1992(平成4)年7月


1日■参院選に問う 京都の課題C 交通網の整備カギ(京都)
  ■本年度中に運賃値上げ 信楽鉄道(京都)
  ■新ターミナルビルが開業 千歳空港、JR乗り入れ(京都)
  ■スピード出ない 「のぞみ」また故障 新大阪発 京都で運転打ち切り(京都)
  ■山形新幹線が開業 「つばさ」上野と1日14往復(京都)
  ■「のぞみ」加速せず 約800人が乗り換え 京都で運転打ち切る(朝日)
  ■のぞみ故障 心臓部に問題か トラブル続きにショック(朝日)
  ■山形新幹線「つばさ」開業(朝日)
  ■大阪モノレール 2.6`新設を答申 運輸省(朝日)
2日■JR京都駅 高層化にゴーサイン 京都市長 年内に都計決定 特定街区を初適用(京都)
  ■”機能”アピールの玄関口 JR京都駅高層化青写真 経済界・歓迎 反対住民・疑問の声(京都)
  ■「のぞみ」故障 保護回路に異常 過去にもトラブル相次ぐ(京都)
  ■杭打ち機が電車に接触 JR奈良線、一時不通(京都)
  ■「特定街区」で高層化 JR京都駅改築で市が決定 94年完成は困難(朝日)
  ■京都駅ビル改築計画「特定街区」適用 「あくまで特例」京都市長強調 「1200年記念に不可欠」 都市計画決定「年内めどに」(朝日)
  ■のぞみ型新幹線故障 保護回路の誤作動か プログラム不適応の可能性(朝日)
  ■普通電車と掘削機 接触し一時不通に JR奈良線(朝日)
  ■つばさヒヤリ 米沢 踏切にトラック侵入(京都)
  ■山陽新幹線で送電止まる 広島県内、3本に遅れ(京都)
3日■「のぞみ」故障 プログラムの変更ミス 続発トラブル対応裏目(京都)
  ■踏切つき新幹線の恐怖 山形・あわや惨事 検知装置に盲点(京都)
  ■集積回路の設計にミス 「のぞみ」故障(朝日)
  ■”踏切”新幹線あわや衝突 山形(朝日)
  ■JR株売却 年度内は1社 処分審議会が答申案 発行済みの過半数 東日本念頭に 株主優遇策も検討(朝日)
  ■特定市区適用に抗議 共産京都市議団(京都)
  ■京都駅ビル改築など 共産市議団が抗議(朝日)
4日■社説 「特定街区」適用の京都駅改築(京都)
  ■バス専用レーン確保へ 不法駐車を一掃 6日に府警(京都)
  ■電車にはねられ死亡 近鉄向島駅で転落(京都)
  ■山形新幹線 トラブル続出 急停止、連結時にミスも(京都)
  ■中央新幹線巡りシンポ JR東海(京都)
  ■京の出店・増床 デパート激変予感 大量パート確保へ カギはファッションと独自性 前哨戦は車対策(京都)
  ■「やまびこ」の連結器動かず JR福島駅(朝日)
5日■「のぞみ」営業運行 一時中止申し入れ JR東海労組が会社側に(京都)
6日■信号ミスで5分間遅れ 「つばさ」またご難(朝日)
7日■泰緬鉄道の犠牲者慰霊 元通訳の永瀬さん タイの名誉県民に(京都)
  ■京日記(京都)
8日■浴衣姿で京情緒満喫 臨時列車の緩行客ら 舞妓さんらが花束(京都)
  ■「つばさ」の室温40度に(朝日)
  ■つばさまた急停車 山形 空気タンクの圧力低下(京都)
9日■回送電車脱線 新快速に影響 網干電車区(朝日)
  ■「次世代新幹線」WIN350 福岡で試験走行(朝日)
  ■ニュー新幹線 試験一時中止 JR西日本(朝日)
10日■信楽鉄道事故 遺族会が支援要請 滋賀県会対策委と懇談(京都)
11日■JR東日本年度内上場へ 来月中に最終判断 国鉄清算事業団報告(京都)
  ■JR京都駅改築 特定街区の適用 撤回を申し入れ 市民団体(朝日)
  ■JR東日本株 先行上場、来月にも決定 運輸省 売却は200万株か(朝日)
  ■新幹線ニセ切符出回る 金券ショップで換金 大阪(朝日)
  ■きょう復帰 「のぞみ」事故車両(朝日)
  ■また、新幹線偽切符99枚 大阪で見つかる(京都)
12日■新幹線偽造切符 さらに2店で200枚を換金(京都)
  ■91年度 赤字増ストップ 乗り合いバス会社(京都)
  ■新幹線の偽造切符 さらに200枚発見(朝日)
  ■古都の交通 あり方討議 チンチンバス シンポを開催(朝日)
  ■明るく、より国際的に 新大阪駅コンコース改装へ 白を基調、英文案内も(朝日)
13日■現場近くに慰霊碑 信楽事故 JRなど初めて表明(京都)
  ■日本海小旅行を満喫 チェルノブイリ披災児 初めての海に歓声(京都)
  ■つばさ連結器に故障 開業後初の単独運転(京都)
  ■信楽高原鉄道事故 現場近くに慰霊碑建立へ(朝日)
  ■つばさ今度は置いてきぼり 空気もれで遅れ(朝日)
  ■整備新幹線、着工順位見直し 北海道、北陸、九州ルート 来夏期限 早期実現へ陳情攻勢(京都)
  ■現代のことば 上海列車事故と遺族の思い 野田正彰(京都)
  ■アイルランド研修生 電車に飛び込み即死 近鉄の河内花園駅(朝日)
14日■社説 JR株の売却には慎重さを望む(京都)
  ■JR西日本 井出社長の辞任要求 西労、運動方針に明記(朝日)
  ■一部区間で先行工事 リニア山梨実験線 用地買収の遅れで(朝日)
15日■旧国鉄用地を都内で初落札(朝日)
  ■中国初の新幹線計画 JRも技術支援 運輸省と今秋調査団(京都)
  ■JR、手順書改ざん? 信楽高原鉄道列車事故遠因 「優先てこ改良検討」を削除 捜査本部に提出(朝日)
16日■難波−橋本間に新特急(朝日)
17日■新幹線ニセ切符 東京・横浜でも(朝日新聞
  ■「つばさ」よりも速い JR西日本「新特急」(朝日)
  ■新型「雷鳥」が完成 湖西線では時速160`(京都)
18日■京福にバイクが接触 中京、男性けが(京都)
19日■つばさ信号機故障(京都)
20日■JR西日本も社員持ち株会(京都)
  ■JR東海・西日本が方針 次世代車両を共同開発 「のぞみ」後に照準 東京−博多、通し運転(朝日)
  ■「WIN350」303`を達成(朝日)
  ■ポートライナー試運転列車がオーバーラン
22日■JR東日本 来年2月にも上場 200万株売却準備進める(京都)
  ■時速300`を突破 WIN350(京都)
  ■小倉山に土砂放置 住民らJR告発 古都保存法違反(京都)
  ■京阪の線路ま<らに 男性はねられ死亡(京都)
  ■JR株上場 時期や価格に難題 資産処分審議会答申 証券業界は慎重(朝日)
  ■住民、JR側を告発へ 小倉山残土問題 古都保存法違反で(朝日)
  ■お遍路さん札所へ直行 西日本最長2775b ロープウェーが開業 徳島・太龍寺(朝日)
  ■けいざい5分間(朝日)
23日■京阪死亡事故の身元判明(京都)
  ■陶器まつり控え 事故慰霊堂へ報告 信楽町、関係者ら13人(京都)
24日■新幹線立ち往生 六甲トンネルで1時間10分 相次ぎ3回停電 15000人影響(京都)
  ■のぞみ型 今度はブレーキ故障 新大阪駅回送中(京都)
  ■1社に絞り上場 JR株式 半数以上を売却へ(京都)
  ■10月入札、来年2月上場 JR東日本、日程固まる(朝日)
  ■つばさ 冷房故障で払い戻し 30度超す満員車両 3列車の1000人に(朝日)
  ■信楽高原鉄道に新車(朝日)
25日■トラブル続きで特別チーム設置 山形新幹線(京都)
  ■お盆のJR列車予約 新幹線はほぼ満席 大阪発の空は過去最高(京都)
  ■「京都障害者会議」メンバー阪急電鉄に改善を要求 車いすで自由に利用できる駅に エレベータ設置 段差解消など6項目(京都)
  ■チンチンバスを描こうよ 今日と2日 市内2ヵ所で写生大会 市交通局(京都)
  ■女子高生、暑さで? 線路に落ち重傷(京都)
  ■お盆期間のピーク JR12−16日の見通し(朝日)
26日■JR職場 禁煙を 慰謝料請求「健康害した」 社員が提訴(京都)
29日■信号系統追加鑑定へ 信楽鉄道事故捜査本部 28日から現地調査(朝日)
  ■北陸新幹線 高岡−金沢 計画ルート変更を決定(朝日)
27日■不当労働行為と認定 国労組合員 JR東日本の請求棄却 東京地裁判決(朝日)
28日■JR北海道 スーパー経営に進出 ダイエーと共同出資(京都)
  ■信楽高原鉄道事故で信号システム再検証 滋賀県警、きょうから(京都)
29日■信楽高原鉄道事故 信号再検証始まる 滋賀県警 捜査最終段階に(京都)
  ■小倉山の土砂放置 JR西日本を告発 古都保存法違反で住民ら(京都)
  ■小倉山残土巡り住民ら JR西日本を告発(朝日)
30日■JR山陰線 二条−花園間 円町に新駅設置 田辺市長表明 95年度末に完成(京都)
  ■搬出新たな環境破壊 小倉山の土砂 京都市長会見 早い結論を示唆(京都)
  ■事故調査検討会の委員変更申し入れ 信楽事故、遺族の会(京都)
31日■京都市バス利用者増えてます 値上げで心配したのに タクシー離れが進み?(京都)
  ■採用差別問題 中労委和解案 JR側も拒否(朝日)



1日■参院選に問う 京都の課題C 交通網の整備カギ
 「京都縦貫幹線鉄道の高速化は、本年末の予算編成が大きなヤマ場。京都府の意気込みを示し、国の援助を取り付けたい」。先月26日、1993年度の政府予算に対する府の要望を発表した倉林公夫企画推進局長は、こう力を込めた。
 府が高速交通網の整備に全力を挙げる背景には、丹後リゾートと関西文化学術研究都市の二大プロジェクトの推進がある。
 府北部活性化の目玉である丹後リゾートは、バブル経済崩壊で民間活力の導入が足踏み。地域の基盤整備が望まれており、現地へのアクセス確保が急務だ。一方、文化首都の一翼を担う府南部の朋西文化学術研究都市も平成6年秋に街開きを予定。国際高等研究所など中核施設の建設も急ピッチ。交通網整備の重要性が高まる。
 この南北ビッグプロジェクトを軌道に乗や第四次府総合開発計画で示された南北格差の解消と府域の均衝ある発展を図るには、京都市を中心に北部と南部を一直線で結ぶ大動脈の整備が不可欠。この中核となるのが京都縦貫幹線鉄道と京都縦貫自動車道だ。これまで府域の鉄道網整備は遅れていた。府内JR線の電化率は昭和53年、わずか6.9%(全国平均37.7%)だったが、平成3年には58.3%と、全国平均(52.9%)を上回るまでに進んだ。
 だが、山陰線の場合、非電化区間をかかえるうえ、カーブなど複雑な線形、駅の離合施設の不備がネックとなり、スピードアップが難しく、京都から天橋立まで2時間11分もかかる。
 これを最高速度130`、1時間半で結ぶのが京都縦貫幹線鉄道構想だ。それには未電化の園部−福知山間(54.3`)の電化が絶対条件。工事費は約100億円と見られ、資金確保が大きな問題となっている。府は今春、総額50億円にのぼる独自の整備基金を創設し、財政基盤を整えた。そのうえで来年度政府予算で、整備・ミニ新幹線や主要幹線鉄道の整備に補助、貸し付けを行う国の「鉄道整備基金」導入に大きな期待をかけている。
 構想実現に向け、沿線市町も動きだした。本年度「1億円の「鉄道網整備基金」を創設した福知山市の中村稔市長は「福知山には21万平方bの電車基地がある。これをフルに活用し府北部の活性化を図るには、園部までの電化では意味をなさない」と強調する。
 一方、京都縦貫自動車道(宮津−京都間100`)は、京奈道路と接続して府域を縦断する背骨。しかし、丹波−綾部間(30`)は、基本計画路線に格上げされたばかり。第二外環状道路(久御山町−京都市西京区15.7`)は、地元では自然・住環境保全問題で、建設反対運動が続いている。
 「長岡京市第二外環状道路問題を考える会」の中井玲子さんは「行政の対応のまずさが、不信感を招いている。環境アセスメントについて納得いく説明がない。アセスの内容と都市計画審議会を公開すべきだ」と、行政への不信は強い。
 府内では、このほか21世紀に向けて、中部や木津川右岸地域などの広域プロジェクト、関西国際空港につながる第二京阪道路や京都市内を走る京都高速道路など面と線の課題が山積している。(京都新聞)
■本年度中に運賃値上げ 信楽鉄道
 信楽高原鉄道=信楽町長野、北川啓一社長=の第6回定時株主総会が30日、信楽町開発センターで開かれ、平成3年度の収支決算など2議案を承認した。また、経営を安定させるため、本年度中に運賃を値上げする方針を明らかにした。
 総会には、信楽町長をはじめ、役員合わせ約20人が出席。列車事故の犠牲者に黙とうをささげたあと、議案の審議に入った。(京都新聞)
■新ターミナルビルが開業 千歳空港、JR乗り入れ
 北海道・千歳空港の新しいタ−ミナルビルが完成し、地下に乗り入れたJR新線とともに1日早朝開業、同空港は「スムーズな旅客の流れ」をうたう代表的地方空港に一新された。
 新ターミナルビルは地上4階(ホテル部分一部5階)、地下1階で、延べ床面積約15万平方b。旧ビルの約3倍の広さで、北海道最大の建物となった。
 JR線は地下2階部分に直接乗り入れており、札幌との所要時間36分、15分間隔の自慢のアクセスシステムがスタートした。これまでの千歳空港駅は南千歳駅と改名。
 2.6`離れた旧ビルからの引っ越しは、6月30日の最終便到着後、午後10時すぎから作業員2000人、4dトラック200台を投入して行われた。引っ越し後、急いで清掃が行われ、午前5時すぎには新ターミナルビルの業務が開始。午前8時前には、釧路、函館行きの1番機が飛び立った。(京都新聞 夕刊)
■スピード出ない 「のぞみ」また故障 新大阪発 京都で運転打ち切り
 1日午前6時20分ごろ、東海道新幹線新大阪−京都駅間で新大阪発東京行きのぞみ302号(16両編成)にスピードが上がらなくなる電気系統の故障があり、京都駅で運転を打ち切った。
 JR東海は乗客約800人を後続のひかり202号に振り替え、原因を調べているが、自動車のアクセルに当たる「ノッチ」を上げても、営業運転で270`まで出す速度が150`程度までしか出なくなったという。
 同列車は午前6時12分新大阪駅発で、京都駅には約5分遅れの同31分に到着。この影響で後続の上り2本が最高10分遅れ、計2600人に影響が出た。
 JR東海によると、パンクグラフから取り入れた電流の電圧や周波数などを調整する「主変換装置」の故障らしい。同装置は16両のうち、モーターのある10両の中央部床下に設置されているが、運転席に10台全部が故障したとする表示が出た。車両を大阪府摂津市の大阪第一車両所(鳥飼基地)に回送して調べている。
 この車両は日本車輌製造(本社名古屋市)製で、6月23日にも1号車のブレーキ出力制御装置に水が入り、新大阪駅で回送の際に緊急ブレーキが解除できなくなる故障を起こしたばかり。
 「のぞみ」型車両は今年3月の営業運転開始以来、5月6日に愛知県内でモーターの取り付け部分のボルトが脱落して約5時間立ち往生するなど、故障が相次いでいる。
・相次ぐ事故 揺らぐ信頼
 東京−新大阪間2時間半、時速270`運転−と鳴り物入りで3月にデビューしてからトラブルが続いている東海道新幹線「のぞみ」型車両(300系)がまた故障した。事故の原因は架線から取り入れた電気の電圧や周波数を変えてモーターの回転数を制御する主変換装置のトラブル。JR東海は「今回も設計ミスのような根幹にかかわる故障ではない」と説明しているが、大きく揺らいだ”エース”への信頼に渋い表情だ。
 「のぞみ」型はヂビュー直後の3月20日、岐阜県内で突然加速できなくなり急停止する事故があり、このときは制御プログラムの入力ミスによる主変換装置のトラブルが原因だった。
 5月6日には愛知県内でモーターの取り付け部分のボルトが脱落し約5時間立ち往生する最大級の事故が発生。事故後の点検でボルトの脱落や緩みが次々と発見された。モーターの塗装に原因という調査結果で一応決着したが、6月23日にも今回事故を起こした同じ車両で点検用のふたの閉め忘れからブレーキ出力制御装置に水が入る車両故障や、同25日に車内販売員の非常ドアコック操作ミスで緊急停止する事故なぢ基本作業を忘れたための事故も続いた。(京都新聞 夕刊)
■山形新幹線が開業 「つばさ」上野と1日14往復
 軌道幅は新幹線と同じで、車体の大きさは在来線車両並みというミニ新幹線「山形新幹線」が全国に先駆けて1日、開業した。
 専用列車「つばさ」は、東京、上野−山形間を1時間にほぼ1本の1日14往復運転。乗り換えの必要がなくなった上、最も早い列車は東京−山形聞(約360`)を2時間27分と、東北新幹線と在来線特急を乗り継いでいたこれまでの方法に比べ42分スピードアップした。
 東京駅発の一番列車は午前6時32分発つばさ111号、山形駅発の一番列車は同6時21分発つばさ112号。東京、山形両駅では、運輸省幹部、山下勇JR東日本会長、住田正二同社社長らが出席して出発式が行われた。
 「つばさ」は6両編成で、東京−福島まで273`)は原則として東北新幹線「やまびこ」と連結、最高時速240`で走るが、福島−山形間(正式線名は奥羽線、87`)は同時速130`(従来は95`)で単独走行する。福島駅で車両の連結、分離作業をする。途中停車駅は上野、大宮、宇都宮、郡山、福島、米沢、高畠、赤湯、かみのやま温泉の9駅。
 ミニ新幹線は、既存の鉄道の線路幅を1067_の狭軌から標準軌の1435_に広げるだけで済むため、建設費が正規の新幹線の約10分の1と安いのが特徴。山形新幹線の場合、山形−福島間の線路拡幅工事などで約384億円かかった。(京都新聞 夕刊)
■「のぞみ」加速せず 約800人が乗り換え 京都で運転打ち切る
 1日午前6時17分ごろ、東海道新幹線の新大阪駅を午前6時12分に出発したばかりの東京行き「のぞみ302号」が、約3`走ったところで、モーターの回転をコントロールしている主変換装置の故障を示す表示ランプがつき、速度が150`までしか上がらなくなった。このため、「のぞみ」は京都駅に5分遅れの午前6時31分に到着、そのまま運転を打ち切った。のぞみ型車両は今年3月に導入されて以来、ボルトがはずれて立ち往生するなどの故障が続いているが、「のぞみ」が運休したのは初めて。
 「のぞみ」の乗客約800人は、後続の「ひかり202号」などに乗り換えて、東京方面に向かった。この故障で、後続の上り2本に約10分の遅れが出て、約2600人に影響がでた。
 JR東海は、午前7時ごろ、故障した車両を、大阪府摂津市の大阪第一車両所に回送して、原因を調べている。
 JRによると、主変換装置は、1編成(16両)に数両置きに計10台付いていて、今回は、このすべてに故障が発生した表示が出た。主変換装置は、架線から取り入れた電気の電圧や周波数を変化させて、モーターの回転をコントロールする装置。ひかりなどに使われている従来の100系車両は、直流モーターを使っているためこの装置はなく、のぞみ型(300系)車両で交流モーターを導入したため、新しく取り付けられた。
 JR東海では、交流モーターは直流モーターに比べ、駆動力が高いうえ、小型、軽量化ができるので、高速化に役立つとしてきた。
 「のぞみ」は最高速度270`を売り物に、3月から、新大阪−東京間で早朝と深夜に各2本を運行している。(朝日新聞 夕刊)
■のぞみ故障 心臓部に問題か トラブル続きにショック
