帰りの西宮市今津山中町、平井利満さん(62)はつり革を手に立っていた。「電車のスピードが落ちないな、と思った瞬間、床にたたきつけられた。先頭の窓ガラスが割れ、飛び散った。コンピューター制御の電車で、まさかこんな惨事が起きるとは」
 住之江公園駅の花田時男助役(56)は「警報ブザーと衝撃音で事故を知った」と、大阪市消防局に事情を説明したという。説明によると、花田助役がホームに飛び出すと、乗客が電車の非常口を開け、外に脱出しようとしていた。しかし、軌道敷には550ボルトの電線が3本あり、もし乗客が触れれば…。花田助役は事務室に戻り、運転指令所に電源を切るよう緊急連絡したという。
・ごったがえす病院内
 負傷した乗客らは、住之江公園駅前の駐車場で駆けつけた救護班の医師や看護婦らの応急手当てを受けた。足や頭を打ちつけた帰宅途中の通勤客らは、ぼう然とした表情。搬送先の病院に急行する救急車やパトカーのサイレン、けが人のうめき声が駅前周辺をつつんだ。
 180人のけが人は住之江区内などの市内20数ヵ所の病院に運ばれ、応急処置を受けた。住之江病院には負傷者9人が運ばれ、医師や看護婦があわただしく対応に追われた。治療を待つ年配の男性は、ぐったりと座り込む。足を引きずって歩く若者の痛々しい姿もあった。
 大勢の報道陣も病院に詰めかけた。比較的元気な乗客らに事故の様子を聞くなど病院内はごったがえした。
 17人が搬送された住之江区の南大阪病院では人手が足りず、寮の看護婦を動員して対応した。大阪市交通局の職員3人が訪れ、けがをした乗客に謝罪をしていた。(京都新聞)
■大阪市営ニュートラム 暴走 乗客約200人けが 電算制御 新交通システムで初の事故 無人運転 車止めに激突 ラッシュの住之江公園
 5日夕、大阪市住之江区の人工島・南港と都心を結ぶ新交通システム、大阪市営「ニュートラム」の発着駅で、ほぼ満員の乗客を乗せてホームに入ってきた無人運転の車両(4両編成)が、減速せず時速約30`のまま停止線を通り越して約60b暴走し、車止めに激突した。ラッシュ時間帯で、乗客約250人のうち、約200人が骨折や打撲などで負傷した。コンピューター制御による新交通システムの暴走事故は国内で初めてで、大阪市交通局では事故対策本部を設置、電気回路などの異常で2系統ある常用ブレーキが正常に働かなかったとみている。大阪府警は住之江署に捜査本部を置き、業務上過失致傷容疑で運行管理者らから事情を聴くなど、事故原因を調べている。
 大阪府警などの調べによると、事故を起こした車両は南港ポートタウン線中ふ頭駅を午後5時15分に出発。定刻通り同29分、終着駅の住之江区泉一丁目の住之江公園駅に入った。しかし、そのままほとんど減速せず、ホームを通過したところで「非常ブレーキをかけます」という車内アナウンスが流れたものの、1、2秒後に車止めに激突した、という。
 先頭車両の先端部分は車止めにめり込む形で止まった。住之江公園駅は道路の上に駅舎とホームがある。軌道部分は地上から高さ約12bで、車止めの先は約1bで壁になっている。
 大阪市消防局は救急車22台を出動させ、市内23ヵ所の病院に負傷者を搬送した。同消防局の午後11時現在のまとめによると、負傷者の総数は約200人。このうち病院に運ばれたのは確認されただけで178人で、15人が現場で応急処置を受けた。住之江消防署によると、けがは打撲の軽傷が大半だが、大阪市内の会社員岡村幸彦さん(31)をはじめ、骨折した人もいるという。
 大阪市交通局などによると、ニュートラムは中ふ頭駅にある中央指令所で全運行を監視。午前4時25分に始業設定ボタンを押すと、すべてコンピューター制御で動くようになっている。3電車に1本の割合で添乗員が乗っているが、運転そのものは無人で行っており、事故を起こした電車も添乗員はいなかった。
 ニュートラムは、軌道上に設置されたベルト状の「ループ線」から弱い電波で速度などの指示信号を出し、先頭車両の床下にあるアンテナで受信し、制御している。停車には、ATO(自動列車運転装置)と、ホームを行き過ぎたときなどに働くATC(自動列車制御装置)の2種類のブレーキがきくようになっている。
 しかし、住之江公園駅に入るときは、停止位置の約200b前から段階的に速度を落とすATOの常用ブレーキがきかなかった上、ATCによる緩やかな減速もしなかったという。ただ、ATCには非常用ブレーキがあり、これがオーバーラン後に作動したが間に合わなかったらしい。
 事故当時、指令室では列車がオーバーランしたことを示すランプが点灯し、同時に列車のブレーキが働いたことを示す「非常制動中」のランプもついたという。大阪市交通局は「ATOとATCの二重の故障は考えにくい」とした上で、「電気か機械系統の異常と考えられる」としている。
 大阪市支通局は当面、市バスによる代替輸送で対応したいとしている。
・運行中止を指示 運輸省
 運輸省は5日夜、大阪市交通局に対し、事故原因が判明するまで「ニュートラム」の運行を全面的に中止するよう指示した。また無人運転が行われている他の全国3ヵ所の新交通システムの運行会社などに、当分の間緊急時に対応できる監視員を最低1人乗務させるよう指示した。さらに安全確保のため、保安システムなどの「安全総点検」を近く実施する方針だ。
・メモ ニュートラム「南海ポートタウン線」は、大阪市が大阪港を埋め立てて開発した南港地区の交通手段として、1981年に開業。住之江区内の中ふ頭−住之江公園問(約6.6`、計8駅)の高架専用軌道を、ゴムタイヤで走る新交通機関。91年10月から、一部の電車で無人運転を行っている。1日に上下合わせて約400本で、利用客は昨年度の実績で1日平均約6万2000人。(朝日新聞)
■電子制御 思わぬ弱点 二重のガード作動せず?
 起きるはずのない事故が起きた。約200人の負傷者を出した大阪市の新交通システムの暴走に、関係者や専門家は一様に「考えられないこと」と首をひねる。何重もの安全を確保する手立てが用意されているはずの「未来の乗り物」に、何が起きたのだろうか。
 新交通システムは自動運転時、駅ごとの停車をつかさどるATO(自動列車運転装置)と、ホームを通過してしまった時に働くATC(自動列車制御装置)の2つで二重に安全管理されている。
 ATOは、停車位置の200b前を列車が通過すると、次第にスピードを落とす指示を送る仕組みとなっている。何らかの理由でATOに異状があっても、ホーム近くには線路に沿ってスピードを落とすよう指示するATCのアンテナが張り巡らされ、ホームを行き過ぎると非常ブレーキがかかる構造になっている。
 専門家や、ニュートラムと同型の新交通システムの運行会社の技術担当者は異口同音に、今回の事故を「あり得ないこと」「起こってはならないこと」と繰り返した。
 井口雅一・東大工学部教授(交通技術)は「ATCは事故防止のための最高レベルの技術だ。新幹線でも30年使われているが、ATCが作動しなかったために起きた事故はない」と話す。
 西川■一・京大工学部教授(計測制御工学)は「ATCとATOが同時に故障することは極めて低い」という。
 新交通システム「ポートライナー」「六甲ライナー」を運行している「神戸新交通」の関係者は「新交通システムでは通常、一つの車両にATOが2台、ATCが3台積んである。事故が起きたことは、そのすべてに異状が同時発生した場合しか考えられない」と話す。
 大阪市交通局の内部では、車体の中にある常用、非常用の2つのブレーキのうち常用ブレーキの電気回路が故障していたのでは、との見方も浮上している。
 ニュートラムは、各車両内のATOにあらかじめプログラムされた速度で走り、駅に近付くと常用ブレーキで減速する仕組み。ATOは今回のような無人の車両で運転手の役割を果たしている。
 もしATOに異常が発生し、規定の速度を超えれば、集中制御室から出るATCの信号によって、常用ブレーキが作動することになっている。
 今回は規定速度を超えたまま突入した。ATOとATCからの「ブレーキをかけよ」という信号が常用ブレーキまで届かなかったことになる。
 原因として、市交通局の専門家は「ブレーキ信号をアンテナから常用ブレーキに伝える電気回路が故障していた可能性が強いのでは」とみている。さらに、軌道上に設置された装置から出る電波信号のトラブル、先頭車両の床下にある受信アンテナの故障なども考えられるという。
 これとは別の見方もあ丁る。曽根悟・東大工学部教授(交通システム)によると、車軸には速度を自動的に検出する装置が付いているが、これが故障していたとすると、走行しているのに止まっているという誤った信号を送り返し、走り続ける可能性がある。この場合は、ブレーキ信号が正常に届いても、止まっていると判断しているので、ブレーキは動かないことになるという。(朝日新聞)
■「止まらん」乗客悲鳴 ニュートラム暴走 満員の車内将棋倒し 高架上「あわや転落」
 満員の乗客を運ぶ無人運転の車両が終着駅の車止めにめりこんだ。車内に血が流れ、悲鳴が交錯する。5日、大阪市住之江区で起きたニュートラムの事故は、省力化、コスト削減を目玉に各地で導入された新交通システムの思わぬ弱占を見せつけた。完ぺきとされてきたコンピューターの列車制御が崩れたのか、あるいは単純なブレーキの故障か。負傷した乗客からは「機械化で安全が軽視されている」と、怒りの声が上がった。
 大阪南港の国際見本市会場「インテックス大阪」でオートメーション機器の展示会があったため、ニュートラムには約250人が乗り、満員状態だった。
 車両はドーンという音とともに、住之江公園駅の車止めに衝突。先頭車両は高さ1.7bの車止めに食い込む形で止まり、フロントガラスにはクモの巣状にひびが入った。ドア付近の手すりは曲がったり、はずれたり。車内には、眼鏡や靴、ハンカチ、雑誌、新聞などが散らばり、血が点々と落ちていた。
 乗客らは、駅の南側駐車場に設けられた応急救護所で医師6人、看護婦ら11人から百数十人が応急手当てを受け、うち約30人が病院に運ばれた。
 衝突の直前、先頭車両では「電車が止まらん」「ぶつかるで」と、次々と悲鳴が上がった。前後して、「急ブレーキがかかります」との自動アナウンス。直後にドーンという衝撃で乗客は将棋倒しになった。
 兵庫県西宮市の会社員平井利満さん(62)は右足の内側を強くうち、しばらく動けなくなった。「駅員が来るのが遅かった。機械化し過ぎた結果の事故だと思う」
 大阪市福島区の会社員(45)も「非常ボタンを押してもドアは開かず、男性3、4人でこじあけた」と憤る。
 運転席構の釣り革につかまっていた大阪府泉北郡忠岡町の会社員長浜和男さん(31)は「駅に入っても電車が止まらず、真っ黒な車止めが追ってきた。あかんなあと思ったら、ものすごい音がした。高架上だから、落ちたらどうしようと、本当に怖かった」と住之江区内の病院で話した。
 首などに軽いけがをした神戸市灘区上野通二丁目、会社員桜川圭子さん(33)は、気がついたら床に投げ出されていた。『ボタンを押せば応答します』と書かれた非常ボタンを押したが、何の反応もなかった。
 2両目では、女性が「ブレーキがきかない」と叫んだ。茨木市の会社員梅本あゆみさん(21)は、左足が倒れた人の下敷きになって動けなくなった。そばに、目じりを切って顔中血だらけになったおばあさんや、腕をだらりとたらした小学生がいた。
 事故当時、駅には運輸助役ら3人が勤務していた。駅務室では4台のモニターテレビが構内の様子を映していたが、中ふ頭駅にある中央指令所からの直通電話で事故を知った。救急車の手配を中央指令所に要請してから救助を始めると、乗客から「何しとった」「早くしてくれ」などの声が飛んだ。
 モニターテレビの操作盤には、券売機やホームの乗降ドアなどに異常があった場合、警報ブザーが鳴り、ランプが点灯することになっているが、全く作動しなかった。駅員の一人は「ニュートラムに勤めて9年ほどになるが、数十aのオーバーランでもブザーはなっていた。ブザーが鳴っていれば、もっと早く対応できたのに」と話す。
 ニュートラムは、今年5月に責任事故が皆無だったとして、近畿運輸局長の表彰を受けたはかりだった。
・軌道に高圧線 感電の恐れも 電源切り間髪
 大阪市消防局によると、ニュートラムはホームを約50b行き過ぎて車止めに衝突して止まった。乗客は電車の扉を手動の非常用レバーで開き、次々と軌道上に降りた』軌道上には約500ボルトの高圧線3本が敷設してあり、乗客がこれに触れると感電死する恐れがあったが、住之江公園駅の助役が中ふ頭駅に連絡し、電源を止めたため、間一髪で惨事をまぬがれた、という。
・大阪市助役が陳謝
 ニュートラムの事故で、大阪市の磯村隆文助役は同市交通局で記者会見し、「あってはならない事故が起こり、けが人を出したことを心から申しわけないと思っている。原因を調査し、事故が二度と起こらないようにしたい」と陳謝した。(朝日新聞)
■橋げた工事で談合か 広島の新交通システム 事故の参考人が供述
 広島市安佐南区の新交通システム工事現場で一昨年3月、橋げたが落下し15人が死亡、8人が負傷した事故で、この工区の元請け工事業者の「サクラダ」(本社・千葉市)が発注元の広島市の指名競争入札に参加した際、他の業者と談合していた疑いがあることが5日、わかった。広島市も同日、当時の入札担当者らから事情を聴くなど調査に乗り出した。
 この談合は事故当時、参考人として広島県警や広島地検に事情聴取された当時の同社広島営業所長が調べに対して供述した。捜査側は「不正な価格のつり上げや談合金の授受など違法な事実がなかった」として立件は見送った、という。
 関係者の話では、同社は1990年8月、事故のあった「新交通第6工区その2の上部工事」の指名業者になり、9月10日の入札で9500万円の最低価格を提示して落札した。
 これに対し、サクラダの川島正明総務部次長は「談合は一切なかったはずだ」と話している。(朝日新聞)
■代替バスに長い列 ニュートラム暴走事故
 暴走事故から一夜明けた6日朝、大阪市住之江区の市営ニュートラム各駅前は振り替え輸送のバスを待つ通勤、通学客で長い列ができた。
 住之江公園駅には、車止めに衝突したままの事故車両が、窓ガラスが割れた無残な姿をさらしていた。駅の入り口などには「事故を深くおわびします」との張り紙がされ、市交通局職員がバス乗り場への誘導に当たった。
 市内有数の大規模団地を抱える同区のポートタウン東駅には午前6時すぎから乗客が並び始め、7時半には5、600人が約300bの列をつくった。
 同駅にはひっきりなしに苦情の電話が入り、「前の駅でバスが満員になって後の駅の客は乗れない」と案内の職員に男性客がくってかかる姿も見られた。
 同駅で並んでいた府立阿倍野高校3年真喜志多絵さん(17)は「早めに家を出たが、20分ぐらい待たされてもう遅刻。明日も続くようなら家族に車で送ってもらいます」とあきらめ顔だった。
・代替運転の市バスが事故 乗用車が当て逃げ
 6日午前8時ごろ、大阪市住之江区南港東、南港大橋北側交差点内で、ニュートラム事故による代替運転の市バス(住之江公園駅発中ふ頭行き、平田雅彦運転手)が直進中、乗用車と接触。バスに乗っていた同区平林南二、主婦白井久子さん(62)が首をねん挫するなど1週間のけがをした。乗用車はそのまま逃走した。
 住之江署で、乗用車がバスの右前方から強引に左折しようとしたのが事故の原因とみて、当て逃げの疑いで乗用車を運転していた中年男性の行方を追っている。
・運行再開3、4日後
 大阪市交通局のニュートラム事故対策本部は6日、事故調査委員会(本部長、佐野寛・建設技術本部長)を設置するとともに、運行再開について「早くても3、4日はかかる」との見通しを明らかにした。
・乗務員を配置 六甲ライナーなど
 神戸市の外郭団体で新交通システムを運営する神戸新交通は五日夜、大阪市で無人運転の新交通「ニュートラム」で事故が起きたことを受けて、「ポートライナー」と「六甲ライナー」に乗務員を配置した。(京都新聞 夕刊)
■ニュートラム衝突事故 交通局を強制捜査 大阪府警 制動回路故障が原因か
 大阪市営新交通システム、ニュートラムの車止め衝突事故で大阪府警の捜査本部は6日、大阪市住之江区南港中の同市交通局・運転指令所など計6ヵ所を業務上過失傷害の疑いで家宅捜索、強制捜査に乗り出した。
 捜査本部は、電車を減速させる自動列車操縦装置(ATO)など2つの制御システムがいずれも正常作動しなかったことから、この2装置の電気系統が通る車両内の制動回路にトラブルがあった可能性制が強いとみており、担当者らに過失がなかったか調べる。
 捜索個所はほかに、ニュートラムの車両検査場や信号の通信区など。運輸省、近畿運輸局も午後から事故調査する。
 事故の被害者は、負傷者183人、うち入院者は48人(府警調べ)に上った。
 府警の調べや、大阪市交通局によると、同線はATOで走行、停止の速度調整をしており、電車が駅に近付くとATOが段階的に常用ブレーキ回路に信号を送り、電車を停止させる仕組み。しかし、今回はATOが働かず、異常時にATOを補う自動列車制御装置(ATC)もブレーキを動かせなかった。結局、ATCが車止めの45b手前で別の非常用向路を通じてブレーキを作動させたが間に合わず衝突したとみられる。
 捜査本部などはATO、ATCとも常用ブレーキ回路を通じての制動ができなかった点を重視、この回路が何らかの原因で遮断されていたことも考えられる、としている。
 交通局によると、事故車両は前日の4日に定期検査したばかりだがブレーキ機能関係に異常はなかった。また、コンピューターによる自動運転を集中制御する中央指令所では、交通局職員がモニターで速度推移などの運行状況を監視しているが、衝突数秒前に警報ランプでやっと事態に気付いた、という。
 捜査本部は検査の方法や、事故当時の監視態勢に不備がなかったかについても、関係者から事情を聴く。(京都新聞 夕刊)
■事故車両で過去3回故障 ニュートラム いずれも電気系統
 大阪市営の新交通システム「ニュートラム」が5日夕、南港ポートタウン線住之江公園駅で暴走して車止めに激突した事故で、この4両編成の車両がこれまでに3回、接触不良など電気系統の故障を起こしていたことが6日、大阪市交通局のニュートラム事故対策本部の調査でわかった。同本部は、これら過去の事故後の措置を調べる。一方、大阪府警捜査一課の住之江署捜査本部は6日朝から現場検証するとともに、昼前、業務上過失致傷の疑いで、ニュートラムの中央指令所(住之江区)など6ヵ所の捜索に入り、本格的な事故原因の究明を始めた。
 市の事故対策本部によると、事故を起こしたニュートラムの4両のうち、最後尾の「1011-13」号は開業直後の81年、住之江公園駅で非常口ドアのスイッチが接触不良を起こして非常発報が作動、運行取り消しとなった。また、先頭から3両目の「100-13」号は82年に絶縁不良を起こし、先頭の「105-13」号も84年、前進回路の電気接点の接触不良によって、大きくダイヤを乱すきっかけとなった。
 ニュートラムの運行中の事故は、81年3月の開業以来、計29件起きているが、このうち3件が事故車両のものだったことになる。市交通局は「いずれも今回、異状を起こしたと見られる列車自動制御装置(ATC)などとは関係ない」としているものの、事故車両の過去のデータの収集作業の一環として、改めてどのような処置をしたのかチェックするという。
・代替バスへ 200bもの列
 全面運休となったニュートラムの各駅前には6日朝、代替運行のバスに乗り込む通勤客らの長い列ができた。都心と結ぶ足を奪われた3万2000人の人工島・大阪南港では、早出出勤するなどの対応を迫られた。
 大阪市交通局は午前5時過ぎから9時までに計185本の代替バスを出し、約1万人を運んだ。それでもラッシュ時に1万5000人が利用するポートタウン東駅などでは、一時的に200bほどの長い列ができた。(朝日新聞 夕刊)
■ニュートラム暴走 3分間にブレーキ異状 前・後続車は正常
 大阪市の新交通システム「ニュートラム」住之江公園駅で5日夕、暴走事故を起こした無人運転の車両(4両編成)は、1つ手前の平林駅まで正常に停車していた。両駅の距離は1.2`。わずか「3分間」に、ブレーキを動かす回路に異状は起きた。事故直前、住之江公園駅で停車・発車した別の電車や、後続の電車は正常だったことから市交通局は、事故電車そのものでの異状が原因との見方を強めている。ブレーキを動かす「常用ブレーキ」回路が断線したか、二重の安全システムが同時に壊れたか。開業して12年半、ニュートラムは技術者の予想を超えた「死角」を抱えながら走り続けたことになる。
 無人の電車はふだんは自動列車運転装置(ATO)で停車する。市交通局によると、ATOは、住之江公園駅の停止線の@手前200bA50bB8bC停止線−計4ヵ所の送信機から電車に信号を送り、「常用ブレーキ回路」を使ってブレーキを徐々にかける。事故電車は、これがまったく動かなくなった。
 ATOの異状時などにブレーキをかけるための自動列車制御装置(ATC)は、全線で連続的に電車のスピードを監視している。もしATCが正常ならばATOが壊れても、電車は止まるはずだった。
 唯一ブレーキを動かしたのはオーバーラン後、ATCの信号を受けた「非常用ブレーキ回路」だった。
 市交通局の幹部技術者らは「ATO、ATCが同時に壊れたか、常用ブレーキ回路が『断線』したとしか思えない。しかし、どちらも極めて可能性は少なく、これまでまったく予想していなかった」と認める。
 さらに「ATCの非常用ブレーキ回路が最終場面で働いたが、本来はもっと早い時点で常用ブレーキ回路が動かないことを感知して、利くはずなのに」と首をひねる。
 常用ブレーキ回路は、細い銅線を50本ほど束ぬたもので、簡単には切れない。山中忠義車両部長は「事故にいたる現象をすべてうまく説明することができない」と言う。
 軌道側の、両システムに信号を送る送信機やケーブルに故障や異状が瞬間的・局地的に発生した可能性も理論的には残る。
・現場検証開始 電気回路中心に
 大阪府警捜査一課の住之江署捜査本部は6日朝から現場検証し、本格的な事故原因の究明を始めた。車止めの手前にブレーキ痕があったことなどから、車両が停止線を越えて暴走した後は自動列車制御装置(ATC)の非常ブレーキが作動していたとみられ、捜査本部や市交通局は、停止線が近づくと速度の減速を指示する信号や、受信した信号を制動装置に伝える「常用ブレーキ」の電気回路に異状がなかったかどうかを中心に調べている。(朝日新聞 夕刊)
7日■ニュートラム衝突事故 制動回路根幹に故障? 大阪府警 押収資料の分析急ぐ
大阪市営新交通システム、ニュートラムの衝突事故で、電車を減速させる自動列車操縦装置(ATO)など2つの制御システムが機能しない場合、自動的に作動するはずの非常用ブレーキが、電車のホーム通過まで正常に動かなかったことが6日、同市交通局幹部の話で分かった。
 大阪府警捜査本部はこうした三重の安全システムが機能せず事故につながったのは、車両内のブレーキ回路の根幹に故障があったためとの見方を強めており、同日午後、業務上過失傷害の疑いで家宅捜索した大阪市交通局の施設から運行関係書類を押収、資料分析を急ぐ。
 市交通局によると、ニュートラムはATOやこれを補完する自動列車制御装置(ATC)が常用ブレーキ回路から車輪に信号を送り減速を調整。この2つが同時に機能しない場合でも、通常はATCが別の非常ブレーキ回路を動かし電車を止める仕組みになっている。
 しかし、今回は2装置の異常に反応するはずの非常ブレーキさえ、車止め近くの軌道から特別信号を受け取るまで働かず、事故に至った。
 非常ブレーキは車両内の常用ブレーキ回路から車輪に制動信号が送られているのに、電車が減速しない場合に限り作動する仕組み。このため、制動信号自体が送られていなかった可能性が高いという。(京都新聞)
■運行6社に 安全点検指示 運輸省
 大阪市で5日夕、多数の負傷者を出した市営ニュートラム事故で運輸省は6日、ニュートラムと同じ形の新交通システムを運行する神戸新交通(神戸市)など6社に対し安全総点検を指示。また無人運転をしている神戸新交通と横浜新都市交通の2社に当分の間、監視要員を乗務させるよう求めた。
 運輸省によると、現在、新交通システムを運行しているのは大阪市営を含め7社8線。うち無人は大阪市営のほか、神戸の2線と横浜の1線の計4線。(京都新聞)
■60歳以上なら鉄道運賃補助 笠置町が来月から
 相楽郡笠置町は6日、府内ではあまり例のない60歳以上のお年寄りの鉄道運賃を一部補助する制度を来月1日から発足する、と発表した。
 同町が発表した「高齢者鉄道助成金公布要綱」によると、対象は町内に住む60歳以上のお年寄り全員。JR笠置駅で往復、片道とも乗車券を購入することを原則に1回につき最高1000円まで助成する。年間の利用回数は1人12回までで、とりあえず本年度は6回でスタートする。
 町内を走るJR関西線はお年寄りにとって、木津町の公立山城病院や奈良市へ出掛ける上で重要な交通手段。町では「この制度で、お年寄りの負担を軽減し、合わせて利用客が増加すれば、懸案の加茂−亀山駅間の電化促進運動にはずみがつく」と話している。
 同町の60歳以上のお年寄りは657人(6日現在)。人工の28.8%を占め、昨年4月に国から「過疎地域」に指定されたが、年々比率は上がっている。(京都新聞)
■ニュートラム事故 コスト削減 重い代償 合理化計画見直し必至 補償問題が赤字に拍車
 大阪市の新交通システム「ニュートラム」の暴走事故で、経費節減のための人減らしを進めてきた同市交通局が、合理化計画の見直しを迫られている。2、3年後に全車両で実現するはずだった添乗員なしの「無人運転」は、運輸省の指導で棚上げとなり「完全有人化」に戻さざるを得なくなった。さらに、当面の代行バスの確保や約200人の負傷者への補償問題にも直面、合理化の旗手となるはずだった新システムが逆に、新たな負担を生んでいる。
 市によると、ニュートラムの現在の乗客数は1日約6万1000人で、1981年の開業当初の倍以上。しかし売り上げの半分は建設費の償却などに消えるため、92年度は約8億2900万円の赤字となり、累積赤字は252億7000万円に達した。
 収支改善のため、市は開業当初148人いた交通局職員を約30人減らした。そして、合理化の決め手ともいえる無人運転を91年10月から段階的に始め、現在は3本に2本に広げている。2、3年後には全車両を無人化にする予定で、10年後には、単年度黒字を実現する計画だった。
 しかし今回の事故で、運輸省から「しばらくは有人運転を」と指示された。同市交通局人事係は「無人化の完全実施に向けた当初のペースは見直さざるを得ない」と話す。
 一方、当初は運転席に安全運転を監視する「添乗員」を置き、市交通局の職員が84年までは一部手動で電車を動かしていた。しかし、88年から交通局OBらを中心とした民間会社への委託が始まり、手動運転はなくなった。経験者が多いとはいえ、結果的には安全を機械にまかせる形になった。
