1993(平成5)年 5月


1日■券売機、音声に反応 JR東日本が試作品(京都)
  ■最後の負傷者2年ぶり退院 信楽高原鉄道事故(京都)
  ■GW93 京観光の足 ホテル閑散 JRも手持ちぶさた(京都)
  ■敷石またホームの客直撃 のぞみ通過 豊橋駅(朝日)
  ■5年5月5日 鉄道ファンがお待ちかね JRや近鉄 競って記念切符商法(朝日)
3日■英仏海峡トンネル 開業遅れ出口遠く 工費値上げで対立 運営会社 工事10社(朝日)
4日■GW93 僕は運転士だよ ミニ車両500点展示 体験コーナーも 京都タワービル(京都)
  ■東北新幹線で停電(京都)
6日■ひかり車内でスリ未遂、逮捕 京都府警(京都)
7日■「のぞみ」カバー板に亀裂 JR西日本 全編成、90ヵ所で発見(京都)
  ■のぞみ 床下カバー亀裂90ヵ所 総点検後の可能性(朝日)
  ■京都駅のCAT 開港時は仮施設 新駅ビル間に合わず(朝日)
  ■GW利用状況 私鉄5社は軒並みダウン JR西日本、3年ぶり前年上回る(京都)
  ■JR・航空3社は好調 私鉄は軒並みダウン ゴールデンウィーク輸送前年比(朝日)
  ■14日に三回忌法要 信楽高原鉄道事故(京都)
8日■改定勤務制度無効求め提訴 JR西労(朝日)
  ■カバー板の亀裂計18ヵ所 JR東海「のぞみ」(京都)
  ■KTR特急に衝突 バイクの会社員重症 宮津線踏切(京都)
  ■ポイントに異常 一部列車に遅れ JR京都駅(京都)
  ■特急「ゆふいんの森」大阪へ(朝日)
9日■整備新幹線 計画見直し論議 スピードダウン? 検討委、下旬にずれ込み(京都)
  ■NEWSスコープ 「関西高速鉄道」の用地買収疑惑 大阪市 解明に逃げ腰 第3セクターの特性を”逆手”出資率低く「監査権ない」(朝日)
11日■新感覚でつくっちゃお おしゃれ地下鉄駅舎 初の民間委託 延伸の鶴見緑地線(朝日)
  ■のぞみ飛び石防止 樹脂固め(朝日)
  ■列車騒音が目標値越える JR瀬戸大橋線(京都)
  ■烏丸線延伸着工へ(朝日)
12日■信楽事故遺族の会 月内 2社の提示なければ 損害賠償請求提訴も(京都)
  ■地下鉄烏丸線 北山−国際会館 来月3日起工式(京都)
  ■JR西日本 「のぞみ」相次ぐ異状で 風の影響、再調査へ(朝日)
  ■旧国鉄指令長ら有罪 余部鉄橋事故で神戸地裁判決 3被告 禁固刑、猶予付き(京都)
  ■新幹線駅で敷石固め 「岐阜羽島」などから工事 JR東海(京都)
  ■12人死傷の余部鉄橋事故 判決言い渡しへ 神戸地裁(朝日)
13日■社説「人災」だった余部鉄橋の事故(京都)
  ■余部鉄橋事故神戸地裁判決 判決要旨(京都)
  ■旧国鉄の体質に警告 望まれる組織的安全対策(京都)
  ■余部事故判決 「猶予は仏への冒とくだ」 遺族側から無念の声(京都)
  ■余部鉄橋転落事故 列車指令の3人有罪 強風下、停止怠る 猶予付き 禁固2年6月−2年 旧国鉄の管理不備を指摘 神戸地裁判決(朝日)
  ■余部事故判決 遺族は「不愉快」 被告側 現場だけの責任は酷(朝日)
  ■貨物1両が脱線 JR梅小路駅 ブレーキ忘れ(京都)
  ■貨物列車が脱線 JR梅小路駅(朝日)
14日■弱視者用の私鉄駅構内案内帳完成 大文字と太い線 見やすい地図に 京阪神の11駅 利用希望者募る(京都)
  ■グリーン車内30度 「のぞみ」今度は冷房故障(朝日)
  ■信楽事故遺族の会 補償交渉に応じる JRなど近く額提示(朝日)
  ■91年5月14日…”傷いえず”(京都)
15日■信楽事故3回忌法要 遺族とJR隔たり深く 両者代表 慰霊のことば(京都)
  ■「鉄道安全推進協」発足へ 犠牲者遺族の会(京都)
  ■「地元の生活権脅かす」JR京都駅高層化無効確認訴訟 第1回口答弁論 原告が意見陳述(京都)
  ■小倉山を他山の石に 瀬戸内寂聴さんら連名アピール文(京都)
  ■日本の消えた施設「近代化遺産」を重文に 碓氷峠鉄道施設(群馬)など2件(京都)
  ■初の口頭弁論開く JR京都駅高層化 反対の行政訴訟(朝日)
  ■人活センターで労使紛争 国労3組合員に無罪 横浜地裁判決(朝日)
  ■「のぞみ」トンネル防音前倒し JR西日本 来年度分フード工事(朝日)
  ■JR西日本社長が社会的責任認める 信楽事故三回忌(朝日)
18日■特急「しなの」に新型車両(京都)
  ■記念乗車券も発売へ JR西日本(京都)
19日■列車騒音空気抵抗低滅へ 米原町に国内最大実験施設 JR(京都)
  ■「のぞみ」減速 3駅で実施へ 21日からJR東海労(京都)
  ■JR西日本 夏休みめどに「のぞみ」割引 団体向けなど検討 自由席は見送りへ(朝日)
  ■「初期故障の範囲」「のぞみ」でJR西日本の梅原常務(朝日)
  ■市地下鉄建設現場 労災事故隠し 責任者ら送検(京都)
20日■小倉山問題で説明申し入れ 市に「お届けする会」(京都)
  ■海水浴、お盆帰省へ臨時ダイヤを発表 JR西日本福知山支社(京都)
  ■夏の臨時列車3900本 JR西日本「エーデル丹後」など(京都)
  ■リニア市電導入も 「まちづくり」市民構想 あす集会(朝日)
  ■工事進行状況の説明求め申し入れ 小倉山残土問題(朝日)
  ■JR夏の臨時ダイヤ 福知山支社 増強期間短縮 本数も減らす スピードアップへ特急増(朝日)
  ■ニュース三面鏡 保存か解体か 信楽事故車両 「惨事伝えよ」機運強く JR西日本 哀しみあおる、と拒否(朝日)
21日■エア漏れ故障 20本が運休 JR片町線(京都)
  ■科学 トラブル続く「のぞみ」 車体の耐久性にも課題 アルミ合金を使用 軽量化、低い剛性(朝日)
22日■「車検切れ」で計1万2000`走る JR西日本に警告 運輸省(朝日)
  ■ゆうかん読書 故郷の風景 路面電車 神 達雄著(京都)
  ■南海の新空港アクセス線 高架工事間に合わず 開港後4年間 地上線を利用(朝日)
24日■鉄橋で3少年ひかれ即死 近道? 特急、逃げ切れず 三重・JR関西線(京都)
  ■鉄橋で3中学生死亡 四日市のJR線 列車を避け切れず(朝日)
25日■もたつく山科駅前再開発 遅れ3年 工費2倍に 京都市会委、追及相次ぐ 新設ビルのキーテナント 迫られる年内決定(京都)
  ■国労バッジ紛争で賃金減額分支払いを 大阪地労委(朝日)
  ■帰宅ラッシュ時に阪急京都線で故障 3万8000人に影響(朝日)
  ■京都市役所建て替え 現在地拡張が最適 地下鉄でき便利に 検討委結論 移転案を退ける(京都)
26日■JR西日本人事(6月1日、京都支社分)(京都)
  ■JR7社すべて減益 旅客・貨物、需要が低迷(朝日)
  ■ハイタッチテクノ 身近な技術のタネ明かし 駅のスタンプ改札 速乾性インクが支え ひまし油系油まぜ効果(朝日)
27日■ヨイショ 機関車に勝ったぞ 園児らが大歓声 こどもSLフェスタ 猿回しなども披露(京都)
  ■6月9日のJR指定席 修学旅行は一転、割引に(朝日)
  ■信楽鉄道・JR 29日までに賠償額提示(遺族の会へ)(朝日)
28日■新型車両「つばめ」ブルーリボン賞(京都)
  ■6月9日のJRダイヤ 東は「平日」西は「休日」(京都)
29日■カラフルゆったりの新車両 比叡山鉄道坂本ケーブル 35年ぶり、7 月から導入(京都)
  ■市バスの原谷線 来月から中型に(京都)
  ■阪神・南海が増益 関西私鉄、明と暗 近鉄・阪急・京阪は減益(朝日)
  ■記念乗車券多彩に 皇太子さま結婚 私鉄36社が発売(京都)
  ■ホース当たり転倒 歩道上の女性死亡 京都地下鉄工事現場(朝日)
30日■信楽事故賠償 総額7億9500万円 遺族の会へ鉄道2社提示「額低い」と不満も(京都)
  ■7億9500万円をJR側が提示 「遺族の会」に(朝日)
31日■来月10日24時間スト JR九州労(京都)
  ■長距離は鉄道 都市内はトラック 運輸省検討 貨物輸送、効率よく(京都)
  ■沿線にハーモニー 合唱列車ゆく(朝日)
  ■提示賠償岳に不満 信楽事故「連族の会」(朝日)
  ■車両故障で7万人に影響 JR阪和線(朝日)



1日■券売機、音声に反応 JR東日本が試作品
 「東京まで1枚」と叫べば料金を表示−。JR東日本が開発を進めていた、言葉を発するだけで切符が買える券売機の試作品が完成した。この対話式のお客に優しい券売機は同社とメーカーが共同開発。JR側は「できるだけ早く実用化にこぎつけたい」としており、運賃表で目的駅を懸命に探す光景も昔のものになりそうだ。(京都新聞)
■最後の負傷者2年ぶり退院 信楽高原鉄道事故
 信楽高原鉄道事故で重症を負い、2年間にわたって治療を続けていた最後の患者・中島イトさん(68)=滋賀県甲賀郡信楽町黄瀬=が14日の犠牲者三回忌を前に30日、入院していた甲賀郡水口町の公立甲賀病院を退院した。
 中島さんは、事故で夫の治三郎さん=当時(63)=と孫の未晴ちゃん=当時(2つ)=を亡くし、自分も顔や腰に大けがをした。(京都新聞)
■GW93 京観光の足 ホテル閑散 JRも手持ちぶさた
 大型連休2日目に入った30日、京都市内では前日に続いて観光客らの姿はまばらで、例年のゴールデンウィーク同様の観光ラッシュを予想していた人たちを戸惑わせている。市内の各ホテルでは空き室が目立ち、京都駅でもホームは閑散。タクシー業者からは「連休中に客待ちするなんて」とため息が漏れている。
 〈JR京都駅〉JR京都駅は、ゴールデンィークに入った29日から30日にかけても乗客数が伸びず、改札口やホームにも、目立った混雑は見られていない。29日JR西日本本社から派遣された8人の整理員らも手持ちぶさたの様子で、午後5時ごろ、福井県に帰省するためにやって来た西京区の女子学生(18)は「混雑を覚悟で来たのに、こんなに楽に帰れるなんて、何だか拍子抜けの感じ」と話した。(京都新聞)
■敷石またホームの客直撃 のぞみ通過 豊橋駅
 30日午前7時25分ごろ、東海道新幹線豊橋駅の改札係に、豊橋市の男性会社員(36)が「列車の通過した時、これが額に当たった」と、敷石(直径約2a)1個を持って届けた。
 JR東海で調べたところ、男性が列車を待っていた下りホーム7号車ベンチ付近に同じ大きさの敷石1個、東京寄り約85bのホームにも直径1,2aの石15個が散乱しているのが見つかった。
 同社は、事故発生時に上り線を通過した「のぞみ302号」か、下り線の「のぞみ1号」が風圧で石を巻き上げ、さらにこの石にはね上げられた敷石が男性に当たったとみている。列車はいずれも時速225`で通過中だった。
 石が当たった男性は、額が少し赤くなった程度。
 「のぞみ」は4月4日朝、岐阜羽島駅を時速270`で通過中に敷石をはね、ホーム上の男性(43)に当たってけがを負わせる事故があったばかり。同社は通過する各駅付近の敷石を一律5a低くする工事を行い、豊橋駅は6日に終わっていた。(朝日新聞)
■5年5月5日 鉄道ファンがお待ちかね JRや近鉄 競って記念切符商法
 「5・5・5」「5・6・7」−鉄道ファンには見逃せない日が近づいている。5月5日や6月7日は、切符のはじに印刷される年月日がそろったり、つながったりするためだ。「平成」になってから毎年2回のペースでこんな数字並びの日が来る。祝日と重なっるのは昭和55年5月5日以来。親子連れの行楽客を見込んだ記念乗車券を発行する鉄道会社もある。これまで8回の「数字並び商法」をしてきたJR西日本は「今年で売上累計は1億円突破」と張り切っている。
 記念乗車券や入場券を発売するのはJRグループの西日本、東日本、北海道や近鉄、営団地下鉄、京王帝都、伊豆箱根鉄道、くま川鉄道など。
 JR西日本は、昨年いっぱいで姿を消した厚紙の切符「硬券」を復活させる。5月5日の営業開始時間から「5・5・5」を印刷した「硬券」入場券を大阪や広島、金沢などの172駅で発売する。6月7日のも同様に121駅で売り出す。
 本来なら希望の年月日入りの入場券を手に入れるには当日に購入しなければならないが、「1億円突破」を目指していることもあり、「それぞれ特別に月末まで販売します」。1昨年の「3・3・3」は14万枚も売れた。「今年は合わせて18万枚」とソロバンをはじく。
 近鉄は「5づくし記念乗車券」。五位堂(奈良県香芝市)、五十鈴川(三重県伊勢市)、五知(同県磯部待ち)の3駅からの普通乗車券をセットにして5月5日に、難波や奈良などの主要駅でで550円で発売する。「運賃体系の関係から555円とできなかったのが残念」とも。
 上本町では田中実駅長のアイデアで、5月5日の5号車5番と55番の座席指定特急券の販売セール中。もっとも、宣伝前に桔梗が丘駅(三重県名張市)午前5時55分発の座席がすでに売れているのには「さすがに鉄道ファンはすごい」とうなっていた。(朝日新聞 夕刊)
3日■英仏海峡トンネル 開業遅れ出口遠く 工費値上げで対立 運営会社 工事10社
 英国とフランスを隔てるドーバー海峡をくぐるユーロトンネル(全長50`)の開業が、ズルズルとずれ込んでいる。英仏合弁によるトンネルの施工・運営会社のユーロトンネル社と、工事を請け負っているトランスマンシュ・リンク社(TML)との間で行われてきた、工事費の上積みをめぐる交渉が物別れとなり、欧柑共同体(EC)の市場統合に合わせた「統合のシンボル」の行方は、まだ暗やみの中だ。(ロンドン=後藤尚雄)
《脅し》
 ドーバー海峡に面した英国側のトンネル口、フォークストンでは、いま最後の仕上げ工事が進んでいる。すでに、鉄道用の2本のトンネル内にはレールが敷かれ、架線も張られた。旅客や自動車を乗せるターミナルもほぼ完成、ホームわきにはトラックの積み込み専用車も姿をみせている。
 「彼らは、トンネルの開業を遅らせて、脅している」。ユーロトンネル社のモートン社長は、開業延期を発表した4月19日の記者会見で、英仏10社の連合体であるTML に、怒りと不信感をあらわにした。
 電気、機械など付帯設備の工事見積額は、1985年当時の価格で6億2000万ポンド(約1000億円)だった。ところが、TMLは工事の手間が予想よりかかっていることなどを理由に、倍以上の14億5000万ポンド(約2450億円)への引き上げを要求した。
 ユーロトンネル社は、現金で9億3500万ポンド、株式で2億7000万ポンド分を払うところまで譲歩したが、TML側がこれを突っぱね、3月末に交渉が決裂した。
 トンネル本体の工事費を含めた総事業費も、大きく膨らんでいる。当初見積もりでは48ポンド(約8150億円)だったが、工事の難航や資材価格の上昇で、92年末には81億ポンドになっている。
 こうした状況に昨年末、この5月の予定だった開業が、12月に延期された。それが、さらにTMLとの交渉決裂で、いつになるか分からなくなった。
 結局、開業後の運転資金などを考慮すると8億5000万ポンドが不足するだろう、という。このため、ユーロトンネル社では、約220行が参加している国際融資団に4億−5億ポンドのつなぎ融資を要請中だ。だが、国際融資団による融資額は、すでに68億ポンドにのぼっている。日本勢はうち23%を占める最大の「金主」で、いまのところ、邦銀は「安易な増額には応じられない」と拒んでいる。
《メンツ》
 開業後は、パリ−ロンドン間を仏国鉄は新幹線TGVで、英国鉄は新型車両で運行する。しかし、英国側のトンネル出口とロンドンを結ぶ在来線にカーブが多く、スピードが出せない。このため、飛行機で1時間弱のパリ−ロンドン間が、トンネルを使っても3時間余りかかってしまう。
 英仏政府とも「ユーロトンネルは民間プロジェクト」として、直接の補助はしてこなかったが、仏政府は自慢のTGV網を欧州に張り巡らす一環になるとして、国鉄を通じて支援している。一方の英政府も3月、トンネルとロンドン間の新路線建設を支援する方針を明らかにした。両国政府の「メンツ争い」が、表面化しつつある。
 たしかに、新路線ができれはパリ−ロンドン間は2時間半に短縮されるが、あくまで民間プロジェクトなうえ、少なくとも25億ポンドを超す総事業費の調達のめどは立っていない。
《採算》
 計画では、1995年には海峡を渡る2050万人の半分がトンネルを利用する、などとなっている。しかし、開業当初の旅客や貨物の利用見込みは、まだ明らかにされていない。にもかかわらず、初年度の営業収入は6億ポンドとはじかれ、ノールトン広報部長は「英仏間の貨物輸送は、92年に前年比で10%も伸びており、この収入見積もりは極めて控えめ」と強調する。
 しかし、フランスの不況は、今年に入って一段と深刻さを増している。英国経済も、なかなか低迷状懸から抜け切れていない。
 現在の借入金金利負担だけで、初年度の営業収入の見込額と同じ6億ポンドに及ぶ。なんとか開業にこぎつけることができても、今度は通行料金の設定で苦労しそうだ。
・英仏海峡トンネル 海峡にトンネルを掘ろう、という最初の試みは1880年で、2000b掘り進んだところで行き詰まった。何度か再開されたが、技術、財政、「大陸から敵が改めてくる」との安全保障上などの問題にぶつかり、立ち消えとなってきた。1955年、英国防相が「英国の安全保障上、問題ない」と表明。81年9月にサッチャー英首相とミッテラン仏大統領の共同声明で調査開始が決まり、87年12月にトンネルの掘削を開始。全長50`のうち海底部分は38`で、青函トンネルより海底部分は3`長い。(朝日新聞)
4日■GW93 僕は運転士だよ ミニ車両500点展示 体験コーナーも 京都タワービル