 新幹線の新型車両「のぞみ」が1日、また故障を起こした。心臓部と言われる主変換装置の故障と見られる。JR東海側は「運転の安全性に問題はない」としているものの、今年3月の営業開始以来続くトラブルにショックを隠しきれない。
 JR東海などによると、「のぞみ」型車両はまず、営業運転開始直後の3月20日、新大阪発東京行き「のぞみ304号」がモーターの電気系統の故障で急停止。その後、5月6日には「ひかり238号」(のぞみ型)が、モーター部分のボルトが外れて緊急停止し、約4時間にわたって立ち往生した。6月23日には新大阪駅で回送しようとした車両の床下のブレーキ制御装置に水が入り、緊急ブレーキが解除できなくなるトラブルが起きている。
 JR東海の話では、主変換装置のトラブルも多く、4編成ある「のぞみ」車両全体で6月10日までに36件のトラブルが起きている。このうち、今回故障を起こした「302号」で使われた日本車両製の1編成が24件を占めている。16件は保護回路の作動ですぐに回復したが、8件は電子部品の故障で取り換える措置が必要だった。
 同社によると、何らかの原因で過電流がかかり、異常が起きることが多いらしい。異常があった場合、電流の供給が止まる仕組みになっており、運転そのものの安全には問題はない、という。同社は「特定の車両にトラブルが確かに多い。電気系統の故障は様々な条件が重なって起きることがあり、原因がはっきりするまで時間がかかる」と話している。
 「のぞみ」は東京−新大阪間を2時間半で結ぶビジネス列車で、この日、故障した「のぞみ」に乗っていたのも大半はビジネスマン。京都駅に到着すると、慌ただしく隣のホームの「ひかり」に乗り換えていた。同駅では駅員がホームに出て「運転を取りやめますから」と乗客を誘導、車内放送でも経緯を説明していたため、大きな混乱はなかったという。
 しかし、乗客のほとんどが乗り移ったひかりは、座席数が足りず、立ったまま東京へ向かう客も見られた。(朝日新聞 夕刊)
■山形新幹線「つばさ」開業
 東京と山形を日本初のミニ新幹線で結ぶ山形新幹線(359.9`)が1日、開業した。「つばさ」が、福島を中継点に東北新幹線と奥羽線を1日14往復する。乗り換えがなくなったことと奥羽線区間のスピードアップにより、所要時間は約40分短縮されて2時間27分に。秋田−盛岡(田沢湖線)、青森−盛岡(東北線)もミニ方式で建設が進んでおり、東北は新たな新幹線時代を迎えた。(朝日新聞 夕刊)
■大阪モノレール 2.6`新設を答申 運輸省
 運輸審議会は30日、大阪高速鉄道が運輸事業特許を申請していた、大阪モノレールの万博記念公園駅−万博公園東口駅(仮称)−大阪大学病院前駅(仮称)を結ぶ2.6`の新設を認めるよう答申した。近く、運輸、建設両大臣の特許が出る見込み。1997年4月に開業の予定。(朝日新聞 夕刊)
2日■JR京都駅 高層化にゴーサイン 京都市長 年内に都計決定 特定街区を初適用
 京都市の田辺朋之市長は1日の定例記者会見で、JR京都駅ビルの高層改築には、都市計画法の「特定街区」制度を適用して、高さ規制を60bに緩和することを明らかにした。駅南口(八条口)広場も含めた駅周辺整備も行う。これで設計コンペで選ばれた高さ59.8bの改築案の建設が可能となり、年内に都市計画決定、2年後の1994年完成へ向けて市も努力するとしている。
 田辺市長は、高さ緩和の手法として「特定街区」を適用したことについて「市全体の土地利用や計画内容を総合的に評価した結果、都市計画上、明確な位置づけができる方法」と説明した。その上で「建都1200年記念の中核事業と位置づけており、京都発展にふさわしいモニュメントとして、内外の人に愛される京都駅ができる」と期待を込めた。
 特定街区の適用は京都市では初めてで、対象地域は、駅用地と東隣の国鉄清算事業団用地、民間のルネサンスビル用地の計4.1f高さは60b、45b、31b(現行)の3段階にする。
 駅周辺整備事業として▽駅北口広場の再整備▽土地区画整理事業による都市計画道路建設と駅西側市街地の整備▽歩行者用南北通路の建設▽南北道路計画の検討▽駅南口広場再整備−する方針。
 市の都市計画決定は今年10月を予定、府審議会にも年内に諮る考えで、駅本体の着工は来春になる見込み。完成は、当初予定の94年秋以降にずれ込む可能性もある。
・国際駅で京に貢献
 伊藤博・京都駅ビル開発会社社長の話 国際文化観光都市の玄関口にふさわしい国際駅に改築し京都市のまちづくりに貢献したい。可能な限り建都1200年の期日に間に合わせたい。(京都新聞)
■”機能”アピールの玄関口 JR京都駅高層化青写真 経済界・歓迎 反対住民・疑問の声
 京都市は1日、JR京都駅ビルの高層改築に、都市計画法の「特定街区」制度を適用することにし、60b駅にゴーサインを出した。同時に駅周辺整備の方針も示し、京都市の玄関口としての機能アップをアピールした。しかし経済界がこの決定を歓迎する一方で、住民団体は「歴史景観を破壊する」との抗議声明を出した。こうした市民の声を内包しながら京都市は今後、都市計画決定に向けて手続きを進める。
 京都市は当初、京都駅の高さ規制を緩和する手法の決定を、今年3月末前後にすると説明していた。それが3ヵ月延びたのは「駅周辺整備と一体にするため、関係機関との調整に時間がかかった」(佐藤達三京都市助役)ため。土地区画整理事業を並行して進めるため、建設省やJR、国鉄清算事業団と協議した結果、このほど了解が取れたことで最終決定をした。
 この協議の中心が、この日示した駅周辺整備。駅西側市街地の整備を図るために、都市計画道路(延長350b)やコミュニティー道路を新設するほか、北口広場を整備してターミナル機能を充実。さらに駅の南北を自由に通行できる通路、南北自動車道路の検討や、南口(八条口)広場の再整備も計画するなど、京都の玄関口機能の大幅アップを打ち出している。
 無論、経済界は「京都の活性化につながる」と、今回の特定街区の適用と周辺整備を歓迎。塚本幸一京都商議所会頭はこの日、「世界に開かれた文化都市として発展するためには、京都駅改築と駅南北地域の一体化が不可欠。誠に喜ばしい」との談話を発表した。
 一方、「京都ホテルとJR京都駅の高層化に反対する市民連合」など住民4団体は「1200年の歴史にはぐくまれた京都の景観を乱暴に破壊するもので、人類の重要な文化遺産の保全を願う世論への挑戦」との航議声明を出し、今後、都市計画決定に際し、大量の反対意見書を出すなど対抗措置を取ることを明らかにした。京都仏教会の有馬頼底理事長も「財界にのみ利するような高層化への道を開くことは、市民の合意を無視した暴挙」とのコメントを発表した。
 田辺朋之市長は、この日の会見で、特定街区の導入によって高層化が他へ波及するのではとの懸念に対して「今回はあくまでも特例」と強調、他地域へ適用する考えのないことを明言した。
 京都駅の高層化については、設計コンペが先行し、それに合わせて高さ規制を緩和するようなやり方や百貨店、ホテルが入る民間商業施設に便宜を図ることを疑問視する意見は依然ある。
 京都市は、国鉄清算事業団の資産処分審議会で、事業団用地の特定街区への組み入れや土地区画整理事業への用地供出が正式に決まってから、10月の市都市計画審議会にかける。そのあと府審議会にかかることになる。(京都新聞)
■「のぞみ」故障 保護回路に異常 過去にもトラブル相次ぐ
 1日朝、東海道新幹線でのぞみ302号が、新大阪駅を出発して間もなく速度が上がらなくなった電気系統の故障で、モーターを制御する「主変換装置」に過電流が流れた場合に作動する保護回路が、自動車のアクセルに当たる「ノッチ」を速度レベル「5」にした時点で繰り返し作動、このため速度が150`以上にならなかったことが同日、JR東海の調べで分かった。
 同装置は「のぞみ」型用に新しく開発されたが、3月14日の営業運転開始以来、過電流などによる故障が相次いでおり、同社は装置を製造したメーカーの担当者も加え、原因の特定を急いでいる。
 JR東海によると、この日、新大阪駅を出発して間もなく同回路が働いたため、運転士はノッチを「0」にした後、リセットボタンで回路を切り離した。しかし、再びノッチを「5」にしたところで回路が作動。このためノッチ操作と解除を数回繰り返したが、結局、速度は150`以上に達せず、京都駅で運転を打ち切った。
 JR東海によると、保護回路が働くなどのトラブルが3月14日の営業運転開始から6月10日までのほぼ3ヵ月間に、この車両で24回、ほかの3編成で計12回の合計36回あった、という。(京都新聞)
■杭打ち機が電車に接触 JR奈良線、一時不通
 1日午後9時55分ごろ、宇治市六地蔵町並、JR奈良線木幡−桃山間の新駅(仮称・六地蔵駅)建設工事現場で、留置してあった杭(くい)打ち機のアーム部分(長さ約10b)が線路側に傾き、奈良発京都行き普通電車(4両編成、乗客約70人)に接触した。電車は先頭車両の乗務員用乗降口のステップの一部が曲がったが運行に支障はなく、現場で12分止まったあと発車した。
 このあと、さらにアームが傾いたため、JR奈良線は桃山−宇治間が不通になり上下4本が運休、京都−桃山、宇治−奈良間で折り返し運転した。アームを取り除いて約2時間後に復旧したが、後続の8本が最高20分遅れ、450人に影響が出た。(京都新聞)
■「特定街区」で高層化 JR京都駅改築で市が決定 94年完成は困難
 平安建都1200年(1994年)記念事業の一環として進められ、景観論争を巻き起こしているJR京都駅ビルの改築高層化計画で、市内初の特定街区制度による高さ規制の緩和を検討してきた京都市は1日、同制度を適用することを正式に発表した。しかし、高層化に反対してきた市民団体は強く反発している。都市計画決定などの一連の行政手続きや仮駅舎の建設なども残っており、94年秋完成の当初スケジュールは大幅な遅れが避けられない見通しだ。
 京都駅ビルの改築計画は昨年5月、JR西日本や市、京都府などが出資する「京都駅ビル開発会社」が駅周辺の高さ規制(31b)の枠を外して国際コンペを実施。原広司・東大教授の高さ59.8bの作品が選ばれた。
 市の駅周辺整備計画によると、特定街区は駅ビルを中心にした4.1f。高さ規制は新駅ビル部分(3.8f)のみ60bに変更。街区内の国鉄清算事業団所有地も、緑地空間の確保を条件に45bに緩和するが、民間の「ルネサンスビル」は現行にとどめる。容積率は現行通り。
 また、特定街区制度適用のため、都市計画道路設置や駅周辺の整備も目指す。駅舎と駅北口広場をはじめ、同事業団やJR西日本所有地などを含む駅西側の計約9fで、市施行で土地区画整理事業を実施する。
 改築計画では当初、今年春までに仮駅舎の建設に着手し、秋には駅本体の建設工事に取りかかる予定だった。しかし、特定街区や区画整理事業の範囲などをめぐって、市と地権者の同事業団、JRとの協議が難航。都市計画決定は早くても年末になるという。駅ビルの工期は仮駅舎の建設を含めて最低でも28ヵ月。市民団体は都市計画審議会に対し、大量の反対意見書を提出し、審議を遅らせる構えを示しており、場合によっては開業時期が95年度以降にずれ込む可能性も高まっている。
・特定街区 市街地再開発手法のひとつ。一定幅以上の道路に囲まれた街区で、公共空間を整備しながら開発する場合、容積率や高さなどを新しく決めることができる制度。大都市でのビルの大規模化、高層化に対応して、1961年の建薬基準法改正で取り入れられた。超高層ビルの草分けとなった東京の霞が開ビルも同制度を適用して建設された。(朝日新聞)
■京都駅ビル改築計画「特定街区」適用 「あくまで特例」京都市長強調 「1200年記念に不可欠」 都市計画決定「年内めどに」
 京都市は1日、JR京都駅ビルの改築計画で市内初の特定街区の適用を打ち出した。田辺市長は記者会見で「あくまでも特例」として、他に波及させる考えのないことを強調した。開業時期の大幅な遅れが予想されることについては「関係者が真剣に努力しており、それにこたえたい」と述べるにとどまった。主なやりとりは次の通り。
 −特定街区を適用することに決めた理由は。
 「高度地区の変更や市長判断による特例など、手法はいくつかあった。しかし、市全体の土地利用のあり方や都市機能を十分考慮して、都市計画上一番はっきりする特定街区が望ましいと判断した」
 −60bの高層化をどう見るか。
 「駅ビルは交通、商業、文化、情報発信といった面での重要拠点であり、建都1200年記念事業に欠かせない。国際コンペの最優秀作品に選ばれたデザインを含め、発展する京都市にふさわしいモニュメンタルなランドマークとして市民、内外の人に愛されるものになると思う」
 −駅以南の開発との関係は。
 「特定街区はあくまで特例。今後地域の特性を考慮しながら、それぞれにふさわしい高さを指導していきたい。駅周辺が同じように60bになっていくとは考えていない」
 −当初昨年度中を予定していた駅の開発手法の決定が大幅にずれこんだ理由は何か。
 「駅本体だけでなく、周辺の整備など整理する努力が必要だった。関係機関も非常に多く、時間がかかった」
 −94年秋の完成は無理ではないか。建都1200年に間に合うか。
 「少し遅れたので、どうかなと思っているが、関係者が熱い思いで真剣に努力している。それにこたえたい」
 「できるだけ早く着工できる手順をやっていく。年内をめどに都市計画決定できるよえ精力的に努力したい」
 −特定の建物のために都市計画決定を変更することには批判もあるが。
 「意見の分かれるところだ。目的を持った都市計画で建物を建てるということもあるが、国際コンペでやる場合はどんなものが出るか予測がつかない。今回は状況の変化に対応してやろうということだった。同じような都市計画の変更は数多く行われていると聞いている」
 −市内初の特定街区になるが、今後、他でも適用する考えがあるか。
 「特定街区はめったにあるもんじゃないと思っている」
・賛否まじる各界
・堆進に協力したい 塚本幸一・京都商工会議所会頭
 21世紀に向け、京都が世界に開かれた文化首都として発展するためには、京都駅の改築と、駅南北地域の一体化が不可欠だ。特定街区制度の適用により駅ビル改築計画が着工に向けて大きく前進したことは喜ばしい。国際交流の拠点として内外に誇れる駅施設が建設されるよう期待しており、建都1200年の完成を目指し、その推進に協力していきたい。
・市の発表喜ばしい 永田夏薙・京都駅前商業地区連絡協議会代表幹事
 駅前地区の商業振興の面からも計画が遅れるのは困るので、市の発表は喜ばしい。ただ、駅ビルだけのワンポイントに限るのでなく、地域全体が浮揚するための策も必要だ。周辺の容積率のアップを望みたい。また、南北自由通路にしても、単に駅の南北出口をつなぐだけでなく、南北のまちとまちを結ぶようなものにして欲しい。
・合意無視した暴挙 有馬頼底・京都仏教会理事長
 当会は駅ビル高層化改築計画に反対の意思を表明してきた。京都市が一百貨店、一ホテルのために高さ規制を外し、財界にのみ利するような高層化への道を開くのは、市民の合意を無視した暴挙だ。市が駅ビル改築を建都1200年記念事業と位置づけるならは、京都の表玄関にふさわしいものでなけれはならないはず。行政の姿勢を糾弾していく。
・この時期に残念だ 山崎浩一・京都弁護士会歴史都市部会長
 都市計画は景観、人口動態、産業構造などを検討し、将来を予測しながら決めるもの。いわは町づくりの理念で、全国でも少ない高さ制限もその一部。それを特定のビルを建てるために変更するのは本末転倒だ。町づくり審議会の答申が出て、さぁ、これから京都の町を考えていこうという時だけに残念だ。
・4団体が抗議声明
 京都市がJR京都駅ビル改重高層化計画で特定街区の適用に踏み切ったことについて、「京都ホテルとJR京都駅の高層化に反対する市民連合」(のっぼビル反対市民連合)など4つの市民団体は「京都破壊の決定打にお墨つきを与える暴挙」と、抗議声明を発表した。
 声明では、「駅ビルの駅舎部分は床面積の5%にも満たず、建て替えに名を借りた巨大商業ビルの建設」と指摘。特定街区は「新宿副都心の超高層ビルのために採用されたもので、歴史都市京都の都市計画として全く相入れない」と非難している。市民連合の西山夘三代表は「応仁の乱以来の町壊しを市長の名で実行するものだ」と強い調子で批判している。今後、都市計画審議会に10万人以上の規模で反対意見書を提出する運動を繰り広げ、改築計画をストップさせたいと話している。(朝日新聞)
■のぞみ型新幹線故障 保護回路の誤作動か プログラム不適応の可能性
 東海道新幹線で、「のぞみ302号」が運転を打ち切った事故は、1日までのJR東海の調べで、主変換装置の保護回路を動かすプログラムが不適応だった可能性も出てきた。
 同社によると、保護回路は同装置に異常な電流が流れるのを防ぐもので、家庭電気のブレーカーの役割と似ている。保護回路を動かすプログラムが厳しく設定されている場合は、電流に過剰反応する。その結果、同装置の機能が失われ、一定以上の速度が出せなくなることもある。
 このため同社は運転を打ち切った「のぞみ302号」の保護回路についてプログラムの記録を引き出して解析している。また、主変換装置系の故障が相次いでいたため、この車両は近く、このプログラムをチェックする予定だったという。(朝日新聞)
■普通電車と掘削機 接触し一時不通に JR奈良線
 1日午後9時55分ごろ、京都府宇治市六地蔵町並、JR京良線の六地蔵新駅工事現場付近で、線路わきの建設用掘削機が線路側に傾き、奈良発京都行き普通電車と接触した。電車は現場で約10分停車したが、そのあと自力走行し、14分遅れて京都駅に到着した。この事故で奈良線は桃山−宇治駅間が不通となったが、2日午前零時前復旧した。(朝日新聞)
■つばさヒヤリ 米沢 踏切にトラック侵入
 2日午前8時54分ごろ、山形県米沢市上新田の山形新幹線米沢−高富間の西屋敷踏切で、トラックが遮断機を破損して侵入したのを、上りつばさ114号の運転士が発見、同列車は手前で停止した。
 トラックはそのまま走り去ったため、列車は3分後に発車し米沢駅に約5分遅れて到着、後続列車には影響はなかった。(京都新聞 夕刊)
■山陽新幹線で送電止まる 広島県内、3本に遅れ
 2日午前8時45分ごろ、広島県の山陽新幹線福山−東広島間で送電が止まり、走行中の博多発新大阪行きひかり132号など上下3本が同区間で停車した。
 JR西日本が再送電したところ異常がなかったため、間もなく運転を再開。この3本は17−7分遅れ、乗客約1000人に影響した。三原新幹線電力区が原因を調べている。(京都新聞 夕刊)
3日■「のぞみ」故障 プログラムの変更ミス 続発トラブル対応裏目
 東海道新幹線のぞみ302号が1日、電気系統の故障で運転を打ち切った事故で、JR東海は2日午後、「モーターの回転数などを制御する主変換装置の保護回路のコンピュータープログラムを一部変更した部分にミスがあった」との調査結果を発表した。
 JR東海はミスを事前に点検できなかった点を重視、車両メーカーとともにチェック態勢を見直す。
