1992(平成4)年12月


1日■無資格運転の近鉄に注意 近畿運輸局(朝日)
  ■JR西日本の社長発言遺憾 小倉山で京都市(朝日)
  ■鉄道本部長ら16人処分 無資格運転でJR西日本(京都)
  ■信楽列車事故 賠償基準開示を拒否 鉄道側、遺族会との調停で(京都)
  ■京阪にはねられ死亡(京都)
  ■釜ヶ崎E 「よそ行けなんていわれへん」(朝日)
2日■JR運転士 刺され重体 大阪・勤務後、公園で(京都)
  ■小倉山残土で 行政監察要求 地元住民ら(京都)
  ■線路わき陥没 上下16本運休 愛知・新幹線(朝日)
  ■レールに亀裂 阪和線乱れる(朝日)
  ■京都駅周辺の都市計画決定告示 市、高さ規制緩和(京都)
  ■京阪ドア開かず86000人に影響(京都)
  ■小倉山残土問題で行政監査を求める 周辺の住職ら10人(朝日)
  ■英仏トンネル 35ヵ月で貫通(朝日)
  ■安全装置を過信? はびこる習慣 鉄道各社 無資格運転なぜ起きた 旧国鉄時代から残る 相次ぐ批判「乗客をモルモット」(京都)
  ■JR京都駅ビル 60b設計ゴー 市長が都市計画を決定(朝日)
  ■JR社員が 刺され死ぬ 大阪市の公園(朝日)
  ■京阪電車ドア故障 朝のダイヤ乱れる(朝日)
  ■関門トンネル50年 「5本目」の計画も浮上(朝日)
3日■信楽高原鉄道事故 信号技師(出向)が誤操作 滋賀県警 原因の全容解明 駅長業務担当者も 逮捕状を用意(京都)
  ■強風でダイヤ混乱 東海道線と上越新幹線(京都)
  ■信楽事故 社員3人に逮捕状 滋賀県警 JRの責任も追及へ(朝日)
  ■京都駅高層化 都市計画決定 白紙撤回を求める 市民連連絡会議が声明(朝日)
  ■信楽高原鉄道事故 列車運行の3人逮捕へ 「複合的人為ミス」 滋賀県警 2人の聴取開始(京都)
  ■信楽事故強制捜査 遺族ら「責任徹底追及を」 「体質こそが問題」 なお強い鉄道不信(京都)
  ■2万5000円提案へ 私鉄総連ベア要求(京都)
  ■小倉山問題 残土はJRの忘れ物!? 5日から 京のグループ 嵯峨野駅に届ける運動 月2回のハイキング「法律違反に一石」(京都)
  ■「惨劇の原因 究明を」 信楽事故 1年半後の取り調べ 全体像にメス願う 遺族ら 心の傷消えず(朝日)
  ■無資格運転 JR東日本でも(朝日)
4日■信楽高原鉄道 運転主任ら3人逮捕 滋賀県警 業過致死傷容疑で(京都)
  ■信楽高原鉄道事故 逮捕 人的操作 裏付け微妙 設備工事 2社別々 惨事の背景 不十分な打合せ(京都)
  ■社員ら逮捕に衝撃 高原鉄道 信楽事故強制捜査 人為ミス次々に 惨事から1年7ヵ月 ヤマ場に緊張(京都)
  ■96時間スト辞さず JR西労 勤務制度変更案に反対(京都)
  ■無資格運転 JR貨物でも(京都)
  ■信楽事故 高原鉄道側の3人逮捕 滋賀県警 JRも書類送検へ(朝日)
  ■「JR上層部の追及を」信楽事故遺族の会会見 刑事告訴含め検討(朝日)
  ■JR西労 8日から96時間スト 新幹線・山陽線など影響(朝日)
  ■JR貨物でも無資格運転(朝日)
  ■年内に事故報告書を作る 信楽鉄道事故で運輸相(京都)
  ■制服・制帽で 「スト理解を」 JR西労(朝日)
5日■信楽惨事はなぜ 列車事故捜査終結 1 原因 信号赤固定が発端 欠けていた安全意識(京都)
  ■JRスト対策 管理職運転ミス相次ぐ 西日本 現場離れ不慣れ 停車駅通過/発進時に後進(朝日)
  ■JR西日本96時間スト 京都線40%運行 琵琶湖線など新快速ストップ(京都)
  ■新幹線の回数券盗難 旅行代理店1000万円相当分(朝日)
  ■ロッカーから短銃を発見 京阪電鉄三条駅(朝日)
  ■ロッカーから短銃 京阪三条駅構内(京都)
  ■運転主任ら送検 信楽鉄道事故(京都)
  ■新幹線切符800枚盗難 日本旅行河原町支店 1000万円相当、金庫から 今年9月(京都)
  ■小倉山の放置残土 今日住民らが嵯峨駅前に搬出(朝日)
6日■信楽惨事はなぜ 2 背景 双方が勝手に工事 信号システムに変動(京都)
  ■小倉山問題で 京のグループ 「忘れ物」残土届ける JR嵯峨駅 受け取りを拒否(京都)
  ■窓 「信号」変更は未必の故意 城陽市・斉藤 訓(団体職員・45)(京都)
  ■信楽高原鉄道 2人逮捕で運行綱渡り 運転主任 1日おき24時間勤務(朝日)
  ■JR西労の96時間スト 府内でも大きな影響?(朝日)
  ■青鉛筆(朝日)
7日■信楽惨事はなぜ 列車事故捜査終結 3 遺族 安らぎ取り戻せず 後遺症に苦しむ人も(京都)
  ■「信楽鉄道事故 遺族の会」JR前社長から告訴へ 「安全確保怠った」(京都)
  ■JR2電車が駅行き過ぎる 東海道線と阪和線(京都)
  ■JR西労 96時間スト突入か 1日あたり 160万人影響(京都)
  ■JR会長ら告訴へ 信楽事故遺族の会 「安全管理に責任」(朝日)
  ■師走の電車うっかり駅通過 阪和線と東海道線(朝日)
  ■信楽事故「安全対策怠る」遺族の会 JR元社長ら7人告訴(京都)
  ■JR西労スト 平常の倍誓い混雑 あす突入 京都線など大幅運休(京都)
  ■JR96時間スト予定 ”師走の足”確保大変 学期末テスト重なり心配 サラリーマン冷静な対応(京都)
  ■JRストあす突入濃厚 西日本 新快速は全面運休、新幹線は平常(朝日)
  ■約20校で休校など見通し JRストで京都の高校(朝日)
  ■JR幹部ら地検に告訴 信楽事故遺族の会(朝日)
8日■信楽の列車事故で長女亡くし 「交通安全対策に」 小物展開き収益金寄託 右京の臼井さん(京都)
  ■単純エラー発言 運輸相に抗議書 信楽事故遺族の会(京都)
  ■なぜこんな時期に… JR年の瀬スト突入 異例の長期に緊張 会社側「来るものか来ただけ」(京都)
  ■JRスト突入 西労 きょうから4日間 私鉄 列車増結など対策(朝日)
  ■17年ぶり大規模JRスト 駅で職員 質問攻め 臨時休校も(朝日)
  ■地下鉄など値上げ諮問 大阪市 バスや水道料も(朝日)
  ■JR西労スト突入 朝のラッシュ足乱れる 改札口に長蛇の列 奈良・草津線全面運休 160万人に影響(京都)
  ■木津高が臨時休校 始業繰り下げも相次ぐ(京都)
  ■時差出勤など自衛策 JR西労スト突入 一部で”すし詰め” 京都駅 乗客に理解の声も(京都)
  ■無資格運転 貨物は53人(京都)
  ■JRスト 朝の57万人に影響 西日本 労使、歩み寄りなし(朝日)
  ■混乱さけて「自衛」 JRスト 私鉄・地下鉄で通勤「避けてほしかった」(朝日)
9日■信楽惨事はなぜ 列車事故捜査終結 5 教訓 「調査機関」が必要 政府へ遺族働きかけ(京都)
  ■JR西労スト 136万人の足に影響 ダイヤの乱れ、拡大へ(京都)
  ■社説 JR西労はスト解除の勇気持て(京都)
  ■JRスト 4日間も続くの… 京都駅 すし詰め、うんざり(京都)
  ■JR西日本に不安材料 減収の仲、乗客離れ心配 スト突入(朝日)
  ■収束の動きなし 初日136万人の足に影響 JRスト(朝日)
  ■JRスト大きな混乱なし「理解」「回避を」拍子抜けの声も(朝日)
  ■逮捕の社員2人が 拘置不服の準抗告 信楽鉄道事故(朝日)
  ■ワールドビュー 走り始めた国鉄民営化 改憲の成否握る人員整理 ドイツ(朝日)
  ■“痛勤”2日目に JR西労スト(京都)
  ■JRスト わがままに怒り 木津高また臨時休校(京都)
  ■スト2日目突入 JR西日本(朝日)
  ■大きな混乱なし JRスト2 日目(朝日)
10日■信楽惨事はなぜ 列車事故捜査終結 6 県・町の責任 県会も活発論議へ 「道義」にとどまる県(京都)
  ■JR西労スト 打ち抜きの公算(京都)
  ■期末テストができない! JRスト続行 高校直撃、連続休校も 授業日程、大幅遅れ 木津高 冬休み短縮で対応(京都)
  ■快速、ホームでバック ストで増結と勘違い? JR京都駅(京都)
  ■小倉山残土処理 搬出復元案検討していた 京都市 協議の4案公表(京都)
  ■JR西日本の小倉山残土問題 「検討案」明らかに 搬出 JR・制約なければ2年 市民・本気でやれば1年(朝日)
  ■JR西労スト 8高校に影響 一部の中学でも(朝日)
  ■JRスト3日目 利用者の声 同情できる/余分な出費/長すぎる(京都)
  ■JRスト3日目 収拾、メドなし(朝日)
  ■作業車脱線2人死傷 近鉄長野線 37本運休、5000人に影響(朝日)
  ■全面運休に不満の声 JR草津線 半数以上欠席の高校も(朝日)
  ■JR西労組がスト批判ビラ(朝日)
  ■「昭和の古都」モノクロで(朝日)
11日■容疑者の似顔絵公開 JR運転士刺殺事件 車内でトラブルか(朝日)
  ■近鉄橿原線 2時間不通 踏切でダンプ横転(朝日)
  ■JR西労スト 4日間貫徹へ(朝日)
  ■パンタにカラス衝突 新幹線、8万人影響(朝日)
  ■乗客「疲れました」 JRスト最終日 京都駅はふだん通り(京都)
  ■JRへの抗議電話急増 高校は振り替え授業で対応 ぐったりえーかげんにしてスト4日目(朝日)
  ■JR西日本 スト打ち抜き濃厚 労使交渉、こう着状態(朝日)
12日■JR96時間スト「やっと終わり」532万人影響 労使なお張らん含み(京都)
  ■運輸省承認 20日から運賃値上げ 京福電鉄嵐山線は平均10%(朝日)
  ■氷山の一角?会計検査院報告 ああ”公費天国” JRグループ4億無駄に 湾岸戦争 用途は未確認(京都)
14日■特急に接触、女性死亡 3人巻き添え 京の男性重傷 京阪樟葉駅(京都)
  ■刑事責任追及 徹底捜査を 信楽遺族の会が要請(京都)
  ■特急に接触、女性即死 ホームの客巻きぞえ なぎ倒され3人重軽傷 朝の京阪樟葉駅(朝日)
15日■信楽高原鉄道事故 1年半後に関係者拘束 核心の解明にカギ握る供述(朝日)
  ■架線支柱にダンプ衝突 1万2000人影響 JR山陽線(朝日)
16日■Qきっぷなど割引切符廃止 JR西日本、27日限り(京都)
  ■帰省49%、Uターン60% JR西日本指定席発売 30、3日混雑ピーク(京都)
  ■JRとトラック接触 伏見・遮断機折り逃走(京都)
  ■信楽高原鉄道事故で社員2人逮捕 綱渡り運行続く ハードな隔日24時間勤務 補充のメドたたず(京都)
  ■京阪宇治駅に米国製の短銃 宇治署へ匿名電話(京都)
  ■国労・全動労 ストを延期 JR西日本(朝日)
17日■新京都駅 エアターミナル JRと日航が設置合意 開港と同時 94年夏オープン 新空港へ85分 直通特急も 搭乗手続きOK 年内にも調印(京都)
  ■信楽鉄道事故 安全に欠陥ない JR西日本社長会見 「運転士送検は酷」(京都)
  ■運賃、来年度上げず JR西日本 私鉄との競争考慮(朝日)
  ■関西新空港 京都駅でも登場手続き JR西日本・日本航空 CAT設置決める(朝日)
  ■九州・東北方面 帰省ほぼ満席 JR西日本(朝日)
  ■JR電車と接触 運転手取り調べ 伏見署(朝日)
18日■京都駅仮駅舎の建築許可 JR、きょう申請 2月には完成(京都)
  ■二条駅の貨物扱い跡地 京都市に1.76f売却 文化施設の用地に 国鉄清算事業団 承認(京都)
  ■鉄道事故調査機関 常設求める意見書 滋賀県議会可決へ(朝日)
  ■原因は「赤信号固定」 信楽事故 運輸省が報告 無認可工事も誘因 JRと高原鉄道 相乗で”赤固定” 県警捜査結果ほぼ追認(京都)
  ■怒りぶつける遺族 信楽事故・運輸省報告書 JRへの責任追及甘く 「目新しい点なし」 JR 納得いかぬ表情も(京都)
  ■信楽事故調査結果 運輸省JRのミスも指摘(朝日)
  ■「突っ込み浅い」信楽列車事故 運輸省の最終調査結果 遺族ら不満とため息 「専門調査機関を」(朝日)
19日■信楽事故で 近畿運輸局長 連絡体制が不備 JR・高原鉄道に警告書(京都)
  ■JR西日本 ダイヤ改正 のぞみ 山陽新幹線に 京都駅に33本停車 京都−博多29分短縮(京都)
  ■新大阪−博多950円 のぞみ特急料金を運輸省に認可申請(京都)
  ■京津電車と車衝突 東山区、4本遅れる(京都)
  ■「のぞみ」を1日37本運行 来春からJR改定(朝日)
  ■整備新幹線 満額で決着(朝日)
  ■関係の両社に警告書を渡す 信楽事故で運輸局(朝日)
20日■走行中の快速に投石 扉のガラス割れる JR東海道線(京都)
21日■機関車で特急引っ張る 故障で3時間立ち往生 瀬戸大橋(京都)
  ■信楽鉄道事故遺族の会 JR西日本の訴追求め 大津地検に4300人署名(京都)
  ■運転士が腹痛 快速16分遅れ JR東海道線(京都)
  ■ハイテクJR特急 瀬戸大橋で故障 約60人、3時間立ち往生(朝日)
  ■疾風失速 乗客ヒヤリ 瀬戸大橋 立ち往生 海面上60b 暖房も切れ(朝日)
  ■信楽事故 JR幹部の徹底捜査を 遺族の会が要望(朝日)
  ■JR駅下にプール(朝日)
  ■JR職員また着服 大阪の出札係 新幹線切符横流し(京都)
  ■絶縁不良が停車の原因? 瀬戸大橋線(朝日)
23日■ワン君、電車に乗りたかった? 地下鉄烏丸線 線路へ逃げ込み4本遅れ(朝日)
24日■転落、直後に電車 まくら木の間で無事 西宮の阪神電鉄で老女(京都)
  ■81歳女性転落 電車と30a助かる(朝日)
  ■野上電鉄廃業決まる(朝日)
  ■「約束通り通せんぼやめて」岩倉の叡電踏切 住民、市議会に請願(京都)
25日■信楽高原鉄道事故 運転主任ら3人起訴 大津地検 JR運転士継続捜査(京都)
  ■「原因の徹底解明を」 遺族の会JR側の責任追及へ 信楽事故起訴(京都)
  ■信楽事故 運転主任ら3人起訴 JRの処分は持ち越す(朝日)
  ■余部の強風でダイヤ乱れる(朝日)
  ■山陽新幹線へ直通 「のぞみ」料金認可(朝日)
  ■「JR山陰線電化に見通し」KTRと併せ 政府予算で荒巻知事(京都)
26日■車両調査求め遺族が意見書 信楽鉄道事故民事調停(京都)
  ■運転主任を補充採用 信楽高原鉄道(京都)
  ■JR京都駅の仮駅舎に許可 京都市(京都)
  ■JR京都駅仮駅舎建築 年明けにも着工 市 都計法上の申請許可(朝日)
  ■碍子を旧型に取り換えへ JR四国「しおかぜ」(朝日)
  ■南港トンネルに地下鉄乗り入れ 当初計画より輸送需要増え 国が変更承認(朝日)
  ■大正地区へ 5年後延伸 地下鉄・鶴見緑地線(朝日)
  ■年末大移動始まる JR・分散型ピーク 成田・混雑…でも 前年割れ(京都)
  ■JR大阪駅内の元理容店主 「立ち退き、本意でない」 損害賠償訴えへ(京都)
27日■JR・JT株売却要請 来年度行革大網を決定 国家公務員1215人滅(朝日)
28日■電話1本 指定券を郵送 JR東日本 会員制の新サービス(朝日)
  ■信楽鉄道事故 起訴の3人保釈(京都)
  ■京都駅仮駅舎の建築確認を申請 JR西日本(朝日)
  ■列車・飛行機 空席目立つ 帰省ラッシュ(朝日)
29日■運転主任ら3人保釈 信楽事故(朝日)
30日■終夜運転や臨時増発 年末年始 JR・私鉄5社のダイヤ(朝日)
  ■帰省客の出足鈍く(朝日)
  ■来年から禁煙します JR西日本 大阪環状線で 3月実施検討 タイム制やめ終日(朝日)
31日■ちょっとひと言 地下鉄を羽東師へ(京都)
  ■静かな帰省ピーク 大きな混雑なし JR京都駅 不景気の影響か(京都)
  ■今夜から元旦にかけ臨時便増発 京都市交通局・JR・私鉄各社(京都)
  ■くる年へ善意温かく JR大津駅に「比良の天狗」(京都)




1日■無資格運転の近鉄に注意 近畿運輸局
 近畿日本鉄道が司法修習生に無資格で電車の運転をさせていた問題で、近畿運輸局は2日までに「運輸省令(鉄道運転規則)に違反する行為で、安全輸送、公共交通機関への信頼を失墜させた」との内容の注意をした。同局は同時に近鉄を含む管内の30業者に対し、無資格運転などの違反行為がないかについて調査、報告をするよう指示した。(朝日新聞)
■JR西日本の社長発言遺憾 小倉山で京都市
 30日の京都市議会不通決算特別委員会で、JR西日本による小倉山(右京区)の残土放置問題が取り上げられ、東川敏春都市景観部長は、JR西日本の井手正敬社長が「整地後、全社員で山に上り植林をしたい」と発言したことについて」「大変遺憾だ」と述べた。「できもしないことを言うのはあまりにも不まじめ」との委員の質問に答えたもので、東川部長はJR側にもう少し配慮ある発言を、と申し入れたことを明らかにした。さらに、これまでJR側が原状復旧に向け検討してきた数種類の残土搬出計画案を特別委員会に提出することを約束した。(朝日新聞)
■鉄道本部長ら16人処分 無資格運転でJR西日本
 JR西日本は30日、運転資格のない大卒新人研修社員延べ129人に山陽新幹線などの列車を運転させ、近畿運輸局から警告を受けた問題で、井沢勝・現鉄道本部長や当時の本社運輸部長ら役員3人を戒告、本社の運輸部運用課課長3人を訓告、金沢支社など4支社の部長ら10人を厳重注意とする処分を発表した。
 処分理由について同社は「指導、監督上の責任が重い」としている。JR西日本発足後、指導監督上の組織的な処分をしたのは、今回が初めて。
 今回の問題についてJR西日本は当初「うちでは1件だけ」としていたが、その後の調査で大量の無資格運転が発覚した。 井手正敬社長は「安全を最大の使命とする鉄道事業者として深く反省している」とのコメントを発表した。(京都新聞)
■信楽列車事故 賠償基準開示を拒否 鉄道側、遺族会との調停で
 信楽高原鉄道列車事故の犠牲者19遺族でつくる「犠牲者遺族の会」(吉崎俊三代表世話人)が、JR西日本と高原鉄道両社に損害賠償算定基準の開示を求めている民事調停の第一回調停が30日、大津簡裁であった。鉄道両社は「基準は個別交渉で明らかにしたい」との答弁書を提出、同会の申し立てを拒否する姿勢を明らかにした。
 答弁書の中でJR側は「賠償基準は補償交渉の手段にすぎずみくてきではない」と主張。申し立て趣旨は不明確として調停の必要性についても争う姿勢を示し、遺族側にはできるだけ早く交渉のテーブルに着くよう求めた。また、高原鉄道側は「事故の法的責任は認めており、その上に立って交渉に臨みたい」とJR側との違いを見せたが、賠償問題については個別交渉にゆだねたいと、賠償基準の開示を拒否した。
 これに対し、遺族会側は、あくまで補償基準を開示するよう要求。両社に対し▽逸失利益をどのように認めるか▽慰謝料や葬祭費の費用をどの範囲まで算入するか−など具体的な算定基準を明らかにするよう求める意見書を提出し、次回1月25日までの回答を両社に求めた。(京都新聞)
■京阪にはねられ死亡
 30日午後8時50分ごろ、京都市伏見区淀池上町の京阪電鉄本線で、男の人が軌道敷内を両手を上げて走ってくるのを、淀屋橋発出町柳行き特急電車の運転士が見つけた。急ブレーキをかけたが間に合わず、男性ははねられ即死した。40−60歳で、黒ジャンパーにグレーのズボン姿。伏見署が身元を探している。(京都新聞)
■釜ヶ崎E 「よそ行けなんていわれへん」
 午後11時31分。釜ケ崎から北に500bの阪堺電軌・恵美須町駅。終電が出ると、付近の道端に座り込んでいた人たちが一斉に動き出した。開け放しの入り口から駅に入る。「部外者立入禁止」の看板を横目に、3つのホームに分かれて段ボールや毛布を広げた。駅員はちらっと目をやると、いつものように駅灯を消し、宿直室に入った。
 ホームには5、60人。ガサッと音を立てて、男性がひとり起きた。「寒うて、寝れんのや。でも、ほかに行くところもない」
 3年前、天王寺公園が有料になり、夜、門を閉ざした。四天王寺が夜間、一部の門を閉めたのは今年5月だった。ほかの駅はシャッターを下ろし、野宿者を締め出すところが多い。
 「しかし、寝ている人にどこかよそへ行けと言えますか」と駅員。
 朝5時45分、始発。労働者らはとっくに、あいりん総合センターに出勤している。(朝日新聞 夕刊)
2日■JR運転士 刺され重体 大阪・勤務後、公園で
 1日午後1時10分ごろ、大阪市都島区中野町五丁目の桜之宮公園内の自転車道に男性が腹から血を流して倒れているのを通行人が見つけ、近くの派出所に届けた。男性は右わき腹1ヵ所を刃物で刺されており、意識不明の重体。
 都島署の調べによると、男性は奈良県大和郡山市小泉町、JR西日本淀川電車区運転士、戸知谷健治さん(35)で、同日正午すぎに勤務を終えて帰宅する途中だった。
 同署は殺人未遂事件として捜査を始め、目撃者などを捜したところ、戸知谷さんが同日の乗務を終了したJR大阪環状線京橋駅で男と激しい口論をしていたことが判明。さらに病院へ運ばれる直前に戸知谷さんが救急隊員に「知りない男にやられた」と話していたことから、同署は乗務中に客の男などとトラブルになり、刺された可能性もあるとみて調べている。(京都新聞)
■小倉山残土で 行政監察要求 地元住民ら
 JR西日本によって放置された京都市右京区の小倉山残土間題で、長尾憲彰常寂光寺任職ら地元住民は1日、京都行政監査事務所に対し、先月11日に市が残土の搬出を伴わないJRの復元計画を許可したことを違法として、行政監察を求める要請書を提出した。
 要請書では、同計画の許可は古都保存法に違反したJR西日本の行為を追認する不当な処分、としている。長尾住職らは本年7月には、JR西日本と井手正敬社長を同法違反理由で京都地検に告訴している。(京都新聞)
■線路わき陥没 上下16本運休 愛知・新幹線
 1日午後2時20分ごろ、愛知県豊橋市豊清町の東海道新幹線浜松−豊橋間で、上り線の線路わきが直経約1bにわたって陥没、同区間の上下線で運転を見合わせた。下り線は約55分後運転を再開。上り線は復旧作業のため断続的に徐行や運転中止を繰り返したあと午後4時25分ごろ正常運転に戻った。
 上下16本が運休、岡山発東京行き「ひかり112号」が約1時間15分遅れたのをはじめ上下40本に遅れが出て、計約5万4000人が影響を受けた。(朝日新聞)
■レールに亀裂 阪和線乱れる
 1日午後4時20分ごろ、大阪府岸和田市のJR阪和線久米田−下松間で下りの信号が赤のまま変わらなくなり、天王寺発の和歌山行き電車がストップした。係員が調べたところ、同市小松里町の久米田第二踏切の下り線レールの1本に亀裂(幅約5_)が入っているのが見つかった。
 JR西日本は、同踏切内を時速10`の徐行運転をしながら、運転を再開。この電車をはじめ、下り計105本に2−5分間の遅れが出た。(朝日新聞)
■京都駅周辺の都市計画決定告示 市、高さ規制緩和
 京都市は2日、JR京都駅の高層改築を図るため、同駅用地一帯約4.1fを、最高60bの高さに規制緩和する特定街区と定めるなど、同駅関連の都市計画決定3件を告示した。
 特定街区制度は、大都市で一定の区域内においてビル高層化する際に用いられる都市計画法上の市街地再開発手法。同駅では、現行31bの高さ規制のうち、駅用地3.8fを60b、残りを45bと31bの3段階に区分した。容積率は535−600%の現行通り。
 また、同制度導入の要件ともなる都市計画道路「京都駅北口西通」の新設と、約8.9fの土地区画整理事業の都市計画決定も同時に告示された。
 3件とも、すでに先月26日の府都市計画地方審議会で、計画を承認する答申を受けており、今後はJR西日本から新駅の建築確認申請が提出され、着工の運びとなる。(京都新聞 夕刊)
■京阪ドア開かず86000人に影響
 2日午前7時ごろ、京阪電鉄出町柳発淀行きの普通電車(7両編成)が京都市東山区の鳥羽街道駅に停車した後、全車両のドアが開かなくなった。このため次の伏見稲荷駅でドアを手動で開け、乗客を降ろし運転を打ち切った。
 上下電車約200本が最高15分遅れ、朝の通勤客ら約86000人に影響した。(京都新聞 夕刊)
■小倉山残土問題で行政監査を求める 周辺の住職ら10人
 右京区の小倉山でJR西日本によるトンネル残土放置問題で、ふもとの住民らが1日、土砂搬出を断念するJR側の計画案を市が許可したのは違法だ、として、京都行政監察事務所に対し監察をを求める要請書を提出した。
 提出したのは同区嵯峨の長尾憲彰・常寂光寺住職ら10人。要請書では、市の許可は古都保存法に違反したJR側の行為を追認するもの、と主張している。住民らは今年7月にも、古都保存法違反でJR西日本の井手正敬社長らを京都地検に告発している。(朝日新聞)
■英仏トンネル 35ヵ月で貫通
 【カレー(北フランス)1日=清水特派員】英仏海峡を結び、欧州大陸と英国を陸続きにするユーロトンネルは1日午後零時11分(日本時間同日午後8時11分)すぎ、作業用トンネル(直径4.8b、全長49.4`)がついに貰通した。88年1月の工事開始以来35ヵ月。両国合わせて4000人の作業員が働いてきた。事故の犠牲者もフランス2人、英国7人。トンネルの仏側入り口カレーでは、工事関係者ら約400人が集まって盛大な記念式を開き、海底の現場が映し出された大型スクリーンを見ながら貫通を祝った。(朝日新聞)
■安全装置を過信? はびこる習慣 鉄道各社 無資格運転なぜ起きた 旧国鉄時代から残る 相次ぐ批判「乗客をモルモット」
 JR東海に端を発した大卒新入社員の列車の無資格運転は、その後西日本、四国、九州のJR各社だけでなく、私鉄の近畿日本鉄道(近鉄)でも司法修習生などに運転させていたことが分かり、運輸省は「無資格運転が各鉄道会社で広く慣習として行われているとしたら問題」と先月26日、JR、私鉄各社に調査の実施と、無資格運転を禁じた運輸省令を守るよう指導した。
 これまで明らかになったJR各社の無資格運転は、東海が81人(延べでは84人)、西日本129人、四国9人、九州81人の計300人。いずれも入社間もない大学卒社員で、現揚での研修期間中だった。近鉄では20数年間も鉄道会社社員でもない司法修習生に毎年、定期的に電車を運転させていた。
 運輸省の鉄道運転規則(省令)では、列車の運転は正規の運転免許所持者か、運転士見習が免許所持者から指導を受けながら運転する以外、禁止している。この揚合の運転士見習は正規の教育を受けているのが条件だ。
 運転士の養成は会社によって少し違うが、普通、入社して駅で数年間勤務後、車掌を経験。その後、研修所で3−4ヵ月、法律、構造などの学科講習を受け、学科試験合格後、運転士見習になる。
 しかし旧国鉄時代、大学卒の幹部候補生は別扱いだったため「現場を勉強させる」との名目で数日間の研修を受けさせただけで、総裁が運転士見習の辞令を出し、正規の運転士が付き添って列車を運転させていた。
 当初、無資格運転が発覚した際、JR東海の関係者が「現揚に国鉄時代の慣習が残っていたのが原因」と説明したのはこのためだ。
 しかし、近鉄の無資格運転は全く別ケース。大阪、京都などの弁護士会、地検からの依頼で昭和40年ごろから毎年、司法修習生数十人を試乗運転させていた。運転を体験した修習生はこれまでに1500人を超すという。
 中には、司法試験専門誌に「操縦かんを1人で握るので心臓がドキドキした。停止線の所でピタリと止まるのが意外に難しい」などと運転体験記を寄稿した修習生も。
 JR東海の関係者さえも「外部の人間に運転させるなんて、うちよりひどい」とあきれる。
 こうした無資格運転の横行の裏には自動列車停止装置(ATS)、自動列車制御装置(ATC)など安全装置への過信がある、と指摘するJR関係者もいる。
 これらは、先行列車の位置や信号などを基に、自動的に列車を減速したり非常ブレーキをかける装置。無資格運転発覚当初、関係者の中には「こうした装置が付いている上に、正規の運転士が付き添っているのだから」と安全性を強調する人もいた。
 しかし、踏切での車の立ち往生など万一の場合、一瞬の判断の遅れが大事故を招く。技術評論家の桜井淳氏は「たまたま明らかになっただけで、昔からこうしたことが続いていたのではないか。鉄道にとって安全は基本原則。乗客をモルモットにするような安易な姿勢を改めるべきだ」と指摘している。(京都新聞 夕刊)
■JR京都駅ビル 60b設計ゴー 市長が都市計画を決定
 京都市が定めた規制の倍近い高さ60bの設計案が景観論争を巻き起こしているJR京都駅ビルの改築計画について、田辺朋之市長は2日、都市計画決定し、告示した。
 これで都市計画法上の手続きは完了し、JR側は年内にも仮駅舎の建設に着手する。来年2月ごろからいまの駅ビルの解体を始め、年度末ごろに新駅ビルに着工する見通し。当初計画では今秋着工、94年秋ごろの完成予定だったが、JR側は「工期の短縮に努め、94年度中には完成にこぎつけたい」と話している。
 また、94年夏に開港予定の関西新空港と京都駅の間には直通列車が走る予定で、駅舎部分には航空機への搭乗手続きができるシティ・エア・ターミナルの設置も検討されている。このため、JR側は、駅舎部分の先行開業も検討しており、すでに今年9月からホームの拡幅工事などに着手している。
 また、田辺市長はこの日、御地地下、同第2地下駐車場計画(計約930台収容)と、市街化区域内農地の約6割を新しく生産緑地に指定する地区変更についても都市計画決定をした。(朝日新聞 夕刊)
■JR社員が 刺され死ぬ 大阪市の公園
 大阪市都島区中野町五丁目の桜之宮公園内の遊歩道で、1日午後零時50分ごろ、男性がうつ伏せに倒れているのを、通りがかりの人が見つけた。男性は刃物で腹部を1ヵ所刺されており、病院に運ばれたが、2日午前3時18分、死亡した。都島署は殺人容疑事件として調べている。
 調べでは、死亡したのは奈良県大和郡山市小泉町、JR西日本社員戸知谷健治さん(35)。病院に運ばれる際、「知らない人に刺された」などと話していたという。倒れていた付近には戸知杏さん名義の貯金通帳やキャッシュカード、財布などが入ったセカンドバッグが落ちており、現金9万円余も残っていた。
 戸知谷さんは淀川電車区京橋派出所所属の運転士で、片町線などの運転を担当。11月30日夕方から夜勤をした後、1日は正午過ぎに勤務を終えたという。(朝日新聞 夕刊)
■京阪電車ドア故障 朝のダイヤ乱れる
 2日午前7時ごろ、京都市東山区の京阪電鉄京阪線の鳥羽街道駅で、出町柳発淀行き普通電車(7両編成)のドアが開かなくなった。同駅は駅員が少ないため応急手当てができず、電車はそのまま次の伏見稲荷駅で乗客約300人を降ろし、運転を打ち切った。上下約200本に遅れが出た。(朝日新聞 夕刊)
■関門トンネル50年 「5本目」の計画も浮上
 本州と九州を鉄道で結ぶ関門トンネルは、開通50年を迎えた。明治時代に構想が持ち上がり、二度の計画断念を超えて完成した国家的プロジェクト。戦時下の1942年11月15日、京都発鹿児島行きの旅客一番列車が走ったこの世界初の海底トンネルは、以後、戦後復興、高度成長の中で大動脈としてその役割を果たしてきた。関門橋や新幹線の新関門トンネルの開通により負担が軽くなったとはいえ、いまも1日 188本(旅客138本、貨物50本)の列車が海峡の下をくぐる。(西部社会部・宮崎勝弘)
 「世紀の仕事をしたという思いです。関門トンネルは私の誇り」。山口県下関市後田町に住む満留義教さん(79)は、掘削の現場で指揮・監督者として、関門トンネル建設に最初からかかわった一人だ。
 今も月に一度は列車に乗り、「トンネルに、あいに行く」。下関駅を出発すると、満留さんは腕時計に目をやる。時間を見て、いまトンネルのどのあたりかを思い、自分が掘った地点に近づくと、自然に手を強く握ってしまう。そして、心のなかで、「今日も無事に走っているよ」と、そっとつぶやくそうだ。
 軟弱地盤に漏水、さらに36度の高温にもなるトンネル内。「いかにして事故がないよう気を配る」(満留さん)ことが現場の課題だった。
 こうした悪い作業環境に対抗するため、当時最先揃の土木技術が駆使された。シールド工法もその一つ。鉄製の円筒を据えて、土砂の崩壊を防ぎながら掘り進むもので、日本で初の本格的な導入だった。
 この技術は、その後の関門国道、新関門、青函の各トンネルに生かされ、現在工事中のユーロトンネル(イギリス−フランス間)にも引き継がれている。
 国策として取り組まれた関門トンネル。着工−完成が昭和10年代という時代状況から、戦争があちこちに影を落としている。海峡を結ぶ方法として橋やフェリーも検討されたが、最終的に海底トンネルに決まった理由の一つは、そもそも「国防上の見地」。
 また、旅客より4ヵ用前の42年7月に貨物列車が運転開始したのも、当初45年3月完成とされた第2線(上り)トンネル工事が繰り上がったのも、「戦時陸運非常体制」のためだった。
 トンネル自体が危機に見舞われたのは、戦後の53年6月28日、北部九州を襲った集中豪雨の時。大量の海水と土砂が流れ込んで、トンネル最深部では6b近くある天井まで水につかり、上り線2100b、下り線1700bにわたって水没、不通となった。この経験から、翌年、トンネル両側入り口に防水扉が設置された。
 JR九州によると、現在、利用客は1日平均約3万人。73年の7万2000人をピークに減り続け、さらに新幹線博多開業(75年)で客足を奪われたため、83、84年ごろは1万6000人台にまで落ちた。
 その後、国鉄はJRに衣替えし、シャトル電車を走らせるなどした結果、再び増えてきた。関西、東京方面へのブルートレインのほか、身近な都市圏輸送を担っている。
 海峡にいま、新たなうぬりが起きている。本州−九州間は、関門鉄道、関門国道、新幹線の各トンネルと関門橋の4本の動脈が走るが、ここへきて「5本目」が浮上してきた。第二関門橋計画(関門海峡道路)である。今年度の国の予算に調査費1000万円が認められた。
 同トンネル開通50周年を記念し、北九州市でこのほど開かれたJR九州主催のシンポジウムで、末吉興一市長は「将来は世界海峡会議を開きたい」と海峡への夢を語った。
 メモ 関門トンネルの全長は、下り線3614b、上り線3605b、うち海底部は上り、下り線とも1140b。トンネルの内幅4.8b、高さ5.75b。工事着手から完成まで下り線は6年2ヵ月、上り線は4年2ヵ月かかり、工事費は3900万円(当時)、延べ 347万人が投入された。(朝日新聞 夕刊)
3日■信楽高原鉄道事故 信号技師(出向)が誤操作 滋賀県警 原因の全容解明 駅長業務担当者も 逮捕状を用意
 死者42人、重軽傷者614人を出した昨年5月の信楽高原鉄道列車事故で、滋賀県警捜査本部は2日までに、信号関係機器の誤操作と信楽駅の出発信号が赤なのに列車を強行発車させたのが直接原因と断定、業務上過失致死傷の疑いで信号関係機器を操作していた信号設備会社(本社・東京)から同鉄道に出向していた信号技師(44)と、発車を制止しなかった同鉄道の当時の駅長業務担当者(61)の逮捕状を取った。また、事故で死亡した同社の常務(62)、業務課長(54)、運転士(51)=いずれも当時=と、衝突したJR西日本列車の運転士(40)の4人を同容疑で書類送検する方針を固めた。一方、運輸省に無届けで信号設備を設置、変更したとしてJR、高原鉄道両社も鉄道事業法違反容疑で書類送検する方針。県警は1年半に及ぶ捜査で事故原因の全容を解明できたとしている。
 技師が操作したのは、信楽駅構内の継電室(リレー室)で、出発信号が赤の状態で上り列車が出発した場合、列車が踏む誤出発検知装置の情報を上下列車のすれ違い区間である小野谷信号所に伝え、同信号所の下り出発信号を赤固定し下り列車をストップさせる。
 捜査本部は、これまでの鑑定で、リレー室での操作によって誤出発情報が小野谷信号所に伝わらなくなることを確認した。事故当時、リレー室ではこの技師が信号系統の点検を行っており、点検中に誤って装置を解除した結果、同信号所の下り出発信号が青になり、下リJR列車がそのまま通過、高原鉄道列車と正面衝突したのではないかとみている。
 技師は、事故直後の捜査本部の事情聴取に対し「テスターで電圧を2、3ヵ所測っただけ」と証言しており、装置の解除については強く否定している。
 また、捜査本部は、高原鉄道の事故列車に乗車していて死亡した同社の常務、業務課長、運転士が小野谷信号所に係員を派遣し安全を確認する「代用閉そく」方式の手順を十分踏まないまま発車を指示したことが事故の直接原因と判断。この3人と、さらに小野谷信号所に上りの高原鉄道列車が停車していないのを不審に思いながらJR側に安全確認を取らず信号通り進行したJR列車の運転士の計4人を同容疑で書類送検する。
 一方、信楽駅の出発信号が赤固定した原因については、JRが運輸省に無届けで三重県・亀山指令所に設置した「優先テコ」の機能が、高原鉄道が行った信号設備変更の無許可工事の影響で出発信号に及んでしまったと見ており、鉄道事業法違反の疑いで、JR西日本(井手正敬社長)と信楽高原鉄道(北川啓一社長)両社と当時の担当者を書類送検する方針。(京都新聞)
■強風でダイヤ混乱 東海道線と上越新幹線
 前線通過に伴う強風のためJR東海道線と上越新幹線は2日、神奈川、新潟両県内で運転を見合わせたり、速度規制を行った。この影響で、東海道線は特急11本を含む上下36本が運休、18本に最高3時間41分の遅れが出た。また、上越新幹線でも13本が最高33分の遅れが出、両線で約2万6500人の足が乱れた。
 JR東日本によると、同日午前9時6分に、小田原市根府川の白糸川鉄橋に設置されている風速計が運転限界の25bを記録したため、小田原−熱海間の運転を中止、上下36本が運休、14本に遅れが出た。また、同日午後1時19分に同じ場所で25bを記録したため、30分間にわたり運転を中止し、上下4本に遅れが出た。(京都新聞)