 ブルートレインや新幹線など人気車両のミニチュア約500点を集めた「JR・私鉄模型列車の展示と運転模擬体験」が京都市下京区の京都タワービルで開かれており、3日も連休中の子供たちでにぎわった。
 大型連休の期間中、鉄道模型の楽しさを広く味わってもらおうと、関西の鉄道模型同好会「どうりん」と京都タワーが主催している。JRの特急車両を中心に、懐かしいSL車両や私鉄車両の模型がずらりと並んでいる。
 会場中央にはミニチュア列車を走らせる「模擬体験コーナー」が設けられ、早朝から集まったちびっこファンたちが順番に操縦レバーを握り、運転士の気分に浸っていた。5日まで。入場無料。(京都新聞)
■東北新幹線で停電
 3日午前6時15分ごろ、東北新幹線大宮−宇都宮間の上り線で停電した。約10分後に復旧したが、上越新幹線上野発新潟行きあさひ535号が運休したほか、東北、上越新幹線の上下13本が最高28分遅れ、約4000人の乗客が影響を受けた。
 JR東日本の調べでは、栃木県小山市の小山新幹線運転所を出発しようとした回送電車の電源系統の故障のため変電所のブレーカーが自動的に切れたらしい。(京都新聞)
6日■ひかり車内でスリ未遂、逮捕 京都府警
 京都府警捜査三課は5日、住所不定、無職水永和之容疑者(44)を窃盗未遂の現行犯で逮捕した。
 府警によると、水永容疑者は5日午前11時、東京発広島行きの新幹線「ひかり81号」が新大阪駅に停車中、グリーン車に乗っていた東京都杉並区大窪五丁目、設計事務所経営木村秀雄さん(53)が洋服掛けに掛けていた上着の内ポケットから現金50万円が入った財布を抜き取ろうとしたとして現行犯逮捕した。水永容疑者は後ろの座席から手を延ばしたが、直後に捜査員と目が合い、財布を元に戻した、という。木村さんは眠っていて、被害に気付かなかった。
 水永容疑者は容疑を否認している、という。
 「ひかり」車内はゴールデンウィークのUターン客らで込み合っていた。新幹線車内でのスリ被害警戒のため、捜査三課の捜査員5人が京都駅から乗り込んでいた。(京都新聞 夕刊)
7日■「のぞみ」カバー板に亀裂 JR西日本 全編成、90ヵ所で発見
 JR西日本は6日、同社が所有している東海道・山陽新幹線「のぞみ」の5編成すべてで、車体の下に取り付けられているステンレス製のカバー板62枚に計90ヵ所のひび割れが見つかったことを明らかにした。同社はひび割れがあった板をすべて新しい板と取り替えた。
 このカバー板については、山陽新幹線乗り入れを控えてのぞみが試運転中だった2月19日、三原−東広島間のトンネルで1枚が落ちているのが見つかっているが、営業運転開始以後はカバー板に関するトラブルは初めて。
 4月30日午後2時20分ごろ、博多総合車両所で点検中の1編成で、16号車のカバー板1枚に長さ約1aの亀裂があるのが見つかった。
 このため、翌日にかけて同社のほかの4編成を緊急に点検した結果、すべての編成で見つかったという。
 亀裂は最大で長さ7aで、ほとんどは1a程度。板は6ヶ所で直径1aのボルトで車体に固定されており、亀裂はそのボルト穴の周辺に集中していた。
 今回の亀裂はゴールデンウィークを前に行った一斉点検では見つからなかった。
 JR西日本は「トンネルに入ったときなどの車体の振動で、強い力がかかるボルトの周辺にゆがみが生じた可能性が強い」と判断。2ヶ月をめどに詳しい原因を調査して、板の材質や形状の変更も含めた補強対策を取りたいとしている。(京都新聞)
■のぞみ 床下カバー亀裂90ヵ所 総点検後の可能性
 JR西日本が保有する東海道・山陽新幹線「のぞみ」の5編成(1編成=16両)で、床下機器の保護板に最大7aの亀裂が合計約90ヵ所発生していたことが6日、同社の点検でわかった。JR東海も7日始発までに保有する18編成で保護板の緊急点検を実施する。亀裂が見つかった車両はすべて3月中旬から営業運転を始めたばかりの新型車で、4月下旬には異例の緊急点検も済ませ「安全宣言をしている。JR西日本は「安全に問題はない」としているが、「亀裂は総点検後の単機関に発生した可能性も強い」(車両課)とし、材質や強度を見直す考えだ。
 JR西日本によると、4月29日午後11時に博多に到着した東京発「のぞみ25号」を博多総合車両所で定期点検したところ、号車に取り付けてある縦約86a、横約49a、厚さ1_の保護ステンレス板の取り付けボルト周辺に亀裂を見つけた。このため保有する全車両の約4600枚の保護板を調べた結果、62枚に7aから5_の亀裂が約90ヵ所で発生していた。
 保護板は床下に取り付けてある電圧の変換装置や空調機器などを覆うカバーで、空気抵抗を軽減する役割もある。
 亀裂のある板は新しい板への交換や溶接補強を実施したが、時速270`の風圧や振動を繰り返し受けたことが亀裂の原因の可能性も強いとみて、材質や形状などを見直す方針だ。
 JR西日本は「汚れなどで総点検で見落とした可能性はあるが、風圧や振動を繰り返し受けて短期間に発生したとも十分考えられる。しかし、取り付けボルトによって締め付けは利いており、亀裂によって保護板が直ちに脱落する恐れはない」(車両課)と話している。
 「のぞみ」は山陽新幹線に延伸し、1時間に1本の割合で走り出した3月のダイヤ改定以降、臨時停車や運転打ち切りとなる異状が続出した。JR幹部らはその都度「新型車両の初期故障」を繰り返し、「運転しながら故障を見つけ直していくのが鉄道の使命」とも話した。しかし、新幹線運転士の中からは「国鉄時代に比べ試験が不十分」との指摘や「営業中止」を求める声も出た。
 このため両社は4月14日から26日まで、ネジの1本1本まで調べる異例の「緊急総点検」を実施。終了後には両社首脳が「今後の安全運行は万全」と宣言したが、その後もパンタグラフ部品を留めるボルトが折れる異状や、豊橋駅で敷石が飛んでホームの客に当たるなどの事故が起こっている。
 今回の多数の亀裂発生について、大阪府立大工学部の東健司助教授(機械材料)は「短期間でこれほど大きな亀裂が見つかったのは驚きだ」。山陽新幹線はトンネルが50%以上もあり、高速で通過する時に風圧が衝撃的にかかったのが原因ではないか。金属疲労が原因とは考えにくい」と指摘する。さらに「ステンレス板の強度は、たとえ時速270`とはいえ十分なはずで、7aの亀裂ができることはありえない」と話している。(朝日新聞)
■京都駅のCAT 開港時は仮施設 新駅ビル間に合わず
 関西新空港の搭乗手続きと手荷物の預け入れができるよう、日本航空とJR西日本がJR京都駅の新駅ビルな開設するシティ・エア・ターミナル(CAT)が来年夏とされる新空港開港に間に合わないことが6日明らかになった。CATが入る新駅ビルの完成が大幅に遅れるためで、開港時は目下建設中の仮駅舎の周辺に造る暫定施設でスタートさせる方向だ。
 暫定CATには、旅行荷物を受け付けてから、ホームに運ぶためのベルトコンベヤーは設置しない予定。新空港開港後、新駅ビルが全面開業するまでの約2年間、荷物は駅係員が手運びすることになりそうだ。(朝日新聞)
■GW利用状況 私鉄5社は軒並みダウン JR西日本、3年ぶり前年上回る
 JR西日本と関西の大手私鉄5社は6日、ゴールデンウィク期間中の利用状況をまとめた。JRは中・遠距離が好調で、新幹線と在来線(特急・急行)合わせた利用者総数が対前年比108%と、3年ぶりに前年を上回った。一方、私鉄は5社すべてが前年割れ。平均で対前年比3.8%減となった。
 JR西日本の利用者数は期間中(4月28日〜5月5日)に新幹線が約129万人(対前年9%増)、在来線が約113万人(同8%増)。2年つづいた前年割れから、大きく数字を伸ばした。同社では「曜日の配列から今年は大型連休となった人が多く、旅行者が増えた」とみており、利用者減の傾向が続くなか、平成2年レベルまで盛り返した結果に気をよくしている。
 京阪神近郊での主要駅の1日平均の乗車券発売数でみると、「アーバンリゾートフェア神戸'93」開催中の神戸地区が突出して好調で、神戸駅が前年比154%増の9200枚と大幅に増やしたほか、三ノ宮駅が同16%増。他の京都、大阪、奈良などは前年並みか、下回る傾向で終わった。
 私鉄5社(近鉄、京阪、阪急、南海、阪神)の期間中(4月29日〜5月5日)の利用者総数は約2009万人で、前年比3.8%のダウン。各社別では南海の5%減をはじめ、軒並み前年割れ。甲子園球場のプロ野球開催などで昨年は数字を伸ばしていた阪神も、今年は期間中の試合が前年に比べ1日少なく、2%減となった。
 日本民営鉄道協会は不調要因について「天候に恵まれなかったのが出控えに結びついた」と分析している。(京都新聞)
■JR・航空3社は好調 私鉄は軒並みダウン ゴールデンウィーク輸送前年比
 ゴールデンウィーク期間中の鉄道、航空の輸送実績が6日まとまった。JRと大手航空3社は新幹線や国際線が好調で昨年実績を上回ったが、日帰り組が中心となる私鉄各社は「前半の悪天候がたたった」と軒並み前年割れとなり、明暗を分けた。
 JR旅客6社がまとめた4月28日から5月5日までの全国主要47区間での下り片道の特急、急行の利用者は前年比6%増の約497万人。東海道新幹線は約222万人で3%、山陽新幹線は約67万人で11%、東北、上越新幹線も6%、2%、そせぞれ増えた。
 JR西日本によると、在来線も7%の増加となった。前半は天候に恵まれなかったものの、リゾート博が開かれた神戸地区への利用が増え、神戸駅の乗車券発売数は前年の2.5倍になった。
 同者によると、この時期に前年を上回ったのは3年ぶりで、1日から5日まで5連休となった曜日の組み合わせの影響とみている。
 日本航空、全日本空輸、日本エアシステムの大手3社の利用者数(4月29日−5月5日)も国内、国際線ともに前年を上回った。昨年はいずれも前年割れとなったが、今年は国際線が健闘し、3社の合計で約10万5500人と前年を約34%も上回った。国内線も同151万人で17%増だった。
 一方、日本民営鉄道協会がまとめた全国大手私鉄16社の定期外旅客の輸送実績(4月29日−5月5日)は約6738万人と前年よりも5.5%、約396万人も減った。近鉄、南海など関西5社も「前半の悪天候と不況感の影響による出控えが響いた」(京阪)と前年の3.8%減となった。(朝日新聞)
■14日に三回忌法要 信楽高原鉄道事故
 信楽高原鉄道とJR西日本は7日、一昨年5月の信楽高原鉄道事故の「三回忌慰霊法要」を、14日午後2時から甲賀郡信楽町勅旨の県立陶芸の森の信楽産業展示館で営むことを決めた。法要に先立ち午前11時半から同町黄瀬の事故現場で慰霊碑の除幕式を行う。
 法要には犠牲者42人の遺族やJR西日本の井手正敬社長、信楽高原鉄道の北川啓一社長ら約300人が参列する予定。黙とうの後、遺族代表らが慰霊・追悼のことばを述べる。除幕式には両鉄道会社の社長や遺族代表ら約100人が参列して除幕する。(京都新聞 夕刊)
8日■改定勤務制度無効求め提訴 JR西労
 JR西日本が3月に実施した乗務員勤務制度の改定は労働基準法に反するとして、JR西日本労働組合(JR西労、奥島彰委員長)の組合員ら10人は7日、新しい勤務制度の無効の確認を求める訴えを大阪地裁に起こした。
 訴えたのは、大阪新幹線運転所の奥島委員長や、下関運転所運転士の盛重耕二さん(34)ら。
 訴えによると、運転士、車掌の列車折り返し時の待ち時間は以前は労働時間扱いされたが、制度改定で労働時間にカウントされなくなった。下関−広島間のブルートレインの運転士が2人から1人に減らされた。
 JR西労は「待ち時間は、連続した緊張を強いられる乗務員にとって安全上も欠かせない労働時間」などの理由で改定に反対。同労組の同意を得ない一方的な不利益変更は労基法に反する−として、3月初めに新制度の無効の確認を求める仮処分を大阪地裁に申請していた。
 これに対し、JR西日本は「訴状をみたうえで対応する」と話している。(朝日新聞)
■カバー板の亀裂計18ヵ所 JR東海「のぞみ」
 東海道・山陽新幹線「のぞみ」の車両床下の変換器などの機器を保護するステンレス製カバー板の緊急点検を実施していたJR東海は8日、新たに1編成のカバー板2枚に計6ヵ所の亀裂が見つかったと発表した。
 これで亀裂は同社所有の「のぞみ」18編成のうち4編成のカバー板7枚に計18ヵ所となった。同社は亀裂部分は既に溶接補修しており、安全上の問題はないとしている。(京都新聞 夕刊)
■KTR特急に衝突 バイクの会社員重症 宮津線踏切
 8日午前6時50分ごろ、京都府中郡峰山町荒山のKTR宮津線新山踏切で、同町荒山、会社員多賀野恕平さん(61)のバイクが、網野発京都行きの特急タンゴエクスプローラー2号(3両編成)の右前部と衝突、多賀野さんは頭を切るなどの重症。乗客約80人らにけがはなかった。
 峰山署などによると、現場は峰山駅南約1`で、遮断機、警報機のない無人踏切。多賀野さんは、農作業から帰宅する途中で、列車は現場に25分停車。このため後続の列車10本に5−10分の遅れが出るなど約330人に影響が出た。(京都新聞 夕刊)
■ポイントに異常 一部列車に遅れ JR京都駅
 8日午前8時ごろ、京都市下京区のJR京都駅構内で、東海道本線上り快速電車が発車する際、信号が赤のまま変わらなくなった。
 駅員の調べで上り線のポイントに細い針金が挟まっており、約30分後に復旧した。湖西線の2本が運休、同線、東海道本線上りの13本が最高15分遅れ、約8000人が影響を受けた。(京都新聞 夕刊)
■特急「ゆふいんの森」大阪へ
 車内に美術館を持つハイセンスな列車で、九州の温泉観光地・湯布院を通るJR九州の人気特急「ゆふいんの森」が、7月初旬に大阪まで往復する。
 1989年に登場して以来、定期路線以外を走るのは初めて。関門海峡を潜り、山陽線を抜け、JR大阪駅で公開。広島からの観光客も乗せて帰る計画だ。
 長崎・ハウステンボスや宮崎のシーガイアなどの新興リゾート地に負けられぬ−と、大分県などが発案した大型観光キャンペーンで、「都会的な田舎・大分」を売り込む作戦とか。(朝日新聞 夕刊)
9日■整備新幹線 計画見直し論議 スピードダウン? 検討委、下旬にずれ込み
 整備新幹線の建設計画の見直しの舞台となる政府、自民党の検討委員会の設置が当初の予定より遅れ、初会合は今月下旬にずれ込む可能性が大きくなっている。カンボジア情勢や政治改革論議に加えて、推進役の関係地の国会議員の腰の重さも目立っており、目標の「今国会会期中(6月20日)の見直し案取りまとめ」は難しい情勢だ。
 自民党の整備新幹線建設促進特別委員会(委員長・三塚博政調会長)は12日、運輸省、JR東日本などから見直し問題についての意見を聞く。
 4月15日に北海道など関係5道県の知事を対象に行った意見聴取に続く「勉強会」で、これで見直しをめぐる関係者のヒアリングを終了、14日前後には政府、自民党の検討委員会の初会合を開催、見直し作業が本格化するはずだった。
 しかし、山積する政治日程の中で検討委の14日開催は無理なことが確実で、自民党、運輸省などでは景気対策のための本年度補正予算案審議のめどがつく24日以降にならさるを得ないとの観測が出ている。焦点の建設財源問題が難航していることなどから、今期末までのその後の約1ヵ月間で見直し案を取りまとめるのは困難との見方が強い。(京都新聞)
■NEWSスコープ 「関西高速鉄道」の用地買収疑惑 大阪市 解明に逃げ腰 第3セクターの特性を”逆手”出資率低く「監査権ない」
 大阪の都心を貫く片福連絡線の建設を進める第三セクター「関西高速鉄道」の用地買収疑惑で、有力な出資者である大阪市が、なぜか知らぬ顔を決め込んでいる。地価の動きに逆行するような高値での取引や、不動産業者「ライトプランニング」(エー・アンド・ワイに社名変更)への架空補償などが相次いで表面化したというのに、市は行政の監視権限が緩やかな第三セクターの特性を逆手にとって、疑惑の解明に逃げ腰だ。
 大阪市の佐々木伸助役のもとに、一通の「わび状」が届いた。差出人は三和銀行の部長。日付は2月未。問題の土地取引に絡んで、ライト社に融資した松下電器産業系のナショナルリースの内部文書に、佐々木助役と部長の名前が登場する。このことで迷惑をかけたのをわびる言葉が便せん3枚に並ぶ。
 佐々木助役は「わび状」を示しながら、「名前を使われて迷惑している。関西高速鉄道の問題に市が関与しているというのは、うがった見方」と話す。しかし、実際にはライト社との土地取引で、大阪市は重要な役割を果たしていた。
【深まる疑惑】
 ライト社は1991年3月中旬、大阪市西淀川区御幣島(みてじま)一丁目の国道2号に面した約460平方bの土地を市内の不動産会社から取得した。契約価格は約28億円。4ヵ月後、ライト社から同鉄道が買収した価格は、約37億9000万円にもはね上がった。
 取引過程で大阪市の関与した問題がいくつか明るみに出た。
 同鉄道側は安上がりの地上権設定で話を進め、ライト社もいったん応じたが、途中で買い取り要求に態度を変えた。交渉の代理には三和銀行を指名、同鉄道と三和銀行の交渉が大阪市役所で行われた。設定したのは市計画局の課長だった。
 同鉄道が買収した際、移転済みの店子をライト社が立ち退かせたとする架空の名目で、約2億3000万円の立ち退き補償費がライト社に支払われていた。
 この土地取引が、市土地対策室の誤った行政指導で、国土利用計画法の届け出をせずに行われていたことも発覚。地価高騰を抑える立場の行政側が高値取引を認めていたことになる。
【逃げ腰】