 今回の事故に対し、市交通局の幹部職員は「熟練した運転技術を持つ添乗員が手動で動かしていたら、事故はなかったかもしれない」と話している。
 市交通局は6日朝から、総務や高速など他部門からも部長クラスを動員し、重傷患者への見舞いに回った。今回の事故で、市はコスト削減の重い代償を背負った。
・乗客の労災で対策本部設置 大阪労基局
 大阪労働基準局(澤田陽太郎局長)は6日、大阪市営「ニュートラム」の事故で、けがをした乗客の労災補償などを進める対策本部を設置した、と発表した。事故が夕方のラッシュ時に起きたことから、会社から帰宅途中だったりした負傷者が多いと判断、業務上災害や通勤途上災害として申請する際の相談に応じることにした。
 交通機関の事故で、労基局が主に乗客の補償問題のために対策本部を設置するのは異例。同局は「労災となることに本人が気付かないことがあり、制度のPRをねらった」としている。6日は「出張中の社員が事故にあったが、労災になるか」など、事業主側からの問い合わせが数件あったという。
・運行管理の責任追求へ 大阪府警 運転規定など押収
 大阪府警捜査一課の住之江署捜査本部は6日、大阪市交通局からニュートラムの運転規定や運転指令所内規などを押収、異状があった時の対応手順や機器類の保守点検など安全管理面の実態解明を始めた。無人運転の電車で起きた事故について、業務上過失致傷容疑で調べるのは初のケース。捜査本部は事故原因究明と並行して大阪市の安全運行管理責任も追及する方針。
 調べによると、ニュートラムの運行については、1981年の開業時前後に市交通局高速運輸部が作成し、一部無人運転に切り替えた91年に改定した「運転規定」がある。この規定では、「ATC(自動列車制御装置)の取り扱い」や「運輸指令者の列車運行監視」などを定めている。
 「ATCの取り扱い」では@中央指令所の運行表示盤などで車両側にあるATC装置に異状を認めた際は、すみやかに車両交換の手配をするA運行表示盤で地上にあるATC装置に異状を認めた時は直ちに復旧の手配をする−などと規定している。「運転指令所内規」は中央指令所に詰める職員らのマニュアルで、非常時の作業や運行手順についてさらに細かく定めている。
 市交通局は今回の暴走は「予想外の事故」としている。しかし、捜査本部などは@運行表示盤で列車の走行状況を常に監視する運行指令の態勢はどうだったかA事故に備えた職員への安全運行教育B車両や制御装置の保守点検の方法−などについて、事情聴取を進めている。(朝日新聞)
■新・京都駅は調和破壊 イタリアの学者ら14人 市長に手紙で訴え
 イタリアの歴史都市シエナやミラノの学者ら14人が5日付で、「文化芸術都市の京都にふさわしい町づくりを」と記した手紙を、田辺京都市長あてに郵送した。学者らは、2日まで京都市内で開催されていた「第2回京都−シエナ・シンポジウム」参加の有志たち。
 手紙では「ベネチアの保護が単にイタリア国内だけの問題でなかったように、京都も国際的な議論と協力を必要とする」と指摘。「京都ホテルや新京都駅が、京都の美しい風景や伝統的な家屋に釣り合うとは思えず、調和を破壊する」と危惧(きぐ)を訴え、「近代化は都市の文化的、芸術的な性格と可能な限り両立すべきだ」と提案している。
 シエナ大学は京大と学術交流協定を結んでおり、両大学は2年前から隔年で交流シンポジウムを開いている。京都で開催したのは今回が初めて。
 手紙を出したメンバーには、イタリア政府の文化財保護の仕事や都市計画の分野で有名なルチアーノ・パテッタ教授(ポリテクニコ大・建築学)や、美学のグラーツィア・マルキアノ教授(シエナ大)がおり、シンポジウムでも都市計画の話題が話合われた。(朝日新聞)
■疏水の工事・京都博覧会・路面電車… 古都近代化の足跡 12日から 錦絵や写真で紹介 京都市歴史資料館
 明治時代の京都市民が古都の近代化に力を尽くした足跡をたどる特別展「建都1100年の京都−近代化へのうねり」が12日から、上京区の市歴史資料館で始まる。東京遷都に危機感を抱いた先人が琵琶湖疏水の建設や鉄道の開通など先駆的な事業に挑み、遷都1100年祭を実現させるまでの歩みを貴重な錦給(にしきえ)や写真など約40点で紹介する。11月24日まで。
 特別展は「遷都からの復興」「近代化の諸相」「博覧会という空間」の3つのゾーンで構成される。
 まずは1864年の禁門の変の兵火をきっかけに市街のほぼ半分を焼失した大火災の様子を描いた「甲子兵燹図(かっしへいせんず)」を紹介。この時、焼け落ちた六角堂=中京区=を76年に再建するまでのいきさつをしたためた池坊専正の日記を展示する。
 維新の動乱を経て、先人が近代化に取り組んだ大事業として、85年に着工した琵琶湖疏水の工事の図や、京都−神戸間の鉄道開業式(77年)を描いた錦絵、英国人雑誌記者が書いた京都博覧会(72年)の会場図などを披露。
 最後に、95年に開いた平安遷都1100年の「紀念祭」や、同年に開通させた日本最初の路面電車の写真を展示。また、同年に復元した平安京大極殿(現在の平安神宮)の瓦(かわら)の試作品なども並べる。
 29日午後6時半からは国際日本文化研究センターの園田英弘助教授による講演会「ミカドのいない都−遷都と明治の京都」(定員70人)を開く。無料だが、講演会への参加希望者は往復はがきに「特別講演会申し込み」と明記し、〒602上京区寺町通丸太町上ルの同資料館へ19日必着で申し込む。
 問い合わせは、市歴史資料館(075・241・4312)(朝日新聞)
■シリーズ検証 消えた母 電車内に男児遺体 なぜ 衰弱の跡痛々しく
 幼児の小さな遺骨が草津市の市営火葬場内でひっそりと仮安置されている。草津市が不明の遺族に代わって茶毘(だび)に付して1ヵ月半。引き取り手はまだ現れない。
 その出来事を思い出す人はもう少ない。送り火の8月16日のことである。JR山陽・東海道線の網干発草津行き普通電車(6両編成)は午後零時43分、京都までに多くの帰省客らを降ろして草津駅に滑り込んだ。
・最初は人形かと
 運転席の名札を取り代えようとした米原列車区の北川久男運転士(29)は、窓ガラス越しに1両目の後部座席の網棚にあるスポーツバッグが目に入った。「忘れ物か」。特に気に留めず、ホームで駅員に手渡した。「結構、ずしりと重かった。何かなあとは思ったが、まさか…。後で聞いてびっくりした」
 幼い男児の遺体が黒のビニール袋に包まれスポーツバッグに入っているのがわかったのは、それから3時間後のことだ。いっこうに乗降客から遺失物の照会がないため、駅員がバッグを開いた。「手と足の色が白いので、最初人形かと思った。顔を見てぎょっとした」(平野進助役)。駅員は声を失い、あわてて鉄道警察隊に届けた。
 幼児の遺体の痛々しさは、検視で日ごろ、遺体を見慣れている滋賀県警捜査一課、草津署の捜査員や滋賀医大の医師にとっても、衝撃的だった。
 3歳ぐらいの男児で、死後1日。お盆の15日昼ごろに死亡したと推定される。身長は94aと普通だが、遺体は骨と皮だけで、体重は3歳児平均(13、4`)の半分の7`しかなかった。重さ7`と言えば、4ヵ月の乳児の平均体重である。外傷はなく、死因は餓死だった。
・捜査手詰まりに
 県警の捜査幹部は検視結果から推理する。「水分は取っていただろうが、相当の長期間、6ヵ月ぐらいは満足に食事を取っていなかったのではないか。遺体には床擦れも見られる。死亡間際の1週間ほどは動けなかったのでは」
 ひと目、幼児を見ればその異常に気づく不自然な生活だったはずだ。ところが、幼児の身元に結びつく有力情報は不思議と県警に寄せられていない。
 事件直後、明石市のおばあさんが「ひょつとしたら家出した娘の孫では」と警察に連緒してきたことがあった。追跡捜査で、母子は大阪府内で元気で暮らしていることがわかり、祖母と3年ぶりの再会を喜び合う一幕も。こうして数件の家出人情報はいずれも次々と消え、電車内でバッグを置いた人の目撃者も現れていない。
 県警の死体遺棄事件捜査は次第に手詰まりの状懸になっている。
・隣も見ない乗客
 兵庫県・網干から神戸、大阪、京都を通って草津まで約3時間。午前9時53分網干発の同じ電車に乗ってみる。
 大学生、主婦、初老の会社員らが忙しそうに乗り降りする、いつもながらの光景。車窓からは洗濯物が並ぶ木造アパート、文化住宅や、高層マンション、しゃれた一戸建て、工場などが見える。乗客のだれも、隣にも、網棚にも注意を払おうとはしない。
 捜査幹部の推理が脳裏をかすめる。「自然死とは言えないので警察や医者に届けられない。だけど子供がかわいそうだ。だれかが見つけて弔ってくれるだろうと思って、わざわざ人目につく電車に乗せたのかも」。その日、車内は大きな荷物を持つ帰省客らでごった返していた。
 電車の網棚に子供の遺体を置き去りにした「親」の姿を追う。(企画報道部 田中雅郎)
・「餓死」親に何がった
 2歳までごく普通に育つ? 満足な食事せず半年 遺留ほ乳瓶に母の影
 生活苦で置きざりにされた子は戦後の混乱期、珍しいことではなかった。嬰(えい)児の死体遺棄は今でも時々耳にする。しかし、この飽食の時代に幼児の餓死は、なんともやり切れない。滋賀県警の捜査関係者らは、電車の網棚に遺棄された幼児がある時期までそれなりに育っていたとみる。その後、親子の環境に何らかの異変が起きたと推理する。幼児を遺棄したのは父親なのか、母親か。それとも両親か。まず現場の状況から「消えた親」の周辺を探る。
 やせ細った遺体は、幼児が長い間、満足な食事をとっていなかったことを雄弁に物語っている。
 「身長、歯の生育はほぼ順調で、背骨も曲がっていない。健常児だったとみられる。急に食べなかったとしたら、ここまでやせる前に死んでしまう。内臓にはストレスの痕跡もある。相当の時間をかけて衰弱していった」。県警は「断定できない」と言いつつ、2歳前後までほぼ普通に生育し、その後、親の生活環境の変化で不自然な生活が数ヵ月に及んだとみる。
 例えば、一つの仮説をくみ取れる。家族関係の激変で親が昼夜、仕事または遊びで外出することが多く子供が密室に取り残される。食事を与えられる日もあれば与えられない日も断続的に続く。幼児の体重が10%減れば病院の点滴が必要。半減すれば死亡する。子供は泣いたりむずかったりしたはずだ。
 ある捜査幹部は「あくまで推理」と断って「狐立した母親」説をとる。
 「子供の両親がそろっている場合は親一人だけよりもどちらかが子供に目が届きやすい。父子の場合、子供を3歳まで育てるのは大変で、恐らく周囲に相談している。母親だけの場合に自分一人で子供を背負い込み精神的に追い詰められた可能性がある。7`のバッグを網棚に乗せるのは、女の力では大変だが、できないことはない」
 遺留品からも、親子像の一端が浮かんでくる。幼児が着ていた人気アニメ・ちびまる子ちゃんのTシャツ、スウェットズボン、靴下はいかにも現代風で、明石市などにある全国チェーンのスーパーや、幼児服専門店で幅広く売られている。大きさはそれぞれ9−10歳用、5−6歳用、2−3歳用とばらばら。バッグの中にはミルク入りのほ乳瓶が入っていた。
 だぶだぶのTシャツは「幼児に兄弟がいるのかもしれない」(捜査幹部)と思わせる。だとしたら、兄または姉が弟の異常に気づいていたのか。3歳児には不自然なほ乳瓶はなぞの一つ。「固形物を取りにくいので飲ませていた」とも「陰(かげ)膳のお供えだった」とも考えられ、母親のにおいをかぎとれる。
 遺体を隠したスポーツバッグも若者タイプだ。3、4年前に神戸市西区のディスカウントショップ「ヒラキ」で、約3000個が売り尽くされた香港製のオリジナル商品だった。
 JR大久保駅(明石市)から車で15分。広い駐車場を備えた同店は終日、マイカーの若い男女でにぎわっている。
 「客層はほぼ加古川、明石から神戸・垂水までのチラシ配布地域。警察から照会があったが、そのバッグは男物で、あまり使った形跡がない。男女の区別はなくなってきているけれども、やはり若い男性が買う率が高い。衝動買いして置いてあったのでは」(同店幹部)。若い男の影がかすかににおってくる。
 スポーツバッグを買ったであろう3、4年前に想像をはせる。多分、この子が生まれる直前に当たる。夫婦か、恋人同士か、恐らく若い2人は車で店を訪れ、男のほうがこのバッグを気に入った。そのバッグでわが子の遺体を隠すことになろうとは当時、思いもしなかったに違いない。(京都新聞 夕刊)
■ニュートラム暴走 運行データ解読できず 管理システム停止で 遅れる原因究明
 大阪市営の新交通システム「ニュートラム」が暴走、約200人がけがをした事故で、暴走車両の「運行実績記録」のデータが中央指令所の大型電算機の中で眠った状態になり、ただちには解読できないことが7日、市交通局の事故対策本部などの調査でわかった。大阪府警の現場保存要請を受けた市交通局が管理システムを停止したのが原因で、衝突直前の重要な記録をすべて取り出すには手間と時間がかかる、といい、全容解明を遅らせることになりそうだ。プログラムには、大事故が起きた際のデータ出力の配慮がなく、管理システムの「死角」が浮き彫りにされた形だ。
 市交通局によると、電車の動きを記録するデータは、主要駅の発着時刻を示す「運行実績記録」と、路線に異状があったことを示す「操作記録」の2種類ある。
 運行実績記録は、発着時間を秒単位で残し、電車の速度やトラブルの有無などを把握する材料になる。データは中央指令所の電算機に入り、26本分蓄積されると自動的に印刷される。26本に満たず印刷されない終電間際の電車のデータは、毎日午前零時50分ごろ、電算機を止める操作をする前に取り出す仕組み。その印刷が終わると、その日のデータはすべて消去される。
 事故のあった5日は、午後6時前にすべての電車の運行を取りやめた。同4時すぎに住之江公園駅に到着した電車のデータまでは自動印刷されたが、それ以後の電車のデータは電算機のメモリーに入ったままの状態になった。
 市交通局は、電算機の持つさまざまな情報を事故当時のまま保存しようと電算機を停止させた。だが、その後で、再度システムを動かすと記録中のデータが消えてしまう構造になっていることに気がついた、という。
 市交通局は警察側と協議したうえで、暴走車両のデータをメモリーから読み出す計画だが、問題はデータが「0」と「1」の配列の状態でしか取り出せない点。メモリーに残った約20本分の電車のデータの中から暴走車両のものを割り出し、資料と突き合わせながら手作業で解読しなけれはならない。このため、必要なデータをすべて解析するには数日がかかる、とみている。(朝日新聞 夕刊)
■「べんとーべんとー」JR西日本6駅・東海は5駅・四国は3駅 消え行く駅弁立ち売りの声 開かぬ窓と速度アップが原因
 「弁当ー、弁当ー」。駅ホームから駅弁売りの掛け声が次々と消えている。JR西日本が管内1212駅を調べたところ、駅弁の「立ち売り」をしているのは、わずかに6駅しかないことがわかった。JR四国や東海もそれぞれ3駅、5駅にすぎず、全国的にこの旅の風物詩は希少価値となっている。減少の原因は、窓が開かない電車の増加とスピードアップ。後継者難と高齢化の波も押し寄せており、売り子の一人は「わしらの代でもう終わりですよ」と肩を落とした。
 午後零時54分、滋賀県のJR米原駅2番線ホームに名古屋発富山行きの特急「しらさぎ7号」が滑り込むと、上林利一さん(69)は駅弁10個を入れた「重(じゅう)」と呼ぶ軽合金でできた箱を肩からつり下げた。
 「弁当、弁当、すし、弁当」。ホームに、その道45年という上林さんの声が響く。停車時間は3分。客の乗降を差し引くと、販売時間は1分半あるかないか。窓越しに車内をうかがいながら小走りする。だが、弁当はひとつも売れない。「だめやな」。発車のベルと同時に上棟さんの足も止まった。
 JR西日本によると、上林さんのように昔ながらの「重」で駅弁を売っているのは、管内では米原駅のほかには福知山線の篠山口駅と福知山駅だけ。岡山駅や京都駅、津山線の津山駅では掛け声は聞けても、ワゴンによる販売だ。JR東海でも高山線の高山駅を除き、静岡駅や中央線の中津川駅など4駅はワゴン販売だ。JR四国では駅弁を売っているのは255駅のうちわずかに10駅しかなく、そのうち立ち売りはワゴン販売されている高松、松山、宇和島の3駅。
 駅弁を販売する業者などで組織する日本鉄道構内営業中央会によると、立ち売りが減少し始めたのは1970年の大阪万博以降。はっきりした記録はないものの、新大阪駅では万博当時、十数人の売り子がいたが、その後の5年間で資を消したという。
 同会西日本地区本部の寺村浩専務理事はその理由をふたつ上げる。「特急電車の窓が開閉しなくなり、デッキの販売だけでは個数が伸びなくなった。そのうえ、スピードアップによって停車時間が短くなった」
 米原駅で上林さんは1日約300個の弁当を売る。だが、そのほとんどは列車待ちの乗客が買うもので、わずかな停車時間に列車デッキから買う客は数えるほどだ。
 「車窓から何人もが身を乗り出して、1000円札を握った手でおいでおいでをしてくれたにぎやかさは、もう二度と味わえない」。上林さんは寂しそうにつぶやいた。
 「時刻表2万キロ」などの著書がある作家の宮脇俊三さんの話 今の運行状況の中で立ち売りが生き残るのは難しいし、なり手もいない。JRや鉄道ファン、自治体などの寄付や補助金で「保存」していかない限り、間もなく姿を消すことは確実だ。(朝日新聞 夕刊)
■車両側の装置が異常 ニュートラム暴走原因 府警が見方強める
 大阪市営の新交通システム「ニュートラム」の暴走事故を調べている大阪府警捜査一課の住之江署捜査本部は7日、事故車両の2系統の常用ブレーキが作動しなかった原因について、速度制御を指示する信号を送る地上施設の異状ではなく、信号を受信して伝達する車両側の装置の異状だったとの見方を強めた。捜査本部は同日午後、事故車両をジャッキで持ち上げて車体のブレーキ装置などを調査したあと、市交通局の南港車検場に移し、電気回路などを中心に車両を本格的に検証する。
 ニュートラムは、軌道上にあるベルト状の「ループ線」から減速などを指示する信号を出し、それを先頭車両の床下に設置されているアンテナで受けて運行している。
 捜査本部の調べでは、電車が南港ポートタウン線住之江公園駅をオーバーランするとほぼ同時に、ニュートラムの中央指令所が、車両から非常制動をかけたという信号を受信。電車が暴走しホームの停止線を越えた後、ループ線から確実に停止信号が送られ、車止めに激突する前に非常ブレーキが作動したが、間に合わなかったとみられる。
 このほか、@事故当時、南港ポートタウン線で走行していたほかの9本の電車は正常に運行していたA事故の15分後から約30分間、市がニュートラムの運転を再開していた際、事故車両を除いてすべての車両は無人運転で正常に運行した−などから、捜査本部では事故原因について車両側の異状に絞り込んだ。
 9両編成の電車は各車両ごとにブレーキ装置があるが、ブレーキの機械部分に同時にトラブルが起こったとは考えにくく、ブレーキを一括制御している電気回路に異状が起きた可能性が高いとしている。
 一方、市交通局のニュートラム事故対策本部は原因究明のため7日午前9時から、事故現場の住之江公園駅で、車両の暴走状況や車両内の各スイッチの状況、地上装置などについて本格的な現場調査をした。(朝日新聞 夕刊)
8日■ニュートラム暴走、衝突 制動異常、裏付け 運行記録 回路働かぬ「0」表示
 大阪市営新交通システム、ニュートラムの衝突事故で、大阪府警捜査本部は7日までに、大阪市交通局・運転指令所のコンピューターに記憶された暴走電車の運行データを押収。データには、電車を減速させる自動列車操縦装置(ATO)と車輪ブレーキをつなぐ常用ブレーキ回路に異常を示す記録のあることが分かった。
 捜査本部は、このデータから、制動システムの根幹となるブレーキ回路のトラブルが事故原因との見方をさらに強め、回路部分の集中的な鑑定に入る。
 捜査本部が押収したコンピューター記録は、電車がホームの手前約50bに差し掛かった5日午後5時28分55秒から、車止めに衝突する直前の29分4秒までの9秒間にわたる運行状況を、「0」と「1」の数字の配列で示していた。
 データは30項目にわたり記録され、ATOやこれを補完する自動列車制御装置(ATC)は正常作動していたが、ブレーキ信号を受けているはずの常用ブレーキ回路だけは作動していないこと示す「0」が記されていた、という。
 常用ブレーキ回路は、ATOやATCからブレーキ信号を受信し、この信号を配線を通じて各車両のディスクブレーキに送る装置。
 捜査本部は、ATO、ATCの二重制御システムがあるのに電車が暴走したのは、2つの電気系統が通じる常用ブレーキ回路に異常があったとみていたが、今回のデータはこれを裏付ける、としている。
 またブレーキについては、事故車両3両目の連結口近くにあるブレーキ制御の機器室に、ブレーキに異常があったことを示す表示が出ていたことが同日の大阪市交通局と近畿運輸局の調査で分かった。
 運転台にある圧力計にはブレーキが掛かったことを示す数値が残り、ATCによる非常ブレーキ信号を車両が受信したという記録もあったという。
 捜査本部は7日夜に事故車両を同市住之江区の交通局・南港検車場へ運搬する予定だったが、雨のため8日以降に延期した。(京都新聞)
■「山科の碑」展 鉄道交通の歴史ひと目 民間グループが第4 弾 京信支店 太政大臣の揮毫も 写真、資料など18点紹介
 山科区の歴史発掘を続けている民間グループ「山科の歴史を知る会」(佐藤治吉会長)が開いている「山科の碑」展の第4弾として、このほど鉄道・東海道線関連の石碑紹介が、山科区梛の辻の京都信用金庫山科支店で始まった。同会は「山科が京都の鉄道交通の要所だったことがよく分かる。多くの人に見てほしい」と話している。
 同会は昭和51年に結成。会員は現在25人で、これまでに「名所図絵に見る山科」「山科の歴史探訪」など4冊の研究成果を発表。昨年12月からは歌碑、道しるべをテーマに碑(いしぶみ)を紹介している。
 今回、「山科の碑」として展示したのは、旧東海道線逢板山トンネル東口の石額の写真など東海道線関係の石碑の写真、資料など18点。いずれも会員が区内を歩き回って見つけた。
 大津−京都駅間の東海道線は、明治13年から大正10年までは、現在の名神高速道路と同じ所を走っていた。このうち旧逢坂山トンネルは明治初期、外国の技術者に頼らずに初めて日本人が造った山岳トンネルとして知られ、展示の石額の写真には、当時の技術をたたえる太政大臣二条実美の揮毫(きごう)が見える。
 また、新逢坂山トンネル東口の石額には完成当時の鉄道院総裁、添田壽一の「中正以通」(正しい精神は何事にも通じる)という、トンネル建設にかけた気合が伝わる揮毫もある。「ふだん何気なく利用している鉄道が国家的な事業だったことがよくわかるはず」と佐藤会長。このほか旧山科駅跡石碑や写真、明治13年の時刻表なども展示されている。同展は11月末まで。無料。(京都新聞)
■運転・制御装置ともに故障 3両目に異状表示 ニュートラム事故
 大阪市営の新交通システム「ニュートラム」の暴走事故で、電車の3両目にあるブレーキ系統の機器室で自動列車運転装置(ATO)や自動列車制御装置(ATC)の異状の表示が出ていることが、7日行われた大阪市交通局のニュートラム事故対策本部の現地調査で分かった。運輸省鉄道局の事故対策官も異状を確認した。無人運転を支えるハイテク装置のATOとATCがともに異状を起こし、事故につながった可能性が強いとみて、対策本部では原因究明を急いでいる。
 調べでは、機器室はATO、ATCのほか、列車検知、駅制御、通信設備などを収納。各車両の前方、後方に2ヵ所ずつ設置されている。異状表示が見つかった機器室は、3両目の左後ろ。ATO、ATCがともに異状を示す白色になっていた。
 4両編成の事故車両で、異状表示が出ていた機器室は3両目だけという。
 ニュートラムは、軌道上に設置されたベルト状の「ループ線」から弱い電波で速度などの指示信号を出し、先頭車両の床下にあるアンテナで受信し、制御している。停車にはATOと、ホームを行き過ぎたときなどに働くATC2種類にブレーキがきくようになっている。
 市交通局では事故当初、ATOとATCの二重の故障は考えにくい」としていたが、この日の現場調査で機器室の異状表示が見つかったことで、市側は「二重の故障の可能性が強い」と見ている。
 事故車両は終着駅の住之江公園駅をオーバーランした後、軌道上のATCから車両に非常ブレーキの指令が伝わり、車両でも非常ブレーキが制動したことを示す信号が中央指令所に届いていることも確認できた。このため対策本部は、非常ブレーキは作動したが、2系統ある常用ブレーキの指令が車両内で異状を起こし、ブレーキ系統に正常に伝わらなかった、との見方を強めている。(朝日新聞)
■ニュートラム 甘かった暴走対策 神戸・横浜は三重ガード
 5日夕に暴走事故を起こした大阪市営「ニュートラム」は、同じく無人運転をしていた横浜、神戸の2社の新交通システムに比べ、オーバーランを防ぐ対策が甘かったことが7日、わかった。3社とも自動列車運転装置(ATO)と自動列車制御装置(ATC)2つの装置を併用しているが、他の2社ではさらにATCとは別の停止装置を加えていたり、規定の速度を超えたらすぐに急停止のブレーキがかかるようにしていた。
 「ニュートラム」は、電車が発着駅のホームに入った後、ATOの働きで減速され、停止位置の手前約15bで時速15`以下に落ちるようにしている。そうならない時に、ATCの常用ブレーキが働いて速度を落とす。
 これに対して、横浜新都市交通の「シーサイドライン」の発着駅では、「ニュートラム」と同じ装置に加え、オーバーランの防止装置をとりつけて、三重の安全策をとっている。
 つまり、停止位置から約10b手前までの軌道上に、4つの速度検知器をほぼ等距離に配置。ATCが働かずに電車が通過して、決められた速度を越えていると、この装置が働き、非常用ブレーキがかかる。決められた速度は、手前から順に17`、11`、9.4`、6`。
 同社の技術担当者は「ATCがだめでも、この装置がある。検知器は4つあるので、1つ壊れても、残りの3つで停止させられる」という。
 神戸新交通の「ポートアイランド線」では、発着駅の進入時には運行管理システムで時速14`以下にプログラムされている。これ以上の速度が出ていると、大阪のニュートラムのように最初に常用ブレーキ、次に、と段階的でなく、いっきにATCの非常用ブレーキが働き、電車を急停止させる。
 他の2社とのちがいについて、大阪市交通部では「停止位置をオーバーランしてもATCが働き、車止めの手前で停止することを開業前の検査で確かめたので、これで大丈夫と考えていた」という。
・9秒間の記録残る