 主変換装置は「のぞみ」型車両用に新しく開発されたが、同装置に過剰な電流が流れた場合に作動する保護回路が繰り返し働くトラブルが3月14日の営業開始以来、6月30日までに 107回も超きた。このうち今回故障した車両編成が68回と最も多発した。
 保護回路が作動しても通常の場合、リセットボタンを押すと走行可能になるが、運転台の故障表示ランプが、実際の機器故障と同じようについてしまう。このため、同社は車両メーカーに俵頼し、6月30日に保護回路だけ作動の場合には故障表示がつかないようプログラムを変更した。しかし、その変更プログラムに入カミスがあり、全車一斉に主変換装置が故障、加速できなくなったという。(京都新聞)
■踏切つき新幹線の恐怖 山形・あわや惨事 検知装置に盲点
 山形新幹線開業2日目の2日朝、山形県米沢市の山形新幹線米沢−高畠間の西屋敷踏切で、上りつばさ114号の運転士が横断中のトラックを発見、列車を急停止させたことは、福島−山形間(約87`)を在来線の線路幅を広げたミニ新幹線方式で走る同新幹線の踏切安全対策に不安を抱かせている。
 同区間には在来線当時から残る計80ヵ所の踏切がある。そのうち乗用車が通行できる68ヵ所すべてに、車の立ち往生を列車に知らせる「大型支障物検知装置」が設置されている。
 しかし車が4秒以上停止しないと作動しないため今回のように車が無理に横断した場合は役に立たない。
 この装置は、踏切内の線路の下に埋めたコイルの磁界変化で、車などの金属体が停止したことを探知。踏切の手前にある特殊信号発光機が赤く点滅し、踏切直前で列車が急停止できるように、約600b前で運転士に異常を知らせる。
 響報機は列車通過約30秒前から鳴り始め、遮断機が完全に下り切るまで約15秒。この間に無理に踏切を通過しようとする車には全く無防備となっている。(京都新聞)
■集積回路の設計にミス 「のぞみ」故障
 東海道新幹線の「のぞみ302号」が加速できなくなり京都駅で運転を打ち切った故障で、JR東海は2日、モーターの電気回路を制御する集積回路のプログラムの一部が間違っていたのが原因と発表した。集積回路は、故障前日の6月30日に交換したはかりで」メーカー側の設計ミスという。「のぞみ」では、モーターのボルトが落ちるなど、人為的ミスが相次いだが、今回もチェック態勢の不備などが故障につながった。
 ミスは、パンタグラフから取り入れた電気の電圧や周波数を変化させて、モーターの回転数を制御する主変換装置の中にある集積回路。過剰電流が流れた場合、家庭電気のブレーカーのように、電気回路を切ってしまう「保護回路」の働きをするる。
 故障した車両の保護回路は敏感で、6月未までに78回作動したうち、68回は一時的なもので安全に支障のないものだった。これを改善するためプログラムを変更しようと、5月中旬に、主変換装置を作っている東芝(本社・東京都港区)に注文。6月30日に、大阪第一車両所で、メーカーの担当者らが取り付けた。車両所内で時速30`で試運転をし、異常がなかったため、1日早朝、「のぞみ302号」として走らせた。ところが交換したプログラムにミスがあったため、150`以上の速度が出なくなったらしい。(朝日新聞)
■”踏切”新幹線あわや衝突 山形
 2日午前8時54分ごろ、山形新幹線上り「つばさ114号」の運転士が、山形県米沢市上新田の西屋敷踏切を横断するトラックを約300b手前で見つけ、非常ブレーキをかけ、先頭車両が踏切内に入った状態で止まった。JR東日本によると、「つばさ」は時速120−128`で走行中だった。現場に3分間停車し、福島駅で4分遅れで東北新幹線と連結、東京駅に3分遅れで着いた。約700人が影響を受けた。(朝日新聞)
■JR株売却 年度内は1社 処分審議会が答申案 発行済みの過半数 東日本念頭に 株主優遇策も検討
 日本国有鉄道清算事業団(石月昭二理事長)の諮問を受けて、JR各社の株式売却方法を審議していた資産処分審議会・株式等処分部会(山口真弘部会長)の答申案の骨子が2日、明らかになった。@92年度は(株式上場を目指すJR東日本、同東海、同西日本の3社のうち)1社だけを売却・上場するA売却株数は発行済み株式の過半数とするBJRは無料乗車券の配布など株主優遇策を検討するC海外での売却も検討する−というのが主な内容。
 10日に予定されている株式等処分部会で最終的な了承を得て、21日の資産処分審議会で正式決定する。
JR株式売却答申案の骨子
▼92年度は(東日本、東海、西日本のうち)一社を売却・上場
▼売却株数は発行済み株数の過半数
▼(売り出し価格を決める)一般競争入札の申し込み株数は多くの投資家が参加しやすい水準
▼購入株数は無制限。必要があれは抽選
▼海外での売却も検討
▼JRは無料乗車券など株主優遇策を検討
▼株式の一部をJRの社員持ち株会に割り当てる
 諮問はJR株(額面5万円)売却に伴う技術的な面の検討だったため、答申では売却対象会社を特定せずに「1社」とぼかしているが、実際は「東京に本社があり、事業規模も一番大きい東日本を念頭に置いている」(清算事業団幹部)。答申を受けて、運輸省、清算事業団は大蔵省などと協議して、「可及的速やかに」(同)東京証券取引所第一部への上場申請に踏み切りたい考えだ。
 ただ、証券関係者の間では、JRの上場は「市場活性化の起爆剤となる」との強気の意見も一部にあるものの、依然、「冷え切った今の証券市場では消化できない」との見方が大勢だ。株式市場の低迷で中断していた新規上場が8月以降に再開されるが、不二サッシ(東証第2部)などの新規公開株の消化状況などをにらみながら、上場するかどうかを最終決断する。
 売却対象を1社としたのは、市場の関心を集中させたほうが売却しやすいのに加え、価格の異なるJR株が出回り、投資家の混乱を招く事態が避けられる、との考え。また、売却株数が少なく大量の放出予定の株が後に控えていると、NTT株のように、株価を押し下げる原因ともなるからだ。
 海外での売却は、国内市場の消化を助ける狙いのほか、JRの株価が国際的にも通用する水準であることをアピールして、国内の投資家を引き付ける効果も期待している。
 JR株の売却方法は、NTT同様、売り出し株式の一部を競争入札にかけて価格を決定し、残りの株を証券会社を通じて販売することが決まっている。NTTの第一次売り出しでは申し込みの最低株数を百株としたが、「結果的に個人投資家を排除し、代わりに投機筋が入り込んで価格が高く設定された」(大手証券会社)現象が起こった。答申では、申し込み株数を小口の投資家も参加できるような水準にすることと、NTTでは全体の1割だった入札株数の割合を拡大し、入札価格が異常な高値にならないよう求めている。
 入札後の売り出しについても、多くの投資家を引き付けるため、NTTの時のような1人1株の制限をやめ、購入株数に制限を設けないこと、としている。(朝日新聞)
■特定市区適用に抗議 共産京都市議団
 共産党京都市議団(若宮修団長)は2日、京都市がJR京都駅ビルの高層改築に「特定街区」制度の適用を決めたことに対して、抗議声明を出した。
 声明では、財界だけの要求にこたえ、住民の声を無視して京都のまちを破壊する計画を強行するもの、としている。
 また同市議団は同日、京都高速道路計画を諮問するために京都市が市都市計画審議会開催を通知したことに対して「ごり押しの市民不在のやり万」との抗議声明も出した。(京都新聞)
■京都駅ビル改築など 共産市議団が抗議
 共産党京都市会議員団は2日、JR京都駅ビル改築での特定街区制度による高さ制限緩和と、京都高速道路計画の京都市都市計画審議会への諮問についての抗議声明を出した。市が1日に発表した特定街区適用の方針発表は、不当なまちこわし計画の強行であり、市民への重大な挑戦と批判。また高速道路についても、大気汚染などの不安がある中でごり押しは許せない、と白紙撤回を求めている。(朝日新聞)
4日■社説 「特定街区」適用の京都駅改築
 京都市は、JR京都駅ビルの改築高層化計画に都市計画法の「特定街区」制度を適用することを決めた。現行の高さ制限(31b)を上回る約60bの改築ビルを認めたもので、都市計画の核となる駅ビル問題は新たな局面に進む。
 今回、行政側がゴーサインを出したことにより、駅ビル高層改築は今後の手続きとして都市計画決定を経れば、来春にも着工の運びとなりそうだ。
 しかし町づくりをめぐる景観問題の議論は尾を引いたままである。着工に至るまで、行政はより精力的に市民との対話を続けてもらいたい。広範な市民が喜んで協力する体制をつくるよう心掛けてほしい。それは「日本のふるさと」京都に対する国民の温かい声援を得ることにつながるからだ。
 京都駅ビルの改築は駅舎の老朽化に伴って持ち上がり、平安建都1200年記念の目玉事業として具体化した。JR西日本と京都府・市、地元経済界による第三セクターの京都駅ビル開発会社が昨年5月、設計コンペを実施し、地上16階、地下3階の作品を採用した。
 高層化などをめぐって問題が提起されたのは、同駅周辺が都市計画法により建物の高さが31bに制限されている地区であるのに、改築計画が高さ59.8bとなったためだ。現行の高度規制をクリアしないかぎり新駅ビルは建設できないことはいうまでもない。開発会社は「都市計画上の措置」を要請、市がこれを受けて特定街区制度を導入し「60bビル」を可能にしたのが経過である。
 特定街区は市街地環境の形成に役立つと認められる場合に、建築基準法の高さ規制などを緩和する制度である。東京・新宿新都心の再開発事業などでは導入されているが、京都では初適用だ。
 「最初にコンペ作品があり、行政はそれに追随した」との批判が出ている。高さ問題ではすでに総合設計制度(1988年)がある。こんど特定街区制度を認めればビル高層化が起こる−と住民団体は懸念する。手続き面で批判を招いた行政側に反省点はある。
 田辺市長は「市全体の土地利用や計画内容を総合的に評価した。今回は特例で他の地域には適用しない」と語っている。町づくりに関しては今春、市の審議会が市域の地域特性に応じて保全・再生・開発を目指す答申をまとめている。建都1200年の中核事業と位置づけた駅ビル改築には、こうした「規制と緩和」の町づくりの理念も反映されたのだろう。
 駅ビル問題は「京都の将来像はどうあるべきか」と重なる重要テーマだ。市民の協力あっての地域社会であり、その意向を尊重することは大切である。
 京都は確かに豊かな自然と町並みの景観、伝統文化や歴史に支えられた魅力的な古都であり、京都市民だけの財産ではない。国民的な関心が京都の町づくりに集まるのも当然だ。町づくりへ向ける京都市民の意気込みを、全国民に理解してもらうことも忘れてはならない。むしろ積極的に伝えていく努力が望まれる。
 その道筋をつけるのは行政の役割ではないか。いま京都を取り巻いている社会経済的な状況はどうなのか。これを踏まえて21世紀の世代にどのような京都を残すのか。そこに説得力があれば広範な共感が得られるはずである。求められているのは町づくりへの高い見識と市民の合意形成への努力である。(京都新聞)
■バス専用レーン確保へ 不法駐車を一掃 6日に府警
 バスの運行を防害するバス専用レーンでの駐車違反を一掃するため、京都府警は6日、京都市内の主要バス路線で「バスすーいすいキャンペーン」を繰り広げる。ヘリコプターを飛ばしての一斉取り縮まりや「チンチン・バス」パレードでドライバーに協力を呼びかける。
 バス専用レーンは、朝夕のラッシュ時間帯に限って、バス以外の車の走行や駐車を禁止している。京都市内では1976年から設置され、現在、13路線で規制されている。交通量の増加や道路状況から、実際にはバス停近くに車が駐車するなどして、バスの運行を遅らせたりしている。
 府警駐車対策課の先月29日の調査では、河原町通御池−北大路間のバス専用レーンで約240台の瞬間違法鮭車があった。バスの運行が正常ダイヤより約1分長くかかった、という。
 キャンペーンは、6日午後5時から7時まで河原町通や東大路通など5路線のバス専用レーンで、市交通局職員や府警ヘリコプターも出て、遵法駐車取り締まりやPR活動を展開する。またJR京都駅から北大路バスターミナルまでを「チンチン・バス」など4台がパレードし「市民の足」の大切さをアピールする。(京都新聞)
■電車にはねられ死亡 近鉄向島駅で転落
 3日午後10時10分ごろ、京都市伏見区向島、近鉄京都線向島駅下リホームから男性が転落、京都発奈良行き特急電車にはねられ、即死した。特急は現場で9分停車、後続に影響はなかった。伏見署で身元確認を急ぐとともに、原因を調べている。(京都新聞)
■山形新幹線 トラブル続出 急停止、連結時にミスも
 山形新幹線「つばさ」が、開業日の1日午前9時10分ごろ、山形県米沢市の板谷−大沢間で緊急ブレーキの作動により急停止していたことが、3日までに分かった。また3日午後8時半ごろには、JR福島駅で山形発東京行き上りつばさ138号が東北新幹線やまびこ138号に連結しようとしたところ、やまびこの連結器を覆うカバーが開かず4分遅れで福島駅を出発するというトラブルも起きた。
 JR東日本によると、開業日に急停止していたのは東京発山形行き下りつばさ101号。現場には約2分間停車した。
 現場は急カーブの続く下り坂。車体の左右の揺れを調整する空気バネとエアブレーキが頻繁に使われたことから、エアブレーキなどに空気を送り込んでいる空気タンクの圧力が低下したのが原因。圧力低下が起きると、危険防止のためブレーキが自動的に働くことになっていた。空気タンクの圧力低下でブレーキが作動したのは非常に珍しいという。JR東日本山形支店は「バネを調整し、空気タンクの圧力低下を抑えることを検討したい」と話している。
 やまびこのカバーが開かなかったトラブルは、営業運転の際には開けなければならないとされているカバーのコックが閉ほったままだったのが原因と判明した。コックを開け、つばさと連結、福島駅を出発した。
 やまびこの車両は仙台駅を出発する前に仙台総合運転所で整備を受けており、安全のためコックを閉めていた。整備終了後、係員がコックを開けるのを忘れたとみている。
 山形新幹線は開業日翌日の2日朝、米沢市内の踏切で、警報機を無視して進入したトラックとの衝突を避けるため急停止するトラブルがあった。トラックは遮断機を折り走り去ったが3日朝、運転手が米沢署に出頭した。(京都新聞)
■中央新幹線巡りシンポ JR東海
 JR東海は28日、大阪市の大阪商工会議所国際会議ホールで「中央新幹線沿線学者会議」を発足させ、同日午後1時から「東京一極集中是正と中央新幹線」をテーマにシンポジウムを開く。
 同会議は、中央新幹線について自由な議論を深めるのが狙い。天野光三・大阪産業大学教授を代表に東京、神奈川、山梨、長野、岐阜、愛知、三重、奈良、大阪の9都府県から交通、都市計画などの専門学者が1人ずつメンバーになっている。入場無料。(京都新聞)
■京の出店・増床 デパート激変予感 大量パート確保へ カギはファッションと独自性 前哨戦は車対策
 「百貨店戦争」が今、京都を揺るがせている。新築されるJR京都駅に新規出店する伊勢丹に、近鉄、大丸、高島屋、阪急の既存各店が増床で迎え撃つ形。今年4月、各店がそろって増床、出店を申請、建都1200年の平成6年には全店が完成する予定。京の百貨店戦争の現状、背景、余波などを探った。
・既に工事着手
 大丸、高島屋は、すでに工事に取りかかり、戦いの始まりを告げるようにつち音が響いている。が、各店とも12月に出される大規模小売店舗審議会の結論を、じっと息をひそめて待っているのが現状。近鉄は「大店審の結果が出るまでは、増床の取材はお断りします」と今はそっとしておいてほしい様子。大丸、高島産も口が重い。
 そうはいっても、ライバル意識はちらちらのぞく。大丸、高島屋両店は「伊勢丹出店とたまたま時期がバッティングしただけ」「以前からあった増床計画が実現できる条件が整っただけ」と「偶然」を強調するが、一方で「(伊勢丹出店を)意識している」(高島屋)「四条通という京都の中心地で京都文化の一翼を担っているという自負はある」(大丸)とけん制する。
 片桐正三龍谷大教授は「京都は若者が集まる街で、若者、特に女性を狙う百貨店には非常に魅力的なマーケット。ところが、京の小売店は大阪、神戸に比べると、女性が最も関心があるファッション部門が弱かった。大店法改正など規制が緩和されたことで、女性のファッション部門で圧倒的に強い伊勢丹が満を持して進出を表明した。既存百貨店は相当脅威を感じているのでは」と背景を分析する。
 増床に伴い、当然人員確保が急務になる。高島屋では、増床が計画通り認められた場合、約500人の増員を見込んでいる。来年の採用から増員を考慮しており、パートによる要員確保に主眼をおいており、「市内の主婦の就業率は低く、十分確保できる」とみている。大丸も「当然考えねばならないこと」と言うが、「増員数は認められる増床面積に左右される」と慎重な構えだ。
 片桐教授は「伊勢丹は年間労働時間1800時間を切るなど労働条件整備が進んでいる。この点でも京都の労働市場に影響を与えるかもしれない」と意外な面も指摘する。
・渋滞の恐れも
 増床に伴い、高島屋、近鉄では駐車揚を現在の2倍から2.5倍に増やす計画。高島屋は「この1年間に、周辺の契約駐車揚を1500台分まで増やした。専用駐車場が完成すれば、合計1700台分の収容能力がある」。大丸はすでに600台収容の専用駐車場が完成、契約駐車場(700台分)と合わせ計1300台の駐車場を整備している。
 高島屋は「駐車場増設により、さらに自動車が増える可能性もあり、交通に与える影響を判断するのは難しいが、駐車場待ちの渋滞はかなり緩和されると思う」。大丸は「出入り口を分散させて車が集中しないように配慮している」といい、今後も烏丸通などで独自の交通量調査を続ける。
 車社会の現代では駐車場整備は集客力アップのカギでもあるが、同時に交通渋滞をもたらす恐れもある。増床が交通問題にどんな影響を与えるだろうか。
・要は消費者
 百貨店戦争の勝敗を決定するのは消費者。同志社女子大の坂本武人教授は「京の消費者は、本物に対する目が厳しい。短い流行とともに消える商品をそろえただけでは受け入れられないだろう。京都の伝統や文化に根づき、生活のレベルアップに貢献する商品、情報の提供が必要だ」と分析。「大阪、神戸との都市間競争においても、京都の独自性を出す百貨店でないと成功できないだろう」と、厳しい注文をつけている。(京都新聞 夕刊)
■「やまびこ」の連結器動かず JR福島駅
 4日午前8時55分ごろ、JR福島駅構内で、東京から連結して到着した東北新幹線の「やまびこ101号」(仙台行き)と山形新幹線の「つばさ101号」(山形行き)を切り離した際、「やまびこ」の連結器が収納できないトラブルがあった。このため「やまびこ」は連結器を出したままの状態で、同駅を3分遅れで発車、仙台駅に定刻通り到着した。同駅で再調査したところ、連結器は正常に作動したという。
 JR東日本福島支店は、連結器の動きが一時的に鈍くなったのが原因とみている。(朝日新聞 夕刊)
5日■「のぞみ」営業運行 一時中止申し入れ JR東海労組が会社側に