 疑惑は3月の市議会で取り上げられた。大阪市は同鉄道に約69億5000万円を出資していたからだ。しかし、市の答弁は終始、逃げ腰だった。
 担当窓口である計画局の室力松・調整部長は「出資率が監査対象に達していない」と強調し、西尾正也市長も「契約の当事者は関西高速鉄道。正当な法人格が商法の規定に基づいて取引したもの」と突っぱねた。
 地方自治法施行令は、自治体が50%以上出資する外郭団体について、調査をして議会に報告する義務があるとし、25%以上出資するものに対しては監査委員が監査できる、と定めている。大阪市の同鉄道への出資率は22.5%。監査権を持つ比率に達していないから調べる必要がない、というのが市当局の言い分だった。
【市民の監視】
 市民も疑惑追及に乗り出した。大阪市の公費乱脈事件をきっかけに行政の監視を続ける「市役所見張り番」。住民訴訟など広範な活動で、市当局や市議らの不正を追及しているが、今回はちょつと勝手が違った。
 第三セクターの活動に対しては、市民の税金を使っているにもかかわらず、住民監査請求や情報公開制度といった権利を直接行使できないのだ。室井力・名古屋経済大教授(行政法)も第三セクターについて、「議会や市民の監視を免れる手法のひとつ」と厳しい見方をする。
 「見張り番」は今、同鉄道が株式会社であることに着目している。株主でもある大阪市に土地取引の実態を調査させ、情報公開制度を活用して調査資料の提供を求める狙いだ。
 「見張り番」の事務局長をつとめる秋田仁志弁護士は「国士法に違反した取引であり、真相解明のためには告発も考えられる」とし、第三セクターの厚い壁に挑む。(朝日新聞)
11日■新感覚でつくっちゃお おしゃれ地下鉄駅舎 初の民間委託 延伸の鶴見緑地線
 画一的な規格で造られてきた大阪市営地下鉄の駅舎が「個性化の時代」を迎えた。同市交通局が延伸工事を進めている鶴見緑地線の7駅の設計に、開業から60年の歴史のなかで初の試みとして民間業者のデザイン感覚を採り入れる。沿線には国の特別史跡の大阪城や、高層ビルが立ち並ぶ大阪ビジネスパーク、おもちゃ問屋が並ぶ松屋町(末吉橋)などがあり、市は「地域のイメージを反映した親しみやすい駅をめざしたい」と話している。
 駅舎の設計はこれまで交通局内のデザイン委員会で青写真を描き、業者に発注していた。去年、市の登録業者から40社を選び、新設する7駅の総合イメージ、課題駅のデザイン構想を募ったところ、35社から提案があった。
 この中から審査委員会(委員長=足立孝・大阪大名誉教授)が、日建設計、大建設計など4社の提案を入選作に決定。局は7駅のコンコースなどの建築設計をこの4社に割り振り、委託した。
 大阪ビジネスパーク駅と末吉橋駅を担当する日建設計案は、各駅の個性をタイル、しっくいなど材料で表す工夫が評価された。心斎橋駅と長堀橋駅を受け持つ大建設計案は、心斎橋駅に「大阪の現代」、長堀橋駅に「大阪の近世」など、駅ごとにテーマをつけた構想が買われた。
 各駅の出入り口、コンコース、ホームのデザインの構造から床や壁の材質まで、これまでとは違うユニークな提案が次々に出され、現在、局と協議中だ。
 先に開業している鶴見緑地線の駅舎建築費は1駅平均約7億円。鶴見緑地で90年に開かれた国際花と緑の博覧会(花博)会場への「足」として整備された。最寄りの鶴見緑地駅では例外的に花びらをあしらったひさしを採用した実績がある。市は費用よりデザインを優先させる考えだ。
 延伸区間(5.7`)の総事業費は約1190億円。来秋着工し、96年春に完成する予定。
 既設線は乗客の伸びが予想を大きく下回ったため、市営地下鉄全体の赤字約215億円の3分の1以上を占める「お荷物」路線になっている。
 三浦久男・大阪市交通局建築課長の話 延伸区間は大動脈の御堂筋線と接続させ、乗客増につなげる考え。民間のデザイン感覚で、地域性を生かし、親しみやすく文化性の高い駅にしたい。(朝日新聞)
■のぞみ飛び石防止 樹脂固め
 東海道・山陽新幹線「のぞみ」が線路の敷石を飛ばし、ホームの乗客にけがを負わせた問題で、JR東海と西日本は10日、同じような事故を防ぐため、東京−博多間で「のぞみ」が通過する計24駅付近の敷石に合成樹脂をかけて囲める工事を12日未明から行う、と発表した。20日までに終える予定。
 両社によると、工事が行われるのは24駅の通過線上下の約500b部分で、合わせて約25`。樹脂をかけると敷石の表面に厚さ1、2_の膜ができ、接着効果があるという。東海道新幹線の三島駅近くで、斜面の石が流れ落ちるのを防ぐために実施、効果があったため行うことにした。
 工事費は計1億数千万円。耐用年数は3年だが、1年に1回、保守のために壊し、再工事する。また、樹脂をかけるには大型のジョウロを使うという。
 東海道新幹線では4月4日に岐阜羽島駅で、「のぞみ」の風圧で敷石が飛び、ホームの乗客に当たってけがをする事故が発生。西日本管内の山陽新幹線でも、試運転中の昨年12月、兵庫県明石市で敷石が線路わきまで飛び、乗用車の窓ガラスが割れるなどの事故があった。(朝日新聞)
■列車騒音が目標値越える JR瀬戸大橋線
 香川県が11日公表したJR瀬戸大橋線の列車騒音測定結果によると、同県坂出市の櫃石島で騒音の評価値(連続する20本の列車のうち騒音が大きい10本のパワー平均値)が76−74ホンとなり、一部が本州四国連絡橋公団の定めた環境保全努力目標値の75ホンを上回った。
 努力目標値を越えたのは平成元年7月以来で、香川県はJR四国に原因の究明と減音対策の実施を文書で申し入れる方針。 騒音測定は、春のダイヤ改正後の4月22日午後1時から24時間、瀬戸大橋直下の与島の2地点、岩黒島、櫃石島の書く1地点(いずれも坂出市)で実施した。(京都新聞 夕刊)
■烏丸線延伸着工へ
 京都市は11日、地下鉄烏丸線(竹田−北山間11.1`)の北部延伸(北山−国際会館間2.6`)工事について、6月3日に起工式をする、と発表した。1997年春の開通を目指す。(朝日新聞 夕刊)
12日■信楽事故遺族の会 月内 2社の提示なければ 損害賠償請求提訴も
 信楽高原鉄道事故の「犠牲者遺族の会」(吉崎俊三世話人)がJR西日本と信楽高原鉄道両社に対し、犠牲者の個別の賠償額提示を求めている問題で、遺族の会弁護団(秋田真志事務局長)は11日記者会見し、「三会忌も近いのに個別金額が提示されないのは誠意がない」として、今月中に明確な会頭がない場合、損害賠償請求の民事訴訟に踏み切ることも検討しているみとを明らかにした。
 遺族の会と弁護団は当初、損害賠償基準を開示するよう鉄道両社に求め民度調停を行っていたが、両社が「基準の開示は個人のプライバシーにかかわる」として拒否し調停は決裂。このため遺族の会は今年1月、賠償額を個別に算定するよう申し入れ、両社側も応じたため、所得証明などの必要資料をすべて提出し、金額提示を待っていた。
 ところが、その後も提示はなく、両社側でも算定基準についての打ち合わせが十分でないなど、今月30日に大阪市内で開かれる遺族総会までに提示される可能性もないことから、状況によっては提訴せざるをえないと判断した。
 弁護団の兼松浩一弁護士は「異例な遅れで極めて遺憾だ。金額提示のない示談交渉には応じられない」と話している。(京都新聞)
■地下鉄烏丸線 北山−国際会館 来月3日起工式
 京都市は11日、地下鉄烏丸線・北山−国際会館(仮称)駅間(2.6`)の起工式を、来月3日午前10時半から、左京区の国立京都国際会館で行うことを発表した。
 烏丸線は、京都初の地下鉄として1981年に、北大路−京都駅間(6.6`)が開業。続いて、88年に京都−竹田駅間(3.4`)の南伸、90年の北大路−北山間(1.2`)の北伸を果たしている。
 同区間の国立京都国際会館までの延伸は、昭和40年代から住宅開発が進行する市北部地域と、市の中心部を結ぶとともに、年間約950万人にも達する洛北への観光客にも足を提供。さらに国際コンベンションシティーとしての京都の発展に寄与する狙い。
 また、現在進められている東西線(醍醐−二条駅間12.7`)建設とともに、市内高速鉄道網の充実を図る。
 市は、昨年4月に同区間の鉄道事業免許を取得。その後、運輸省関係の工事施行認可や、建設省関係の道路下敷設許可、府の都市計画決定などの手続きを進めていた。
 起工式は、これらの準備が整い、今夏には着工が可能となる見込みとなったことから挙行されるもので、田辺朋之市長ら関係者が集い、式典を行って延伸区間の着工を祝う。
 同線の延伸工事は、総事業費約420億円。平成9年4月の開業を目指している。国際会館のほかには松ケ崎駅(仮称)の設置が予定されている。(京都新聞)
■JR西日本 「のぞみ」相次ぐ異状で 風の影響、再調査へ
 部品の亀裂やボルト折れなどの異状が続いている東海道・山陽新幹線「のぞみ」について、JR西日本は11日、走行中に受ける風の流れや圧力の測定を今月下旬に改めて実施することを明らかにした。これまでの異状の多くは、床下やパンタグラフ付近で起きているが、これらがどの程度、風の影響を受けるかの測定は営業前に実施していなかった。このため、トンネル内や時速270`同士ですれ違う際に受ける風圧を測定し、相次ぐ故障との関連を調べたいとしている。
 「のぞみ」は、山陽新幹線に延伸した3月のダイヤ改定以降、床下にある機器を覆うカバーの亀裂やリード線の断線、パンタグラフ部品を固定するボルトが折れるなどの不具合が相次いでいる。
 山陽新幹線はトンネルが全線の50%以上を占めるため、運輸省などからは「風圧の影響ではないか」との指摘が出ていた。しかし、営業運転前に行った風圧試験では、車体そのものが圧力変動でどの程度たわむかなどを調べるため、側面を中心に測定したという。
 測定に使う車両は、メーカーから20日に受けとる1編成(16両)。実際の運行を忠実に反映するため、日中にダイヤの合間をぬって行う計画で、トンネル内をはじめ、営業運転中の「のぞみ」とのすれ違い時の風圧データや車体周辺の風の流れなどを測定し、ボルトやカバーなど細かい部品への影響を探る。
 同社鉄道本部長の梅原利之常務は「最も安全にかかわる車体そのものの風圧測定は十分行ったが、リード線など取り付け部品への影響については配慮が足りなかった。データ次第では部品の強度や材質など設計変更も実施する」と話している。(朝日新聞)
■旧国鉄指令長ら有罪 余部鉄橋事故で神戸地裁判決 3被告 禁固刑、猶予付き
 昭和61年12月、兵庫県城崎郡香住町の旧国鉄山陰線余部(あまるべ)鉄橋から回送中のお座敷列車(8両編成)が転落、6人が死亡、6人が重傷を負った事故で、業務上過失致死傷、同往来妨害の罪に問われた当時の福知山鉄道管理局列車指令長田中豊之(50)、同副指令長寺川常男(44)、同指令員山岡修(44)の3被告の判決公判が12日午後、神戸地裁で開かれた。加藤光康裁判長は、田中被告に禁固2年4月、寺川被告に同2年、山岡被告に同2年6月、それぞれ執行猶予3年(求刑各禁固2年6月)を言い渡した。
 判決理由の中で、@列車を鉄橋に進入させれば強風で脱線、転覆の危険性があると知り得たのに、列車を止めず、注意義務を怠った責任は重いA社会に与えた衝撃は大きく、公共交通機関の安全性に対する信頼を揺るがせた−などとした。
 判決によると3被告は、福知山市のCTCセンター(列車集中制御所)で列車指令業務に就いていた61年12月28日午後1時10分ごろから2度にわたり、余部鉄橋で風速25b以上の強風が吹いていることを示す警報装置が作動、列車が転落する危険があったのに、内規の定める停車措置を怠り、列車をそのまま進行させた。
 列車は同鉄橋上で突風にあおられ、客車七両が約40b下に転落、カニ加工工場の作業員と車掌の計6人が死亡、6人が重傷を負った。
 検察側は論告で「事故は規定を順守すれば避けられたのに風を甘く見て列車抑止を怠った。安全性が高度に求められる列車の脱線転落で、社会に与えた衝撃も大きい」と3被告の責任を指摘していた。
 これに対心被告・弁護側は、警報装置が作動した際、電話で鉄橋近くの駅へ風の状況を確認する実務の慣行が定着、運転強行が常態化していたとした上で「旧国鉄全体が強風対策を怠り、現場の教育が不十分だったのが事故の最大の原因。被告らは職場慣行通りに指令をしており、強風による危険発生の認識はなかった」と無罪を主張していた。
 余部鉄橋事故 昭和61年12月28日午後1時24分ごろ、兵庫県城崎郡香住町余部の旧国鉄山陰線余部鉄橋(全長 310b、高さ41.45b)から、回送中のお座敷列車「みやび号」の客車7両が強風で転落。直下のカニ加工工場を押しつぶし、工場の女性従業員5人と列車の車掌1人が死亡したほか、従業員ら6人が重傷を負った。県警は62年12月、事故当日の列車運行を担当した指令長と上司の列車課長ら計5人を書類送検したが、神戸地検は上司2人については不起訴処分とした。(京都新聞 夕刊)
■新幹線駅で敷石固め 「岐阜羽島」などから工事 JR東海
 乗客の負傷事故が出たJR東海道・山陽新幹線「のぞみ」による敷石飛ばしを防止するため通過駅構内の敷石を樹脂で固める工事が12日未明から始まった。
 JR東海は、先月ホームで列車を待っていた乗客に敷石が当たる事故があった岐阜羽島、豊橋両駅から着手。列車の運行が終わった12日午前零時半ごろから、作業員約30人が両駅の上下2本の通過線で、エチレン酢酸ビニールの乳剤を敷石に散布した。
 JR西日本は14日未明、姫路駅で工事を始める予定。樹脂散布作業は24駅で20日まで続く。
 岐阜羽島駅では4月4日「のぞみ」が通過中はね上げられた敷石でホームの乗客がけがをする事故があり、JR東海、JR西日本両社は時速250`以上で走る区間で敷石をまくら木から5a下げた。(京都新聞 夕刊)
■12人死傷の余部鉄橋事故 判決言い渡しへ 神戸地裁
 1986年12月28日、兵庫県城崎郡香住町余部(あまるべ)の旧国鉄山陰線余部鉄橋から回送中の列車が強風で転落、下敷きになったカニ加工場の従業員ら12人が死傷した事故で、業務上過失致死傷と業務上過失往来妨害罪に問われた当時の国鉄福知山鉄道管理局(現JR西日本福知山支社)の列車指令長ら3人に対する判決が12日午後、神戸地裁(加藤光康裁判長)で言い渡される。
 起訴されているのは元指令長田中豊之(50)→元福指令長長谷川常男(44)→元指令員山岡修(44)の3被告(いずれも現在は福知山支社運輸課勤務)。
 この事故をめぐっては、鉄橋上の風速計の故障を放置するなど、旧国鉄のずさんな安全管理の実態が、事故調査や公判の過程で次々と明らかになった。JR西日本は3人に対する処分はせず、事実上個人に責任がないとする姿勢を取っている。
 検察側は「風速25b以上で警報ブザーが鳴った場合は列車を止める」とした内部の規程が守られていなかった点を重視。3人にそれぞれ禁固2年6月を求刑した。
 これに対し弁護側は、警報ブザーが鳴った場合でもすぐに列車を止めず、香住駅に電話をして風の状況を確かめる慣行があり、事故はその間に起こったと主張。過失責任はないとして無罪を求め、全面的に争ってきた。
・余部鉄橋列車転落事故
 1986年12月28日、兵庫県香住町の旧国鉄山陰線余部鉄橋から回送中のお座敷列車「みやび」(8両編成)が強風にあおられ客車7両が転落。直下のカニ加工場の従業員5人と車掌1人が死亡、6人が重傷を負った。87年12月、県警が当時の福知山鉄道管理局職員5人を業務上過失致死傷などの疑いで書類送検。神戸地裁は88年8月、上司2人を嫌疑不十分として不起訴とし、事故当日、列車指令業務をしていた3人を起訴した。(朝日新聞 夕刊)
13日■社説「人災」だった余部鉄橋の事故
 兵庫県・香住町の旧国鉄山陰線余部(あまるべ)鉄橋事故の判決公判が、神戸地裁であった。
 判決では、業務上過失致死傷などの罪に問われた当時の福知山鉄道管理局列車指令長ら3被告に禁固2年6月から同2年、それぞれ執行猶予3年を科した。
 事故は昭和61年12月、回送列車が強風にあおられて転落、直下の工場の作業員や車掌ら12人が死傷したケースだ。裁判長は「強風で列車転覆の危険性があったのに、列車を止めず、注意義務を怠った」と、3被告の責任を認めた。いわば「人災の事故」と判断したわけで関係者に防災と安全体制の確立を、厳しく問うたものといえる。
 裁判は事故が気象状況による不可抗力の天災か、または強風が吹き、警報が示されたら列車を止める旧国鉄の運転取扱基準規定の措置を怠った人災か、それとも警報装置の作動後、電話で鉄橋近くの駅へ状況を確認する職務慣行に従った上での事故なので、安全に対する運行システムに問題があったのか、などの点で争われてきた。
 裁判長は、その結論を判決の中で3被告の責任とともに「事故防止設備の不備や欠陥があり、強風の危険性に対する特別教育もなかった」と、旧国鉄当局の管理責任も問い「公共交通機関の安全性への信頼を揺るがせた」と指摘した。遺族や今なお後遺症に悩む被害者の無念さを思うと、安全への万全を期さねばなるまい。
 この事故を契機にその後発足したJRは、当然なことだが、全国の危険な鉄橋に対し風速計と停止信号が連動した装置を設置するなど、対策の見直し強化に乗り出している。余部鉄橋ではこの装置の増設と、運行基準を風速25b以下から20b以下へと、厳しい内容に変更している。そのために強風による停車、運休本数が急激に増え、地元の通勤、通学など生活に影響が出て、自治体がJR当局に「定時運行確保」を要請したりして、利用と安全のあり方にジレンマが生じている。設備の充実と安全運行は、何といっても最優先のテーマと考えたい。
