1992(平成4)年5月


1日■GW'92 ゆったりと しっとりと 雨の保津峡楽しむ トロッコ列車満員(京都)
  ■「地下鉄工法の変更を」 日本史研究会 神泉苑保存で要望(朝日)
  ■JR西日本と四国が幹部の交流人事内定(朝日)
  ■山科駅再開発 計画取り消し求める 京都地裁へ 区域内の2人訴え(京都)
2日■山陽線 新快速、車に衝突 2万2000人に影響(朝日)
  ■高速三つは渋滞 JRやや混雑 旅行客目立ち始める(朝日)
5日■北近畿タンゴ鉄道・宮津線 おしゃれ駅舎 オンパレード(京都)
7日■「ひかり」緊急停止 新幹線5時間不通 名古屋付近 15万人に影響 部品落下、ホース亀裂(京都)
  ■ひかり緊急停止 また新型車の故障 JR東海ショック 構造は従来と同じ(京都)
  ■GWの交通利用状況 近場は好調 遠距離不振 JR、私鉄は伸び悩み 阪神のみ“虎”効果で増(京都)
  ■信楽鉄道事故一周年シンポ 11日に国労大阪会館(京都)
  ■「のぞみ型」新幹線 4時間立ち往生 名古屋−三河安城間 ブレーキ故障 ダイヤ混乱 48本が運休(朝日)
  ■「のぞみ型」新幹線故障 ハイテク一転 汗ダク列車 空調ダウン車内30度 携帯電話の貸し借りも(朝日)
  ■「長時間の電車通勤は無理」 配転命令の無効要求 身障者のJR職員、仮処分申し立て(朝日)
  ■古都揺るがす「デパート戦争」(朝日)
  ■長距離利用客が減少 連休中の列車「近場で安く」の傾向(朝日)
  ■のぞみ型新幹線停止事故 ボルト2本欠落していた JR東海発表 製造ミスの疑い(京都)
  ■こだま急停車(京都)
  ■「ひかり」故障 駆動装置が落下 JR東海が原因示唆(朝日)
  ■山形・東北新幹線 レールつながった(朝日)
8日■製造段階か出荷後かで対立 新幹線停止 ボルト欠落でJRとメーカー(京都)
  ■「のぞみ」型新幹線事故 駆動部ボルト外れていた JR「初歩的なミス」 川重「検査記録は記載」(朝日)
  ■新幹線車両事故 ボルト1本回収 京都駅近く 落下時期確認へ(京都)
9日■信楽列車事故1年 @ 遺族の心情 進まぬ補償 いらだち(京都)
  ■信楽鉄道事故1年 宙に浮く慰霊碑建立 遺族「ぜひ現場近くに」「用地難5`先の寺院へ」SKRなど計画(京都)
  ■JR快速電車 車掌置き去り発車 花園−嵯峨駅間 500人、乗り換えで遅れ(京都)
  ■府南部に大雨 列車乱れる JR関西本線(京都)
  ■新幹線ボルト欠落 いつからついていない 検査でなぜ分からず 2つのなぞ究明の焦点に(朝日)
  ■車掌置き去り 快速が発車 JR・花園駅(朝日)
  ■新幹線ドアで乗客が指切断 JR新大阪駅の最終列車(朝日)
10日■信楽列車事故1年 A 社長の謝罪 心の痛み しこり残し(京都)
  ■売上金2000万円横領 JR東海、駅員を懲戒免(京都)
11日■信楽列車事故1年 B 長引く捜査 原因解明へ なお時間(京都)
  ■近鉄大阪線で小2が電車にはねられ即死(京都)
  ■小2生はねられ踏切内で死亡 近鉄大阪線安堂駅(朝日)
12日■信楽列車事故1年 C 原因究明 赤信号のはずが青に(京都)
  ■JRの幹線偏重を指摘 信楽事故1周年前に 国労が安全シンポ(京都)
  ■新幹線車両事故 ボルト締め付け不足原因 JR東海調査結果 不完全納入を強調(京都)
  ■「ひかり」事故 ボルト固定ミス JR「作業工程に問題」(朝日)
  ■青鉛筆(朝日)
  ■遮断機下がり警報機鳴り続け 深草のJR奈良線踏切(京都)
  ■関西新空港駅を着工 JRと南海が乗り入れ(京都)
  ■ネズミが線かじる? 踏切のケーブル切断 岸和田、JR阪和線(朝日)
13日■信楽列車事故1年 D 事故の代償 教訓生かし再発防止(京都)
  ■信楽事故で稲葉知事会見 県、補償支援を継続 あす1周忌 県庁でも黙とう(京都)
  ■ひかりが臨時停車 大山崎、異常表示で(京都)
  ■「ひかり」異状点灯 最高で25分の遅れ(朝日)
  ■寝台特急が脱輪立ち往生 JR羽越線(朝日)
14日■いえぬ惨事の悲しみ きょう信楽鉄道事故1年 遺族らら追悼法要 JR西日本・高原鉄道 現場では有志らも(京都)
  ■連合へ加盟 結成後に申請 JR連合が意向(京都)
  ■山陽電鉄の踏切事故 運転士も書類送検(朝日)
  ■JR連合 18日に結成大会 10単組7万5000人が結集(朝日)
  ■京都の交通問題解決には 市電復活しバス活用 ゼミ学生が白書 立命館大 役所もまっ青 体系的提案(朝日)
  ■信楽事故 人為ミス立証困難? 捜査、今秋まで長期化(朝日)
  ■きょう1周忌 信楽高原鉄道事故(朝日)
  ■「JR謝罪まで無念訴える」信楽事故 遺族有志が1周忌法要 悲しみ新たに 鎮魂の午前10時35分 42人のめい福祈る(京都)
  ■社説 繰り返すな信楽事故の悲劇(京都)
  ■緑園文化都市へ着々 亀岡 「100万人観光」めざす 豊かな自然と文化遺産 人気トロッコ列車 交通網もぐーんと整備(京都)
  ■発生時刻に黙とう 信楽鉄道事故一周忌(朝日)
  ■「一刻も早く謝罪を」 信楽事故一周忌 10時35分 ほほ伝う涙(朝日)
15日■JR社長、遺族らに謝罪 信楽鉄道事故一周忌法要 「遅すぎた」 一時紛糾(京都)
  ■両社長が会見 おわびの気持ちあった 補償 遺族の感情 整理待ち(京都)
  ■憤りと悲しみ 霊前に交錯 信楽鉄道事故の犠牲者一周忌法要 JR社長に怒声次々 「頭下げろ」「誠意示せ」(京都)
  ■京都障害者会議 市交通局に要望書(京都)
  ■JR社長、遺族に謝罪 信楽事故一周忌 補償にも積極姿勢(朝日)
16日■満員の市バス追突 四条大宮 乗客ら9人重軽傷 急ブレーキ 将棋倒し(京都)
  ■新幹線に飛び込み 米原駅で男性死亡(京都)
  ■JR総連などが JR東海を訴え「介入受け弱体化」(朝日)
  ■乗用車、線路に転落 相生・山陽線 女性軽いけが(朝日)
17日■新駅(JR)建設に11億 草津市が補正予算案(京都)
18日■JR架線にさお接触 釣り人が大やけど 虎姫(京都)
  ■JR連合きょう結成 2大JR労組時代に(京都)
  ■80周年 大きな転換期迎える 京都市水道局と交通局 より良質で安全に 赤字改善へ 車庫の高度利用 アイデア商法も(京都)
  ■読売新聞社に慰謝料を請求 JR東労組(朝日)
19日■立命大(理工学部)開校に間に合わず 草津 JR新釈の開業半年遅れ(京都)
  ■JR連合が結成大会 旧鉄労系など10組合 総連と主導権争い(京都)
  ■新駅建設の補正 予算案など可決 草津臨時市会(京都)
  ■信楽事故車両 解体に議論を 調停で遺族側主張(京都)
  ■のぞみ旧型に化ける 駆動装置変色で 車両運用を変更 JR東海(朝日)
  ■JR連合が発足 会長に矢後氏 10組合、7万5000人で(朝日)
  ■東洋ゴム副社長が電車に飛び込み死亡 阪急石橋駅(朝日)
20日■遺族宅の弔問はせず 井手JR副社長会見
  ■11年ぶり高卒者採用 JR西日本、来年度(朝日)
  ■日本で最初 市電走らせました 蹴上発電所100歳 今も家庭に送電(京都)
  ■「やまぴこ」と連結 東京駅初乗り入れ 山形新幹線「つばさ」(京都)
21日■JR奈良線 複線化など要望へ 促進協総会 活動方針を議決(京都)
  ■のぞみ型車両故障 モーターのボルト欠落 塗料未乾燥が原因(朝日)
22日■山陽新幹線 「厚狭駅」設置で合意(京都)
  ■国鉄清算事業団 土地処分へ連絡会議 京都地区 自治体に協力要請(京都)
  ■原因は塗料未乾燥 のぞみ型事故 JR、川重が調査報告(京都)
  ■阪急京都線の相川駅 主婦飛び込み重体(京都)
  ■JR連合の加盟を了承(朝日)
23日■JRやKTR乱れる(京都)
  ■最古和風のJR二条駅舎 移築より現場保存を 京都市文化財保護審の有志(京都)
  ■新幹橡「のぞみ」型 17日ぶり営業運転へ(京都)
  ■新幹線など旅客収入は好調 JR東日本 施設買い取り響き減益(朝日)
  ■日本建築学会 JR二条駅 保存を要望 明治の和風駅舎で最古(朝日)
  ■大陸新幹線網 独仏間へ延伸 首脳会談で合意(朝日)
25日■中労委 28日に解決案 JR採用差別問題で(京都)
  ■中労委 JR採用差別問題で 28日に「最終解決案」(朝日)
  ■一ヵ月半ぶりに排水作業始まる 片福線 出水事故(朝日)
26日■JR京都駅、二条駅周辺など 利用計画早期決定を 国鉄精算事業団など 府、市に要請(京都)
  ■「JRの感受性にがっくり」 小倉山の土砂放置 子会社と提携関係 米企業が住民に手紙(朝日)
  ■のぞみ 来春から東京−博多 1時間に1本、40分の短縮に 正式に決定(朝日)
  ■ホーム転落 間一髪救助 目の不自由な男性 2駅員が停車合図 地下鉄九条駅(京都)
27日■落雷でJR乱れる 山陰線の信号故障(京都)
  ■JR草津−瀬田間に新駅、94年秋に開業(朝日)
  ■大阪駅で信号故障 JR環状線26本運休(朝日)
  ■鉄道レールのダンピング 米が調査開始へ 新日鉄・NKKなど(朝日)
28日■大阪湾の「マリン・コリドール」二次構想 民間が発表 28兆円を投資 2020年完成目指す 延長130`の海底トンネル・リニアモーターカーで1周40分・沖合8ヵ所に都市建設(京都)
  ■JR採用差別 救済者3割に絞る 中労委が最終解決案 組合側、拒否の方針(京都)
  ■「とても話にならぬ」 JR採用差別最終解決案 労組側、強く反発 JR側は憎重な対応(京都)
  ■JRケムに巻くようなキセルの攻防 東日本の入場券時間制導入2ヵ月 常習犯・初乗り切符に移行 駅側・究極の防止策練る(京都)
  ■草津−瀬田間 新駅設置を申請 JR西日本 94年秋に開業予定(京都)
  ■阪急踏切で老人はねられ死ぬ(京都)
  ■JR採用差別問題 地元復帰1ヵ月に限定 中労委が「最終和解案」 一方で再就職促進(朝日)
  ■組合員ら口々に怒り 会社側は言葉少なく JR採用差別問題 中労委最終解決案(朝日)
  ■大阪環状線に新駅 JRが認可の申請 芦原橋−新今宮間(朝日)
  ■山鉾 ウレタン上を巡行 路上に車輪保護策 地下鉄工事中の京都・御池通(朝日)
29日■JR旅行センター元所長逮捕 7000万円を着服(京都)
  ■新幹線切符横領容疑 旅行センター元所長を逮捕(朝日)
  ■時々刻々 JR採用差別問題で和解案 「解決長引くだけ」怒りの組合側 「出方を待ち判断」余裕の各社(朝日)
  ■夏臨時ダイヤ発表 海山へ5000本増発 JR西日本(京都)
  ■海水浴など 517本増発 JR西日本福知山支社 夏の臨時ダイヤを発表(京都)
  ■レジャーの足充実 JR夏の臨時列車(朝日)
  ■臨時列車使って 日帰り海水浴に 681本を増発 JR西日本福知山支社 大阪−久美浜間に新型特急も(朝日)
  ■JR太秦駅前 ロータリー開通通せんぼ 車「500b遠回りするの」 市と整備話もつれ 土地所有者がフェンス(京都)
30日■社説 JR紛争の和解案がでたが(京都)
  ■関西私鉄5社値上げで増益(朝日)
  ■JR山陰線遅れる 停電やポイントに石(京都)



1日■GW'92 ゆったりと しっとりと 雨の保津峡楽しむ トロッコ列車満員
 開業2年目を迎えた嵯峨野観光鉄道のトロッコ列車は、今年のゴールデンウイークも人気が高く、客足は絶好調。30日は雨にたたられたものの、延べ約2000人が乗車、とくに午前中の便は、ほぼ満員で大にぎわいだった。
 4月にログハウス調の新駅舎が完成したばかりのトロッコ亀岡駅(亀岡市篠町)では、社員旅行の団体客や家族連れであふれていた。
 午前9時56分の始発便は、ほぼ定員いっぱいの約260人が乗車した。各便の乗客はアールデコ風の車両に腰をおろし、ゆったりと、雨に煙る初夏の保津峡の旅を楽しんでいた。
 昨年の連休中、約2万3000人がトロッコ列車を利用したが、駅員らは「今年は宣伝も行き届いているし、昨年実績を上回る約2万5000人の利用を期待している」と、大張り切りだ。(京都新聞)
■「地下鉄工法の変更を」 日本史研究会 神泉苑保存で要望
 全国の日本史研究者ら約3000人でつくる日本史研究回(代表・吉田晶岡山大名誉教授)は30日、地下鉄東西線の事前調査の際に中京区で見つかった平安時代の遺跡「神泉苑」を保存するため、工法を変更するよう京都市に要望した。
 問題となっているのは同線の約300bの区間。市は1昨年から発掘調査を始め、桓武天皇をはじめ歴代の天皇が訪れた神泉苑が見つかった。
 市は地上から掘り下げる「オープンカット工法」による工事を計画。だが、この方法だと貴重な遺跡が壊されるため、同研究会はトンネル状に掘り進める「シールド工法」に変更するよう要望した。
 これに対して市は「駅部分はオープンカット工法が適しているため、それ以外の部分を別の工法にすることは難しい」として、基本的に計画通りオープンカット工法で臨むことを明らかにした。日本市研究会は「重要な遺跡が出ることが分かっているのに、始めからオープンカット工法に決めた市の姿勢は理解できない」と話している。(朝日新聞)
■JR西日本と四国が幹部の交流人事内定
 JR西日本とJR四国は両社の協力を深めるため、JR西日本のグループ会社「ジェイアール西日本コミュニケーションズ」に出向している虎竹雄二・コミュニケーションズ常務取締役と、JR四国の原和安常務取締役・総合規格本部長の交流人事を、30日までに内定した。原氏はJR西日本の常務取締役として迎えられる予定。JR各社幹部の交流人事はあまり例がない。6月の株主総会後の取締役会で正式に決める。(朝日新聞)
■山科駅再開発 計画取り消し求める 京都地裁へ 区域内の2人訴え
 京都市・山科駅前の市街地再開発計画をめぐって、計画区域内の飲食店主ら2人が1日までに、「計画の根拠となる都市再開発法は財産権や営業権を侵害して違憲のうえ、再開発事業は無計画で零細業者の生存基盤を奪う」などとして京都市を相手に、同事業計画の取り消しを求める訴えを京都地裁に起こした。
 訴えによると、同市は今年2月1日付で、山科駅前地区の再開発事業計画を決定したが、その根拠となる都市再開発法では▽地権者は新たに建築される再開発ビルに入店することで、権利変更を強制されるが、その際、従来の営業や生活維持についての保証がない▽財産権の侵害に対して、地域住民の権利を尊重する手続きを保障する規定が不十分である−などとしている。また、同事業計画についても「再開発ビルへの入店は、多大の共益費の支出を強いるなど、零細規模の住民にとっては地区外への転出を余儀なくされる。さらに同ビルの中心となる百貨店などのキー・テナントが不明で、入店か転出かを決める判断ができないなど無計画すぎる」などと主張している。飲食店主らは事業計画縦覧中に意見書を提出したが、昨年12月却下されたため、提訴した。
 山科駅前の市街地再開発事業は、1989年11月に都市計画決定された。対象面積は約2.8fで、再開発ビル4棟延べ7万7300平方bを建設するほか、交通広揚、公園を整備する。総事業費は696億円。95年の完成を目指している。
 京都市の堀岡博市帯地再開発課長の話 訴状を見ていないので内容についてはコメントできないが、今後も地権者と納得のいくよう協議したい。(京都新聞 夕刊)
2日■山陽線 新快速、車に衝突 2万2000人に影響
1日午後7時半ごろ、兵庫県高砂市阿弥陀町のJR山陽線曽根駅構内の金ヶ田踏切(警報機、遮断機付き)で、脱輪して動けなくなっていた同県姫路市別所町小林、無職児島祥充さん(20)運転の乗用車に、姫路発米原行き新快速電車(8両編成)が衝突。児島さんは直前に逃げ出し、乗客約250人も無事だった。
 この事故の影響で、山陽線は新快速など10本が運休、45本が最高2時間45分遅れ、約2万2000人の足が乱れた。(朝日新聞)
■高速三つは渋滞 JRやや混雑 旅行客目立ち始める
 ゴールデンウィークの後半に入った2日、新幹線や大阪空港で旅行に出かける家族連れが目立ちはじめ、京都、岡山方面に向かう高速道路も10`を越す渋滞になった。
 JR西日本によると、早朝の博多行きの乗車率が150%になった。それ以外は60−120%で普段より多少混雑している程度。
 大阪空港では、キャンセル待ちがあるものの、沖縄方面で空席が出るなど、ピークはこれからという。
 高速道路は名神高速の京都方面、中国自動車道の岡山方面行きで朝から渋滞が始まり、十数`連なっている。
 JR西日本などでは「今年の人出は昨年より少なめで、本格的な混雑は2日午後か3日からになりそうだ」とみている。(朝日新聞 夕刊)
5日■北近畿タンゴ鉄道・宮津線 おしゃれ駅舎 オンパレード
 丹後路のもえる新緑に、個性豊かな駅舎が映える。開業して満2年を迎えた北近畿タンゴ鉄道・宮経線の沿線。国鉄の民営化で一時は、廃線の危機に立った同線だが、三セクへの移行に伴い、府や地元自治体、住民らの踏ん張りでよみがえり、沿線にはいま、ユニークなデザインの駅が続々と生まれている。
 宮津線は83.6`。西舞鶴−豊岡間にある17の駅のうち、12が改築されイメージを一新、さらに栗田駅にも改築計画がある。駅舎は同鉄道が土地を貸し、自治体が建設、地元のコミュニケーションセンター的な側面も持ち合わせている。
 旅情をそそるこれら各ステーションを紹介しよう。
 西舞鶴から下るとハイカラなとんがり屋根の丹後神崎駅、ヨットの帆をイメージした丹後由良駅と続き、日本三景・天橋立を擁する天橋立駅に着く。ここは伊根の舟屋を模し、日本鉄道建築協会賞も受賞。
 さらに玄関の屋根を着物の襟に見立てた野田川駅、小野小町ゆかりの里の丹後大宮駅は平安朝風で、駅舎内には喫茶店もあり地元の人の憩いの場に。峰山駅は手織機をイメージしたデザインで、丹後ちりめんの産地をうたいあげている。
 網野駅は帆をいっぱいに広げたヨットをイメージ、温泉宿を思わせる木地温泉駅、また丹後神野駅はいきなペンション風で、リゾート地を意識。久美浜駅は明治時代にあった久美浜県庁の庁舎玄関を木造で再現している。
 同鉄道の人気特急「タンゴ・エクスプローラー」の新型車両(3両1編成)も5月2日からデビュー、丹後の旅はますます、快調に。(京都新聞)
7日■「ひかり」緊急停止 新幹線5時間不通 名古屋付近 15万人に影響 部品落下、ホース亀裂
 6日午後1時15分ごろ、名古屋市緑区大高町のJR東海道新幹線上り線で、走行中の新型車両300系の新大阪発東京行きひかり238号の緊急ブレーキが作動、列車は停止した。JR東海の係員が現場で車両を点検したところ、6号車と7号車の連結部にあるブレーキなどに圧縮空気を送るエアホースに亀裂が入っていた上、現場近くに車両の金属部品の一部が落ちていたことが分かった。JR東海はこの部品がエアホースにぶつかったのが原因とみて調べている。
 事故影響で同新幹線は、上り線が名古屋−三河安城間で5時間近くにわたって不通になったほか、乗客の移動のため下り線も一時ストップするなどダイヤは大幅に乱れた。東海道・山陽新幹線の48本が運休。最終的に運休明けの乗客約15万人の足に影響が出た。
 238号の乗客は一時車内で缶詰め状態となり、JR東海は後続列車と合わせた2本の列車の乗客を下り列車に移して運んだ。
 ひかり238号は、3月14日から運行している新型新幹線のぞみと同じ型の300系車両で運行。JR東海による
と300系車両のトラブルは3月20日、走行中ののぞみ304号でモーターの異常を示すランプが点灯、数分間緊急停車したのに次いで2件目。
 JR東海が車両を詳しく調べたところ、7号車の台車部分からモーターと歯車を接続する円筒型の金属部品が外れてなくなっており、この部品の一部が238号が緊急停止する直前走行していた線路近くで見つかった。JR東海は、列車の走行中、ボルトが緩んで部品が落下、線路に当たって弾み、後方の6号車のエアホース重して亀裂ができたとみている。
 故障した車両は今年3月5日に製造されたが、この部分の点検は1万`走行時に実施する予定で、運行開始後は1回も点検していなかった。
 JR東海は列車停止中の午後3時ごろ、238号と、後続の上り列車で同じく付近に停車中のひかり80号の2本に、下りひかり235号など2本の列車をそれぞれ横付けさせて緊急序車。乗客計約2200人を渡り板を使って乗り換えさせ名古屋駅に運んだ。
 このあと238号の運行を打ち切り、列車は午後6時、自力で三河安城駅構内に入った。(京都新聞)
■ひかり緊急停止 また新型車の故障 JR東海ショック 構造は従来と同じ
 6日、故障を起こしたひかり238号の車両は「のぞみ」用に開発された300系と呼ばれる新型車両で、3月20日にも電気系統で故障があったばかり。JR東海は「2つの故障は原因も違い、関連はない」としながらも、自信を持って投入した新型車両だけに、相次ぐ故障発生にショックを隠せない。
 前回発生した故障は、3月20日午後10時ごろ、新大阪発東京行きのぞみ304号が岐阜県大垣市付近を走行中、運転台のモーターの異常を示す表示灯が点灯、列車が緊急停止した。この時は、いったん電源を切り、再び電源を入れたところ、動き出した。
 調査の結果、列車制型プログラムにミスがあることが分かり、直ちに改修された。
 今回の事故は、7号車のモーターに付けてある駆動装置の一部が何らかの原因で外れて落下。線路で跳ね返って、6号車と7号車の連結部にあるブレーキなどに圧縮空気を送るゴムホースへ長さ55a、直径4.5a)などを損傷、危険防止のため、自動的に緊急ブレーキが作動したことが分かった。
 JR東海によると、この騒動装置は走行1万`、1年ごとに行う台車検査で調べることになっており、3月5日にメーカーの川崎重工から車両を受け取って以降、この部分の検査はしていなかった。装置の構造は、「ひかり」の100系車両と同じだが、これまでこうした事故はなかった。今後、なぜこの装置が外れたのか、徹底的に調べるという。
・「連休明け台無し」JR京都駅も混乱
 東海道新幹線の車両故障事故の影響でJR京都駅では6日午後2時ごろから、新幹線に乗れなくなったり、ストップした列車の乗客約1300人がホームや階段にあふれ、各改札口と緑の窓口には、旅券料金払い戻しを求めたり、運行の見通しを駅員にだずねる乗客が殺到するなど混乱した。
 連休明けとあって乗客はビジネスマンに加え、手土産をたくさん抱えた家族連れも多く「2時間以上もホームで立ちっぱなし。せっかくの京都観光も台無し」(埼玉県の家族連れ)などと、一様に疲れ切った様子だった。
 とくに、事故から3時間近くたった午後4時すぎまで列車運行の見通しがまったくつかなかったことが、乗客に不安を募らせた。なかには、公衆電話で宿泊を手配する会社員もいた。また「ホームに駅員の姿が見えない。きちっと状況を説明してほしい」「場内放送はないのか」などと、駅長室を訪れて不平をぶつける人もあり、同駅は午後9時ごろまで混乱が続いた。(京都新聞)
■GWの交通利用状況 近場は好調 遠距離不振 JR、私鉄は伸び悩み 阪神のみ“虎”効果で増
 JR西日本と関西の大手私鉄5社は6日、ゴールデンウィーク機関(4月25日−5月5日)の利用状況をまとめた。JR「近場好調、遠距離不振」で、京阪神近郊は前年より増えたものの新幹線、在来線を合わせた全体では前年実績をダウンした。私鉄は、他社が伸び悩む中で、阪神だけが唯一、前年を上回り、“タイガース効果”を見せつけた。
 JR西日本のまとめによると、新幹線利用者は149万2000人で前年並み。在来線の特急・急行の利用は133万8000人で前年比5%減り、合計では283万人で同3%減少した。
 同社は「今年はゴールデンウィークの前半に連休がなかったのと、景気後退が影響したのでは…」と見ている。京阪神近郊は、三の宮、姫路、奈良など各駅で利用者が軒並み前年を上回り、好調だった。
 私鉄5社(近鉄、阪急、京阪、南海、阪神)の輸送実績は、同期間中の合計で3480万4戦乱と前年同期比3.2%ダウンした。各社別では京阪が横バイ、近鉄、阪急、南海が減少し、阪神だけが前年比9万1000人増(プラス3.1%)。期間中の甲子園球場でのタイガース観客動員数が22万8000人と前年の2倍に増えたのが、「阪神電鉄一人勝ちの最大の原因」と分析している。(京都新聞)
■信楽鉄道事故一周年シンポ 11日に国労大阪会館
 国労西日本と全動労人日本は11日、信楽高原鉄道の事故一周年を機会に「JRの安全と公共性確立をめざすシンポジウム」を国労大阪会館(JR環状線「天満駅」下車)で開く。
 午後1時から▽「JRの5年を検証する」安部誠治大阪市立大学教授▽「信楽事故の原因調査結果」杉本吉史信楽鉄道遺族被害者の海弁護士▽「JR西日本の鉄道部問題」土居靖範立命館大学教授−などの報告や違憲交換がある。
 連絡先は国労西日本 06(358)1190(京都新聞)
■「のぞみ型」新幹線 4時間立ち往生 名古屋−三河安城間 ブレーキ故障 ダイヤ混乱 48本が運休