 大阪市営の新交通システム「ニュートラム」の事故で、暴走中の車両の自動列車制御装置(ATC)などの作動状況記録の一部が中央指令所のコンピューターに残っていることが7日、大阪府警捜査一課の住之江署捜査本部の調べで分かった。電車が終着駅の南港ポートタウン線住之江公園駅をオーバーランする直前の9秒間の記録で、その間、2系統の常用ブレーキがまったく作動していなかったほか、電車は通常ダイヤより約30秒も早く同駅に入っていた。捜査本部などでは事故原因を解明する手がかりになるとみて、記録の分析を急いでいる。
 調べでは、この記録は「列車モニター情報記録」。ブレーキ制御装置の指示信号をはじめ、加速信号、扉や無線装置の故障、ATCや自動列車運転装置(ATO)の異状の有無など約30項目を」秒ごとに記録、運行中の全電車をモニターしている。正常に運転されている場合は、コンピューターの容量から9秒で記録は消えるが、非常ブレーキが作動するなど「列車異状」信号を受けると、直前の9秒間のデータが保存される。
 5日の事故でニュートラムの中央指令所に非常ブレーキの作動を知らせる信号が届いたのは、午後5時29分4秒。コンピューターに残されていた記録は、電車が住之江公園駅の手前から同駅の停止線を越えた直後までの間とみられる。(朝日新聞)
■座席の針 検知器いかが メーカー、JRに売り込み
 「針、見つけます」。新幹線を中心に列車の座席に針を刺す事件に悩まされ続けているJRに、「検針器」の売り込みがきた。「足元を見るつもりではありませんが、お困りのようなので」と、メーカー側。JR東海は「目で見つけており、購入するつもりはありませんが、見上げた商魂」と苦笑いだ。
 この会社は、川崎市に本社のある換知器メーカー。「検針器」は、主力商品の一つで、磁石を利用し、鉄製の針に反応する。
 そもそもは、木材に撃ち込まれていた統弾を発見する「鉄片検知器」として開発された。
 その後、衣服の製造過程などで抜き忘れた留め針類を探し出すための装置に変身、現在の取引先の大部分はアパレルメーカーだ。
 この「検針器」が脚光を浴びたのは、1987年の「西川のふとん」の針刺し事件。「検針器」は在庫一掃の売れゆきだった。
 関西の私鉄数社からも問い合わせがあり、サンプルを置いてきた、という。
 「検針器」はハンディタイプで4万5000円。座席の場合は中のバネにも反応してしまう弱点がある。
 8月末から見つかり始めたJRの「針」は、すでに200本を超えている。(朝日新聞)
■市バスと地下鉄利用 便利マップ”発車”へ
 「複雑で利用しにくい」と評判の悪い市バス路線をなんとか理解しやすくしようと、京都市交通局が「早わかり市バス・地下鉄便利マップ」を作製した。10日から市バス、地下鉄の案内所などで発売する。
 全88系統を色別に表示するとともに、市内を15に分けて、ゾーンごとに、経由する系統を掲載。名所、施設の索引も付けている。
 従来、交通局が無料配布していた路線図は、3、4種類の色分けで、地域ごとの詳細図も京都駅、三条京阪、嵐山の3ヵ所程度。新しいマップは「市内のどこにいても、最寄りの停留所や目的地への系統が一目でわかる」(同局)という。
 A4判、40n。500円。書店での発売は下旬から。(朝日新聞)
■JR山科駅に短銃 電話通報で発見
 7日午後3時20分ごろ、山科署に30歳ぐらいの男性の声で「今まで持っていた銃を出す。JR山科駅のコインロッカーにある」と電話があった。
 同署員が山科区安朱北屋敷町の同駅構内のコインロッカーを調べたところ、油紙に包まれた22口径の箱形短銃が1丁見つかった。弾を2発装てん出来るが、弾は入っていなかった。(朝日新聞)
■ニュートラム衝突事故 故障の大半、電気系統 事故車両、過去4回も
 大阪市営新交通システム、ニュートラム衝突事故で、昭和56年の開業以来発生した29件の故障の半数以上が車両の電気系統のトラブルで、今回の事故車両も過去4回電気系統の故障を起こしていたことが、8日までの大阪市の事故対策本部や大阪府警捜査本部の調べで分かった。
 今回の事故は電車のブレーキ回路の異常が原因との見方が強まっており、捜査本部は事故車両のこれまでのトラブルや大阪市交通局による車両内部の検査などと回路異常との関連について調べている。
 調べによると、ニュートラムは56年4月15日、駅構内で前進、後進を切り替える装置の回路の故障で立ち往生したのを始め、これまでに15件の電気系統の故障が発生。(京都新聞 夕刊)
■声 JRの割引になんで男女差 大阪市 橋詰宏山(無職 63歳)
 JRの料金が3割引きになる「ジパング倶楽部」加入が60歳からと聞き、JRの窓口に行きました。しかし、女は60歳からだけど、男は65歳からでした。
 公共機関であるJRの特典に男女差があるのに驚きました。入会の基準に、年齢差があることについて、JRは「規則だから」と言いますが、どういう根拠で、差を設けたのか、私には分かりません。
 この規則には「旅行企画、会員相互の親睦(しんぼく)などを通じて、会員が容易に旅行できる環境づくり」が目的と書いてありますが、男性は、女性に比べ、5年間はこの目的にそぐわないのでしょうか。
 また、大阪市営地下鉄は、毎月20日に、普段は50円の1日乗車券を600円に割り引いています。これは、マイカーの自粛を促し、混雑を緩和するのが目的と聞きます。それなら、どうして車の多い10日や月末もそうしないのでしょうか。(朝日新聞)
■ニュートラム事故で見舞い金 大阪市決める
 大阪市交通局は8日までに、市営の新交通システム「ニュートラム」の暴走事故でけがをした人に緊急の見舞い金を渡すことを決めた。職員が入院治療中の乗客らに手渡し、手当てを受けた人にも順次渡していく。
 見舞い金の額は、入院した人が10万円、病院で手当てを受けた人が5万円。これまでに、骨折や重い打撲などで入院した56人を含めた約200人が、手当てを受けており、交通局は係長以上の159人を乗客の病院や自宅に派遣して、おわびを始めた。入院先を自宅近くの病院などに変える人らもおり、医療費や転院の交通費なども交通局が支払うことを伝えている。
 交通局は今後。けがの程度に応じた補償をする方針だが、「多数のけが人を出した社会的な責任も勘案して補償額を決めていきたい」という。(朝日新聞 夕刊)
■新幹線レールにチェーン 5aのすき間狙う のぞみ 敷石飛散対策が裏目 捜査本部調べ
 8月に滋賀県、6月に岐阜県で発生した新幹線列車妨害事件で、レールにチェーンやワイヤが巻きつけられていたのは、飛散防止のために敷石の上面を5a下げてできたレール下の空間を狙われたことが、8日までに滋賀・岐阜両県警共同捜査本部の調べで分かった。最高時速270`の「のぞみ」の安全対策が裏目に出たかたちとなり、JR東海は頭を抱えている。
 敷石はこぶし大で、列車が走行する際の衝撃を和らげるためにレールの下に敷き機械でつき固めてある。
 今年4月、岐阜羽島駅と豊橋駅で「のぞみ」が通過した際に敷石が飛び、ホームの乗客に当たる事故が起きた。JR東海は対策として、駅構内の敷石を合成樹脂で囲める一方、時速250`以上の走行区間で敷石を従来より約5a下げることにした。区間は東京−大阪間550`のうち約430`に及び、4月末までに完了した。
 列車妨害事件が発生した滋賀県彦根市、岐阜県関ケ原町の両現場でも対策がとられた。この結果、従来ならレールと敷石とは密着しているのに5a以上のすきまが生じることになった。
 滋賀県の事件では、直前に現場を通過した「ひかり」と、妨害された「のぞみ」との間隔は約10分。この間に、犯人は合計30`のチェーンなどを持って土手を上り、暗がりの中でレール下の敷石を取り除き、チェーンを巻いて留め金で固定するという離れ業をやった、とされる。レール下に5aのすきまがあったことから犯行時間を短縮できた、と捜査本部はみている。
 障害物対策として、「のぞみ」の先頭車両には三段構えの排除装置がついている。レール上に置いたものなら1d以上でもはじき飛ばすことができるが、固定された障害物には効力が薄い。滋賀県の事件では、レールに巻かれたチェーンは排除装置に傷をつけ、車輪にまで達していた。障害物を固定するために、レール下のすきまが利用されたことを、同捜査本部は重視している。
 敷石飛散防止の安全対策が裏目に出たことについて、JR東海広報部は「今のところ列車妨害を防ぐための軌道内での対策は考えていない。軌道に入られないように、警備体制の強化を今後も続ける」と話している。(朝日新聞 夕刊)
■路面電車、ダンプ衝突 広島
 8日午前11時16分ごろ、広島市西区福島町二丁目の広島市西区役所前付近で、宮島発広島駅行き広島電鉄の路面電車=住谷博史運転士(33)、3両連結=とダンプカーが衝突した。
 広島県警によると、住谷運転士と乗客ら11人がけがをした。(朝日新聞 夕刊)
9日■強風で湖西線運転見合わせ 10本が運休
 8日午後6時半ごろ、滋賀県滋賀郡志賀町の比良川付近で風速が毎秒25bを記録したため、JR西日本は湖西線堅田−近江今津間の運転を見合わせた。
 午後8時21分に運転を再開したが、この間、普通列車上下10本が運休した。また午後6時10分大阪発富山行きの雷鳥39号をはじめ上下6本の特急が東海道線米原駅経由で運行した。(京都新聞)
■三重連などに歓声 梅小路フェス 歴代のSL勢ぞろい
 SLの魅力のすべてを紹介する「梅小路フェスティバル'93」が8日から、下京区観喜寺町のJR西日本・梅小路蒸気機関車館で始まった。雨にもかかわらず鉄道マニアや子供たちが詰めかけ、3台のSLが合体運転する「三重連」などに歓声をあげた。
 同館20周年を記念した昨年のイベントが好評だったため、2年連続で開催した。昔ながらの機関車庫を中心にした会場には、列島を駆けめぐった歴代のSL16台が勢ぞろい。中でもD51、C62、86型式の「三重連」運転では、重量感あふれる音響や蒸気の噴き上げに、大人も子供も大喜びだった。11日まで。10日午後5時半からはコンサートも開かれる。時間は午前9時半−午後7時半(11日は午後5時まで)。(京都新聞)
■整備新幹線で来月中に結論 見直し問題、連立与党
 連立与党は8日の政策幹事会で、整備新幹線見直し問題について11月中めどに大筋で結論をとりまとめる方針を決めた。今後、連立五党派各1人で構成する専門委員会で、整備新幹線5線の未着工区間の建設問題や計画の見直し、建設財源などについて検討する。(朝日新聞)
■新幹線 姫路−岡山 ドア開かず客乗り越し
 8日午後6時7分ごろ、山陽新幹線姫路駅に到着した新大阪発博多行き「ひかり181号」(6両編成)の、1号車先頭ドアが開かなくなった。ホームで待っていた客は別のドアから乗車したが、姫路駅で降りる予定の客数人は降りられず、そのまま次の岡山駅まで乗り越した。運転士も車掌も、このトラブルに気づかなかった。
 JR西日本は、他の駅ではドアが正常に作動していることから、何かの衝撃でドアが開かなくなったとみている。(朝日新聞)
■ニュートラム中央指令所 事故通報遅れる 交通局退庁後と判断
 大阪市営の新交通システム「ニュートラム」の暴走事故が発生した当初、システムを管理する中央指令所(大阪市住之江区)が、事故時の対応を定めた内規に反して、事故発生を大阪市交通局(同市西区)に通報していなかったことが、8日わかった。市交通局は「事故発生が退庁時間を過ぎていたため、連絡してもだれもいないと判断したようだ」と説明している。幸い、中央指令所に隣接する検車場が通報したため、15分ほどの遅れで済んだ。
 市交通局の内規では、「ニュートラム」で事故が起きた場合、中央指令所の職員が交通局運転課に電話で通報し、連絡を受けた同局職員らが事故現場に向かうなどの対応に努めるよう定めている。
 市交通局によると、5日の事故発生時は、中央指令所の職員が表示板を見て列車のオーバーランに気づいて住之江公園の職員に電話、現場の様子を見るよう指示した。だが、市交通局には何も連絡しなかったという。
 内規では、午後5時以降に事故があった場合、運転課の担当者の自宅に電話することになっている。5日の事故は退庁時間をすぎた5時半だったが、運転課の職員らはほぼ課内に残っていた。
 事故後まもなく、指令所隣の検車場にあるモニターが事故をキャッチ。間もなく中央指令所からも、オーバーランを知らせる連絡が入り、検車場長が運転課に通報した。運転課が中央指令所に問い合わせ、初めて列車が車止めに激突、多くの負傷者が出ていることを知った、という。
 市交通局の事故対策本部は「退庁時間を理由に検車場長が通報しなければ、事故を知るのが大幅に遅れ、対応に支障が出るところだった」と話している。
・ATCとATO 故障原因説 公式に表明 交通局幹部
 大阪市営の新交通システム「ニュートラム」が暴走して車止めに激突した事故をめぐって、大阪市議会の交通水道委員協議会が8日開かれ、市交通局幹部は「事故原因として、自動列車制御装置(ATC)と自動列車運転装置(ATO)の故障が一番考えられる」との見方を初めて公式に明らかにした。運行再開のめどは示されなかった。(朝日新聞)
■雷鳥44号4号車4番 車内で男性死亡 着いたのも4番ホーム
 8日午後10時25分ごろ、大阪市北区梅田のJR大阪駅に到着した新潟発大阪行き雷鳥44号の4号車内で、男性が席に座ったまま死亡しているのを乗務員が発見、曾根崎署に届け出た。
 調べでは、男性は新潟市内の無職Aさん(73)で、遺体に外傷はなく、同署は病死とみている。
 家族の話などによると、Aさんは難病の治療中で、医者から外出を禁止されていた。「死ぬ前に島根県の実家に帰って墓参りをしたい」と同日午後3時17分新潟発の「雷鳥」に乗車。見送った妻が車掌にも事情を話しており、同3時50分ごろに車掌が様子を見た時には元気そうだったという。
 Aさんが座っていたのは雷鳥44号4号車の指定席で番号が4番C。さらに、列車が着いたのは大阪駅の4番ホームだった。この座席に座ったのが偶然だったのかどうかは分かっていない。(京都新聞 夕刊)
■ニュートラム事故の余波 人工島の憂うつ 学校・遅刻続出や遠足延期 タクシー・無料バスに客奪われ
 大阪市営の新交通システム「ニュートラム」は暴走事故から4日たった9日までに再開のめどがたたず、約3万人が住む大阪市住之江区の人工島を貫く沿線のあちこちで後遺症が広がっている。小学校は速足を延期し、高校では遅刻する生徒が増えた。マイカー通勤などで交通渋滞がひどくなり、「無料の代替バスに客を奪われた」と嘆くタクシー会社もある。
 大阪市立南港光小学校(吉田健児校長)では、事故のため6日に予定していた2年生と5年生の速足が延期になった。8日の1年生の遠足は、行き先を東住吉区の長居公園から、歩いて行ける近くの大阪南港野鳥園に変更したが、当日雨が降って中止になった。
 大阪府立住之江高校は、8日に福井孝晴校長らが大阪市交通局を訪ぬ、代替バスの増発や学校への直送バスの走行を申し入れた。朝の代替バスの混雑で遅刻者が増えているからだ。真田勝昭教頭は「来週から始業時間を20分遅らせる方向で考えている」と話す。
 南港に3つの作業場をもつ三井倉庫海運大阪支店の南港ターミナルグループ。午前8時半の始業に間に合うよう、同社の上田洋平さん(46)は毎朝6時半に伊丹市の自宅を出る。「帰りのバスが満員で乗り切れず2、3台見送ることもあり、疲れは倍増する」
 タクシーもバスなどによる渋滞に困っている。住之江区新北島一丁目にある「住之江交通」によると、南港にかかる南港大橋の付近の渋滞が4割ぐらい増えたようだ、という。客数もここ1、2日は2割ほど減った。「代替バスは無料。事故の前はタクシーに相乗りした客も、バスに乗ってしまっているのでは」と同社。
 南港にある国際見本市会場「インテックス大阪」で5−8日に開かれた工場オートメーション化のシステムを展示する「システムコントロールフェア'93 」。6日は水上バスを臨時運行してもらい海上からも客を運んだが、4日間の入場者は約6万人と当初の予定をやや下回った。「事故と雨で目減りした感じ」と事務局。
 代替バスを運行する大阪市交通局は1日に約60台を投入。運転手は100人を超える。休日出勤をしたり、勤務時間の短いシフトの人が延長勤務をこなしている。乗客の案内などをする職員も日に約50人が出ている。泊まり込みが続く職員は「なんとか事故のカバーを」と話している。(朝日新聞 夕刊)
■回送電車、立ち往生 地下鉄谷町線
 9日午前10時20分ごろ、大阪府守口市大日町二丁目、大阪市営地下鉄谷町線大日駅の西約300bの上り線路上で、回送電車(6両編成)が動かなくなり、大日−守口間(1.8`)が上下線とも不通になった。バスと電車で振り替え輸送をしているが、正午ごろ復旧した。
 電車は大日駅で乗客を降ろし、近くの検車場に入庫する途中だった。(朝日新聞 夕刊)
■「座れる」通勤電車が人気 ”コーヒー1杯”の料金で快適に 満席続き増発…朝は限界に
 都市部の通勤圏は広がる一方です。鉄道の輸送力は簡単には増やせないので、ラッシュの混雑は一向に解消されません。そんな中首都圏と関西圏を中心に、座って通える通勤電車が増えています。もみくちゃの満員電車と比べれは天国と地獄です。利用料金はざっとコーヒー1杯分。安いか高いかは意見が分かれるところでしょうが、朝はのんびり座席で新聞を読みながら、夜は缶ビールを片手にという向きには好評のようです。
 JR東日本は12月1日のダイヤ改定で、東海道線の通勤ライナーを増強する。小田原−新宿間一往復、小田原−東京間一往復が新たに加わり、上りは9本、下りが10本になる。
 通勤ライナーは切符や定期券のほかに300円の乗車整理券を駅窓口や発車ホームで買うと必ず座れる電車で、旧国鉄時代の1984年6月、上野−大宮間で2本運行されたのが最初だ。首都圏ではその後、総武快速線、東海道線、横須賀線、高崎・宇都宮線などに広がった。今は1日36本が走り、1万6000人が利用する。
 JR西日本、JR東海、JR九州なども300円の整理券料金で、通勤ライナーを朝晩走らせている。
 「都心に入って来た特急を郊外の電車区に夜、回送する際、空ではもったいないので通勤客に利用してもらおうとしてできたのが通勤ライナー。いつも満席の状態なので、最近では新型車両を投入するようにしています」とJR東日本輸送課課長代理の西山陸雄さんは説明する。
 昨年4月には、東海道線の通勤ライナー用に2階建て電車が登場した。普通の特急用車両より70%多い1010人を運べる電車で、12月のダイヤ改定でも増やす。
 大手私鉄の間でも、座席指定の特急を通勤時間帯に相次いで投入している。
 南海電鉄は、昨年11月から新しい特急「りんかん」を高野線の難波−橋本間に8往復走らせている。もうひとつの幹線の南海線では、座席指定とそうでない車両を一緒に連結した特急「サザン」を運行している。
 西武鉄道は秩父と結ぶ池袋線で、途中駅の飯能、所沢止まりの特急を増やし、通勤客を運んでいる。「池袋駅に朝つくと窓口で帰りの特急券を買う人が多い」といい、夕方以降の下りは常に満席だ。本川越までの新宿線にも12月から平日に特急を走らせる。
 有料の特急がない京浜急行も、夕方から夜の品川発下り久里浜方面に200円の料金を取る定員制の電車「ウィング号」を8本走らせている。
 しかし、帰りはともかく朝の出勤時間帯にたくさん走らせるのは難しいようだ。小田急電鉄では朝の上り特急の数を徐々に減らしている。「1時間に30本近くの電車を走らせても追いつかないほどのラッシュで、定員の少ない特急は複々線化が進まなければとても無理」という。
 雑誌「鉄道ジャーナル」副編集長の宮原正和さんは、千葉県柏市の自宅に帰る時、上野駅から通勤ライナーをよく使う。が、「発車15分前に整理券が売り切れてしまい、疲れていて乗りたくても、乗れないことが多い」という。「座れる通勤電車」について宮原さんは「そんなものがなくても、お金をとる以上はみんなが座れるというのが鉄道本来の資のはず」と話す。
 別料金を払えばゆったり座れるという電車は、全員が快適に乗るのは絶望的だという通勤事情が生んだ「落とし子」ともいえそうだ。(朝日新聞 夕刊)
大手私鉄の「座れる」通勤電車(平日)
 午前7時−7時午後5時−8時主要駅までの料金
京成電鉄京成上野着 1本京成上野発 5本一律350円(一部800円)
東武鉄道浅草着 1本浅草発 1本春日部まで690円
西武鉄道池袋着 1本池袋発 6本所沢まで350円
小田急電鉄 新宿発 9本町田まで400円
京浜急行 品川発 4本一律200円
名古屋鉄道新名古屋着12本新名古屋発27本一律310円
近畿日本鉄道
 名張方面
 奈良方面
 
上本町着 3本
近鉄難波着 2本
 
上本町発 9本
近鉄難波発 3本
 
大和八木まで440円
近鉄奈良まで440円
南海電鉄
 和歌山方面
 高野山方面
 
難波着 1本
 
 
難波発 3本
難波発 3本
 
一律450円
河内長野まで450円
 ≪注≫ 東武は定期券で乗れる電車のみ。名鉄は名古屋本線のみ。
      近鉄は京都−奈良間などにも通勤時間帯に特急がある。
JRの主な有料通勤ライナー
地 域主要区間運転本数
北海道札幌−手稲、小樽4本
首都圏東京−小田原、逗子
上野−土浦、古河
新宿−青梅、高尾
36本
長 野長野−小諸2本
東 海名古屋−中津川
岡崎−大垣
三島−浜松
21本
関西圏米原−大阪
天王寺−和歌山
大阪−篠山口
16本
九 州門司港−博多
川内−鹿児島
延岡−宮崎
13本
《注》運転本数は平日ダイヤ上下の合計。
    乗車整理券は一部を除き、300円。      
10日■ニュートラム事故 「手術8時間…私の耳戻ったわ」 車内で握り締め 大阪の20歳女性 母に「泣かないで」
 大阪市営の新交通システム「ニュートラム」の暴走事故で重傷を負った3人のうち、右耳が欠損し、鎖骨を折った20歳の女性が、9日までに耳の接合手術に成功した。衝突直後、耳のちぎれているのに気づいて絶望感に襲われたが、両親の顔を思い浮かべて車内でとれた耳を深し出し、手元から片時も離さなかったのが幸いした。
 耳がちぎれる重傷を負ったのは、大阪市内の女性会社員。母親によると、この女性は5日午後5時すぎ、勤務先を出て、「ニュートラム」のポートタウン東駅に向かった。この日は自宅近くの歯医者に治療の予約をしており、いつもより2時間半早く退社した。
 ホームに着いた電車はほぼ満員だったが、予約時間に間に合わせようと、ドアが閉まる直前、3両目に飛び乗った。
 イヤホンをして音楽を聴いていた。突然、大きな衝撃で車両が揺れ、将棋倒しになった。血が流れているのに気づき、手をやると、右耳の形が普通と違っていた。
 切断された指もすぐ冷凍しておけば接合できる、と紹介していたテレビ番組を思い出し、足元にあった耳を見つけて手に取った。救急車で現場近くの病院に運ばれ、さらに、設備の整った病院に転送された。すぐに始まった接合手術は8時間かかった。
 この女性は、病院に駆け付けた母親が泣き出すのを見て、「お母さんに泣かれたら、私まで落ち込んでしまうじゃない」と逆に励ました、という。
 「耳がないのを知って、このまま死んでしまいたいと思った。でも、お父さんやお母さんが悲しむだろうなと考え直した」と、母親に手術後、打ち明けている。
 大阪市交通局によると、5日の事故以降に新たに10人が手当てを受け、今回の事故による負傷者は、204人。このうち、いまも49人が入院している。(朝日新聞)
■事故の4車両 撤去作業開始
 大阪市の新交通システム「ニュートラム」の暴走事故を調べている大阪府警捜査一課の住之江署捜査本部は9日夜、大阪市住之江区の南海ポートタウン線住之江公園駅で激突事故を起こした4車両の撤去作業を始めた。同区にある市交通局の南港検車場に移した後、捜査本部は車両の電気回路などを中心に、本格的な検証を進める。
 作業は周囲を交通規制して、午後10時から始まった。切り離した各車両(1両10.5d)にワイヤを通して、クレーンで引き上げながら車両下の機器を点検。その後、地上約12bの高架式軌道からゆっくりと大型トラックに移し、約7`離れた検車場へ。
 今後、捜蛮本部は、機器のメーカーの技術者に説明を求め、警察庁科学警察研究所の協力も得ながら事故原因の解明を急ぐ。(朝日新聞)
11日■磁気切符が段ボールに JR東日本 再生技術を開発
 JR東日本は、使用済みの切符の大半を占めるようになった磁気切符を段ボールに再生する技術をこのほど開発した。 裏面に磁気が入っていない普通の切符は依然から再生使用していたが、磁気切符は鉄分が混ざるため通常の方法では再生できなかった。JR東日本は紙分との重さの違いを利用して切符に含まれる鉄分を除去する技術を製紙会社と共同で開発、実用段階までこぎつけたという。
 使用意味の切符はまずどろどろに溶かされ、遠心分離機にかけて鉄分と紙成分を分離する。この方法で8割が段ボールなどの原料として回収できるという。
 出札では普通の切符と磁気切符が混ざり合うため、通常の方法では再生出来ず、産業廃棄物として処理してきた。今回開発された技術を使えば両方を一括して再生できるため、コストも安くなるという。
 JR東日本は「本来なら切符として再利用したいが、再生後も少量の鉄分が残るであきらめた。将来は循環使用できる方法も検討したい」と話している。(京都新聞)
■合理化案が「急停車」 ニュートラム 暴走で無人化棚上げ
 多数のけが人を出した5日の大阪市営新交通システム、ニュートラム暴走事故で、電車に添乗員がいない「無人運転」など、合理化を進める予定だった大阪市交通局は計画の再検討を迫られている。建設費が比較的安く、人件費もかさまないニュートラムの導入目的が、事故でつまづいた形だ。
 ニュートラムは、開通した昭和56年から自動運転だったが、「乗客に安心してもらうため」に添乗員を乗せていた。だが平成3年に一部で無人運転を開始し、現在では全体の本数の約3分の2が無人運転。2、3年後には全面的に無人化する計画で、職員も開通当初より約30人削減している。
 同交通局によると、こうした計画は開通当初から織り込み済み。平成4年度で約8億円、累積で約273億円に上る赤字を、合理化の推進などで、10年後には単年度黒字にする見通しを立てていた。
 しかし今回の事故で、合理化の青写真が大きく狂った。同交通局は「運転士がいなくてはならないとは考えていないが、当面の無人化推進計画は棚上げ状態。事故に伴う支出額は検討もつかない」という。
 無人運転をしている他の新交通システム、神戸新交通や横浜新都市交通は、運輸省の指示で、少なくとも車止めのある終点近くの区間は全列車添乗員を乗せる措置をとっている。両社は「運転士の経験者で人繰りしている。事故の原因調査に注目している」としている。(京都新聞)
■ニュートラム暴走事故 ちぎれた耳、くっついた 手術8時間 OL、車内で握り締め
 大阪市営新交通システム「ニュートラム」の暴走事故で右耳を切断する大けがをした大阪市内の女性会社員(20)が、約8時間にわたる接合手術に成功、10日までに快方に向かっている。