 旧動労系組合員らでつくるJR東海労働組合(JR東海労、JR総連加盟)は4日、名古屋市内で記者会見し、事故や故障が相次ぐ東海道新幹線の「のぞみ」型車両(300系)の営業運行を一時中止するよう会社側に申し入れたことを明らかにした。(京都新聞)
6日■信号ミスで5分間遅れ 「つばさ」またご難
 5日午後4時54分ごろ、山形新幹線下り「つばさ129号」が、山形県東置賜郡高畠町福沢の高畠駅構内で、到着ホームを指示する信号が間違っていたため、ホーム直前で停車した。このトラブルで、同列車は、山形駅に5分遅れで到着した。また、2つ先の中川駅で、「つばさ」の通過待ちをしていた上り普通列車も5分遅れ、合わせて約500人に影響があった。
 JR東日本によると、「つばさ」が到着予定の、2番ホームの進入信号が赤になっており、1番ホームに進入するよう指示されていた。運転士が気付き、構内で停止して同駅と連絡をとり、2番ホームに到着した。JR東日本は、信号を手動で操作している同駅駅員のミスとみている。(朝日新聞 夕刊)
7日■泰緬鉄道の犠牲者慰霊 元通訳の永瀬さん タイの名誉県民に
 映画「戦揚にかける橋」に描かれた戦時中の泰緬(たいめん)鉄道建設で犠牲となった人々の慰霊を続けている元日本軍通訳、永瀬降さん(74)岡山県倉敷市、が、同鉄道のタイ側の起点カンチャナブリー県の名誉県民になることが決まり、永瀬さんは7月下旬、現地での式典に出席する。
 同県のナロン・サンスリヨン知事から永瀬さんに届いた書状は、永瀬さんの犠牲者慰霊のための「クワイ河平和寺院」建立(1987年)や、著述などによる長年の平和活動が「タイと日本の友好関係を橋渡しした」と高く評価している。
 永瀬さんは第二次大戦中、陸軍の通訳として現地で働き、戦後は倉敷で英語塾を経営しながら70回以上タイを訪問している。(京都新聞)
■京日記
 ◇…京都府警は6日夕、京都市内中心部の市バス専用レーンの違法駐車一掃を狙った「すーいすいキャンペーン」を実施、横断幕を掲げた市交通局のチンチンバスが河原町通などをパレードした。
 ◇…バスレーンは、市内の幹線で90`に及ぶ。しかし、違法駐車のためバスが時刻表通り走れないのが日常化している。JR京都駅前での出発式では、橋本稔府響交通部長が「市民の足を確保するため、違法駐車に厳しい態度で臨む」と決意を表明した。
 ◇…府警は、パレードに先立ち、警察官230人と白バイ50台、ヘリコプターを使って一斉取り締まりを行い、違法駐車車両約60台を検挙した。(京都新聞)
8日■浴衣姿で京情緒満喫 臨時列車の緩行客ら 舞妓さんらが花束
 浴衣で京情緒を満喫しようと7日午後、JR京都駅に臨時列車「ゆかた列車」が到着。名古屋方面から訪れた観光客120人が、京都市内で京料理などを楽しんだ。
 ここ数年、若い女性たちを中心に広がっている浴衣ブームを盛り上げようと、各地の繊維商社組合とJRなどが、今年初めて企画。6月半ばから、新潟などの観光客が訪れている。この日は、名古屋呉服商協同組合が創立10周年記念に開催、七夕を「ゆかたの日」としてPRしている。
 午後1時前、列車の到着ホームでは、JR東海の伊藤陽朗京都駅長、「京都きものの女王」の西沢美喜子さん(22)や舞妓さんが、浴衣姿の参加者を花束で歓迎した。
 このあと、参加者はバスで市内の観光地へ。西陣織会館の見学や高尾での夕涼みを楽しんだ。(京都新聞)
■「つばさ」の室温40度に
 山形新幹線の山形−福島間で7日、午後零時37分山形発「つばさ122号」(6両編成)が山形駅を出発したあと、14号車(自由席)で室温が上がるトラブルがあった。福島駅に到着した時の室温は約40度。14号車の乗客約40人は、同駅で「つばさ」と連結した「やまびこ122号」に乗り移った。(朝日新聞)
■つばさまた急停車 山形 空気タンクの圧力低下
 トラブル続きの山形新幹線「つばさ」が開業日の1日に続いて2日にもブレーキに使われる空気タンクの圧力の低下により、山形県米沢市の峠−大沢間で緊急ブレーキが作動したため停車していたことが8日、分かった。
 JR東日本によると、2日午後4時32分ごろ、東京発山形行き下り「つばさ129号」の緊急ブレーキが作動、現場に30秒間停車したが山形には定時の同5時21分到着した。
 空気タンクは、車体の振動や揺れを調整する空気バネと空気ブレーキの両方に使われている。現場は急カーブが続く下り坂で、空気バネに加えブレーキを頻繁に使用したことから、空気圧が低下して、危険防止の緊急ブレーキが自動的に作動したという。
 同区間では一日にも、下りの「つばさ101号」が同様の空気タンクの圧力低下で緊急ブレーキが働き、停車した。JR東日本は「空気バネを調整して空気の使用量を減らす対応措置をとっている。運転士にも電気系のブレーキを併用して空気ブレーキの使用を減らすよう指導したい」と話している。
 一方、7日午後零時37分、山形発東京行き上り「つばさ122号」の14号車の冷房装置が故障、福島駅で室温が33度になった。JR職員が約40人の乗客全員を別の車両へ誘導した。(京都新聞 夕刊)
9日■回送電車脱線 新快速に影響 網干電車区
 8日午後9時45分ごろ、兵庫県揖保郡太子町福地のJR山陽線・網干電車区の入出区ポイント付近で、網干駅へ向かう途中の回送電車(12両編成)の3両が脱線した。電車は網干駅から野洲行き上り快速電車となるため、代わりの車両を仕立てたが30分ほど遅れた。この事故で、電車区への出入りができなくなり、下りも網干止まりの新快速電車など5本が手前の姫路駅などで運行を取りやめた。(朝日新聞)
■「次世代新幹線」WIN350 福岡で試験走行
 JR西日本の次世代新幹線「500系統」=愛称・WIN350=の六両編成試験車(全長153b)が8日夜から9日未明、初めて福岡市の新幹線博多総合車両所を出て、博多駅までの約10`を2往復走行した。11日からは小倉駅まで延長して、速度向上などの本格試験に入る。
 試験車は午後11時23分に出発、速度約70`で12分後に博多駅に。ホームに8分間停車して再び70`で総合車両所に戻った。
 試験車内には振動、騒音などさまざまなデータ収集の機器が満載されており、乗車した仲津英治・試験実施本部長は「慣らし運転ですから」と言いながら、細かい数字をチェックした。
 小倉駅までの試験走行では速度を220`前後にまで上げ、7月からの新下関−徳山駅間の走行では営業最高速度の350`に挑戦する。(朝日新聞)
■ニュー新幹線 試験一時中止 JR西日本
 JR西日本は9日、同社が開発している次世代新幹線の試験車両「WIN350」に故障が見つかったため、6月から続けている走行試験をこの日は中止すると発表した。最高時速350`を目指して、6月下旬から山陽新幹線の小郡−新下関間で走行試験をしていた。
 JR西日本によると、8日午後3時42分ごろ、同区間を約250`で走行中、運転台に電気系統の故障表示が出た。新下関駅で点検したところ、4つあるモーターのうち1つの電気回路に異状があったという。9日未明、福岡市の博多総合車両所へ移し、詳しい点検をしている。(朝日新聞 夕刊)
10日■信楽鉄道事故 遺族会が支援要請 滋賀県会対策委と懇談
 信楽高原鉄道列車事故の遺族らでつくる「犠牲者遺族の会」(吉崎俊三世話人)と同弁護団萩田真志事務局長)の代表11人が9日、滋賀県庁で信楽高原鉄道列車事故対策特別委員会の西村政之委員長と懇談、慰霊碑建立や原因調査などの問題について、委員会のバックアップを要請した。
 懇談ではまず、秋田事務局長が、今までの遺族会の活動経過を報告。原因調査や慰霊碑の建立、賠償基準の明確化などへの委員会の取り組みについて説明を求め、関係方面への働きかけを要請した。
 これに対し西村委員長は慰霊碑問題について、「遺族の要望する場所に建てられるよう努力したい」との意向を示した。しかし、事故原因の調査については、「県警から捜査資料が提供されていない」として、具体的な言及はしなかった。
 「犠牲者遺族の会」には同日までに、京都府相楽郡木津町の協同組合「ハイタッチ・リサーチ・パーク」の2遺族が加わり、構成メンバーは22遺族となった。12日午後、大阪市内で遺族総会を開く。(京都新聞)
11日■JR東日本年度内上場へ 来月中に最終判断 国鉄清算事業団報告
 国鉄清算事業団の資産処分審議会株式等処分部会(山口真弘部会長)は10日、同事業団が保有しているJR株式の売却方法に関する報告書をまとめた。報告書は@92年度は上場対象の東日本、東海、西日本のうち(事実上1社に)限定して上場するA1社の株式の分割売却もやむを得ず、その場合できるだけ多くの株を売却する−などの方針を打ち出した。
 これにより市場の低迷が長引く中で、会社規模や財務内容的に体力のあるJR東日本の発行済み株式(400万株、額面5万円)のうち半数の200万株程度を視野に入れた同事業団の技術的な上場準備は一応整うことになり、運輸省や同事業周は市況の推移を見守りながら、8月下旬ごろまでに年度内上場の最終判断を下す方針だ。
 ”限定・分割売却”の方針は、複数の会社が同時上面した場合に株価の違いなどから投資家の関心が分散するのを懸念しての措置。また売却規模の小さな数回にわたる売却では、売れ残りや二次売却に伴って株価が値崩れを起こし人気が冷える恐れから「できるだけ多く」との表現で、半数以上の売却を促している。
 売り出し価格を決める入札の申し込み株数の最低単位については、個人小口投資家の入札参加を可能にするよう求め、100株以下(50株程度が有力案)を念頭に置いた報告となっている。
 このほか株主優待制度や海外市場での売却検討、社員持ち株会への株式割り当てなど盛り込み厳しい市場環境ながらも早期に上場を果たしたい同事業団の強い意向をうかがわせている。(京都新聞)
■JR京都駅改築 特定街区の適用 撤回を申し入れ 市民団体
 京都駅建て替え問題対策協議会(伊藤督太郎代表)は10日、JR京都駅の改築高層化計画をめぐって特定街区による高さ規制緩和の決定を撤回することなどを、田辺市長に申し入れた。(朝日新聞)
■JR東日本株 先行上場、来月にも決定 運輸省 売却は200万株か
 日本国有鉄道清算事業団(石月昭二理事長)の諮問を受けてJRの株式売却方法を検討していた資産処分審議会の株式等処分部会(山口真弘部会長)は10日、上場基準を達成しているJR東日本、東海、西日本3社のうち今年度の上場会社は限定するしかない、との部会報告をとりまとめた。運輸省はこれを受けてJR東日本を先行して上場させることを8月中にも決める見通し。上場を絞れば、JR株の魅力も増し、低迷する株式市場の活性化にもつながるというのが運輸省の読みだ。
 部会報告は「今年度は、証券市場への影響を配慮して上場対象会社を限定せざるを得ない」として、3社同時ではなく、先行上場を認める方針を打ち出した。報告は21日に資産処分審議会で正式決定されたあと、同日、石月理事長に答申される。
 このほか@できるだけ多くの株式を売却するA整備新幹線などの主要プロジェクトや新幹線買い取りなどの重要情報について、投資家への十分な開示が必要B売却価格を決めるための入札は、全体の需給を反映させるために十分な量を確保するC広範な投資家に売却するために、株主優待策、株式の海外市場での売却、JR従業員持株会への割り当てを行うのが適当−などの指針を示した。
 運輸省がJR東日本の先行上場を認めることにしたのは、株式市場の問題だけでなく、上場を見送ると清算事業団が抱える約26兆円もの旧国鉄債務が再び増大する恐れがあることもある。運輸省はいまのところ、発行済み株式400万株(額面5万円)のうち、半分の200万株を売却したい考え。200万株の20−30%を入札にかけて売却価格を決めたうえで、残りを証券会社を通じて売り出す。
 入札から売却、東京証券取引所などへの上場を経て、来年の株主総会に間に合うよう今期末の株主名簿を確定するためには「遅くとも9月下旬から10月初めには、入札の公告を出す必要がある」(清算事業団)という。この公告日程が、上場・売却を決断する最終期限になる。JR東日本が上場申請や株主総会などへの対応に一刻も早くとりかかりたい、としていることなどから、運輸省は大蔵省や証券業界、自民党などとの協議を進めたうえで、8月から9月にかけて上場・売却の決断をすることになりそうだ。
 ただ、売却価格が低くなると、国庫収入が減るため、売却価格の見直しによっては、大蔵省が上場に難色を示す可能性もある。証券界は200万株もの大型株が放出されると、市場から相当な資金が吸収され、株価低迷に拍車がかかることを心配する」一方、「料金の割引など株主への優遇制度がつけば、利用者であるサラリーマン層などの人気を集め、新しい資金を呼び込む可能性もある」(野村証券)など、不安と期待を交錯させている。
 そのあとの、JR東日本の残りの株や東海、西日本の売却スケジュールは不透明のままだ。東日本に遅れることなく、株の売却と完全な民営化を急ぐ西日本なぜが、運輸省への働きかけを強めることも予想される。
・株上場にらみ 首都圏中心に「関西」アピール
 JR西日本が株式の上場を控えて、首都圏でのPRに懸命だ。「西日本」をつけた会社が九州に多いこともあって、これまでのアンケートなどでは、首都圏の人の間では、どこを走る鉄道会社なのか「知らない」と答えた人が半数を超えるのが現状だ。資産処分審議会の部会報告を受け、運輸省は8月中にもJR東日本の上場を先行する動きだが、いずれにしても将来の株式売却にあたっては巨大なマーケットになる首都圏だけに、知名度アップのCM作戦に力が入る。
 今年の春、首都圏を中心に流したテレビのスポットコマーシャル「三都物語」の放送回数は、昨年の倍近い650本。夏もこのペースで続け、京都、大阪、神戸を「三都」として紹介していく。観光客誘致のほかに、西日本銀行、西日本鉄道など、九州にある西日本を名乗る会社と区別してもらい、関西の会社を印象づけるのがねらいだ。
 「東日本は日々の足、東海は新幹線、と首都圏でのイメージが確立している。西日本はなかなか接点がない」(東京本部調査課)と悩んだ末、関西の文化遺産などを描いたCMを強化した。特に、作詞家の阿木輝子さんや阿久悠さんが出演した最近の作品は評判も良く、BGMとして流れた音楽や撮影場所についての問い合わせが東京支社に入り、手ごたえは良いようだ。
 株式の公開となれは、個人の投資家へのアピールは欠かせない。井手正敬社長は「首都圏での話題づくりから全国への広がりを期待している」と全国区路柄を目指して意欲的だ。(朝日新聞)
■新幹線ニセ切符出回る 金券ショップで換金 大阪
 偽造された新幹線のエコノミー切符(大阪市内−東京都区内)が大阪市中央区の金券ショップとJR西日本の森ノ宮駅で見つかり、大阪府警東署は10日、有価証券偽造、詐欺などの疑いで捜査を始めた。偽造エコノミー切符が見つかったのは、JRが1990年7月に偽造防止対策を強めて以来初めて。印刷が精巧なことなどから同署は大量に出回っている可能性もあるとみており、JR西日本は、JRグループ各社にチェック強化を要請するとともに、乗客にも注意するよう駅に張り紙を出した。
 偽造切符が見つかったのは、大阪市中央区船場中央三丁目の金券ショップ「ホットライン船場」。9日午後1時半ごろ、中年のサラリーマン風の男が、エコノミー切符1冊(50枚つづり、定価59万2000円)と、1枚だけ欠けた別の1冊の計99枚の切符を持ち込んだ。同店は110万8800円で買い取り、その日の午後に93枚を販売。残り6枚になったところで偽物と気付き、同日夕方、東署に届けた。
 また、10日午前9時ごろ、JR森ノ宮駅のみどりの窓口でも、エコノミー切符で指定席を発行した際、JR側に取り置く切符の端の部分の「指定券引換用片」を整理していた係員が、幅の広い引換用片1枚を発見。調べたところ、偽物と分かった。
 東暑によると、偽物は本物より緑色が濃く、偽造防止のため切符の中央に縫い込まれている金糸の代わりに、薄茶色の線が印刷してあるという。車体の透かしが不鮮明▽切符に印刷された「R」の文字を構成している極小の「JR」の文字がJRになっていない、などの特徴があるという。
 エコノミー切符には、4けたの「冊番」がついているが、金券ショップで見つかったものは「0010」が5枚、「0011」が1枚だった。森ノ宮駅の引換用片は「0010」で、束署は、金券ショップで販売されたうちの1枚が使われたとみている。
 JR西日本によると、民営化後の偽造事件では、エコノミー切符が1件、自由席回数券2件、指定席回数券が1件見つかっている。(朝日新聞)
■きょう復帰 「のぞみ」事故車両
 東海道新幹線で1日、「のぞみ302号」が150`以上に速度が上がらない状態となって運転を打ち切った事故で「JR東海は10日、事故以来運転をとりやめていた事故車両を11日から営業復帰させることを明らかにした。
 1日の事故原因は、モーターの回転数を制御する「主変換装置に過電流が流れるのを防ぐ「保護回路」にプログラムミスがあったためと分かった。しかし、同車両は3月の営業運転開始後、主変換装置の保護回路が作動したり、同装置の部品が故障するトラブルが他の「のぞみ」車両と比べて飛び抜けて多かったため、営業復帰を見合わせていた。(朝日新聞)
■また、新幹線偽切符99枚 大阪で見つかる
 東海道新幹線の偽造エコノミー切符(東京都区内−大阪市内間)が大阪市内で見つかり、大阪府警東署は10日、有価証券偽造、同行使などの疑いで捜査を始めた。JR西日本は阪神間の各駅に文書を掲示、利用者に注意を呼び掛けている。
 東署によると、9日午後1時半ごろ、大阪市中央区船場中央、金券ショップ「ホットライン船場」に中年の男が現れ、エコノミー切符計99枚を持ち込み、110万8800円で換金した。同店は同日中に93を販売したが、色や大きさが本物と異なるのに気付き通報した。(京都新聞 夕刊)
12日■新幹線偽造切符 さらに2店で200枚を換金
 東海道新幹線の偽造エコノミー切符(東京都区内−大阪市内間)99枚が9日に大阪市中央区の金券ショップで換金された事件で、さらに別の2店にも偽造切符計200枚が持ち込まれ、換金されていたことが11日、分かった。
 持ち込んだのはいずれも中年の背広姿の男で人相も一致することから、大阪府警は同一犯とみて有価証券偽造などの疑いで捜査している。(京都新聞)
■91年度 赤字増ストップ 乗り合いバス会社
 運輸省は10日、一般乗り合いバス会社の91年度の収支状況をまとめた。保有車両30台以上の全国217社のうち、89%に当たる183社が赤字で、経営状況は依然、厳しいものの全体の赤字合計額は前年度を下回り、4年連続の赤字増に歯止めがかかった。
 赤字額は、72年度に調査を初めてからワースト2位だった前年度の923億円を18億円下回り、905億円。
 縮小の原因について、運輸省は「民営バス会社184社が人員合理化を進め、前年度より赤字が1.0ポイント減ったため」とし、公営バス33社で増えた1.5ポイント分の赤字をカバーした形。
 合理化による経営改善の好例として、過疎バスを本社から切り離して別会社とし、高齢者をいったん解雇、再雇用した九州産交と西鉄を挙げている。
