1992(平成4)年3月


1日■「心筋梗塞」列車止め処置を JR湖西線で1月末 元看護婦、お手柄 銀行員が恩人探し(京都)
  ■トロッコ列車出火 防火訓練で園児ら避難 右京(京都)
2日■大深度地下鉄 大阪市も導入検討 各駅線と2階建て 快速で主要駅直結(京都)
  ■土石流、海に達す 島原市水無川流域 鉄道が一部不通(京都)
  ■京日記(京都)
  ■観光シーズン開幕へ トロッコ列車が運行(朝日)
3日■入場券キセル許しません JR東日本 使用時間を2時間以内に 4月から(朝日)
  ■京の足値上げ 11日から タクシー8.1% 470→530円(小型) 来月から 地下鉄・市バス11.1% 160→180円 180→200円(京都)
4日■私鉄中央集団交渉始まる(京都)
5日■信号動かず混乱 夜の嵯峨野線2400人に影響(京都)
  ■地下鉄東西線山科工区 着工遅ればん回へ 駅の工事を先行 京都市方針 都計路予定地借りる(京都)
  ■騒音・振動 在来線も規制へ 環境庁 3年後めどに指針(朝日)
  ■「ドル箱ストップ」窮余の策 運転士OB乗務致します 助役ら約50人訓練 JR西日本 新幹線スト対策(朝日)
  ■ポイントに空き缶 嵯峨野線11本に遅れ(朝日)
6日■山陰線電化へ基金 園部−福知山 府、50億円かけ創設(京都)
  ■景観賞選考に住民の声 建設省が「出し方」を見直し 「反対」の有無報告を求める 自治体に(朝日)
  ■山形新幹線「つばさ」 7月1日にスタート(朝日)
  ■「公共の色彩賞」に京阪京都地下駅 雰囲気と機能兼備 推薦者評価 新しい景観つくり出す(朝日)
7日■JR支援へ「基金」 府、30議案追加提案へ(朝日)
  ■JR西日本の残土放置 京都市が追認(朝日)
  ■カタログ 九州行きブルトレ 年々豪華に、「動くホテル」(朝日)
8日■花嫁は特急電車で 打ち掛け姿に乗客も祝福 若いカップルに幸ある 近鉄京都駅(京都)
  ■信楽鉄道事故 事故車両を独自検証 遺族の会弁護団 ビデオなどに撮影(京都)
  ■JR四国も総連を脱退 臨時大会紛糾、決定(朝日)
  ■信楽事故の車両を遺族らが証拠撮影(朝日)
9日■「のぞみ」試乗に歓声 親子ウキウキ270`(京都)
  ■JR西労がスト権確立(朝日)
  ■独仏新幹線連結で合意 90年代末実現か(朝日)
  ■阪急神戸線 男性飛び込み即死(朝日)
  ■列車事故の遺族が慰霊 上海(朝日)
10日■社説 山陰線の完全電化に期待する(京都)
  ■梅小路貨物駅跡地の整備事業「日本庭園」建設へ 地下にグルメ街 アクセス歩道も検討 京都市が構想(京都)
  ■地下鉄東西線 94年度内完成めざす 田辺市長が改めて強調(京都)
  ■特別職の給与改正案など却議案追加提案 府会本会議が再開(京都)
  ■ガイドブック5000部 お「のぞみ」の方に京都駅で無料配布(朝日)
  ■近鉄新型特急の試乗会(朝日)
11日■機関車が暴走 JR東灘信号場内(京都)
  ■脱線機関車 公園塀に激突 神戸(朝日)
  ■パッと咲けサクラ 京都の保津峡 トロッコ列車沿線に山桜300本植樹(朝日)
12日■旧国鉄債務、再び拡大 26兆円台半ば 土地売却難響く(京都)
  ■京の路線バス わかりにくい系統 英文表示が不十分 足りぬ総合案内板 行監事務所調査 改善点いっぱいです 運転者 接客態度向上も(京都)
  ■事故起こした会社に6000万円 JR福知山が請求(京都)
  ■園部−福知山 山陰線電化 整備基金の創設盛る 2月府会 30議案を可決(京都)
  ■路線バスこんな点は改善を 京都行政監察事務所が指摘 混雑激しい産大系統 同場所で違う停留所名も(朝日)
  ■新幹線指定席に定期券でも(朝日)
  ■JR西日本発足5周年記念 夢・旅・出会いの4行事 フリー切符や名画劇場(朝日)
  ■車で線路上走り「あれ?」 列車と接触、酒気帯び男性逮捕 松原市(朝日)
  ■トラック側に6000万円を請求 衝突でJR福知山(朝日)
