1993(平成5)年 4月


1日■さようなら”てんのじ線”92年の歴史に幕(京都)
  ■京都地裁が「現場検証」 地下鉄東西線東山トンネル 工事差し止めの仮処分で(京都)
  ■JR西日本を不起訴「小倉山残土」で京都地裁 「違反は不成立」 不服審査申し立てへ(京都)
  ■信号機の故障で 上下10本に遅れ JR姫新線(朝日)
2日■ゼネコン10社 リニアで告発 談合と長野の町議ら(京都)
  ■収支延びたが事故多発 「効率化が遠因」と現場 社長は否定「基本ミス」 民営化6年JR西日本(朝日)
  ■振動吸収装置 特急から落下 JR阪和線(京都)
3日■「のぞみ」窓ガラスにひび 公表せず 山陽新幹線で相次ぐ(京都)
  ■「のぞみ」窓ガラス割れる 増発1週間で8枚 「ひかり」や「こだま」も 風圧が影響か(朝日)
  ■信楽高原鉄道事故 慰霊碑建立へ(朝日)
4日■「阿房列車」百閧フ故郷に(朝日)
  ■処分保留でJR職員釈放 山陽線踏切死亡事故(朝日)
  ■青鉛筆(朝日)
5日■のぞみ 石跳ね直撃 岐阜羽島通過中 ホームの男性けが(京都)
  ■「のぞみ」石はね、けが 270`で通過中 ホームの客 岐阜羽島駅(朝日)
6日■敷石位置5a下げ JR東海 のぞみ飛び石で工事(京都)
  ■3日連続で臨時停車 のぞみ(朝日)
  ■大阪市 バス、地下鉄など運賃改定を申請(朝日)
7日■大阪市交通局 地下鉄・バス値上げ申請(京都)
  ■「のぞみ」台車の温度装置リード線の取り付けミスと断定(朝日)
  ■山陽新幹線で停電 1400人に影響(朝日)
  ■線路にハイテク聴診器 走りながら「傷」発見 JR西日本来週にも導入 新幹線用も開発へ(朝日)
8日■JR山陰線で遅れ 太秦駅、信号機が故障(京都)
9日■レール継ぎ目が破損 JR福知山線で乱れ(京都)
  ■今度はカバー金具亀裂 「のぞみ」6編成分で再溶接(京都)
  ■「のぞみ」ドア下に亀裂 トンネル風圧影響? 全車両修理へ(朝日)
  ■レール破損 三田のJR福知山線(朝日)
  ■工事車両 ”バス通せんぼ” 地下鉄、京都ホテル建設用 堀川通 非常灯つけ5台列、延々4時間も 停留所横づけできず(京都)
  ■環状線高架下で火事 大阪 一時、運転ストップ(京都)
  ■JR環状線高架下で火災 8本運休、1万人に影響(朝日)
  ■普通電車が故障で運休 後続15本に遅れ 山陽電鉄(朝日)
10日■新幹線のぞみトラブル続き ボルト25本落下 パンタ用 人為ミスの可能性(京都)
  ■JR西日本「のぞみ」導入や過ぎた!? 耐久テストに疑問の声(京都)
  ■JR東日本、上場へ秒読み 来週中にも仮申請 株市場の動向が関門(朝日)
  ■「瀬戸大橋で仲良しに」 開通5周年迎え記念式(朝日)
  ■JR西日本 安全対策室や相談室設置へ(朝日)
  ■JR奈良駅周辺再開発 黒川氏設計ノッポ住宅 完成1年 入居ゼロ バブル崩壊 事業進まず 世界博の会場予定地(朝日)
  ■新聞代4000万円肩代わり 大阪市の外郭団体 地下鉄90駅長室へ(朝日)
  ■快速電車が行き過ぎる 通過と間違う? 兵庫駅(朝日)
  ■アパート全焼 阪堺線止める 阿倍野(朝日)
11日■のぞみ 速度制御ビス外れ運転中止 広島 ハンドル押さえ運転(京都)
  ■京都観光の女性狙い満員市バス内でスリ 府警、容疑者を逮捕(京都)
  ■のぞみ 運転を打ち切る 広島 加速・減速レバー異状(朝日)
  ■普通電車が”通過” 和泉・JR信太山駅(朝日)
12日■トレンディー消えぬくもり欲しいが ロケに悩むTVドラマ 「都会」の町並みが全国に広がって(朝日)
13日■最新券売機に”落とし穴” 大量偽1万円札 識別チェック素通り ATM など拡大も JR京都駅打つ手なく(京都)
  ■信頼の機械だまされた ニセ1万円札 手にとればすぐ判別 銀行・JR 対応に苦慮(朝日)
  ■車両検査をビデオに 阪急電鉄(京都)
  ■「のぞみ」ネジ間違いで脱落 速度ハンドル取り付け用 点検で見落とし(朝日)
  ■大量偽1万円札事件 「やられた!」「これ以上」対応ピリピリ 両替機、総チェック 市民生活に影響 2次流通の恐れも(京都)
  ■厳戒「万札」ストップ ニセ札事件 センサー感度高める 監視役も 防衛策とるJR(朝日)
14日■京都駅建て替えで6項目の申し入れ 対策協、市長に(京都)
  ■ニセ1万円札 3ブロックに分け両替 大阪・北区銀行支店 複数犯3時間で(朝日)
  ■「のぞみ」一斉点検へ JR(京都)
  ■また「のぞみ」異常ランプ(京都)
  ■新大阪駅で新たに4枚 総枚数は497枚に(朝日)
  ■「のぞみ」全車両点検へ JR東海・西日本 GW前までに(朝日)
  ■異状ランプ走行中点灯 新横浜−小田原(朝日)
15日■社説 「のぞみ」に望む安全点検(京都)
  ■のぞみ、今度は整風板脱落 異常表示は断線判明 JR総点検開始(京都)
  ■バス停+ミニ公園 停留所プラザ 東淀川に第1号完成(京都)
  ■ホームにひっそり大正期の柱 JRびっくり 先代の駅の「遺構」? ローマ風のデザイン 改築高層化で解体間近の京都駅 明治建築研究会調査で明るみに(朝日)
  ■のぞみ再点検開始 運輸省、類似部分も要求(朝日)
16日■「のぞみ」好調 満席の列車も GWの予約状況(朝日)
  ■見えない敵 両替機改善 ニセ1万円札 証拠は警察 メーカー苦戦(朝日)
  ■JR彦根駅で オーバーラン(朝日)
  ■トンネル内で車輪空転 のぞみ 列車擦れ違う際(京都)
  ■券売機改める 近鉄各駅(京都)
  ■「のぞみ」も航空便も不況に負けた!? 対戦1ヵ月 出張減り客横ばい(朝日)
  ■近鉄特急と衝突し軽乗用車の僧けが 大和高田(朝日)
17日■JR東日本、11月ごろ上場 20日に事前審査手続き(京都)
  ■許認可残存を懸念 証券界(京都)
  ■JR東日本の株上場 20日から仮申請(朝日)
18日■整備新幹線建設費108億円を追加へ 運輸省、補正で方針(京都)
  ■「のぞみ」また異常ランプ(京都)
  ■のぞみ、また異状ランプ(朝日)
19日■のぞみ男性はねる 山口のトンネル付近(京都)
  ■KTRいよいよ電化・高速化へ 今夏、JR山陰線と一体化工事 期限迫る国の補助 重い基金補てん 旅客収入伸び 観光客数がカギ(京都)
  ■「のぞみ」ひき男性が死亡 徳山の山陽新幹線(朝日)
  ■「小倉山問題を他山の石に」市民らアピール採択 残土放置を考えるフォーラム 「みつめる会」結成準備(朝日)
  ■パトカー追跡中 踏切事故で16歳死亡(朝日)
  ■ブルトレが急停車 山陽線、機関車故障(京都)
20日■JR東日本 株上場きょう仮申請 10月20日前後に上場(朝日)
  ■JR東日本 松田氏社長昇格へ(京都)
  ■住田社長が会長に JR東日本後任に松田副社長(朝日)
21日■梅小路公園の「緑の館」”緑”文化の発信基地に 年度内に完成 増園の歴史展示も 京都市会特別委 理事者側が報告(京都)
  ■関西新空港の輸送システム 愛称は「ウイングシャトル」(京都)
  ■「のぞみ」乗車率55%と低調 利用状況まとめ(京都)
  ■薄型タイプで見やすく 大阪市 バス停留所新標識(京都)
  ■社説 JR株は「二の舞い」を避けよ(朝日)
  ■JR東日本が上場の仮申請(朝日)
  ■和D-53号事件 広がる影響 打つ手なく… ニセ1万円札発見から10日(朝日)
  ■異音に苦情”ドンドン” のぞみ JR、防音フード増設(朝日)
  ■運行1ヵ月 平均乗車率は55%(朝日)
  ■のぞみ 50地域で騒音苦情 岡山以西 トンネル進入時に(京都)
22日■「のぞみ」初の振動・騒音調査 JR西日本、神戸で(京都)
  ■JR貨物 社長に棚橋氏起用(京都)
  ■広がる広がる 広告の空白 大阪市営地下鉄、不景気で契約率最低 こうなったら 自前ポスター(朝日)
  ■JR回送電車 空気漏れ停車 彦根駅(朝日)
23日■駅のお掃除任せて JR東海などロボット開発(京都)
  ■のぞみ 振動ひかり並み JR西日本 神戸の測定結果公表(京都)
  ■新幹線の車両所停電 11本、1万人に影響(京都)
  ■新大阪駅信号故障 東海道線乱れる(京都)
  ■ニセ1万円札 旧式券売機は通さず JR京都駅で試してみたら 感度固定、功奏す(朝日)
  ■JR予讃線が不通(朝日)
  ■宝くじ売り場 立ち退き命令 JR大阪駅の訴訟判決(朝日)
24日■27日に24時間スト 広島中心にJR西労(朝日)
  ■のぞみトラブル 断線など7種類 衆院決算委 運輸省報告(朝日)
25日■普通電車うっかりホームで行き過ぎ JR塚本駅(朝日)
  ■阪神電鉄のプリペイド 「らくやんカード」です 新改札方式3月に発売(京都)
  ■水間鉄道の値上げ認可(京都)
26日■来るか湖国鉄道新時代 期待大きい地域活性化 長浜乗り入れで成果がきっかけ(京都)
  ■カーブが得意”へび列車” JR西日本 97年めどに実用化 紀勢線など特急 1時間短縮区間も(朝日)
  ■立山黒部ルートが雪壁ぬい一部開通(朝日)
  ■「京へようこそ」のぞみちゃん JR京都駅マスコット人形が登場(京都)
  ■「のぞみ」の駅弁 不況には勝てず 1個300円も値下げ(朝日)
27日■信楽鉄道事故 きょう初公判(京都)
  ■インタビュー トロッコ列車が人気の 「嵯峨野観光鉄道」社長 長谷川一彦さん(46) 沿線を緑いっぱいに(朝日)
  ■合唱列車 北から南から 綾部に集おう(朝日)
  ■JR2社 のぞみ「安全宣言」 点検終了「トラブル初歩的故障」(京都)
  ■「のぞみ」の点検終わる 改めて「安全宣言」(朝日)
  ■9万人の足乱れる JR西労広島管内スト(京都)
28日■窓 速さより安全 JR求める 三和町・岡部 孝作(無職・68)(京都)
  ■信楽鉄道事故で初公判「原因、担当者に限定」 被告側 起訴状へ釈明求める(京都)
  ■信楽鉄道事故初公判 「JRなぜ裁かれぬ」 傍聴の遺族ら怒り うなだれる3被告(京都)
  ■信楽事故初公判 「JRにも責任」弁護側と全面対決(朝日)
  ■「JR抜き」に怒り 信楽鉄道 事故初公判 遺族「背景触れず」(朝日)
  ■職員3人を減給処分 「湊町開発」駐車料流用(朝日)
29日■のぞみまたトラブル 安全宣言したばかり JR東海(京都)
  ■のぞみ ボルト2本折れていた(朝日)
30日■米でも”シンカンセン”計画 主要都市間、時速 240`以上で連結 リニア開発日米協力も(京都)
  ■のぞみ ボルト1本また折れる(朝日)



1日■さようなら”てんのじ線”92年の歴史に幕
 大阪の庶民の足として親しまれた南海電鉄天王寺支線(今池町−天王寺間、1.2`)が31日、廃止され、92年半の歴史に幕を閉じた。
 天王寺支線は明治33年10月、南海の天下茶屋駅(西成区)から天王寺区方面への直結路線として開業。昭和40年ごろには、1日平均約3万8000人が利用するにぎわいだったが、国鉄(現JR西日本)大阪環状線の完全開通などで乗客が激減し、昭和59年、まず天下茶屋−今池町間を廃止。平成3年には、1日の乗客が約1500人になった。
 同支線の沿線は、西側に日雇い労働者約2万人が生活する「あいりん地区」、東側には昭和20年代から30年代にかけ、漫才師ら芸能人300人以上が住んだ「てんのじ村」(西成区山王)があり、大阪情緒あふれる地域。(京都新聞)
■京都地裁が「現場検証」 地下鉄東西線東山トンネル 工事差し止めの仮処分で
 地下鉄東西線の東山トンネル工事をめぐり、同工区周辺の住民らが「承諾もなく工事を始めたうえ、騒音や振動で夜も眠れない」として、京都市などでつくる京都高速鉄道会社と工事を担当する日本鉄道建設公団を相手に、トンネル工事の差し止めを求めた仮処分で、京都地裁(島田清次郎裁判長)は31日、東山トンネル工区(約1.5`)の現場を調査、事実上の現場検証を行った。
 同仮処分は昨年12月22日、地元住民らでつくる「九条山の住環境を守る会」代表の白方英子さん(70)ら34人が申し立てた。
 申し立てでは、東山トンネル工区は山科区日ノ岡鴨土町から東山区東小物座町まで地下を掘削し、住宅地の真下を通過する計画。
 住民らは昨年8月ごろから夜中に地面から突き上げるような振動や騒音で眠れなくなり、調べたところ、住民らに説明のないままトンネル工事が住宅の真下で始められていたことが分かった。住民らは「承諾なくトンネル工事を行うのは土地所有権の侵害。騒音などで環境権などが侵害された」と主張している。
 現場調査には裁判官らのほか、地元の住民、鉄建公団職員ら約30人が参加。工区の概要の説明を受けた後、九条山の住宅地(標高128b)から地下約76bのトンネル工事現場に入り、工事中の掘削機械などを見て回り、工事の方法や騒音の程度などを調査した。(京都新聞)
■JR西日本を不起訴「小倉山残土」で京都地裁 「違反は不成立」 不服審査申し立てへ
 京都市右京区嵯峨の景勝地・小倉山に、JR山陰線トンネル工事の残土が大量に放置された問題で、京都地検は31日、地元住民らから古都保存法違反で告発されていたJR西日本と井手正敬社長ら同社幹部2人を不起訴処分(嫌疑なし)にした。
 不起訴の理由について京都地検の堀川和男次席検事は「土砂を撤去するという当初の許可案件は、その後、市長の権限で変更されており、違反は成立しない」と説明している。告発人の代理人は、処分を不服として検察審査会に審査の申し立てをしたい、としている。
 小倉山一帯は古都保存法の歴史的風土特別保存地区。現状変更が厳しく制限されているが、旧国鉄は、山陰線複線電化に伴う小倉山トンネル工事を計画、工事で出る土砂約20万立方bの仮置き場を同山頂に作ることにし、1982年、「土砂は工事完了後、速やかに搬出し、原状回復すること」を条件に京都市の許可を受けた。
 ところが、JR西日本は工事完了後も土砂を放置。昨年3月に、土砂は搬出せず、植林などで元の形に復元するとの計画を市に提案した。
 このため、地元の長尾憲彰常寂光寺住職ら住民10人が同年7月、現状変更の際の許可条件の履行を定めた古都保存法に違反する、として告発していた。
 その後、市は11月、「残土の搬出は新たな自然破壊などを招き困難。植栽による復元が現実的」としてJRの計画案を了示した。その際にJR西日本は、3億円の拠出を市に申し出た。
・早期回復に努力
 井手正敬JR西日本社長の話 当社としては、今までの経過を深く肝に銘じ、法令に基づいて許可された復元計画に従い、小倉山の自然景観を早期に回復するよう努力したい。
・政治的判断で逃げた
 長尾憲彰さんの話 金丸さんの場合でも起訴処分が異例といわれるくらいだから、これが日本の検察の平均的なところだろう。刑事裁判になればJR西日本の違法を立証することは簡単だから、地検は政治的判断で逃げたのではないか。
・復元工事を指導
 東川敏春京都市都市景観部長の話 「嫌疑なし」とのことであり、計画に基づいて復元工事を進めるようJR西日本を指導していく。(京都新聞)
■信号機の故障で 上下10本に遅れ JR姫新線
 1日午前5時20分ごろ、兵庫県龍野市神岡大住寺、JR姫新線東觜崎駅構内の下り線信号機が赤のまま変わらなくなった。約1時間20分後、姫路鉄道部の係員が復旧し、運転を再開した。
 この影響で姫路−津山間の上下2本が運休、計10本に最高1時間余の遅れが出て、通勤客ら1800人に影響した。(朝日新聞 夕刊)
2日■ゼネコン10社 リニアで告発 談合と長野の町議ら
 前自民党副総裁、金丸信被告(78)の所得税法違反事件に絡み、大手総合建設会社(ゼネコン)10社が山梨県に建設中のリニアモーターカー実験線の工事を数社ずつに割り振るなどしたとして、長野県北佐久郡軽井沢町の岩田薫町議(40)ら地方議員と市民13人が1日、談合罪と贈賄罪で、10社に対する告発状を東京地検特捜部に提出した。
 告発の対象とされたのは、鹿島、清水建設、西松建設など。(京都新聞)
■収支延びたが事故多発 「効率化が遠因」と現場 社長は否定「基本ミス」 民営化6年JR西日本
 JR西日本(本社・大阪市、井手正敬社長)で事故が多発している。この1ヵ月間だけでも貨物列車の脱線事故や踏切事故など3の事故が起き、3が死亡、約18人の足が乱れた。原因は作業ミスやうっかりミスなどで、運輸省は「安全管理が不十分」と異例の警告を出した。井手社長は「人心を一新して安全に取り組む」と語り、1日付で鉄道本部長が交代した。旧国鉄が分割民営化し、JRが発足して丸6年。事故多発の背景を探ると、経営効率化やダイヤ優先の梁勢が浮かんでくる。(社会部・斎藤博明、天野剛志)
◆心機一転
 「JRは第二の創成期を迎えた。その基本は安全。一人ひとりが緊張感を持って仕事に取り組んでもらいたい」
 1日午前、井沢勝常務に代わり鉄道本部長に就いた梅原利之常務は、本社大会議室に約200人の部員らを集め、こう語った。「事故防止は『守り』ではなく『攻め』の仕事だ」が持論という。
 運輸省鉄道局によると、昨年11月から今年3月末までに同社から報告を受けた作業ミスなどによる事故は10件を越えるという(別表参照)。相次ぐ事故に、運輸省は3月25日、秦野裕・鉄道局長名で輸送の安全確保を促す警告書を手渡した。
 同省の豊田栄次保安車両課長は「安全管理に不十分な点が多い。人を運ぶということの自覚が甘い」と厳しい。
◆人員削減
JR西日本で今年になって起きた主な事故
1・30山陽・東海道線=神戸駅(神戸市)構内で快速電車が脱線。1人がけがをし、136本が運休。6万人に影響が出た。
2・24東海道線茨木駅(大阪府茨木市)構内で、係員がポイント転換を誤り貨物列車が脱線。230本が運休、約18万人に影響。
2・28山陽新幹線広島駅(広島市)の上りホームで、女性のコートのベルトをドアにはさんだまま「ひかり」が発車。女性と助けようとしたJR社員の2人がけが。
3・10東海道線東灘信号場(神戸市)で係員の信号確認ミスなどでポイントが壊れ、貨物列車が約4時間立ち往生。
3・11兵庫県相生市の山陽線踏切で、軽ワゴン車と貨物列車が衝突。軽ワゴン車の3人が死亡した。工事中に配置すべき監視役を置いていなかった。
 JR西日本が3月30日に、運輸省へ認可申請した93年度の事業計画の中に、こんな方針が盛り込まれている。
 「強固な企業体力を築くためには、あらゆる面で機能的、効率的な業務体制を確立する必要がある」 民営化した87年、同社の列車走行距離は1日当たり約42万4000`だったが、現在は50万`を超えた。その一方で、社員数は約5万2000人から約4万8000人に減った。線路や車両の修理や検査部門の多くが外部に委託され、ローカル線ではワンマン運転化が進む。駅員も削減された。複数の業務を兼ねる社員も増えた。
 その結果、87年度に80億円の経常利益は90年度には875億円、不況の92年度も500億円台が見込まれている。株式上場についても「今秋にも上場予定のJR東日本に続きたい」(井手社長)と意欲的だ。
 だが、現場では「人員削減が事故の遠因」とする声が聞かれる。若手の運転士は「運行予定表は秒刻み。1分でも遅れれば上役からしかられる」とこぼす。
 これに対し、井手社長は「事故と人員削減は無関係。決められたことが守れないからだ」と話す。
◆労使対立
 2月初めの衆院予算委員会。社会党の串原義直氏(長野3区)は「箱根から西で労組が分裂し、職場は暗いと聞く。こうした環境が安全を脅かしているのではないか」と質問した。
 村上正邦労相は「労使間でうまく話し合いがつかないことは、安全問題につながる。一刻も早い解決を願っている」と答えた。
 同社の運転士の約6割が所属するJR西日本労働組合(JR西労)は、91年から鈍く会社側の経営姿勢を批判している。この1年間にストライキを3回も実施した。昨年12月には、乗務員が列車を交代する際の「待ち時間」を労働時間外とする新しい勤務制度(3月18日から実施)の撤回を求め、96時間ストをした。山口県の下関運転所では今も新制度撤回を求め、3月中旬からの拠点ストが継続中だ。
 組合員のひとりは「精神的に安定して仕事ができない」といった。
◆怒りだけ
 3月11日、兵庫県相生市の山陽線の踏切で貨物列車と衝突した軽ワゴン車の3人が死亡した事故は、JR側の作業ミスが原因だった。信号機の故障検出器を取り換えるために遮断機を上げて作業中、配置すべき整理員がいなかった。工事の一部を民間にまかせていた。軽ワゴン車は列車の接近がわからずに踏切内に入った。
 死亡したのは兵庫県龍野市の主婦松永龍子さん(当時41)と、その母(同68)、姉(同43)。龍子さんは現場近くに住む母と姉とともに、岡山県へ日帰り旅行に向かう途中だったという。
 中学2年の長男と小学6年の長女は、突然母を失った。夫の武之さんは残業で夜遅くなる日も少なくない。
「ありえない事故。怒りだけがこみあげてくる。JRの事故は相次いでおり、安全を甘く見ている気がする。事故が起きれば社内だけでなく、一般人を巻き込むことを忘れないで欲しい」と訴えている。(朝日新聞)
■振動吸収装置 特急から落下 JR阪和線
 大阪府堺市のJR阪和線三国ヶ丘駅構内で3月29日、特急くろしお22号の振動吸収装置(長さ84a、直径10a、重さ10`)が落下、JR西日本は2日、この振動吸収装置の車体取り付け部分に古い傷が多数発生していることから、同部分の金属疲労か、溶接傷の可能性が強いとみている。関係部品をJR鉄道総合研究所(JR総研、東京・国分寺市)に送り、さらに詳しく調べる。