 バス会社の今後について運輸省は、JRや公営バスは過疎地を走らざるを得ないため、好転は難しいが、JRを除く民営バスは都心部で利用客が微増傾向にあり、経営の仕方で黒字の計上も可能、とみている。(京都新聞)
■新幹線の偽造切符 さらに200枚発見
 東海道新幹線の偽造エコノミー切符が大阪市中央区内の金券ショップなどで見つかった事件で、同区内の別の金券ショップ2店にも計200枚の偽造切符が持ち込まれ、換金されていたことが11日、わかった。両店とも販売する前に偽物と気付き、大阪府警南署に届けた。いずれもこれまでに見つかったものと特徴が一致しており、持ち込んだ男も似ていることから、同署は同一人物の犯行とみて捜査を進めている。
 偽造切符が持ち込まれたのは、中央区千日前二丁目の「ギフトステーション」と同区難波四丁目の「なんばギフト」。調べでは、9日午後2時すぎ、中年で背広姿の男性が両店を相次いで訪れ、大阪市内−東京都区内のエコノミー切符(1冊50枚つづり、定価59万2000円)を2冊ずつ持ち込んだ。「ギフトステーション」は114万円で、「なんはギフト」は113万円で買い取ったという。(朝日新聞)
■古都の交通 あり方討議 チンチンバス シンポを開催
 京都市内を走りながら、古都の交通のあり方などを話し合う「チンチンバス・シンポジウム」が11日、開かれた。中京区の市交通局庁舎前を出発、7.7`を約1時間かけて走り、参加者らはバスの中でのシンポジウムという異例の試みを楽しんでいた。
 11日は、京都に初めて市電が走ってから80年目にあたる記念日。市民の市バス離れがいわれる中、市交通局では今年1月から「チンチンバス」を走らせるなど、様々な取り組みをしている。
 参加者24人。市側から依田満・公営企業管理者ら3人が出席。森谷尅久・武庫川女子大学教授がコーディネーターになり、抽選で選ばれた大学生から90歳のおじいちゃんまでの市民19人が、落語家の桂都丸さんの司会で京都の交通事情について語り合った。
 シンポジウムは、「チンチン電車の歌」を参加者が披露するなど和やかな雰囲気で進められたが、現在の市営バスの運行状況や接客マナーについては鈍い意見が出された。バスの運行をスムーズにするために「鴨川や大堰(おおい)川の地下に大きな駈車場を造り、不法駐車をなくす」や「人力車の活用を考えては」など、一風変わった意見も出された。(朝日新聞)
■明るく、より国際的に 新大阪駅コンコース改装へ 白を基調、英文案内も
 JR東海は今夏から、新大阪駅の新幹線コンコースの改装を始める。関西新空港の開港にそなえ、外国人にも分かりやすい案内表示をつけるほか、全体的に明るい雰囲気になるよう、白を基調にした内装や、光フアイバーを使って自然光を取り込む装置などを設ける。
 新大阪駅は1964年の新幹線開業時に完成した。最近はコンコースで雨漏りがしたり、建設当時は重厚なイメージだった灰色の床、茶色の柱なども薄暗い印象を与えるようになってきたという。
 主な改装は、壁などの張り替え▽英文の案内表示▽国際規格にそった「禁煙」「トイレ」などのマークを取り入れる▽券売機を増やす▽正面に階段があって見通しが悪かった中央改札を北側に約8b移動し、圧迫感のないようにする▽待合室を中央に移動させる▽トイレを増やす、など。
 このほか、呼び物として、ホームの上で集めた太陽光線を光ファイバーで階下のコンコースに送り、その下でサボテンなどの植物を育てる。また、大阪らしさを出すため、大阪城や天神祭などを描いた七宝焼のレリーフを取り付ける。
 工事は8月下旬から9月までで、工事費は34億円を予定している。(朝日新聞)
13日■現場近くに慰霊碑 信楽事故 JRなど初めて表明
 信楽高原鉄道列車事故の犠牲者のうち22遺族でつくる「犠牲者遺族の会」(吉崎俊三世話人)の第9回総会が12日、大阪市内で開かれ、慰霊碑の建立問題でJR・高原鉄道側が「事故現場付近への建立は可能だと思う」と遺族側の要望に沿った形で建立することを初めて表明した。
 この日は両社の代表として、信楽高原鉄道の村西敏雄総務部長が建立候補地6ヵ所を提示、選定理由を説明した。これに対し遺族側からは、あくまでも事故現場付近を希望する声が集中。鉄道側は「現在の慰霊堂と線路のり面の間のスペースを利用すれば可能」との見解を示し、前向きの検討を約束した。
 しかし、現場わきの国道307号は第二名神建設に伴う拡幅計画があるため、遺族会は18日に予定されている慰霊碑建立のための現地視察に、滋賀県の道路計画担当者の立ち会いを要請、拡幅計画についての説明を求めることにしている。
 一方、同弁護団は、事故後設置された運輸省の調査検討会について、「委員の中に鉄道関係者など事故と利害関係のある人物が多く、公平な調査が期待できない」として、調査結果の公表▽独立した専門調査機関の設置−などを求める申し入れを、近く奥田敬和運輸大臣に提出する。(京都新聞)
■日本海小旅行を満喫 チェルノブイリ披災児 初めての海に歓声
 チェルノブイリ原発事故で被災した旧ソ連・ベラルーシ共和国チェチェルスク市の子供たち10人は12日、琵琶湖一周特別列車トレランス号に乗って日本海への小旅行を楽しんだ。
 一行は午前10時半、ホストファミリーら約100人とともにトレランス・ドルージバ(ロシア語で友情の意味)号で、JR京都駅を出発。近江今津、敦賀を経て、米原、瀬田、京都−のコースで、約8時間の列車の旅をした。
 「山や湖がきれい。故郷で待つお母さんに見せたい」(ナターシヤ・13歳)、「水面が気持ちよさそう。泳ぎたいな」(サーシャ・12歳)。子供たちは、車窓から風景を見ながらくつろいだ。敦賀では下車して約2時間の自由時間を過ごしたが、生まれて初めて海水に触れ、感激した様子だった。
 列車内ではペルーの民族音楽が演奏され、ロシア語講座も催された。敦賀からはシンガーソングライターの小室等さんも乗り込み、歌のプレゼントをした。子供たちはどの車両へ行っても人気の的で、乗客に囲まれ笑顔でこたえていた。
 子供たちは17日まで府内に滞在して、祇園祭などを見物する。(京都新聞)
■つばさ連結器に故障 開業後初の単独運転
 12日午後3時5分ごろ、山形県米沢市のJR奥羽線大沢駅付近で、山形新幹線の山形発東京行き上りつばさ126号(6両編成)の運転士が空気が漏れるような排気音に気付き、ブレーキをかけ緊急停止した。
 運転士らが調べたところ、車体先端部の連結器を納めるカバー付近から空気が漏れており、応急処置し約15分後に発車した。
 やまびこは単独運転で予定より32分遅れて同駅を出発。つばさも単独で予定より37分遅れて同駅を発車した。つばさは上野駅で運転を打ち切った。
 上りつばさは原則として福島駅で東北新幹線やまびこと連結して福島−東京間を走るが、トラブルで単独運転したのは、1日の山形新幹線開業以来初めて。(京都新聞)
■信楽高原鉄道事故 現場近くに慰霊碑建立へ
 信楽高原鉄道列車事故の犠牲者22人の遺族でつくる「遺族の会」(吉崎俊三世請人代表)と、JR西日本、信楽高原鉄道との話し合いが12日、大阪市内であり、慰霊碑を事故現場わきに建てる方向で18日に現地で説明会を開くことが決まった。
 JR、信楽高原両社は現場付近、駅付近のいずれも3ヵ所の建立候補地を示した。遺族側は以前から現場付近を望んでおり、事故現場の線路のり面を希望した。しかし線路の横を通る国道307号の拡幅計画があるため、用地が狭く慰霊碑建立には拡幅計画の見直しが必要となる。このため、18日の現地説明会には工事担当の県関係者にも出席を要請することにした。
 慰霊碑の用地問題は、4月に遺族らとの話し合いがないまま鉄道側が現場から離れた寺を候補地に挙げた。遺族らは「現場から遠すぎる」「遺族の宗教宗派はさまざま」とのクレームがついて難航していた。(朝日新聞)
■つばさ今度は置いてきぼり 空気もれで遅れ
 12日午後3時3分ごろ、山形県米沢市のJR大沢駅近くで山形新幹線上り「つばさ126号」の運転士が、運転席の下から空気が漏れる音がするのに気づいて非常ブレーキをかけ、現場に約15分停車。先頭部の連結器や距離センサーに圧縮空気を送るホースが外れていたためコックを閉め、約15分遅れで福島駅に着いた。
 ダイヤでは福島駅で東北新幹線「やまびこ126号」と連結して、午後3時31分に東京に向けて発車する予定だったが、連結に時間がかかるため、「やまびこ」は32分遅れの午後4時3分に、「つばさ」を残して福島駅を出発。
 「やまびこ」に置いていかれた「つばさ126号」は単独で、37分遅れて福島駅を出発、上野で運転を打ち切った。この故障で、ほかの東北新幹線上下各1本も遅れ、計3000人の足に影響した。(朝日新聞)
■整備新幹線、着工順位見直し 北海道、北陸、九州ルート 来夏期限 早期実現へ陳情攻勢
 整備新幹線の着工順位を決めた88年の政府・自民党の申し合わせ文書が、関係道府県の知事たちを走らせている。「その後の情勢変化などを考慮して5年後に見直す」との文言が入っているからだ。前回の順位決定から漏れた北海道、北陸(小松以西)、九州・長崎ルートの3線の地元などは、参院選が終わった直後から見直しに向けた作業が始まるとみて、例年にない猛烈な陳情攻勢。運輸省は「暮れの予算が決まってからの話。来年夏までに間に合えばよい」と熱を冷ますのに躍起だが、各県の動きは止まりそうにない。
 4年前に決まった優先順位は@北陸・高崎−長野、同・金沢−高岡A東北(盛岡−青森)B九州・鹿児島ルートC北陸・魚津−糸魚川の3線5区間。このうち@の高崎−軽井沢が最初に抜け出し、昨年9月には北陸・軽井沢−長野、東北、九州が同時に着工にこぎつけた。金沢−高岡は今年秋、魚津−糸魚川も来年にはゴーサインが出そうな情勢だ。
 それだけに福岡、佐賀両県と共同で長崎ルートの早期着工を目指す長崎県は「残された3線の順位決めが見直しの最大課題。よそより調整は進んでおり、次は最上位にしてもらわなければ」(交通政策課)と力を入れる。
 北海道も来年度の重点要望では、函館−札幌間はフル規格の新幹線にこだわらずスーパー特急方式を受け入れる考えを強くにじませた。「長崎や福井、石川などもスーパーで要望していくと聞いている。いつまでもフル規格とばかり言っていられない」(新幹線対策室)という事情からだ。
 福井県は県内の優先着工区間を明確に示すよう、要望事項に付け加えた。「先行した3線5区間だけでなく、小松以西もはっきり見通しを出してほしい」(総合交通課)との狙い。
 これに対し、98年の冬季五輪までに高崎−長野間を建設する約束を取り付けている長野県は「次は長野市以北の番で、大阪までつながらなければ新幹線の効果は出てこない」(新幹線交通対策室)と、他県を気遣いながらも余裕たっぷり。
 整備新幹線に関係する16道府県の知事や幹部たちは今月7日、異例の合同陳情団を結成、自民党や運輸、大蔵両省などを回った。着工順位などでは”同床異夢”だが、新幹線の早期実現にかける自治体パワーを発揮した形だ。
・ミニ方式の東北新幹線(盛岡−青森間) フル規格に変更を 青森県要望へ
 昨年9月からミニ新幹線方式で工事が進む東北新幹線の盛岡−青森間について、青森県は13日、来年度の政府予算編成に向けた重点要望で、東京−盛岡間と同じフル規格方式への変更を国に求めることを決め、近く運輸省に文書で申し入れる。
 同区間(193.4`)は、在来の東北線のレールの外側にレール1本を加えて新幹線規格に拡幅。山形新幹線と同じミニ新幹線方式を基本とする。建設費は、路盤などすべて新設するフル規格方式と比べ約半分の3873億円と割安だが、在来線を利用するためカーブや踏切が多く最高時速は約130`に抑えられる。
 整備新幹線の一つである同区間は当初、フル規格で建設が予定されたが、国の財源難などから昭和63年に計画を変更。しかし、この時の政府、自民党の申し合わせで「平成5年夏に見直しする」と明示された。
 このため、青森県はミニ新幹線の問題点について@投資額に比べ時間短縮効果が少ないA貨物列車の運行本数が多く同じ路線を走ることはダイヤ編成など制約を受けるB踏切も多く安全性確保には多額の経費を要する−などを指摘。計画を見直すべきだと主張している。(京都新聞 夕刊)
■現代のことば 上海列車事故と遺族の思い 野田正彰
 高知学芸高校の上海列車事故から、すでに4年がすぎる。マスコミはまったく取りあげなくなったが、学校側を訴えた遺族の裁判はまだ入り口に入ったばかりだ。遺族の何人か、すくなくとも裁判を起こした6遺族と彼らを支援する何組かの遺族は、決して加害者である中国・上海鉄路局と和解していない。彼らは、修学旅行に生徒たちを連れていったのは学校であり、「子供がなぜ死んだのか」、その十分な説明をする責任は学校にある、という見解を事故直後より取ってきた。初めての中国への修学旅行はどのようにして決定され、いかに準備されたか。文部省の指導で一般的には行われることになっている、安全性追求のための予備旅行の報告はどうだったのか。事故直後、引率教論はわが子に何をしてくれたのか。救助活動を敏速にしてくれたのか。病院の救命態勢は高いレベルのものだったのか。事故原因は、中国側のいうような単純な人為的ミスだったのか。それではなぜ、あんなに多くの鉄道事故があの当時も今も起こっているのか。補償交渉団はどのようにして人選され、いかなる和解文をかわしたのか(和解文を遺族にわたすように要求され続けているのに、交渉団長であったA 弁護士は拒否している)。こんな一連の疑問を学校にぶちつけている。
 こうして裁判が始まったのに、事故から1年以上たった春、NHKは特別番組「国境を越えた和解」を流したのだった。テレビ番組では補償交渉の団長となったA弁護士が、日中友好のために自己犠牲的に尽くす物語になっており、遺族の思いはどこにも表現されていない。裁判に訴えている六組の遺族、訴えたいと思っても事情があってそこまで踏みきれない数組の遺族がいることを知っておきながら、NHKはこんなスペシャル番組を流したのであった。遺族は自分たちの心情をなぜそんなふうに逆に報道していくのか、番組を作ったBチーフ・ディレクターに抗議したという。
 以来3年、私は幾度となく遺族の無念の思いを聞いてきた。そんな歪(ゆが)んだ経過のなかで、つい先ほど、若いディレクターたちから「中堅ディレクターの研修があり、Bチーフ・ディレクターの講義で〈自分が生涯に一度、作れるか作れないか分からない作品〉として「国境を越えた和解」を見せられた」と電話があった。
 私は唖然(あぜん)とした。会社を背景に、適当な物語を作ってやまないディレクター業の歪みを見る。せめてもの救いは、研修を受けていた若いディレクターの多くが、「遺族の気持ちがうやむやにされていて、もうひとつすっきりしなかった」と感じたということだった。あるディレクターは、「われわれはディレクターということでシビアに見ていたから疑問を感じたが、何となく見ているだけだと、ああこれで一件落着ととられるかもしれないね」と感想をもらしたという。
 しかし、そんな討論が研修講義のなかで行われたわけではない。ひとつの不信とささやかな救い、だがそれが大衆向きの物語づくりという職業の反省に至らなかったこと、それをディレクターたちはどう考えるだろうか。(京都造形芸術大学教授・比較文化精神医学)(京都新聞 夕刊)
■アイルランド研修生 電車に飛び込み即死 近鉄の河内花園駅
 13日午前8時35分ごろ、東大阪市花園本町一丁目の近鉄奈良線河内花園駅構内で、奈良発難波行きの上り快速急行(10両編成、乗客約2500人)の運転士がホーム中央付近の線路上に男性が立っているのを発見、急ブレーキをかけたが間に合わず、男性をはね約100b過ぎて止まった。男性は即死、電車は現場に約7分停車した。
 河内署の調べでは、持っていた定期券から、アイルランド人で、大阪市中央区の商社「高島」大阪支店にダブリンシティー大学から研修に来ていた東大阪市岩田四丁目、ジェラルド・ヒイランさん(21)とわかった。同署は駅員や運転士の目撃状況から自殺と見ている。
 ヒイランさんは、昨年10月、金沢大学に留学、今年1月から東京に本社のある「高島」の大阪支店インテリア部で実務を研修、日本語と商慣習について学んでいた。(朝日新聞 夕刊)
14日■社説 JR株の売却には慎重さを望む
 国鉄清算事業団の諮問を受けていた資産処分審議会の部会が、JR株式の売却方法に関する報告書をまとめた。
 報告書は上場基準を達成しているJR東日本、東海、西日本3社のうち本年度は1社(東日本)に限定して上場させ、その株式は分割売却もやむを得ないなどの方針を打ち出している。株式自体は清算事業団が保有しており、完全民営化を目指しての売却は市揚低迷の折、一般投資家には期待と不安を抱かせる。が、株式放出ではかつて高値売却後、暴落したNTT株の教訓を生かし、慎重な取り扱いを望んでおきたい。
 近く報告書の答申を受ける運輸省は、大蔵省や証券業界などと協議して来月中にも上場、売却を決断し、来年の株主総会に間に合うよう10月初めには入札の公告を出す予定という。
 JR株式の売却は本来、3社同時に行うのがよいのだろう。上場対象を東日本1社にしたのは、株式市揚が低迷し”吸収力”に不透明さがあるのと市場影響を考えたためで、しかも分割売却の方針を出さざるを得なかったという。
 また、市場環境の悪い折にもかかわらず放出を判断したのは、株売却益は清算事業団が抱え、今年3月末で26兆4000億円という旧国鉄の長期債務返済に充当するため「一刻も早く売却したい」(運輸相)事情があったようだ。
 これらの事柄を配慮して報告書は「できるだけ多くを広範な投資家に売却」の指針を打ち出し、それに沿って今回は財務面で体力のある東日本の発行済み株式400万株(額面5万円)の半分ぐらいを売却する方針を打ち出している。
 しかし、それで本年度予定通り放出できるかとなると、問題がないわけではない。市場の動向次第という不安が伴う。
 第一に冷えきった現在の市場にJR株が登揚すれば、相当の資金を吸収して市況回復に水をさしかねない。
 第二はこのことがひいてはJR株自体の値崩れや魅力減に結びつかないかという不安であり、それが二次売却やその後の東海、西日本の株式公開に影響することにならないか。となると国庫収入の減少を招くことにもなる。こう考えると微妙な判断が要求されるわけだ。
 その辺のことを配慮したのだろう。報告書では売却価格決定のための入札は」全体需給を反映させることとか、株主優待策やJR従業員への持ち株割り当て、海外市場での売却、さらに経営情報などについて投資家への十分な開示といったきめ細かな指針を盛り込んでいる。海外売却はJR株の国際的イメージを高めることになり、情報開示はNTT株が上場後、分割諭が出て急落したことなどを考えると評価してよいことだ。
 ところでJR株は、国が一部を保有するNTT株とは違い、全株を民間に放出することになっている。そのすべてが完了した段階で現在、役員選任など運輸相の認可対象を定めているJR会社法の適用が除外され、民営化が完成する。東日本のほか上場基準に達している東海(224万株)西日本(200万株)もいずれ売却対象になるが、それだけに今度の株式処分は成功させねばなるまい。
 JRは5年前、国鉄の分割・民営化で発足、その後の経営業績やサービス改善から改革は成功の評価がなされている。
