1992(平成4)年8月


1日■サヨナラ駅の「迷惑たばこ」きょうから終日実質禁煙 JR山手線(朝日)
2日■地下鉄烏丸線 北山−国際会館 延伸計画にブレーキ 住宅街の直下通過 住民が協議会結成 がけ崩れなど影響心配 市交通局「誠意もって対応」(京都)
  ■JR山手線の終日禁煙実施 たばこ販売100億円パア?(京都)
  ■小倉山残土問題 「変形は想像以上」 市民運動家ら現地調査(京都)
3日■これが新型「雷鳥」 JR京都駅で公開(京都)
  ■京阪宇治交通値上げ申請 平均9%(京都)
4日■売れ行き好調 おもしろ切符 JRや大手私鉄 乗り放題に人気 アイデアこらす(京都)
  ■JR東日本1社を上場 運輸相きょう表明(朝日)
  ■東海道新幹線 品川新駅を建設 輸送力10万人増 99年完成めざす JR東海など合意(京都)
5日■車掌が特急券偽造 詐欺容疑 千葉で逮捕(朝日)
6日■ダンプと快速電車衝突 仮設踏切、作業員が誘導 JR阪和線 警報故障 旗の合図で遮断機開閉 5人重軽傷(京都)
  ■京都高速道路 4路線を承認 京都市都計審 堀川・西大路・久世橋・油小路 来年度から着手(京都)
  ■JR株上場 決断は秋に 株価低迷で慎重論も(京都)
  ■手動遮断機「進入OK」 そこへ快速 ダンプ衝突 脱線、5人重軽傷 空港連絡鉄道工事用 JR阪和線仮設踏切(朝日)
  ■国内最高の345.8` 山陽新幹線WIN350(京都)
7日■京阪九条山駅存廃で応酬 東西線差し止め訴訟(京都)
  ■初期故障それとも拙速導入? トラブル続出の 新幹線「のぞみ」(京都)
  ■韓国新幹線(ソウル−釜山) 日・仏・独 もつれる受注合戦 選考延期 日本勢、貿易黒字の壁 大統領選の争点化も(朝日)
  ■秋やっと発車 残暑やわらぎ行楽地に人…(朝日)
  ■速さ競い広がる夢 列車vs航空機(朝日)
  ■東海道線遅れる 山崎駅、貨物が停車(京都)
  ■旧国鉄宿舎に”居座り”続け 212人、明け渡しを 清算事業団 14地裁に提訴(京都)
  ■元国鉄職員に一斉に宿舎明け渡し訴訟 国鉄清算事業団(朝日)
  ■骨材禍の石 被害は100ヵ所以上 新幹線の橋で目立つ 建設省調査(朝日)
8日■列車、駅構内で脱線 参院線・安栖里 乗客ら200人無事 特急通過を待たず発車 安全側線に突入(京都)
  ■京都市公営企業91年度決算概要(京都)
  ■列車、待避線に入り脱線 JR山陰線・安栖里駅 赤信号見落とす?(朝日)
  ■阪和線脱線事故 監視員派遣の業者など捜索 泉佐野署(朝日)
  ■帰省新幹線ストップ 若狭の地震、関東グラリ(朝日)
  ■静かな帰省スタート 台風で見合わせる人も JR京都駅(京都)
  ■脱線事故の山陰線復旧 12時間ぶり平常ダイヤ(京都)
  ■時速350.4`!(朝日)
9日■台風10号 帰省の足乱し北上 滋賀で瞬間風速35b 新幹線一時止まる(京都)
  ■京滋の夏 大混乱 台風10号 ”受難”の帰省初日 新幹線 8時間ストップ 広島−博多間(京都)
  ■WIN350が最高記録 時速350.4キロ(京都)
  ■乗客苦情に腹いせ放火 大阪 元バス運転手13件自供(京都)
10日■嵯峨野観光鉄道 トロッコ列車 利用100万人を突破 開業から1年3ヵ月(京都)
  ■マニュアル書き換え 信楽鉄道事故の遺族の会が抗議(朝日)
11日■小倉山JR工事残土問題 文化庁長官に要請書 住民ら(京都)
  ■京都駅改築で市に申し入れ 建て替え問題協(京都)
  ■JR株上場に 影響ありうる 運輪次官が見通し(朝日)
  ■私鉄混雑率 7ポイント改善へ 大手16社投資計画(朝日)
  ■JRの小倉山原状回復 文化庁訪れ要請 住民ら(朝日)
  ■信楽高原鉄道初の値上げ申請 17.3%10月1日から(京都)
  ■信楽鉄道値上げ申請(朝日)
12日■マニュアル改ざんでJRに説明要請へ 信楽事故遺族の会(京都)
  ■雷・大雨 真夏の大暴れ 近鉄は46本運休、停電も 奈良北部(朝日)
  ■周辺住民抗議の六甲ライナー 特殊ガラスで”目隠し” 電圧切ったら車外は見えず(朝日)
  ■帰省ラッシュ、ピークに 「あさしお」乗車率140% 親子連れで混雑(京都)
  ■密入国中国人7人達捕 京都府警など新幹線車内で 集団で長崎に漂着(京都)
13日■スムーズ 車いす 電車乗降 好評 専用渡り板 主要駅への配置検討 阪急梅田(京都)
  ■こんな得の仕方も… 自由席と放送ミス、指定席代払い戻し JR和歌山駅(朝日)
14日■学研都市ing B JR駅前整備に期待 新住民の足は近鉄に(京都)
  ■電車と軽乗用車衝突 南海加太線踏切(朝日)
15日■お盆休み早やUターン開始 新幹線あすピーク(京都)
  ■「のぞみ」型検査厳しく 納入時にJR東海(朝日)
  ■またトラブル 冷房利かず車内30度に(朝日)
16日■つばさなどのダイヤ混乱 奥羽線で信号機故障(京都)
  ■帰省客Uターン18日まで混雑(京都)
  ■車掌の検札なくなります JR東日本新システムを開発 座席に切符読み取り装置 コスト課題(京都)
  ■新幹線、揺れ4分の1に レールを平らにして 東京−新大阪 今年度中に整備予定 車内で文字もスラスラ(朝日)
16日■新泰麺鉄道建設へ ミャンマー政権タイに提案(京都)
  ■東海道新幹線四半期乗客数 民営化後初の前年割れ 4−6月 出張滅り参院選響く(朝日)
  ■大鉄局舎 64年の歴史に幕 ”梅田の顔”惜しむ声も(朝日)
19日■中国でも国鉄分割 JRを参考に 株式会社に改組へ(朝日)
  ■近畿全域、大雨の恐れ 台風11号 九州東部に上陸(朝日)
  ■懐かしいボンネット型バス 写真集を自費出版 大阪のカメラマン(京都)
  ■原色 若者通 夜行列車で行こう 普通乗車券 青春−夏−夜 ゆとり?倹約旅行 時間もゆっくり流れる車内(京都)
20日■整備新幹線 5割増の1600億円要求 来年度運輸省 財投400億円を初導入(京都)
  ■台風や大雨でJRは乗客滅 お盆期間では初(京都)
  ■JR西日本は3%減 夏休みの輸送まとめ(京都)
  ■夏休みの乗客 初の前年割れ JR西日本(朝日)
  ■連合悩ますJR労組の亀裂 スト権巡り大きく対立 組織拡大路線に足かせ(朝日)
21日■京滋の鉄道 大研究 現状から改善策まで(京都)
  ■「のぞみ」の検査態勢強化 メーカー立ち入りなど(朝日)
  ■燃料切れだ 列車立ち往生 JR予讃線(朝日)
  ■JR上場見送り 政府高官方針表明 NTT株売却も(朝日)
22日■六地蔵駅開業で10月新ダイヤ JR奈良線 朝夕ラッシュ時増発(京都)
  ■NTT株 売却見送り 相場好転を狙い4年連続で JT中止 JR株凍結も要請 大蔵省方針(京都)
  ■窓 許せないJR不法土砂放置 左京区・高亜 研(フリーター・29)(京都)
  ■「六地蔵駅」開業へ(朝日)
  ■JR西日本・東日本 特急開発で技術協力(朝日)
23日■新幹線も自動改札 JR東日本94年めどに 東海・西日本も検討(朝日)
  ■男性飛び込み環状線止まる JR京橋駅(朝日)
24日■8万人の足混乱 兵庫南部で落雷(朝日)
25日■山城地方など局地的な大雨 JR運休や停電続出 京都市内も突然暗やみ(京都)
  ■障害者にレールの旅を 「ひまわり号」11月8日発車 神戸港見物など 参加者募る(京都)
  ■JR株 年度内上場を断念(朝日)
  ■手順書書き換えで JR本社に抗議 信楽事故遺族の会(朝日)
26日■運輸省概算要求 初の借入金400億円 北陸新幹線に重点配分(京都)
  ■マニュアル改ざん JR西日本に抗議 信楽事故遺族の会(京都)
  ■来月3日に約15% 能勢電鉄が値上げ(朝日)
  ■線路横断中にはねられ死亡 宇治のJR奈良線(京都)
27日■大型風防を設置へ トロッコ亀岡駅舎 雨の吹き通し遮断(京都)
  ■踏切でトラック立ち往生 快速電車が衝突 JR福知山線 1人死亡(京都)
  ■豪雨でダイヤ乱れる 山陰線(京都)
  ■地震情報をテスト配信 JR総研「ユレダス」で(京都)
  ■はねられた女性の身元判明(京都)
  ■福知山線 快速電車と踏切で衝突 トラックの男性死亡(朝日)
  ■北陸新幹線 石動−金沢間が起工 10年後の完成めざす(京都)
28日■北陸新幹線の用地取得盛る 政府総合経済対策(朝日)
  ■電車10本が運休や遅れ JR片町線信号故障(京都)
29日■JR東日本 来年度上場実現目指す 運輸相が表明(朝日)
  ■東海道新幹線 障害者個室に”缶詰” 1時間 乗務員、誤って施錠(京都)
30日■大欧州圏めざしパワーアップ 赤字国鉄の統合、民営化 独、戦後最大の鉄道改革 道路優先策を転換 市場拡大にも対応(共同 山本武信)(京都)
  ■窓 電車の冷房にもうひと工夫 左京区・西村有史(会社員・38)(京都)
31日■アルミ製のブレーキ 新幹線で実用化へ 軽量化めざしJR総研など(朝日)
  ■橋げた落下 市などに賠償を要求 広島の3遺族提訴「監督義務怠る」(朝日)



1日■サヨナラ駅の「迷惑たばこ」きょうから終日実質禁煙 JR山手線
 東京のJR山手線のすべての駅が1日から、実質的に終日禁煙になる。駅の雑踏の中でたばこを吸い、他の乗客の服を焦がしたりする喫煙者への苦情が絶えないため、JR東日本が特に乗降客の多い山手線から踏み切った。
 ラッシュ時にあたる構内の全面禁煙時間帯を1日7時間に拡大。それ以外の時間帯に限り、たばこを吸えるのは、ホーム1−2ヵ所、コンコースに1ヵ所程度に特設される「喫煙所」のみ。いずれも迷惑にならないよう、ふだん乗降客の少ない場所が選ばれた。時代の流れとはいえ、愛煙家はますます肩身が狭くなる。
 すでに山手線の全29駅では灰皿、吸い殻入れ約130個が撤去されるなど終日禁煙化に向けて準備がはぼ終わった。新宿駅では31日午後、ホームで係員が吸い殻入れを設置したり、看板を取り付けて喫煙所を設置。駅にある7面14線のホームに7ヵ所の喫煙所を完成させた。「別れると、幸せになります」との禁煙ポスターも掲示板に張られた。
 大阪環状線の駅では、ラッシュで混雑する午前7時−9時と午後5時−7時を禁煙タイムとしている。(朝日新聞)
2日■地下鉄烏丸線 北山−国際会館 延伸計画にブレーキ 住宅街の直下通過 住民が協議会結成 がけ崩れなど影響心配 市交通局「誠意もって対応」
 京都市がこの4月に運輸省の許可を受けた地下鉄烏丸線の国立京都国際会館延伸計画に、思わぬブレーキが掛かっている。同線が松ケ崎地区の住宅街の下を通過することから、住民らが工事中や開通後の影響を心配して、先ごろ協議会を結成、個別の用地補償交渉には応じない構えを見せている。地下鉄が住宅の下を通ることによって地上で何が問題になるのか。動きを追った。(社会部 上田耕滋)
 今回の延伸計画は北山−国際会館間2.6`で、平成5年度に着工、同9年度の開業を予定している。
・地権者と貸借契約へ
 しかし同路線は、松ケ崎中町や掘町、海尻町の住宅街の地下約12bを約200bにわたって通過するため、市は個々の住宅地に地上権を設定、それぞれの地権者と貸借契約を結ばなければならない。ところが、地権者の住民側は「交通局の説明は納得がいかない」として反発。該当する46人のうち41人が先月12日「地下鉄松ケ崎協議会」を結成した。今後、ルートの再検討を含め、市と交渉していくことにしている。
 住民側が問題にしているのは▽決定した路線ルートが適正なものか▽工事に伴い住宅に隣接する山にがけ崩れの心配はないか▽地上権設定によって地価が下がるのではないか−など。
 宮本猛同協議会代表世話役は「地下鉄が通る松ケ崎の林山一帯の斜面は崩れやすく、これまでにも大雨などで崩れて隣接する家屋が倒壊する事故などが発生してきた。なぜ危険を冒してトンネルを掘るのかとの疑問に市は全く答えていない」と訴える。
・ルート変更は不可能
 協議会の指摘に対し、市交通局は▽住宅地を避けるルートでは松ケ崎駅を北山駅に近接した位置に設けざるを得ず、駅を造る意味がなくなるため、路線変更は不可能▽林山は地表はもろいが、地中の岩盤は硬いため、工事や列車通過による山崩れの影響は考えられない▽地上権の設定については全国的な補償基準をもとに話し合う。地上の建築物についても、土地1平方b当たりの荷重が8d以内という制約しかなく、実質的に問題はない−などの見解を示している。
 担当窓口の交通局計画課は「これまで地下鉄建設についてはどの地域でも理解を頂いてきた。今後も各地域の事情などを加味し、誠意をもって対応したい」と話している。
 しかし現実には、着工の前提である個別の用地補償交渉のメドは立っていない。
・住民アクセス点検も
 これまで地下鉄工事は、京都市街が碁盤の目状になっていることから道路の下を通ることが多く、住宅街を通過する事例はまれだった。しかし、現在着工中の東西線には住宅の下を通るケースが主なものだけで3ヵ所あり、今後の計画路線にも松ケ崎と同様のケースが増えることも考えられる。事前説明会のあり方を含め、再度行政の住民アクセスを点検し直す必要がありそうだ。(京都新聞)
■JR山手線の終日禁煙実施 たばこ販売100億円パア?