■信楽事故 社員3人に逮捕状 滋賀県警 JRの責任も追及へ
 滋賀県甲賀郡信楽町の信楽高原鉄道で去年5月、同鉄道の列車と乗り入れのJR西日本の列車が衝突し、死者42人、負傷者614人を出した事故で、滋賀県警捜査本部は2日までに、業務上過失致死傷などの容疑で、列車の運行にかかわった同鉄道社員3人の逮捕状を取った。信楽高原鉄道の事故列車に乗っていて死亡した運転士ら3人についても同容疑で被疑者死亡のまま送検する。JR西日本の運転士も同容疑で刑事責任を追及する方針。事故発生から1年半後に強制捜査するのは、列車事故としては異例のことだ。
 捜査本部によると、信楽高原鉄道の列車は信楽駅の信号異常のため赤のまま出発したが、その際に対向列車がないことを確認するなどの必要な安全措置を怠ったのが事故の直接原因としている。逮捕状を用意した3人のうちの1人は事故当日、信楽駅長の業務を担当し、列車運行の直接責任者だったが、安全を確認せずに列車を出発させた疑い。
 赤信号で出発すると、誤出発検知装置が働いて、対向のJR列車を待避所に待たせておく仕掛けになっている。しかし事故当日は同装置が機能せず、待避所の車の運転士。待避所で待っているはずの対向列車がいないのを不審に思いながら、青信号に従って通過した。運輸省令によると「疑いのある時は、最も安全な取り扱いをしなけれはならない」とあり、これを怠った疑い。
 被疑者死亡のまま送検される3人は、信楽高原鉄道の運転士や幹部。信楽駅を赤信号で出発する際に、安全を確認しないまま列車を出発させたり、運行業務の責任者でありながら出発を指示したなどの疑い。(朝日新聞)
■京都駅高層化 都市計画決定 白紙撤回を求める 市民連連絡会議が声明
 JR京都駅の改築高層化計画に反対している「ストップ・ザ・京都破壊 まちづくり市民連絡会議」(代表委員、西山卯三・京都大名誉教授)は2日、京都市が同計画について都市計画決定したことについて、「決定は無効」として白紙撤回を求める抗議のアピールを発表した。
 アピールでは、都市計画決定をめぐっては市に対し、8500通を超える反対意見書が提出されており、市民の合意が得られているとはいえない、と指摘。
 公聴会など市民の意見を反映する措置もなく、市の都市計画審議会も25人の委員のうち7人までが市職員によって占められているなど公正、公平を欠き、適正な行政手続きを求める憲法31条に違反している、と主張している。
 同連絡会議は「決定の白紙撤回に向けて、引き続きあらゆる手段を尽くす」としており、都市計画決定の手続きの違法性を問う住民訴訟なども検討している。(朝日新聞)
■信楽高原鉄道事故 列車運行の3人逮捕へ 「複合的人為ミス」 滋賀県警 2人の聴取開始
 昨年5月、滋賀県甲賀郡信楽町黄瀬の信楽高原鉄道で、JR西日本の臨時列車と高原鉄道列車が正面衝突、乗客ら42人が死亡、614人が重軽傷を負った事故で、滋賀県警捜査本部は3日、信楽駅構内の信号関係機器を誤操作したとして当時、信楽高原鉄道に出向していた信号設備会社社員(44)と、これを黙認したとみられる高原鉄道の施設課長(56)、同駅の赤信号を無視して強行発車した高原鉄道列車を制止しなかった疑いが持たれている高原鉄道の駅長業務担当者(62)の3人に業務上過失致死傷容疑で逮捕状を用意、高原鉄道関係の2人に出頭を求め取り調べを始め、信号会社社員の所在確認を急いでいる。また、事故の直接原因となった強行発車を行った高原鉄道の業務課長=当時(54)=ら事故で死亡した同社員3人と、JR列車運転士(40)の4人を同容疑で書類送検する方針。
 捜査本部は、これら人為ミスに加え、「優先てこ」など両鉄道会社が運輸省に無届けで行った信号関連工事が事故の引き金になった同駅信号の赤固定につながったとして両社と関係者を鉄道事業法違反容疑で書類送検する方針も固めている。
 捜査本部が業務上過失致死傷容疑で書類送検する方針の高原鉄道関係者は業務課長のほか常務=当時(62)=と運転士=当時(51)=。
 調べによると業務課長ら死亡した3人は、事故が起きた昨年5月14日、午前10時14分信楽発貴生川行き上り列車が、信楽駅の出発信号が赤のまま変わらず約11分遅れたため、列車すれ違い区間の小野谷信号所(水口町牛飼)に係員を派遣し安全を確認する「代用閉そく」方式の手順を十分踏まないまま発車させた疑い。下りJR列車の運転士は、同信号所の出発信号が青だったものの、同信号所に上りの高原鉄道列車が入っていないのを不審に思いながらそのまま進行した疑い。
 信号設備会社の社員は、信楽駅の出発信号が赤固定したため構内の継電室(リレー室)で信号系統の点検を行った際、衝突回避のため設けられている誤出発検知装置を誤って解除してしまった疑い。高原鉄道の施設課長は同社員が継電室内で操作するのを黙認したとみられる。捜査本部では装置解除の結果、小野谷信号所の下り出発信号が青になり、下りJR列車がそのまま通過、高原鉄道列車と正面衝突したとみている。同社員は事故直後の調べに対し「テスターで電圧を2、3ヵ所測っただけ」と供述しており、装置解除を強く否定している。
 鉄道事業法違反容疑で書類送検されるのは、JR西日本と昨年2月に同社運行管理部亀山指令所(三重県亀山市)に「優先テコ」を設置した際の責任者、それに信楽高原鉄道と同3月の小野谷信号所の信号設備変更時の責任者。「優先テコ」は下り列車が遅れた場合、遠隔操作で小野谷信号所の上り出発信号を赤にし、上り列車を停止させるシステム。本来は同信号所の上り出発信号にしか作用しないが、高原鉄道の信号設備変更工事の影響で、信楽駅の出発信号にまで及んだとみられる。
 信楽高原鉄道事故 昨年5月14日午前10時35分ごろ、滋賀県甲賀郡信楽町黄瀬の信楽高原鉄道の単線区間で、同町で開催中の「世界陶芸祭」に向かう満員の乗客を乗せて同鉄道に乗り入れていたJR西日本の下り臨時快速列車=3両編成=と、乗員・乗客15人が乗った信楽高原鉄道の上り普通列車=4両編成=が正面衝突。双方の乗客37人と乗員5 人の計42人が死亡、 614人が重軽傷を負った。
 同鉄道はJR西日本の地方線縮小に伴い昭和62年7月に廃止された旧信楽線を引き継ぎ、滋賀県や信楽、水口両町などが出資した第3セクター鉄道として同月、発足。営業キロは貴生川−信楽間の14.7`。(京都新聞 夕刊)
■信楽事故強制捜査 遺族ら「責任徹底追及を」 「体質こそが問題」 なお強い鉄道不信
 「世界陶芸祭」にわきかえった新緑の信楽高原で、42人が無念の死を遂げた高原鉄道列車事故から569日。2度日の冬を迎えた3日、滋賀県警がついに強制捜査に着手した。業務上過失致死傷容疑で3人の逮捕状をとり任意出頭を求めて調べを始めた。人為ミスとともに、信号保安システムの”落とし穴”にも追及のメスは入った。一方、県警の捜査方針は遺族、両鉄道会社関係者らに波紋、衝撃を広げた。とりわけ遺族は、ひととき心抑え霊前に合掌する人、いやされぬ悲しみに再びほおをぬらす人と、さまざまにこの日を迎えた。
 事故で母の久保高子さん(61)=当時=を亡くした地元、信楽町黄瀬、中島とも子さん(36)は強制捜査着手の報に「やっと、ですか。もう少し早く、母に知らせてあげたかった」とため息をついた。
 今でも絶対に乗らないと心に決めている高原鉄道をはじめ、鉄道に対する不信が大きく心に残る。「多くの人が鉄道は安心と信じているはず。亡くなった人たちのためにも、せめて再び事故を繰り返さないようにしてほしい」と、今もなお傷がいえない様子だ。
 京都府相楽郡内の京都企業の協同組合「ハイタッチリサーチパーク」の異業種交流研修でJR列車に乗って世界陶芸祭に向かう途中、娘・信子さん=当時(26)=を亡くした京都市右京区のデザイナー臼井和男さん(53)は「運転マニュアル改ざんなどJR側のいい加減な体質こそ問題だった。運転士らは企業上層部の体質を露呈したに過ぎず、首根っこにメスを入れないのは本当の原因究明にならない」と改めて憤りをあらわにした。
 同じ研修で夫・修さん=当時(35)を亡くした亀岡市の森上美由紀さん(34)も「42人もの命を奪った事故の捜査結果としては寂しいし、納得できない。気持ちの整理がつきません」とガッカリした様子だった。
 妻・恵美子さん=当時(54)=を亡くした大津市の会社員国江信雄さん(54)は「この事故は第三セクターをつくった時点から問題があった。事故直前にも危険な兆候が数回あったのに両社が対応しないなど、起こるべくして起こった事故だ。鉄道業者は安全管理を厳しく見つめ直し、事故の教訓を生かしてほしい」と訴えた。
・捜査大詰め緊迫 信楽鉄道本社など
 信楽高原鉄道(本社・滋賀県甲賀郡信楽町長野)は朝から慌ただしい雰囲気に包まれた。捜査が大詰めを迎え報道各社が同社のある信楽駅周辺に押し掛け社員らも困惑顔。
 同社の北川啓一社長は午前10時半すぎから、捜査が大詰めを迎えた状況を踏まえ「捜査が1年半もかかったのは事故の持つ重みなりだと思う。捜査結果を受けた上で反省すべきところは反省し、二度と事故がないよう安全第一の運行をし、住民の足確保に努めたい。このことがせめてもの犠牲者に対する償いだと思う」と重苦しい口調で心境を語った。
 一方、信楽町役場でも「事故の全容解明」を報道する新聞のコピーを読み回し、東京出張中の杉森一夫町長の連絡などに追われていた。
・「コメント控えたい」運輸省
 運輸省は、3日午前、滋賀県警捜査本部が信楽高原鉄道事故関係者の逮捕状を取ったことについて、「来るべきものがきた」との表情をみせ、警察庁への事実確認や情報交換など、慌ただしい動きをみせた。
 秦野裕同省鉄道局長は「内容を確認していないのでコメントは控えたい」としながらも、「同省の事故調査検討委員会でも最終的な詰めの段階にきており、なるべく早く公表したいと思っている」と話していた。
 一方、同事故原因の信号誤操作をしたとして、県警が業務上過失致死傷の疑いで逮捕状を取った、信号設備会社の社員の勤務する、東京・練馬区の会社では、上司が「当初から誤操作をしていないと証言しており、私もそう信じている−」と、緊張した表情で応対していた。(京都新聞 夕刊)
■2万5000円提案へ 私鉄総連ベア要求
 連合の有力組合、私鉄総連(鈴木完守委員長、18万9000人)は3日、鳥根県・大社町で来春闘の方針を討議する中央委員会を開いた。同日午後、執行部が「賃上げ要求2万5000円(9.1%)」を柱にした93春闘方針を提案する。
 執行部方針の要求額は3年連続同額。執行部は「連合の”2万円以上”の目標に沿った案だ」と説明している。(京都新聞 夕刊)
■小倉山問題 残土はJRの忘れ物!? 5日から 京のグループ 嵯峨野駅に届ける運動 月2回のハイキング「法律違反に一石」
 京都市右京区・小倉山のJR山陰線トンネル工事残土問題で、放置した土砂を運び出さないJRに抗議する市民グループが、5日から月2回の割合で小倉山に登り、リュックに詰めた残土を、JR山陰線嵯峨駅に運ぶ抗議ハイキングを始める。「多くの市民に石塊が転がり、周囲の木々の成長まで防げている山頂の惨状を知ってもらいたい。努力が報われるまで続ける」として、市民の参加を呼びかけている。
 ハイキングを主催するのは随筆家の松本章男さん(61)らでつくる「小倉山頂の忘れ物をJRにお届けする会」。松本さんは、今年の8月、工事後初めて小倉山に登り、黒い岩石が転がり、植物もほとんど生えていない現状に驚いた。講演会や集会で訴え、10月末、山歩きグループ「悠歩会」「山歩会」のメンバーや主婦らと山に登って、山頂で会の結成を決めたという。
 計画では、毎月第1、第3土曜(雨天の場合は、第2、第4土曜にそれぞれ順延)の午後1時に京福電鉄嵐山駅に集合、渡月橋から亀山公園を経て、ハイキングコースを歩き、小倉山に登る。山頂で各自が残土をリュックに詰めて下山し、JR嵯峨駅前広場に積み上げて午後4時ごろ解散する。行程は約4`。だれでも参加できる。
 チラシを配布して参加を呼びかけたところ、京都以外からも希望が寄せられ、5日の初回には約50人が参加する予定だ。また、JR西日本と嵯峨駅に対しても職員の参加や、駅に届けた残土を「花壇の石垣にでもご活用を」と訴える手紙を送付した、という。
・駅での対応検討中 JR西日本広報室の話
 当社としても早期に自然を回復したいと願い、修景、植栽を決めた。植栽には専門家の意見も十分聞いている。JR嵯峨駅での対応は検討中で、状況により今後の対応を決めたい。(京都新聞 夕刊)
■「惨劇の原因 究明を」 信楽事故 1年半後の取り調べ 全体像にメス願う 遺族ら 心の傷消えず
 列車事故史上、最大級の惨事となった信楽高原鉄道事故は3日、高原鉄道社員らの取り調べで新たな局面を迎えた。事故から1年半余り。原因究明を訴え続ける被害者の遺族にとって、大きな節目となった。だが、事故を引き起こした運行管理の問題点や事故の全体像はどこまで解明されるのか。「JRの責任を追及できなければ、亡くなった人たちも浮かばれない」と遺族。運転士が書類送検される見通しとなったJR側も朝から緊急会議を開き、捜査の行方に神経をとがらせた。
 「この日を待ちこがれていたのに、JRの責任追及が申し訳程度ではあんまりだ」 兵庫県宝塚市の吉崎俊三さん(59)はこの日朝、自宅の仏壇に供えられた妻の佐代子さん(当時53)の遺影に、こう報告した。
 吉崎さんは22人の犠牲者の「遺族の会」の代表世話人。「1年半を過ぎたいまも怒りをどう表していいのか分からない。信楽鉄道が悪いことは以前から分かっていた。一部職員の刑事責任だけを問うのではなく、JRの管理責任など、多くの原因を明らかにしないことには解決にはならないし、亡くなった人は浮かばれない」と話した。
 10月上旬には、弁護団とともに米国を訪れ、鉄道事故の調査制度を調べた。それをもとに「日本にも第三者的な鉄道事故調査機関を設けるべきだ」と運輸省や国会議員を訪ね歩いている。眠れない夜が多くなり、精神安定剤が手放せないという。
 芦屋市に住む吉崎さんの長女の溝口恵美子さん(29)は11月初め、事故当時の様子をノートにしたためた。
 −ドッドッドッドッーン
 私の額は列車の天井についている扇風機にあたり、あごは妹の左の肩の上にのっていた。
 −息ができないとだれかがいっていた。車内の酸素が薄くなっている。
 記録は、7nにびっしり。「思い出したくないのに、頭から離れない」
 溝口さんは、食器を集めるのが好きだった佐代子さんと、妹(27)の3人でJR京都駅から列車に乗った。溝口さんも骨盤や腕を骨折、今もリハビリが欠かせない。
 「母は、自分がなぜ死ぬのかもわからず、息をひきとった」と溝口さんはいまも怒りがおさまらない。
 一方、夫の治三郎さん(当時63)と孫の末晴ちゃん(同2つ)の2人を一度に失い、自分も全身に大けがをした信楽町黄瀬、中島イトさん(67)は、今も入院して足の治療を続けている。
 「難しいことはよくわからないが、高原鉄道の社員にはいまさら気の毒なような気もする」
 いまも足がうずいて、よく眠れないことが多い。そんなときは死んだ2人にお経を暇え、痛みを忘れようとしている。
 中島さんは「あの列車にさえ乗らなければと、何度思ったことか。おじいさんと孫のためにも、元気にならなければと自分を励ましている」と語った。
 長女の信子さん(当時26)を失った京都市右京区の染色会社社長臼井和男さん(53)は「最近の無資格運転に象徴されるように、鉄道運行に対する基本的な考え方そのものが問われるべき時。個々の責任追及で終わってしまうのでは、事故がまた繰り返されるのではないか」と声を荒らげた。
・JR西日本 幹部ら硬い表情
 大阪市北区のJR西日本本社では、幹部らが朝から情報を収集、信楽高原鉄道に乗り入れていたJR列車の運転士の刑事責任が追及される方針が伝わると、表情を硬くした。JRはこれまで、安全運行の管理責任は信楽側にあったと主張、運転士がすれ違い場所に信楽列車がいないのを不審に思いながら青信号で通過したことについても、「信号に従うのが鉄道の原則で、運転士にミスはない」としていた。
 そうした主張が通らない見通しとなったことで、社員の一人は「列車運行の根幹にかかわる問題。あの状況で運転士の責任が問われるとすれば、もう、今のシステムで列車を走らせられない」と語った。
 同社広報室は報道機関からの問い合わせに対して「警察から何も聞いていないので、対応のしようがない」と答えていた。(朝日新聞 夕刊)
■無資格運転 JR東日本でも
 JR東日本は3日、88年度から今年までの大卒新入社員約200人に研修中に新幹線や通勤線などで無資格運転をさせていた、と発表した。大卒新入社員による無資格運転はこれまでJRでは東海、九州、四国で明らかになっているが、東日本では初めて。
 無資格運転をしていたのは192人。民営化後に初めて採用した88年度から今年までの大卒新入社員のうち約2割にあたる。無資格運転が行われた線区は、東北・上越新幹線の一部区間や山手、京浜東北、中央、外房、
内房線など首都圏の通勤線を合む在来線。新入社員は速度を調整するレバーに手を置いていたが、実質的には指導者が横から手を添えて操作していたという。(朝日新聞 夕刊)
4日■信楽高原鉄道 運転主任ら3人逮捕 滋賀県警 業過致死傷容疑で
 死者42人、重軽傷者614人の大惨事となった昨年5月14日の信楽高原鉄道列車事故で、滋賀県警捜査本部は3日、高原鉄道関係者3人を業務上過失致死傷・業務上過失往来妨害罪容疑で逮捕した。高原鉄道列車に乗車し事故で死亡した同社員3人とJR西日本列車運転士の4人も同容疑で4日、書類送検する。1年7ヵ月の長期捜査は最終段階を迎えたが、この日の発表で捜査本部は、事故の引き金となった信楽駅出発信号の赤固定について詳述し、JR西日本、高原鉄道両社が相談なしに信号関係設備を設置・変更したのが原因と厳しく指摘した。両社と設備設置・変更の担当者2人も4日に鉄道事業法違反容疑で書類送検することにしている。
・JRと高原鉄道 「優先てこ」で書類送検へ
 業務上過失致死傷・業務上過失往来妨害罪容疑で逮捕されたのは滋賀県愛知郡愛知川町川原、高原鉄道運転主任里西孝三容疑者(62)、三重児阿山郡伊賀町下柘植、同施設課長山本長生容疑者(56)、東京都練馬区大泉学園町二丁目、信号設備会社「信栄電業」社員八木沢守容疑者(44)。
 調べでは、信楽駅長業務も担当していた里西容疑者は、同駅出発信号が赤のまま変わらないため下り高原鉄道列車が「代用閉そく方式」で発車した際、進路の安全を十分確認しなかった疑い。高原鉄道に派遣されていた八木沢容疑者は、同信号の赤固定を解除しようと構内の継電室(リレー室)を操作した結果、列車すれ違い区間の小野谷信号所(水口町牛飼)の下り出発信号を青にしたと見られる。山本容疑者は八木沢容疑者の継電室での操作に立ち合い作業を指揮監督した疑いが持たれている。
 同容疑で書類送検されるのは、事故車両で死亡した高原鉄道の奥村清一常務=当時(61)=、中村裕昭業務課長=当時(54)=、淵本繁運転士=当時(51)=で、いずれも安全確認を十分しないまま列車を強行発車させた疑い。三重県亀山市白木町、JR西日本の林光昭運転士(50)は、小野谷信号所の下り出発信号が青だったものの、上り高原鉄道列車が対向線路に先着・退避していないのを不審に思いながら、安全確認の手だてを取らずそのまま列車を進行させた疑い。
 捜査本部はこれら人為ミスを列挙する一方、JRが運輸省の認可を得ず三重県・亀山指令所に設置した下り列車優先運行のための「優先てこ」、高原鉄道が同じく無認可で行った小野谷信号所の信号設備変更工事に言及。
 双方が絡み合って信楽駅の出発信号を赤固定する鑑定結果を公表するとともに、両工事について両社間の事前相談がほとんどなかったとし、この意思疎通の不十分さも事故の誘因だと指摘した。(京都新聞)
■信楽高原鉄道事故 逮捕 人的操作 裏付け微妙 設備工事 2社別々 惨事の背景 不十分な打合せ
 捜査が1年半の長期に及んだのは、高原鉄道列車が誤発車してもフェール・セーフ(多重防護)の誤出発検知装置が作動、小野谷信号所のJR列車側信号は電流が切れて「赤」になり、衝突を回避できるのに、なぜ当時信号が「青」だったのか、その解明であった。県警は6回の信号保安設備の鑑定で、検知装置は機械的に正常で、事故当時、信楽駅リレー室で点倹中の八木沢容疑者が誤って電流を復活させた疑いがあるとして逮捕に踏み切った。だが、リレー室に人的操作の痕跡は残っておらず、容疑を裏付けられるかは徹妙だ。また県警は、青信号で進んだJR運転士も事故予見の可能性と危険回避義務違反があるとして業務上過失致死傷容疑で書類送検するが、鉄道運転規則には「青は進行」とある。対向列車が来ない時は、青でも場合によっては停止せよ、とのマニュアルは両社の間に作られておらず、起訴できるかどうか地検の判断が注目される。(解読)
 事故は、高原鉄道が、対向のJR列車の進行状況など十分な安全確認をせずに、見切り発車したのが最大の原因だ。
 引き金となった信楽駅信号の「赤」固定も、高原鉄道が設備の検査合格直後の昨年3月、小野谷信号所で行った無認可の追加工事で連動が変わったことと、JR亀山指令所の方向優先テコが重なり、引き起こされることが判明した。高原鉄道の責任は2重の意味で重い。
 また、JRは優先テコの凶面を高原鉄道に渡していなかった。JRは「優先テコと同じ回路は貴生川駅の方向テコの設備に組み込まれており、連動変更をした高原鉄道側のミス」と主脹するが、高原鉄道が優先テコの図面を事前に人手していれば、より注意を払い工事できたといえる。
 JRが法的に問われたのは、優先テコの無認可設置という鉄道事業法違反の形式犯にすぎない。だが、JRは優先テコと同様の作用を持つ「抑止テコ」が、一時、高原鉄道側の信楽駅に付くことになっていたのに外すよう要望したこと。
 さらに、事故の先端が信楽駅の信号トラブルにあることを考えると、図面を渡さず十分な説明をしなかったJRの道義的な責任は大きいといえる。
 小野谷信号所で列車が行き違う信号保安設備は、世界陶芸祭を契機にした輸送力アップのため昨年3月、県と信楽町の補助金で新設された。
 導入にあたり、高原鉄道は信楽駅、小野谷信号所、JRは貴生川駅、亀山指令所を別々に工事をした。両社の打ち合わせの不十分さが、大惨事の背景となったことは否定できない。(企画報道部 鈴木哲法)
・再発防止の観点で不満/JR側も責任負うべき 識者の声
 信楽鉄道事故で滋賀県警捜査本部は3日、高原鉄道側の3人を逮捕、JR運転士を書類送検するなど両社の事故責任を厳しく問う捜査結果を発表した。鉄道問題に詳しい識者らに意見を聞いた。
 独自に事故を調査していた安部誠治・大阪市立大助教授(公企業諭) 直接原因の解明は一定済んだが、再発防止という観点では両鉄道会社の責任について、もう少しはっきり問えなかったのか不満が残る。特にJRが無届けでシステムの変更をしたのは重大で、軽徹な鉄道事業法違反だけでは責任を免れない。体制的にも財政的にも十分に安全教育ができない弱小会社に対し、大会社のJRがリーダーンップを取って安全確保に密接な連携をとるべきではなかったか。最近、運輸省の監督機能が低下しているが、現行法の罰則強化や鉄道会社への厳しい指導が必要だ。
 土居靖範・立命館大教授(交通諭)事故は専門的知識のある社員が少なく、経営的にもぜい弱な高原鉄道が「世界陶芸祭」のための乗り入れシステムに急きょ対応せざるを得なかったという背景がある。直接原因は高原鉄道にあっても、すべての責任をかぶせて良いのか。
 JR運転士も送検されるそうだが、トカゲのしっぽ切りとの印象を受ける。高原鉄道も元は国鉄線だったのだから、運行に関してノウハウのあるJR自身も責任を負うべきだ。
 信楽事故に詳しいノンフィクション作家の佐野真一さん 信号技師やJR運転士の責任が問われたことは評価したい。捜査の長期化はこれらの点の証拠集めに時間がかかったためで、困難さを物語っている。しかし技師のリレー室での操作は密室作業であるうえ、容疑を否定していると聞いているので、不起訴になる可能性が極めて強いのではないか。またJRの責任は運転士個人ではなく、鉄道事業法違反などを含めた企業責任と考えるべきだ。
 永江武雄・国労西日本本部書記長 JR西日本の書類送検は当然のこと。事故の根本には、国鉄当時には明記されていた「疑わしいときは手落ちなく考えて、最も安全と認められる道を採らなければならない」との条文を「安全綱領」から削除し、また列車の運行を1、2分遅らせても厳しい措置を取るなどしている会社側の安全に対する姿勢に問題がある。現場労働者個人の追及にとどまるのでなく、会社側の安全に対する姿勢に徹底的にメスが入れられるべき。そのことなしにJRの真の安全確立はあり得ない。
・信楽事故の主な出来事
 91年5月14日 滋賀県甲賀郡信楽町の信楽高原鉄道で、高原鉄道の列車とJRの臨時列車が正面衝突。42人が死亡、614人が負傷した。
 5・15 滋賀県警捜査本部が現場検証を開始、業務上過失致死傷容疑で信楽高原鉄道本社などを捜索。県は世界陶芸祭の中止決定
 5・17 運輸省の事故対策本部が信楽高原鉄道、JR西日本を保安監査。
 5・25 事故車両の撤去始まる。
 5・28 JR西日本、信楽高原鉄道、滋賀県、信楽町による事故対策4者協議会を設置
 5・30 県議会が事故対策特別委員会を設置
 6・10 県庁内に「支援対策室」。
 6・13 四者協が補償基本協定調印。
 6・16 信楽町内で合同慰霊祭開催。
 6・17 被災者相談の窓口を大津市と大阪市に開設。
 6・18 県が支援対策本部を設置。
 7・21 21遺族が「犠牲者遺族の会」を結成
 9・2 信楽高原鉄道がJRのOBらを迎えて運行再開準備室を設ける。
 10・20 両鉄道が遺族会への第1回説明会開催。JR社長の出席めぐり紛糾。
 10・23−24 県警捜査本部が実車走行テストを行い信号システムの鑑定実施。
 11・15 信楽高原鉄道の杉森一夫社長(信楽町長)が辞任。後任には県が派遣した北川啓一副社長が就任。
 12・8 信楽高原鉄道が約半年ぶりに運行再開
 12・17 2遺族の示談成立が明らかになる。
 92年2月13日 遺族会が運輸大臣などに対し、事故原因の早期解明を求める要請書を提出
 3・7 違族会が事故車両独自検証。
 4・8 大津地裁が遺族の申し立てを受け、事故車両を検証。
 5・2 遺族会が事故原因究明と再発防止のシンポジウム。
 5・14 信楽町内で1周忌法要。JR西日本の角田達郎社長が遺族に謝罪。
 7・28−29 県警捜査本部、信楽高原鉄道の信号システムを再鑑定。
 9・7 遺族会が両鉄道に賠償額算定基準の提示を求める調停を大津簡裁に申請
 9・11 慰霊碑を現場に建立することで遺族側合意。
 10・4−11 遺族回代表が米国の事故調査システム視察のために訪米。
 10・19 遺族会が運輸大臣に新たな事故調査専門委員会の設置を要求。
 10・26−27 滋賀県警捜査本部が信楽駅リレー室などの追加鑑定を実施。
 11・2  遺族会が県警と大津地検に対し、JRの管理責任の追及を求める要望書を提出。
 11・6 大津地検がJRの「優先テコ」取扱文書などの証拠保全を認め、検証を求めたが、JRは拒否。
 11・12 遺族会会員では初めて、1遺族の示談成立が明らかになる。(京都新聞)
■社員ら逮捕に衝撃 高原鉄道 信楽事故強制捜査 人為ミス次々に 惨事から1年7ヵ月 ヤマ場に緊張
 信楽の列車事故惨事に3日、滋賀県警が大詰めの強制捜査に入った。予期されたように、高原鉄道に過失の大方があるとの”断”だったが、捜査本部はJRにも非はある、と指摘した。1年7ヵ月を待った捜査のヤマ場を、遺族、関係者は緊張、驚き、怒り、悲しみに包まれ迎えた。
○信楽高原鉄道
 信楽高原鉄道本社(信楽町長野)には午後3時、社員逮捕の一報が飛び込んだ。「ついに、来るべき時が…」。見合わせる同僚の顔が一様に曇った。
 北川啓一社長は同4時半から近くの町開発センターで記者会見。「捜査方針は厳粛に受け止めており、責任者として胸詰まる思いだ。心より犠牲者らにおわび申し上げ、これからの責務を果たしたい」と唇をかんだ。
 両わきには厳しい表情の井上春絹、河合肇両副社長が並ぶ。北川社長は「捜査方針を踏まえ、遺族の意向に添うよう努力する」と述べるとともに「明日からの業務に差し障るが、この苦しみを乗り越えたい」と、社員逮捕の痛みを今後の安全運行、経営努力につなげたいと言葉を絞り出した。
○滋賀県警
 午後3時半から行われた県警捜査本部の記者会見は、早朝から待機していた50人以上の取材陣の異様な熱気に包まれ始まった。緊張した表情で席についた山田高広本部長が「強制捜査着手」説明の口火を切る。次いで
、伊藤国雄刑事部長が、力強い口調で発表文を読み上げた。次々と明らかにされる人為ミスの数々。1年7ヵ月の捜査の自信が言葉の端々ににじみ出る。
 西川雅善刑事部参事官・捜査一課長が、大幅に時間を割いて信楽駅出発信号の赤固定のナゾを解く。「JRにも責任あり」。言外に、県警の姿勢が垣間見える。質問に答えた伊藤刑事部長が「動員捜査員は延べ1万3000人、事情聴取は延べ2250人」と、長期捜査の裏側に触れる。そして「信号システムは100%の解明」とほおを紅潮させた。
・JRの責任追及すべき 刑事告訴も
○遺族
 乗客犠牲者37人のうち22人の遺族でつくる「犠牲者遺族の会」(吉崎俊三世話人代表)と同会弁護団は、この日午後、大阪市内で記者会見し、捜査がJR西日本の責任に及んだことを評価しながらも「JRの安全管理の甘さをさらに追及すべきだ」として刑事告訴を含む対応を協議する方針を明らかにした。
 JRの責任問題について秋田真志弁護団事務局長は「事故はJRの安全管理のズサンさが招いたもので、運転手の個人責任が問われるだけでは十分でない」と強調。JRに対し説明会開催を要求する一方、刑事告訴も辞さず責任追及していく方針を明らかにした。
 若手研究員ら6人が死亡した京都府相楽郡木津町のハイタッチ・リサーチパーク(HRP)の「信楽列車事故被害者の会弁護団」の戸倉晴美弁護士は「運転士ら3人を逮捕したのは思い切った捜査方針だ。今後、解明が進むことを期待している」と話している。同僚2人を失い自らも重傷を負って2ヵ月間入院した渡文ホーム・ファニシング研究所の中村和夫さん(41)は「これで事故全体が解決したとされるのは疑問だ」と徹底追及を望んでいた。
・「JR運転士に責任ない」 井手社長 「青は進め」原則変えぬ
○JR西日本
 JR西日本は夜になって、大阪市内の本社で井沢勝常務(鉄道本部長)が記者会見に応じた。井沢常務は「優先てこ」設置が鉄道事業法違反で、高原鉄道の信号設備変更と重なって、信楽駅出発信号の赤固定につながったと、捜査本部の発表内容を追認したものの「青信号に従った林運転士に責任はない」と語気を強め「青は進め、赤は止まれの原則は今後も変えるつもりはない」。
 井手正敬社長も「運転士に責任はない。検察の判断を待ちたい。鉄道事業法違反については深く反省し、今後は厳正なチェックに取り組む」とのコメントを出した。
・書類送検に抗議声明
○JR西労
 JR西日本労組は、同日、JR列車の林運転士の書類送検に抗議声明を発表した。声明では、捜査本部は運転の安全確保に関する省令作業の確認を怠った疑いがある、としているが、この省令は気持ちの持ちようを示したもので、具体的には鉄道運転規則に基づいて運転しており、今回も定めに従って運転した。運転士が独自に判断ができるように決めつけた捜査内容は極めて政治的な判断だ。JR西日本と高原鉄道の間に食い違いがあったことが大事故の要因になったと考えられ、JRの責任は大きい−などとしている。(京都新聞)
■96時間スト辞さず JR西労 勤務制度変更案に反対
 JR西日本労働組合(JR西労、奥島彰委員長、組合員約4500人)は3日、会社側の勤務制度変更案などに反対するため、8日午前零時から12日午前零時まで96時間ストライキを行う方針を発表した。同労組は4日、会社側にスト通告する予定で、7日の最終回答を求めている。
 対象は一部ローカル線を除き、山陽新幹線と東海道線、山陰線、奈良線など、ほぼ全線。同労組にはJR西日本の運転士の約6割が所属しており、スト突入した場合、年末を控え混乱が予想される。勤務制度変更案は、乗務員が列車の折り返し時に駅で待機する「待ち合わせ時間」を従来のように勤務時間とは認めない、というのが柱。
 これに対し、JR西労は「実質的な労働強化」と反発。賃金アップと時短の実現を図る、とする会社側との間で、交渉は平行線をたどっていた。
 96時間ストに入れば、国鉄時代の昭和50年、7日間にわたる「スト権スト」以来の長期ストとなる。(京都新聞)
■無資格運転 JR貨物でも
 JR各社で大卒新入社員の無資格運転が次々と明るみに出るなかで、JR貨物(橋元雅司社長)は3日、これまでの調査で少なくとも5人の大卒社員が実習中に貨物列車を運転していたことが分かった、と発表した。調査はまだ続いており、同社の無資格運転はさらに増える見込み。
 これで、JR各社の無資格運転は北海道を除く東日本、東海、西日本、四国、九州、貨物の6社で行われていたことが判明。無資格運転していた大卒社員は計550人に上る。
 JR貨物によると、聞き取り調査の対象となった大卒社員は昭和63年からことしまで5年間に入社した137人で、これまでに約3分の1の調査を終えた。
 その結果、約20人が機関車の運転席に座っていたことが判明。このなかには無免許運転を禁じた運輸省令に違反しない機関区構内での運転も含まれており、確実に無資格運転と分かったのは東海道線などの5人。いずれも本社研修を終えて支社での添乗実習中で、教導運転士が付き添っていたという。(京都新聞)
■信楽事故 高原鉄道側の3人逮捕 滋賀県警 JRも書類送検へ
 滋賀県甲賀郡信楽町で去年5月、信楽高原鉄道の列車とJR西日本の列車が正面衝突し、死者42人などを出した事故で、滋賀県警捜査本部は3日午後、朝から取り調べていた同社員ら3人を業務上過失致死傷と業務上過失往来妨害の疑いで逮捕、信号工事を請け負った信栄電業本社(東京)など2ヵ所を捜索した。
 4日には、JR西日本の列車運転士を同容疑で書類送検するほか、鉄道事業法違反の疑いで、両社とそれぞれの信号工事責任者を書類送検する。
 逮捕されたのは、信楽高原鉄道運転主任里西孝三(62)=同県愛知郡愛知川町川原▽同施設課長山本長生(56)=三重県阿山郡伊賀町下柘植▽信栄電業社員で当時同鉄道に施設係長として出向していた八木沢守(44)=東京都練馬区大泉学園町二丁目=の三容疑者。
 捜査本部は、これまでなぞとされていた信楽駅上りの出発信号の異常について、JR側の信号システムの設計ミスが原因のひとつとした。また、JRと高原鉄道の両社が、それぞれ勝手に信号システムを変更し、事後も情報を交換していなかったため、JR側のミスが発見できないまま放置されていた、とした。
 JRの林光昭運転士(50)については、待避所に対向列車がいないのを不審に思いながら、安全を確認しなかったと判断。過失責任を問うことにしたが、青信号に従ったことを考慮し、任意での捜査にとどめた。(朝日新聞)
■「JR上層部の追及を」信楽事故遺族の会会見 刑事告訴含め検討
 「信楽高原鉄道の関係者の逮捕は当然。だが、JR西日本側の責任がこの程度なんて…」。信楽高原鉄道事故「遺族の会」世話人代表の吉崎俊三さん(59)はこう語り、涙をぬぐった。滋賀県警捜査本部が関係者の強制捜査に踏み切った3日、「遺族の会」は弁護団とともに午後5時40分からJR西日本本社(大阪市)で会見。弁護団は「JR西日本自体を業務上過失致死傷罪に問うべきだ」として、刑事告訴も含めて検討中であることを明らかにした。
 会見には、吉崎さんのほか「遺族の会」世話人の中原邦夫さん(58)、弁護団からは事務局長の秋田真志弁護士ら3人が臨んだ。
 吉崎さんは「事故の責任は信楽高原鉄道とJRの両方に半分ずつあると考えていた。それがJR側は(業務上過失致死傷容疑では)運転士が書類送検されるだけ。事故の責任は安全対策を怠った会社にあるはずなのに…。責任は会社のもっと上層部が取るべきです」と語った。
 秋田弁護士は「遺族の気持ちを考えると、強制捜査は遅きに失した感がある。しかもJR側の責任を運転士個人に集中させたことは疑問だ。弁護団としては、JR西日本自体を業務上過失致死傷罪に問うべきだと考えている」と語った。今後の責任追及の方針については、6日に開かれる「遺族の会」総会で遺族側と話し合う、という。
・運転士に責任ない JR西日本会見
 「運転士は信号にしたがっており、責任はない」。信楽高原鉄道事故でJR列車の運転士が注意を怠ったとして業務上過失致死傷の疑いに問われたことについて、JR西日本の井沢勝・鉄道本部長は3日、記者会員し、捜査結果への不満を示した。
 「前からお話ししている通り、青は進め、赤は止まれ。信号は鉄道の基本で、これを崩すつもりはない」と井沢本部長は何度も言い、運転士に過失はなかったことを主張した。「では、事故の責任を認めないのか」と念を押されると、「捜査結果を待つと申し上げている」と、事故責任には触れないような遠回しの表現を繰り返した。
・証拠隠滅など恐れて逮捕 滋賀県警会見
 大惨事の刑事責任追及で信楽高原鉄道の関係者3人を逮捕した滋賀県警は3日午後、記者会見した。「身柄まで拘束すべきか」との疑問に、「事故当日の3人の行動が全部からみあっている。証拠の隠滅や、口裏を合わせる恐れがあった」と、逮捕の必然性を強調した。半面、1年半の長期捜査でも物証を固め切れなかった事情もうかがわせた。