 株式売却の成功は、その改革の一層の前進にあることはいうまでもない。(京都新聞)
■JR西日本 井出社長の辞任要求 西労、運動方針に明記
 今春闘で新幹線を含む民営化後初の本格ストを実施したJR西日本労働組合(JR総連傘下、4500人)は13日までに、向こう一年間の運動方針に井手正敬・JR西日本社長の「辞任要求」を初めて取り上げた。西労が来春闘で「社長退陣」を掲げてスト権を確立する可能性が強まり、会社側との対立関係は、より先鋭化してきた。
 JR西労は、今春闘で賃上げのはか会社側の「不当介入」撤廃などを求めてストに入った。不当介入問題では「いたずらな粉争が起きないよう、今後双方で努力する」ことで会社側と合意。26時間で中止した。
 しかし、6月に副社長から社長に昇格した井手氏が、経済雑誌のインタビューで「(労使関係で)どこが悪いのか把握していますから対処の仕方もはっきりわかっています」と述べたことなどに、西労は「組合攻撃で、合意を反古(ほご)にするもの」と反発を強めていた。
 今月初旬の大会で代議員が「社長退陣要求を明確に」と提案。全会一致で原案の補強意見として取り入れ、このほど開いた執行委員会で「(会社発展の)阻害となる井手社長の退陣を求める」と、運動方針に明記した。
 西労の方針に対し、JR西日本の真鍋精志・勤労課長は「情報は聞いているが、正式に申し入れてきたことはない。雑誌報道などの真偽を会社側に確かめるなどしないまま、いきなり社長退陣要求というのは、唐突な気がする」と話す。
 スト後の5月、JR総連を脱退した労使協調派を中心に、新産別組織・JR連合(7万5000人)が旗揚げ、7万8000人のJR総連と対峙(じ)する形となっている。今回の西労の方針は、JR連合との連携を強める会社側との対決資勢を、改めてはっきりと打ち出したものだ。(朝日新聞)
■一部区間で先行工事 リニア山梨実験線 用地買収の遅れで
 国とJRグループなどが建設を進めているリニアモーターカー(超伝導磁気浮上式鉄道)の山梨実験線が、用地買収の大幅な遅れに対応するため、1994年の実験開始に間に合わせようと、計画路線(全長42.8`)の一部18.4`を先行して建設することになった。奥田敬和運輸相が14日の閣議後の記者会見で正式に明らかにした。同運輸相は「区間を縮めても、実験自体には支障がない、と聞いている。97年にリニアの実用化のめどを立てる、という計画は変わっていない」と述べた。
 山梨実験線は、89年8月にルートが決定。将来的にはそのまま実用線に転用する目的で42.8`の用地買収に入っている。全線の8割が用地買収の必要のないトンネル部分で、残りの地上部分を買収しなければならないが、7月初めの時点で3%しか買収が終わっていない。
 このため、運輸省は「用地買収の完了を待っていては、実験が遅れてしまう」(鉄道局)として、リニアの実験目標である@最高速度550`を出せるAその速度で列車がすれ違って風圧実験ができる、の2点をクリアできる「先行工事部分」をとりあえず建設することにした。(朝日新聞 夕刊)
15日■旧国鉄用地を都内で初落札
 日本国有鉄道清算事業団は14日、周辺地価の高騰を防ぐために落札価格に上限を設けた旧国鉄用地の「上限価格付き入札」を東京都内で初めて実施した。宿舎跡地など都下の7件で、このうち昭島市の旧五日市線・廃線敷地約260平方bと、八王子市の八高線・北八王子駅構内の土地約156平方bの2件が落札された。落札価格は昭島が7600万円、八王子が8000万円だった。
 事業団では、8月3日に北区田端など東京都23区内の土地、4件の入札を行う予定で、これらの入札が軌道に乗れば、「26兆円もの国鉄債務返済を目的にした土地売却が大きく前進する」(事業団)と期待している。(朝日新聞)
■中国初の新幹線計画 JRも技術支援 運輸省と今秋調査団
 運輸省は16日、中国・福建省で進められている中国では初めての新幹線建設計画について技術協力を中心に支援することを決め、同省の外郭団体「海外鉄道技術協力協会」(JARTS)を通じてJRグループを含めた調査団を今秋、現地に派遣することを明らかにした。
 運輸省などによると、新幹線計画は福建省の福州−アモイ間約300`に新幹線を建設し、この間を1時間から1時間半で結ぶ。今年4月、香港に本拠を置く民間投資会社グループと福建省が合弁会社を設立して計画を進めることで、既に合意している。
 総事業費は3000億円程度が見込まれ、主に香港の金融機関などから成る金融団からの資金調達が有力視されている。
 こうした民間ベースの計画に対し中国鉄道省も積極的といわれ、新幹線建設や運営について技術的経験を持つ運輸省は、海外協力の一環として支援の方針を決めた。
 調査団にはJARTSのほか、JRグループや鉄建公団なども加わる予定で、車両関係や信号、電気設備を含む運営システム全般にわたって技術協力の具体的な方法を探る考えだ。(京都新聞 夕刊)
■JR、手順書改ざん? 信楽高原鉄道列車事故遠因 「優先てこ改良検討」を削除 捜査本部に提出
 死者42人を出した昨年5月の信楽高原鉄道列車事故の後、JR西日本が、事故の遠因となった信号の優先てこについてのマニュアルを書き換えて滋賀県警の同事故捜査本部に提出していたことが、15日までに明らかになった。優先てこの扱いが難しく、改良を検討しているとする部分を削除したもので、捜査の進展とともに優先てこが問題化しているため、マニュアルを改ざんしたらしい。
 このマニュアルはB4判の用紙1枚にワープロ打ちされている。「貴生川−小野谷信号場間の優先てこの機能について」との題で、平成3年3月16日の日付、「亀山指令所」の名がある。
 優先てこは、JRの列車の信楽高原鉄道乗り入れ開始に際し、JR草津線から同鉄道に入ってくる下りJR列車を優先的に発車させるための信号装置。JR亀山指令所に設けたてこを引くと、同鉄道の貴生川−信楽駅の中間に設けた待避所(小野谷信号所)の上り信号を赤にし、上り列車を同所で待たせ、貴生川駅の下り出発信号を青にして出発させることができる。しかし、これまでの捜査で、事故時は、優先てこの不備で小野谷信号所の上り信号だけでなく、信楽駅の上り出発信号まで赤にしてしまったことが、事故の遠因になったとみられている。
 優先てこに関するマニュアルは、これまでのてこと操作方法が異なるため、とくに作成された。ところが昨年5月14日の事故後、捜査本部の要求で9月上旬に提出されたマニュアルでは、当初の文面にあった「(本社への)当初の設備要求と異なった設備となっており、使用が困難になっています」「設備の改良については、当指令所の要求と大きな違いがあり、関係個所が検討することになっています」などの記述が削除され、文面も一部書き換えられていた。日付は3月16日のままになっている。
 さらにJR西日本は、マニュアルを提出したあとも、「従来の方式よりも保安面に弱く」などの記述がある「優先てこの機能」の項目を全文削除したマニュアルを作成。これを、先に提出したマニュアルと交換してほしいと申し入れ、同捜査本部に断られたいきさつがある。
 JR西日本の宇都宮道夫運行管理部次長は「優先てこについて、口頭で指導している内容を当初のマニュアルに盛り込んで提出した。設備の改良要求については、マニュアルを提出した時点では過去のことだったので削った」と話している。(朝日新聞 夕刊)
16日■難波−橋本間に新特急
 南海電鉄は15日、今年秋から、高野線難波−橋本間に専用の特急列車「りんかん」(4両編成)を運行する、と発表した。和歌山県橋本市周辺など沿線の人口増に対応したものだ。
 難波−橋本間の特急は現在、1日上下8本を運行しているが、朝の上り1便以外は、夕方以降の便だ。りんかんは、現行の8本に加え、新たに早朝、昼間の時間帯にも運行する計画だ。(朝日新聞)
17日■新幹線ニセ切符 東京・横浜でも
 偽造された新幹線エコノミー切符(大阪市内−東京都区内)が東海道新幹線の東京、新横浜、大阪環状線の野田の各駅で計7枚、16日までに見つかった。
 9日に大阪市中央区の金券ショップで販売されたものと同じだった。(朝日新聞)
■「つばさ」よりも速い JR西日本「新特急」
 在来線では最高の時速160`の営業運転を目指すJR西日本の「新特急」車両が完成し、16日、公開された。大阪−金沢間を今より8−17分短い2時間20分台で結ぶ計画で、94年度のデビューを目指す。
 「ハイスピード雷鳥」として開発を進めている681系車両。東大阪市の近畿車両徳庵工場で3両が完成した。
 スピードを出すため、先頭部分を流線形にし、車体の重さを2割減らすなどした。また、直流より小型の交流モーターを在来特急としては初めて使用。雪対策に、台車の下の機器にカバーをかけた。
 外観、内装ともグレーが基調。グリーン車の各座席には液晶テレビをつけた。普通車でも、いすの間隔を従来より6a広げ、ゆったりできるように工夫した。
 現在、スーパー雷鳥は、湖西線で最高時速130`を出しているが、新特急が導入されれば160`になり、山形新幹線の在来線区間の最高130`を上回る。北陸線は120`から130`になる。
 8月中旬から走行試験を始め、早ければ今年の年末に、臨時列車としてお目見えするが、160`の営業運転は94年度になる見通し。(朝日新聞)
■新型「雷鳥」が完成 湖西線では時速160`
 JR西日本が開発した湖西・北陸線用特急車両(681系)「ハイスピード雷鳥」(仮称)が完成し、このほど、大阪府東大阪市稲田新町の近畿車両徳庵工場で公開された。来年春にも実用化、大阪−金沢間を現在より約20分速い2時間20分台で結ぶ。
 「ハイスピード雷鳥」は20年間走り続けた現在の「雷鳥」型車両に代わる新特急車両として開発され、北陸線では従来より10`速い時速130`、将来的には踏切のない湖西線、北陸トンネル内では160`の高速運転を目指す。
 公開されたのは、9両編成の車両のうち、7−9号車の3両。新車両はモーター数を減らすなど車内をより静かにし、座席も背もたれを大きくして快適なものに。グリーン車では各座席に液晶テレビを設置、衛星放送やビデオが見られる。また車両床下に付着する雪の対策として、同社の在来線車両では初めて床下ふさぎ板を設げた。
 JR西日本では8月中旬から性能、高速試験を開始、早ければことし冬の繁忙期にも臨時導入(130`運転)し、順次編成を増やしていきたいとしている。(京都新聞 夕刊)
18日■京福にバイクが接触 中京、男性けが
 18日午前6時50分ごろ、京都市中京区壬生西大竹町の京福電鉄嵐山線六角通踏切で、嵐山発四条大宮行き普通電車が、踏切内に入った同区西ノ京北小路町、飲食店アルバイト従業員神山彦次さん(31)のバイクと接触した。神山さんは転倒し、顔などに10日のけがを負った。電車には乗客約40人がいたが、けがはなかった。
 電車は前部の車幅灯が壊れ、現場に30分間停車した。後続電車など5本が10分前後遅れた。
 堀川署の調べでは、神山さんが降雨のため踏切の遮断機が下りているのに気付かず、突っ込んだらしい。(京都新聞 夕刊)
19日■つばさ信号機故障
 18日午前11時28分ごろ、JR東京駅で山形行きつばさ119号が出発する際、運転席にある車内信号機が出発信号を表示しなかった。約30分後、上野駅まで回送して係員が点検、修理して47分遅れで上野駅を出発した。同列車には仙台行きやまびこ119号が連結されており、東京駅の乗客約700人を別の列車で上野駅まで運んだ。
 JR東日本の調べでは、車内信号機のスイッチが試験位置になっていたため、信号を受信できなかった。前日の検査終了後、スイッチを「試験」から「運転」側に戻さなかった人為的ミスとみている。(京都新聞)
21日■JR西日本も社員持ち株会
 JR西日本の井手正敬社長は20日の記者会見で、株式上場に備え、社員持ち株会を近く設置することを明らかにした。JR東日本、JR東海に次ぐもので「安定株主対策と社員に一体意識を持たせるのが狙い」と話した。株価の低迷が続く株式市場の状況から、本年度はJR東日本が先行して上場するといわれている点について「そうなったとしても、本州3社が全部の株を売却し終わる時期は同時にしてほしい」との考えを改めて強調した。(京都新聞)
■JR東海・西日本が方針 次世代車両を共同開発 「のぞみ」後に照準 東京−博多、通し運転
 JR西日本とJR東海は21日までに、東海道・山陽新幹線で「のぞみ」に続く次世代の営業用車両を共同開発する方針を固め。両社が進めている新型試験車両の走行で得られるデータを持ち寄り、東京−博多刊の相互乗り入れを前提に設計段階から共同作業に入る予定。低コストで効率的に開発できる長所がある。JR発足後、各社とも単独で新型車両を製作していたが、共同開発は初めて。
 JR西日本とJR東海は近く確認書を交わして、実務レベルで技術交流の場を設けるという。対象となるのは主に、東海道・山陽新幹線に関する技術で、その具体的な目標として、「のぞみ」に続く次世代の営業車両を共同開発するとしている。
 JR西日本は「WIN350」(500系)と呼ばれる試験車両(6両編成)で今年6月から山陽新幹線で高速試験を開始。約2年間でデータを集める予定。また、JR東海は、「300X系」といわれる試験車両を6両編成で今年中に発注、93年に完成したあと約2年間、試験走行する。両社とも試験走行のあと95年度ごろから、営業車両の設計に入る考えだ。
 両社によると、基礎技術の研究などは両社で仕分けして担当。さらにトンネルの出入りや高架での騒音・振動、曲線での高速技術など両社の得意分野を営業車両に反映させたい、としている。
 東海道新幹線はカーブが多いため、「のぞみ」の270`運転が限界。それ以上速度を上げたとしても東京−新大阪刊では3分程度の短縮しかできない。また、JR西日本も新大阪−博多間で営業列車を往復させるよりも、東京からの客を呼び込んだ方が営業面でメリットがある。別個の営業車両をそれぞれ導入するよりも東京−博多間の通し運転を念頭において同型車両を製造する方が効率的との判断が働いた。補修や点検の際には、取り換え部品を共通に使うことができるにどコストの低減にもつながる。
 ただ、東京−新大阪をビジネス路線として位置づけるJR東海に対して、JR西日本にとっては東京−博多間の所要時間が5時間前後かかるため車内サービス面の充実を重視する傾向がある。このため、共同開発時は両社で両新幹線の性格づけを調整し、機器類は同じでも車内設備を区間によって変える可能性も出てくる、という。(朝日新聞 夕刊)
■「WIN350」303`を達成
 JR西日本は21日、時速350`を目指して開発している次世代新幹線の試験車両「WIN350」が同日未明、山陽新幹線では最高の303`を達成したと発表した。
 山陽新幹線のこれまでの最高は「ひかり」の試験車両の286`。新幹線では、去年9月に上越新幹線で「つばさ」が出した345`が最高記録となっている。(朝日新聞 夕刊)
■ポートライナー試運転列車がオーバーラン
 21日午前10時20分ごろ、神戸・三宮とポートアイランドを結ぶ新交通・ポートライナーの試験運転列車が北埠頭駅で停止線より3b余りオーバーして止まった。係員が児童運転から手動に切り替えて待避線に回し、約10分後に運行は正常に戻ったが、5本の列車が駅に停車し、乗客約750人が足止めになった。(朝日新聞 夕刊)
22日■JR東日本 来年2月にも上場 200万株売却準備進める
 国鉄清算事業団の資産処分審議会は21日、同審議会株式等処分部会がまとめたJR株式の売却方法に関する報告書を了承、正式に清算事業団に答申した。報告書は@92年度は東日本、東海、西日本のうち、事実上東日本の一社に限定して上場するA1社の株式の分割売却もやむを得ない−などと「限定・分割売却」の方針を打ち出した。
 運輸省や同事業団は今後、大蔵省、東京証券取引所などと調整を進めながら、低迷する市揚の動向を見極めた上で、8月下旬から9月にかけて年度内上場の是非について最終判断する方針。
 これを受けてJR東日本などによる東証への上場審査、大蔵省に対しての上場承認申請を経て、売り出し価格を決める入札を実施。上場時期としては来年2月の線がいまのところ有力になっている。
 運輸省などはJR東日本の発行済み株式(400万株、額面5万円)のうち半数の200万株程度を念頭に置いて上場準備を進めている。年度内上場の最終方針が決まった場合には、投資家保護の立場などから残された東日本の株や東海、西日本の株の取り扱いについて具体的な売却方法や時期も焦点となってこよう。
 報告書は「限定・分割売却」方針のほか、入札の申し込み株数の最低単位について小口投資家の入札参加を可能にするよう求めた。最低単位は100株以下で50株程度が有力。また株主優待制度の創設や海外での株式売却検討など売却促進策を演じることも任している。
・上場可能な状態でない 東証理事長が見解
 東京証券取引所の長岡実理事良は21日の定例記者会見で、JR株の上場問題に触れ「株式市傷に活力は感じられず、年度内にJR株のような大きなものを市場がのみ込めるかというと、今のところそ、ついう状態にない」と述べ、JR東日本株の本年度中の売却に対して否定的な見解を示した。(京都新聞)
■時速300`を突破 WIN350
 JR西日本が開発を進めている次世代高速新幹線「WIN350」の試験車両(6両編成)が21日午前1時42分、小郡−新下関間で、山陽新幹線としては最高の時速303`を記録した。
 新幹線の試験運転での最高速度は、昨年9月、JR東日本の「つばさ」型が記録した345`。(京都新聞)
■小倉山に土砂放置 住民らJR告発 古都保存法違反で
 歴史的風土特別保存地区に指定されている京都市右京区の小倉山に、JR西日本がトンネル工事で排出した約15万立方bの土砂を放置したままにしている問題で、地元の小倉山自治会有志10人が、JR西日本と、同社の井手正敬社長ら幹部5人を古都保存法違反などで、近く京都地検に告発する方針を決めた。
 問題の土砂は、1982年に旧国鉄の山陰線複線化工事に伴う小倉山掘削で出た。国鉄は、京都市に仮置き場として、小倉山の山頂近くの谷を使いたいと要望。小倉山は古都保存法の歴史的風土特別保存地区に指定され、原状変更できないが、市は88年3月の山陰線工事完成までに、原状回復することを条件に特別に許可した。
 しかし、その後JRは土砂を搬出しないまま、新線で営業を開始。市は原状回復期限を92年3月まで延長したが、JRは最近になって、土砂を搬出せず植林や盛り土で原状回復する方針に転換した。
 小倉山自治会は当初から「JRの約束違反だ」と批判。市に対しても、搬出による原状回復の指導を求めていた。
 告発する同自治会地区計画推進委員会の長尾憲彰・常寂光寺住職は「五年前から現場を監視しているが、JRは土砂には全く触っていない。最初から、搬出するつもりなどなかったことが、明白だ。国内の景観保存では最も厳しい、といわれる法律が守られないと、法の権威は崩れてしまう」と話している。
・植林がベター