 東京・JR山手線の29全駅で、1日から終日禁煙がスタートした。終日禁煙は、私鉄の数駅や地下鉄でも実施されているが、地上の一線区全部の駅で実施するのは初めて。今後は、ホームやコンコース内に設けた1、2ヵ所の喫煙所以外ではたばこは吸えなくなった。
 JR東日本は、禁煙スタートに先立ち、前日までに灰皿を撤去したり、喫煙所の案内板を設置するなど、準備に追われた。この日、各駅では、早朝からポスターや構内アナウンスで禁煙への協力を呼び掛けた。
 同社は「評判がよければ他線区にも終日禁煙を拡大する」と意気盛ん。しかし、山手線駅でのたばこ販売で年間収入の約5%、約100億円を稼いでいる東日本キヨスクは「影響が出るのは避けられない」と頭を抱えている。(京都新聞)
■小倉山残土問題 「変形は想像以上」 市民運動家ら現地調査
 古都保存法の歴史的風土特別保存地区に指定された京都市右京区の小倉山(高さ286b)に、JR西日本が山陰線トンネル工事で出た約20万立方bもの土砂を放置している問題で、京都、奈良、鎌倉の市民運動家らでつくる三都市民共同フォーラム(代表・西山卯三京都大名誉教授)の一行が1日、現地調査を行った。
 一行は、同フォーラム京都実行委員会のメンバーで随筆家の松本章男さん(61)ら7人。この日午後、小倉山ふもとの常寂光寺任職長尾憲彰さん(65)の案内で現地に入り、谷が土砂で埋められている様子や、土砂搬入に使われた立て坑などを見て回り、山の元の姿からの変わりぶりをチェックした。
 今年になって「京都百人一首」の著書を出している松本さんは「古来、小倉山は吉野山に次いで、多く和歌に詠まれてきた山。京都人が最も大切にしてきた。それをこんなに変形さすとは、京都の恥だ。自然に対する感性の冒とくでもある。初めて来たが、想像以上にひどい」と話していた。
 同実行委では、この日の調査結果をもとに近く奈良と鎌倉のメンバーと協議。三都にとって重要な古都保存法の趣旨を生かすためにも、JRに対して土砂搬出による原状回復を迫っていく、としている。
 小倉山の残土間題をめぐっては先月28日、長尾住職ら地元住民有志10人がJR西日本と井手正敬社長ら2人を、古都保存法違反などで、京都地検に告発している。(京都新聞)
3日■これが新型「雷鳥」 JR京都駅で公開
 JR西日本が開発した湖西・北陸線用特急車両(681系)「ハイスピード雷鳥」(仮称)が2日、京都市下京区のJR京都駅で一般公開され、約1500人の鉄道ファンの熱い視線を集めた。
 同車両はコンパクトで強力な交流モーターを導入、最高時速160`と従来型を30`上回る。車体下部には雪が付着しないよう覆いをつけた。グリーン車は各席に液晶テレビが備わる。(京都新聞)
■京阪宇治交通値上げ申請 平均9%
 京阪宇治交通(本社・枚方市)は3日、平均約9%の運賃値上げ申請を近畿運輸局京都支局に出した。10月1日実施の見通し。
 輸送人員の伸び悩みと人件費アップなどを値上げ理由としている。1`当たりの基準賃率を25円から2円アップの27円にし、初乗り運賃は120円から140円に20円アップする。
 通勤、通学定期券も同様約9%アップするが、新たに購入日から翌月末までの端数日付定期と、家族も使える持参人定期(通勤定期だけ)採用。昼間(午前10時−午後4時)の特別割引回数件の新設も申請している。府南部と大津、枚方市の一部が営業エリアで、乗車人数は1日約6万人。(京都新聞 夕刊)
4日■売れ行き好調 おもしろ切符 JRや大手私鉄 乗り放題に人気 アイデアこらす
 JRをはじめ、関西の大手私鉄が発売中のおもしろ切符がこの夏、好調な売れ行きだ。中でも「1月どこまで乗っても0K」のフリー切符の人気が高く、各社ともそれぞれ特徴を生かしたアイデアで売り込みを図っている。
 新幹線や特急を除くJR全線が1日乗り放題という「青春18切符」(5枚1組1万1300円、8月末まで発売、9月10日まで有効)は、10年前から冬と春の休みに売り出されているが、年齢制限がない気軽さが受けて年々、うなぎ上りの人気。JR西日本だけでも、この4年間で約75%アップ、8万4000セットが夏休みに販売され「今年も確実に9万セット以上は売れそう」という。
 阪急は、8月6日から1週間全線乗り放題の「夏休み阪急沿線スタンプラリーチケット・パート5」(大人1800円、小人900円)を売り出し中。今年は人気の「ウォーリーを探せ」に引っかけ「怪人25面相を追え」をキャッチフレーズに、沿線の25駅を巡った完走者には記念品なども贈呈する。1988年のスタート当初は1万人のラリー参加者が、昨年は約1万7000人。うち1万人が完走し「今年も好調な売れ行き」と話している。
 京阪は「なにわクルット」「ミシガンクルット」など大阪港の水上バスや琵琶湖外輪船などとの組み合わせで、一部区間は自由に乗り降りできるクルットシリーズを13種、年間や春から秋にかけて常時発売中だ。
 近鉄も飛鳥や山の辺など奈良大和路を中心に同様のフリー切符を発売している。
 JRの「青春18切符」で、この夏、東京−京都間を8時間近くかけて利用したという京都市中京区の会社員(41)は「列車の予約をすることもなく、どこで降りても自由。気楽に旅ができるのが一番ですね」と話していた。(京都新聞)
■JR東日本1社を上場 運輸相きょう表明
 奥田敬和運輸相は4日午前、株式上場を目指すJR東日本、東海、西日本3社のうち、今年度は東日本1社に絞ることを表明する。これを受けてJR東日本は8月末をめどに東京証券取引所などへの上場申請をするほか、株式を所有する日本国有鉄道清算事業団が値付けのための入札など、株売却に関する一連の手続きに入る。
 ただ、実際に今年度中に株式売却に踏み切るかどうかは、株式市場の状況をにらんだうえで入札公告のタイムリミットである9月末から10月初めにかけて、運輸省が大蔵省などと協議して最終決断する。
 国鉄清算事業団の石月昭二理事長とJR東日本の住田正二社長が3日、運輸省に奥田運輸相と中村徹事務次官を訪ね、今年度に東日本の株式の売却・上場を行うための手続きに着手したい、と正式に要請した。(朝日新聞)
■東海道新幹線 品川新駅を建設 輸送力10万人増 99年完成めざす JR東海など合意
 東海道新幹線の輸送力増強のためJR東海が建設を予定している東京・品川新駅問題で、同社とJR東日本、貨物、国鉄清算事業団が進めてきた基本計画についての協議が合意に達し4日、運輸省に報告された。
 新駅は4.8fの敷地に2面4線のホームと、3本の車両基地を設置する計画。東海道新幹線の東京発下りは、現在の最大で1時間に「ひかり」8本、「こだま」3本の計11本から、15本体制に増強。輸送力は1日約10万人アップするという。
 着工は1993年度中の予定で、完成見込みは99年度の見込み。
 しかし、下り列車を1時間に15本運転するには、ほかに変電設備の増強や新たに車両を造る必要があり、総経費は品川新駅建設(700億円以上)を含め4000億円以上に上ることから、JR東海の経営への影響を心配する声もある。
 計画によると、新駅は現在のJR品川駅東口の海側に建設する。上下2面のホームは高架を避け地上に建設、また東京駅寄りに、回送車両をさばく車両基地3線を敷く。建設用地のうち、JR東日本、貨物、国鉄清算事業団所有の2.3fについては買収したり、賃貸を受ける。
 JR東海は、品川新駅の規模が当初案からほぼ半分に縮小され、回送車両の確保が難しくなるため、東京・八潮の東京第二車両所を改造したり、静岡−東京間の途中駅に翌日使用する車両を前夜から止めておくなどの対策を検討する。
 品川新駅建設は、東海道新幹線の平均乗車率が82%にも達し、朝夕の列車では座れない乗客も出ていることから、90年5月、JR東海が打ち出した。
 これに対し、地主のJR東日本は事前に相談がなかったとして猛反発、一時は暗礁に乗り上げた。しかし、今年に入って運輸省が仲介に乗り出し具体化に向け動き出した。(京都新聞 夕刊)
5日■車掌が特急券偽造 詐欺容疑 千葉で逮捕
 千葉県内のJRの駅で偽造特急券が見つかり、捜査していた千葉中央署は4日、JR東日本千葉支社に所属する車掌を有価証券偽造、同行使及び詐欺の疑いで逮捕した。
 逮捕されたのは、千葉県長生郡睦沢町川島、千葉車掌区車掌、田中光男容疑者(41)。調べによると、田中容疑者は先月末、車掌区の駐車場に止めた乗用車の中で、持ち出した車内発行券用のロール紙に、私用の携帯用コピー機を使って、数種類の自由席特急券(車内発行券)計25枚分をコピーした。これを7月24日夜、東京駅発安房鴨川行き「わかしお21号」の車内で発売、26120円をだまし取った疑い。
 同夜、夜行番号が同一の特急券が茂原駅で18枚、勝浦駅で3枚、安房鴨川駅で4枚見つかり、千葉支社が28日、千葉中央署に届けていた。
 田中容疑者は「小遣いほしさにやった。4月から約50回にわたり、60万円ほどだましとった」と話しているという。
 JR千葉支社は4日、「今後、このような不祥事を二度と起こさぬよう、再発防止に取り組む」との談話を発表した。(朝日新聞)
6日■ダンプと快速電車衝突 仮設踏切、作業員が誘導 JR阪和線 警報故障 旗の合図で遮断機開閉 5人重軽傷
 5日午後4時5分ごろ、大阪府泉佐野市日根野のJR阪和線日根野−長滝間の仮設踏切で、天王寺発和歌山行き下り快速電車=岩階正人運転士(35)、4両編成=と、大阪府泉南市男里、黒川博志運転手(25)のダンプカーが衝突した。電車は運転席付近が大破、先頭車両の後部車輪が脱線し、約240b走って止まった。
 岩階運転士は右足を強く打って重傷。黒川運転手と、1両目に乗っていた和歌山県那珂郡岩出町水栖、会社員下元さゆりさん(19)ら乗客3人の計4人が頭や手足に軽いけが。
 JR阪和線は一時不通となり、上下71本が運休、新大阪発白浜行き下り特急くろしお23号が4時間半遅れたのを最高に上下119本が遅れ、夕方の通勤客ら約4万8000人の足に影響が出た。
 泉佐野署の調べでは、踏切は上下線の間に建設する関西新空港との連絡線用の橋脚の基礎工事のため、下り線側だけにこの5月、仮設された。幅約6bで、警報ブザーと、手動の遮断機が付いている。さらに、約120b北側で警備員が白旗を振り、電車の接近を知らせていた。
 ブザーが7月29日に故障したため、この日、旗の合図だけで操作係の作業員が遮断機を開閉。黒川運転手が土砂を搬出するため作業員の誘導に従い、バックで発進、踏切内に入ったところ、衝突したという。
 同署は警備員の合図が遅れたか、操作の作業員が合図を見落とした可能性があるとして、業務上過失致傷の疑いで関係者から事情を聴いている。
 現場は、日根野駅の南約400bの、JR西日本日根野電車区の近く。線路わきに道路が走り、付近には民家が点在している。(京都新聞)
■京都高速道路 4路線を承認 京都市都計審 堀川・西大路・久世橋・油小路 来年度から着手
 京都市都市計画審議会(会長・佐藤達三助役)は5日、諮問されていた京都高速道路計画の4路線を原案通り承認した。この日の承認は、高速道路網建設を市として正式決定したことを意味しており、京都のまちづくりにとって大きな節目となる。市は今後、計画案の縦覧を経て、年内にも京都府の都市計画決定を得る方針で、来年度からの阪神高速道路公団による事業着手を目指す。
 京都高速道路は「京阪神間の高速道路のネットワーク化と、京都市中心部や周辺部の慢性的な交通渋滞の解消を狙い」(市当局)に計画された。京都市南部地域を東西と南北に走る計5路線の自動車専用道路で、一部は地下を走る。工期20年、総工費4000億円が見込まれる大プロジェクト。
 承認された路線は、すでに都市計画決定している新十条通を除く、堀川線3.7`、西大路線4.0`、久世橋線4.8`、油小路線4.5`の計16.6`。
 堀川線は南行、西大路線は北行一方通行。この2路線(幅9b)の80%を地下化する。東西に延びる久世橋線(同18b)は全線高架式で、新十条通と京阪連絡道路(構想)につながる。油小路線も全線高架式、堀川、久世橋とつながり、南端が第二京阪道路(計画中)と連結する。
・まちづくりに活力
 田辺朋之京都市長 この事業は今後の市のまちづくりに活力を吹き込むものとして重要な役割を担うもの。予算措置を含め、積極的な協力体制の確立をはかり、生活環境の保全に万全を期しながら、事業促進に努めたい。
・共産党が抗議声明
 同審議会の計画承認について、共産党京都市議団(若宮修団長)は同日、抗議声明を出した。
 声明は「審議会委員のわが党市議が、住環境を破壊するという市民の疑問は解明されていない、決定すべきでない、と主張したにもかかわらず、採決を強行した」としている。
・市民団体が「不要」訴え
 「環境破壊が進む」「市内に流入する車が増えて渋滞が増えるだけ」と、計画に反対している市民団体「京都道路問題連絡協議会」は5日、審議会場の上京区、公務員宿泊施設「くに荘」前で航議行動をした。
 開会30分前の午後1時から住民約40人が集まった。「高速道路はいらない!」と大書きした横断幕を掲げ、会場に足早に入る審議委員にビラを手渡し「審議会は住民の声を反映させよ」などと訴えた。
 油小路拡幅対策住民の会の植田礼一郎会長(66)=南区=は「住民への説明も不十分だし市の環境影響評価技術検討会も高層住宅の大気汚染調査など多くの課題をあげている。それを無視してなぜ決定を急ぐのか。海外の歴史都市は車の総量規制を打ち出しているのに、10万台もの車が通る高速を造るのは時代への逆行」と不満をあらわにした。
 同連絡協は10月に高速道路反対のシンポジウム、11月には全国道路公害反対運動交流集会(京都市)を予定している。(京都新聞)
■JR株上場 決断は秋に 株価低迷で慎重論も
 JRの完全民営化への一歩となる株式上場は、今年度中に東日本1社の上場が固まっているが、株価低迷が続いている中で政府内にはなお慎重論も強く、最終判断は秋ごろにずれ込む情勢だ。これまで見送ってきたNTT株の追加売却という問題が、JR株売却についても弱腰にさせている理由の一つだが、旧国鉄の巨額な債務返済を至上課題にする運輸省は年度内上場を果たしたいと準備を進めている。
 JR株の上場については、89年12月の閣議で「遅くとも91年度中に売却開始を検討する」との基本方針を確認。これに沿って政府は91年度中の上場を模索したが、株価低迷から先送りした経緯があるだけに「92年度は1社だけは上場させたい」(運輸省幹部)との思いが強く、第一弾として東日本の発行済み株式400万株(額面5万円)の半数程度の売却を考えている。
 早期売却、上場を目指す最大の理由は清算事業団の長期債務が約26兆4000億円(92年3月末現在)にも上っている点だ。債務返済のもう一方の柱の土地売却がバブル崩壊、不動産市況の冷え込みで91年度は予定の1兆5000億円の約半分、約8000億円の収入にとどまった。
 長期債務は年間1兆数千億円もの利子を生み、92年度も土地売却の不調が続く中でJR株の売却が遅れれば、国民負担の増大も懸念されている。
 「JR法」でさまざまな規制を受けているJR各社にとっては、上場して株式全量売却を泉たせば、代表取締役の選任、金融機関からの長期借り入れや新規事業の開始など運輸相の認可事項となっている規制が外れ、事業展開が広がる。
 ただ92年度中の上場実現の可否は、市場の吸収力にかかっているとの認識で関係者は一致している。JR東日本の200万株が売却された場合、市場から数千億円の資金が吸い上げられ市場を圧迫する懸念がぬぐい切れないためで運輸省も「9月下旬か10月初旬までは判断は難しいだろう」(首脳)としている。
 半面、「市場に個人投資家を呼び戻すきっかけになるはず」(奥田運輸相)とする待望論が証券関係者の中にも多いといわれる。技術的な準備をほぼ整えた清算事業団の「今は市況回復を神に祈るのみだ」との声が慎重派、積極派両者の一致した本音だ。(京都新聞)
■手動遮断機「進入OK」 そこへ快速 ダンプ衝突 脱線、5人重軽傷 空港連絡鉄道工事用 JR阪和線仮設踏切
 5日午後4時6分ごろ、大阪府泉佐野市日根野のJR阪和線下り線に設けられた、関西新空港につながる空港連絡鉄道JR分岐線の工事用仮設踏切で、天王寺発和歌山行き快速電車(4両編成、岩階正人運転士)が、泉南市男里、黒川博志さん(25)運転のダンプカーに衝突した。電車は先頭車両が脱線したまま、約240b走って停止。先頭車両に乗っていた和歌山県有田市箕島、専門学校生福永典子さん(22)、同那賀郡岩出町水栖、会社員下元さゆりさん(19)、和歌山市吉礼、同市原富士堆さん(43)の3人が軽いけがをしたほか、岩階運転士は右足などに重傷、黒川さんも軽傷を負った。
 脱線した快速電車の乗客約300人は、現場から約400b離れた日根野駅まで歩いた。阪和線は日根野−和泉砂川両駅間が不通となり、JR西日本は天王寺−日根野、和泉砂川−和歌山間でそれぞれ折り返し運転をするとともに、南海電車などで振り替え輸送した。阪和線は上下71本が運休、終日にわたって119本が最高4時間半遅れ、4万8000人の足が乱れた。上り線は午後7時すぎに復旧、下り線も午後8時25分に徐行運転で再開した。
 泉佐野署の調べでは、事故があった工事用仮設踏切は6月中旬から使用していた。下り線をまたぐ幅約6bで、遮断機は手動式になっている。いつもは遮断機は下りており、列車が接近していないのを確認して、必要な時に上げる。警手を務める監視員のほか、踏切の約120b手前のやぐらにも別の監視員がいて、白旗で列車の接近を知らせていたという。
 ダンプカーの黒川さんは踏切を渡った空港連絡鉄道の工事現場から土砂を運び出すためバックで運転。遮断機は上がっており、誘導していた警手がOKの合図をしたため、ダンプを踏切内に進入させた。後ろから半分ほど入ったところで旗が振られ、警手が大声で「出ろ」と叫んだが、ダンプの窓を閉め切っており、合図が聞こえなかったらしい。
 現場付近は急な右カーブで、カーブに沿って工事用の金網フェンスが張ってあり、踏切からの見通しは悪い。現場付近には工事関係者に電車の接近を知らせる警報ブザーを設置していたが、先月29日から故障したままだったという。ある作業員(50)は「前から危ないと思っていた」と話していた。
 踏切で誘導していた警手は「時刻表を持っていたが、まだ時間があると思って遮断機を上げていた」と話しているという。同署は列車の接近を知らせる方法など安全管理に問題がなかったかどうか、業務上過失傷害などの疑いで工事関係者から事情を聴いている。
 現場近くのタクシー会社事務所で配車の仕事をしていた男性(60)は「ダンプが線路を横切ったと思ったら、電車が来て砂煙が上がった。無線で『えらい事故や』と叫んだ。電車はダンプを押しのけ、斜めを向く感じで進んできた」。先頭車両が止まったすぐ近くで食料品店を経営する西本勇さん(69)らは「ものすごい音と地震のように家が揺れたのに驚いた。電車が前の方から白い煙を上げながらゆっくり止まった」と事故の模様を話した。
・JR西日本の四野宮紀郎・建設工事部担当部長の話 乗客がけがをされ、大変申し訳なく思っている。早急に事実関係を把握し、再発防止策を検討したい。(朝日新聞)
■国内最高の345.8` 山陽新幹線WIN350
 JR西日本の高速新幹線「WIN350」(500系)が6日午前1時17分、山陽新幹線新下関−小郡間で実施した高速走行試験で時速345.8`を記録、鉄道での国内最高速度を達成した。
 国内では昨年9月、JR東日本の山形新幹線「つばさ」(400系)の試験車両が出した345`が最高だった。
 JR西日本はこの高速走行試験を8月末まで続け、さらに記録更新を図るほか、騒音を減らすためのデータも収集することにしている。
 「WIN350」は時速350`の営業運転で新大阪−博多間を、現在より約30分早い約2時間15分で結ぶ次世代高速新幹線車両。JR西日本は平成6年春のデビューを目指し、6月22日から6両編成で速度向上試験を重ね、7月21日には20年ぶりに山陽新幹線の最高時速303`を記録していた。
 走行試験に立ち会った日高秀登・JR西日本技術開発推進部長は「高速走行中の車体の揺れや車内騒音も思ったより少なく、安定走行状態で、満足すべき試験結果だと思う」と話している。(京都新聞 夕刊)
7日■京阪九条山駅存廃で応酬 東西線差し止め訴訟
 京都市の地下鉄東西線の建設計画に伴い廃止が決まっている山科区の京阪電鉄京津線九条山駅周辺の住民が「東西線ができると駅がなくなり、生活環境が著しく悪化する」として、東西線を建設中の第三セクター・京都高速鉄道会社(社長・田辺朋之京都市長)を相手に耕二差し止めを求めた訴訟の第1回口頭弁論が6日、京都地裁で開かれた。原告側が「駅が廃止されると重大な生活侵害が引き起こされる」と訴えたのに対し、被告側は「原告の主張には法的権利がない」と棄却を求めた。
 訴えているのは「九条山の住環境を守る会」代表の白方英子さん(70)ら152人 この日の弁論では白方さんが陳述書を読み上げ、「駅間距離からも技術上からも九条山駅の建設は何ら問題がない。経費節減の犠牲を住民に押しつけている」と強調した。
 原告側は準備書面の中で「住民らに東西線のルートや駅位置などについて全く説明をしないで決定し、事前の住民要望を無視した。九条山新駅を設置するなく強行される地下鉄工事は、違法である」としている。一方、被告側は答弁書や準備書面で「東西線については計画がまとまった段階で二度の住民説明会を開くなど十分に説明してきた。地下鉄建設と京津線の一部廃止は、本来、別個の事柄で、法的関連性はない」と主張した。(京都新聞)
■初期故障それとも拙速導入? トラブル続出の 新幹線「のぞみ」
 時速270`、東京−新大阪2時間半−。ことし3月鳴り物入りで登場した東海道新幹線の「のぞみ」型車両(300系)のトラブルが続き、安全が売り物の新幹線の信用を大きく傷付けてしまった。JR東海は「単なる初期故障。一時のトラブルは収まった」と安全を強調しているが「導入は拙速」とする労組の一部は「のぞみ」車両の営業運転の一時中止を要求している。
・新技術導入が裏目?