 同社によると、この振動吸収装置は、カーブが多い路線での揺れを防ぐため、台車が受ける振動を車体が直接受けないように、昭和60年、制御付き振り子型として取り入れたもので、くろしお車両126両のうち381系電車7両だけに使われている。(京都新聞 夕刊)
3日■「のぞみ」窓ガラスにひび 公表せず 山陽新幹線で相次ぐ
 3月18日のダイヤ改正から山陽新幹線に登場した「のぞみ」の窓ガラスがひび割れする事故が相次いでいることが2日までに、JR西日本などの調査で明らかになった。
 同社では「窓ガラスは4層になっており危険性は全くない」としているが、ひび割れは東海道新幹線の分も含めて1日平均1、2件も発生しており、同社の安全への姿勢が問われそうだ。
 ダイヤ改正翌日の先月19日、のぞみ13号の13号車の窓ガラスのひび割れを最初に確認、その後同24日までに計4件のひび割れが相次いだという。
 JR西日本は「ダイヤに影響がない」としてひび割れの事実を公表しなかったが、最大5aのひび割れも見つかっているほか、3月25日以降もひび割れが発生しているため同社では車両メーカーと合同で詳しく調査することにしている。またJR東海道新幹線の「のぞみ」でもダイヤ改正以降、5件のひび割れが確認されている。
 JR西日本では原因について「ガラスを窓枠に固定する時にこじ入れたりしてできた傷とみられ、(高速運転での)風圧とは言い切れない」と説明している。
 これに対してJR西労(奥島彰委員長)は「ひび割れは時速270`という高速でトンネルを通過する時に起きる風圧の影響」として原因が糾明されるまで「のぞみ」の運転を一時的に中止すべきだと抗議している。(京都新聞)
■「のぞみ」窓ガラス割れる 増発1週間で8枚 「ひかり」や「こだま」も 風圧が影響か
 3月18日のJRダイヤ改定で増発となった東海道・山陽新幹線「のぞみ」で、走行中に客席の窓ガラスに最長5aもあるひび割れがダイヤ改定から1週間で8件起こり、その後も数件発生していたことが2日、JR西日本と東海の調べでわかった。両社は「ガラスの取り付けに問題があったとみられるが、窓ガラスが割れる恐れはなく安全に支障はない」としている。しかし、運輸省は、「のぞみ」だけでなく、ダイヤ改定後は「ひかり」や「こだま」の窓ガラス割れも増えていることから、「のぞみ」の風圧が原因になっている可能性もあるとして、早期究明をJRに指示する。
 JR2社によると、3月19日の東京発博多行き「のぞみ13号」の13号車の窓ガラスに約50aのひびが横に入っているのを、東広島−広島間で乗客が見つけた。23日には四編成で5枚もひび割れが見つかるなど、25日までに8件の修理をした。
 「のぞみ」の窓ガラスは厚さ3_の普通ガラスや5_と1.8_の強化ガラスなどの4層構造になっており、いずれのひび割れも一番外側の普通ガラスで起こっている。JR西日本は、窓ガラスをはめこむ際に、ゆがんだりまがったりした形で取り付け、これが激しい振動などでひび割れしたとみている。運転士らが懸念しているトンネル内の高速走行やすれ違いによる風圧の影響については「ガラスメーカーとも協力して調査する」(車両課)としている。
 運輸省などによると、こうしたひび割れは、1日上下約200本の「ひかり」や約100本の「こだま」でも合わせて1日1件の割合で起きているというが、37本の「のぞみ」の増発後は「わずかだが、増えている」(JR西日本)という。
 JR西日本で新幹線運転士の約6割が所属するJR西日本労働組合は週明けにも、原因の究明と風圧影響データを求める要望書を会社に提出する方針だ。
・アルミで軽量化原因か
 東海道・山陽新幹線「のぞみ」の窓ガラスにひび割れが相次いでいることについて、京大工学部の駒井謙治郎教授(機械材料学)は、窓ガラスの割れ面を見ないと詳しいことは分からない、としながらも、「のぞみ」を軽量化するため車体に使われているアルミニウムが原因ではないか、と指摘している。
 アルミは鉄に比べて鋼性が低く、ねじれやすい。このため、「こだま」や「ひかり」のような鋼鉄製の車体に比べると、ねじれによる力が窓ガラスに加わりやすい。もし、窓を「こだま」や「ひかり」と同じ設計で取り付けていたら、ガラスに加わる力でひび割れが起こりやすい、という。
 「風圧が原因なら、フロントガラスにひび割れが入ってもいい。被害が客席の窓ガラスに多いことから、風圧は原因とは考えにくい」と話している。
 また、京大工学部の井上達雄教授(一般材料力学)も「軽量化によって車体のゆがみが大きくなり、その分、窓ガラスに負担がかかっているのではないか」と言っている。(朝日新聞)
■信楽高原鉄道事故 慰霊碑建立へ
 信楽高原鉄道とJR西日本でつくる信楽高原鉄道事故ご被災者相談室は2日、滋賀県甲賀郡信楽町黄瀬の事故現場で、近く慰霊碑建設に着手することを明らかにした。5月14日の3回忌にあわせて除幕する。
 用地は、事故現場の線路と国道307号にはさまれた三角形の400平方b。慰霊碑は「合掌」をイメージした白みかげ石製で、土台も含めた高さは5.5b。碑文とともに42人の犠牲者の名前を刻む。また、事故現場わきに建っていた仮慰霊堂の跡に、高さ2.5bの事故現場碑も建てる。経費は計約4500万円。(朝日新聞)
4日■「阿房列車」百閧フ故郷に
 岡山市出身の随筆家、内田百(1889-1971) をしのんで、ファンら約120人を乗せた「故郷阿房列車」が3日、昭和20年代の旧式機関車に引かれ、東京から約16時間半の旅をしてJR岡山駅に着いた。コンコースでは乗客らを交え、到着式が催された。
 阿房列車は百關カ誕100周年に合わせて同市内のファンクラブがその1年前から始めた。10回目の今回は、鉄道ファンでもあった100閧ェ1952年、鉄道80周年の1日東京駅長を委嘱されたが出発合図もせずに気に入った展望列車に乗ってしまった、というエピソードにちなみ、初めて東京発にした。(朝日新聞)
■処分保留でJR職員釈放 山陽線踏切死亡事故
 兵庫県相生市若狭野町のJR山陽線で3月11日、軽ワゴン車が貨物列車と衝突、母娘3人が死亡した事故を捜査していた神戸地検姫路支部は3日、業務上過失致死の疑いで逮捕、拘置していたJR西日本姫路信号通信区相生派出の熊田博文・電気技術主任(48)を処分保留のまま釈放した。(朝日新聞)
■青鉛筆
 ゴトン、ゴトン…全行程わずか100b、木立を抜ける1分足らずの”旅”。のんびりした風情で親しまれた日本最短の鉄道「箕面鋼索鉄道」が3日廃止され、29年の歴史を閉じた。
 大阪府箕面市の山上にある箕面温泉と、ふもとを結ぶ1両きりのケーブルカー。温泉施設の客を運ぶため、料金は無料。延べ約1344万人を運んだ。
 手軽な行楽地として利用客が増え、輸送能力が追いつかなくなった。後がまは展望エレベーターで、所要時間は半分に。「もうちょつとゆっくり」。ケーブルカーファンの声が聞こえてきそうだ。(朝日新聞)
5日■のぞみ 石跳ね直撃 岐阜羽島通過中 ホームの男性けが
 4日午前7時40分ごろ、岐阜県羽島市福寿町平方のJR岐阜羽島駅で、新大阪発東京行き新幹線のぞみ304号が通過中、線路の敷石の1つ(縦、横、厚さとも約5a)が跳ね上がり、ホームに立っていた岐阜市の男性(43)の右ひざ下に当たった。男性は軽い打撲傷。
 JR東海広報部によると、男性のいたホームから線路1本を挟んだ通過用の線路を、のぞみが走行中、約6b離れたホームに石が飛んできたという。のぞみは最高速度の270`で走っていた。
 新幹線の通過時に敷石が飛んで人間に被害が出たケースは初めて。(京都新聞)
■「のぞみ」石はね、けが 270`で通過中 ホームの客 岐阜羽島駅
 4日午前7時38分ごろ、羽島市福寿町、東海道新幹線岐阜羽島駅の上りホームで、新大阪発東京行き「のぞみ304号」が通過した際、線路の敷石(直径約5a)をはね上げ、後続の上り「ひかり126号」を待っていた岐阜市長森、会社員の男性(43)に当たった。会社員は右足に軽いけがをし、羽島市民病院で手当てを受けた。JR東海によると、1964年に東海道新幹線が開業して以来、線路の敷石が飛んだためにけが人が出たのは、初めてという。
 会社員は、けがをした時の模様について、「すごいスピードで、『のぞみ』が入ってきたと思ったら、石が飛んできた。右ひざの下に石が当たって、しゃがみこんでしまった」と語り、「もし、顔に当たったら、大変なことになっただろう」。長さ15aほどのすり傷を示した。
 飛んだ石は、会社員に当たったあと、ホームで後ろに並んでいた男女2人の足にも当たったという。
 JR東海によると、「のぞみ304号」は岐阜羽島駅を最高速度の時速270`で通過。ホーム寄りではなく、1本離れた本線を走るので、駅を通過する場合、速度は落としていないという。事故の原因は、線路の近くの石が車輪に触れてはね上げられたか、列車の風圧で巻き上げられたため、とみている。
・原因究明を指示へ JRに運輪省
 運輸省鉄道局は5日にも、JR東海に、事故の状況報告を求めるとともに、早急に原因究明をするよう指示する方針だ。JR西日本に対しても、山陽新幹線乗り入れの試験運転中にバラストが飛んで民家や車の窓ガラスを壊す事故が起きていることから、JR東海同様の指示を出す。
 同省の豊田栄次・保安車両課長は「1年間も270`走行してきた区間での事故だけに気掛かりだ。これまでも目に見えない所でバラストのまきあげが起きている恐れもあるだけに、JR東海と西日本に徹底究明を求めたい」と話している。
・沿線で相次ぐ砕石被害
 「のぞみ」の風圧で飛ばされるなどした新幹線線路上のバラスト(砕石)による被害が、沿線では相次いでいる。試運転中の今年2月11日に兵庫県高砂市内の民家の窓ガラスに当たってひびが入った。去年12月25日には同県明石市内の駐車場に止めてあった車のガラスが被害にあった。また同月17日には新幹線と交差している同県姫路市内の山陽線に直径5−3aのバラスト約130個が落下しているのが見つかり、応急措置などのため山陽線の寝台特急など上下19本が35分−2分遅れた。
 このほか名古屋市内でも昨年、「のぞみ」型の「ひかり」で飛ばされたバラストで、民家のガラスが割れたり、壊れた防音壁が散乱して喫茶店の屋根を破ったりしている。
・台車に異状? 停車し点検「のぞみ11号」
 4日午前11時ごろ、東京都港区芝浦の東海道新幹線東京−新横浜間で、東京川発博多行き「のぞみ11号」が台車異状を知らせるランプが点灯したため、停車して床下を点検した。しかし、異状が見つからず、30分後にいったん運転を再開、さらに三島駅に臨時停車して再点検したが、原因はわからなかった。「のぞみ11号」は47分遅れで新大阪駅に到着したあと運転を打ち切り、乗客は別の車両に乗り換えた。このため新幹線の列車上下計12本が4−47分遅れ、約1万人に影響が出た。(朝日新聞)
6日■敷石位置5a下げ JR東海 のぞみ飛び石で工事
 東海道新幹線「のぞみ」が、岐阜羽島駅を通過中に線路の敷石をはね、ホームの乗客の足に当たりけがをさせた4日の事故で、JR東海は5日、敷石が飛びにくくするための応急対策として線路の敷石の位置をまくら木より5a低くする工事を進めると発表した。
 JR東海によると、列車が通過中に敷石をはねたり風圧で飛ばさないように従来から敷石がまくら木よりも高くならないよう保線してきたが、今回の事故を教訓に、まくら木から約5a下げることにするという。
 東海道新幹線は石を敷いたバラスト軌道の割合が全線の96%と、山陽新幹線(49%)と比べて高い。
 応急工事が行われるのは列車が時速270−220`の高速で運転する区間の上下計約750`のうち、のぞみ型導入の際に改良工事を済ませている部分を除く約430`。
 JR東海では、このうち新横浜−米原間の11駅(名古屋駅を除く)周辺の工事を優先して5日夜に完了させ、残りも1、2ヵ月かけて順次実施する。工事費は4−5億円。
 岐阜羽島駅構内の線路については、4日深夜の点検後、工事が実施された。
 またJR東海は5日までに事故を起こしたのぞみ304号の車両を点検したが、床下などに石が当たったような傷はなかったという。(京都新聞)
■3日連続で臨時停車 のぞみ
 6日午前8時10分ごろ、JR山陽新幹線の三原−東広島間下り線を走行中の新大阪発博多行き「のぞみ501号」の台車異状を知らせるランプが1時点灯、再び広島−新岩国間で点灯したため、小郡駅に臨時停車した。点検したが異状は見つからず、9分遅れで運転を再開した。後続の「こだま」1本も約3分遅れ、約1000人に影響が出た。
 同電車は5日午前にも小倉−新下関間でランプが点灯したため、新大阪で車両交換をした点検したところ、車軸の温度上昇を知らせるリード線が断線しているのが見つかった。このためJR西日本は5日午後から保有する「のぞみ」車両のすべて(5編成)を点検し、異状のないことを確認したばかりだった。
 また、同じような異状ランプの点灯は4日にも東京発博多行き「のぞみ11号」でも発生しており、これで3日連続して臨時停車が続いている。(朝日新聞 夕刊)
■大阪市 バス、地下鉄など運賃改定を申請
 大阪市は6日、地下鉄、新交通システム「ニュートラム」、バスの運賃改定を運輸省に申請した。認可されれば、7月にも実施る方針。
 申請では、地下鉄、ニュートラム料金は、1区(3`まで)が20円値上げの180円に、あとは4`増すごとに30円加算される。バスは20円アップの180円均一となる。通勤、通学定期も3−9%程度値上げされる。(朝日新聞 夕刊)
7日■大阪市交通局 地下鉄・バス値上げ申請
 大阪市交通局は6日、地下鉄やバスなど市営交通の運賃値上げを運輸大臣に申請した。運輸省の審査を経て認可後、7月から実施される。
 申請によると、地下鉄の初乗り料金、バスの均一料金がそれぞれ現行の160円から20円アップの180円となる。平均値上げ率は地下鉄が7.2%、バスが10.7%。(京都新聞)
■「のぞみ」台車の温度装置リード線の取り付けミスと断定
 東海道・山陽新幹線の「のぞみ」の台車の異状ランプの点灯で4日から3日連続して3本が臨時停車したことについて、JR西日本と東海両社は6日、原因はいずれも車軸の温度上昇などを知らせる装置のリード線の取り付けが悪かったため、と断定した。設置したのは日本車両製造(篠原治社長、本社・名古屋市熱田区)で、JR2社は同日、日本車両が担当した6編成(96両)のリード線交換と原因の詳細調査を要請した。(朝日新聞)
■山陽新幹線で停電 1400人に影響
 6日午後、6時10分ごろ、JR山陽新幹線の小倉−博多南駅間で停電が起きた。約3分後に復旧したが、広島発博多行き「こだま379号」など4本が同区間内で止まり、5−3分遅れ、約1400人に影響が出た。(朝日新聞)
■線路にハイテク聴診器 走りながら「傷」発見 JR西日本来週にも導入 新幹線用も開発へ
 時速20−40`で走りながら線路の傷やでこぼこを見つけるハイテク電車が来週にも、JR西日本に登場する。床下に超音波センサーを備えて線路の表面の傷を見つけ、車内のコンピューターで長さや深さを判定する。騒音の原因や乗り心地の悪さにつながるが、これまで測定しにくかった線路のでこぼこも瞬時に調べることができる。このところ、運輸省から警告を受けるほど事故が相次いでいるだけに、同社は「信頼をいくらかでも回復できないか」と期待を寄せている。
 4億3000万円を投じて開発したという在来線用「超音波レール探傷車」で、床下に超音波を発する「探触子」と呼ぶセラミックセンサーを備える。これを聴診器代わりにして、線路(両側)の表面に密着させて走ると、超音波の反射時間などから線路の傷の場所や長さ、それにでこぼこ(波状摩耗)も検知する。傷はコンピューターによって、形状や位置ごとに分類され、記録と同時にカラーで表示される。
 これまで在来線の線路検査は、台車に探傷器を乗せ、3人が手押ししながら実施していたため1日3`が精いっぱいで、しかも線路の片側だけしか測定できなかった。夜間の線路上の作業が多く、危険が伴ったのに加え、判定も担当者の熟練度に左右されがちだったという。
 JR西日本は管内の在来線約6200`のうち、今年度は東海道や北陸、湖西線など約4200`をこの探傷車で検査し、必要に応じて線路の交換をする。また、新幹線ではセンサーを線路に密着しない方式の深傷車を導入しているが、今回の探傷車の精度はそれ以上といい、新幹線用も開発する考えだ。
 線路の寿命は通行量や通過車両の重さ、速度によって異なるが、東海道線の場合で平均約25年という。破損事故も年間平均5件程度起きている。分割民営化後、直接、事故につながったケースはないが、在来線もダイヤの過密化や高速化が進んでおり、その分、線路も摩耗や金属疲労などが増している。
 同社保線課の石田勝二副課長は「安全はもちろん、騒音や乗り心地にも大きな影響を与えるだけに、新兵器を十分活用したい」と話している。(朝日新聞 夕刊)
8日■JR山陰線で遅れ 太秦駅、信号機が故障
 8日午前9時50分ごろ、京都市右京区太秦垂箕山町、JR山陰線太秦駅で下り信号機が赤のまま変わらなくなった。このため京都−園部間で普通列車2本が運休したほか、豊岡発京都行き急行丹後2号や京都発城崎行き特急あさしお3号など計8本が37−12分遅れ、約1600人に影響が出た。
 JR西日本によると、原因は太秦駅のポイントに鉄片が挟まっていたためで、取り除いて復旧、ダイヤは同日昼前、正常に戻った。(京都新聞 夕刊)
9日■レール継ぎ目が破損 JR福知山線で乱れ
 8日午後3時7分ごろ、兵庫県三田市下井沢、JR福知山線の新三田−広野間で、レールが継ぎ目から長さ20a、幅6.5a、高さ10aにわたって三角形状に破損しているのを、複線工事の準備点検中のJR社員が見つけた。
 同福知山支社では、付近の列車を停止させるとともに、篠山鉄道部の作業員らが破損したレールを交換、約2時間15分後に復旧した。
 この事故で、普通7本が運休したのをはじめ、上り特急・北近畿12号など特急3本、普通7本が最高66分から10分遅れ、乗客約3500人に影響が出た。(京都新聞)
■今度はカバー金具亀裂 「のぞみ」6編成分で再溶接
 JR東海とJR西日本は8日、両社保有の「のぞみ」6編成で、車端床下のアルミ製カバーを取り付ける金具に亀裂が入るなどの異常が見つかり、金具を溶接し直すなどの措置を講じた、と発表した。
 「のぞみ」は、3月のダイヤ改正で博多まで運転を延長、毎時1本に増発されたが、敷石のはね上げ事故や台車のリード線の断線などのトラブル続き。JR両社によると、今回の異常は高速運転と無関係で安全走行には影響ない、という。
 亀裂が見つかったのは、車体側面の連結部に近い床下のアルミ製カバー(重さ約11`)を車体に留める金具。金具は長さ25_、幅20_、厚さ4ミリの長方形でアルミ製。カバーは配線保護や美観のために取り付けられている。
 亀裂は3月始めから4月始めにかけ、定期検査などでJR東海の3編成、JR西日本の2編成から見つかった。JR東海の別の1編成では先頭車両のカバーを留めるビス1本が外れているのが発見された。(京都新聞)
■「のぞみ」ドア下に亀裂 トンネル風圧影響? 全車両修理へ
 JR東海と西日本は8日、東海道・山陽新幹線「のぞみ」の5編成で、ドアの下付近に取り付けてある「車端カバー」を支える部品に亀裂が発生し、一部は完全に切断状態になっていたことを明らかにした。亀裂などの発生個所は両社で16ヵ所。JR東海では、別の一編成で先頭車両の最先端下部にあるスカート(排障器)の一部がめくれ上がっていた。両社とも「すぐに部品が落失することはない」としているが、全車両を対象に溶接強度を高める修理をする。こうした亀裂は、東京−新大阪間の営業運転では発生していないことから、両社はトンネルが多い山陽新幹線の風圧の影響もあるとみて、原因究明を急ぐ。
 両社によると、「車端カバー」は横約2.7b、縦約26aのアルミ製部品。床下の各種機器や配線を覆ったり、車体の美観を高めたりするためのもので、ボルトとアルミ板の溶接によって車体と固定されている。亀裂や切断が見つかったのはアルミ板で、一部は幅2a、長さ2.5a、厚さ4_の板が完全に切断されていた。両社とも「アルミ板が切断されても、10本以上のボルトで支えられており、カバーが落ちる危険はない」と説明している。
 亀裂は、東海では3編成で12ヵ所、西日本では2編成で4ヵ所発生。スカートが破損した東海の車両は車体とスカートの取り付け部分のボルトがはずれ、外側に折れ曲がっていた。試作車両として昨年から走行しているが、本格的な営業運転をしたのは3月のダイヤ改定以降という。(朝日新聞)
■レール破損 三田のJR福知山線
 8日午後3時すぎ、兵庫県三田市下井沢のJR福知山線新三田−広野間で、レールの一部が破損しているのを点検中の大阪電気工事区の職員が見つけた。レールの継ぎ目から高さ約10a、長さ約20aにわたってえぐられて、線路わきに落ちていた。
 レールを取り換えて午後5時20分に復旧したが、城崎発新大阪行き特急「北近畿12号」など10本が最高1時間5分遅れ、普通列車7本が運休、約3500人に影響が出た。(朝日新聞)
■工事車両 ”バス通せんぼ” 地下鉄、京都ホテル建設用 堀川通 非常灯つけ5台列、延々4時間も 停留所横づけできず
 京都市内の南北の幹線・堀川通に最近、資材を積んだ大型トラックが長時間にわたり列を作って止まっているのが目立つ。記者が3日間、現場で追跡したところ、トラックは京都市の地下鉄東西線と京都ホテルの工事現場に資材を運ぶため、堀川通を待機場所にしていることが分かった。停車は時には4時間にも及び、車線を占拠、バスの通行にも支障をきたしていた。(社会部・北村哲夫)
・搬入まで待機?