 大阪市と家族の話によると、女性は5日、会社から自宅近くの歯科委員に向かう途中、ニュートラムに乗っていて事故に遭った。強い衝撃で体が吹き飛び、ほかの乗客と折り重なるように倒れた。出血で右耳がちぎれているのに気付き驚いたが、切れた部分を冷やしすぐ手術すればつながると重い、足元にあった耳を拾い、救急車で病院に運ばれた。
 病院に駆け付けた母親は年ごろの娘のけがに動転、泣き出したが、女性は「お母さんが泣いてどうするの」と逆に母親を励ました。手術は5日夜から翌朝までに及び、成功した。
 父親は「耳を切った娘を見た時は、並大抵の気分ではなかった。大阪市の職員には『なぜラッシュ時に無人の電車を走らすのか』と抗議した。母親を励ます娘の気丈さを見て『お前には勝てん』と思った。少しでも早く元どおりの体にしてやりたい」と話していた。(京都新聞)
■ATOとATCの異状 中央指令所に伝わらず 車両側には表示 ニュートラム事故
 大阪市の新交通システム「ニュートラム」の暴走事故で、無人走行を支える自動列車運転装置(ATO)と自動列車制御装置(ATC)の異状が、運行を集中管理する中央指令所に全く伝わっていないことが10日、大阪府警捜査一課の住之江署捜査本部の調べで分かった。指令所は走行異状をつかんだ場合、手動で列車を停止できる。今回、異状は車両側の機器室に表示されたが、車両からの異状信号が送られず、非常事態の安全システムが機能しなかったとみられる。捜査本部では車両側の故障個所を絞り込む手がかりになるとみて、検証を進めている。
 調べでは、ATOやATCが正常に作動しない場合、車両側のデータ伝送装置が中央指令所に信号を送り、指令所にある運転指令卓のランプが点灯。モニター画面には、詳しい異状の内容が表示される。非常事態の場合、指令所では手動のボタン操作で電車を一斉に止めるほか、各駅区間ごとに走行中の電車も停止させることができる。
 しかし、今回の事故で、指令所側にATOやATCの異状表示はなかった。
 また、指令所のホストコンピューターでもブレーキの作動状態やATO、ATCなど各制御装置の故障を監視。異状が発生すると、その直前の9秒間を「列車モニター情報」として記録するが、これにも車両側の異状は認められなかった。
 指令所が異状をつかんだのは、電車が終着駅の住之江公園駅をオーバーランし、非常ブレーキが作動した時点だった。
 事故後の車両検証では、無人運行の中枢機器類を積む3両目の機器室の表示板に、ATOやATCの作動異状を示す計3枚の表示が出ていた。市交通局の事故対策本部は「車両側のATOやATCに何らかの異状が発生したと考えられるが、それがなぜ中央指令所に伝わらなかったのか。異状を枚知する仕組みはどうだったのか。機器類を詳しく点検してみないと、見当もつかない」と話している。
 捜査本部は10日夜、前日の作業が遅れて軌道に残された3、4両目の撤去を再開。11日中に市交通局の検車場に移したあと、12日から本格的な検証を始める。
・代替バスを定時運行 あすから
 大阪市営の新交通システム「ニュートラム」の暴走事故に伴い、代替バスを走らせている市交通局は代替バスのダイヤを作成して定時運行することを決めた。ニュートラムの再開の見通しが立たないためで、近畿運輸局の認可を得て、12日から実施する。
 交通局によると、事故翌日の6日、46台のバスを投入して住之江公園−中ふ頭駅間を往復運転。7日からは60台に増強して1日約1000回の運行で、約5万人を運んできた。(朝日新聞)
12日■ニュートラム事故 運転再開めど立たず 原因解明「迷路」に
 大阪市営ニュートラム暴走事故は、12日で発生から1週間。大阪市交通局は、原因を解明し安全が確認できるまで運転を再開しない方針で、復旧のめどは立っていない。
 同市住之江区のニュートラム各駅では連日早朝から、代替輸送バスを待つ乗客の長い列ができるなど、前例のないハイテク電車事故の余波は、依然続いている。
 大阪府警捜査本部は事故翌日の6日午前に業務上過失傷害の疑いで、市交通局の関連施設6ヵ所を家宅捜索。押収した運行データから、電車を減速させる自動列車操縦装置(ATO)と車輪ブレーキをつなぐ常用ブレーキ回路に異常があったことを示す記録を突き止めた。
 このため捜査本部は、制動システムの根幹となるブレーキ回路のトラブルが暴走を引き起こしたとみて、近日中に市交通局・南港検車場(住之江区)に運んだ事故車両の本格的な鑑定に入るが、故障部分や原因の特定までには、なお相当の時間がかかるとみられる。
 市交通局も独自の原因調査を急いでいるが、車両が押収されているため、点検には府警の許可が必要で「車両検査のスケジュールさえ未定」(市交通局事故対策本部)だ。また、原因を想定しての対策方法についても「白紙の段階」(同)といい、焦りを募らせている。
 ニュートラムは人口約3万人の人工島、南港地区と大阪都心部を結ぶ基幹路線。市交通局は12日朝も振り替え輸送バス60台を出したが、ラッシュ時は道路渋滞で、電車で15分の中ふ頭−住之江公園間が約1時間かかる始末。先の見えない状態の中、利用者は皆うんざり顔だった。(京都新聞 夕刊)
■負傷者増え209人に ニュートラム事故から1週間 運行めどたたず
 大阪市の新交通システム「ニュートラム」の暴走事故から、12日で1週間。負傷者は事故当日5日の集計より増えて計209人となり、うち53人がいまも入院中だ。大阪市は幹部職員で対策チームをつくり、見舞いなど対応に追われる。事故原因を調べている大阪府警捜査一課の住之江署捜査本部は12日午後から、軌道上に残された電車を車庫に移して地上装置を調べるとともに、事故車両の本格的な検証を進める。
 市交通局のまとめでは、負傷者は事故当日の集計より15人増えた肺が傷ついて集中治療室で手当てを受けている人もいる。 乗客への補償問題もある。事故対策本部によると、負傷者が通勤中の場合は労災が適用され、その他の場合は、信楽高原鉄道事故を教訓に設立された公営交通事業協会の「鉄道賠償保健」から支払う方針だ。これらの制度で対応しきれない場合は、交通局会計でまかなうことにしている。(朝日新聞 夕刊)
■立ち往生事故 運転士らを処分 大阪市営地下鉄
 大阪市交通局は、市営地下鉄谷町線で9日、赤信号を見落とすなど3重のミスを重ねて立ち往生し、同線の一部が2時間近く不通になった事故で、田中孝一郎運転士と山本正博・同線運転指令所運輸助役を停職1日、監督者の林襄(ゆずる) ・同線運輸長ら5人を戒告などの処分にした。(朝日新聞 夕刊)
■ロープウェイ停電で停止 140人閉じ込められる 六甲
 神戸市灘区の六甲山頂付近で、11日午後2時15分ごろ停電があり、六甲有馬ロープウエーが一時ストップ、ゴンドラ4台に乗っていた乗客約140人が中に閉じ込められた。ロープウエーは数分後にディーゼルの補助エンジンを使って最寄りの駅まで到着、同社はバスなどで代替輸送した。乗客にけがや混乱はなかった。午後5時半には運転を再開した。(朝日新聞 夕刊)
13日■大阪・ニュートラム 添乗義務の規程削除(2年前)148件のトラブルも市会に報告せず
 大阪市営のニュートラムの暴走事故で、自動運転時は添乗員乗務の義務付けや、異常時には添乗員が非常ボタンを押して停止措置を取ることなどを定めた同市交通局の当初の運転規程が、10年後の平成3年10月にこっそり削除改定され、市議会にも報告されていなかったことが12日開かれた同市議会公営企業会計決算特別委員会で明らかになった。
 同交通局はこれまで添乗員について「乗客に不安感を与えないためで、運転操作は含まれていない」と説明しており、省力化のために強引に無人運転課を推し進めてきた大阪市の安全対策の在り方が改めて問われそうだ。
 また同交通局は平成4年度までにニュートラムに148件の運転故障事故があったことを公表した。
 当初、運転席に座っていた添乗員が、平成3年3月から乗客案内や車内巡視に業務変更された点について「今回の事故時に添乗員が乗務し、非常停止ボタンを押していれば事故は防げていたはず」とこの問題を取り上げた共産党市議の指摘に、交通局側も「(運転席に座り)適切な処置をしていたら防げていたと思う」と有人運転をしていたら、事故は防げた可能性を初めて公式の場で認めた。
 議会報告をしなかった点について「運転規程であり、国に届けるだけでよいと思った」と答弁した。
 一方同交通局は、開業時から平成4年度までに自動列車操縦装置(ATO)や自動列車制御装置(ATC)の機器故障10件などを含め計148件の運転故障事故があったことを公表した。しかし、このうち遅延が30分以上出るなど運輸省に届け出義務があるものは26件だけで、すべて事故を未然に防ぐ幾重もの「フェールセーフ」装置が働き、問題は全くなかったとしている。(京都新聞)
■ニュートラム 終着駅付近に第3の安全装置検討 大阪市交通局
 暴走事故を起こした新交通システム「ニュートラム」の運行再開を目指す大阪市交通局は13日までに、終着駅付近に「第三の安全策」を導入する方針を固め、暴走をくい止める装置設置などの検討を始めた。安全を二重に確保するはずの自動列車運転装置(ATO)、自動列車制御装置(ATC)の信頼性が疑われる中、安全システムを充実させて利用者の不安を招かないようにとの判断からだ。具体策を煮詰め、原因が判明した段階で早急に設置したいとしている。
 市交通局のこれまでの調査では、事故車両はATO、ATCの常用ブレーキが利かなくなり、ATCの非常ブレーキはかかったが、間に合わずに衝突した、とされている。
 横浜市の新交通システムなどが備える「過走防止装置」を、住之江公園と中ふ頭の二つの終着駅に取り入れる案を検討している。この装置は、停止位置の直前に幾つかの速度検知器を等距離に配置し、電車が決められた速度を越えている場合に作動して非常ブレーキがかかる仕組み。
 このほか、ホームの停止位置を変え、非常制動がかかる区間を延長する▽ATCの速度制限を厳しくし、当面低速運行することで電車がホームに進入する速度を抑える−などの方法も検討する見通しだ。
 新たな安全対策を導入するにあたり、運行システムを管理する電算機のプログラム変更や、新しい施設が設置可能かどうかをまず調査。今後、車両とATO、ATCの製造メーカーや、新交通システムを最近作った都市からも情報を集めたいとしている。
 西尾正也市長は「事故原因はまで分からないが、車止めの改良や車両停止位置の変更など、これまで以上の安全策の検討を交通局に指示した」としている。(朝日新聞 夕刊)
■ハイタッチテクノ 次世代新幹線 鉄をアルミに換え車両軽く パンタグラフの騒音軽減が課題
 「ひかり」が登場して30年。210`だった時速は「のぞみ」で270`になり、350`以上をめざす「次世代新幹線」がJR東日本など3社でそれぞれ開発中だ。400`以上を達成したドイツやフランスの列車と比べられることも多い。日本の開発はどこまで進んだのだろうか。
 次世代新幹線の車両は、できる限り軽量化されている。車体の素材が鉄からほぼ100%アルミ合金になったのは、新幹線では東北新幹線の「やまびこ」などからだ。
 比重が鉄の3分の1というアルミだが、加工技術が鉄に比べて劣るうえ、金属疲労が十分に解明されておらず、導入がためらわれた時期もあった。しかし「構造的に力のかかりにくい部分は経験でわかってきて、アルミに置き換えやすくなった」とJR東日本新幹線車両課の由川透課長。
 搭載する電気機器も軽くなった。交流に対応できる半導体素子の開発が進んで、新幹線に使える大容量のものが生まれたためだ。「軽量化は電気機器の発展そのもの」とJR東海技術本部の木俣政孝さんは言う。まずモーターが直流から交流になり、直流モーターに必要な整流子が消えたことなどで、全体で半分以下の重さになった。
 次にブレーキ。運動エネルギーを熱に変えた従来式ブレーキに代わって、電気に変えてパンタグラフから架線に送り返す「回生ブレーキ」になり、熱に変えるための抵抗器などが取れて、これも軽くなった。
 一方、乗り心地を良くする安定走行のため、車両の支点が前後方向に広がるよう、台車の車軸間隔を現在の2.5bから 3.0bに広げる方針だ。ブレーキシステムも階段式に減速する現方式ではなく、一度かければ連続的に減速する方式を開発中だ。
 半面、次世代新幹線を待ち受けている深刻な問題は沿線騒音だ。最大の発生源は車輪だが、周囲への発散という点では集電するパンタグラフが風を切る音が問題。速度が上がると深刻になる。空気の流れによってできる渦が原因だが、空気の流れに比べてエネルギーがケタ違いに小さいため、騒音全体の中に占める割合の評価がむずかしい。車輪の音は、車体下部のカバーや沿線の防音壁などで対応できるが、パンタグラフに対しては困難だ。
 カバーやパンタグラフ自体の形を変える研究などがされているが、まだ「決定打」はない。新幹線開発にかかわってきた東大工学部の曽根悟教授は「次世代新幹線の最大の課題は、パンタグラフと架線からの騒音の軽減に尽きる。そのためには集電方法の再検討も必要になるかもしれない」と言う。
 最高時速については、「速度が上がればエネルギー消費も増える。車輪方式では400`程度が実用的な上限ではないか」と話している。(朝日新聞 夕刊)
14日■嵐電にレトロ調新車両 建都1200年PR 来秋お目見え
 京の観光名所・嵯峨野、嵐山を走る京福電鉄嵐山本線、北野線に来年9月、レトロ調の新型車両が登場する。平安建都1200年イベントの盛り上げに一役買う。
 新型車両は、同線が開通した1910年当時の車両の面影を残す小屋根を持ち、こげ茶色を主体にした外装。内装も、保存していたり、旧型車両に使っていたつり革、網棚などを使い、木目調でシックな仕上げにする。定員88人。
 同線は、現在28両で運行しており、老朽化に伴い2台を新造に更新する。
 来年9月から1両が運行開始。同年中にもう1両が加わる。
 嵐山本線(四条大宮−嵐山間7.2`)、北野線(北野白梅町−帷子ノ辻間3.8`)の年間輸送人員は約1000万人。このうち3割が観光客で、「嵐電」として親しまれている。(京都新聞)
■ニュートラム事故 終着駅通過時、速度は… 大半の乗客「30`」
 大阪市営の新交通システム「ニュートラム」の暴走事故で、朝日新聞社は13日までに各車両(4両)の乗客から、現場の南港ポートタウン線住之江公園駅をオーバーランした時の速度やブレーキの利き具合、車止めに衝突する直前の様子を聞いた。終点の同駅を通過した時の速度は、20−40`程度と話した。ブレーキは大半が「利かなかった」といい、身構える間もなく満員の車内で将棋倒しになったりと、とっさにつり革を握っても弾き飛ばされるなど、改めて衝撃の大きさをうかがわせた。
 事故が発生したのは帰宅時間帯で、暴走した車両はほぼ満員状態の約250人が乗車、うち200人以上が負傷したが、入院中の人も含め、事故当時の状況を聞き取り調査した。
 住之江公園駅を通過する時の速度は、遅く感じた人でも20`程度。40`以上と思っている人は「電車はまったく減速せず、そのまま車止めに衝突した」と話している。最も多かったのは「30`程度」だった。
 駅に入る前に段階的に作動するはずの通常ブレーキについては、大半の人が「まったくかからなかった」。駅の停止線を越えた時に作動する非常ブレーキについては「衝突直前に車内アナウンスがあったあと、急ブレーキがかかり、その直後に衝突した」と話す人もいた。しかし、多くの乗客は「ブレーキを感じる間もなく激突の衝撃を受けた」と話した。
 大阪府警捜査一課の住之江署捜査本部の検証では、住之江公園駅の停止線を越えたあと、衝突直前に非常ブレーキが作動したものの、間に合わなかったと見られており、証言はこれを裏付けている。
 衝突直前、先頭車両では「電車が止まらん」「ぶつかる」などの悲鳴が上がった。しかし、後方の車両では「座席でウトウト眠っていた」など、オーバーランに気付かなかった人も。つり革を握ったり、ドアに体を押し付けたりして身構える余裕があった人はわずかで、ほとんどが何の対応もできなかった。(朝日新聞)
【ニュートラム事故の乗客証言】
乗 客終着駅を過ぎ
た時の速度
ブレーキの作動
は感じたか
乗車位置と車止めに激突する直前
の様子
京都府の会社員
(24)
30`以上直前、急ブレーキがかかった4両目の中央に座っていたが、手すりで胸を打った
豊中市の会社員(53)約30`減速した感じはなかった4両目のドア付近にいた。身構えるひまはなかった
西宮市のマンション管理人(62)約30`まったく感じず1両目の前方でつり革を握ったが、将棋倒しになった
寝屋川市のパート従業員(56)分からない減速したように感じた3両目のドア前にいて、いきなり手すりに体をうちつけた
大阪市の会社員(62)約20`駅に入ったあと少し減速1両目でつり革を持って目をつぶった。気付いたら倒れていた
守口市の会社員(52)約45`まったく減速せず2両目でドアに体を押しつけたが、将棋倒しに
大阪府の会社員(43)約30`駅の手前で1回減速先頭車両で身構える時間はなかった
吹田市のアルバイター(28)すぐ止まる速さではないかからなかったようだ2両目で窓の外を見ていた。衝突まで気付かなかった
大阪市の会社員(33)約40`まったく感じなかった4両目の中央で手すりを握ったが、前方にふっとんだ
摂津市の溶接作業員(57)40`利かなかった4両目の後ろで身構える間もなく前に投げ出された
■どこかに明治の薫り残し おしゃれなレトロ調車両 建都1200年祝い来秋”発車” 京福電鉄嵐山
 京福電鉄(京都市中京区)は13日、嵐山線に来年9月からレトロ調車両を導入すると発表した。平安建都1200年記念事業の一環として、車両2台の車体部分を、明治時代のものを参考に改造するという。
 嵐山線は通称嵐電(らんでん)と呼はれ、四条大宮−嵐山の嵐山本線と、帷子ノ辻−北野白梅町の北野線があり、年間約1000万人が利用する。レトロ車両は、車輪など旧車両の土台部分をそのままに、車体部だけを全面的に造り直す。現在28台が走っているが、うち2台を改良する。
 窓のついた飾り屋根をつけ、車体前部も3枚窓にするほか、現在の緑系色をやめ茶系にして木の雰囲気を出し、ボディーラインは金色で描く。
 内装も基本的に木目調で通し、1935、6年ごろから使われていた旧車両のつり革や網棚などを、そのまま生かすという。
 費用は未定だが、新造より割高になるという。まず1台を9月までに走らせ、年内中に2台ともそろえる予定。(朝日新聞)
■京都市交通局 地下鉄運輸職員12年ぶり募集 東西線開業へ運転士ら25人
 京都市交通局は、地下鉄運輸職員の新規採用に踏み切ることにし、14日、採用計画概要を発表した。3年後の1996年末に予定している地下鉄東西線(二条−醍醐駅間、12.7`)の完成に向け行うもので、81年の地下鉄開業以来初めての職員募集となる。
 市営地下鉄は今年で開業12年目。烏丸線の運輸業務には、約300人の職員が従事しているが、78年に廃止された市電の関係者か、市バス業務からの配置転換された職員を充て、新規採用は見送ってきた。
 しかし、東西線の開業に当たっては、今後、烏丸線の従事者と同程度の職員が必要とみて、市電廃止以来、中止していた鉄道関係職員の募集を再開することにした。バス運輸職員は不定期に採用試験を実施、一般職員は定期採用している。
 今回、募集するのは、地下鉄烏丸線と東西線の運営に携わる助役約20人と、高速運転士約5人の計約25人。来年4月1日付けの採用を予定している。
 助役職は地下鉄の運転、営業と東西線の開業準備などに従事。また高速運転士は、運転、車掌業務を勤める。採用後に研修を受け、動力車操縦者免許を取得してから任用される。
 受験できるのは、69年4月2日から74年4月1日までに生まれ、運転業務に従事できる視力などの身体的条件を備えた男子。一次試験(筆記)は来月14日、北区の立命大で行われ、二次試験を経て12月下旬に合格者を発表する予定。
 受験申込期間は今月20日から29日まで。詳しくは市交通局職員課 075(822)9118へ。(京都新聞 夕刊)
■列車トイレ バクテリアで分解 「におい」食べちゃうぞ JR東日本 試験車両 評判も上々
 臭いにおいをもとからカット−。「臭い」と苦情の多かった列車トイレ改善に取り組んできたJR東日本はこのほど、バクテリアを利用して腐敗物を分解し、においを消すバイオトイレの開発に成功した。既に一部の特急に試験車を導入したが評判も上々のようだ。
 特急列車などのトイレは水洗だが、タンク内の汚水は3日に一度交換するだけ。フィルターを使って汚物は取り除くが、水自体は還流使用するためどうしても悪臭が漏れ、評判が悪かった。
 そこでJR東日本総合技術開発推進部では、悪臭のもとである腐敗物をバクテリアを使って分解、還流水を無臭にするバイオトイレを開発した。
 列車トイレの還流タンク(約800リットル)の中に「オペルクラリア」などの特殊バクテリアを繁殖させ、汚物を分解させる。実験の結果「臭気度」(10段階表示)は、現状のトイレでは3日たつと「におう」(臭気度9)から「非常ににおう」(同10)になってしまうのに対し、バイオトイレは5日間還流水を交換しなくても「ほとんどにおわない」(同7から8)に抑えられるという。またタンクの水を汚水処理をせずに下水に流せる可能性も出てきた。
 JR東日本は既に、常磐線の特急「スーパーひたち」の一部に試験車両を走らせているが、清掃作業員などの評判は上々で「今後他の列車にも導入したい」と話している。(京都新聞 夕刊)
■「火事だ」の声に列車飛び降り そこへ列車 49人死亡 ボンベイ
 【ボンペイ13日AFP=時事】インドのPTI通信によると、同国西部のボンベイで13日夕、通勤電車の女性客多数が車内で火災が発生したと勘違いして線路に飛び降り、そこへ突っ込んできた列車にひかれて49人が即死、70人が負傷して病院に運ばれる惨事が起きた。
 警察の話によれば、事故が起きたのはボンベイのボリバリ駅付近。同市南部チャーチゲート発の女性通勤客用の特別電車が同えきに近づいた時、満員の車内から「火事だ、火事だ」という叫び声が上がった。慌てた多数の女性が対向車線の線路に飛び降りたところへ、別の列車が猛スピードで突っ込んだ。
 警察の調べによると電車が落雷を受け、焼け切れた天井の電気配線から煙が噴き出したため、女性客らはこれを火事と勘違いして線路に飛び降りた。
 事故当時、現場付近は停電中で薄暗く、かなり雨も降っていたため、女性客は対向車線の列車が迫っていることに気づかなかったらしい。(京都新聞 夕刊)
■中労委の初命令が年内に出る見通し JR採用差別事件
 中央労働委員会(中労委、萩沢清彦会長)は13日の公益委員会議で、JR7社と国労など3労組が係争中の採用差別事件のうち、大阪と北海道の二つの国労関係事件について、審査にかかわった労働者、使用者側の参与委員の意見陳述を11月10日に求めることを決めた。これにより、長期にわたる労使紛争の焦点である採用差別事件について、中労委の初の命令が12月中にも出される見通しとなった。(朝日新聞 夕刊)
■関西空港 ニュートラム事故に対応 無人運転車に安全対策
 関西国際空港会社は、大阪市営「ニュートラム」の暴走事故を受けて、来年9月に開港する関西国際空港内に設置する同様の乗客輸送手段について、安全対策の充実を検討し始めた。ニュートラムと同じメーカーの新交通システムを導入、来年6月の完成を目指して準備が進められているが、調査中の事故原因によっては影響が及ぶためだ。同社は原因究明と開港スケジュールを見守りながら、車止めを改良する案などを練っている。
 導入されるのは「ウイングシャトル」。計画では、ターミナルとウイング間を3両編成(計約230人乗り)で結ぶ。ニュートラムと同じく、自動列車運転装置(ATO)と自動列車制御装置(ATC)などで無人運転される。軌道はすでにできあがり、現在は、新鶴市内の車両工場で車体に装置の取り付けが行われている。
 同社が見直しを始めた対象は「車止め」。ニュートラムと同じ鋼鉄にゴムを張つたものを予定していたが、約200人の負傷者を出した今回の事故を受けて、「電車を確実に受け止めると同時に、衝撃を検討しる」車止めの検討を検討している。また、走行中に異状を感知するチェックポイントを増やすなど、安全対策をさらに充実させたい、としている。
 同社によると、米国のシアトル、マイアミやシンガポールの空港で「新交通システム」が稼働しているが、これまでにけが人を出すような事故はなかったという。
 一方。メーカー側も事故に対応して7日、幹部が同社を訪れ、「まだ原因がわからないが、わかり次第報告する」と伝えた。また、ニュートラムの事故原因によっては、ウイングシャトルそのものについても安全対策を追加する方針だ。
 関西国際空港会社のウイングシャトル担当課長は「『絶対に安全』と言われる中で、新交通システムを採用した。今でも基本的には安全だという確信はある。でも、ニュートラム事故が起きたため、新交通システムを社会的に認知してむらうには相当の安全対策と時間がかかるだろう」と話している。(朝日新聞 夕刊)
15日■ニュートラム 電流遮断で暴走? ブレーキ始動配線 単系統が“弱点”に
 大阪市営新交通システム、ニュートラム暴走事故で、同市交通局は14日、無人運転電車を減速させる自動列車操縦装置(ATO)と自動列車制御装置(ATC)がブレーキ信号を出したのに、この信号を受けて各車両のブレーキ装置を始動させるはずの電流が、電源からの配線トラブルで流れず、暴走を引き起こした、との見方を強めた。
 ATOとATCは、どちらかが故障しても一方を補う二重制御システムとされてきたが、ブレーキ始動の配線は1系統だけで、二重になっていない“弱点”があり、これが事故につながった可能性が高い、という。
 ブレーキ始動電流が遮断した場合の補助システムの不備による事故と考えられ、市交通局は運転再開へ向けて、設計上の改善を迫られそうだ。
 大阪府警捜査本部も、常用ブレーキ回路周辺の故障との疑いを強めており、近く事故車両に通電テストをして、異常部分の特定を急ぐ。(京都新聞)
■信楽事故民事提訴 人災の責任とって… 遺族ら 真実ほしい、と涙
 信楽高原鉄道列車衝突事故の大惨事から約2年半。犠牲者9人の遺族が14日、刑事事件として問えなかったJR西日本の事故責任を追及するため大阪地裁の判断を仰いだ。
 遺族や弁護団15人は午後3時、大阪市北区の大阪地裁を訪れ、裁判所職員に訴状を手渡した。
 原告のひとりで「犠牲者遺族の会」世話人の吉崎俊三さんは「水面下に隠れた鉄道両社の事故原因や責任問題を明らかにして、今後の事故予防に役立てたい」と提訴の理由を語る。妻を失った会社員中原邦夫さん=神戸市東灘区=も「改めてJRの責任を問うときが来た」とし、「大惨事から約2年半、一番知りたい根本的な原因が解明されなかった。鉄道両社の安全対策の不備に基づく人災だったのですから責任はとってほしい」と述べた。夫を亡くした主婦後藤泰子さん(50)=茨木市=も「JRに乗って夫は死んだ。その原因、真実がほしい。青信号を過信したJRの運転士の声が聞きたいんです」と涙ながらに語った。