 余部鉄橋事故の背景には当時、翌年4月の分割民営化に向けて労使間が緊張していた折りで、ダイヤ厳守・利潤追求重視の体質があったと分析されている。この傾向は、JRとして発足後も「強い企業体力を築く」といって経営効率化の形に変えて受け継がれているようだ。しかもJR東日本は今秋、同西日本もその後に続いて株式上場を目指しており、収益を上げる業務体制の確立は、当たり前のこととして大切な用件である。
 しかし、このことを追い求めるあまり運行システムに無理が生じたり、安全が二の次になるようであってはなるまい。
 JR西日本管内では、今年に入ってからだけでも十数件の事故が発生しており具体例を挙げるまでもないが、原因の多くは人為的なミスで占められている。そんなことから3月下旬、運輸省が同社に異例の警告書を出したのである。
 余部鉄橋の事故は、社会に与えた衝撃も大きかった。今度の判決は、事故を起こした旧国鉄の体質が裁かれただけでなく、JR、公共交通機関関係に従事する人たちに対して、改めて「人を運ぶ」という責任や自覚を促した。同時にいかなる場合でも「安全が基本」になることを警告したものと受け止めたい。(京都新聞)
■余部鉄橋事故神戸地裁判決 判決要旨
 12日、神戸地裁で言い渡された余部鉄橋事故の判決理由要旨は次の通り。
 争点に対する判断
 1 事故発生の予見可能性
 旧国鉄福知山鉄道管理局の内規で、列車指令は風速25b以上でブザーが鳴った時は停止信号を出すことを定めていた。指令員には養成教育があり、被告らは余部鉄橋上で強風による列車転覆の危険性があることを認識していたと考えられる。当日、被告らは強風警報発令中であることを知っており、本件列車を進入させれば、脱線、転覆する危険性のあること予見できた。
 2 内規に反する慣行
 従来、かなりの指令員が内規と異なる取り扱いをしていた。そのうち、列車が余部鉄橋に接近している場合まで、まず香住駅に風の状態を問い合わせるという取り扱いは、抑止前に列車が鉄橋に進入する恐れがあることなどから、危険、不合理で内規の趣旨に反しており、認められる余地はない。
 3 列車抑止の期待可能性
 内規で列車抑止を行うべきことは新任者養成では正しく教育されており、被告らが仮に誤った取り扱いを先輩などから見聞きしたとしても、内規を順守する義務があった。
 4 上司の管理責任
 指令員に対する強風についての指導教育が十分ではなかったが、上司の管理責任の有無にかかわらず、被告らには刑事責任が認められる。
 5 回避の時間的可能性
 被告らがブザーが鳴った後直ちに停止信号を出していれば、運転士がこれに気付き、列車を抑止できた。
 量刑の理由
 1 被告らは列車を進入されれば強風によって脱線、転覆の危険性があることを知り得たのに、これを見過ごした業務上の注意義務違反の程度は相当重い。本件の結果、被害は広範、深刻で、社会に与えた衝撃は大きく、公共交通機関の安全性に対する公衆の信頼をゆるがせた。
 2 他方、余部鉄橋の強風についての事故防止設備に不備、欠陥があり、現場の指令員に対し強風警報の報知が列車の脱線、転覆を含む危険の報知であることの具体的指導を欠き、強風の危険性に対する特別な教育もなかった。指令長を含む相当多くの指令員が内規に反して安全性を欠く誤った取り扱いをしてきており、被告らが安易に同調したのは無理からぬ面がないではなく、幹部職員がその状況を放置してきたことにも手落ちがなかったとはいえないことなどを考慮し、禁固刑の選択はやむを得ないが、刑の執行を猶予する。(京都新聞)
■旧国鉄の体質に警告 望まれる組織的安全対策
 余部鉄橋事故をめぐる裁判は一義的には現場担当者の刑事責任の有無が問われたものの、旧国鉄の組織的な安全管理態勢が裁かれる場でもあった。
 その意味から12日の神戸地裁の判決は、現場サイドに改めて厳しい安全注意義務をはたす課すとともに、旧国鉄の安全軽視ともいえる体質に踏み込んで警告を発した判断といえ、意義深い。
 公共交通機関は高度の安全性が求められるが、被告・弁護側は強風警報装置の作動時の措置について、直ちに列車を止めるよう定めた内規を無視する職場慣行があったなどと主張、大きな争点となった。
 この点について判決は「危険、不合理で是認される余地はない」として職場慣行の効力を否定、担当者の過失を認定した。とはいえ当時、旧国鉄は分割・民営化、新会社移行に向け、徹底的な合理化を進めていた時期。定時運転が優先され現場には列車を止めるのがためらわれるような雰囲気があったともいわれる。
 判決は、多くの指令員が内規に反した措置をし、それを幹部職員が放置していた事実を認定「手落ちがなかったと言えない」とした。
 さらに、事故防止設備の不備や欠陥、危険性に対する特別な教育の欠如など旧国鉄の体質に触れ、「指弾」する形となった。
 旧国鉄から業務を引き継いだJR各社は、今回の判決内容を十分に吟味し、あらゆる事故に備えたより一層の組織的な安全対策の徹底が求められるだろう。
・真相解明には限界
 旧国鉄の余部鉄橋事故で神戸地裁が執行猶予付きの有罪判決を下した。この判決をどう読むか、識者に聞いた。
 板倉宏・日大教授(刑法)の話 被告が注意義務やマニュアルに違反していたというのはその通りだが、もっと上の管理者や設備上の不備についても触れており、判決事態としては妥当と思う。
 すぐには列車を止めないという慣行が争点となったが、本来は認められないものにもかかわらず、定刻で列車を走らせるという旧こてつの方針のため、実際上の慣行になっていた。順法闘争というのがあるように、規則通り走らせたら遅れが出るのが普通で、今回の判決に執行猶予が付いているのは、こうした背景や旧国鉄の安全に対する取り組み、体質を問うている、と思える。
 鉄道問題に詳しいジャーナリスト立山学氏の話 本当は被告席には国鉄の責任者や民営化政策が座るべきで、真相解明の上で事故裁判の限界を感じる。
 当時は国鉄の民営分割化への過渡期の異常な時期だった。1月前に国会で民営分割法案が通り、だれが残れるか、厳しい選別が行われていた。安全より、利益や効率第一に意識改革できているかどうかが審査基準であり、現場は大きなプレッシャーで異常になっていた。
 判決はこうした状況に全く触れておらず、再発防止のための教訓になっていない。本当は経営者の安全意識が裁かれるべきで、事故後、安全第一にと反省していれば信楽列車事故も起きなかったはずだ。(京都新聞)
■余部事故判決 「猶予は仏への冒とくだ」 遺族側から無念の声
 昭和61年12月、兵庫県城崎郡香住町の旧国鉄山陰線でお座敷列車が転落、12人が死傷した余部鉄橋事故の判決が12日、神戸地裁で言い渡された。旧国鉄職員への有罪判決について、遺族、被告側は判決後それぞれ記者会見した。「執行猶予は仏に対する冒とく」とする遺族側に対し、被告側は「判決は末端指令員のトカゲのしっぽ切り」と強調。双方の立場から不満の声を上げた。
 同日午後2時半、神戸弁護士会館で、鉄橋真下のカニ加工工場で働き犠牲となった主婦5人と車掌の遺族計6人が会見。事故遺族連絡会の代表で、妻岡本晴子さん(46)=当時=を失った倫明さん(59)は無念そうな表情で「犠牲者が浮かばれる判決を期待していたのに…」と話し、被告全員の執行猶予について「不愉快です」と唇をかみしめ、報道陣を見据えた。
 一方、被告・弁護人側の会見には、JR西労組幹部も同席。小島信勝主任弁護人は「末端の指令員には酷な判決」と、重い口調。「三被告は実務慣行に従っただけ」とし、「結局トカゲのしっぽ切り」とつぶやいた。(京都新聞)
■余部鉄橋転落事故 列車指令の3人有罪 強風下、停止怠る 猶予付き 禁固2年6月−2年 旧国鉄の管理不備を指摘 神戸地裁判決
 兵庫県城崎郡香住町の旧国鉄山陰線余部鉄橋から列車が転落した事故で、業務上過失致死傷と業務上過失往来妨害罪に問われた旧国鉄福知山鉄道管理局(現JR西日本福知山支社)の列車指令長ら3人に対する判決公判が12日午後、神戸地裁であった。加藤光康裁判長は「強風下で列車を運行させれば転落する危険があることは予想できた。規程に反して列車を止めなかった注意義務違反の程度は重い。公共交通機関に対する信頼を揺るがせた」として、田中豊之元指令長(50)に禁固2年4月、寺川常男元副指令長(44)に禁固2年、山岡修元指令員(44)に禁固2年6月で、それぞれ執行猶予3年のついた有罪判決(求刑はいずれも禁固2年6月)を言い渡した。
 判決は旧国鉄の安全管理体制に触れ、「事故防止設備に欠陥があった。幹部職員は強風に対する具体的な指導、教育をせずに放置した」と指摘した。
 判決によると、3人は1986年12月28日、同管理局列車集中制御装置(CTC)指令室で列車指令業務に当たっていた。午後1時10分ごろと同21分ごろの2回、余部鉄橋上で風速25b以上の強風が吹いていることを示す警報ブザーが鳴った。この場合、列車を停止させる規程があるにもかかわらず、担当の山岡元指令員は信号を変えるなどの措置を取らなかった。監督する立場にあった田中元指令長と寺川元副指令長も停止を命じるなどしなかったため、強風により客車7両が鉄橋から41b下に転落。直下のカニ加工場で働いていた主婦ら6人を死亡させ、6人に重傷を負わせた。
 公判で弁護側は、警報ブザーが鳴っても、現場に近い香住駅に電話をして風の状況を確かめてから対応を決める慣行が局内であり、規程通り直ちに列車を止める注意義務はなかったと主張。こうした慣行の有無が最大の争点になった。
 判決は「指令長を含む相当多くの職員が規程に反する誤った取り扱いをしていた」と慣行の存在を認めた。しかし、@問い合わせ中に列車が鉄橋に進入する恐れがあるA構造上、ブザーを止めた後3分間は警報が鳴らなくなる−などの点を指摘。「危険、不合理で是認される余地はなく、規程に優先した効力をもつことはない」とした。
 さらに、3人の被告が指令員になる際に「ブザーが鳴ったときは列車を止めるよう教育を受けていた」と認定。強風で列車が鉄橋から転覆する危険があることは十分予想できた、と判断した。そのうえで「2回目のブザーが鳴った後直ちに停止信号を点灯させていれは、鉄橋に入る前に列車を止めることは可能だった」と過失責任を認めた。
 また、同管理局の指導、教育の不十分さを認めたものの、「被告らに注意義務違反があったので上司の管理責任の有無にかかわらず刑事責任はある」とした。
 判決は、3人が規程違反をした事情について「当時は指令員らの間に規程に反する危険な取り扱いが広まっており、被告らが安易に同調したのは無理からぬ面があった」と執行猶予とした理由を説明した。(朝日新聞)
■余部事故判決 遺族は「不愉快」 被告側 現場だけの責任は酷
 「不愉快」と憤る遺族に、「無罪を信じていたのに」と漏らす被告側。神戸地裁で12日、旧国鉄職員3人に執行猶予つきの有罪が言い渡された余部鉄橋事故の判決は、関係者に波紋を投げかけた。
 遺族と被告弁護団は午後2時過ぎ、神戸弁護士会館でそれぞれ会見した。
 遺族連絡会の岡本倫明会長は、執行猶予がついたことに「仏を無視した冒とく。せめて求刑程度の判決を期待していた。不愉快に思う」と口火を切り、JR西日本に対して「判決を機に、二度と惨事を繰り返さないように万全を尽くしてほしい」と注文をつけた。亡くなった車掌足立明さんの妻佳世子さん(53)は「国鉄最後の混乱期に事故は起きた。主人は亡くなる直前、民営化は無茶だったと、吐き捨てていました」と言って、声を詰まらせた。
 一方、旧国鉄の組織としての責任を追及してきた被告弁護側は会見で、執行猶予がついたことを評価しながらも、「現場の労働者だけの責任を問うのは酷だ」と不満を述べた。続いて開かれたJR西労組の報告集会では、矢後希悦委員長が「無罪を信じていた。残念だ」と漏らした。
・教育の不備など主張いれられた
 小鳥信勝弁護団長の話 事実関係の認定で厳しい部分もあったが、情状面で設備や教育の不備などの主張もいれられた慎重な判決だと思う。検察の論告が言うような「事故の責任はすべて三被告にあった」のではないと判断されたから、執行猶予がついたのだろう。控訴については判決をよく検討し、本人らと相談のうえ決める。
・事故防止に一層努力 JR西日本
 JR西日本は12日午後3時、安全対策室長の山崎正夫取締役が会見し、「国鉄当時のこととはいえ、判決の趣旨を十分に踏まえ、より一層の事故防止に努め安全輸送に取り組む」と述べた。余部鉄橋事故の後も信楽高原鉄道事故やうっかりミスによる脱線、踏切事故が相次いでいることについては、「おわび申し上げる。機構改革や反省にたった対策を講じている最中であり、必ず効果が出てくると確信している」と話した。(朝日新聞)
■貨物1両が脱線 JR梅小路駅 ブレーキ忘れ
 13日午前3時20分ごろ、京都市下京区のJR梅小路駅構内で、静岡県・吉原発梅田行き貨物列車=杉山克好機関士(51)=の貨車50両のうち44両が、突然、動き出して、80メートル先の車止めの盛土に乗り上げ、先頭の1両が脱線した。けが人や他の列車への影響はなかった。
 京都府警鉄道警察隊とJR貨物の調べでは、駅員らが列車先頭の6両を切り離して3番線に移した後、残った44両が傾斜のある線路を走り出したという。駅員らは「ブレーキをかけ忘れた」と話している、という。(京都新聞 夕刊)
■貨物列車が脱線 JR梅小路駅
 13日午前3時20分ごろ、京都市下京区梅小路頭町のJR梅小路貨物駅構内で、止めていた吉原発梅田貨物行きの貨車44両が突然動き出し、約80b先の車止めの砂利盛りに乗り上げて、先頭の1両が脱線した。JR貨物によると、事故は貨車の入れ替え作業中に作業員がブレーキをかけ忘れたため、貨車が緩い下り坂で動き出したとみられる。けが人はなく、旅客列車に影響はなかった。(朝日新聞 夕刊)
14日■弱視者用の私鉄駅構内案内帳完成 大文字と太い線 見やすい地図に 京阪神の11駅 利用希望者募る
 弱視の人たちが駅での乗り換えなどに困らないようにと、京阪神の私鉄主要駅について、構内通路からバス乗り場まで見やすく分かりやすい地図に表した案内帳の第一集が、京都のボランティアグループ「弱視者用地図製作研究会」(代表・尾崎永一さん)によって作られた。グループは利用希望者を募っている。
 案内帳は、京阪神の私鉄のうち、阪急、阪神、神戸高速鉄道の主要11駅を取り上げている。京都関係は阪急の大宮、烏丸、河原町の3駅。
 弱視の人たちには、駅構内などに表示や案内板があっても、役に立たないケースが多いだけに、案内帳は、B4判の用紙に見やすいように太い線と大きな字で印刷している。
 内容は、例えば阪急烏丸駅は▽地下2階ホーム、地下1階東改札口と出口▽地下1階西改札口と出口▽地上の出口とバスのりば−の3nの地図に、エレベーターや上り・下り別のエスカレータ、改札口、券売機、駅員のいるところ、男女別トイレ、電話、コインロッカー、バス・タクシー乗り場などをもれなく記号などで表示。バスの行き先案内も乗り場別に2nを充てている。
 また、行き先に応じて必要な部分だけをとりはずし、携行できるようにしているほか、各路線図も入れ、全部で48n。
 案内帳を作った同研究会は、京都ライトハウスを拠点に視覚障害者のための点訳などをしているボランティアグループ「点友会」(石津利幸代表、148人)のメンバー5人で構成。弱視者の意見を取り入れながら各駅を丹念に調べ、実際に違和感なく歩けるように工夫をこらした。2年がかりの労作という。
 同研究会は、第2集として京阪電車版を製作中で、今秋には発行できる見通し。メンバーの尾崎あや子さんは「いずれは東京の私鉄、地下鉄も」と意欲的だ。
 利用希望者は62円切手6枚を同封して〒621亀岡市東つつじヶ丘曙台1 の7 の17 石津利幸さんまで申し込む。(京都新聞)
■グリーン車内30度 「のぞみ」今度は冷房故障
 13日午後2時ごろ、山陽新幹線の小郡−徳山間を走行中の博多発東京行き「のぞみ18号」(16両編成)のグリーン車の空調(冷房)装置が壊れ、車内の温度調節ができなくなった。新大阪駅でグリーン車内の温度が30度を越え、修理もできないことから車両交換して、東京まで運転した。JRは乗客を普通席へ案内するとともに、グリーン料金の全額を払い戻しする手続きをした。
 JRによると、運転席にあるパネルに空調装置の異状が表示された。車掌が調べると、グリーン車の8、9、10号車にあるブレーカーが落ちていた。一時、車内蛍光灯も消え、非常灯が点灯した。車両はJR東海の保有で、昨年3月から営業運転している。同社は過電流が原因とみて調べている。
 JRによると、広島駅までグリーン車には約40人が乗車していた。車掌が故障を知らせ、普通車への変更を1人ひとりに「払い戻し証明書」を手渡して要請した。広島、岡山からの乗客約20人も同様の案内をしたが、苦情はなかったという。グリーン車内の温度は岡山で29度、新大阪では約31度にもなったが、「我慢する」と座り続けた乗客もいたという。
 昨年3月、東海道新幹線で「のぞみ」が営業を初めて以来、空調装置が故障したのは12回目。これまでの事故はいずれも空調装置の回路異状やフィルターの汚れによるもので、過電流とみられる故障はない。冷房不良による払い戻しは初めてという。(朝日新聞)
■信楽事故遺族の会 補償交渉に応じる JRなど近く額提示
 42人の犠牲者を出した一昨年5月の信楽高原鉄道事故で、これまで補償交渉に応じなかった「遺族の会」(犠牲者21人、吉崎俊三世話人代表)に対し、今月末にもJR西日本と信楽高原鉄道が補償額を示す見通しとなった。同会は、JRの刑事責任を追及するには法の壁が厚い▽事故から2年で会の内部に補償交渉を進めてほしいとの声が出てきた−などから、交渉のテーブルにつくことにしたという。