 工事用トラックが道路を占拠しているのは、中京区の堀川通御池下ルの北行車練。近くには中京区役所や中京消防署がある。
 6日午前7時過ぎ、中京消防署南側に鉄骨や建設機械を積んだ大型トラック2台が到着、交差点手前の左折車線に止まった。近くにバス停があり、市バスは停留所に横付けできない。50b南にも大型車が1台、さらに汚泥処理用タンク車2台が止まった。5台とも非常灯を点滅させ、運転手は車内で仮眠したり、雑誌を読んでいる。
 3、4時間たって、ようやく2台の大型トラックが動き出した。後を追うと、御池通を右折し、1台は1.5`離れた河原町通御地の京都ホテル工事現場へ、タンク車はすぐ近くの地下鉄東西線の工事現場に入った。タンク車が出発した直後、交代するように別のタンク車3台が現れた。午後4時半ごろまで数台のタンク車が堀川通と地下鉄工事現場を往復した。
 7、8日も同じだった。トラックやタンク車は堀川通から2つの工事現場に向かう。京都ホテルのものと見られる鉄骨を積んだトラックは大阪ナンバーで、工程に合わせて予定より早く京都市内に着き、現場への搬入時間を調整しているのは明らかだった。
 堀川署に確かめた。現場は駐車禁止で「1週間前に長時間止めていた車に警告したが、こんな状態が続いていたとは知らりなかった。指摘を受けた後、地下鉄とホテルの工事事務所に確認して指導した」と話す。
 京都府警駐車対策課によると、たとえ運転手が乗っていても、5分以上の停車は駐車違反になる。「工事現場近くでは、厳しく指導したので、周辺で待機するようになったのかも知れない。堀川通を取り締まっても、また別の場所で止まれば同じなので、広く監視、違反を繰り返せば検挙する。工事計画に無理がないのか、業者に再点検してもらう」と話している。
・改めて業者に注意
 和田穣・京都市交通局高速鉄道本部建設部長の話 工事業者には道路で長時間駐停車しないよう指導している。以前、御池通で時間待ちするトラックに巡回指導したが、その車が堀川通に移動したのかもしれない。指摘される状況は知らなかった。改めて業者に厳重に注意する。
・事実確認し指導
 田中健・京都ホテル総務部長の話 全く知らなかった。そういうことが起こらないよう、資材の搬入時間は余裕を持って計画し、事前に運送会社に連絡しているのだが。運送業者の責任者を呼び、事実を確認して指導を徴底する。(京都新聞 夕刊)
■環状線高架下で火事 大阪 一時、運転ストップ
 9日午前9時半ごろ、大阪市天王寺区のJR大阪環状線桃谷−寺田町間の高架下付近から出火、高架下にある同区勝山四丁目の木造2階建て倉庫延べ約60平方bを全焼したほか、隣接の木工所の2階部分約120平方bを焼いた。けが人はなかった。
 JR西日本によると、煙の影響で同9時40分から同線の内、外回り線がストップ。内回りは約15分後に、外回りは約35分後に運転を再開した。
 この影響で8本が運休し、12本が最高30分遅れ、約1万人の足が乱れた。
 大阪府警と大阪市消防局で火元と原因を調べている。(京都新聞 夕刊)
■JR環状線高架下で火災 8本運休、1万人に影響
 9日午前9時半ごろ、大阪市天王寺区勝山4丁目、JR環状線の高架下にあるJR西日本所有の倉庫付近から出火、木造2階建ての同建物延べ60平方bを全焼し、さらに隣の同市生野区勝山南1丁目、木製品製造会社「林勝」(林義昭社長)の第1工場延べ240平方bのうち2階部分約120平方bが燃えた。
 天王寺署が出火原因を調べている。
 現場はJR大阪環状線の桃谷−寺田町駅間の沿線で、煙が線路上にも流れ込んだため、午前9時40分に内外両回りとも運転が見合わされた。電車は各駅で止められ、乗客には私鉄や地下鉄の振替乗車票が渡された。内回り線は約15分後、外回り線は約35分後に再開された。電車8本が運休、12本が最高約30分遅れ、約1万人の足が乱れた。(朝日新聞 夕刊)
■普通電車が故障で運休 後続15本に遅れ 山陽電鉄
 9日午前7時すぎ、兵庫県明石市大蔵天神町の山陽電鉄本線人丸前駅構内で、姫路発新開地行き普通電車(4両編成)が車両故障のため停車。同駅で乗客を降ろし、後続の特急電車に押されて霞ヶ丘駅まで運ばれた。この影響で、普通電車が運休、後続の電車15本が最高25分遅れた。(朝日新聞 夕刊)
10日■新幹線のぞみトラブル続き ボルト25本落下 パンタ用 人為ミスの可能性
 東海道・山陽新幹線「のぞみ」のパンタグラフ底部を保護する底板カバーを固定しているボルトが3編成で計25本も抜け落ちていることが9日までに、分かった。
 JR西日本は「安全走行には影響ない」としているが、8日には車端カバーの固定金具の亀裂が見つかるなど、のぞみはトラブルが続いている。技術専門家は「乗客を乗せた営業運転で耐久テストをしているのと同じ」と指摘しており、JRの安全対策が厳しく問われそうだ。
 JR西日本によると、博多総合車両所での5日の日常点検で、1編成(16両)のパンタグラフ3基の底板カバーを固定しているボルト(直径5_、長さ14_)のうち17本が抜け落ちているのが見つかった。このため、のぞみの全車両を一斉点検したところ、別編成のパンタ1基でも7本が、同様にJR東海所有の編成でも1本見つかるなど3編成で計25本抜け落ちていることが分かり、全車両のボルトを締め直した。
 両社では「直ちに底板カバーが外れることはなく、のぞみの安全走行に影響はない」としており、原因は@車両メーカーの出荷時のボルト締め付けが不完全だったAJR側の定期点検が不十分だった−など人為的なミスの可能性が強いとしている。 のぞみは窓ガラスのひび割れ事故が最近の3週間だけで20件異常もあったほか、4日続きで臨時停車するなどトラブルが相次いでいた。(京都新聞)
■JR西日本「のぞみ」導入や過ぎた!? 耐久テストに疑問の声
 JR西日本が3月のダイヤ改正から山陽新幹線に登場させた「のぞみ」で事故やトラブルが相次いでいる。
 新幹線の運転士を多く抱えるJR西労(奥島彰委員長)は「収益優先主義の会社体質が招いたもので、起こるべくして起きた」と指摘。技術評論家も「JRは高速運転での耐久テストをもっと時間をかけてやるべきだった」と”拙速導入”を批判しており、毎日のように続出するトラブルは「のぞみ新時代」の裏側にある問題点を浮かび上がらせている。
 東海道に比べトンネルが多い山陽新幹線では、車体への風圧の変化が激しく、のぞみの営業運転開始後3週間で窓ガラスがひび割れする事故が20件以上も起きた。「ひかりより50`も速い時速 270`の高速運転での擦れ違いは想像以上に風圧が大きい」と現場の運転士は語る。
 1年間の東海道新幹線「のぞみ」運行の経験がそのまま適用できない、との不安が当初からあった。トラブル続出でこの不安が的中した。JR西労は安全を確認するまで、営業運転の中止を申し入れている。
 また技術評論家の桜井淳さんも「台車の振動吸収装置を固定するナットが落ちたりするのは、高速運転に対する車両の長期的な耐久テストを十分重ねていない証拠」と、「軽微トラブル」を強調する同社の安易な楽観主義に首をかしげる。
 これに対しJR西日本は「大きな事故につながるトラブルはなく、対策も講じている」としている。(京都新聞)
■JR東日本、上場へ秒読み 来週中にも仮申請 株市場の動向が関門
 株式市場低迷のあおりで2年間見送られてきた東日本旅客鉄道(JR東日本)の株式上場が、最近の株価回復で秒読み段階に入ってきた。今年秋の上場をめざし、政府は早ければ来週後半にも、上場の仮申請にゴーサインをだす。株式市場の活性化につながると関係者の期待が高まる一方、上場後に暴騰し、その後暴落した日本電信電話(NTT)の二の舞いになる恐れはないか心配する声もある。これからの課題を探ってみた。
 「今回はどこも、上場に前向きの反応でした。否定的な意見はなかった」。3月半ばから今月にかけ、大手と準大手の証券会社13社の会長や社長を訪ね歩いたJR東日本の松田昌士副社長は、ほっとした様子だ。
 昨年8月、上場申請の一歩手前までいきながら、政府の総合経済対策で「92年度の上場見送り」が盛り込まれたのは、平均株価急落で証券界から、JR株上場が相場の足を引っ張るという懸念の声が高まったため。東日本にとっては、今後の株式市場の動向が、上場にこぎつけるまでの最大の関門になる。
JR東日本の資産と業務内容
資本金2000億円
発行済み株式数400万株
純資産5072億円
売上高1兆9499億円
経常利益1080億円
長期債務5兆3782億円
注:数字は92年3月期決算時
 株式市場の変動の影響をできるだけ抑えるために、東日本や運輸省、国鉄清算事業団は、今回、上場申請から実際の上場までの期間を、昨年のスケジュールより、2ヵ月程度短縮させる計画をたてている。
 証券取引所への上場仮申請も、そのひとつ。92年度の決算資料が確定する前に、できるところから審査を進めてもらおうというねらいで、決算が固まった7月初めに正式申請に切り替える。株式の売り出し価格を決める入札から上場までの期間も、抽選方式を簡略化させることで短縮し、「市場変動の影響を最小限にとどめたい」(運輸省幹部)という。
 現在の懸念は、東証の平均株価が一時2万円台をつけるなど、急速な上げ基調にあり、その反動が起きるかどうか。「ちょっと、上昇が早すぎはしないか。実体経済の回復はまだ、その兆しがみえたはかりなのに」(松田副社長)。証券各社も「平均株価が上昇するのは基本的にはうれしいが、JRの株価を考えると複雑だ」と漏らす。
・個人株主に期待 利用客狙い運賃割引も
 JR東日本が「安定株主」として期待しているのが個人株主だ。「東日本の利用客は1日ざっと1600万人。全員が往復客とみなせばその半分、そこから学生を除いても600万人のお客さんがいる」と松田副社長。
 こうした個人株主獲得のため、東日本では、運賃割引などの株主優待策を検討中で、遅くとも株式の売り出し前には具体策をまとめる予定だ。証券会社も「航空会社や私鉄の個人株主は、沿線住民や鉄道ファンが多く、一度買うと持ち続ける傾向がある」とみており、こうした層に売り込んでいく考え。「今持っている株を売ってJRに乗り換えるというより、新しい個人客を開拓できると思う」(山一証券)と意気込んでいる。
 こうした楽観論の一方で、市場関係者の間には、個人株主の動きは鈍いとみるさめた見方もある。ある大手生保の役員は「個人株主を引きつける呼び水になったNTT 株の急落で、個人株主はこりている。急成長が望めない産業だから、大幅な値上がりも期待できないし」と、難問を投げかける。
・値上げ論議も浮上
 株式上場に伴って、今後の課題として浮上するのが、JRの運賃制度のあり方だ。公共交通機関としての役割を考えると、基本的には利益は運賃の抑制にまわすべきだが、株主への配当を考えると、一定の利益を確保しなけれはならず、運賃決定が難しくなるからだ。
 私鉄の場合は、鉄道事業全体の業績が赤字すれすれになると、運賃引き上げを認める「総括原価主義」をとっている。一方、旧国鉄時代の運賃体系を引き縫いだJRは、幹線区間と地方路線では同一距離でも運賃が異なるなど、4つの運賃表が並存している。私鉄方式をそのまま当てはめるのは、無理がある。
 分割・民営化以来、JRは消費税の転嫁を除けば、一度も値上げをせずにきた。93年度は各社とも値上げはしない方針だが、景気低迷が長引けば、94年度に値上げが実施される可能性もある。また、96年度いっぱいで固定資産税の減免措置が切れるため、東日本の税負担は270億円増える。JR東日本の幹部は「このままでは、97年度の値上げは避けられない」といい、運輸省の幹部も「私鉄方式にするのか、別のやり方がいいのか、議論する必要がある」としている。(朝日新聞)
■「瀬戸大橋で仲良しに」 開通5周年迎え記念式
 岡山県倉敷市と香川県坂出市を結ぶ瀬戸大橋(約9.4`)が10日、開通から5周年を迎えた。橋中央部の与島(坂出市)で同日午前、建設、運輸両相や姉妹橋の米国・金門橋の関係者らが出席して記念式典があった。
 式典では、坂出、倉敷両市の小学校6年生の代表が「橋ができて交流会を開くようになり、仲良くなれました」と交流を示す作文を疲労した。
 本州四国連絡橋公団によると、5年間に橋を渡った車は約1923万台。しかし、普通車片道(岡山県・児島−坂出間)5770円といった高い料金などから敬遠され、1992年度の1日平均は約1万1900台と、開通前の予測2万4900台の半分以下だ。
 一方、JR瀬戸大橋線の利用客は約5245万人。運賃が比較安いことから人気を呼び、乗客は1日約2万9000人で、開通前のJR四国の予測1万5000人を大きく上回った。(朝日新聞 夕刊)
■JR西日本 安全対策室や相談室設置へ
 社員のうっかりミスが原因とみられる脱線事故や踏切事故が相次ぎ、3月下旬に運輸省から安全輸送の徹底を促す異例の警告を受けたJR西日本は9日、同省に対して今後の安全対策について文書で報告した。
 それによると、保安体制の強化策として@6月に予定する大阪、京都、神戸への3支社親切を機に、管内の10支社に支社長直轄の「安全対策室」を設けるA社員の改善意見を聞いて安全対策にいかす「こだま相談室」を設けるなどが盛り込まれている。(朝日新聞 夕刊)
■JR奈良駅周辺再開発 黒川氏設計ノッポ住宅 完成1年 入居ゼロ バブル崩壊 事業進まず 世界博の会場予定地
 古都の景観を守る高さ制限を緩めてまで奈良市が有名建築家黒川紀章氏の設計で建てた県内一のノッポビル、市営コミュニティー住宅(高さ40b、14階建て)が、完成から1年近くたつのに入居者ゼロのまま、「ゴーストビル」と化している。バブル崩壊もあって一帯の再開発事業が停滞し、入居に伴う交渉が始まらないのが理由。再開発ビル群は、市制百周年記念事業として1998年に市が開く世界建築博覧会の会場に予定されており、博覧会のイメージダウンを心配する声も出ている。
 市の計画では、再開発地区はJR奈良駅周辺の23.6f。ここにホテル2棟、百貨店、商業ビル、市民ホールなどができることになっている。ところが、バブル崩壊後の景気低迷のあおりで百貨店などの誘致はうまくいかず、これまでに民間施設で進出を決めたのは大手不動産系列のホテル1社だけ。
 コミュニティー住宅はJR奈良駅の南西約200bにあり、90年5月末に着工し、約52億円かけ、昨年5月下旬に事実上完成した。白とグレーのL字型。高さ40bは、市が88年末に再開発事業のために緩和した制限ぎりぎり。再開発で壊されるアパートなどの住民のうち、180世帯が入居するはずだった。
 市や地権者らの話を総合すると、再開発の全体計画がつまずいているため、今後の見通しを市自身が明確につかめず、地権者との交渉が難航。一帯のアパートや貸家を解体する話し合いに入れないまま、同住宅への入居開始がずるずると延びているという。
 市は、できるだけ早く「話し合いのまとまった地区の借家人から入居してもらう」方針だが、現在その見通しが立っているのは、地権者が6人しかいない区域だけ。同区域の入居予定者は約20世帯しかなく、この世帯数では、エレベーターの運転経費きえ出ないという。
 商業ビル予定地の大口地権者で花店経営の吉田公一さん(42)は「バブル崩壊以来、補償問題などの説明は一切ない。こんな状態で5年先に建築博を開くのは無理ではないか」と開催そのものを危ぶんでいる。
 奈良市の大川靖則市長は3月市議会で「事業が途中であっても、(建築博では)建設過程をみてもらえる」と、博覧会の日程を変更する考えのないことを明らかにしている。
 世界建築博覧会 総合プロデューサーは建築家の黒川紀章氏。新しい再開発ビル群と奈良町(ならまち)の古い町並みを紹介するのが目的で、テーマは「歴史と未来の共生」。詳細はまだ詰まっていないが、プレイベントの一つとして昨年4月、「トリエンナーレ奈良92を51日間、奈良町を中心に展開した。(朝日新聞 夕刊)
■新聞代4000万円肩代わり 大阪市の外郭団体 地下鉄90駅長室へ
 大阪市交通局の外郭団体である財団法人「大阪市交通局協力会」(奥村保夫理事長)が、10年以上も前から毎日、自腹を切って購入した新聞を同市営地下鉄の計約90駅の駅長室へ無料で配っていたことが10日分かった。「慣行だった」といい、同市監査委員や市民から改善するよう指摘を受け、3月下旬にようやく中止した。新聞代は月約30数万円、ここ10年間でみると総額は4000万円を超えるとみられている。
 市交通局協力会は1964年に設立され、同市交通局から市営交通機関の定期券発売、地下鉄駅構内の売店経営などの業務委託を受けている。
 関係者の話によると、新聞の無料配布は、駅長室の交通局職員に売店の苦情処理などで日ごろ世話になっているため、謝礼の意味を込めて始まった。約90駅にある売店に勤務している協力会の職員らが、売店に並べてある朝刊と夕刊のなかから駅長室が希望する1−3種類を一部ずつ取り出し、持参していた。一般紙のほかスポーツ紙も含まれていた、という。
 同協力会は、この新聞代を内部の必要経費として処理していたため、監査委員から昨年秋、「ずさんな会計」と指摘を受け、協力会内部で実態を調査。対応を検討していたところ、現場を目撃した市民から抗議があり、交通局に連絡したうえで3月22日の夕刊から中止した。
 大前敏晴・同交通局協力会営業部長は「設立当初のころからの慣習で、世話になっているのは事実だったので、問題だという意識がなかった」と弁明している。(朝日新聞 夕刊)
■快速電車が行き過ぎる 通過と間違う? 兵庫駅
 10日午前7時49分ごろ、神戸市兵庫区駅南通五丁目のJR神戸線兵庫駅で、上郡発米原行き快速電車(12両)が、所定の位置よりも約280b行き過ぎて停車した。同電車は駅のホームまで戻って乗客約25人を降ろし、4分遅れて発車した。
 JR西日本の調べでは、運転士が「通過駅と間違えてブレーキが遅れた」と話しているという。(朝日新聞 夕刊)
■アパート全焼 阪堺線止める 阿倍野
 10日午前5時半ごろ、大阪市阿倍野区阿倍野筋五丁目、アパート「福井荘」(福井万昌さん所有)付近から出火、木造3階建ての同アパート延べ約260平方bが全焼し、両隣の会社建物の2階部分が焼けた。この火事で、現場近くを走る阪堺電軌の阿倍野−松虫駅間で運転を一時見合わせた。(朝日新聞 夕刊)
11日■のぞみ 速度制御ビス外れ運転中止 広島 ハンドル押さえ運転
 10日午後9時37分ごろ広島県内のJR山陽新幹線三原−東広島間を走行中の東京発博多行きのぞみ25号から「速度を制御するマスコンハンドルの取り付けビスが外れた」と新幹線東京指令所に連絡があった。
 列車のブレーキ操作には支障がなく、そのまま広島駅まで走り、検査のため運転を取りやめた。乗客約200人のうち約30人は広島駅で下車、約170人は後続の新大阪発博多行きひかり147号など2本の列車に乗り換えた。
 JR西日本によると、マスコンハンドル(主幹制御器)は車のアクセルに相当するレバーで車両の速度を調整。ハンドルは根元の部分でビス1本で止められており運転士はビスが外れた後も、ハンドルを押さえながら制御していたという。故障が起きたのは時速270`走行区間だった。
 ハンドルは運転台の中央左寄りにあり右手で操作、左手は運転台の左端にあるブレーキを操作する。マスコンハンドルが全く制御できなくなってもカーブや駅が近付くと自動的にスピードが落ちる仕組みになっているという。(京都新聞)
■京都観光の女性狙い満員市バス内でスリ 府警、容疑者を逮捕
 京都府警捜査三課と松原署は10日、窃盗の現行犯で住所不定、無職池田良一容疑者(59)を逮捕した。
 池田容疑者は、10日午前11時40分ごろ、京都市東山区の東大路通を走行中の市バス内で、横浜市保土ヶ谷区仏向町、会社員本多美佳さん(31)のショルダーバッグから現金約5万円とキャッシュカードが入った財布を抜き取ったところを捜査員に逮捕された。市バスは満員状態で、本多さんは京都観光中だった。
 府警によると、京都駅発東大路通経由の循環系統の市バスで今月6日に4件のスリ被害があった。このため、府警捜査三課のスリ担当捜査員が、7日からバス内で警戒していた。
 調べに対し、池田容疑者は6日の反抗を認めている、という。同じ市バス系統では昨年2月ごろから主に女性の観光客が狙われるスリ被害が約30件発生している、という。(京都新聞)
■のぞみ 運転を打ち切る 広島 加速・減速レバー異状
 10日午後9時51分、広島市のJR広島駅で、東京発博多行「のぞみ25号」(16両編成)にトラブルがあり、JR西日本は広島駅で運転を打ち切った。同駅以西へ向かう乗客約40人は後続の「ひかり57号」と「ひかり147号」に乗り換えた。のぞみ25号は広島新幹線運転所の車両基地に入った。
 JR西日本によると、「のぞみ」が東広島駅にさしかかったあたりで、運転士から東京の新幹線指令に「マスコン・ハンドルががたがたする」と連絡があった。広島駅で点検係が乗り込んで調べたが、原因が分からず、午後10時14分に運転中止を決めた。
 マスコン・ハンドルは加速・減速のためのレバーで、車でいえはアクセルにあたる。取り付けボルトの異状らしい。ボルトがはずれるなど、最悪の場合は減速ができなくなる可能性もあるという。(朝日新聞)
■普通電車が”通過” 和泉・JR信太山駅
 10日午後4時20分ごろ、大阪府和泉市地上町1丁目、JR阪和線信太山駅で、天王寺発和歌山行き普通電車(4両)が停止位置を約280b行き過ぎて止まった。電車はホームを離れて踏切も越えていたため、同駅には戻らずそのまま発車。同駅にいた乗客8人は後続の快速電車を臨時停車させて乗車きせた。降車予定の乗客15人は次の和泉府中駅で降ろし、天王寺行きの快速電車で戻ってもらった。(朝日新聞)
12日■トレンディー消えぬくもり欲しいが ロケに悩むTVドラマ 「都会」の町並みが全国に広がって
 テレビドラマのロケ地探しが難航している。トレンディードラマ全盛時には、華やかな都会の情景を狙えばよかったが、バブル崩壊後はホームドラマが復権。ぬくもりのある舞台が求められているのに、全国似たような開発で、どんどん姿を消しているからだ。「イメージをかきたてられることが少なくなった」と嘆く脚本家。ロケハンを生業とするプロの”探し屋”も、音をあげている。
 「とにかく町並みに個性がなくなった」と脚本家の山田太一さん(58)。今春の最新作で東北の駅を舞台にした作品を書く際、モデル駅を探したが、どこも都会と同じで魅力に欠けた。自ら歩いてJR只見線の小さな駅にたどり着いたが、そこに至るまで一苦労だった、という。
 「風景から時代の流れが感じられなくなった。最近の開発は、まるで過去を抹殺しようとしているようで、残念です」
 フリーでロケ地探しや交渉を手掛ける金沢清美さん(45)。6月に放映予定の作品の舞台探しを頼まれ、この1ヵ月余り、関東一円をレンタカーで走り回った。走行距離が4000`を超えたころ、やっとイメージに近い場所をみつけた。
 「トレンディードラマのころは楽だった」というのは、やはり”探し屋”の吉見精一さん(35)だ。
 トレンディードラマは1988年、フジテレビが放映した「君の瞳をタイホする」「抱きしめたい」あたりが、はしり。その後、各局とも流行のファッション、インテリア、遊び場スポットなどをふんだんに取り入れたドラマ作りに力を注いだ。
 当時、”探し屋”は雑誌の特集を繰るだけでよかった。しかし、91年の「東京ラブストーリー」前後をピークに、ドラマの脱トレンディー化が進み、生活感がにじむ舞台が必要になってきた。
 首都圏では、テレビドラマの舞台になることで、街のイメージが作られてきた。現代風俗研究会員の小川裕司さんによると、古くは「バス通り裏」などで「東京・山の手」イメージが植えつけられ、「金曜日の妻たちへ」で横浜市の東急田園都市線沿いに「高級佳宅地」イメージが広がった、という。
 バブル期、こうしたイメージの拡大再生産が全国各地で展開された。が、「ぬくもりのある街づくり」は顧みられなかった。
 建築家兼都市デザイナーとして各地の再開発などを手掛けてきた高橋志保彦・神東川大教授(56)は「金太郎あめのような景観になったのは、大量生産で安く供給できる新建材の登場など、経済的な要因もある。しかし、最近は、各地で、間伐材を使った歩道やオープンスペースを大きくとった町づくりなど、行政ぐるみで見直しが始まっている」と話している。(朝日新聞 夕刊)
13日■最新券売機に”落とし穴” 大量偽1万円札 識別チェック素通り ATM など拡大も JR京都駅打つ手なく
 京都や滋賀、大阪のJR駅構内や銀行、郵便局で12日、偽の1万円札280枚が相次いで見つかった。偽札事件は、これまでは商店や銀行窓口で紙幣が使われ、偽造が発覚したが、今回は券売機や銀行の両替機が偽札を見逃した。世界でも最高技術とされる日本の紙幣印刷技術とハイテクを駆使した券売機や両替機の偽札識別技術を初めてかいくぐった今回の偽札事件。今後、街角のパチンコ店の両替機や各地の銀行のATM(自動預け払い機)コーナーでも偽札が使われる可能性も強く、被害はさらに拡大しそうだ。
 大量の偽1万円札がJRの券売機や銀行の両替機で使われた今回の事件は、自動販売機が街角で日常化し、金融機関が無人化する現代社会の虚を突いた格好だ。
 1万円札と5000円札の高額紙幣が使用できる自動販売機は、約10年前に登場した。ただ、1万円札が使える自販機は現状では、JRや航空会社の券売機、JRA(日本中央読馬会)の券売り機、パチンコ店の両替機など一部に限られる。金融機関では両替機のほか、ATMでも使え、偽口座さえ使えば、偽札をATMに投入して預金し、その場で再び、同じ金額を引き出せば、本物の紙幣を手にできる点で、被害の拡大が予想される。
 偽1万円札2枚が見つかったJR京都駅には、43台の自動券売機がある。そのうち、1万円札が使用できる自動券売機は、新幹線の特急券付き乗車券用と近距離切符用の2種類で、計18台が、駅構内に設置されている。
 JR西日本京都駅によると、新幹線用券売機で1日平均700枚前後、近距離用で同1000−1100枚の切符を売っている。たまった札は、日に2回以上、営業指導係が回収している。