 会見では西川雅善・滋賀県警刑事部参事官兼捜査一課長らから、捜査投入人員延べ1万3000人、押収証拠品2000点、捜査対象者計2250人など、膨大な捜査を物語る数字が飛び出した。
 「当初は専門用語さえ理解できなかったが、今なら100l分かる」と胸を張り、実際の走行テストをして継電器室での操作で信号が変わる状況を再現したという。このうえで「科学的な鑑定ではつかみ切れない人の動きの部分を強制捜査で一気に調べあげたい」とした。
 しかし、「任意の調べに応じているのに、逮捕しての供述を得なければならないのか」などの質問には「一連の行為をきちんと解明できないと立件できない」と説明、捜査が細部まで詰め切れていないことを暗に示した。(朝日新聞)
■JR西労 8日から96時間スト 新幹線・山陽線など影響
 JR西日本の乗務員勤務制度の改正に反対し、ストライキの構えを見せているJR西日本労働組合(JR西労、奥島彰委員長、約4500人)が3日、戦術内容を発表した。それによると、8日から4日間にわたる「96時間スト」など、旧国鉄時代の「スト権スト」(1975年)以来の規模で、運転士の6割を抱えるJR西労がストに突入すれば、山陽新幹線、大阪環状線、山陽線など同社管内一帯で相当な影響が出る。また、国労西日本(木嶋浩二委員長、約6800人)、全動労西日本(福岡孝洋委員長、360人)も18日にストを構えている。
 会社側に対する最終回答の指定日は7日。回答に不満の場合は、8日午前零時から11日いっぱいの96時間ストに踏み切る。いまのところ両者が歩み寄りを見せる動きはなく、スト突入は濃厚だ。
 在来線ははかに、紀勢線、山陰線、福知山線などで都市地域の計30線区。拠点は、大阪電車区、明石電車区、広島運転所など36ヵ所で、11日は小浜、舞鶴の両線などローカル線の8線区も加わる。
 最大組合の西日本旅客鉄道産業労働組合(JR西労組、約3万5000人)はストはしない。
 一方、国労西日本と全動労西日本は18日午前零時から24時間、それぞれ15ヵ所前後の拠点でストをする。しかし、参加人員が200人ほどと少ないため、影響はほとんどなさそうだ。
 JR西日本が示している新乗務員勤務制度は、現在、労働とみなしている運転士、車掌の列車乗り換えの待ち合わせ時間を労働時間から除外することによって「1800時間」の時短を達成する案で、各組合が「まやかしの時短」と反発している。
・円満解決はかりたい
 JR西日本の佐々木隆之人事部長の話 JR西労は、交渉の場につくことすら拒否しており、スト優先の姿勢は理解に苦しむ。引き続き交渉を通じて、円満な解決をはかりたい。(朝日新聞)
■JR貨物でも無資格運転
 JR東日本などで明るみに出ている大卒新入社員の無資格運転がJR貨物でも行われていたことが3日、同社の中間発表でわかった。東海道線などで5人が研修中に機関車を運転したのが確認された。(朝日新聞)
■年内に事故報告書を作る 信楽鉄道事故で運輸相
 奥田運輸相は4日、閣議後の記者会見で、信楽高原鉄道列車事故で3日、滋賀県警本部が業務上過失致死傷罪などで同鉄道関係者3人を逮捕したことに関連し「(事故で)亡くなられた皆さんに対し改めて哀悼の意を表し、反省の貴重な材料にしたい」と述べた。
 運輸省の信楽高原鉄道事故調査検討委員会の最終報告について「年内に出したい」との意向を示した。(京都新聞 夕刊)
■制服・制帽で 「スト理解を」 JR西労
 JR西日本の乗務員勤務制度の改正に反対し、ストライキの構えを見せているJR西日本労働組合(JR西労、奥島彰委員長、約4500人)が4日朝、大阪駅や明石駅などで、ストの理解を訴え、ビラまきをした。
 運転士、車掌の気持ちをアピールしようと初めて制服、制帽で臨んだ。(朝日新聞 夕刊)
5日■信楽惨事はなぜ 列車事故捜査終結 1 原因 信号赤固定が発端 欠けていた安全意識
 信楽高原鉄道列車事故の大惨事から約1年7ヵ月。犠牲者の遺族や負傷者が待った滋賀県警の捜査結果が3日発表され、事故原因は「複合的な人為ミス」との結論を出した。JR列車に乗車し肉親を亡くした遺族からは、「JRの上層部の責任が問えないのは納得できない」と悲痛なうめきがもれる。事故捜査の大きな節目を越えたのを機に、事故の背景や補償交渉の状況などを追った。(信楽列車事故取材班)
 「直接の事故原因の立件なら、もっと早くできた。問題は信号保安設備に縮む原因解明だった」。滋賀県警の捜査幹部は、約1年7ヵ月に及ぶ長期捜査の背景を話す。
 86年に兵庫県の国鉄余部鉄橋で起きた列車落下事故(死者6人、負傷者6人)でも、兵庫県警が関係者を書類送検するのに1年要した。専門的な信号保安設備の電気連動や保安管理体制の捜査は事情聴取や押収資料が膨大であることに加え、捜査員の鉄道知識の習熟にも時間がかかる。
 信楽事故では、負傷や鉄道関係者ら事情聴取した人は2200人を超え、信号保安設備の鑑定も今年10月末まで計6回に上った。
・無認可で追加工事
 事故は、信楽駅の信号が赤固定されるトラブルに端を発した。県警の調べでは、それは主に2つの原因が重なって起きた。@高原鉄道が信号保安設備の検査合格直後の昨年3月、運転上の理由から無認可で小野谷信号所の追加工事を行ったAJRが無認可で亀山指令所の方向優先テコを設置した−ことによると見る。JRは「方向優先テコは回路的には、設備に組み込まれている貴生川駅の方向テコと同じ。追加工事をすれば連動が変わることは技術的にわかるはず」と、高原鉄道側の過失を主張、裁判になれば争う姿勢を見せているが、主張が認められるのかどうか。
 事故の直接原因は、高原鉄道が信楽駅の信号が「赤」のまま、信号異常時の代用閉塞方式の手順に不可欠な対向列車の安全確認を怠ったためだ。しかし、その誘因の「赤」固定がなければ、事故の発生は避けられたかもしれない。だからといって、高原鉄道の非は否定のしようがない。
・以前にも「赤」出発
 大惨事の伏線は事故以前に起きていた。事故の11日前の昨年5月3日、高原鉄道は信楽駅で事故当日と同時刻発の列車を発車させようとしたが、出発信号が赤のまま変わらなかった。この時も、安全を十分に確認しないまま発車している。幸いこの日は、小野谷信号所のJR側信号は「赤」になっていた。高原鉄道列車が進行すると、すでにJR列車は信号所で停車しており、手動で線路のポイントを切り替え、行き違いをした。「事故当日も小野谷信号所でJR列車が待っていてくれるだろう、との思い込みがあったのではないか」と、捜査幹部は指摘する。
 事故後、遺族の会弁護団は大破した高原鉄道列車の車内から、張り紙を見つけた。そこには、乗客のみなさまへと書かれ「信号所で行き違う関係上、信楽駅では発車を絶対遅らせることはできません」と記されていた。ダイヤに忠実であろうとするその気持ちが、安全確認になぜ及ばなかったのだろうか。(京都新聞)
■JRスト対策 管理職運転ミス相次ぐ 西日本 現場離れ不慣れ 停車駅通過/発進時に後進
 JR西日本労働組合(JR西労)は8日から96時間ストライキを予定しているが、ストに備えてJR西日本の管理職らが実施した運転訓練中、誤って駅を通り過ぎたり、バックするなどのトラブルが広島、山口県下などで計3件起きていることが、4日、明らかになった。現場を離れて運転が不慣れなために起きたケースが多く、JR西労は「乗客の安全を確保するため、管理職に運転をさせるのはやめるべきだ」と話している。会社側が運転を奨励している最中に起きたケースもあり、同社の安全管理の姿勢が問われそうだ。
 JR西日本によると、11月30日午前11時ごろ、山口県下の山陽線で、ふだんは電車に乗らない下関運転所の主任運転士(49)が乗客が乗った普通電車を運転。下関−小月間を走った。この電車には運転士が乗っていたが、区間の大半を主任運転士が運転した。主任運転士は運転免許は持っているが、すでに現場を離れており、運転業務を調整するのが本来の仕事。「スト突入になれば、臨時に運転しなくてはならない。自信をつけるため自主的に運転した」と話しているという。
 山口県徳山市の山陽線でも8月5日、スト対策で会社側から運転訓練をするよう指示された広島支社の主任運転士(45)が、乗客を乗せた特急「みずほ」を運転。停車駅の徳山駅を通過してしまい、本来は停車しない5つ先の防府駅で乗客を降ろした。
 8月30日、広島市の山陽新幹線新井口駅でも広島新幹線運転所の助役(49)が普通電車を運転したが、停車位置に止まれなかったため、後進。さらに発進する際、誤って再び後進した。乗客は無事だった。
 JR西日本によるとこうしたスト対策の「思い出し教育」は、ストのあったこの春から、3ヵ月に1日の割合で実施されている。
 JR西日本労働組合は「本来、長期間、乗務から離れると、訓練はもっと必要のはずでは。スト対策中心の安全軽視策だ」と批判した。
・160万人に影響か
 JR西日本労働組合(JR西労、奥島彰委員長、約4500人)が8日から11日まで96時間ストを構えている問題で、JR西日本は4日、スト対策本部を置き、ストに突入した場合のダイヤの乱れ予想を発表した。同社内の49線区のうち33線区、約160万人に影響が出、同労組が春に行ったストの倍の規模の混乱になる見通し。山陽新幹線や特急、急行は平常の95%の列車の運行を確保できるが、普通列車は平均10−80%と地域によってばらつきがあり、特に近畿圏では奈良線など4線区が全面運休するなど、通勤通学に大きな支障がでそうだ。
 新幹線は、新大阪−博多間で1日最高で10本が運休。特急、急行では、8−11日までは特急「はまかぜ」、11日のみでは急行「但馬」「砂丘」「わかさ」に運休が出る見通し。
 普通列車で全面運休となるのは、奈良、草津、兵庫−和田岬間、紀勢(一部)の各線、11日のみ全面運休となるのは、加古川、津山、因美(同)、吉備、姫新(同)、可部(同)の各線。それ以外の線区の一部では、間引き運転などをする。
 近畿圏の主要線区、列車では、東海道・山陽線(JR京都・JR神戸線など)の新快速、関西線などの大和路快速がともに全面運休するほか、大阪環状線が通常の40%、片町(学研都市)線50%、福知山(JR宝塚)線40%などの運行率となっている。
 JR西労は今春闘でも26時間ストをし、計約97万人の足に影響が出た。
 JR西日本はJR西労に従来、労働時間としてきた運転士、車掌の電車乗り換えの待ち合わせ時間を労働時間から除外し、一気に時短を達成する新乗務員勤務制度の導入を提示。これに対し、JR西労は「待ち合わせ時間を労働時間に入れないのはおかしい」と反対している。
 新乗務員勤務制度については、国労西日本(約6800人)、全動労西日本(約360人)も反対し、別の18日にストを設定。最大の西日本旅客鉄道産業労働組合(約35000人)は「交渉で成果があった」として4日に会社側と妥協するなど、各組合の対応はまちまちだ。(朝日新聞)
■JR西日本96時間スト 京都線40%運行 琵琶湖線など新快速ストップ
 JR西日本は4日、JR西労が8日から96時間ストに突入した場合の管内の運転見込みの概要を発表した。
 それによると、東海道・山陽線の新快速が8日早朝から全面運休するのをはじめ、在来線の通勤圏を中心にダイヤが混乱、・山陽新幹線も一部運休する。
 山陽新幹線(新大阪−博多間)は1日約10本が運休するが、運転率は95%確保できるとしている。
 京滋関係では奈良、草津線が4日間全面運休となるのをはじめ、最大運行率の学研都市線などでも通常の半分しか動かないなど、大きな影響が見込まれる。各線の運行率は、▽京都線(京都−大阪間)、湖西線(京都−近江塩津間)、嵯峨野線(京都−園部間)=40%運行▽学研都市線(片町−木津間)、琵琶湖線(京都−米原間)=50%運行▽草津線(草津−柘植間)、奈良線(京都−木津間)=全面運休▽園部以北の山陰線、舞鶴線(綾部−東舞鶴間)=20〜50%運行。
 また、京都、琵琶湖、湖西線の新快速は全面運休する。嵯峨野線では京都−亀岡間の折り返し普通列車18本は運休となる見込み。(京都新聞)
■新幹線の回数券盗難 旅行代理店1000万円相当分
 中京区河原町通蛸薬師飢えルの旅行代理店「日本旅行京都河原町支店」(和田支店長)の金庫から約1000万円相当のJR東海道新幹線の回数券が盗まれ、五条署に被害届けを出していたことが4日、わかった。
 調べでは、盗まれたのは店内東側の金庫に保管していた新大阪−東京間の新幹線エコノミー切符で、1冊が50枚つづりの普通乗車券10冊(約592万円相当)と1冊30枚つづりのグリーン券10冊(約429万円相当)。和田支店長が9月4日に金庫を調べて盗難がわかった。8月20日に調べた時には異常がなく、この2週間のあいだに盗まれたらしい。
 五条署によると、店のドアや窓などをこじ開けて進入した形跡はなく、金庫のかぎも壊されていなかった。金庫にはエコノミー切符が他に数10冊あったが、無事だった。盗まれた切符の一部は通し番号から東京都内と大阪市内の金券ショップで見つかったほか、使用済みの数枚が東京都内のJR駅で見つかっているという。(朝日新聞)
■ロッカーから短銃を発見 京阪電鉄三条駅
 4日午後1時10分ごろ、若い男の声で「変なものを拾ったので、京阪電鉄三条駅のロッカーに入れた。警察で処分してくれ」と松原署に電話があった。告げられた番号のコインロッカーを署員が開けたところ、紙袋に入った短銃が見つかった。同署の調べでは、見つかったのは25口径のイタリア製自動式短銃。口径が、11月11日に東山区縄手通四条上ルで起きた発砲事件の現場に残された薬きょうと一致するため、関連を調べている。(朝日新聞)
■ロッカーから短銃 京阪三条駅構内
 4日午後1時ごろ、松原署に若い男の声で「短銃を京阪電鉄三条駅構内のコインロッカーに入れた。処分してほしい」と電話があった。捜査員が、指定されたコインロッカーを開けたところ、イタリア製25口径の短銃2丁を発見、押収した。
 先月11日夜、京都市東山区祇園の路上で指定暴力団組員(44)が市民と口論、短銃を空に向けて発射、傷害容疑で逮捕される事件が発生している。松原署は、発砲事件に使われたとみられる短銃が未発見で、押収した銃と口径が一致するため、確認を急いでいる。(京都新聞)
■運転主任ら送検 信楽鉄道事故
 信楽高原鉄道事故の刑事責任について捜査している滋賀県警捜査本部は4日、業務上過失致死傷と業務上過失往来妨害の疑いで信楽高原鉄道運転主任の里西孝三(62)、同施設課長の山本長生(56)、信号設備会社「信栄電業」社員八木沢守(44)の三容疑者を送検した。
 また、同容疑でJR列車の林光昭運転士(50)と事故で死亡した高原鉄道の業務課長=当時(54)=ら3人の計4人を、鉄道事業法違反容疑でJR西日本、信楽高原鉄道両社とそれぞれの担当者2人をいずれも書類送検した。
 調べによると里西容疑者は、高原鉄道列車が信楽駅の出発信号が赤固定したまま「代用閉そく」方式で発車した際、安全を十分確認しなかった疑い。八木沢容疑者は赤固定の原因を調べるため同駅構内のリレー室で点検を行った際、列車すれ違い区間の反対列車側の出発信号を青にし、山本容疑者はこれを指揮監督した疑い。業務課長ら3人は安全確認が不十分なまま列車を発車させた疑い。
 またJR西日本は、赤固定の原因になったとみられる「優先テコ」設置を、高原鉄道は信号所の設備変更工事をそれぞれ運輸省の認可を得ずに行った疑い。(京都新聞)
■新幹線切符800枚盗難 日本旅行河原町支店 1000万円相当、金庫から 今年9月
 日本旅行京都河原町支店(京都市中京区河原町蛸薬師上ル、和田弘店長)で今年9月、新幹線のエコノミー切符約1000万円相当が盗まれてたことが4日までに分かった。
 五条署の調べによると、盗まれたのは、1冊50枚つづりの「新大阪−東京」間の指定席回数券10冊(592万円)と、1冊30枚つづりの同じ区間のグリーン席回数券10冊(429万円)の計800枚。8月20日、職員が支店内の金庫に他の新幹線切符や航空券とともに保管していた。9月4日に金庫の中身を確認し、被害に気付いた。
 同署は窃盗事件として捜査しているが、盗まれた切符には通し番号が付いており、その後の調べで、うち2枚が大阪と東京で使われ、他の2枚が大阪の金券ショップで見つかった。(京都新聞)
■小倉山の放置残土 今日住民らが嵯峨駅前に搬出
 JR西日本による小倉山(右京区)のトンネル幸治残土放置問題で、市民らでつくる「小倉山頂の忘れ物をJRにお届けする会」は5日、自分たちの手で残土を運び出し、JR嵯峨駅前まで持ち帰る「残土搬出登山」を実施する。
 午後1時に京福電鉄嵐山駅に集合。渡月橋から亀山公園を経て小倉山山頂へ登る片道約2.5`のコース。午後4時ごろに嵯峨駅前に到着、リュックサックなどに入れてきた残土を駅前広場に積み上げて解散する。今回の運動の呼びかけ人となった随筆家松本章男さん(61)は「単なる抗議行動ではなく、小倉山に対する市民の愛着と環境改善のための協力だと理解してほしい」と話している。
 「残土搬出登山」は毎月第1、3土曜日(雨天の場合は次週に順延)に継続して行う予定。(朝日新聞)
6日■信楽惨事はなぜ 2 背景 双方が勝手に工事 信号システムに変動
 滋賀県警の記者会見で、捜査幹部は「高原鉄道も、JRも互いに十分に協議せず工事を進めた」と事故の背景に言及した。
 高原鉄道は、世界陶芸祭を契機にした輸送力アップのため信号保安設備の導入を決め、89年秋、JR西日本に直通列車の乗り入れを要請。さらに、共同使用駅の貴生川駅関係の施設改良工事はJRに委託、信楽駅に設置する制御盤や小野谷信号所の付属施設はメーカーに発注することにした。
 県警やJRの説明では、両社や下請け工事会社を含めた施工前の打ち合わせ会議は90年4月下旬、6月下旬、9月中旬の計3回開かれた。この時、JR側は小野谷信号所の上り出発信号を「赤」に制御する装置が欲しいと要請した。
・単独会議で方針転換
 信楽先の上り列車が先に待避線区間の小野谷を通過してしまうと、貴生川発の下り列車は、上り列車が貴生川駅に到着するまで発車できず、ダイヤが乱れる。小野谷で上り列車を停車させ、遅れを最小限にするのがねらいだった。
 要請を受け、高原鉄道は信楽駅の制御盤に小野谷の上り出発信号を赤固定させる抑止テコを盛り込んだ図面をJRに渡した。だが、JRは同年9月下旬に社内で単独の会議を開き、JR亀山指令所に方向優先テコを設置することを決めた。
 方向優先テコは貴生川発の下りルートを方向設定することで、小野谷の上り出発信号を赤国定する。機能的には抑止テコと同じだ。
・問題あるJRの対応
 道義的に問題なのは、JRの対応である。県警は「JRは高原鉄道に優先テコの図面も渡していないなど十分に説明せず工事を進めた」と、認定した。
 また、JRは優先テコで機能を果たせることから高焼鉄道に抑止テコを外すよう要望。抑止テコは、制御盤製作メーカーの工場で出荷段階で外されたという。
 一方、高原鉄道は、信号保安設備の検査合格直後の91年3月に運転上の理由から、無認可で小野谷信号所の追加工事をした。県警はこの工事もJRと脇議なしに実施したと、している。
 事故の発端となった信楽駅信号の赤固定は、高原鉄道の追加工事で信号システムの連動が変わり、JR亀山指令所の優先テコが引かれた状態で起きることが鑑定結果で確認された。
 法的には両社と工事責任者は、無認可工事による鉄道事業法違反容疑(100万円以下の罰金)で、手続きミスの形式犯として書類送検されたに過ぎない。無認可工事が事故の直近過失でない上、業務上過失致死傷罪が個人の責任追及を主眼にしているため、遺族の求めた「JR上層部の責任追及」が問えなかった事情もある。
 「連携が十分にとれていれば、事故は起きなかったかもしれない」。捜査幹部のつぶやきを、遺族はどう聞くのだろうか。(京都新聞)
■小倉山問題で 京のグループ 「忘れ物」残土届ける JR嵯峨駅 受け取りを拒否
 JR山陰線トンネル工事の残土が、京都市右京区の小倉山に放置されている問題で、JR西日本に抗議する市民らでつくる「小倉山頂の忘れ物をJRにお届けする会」が5日、自分たちの手で残土をJR嵯峨駅前に運び出す「残土搬出登山」を行った。
 この日は、午後1時に会の呼びかけ人の随筆家松本章男(61)ら家族連れも交じる約70人が、ハイキング姿で京福電鉄嵐山駅前に集合。渡月橋から亀山公園を経て小倉山までを約2時間かけて往復、山頂に放置されている残土の中から、こぶし大から直径約20aほどまでの石数十個をリュックサックやビニール袋につめ込んだ。
 午後4時前に同嵯峨駅前に到着した一行は、応対に出たJRの工事担当者に「残土を放置しているのは、工事後に撤去して原状回復するという事前の旧国鉄と京都市の協定に違反している。私たちが持ち帰ったので受け取ってほしい」と要請した。これに対してJR側は「この問題では、残土を残したままの植栽・復元工事を行うことで京都市の承認を受けており、残土は受け取れない」と拒否した。このため、一行は運び込んだ約150`の石を、駅舎東側の軒下に積み上げ、抗議の意思を示して、引き上げた。
 同会では、今後も毎月第1、第3土曜日に同様の抗議行動を続ける予定。放置された残土についてJR側では「公共の場所でもあるので、当面は、駅近くのJR施設に移動し、保管したい」としている。(京都新聞)
■窓 「信号」変更は未必の故意 城陽市・斉藤 訓(団体職員・45)
 昨年5月の、信楽高原鉄道とJR西日本の臨時列車の正面衝突事故に、滋賀県警が強制捜査に乗り出し、業務上過失致死傷容疑で逮捕、あるいは総研した。
 1年以上も経過してから、強制捜査に乗り出すのも、遅きに失した感が免れ得ないし、運転士だけに責任をかぶせるのも納得できないし、業務上過失致死傷容疑もしっくりこない。
 もともと交通信号システムの設計思想として、「フェール・セーフ(Fail Safe) 」が採用されている。出発信号が赤のまま変わらないのは、そのあらわれである。JR西日本の下り列車優先運行のシステムや、小野谷信号システムなどの変更は、その設計思想に全く逆行している。トラブルが発生すれば、安全を最優先して、すべてがストップするか安全の方へ作動するのが、人命を預かる交通機関の責務である。そのためマニュアルの整備や人為的ミスにも、対応した処置が要求される。
 そのような面からみれば、JR西日本や信楽高原鉄道側の責任は、明確である。さらに言えば、本来安全を全面的に預かるべき「信号システム」が変更されたのは、業務上過失などではなく「未必の故意」である。
 600人以上の死傷者を出した事故は、鉄道会社2社による「未必の故意による殺人」罪を適用することも考えられるのではないだろうか。(京都新聞)
■信楽高原鉄道 2人逮捕で運行綱渡り 運転主任 1日おき24時間勤務
 死者42人、重軽傷者614人の列車事故を起こした信楽高原鉄道(本社・滋賀県甲賀郡信楽町)の運行がピンチに直面している。ぎりぎりの人数で運営している中、かなめの社員2人が滋賀県警に逮捕されたためだ。同鉄道は「このままだと運転できなくなる」と5日、緊急の幹部会を開いたが、解決の決め手は見つからず、苦悩を探めている。
 同社の従業員は33人。うち12人は「事故ご被災者相談室」(大津市)勤務で、1日14往復の列車を走らせているのは21人だ。逮捕されたのは駅務を担当する運転主任3人のうちの1人と、施設の安全管理を担当する施設課長。
 同鉄道で駅員がいるのは、6駅のうち信楽駅だけ。3人の運転主任は信楽駅で午前8時半から翌朝9時まで24時間余りの勤務を、3日に1日のローテーションで回してきた。出改札をし、列車が到着するとホームに出て安全確認。車両の増結や切り離し時の手旗誘導、ホームなどの清掃から売り上げまで計算する。その主任の1人が逮捕され2日に1度のローテーションになった。
 一方、課長と課員の2人だった族設課は課員1人になった。全線のレールや12ヵ所の踏切などの保守や土木建築工事などを担当。これまでは2人が交代で巡回に出掛け、主に最終列車が出た後になる工事の監督をした。1人ではとても手が回らないという。
 5日の幹部会では、同鉄道を定年退職した元社員に応援を求める一方、社員の採用も検討することにした。しかし、切り詰めて運営している同鉄道の給与体系では若い人の応募は見込めないという。
 北川啓一社長は「逮捕とは思いもよらなかった。公務員なら通常、起訴段階で休職処分となるが、うちでは一日も早く復帰してもらいたい」と話している。
 橋本信郎・近畿運輪局鉄道部調整官の話 信楽高原鉄道から、どんな態勢で対処するか報告を受けていないが、事故後JRから重役として派遣されている人たちも現場の仕事に加わって、乗り切ってほしい。(朝日新聞)
■JR西労の96時間スト 府内でも大きな影響?
 JR西日本労働組合(JR西労)が、乗務員の乗り換え待ち合わせ時間を労働時間から除く勤務制度の導入に反対して8日から96時間の師走ストを予定しているが、決行されると、府内を走るJR各線でも運休が相次ぎ、利用客の足が大きく乱れそうだ。
 スト決行で、最も大きな影響を受けるのは奈良線(京都−木津)。1日120本が全面運休する見込みだ。利用客は並行して走る近鉄京都線に乗り換えることになりそうだ。またJR京都線(京都−大阪)も運転率が40%となり、新快速が全面運休し、京阪神間のダイヤが大幅に乱れそうだ。嵯峨野線(京都−園部)も京都と亀岡を折り返し運転する普通列車18本が運休するなど40%の運転率。学研都市線(片町−木津)も約半数の列車が運転を取りやめる、という。
 府北部では、山陰、福知山、舞鶴の各線で運休率50−80%となり、JR福知山支社では「兵庫北部と合わせ約1.8万−2万人の利用客に影響が出るだろう」としている。特急「タンゴエクスプローラー」や「あさしお」は通常通り運行する、という。
 JR京都駅では、改札口やホームなどにスト予定のお知らせを一斉に張り出した。利用客からの問い合わせめ電話もちらほら鳴り出したが、「通勤、通学者より、旅行のスケジュールを心配する人が目立つ」と話している。(朝日新聞)
■青鉛筆
 チンチン電車で飲む酒はどんな味、とイベント関連企業の業界団体が5日夕、阪堺電車を借り切り、忘年会を開いた。大阪・恵美須町と堺・浜寺間往復の2時間余りの旅。
 車内にテーブルをセット、酒などを持ち込み、モールや豆電球で天井を飾り付けた。「チンチン電車は初めて」と喜ぶOLもいて、サンタ姿のバンドの生演奏やオークションで盛り上がった。
 同電車は今年、こうしたイベントの売り込みに力を入れており、郷愁もあってなかなかの人気とか。電車の揺れで酒もよくまわり、不況の折にはかえって経済的なのかも。(朝日新聞)
7日■信楽惨事はなぜ 列車事故捜査終結 3 遺族 安らぎ取り戻せず 後遺症に苦しむ人も
 「お寺をいったいだれが継いだらいいのか…」。大津市大石にある帰命寺の副住職だった高橋宗人さん当時(42)=を事故で亡くした妻の和子さん(44)は、惨事から1年7ヵ月たった今も、心の整理がつかないでいる。宗人さんは、会社動めの傍ら、住職だった病身の父親に代わって壇家の世話を焼いていたのだ。
 宗人さんは、会社の研修で信楽町の「世界陶芸祭」へ行く途中、JR西日本の列車に乗って事故に遭った。職場の仲間と超満員の先頭車両に立っていた。「列車に押し込まれたんです。JRの利益追求の体質がすべて悪い。運転士の責任をいまだに認めようとしないJR上層部が心の底から僧い。裁判だってなんだってしたい」。和子さんの心は静まらない。
 JRのキップを手に無念の死に追いやられた犠牲者の家族にとって、憤懣(まん)はJRとともに、JR側の刑事責任が運転士の書類送検のみにとどまった滋賀県警の捜査結果にも向けられる。
・「JRの責任は…」
 「JRの責任に踏み込んでこそ原因究明になる。運転士が悪いのは初めから分かってるんだ。1年半も何を調べてたんや」同じくJRの列車で妻の辰子さん=当時(52)=を失った神戸市の会社員中原邦夫さん(57)も、捜査発表の載った新聞に怒りを吐き捨てるように言った。
 妻の不慮の死で日延べした長男の結婚式が今月20日にある。中原さんが29年前に式を挙げた同じ宝塚市内のホテルで、長男が新たな人生のスタートを切る。「捜査結果で区切りをつけたかったが…。家内は喜んでくれるだろうか」
 「JR西日本への責任追及は手ぬるい。そうでしょ、お父さん」夫の修さん=当時(33)=を奪われた亀岡市の主婦森上美由紀さん(34)は、祭壇の修さんの遺影にこう報告した。居間に設けられた小さな祭壇には、小学生の娘2人が「JRのせいでつらい目に遭っています…」とつづった作文や修さんの似顔絵が飾られている。「気持ちの整理なんて、とても…」捜査結果は、美由紀さんの思いに比べあまりにも軽かった。
・「動けないんです」
 事故の後遺症で今なお苦しんでいる被災者も少なくない。JR列車で首の神経を痛めた京都市右京区の主婦(49)は、リハビリのため病院に通うほかは自宅で寝たきりの状態が続いている。「息が詰まり、頭がズーンと重くなる。右半身のしびれも取れない。動けないんです」悪くなるのを防ぐしか手はない、と医者は言った。「JRに乗ってたのに見舞いに来てくれるのは信楽町役揚の人だけ。JRに誠意なんて…」
 足かけ2年の時間をかけて、県警の原因解明が終結した。息をひそめてその日を待った遺族や被災者の多くは、しかし、安らぎを取り戻せないでいる。いったい何が、この人たちの心を「5月14日」に引き止めているのだろうか。(京都新聞)
■「信楽鉄道事故 遺族の会」JR前社長から告訴へ 「安全確保怠った」
 信楽高原鉄道事故の「犠牲者遺族の会」(吉崎俊三世話人)と同弁護団(秋田真志事務局長)は6日、大阪市内で遺族総会を開き、滋賀県警による同事故の刑事責任の追及が、JR西日本の上層部の安全管理体制にまで及ばなかったことを不服として、同社の角田達郎社長(当時)ら7人を7日、大津地検に業務上過失致死傷罪で告訴、業務上過失往来危険罪で告発することを決めた。
 訴えるのは、ほかに井沢勝・鉄道本部長、日高秀登・同副本部長兼運輸部長、守屋実・安全対策室長ら(いずれも当時)。
 弁護団によると、角田社長らは、同社の列車が信楽高原鉄道に乗り入れる際、同鉄道には電気や信号についての専門職員がいないことや、乗り入れ直後、信号トラブルが発生するなど信号保安システムの信頼性が確立していないことを知りながら▽信号トラブルの原因解明が行われず▽運転士らにシステムを過信しないよう指導もなく▽「代用閉そく」方式の合同訓練など、異常時の安全教育の徹底を怠った−などとしている。
 また、保安面での責任者が刑事責任を問われた東京のホテルニュージャパン火災の判決などを例に、直接の単純ミスだけでなく、その背後の事情を捜査し、ミスの予見可能性と結果回避義務違反を厳格に判断するよう求めている。
 遺族会と弁護団は7日午前、大津地検に告訴状を提出する。(京都新聞)
■JR2電車が駅行き過ぎる 東海道線と阪和線
 6日夜、大阪府内のJR東海道線、阪和線の駅2ヵ所で、電車が停車位置を大幅に行き過ぎて止まるトラブルが相次いで起き、列車の遅れなどで合計2800人に影響が出た。
 同日午後6時40分ごろ、岸和田市大町の阪和線久米田駅で、天王寺発日根野行き下り普通電車(4両編成、乗客220人)が停車位置を約200b行き過ぎて止まった。
 後続の快速列車が追っていたため普通列車は5分後、そのまま次の下松駅へ向かったが、後続の快速列車など合わせて3本に最高5分の遅れが出た。久米田駅で降りる予定だった30人は下松駅から上り列車で引き返した。
 続いて午後7時10分すぎ、高槻市宮田町の東海道線摂津富田駅で、西明石発京都行き上り普通電車(7両編成、乗客480人)が約160b行き過ぎて停車した。
 正しい位置まで後退して利用客の乗り降りを行ったため、後続の快速列車など4本が8−2分遅れた。
 JR西日本によると2件とも、快速列車と勘違いしたり、ブレーキをかけるタイミングが遅れたなど運転士のうっかリミスが原因という。(京都新聞)
■JR西労 96時間スト突入か 1日あたり 160万人影響
 勤務制度変更をめぐり会社側と対立するJR西日本労働組合(JR西労、奥島彰委員長、組合員約4500人)は、8日午前零時から96時間ストライキに突入する公算が大きくなった。7日、会社側と最終交渉をするが、歩み寄る可能性はほとんどなく、近畿、中国地方を中心に8日朝から通勤の足が乱れそうだ。
 対立している勤務制度の変更はJR西日本がことし9月、各労組に提案。総労働時間を短縮する代わり、乗務員の折り返し駅での「待ち合わせ時間」を従来のように勤務時間と認めないというもの。
 最大労組のJR西労組(組合員約3万5000人)は手当て増額を条件に受け入れたが、運転士などの約6割を組合員に抱えるJR西労は強く反発、昭和50年のスト権スト以来の長時間ストを構えた。
 スト突入の場合、JR西日本は1日約160万人の乗客が影響を受けるとみている。山陽新幹線(新大阪−博多間)は1日約10本の運休にとどまるが、在来線の東海道、山陽、大阪環状線など主な線で4−6割の運休になる。
 JR西労は、いったんストに入れば96時間打ち抜く方針を強調。同労組の組合員の脱退工作を会社側が続けているという不満も重なり、4日連続のストとなる見込み。(京都新聞)
■JR会長ら告訴へ 信楽事故遺族の会 「安全管理に責任」
 滋賀県甲賀郡信楽町で去年5月、信楽高原鉄道の列車とJR西日本の列車が正面衝突し、42人が死亡した事故で、うち22人の犠牲者で結成している「遺族の会」(吉崎俊三・世話人代表)は6日、事故当時、JR西日本の社長だった角田達郎・現会長をはじめとする同社幹部ら7人を業務上過失致死傷罪と、業務上過失往来危険罪で、大津地検に7日に告訴、告発することを決めた。この事故では、滋賀県警捜査本部が信楽高原鉄道の社員やJR西日本の運転士らを業務上過失致死傷などの容疑で送検しているが、遺族の会は「JR西日本全体の安全管理体制に問題があった点の責任追及が十分でない」として告訴に踏み切ることにしたという。
 告訴されるのは、角田前社長のほか、井沢勝・鉄道本部長▽日高秀登・前鉄道副本部長▽安全対策室長▽当時の電気部長と信号通信課長▽事故のJR列車の運転士。
 告訴状によると、角田前社長らは、JR列車の直通乗り入れが始まってわずか1ヵ月あまりの間に信号トラブルが多発し、信楽高原鉄道に十分な保安管理体制が整備されていないことを知り、あるいは、知るべき体制を確保すべき立場にあった。しかし、信楽高原鉄道の軌道上の安全確保の義務は、すべて信楽高原鉄道にあるとの安易な認識から、信号トラブルの解消措置などの十分な安全対策を取らなかったため、事故が起こったとしている。
 また、告訴の理由は「ともすれは、事故の刑事責任は直接的な過失行為のみを取り上げて終わることがあるが、その背後にある原因を十分とらえなければ、惨事の再発は防げない」と説いている。
 さらに、遺族の会側は、ホテルニュージャパン火災や川治プリンスホテル火災の判決をあげ、「信楽事故についても、直接ミスを犯した個人だけでなく、組織の責任者にも刑事責任は問える」としている。(朝日新聞)
■師走の電車うっかり駅通過 阪和線と東海道線
 6日午後6時38分ごろ、大阪府岸和田市大町のJR阪和線久米田駅で、天王寺発日根野行き普通電車が、停車位置を約200b行き過ぎて止まった。後続の快速電車が迫っていたため、そのまま発車。同駅で下車予定の乗客30人は次の下松駅で上り電車に乗り換え、引き返した。
 さらに、午後7時12分ごろ、高槻市富田町一丁目の東海道線(京都線)摂津富田駅で、西明石発京都行き普通電車が、停車位置を約160b行き過ぎ、同駅までバックした。
 JR西日本によると、いずれも勘違いなど運転士のミスでブレーキ操作が遅れたとして、駅や車内の放送で乗客に謝罪したという。(朝日新聞)
■信楽事故「安全対策怠る」遺族の会 JR元社長ら7人告訴
 信楽高原鉄道事故で死亡した42人のうち22人の犠牲者の遺族でつくる「犠牲者遺族の会」(吉崎俊三世話人)と弁護団は7日午前、大津地検にJR西日本の当時の角田達郎社長(現会長)ら7人を業務上過失致死傷罪で告訴、業務上過失往来危険罪で告発した。滋賀県警による事故の刑事責任追及が、JR西日本の上層部の安全管理体制にまで及ばなかったのは不服だとして、告訴に踏み切った。
 訴えられたのは、ほかにいずれも事故当時の井沢勝・鉄道本部長、日高秀登・同副本部長兼運輸部長、守屋実・安全対策室長ら。
 告訴状などによると、角田社長らは、信楽高原鉄道には電気や信号を十分理解できる職員がいないことや、JRが設置した「優先テコ」の影響による信号トラブルが発生することなどを予見できる立揚にあった。しかし、トラブルの原因調査や運転士への指導、異常時の安全教育の徹底を怠るなど、十分な安全対策を取らなかった−としている。
 この日は午前11時すぎ、同弁護団の秋田事務局長や遺族ら9人が大津地検を訪れ、告訴状を提出した。(京都新聞 夕刊)
■JR西労スト 平常の倍誓い混雑 あす突入 京都線など大幅運休
 JR西日本労働組合が8日午前零時から予定している96時間ストで、JR西日本は7日午前、最終的な運転見込みと影響を発表した。7日夜からスト突入の8日未明にかけての終始発列車はほぼ正常運転。また運休が一部見込まれてきた山陽新幹線は”OB運転士”の投入で100%正常運転となる。
 近畿通勤圏の在来線では、朝のラッシュ時(午前7時から同9時まで)が、大阪環状線をはじめ、東海道・山陽(京都・神戸線など)、琵琶湖、片町(学研都市線)、桜島の各線が50%の運転率となるほか、新快速が全面運休するためふだんの倍近い混雑となりそう。終日でも40%程度の運転率となる見込み。