 「のぞみ」型300系車両は3月20日の表示灯異常事故を最初に、5月6日には名古屋−三河安城間でモーター部分のボルト脱落が原因で5時間近く立ち往生する事故を起こした。7月1日、新大阪−京都間で心臓部の主変換装置の保護装置が作動したため加速できない状態となり運休。このほか初歩的なミスによる事故も相次いだ。
 300系は高速化、軽量化を図るため、開業当初からの0系や2階建ての100系とは全く違った設計で造られた。新幹線では初めての交流モーターを導入、直流を三相交流に換えるインバーターを組み込んだ主変換装置を装備。ここに過大な電流が流れるのを保護する装置が過敏反応で誤作動を繰り返していた。
 5月の事故がきっかけでボルト脱落や緩みが次々と見つかった。原因とされる塗料の厚塗りなども台車の構造を変えたためだった。
 JR東海ほ試験車両1編成を使って2年間走行試験をした。問題点は克服して営業運転に入ったはずだったが、試験運転中にもボルト脱落が6件、緩みが123件もあったことが明らかになっている。保護装置の過敏反応も事前に問題となっていた。
・技術力が低下、の声
 JR東海は「新造車両に特有な現象。構造上の問題や270`運転によるものでない」と説明。6月以降は1ヵ月ごとの点検でもボルトの緩みは発見されていないことを強調している。計画通り来春のダイヤ改正までに300系を15編成に増やし「のぞみ」の1時間1本運転を実現する考えだ。
 これに対し300系の一時運転中止を求める大会決議をしたJR東海労(JR総連加盟)の南波啓一中央執行委員は「JRになってから検査体制が縮小された。しかも試験走行が足りなかったため300系を運転した経験がほとんどない運転士が大勢いる。マニュアルを参考にしながらの運転でひどく緊張している」と現場の声を代弁する。
 元国鉄技師長の滝山養さんは「民営化後、技術者の数が大幅に減り、車両メーカーとの一体感も失われた」と技術力の低下を指摘する。滝山さんはJR東海の経営姿勢についても「新技術を積極的に採用するのは国鉄時代にない良い点だが、幹部の考え方に安全哲学が欠けてかるのではないか」と懸念する。(京都新聞)
■韓国新幹線(ソウル−釜山) 日・仏・独 もつれる受注合戦 選考延期 日本勢、貿易黒字の壁 大統領選の争点化も
 韓国がソウル−釜山間で1999年1月の開業を目指している超特急「京釜高速鉄道」の車両や運行システムの受注合戦がもつれている。日本、フランス、ドイツの企業連合が応札したが、予定していた6月の決着が10月に延び、3グループと韓国当局との間で先端技術の移転を巡り駆け引きが続いている。一方、プロジェクト自体が慮泰愚大統領の肝いりで企画されただけに、近づく大統領選挙では、計画自体が政策論争の焦点になる可能性も出てきている。
 京釜高速鉄道はソウル−釜山間411`を1時間40分で結ぶ韓国版新幹線。総事業費は1兆円から1兆2000億円と見込まれ、慮大統領が87年の選挙公約に掲げ、90年には政府として建設を決めている。
 国際入札の対象は、車両と、信号やポイントなど運行制御システム、架線などの設備で、総額4000億円。日本からは三菱商事、丸紅、日本車両製造、三菱電機など13社が連合を組み、ドイツのシーメンスなどの連合、フランスのGECアルストムなどの連合と対抗して、1月に応札した。
 日本は新幹線電車「のぞみ」を基に、3分間隔でも走れるきめ細かい運用ノウハウが強み。欧州勢は、機関車方式によるスピードが売り物だ。しかし、韓国当局は書類審査では十分な分析が難しく、価格や技術移転の条件もあいまいだとして、選考期間を延長、3グループと同時に並行して交渉する方式に切り替えた。
 技術移転では、車両の半分を国産できるよう韓国の現代、大字、韓進といった車両メーカーや研究所に、データの提供を求めている。しかし、各国の応札企業からは、逆に「技術が根付くような受け皿が製造現場にない」「新幹線需要しかないのに、最新の設備投資をしても折り合うのか」という指摘や疑問も出て、交渉がもつれている。
 書類審査では、欧州勢が優位に立ち、日本は「価格は安いが性能は劣る」とされた。しかし、並行交渉で細かい詰めを続けた結果、技術的に差がないという見方が有力になっている。一方で日本勢が受注すれば、対韓貿易黒字がさらに拡大するのは必至。欧州勢が輸出支援の政府金融などでテコ入れを図ってくると劣勢に立たされそうだ。
 韓国当局は9月中に選考作業を終え、10月には発注先を決めるとしている。しかし、秋口から暮れにかけての大統領選挙をにらんだ政治的な動きが活発化しそうで、慮大統領の肝いりプロジェクトの高速鉄道も標的にされる可能性が高く、交渉が影響を受ける恐れも出てきた。
 「アジアの昇竜」と言われた韓国は一時の発展の勢いが消え、賃金上昇とインフレに加え、社会基盤の遅れが表面化した。鉄道の未整備と自動車道の大渋滞はその代表例で、高速鉄道建設は経済停滞の突破口になるというわけだ。
 半面、膨大な建設コストをどう負担していくのか、という疑問も出されている。応札企業グループは「たとえ慮大統領の後継である金泳三候補が敗れても、高速鉄道計画そのものがひっくり返ることはないだろう」と見ているが、高速鉄道計画が今後の韓国経済の大きなポイントになってくることは確かなようだ。(朝日新聞)
■秋やっと発車 残暑やわらぎ行楽地に人…
 厳しい残暑もやっと緩み始め、6日の西日本はあちこちで秋の気配が感じられてきた。大阪や京都、広島などで30度を超える真夏日になったが、それでも朝夕はぐんと涼しく過ごしやすかった。各地の行楽地もにぎわい、秋の行楽シーズン入りへ。
 本番を迎えたブドウ狩り。神戸市西区の「神出ぶどう園」(3f)にはこの日、約2000人が訪れ、もぎ取ったばかりのブドウをほお張る家族連れの笑顔がこぼれていた。保津川に沿って京都市右京区の嵐山から亀岡市まで走る嵯峨野観光鉄道トロッコ列車はほぼ満席。約4000人がひと足早い渓谷の秋風を楽しんだ。
 また、大阪・奈良府県境の金剛山(標高1125b)でも、秋景色を求める登山者が目立った。この日はロープウエーの利用者だけでも約2300人にものぼり、臨時便で対応していた。
 最高気温は、大阪で31.1度を記録し、京都と奈良が30.1度などと高かったものの、神戸や金沢などでは平年並みか下回っており、大阪管区気象台は太平洋高気圧が徐々に弱まり、週の後半からはさらに秋めきそうという。(朝日新聞)
■速さ競い広がる夢 列車vs航空機
 JR東海が今春、東京−新大阪間で高速新幹線「のぞみ」の運転を始めたのをきっかけに、航空会社もより速い新型機の開発に本腰を入れ、「陸」のJR側と「空」の航空会社側で乗客争奪をめざしたスピード競争が過熱化している。主戦場となる東京−大阪−福岡間では、JR側が2年後に次世代高速新幹線の運転を予定し、「時速300`時代は目前」と攻める。これに対し、航空側は守勢の格好だが、「鉄道で4時間以上かかる区間や乗り継ぎコースは空の勝利」と強気の姿勢だ。21世紀をにらんだリニアモーターカー、超音速機の開発も進められている。スピードと快適さが求められる中、夏休み中の帰省や行楽、あるいは出張に、あなたは「陸」?それとも「空」?
・「のぞみ」超す「WIN」
 JRの未来の輸送体系の先がけとして登場したのが、「のぞみ」(300系車両)。最高時速は270`。新大阪−東京間の所要時間は2時間半。「ひかり」の平均より26分、最速の「ひかり」よりも19分速い。今年3月14日のデビューは、航空各社に大きな脅威を与えている。
 日本航空によると、「のぞみ」が運行された、ここ4ヵ月間の大阪−東京線の旅客数は前年並みで、影響は出ていないという。しかし、1日7往復の中で、羽田発午前6時55分、大阪発午後8時40分の2便についてはビジネス客が前年から約20%落ち込み、東京からの日帰り出張族が奪われた形。
 今のところ、「のぞみ」は両区間で朝6時、夜9時の2本だけの運行。しかし、来年3月のダイヤ改正を機に、JR東海は1時間に1本の増発、新大阪−博多間にも乗り入れる。航空各社は「影響が大きく出るとしたら、来春からだろう」と警戒する。
 JR側は旧国鉄時代、東京オリンピック開幕の1964年、東海道新幹線を初運行させて人気を集めたが、スピードでは「空」に押されっ放し。ところが、3時間を切り、2階建て新幹線を登場させるなどサービス向上を図り始めた90年度から状況が変わった。
 東京−大阪間の利用客は「陸」に傾き始め、航空の年間旅客数は90年度に前年度比で約6000人減、さらに増発にも押されて、91年度には一挙に同約17万人も落ち込んだ。大阪−福岡間でも91年度は13万人の割り込みよう。「のぞみ」の登場がこの減退傾向に拍車をかけている。
 追い打ちをかけるように、JR西日本が最高時速350`の次世代新幹線(500系)の開発を進め、94年の運行をめざしている。実験走行中の試験車両「WIN350」は、空気抵抗を減らすため、先頭車両を鈍くとがらせ、車高を3.3bと、「のぞみ」の3.65bよりも低くしているのが特徴。新大阪−博多間は、現在の2時間49分から約30分間、東京−博多間は最速「ひかり」の5時間44分から約1時間、それぞれ短縮する見通しだ。JR側は「大阪−東京に比べ、飛行機に流れる客の割合が高かった大阪−博多の競争力が高まり、博多が重要なマーケットになってくる」と鼻息は荒い。
・大阪−東京、30分時代へ
 21世紀をにらんだスピード競争で、JR、航空会社の双方は一歩も譲らない。
 JR側は「夢の超特急」といわれるリニアモーターカーの開発を掲げる。磁石と磁石が反発する力を利用して地上10aに浮き上がって走行する超最速列車だ。すでに宮崎県日向市の実験線で79年、「ML500」が無人で時速517`を達成。87年には、有人で400`を記録した。大阪−東京を1時間で結ぶ構想を描いている。
 実用化に向け宮崎の実験線(全長7`)に代わる山梨実験験線(42.8`)の建設が進められ、リニアの中央新幹線として将来、実現させる計画を探る。
 この技術目標には@時速550`の高速走行A1日当たり片道1万人の利用を想定した運行システムの確立−を挙げ、97年には実用化のめどを立てる方針。「理論上は時速1000`も可能」といい、大阪−東京間の30分時代も夢ではないという。
 対する航空側も技術革新に余念がない。米欧の航空機メーカーはマッハ0.92(昔速の0.92倍)程度の亜音速大型旅客機の道を開いたとされる。新型の翼をつけ、燃料節約のため新素材による軽量化や空気抵抗を極力なくす研究が進んでいる。2005年までには実用化されそうといわれ、航空各社は国内線や近距離国際線への投入を見込む。
 マッハ2−3の超音速旅客機の開発も、2年前から日米欧の航空機メーカーが共同で本格的にスタート。70年代に就航したマッハ2、100人乗りの「コンコルド」を上回るマッハ2.4、300人乗りが対象とされている。
 平均時速約800−900`という現在のジェット機で約12時間かかっている東京、大阪−ニューヨーク間を約3時間で結ぼうというもので、実現は21世紀初めの見通し。
 マッハ5−6の旅客機も米国で基礎研究が始まり、欧州では構想案が発表されている。新概念エンジンや液体水素、液体メタンといった新燃料の研究が進みつつある。これらが将来、実現すると「地球上のどの2地点間でも日帰り圏」といわれ、大阪−東京間は空港アクセスを含めても30分足らずで結ばれると期待されている。
・時速300`の空港アクセス研究
 高速新幹線の台頭で、日航、全日空、日本エアシステムなど航空各社は「スピードでは絶対に負けないのだから、遠距離輸送では圧倒的有利」と口をそろえる。
 「陸」か「空」かの選択で、利用者は「所要4時間を超えるかどうか」「乗り継ぎの有無」を基準にするとされる。鉄道で4時間以内なら鉄道を選ぶ人が多く、それ以上なら飛行機を選ぶ。また、鉄道を乗り継ぐなら、直行の飛行機を選択する、という意味だ。
 航空各社がJRとの競争でいま一番力を入れているのが東京−福岡間。約1時間20分で連絡する。都心から空港までの時間や搭乗手続きを含めても2時間余だ。「利用者にとって、やはり速さは魅力」(全日空)というように、同区間の3社の総利用客数は85年度の約345万人から、91年度には約569万人と順調に伸び続けている。
 「のぞみ」や「WIN」の運転によって、所要4時間の分岐点は、現在の東京−岡山から、東京−広島に移るものの、東京−福岡間は当分の間、航空機が有利ということになる。
 JRとのスピード競争は「航空機の速度だけを高めるだけでは勝てない。空港と都市部を数分で結ぶ交通機関の実現がかぎを握っている」との指摘もある。
 このため、日航は都市間、都市圏、都市内という時速300−100`の3タイプのスピードを持つ「HSST」と呼ぶリニアモーターカーの開発を進めている。「HSST」は空港アクセスで時間短縮の切り札とされる。2000年までに、横浜市や名古屋市で営業運転が計画されており、今後、各空港で実用化が進めば「飛行機優位」の路線は大幅に増えると期待は熱い。
 さらに、空港での搭乗手続きを短縮するシステムの研究も盛んに行われており、現在の「20分前集合」が、電車同様に離陸間際でも搭乗できる日も近い。(朝日新聞)
■東海道線遅れる 山崎駅、貨物が停車
 7日午前6時56分ごろ、JR東海道線の山崎駅構内(京都府乙訓郡大山崎町)で、東京発福岡行きの貨物列車の事故表示灯が点灯したため、臨時停車した。原因は分からず、後続の東京発大阪行き急行「銀河81号」の電気機関車を使って、約35分後、貨物列車を別の線路に移した。
 この影響で、「銀河81号」が約1時間遅れて大阪駅に到着するなど、下りの新快速や快速、普通電車など計31本が1時聞から3分遅れ、約3万8000人の乗客に影響が出た。ダイヤは午前9時半ごろ、ほぼ正常に復旧した。
 一方、JR京都駅では、この朝、お盆の帰省や旅行に向かう親子連れが目立ち始め、北陸線ホームなどに列をつくった。同駅では、在来線のピークは12日ごろとみている。また、新幹線は朝から乗車率が100−120%で例年に比べると少ないが、「8、9日から帰省ラッシュが始まりそう」という。(京都新聞 夕刊)
■旧国鉄宿舎に”居座り”続け 212人、明け渡しを 清算事業団 14地裁に提訴
 国鉄清算事業団(石月昭二理事長)は、平成2年4月1日付で解雇されながら北海道、九州などの旧国鉄宿舎に居座り続けている旧国鉄職員212人を相手に7日、旭川、福岡など全国14ヵ所の地裁に宿舎の明け渡しを求める訴訟を起こした。訴状によると、宿舎入居者は同事業団の「宿舎取り扱い規定」で、退職日から60日以内に宿舎を明け渡さなければならないと定めているのに、212人は期限の一昨年5月31日以後も、事業団からの再三の明け渡し要請を無視して、住み続けている。
 訴えられたのは、昭和62年4月の国鉄分割・民営化の際JRに採用されず、その後、3年間の雇用対策期間内にも就職が決まらないまま国鉄清算事業団を解雇された旧国鉄職員1047人の一部。
 解雇後2年4ヵ月過ぎた現在でも254人が旧国鉄宿舎に居住。このうち41人については昨年7月、事業団が明け渡し訴訟を起こしている。本来は、残る213人が明け渡し訴訟の対象となるが、うち1人については既に払い下げを受けた現在の所有者が住み続けることを認めているため、対象から外した。
 JR不採用問題では、ことし5月、中央労働委員会が解決案を示したが、労組、JRとも拒否したため、和解の道はほぼ閉ざされた。今回の提訴で旧国鉄の解雇者はさらに追い込まれる形となった。
 関係地裁と被告の人数は次の通り。
 札幌16人▽釧路23人▽旭川71人▽函館7人▽福島2人▽東京2人▽千葉2人▽横浜2人▽岡山1人▽福岡41人▽佐賀14人▽長崎18人▽宮崎6人▽鹿児島7人(京都新聞 夕刊)
■元国鉄職員に一斉に宿舎明け渡し訴訟 国鉄清算事業団
 国鉄清算事業団(石月昭二理事長)は7日午前、1990年4月に解雇されたあとも事業団が管理する全国の旧国鉄宿舎に住み続けている元国鉄職員212人を相手取り、宿舎の明け渡しを求める民事訴訟を関係する14地裁に一斉に起こした。
 同事業団によると、212人の地域別内訳は、北海道が117人、九州86人、関東6人、東北2人、中国1人。ほとんどが国労組合員。(朝日新聞 夕刊)
■骨材禍の石 被害は100ヵ所以上 新幹線の橋で目立つ 建設省調査
 内部から膨張、構造物をもろくさせる「コンクリートのがん」アルカリ骨材反応を起こす砕石が、全国各地の砕石場でも産出されていたことが7日までに、建設省土木研究所(茨城県つくは市)の調査で確認された。調査した砕石場の約3分の1に著しい反応が認められた。これらを使った新幹線の高架橋、校舎、消波ブロックなど、わかっているだけで100を超える構造物で被害が出ており、骨材禍は全国に広がる様相を見せている。同研究所は「すでに反応を起こしにくいセメントに切り替えられており、現在では新たな被害は出ていない」としている。
・「現在では問題なし」
 アルカリ骨材反応を起こす砕石はこれまで香川県・豊島(てしま)産が知られ、豊島産の砕石を使った神戸市・ポートライナーの橋脚などで被害が表面化していた。
 同研究所が調べたのは、全国に約1000ヵ所ある砕石場のうち、開発予定を含む計約470ヵ所。サンプルを入手して実験したところ、全体の3分の1に当たる玄武岩や安山岩など火山岩類、チャートや粘板岩などたい積岩類が半年間で0.1%以上の膨張量を示した。これらの砕石場名は明らかにされていないが、東北地方の北上山地から鹿児島県西部まで各地に分布しているという。
 さらに、同研究所や研究家らでつくる日本コンクリート工学協会などの調査で、骨材反応、またはその疑いの強いものが、北海道から長崎県まで広い地域で合わせて100ヵ所以上確認された。
 とくに、被害の目立つのが新幹線。山陽新幹線では、第一郷高架橋(広島県佐伯郡大野町)、大門線路橋(北九州市)、武庫川橋梁(兵庫県西宮市)など12ヵ所で、1980年ごろから亀甲状にひび割れが入り、幅0.5−3_、長さ数十a、深さ2、3aに達した。上越新幹線でも、新潟県西蒲原郡黒崎町にある柳作、上山田両高架橋、焼鮒橋梁の3ヵ所で亀甲状のひびが発生していた。
 JR西日本、東日本とも「安全上、問題ない」としながらも、外部から水が浸入して反応が進むのを防ぐため、86−88年に樹脂系塗料を塗って補修。山陽新幹線では最近、修繕した数ヵ所で再びひび割れができている。
 このほか、山口県・大島沿岸の消波ブロックの多くがぼろぼろになって崩れたり、鳥取県内では、橋のコンクリート製欄かんに幅数_、長さ数bの、中学校の屋上には亀甲状の、それぞれひび割れが走るなど被害が相次いでいる。
 調査をした一人、田沢栄一・広島大教授(構造材料工学)は「これら砕石は、70年代から公害対策のため生成中に生まれるアルカリを捨てずに混入させる製法でできた高アルカリセメントと反応し、被害を大きくした。橋脚ばかりでなく住宅にも出ているはずだ」と指摘している。
・アルカリ骨材反応 セメントに混ぜ合わせる骨材内に火山ガラスやシリカ分が含まれていると、セメント中のナトリウムなどアルカリ成分と反応。吸湿性のあるけい酸ナトリウムができ、これが水分を吸収して膨張、コンクリート本体がひび割れを起こす。亀裂から雨水の浸入が続けば、中の鉄骨もさびてコンクリートの耐久性が大幅に落ちる。1940年ごろに米国で初めて確認された。(朝日新聞 夕刊)
8日■列車、駅構内で脱線 参院線・安栖里 乗客ら200人無事 特急通過を待たず発車 安全側線に突入
 7日午後6時10分ごろ、京都府船井郡和知町安栖里(あせり)のJR山陰線・安栖里駅構内で、福知山発園部行き上り普通列車=2両編成・荻野武弘運転士(50)=が安全側線(退避線)に入り、約27b先で先頭車両が脱線した。車内は約200人の乗客でほぼ満員状態だったが、けが人はなかった。運転士の信号確認が十分でなかった疑いもあり、園部署などで調べている。
・赤信号を忘れる?
 JR西日本福知山支社によると、現場付近が単線のため、上り列車は同駅上り本線で、下り特急あさしお9号の通過待ちをしていたが、通過前に発車、そのまま安全側線に入り、脱線したらしい。乗客らの話では、駅を発車して、しばらくして脱線したという。2両目は無事だった。
 園部署の調べでは、荻野運転士は前方の信号が赤だったことは分かっていたが、乗客の対応をしているうち、赤信号のことが頭から離れ、発車したと説明。ブレーキなどの措置については手動、非常の両ブレーキをかけたが、間に合わなかったと話しているという。
 現場は、国道27号から南に入ったところで、和知駅と立木駅の間にある無人駅。この事故で、園部−綾部間が午後8時50分まで、上下線とも不通となり、バスで乗客の輸送を行ったが、特急あさしお9号が和知駅で約2時間半、立ち往生したほか、急行2本、普通8本が運休するなど、後続のダイヤに影響が出た。
・8b横にはがけ! 「加速前でよかった」 疲れ切る乗客
 夕やみの山里に「ドン」という鈍い音が響いた。乗客たちは一瞬、息を飲んで言葉さえ出ない。レールわきの砂利に乗り上げた脱線車両。「信じられない」。次の瞬間、驚きと安ど感が車内に広がった。
 事故後、乗客らは安栖里駅でバスが来るまで待機。海水浴から京都市内へ帰る途中だった親子連れは「グッと持ち上がったような感じがしたと思ったら、乗っていた車両(1両目)が左へ助がって、滑るように止まった。加速する前だったので、衝撃は少なかった」と疲れ切った表情だった。
 舞鶴駅から乗った自営業者(75)は「レールをはずれた瞬間、ぐらっと揺れた。車内は何があったのか分からず、ぼう然といった様子。けがもなくて良かったが、何でこんな目に遭わされるのか」と怒りを隠さない。
 現場は土手になっており、脱線した側の約10b下には人家が数軒ある。もう8bも横に突っ込めば、がけから転落という事態も考えられた。現場のすぐ下に住む主婦は「近くで大きな音がしたので飛び出した。こんな近くで脱線するなんて、ほんまに怖いわ」と声をうわずらせていた。(京都新聞)
■京都市公営企業91年度決算概要
市バス12億円 地下鉄114億円の赤字 営業収益は増 水道・下水道、黒字続く
 京都市は7日、1991年度(平成3年度)の各公営企業会計決算の概要をまとめた。市バスは営業収益が伸びたものの、コストアップなどで単年度12億5700万円、地下鉄も国の補助金制度の変更や事業規模の拡大などで140億400万円のそれぞれの赤字。一方、水道と下水道は料金改定の平年化や利用者増で前年に引き続き黒字決算となった。
・市バス 一日平均旅客数は前年度比1000減で、乗客減の低落傾向に歯止めがかかった。営業収益は253億1500万円と前年比約5億円の増で、収入総額は272億円となったが、一方、支出は人件費やコストアップが響いて284億5700万万円と増え、経営損益は差し引き12億5700万円の赤字。累積欠損金は5億4300万円となった。
・地下鉄 一日平均旅客数は1万4000人増の20万2000人と、順調に増加し、営業収益は109億6600万円と増えたが、国の補助金制度の変更で営業収益が大きく落ち込み、経営損益は差し引き140億400万円の大幅赤字。累積欠損金も137億6600万に上ってる。(京都新聞)
■列車、待避線に入り脱線 JR山陰線・安栖里駅 赤信号見落とす?