偽1万円札の発見状況
三和銀行堂島支店33枚
兵庫銀行梅田支店20枚
さくら銀行大阪駅前支店177枚
さくら銀行大阪北支店5枚
さくら銀行堂ビル支店33枚
JR大阪駅券売機7枚
JR高槻駅券売機1枚
JR京都駅券売機2枚
大津錦織郵便局1枚
大津市内の商店1枚
合  計280枚
 今回の偽札は、係員が札を回収した後、整理している際に発見。斉藤敏昭内勤助役は「15年近く京都駅にいるが、偽札事件は初めて。精密にできているはずの自動券売機でもチェックできないとは」と、話した。
 1万円札の使える自動券売機は、JR西日本本社のエリア内では、36駅に241台が設置されている。いずれも、札の真偽を識別する機能は、京都駅のものと基本的には同じ、という。同社は「対策と言っても、今のところ以前より頻繁に券売機を開けてチェックするぐらいしかない」と、打つ手のなさを嘆いている。
・番号の色濃くすぐ分かった 大津・発見の女性
 大津市内で偽札が見つかった「石原商店」は、同市のナカマチ商店街の中心部で、昼間は買い物客らでにぎわっている。見つけたのは経営者の長男の妻深雪さん(31)。「9日以降の売上金の中から1万円札ばかりで給料袋をもらったが、中の1枚の縁が白っぽく、番号の色が濃くゆがんでいたので一目で偽札と分かった」。同店には9日以降、約220人が買い物に訪れており、深雪さんは「心当たりは全くない」と困惑類だ。
 一方、庁舎の改築で約200b南の仮庁舎で開局している大津綿織郵便局では、客の応対をしていた男性職員が支払金の枚数を確かめた際、手触りの違う1枚に気づいたという。野田清彦局長(40)は「本当に良く似ていた。お客さんに支払う前に気づいたのが不幸中の幸い」と話していた。
・番号だけ別印刷か 巧妙複雑な技術駆使 警察庁
 大阪、京都など3府県で12日までに大量に見つかった偽1万円札は13種類の番号を使っていることから、警察庁などは犯人が発覚を防ぐため、あらかじめ「福沢諭吉」の肖像などを刷った上で、別に番号だけを印刷するなどかなり複雑な手法を駆使しているとみている。
 また為替相場で円が戦後最高値を記録した時期に大量に使われていることなどから、高度な印刷技術を持つ組織的な犯行との見方が有力だ。
 過去の偽札事件では偽札の原版に番号を入れることが多く、昭和62年4月の和D-14号事件では真札を写真撮影するなどして作ったため、番号は1種類だった。しかし昨年大阪、東京など4都府県で見つかった香港の偽造グループによる和D-52号事件では連番号があるなどかなり巧妙な印刷技術を駆使していた。
 香港警察などによると、逮捕されたグループは原版で偽札本体を刷った後、別に番号だけを印刷していた。番号を別に印刷することで偽造が発覚されないようにする狙いがあったが、関係者によると印刷がずれたりすることもあるためかなり高度な技術がないとできないという。
 警察庁は今回の犯人が香港グループと同じような印刷方法を取っていたかははっきりしないが、印刷技術の専門知識がないとできないことなどから、大阪府警などに高度な印刷技術を使った過去の偽造事件の洗い出しなどを急ぐよう指示している。
・技術者急きょ派遣 大蔵省理財局 「模写困難なはず」
 先端技術を使った高額紙幣用の券売機や両替機のメーカーと大蔵省は今回、偽1万円札が容易に市中で使われたことにショックを隠せない。被害にあったJR券売機を製造した業界最大手のオムロン(京都市下京区)は12日、券売機が偽札を見破れなかった原因を調べるため、機械を製造した草津事業所の技術者数人を急きょJR西日本に派遣、詳しい調査を始めた。
 同社によると、券売機は紙幣の挿入口の近くに組み込まれた判別機で、紙幣の大きさや紙質、デザインを瞬時に読み取って本物か偽札か鑑定する、という。
 こうした外形的な判別のほかに重要なのが、磁気印刷と呼ばれる特殊な印刷の解読。紙幣の文字や記号、絵模様を磁性体を混ぜた磁気インクで印刷、特殊なセンサーでパターンを読み取る。相次ぐ偽札事件封じ込めの切り札的な存在で、紙幣以外に証券や小切手の印刷に使われている。
 大日本印刷(東京)は「インクの濃度を調整して磁気強度や波形を微妙に変えることで偽物を区別できる。磁気印刷は民間の業者でも可能だが、相当の設備が必要」と言い切る。
 現行の福沢諭吉の1万円札は昭和59年から発行され、印刷技術は世界最高水準にあるとされる。にもかかわらず、高度な判別機器を通過するほど精巧な偽札が出回ったことについて、大蔵省理財局は「磁気に関しては、省内でも最大の機密事項。紙幣の磁気を読み取ったうえ正確に模写することは、不可能ではないが非常に困難なはず」という。磁気まで複写したと見られるだけに、驚きを隠せないよう。
 大蔵省は、最近のカラーコピーを使った偽札事件の多発を受け、年内にも偽造が困難な特殊な発光インクや超微細文字を使った新札に切り換える予定だった。
 コピー機メーカー各社も、大蔵省の要請を受け、偽札防止のため紙幣が複写できない機能を付けたコピー機に切り換えている。
・”愉快犯”のにおい
 社会評論家朝倉喬司さん 従来の偽札は本物に似せて人間の視覚をだますものだったが、今回のケースはハイテクを駆使した機械をだました、という点でこれまでの偽札づくりとは発想、技術力が根本的に違う。犯人は機械がチェックするポイントに精通していたのだろう。高度な印刷技術を駆使して、ハイテク機槻をあざわらうような、一種の”愉快犯”のにおいがする。
・いたちごっこに
 若井弘融・東洋大名誉教授(犯罪社会学)枚数の多さからいって大胆な手口の犯罪だ。両替機や自動販売機など、世の中が便利になって金の流れが人の手を通らないようになると、その盲点を突いたこのような犯罪が増える。最終的には偽造技術とそれを見破る技術とのいたちごっこになるだろう。犯人の人数などは分からないが、複数だとすれば大阪、京都などの犯行地域に何らかの接点がある人物ではないか。
主な偽1万円札事件
 大阪市内の銀行の両替機やJR大阪駅、京都駅の自動券売機などで12日までに精巧な偽1万円札が発見されたが、警察庁によると、偽1万円札事件は旧札で 227件、昭和59年に新札になってからも最近のカラーコピー機を使った事件を除いて52件発生。円高を背景に海外で偽造された偽札が流入したケースもある。主な偽1万円札事件は次の通り。
 昭和61年9月 神奈川県の元印刷工ら3人が1万円札を偽造、29枚使用し逮捕。写真製版にパステルクレヨンなどで着色した
 62年4月 東京都荒川区などで偽1万円札4億2000万円分が投棄されているのが見つかり、童話作家ら14人が逮捕された。偽造は総額で10億5000万円分に上った(和D-14号事件)
 63年12月−平成元年1月 成田空港や宇都宮市などで偽1万円札46枚発見。63年11月にフィリピンで摘発された偽造団のものと番号が一致(和D-15号事件)
 2年6月 東京、大阪、兵庫など15都府県で偽1万円札が相次いで発見。この2ヵ月前に摘発されたフィリピンの偽造団から流れたと判明。日本での発見枚数は現在まで79枚(和D-33号事件)
 4年2月 カラーコピー機で偽1万円札約2000枚を偽造した大学生ら2人を警視庁が逮捕 4年4月 東京、大阪、兵庫、茨城の4都府県で偽1万円札が発見され、香港警察が偽造団の中国人4人を逮捕した。国内での発見、押収枚数は現在まで58枚(和D-52号事件)(京都新聞)
■信頼の機械だまされた ニセ1万円札 手にとればすぐ判別 銀行・JR 対応に苦慮
 人が手にとればニセ1万円札とわかるのに、銀行やJRの最新紙幣識別システムを、あっさりくぐり抜けた。11日夜から12日にかけて、大阪市内の銀行の両替機や、JR大阪、京都両駅などの自動券売機で相次いで見つかった大量のニセ1万円札事件。さくら銀行の支店では、200枚を超えるニセ札が両替、換金されていた。店頭で人をだます釣銭詐欺とは違い、機械を相手にした組織的な犯行に、大量の現金を扱う金融機関やJR各社、両替機などのメーカーは衝撃を受けている。
 大阪市北区梅田一丁目のさくら銀行大阪駅前支店では、12日午後3時に両替機による交換を終了。すぐに行員が中の現金を回収し、紙幣を種類ごとに区分けする自動選別機にかけたところ、ニセ札をはじき出した。同支店では計177枚が換金されていた。
 同支店からの連絡で、同銀行本店(東京都千代田区)が全国の支店に、両替機の現金を再点検するよう指示したところ、新たに同区内の堂ビル支店で33枚、大阪北支店で5枚のニセ1万円札が見つかった。
 堂ビル支店では午後1時から同5分までの間に、両替されたことが記録から確認された。同行広報部は「機械の精度を信頼していただけに驚いている。13日以降の両替機の使用を全国の支店で中止する」としている。
 両替機からニセ1万円札20枚が見つかった大阪市北区堂山町の兵庫銀行梅田支店では、閉店後も行員らが警察や両替機の製造メーカーとの連絡など、対応に追われた。
 20枚のうち2枚が両替機を通過し、1000円札20枚に交換された。吉田善之副支店長(50)は「機械を全面的に信頼していた。それが頼りにならないのでは」と語った。
 両替機はキャッシュコーナーに一台あり、警報機が鳴り、出納係の女子行員が駆けつけたときは、すでに機械の近くに人はいなかった。
 大阪市北区曽根崎新地二丁目の三和銀行堂島支店では午後2時半ごろ、店内の両替機の異常を知らせるブザーが鳴った。
 女子行員が両替機前にいた男に「いくら入金されましたか」と聞くと、「8万円入れた」と答えた。さらに「8万円のほかにも入金しましたか」と確認すると、「わからない」と言ったという。
 女子行員が機械を点検しようとしたところ、男は両替機の上に1万円札25枚を置いたまま立ち去った。同支店はニセ札とは思わず、両替機内に詰まっていた8枚と合わせて計33枚を「客の置き忘れ」として処理。午後12時すぎ、警察に届けて初めてニセ札とわかったという。
 1日の平均乗降客が約83万人と、JR西日本管内で最多の大阪駅では、中央コンコースにある4台の券売機からニセ札7枚が見つかった。
 当直勤務だった奥田哲二・出札助役(45)は「色のおかしいのに気付き、よく見ると、福沢諭吉像が色あせていて、全体に薄かった。手触りは本物と変わらなかったが、視覚障害者用のマークが平たく感じられた」と話す。
 同駅には77台の券売機があるが、5000円と1万円の紙幣が使えるのは中央コンコースの機械だけだ。4台で1日に約500万円分を発券し、取り扱う1万円札は7、 800枚にのぼる。
 京都駅で使われたのは、地下にある烏丸東口の改札口東側の自動切符売り場。12台の券売機のうち、1万円札が使えるのは5台だけで、1日約5000人が利用している。11日夜、券売機裏にある券売機室で駅員が1万円札40枚を集めたとき、色の薄い札があるのに気付いた。
 JR高槻駅では12日午後、渡辺新(はじむ)助役(47)らが中央改札にある九台の券売機で集余作業中、85枚あった1万円札のうち1枚の色が薄いのに気付き、ニセ札を見つけた。
 同駅にはこの日午前、JR西日本本社からファクスでニセ札に注意をうながす文書が届き、1万円札は特に慎重にチェックしたという。渡辺助役は「手触りなどは本物と変わらなかったが、色がちょつと薄かった。券売機を通るなんて信じられない」と話した。
 大津市錦織三丁目の大坪錦織郵便局(野田漕彦局長)では、12日午後1時ごろ、男性職員がお金を数えていて、1万円札のうち1枚の色が全体に薄いのに気づいた。この日、窓口で扱ったのは474万円で、居合わせた職員が全部の札を調べたがほかにニセ札はなかった。
 同郵便局から南へ約2.5`離れた同市長等二丁目、雑貨品販売店「石原商店」(石原孝治さん経営)では、長男の妻、深雪さん(31)が気づいた。9日から11日までの売上金などの中から1万円札5枚を入れた封筒を夫から受け取り、自宅で勘定していた。3枚目の札の周りの色が薄いので不審に思ったという。同店には3日間で約220人の客が訪れた。(朝日新聞)
■車両検査をビデオに 阪急電鉄
阪急電鉄は車両の検査内容などを分かりやすく紹介したビデオ「ものしり博士が案内する 車両の健康診断」を製作、14日から販売する。
 阪急神戸線と西宮車庫と京都線の正雀工場で行っている車両の検査や整備内容を、約30分のビデオ(VHS) にまとめた。大型クレーンで車体をつり上げる作業や塗装工程など、ふだん見ることのできない光景が収められている。沿線の小学校やゆ図書館などに計約500本を寄贈。1500本を販売する。価格は1本3800円。問い合わせは同社広報室 06(373)5092 へ。(京都新聞)
■「のぞみ」ネジ間違いで脱落 速度ハンドル取り付け用 点検で見落とし
 速度調整ハンドルの取り付けネジが外れて、10日午後10時過ぎに広島駅で運転を打ち切った「のぞみ25号」を調べていたJR西日本は12日午前、車両の製造にあたった川崎重工業(大庭浩社長、本社・神戸)が規定の取り付けネジよりも短いネジを使用していたため、かかりが甘く振動などで抜け落ちた、と発表した。
 同社とJR東海が運転席を一斉点検したところ、川崎重工業製の運転席付き10車両でも同様の不具合がみつかった。両社は納入時の検査や定期点検でこれを見落としたことを認めるとともに、川崎重工業に品質管理の徹底を要請した。
 「のぞみ25号」は10日午後9時35分ごろ、三原−東広島間を走行中に、自動車のアクセルにあたる「マスターコントロールハンドル」の取り付けネジが外れた。JR西日本が運転席車両を調べたところ、本来、直径4_、長さ1aのネジを使用しなけれは固定できないのに、長さが8_のネジが使われていた。(朝日新聞)
■大量偽1万円札事件 「やられた!」「これ以上」対応ピリピリ 両替機、総チェック 市民生活に影響 2次流通の恐れも
 大阪市内や京都、大津の金融機関の両替機やJR駅構内の券売機で偽1万円札280枚が使われていたことが分かって一夜明けた13日、京都市内や滋賀県内でも大半の金融機関で両替機が使えなくなるなど、偽札事件の影響は市民生活にまで広がり始めた。JR各駅や券売機メーカー側も偽札対策に乗り出した。この日、新たに大阪市内や大津市内で計200枚近くが見つかり、犯人が偽札を使った金融機関を経て、偽1万円札が市中に出回る二次流通の恐れも出てきた。
 京都市内の大手銀行は「混乱を招く恐れがある」として、写真撮影などの取材を拒否、突然の偽札事件に神経をとがらせていた。また、被害を受けたさくら銀行は被害の拡大を防ぐため、全国の店舗に設置した500台余りの両替機を使用中止にした。さくら銀行京都支店(下京区)の林弘次長は「これだけ新聞やテレビなどで報道されているので、特に接客上の混乱はなかった。事件の推移とメーカー側の対策を見守るしかない」と話した。また、各銀行の支店には府警の制服警察官が巡回、支店側に1万円札の扱いに注意するよう指導する一方、不審者の発見に全力を挙げている。
・情報収拾急ぐパチンコ店
 客の両替用に店内に1万円札用の両替機や、一部には1万円札が使える貸し玉機を置いてい京都府内のパチンコ店でつくる京都府遊技業協同組合は「組合として、現時点で特に対策はとっていない」としながら、偽札事件を報じるニュースで情報収拾に当たっており「偽札被害が広がっていけば、対応を考えざるを得ない」と話している。
・定例点呼で注意を指示 JR京都駅
 偽1万円札2枚が見つかったJR京都駅では13日朝、各職場での定例点呼で担当助役が係員に偽札が出回っていることを改めて知らせ「紙幣はいつも以上に厳しくチェックしてほしい。疑わしいものは助役に連絡を」と指示した。
 また、偽紙幣の特徴を書いた注意書を1万円札を扱う出札係や自動券売機の回収担当者らに回覧して、注意を促した。1万円札が使用できる新幹線用と近距離用の自動券売機計14台については、メーカーによる織別機能アップの調整が行われており、宮本三武呂営業総括助役は「これで偽札を防げれば」期待している。
滋賀でも確認作業に追われる
 偽の1万円札3枚が見つかった滋賀県内でも、金融機関や駅などで入金や手持ちの現金の確認作業に追われた。
 びわこ銀行では、各支店の窓口担当者に入金に気をつけるよう口頭で注意したうえ、両替機やATM(自動預け払い機)の両替機能を一時的にストップさせ、中の現金を確認。滋賀銀行でも県内外に56台ある両替機の機能を順次停止させ、残金をチェックした。
 また、1万円札の券売機が設置されているJR西日本の米原駅では、通常は1日2回だった回収作業を、1時間おきに切り替えた。JR草津駅では、1万円札が使える券売機7台の検知装置をより精度の高いものと交換した。
 一方、大津中央郵便局では、管内の郵便局で偽1万円札が見つかったことから13日朝、局内外のATM内をはじめ保管する1万円札の点検を行うとともに、管内の郵便局22局に対しても、ATM内の残存紙幣の点検などを指示した。
・府警が特捜班
 JR京都駅の自動券売機から偽1万円札2枚が見つかった事件で京都府警捜査二課は13日、特別捜査班を設置、本格的な捜査を始めた。
 府警は、簡易鑑定で偽1万円札と断定した12日、府内全署に通達を出し、偽札発見の速報と共に不審者への職務質問などを指示した。とくに1万円札が使える両替機や自動券売機を持つ銀行やパチンコ店、駅に対して協力を要請した。
 また、大津市内では一般商店からも偽1万円札が発見されたことから、偽紙幣はすでに市中に出回っている可能性があるとして、市民向けのビラを作製し、スーパーやたばこ店、タクシー、ホテルを中心に注意を呼び掛けている。
・本格的に原因究明 オムロンが対策本部
 偽1万円札を見破れなかった券売機と両替機を製造していたオムロン(京都市下京区)は13日、草津事業所の電子決済システム統括事業部内に対策本部を設置し、本格的な原因究明に乗り出した。
 同社によると、偽札が発見された12日夜、開発担当者と系列のメンテナンス会社の技術員がJR京都駅など京阪神のJR主要駅に出向き、1万円札が使える同社製のすべての券売機のセンサー機器部分を点検した。
 この結果、当面は識別の根幹になるとされる電磁印刷部分の識別を含めて紙幣の細部の特徴をとらえ、偽札が排除できるようにセンサーの精度を上げる調整を行うことにした。会社側は13日夕までに、被害にあったJR京都駅を含む関西のJR主要駅で緊急に機器の調整を終えたい、としている。
 ただ、オムロン側は「警察当局から今回の犯行に使われた偽札の実物の提供を受けていないため今回の偽札事件について細部の対策は立てにくい」としている。
 同社は金融機関に設置されている両替機やATM については、現在のところ機器の調整や銀行側への注意は行っていない、という。(京都新聞 夕刊)
■厳戒「万札」ストップ ニセ札事件 センサー感度高める 監視役も 防衛策とるJR
 大阪や京都市内などで相次いで見つかったニセ1万円札が両替機や自動券売機をだますほど精巧だったことで、被害を受けたさくら銀行や三和銀行をはじめ、ほとんどの都市銀行は13日、両替機を止めた。JR各駅は券売機を作動させたが、警戒のために社員が巡回。両替機や券売機のメーカー各社は最新鋭の紙幣識別システムがニセ札を見破れなかった原因の究明と対策を始めた。
・銀行
 77枚のニセ1万円札が両替された大阪市北区梅田一丁目のさくら銀行大阪駅前支店は午前9時に開店。両替機には「ご両替は窓口で取り扱いますので、窓口にお申し出ください」と書かれた白い紙が張り付けられた。いつもは主に入金と集金を取り扱う5番窓口に「両替」と書かれたプレートが出され、行員が対応した。
 同支店では当面、両替機の使用を全面停止し、行員が両替をすることにしているほか、店内のモニターテレビの点検など防犯システムを強化することにしている。
 33枚が見つかった大阪市北区西天満二丁目のさくら銀行堂ビル支店でも、1台ある両替機に、駅前支店と同じ張り紙が出された。ロビーの係員を3人から5人に増やし、案内と警備にあたった。
 三和銀行本店(大阪市中央区伏見町)の槌野吉郎広報部次長(41)は「両替機は原則的に使用を止めた。しかし、顧客の利便性を考えれば使わざるをえない場合もあるので、その場合には職員に必ず立ち会うように指示した。識別システムの精度も早急にチェックしたい」と話した。
 同店のキャッシュコーナーの両替機には休止の表示がかかり」代わりに預け入れ・引き出し窓口の隣に両替専用窓口が設けられた。機械なら1分ほどで済む両替だが、窓口では5分前後もかかる。近くのOL(27)は「いまは時間が早いから少し待つだけで済むが、込み出したらどうなるのでしょう」と両替を待ちながらうんざりした様子だった。
 大阪に本店を置く住友、大和の両銀行も、13日朝から、前日に入金した1万円札を総点検するとともに、全国の支店に両替機の使用中止を指示した。
・鉄道
 JR西日本は経理や券売機の担当者3、40人が始発までに、紙幣の読み取り精度を高める作業や収入金監視の指示に追われた。
 西日本の管内に1万円札が使える自動券売機は36駅に241台ある。12日夕から、JR社員と券売機メーカーの技術者が3人1組のチームを10組編成して、読み取り精度を高める調整をした。
 同社によると、読み取り精度を高める作業は、例えば、真券の端が1a切れていても券売していたものを、5_でもはじくといった調整をしたという。
 1万円札が使える自動券売機を設置する関西私鉄各社も対応に追われた。梅田など7駅に9台を置く阪神電鉄は13日の始発から、5000円札と1万円札の使用ができないようにした。紙幣の読み取り方式が同様の両替機6台やプリペイドカードの販売機12台もすべて使用を中止した。
 近鉄も68駅に自動券売機を82台を設置しているが、事件が伝わった12日夜10時ころから、1000円札以上の紙幣の取り扱いはすべて中止した。
・メーカー
 ニセ1万円札が使われていた両替機や券売機のメーカーはいずれも13日朝から、本格的に情報収集を始めた。
 兵庫県姫路市のグローリー工業は午前9時から、管理職全員を集め、緊急会議を開き、対応を協議した。製品を販売している大阪市北区のグローリー商事が窓口になって情報を集めているが、小西隆之・本社総務部次長によると、ニセ札がどんなものか、どういういきさつで両替機に詰まり、受け付けなかったのかを重点に、事実関係の把握に努めている、という。
 京都市のオムロンは東京都港区にある東京本社電子決済システム統括事業部に対策本部を設置。券売機を作るパブリックシステム事業部(滋賀県草津市)では、ニセ札の見つかった現場へ社員を出した。
 日本銀行は13日朝、全国の支店を通じて、各金融機関にニセ札に対する注意を呼びかけた。同行発券局は「どんなニセ札が使われているのかなど、事件の内容について情報収集を進めたい」としている。
 近畿郵政局は、ニセ札の特徴と発見した時の手続きなどを説明する内容の文書を作り、13日中に近畿圏の約3200局に配布する。同局業務サービス課では「各郵便局は朝一番で機械や紙幣の点検をしているようだ」と話していた。
磁気帯びインキ使用? 駅沿いに移動し両替
 大阪、京都、滋賀の3府県の銀行やJR駅などで相次いで見つかったニセ1万円札は、磁気を帯びたインキを使ってオフセット印刷された可能性の高いことが13日、大阪府警捜査2課の曽根崎署捜査本部の調べで明らかになった。手形や小切手の印刷などに使用する特殊なインキか、独自に調合したものとみられる。大阪府警は、両替機や自動券売機の磁気識別機能を通過させるため、専門的な知識や技術を悪用したとの見方を強めており、さらにニセ札が使われる恐れがあるとみて警戒している。
 調べでは、磁性インキは顔料などに磁性を帯びた酸化鉄の粉末を混ぜたもので、小切手や手形のナンバー、高速道路の通行券を印刷する際に使用される。国内では大手インキメーカーが製造しているが、商品カタログには掲載しておらず、メーカーが直接納入するか販売代理店に納めているという。
 大蔵省などによると、磁性インキは84年11月に、1万円札などを現在の紙幣に切り替えた時から使い始めた、という。大蔵省印刷局が顔料やワニスなどの原料をメーカーから仕入れ、磁性を帯びた金属粉を調合して独自につくっている、としている。
 捜査本部などによると、ニセ札は真券をもとに製版、印刷の専門的な技術を使って作られたとみられる。真券を特殊なカメラで撮影したか、あるいは電子色分解機(カラースキャナー)にかけて、赤、青、黄色の三原色と黒に分け、それぞれ製版用フィルムをつくった▽フィルムの線を修正、補筆して画面を整えた▽フィルムから印刷機にかける原板をつくる−などの工程を経ているという。設備に多額の資金を使ったか、既存の設備を悪用した可能性が強いとしている。
 これまでの調べでは、ニセ札は12日昼までに、大津市内の雑貨店と郵便局、JR京都、大阪、高槻の各駅で相次いで使用された。その後、大阪・梅田周辺の五銀行で両替機を使って換金されていた。ニセ札行使の犯人は、JR東海道線沿いに行動し、駅の自動券売機などでニセ札が使えたことから、大阪駅周辺の銀行の両替機で大量のニセ札を両替した、とみられる。(朝日新聞 夕刊)
14日■京都駅建て替えで6項目の申し入れ 対策協、市長に
 JR京都駅改築計画に絡んで、京都駅建て替え問題対策協議会(伊藤督太郎代表)は13日、田辺朋之京都市長に対して「京都駅観光デパートのテナント業者の営業不安と従業員の雇用不安の解消を図ること」など6項目の要求を文書で申し入れた。 文書はこのほか▽新駅舎内の入居条件を明らかにし、また現テナント業者の出店を保障するようJR西日本に指導する▽京都駅構内の理容店の営業継続のための代替地を確保する−などを求めている。
 対策協議会は同日午前、JR西日本に対しても同趣旨の申し入れを行っている。(京都新聞)
■ニセ1万円札 3ブロックに分け両替 大阪・北区銀行支店 複数犯3時間で