 6日午後1時16分、名古屋市緑区大高町の東海道新幹線名古屋−三河安城間上り線で、走行中の新大阪発東京行き「ひかり238号」(16両編成)の緊急ブレーキが作動し、急停車した。後続の広島発東京行き「ひかり80号」も現場で止まったため、JR東海は下り線の列車2本を救援用として現場に臨時停車させ乗客を移した。ブレーキなどで使う圧縮空気を送るゴムホースが切れ、空気圧が低下、緊急ブレーキが作動したらしい。故障車両は現場に約4時間立ち往生。この間、ダイヤは事実上約5時間、マヒ状態となり、自然災害を除いて同新幹線で最大規模の事故となった。この影響で、上下48本が運休したのをはじめ91本に最大4時間48分の遅れが出るなど、ダイヤは大きく乱れ、約15万人が影響を受けた。JR東海の調べでは、モーターと、モーターの回転を車軸に伝える歯車装置との間にある継ぎ手の一部がなんらかの原因で落下、ブレーキホースを切断したらしい。
・15万人に影響
 「ひかり238号」の車両は300系といわれる新型車両で、6日は午前6時に「のぞみ301号」として東京駅を出発し、新大阪に到着。そのあと「ひかり」として、乗客約1100人を乗せて東京へ向かう途中だった。
 JR東海によると、現場は名古屋駅から東京方向約17`付近で名古屋、三河安城両駅のほぼ中間地点。「ひかり238号」は約190`で走行中、運転台に車両連結部分と空気ブレーキに使われる圧縮空気に異状を知らせる表示が示され、同時に緊急ブレーキが作動したという。
 調べでは、6号車と7号車の連結部分で、ブレーキやドアの開閉の動力源として使われている圧縮空気を通すゴム製ホース(直径約4.5a)が切れ、圧縮空気の圧力が大幅に低下した。また列車後部近くの線路内に直径約25aの円状の鉄片など数点が落ちていたほか、線路わきの防音壁の一部に穴が開いていた。円状の鉄片は、7号車の床下の台車に付いていた継ぎ手のドーナツ形カバーとわかった。
 JR東海は係員を車両工場などから現場に派遣。原因調査や事故処理に手間取ったことから、乗客の救出のため、下りを走っていた「ひかり235号」を「ひかり238号」の真横に停車させた。同様に乗客約1100人を乗せて名古屋駅を出発し現場に止まった「ひかり80号」のために、「こだま427号」を横づけした。午後2時55分ごろから、それぞれ上り列車と下り列車のドアの間を2ヵ所ずつ「渡し板」でつなぎ、乗客が移動した。救援列車はいずれも午後4時までに現場を出発、乗客は約3時間ぶりに名古屋駅に戻った。
 この間、上下線とも後続の列車は最寄り駅に停車して運転を見合わせた。名古屋駅を中心に一時、各駅のホームは大混雑したが夕方までにほぼ正常に戻った。
 一方、「ひかり238号」は午後5時9分、応急処置を終えて約4時間ぶりに現場を発車、いったん途中で止まったものの時速約30`の自力走行で午後6時、三河安城駅に着いた。
 自然災害以外の車両故障では、89年1月に山陽新幹線でパンタグラフが故障、約8時間にわたりストップして以来のこと。300系車両の事故は3月20日に電気系統の故障が起きて以来。(朝日新聞)
■「のぞみ型」新幹線故障 ハイテク一転 汗ダク列車 空調ダウン車内30度 携帯電話の貸し借りも
 JR東海が誇る最新鋭車両が、新幹線を長時間のまひ状態にした。6日午後、東海道新幹線の名古屋−三河安城間で起きた「のぞみ型」車両の故障は、現場からの車両撤去作業などに4時間近くかかり、故障を原因とするダイヤの乱れとしては最大規標のものとなった。各地の駅のホームは乗客であふれ、超高速新幹線の将来に不安を残した。
 名古屋駅を出て7分後、「ひかり238号」は「ガタン」という軽い衝撃の後、停車した。車内放送は「緊急停車です」とした後、「原因はわかりません」と繰り返すばかり。2両に1台の割合で設置されている公衆電話には、ビジネスマンの長い列ができた。携帯電話を貸し借りする姿も。
 空調の乱れが乗客のイライラに追い打ちをかけた。車内の気温はみるみる上昇。東京都府中市の会社員会田麻優未さん(30)は「30度以上はあったのでは。たばこの煙も混じって、むせかえるようでした。トイレの水も流れないし…」。
 後続の「ひかり80号」も状況は同じ。車内に「(止まっている「ひかり238号」は)新しい車両なのでブレーキの直し方がわからない」と苦しい説明が流れた。
 静岡に出張予定だった名古屋市のガス機器メーカーのリンナイ社長内藤明人さん(66)は「自慢の新型車両だが、いろいろと問題があるね」と苦笑した。
 新大阪駅では、午後2時27分に入ってきた「ひかり114号」(岡山始発)がそのまま停車。続いて入ってきた2本も構内に止まった。駅のホームに乗客が次第にあふれ出したため、JR東海は午後3時50分から30分間、上り線の利用者を改札口で足止めする改札制限をした。
 「ひかり114号」は午後4時41分、2時間10分遅れで動きだしたが、通路にも乗客が立つた状態。
 故障した「ひかり」に乗っていた箕面市の銀行員(54)は単身赴任先の東京に戻る途中だったが、約4時間かけて新大阪に引き返して来た。。Uターンラッシュを避けて連休を今日まで1日延ばしたのが、あだになった。まあ、もう1日家族連れの観光客がうんざりした顔つきで、運行再開を待ちわびた。
 JR東海によると、新大阪から三河安城の間だけでも23本が停車した。新大阪以西の駅でも車両数本ずつが立ち往生。JR西日本は、午後4時過ぎから山陽新幹線の下り臨時列車3本を走らせ、ホームにあふ約た乗客を運んだ。
・”技術の粋”に落とし穴 検査直後、JRに衝撃
 技術の粋を集め、ハイテクを駆使した「のぞみ」用新鋭車両に思わぬ落とし穴−名古屋市内の東海道新幹線で6日午後起きた300系車両の故障は、JR東海に衝撃を与えた。単純な故障とはいえず、JR東海は原因究明に躍起だ。車両撤去に時間がかかり、ダイヤの乱れに輪をかけたことについても、待避線の少なさや逆行を想定していない運行システムなどの問題点や指摘する向きがある。「のぞみ」は3月にも岐阜県内で緊急停止したはかりで、同社は度重なるトラブルに頭を痛めている。
 JR東海によると、破損したブレーキホースは東海道・山陽新幹線の旧型車両の0系、100系でも使われているが、通常は4年ごと取り換えればよく、ホース自体の劣化は考えにくいという。JR東海の担当者は「過去に例がない」と首をひねる。
 また、故障した300系車両は、ブレーキの状態を含めた走行にかかわる装置全体を調べる「交番検査」を4月28日に行い、また、48時間ごとの「仕業検査」を5日の始発前に実施したが、その際に異状は見られなかったとしている。(朝日新聞)
■「長時間の電車通勤は無理」 配転命令の無効要求 身障者のJR職員、仮処分申し立て
 両足が不自由なのに長時間立ちっ放しの電車通勤を強いられる職場へ転勤を命じたのは人事権の乱用にあたるとして、京都府城陽市久世下大谷、JR西日本職員丸岡寿さん(31)が6日、同社を相手取って配転命令の取り消しを求める仮処分を大阪地裁に申し立てた。丸岡さんは国労組合員で、会社側の組合脱退勧奨に応じていなかったことから、不当労働行為(不利益取り扱い)などにもあたる、としている。
 申し立て書によると、丸岡さんは10年前に列車事故で両足切断の重傷を負い、翌年義足を着けて職場復帰した。身体障害者等級三級の認定を受けており、連続歩行は約15分が限度だという。
 復帰後は大阪・梅田のJR西日本本社財務部資材課でコンピューター操作に携わっていたが、今年3月15日付で神戸市中央区にある大阪資材センターヘ配転された。
 本社勤務時代は近鉄京都線とJR東海道線を乗り継いで約1時間半かけて通っていたが、京都から大阪までの快速電車は毎日座れたため負担は少なかった。新しい職場へは約2時間10分かかるうえ、ダイヤの違いから満員電車内の立ちっ放しの時間が約1時間に及ぶ。神戸駅から職場まで歩道橋を含めて約800bを歩かねはならず、痛みと疲労に悩まされている、という。
 JR西日本の奥田和男・資材課長の話 訴えの詳細な内容がわからないが、異動にあたっては何度も面接し、出勤時刻や通勤手段の配慮をすることを十二分に説明しており、本人もそれなりに理解していた。今回の訴えには大変驚いている。(朝日新聞)
■古都揺るがす「デパート戦争」
相次ぐ出店や増床申請 「伊勢丹・JRともに初挑戦
 「デパート戦争」がいま、古都を揺るがしている。京都市中心部でしのぎを削る高島屋京都店、大丸京都店、京都近鉄のほか、新規参入のジェイアール西日本伊野丹が改正大規模小売店舗法に基づいて増床・新規出店申請を相次いで近畿通産局に提出。出店手続きは地元説明の段階から大店審(大規模小売店舗審議会)に舞台を移した。大店審は5月中旬にも京都商店連盟などを対象に意見聴取を始める予定だ。来る者、迎える者、そして地元の思いは複雑に交差する。
 ジェイアール西日本伊勢丹は、伊勢丹初の関西進出とJRグループ初の本格的な百貨店事業という意味をもつ出店。伊勢丹新宿店では「関西にも店を持ってこそ、ナショナルチェーンと胸を張れる。長年の念願だった」と話す。
 ジェイアール西日本伊勢丹の近藤隆士開発部長は「建都1200年を機会に『発信する京都』へのまちづくりの一環」としながらも「地元との共存共栄は可能。大阪や神戸に出かける京滋の客を駅で止め、京都の商圏を広げられる。地域内でなく、地域間競争時代です」。完成後の年間売り上げを400億円以上と予想。
 伊勢丹の大家、京都駅ビル開発会社も「関西私鉄各社には百貨店があり、JR西日本もほしかった。四条通り以外にも核ができ、京都の集客能力アップにつながる」としている。
・文化担う自負と商圏確立に自信 「うちは地元」しにせの反攻
 「他都市の店が大きくなるのに、京都は長年我慢してきた。客の多様化した好みに応じ切れない」と増床で迎え撃つ形の地元のデパート。伊勢丹進出の影響を認めながらも表情はさまざまだ。
 伊勢丹が東京発祥であることをとらえ、「うちは地元」と強調する大丸京都店は新館を建てる。中山明総務部長は「長年、京都の文化を担ってきたという自負がある。伊勢丹さんが関西でどれだけ知名度や印象を持つのか。商圏というのは一つの百貨店で確立されるはど単純ではない」と自信を見せる。
 「うちも地元」と負けてはいない高島屋京都店は「伊勢丹で競争は店同士という『点』から、四条VS駅前という『面』の争いになる。うちは地元に愛されることをテーマに店づくりする」と、京を意識した店づくりを進める。
 一方、隣接地にライバルを迎える京都近鉄。3月末に近鉄グループ会社が借地状態のデパート敷地を本願寺維持財団から買収した。同社は「今回の増床と買収は無関係」と説明するが、「伊勢丹の進出にかなりの危機感がある。この地で頑張るといる決意の表れ。将来改築しても自分の土地なら都合がよい、という面はある」という。
 4月21日の決算会見で原田達雄専務は「秋には工事開始。建物は目いっぱい建てる」と決意を表明。
 これに対し、衣料品中心の店づくりで伊勢丹と競合が予想される藤井大丸。周囲は道路や他社ビルで増床スペースはほとんどなく、店舗面積1万5600bと規模面で取り残される。同店経営企画室は「ファッションの伊勢丹だけに脅威。駅前との対抗上、大丸と高島屋さんの増床も四条の商圏拡大にはいいが、危機感も大きい。小型の利点を追求するしかない」。得意の衣料分野の専門化、サービスというソフト面の強化で対抗する方針だ。
・客吸収され相当な打撃 商店街の反応
 こうした動きに対し、地元商店街はどう考えているのか。3月末、京都商工会議所などがまとめた「商業近代化実施計画策定事業報告書」によると、一商店街あたりの平均空き店舗率は1割を超え、空洞化が進む。経営者の高齢化も進むのに46%の小売店しか後継者が決まっておらず、最近3年間で売り上げ増を認める店舗は4割以下。「小売店舗はますます厳しい商業環境にあり、有効な方策は見いだせていない」としている。
 四条通り、駅前の商店街とも一連の増床、進出について、面同士の競争のなかで見た場合のメリットと域内競争のデメリットをつかみかねている様子だ。
 京都近鉄、ジェイアール西日本伊勢丹と競合する七条商店街振興組合。バブル時代に駅前開発をにらんだ地上げが進み、高齢化も加わって会員数は減っている。同組合の樋口信一理事長は「伊勢丹による駅周辺の活性化で四条などの客がこちらに流れるのか。さらに客を吸収されてしまうのか。相当な打撃を受けるだろう。大店法改正で商店の意向を聞いてもらえなくなるし、厳しい」と話す。
 また、255店が加入する四条繁栄会商店街振興組合の寺内隆理事長は、伊勢丹進出について「駅前とも競争になるがよそはよそで勉強すればいい」としたうえで、「今まで四条は百貨店と地元が共存共栄してきたし、大丸と高島屋の増床もいい影響が出ると信じている。今後も経営努力していくしかない」と話した。
・店舗総面積は2倍に 市内百貨店
メモ 増床計画の概要は、高島屋京都店 2万9428平方b増の5万9623平方b▽大丸京都店 2万500平方b増の5万3824平方b▽京都近鉄 1万7011平方b増の4万4654平方b。
 加えて、JR京都駅ビルに入るジェイアール西日本伊勢丹は、5万平方b(核店舗4万5000平方b、専門店5000平方b)となっている。
 4店合わせると11万7000平方b増で、四条河原町阪急、藤井大丸、近鉄西京都店を加えた市内百貨店の店舗総面積は、93%増と約2倍にもなる。
 市商業貿易課の試算では1月末現在、政令指定都市(東京を除く)の全店舗売り場面積中、京都市の第1種大型店(6000平方b以上)の割合は17.0%と最低。最高は横浜と福岡の39.3%。大阪は32.4%、神戸も30.7%と大型店が幅をきかす。
 京都は中小小売店の影響力が強く、1981年に市議会が5年間の大型店出店凍結を宣言。90年も全国に先駆けて大店法規制緩和の反対決議を採択するなど、大型店進出が長年抑えられてきた。
 同課は2年前の大店法規制緩和、さらに出店調整期間を最長1年に短縮した1月末の改正大店法を挙げ、「伊勢丹進出をきっかけに、地元百貨店が抑えてきたものが一気に噴き出した」と見る。(朝日新聞)
■長距離利用客が減少 連休中の列車「近場で安く」の傾向
 JB西日本は6日、ゴールデンウイーク中(4月25日−5月5日)の利用状況をまとめた。特急、急行の長距離旅行客は上下合わせて283万人で、前年より3%少なかったものの、京阪神近郊の近距離客は前年を上回っており、「近場で、安く、のんびりと」の今年の傾向をくっきり。期間中の長距離客が前年を下回ったのは、花博の翌年に当たる去年に続き2年連続。
 内訳をみると、山陽新幹線の利用客は149万2000人で前年並みだったが、在来線が133万8000人と前年より5%少なかった。都市圏の主な駅の近距離券発売枚数では三ノ宮、姫路、奈良駅などで10%以上の伸びだった。
 JR西日本では「飛び石連休だったのと、景気後退のせいではないか」とみている。
 一方、関西の私鉄大手5社の利用状況では、5社のうち、阪神、京阪は去年を上回ったが、残り3社は下回り、5社合わせると、去年より3.2%少なかった。
 阪神は、プロ野球を去年より2日多い5日間開いたことなどから3.1%増え、京阪は0.2%の微増。一方、近鉄は3.2%、阪急は5.7%、南海は6.3%、それぞれ去年の期間中を下回った。(朝日新聞)
■のぞみ型新幹線停止事故 ボルト2本欠落していた JR東海発表 製造ミスの疑い
 東海道新幹線の新型300系車両(のぞみ型)が6日、走行中に突然緊急ブレーキが作動、停止した事故で、JR東海は7日、車両などを調べた結果、モーターを台車に取り付けるボルト2本が欠落していたことが分かり、メーカーの初歩的な製造ミスが事故原因の疑いが強い、と発表した。メーカーの川崎重工業(本社神戸市)にも、JR東海側の見方を伝えた、という。
 これに対し、川崎重工業広報部は「出荷時の検査ではボルトが4本とも入っていたとの記録が残っている。いつボルトが欠落したのか、今後明らかにしたい」としている。
 JR東海の調べでは、モーターを台車に取り付ける4本のボルト(直径2.4a)のうち、下側1本のボルトが擦り減って残っていただけで、残り3本は付いていなかった。下側のボルト穴は摩擦の跡があったが、上側の2つには摩擦の跡はなかった。
 こうした状況から、JR東海は、上側の2本のボルトは製造段階から取り付けられておらず、走行時の台車の振動でモーターの位置がずれるうちにモーターと歯車の間にある円筒型の部品が外れ、エアホースを直撃した疑いが強い、と判断した。
 車両は3月上旬、メーカーから引き渡されたが、これまでJR側はモーター部分は一度も点検していなかった。モーター部分を含む台車の検査は年1回または走行距離が30万`に達した時に行うことになっている。
 300系車両は4編成あり、3月のダイヤ改正時から導入された。事故を起こした1編成は川崎重工業製だが、他の3編成は別のメーカーが製造した。
・今は何とも言えぬ 製造の川崎重工業
 東海道新幹線の新型車両事故の原因について、JR東海がメーカーの製造ミスの疑いがあることを指摘したことに対し、車両を製造した川崎重工業神戸本社の広報担当者は7日午前「現段階では何とも言えない。情報を収集した上で、公式に何らかのコメントをする予定だ」と話した。(京都新聞 夕刊)
■こだま急停車
 7日年前8時23分ごろ、東海道新幹線静岡−掛川間を走っていた東京発新大阪行き下りこだま405号が急停車した。運転士が点検したところブレーカーが落ちたためと分かり、電源を入れ直して5分後に運転を再開した。(京都新聞 夕刊)
■「ひかり」故障 駆動装置が落下 JR東海が原因示唆
 東海道新幹線名古屋−三河安城間で6日、「のぞみ」用に導入された新型車両(300系)を使っている「ひかり238号」が約4時間にわたり立ち往生した事故で、JR東海は、同列車の故障原因について、駆動装置の一部が落下、ブレーキ用などに使われている空気ホースを切断したため、緊急ブレーキが作動した可能性が強いことを明らかにした。さらに、駆動装置の一部が落下したのは、装置に接続しているモーターを固定しているボルトが外れてモーターが異常に揺れたため、との見方も示した。同社は7日朝から浜松工場に回送した故障車両を調査している。
 JR東海の調べでは、「ひかり238号」の6号車と7号車の連結部分で、ブレーキやドアの開閉用の動力源として使われている圧縮空気を通すゴム製ホース(直経4.5a)が切断されていた。また同列車の後方約2`の線路内で鉄仮が見つかり、7号車の床下にある駆動装置の一部とわかった。このため同社は、駆動装置の一部が落下、はずみながら、後部に設置されてあるホースを切断した、とみている。
 この駆動装置はモーターと、動力を車輪に伝える歯車装置の間にある「歯車形たわみ軸縦ぎ手」で、車輪とモーターの揺れを吸収、調整する役目を果たしている。軸と歯車を外筒(直径約20a)で包み、両側をドーナツ形の鉄板(直経約25a)でカバーしている。カバーと外筒はそれぞれ12本の鉄製ボルトで留められていた。
 同社によると、「紡ぎ手」の基本構造は、これまで東海道新幹線の主力車両だった0系や100系型と同じ。事故後に、同社が導入した300系4編成のうち事故車両以外の3編成を6日夜、緊急点検したが、異状はみられなかったという。過去に落下した例はなく、「構造に欠陥があったのではないと思うが、なぜ落ちたのか、調査ではっきりさせたい」としている。
 故障車両は3月5日にメーカーの川崎重工から引き渡しを受けた。駆動装置の評細な点検は今年秋に予定されていた「台車検査」で行われるはずだった。
・運輸省が事情聴く
 「のぞみ」型(300系)車両の事故を重くみた運輸省は7日午前、JR東海の安全対策担当者を中部運輸局(名古屋市)に呼び、事故の状況について説明を求めた。同運輸局は「故障の原因など事情をよく聴いたうえで、運輸省としての対応を決めたい」としている。(朝日新聞 夕刊)
■山形・東北新幹線 レールつながった
 東京から山形まで直通のミニ新幹線(新幹線直行特急)を運転するための「山形新幹線」のレールと、東北新幹線のレールとの締結式が7日午前、福島駅近くの高架橋上で行われた。福島−山形間の奥羽線約90`の線路幅を新幹線規格に広げ、さらに東北新幹線に乗り入れできるように互いの線路をつないだ。7月1日から、小ぶりの新幹線「つばさ」が営業運転する。(朝日新聞 夕刊)
8日■製造段階か出荷後かで対立 新幹線停止 ボルト欠落でJRとメーカー
 東海道新幹線の新型車両事故はJR東海の7日までの調査で、台車にモーターを取り付けるボルトの欠落が原因とみられているが、欠落した2本のボルトをめぐりJR東海とメーカーの川崎重工業(本社神戸市)で見解が対立、製造段階なのか出荷後に欠落したかが今後の調査の焦点になりそうだ。
 中部運輸局は8日にも、JR東海に原因究明と再発防止を指示。
 また復旧に5時間近くかかったことを重視し、早期復旧態勢を検討するよう要講する。
 JR東海はこれまでの調べで、取り付けボルトは上、下各2本あり、上側の2本(長さ7a、直径2.4a)は製造段階でメーカーが付け忘れたため、走行中の振動でモーターと歯車部分が外れたとの見解を示した。
 その理由として、下側のボルトが入る穴にはボルトとの摩擦痕が残っているが、上側の2つの穴はどちらも無傷でほこりが付着していたことから、走行中に外れたのなら傷が残るはずとしている。
 また、上側のボルトは台車を車体から取り外さない限り外せない構造で、人為的ないたずらもあり得ないと主張している。
 一方、川崎重工は、出荷時の検査記録にはボルトは4本とも縮めて引き渡したとあり、JRの見解を否定している。
 花形車両の故障原因について、メーカー側の単純ミスに落着させたいJR側と製造元としてのメンツを守りたいメーカー側。これからの調査は2本のボルトに焦点が絞られることになる。(京都新聞)
■「のぞみ」型新幹線事故 駆動部ボルト外れていた JR「初歩的なミス」 川重「検査記録は記載」
 東海道新幹線の名古屋−三河安城間で6日午後、「のぞみ」型(300系)の「ひかり238号」が立ち往生した事故原因について、JR東海は7日、7号車のモーターを車体に固定するボルト4本がすべて付いておらず、モーターの位置がずれて「歯車形たわみ軸継ぎ手」が落ち、ブレーキやドア開閉用の圧縮空気を通すホースを切断したことが分かった、と発表した。さらにJR東海は「4本のボルトのうち2本は、この車体を製造したメーカーの川崎重工業が納入した時点で最初から取り付けられていなかった可能性が高く、メーカー側の初歩的ミス」との見方を強めている。
 走行中に外れたボルトの1本は京都市内で見つかり、車両はモーターが不安定なまま約150`も走っていたことも分かった。
 JR東海によると、モーターは上下2本ずつ、計4本のボルト(直径24_、長さ55−70_)で固定されているが、故障個所のボルトのうち下側の2本は切れたり、抜け落ちていた。うち1本は京都駅から約2`新大阪寄りの京都市南区の線路内で発見された。また、上側の2本のボルトも付いていなかったが、これはまだ見つかっておらず、ネジ穴にはほこりが付いていたという。
 このため、JR東海は、上側のボルト2本が最初から付いていなかったため、走行中の振動でモーターの位置がずれるなどして伝動装置の継ぎ手が破損、落下した可能性が極めて高い、と結論付けた。
 川崎重工は、「工場から搬出するときは4本とも付いていたとの検査記録はある」としながらも、車両事業部の杉山直之総務部長は「過去に例がなく驚いている。考えられるのは見落とし、(人的な)取りはずし、ゆるんで抜けた、の3点で、検査記録を許しく調べたい」と話している。
 故障した車両は約1200`の試験走行を含めて6日までに約5万`走っていた。モーターの取り付け状態の点検は年に1度の台車検査などで実施するが、この車両は3月5日に納入されたばかりのため、JR東海としての点検はまだしていなかった。
 JR東海は今後、鉄道総合技術研究所(JR総研)、メーカーの川崎重工業と合同で製造過程の調査や、同様な状態での試験を進め、最終的な原因を究明することにしている。(朝日新聞)
■新幹線車両事故 ボルト1本回収 京都駅近く 落下時期確認へ
 東海道新幹線の新型300系の車両事故でJR東海は8日までに、事故を起こした車両から走行中落下したとみられる取り付けボルト1本を京都駅近くの線路で発見、回収した。
 ボルトはかなり擦り減っており、事故列車の7号車のモーターを台車に固定していた4本のボルトのうちの下側の1本らしい。下側のもう1本のボルトは台車に残っていたが、上側の2本は取り付けられていた形跡がなかった。JR東海はボルトが1本しかなかったため走行中の振動でモータがぐらつき金属部品が落下しエアホースを切ったとみている。上の2本については製造段階からなかったとするJR東海と製造メーカーの川崎重工業(本社神戸市)の間で見解が対立している。
 ボルトは京都駅から新大阪駅寄り約3`の地点で発見された。JR東海は、このボルトが6日の事故直前に落下したのか、それ以前に落下したのか確認できないとしているが、ボルトの発見現場から事故現場の名古屋市緑区まで約150`あり、事故直前に落下したとしてもこの間、ボルト3本が欠けたまま高速走行を続けていたことになる。
 JR東海はボルトを詳しく調査、落下時期の確認などを急いでいる。(京都新聞 夕刊)
9日■信楽列車事故1年 @ 遺族の心情 進まぬ補償 いらだち