 7日午後6時10分ごろ、京都府船井郡和知町安栖里(あせり)のJR山陰線安栖里駅構内で、福知山発園部行き上り普通列車=荻野武弘運転士(50)、2両編成=が、行き違いのために設けられた安全側線と呼ばれる待避線に入り、行き止まりの部分に積んである砂利に乗り上げて、1両目が脱線した。乗客約65人にけがはなかった。
 JR西日本福知山支社の調べでは、安栖里駅付近は単線で、この列車は京都発米子行き下り特急「あさしお9号」と同駅で行き違う予定だった。特急はまだ駅に到着していなかったため、駅構内の線路から上りの本線には入れないようになっており、出発信号は赤になっていた。
 荻野運転士は赤信号に気づかず発車、信号の30b手前で気付き、急ブレーキをかけたが間に合わず、自動的に行き止まりになっている安全側線に入ったらしい。1両目の車両は左右の前輪2個ずつが脱線し、左側に傾いて止まった。
 この事故で山陰線は綾部−園部間が一時、不通になり、バス3台が普通列車の乗客を園部駅方面に運んだ。また特急は構内信号を見て、異状に気づき和知駅に引き返した。この普通列車を含め、急行など上下10本が運休、約6000人に影響が出た。(朝日新聞)
■阪和線脱線事故 監視員派遣の業者など捜索 泉佐野署
 大阪府泉佐野市のJR阪和線の工事用仮設踏切で5日起きた快速電車の衝突脱線事故で、泉佐野署は7日、現場の工事を請け負っていた大阪市淀川区西中島七丁目の大鉄工業大阪支店、監視員を派遣していた東大阪市吉松二丁目の大日警管財大阪など4ヵ所を業務上過失傷害の疑いで捜索、作業日誌など157点を押収した。
 調べでは、踏切で遮断機を上げ下げしていた大鉄工業の監視員が列車の通過時刻を勘違いしていたほか、踏切の120b手前のやぐらに上って旗で電車の接近を知らせていた大日警管財大阪の監視員も2種類ある連絡用の旗のうち1種類を持っていなかったことが分かった。同署は、こうしたミスに加え、列車を見張っていた監視員の旗の連絡の遅れか、踏切監視員の旗の見落としが重なったとみている。(朝日新聞)
■帰省新幹線ストップ 若狭の地震、関東グラリ
 7日午後8時12分ごろ、関東から北海道にかけての広い地域で地震があった。揺れは関東一円が中心だったが、気象庁の観測によると震源は日本海側の若狭湾。震源の深さは350`、マグニチュードは6.1と推定されている。
 同庁地震火山部によると、震源が深い場合に起きる「異常震域」と呼ばれる現象で、東京湾付近で日本列島の地下に潜り込む太平洋プレート内で地震が起き、その揺れがそのままプレート沿いに伝わった、という。震源地付近では石川県の輪島で震度1が観測されただけだった。
 各地の震度は次の通り。 震度2(軽震) 東京、水戸▽震度1(微震) 館山、日光、諏訪、福島、千葉、網代、横浜、釧路、大船渡、輪島(朝日新聞)
■静かな帰省スタート 台風で見合わせる人も JR京都駅
 お盆休みをひかえた8日の土曜日、京都でも帰省ラッシュが始まり、JR京都駅はふるさとに向かう帰省客や海や山に出かけるレジャー客でにぎわい始めた。しかし、休みの長期化で分散帰省が定着したうえ台風10号が接近し広島以西で新幹線が運休したため出発を見合わせる人もあり、比較的静かな帰省スタートとなった。
 例年、帰省客で混雑する下り新幹線は、この日朝、博多行き一番列車の「ひかり61号」など3本が約150%の混雑となったものの台風接近で午前8時半過ぎから広島以西の運転がストップし、ホームは平日並みの混雑。
 在来線も午前8時39分発の新潟行き「雷鳥13号」が乗車率160%となるなど北陸、山陰線の一部で混雑があったが、北陸線の臨時特急には空席の見られる列車もあった。
 京都駅では「7日夜から少し込み始めたが、まだ乗客は平日よりやや多い程度。前売り券の発売状況から帰省のピークは12日、Uターンは16日がヤマ場になる」と予想している。(京都新聞 夕刊)
■脱線事故の山陰線復旧 12時間ぶり平常ダイヤ
 7日夕、京都府船井郡和知町安栖里のJR山陰線・安栖里駅構内で起きた列車脱線事故は、8日午前5時46分、完全復旧。同日午前6時福知山発園部行き列車から、約12時間ぶりに平常ダイヤに戻った。(京都新聞 夕刊)
■時速350.4`!
 JR西日本は8日、新幹線に導入をめざす新型車両「WIN350」(500系試験電車、6両編成)が同日未明、山陽新幹線の小郡−新下関間の速度向上試験で、目標速度を達成する最高時速350.4`を記録と発表した。6日に出した時速345.8`をさらに更新した。(朝日新聞 夕刊)
9日■台風10号 帰省の足乱し北上 滋賀で瞬間風速35b 新幹線一時止まる
 中型で並の台風10号は8日午後、山口県に再上陸した後、勢力を弱めながら日本海に抜け北上。9日朝には山形県沖に達する見込みで、東北地方に再び上陸する恐れも出ている。
 同日朝から九州のほぼ全域が暴風域に入り、鹿児島県の奄美大島で強風による車の転落事故で死者1人が出た。また九州などの空の便が混乱、山陽・東海道新幹線も強風でストップするなど、帰省客らの足が乱れた。
 また、関西地方でも風雨が強まり、同日午後6時27分ごろ、東海道新幹線の滋賀県坂田郡山東町の近江長岡の風速計で風速35bを計測。このため、JR東海は午後6時すぎから約1時間45分、同新幹線の岐阜羽島−米原間で運転を中止した。
 気象庁の観測によると、台風は8日午前9時半ごろ、熊本県玉名市付近に上陸した後、九州北部を横断、午後1時すぎ、山口県宇部市付近に再上陸した。午後11時現在、舞鶴市北北西の日本海にあり時速45`で北東に進んでいる。中心気圧は985m、中心付近の最大風速は30b。中心から半径90`以内は25b以上の暴風域、中心の東側440`と西側300`以内は15b以上の強風域となっている。(京都新聞)
■京滋の夏 大混乱 台風10号 ”受難”の帰省初日 新幹線 8時間ストップ 広島−博多間
 お盆の帰省ラッシュが始まった8日、台風10号のため近畿、中国、四国地方の交通網は夜半まで各地で寸断された。JR山陽新幹線は広島以西が八時間にわたってストップし、広島駅は一時、家族客ら2万人であふれ、”受難”の帰省初日となった。
 山陽新幹線は午前8時半から午後4時半まで広島−博多間が全面運休。小倉駅や三原駅で9本が立ち往生し、新大阪−博多間などで計85本が運休した。運転再開後もダイヤは終日乱れ、上下130本が最高7時間遅れた。
 また同日夜、東海道新幹線岐阜羽島−米原間が一時ストップ。大阪、岡山両駅はホームに”列車ホテル”を設けたが、長時間にわたる足止めに乗客はみなぐったり。
 在来線も山口、広島県内を中心に中国、四国の各線で寸断。瀬戸大橋線では、高松発岡山行き快速マリンライナー号2本が、香川県側の高架線上で立ち往生、乗客計約750人が3時間以上、閉じ込められた。
 大阪空港から中、四国、九州への空の便は欠航が相次いだ。
 海の便は、昼ごろから阪神−四国間がほぼ全面的にストップしたほか、大阪−別府間の関西汽船の大型フェリーが広島湾で10時間避難停泊するなど、大幅な遅れが出た。
・旅行中止の乗客も 京都駅 強風で新快速(湖西線)半減
 九州・中国地方を直撃した台風10号の影響で、京滋でも8日、帰省やレジャーの足がストップし、納涼などの行事も延期、中止が続出。京都府北部の日本海や琵琶湖は大荒れになり、夏休みの楽しみを奪われた人たちは、思わぬ余波にがっかりしていた。
・駅 足止め
 JR新幹線は8日朝から午後4時30分まで広島−博多間が全面ストップしたほか、夜に入っても岐阜羽島−米原間が強風のため運転を一時見合わせるなどダイヤが混乱。京都駅では午後8時すぎになっても下りが2時間以上、上りも約1時間遅れが続いた。
 在来線も山陰線の寝台特急「出雲」など京阪神を通る夜行の特急、急行計60本が運休。夕方なり強い風が吹きはじめたため、東海道線や湖西線の新快速も運転本数を半減した。
 京都駅では、各改札口に台風による運休や遅れを張り出し、係員が乗客への説明にあたったが、夜になって東京方面の新幹線や在来線に影響が広がると「いつ動くんですか」と係員に尋ねる人でごったがえした。思わぬ台風にレジャーや帰省の出はなをくじかれ、あきらめて旅行を中止する人の姿も見られた。
・海 大荒れ
 この日午後零時20分に暴風波浪警報が出た京都府北部では、午後から夜にかけ、風が次第に強まった。各海水浴場は、ほとんど人影もなく、ひっそり。天橋立海水浴揚では、それでも海辺を訪れた人たちに、見回りの派出所警官が早く帰るよう注意していた。
 舞鶴と北海道・小樽を結ぶ「新日本海フェリー」は、8日午後11時半舞鶴発「ニューあかしあ」(約2万d)の出航を、9日午前10時に延期した。職員は予約客への電話連絡に追われ、延期を知らずに到着したバイクの若者らに、待合室を一晩中開放した。また、舞鶴湾や宮津湾の沖合には、タンカーや貨物船など20隻以上が避難。地元の漁船も、しっかりと船だまりに係留されていた。
・琵琶湖欠航
 滋賀県には午後4時21分、暴風警報が出された。琵琶湖では彦根、長浜、今津から竹生島などをめぐる定期遊覧船計23便が、朝から全便欠航。また南湖を周遊する琵琶湖汽船の外輪船「ミシガン」と客船「ビアンカ」も夜の定期便各1便が運航を取りやめた。この欠航、運航取りやめによって予約客ら約1600人が影響を受けた。
・ノロノロ名神45`
・拘束道路
 帰省ラッシュが始まった幹線道路は各地で渋滞が出たが、台風接近で遠出を見合わせたり、早めに行動を終えた車も多かったよう。
 名神高速道路は朝から家族連れマイカーのノロノロ運転が続き、下り線で天王山トンネルを先頭に最高45`(午後3時50分)、上り線でも午前中に同トンネルから27`、さらに昼ごろには京都市山科区で故障車両の影響もあって8`の渋滞となった。夜になっても下り線は同トンネルから18`程度の渋滞が遅くまで続いた。
 京都府内の国道では、日本海方面への帰省や海水浴の車で、国道9号が船井郡園部町を中心に4`、国道27号が舞鶴市内で4`の渋滞となった。午後3時すぎからは、海水浴客らが早めに家路を急いだため、舞鶴市内の国道27号と 175号交差点を中心に車が7`にわたって列をつくった。
・鴨川納涼、初日流れる
・泣くイベント
 京滋の各地では、夏の行事の中止や延期が相次いだ。京都市の鴨川河川敷(三条−四条間)で8、9両夜に開かれる予定だった鴨川納涼は、8日の日程がすべて中止。スタッフは、設営済みのテントを解体したり、特設ステージにシートをかけ、杭(くい)を打って補強するなど対策に追われ、夜中も警備を続けた。9日は天候の回復をみて開催する予定。
 また、9日に開かれる予定だった第32回鴨川魚とり大会は、15日に延期となった。
 滋賀では、8日夜に予定されていたびわ湖大花火大会が11日に、長浜市のながはまおどり、余呉町の余呉湖水中花火大会はいずれも9日に延期。彦根市の彦根総踊りは中止となった。
 一方、京都市東山区の五条坂・陶器祭は、8日夜も陶器ファンでにぎわったが、8時半ごろから強い雨が断続的に見舞い、早じまいする露店も。また、同祭りは10日までのため、ふだんは翌日に備え商品にシートをかぶせるだけだが、この夜はロープで補強をしたり、商品の一時避難に追われる店も目立った。(京都新聞)
■WIN350が最高記録 時速350.4キロ
 山陽新幹線新下関−小郡間で高速走行試験中のJR西日本の高速新幹線「WIN350」(500系)は8日午前1時11分、時速350.4`の国内最高速度を記録、6日未明達成した345.8`を更新した。今後は目標の385`まで挑戦、2年後の時速350`の営業運転を目指す。(京都新聞)
■乗客苦情に腹いせ放火 大阪 元バス運転手13件自供
 今年5月、大阪市淀川区西中島のマンション駐車場で段ボール箱に放火したとして、器物損壊の罪で起訴された同区十三東、元近鉄バス運転手尾崎冬三生被告(40)が、8日までの淀川署の調べに対し、一昨年10月なり逮捕されるまでに自宅周辺で計13件の放火をしていたことを新たに自供した。同署はうち2件について放火容疑で追送検した。
 尾崎被告は「バスを運転中、渋滞で運行表通りにいかない時などに乗客にしかられ、うさ晴らしにやった」と供述しているという。
 追送検の2件は、昨年9月8日未明、同区十三東の建築資材店で杉板が放火された件と、今年1月11日、映画館の資材置き場でポスターなどが焼かれた事件。(京都新聞)
10日■嵯峨野観光鉄道 トロッコ列車 利用100万人を突破 開業から1年3ヵ月
 美しい保津川峡谷を走る嵯峨野観光鉄道のトロッコ列車の利用者が9日午前、開業から1年3ヵ月目で100万人を突破、同鉄道嵯峨駅で記念式典が行われた。
 JR山陰線電化で廃止された嵯峨−亀岡・馬堀間( 8.8`)を利用し、昨年4月27日に開業、京都の新名物として観光客の人気を呼んでいる。
 100万人目の乗客は、神戸市長田区の専門学校生名田ゆかさん(19)。友達4人のグループで嵯峨観光にやってきて幸運を射止めた。駅員から100万人目を告げりれると、びっくりしたが、花束や駅長帽子などの記念品を贈られ、「ラッキーでした」とにっこりしていた。
 同鉄道では100万人達成を記念して、8、9日の2日間、乗客全員に南部鉄風鈴のプレゼントや、トロッコ亀岡駅で列車到着に合わせた「かがやき太鼓」のライブ演奏などを行う。(京都新聞)
■マニュアル書き換え 信楽鉄道事故の遺族の会が抗議
 信楽高原鉄道事故の犠牲者22人の「遺族の会」(吉崎俊三・世話人代表)は9日までに、JR西日本が信号システム「優先てこ」の取り扱いマニュアルを書き換えていた問題に対し、「これまでの遺族説明会で、優先てこのマニュアルは存在しないとしていた内容と矛盾する」として、14日に同本社を訪れ、抗議と説明を求めることを決めた。(朝日新聞)
11日■小倉山JR工事残土問題 文化庁長官に要請書 住民ら
 京都市右京区の小倉山山頂に、JR西日本が山陰線トンネル工事で出た大量の土砂を仮り置きしている問題で、地元の常寂光寺住職長尾憲彰さん(65)ら住民11人が10日、文化庁の内田弘保長官に、山頂の原状回復をJRに命令するよう求める要請書を提出た。
 要請書は「小倉山の山頂付近は、文化財保護法による史跡名勝に指定されている。JRが排出土砂の仮り置きについて、昭和57年同法に基づき文化庁長官に申し立てて得た許可には、原状復旧の勧告がつけられていた。ところが、JRは今年3月になって原状回復と土砂搬出の約束を裏切り、地形整備と植樹だけで対応する姿勢を明確にした」としている。(京都新聞)
■京都駅改築で市に申し入れ 建て替え問題協
 JR京都駅改築に反対する「京都駅建て着え問題対策協議会」(伊藤督太郎代表)は10日、田辺朋之京都市長に対し、▽「特定街区」制度適用による高さ規制緩和の撤回▽観光デパートテナントの駅ビルへの出店と従業員雇用の保障▽構内理容店追い出しの停止▽大型店、ホテルの導入規制−などを求める申し入れを行った。(京都新聞)
■JR株上場に 影響ありうる 運輪次官が見通し
 運輸省の中村徹事務次官は10日の記者会見で、1992年度中の実施を目指しているJR東日本の株式売却・上場について「可能なかぎり、今年度の上場を目指す考えに変わりはない」と述べた。10日の平均株価が一時、1万5000円を割ったことに関連した質問に答え、同時に「上場が客観情勢の影響を受けることもありうる。いまの株価が厳しい数字であることは確かだ」とつけ加え、予定通り実現するかどうか厳しい、との判断を示唆した。(朝日新聞)
■私鉄混雑率 7ポイント改善へ 大手16社投資計画
 日本民営鉄道協会は10日、全国の大手私鉄15社の輸送力増強などを目的とする第8次投資計画(1992−96年度)をまとめた。それによると、投資総額は2兆1490億円で、第7次計画(相鉄を除く14社ベース)の実績に比べて25.4%増加する。計画の最大の狙いである混雑緩和は、複々線化や駅ホームの延長などにより、91年度末に15社平均で179%だった主要線区のラッシュ時の乗車率が、96年度末には172%になる見込み、という。
 車両の冷房化率も、91年度末の平均97.1%が96年度末には99.4%に向上する見込み。
 大手私鉄15社は東武、西武、京成、京王、小田急、東急、京急、相鉄、名鉄、近鉄、南海、京阪、阪急、阪神、西鉄。(朝日新聞)
■JRの小倉山原状回復 文化庁訪れ要請 住民ら
 右京区にある小倉山に、JR西日本がトンネル工事で出た土砂を放置している問題で、地元住民らは10日、文化庁に対し、JR西日本に原状回復を命じることを求めるよう要請した。住民らは、すでにJR西日本を古都保存法違反で京都地検に告発している。
 小倉山のふもとにある常寂光寺の長尾憲彰住職と弁護士がこの日午後、文化庁記念物課を訪れ、元自治会長ら地元住民11人の要請書を提出した。小倉山は国の史跡、名勝に指定されている地域にある。要請書では、JR西日本(当時は国鉄)は工事にあたって、文化財保護法に基づき文化庁長官の同意を得ており、それに原状回復が含まれていると主張。土砂搬出をしない地形復元案を出したJRについて「裏切り行為を許すことはできない」とし、調査と原状回復命令を求めている。(朝日新聞)
■信楽高原鉄道初の値上げ申請 17.3%10月1日から
 鉄道事故の影響で前年度、約2億5000万円の初の赤字決算となった信楽高原鉄道=本社・滋賀県甲賀郡信楽町長野、北川啓一社長=は11日、運輸省近畿運輸局に、平均17.3%アップの運賃改定を申請した。本格的な値上げ申請は、昭和62年7月の開業以来初めて。
 値上げの理由は、昨年12月の運行再開後、輸送人員が伸び悩み、社員の増加で人件費も急増。併せて、鉄道施設の老朽化で修繕費も増えたことなどを挙げ、現行の運賃では、本年度も約4300万円の赤字が見込まれるため、としている。
 値上げ申請額は、信楽−貴生川間が、大人340円から400円で、60円アップとなるのが最高。最低は信楽町内にある5駅の1駅間運賃で大人20円のアップ。通勤定期券(1ヵ月)では、 460円から1800円、通学定期券(同)でも370円から1440円が値上げ幅となっている。(京都新聞 夕刊)
■信楽鉄道値上げ申請
 信楽高原鉄道(本社・滋賀県甲賀郡信楽町)は11日、近畿運輸局に平均17.3%の運賃値上げを申請した。
 昨年5月の列車衝突事故のあと12月に運行を再開したが、補修費や人件費がかさむ一方で利用客が伸び悩んでいる。現行運賃のままでは、今年度は鉄道事業部門だけで4300万円の赤字が見込まれるという。申請によると、初乗り運賃は現行の150円が170円に、信楽−貴生川間は340円が400円になる。(朝日新聞 夕刊)
12日■マニュアル改ざんでJRに説明要請へ 信楽事故遺族の会
 信楽高原鉄道事故の遠因とされている「方向優先テコ」の取り扱いマニュアルをJR西日本が改ざんして捜査当局に提出していた問題で、「犠牲者遺族の会」(吉崎俊三世話人)と弁護団は14日、同社に改ざん問題についての事情説明をするよう申し入れる。
 遺族会と弁護団は来月12日、大阪府立労働センターで予定している遺族会総会の席上で、JR西日本の井沢勝常務ら責任者からの具体的な説明を求めている。