 大阪、京都、滋賀の3府県の銀行やJR駅でニセ1万円札が見つかつた事件で、12日午後、大阪市北区の銀行支店9ヵ所で集中的にニセ札を使った人物は2人以上で、支店を3ブロックに分けて効率的に回っていた可能性の高いことが13日、大阪府警捜査二課の捜査本部の調べで分かった。9ヵ所の支店は1`四方にあり、手分けして計427枚のニセ1万円札を換金していた。約3時間で行動していることから、捜査本部は事前に銀行の位置を確認するなど周到な準備をしていたとみている。
 調べによると、ニセ札が使われた9支店は幹線道路の交差点近くに集中、@新御堂筋曽根崎東、堂山町交差点周辺(兵庫銀行梅田支店、東海銀行梅田支店、さくら銀行大阪北支店)A御堂筋梅新南交差点周辺(第一勧業銀行梅田新道支店、さくら銀行堂ビル支店、三菱銀行大阪支店)B国道2号桜橋交差点周辺(ざくら銀行大阪駅前支店、東海銀行桜橋支店、三和銀行堂島支店)−の3ブロックに分かれていた。
 このうち、曽根崎東交差点周辺と桜橋交差点周辺では、行員の目撃や銀行のビデオから@ハンチング帽にジャンパー姿の白いマスクの男(東海銀行梅田支店)A身長155−160a、ハンチング帽をかぶった太り気味の中年男(同桜橋支店)B身長160a、年齢50−60歳。野球帽に緑色ジャンパー姿の白いマスクの男(三和銀行堂島支店)−という犯人像が浮かんだ。
 しかし、梅新南交差点周辺の支店ビデオには、帽子をかぶったり、マスクをした男は写ってなかった。また、約700b離れた兵庫銀行梅田支店と第一勧業銀行梅田新道支店で両替された時間が約3分しかないことなどから、捜査本部は2人以上の人物がブロックごとに分かれて両替したと判断した。
 捜査本部は大阪・キタで短時間で効率的に大量の両替をするため、あらかじめ銀行が集中する交差点を下見したうえ、12日昼から約3時間に集中して両替をしたとみている。
 これまでの調べでは、12日午前中までに大阪、京都などのJR駅や大津市内の商店で使われたニセ1万円札は15枚しかなかった。捜査本部はこれらを試験的な使用で、ニセ札が自動券売機を通ることを確認したものとみている。
・更に213枚見つかる
 大阪市内の銀行支店やJR駅で相次いで使われたニセ1万円札は13日、届け出があった第一勧業銀行梅田新道支店のほか、新たに大阪駅周辺の東海銀行、三菱銀行の支店や京都市の日本銀行京都支店などでも見つかり、計213枚が確認された。前日からのものと合わせて計493枚になり、うち442枚が換金されていた。
 調べによると、13日朝、大阪市北区の東海銀行梅田支店で両替機の中から色の薄いニセ1万円札98枚が見つかり、同区の桜橋支店でも68枚が発見された。また、同区の三菱銀行大阪支店でも25枚が両替機で換金されているのがわかった。
 東海銀行梅田支店では12日午後零時10分ごろ、ハンチング帽にジャンパー、白いマスクの中年男性が両替機に向かう姿がビデオに写っていた。桜橋支店でも同日午後1時50分ごろから約5分間、ハンチング帽のようなものをかぶった中年男性が両替しているのを行員が目撃した。両替機の記録では計6回の換金を繰り返したとされる。
 さらに、京都市の日銀京都支店でも12日正午ごろ、1万円札を自動鑑査機にかけて緊急に調査したところ、住友銀行京都支店から持ち込まれたうちの1枚がはじかれた。住友銀行京都支店が12日午前、JR西日本とJR東海から集めた約4億円に含まれていた。9日から11日の売上金で、京都府警は、このニセ札が京都駅で使われた可能性が高いとしている。
 一方、この日、大津市内の電器店でも1枚が発見された。滋賀県警の調べによると、11日午後1時半ごろ、男性が乾電池20個の代金1440円を支払った際、1万円札と500円硬貨を出し、釣り銭を受け取った。男性は50−60歳、身長160−170aで、ひさし付きの帽子をかぶり、ねずみ色のコートを着ていたという。(朝日新聞)
■「のぞみ」一斉点検へ JR
 窓ガラスのひび割れやボルト脱落などトラブルの相次いでいる東海道・山陽新幹線の「のぞみ」について、JR東海とJR西日本は14日、車両の総点検を行う、と発表した。点検は車両メーカーの日本車両、川崎重工などと共同で、JR東海は14日未明から開始、JR西日本は15日未明から行う。
 主な点検は、これまでにトラブルのあったリード線やダンパ(緩衝器)、部品取り付けボルトのほか、パンタグラフなど車体の外部に取り付けられている部品の取り付け状態が中心。
 JR東海には18編成(各16両)、JR西日本には5編成(各16両)ののぞみがあり、両社はゴールデンウイーク前の27日には点検を終えたいとしている。
 のぞみは、兵庫県内などで敷石(バラスト)が風圧で飛んだり、車輪の軸受けの温度を検知するスイッチのリード線の断線、パンタグラフ底板のボルト脱落など連日のようにトラブルが続き、そのつど運輸省から「点検を十分するよう」と口頭注意を受けている。(京都新聞 夕刊)
■また「のぞみ」異常ランプ
 14日午前9時15分ごろ、東海道新幹線新横浜−小田原間を走行中の東京発博多行きのぞみ7号で、台車関係の異常を示すランプが点灯した。このため同列車は現場で1時停車し車両を点検した結果、異常がないことが分かり、約10分後に運転を再開した。
 のぞみ7号が小田原駅を12分遅れて通過したのを最高に、下り列車4本が12−5分遅れ、約4000人に影響が出た。
 車両はJR東海の所有。同社はのぞみ7号の車両を新大阪駅で別の車両に交換、運転を続行。トラブルのあった車両は大阪第一車両所に収容し原因を調べる。
 「のぞみ」は、3月のダイヤ改正以降、台車の異常を表示するランプが点灯するトラブルが相次ぎ、JR東海、JR西日本は今月6日、台車の軸箱温度スイッチのリード線が原因と発表、トラブルの起きた車両と同じメーカー製の全車両のリード線を交換した。今回のトラブルは別のメーカーの製造した車両だった。(京都新聞 夕刊)
■新大阪駅で新たに4枚 総枚数は497枚に
 大阪市淀川区のJR新大阪駅でニセ札らしきもの4枚が見つかり、14日午前、大阪府警に届けがあった。同駅で紙幣を集金している大和銀行が13日夕、選別中に発見した。大阪府警捜査二課は一連のニセ1万円札行使事件で使われたものと同一とみて、確認を進めている。これで、ニセ札の総枚数は497枚になる。(朝日新聞 夕刊)
■「のぞみ」全車両点検へ JR東海・西日本 GW前までに
 JR西日本と東海は14日、ボルトの脱落やハンドル異状などのトラブルが続いている東海道・山陽新幹線「のぞみ」の全車両を、メーカーと共同で緊急点検することを決めた。利用者が1年中で最も多いゴールデンウイーク前の今月27日までに、営業中のJR東海の18編成、西日本所有の5編成計23編成すべての点検・整備を終える見込み。
 「のぞみ」は先月18日のダイヤ改定で、東京−博多間に1時間1本運行する態勢になった。しかし、台車異状を知らせるランプが運転中に点滅、点検のために停車するトラブルが今月4日から4日連続で発生した。パンタグラフを保護する部品が大量に脱落したり、運転レバーに規格外のビスが使われていたためレバーが外れるなどのトラブルが続けて起きた。窓ガラスにひび割れが多発している、との指摘もある。
 両社では、一連のトラブルは、運転や安全性に問題はない、としてきた。しかし、問題を重視した運輸省サイドから緊急に点検、整備を求める声が出ていた。
 両社では、車体外部の部品類の取り付け状態やこれまでにトラブルを起こした部品などを中心に点検する、としている。(朝日新聞 夕刊)
■異状ランプ走行中点灯 新横浜−小田原
 14日午前9時15分ごろ、東海道新幹線新横浜−小田原間を走っていた東京発博多行き「のぞみ7号」の運転席で、5号車の台車の異状を示す表示が点灯した。同列車は急停車し、点検したが、異状がみられなかったため10分後に運転を再開した。JR東海は、同列車を新大阪駅で別の「のぞみ」車両に交換し、点検する予定。
 同社によると、下り4本が最高12分遅れ、約4000人に影響した。(朝日新聞 夕刊)
15日■社説 「のぞみ」に望む安全点検
 JR「のぞみ」号が3月18日のダイヤ改正から東海道、山陽新幹線で営業運転を開始して以来、毎日のようにトラブルを起こしている。
 トラブルが発生するたびに、運輸省はJRに「安全点検」を促し、JRは「軽微なもので、大きな事故につながるトラブルではない」とコメントしてきた。それでも「のぞみ」はいっこうにトラブルが収まらず、ついに安全運行に黄信号が点灯。JR西日本、JR東海は14日「のぞみ」型300系の全320両を一斉点検することを決めた。遅きに失した感はあるが、この際徹底して車両の安全点検を行うべきである。
 トラブルの一つは、窓ガラスのひび割れ。ダイヤ改正の翌日から1日1、2件発生している。京都−米原間では3月23、24日連続して窓ガラスが横一文字にひび割れした。
 「のぞみ」の窓ガラスは外側が厚さ3_の生板ガラスと1_のビニール膜、さらに5_と1.8_の強化ガラスの4層構造になっている。JR西日本では「 270`運転による風圧には耐えられる強度は持たせている」とし「破片が散る心配はなく乗客に影響はない。開業初期によくあるトラブルだ」と説明している。
 新幹線運転士の6割が加入しているJR西日本労働組合では、ひび割れの原因について「トンネルの多い山陽新幹線では車体の風圧の変化が激しい」「ひかりより50`も速い270`の高速運転では、すれ違いの際に発生する風圧は想定以上に大きい」と強調。材料学の専門家らは「軽量化のため車体に使われているアルミニウムは鋼鉄車に比べひずみが大きい。ねじれによる力が窓ガラスに加わったからでは」と推定している。
 ネジ、ボルトの脱落、車体の異常を知らす警報ランプの誤動作などは、車両メーカーとJR両者にかかわる問題だ。9日発見されたパンタグラフのトラブルは、底板取り付けボルトが3編成で25本も脱落していた。JR技術陣も首をかしげるおそまつなミスだ。
 また10日に発生した運転台のハンドルのトラブルの場合は、速度制御ハンドルの取り付けネジが、発注時にメーカーに指示した規格より短いものを使っていたため、運転中に外れた。調べたところJR東海で4編成、JR西日本では他の1編成でも見つかった。このケースなどは人為ミスの疑いが濃厚である。
 新車両は通常、出庫前に「仕業検査」を行う。さらに走行距離3万`ごとに「交番検査」を実施している。JR西日本では新車両導入誤、問題の2編成を4、5回検査、速度制御ハンドルも取り外して運転台を調べたが、営業運転に入ってハンドルがぐらつくまで、欠陥ネジの存在に気がつかなかったという。
 車両製造の段階で、部品のユニット化が進み、ハイテクを過信した品質管理に落とし穴があったのではないか。またJR側にも、点検をメーカー任せにしたとがめが表面化したとも考えられる。
 JR西労は「耐久テストを十分に行ってから営業運転すべきだ」として運転中止を会社に申し入れている。
 今回の安全総点検には「のぞみ」型車両の運転を中止して臨むくらいの覚悟が必要だろう。ネジ1本から大事故につながる恐れがなしとはいえない。安全輸送が営業収益より優先されなければならないことを肝に銘ずべきである。(京都新聞)
■のぞみ、今度は整風板脱落 異常表示は断線判明 JR総点検開始
 敷石飛ばしやボルト脱落などのトラブルが続き14日から一斉点検が始まった東海道・山陽新幹線の「のぞみ」で、今度は床下空調機の整風板が脱落していたことが同日までのJR東海などの調べで分かった。また、同日朝、新横浜−小田原間を走行中ののぞみ7号で台車の異常を示すランプがついた原因は、5号車の軸箱温度スイッチのリード線が断線していたためと分かった。JR東海はゴールデンウイークまでに自社の「のぞみ」車両のリード線をすべて交換することを決めた。
 JR東海によると、13日夜、JR西日本博多総合車両所に入ったのぞみ19号の車両を検査したところ、16号車の床下空調機の吸い込み口に16枚ある整風板(幅4a、長さ40a、重さ90c)のうち1枚が脱落していた。
 車両はJR東海所有で、同社は脱落により空調装置の性能や安全には問題はないとしている。
 また断線していたリード線は車軸の温度異常をチェックするスイッチと車体側配線をつなぐ部品。3月のダイヤ改正以降、日本車両製造製の車両で車軸の温度異常を示すランプが点灯するトラブルが相次ぎ、JR東海とJR西日本はリード線の断線が原因と断定、日本車両製の車両のリード線を交換した。
 しかし、14日異常表示があった車両は川崎重工業製だったため、JR東海は全車両のリード線を交換することにした。(京都新聞)
■バス停+ミニ公園 停留所プラザ 東淀川に第1号完成
 大阪市交通局がバス停をミニ公園と一体化する「バス停留所プラザ」が、市バス井高野車庫前(東淀川区井高野)に完成。15日から供用開始される。
 同プラザはバス停を小公園とセットで整備し、快適なバス待ちとともに住民や歩行者が憩える場とする試み。類似の施設には東京都のポケットパークなどがあるが、関西では初めて。
 完成したプラザは、停留所ゾーン35平万bと小公園ゾーン100平方bの広さ計135平万b。
 雨でもぬれずに乗車できるよう屋根をはりだしたシェルター、冷暖房付きの待合室などを配置している。総事業費は約3000万円。(京都新聞)
■ホームにひっそり大正期の柱 JRびっくり 先代の駅の「遺構」? ローマ風のデザイン 改築高層化で解体間近の京都駅 明治建築研究会調査で明るみに
 改築高層化で解体間近のJR京都駅のホームに、大正期のものと見られる3本の列柱がひっそりと残っていることが14日、近代建築物の保存運動に取り組んでいる「明治建築研究会」の調べでわかった。戦後間もなく火事で焼けた先代の駅の「遺構」らしく、古代ローマ風の重厚なデザイン。同研究会は「古都の近代の歴史を支えた貴重な遺産」として、保存を強く要望している。JR西日本は思わぬ指摘に驚きながらも、改めて調査する意向だ。
 3本の柱が確認されたのは1番ホームの烏丸中央改札口西側。ホームの屋根を支える形で並んでおり、いずれも高さ約3b、直径25aほどの鋳鉄製。上部がやや細く、上下に装飾が施されている。
 現在の京都駅は3代目。2代目は、大正天皇の即位式典が京都で開かれるのをきっかけに大正3年(1914)8月、改築完成した。木造2階建てながら、木曽郷料林のヒノキ材を使ったルネサンス様式のぜいたくなつくりで、規模も当時、日本最大といわれていた。しかし、昭和25年(1950)11月に火事で焼け、2年後に現在の鉄筋の駅舎に建て替えられた。
 同研究会などによると、2代目の駅の設計には、日本興業銀行本店や大阪ビルディングなど古典主義様式の名建築を数多く手がけた建築家の故渡辺節氏が中心的に携わっていたという。
・名建築を後世に?
 同研究会代表の柴田正己・堺市立工業高校教論は「焼失前の駅の写真などから、柱が2代目駅舎のものであることはほぼ間違いない」と指摘。「柱が現在の駅舎に引き継がれたのは、古都の近代化を支えた2代目駅の名建築ぶりを後世に伝えよう、という当時の関係者の思いがあったからではないか。いま柱をスクラップにするのはあまりにも惜しい」という。
 JR西日本広報室は「以前の駅の柱があるという話は初めて聞いた。事実関係を調べたうえで、今後どうするか検討したい」と話している。(朝日新聞)
■のぞみ再点検開始 運輸省、類似部分も要求
 異状が相次いでいる東海道・山陽新幹線「のぞみ」車両の再点検が14日、大阪府摂津市のJR東海大阪第一車両所で始まった。JR西日本と東海両社が、川崎重工業や日本車両製造などメーカーと共同で取り組んでおり、23編成すべての点検と整備はゴールデンウイーク直前までに完了する予定。
 「のぞみ」について、運輸省鉄道局は故障部品と類似した個所すべてを早急に点検するとともに、故障原因の解明を急ぐよう、JR東海とJR西日本両社に強く求めている。
 「のぞみ」の直通運転開始以来、同局が報告を受けた故障は@窓ガラスのひび割れ約20枚A台車の車軸異状を知らせるリード線の断線5ヵ所Bパンタグラフの底板のビスの脱落2ヵ所C速度調整ハンドルのビス抜け1件Dドアの下にある「車端カバー」の取り付け金具に亀裂16ヵ所E空調装置吸入口の整風板の脱落1枚−となっている。
 なかでも「車端カバー」の取り付け金具の亀裂は、カバーの重さが10`もあり、もし脱落していれば周辺の機器を破壊するなど、重大な事故を引き起こしかねなかったとして、重視している。(朝日新聞)
16日■「のぞみ」好調 満席の列車も GWの予約状況
 JR西日本は15日、ゴールデンウイーク(4月28日−5月5日)期間中の指定席の予約状況をまとめた。13日午後11時現在の予約率は関西から各方面への列車が定員に対して57%、逆に関西への列車は58%となっており、昨年よりもそれぞれ11%、13%上回る好調な出足という。東海道・山陽新幹線「のぞみ」は広島や博多と東京を結ぶ長距離区間の予約が多く、1日の下り、4、5日の上りはほぼ満席の状態だ。
 新幹線の予約は、関西から山陽方面が62%。1日は「のぞみ」「ひかり」ともすべてが売り切れに。東京方面へは56%で、3−5日の昼の列車、4、5日の夕方の列車を除き、各列車にまだ余裕がある。山陽方面から関西へは5日の「のぞみ」が完売するなど4、5日はほぼ満席。東京方面からも60%が埋まっている。(朝日新聞)
■見えない敵 両替機改善 ニセ1万円札 証拠は警察 メーカー苦戦
 大阪、京都、滋賀の3府県の金融機関の両替機などでニセ1万円札が相次いで使われた「和D-53号」事件で、両替機や券売機のメーカーに銀行や私鉄などから「改善してほしい」との要望が相次いでいる。しかし、ニセ札は警察側が「証拠品」として鑑定中。独自に入手して分析しようがないメーカー側は「どこを直せばいいのか、完全な防衛策を立てようにも立てられない」と対策に苦慮。全国の金融機関にある約1万8000台の両替機の大半がストップしたままの状態は当分続きそうだ。
 ニセ札が通過したJR高槻駅の最新式券売機などを製造した業界大手のオムロン(本社・京都市)は社内に200人規模の対策本部を設置。13日には、捜査本部のある大阪府警曽根崎署に技術員を派遣、ニセ札の特徴を肉眼で見た。
 しかし、「ニセ札を入手したうえで詳しく分析しないと根本的な対策は立てようがない」と同社広報室。
 グローリー工業(本社・姫路市)でも、管理職以上の約30人で特別に対策チームを設け、ニセ札の特徴など情報を整理し、過去の改札券偽造事件などのデータを生かして、ニセ札の「正体」に迫ろうとしている。
 しかし、ニセ札の現物を分析することができないため、「あくまでシミュレーション的な対策。見えない敵と戦っているようだ」と話している。
 今回の事件で、ニセ札が通過せずに詰まった三和銀行堂島支店の両替機を製造したローレルバンクマシン(本社・東京)は「うちの機械が優れていたわけでなく、単に犯人が紙幣の投入をあせって詰まったのだと判断している」(東京・営業開発部)。
 ニセ札は警察庁科学警察研究所と大阪府警で鑑定が進められている。
 券売機や両替機メーカー30社(正会員)が加盟する日本自動販売機工業会(東京都港区)はメーカー側の要望を受けて警察庁に対して「ニセ札を詳しく分析させてほしい」と要請しているが、めどはたっていない。
・おろしてきたら ニセ札…あほな 大津の商店街 動揺広がる
 「銀行からおろしてきたお金に、ニセ札が…」。真券と信じて使った主婦(70)は驚くばかりだ。大津市内の鮮魚店が15日に届け出たニセ1万円札は、主婦の夫が3月26日に銀行から引き出し、手元に置いていた1枚だという。大量のニセ札が発見されるかなり前から、ニセ札が銀行のチェックをすり抜けて流通していた凝いが出てきた。
 最初にニセ札に気づいたのは、大津市中央一丁目で鮮魚店「丸二本店」を経営する森野英太郎さん(61)の妻敏子さん(57)。14日の昼下がりだった。二つ折りの札を広げた瞬間、色合いを見て「変だ」と感じた。主婦が帰った直後、いったんレジにしまった札を取り出し、奥の部屋で昼寝をしていた英太郎さんを起こした。「そんな、あほな」
 夜、ニセ札の記番号が載った新聞記事と照らし合わせると、うち一種類の記番号と一致した。
・券売機の改良始める 5000・1000円札で近鉄
 1万円札が使える自動券売機の使用を中止している近畿日本鉄道は15日、券売機の紙幣読み取り部分の改良作業を始めた。1万円札対応の券売機を68駅に82台置いているが、5000円札、1000円札で券売できるよう改良を加え、16日から難波駅などで使用を再開する。1万円札については「どう改良すれば大丈夫なのかわからない」(広報室)ことから、当分、窓口で対応する考えだ。(朝日新聞)
■JR彦根駅で オーバーラン
 15日午後7時50分ごろ、滋賀県彦根市古沢町のJR東海道線彦根駅で、姫路発長浜行きの新快速が停止位置を約300b行き過ぎて停車した。後退して乗客約130人の乗降を行ったが、同電車は約7分遅れた。JR西日本によると、運転士がブレーキを掛けるのが遅れたらしい。(朝日新聞)
■トンネル内で車輪空転 のぞみ 列車擦れ違う際
 ボルトの脱落や窓ガラスのひび割れなどトラブルが続く東海道・山陽新幹線のぞみで、列車がトンネル内で擦れ違う際、車輪の空転が起きていることが16日、JR西労(奥島彰委員長)の調べで分かった。
 JR西労によると、のぞみ同士が260`以上の高速でトンネル内で擦れ違う時、瞬間的に速度計の数字が約10`はね上がり、モニター画面に空転が表示されるという。
 モーターの電流量も、空転による負荷軽減をチェツクして自動的に70%カットされるのが運転台のメーターで分かる。
 JR西労はJR西日本に調査を求めるとともに、のぞみ車両の長期耐久試験を申し入れている。
 のぞみの運転士の一人は「擦れ違って”ドン”とした時に空転が起きる。毎回起きるとは限らず、一瞬のことなので不審に思いながらも報告していない運転士が多いのではないか」と話している。
 JR西日本は「乗務報告には今のところそのような事例は上がっていないが、今後調査する。異常な走行ではなく空転自体は安全性に問題はない」としている。(京都新聞 夕刊)
■券売機改める 近鉄各駅
 大量偽1万円札事件で、近畿日本鉄道(本社大阪市)は15日、高額紙幣を扱う自動券売機でコンピューターのプログラムを変更し、1万円札を使用できないようにする作業を始めた。19日までに近畿、中部の68駅、82台の券売機に実施する。(京都新聞 夕刊)
■「のぞみ」も航空便も不況に負けた!? 対戦1ヵ月 出張減り客横ばい
 「のぞみ」と航空便の対決は痛み分けのスタート−。「のぞみ」がJR東海道・山陽新幹線を1時間ごとに走り初めてから18日で1ヵ月。苦戦が予想された航空便は競合路線で旅客数を伸ばす健闘をみせ、「のぞみ」も「及第点の滑り出し」(JR西日本)と、両者とも「がっぷり四つ」で譲らない。ところが、前年同期と比べてみると、不況による出張客の減少で、新幹線は「のぞみ」効果が発揮されず輸送量はほぼ横ばい、航空便の旅客も軒並み減少。どうやら対決の軍配は「不況」に上がった格好だ。
 JR西日本、東海両社によると、3月18日以降の「のぞみ」の1日平均の利用率は普通車が70%弱で、グリーン車が40%前後。休日には1323席がすべて埋まることもあったという。部品故障などで運転打ち切りや臨時停車が相次いだわりには、「予想通りの数字で、まずは順調」(JR西日本)。
 一方、航空便も「騒がれたほどの影響はなく、むしろ旅客数は増えている」(全日本空輸)と胸を張る。
 「のぞみ」増発前の3月1日から17日までと、増発後の18日から31日までの1便当たりの利用率をみると、大阪−東京線は日航が74.9%から81.5%に、全日空も69.1%が80.2%に増えている。広島−東京線も日航、全日空は2−8ポイント増加した。また、東京−福岡線や航空運賃の方が「のぞみ」料金よりも860円安い「逆転現象」区間の大阪−福岡線も「のぞみ」増発後、客足を伸ばした。
 岡山−東京線や名古屋−福岡線は1−3ポイント下がったものの、全日空や日航は「この程度でのぞみの影響とはいえない」と強気だ。
 しかし、3月下旬は春休み期間で、例年旅行者が増加する。そこで前年同期と比較すると、航空便の利用率は軒並み下がる。例えば、全日空の岡山−東京線は23ポイント、日本エアシステムの広島−東京線は13ポイントも下がっている。日本エアシステムは「のぞみの影響というよりも、不況で出張が手控えられたことが響いた」と嘆く。
 ビジネス客の減少は「のぞみ」も同じ。JR西日本によると、新大阪午前7時発の博多行き「のぞみ501号」は、平均利用率が約15%と1編成の16両うち14両は空っぼの状態。博多午後8時20分発の新大阪行き「のぞみ504号」も利用率は約30%と、ビジネス客狙いは当てはずれとなっている。
 「のぞみ」増発後も東海道、山陽新幹線全線の輸送両はほとんど横ばいといい、JR社内にも「ひかりの旅客がのぞみに移っただけ」とのさめた声も。
 両陣営からは「ライバルは不景気」との声が聞こえてくる。(朝日新聞 夕刊)
■近鉄特急と衝突し軽乗用車の僧けが 大和高田
 16日午前9時23分ごろ、奈良県大和高田市磯野の近鉄南大阪線尺土7号踏切(警報機、遮断機付き)で、近くの浄土真宗興正寺派順照寺住職藤井聞裕さん(65)運転の軽乗用車と、吉野発阿倍野橋行き特急(6両編成)が衝突。藤井さんが顔などに1週間のけがをした。特急は現場に約20分停車、後続の8本が最高約10分遅れ、約1000人に影響した。特急の乗客約70人にけがはなかった。(朝日新聞 夕刊)
17日■JR東日本、11月ごろ上場 20日に事前審査手続き
 政府筋は16日、JR東日本が上場するため20日、東京証券取引所に事前審査手続きを取ることを明らかにした。事前審査の開始により、運輸省などが進めてきた上場準備は最終段階を迎える。
 政府は、93年3月期決算が株主総会で承認される6月末ごろに、上場の最終判断を下す。
 同時に東証に対し上場を正式申請し、8月下旬ごろに入札を実施、落札価格を基に株を保有する国鉄精算事業団の資産処分審議会が売り出し価格を決める。その後、証券会社を通じて一般投資家の購入申し込みを受け付けて売却、11月上旬ごろ上場する計画だ。