  ■消えゆく客車 JR 自力で走れるディーゼル車へ 乗り心地より速さ(朝日)
13日■篠山口まで複線化へ(朝日)
14日■超豪華な北海道旅行 JR西日本が発売(京都)
  ■「のぞみ」が登場 通勤少し楽に!? JRきょう新ダイヤ(朝日)
  ■「のぞみ」発車 時速270` 列島また狭く JRダイヤ改正(京都)
  ■新大阪−東京2時間半時代 「のぞみ」発車(朝日)
  ■270`景色が後ろへ飛んだ 「のぞみ」発車 乗り心地まずまず(朝日)
  ■線路上に男性 阪神電車にはねられ死亡(朝日)
16日■山陽新幹線が開業20周年 岡山駅で出発式(京都)
  ■山陽新幹線「満20歳」 新大阪・岡山間(朝日)
  ■「JR連合」結成へ 西労組など 労使協調派の7単組(朝日)
  ■27日以降にスト設定へ 旧動労系3 労組(朝日)
  ■転勤でもないのに650世帯が大移動 他社の社宅借用組に退去期限 JR社員(朝日)
  ■新本社ビルの完成祝い式典 JR西日本(朝日)
18日■KTR宮福線 新年度に電化めざす 府知事方針 国に用地譲渡請求へ(京都)
  ■旧国鉄土地処分で近畿連絡会議設置 精算事業団など(京都)
  ■JRの工事残土搬出断念は現実的解決策 京都市会で助成強調(朝日)
  ■私鉄総連も辞職を勧告(朝日)
  ■運輸省が売却支援 国鉄跡地 近畿は14ヵ所重点(朝日)
  ■トロッコ列車沿線に桜300本を植える 佐野藤右衛門さん(朝日)
20日■新幹線騒音 24%の地点で基準越す 環境庁が住宅地調査 最悪は「東北」(京都)
  ■新幹線騒音 2割は緩和基準も未達成 山陽と東海道 目標期限を再延長(朝日)
  ■新幹線騒音 速度競争に不安感 一掃策求める住民(朝日)
  ■ヒヤリ「ひかり」 大阪第一車両所での脱線 レール補修中の線路に突っ込む 入線の指示に混乱 脱線事故は4度目(朝日)
  ■鶴見緑地線に4新駅(朝日)
21日■強風で運転見合わせ JR湖西線(京都)
22日■「のぞみ」が初の車両故障 岐阜で緊急停止(京都)
  ■JR山陰線に遅れ 綾部釈で特急故障(京都)
  ■信楽鉄道 事故車両解体へ 「遺族の会」文書で抗議(朝日)
  ■「のぞみ」が急停車 電気系統故障?(朝日)
  ■青鉛筆(朝日)
23日■証拠保全申し立て 信楽鉄道の車両解体問題 犠牲者遺族の会(京都)
  ■中国で列車同士が衝突 脱線、46人が死傷(京都)
  ■信楽事故車両 地裁が検証へ 解体は当分中止(朝日)
  ■車両の解体反対を遺族らが申し立て 信楽高原鉄道事故(朝日)
24日■JR総連3労組 31、1日に全面ストも(京都)
  ■「JR連合」旗揚げへ 5単組が結成準備会(京都)
  ■信楽鉄道 車両解体を延期 大津地裁 来月8日に検証(京都)
  ■JR京都駅ビル 特定街区で高層化容認 京都市 特例で適用(朝日)
  ■京都市 是非論抜き規制緩和 特定街区適用方針 高さの歯止めなし(朝日)
  ■JR西労、スト通告 東海・九州歩調合わず 回答指定30日(朝日)
  ■関西私鉄5社 27日スト予定 840万人に影響か(朝日)
  ■私鉄スト200万人に影響か(朝日)
  ■叡電のダイヤ改正 ラッシュ時に増発(京都)
  ■チンチンバスを増発 臨時系統の新設も 市バス、1日から(京都)
  ■静岡鉄道6200万円払え 山崩れで住民8人死亡 擁壁の安全を欠く 地裁判決(京都)
25日■点検JR5年 @ 独り立ち 激化する”兄弟げんか” 競争心先走り 体質改善まだ(朝日)
  ■新たに2遺族 示談まとまる 信楽鉄道事故(朝日)
  ■国労きょう 24時間スト(朝日)
  ■新型機開車が完成 精かんなJR貨物(京都)
  ■摩擦熱で発火 リニア火災で報告書(朝日)
  ■ハイタッチテクノ 身近な技術のタネ明かし 電車の到着駅表示 車輪回転数から距離計算 ひと駅ごと10bの誤差 ドア開閉で位置修正(朝日)
  ■次世代新幹線 300`競うJR3社 低騒音や安定性も追求(朝日)