 弁護団によると、同社はこれまで、優先テコの取り扱いについてのマニュアルは存在しないと遺族らに説明してきた。しかし、先月中旬にマニュアルの存在が判明、しかも記載内容が書き換えられていたことが明らかになったが、遺族に対しての事情説明は全くなされていないという。(京都新聞)
■雷・大雨 真夏の大暴れ 近鉄は46本運休、停電も 奈良北部
 11日夕、京良県北部で局地的な大雨が降り、落雷などで、近鉄大阪線やJR桜井線が一時不通になったのをはじめ、浸水や停電、電話の不通などの被害が相次いだ。
 午後3時55分ごろ、同県宇陀郡室生村大野の近鉄大阪線・室生口大野駅近くで落雷があり、上本町発鳥羽行き特急電車(7両編成)が電気系統の故障で動かなくなった。近くの架線か車両自体に落雷したらしく、2両目の床下にある制御装置が焼け焦げた。乗客150人にけがはなかったが、この事故で特急28本はじめ46本が運休。54本に最高2時間半の遅れが出て、約1万2000人の足が乱れた。
 また、JR桜井線では同5時20分ごろ、橿原市曽我町の五井踏切で、落雷のため遮断機が下りて警報機が鳴りっぱなしになったほか、同6時半ごろには、桜井市桜井の大福踏切付近でレールが約10a冠水。約1時間にわたって一部区間が不通になり、4本が運休、8本が最高1時間20分遅れた。
 さらに、桜井市内で床上床下合わせて約500戸が浸水したのをはじめ、桜井、天理、五条各市など県北部を中心に約6700戸が停電したり、桜井市などを中心に約100戸で電話が不通になるなどの被害が出た。
 奈良地方気象台によると、日中の高い気温と南東からのしめった風で、大気が不安定になり積乱雲が発生したためという。(朝日新聞)
■周辺住民抗議の六甲ライナー 特殊ガラスで”目隠し” 電圧切ったら車外は見えず
 高架上の車内から家の中がのぞかれると、沿線住民から苦情が出ている神戸市の新交通システム・六甲アイランド線(愛称六甲ライナー)について、神戸新交通会社は11日、車窓に特殊ガラスを取り付けると発表した。電圧の変化で、透明からくもりガラスになり、目隠し効果を発揮する。プライバシー保護のため、交通機関に採り入れるのは初めて、という。
 このガラスは、電圧をかけると、中にはさまれた液晶シート内の液晶分子が整列して光を真っすぐ通し、透明になる。逆に電圧を切ると、分子が不規則に並んで光を散乱させ、即座にくもりガラスに戻る。
 六甲ライナーはJR住吉駅と人工島の六甲アイランドを結ぶ4.5`。高さ約九bの高架を折り返し運転で走るが、住吉−南魚崎駅間の高架西側にマンションや民家が続く。
 このため、同社は1編成4両の西側の窓に特殊ガラスを使い、住宅へ10b前後に接近する約1`区間を走るとき、車両にある自動列車運転装置で電圧を切り、外が見えないようにする。他の区間では電圧をかけて透明にする。
 来年5月に導入する新車から実施し、残りの車両についても順次、かえる。事業費は約1億2000万円。
 同線は1990年2月に開業したが、当初から「室内が丸見え」と沿線住民から苦情が出ていた。鉄道営業法の規則では窓を完全に目隠しすることは許されず、これまで車両や住宅の窓に偏光フィルムを張るなどしたが、決め手にならなかった。
 このガラスは、ビルのディスプレーなどに利用されているが、電車の開閉する扉や車窓上部の開き窓には取り付けられない。(朝日新聞)
■帰省ラッシュ、ピークに 「あさしお」乗車率140% 親子連れで混雑
 月遅れの盆の入りを翌日に控えた12日、帰省ラッシュはピークを迎え、首都圏のJR駅、東京・羽田空港は古里へ向かう家族連れや若者らであふれた。下りの高速道路もマイカーなどで長い渋滞ができた。
 JR京都駅では、帰省の出足は鈍く、比較的静かなラッシュとなった。それでも、早朝から駅構内は旅行かばんを抱えた親子連れで込み合い、山陰線の倉吉行き特急あさしお1号が乗車率140%となり、北陸線の特急雷鳥などの乗車率は110−120%前後の込み具合。
 新幹線は、上りは乗車率100%前後と平日並み。下りは博多行きひかり61号が150%を記録したのをはじめ、130%前後の乗車率となった。
 同駅では「夏休みが長期化しており、分散型帰省がますます定着してきた」と話している。
 羽田空港も、朝の一便からほぼ全便が満席状態。鹿児島、福岡など九州方面の便を中心に100人近いキャンセル待ちが出た。航空会社によると、この日1日で同空港から8万人を超える人が出発するという。
 羽田発の便は先週末からほぼ全便満席で出ており、14日からはUターンが始まって、ピークは15、16日という。
 日本道路公団によると、首都圏から地方に向かう主要高速道路下り線は、11日夜から12日朝にかけて渋滞が始まった。12日午前10時現在、東北自動車道は栃木県内で約40`、関越自動車道は埼玉県内で約30`、中央自動車道も山梨県内から東京都内にかけ約30`の車の列。渋滞はこの日夕まで続くという。(京都新聞 夕刊)
■密入国中国人7人達捕 京都府警など新幹線車内で 集団で長崎に漂着
 11日夜、JR京都駅近くを走行中の新幹線博多発東京行き「ひかり号」車内で旅券を持っていない中国人7人を京都、大阪両府警の鉄道警察隊が発見し、出入国管理難民認定法違反で現行犯逮捕、身柄を七条署に引き渡した。京都府警外事課によると、このほか同日夜に新幹線車内で旅券不携帯の中国人5人が愛知、神奈川両県警と警視庁に逮捕されており、長崎県警が手配した集団密入国の中国人グループとみている。
 調べでは、7人の中国人は福建省と浙江省の出身で、年齢20−40歳、女性1人が含まれている。調べに対し「台湾人の紹介で11日早朝、船で長崎に着いた。渡航費に12万円渡した。東京で働くつもりだった」といい、いずれも日本円で数万円を持っていた。
 府警は12日、7人を長崎県警に移送、密入国容疑で調べる。
 府警によると、11日午前11時ごろ、長崎県・福江島の漁協から「不審な船が漂着している」と福江署に通報があった。長崎県警が捜査したところ、中国人グループがJR長崎駅から福岡県に向かい、さらに博多発の新幹線に乗り込んだことをつかみ、沿線の各府県警に手配していた。(京都新聞 夕刊)
13日■スムーズ 車いす 電車乗降 好評 専用渡り板 主要駅への配置検討 阪急梅田
 車いすの障害者が電車をスムーズに乗り降りできるように、と阪急電鉄が電車とホームに渡す車いす用の「渡り板」を考案した。7月から梅田駅で試験的に使ったところ乗客にも好評で、電鉄では京都などの他の主要駅にも配置を検討している。
 渡り板はアルミ合金製で幅86a、長さ118a。乗降ドアのレールに、渡り板のくぼみを合わせて固定でき、ホームとの段差の大きさに応じて傾斜の角度を変えられる。試作品は1台約8万円。
 これまで、100`以上ある電動車いすの乗降には、駅員3、4人が駆けつけて車いすを持ち上げていたが、これを使えば駅員1人でも介助が可能になる。車いすの利用者にも「ショックなしで乗り降りできる」と評判は上々とか。
 同電鉄は「もう少し改良が必要かもしれないが、効果は十分。様子をみて他の駅にも順に設置していきたい」(運輸部)と話している。(京都新聞)
■こんな得の仕方も… 自由席と放送ミス、指定席代払い戻し JR和歌山駅
 JR和歌山駅で12日、全席指定の臨時列車「くろしお86号」を、「1から3号車は自由席」と、間違えて案内放送してしまったことから、和歌山駅などから乗った7人に、指定席代1人700円を払い戻すハプニングがあった。
 さらに、偶然とはいえ、車両の外の表示も、「自由席」の上に「指定席」と書いた紙を張っておいたのが、はがれてしまい、もとの「自由席」になってしまっていた。
 乗客の指摘で気付いたが、こうした払い戻しは規定にはなく、極めて異例だという。(朝日新聞)
14日■学研都市ing B JR駅前整備に期待 新住民の足は近鉄に
 かつての大選手が急成長した若手選手にポジションを奪われた。大選手はJR木津駅、若手選手は近鉄高の原駅(奈良市)と近鉄山田川駅(精華町)だ。
 木津町内には近鉄駅がない。町内を走る鉄道はJRだけ。関西本線、奈良線、片町線と路線は多い。各線が交わる交通の要衝としてJR木津駅前は数十年前まで町の中心地だった。
 ところが、学研地区の一つで町の西側にあたる平城・相楽ニュータウンの人口増加とともに、人の流れが近鉄側に逆転。町の「中心」を他市町に奪われ、JR木津駅はレギュラーの座から転げ落ちたかっこうだ。
 近鉄駅は学研地区から近く、近畿一円から移住してきた「新住民」が通勤、通学にと利用する。一方、JR木津駅は昔からの地元住民の足として親しまれている。
 JR木津駅の乗降客数は1日、約3800人。一方、相楽ニュータウンの真ん中にあり急行も停車する高の原駅は3万人が利用するマンモス駅だ。近鉄山田川駅も6800人が利用している。高の原、山田川両駅が、駅前整備を終了して近代的なムードが漂うのに対し、JR木津駅周辺は昔ながらのたたずまい。沈滞したイメージを連想させる。両駅の明暗が、現在の町の新旧格差を象徴している。
 この状況を巻き返そうと、木津町は10年前から「木津駅前整備」に取り組んでいる。駅前広揚、公園などをつくり駅の地下に幅員30bの幹線道路を通し、既存地域と学研地区最大の開発地である「木津地区」(計画人口4万人)とを結ぶ計画だ。整備は来年中にも着工する見通し。ようやく大選手カムバックのチャンスがやってきた。
 「木津の中心はやっぱりJR木津駅。駅前整備は最重要課題になる。一日も早く整備したい」と戸田敏彦木津町長は強調する。「町の中心地だけでない。学研全体の玄関口になるはず」。地元地権者らでつくる駅前開発協議会の駒重則会長も大選手復活に期待を寄せる。
 駅前の盛衰は直接、商売に響く。それだけに木津駅前商店街の期待は大きい。ある店主は「将来は町の人口は10万人まで膨れ上がる。駅前は1日3万人の商業地になるはず」と駅前整備に商店街の将来をかける。開発の遅れで、これまで精華町、奈良市など近鉄駅側に流れていたお客を、一気に取り戻す意気込みだ。
 ところが、まだまだ不安は残る。「木津地区」が開発される木津駅の東側には、今はまだ改札口はない。もし開発に従って東側に改札口ができると、現在の駅前整備される地域は一転、駅の「裏側」になる危険性も出てくる。再び人の流れが学研側に再逆転されることになる。
 学研の開発が進むたびに人口が増え、町の中心地も二転三転する。木津駅前は「最後の中心地」の声援を受けて、起死回生のホームランを狙う。(京都新聞)
■電車と軽乗用車衝突 南海加太線踏切
 13日午後10時20分ごろ、和歌山市梶取の南海電鉄加太線梶取踏切(警報機、遮断機付き)で、加太発和歌山市行きの普通電車(2両編成)に和歌山市宇治家裏、看護婦熊代静佳さん(22)運転の軽乗用車が衝突。電車は車を約3b引きずり停車した。電車には当時約10人の乗客がいたが、全員無事。この事故で、電車は30分遅れで現場を出発した。(朝日新聞)
15日■お盆休み早やUターン開始 新幹線あすピーク
 お盆休みを古里や行楽地で過ごした人たちのUターンラッシュが14日、早くも始まり、新幹線の主要駅などでは、お土産を堤げた家族連れらで込み出した。Uターンのピークは空が週末の15、16日の両日、新幹線が16日になる見込み。
 各新幹線の主要駅では14日昼すぎから、家族連れの姿が目立ち始め、東海道・山陽新幹線は、ひかり16号が途中の岡山駅で120%の乗車率となったのを最高に、同14号、18号など博多から東京に向かう列車はいずれも定員いっぱいの込み具合だった。(京都新聞)
■「のぞみ」型検査厳しく 納入時にJR東海
 JR東海は、トラブルが相次いでいる新幹線「のぞみ」型車両をメーカーから受け取る際に行う検査を厳しくすることを決め、15日に6編成目の新車両を搬入する際から実施する。
 JR東海によると、これまで新車両を搬入する時は、書類検査だけだった。今回からは新しく部品などの取り付け状態の目視検査と、車体をハンマーでたたいてみて、ボルトが締まっているかどうかみる打音検査の二つを追加する。(朝日新聞)
■またトラブル 冷房利かず車内30度に
 「のぞみ」型車両の新大阪発東京行きの「ひかり238号」(16両編成)で14日、一部の車両の冷房が利かなくなるトラブルがあった。
 JR東海・東京広報室によると、午後零時6分に新大阪駅を出発するころから、15号車の冷房が利かなくなり
、室温が30度前後に達した。乗客から苦情が出たため、乗客73人のうち、68人は他の車両に移ってもらった。(朝日新聞)
16日■つばさなどのダイヤ混乱 奥羽線で信号機故障
 15日午後0時50分ごろ、山形県米沢市の奥羽線米沢−置賜間の信号機が赤になったまま切り替わらなくなり、山形新幹線つばさなどが約7時間にわたり手信号で運行、ダイヤが終日大幅に乱れた。
 JR東日本山形支店によると、信号機は午後7時45分ごろ直ったが、東京発山形行きつばさ121号の55分を最高に、普通列車を含む上下47本に遅れが出たほか、快速列車2本が運休した。
 また山形発東京行きつばさ126号は、福島駅到着が23分遅れたため、東北新幹線やまびこと連結できず、上野駅まで単独運転した後、運転を打ち切った。(京都新聞)
■帰省客Uターン18日まで混雑
 お盆休みを古里などで過ごした人たちの本格的なUターンラッシュが15日から始まった。関西では同日夕現在はそれほどの混雑はないが、同日夜から16日にかけてピークを迎える見通し。
 新幹線は、博多発のひかり18号が乗車率170%を超えて新大阪駅に到着するなど同日夕、同駅へ到着する新幹線はほとんどが乗車率100%を超えた。在来線では、新宮発新大阪行きスーパーくろしお8号が同150%を超えた。
 JR西日本では「分散型帰省」が定着してきてることから盆休み終了の18日まで緩やかな混雑が続くとみている。
 JR京都駅では、午後から、特急「あさしお」など山陰線ホームに到着する列車が、帰省客のUターンラッシュのために、乗車率100%を超え、10分程度の遅れ。それ以外では新幹線も含め、Uターン客による混雑はなく、比較的スムーズな人の流れだった。(京都新聞)
■車掌の検札なくなります JR東日本新システムを開発 座席に切符読み取り装置 コスト課題
 せっかく寝込んでいるのに検札にきた車掌に起こされるのは嫌なものだが、JR東日本は15日までに、乗客が座席のひじ掛け部の投入口に切符を入れるだけで自分で検札ができる「乗車券確認システム」を開発した。
 駅の自動改札機を応用したもので検札だけでなく、降りる駅に近付くと「もうすぐ目的の駅に到着します」と声で知らせてくれる機能なども付けることができるという。
 JR東日本は、全部の切符が磁気化される数年後をめどに導入したいとしている。
 JR東日本によると、車内検札については「改札を通っているのに、また検札をするのは不合理」との乗客からの苦情が絶えない。車掌業務も車内アナウンス、ドアの開閉など多忙で近い将来、新幹線に総2階建て車両が登場すれば検札が一層煩雑になることから、同システムの開発に取り組んできた。
 システムの心臓部は、座席左側ひじ掛け部分に設置された磁気情報読み取り装置(幅約10a、長さ約40a)。乗客が乗車券、特急券を挿入すると、切符の裏面に磁気で記録された日付、列車名、座席番号、通用区間などのデータを読み取って有効かどうか判断すると同時に、車掌室にも表示される仕組み。車掌はこれを見るだけで座席の空席の状況を確認できる。
 問題はコスト。1台で数十万円かかるので、1席に1台ずつ設置すると、費用が巨額に上る。このため、数座席分を1ヵ所にまとめるなど工夫が必要という。(京都新聞)
■新幹線、揺れ4分の1に レールを平らにして 東京−新大阪 今年度中に整備予定 車内で文字もスラスラ
 「列車内でも滑らかに筆を走らせることができる、揺れない新幹線に」。JR東海が東海道新幹線で、列車の揺れを現在の4分の1程度に抑える新しい線路保守作業を進めている。高速化で傷み方が早い現行の線路を、より厳しい整備基準で保守し、線路のでこぼこをなくしていく。今年度中に、東京−新大阪間全線に適用する。
 JR東海によると、国鉄末期に「ひかり」の最高速度を210`から220`に上げたことや、JR発足後、本数が増えたことが原因となって、「よく揺れるので、何とかならないか」という声が多くなり始めた。同社で検討を進めていたところ、フランスのTGVが東海道新幹線よりも揺れ方が少ないのは、地盤が強固なのが原因ではなくて、厳しい保守作業の整備基準を設けているためとわかった。このため基準改定の研究を進めてきた。
 国鉄時代から続いている整備基準は、レールの長さ10b区間で、上下に7_、左右に4_以上のでこぼこがあった場合、保守作業車などでレールを平らに直すことになっている。
 同社は、試行の新整備基準として、区間の長さを40bとし、上下に7_、左右に6_以上のでこぼこが出た場合、平らに作業するよう厳しく設定。モデル地区を静岡地区10`に設けて試験した。
 それによると、左右の揺れが4分の1ほどに激減し、上下の揺れも減少した。同社によると、車内で手紙を書いた場合、揺れが気にはなるが、現在のように文字がゆがんだりすることは格段に少なくなった、という。
 また、試験の結果では、現行の基準に基づいてレールを平らにしてもすぐに線路が傷んでいたのが、新基準だと逆に2ヵ月間は列車が通ってもほとんど線路が傷まない状態で安定していた。このため、保守作業量が少なくなった。なぜそうなるのか、さらに研究を続けている。
 この新基準に基づく方式は現在、静岡のモデル地区から全線の3分の1の路線に拡大。今年度中には全線に適用する。
 同社は、今後も研究を進め、最終的にはビジネス客が座席で机と同じように楽に書類に筆を走らせることができるようにする考えだ。(朝日新聞)
16日■新泰麺鉄道建設へ ミャンマー政権タイに提案
 【バンコク17日時事】タイ国営鉄道公社(SRT)当局者が17日明らかにしたところによると、ミャンマー軍事政権はこのほど、SRTに対し、ミャンマーとタイを結ぶ新鉄道路線の建設を提案、来週中にもミャンマー国営鉄道の代表団がバンコク入りして協議に入る。
 タイ−ミャンマー鉄道路線としては現在、南北二つのルートが検討されているが、もし南ルートとなった場合は、第二次大戦中に旧日本軍が着工し、「死の鉄道」として今も悪名が高い泰麺(たいめん)鉄道に沿った形で敷設される見通し。
 1942年6月に工事が開始された全長460kmに及ぶ泰麺鉄道は、バンコク西方のノンプラドゥークからカンチャナブリを経由してミャンマーのタンビザヤに至る。しかし、両国国境に近いサンカブリ付近の山岳地帯に10年前に建設されたカオラエム・ダムがあり、迂回するために多くのトンネルの建設が必要という。(京都新聞 夕刊)
■東海道新幹線四半期乗客数 民営化後初の前年割れ 4−6月 出張滅り参院選響く
 JR発足後の五年間で乗客数約30%増という快進撃を続けてきた東梅道新幹線が今年4−6月に四半期では初めて、乗客数が前年同期に比べて落ち込んだ。景気後退で会社員の出張が抑えられたのと、人の移動が少なくなるといわれる参院選が重なったのが原因らしい。JR東海は例年、人の移動が激しい8月の実績にのぞみをかけるが…。