 事前審査は、上場申請後の手続きを円滑に進めるための措置で、審査対象は93年3月期決算の速報や資産内容など。
 東日本の発行済み株式は400万株(額面5万円)。まず半数の200万株を売り出すが。機関投資家などを対象に50万株を入札にかけ、残りの150万株を一般投資家に売却する。
 JR株の上場をめぐっては、89年12月の閣議で早期売却の基本方針を確認。これに沿って政府は91、92年度にも売却、上場を検討したが、証券不祥事や株価低迷で2年連続で先送りされていた。(京都新聞)
■許認可残存を懸念 証券界
 JR東日本の株式上場手続きが事実上スタートした。1991、92年度と丸2年も延期されただけに、満を持していたJR東日本は「いよいよ分割・民営化の総仕上げに入った」と意気込んでいる。
 しかし、上場後も運輸省の許認可権に手足を縛られ、経営の独自性はかなり制限されるため、証券界からは「上場企業として株主への責任をほ果たすためにも、自主経営権確立に向け、規制緩和など条件整備を急ぐべきだ」(大手証券幹部)との声がでている。
 JR東日本をはじめとするJR7社の経営権に、各種の規制をしているJR法によると、各社の定款変更には運輸相の認可を必要とするほか、毎年度の事業計画の策定が義務付けられている。新規事業の開始、財産譲渡、長期借入れ、社債の募集などについてもすべて監督官庁である運輸省の認可が必要とされる。(京都新聞)
■JR東日本の株上場 20日から仮申請
 JR東日本は20日から東京、大阪、名古屋、新潟の4証券取引所に順次、株式上場のための仮申請を行う。株式上場の低迷から2年間見送られてきた上場手続きがようやく始まり、正式申請は7月始めがめど、とされている。
 仮申請に先がけ、JR東日本の住田正二社長と、同社の100%株主である国鉄精算事業団の西村康雄理事長が19日午後、越智伊平運輸相に了承を得る。
 仮申請は、上場までの期間を短縮するために、就役が暗転している企業などに限って認め、前年度の決算をもとに実質審査を開始する。順調にいけば、上場は10月20日前後になる見込みだ。(朝日新聞)
18日■整備新幹線建設費108億円を追加へ 運輸省、補正で方針
 運輸省は17日までに、総合経済対策に伴う補正予算案に北陸新幹線など3線5区間の整備新幹線建設費として、地方負担分を含めた事業費ベースで108億円を盛り込む方針を決めた。今回の補正で本年度の新幹線事業費は1699億円になる。
 108億円の補正は昨年秋の補正額102億円を上回る大型補正。各線区の配分は、長野冬季五輪を控えた北陸新幹線高崎−長野に全体の4割を投入している。ただ同線区には毎年度、8割近い配分がされてきており、今回は他線区の工事を促進するため高崎−長野以外への配分を増やしているのが特徴だ。
 事業費の線区別の内訳は北陸新幹線の高崎−長野に48億円(当初予算額は1274億円)、石動−金沢間に10億円(同48億円)、糸魚川−魚津に10億円(同20億円)、東北新幹線盛岡−青森に20億円(同84億円)、九州新幹線鹿児島ルート八代−西鹿児島に20億円(同75億円)。
 このうち、本年度当初予算で事業費が計上されていながらまだ着工していない糸魚川−魚津について、同省幹部は「ことし8月から秋にかけて着工できる」との見通しを明らかにした。
 駅舎周辺の整備事業費の補正は見送った。(京都新聞)
■「のぞみ」また異常ランプ
 17日午後1時55分ごろ、福岡県の小倉−博多駅間を走行中のJR山陽新幹線のぞみ7号で台車の異常を示すランプが点灯した。列車はそのまま約5分間走り博多駅に到着、車両点検のため運転を取りやめた。(京都新聞)
■のぞみ、また異状ランプ
 17日午後1時55分ごろ、JR山陽新幹線の小倉−博多間を走行中の東京発博多行き「のぞみ7号」の運転席にある台車異状ランプが一時点灯した。博多駅までそのまま約5分間運転し、検査のため博多総合車両所に入った。車両を保有するJR東海の調べでは、台車につけられた配線の一部が切れかかっていた。同社は14日、一連の「のぞみ」の異状で、台車の配線をすべて新品に取り換えると発表していたが、この車両は点検しただけで、取り換えないまま運転したという。「のぞみ」の台車異状ランプの点灯は3月18日のダイヤ改定以後、7回目。
 この車両は昨年12月から運転を開始した新型車。JR東海の調べでは、16号車の床下にある車軸の温度上昇を知らせる装置についている配線が断線しかかっていた。JR東海は「今回の車両は配線の取り換えが間に合わなかったが、外観上、断線していなかったので走らせた」と話している。(朝日新聞)
19日■のぞみ男性はねる 山口のトンネル付近
 18日午前零時5分ごろ、山口県徳山市夜市会篭、山陽新幹線下り第一的場トンネルの中央付近に男性とみられる遺体の肉片が飛び散っているのをJR西日本の保線区員が見つけた。
 山口県警察新南陽署で調べたところ、この男性は免許証や歯形などから広島県廿日市市地御前、元パチンコ店店員金山幸雄さん(41)と分かった。金山さんは約1年前からから行方が分からなくなっていた。
 JR西日本によると、のぞみが人をはねたのは初めてという。(京都新聞)
■KTRいよいよ電化・高速化へ 今夏、JR山陰線と一体化工事 期限迫る国の補助 重い基金補てん 旅客収入伸び 観光客数がカギ
 京都府民の期待を担ってスタートした第三セクターの北近畿タンゴ鉄道(KTR)は今年、宮津線が開業3周年、宮福線が同5周年の節目を迎える。今夏には、いよいよJR山陰線(園部−福知山間)と一体化したKTR(福知山−天橋立間)の電化・高速化工事が始まる。府北部住民のマイ・レールとして誕生した同鉄道は、京都−宮津間を1時間半で結ぶ第二ステップへと飛躍する。
・三セク鉄道の優等生
 KTRは、府と沿線17市町などの第三セクターとして88年7月に誕生。新線として開業した宮福線(宮津−福知山間30.4`)と、90年4月にJR西日本から転換・開業した宮津線(西舞鶴−豊岡間83.6`)を持つ。
 営業距離は全国の第三セクター鉄道の第2位。営業収入も15億6500万円(91年度)と第2位で、他の三セク鉄道に比べケタはずれに大きい。愛知環状鉄道、鹿島臨海鉄道と並び、三セク鉄道の中でも別格クラスにランクされる。
 また、安全面でも府の防災行政無線を活用して、全列車に緊急用列車無線を装備し、KTR全線どこからでも宮津駅構内の運転指令への緊急通報を可能にするなど全国三セクで例をみない対策を講じている。
利便性の向上
 開業以来、宮津線の6駅で駅構内の線路の直線化、4駅で行き違い設備の増設を進め、時間距離を短縮した。この結果、開業以前は特急で2時間45分かかっていた天橋立−京都間が、2時間余りへとスピードアップした。
 他に例をみないJR西日本との特急、急行の相互乗り入れも実施。便数も1日16本だった宮津発の上りか3倍の48本に増え利便性は格段に向上した。
 特に、新型のパノラマ特急「タンゴエクスプローラー」は、連日満席の人気。宮津線では19駅のうち13駅にペンション風や平安朝風などの趣向を凝らした駅舎が誕生、地元の活性化に貢献している。
・利用状況
 宮福線の開通で丹後から福知山への通勤通学が可能になり、高校生を中心に定期客が大幅に増えた。乗車人員は、宮福線でスタ−トした88、89年度は38万7000人から58万1000人へ、さらに宮津線が開業した90年、91年度は285万6000人から289万1000人へと飛躍的に増加。
 特に、線内客に対する線外客の比率が増え、91年度は60%に達するなど、地元住民の足だけでなく域外からの観光客の誘致に大きな役割を果たしている。
・今後の課題
 旅客数、運輸収入は順調な伸びをみせているが、決算は開業以来赤字が続き、91年度は1億3579万円の赤字を計上した。しかし、これもタンゴエクスプローラーの減価償却などによるもので、不良赤字とはいえない。
 第三セクターへの移行後、5年間は赤字の半額を国が補助。現在、残りの半額を府と市町村が拠出しているKTR経営対策基金(15億円)で補てんしている。しかし、この国の半額補助も宮福線が今年7月で、宮津線も来年度末で期限切れとなり、その後は全額、経営対策基金で賄わねばならなくなる。
 旅客収入の増加を図るためには、過疎化が進む沿線地域の人口増をどう進め、丹後リゾート開発と連動させた京阪神からの観光旅客をどれだけ呼び込めるかがカギとなる。
 そのためにも、高速化による時間距離の短縮は欠かせない。さらに、今後は天橋立以遠の非電化区間についても、現在と変わらない利便性をどう維持し、向上させるかが大きな課題だ。(京都新聞)
■「のぞみ」ひき男性が死亡 徳山の山陽新幹線
 18日午前零時すぎ、山口県徳山市夜市(やじ)のJR山陽新幹線下り第一的場トンネルで、ひかれた男性の遺体をJR西日本新岩国保線区員が見つけ、同県警新南陽署に届けた。17日午後、現場を通過した東京発博多行き「のぞみ9号」(16両編成)で異音がしており、同列車にひかれたらしい。「のぞみ」が山陽新幹線で運行を始めた3月18日以来、人がひかれて死亡したのは初めて。(朝日新聞)
■「小倉山問題を他山の石に」市民らアピール採択 残土放置を考えるフォーラム 「みつめる会」結成準備
 JR西日本による小倉山(右京区)の残土放置問題を考えるフォーラム「いま!小倉山」が18日、中京区の社会教育総合センターであり、環境問題に関心を寄せる市民ら約50人が参加した。京都市がJRによる残土搬出を断念してJRの修復案を受け入れることを凝問視する参加者らは「各地で自然環境の破壊が進むなか、全国の人々が小倉山間題を他山の石にしてほしい」とするアピールを採択。JRの修復計画を監視する「小倉山をみつめる会」の結成の準備に取り組むことも決めた。
 フォーラムでは随筆家の松本章男さんが、小倉山を詠んだ紀貫之や藤原定家らの和歌を紹介。「鎌倉幕府ができて政治や経済の中心が鎌倉に移った時、京都では小倉山を中心に八代集や源氏物語などの書写や伝授が盛んになった。京都の人々の心に、文化で鎌倉を感化しようとする機運が芽生えたわけです」と、歴史的な視点から小倉山の保全を訴えた。
 また、弁護士の折田泰宏さんが残土間題の経緯を説明し、京都市がJRの修復計画を容認したことについて「住民訴訟のほか、監査請求が考えられる」と提案。地元の常寂光寺の長尾憲彰住職が「開かれた市政を実現し、日本に市民社会を根付かせるためにも、粘り強い住民運動を続けていこう」と訴えた。
 自由討論では、参加者から、「JRの修復計画では、残土をふるいにかけて、粒の大きなものから順に敷き詰め直すというが、20万立方bもの残土を本当にふるいにかけることができるのか」「実際は作業を適当に済ませるのではないか」との声も出た。「JRの社員はこの問題をどうとらえているのか。一人ひとりが個人として、出来ることから環境保全に立ち上がることが大切」「JRへの監視活動をますます強めていこう」といった声も相次いだ。(朝日新聞)
■パトカー追跡中 踏切事故で16歳死亡
 18日午前3時17分ごろ、大阪府高槻市赤大路町のJR東海道線赤大路踏切(遮断機、警報器付き)で、ミニバイクに乗った同市内の無職少年(16)が西鹿児島発東京行き寝台特急「はやぶさ」(14両)にはねられ、頭などを打って即死した。「はやぶさ」が現場に1時間12分停車したほか、後続の旅客と貨物計40本が2時間−6分遅れ、約1800人の足が乱れた。
 高槻署の調べでは、現場から約2`離れた国道171号で暴走行為をしている約10台のオートバイとミニバイクを、同署のパトカーが見つけて追跡。オートバイなどは、下りていた遮断機をくぐって逃げたが、最後尾の無職少年が踏切内で転倒したらしい。(朝日新聞)
■ブルトレが急停車 山陽線、機関車故障
 18日午後8時すぎ、山口県厚狭郡山陽町のJR山陽線埴生−厚狭駅間で、走行中の西鹿児島発東京行き上り寝台特急はやぶさ(14両、乗客約100人)の機関車から煙が出ているのに運転士が気付き急停車した。
 JR西日本広島支社の調べでは、機関車の電灯回路などの電源部分に何らかの故障が起きたらしい。(京都新聞 夕刊)
20日■JR東日本 株上場きょう仮申請 10月20日前後に上場
 JR東日本の住田正二社長と国鉄清算事業団の西村康雄理事長は19日、越智伊平運輸相を訪ね、JR東日本株式の売却の準備と証券取引所への上場仮申請を進めることを報告、了承を得た。これを受けJR東日本は20日、東京証券取引所に仮申請する。株式市場の低迷で2年間見送られてきたJR東日本株式の上場手続きは、今年秋の上場に向け正式にスタートする。
 今年度に売却・上場するJR東日本株式は200万株(額面5万円)の予定で、発行済み株式数400万株の半数にあたる。このところの株式市場が、東証の平均株価が2万円前後で推移するなど順調に回復してきたことから、運輸省は仮申請に踏み切ることを決めた。
 JR東日本は、20日に東京証券取引所に仮申請した後、順次、大阪、名古屋、新潟の各証券取引所にも仮申請。6月末の株主総会で1993年3月期決算が確定した後、正式申請に切り替える。
 一方、清算事業団は、売り出し価格を決めるため、大口投資家などを対象にした入札を8月下旬に実施する。入札には50万株をあて、残りの150万株は9月から10月にかけて一般投資家に売り出す。上場は、順調にいけは、10月20日前後になる見込みだ。(朝日新聞)
■JR東日本 松田氏社長昇格へ
 運輸省は20日、JR東日本の住田正二社長が退任し後任に松田昌士福社長が昇格する方向で調整を進めていることを明らかにした。住田氏は会長に、会長の山下勇氏は名誉会長に就任する見通し。閣議了解を経て、6月末の株主総会後の取締約会で正式決定する。
 運輸省OBの住田氏は87年4月の旧国鉄分割・民営化、JR発足と同時に東日本社長に就任した。在任期間6年間で同社の経営基盤を確立し、悲願の株式上場について20日から各証券取引所への仮申請が始まり、年内上場の道筋がついたのを受けて後進に道を譲る。
 松田氏は旧国鉄生え抜きで、国鉄改革にらつ腕を振るい、JR西日本の井出正敬社長、JR東海の葛西敬之副社長とともに「国鉄改革3人組」といわれた。株上場問題では対外的な折衝を取り仕切り、交渉能力の高さは社内外で高く評価されている。(京都新聞 夕刊)
■住田社長が会長に JR東日本後任に松田副社長
 関係者が20日、明らかにしたところによると、東日本旅客鉄道(JR東日本)は、住田正二社長が会長に就任し、新社長として松田昌士副社長が昇格する人事を内定した。山下勇会長は名誉会長に就く。運輸省も大筋で了承済みで、閣議の了解を得たあと、6月末の株主総会後の取締役会で正式決定する。
 松田氏は、井手正敬・JR西日本社長、葛西敬之・JR東海副社長とともに、「国鉄改革3人組」といわれ、国鉄時代から分割民営化を担ってきた。JR東日本発足と同時に常務取蹄役に就任、90年6月から副社長を務めていた。JR7社のうち社長の交代は昨年6月のJR西日本に続く。
 社長を退く住田氏は元運輸事務次官で、国鉄再建監理委員会委員などを歴任。会社発足の87年4月に社長に就任した。現在4期目。懸案の株式上場が決定したため、人事を刷新して上場後の体制を固めるのが適切との判断に傾いた、とみられている。
 同社は、鉄道事業に頼る収入体質の改善や新本社ビルの建設、運賃値上げ問題の整理、通勤対策など懸案が山積している。ほかに旧勤労、旧鉄労系や国労などが入り組む中での安定した労使関係の維持も課題とみられる。
 松田 昌士氏(まつだ・まさたけ)北大大学院卒、61年旧国鉄に入り、経営計画室計画主幹、再建実施推進本部事務局長などをへて、87年4月JR東日本常務、90年6月から副社長。57歳。(朝日新聞 夕刊)
21日■梅小路公園の「緑の館」”緑”文化の発信基地に 年度内に完成 増園の歴史展示も 京都市会特別委 理事者側が報告
 京都市会の都市公園等整備促進特別委員会が20日開かれ、建設局の荻野靖也公園緑地部参事が、来年6月の平安建都1200年祝典・祝賀行事と、同年秋の第11回全国都市緑化きょうとフェアの会場となる梅小路公園(下京区)整備事業について報告した。この中で、恒久施設として整備される庭園と一体となる建物「線の館」が、京の緑の文化を発信する機能を備えることを初めて明らかにした。
 同公園は、国鉄清算事業団の梅小路貨物駅跡地に1200年記念事業として建設される。面積11.6fの都心部では貴重な大規模緑地公園となり、京都に伝わる造園技術を駆使した池泉回遊式の庭園のほか、芝生広場などが計画されている。
 緑の館は、この庭園と一体となって、庭園の観賞や飲食、休憩などに利用される。施設は、鉄骨造りを基礎としながらも、外装に木などを使った和風の装飾をほどこし、2階建てで延べ床面積1300平方b。
 1階は「緑のサロン」と名付け、休憩するだけでなく、市内全体の緑の名所案内や、京都の誇る造園技術とその歴史などの展示を行い、緑の情報の発信基地となる。また、2階は茶室や和室を整備する予定。
 荻野参事は「人間と自然との豊かな関係を示唆する空間として建築する」と述べたうえで、来月の定例市会に工事請負契約議案を提案し、6月以降早期に着工して、年度内の完成を目指すとした。
 また、同参事は議員の質問に答え、「完成後、公園全体は無料とするが、庭園の入場については有料とする方向で検討したい」との見通しを述べた。他都市の同様の庭園では200−500円程度の入場料を徴収している、という。(京都新聞)
■関西新空港の輸送システム 愛称は「ウイングシャトル」
 来年夏開港予定の関西国際空港で、ターミナルビルの中央から南北両ウイングまで乗客を運ぶ旅客輸送システムの愛称が20日、「ウイングシャトル」と決まった。
 ウイングシャトルは大阪南港のニュートラムなどと同じ新交通システム。ゴムタイヤの3両編成で、ターミナルビルの中央と乗降口のある両ウイングの間、各545bを、無人運転で24時間往復する。
 車両は鮮やかな赤の塗装にスモークガラス。最大時で10分間に1560人の乗客を運ぶことができる。(京都新聞)
■「のぞみ」乗車率55%と低調 利用状況まとめ
 JR西日本は20日、先月18日のダイヤ改正から1ヵ月間の新型新幹線のぞみなど列車の利用状況をまとめた。
 まとめによると、博多まで延びたのぞみ(上り、下り各16本)の1列車当たりの平均乗客数は定員1323人に対して730人、乗車率は55%で、全体的にやや低調な出足になった。
 対照的に、のぞみの延長運転に合わせて14往復から11往復に本数が減った最も速い東京−博多間のひかりは乗車率101%(前年比96%)で、のぞみの登場にもかかわらず、利用客の根強い人気を示した。
 JR西日本・輸送課は「のぞみとひかりの料金格差が影響したのかも」と話している。(京都新聞)
■薄型タイプで見やすく 大阪市 バス停留所新標識
 大阪市交通局は21日から、バスの路線図や時刻表、行き先情報などを一面で見られる薄型・電照式のバス停留所標識を試験的に設置する。
 新しいバス停標識は、表示面が縦1.6b、横1.02b(現行1.5b、0.45b)と大きく、系統別の時刻表や路線図などの利用者向け情報を一面で収載。時刻表が見やすいように高さ約1.5b(同約2.0b)に掲出できるほか、厚みが0.2b(同0.45b)と薄いため歩道を広く利用できる。
 新標識は「平野区役所前」など3ヵ所を手はじめに、計40基を5月上旬までに設置。5月1日からの配線工事に合わせて順次点灯する。(京都新聞)
■社説 JR株は「二の舞い」を避けよ
 民営化企業の株式売却というと、日本電信電話(NTT)株のときの熱狂ぶりとその後の株価暴落が重なる。多くの一般投資家を欺くような結果になり、個人の株式離れをも引き起こした。
 こんどのJR東日本(東日本旅客鉄道)株式の売却に当たっては、二の舞いを演じないようにしたい。もし、再び投資家の不信を買うような事態になれば、これに続くJR各社や日本たばこ産業(JT)などの政府保有株の売却にも支障をきたす。
 JR株式については、東日本、東海、西日本の3社を91年度から売却すると閣議決定しながら、バブル崩壊後の株式市場の低迷から見送った経緯がある。
 ここにきて、JR東日本が上場を決めたのは、株式市場が活況を呈してきたので、かなりの量の株式を放出しても、相場にそれほどの影響を与えないと関係者が判断したためだ。なんとか早く上場して、売却益を国鉄清算事業団が旧国鉄から引き継いだ長期債務(借金)の返済に充てたいという思惑もある。
 当然のことながら、関係者としては、売り出し価格を高めに設定したいだろうが、意図的につり上げるようなことは、厳に戒めるべきである。
 NTTのときには、財政収入をあげるため、大蔵省と証券会社は、過度に投資家をあおったフシがある。電気通信事業が将来性に富む分野であることを材料に、NTTがよほど収益力に恵まれた企業体であるかのように、売り出したのだ。
 こんど売却されるJR東日本株は、清算事業団が保有している400万株の半分の200万株。大口投資家を対象とする入札と一般投資家への売り出しの2段階でおこなわれるが、入札の結果をもとに決められる売り出し価格が、ポイントになる。
 多くの投資家が納得するような価格を形成するには、第1段階での入札で売却する株式を多めに確保するとともに、入札の単位を小さくするなどで、すそ野を広げる工夫がほしい。売り出し価格は、どちらかといえば、やや安めに設定したほうがいいのではないか。関係者には「小さく産んで、大きく育てる」の心構えを求めたい。
 一般投資家の信頼をつなぎとめるためには、経営情報の開示(ディスクロージャー)をきちんとおこなう必要があることも指摘したい。
 JR東日本の鉄道事業は、首都圏の通勤路線、東北・上越新幹線、在来ローカル線などに大別されるが、部門別の収支構造や費用項目などは詳細に公表されていない。また、整備新幹線の計画をたてるにあたって、政治レベルでどのような経緯があったかなども明らかにされない。これらは、経営に重要な影響を及ぼす情報だ。投資家に開示されないと、信頼を損なうだろう。
 いうまでもなく、株を購入したり売却したりするのは、投資家が自己の責任で判断すべきものだ。運輸事業は成熟産業で、こんご急成長は見込めない。大きな値上がり益は、期待できないのではないか。
 JR株の上場には、「国鉄改革の総仕上げ」という側面があるという。しかし、上場されても、現実に運賃値上げはもとより、役員人事、事業計画、決算処理や配当など経営の主要部分について、いちいち運輸省の許可を受けるという状況は、急には変わるまい。
 政府は、上場企業として一本立ちした会社の経営の自主性を尊重すべきである。そのためにも、各種規制を緩和する方向をも示さなけれはならない。(朝日新聞)
■JR東日本が上場の仮申請
 JR東日本は20日、東京証券取引所に上場の仮申講をした。6月末の株主総会で1993年度決算の確定後、正式申請に切り替え、10月下旬の上場をめざす。
 この日提出したのは、過去5年間の決算資料や、子会社、関連会社の財務資料など。JR東日本は、22日に大阪、23日に名古屋、27日に新潟の各証券取引所に、同様の仮申請をする。
「東海と同時上場を」JR西日本社長が会見 6月にも説明会
 JR東日本が20日、株式の上場を仮申請したのを受けて、JR西日本の井手正敬社長は同日午後の記者会見で、「JR西日本もJR東海と一緒に今年度中に上場したい」と語り、上場への強い意欲を重ねて強調した。
 井手社長は、東日本の上場について、「待望していたJRの上場が始まることをうれしく思っている。まずは東日本が成功するよう支援していきたい」と述べた。そのうえで、「先陣争いするつもりはない」としJR東海と同時上場を目指す考えを表明。6−7月中にも投資家向けの会社説明会を開きたいとしている。
 JR西日本の93年3月期決算は営業収入は前年比で横ばいだが、税引き前利益は600億円を割り減益になるのは確実だ。(朝日新聞)
■和D-53号事件 広がる影響 打つ手なく… ニセ1万円札発見から10日
 関西でニセ1万円札が大量に見つかった「和D-53号」事件はJR京都駅で駅員が2枚を発見してから21日でちょうど10日になる。ニセ1万円札は日銀京都支店(13日)や近畿銀行京都支店(19日)からも見つかり、京都市内で発見されたのは4枚になった。事件は、両替機がほとんどストップしている金融機関のほか、紙幣の識別機械に絶対の自信を持っていたメーカーにも大きな打撃を与えている。ニセ札事件の波紋を追ってみた。
・券売機対策お手上げ JR京都駅
 11日夜、下京区のJR京都駅では、地下にある烏丸東口の改札口東側の自動切符売り場でニセ1万円札が見つかった。券売機裏の券売機室で、駅員が1万円札40枚をそろえていたところ、色の薄い札が2枚あるのに気がついたという。地下の烏丸東口の5台以外にも、同駅では、1階烏丸中央、八条口中央の2ヵ所に計12台の1万円札が使える自動券売機がある。府警は、日銀京都支店で13日に見つかった1枚はこのどちらかの切符売り場で使われたとみている。
 JR京都駅では、1日平均約34万人の乗降客があり、有効な対策はない。「券売機前に駅員が立って、不審な人物を一人ひとりチェックするのは物理的に不可能だ」とJR西日本京都駅の内勤助役は話している。
・両替機稼働一部だけ 金融機関
 中京区の住友銀行京都支店が12日、JR京都駅から集金した売上金約4億円を日銀京都支店に持ち込んだ。売上金はJR西日本とJR東日本の9日から11日分で、住友銀行京都支店で、紙幣を読み取り、帯封をかける紙幣整理機にかけたが、ニセ札は見つからず、13日、日銀の自動鑑査機のチェックで、ニセ札1枚がはじかれた。
 19日には、下京区の近畿銀行京都支店でニセ1万円札が見つかった。同銀行が16日、取引先約120ヵ所から集金した約1000万円の中の1枚。同支店の紙幣選別機にかけたが、見つからず、女子行員が傷んだ1万円札を点検して、ニセ札に気づいたという。