 犠牲者21人の19遺族でつくる遺族の会弁護団では「遺族側が告訴、告発した際、大津地検はJR社員を起訴猶予処分とし、JR側の刑事責任を一部認めている。この民事訴訟でJRの事故責任を明確にしたい」としている。
・「鉄道安全町」宣言へ要望書
 信楽高原鉄道事故の遺族たちが発起人となり結成した市民団体「鉄道安全准進会議」(臼井和男会長・370人)は14日、滋賀県の信楽町に対し「鉄道安全宣言」の町づくりをすすめるよう要望書を提出した。
 推進会議は、遺族らが信楽事故の調査の情報公開が不十分として不満を抱き、第三者の公平な調査を行う専門調査機関の設置を求めて、今年8月に結成した。
 要望書では、事故の教訓を生かし、信楽町に全国初の「鉄道安全宣言町」として名乗りを上げてもらい、第三セクター鉄道の経営に参画する同町が率先して全国に鉄道安全の徹底を呼びかけるよう求めた。(京都新聞)
■11億3600万円の賠償求め 信楽事故の遺族 提訴 23人 JRの責任追求
 死者42人を出した一昨年5月の信楽高原鉄道列車衝突事故の補償問題で、「犠牲者遺族の会」(吉崎俊三世話人)の一部の遺族が14日、「安全を軽視した鉄道両社の体質が事故を引き起こした」としてJR西日本と高原鉄道両社を相手取り総額約11億3600万円の損害賠償を求める訴えを大阪地裁に起こした。事故発生以来2年5ヵ月を経て、民事裁判での両社の事故責任が問われることになった。
 訴えたのは、事故で妻を失った宝塚市中山桜台、会社員吉崎俊三さん(60)ら9犠牲者の遺族23人。
 事故補償をめぐっては、遺族側と鉄道両社間で協議してきたが、両社は交通事故の補償基準より低い算定基準を提示していた。遺族側は「JRの謝罪がない」と反発、「刑事事件では問われなかったJRの責任追及を中心に民事裁判で事故原因を解明したい」として訴訟に踏み切った。
 訴えによると、事故原因について▽信楽駅構内の出発信号が赤固定だったのに高原鉄道列車が進路の安全確認を怠った▽JR運転士は列車すれ違い区間で青信号を過信し、信楽駅に電話連絡するなどの安全確認を怠った▽JRが無認可設置した「方向優先てこ」の設計ミスや安全教育の不徹底などJR側は安全管理に落ち度があった−などとして鉄道両社に対し犠牲者9人の慰謝料と逸失利益などの賠償を求めている。
 事故以来、遺族らはJRの刑事責任を追及して同社関係者12人を業務上過失致死傷罪で大津地検に告訴・告発したが、いずれも不起訴となっている。
 JR西日本と高原鉄道両社でつくる「ご被災者相談室」によると、乗客の犠牲者37人のうち12人(同会では3人)については遺族と示談が成立。614人の負傷者のうち563人の補償交渉が終了しているという。
・道義的見地から交渉
 四方弘文JR西日本総務部長の話 遺族の心情を十分に考え誠意を持って補償交渉を継続してきたが、訴訟の提起に至ったのは残念だ。JR西日本としては事故の直接的な原因はないが、道義的な見地から、遺族側の対応を見ながら今後も交渉を続けていきたい。
・誠意もち対応する
 北川啓一信楽高原鉄道社長の話 遺族会との本格的な補償交渉を開始してまだ3ヵ月しかならず、十分な話し合いができないうちに提訴されたことは残念だ。今後は、裁判の中で誠意ある回答を重ね、一日も早く解決したい。また、末提訴の遺族とも、これまで同様、誠意を持って話し合っていきたい。
 平成3年5月14日午前10時35分ごろ、滋賀県甲賀郡信楽町黄瀬の信楽高原鉄道単線区間で、同町で開催中だった「世界陶芸祭」に向かうJR西日本の下り臨時快速列車=3両編成=と、信楽高原鉄道の上り普通列車=4両編成=が正面衝突。双方の乗客37人と乗員5人の計42人が死亡、614人が重軽傷を負った。
 信楽高原鉄道は、JRの地方線縮小に伴い昭和62年7月に廃止された旧信楽線を引き継ぎ、滋賀県と信楽、水口両町などが出資する第三セクター方式で運営されている。営業キロは貴生川−信楽間の14.7`。事故当時は「世界陶芸祭」の開催に合わせ、JR西日本が臨時列車を乗り入れていた。(京都新聞)
■地下鉄 開業後初めて職員を採用
 京都市交通局は14日、地下鉄運輸職員の新しい採用計画を発表した。1996年末に予定している地下鉄東西線の完成に向けて、増員するのが目的で、市が地下鉄運輸職員を新規採用するのは、81年の地下鉄開業以来初めて。
 新たに募集するのは、地下鉄の駅務に従事する助役約20人と、運転士5人ほど。69年4月2日から74年4月1日までに生まれた男性が対象で、11月14日に一次試験を実施。二次試験ののち、12月下旬に合格者を発表する。採用は来年の4月1日。
 申し込みは今月20日から29日まで受け付ける。問い合わせは市交通局(075-822-9118)へ。(朝日新聞)
■電線工事中の事故 責任者ら書類送検
 京都下労働基準監督署は14日、JR東海道線の電線工事中に作業員(38)が感電死した事故で、作業前の点検を怠っていたとして、工事を施工した滋賀県草津市川原町、中島電業所(中嶋光男社長)と、現場責任者だった同社社員(53)を労働安全法違反の疑いで京都地検に書類送検した。(朝日新聞)
■信楽鉄道事故 9遺族、賠償訴え 総額11億円「JRの責任問う」
 1991年5月、死者42人、重軽傷者614人を出した信楽高原鉄道列車衝突事故で、犠牲者9人の遺族が14日、JR西日本(本社・大阪市)と信楽高原鉄道(本社・滋賀県信楽町)を相手取り、総額約11億3600万円の損害賠償を求める訴えを大阪地裁に起こした。提訴に踏み切った理由について、遺族側は「刑事事件で事実上、不問にされたJR西日本の責任を法廷で明らかにしたい」としている。
 訴えたのは、いずれも「JR西日本・信楽高原鉄道列車衝突事故犠牲者遺族の会」(22犠牲者、19遺族)のメンバーで、妻(当時53)を亡くした兵庫県宝塚市中山桜台一丁目、会社員吉崎俊三さん(60)=同会世話人代表=ら大阪、京都、兵庫、滋賀の4府県に住む遺族計23人。
 事故は、信楽駅から赤信号を無視して出発した信楽高原鉄道の普通列車と、JR西日本の臨時快速列車が単線区間で正面衝突した。
 訴状によると、遺族側は、JR西日本が列車をスムーズに運行するために設置した信号装置の工事が運輸省や信楽高原鉄道に無断で行われたうえ、システムそのものに欠陥があったと指摘。このため、信楽駅の出発信号が「赤」のままで固定されるという異状を招いた、としでいる。
 この結果、@信楽高原鉄道は出発信号が「赤」にもかかわらず、安全を確認しないまま信楽駅からの出発を強行させたAJR西日本も本来、双方の列車がすれ違う信号所に信楽高原鉄道の列車がいないのを無視して通過した−ことが事故につながった、としている。
 そのうえで、両社には乗客を安全に輸送すべき旅客運送契約の債務不履行と安全体制の不備から事故を招いた不法行為責任がある、と主張している。
 損害賠償の請求額は、単線上の正面衝突という事故の特殊性や乗客に全く落ち度がない点を考慮。JR西日本と信楽高原鉄道は、示談交渉で交通事故の賠償額を基準にして提示した。
・交渉中の提訴残念 井手正敬・JR西日本社長の話
 現在、誠意をもってご遺族との間で補償交渉を縦続しているところであり、訴訟が提起されたことは誠に残念に思います。内容を十分枚討のうえ、対応したい。が、訴訟ではほぼ倍額を求めている。
 示談交渉はJR西日本と信楽高原鉄道が賠償資金を折半する形で進めており、これまでに死者12人の遺族、負傷者563人との間で成立した。しかし、JR西日本は「全責任は信楽高原鉄道にある。鉄道事業者としての道義的責任から被害者救済のため信楽高原鉄道が払うべき資金を肩代わりしているだけ」との姿勢を取り続けている。(朝日新聞)
■信楽事故提訴 遺族放った「最後の」 願いは「事故原因の解明」
 42人もの犠牲者を出した信楽高原鉄道の列車衝突事故は14日、遺族らの集団提訴で新たな局面を迎えた。惨事から2年5ヵ月。「なぜ事故が起こり、だれに責任があるのか」。遺族たちはいまだに解明されていない事故の原因究明を求めており、「JR抜き」となっている刑事裁判に代わり、JR西日本の責任を問う。遺族のひとりは「残された最後の一本の矢です」と語った。
 提訴後、原告の遺族が大阪司法記者クラブで記者会見。妻の佐代子さん(当時53)を亡くした兵庫県宝塚市の会社員吉崎俊三さん(60)は「遺族の一人ひとりは弱者だが、愚弄(ぐろう)されてばかりでは我慢できない」と話した。
 91年5月14日、佐代子さんは嫁いだ娘2人と京都駅から列車に乗った。佐代子さんは死亡し、娘2人も大けがを負った。
 吉崎さんは、なぜ死んでいくのかもわからず息を引き取った妻がふびんでならなかった。
 霊前に手を合わせると「おとうさん、何をしているの」という妻の声が聞こえてくる、という。
 この日は、事故発生からちょうど2年5ヵ月たった「月命日」。提訴日を月命日にしよう、と提案したという吉崎さんは「今のままでは、犠牲者の霊になんと言ったらよいのか。JRの責任を認めさせることが、供養になると思って裁判に踏みみ切った」という。
 JR西日本が運輸省などに無届けで設置した信号システムは「事故の遠因」とみられたが、JR西日本はこのマニュアルを書き換えて滋賀県警に提出。さらに、真相究明を求める遺族の申し立てを認め、大阪地裁が決定した関係書類の証拠保全に対しても、JR西日本は「提出義務はない」と拒否した。
 この日の記者会見には、妻の辰子さん(当時52)を亡くした神戸市の会社員中原邦夫さん(59)も姿を見せた。
 「表面的には損害賠償という形を取っているが、私たちの本当の願いは根本的な事故原因の解明」と指摘。さらに、大阪市営「ニュートラム」の暴走事故を取り上げ、「小さなトラブルを見逃さずに対策を取っておれば、事故は防げたはずだ。今回の裁判を通じて、全国の鉄道事業者に安全の大切さを訴えていきたい」と訴訟の意義を強調した。
・「直接責任はほい」JR西日本
 信楽高原鉄道事故の遺族らの提訴を受けて、JR西日本は14日、安全対策室長の山崎正夫取締役が記者会見し、「JRに事故の直接的な責任はない」と、JRの見解を繰り返した。
 ダイヤを円滑にするための信号システム「方向優先てこ」をJR西日本が運輸省の認可を得ず、信楽高原鉄道にも無断で設置したことや、安全軽視の企業体質が「事故の本質」と、遺族らが主張していることについては、「無届け工事についての非は確かにあるが、信楽高原鉄道とは十二分に打ち合わせや機能検査もした。方向優先てこの設置で事故が起きたとは考えられない」と述べた。(朝日新聞)
■鉄道安全宣言 信楽町に要望 遺族らの会
 信楽高原鉄道列車事故の遺族らでつくる「鉄道安全推進会議」(臼井和男会長)は14日、滋賀県甲賀郡信楽町(杉森一夫町長)に対して「鉄道安全宣言町」を宣言することを求める要望書を提出した。
 要望書では、大きな犠牲を将来にいかし、伝え続けていくために「鉄道安全宣言町」を宣言し、鉄道事故の安全対策に関する情報発信基地としての町づくりをしてほしいとしている。(朝日新聞)
■「火事」、飛び降りた所へ列車 インドで49人死亡
 【ボンベイ13日=AFP時事】インドのPTI通信によると、同国西部のボンペイで13日夕、通勤電車の女性客多数が車内で火災が発生したと勘違いして線路に飛び降り、そこへ突っ込んできた別の列車にひかれて49人が即死、70人が負傷して病院に運ばれる惨事が起きた。
 警察の話によれば、事故が起きたのはボンペイのポリバリ駅付近。同市南部チャーチゲート発の女性通勤客用の特別電車が同駅に近づいた時、満員の車内から「火事だ、火事だ」という叫び声が上がった。慌てた多数の女性が対向車線の線路に飛び降りたところへ、別の列車が猛スピードで突っ込んだ。
 警察の調べによると、電車が落雷を受け、焼け切れた天井の電気配線から煙が噴き出したため、女性客らはこれを火事と勘違いして線路に飛び降りた。
 事故当時、現場付近は停電中で薄暗く、かなり雨も降っていたため、女性客は対向車線の列車が迫っていることに気づかなかったらしい。(朝日新聞)
■JR線路上に無人の車 始発列車が衝突 宇治・奈良線 1 万2000人影響
 15日午前5時25分ごろ、宇治市莵道のJR奈良線で奈良発京都行き始発普通列車(2両編成)が、250b先の軌道敷内に乗用車があるのに気づき、急ブレーキをかけたが、間に合わず衝突した。列車は乗用車を約90bひきずって止まった。乗用車は無人で、列車には20人が乗っていたが全員けがはなかった。
 この事故で、JR奈良線は、宇治−六地蔵間で上下各2本、六地蔵−奈良間で上下各1本の計6本が部分運休し、乗客を京阪と近鉄で振り替え輸送した。午前6時58分には復旧したが、衝突した列車が約1時間、現場に停車したのをはじめ、上下列車13本が2分−30分遅れ、通勤、通学など約1万2000人の足に影響が出た。
 宇治署の調べによると、乗用車は城陽市寺田の会社員(23)が知人から借りて使っており、14日午後11時ごろ自宅前にキーをつけたまま駐車、15日午前7時ごろに出勤しようとして車がなくなっているのに気づき、城陽署に盗難届を出した、という。宇治署では列車・電車幹線往来危険罪の疑いで捜査している。(京都新聞 夕刊)
■ATS誤動作 JR環状線
 15日午前8時20分ごろ、大阪市天王寺区のJR大阪環状線桃谷駅の手前約40bで、内回り電車(8両編成、乗客約1000人)が自動列車停止装置(ATS)の誤動作で非常ブレーキがかかり、急停車した。運転士が原因が調べたが分からないため、ATSのスイッチを解放して約5分遅れで運転を再開した。
 JR西日本は車両を点検して原因を調べているが、桃谷駅に入る直前に運転台にある車内警報器が鳴ったという。
 このため、内回り電車10本が2−10分遅れ、約1万人の足に影響が出た。(朝日新聞 夕刊)
■線路に盗難車 列車が衝突 JR奈良線乱れる
 15日午前5時25分ごろ、京都府宇治市莵道のJR奈良線で、奈良発京都行きの上り始発普通列車(2両編成、畑峯進運転士)が、線路脇に止まっていた乗用車に衝突、列車は車を約90b引きずって停車した。列車内には約30人の乗客がいた、けがはなかった。乗用車は盗難車で、人は乗っておらず、宇治署は列車往来危険罪の疑いで捜査をはじめた。(朝日新聞 夕刊)
16日■駅ビル計画の道路指定違法 住民ら取り消し請求
 JR京都駅ビル高層改築計画で、地元住民ら19人は15日、京都市が高さ規制緩和のため導入した特定街区制度の要件となる「京都駅北口西通」の道路指定が違法だとして、市建築審査会に取り消し処分を請求した。
 道路指定については、建築基準法に基づき2年以内に事業が執行される予定のものを当該の行政庁が行うとされている。住民らは、同通の場合、これに伴う土地区画整理事業の都市計画案件が府都計審で検討中であることから、道路建設事業が予定されているとはいえず違法としている。
 これに関連して「ストップ・ザ・京都破壊、まちづくり市民連絡会議」は府都計審に対し、土地区画整理事業に対する住民らの意見書の結論が出ていないため、京都市が行った事業区域内の道路指定の取り消しと京都駅ビル会社が行った駅ビル建築確認申請の取り下げを、それぞれ京都市、同駅ビル会社に申し入れることを文書で求めた。(京都新聞)
■JR京都駅地区区画整理 反対住民1300人 マラソン陳述へ 1人10分、26日間 府都計審決定
 JR京都駅ビル改築に関連した同駅地区土地区画整理事業に反対する約1300人が意見陳述を申し立てていた問題で、京都府都市計画地方審議会(会長・天野光三京都大学名誉教授)は15日、全員に陳述の機会を与えることにした。1人の陳述時間は約10分間、1日の陳述者は約60人という予定で、来月8日から12月17日までの26日間(土・日曜日、祝日除く)にわたる全国的に異例のマラソン陳述になる。
 府都計審では、京都駅ビルの高さ規制を60bに緩和する「特定街区」指定など京都市都市計画案と、駅周辺の土地区画整理事業区域を承認した。
 これに対し、京都府・市民886人(うち地権者2人)をはじめ大阪など他府県の住民計1297人から反対の意見書が提出され、ほとんどが土地区画整理法、行政不服審査法に基づく口頭陳述を申し立てていた。
 この日、府都計審の意見書検討委員会(委員長・須貝脩一京都大名誉教授)が決めた意見聴取は、従来の方式を採用し、府都市計画課職員の代理聴取によりテープに収録する。
 同課では、近く口頭意見陳述を求めている人に対し郵送で陳述日、時間などを通知するが、来月8日から連日午前(9時から正午)と午後(1時から4時45分)に分けて実施する。陳述後、全員の意見を文章化し、府都計審の意見書検討委、全体審議にかけ意見書の採択、不採択を決める。最終結論は来年度にズレ込むと見られる。
 なお、全国的には1973年に広島県都計審で1011人の意見陳述が行われている。(京都新聞)
■京都発交流列車 トレランス号 今年も 京の佐竹さん夫妻 鉄道マニア 退職金投じ あす第5号和歌山へ
 京都市山科区に住む佐竹保雄(62)、紀美子(54)さん夫妻は、毎年1回、個人チャーターの特別列車「トレランス号」を走らせている。もとは鉄道マニアで知られる保雄さんの退職記念列車だったのだが、障害者のためのグループホームづくりやチェルノブイリ原発事故で被ばくした子どもたちの招待−と歴史を重ねて、いまでは、障害を持つ人やお年寄りも多く乗る全国にも例のない楽しい交流列車。今年も17日午前9時17分、京都駅を発車する。
 保雄さんは「生まれた時から」の知る人ぞ知る鉄道マニアだ。全国を飛び回って撮影したSLなどの写真は数多くの鉄道雑誌を飾った。そしてまた1949年以来という映画マニアの顔もある。いまでも関西で公開される輸入映画は全作品を見る。
 戦後の混乱期、「自分でかせぐ」ことを考えた保雄さんは、中学3年生ながら京都市内に、ちっちゃな鉄道模型屋を開業、防寒の毛布持参で夜行列車に乗り、東京まで仕入れに。あまった時間に東京で映画を見てあるく。この生活を5年間続けた。
 「この人から鉄道は切り離せません」(紀美子さん)。半端なマニアでない保雄さんは、公務員退職を機に、退職金でJRからチャーターした自前の列車を走らせることを計画する。
 保雄実行委員長、紀美子副委員長で多くの知人を招待して「トレランス号1日の旅」は1989年10月、京都−柘植−名古屋−米原−京都を7時間余りをかけて走った。懐かしい特急「はと」などに使われた、マニア垂涎(すいえん)の展望車「マイテ429」をつないで。
 トレランスは映画「イントレランス」(D・M・グリフィス監督)から「イン」を取り、不寛容でなく寛容に、という意味を込めて付けた。「デンマーク映画のバベットの晩餐(さん)会では、主人公は当たった宝くじをすべて振る舞いに使う。私は退職金の一部でとても及ばないが、こんな退職金の使い方もあっていいい、と思った」。
 佐竹さん夫妻の人生の区切りとして、トレランス号は1回限りのはずだった。が、そうならなかった。保雄さんが10年来付き合い、1号に乗車した「出発の仲間の会」のメンバーからトレランス号を続けて、と要望があったからだ。
 その願いは知的ハンディキャップをもつ人が生活するグループホーム建設のきっかけをつかむこと。翌年資金集めもかねて走った1号は成功をおさめ、ホームも1年後に実現した。
 紀美子さんの古くからの知人を通して知った「チェルノブイリ連帯基金」。その縁で、来日したチェルノブイリで被ばくした子どもたちを列車に招待した。最初は3号に招待のはずだったが、来日の遅れで4号になった。
 5号の節目を迎えた今年は、和歌山まで足をのばす。「規模を小さくして本来の列車の旅を存分に楽しんでもらう」。毎回のことながら、乗客は全て夫妻の知り合い。夫妻を取り巻く「世間がそのまま列車で目的地のない旅をする、不思議なイベントだ。
 「財産を持つほうが不幸だと思っているんです。財産は使わないと無いのと同じ」(保雄さん)。「障害者や体が十分に動かないお年寄りは列車の旅をする機会がなかなかないんです。列車内の通路は普通の車いすは通れないし、トイレも使えない。今回はそれをいろいろ工夫して、参加した人皆に楽しんでもらえればいいのですが」(紀美子さん)。
 赤字覚悟の自前列車がいつまで走りつづけるかは2人にも分からない。「まだ公務員現役の妻が退職のときには一味違う列車を、という話もあります。10号までという話も。でも一列車走らして、その後次を考えるのが私たち」。(京都新聞)
■ニュートラム事故で気が付いた 地元医師会、情報網充実へ
 大阪市営の新交通システム「ニュートラム」の暴走事故をきっかけに、地元医師会が15日、会合を開き、事故情報を各病院に伝達する「中核病院」の新設など、非常時の救急体制見直しに乗り出した。今回の事故直後、現場に駆けつけて応急治療にあたった病院があった半面、負傷者が1時間以上も現場に待機させられたケースもあり、非常事態への対応が「明と暗」に分かれたためだ。大事故が浮き彫りにした問題をまとめ、今後の救急体制の充実を進める。
 事故現場近くにある南大阪病院(大阪市住之江区)は事故があった5日夕、負傷者が次々避難し混乱する現場に「救急医療団」を派遣、診察活動をした。午後6時前、消防局から「負傷者受け入れ要請」があり、ポケットベルなどで医師や看護婦を非常招集した。しかし30分しても搬送がないため、副院長ら計10人が現場に駆けつけた、という。
 一方、骨折したまま現場に1時間以上も待機させられた負傷者がいたり、受け入れ態勢を取っていたのに2時間も負傷者が運ばれてこなかった病院もあった。
 この日の会合は、市住之江区医師会(浜崎寛会長)が呼びかけた。同区内の病院長のほか、救急業務に携わる市消防局、府警住之江署も出席。事故の詳細が各病院に伝わらず、テレビに頼るしかなかったことなどが議論された。この結果、消防当局から詳細な情報を聴く「中核病院」を決め、この病院がさらに各病院に情報を流す案などを検討することになった。
 浜崎会長は「都市型の事故や災害は大規模になる可能性があり、しかもいつ発生するかわからない。休日や夜間なども念頭に置き、今回の事故を教訓に、充実した体制をつくりたい」と話している。(朝日新聞)
■京都駅高層化問題で集会 きょう下京
 JR京都駅ビルの改築高層化の着工を間近に控え、住民らでつくる「ストップ・ザ・京都破壊 まちづくり市民連絡会議」が、16日午後1時半から、下京区の労働者総合会館ホールで、高層化計画の見直しを求める緊急市民集会を開く。
 集会では、鈴木隆・独協大教授が「パリの景観コントロールに学ぶ」をテーマに講演。市民会議が、JR東海道線の高架化を盛り込んだ独自の駅ビル改築計画を提案する。
 また、京都市の新しい総合設計制度に盛り込まれている市内南部地域での建物の高さ規制の撤廃をめぐって、新建築家技術者集団が、問題点を報告する。
 資料代500円。問い合わせは同会議(075-801-2308)(朝日新聞)
■反対1300人の聴取決定 駅ビル問題で京都府都計審「代表選べない」
 JR京都駅ビルの改築高層化計画に伴う駅北側の区画整理事業計画を審議している京都府都市計画地方審議会は15日、反対意見の陳述を求めていた1295人全員から意見聴取することを決めた。このため、同事業の計画決定は来年度にずれ込む見通しとなった。また、区画整理事業区域内の住民ら19人はの日、「事業計画決定前に、京都市が駅ビルの建築確認に必要な道路部分を指定して手続きを進めるのは違法だ」として、市建築審査会に対し、指定取り消しを求める審査請求と、仮処分にあたる執行停止の申し立てをした。
 府都計審は「代表者を選ぶのは困難」として全員聴取に踏み切った。意識聴取は11月8日から12月17日までの間の土曜、日曜、祝日を除く26日間。「1人10分以内」の制限を設けるが、都計審で1000人規模の意見聴取を実施するのは、全国的にも異例だ。
 担当の府都市計画課は「決められた日時に来ない場合は、その人は意見を延べないものとみなす」とした上で、意見はすべてテープに録音、審議会に諮る意向だ。(朝日新聞)
■電車に体重計つけました JR西日本が実験 混雑緩和に効果とか 平均体重から乗車人数出す
 JR西日本が電車に「体重計」をつけて、朝夕の通勤ラッシュ時の混雑率を正確につかむ実験に取り組んでいる。客がびっしり乗った電車の重さを量って空っぼの時の重さを引き、これを1人当たりの平均体重で割って乗車人数をはじき出す。車掌の目算で出していた従来の混雑率より正確な数字がつかめ、利用実態に沿ったダイヤが組める。今後の新型車はすべて「体重計」付きにする、という。
 「体重計」とは、各車両の台車と車体の間にあって振動や曲線での揺れを吸収する空気バネ。これが乗客数によって、風船のように膨らんだり縮んだりするのを圧力センサーで検知して、車重を算出する。数字は電気信号で運転席に送られ、モニターで見ることができる。
 すでに東海道・山陽線の「新快速」と、北陸線の特急「スーパー雷鳥」に搭載している。来年9月に開港する関西国際空港に乗り入れる阪和線の特急や快速への搭載も決まっている。
 実験で取り組んでいるのは、1人当たりの平均体重を何`に見積もるかという問題と、揺れなどの影響を受けない測定ポイントの設定。
 平均体重は、乗客の男女の比率で違ってくるほか、時間帯によっても違う。同社車両課によると、例えば朝はサラリーマンが多くて重くなり、平均は65`から70`になるが、日中は買い物の主婦らが多く、50`台になる。この設定を間違えると、混雑率が大幅に狂ってしまうため、根拠になるデータを集めている。
 測定ポイントも同じ。曲線やでこぼこがあると、空気バネに余計な圧力がかかるため、真っすぐで平らなポイントを探している。
 これまで発表されている混雑率はすべて車掌の目算。「新快速」の場合、座席がふさがり乗客が立ち始めたら「乗車率50%」、ドア付近に25人が立つようなら「100%」、乗客の肩同士が触れ合うが、新聞が読める程度なら「150%」と決められているが、必ずしも実際の込み具合とは一致していない。(朝日新聞 夕刊)
17日■京都駅ビル改築 見直し求め集会 まちづくり市民連
 住民団体の「まちづくり市民連絡会議」(西山卯三代表委員)は16日、京都市中京区の京都労働者総合会館で、JR京都駅ビル高層改築計画の見直しを求める緊急市民集会を開いた。
 約100人の関係者らが参加。鈴木隆独協大教授の記念講演「パリの景観規制に学ぶ」を聴いたほか、同駅の線路を高架化する独自の建て替え案、市民の高さ規制緩和につながる市総合設計制度の撤回を求める決議などが提起され、出席者らが熱心に討議。今後、同計画の見直しへ、さらに運動を強化することなどを申し合わせた。(京都新聞)
■電車に接触、死亡 木津・JR関西線
 16日午前9時半ごろ、京都府相楽郡木津町木津のJR関西本線の線路内で、京都行き普通電車に、同町木津、無職榎繁夫さん(88)が接触、榎さんは頭を強く打ち、約3時間半後に死亡した。