 JR東海によると、東海道新幹線の乗客数の増減は、世間の景気動向よりもほぼ半年後に遅れて表れる傾向がある。JR発足後は増加する一方だったが、今年2月に「ひかり」の乗客が前年同月比で1日平均97%を記録、景気のかげりが初めて数字となって表れていた。その後は持ち直していた。
 同社の営業資料によると、今年4−6月の3ヵ月間で、「ひかり」の乗客数は、小田原−静岡間を通過する1日平均の乗客数(上下計)でみると、対前年比98%となった。「こだま」の新横浜−小田原間は102%。両者を合わせて99%に落ち込んだ。四半期でのマイナスはJR発足以来初めて。7月も復調せずに、7月1日−20日までの速報値では、「ひかり」97%、「こだま」102%で、新幹線全体では98%となっている。
 JR東海によると、「ひかり」の乗客減は、景気後退のため、会社員の出張が抑えられ、東京−新大阪間の乗客の動きが鈍ったことが大きい。これまでの実績では、統一地方選と国政選挙があると必ず落ち込んでいる。因果関係は定かでないが、一説には陳情が減るためともいわれ、今回は参院選の影響も出たとみる。「こだま」の場合は、通勤利用が増えているため堅調に推移している。輸送量に占める「ひかり」の割合が全体の7割強もあるため、「こだま」の増加が全体を押し上げる力にはならない。
 須田寛・JR東海社長は、「景気の影響が新幹線に半年遅れで出ることを考えると、少なくとも12月ごろまでマイナス傾向が続くかもしれない。ただ好天で暑い夏だと輸送量はいい方向に動く実績がある」と話している。
 これに対して東北新幹線は大宮−宇都宮間で91年度は対前年度比の平均が103%。また上越新幹線の91年度平均は大宮−高崎で108%だった。今年度の4−6月は東北が103%、上越が106%と伸び率は横ばい。通勤路線としての性格が強く、ビジネス用の出張路線として利用される東海道新幹線とは異なるため、とJR東日本はみている。(朝日新聞)
■大鉄局舎 64年の歴史に幕 ”梅田の顔”惜しむ声も
 国鉄時代を象徴し、64年間の鉄道の歴史を見守ってきたJR大阪駅北側の旧・大阪鉄道管理局の局舎が現在、取り壊されている。民営分割のJRに移管後も西日本本社として使われ、荘厳な外観は優れた洋風近代建築の一つといわれ、”梅田の顔”として親しまれてきた。水銀灯など建物の一部は大阪市港区の交通科学博物館などに保存されるが、また一つ名建築が姿を消す。
 この管理局舎は、1928年(昭和3年)、鉄道省の大阪出先機関として建てられた。6角形の5階建てで延べ約2万5000平方b。戦災を免れ、戦後は国鉄の発展を支えてきた大阪鉄道管理局、民営分割の5年前から今春まではJR西日本本社として利用され、通称「大鉄局」で親しまれてきた。
 建設当時、庁舎の周りは田畑で、重厚な門構えは鉄道の仕事の重みを誇ってきた。44年には、故・佐藤栄作首相が局長を務めていたこともある。国鉄の分割民営化という大改革を経て、歴史をたたえた局舎は取り壊されることになった。
 保存されるのは、正面玄関の外壁の石の装飾や、明かり窓の鋳物の欄間、玄関ホールの水銀灯、大理石の柱など。「どれをとっても、手間をかけて丁寧に造られていて、今では、絶対造れない代物」とJR西日本の上田眞司・建設工事課長。
 建築家などで作る「明治建築研究会」(柴田正己代表)によると、庁舎の正面の外壁の飾りなどには、当時、欧米で流行していたアール・デコの様式が見られるといい、同会は「昭和を代表する建築物というだけでなく、歴史の生き証人でもある」と建物の保存を訴えていた。(朝日新聞 夕刊)
19日■中国でも国鉄分割 JRを参考に 株式会社に改組へ
 【北京18日=和気靖】中国政府節が18日明らかにしたところによると、「国鉄改革案」を策定中の中国の鉄道省は、国鉄を全国9つに地域分割したうえで、株式会社に改組する方針を固めた。最高実力者登小平氏の「改革加速」の大号令を受け、今秋開催の共産党第14回大会で認知される「市場経済」化に対応するものだ。社会主義中国を代表する国営企業が建国以来の大変身をすることになる。改革案は日本の国鉄改革を参考に検討され、まず北京鉄道管理局をモデルに、近く具体的なテストに着手する。
 中国の国鉄は、営業路線の総延長が約5万3000`。国内交通の大動脈だ。しかし、中央の指令の下でコスト割れの低い運賃を課されて設備投資が進まず、労働者の「親方・五星紅旗」意識もはびこって、かつての「交通の雄」の輝きは曇る一方。道路整備に伴って自動車が貨物運輸の主役に取ってかわり、遠距離の旅客では航空機が追い上げている。
 中国政府は1986年、全国に9ヵ所ある鉄道管理局が運営責任を持つ「経営請負制」を導入したが、全国一元の国鉄の枠はそのままだった。今回の改革では、国鉄を管理局を母体とする地域会社に分割し、それぞれが株式会社として独立する。
 ただ、北京管理局で計画されている株式会社化の場合、株式を国家保有と関連企業が持ち合う法人所有に加え、労働者にも分配するのが日本の場合と違う。条件が整えは、将来的には株式を一般公開する方針だ。
 中国の交通分野では、航空当局も国営航空会社の株式会社化と外資の等入を決めたばかり。国鉄の地域分割、株式会社化が進めば、鉄道省など交通関連の官庁は行政改革で統合されることになりそうだ。(朝日新聞)
■近畿全域、大雨の恐れ 台風11号 九州東部に上陸
 中型で弱い台風11号は18日午後9時前、宮崎、大分県境付近に上陸した。その後、やや速度を上げながら北に進み、19日朝には山口県付近に再上陸。同日昼ごろ日本海に抜け、その後温帯低気圧に変わる見込みだ。この台風の影響で雨量は、近畿や四国の山間部で500_を超え、足摺岬では午後3時半ごろ、最大瞬間風速34.9bを記録した。
 大阪管区気象台によると、18日午後11時には大分市付近にあり、時速は20`。中心の気圧は985_バールで、中心付近の最大風速は23b。暴風域がなくなり、勢力は弱くなっている。
 近畿は、奈良県の山間部を中心に大雨になり、降り始めから18日午後11時までの雨量は、同県上北山村で571_。都市部は神戸市で24_、和歌山市で22_、大阪市で44_。
 近畿地方への台風の影響は19日夕まで続くとみられ、山間部の雨量が計700−800_に達するほか、強い雨が全域に広がる恐れがあるという。
・空や海の便 相次ぎ欠航
 台風11号の影響で、四国や九州を中心に交通機関に影響が出た。空のダイヤは終日乱れ、高知では、大阪、東京、名古屋、宮崎、福岡の各空港を結ぶ計38便が欠航した。広島でも鹿児島便が4便欠航したほか、広島と九州、四国を結ぶコミューター便10便すべての運航をとりやめた。
 海では、高知、愛媛と大分を結ぶフェリー計24便をはじめ、高知と東京、大阪、神戸、徳島と和歌山、大阪、神戸を結ぶフェリー、高速船が相次いで運航を取りやめた。瀬戸内海では、岡山−小豆島間、広島と四国や大分県・別府を結ぶフェリーや水中翼船も軒並み運休。
 JRでは、瀬戸大橋線の橋上で風速25bを記録したため、岡山行き「マリンライナー42号」が午後4時51分から約10分間、大橋に入った直後の番の州高架橋上(陸上部)でストップ。後続の「44号」も同高架橋で約20分止まった。(朝日新聞)
■懐かしいボンネット型バス 写真集を自費出版 大阪のカメラマン
 昔懐かしいボンネット型バスを網羅した写真集を約12年前に出版した大阪府吹田市桃山台、フリーカメラマン木村信之さん(51)が、このほど全国で今も走り続けている同型のバス122台を収録した「続・頑張れボンネットバス」を自費出版した。
 車両前部にエンジンがあり、戦前から親しまれてきたボンネット型バスは昭和45年に生産が打ち切られた。以来、箱型バスが各地に普及、現在では一部の地域でしか見られなくなった。
 このため、木村さんは「武骨な中にも温かみのある姿をカメラに収めておこう」とボンネット型バスを求めて各地を訪問。昭和55年に写真集を出版、乗り物ファンに大好評だった。
 今回の続編は、過去12年間に撮り続けた約3万枚の中から150枚を厳選。現役の営業車22台を含め、北は北海道から南は九州まで全国で”活躍”している 122台すべてをB5判で収録。中には、高知市の民間会社所有で1台しかないイギリス製のベッドフォードOS型(1946年式)などの珍しいバスや、岩手県北自動車の四輪駆動バス「雪渓号」なども紹介している。
 1冊3400円(送料込み)。問い合わせは 06(831)5441、木村さん方まで。(京都新聞 夕刊)
■原色 若者通 夜行列車で行こう 普通乗車券 青春−夏−夜 ゆとり?倹約旅行 時間もゆっくり流れる車内
・京都←大垣→東京 JR東海道線・大垣発東京行き普通
 列車はゴトンゴトンと音を残し、夜の東海道を走り続けた。20年余り変わらず、JR東海道線をゆっくりと走る夜行列車がある。大垣駅(岐阜県)発東京行きの普通列車。夏休みの今、列車は学生ら若者でにぎわう。「のぞみ号」など超高速鉄道時代にあって、所要時間は京都からうまく乗り継いでも、東京まで7時間40分。暗やみを走り抜ける列車内は、合理性や便利さを追求する現代社会のスピードとは違い、ゆったりと時が流れる。若者はこの列車の中で、何を感じているのか? この列車に同乗した。
 22時40分 8両編成の列車は始発駅の大垣駅を離れた。車内では、ホームで早くから待っていた人たちが大きなリュックやカバンを網棚へ置く。乗客の大半は学生だ。
 横浜市の大学生、小野仁志さん(21)は友人4人と旅行中。「格安で旅行できるのが魅力。でも、それだけじゃない。駅弁を買ったり、方言やその土地の雰囲気を感じとれるところがいい。新幹線では味わえないですから」。小野さんは夜行列車の魅力を、安さと、のんびりした点だと語る。
 23時21分 名古屋駅着。さらに、若者らが乗り込む。車内は帰宅中の会社員も多い上、通路まで人があふれ、さながら都会の満員列車。乗車率はこの時点で、110%余りになった(JR東海調べ)。
 愛知県春日井市、大学生作石雅子さん(18)は座席がなく、仕方なく通路に腰を下ろす。「夜行列車は初めて。ふだん生活していると、電車はいつでも座れると思っていた。座るありがたみが分かりました」
 0時35分 豊橋駅着。ようやく夜行列車の雰囲気に。
 1時35分 静岡駅でしばらく停車。
 大阪市内の会社員(20)ら3人があわただしく降りる。名古屋駅から乗った3人は静岡駅で、1時間後に来る下り列車に乗り換え、再び名古屋へ。目的は、この日、名古屋周辺を走る珍しい機関車をカメラに納めることだった。「列車はホテル代わり。宿泊代もいらないし…。なんといっても列車が好きだから。1人ならこんなことしない。今の時期だと若い人が多いし、みんなとしゃべれて、友達も増えるから」
 2時30分 車窓の外は、暗やみ。点々と浮かぶ街灯だけが流れる。
 通路でトランプをする4人組。その1人、名古屋市の学生小口和紀さん(18)の目的は、東京でのショッピングとコンサート見物。「東京の雰囲気を味わいに行くんです」という。3泊4日の総予算は5万円。倹約して車中泊が2回。残る1日は1泊9800円のホテル代と買い物代に充てる、という。
 3時過ぎ ゴトンゴトンという列車の音と時折、通り過ぎる踏切の音とが響くだけ。車窓には疲れて眠る乗客の顔が映る。車内は静か。通路に新聞を敷いて眠る人や、退屈しのぎに携帯ゲームをしたり音楽を聴く人もいる。
 4時15分 横浜駅付近。夜明け近い空に、都会のビル群がぼんやりと浮かび上がる。出勤する人が乗り込み始める。
 4時43分 東京駅着。若者は列車を降り、それぞれの目的地へと向かった。
・十字路
 学生は一般的に経済的ゆとりはなくても、時間と体力がある。だから、夜行列車で倹約しようというのが本音だ。私も学生時代、東京からこの下り列車でよく帰省した。思えば、お金がなかったからだ。でも、ゆったりと時が流れる夜行列車は、忙しい日常を離れ、自分を見つめ直す場になっていたように思う。(大西 祐資記者)
 船井郡八木町、JR臨時職員 小早川育子さん(31)は、社会人になり金銭的に余裕ができた今も、夜行普通列車をよく利用する。今年も友人と、東京ディズニーランドへ2泊3日の旅をした。
 「列車に乗ってしまうと、会社や家と違って、1人でのんびりできる。本を読んだり、手紙を書いたり、景色を眺めたり。疲れたら眠る。ふだん忙しいが、車内では特別何も強いられない空間と時間があり、心の休養って感じがしていい」。日常生活からの解放感が夜行列車の魅力と語る。
 京都大鉄道研究会の京都市南区、大学生中井修さん(21)はこの夏も、夜行列車で旅をした。「夏は特に込んでいるので、夜行にのどかな雰囲気なんてないですよ。社会人になったら、夜行だと目的地まで時間もかかるし、体力的にもしんどいので、もう乗らないでしょう。若い今だけですね、きっと」
 JR大垣駅の中西育夫助役は「高校生や大学生で夏休みが一番込みます。今でも、成田闘争があると、ヘルメット姿に手ぬぐいで顔を覆った学生が、東京方面に向かう光景が時々みられますよ」と話す。(京都新聞 夕刊)
20日■整備新幹線 5割増の1600億円要求 来年度運輸省 財投400億円を初導入
 運輸省は19日、5年度の整備新幹線(東北、北陸、九州の3線)建設費を、事業費べ−スで本年度比50%増の約1600億円とする方針を固めた。今月末の概算要求に盛り込む。昨年着工された東北、九州両新幹線のほか、今月末に着工される北陸新幹線・高岡−金沢間の建設が本格化するうえ、1998年の長野冬季五輪に向けて北陸・高崎−長野間の建設ピッチを上げる必要もあるため、建設費の大幅アップを図ることにした。
 また、国の公共事業費(NTT補助金タイプ)の伸びが期待できないため、整備財源に初めて財政投融資資金約400億円を導入する考えだ。
 整備新幹線の本年度事業費は、前年度比7割増の1076億円で、北陸・高崎−長野間814億円、東北・盛岡−青森間70億円、九州・八代−西鹿児島間62億円、北陸・高岡−金沢間40億円、駅舎整備90億円となっている。しかし、来年度以降、各路線の工事が本格化するほか、景気対策も求められているため、5割アップを要求することにした。概算要求では総枠の提示にとどめ、路線別の事業費配分は年末の予算編成までに詰める。
 1600億円の”財源”は本年度と同様、国の公共事業費、鉄道整備基金(既存新幹線をJRに売却した代金)からの交付金、地方負担で賄うほか、初めて国の財投資金400億円を導入する。ただ、財投資金は返済する必要があるため、3線の中で最も高収益が期待できる北陸・高崎−長野間に400億円を配分し、これで浮いた公共事業費や鉄道整備基金交付金を他路線に振り向ける方針だ。(京都新聞)
■台風や大雨でJRは乗客滅 お盆期間では初
 JR東海と航空3社は19日、お盆期間(8月8日−18日)中の旅客列車と名古屋空港発着便の輸送実績を発表した。
 台風や大雨の影響で新幹線、在来線特急、急行ともにお盆期間としてはJR発足後初めて、利用者が前年を下回ったのに対し、国内便利用者は過去最高を記録した。
 JR東海によると、東海道新幹線の利用者は前年比1%減の325万6000人。「ひかり」の利用者は前年並みだったが、「こだま」は前年に比べ3%減った。
 在来線の特急、急行は、台風による九州方面への寝台特急の運休(8、9日)や特急「ひだ」の走る高山線の集中豪雨による一部不通(11−13日)がたたり、前年比3%減だった。3月から新型車両になった特急「南紀」だけが前年比35%増と好調だった。(京都新聞)
■JR西日本は3%減 夏休みの輸送まとめ
 JR西日本は19日、夏休み期間(7月25日−8月18日)の輸送実績をまとめた。
 山陽新幹線など主要九線区の利用客数は、745万6000人で、前年比で3%減と落ち込んだ。お盆期間に限ると、前半(8月8日−14日)の帰省客は232万6000人で、前年より5%減ったものの、後半(15日−18日)のUタ−ン客は149万6000人で前年より5%上向り、Uタ−ンのピークだった16日の新幹線の上り利用客は15万3400人と過去最高を記録した。(京都新聞)
■夏休みの乗客 初の前年割れ JR西日本
 JR西日本は19日、夏休み期間(7月25日−8月18日)の利用者数をまとめた。主要10区間の下り新幹線や在来線特急、急行を利用した乗客は386万7000人で、前年の同期間に比べて2%少なかった。JR発足後、夏休みの利用客が前年同期を下回るのは初めてで、同社は「景気の沈滞や、夏休みの分散、飛行機の利用客が増えたことなどが原因ではないか」とみている。JRグループ全体でも、利用者は1603万7000人と前年より1%少なかった。(朝日新聞)
■連合悩ますJR労組の亀裂 スト権巡り大きく対立 組織拡大路線に足かせ
 PKO法で旧総評−同盟の離反に苦しんだ日本労働組合総連合会(連合)が、「もう一つの亀裂」に悩んでいる。スト権の是非などにからみ、旧国鉄・動労系が主導権を握るJR総連(7万8000人)から分裂した旧国鉄・鉄労系と国労主流派などで構成のJR連合(7万6000人)が五月に旗揚げし、連合は、その新規加盟を、両労組の「再統一」を条件に認めた。ところが、ミゾは逆に深まるはかりで、連合の組織拡大路線が、結果として修復のほとんど不能な対立を抱え込んだ形に。「一本のレール」をはさんでの激しい対立が、最も大切な安全運行に影響を及ぼさないか、懸念の声も出ている。
 一通の「確認メモ」が、JR連合の結成大会の翌日の5月19日、連合とJR総連、JR連合の間で交わされた。
 JR連合の連合加盟の条件として、JR連合と総連が統一の話し合いのテーブルにつくことをうたっている。しかし、その内容は守られていない。
 「JR総達の執ような中傷、ひぼう、侮蔑(ぶべつ)の宣伝行動が続く限り、対決姿勢を強めざるを得ない」(7月31日、宝塚市で開かれたJR西労組大会で、JR連合の矢後希悦会長)
 「JR連合は確認メモについて職場討議すらしていない。なしくずしにしようとしている、と不信感を持たざるを得ない」(7月1日、大阪市でのJR西労大会で、JR総連の柴田光治書記長)
 「1000万人連合」を合言葉に組織拡大を図る連合にとって、大所帯のJR連合の加入は歓迎したいところ。一方、JR連合にとって、連合に参加することは労働界で認知されるのに必須(ひっす)の条件。半面、連合には「一産別一組織」の方針があり、JR総連はJR連合の加入にあくまで反対だ。
 三者三様の思惑がこもったメモが破たんするのに、時間はかからなかった。
 最も大きな対立点はスト権についてだ。安定した労使関係をうたい「現在はスト権を確立、行使する状況にはない」とするJR連合。半面、JR総連は今春闘でJR西労など傘下3労組が民営化後初の本格ストを実施し、「JR連合は会社にただ協力する御用組合」と批判する。
 単組レベルでも、ミゾは深い。例えはJR西労が今年度の運動方針に井手正敬・JR西日本社長の退陣要求を掲げたことに対し、JR西労組は「不幸な労使関係といわざるを得ない」とする。