 府警などの調べでは、府内には1万円札が使える両替機や券売機が駅や金融機関、パチンコ店、競馬場、競輪場などに1429台あるが、府内の銀行の両替機は13日ごろからほとんど止まっている状態だ。
 京都市内に4支店がある住友銀行では全国328支店の314台の両替機のうち、稼働しているのは約1割。京都では1支店で銀行員が立ち会い、両替機を稼働させている。本店(大阪市)広報部の佐藤根隆之上席部長代理は「お客様に迷惑をかけてはいけないので、早く全面稼働させたいのですが、いつまた起きるかも知れないので…」と、両替機は当面、一部の店だけで稼働させるという。
・迫られる判別の改良 メーカー
 金融機関の両替機を約50%、券売機では約40%のシェアを持つオムロン(本社・下京区)は12日夜、電子決済システム統括事業部の開発部門がある滋賀県の草津事業所の技術者が京阪神のJRの主な駅でお札の判別磯の精度を上げた。平均98%のお札を通す設定をしていた同社券売機の受け入れ率を大幅に下げて、疑わしいものははじいていくようにしたという。「大勢の人が使う券売機の精度を上げると、はじかれて出てくる札が多くなる。乗客にとって不都合になるが、今回はしかたない」と同社の広報室。
 また同社では13日朝、草津事業所に対策本部を設置。警察からニセ札のデータをまだ入手していないが、報道機関などの資料からニセ札の性質を想定して、判別機の構造の改良など、具体的な対策を練っている。同社は、東日本を中心にニセ1000円札343枚が出回った1961年暮れからのチ−37号事件以来、約30年間、お札の判別機を開発してきた。「ニセ札が機械を通ったというのは、自信を持っていただけに、ショックだ」と驚いている。
・情報交換・分析に全力 捜査
 府警は捜査二課内に13日付で特別捜査班を設置。約30人の捜査員を動員して、銀行の取引先の調べや券売機のシステムの解明、周辺の聞き込みのほか、「不審者を見た」「これはニセ札ではないか」といった情報への対応に当たっている。
 ニセ札は警察庁科学警察研究所に送り、鑑定中。券売機についてはメーカーとも協力して分析を急ぐとしているが、犯人に結びつくような有力な情報はまだないという。
 19日、大阪で3府県警と警察庁、近畿管区警察局の合同捜査検討会が開かれ、情報交換のほか、今後の協力などについて話し合った。府警は「通貨偽造事件は社会的な影響が大きい悪質、重大な犯罪。関係府県警との連携を緊密にして犯人の早期検挙を目指し全力を挙げたい」としている。(朝日新聞)
■異音に苦情”ドンドン” のぞみ JR、防音フード増設
 山陽新幹線を「のぞみ」が走り始めた3月18日以降、岡山以西にあるトンネル周辺の住民から「のぞみのトンネル通過時に『ドン』という異常な音が聞こえるようになった」という苦情や防音対策を求める声がJR西日本に相次いでいることが20日、わかった。苦情はこの1ヵ月間で約50地域から寄せられているという。同社はこの異音の発生を防ぐ「防音フード」を順次、設置していく考えだ。
 同社によると、「ドン」という異音は列車が高速でトンネルに突入すると、中の空気が圧縮され、列車がトンネルを出る瞬間などに出る。山陽新幹線が岡山から博多まで延伸となった1975年直後もこうした異音に対する苦情は多かったが、最近は減っていた。それが「のぞみ」が走り始めた3月18日以降、広島県尾道市や山口県徳山市などのトンネルで再び増え始めたという。
 JR西日本によると、「のぞみ」によるこの異音の発生は営業運転前から予測していたといい、「防音フード」と呼ぶ鉄製の覆いをトンネル出口につけている。90年度からこれまでに広島県竹原市の竹原トンネルや山口県徳山市の大平山トンネルなど9ヵ所に装着しており、今年度も14ヵ所、来年度も10ヵ所程度を計画している。(朝日新聞)
■運行1ヵ月 平均乗車率は55%
 JR西日本は20日、3月18日のダイヤ改定で営業運転を始めた山陽新幹線「のぞみ」の4月17日までの乗車率(推計)を発表した。それによると、一列車当たりの平均乗車人数は定員1323人に対して730人と、55%の乗車率となっている。同社の井手正敬社長は「まずまずの滑りだし」と評価しているが、最速「ひかり」や早朝や深夜の「ひかり」に比べ乗車率は低く、社内には「不況下で『ひかり』よりも高い特別料金が響き、低調となった」との声もある。(朝日新聞)
■のぞみ 50地域で騒音苦情 岡山以西 トンネル進入時に
 東海道・山陽新幹線の、のぞみがトンネルに入る際に発生する「ドーン」という爆裂音に対する住民からの苦情が、岡山県以西の約50の地域から寄せられていることが21日までに、明らかになった。JR西日本は「早急に各地域の実態調査をして、必要な対策を取りたい」と話している。
 同社によると、苦情が寄せられているのは広島市の五日市トンネル(長さ6.6`)や山口県徳山市の大平山トンネル(同6.6`)、福岡県・粕屋町の福岡トンネル(同8.5`)などの出入り口周辺地域。
 爆裂音は長さ3`程度以上のトンネルに高速の新幹線が進入した際、反対側の出口付近で多く発生。特に線路上の敷き石の代わりにセメントアスファルトモルタルを使用した「スラブ軌道」上に作られたトンネルに頻発するという。
 ひかりやこだまの時も各地で問題となり、国鉄(当時)が新幹線のトンネル進入口に鉄板で組み立てた衝撃を緩和するかまぼこ型のフード(緩衝工)を設置するなどしてきた。
 JR西日本によると、こうした対策が功を奏し、のぞみ導入前に苦情はほとんどなくなっていた。しかし、3月18日にのぞみが山陽新幹線を走り始めてから、スラブ軌道が多い岡山県以西で再び苦情が出始めたという。
 同社はのぞみ導入に備えて、平成3年度から長いトンネルに緩衝工を順次設置。これまでに9ヵ所に建設したほか、本年度中にはさらに14ヵ所に設置する計画と説明している。
 一方、山陽新幹線沿線の神戸市西区の住民らが、のぞみの走行が原因とみられる家屋の振動被害を訴えていることも同日分かった。(京都新聞 夕刊)
22日■「のぞみ」初の振動・騒音調査 JR西日本、神戸で
 東海道・山陽新幹線沿線の神戸市西区大津和二丁目の住民らが、のぞみの振動によるとみられる家屋の被害などを訴えている問題で、JR西日本は21日午前10時から、担当者を現地に派遣して振動と騒音の測定調査を始めた。同社によると、のぞみの通過に伴う振動。騒音の調査は、3月18日にのぞみが博多まで延長運行を始めてから初めて。
 JR西日本によると、被害を訴えているのは沿線住民8人で、3月26日、JR神戸駅構内の同社の近畿環境対策室に「のぞみが通過する時の騒音と振動がひどい」として、文書で善処を申し入れた。
 現地には午前10時前、同社対策室の職員5人がワゴン車で到着。線路から25bと50b離れた2地点に騒音計、振動計を設置し、のぞみ、ひかりなど上下合わせて計20本、約2時間にわたる測定に入った。
 10時45分ごろ1本目ののぞみが通過すると、振動計と騒音計の針が大きく揺れた。住民は「昨夜、保線工事をしていた。いつもより、揺れも音も小さく感じた」と話していた。(京都新聞)
■JR貨物 社長に棚橋氏起用
 運輸省は21日、JR貨物の橋元雅司社長が会長に、後任には同省OBで日本鉄道建設公団の棚橋泰総裁を起用する人事を内定した。町田直会長は名誉会長に就任する。閣議了承を得て6月末の株主総会後の取締役会で正式決定する。
 橋元氏は1987年4月のJR貨物発足と同時に国鉄副総裁から社長に就任し在任期間6年で経営基盤を固めた。棚橋氏の起用は、監督官庁との強いパイプをてこに事業展開をスムーズに進めるためとみられる。
 棚橋 泰氏(たなはし やすし)東大教養学部卒。昭和31年運輸省に入り、運輸政策局長、官房長を経て平成4年5月から日本鉄道建設公団総裁。60歳。東京都出身。(京都新聞)
■広がる広がる 広告の空白 大阪市営地下鉄、不景気で契約率最低 こうなったら 自前ポスター
 公営地下鉄としては全国一の収入を誇る大阪市営地下鉄駅の広告契約率が、景気低迷で過去最低を記録している。梅田やなんばなど都心部ではともかく、周辺部では「空白」が目立っている。各企業が経費切り詰めで広告を手控えたためで、市交通局は自前のポスターで埋めるなど、対応に苦慮している。
 20日現在の駅広告の契約率は91%(「空白」332枠)。昨年同期は94%(同219枠)、一昨年同期は95%(同187枠)。3年前までは95%を超えていた。
 「空白」が300枠を突破したのは初めて。減ったのは不動産関係をはじめ、駅周辺にある中小企業や商店の案内広告などだ。
 市交通局が地下鉄の駅や通路に設けている広告スペースは約3600枠。市周辺部の1枠7万円から梅田などの一等地の200万円まで場所に応じて細かく料金を決めている。いずれも3ヵ月契約で、延長しない場合は1ヵ月前に連絡が入るが、継続が減ったうえ、新規申し込みがない。人通りの少ない場所から「空白」が広がっている。
 このため、交通局が市バス、地下鉄共通の一日乗車券の宣伝や、放置自転車防止を呼びかけるポスターで埋めているのが現状だ。
 市地下鉄の広告収入は料金改定を毎年繰り返しており、89年度の約47億円から、91年度は約65億円に増えた。92年度も料金改定で収入は増えるが、アップ率は下がる見込みだ。他都市の広告収入は東京都、名古屋市が大阪市の半分足らずで、京都、神戸両市は1割以下。
 広告担当者は「駅の広告は落ちるところまで落ちた。これ以上は減らないと見ているが、今後の料金改定は難しい」と話している。(朝日新聞 夕刊)
■JR回送電車 空気漏れ停車 彦根駅
 22日午前5時半ごろ、JR東海道線の野洲発米原行きの回送電車(12両編成)が彦根駅を通過中、突然非常ブレーキがかかり、電車が止まった。運転士が調べたところ、床下のエアブレーキ装置から空気が漏れていた。コックを閉め切る応急措置をして、33分後に出発した。このため、後続の新快速など計6本が運休となった。
 JR西日本では、この車両が米原に到着後運転をとりやめて、原因を調査している。(朝日新聞 夕刊)
23日■駅のお掃除任せて JR東海などロボット開発
 JR東海と機械メーカー、静甲(本社静岡県清水市)は、駅舎内の床を自動的に掃いたり、洗ったり、磨くことができる国内初の無人清掃ロボットシステムを開発、22日東京駅で公開した。
 清掃作業は”3K”職場の一つにも挙げられ、人手不足が深刻なだけに、今回の清掃ロボットシステムは駅だけでなくオフィスやデパートなどにも役立ちそう。
 JR東海はゴールデンウイーク明けから約半年間、JR静岡駅でテストを実施。駅への設置は平成6年度以降になる、という。
 清掃ロボットは、大型(長さ約1.6b、幅約1.4b、高さ約1b、重さ650`)と、小型(長さ約1.4b、幅1.2b、高さ約1b、重さ350`)の2種類で、開発費は計約2億円。ともに、新幹線「のぞみ」の先頭車に似た形で、部品を取り換えれば1台で@ごみを吸い取るA床を洗浄するB床を磨く−の3つの作業をこなせる。(京都新聞)
■のぞみ 振動ひかり並み JR西日本 神戸の測定結果公表
 山陽新幹線沿線の神戸市西区大津和二丁目の住民8人が、のぞみの振動や騒音の被害を訴えている問題で、現地の測定調査をしたJR西日本は22日、「のぞみの騒音、振動はひかりなどと同レベル」との調査結果を公表した。この調査に対し住民は信じられない結果だ、と反発している。
 調査は、21日午前11時ごろから午後零時40のぞみ2本の騒音は25bで平均67ホン、50b地点で65ホン、振動は53デシベル。これに対し、時速で約60`遅い下りのひかり3本の平均値は騒音が25b、50bともに67ホン、振動は51デシベルで、のぞみと大差はなかったという。上り線でも同様の結果が出た。しかし、今回の振動測定では地面の揺れを測定しただけで、のぞみ通過に伴う風圧などは考慮されていなかった。
 被害を訴えている大津和二丁目八・九自治会逢坂光良会長は「家の壁土が落ちたりするのは風圧のせいだと思うが、JRはなぜ測定しないのか」と話している。(京都新聞)
■新幹線の車両所停電 11本、1万人に影響
 22日午後零時52分ごろ、JR東海の新幹線専用の大阪第一車両所(大阪府持津市)で停電があった。約20分後に復旧したが、新幹線の回送列車が一時、同車両所に出入りできなくなった。
 JR東海によると、新大阪発東京行きひかり240号が新大阪駅を34分遅れて出発したほか、東海道新幹線の上下線計11本が5分以上遅れ、約1万人の乗客に影響が出た。(京都新聞)
■新大阪駅信号故障 東海道線乱れる
 22日午後3時15分ごろ、大阪市淀川区のJR東海道線新大阪駅で、下り線のホーム直前にある場内信号機の赤が点灯したまま変わらなくなった。
 このため同駅に停車しようとしていた長浜発網干行きの快速電車がホームの手前で27分間停車したのをはじめ、後続の13本が21分から4分遅れ、約4500人に影響が出た。(京都新聞)
■ニセ1万円札 旧式券売機は通さず JR京都駅で試してみたら 感度固定、功奏す
 大阪、京都、滋賀、奈良の4府県でニセ1万円札が大量に使用された「和D-53号」事件で、ニセ札はJR各駅の最新式券売機で使用できたものの、旧式券売機では使えなかったことが22日、京都府警などの調べでわかった。JR京都駅でニセ札を見つけた社員が1万円札の利用できるJR西日本の券売機14台で試したところ、旧式の新幹線用6台が受け付けなかったという。旧式は判別機の感度を調節できず、感度を高くしたままに固定していたため異状を感知したとみられ、逆に古い札の使用を考えて感度を低く調節していた最新式の優秀性があだになった形だ。
 捜査当局によると、これまで505枚みつかったニセ札のうち、JRの券売機で使われたと思われるものは15枚。大阪駅7枚、新大阪駅4枚、京都駅3枚、高槻駅1枚となっている。
 京都府警の調べでは、11日夜、京都駅地下にある烏丸東口の自動切符売り場の券売機室で、社員が1万円札40枚の中から、色の薄い2枚を見つけた。2枚を1万円札の使用できる券売機に入れてみたところ、今年3月に導入された最新式の券売機では使えたが、1981年5月に設置された旧式は通過せず、出てきた。このため、ニセ札と考え府警に届け出たという。
 大阪、高槻駅の1万円札が使える券売機もすべて最新式だった。新大阪駅は42台のうち28台が旧式だが、府警は使った人物が旧式を避け、最新式券売機を選んで換金したとみている。
 JRなどによると、最新式が感度を数段階に調節できるのに比べ、新幹線用の旧式は調節機能がなく、高いレベルで固定しているという。
 券売機の40%のシェアを持つメーカーのオムロン(本社・京都市)の話では、最新式はほとんどの1万円札が通過するよう、平均98%の受け入れ率を基準としているという。同社は「券売機はニセ札のチェックが目的ではなく、あくまで利便性を考えたもの。感度を上げると、シワなどあると反応し、利用者に迷惑がかかる」と話している。しかし、12日夜、同社は、JR各駅の最新式機の感度を上げたという。
 JR側では「旧式券売機で、1万円札がなかなか入らないと聞いたことはほとんどない」と話している。(朝日新聞)
■JR予讃線が不通
 22日午後8時20分ごろ、香川県観音寺市のJR予讃線観音寺駅構内で、岡山発松山行き特急「しおかぜ15号」が発車直後に動かなくなった。JR四国の調べでは、同駅付近の架線が切れており、予讃線多度津−伊予三島間が深夜まで不通になった。後続の特急を含めて上下14本の列車に影響が出た。(朝日新聞)
■宝くじ売り場 立ち退き命令 JR大阪駅の訴訟判決
 JR大阪駅構内の宝くじ売り場の移設をめぐるトラブルから、JR西日本関連会社の西日本キヨスク(本社・大阪市)が尼崎市内の販売業者を相手取って売り場の撤去を求めていた訴訟の判決が21日、大阪地裁であった。内藤政之裁判官は「くじを買う人の行列が旅客の通行のじゃまになり、防災や美観上もマイナス」などとしたキヨスク側の主張を認め、業者に立ち退きを命じる判決を言い渡した。
 判決などによると、撤去を命じられたのは、JR大阪駅の南口近くの通路と東口にある売り場。(朝日新聞)
24日■27日に24時間スト 広島中心にJR西労
 JR西日本労働組合(JR西労)は23日、広島−下関間のブルートレインの1人乗務化の撤回などを求め、27日に広島支社管内で24時間ストに入ると会社に通告した。労使の歩み寄りの可能性は低く、ストはほぼ確実な情勢だ。
 新幹線を除き、山陽線、山陰線、呉線など広島、山口の両県にまたがる11路線が対象になる。運休は平均で50%。(朝日新聞)
■のぞみトラブル 断線など7種類 衆院決算委 運輸省報告
 東海道・山陽新幹線の「のぞみ」について、運輸省は23日、衆院決算委員会で7種類のトラブルが発生していることを明らかにした。寺前巌委員(共産)の質問に答えた。
 運輸省によると、7種類の内訳は、岐阜羽島駅で「のぞみ」が通過時に砂利をはね上げて、ホームの乗客に当たり軽いけがを負った(1件)▽車軸の温度を測るリード線の断線(7件)▽側面スカート部の取り付け座金断裂(1件)▽パンタグラフ底板の取り付けネジが落ちた(4件)▽速度調整レバーのネジが落ちた(1件)▽空調装置の整風板が落ちた(1件)▽窓ガラスのひび割れ(94件=JRの調べでは、「こだま」「ひかり」型車両でのひび割れを含んだ数字で、「のぞみ」では46件)。(朝日新聞)
25日■普通電車うっかりホームで行き過ぎ JR塚本駅
 24日午後2時45分ごろ、大阪市淀川区塚本2丁目のJR東海道線(神戸線)の塚本駅で、ホームに入って来た神戸発高槻行き上り普通電車(7両編成)が、所定位置を約810b行き過ぎて停車した。同電車はホームまでバックして客計約75人を乗降させ、3分遅れで発車した。この事故で後続の加古川発米原行き快速電車1本が2分遅れ、約600人に影響が出た。
 JR西日本によると手動ブレーキをかけるのが遅れたらしい。(朝日新聞)
■阪神電鉄のプリペイド 「らくやんカード」です 新改札方式3月に発売
 阪神電鉄は、3月からスタートの新しい改札方式(ストーアード・フェア・システム)に使うプリペイドカードの名称を「Rakuyan Card(らくやんカード)」と決めた。
 「らくやん」の名称は、手軽さを意味する大阪弁から取った。カードは大が人用が1000円、3000円、5000円の3種、子供用が1000円と2000円の2種。3月20日から各駅の新しい自動券売機で発売する。
 阪神電鉄のシステムは、阪急電鉄、北大阪急行電鉄、能勢電鉄、大阪市交通局の4社と共同で同日から実施される。システムの愛称は「スルッと関西」で、国内では最大の利用網となる。らくやんカードをはじめ、5社共通のブリペイドカードなら、どの社の路線(改札口)にも使用できる。(京都新聞)
■水間鉄道の値上げ認可
 近畿運輸局は24日、水間鉄道(本社・大阪府貝塚市)の平均9.2%の運賃値上げを申請通り認可した。2月1日から実施される。
 値上げ後は、最短区間の運賃が現行の150円から170円に、貝塚−水間が250円から270円になる。(京都新聞)
26日■来るか湖国鉄道新時代 期待大きい地域活性化 長浜乗り入れで成果がきっかけ
 滋賀県が今春の機構改革で鉄道整備課を新設させ「湖国新時代の鉄道」問題に本腰を入れ出した。琵琶湖環状線、新幹線「栗東新駅」など、いずれも中長期的な課題ばかりだが「ひところに比べれば熟度は高まっている」として、全国でも珍しい課新設に踏み切った背景になった。湖国の鉄道といえば、琵琶湖線(東海道線)の長浜乗り入れが湖北活性化に大きな成果を上げているだけに、今後の動向に視線が集まっている。
 湖国の現在の主な鉄道課題には、琵琶湖環状線、新幹線「栗東新駅」のほか湖東・大阪線、今津・上中線の両新線構想、京阪京津線地下化構想などがある。それぞれ地域活性化、アーバンネットワーク化の願望が込められているのだが、とりわけ「鉄道による地域づくり」への期待が大きい。そのきっかけになったのは、91年9月の北陸線米原−長浜間の直流化で実現した琵琶湖線電車の長浜への直通乗り入れだった。
 米原での琵琶湖線(直流式)から北陸線(交流式)の乗り換えがなくなり、長浜−京都が60分圏になった効果は大きかった。91、92両年度の長浜市内への観光客を比較すると、長浜城歴史博物館が12万4000人から16万3000人に、ガラス館で知られる「黒壁」は34万2000人から36万6000人へと増加。京都、大阪が通勤圏になったことを反映して、住宅の建築確認申請も460件から519件に伸び、5万5000人台で横ばい状態が続いていた長浜市の人口も今年1月末には5万6300人に増えた。
 こうした活性化効果を「さらに湖北、湖西に広げたい」と狙っているのが琵琶湖環状線だ。交流式になっている北陸線長浜−近江塩津、湖西線近江塩津−永原間を直流化し琵琶湖、湖西両線電車を環状運行しようというプラン。県や地元自治体、JRの投資は米原−長浜直流化の際の約7億円に比べ数十億円が見積もられているが「資金問題はクリアできる。要はJRの決断しだい」(鉄道整備課)という。
 琵琶湖環状線と同様に中期的課題と位置づけられているのが新幹線「栗東新駅」。こちらは、99年の品川新駅開業に対応した輸送力増強で生じる「需要確保」がターゲットで、自民県連の推進議連が2月に東京で開催した決起集会には三塚博政調会長も招くなど、熱気は高まるばかりだ。
 一方、長期的視野に立った新線構想では近江鉄道信楽高原鉄道を活用し彦根から学研都市、大阪ベイエリアを結ぶ湖東・大阪線がある。まだ「百年の大計」の域を出ていないが、信楽から近鉄京都線三山木駅とつなぐ田辺ルート、同祝園駅と結ぶ祝園ルートを軸に需要予測などを実施。本年度は採算可能性調査に入ることになっている。
 今津−上中線構想は、湖西線近江今津−小浜線上中に鉄道を新設する計画で「小浜−京都間55分」がキャッチフレーズ。滋賀県の今津町、朽木村、福井県の小浜市、上中村で「琵琶湖・若狭リゾートライン研究会」を旗揚げし建設運動を展開しているが、この4市町村で温めてきた観光開発プラン「鯖(さば)街道21プラン」が先に国の広域共同プロジェクトに採択され、新線構想に弾みをつけた。
 京阪京津線の地下化構想は、京津線電車が山科区御陵で京都市の地下鉄東西線に乗り入れるのを機に、御陵−浜大津間も地下化しようというもので、大津市や県、京阪などで事業化可能性の協議を行っている。概算事業費は400億円以上にのぼり、資金調達をはじめ難題は山積しているが、大津市では「浜大津活性化のキメ手」と熱い視線を注いでいる。
 県鉄道整備課では「いずれも資金や採算性、と経営主体などの問題を抱えているが、鉄道整備の波及効果は大きい。実現可能性のある構想には積極的に取り組んでいく」と意気込んでいる。(京都新聞)
■カーブが得意”へび列車” JR西日本 97年めどに実用化 紀勢線など特急 1時間短縮区間も
 「新幹線ばかりでなく、在来線もスピードアップします」。JR西日本が在来線のカーブでも、時速100`以上で走れる新型車の開発に乗り出した。へびのようにくねくぬと走ることから、名付けて「スネークトレイン−21」。自動車の前輪のように曲がりやすい台車を採用する。97年を目標に、カーブの多い伯備、紀勢、山陰各線の特急で実用化したい考えで、区間によっては1時間も短縮できる見込みだ。
 新型車の最大の特徴は台車だ。左右の車輪が独立して動く構造にし、現在、車体の下にある位置を車両と車両の連結部に変えて操柁(そうだ)性を高める。高速で曲がれるようにするため、車両の長さを従来の半分ほどに短くする。また、振動や傾斜を吸収できるコンピューター制御装置も搭載し、乗り心地も改良する。
 新型車では、これまで時速65`が限界だった半径300のカーブで、直線並みに120−130`の走行が可能になるという。すでに鉄道総合技術研究所(JR総研、東京)と台車の試作に取りかかっている。5月から性能試験を始め、94年度にも試作車両をつくる予定だ。
 JR西日本は97年から、伯備線の特急「やくも」、紀勢線の特急「くろしお」、山陰線の特急「あさしお」「北近畿」などの新型車として次々に走らせる方針。実現すると、和歌山−新宮(和歌山県)間の「くろしお」の場合、現在の約3時間が1時間ほど短縮される。また、「やくも」で約2時間45分かかっている岡山−出雲市(島根県)間も30分以上短縮できる。
 在来線ではこれまで低重心化を図るなどしてカーブの高速化に取り組んできたが、台車の操舵性の限界などでカーブの速度は落ちる。
 例えば、「やくも」の場合、倉敷(岡山県)−伯耆大山(鳥取県)間(約140`)で最高速度120`を出せるのはわずか約9`だけだ。約90`はカーブのため時速70`以下で走らなけれはならず、平均時速は80`となっている。(朝日新聞 夕刊)
■立山黒部ルートが雪壁ぬい一部開通
 富山県と長野県を結ぶ立山黒部アルペンルート(全長約90`)の、富山県側・美女平−黒部湖間が25日、開通した。富山県から長野県側に抜ける黒部湖−信濃大町間は、一部に雪崩の危険があるため、28日に開通する。3月の大雪や4月中旬の急激な冷え込みで、積雪は昨年より2、3b多い。
 美女平(標高977b)から室堂平(同2450b)までは、高原バスの窓越しに、雪の壁が続く。室堂平付近の通称「雪の大谷」は最も雪が深く、高さ約16bの白い壁がキラキラと迫る。
 ゴールデンウイークには、昨年より多めの7万人の観光客が見込まれている。最近は、韓国、台湾からのツアー客も増加。26日には、富山−ソウル間の定期便が就航する。地元は、韓国からのアルピニストの入山も期待している。(朝日新聞)
■「京へようこそ」のぞみちゃん JR京都駅マスコット人形が登場
 平安建都1200年まであと250日となった26日、JR京都駅八条口にキャンペーンキャラクター「京(みやこ)のぞみちゃん」のマスコット人形が登場した。
 人形は、1200年の記念すべき年に全国から訪れる入洛客を、玄関口である京都駅で温かく迎えようと、壬生寺(松浦俊海貫主)などが平安建都1200年記念協会に寄付した。