 5月14日午前10時35分。42人の命を奪った滋賀県・信楽高原鉄道の列車正面衝突事故から1年。遺族が問い続ける事故原因は、今なお結論が出ていない。死亡した乗客37人のうち、補償示談が成立したのはわずか5遺族。慰霊碑建立のメドも立たず、新緑の季節が巡ってきた。思いがけない事故で肉親を失い、家庭生活が暗転した遺族たち、単線上の正面衝突という前代未聞の事故の核心に迫る捜査の現状など、大惨事の1年を追った。(滋賀本社、草津支局)
●娘の呼ぶ声
 「お父さん、晶子です」。大阪市浪速区、浪速寺任職の中田明道さん(79)は、今春の西国お遍路参りで、娘の晶子さん=当時(42)=が、自分の名を呼ぶ声を聞いた。
 10年間欠かさず親子で続けた四国巡拝。「徳島の札所22ヵ所を終え、高知に入って2晩目かな。朝起きると、聞こえたんです。一緒にお参りに来ているんだな、と思いました」。
 晶子さんは、信楽町の世界陶芸祭に行くため職揚の仲間4人とJR列車に乗り、事故に遭った。超満員の列車で他の3人に席を譲り、晶子さんは立っていた。
 母親の佳子さん(70)が、おえつしながら言葉を継いだ。「あの子はええ子やから身代わりになって逝きました。悲しみ、苦しみは子供を亡くしたことのない人に分かりますかいな」。
 信楽町、会社員久保正さん(24)は、高原鉄道列車に乗車していた母親の高子さん=当時(61)=と伯母2人の3人を一度に亡くした。久保さんはこの1年、自宅の壁の塗り替えさえも、ためらった。「たくさんお金もろて直したんちゃうか、と言われそうで。僕が気にし過ぎるのかもしれませんが、小さな町のことですから…」。
 事故後、遺族会への参加を誘われたが、集団の補償交渉は「信楽町を苦しめるだけ」と断った。
●延びた結婚式
 JR列車で妻恵美子さん=当時(48)を亡くした大津市の会社員国江信雄さん(54)は、6月に娘が結婚する。昨年5月に式を予定していたが、妻の不慮の死で1年延期した。
 「家内に娘の花嫁姿を見せたかった。でも、相手の方を知っていたのが、せめての救いでしょうか」。
 一方、補償交渉に応じた遺族もある。死者42人のうち乗客の犠牲者は37人いるが、5遺族が示談をすませた。補償額については鉄道会社、遺族とも固く口を閉ざしている。
 「早く平穏な生活を取り戻したかった。過ぎたことは仕方ない。もう、忘れたい…」。妻(68)を亡くした大阪府内の男性は、言葉少なにこう話した。
 614人の負傷者の示談も7割程度。京都の企業協同組合の弁護士は「自動車事故の4−5割しか提示がなく、低すぎる」といらだちを隠さない。後遺症に苦しむ重傷者、4人が今なお入院中だ。
 滋賀県水口町の病院に入院中の中島イトさん(67)=信楽町=は、腰の骨を足に移植するなど手術を5回受けたが、いまも右足に装具をつけた状態。つえをつき、ゆっくりと足を運ぶのがやっとだ。
 一緒に列車に乗った夫と2歳の孫は死亡した。一周忌法要の前日の13日に、事故後初めて2人のいない自宅に戻る。
 「おじいちゃんと、ぼんが待ったはるさかい。込み上げても泣かへんと息子に言うたが、やっばり泣くやろうなぁ」。(京都新聞)
■信楽鉄道事故1年 宙に浮く慰霊碑建立 遺族「ぜひ現場近くに」「用地難5`先の寺院へ」SKRなど計画
 42人の犠牲者を出した信楽高原鉄道列車事故から間もなく1年になるが、一周忌を目標に進められてきた「慰霊の碑」建立の計画が、遺族側と信楽高原鉄道(SKR)、JR西日本の両者の間で話し合いがまとまらず、宙に浮いたままになっている。
 事故後すぐ、信楽町黄瀬の事故現場の線路わきに設けられた祭壇は、借地上の仮施設。正式な碑は、乗客の犠牲者37人のうち21人でつくる「犠牲者遺族の会」(吉崎俊三世話人代表)が中心に、現場に近い−などの条件を要望してきた。
 この要望をうけSKRとJR、滋賀県、信楽町の四者は昨年秋ごろから日航ジャンボ機墜落事故など全国8ヵ所の事故慰霊碑の視察。これらを参考に▽事故現場の周辺▽約500b南の紫香楽宮跡駅駐車揚▽約1`南の雲井駅付近の3ヵ所で用地を探した。しかし、現場付近は国道307号の拡幅や第2名神インターが予定されていることなどから建立は難しいと判断。現場には小さな碑を設けた上で、永代供養の慰霊の碑は現場から約5`離れた玉桂寺の境内に建てる方向で話を進めていた。
 これに対し、逮族の会は4月中旬に「現場近くとの条件は譲れない」などとして計画の白紙撤回を申し入れた。
 SKR専務で被災者相談室の井上春絹室長は「現場での用地確保が難しく、恒久的な維持管理などを考えあわせた結果、玉桂寺を選んだ。一周忌までに用地だけでも確保しておきたいと考えていたが…。計画は白紙状態になった」と話している。
 事故で妻=当時(52)=を失った同会世話人の中原邦夫さん(57)は「碑建立の計画について、事前に相談は何もなかった。碑は単に慰霊の意味だけでなく、もう二度とこのような事故を起こさないという誓いの碑であってほしい。だから、碑は現場にあってこそ意味があると思う」と話している。
・14日に1周忌法要 一部の遺族欠席か
 信楽高原鉄道(SKR)の北川啓一社長は8日、滋賀県庁で記者会見し、同鉄道列車衝突事故から1年目にあたる14日、甲賀郡信楽町勅旨の県立陶芸の森・産業展示館「信楽ホール」でJR西日本と共催の「信楽高原鉄道列車事故犠牲者一周忌慰霊法要」を営むと発表した。
 法要は午後2時から2時間、同町仏教会の僧りょが導師となって行われ、42人の犠牲者の遺族、来賓、一般参列者ら約450人が出席。北川社長、角田達郎JR西日本社長、遺族代表の慰霊のことば、遺族代表、稲葉稔知事、杉森一夫信楽町長(SKR前社長)の追悼のことばの後、遺族、関係者が焼香し犠牲者のめい福を祈る。SKR、JRの「犠牲者遺族の会」(吉崎俊三世話人代表)への説明会で、同会から「説明会への出席、謝罪」を求められている角田JR西日本社長が遺族の前に姿を見せるのは、事故約1ヵ月後の昨年6月16月に同町で営まれた合同慰霊祭以来となる。奥田敬和運輪相は国会審議の関係で欠席することになった。
 遺族側は同日、事故が起きた午前10時35分に同町黄瀬の現場に設けられている慰霊堂で法要を営むことにしている。
 一方、犠牲者の遺族のうち、京都府相楽郡木津町の協同組合「ハイタッチ・リサーチ・パーク」の6遺族中5遺族は、この一周忌法要への欠席も検討していることを8日、明らかにした。
 その理由として▽事故後1年近くたってもJR社長の直接謝罪がない▽負傷者への示談交渉の提示額が低く、誠意がみられない−ことなどをあげている。同組合の遺族も事故発生時刻に現場で独自に追悼の意を表すことにしているが、「誠意ある対応が示されない限り、法要には参加したくない」としている。(京都新聞)
■JR快速電車 車掌置き去り発車 花園−嵯峨駅間 500人、乗り換えで遅れ
 8日午後5時半ごろ、JR嵯峨野線花園駅と太秦駅の間にある城北街道踏切(警報機・開閉機付き)で京都発園部行きの快速電車が踏切支障報知装置が作動したため、花園駅で臨時停車した。
 運転士が、駅から約800b離れた踏切を確認したところ、異常がなかったため装置を復帰させて嵯峨駅に5分遅れで到着したところ、車掌が乗っていないことが分かった。車掌は後続の普通電車で嵯峨駅に来て快速電車に乗車したが、この影響で同電車は嵯峨駅を25分遅れて発車した。
 同電車の乗客約500人は嵯峨駅で快速電車待ちの普通電車に乗り換えたが、同線は快速電車を含め上下4本が9分から25分遅れ、乗客1700人に影響が出た。
 JR西日本の調べでは、運転士が車掌が花薗駅で降りたのを知らず、発車してしまったらしい。(京都新聞)
■府南部に大雨 列車乱れる JR関西本線
 8日夜から府南部を襲った強い雨の影響で、京都府相楽郡笠置町、JR笠置の雨量計が35_に達したため、関西本線の大河原−加茂間が午後7時20分から約1時間40分にわたって上下7本が運転を見合わせた。また、木津駅でも雨量が30_に達したため、加茂−奈良間で午後7時5分から上下31本が徐行運転となった。このため、加茂−湊町間で最高20分の遅れ、関西本線と一部乗り入れするJR奈良線も奈良−京都間で最高10分の遅れ、1万8000人の足に影響が出た。
 また、相楽郡木津町木津池田で、民家、商店など15軒が午後8時ごろから床下浸水の被害が出たが、約40分後に水は引いた。(京都新聞)
■新幹線ボルト欠落 いつからついていない 検査でなぜ分からず 2つのなぞ究明の焦点に
 東海道新幹線名古屋−三河安城間で「のぞみ」型(300系)の「ひかり238号」が立ち往生した事故の原因は、JR東海などの8日までの調べで、モーターを台車に固定するボルト4本のうち2本の欠落が引き金になった疑いが強まっているが、@ボルトがどの段階からつけられていなかったのかAメーカーの川崎重工、JR側の検査でなぜ、発見できなかったのか、の2点の究明が、今後の焦点になってきた。
 「ひかり238号」は、7号車床下のモーターが横に揺れて、駆動装置の「継ぎ手」が落下し空気ホースを切断、緊急停車した。
 JR東海によると、このモーターは上側から2本、下側からの2本のボルトで固定される仕組み。下側2本のうち、1本はちぎれた状態でネジ穴に残り、もう1本は現場の150`手前の京都駅付近で見つかった。
 しかし、上側2本のネジ穴には傷がなく、塗料もはがれていないうえ、ゴミがたまっていた。ネジを装着すれは必ず傷が付き、塗料がはがれることから、同社は「組み立ての段階からボルトは入っていなかった」との見方を強めている。
 川崎重工側は、昨年12月中旬の検査記録をもとに4本ともつけられていたはずと説明する。しかし、全面的に争う姿勢はなく、「検査での見落とし」「一度とりつけたが途中ではずれた」「緩んで自然に抜けた」、の3つの可能性を調べている。いずれの場合も川崎重工のチェックシステムが問われることになるが、検査状況について川崎重工は、「原因を調べている最中なので、コメントできない」という。
 他の車両メーカーによると、製造過程の検査は、メーカーによってやり方は異なるが、作業グループの担当者が部品を組み立てたあと、担当者自身がリストをもとにチェック。さらにグループの責任者が再度調べる。そのあと、検査部門が確認する、3段階システムとなっているのが一般的という。ボルトの取り付け位置を図に書き入れて確認するなど細かなチェック方法がとられている。
 「ボルトは最終的には1個ごとすべてハンマーでたたいて締まり具合を確認するのが常識。未装着の場合はわかるはず」と他社の担当者は、今回のボルト欠落に首をかしげている。
 JR東海は、基本的には製造過程の品質管理をメーカー側に任せてきた。JR側は製造過程を何度も目で見てチェックはするものの、新規車両の検査は、受け取る直前から。それも外観や速度性能などの確認が中心で、部品ごとについては調べない。ボルトの検査は、1年以内または走行距離30万`以内に行う「台車検査」以降で、事故車両は今年秋の予定だった。
 旧国鉄では、「新車検査室」があり、「役所」としてメーカーの製造過程を監視・指導し、主要部品についても検査員がチェックした。しかし、メーカー側の品質管理が向上したことや、国鉄が分割され民間会社に変わったことによる合理化の流れもあって廃止された。
 「民間会社としての検査人員では、本州のJR1社だけで年間100両以上にものぼる新規車両すべての製造過程を細かく検査するのは不可能」(JR車両関係者)との実情もある。(朝日新聞)
■車掌置き去り 快速が発車 JR・花園駅
 8日夜、京都市のJR山陰線で、踏切の非常ボタンが押されたことから近くの駅に臨時停車した快速電車が、車掌をホームに置き去りにしたまま発車した。車掌を待ったため、快速電車と後続の電車など4本が最高25分遅れ、通勤客ら約1700人の足が乱れた。
 JR西日本によると、午後5時半ごろ、京都市右京区太秦一の井町のJR山陰線路切で緊急用通報装置のボタンが押されたのを大阪市北区の信号通信指令がキャッチ、接近していた京都発園部行き快速電車(4両編成、乗客約500人)を手前の花園駅に臨時停車させ、運転士に踏切の点検を指示した。運転士は車内電話で最後尾の車両にいる車掌(42)に運転室に来るように伝えた。車掌は車内が混雑していたため、いったんホームに出て運転室に向かったところ、運転士は車掌が車内を移動していると思い、電車を発車させたという。
 運転士は踏切を点検して次の嵯峨駅に到着後初めて車掌がいないことに気づいた、という。花園駅に置き去りにされた車掌は後続の普通電車で20分後に嵯峨駅に着いた。(朝日新聞)
■新幹線ドアで乗客が指切断 JR新大阪駅の最終列車
 JR新大阪駅で1日夜、東海道新幹線の名古屋行きの上り最終列車に駆け込み乗車しようとした乗客が、ドアに手を挟まれて右手薬指を切断する事故にあっていたことが、9日明らかになった。
 JR東海によると、1日午後9時40分ごろ、新大阪駅新幹線ホームで、博多発名古屋行き「ひかり62号」が発車する寸前、7号車に飛び乗ろうとした男性会社員(44)が閉まりかけた自動ドアに右手を挟まれた。
 係員が気付いてドアを聞けたが、薬指の第一関節から先が切断されていた。会社員は近くの病院に運ばれた。この事故の影響で、同列車は発車が1分遅れたという。
 事故発生をすぐに公表しなかった理由について、JR東海は「運行に影響がなく、発表するケースではないと判断した。けがをした本人の希望もあった」と説明している。(朝日新聞 夕刊)
10日■信楽列車事故1年 A 社長の謝罪 心の痛み しこり残し
 「今年の正月は本当にさびしい、腹立たしい思いで過ごした。血の通う人間として心の痛みを分かってほしい」。
 遺族の一人が、信楽高原鉄道(SKR)とJR西日本両社による合同説明会で訴えた。
 「犠牲者遺族の会」の説明会には、SKRは社長、JRは常務(鉄道本部長)らが出席。昨秋からこれまでに4回開かれ、毎回予定の2時間をオーバー、激しいやりとりが続いた。
 昨年10月の初めての説明会ではJRの社長の欠席に対し、遺族から怒声が飛んだ。
 JR常務「社長はご葬儀に役員、幹部と分担して参列、また合同慰霊祭(昨年6月)の場でお悔やみし、鉄道事業者としてのおわびと反省の気持ちを甲し上げた。私が会社を代表して出席しています」
 遺族「SKRの社長は常にわびるということを言っている。常務、この問題の最高責任者ならJRを代表してここでわびてください、みんなに」
●娘は地獄見た
 JR常務「事故にかかわった鉄道事業者として申し訳なく、おわび申し上げます」
 遺族「娘は地獄を見たんですよ。あの列車(JR)に乗って自分の足元で母親が死んで。土下座してもけりたい、頭を。今あんた謝ってくれたけど、そんな通り一遍じゃ…、その気持ちやからみんな許せない」
 同11月の2回目も、JR社長は欠席。謝罪問題が中心となり、遺族から再び不満の声が上がった。
 遺族「JRの乗客であった犠牲者の遺族に事故の原因がどうであれ、会社として謝罪してほしい」
 JR常務「ご被災者に過失は全くありません。鉄道側の過失であること、これは間違いのないところですので、私どもとしては精いっぱいやらさせていただいております」
 今年2月の第3回説明会では、事故原因に関係する信号システムに質問が集中した。JRの「方向優先テコ」の機能やシステム導入に伴う両社の打ち合わせが焦点になった。
●JRの切符で
 4回目は、先月中旬開かれ、5月14日の一周忌法要の式次第が説明され、JRの社長も出席することが明らかにされた。
 速族「JRの運転士は出席するのか」
 JR「昨年末に再入院しました。確認してご報告します(JRによると、職場復帰し事務に従事)」
 辻族「私は母を亡くしました。運転士には名札をつけてお線香なり上げてほしい。この気持ちを必ず伝えてください」
 乗客の犠牲者37人のうちSKR 列車に乗っていたのは7人。犠牲者の大部分は世界陶芸祭のため乗り入れていたJR列車に乗車していた。「遺族の会」のメンバーは「私の妻は、娘は…JRの切符を買ってJR列車で死んだんです。誠意が感じりれない」と不信感をあらわにする。
 遺族の心にしこりを残したまま14日、信楽町の「県陶芸の森」で一周忌法要が営まれる。(京都新聞)
■売上金2000万円横領 JR東海、駅員を懲戒免
 静岡県富士市のJR富士駅営業係出札担当社員(45)が売上金約2000万円を横領したとして、先月懲戒免職になっていたことが9日までに分かった。
 JR東海などによると、3月に同駅で年度末の決算集計をした際、現金と売上額に差があったため調べたところ、この社員が横領の事実を認めたという。JR東海は4月下旬富士署に被害届を出す一方、同月22日懲戒免職処分にした。
 同署は横領の疑いで関係者から事情を聴いている。
 JR東海では昨年4月、コンピューターを使って各駅の収入を集計、管理する「POSシステム」を導入。この社員は同システムの端末に売上額を打ち込む際、何回かにわたって実際には入金しているのに、予約だけで現金がまだ入っていないなどの形で処理、現金を着服していたらしい。
 社員は4月1日から出勤していないという。(京都新聞)
11日■信楽列車事故1年 B 長引く捜査 原因解明へ なお時間
 信楽高原鉄道(SKR)の列車と乗り入れのJR西日本列車が、単線上でなぜ正面衝突したのか。
 事故から1年、原因につながる信号保安システムの鑑定はまとまった。しかし、原因を特定するには、人がどのようつに関与したのかの解明が不可欠だ。滋賀県警の幹部は「関係者の供述を裏付け、捜査結果を最終的に公表できるのは、秋ごろ」との見通しを示す。
●専門知識の壁
 昨年5月の事故後、県警は事件、事故捜査としては最多の捜査体制を敷き、延べ1万人の捜査員を投入。捜査の重点を▽鉄道関係者や乗客らの事情聴取▽信号保安システムの解明−に絞った。だが、死者42人、負傷者614人という鉄道事故史上有数の大惨事に加え、専門的な鉄道技術や電気連動といった捜査の「壁」をクリアしなければならず、長期化を余儀なくされている。
 「昭和61年に国鉄の余部鉄橋で起きた列車落下事故(死者6人、負傷者6人)で、兵庫県警が関係者を書類送検するのに1年かかっている。信楽事故はシステムと人間の行為が密接に絡んでおり、事実を一つひとつ詰めている」。捜査幹部は、事故の規模の大きさと複雑さを強調する。
 県警捜査本部は、警察庁の科警研と協議し、信号保安システムの鑑定を運輸省の「交通安全公害研究所」に依頼。システムの現場検証を4回にわたり実施、信号やポイントなどの動きを2時間のビデオテープ300本に記録した。
 「事故当時、捜査員の中に電気や鉄道技術の知識があるものはごく限られていた。だが、今では夜雑な回路や信号の連動などを示す『連動図表』さえ書ける。関係者の供述の矛盾は見破れる」と、捜査幹部。
 刑事責任の業務上過失致死傷容疑の立証は、単に過失があったかどうかではなく、事故に関与した鉄道関係者が▽事故を予見する立場にあったか(予見可能性)▽危険回避のため事故防止に当たったか(注意義務違反)−が要件になる。
 鉄道や航空機、ガス爆発など従来の事故でも裁判の重要な争点になってきた。事故の全体像をつかみ、責任の所在を明らかにする長く地道な作業が続く。
●異例の調査委
 一方、運輸省鉄道局に設置された信楽事故の「調査検討委員会」(委員長・正田英介東大教授、10人)。捜査とは別に事故の再発防止のため、電気や信号の専門家らで独自に原因解明を行っている。
 航空機事故の場合は、運輸省とは独立組織で常設の「航空機事故調査委員会」があるが、鉄道事故で運輸省が内部に調査委員会を設けたのは初めてのこと。
 山田隆二・施設課長は「従来の鉄道事故は、鉄道事業者の報告をもとに運輸省が内容を検討してきた。今回はSKR が第三セクター鉄道で社員が少ないうえ、中核の社員5人が死亡したため」と、事故の特殊性が異例の調査委設置になったと説明する。
 委員会は昨年8月以来、計五回の会合を開催。現地で警察とは別に信号保安システムの機能を調べた。溝口正仁・保安車両課長は「当日、SKR列車を出発させる際に重要な役割を果たした人が死亡している。運輸省として事実認定をし、原因を断定するにはなお時間がかかる」という。(京都新聞)
■近鉄大阪線で小2が電車にはねられ即死
 10日午前10時50分ごろ、大阪府柏原市安堂町1の2、近鉄大阪線安堂駅構内の踏切で、同市玉手町、大工松比良通義さん(44)の二男善三君(7つ)=市立玉手小二年=が、上本町初榛原行き準急にはねられ、全身を強く打って即死した。
 現場の踏切は改札口とホームを結ぶ通路で、遮断機と警報機が設置されている。
 柏原市の調べでは、善三君は剣道教室の練習に参加して帰宅する途中で、同駅で乗車するため、遮断機をくぐって線路内に飛び出してはねられたらしい。(京都新聞)
■小2生はねられ踏切内で死亡 近鉄大阪線安堂駅
 10日午前10時50分ごろ、大阪府柏原市安堂町の近鉄大阪線穴堂駅の構内踏切で、上本町発榛原行き準急(4両編成)に、同市玉手町、大工松比良通義さんの次男、同市立玉手小2年善三君(7つ)がはねられ、即死した。
 柏原署の調べでは、善三君は近くの剣道教室で練習を終え、電車に乗って帰宅するため友達数人と駅にやってきた。1人だけ急いで踏切を渡ろうとしたらしい。遮断機は下りていたという。(朝日新聞)
12日■信楽列車事故1年 C 原因究明 赤信号のはずが青に
 42人の命を奪った事故は、信号トラブルなど3つの複合原因で起きた、とみられる。
 高原鉄道(SKR)が、午前10時14分信楽駅発の列車を発車させようとしたが、駅の出発信号が「赤」から「青」に、変わらなかったことが発端だった。
 このため、SKRは代替手段として信号を使わない「代用閉塞(へいそく)方式」で運行することにしたが、この方式の条件となる進路の安全を十分に確かめず、10時25分ごろ「赤」信号のまま列車を発車させた。
●異なる連動
 列車が「赤」で出ると、線路上の「誤出発検知装置」が作動し、衝突回避のため対向のJR列車側の小野谷信号所の出発信号を「赤」固定して停車させるはずが、「青」になっていたため、JR列車は信号所を通過、正面衝突した。
 3つの原因のうち、2つまで信号に関係しているため、県警は繰り返し信号保安システムの検証を実施。その結果、信号やポイントなどの実際の連動が、近畿運輸局に提出されていた「連動図表」とは異なることが分かった。
 その理由は、JR、SKR双方とも設備を変更したためだった。JRは無届けで、貴生川駅−小野谷信号所間の下り進路を確保する「方向優先テコ」を運行管理部亀山指令所(三重県)に設置。SKRは信号保安システムの完成検査を受けた後、運転上の理由から小野谷信号所の場内信号の設備変更をしていた。
 これまでの捜査で、県警は最初の信楽駅の出発信号の「赤」固定は、JR設置の「方向優先テコ」が一因−との見方を強めているが、テコの本来の目的は、小野谷信号所の上り出発信号を「赤」固定するだけ。なぜ信楽駅にも影響が及んだのか、県警は「SKRが実施した設備変更の関与の有無も調べている」と、原因の詰めを急いでいる。
●連携が不十分
 だが、捜査の最大の焦点は、最後の安全確保手段として信楽駅構内の線路上に設置されていた「誤出発検知装置」の機能がなぜ正常に働かなかったか、である。検知装置の作動を示す信楽駅指令室のモニターランプは事故直後、点灯していた。なのに小野谷信号所のJR側の出発信号は「赤」に固定されず、なぜ「青」だったのか。
 事故の11日前の昨年5月3日。SKR列車は、信楽駅の出発信号が「青」に変わらないため、「赤」のまま発車した。しかし、対向のJR列車は小野谷信号所の出発信号が「赤」になっていたため停車、衝突を免れるトラブルがあった。
 検証でも、県警は「誤出発検知装置」は正常に機能し、小野谷信号所の出発信号を「赤」固定することを確認している。捜査本部は引き続き機器の作動状態を調べるとともに、関係者の事情聴取を続けている。
 世界陶芸祭に伴うJRの乗り入れなど、ダイヤ増発のために新設された信号保安システムはSKR 、JRが機器も工事も別々の下請け会社に発注した。「システムを部分でなく、全体を通して見る人がいなかったようだ」。捜査幹部は、事故の背景として打ち合わせの不十分さを指摘する。(京都新聞)
■JRの幹線偏重を指摘 信楽事故1周年前に 国労が安全シンポ
 信楽高原鉄道事故1周年を前に11日、国労西日本本部などは「JRの安全と公共性の確立をめざすシンポジウム」を大阪市北区の国労会館で開いた。
 シンポには労組員など約百人が参加。安部誠治・大阪市大助教授が、国鉄分割・民営化の経過や問題点を報告した。
 信楽鉄道事故被害者弁護団の杉本吉史弁護士は事故について@信号システムが信楽鉄道とJR双方でばらばらに設置、管理されていたA乗り入れ運転での安全性確保のための連絡体制が不十分だった−としてJR西日本の責任を追及した。
 また土居靖範・立命館大学教授が、JR西日本は主要幹線のみに力を注ぎ、地方交通線では極限まで人員を削減し切り捨てている、と指摘。「地方に住む人たちの交通権を確保する必要がある」などと強調した。(京都新聞)
■新幹線車両事故 ボルト締め付け不足原因 JR東海調査結果 不完全納入を強調
 東海道新幹線で最新の「のぞみ」型(300系)車両のひかりが緊急停止した事故でJR東海は11日、台車にモーターを取り付けたボルトの蹄め付けが不十分だったのが主原因、とする調査結果を発表した。