 再統一論議に、進展の芽は見えない。そんな中、JR総連は「確認メモの食い逃げは許さない」とJR連合や連合を追及する構えを見せ始めている。(朝日新聞 夕刊)
21日■京滋の鉄道 大研究 現状から改善策まで
 京滋の鉄道25線について、利用者の立場から現状と改善策をまとめた本「全国鉄道事情大研究<京都・滋賀編>」(草思社)がこのほど発刊された。
 「東京圏通勤電車事情大研究」などで知られる鉄道研究家・川島令三氏の著作。日本の鉄道を17のエリアに分けてすべて網羅する試みの一環で、「神戸編」に続く第2弾。
 京阪間で熾烈(しれつ)な競争を繰り広げる各線はじめ、第3セクターとしてがんばる北近畿タンゴ鉄道、建設が号進む京都市営地下鉄東西線などを、関西文化学術研究都市の整備やびわこ空港の開港といった大規模プロジェクトとの関連を視野に入れて分析している。
 また、現状を解説するだけでなく、「京都より東はアーバンネットワークになっていない」(JR東海道線)、「近鉄との直通が少なすぎる」(地下鉄烏丸線)などと指摘、具体的な改善策を提言している。
 さらに巻末で、信楽高原鉄道事故に関連して、単線鉄道の保安装置を取り上げ、信号システム自体に欠陥はなかったか考察している。
 246n。1600円。問い合わせは同社 03(3470)6565へ。(京都新聞)
■「のぞみ」の検査態勢強化 メーカー立ち入りなど
 東海道新幹線「のぞみ」型車両のボルトが脱落した故障について、防止対策を検討してきたJR東海は20日までに、新たに、メーカーへの立ち入り調査と、モーターを台車に取り付ける方法の改善を決めた。
 立ち入りは、車両メーカー4社、部品メーカー5社に対し行う。品質管理の態勢について調査する方針で、品質が安定するまで随時実施するという。
 モーターの取り付け方法の改善では、ボルト2個ずつを針金で結び、緩みにくく、また、緩んでもすぐ分かるようにするほか、モーターと台車が密着する金属部分は塗装をしないことにした。(朝日新聞)
■JR上場見送り 政府高官方針表明 NTT株売却も
 政府高官は21日朝、日本電信電話(NTT)の政府保有株の今年度分の売却と今年度内に予定されているJR東日本の株式上場について、株式市況が低迷しているため見送る方針を明らかにした。同高官は「早期に売却見送りの方針を決めれば、売り圧力が弱まり、株式市況への心理的効果はある」と述べ、見送り方針を株価対策の一環として今月末に打ち出す総合経済対策に盛り込むなど、早期に決める考えを示した。
 NTTの政府保有株について、政府は91年度から年間50万株ずつ5年間にわたって合計250万株を売却する計画を立てたが、91年度分は市況の低迷のため、92年2月になって売却の見送りを決めた。今年度分については、早期に見送り方針を決めることで、株式市況の悪化を防ぐ狙いがあるようだ。
 JR東日本株は、国鉄清算事業団保有株のうち200万株を今秋にも入札し、来年初めにも上場するよう準備を進めていた。しかし、東京証券取引所が19日に再開した新規上場が不調に終わるなど、厳しい市況が続いているため、上場は難しいと判断したようだ。(朝日新聞 夕刊)
22日■六地蔵駅開業で10月新ダイヤ JR奈良線 朝夕ラッシュ時増発
 JR西日本は21日、奈良線木幡−桃山間の宇治市六地蔵奈良町に建設中の新駅名を「六地蔵駅」と正式に決め、10月22日から開業する、と発表した。開業に合わせてラッシュ時の増発などダイヤ改正を行う。
 新駅は将来の6両編成に対応した島式ホーム(長さ125b、最大幅6b)で地平駅。エスカレーター、自動券売機が設置され、常時2人の駅員が勤務する。
 同駅の発着本数は京都、奈良両方面各52本計104本。利用客は1日2300人と予想している。
 ダイヤ改正では、朝のラッシュ時に奈良駅7時29分発、京都駅8時33分着を1本増発。
 夕刻の4−5時台には各1本ずつ計2本増やす。昼間の午前9時−午後4時台には京都−宇治間に8往復を新設。また快速電車上下16本が新たに城陽駅に停車、宇治駅で普通電車を追い越すダイヤとなる。
 夕刻ラッシュ時の午後5−7時台の電車はすべて4両編成(現行は2両)にする。(京都新聞)
六地蔵駅から主な駅までの運賃
定期運賃(1カ月)
 普通通勤通 学
 運賃 大学生高校生
京都1905,5604,5304,070
桃山1404,3302,5802,320
木幡1404,3302,5802,320
宇治1805,2503,4803,130
奈良56016,6808,3307,490
大阪93024,02012,01010,800
■NTT株 売却見送り 相場好転を狙い4年連続で JT中止 JR株凍結も要請 大蔵省方針
 大蔵省は21日、政府が保有するNTT株のうち本年度に売却を予定していた50万株の売却を見送る方針を明らかにした。NTT株の低迷が株式相場全体の足を引っ張っており、売却見送りで市場の株式需給の好転を図るのが狙い。NTT株の売却見送りは89年度以来、本年度で4年連続となる。
 日本たばこ産業(JT)株約66万株の売却も取りやめる。
 大蔵省は同時に、本年度に予定しているJR東日本株の売却も見送るよう運輸省に要請する。運輸省との協議がまとまれば、NTT、JT株とともに売却見送りを今月末の政府の総合経済対策に盛り込む考えだ。
 政府は保有するNTT株を86年度から88年度まで3次にわたって売り出したが、NTT株価の低迷で89、90年度の売却を見送り、90年末に改めて91年度から毎年50万株ずつ5年間にわたって売却する計画を立てた。しかし、91年度はNTTの株価だけでなく、株式相場全体が落ち込んだため売却を断念した。
 JT株については、本年度からの売却開始を目指して大蔵省は、売却方法などを検討していた。
 一方、JR東日本株について運輸省は、国鉄清算事業団が保有する株式400万株のうち約半分を年内に売却して、来年2月ごろをめどに上場する計画を立てている。しかし、売却によって売り圧力が強まり、低迷している相揚をさらに崩す恐れがあることから大蔵省は、売却の一時凍結を運輸省に求める。
 これに対し、運輸省は「売却、上場の方針はいまのところ変わりはない」としており、大蔵省との調整は難航が予想される。(京都新聞)
■窓 許せないJR不法土砂放置 左京区・高亜 研(フリーター・29)
 百人一首で有名な景勝地小倉山が、JR西日本の膨大な不法土砂放置で大きく姿を変えて10年になろうとしている。
 井手正敏JR西日本社長は、18日の会見で「ダンプカーで土砂を搬出するとすれば、100年ぐらいかかる」(本紙19日)と、山頂に土砂を残したままの復旧以外に方法がないという考えを示した。
 88年3月までに土砂は搬出し、この場所を元通りにするという83年の京都市との約束については「国鉄時代のずさんな計画(井手社長)」として、その約束履行の責任は取れない、という姿勢のようだ。
 このような、環境破壊、ゴネ得を許していいのだろうか。JR西日本に関しては、海原猛氏が本紙で暴露した、京都駅新築の国際的なコンペの際の不公正・不道徳な選考。そして信楽高原鉄道事故の原因や補償姿勢など、その利潤追求至上主義には目が余る。
 「100年かかり」騒音問題も、というダンプカーによる土砂搬出が仮に無理ならば、JR山陰線を使っての搬出はどうなのか。あらゆる方法の検討と、時間と経費をいとわず、JRは約束の履行に誠意を示してほしい。京都市も京都府も、企業のごり押しを絶対に許してはいけない。(京都新聞)
■「六地蔵駅」開業へ
 JR西日本は21日、京都府宇治市六地蔵奈良町に建設中の奈良線六地蔵駅を10月22日に開業する、と発表した。奈良線の17番目の駅になる。
 同駅は桃山駅(京都市伏見区)と木幡駅(宇治市木幡)の間で、普通電車だけが停車する。駅の建設費約10億900万円のうち85%を駅の設置を要望した宇治市が負担した。(朝日新聞)
■JR西日本・東日本 特急開発で技術協力
 JR西日本とJR東日本は、在来線では最高の時速160`の営業運転を目指す新型特急車両について、合同で走行試験をするなど今後、積極的に技術協力を進めていくことを、21日までに決めた。次世代新幹線の開発でも、騒音抑制対策を中心に協力していく方針だ。JR西日本はすでにJR東海と新幹線の共同開発を進めることにしており、新幹線をはじめとする技術開発は、競争一本やりから協力へと傾いてきている。
 JR西日本は7月、湖西線を現在より30`上回る時速160`で走る、営業用の新型特急車両「ハイスピード雷鳥」(仮称)を完成。1994年度のデビューを目指している。JR東日本も、来年秋の完成を目指し高速試験車両「TRY-Z(トライ・ゼット)」を設計し、それぞれに在来線の高速化に取り組んでいる。
 合同の走行試験は、来春以降、これらの新型車両を使って実施する計画。新潟県内で建設中の北越北線(犀海−六日町、59.4`)で行い、新線のテストを兼ねる。どちらの場合も、両社の社員が一緒に実施し、試験データは共有、乗り心地の改善など今後の開発に役立てていく。
 次世代新幹線では、JR西日本は、最高時速350`の営業運転を目指している試験車両「WIN350」、JR東日本は、営業運転時速300`を目標にした低騒音試験車両「STAR21」を、それぞれ開発している。両社は秋ごろから、騒音の試験を始める予定で、その実験データを互いに持ち寄って、それぞれの開発に役立てていく。
 日高秀豊・JR西日本技術開発推進部長の話 鉄道の活性化を支えるのは優れた技術。JR各社とも、課題は似通っているので、それぞれが知恵を出し合って、一緒にやっていくのがいいと思う。(朝日新聞)
23日■新幹線も自動改札 JR東日本94年めどに 東海・西日本も検討
 JR東日本は、1994年をめどに、東北、上越新幹線の特急券や乗車券の裏面を磁気化するとともに、新幹線改札口に自動改札機を導入することを、22日までに決めた。現在の新幹線用の切符では、首都圏で普及している在来線改札口の自動改札機を通ることができなかった。また、在来線の初乗り切符や通勤定期券でそのまま新幹線に乗車する利用客もいるため、精算業務が繁雑になっていた。同社は、「自動化ですっきりさせたい」としている。東海道新幹線(JR東海)、山陽新幹線(JR西日本)でも足並みをそろえる方向で検討中だ。
 JR東日本によると、新しい切符は、定期券と同じ大きさ(縦57.5_、横85_)。裏の磁気面に、発売日時や列車名、発着駅、座席などの情報を入力する。これにともない、この切符が販売できるよう、各駅の自動券売機や「みどりの窓口」などで券売機を改めていく。
 新幹線は、駅に入ったあと、再び新幹線用の改札口で、乗車券と特急券の改札を受ける。このため、新幹線改札口に設置する自動改札機は乗車・特急券の2種類の切符を続いて入れてはじめて扉が開くようにする。同時に、自動改札機が入っている首都圏の駅(現在は約120駅)では、新幹線用の新しい乗車券でも通れるようにソフトを改める。
 新幹線などの切符はこれまで、紙質や大きさ、書き方もばらばらだった。そのうえ、裏面は磁気記録のないただの紙。降りる際、新幹線改札口で特急券を渡し、さらに駅の在来線改札口から外へ出るためには、自動改札機を避け、わきの「有人改札」を通らねばならなかった。
 JR東日本は、新幹線の自動改札化で、「乗り降り」のけじめをすっきりさせる効果も狙っている。同社が今年7月17日、東京−仙台・新潟間の上下計16本の新幹線全席について実施した乗客の検札結果によると、乗客数1万433人のうち、231人が車内で運賃と特急料金を精算した。うち6割にあたる139人が正規の特急券を持ちながら乗車券が区間どおりではなかった。その精算客で自由席と指定席の比率は3対1。ほとんどが通勤定期券、初乗り切符、または乗車券なしで、新幹線改札口から入り乗車していた。同社は、新幹線改札口で改札係が、混雑などのため見過ごしたと見ている。
 車内検札で精算をしようとしても、現状では乗務員に限りがあるうえ、検札の回数を増やせばサービス上問題となる。自動改札機を導入すると、新幹線用の改札口を通過する時に、きちんとチェックでき、そうした営業上の悩みも解決される、と同社は期待する。
 同社は、「精算業務をきちんとし、新幹線の乗り降りを『ガラス張り』にする意味もある。新幹線の改札を在来線並みにするためにも自動改札機を入れたい」としている。(朝日新聞)
■男性飛び込み環状線止まる JR京橋駅
 22日午後2時50分ごろ、大阪市都島区東野田町三丁目のJR大阪環状線京橋駅で、奈良発天王寺行き快速電車(6両編成)が外回り線のホームに入ってきたところへ、男性が飛び込んだ。男性は1両目の車輪の間にはさまれ、大阪市消防局のレスキュー隊が約50分後に救出したが、すでに死亡していた。この事故で快速電車は同駅で運転を打ち切ったほか、環状線外回りが午後4時10分まで不通となった。内回り電車も含め32本が運休、約1万人の足が乱れた。
 都島署の調べでは、男性は50歳前後。白の半そでシャツに縁っぽいズボンをはいていた。(朝日新聞)
24日■8万人の足混乱 兵庫南部で落雷
 24日朝、兵庫県南部の各地で落雷があり、阪急、山陽、JRなど各線の信号が停電、通勤電車のダイヤが乱れて約8万人に影響があった。神戸市内では約1万世帯が停電した。
 阪急電鉄によると、午前7時40分ごろ、神戸線の三宮−六甲駅間の信号が落雷のため瞬間停電し、特急などの上下43本が10−5分遅れ、計4万5000人に影響が出た。
 山陽電鉄では、同7時20分ごろ、神戸市−姫路市間の信号機が落雷で一時停電、上下56本が14−2分遅れて1万8000人の足が、また、相互乗り入れしている阪神電鉄でも上下31本が10−4分遅れ、約1万5000人の足が乱れた。
 JR西日本によると、午前7時半ごろ、JR神戸線の兵庫駅と芦屋駅の信号機が落雷で、一時、赤のまま変わらなくなった。快速電車など上下5本が7−3分遅れ、約3800人に影響が出た。
 一方、関西電力神戸支店によると、午前7時10分ごろ、神戸市北区などの送電線に落雷があり、各戸のヒユーズが飛ぶなどして市内の約1万世帯が停電した。午前10時ごろまでに大半が復旧した。(朝日新聞 夕刊)
25日■山城地方など局地的な大雨 JR運休や停電続出 京都市内も突然暗やみ
 24日午後、京滋地方は局地的に激しいにわか雨に見舞われ、京都府南部に大雨洪水雷警報、滋賀県にも大雨洪水警報が発令された。京都市内の繁華街では強い雨足に、傘を持ち合わせていない市民らは大慌て。雷の影響などで停電するオフィスが出たり、JR奈良線のダイヤが乱れた。
 京都地方気象台によると、南海上から湿った空気が流れ込み、大気の状態が不安定になったためで、梅雨末期の先月12日以来、43日ぶりに府南部に警報が出た。
 午後3時半ごろから府南部を中心に雷を伴って荒れ模様となり、降り始めからの雨量は綴喜郡田辺町で66_を記録した。京都市内では短時間に7_の雨が降った。一時は厚い雨雲に覆われ、街灯が点灯するほど真っ暗の夕方となった。
 この日の京都地方は、最高気温が33.3度と厳しい残暑が続いたが、この夕立でちょっぴり涼しくなった。25日も雲の多い天気は続く見込み。
 JR奈良線では、山城青谷駅構内への落雷で玉水−長池駅間の信号が乱れ、午後2時55分に宇治−木津間が不通となった。電車は京都−宇治間で折り返し運転したほか、京都−奈良間で近鉄に振り替え輸送した。午後5時45分復旧したが、この影響で15本が運休、34本に最高1時間50分の遅れが出て、9000人の足が乱れた。片町線は午後3時14分から午後4時55分まで、田辺−松井山手間で徐行運転。関西本線は加茂−大河原間で午後3時24分から2時間にわたって運転を見合わせ、6本が運休、12本が最高3時間遅れた。
 また落雷による停電も府南部各地で発生した。関西電力伏見営業所のまとめによると、停電した地域は城陽市、精華町の一部など計約2800戸に及んだ。
 滋賀県でも県内各地の送電線に落雷があり大津、草津、守山各市など湖南、湖東、湖西の27市町村で1−3分停電した。(京都新聞)
■障害者にレールの旅を 「ひまわり号」11月8日発車 神戸港見物など 参加者募る
 日ごろ、遠出の機会の少ない障害者にレールの旅を経験してもらう専用列車「京都ひまわり号」が今年も11月8日、JR京都駅を出発する。運行を初めてちょうど10年になり、実行委員会では今年参加する障害者とボランティアを募集する一方、記念行事を計画している。
 「京都ひまわり号」は、旅を通じて、人々の相互理解を促し、住みよい町、利用しやすい交通施設の実現を図る狙いで、1983年から走り始めた。
 共同作業所職員や、主婦、国労などの労働組合員らでつくる実行委員会が毎年コースを選定。参加する障害者と、付添いのボランティアを一般から募り、これまで信楽、天橋立、竹生島などへ運行した。計9回の列車で参加者は述べ3500人にのぼっている。
 年に1回の運行だが、200−500人と言う規模だけに、乗り降りする度に交通関連施設の障害者用設備の不備が明らかになっている。参加者の指摘で、車いすが通れなかったJR京都駅の改札口などがこれまでに改善された。
 今年の運行コースは、京都を午前8時半に出て三ノ宮駅で下車・メリケンパークを経て神戸港を遊覧船から見物、買い物などの後、午後6時ごろ京都へ帰着する。定員は障害者70人、ボランティア130人。参加費は中学生以上3000円、小学生2000円、幼児は無料。
 参加の申し込み、問い合わせは来月1日−30日の間に、〒600下京区東塩小路向畑町13、国労京滋地区本部内、ひまわり号を走らせる京都実行委員会 (343)9228 へ。(京都新聞)
■JR株 年度内上場を断念
 奥田敬和運輸相は25日の閣議後の記者会見で、JR東日本の株式上場について、「現在、大蔵省などと調整を図っている段階だが、今年度中の上場は難しい」と述べ、これまで目標としてきた年度内上場を事実上、断念したことを明らかにした。
 同道輸相は、「株式市場はようやく回復基調になってきたところだ。上場断念の決意を、今、市場に伝えることが、市況を助けることになるという見方もある」として、28日に政府がとりまとめる総合経済対策に、「上場見送り」が盛り込まれるのはやむを得ないという判断を示した。(朝日新聞 夕刊)
■手順書書き換えで JR本社に抗議 信楽事故遺族の会
 信楽高原鉄道事故の犠牲者の「遺族の会」の吉崎俊三・世話人代表らは25日、大阪市北区のJR西日本本社を訪れ、同社が信号システム「優先てこ」の取り扱いマニュアルを書き換えていた問題で、「遺族説明会でマニュアルは存在しないとしていた内容と違う」として、抗議の文書を手渡した。また、改めてマニュアルに関して遺族に説明するよう求め、同会が9月12日に開く会議への出席を要請した。(朝日新聞 夕刊)
26日■運輸省概算要求 初の借入金400億円 北陸新幹線に重点配分
 運輸省は25日、一般会計で本年度当初比1.9%増の8634億円、財政投融資で同3.9%増の2兆1821億円(他省庁とも共管分も含めると3兆8532億円)とする1993年度予算概算要求をまとめた。一般会計には性格関連重点化枠として266億円の要求を盛り込んだ。