 事故の補償は、鉄道関係者を除く死者37人と負傷者612人が対象。JRと同鉄道でつくる「ご被災者相談室」によると、これまでに死者8人の遺族と示談が成立し、他の8人との間で交渉が進んでいる。負傷者は、退院後も通院治療が必要な70人を残して示談が成立。これまでの補償総額は、治療費を含めて8億8000万円になっている。
 同会は、事故原因の解明が先だとして、これまで補償交渉には応じてこなかった。3月にはJR側の刑事責任追及を見送った大津地検の処分を不服として、大津検察審査会へ審査を申し立てた。
 しかし、すでにJR抜きの公判が始まったことなどを考慮して、補償交渉に入ることにし、先月末までに、補償額の算定に必要な書類を提出した。
 同会弁護団事務局長の秋田真志弁護士は「示談に応じるケースもあるだろう。しかし、損害賠償請求の訴訟を起こし、JRを含めた事故責任を明らかにさせたいとする意見も、なお強い」と話している。(朝日新聞)
■91年5月14日…”傷いえず”
・信楽事故の後遺症認定者 この1年5倍の57人 負傷者の2割 なおリハビリ 相談室まとめ
 信楽高原鉄道事故の負傷者のうち、後遺症認定者が57人にのぼり、昨年の一周忌時期の5倍にもなっていることが、高原鉄道とJR西日本両社でつくる「ご被災者相談室」の14日までのまとめで分かった。事故発生から丸2年になるが「5・14」は今も、遺族の胸中だけでなく、被災者にも暗い影を落とし続けている。
 「救助されるまでの4時間、母の名を呼び続けました。私にとって『事故』は一生続く地獄絵」。14日に行われた三回忌法要に出席した大阪市内の会社員A子さん(38)は、JR列車に一緒に乗っていた母親を亡くし、自身も認定者となる大けがを負った。痛めた肩と背中はひんぱんに激痛に襲われ、今も整形外科のリハビリを受けている。「電流で貫かれるように首がズキズキうずき、肩凝りもひどくて…」。
 相談室によると、これまでに負傷者614人の約八割が示談を済ませている。このうち、後遺症申請者は69人(前年同期10人)、認定者は57人(同10人)で、申請者、認定者とも1年前の約5倍にもなっている。
 申請には、事故による負傷の影響で治療後も「しびれなどが残る」という医師の最終診断書が求められる。だが、負傷者の約2割は症状の進行防止のための検査やリハビリを続けており、相談室では今後も申請者、認定者とも増えるとみている。
 最も長期間の入院を強いられ、2週間前に退院したばかりの中島イトさん(68)=滋賀県甲賀郡信楽町=はこの日、自宅で高原鉄道で失った夫と孫のめい福を祈った。自身まだリハビリ中のつらい身だ。「足が痛くて夜も寝れん。えろうて、えろうて…」。中島さんのように、2年の月日が経っても、申請に必要な最終診断書が得られていない人は少なくない。
・慰霊の碑除幕 事故現場 3回忌法要
 42人の犠牲者と614人の負傷者を出した信楽高原鉄道事故から満2年たった14日午前、滋賀県甲賀郡信楽町黄瀬の事故現場で遺族らによる三回忌法要と、信楽高原鉄道・JR西日本両社主催の慰霊碑除幕式がしめやかに行われ、遺族ら約200人が悲しみを新たにした。午後からは、鉄道両社による「三回忌慰霊法要」が営まれる。
 雨となった事故現場には、遭族ら約80人が参列。事故発生時刻の午前10時35分、鉄道両社が建立した事故現場碑の前で全員が黙とうした後、JR列車に乗車していた夫を失った大阪府茨木市、後藤泰子さん(51)が遺族を代表して弔辞を朗読。「事故原因が明らかにされないまま三回忌を迎えるのは心苦しいですが、42人の尊い犠牲は私たちの胸の中に生きています」と声をつまらせながら霊前に語りかけた。
 続いて、娘を亡くした大阪市浪速区、僧りょ中田明道さん(80)が読経する中、参列者が次々と焼香し、手を合わせた。法要中の10時23分と同57分には、高原鉄道の上り列車が現場を通過、最徐行して弔笛を響かせた。
 慰霊碑除幕式は同11時半から行われた。事故現場南側の線路沿いに設けられた高さ5.5bの白御影石製の慰霊碑には、犠牲者全員の名前と鉄道の安全を祈る文面が刻まれており、京都市伏見区、伊原いとさん(65)ら4遺族と、高原鉄道・JR西日本両社長の手で除幕された。
 鉄道両社による「三回忌慰霊法要」は午後2時から、同町勅旨の信楽産業展示展館で、宗派を超えた仏式で行われる。(京都新聞 夕刊)
15日■信楽事故3回忌法要 遺族とJR隔たり深く 両者代表 慰霊のことば
 信楽高原鉄道事故の42人の犠牲者を悼む「3回忌慰霊法要」(信楽高原鉄道、JR西日本主催)が、14日午後2時から滋賀県甲賀郡信楽町勅旨、県立陶芸の森・信楽産業展示館で、遺族や両鉄道の関係者ら約300人が出席して行われた。遺族側は、JR西日本の事故責任について井出正敬社長の見解を求めたが、「慰霊のことば」に立った井出社長はこれに直接は触れず、事故後2年たった今なお、遺族の思いとJRの姿勢とが隔たっていることを浮き彫りにした。
 法要は、祭壇に42本のろうそくがともされ、雅楽がしめやかに奏でられる中で始まった。黙とうに続き、遺族代表の兵庫県宝塚市、吉崎俊三さん(59)が「この2年間の悲しみや苦労は一生消えない。大惨事の悪夢は今も脳裏に焼きついている」と「慰霊のことば」を述べるとともに、井出社長に視線を向け「検察庁の処分で刑事責任は問われなかったが、方向優先テコ設置で事故の原因を作ったJRが責任を問われない限り、解決にはならない。社長は責任を認めるのか」と強い口調で問いかけた。
 これに対し井出社長は「鉄道事業法違反で処分を受け深く反省するとともに、心からおわびする。尊い犠牲を教訓に、安全運行に全力を傾ける」と「慰霊のことば」を読み上げるにとどまり、刑事責任問題には言及しなかった。
 また、遺族の京都市右京区、臼井和男さん(54)が「追悼のことば」を述べ「鉄道の安全について考え、提言できる機関の創設こそが、42人の死を無駄にしない唯一の道」と、公的な鉄道事故調査機関設置を訴えた。
 この後、遺族や稲葉稔知事、杉森一夫・信楽町長らが次々に焼香し、犠牲者のめい福を祈った。(京都新聞)
■「鉄道安全推進協」発足へ 犠牲者遺族の会
 信楽高原鉄道事故の3回忌法要の後、乗客犠牲者22人の遺族でつくる「犠牲者遺族の会」は記者会見し、鉄道事故の再発防止対策を考える「鉄道安全推進協議会」を発足させることを明らかにした。7月18日に大阪市内で設立総会を開く。
 同推進協議会は鉄道による大惨事を繰り返さないため▽相次いでいる鉄道事故の発生メカニズムの解明▽鉄道事故専門の第三者調査機関の設置−などを国や関係機関に求めていくのが目的。
 同会では、全国の事故被害者や学識経験者、ジャーナリスト、JRなど鉄道会社へも参加を呼びかけ「加害者と被害者という図式を越えた取り組みにしたい」としている。(京都新聞)
■「地元の生活権脅かす」JR京都駅高層化無効確認訴訟 第1回口答弁論 原告が意見陳述
 JR京都駅の高層改築計画をめぐって、駅周辺住民や京都市民らが「駅高層化は歴史的景観を壊すうえ、高さ制限緩和の都市計画決定は都市計画法に違反する」として同市を相手に、都市計画決定の無効確認などを求めた訴訟の第1回口頭弁論が14日、京都地裁(吉川義春裁判長)で開かれ、原告を代表して地元の無職福島幸一さん(69)が「改築された駅には百貨店、ホテルなどが入り、地元住民の営業権、生活権を脅かす」などと意見を述べた。
 訴えによると、改築される駅ビルは高さ約60b、東西の長さ約480b。駅周辺の高さの上限が31bだったため、市は昨年12月、高さ制限を緩和する特定街区制度を導入した都市計画を決定したが、原告らは「特定の建物のための都市計画変更は、都市計画法に違反する」などと主張している。
 口頭弁論で、福島さんは「特定街区設定のために住民を立ち退かせ、駅ビルだけのために道路建設するのは、JR西日本の横暴。これに追随する市の措置は許せない」などと意見陳述した。
 被告の市側は答弁書で「訴えの却下」を求めたが、理由については次の口頭弁論までに明らかにする、としている。(京都新聞)
■小倉山を他山の石に 瀬戸内寂聴さんら連名アピール文
 作家の遠藤周作氏、瀬戸内寂聴さんら著名人58人の連名による「小倉山を他山の石に」とするアピール文が14日、京都市に提出された。
 JR西日本がトンネル工事にともなって出た残土を小倉山(右京区)から搬出せずに修復する工事を始めた問題について、工事を許可した京都市に対して「歴史都市京都にとって未曾有(みぞう) の痛恨事である」などとする厳しい抗議のアピールとなっている。(京都新聞)
■日本の消えた施設「近代化遺産」を重文に 碓氷峠鉄道施設(群馬)など2件
 文化財保護審議会は14日、重要文化財の新しい指定分野に日本の近代化を支えた産業、交通、土木などの様子を示す「近代化遺産」を設け、2件を指定するよう森山文相に答申した。指定されるのは藤倉水源地水道施設(秋田市)」碓氷峠鉄道施設(群馬県・松井田町)。このほか重要文化財に寺院建築など新規6件、住宅建築など追加2件、重要伝統的建造物群保存地区に1地区をそれぞれ指定するよう求めた。
 新分野の「近代化遺産」は、日本が近代化していく過程を示す施設を、建物単独ではなくシステム全体として指定するのが特徴。今後は、民間施設や初期の自動車など大量生産された製品なども対象にしていく考え。
 藤倉水源地水道施設は、秋田市の上流にある日本初期のダムを備えた水道施設で1911年に完成。ダムを持った貯水池、海などを沈殿させる沈殿池、市内に水を送る配水管からなる。
 碓氷峠鉄道施設は群馬県・松井田町と長野県・軽井沢町を結ぶ鉄道で1893年に開通し、新線開通に伴って1963年に閉鎖された。急こう配を克服するため歯車と歯形のレールをかみ合わせる世界的にも珍しいアプト式を採用し、渓谷をまたぐ5基の橋は大規模なレンガ造りのアーチ橋。
 このほかの指定は次の通り。カッコ内は所在地。
 ◆重要文化財
 【寺院建築】長勝寺本堂・庫裏(青森県弘前市)▽革秀寺本堂(青森県弘前市)
 【住宅建築】盛安寺客殿(大津市)▽願泉寺本堂・表門・太鼓堂(大阪府貝塚市)
 【神社建築】吉志部神社本殿(大阪府吹田市)▽火走神社摂社幸神社本殿(大阪府泉佐野市)
 【追加指定】後藤家住宅二番蔵・土地(鳥取県米子市)▽門脇家住宅水車小屋・米蔵・新蔵・土地(鳥取県・大山町)
 ◆重要伝統的建造物群保存地区
 早川町赤沢伝統的建造物群保存地区(山梨県・早川町)(京都新聞)
■初の口頭弁論開く JR京都駅高層化 反対の行政訴訟
 JR京都駅ビルの高層化に反対している周辺住民ら606人が、駅周辺の高さ制限を外すことのできる「特定街区」制度などを柱とした京都市の都市計画決定の無効、取り消しを求めている行政訴訟の第1回口頭弁論が14日、京都地裁であった。
 原告を代表して下京区油小路塩小路下ル、福島幸一さん(69)が、「現在の駅ビル内にある店舗の追い出しや、地元の三哲町住民の立ち退きを迫るもので、大企業の横暴だ」と批判。さらに、「全世界に誇る町並みと山並みり眺めを破壊するものとして市民の反対の声が広まっている。京都の玄関口を、コンクリートの固まりにしないで下さい」と訴えた。(朝日新聞)
■人活センターで労使紛争 国労3組合員に無罪 横浜地裁判決
 国鉄民営化前の1986年11月、横浜市の国鉄・横浜貨車区人材活用センターで当局側と対立する国労組合員が助役を取り囲み、もみあいになった事件で、公務執行妨害などの罪に問われた3人の組合員に対する判決公判が14日、横浜地裁刑事一部で開かれた。荒木友雄裁判長は「調書と公判での証言に食い違いがある」など調書の信用性に疑問があるとして、全員に無罪判決を言い渡した。
 無罪判決を受けたのは横浜市西区中央二丁目、藍和夫被告(44)(求刑懲役6月)、同市保土ヶ谷区霞台、金井四郎被告(44)(同4月)、神奈川県綾瀬市深谷、遊佐修造被告(49)(同6月)。
 判決で同裁判長は、@被害者や目撃者の供述には不自然な変遷や供述あわせの跡がみられるA助役が事件現場で録音したとされるテープは供述の裏付けにはならず、管理者側の挑発の策謀といった不明朗な事情が認められる、などを理由に「公務執行妨害があったと認定するに合理的な疑いを入れる予知がないとはいえない」という判断を示した。
 この事件は86年11月10日、横浜市西区高島町一丁目にあった横浜貨車区旧横浜機関区検修詰め所前で、人活センター担当の助役が指定の詰め所へ移るよう通告したところ、国労組合員が胸を手で突くなどし、公務を妨げたなどとして5人が逮捕された。うち3人が起訴され、2人が起訴猶予になったが、5人全員が懲戒免職処分を受けた。
 6年5ヵ月に及んだこの裁判は、余剰人員対策の一環として旧国鉄が全国の職場に配置した人活センターがらみの労使紛争の象徴として、全国的にも注目を浴びた。
 判決について、横浜地検の堤守生次席検事は「判決をよくよんでから、控訴を含めて検討したい」と話している。(朝日新聞)
■「のぞみ」トンネル防音前倒し JR西日本 来年度分フード工事
 「のぞみ」の山陽新幹線のトンネル通過時に衝撃音が多発している問題で、JR西日本は14日、来年度に計画していた防音対策工事を前倒しして今年度にも実施することを明らかにした。一方で、同社は今後、鉄道総合技術研究所(JR総研)と協力し、先頭形状を補足するなど衝撃音を出さない車両の研究を進める方針だ。
 「ドン」という衝撃音は、列車によってトンネル内の空気が圧縮され、列車に押し出されて発生する。「ひかり」や「こだま」でも苦情があったことから、JR西日本は「のぞみ」対策として「防音フード」と呼ぶ鉄製の覆いを、これまでに工事中も含めてトンネル出口11ヵ所につけている。
 さらに、今年度、12ヵ所、来年度に13ヵ所を計画していたが、苦情の殺到に加え、国会で運輸省の秦野祐鉄道局長が「対策を急ぐ」と答弁したことから、来年度分の工事をできるだけ前倒しすることにした。このほか、苦情が出ている50地域についても「今月中に調査を完了して、早期に対策を取る」(津永泰彦環境対策室長)としており、総工費は約50億円を越える見通しだ。
 同社の調査では、同じ長さのトンネルを通過する場合、時速270`の「のぞみ」は時速220`の「ひかり」の2−3倍の気圧変動があることはわかったものの、対策としてはいまのところ、防音フードを設置するしかないという。(朝日新聞)
■JR西日本社長が社会的責任認める 信楽事故三回忌
 42人の死者を出した信楽高原鉄道事故から丸2年の14日午後、滋賀県甲賀郡信楽町勅使にある県立陶芸の森ホールで開かれた同鉄道とJR西日本主催の三回忌法要で、JR西日本の井手正敬社長は「大変申し訳ない気持ちとともに社会的責任を感じる」と述べ、初めてJRの社会的責任を認めた。(朝日新聞)
18日■特急「しなの」に新型車両
 JR東海は17日、大阪−名古屋−長野間を走る特急「しなの」に来年末から新型電車を導入すると発表した。新型電車はコンピューターを駆使したハイテク車両で、乗り心地が向上、最高速度も従来より10`速い130`。現在最も速い電車で2時間53分かかる名古屋−長野間を約10分短縮できる。
 「しなの」は山岳区間を走るためカーブで速度を落とさずに済む振り子式電車が使われているが揺れが大きいという弱点がある。新型電車はコンピューターに線路の形を記憶させ、カーブに合わせて車体を傾ける新型の振り子装置を装備、従来より揺れが少なくなる。
 JR東海は、1編成(6両)を来年夏までに完成させて試験走行などを実施、同年末から営業運転を始める予定。5年後に長野県で開かれる冬季オリンピックまでには大部分の「しなの」を新型電車に変える方針。(京都新聞)
■記念乗車券も発売へ JR西日本
 JR西日本は17日、6月9日の皇太子さまと小和田雅子さんの結婚の儀に合わせて「皇太子殿下御成婚記念乗車券」を発売する、と発表した。
 記念乗車券は普通乗車券3枚セットで、800円。図柄には、皇太子さまが今年の歌会始で詠まれた歌の中から「空」「夢」「愛」の漢字を選んでデザインしている。6月9日から30日まで、JR西日本管内の県庁所在地の駅など21の主要駅で販売する。(京都新聞)
19日■列車騒音空気抵抗低滅へ 米原町に国内最大実験施設 JR
 JR西日本の井手正敬社長は18日の記者会見で、鉄道総合技術研究所(JR総研、JR各社の出資で運営)が空気抵折による列車騒音の低減などを実験する施設として建設を計画している「大型低騒音風洞」の建設地が、滋賀県・米原町の米原駅貨物ヤード跡地であることを明らかにした。用地はJR西日本が確保、同研究所に貸し付ける方針という。
 列車の高速化に伴って、風を切る際の騒音を減らすことが課題になっているたあ、騒音の原因になりやすいパンクグラフの実物や車両の小型模型に風を当て、調べる装置。幅3b、高さ2.5b、長さ8bの空力騒音測定装置と、幅5b、高さ3b、長さ20bの空力(空気抵抗)測定装置からなり、騒音については時速400`、空力については300`まで対応でき、国内最大規模。来年度着工、平成8年度完成の見込みで、建設費76億円。
 JR総研が先ごろ、建設計画を発表したが、場所など詳細については明らかにしていなかった。JR西日本によると、ヤード跡地14fのうち1.5fが用地として見込まれている。