 当初、JR東海側の調査で4本のボルトのうち2本は付け忘れたとされていたが、その後の検査でねじ穴に「圧迫痕」が確認され、川崎重工業側は「車両の出荷時には正常だったと確信している」としている。
 しかし、事故を起こした1編成16両のモーター部分を調べた結果、問題のモーター以外にも新たに6本のボルトで縮め付けが不十分であることが分かった。
 特に事故のあった7号車の他の2つのモーターでは、計8本のボルトのうち3本が指で回せるほど緩み、縮め付け強度は全くなかったという。
 JR東海は、これらの調査結果から「車両は不完全な状態で納入された」として、川重側に責任があるとの見方を強調している。
 これに対し、川崎重工側は「担当の作業員がチェツクするほか、別の検査員も調べており、ほとんどミスの起きないシステムをとっている」と反論した上で「ボルトが緩んで脱落したことは事実なので、どういうメカニズムで緩んだのか調査中だ」としている。
 今後の検査体制について、佐野守彦新幹線鉄道事業本部副本部長は「車両製造メーカーに年1回担当者を派遣し、品質管理がきちんと行われているかどうかチェックする」としているが、JR東海自身による品質検査については「チェック個所が多すぎて当社では検査できないし、やる必要もない」と否定した。(京都新聞)
■「ひかり」事故 ボルト固定ミス JR「作業工程に問題」
 東海道新幹線名古屋−三河安城間で「のぞみ」型(300系)の「ひかり238号」が立ち往生した事故で、JR東海は11日、事故の引き金となったモーターの欠落ボルト2本が製造時にはついていたが、かなり早い時期に抜け落ちた可能性が強いと発表した。これまでは製造段階から未装着だったとみていた。また、この2本以外の個所でも、3本がほとんど締めていない状態で、別の3本は通常よりも締め方が弱かったとわかった。「メーカー側のボルトの固定作業工程そのものに問題があった」と同社はみている。
 「のぞみ」型は16両のうち10両は、1両に4個のモーターが床下にある「モーター車」。台車に固定するボルトはモーター1個につき4本(上側2本=長さ7a、下側2本=同 5.5a)で、一定の強さで締められている。JR東海と鉄道総合研究所(JR総研)が事故車両で、問題のモーター以外のボルト計156本の締まり具合を詳細に調査した。
 その結果、7号車で、事故の原因となったモーターとは別のモーター2個のボルト3本(上側1本、下側2本)がほとんど締められていない状態だった。下側の2本は、振動による緩みを防止する「回り止め金具」が付けられていたことから、JR東海は、締めつけが全くない状態か、不完全な状懸で納入されたものとみている
。ほかにも2、5、7号車の各モーターで計3本が通常の6分の1以下の締め方だった。
 これまで末装着状態とみられていた7号車の上側のボルト2本については、調査の結果、ネジ穴のゴミを取り除くと傷がみられたため、ボルトは製作当時ついていたものの早い時期に欠落した、とみている。(朝日新聞)
■青鉛筆
 阪神タイガースの快進撃で、阪神電鉄本線を走る特急の前、後部の窓に取り付けられた サイン入りの「トラ・マーク」が”脚光”を浴びている。
 縦22a、構45aのアルミ製で球団旗と似たデザイン。7年前から甲子園球場でタイガースの試合がある日だけ取り付ける。
 ファンから最近、「譲ってほしい」との問い合わせが急増。「すべての電車に取り付けては」との声もあるが、阪神電鉄側は「優勝へ突っ走ってもらうため、やはり特急だけにします」。(朝日新聞)
■遮断機下がり警報機鳴り続け 深草のJR奈良線踏切
 12日午前2時30分ごろ、京都市伏見区深草のJR奈良線の坊踏切と第坊踏切の遮断機が下がり、警報機が鳴りっぱなしになった。京都信号通信区の係員が現場に駆け付け、踏切のスイッチを操作、同3時40分ごろ正常に戻した。
 JR天王寺電気区天王寺信号指令で原因を調べているが、現場から南約700bで保線作業中の保守用車両が、踏切を鳴らすポイントを作動させたためと見られる。(京都新聞 夕刊)
■関西新空港駅を着工 JRと南海が乗り入れ
 日本初の24時間空港として平成6年夏に開港予定の関西国際新空港の埋め立て地(大阪・泉州沖)で12日午前、空港への主要な交通機関となる連絡鉄道の駅と、併設の立体駐車場の起工式が行われた。
 式には空港会社の服部経治社長のほか、運輸省や大阪府、周辺自治体の関係者ら約100人が出席、工事の安全を祈った。
 空港連絡鉄道はJR西日本と南海電鉄が乗り入れ、大阪市の都心と同空港を30−40分で結ぶ。駅は鉄筋コンクリート4階建て、連絡橋によって空港旅客ターミナルビルとつながる。
 駐車場は駅舎を南北に挟む形で設ける。2階建てで収容台数約1300台。総工費は駅と駐車場合わせて167億円で、いずれも平成6年1月末の完成を目指す。(京都新聞 夕刊)
■ネズミが線かじる? 踏切のケーブル切断 岸和田、JR阪和線
 12日午前7時9分ごろ、大阪府岸和田市土生町、JR阪和線の岸和田駅構内の踏切で、遮断機が降りたまま約15分間、上らなくなり、JR職員が手動で遮断機を操作した。JRで原因を調べたところ、踏切を制御しているケーブルのなかの芯線6本のうち2本が切れていた。引っ掻かれたような跡があったことから、ネズミがかじったのではないかとみている。(朝日新聞 夕刊)
13日■信楽列車事故1年 D 事故の代償 教訓生かし再発防止
 「二度と『よかろう』との見込みで列車を走らせることはありません」
 信楽高原鉄道(SKR)が再開した昨年12月。事故後に鉄道主任技術者として入社した旧国鉄OBの河合肇副社長はヘルメット姿で一番列車に乗り込み、決意を語った。
 SKRの列車が対向のJR列車の位置や進路の安全を十分に確かめずに、いわば見切り発車したことが衝突事故の引き金だった。
 鉄道史上有数の大惨事を繰り返してはなりない。事故後、宮城の「三陸鉄道」や高知の「土佐くろしお鉄道」など全国の第三セクターをはじめ、JR各社は異常時の運転取り扱いマニュアルの点検や代用閉塞(へいそく)方式の訓練など、改めて再発防止の安全教育を重ねた。
●訓練施設作る
 この3月、JR西日本は大阪府吹田市に約1億円をかけて運転関係の社員の研修施設「訓練センター」をつくった。レールの長さ280b。信号の故障を想定し、研修者が駅長役や通行許可証代わりの人間タブレットになり、両端の「駅」間の安全確認をした上で模擬列車を発車させる訓練をする。
 「代用閉塞方式の訓練はこれまでは、机上が中心だった。今後、同規模の施設を管内の7支社に1ヵ所ずつ作ります」と、同社安全対策室の川勝光雄副室長は説明する。
 一方、運輸省は三セク鉄道の安全教育を強化するために本年度予算に3500万円を計上。今夏から日本鉄道技術協会などに委託、運転や電気関係の専門家を各社に派遣する。
 また、施設面でも、これまでの三セク発足後、5年間は国が赤字額の半額を補助する制度に加え、6年目以降に無線や信号保安設備の新設や更新をする場合、国と自治体がそれぞれ3分の1補助する「鉄道近代化設備補助制度」を新設した。
●共同で新保険
 信楽事故の被災者に対する補償総額は40億円前後にのぼる見込みだが、SKR の当時加入していた事故保険はわずか3億円と、10分の1にもならないことが分かり、県や町の支援を受けることになった。事故がキッカケで各社共同の掛け金による団体保険制度が新たにつくられ、補償額の上限も50億円に改められた。
 これで三セク鉄道の苦しい経営が抜本的に改善されるわけではない。全国35社のうち黒字はわずか8社。社員の高齢化も進み、来春運転士2人が退職する兵庫の「北条鉄道」では定年延長せざるをえない状況で、各社とも人材確保に頭を痛める。
 三セク鉄道に詳しい立命館大の土居靖範教授(交通論)は「信楽事故で三セクの厳しい経営実態が浮き彫りになった。鉄道の安全を社会全体で支えるために、一層行政の手厚い補助が必要」と話す。
 戦時中のまくら木供出、国鉄解体による三セク化、衝突事故−と、廃線の危機に3度直面、乗り越えて来たSKRだが、1991年度の営業収支で約1億6000万円の赤字を出す見込み。事故後、鉄道再建のため同社入りした県OBの北川啓一社長は「国の制度は拡充されたが、乗客増は見込ぬず、依然経営は不安定」と苦悩を隠さない。(滋賀本社、草津支局)(おわり)(京都新聞)
■信楽事故で稲葉知事会見 県、補償支援を継続 あす1周忌 県庁でも黙とう
 滋賀県の稲葉稔邦事は12日の定例記者会見で、14日に1周忌法要が行われる信楽高原鉄道列車事故について「法要に参列してごめい福をお祈り申し上げるとともに、高原鉄道が補償の責任を果たせるよう、県として引き続きバックアップしたい」と述べ、犠牲者に哀悼の意を表するとともに、高原鉄道を支援し補償問題に力を尽くす姿勢を改めて示した。
 稲葉知事は、列車事故について「昨日のことのように覚えている。一報を受けた時、悪い夢を見ているような気がした。世界陶芸祭を中止する無念な思いもしたが、現地に行き、信楽町だけでは対応できないと直感し、県職員を動員して全力で取り組んだ」と、この1年間を振り返った。
 また、稲葉知事は、事故が発生した同時刻の14日午前10時35分に、約4300人の職員が県庁など各職揚で1分間の黙とうを行い、県挙げて犠牲者を追悼したい、と述べた。(京都新聞)
■ひかりが臨時停車 大山崎、異常表示で
 12日午後3時55分ごろ、京都府乙訓郡大山崎町のJR新幹線上りで、新大阪発東京行き「ひかり258号」が16号車の台車の異常を知らせる表示灯が点滅したため現揚で除時停車した。
 運転士が確認したところ、異常はなく、点滅も消えすぐに運転を再開、京都駅に10分遅れて到着した。しかし、16号車がまた、異常点滅したため、同駅で車両点検したが、故障などは見つからず、25分遅れで京都駅を発車した。後続を含め、上り計13本が3分から25分遅れ、約1万1000人の乗客に影響が出た。JR東海で原因を調べている。(京都新聞)
■「ひかり」異状点灯 最高で25分の遅れ
 12日午後3時57分、東海道新幹線京都−新大阪間で、新大阪発東京行き「ひかり258」の運転台で台車の異状を知らせる表示灯が点滅したため、一時運転を見合わせ、京都駅に10分遅れで到着した。午後4時12分には、16号車の軸箱で高温異状を知らせる装置が点滅、車両点検したが正常だったため午後4時29分、運転を再開した。この異状で、上り13本に最高25分遅れが出て、約1万1000人に影響した。(朝日新聞)
■寝台特急が脱輪立ち往生 JR羽越線
 13日午前1時57分ごろ、新潟県荒川町のJR羽越線坂町−平林間の松山踏切近くで、函館発大阪行き上り寝台特急「日本海4号」=前田了治運転士(46)、12両運転=のブレーキが異常を感知して作動、非常停止した。運転士が調べたところ、2両目の電源車の後輪2軸が脱輪していた。乗客185人にけがはなかった。
 JR東日本新潟支社と村上署の調べでは、2両目の4軸8輪のうち、後ろの2軸4輪が外れ、脱線した部分に縦3b、横1bで厚さ5_の鉄板がひっかかっていた。
 「日本海4号」は現場に立ち往生。乗客は、タクシーで坂町駅に運ばれ、臨時列車で新潟駅に着いた。(朝日新聞 夕刊)
14日■いえぬ惨事の悲しみ きょう信楽鉄道事故1年 遺族らら追悼法要 JR西日本・高原鉄道 現場では有志らも
 死者42人、負傷者614人を出した信楽高原鉄道列車事故から1年を迎え、高原鉄道とJR西日本共催の「犠牲者一周忌法要」が14日午後2時から、滋賀県甲賀郡信楽町の県立陶芸の森で営まれる。
 事故は、高原鉄道列車と、同陶芸の森で開催中だった「世界陶芸祭」へ行く乗客らで満員のJR列車が正面衝突し、大惨事となった。
 法要は仏式で、遺族や来賓ら約350人が出席。遺族代表、北川啓一高原鉄道社長、角田達郎JR西日本社長の順で慰霊の言葉を述べた後、遺族代表、稲葉稔県知事、杉森一夫信楽町長(前高原鉄道社長)の追悼の言葉があり、遺族らが焼香し犠牲者のめい福を祈る。
 これに先立ち、遺族有志は同日朝、事故現場に設置されている慰霊堂で独自の法要を営み、事故発生時刻の午前10時35分に黙とうをした後、娘を亡くした大阪市浪速区、浪速寺任職の中田明道さん(79)の読経の中、参列者が焼香し、犠牲者をしのぶ。
 一方、慰霊堂では13日、生徒の多数が高原鉄道で通学している信楽中の生徒代表5人が訪れ、追悼文を読んだ後、全校生徒で心を込めて折った千羽鶴(つる)や花束を祭壇に供えた。
・HRP関係者らは現場で独自に開催
 信楽高原鉄道事故で研究員ら6人が死亡した京都府相楽郡木津町のハイタッチ・リサーチパーク(HRP)は、一周忌にあたる14日、牧幸男同事務局長、各企業の代表、遺族など約30人が事故現場を訪れ、焼香などして霊を慰める。また事故が起きた午前10時35分には、HRP内の全研究員が黙とうをささげる。
 世界陶芸祭には、各社の研究内容を知り、異業種間交流を進めるためHRPの若手研究員を中心に23人が視察に出かけ同事故で6人が死亡、残り17人は重軽傷を負った。(京都新聞)
■連合へ加盟 結成後に申請 JR連合が意向
 スト権をめぐる対立でJR総連(福原福太郎委員長、8万人)から脱退したJR西労組など10労組が集まる「日本鉄道労働組合連合会」(JR連合)の結成準備委員会は13日、今月18日の結成大会後に連合(山岸章委員長)に加盟申請する意向を明らかにした。
 21日の連合中央執行委員会の場で申請する予定だが、現在加盟しているJR総連はJR連合の加盟に反対するのは確実。
 JR連合に参加するのはJR西労組のほか、北海道、東日本、東海、四国、九州、貨物の各鉄産労とJR東海労組、JR四国労組、JR九州労組。組織人員は約7万5000人となる見込み。(京都新聞)
■山陽電鉄の踏切事故 運転士も書類送検
 今年2月5日、兵庫県明石市二見町の山陽電鉄西二見第三踏切で、4両編成の不通電車がトラックと衝突して脱線、乗客ら7人が負傷した事故で、同県警交通指導課と明石署は13日、トラックの松井高行運転手(22)=同県加東郡滝野町多井田=と、電車の梨木国広運転士(42)=同県加古川市西神吉町宮前=を業務上過失傷害などの疑いで神戸地検明石支部に書類送検した。 調べでは、トラックの松井運転手が踏切を渡る際に、車体が踏切の幅ぐいに接触したと思い込み、線路上にトラックを停車させた。電車の梨木運転士も、見通しの良い直線コースで速くブレーキをかけていれば事故をふせげたのに、手前の踏切の安全確認に気をとられ、トラックに気づくのが遅れたとされる。(朝日新聞)
■JR連合 18日に結成大会 10単組7万5000人が結集
 スト権の取り扱いなどをめぐってJR総連を脱退した旧鉄労系と、鉄産総連系の労使協調派を中心に準備を進めてきた新しい産業別組織「日本鉄道労働組合連合会」(略称・JR連合)の結成大会は18日、東京で開かれる。13日までに参加が固まったのは、JR西労組(3万5000人)をはじめ、10単組の計7万5000人。JR内労組では最大のJR総連の7万8000人にほぼ匹敵する。
 本部は東京・日本橋に置き、初代会長にはJR西労組の矢後希悦(やご・きえつ)委員長が就任。大会後、日本労働組合総連合会(連合)に加盟申請をする。
 運動方針では「労・労間、労・使間の不毛な対立を乗り越え、安定した労使関係を確立する」と、労使協調をうたう。同時に「ストは固有の権利であり、将来的には私鉄総連型のJR連合へのスト権委譲も検討していく」として、ストに関する事項を大会の付議事項に明記した。
 JR連合に参加する単組はJR西労組のほか、次の通り。
 北海道鉄産労(2500人)▽東日本鉄産労(4300人)▽JR東海労組(1万4500人)▽東海鉄産労(2600人)▽JR四国労組(3200人)▽四国鉄産労(200人)▽JR九州労組(8300人)▽九州鉄産労(2900人)▽日本貨物鉄産労(1500人)(朝日新聞)
■京都の交通問題解決には 市電復活しバス活用 ゼミ学生が白書 立命館大 役所もまっ青 体系的提案
 立命館大学経営学部の土居靖範教授が主宰するゼミの学生らが「京都の交通白書」をまとめた。バス、鉄道からトラック、船舶まで各種交通機関の実態を分析。これまで府内の交通問題を体系的に扱った概説書はなく、同ゼミでは今後、改訂を重ねながら「タクシー白書」「トラック白書」などシリーズ化も検討している。
 「交通白書」は昨年度のゼミの3回生24人全員が分担して執筆。古代から現代までの京都の交通の歴史から説き起こし、JR、私鉄、バス、タクシー、トラックなど12の交通機関について、現状と問題点を分析。さらに道路整備や渋滞、違法駐車、公害などについても、実態を明らかにしながら、解決策を模索している。
 このうち、渋滞と公共交通の役割低下が深刻化している京都市の都市交通をめぐっては、高速道路建設や駐車場の増設などを進める車中心の交通政策を見直す必要があると指摘。歴史都市京都に最もふさわしい交通機関として、市電の復活を提案している。また、民営から町営への転換が進む郡部の赤字路線バスについては、経営の難しさを認めつつも、高齢者、子どもなどの「交通弱者」の足として果たしている役割の重要性を強調している。
 京都市の都市交通や郡部のバス問題などを担当した岸本裕之君は「行政は目先の問題の解決に振り回されているように見える。交通体系の将来像をきっちりと組み立てる必要性を痛感した」という。土居教授は、京都高速道路の建設や京都市営バス民営化論の台頭、国鉄分割民営化後の地方交通線の廃止などの動きをあげながら、「京都の交通は重大な局面に立たされている。問題解決の方向を考えるうえで白書を役立ててほしい」と話している。
 白書は百部作成。市販はしていないが、関係する自治体や図書館、運輸業界の団体などに寄贈している。(朝日新聞)
■信楽事故 人為ミス立証困難? 捜査、今秋まで長期化
 信楽高原鉄道の列車事故を捜査している滋賀県警捜査本部は、運輸省交通安全公害研究所が行った鑑定結果から、事故原因を絞ってはいるが、それと人為的ミスのかかわり究明に手間取り、刑事責任追及までには、まだ時間がかかりそうだ。
 信楽高原鉄道は信楽−貴生川駅間14.7`の単線。中間に小野谷信号所(待避所)があり、信楽を出発した同鉄道と小野谷を通過したJRが正面衝突した。事故の第一要因は、信楽駅の出発信号が赤だったのに、必要な安全手続きを潜まずに列車を発車させたこととされている。
 これまでの調べで、信楽駅信号の赤固定は、「JRが乗り入れる際に設けた「優先てこ」が関係したとみられている。てこは貴生川駅発の下り列車を優先させるため、小野谷の信号を赤にして上り列車を待避させておくための装置。貴生川−小野谷間だけに作動するように設計されていたのが、信楽駅まで及んで出発信号を赤に固定したことがわかっている。
 JRはこの信号工事を無届けで行ったが、これとは別の信号工事を同鉄道がJRと十分に連絡をとらずに着工したことなどが、信号系統のトラブルにつながったらしい。しかし、こうした工事が信号を赤に固定するとの予見があったかどうかを立証するのは難しいとされている。
 誤出発検知装置の方は、人為的ミスの可能性が高まっている。
 鉄道関係者の話では、信号系統が働いている状態で継電機室に立ち入ることは禁じられているという。事故当日、継電機室の出入りについて目撃証言はあるが、人為的ミスの立証は困難のようだ。
 捜査本部は当初、一周忌までに捜査を終了させる予定だったが、10月ごろまでかかるとしている。(朝日新聞)
■きょう1周忌 信楽高原鉄道事故
 死者42人、負傷者614人を出した信楽高原鉄道(本社・滋賀県信楽町)の列車事故の一周忌慰霊法要が14日午後2時から、同鉄道とJR西日本の共催で、同町勅旨、信楽産業展示館で営まれる。慰霊法要には、遺族をはじめ両社社長ら関係者約400人が参列する。これに先立って、遺族らは事故発生時刻の午前10時35分から、事故現場横の慰霊堂で法要をする。(朝日新聞)
■「JR謝罪まで無念訴える」信楽事故 遺族有志が1周忌法要 悲しみ新たに 鎮魂の午前10時35分 42人のめい福祈る
 「さぞ無念だったことでしょう」。信楽高原鉄道事故から満1年の14日朝、滋賀県甲賀郡信楽町の事故現場の慰霊堂で、遺族有志主催の一周忌法要がしめやかに営まれ、最愛の肉親を失った約150人の遺族が悲しみを新たにした。午後からは高原鉄道、JR西日本共催の「犠牲者一周忌法要」が行われる。
 早朝からの強い雨も弱まり、事故発生時刻の午前10時35分に犠牲者42人のめい福を祈って参列者全員で黙とうをした後、JR列車に乗車していた妻を亡くした神戸市東灘区の中原邦夫さん(57)が遺族を代表して追悼の辞を朗読。「1年前の今朝、あなたたちは元気な姿で家庭をあとにしました。意識がもうろうとする中、きっと私たちの事を気遣い、思い浮かべられたことでしょう。鉄道利用者が二度と惨事に巻き込まれないよう万全の安全対策がとられ、またJR社長が謝罪するまで、あなた方の無念の思いを訴えていきます」と涙声で御霊に語りかけた。
 続いて、娘を亡くした大阪市浪速区、住職中田明道さん(79)が読経する中、参列者が次々と霊前に手を合わせた。祭壇には父をなくした小学生の女児が、元気なころの家族全員の姿を描いた絵も供えられた。
 世界陶芸祭へ行くためJR列車に乗り、夫が死亡、自分も重傷を負った京都市伏見区の伊原いとさん(64)は「主人はあれもこれもしたかったと思う。JRは私に謝ってもらわんでもよろしい。主人に謝ってほしい」と話し、午後の法要会場に向かった。
 遺族法要に先立ち、午前9時20分から北川啓一高原鉄道(SKR)社長や角田達郎JR西日本社長ら鉄道関係者らも慰霊堂に参拝した。遺族法要中の10時23分、現場にさしかかった信楽発のSKR列車が、弔笛を鳴らしながら最徐行して線路わきの社員に花束を手渡し、北川SKR社長が慰霊堂に供えた。
 信楽町では、町内の有線放送で事故発生時刻に黙とうを呼びかけ、町役場や事業所で町民らが犠牲者を悼んだ。また、事故現場近くの住民は、朝9時すぎから次々と慰霊堂に参拝した。
 SKRとJR共催の「犠牲者一周忌法要」は、午後2時から同町の県立陶芸の森・信楽ホールで仏式で行われ、遺族代表や北川SKR社長、角田JR西日本社長が慰霊の言葉を述べる。しかし、京都の協同組合ハイタッチ・リサーチパークの6遺族中5遺族は、鉄道側の対応などを不満として欠席の意向を示している。(京都新聞 夕刊)
■社説 繰り返すな信楽事故の悲劇
 42人の命を奪った滋賀県・信楽高原鉄道(SKR)の列車正面衝突事故からまる1年が経過した。遺族にとっては耐えがたい1年だったろう。心から犠牲者のごめい福を祈りたい。
 SKRはきょう14日午後、JR西日本と共催で「列車事故犠牲者一周年慰霊法要」を信楽町・信楽ホールで営む。惨事を繰り返さないと、誓いと決意を新たにする場としてほしい。しかし、事故原因の解明もまだ十分ではなく、補償交渉も順調とはいえない。遺族の一部には、JRの対応に誠実さが欠けるとして法要への出席を見合わせる動きもある。
 信楽駅の信号が「赤」から「青」に変わらないため、「代用閉塞(へいそく)方式」に切り替えて「赤」信号のままSKR列車を発車させたのが事故の発端。信号保安システムでは、列車が「赤」信号で出発すると線路上の「誤出発検知装置」が作動、対向の小野谷信号所の出発信号を「赤」に固定するはずだった。ところが小野谷信号所の信号が「青」になっていたため、対向してきたJR列車がそのまま進行、惨事を招いた。
 事故原因につながった信号保安システムの解明はかなり進んだ。JRが設置した方向優先テコが信楽駅の信号を「赤」に固定させたらしいこと、SKRも小野谷信号所の設備変更をしたこと−など。だが、まだいくつかの「?」が残る。とくに、その後の検証では正常に作動した「誤出発検知装置」がなぜこの時だけ作動しなかったのかが最大の疑問だ。
 滋賀県警によると、最終的な捜査結果を公表できるのは今年秋ごろという。システムだけでなく、システムに人がどう関与したのかを明らかにするのが、今後のポイント。事故の再発防止のためにも徹底した事実解明を望みたい。
 事故の直接原因とはいえないが、世界陶芸祭というイベント開催に当たって県や信楽町が本来の能力を超える輸送力をSKRに期待したことに事故の遠因があることも改めて指摘しておきたい。JRの乗り入れはそのための方策であり、ダイヤも過密だった。
 JRと第三セクター鉄道の相互乗り入れは全国各地でみられる。だが、相互の連携は十全だろうか。SKRとJR間の協議に緊密さが欠けていたことは、捜査の過程で明らかになっている。信号保安システム工事も、JRとSKRがそれぞれ別々の下請け会社に発注。途中の設備変更も相互の連絡なしに行われた。
 三セク各社には、この事故を他山の石として、いま一度保安システムの安全チェックを行うよう求めたい。
 死者42人、負傷者は614人。現在も1人が入院し、186人が通院している。このうち、示談が成立したのは433人、死亡者についてはわずかに5件にとどまっている。
 「犠牲者遺族の会」は、再三にわたってJR西日本社長の直接謝罪を要求してきた。そして、JRの「昨年6月の合同慰霊祭でお悔やみし、鉄道事業者としてのおわびと反省を申し上げた」とする答弁に誠意が見られないと反発、補償交渉が進まない一因ともなっている。