 JR西日本の話 搬出するとなると、ダンプ公害などいろんな問題が出てくる。自然なりょう線を回復させるためにも土を入れ、植林する方がいいはず。告発については、いまはユメントできない。(京都新聞)
■京阪の線路ま<らに 男性はねられ死亡
 21日午後8時35分ごろ、京都市伏見区深草藤森玄蕃町の京阪電車本線で、男性が宇治発三条行き普通電車にはねられ、間もなく死亡した。
 伏見署の調べでは、運転士が、線路をまくらにあお向けに寝ているのを発見、急ブレーキをかけたが、間にあわなかったという。男性は30−40歳、身長168a、中肉、長髪。白い半そでシャツ、黒ズボン姿。
 現場は墨染駅から北約200bの地点。(京都新聞)
■JR株上場 時期や価格に難題 資産処分審議会答申 証券業界は慎重
 日本国有鉄道清算事業団の諮問機関の資産処分審議会が21日、JR株の売却方式について答申したが、証券業界では、回復の兆しを見せない株式市場の現状を考えて、JR株売却に対して慎重な意見が多い。また、売り出し価格をめぐっては、投資家に売り切るためには、できるだけ安くしたい証券会社と、できるだけ高く売りたい政府・JRの思惑も食い違う。難問は山積みで、市場の原理と政治の論理がぶつかるのは確実だ。
 長岡実東京証券取引所理事長はこの日の定例会見で、「今の市場でJR株を飲み込む自信はない。市場の活力が必要だ」と述べ、1日の売買高が2、3億株程度に低迷する今の状態では、上場は難しいとの考えを示した。
 株式の公募・売り出しを伴う東証への新規上場は、昨年12月からストップし、10社が上場待ち状態になっている。その中のある企業は「我々の上場を優先すべきで、公平に取り扱って欲しい」といっており、JRだからといって、特別扱いできない状態だ。
 この日の答申では、高価格で売り出した日本電信電話(NTT)株が、その後暴落し、投資家の苦情が高まっている反省から、入札する株や売却する株の比率を五割程度に高めて、価格を適正に抑える方針を打ち出している。それでも証券会社には、高すぎる価格になるのでは、との懸念が依然強い。
 上場に向けた手続きは今後、東証・大蔵省への上場申請と上場に必要な株主確保のためのJR株の売り出しが並行して進む。JR株の価格は、類似した会社と比較して決める基準価格をもとに、まず半分以上の株を入札し、残りの株は入札価格を加重平均して、一般投資家に売り出すことになる。
 証券界では、「売れる価格の上限は25万円程度」との見方が出ている。JR東日本の場合、株式は額面5万円、配当5000円。配当利回りが2%、上場企業平均の2倍になる。しかし、類似会社として電鉄会社を参考にして株価を算出すると、1株8、90万円になってしまう。25万円程度にするには「類似会社の基準で少し無理をしないといけない」(大手証券)という状態だ。25万円で売られたとしても、時価総額は5000億円にのぼり、株式市場の需給関係を一層悪化させることは確実だ。
 一方、奥田敬和運輸相は21日の会見で、1株20万円台の観測が出ていることについて「安すぎるのではないか」と述べており、今後政府・自民党側から、売り出し価格について注文が出るのは確実だ。(朝日新聞)
■住民、JR側を告発へ 小倉山残土問題 古都保存法違反で
 歴史的風土保存地区に指定されている右京区の小倉山で、JR西日本の山陰線トンネル工事の残土が放置されている問題で、地元の小倉山自治会の有志10人は21日、JR西日本と同社の役員らを古都保存法違反で京都地検に告発することを決めた。住民側は市が出した「工事終了後、すみやかに土砂を搬出し、植栽を復旧する」という許可条件に違反しているとして、自治会で決議、来週にも正式に告発する。
 住民側の弁護士によると、営業運転を開始した1989年から相当の期間がたったのに原状回復していないことや、今年春の時点で土砂の搬出を放棄した案を出したことが、当初の許可条件に反している、という。あわせて、京都市の風致地区条例違反でも告発する方針だ。
 JR西日本では「これまでいろいろな案を検討してきた結果、ベストとは言えないまでもより良い案を出した。小倉山の自然を早く回復したいと考えている。告発については、現時点ではコメントできない」と話している。(朝日新聞)
■お遍路さん札所へ直行 西日本最長2775b ロープウェーが開業 徳島・太龍寺
 徳島県阿南市にある四国霊場21番札所・太龍寺に21日、西日本で最長のロープウエーが開業した。長さ2775bで、ふもとの那賀郡鷲敷町と山頂を片道10分で結ぶ。
 太龍寺は標高約600bの山頂にあり、四国88ヵ所の札所の中でも有数の難所。これまでの登山口だった阿南市側のふもとから歩いて約2時間半、寺の駐車場からでも1時聞かかる。ロープウエーは四国ケーブル(本社・香川県牟礼町)が101人乗りのゴンドラ2基で運行、一つの川と二つの山を越え、剣山山系や紀伊水道が展望できる。
 年中無休で運転、年間20万人の利用を見込んでいる。片道運賃は大人1300円、中高生980円、子供650円。総工費22億円。(朝日新聞)
■けいざい5分間
●「のぞみ」の次は共同開発
 JR東海とJR西日本は「のぞみ」に続く営業車両を共同開発する方針。民営化後、車両の共同開発は初めて。
●JR株売却、東日本先行を答申
 JR株式の売却方法を検討していた資産処分審議会は21日、「今年度は売却対象会社を限定せざるを得ない」などとした報告を国鉄清算事業団に答申。「東日本先行」での売却を示唆してしい。(朝日新聞)
23日■京阪死亡事故の身元判明
 21日夜、京都市伏見区で京阪電車にひかれ死亡した男性は、伏見署の調べで22日、同区の会社員(43)と分かった。(京都新聞)
■陶器まつり控え 事故慰霊堂へ報告 信楽町、関係者ら13人
 滋賀県甲賀郡信楽町内一帯で開かれる「第四十回信楽陶器まつり」を2日後に控えた22日、同町黄瀬の信楽高原鉄道事故現揚の慰霊堂に、同まつりを主催する町、町商工会など6団体の代表ら13人が訪れ、犠牲者42人の御霊(みたま)に陶器まつり開催報告をした。
 陶器まつりは昨年、事故の犠牲者に弔意を表し中止。今年は「新たなる出発(たびたち)陶都・燃える祭典」をテーマに24日から3日間、信楽の限りない発展を願って開かれる。
 慰霊堂には、まつりを主催する杉森一夫町長を始め、まつり実行委会長の村木茂・町商工会長、さらに信楽高原鉄道の北川啓一社長ら鉄道関係者も顔をそろえ、杉森町長が白ギクやユリの花束を手向けた後、出席者が焼香、合掌した。(京都新聞)
24日■新幹線立ち往生 六甲トンネルで1時間10分 相次ぎ3回停電 15000人影響
 23日午後1時18分ごろ、神戸市灘区の山陽新幹線新大阪−新神戸間の上下線で停電があった。JR西日本東京指令所がすぐに遠隔操作で送電したが、同区間で35分の間にさらに2回停電を繰り返した。
 下り線は同1時57分、上り線も同3時17分に復旧したが、博多発東京行きひかり12号(16両)と後続の1本が六甲トンネル(全長約16`)内でそれぞれ約1時間10分立ち往生したのをはじめ、計31本が最大約1時間50分遅れ、11本が運休。1万5000人が影響を受けた。
 JR西日本によると、神戸市灘区の新六甲変電所の上り線電源ヒューズが切れたのが原因らしい。
 トンネル内で停車したもう1本は博多発新大阪行きこだま 548号(6両)で約100人が乗車。ひかり12号は約1100人が乗っていた。冷房が切れ、薄暗い車内で乗客は一時不安を募らせたが、大きな混乱はなかった。
 ひかり12号はトラブルに伴い列車に信号を送るレール内の軌道回路の一部がショートしたため午後1時半ごろ、トンネル内でいったん停車。約10分後、速度30`で徐行運転を再開したが、再び停電でストップ。トンネルを出たのは同3時10分だった。JR西日本は送電してもすぐに停電を繰り返すため新六甲変電所に係員を派遣、切れていた電源ヒューズを取り替え運転を再開させた。
 切れていたのは電圧検知のためのヒューズ1ヵ所。異常が発生したため変電所が自動的に上下線への送電を止めたらしくJR西日本はなぜヒューズが故障したのかを詳しく調べている。
 京都駅では、問題のひかり12号など上り列車11本が1時間42分から5分遅れた。しかし、新大阪発東京行きの列車は定刻運転され、特に混乱はなかった。(京都新聞)
■のぞみ型 今度はブレーキ故障 新大阪駅回送中
 23日午後6時10分ごろ、東海道新幹線新大阪駅で、回送のため車庫へ向かおうとした「のぞみ」型(300系)車両(16両編成)先頭の1号車の緊急ブレーキが解除できない状態となった。
 このためJR東海では検査掛員などを動員、約1時間半後に同駅の本線から引き上げ線に自力で移動させた。他の列車への影響はなかった。
 JR東海の調べによると、1号車床下のブレーキ出力制御装置の中に水が入っていた。他の車両は無事だった。本来は水などが入らないように覆ってある装置になぜ水が入ったのか、詳しく調べている。
 同列車は東京発新大阪行きひかり243号で、同日午後5時52分新大阪駅到着後、大阪第一車両所(鳥飼基地)へ回送しようとしていた。(京都新聞)
■1社に絞り上場 JR株式 半数以上を売却へ
 JR株式について国鉄清算事業団の資産処分審議会株式部会が検討している上場方法の骨格が、23日明らかになった。内容は@1992年度は上場の対象となっている東日本、東海、西日本のうち1社に絞って上場するA売却株数は発行済み株数の50%程度以上B売り出し価格を決める一般競争入札の申し込み株数を100株以下とし、小口株主の参加を促す−などで、7月下旬の答申を予定している。
 答申されれば、先行上場が有力視されているJR東日本の発行済み株式(400万株、額面5万円)のうち200万株程度を念頭に置いた同事業団の上場準備がほぼ整うが、市場が低迷している中で入札や上場時期をめぐって難しい判断を迫られよう。
 上場方法の審議に当たってはNTT株上揚の例を参考に、売却規模の小さな数回にわたる売却や株価の違う複数社の一括上場は売れ残りや投資家の混乱などを招く恐れがあるため、市場の吸収力を詳しく検討した上で1社に絞り、半数程度以上を売却する判断に至ったとみられる。
 売却方法では、JR株式基本問題検討懇談会(運輸相の私的諮問機関)が昨年五月にまとめた最終意見で、売り出し価格を入札で決める方式の採用が既に決定しているが、入札申し込み単位を小さくすることで広く投資家の参加を促す方針だ。
 このほか答申には、売却促進策として@売り出しに際し、株主の購入株数に上限を設けないA株主優遇策を売り出し当初から講じる−なども盛り込む方向で検討を進めている。(京都新聞)
■10月入札、来年2月上場 JR東日本、日程固まる
 運輸省と日本国有鉄道清算事業団は23日、今年度中に上場を目指すJR東日本の株式売却・上場のスケジュールを囲めた。それによると、株式の売り出し価格を決める入札を10月に公告し、11月の落札をもとに売り出し価格を決め、来年2月に売り出すとともに上場する。ただ、証券市場の不安定な状況が続いているため、9月に東京証券取引所などへ上場申請したあとで、運輸省が大蔵省などと協議して上場の最終判断をする。
 明らかになったスケジュールによると、運輸省は7月末か8月初めに「東日本1社の売却・上場」を正式に宣言する。これまでは、JR東日本と同様に上場を目指しているJR西日本、東海への配慮などもあって、宣言を避けてきたが、このままでは清算事業団やJR東日本が一連の準備に表立って動き出せないからだ。
 その後、9月にJR東日本が東京、大阪などの証券取引所に上場を申請。10月上旬か中旬には、清算事業団が売却価格を決定するための入札を公告する。今回、売却されるのはJR東日本の発行済み株式の半分の200万株の見込みで、入札に回るのはその3割前後の50万から60万株とみられる。
 11月には落札結果が判明、証券会社を通じて売り出す残りの株の価格が決定される。12月に売り出しの申し込みを受け付け、その数が多けれは抽選となる。来年2月中旬には証券会社を通じて事業団へ株式の代金の払い込みが完了。その直後に東証1部などに上場されることになっている。(朝日新聞)
■つばさ 冷房故障で払い戻し 30度超す満員車両 3列車の1000人に
 山形新幹線「つばさ」が23日、立て続けに上下3本の全車両で車内温度が30度を超えるトラブルがあった。原因は暑さで冷房装置の熱交換効率が悪くなったためらしい。JR東日本は3列車の乗客計約1000人に対し特急料金の半額計約250万円を払い戻した。冷房不良による大量の払い戻しは例がない、という。「つばさ」は1日の開業以来トラブルが続き冷房故障も3件目。ほかに同日夕には架線事故で2本が上山市と山形市内で立ち往生、冷房装置がストップしたまま乗客は1時間車内に閉じ込められた。2つのケースとも乗客から「暑苦しい」と苦情が相次いだ。
 冷房不良となったのは、東京午前8時36分発山形行き「つばさ113号」、同午後1時28分発山形行き「つばさ125号」、山形午後零時37分発東京行き「つばさ122号」の3本。いずれも6両編成(定員335人)でほぼ満員状懸だった。
 JR東日本によると、温度が30度以上に上昇していると乗務員が気づいたのは3本とも福島・郡山駅付近。いずれも東北新幹線「やまびこ」と連結運転していた。冷房は動いていたが、温度が上昇し車内は蒸し暑くなり、人によっては汗だくになっていた、という。
 JR東日本によると、「つばさ」の屋根にある冷房装置1基には、室内の熱した空気を排出する排気口が4ヵ所あり、うち2ヵ所は鉄製のふさぎ板(幅15a、長さ1b)で覆われている。暑さで熱交換の効率が悪くなり、クーラーの能力が低下したらしい。
 板は屋根の点検の際に足をとられないように安全対策として取り付けている。この日の福島市の最高気温は午後零時45分の34.2度。「つばさ」は1日14往復しているが、同社は3本については乗客がほぼ満員状態だったことや、昼の暑い時間に運転したのが影響したため冷房不良を起こしたとみている。ふさぎ板をはずすと正常に戻るため、同社はすべての車両で24日から板をはずして運転する予定。
 JR東日本の旅客営業取扱基準規定では、特急列車で冷暖房装置が故障し、そのまま旅行を継続する場合は特急料金の半額を払い戻すことになっている。「つばさ」の冷房機トラブルは7日、19日に続いて3件目。(朝日新聞)
■信楽高原鉄道に新車
 昨年5月の列車事故で気動車2両が破損して使えなくなった信楽高原鉄道(本社・滋賀県甲賀郡信楽町)に、新しい気動車1両が導入され、23日に同町の同鉄道車庫で安全祈願祭があった。25日から営業運転を開始する。(朝日新聞)
25日■トラブル続きで特別チーム設置 山形新幹線
 JR東日本は24日、トラブル続きの山形新幹線の運行を正常化するとともに、突発事故などに対応するため「つばさ号輸送安定推進チーム」を本社と東北地域本社(仙台)内に設置した。
 JR東日本は、ダイヤ改正の際などに輸送推進チームを設けることはあるが、トラブル続きでの緊急設置は異例だという。
 本社の輸送推進チームは、運輸車両部長をリーダーに、同部と総務、営業、安全対策、施設電気の各部課長計12人の責任者で構成。トラブルや事故の際、各部で縦割りに処理されがちな乗客対応や復旧への手当てを運輸車両部長が陣頭指揮する。(京都新聞)
■お盆のJR列車予約 新幹線はほぼ満席 大阪発の空は過去最高
 JR西日本は24日、お盆期間中(8月8−18日)の指定席券前売り状況をまとめた。関西への帰省は12−14日、関西からのUタ−ンは15、16日が、それぞれピークだが、期間中の平均前売り状況は、帰省、Uターンとも列車定員の60%ほどで、前年並みの売れ行きという。
 22日現在の発売状況で、新幹線は、関西から岡山、広島方面が8日から14日、東京方面が15−17日はほぼ満席。ごく一部の列車、時間帯によっては空席がある。
 在来線は、九州方面の夜行列車「あかつき」などが14日ごろまでいっぱいで、北陸方面への「白鳥」「日本海1号」は期間中、完売状態になっている。
 京都発の丹後・山陰方面は、「あさしお」が14日までほぼ満員だが、「タンゴエクスプローラ」はかなり余裕がある。Uターンは、「あさしお」が15日以降、いっぱい。「タンゴエクスプローラ」は15日を除いて空きがある。
 一方、大阪空港利用の国内航空五社では、8月8日から18日まで国内線が70万9870人(前年比106.2%)で過去最高となり、大阪発のピークは8月8、9日、大阪着では16日になる見込み。
 5社によると、今年の国内、国際線の特徴は11日間の予約人数の差が例年よりなく、休暇が取りやすくなったことから分散化が一層進んだと分析している。7月18日に就航した日本エアシステムの釧路、帯広線、全日空の女満別線、日航の仙台線とも好調でほぼ満席という。(京都新聞)
■「京都障害者会議」メンバー阪急電鉄に改善を要求 車いすで自由に利用できる駅に エレベータ設置 段差解消など6項目
 市内の障害者グループでつくる「京都障害者会議」の今福義明さん(33)=伏見区=らメンバー5人が24日、大阪市北区の阪急電鉄本社を訪れ、河原町駅など各駅が車いすで自由に利用できるよう改善を要望した。
 要望したのは、障害者が自力で電車に乗れるように、ホームヘのエレベーター設置や電車とホームとの段差解消など6項目。
 特に、利用者の多い西院−河原町間の4駅は、エレベーターでホームまで行けるのが大宮駅西口の大阪行きだけで、「他の私鉄の主要駅に比べて非常に不便。最重要課題として早急に改善してほしい」と訴えた。
 これに対し、阪急電鉄の角道正士運輸部副部長は「桂駅ではエレベーターの設置を検討している」とし、河原町駅など4駅については、駅の構造が古く地下駅であることから「安全面からホームにエレベーター設置する余裕がないが「今後、可能な限り方法を考えたい」と答えた。
 今福さんは「構造面の困難さは分かるが、市内の主要駅が使えないのでは、他の駅で改善が進んでも利用価値が少ない。なんとかいい方法はないものか」と話していた。(京都新聞)
■チンチンバスを描こうよ 今日と2日 市内2ヵ所で写生大会 市交通局
 市交通局は25日と8月2日の両日、市内2ヵ所でチンチンバスをテーマにした写生大会を開く。
 チンチンバスは今年1月、市内中心部の観光名所を巡る路線バスとして登場した。チンチン電車を形どったユニークな姿が人気を集め、計3台がそろった4月から3ヵ月間の利用者は、7万3000人にのぼっている。しかし、市の周辺部はコースから外れているため、「まだよく知らない子供たちにも夏休み中にじっくり見たり乗ったりしてもらおう」(交通局)と写生大会を企画した。
 25日は午前9時から、右京区の五条営業所を会揚に、西京極周辺の幼児、児童を招く。実物のチンチンバス1台をモデルにした写生のほか、ミニSLの試乗会や、スーパーファミコンや子供自転車が当たる抽選会、忘れ物セールなどを予定している。8月2日は西京区の洛西営業所で、地元の子供を対象に同じく写生大会と、チンチンバス試乗会、抽選会を行う。、両会場とも、画用紙は営業所が準備する。
 市交通局では、8月末以降も計5会揚で、同じような写生大会や交通安全セミナーを開き、市民に市バスへの理解と、利用を促すことにしている。(京都新聞)