 整備新幹線の事業費を本年度に比べ48%増額して1591億円とし、特に98年の長野冬季五輪までに開業を目指す北陸新幹線高崎−長野間に重点投入する方針。財源として日本鉄道建設公団による財政からの借り入れを含め、計402億円の借入金を初めて計上した。
 整備新幹線のほか@成田2期、羽田沖合展開、関西引く際空港の3大プロジェクトの推進A地球環境問題への対応B次世代に向けた技術開発−などが主な柱。
 空港整備関連は総事業費を6822億円予定し、空港整備特別会計から5307億円の支出を要求する。3大プロジェクトは工事のピークを過ぎたことから本年度比11.3%減の4856億円を計上した。地方空港は計6空港で新規整備や滑走路延長工事に着手するのをはじめ、中部新国際空港や首都圏第3空港の調査費を大幅に増額する。(京都新聞)
■マニュアル改ざん JR西日本に抗議 信楽事故遺族の会
 信楽高原鉄道事故の遠因と見られる「方向優先テコ」のマニュアルを、設置者のJR西日本が改ざんして滋賀県警捜査本部に提出していた問題で、「犠牲者遺族の会」(吉崎俊三世話人)と同弁護団(秋田真志事務局長)は25日、JRに対して強く抗議、来月12日に開かれる遺族総会で事情説明するよう文書で求めた。
 遺族会とJRはこれまで4回にわたり、事故原因などについての説明会を開いてきたが、JR側はこの中で「優先テコのマニュアルは存在しない」と回答してきたため、遺族会側は、「虚偽の説明は遺憾」と反発している。(京都新聞)
■来月3日に約15% 能勢電鉄が値上げ
 運輸審議会は25日、能勢電鉄(本社・兵庫県川西市)の運賃改定案を申請通り認めるよう、運輸大臣に答申した。値上げ率は平均で15.1%。26日に認可され、9月3日から実施される。
 初乗り運賃が現行より20円高い120円となるほか、川西能勢口−日生中央間が260円(現行230円)となるなど、各区間で20−30円アップ。通勤、通学定期も区間により、9−16%程度値上げされる。(朝日新聞)
■線路横断中にはねられ死亡 宇治のJR奈良線
 26日午前10時ごろ、宇治市開町のJR奈良線で、線路を横断しようとした女性が京都行き快速電車(4両編成)にはねられ、病院にはこばれたが、すでに死亡していた。
 宇治署の調べでは女性は年齢50−60歳ぐらい。現場は、近所の人が横断に使っている細い通路で踏切はなく、横断禁止の立て札が立っている。電車は現場に約10分停車したが、後続に影響はなかった。
 同署で女性の身元確認を急ぐとともに原因を調べている。(京都新聞 夕刊)
27日■大型風防を設置へ トロッコ亀岡駅舎 雨の吹き通し遮断
 亀岡市篠町のトロッコ亀岡駅舎はログハウス調のしゃれた外観だが、1、2階とも風雨を遮断する外壁などはなく、天候が悪い時、観光客から不評。このため嵯峨野観光鉄道会社(京都市右京区、長谷川一彦社長)と亀岡市は駅舎の南北両側に総ガラス張りの大型風防を設置することになり、9月初め、同鉄道が市に先駆けて着工することになった。
 今年4月完成した同駅舎は地上からの高さ約12b、幅約40b、奥行き7bの規模。レールに面した南側と広場側の北側とも柱があるだけの”吹き通し”。強い風雨の時は列車乗降客は避難する場所がなく大弱りだった。
 このため同社と市が風雨をしのぎ、防犯上、美観上からも風防設置に合意。計画では、両面とも高さ約10b、幅約25bにわたって厚さ8_の強化ガラスとアルミサッシで大型風防を設ける。1階は引き戸方式、2階は固定窓とする。費用は約5000万円。費用の分担については話し合い中で、まとまり次第、市負担分は九月議会にかける。
 同鉄道の山崎敏治鉄道部長は「お客にご迷惑をかけてきましたが、9月末にも完成させたい。またこの改修を機に観光物産展示やイベントなども検討したい」としている。(京都新聞)
■踏切でトラック立ち往生 快速電車が衝突 JR福知山線 1人死亡
 26日午後2時半ごろ、神戸市北区道場町生野のJR福知山線道場駅構内の踏切(警報機、遮断機付き)で、立ち往生していた兵庫県三田市、左官業今中輝男さん(60)の普通トラックに、福知山発大阪行き上り快速電車=4両編成=が衝突した。
 トラックは大破して、今中さんが即死。電車は先頭車両が破損して運行できなくなったが、乗客乗員約300人にけがはなかった。
 有馬署の調べでは、目撃者によると、トラックが踏切内に入った直後に遮断機が下りたといい、トラックは遮断機に前後をふさがれ立ち往生したという。
 現場付近の線路は緩いカ−ブで見通しは悪く、電車の運転士が踏切内に立ち往生しているトラックに気付きブレーキをかけたが、間に合わなかったらしい。
 JR福知山線は上り線が不通となり、大阪−宝塚間で普通電車の折り返し運転を続けたが、午後4時50分に復旧した。この間、上下計17本が運休、13本が最高1時間13分遅れ、3500人の足が乱れた。(京都新聞)
■豪雨でダイヤ乱れる 山陰線
 JR福知山支社は、兵庫県北部の集中豪雨のため、26日午後2時45分から約1時間25分にわたって、山陰線の玄武洞−竹野間の列車運転を見合わせた。
 このため、上り特急「エーデル北近畿16号」が45分遅れたのをはじめ、上下8本が30分−1時間40分遅れ、乗客約1000人に影響が出た。(京都新聞)
■地震情報をテスト配信 JR総研「ユレダス」で
 鉄道総合技術研究所(JR総研)は26日、同研究所が開発した早期地震検知警報システム「ユレダス」を使って年末をめどに首都圏で震源位置や地震規模などのデータを無料でテスト配信する、と発表した。
 ユレダスは、地震発生時にいち早く地震の大きさなどを分析、警報を出す装置で、東海道新幹線にも採用されている。
 JR総研によると、地震が起きると、首都圏に5ヵ所ある検知装置から送られてきたデータを総研のユレダスセンターで分析。4分以内に電話で地震規模、震源地などの情報を提供するほか、ファックスで震源地、地図、予想される被害範囲を配信する。
 配信先として病院やホテル、デパート、工場、高層ビル、交通機関などを想定「買い物客や患者の避難、工場の操業中止を決める際に役立てて」と話している。
 問い合わせ先はJR総研ユレダス推進部、0425(73)7377(京都新聞)
■はねられた女性の身元判明
 26日午前、宇治市開町のJR奈良線で、線路を横断しようとして快速電車にはねられ死亡した女性は、宇治署の調べで、宇治市広野町桐生谷、主婦乾莎紀子さん(56)と分かった。(京都新聞)
■福知山線 快速電車と踏切で衝突 トラックの男性死亡
 26日午後2時半ごろ、神戸市北区道場町生野、JR福知山線(宝塚線)道場駅西約300bの踏切内で、兵庫県三田市大池、左官業今中輝男さん(60)運転のトラックと福知山発大阪行きの快速電車=4両編成=が衝突し、今中さんは全身を打って即死した。電車は、現場に1時間15分停車し、後続の快速電車など17本が運休した。
 有馬署の調べでは、トラックが踏切内に入ったところで遮断機が下りたため、後続のドライバーが遮断機を上げようとしたが間に合わなかったらしい。(朝日新聞)
■北陸新幹線 石動−金沢間が起工 10年後の完成めざす
 北陸新幹線石動(いするぎ)−金沢間(約23.6`)の起工式が整備計画決定から19年ぶりに27日午前、富山県小矢部市の石動小学校で行われた。
 北陸新幹線は高崎−軽井沢間、軽井沢−長野間に次いで3区間目、北陸側では初の着工。
 石動−金沢間は標準規格新線(フル規格)の路盤やトンネルを建設するが、当面は在来線と同じ幅のレールを敷いて最高時速200`のスーパー特急を走らせる。工期は約10年で工事費は約1742億円。新倶利伽羅(しんくりから)トンネル(約6.5`)などトンネル部分が多く同区間の約47%を占める。
 北陸新幹線は長野まではフル規格で建設中だが、その先は糸魚川−魚津間、高岡−金沢間の暫定整備計画(スーパー特急)が決定されただけのまだら着工である上、フル規格新幹線の見通しも明らかになっていない。また南越(武生市)から大阪までのルートは未定で、北陸新幹線建設促進同盟会は全線の整備計画の早期明確化を要望している。
 石動−金沢間を含む高岡−金沢間については昨年5月、在来線を存続させるために運輸省の基本ルートを変更する異例の調整案が富山県から提示された。結局、スーパー特急が走る暫定整備の間は高岡−石動間は在来線を活用、残る石動−金沢間に新線を敷設することで決着した。(京都新聞 夕刊)
28日■北陸新幹線の用地取得盛る 政府総合経済対策
 政府は28日に決定する総合経済対策に、整備新幹線用地の先行取得を中心とする事業費の確保を盛り込むことになった。公共事業用地の先行取得の一環として、北陸新幹線の高崎−長野間の完成が1998年2月の長野オリンピック開催に間に合うよう、促進を図る。
 「対策」の中に具体的な事業規模を明記するかどうかは、27日の段階で固まっていないが、27日の北陸新幹線の高岡−金沢間の起工式に出席した自民党の森喜朗政調会長が富山県小矢部市での記者会見で「(整備新幹線の北陸、東北、九州の3線の)事業費全体で200億円を超すよう目指す。補正予算に90億円をプラスしたい」と述べた。大蔵、運輸両省によると、秋に予定されている補正で公共事業費のうち整備新幹線向けに90億円を計上し、財政投融資資金などと合わせて200億円を充てる、という構想が浮上している。
 用地の先行取得は北陸新幹線に限定し、残りの2線ではトンネルなどの工事費に使われる。
 大蔵、運輸両省は、将来の金利負担を伴う財政投融資資金の利用は最小限にとどめたいとしていたが、地方の景気浮揚策を求める地元自治体や自民党に押し切られた。
・「200億円計上」運輪相会見
 北陸新幹線金沢駅の起工式に出席した奥田敬和運輸相は27日、記者会見で「9月の政府補正予算で整備新幹線に、事業費で94億円、用地費で100億円以上、計200億円の計上を見込んでいる。補正予算の大部分は建設中の北陸新幹線・高崎−長野間にまわすことになろう」と述べた。
 一方、同席した森喜朗自民党政調会長は、来年に迫っている整備新幹線の見直しに開し「九州、東北新幹線(盛岡以北)もフル規格にすべきだと考えている」として、運輸省などの一部で出ている在来線を広軌にするミニ新幹線方式に否定的な見解を示した。(朝日新聞)
■電車10本が運休や遅れ JR片町線信号故障
 28日午前10時40分ごろ、京都府綴喜郡田辺町三山木、JR片町線の同志社前駅で下り出発信号機が赤のまま変わらなくなった。このため同志社前発片町行き快速電車が同駅を発車できなくなり、42分間停車。このほか、上下3本の快速電車などが約50分から10分程度遅れ、快速上下6本が部分的に運休した。信号は同11時20分ごろ自然に復旧した。JR西日本で原因を調べている。(京都新聞 夕刊)
29日■JR東日本 来年度上場実現目指す 運輸相が表明
 奥田敬和運輸相は28日夜、経済対策閣僚会議後の記者会見で、1992年度中のJR東日本株式の売却・上場の見送りについて「93年度の実現を目指す。財政当局からも『できるだけ協力する』との約束をとりつけた」と述べた。
 さらに、証券市場が本格的に回復基調に乗れば、JR東日本による証券取引所への上場申請だけでも92年度中に実現させたい、との考えを明らかにした。
 JR東日本株は、発行済み株式数の半分の200万株(額面5万円)を10月に入札したうえで売却し、93年2月にも上場する予定だった。(朝日新聞)
■東海道新幹線 障害者個室に”缶詰” 1時間 乗務員、誤って施錠
 東海道新幹線の障害者用個室に乗った身体障害者の女性が乗務員のミスで1時間近く閉じ込められていたことがJR東海の29日までの調べで分かった。同社によるとこうした事故は同新幹線開業以来初めて、という。
 JR東海によると、この女性は名古屋市中村区に住む広告コーディネーター(54)。両足が不自由な障害者で外出の際は車いすを使っている。23日夕、三島駅から東京発新大阪行きこだま455号に車いすで乗車、5号車の身体障害者用個室に案内されたが、掛川駅を過ぎたあたりで外側からかぎをかけられ出られなくなった。女性はドアをたたいて助けを求めたが、名古屋駅に着く直前になって、気付いた他の乗客が乗務員に連絡、女性は名古屋駅で下車した。
 静岡駅から乗った乗務員が個室に女性がいるのを知らずにドアを開け、あわてて閉めた際誤ってかぎをかけたらしい。
 東海道新幹線の身障者用個室は1編成1室設けられ、向かいに身障者用トイレが付いている。個室は利用者がいないときはかぎがかけりれており、乗務員が持っているかぎがないと内側から開けることができない。(京都新聞 夕刊)
30日■大欧州圏めざしパワーアップ 赤字国鉄の統合、民営化 独、戦後最大の鉄道改革 道路優先策を転換 市場拡大にも対応
 ドイツが戦後最大の鉄道改革に乗り出した。東西両地域の赤字国鉄を統合、民営化するとともに、これまでの道路優先から鉄道重視の政策に大転換する方針だ。
 欧州共同体(EC)統合や旧ソ連、東欧圏の開放に伴って輸送量が増大し、交通体系の抜本的な変革が急務になってきたためで、経営の効率化と鉄道網の拡充を目指す。背後には、東西欧州をつなぐ中軸国として市場拡大の経済効果を最大限吸収しようという意図も見え隠れする。
 「赤字の時代からバラ色の時代に向け鉄道のポイントを切り替えたい」−運輸省高官は先に閣議決定した「交通網計画92」の狙いを自信たっぷりに説明する。
 計画によると、東西欧州の輸送情勢の変化に対応し、鉄道網の拡充やスピード化を図るため、2010年までに総額1949億マルク(約18兆円)を投じる。これは道路予算を初めて上回る規模。一方、赤字に苦しむ旧西ドイツ国鉄と旧東ドイツ国鉄を統合してドイツ鉄道株式会社を設立。2002年までに民営化の軌道に乗せる計画だ。
 これにより、今後20年間でアウトバーン(高速道路)の交通輸送の10%が鉄道に移り、鉄道輸送量は2倍に拡大する見込みという。
 鉄道の復権を象徴するように、世界一の高速技術と世界最高の快適空間をうたい文句にした21世紀のドイツの新幹線「ICE」(インターシティ一・エクスプレス)が既に昨年6月から開業し、営業路線を拡大中だ。
 鉄道に力を入れる理由について、同高官は「道路交通はパンク状態で、大欧州時代にはどうしても鉄道のパワーが必要。それに自動車は排ガスによる環境汚染の問題がある」と指摘する。
 問題は資金調達。ドイツ統一で財政状況は極めて厳しい。そこで再浮上しているのがアウトバーンの有料化。トラックから年間最高9000マルク(80万円)、乗用車からは200−400マルク(約1万8000−2万6000円)を徴収し、これを鉄道改革に充てようという狙いである。これが実現すれば、自動車交通量も減らすことができ一石二鳥。しかしドライバーたちの反発は相変わらず強く、計画通り事が運ぶかどうか、予断は許さない。(共同 山本武信)(京都新聞)
■窓 電車の冷房にもうひと工夫 左京区・西村有史(会社員・38)
 青春18きっぷ、普通列車なら自由に乗れるこの切符を利用して旅をしてみた。のんびり旅にもまた良さを発見した日々だった。普通列車にも各地で冷房が装備され、青春だった日との歳月の差を確認させられる旅にもなった。
 高原を走る列車の車窓より吹き込む涼風に趣を覚えることはできなかったが、この冷房化の進展も人々の足にとっては朗報であろう。ただ随分と冷やしていて、過分ではないかと感じたこともけっこうあった。きくところによると電車の冷房、かなりの電気を消費するものであるらしい。もう少し弱めに調節をする方が経費的にも軽減できるであろうし、むしろ快適になる場合もあると思う。
 いろいろな年代の人が乗り、停車中の扉開放があるし、暑いなか汗をかきながら乗り込んだ人が快適と感ずる状態は、しばらく乗っている人とは異なるであろう。このような条件下で上手に空調をコントロールするのには難しい点もあると思われる。しかし工夫をしていけばより快適にかつ経費の節減にもなる。検討していただければと考える。(京都新聞)
31日■アルミ製のブレーキ 新幹線で実用化へ 軽量化めざしJR総研など
 鉄道総合技術研究所(JR総研)は素材メーカー2社と共同で、新幹線用のアルミ製ディスクブレーキを開発した。車両を使った走行実験も始めており、ほぼ実用化のめどがついた、としている。ディスクの重量は鉄製のおよそ半分ですむ。鉄道の高速化は車両の軽量化がかぎをにぎることから、次世代新幹線や在来線新型車両への採用が期待される。
 アルミの比重は、鉄に比べ半分以下と軽いが、摩擦に弱く、ブレーキの素材には適さないとされていた。今回JR総研が開発したディスクブレーキには、三菱アルミニウムが作っている「ネオメット」という素材を使った。
 「ネオメット」はアルミ合金の中にセラミックスの粒子を分散させて強度を高めてある。これに、東海カーボンが軟らかいアルミ製ディスクに合うように開発したライニング(ディスクを締め付ける部品)を組み合わせた。
 鉄製のディスクが57`なのに対し、アルミ製は30`。強度は鉄よりもあり、熱によるひずみにも強いことが確かめられた。このほどJR西日本の小倉−博多間で「グランドひかり」を使い、最高速度230`で実施したブレーキ試験でも良い結果が出たという。
 JR総研によると、ブレーキの軽量化は高速走行だけでなく、振動や騒音を抑え、乗り心地の改善、レール保守費用の節約にもつながるという。同総研の辻村太郎・摩擦材料研究室長は「アルミ製ディスクブレーキは自動車でも実験されている。さらに実験を重ねて新幹線車両などで実用化を急ぎたい」と話している。(朝日新聞)
■橋げた落下 市などに賠償を要求 広島の3遺族提訴「監督義務怠る」
 昨年3月14日、広島市安佐南区の新交通システム工事現場で、重さ60dの橋げたが落下、県道で信号待ちしていた乗用車11台を押しつぶし、ドライバーや作業員ら15人が死亡した事故で、3人の遺族が3月11日、「橋げたが落ちる危険性が十分予測できたのに、必要な監督義務を怠っていた」などとして、工事発注者の広島市と元請け業者「サクラダ」(千葉市)、その下請け会社、国の4者を相手取り、総額3億9675万円の揖害賠償を求める訴訟を広島地裁に起こした。死者のうち12人の遺族はすでにサクラダとの示談が成立しており、訴訟は初めて。
 訴えを起こしたのは8人の遺族でつくる「被害者の会」会長で、長男を亡くした広島市安佐南区、建設業金谷修さん(54)ら3遺族。
 訴状によると、@市やサクラダは橋げたが構造上不安定で、落下の危険性が予測できていたのに監督義務を怠ったA落下防止のためのワイヤをかけるなどの安全措置をさせなかった−などとしている。国についても、この建設事業に補助金を支出していることから、賠償責任があるとした。
 橋げた落下事故で、広島県警は今年2月、サクラダの当時の橋りょう部長や現場監督、下請け作業員ら8人を業務上過失致死傷容疑で書類送検。広島地検は4月に橋りょう部長、現場監督ら4人を起訴した。しかし、広島市については「市に監督責任はあるが、事故防止義務は原則として業者側にある」(広島県警)として、免責している。この刑事処分を金谷さんたちは不服として、提訴に踏み切った。(朝日新聞 夕刊)