 遺族が求めているのは、心の琴線にふれる慰謝の言葉であろう。その心情はだれにも理解できるはずだ。慰霊法要が双方の感情的なしこりを解消する機会となることを期待したい。難航している補償交渉もそこからスタートする。(京都新聞)
■緑園文化都市へ着々 亀岡 「100万人観光」めざす 豊かな自然と文化遺産 人気トロッコ列車 交通網もぐーんと整備
 亀岡のまちは、昔と変わらぬ美しい水と緑の大自然に包まれ、豊かな歴史と、文化通産にはぐくまれ、息づいていた。そんな伝統のよさに加え、近年、交通網もぐんと整備されて、京都のベッドタウンとして都市化が進み、人口も8万8000人に急増した。いま21世紀に向け魅力と活力を生むまち・緑園文化都市めざし着々と進展しており、新しい観光資源やイベントを起爆剤に、近い将来「100万人観光」の活気ある観光都市にもなろうとしている。
・活気あふれるまち
 鎌倉時代、足利尊氏が倒幕の旗揚げをした地として知られる亀岡。天正年間、明智光秀が亀山城を築いて町づくりをし、その城下町として発展してきた歴史のまち。今月2、3日の亀岡春まつりには「光秀サミット」も開催され、優れた文人・武人として亀岡(旧亀山)を開いた功績を顕彰、まちづくりを盛り上げた。また古くから、保津川下りや、湯の花温泉なども広く知られている。
 その亀岡は、京都の近郊都市でありながら、ひと昔前まで京都への道路は、たえず渋停滞を引き起こす老ノ坂峠越えの国道9号1本だけ。鉄道も、山陰線のSLが保津峡沿いの難所を単線でのろのろ走っていた。
 だが現在、京都・大枝からR9バイパスが真っすぐ伸び、トンネルを抜ければもう亀岡市。篠、亀岡、大井、千代川…の、各インターを北上して行く。大枝から篠ICまでわずか10分余だ。またJRも、保津峡沿いの山々をトンネルで抜いて新線が走り、京都−園部間が電化、亀岡市の馬堀までは複線電化となって、道路・JRともに京都への時間は大幅短縮された。この交通網の改良によって、これまで眠っていた観光資源や物産品が一躍陽の目を見るようになり、緑豊かな住みよいベッドタウンとして脚光を浴び、市全域に都市化の活気があふれている。
・ログハウス調駅舎
 そんな中、新しい亀岡の観光一番手として売り出し中なのが、景勝・保津峡沿いを走るトロッコ列車だ。
 亀岡を訪れた日、保津峡の流入口に近いトロッコ列車の亀岡駅(篠町)は、ヤングや婦人たちのグループの歓声でわいていた。トロッコ列車を運行する嵯峨野観光鉄道(亀岡−保津峡−嵐山−嵯峨、8.8`、片道25分)が亀岡市と、開業1周年記念と合わせ、総工費1億2000万円をかけ建設した亀岡駅のログハウス調新駅舎の完成式。この新しい駅からトロッコ列車に乗り込む観光客たちのにぎわいだった。
 地上から高さ約12b、横幅40b、奥行き7bの新駅舎は鉄骨造り。外壁やコンコースにスギ材をふんだんに使ったログハウス調で、周辺の山や渓谷の自然に溶け込み、夢いっぱいのトロッコ列車と調和のとれたデザイン。まさに亀岡の新しい観光拠点だ。列車に乗り込む人たちは、真新しいログハウス駅舎と周辺の自然美を嘆賞していた。
 トロッコ列車は四両編成で定員252人。1日8往復(うち5往復は嵐山まで)。片道料金大人600円、小人300円。
 市民のスポーツと憩いの広場として親しまれているのが、R9バイパス亀岡ICに近い緑豊かな亀岡運動公園。さる昭和63年の第43回国体に合わせ建設された広大な施設で、1836平方bのフロアー、1120席の観覧席を持つデラックスな体育館。第三種公認陸上競技場、ラグビー、サッカー競技場となる2万4300平方bの競技場を中心に、大型レジャープールや造波プール、テニスコートなど各施設が緑の中に造形美を見せ広がっている。
・楽しい保津川下り
 そのほか、数多い亀岡のレジャー・観光のうち主なものを挙げてみると−。
 保津川下りは、亀岡から京都・嵐山までの保津峡渓谷約16`の舟下り。現在では、四季折りおりの山腹の花をめで、鳥の声を聞きながら巧みなサオさばきで激流に水しぶきをあげ、約2時間の川下りのスリルを満喫する観光遊覧舟として楽しまれている。
 湯の花温泉は、亀岡市街から車で約15分。京都から一番近い温泉地で、ラドン含有のラジウム泉。静寂と情趣に包まれた山峡のいで湯は山の味覚も売り物。十余軒の旅館、民宿が落ちついたたたずまいで客を迎えてくれる。
 亀山城跡はJR亀岡駅の南西側。築城した光秀の没後、秀吉の養子秀勝や小早川秀秋らが城主となり、幾度にもわたる普請で二重の濠と五層の天守閣を持つ城となって、江戸時代には譜代大名が次々城主となったが、現在は石垣と内濠の一部が残るだけ。明治の中期から大本教の本部が置かれて、独特の建物や植物園が有名となっている。
 また、足利尊氏旗揚げの地として願文や鏑矢と奉納した篠八幡宮。西国21番札所の古刹・穴太寺。円山応挙の出身地で、重文の襖絵などが残る金剛寺など、有名社寺が市内各地に点在している。
 また伝統産業や物産品は亀岡焼、竹細工、人形、寒天、亀岡牛、地酒、漬物、丹波大納言小豆、マイタケ、ボタン鍋…と、これまた多彩だ。(京都新聞)
■発生時刻に黙とう 信楽鉄道事故一周忌
 死者42人をだした信楽高原鉄道で起きた列車衝突事故から一周年にあたる14日、滋賀県甲賀郡信楽町黄瀬の事故現場で、遺族ら約250人が事故発生時刻の午前10時35分、献花や焼香で犠牲者を慰霊した。午後から信楽産業展示館で同鉄道とJR西日本主健の一周忌慰霊法要。
 午前9時20分、角田達郎・JR西日本社長、北川啓一・同鉄道社長らが現場を弔問。北川社長は、遺族に深々と頭を下げた。事故列車と同じ時間帯の信楽駅発の列車が、同10時24分に現場にさしかかり、ゆっくりと徐行しながら列車内の同鉄道職員が現場の職員に花束を手渡し献花、列車は弔笛を2度鳴らした。
 事故発生時の同35分には、参加者が一斉に黙とうをささげ、犠牲者のめい福を祈った。事故で娘を失った大阪市浪速区恵比寿西一丁目、浪速寺住職中田明道さん(79)が遺族を代表して読経、妻を失った神戸市東灘区森北町一丁目、会社員中原邦夫さん(57)が弔辞を読み上げた。
 同町内では、事故時刻にチャイムを流し、1分間の黙とうを呼び掛けた。(朝日新聞 夕刊)
■「一刻も早く謝罪を」 信楽事故一周忌 10時35分 ほほ伝う涙
 新緑のなか行楽に訪れようとした地に、乗客の多くが遺影で再訪した。遺族たちの心はいやされないままだ。鉄道事故史上で最大級の惨事となった信楽高原鉄道事故から1年。滋賀県甲賀郡信楽町の事故現場で14日午前、遺族らは黙々と花を手向け、焼香。肉親の無念の最期を思い、目頭を押さえた。
 神戸市東灘区森北町一丁目、中原邦夫さん(57)の追悼の辞が始まると、参列した遺族たちは目に手を当てた。「1年前の今朝、あなたたちは足取り軽くこの地に来られ、魔の10時35分、突然あの世の方となってしまわれました」
 事故で妻の辰子さん(当時52)を失った中原さんは追悼の辞で、同鉄道の犯した罪の重さと、利潤追求に走るJR西日本の責任を切々と語った。「あなた方の死を無駄にせず、安らかに眠っていただくためにも、万全の安全対策がとられ、JR西日本社長が一刻も早く謝罪して下さるまで、粘り強くあなた方の無念の思いを訴えていきたい」
 中原さん方は6人家族だった。耳の速い父(85)、目とひざの悪い母(82)、小児マヒで時どき発作を起こす妹(48)が同居し、家を守る辰子さんは目が離せない。炊事、掃除、洗濯といった主婦業、そして妹の食事の世話と、家を空けることはほとんどなかった。
 事故2日前の日曜日、辰子さんは時刻表を買ってきた。「そのころは妹の具合がよく、信楽の陶芸祭に出かける、と張り切っていました」と中原さん。火曜日の朝、早く家を出た辰子さんは二度と帰らなかった。
 夫の宗人さん(当時47)を失った大津市南郷六丁目、高橋和子さん(43)は現場で黙とうをささげたが、午後の慰霊法要へは出ずに足早に引き上げた。「心遣いには感謝しているが、たいそうな法要をしていただく必要はありません。私たちにとってはJRの社長が公の場で謝るかどうかが関心事ですが、期待できないようなので」
 夫の修さん(当時35)を亡くした亀岡市大井町並河二丁目、森上美由紀さん(34)は夫の父親、英堆さん(60)と参列した。美由紀さんは毎月命日には現場を訪れ、父親っ子だった小学生の娘2人が画いた絵を供え続けてきた。この日も、一家4人がそろっていた時の鉛筆画を祭壇にささげた。「現場怖い」近所で法要
・「現場怖い」近所で法要 中島さん
 甲賀郡信楽町黄瀬、中島イトさん(67)は事故で夫の治三郎さん(当時63)と孫の未晴ちゃん(同2つ)を一瞬にして失った。自分も両足を骨折し、歩行訓練のリハビリを続けている。14日は入院先からいったん帰宅して自宅で一周忌を迎えた。
 午前10時半から、自宅近くの宝国寺に親類や近所の人が集まって法要。車いすで会場に向かう中島さんは「現場に行きますか」と尋ねられると、「あそこは怖いからねぇ」とハンカチで涙をぬぐった。午後からは家族と一緒に一周忌慰霊法要会場へ。
・運転士が数珠 現場で弔笛 同ダイヤの列車
 折からの”涙雨”がやんだ午前10時14分、信楽駅を列車がスタートした。あの大惨事と同じダイヤだ。信楽高原鉄道の服部重幸運転士(55)が「発車」と声を出した。
 この日は、黒いネクタイをして右手に数珠。事故現場付近では最徐行し、弔笛を鳴らした。同乗の藤田義孝・同業務部長が、白い花束を窓越しに同鉄道の井上春網副社長に手潰した。車内の約20人の乗客の中には、手を合わせたり黙とうする姿も見られた。
 服部運転士は、国鉄から第三セクターの信楽高原鉄道に移り、87年7月の開業時の一番列車を運転した人だ。「華やかなセレモニーの中にも安全運転の誓いを立てた。それがこんな考えられないような事故が起きて…」。以来、安全規則や運転技術などを一から訓練、研修してきた。
 貴生川駅についた服部運転士は「目頭が熱くなり、改めて安全運転の誓いをたてた」と話していた。
・「真意伝わらず」 JR西日本社長弔問
 JR西日本の角田達郎社長は午前9時20分ごろ、事故現場横の慰霊堂を弔問。花束を供え、犠牲者のめい福を祈った。その後一端、現場を離れたが、問い掛ける報道陣に対し、「これまでは真意が伝わっていなかったようだ。午後からの法要と会見でお話しします」とだけ答えた。(朝日新聞 夕刊)
15日■JR社長、遺族らに謝罪 信楽鉄道事故一周忌法要 「遅すぎた」 一時紛糾
 信楽高原鉄道の列車事故で亡くなった42人の乗客、乗務員を悼む「犠牲者一周忌法要」(高原鉄道、JR西日本共催)が14日午後、滋賀県甲賀郡信楽町の県立陶芸の森ホールで遺族や運輸省関係者ら約340人が出席して営まれた。JRの角田達郎社長の遺族説明会欠席や慰霊の辞の内容などに憤る遺族が会場で謝罪を要求、式の進行が一時止まり、予定の2時間を約30分オーバーした。また、4遺族がJRの対応を不満として法要を欠席した。
 法要は、読経と荘重なエレクトーンの中で始まり、白菊の祭壇に立てられた42本のろうそくに火がともされた後、遺族代表の大阪市浪速区、僧りょ中田明道さん(79)が「1年たっても心は安らぎがない。JR社長のおわびの言葉がないからだ。謝ってもらうことが亡き魂の最高の供養」と述べた。
 北川啓一高原鉄道社長の「慰霊の言葉」に続いて、角田社長が「慰霊の辞」を霊前に述べた後、降壇し参列の遁族に「不徳の致すところで私どもの気持ちが皆様方に通じなかったことを深く心からおわび申し上げます。一日も痛恨の思いを忘れたことはありません」と頭を下げた。
 しかし、次に追悼の言葉に立った遺族代表が壇上から角田社長に▽社長は昨年6月の合同慰霊祭当日の遺族会になぜ社用で欠席したのか▽SKRは会社として謝罪しているが、JRは「鉄道事業者として」だけで「JRとして」となぜ言わないのか−など3項目の質問を浴びせ回答を求めた。
 式次第に沿って、稲葉稔滋賀県知事が追悼の言葉を述べようとしたところ、遺族から「返事を先にせよ」などの怒声がとび、角田社長が「慰霊祭当日の説明会は事務的説明と聞いていたので、常務を出席させた。責任の所在はともかく、私どもの列車の乗客が災厄に遭われたことを深くおわびしますと先ほど申しあげた。それを土台に補償その他のお世話をさせていただきたい」と述べた。
 この後、欠席した京都の協同組合「ハイタッチリサーチパーク」関係の4遺族を除く犠牲者38人の遺族が次々と焼香。夫を亡くした妻が鉄道関係者に「お父さんを返して」と絶叫、今なお負傷が癒(い)えない女性が車いすのまま親族に抱きかかえられて壇上に上がるなど悲痛な光景が相次いだ。(京都新聞)
■両社長が会見 おわびの気持ちあった 補償 遺族の感情 整理待ち
 信楽高原鉄道(SKR)の北川啓一社長とJR西日本の角田達郎社長は14日の「信楽高原鉄道列車事故犠牲者一周忌慰霊法要」(両社共催)の後、会場の信楽町・県立陶芸の森で記者会見した。角田社長は遺族から批判が集中している同社長の「謝罪問題」について「おわびの気持ちは当初から持っていた。真意が伝わらなかったのは不徳の致すところです」と述べた。
 角田社長は遺族への謝罪について「(法要のあいさつで述べた)おわびはJR西日本としての謝罪だ。その気持ちは事故直後から持っていた。真意が伝わらなかったのは私の不徳の致すところ」と釈明し、これまでの遺族説明会で会社側が使ってきた「鉄道事業者」ではなく「JR西日本」と明言した。また、弔問を井沢勝常務らに任せたことについては「遺族交渉には鉄道事業の最高責任者である井沢常務に当たらせ私は他の社業に、という考えだった。それが『JR西日本は冷淡』と映ったようだ。配慮が足らなかったかもしれない」と語った。その一方、今後は説明会などに出席する意向はあるのか、との質問には「(遺族の)要望があり、合理的理由があれば…」と述べるにとどまった。
 また、建立地が決まらない慰霊碑問題について北川社長は「現場が見える所で、という遺族要望を前提に適地を探している。早く決着したい」とした。さらに、五遺族としか済んでいない補償問題では「一部遺族には金額提示もさせていただいている。(進展していない)遺族の気持ちの整理を待って、具体的な交渉に入りたい」(角田社長)と早期解決への希望を述べた。
・一歩前進見たが…
 犠牲者42人のうち20人の遺族でつくる「犠牲者遺族の会」の弁護団事務局長の秋田真志弁護士は法要の後、謝罪問題について「JR社長のおわびの言葉が出てきたことは一歩前進。しかし、本当に心のこもったおわびと言えるかどうか。JRに要求している資料の提出など今後のJRの態度をみて、遺族の考え方を聞いた上で対応を考えたい」と話していた。(京都新聞)
■憤りと悲しみ 霊前に交錯 信楽鉄道事故の犠牲者一周忌法要 JR社長に怒声次々 「頭下げろ」「誠意示せ」
 白菊で飾られた祭壇の、42本のろうそくの灯が突然、揺れた。「頭を下げろ」「誠意を態度で示してくださいっ!」。壇上から降りたJR西日本社長に遺族たちの怒りが飛んだ。14日、滋賀県・信楽町で営まれた信楽高原鉄道列車衝突事故の一周忌法要会場は、最愛の肉親を奪われた遺族たちの傷跡深い悲しみと憤りに包まれた。
 JR西日本の角田達郎社長が「慰霊の辞」を終え、いすに戻る。追いかけるように「追悼の言葉」に立った遺族代表が角田社長に怒りを投げつけた。「昨年6月の合同慰霊祭後の説明会であなたは社用を理由に欠席した。人の命と仕事とどっちが大事なのか。JRとして率直に謝ってください」。続いて稲葉稔滋賀県知事が「追悼の言葉」のために壇上に上がったものの、遺族席から祭壇横のJR社長めがけて「答えがききたい」「なんで座ってるのよ!」怒声が続く。壇上で立ち往生する稲葉知事。
 ようやく立ち上がった角田社長は、遺族席最前列に視線を落としながら「事故の責任の所在はともかく、私どもの列車でたくさんの方が亡くなられた、ということに対しては深く心からおわび申し上げているはずです。その気持ちに変わりはありません」と釈明した。
 一瞬の沈黙をおいて、再び式次第に戻った。場内に、静かな追悼曲が流れて遺族たちの焼香の列が続いた。
 法要を終え、ホオをぬらした遺族たちが会場ロビーに集まった。長女=当時(26)=を失った臼井和夫さん(52)=京都市右京区=は「遺族の勢いに押されるかたちでやむを得ず出た謝罪だった。今さりという感じだが、一応の前進と思っている」と複雑な表情を見せた。事故で夫=当時(51)=を亡くした後藤泰子さん(49)=茨木市=は「息子たちの叫び声で何とか社長の言葉を聴くことができたが、言葉の真意は、時間が経たないと分からない」。
 一方、母親=当時(67)=が死亡し、後遺症で今も通院中の父親(70)とともに来た中尾芳治さん(43)=京都市伏見区=は「あの程度の謝罪は形式だけのものだ。全く納得できない」と憤りをあらわにしていた。
・身も心もいえず 車いすの中島さん
 事故で重傷を負った中島イトさん(67)=滋賀県甲賀郡信楽町黄瀬=は、車いすで慰霊法要会場に姿を見せた。今もまだ入院中の身で法要に参列するため2日前に一時帰宅した。
 一緒に列車に乗っていた夫の治三郎さん=当時(63)=、丁孫の末晴ちゃん=当時(2つ)=を事故で亡くし、自身もひん死の重傷を負い、腰の骨を足に移植するなど5回の手術。最近やっとツエをつけば歩けるまでに。
 この日中島さんは無念さがこみ上げてきたのか堅く口を閉ざしたまま会揚に入った。閉式後も二男の三木男さん(30)ら20人ほどの親族に囲まれるようにして出口へ。「悲しかった…」とだけ言い残し抱きかかえられて車に乗り込んだ。(京都新聞)
■京都障害者会議 市交通局に要望書
 身体障害者らの9団体でつくる「京都障害者会議」が14日、京都市交通局にリフトバス導入の増加や地下鉄駅でのエレベーター設置などを求めた要望書を提出し改善を求めた。
 午前10時すぎ、同会議の代表者7人が、市営地下鉄九条駅を訪れた。交通局側からは整備、電車、自動車、乗客各課の職員らが出席した。同会議側から▽すべての市バスにリフトを▽すべての地下鉄駅にエレベーターの設置を−など8項目の要望を提出。ホームと地下鉄車両の段差のため自力で乗れないなど、切実な問題を訴え、車いす使用者が自由に乗り降りできるよう改善を求めた。
 交通局側は、「リフトバスの増加やエレベーター設置などが進められるよう努力する」と答え、要望書に対して文書で回答することを約束した。同会議では今後、市内の私鉄、私バスすべてにも要望書を出す予定。(京都新聞)
■JR社長、遺族に謝罪 信楽事故一周忌 補償にも積極姿勢
 死者42人を出した信楽高原鉄道列車事故の一周忌慰霊法要は14日午後、JRと同鉄道が主催して滋賀県信楽町の信楽産業展示館で営まれた。JR西日本の角田達郎社長は「一日も痛恨の思いを忘れたことはない。改めて深くおわび申し上げる」と、遺族たちに初めてわかりやすい形で謝罪した。
 これまでJR側は、鉄道事業者として事故が起きたことの謝罪はしたが、会社名を出しての謝罪はなく、具体性にかける、と遺族側の反発を買っていた。角田社長は記者会見で「昨年6月の合同慰霊祭などでもおわびをしてきたつもりだったが、遺族の方々に真意が伝わっていなかったようだ。事故にあわれた方にはできる限りのお世話をしたい」と、補償交渉などの事後処理にも積極的に取り組む姿勢を示した。
 午後2時からの慰霊法要には、35遺族と関係者約400人が参列。角田社長は慰霊の言葉に続く遺族へのあいさつの中で謝罪した。(朝日新聞)
16日■満員の市バス追突 四条大宮 乗客ら9人重軽傷 急ブレーキ 将棋倒し
 15日午後6時40分ごろ、京都市下京区四条通大宮交差点で、3号系統松尾橋行き京都市バス=藤井晃三運転手(39)=が、渋滞のため交差点内に停車中の西京区大枝北福西町四丁目、西部千弘さん(46)の個人タクシーに追突した。タクシーは前に押し出され、左京区北白川久保田町、会社員岡本真也さん(37)の乗用車に衝突した。
 市バスに乗っていた右京区嵯峨野南浦町、会社員加納実理(みのり)さん(22)が車内で転倒してろっ骨を折る重傷を負ったほか、市バス乗客5人とタクシーの乗客ら2人、岡本さんの計8人が胸や頭などに軽いけがをし、病院で手当てを受けた。
 市バスは約60人の乗客でほぼ満員だった。現場で運行を打ち切り、けがのない乗客は後続のバスに乗り換えた。
 堀川署の調べに対し、藤井運転手は「バスを追い越そうとしていた後ろの車に気をとられ、前をよく見ていなかった」と話しているという。事故当時、激しい雨で視界が悪く、夕方のラッシュと重なって四条通は西大路通あたりから渋滞の列が続いていた。
 四条大宮で市バスを降りるため車内の前から3番目に立っていた亀岡市保津町、会社員渋谷浩一さん(54)は「急ブレーキの後、ガーンという音がし、私を含め10人ほどが将棋倒しになった。何が起きたのか分からなかったが、前の2人の女性が料金箱で胸を打ち、苦しんでいた」と、肩の治療を受けた病院で話した。
 また後部座席から通路に投げ出され、背中を打って軽傷を負った国際日本文化研究センターの杉本秀太郎教授(61)=京都市下京区=は「妻がピアノ伴奏するコンサートヘ行く途中。コンサートには行けず残念だが、骨に異常がなく、よかった」と話していた。(京都新聞)
■新幹線に飛び込み 米原駅で男性死亡
 15日午後7時45分ごろ、滋賀県坂田郡米原町の東海道新幹線米原駅で、上り線を通過中の博多発東京行きひかり24号に男性が飛び込み、死亡した。
 米原署は、男性の財布の中にメモ書きが残されており、また目撃者の証言から飛び込み自殺とみて、身元などを調べている。
 この事故で上下28本が最高で約30分遅れた。(京都新聞)
■JR総連などが JR東海を訴え「介入受け弱体化」
 JR総連と、傘下のジェイアール東海労働組合(JR東海労)の佐藤政雄委員長(56)が15日、不法な組織破壊を受けたとして、JR東海と同社の葛西敬之副社長、東海旅客鉄道労働組合(JR東海労組)の明石洋一委員長らを相手取り、慰謝料など計3億1500万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。
 佐藤氏は昨年8月、当時委員長を務めていたJR東海労組を脱退し、新たにJR東海労を結成、その直後にJR東海労組はJR総連から脱退した。訴状の中で佐藤氏らは、この分裂について、葛西副社長らが、旧動労系組合員をJR東海労組から排除しようと組合活動に介入してきたために起きたと主張。この結果、佐藤氏は団結権が侵害され、JR総連は組織弱体化などの損害を受けた、としている。
 松本正之JR東海人事部長の話 訴状の内容を十分検討したうえで、しかるべく検討する。(朝日新聞)
■乗用車、線路に転落 相生・山陽線 女性軽いけが
 16日午前零時25分ごろ、兵庫県相生市山手二丁目の国道2号相生陸橋で、同市野瀬、臨床検査技師清水さおりさん(21)運転の乗用車がガードレールを突き破り、約7.5b下のJR山陽線の線路上に転落した。清水さんはひざなどに軽いけが。現場は相生駅の東約500bで、博多発東京行き寝台特急「あさかぜ4号」が1時間20分遅れたのを最高に、寝台特急12本、貨物列車27本が遅れ、約3000人に影響が出た。
 相生署の調べでは、清水さんが左折しようとしてハンドル操作を誤ったらしい。転落後、清水さんが国道2号に出て走行中のトラック運転手に知らせ、運転手が発煙筒で合図を送り、近づいた列車を150b前で停止させて衝突を防いだ。(朝日新聞 夕刊)
17日■新駅(JR)建設に11億 草津市が補正予算案
 草津市は16日、5月臨時市議会を18日に開くことを決めた。提出議案は、JR琵琶湖線の瀬田−草津駅間に2年後の94年開業予定の新駅建設に伴う補正予算案など4件。
 新駅建設に伴う市の事業費案は総額で30億7001万円。このうち本年度一般会計に11億2678万円を追加補正、残る19億4323万円は93、94年度の債務負担行為にした。また、新駅のうち草津市が管理する高架式の自由通路建設工事6億8701万円をJR西日本に委託契約する議案も提案する。
 新駅は瀬田−草津駅間のほぼ中間点の草津市野路町に設置される。事業責は草津市の約30億円に、地元民間団体の「草洋市南部新駅設置期成同盟会」が市民や企業に求めている募金(現在3億7000万円)を加え、さらに一部をJR西日本が負担する。駅舎の規模や開業日などは、JR西日本が近く経営会議などを開き、正式決定する予定。(京都新聞)
18日■JR架線にさお接触 釣り人が大やけど 虎姫
 17日午前9時5分ごろ、滋賀県東浅井郡虎姫町大寺のJR北陸線虎姫駅近くの同橋りょうで、愛知県一宮市大浜、会社員小口弘さん(69)が、上り線架線(2万2000ボルト)に釣りざおを接触させ、感電、上半身に大やけどをした。
 虎姫署の調べでは、小口さんが、釣り場を探すため駅北川を流れる七縄川の橋りょうを横切ろうとした際に、高さ5.1bの架線に気付かず、釣りざおが触れたらしい。小口さんが倒れているのを通行人が見つけ、通報した。
 小口さんはこの日朝から、一宮市の釣りクラブ仲間13人と、周辺の川で釣りをしていた。(京都新聞)
■JR連合きょう結成 2大JR労組時代に