 木津署の調べでは、現場には踏切がなく、現場の西側にある工事関係者が線路に出入りする戸が開いていたことから、榎さんは日課としている現場東側にある神社の掃除に向かう途中、事故にあったのではないかとみている。(京都新聞)
18日■負傷者4人と示談 ニュートラム事故で初
 大阪市住之江区のニュートラム暴走事故で負傷した乗客4人と大阪市の初めての示談が、17日までに成立した。
 4人は大阪市内に住む52歳と51歳の男性(いずれも建設作業員)、広島県福山市の会社員(44)と同県尾道市の会社員(35)。4人は軽傷で、広島県の2人は大阪に出張中だった。
 金額は明らかにされていないが、大阪市交通局は自動車賠償責任保健などの基準に加え、今回の事故がニュートラムの初の事故で、多くの負傷者を出したことなどの社会的影響を考えて算出した、としている。(京都新聞)
■「のぞみ」カバー落下 重さ5`、車両所で確認 JR東海
 JR東海の東京第一車両所で16日夜、博多から東京に到着した「のぞみ24号」を点検したところ、6号車の床下に設置してある電気機器などを保護するカバー(長さ1.06b、縦約49a、厚さ約1_、重さ約5`)がなくなっていた。保護カバーは17日未明、始発前に線路に異状がないかを調べる確認車が山陽新幹線の広島−新岩国間で発見した。
 JR東海によると、博多に向かって6号車の後に連結される7号車の床下に物がぶつかった傷あとがあることから、保護カバーは東京駅午前10時56分発博多行きの「のぞみ11号」として走行中に、脱落したらしい。落ちた保護カバーは折れ曲がったうえに2つに割れ、上り線の軌道付近まで飛んでいた。
 保護カバーは「ふさぎ板」と呼ばれ、床下に取り付けている機器の表面を平らにして空気抵抗を少なくするために設けられており、6本のボルトで取り付けられている。保護カバーの脱落事故は2件目で、JR東海は「のぞみ」型全車両の一斉点検を実施した。(朝日新聞 夕刊)
19日■ロッカーに短銃 守山駅、男から電話
 守山署は18日午後2時ごろ、守山市梅田町のJR守山駅東口コインロッカーから短銃1丁と実弾1発を発見、押収した。
 同署に17日夜、3、40代と思われる関西弁の男の声で「暴力団を抜けた。短銃を処分したいので、駅のコインロッカーに入れた」と匿名電話があり、捜索していた。
 短銃はイタリア製の25口径自動式。同署は銃刀法違反の容疑で暴力団関係者を中心に捜査している。(京都新聞)
■仮駅舎移転で和解 京都駅構内 飲食店立ち退き問題
 JR京都駅ビルの改築に伴い、駅構内の京都駅観光デパートの飲食店テナント「与太呂新社」(梅野敬子社長)が立ち退きを拒否して営業を続けられるよう求め、反対に同観光デパート(古川満男社長)が明け渡しを求めて、両者が仮処分を申し立てていた問題で18日、京都地裁(島田清次郎裁判官)で和解が成立した。
 和解内容は▽与太呂新社は今月21日で現駅舎での営業を廃止し、29日までに明け渡して仮駅舎に移転する▽観光デパートは与太呂新社の新駅舎への入店を保障する▽仮駅舎の移転費用や新駅舎への入店条件については、現駅舎での賃貸借条件などを配慮して協議する−などとしている。
 梅野社長は「これまでは一方的に計画を押し付けられてきたが、これで話し合いのテーブルにつくことができる」と話しており、古川社長は「話し合いで解決したいと思っていた。われわれの主張も理解してもらい、裁判所の勧めもあって和解した」と話している。(京都新聞)
■アルミ板脱落など3件もトラブル のぞみ
 JR西日本は18日、東海道・山陽新幹線「のぞみ」の3編成で12日から16日にかけて、床下に取り付けられているアルミ板が脱落するなど3件のトラブルがあったことを明らかにした。
 同社によると、16日午後、博多総合車両所でのぞみの車両を点検中、16号車の台車近くの送風管に取り付けられているアルミ製水切り板(縦0.6b、横1.25b)が溶接部から脱落しているのが見つかった。
 この板は冷却用の風をモーターに送るための送風管に雨水が漫入するのを防ぐために取り付けられており、走行中に破損して落ちたとみられるが、見つかっていない。同社は風圧の影響か取り付け方に問題があった、とみて原因を調べている。
 このほか、12日と15日にも別々ののぞみで、床下のステンレス製カバー板に長さ13_の亀裂が入っているのやパンタグラフカバーの取り付けボルト1本が折れているのが発見された。
 JR西日本は「いずれも走行に影響のないトラブル」と説明している。(京都新聞)
■冬の臨時列車2150本 JR西日本 昨年より15%滅
 JR西日本は18日、この冬(12月1日−来年2月28日)の臨時列車運転計画を発表した。定期列車本数が大幅に増えているうえ、不況のため期間中の利用者(主要9線区の特急、急行)を昨年より2%少ない1763万人と見込み、期間中の臨時列車を昨シーズンより15%少ない3150本とした。
 山陽新幹線は年末年始を中心に、前年より34%少ない469本の随時列車を運転。帰省のピークの12月30日と1月4日には、初めての臨時「のぞみ」を新大阪−博多間に1本ずつ走らせるせる。
 在来線では北陸線に、初めての臨時「スーパー雷鳥」を大阪−富山、魚津間に年末年始運転。ふだんは週4日運転の豪華寝台列車「トワイライトエクスプレス」(大阪−札幌)を年末年始と札幌雪まつり期間中は毎日走らせる。
 丹後方面のグルメ旅行用に、新たに大阪−久美浜間の「味めぐりタンゴエクスプローラー」(北近畿タンゴ鉄道経由)を、1、2月の週末に運転。大みそかから元日にかけては神戸−大阪−京都−奈良間で初もうで、初日の出列車を終夜運転。奈良線では稲荷駅に快速電車を停車させる。(京都新聞)
■利用5000万人を達成 阪急電鉄あすから記念カード発売
 阪急電鉄は、プリペイド方式の「ラガールカード」利用者5000万人達成を祝い、記念のラガールカードを20日から来月2日まで全駅の売店で販売する。
 平成元年3月から、切符を買うためのブリペイドカードとして発行、さらに翌年4月にそのカードのまま自動改札機を通れるように改めてから、飛踏的に利用者が増えた。記念カードは5とゼロのデフォルメなどで、5000万人達成を強調する図柄。1000円券と3000円券をそれぞれ2万枚作った。
 併せて、これまでに発売した約200種類のラガールカードを、21日から6日間、梅田駅1階コンコスに展示する。(京都新聞)
■「のぞみ」カバー脱落 原因は作業ミス
 山陽新幹線で17日未明、「のぞみ」の床下に設置してある電気機器などを保護するカバーが落ちているのが見つかった事故で、車両を保有するJR東海は18日、脱落の原因は社員の作業ミスと発表した。同社によると、カバーは通常、6本のネジで締めているが、走行前の点検の際に、作業員がネジを手で軽く締めただけで、そのまま営業運転したという。
・3件のトラブル 点検で見つかる
 JR西日本は18日、東海道・山陽新幹線の「のぞみ」で、床下に取り付けてある長さ約60aのアルミ製板1枚の脱落やボルトの折損など計3件のトラブルを定期点検で見つけた、と発表した。脱落したアルミ製板はまだ見つかっていない。(朝日新聞)
■前方注視義務を添乗員の規程に ニュートラム事故で大阪市
 大阪市営の新交通システム「ニュートラム」の運転再開後、全電車に添乗員を当面の間乗せることにしている大阪市は19日、これまでなかった添乗員の「前方注視義務」を運行規程に盛り込む方針を決めた。緊急時には非常ボタンを操作することを求める。このほか、油圧緩衝式の車止めを将来設置するなど設備面での改善・安全対策も検討している。
 西尾正也市長はこの日、記者会見し、事故原因がなお特定できないことを明らかにしたうえで、安全対策に言及。駅進入時のスピードを早めに落とす▽駅での停止位置を約16b手前に移動する▽衝撃を吸収する車止めを設置する−などを検討していると延べた。
 運転再開について「原因が究明できないうちに再開することは不可能だが、究明作業も進んでおり、遠からず再開できるものと思う」と語った。(朝日新聞 夕刊)
■障害者の割引切符 JRが券売機でも
 JR各社は、第一種の身体障害者・知的障害者が介護者と列車に乗る場合の半額乗車券(介護者分も半額)を、自動券売機の小児用切符で代用するシステムの導入を決めた。今月20日から各駅で実施する。
 対象は片道100`以内の普通乗車券。従来は窓口で身体障害者手帳などを提示して特別の割引乗車券を購入しなければならず、利用者から不便さを指摘されていた。(朝日新聞 夕刊)
20日■この流線型で300`時代 まっしぐら 8年春からニュー新幹線で営業運転
 超高速の次世代新幹線車両の開発を進めているJR西日本は19日、「高速運転時の騒音防止にメドが立った」として、平成8年3月を目標に時速300`の営業運転を始めると発表した。「のぞみ」の270`を上回ってフランス・TGVと並び、営業速度としては世界最高速となる。
 詳細は未定だが、年度内に新車両を設計して、来年秋までに1、2編成(1編成16両)を製造、営業運転に間に合わせる。新列車は東京−博多間を今の「のぞみ」より10−20分速い5時間足らずで結ぶ計画。井手正敬社長は「京都や名古屋を通過して時間短縮するようなことはしない」という。
 同社は試験車両「WIN350」を造り、昨年6月から速度向上試験を実施。8月には国内最高(当時)の350.4`を達成したが、パンタグラフの風切り音など高遠時の騒音が大きく、対策が課題だった。その後、ざん新なT字スタイルの「翼型パンタグラフ」の開発などで、時速300キロ走行時に環境庁基準の75デシベルをクリア、車体の軽量化で振動の軽減も図ったという。
 この結果をもとに新車両はアルミ製として、翼型パンタグラフを採用するほか、先頭をとがった形にしてすれ違いの際の揺れやトンネル突入時の衝撃音防止を図る。(京都新聞)
■桂駅東口周辺整備 本年度内に着工 京都市 総合ターミナル化へ
 京都市は洛西地区の交通の拠点となっている西京区の桂駅東口の周辺整備事業に本年度中に着手、すでに完成している西口と合わせて総合ターミナル機能の充実を進める。東口ではバス、タクシー乗り場を整備するほか、駐輪場施設を拡充、東口交通広場として整備、人口増の続く同地域の交通網整備の核とする。
 整備が計画されているのは、桂駅東口駅前の約2800平方b。建設省と運輸省の都市計画による駅前広場造成協定にしたがって阪急電鉄の協力で行う。駅東側の台形状広場の中央に中の島緑地を造成。タクシー乗り場を設置するほか、広場の周辺に市バス、阪急バス、京都交通、京阪バスの4路線のバス停を配置し、ロータリー方式の交通広場として運用、交通の円滑化を図ってターミナル機能を向上させる。
 さらに、駅東側に設置されていた自転車の駐輪場の一部が桂駅東通の拡幅整備で道路に繰り入れられるのにともなって、新たに阪急沿線南側の本願寺西山別院横に駐輪場を設置、無料駐輪スペースを従来の約650台から一挙に合計950台に増設する。同駅では今年、商業施設ビルがオープン、この中にも約500台の駐輪場(有料)が確保されており、自転車駐輪公害の追放にも一定の役割を果たしそうだ。
 同広場の整備は今月14日の市都市計画審議会で承認済み。市は事業認可などを経て本年度末に着工、来年度中の完成を目指している。同広場を終点とする桂駅東通(延長674b、幅員12b)についても整備を急ぐ。
 桂駅周辺では1986年に西口交通広場(約5000平方b)が完成、市バス乗り場などを整備、駅を挟んで東側の駅前広場の早期整備が課題となっていた。(京都新聞)
■揺らぐ「安全神話」 ニュートラム「暴走」の波紋
 230人が重軽傷を負った大阪市の新交通システム「ニュートラム」の暴走事故は、人間に代わってコンピューターが制御するハイテク電車の「安全神話」を揺るがせた。
 省力・省エネ・低公害の輸送機開ともてはやされる新交通システムは、現在六府県で八路線が運行、さらに東京や広島でも建設が進んでいるが、こうした人身事故は初めて。競うように導入した各都市に波紋が広がるなか、原因解明ははかどらず、運転再開のめども立っていない。(大阪社会部・河内哲嗣、貝瀬秋彦)
・総点検 台湾からも問い合わせ
 事故は5日午後5時29分、終着の住之江公園駅で起きた。4両編成の車両には満員に近い約250人が乗っていた。ブレーキが作動せず、時速17.5`以上でホームを通過、停止線を越えて51b先の車止めに激突した。負傷者のうち46人が骨折や打撲などでいまも入院中だ。
 反響は大きく、国内だけでなく台湾の新交通システム開発会社からも、事故車両の装置などを問い合わせるファクスが、大阪市交通局に届いている。
全国の新交通システムと事故後の対応
路線名運転方式対 応
山万ユーカリが丘線 (千 葉)有人、ATS運転士らに注意促す
埼玉新都市交通伊奈線(埼 玉)有人、ATC運転士らに注意促す
西武鉄道山口線   ( 〃 )有人、ATS運転士らに注意促す
横浜新都市交通 金沢シーサイドライン(神奈川)半数で無人(ATO)、ATCシステム総点検 添乗員乗務
桃花台新交通桃花台線(愛 知)有人、ATC全車両点検
南港ポートタウン線 (大 阪)半数で無人(ATO)、ATC運行停止
神戸新交通ポートアイランド線(兵庫)無人(ATO)、ATCシステム総点検 添乗員乗務
同・六甲アイランド線( 〃 )無人(ATO)、ATCシステム総点検 添乗員乗務
<注>ATSは自動列車停止装置
 今年7月から「金沢シーサイドライン」の半数で無人運転を始めた横浜新都市交通は、技術スタッフを総動員し3日がかりで85両の車両と地上システムを点検した。特に異状はなかったが、今後しばらくは最終区間の全列車に添乗員を乗務させる。
 国内第1号の「ポートライナー」と「六甲ライナー」の2路線を運営する神戸市の神戸新交通も、両線の地上、車両システムを総点検。制御系統に異状が発生した時に列車を止めるシステムが確実に働くかどうか、入念に調べた。「問題点は見つからなかった」というが、事故後から始めた最終区間への添乗員の乗務は当分続けることにした。
 一方、95年秋に無人運転の新交通システムを開業する予定の東京臨海新交通は、技術スタッフが計画中のシステムとニュートラムを比較検討した。「システムは改良が重ねられてきており、信頼性は確実に高まっている」と強調する。
・原因は 主に電気回路検証
 大阪市の事故対策本部や大阪府警捜査一課の住之江署捜査本部は、事故車両を検査場へ移し、機器メーカーと科学警察研究所の協力を得て原因を究明中だ。
 いまのところ、中央指令所のコンピューターに残った記録などから、速度などを指示する信号は軌道上までは伝わっていたことが分かっている。
 軌道上から自動列車運転装置(ATO)と自動列車制御装置(ATC)への指示も出ているので、異状は車両側の常用ブレーキを作動させる電気回路にあると見て、3両目に積まれた両装置や中継継電器、ブレーキまでの配線部を中心に検証している。
 今回の事故では、非常ブレーキは停止位置を越えてから作動したと見られる。曽根悟・東大工学部教授(交通システム工学)は「常用ブレーキの指令が出ながら、機能しなかった時のバックアップ・システムがなかったことが、衝突につながった。より一層の安全運行のためには、万全のバックアップ・システムを整備する必要がある」という。
・信頼性 他路線は「自信」
 ATO、ATCは、ニュートラムの無人運転を支える頭脳だが、事故後、大阪市当局は、過去に計10回の故障が起きていたことを明らかにした。電車が停止したのはこれらの故障を含め148回。故障場所がわからず、そのまま使い続けていたこともあった。
 横浜新都市交通、神戸新交通とも暴走対策として、ホームの停止位置の手前で非常ブレーキが利くよう設定しており、横浜の担当者は「ATOやATCによって安全を確保するシステムへの信頼は、変わっていない」と言い切る。愛知県小牧市の桃花台新交通の担当者は「うちのシステムに問題はない」と強調する。
・危機管理の徹底を
 新交通、システムに詳しい都市問題評論家、岡並木さんの話 世界百数十ヵ所で走っている新交通システムでも人身事故は初めてではないか。安全基準の厳しい日本で起きた事故だけに、衝撃は大きい。自動運転の方が有人運転よりも事故発生率は低いとされているが、乗客を安心させ、車内犯罪を防止するには添乗員が乗っていた方がいいのかもしれない。異状が起きた時にどう監視員や添乗員が行動するのか、マニュアルを整備し、非常訓練を十分繰り返すなど、危機管理を徹底させることが大切だ。(朝日新聞)
■新・超特急 96年デビュー JR西日本 世界No.1 時速300` 新大阪−博多2時間10分台
 東海道・山陽新幹線の次世代超特急の開発に取り組んできたJR西日本は19日、最高時速300`の新型車を96年3月から新大阪−博多間で営業運転する、と発表した。「のぞみ」を30`上回る最高時速300`は、フランスの新幹線「TGV」と並んで世界最速となる。これにより、新大阪−博多間は現行の2時間32分が2時間10分台になる。東海道新幹線への乗り入れについてもJR東海と協議しており、実現すれば東京−博多間は5時間4分が4時間40分台に短縮される見通しだ。
 新型超特急は「のぞみ」で問題になっている高速走行による風切り音や、トンネル通過時に発生する衝撃音を低くするため、先頭形状の傾斜を「のぞみ」のほぼ倍にした鋭いくさび形にするほか、飛行機の翼のような形をした新しいパンタグラフを採用。時速300`で走行しても、環境庁が定めた環境基準75デシベルを達成できるとみている。
 また、カーブでの車体の傾斜や横揺れを抑制する電子制御装置も搭載して、乗り心地もよくする。来秋にも新型車の1号車による試運転に入る計画だ。
 営業運転についてJR西日本は、停車駅を「のぞみ」と同様に岡山、広島、小倉とし、全席指定で特別料金を徴収する方針。新しい愛称も検討している。
 一方、直線が多い山陽新幹線に比べ、カーブが多い東海道新幹線の東京−新大阪間への乗り入れについては、現在の2時間30分を大幅に短縮することは難しいものの、東京と岡山以西を利用する乗客の増加や航空機との競争などを考え、JR東海と協議している。
 JR西日本は91年から最高時速350`を目指した次世代新幹線の開発に着手。試験車両「WIN350」の実験では昨年8月に時速350.4`を記録した。しかし、時速330`以上で走れる区間が少なく時間短縮効果がさほどないうえに、環境基準の達成も難しいことから最高時速を300`に決めた。(朝日新聞)
■ニュートラム暴走事故 衝突速度は10` 大阪府警 破損状況から推定
 大阪市の新交通システム「ニュートラム」の暴走事故で、大阪府警捜査一課の住之江署捜査本部は19日、事故電車(4両)は時速約30`で住之江公園駅をオーバーランした後、非常ブレーキがかかったものの、間に合わず51b先の車止めに時速10`前後で衝突したと判断した。運輸省と市交通局の見解ともほぼ一致した。捜査本部は速度は遅かったものの、満員の乗客約250人は不意を突かれて転倒するなど被害が広がった、とみている。
 捜査本部は、車両の破損状況や連結器の損傷度、車両が車止めに激突して押し戻された距離などから、衝突速度を推定した。
 調べでは、先頭車両は激突の衝撃で、車両前面の特殊ガラスにひびが入り、先頭の連結器のくさびが車止めのゴム(厚さ約50a)にいったんめり込んだほか、連結器上部の車両がややへこんでいた。各車両の連結器は、車体に固定するボルト(直径約2.5a)が折れたり緩衝用のピンが飛び散ったりしていた。
 車両(長さ約7.6b)自体も衝撃で歪み、2両目が約6a、3両目が約2a、4両目が約1a縮んでいた。4両とも車内の鉄製手すりが大きく曲がっていた、という。
 また、車止めは衝突後、大きな損傷はみられなかった。
 捜査本部は、@車両は時速20`余りで激突した場合、くの字にへこんで激しく破損するA車止めにぶつかって、車両が押し戻された距離は約70aしかないB車止めは時速7`で衝突しても耐えられる設計で、実際は安全率を見込んで10`前後でも耐えられる構造になっている−などから、事故電車は時速約10`前後で車止めに衝突したとしている。
 事故電車はオーバーラン直後、毎秒5`減速する非常ブレーキがかかったことが分かっている。捜査本部は、ブレーキの空走距離などを含めると時速約30`で住之江公園駅をオーバーランし、7秒余り後に車止めに衝突したとみている。(朝日新聞)
■ニュートラム代役 大阪市の直行バス 同じルートなのに路線バスより割高 鉄道料金の計算法適用 首かしげる住民
 新たな直行便は、民間の観光バス約20台を借り上げて走らせる。南港ポートタウンと地下鉄四つ橋線北加賀屋駅を最短距離で結び、1日220便往復する。ポートタウンとニュートラム終点の住之江公園駅をつなぐ現在の代行バスに比べ、乗車時間が5分短く、より市中心部に近い地点に着ける。料金は、ニュートラムと地下鉄を乗り継いだ計算で、240円とされた。
 一方、同じ市交通局の路線バスも、乗り換えが必要ながら、直行便と同じルートを走る。料金は180円で、直行便より60円安い。ポートタウン−北加賀屋駅間を行き来する市民は25日から、2種類のバス料金に直面するわけだ。
 事故直後から運行されているポートタウン−住之江公園駅間の代行バスの料金は、ニュートラムに合わせて210円となっている。ただし、混雑が続いているため、料金を徴収できないのが現状だ。
 市交通局は「直行便はあくまでニュートラムの代替輸送と考え、ニュートラムと地下鉄を利用した場合と同じ料金をいただくことにした。路線バスでなくニュートラムと同じ扱いだから、地下鉄を乗り継いで市中心部まで足を延ばす場合には、路線バスに比べて地下鉄の割引率の大きくなる直行便の方が安くなる」と説明する。
 近畿運輸局によると、代行バスの料金を、不通となった鉄道に合わせなければならない、とする法律はなく、路線バスと同じ料金にすることも不可能ではない。「代行バスの料金は、不通となった鉄道料金に合わせるのが通例」としながらも、「バス料金は同じルートなら同じ料金という一物一価が大原則。今回のように、同じようなルートを違う料金でバスが運行される例は極めて珍しい」としている。
 ポートタウンの住民の中には、戸惑いや疑問の声も出ている。大阪市中央区の会社に通う女性(47)は「路線バスで180円で行けるのに、代行バスは240円というのは、どうしても腑(ふ)に落ちない」と話している。(朝日新聞 夕刊)
21日■窓 バス値上げで見返りはなし 西京区・中村めぐみ(大学生・21)
 10月1日より、均一区間外のバスの運賃が、またまた値上げされました。私の住んでいる洛西ニュータウンと阪急桂駅との間を走るバスも、均一区間外ということで一律10円値上げされ、今では220円という運賃を払っています。
 しかし、値上げされたからといって、バスのサービスがよくなったとか、本数が増加したということもなく、利用者はただお金を多く取られているだけで、なんの見返りもないのです。車内にBGMを流す設備を取り付けるお金があるのなら、その分で1台でもバスの本数を増やしてほしいというのが、利用者の切実な願いだと思うのです。この時間帯にもう1本バスがあれば…と、いつも思っているのです。
 しかし、バスの本数が増えることはいっこうになく、その半面、始発から3つめのバス停でさえ、いつも5分近く遅れてきたり、悪い面ばかり目につきます。阪急電車との時間の関係でバスが5分遅れただけでも、あとあと10分、20分の遅れとして返ってきたりするのです。そのほかにも、満員バスのつらさ、特に夏場の車内の蒸し暑さ、乱暴な運転、そして態度の悪い運転手など、挙げるときりがないくらいです。利用者が何を望んでいるのか、もっと理解し、対応し、快く利用できるようにしてほしいと思います。(京都新聞)
■ニュートラム中継継電器 長期使用で摩滅? 数ヵ所に変形・変色
 大阪市の新交通システム「ニュートラム」の暴走事故で、ブレーキ指令を伝える中絶継電器とその周辺で異状が見つかったが、同装置の内部で長年、使用したことに伴う変形、変色部分が数ヵ所あることが20日、大阪府警捜査一課の住之江署捜査本部の調べで分かった。運輸省もこの日、開かれた衆議院運輸委員会で「中継継電器のところがおかしいのではないかと推定している」との見方を明らかにした。捜査本部では長期間の使用による摩滅などでブレーキ信号が流れなかった可能性もあるとみて、中継継電器を取り外して調べる。
 中継継電器は、自動列車運転装置(ATO)と自動列車制御装置(ATC)の常用ブレーキを作動させるスイッチ回路を集めた装置。異状があったのは、スイッチや、その前後で電流、電圧を整えるコンデンサーなどを集めた部分で、数ヵ所の変形や変色個所が見つかった。
 変色は過熱や焼け焦げなど一時的な原因でできたものではなく、長年の使用に伴う変化とみられる。また、変形も「長期使用による摩滅のような状態」としている。暴走事故を起こした電車(4両)は、ニュートラムが開業した1981年以来の古い車両。
 捜査本部では電気が正常に流れるかどうかの「導通試験」などをした結果、これまで中継継電器とその付近の配線で電気が流れにくいとみられる個所をつかんだ。捜査本部ではこの配線部分を含めて、中継継電器内部の変形、変色個所についても検証を進める。
 この日開かれた衆議院運輸委員会で、運輸省の秦野裕・鉄道局長は今回の事故について、「通常は、最終的にATOにかわってATCが作動して常用ブレーキがかかるが、何らかの原因で常用ブレーキが作動せずに列車が駅を通過し、非常ブレーキがかかったが止まり切れなかった」などと車止めに衝突するまでの状況を説明。そのうえで、「中継継電器のところがおかしいのではないかと推定しているが、答えがこれだというのは分かっていない」などと述べ、解明までにはまだしばらく時間がかかるとの認識を示した。
 また、運行再開の見通しについては、原因がある程度特定できない段階では慎重にすべきだとし、再発防止策として「ハード面、ソフト面を含めていろんな対策を講じる必要がある」とした。(朝日新聞)
22日■特急にはねられ即死 西京の阪急踏切
 21日午後1時ごろ、京都市西京区上豆田町の阪急京都線千代原踏切てせ、男性が河原町発梅田行き特急電車にはねられて即死した。特急電車は現場に10分間停車、後続の電車5本が3−5分遅れ、2000人に影響が出た。
 桂署の調べでは、はねられたのは中京区の家屋清掃業手伝いの男性(43)で、遮断機をくぐって踏切の中に入ったという。(京都新聞)
■事故から20日間は代行バス無料扱い ニュートラム運休で
 大阪市営「ニュートラム」の運休で代行バスを出している市交通局は21日、事故から20日間を「無料扱い」にすることとし、定期券、回数券の期限延長や払い戻しに応じることを決めた。混雑のため、一般客からほとんど料金を徴収できず、定期券利用客から「不公平だ」との苦情を受けた特別措置だ。しかし、料金を払った一部の一般客への払い戻しは「乗車を証明できない」として外され、なお不公平を残す形になった。