■女子高生、暑さで? 線路に落ち重傷
 24日午前11時10分ごろ、大阪府羽曳野市高鷲一丁目、近鉄南大阪線高鷲駅ホーム中央付近から同市伊賀、私立高校2年遠藤典子さん(16)が線路に転落、入ってきた普通電車にはねられ右足首切断の重傷を負った。乗客らにけがはなかった。
 上り電車9本が最高15分遅れ、乗客約1000人に影響した。
 当時、大阪地方は32度近い猛暑で、羽曳野署は、遠藤さんが暑さで目まいを起こし、誤って転落したとみて調べている。(京都新聞)
■お盆期間のピーク JR12−16日の見通し
 JR西日本は24日、お盆期間中の列車の予約状況をまとめた。これまでの予約率は平均約六割で、帰省のピークは12−14日、Uターンは15、16の両日になる見通し。(朝日新聞)
26日■JR職場 禁煙を 慰謝料請求「健康害した」 社員が提訴
 職揚で周りの社員が吸うたばこの煙で健康を害し、肉体的、精神的苦痛を受けたとして、栃木県小山市駅東通り、JR東日本小山駅営業係、板子文夫さん(50)が25日、JR東日本(東京都千代田区)に、職揚の執務室と休憩室の禁煙化と、1000万円の慰謝料を求めた訴訟を東京地裁に起こした。
 JR東日本は、8月から山手線の通る全駅を終日禁煙にすることを決めているが職揚内の対策にも対応を迫られることになった。
 訴えなどによると、板子さんは昭和40年、旧国鉄に入社。50年ごろ、風邪をこじらせて急性気管支炎を患って以来、たばこの煙を吸うとせきやたんが出て、胸が痛むようになった。55年に小山駅に配属されてからは、周りの社員が頻繁に吸うために症状が悪化、寝込むこともあった。
 平成2年、会社に社内喫煙規制の要望書などを出し改善を求めたが、聞き入れてもらえなかったため、提訴したという。(京都新聞)
29日■信号系統追加鑑定へ 信楽鉄道事故捜査本部 28日から現地調査
 死者42人を出した信楽高原鉄道列車事故を捜査している滋賀県警捜査本部は、同鉄道の信号系統の追加鑑定を運輸省交通安全公害研究所に依頼、28日から3日間、鑑定官や捜査員らが現地調査する。これまでの鑑定結果から信号系統の捜査は大節で終わっていたが、刑事責任追及の詰めの捜査を秋にひかえ、さらに詳しい鑑定をする。
 これまでの捜査では、信楽駅の出発信号が赤だったのに同鉄道の列車が発車したことが、事故の第一要因とされている。が、たとえ赤で発車しても誤出発検知装置が正常に働いておれば、対向のJR列車を待避所(小野谷信号所)に待たせて事故を回避できたはずだが、待避所の信号が青に変わってJR列車が発車し正面衝突した。
 同捜査本部によると、追加鑑定が必要なのは、赤のはずの小野谷信号所の信号が青になった原因と、信楽駅の出発信号が赤のまま青に変わらなかった原因の捜査としている。(朝日新聞)
■北陸新幹線 高岡−金沢 計画ルート変更を決定
 運輸省は29日、北陸新幹線の高岡(富山)−金沢(石川)間の計画ルートと建設方法を変更することを決定した。計画ルートと並行して走る在来線の一部を存続させるためで、同日午前、建設主体の日本鉄道建設公団に対し@高岡−金沢間のうち、高岡から石動(富山)までは在来線を残すA石動から金沢の間約23.5`は新幹線のルートを変え、スーパー特急も走れる狭軌の新線を建設する、などを指示した。高岡−金沢間には狭軌の「新幹線」が走ることになる。
 8月上旬に鉄建公団が運輸省に工事実施計画を申請。同省が認可して、9月ごろに着工する見通し。
 整備新幹線の建設にあたっては、事業主体であるJRの負担を軽減するために、並行して走る在来線は廃止するか、あるいはJRから経営を分離して第三セクターなどが運営することになっている。
 今回の場合は、石動−金沢間が第三セクターによる運営の対象になる。高岡と石動を結ぶ区間については、JR路線として存続させてほしいという自治体からの強い要望にこたえた形だ。(朝日新聞 夕刊)
27日■不当労働行為と認定 国労組合員 JR東日本の請求棄却 東京地裁判決
 JR新宿車掌区の国労組合員に帯する内勤から電車常務への指定換えを不当労働行為と認定した中央労働委員会の救済命令について、JR東日本が中労委を相手取り、取り消しを求めた訴訟で、東京地裁は27日、国労側の主張を認めた中労委の命令を妥当と判断、JR側の請求を棄却する判決を言い渡した。判決理由で相良朋紀裁判長は、「国鉄時代から内勤の車掌は電車に常務する車掌より格上とされており、問題の指定換えは降格人事と認められる」と指摘、「国労からの脱退を拒否したことに対する指定換えで、不当労働行為にあたる」と述べた。
 国鉄の分割・民営化後、国労側から各地の地方労働委員会への救済申し立ては、270件以上にのぼり、105件について連続して国労側の主張が認められている。しかし、中労委が救済命令を出したのは今回の新宿車掌区の紛争に対する1件だけで、民営化後の不採用など他の紛争は、結論が先送りされている。中労委の救済命令を支持する初の司法判断が示されたことで、国労側は他の紛争についても早急に救済命令を出すよう中労委に強く迫っていく方針だ。
 この指定換えは、国鉄が分割・民営化された直後の1987年6月、新宿車掌区の国労組合員・田中博さん(40)に対して行われた。新宿車掌区は当時、国労組合員が80%を占めていたため、国労東京地本は「拠点組織の切り崩し」として東京都労委に救済を申し立て、88年3月に都労委の救済命令が出た。
 中労委の救済命令は同年12月に出され、この日の判決と同様、区長らによる国労からの脱退勧奨を田中さんが拒んだための降格人事と判断、田中さんを内勤車掌に戻すよう命じた。田中さんは89年7月に東京地裁の緊急命令を受け、元の職務に復帰している。
 これに対し、JR側は「賃金などで差がつかない指定換えは不利益な取り扱いではない」と反論。「田中さんへの配置転換は正当で、中労委の命令は事実誤認や法解釈の誤り」などとしていた。
 JRと国労との紛争をめぐる地労委の救済命令のうち一部は、JR側が中労委に再審査を申し立てず、裁判所にこの取り消しを求める訴訟を起こし、前橋地裁が昨年3月、その中の1件について地労委の命令を支持する判決を示している。
 JR東日本は大塚陸毅人事部長名で、「到底承服できないので、控訴してい」とのコメントを発表した。(朝日新聞 夕刊)
28日■JR北海道 スーパー経営に進出 ダイエーと共同出資
 JR北海道(大森義弘社長)は、ダイエー(本社神戸市、中内功社長)と共同出資して「株式会社北海道ジェイ・アール・ダイエー」の設立に27日合意した。大規模小売り事業に乗り出すが、商品供給やノウハウはダイエーが受け持ち、JR側は駅近くの遊休地を提供、職員を出向させて従業員を確保する。
 JR北海道は民営化後「総合サービス産業」を目指し小売り事業の強化を図っており、北海道での事業展開を狙うダイエーとの共同事業に乗り出した。昨年9月から職員34人を道内のダイエー店舗に出向させ、新会社設立に備えていた。
 資本金は1億5000万円で出資比率はJR北海道が66%、ダイエーが34%。会社設立は9月。平成7年、札幌市内に1号店開店を予定している。
 多数の余剰人員に悩むJR北海道の大森社長は「決して余剰人員を出向させるわけではなく、小売り業に向く資質を持つ職員を教育して派遣したい」と話している。
 中内社長は「業界のリーダーとして、駅周辺の活性化から北海道の生活向上に役立ちたい」と話している。(京都新聞)
■信楽高原鉄道事故で信号システム再検証 滋賀県警、きょうから
 昨年5月の信楽高原鉄道事故の原因について捜査している滋賀県警捜査本部は、28日から3日間、同鉄道の信号システムについて再検証する。これまでの鑑定で明らかになった事実をふまえ、さらに細部の詰めを行うとみられる。
 検証は、信号システムについての鑑定を進めている運輸省交通安全公害研究所の鑑定官や県警捜査員ら約50人の体制で実施。同鉄道の昼間ダイヤのすき間を利用して行う。(京都新聞)
29日■信楽高原鉄道事故 信号再検証始まる 滋賀県警 捜査最終段階に
 昨年5月の信楽高原鉄道事故の原因を捜査している滋賀県警捜査本部は、運輸省交通安全公害研究所の協力で、高原鉄道の信号システムの再鑑定を29日から2日間行うことになり、28日、同研究所の鑑定官との打ち合わせを行った。これまでの鑑定で明らかになった信号システムの異常を解明する詰めの作業とみられ、原因究明の捜査は最終段階に入った。
 これまでの捜査で、県警は高原鉄道が信楽駅の出発信号が赤なのに発車を強行したのが原因とみている。また、同駅の出発信号の「森」固定や、同駅構内の「誤出発検知装置」が正常に機能しなかった理由も並行して調べており、このうち出発信号の赤固定については、JRが設置した「方向優先テコ」が一因ではないかとの見方を強めている。
 再鑑定は、これらの点について細部の検討を行うとみられ、現在は使用されていない信号システムを作動させた上、「方向優先テコ」が設置してあるJR亀山指令所のほか、信楽、貴生川両駅や小野谷信号所の制御盤などについて、詳しく調べる。両日とも営業運行中の列車は止めず、ダイヤの合間を使って鑑定作業を行う。(京都新聞)
■小倉山の土砂放置 JR西日本を告発 古都保存法違反で住民ら
 古都保存法で歴史的風土特別保存地区に指定されている京都市右京区嵯峨の景勝地・小倉山(高さ286b)に、JR西日本が山陰線複線化工事で出た大量の土砂を放置している問題で、長尾憲彰常寂光専任職(65)ら地元住民10人が28日、「工事終了後は元の状態に回復する約束を守らず、土砂を搬出しないままの『回復計画』を京都市に提案したのは古都保存法に違反する」と、JR西日本と井出正敬社長ら幹部2人を京都地検に告発した。
 告発状によると、JR西日本は小倉山トンネルの掘削工事で出る土砂約20万立方b(ダンプ4万台分)の仮置き場を同山山碩に作ることを計画。一帯は古都保存法で現状変更が厳しく制限されているため、市は1982年、「土砂は工事完了後、速やかに搬出し、原状復旧すること」などを条件に特別に許可した。
 ところが、同社は89年3月に複線開通した後も土砂を放置。今年3月には原状復旧を断念し、仮置き場の土砂は搬出せず、植林などによって山の景観を回復するとの計画を京都市に提案した。この提案をしたことは現状変更の際の許可条件の履行を定めた古都保存法に違反するとしている。
 原状回復の期限は当初は88年3月だったが、工事の遅延などから2度にわたり変更され、現在は今年12月末になっている。
 住民らは告発後、記者会見し、長尾住職は「JRは住民説明会の席上では、同じ種類の同じ太さの木を同じ場所に植え戻すとまで確約したのに、全く約束を守っていない。何度も文書で要請してきたが、何の回答もなく、やむを得ず告発することにした」と話した。代理人の折田泰宏弁護士は「京都市がJRの提案にどういう判断を下すかは分からないが、認めるようならば、京都市の責任も追及していく」としている。
・手続きは問題ない JR西日本広報室の話
 法律上の手続きには全く問題がないと考えている。山陰線の新選や旧線で搬出する計画もあったが、工事完成が遅れたり、自然環境悪化の心配などからできなかった。またダンプで運ぶとなれば、周辺住民に迷惑がかかる。
・現在も方法を検討
 京都市都市計画局風地保全課の成瀬英夫課長の話 今春まではJRに、土砂を仮置き場から運び出すよう求めてきたが、土砂搬出には自然破壊など問題もあり、現在は土砂を外に出さない方法も含めて検討している。期限が切れる年内までには、文化庁など他の行政機関とも相談しながら結論を出したい。(京都新聞)
■小倉山残土巡り住民ら JR西日本を告発
 百人一首で知られ、古都保存方で歴史的風土特別保存地区に指定されている京都市右京区の小倉山にJR西日本がトンネル工事て出た残土約20万立法bを放置している問題で、地元の小倉山自治会10人は28日、JR西日本と同社の井手正敬社長ら幹部5人を古都保存法21条(許可条件不履行)違反の疑いで京都地検に告発状を提出した。
 告発状によると、旧国鉄は山陰線複線課のため、小倉山トンネル工事を計画。その際に出る残土の仮の置き場として山頂近くの谷を使いたいと京都市に要望した。市は営業運転までに残土を運び出し、原状回復することを条件として特別に許可した。しかし、旧国鉄から工事を引き継いだJR西日本は残土を放置したまま、1989年3月から営業運転を始めた。今年春には土砂の搬出を放棄し、植林や盛り土で原状に近い形にしたいと明らかにした。これに反発する住民たちは許可条件を破ったものだとして告発状の提出に踏み切ったという。
 記者会見で、自治会側は「JRは木や竹の一本に至るまで元通りにすると約束した。こんな無法が許されるのか」などと訴えた。一方、JR西日本広報室は特別許可は今年末まで延長されており、法律や手続きに問題はない。土砂を残したまま小倉山の自然を早く回復する方法を考えた」と説明している。(朝日新聞)
30日■JR山陰線 二条−花園間 円町に新駅設置 田辺市長表明 95年度末に完成
 京都市の田辺朋之市長は29日の記者会見で、連続立体交差化事業が行われているJR山陰線(嵯峨野線)二条−花園間(2.8`)の中京区西ノ京円町に、行き違い施設を備えた新駅を設置することとし、JR西日本などとの協議や、都市計画上の手続きに着手することを明らかにした。
 新駅設置は、1980年に地元から市会に請願が提出されるなど、比較的駅間距離の長い同区間において地域の利便性を増すため、強く要望されていた。
 その後、87年に京都府公共交通網整備研究会が府知事に提言した「山陰本線の整備促進方策」の中で新駅として位置付けられ、府、市、JR西日本の3者で協議が議が続けられていた。
 計画では、新駅は山陰線と西大路通が交差する西側に設置される。8両編成の列車に対応する島状のプラットホームを設け、両側に線路を通したうえで、駅舎は高架下に建超される予定。
 同区間の連続立体交差化事業は、90年3月から着工されており、完成予定は来年度末。同事業の完了後に約1年半かけて整備される駅舎は、95年度末には完成する見込み。新駅の名称や、事業費については今後、関係各機関や地元などと協議していく。
 新駅設置について田辺市長は「府北部の各市町と京都市がより強く結ばれ、通勤・通学が容易になることから、駅周辺や市全体の発展に大きく寄与する」との期待を語った。(京都新聞)
■搬出新たな環境破壊 小倉山の土砂 京都市長会見 早い結論を示唆
 京都市右京区嵯峨の景勝地・小倉山に、大量の残土を放置したとして地元住民がJR西日本を告発した問題について、田辺朋之市長は29日、「市としては、JR西日本の植栽計画を受けて、文化財保護などの関係機関と調整を行う」と述べ、土砂の搬出を伴わない復元方策についてできるだけ早く結論を出す考えを明らかにした。
 小倉山は古都保存法により歴史的風土特別保存地区に指定されている。JR西日本は、山陰線複線化の小倉山トンネル掘削工事によって出る土砂を同山山頂に置くことを計画。同法で現状変更が厳しく規制されているため、市は速やかな復旧を条件に1982年、特別に許可した。
 現状回復の期限は当初88年3月だったが、現在では本年末までに延長されている。
 告発は、JR西日本が本年3月、放置した土砂を搬出せず、植林などによって山の景観を回復する計画を立てたことを受けて、現状回復を履行しないことは同法に違反する、としている。
 この点について田辺市長は「残土の搬出は、時間がかかることや、新たな自然環境の破壊、車公害の発生などが考えられる。総合的に検討を加え結論を出したい」と話している。(京都新聞)
■事故調査検討会の委員変更申し入れ 信楽事故、遺族の会
 信楽高原鉄道事故の「犠牲者遺族の会」(19遺族、吉崎俊三世話人代表)と弁護団は、事故調査を進めている運輸省の「調査検討会」について構成委員の人選のやり直しなどを求め、31日、運輸大臣あてに申し入れ書を提出する。
 申し入れによると、調査検討会は委員の中にJR東日本の取締役らが含まれ公正な立場から客観的な調査が期待できない上、法的根拠がなく組織や権限などが不明確だとして@委員の人選をやり直すA航空事故調査のように「調査委員会設置法」を制定すること−などを求めている。(京都新聞)
31日■京都市バス利用者増えてます 値上げで心配したのに タクシー離れが進み?
 今年4月に運賃を値上げした京都市の市バスが、予想に反し、逆に乗客数を増やしている。これまで1日の乗客数が毎年約1万人のペースで減ってきたのが、前年度にほぼ歯止めが掛かり、今年は12年ぶりに増加に転じそう。市交通局は「サービス向上を目指した努力が実った」と喜んでいるが、料金値上げでタクシ−離れが進んだせいとの指摘もある。
 市バス利用者は、1980年(昭和55年)度の1日約60万人をピークに減り続け、90年度は47万人にまで落ち込んだ。それが昨年は、ほぼ同数を保ち、本年度に入っても4−6月の集計では昨年を上回る乗客を運んでいる。
 今年4月に均一区間も3年ぶりに運賃を値上げし、乗客減を覚悟して目標を低めに設定していただけに、市交通局は予想外の好調ぶりに驚きを隠さない。
 市交通局は、2年前から市バス離れに歯止めを掛けようと、サービス向上を図ってきた。JR京都駅前ターミナルにモニターカメラを置き、観光路線で積み残し客が出た揚合、すぐに最寄りの営業所から臨時バスを出せるよう運行体制を改善。前年度だけで2万本を臨時増発した。
 また、西大路通や堀川通に導入したバスの接近をバス待ち客に知らせる「ロケーションシステム」も好評で」導入路線では、軒並み利用者が増加した。イベントバスのPRや、学校や地域を回る利用キャンペーンも効果があったという。
 交通局自動車課の平田嘉輝課長は「通勤の利用者が増えているのは、定期券の販売枚数からうかがえる。京都府警がバス路線での放置駐車違反の取り蹄まりを強化した結果、ダイヤに乱れが少なくなり、乗客に信頼感が得られ始めた点も見逃せない」と分析する。
 しかし、「タクシー料金が今年3月に値上げされたうえ、景気後退の影響で、タクシーからバスに乗り換えた人も多いのでは。手放しで喜ぶのは早い」とのさめた分析もある。(京都新聞 夕刊)
■採用差別問題 中労委和解案 JR側も拒否
 JR採用差別問題で、中央労働委員会の解決案を検討していたJR7社は30日、事実上の拒否を回答した。国労など組合側が拒否回答したため和解解決する意味がすでに失われていることや、解決案で求めた雇用対策についてもすでに実施してきたことなどをあげている。これによって解決案による和解は労使双方の拒否で不調に終わった。
 中労委が5月末に示した解決案は、国鉄清算事業団から解雇された1047人を対象に、「対象者が希望すれば1ヵ月に限り地元JRに雇用する」「JR本州3社などは北海道、九州からの広域採用に努力する」などの内容。
 JR側の回答は、7社とも文面がほぼ一致している。各社の回答は、「地労委の救済命令が誤りなのは明白」とし、「国鉄改革法にもとづき職員を採用したもので、JRに採用に関しての責任はない」とするJR側の基本姿勢を説明。その根拠としてJR側の主張を全面的に認めた6月25日の千葉地裁判決をあげた。(朝日新聞)