 JR西労組(3万5000人)など旧鉄労系労組と、国労旧主流派の鉄産総連(大越敏男委員長、1万4000人)加盟労組でつくる新全国産月組織結成準備委員会(委員長、矢後希悦JR西労組委員長)は18日午後、東京で「日本鉄道労働組合連合会」(JR連合)の結成大会を開く。
 鉄産総連はこれに先立ち同日午前、東京都内で解散大会を開き、1987年2月以来5年を超す活動に終止符を打つ。民営化後JR総連で1本化していた主流組合のJR内産別組織は、JR連合結成でほぼ東西に二分される形となる。
 JR連合には、スト権をめぐる対立でJR総連(福原福太郎委員長)から脱退したJR西労組のほか、JR東海労組(1万4500人)、JR四国労組(3200人)、JR九州労組(2900人)の西日本JR各社の主流組合と、東日本鉄産労(4300人)など鉄産総連の6組合の計10組合が参加する。矢後委員長の会長就任が既に内定しており、ほかの三役は今後の執行委員会で決める。
 組織人員は7万5000人。JR東日本労組などが加盟するJR総連(7万6000人)とほぼ同数となる。(京都新聞)
■80周年 大きな転換期迎える 京都市水道局と交通局 より良質で安全に 赤字改善へ 車庫の高度利用 アイデア商法も
 京都市の水道局と交通局は本年、事業開始80周年となった。市民生活と密接に関係した両局だけに、これまで時代の潮流に合わせて事業内容を変遷させてきた。しかし、水道局では地球環境問題への関心の高まりから、より良質で安全な水の追求が、また交通局ではモータリゼーションの進行が主因の赤字体質を改善する新たな収益事業の展開が、ともに強く迫られており、大きな転換点を迎えたといえそうだ。
・水道
 「臭い水解消のためには、有効な処理方法の選択、組み合わせが必要だ。高度浄水処理導入に伴う給水コストなどを総合的に比較し、基本計画を策定したい」2月定例市会で、市議の質問に対し、山西弥市・上下水道事業管理者は、力強く答弁した。
 昭和44年以来、20年を超えて毎年、水温が上昇すると発生し、市民を悩ます水道の臭い水。琵琶湖の富栄養化が原因で、市は活性炭の投入によって脱臭に努める一方、昭和56年から徹生物を用いた生物処理法の実験を、九条山浄水場で進めている。
 しかし、活性炭で取り除くことができる臭気は6、7割。また生物処理の方も、実用化には至らなかった。この間、大阪市など他都市や京都府は、より切実に水の安全性を求める立場から、オゾン処理を併用した高度浄水処理への転換に乗り出している。本年度中に策定する基本計画で水道局は、研究し続けてきた生物処理にこだわらず、オゾン処理も含めた水質対策と、新たな設備投資からくるコストアップとのバランスを見極め、21世紀の水道水づくりに着手する。
・交通
 来月11日、80年前に京都の街を市電が走り始めたことを記念して、市交通局は今、話題の「チンチンバス」車内で将来の京都の交通について語り合う市民シンポジウムを開催する。
 昭和53年の市電の廃止。その3年後の地下鉄の営業開始。モータリゼーションの波や、より快適で便利な高速交通への要望を受けて、市内の交通網は一変した。
 とはいえ、1990年度(平成2年度)の決算で、経常損益が11億円を超えた市バス、建設のための企業債の利子負担が運輸収益を上回る地下鉄−と経営状態は健全とは言いがたい。
 そこで交通局は、主にバス車庫として平面的に使われている用地を高度利用して、付帯事業にも乗り出そう−と、公営企業法の改正を機に昨年、用地総合開発構想を打ち出した。
 構想では、既に複合ビル化などで高度利用が進んでいる三哲操車揚など3ヵ所を除き、西賀茂営業所など11ヵ所で不動産、流通はじめ新規事業を開拓する計画だ。
 チンチンバスも、経営基盤の強化を切望する同局のアイデア商法の一つ。今後は構想の具体化に向けて、積極的な取り組みを開始する。(京都新聞)
■読売新聞社に慰謝料を請求 JR東労組
 JR総連傘下の東日本旅客鉄道労組(JR東労組、松崎明委員長)は17日、月刊誌「THIS IS 読売」4月号に事実に反する記事を掲載され、名誉を傷つけられた、として、発行元の読売新聞社と同誌の堀川吉則編集長、執筆者の評論家屋山太郎氏を相手取り、慰謝料など2200万円と謝罪広告の掲載を求める訴訟を東京地裁に起こした。
 訴状によると、問題の記事は、同労組について論評したコラム「屋山太郎の激評」。同労組は「マフィア化するJR東日本労組」という見出しや、「労組癒着体制が確立している」「松崎委員長の言論封殺」などの記述は事実に反する、としている。
 「THIS IS 読売」の堀川編集長は「訴状をよく読んで検討したい」とし、屋山氏は「JR東日本の人事がJR東労組の言いなりになっているという確証があり、事実に間違いはない」としている。(朝日新聞)
19日■立命大(理工学部)開校に間に合わず 草津 JR新釈の開業半年遅れ
 草津市野路町に94年4月、開校予定の立命館大学理工学部の新キャンパスに合わせてJR琵琶湖線瀬田−草津駅間に開業する予定だった新駅の工期が、同年秋まで半年近く遅れる見込みであることが18日、明らかになった。同キャンパスは開校時に学生、教職員合わせて約4000人の大半が同駅を利用する予定で「通学の足」が宙に浮いた形の大学側は困惑顔。
 この日、開会された草津市の5月臨時市議会で、新駅のうち同市が管理する自由通路の建設工期が94年10月31日までになっていることに関連して、議員が「約4000人に上る学生の通学手段をどうするのか」と質問したのに対して、成子秀雄企画部長が「当分の間、草津駅と瀬田駅を利用してもらう方向で検討している」と開業の遅れを認めた。
 市側の説明によると、新駅は新キャンパスの開校に合わせて94年春、開業を目指して準備してきたが昨年10月、工費が当初見積もりを大幅に上回ることが分かったため、草津市が市費を投入するなど駅建設方針を変更して着工が遅れたうえ、JR西日本になって初めてという複々線での駅新設工事の工期短縮が安全面などで難しいため、春開業が延びる見込みだという。
 同市は「JRには一日も早い開業を要望していく。開業までの間は県や大学と協議して、草津駅や瀬田駅からバスを走らせるなど対応を考えたい」と話している。一方、立命館大学側は「開校には間に合うと聞いていたので、驚いている。キャンパスは予定通り完成するし、困ったことだ」と当惑している。
 新駅は瀬田駅−草津駅間(約5.1`)のほぼ中間地点の草津市野路町に設置される。正式な開業日や駅舎の規模などは近く、JR西日本が正式決定する予定。(京都新聞)
■JR連合が結成大会 旧鉄労系など10組合 総連と主導権争い
 JR内労組の全国組織、JR総連(福原福太郎委員長)と対立するJR西労組(矢後希悦委員長)など10労組が18日、新しい全国組織「日本鉄道労働組合連合会」(略称、JR連合)の結成大会を東京都内で開いた。
 JR連合には、JR総連を脱退した旧鉄労系4労組と、旧国労主流派系の六労組が加盟、組織人員は7万5000人。旧動労系の影響力の強いJR総連(7万6000人)とほぼ同じ勢力でJR東海、JR西日本、JR四国、JR九州の各社内では主流組合となっている。
 国鉄分割・民営化から6年目。JR内労組は、2大全国組織が対折する新しい局面に入った。
 JR連合は運動方針の中で、労使協調路線を明確にしている。準備が整い次第、連合(山岸章会長)に加盟申請する。JR総連は既に連合に加盟している。
 JR連合には、JR総連から脱退したJR西労組、JR東海労組、JR四国労組、JR九州労組の旧鉄労系4組合と、東日本鉄産労など旧国労主流派の鉄産総連加盟6組合が参加。JR連合発足に伴い鉄産総連は解散した。結成大会で会長に就任した矢後JR西労組委員長は「JRグループを代表する組織へ発展させたい」と抱負を述べた。
 JR内労組の関係は、労使協調路線を取ってきたJR総達が一昨年の大会でスト権確立論議を提起したことから、路線変更だとするJR西労組が昨年7月、JR総連から脱退。東海、四国、九州のJR各社の旧鉄労系組合が相次いでJR総連から離れた。これに対し旧動労系の組合員はJR西労、JR東海労、JR九州労を結成、JR総連にとどまった。JR総連内最大のJR東日本労組(5万4000人)やJR北海道労組などでは旧鉄労系組合員の脱退は起きていない。(京都新聞)
■新駅建設の補正 予算案など可決 草津臨時市会
 草津市の5月臨時市議会は18日開会、JR琵琶湖線の瀬田−草津駅間に開業予定の新駅建設に伴う本年度一般会計補正予算案など4件が提案され原案通り可決、閉会した。
 新駅建設に伴う市の事業費案は総額で30億7001万円。このうち本年度一般会計に11億2678万円を追加補正、残る19億4323万円を93、94年度の債務負担行為にした。(京都新聞)
■信楽事故車両 解体に議論を 調停で遺族側主張
 信楽高原鉄道事故の車両の取り扱いを協議する「犠牲者遺族の会弁護団」(秋田真志事務局長)とJR西日本、信楽高原鉄道両者との第1回調停が18日、大津簡裁で行われた。
 遺族の会弁護団側は、車両の解体処分には遺族から強い反発が出ていることを説明。「解体について遺族と十分議論してほしい」と主張した。
 これに対しJR、高原鉄道側は「これまでの方針通り、滋賀県警の捜査終了までは保存する。その後どうするかについては、遺族の要望をまとめてほしい」と延べるにとどまった。このため遺族の会弁護団は遺族会総会を開くなどして、遺族の意向を取りまとめる。
 第2回調停は7月13日、大津簡裁で開かれる。(京都新聞)
■のぞみ旧型に化ける 駆動装置変色で 車両運用を変更 JR東海
 東海道新幹線で「のぞみ」型(300系)車両を使うことになっていた昼の「ひかり」上下2本が、13日のダイヤで旧式の2階建て車両(100系)を走らせていたことが、わかった。
 100系に差し替えられていたのは、13日の午後3時東京発新大阪行きの「ひかり243号」と、午後零時6分新大阪発東京行きの「ひかり238号」。
 「のぞみ」として走ったあと、それぞれ東京と新大阪の車両所で待機中、事故で落下したのと同じ駆動装置「たわみ紬継ぎ手」に通常ではみられない変色があるらしいとの連絡を受けて、詳細調査のた運転を見合わせた。交換したあと100系の「243号」には約1200人、「238号」には約800人が乗車した。300系と比べて100系はグリーン車の座席数が約30も少ない。
 JR東海によると、変色は当日、東京第2車両所で点検していた予備の「のぞみ」型車両から見つかったが、異状はなかったという。(朝日新聞)
■JR連合が発足 会長に矢後氏 10組合、7万5000人で
 JR内労組の新たな全国組織である日本鉄道労働組合連合会(略称、JR連合、7万5000人)の結成大会が18日、東京都内で開かれ、綱領、規約、運動方針などを決めるとともに、初代会長に矢後希悦・JR西労組委員長、事務局長に柴田秋雄・JR東海労組副委員長らの役員を選んだ。19日に、上部組織として日本労働組合総連合会(連合)と全日本交通運輸産業労働組合協議会(交運労協)へ加盟申請する。
 JR連合に加盟したのは、スト権論議などをきっかけに最大勢力のJR総連から脱退した旧鉄労系を中心とするJR東海労組など4組合と、国労旧主流派を軸とする鉄産総連傘下の東日本鉄産労など6組合の計10組合。旧動労系が中心のJR総連(約7万8000人)に拮抗(きっこう)する勢力として、今後、JR内労働運動を二分することになる。
 大会に先立って鉄産総連(2万人)は18日午前、臨時大会を開催。この日をもって解散することを決め、1987年2月結成以来の歴史に幕を閉じた。(朝日新聞)
■東洋ゴム副社長が電車に飛び込み死亡 阪急石橋駅
 18日午前11時20分ごろ、大阪府池田市石橋二丁目、阪急宝塚線石橋駅で、男性が池田発梅田行き上り普通電車(8両)にはねられ、即死した。
 池田署の調べによると、男性は持っていた名刺などから池田市壮園一丁目、自動車タイヤメーカー「東洋ゴム工業」(本社・大阪市西区)副社長高松悠紀雄さん(63)と分かった。
 運転士によると、電車が駅にさしかかった際に、高松さんがホームの中央付近から線路に飛び降りたように見えた、という。(朝日新聞)
20日■遺族宅の弔問はせず 井手JR副社長会見
 6月の株主総会でJR西日本の次期社長となることが決まっている井手正敬副社長は19日の記者会見で、信楽高原鉄道事故について触れ「鉄道事業者として遺族の方々には申し訳なく思う」と延べ、来年の3回忌法要には新社長として参列することを表明した。
 しかし遺族側の要望が強い、遺族宅への弔問には「一軒一軒弔問に回ることはないと」と、角田達郎社長同様の考えを明らかにした。
■11年ぶり高卒者採用 JR西日本、来年度
 JR西日本は19日、来年度の新規採用計画を発表、旧国鉄時代から11年間、採用を見あわせてきた高卒者を150人採ることを明らかにした。そのほかの採用は昨年並みで、4年制大卒約180人、高専卒50人、短大卒70人の予定。男子に限った理由について、JR西日本では、夜間勤務や重労働などをあげている。(朝日新聞)
■日本で最初 市電走らせました 蹴上発電所100歳 今も家庭に送電
 関西電力の蹴上発電所=京都市左京区粟田口鳥居町=が、100年を迎えた。日本で初めての事業用水力発電所。わが国初の”市電”も、この電力で走り、現在も京都市内の家庭に電気を供給している。
 蹴上発電所は、琵琶湖から京都市内を通って淀川までの疏水運河の建設に合わせて明治25年(1892)1月に事業用水力発電所として認可され発電をはじめた。5年後には19台の発電機で出力1760キロワットの発電所に−。この間の明治28年(1895)1月には、京都駅(塩小路)から伏見油掛間6.4`に開通した”市電”に電力を供給した。
 明治45年(1912)5月には、2期工事が行われ、現存の赤れんが造りの発電所などが誕生して、4800キロワットの出力を誇るまでになった。現在の蹴上発電所の施設は昭和11年(1936)に完成し、水車式発電機2基が作動中で、常時出力は4500キロワット。京都市内の2000軒の家庭に荒神口の制御所から遠隔制御で送電している。
 関電京都支店では、蹴上発電所は、現在一般公開をしていないが1世紀の歴史を誇る施設だけに活用を検討しているという。(京都新聞 夕刊)
■「やまぴこ」と連結 東京駅初乗り入れ 山形新幹線「つばさ」
 今年7月に開業する山形新幹線「つばさ」(6両編成)が20日、東北新幹線の「やまびこ」(8両編成)と連結した状態で東京駅に初乗り入れした。これまで「つばさ」単独で公開されたことはあるが「やまびこ」と連結した姿が公開されたのは初めて。開業後はこれが通常の運転スタイルとなる。
 「つばさ」はこの日朝、仙台市近郊のJR東日本仙台総合車両所で「やまびこ」と連結され、昼前東京駅へ。これまでの新幹線車両に比べて一回り小さく「やまびこ」と連結した姿は、まるで親子が手をつないだようだ。
 「つばさ」は、東京−山形間を1時間にほぼ1本の1日14往復(1往復は上野発着)運転。途中、福島にしか止まらない最も速い列車は、東京−山形間をこれまでより42分短い2時間27分で結ぶ。(京都新聞 夕刊)
21日■JR奈良線 複線化など要望へ 促進協総会 活動方針を議決
 JR奈良線の沿線市町でつくるJR奈良線複線化促進協議会(会長、今道仙次城陽市長)の本年度の総会が20日、城陽市の東部コミュニティーセンターで開かれた。
 本年度の活動方針として▽奈良線の複線化やダイヤの増強を関係機関に要望する▽他地域の鉄道整備促進団体との連携を強化する▽地元住民へ奈良線の利用を呼び掛けることなどを議決した。また前年度の決算案と本年度の予算案を承認した。
 JR奈良線複線化促進協議会は、沿線の宇治、城陽市、井手、山城、木津、宇治田原町と京都市、奈良市の4市4町の首長と議長で組織している。(京都新聞)
■のぞみ型車両故障 モーターのボルト欠落 塗料未乾燥が原因
 東海道新幹線の名古屋−三河安城間で今月6日、「のぞみ」型(300系)車両が立ち往生した事故で、JR東海と川崎重工業、鉄道総合技術研究所(JR総研)は21日までに、事故の引き金となったモーターを台車に固定するボルトの欠落は、モーターの塗料が末乾燥の状態でボルトを締めたため、塗料が乾燥したあと、ボルトとネジ山の問に隙間(すきま)ができ、その後の振動で抜け落ちたらしい、との統一見解をまとめた。今回の見解をほぼ最終的な結論として、近く運輸省に報告、公表する。
 事故を起こした列車(16両編成)は故障個所以外の4ヵ所で、モーターの国定用ボルト計6本が極端に緩んでいたが、その後の調べで、これらのモーターはいずれも東洋電気機製造(本社・東京都中央区)の製品だった。さらに、同社が組み立てメーカーの川崎重工へ納入した際の調査をしたところ、モーターの塗料が完全に乾いていなかったことが分かった。
 また、川崎重工が中心になって調べた結果、末乾燥の状態でボルトを縮め付けると、乾燥した塗料の容積が減り、ボルトとネジ山にわずかな隙間ができることが実証できたという。
 このため、故障した7号車のモーターは、固定用ボルト4本のうち、上部の2本が走行中の振動などで早い段階に緩んで抜け落ち、下部の2本だけで支える不安定な状懸が続いた。やがてこの2本も脱落。モーターの駆動装置である「継ぎ手」が落下してブレーキホースを切断するなどしたため、緊急ブレーキを作動させたのではないか、とJR東海などはみている。
 またJR東海は、東洋電機製造が、モーター納入直前に部品の一部をあわてて取り換えたため、塗料が未乾燥のまま、川崎重工に納入してしまったようだ、としている。
 東洋電機製造は「JRなどの調査に協力したのは事実だが、原因が公表されていない現時点では答えられない」と話している。(朝日新聞 夕刊)
22日■山陽新幹線 「厚狭駅」設置で合意
 平井竜・山口県知事は21日の記者会見で、同県厚狭郡山陽町の山陽新幹線小郡駅−新下関間に「厚狭(あさ)駅」(仮称)を設置することでJR西日本と基本的に合意した、ことを明らかにした。
 2ヵ月以内に県、町とJR西日本が基本協定に調印し、平成6年ごろ工事着工、同8年ごろの開業を目指す。
 平井知事などによると、新駅はJR山陽新幹線厚狭駅南側の隣接地に建設。建設費は全額地元負担で、県も相応の負担をするという。
 同県では新駅設置によって、福岡・北九州地区への通勤圏の拡大と圏西部の観光の玄関口としての効果などを規定している。(京都新聞)
■国鉄清算事業団 土地処分へ連絡会議 京都地区 自治体に協力要請
 国鉄清算事業団所有の土地処分についての第1回京都地区土地処分推進地方連絡会議が25日午前11時から、京都市中京区のホテルで開かれる。同事業団が地元自治体に対して、土地処分の協力を求めるのが狙いで、平野直樹近畿運輸局長、西川由朗同事業団近畿支社長、地元側からは荒巻禎一京都府知事と田辺朋之京都市長が出序を予定している。
 国鉄清算事業団所有土地処分推進会議は、土地処分の一層の促進のために運輸省が設けたもの。近畿運輸局管内は、京都、大阪、兵庫の3地区に地方連絡会場を設置した。
 京都地区には同事業団所有地の未処理地が現在、71fあり、主な用地は二条駅の4.98f京都駅東の0.22f同駅西の1.48fなど。(京都新聞)
■原因は塗料未乾燥 のぞみ型事故 JR、川重が調査報告
 東海道新幹線で「のぞみ」型車両が緊急停止した事故でJR東海と川崎重工業(本社神戸市)は21日、塗装の乾燥が不十分なままモーターを取り付けたためボルトが脱落し事故につながったとの調査結果と、再発防止のための対策をまとめ、運輸省に報告した。
 両社の調査結果によると、事故のきっかけとなったモーター取り付けボルトの脱落は、モーターを製造した東洋電機製造(本社東京)がモーターの取り付け部分に塗料を厚く塗った上、この塗料がまだ十分に乾いていないうちにモーターを川崎重工に納入。同社がそのままボルトを縮め付けたため塗料が乾燥して収縮し、ボルトと取り付け部分の間にすき間ができ、走行中の振動で緩んだボルトが抜け落ちたのが主要原因としている。
 JR東海は事故調査と並行してのぞみ車両4編成全体を点検、事故を起こした車両を含め3編成でボルトの蹄め付け不十分の個所が計16ヵ所見つかった。
 従来の新幹線車両では取り付け部分の塗装の厚みが6、70ミクロンなのに、ボルトが緩んだ車両では厚みが通常の2−4倍もあった。(京都新聞)
■阪急京都線の相川駅 主婦飛び込み重体
 22日午前8時50分ごろ、大阪市東淀川区の阪急電鉄京都線相川駅で、ホームから線路に飛び降りた同区内の主婦(48)が河原町行き上り普通電車にはねられて頭の骨を折って重体。電車の乗客にけがはなかった。
 同電車は現場で停車したため、上りは後続と合わせて計2本が最高8分遅れたが、午前10時前にダイヤは復旧した(京都新聞 夕刊)
■JR連合の加盟を了承
 日本労働組合総合連合(連合)は21日の執行委員会で、18日に結成された日本鉄道労働組合連合会(JR連合、7万6000人)からの加盟申請を了承した。6月の中央委員会で正式に承認する。
 了承にあたって、連合とすでに加盟しているJR総連、JR連合の3者は、連合の「産業別組織の統合方針」に基づき、「できるだけ早く統一するための話し合いのテーブルを設ける」などの確認メモを交わした。(朝日新聞)
23日■JRやKTR乱れる
 22日午後8時20分ごろ、JR山陰線の亀岡−花園駅間で信号機が作動しなくなり、園部発京都行き普通列車が、太秦駅で約30分間ストップした。
 このため、京都発園部行きの普通列車2本が一部区間運休したほか、急行と普通列車の7本が遅れた。JR西日本は、信号系統への落雷が原因とみている。
 また、この日の午後2時40分ごろ、京都府中郡大宮町口大野の北近畿タンゴ鉄道(KTR)大宮駅構内で落雷があり、同駅と峰山駅、野田川駅の信号が故障した。このため、京都行き上り急行など4本が約1時間遅れるなど、計約500人の足に影響が出た。(京都新聞)
■最古和風のJR二条駅舎 移築より現場保存を 京都市文化財保護審の有志
 現存するわが国最古の和風駅舎として知られるJR嵯峨野線の二条駅(京都市中京区)について、京都市文化財保護審議会(樋口隆康会長、17人)の委員有志8人が、保存を求める要望書を22日までにJR西日本に提出した。二条駅の現在地は嵯峨野線の高架化の後、駅前広揚となることが決まっており、現場保存はできない状況で、今後の取り扱いが注目される。
 要望書では二条駅について▽和風駅舎は類例が極めて少なく、明治の建築としてはほとんど唯一の例▽御池通の西端に正面を向けて建っており、都市景観の点からも、歴史的建造物として市民に親しまれてきた−などと評価。「京都にとって明治のかけがえのない文化遺産」と位置づけて保存を求めている。
 このほか日本建築学会(岸谷孝一会長)も同日、昭和60年に当時の国鉄総裁あてに提出した保存の要望書を改めて提出した。
 二条駅は明治37年(1904)、京都−園部間を結ぶ京都鉄道の中心駅として建設された。当時建てられた駅舎の多くは洋風だったが、二条城の景観に配慮した和風建築で、木造一部2階建ての入り母屋造り。平安神宮を摸した左右対称の意匠となっている。
 JR嵯峨野線の高架化に伴い一昨年秋、ジャッキアップして前方(東側)に15b移動する工事が行われた。平成6年の高架駅舎完成まで仮駅舎として使用されるが、現在地は新駅完成後、駅前広場とすることを京都市が昭和63年に都市計画決定しており、移築せざるを得ない状況。JR西日本は「貴重な建物と認識しているが、高架化完成後にどうするかは現在、全く白紙の状態」(広報室)としている。(京都新聞)
■新幹橡「のぞみ」型 17日ぶり営業運転へ
 東海道新幹線名古屋−三河安城間で故障、立ち往生した「のぞみ」型(300系)車両が、23日から営業運転に復帰することになった。今月6日の事故以来、17日ぶり。
 車両は事故後、JR東海浜松工揚に運ばれ、故障原因の調査や、点検、整備を受けていた。23日午前6時12分新大阪発東京行きのぞみ302号として運転する。(京都新聞)
■新幹線など旅客収入は好調 JR東日本 施設買い取り響き減益
 JR東日本が22日に発表した1992年3月期決算によると、91年6月に東京駅に乗り入れた東北・上越両新幹線が前期比10%も収入を伸ばし、売上高は前期比5.3%増の1兆9499億円となった。しかし、91年10月に新幹線の鉄道施設を買いとったことに伴う借入金の利子負担が増え、経常利益は27.8%減の1080億円だった。減益となるのは87年4月の民営化後初めて。
 売上高のうち、鉄道部門の収入は1兆7178億円。うち新幹線が前期比10.8%増の4280億円、在来線が前期比3.6%増の1兆2897億円。遠距離通勤の浸透で、新幹線の定期券収入が前期比65.2%増の77億円となった。(朝日新聞)
■日本建築学会 JR二条駅 保存を要望 明治の和風駅舎で最古
 日本建築学会(岸谷孝一会長)は22日、明治時代の和風建築の駅舎として最も古いとされ、現在高架化の工事が行われているJR山陰線二条駅本屋について「京都にとって明治のかけがえのない文化遺産である」として、保存するよう、JR西日本に申し入れた。市文化財保護審議会の有志八人もこの日までに同様の要望書を出している。