 京滋関係では奈良、草津線が4日間全面運休となるほか、その他の線区でも朝通勤時間帯(午前7時−9時)で40−60%、終日では40−70%の運転率になる見込み。新快速は京都(120本)、琵琶湖(101本)、湖西線(17本)でいずれも4日間全面運休、嵯峨野線では京都−亀岡折り返しの普通列車18本が運休。
 JR西日本では、長期ストとなることや拠点拡大で、今春闘のスト時のほぼ倍の1日当たり160万人が影響を受けるとみており、時差出勤や他の私鉄への乗り換えを呼び掛けている。
 また大阪環状線では天王寺、新今宮、鶴橋、京橋など他のJR線や私鉄との乗り換え駅で、ホームヘの入場制限をする。
スト突入時の運転見込み率
朝通勤時終日
京都線(京都−大阪)50%40%
琵琶湖線(京都−米原)50%40%
学研都市線(片町−木津)50%40%
湖西線(京都−近江塩津)60%40%
嵯峨野線(京都−園部)50%50%
山陰線(園部−居組)40-60%40-60%
舞鶴線(綾部−東舞鶴)50%50%
草津線(草津−柘植)0%0%
奈良線(京都−木津)0%0%
北陸線(米原−長浜)80%70%
 このほか加古川線が11日の1日、全面運休するほか、各支社の在来線は20−80%運転となるが、中には通常の1割ぐらいしか運転できない線もある。
 同社では、本社社員約2000人を動員して駅の整理に当たるほか、利用者から問い合わせを受ける「キク象コーナー」や本社広報の電話を増やし、スト情報を流すことにしている。(京都新聞 夕刊)
■JR96時間スト予定 ”師走の足”確保大変 学期末テスト重なり心配 サラリーマン冷静な対応
 勤務制度の変更をめぐりJR西日本労働組合(JR西労、奥島彰委員長、組合員約4500人)は8日午前零時から96時間ストライキを予定している。突入となれば通勤・通学圏の京滋の在来線を中心に、大きな影響が出るとみられる。年の瀬の慌ただしさに季節はずれのストが加わり、前日の7日はJR各駅ではお知らせを掲出したり、学校や企業などでは通勤、通学の足確保の対応に追われた。
 JR京都駅では、各在来線の影響などを示す「お知らせ」を5日から中央改札口や八条口など4ヵ所に張り出したのをはじめ、7日朝までに構内に約70枚を掲出した。また構内放送で、通勤客らにできるだけ別の交通機関を利用するよう呼びかけている。
 同駅には、今のところ運行率などの問い合わせが寄せられているが、「お知らせ」に足を止める利用客は少なく、落ち着いて受け止められているようだった。
 学校関係では、代替え交通機関の少ない南山城方面や府北部で、影響が心配されているが、学期末テストと重なる学校が多く、対応に苦慮している。
 全校生徒1360人の8割以上がJRを利用している府立木津高校(相楽郡木津町)は「予定通りストに入れば、臨時休校」の方針を決め、7日、全生徒に連格した。「テレビなどのニュースに注意するよう」指示する一方、9日からのテストに備え、「休校の場合しっかり自宅学習を」と呼びかけている。
 3分の1以上がJR通学の府立工業高校(福知山市)はテスト2日目に当たるが、ストがあってもなくても8日は始業を1時間遅らせ、遅刻者に対しては再テストを実施、他の6校も開始時間を繰り下げてテストを行う予定。私立高校も、駅に問い合わせるなど情報を集め、ふだんより早めの登校を呼びかけている。
 京滋の各企業では、全面運休でないこともあって、特別な対応をするところはない。京セラ、オムロン、島津製作所などは「終業時段階の情報をマイク放送などで流し、注意を促す」程度で、あとは社員の努力に期待。京都銀行は「個別事情によってマイカー通勤を認めるが、今のところ申請はない」といい、サラリーマンの対応も冷静なよう。また京都市内のホテルでもスト対策的な宿泊予約は特にないという。(京都新聞 夕刊)
■JRストあす突入濃厚 西日本 新快速は全面運休、新幹線は平常
 乗務員の労働時間を短縮するためにJR西日本(井手正敬社長)が打ち出している勤務制度の見直しに反対し、96時間ストライキを構えているJR西日本労組(JR西労、奥島彰委員長、約4500人)と会社側の団体交渉が7日午前11時から、大阪市北区のJR西日本本社で行われた。労使の主張の隔たりが大きいため午前中の交渉はまとまらず、時間切れで8日午前零時からストに突入する公算が大きくなった。予定通り4日間のストライキが続けは、今春闘の26時間ストを上回り民営化以後最大規模になる。JR西日本がこの日発表した運転見込みによると、在来線で営業列車の約半分がストップし、160万人の足に影響がでる。山陽新幹線は普段通り運転するが、影響が最も探刻な近畿では、奈良、草津、山陽(兵庫−和田岬)の三線がストップし、東海道・山陽線の新快速、大阪と奈良を結ぶ大和路快速が全面運休する。
・在来線 半数止まる 労使交渉が難航
 JR西日本によると、スト突入の場合山陽新幹線は平常通りのダイヤを確保できる。在来線の特急、急行は平常の94%の運転率、通勤通学の足になっている普通列車は10−80%の運転率となっている。近畿圏では、全面運休する草津、奈良線のほか、私鉄と連絡し、乗客の多い大阪環状線などで混雑が予想される。
 在来線では、特急「はまかぜ」の1往復が全面運休、2往復が部分運休、同「エーデル北近畿」の1往復が部分運休、急行「但馬」が全面運休する。11日には、急行「砂丘」が全面運休、同「わかさ」が部分運休する。
 普通列車では、始発や終電は平常通りのダイヤを確保した。
 近畿圏の普通列車の主要線区は40−60%の運転率。加古川線は11日、全面運休。山陽、東海道線(JR京都、JR神戸線)の新快速や、関西線(大和路線)の大和路快速が全面運休し、山陰線(嵯峨野線)の京都−亀岡間折り返し列車も運休する。
 JRでは「半分の列車が止まれば、乗客が駅にたまるので、いつもの2、3割しか動いていない状態」(JR)という。本社から約2000人の社員を駅に派遣し、改札制限や、ホームへの入場制限、周辺の道路での待ち合わせなど、乗客の誘導、整理に当たる。
 労使交渉のポイントは、列車が目的地に着いてから次の折り返し列車運転までの「待ち合わせ時間」の評価。従来、みなし労働時間とされてきたが、会社側は9月に時短達成のために労働時間からカットすることを提案。JR西労が「待ち合わせ時間は労働時間。まやかしの時短だ」と反発している。
 JR西日本本社で再開された団交には、会社側から南谷昌二郎専務ら、JR西労から奥島委員点らが出席した。決裂すれは、JR西労は午後九時から闘争委員会を開き、スト突入の最終決定をする。
・スト対策本部拡充 JR西日本
 JR西日本は7日、スト対策を強化するため、先に設置したスト対策本部を拡充
近畿圏の普通列車運転見込み
線区運転率運転の概要
朝通勤終日
琵琶湖線50%40%新快速(101本)は全面運休
京都線50%40%新快速(120本)は全面運休。昼時間帯は高槻〜神戸間普通電車8本/時を4本/時に変更
神戸線50%40%
大阪環状線50%40%大和路快速(44本)は全面運休
桜島線50%50%
学研都市線50%40%大和路快速(44本)は全面運休。昼時間帯の湊町快速を全面運休し、湊町〜王寺間の普通電車を奈良まで延長
大和路線60%40%
阪和線70%60%
北陸線
(米原〜長浜)
80%70% 
湖西線60%40%新快速(17本)は全面運休
嵯峨野線50%50%京都〜亀岡折り返しの普通列車は運休(18本)
宝塚線50%50% 
草津線0%0%全面運休(72本)
奈良線0%0%全面運休(120本)
山陽線
(姫路〜上郡)
20%20% 
山陽線
(兵庫〜和田岬)
0%0%全面運休(22本)
赤穂線80%50% 
加古川線0%0%11日は全面運休(117本)、8〜10日は、ほぼ正常運転
※下記の線区はほぼ正常の運転の見込みです。
・姫新線(姫路〜上月)・桜井線
・和歌山線(王寺〜五条)・関西線(亀山〜加茂)
することを発表した。新本部の本部長は、当初の井沢勝・鉄道本部長に代わり、南谷昌二郎専務が務め、伊藤博専務が副本部長になる。(朝日新聞 夕刊)
■約20校で休校など見通し JRストで京都の高校
 JR西日本労働組合が8日から96時間ストに突入した場合、全面運休するJR奈良線などの利用者が多い京都府内では、府立高校生約3300人の足に影響がある見通しで、約20校で休校や校時繰り下げの対応をする予定。
 奈良線の木津駅近くにある京都府相楽郡木津町の府立木津高校は、生徒の8割に当たる1090人がJR通学している。ストが8日午前10時までに解除されれは、解除から2時間半後に授業を始め、10時以降なら臨時休校にすることを決め、7日朝のホームルームで生徒に連絡した。
 同校では9日から15日まで期末テストの予定。休校の場合、日程をずらし、19日の終業式までの試験以外の授業をカットすることになる。
 奈良県では、一部の高校が授業時間を繰り下げる。奈良市法蓮町の同県立奈良高校は、全校生徒の約2割に当たる約270人がJR奈良線を利用しているため、1時間目を約1時間繰り下げ、午前9時50分にする。
 生徒の3割がJR学研都市線や大和路線を使って通学する大阪市天王寺区の府立夕陽丘高校では、8、9日の第1時限日の開始時間を1時間遅らせることを決めた。ただし、普段の50分授業を40分に短縮して6時限目まで確保する。10日から期末テストが始まるため、「テスト直前の授業は削れません」と同校。(朝日新聞 夕刊)
■JR幹部ら地検に告訴 信楽事故遺族の会
 信楽高原鉄道事故による死亡者の遺族22人でつくる「遺族の会」(吉崎俊三世請人代表)は7日、JR西日本の角田達郎会長=事故当時社長=ら幹部6人とJR側事故列車の運転士=業務上過失致死傷罪などで書類送検済み=の計7人を、業務上過失致死傷罪と業務上過失往来危険罪で大津地検に普訴した。(朝日新聞 夕刊)
8日■信楽の列車事故で長女亡くし 「交通安全対策に」 小物展開き収益金寄託 右京の臼井さん
 昨年5月、信楽高原鉄道の列車事故で長女を亡くした京都市右京区の臼井泰子さん(50)が7日、このほど開催した小物展での収益金の一部25万円を京都新聞社会福祉事業団に寄託した。「交通安全対策のために何か役立ちたい」と言い、近く交通災害問題のボランティア団体にも寄託するという。
 長女信子さん=当時(26)=を失って、臼井さんのショックは大きかった。しかし、突然の不運が周囲の励ましによって支えられたことや、交通事故被害者の救済制度が不備なことから、「交通災害問題でお役に立てることを」と考え続けてきた。
 染色業を営む夫和男さん(54)が今年、初めて30年の節目を迎え、この間に試作したり見本用に作ったりしてきた和装用の友禅染の裂(きれ)数万点を整理した。臼井さんは、これにヒントを得て、その裂を使ったふくさや袋物、また数年前から習っている土人形でえとや七福神など数百点を作りこのほど自宅でチャリティー小物展を開いた。
 小物展では、どの作品も心を込めただけに評判はよく、友人たちの協力も得て、収益があったことから、その一部を寄託することにした。臼井さんは「ささやかなことですが今後もこうしたボランティアを地道に続けていきたい」と話している。(京都新聞)
■単純エラー発言 運輸相に抗議書 信楽事故遺族の会
 信楽高原鉄道事故の「犠牲者遺族の会」(吉崎俊三世話人)と同弁護団(秋田真志事務局長)は、事故原因について奥田敬和運輸大臣が「単純なヒューマンエラー」と発言したとして7日、「事故の本質を理解していない」と、奥田運輸相に折議書を送付した。
 奥田運輸相は、滋賀県警の捜査結果発表翌日の今月四日の記者会見で、事故原因について「単純なヒューマンエラーによる事故」と発言した。
 弁護団は、事故の背景には列車運行や乗務員教育、連絡体制などに構造的な安全体制の不備があったとして、運愉省に対しても、JR西日本の安全軽視の責任を問うべきとの主張を再三にわたり行っている。
 抗議書の中で弁護団は「鉄道交通の安全確立を目指す運輸省の原因調査は、鉄道会社の安全体制に目を向けるべき」と指摘。運輸相に対し、信楽事故の原因についての認識を改めるよう求めている。(京都新聞)
■なぜこんな時期に… JR年の瀬スト突入 異例の長期に緊張 会社側「来るものか来ただけ」
 JR西日本とJR西労の「時短」をめぐる攻防は、妥協の糸口すら見いだせないまま、ついに8日午前零時から96時間のスト突入となった。「なぜこんな時期に」「命を守るために頑張ろう」…。異例の年の瀬ストに、労組、会社、利用客の思惑は三者三様だ。
 大阪市福島区のJR西労本部。「8日から11日までストライキに突入するよう指令する」。7日午後11時、幹部が報道陣の前でスト指令文を読み上げた。幹部組合員ら約20人は夕方から部屋の中に閉じこもったまま。時折、電話で会社側と大声でやりとりする声が廊下まで漏れ、長期ストに備えた緊張感が張り詰めた。
 同市淀川区の「野中福祉会館」には大阪電車区分会の約50人が待機。指令と前後して「スト貫徹」のスローガンや闘争スケジュールが張り出された。ある役員(48)は「4日間は長丁場。万一中止になった場合の乗務員確保に神経を使います」と表情が引き縮まった。
 同組合京滋支部(安部和年支部長)も7日夜、京都市下京区の興正寺会館で、京都電車区分会など3拠点から組合員約100人が「スト突入集会」を開き、午前零時を期してストに入った。
 大阪市北区のJR西日本本社では、運輸部、人事部の職員を中心に50人以上が泊まり込み。「スト突入は確実」と判断していたこともあって、スト指令にも「来るべきものが来ただけ」と淡々とした様子で、利用客の電話の応対などに追われた。
 ある幹部職員は「年の瀬という時期が悪すぎる。皆さんに迷惑を掛けて、評判を落とすのは組合の方ではないか」と話していた。
・張り紙横目に思案の利用客 京都駅
 JR京都駅では、各在来線のスト中の運転率を示す張り紙を不安そうに見入る帰宅途中の乗客が7日夜遅くまで目立った。
 守山市まで通勤している右京区の会社員川辺昭四郎さん(63)は「もろに影響を受ける。8日はいつもより1時間早く家を出るつもり。昔とは時代も違い(ストの争点の)時短は納得できる。しかし、ストももはや時代が違うのではないか」と話していた。
 予想運転率ゼロ%の奈良線で京都市内に通勤している宇治市の会社員(45)は「京阪にするか、車にするかまだ決めかねている」と、思案顔。また、新大阪まで毎朝、新幹線で通勤する京都市中京区の会社員飯田守男さん(45)は、「新幹線は動くので心配ありません」と、平静な様子だった。(京都新聞)
■JRスト突入 西労 きょうから4日間 私鉄 列車増結など対策
 JR西日本の勤務時間見直しに反対して96時間ストライキを構えていたJR西日本労組(JR西労、奥島彰委員長、約4500人)は7日午後11時にスト突入指令を出し、8日午前零時から予定通りストに入った。在来線では、特急・急行列車を除き、8日早朝の始発から近畿圏を中心にほぼ半数が運休する見込みで、朝の通勤通学時間帯に大きな影響が出そうだ。
 会社側とJR西労は7日午後も非公式の折衝を続けたが、解決への糸口は見いだせなかった。このため、JR西労は同夜に開いた闘争委員会のあと、組合員にスト突入を指令した。
 JR西日本によると、山陽新幹線には運休はない見通し。在来線の特急、急行列車も「はまかぜ」「エーデル北近畿」「但馬」に運休が出る以外は、ほぼ運転できるという。影響が大きいのは近畿圏の通勤、通学の足で、草津、奈良両線が全面ストップ、山陽線の兵庫−和田岬間も止まる。JR京都、JR神戸線の新快速と、大阪環状線から大和路線に直通する大和路快速が全面運休。その他の大半の線区では20−70%の運転率になる見込みだ。
 近鉄はJRと並行して走る京都線と橿原線で4両編成の列車の一部を6両に、生駒線で昼間の2両編成を4両に増結する。阪急、阪神、南海も主要駅にふだんより多い係員を配置する。
 JR西日本は7日、ストに備えて、同本社内に臨時テレホン・センター(06・375・5281)を設置、スト情報やダイヤの問い合わせを受け付ける。開設時間は午前6時−午後10時。
・回避の努力したが
 JR西日本の井手正敬社長の話 粘り強くスト回避の努力をしてきましたが、JR西労は「みなし労働時間の見直し」を撤回しない限り受け入れられないと拒否し、スト突入になりました。お客さまにご迷惑をおかけすることになり、申し訳なくおわびします。
・対抗上、やむを得ぬ
 奥島彰JR西労委員長の話 乗務員の健康やお客の安全が損なわれるような制度改正は認められない。ご迷惑をかけるが、強引にものごとをすすめる会社に対抗するには、ストはやむを得ない。(朝日新聞)
■17年ぶり大規模JRスト 駅で職員 質問攻め 臨時休校も
 乗務員の勤務制度見直しをめぐるJR西日本の労使交渉が暗礁に乗り上げ、JR西日本労組は予定通り8日午前零時からストに突入した。96時間の長期ストは「スト権スト」以来17年ぶりで、在来線は約半数の列車がストップする。通勤、通学の混乱は避けられそうにない。
・駅で 大阪駅でスト予告の張り紙を見ていた大東市のOL前田真貴子さん(21)は「ふだんより30分くらい早く家を出るつもり。労組にも言い分はあるだろうが、正直言って迷惑です」。東海道線で通勤する茨木市の会社員山岸勝彦さん(48)は「3日も4日も続くと困るが、ストをしたい気持ちも分かる」。
 奈良県生駒郡の会社員(46)は「大事な社用があるので、遅れるわけにはいかない。ストはもう時代遅れ。戦術はほかにあるのではないか」と話した。
 同駅構内にある「キク象コーナー」の電話案内には午前中から、問い合わせが殺到。6回線の電話が鳴りっ放しに。
 関西線の奈良駅では、改札口前の張り紙のわきに助役が立ち、拡声機で説明を繰り返した。電車が到着するたびに、2、30人の輪ができ、「近鉄を使うしかないのか」などの質問攻めに。
 JR西日本は7日夕、駅の混雑ぶりをチェックするため、本社内のスト対策本部にモニターテレビを設置した。主要17駅に置いたカメラから電話回線を使って、約30秒ごとに静止画像を映し出すシステム。混雑の激しい駅には社員を急行させるという。
・ホテルで 約300の客室がある大阪市北区のビジネスホテルでは、当日の電話予約がふだんの月曜日には2、3件しかないのに、7日は十数件あつた。フロントマンは「ストのおかげで今日はいつもより1、2割多そう」。
・学校で 近畿2府4県の高校などでは、臨時休校や始業時間を繰り下げるなどの対策に追われた。
 全面運休する草津線の沿線にある滋賀県立水口高校は期末テストの期間中だが、8日午前10時までにストが解決しなければ休校にする。湖西線の利用者が多い県立大津商業高校も午前6時に未解決なら休校。彦根工業高校は午前10時で未解決ならテストの日程を延期する。
 大阪では、府立高校7校で授業を25分−2時間繰り下げる。大阪市立の高校(全日制)でも5校が繰り下げの予定。
 京都では府立木津高校が休校になる予定。期末テストを実施する府立高校のうち20校が繰り下げ措置をとりそう。兵庫では、全日制県立高校17校が始業を30分−2時間繰り下げる。
 和歌山県立串本高校は、8日に予定していた期末試験を16日に延期し、スト期間中は平常授業に変更。県立古座高校も列車通学の生徒に限って自宅待機し、9日までの期末試験を順延する予定。
・労使対立根深い西労
 JR西日本で紛争のタネになった乗務員の「待ち合わせ時間」の扱いはJRグループの共通の課題になっている。長期ストを構えているのはJR西労だけで、その背景には、組織の約7割が乗務員で、制度改定の影響が大きいことがあげられる。また、「管理者による組織切り崩しがある」として今夏、井手社長退陣をスローガンに掲げるなどの労使対立の根深さがある。
 「待ち合わせ時間」は、列車が目的地に着いてから次の折り返し列車運転までの時間で、1日平均約1時間ある。旧国鉄時代から、みなし労働時間として扱われている。
 JR東日本は去年、JRグループのトップを切り、待ち合わせ時間をカットすることにより、課題となっていた労働時間の短縮を達成させる改定案を提示。JR西労と同じJR総連傘下の主力単組、JR東労組(松崎明委員長)はこの改定案を受け入れ、すでに今春から実施されている。
 JR西日本は来春のダイヤ改正での導入を目指し、9月に組合側に改定案を提示した。JR西労は「まやかしの時短」と強く反発。JR連合傘下の西日本旅客鉄道産業労組(JR西労組、約3万5000人)は同意している。(朝日新聞)
■地下鉄など値上げ諮問 大阪市 バスや水道料も
 大阪市は7日、同市公営企業審議会(会長、中塚昌胤・大阪21世紀協会理事長)に対し、「交通事業及び水道事業の経営改善方策について」諮問した。地下鉄、バス、ニュートラムの交通事業は累積赤字を抱え、水道事業も昨年度決算で8年ぶりに赤字に転落するなど「厳しい経営状況にある」ことを指摘した内容で、事実上、両事業の料金値上げを求めている。答申で認められれば、地下鉄などは来夏にも、水道は来春にも値上げされる公算が大きい。
 両事業とも値上げ幅は諮問されていない。ただ、地下鉄の場合、大阪市と同じだった京都、神戸市などが今年4月、初乗りを20円上げて180円に改定しており、大阪市は値上げの答申が出れば、これら政令指定都市の例を参考に値上げ幅を決めないとしている。
 諮問によると、地下鉄は、御堂節線を除く6路線が赤字。今年度は274億円の欠損が見込まれ、累積赤字は778億円に達する。
 新交通システム「ニュートラム」、市バスは今年度の累積赤字がそれぞれ254億円、451億円になる見通しだ。
 地下鉄、ニュートラムは89年1月、初乗りを140円から160円に改定、今年2月、消費税分として2区間以上を10円ずつ引き上げた。バス(均1料金)は84年7月と85年2月の2段階方式で140円を160円まで値上げした。水道料金は84年5月に平均25.6%上げている。(朝日新聞)
■JR西労スト突入 朝のラッシュ足乱れる 改札口に長蛇の列 奈良・草津線全面運休 160万人に影響
 勤務制度の変更をめぐりJR西日本労働組合(JR西労)が8日午前零時から突入した96時間ストで、同日午前、奈良線、草津線が全面ストップ、大阪環状、東海道、琵琶湖など在来線で運休や遅れが目立ち、通勤、通学客の足が乱れるなどストの影響が出た。
 同日は通勤ラッシュの午前7時すぎから混雑が始まり、東海道線や阪和線の一部の駅で乗客の積み残しや改札口に長蛇の列ができたが、大阪など主要駅や並行する私鉄駅を含め心配された大きな混乱はなかった。
 労使双方の歩み寄りはみられず、ストは続く見通し。3−4日目の10、11日にかけては列車の運用手当てがつかなくなり、ダイヤの乱れがさらに大きくなる恐れも出ている。
 JR西日本のまとめによると、大阪環状などのほか片町、桜島、福知山の近畿通勤圏の在来線で、始発時から約50%の運転率。このほか草津線、奈良線と東海道・山陽の新快速も全面運休しており、同社は1日当たり160万人が影響を受けると予想している。京滋では21万2000人の足に影響が出たとみられる。山陽新幹線は正常運転が確保された。
 京滋関係では、始発から奈良線、草津線が全面ストップしたほか、琵琶湖線で午前5時34分米原発播州赤穂行き快速電車が運休、湖西線で同6時18分京都発近江舞子行き着通が運休など、早朝からダイヤが乱れた。各線区の朝のラッシュ時運行率は50−60%(米原−長浜間は80%)だった。
 並行する線区を抱える私鉄の近鉄や京阪電鉄は、JR接続駅などに応援の駅係員を配置するほか、一部車両編成を増やして対応したが、通常より多少混雑する程度で収まった。
 正午までの京洛関係運休本数は京都線104本、学研都市線66本、湖西線23本など計327本(福知山支社管内除く)だった。
 渋滞が予想された名神高速道路や阪神高速は、ふだんよりやや多めの交通量。近畿、中国地方の高校では、期末試験を予定していた学校も多く、始業時間を1時間から1時間半繰り下げるところが相次いだ。(京都新聞 夕刊)
■木津高が臨時休校 始業繰り下げも相次ぐ
 ふだん全校生徒1360人の8割以上がJR各線を利用している府立木津高(相楽郡木津町)は8日、奈良線の全面運休などのため臨時休校し、生徒たちは9日からの期末テストに備えて自宅学習に励んだ。このほか府立高校だけで10校が1時間半から15分始業時間を繰り下げた。ダイヤの乱れによる遅刻者もあり、テスト中の学校では個別に事情を聴いたうえ再テストを検討するという。
 京都市内の私立高校は、26校中10校が授業や期末テストの開始を遅らせた。中には、9日や10日からのテストに向けて近くの駅へ見通しを聞くなど、スト長期化に備える学校もあった。
・テスト取りやめも
 滋賀県内の高校でも、この日予定されていた期末テストを取りやめる学校が六校にのぼった。
 同県教委の午前10時現在のまとめでは、この日時間通り期末テストを実施したのは全日制公立高46校のうち25校。あとはいずれも試験実施を30分−2時間遅らせた。また、全面ストップした草津線を利用する生徒の多い大津商業、甲南など4校は休校、または自宅学習に切り換えた。
・京滋の企業影響わずか 臨時駐車場確保も
 京滋の企業では、前日に他の交通機関利用などを指示したところが多く、大きな混乱はなかった。京都市南区の堀揚製作所では、通常、マイカー出勤用の駐車場はないが、この日は取引先用駐車揚の一部100台分を臨時に確保した。それでも利用は20台ほど。ほとんどの社員は自宅を早めに出て始業時間に間に合わせたという。また、同南区の日本電池でも「大阪市近郊からの社員で一部遅刻が出たが、最高30分程度。休みの人もほとんど通常数と変わらない」と、スト影響はわずかだった。
・刻々、駅の状況注視 JR西日本本社
 大阪市北区のJR西日本本社のスト対策本部は京都駅ホームなど管内17駅26ヵ所に据え付けたビデオカメラから刻々送られてくる画像を注視、始発から各駅の状況把握や対応に追われた。30秒刻みで変化する静止画像を4台のテレビで受信し、混雑状況に応じて待機社員を随時現場に走らせる態勢をとったが、正午までに大きな動きはなかった。
 一方、利用者からの問い合わせを受けるために本社内に開設した臨時のテレホンセンター 06(375)5281=午前6時−午後10時=には早朝から問い合わせや苦情電話が入り、午前9時までに1907件となった。
・「あくまでも96時間貫徹」JR西労京滋支部
 ストに突入したJR西労京滋支部(安部和年支部長、約200人)には「心をひとつに白紙撤回まで闘おう」と赤い旗が掲げられ、役員らが12、3人ずつ8時間交代で待機した。スト期間中、中間報告や学習会のための集会を予定しており、小山穂積書記長(46)は「あくまでも96時間貫徹で、要求実現まで頑張っていく。乗務員としての安全確保のため、師走の忙しい時期だが、お客さまにもご理解いただきたい」と話していた。
・幹線道路もまずスムーズ 国道9号は車の列
 京都府内の幹線道路は八日朝、国道9号を除いて、ふだんと変わらない込み具合だった。スト突入を見越して私鉄を利用したり、早めに出勤し、マイカーに乗り換えた乗客は少なかったとみられる。
 京都府警交通管制センターによると、府内の主要道路でストの影響が目立ったのは国道9号。亀岡方面から京都市内向けがふだんより30分早い午前7時前から込みはじめ、一時は葛野大路交差点から洛西ニュータウン付近まで、最高6`車の列が続いた。
・滋賀県内も渋滞なし
 滋賀県内の主要道路は「ふだんより少し多い程度の込み具合」(滋賀県警交通管制センター)で、大きな渋滞はなかった。
 国道1号は午前8時半ごろ、下り線が大津市内で最高六 渋滞したほかは、早めのマイカー出勤で交通量が分散されたせいか、スムーズに流れた。栗太郡栗東町から京都市内に通勤途中の会社員(55)は「ストと雨のため渋滞すると思い、いつもより30分ほど早く家を出た。十分間に合います」と話していた。(京都新聞 夕刊)
■時差出勤など自衛策 JR西労スト突入 一部で”すし詰め” 京都駅 乗客に理解の声も
 JR西労が96時間ストに突入した8日朝、京滋地方では奈良線と草津線が全面運休、東海道線も50%の間引き運転となった。JR京都駅はすし詰めの電車からあわただしく通勤を急ぐ乗客の姿があふれ、山科駅でも一部乗客の積み残しが出るなど影響が出た。一般道路でも国道9号などでふだんよりやや混雑した。国鉄時代を含め17年ぶりの「ロングランスト」となったが、スト突入が前夜から決定的と見られていたこともあり、通勤客らは時差出勤をするなどの工夫をし、どこのターミナルも大きな混乱はなかった。
 京都駅では奈良線が全面運休し、東海道線、湖西線の新快速が運休したのをはじめ、各線とも間引き運転で、午前7、8時台の通勤・通学時間帯に計37本が止まった。
 滋賀方面からの乗客が多い東海道線は、軒並み3−10分の遅れが出て、なかには200%の乗車率の列車もあり、ホームは乗降客でもみくちゃになるほど。
 大阪に行くため、快速を待っていた京都市南区の電気工(29)は「景気も今ひとつだし、生活をよくするためだから、仕方ない。当然の権利行使だ。少し不便だが、全面ストでなく、助かった」と、ほっとしていた。
 奈良線運休のため、近鉄に乗り換えた京都市上京区の会社員(36)は「宇治へ通勤しているが、私鉄を乗り継ぐしかない。時間がいつもよりかかるので、15分くらい早めに家を出た。理由が分かりにくく、96時間もストする必要があるのか」と、戸惑いを見せていた。
 大混雑を予想し、本社からの応援を含めて通常より71人多く動員した京都駅では「朝は分散するが、夕方が心配。状況によっては、改札規制などを取らなければならない」と話していた。
・積み残しも 山科駅
 JR山科駅では、ラッシュアワーは午前7時半から8時半の間と、ほぼふだん通り。本社から6人増員し、改札やホームの対応に当たったが、7時台の快速電車で、一部乗客の積み残しがあった程度で、大きな混乱はなかった。
・混雑へ増員 近鉄大久保駅
 全面運休となった奈良線のJR新田駅(宇治市)は閑散そのもの。駅員も窓口で暇そうに新聞を読んでいた。
「定期券乗車は1日5、600人。ストを知らずに朝から10人ほど来ただけ」という。
 同駅から200bほど離れた近鉄大久保駅では、新田駅などからの流入に備え駅員を通常より5人も増やしホームの混雑整理にあたった。
・下り電車満員 草津駅
 草津線が全面ストップした滋賀県の草津駅では、午前8時前後から京都方面へ向かう東海道線下り電車が満員にふくれた。ホームの乗客が積み残されるケースもあり、ダイヤの変更を駅員に問いただす乗客の姿も見られた。
 大阪に通勤する草津市内の会社員(50)は「今日は新快速がないので間に合わない。会社に電話をして少々遅れて行くことにした。混雑も大したことないようですね」。期末試験のプリントに目を通す高校生(17)は「始業は2時限目からなので、いつもより30分遅く来た」と、学校のスト対策も万全のようだった。(京都新聞 夕刊)
■無資格運転 貨物は53人
 JR各社で大卒新入社員の無資格運転が次々と発覚する中で、JR貨物(橋元雅司社長)は8日、先に発表した5人のほかに48人、計53人の大卒社員が研修期間中に貨物列車を無資格運転していたことを明らかにした。同社は近く、関係者を処分することにしている。
 この日、JR北海道でも無資格運転が判明、JR各社の無資格運転は北海道、東日本、東海、西日本、四国、九州、貨物の7社すべてで行われていたことが分かった。無資格で列車を運転した大卒新入社員は計600人に上っている。
 JR貨物は、民営化1年後の昭和63年から今年まで5年間に採用した大卒社員137人を対象に聞き取り調査を実施していた。その結果、計53人の大卒新入社員が、支社での添乗実習中に函館線や東海道線、鹿児島線など19線区で、夜間や昼間の忙しくない時間に指導運転士が手を添える形で貨物列車を運転していた。(京都新聞 夕刊)
■JRスト 朝の57万人に影響 西日本 労使、歩み寄りなし
 乗務員の勤務制度の見直しをめぐって紛糾しているJR西日本で、JR西日本労組(JR西労、奥島彰委員長、約4500人)は8日午前零時から96時間ストライキに突入、近畿圏を中心に西日本一帯で始発からダイヤが乱れた。新幹線は平常通り運行されたが、正午までに、在来線は特急など6本と、普通列車のはぼ半数の1163本が運休、朝のラッシュ時に大阪環状線などの駅で積み残しが出たほか、改札制限する駅もあり、通勤、通学客ら57万人に影響が出た。期末テスト期の高校では近畿の3校が臨時休校し、授業時間の繰り下げが続出。ストは4日間続く気配が濃厚で、混乱は続きそうだ。
 JR西日本によると、東海道、山陽線(琵琶湖、JR京都、JR神戸線)の新快速や、関西線(大和路線)から大阪環状線に乗り入れている大和路快速は朝から全面運休。奈良、草津、山陽線の兵庫−和田岬間も全線ストップした。各駅とも早めに出勤する人が多く、大阪や三ノ宮、京都など京阪神の主要駅ではいつもより2、30分早くラッシュのピークを迎えた。新快速のストップで、大阪方面への通勤の幹線が断たれた高槻駅や垂水駅(神戸市)などでは、午前7時過ぎから断続的に改札制限を実施。高槻駅では一時、1500人の列ができた。大阪環状線の鶴橋駅で午前8時50分、約500人が列車に乗れなかったのをはじめ、東海道(JR京都)線吹田駅、阪和線堺市駅、関西線平野駅などで 250−数十人の積み残しが出た。
 私鉄各線は乗客がふだんより増えたが、大きな混雑はほとんどなかった。
 JR西日本とJR西労の交渉に歩み寄りはみられず、双方とも、「今のところ新しい提案をする予定はない」(会社)、「従来通りの提案だったら受けられない」(JR西労)と、これまでの主張を崩してはいない。今春闘のJR西労のストは26時間で収束。今回のストは旧国鉄の民営化以後最長で、接点のないまま、長期化しそうだ。
 JR西労のスト突入で、近畿2府4県の公立高校などでは、少なくとも3校が臨時休校、85校が始業時間の繰り下げをするなど影響を受けた。期末テストの時期だけに、テストを順延する学校も出てきた。また、公立中学校でも、京都府の1校が臨時休校、大阪市の10校が始業時間を遅らせた。(朝日新聞 夕刊)
■混乱さけて「自衛」 JRスト 私鉄・地下鉄で通勤「避けてほしかった」
 「30分の遅刻です」「もっと混雑すると思ったが…」。年の頼のストライキで大きな混乱はなかったが、JRの一部の駅では乗客の積み残しも出た。乗務員勤務制度の見直しをめぐって労使のミゾが深まり、8日から突入したJR西日本労働組合の96時間スト。今春闘で26時間ストを経験したばかりの通勤客は時差出勤、私鉄電車に乗り換えるなどの自衛策を取ったが、教育現場では期末テスト期を迎えた高校で臨時休校、授業の繰り下げが続出し、遅刻する生徒も出た。
私鉄・地下鉄で通勤「避けてほしかった」
・改札制限
 近鉄電車からの乗換駅となるJR大阪環状線鶴橋駅。積み残し客は最初100人程度だったが、午前9時前には、約500人に。その一人、JR線をあきらめ、地下鉄に乗り換えるという東大阪市の会社員(44)は「JR労使とも事情はあるだろうが、利用者としてはストを避けてほしかった」。
 JR高槻駅では、午前7時17分から約1時間20分にわたって改札制限。駅員がハンドマイクで「快速電車は超満員の状況です。お急ぎの方は他の交通機関を利用してください」と訴えたが、ピーク時には駅構内に約1500人の改札待ちの列ができた。
 JR垂水駅でも7時半ごろから混雑し始め、ホームに人があふれて入場制限。隣接する山陽電鉄垂水駅の改札口へ乗客が殺到した。
 いつもより早めに家をでたため、あわててお弁当を忘れたという高校生も。明石高専1年の岡田ひろみさんは「今日から期末試験。山電に乗ります」と自やを切らせていた。
 JR草津駅でも、東海道線下りホームに乗り切れない客が続出。全面ストップしている草津線の代替となる草津−水口間を走る滋賀交通バスは、平常の3倍近い乗車率になった。
・混雑を敬遠
 駅員を倍増したJR天王寺駅。時差出勤、私鉄通勤などの客が多かったためか、乗降客はふだんより少なく、「いつもより2、3割少ないみたい」と駅助役は拍子抜け。
 JR関西線奈良駅でも客は少なかった。朝のピークになる午前七時台にいつもなら約8000人が乗降するが、この日は約3割減に。同駅は「事前の予告が浸透し、利用客が混雑を敬遠したのでは」とみている。
・新幹線出勤
 兵庫県明石市のJR西明石駅では、新幹線で通勤する人も。午前7時21分発のひかり102号自由席には、普段より2割多い約200人が乗車した。新幹線の自由席特急券は1650円。これに乗車券880円を加えると、かなりの出費だが、「間に合わないのだから、しょうがないでしょう」と、大阪に通う40歳代の証券マン。「まだ国鉄時代のつもりでやってんのとちゃいますか」と手厳しかった。
・休校や始業繰下げ
・学校では
 JR西日本労働組合のスト突入で、近畿2府4県の高校などで臨時休校や始業時間の繰り下げをする学校が続出した。
 全面運休したJR奈良線を4人に1人が利用している府立木津高校は臨時休校に。休校を知らずに登校した3年生の女子生徒は「利用している関西線が動いていたので、いつも通りかと思った」。閑散とした学校で途方に暮れていた。
 兵庫県下の県立高校では、神戸、播磨、但馬地方を中心に29校が授業時間の繰り下げを実施した。