 同社長は、また、今月14日の信楽高原鉄道事故三回忌慰霊法要でのあいさつで「事故の社会的責任を感じている」と述べたことについて、「鉄道事業者として道義的責任があるうえ、鉄道事業法違反で略式起訴されたこと、さらに事故の一方の当事者であることに変わりないという気持ちからだ」と説明した。(京都新聞)
■「のぞみ」減速 3駅で実施へ 21日からJR東海労
 JR東海の旧動労系組合、JR東海労(1300人)の佐藤政雄委員長は18日、名古屋市内で記者会見し、敷石飛ばしなどトラブル続きの東海道・山陽新幹線「のぞみ」でのJR東海の安全対策は不十分として「のぞみ」が時速約270`で通過する新富士、三河安城、岐阜羽島の3駅で、21日から同労組に所属する「のぞみ」運転士が通過速度を230`に落として運転することを明らかにした。同労組は日によって「のぞみ」の3割が減速運転することになるとみているが、減速運転によるダイヤの遅れなどの影響は出ないという。
 一方、JR東海側はJR東海労の運転士を「のぞみ」から「ひかり」などに乗務変更し減速運転を阻止するとみられる。
 JR東海労は@「のぞみ」の駅通過時の速度は220`以下にするA敷石飛ばしの原因究明と抜本的対策の確立−などを求め、17日、減速運転を争議行為と位置付けて実施すると会社側に通知した。佐藤委員長は「サボタージュとして社員が処分される恐れがあり、争議行為の手続きを取った」と説明している。(京都新聞)
■JR西日本 夏休みめどに「のぞみ」割引 団体向けなど検討 自由席は見送りへ
 JR西日本の井手正敬社長は18日、全車指定席で割引制度が一切ない東海道・山陽新幹線「のぞみ」の料金を見直し、夏休みとなる7月下旬ごろをめどに割引制度を導入する考えを明らかにした。「のぞみ」が1時間に1本の割合で運転を始めた3月のダイヤ改正以降の平均乗車率(2ヵ月間)は、約53%と低迷している。このため、JR東海と協議して早期に具体化したいとしている。
 JR西日本によると、まず団体旅行客を確保するため、団体割引と前売りの実施が有力。回数券の発売や小倉−博多間など区間割引料金についても検討している。また、自由席の導入については当面、見送る考えだ。
 「のぞみ」は「ひかり」の指定席に比べ、利用区間によって300円から1800円高い。ダイヤ改正後の1ヵ月間の乗車率は55%だったが、2ヵ月間ではゴールデンウィークが好調だったにもかかわらず、約53%に下がった。
 一方、東京−博多間の最速「ひかり」(1日11往復)や早朝の「のぞみ」の直後に出発する「ひかり」は、立ち席が出るほど混雑しているという。同社は「特別料金が敬遠された」(運輸部)としており、割引制度を乗車率アップの切り札とみている。(朝日新聞)
■「初期故障の範囲」「のぞみ」でJR西日本の梅原常務
 「のぞみ」が山陽新幹線を1時間ごとに走るようになってから、18日で2ヵ月が過ぎた。この間、JR西日本と東海が「自信を持って送り出した」とは裏腹に、配線類の断線やドア下にあるカバーの亀裂、ボルトの脱落など異状が相次いだ。JR西日本の井手正敬社長は同日の記者会見で「小さなトラブルは出尽くし、もう心配ない」と改めて安全宣言をした。だが、利用者にとっては不安も残る。同社の鉄道本部長、梅原利之常務に「のぞみ」の安全性について聞いた。
 −故障が多発している。
 「新型車は万全な検査の後、営業運転に入る。しかし、人間が作るものですから小さな狂いが必ず出る。このため出庫前の『仕業点検』、走行距離3万`の『交番検査』をする。これらの検査で発見できるもの、あるいは原因、対策がすぐにわかる故障を『初期故障』と呼んでいる。これまでの不具合はすべてこの範囲で、安全に支障はありません」
 −旧国鉄時代に比べ、試験不足ということはありませんか。
 「まず試作車をつくり、これを車両メーカーが徹底的に試験する。そこで100%近い安全は保証されるが、我々でもう一度、走行試験をする。量産車は最低3万`を走り、ブレーキ性能などを確認する。とのため、国鉄時代と比較しても決して少ないということはありません」
 −今の車両はJR東海の開発です。山陽新幹線はトンネルが50%以上。東海道新幹線とは条件がかなり違うと思う。
 「東海の試作車は約2年間の走行試験をしており、時速270`の耐久性は万全。でも山陽新幹線を走らせるにあたり、改めて走行試験をした。当然、別の風圧試験や、時速270`同士のすれ違い試験も行い、改良もしている」
 −「のぞみ」は速さが売り物で特急料金も「ひかり」より高い。事故続きでは安心して乗れません。
 「100点満点を目指しているが、部品の取り付け方などの配慮が足りなかった。ただ、故障と事故は違う。検査で見つけた亀裂などは『事故』とは考えません。あくまで発生を想定した検査の中で見つけたもので、すぐに対策を取っている。安心して利用していただきたい」
・「入念さ欠ける」専門家指摘
 1964年に開業した東海道新幹線「ひかり」も、直後はパンタグラフや変圧器に故障が相次いだ。その経験を生かした「のぞみ」だが、専門家らは「新技術の導入にはもっと入念さが必要だ」と指摘する。
 手抜き トラブルは、車体の下部やパンタグラフ周辺など、風圧と振動を受ける部分に多い。ドア下のカバーの溶接部の亀裂は、試運転中に1編成で見つかった。「脱落はしないと判断」してすぐ総点検しなかったため、営業開始後、次々に6編成に広がった。
 風圧は速度の2乗に比例する。「のぞみ」は「ひかり」より約5割強い風圧を受ける計算だが、車体下部は測定していなかった。
 京大工学部の駒井謙治郎教授(機械材料)は「亀裂の発生は強度設計ミスだ。新技術の導入に必要な慎重さがない」という。
 かけこみ
 JR西日本は92年6月から3ヵ月間、試作車をJR東海から借りて試験した。しかし、「のぞみ」同士のトンネル内のすれ違い試験は1月13日の1回だけだった。
 東大工学部の曽根倍教授(交通システム)は「車体下部は、複雑な乱気流が起こり、風圧や振動の測定は難しい。走行試験も、測定装置をつけないと意味がない」という。
・時速320`での営業運転可能 JR西日本
 山陽新幹線「のぞみ」の次世代型となる最高時速350`の新幹線車両の開発を進めるJR西日本は18日、試験車両「WIN350」の時速320`での営業運転にめどをつけたことを明らかにした。騒音源だったパンタグラフ対策で環境庁の定める暫定基準75ホン以下を実現したためで、今秋にも運転開始の時期を決める。
 「WIN350」は94年度中の営業運転をめざしており、昨年8月には最高時速350.4`を達成。しかし、高速での空気抵抗を少なくするため車高を低くした分だけ、パンタグラフカバーが大型化し、これが騒音源となって「75ホン以下」の実現に障害となっていた。このためH形だったカバーを前後がスロープ状になったカバーに変えたところ、時速320`でも暫定基準を下回ったという。(朝日新聞)
■市地下鉄建設現場 労災事故隠し 責任者ら送検
 京都下労働基準監督署は19日、京都市地下鉄東西線建設現場での労災事故を隠していたとして大手建設会社の奥村組(本社・大阪市)と現場責任者らを労働安全衛生法違反の疑いで京都地検に書類送検した。
 送検されたのは奥村組と清水康弘関西支社工事部長(51)、一次下請けの岡村土建(本社・宝塚市)と大野忠良専務(65)。
 調べでは、昨年9月7日に、奥村組を代表会社とする共同企業体が請け負っている京都市山科区の東山トンネル建設現場で、岡村土建の作業員(39)が作業中に高さ約1bの作業台から転落、左足骨折などのけがをした。奥村組と清水部長は3ヵ月ごとに報告を義務づけられている労基署あての統括管理状況報告に記載せず、岡村土建と大野専務も同様の労働者死傷病報告をしなかった疑い。(京都新聞 夕刊)
20日■小倉山問題で説明申し入れ 市に「お届けする会」
 京都市右京区嵯峨の小倉山の残土放置問題で、山の原状回復を求める運動を続けてきた「小倉山頂の忘れ物をJRにお届けする会」は19日、JR西日本がしている景観修復孝治の進み具合の説明を求める申し入れを京都市にした。
 申し入れは▽JRの作業状況の説明を来月以降、毎月現地で受けられるよう仲介してほしい▽その際、行政側担当者の立ち会いを求める−という内容。
 申し入れの理由について同会では「今月8日に行った現地監視登山では、工事がほとんど進んでいない印象を得た。JRの作業を進める姿勢に疑問を感じる」としている。
 JR西日本の計画では、残土を残したまま整地し、今秋と来春とに約1万9000本の苗木を植樹して景観を修復する予定で、3月から一部工事を進めている。(京都新聞)
■海水浴、お盆帰省へ臨時ダイヤを発表 JR西日本福知山支社
 JR西日本福知山支社は19日、海水浴やお盆帰省に対応する夏(7月24日−8月16日)の臨時ダイヤを発表した。
 期間中の臨時列車は延べ261本で、前年比12%減、人出は同2.5%増の約250万人と見込んでいるが、繁忙期に列車を集中させることで、全体の本数を少なくした。
 丹後や但馬、若狭方面への海水浴関連は延べ200本(前年比11%減)。特急のマリンはまかぜ(大阪−鳥取)、マリンあさしお(京都−小浜)、マリン丹後エクスプローラー(大阪−久美浜)などを、7月24日から8月16日まで連日運転する。
 また、マリンあさしおなどの始発時間を、従来の午前7時台から8−9時台に繰り下げ。一方で、昨年まで連日運転だった急行きのさき(大阪−城崎)は、8月上旬までの週末運転に変更する。
 同支社では「乗車率の低い列車を見直すとともに、特急の増設と始発繰り下げで、ピーク時の利便性を高めた」としている。
 お盆帰省関連は延べ61本(同14%減)。帰省のピークは8月13日の約1万6000人、Uターンは同15日の1万7000人と見込んでいる。(京都新聞)
■夏の臨時列車3900本 JR西日本「エーデル丹後」など
 JR西日本は19日、夏の臨時列車運転計画(7月1日−9月30日)を発表した。期間中の主要線区の利用者を昨年並みの1071万人と予想しているが、臨時列車運転本数は昨年より1100本余り減らし、山陽新幹線803本、在来線(特急、急行)3101本の合計3904本としている。
 京阪神からのマリンレジャー向けとしては、丹後方面へ「エーデル丹後」や「マリンあさしお」「マリン丹後エクスプローラー」などを例年通り運転。山のリゾート地へは、「スーパー雷鳥信越」「シャレー軽井沢」などを走らせる。
 青森方面へは「東北夏祭り」、北海道へは豪華寝台列車「トワイライトエクスプレス」。全国高校野球大会開催中は、大阪駅に止めた寝台車で宿泊して早朝甲子園口に着く「ナインドリーム甲子園」を今年も運行する。
 JR東海もこの日、夏の臨時ダイヤを発表。丹後、若狭の海水浴関係では、名古屋と東舞鶴の間に「エメラルド」(小浜線経由)を走らせる。(京都新聞)
■リニア市電導入も 「まちづくり」市民構想 あす集会
 まちづくり運動に取り組む市民団体「ストップ・ザ・京都破壊 まちづくり市民連絡会議」(代表委員・西山夘三京大名誉教授ら7人)は19日、設立1周年の全体集会を21日に左京区の京都会館で開くことを決めた。同団体がまとめた「まちづくり市民構想案」を発表、今後の取り組み方針について確認することにしている。
 構想案は「まちづくりの方針」「市民によるまちづくりアセス行動」など全四章でまとめられている。
 車社会からの転換策には、旧市電外周線へのリニアモーターを使った市電の導入、バス無料地域を含む市バス運行の改革を提案。このほか、「西陣自治コミュニティー構想」など伝統産業の活性化事業や、大学のまち再生計画なども含まれている。 集会では、ポンポン山問題に取り組む森川明弁護士らを招いたパネルディスカッションも予定している。午後6時半開会で、定員約300人。参加無料。(朝日新聞)
■工事進行状況の説明求め申し入れ 小倉山残土問題
 JR西日本による小倉山(右京区)の残土放置問題で、市民団体「小倉山頂の忘れ物をJRにお届けする会」(世話人・松本章男さん)は19日、修復工事の責任者に進行状況を明らかにさせるよう求める申し入れ書を田辺朋之京都市長に提出した。(朝日新聞)
■JR夏の臨時ダイヤ 福知山支社 増強期間短縮 本数も減らす スピードアップへ特急増
 JR福知山支社は19日、夏の臨時列車ダイヤを発表した。臨時列車は、「利用しやすい時間帯」「目的地へのスピードアップ」を重点に編成し、計501本を運行させる。しかし、昨年の実績から、海水浴客やお盆の帰省客向けの増強期間を短縮し、本数も昨年の79%に減っている。
 夏の臨時列車の運行期間は7月1日から9月末まで。内訳は特急270本(昨年228本)、急行210本(324本) 、快速21本(79本)。急行と快速を減らしたかわりに、特急を増やしたのも特徴だ。
 海水浴客向けに臨時列車を増強するのは、7月24日から8月8日までの16日間(昨年25日間)、お盆の帰省客向けが8月13日から16日までの4日間(7日間)。増強期間を短くしたために本数も減ったが、昨年は午前7時台に大阪を出発した城崎や鳥取行き特急などを、午前8時すぎの発車にずらして利用しやすくしたり、時間の短縮も図っている。
 同支社は増強期間中の人出を、海水浴客が昨年より3%多い204万人、お盆の帰省客が1%増の464万人と予想。「臨時列車の乗車率は平均すると60%程度。乗車率を高めることで、乗客を増やしたい」と言っている。(朝日新聞)
■ニュース三面鏡 保存か解体か 信楽事故車両 「惨事伝えよ」機運強く JR西日本 哀しみあおる、と拒否
 42人の死者を出した信楽高原鉄道のすさまじさを物語る事故車両が、保存か解体か決まらないまま、滋賀県日野町の県警機動警察の敷地でさびをふいている。「惨事を永く伝えていくために」と保存を求める遺族と、それを拒むJR西日本側との綱引きが、大津簡裁判での調停を舞台に続いているためだ。JR西日本は「思い出したくない遺族がいる」と主張するが、哀しみから立ち直ってきた遺族の間では最近、安全確立への関心が高まっており、遺族の会は30日の総会で改めて保存へ向け意見統一をはかる構えだ。
 保管されているのは、正面衝突した事故車両のうち、JRの先頭車両と信楽高原鉄道の2両。事故から2年。青いビニールシートに覆われているが、すきまからのぞく車軸はさびをふく。
 保存を求めているのは、犠牲者21人の遺族でつくる「遺族の会」。昨年3月から今月17日で8回になった調停で、信楽高原鉄道は信楽駅近くに資料館を設置すると約束。JRは事故車両に取り付けられていた「世界陶芸祭りしがらき号」のプレート、行き先表示など、同鉄道は車両形式表示、無線機などを、資料館に展示・保存する線まで譲った。
 しかし、事故の衝撃を生々しく伝えるJR車両の折れ曲がった部分などは拒否したままだ。
 遺族との交渉窓口になっている「信楽高原鉄道事故ご被災者相談室」は「『早く忘れたいのに、残すなんてとんでもない』という遺族の声も寄せられている。こうした少数の声も無視できない」と説明する。
 しかし夫を亡くした女性(51)は「始めはもう事故車両なんか二度と見たくはないと思った。でもこれ以上こんな思いをする人を出さないためにも、野ざらしで朽ち果てても構わないから安全運行を訴えるために残してほしい」と心境の変化を話す。
 「遺族の会」も、遺族の足並がそろっていなかったことは認めている。しかし、会員を中心に、鉄道事故の専門的な調査機関設置などを求める「全国鉄道安全推進会議(仮称)」の7月設立を目指す中で、保存派の意見が強くなってきているという。
 JRとしては、早く解体処分をしたいのが本音のようだが、決着にはなお時間がかかりそうだ。(朝日新聞 夕刊)
21日■エア漏れ故障 20本が運休 JR片町線
 21日午前5時55分ごろ、京都府綴喜郡田辺町のJR北町線大住駅で、木津発片町行き普通電車(4両編成)が出発しようとしたところ、運転席の空気圧力計の数値が下がっているのに運転士が気づいた。調べたところ先頭車の床下にある空気だめ管からエアが漏れており、応急修理のうえ25分遅れて発車、途中の松井山手駅で運転を打ち切り、乗客約50人は後続の電車に乗り換えた。
 この影響で上下合わせて20本が運休、5本が14−8分遅れた。(京都新聞 夕刊)
■科学 トラブル続く「のぞみ」 車体の耐久性にも課題 アルミ合金を使用 軽量化、低い剛性
 溶接部の亀裂やネジの折れなど、トラブル続きの東海道・山陽新幹線「のぞみ」には、もう一つの課題が残されている。アルミ合金で作った車体の耐久性だ。JR側の技術者も専門誌で取り上げている。
 座席やモーターを除いた車体本体の重さは、1両6d。1964年、東海道新幹線の開業時から走る「ひかり」(0系)より約4割軽い。
 アルミの比重は、鉄の3分の1。軽量化には最適な材料だが、鉄より曲がりやすく、同じ厚さでは必要な強度が出ない。このため、設計したJR東海によると、鋼鉄製の車両より3倍厚いアルミ合金の板や柱を使っているという。
 最高速度が上がると、トンネル通過やすれ違い時の風圧による車体への力は増える。270`で走ると1平方bに500−600`の力がかかるが、750`の力に耐えられる設計にしたという。
 また、力がかかったときの曲がりにくさを示す車体の剛性は、新幹線で最も低い。0系を1とすると、「のぞみ」は0.98倍。2階建てのある100系は1.3倍、同じくアルミ合金の東北新幹線の200系は1.8倍だ。
 JR東海技術本部の石川栄主幹は「剛性は、必要な目標値を越えていて、0系とほぼ同じ。問題はない」という。
 これに対し、金沢工業大の永瀬和彦教授(機械工学)はいう。「乗り心地と耐久性には影響する。剛性が低いためにガタガタ揺れるアルミ製電車が実際にある」