 二条駅は木造一部2階建て、1904年に建てられた。2階建ての中央部分は入り母屋造りの屋根で、正面入り口の車寄せ部分は切り妻造りになっている。当時、駅舎はほとんど洋風だったが、同駅は近くの二条城の景観に配慮して和風に造られたという。
 JR山陰線の高架化工事は1990年3月に着手、平安建部1200年にあたる94年に完成する予定だ。JR西日本広報室は「本屋部分は広場になることが決まっているが、保存するかどうか、まだ決めておらず、検討中」と話している。(朝日新聞)
■大陸新幹線網 独仏間へ延伸 首脳会談で合意
 【ラロシェル(フランス)22日=高木新】ラロシェルで開かれていた独仏首脳会談で両国政府は22日、フランスの新幹線TGVをミュンヘンやベルリンにまで延長する大陸新幹線網をつくることで合意した。
 構想によると、一つはパリからフランクフルトを経由し、旧東独地区を通って、ベルリンへのばす。もう一つは、ミュンヘンを通ってオーストリア国境まで延長する。これによって、パリーミュンヘン間は4時間45分(現行約8時間)、パリ−フランクフルト−ベルリン間は6時間半(現行約12時間)で結ばれるという。(朝日新聞)
25日■中労委 28日に解決案 JR採用差別問題で
 国鉄分割・民営化でJRに移行した際に採用差別されたとして、国労(永田稔光委員長)などが救済を求めている事件で中央労働委員会(石川吉右衛門会長)は25日までに、これまでの事情聴取を基にまとめる作業をしていた「最終解決案」を28日午前10時に国労など組合側とJR北海道など経営側に提示することを決めた。
 内容は明らかになっていないが、この解決案を基に「不採用者の地元JRへの採用が最優先」とする国労など組合側と「不採用は国鉄が決めたこと。JRは別会社で関係がない」とするJR側とが折り合えるかが焦点になる。
 中労委の扱う採用事件では、全国で27件、3141人(今年4月現在)が対象となり大半が北海道、九州の組合員で内訳は1973人がJR北海道に、1033人がJR九州に採用を求めている。組合別では国労が2816人、全動労313人、千葉勤労12人となっている。(京都新聞 夕刊)
■中労委 JR採用差別問題で 28日に「最終解決案」
 JR各社と国労など3労組との労使紛争で最大の懸案になっている採用差別問題について、中央労働委員会(中労委、石川吉右衛門会長)は、28日に公労使各3人の委員で構成する三者懇談会を開き、「最終的な解決案」を示す。焦点は、地方労働委員会(地労委)がこれまで下した「地元JRへの採用」という命令の趣旨が、解決案にどこまで盛り込まれるかだ。内内容次第では、労使ともに受け入れを拒否することが予想され、中労委の権威にかかわるだけでなく、紛争全体の行方にも大きな影響を与えそうだ。
 注目の解決案は、紛争解決のために特設された同懇談余の、石川会長ら公益委員が作成する。話し合いによる和解解決に向けた労使の合意形成ができなかったとして、3月末に石川会長が「早い機会に最終的な解決案を示し、問題の決着を図りたい」との志向を明らかにしていた。
 国労は先の全国代表者会議で、「地労委命令に基づかない案なら、受け入れを拒否し、直ちに命令を出すよう求める」との方針を確認。「地元JRへの採用」は譲れない一線という態度だ。
 全国各地の地労委は、国鉄からJRへの移行の際に、JRの採用に組合間差別の不当労働行為があったと認定し、国鉄が分割・民営化された「1987年4月にさかのぼって地元JRに採用せよ」との命令を出している。
 これを不服としてJR側転再審査を申し立て、中労委で係争中の採用差別事件は国労関係を中心に27件(救済対象者約3100人)にのぼる。
 JR側は依然、不当労働行為などなかったとして、採用拒否の構えを厳していない。(朝日新聞 夕刊)
■一ヵ月半ぶりに排水作業始まる 片福線 出水事故
 大阪市福島区の片福連絡線工事の道路陥没・出水事故で、日本鉄道建設公団などは25日、出水から1ヵ月半ぶりに掘削穴にたまった水を試験的にくみ出す作業に取りかかった。1日半がかりで水位を約2b下げ、完全に出水が止まっているかを確認する。
 午前8時から始まった作業では、ポンプ2基で毎分約3.4dずつ水をくみ上げ、いったん水槽にためたあと、下水道に捨てているという。排水の結果は、28日に開かれる第3回異常出水対策技術委員会で分析、検討され、工事再開の方向を深る。(朝日新聞 夕刊)
26日■JR京都駅、二条駅周辺など 利用計画早期決定を 国鉄精算事業団など 府、市に要請
 運輸省近畿運輸局と国鉄清算事業団近畿支社は25日、京都市内のホテルで、同事業団が所有する土地処分を推進するための京都地区地方連絡会議を開き、JR京都駅、同二条駅周辺など同事業団所有の土地について、京都府、京都市に対し土地利用計画の早期決定など協力を要請した。
 会議には、地元から荒巻禎一知事、竹沢忠義京都市都市計画局長(市長代理)らが出席。
 平野直樹近畿運輸局長が「本年度当初で26兆4000億円にのぼる事業団の債務返済のため、運輸省も土地処分をバックアップしている」として府、市の理解を要請。西川由朗同事業団近畿支社長が府内の土地処分の現状を説明、両駅周辺の開発計画などについて意見交換した。
 同事業団は、京都府内に87f(うち京都市内23f)の所有地があり、昭和62年以来、すでに16f(同5f)を売却している。地価の下落や景気の後退のなかで、土地処分が停滞する懸念があることから地元行政への要請活動を全国規模で進めている。
 京都での同連絡会議は、今月21日の兵庫地区についで近畿では2番目。(京都新聞)
■「JRの感受性にがっくり」 小倉山の土砂放置 子会社と提携関係 米企業が住民に手紙
 百人一首で和られる京都市右京区の小倉山にJR西日本が山陰線トンネル工事で出た土砂を放置している問題に絡んで、子会社の「ジェイアール西日本クリエイト」(本社・大阪市)と提携している米国の衣料雑貨類販売会社から、自然破壊に強い懸念を表明する手紙が地元住民に届いた。米社は自然保護を理念に掲げて急成長してきただけに、提携そのものに擬問が残っていることも明らかにしている。環境ブームに乗って米社製品の全国的な販売網づくりをめざすJR側は困惑している。
 手紙を寄せたのは、カリフォルニア州バークレーに本社がある「ザ・ネイチャー・カンパニー」のロジャー・バーゲン社長。4月下旬に土砂放置問題についての質問状を送っていた小倉山自治会の元会長、森孝之さん(53)のもとに今月20日届いた。
 手紙では、「環境問題に無責任な国であるという国際的評価」がある日本への進出については当初、社内に反対論が多く、米国のマスコミからも厳しく批判された、として「私たちを代表してくれる正しいパートナーを選んだかどうかまだ明確ではない」と説明。「JR西日本が(小倉山の自然を守ることに)あまり関心や感受性を示さなかったことを知って苦悩している」と述べ、住民と話し合うよう、クリエイトを通じてJR西日本に働きかけることを約束している。
 ネイチャーは1973年創立。自然保護をテーマにした衣料やアクセサリーなどの雑貨販売、出版などを手がけ、全米に約50店舗を持つ。一方、クリエイトは89年設立。翌年ネイチヤーと独占販売契約を結び、大阪駅をはじめ、金沢、新宿、四日市などに6店を構えており、さらに全国に店舗を設ける計画だ。
 ライフスタイルコンサルタントとして「人と地球に優しい企業」(講談社刊)などの著書もある森さんは「JRのやっていることはネイチャーの理念を否定するものだ。自然保護ブームに乗じてもうけるためだけに提携したと見られても仕方ない」という。
 JR西日本の荻野浩平・土木工事課担当課長は「一日も早く緑の山容を回復するためには、土砂搬出を断念するしかなかった。ネイチャーに対し真意を理解してもらえるような方策を検討したい」と話している。
・小倉山の土砂放置問題
 一帯は歴史的風土特別保存地区に指定されているが、旧国鉄が山陰線新線のトンネル建設の土砂置き場として京都市の許可を得て82年から使用を開始した。JR側は新線を土砂搬出に使う予定だった。だが、搬出問題をたな上げにしたまま新線の営業運転に踏み切ったことなどで、原状回復が困難となり、市は許可延長期限の今年3月、搬出断念を表明。土盛りや植栽で山の形を整える意向を示した。(朝日新聞)
■のぞみ 来春から東京−博多 1時間に1本、40分の短縮に 正式に決定
 東海道・山陽新幹線の東京−博多間で、来春から「のぞみ」が1時間に1本ずつ運転されることが、25日までにJR東海、西日本両社間で正式に決まり、料金などについて、運輸省と最終調整に入った。途中停車駅は東海道区間が現在の「のぞみ」のうち名古屋、京都に止まる列車、山陽区間が停車駅が少なくて最も速く走る「ひかり」に準じたパターンにすることを確認した。
 両社の合意によると、ダイヤは、原則として東京−博多間を1時間に1本走る現行の「ひかり」を「のぞみ」に切り替える。新幹線ダイヤ全体への影響を最小限に抑えるためだ。
 停車駅は、東海道区間が名古屋、京都、新大阪、山陽区間が岡山、広島、小倉の予定。東京−博多の所要時間は約40分短縮され、5時間前後となる。
 ただし、東京、新大阪を朝発車する「のぞみ」は、二大都市のビジネスマンが会社などの始業時に間に合うように運転する「ビジネス列車」として残す。このため、東京発午前六時の「のぞみ301号」は現行通り、新横浜に停車して名古屋、京都を「素通り」する変則型となる。
 料金は、JR東海が東京−新大阪間で「ひかり」「こだま」より950円高い特急料金を設定しているが、JR東海は現行通り、JR西日本もこれに準じた特別料金を取る方針を確認した。しかし、JR西日本の山陽区間は列車本数が少なく、「のぞみ」以外の列車を選ぼうにも選べないようなケースが予想されるため、ダイヤの増発を含めて、特別料金を設けることが妥当かどうか、運輸省と調整を進めている。(朝日新聞)
■ホーム転落 間一髪救助 目の不自由な男性 2駅員が停車合図 地下鉄九条駅
 25日午後5時半ごろ、京都市南区の京都市営地下鉄九条駅下リホームで、下京区内の男性(58)が1.5b下の線路に転落した。乗客の知らせで改札口にいた同駅の田中三郎助役(52)と中谷敏久駅務員(54)が駆けつけ、ホーム内の非常停車ボタンを押して後続の電車に知らせたうえ、線路内に倒れていた男性を助け出した。男性は転落時に軽い打撲傷を負っただけですんだ。
 駅などの話では、この男性は目が不自由で白い杖(つえ)をついてホームを歩いていたところ、誤って転落したらしい。当時、ホームには十数人の乗客がいた。乗客の一人は「救出後、すぐ電車が来て危なかった」と話していた。(京都新聞 夕刊)
27日■落雷でJR乱れる 山陰線の信号故障
 26日午後6時7分ごろ、福知山市興で落雷があり、付近の民家が一時停電。また綾部市高津町や若竹町などでも市街地の約850戸が13分から33分間停電した。
 また、この落雷でJR山陰線・石原駅の信号が故障。下り特急「あさしお9号」が40分、上り急行「丹後10号」が1時間遅れるなど、乗客約500人に影響が出た。(京都新聞)
■JR草津−瀬田間に新駅、94年秋に開業
 草津市は27日、JR西日本が草津市のJR東海道線草津−瀬田間に新駅を建設する、と発表した。年内に着工し、1994年秋に開業する。
 新駅は草津−瀬田間のほぼ中間の草津市野路町に設置し、複々線をまたぐ橋上駅にする。建設費は約36億円で、草津市が約30億円、JR西日本が約1億7000万円、残りは地元商工会議所、自治会が集めた募金でまかなう。新駅近くには94年春に立命館大学理工学部が開校することになっている。(朝日新聞 夕刊)
■大阪駅で信号故障 JR環状線26本運休
 27日午前4時半ごろ、JR大阪駅の環状線の信号機が故障、赤のまま変わらなくなった。このため同線は外回り、内回りともに始発から手信号で運転。信号機は同8時前に復旧したが、ダイヤは同9時半ごろまで乱れ、26本が運転をとりやめ、45本が最高15分遅れた。通勤客ら約6万人に影響した。(朝日新聞 夕刊)
■鉄道レールのダンピング 米が調査開始へ 新日鉄・NKKなど
 【ワシントン26日=時事】米商務省と国際貿易委員会(ITC)は26日までに、米大手鉄鋼メーカーが新日鉄とNKKなどを相手取って提訴していた鉄道用レールのダンピング問題について、調査開始を決定した。今後、ITCは6月16日までに米企業に損害が発生しているか否かの仮決定を下す予定。
 訴えを起こしているのは、ベスレヘム・スチールとCF&Iスチール。訴えられたのは、新日鉄、NKKのほか、英国とルクセンブルクの鉄鋼メーカー。
 訴えの中でベスレヘム社は、新日鉄などが最高80%のダンピング率で米国に鉄道用レールを輸出、シェアを大幅に拡大させたと主張している。このダンピング提訴は、鉄鋼の対米輸出自主規制協定(VRA)が失効して以来、日本メーカーを対象とした初のケース。(朝日新聞 夕刊)
28日■大阪湾の「マリン・コリドール」二次構想 民間が発表 28兆円を投資 2020年完成目指す 延長130`の海底トンネル・リニアモーターカーで1周40分・沖合8ヵ所に都市建設
 科学技術庁など5省庁が共管、民間企業90社でつくる国際海洋科学技術協会は27日、大阪湾の海中に総延長約130`の環状トンネルを巡らせ、リニアモーターカーで8つの海上都市を結ぶ「マリン・コリドール(海の回廊)」の第二次構想を発表した。概念を主とした昨春の第一次に続く事業化に向けての構想。2001年に着工、20年の完成を目指し、本年度は他構想との連携や事業主体を研究する。
 大阪ベイエリアに相次ぐ大型プロジェクトを交通や通信の大動脈で結ぶのをはじめ、関西のネットワーク化を進めて機能の高度化を図るとともに、都市への人口流入や環境悪化が深刻化する世界に解決モデルを示すのが狙い。
 構想によると、大阪湾の沖合1−5`の海面下20−25bに長径45b、短径25bのだ円形トンネル(コリドールライン)を環状に敷設。トンネル内には40分で一周する旅客と車両輸送用の小型リニア・トレイン、貨物輸送向けの同リニア・カーゴのほか、情報通信、石油やガス、下水パイプラインなどを設置する。
 また、関西国際空港近くの泉州や大阪、神戸などの沖合8ヵ所に海上都市(コリドールリンク)を建設。環状トンネルの駅となる各都市は、新産業の開発・育成、アジア金融センターなどの機能を分担し、陸地とも海底トンネルで結ばれる。
 投資総額は28兆円(年間1兆4000億円)で、国・自治体の公共投資は年3−5000億円を予定。56兆円の経済波及効果、年28万人の雇用創出効果なども見込まれる。
 本年度は日本海沿岸から京都、大阪へ伸びる北陸新幹線など他構想との接続や一部代替法を研究。将来的には大深度トンネルで京都や大津を結ぶ近畿中央と」瀬戸内海東部、紀伊水道の三コリドール構想などとのアクセスも検討する。(京都新聞)
■JR採用差別 救済者3割に絞る 中労委が最終解決案 組合側、拒否の方針
 国鉄分割・民営化に伴うJRへの採用の際、国労(永田稔光委員長)などの組合員が所属組合を理由に差別され、不採用となったのは不当労働行為とされた事件で中央労働委員会(石川吉右衛門会長)は28日午前、和解に向けた最終解決案を国労、全動労(三浦隆雄委員長)、千葉動労(中野洋委員長)の組合側とJR北海道、JR九州などJR7社に提示した。解決案は対象者を国鉄清算事業団から平成2年4月1日付で解雇された約1000人に絞り込んだ上で、@JR各社は対象者の居住地などに基づき1ヵ月間、雇用する。有給とし、労務提供を要しないA本州四国4社、貨物会社は所定の期間、北海道および九州の居住者の募集を行い、採用について努力するBJR各社は対象者に関連事業における雇用の場の提供を最大限努力する−など。
 中労委は回答期限を1ヵ月間として労使に検討を求めた。
 JR側はこの「解決案を持ち帰って検討する」としている。国労、全動労側は「地労委命令を無視している。われわれに対する不当労働行為そのものを認めていない」として受け入れを拒否し、中労委の命令を求める方針を表明した。
 今後、この最終解決案を基に和解への道が開けるかどうかは極めて微妙な情勢で、中労委が救済命令を出し、これに不服な揚合、行政訴訟で司法による判断を求めることになる。
 石川会長は、救済対象者を約1000人に絞ったことについて「今回外れた約2000人は既に新たな道を歩まれている。定職のない人の救済に重点を置いた」と説明。地元JRの雇用期間を1ヵ月間と定めたことに関しては「労使の妥協を考えた。理屈は説明できない」とし、救済対象の約1000人の就職先については「今後、国や北海道、九州各県にもお願いしたい」と述べた。(京都新聞 夕刊)
■「とても話にならぬ」 JR採用差別最終解決案 労組側、強く反発 JR側は憎重な対応
 「こんな解決案では、とても話にならない」−。JR不採用問題で、国鉄清算事業団から解雇された約1000人に限って救済措置を示した28日の中央労働委員会の解決案。労働側は「中労委の責任放棄だ」と強く反発、一方JR側は慎重な対応に終始した。
 東京都港区の労働委員会館で午前11時すぎから開かれた永田稔光国労委員長の記者会見。永田委員長は厳しい口調で「われわれはこの案を受け入れることはできない。命令を求めていく」と声明文を読み上げた。
 同会館前では、国労や全動労の組合員約500人がのぼり旗を持って集会。国労北海道に所属する元車掌の清野降さん(40)は「中労委ってこんなものですかね。組合差別の不当労働行為は完全に無視しているし、地元採用の保障もない」と憤りの表情で話した。
 JR博多駅横のJR九州本社前では国労組合員約15人が座り込み。解決案が伝えられると「何だこれは。話にならない」と失望の声。
 北海道でも、元駅員の夫が埼玉県へ出稼ぎに行っている千葉真貴子さん(33)は「1ヵ月間だけ雇われても、その先が分からないのでは家族としても不安で、とても解決案とは言えない」と訴えた。
 一方、解決案を受け取った松田昌士・JR東日本副社長は「われわれの主張からして問題が多い。持ち帰って検討したい」。東京・丸の内のJR東日本本社勤労課では数人の課員が、送られてきた中労委の解決案を囲んでひそひそ話。ある課員は「対応が難しいのでは」と言葉少なに語った。
・「全員JR復職まで」業績順調 決意新たに自活目指す 国労組合員の物販センター
 JRへの採用を求めて闘争を続けている元国鉄マンの生活確保のため国労組合員が発足させた、物品販売組織「国労生活事業センター」(千葉県市原市)が2年目を迎えた。業績も順調で年内には念願の株式会社創立が夢でなくなった。中労委が和解に向けた最終解決案を提示した28日、スタッフは「全員がJRに復職できるまで頑張る」と決意を新たにしていた。
 センターは北海道から九州まで全国36争議団が「闘いながら自活を」と昨年六月発足させた。扱う品は洋ランの鉢植えから洋酒、そうめん、各地の特産物など110種類にも及ぶ。中には北海道・旭川の仲間たちの手による小物入れなどの木製品や組合員家族たちが寄せた手記の単行本も。
 年5回のカタログ販売と支援の労組を回る直販の2方式。今、夏の商戦に入っているという。スタッフは組合員ばかり13人。年間10億円の売り上げを目標に「安心で、安く」をモットーにカタログ配送や組合事務所を走り回っている。
 東京の国労本部4階にある同センター東京営業所に詰めている国労札幌地方本部の鈴木三郎さん(44)は、妻子を北海道に残しての東京暮らし。3年前に北海道地労委から救済命令を受けた一人だ。「JRに戻し、謝罪すべきだとした救済命令が支えです」と話した。(京都新聞 夕刊)
■JRケムに巻くようなキセルの攻防 東日本の入場券時間制導入2ヵ月 常習犯・初乗り切符に移行 駅側・究極の防止策練る
 入場券を悪用したキセル乗車をなくそうと、JR東日本が4月1日から入場券に全国初の「有効時間制」を導入して2ヵ月。入場券の販売枚数は1年前に比べ半分近くにまで減った。ところが、最短区間の乗車券や回数券の売り上げが伸びており、代わってキセル乗車に使われているのでは−と同社は疑心暗鬼。不正乗車組とのいたちごっこは今後も続きそうな気配だ。
 昨年10月下旬に同社が川越線川越駅(埼玉県)で調査したところ、10日間に販売、回収された入場券503枚のうち43%が、改札口を入ってから出るまでに5時間以上も経過していた。
 摘発された不正乗車の手口を見ても、入場券の悪用が目立っている。悪質なキセル”常習犯”は入場券で駅に入って乗車。途中駅からの定期券で目的地の駅を出て、帰りは定期券で乗車し、初めに買った入場券で改札口を出てくるという。
 回収した切符の分析などから同社がはじき出したキセルによる減収は年間約300億円。東京・池袋駅の年間営業収入に匹敵する金額だ。
 キセル封じの”奥の手”として今回導入されたのが入場券の「有効時間制」。発売当日限りとなつていた入場券の有効期限を発売時刻から2時間以内に変更。自動券売機で入場券を売る際、切符に文字と磁気情報で発売時刻を入れ、2時間を過ぎたら自動改札機を通れないようにした。
 同時に主要ターミナル駅では入場券を買える自動券売機を削減。専ら通勤、通学客が利用する駅では窓口販売だけにした。
 その結果、4月1日から19日までの入場券販売実績は1日当たり2万192枚と昨年同期に比べ44.2%もダウン。
 駅別に見ると、昨年同期の1日当たり販売数が1434枚だった東京・新宿駅が615枚と半分以下に激減。343枚の南越谷駅(埼玉県)はたった5枚に。92枚の川越駅(同)と93枚の新八柱駅(千葉県)はゼロになった。
 川越駅のケースをモデル分析した結果では、入場券の減った分の79%が初乗り切符に、14%が回数券に移行したと推定される。移行組のほとんどは不正乗車を続けているとみられ、有効時間制導入は必ずしもキセル根絶に結び付いていないとも言える。
 しかし、同社営業部の丸山八雄調査役は「移行組のほとんどは、これまでの往復のキセルから片道キセルに変わったとみられ、その分は増収にはなっているはず」と話している。
 同社は、駅の改札口を通って入場したという磁気記録がない定期券については自動改札機のチェックで駅から出られないようにする”究極”のキセル防止策を検討中で、キセルをめぐる攻防は今後も続きそうだ。(京都新聞 夕刊)
■草津−瀬田間 新駅設置を申請 JR西日本 94年秋に開業予定
 JR西日本は28日、草津市野路町のJR琵琶湖線瀬田−草津駅間に新駅を設置することを近畿運輸局に申請した。2年後の94年秋に開業の予定。新駅には新快速は止まらず普通のみ上下合わせて1日 177本が停車。1日約1万4000人の乗降客を見込んでいる。
 新駅は瀬田−草津駅間(5.2`)のほぼ中間点。駅舎は橋上式で、東西の駅前広揚と改札口をつなぐ自由通路(幅6b、全長46.7b)を設ける。ホーム(幅4.5b−7b、全長245b)は上下2本で、12両編成に対応。東西駅前広揚、ホームに計5基の車いす対応型のエスカレーターを設置する。
 複々線に新駅を建設するのはJR西日本では初めてといい、線路2本を外側に張り出して上下各線の間にホームを建設するなど大がかりな工事になる。
 建設費は総額で36億1100万円。駅舎が29億2400万円、自由通路が6億8700万円。新駅を請願していた草津市が自由通路分全額を含む30億7000万円、JRが1億7100万円を負担。残りを草津商工会議所などの「草津市南部新駅設置期成同盟会」が市民や企業に求めている募金(現在3億7000万円)でまかなう。
 新駅は、同市が80年度に策定した第二次総合開発計画で市南部副都心構想の拠点として打ち出した。新駅に近い丘陵地には、大津市にまたがって県立図書館や県立近代美術館などの「びわこ文化ゾーン」が広がり、立命館大学理工学部が94年春、移転開校する予定。
 またJR西日本は同日、山陰線「東山公園」駅(仮称、鳥取県米子市)の新設認可を中国運輸局に、大阪環状線今宮駅(大阪市浪速区)の新設認可を近畿運輸局に、それぞれ申請した。
 開業予定は「東山公園」が平成5年春、今宮は同9年春。(京都新聞 夕刊)
■阪急踏切で老人はねられ死ぬ
 28日午前7時50分ごろ、京都市西京区松尾大利町の阪急嵐山線踏切で男性が嵐山発桂駅行き電車にはねられ死亡した。電車は現場で5分間停車、後続電車2本が数分遅れた。
 桂暑の調べでは、死亡したのは西京区内の農業の男性(86)で電車の通過直前に遮断機をくぐって軌道内に入った、という。同署は男性が踏切内に入った原因などを調べている。(京都新聞 夕刊)
■JR採用差別問題 地元復帰1ヵ月に限定 中労委が「最終和解案」 一方で再就職促進
 JR七社と国労など3労組の労使紛争で最大の懸案になっている「採用差別問題」について、中央労働委員会(中労委、石川吉右衛門会長)は28日午前、関係労使の代表を招き、「最終的な解決案」を示して、和解解決を求めた。解決案は、1990年4月に国鉄清算事業団を解雇され、北海道と九州に集中している国労組合員など1047人について、JR側に「希望者を1ヵ月に限って地元のJRに雇用」し、その間に本州・四国、貨物のJR5社への広域採用や関連企業への再就職あっせんなどを進めるよう求めている。また、中労委として、政府や北海道、九州各県にも再就職の支援措置などを要請するとしている。