 滋賀県では、県立大津商業高校、県立水口高校が臨時休校。甲南高校、国際情報高校は期末テストを延期して自宅学習に。他の高校でも遅刻者が多く、期末テストの開始時間を繰り下げたり、授業に切り替えた。奈良県では県立奈良高校など6校が10分から1時間半、開始時間を遅らせた。和歌山県立串本高校はこの日、生徒813人のうち273人が欠席、8日から予定していた期末テストを16日以降に変更した。(朝日新聞 夕刊)
9日■信楽惨事はなぜ 列車事故捜査終結 5 教訓 「調査機関」が必要 政府へ遺族働きかけ
 「肉親の死によって悲しみを与えられただけじゃない。事故調査への疑問もその一つだ。娘が死んだのはなぜか。何も知らされないままだった」。26歳の長女を亡くした臼井和男さん(53)=京都市右京区は、この1年7ヵ月を振り返り、こう言葉を続ける。「専門調査機関を設けるべきだ。残された者がいやされる、そんな調査のあり方を考えてほしい」
 船舶事故には海難審判庁が、飛行機事故には航空事故調査委があるのに、鉄道事故には専門調査機関がない。事故の頻度が低く、証拠も残りやすいから、というのが鉄道事故の調査委を設けない運輸省の言い分だ。同省は信楽事故の直後、信号保安システムに限った「調査検討会」を設けたものの、「当事者が原因解明能力のない第三セクターだったための特例措置」(同省鉄道局)という。
・進む米の情報公開
 臼井さんの声を受けて、犠牲者22人の遺族でつくる「犠牲者遺族の会」の遺族と弁護団6人は9月下旬、米国に飛んだ。ワシントンの事故調査機関・国家運輸安全委(NTSB)視察のためだ。NTSBは、鉄道やハイウェー、航空機などの事故について、警察とは別に調査権を持ち安全勧告も行う。
 視察団によると、NTSBは平均約1年で調査を終え、安全勧告を含めた最終報告をまとめる。調査範囲は機械、運行、線路、信号、人的要因、生存率など広範囲にわたり、行動心理学なども導入して、なぜミスが起こったのか、そのメカニスムまで解明するという。「日本となにより違うのは情報公開。結果の公開はもちろん、中間報告、公聴会など、徹底ぶりが印象的だった」と臼井さんはいう。
 遺族の会は帰国後すぐ、運輸省に「中間報告の公開」「信号関係に限らぬ専門調査機関の設置」などを求めた。さらに、先月3日、信楽と同様、単線上で正面衝突した長崎県・島原鉄道事故について「信楽の教訓は何ら生かされていない」と声明を発表、専門調査機関の必要性を改めて訴えた。
 専門機関設置については、京都府相楽郡木津町の企業協同組合「ハイタッチ・リサーチパーク」の4遺族らでつくる「事故被害者の会」も取り上げており、4日、陳情に訪れた滋賀県議会に対し政府への働きかけを要請した。
・対策に結果反映を
 信楽事故を独自調査している大阪市立大の安部誠治助教授(公企業諭)は、事故の捜査・調査の現状について「結論までに時間がかかりすぎる。また、刑事責任の追及が再発防止につながるとは思えない」と問題点を指摘する。そして、日本の鉄道が今後さらに大量輸送・高速化の時代に入り、事故の大規模化の可能性が高まっていることから「未然防止を図るためにも専門調査機関を置き調査結果を安全対策にフィードバックすべきだ」と提言している。(京都新聞)
■JR西労スト 136万人の足に影響 ダイヤの乱れ、拡大へ
 JR西日本労倒組合(JR西労)による96時間ストは初日の8日、近畿、中国地方の在来線で3358本、特急・急行ははまかぜ1号など12本が運休し、通勤、通学客など約136万人の足が乱れた。山陽新幹線は正常運転が確保され影響はなかった。
 乗務員の勤務制度変更をめぐる労使間の新たな団交は予定されていない。このため、ストは今後も続く見通しで、10、11日にかけてダイヤの乱れはさらに大きくなりそう。
 JR西日本のまとめによると、この日は終日、大阪環状、東海道など近畿通勤圏の在来線の運転率は約50%で、草津線、奈良線、山陽線兵庫−和田岬間も全面運休となった。その結果、同日の本社管内の運休本数は2072本に上り、ほかの支社でも和歌山251本、福知山142本、岡山355本、広島538本の計1286本が運休した。
 会社側は同日、新勤務制度について再度の説明を申し入れたが、JR西労は「前進があれば団交に応じるが、新たな回答がない以上、聞く必要はない」と拒否。労使双方は「窓口は開いている」としながらも、公式な話し合いはなく進展は見られなかった。
 奈良線、草津線が全面運休となった京滋では、8日終日でおよそ45万5000人に影響が出た。運行率は各線区で当初見込みより5−15ポイント上がり、京都線50%、学研都市線55%など、いずれも通常の半分の運転は確保された。運休した列車本数は、京都線での284本を最高に、計1021本となった。(京都新聞)
■社説 JR西労はスト解除の勇気持て
 JR西日本労働組合(JR西労、約4500人)が8日から96時間ストに突入した。民営化後では、今春闘の26時間を上回る最大規模のストで、1日約160万人が影響を受けるという。利用者の立場としては、極めて遺憾と言わざるを得ない。
 山陽新幹線こそ正常運転が確保されたが、京都、琵琶湖、湖西線など通勤・通学の足はほぼ50%の運転率、奈良線と草津線は全面運休した。利用者の自衛もあって大きい混乱がなかったのは幸いだが、臨時休校や期末テストを中止する高校も出ている。労使の責任は決して小さくない。
 ストに至った直接の争点は、会社が9月に行った勤務制度見直し提案にある。乗務員が折り返し列車に常務する場合、待ち時間が生ずる。従来は、この待ち時間のうち1時間まではすべて、1時間を越える場合はその6分の1を労働時間とみなしてきた。このみなし時間」を所定内労働時間から外すとともに1日の労働時間を30分短縮、超勤手当てを1時間当たり4%アップして現行給与を維持するというのが、提案の骨子である。
 現在、平均の「みなし時間」は1日当たり約1時間。これを労働時間からカットすることで、年間約190時間の時短を達成、年鑑総労働時間1800時間を実現するのが会社側の狙いだ。JR西日本最大の組合である西日本旅客鉄道産業労組(JR西労組、約3万5000人)は提案に合意したが、JR西労は「みせかけの時短で、労働強化をもたらし、安全運転にも影響がある」と強く反発、話し合いがつかなかった。「乗務員は待ち時間中も拘束されている。拘束時間が短縮されなければ時短といえない」「乗務回数が増えるなど労働強化を招く可能性もある」とする労組の主張は、理解できなくはない。また、その主張の背景に、経営効率化に伴って乗務員の労働密度が高くなっているという現実があるのも見落とせない。
 民営化後の5年で、JR西日本は鉄道部門の社員を15%程削減した。一方で、ダイヤは過密になっている。駅の無人化も進み、乗務員が改札や信号係までこなすケースも増えている。運転士の6割以上が加盟しているJR西労はこうした現状に危機感を持ち、制度見直しに過敏に反応したのかもしれない。
 JR西労は昨年5月、西労組を脱退した旧動労系組合員によって結成された。しかし、会社側は「1会社1組合が望ましい」(井手正敬社長)としており、西労はいわば「鬼っ子」的存在。「会社の組合介入」問題で今年だけでも18回にわたる抗議を行うなど、西労の会社への不信感は強い。それが、労使交渉を決裂させ、ストに道を開いたのだろうか。
 公共交通期間の責務が、安全の確保にあるのは言を待たない。その点で懸念があるとしてら、改善を主張するのは労組の義務でもあり、会社も謙虚に耳を傾けるべきだ。同時に、既得権確保のために安全問題を援用していないかと自問する冷静さも、労組に求められている。
 乗客も人質にとるという手段では、国民の支持ま共感も得がいだろう。JR西労には、直ちにストを解除する勇気を期待したい。会社も誠実な交渉で労組にこたえてほしい。行きがかりを排して相互信頼を図らなければ、同じ轍(わだち) を繰り返すばかりである。(京都新聞)
■JRスト 4日間も続くの… 京都駅 すし詰め、うんざり
 8日午前零時に突入したJR西労の96時間ストは、解除の見通しが立たないまま丸1日を過ぎた。帰宅の足に大きな混乱はなかったものの、利用客らは「明日もまたか」と少々うんざりした様子だった。
 JR京都駅では、夕方から夜にかけてのラッシュアワーも、東海道線などで通常のほぼ半分が運休した。同線の午後6時20分先の上り大垣行き普通電車は、15分遅れたうえ、乗車率200%のすし詰め状態となり、500人をホームに積み残して発車した。車内のむし暑さから、窓を開ける乗客も見られた。
 15分遅れの電車を待っていた大津市の会社員木村千代さん(31)は「バスの接続も遅れて、因ってしまう。50%動いているので、来た電車に乗れば何とか通勤できるが、草津線を使う会社の同僚は、出勤できず休んでいる。本当に、4日間も続くんでしょうか」と不安顔だった。(京都新聞)
■JR西日本に不安材料 減収の仲、乗客離れ心配 スト突入
 JR西日本労組(JR西労)が8日、96時間ストに突入したが、5年前の民営化後順調に業績を伸ばしてきたJR西日本の経営に不安材料となりそうだ。景気低迷のあおりで今期の営業収入は前年割れの状態が続いており、減収幅が広がるほか、関西地区では私鉄からJRに移った乗客が再び私鉄に戻る可能性もある。
 今期の業績は、「一喜一憂の状態」(井手正敬社長)が続いている。都市公害の行楽地への乗客は増えているものの、長距離客や新幹線が落ち込んでいる。上期(4−9月)の営業収入は前期に比べ1.2%減、当初見通しに比べ3.2%減と不振だ。下期も大幅な収入増は見込めず、通期は民営化後初めての減収減益になりそうだ。
 民営化後、新型車両の導入やダイヤ改定などで、「国鉄離れ」に歯止めをかけることに成功した。私鉄の沿線開発が一巡して伸び悩んだのに対し、87年度に457.8億人`だった輸送量は91年度には536.9億人`に伸びた。
 乗客が伸びてきただけに、民営化後では最長のストは乗客に「12月に入っての乗客無視のスト。旧国鉄時代と基本的に変わっていなかった」との悪印象を与えかねない。会社側の幹部は「私鉄にお客さんが戻るのではないかと」と心配する。
 ストの原因は「みなし労働時間の見直し」という乗務員の労働時間と密接に関連した基本的な問題で、労使とも現段階で妥協する構えは見せていない。JRグループ7社の中では、西労が突出した形だ。
 今後、スト戦術が恒例化すると、経営の足かせになるのは必至だ。JR東日本やJR東海との同時上場をも目指すJR西日本は、労使関係の正常化という難題を抱えた。(朝日新聞)
■収束の動きなし 初日136万人の足に影響 JRスト
 96時間ストに突入したJR西日本労組(JR西労)とJR西日本の交渉は8日、歩みよりの動きが見られず、ストは9日も続く見通しとなった。JR西日本によると、8日は3300本余りが運休、約136万人の足が乱れた。ストが2日目に入った場合のダイヤは初日とほぼ同様で、長距離列車への影響は少ないものの、通勤通学列車は約半分が運休する見通しだ。
 労使交渉は、乗務員の勤務制度の見直しをめぐって対立。非公式な折衝が行われたが、見直しそのものに反対するJR西労と、「内容を検討してから判断してほしい」とする会社側の方針はかみ合わず、話し合いは9日に持ち越された。
 JR西日本によると、8日のストの影響は、特急、急行12本が運休し2000人に影響が出たほか、近畿圏では通常の約半分の2072本が運休、約100万人の足が乱れた。岡山、広島など4支社でも1286本が運休、34万5000人に影響が出た。
 スト2日目の9日は、奈良線、草津線、山陽線の兵庫−和田岬間が全面ストップするほか、東海道、山陽線の新快速、関西線の大和路快速も運休となる。(朝日新聞)
■JRスト大きな混乱なし「理解」「回避を」拍子抜けの声も
 勤務時間の見直しをめぐりJR西日本労組(JR西労)がストライキに突入した8日、府内では奈良線が全面ストップしたほか、京都線や嵯峨野線、山陰線などでも運転本数が大幅に少なくなった。この影響で休校措置になる中学、高校が出たほか、大阪や滋賀から通う会社員たちは、いつもより早く家を出る”自衛策”。一部の道路で渋滞があったが、JR京都駅や京都に乗り入れる各私鉄などでは大きな混乱はなかった。師走のストについての反応は「組合の主張は理解できる」「回避して欲しかった」と様々だが、久しぶりの長期ストの割には「拍子抜け」の印象もあった。
・交通 国道9号は6`の渋滞
 JR西日本の8日午後6時のまとめでは、この日運行したのは京都線が45%、奈良線が0%、嵯峨野線が50%だった。
 JR京都駅では、JR西労組合員以外の休みの社員ら71人を動員しホーム整理にあたった。府警も鉄道警察隊員らを配置し混乱に備えたが、コンコースの人は普段より少なめ。滋賀県甲西町の会社員(45)は「草津線が運休なので5`離れた琵琶湖線の駅まで妻に車で送ってもらった」。会社に寄らず得意先に直行するという会社員(56)は「労働時間については労組の姿勢は支持できるが、ストは避けて欲しかった」。
 京都市内の私鉄各駅でも駅の混雑はほとんど平常通り。阪急河原町駅でも「拍子抜けでした。スト権ストのときは混雑した記憶がありますが」と不思議そうな表情。
 福知山支社管内では65%の運転率だったが、福知山駅を通る列車は通学の利用が多い午前8時前後の4本は運行を確保した。一部は車両を増やしたため、込み具合は平日とほぼ同じ約150%だった。福知山女子高校の3年生は「いつもより1時間早い5時ごろに起きて6時過ぎに乗りました。テストに遅れてはいけないと思って」と話していた。
 一方、京都市内に流れ込む幹線道路は普段より混雑した。府警交通管制センターによると、ラッシュがピークの午前8時ごろ、奈良方面からの国道24号は久世橋通との交差点を先頭に約3`、国道1号は名神高速の事故の影響もあり、名神京都南インタを先頭に7、8`、滋賀方面からの国道1号も大石道交差点を先頭に約3`、亀岡方面からの国道9号は、普段の約2倍の6`の渋滞となった。
・学校 木津高は休校 10校繰り下げ 府立高校
 ストは期末試験の時期を迎えた高校生らの足にも影響した。府立高校48校のうち奈良線木津駅に近い木津高校(1365人)が臨時休校したほか、10校が試験や授業時間を繰り下げた。
 休校になった木津高校では登校する姿もちらほらあり、自転車できた1年生の女子生徒は「休校になるのではと思っていたけど、不安だったから」。親に車で送ってもらった2年生は「試験前なので勉強しようと思って」と、だれもいない教室に入っていった。
 職員室では父母たちからの問い合わせの電話が相次ぎ、マイカーやバスで出勤した先生たちが対応に追われた。9日から15日まで期末テストを予定しており、ストが1日延びるたびにテストの日程をずらして試験後の授業をカット。そのかわり、来年1月8日に催すはずだった始業式を7日に繰り上げる。
 小西智校長は「ストが1日だけならホームルームや球技大会を取りやめてなんとか対応できる。だけど、2日以上になると進路指導にも影響するので困ります」と話していた。
 福知山市内の私立京都共栄学園高校は府外からの通学が多く、生徒約980人のうち約600人が列車通学。影響が心配されていたが、欠席者はなく、約30人が1時間以内の遅刻をした程度。府立工業高校は舞鶴や綾部からJRで通う生徒が多く、午前8時半からのテストを1時間繰り下げた。
 京都市内では、私鉄やバスなどの交通機関があるため、はとんど影響がなかったが、JRの利用者が生徒数の約3割を超える洛陽工では、9日には1時間目の授業を1時間遅らせて10時にするという。
・企業 マイカー通勤 20台止まり 堀場製作所
堀場製作所(南区)が社員相乗りのマイカー通勤向けに約100台分の駐車場を確保した。しかし、利用者は20台止まりだった。ワコール(南区)では「JR以外の利用」を呼びかけるなどしたが、大手電機メーカーなどでは、「精神論的だが、前日に部長クラスが『できる限り来い』と一言いった」「前日に社内放送で『遅刻しないように』と放送した」などの対策の”効果”があったせいか、ここでも「影響はほとんどない」という声が目立った。(朝日新聞)
■逮捕の社員2人が 拘置不服の準抗告 信楽鉄道事故
 信楽高原鉄道列車事故で業務上過失致死傷などの容疑で逮捕、送検された同鉄道運転主任(62)と同施設課長(56)が、大津地裁の拘置決定を不服として、8日までに同地裁に準抗告の申し立てをした。
 申し立て書によると、拘置理由は、2人に証拠隠滅と逃亡の恐れがあるためとされるが、その疑いはない。1年7ヵ月にわたる取り調べを受けており、身柄を拘束して新たに調べる必要はないとしている。(朝日新聞)
■ワールドビュー 走り始めた国鉄民営化 改憲の成否握る人員整理 ドイツ
 ドイツの国鉄が民営化に向けて走り始めた。
 旧西独の「ドイツ国鉄」は、長年の放漫経営のうえ、新幹線「ICE」の建設に膨大な費用がかかり、累積赤字が今年末までに466億マルク(約3兆7000億円)にのぼる、と見られている。
 さらに、景気の落ち込みによる貨物輸送の減少もあり、このままでは、来年後半にも「倒産」状態になる見通しだ。
 むろん、旧東独の帝国鉄道(ライヒスバーン)も同様で、昨年だけでも54億マルク(約4300億円)の赤字を記録した。
 このため、政府は今年7月、2つの国鉄を合併、民営化することを決め、法案づくりに入っている。 計画によると、日本の国鉄民営化にならい、来年7月をめどにドイツ鉄道株式会社を設立する。その後、2002年までに旅客輸送、貨物輸送、路線維持・管理の3社に分割する方針だ。
 ドイツ国鉄は昨年末、赤字の四路線、計159`をニーダーザクセン州にわずか1マルク(約80円)で売却するなど、すでに不採算部門の切り離しにとりかかっている。デュル総裁は「民営化1年目はトントンで、翌年から黒字になる」と楽観的だ。
 しかし、最大の問題は、多くの職員をどうするかだ。クラウゼ運輸相は「過激な削減はしない」と約束しているが、新会社への再雇用計画はまだ発表されていない。
 ドイツ国鉄には、13万人の公務員を含む22万7000人の職員がいる。一方、帝国鉄道には18万2000人の職員がいる。職員らの間では、今後2、3年の間に3分の1が解雇されるのではないか、との不安が出ている。とくに、身分を保障された公務員がいない帝国鉄道の職員は「解雇される可能性が高い」との不安が大きい。
 民営化のためには基本法(憲法)の改正が必要で、いまのところ野党も反対していない。しかし、人員整理の仕方によっては大きな論議になる可能性もあり、ただでさえ軍隊の北大西洋条約機構(NATO)域外派兵をめぐる改憲問題で揺れるドイツは、もう一つの難題を抱えることになりかねない。(ボン=高木 新)(朝日新聞)
■“痛勤”2日目に JR西労スト
 JR西日本労働組合(JR西労)の96時間ストは9日、2日目に入り、同日正午までに近畿、中国地方の在来線で通勤通学列車など1134本、特急・急行6本の計1140本が運休、約56万人に影響が出た。朝のラッシュ時には、大阪環状線鶴橋駅や東海道線高槻駅など一部の駅で乗客の積み残しが起きるなど、初日を上回る混雑となった。
 争点の乗務員の勤務制度変更をめぐっては、依然、労使双方に歩み寄りはみられず、ストは継続される見通し。
 JR西日本によると、同日のダイヤの乱れは初日とほぼ同規模で、正午までに、本社管内では近畿通勤圏の通勤列車など708本が運休した。草津線、奈良線、山陽線兵庫−和田岬間の全面運休も続いた。
 ほかの支社の運休本数は和歌山92本、福知山50本、岡山44本、広島136本、米子4本の計426本。
 京滋関係は、奈良、草津の2線区で全面運休となっているほか、京都線、湖西線、学研都市線などの線区で8日並みの50−%の運転率。ラッシュピーク時の午前8時半ごろ、山科駅で約10分間改札制限が行われ、最大で300人が列をつくり列車を待った。また京都駅などで5分程度の列車の遅れもみられたが、利用者が出勤時間をずらすなど自衛策をとったため、大きな混乱にはならなかった。正午までの京滋関係線区の運休総本数は346本、影響人数は180500人。(京都新聞 夕刊)
■JRスト わがままに怒り 木津高また臨時休校
 JR西労の96時間ストは解除の見通しが立たないまま9日、2日目を迎えた。通勤、通学の利用客らは、いつもより早めに出かけたり、込み合うとみられた快速電車を避け、自営策で、平常よりも余裕のある列車もあった。
・駅
 JR京都駅の利用客は朝の通勤時間帯に、昨日よりも少し多い程度。各電車とも多少の遅れは出たが、京都線の快速電車などは増結したこともあって、積み残しなどはほとんどなく、いつもより空いている車両もあった。大阪に向かう普通電車を待っていた城陽市寺田、会社員松室重雄さん(51)は「いつもより15分ほど早く家を出た。昨日は私鉄を利用したが、大変込んでいて、時間もかかった。今回のストは実情を聞いていたら、いつもと違うし仕方がない。会社側の言い分が納得できない」と同情を寄せていた。
 いつもは草津線を利用して京都市内へ通勤している甲賀郡甲西町の会社役員(62)は「労使ともわがまま。人に迷惑をかけていることをどう思っているんだ」と、スト2日目に怒りの声をもらしていた。
・学校
 学校閲係では、前日に続いて奈良線の全面運休のあおりをまともに受けた山城地域を中心に影響が出た。
 8割以上の生徒がJRで通学している京都府立木津高校(相楽郡木津町)は9日も朝から臨時休校、この日から予定されていた学期末テストを11日以降に延期した。
 滋賀県内の高絞では、この日も期末テストを中止したり、始業時間を繰り下げる学校が相次いだ。
・スト貫徹へ待機 JR西労京滋本部
 JR西労京滋本部(安部和年執行委員長)には9日朝も約10人の組合員が待機、各電車区分会での中間集会を計画、10日は米原で、スト最終日の11日は京都で折議行動をする。安部委員長(48)は「みなし労働がまったく認められなければ、ピンポン玉のように往復しなければならない。列車の安全性がおびやかされる」とスト貫徹の姿勢を強めていた。(京都新聞 夕刊)
■スト2日目突入 JR西日本
 乗務員の勤務制度の見直しに反対しているJR西日本労組(JR西労、奥島彰委員長、約4500人)のストライキは9日、2日目に突入し、始発からダイヤが乱れて朝のラッシュが混乱した。大きなトラブルはなかったが、正午までに、在来線の特急など6本と、普通列車の4割に当たる1134本が運休、約56万人の通勤、通学客に影響が出た。乗客が殺到して改札制限した東海道線の高槻駅で前日の倍の約3200人の列ができ、大阪環状線の駅ではこの日も電車に乗れず、一時ホームで待つ客がでた。労使の交渉に進展はみられず、スト収束のめどはたっていない。
 2日目のストで、奈良、草津線と、山陽線の兵庫−和田岬間が全面運休し、東海道、山陽線の新快速、関西線などの大和路快速がストップ。近畿圏の運転率はこの日も通常の約半分にダウンした。
 高槻駅では午前7時から断続的に改札制限をした。午前8時ごろには、改札の前に約3200人が並んだ。東海道線(琵琶湖線)の山科駅でも、一時、改札制限した。
 大阪環状線鶴橋駅では、午前7時50分ごろから乗り切れない客が目立ち、約1時間の間に計2800人がホームに残され、後続の電車を待った。一時ホームに残された客は天王寺駅で200人、東海道線吹田駅で400人。(朝日新聞 夕刊)
■大きな混乱なし JRスト2 日目
 乗務員勤務制度の見直しに反対しているJR西日本労組のストは2日目の9日も、大きな混乱はなかった。
 JR高槻駅では、改札待ちの客の列が初日の2倍になり、同駅南の歩道橋にまで延びた。東南約400bの阪急高槻市駅は平日並みの乗客数。
 全面運休となったJR奈良線と並行する路線を抱える近鉄はスト初日、京都線などの主要駅で計110人を増員したが、時差出勤など通勤客の自衛策で混乱は避けられ、この日は増員を計70人に抑え余裕の対応。
 ラッシュ時の混雑はスト初日よりも穏やかだった。
 60%の運転率となったJR大阪環状線の天王寺駅は、乗客が普段より1割ほど減少。それでも、スト初日よりはやや増えたといい、同駅助役は「初日は比較的スムーズだったので、客の方に安心感が出たのでしょう」。
 期末テストの期間と重なった高校ではこの日も、始業時間を繰り下げる所が相次ぎ、大阪の公立高校では、市立淀商業の2時間を最高に、16校が始業を遅らせた。
・「時差」で余裕の出勤 休日に転用し「充電」も
 いまや「ゆとり」や「時短」がストライキに効果的−9日で2日目に突入したJR西日本労組のスト。ひと昔前は通勤の足の確保に躍起になっていた企業は特別な対策を取らず、サラリーマンはいつも通りに出勤。大きな混乱はなかった。私鉄などが動いたこともあるが、様変わりの大きな原因は、勤務時間を自由に選べるフレックスタイム制度の導入や、休日消化の促進。これまで迷惑一辺倒だったストを、寝坊や休養という「充電」にあてるチャツカリ組も多いようだ。
 「ホテルに泊まっても、フレックス出勤でも、売り場に余裕があれば、休日を取ってもらっても構いません」。ボーナス商戦本番を迎えたスーパーのニチイは、スト前日の7日、JR西日本の沿線にある約80店の従業員にこんなお知らせを出した。結局、ホテルに泊まった従業員はゼロ。「会社の心配は肩透かしの格好でした」と広報室。
 ボーナス預金の獲得で忙しい三和銀行本店も、大阪市内の研修所を宿泊施設として開放したが、利用したのはわずか2人。「昔はストといえは、貸布団を講堂に敷きつめたものですが、時代は確実に変わってます」(広報部)と話す。
 松下電器産業や三洋電機、帝人、伊藤忠商事なども「対策、混乱まったくなし」と声を合わせる。「わざわざ前夜から泊まり込まなくても、フレックスで時差通勤すれはラッシュは避けられるし、いざとなったら休めばいい」(三洋電機)というわけだ。
 不況で製品が売れずに苦しんでいる企業も多く、自動車メーカーからは「いっそ全面運休してくれたら、生産調整もできたのに…」(ある社員)との声も。
 ストを「充電」にあてた人の過ごし方も様々。大阪府枚方市の建設会社社長(45)は「きょうは開店休業」と社員に伝え、兵庫県のゴルフ場でプレー。「これも、ストのおかげです」とにっこり。同ゴルフ場によると、いつもより予約がぎっしりという。(朝日新聞 夕刊)
10日■信楽惨事はなぜ 列車事故捜査終結 6 県・町の責任 県会も活発論議へ 「道義」にとどまる県
 滋賀県警の捜査本部が3日、強制捜査を発表した直後、稲葉稔知事は記者会見に臨んだ。「遺族の心情を思うと、今も胸がつぶれる…」。県の責任論に質問が及んだ。「道義的責任は感じるが、賠償問題、刑事責任はないと思う」。
 事故は県が実質的に主催した「世界陶芸祭」に縮んで起きた。死者42人のうち、JR臨時列車の乗客は30人。陶芸祭の入場キップを持ったまま命を落としたのだ。
・真摯な対応一応評価
 県と、陶芸祭に地域振興への期待をかけた信楽町が、信楽高原鉄道の大株主であることもあって、事故への両者の責任論は、発生直後から持ち上がった。
 県では事故の2ヵ月後に支援対策室を設置、信楽町を引っ張る形で経営基盤の弱い高原鉄道を支えるため、補償や再建のテコ入れに乗り出した。本年度とりあえず予算化した補償貸付金は県が5億円、町が3億円。経営安定基金への貸付金はこれまでに県12億円、町10億円、他の甲賀郡内6町が2億円となっている。自治体による会社支援は、水俣病問題での熊本県のケースがあるが、県の真撃(し)な対応が一定評価されたのは間違いない。
 しかし、県のこれまでの県議会答弁は「道義上の問題として…」にとどまり、明確に「道義的、行政的責任は県にある」とは言い切っていない。遺族には「事故資料館」建設の意向もあり、その場所を陶芸祭会場だった県立「陶芸の森」に求める向きもあるが、県内部からは「事故責任は両鉄道会社にある」「陶芸の森が『事故』を背負い続けなければならなくなる…」という声も聞かれる。
・財政上の重み10年
 一方、県警の捜査の結論を待って、県の責任論を究明しようとの姿勢だった県議会は今後、論議が活発化しそうだ。まだ方向性は定まっていないが、列車事故対策特別委の西村政之委員長は「先日、遺族から真っ黒になった陶芸祭入場券を見せられた。県に道義的責任はあると思う」と話す。
 杉森一夫町長が事故当時、高原鉄道の社長を兼ねていた信楽町は、事故現揚に建立される慰霊碑の用地確保に奔走するなどの対応にも追われている。「道義的責任以上の責任が町にはある。高原鉄道の株主としての行政的な責任だ」(藤井克宏総務課長)。
 その町には、財政上の重みがズシリとのしかかっている。町の本年度一般会計予算額は約53億円。高原鉄道への貸付金計9億円は予算の17%を占め、他事業の見送り、縮減を余儀なくされた。貸付金はあと3億円が予想され、起債で賄った経営安定基金貸付金(10億円)の元利返済は2004年度(平成16年度)まで続く。記者会見で杉森町長は「事故の解決を見るまで町の将来に光はない」と述べた。町の責任は、財政上の問題だけでも10年以上は続くのだ。(信楽列車事故取材班)おわり(京都新聞)
■JR西労スト 打ち抜きの公算
 JR西日本労働組合(JR西労)の96時間ストは2日目の9日、依然労使の交渉が進展せず、8日に続いてダイヤは大きく乱れた。
 JR西日本のまとめによると、同日は普通列車3303本、特急、急行12本の計3315本が運休、約130万人に影響が出た。
 京滋関係は普通列車(新快速、快速含む)1001本、43万4000人に影響が出た。
 また、スト対策に動員された”OB運転士”の乗る普通電車が8日、山陽線・西広島駅でオーバーランをしていたことが分かり、JR西労は9日午後、会社側にOB運転士による運行をやめるよう申し入れた。
 会社側は「安定した輸送確保のために行っており、事前に十分教育している」と反発。交渉では、争点の乗務員の勤務制度変更については全く話し合われず、ストは4日間打ち抜かれる公算が大きくなった。
 JR西日本によると、本社管内では9日、草津線、奈良線などが全面運休したのをはじめ、近畿通勤圏で普通列車2012本が運休した。
 他支社の運休本数は和歌山251本、福知山142本、岡山355本、広島537本、米子6本の計1291本。
 西労と会社側は9日も、乗務員の勤務制度の変更をめぐり水面下で折衝。まず勤務制度改正自体を了承してもらい、それから条件交渉に入りたい−とする会社側に対し、西労は全く譲らず、結局、交渉に入れないまま物別れとなった。(京都新聞)
■期末テストができない! JRスト続行 高校直撃、連続休校も 授業日程、大幅遅れ 木津高 冬休み短縮で対応
 JR西日本労働組合(JR 西労)のストで、期末試験期間に入っている京都、滋賀の高校にも影響が広がっている。中でも生徒の多くがJRで通う高校では臨時休校したり、始業時間を遅らせるなどしているが、いまのところスト解除の見通しは暗く、冬休みを控えて授業時間の埋め合わせなどに頭券痛めている。
 8割以上の生徒が全面運休中の奈良線などJR各線で通学している京都府立木津高(京都府相楽郡木津町)は2日連続で休校し、9日から予定されていた学期末テストも延期した。生徒たちはテストの日取りの見通しが立たず、教論らも今後冬休みの短縮などで授業日数をやりくりしなければならないとあって気をもんでいる。
 通常なら8日まで授業をし、9日から15日まで期末試験、16日から3日間は午前中に答案返却と試験後指導、午後は最後の生徒会行事「球技大会」も予定していた。
 8、9日のストで既に冬休み期間を短縮し、年明けの始業式を1日繰り上げることが決まった。10日以降もストが続くと、3学期終業式を1日延期したり、試験期間を5日から4日に圧縮して授業日数を確保しなければならない。ストが11日まで続くと、2学期中に試験の答案が生徒に返せない恐れもあり、試験後の教科指導や休暇中の学習にも影響が出る、という。教務の川島仁教論(43)。は「降雪やストになると、うちの学校はJRと運命共同体。状況によって試験期間や教科が変化するので自宅待機している生徒は不安だろう」と話している。
 滋賀県内の各高校でも今年から2学期の終業式が22日に早めている所が多く、10日以降もストが続けば学期末の日程が大幅な変更を迫られるのは必至で各校では対応策に苦しんでいる。
 滋賀県教委のまとめでは、全日制公立高校46校のうち、この日期末試験を順延したのは膳所高など5校。ほかに1校が休校、16校が始業時間を20分から3時間繰り下げた。
 草津線利用者の多い甲賀郡水口町の水口高では、8、9日とも試験ができず、9日朝から学校には保護者や生徒から日程を問い合わせる約100本の電話が殺到した。
 2日続けて期末試験を順延した大津市の膳所高は最悪の場合、さりに15日まで試験日がずれ込むが、採点と通知票作成などの時間はわずかしかなく、教職員らは「どうして時間を確保したらいいか」と心配顔だ。(京都新聞)
■快速、ホームでバック ストで増結と勘違い? JR京都駅
 9日午後4時10分ごろ、京都市下京区のJR京都駅東海道線ホームで、米原発網干行き快速電車(11両編成)が停車し、ドアを開けようとした際、再び動きだし1両分バックしたあと、また元の位置まで前進して停車した。
 京都駅の説明によると、JR西労の96時間ストで快速電車の多くが12両編成に増結して運転しており、ホームでは利用客が12両目の位置まで待っていたため車掌が勘違いしてバックさせてしまったらしい。
 電車の乗客の1人が、ホームの駅員事務所に折議する一幕もあり、長期間ストヘのイライラを募らせているようだった。(京都新聞)
■小倉山残土処理 搬出復元案検討していた 京都市 協議の4案公表
 京都市右京区嵯峨の小倉山に放置してあるJR西日本の工事残土処理問題で、京都市は9日、これまでJR側と検討、協議してきた4つの小倉山復元案を公表した。この4案の中から最終的に、土砂を搬出せずに復元する案が採用されたが、列車やダンプを使っての搬出復元案も検討されており、どの方法が妥当だったのか、改めて市民の間で議論を呼びそうだ。
 公表された復元案は@現山陰線(新線)での工事用列車とダンプの併用で土砂を搬出A旧山陰線(現嵯峨野観光鉄道)での工事用列車とダンプの併用で土砂を搬出C元の地形に類似した形に修景−で、いずれも植栽する。
 検討結果によると、@の手順は、夜間特急「出雲」2本の運転を休止し、営業列車が運行しない時間帯に土砂たい積基地まで搬出し、その後ダンプで土砂捨て場まで運ぶ。土砂搬出と植栽に約12年かかる。列車の運休をしない場合は約23年。Aは嵯峨野観光鉄道の列車を休止し、保津峡側の小倉山山腹の落石防護などの防災設備を施工する。仮設道路を使用してベルトコンベアで土砂を旧線まで下ろして@と同様に搬出する。植栽も含め約11年かかる。Bは嵐山高雄ドライブウェイ、鳥居本、京都市街地を経由して土砂捨て場まで搬出する。約24年かかる。
 これら3案は▽工事期間が長く自然回復が遅れる▽運転休止で乗客に影響が出る▽新たな自然破壊やダンプ公害が起きる−の問題点があると指摘。C案が、工事期間が約3年と短く、公害と環境問題を最小限にとどめることが可能とし、京都市は先月11日、この案を基本にした復元案を承認した。また土砂捨て場については亀岡市、右京区嵯峨・梅ヶ畑、京北街、城陽市、滋賀のほか近畿の公共工事を調査したが、土砂の受け入れ時期が合わない、外部からの土砂の受け入れを必要としないの理由で不適当だった、としている。(京都新聞)
■JR西日本の小倉山残土問題 「検討案」明らかに 搬出 JR・制約なければ2年 市民・本気でやれば1年
 JR西日本による山陰線トンネル工事に伴う小倉山での残土放置問題で、JR側が市に示していた土砂搬出検討案の詳しい内容が9日、明らかになった。植栽を除いた土砂搬出期間については、新旧両線の列車を使った場合は9−23年、トラック使用の場合は22年かかる、としているが、トラックの通行量に制約がなけれは2年で完了する案も盛り込まれている。これに対し、市民による土砂搬出運動に乗り出した随筆家の松本章男さん(61)=左京区=は独自に搬出計画案を作成。「本気でやれば、1年はどで搬出できる」と主張している。
・JRの検討案の主な内容は次の通り。
【新線利用案】
 トンネル工事で土砂を運びあげた堅坑を使って残土を新線横へおろす。深夜特急2本を運休させた場合、1日当たりの作業時間は4時間半で、搬出量は月約1200立方b。植栽を除いた撒出期間は約10年で、運休などによって年間17万人の列車利用客に影響が出る、という。運休させない場合は23年かかる。
【旧線利用案】
 嵯峨野観光鉄道のトロッコ列車が走る旧線を使う。山の斜面にベルトコンペヤーなどを設け、旧線まで土をおろす。トロッコ列車を運休させた場合の撒出量は月約2500立方bで、5年間で完了。搬出設備の仮設、撤去期間に4年かかり、9年で終わる。列車を止めない場合は21年に延びる。
 約45度の急斜面のため、コンベヤーの新設などによる自然破壊が懸念され、自然林の回復は困難。保津川の景観も壊れる、としている。
【トラック利用案】
 山頂から、嵐山高雄ドライブウェイ、市内中心部を経由して運び出す。しかし、トンネル着工時の地元との協議でトラックの通行は昼間9時間程度、1日8台に限られており、搬出量は月530立方bほど。搬出期間は22年に及ぶ。制約がなければ1日100台の通行が可能で、2年に短縮できる。
 しかし、通行沿線で交通公害が発生。一般観光客への影響も出る、という。
【搬出先】
 亀岡市、右京区嵯峨、梅ケ畑、京北町、滋賀県方面などの公共工事関連場所を調査。しかし、受け入れ時期が合わないなどの問題があり、実現しなかった、という。
・「断念」3案の狙い?