 京都大工学部の駒井謙治郎教授(機械材料)も「速度が速いだけ変形は大きくなる。振動が増えて、車体に疲労をためる可能性もある。アルミの疲労限界はよく分かっていない。継続的に注意深く見ていく必要がある」という。
 JR東海と車両メーカーの技術車も、鉄道技術の専門誌「電気車の科学」で今後の課題として、繰り返し圧力がかかる車体の耐久性を調べる必要性に触れている。(朝日新聞 夕刊)
22日■「車検切れ」で計1万2000`走る JR西日本に警告 運輸省
 JR西日本が鉄道営業法に基づいて運輸省に届け出ている定期検査を行わずに、福知山線や伯備線などで約1万2000`、約7300人の旅客輸送をしていたことが21日、同社の調べでわかった。自動車でいう「車検切れ」状態で営業していた車両は3両あり、いずれも検査担当者らが走行距離を間違えるなどのうっかりミスが原因だった。運輸省近畿運輸局は同日、同社の鉄道本部長、梅原利之常務を呼び、安全管理の徹底を促す警告書を手渡した。同社が文書で警告を受けるのはことし3度目となる。
 同社の調べでは「車検切れ」で営業運転したのは、伯備線や山陽線で団体用臨時列車を牽引(けんいん)していた電気機関車1両と、福知山線や山陰線を走る特急「北近畿」用の電車2両。(朝日新聞)
■ゆうかん読書 故郷の風景 路面電車 神 達雄著
 心に描く故郷の風景の中に路面電車を走らせる人は少なくないであろう。人々がまだそれほど忙しくはなく、町の風景にゆとりが感じられた時代のシンボル−。
 サラリーマンであった著者は昭和42年、東京の消え行く都電に接して思いを駆り立てられ、いらい仕事の合間に、北海道から鹿児島まで、路面電車の風景を求めて旅を続けてきた。
 本書はその旅で撮影した全国各地の路面電車が走る風景とエッセーで構成されている。写真は、すでに廃止された都電のうち39路線と、昭和40年代を中心とする全国の路面電車との計335枚。
 昭和53年に廃止された京都の市電の風景なども収められている。(トンボ出版・2800円)(京都新聞 夕刊)
■南海の新空港アクセス線 高架工事間に合わず 開港後4年間 地上線を利用
 関西新空港と大阪・難波を結ぶ特急が走る予定の南海電鉄泉佐野駅周辺の本線の高架化工事の完成が、来夏の開港に間に合わないことが22日、わかった。本線の用地買収が難航しているためで、高架工事の完了は、開港4年後の1998年ごろにずれ込む見通し。高架ができるまでの間、特急は現在の本線、空港への分岐線に併設する仮設スロープを走るが、高架区間に9つもの踏切があるため、周辺の交通渋滞を引き起こす可能性があり、安全対策が大きな課題になりそうだ。
・泉佐野 用地買収が難航
 泉佐野駅の高架化事業は、すでに高架工事が進む空港連絡線と本線を結ぶため、南海泉佐野駅を中心に南北約2.8`区間を高架化する。区間内の踏切をなくして周辺道路の混雑を解消するのが狙いで、空港の玄関口としてふさわしい近代的な駅舎を建設する。
 新空港建設が本格化し始めた87年8月に建設省の事業認可を受け、大阪府が泉佐野市、南海電鉄に委託し、用地買収と工事が始まった。総事業費は約370億円の予定で、半分近くを国が負担、残りを府、市、南海が負担する。
 用地買収にあたる泉佐野市によると、高架線路のほかに側道をつくるため、計約3万3000平方bの用地買収が必要。駅西側に集中している買収予定地には、古くから貸店舗などの形態で営業している商店が多く、移転補償額などで買収交渉が難航している。今年3月1日現在で、約77%の約2万5000平方bしか買収できていない。このため、開港時に高架が完成するのは事実上不可能となった。
 当初の計画では、泉佐野の一つ大阪寄りの井原里駅を通過後、約650b付近から高架が始まり、泉佐野駅は高さ8b前後の高架駅となり、空港行きの列車はそのまま高架線路で分岐し、空港連絡線につながるはずだった。高架が完成しないため、当面は現在の地上の本線を走らざるをえない。難波から新空港行きの列車が分岐線に入るには対向の和歌山方面から来る線路の上でポイント切り替えする必要がある。分岐線も高架になっているが、本線の高架事業が遅れるので分岐線の側道部分に鉄桁(げた)と鋼材で建設中の仮設スロープの上を走る。
 南海電鉄は今年2月、難波−空港間を29分で結ぶ直通の特急など1時間に計6本が空港に乗り入れる、と発表している。スロープ建設について「本線の高架が間に合わない事態も有り得るとの判断で始めた。十分安全に配慮しており、ダイヤなど輸送計画に影響はない」としている。
 南海本線は東側に国道26号と西側の府道堺阪南線(旧26号)に挟まれ、区間内に9つある踏切周辺は現在でも、渋滞を引き起こしている。開港後、交通量はさらに増加することが予想される。
 用地買収にあたる泉佐野市高架事業課の話 通例、この種の高架化事業には、20年近い期間を要する。事業認可から開港まで7年ほどしかなく、間に合うのは困難な情勢だ。今後、住民のみなさんに理解を求め、できるだけ早期に事業を完了させたい。(朝日新聞 夕刊)
24日■鉄橋で3少年ひかれ即死 近道? 特急、逃げ切れず 三重・JR関西線
 23日午後3時半ごろ、三重県四日市市高浜町のJR関西線海蔵川鉄橋(長さ80b)を少年3人が渡っているのを紀伊勝浦発名古屋行き特急南紀82号の運転士が発見。運転士は警笛を鳴らし急ブレーキをかけたが間に合わず、3人は列車に約100b引きずられ即死した。特急の乗客約200人にけがはなかった。
 四日市南署の調べで3人は同県員弁郡藤原町長尾、会社員宮木弘文さん(48)の二男秀和君(13)=町立藤原中2年=と、同町川合、自営業小寺敬志さん(49)の長男満君、二男徹君=ともに(13)、同中学2年=の双子の兄弟と分かった。3人はクラスメートで四日市市にコンピューターゲームを見に行った帰りだった。
 現場は四日市駅から名古屋寄りに約2`で、列車は時速100`で走っていた。運転士の話によると、少年たちは名古屋方向に向かって線路の間を1列に並んで歩いており、鉄橋の手前80bで発見し筈笛を鳴らした。少年らは走って逃げたが、川岸から約20b手前で列車に次々とひかれたという。
 鉄橋は単線で線路の両わきには保線作業用の幅50aの通路があるが、線路との間に高さ2bの防音壁があり乗り越えられなかった。
 近所の人の話によると、川を渡る道路橋が約200b離れているため、鉄橋を渡る人もいるという。
 特急は現場に約25分停車し、関西線は上下5本の列車に25−4分の遅れが出た。(京都新聞)
■鉄橋で3中学生死亡 四日市のJR線 列車を避け切れず
 23日午後3時半ごろ、三重県四日市市羽津町のJR関西線海蔵川橋梁(りょう)で、単線の鉄橋を渡っていた少年3人が、紀伊勝浦発名古屋行き臨時特急「南紀82号」(6両編成)にはねられ、即死した。四日市南署などの調べでは、少年3人は列車に気付くのが遅れ、ほぼ中央部ではねられたらしい。
 調べでは、少年は三重県員弁郡藤原町長尾、会社員宮木弘文さんの次男で藤原中2年秀和君(13)と、同町川合、鉄工所経営小寺敬志さんの双子の兄弟で、同2年の長男満君(13)と次男徹君(13)の3人。
 列車の運転士は、鉄橋の手前約80bで、橋の中はどに人がいるのを見つけ、警報を鳴らすと同時に急ブレーキをかけたが、停止できなかったという。少年たちは、列車に気付いて走り出したが、逃げ切れなかったらしい。(朝日新聞)
25日■もたつく山科駅前再開発 遅れ3年 工費2倍に 京都市会委、追及相次ぐ 新設ビルのキーテナント 迫られる年内決定
 24日、京都市の山科駅前再開発事業の完了時期が、当初の見込みより3年遅れ、98年9月となることが明らかになった。1984年に完成したJR京都駅南口の再開発に続く市内2番目、権利者が百人を超える本格的な市街地再開発事業として注目されていただけに、同日開かれた市会の建設委員会でも厳しい追及が相次いだ。
 同事業は、同駅前の市街地約2.8fに、再開発ビル4棟と広場、公園を整備して、ホテル、テナント、住宅、文化・健康施設を配置する計画。土地利用の高度化で、3万4000平方bの保留床を生み出し、事業費をまかなう。
 地下鉄東西線の開通と併せて同駅周辺を新たな都市拠点とするとともに、駅前より南の地域に進出した大型店に対抗できる商業集積をつくりだすことから、商店街の活性化へ期待を寄せる地元住民も多かった。
 それだけにこの日の建設委員会では、地元市議を中心に「魅力あるまちづくりをうたいながら、なぜ遅れるのか」、「計画の遅れは、起債の利子に跳ね返り、事業費の増大を招く。いったいどうするのか」といった質問が市に対して続出した。
 市が88年11月に、同事業区域の都市計画決定をした当時、試算された総事業費は378億円。これが昨年2月の事業計画決定までに、696億円に膨らんだ。バブル景気による地価高騰が原因だった。そして今回は、これに追い打ちをかけるように813億円となり、当初の試算の2倍以上に伸びることとなったのだから」市議の質問も当然だ。
 市は答弁の中で、権利変換の手続きが、地元調整に時間を要したため、予定より1年半以上も遅れたうえ、建設工事自体も資材置場の確保や、路線バス運行との関係で思い通りに進ちょくしないことを理由にあげた。
 とはいえ事業計画の決定した時点より増えた117億円の費用のうち、44億円が計画の遅れによる起債の利子。残りは当初、権利変換に応じる予定の地権者が、交渉の途中で28人も脱落し、再開発区域外への転出を求めたため、その補償費が加わっている。
 これでは市議から「商業施設、ホテルのキーテナントが今になっても決まらないから、再開発に期待が持てず転出者が増えたのでは」と詰め寄られても致し方ない。
 答弁に立った西村正信都市整備局長が「キーテナントについては相手を一本に絞って交渉しているが、内定まではもう少し待ってほしい」としたほか、理事者側は、消費動向の回復が事業推進のポイントであると説明した。
 だが、事業費をねん出する保留床の売却が、バブル時代の計画通りいくかどうか。むしろ転出者が増加して床面積が増える分だけリスクも高まるというべきだろう。
 計画変更に伴い市は、再開発ビルの完成予定は97年12月、オープンは98年4月としている。逆算すると本年中には必ず、キーテナントを決めなければならない瀬戸際に追い込まれている。(京都新聞)
■国労バッジ紛争で賃金減額分支払いを 大阪地労委
 就業時間中に組合バッジを付けていたため、会社側から賃金や期末手当てをカットされたのは不当労働行為だとして、国労近畿地方本部(松尾幸次郎委員長)などが救済を申し立てていた問題で、大阪府地方労働委員会は24日、組合側の主張を認め、JR東海(須田寛社長)に減額分の支払いなどを命じた。
 命令によると、会社側は1987年の分割・民営化をきっかけに、勤務時間中の組合バッジ(縦、横ほぼ1a大)着用禁止を打ち出し、バッジを外さなかった組合員に訓告や厳重注意の処分を繰り返した。この結果、延べ53人の組合員が、89年の年末手当てや90年の昇給時に、計約260万円の期末手当てや賃金をカットされるなどした。
 この会社側まの行為について同地労委は「小さな目立たないバッジ着用を理由に、組合員に少なからず経済的不利益を与える処分を繰り返した」と指摘。「国労の組織弱体化を図った不当労働行為」と結論づけた。(朝日新聞)
■帰宅ラッシュ時に阪急京都線で故障 3万8000人に影響
 24日午後5時45分ごろ、大阪府茨木市天王二丁目の阪急京都線南茨木駅で、天下茶屋発高槻市駅行きの普通電車が突然動かなくなった。同電車は運転打ち切りとなり、乗っていた約 600人は後続の電車に乗り換えた。
 この事故で上下3本が運休、後続30本に最高16本の遅れが出て、約3万8000人が影響を受けた。(朝日新聞)
■京都市役所建て替え 現在地拡張が最適 地下鉄でき便利に 検討委結論 移転案を退ける
 京都市役所庁舎=中京区河原町御池=の建設問題を検討してきた市庁舎整備検討委員会(座長、薦田守弘助役)は25日、新庁舎の建設予定候補地として現庁舎および北側の妙満寺跡が望ましいとの結論をまとめた。100年以上にわたって市庁舎が立地し市政のシンボルとして市民に親しまれていることや、敷地取得費などの財政負担が小さいことなどを理由に挙げている。市は市会などに諮って市民的な合意を得、平安建都1200年の平成6年度に建設構想を発表、9年度には着工し、15年度完成を目指している。
 同検討委員会は昨年6月に発足、新庁舎の建設場所、機能、規模など基本的な条件について論議を進めてきた。
 建設揚所については、都心再生地域である市中心部、もしくは新しい都市機能集積地域のJR京都駅以南の市南部−を基本に選考。▽JR二条駅周辺▽現庁舎・妙満寺跡▽JR丹波口北側の日本たばこ産業流通基地跡▽JR京都駅南側伝統工芸博会場跡▽伏見西部第一土地区画整理事業区域内(油小路沿線)の5候補地を詳細に検討した。
 この結果、現庁舎・妙満寺跡敷地が@議会発祥の地であり、100年以上市庁舎が立地して市民に親しまれているA現庁舎を中心に地下鉄東西線、地下街などのプロジェクトが進んでいるB交通アクセスに優れ、京都最大の商業・業務集積地に近いC敷地取得費がもっとも少なく、財政負担が少ない−などから候補地として最適との結論に達した。
 新庁舎の機能・規模については、21世紀の市政を担う中核施設であり、かつ広く市民に開かれた交流の場として、歴史都市・京都にふさわしいシンボル性を備えていることをベースに、今後の行政需要の変化や高度情報化・技術革新に対応できるなどの条件を示している。
 延べ床面積約10万平方b(10階程度)。執務室、議場、情報センターなど行政にかかわる機能のほか、市民広場、市民ホール、姉妹都市交流の様子などを展示する市民ミュージアムなどの導入も考えている。
 市は今回の結論について今後、議会、一般市民などからの意見を聞き、来年度に構想を発表。設計コンペを行い、平成9年度には着工にこぎつけたいとしている。工期は6−7年、総事業責約700−800億円を見込んでいる。
 現庁舎は1927年(昭和2年)の建設。人口増、行政組織の拡大などに対応して増改築がおこなわれてきたが、職員1人当たり事務面積は指定都市で最低。庁舎の構造上、高齢者らハンディをもつ人たちに使いにくく、老朽化も進んでいる。このため平成2年度から新庁舎改築準備費(計80億円)を計上してきている。(京都新聞 夕刊)
26日■JR西日本人事(6月1日、京都支社分)
▽Tis本部京都営業支店長(Tis本部神戸営業支店長)山田宗司▽京都支社次長(大阪駅長)山本正昭▽同(電気部管理課勤務・西日本電気システム出向)岡田和久▽京都駅長(人事部人事課副課長)大谷克治▽同駅首席助役(石山駅長)坂田義夫▽山科駅長(鷹取駅長)中村信一▽向日町駅長(運輸部駅務課副課長)中井朋繁▽神足駅長(安曇川駅長)坂口富勇▽宇治駅長(運輸部駅務課首席)舟川潔▽石山駅長(大津駅首席助役)内田彰▽草津駅長(芦屋駅長)小野茂▽安曇川駅長(京都管理部運輸課首席)辻本俊二▽堅田駅長(放出駅長)角田三郎▽長浜駅長(大津駅助役)居原田俊和▽米原駅長(運行管理課副課長)斉藤義行▽米原列車区長(米原列車区首席助役)岡田康弘▽京都車掌区長(同部運輸課副課長)藤田耕三▽京都電車区長(同)池田稔▽向日町運転所長(宮原客車区長)三久保忠司▽同首席助役(車両部検修課副課長)神田悦義▽京都工事工事課長(京都工事区助役)坂本良雄▽京都電気工事区長(建設工事部電気工事課首席)庄司忠▽京都旅行センター所長(Tis本部セールスプロモーション課首席)中村博志(京都新聞)
■JR7社すべて減益 旅客・貨物、需要が低迷
 JRの旅客6社と貨物会社の1993年3月期決算が25日、出そろった。景気低迷に伴う旅客・貨物需要の伸び悩みなどが響き、87年4月の分割・民営化以来初めて、7社すべてが経常減益になった。来年3月期決算の見通しでも、東海・西日本など5社が減益を予想している。
 旅客6社合計の旅客輸送量は、前期に比べ1.0%の徹増にとどまった。このうち本州3社では、中長距離旅客の落ち込みに伴い、東海と西日本の新幹線収入が民営化後初めて前期実績を割り込んだ。とくに収入の8割以上を新幹線に頼る東海は、全体の売上高も初のマイナスとなった。こうした収入の低迷に加え、91年10月の新幹線買い取りに伴う利子負担増が利益を圧迫し、本州3社はそろって2期連続の経常減益になった。
 一方、北海道、四国、九州の3社では、北海道が輸送量、収入とも前期を下回った。また3社とも、営業段階の赤字を埋めるために設けられた経営安定基金の運用益が、低金利で落ち込み、利益の足を引っ張った。
 貨物会社も、荷動きの低迷が響き、貨物運輸収入が初めて前期を下回り、2期連続の減益となった。
・定期が健闘 辛くも増収 JR西日本
 JR西日本の1993年3月期決算の売上高は前期比0.6%増の9225億円と辛くも増収を確保した。景気後退の影響で運輸収入は当初の業績見通しより約150億円も下まわったが、定期収入が5.9%と予想以上の伸びをみせ、定期外収入の不調を補ったためだ。
 鉄道収入8199億円の内訳は、定期収入が77億円増の1384億円、定期外収入が64億円減の6815億円で合計は前年度を13億円上回った。利用客にあたる輸送量は関西の大手私鉄が軒並み減少傾向にある中で、1.4%増加した。(朝日新聞)
JR7社の1993年3月期決算
 売上高経常利益輸送量
東日本19808( 1.6)1009(▼ 6.6)1285( 2.0)