・国労など反発必至
 全国各地の地方労働委員会(地労委)の救済命令(対象者3141人)に基づいて、「(国鉄からJRに移行した)87年4月にさかのぼる地元JRへの復帰」を期待していた組合側には、極めて厳しい内容だ。地労委命令の救済対象者から地元以外のJRに採用された人などを除外したうえ、「譲れない一線」としていた地元JRへの復帰がごく限定的にしか盛り込まれなかったことで、国労などが反発しており、解決案の受け入れを拒否するのは必至と見られる。配属差別など他の問題解決の行方にも大きな影響を与えそうだ。諾否の回答期限は1ヵ月以内としているが、受諾を拒否された場合、中労委は命令を出すという。
 解決案は、採用問題などの和解解決を目指して設置された公労使各3人の委員で構成する三者懇談会の石川会長ら公益委員が、労働省などの意向を踏まえて作成した。労働者委員は反対したというが、公益委員の主導で提示したとされる。
 解決案はまず、労使が長期に争うよりも、円満な和解解決によって「建設的な労使関係の形成」に努めるべきだと指摘。「千人余が定職のない状懸でいることは放置できない事態だと認識する」よう求めている。
 そのうえで、清算事業団を解雇された約1000人の雇用確保を図るため、JR各社に@所定の準備期間を経た時点で、希望者を1ヵ月間、雇用する。有給とするが、労務の提供は必要としない(休職扱い)A本州・四国の4社と貨物会社は所定の期間、北海道、九州からの広域募集・採用に努めるB関連企業における雇用の場の提供に最大限の努力をする、などを提案している。採用期間を1ヵ月に限ったのは、組合側の主張を一部取り入れた半面、地労委命令を不服とし、採用そのものに強く抵抗している経営側に配慮したものと見られる。
 解決案はまた、JR各社が採用事件に関する中労委への再審査の申し立てを取り下げ、各労組も地労委命令の履行を求めないこと、としている。さらに、採用事件解決後は、残る配属事件などについても、中労委を場として解決に努めるよう求めている。
 清算事業団を解雇された国労組合員など1047人の内訳は、北海道が最も多く521人。次いで九州の489人。本州・四国37人となっている。
・この案でぜひ解決を
 石川吉右衛門・中央労働委員会長の話 JRの深刻な労使紛争が長期間継続すると国民生活にも悪影響を及ぼしかねない。解決案は諸般の事情を考慮した最終のものであり、労使はぜひこの解決案で和解するよう強く要請する。地労委の救済命令の対象者すべてを盛り込むに至らなかったのは、定職のない状態にある人の雇用確保に最重点を置く必要があったためだ。残る2000余人も今回の趣旨に理解をいただきたい。
・中労委和解案の骨子
 一 JR各社と各組合は、和解により早期、円満な解決を図る。
 二 JR各社と各組合は、1000人に及ぶ人たちが離職し、定職のない状態でいることは放置し得ない状態と認識する。
 三 JR各社は、雇用の場の確保を図るため、@希望者の居住地などに基づき、定める区分に応じて雇用する。期間は1ヵ月A本州、四国四社と貨物会社は北海道、九州居住者の採用に努力する来るBJR各社は、関連企業での雇用の場の提供に最大限努力する。
 四 JR各社は中労委への再審査申し立てを取り下げ、各組合は地労委命令の履行を求めない。(朝日新聞 夕刊)
■組合員ら口々に怒り 会社側は言葉少なく JR採用差別問題 中労委最終解決案
 「1ヵ月だけの雇用。待ち望んでいた解決案が、こんな内容だったとは…」。国鉄清算事業団から解雇されて2年余り。北海道や九州を中心にアルバイトをしながら解雇撤回闘争を続けてきた組合員たちは、怒りや悔しさを次々と口にした。28日午前、中労委から提示された「JR採用問題」の解決案は、JR復帰を訴える労組員にとって、厳しすぎる内容だった。「地労委では救済命令が出ていたのに…」。一方で会社側は、「いまは何もいえないが、内容に問題がある」と不満を語る。業績好調のJR各社の影で、いまなお引きずる国鉄改革時の労使粉争に、「終着駅」はまだ見えない。
 中労委の石川吉右衛門会長は午前10時半から、東京都港区の労働委員会会館7階で記者会見した。
 「双方とも怒りや恨み、怨念(おんねん)を一応棚上げにして…」と、とつとつと切り出した。
 「現段階で事態を円満に解決するための最善の道はあり得ない。悪さが最も少ないものと判断して解決案を出した」。言葉の端はしに苦渋の跡が漂う。
 石川会長はJRの公共性を強調。「労使双方が、JR各社は国民一人ひとりのものだという立場で考えてもらいたい」と述べ、「この案 最終的に解決してもらいたい」と訴えた。
 1ヵ月だけの「復職」について、石川会長は、はっきりした口調だが、絞り出すような言葉で説明した。「いろいろ考えました」「妥協です。理屈で説明することはできません。これでやってくれと…」「互譲の精神でやっていただきたい。なぜ1ヵ月なのかは説明しろと言われてもできない」
 石川中労委会長と入れ代わりに会見場に姿を見せた国労の永田稔光委員長は、濃紺のスーツ姿。左腕に国労の赤い腕章。
 「本日提示された解決案は地労委の命令を全く無視したもので、犯罪的。したがって解決案を受け入れることはできない」と速やかに中労委が命令を出すよう求める委員長声明を読み上げた。
 JRの会社側は午前10時、労働委員会会館で中労委から解決案の提示を受けた。30分後、部屋から姿を見せたJR7社の労務担当幹部はいずれも「案を持ち帰りよく検討したい」と言葉少なだった。
 「一時的な地元JRへの雇用を促す」などとしており、会社側にとっても厳しい内容を含んでいる。
 また、地労委の救済命令の対象者を多く抱えるJR北海道の清水英朗専務む「コメントできる段階ではない。地元JRへの期限付き採用や広域採用もあるのでJRグループ全体で相談したい」。JR九州の田中浩二専務は「いまは何も言えない」とだけ、話した。(朝日新聞 夕刊)
■大阪環状線に新駅 JRが認可の申請 芦原橋−新今宮間
 JR西日本は28日、大阪環状線の今宮駅(仮称)、山陰線の東山公園駅(同)、東海道線の野路駅(同)を新設するため、近畿運輸局に認可の申請をした。
 今宮駅は、大阪市浪速区の芦原橋−新今宮駅間で、関西線の今宮駅の南側。周辺の土地区画整理事業にあわせ、大阪市が要望していたもので、1997年春の開業を目指す。同環状線で19番目の駅となる。
 東山公園駅は、鳥取県米子市の米子−伯耆大山駅間。東山総合運動公園の利用客の足として、米子市が求めていた。開業は来年春。
 野路駅は滋賀県草津市、瀬田−草津駅間。開業は94年秋。(朝日新聞 夕刊)
■山鉾 ウレタン上を巡行 路上に車輪保護策 地下鉄工事中の京都・御池通
 京都・祇園祭の山鉾(やまほこ)の木製車輪が傷まないようにするため、巡行のコースで地下鉄工事中の京都市中京区御地通に、粒状のウレタンを吹き付けた特製覆い板を敷く「応急処置」が施されることが28日、決まった。
 昨年の祇園祭では、御地通の中央車線部分の工事現場にゴム製レールを敷いたが、ゴムが破れるなどした。このため祇園祭山鉾連合会(田中常雄会長)は「1個約700万円の車輪が傷む可能性がある」として対策を求めていた。
 今年の場合、地下鉄工事現場の路上に敷かれた鉄、コンクリート製の覆い板の表面に接着剤と特殊加工したウレタンを吹き付ける。試作品を実験した結果、十分重さに耐えられ、スリップ防止にも役立つことなどから採用された。
 市交通局によると、加工板は一般の車両の通行も可能なうえ、地下鉄工事も巡行の直前まですることができ、工事経費もかなり安くて済む、という。吹き付けは巡行のある7月17日の数日前に行う予定。(朝日新聞 夕刊)
29日■JR旅行センター元所長逮捕 7000万円を着服
 JR西日本の元大阪旅行センター所長が売上金約7000万円を着服していた事件で、大阪府警捜査二課と曽根崎署は28日、業務上横領の疑いで京都市中京区壬生渕田町、元大阪旅行センター(現TIS 大阪)所長幸泉勝容疑者(53)を逮捕した。調べによると、幸泉容疑者は昨年10月初め、兵庫県内の金券ショップで大阪市内−東京都内の新幹線エコノミー切符10冊(1冊50枚つづり)を売却し約600万円を横領した疑い。
 幸泉容疑者は昨年7月からことし2月にかけ、兵庫県内の金券ショップなどで、新幹線エコノミー切符450冊を30回にわたり約2億円で換金。このうち120冊約7000万円分を着服していたことが分かり、3月に懲戒解雇された。(京都新聞)
■新幹線切符横領容疑 旅行センター元所長を逮捕
 JR西日本の元大阪旅行センター所長が新幹線のエコノミー切符の売上金を着服していた事件で、大阪府警捜査二課と曾根崎署は28日、京都市中京区壬生淵田街、元同所兆幸泉(こいずみ)勝容疑者(53)=今年3月懲戒解雇=を業務上横領の疑いで逮捕した。幸泉元所長は去年7月から今年の2月までの間に、新幹線のエコノミー切符約450冊(1冊50枚つづり、計約2億円相当)を金券ショップで換金し、センターには約1億3000万円しか入金していなかった、という。(朝日新聞)
■時々刻々 JR採用差別問題で和解案 「解決長引くだけ」怒りの組合側 「出方を待ち判断」余裕の各社
 「JR採用差別問題」で中央労働委員会が28日提示した解決案は、国鉄清算事業団を2年前に解雇された国労組合員など1047人を、「本州3社などは北海道、九州からの広域採用に努力する」「1ヵ月の期限付きで地元JRに雇用」などの内容だった。「長期化するだけではないのか」と、当初の怒りが失望、不安へ変わった組合員たち。一方で、不満を口にしていたJR各社側は「組合側の出方を待って判断する」と余裕の表情に。国鉄の分割・民営化から5年。解決案は、会社側と組合側の「力の差」がますます開いている現実を映しだした。
○組合員
 JR札幌駅近くの国労北海道本部のファクスが、「中労委解決案」をはき出し始めたのは、午前11時近く。手を伸ばした堀川利雄副委員長は「雇用期間は1ヵ月?その後はどうなるんだ」。
 「よく分からない」と何度も読み返すうち、顔がみるみるこわばった。「これじゃ、救済命令が出る前の状懸とじじゃないか」と声を荒らげた。昼のテレビニュースが石川吉右衛門・中労委会長の顔を映し出した。「よく恥ずかしげもなく出てこられるな」と、書記の一人がはき捨てるように言った。
 だが、時間がたつにつれ、怒りは失望と落胆に変わっていった。
 国労釧路闘争団の40代の男性は「小学生と中学生の子供がいるが、名簿に、父親の職業が『無職』と記入されるのがつらい」と打ちあける。「親が国労だと、子供が就職できないのでは」と不安を持つ団員もいるという。
 組合員が84人と全国でも最も多い福岡県直方市の国労筑豊闘争団事務所。夕方、建設作業のアルバイトから帰ってきた野見山昌光さん(34)は「家内にどう説明していいのか…」とがっくりと肩を落とした。
 子供2人の4人家族。清算事業団を解雇された2年前から、ワゴン車にラーメンや茶、酒、漬物などを積んでの行商をやっていた。しかし最近は売り上げが落ち込んだため、確実に日当が入る護岸工事や道路建設などのアルバイトもしている。
○JR各社
 「いずれにしても国労の出方得ちですね」(JR東日本幹部ら)。中労委の解決案を受けた直後は、「不満な点が多い」(石井幸孝・JR九州社長ら)としていたJR7社の幹部たちは、各本社に帰ると余裕の表情を見せた。
 解決案の提示日程が水面下でとりざたされた20日前後から、本州3社の幹部の間で、「どのような解決案が出ても、国労が拒否するかどうかを見極めてから態度を決める」との判断を固めていたという。その間には、「紛争の和解金を出してはどうか」「広域の追加採用を政府の責任で行う」などの声も一部に出たという。
 解決案の内容には、JR側が「絶対に譲れない」とんていた「地元JRへの雇用」というくだりが入っていた。が、これも「87年4月にさかのぼって」とする各地労委の救済命令に比べれは、問題にならない。
○中労委
 「会社側は当事者適格がないと言い、組合側は地労委で勝っていると主張する。水と油だ」と石川会長がいう労使の主張を、それぞれどこまで抑え、どの程度まで取り入れるか。それが、解決案を作成した石川会長ら3人の公益委員が腐心した点だった。
 案作成の基本的立場は「和解解決とは、双方が痛みを分かち合うもの。希望がすべて入れられるものでは結い」。このため、要請に訪れた国労幹部などには、「つらい思いをしてもらう点がある」と事前に伝えていた。
 情報管理にも細心の注意を払った。労働者側委員と使用者側委員を入れた三者懇談会を開いて話し合えば、案の内容がもれる恐れがある。そこや、3月末に「最終的な解決案を出す」と表明して以来、今月27日まで開かなかった。
 作成にあたっては「どこからも圧力は受けなかった」というが、内容は曲折をたどったようだ。途中段階の案には、「地元JRに1ヵ月の限定採用」という項目はなく、運輸省などの強い抵抗を押し切って入れたことがうかがえる。
 記者会見で石川会長は「我々がなぜ(この解決案に)踏み切ったかは、死んでも言えない部分がある」と述べた。「部分」とは一体、何だったのだろう。(朝日新聞)
■夏臨時ダイヤ発表 海山へ5000本増発 JR西日本
 JR西日本は28日、夏休みを中心にした7月1日から9月30日までの夏の臨時ダイヤを発表した。期間中、山陽新幹線1528本、在来線(特急、急行)3524本の合わせて5052本を増発する。
 マリンレジャー向けには、丹後方面へ新造車両を使った「マリン丹後エクスプローラー」などを運行。山のリゾート地へは、京都経由などで「リゾート白馬」「シャレー軽井沢」などが走る。
 また、北海道へは7月17日から8月31日までの46日間、豪華寝台列車「トワイライトエクスプレス」を運転する。夏の高校野球大会に朝一番で駆け付けて応援する「ナイトドリーム甲子園(新大阪発、大阪駅泊、甲子園口行き)」も昨夏と今春に続いて、8月9日から21日まで運行する。(京都新聞)
■海水浴など 517本増発 JR西日本福知山支社 夏の臨時ダイヤを発表
 JR西日本福知山支社は28日、海水浴とお盆帰省に対応する夏(7月18日−8月18日)の臨時ダイヤを発表した。「夏の顔がいっぱい北近畿」をキャッチフレーズに、山陰、福知山など管内各線で、延べ517本の臨時列車を走らせる。
 海水浴関係では期間中、丹後、但馬、若狭方面への人出を315万人(昨年比5%増)と予想。昨年より37本増やし、401本の臨時列車を設定した。
 福知山線では、丸みをおびたエーデル型の車両を使った特急「マリン若狭」(大阪−小浜)をはじめ、急行「マリン城崎」(大阪−城崎)などを予定。播但線では、サロンカー使用の快速「マリン但馬」(大阪−鳥取)など。山陰線では、KTR宮福線経由の特急「マリン丹後エクスプローラー」(大阪・京都−久美浜)などを運転する。
 また、このうち「マリン若狭」などは、海水浴場最寄り駅での上り、下りの発着間隔を、例年より拡大。海辺での滞在時間が長くなるようにし、日帰りの利用客の利便を図る。
 一方、お盆帰省関係では、83万4000人(昨年比2%増)の利用を見込み、昨シーズンより13本増の116本を運転。帰省のピークは8月13日、Uターンは同16日で、それぞれ1万7000人の乗客を予想している。(京都新聞)
■レジャーの足充実 JR夏の臨時列車
 JRグループは28日、7月1日から9月30日までの夏の臨時列車ダイヤを発表した。夏休みを中心に全国で新幹線5704本、特急、急行1万2231本の臨時列車を出し、去年より1%多い4760万人の乗客を見込んでいる。
 JR西日本では、1528本の新幹線と、3524本の特急、急行を増発。海や山、各地の夏祭りなどレジャー客の便を図った特別列車を増やす。大阪−久美浜間の「マリン丹後エクスプローラー」、岡山−出雲市間の「マリン皆生」などを新設。山ではアルペンルートの縦走に便利な大阪発立山行きの夜行急行「リゾート立山」、糸魚川−信濃大町間を結ぶ「白馬リレー」を走らせる。(朝日新聞)
■臨時列車使って 日帰り海水浴に 681本を増発 JR西日本福知山支社 大阪−久美浜間に新型特急も
 JR西日本福知山支社28日、海水浴や帰省客のための夏の臨時列車運行計画を発表した。「夏の顔がいっぱい北近畿」をキャッチフレーズに、臨時列車は昨年より34本多い 681本を増発する。今年は大阪などから日帰り出来るようにダイヤを編成したのが特徴。
 増発期間は海水浴客向けが7月18日−8月11日、帰省客向けが同月12−18日を中心にしている。
 主な臨時列車は、特急「マリンエーデル若狭」を大阪−小浜間に毎日1往復させ、高浜での滞在時間を昨年の3時間3分から4時間29分に延ばす。大阪−城崎間の急行「マリン城崎」も、城崎での滞在時間が約2時間長くなり、4時間51分になる。
 また、北近畿タンゴ鉄道(KTR)が今春購入した新型車両を使った特急「マリン丹後エクスプローラー」を大阪−久美浜間に走らせる。このほか、京都発東舞鶴行き特急や大阪発城崎行き急行、豊岡発京都行き快速を新たに走らせる。
 同支社では、海水浴の利用客が315万人(前年比5%増)、帰省客が83万4000人(同2%増)と見込んでいる。増発期間が昨年より少し長くなっており、同支社は「景気の動向からも、実質的にはほぼ昨年並みではないか」とみている。(朝日新聞)
■JR太秦駅前 ロータリー開通通せんぼ 車「500b遠回りするの」 市と整備話もつれ 土地所有者がフェンス
 京都市右京区のJR山陰線太秦駅前に、京都市が建設を進めてきたロータリーが、きょう29日朝開通したが、ロータリーに接続する私道の土地所有者が私道入り口にフェンスを設置、車や人が完全に通せんぼされる形となっている。背景には、市と土地所有者の間での話のもつれがあるようだが、せっかくのロータリーも通り抜けができない袋小路状態とあって、回り道を強いられる同駅利用者らからは「何とかならないか」と不満の声が上がっている。
 問題のロータリーは、平成元年にJR太秦駅が新設されたのに伴い、利用者の足の便を良くし、将来、三条通を走る市バスの乗り入れも可能になるようにと、市が昨年12月着工、今年3月完成した。
 ところが、ロータリーの西側につながる私道(幅6b、長さ約100b)約半分をを所有する同区内の自営業者が、今月初めになって、私道とロータリーの境にフェンスを設置した。この道はそれまで自転車や歩いて通り抜けはでき、駅の乗降客が利用していた。フェンスで通行不能になったため、やむなく私道のすぐ北側にある別の道を通るか、北側の住宅街をう回して、約500b遠回りを強いられている、という。
 また、完成したロータリーは、外周部の車道がこの道への接続を想定して駅の東西を結ぶ構造になっているが、このフェンスで袋小路状態に陥るため、市は29日朝からロータリーの使用を始めながら、外周部へは車の乗り入れができないよう、防護さくを置いている。こうした状態になった背景には、市側と土地を持つ自営業者の間での話し合いのもつれがあるよう。もともとこの私道は昭和62年、自営業者らが所有地に建て売り住宅の建設を計画した際、「将来、完全舗装の道路にする」として開発を申請。同年、市の許可を受けた。
 その後、太秦駅が新設され、さりにロータリーの整備が進んだ今年3月になって、自営業者は「開発を申請した時には、駅前整備の話は知らなかった。事情が変わり、駅前を整備する結果として道が使われるのだから、市が工事すればよいはず」と、工事を止め、私道の寄付を市へ申し出た。これに対し、市は「開発申請を出している以上、土地所有者は道路を完成する義務がある。できないのなら申請の取り下げなどの手続きが必要」(道路建設課)として拒否した、という。
 しかし、自営業者は「新駅やロータリーの建設に際して所有地の一部売却や借地を手放すなど、市に協力してきたのに」など、これまでの経緯のなかで、市側への不信感も示し、フェンスは撤去しない構えだ。
 駅の乗降客がやむなく利用している北側の道も、別の私有地で、こちらも市とのトラブルから、ロータリーとの境界にコンクリートブロック5個が置かれ、人がかろうじて通れる状態。通勤客らからは「どうなっているのか」と、早期解決を願う声が強い。(京都新聞 夕刊)
30日■社説 JR紛争の和解案がでたが
 国鉄からJRへの移行に伴って採用を差別されたとして、国労など3労組が救済を求めている不採用事件について、中央労働委員会が、公益、労働者、使用者で構成する三者懇談会を開き、JR7社と組合側に解決案を示した。
 解決案は1990年4月に国鉄清算事業団を解雇された北海道と九州に集中している国労組合員など約1000人について、JR側に「希望者を1ヵ月に限って地元のJRに雇用し、その間にJR東、西、東海、四国、貨物の5社への広域採用や関連企業への再就職あっせんなどを進めるよう」に求めた。「地元採用」にこだわる組合側と、「採用拒否」を続けるJR側の妥協をはかり、組合員の雇用の確保に重点を置いたもので、それなりに苦心がうかがえる。
 87年4月、国鉄の分割・民営化によってJRに採用されなかったり、関連会社などに出向、配転させられた国労を中心とした組合員が全国各地で不当労働行為として救済を求める労働事件が相次いだ。地方労働委員会は、これまで 160件すべてについて、所属している組合によって差別があったとしてJR側の不当労働行為を認め、救済命令をだしている。これを不服としてJR側は中労委に提訴し、中労委では124件のJR不当労働行為事件が争われている。
 JR側は不採用事件について国鉄改革法をタテにとって「不採用にしたのは旧国鉄であり、別会社になったJRには当事者能力はない」と一貫して採用を拒否してきた。これに対して、国労など組合側は「地労委の救済命令どおり、地元の職揚に復帰させよ」と主張し、JR側と真っ向から対立してきた。
 今回の和解案作成に当たって大きい問題になったのは2つ。一つはJR側が「別会社で当事者能力はない」と主張してきた根拠である国鉄改革法の問題。もう一つは全国の地労委で、組合側の主張をすべて認めてきているという事実をどのように解決案に反映させるかという問題であった。
 それに何とかこたえようとしたのが「期限つきのJR地元採用」である。解雇者のほとんどは「故なく解雇された名誉回復をしたい」という願いが強い。解雇という事実をなくして、名誉回復を行う一方、1ヵ月という期限つきならJR側の負担も大きくない。名を組合側に与え、実をJR側にとらせたということになろうが、双方の中間に解決をみいだそうとする姿勢が読みとれる。
 しかし、解決までの道のりはまだ険しいようである。「87年4月にさかのぼる地元JR復帰」を主張している組合側には、解決案を受け入れるのは相当の決断が必要になる。JR側にとっても、これまでの主張が崩されるだけに簡単に受け入れられないものがあるだろう。すでに国労、全動労は解決案を拒否し、中労委に救済命令をだすよう求めている。
 だが、中労委がかりに地労委と同じ内容の命令をだしたとしても、JR側がそれを拒否するのは必至である。裁判になっても結論がでるまでには10年以上の年月が予想される。それによって最も苦しまなければならないのは組合員である。こうした状態は一日も早く解消するのが望ましい。長引く紛争を解決するためには、双方の歩み寄りが欠かせない。今回の和解案を話し合い解決のチャンスにしてほしい。(京都新聞)
■関西私鉄5社値上げで増益
 関西の私鉄大手5社の92年3月期決算が29日でそろったが、昨年11月に運賃を値上げしたため各社とも増益になった。しかし、住宅不況のため沿線で開発した住宅が売れず、関連事業(付帯事業)部門の収益は近鉄、京阪の2社で減益だった。鉄道部門の輸送人員は、「花の万博」などの大きなイベントがなかったため、各社とも定期外の旅客数が伸び悩み、前年同期を0.8−2.2%上回った程度。しかし、旅客収入は値上げの影響で同4.0−5.0%の増収となった。
 93年3月期は地価税の負担に加え、沿線開発に伴う投資負担が重く、近鉄が減益になるほか、阪急、阪神の経営利益も微増にとどまる見通しだ。(朝日新聞)
関西大手5社の92年度3月期決算
 売上高利益鉄道部門の営業収益
近 鉄2,439( 2.7) 197(2.1)1,780(4.7)
阪 急1,755( 8.5)115( 9.3)970(5.4)
南 海1,047(▼0.5)39(48.5)573(4.0)
京 阪1,034( 5.1)67(23.5)556(4.7)
阪 神579( 7.8)53(13.8)275(5.0)
単位・億円 カッコ内は前年同期比伸率%、▼はマイナス
■JR山陰線遅れる 停電やポイントに石
 30日午前4時58分、JR山陰線り嵯峨−並河間で停電、同5時12分にも京都−嵯峨間で再び停電した。このため同区間を走行中の上り列車が9分遅れて京都駅に到着、上下合わせて計2本が9−分遅れ、乗客60人に影響が出た。JR西日本で原因を調べている。
 また、同7時20分ごろ、京都府船井郡八木町木原のJR山陰線吉富駅でも信号が故障。同駅に近づいていた下り列車を手前の八木駅に停車させ、園部駅の職員が現場を確認。ポイントに石がはさまっており、石を取り除いて復旧。電車は上下合わせて計5本が8−17分遅れた。(京都新聞 夕刊)