 これに対し、松本さんは午前零時から同6時までの間にトンネルを通過する列車は6本にすぎず、前後の数本を含めて旧線に回せば搬出の時間は確保できる、と主張。30両編成の貨車を1晩に延べ4回トンネルに入れれば、1年以内に搬出は完了するという。
 さらに、トラック利用案についても、搬出残土の集積地を数ヵ所に分けれは、ドライブウェイの2つのゲートから住宅地に至るまでに4つのコースが選択できる、と指摘。それぞれ1日あたり25台のトラックを走らせれば、400日で運び出せる、としている。
 JRの搬出検討案について、松本さんは「3つの案は、原状回復を断念させようとする全く作為的なものだ。不分明極まる修復計画は将来に大きな紛糾をもたらす」と強調。「1年以内の撒出ができないというなら、JRの社長と、田辺市長を交えた公開討論を求める」と話している。(朝日新聞)
■JR西労スト 8高校に影響 一部の中学でも
 JR西日本労組のストライキが2日目に入った9日、府内の高校は引き続き休校や授業開始時間の繰り下げの措置を取った。府教委のまとめによると、48の府立高校のうち、対応をとったのは休校になった木津高校を含め8校。いずれも期末テスト中だった。また、一部の中学でも始業を繰り下げた。(朝日新聞)
■JRスト3日目 利用者の声 同情できる/余分な出費/長すぎる
 JR西日本労働組合(JR西労)のストは10日、3日目に入った。いまのところ解除の見通しはなく、予定通り4日間・96時間のストになりそう。このロングランストに、JR利用者らは、どんな影響をうけ、どう思っているのか。京滋の駅や街頭で10人に生の声を聞いた。(五十音順)
氏 名
職業・年齢
通勤(通学)
の経路は
対応策は生活の変化・影響は感想、意見は
明石洋子さん
会社員・28歳
亀岡→京都マイカーで長岡京市へ。あと阪急と地下鉄で。有料道路の通行料、私鉄乗車賃、ガソリン代など1日800円の損害。労使が話し合いをして早く解決を。
泉沢克久さん
会社員・27歳
城陽→京都家族の車で近鉄寺田へ(帰りは徒歩20分)寺田から近鉄で。早めに家を出る。仕事の出張計画力今立てにくい。徒歩20分がしんどい。余計な交通費に1日920円。労働者として同情もするが3日も4日もストを続けるのはどうかな。
大賀満寿子さん
パート・55歳
南区→京都
(自転車)
JR奈良線ホーム売店に勤めているが、店は毎日開けている。売り上げが平日の1割にも満たない。特に朝の通勤時間帯はひどい状態です。4日間は長すぎるし通勤客は大変。JRは日本の足。経営側はもっと折れるべき。
清水智基さん
学生・18歳
京都→大阪平常と変わらない。特にない。労組の立場も分かるが、利用者には迷惑。100%運休のストか、しないかに。
田島博さん
会社員・44歳
京都→山科初日から20分ほど早めに家を出ている。これで十分間に合う。特にない。混み合うのはいつものことですし。言い分を聞いていると西労の肩を持ちたくなる。拘束時間の給与支払いは当然だ。
谷口真弓さん
会社員・24歳
京都→山科8日は1本早めに乗った。9日以後はいつもの時間。8日だけ早く起床した。 (争点の待機時間は)会社が拘束しており労働時間。労組の考えは理解できる。
土屋 勝さん
会社員・52歳
甲西→草津朝夕は会社が配車したバスを利用して通勤。9日夕は会社のバスに間に合わず、民間バスを利用した。えらい迷惑だ。もともと不便な地域に一番しわ寄せが来るのは、納得できない。
中沢 里香さん
会社員・23歳
貴生川→大津草津線が止まっているので家族に車で草津駅まで送迎を頼んだ車で時間を掛け駅にたどりつくと、電車はギューギュー詰め。イライラが募る。わがままだ。鉄道員という立場を考えて早く元に戻してほしい。
山口 真樹さん
学 生・21歳
大阪・大正→京都家を30分早く出ている。早く起床する。肉体的・精神的被害をあえて換算すれば3-400円。早く終わってほしい。年2回もストされては迷惑。年末にやること自体、非常識。
山本智堆さん
バス会社勤務・46歳
雄琴→宇治私鉄やマイカーで通勤。仕事のバス運行管理で、8日は増発の手配に苦労した。マイカーのガソリン代240円を出費。待ち時間の問題は会社側に無理がある。組合もいきなり96日時間ストとは非常識。
・木津高 3日連続の休校
 JR西労のスト3日目の10日、京都府立木津高校(相楽郡木津町)は臨時休校。予定されていた学期末テス卜
をまた1日延期した。生徒の自宅待機が連続3日目となったため、学校では、出勤してきた先生らが生徒の家に電話をかけ、学習や生活について指導した。
 これで、授業日数確保のため3学期の始業式繰り上げが必要。11日も続くとさりに対策を講じなければならず、関係者はうんざりの表情だった。
 その他、府内の公立、私立高校にも始業時間を繰り下げて授業やテストを行うところがあった。
・観光客もうんざり
 スト3日目を迎えた10日朝、JR京都駅では朝の通勤、通学の利用客らが、電車を乗り換えるなどの自衛策をとったためか、大きな混乱はなかった。
 乗降客が最も多い東海道線は、電車の遅れもほとんどなかった。滋賀方面から京都に向かう電車は乗車率180%前後と、いずれも超満員。しかし、大阪方面へ向かう電車は、京都発の普通電車に乗り換える利用客もあって、130−150%と、スト2日目と同様に通常よりやや混み合った程度だった。利用客らは混雑する電車にいくぶん疲れた表情を浮かべながらも、足早に職場に向かっていた。
 一方、全面運休の奈良線ホームでは周遊券を手にした観光客がストを知らずに訪れ、うんざりした様子で近鉄京都線に急いでいた。
・奈良線に電車走った?! レールのさび防止策で
 ストで全面運休が続くJR奈良線(京都−木津)、草津線(草津−柘植)でJR西日本京都保線区などが、線路のさびを防止するため、運休となった8日以降、連日、保線作業などに使う保守用車を1往復、走らせている。雨ざらしの線路は1日列車が走らないだけでもさびが出るため、スト収束時、ただちに列車を運行するには欠かせない作業で、”さび止め列車”が走るのは昭和50年の旧国鉄のスト以来という。
 奈良線では10日も、午前8時50分に4両編成の作業車が京都駅をスタート。早足程度のゆっくりした速度で、3時間近くかけて木津まで走った。走るだけでさび防止できるといい、午後には復路を運行、レールがさびるのを防いだ。両線とも、ストが続けば11日も同列車を走らせる。(京都新聞)
■JRスト3日目 収拾、メドなし
 乗務員の勤務制度の見直しに反対しているJR西日本労組(JR西労)の96時間ストは10日、3日目に入り、始発からダイヤが乱れた。普通列車のほぼ半分が運休、正午までに約56万人の通勤通学客らに影響が出た。スト収拾のめどはたっておらず、11日まで長引いた場合、草津、奈良線などのほか、さらに加古川線も全面運休する見込みだ。この日も近畿圏では、奈良線など3線区が全面運休、東海道、山陽線の新快速などもストップした。
 朝のラッシュ時、東海道線の高槻駅や山科駅などで断続的に改札制限をしたほか、大阪環状線の大阪駅や鶴橋駅などで乗り切れない客が目立った。(朝日新聞 夕刊)
■作業車脱線2人死傷 近鉄長野線 37本運休、5000人に影響
 10日午前1時35分ごろ、大阪府河内長野市汐の宮町の近鉄長野線で、線路の道床を突き固める線路保線機械マルチプルタイタンパー(約20トン)が脱線、機械の下にいた近畿日本軌道工機(東大阪市)の作業員1人が下敷きになり、胸などを強く打って死亡、もう1人が重傷を負った。この事故で同線は河内長野−滝谷不動間が不通になり、37本が運休。近鉄は富田林−河内長野間に代行バス16往復を走らせた。午前10時過ぎに復旧したが、約5000人の足に影響した。
 死亡したのは羽曳野市南恵我之荘六丁目、河合正人さん(31)。仲間の寝屋川市三井が丘一丁目、松田彰さん(28)が願の骨折で3ヵ月のけがを負った。
 河内長野署などの調べによると、2人は同僚約15人とともに午前1時ごろから作業をしていたが、保線機械が故障し立ち往生した。このため、ジャッキで保線機械を持ち上げ、車両移動装置を取り付けていたところ、突然ジャッキが崩れ脱線、下敷きになったという。現場は汐ノ宮駅の南約200b。(朝日新聞 夕刊)
■全面運休に不満の声 JR草津線 半数以上欠席の高校も
 JR西日本労組(JR西労)のストライキで、草津(滋賀県)と柘植(三重県)を結ぶ草津線は、10日も列車が全く動いていない。代替の鉄道はなく、住民の間から「なぜ1本も動かないのか。ローカル線の切り捨てだ」と不満の声が出ている。
 草津線は1日に上下計72本の電車が走り、乗降客約3万人を運ぶ。同線がストップすると、並行する国道1号の路線バスかマイカーに頼るしかない。
 生徒の半分が草津線で通学している甲南高校(生徒708人)では、10日は402人が欠席した。平木聰教頭は「テスト期間と重なったのが痛い。結果的には生徒の学習権を奪われたことになり残念だ」と訴える。(朝日新聞 夕刊)
■JR西労組がスト批判ビラ
 JR総連系のJR西日本労組(JR西労、奥島彰委員長、約4500人)が続けている96時間ストに対し、同じJR西日本の最大労組であるJR連合系の西日本旅客鉄道産業労組(JR西労組、矢後希悦委員長、約3万5000人)が反発を強め、10日朝、同労組近畿地方本部がJR大阪駅前で「無謀なスト反対」を訴えるビラを配るなどした。(朝日新聞 夕刊)
■「昭和の古都」モノクロで
 全日写連理事の浅野喜市さん(78)=京都市=が昭和12年から42年にかけての京都の素顔をモノクロでとらえた写真集「古都」を京都書院から出版した。
 鴨川の水害で流れた五条大橋、キセルを掃除するラオ屋さん、堀川通を走るチンチン電車など、懐かしく貴重な写真が収められている。
 写真歴60年。これまでにも「花京洛」「祇園」など京都を被写体にしたものが多く、今回で59冊目の発刊。
 「古都の姿を映像で、できるかぎり残しておきたい。また折あればお目にかけたいと思っています」(朝日新聞 夕刊)
11日■容疑者の似顔絵公開 JR運転士刺殺事件 車内でトラブルか
 大阪市都島区の桜之宮公園で、奈良県大和郡山市のJR西日本運転士戸知谷健治さん(35)が腹を刺されて殺された事件で、戸知谷さんと電車に乗り合わせた男の間でトラブルがあったことが、10日までに都島署などの調べで分かった。同署はこの男を容疑者とみて同日、似顔絵を公開。
 男は35−40歳で身長175a、がっちりした体格で、黒っぽいジャンパー姿。(朝日新聞)
■近鉄橿原線 2時間不通 踏切でダンプ横転
 10日午後4時50分ごろ、奈良県磯城郡田原本町宮森の町道交差点で、大型ダンプカーが桜井市三輪、会社員吉川チエミさん(27)運転の軽トラックに接触、そのまま逃げ、約200b西の近鉄橿原線笠縫3号踏切(警報機、遮断機付き)で、前から来た橿原市東竹田町、造園業田村重治さん(72)運転の軽トラックなど3台に次々と衝突したあと、ダンプカーは上り線をふさぐかたちで横転した。田村さんは左足骨折で4週間、吉川さんは両ひじに1週間のけが。奈良県警田原本署は、ダンプカーを運転していた桜井市大福、運転手吉田正一容疑者(38)を業務上過失傷害、道交法違反の現行犯で逮捕した。
 この事故で、上り線は、午後6時44分に復旧するまで約2時間にわたって不通。
 下り線も徐行運転となり、特急6本を含む上下22本が運休、上下34本が最高1時間50分遅れた。ラッシュ時と重なったこともあり、通勤、通学客約1万5000人の足が乱れた。(朝日新聞)
■JR西労スト 4日間貫徹へ
 96時間ストに入っているJR西日本労組(JR西労)とJR西日本の交渉は、10日になってもスト収拾に向けての実質的な話し合いが行われず、ストは4日間打ち抜きへと突入した。11日はローカル線の一部も全面運休するなど、影響は広がる見通し。
 労使交渉は10日、非公式な折衝が断続的にあったが、双方ともこれまでの主張を譲らず、窓口レベルでのやりとりに終始した。この日は約3300本が運休、約130万人に影響が出た。
 11日は、これまでと同様に奈良、草津線などが全面運休、普通列車の約4割が運休する予定のほか、特急などの運休は12本から23本に増え、新たに加古川線や津山線、吉備線など7線区が全面運休になり、全体の運転率も約5%下がる見込みという。(朝日新聞)
■パンタにカラス衝突 新幹線、8万人影響
 10日午後5時半すぎ、東海道新幹線の三島−静岡間が停電となり、上下線がストップした。JR東海によると、沼津市内を走っていた新大阪発東京行き「ひかり256号」(16両編成)のパンタグラフの下にカラスがぶつかってくい込み、電気系統に異状が起きたらしい。約2時間たってようやく自力で走ったが、三島駅で運転を打ち切った。
 この影響で東海道・山陽新幹線は上下11本が運休し、新大阪発東京行き「こだま440号」が約2時間半遅れたのをはじめ、上下73本が遅れ、終列車まで約8万人の足が乱れた。(朝日新聞)
■乗客「疲れました」 JRスト最終日 京都駅はふだん通り
 JR西日本労働組合(JR西労)の96時間ストは、最終日の11日になっても収拾の見通しが立たないまま続けられた。スト拠点にこの日舞鶴鉄道部などが加わった影響で、舞鶴線で朝通勤時の列車本数が3分の1に減り、京滋の正午までの運休本数は358本、影響人数は18万1000人となった。
 JR京都駅は前日に比べ利用客も少ないようで、ふだんと変わらないラッシュの表情。ホームには、駅員や雑踏警戒の警察官の制服姿が目立つぐらいだった。駅では「4日間にわたるストで利用客も、電車の時間を変えるなどして、分散したよう」と見ている。
 東海道線ホームで、大阪行きの快速電車を待っていた京都市上京区の会社員小見山尚さん(37)もは「朝はみんな早めに出かけるのか、かえってすいているぐらい。逆に帰りの方が大変で、暖かい天気が続いただけに混雑で汗だくになった。今回のストは、JRの社員の中でも割れていて、無意味だったのでは」と、長期ストに疲れ切った顔で話していた。
 一方、全校生徒の8割以上がJR利用の府立木津高校(相楽郡木津町)は、スト最終日の11日も臨時休校。学期末テストができないまま4日連続の休校で、生徒たちは運転再開後のテストに備えて自宅学習した。
 私立高校も、大谷高校(京都市東山区)がこの日から始まった学期末テストを2時限繰り下げるなど、始業時間を遅らせるところがあった。
 福知山商高(福知山市)はJR加古川線が全面運休、さらに舞鶴線も運休本数が増加したため休校した。この日は期末テストの3日目だったが、14日に延期した。北部で今回のストで休校したのは初めて。
 10日午後以降、労使交渉のめどは立っておらず、ストは12日午前零時の期限いっぱい打ち抜かれる見通し。(京都新聞 夕刊)
■JRへの抗議電話急増 高校は振り替え授業で対応 ぐったりえーかげんにしてスト4日目
>  JR西日本労組のストが4日目に突入した11日、新たにJR加古川線なども全面運休になり、臨時休校する高校が増えた。一方、連日のストに早朝出勤をするなど「自衛」してきた利用者らは「もう、ぐったり」。JR西日本本社などには「いつまで続ける気か」と抗議の電話が急増している。
 11日に全面運休になった加古川線、運転率の低い播但線の利用者が多い兵庫県立の高校5校は臨時休校。福崎高校は3学期の始業式の日に振り替え授業をする。
 伯備線の岡山−新見間など5線が全面運休に入った岡山県では公立高校15校が臨時休校に。草津線が全面運休したままの滋賀県では、11日も県立国際情報高校と甲南高校が休校。国際情報高では、今年度中の日曜祝日への振り替えも検討。
 奈良線の全面運休で連続4日の休校となった京都府立木津高校は、期末テストを15日以降に順延。来年1月の始業式を1日早め、春休みも2日ほど短縮して埋め合わせをする。
 JR西日本本社のまとめでは、6日午後5時から11日午前9時までのスト関係の苦情、問い合わせ電話は計2万1903件。JR大阪駅「キク像コーナー」では、スト期間中電話案内の時間を延長。毎日午前4時から深夜零時半まで問い合わせを受け付けた。スト関係だけで連日1000件前後が寄せられている。(朝日新聞 夕刊)
スト4日目を迎えた8人の思い(敬称略)
 ストの理由ひとこと
新幹線通勤した商社マン
姫路市、浜田賢二郎(25)
時短の関係
でしたっけ
特急券は自腹。4日で13000円
の出費。飲み代1回分消えました
木津駅前のタクシー会社
配車係 村田活多良(71)
乗務員の勤務時間かな13台で10万円の売り上げ増。私
鉄の駅まで送るのが多かった
私鉄に切り替えた奈良の
OL、鈴木由美子(22)
考えもしなかった普段は本を読みながらの通勤な
のに、もうぐったり
JR西日本の苦情電話窓口
係 岡理恵(23)
当然。勤務制度の対立毎朝4時半起きで出社。6時か
ら電話殺到で、声がかれそう
臨時休校となった滋賀県
立高2年、滝石幸郎(17)
待ち合わせなどの時間自宅に2日間。あとは自転車で
片道1時間もかかった
JR大阪駅のキヨスク従業
員、中山真弓(31)
全然知りませんホームは込んでいるのに、新聞
や雑誌は売れ残った
天王寺駅で臨時乗客係を
務めたJR総務部員(39)
賃上げじゃないですよ一線での立ち仕事はきついし、
本社での仕事はたまる一方です
連日大混雑だったJR鶴橋
駅の夘野光昭駅長(51)
交渉が決裂してはねえ早朝から終電までホームの整
理。ずっと駅泊まりで疲れた
■JR西日本 スト打ち抜き濃厚 労使交渉、こう着状態
 JR西日本労組(JR西労)の96時間ストは11日、最終日に入った。依然スト収束への動きはみられず、打ち抜きの公算が大きい。この日は、近畿圏内の約半分の通勤通学列車が運休したのに加え、新たに加古川線や岡山、広島のローカル線など合わせて7線区が全面運休になったため、振り替える他の交通機関の少ない地域では深刻な影響を与えている。JR西日本によると、正午までに、平常の約4割が運休し、約59万人の足が乱れた。
 労使交渉は11日、非公式折衝が行われているが、こう着状態が続いたまま。
 JRによると、11日正午現在で、特急などがこれまでのほぼ倍の11本運休、近磯圏では奈良線など3線区の運休が続いており、半分が運休した。和歌山、福知山、岡山、米子、広島の各支社では、40−95%の運転率。全社では前日より約180本多い約1300本が運休した。(朝日新聞 夕刊)
12日■JR96時間スト「やっと終わり」532万人影響 労使なお張らん含み
 JR西日本労働組合(JR西労)の96時間ストは最終日の11日も打ち抜かれ、4日間で運休は計13757本、影響人員約532万人に上り、昭和50年の旧国鉄スト権スト以来、最大規模のストとなった。ストは12日午前0時に解除され、平常ダイヤに戻った。
 西労は「今回のストで労働強化に反対する姿勢をアピールできた」として今後も闘争を続ける方針。民営化以来、輸送量増加など赤字体質からの脱却を進めてきたJR西日本は、労使関係正常化という難題を抱え込むことになった。
 JR西日本がまとめたスト期間中の運休は、特急・急行59本、本社管内の普通電車8198本。このほか各支社で、和歌山1004本、福知山636本、岡山1561本、米子49本、広島2234本、金沢16本の計5500本が運休した。普通列車の平均運転率は60%。
 4日間にわたって運休が続いたのは草津線、奈良線、山陽線兵庫−和田岬間の3線で、スト拠点が拡大した11日は新たに加古川線など7線区(一部区間を含む)が全面運休し、スト期間中最大の影響が出た。
 会社側は、4労組のうちの最大労組である西日本旅客鉄道産業労働組合(JR西労組)が制度変更の受け入れを決定していることから、年内にも実施の手続きに入りたいとしている。これに対し西労は、来年2月の臨時組合大会に向けて新たな闘争に取り組む方針で、西労と会社側の対立は打開の糸口を見いだせないまま続くことになった。
 国鉄の分割民営化後、最大となったJR西労の96時間スト。11日、収拾のめどすら立たないまま対立を続けてきた労使双方は、疲労をにじませながらスト解除に備えた。一方、時差出勤などさまざまな「自衛」を試みた利用客は、安どの表情を浮かべた。
 大阪市福島区のJR西労中央本部。「スト解除準備を指令する」。午後9時、幹部が指令書を読み上げると、疲れを隠せない組合員の顔にも満足感が漂った。だが肝心の要求に会社側は応じないまま。奥島彰委員長は「何度も打てるものではない」とスト戦術の厳しさ国に。「もう一度やるときは、組合の命運がかかる」と、ある組合員は表情を引き締めた。
 午後9時すぎから記者会見して井手正敬社長は、会社側の経営責任を問われると「始めにストありきでは、スト権の乱用と言わざるを得ない」などとセキを切ったように西労批判。今後の西労との関係についても「話し合う方法がありますか?」と強気の発言に終始した。
 ふだんと変わらぬ帰宅ラッシュの大阪駅では、1分間隔でストを知らせるアナウンス。大津市の会社員、河内達雄さん(45)は、「ストが打てるところはいいなあ、という感じ。やっときょうで終わりですね」とホットしていた。
・京滋で175万人影響
 京滋関係では、4日間で述べ4000本が運休、175万5000人が影響を受けた。混雑ぶりはスト突入前に予想されたほどではなかったが、山科駅で朝ラッシュ時に改札制限が行われたり、乗車率250%の超満員電車が一部でみられるなどした。
 最後まで全面運休となった奈良、草津線では延べ20万人の足が乱れ、利用者からは「なぜここだけ全面ストップなのか」といった、ストダイヤへの不満の声が後半には多く上がっていた。(京都新聞)
■運輸省承認 20日から運賃値上げ 京福電鉄嵐山線は平均10%
 京福電鉄(本社・京都市)の運賃値上げが、11日開かれた運輸審議会で認められた。11日に運輸省が申請通り認可、20日から実施される。
 京都市の嵐山線(11`)は平均10%の値上げで四条大宮−嵐山間は210円(現行190円)となる。福井県の越前線(59.2`)は平均値上げ率0.8%、2`までの最短初乗り運賃だけが20円アップの170円となる。(朝日新聞)
■氷山の一角?会計検査院報告 ああ”公費天国” JRグループ4億無駄に 湾岸戦争 用途は未確認
 JRは4億円もの無駄遣い−。11日公表された平成3年度の会計検査報告には腹立たしくなるようなお役所仕事の実例がズラリ。「湾岸戦争拠出金の使い道は未確認」と納税者に語り掛けるような報告も。やり玉に挙がった総額は133億円だが、それでも氷山の一角で”公費天国”という言葉は、いまだに死語ではないようだ。
JRグループ
 新入社員の無資格運転でJR各社に批判が集まったが、11日公表された会計検査報告ではJR東日本、西日本など旅客5社が下水道料金の払い過ぎなどで6件、計約4億円の無駄遣いを指摘された。
 景気後退で各社の収入は軒並みダウン。「値上げをお願いする時期がくるかも」と話すJR幹部もおり、国鉄時代の”親方日の丸意識”はぬぐい切れていないようだ。
 下水道料金を払い過ぎていたのはJR東日本。下水道使用量は上水道使用量と同じと見なして料金計算するが、下水への排水量が大きく下回る場合、地方自治体に申請すれば減額される。
 東京駅や新幹線基地で列車に給水した洗面用水や冷暖房設備で蒸発する水は、下水道には流れないのに減額申請しておらず、平成2、3年度で約1億5800万円を余分に払った。「減額制度を知らなかった」という。
 東海、西日本、九州の3社は保線工事費の払い過ぎ。レールの継ぎ目には、暑さでレールが伸びても線路が曲がらないように、一定のすき間が開けてある。
 すき間の調整は、最新の機械を使い小人数、短時間で済ませているのに、旧式の機械を使った時代の単価で工事費を積算。前年度は東海が約4800万円、西日本が約6300万円、九州が約1200万円を業者に払い過ぎた。
 また北海道と東日本の2社は札幌駅、東京駅などの駐車揚の料金業務を外注し、人手で行っている。機械を導入して自動化すれば2、3年度で北海道が約2700万円、東日本が約9500万円を節約できた、と指摘された。(京都新聞 夕刊)
14日■特急に接触、女性死亡 3人巻き添え 京の男性重傷 京阪樟葉駅
 14日午前7時20分ごろ、大阪府枚方市楠葉花園町の京阪電鉄樟葉(くずは)駅のプラットホームで通過中の出町柳発淀屋橋行き特急電車(7両編成)に女性が接触してはねとばされ、即死。巻き添えで、ホームにいた男女2人が重傷、男性1人が軽傷を負った。死亡したのは枚方市北船橋町、会社員辻節(みさお)さん(55)。重傷は京都府八幡市男山指月の森本祐吉さん(65)と枚方市の遠藤典子さん(28)で、軽傷は枚方市、柳谷精二さん(48)。
 電車は現揚付近に3分間停止した。枚方署が事故の原因を調べている。
 樟葉駅の田村健助役(46)によると、現場は大阪方面行きの四番線ホームの京都寄りの待合室付近。辻さんは、特急電車にはねられ、10−20b飛ばされ、次の準急を待っていた乗客の列に突っ込んだらしい。
 目撃者は「ホームの1番前にいた女性が線路側にフアーッと出て行った」と話しており、枚方署は事故、自殺の両面で調べている。(京都新聞 夕刊)
■刑事責任追及 徹底捜査を 信楽遺族の会が要請
 信楽高原鉄道事故の「犠牲者遺族の会」(吉崎俊三世話人)と同弁護団(秋田真志事務局長)は事故の刑事責任追及捜査に関し、JR西日本と高原鉄道両社の連格体制や乗務員訓練のあり方などの徹底捜査を求める要請書を14日午前、大津地検に提出した。要請書の中で遺族側は▽信号保安システム導入、施工の際、両社が十分な情報交換をしていたか▽事故前の信号トラブルの原因解明はされていたか▽乗務員への教育、訓練は適切だったか−などについて捜査を尽くすよう求めている。
 遺族会は、滋賀県警が高原鉄道社員ら3人を業務上過失致死傷容疑で逮捕、送検した際、「JR上層部への責任追及が不十分」などとして7日、当時のJR社長だった角田達郎現会長ほか幹部社員ら7人を同地検に告訴している。(京都新聞 夕刊)
■特急に接触、女性即死 ホームの客巻きぞえ なぎ倒され3人重軽傷 朝の京阪樟葉駅
 14日午前7時20分ごろ、大阪府枚方市楠葉花園町の京阪電鉄樟葉(くずは)駅で、通過する特急電車(出町柳発淀屋橋行き、7両編成)に中年の女性が接触、女性はホーム側にはね飛ばされ、並んでいた乗客の列に飛び込んだ。この事故で女性は頭などを打って即死、ホームにいた乗客3人が頭などを打つなど重軽傷を負った。
 枚方署などの調べでは、この女性は同市内の会社員(55)。乗客らの話では、女性はふらっと前に出た、といい、事故と自殺の両面で調べている。
 ぶつかった乗客のうち、京都府八幡市男山指月、会社員森本祐吉さん(65)は首と腰の骨を折り、枚方市招提中町一丁目、会社員遠感典子さん(28)も左足骨折で重傷。同市東船橋二丁目、会社員柳谷精二さん(48)も頭を強く打つけがをした。
 樟葉駅の説明によると、同駅のラッシュのピークは午前7時20分から午前8時10分までで、事故のあった午前7時19分には、ホームは約1000人の客で埋まっていた。特急は、4番ホームを時速約80`で通過し、その直後に同ホームには、樟葉始発の淀屋橋行き準急が入って来るはずだった。そのため、同ホームには乗客らが2列に並んで準急を待っていた。
 電車の運転士は「女性が電車に飛び込んできた」と話しているという。女性はホーム中央の待合室西側から特急に近づき、1両目の右側車掌室のガラスに当たり、準急を待っていた乗客の列をなぎ倒しながら約30bはね飛ばされた。
 駅員らの講によると、ホームには、けがをした3人以外にも倒れた人が数人いた。けがをした人らは救急車で近くの病院に運ばれた。
 樟葉駅は特急通過時に「まもなく4番線を電車が通過します。黄色い線の内側にお下がりください」とアナウンスを流し、同時に「ピー、ピー」という音を鳴らして乗客に注意を呼びかけている。同駅の助役は「乗客の危険防止には十分注意しているが、このような事故にはほとんど対応ができない。あとは通過列車の速度を下げるくらい」と話している。
 この事故で、特急電車は現場に約6分、臨時停車。後続の下り47本に最高8分の遅れが山て、約3万人の足が乱れた。(朝日新聞 夕刊)
15日■信楽高原鉄道事故 1年半後に関係者拘束 核心の解明にカギ握る供述
 「なぜいまごろ逮捕なのか」。死者42人、負傷者 614人という大惨事となった信楽高原鉄道列車事故。滋賀県警捜査本部は3日、同鉄道の関係者3人を業務上過失致死傷などの疑いで逮捕し、次いで送検した。事故から1年半以上もたって異例の強制捜査に踏み切ったのは、信号システムなどの科学的鑑定だけでは詰めきれない核心部分の解明に、身柄を拘束して関係者の供述をとる必要があったからだ。(大湊支局・八田智代)
 事故の発端は、信楽駅で出発信号が青に変わらなかったため、同鉄道の列車を赤信号のまま出発させたことだった。この時、信号異常を貴生川駅に連絡したり、待避所に人を派遣して対向列車が待っていることを確認するなどの安全確認作業が必要とされているが、駅長業務に就いていた運転主任(62)は、それを怠ったとして逮捕された。
 運転主任は、上司にあたる業務課長(事故列車に乗り込み死亡)の指示に従って列車を出発させた、と供述しているという。業務上過失致死傷罪を問うには、本人が事故の発生を事前にどれだけ予見しうる立場にあったかなどが詰められなけれはならず、今後の捜査は「予見性」の立証にかかっている。
 次に、赤のまま信楽駅を出発しても誤出発検知装置が働き、待避所にある信号を赤にして対向のJR列車を止めておく仕組みになっている。しかし、JR列車が近づいた時は青になっており、そのまま列車は進行して衝突した。
 なぜ青になったのか。信楽駅構内にある継電器室に、信号会社から派遣されていた当時の施設係長(44)が入って、信号回路を短絡(変更)させる操作をしたため、と捜査本部はみている。係長は信楽駅の信号異常を復旧させようとして同室に入ったらしい。
 捜査本部は、専門的知識を要する信号の鑑定を運輸省交通安全公害研究所に依頼。現場での鑑定を六回も行った。その結果、信号システムに異常はなく、継電器室で回路を短絡させる操作で、事故時と同様に待避所の信号が青になる状況を再現できたという。
 しかし、それだけでは、継電器室での人為操作によって青信号になったことの証明にはならない。操作した形跡や記録などの物証はないという。
 係長を派遣していた信号会社は「担当者は点検しただけで、回路に触っていないとの報告を受けている」としている。係長が有罪になれば、信号会社が補償問題の責任を負うことにもなりかねない。身柄拘束は、企業防衛を図る係長と会社を分離し、口裏を合わされないようにするための手段と考えることもできよう。
 これまでの調べで、信号異常の発生を運転主任が施設係長に伝え、残る一人の逮捕者である施設課長(56)が信号点検を施設係長に指示した、とされる。「逮捕した3人の行動がそれぞれからみあっており、その動きを供述から解明しないと過失責任は追及できない」。記者会見での捜査本部の発言は、身柄を拘束することで、関係者らが肝心な証拠を隠滅するのを阻みたいとするものだった。
 関係者の事情聴取2300人、捜索21ヵ所、証拠品の押収約2000点。時間をかけて周辺固めをしたところで容疑者を逮捕、供述を引き出して一気に核心に迫ろうとしている。
 逮捕された3人のうち2人は、拘置を不服として準抗告を申し立てたが、大津地裁は「証拠隠滅のおそれがある」として却下した。事件の捜査は、警察から検察庁の手に移され、正念場を迎えた。(朝日新聞)
■架線支柱にダンプ衝突 1万2000人影響 JR山陽線
 15日午前1時ごろ、兵庫県赤穂郡上郡町釜島の国道 373号で、同町赤松、中央砕石工業所の大型ダンプカー=水野良彦運転手(41)=が道路左側の側溝(幅約70a)を飛び越え、国道に並行して走っているJR山陽線下り側の架線の鉄製支柱コンクリート製台座に衝突、支柱が傾いた。
 このため、JR西日本では架線点検のため、上下線とも列車の運行を一時ストップ。計38本に遅れが出て、朝の通勤、通学客ら1万2000人の足が乱れた。(朝日新聞 夕刊)
16日■Qきっぷなど割引切符廃止 JR西日本、27日限り
 JR西日本は15日、Qきっぷなどの割引切符5種を27日限りで廃止することを決めた。
 廃止となるのは、中・長距離区間で特急普通車自由席を利用できる往復タイプのQきっぷ、短・中距離区間で特急普通車自由席が利用できるSきっぷ、Sきっぷ回数券のそれぞれ一部区間と、紀勢特別規格乗車券、ビジネス回数券(山陰線内)の5種類。平均割引率が11%のQきっぷについては、京都−金沢、京都−城崎など、京都発着の区間はすべて廃止となる。(京都新聞)
■帰省49%、Uターン60% JR西日本指定席発売 30、3日混雑ピーク
 JR西日本は15日、年末年始(26日−1月5日)の新幹線や在来線の指定席券発売状況をまとめた。
 13日現在の関西を中心とした発売状況は、帰省(1日まで)は定員の49%、Uターンは60%の計約110万人分が発売済。前年同期に比べて出足が鈍く、1−2%減の売れ行きとなっている。発売率からみると帰省は30日、Uターンは参日に酋長しており、両日が混雑のピークとなりそう。
 新幹線・山陽方面の年末は、26−28日と31日の午前中と夕方以降の列車に若干余裕がある程度。東京方面の年始は2−5日の午前中に比較的空席がある。(京都新聞)
■JRとトラック接触 伏見・遮断機折り逃走
 15日午後6時25分ごろ、京都市伏見区桃山福島太夫西町のJR奈良線踏切で京都発奈良行き下り普通電車が、踏切内に後部荷台を残して立ち往生していたトラックと接触した。
 電車は現場で約20分間停車し、ブレーキ故障のため次の桃山駅で運転を打ち切った。乗客約400人にけがはなく、後続電車に乗り換えた。トラックは遮断機の棒を折って、逃走した。
 伏見署の調べでは、同踏切は警報機、遮断機付きで、電車が接近しているのにトラックが強引に踏切に進入、渡り切れず接触したらしい。同署は過失往来危険の疑いで、逃げた白いトラックを捜査している。
 この事故で、普通電車四本が14−24分遅れ、約1600人に影響が出た。(京都新聞)
■信楽高原鉄道事故で社員2人逮捕 綱渡り運行続く ハードな隔日24時間勤務 補充のメドたたず
 犠牲者42人を出した昨年5月の信楽高原鉄道事故で、社員2人の逮捕者を出した同鉄道の運行が苦境に立っている。もともと、ぎりぎりの人数で切り盛りしていたところへ、2人が拘束されたため、1日おきに24時間勤務を続けるなど、厳しい勤務体制を強いられている。同鉄道は「(必要人数を)早急に確保したい」としているが、しばらくは綱渡りの運行が続きそうだ。
 被災者や遺族への対応に従事する人を除くと。同社の社員は21日。しかし、実際に運行に携わっているのは運転士らわずか9人。そこへ今月4日、施設課長(56)と運転主任(62)の2人が逮捕されると、たちまち翌日から勤務表の苦しいやり繰りが始まった。
 運転主任3人が交代で回していた駅長業務は2人に減ったため、従来、3日に1度だった24時間勤務が1日おきになってしまい極めてハードな勤務状況。しかも業務内容は出改札やポイントの切り替えから駅の清掃、列車の車庫入れ誘導などすべてを1人でこなさねばならない。
 2人のうちどちらがが休みを取った場合、管理職の業務部長が業務を代行し、週1回の公休は確保しているが、有給はとれない状態が続いている。
 施設課長も逮捕されたため、施設安全管理も現在は残った1人でレールや踏切の点検、保守工事の監督などを行っており、1人当たりの週労働時間では46時間と法定労働時間ぎりぎりだという。
 このため同鉄道は、人員確保に乗り出し、同鉄道の退職者に応援を求めたり、縁故を頼ってJR西日本、近江鉄道のOBらにも声をかけているが、応募者がないのが現状だ。同社の給与や労働時間などの条件では若手や中堅の鉄道マンの応募は見込みがなく、年の瀬という時期の悪さも手伝って、採用の目処はたっていたいという。(京都新聞)
■京阪宇治駅に米国製の短銃 宇治署へ匿名電話
 15日午後1時45分ごろ、宇治署に中年男性の声で「道具を京阪宇治駅のコインロッカーに入れた」と電話があった。宇治市宇治の同駅改札口東側のロッカーを調べたところ、アメリカ製の38口径、回転式の短銃1丁と実弾4発が見つかった。別々に油紙とタオルでくるまれていた。
 同署によると、電話の男は暴力担当係を指名し、警察の取り締まりが厳しくなってどうにもならない、と話たといい、暴力団関係者とみて調べている。
 匿名電話で短銃が見つかったのは今年に入って府内で5件目。(京都新聞)
■国労・全動労 ストを延期 JR西日本
 JR西日本労働組合(約4500人)の96時間ストの焦点となった乗務員勤務制度の見直し問題で、国労西日本(約6800人)と全勤労西日本(約360人)は18日にこの見直しに反対しストライキを予定していたが、15日、ストを延期すると、発表した。
 両労組によると、会社側との折衝で、ローカル線の乗務員の勤務を強化しないという要求が通るなどしたため。(朝日新聞 夕刊)
17日■新京都駅 エアターミナル JRと日航が設置合意 開港と同時 94年夏オープン 新空港へ85分 直通特急も 搭乗手続きOK 年内にも調印
 関西新空港の開港に伴い、新京都駅ビルにCAT(シティエアターミナル)を開設する問題で、JR西日本の井手正敬社長は16日、日本航空と原則合意に達したことを明らかにした。年内にも両社の間で覚書に正式調印する。鉄道駅のCAT設置は全国で初めて。これに合わせてJRは、京都駅−関空間を85分で結ぶ直通特急を始め、関空へのアクセス列車を新たに運行する。
 京都駅のCATは、新駅舎中央部の地下1階に設置する。航空機の搭乗券の交付や航空手荷物の受け付けなど、通関を除く一切の搭乗手続きができる窓口で、列車の空海への到着が遅れた場合、原則として、航空機は列車乗客の到着を待たねばならない。開設は、関空開港と同時期の1994年夏の方針。
 京都駅ビルへのCAT新設は、JRと日航側で協議してきたが、日航の経営環境の悪化などを背景に、経費分担などをめぐって交渉が難航。このほど、手荷物の運送システムなどを簡略化して経費節減を図ることなどで、大筋合意した。
 日航は、京都駅での搭乗手続きなどフロント部分と荷物が空港駅に到着後の航空機への積み込み、JRは、荷物の列車への積み込みから空港到着までを、それぞれ受け持つ。
 現在のところ、取り扱う航空会社は、日航と、日航系の日本アジア航空の2社を予定しているが、他の航空会社からも委託があれば、可能な限り、扱いたいとしている。井手社長は、「JRとしても負担すべきはするということで話がついた。これで、京都市、京都府の要望にも沿うことができる」としている。
 また、アクセス列車は、京都駅からの直通特急を1時間に1−2本走らせる。京都から東海道線(梅田貨物線を含む)、環状線、阪和線を経て、空港連絡線を通り、空港駅へ到着するもので、この間の停車駅は、新大阪、天王寺の2駅の予定。
 このほか、アクセス快速を大阪駅から1時間2−3本程度、阪和線の日根野駅から空港までの通勤用シャトル列車なども運行する。これらの列車には新型車両を開発して充てる。