東 海11105(▼1.8)676(▼42.2)512(▼1.7)
西日本9225( 0.6)557(▼15.6)544( 1.4)
九 州1672( 4.2)35(▼15.0)86( 2.7)
北海道1054(▼0.8)13(▼35.2)49( 1.5)
四 国512( 0.5)38(▼46.4)21(▼2.6)
貨 物2161( 0.4)2(▼89.9)263(▼1.9)
(売上高と経常利益の単位は億円。カッコ内
は前期比増減率%、▼は減少。輸送量は、
旅客6社は億人キロ、貨物は億トンキロ)
■ハイタッチテクノ 身近な技術のタネ明かし 駅のスタンプ改札 速乾性インクが支え ひまし油系油まぜ効果
 JRを中心に、駅の改札で切符にスタンプを押す姿が、目につくようになった。新幹線の切符や自動改札機に通せない切符を、スタンプで改札している。スタンプが押されたばかりの切符に触れても、インクがほとんど手につかない。車内検札のため、はさみに代えて車掌もスタンプを手にしている。特殊な工夫を施したスタンプや速乾性インクが用いられるようになった。
 初めてこのスタンプが使われたのは89年10月。新幹線の東京、新横浜の両駅で試験的に導入されたが、このときは、インクが手につくという苦情も出た。
 このインクは、紙に染み込んで乾く型。ところが自動出札の普及で、表面に薄く樹脂がコーティングされた紙が切符に用いられるようになった。日付などの文字が時間とともに薄くなるのを防ぐためだが、インクが紙に染み込まない。
 「紙とはいえ、プラスチック板と同じ」と、スタンプ製造メーカーであるシヤチハタ工業の田中太郎・素材研究課長。電子顕微鏡で鬼ると、コーティング樹脂にはほとんど穴がない。
 インクの染み込まない素材に適した揮発性インクは市販されているが、揮発性が高いためスタンプには不向きで、密閉容器からその都度補充して使わなけれはならない。
 次々に切符をさばかなけれはならない改札用に、スタンプ面では乾かないが、押されたらすぐ乾く、というインクの開発が始まった。最大の問題はインクに何を混ぜたらよいかだ。
 1年半がかりで昨年4月に完成したインクは、油性染料、切符に染料をくっつける合成樹脂、溶剤の3つから成り立っている。速乾性のカギは、この溶剤にある。切符の上に押されると溶剤はすぐに蒸発し、染料と樹脂だけが残る。
 乾きやすくするため、溶剤は大部分が揮発性のアルコール類だが、これだけではスタンプ面で乾いてしまう。それを抑えるために、ひまし油系の合成油を加えた。
 スタンプ本体にも工夫がこらされ、表面からインクが揮発するのを防ぐため、押さないときは、蓋(ふた)が密閉する仕組み。インクを 0.5c入れれば5000回押せる。
 不正乗車の防止上、「一般向けの販売はむずかしい」(シヤチハタ東京商事)というが、遊園地の入場チェックや駐車場の出入り管理など、用途は広がるとみている。(朝日新聞 夕刊)
27日■ヨイショ 機関車に勝ったぞ 園児らが大歓声 こどもSLフェスタ 猿回しなども披露
 市内の保育所の園児らがSLに乗って交流を深める「こどもSLフェスタ」(京都幼児フォーラム、JR西日本主催)が26日、市内の保育園児ら約1400人が参加して、下京区の梅小路蒸気機関車館で開かれた。
 同フェスタは昨年、市内15の保育所・園でつくる交流団体「京都幼児フォーラム」代表の山手重信さんの「日ごろ乗る機会のないSLに、園児たちを乗せてあげたい」との呼び掛けに、JR西日本が協力して実現した。
 2回目の今年も多彩なイベントを用意。本物のSLが引く列車に乗ったほか、仮設舞台上ではフォークシンガー高石ともやさんの演奏や猿回しも披露された。
 午後はSL機関車と園児たちの綱引き。 120人の園児たちがかけ声とともに綱を引くと機関車が動きだし、つるしてあったくす玉から「ちびっこの勝ち おめでとう」の垂れ幕が下がり、園児たちは歓声をあげて喜んでいた。(京都新聞)
■6月9日のJR指定席 修学旅行は一転、割引に
 JRが平日に実施している指定席料金の割引を、皇太子さまと小和田雅子さんの「結婚の儀」の6月9日(休日)には適用しないとしていた問題で、JRグループ旅客6社は26日、学生団体に限って割引料金とすることを決めた。運輸省とも協議のうえ、修学旅行の特殊性を配慮して異例の措置を取ることにした。
 JRによると、割引特例が適用されるのは、9日を「休日」とする法律が施行となる以前(4月29日まで)に予約していた学生団体。8、9の2日間にJRの指定席を利用しても、一般の利用客よりも200円安くする。全国で約470校、約6万8000人が対象となる。すでに200円を追加徴収した学校については払い戻す。
 運輸省やJRによると、修学旅行などは1年以上も前から予約や予算が組まれており、出発直前の料金変更によって混乱が起きていることや、学校関係者から「特例」の要望が相次いでいることを考慮したという。特急料金などの変更は運輸省の認可事項で、申請などの手続きに時間がかかるが、今回は運送契約がすでに成立したものとみなし、通常の手順を踏まず「JRの経営判断」として処理するという。(朝日新聞)
■信楽鉄道・JR 29日までに賠償額提示(遺族の会へ)
 一昨年5月に起きた信楽高原鉄道列車事故の補償について、JR西日本と同鉄道の両社は26日、「遺族の会」(19遺族、21犠牲者)の各遺族に対して、個別の賠償額を29日までに提示することを決めた。同会は30日に開かれる総会で、提示された金額などを検討し、今後の対応を決める。(朝日新聞)
28日■新型車両「つばめ」ブルーリボン賞
 鉄道ファンの集まりである「鉄道友の会」(会長・八十島義之助帝京技術科学大学学長)は27日、昨年中に営業運転を始めた新型車両のうちJR九州の「つばめ」(787系)を「最も好感を与えた優秀車両」に選び、ブルーリボン賞を贈ることを決めた。
 つばめは昨年7月から博多−西鹿児島間に登場した特急列車で、ビュッフェ設備などを備えた質の高い居住性が評価された。
 性能、コストなど技術的に優れた車両に贈られるローレル賞にはJR東海の「のぞみ」とJR貨物のEF200形電気機関車が決まった。(京都新聞)
■6月9日のJRダイヤ 東は「平日」西は「休日」
 皇太子さまと小和田雅子さんの結婚の儀が行われる6月9日、JRの列車ダイヤが東西で二つに分かれる。JR北海道、東日本、東海の「東」の3社が平日ダイヤで運転するのに対し、JR西日本、四国、九州の「西」の3社が休日ダイヤのためだ。
 各社がそれぞれの事情で判断した結果で、境界となる西日本と東海は「乗客への影響はほとんどない」としているが、同じ日でJRグループのダイヤが異なるのは珍しい。
 JR西日本は4月下旬、当日のダイヤを調整するため、営業エリアが接するJR東海と話し合った。しかし両社とも地元企業の動向がつかめず、決まらなかった。結局、関西の大手企業の8割が休むとの民間経済団体の調査結果が報道されたこともあって今月末、休日ダイヤに決定した。(京都新聞 夕刊)
29日■カラフルゆったりの新車両 比叡山鉄道坂本ケーブル 35年ぶり、7 月から導入
 昨年9月から全面改装工事中の大津市坂本の比叡山鉄道・坂本ケーブルが、来月1日から運行を休止して車両入れ替えなど最終工事に入る。7月24日から運行再開し、ゆったりスペースと広い窓を持つ新車両でお目見えする。
 施設、車両の老朽化に伴う35年ぶりの全面改装で、総工費は約10億円。すでに延暦寺駅の改装などを終えている。
 新車両は、緑と赤のカラフルなデザインの「縁号」「福号」の2台。従来と同じ大きさだが、定員を173人から145人(36座席)に減らし、窓を上下に広げるなど、ゆったりと琵琶湖の景色が楽しめるよう配慮されている。
 新装に合わせ、ケーブル坂本駅とJR湖西線叡山駅を結ぶバス路線を、土、日曜と祝日には1時間1本から3本に増便するほか、京都定期観光バスにケーブル利用コースを開設する。(京都新聞)
■市バスの原谷線 来月から中型に
 京都市交通局は28日、北区原谷と立命館大学を結ぶ市バス路線M1号系統(原谷線)を、来月から一部路線を延長して中型仕様のナローバスで運行することを発表した。
 これまでは道路幅が狭いためマイクロバスを中心に運行していたが、道路が一部改善されたのとラッシュ時の混雑を緩和するための措置。ナローバスは定員50人でマイクロバスより22人多く乗れる。
 延長するのは終点の原谷バス停よりさらに200b先。現行の原谷バス停は「原谷農協前」に、新設の終点バス停が「原谷」に名称変更される。(京都新聞)
■阪神・南海が増益 関西私鉄、明と暗 近鉄・阪急・京阪は減益
 関西大手私鉄の1993年3月期決算が28日、出そろった。景気後退の影響をうけ、旅客数が前年同期に比べて軒並み減少した。91年11月の運賃値上げの効果が残っているため各社とも売上高は伸びた。しかし土地・住宅販売、野球場収入など兼業部門の稼ぎぶりが利益面の明暗を分け、近鉄、阪急、京阪が減収に、阪神、南海が増収になった。
 旅客数は5社とも前年を割り込み、阪急の2.3%を最高に京阪2.0%、南海1.8%、阪神1.2%、近鉄0.5%とそれぞれ減少した。不況による外出控えや沿線企業がパートタイマーを減らしたことを理由にあげている。
 兼業部門は沿線で開発した住宅の売れ行きが不調だったり地下税負担が重んだりして近鉄、阪急、京阪が前年度より利益を減らした。南海は和歌山県の橋本市で販売した比較的低価格の住宅が好調だった。(朝日新聞)
関西私鉄5社の3月期決算
 売上高経営利益兼業部門
営業利益
近鉄2456( 0.7)164(▼16.5)148(▼35.3)
阪急1829( 4.2)106(▼ 7.8)171(▼22.5)
京阪1125( 8.8)66(▼ 1.5)79(▼ 7.1)
南海1103( 5.3)49( 26.1)122(  0.7)
阪神709(22.4)59(  9.9)66(  7.7)
売上高と経営利益の単位は億円。
カッコ内は前期比増減率%、▼は減少
■記念乗車券多彩に 皇太子さま結婚 私鉄36社が発売
 皇太子さまと小和田雅子さんの結婚を記念して、私鉄36社は「皇太子殿下御成婚記念乗車券」と、プリペイドカードを6月1日と8日から発売する。日本民営鉄道協会は、これらの乗車券とカード全44種類をまとめたものを1000セット発売する。
 艮鉄協によると、記念乗車券は近鉄の2枚セットの1760円を最高に、多くの社が1000円のセット券で、発売枚数は会社によって1000枚から3万3000枚まで。カードは9社で売られ、1枚1000円から5000円。
 記念乗車券は、金メッキの金属製のしおりの裏に切符を張った(南海)、鮮やかな御所車(京浜急行)など華やかなものばかり。
 民鉄協が売る一括セットは、送料、事務費を合わせ5万2960円。先着1000人で締め切る。
 問い合わせは〒100東京都千代田区丸の内1ノ6ノ4、社団法人日本民営鉄道協会企画部業務課 03(3211)1402、1406(京都新聞 夕刊)
■ホース当たり転倒 歩道上の女性死亡 京都地下鉄工事現場
 京都市山科区御陵原西街の地下鉄東西線の建設作業現場で、28日午後4時40分ごろ、近くの歩道を歩いていた同区日ノ岡堤谷街、無職多賀谷孝子さん(83)の肩に作業用のビニールホース(直径約10a、長さ約3.5b)が当たった。多賀谷さんは転倒、入院したが、29日午前2時40分ごろ、内蔵損傷などで死亡した。
 市交通局の調べでは、現場は準備工事のため下水管の撤去作業を進めていた。この日の作業を終え、小型クレーンでコンクリートの注入などに使ったホースの抜き取りをしていた際、ホースが突然、歩道側に揺れ、多賀谷さんの肩にぶつかったという。現場には安全さくなどを張り、ガードマンも立ち会っていた。山科署は業務上過失致死の疑いもあるとみて、関係者から事情を聴いている。(朝日新聞 夕刊)
30日■信楽事故賠償 総額7億9500万円 遺族の会へ鉄道2社提示「額低い」と不満も
 信楽高原鉄道で死亡した22人の遺族でつくる「犠牲者遺族の会」(吉崎俊三世話人代表)がJR西日本と信楽高原鉄道両社に賠償額提示を求めている問題で、鉄道両社は29日までに、総額約7億9500万円の賠償金の提示を終えた。
 遺族の会によると、1人あたりの賠償額2000万円−3000万円台が全体の7割を占めているといい、秋田真志弁護士は「日弁連による交通事故の賠償算定基準より低く、遺族からの不満も出ている」としている。遺族の会では、提示を受けて30日に大阪市内で遺族総会を開き、民事提訴を含めた今後の対応を話し合う。(京都新聞)
■7億9500万円をJR側が提示 「遺族の会」に
 1昨年5月、犠牲者42人を出した信楽高原鉄道列車事故の補償について、JR西日本と同鉄道は29日までに、「遺族の会」(19遺族、21犠牲者)の各遺族に対し、総額7億9548万円の賠償額を提示した。
 賠償額は1人平均3800万円だが、2000万円台と3000万円台が計15人で7割以上を占めている。
 提示額には、すでに支払われた約6000万円の仮払い金が含まれている。同会は30日に開く総会で検討し、損害賠償請求訴訟も含めて今後の対応を決める。(朝日新聞)
31日■来月10日24時間スト JR九州労
 JR九州労働組合(JR九州労、北弘人委員長、組合員約1350人)は10日、福岡市で「勤務制度改悪反対総決起集会」を開き、6月10日に全組合員を対象にした24時間ストライキを実施することを決めた。31日、会社側に正式通告する。
 同労組によると、列車の折り返し時の待ち合わせ時間は「みなし勤務」と認められているが、JR九州の最大労組である九州旅客鉄道労働組合(JR九州労組、和泉隆久委員長、組合員約1万1000人)が28日、会社側が提案した「みなし勤務」の撤廃などを含む乗務員の新勤務制度を受け入れたため、ストライキはこれに反対して行われる。(京都新聞)
■長距離は鉄道 都市内はトラック 運輸省検討 貨物輸送、効率よく
 運輸省は、貨物のトラック輸送による都市の交通渋滞や待機汚染を改善するため、都市間の長距離輸送は鉄道・船舶に集中させ、都市内は共同集配方式によるトラック輸送とする効率的で低コストの輸送システムの検討に着手する。近く学識経験者、貨物事業者などから成る検討会を設置する。
 国内の貨物輸送量(3年度実績)を機関別にみると、90.5%がトラック、8.3%が船舶、1.2%が鉄道、0.01%が航空機。トラック輸送に偏っているのは国内貨物の大半が小口貨物のため。鉄道や船舶はコンテナで一度に大量の貨物を運ぶ長距離輸送が主力で、輸送費用はトラックより安いが、貨物の集配に手間がかかり、輸送ダイヤで時間的に制約されるのが難点。
 運輸省が検討する方式は、鉄道・船舶とトラックそれぞれの利点を生かした輸送システム。末端の貨物の集配は、トラック業者が競合しないようカバー区域を分担して共同集配場に運び、都市間輸送は鉄道・船舶にゆだねる方法。
 こうした一貫輸送を促進するため、割安の料金体系を設定するほか、小口貨物をコンテナに積み込みやすくする輸送容器、荷役機器を開発する。また、夜間輸送が中心の鉄道貨物を昼間でもできるよう列車ダイヤを弾力的に運用する。
 同省は、貨物鉄道の輸送力増強や地方港湾の貨物ターミナル建設などハード面の整備と併せ、こうした輸送システムを確立させる考えだ。(京都新聞)
■沿線にハーモニー 合唱列車ゆく
 第30回記念京都合唱祭(府合唱連盟など主催)が30日から綾部市の府中丹文化会館で始まった。JRの車両を借り切って歌の練習をする「合唱列車」が京都市と兵庫県豊岡市から綾部市まで走り、高校生からおかあさんまで約650人の歌声が列車内に響き渡った。
 3両編成の「北号」と6両編成の「南号」が午前7時ごろ、それぞれ豊岡と京都を出発。網野や宮津、亀岡などの主な駅に停車しながら、北号には7団体、150人、南号には39団体、500人が乗り込んだ。うち兵庫県側から「わだやま合唱団」など3団体80人、一般の人も計80人が参加した。
 南号には京都エコーや京都木曜会、京産大グリークラブなどのメンバーが乗った。府合唱連盟の浅井敬壹副理事長や兵庫県合唱連盟の洲脇光一理事長らが車両ごとに指導。車窓の風景を楽しみながら「ふるさと」「おぼろ月夜」「ピクニック」「汽車ぽっぽ」の4曲を歌った。臨時の”混声合唱団”のため、初めは音程が合わないこともあったが、しばらく練習すると、美しいハーモニーができあがった。園部駅に停車したときは、窓を開け、プラットホームにいた客に披露した。
 午前10除から始まった合唱祭のオープニングで、参加者全員が、練習した曲を一緒に歌い、雰囲気を盛り上げた。合唱祭は6月5日と6日も、左京区の京都会館で開かれる。(朝日新聞)
■提示賠償岳に不満 信楽事故「連族の会」
 信楽高原鉄道列車事故の犠牲者21人の遺族でつくる「遺族の会」は30日、大阪市内で総会を開き、JR西日本と同鉄道両社から提示された総額7億9548万円の賠償額について検討。遺族らは予想を下回る提示額だと不満を示し、同会は損害賠償請求訴訟も含めて対応することを決めた。(朝日新聞)
■車両故障で7万人に影響 JR阪和線
 31日午前6時半ごろ、和歌山市美園町五丁目のJR阪和線和歌山駅構内で、同駅発天王寺行き快速電車の戸閉め表示灯がつかず発車できなくなった。点検後、約8分遅れで運転を再開したが、朝のラッシュ時だったため上下2本が運休したのをはじめ、同83本に最高16分の遅れが出た。ダイヤは10時過ぎまで乱れ、約7万人に影響が出た。(朝日新聞 夕刊)