 「無料扱い」となるのは、事故の起きた日から24日まで。市交通局は、この措置による影響額を約1億3100万円とみている。
 特別措置の対象はニュートラム利用者。取り扱いは25日から。(朝日新聞)
23日■快速と勘違い 停車駅を通過 JR東海道線
 22日午後4時20分ごろ、JR東海道線の西明石発高槻行きの上り普通電車(7両編成、乗客約300人)が停車駅の摂津富田駅(大阪府高槻市)を通過、駅から200bの所で、いったん停車したものの後続の電車が近づいていたため、そのまま次の高槻駅まで走った。JR西日本によると、運転士は「一瞬、快速電車と勘違いしてしまった」と話しているという。
 摂津富田駅で降りるはずだった約70人の乗客は下り線で戻り、乗車予定の約50人は後続まで待った。また、同電車と後続電車がそれぞれ4分遅れ、約600人に影響が出た。(朝日新聞)
24日■強風で断続運転 JR山陰線余部鉄橋
 23日午後2時10分ごろ、兵庫県城崎郡香住町のJR山陰線・余部鉄橋で20bを越える強風が吹いたため、JR福知山支社は列車の運行を一時見合わせ、夕刻にかけて、断続的な運転が続いた。この影響で京都行き上り特急「あさしお10号」など、特急6本などが10分から30分の遅れを出した。影響人員は約1000人。(京都新聞)
■ニュートラム 来月再開は微妙 非常ブレーキ ATOにも付加検討
 大阪市営「ニュートラム」の運行再開に向け、大阪市は23日、これまで自動列車制御装置(ATC)にしかなかった非常ブレーキ作動機能を、新たに運転士役の自動列車運転装置(ATO)にも加えて安全を図る検討を始めた。対象はすべての電車で、改良作業に2ヵ月近くかかるとみられる。このため、11月中の再開は微妙で、「年内再開」が焦点になりそうだ。
 市交通局によると、運行再開までの手続きは、事故原因の解明後に部品の取り換え作業などを実施。さらに試験運転をして、近畿運輸局の認可を得る必要がある。
 交通局は捜査本部の原因究明をにらみながら、独自に安全充実策を検討。ATO、ATCの常用ブレーキが利かず、ATCの非常ブレーキがかかったが間に合わなかった状況から、ATOにも非常ブレーキを作動させる機能を加え、非常ブレーキを2系統にする案を詰めている。さらに、地上施設として、横浜市の新交通システムが備える「追走防止装置」を終点駅に設置する方針を固めた。
 これらの方策をとるのに通常なら2ヵ月かかるが、大阪市は「終日作業などで期間を短縮、1日も早く再開できるよう努めたい」としている。(朝日新聞)
■小さな旅 阪堺・チンチン電車 沿線に”名所”点々 風景楽しみのんびりと
 大和川をはさんで隣接する大阪、堺両市を結ぶ「阪堺電気軌道」は、昔なつかしいチンチン電車。南海やJRの列車に比べると、たしかにスピードは遅い。急いでいるときはイライラもするが、散歩にでも出かけるつもりで乗ると、ちょつと面白い体験ができそうだ。目的地を決めなくても、ふらりと乗って、ふらりと降りれば、そこに何かがある?(寺西 淳)
 まずは大阪市側の起点、浪速区の「恵美須町」へ。徒歩で数分のところには大阪のシンボル・通天閣がそびえ立つ。観光名所として見直されているといい、記念撮影する若者のグループを見かけた。毎年1月に「えべっさん」でにぎわう今宮戎神社もすぐそはだ。
 大阪情緒たっぷりのこの街に、この電車。なかなかマッチしている。走りだすと「ガタガタ」「ギシギシ」と特有の音と振動。子供のころによく乗った京都の市電を思い出す。最高時速は50`。民家にはさまれた線路をゆっくりと走る。
 すぐに「南霞町」へ着く。東へ200bも行けば庶民の町・ジャンジャン横丁。南側は西成区のあいりん地区。労働者の不満が爆発した西成騒動のときには、線路の敷石がはがされ、駅舎に火が放たれた。旧遊郭の飛田新地も近い。良くも悪くも、活気と熱気のあるところだ。
 「今池」で降りると、三味線にされたネコを供養するという猫塚がある。「松田町」近くの水かけ不動さんは、度重なる戦災をくぐり抜けてきたことから信心を集めているという。関西一の初もうで客を集める住吉大社へは、「住吉鳥居前」下車すぐだ。
 電車は時折、自動車といっしょに路面を進む。全線のちょうど真ん中あたりが「我孫子道」。ここに阪堺電気軌道の本社や車庫がある。総務課で話を聞いた。
 今回乗った「阪堺線」のほか、天王寺駅前−住吉公園を結ぶ「上町線」がある。上町線は1897年、馬が客車を引っ張る「大阪馬車鉄道」としてスタート。阪堺線は1910年に設立された旧阪堺電気軌道が前身。どちらも南海に合併されるなど曲折を経て、80年に現在の会社が独立した。
 年間の乗客は約1500万人。「かつては2両編成でも満員で、車掌がバンパーに乗っていたほど」と、事務主任の金森英男さん(45)はいう。いまでは年々の乗客減に頭を悩ませているとか。一方で、観光客にはレトロ感覚が好評。3年前から本格的にPRを始めた「貸し切り電車」も人気だ。往復約2時間、街の息吹を感じながら、車内でパーティーが楽しめる。
 「我孫子ぎを出ると、大和川の鉄橋を渡って堺市内へ。ここから先も沿線には見どころが盛りだくさん。大仙古墳を始めとする百舌鳥古墳群、情熱の歌人与謝野晶子の歌碑、茶道を確立した千利休の屋敷跡、軒を並べる堺名産の刃物屋さん、数々の神社仏閣…。
 終点は、南海本線浜寺公園駅から約百bの「浜寺駅前」。かつて白砂青松の景勝地として名高かった浜寺だが、臨海工業地帯のコンクリートで自然の海岸は姿を消した。でも120年の歴史を誇る浜寺公園の周辺は、いまも青々とした松に囲まれ、すがすがしい。
 「恵美須町」から小一時間、この風景の違いを感じるだけでも楽しい。団体客が押しかけるような超有名スポットは多くないけれど、ふと気が向いたときに乗ってみると、新しい発見があるかもしれない。
 阪堺線は、恵美須町−浜寺駅前の14.1`、計30停留所。上町線には、天王寺駅前−住吉公園の4.6`、計11停留所。運賃は、大阪市内、堺市内それぞれ180円。両市にまたがって乗ると250円。約2時間の貸し切り電車は4万5000円。問い合わせは運輸課(06・671・3080)へ。(朝日新聞)
25日■近鉄京都線で置き石
 24日午後4時40分ごろ、城陽市平川の近鉄京都線大久保第四踏切の線路上に、子供のこぶし大の石が置いてあるのを、京都行き準急電車の小笹竹男運転士(39)がみつけ、置き石の直前で急停車した。同列車は現場で2分余り停車した。城陽署は、いたずらとみて調べている。(京都新聞)
■ニュートラム暴走事故 一時的な接続不良か 中継継電器を鑑定へ
 大阪市の新交通システム「ニュートラム」の暴走事故で、大阪府警捜査一課の住之江署捜査本部は24日、通電実験の結果から、自動列車運転装置(ATO)と自動列車制御装置(ATC)の速度制御信号を伝える中継継電器内部のスイッチやその周辺が、一時的に接続不良を起こして電気が流れず、暴走事故につながったとの見方を強めた。磨滅やゆるみなどによるものらしく、警察庁の科学警察研究所に、中継継電器のスイッチを中心にした鑑定を求めることにした。
 これまでの検証では、中継継電器内部のスイッチ類や、その前後にあるコンデンサーやダイオードなどを集めた回路で、数ヵ所の変形や変色した個所があったほか、中継継電器付近の配線で電気が流れにくいとみられる個所が見つかっている。
 捜査本部は事故後、大阪市住之江区の市交通局南港検車場で、常用ブレーキを作動させる信号を伝える中継継電器の通電実験をした。その結果、事故電車の中継継電器は電気が流れた、とう。
 捜査本部は、中継継電器内部やその周辺に断線はなかったものの、長年の使用によってスイッチの接点の磨滅や端子のゆるみなどが起き、一時的に電気が流れない状態になって速度制御信号がブレーキ装置に伝わらなかった可能性があると判断した。科警研で個々のスイッチの作動テストや、磨滅程度を分析し、原因を糾明する。
 また、事故車両のATOとATCを別の電車に積みこんで繰り返した走行テストでは、両装置のブレーキは作動し、顕著な異状はなかった。だが、3両目の機器室に異状表示板が出ていたことから、両装置の内部をさらに詳しく調べることにしている。(朝日新聞)
■踏切で衝突、2人死亡 東北線、通勤乱れる
 25日午前6時55分ごろ、埼玉県南埼玉郡白岡町寺塚のJR東北線の踏切(警報機、遮断機付き)で、氏家発上野行き上り普通電車(15両編成)が乗用車と衝突した。
 車を運転していた同郡菖蒲町菖蒲498ノ2、越谷市立越谷東中学校校長新井要之助さん(50)と同乗していた長女智子ちゃん(3つ)が即死した。電車には通勤通学客ら約2500人が乗っていたがけが人はなく、私鉄やバスに乗り換えた。
 東北線は上野−宇都宮間で上下線とも不通となり、午前10時40分復旧したが、計62本が運休、約4万1000人の足が乱れた。(京都新聞 夕刊)
■列車と衝突し車の2人即死 JR宇都宮線踏切
 25日午前6時52分ごろ、埼玉県南埼玉郡白岡町寺塚のJR宇都宮線粕壁街道踏切で、氏家発上野行き上り列車=米山範夫運転士(42)、15両編成=と乗用車が衝突し、乗用車に乗っていた大人1人と子ども1人が即死した。乗車車の撤去作業が難航、午前10時40分に運転が再開されたが、通勤客ら約2500人の乗客が3時間半も車内に閉じ込められた。
 米山運転士は同署の調べに対し「列車は90`で走っていた。遮断機は下りかかっていたが、車が右側からくぐって踏切に入ってきた」と話している。(朝日新聞 夕刊)
26日■京都駅ビル 建設へゴーサイン 96年秋完成めざす
 京都市は25日、JR西日本と京都駅ビル開発会社が申請していた京都駅ビル(仮称)建設計画を申請通り建築確認した。1983年の旧国鉄時代に京都府、京都市、地元経済界から改築の要請を受けて以来10年、景観論争の火ダネを抱えながら、市の手続きはすべてクリアして、高さ59.8b、東西478b、南北80bという京都で最大規模のビル建設にゴーサインが出された。JR西日本などは3年後の96年秋完成を目指し、建設工事に着手する。
 新駅ビルは、地上16階地下3階建て。延べ床面積は23万8500平方bにも及ぶ。中央に吹き抜けの大空間と段丘で構成されるコンコースを据え、その東側に550室の都市型コンベンションホテル、西側に売り場面積3万2000平方bの百貨店と、専門店などの複合商業施設が設けられる予定。
 ミュージアムシアターなど文化施設を備え、関西新空港に直結するシティ・エア・ターミナル(CAT)設置も計画。平安建都1200年記念事業の1つに位置づけて計画が進められていた。総工費は1000億円近くが見込まれる。工事期間中の仮駅舎はすでに今月1日にオープンしている。
 新駅ビル改築は、91年の国際設計コンペで高さが約60bと、現行の高さ規制(31b)を越える計画となったことから、市が規制緩和のために特定街区制度を導入、昨年12月に府都市計画地方審議会の承認を受けた。
 この間、京都の景観変容を心配する市民らが反対運動を繰り広げ、改築に関連する駅前の土地区画整理事業の反対意見が現在も府都計審で審議されている。
・活性化の役割大きく
 薦田守弘京都市助役(市長職務代理者)の話 新京都駅は国際文化観光都市の京都の表玄関にふさわしく、21世紀の京都の活性化に大きな役割を果たすものと期待しており、1日も早い完成を願っている。立派な駅にしてほしいという市民も多く、乱開発の端緒とはならない。(京都新聞)
■京都駅の建築確認 共産党市議団ら抗議
 25日、JR京都駅改築計画を京都市が建築確認したことに対し、共産党市会議員団は「京都の景観や経済を破壊する、として強い反対の声が出ており市の行為は許されない」と、撤回を求める抗議声明を発表した。
 声明では、同駅改築に関連する都市計画道路について府都市計画地方審議会で継続審議中なのに、高層化をごり押しして建築確認を行った市の態度は、市民排除、財界や大企業優先の姿勢をあらわにした−などとしている。
 また「まちづくり市民会議」(西山卯三代表)も同日、歴史都市・京都の景観とまちづくりに重大な禍根を残す、との内容の緊急抗議声明を発表した。
 声明では、土地区画整理事業が意見書審査段階にあることのほか▽景観シミュレーションや交通アクセス、商業影響調査などの総合的な住民参加の「まちづくりアセスメント」が必要▽世界遺産保護に関する国際的な要請に背く−などとしている。(京都新聞)
■JR京都駅ビル改築 市が建築確認
 京都市は25日、同市内で初めて特定街区制度を適用して高層化(59.8b)を目指すJR京都駅ビルの改築計画について、建築確認を出した。これで着工の法的条件は整ったことになり、建築主体のJR西日本と第三セクターの京都駅ビル開発会社は、早ければ今月中にも建設工事をスタートさせる。完成は96年秋の予定。
 同駅ビルの改築計画をめぐっては、建築確認の前提となる都市計画道路の新設を含む周辺の土地区画整理事業を審議している京都府都市計画地方審議会が、異例の約1300人からの反対意見の聴取を決めている。
 高層化に反対してきた市民グループ「ストップ・ザ・京都破壊 まちづくり市民連絡会議」(代表、西山卯三・京大名誉教授)は・同日、「区画整理の事業計画決定前の建築確認の強行は違法」とする抗議声明を発表。市の建築審査会に、確認の取り消しを求める審査請求を起こすことなどを検討している。(朝日新聞)
■「重大な禍根残す」 京都駅ビル建築確認 市民団体、強く反発
 景観論争の発端となったJR京都駅ビルの改築高層化計画は25日、京都市の建築確認を受けたことで、今月中にも着工されることになった。しかし、建築確認の前提となる都市計画道路の新設を含む駅周辺の区画整理事業を審議している府の都市計画地方審議会は、約1300人からの反対意見の聴取を決めたばかりだ。高層化に反対してきた市民グループなどは「区画整理の事業計画決定前の建築確認は違法」「あらゆる手段で計画を阻止する」と強く反発している。
 建築確認について同市は、海外出張中の田辺市長に代わって薦田守弘助役が「あたらしい京都駅は国際文化観光都市の玄関口にふさわしく、21世紀の京都の活性化に大きな役割を果たすと期待している」とのコメントを発表した。
 一方、「ストップ・ザ・京都破壊 まちづくり市民連絡会議(代表、西山卯三・京大名誉教授)は抗議声明を発表し、「歴史都市京都の景観とまちづくりに重大な禍根残す」と指摘。同市が11月1日から実施する新しい総合設計制度の中で、京都駅周辺地域での大幅な高さ規制緩和の可能性を打ち出していることにも触れ、「駅ビル改築は例外的措置ではなく、京都のまち壊しの突破口となるものだ」厳しく批判した。(朝日新聞)
■JR東日本株 買い注文殺到 前場の売買成立せず 前引け気配値45万6000円
 JR東日本株が26日、東京、大阪、名古屋、新潟の四証券取引所に上場した。NTT株以来の民営化企業の上場で、JR各社では初の株式公開となった。
 東証第1部では、午前9時の取引開始前から一般売り出し価格38万円(額面5万円)に対し個人投資家らの買い物が殺到し、買い注文の整理に東証が追われた。午前9時45分すぎにようやく38万円の買い気配値がついたが、売り注文に対し買い注文が多く、売買は成立していない。
 市場関係者は、人気の背景を「新規公開株ブームのほか、低金利局面も影響した」(大手証券)と説明している。
 上場したのは、国鉄清算事業団の保有分も含めて400万株。このうち約200万株が今回の売却対象になった。
 東証は、売買の円滑化を図るため、売買注文の受付時間を通常より30分早めて、午前7時50分からにしたほか、証券会社に「売買注文を集約して出すように」要請していた。
 証券界では、「低迷する株式市場へ個人投資家を呼び戻すきっかけになる」(日証協幹部)との期待が強い一方、上場後高騰し、その後暴落した「NTT株の二の舞い」への警戒感も出ている。
 一方、午前9時半現在の平均株価(225種)は前日終値比46円安の2万263円33銭となった。
 26日東京証券取引所などに上場されたJR東日本株の前引けの気配値は45万6000円だった。
・京都でも個人投資家ら期待
 京都市内でも予想を上回る反応で、各証券会社の間にはJR東日本株の上場が株式市場全体の活性化につながってほしいとの期待が膨らんだ。
 野村証券京都支店では前日までに電話や来店で買い注文を受け付けるなど、個人投資家の関心の高さを感じとったという。買値はばらばらで40万円台前半から60万円近くまで。店頭はふだんと変わらないが、午前中から様子を見て買い注文を入れてくる客も多かった。
 一方、地場の西村証券でも前日までの注文に加えて気配値を見ながらの買い注文が入っている。「JR人気が、個人投資家を市場に呼び戻すきっかけになれば」と期待していた。(京都新聞 夕刊)
■JR東日本株 買い殺到 上場初日 前場は気配値
 JR東日本の株式が26日午前、東京証券取引所第一部と大阪、名古屋、新潟の4証券取引所に上場された。株式市況の本格的な回復が遅れるなか、1987年2月のNTT以来の民営化・上場銘柄とあって投資家の関心は高く、取引開始前から買い注文が殺到した。JRの株主である国鉄清算事業団は、早く取引を成立させて初値が異常に高くならないようにする株式放出(冷やし玉)を準備したが、公募抽選に当たった一般株主の売り注文が極端に少なく、初値はなかなかつかなかった。午前の取引終了時点では45万6000円(公募価格は38万円)の買い気配値で終わった。
 東証では、公募段階の人気から注文が殺到することを予想、異例の準備態勢をとった。売買注文の受け付け開始時間は、通常より30分繰り上げて午前7時50分とし、立会場の取り扱い場所を2所用意したが、それでも買い注文が続いたため、伝票を持った証券会社の社員が長い行列をつくった。
 午前9に取引が始まった後も、注文をこなし切れず、しはらくは投資家の売買希望価格を示す「気配億」もつかない状態。他の銘柄の注文を扱う場所が閑散としていたのとは、対照的だった。
 取引開始前の売買注文をこなし、ようやく「気配億」がついたのが午前9時40分。このときは公募価格と同じ38万円の「買い気配」だった。午前の取引終了時には、買い注文が売り注文を160万株も上回った模様だ。
 NTT株の第一次放出の際は、買い注文が売り注文を大幅に上回り、初値がついたのは上場2日目の取引終了間際だった。しかも、売り出し価格より40万円強も高い160万円だった。NTTが用意した「冷やし玉」は10万株で、「上場株式数の195万株からみて少なく、高騰の原因となった」との批判が出た。
 このため、国鉄清算事業団は今回、抽選に当たりながら代金が払い込まれずに残った約5万株に加え、入札・売り出しに回さなかった200万株の中から50万株を上限に「冷やし玉」を用意した。
 また、入札公募で計192万7000株を売却し、収入合計は7322億6000万円。この全額を旧国鉄債務の返済に充てる。
 証券界には「JR東日本株は上場後しばらくは人気を集め、株価はかなり上昇する」と予想する声が多い。ただ、今後、民営化した日本たばこ産業(JT)の株式上場も予定され、一般企業から時価発行増資の再開を求める動きもあり、株式の供給過剰になることを懸念するむきもある。
 大阪証券取引所でもJR東日本専用の臨時ポストを設けて注文をさばいた。前場は8961株の買い注文に対し売り注文は72株しかなく、45万6000円の買い気配で引けた。
・「過熱とは思わない」蔵相
 藤井裕久蔵相は26日朝の閣議後の記者会見で、上場されたJR東日本株に買い注文が殺到していることについて「市場の判断であり、JR東日本の企業実態に対してそういう評価がなされているということだ。まだ、過熱していると判断すべきではない」と述べた。
 また、売却収入については「国鉄清算事業団が所有する株式だから、売却収入は既存の債務の返済に充てて当然だ」と指摘。既定方針通り、26兆6000億円に上る旧国鉄の長期債務の返済に回すことを確認した。
・他銘柄は閑散 東証
 26日の東京株式市場は、新規上場したJR東日本に関心が集中、その他の銘柄は閑散とした取引となり、東京証券取引所第一部平均株価の午前の終値は、前日比54円70銭安の2万254円63銭だった。出来高は約1億3000万株。(朝日新聞 夕刊)
■安全設備新設 国に認可申請 ニュートラム
 200人以上が負傷した大阪市営「ニュートラム」の事故で、同市交通局の事故対策本部は26日、運行再開後の安全を確保するため、事故現場付近の住之江公園駅周辺にオーバーラン防止用の各種地上設備を新設する方針を決め、運輸、建設両省に認可を申請した。車両についても安全性を高める方策を検討中で、近く追加申請する。(朝日新聞 夕刊)
■非常ブレーキ「のぞみ」停車 関ヶ原付近で
 26日午前9時50分ごろ、東海道新幹線の岐阜羽島−米原間を走行中の東京発博多行き「のぞみ5号」で突然、非常ブレーキがかかり、岐阜県関ヶ原町付近に緊急停車した。運転士が運転席の非常ブレーキの「解除」ボタンを押したところ、通常の状態に戻ったため約10分後に運転を再開したが、JR東海は、新大阪駅で車両を交換した。(朝日新聞 夕刊)
27日■座席の針 女児刺す 初の被害、幸い軽傷 兵庫・JR新快速
 26日午後1時40分ごろ、兵庫県明石市のJR山陽本線西明石駅で、草津発姫路行きの新快速電車から降りた神戸市内の母親(29)が「座席にあった針が娘(6つ)の足に刺さった」と駅員に連絡した。
 針は長さ3a、太さ約1_で両方の先端がとがっていた。女の子の右足太ももの裏側に針が刺さった傷があり赤くなっていたため、駅員が同駅の鉄道警察隊に届けた。
 新幹線や在来線の座席に針が刺される事件は8月24日以来続発、JR西日本、東日本、東海の管内だけでも約250件(針約340本)に上っているが、乗客がけがをしたのは初めて。
 JR西日本によると、この親子は神戸市の三ノ宮駅から乗車、母親は立ち、女の子は8両編成の電車の先頭車両の左側の座席に座っていた。傷は出血もなく、駅員に連絡した後、「大丈夫です」といって立ち去ったという。
・彦根でもまた針 JR東海道線
 26日午前9時40分ごろ、彦根市のJR南彦根駅で、東海道線下り米原発加古川行き普通列車から降りた乗客が、列車内の座席にあった木綿針(長さ5a)を駅員に届けた。
 滋賀県警鉄道警察隊によると、同列車は同日午前9時11分に米原駅に到着、清掃した後、同9時32分に同駅を始発。鉄道警察隊では米原駅から南彦根までの間に針が座席に置かれたとみて調べている。県内では先月22日に大津駅で虫ピンが見つかっている。(京都新聞)
■来年度のJR上場 東海vs西日本
 JR東日本が26日株式上場を果たしたことで、運輸省は1994年度にJR東海、西日本を対象に上場の準備を始める。既に来年度予算の概算要求で「JR株を200万株売却する」との計画を示しているが、「本年度の決算が確定する来年4月以降に上場会社を決めるので、東海にするか西日本か現状は白紙」(運輸省鉄道局)だ。
 西日本の南谷昌二郎専務は「新聞の株式欄に東日本だけが載っているのを見るのは屈辱的。早く上場したい」と、先行した東日本に激しいライバル意識を燃やしている。東海の須田寛社長も「始まりは差がついてしまったが、終わり(全株放出時期)はそろえてほしい」と、東日本の独走を許さないという姿勢だ。
 今年3月期決算の売上高を比べると、東海の1兆1100億円に対して、西日本は9200億円と東海の方が業績は良かった。東海が、東海道新幹線というドル箱を抱えているためだ。しかし、長期債務を比べると、東海の5兆4900億円に対して、西日本は1兆6900億円と西日本の方が財務体質が安定している。
 運輸省は業績と長期債務を総合評価して決めるとしているが、現状では基準に決め手を欠いている。鉄道局の幹部は「来年3月期決算で明確に差がつけば順番を決めやすい。ジャンケンでもして決めようか」と冗談交じりに話している。(京都新聞)
■公園都市線3.2`北伸 神戸電鉄完成は平成7年
 神戸電鉄は、公園都市線フラワータウン駅−ウッディタウン中央駅(仮称)間3.21`の建設工事の安全祈願祭を、29日午前10時半からウッディタウン中央駅予定地で行う。
 神戸三田国際公園都市の三田市域のニュータウンと神戸、大阪方面を結ぶ路線で、すでに三田線の横山とフラワータウンの間2.3`は平成3年10月開業している。今回はこれをさらに北へ延ばす計画で、新路線は単線電化の全線高架式。途中にあかしあ台駅(仮称)を設ける。建設費約70億円で、平成7年完成予定。完成後はウッディタウン中央−三田間をワンマンで直通運転する。(京都新聞)
■保有客車2000両突破で記念列車 近鉄、12月5日
 近鉄は、12月5日に保有客車数が2000両を超えるのを祝い、同日記念列車の運行などを行う計画で、参加者を募っている。
 当日は、新型の22000系特急電車などで編成した記念列車(4両)2本が午前9時半過ぎに相次いで上本町駅を発車、五位堂検修車庫(大阪線)で歴代車両についてのセミナーや車両撮影会を楽しみ、午後2時45分に上本町駅へ帰る予定。定員400人(小学生以上)で、会費は大人5000円、小人4500円(弁当、写真集代を含む)。
 記念列車の申し込みは、往復はがきに郵便番号と住所、氏名、年齢、電話番号、参加人数(1枚につき4人まで)を書き〒543大阪市天王寺区上本町6ノ1ノ55、近畿日本鉄道事業局「2000両突破記念」係 06(775)3567へ11月15日までに。多数の場合は抽選。同日午後3時からは上本町駅南側の上本町シアタースクェアで歴代車両の部品など販売。(京都新聞)
■JR東日本株 初値60万円 公募価を大幅上回る
 26日、東京証券取引所などに上場されたJR東日本の株式は、通常の取引終了時間から30分以上たった午後3時半すぎ、公募売り出し価格の1株38万円(額面5万円)を大きく上回る60万円の初値がついた。出来高は72万8000株だった。このJT株の活況とは裏腹に、同日の東証平均株価は前日より300円近く下げた。一銘柄だけの過熱現象に、JR株への高値警戒感と市場全体を含めた反動を懸念する見方が出ている。(朝日新聞)
■不況下のカネ余り実証 JR東日本株 初値60万円 有利な運用先求め 個人の金融資産が流入
 JR東日本株が26日、東京証券取引所第一部など4証券取引所に上場され、売り出し価格の38万円を大きく上回る60万円の初値がついた。「大きな成長が望めない産業」に高値がつき、市場関係者の間では「局地的なマネーゲームだ」と懸念する声があがっている。同時に、探刻な不況にもかかわらず、現在の日本が、個人の金融資産を中心にした「カネ余り」状況にあることを改めて示した形だ。
 東証などによると、26日だけでJR東日本株に対する買い注文の合計は180万株前後に上った。55万円から65万円あたりが最多価格帯だったが、なかには、東証のシステム上の最高価格である999万円という値段の買い注文もあった、という。ただ、これは「必ず買いたい」という意欲の表れで、この価格で取引が成立するわけではない。