 CAT設置と直通列車の運行を要望してきた荒巻京都府知事は「新空港へのアクセスが飛騒的に向上し、快適な世界への旅がまさに改築後の京都駅から始まる」と歓迎、田辺京都市長も「京都駅改築の意義を具体化、前進させるものであり、新京都駅の早期完成に努力したい」という談話を発表した。今後、新京都駅を「国際都市・京都」の玄関口にふさわしい施設にするため、府観光連盟、京都市観光協会、国際観光振興会(運輸省の外郭団体)などの総合インフォメーションセンターを開設する一方、府旅券事務所(京都市中京区)も移転し、府市民や国内外の観光客へのサービス機能を充実させる。(京都新聞)
■信楽鉄道事故 安全に欠陥ない JR西日本社長会見 「運転士送検は酷」
 井手正敬JR西日本社長は16日記者会見し、信楽高原鉄道事故でJR側運転士が業務上過失致死傷容疑で書類送検された問題について「運転士には酪な話。(JRに責任があるかどうかは)すべて地検の調べ、判断に任せたい」とした上で「JRの安全体制に(大きな)欠陥があるとは思えない」と述べた。また、大卒新入社員の無資格運転問題に触れ、「正規の乗務員(運転士)として大卒社員の一部を充ててもよいのではないか」との考え方を示した。(京都新聞)
■運賃、来年度上げず JR西日本 私鉄との競争考慮
 JR西日本の井手正敬社長は16日の定例会見で、来年度は運賃の値上げを見送る方針を明らかにした。同時に、今年度の税引き前利益が事業計画の610億円に達しない見通しとなっていることも公表した。
 JR西日本の運賃は、民営化後の89年4月に消費税分2.85%を上乗せする値上げをしているだけ。一方、関西大手私鉄は、JR発足後2回の値上げをしたが、まだ、近畿圏のほとんどの区間でJRの方が高いのが実情だ。
 昨年度までは順調に収益を伸ばしている実績から、井手社長は「株式の上場を控えているので、来年度も500億円の利益は確保したい」とし、私鉄との競争なども考慮し、値上げしない方針を囲めたという。
 今年度の収益については、上半期(4−9月)の運輸取り扱い収入が、5100億円で、対前年比で98.7%、目標の96.4%となっているという。井手社長は「事業計画の達成は難しい。後半、諸経費を切り詰め計画に近づける努力をしたい」と話した。(朝日新聞)
■関西新空港 京都駅でも登場手続き JR西日本・日本航空 CAT設置決める
 関西新空港へのアクセスで、JR西日本と日本航空は16日までに、京都駅に搭乗手続きと荷物の預け入れができるCAT(シティー・エア・ターミナル)を設けることを決めた。鉄道駅のCATは日本で初めてで、JRでは京都駅から空海までを専用の「アクセス特急」を使って85分で結ぶという。
 両社によると、CATは、京都駅の地下1階に設けられ、フロントの公共部分だけで約350平方b。ここで、搭乗手続きと荷物の預け入れを済ませた乗客は、真上にある1階ホームから、空港行きの列車に乗ることができる。運営、経費の負担は両社が行い、CAT使用のための特別料金はとらない方針。
 JRでは、京都−新大阪−天王寺−空港と停車する「アクセス特急」を1時間当たり1、2本運行する計画で、京都−空港を85分、新大阪−空海を55分、天王寺−空港を35分で結ぶ。
 また、大阪、天王寺、湊町駅を始発着駅とする「アクセス快速」も、日中1時間当たり3本計画。阪和線の快速停車駅を基本にし、堺市、東岸和田などのほか日根野などに止まり、大阪−空港を65分、天王寺−空港を45分、日根野−空港を10分としている。
 JRでは、「特急」「快速」用に、専用の新車両を造る計画。(朝日新聞)
■九州・東北方面 帰省ほぼ満席 JR西日本
 JR西日本は、年末年始(26日−1月5日)の帰省列車の指定席発売状況を発表した。それによると、13日現在で、関西方面からの帰省は定員の5割、Uターンは6割が売れているが、列車や時間帯によっては、空席が残っているという。また、前年同期と比べると、帰省で2%、Uターンで1%少なくなっている。民営化後、年末年始の切符の発売状況が前年を下回るのは初めてで、JRでは「不景気のせいではないか」とみている。
 線区別にみると、関西からの帰省は、山陽新幹線や九州、東北方面への特急などがほぼ満席。Uターンでは、2日以降、山陽新幹線のほか、九州、北陸方面からの特急などがほぼ満席となっている。(朝日新聞)
■JR電車と接触 運転手取り調べ 伏見署
 伏見区のJR京良線踏切で15日、普通電車とトラックが接触した事故で、事故直後に現場から逃走したトラックを運転していた南区久世殿城町の左官職の男性(47)が16日、伏見署に出頭した。同署は過失往来危険などの疑いで取り調べている。
 調べでは、このトラックは15日午後6時半ごろ、伏見区桃山福島太夫西町のJR奈良線の踏切(遮断機、警報機付き)で京都発奈良行き下り普通電車と接触した凝い。踏切の反対側で車が渋滞していたため、トラックは踏切内で立ち往生して電車と接触したらしい。(朝日新聞)
18日■京都駅仮駅舎の建築許可 JR、きょう申請 2月には完成
 JR西日本(井手正敬社長)は18日、京都駅の改築に伴って駅前広揚に建設する仮駅舎の都市計画法上の建築許可を京都市に申請する。事前審査は済んでおり、1週間以内で許可される見込み。JRはこれを受けて年内に、仮駅舎の建築確認を申請し、来年2月にも完成させて駅本体の改築に備える。本体の建築確認申請は、早くても来年4月以降になる見込み。
 都市計画法の建築許可(53条)は、仮駅舎の建築予定地が都市計画決定されている駅前広場であることから必要とされる。京都市は建物の階層や構造について検討するほか、JRと結んでいる駅前広場協定についても協議するが、事前審査でほぼ終了している。
 仮駅舎は、京都駅改築工事の期間中、駅業務と物販・飲食・サービス業務を行うための施設で、駅前広場のJR西日本用地に建設。プレハブ2階建て延べ約6400平方b。1階に駅事務室、みどりの窓口、自動券売機コーナー、観光案内所旅行センターなどの駅施設を設ける。2階は京都駅観光デパートの店舗が入る。仮駅舎は特設通路でホームとつなぐ。
 この許可後、JRは直ちに仮駅舎の建築確認申請を行う。肝心の本体の建築確認申請は早くて来年4月、実施設計や防災計画策定の進み具合では5月以降になる見通し。JRは早期着工を目指しているが、当初の1994年秋完成は大幅にずれ込みそう。しかし全体が完成しないまでも、駅業務施設などは先にオープンする可能性はある。
 京都駅の改築駅舎は、高さが最高59.8bの巨大商業ビル。現行の高さ規制(31b以下)では対応できないため、規制緩和が可能な「特定街区」制度が導入された。京都市は今月2日、京都府都市計画地方審議会の承認を受けて、駅敷地と周辺地区計約4.1fを「特定街区」にする都市計画決定をした。(京都新聞)
■二条駅の貨物扱い跡地 京都市に1.76f売却 文化施設の用地に 国鉄清算事業団 承認
 国鉄清算事業団の第25回資産処分審議会が17日開かれ、京都市中京区西ノ京の二条駅貨物取り扱い跡地の一部を京都市に随意契約で譲渡する案件など、全国で計17件の重要資産の処分計画が承認された。包括先行売却方式による譲渡は、今回が初めて。
 京都市に譲渡することが決まったのは二条駅の南西部分を中心に、山陰線と六軒町通りとに挟まれた4ヵ所計1.76f。処分対象跡地(6.18fのうち、同駅北西など計1.55fは1990年7月から3回にわたって、京都市にすでに売却している。売却総額は135億8000万円。今回処分が承認された土地も含め、京都市が86年から取り組んでいるJR二条駅周辺整備事業の一角に当たり、二条駅地区土地区画整理事業として整備が進められる。
 同事業は、JR山陰線高架化と地下鉄東西線の建設に合わせて、二条駅周辺13.2fを新都心として整備する大型プロジェクト。平成2年12月に京都府都市計画地方審議会の承認を受けている。
 今回、譲疫を受けた土地について京都市では、同事業の中の文化施設用地として活用する方針で、その施設に関する構想を来年度中にまとめる予定。
 譲渡は包括先行売却方式をとる。今年8月、政府が景気のてこ入れを図るため公共投資拡大などを盛り込んだ総合経済対策をまとめたのを受けて、同事業団が公共用地の先行売却を進めるために設置した新制度。公用・公共・公益用地に利用する場合に限り、利用計画がまだ決定していなくても売買契約ができるというもの。利用計画は契約日から10年以内に事業団に届ければよいことになっている。
・田辺朋之市長の話 ヤード跡地の売却が決まり、大変喜ばしく思っている。同跡地を文化施設用地として整備し、西の文化、観光拠点にふさわしい、市民や観光客が気軽に有効利用できる公共公益施設を設けていきたい。(京都新聞)
■鉄道事故調査機関 常設求める意見書 滋賀県議会可決へ
 滋賀県議会の信楽高原鉄道列車事故対策特別委員会は17日、常設の鉄道事故調査機関の設置を求める意見書を、首相や運輸相あてに提出することを決めた。意見書は18日の本会議で可決後、同日付で送る。(朝日新聞)
■原因は「赤信号固定」 信楽事故 運輸省が報告 無認可工事も誘因 JRと高原鉄道 相乗で”赤固定” 県警捜査結果ほぼ追認
 死者42人、重軽傷者614人を出した昨年5月の信楽高原鉄道列車事故の原因を調べていた運輸省は18日、調査結果を発表した。信楽駅が赤信号なのに、安全を十分確認せず強行発車した高原鉄道の基本ルール逸脱が最大原因と断定、係員教育など日常の安全管理の取り組みにも大きな問題があったと同社の姿勢を厳しく指摘している。また▽誤出発検知装置が強行発車の際、正常に作動しなかった▽JR西日本、高原鉄道両社の信号設備の無認可工事が信楽駅信号の「赤固定」を誘発した−と言及。滋賀県警が3日に発表した捜査結果とほぼ同じ内容だが、県警が立件したJR運転士の過失問題などには明確には触れていない。
 運輸省では事故後、「高原鉄道の信号保安システム調査検討委」(委員長=正田英介・東京大工学部教授)を設置、県警とは別に原因調査を続けてきた。
 それによると、直接原因は信楽駅の出発信号が赤固定していたのに、係員を上下列車のすれ違い区間の小野谷信号所に派遣しなかったなど、高原鉄道のルール無視の強行発車だと指摘。下りJR列車を通過させた同信号所出発信号の青表示については、同駅の誤出発検知装置が事故当時「異常接続状態にあったと推測される」とし、列車出発後は厳禁されている「わたり行為」があったとして高原鉄道の出向信号技師を逮捕した県警の捜査結果を”追認”している。
 また、事故の誘因となった信楽駅信号の赤固定問題では、JRが運輸省に無認可で亀山指令所に設置した「方向優先てこ」、高原鉄が小野谷信号所で行った信号設備の無認可変更工事が相乗して起こったと、県警の鑑定結果と同一見解だった。
 一方、事故の背景に関し調査結果は、高原鉄道について▽日常の安全管理体制、事故防止の取り組み姿勢に大きな問題があった▽JR列車乗り入れに伴う係員教育をほとんど行っていなかった−などと厳しく指弾。
 JRに対しても▽亀山指令所と高原鉄道との連絡体制が周知徹底されていなかった▽乗り入れにあたっての係員教育に十分でない点が見受けられる−などとしているものの、JR運転士問題には言及していないなど「主因は高原鉄道」のトーンが強い内容になっている。
 事故をめぐっては、県警捜査本部が業務上過失致死傷容疑などで信号技師ら高原鉄道の3人を逮捕したほか、強行発車し事故で死亡した同社の3人とJR運転士の計4人を書類送検、無認可工事関係で両鉄道会社と工事責任者2人を鉄道事業法違反で書類送検している。
・信楽鉄道事故報告書の要旨
 18日にまとまった信楽鉄道事故報告書の要旨は次の通り。
 【事故原因】
 信楽高原鉄道は信楽駅で出発信号機が「赤」信号を継続していたため、信号保安システムを使用しない方法で列車を運行しようとしたが、その際、小野谷信号所に係員を派遣しておらず、信楽駅と小野谷信号所間の安全確認を行っていないなど、列車運行の基本ルールを守らずに列車を出発させたことが事故の原因である。
 【事故の背景】
 一、信楽高原鉄道は小野谷信号所の場内信号機の「自動制御条件」などの変更を、JR西日本は亀山CTCセンターに自社の列車を優先的に線路に入れる「方向優先てこ」を設置したが、それぞれ法令に基づく手続きを経ずに、相互に連絡もしないで行っていた。このため、信楽駅で出発信号機が「青」信号にならない場合が発生したと考えられる。
 一、事故当時、信楽駅の誤出発検知装置が正常に作動しなかった原因については、信号回路が一時的に異常な接続状態になったと推測されるが、断定できない。
・安全管理の不備を指摘 解説
 信楽高原鉄道列車事故で、滋賀県警の捜査結果に続き運輸省の調査結果でも「事故の主因は高原鉄道」の見解が示された。
 とりわけ重要なのは「事故の背景」の中で指摘された、事故以前の高原鉄道の安全運行への姿勢だろう。日常的な安全管理のズサンさ、「世界陶芸祭」の大量輸送でJRが乗り入れるのにその社員教育を欠いていた、信号保安システムの責任者である鉄道主任技術者が名目的な存在だった−など、「安全第一」が鉄道事業者の使命であることを思えば厳しい指弾も当然といえる。同社はもちろん、経営が苦しい第三セクターである以上、主要株主の県、信楽町も再発防止の誓いをもう一度かみしめるべきだ。
 一方、調査結果は遺族らの「JRへの責任追及がなまぬるい」という思いを増幅させる内容といえる。乗り入れに伴う両鉄道間の連絡体制や係員教育の不十分さ、「優先てこ」の無認可設置などは指摘しているが、調査内容の大半は高原鉄道批判にさかれ、JR追及の色彩は総じて薄い。県警が立件したJR運転士の責任には全く言及しなかった。
 県警もJR首脳の刑事責任問題では、結果的に形式犯である「優先てこ」無認可設置の鉄道事業法違反しか立件しなかったが、捜査結果発表では「優先てこ」が関与した信楽駅信号の「赤固定」の説明にかなりの時間をさいた。「JRも事故責任なしとはいえない」という姿勢を言外に示したという見方が一般的だ。捜査結果より”後退”した感のある結果に、遺族らのJR、運輸省への風当たりはいっそう強まるだろう。(滋賀本社・横井聡)(京都新聞 夕刊)
■怒りぶつける遺族 信楽事故・運輸省報告書 JRへの責任追及甘く 「目新しい点なし」 JR 納得いかぬ表情も
 信楽高原鉄道事故で、滋賀県警の捜査結果に続き運輸省の調査結果が18日、明らかにされた。監督官庁の”裁き”に、高原鉄道、JR西日本には緊張感が走り、朝から慌ただしい動きを見せた。一方、遺族・弁護団はJRへの責任追及の”甘さ”に不満を募らせ「国はJRをかばっている」「専門調査機関が必要だ」と怒りをぶつけた。
〈遺族たち〉
 乗客犠牲者37人のうち22人の遺族でつくる「犠牲者遺族の会」(吉崎俊三世話人代表)と同会弁護団はこの日午前、大阪市のJR西日本社内で記者会見し「JRの手落ちを指摘したことは評価できるが…」としながらも「高原鉄道のルール違反ばかりが強調され、JRの信号絶対諭への疑問がない。事故後1年7ヵ月経ての内容としては目新しい点はなく極めて不十分だ」という声明を発表。今後▽調査で収集した証拠資料の開示▽事故原因の抜本的調査−などを求めていくと話した。
 夫を亡くした神戸市灘区の主婦林かづよさん(51)は「個々人の責任ばかりを問うのではなく、企業の責任も追及すべきだ」と言葉をぶつけた。
〈高原鉄道〉
 運輸省の調査結果発表を踏まえ、近畿運輸局(福島義章局長)は18日午後にJR西日本の井手正敬社長、信楽高原鉄道の北川啓一社長を呼び、調査で指摘された▽運行規定の遵守▽業務執行体制の確立−など安全管理面の4項目について来月14日までに改善報告を求める警告書を手渡すことになった。
 この通知を受けた高原鉄道では、調査結果で「日常的に事故防止の姿勢に問題があった」など厳しく指摘されたショックもあってか「運輸局から警告書を受け取るまでは何も言えない」(村西敏雄総務部長)と表情をこわばらせていた。
〈JR西日本〉
 JR西日本では井沢勝常務(鉄道本部長)が午前11時過ぎから記者会見に応じた。この中で井沢常務は「優先てこ設置の鉄道事業法違反は反省しているが、係員の教育不十分や連絡体制不徹底の指摘については、社として必要なことはしていると思っている。運輸省に具体的な説明をうかがいたい」と、調査結果には納得できない部分もあると強調した。
問われる安全教育
 運輸省は18日、信楽高原鉄道事故は「安全確認など基本ルールを守らなかった人為ミス」との事故調査報告書をまとめた。
 同事故後も、関東鉄道事故(今年6月2日)、島原鉄道事故(同11月3日)と人間の単純ミスとみられる事故が相次ぎ、第三セクターや中小私鉄、これに乗り入れるJRの運転士などの安全教育が改めて問われている。
 第三セクター、中小私鉄の経営実態をみると、大半が赤字に悩み、徹底した合理化が図られ、人員は必要最小限に抑え、車両整備や電気・信号システムなどの専門技術者も置けないのが実情だ。
 このため、大手では担当が分かれている車両点検や保線、切符販売などを、運転士が運転業務に就いていない時にこなすなど一人何役もこなさねばならないのが現状で、異常時の対応などの安全教育や訓練に特別に時間を割くのが難しく仕事と並行して行われるケースがほとんど。
 一方、省力化に伴い、賃金の高いベテランが少なくなり、若年化が進んでいる会社も多く見られ、島原鉄道事故の時のように20歳の運転士と19歳の車掌という若手の編成も珍しくない、という。
 運輸省は信楽高原鉄道事故を契機に安全教育を図るため日本民営鉄道協会を通し、専門技術者を派遣する一方、必要経費の4割を負担することを決めた。
 しかし、国だけでは金銭的にも、人的にも限界があり、運輸省幹部は「今後、第三セクターなどの安全レベルを上げるには自治体やJR、大手私鉄などの協力が不可欠」と話す。(京都新聞 夕刊)
■信楽事故調査結果 運輸省JRのミスも指摘
 滋賀県甲賀郡信楽町の信楽高原鉄道で昨年5月、同鉄道の列車とJR西日本の列車が正面衝突して42人が死亡、614人が負傷した事故で、運輸省は18日、調査結果を越智伊平運輸相に報告した。事故の直接原因は、安全措置をとらずに赤信号で列車を発車させた信楽高原鉄道の安全ルール無視と断定。信楽高原鉄道、JR西日本の両社が信号保安システムを無届けで変更していたことなどをあげ、両社の安全管理ミスの重複が惨事の引き金になったと指摘している。
 滋賀県警は信楽高原鉄道の社員ら3人を業務上過失致死傷などの疑いで逮捕、JR西日本の列車運転士を同容疑で書類送検している。運輸省の調査結果は、JRの運転士の責任については触れていない。
 事故は昨年5月14日に発生した。信楽高原鉄道の列車は、信楽駅の出発信号が「赤」のまま同駅を発車。一方、貴生川駅を出たJR西日本の列車は、すれ違い場所の小野谷信号場の信号が「青」だったため単線区間に進入し、双方が正面衝突した。
 信楽高原鉄道には、信号表示によって単線区間に夜数の列車が入り込むのを防ぐ自動保安システムが装着されていた。万一、システムの故障などでマニュアル運行に切り替える場合は、すれ違い場所に職員を派遣して安全を確認するなどの規則が、運輸省令で定められていた。
 ところが、同鉄道は、定められた安全確認を一切行わないまま列車を出発させていた。このため同省は「事故は信楽高原鉄道が、最も重要な安全の確認に関する基本ルールを守らなかったために起きた」と断定、安全意識の不徹底を厳しく指摘した。
 また、信楽駅を赤信号で発車した場合、小野谷信号場の信号を「赤」に変えて対向列車を停止させる誤出発検知装置が正常に作動しなかったことも、事故の一因とされた。だが、不作動の原因は「一時的に接続異常になったと推測されるが、判断できない」とし、解明されずに終わった。
 これらを指摘したうえで、JR西日本が運輸省に無届けで行った「方向優先てこ」(貴生川駅から乗り入れた下りJR列車を、優先的に運行させる信号システム)の設置や、信楽高原鉄道が同省の認可なしで実施した自動保安システムの一部変更を、間接的な原因としてあげた。
 同省は、信楽高原鉄道とJR西日本の安全軽視が重複する形で事故の間接原因が生じたと指摘。JR西日本にも安全対策の徴底を求めている。(朝日新聞 夕刊)
■「突っ込み浅い」信楽列車事故 運輸省の最終調査結果 遺族ら不満とため息 「専門調査機関を」
 「1年7ヵ月も待たされたのだから、もう一歩踏み込んで欲しかった」。18日、運輸省が公表した信楽高原鉄道事故の原因調査結果に、遺族からため息がもれた。調査結果は、事故の原因を信楽高原鉄道の安全確認ミスと断定、その背景にJR西日本の安全管理の不備もあった、と指摘した。だが、最大のナゾとされた赤信号での出発を知らせる装置(誤出発検知装置)が作動しなかった理由は分からず、滋賀県警が業務上過失致死傷などの容疑で書類送検したJR運転士の責任にも触れなかった。「アメリカ並みに、しっかりした制度があれは…」。遺族、弁護団は国に鉄道事故の第三者調査機関の設立を求め、滋賀県議会も動き始めた。
 犠牲者22人の「遺族の会」は18日午前、記者会見。「JR西日本の安全管理の手落ちを指摘した点は評価できるが、事故後1年7ヵ月を経た内容としては、非常に不十分。JRの列車が注意を怠った点が全く触れられていない」との声明を発表した。今後、JR西日本に謝罪を求める、という。
 「事故の次の日にわかっていたようなことばかりの内容だ。この程度のものに時間がかかり過ぎた」。京都市右京区の染色会社社長、臼井和男さん(53)は調査結果に不満の表情。
 お茶製造会社で陶器のデザインに取り組んでいた長女の信子さん(当時26)は昨年5月14日、他のデザイナーらと陶芸祭に行く途中に事故に遭った。
 臼井さんの自宅の居間には、笑っている信子さんの写真と、信子さんが作った陶器が飾ってある。
 「娘の死をむだにしたくない」。こんな思いから、今年10月にアメリカを訪れた。鉄道事故専門の調査機関の仕組みを調べるためだ。
 「アメリカでは、事故調査の報告は1年ぐらいでできあがる。日本にも、私たちが信頼できる第三者的な鉄道事故専門の調査機関が必要だ」。新たな制度を求める手紙を首相や議員らに出し続けている。
 「運輸省だって、分かっていることは、さっさと情報公開すべきだ。早く手を打たないから、島原鉄道でも同じような事故が起きたんです」とも。
 臼井さんら22人の犠牲者でつくる「遺族の会」(吉崎俊三・世話人代表)の弁護団は信楽高原鉄道だけではなく、JR西日本の安全管理の手落ちが事故の背景にあったことに触れた点を評価。
 だが、刑事責任を問うているJRの運転士の問題や、過密ダイヤの問題などに触れられていないことについては「突っ込みが浅い。再発防止対策も抽象的で、これでは役に立たないのでは」と批判した。
 一方、滋賀県議会は、遺族らの陳情を受け、この日の本会議で、常設の鉄道事故調査機関の設置を求める意見書を採択する見通し。
・技術的要因並べただけ
 柳田邦男さん(ノンフィクション作家)の話 これほどまでに数々の安全の基本を無視した事実があったのかと、改めてあ然とするはかりだ。ただ報告書は、衝突事故の技術的な諸要因をとりあえず並べただけという感がある。問題は、信楽高原鉄道側もJR西日本側も、なぜ信号装置の設計変更と施工を勝手に行い、お互いの連絡、チェック体制をいい加減にしていたかということだ。これらについて管理者と現場の人間の意識にまで踏み込んだ調査分析がない。これでは事故防止の真の教訓が得られないと思う。
真摯に受け止めたい
 北川啓一・信楽高原鉄道社長の話 信楽高原鉄道の線路で起きた事故であり、赤信号で出発する際に安全確認が十分でなかったことが事故の第一要因になったことは運輸省に指摘された通りで、調査結果を真摯(しんし)に受け止めたい。今回、指摘された点を全社員に徹底し、安全運行に努めたい。
最大限の努力重ねる
 井沢勝・JR西日本常務取締役鉄道本部長の話 方向優先てこの設置に開し、鉄道事業法に基づく必要な手続きを行っていなかったことは深く反省している。社内での厳正なチェックに基づき、業務の執行に取り組みたい。今後とも事故防止、安全確保に向けて最大限の努力を重ねたい。
再発防止の道示せず
 〈解説〉運輸省がまとめた信楽高原鉄道列車事故の最終調査結果は、事故発生の間接原因としてJR西日本の責任などに踏み込んだ以外は、従来、指摘されてきた事実を改めて示したにとどまった。事故の背景とされる地方の弱小鉄道の経営、運行実態や、その改善策にはほとんど触れておらず、「再発防止」を目的にした調査としては、対症療法的、という感は否めない。
 今回のまとめに先立って滋賀県警は運転士ら計7人(うち3人は死亡)の身柄や書類を送検した。現場の責任だけが問われた格好だが、現在の法体系下での警察側の責任追及はこれが精いっぱい。それだけに、1年半をかけた運輸省の調査結果が事故の背景・本質を突くことに、遺族らの期待が寄せられていた。
 しかし、公表された調査結果は、運行や施設など技術的な問題にほぼ終始。たとえば、「技術面の責任者の不在」は指摘しても、そうした人材を満足に確保できない過疎地の弱小鉄道の実態や、今後の処方には触れずじまいで終わった。
 当時、信楽町では、町おこしイベントの「世界陶芸祭」が開かれていた。それまで単線を行き来していた同鉄道に、増発のためのすれ違い信号場が造られ、JR列車が乗り入れた。こうした大量輸送への対応に無理がなかったかどうかなど、重要と思われる問題の検証も、積み残された。
 信楽事故以降も、関東鉄道、島原鉄道で大きな事故が相次いだ。鉄道に限らず、多くの事故は、さまざまな要因を背景に、最後にだれかが引き金を引く形で起きている。当事者を責めるだけでは、真に「事故の教訓を生かす」ことにはならない。(朝日新聞 夕刊)
19日■信楽事故で 近畿運輸局長 連絡体制が不備 JR・高原鉄道に警告書
 信楽高原鉄道事故をめぐる運輸省の調査結果発表を受けて福島義章近畿運輸局長は18日、井手正敬JR西日本社長と北川啓一信楽高原鉄道社長を呼び、警告書を手渡した。
 警告書は、JR西日本と信楽高原鉄道が乗り入れに当たっての運転取り扱いで双方とも連絡体制を周知徹底しておらず、また両社が行った信号保安システムの変更についても十分な連絡・確認をしなかった上、必要な法手続きをしていなかった、と指摘。
 再発防止のため係員の教育や安全確保に対する基本ルールなどについてのチェック体制を総点検し、来年1月14日までにその具体的な改善措置の内容と実施状況を報告するよう求めている。
 これに対し、井手社長は「連絡体制の不備など細部についてもう少しきちんとやれと言われた。2度とこうした不祥事を起こさないよう一層努力したい」と述べ、北川社長も「指摘されたことを守っていくよう社員を指等していきたい」と述べた。
・JR西日本は遺族に謝罪を 遺族の会・弁護団が声明
 信楽高原鉄道事故で、運輸省事故調査検討会が調査報告を出したことを受け、「犠牲者遺族の会」(吉崎俊三世話人)と同弁護団(秋田真志事務局長)は18日、「安全管理の手落ちを指摘されたJR西日本は遺族に謝罪すべき」との声明を発表した。
 声明の中で遺族側は、報告書がJR西日本の安全管理の不備を指摘した点を一応は評価したものの、「高原鉄道側のルール無視ばかりが強調され、JRの”青信号絶対論”や信号故障の抜本的対策がとられていなかったことなどの問題点に全く言及されていない」と、報告の不十分さを批判。「運転省の発表がこの程度にとどまっているのは、鉄道事故調査のための専門機関がないため」として、専門調査機関設置の必要性を改めて主張した。
・警告書、社員に徹底 高原鉄道の北川社長
 信楽高原鉄道の北川啓一社長は18日午後、運輸省の報告書で指摘のあった安全管理面の改善を求める警告書を大阪市中央区の近畿運輸局で受け取り、「厳粛に受け止め、社員に徹底したい」と述べた。
 警告書は、運行規定順守や業務執行体制の確立など4項目について、1月14日までに改善報告を求めている。北川社長は「警告書で指摘された安全面での問題点は、大半がすでに昨年の運行再開時にクリアできたと思う。しかし、さらにチェックし、万全を期したい」と話した。
・専門調査機関設置を要望 県議会が国に意見書
 滋賀県の12月定例県議会の最終本会議が18日開かれ、信楽高原鉄道列車事故に関連して、国に鉄道事故の究明にあたる専門調査機関の設置を求める意見書を全会一致で可決した。近く内閣総理大臣や関係四大臣あてに送付する。
 専門機関設置は、米国の国家運輸安全委(NTSB)を視察した「犠牲者遺族の会」(吉崎俊三代表世話人)や京都府・木津町のハイタッチ・リサーチパークの「被害者の会」(代表=菱田健次弁護士)などが国などに要望している。可決された意見書では「大惨事を繰り返さないため専門的調査研究ができる常設の鉄道事故調査機関の早急な設置」を強く要望している。(京都新聞)
■JR西日本 ダイヤ改正 のぞみ 山陽新幹線に 京都駅に33本停車 京都−博多29分短縮
 JR西日本などJRグループ各社は18日、来年3月18日に実施するダイヤ改正の内容を発表した。
 山陽新幹線でも時速270`運転の「のぞみ」が営業を始め、東京−博多間を毎時1本走らせて都市間輸送のスピードアップを図ることなどが柱。京都駅には33本が停車する。東京−博多間は「ひかり」より平均約48分短縮の5時間4分で結ばれ、京都−博多間は29分短縮、京都−東京間は27分短縮となる。山陽新幹線を走る「のぞみ」の停車駅は岡山、広島、小倉など。
 また、嫌煙権の広がりを受けてJR西日本、JR東海は、管内の普通列車(快速、新快速含む)全車両を禁煙。新幹線も禁煙車両を現行の約40%から50%にまで増やす。
 京滋にかかわるダイヤ改正の主な内容は次の通り。
 【新幹線】「のぞみ」の京都発東京行きの朝一番は午前6時27分発(午前8時42分着)、以後毎時10分に発車し最終は午後9時10分発(午後11時24分着)。同博多行きは朝が午前8時22分発(午前11時11分着)、以後毎時12分発で最終が午後9時12分(午後11時59分着)。博多発の最終は午後8時20分で大阪止まり。新大阪発上り「ひかり」最終は24分繰り下がり午後8時43分となる。また米原から京都・大阪方面への新幹線通勤者増加に対応して「ひかり61号」を米原に停車(午前7時17分)させる。
 【京都・琵琶湖線】米原−草津間下りに、午前7時台に快速1本、8時台に新快速2本増発、9時51分から10時台にかけては30分毎に新快速を走らせる。
 【湖西線】午前9時台に近江舞子発京都方面行き普通を1本増発。
 【関西線】通学時間帯の午前7時台に、加茂発亀山行き普通1本を増やす。
 【北陸線】米原−長浜間の午前11時−午後1時台に普通を2往復増発。
 【福知山・舞鶴線】現行の福知山発大阪行き「エーデル北近畿4号」を東舞鶴発(午前7時40分)に延長。大阪方面への利便を図る。(京都新聞)
■新大阪−博多950円 のぞみ特急料金を運輸省に認可申請
 JR西日本は18日、来年3月のダイヤ改正から山陽新幹線に導入する「のぞみ」の新大阪−博多間の指定席特急料金の認可を運輸省に申請した。
 申請によると、「のぞみ」の新大阪からの特急料金は、新神戸300円、岡山450円、広島750円、小倉・博多950円。いずれも現在のひかり、こだまの特急料金に加算される。東海道新幹線から乗り継ぐ場合は、東海、山陽の「のぞみ」料金の合計額から100円引き。(京都新聞)
■京津電車と車衝突 東山区、4本遅れる
 18日午後8時半ごろ、京都市東山区三条通花見小路交差点で、南行右折してきた東山区若竹町、ホテル従業員田村郁夫さん(22)の乗用車と、京阪京津線の浜大津行き準急電車が衝突した。電車には乗客110人が乗っていたが、田村さんとともにけがはなかった。
 この事故で、準急電車は現場に約30分停車、後続の4本が20分から30分遅れ、乗客約600人に影響が出た。(京都新聞)
■「のぞみ」を1日37本運行 来春からJR改定
 JR旅客六社は18日、来年3月18日から実施するダイヤ改定の最終案を発表した。東海道新幹線の「のぞみ」が山陽新幹線にも登場し、東京−博多の直通運転がスタート。毎時1本、1日計37本運行される。全席指定で、料金は「ひかり」より300−1800円高い特別特急料金を設定。JR西日本とJR東海はこの日、運輸省に認可を申請した。両新幹線の禁煙席の割合が増え、ほぼ半分でたばこが吸えなくなる。
 「のぞみ」は最高時速270`、東京−博多をこれまでより40分短い5時間4分で結ぶ。新ダイヤでは、東京−博多間が上下27本、東京−広島間が同2本、東京−新大阪間が同5本、新大阪−博多間同3本が運行される。停車駅は、東京、名古屋、京都、新大阪、岡山、広島、小倉、博多のほか、一部は新横浜、新神戸にも止まる。
 禁煙車両は今回は、「のぞみ」「ひかり」の指定席2両、「こだま」では指定、自由合わせて3両を、新たに禁煙車にするため、禁煙席の割合は4割弱から5割になるという。(朝日新聞)
■整備新幹線 満額で決着
 北陸、東北、九州の整備新幹線3線の1993年度の総事業費が、運輸省の概算要求通りの1591億円になることが18日夜、越智運輸相と林蔵相との事前折衝で決まった。98年の長野冬季五輪を控え工事が本格化する北陸新幹線の高崎−長野間に重点配分し、整備新幹線として初めて財政投融資資金279億円を投入する。(朝日新聞)
■関係の両社に警告書を渡す 信楽事故で運輸局
 信楽高原鉄道事故で、運輸省が調査結果をまとめたことを受け、近畿運輸局の福島義章局長は18日、信楽高原鉄道とJR西日本両社の社長に対し、警告書を手渡した。事故後の改善点について、来年1月中旬までに報告するよう指導した。警告書は、事故は「安全の根幹に触れ、公共交通機関としての信頼を失墜させた」としている。(朝日新聞)
20日■走行中の快速に投石 扉のガラス割れる JR東海道線
 19日午後6時25分ごろ、京都府乙訓郡大山崎町のJR東海道線山崎駅付近で米原発網干行きの快速電車(12両編成)が走行中、乗客から車掌に「左側のガラスが割れた」と連絡があった。
 車掌が調べたところ、2両目左側の中央扉のガラスに直径約10aの穴があき、車内にこぶし大の石が転がっていた。京都、大阪両府警鉄道警察隊とJR西日本は、何者かが投石したとみて調べている。乗客にけがはなかったが、大阪駅で6分の遅れが出た。後続に影響はなかった。
 JR東海道線では、12月に入って大山崎、神足付近で投石とみられる電車のガラス割れが相次いでおり、これで4件目となった。(京都新聞)
21日■機関車で特急引っ張る 故障で3時間立ち往生 瀬戸大橋
 20日午前9時35分ごろ、香川県・与島近くのJR瀬戸大橋線の瀬戸大橋上で、新居浜(愛媛県)発岡山行きの新型電車・上り特急しおかぜ52号(3両編成、乗客約60人)が車両故障のため運行不能となった。
 JR四国によると、時速約80`で運転中、車両後方で「ドーン」という音とともに室内灯が消えたという。このため運転士(33)がブレーキを使って緊急停止させた。現場でパンタグラフを点検するなどしたが、自力運行できず、同特急は約3時間後の午後零時13分、高松駅から回送したディーゼル機関車で多度津駅工場(香川県)にけん引された。
 突発的に電源が切れる際、音を伴うことがあるといい、パンタグラフ系統の電気回路の故障の可能性があるとみて原因を調べている。同橋上では強風で列車が立ち往生したことはあるが、故障によるものは初めて。瀬戸大橋線はこの間、特急など23本が全区間などで運休、約6000人が影響を受けた。
 同時急は今年9月から導入した新型特急8000系(JR四国などが世界で初めて開発した「パンタグラフ制御装置」を搭載、カーブで車体が傾斜しても架線が常にパンタグラフの中央にくるようになっている。現在、8000系はしおかぜ52号のみだが、さらに約80億円で41両を導入、来春のダイヤ改正の目玉車両となる。(京都新聞)
■信楽鉄道事故遺族の会 JR西日本の訴追求め 大津地検に4300人署名
 信楽高原鉄道列車事故の遺族らでつくる「犠牲者遺族の会」(吉崎俊三世話人)は20日、大津地検にJR西日本関係者の刑事責任追及を求める約4300人の署名を提出した。
 署名は午後1時すぎ、遺族や弁護団ら20人が同地検を訪れ、担当検事に手渡した。遺族の職場や親類など身近な人を中心に、京都の企業協同組合「ハイタッチリサーチパーク」の遺族らと協力、16日から3日間で署名を集めたという。
 遺族側は、運輸省事故調責検討会から安全管理の不備を指摘されたJRに対する徹底捜査と同社関係者の刑事訴追を求めている。
 同会は、安全管理上の責任はJR上層部にもあるとして、同社幹部ら7人を同地検に告訴している。(京都新聞)
■運転士が腹痛 快速16分遅れ JR東海道線
 20日午後10時10分ごろ、JR東海道線の茨木駅付近を走行中の網干発野洲行き快速電車の猪田一人運転士(30)から新大阪総合指令所へ「急激な腹痛で業務を代わってほしい」と無線連絡が入った。JR西日本は高槻駅で別の運転士を手配、同駅到着後、猪田運転士を救急車で病院へ運び、同列車は16分遅れで発車した。後続の列車に影響はなかった。(京都新聞)
■ハイテクJR特急 瀬戸大橋で故障 約60人、3時間立ち往生
 20日午前9時35分ごろ、JR瀬戸大橋線の瀬戸大橋上で、新居浜発岡山行き特急「しおかぜ52号」(乗客約60人、3両編成)が車両故障でストップした。約2時間50分停止した後、救援車両に引かれて午後零時38分、香川県側の宇多津駅に着いた。海面まで約60bある橋上で、暖房や照明も切れたため、一時は乗客の間に不安が広がった。同列車はJR四国自慢の最新型ハイテク特急で、今年9月19日から営業運転を始めたばかり。
 列車が、強風のため橋上で立ち往生したことはあったが、車両故障によったのは1988年4月の瀬戸橋線開通以来初めてという。JR四国によると、パンタグラフなど電気回路の故障らしい。21日は故障した8000系の代わりに2000系気動車を運行させる予定。
 JR四国や乗客によると、しおかぜ52号は海上を通過中に突然、「バシ、バシ」という音とともに速度が落ち、橋脚の島、与島(香川県坂出市)の高架橋上で止まった。運転士が車外へ出て検査をしたが、車体や架線に異状が見つからず、運転を再開しようとしたが、動かなかったという。
 特急11本や高松−岡山間の快速「マリンライナー」など上下23本が全面または区間運休し、普通列車など5本が最大2時間55分遅れた。ダイヤは午後3時ごろ、正常に戻った。(朝日新聞)
■疾風失速 乗客ヒヤリ 瀬戸大橋 立ち往生 海面上60b 暖房も切れ
 JR四国が「瀬戸内海の疾風(はやて)」と名付けた自慢の新型特急(3両編成)が瀬戸大橋の上で止まってしまった。20日、大橋の高架上で立ち往生した「しおかぜ52号」は、減収の続く同社が再生をかけた切り札として9月に登場したばかり。ハイテクを駆使した車両の明かりは消え、暖房も切れた。JR四国は「21日から本格的に原因を調べます」というが、審風にさらされ、冷えびえした車内に約3時間も閉じ込められた乗客約60人は「新型車両に乗れて喜んでいたのに」と怒っていた。
 橋上停車から3時間余り。午後零時38分、救援用のディーゼル機関車に引かれたシルバーグレーの流線形のしおかぜ52号は宇多津駅に戻った。疲れ切った表情の乗客が次々に降りて来た。
 先頭車に乗っていた香川県丸亀市新田町、医師垂水敏久さん(68)らは「バンバンという音と同時に稲光がしたので雷かと思った」という。真下の海面までおよそ60bもあり、一時は乗客総立ちになった。その後ゆっくり動いて、「下が陸地になったので安心した」。
 この事故で暖房が切れたため、乗客はぬいでいたコートをはおったり、マフラーを巻いたり。現場に近い香川県多度津町ではこの日、最高気温でも9.7度で、「午前中の海上なら零度くらいになっているでしょう」と高松地方気象台。乗客はそろって「とにかく車内は寒かった」とぶ然とした表情だった。