 強化プラスチック製で、乗っている台も含めた高さは2b。のぞみちゃんが手にする笠が、電気仕掛けで約30a上下に動くとともに、取り付けられた電光表示板によってイベントなどの情報提供もする。
 同協会の福井謙一会長、副会長の荒巻禎一知事、塚本幸一京都商工会議所会頭、佐藤達三市助役ら関係者は午前11時から除幕式を行い「のぞみちゃん登場でイベントの機運も盛り上がる」と気勢をあげていた。(京都新聞 夕刊)
■「のぞみ」の駅弁 不況には勝てず 1個300円も値下げ
 特急料金が高い、トラブルが多い、と評判がいま一つの東海道・山陽新幹線「のぞみ」で、車内販売の駅弁が1個300円も値下げになった。乗客の財布のひもが固くなり、「バブル価格」では売れなかったのが値下げの理由。販売窓口を増やしたこともあり、安くなってからはこれまでの10倍以上売れるものもある。駅弁に関しては、不況には勝てなかった。
 この駅弁は、「旅ごころ」シリーズ。昨年3月に「のぞみ」が走り始めたのを記念して、列車が止まる東京と新横浜、名古屋、京都、新大阪の計6業者が1種類ずつ新しい駅弁を車内で発売した。
 中身は洋食が多く、凝ったメニューで、従来のものより高い1つ1300円。統括するJR東海の子会社・パッセンジャーズ・サービス(略称・SPS)は、「のぞみ」利用者には売れる、と強気に見込んでいた。
 しかし、夜間の上りでは販売がひとケタの日もあるなど、もくろみは完全にはずれた。
 仕方なく同社は「やはり、大衆価格で」と、業者に呼びかけ、先月のダイヤ改定から、1つ1000円に値下げした駅弁6種類を新たに発売した。(朝日新聞 夕刊)
27日■信楽鉄道事故 きょう初公判
 死者42人、重軽傷者614人を出す大惨事となった一昨年5月の信楽高原鉄道事故で、業務上過失致死傷罪などに問われた信楽高原鉄道運転主任ら3人に対する初公判が27日、大津地裁で開かれる。一方の当事者、JR西日本の刑事責任が事実上不問にされるなか、検査側は、高原鉄道側が安全確保に注意を払わないまま列車を運行していた点を重視。事故当日の3被告の行為と事故との因果関係を明らかにしていく方針。弁護側は、起訴事実の一部について争う姿勢を示している。
 1400点を越す膨大な書証の検討時間が必要なため、初公判は起訴状の朗読だけで終了。罪状認否や検察側の冒頭陳述は次回以降に持ち越される予定。
 起訴されているのは、同鉄道運転主任里西孝三被告(62)、同施設課長山本長生被告(56)、信号設備会社「信栄電業」元社員八木沢守被告(44)の3人。
 起訴状によると、里西被告は、信楽駅の出発信号が赤固定し、高原鉄道列車が信号制御に代わる「代用閉そく方式」で出発する際、下りJR列車が対向してくるのに進路の安全を確認せずに出発合図を出し、発車させたとされる。
 八木沢被告は、同駅構内の継電室で信号機の点検中、列車発車後は厳禁されている信号回線の端子どうしをつなぐ行為を行い、列車すれ違い区間の下り出発信号をを青に変えてJR列車を通過させたとされる。また山本被告は、八木沢被告の行為に立ち会いながら高原鉄道列車の出発を止める要請もせず、作業を指揮監督したとされている。
 同事故では、滋賀県警が衝突したJR列車の運転士(50)を同罪で書類送検。「犠牲者遺族の会」も当時のJR社長ら幹部12人を告訴告発したが、大津地裁は運転士や社長ら6人について不起訴処分としている。(京都新聞)
■インタビュー トロッコ列車が人気の 「嵯峨野観光鉄道」社長 長谷川一彦さん(46) 沿線を緑いっぱいに
 京都の名勝・嵐山から保津峡にトロッコ列車を走らせる「嵯峨野観光鉄道」の社長。1991年4月に一番列車を発車させて以来、乗客は当初予想の3倍の150万人を突破した。JR西日本から出向し、27人の社員を率いる。スーツを脱いで駅舎のトイレ掃除もやれば、ツルハシ片手に沿線のサクラの植樹にも出かける。人気のトロッコ列車がレトロ調なら、社長も「率先垂範」がモットーの昔気質な人物だ。
 ◆売上高は。
 開業した91年度に3億8000万円。92年度が5億円。初年度の目標は1億2000万円でしたから、予想以上の好調ぶり。その秘密
 「トロッコ列車を思い切り、レトロ調に仕立てたこと。わざと乗り心地が悪いように客車は木製のイスを使い、照明も薄暗い裸電球。空調設備も付けなかった。快適な暮らしが当たり前だからこそ、逆に不便さが珍しく、新鮮に思えるというわけです」
 「車窓から眺める自然が素晴らしい。うちの会社も、沿線を花のトンネルにしようと、桜の苗木を480本、モミジを500本植えました。目標は千本桜と千本モミジ。今後も植樹は続けます」
 ◆経営哲学は。
 「利用客はもちろん、社員と地域、そして自然と共生する会社づくりです。企業によるメセナ(文化の擁護)活動が盛んですが、例えはゴルフの大会名に企業名を入れるやり方は関心しない。ボランティアの精神がなければね。我が社も、一つが約100万円する観光案内板を計3つ、地元に贈ったが、案内板に社名は入れなかった。植樹に力を入れるのも、たとえ会社が倒産しても、残された自然を多くの市民に楽しんでもらえるからです」
 ◆ふだんの仕事ぶりは。
 「根っからの自然好きで、ヘルメットに作業服姿で沿線の植樹に出かけます。自慢は、これまで植えた桜とモミジの苗木全部を、手でさすってやったこと。早く大きくなれよと声をかけてやるんです」
 「沿線では、ロープを命綱にがけ下に降り、雑木も切ります。車窓から見るせっかくの景観が、背丈が高い雑木で邪魔になったら残念でしょう。ツルハシを持ってうろちょろするものだから、本当に社長ですかと笑われた」
 ◆これからの目標は。
 「ぜいたくな悩みですが、いまは乗客数が多過ぎる。遠来のお客様に十分なサービスを提供するには、もう少し減らせたらと思う。料金の値上げも、しばらくは考えません。なんぼもうかっても宮仕えの身。私の給料も変わりませんから。それでも一国一城の主として、親会社のJRに言うべきことは伝えていく」
 「黒字が出ている会社の余力を、沿線の植樹など、地域の人々に喜んでもらえる活動につぎ込みたい。小さな会社ですから、我々が食えるだけの利益が上がれは十分です。何分、私はJRでもヤンチャで通っていますからね。鉄道人生22年。いまが一番充実しています」
 嵯峨野観光鉄道はこの黄金週間をめどに、オランダから輸入した1個約100万円の鈴計12個をつけた「カリオンタワー」をトロッコ保津峡駅に設置する。亀岡駅にも81個の鈴が童謡を奏でる「ベルツリー」をつくったばかり。
 取材中、何度か「ロマン」という言葉を口にしては、照れ隠しに「ガッハッハ」と笑ってみせた。歯に衣(きぬ)着せぬものいいは、みごとに新会社を「出発、進行!」させた鉄道マンの自負と、お見受けした。(聞き手・鎗木 裕)
 はせがわ・かずひこ 1946年、兵庫県加古川市生まれ。神戸大学大学院修士課程(機械工学)を修了後、71年に旧国鉄へ入社。中部輸送計画室の列車計画課長や民営化したJR西日本の流通課長などを経て、90年11月の嵯峨野観光鉄道設立と同時に社長に就任。(朝日新聞)
■合唱列車 北から南から 綾部に集おう
車両借り切り歌の練習 来月30日出発進行 参加者を募集 第30回京都合唱祭オープニングで披露 JRの車両を借り切って歌の練習をする「合唱列車」が5月30日、京都と兵庫県豊岡市から綾部市まで走る。府合唱連盟が今年で30回目を迎える京都合唱祭に合わせて企画した。列車の中で「ふるさと」などを歌い、綾部市で開かれる合唱祭のオープニングで披露してもらう、というユニークな趣向だ。
 計画によると、列車は「北号」(3両編成)が午前6時54分に豊岡を出発、網野、峰山、野田川、天橋立、宮津、西舞鶴の各駅に停車して9時25分に綾部着。「南号」(6両編成)は7時ごろ、京都をたち、亀岡と園部に止まって、9時10分ごろに着く。
 合唱祭に参加する約25団体のメンバーと一般の参加希望者の計550人が最寄りの駅で乗り、停車駅や列車の中で「ふるさと」「おぼろ月夜」「ピクニック」などをみんなで歌う。指導は府合唱連盟の吉村信良理事長や兵庫県合唱連盟の洲脇光一理事長らがする。午前10時から綾部市里町久田の府中丹文化会館であるオープニングで成果を発表する。
 合唱祭は30日のほか、6月5、6両日も開かれる。5日は午後1時半から左京区の京都会館で「合唱体験劇場KYOTO」がある。声楽家の鈴木捺香子さんが初心者に指導したり、映画「白雪姫」の小人のテーマのミュージカル、作曲家の佐藤真さんの指導などがある。6日も同会館であり、中学生から社会人まで計110団体が次々に歌い、全員の大合唱で締めくくる。
 府合唱連盟は「合唱列車」の参加者を募集している。無料で、定員は北、南号各50人。希望者は住所、氏名、年齢、電話番号、乗車駅をはがきに書いて〒600京都市下京区高倉四条下ルの府合唱連盟・合唱列車係まで。5月15日締め切り。問い合わせは事務局 075・365・0601へ。(朝日新聞)
■JR2社 のぞみ「安全宣言」 点検終了「トラブル初歩的故障」
 3月のダイヤ改正以来敷石飛ばしやボルト脱落などトラブルが続いている東海道・山陽新幹線「のぞみ」車両の一斉点検を実施たJR東海、JR西日本両車は26日「トラブルはいずれも本質的なものでなく初期的故障で安全運行上支障はない」と「安全宣言」した。
 点検は今月14日以降車両メーカと共同で、両社が所有する「のぞみ」23編成(各編成16両)で床下機器、パンタグラフカバーなどの取り付け状態を中心にチェックした。今回の点検中、JR東海の車両で主変換装置のカバー取りつけボルト1本の脱落が新たに見つかったほか、両社の車両でボルトの緩みなどが発見されたが、いずれも通常の定期点検で処置でき問題はないと説明した。
 JR両社はトラブルの再発防止のため@断線が相次いだ軸箱温度スイッチのリード線の交換、補強A亀裂の見つかった車端床下カバーの取り付け金具の交換Bボルトが脱落したパンタグラフ底部のカバーをアルミ製から鉄製に交換C敷石をまくら木から5a下げる−など改善策を実施、27日に作業を終える。
 26日記者会見したJR東海の須田寛社長は「リード線は走行中の揺れが影響してだんだん弱った。原因は解明しなければならないが現在は対策をとり問題はない。同じようなトラブルも今後起きないと思う。のぞみは十分安全だ」と安全性を強調した。(京都新聞)
■「のぞみ」の点検終わる 改めて「安全宣言」
 JR西日本と東海は26日、部品の亀裂や脱落が相次いだ東海道・山陽新幹線「のぞみ」の緊急総点検を終了したと発表した。総点検は、1編成(16両)で約2万個あるというネジの1本1本まで調べたが、一部のネジの緩みなどがあった程度で新たな異状はなかったという。
 記者会見したJR西日本の鉄道本部長である梅原利之常務は「安全運行上、問題のないことを確認した」と、改めて安全宣言をした。(朝日新聞)
■9万人の足乱れる JR西労広島管内スト
 JR西労(奥島彰委員長、約4300人)は、3月のダイヤ改正に伴って変更された乗務員の勤務制度に反対し、27日始発からJR西日本広島支社管内の山陽線など11線区を対象に24時間のストに入った。
 同支社管内では、山陽新幹線と特急、急行は平常通り運転されているものの、在来線で可部線の可部−三段峡間や宇部線など3線区が終日ストップ、広島近郊の山陽線、呉線などでも朝のラッシュ時に運転された列車は30−40%にとどまり、日中はほとんどまひ状態となるなど、管内のダイヤは大幅に乱れる見通し。
 広島支社によると、同日正午までに計約279本が運休、通勤客ら約9万6000人の足が乱れ、終日で計約21万人に影響が出そう。(京都新聞 夕刊)
28日■窓 速さより安全 JR求める 三和町・岡部 孝作(無職・68)
 「日本は縮む」のコマーシャル通り、国鉄以来、JRになっても速度競争に血まなこである。それがいけないと言うのではないが、人命を預かる仕事なれば、安全第一は言うまでもない。
 今月10日の新聞によると「のぞみ」の底板カバーのボルトが、3編成で計25本も抜け落ちていたという。そのほか車端カバーの固定金具の亀裂が見つかり、トラブルが続いている。JR西日本は「安全走行に影響ない」と言っているが、乗客側としては到底納得するわけにはいかない。
 JR側は「車両メーカーのミスと点検が不十分」との原因をあげ、人為的ミスが強いと報じている。ボルト1本の原因によって、転覆等の大事故につながることはあり得るのである。
 数ヵ月前、福知山駅案内所に電話して、福知山から東舞鶴までの運賃をたずねたところ、間髪を入れず返答があった。さすが案内所の職員だけあって即答には大したものと関心したが、1週間後福知山駅へ行き料金表を見たら、綾部市の高津から東舞鶴までの料金を教えられていたのである。
 脱線転覆事故のような人命にかかわるものではないが、安易に対処することにおいて、相通ずるものがあるように思えてならない。少々のミスは仕方ないなんていうことは、ごめんである。(京都新聞)
■信楽鉄道事故で初公判「原因、担当者に限定」 被告側 起訴状へ釈明求める
 一昨年5月、死者42人、重軽傷者614人を出した信楽高原鉄道事故で、業務上過失致死傷罪などに問われた信楽高原鉄道社員ら3人に対する初公判が27日、大津地裁で開かれた。被告側は「起訴事実は、方向優先テコ設置をJR西日本が高原鉄道に明らかにしなかったことなど、事故の構造的要因を後ろに追いやり、現場担当者だった被告らのミスだけをとらえている」として起訴状に対する求釈明を申し立てた。
 初公判は、膨大な証拠書類を検討する必要から起訴状朗読だけで終了、罪状認否や検察側の冒頭陳述は7月6日の次回公判に持ち越された。
 起訴されているのは、同鉄道運転主任里西孝三被告(62)、同施設課長山本長生被告(56)、信号設備会社「信栄電業」元社員八木沢守被告(44)の3人。
 起訴状によると、八木沢被告は信楽駅の上り出発信号が赤固定したため、同駅構内の継電室で点検中、列車発車後は厳禁されている信号回線の端子同士をつなぐ行為を行い、すれ違い区間の下り出発信号を青に変えJR列車を通過させたとされる。
 里西被告は、JR列車が対向してくるのに進路の安全を確認せずに出発合図を出して高原鉄道列車を発車させ、山本被告は八木沢被告の行為に立ち会いながら、高原鉄道列車の出発を止める要請もせず作業を監督したとされている。
 被告側は、求釈明申し立て理由で「事故の根本原因は、JR側が優先テコを設置しながら、それを明らかにしていなかったことや、JR・高原鉄道両社の連絡体制、指導教育の不十分さにある」と主張。被告らが問われている注意義務の根拠や、事故の起因となった信楽駅出発信号の赤固定の理由などの釈明を求めた。(京都新聞)
■信楽鉄道事故初公判 「JRなぜ裁かれぬ」 傍聴の遺族ら怒り うなだれる3被告
 信楽高原鉄道事故が、惨事から2年を経て27日、裁きの場についた。しかし、大津地裁の初公判の法廷に一方の当事者・JR西日本の姿はなく、信楽高原鉄道側の3人だけが肩を落とし被告席に座った。傍聴の遺族から「犯人不在の裁判みたい」の声がもれる。その法廷では弁護側が起訴状に求釈明を申し立て、罪状認否が次回公判まで2ヵ月先送りになるなど、裁判は長期化の様相も見せた。
・次回は2ヵ月も先
 大津地裁では開廷の1時間も前から、遺族ら約70人が一般傍聴席を求め抽選の列をつくった。報道陣も多数詰め掛け、玄関周辺は張り詰めた雰囲気に包まれた。
 午後1時半、里西孝三被告ら3被告が硬い表情で入廷した。人定質問に3人とも小さな声で答え、検事の読み上げる起訴状に、2年前の大惨事の無念が胸に追ってか視線を落とし、終始うつむいたままだった。一方、傍聴席の遺族らは起訴状朗読に耳をそばだてながら、被告の背中を複雑な表情で見つめていた。次回の公判期日が決まると、遺族からは「2ヵ月も先か…」のささやきがもれた。
・免責してあげたい
 「犯人のいない法廷で何が裁けるのか」−。初公判を傍聴した遺族たちはJR西日本のいない法廷に憤りをぶつけた。乗客犠牲者のうち22人の遺族でつくる「犠牲者遺族の会」からは遺族と弁護士ら約10人が法廷に入った。夫を亡くした林かづよさん(52)=神戸市灘区=は起訴状が読まれた時を振り返り「JRのせいで起こったのに、JRの名は一度も出てこなかった」とぶ然とした表情。京都府相楽郡内の企業協同組合ハイタッチ・リサーチパークの研修で娘を失った臼井和男さん(54)=京都市右京区=も「事故は安全をないがしろにするJRの体質から起きた。被告の3人はむしろ免責してあげたいくらいだ」と怒りをあらわにした。
 25分間の初公判を終えた里西被告は「疲れた」とつぶやいたきり口を閉ざした。山本被告、八木沢被告の2人も報道陣の質問をかわし、足早に立ち去った。閉廷後、大津地裁前で記者会見した被告側代理人の斉藤洌弁護士らは「JR西日本にも相当の責任がある。起訴状では触れられなかった構造的要因を公判の中で明らかにしていきたい」と現場の過失責任だけを問う検察を批判した。
・会社全体の責任
 信楽高原鉄道側では北川啓一社長(68)をはじめ4人が初公判を傍聴した。閉廷後に記者会見した北川社長は「社員2人の事件ではなく、会社全体の責任として真剣に受け止めたい」としたうえで、「事故の教訓を必ず生かすため法廷で事故の真相が掘り下げられることを願っている」と語った。(京都新聞)
■信楽事故初公判 「JRにも責任」弁護側と全面対決
 死者42人、負傷者614人を出した一昨年5月の信楽高原鉄道事故(滋賀県甲賀郡信楽町)で、業務上過失致死傷罪などに問われた同鉄道社員ら3人に対する初公判が27日、大津地裁(土井仁臣裁判長)で開かれた。被告弁護側は「起訴事実は事故に直近するミスの一部をとらえただけ」と述べ、JR西日本が優先てこを設置しながら、そのことを同鉄道に連絡、周知しなかったことが事故の起因だ、と指摘。そのうえでJRの責任も含めた構造的な原因を解明すべきだと主張、検察側と全面対決する姿勢を打ち出した。
 被告は、同鉄道の里西孝三運転主任(62)=滋賀県愛知郡愛知川町川原=、山本長生施設課長(56)=三重県阿山郡伊賀町下柘植=と、信号会社から派遣されていた八木沢守・元施設係長(44)=東京都練馬区大泉学園町二丁目。
 起訴状によると、里西運転主任は、待避所のある小野谷信号所に駅員を派遣して信楽駅−小野谷信号所間の列車の有無を確認することをせずに、信楽駅の列車に出発合図を出した。八木沢元係長は信楽駅の出発信号を補修しようと、駅構内の継電器室に入って別の信号回路との接続操作をした。このため、小野谷信号所の出発信号が青に変わり、JR列車が進入、正面衝突したとしている。山本課長は、監督する注意義務を怠った、とされている。
 これに対して、弁護側は、JRの優先てこの操作などが重なって信楽駅の出発信号が赤になったままだったことが事故のきっかけとなったと反論。JRと同鉄道の連絡、指導教育態勢が不十分だったことが根本的な原因だと主張した。
 滋賀県警がJR西日本の運転士を業務上過失致死傷容疑などで書類送検、遺族側が同社幹部6人を同罪などで告訴・告発していたが、大津地検は3月、JR側の刑事責任を追及するのは困難だ、として不起訴処分にした。
 優先てこ 待避所がある単線区間で、一方の列車が定刻より遅れて出発した場合、予定通りすれ違うために対向する列車を待避所で赤信号で止めるシステム。
 JRの列車が草津線から信楽高原鉄道に乗り入れるのに伴い、下り列車を優先的に運行させるため、JR西日本が設置した。しかし、設計ミスがあり、JRの下り列車が草津線にいる間にてこを操作しないと、十分に機能しなかった。このため、この「早押し」を事故当時もしていたという。(朝日新聞)
■「JR抜き」に怒り 信楽鉄道 事故初公判 遺族「背景触れず」
 JR西日本が事故にどうかかわっていたのかを解明して欲しい」。そんな願いを裁判に託す遺族らが見つめるなか、信楽高原鉄道事故の初公判が27日、大津地裁で開かれた。「起訴状は一部の事実を組み合わせたパズルのようだ」と、弁護側はJR抜きの裁判になった理由を検察側に強く求めた。事故の原因を明らかにするには被告側の反論に期待するしかない、と複雑な表情を見せる遺族ら。事故の当事者であるJRを欠いたまま、関係者らの真相究明への長い戦いが始まった。
 「起訴事実は、ミスの一部のみをとらえた。構造的原因を追いやり、末端の現場担当者であった被告人らのみをとらえて、その注意義務を導き出そうとしている」。3人の被告がうなだれる横で、児玉憲夫主任弁護人らは激しく起訴事実について検察側に釈明を求めた。事故の根本的な原因は「JR側の連絡、指導態勢の不十分さ」との指摘に、傍聴席の遺族や信楽高原鉄道関係者らも、うなずきながら聴き入った。事故から約2年。ようやく開かれた初公判は、罪状認否も冒頭陳述もないまま、わずか30分で閉廷した。
 「事故は信楽高原鉄道とJRが正面衝突した。その背景にはJRの安全管理の不備があったことは明らかなのに…。なぜ日本の裁判や法律で組織の罪を裁けないのかがくやしい」。閉廷後、事故で長女の信子さん(当時26)を亡くした京都市右京区の染色会社社長臼井和男さん(54)は怒りをぶつけた。
 夫一男さん(当時65)を亡くした京都市伏見区の伊原いとさん(65)は「難しいことはわかりません。でも、夫はJRの列車の中で死んだのです。それなのに起訴状はJRについては何もなく、信楽鉄道のことばかり」。夫浩聡さん(当時58)が死亡した神戸市灘区の林かづよさん(52)は「直接的な原因だけで、その背景が触れられていない犯人不在の裁判です」と声を荒らげた。
 信楽高原鉄道の北川啓一社長は「事故は個人だけの責任ではなく、構造的な根深い原因があったから起きた。時間がかかっても裁判を通じて原因を掘り下げて欲しい。それが人の命を預かる各地の第三セクターの教訓となる」と話した。
 JR西日本広報室は「信楽高原鉄道関係者の裁判であり、コメントする立場にはない」と話している。(朝日新聞)
■職員3人を減給処分 「湊町開発」駐車料流用
 大阪市やJR西日本の設立した第三セクター「湊町開発センター」(大阪市中央区)幹部が市から管理を委託された駐車場収入などを流用した問題で、大阪市は27日、市から出向していた柳瀬敞一・前常務(55)=現計画局副理事=と吉田登・前経営企画課長(48)=同経済局参事=の2人を減給2ヵ月10分の1に、吉田前課長への監督責任のある小森曉・同社企画部長(57)を減給1ヵ月10分の1にそれぞれ処分した。
 このほか、同社元社長の佐々木伸助役(58)が口頭で厳重注意を受けた。同市は3月に退職した芦見忠志・前社長(58)と木原章夫前専務(58)の2人について退職金を減額する方針。(朝日新聞)
29日■のぞみまたトラブル 安全宣言したばかり JR東海
 JR東海は28日、東海道・山陽新幹線の「のぞみ」の1編成でパンタグラフカバーの取り付けボルト2本の頭が折れてなくなっていたことを明らかにした。JR東海、JR西日本は、3月のダイヤ改正以降トラブル続きの「のぞみ」の総点検を実施、26日に「安全宣言」をしたばかり。JR東海は「通常の点検で見つかっており、安全上問題はない」と説明している。
 JR東海によると、ボルトは長さ4aで頭の部分が脱落、ねじ部分は残っていた。
 27日夜、のぞみ19号として博多まで運転した後、JR西日本博多総合車両所での仕業検査で見つかった。
 ボルト折れが見つかった編成はJR東海所有で4月に導入されたばかり。一斉点検では異常はなかったという。
 のぞみではこれまでボルトの脱落や緩みはあったが、折損が見つかったのは初めてで、JR東海は原因を調べている。(京都新聞)
■のぞみ ボルト2本折れていた
 JR東海は28日、福岡県の博多総合車両所に27日入庫した東京発博多行き「のぞみ19号」を点検した結果、11号車のパンタグラフを覆うカバーを固定するボルト2本が折れていた、と発表した。「のぞみ」で異状が相次いだことから同社は全車両の緊急総点検を実施し、26日に「もう心配ない」と安全宣言したばかりだった。(朝日新聞)
30日■米でも”シンカンセン”計画 主要都市間、時速 240`以上で連結 リニア開発日米協力も
 【ワシントン28日共同】ペニャ米運輸長官は28日、時代遅れとなっている米国内の鉄道網を近代化する新高速鉄道計画を発表した。都市間を時速240`以上の列車で結ぼうという米国版新幹線計画で、リニアモーターカーの技術開発にも取り組む。
 4月中旬の日米首脳会談で日本側は米国にリニア技術などでの協力を申し入れており、今後、日本との協力が組み込まれるかどうか注目される。
 発表によると、今後5年間に連邦政府は13億j(1450億円)を支出し、このうち10億j弱を都市間鉄道網の改善に充てる。州や自治体が主体となり改善計画を作成し、運輸省が高速鉄道路線に指定した計画に民間の出資も募った上で補助金を出す仕組みだ。
 当面、候補となっているのはシカゴ−セントルイス−デトロイト−ミルウォーキー間、マイアミ−オーランド−タンパ間、サンディエゴ−ロサンゼルス間など。
 これと別に約3億jをかけ「外国より優れたリニアモーターカーの原型車両」を建造する。この分野で一歩先を進んでいる日本の協力申し入れに「米運輸省は乗り気」(日本側関係筋)といわれる。
 だが「最新航空機を造れる米国が最高速列車を造れないはずはない」(長官)という技術ナショナリズムもあり最終的にどうなるかは微妙。長官は発表後、共同通信に対し「日本の運輸省とは建設的な話し合いが進んでいるが、まだ結論は出すのは早過ぎる」と述べた。(京都新聞)
■のぞみ ボルト1本また折れる
 JR西日本は30日、博多総合車両所に28日に入庫した東京発博多行き「のぞみ25号」を点検した結果、12号車のパンタグラフを覆うカバーを固定するボルト1本が折れていた、と発表した。同じ個所のボルト折れはJR東海の車両でも27日に見つかっている。
 JR西日本によると、折れたボルトは直径8_、長さ4aで、中ほどが折れていた。時速270`で受ける風圧との関係や、材質に問題がある可能性もあるとみて調査している。
 この車両は昨年12月に導入した新型車。28日の走行前の検査では異状はなかったという。(朝日新聞 夕刊)