 今回の上場にあたっては、急騰後に暴落したNTT株の反省から、証券会社の中には「なるべく安い値段でデビューさせて、じっくり株を持つタイプの個人投資家層を開拓したい」(野村証券)とする意見が多かった。だが、26日の東京市場の様子は全く違っていた。38万円で始まった気配値はじりじり切り上がり、証券各社からは、買い注文をより高い値段に修正して注文をし直す「差し直し」が集中。東証のシステムがパンク状態になってしまった。
 JR東日本株だけに買い注文が殺到するなかで、他の銘柄は売られ、東証一部はほぼ全面安となった。山一証券の株式担当幹部は、「この日に限っては他の銘柄を売った金でJRを買う『換金相場』になってしまった」と表現する。
 だが、JR株人気の背景に、「カネ余り」状況があることも間違いない。JR東日本株の主幹事を務めた野村証券が、同社を通じてJB東日本株を申し込んだ客の資金の性格を調べたところ、その9割以上が現金だった。それも、手持ちの株を売って得た金ではなく、頭金などの「証券界からするとニューマネー」(同社)だった、という。
 個人の金融資産が1000兆円にものぼる一方で、公定歩合が1.75%をつけるなど、空前の低金利時代。有利な資金の運用先を求める需要は大きい。JR人気は、発売以来1年余りの短期公社債投資信託(MMF)の残高が10兆円を避していることなどとともに、不況下のカネ余りぶりを示した現象だ。
・時価発行増資再開の指針に JR株で大蔵
 大蔵省は、上場されたJR東日本株の今後の株価動向や市場全体の反応などを一つの基準にして、1990年4月以降凍結している時価発行増資の再開を検討する。凍結自体が、株式市場に対する異例の「統制」であるうえに、その解除を判定する材料に、運賃を自由には決められないような、特殊な企業であるJR東日本の株を用いる、というわけだ。
 新規公開を認めているのは「新規株ならは、停滞している市場に活性化のバネを与える可能性があるから」(証券局幹部)という。
 JR東日本が、かなり特殊な企業形態をとっている点については、投資家向けの情報開示書類にも触れられている。投資家は、「つぶれることはない」といった魅力を感じている面もある。
・高値に警戒感 北浜の証券関係者
 大阪証券取引所も、大引けでようやく初値60万円をつけた。出来高は約8000株。当初40万円台を予測する声が多かっただけに、北浜の証券関係者は27日以降の相場展開に警戒感を強めている。
 大阪市内の投資顧問会社の社長は「各証券会社が商売優先で注文をかき集めた結果だ。利回り採算ではとても買えない値段。ちょつと行き過ぎでは」とまゆをひそめる。地場の内藤証券の福井利夫会長も「高くて利食い売りも難しい。これは相場ではない」と苦々しげだ。
・行き過ぎ水準、反動怖い 丸三証券会長 金子太郎氏
 JR東日本株に対する買い気の強いのには、驚いた。機関投資家や外国人投資家が、かなりの高値で買いの動きに出た。これが証券マンや投資家を強気にした。入札と売り出しで投資家の手に移った約190万株のうち、売りに出たのが約8万株にすぎなかったのも予想外のことだった。
 こうした人気の反動がこわい。長い目でみれぼ、60万円という水準は行き過ぎではないか。電力株の高いものでも「JR東日本の株券の5万円券に換算しなおせば、40万円以下である。
 さらに、JR東日本は、経営上の大きな課題を背負っている。JRの運賃値上げがどのようにルール化されるのか。整備新幹線の赤字を、JR東日本はかぶらないと説明されているが、どこまで信用できるか。こうした問題は、JR東日本の株主が今後の株主総会で厳しく追及すると考えられる。株主が、運輸省やJR東日本の対応に不満を持つようだと、「売り」に出るだろう。(談)(朝日新聞)
■「割高定期は差別」と人権救済申し立てへ 朝鮮学校生
 JR東日本、東海、西日本、九州各社が朝鮮学校の児童、生徒に対して日本の学校より割高の通学定期券しか発行しないのは国籍による差別だとして、大阪などの朝鮮学校の児童、生徒を代表して栃木、岐阜、和歌山、福岡各県内に住む生徒4人が28日、日弁連人権擁護委員会に人権救済を申し立てる。(朝日新聞)
■「ひかり」緊急停車 新大阪駅停車の直前
 26日午後5時ごろ、東海道・山陽新幹線の新大阪駅構内で、停車直前の博多発東京行き「ひかり50号」に突然、非常ブレーキが掛かり、緊急停車した。駅からかけつけた係員らが点検したところ、2号車のブレーキホースがはずれていた。応急処置をして約18分後に運転を再開したが、JR東海は同駅で車両を交換した。
 「ひかり50号」は40分遅れ、約1200人に影響が出た。(朝日新聞)
■「JR株」取引停止 東証 売買注文殺到で
 27日午前の東京株式市場は、上場2日目のJR東日本株に売買注文が集中する一方、他の主要銘柄には見送りムードが強く、平均株価(225種)は、前日終値比272円72銭安の1万7580円88銭と続落、2万円の大台を割った。出来高は、1億5000万株。
 この日JR株は、朝方から買い注文が集まり、初値の60万円を1000円上回る60万1000円(額面5万円)で始まった。その後は、前日に買いそこなった個人投資家らの買い注文が相次ぎ、61万4000円まで上げた。
 大量の売買注文や証券会社からの問い合わせで東証のコンピュータシステムが混乱し、東証は株価60万円ちょうどの午前10時32分から取引を中止。結局、同日の立ち会い終了までJR株の売買取引を停止する異状事態になった。(京都新聞 夕刊)
■JR東日本株の取引過熱 東証 電算処理パンク
 東京証券取引所は27日、JR東日本株に売買注文が殺到して、売買に関するコンピューター処理に遅れが出たことから、午前10時32分、同社株の売買取引を終日中断する措置を取った。他の取引所での取引は行われており、東証でも28日以降は通常に取引を行うとしている。
 同社株が売り出し価格を大きく上回り、60万円の初値をつけたことから、27日は個人投資家から小口の売り注文が殺到した。この影響で東証のコンピューターシステムが処理能力を越え、処理に最大5分の遅れが出始めたため、「このまま注文を受け続ければ、他の銘柄の売買へ波及する恐れがあるため、予防的な措置として売買を停止した」(株式部)という。
 このため、大阪証券取引所に注文が殺到。大証では午後は普段より時間を早めてJR東日本株の売買注文を受け付けることにした。
 JR東日本株は、東証で取引開始後、前日の初値と同じ60万円を付け、一時61万1000円まで値を上げた。その後、午前10時20分すぎ、取引が膨らんだ結果、コンピューターシステムの処理能力が追い付かず、売買が停止した。その直前、60万円を付けていた。大阪証券取引所では一時、初値を割り込む59万7000円を付けた。
・27日の東京株式市場は、前日にJR東日本株の上場によって市場が過熱したことから、警戒感がひろがり、東京証券取引所第一部の平均株価は10月14日以来の2万円割れになった。午前の平均株価の終値は、前日比272円72銭安の1万9750円88銭。出来高は約1億5000万株。
 27日の大阪の株式市場も薬品、流通株の一部が買われたほかほぼ全面安。大阪証券取引所第一部の午前の終値は前日より186円87銭下げて2万1795円87銭になった。(朝日新聞 夕刊)
■ニュース三面鏡 ニュートラム事故で欠損の耳接合 医師の粘り、成功生む 病院の救急体制も奏功
 大阪市営ニュートラムの暴走事故で耳がちぎれた女性(20)が、近畿大学付属病院(大阪狭山市)形成外科で接合手術を受けてから20日余り。術後の経過は順調で、再手術の必要もないという。耳はもともと細い血管が多く接合が難しい。しかも今回は、さらに細い血管が集中した部分の欠損だった。あきらめずに手術に踏み切った医師らの粘り、病院の的確な受け入れ態勢と、いくつもの幸運が成功につながった。
 今回使った手術法は、同病院が82年から導入している「マイクロサージェリー」。事故などで欠損した部分の血管を、手術用の顕微鏡で見ながら小さな針で縫っていく。
 女性が転送されて来たのは事故から約2時間半後の5日午後8時ごろ。耳の3分の2が欠損し、欠損部分はガーゼに包んで運ばれて来た。手術には血管の太さが直径1_前後、最大譲っても0.5_は欲しかった。だが耳の欠損面には細すぎる血管しか見つからなかった。
 「手術は難しいのでは」という担当医に、上石弘・形成外科教授は「若い女性だから、(耳の欠損が)その後の生活に与える影響は大きい」とゴーサインを出した。
 全身麻酔に取りかかったのが午後11時半。日付が変わったころから、磯貝典孝・病院講師と福西健至助手の執刀で手術がスタートした。2時間ほどしてようやく、手術がどうにか可能な直径0.3_の動脈と静脈が見つかった。長さ約3_のわん曲した針でつなぎ合わせると、耳の皮膚が赤みを帯び始めた。縫合を終えたのは午前8時だった。
 「血管がもう少し細かったら、手術はだめだったと思う。最後まであきらめなかったのがよかった」と磯貝講師はいう。
 近大付属病院の形成外科では、82年から24時間の救急体制を敷いている。堺市や泉州地方の工事現場で指を欠損して担ぎ込まれる人も多く、指の接合手術はこれまで計950件に及ぶ。同科の医師が交代で3人ずつ毎夜、待機しているほか、接合手術が専門の医師は常時ポケットベルを手もとに置いている。
 上石教授は「切断された指などは、乾いてしまう前に、できるだけ早く設備の整った病院に行けば接合できる。冷やした状態がいいが、冷凍にすると凍傷の時のように組織がだめになってしまう。事故に遭ってもあきらめずに対応してほしい」と話している。(朝日新聞 夕刊)
28日■ポイント故障で阪急上下8本運休 河原町 1万3000人影響
 27日午後8時35分ごろ、京都市下京区の阪急電鉄京都線の河原町駅1番線で、河原町発梅田行き特急電車(8両編成)が出発しようとしたところ、出発信号機が赤のまま変わらなかった。
 駅員らが点検したところ、1番線と2番線の間のポイントを切り替えるための鉄製のロッド(棒)が折れていた。同駅では3番線を使い約15分後に運転を再開した。
 ポイントは午後11時過ぎに復旧、平常運転に戻ったが、特急電車上下計7本と下り普通1本が運休となったほか、上下43本が5分から13分遅れ、約1万3000人に影響が出た。(京都新聞)
■京都市バス 新車89台を導入 本年度 リフト付き、一挙倍増
 京都市交通局は、27日までに、本年度に新たに導入する市バス新造車両を決めた。車イス用のリフト付車両を倍に増やすほか、低公害バスを2年ぶりに導入、障害者や環境にやさしいバスを増やす。
 市交通局は今回、老朽化した86台を廃棄処分することに伴い、新造車両を89台を導入する。内訳は、車イス用リフト付き車両3台のほか、普通低床車両が84台、低公害バスとチンチン電車型定期観光バス車両が各1台。
 車イス用リフト付き車両は、91年に2台、前年度に1台の計3台を導入。いずれも洛西地区で路線バスとして走っている。車イスを使っている身障者やお年寄りに好評だった。
 また、ディーゼルと電機を併用し、大気汚染につながる窒素酸化物の排出を抑えた低公害バスの導入は91年度以来。今回はメーカーを変更してさらにテストを続ける。
 さらに71年度から導入を開始した普通低床車両は今回の導入で総計877台に達し、全車両に占める割合は95%を越えた。同車両は、従前のバスが床から最初のステップまで42aあったのに、34.5aと7.5aも低くし、お年寄りらの乗降をやりやすくしている。
 各車両は来年2月ごろまでに導入する。(京都新聞)
■駅ビル改築審査請求へ 京都の17住民団体
 「京都ホテルとJR京都駅の高層化に反対する市民連合」など17の住民団体は27日、京都市が同駅ビルの建築確認を出したことについて、田辺朋之市長に抗議を申し入れるとともに、この建築確認を違法行為として、近く市建築審査会に審査請求する方針を表明した。
 申し入れ書によると、現行31bの高さ規制を越える59.8bの駅ビル改築を可能とする特定街区の適用には「京都駅北口西通」の設置が不可欠だとし、この道路に関連する土地区画整理事業が現在、府都計審での審議が継続中なので建築確認の要件は満たされていない、としている。(京都新聞)
■窓 「終日禁煙」になぜ灰皿必要 山科区・梅垣直樹(大学生・22)
 私は毎日の通学に京阪電車を利用している。京阪電車のすべての駅がそうなのかどうかは知らないが、少なくとも私が乗降する駅は、みな構内が終日禁煙とされている。ところどころに終日禁煙の張り紙があり、気がつくと、その旨が構内アナウンスされている。
 が、先日、七条駅のホームでたばこを吸っている男性を見かけた。よほど注意しようかとも思ったが、ふと見ると彼はその灰を傍らの灰皿へ落としているのである。今まで駅でたばこを吸う人を見かけなかったので気付かなかったのだろうが、七条駅のホームには明らかに吸い殻入れと思われるものが備えつけられている。これでは注意するのも気が引けるというものだ。
 気をつけてみると五条駅にも四条駅にも同じものがある。両駅とも終日禁煙。灰皿はごみ入れと一体となっており、ごみ入れの上の部分がそのように加工されているのである。したがって灰皿をすべて取り除くとなると新しいごみ入れを設置しなければならなくなり、大変な浪費になるとは思う。
 しかし、あれだけ終日禁煙をうたっておきながら、ホームに吸い殻入れがあるのはまずいだろう。それともあれは灰皿ではないのだろうか。(京都新聞)
■値下げ相次ぐ京銘柄 反動で置き去り JR株異常人気に危ぐも
 JR東日本株への人気集中で京都市内の証券会社でも、事務がふくそう、バブル崩壊後しばらくなかった忙殺ぶりがもどった。一方、京都銘柄では2日間で値を下げるものが相次ぐ状況となり、関係者は手放しでは喜べない様子もみせた。
 前日、JR東日本株への買い注文殺到で値がついたのが遅く、京都市中京区の萬成証券では売買成立の書類作りで午後9時まで処理に追われたといい、他の証券会社では午前零時までかかったところも出たという。
 この日も東京証券取引所のコンピューターシステムが混乱、客から大阪証券取引所などへの売り注文変更が相次ぎ、大忙しとなった。「市場はJR東日本株に振り回され、他の銘柄は置き去りになった感がある。市場活性化への期待も大きいが、この一方でNTT株の二の舞いにならないか心配だ」(地場証券関係者)との声も出るほど。
 あおりで京都銘柄も任天堂が2日間で500円以上も下げたほか、第一工業製薬は100円下げるなどの動き。京セラ、ロームの場合は、27日にやや反発したものの、JR東日本株が上場した26日には大幅な下げだった。地場証券界ではJR東日本株の余波はなお続きそうとの見方が多い。
・口頭発注方式に転換 取引停止 東証が人海戦術
 東京証券取引所は27日、JR東日本株取引の過熱でコンピューターシステムに負担が掛かり売買を停止したのに伴い、28日以降しばらくの間は売買取引を証券会社の立会場職員が直接注文を出す口頭発注方式に統一するよう会員証券会社に伝えた。証券会社側は、こうした東証側の意向を受けて、この方式で28日以降の売買注文を処理する。
 今回の方式は JR株については会員証券会社が顧客から受けた注文を取引所側に伝える場合は、コンピューターで入力せずに人海戦術で注文伝票を使っての口頭発注にするA顧客から受けた売買注文はばらばらに取引所に伝えず、できるだけ各証券会社がまとめて伝えて事務処理の効率化を図る−とする内容。また、立会場銘柄(151銘柄)の注文受付時間を、前場は30分繰り上げて午前7時50分から、後場は15分繰り上げて午前11時50分からとした。
 東証の立会場で取引されている銘柄は、通常の取引時間内は千株単位など売冒単位の3倍以下の注文はコンピューターの端末から直接入力でき、4倍以上は口頭発注方式で行っている。JR株は取引初日の26日には、口頭発注方式を取り入れたが、27日の取引では売買停止になるまでコンピューターを使っていた。
・手ぶり商いの名証 東京から注文殺到
 東京証券取引所が電算システムのダウンでJR東日本株の売買取引を停止したことから、27日の名古屋証券取引所には東京などから売買注文が殺到した。
 朝方、前日に比べ1万円高の61万円で寄り付いたが、売り物に押され59万円で前場を終えた。
 しかし、東京に続いて大阪証券取引所も売買を断続的に停止したことから、現在も手ぶり商いで売買している名古屋証券取引所に注文がさらに集中。
 後場は前日比1万9000円安の58万1000円で始まったが、その後も東京、大阪市場から売買注文が相次ぎ、3度にわたり注文整理のため商いを中断する混乱ぶり。結局商いは中断したままで、終値は中断前の58万9000円。JR東日本株の出来高は概算で3300株だった。
・大量売りで売買不成立 大証
 27日のJR東日本株は、東京証券取引所で取引停止となったのをきっかけに、大阪証券取引所などに売買注文が流れた。大証では、売り注文が殺到して午後は売買が成立せず、前日つけた初値60万円に比べ1万6000円安の58万4000円の売り気配値のまま取引を終えた。終値は午前中に取引の成立した59万8000円となる。(京都新聞)
■JR株過熱崩れる相場 平均株価2万円割れ招く 売買停止で不安感「市場回復」あてはずれ
 証券界の期待を受けて上場したJR東日本株の人気の過熱化は、平均株価の2万円割れを招いたほか、東京証券取引所でのJR株の売買取引の停止につながり、市場関係者の予想外の展開となっている。
 今回のJR株の上場は「低迷する株式市場に新たな資金を呼び込んで、市況回復への呼び水にしたい」(日本証券業協会幹部)との期待感が強かった。
 ところが相場全体でみると、初日の26日は、JR株取得のための他銘柄の換金売りが多かった。さらに、市場への波及効果が期待したほど大きくなかったことで、失望売りも加わった。
 27日も、相場の先行きへの不透明感や売買停止に縮む不安感が台頭、主要銘柄を中心に売られて平均株価は一段安となり、JR株を相場活性化の切り札にしたいとの市場関係者の思惑は肩透かしを食らった格好だ。
 大手証券の担当者は「予想したほど新しい資金が株式市場に入ってこなかった。JR効果は出ておらず、投資家心理は冷え込んでいる」とぼやく。
 さらに、関係者の思惑を狂わせたのが、東証での売買停止。大量の売買注文で東証のコンピューターシステムが混乱したためだが、証券会社には「利益確保のために売ることができない」など顧客からのクレームが相次いだ。「JR株はもっと上がったかもしれなかったのに売買停止が水を差した」との声も出ている。
 もちろん、こうした混乱につながったのは、証券各社がJR株の勧誘を積極的に進めたことが背景にある。大手証券の株式部長は「単なるJR株の問題だけでなく、市場全体の信頼性の低下にもつながりかねないような事態だ」と指摘している。
・東証、1万9838円続落
 27日の東京株式市場は、先行き不透明感や、JR東日本株の取引をめぐる混乱から見送り気分が広がり、平均株価(225種)の終値は前日比184円82銭安の1万9838円78銭と続落した。終値としては、7月28日以来3ヵ月ぶりの2万円割れ。出来高は2億6000万株と低調だった。(京都新聞)
■JR株過熱 大証に注文殺到 東証取引再開できず
 東京証券取引所のJR東日本株の売買は、膨大な注文を処理しきれずに27日午前に停止した後も、同日中に再開されなかった。同社株を上場している大阪、名古屋、新潟の3取引所に流れた注文も、手作業で受け付けたために作業が滞り、立会場で証券マンがもみ合い、長い列をつくるなど終日混乱が続いた。
 こうした状況を嫌い、東証1部の平均株価の終値は前日比184円82銭安の1万9838円78銭と続落、3ヵ月ぶりに2万円台を割り込んだ。
 JR株は一時、61万4000円まで値を上げたが、過熱警戒から売り注文が集まり、「注文数が予想以上に多く、売買希望値の訂正が相次ぎ、コンピューターの容量の限度ぎりぎりになってしまった」(東証担当者)。
 また、「東証の売買停止が、警戒感を強めていた投資家の不安に拍車をかけた」(大手証券)という。
 東証は28日から当面、JR株については立会場での注文以外は受け付けない異例の措置をとる。(朝日新聞)
■JR東日本株56万円に下落 大量の売り注文
 上場後2日目に東京証券取引所でシステムの混乱から売買停止となったJR東日本株(額面5万円)は28日午前、取引が再開され、利益確保を狙った個人投資家らの大量の売り物が出て、前日の売買停止前につけた60万円を4万円以下回る56万円で午前の取引を終えた。26日につけた初値の60万円を割り込んでいる。
 この日東証では、朝方から前日のシステム混乱を嫌気した売り注文が増え、59万円の売り気配値で始まり、その後もじりじりと気配を下げた。午前10時27分にようやく56万円の値がついたものの、この直後から大量の売買注文をさばくため取引を中断、そのまま午前の取引を終えた。大阪証券取引所でも56万円で引けた。(京都新聞 夕刊)
■JR株56万円 東証 売り殺到また中断
 28日の東京株式市場は、前日に平均株価が2万円を割った取引を受けて、見送り気分が強く、相場は小動きを繰り返している。JR東日本株は、売り注文が殺到し、55万円台まで値を下げ、午前10時28分には注文が急激に膨らんだために午前中の取引を中断した。
 大阪株式市場では、午前の終値は前日の売り気配値より3万8000円安い56万円。出来高は約2万4000株と、東証の出来高の半分近くに達した。(朝日新聞 夕刊)
29日■京福電車と車衝突 乗客にけが人なし 右京
 28日午後1時50分ごろ、京都市右京区太秦蜂岡町の三条通交差点で、嵐山発四条大宮行き京福電車=和治秀明運転士(28)=と京聨自動車のタクシー=泉谷隆春運転手(48)=が衝突した。泉谷運転手が足に軽いけが。乗客70人にけがはなかった。
 電車は現場に15分間停車、後続の2本が7分遅れた。
 太秦署の調べでは、現場は京福太秦駅の西30b。タクシーが交差点を右折し軌道敷を横切ろうとした際、電車の左前部とぶつかったらしい。(京都新聞)
■東海道新幹線 一時不通に 岐阜で男性飛び込み
 29日午前11時10分ごろ、岐阜県羽島市の東海道新幹線岐阜羽島駅構内で、東京発博多行きひかり39号に男性が飛び込み、新幹線は上下線とも一時不通となった。男性は即死で、岐阜県警羽島署で身元の確認を急いでいる。
 JR東海は車両を点検、同線は上りが約15分後、下り線が30分後に運転を再開した。(京都新聞 夕刊)
■神足−高槻でも遅れ
 29日午前7時48分ごろ、JR東海道線神足−高槻間の下り外側線が瞬間的に停電、その後、8時半までの間に3回にわたって停電した。いずれもすぐに復旧したが、この間各列車を内側線で運転したため、青森発大阪行き急行「あおもり」など上下合わせて特急と急行、新快速の4本が27分から6分遅れ、乗客2800人に影響が出た。JR西日本で原因を調べている。(京都新聞 夕刊)
■神鉄「公園都市線」延伸工事の安全祈願
 兵庫県三田市で開発が進む北摂三田ニュータウンで29日、神戸電鉄「公園都市線」延伸工事の安全祈願祭があり、1995年秋の完成を目指して本格的な工事が始まった。
 公園都市線は、計画人工8万8000人のニュータウンから神戸や大阪方面への足となる延長5.5`の単線。91年10月に一期工事の横山駅−フラワータウン駅間2.3`が開業しており、二期工事としてフラワータウン駅−あかしあ台駅(仮称)−ウッディタウン中央駅(同)間3.2`を延伸する。総工費は車両新造費を除いて約70億円。(朝日新聞 夕刊)
30日■JR東日本株 思惑外れの続落 市場の将来心配の声も
 株式市場活性化の起爆剤として証券界の期待を集めていたJR東日本株は、上場初日の26日こそ60万円の初値をつけたが、その後はじりじりと値を下げ続けている。これが市場全体のムードにも波及して、東証1部平均株価は2万円を割り込んだままで、証券界の思惑はすっかり外れた格好だ。
 東京証券取引所では29日、JR株は一時50万円台まで下げたが、その後海外投資家などに買い支えられ、前日比5000円安の52万円で取引を終えた。大阪証券取引所、名古屋証券取引所では一時50万円を割り込んだ。
 大手証券によると、26日に買い気配値が50万円を越えた段階で、機関投資家や海外投資家が相次いで手を引き始めたという。「買っても50万円まで」(大手生保)という声のなか、60万円の初値で株を買ったのは、多くが証券会社の営業力で呼び込んだ個人投資家という結果に終わったようだ。
 今後は、旧公社系の株式上場が相次いで予定されている。関係者の中には「JR株は個人投資家を市場に呼び戻すチャンスだったのに、このままではせっかくの芽を自ら摘んでしまうことになる」と市場の将来を心配する声も出ている。(朝日新聞)
31日■精算事業団は大もうけ JR株 上場で市場混乱
 一般売り出し価格の38万円(額面5万円)を大幅に上回る初値、売買停止、急落、平均株価(225種)2万円割れ−。26日に上場されたJR東日本株は、証券業界の期待とは逆に売買停止の混乱と2万円割れという相場のぜい弱さを示した。JR株上場をてこに市場全体を活性化し、公募増資の再開など正常化を図ろうとする大蔵省や業界のシナリオも狂いかねない事態だ。
 そんな中で「予想外にもうけている」(市場関係者)のが、JR株を保有していた国鉄精算事業団だ。
 国鉄清算事業団は、買い注文が投到した上場初日に値をつけるため、冷やし玉と呼ばれる売り約56万株を放出、これで約3400億円を稼いだ。ある証券会社によると、機関投資家を主な対象とした60万株の入札で2279億円、一般売り出しで5043億円、計7322億円の資金が既に入った。冷やし玉分の3400億円を含めると約1兆円の規模ということになる。
 26兆6000億円の旧国鉄債務で、利子の支払いは年1兆6000億円。今回の上場で年間利払いの3分の2を調達した計算になる。運輸省の担当者は「正直言って60万円で売れるとは思わなかった」と本音を漏らす。もっとも高値で売却した方が、長期債務返済が順調に進むことになり、国民全体としてはプラスという事業団側の言い分もある。
 しかし、証券会社の一部には、「冷やし玉をもっと早く出せば、60万円の過熱した相場にはならなかった。あんな高い値がつけば、38万円で買った人が売り急ぐのは当たり前」と事業団の姿勢を批判する声も強い。入札や一般売り出しで約140万人の個人投資家がJR株を取得したが、大手証券のまとめでは既に約50万人が一斉に売却したという。
 暴落したNTT株で市場から離れていった個人投資家を定着させようとするシナリオも」JR株上場の混乱で進みそうにない。
 29日に東京・兜町のある証券会社を訪れた株投資歴40年の男性(63)は「特定の株式に人気を集中させるのは過剰な期待を招くだけ。個人投資家の株に対する不信を一層増した」と指摘する。今回のJR株上場をめぐる混乱は証券市場に大きなツメ跡を残したといえそうだ。(京都新聞)