 JR側の対応にイライラを募らせた乗客は少なくない。祖母の危篤の知らせを受けて岡山県総社市に急ぐ愛媛県今治市東鳥生、看護婦見習、岡本美穂さん(19)は「電気のショートか何かの火が列車に燃え広がらないかとヒヤヒヤした。瀬戸大橋の列車の旅はもうこりごり」と話す。
 観光旅行中のワシントン州シアトル市の女性教師のクリスティ・カストンゲさん(25)は「車掌の説明は日本語だけ。何があったのか分からないが、素晴らしい瀬戸大橋の技術力に比べて、鉄道の対応は立派とは言えない」と肩をすくめた。
 運転不能の連絡を受けてJR四国の救援機関車が高松を出たのは午前11時過ぎ。車両に詳しい社員を呼び出したり、電車とディーゼル機関車をつなぐ特殊な連結器を積みこむのに手間どった。現場に着いたのは正午ごろだった。
・瀬戸大橋 岡山県倉敷市児島と香川県坂出市の瀬戸内海の海峡部約9.4`を与島など5つの島を橋脚に8本の橋でつなぐ。8本の橋のうち、2本は与島と櫃石島の中を通る高架橋。88年4月に開通し、道路、鉄道併用橋としては世界最長。(朝日新聞)
■信楽事故 JR幹部の徹底捜査を 遺族の会が要望
 信楽高原鉄道列車事故の「遺族の会」(吉崎俊三世話人代表、22犠牲者・19遺族)は20日、業務上過失致死傷罪と業務上過失往来危険罪で同会が告訴しているJR西日本の幹部ら7人について徹底した捜査を求める要望書を、約4300人の署名を添えて大津地検に提出した。
 署名は、遺旗の会に加わっていない被害者のハイタッチ・リサーチパーク関係も含めた遺族や弁護団が集めたという。
 この日、地検にはハイタッチ・リサーチパークの4遺族を合めた12遺族、13人が訪れた。弁護士らは「遺族の声を検察側に伝えたかった」と話している。(朝日新聞)
■JR駅下にプール
 JR西日本の全額出資子会社「ジェイアール西日本クリエイト」は、大阪府大東市住道二丁目のJR片町線住道駅高架下に、屋内リゾートプールを建設、来年7月オープンさせると、このほど明らかにした。
 計画では、同駅高架下全体を1万5500平方bのスペイン風ショッピングセンター(約50店舗)とし、その目玉に地中海リゾートを連想させるプールを入れる。プールは1、2階吹き抜けの2600平方bの空間に建設、本物の砂を使った浜辺や人工波、ウォーターすべり台、プールサイド喫茶店などができる。会員制による健康づくりや、一般のレジャー用の両方で利用してもらうという。(朝日新聞 夕刊)
■JR職員また着服 大阪の出札係 新幹線切符横流し
 JR大阪環状線福島駅の出札係員(33)が、駅から新幹線エコノミー切符48冊を持ち出して金券ショップで換金するなどし、うち約1300万円を着服して懲戒解雇されたことが21日までに分かった。JR西日本では、昨年11月にTIS(旅行業本部)四条畷店社員、ことし5月には大阪旅行センター前所長の着服事件が発覚している。
 JR西日本の調べでは、出札係員はことし7月初めから3ヵ月間に8回にわたり、新幹線エコノミー切符の東京都区内−大阪市内間の普通車用45冊(1冊50枚つづり)とグリーン車用3冊(同30枚つづり)の計48冊、約2800万円分を無断で持ち出し、金券ショップで現金化し、1500万円は売り上げ代金として駅に入金したが、残り約1300万円は着服。
 10月上旬、定期検査で不正が発覚。出札係員が犯行を認めたため同社は11月30日付で懲戒解雇した。(京都新聞)
■絶縁不良が停車の原因? 瀬戸大橋線
 JR瀬戸大橋線の瀬戸大橋上で20日、新居浜発岡山行き特急「しおかぜ52号」(3両編成)が、約3時間立ち往生した事故について、JR四国は21日朝から、電車を製造した日本車両製造(本社・名古屋市)の技術者とともに、本格的な原因調査を始めた。
 JR四国によると、最後部車両のパンタグラフの付け根付近が黒くなり、車体との取り付け部のアルミニウム板の一部が溶けていたことなどから、パンタグラフと車体をつなぐ碍子(がいし)部分に異常が起き、電気回路が絶縁不良になったのが、運転不能につながった、とみられるという。(朝日新聞 夕刊)
23日■ワン君、電車に乗りたかった? 地下鉄烏丸線 線路へ逃げ込み4本遅れ
 22日午前8時55分ごろ、南区東九条南烏丸町の市営地下鉄烏丸線九条駅で、迷い込んだ犬がホームから線路へ逃げ込んだ。約15分後に十条駅近くで電車の乗務員がこの犬を捕まえた。
 京都市交通局によると、上下線とも京都−十条駅間で一時運行を見合わせたため、上下各2本に最高5分の遅れが出たという。(朝日新聞)
24日■転落、直後に電車 まくら木の間で無事 西宮の阪神電鉄で老女
 23日午前10時ごろ、兵庫県西宮市今津曙町の阪神電鉄久寿川駅下りホームから、同県芦屋市清水町、無職空ミツ子さん(81)が約1b下の線路上に転落した。
 その直後、同駅を通過する梅田発三宮行き快速急行が現場に差し掛かり、急ブレーキをかけたが200b以上通り過ぎて停車した。
 空さんはまくら木の間に「すっぽり入り込むように身を伏せていたため、転落の際の軽い打撲傷だけで助かった。(京都新聞)
■81歳女性転落 電車と30a助かる
 23日午前10時ごろ、兵庫県西宮市今津曙町、阪神電鉄久寿川駅下りホームから芦屋市清水町、無職の女性(81)が線路に転落。その直後に電車が通過したが、女性は線路の中央にうつ伏せ状態だったため、転落の際の打撲傷だけで奇跡的に助かった。
 阪神電鉄運転指令室によると、同駅を通過する下り快速急行電車の平山勝宏運転士がホーム上をよろけながら歩いている女性に約80b手前で気づき、急ブレーキをかけた。その直後、女性は転落。幅約1.4bの線路の中央部の線路敷上にうつ伏せに倒れた上を電車が走り抜けた、という。電車の底部と線路敷の間隔は約30aしかなかったが、同指令室は「姿勢が低かったので無事だった。非常に幸運だ」と言っている。
 西宮署の調べでは、女性は病気のため真っすぐに歩くのが困難らしい。同駅近くの友人宅を訪ね、1人で帰宅する途中だった。(朝日新聞)
■野上電鉄廃業決まる
 赤字経営が続く和歌山県の私鉄野上電鉄(本社・海南市)が、バス部門も含めて廃業することが、23日分かった。来年度予算の大蔵原案で新年度から国の赤字補てんが打ち切られることになったため。来年2月に予定している臨時株主総会で正式に決める。(朝日新聞)
■「約束通り通せんぼやめて」岩倉の叡電踏切 住民、市議会に請願
 叡山電鉄の路切(京都市左京区岩倉)の閉鎖をめぐり、地元住民が再開を求めて新たな運動を展開している。廃止になった踏切の再開を要望している東隣に、同じく1年半も閉鎖されたままの別の踏切があるためで、住民らは「京都市は昨年中に再開すると言ったのに話が違う」とカンカン。このほど踏切再開の請願を京都市議会に提出した。
 住民が再開を求めている踏切は、叡山電鉄鞍馬線の岩倉−木野駅間にあった岩倉2号踏切。警報機、しや断機のない小さな踏切(幅1.7b)だったが、戦前からの里通が通り、周辺住民は通勤通学や買い物に利用していた。
 ところが、京都市は昭和53年、沿線南側を中心に洛北第2地区土地区画整理事業を計画。叡山電鉄も2年前、別の踏切で起きた死亡事故をきっかけに踏切の統廃合に乗り出した。その結果、木野駅の踏切から東300bの地点にあった岩倉三号路切を廃止、同踏切から200b東の2号踏切も、区画整理事業の中で閉鎖した。
 この結果、沿線北側の住民は南への出口を完全に通せんぼされた形となり、現在は東西1`近くにわたり線路を横断できない状態が続いている。
 3号踏切の閉鎖に対しては、沿線の木野町自治会(約140世帯)の藤本守さん(42)らが「生活権を脅かす」として、先に踏切再開を市議会に請願、周辺三町から1600人の署名を集めるなど、運動を続けてきた。
 しかし2号踏切も現在まで再開のメドが立たないことから、藤本さんは「2号踏切については、あくまで一時閉鎖との説明を受けており、京都市も昨年中の再開を約束していた。裏切りは許せない」と怒っている。
 これに対し京都市洛北区画整理事務所(左京区)は「区画整理事業の中で現在線路の両側には1b以上の段差があり、路切再開は困難だが、叡山電鉄を含め住民と交渉していきたい」と話している。(京都新聞 夕刊)
25日■信楽高原鉄道事故 運転主任ら3人起訴 大津地検 JR運転士継続捜査
 死者42人、重軽傷者614人の大惨事となった昨年5月の信楽高原鉄道事故で、大洋地検は24日、業務上過失致死傷と業務上過失往来危険罪で、高原鉄道社員2人と、同鉄道に出向していた信号技師を起訴した。事故で死亡し同容疑で書類送検されていた同鉄道の当時の業務課長(54)ら3人は被疑者死亡で不起訴処分とした。また、同容疑で書類送検されていたJR西日本列車の林光沼運転士(50)は、同容疑でJR幹部らとともに遺族から告訴告発されていることから継続捜査とした。
 起訴されたのは高原鉄道の運転主任里西孝三(62)、施設課長の山本長生(56)、それに事故当時、同社に出向していた信号設備会社「信栄電業」社員八木沢守(44)の3容疑者。
 起訴状によると、里西被告は、昨年5月14日午前10時15分ごろ、滋賀県甲賀郡信楽町長野の同鉄道信楽駅で、出発信号が赤固定したため上り高原鉄道列車が信号制御に代わる「代用閉そく」方式で出発した際、下りJR列車が対向して来るのに、進路の安全を十分確認せずに出発合図を出し、発車させたとされる。
 八木沢被告は、同駅構内の継電室で信号の赤固定の修理中、列車発車後は厳禁されている信号回線の端子同士を接続する行為を行い、列車すれ違い区間の小野谷信号所(水口町牛飼)の下り出発信号を青に変えてJR列車を通過させたとされる。山本被告は八木沢被告の操作に立ち会い、高原鉄道列車の出発を止める要請をしないまま作業を指揮監督したとされている。
 運輸省に無認可で「優先テコ」設置や信号機器の工事などをしたとして鉄道事業法違反容疑で書類送検されたJR西日本、高原鉄道両社と当時の担当者2人も処分を持ち越した。(京都新聞)
■「原因の徹底解明を」 遺族の会JR側の責任追及へ 信楽事故起訴
 信楽事故で逮捕された高原鉄道関係者3人の起訴が24日決まった。同社幹部は「会社全体の責任」と改めて謝罪し、遺族や識者も「当然」と受け止めているが、その一方、書類送検されたJR運転士の処分などが持ち越されたことについて「JRの責任がどう問われるのか」と、年明けの処分決定に視線を向けた。
 「犠牲者遺族の会」(吉崎俊三世話人代表、19遺族)と同弁護団は同日夜、大阪市内で記者会見し「信楽高原鉄道の刑事責任は明白であり、起訴は当然。公判のなかで、県警や運輸省は踏み込んでいない事故原因の解明が進むことを期待する。今はまだ過程にすぎず、もう一方の当事者、JR西日本関係者の刑事責任が明らかになることを強く望む」と話した。
 JR西日本関係者の刑事責任追及を求める署名は一万人を超えたといい、同席した遺族の1人は「二度とこのような事故を起こさないためにも徹底的に調査してほしい」と次の処分発表へ期待をつないでいた。
・補償問題前向きに 北川啓一信楽高原鉄道社長 誠に残念だ。会社としては、事故は個人的な責任ではなく会社全体の責任として受け止めており、補償問題についても引き続き遺族の意向に沿うよう前向きに進めたい。社員2人は現在、出動停止処分中だが、諸般の事情を考慮して近日中に処遇を決めるつもりだ。
・過失認定は妥当 板倉宏・日本大教授(刑法) 安全管理を確認すべき地位にあったのにそれを怠るなど、高原鉄道側3人の過失認定について、それぞれ妥当と考える。JR側に関しては、運転士以外にJR組織体として企業責任を追及すべきだ。今後はJRの責任をどのように割り出してゆくのかが焦点となる。捜査は慎重との印象を受けるので、地検は幹部社員を含めた起訴も検討しているのではないか。ある程度証拠集めに時間がかかるのはやむを得ないだろう。
・強制捜査で供述か 永瀬和彦・金沢工業大教授(鉄道システム) 口をつぐんでいた当事者が、強制捜査によって事故の状況を供述したと考えられる。欧米先進国の事故捜査では見られない日本的な特徴だ。欧米では、真実を語ってもらう代わりに訴追しないという、免責取り引きが認められており、重大な過失に当たらない限り、複雑な事故原因でも関係者から詳しく事情を聴くことができる。事故の再発防止という観点で見れば、日本でも一考する価値はある。(京都新聞)
■信楽事故 運転主任ら3人起訴 JRの処分は持ち越す
 信楽高原鉄道列車事故で、大津地検は24日、赤信号で列車を発車させる際に、安全確認を怠ったり、信号回路を不当に操作したなどとして、同鉄道の関係者3人を業務上過失致死傷と業務上過失往来危険罪で大津地裁に起訴した。同容疑で書類送検されたJR西日本の運転士と、鉄道事業法違反で書類送験された信楽高原鉄道、JR西日本両社とそれぞれの担当者らの処分は来年に持ち越された。
 起訴されたのは、里西孝三運転主任(62)=滋賀県愛知郡愛知川町川原=、山本長生施設課長(56)=三重県阿山郡伊賀町下柘植=、信号会社から派通されていた八木沢守・元施設係長(44)=東京都練馬区大泉学園町二丁目=の3人。
 起訴状によると、八木沢元係長は、信楽駅の出発信号を修理しようと、駅構内の継電器室に入り、信号装置の使用や列車運行を停止せずに別の信号回路との接続操作をした。この結果、待避所の信号が青に変わって対向のJR列車が進行、正面衝突した、としている。
 当日の駅長業務をしていた里西運転主任は、列車を出発させる際、待避所のある小野谷信号所に人を派遣して信楽駅−小野谷信号所間の列車の有無の確認をするなどの手続きを怠った。山本課長は、八木沢元係長を監督する立場だったが、元係長が不当な操作を行わないよう監督するなどの注意義務を怠った、としている。
 3人の処分については、逮捕後の八末沢元係長の供述が重視された。鑑定では、継電器室での人為操作がない限り誤出発検知装置は作動する、と結果が出ていた。ところが、元係長は逮捕前、「継電器室では点検作業をしただけ」として容疑を否定していた。
 しかし、逮捕後の調べで、元係長は信号異常を直すため、列車の出発前に継電器室に入り、リード線で信号回路の配線端子をつないで回路を変更する操作をしたことを認めた、という。(朝日新聞)
■余部の強風でダイヤ乱れる
 24日未明から、兵庫県香住町のJR山陰線余部鉄橋で、列車の運行が出来ない風速20bを超す強風が再三記録され、ダイヤが乱れた。JR福知山支社のまとめでは、午後6時現在で、特急「あさしお6号」と10本の普通列車が区間運休。特急など16本が最高2時間半遅れ、ダイヤの乱れは夜遅くまで続いた。(朝日新聞)
■山陽新幹線へ直通 「のぞみ」料金認可
 運輸省は、来年3月18日のダイヤ改定から東海道・山陽新幹線で直通運行を始める「のぞみ」の特急料金を24日認可した。
 「のぞみ」は全席指定で、「ひかり」の同区間より300−1800円高い。新大阪−博多間の「のぞみ」特急料金は6090円で、普通運賃と合わせると1万5260円、「ひかり」より950円高い。東京−博多間は、特急料金9920円、計2万3100円で、「ひかり」より1800円高くなる。(朝日新聞)
■「JR山陰線電化に見通し」KTRと併せ 政府予算で荒巻知事
 荒巻禎一京都府知事は25日午前の定例記者会見で、府が1993年度政府予算編成で最重点要望していた非電化区間のJR山陰線(園部以北)とKTR(北近畿タンゴ鉄道)宮福線の園部−福知山−天橋立間(89.1`)の電化工事に対する国の鉄道整備基金の導入について「具体的な個所づけは認可時になるが、明るい見通しを持っている」と述べた。京都−天橋立間のスピードアップに向けたJR、KTR一体の電化工事は、大きく前進することになりそう。
 国の鉄道整備基金は、新幹線の譲渡収入を財源に、昨年10月創設されたもので、府はJR山陰線とKTR宮福線の電化など高速化事業に対し、同基金の中の主要幹線鉄道整備への無利子貸付金の初適用を国に働き掛けていた。荒巻知事は「基金の全体枠は402億円で、新規分として33億円が入った。予算は認められたが、実際の個所付けは認可時となる。見通しは明るい」と述べた。
 同基金の適用が正式に決定すれば、非電化区間のJR山陰線園部−福知山間(54.3`)と、KTR福知山−天橋立間(34.8`)の電化工事をはじめ、京都−天橋立間(123.3`)の軌道・曲線改良や駅構内の一線スルー化、信号保安設備など高速化工事が行われる。(京都新聞 夕刊)
26日■車両調査求め遺族が意見書 信楽鉄道事故民事調停
 信楽高原鉄道事故の「犠牲者遺族の会」(吉崎俊三世話人)が、事故車両の永久保存を求めている民事調停の第5回調停が25日、大津簡裁であった。遺族会は、事故車両の徹底調査を求める意見書と事故を語り継ぐための保存部品リストをJR西日本と高原鉄道両社に提出した。
 遺族会側は▽列車の強度に問題はなかったか▽窓ガラスや網棚は凶器となっていないか−など事故車両を具体的に調査し、今後の安全対策に生かすようJR西日本に求めている。このほか、列車プレートや車輪、運転計器類など18の保存部品を示した申し入れ書を提出し、両社に次回までの回答を求めた。(京都新聞)
■運転主任を補充採用 信楽高原鉄道
 社員2人が逮捕されて欠員になっていた信楽高原鉄道は25日、運転主任に元国鉄駅長(60)を採用した。
 同社は今月3日、昨年5月の鉄道事故で、施設課長と運転主任が逮捕されて以来、少ない人員で勤務体制をやりくり。列車運行は綱渡り状態が続いていた。
 補充された職員はJR関連会社に所属しており、とりあえず出向の形で業務課長兼運転主任として駅長業務に当たり、来年4月に正社員となる予定。(京都新聞)
■JR京都駅の仮駅舎に許可 京都市
 京都市は25日、京都駅改築に伴う仮駅舎の建築許可を出した。JR西日本は、これを受けて28日にも仮駅舎の建築確認を同市に申請する。
 建築許可は、仮駅舎の建築場所が駅前広揚のために必要な都市計画法上の手続き。仮駅舎はプレハブ2階建て延べ約6500f。1階が駅業務施設、2階は店舗になる。建築確認が下り次第、着工し来年2月末にも完成させて、本体の駅改築に備える。本体の建築確認申請は4月以降になる見通し。(京都新聞)
■JR京都駅仮駅舎建築 年明けにも着工 市 都計法上の申請許可
 京都市は25日、京都駅の改築高層化に伴いJR西日本から出されていた仮駅舎建築に関する都市計画法上の申請を許可した。これを受け、JR側は年内にも建築確認を申請し、年明けから工事に入る見通しとなった。
 仮駅舎は鉄筋プレハブ造り2階建て、延べ6500平方b。駅前広場に建設し、京都駅観光デパートなどの仮店舗も入る。
 JR側は、早けれは来春にも駅ビル本体の建設工事に入ることにしており、1994年度中の完成を目指す考えだ。(朝日新聞)
■碍子を旧型に取り換えへ JR四国「しおかぜ」
 JR四国は25日、最新式ハイテク特急電車「しおかぜ52号」が20日午前、瀬戸大橋上で約3時間も止まった事故に関連して、絶縁不良で故障の原因となった合成樹脂製碍子(がいし)を、旧型車両に使っているゴムホース型に取り換えることを決めた。
 パンタグラフに取り付けていた碍子は、あえて破損に強い樹脂製を採用したが、亀裂などに弱いことがわかった。(朝日新聞)
■南港トンネルに地下鉄乗り入れ 当初計画より輸送需要増え 国が変更承認
 大阪市は25日、開発が進む大阪ベイエリア(湾岸)の足として事業を進めている住之江区・南海と港区・中央突堤を結ぶ南海トンネル(2.2`)の交通機関に地下鉄が乗り入れできることになった、と発表した。25日までの国の予算案の復活折衝の中で、当初計画の新交通システム「ニュートラム」から、地下鉄との乗り入れができる臨海鉄道に施設変更することが認められた。
 当初計画の後、大阪港で4番目の新人工島建設計画などが浮上し、輸送需要が増えたため、市は現在進めているトンネル工事を地下鉄用に変える計画変更を国に要望していた。
 地下鉄が乗り入れると、1時間当たりの輸送力は約1万3000人から4万−6万人に上がる。今回の計画変更で約1000億円だった事業費はさらに約80億円増える。市は95年度中の完成を目指している。
 このトンネルには大阪市と奈良県生駒市をつなぐ地下鉄中央線が乗り入れることになり、南海の海浜緑地駅(仮称)まで電車が相互乗り入れできる。同駅では住之江公園駅から延びてくるニュートラムとも接続する。(朝日新聞)
■大正地区へ 5年後延伸 地下鉄・鶴見緑地線
 「大阪ドーム(仮称)」の完成に合わせ、大阪市営地下鉄鶴見緑地線が5年後、大正地区へ延伸することが25日決まった。来年度の国の予算案をめぐるこの日の復活折衝で事業予算が認められた。現在工事中の京橋−心斎橋間約5.7`に続き、さらに西方の大正地区まで約3`延びる。
 鶴見緑地線の延伸では、大阪市は大阪ドームのできる西へ、大阪府は5年後の夏季国体のメーン会場「府立門真スポーツセンター(仮称)」のできる東へ延ばしたい、と国に要望していた。だが、財政難のため、採算性の高い西から着手することに決まった。(朝日新聞)
■年末大移動始まる JR・分散型ピーク 成田・混雑…でも 前年割れ
 ことし最後の土曜日となった26日、正月を古里や行楽地で過ごそうという帰省客らの”民族大移動”がスタート。首都圏新幹線ターミナル駅や空港では家族連れや若者たちの姿が目立ち始めた。ことしの帰省ラッシュは曜日配列の関係から分散化する見通しで、30日がピークになりそうだ。
●ふるさと組●
 東海道・山陽新幹線は、東京発の一番列車、博多行きひかり1号が120%、東京発広島行きひかり73号が途中の名古屋で100%を記録したぐらいで、午前中は80−90%の込み具合。
 東北、上越、山形新幹線は東京発盛岡行きやまびこ37号が105%、同やまびこ33号、東京発山形行きのつばさ113号がいずれも100%となった。
 在来線では上越、信越方面に向かうほとんどの特急がスキー客を中心に100−125%と込み合った。
 JR京都駅でははや故郷でお正月を、と帰省する親子連れらの姿がみられた。しかし、全体に帰省客の出足は鈍くふだんの土曜と変わらない風景。帰省のピークは在来線で30日、新幹線で31日、Uターンは3日になりそう、という。
 同駅では、山陰線の午前9時半発の久美浜行き特急「タンゴエクスプローラー1号」が乗車率120%とやや混雑したものの、他の特急、急行はまだ空席が目立った。帰省客も「ゆっくり座って帰れそう」と、お土産を手に列車に乗り込んでいた。
 JR西日本は、年末年始の利用客を昨年とほぼ同じ約160万人と見込んでおり「昨年は仕事納めや仕事初めが土曜、日曜と重なって休みが長く、帰省も分散型でしたが、今年は休みが短くやや短期集中型になるのでは」と予想している。
 高速道路下り線も流れは順調。東北自動車道は同日午前8時15分から、浦和−白河インター間で交通量増加のため80`の速度規制措置が取られたが、常磐自動車道、東名高速道路、中央自動車道などは極端な渋滞もなく、スムーズな車の流れが続いた。
 空の便はほぼ満席状態。日本エアシステムの場合、臨時便2便を含む計76便の予約率は91%で平日よりかなりの混雑となったが、若干の空席があり、日本航空も全便満席にはなっていない。
●海外脱出組●
 一方、成田空港では同日、年末年始を海外で過ごす旅行客らの出国ラッシュが始まり、2つのターミナルの出発ロビーはサーフボードやスキーを抱えた若者グループ、家族連れなどでごった返した。
 新東京国際空港公団の推計では、この日の出国者は約3万4500人と年末のピーク。第2ピークの30日までは連日3万人前後の「海外脱出組」が成田から旅立つ。
 それでも不況の影響や、長期休暇を取りにくい曜日配列になったこともあり、年末年始期間中(19日−1月4日)の出国者推計は昨年より約9000人少ない約48万8000人。この時期では開港以来初めて前年割れする見込みという。
 大手旅行代理店の調査によると、目的地別ではハワイが日本人旅行者の16%に当たる7万2000人でトップ。以下香港、韓国。米国西海岸の人気が下がる一方、オーストラリアが旅行客数を順調に伸ばしている。(京都新聞 夕刊)
■JR大阪駅内の元理容店主 「立ち退き、本意でない」 損害賠償訴えへ
 国鉄時代から鉄道マンの髪を整え「鉄ちゃん刈り」の愛称で親しまれながら、JR西日本に立ち退きを迫られ、いったんは和解に応じた大阪の女性理容師が、「和解は本意ではなかった」と、改めてJRを相手に損害賠償などを求める訴訟を来年1月にも起こす。
 この人はJR大阪駅北側の車掌区前で、親子2代約80年間にわたって営業を続けてきた大阪府高槻市、木村末子さん(66)。旧国鉄に「協力するからやってほしい」と依頼されてスタートした店だったが、JRに移行した昭和62年、JR西日本から店の明け渡しを求められ、同社が平成元年提訴。一審では「権利の乱用には当たらない」としてJR側が勝訴した。
 控訴したが今年8月、JR側に「和解に応じなければ強制執行にかける」と迫られ、立ち退きに応じた。和解は@期日までに立ち退くAJRに補償を求めない−といった内容で、木村さんは「問答無用に追い出された」と話す。
 同様の理容店をめぐっては、同社管内で立ち退きに応じなかった十数店について訴訟となり、半数がJR側の勝訴となっているが、今年11月には、京都駅構内の理容店について「明け渡しを求める合理的理由がない」として、JR側の訴えが棄却されている。(京都新聞 夕刊)
27日■JR・JT株売却要請 来年度行革大網を決定 国家公務員1215人滅
 政府は26日の臨時閣議で、来年度以降の行政改革の実施方針になる「93年度行政改革大網」を決めた。大網は今年度の売却が見送られたJRと日本たばこ産業の株式を来年度中に処分を始めるよう検討を要請。また、来年度の国家公務員の定員削減は1215人の純減とし、純減の規模は今年度の1372人を157人下回った。
 国の規制緩和の推進を盛りこんだ今年6月の臨時行政改革推進審議会(第三次行革審)の第三次答申を反映し、地方分権特例(パイロット自治体)制度の実施が初めて明記された。
 行政組織の機構改革では外務省の「総合外交政策局」「国際情報局」の新設と、これに伴う国連局、情報調査局の廃止、通産省の立地公害局を環境立地局に改組することが盛り込まれた。
 規制緩和については、日本工業規格(JIS)、日本農林規格(JAS)などと国際規格との整合を図ることや、将来の運転免許の有効期間の2年間延長、旅券(パスポート)の有効期間の5年間延長の実現をめざすことを盛り込んだ。重要施策としては「政府開発援助(ODA)大網」に基づく適切な援助の実施や、地球環境時代にふさわしい「環境基本法」(仮称)の速やかな策定を盛り込んだ。(朝日新聞)
28日■電話1本 指定券を郵送 JR東日本 会員制の新サービス
 「電話1本で指定券が買えます」。JR東日本は近く、電話で切符の予約を受け付けて客に郵送する新しい予約サービスを始めることを決めた。切符の購入や受け取りのため、駅窓口まで足を運ぶ手間を省くことができる。
 電話予約サービスは、JR東日本が今年度中にスタートさせるカード事業の目玉として導入される。
 近く新設する「チケットクラブ」に入会したカード会員を対象とし、会員がクラブに電話をかけ、指定券を予約する。予約したあとは料金を客の口座から引き落とすと同時に、切符を郵送して客に届ける仕組み。電話を受けるクラブ側の態勢やクラブヘの入会方法など詳細は今後詰める。
 自宅で電話予約するシステムとしては国鉄時代からプッシュホン予約サービスがある。しかし、完全な在宅のシステムではなく、予約後は駅窓口に出向いて切符を購入する必要があった。JRによると、91年度にプッシュホンで発券したのは58万6000件。1日当たりの全国の予約可能座席数よりも少ない。
 JR東日本は、「プッシュホン予約制度を一般の人が利用しているケースは少ないし、一度は駅まで足を運ばねばならなかった。完全な在宅予約システムがようやく発車できる」と話している。(朝日新聞)
■信楽鉄道事故 起訴の3人保釈
 大津地裁は28日までに、信楽高原鉄道事故で業務上過失致死傷罪などで起訴された信号設備会社「信栄電業」社員八木沢守被告(44)と、高原鉄道運転主任里西孝三被告(62)、同社施設課長山本長生被告(56)の3人から出されていた保釈申請を認め、保釈された。(京都新聞 夕刊)
■京都駅仮駅舎の建築確認を申請 JR西日本
 JR西日本は28日午前、京都駅の改築高層化計画に伴い、駅前広場に建設する仮駅舎の建築確認と仮設建築物の許可を京都市に申請した。
 いずれも年明け早々にも許可される見通しで、JR側は許可後ただちに仮駅舎の建設に着手することにしている。(朝日新聞 夕刊)
■列車・飛行機 空席目立つ 帰省ラッシュ
 仕事納めの28日、お正月をふるさとで過ごす人たちの帰省ラッシュはさほど目立たず、列車や飛行機も空席が多かった。ラッシュは29日から本格化し、30日がピークになる、という。
 JR新大阪駅を出発する新幹線は、午前8時44分初の博多行き「ひかり63号」が乗車率110%になったほかは、100%を超える列車はなく、同40%とがらがらの列車も。午前中ホームは比較的閑散としていた。大阪空港を出発する国内線の便もほとんどが空席を抱えて飛び立った。(朝日新聞 夕刊)
29日■運転主任ら3人保釈 信楽事故
 信楽高原鉄道事故で業務上過失致死傷罪などで起訴された同鉄道の里西孝三運転主任(62)、山本長生施設課長(56)、信号会社から派遣の八木沢守・元施設係長(44)の3人について、大津地裁は28日までに保釈を決定した。
 同地裁は25日に3人の保釈を認めたが、八木沢元係長については大津地検が不服の準抗告を申し立て、執行を停止していた。28日に準抗告が棄却され、八木沢元係長も保釈された。(朝日新聞)
30日■終夜運転や臨時増発 年末年始 JR・私鉄5社のダイヤ
 JR西日本と、関西の大手私鉄5社の年末年始のダイヤがまとまった。各社とも、大みそかから元日の早朝にかけて終夜運転をし、正月3が日には、沿線の主な神社への初詣(もう)で用臨時列車を増発する。また、割引の往復切符や、期間中乗り放題のフリー切符なども用意している。
 概要は次の通り(乗車券の価格は大人用)。
 【JR西日本】大みそかの終夜運転 東海道、山陽、奈良、大阪環状、関西、桜井の各線は30分おき、福知山線は1時間おき、阪和、羽衣両線は40分おき。
 年始の特別列車「初日の出蓬莱山号」(大阪−志賀)、「初日の出須磨浦号」(大阪−西明石)、「初日の出書写山号」(大阪−姫路)=各1日早朝発▽「稲荷初詣号」(神戸−宇治直通、1−3日)
 「新春・初詣で乗り放題きっぷ」(京阪神地区)1300円。
 【阪急】大みそか 全線で約30分おきに普通列車を運行。特急、急行も増発。
 年始 神戸、京都両線は日・祝日ダイヤ▽宝塚線は臨時特急ダイヤ(特急を1日当たり44本増発)。
 全線フリー「93ニューイヤーチケット」1500円。
 【阪神】大みそか 本線と西大阪線で約30分おきに普通列車を運行。
 年始 休日ダイヤ。
 全線フリー「93新春どこでもパス」950円。
 【京阪】大みそか 京阪線は、10−20分おきに急行と普通を運行。男山ケーブルも終夜運転。
 年始 特急、急行などを増発した特別ダイヤ。京津線の京津三条−四宮間と、石山坂本線の石山寺−近江神宮前間でも増発(悪天候の場合は見合わせることもある)。
 指定駅で自由に乗り降りできる「初詣で乗車券」は、京阪線用800円、大津線用550円。
 【近鉄】大みそか 臨時特急「越年号」(大阪−伊勢方面、あべの橋−橿原神宮前・吉野方面)を各10−25分おき。臨時特急「初詣号」(京都−伊勢方面)などは1時間おき。急行、準急なども増発。
 年始 4日まで休日ダイヤ。大阪−伊勢方面に特急や急行、あべの橋−橿原神宮前間に急行「開運号」などを増発。
 全線フリー「ニューイヤー近鉄遊レールパス」3800円。
 【南海】大みそか 南海線難波−住吉大社間は1日午前3時まで15分おき、あとは30分おき。高野線は30分おき。
 年始 急行、普通の増発。午前10時−午後5時に住吉大社駅を通過する急行は、同駅に臨時停車。
 全線フリー「フリーチケット1993」2300円。(朝日新聞)
■帰省客の出足鈍く
 JR西日本によると、新幹線の乗車率は東京発博多行き「ひかり15号」の160%が最高で、中には70%の列車も。北陸や山陰、和歌山方面に向かう特急も空席がある。同社広報室は「例年29日といえば、もう少し込んでいるはずだが。不景気のための出控えでしょうか。ピーク予想の30日の人出が気掛かり」と首をかしげる。
 一方、「新幹線片道の料金で、大阪−東京を往復できます」を宣伝文句にしている西日本ジェイアールバスは「遠距離の夜行は前年をやや上回っている感じがする」という。しかし、全体の出足は鈍く、昼間の便で、兵庫や岡山県から大阪に年末の買い物に出てくる客は、例年の半分ほどに減っている。「動きが冷え込んで、いつもとは違った歳末」という。(朝日新聞)
■来年から禁煙します JR西日本 大阪環状線で 3月実施検討 タイム制やめ終日
 JR西日本は93年3月18日のダイヤ改正をめどに、大阪環状線の駅を終日禁煙にしようと、検討を進めている。乗客から禁煙を望む声が高まっているほか、東京の山手線が終日禁煙になるなど、駅での禁煙が広がっているため。同社ではこのほか、ダイヤ改正を機に、新幹線のほぼ半数の座席と、すべての普通列車の禁煙化を決めており、いちだんと愛煙家の肩身は狭くなりそう。
 同社は1209駅のうち、通勤通学で混雑する約600駅で、朝夕の禁煙タイムを設けている。大阪環状線の18駅は、午前7−9時、午後5−7時が禁煙タイムで、構内でのたばこを遠慮してもらっている。
 関西の大手私鉄も、朝夕に禁煙タイムを設けている。
 JR西日本が去年11月に新幹線や特急車内で行ったアンケートでは、51.6%が禁煙席を希望していた。また、意見・苦情受付窓口「キク象コーナー」に今年4−11月に寄せられたたばこに関する声は114件で、去年の同時期のほぼ2倍。「禁煙タイムが守られていない」「全面禁煙にしてほしい」などが目立つため、混雑の激しい大阪環状線での終日禁煙に踏み切ることにした。
 具体的なやり方はまだ検討中。禁煙の範囲をホームに限るか、改札内にするか。喫煙コーナーを設けるか。さらに、現在、駅では、灰皿とくず入れが一体になったごみ箱を置いているため、終日禁煙となれば、これを取り換える必要があり、導入が遅れることもあるという。
 同社内の主要駅では、和歌山駅が一足先に終日禁煙を始めた。また、8月から終日禁煙にした山手線で、乗客にアンケートをしたところ、約9割が賛成と定着してきており、ポイ捨ても減っているという。
 1日約115万人が利用する大阪駅では、1日バケツ20杯分の吸い殻が出る。自らが愛煙家でもある長谷川征男助役は「去年、駅を改装したはかりで、吸い殻が落ちていると目立つんです。終日禁煙も総論では賛成だが、愛煙家への配慮も必要なので、知恵を絞っています」と話している。(朝日新聞)
31日■ちょっとひと言 地下鉄を羽東師へ
 伏見区を担当し、久我、羽東師へよく出かけますが、いつも思うのは渋滞のひどさ。桂川、国道1号で車がつかえ、地域を貫く道も狭いせいか、車はいつも進みません。一帯では市バス以外に公共の交通手段がなく、住民の多くが車を持っていることも渋滞の一因との声も聞きます。帰りに国道1号に出るのに30分以上かかることもざら。時間が勝負の私などは、いつもイライラします。
 そこで提案を一つ。地下鉄を宝池に延ばす計画がありますが、竹田からこの地域に路線を延ばしてはどうでしょう。住民は宝池一帯よりもずっと多いのですから採算は十分合うはずです。渋滞も少しは緩和され、市中心部への足もでき、一石二鳥はまちがいなし。運転免許試験場もこの地域にあり、グッと利用しやすくなります。
 鉄道は路線が長いほどメリットが発揮されるもの。市長さん、地下鉄の南西延長はいかがでしょう。(曹澤農)(京都新聞)
■静かな帰省ピーク 大きな混雑なし JR京都駅 不景気の影響か
 正月を故郷や行楽地で過ごす人たちの年末移動が30日、ピークを迎えた。帰省客らの出足が鈍かったJR京都駅では、在来線、新幹線ともようやく空席ゼロの状態になったが、ホームは例年のような大きな混雑はなく、いつもとあまり変わらない静かな帰省風景となった。
 在来線では、午後2時9分発の富山行き「雷鳥」が150%の混雑となったのを最高に100から110%と、ふだんより少し混雑した程度。ホームにいた福井県に帰省するという京都市左京区内の家族連れは「今年は自由席でも楽々と座れて助かる」とホッとした様子だった。
 新幹線は下り線が120%から150%と混雑したが、上り線は平日よりも乗客が少なく、JR東海では「不景気の影響なのか、乗客の少なさに裏切られたような気持ち」と話していた。
 一方、マイカーでの帰省もこの日からスタート。だが名神高速道路や国道1、9号など府内主要幹線道路は夕方までに目立った渋滞はなかった。
 京都府警交通管制センターは、例年の渋滞状況から名神高速道路の大阪向け下り線について、夕方をピークに天王山トンネルを先頭に20`の渋滞を予測していた。しかし、30日夜半まで上下線とも大きな渋滞はなく、夕方に約2`の小さな渋滞があった程度だった。
 府警によると、昨年の同じ日には夕方以降、名神下り線で25`の渋滞があったが、今年は国道1号などでも大きな渋滞はなく、分散型帰省がいっそう定着した、とみている。
 府警によると、きょう31日夜半過ぎから元日にかけて、初もうで客で名神上り線の京都市内向けが京都南から10`続く。一方、年明けの帰省Uターンのピークも、2日と3日に分散するとみている。(京都新聞)
■今夜から元旦にかけ臨時便増発 京都市交通局・JR・私鉄各社
 京都市交通局とJR、私鉄各社は、大みそかの深夜から元旦にかけて、初もうで客のために臨時便を増発する。
 京都市バスは特201号系統(四条大宮−西大路四条−北野白梅町−烏丸今出川−百万辺−平安神宮前)と特50号系統(JR京都駅−四条大宮−西大路四条−北野白梅町−千本今出川−京都駅)をほぼ15分間隔で終夜運転。市営地下鉄(竹田−北山間)は終電をふだんより2時間遅らせ、1日午前1時半ごろまで運転する。
 JR西日本は神戸、奈良発着の東海道本線、奈良線直通電車などを終夜運転。近鉄は橿原神宮前方面行きの特急と西大寺までの普通を30分おきに運転し、京阪は出町柳−淀屋橋間に急行と普通を15−20分間隔で運行。阪急は京都線で急行と普通、嵐山線で普通を30分間隔の運転。京福と叡山電鉄は平常通り。(京都新聞)
■くる年へ善意温かく JR大津駅に「比良の天狗」
 30日午後6時40分ごろ、大津市春日町のJR大津駅で、改札口東側の柱に、1万円札3枚を付けた紙が張られているのを駅員が見つけ、大津署に届けた。
 同署の調べなどによると、縦75a、幅52aの白い紙に「比良の天狗参上 身近にいる本当に恵まれない子供達にお年玉として上げて下さい」と書かれ、下に1万円札3枚がセロハンテープで張り付けてあった。
 駅員ら目撃者の話では、黒っぽいサングラスにカーキ色の作業服のようなものを着た30歳前後の男2人が、改札口の金属製の仕切りにかけ上り、粘着テープで紙を張り付けたあと、走るように立ち去ったという。
 同署は3万円を拾得物として処理するとしている。(京都新聞)