26日■私鉄交渉きょう大詰め スト設定を背景に攻防(京都)
  ■点検JR5年 A J 低私高 運賃の逆転あちこちで 86年から凍結 前途は黄信号(朝日)
  ■春闘 私鉄、詰めの少数交渉(朝日)
  ■集改札ストに戦術をダウン 近鉄労組(朝日)
27日■私鉄スト突入は微妙 賃上げ 1万5700円を提示(京都)
  ■「持ち家売れぬ」新居断念続々と 高倍率突破も暗転 −公的住宅− 106億浮いた 京都市のJR跡地買収公共事業には恩恵(京都)
  ■地下鉄線路に6児童 100b前急停車 捜索で全線マヒ 大阪・「探検」迷う(京都)
  ■私鉄交渉もつれる(朝日)
  ■地下鉄探検 電車止める 軌道に小学生6人 地上排気塔から入る 阿倍野区(朝日)
  ■私鉄 11年ぶり通勤時スト 643万人の足を直撃 賃上げ 1万5700円で妥結 昼前に中止(京都)
  ■”備え”忘れ「困った」構内に悲鳴 千葉・松戸駅(京都)
  ■「まさか…」大あわて 私鉄スト JR京都駅へ乗客殺到 自動券売機前に長ーい列(京都)
  ■私鉄11年ぶり本格スト 関西・関東の9社 ラッシュ時600万人影響(朝日)
  ■平常業務 混乱少なく 専用のバスチャーター 「振り替え」事前に徹底(朝日)
  ■慣れぬスト 耐えに耐え JR各駅に長蛇の列 あきらめ顔の会社員(朝日)
28日■JRスト計画決定 西日本など3労組 31、1日に48時間(京都)
  ■JR西ストなら110万人に影響(京都)
  ■地下鉄東西線 工事差し止め訴え 九条山周辺住民 「交通権の侵害」と(京都)
  ■社説 私鉄ストの意味すること(京都)
  ■点検JR5年 B しがらみ トップ人事も国の認可 「完全民営化」上場後も疑問(朝日)
  ■JR3労組スト計画 新幹線や主要幹線 「貫徹」訴え決起集会(朝日)
  ■泰緬鉄道の調査を豪紙「墓泥棒」扱い 映画で記録の邦人グループ憤慨 訂正求めて出発 大使館も強く抗議(朝日)
  ■夕刊ひろば 小銭切らし困惑 バス運転手さんに感謝(京都)
29日■時々刻々 民営化5年で初 JR いまなぜストか 旧動労・鉄労の再分裂が機に 会社介入に危機感(朝日)
  ■青鉛筆(朝日)
30日■JR3労組 きょう指名スト あすから「48時間」予定(京都)
  ■京の地下鉄20分ストップ 電算機誤作動 最高40分の遅れ CTCの一部 終電まで手動(京都)
  ■電車あわや…ビルの壁突き破る ウィーンの地下鉄(京都)
  ■中小私鉄スト 一部で突入も(朝日)
  ■点検JR5年 C 遺族の願い 「救済」阻む”負の歴史” 採用差別問題 残す労使不信(朝日)
  ■雨で来月5日に延期 5私鉄リレーハイキング(朝日)
  ■新幹線、指名スト入り JR3労組 続いて48時間ストへ(京都)
  ■JRストップ濃厚 ”間引き”運転程度 市民自衛策クール 布団、弁当は”閑散” ホテルなども大口予約なし(京都)
  ■JR3労組 明日のスト 突入必至 賃上げや「組合差別」労使交渉は不調(朝日)
  ■突入?回避?準備だけは JRあすストへ 駅に問い合わせ殺到 ビジネスホテルほぼ満室(朝日)
31日■JR48時間スト突入 民営化後初、 250万人に影響 西労など3労組 春闘回答を拒否(京都)
  ■JR3労組がスト突入 新幹線も一部運休 13年ぶり 発足後最大規模(朝日)
  ■異動の春 おおわらわ JRスト突入 引っ越しピーク直撃 新入社員の足確保(朝日)
  ■神戸−関西新空港は海底トンネルで結ぶ!? 30`、建設費6000億円 兵庫県構想(朝日)
  ■早朝に解除 京福電鉄などのスト(朝日)
  ■JR発足5周年の記念乗車券いかが(朝日)
  ■JRグループ新年度計画 各社、厳しい見通し 営業収入は増加見込む(朝日)
  ■山陽新幹線に「のぞみ」導入 JR西日本計画(朝日)
  ■点検JR5年 D はてしない道 「用地売却」夢”アワ”に 買い手つかず国民にツケ?(朝日)
  ■JRスト 在来線中心に影響 新快速が全面運休 東海道線 通勤客混乱なし(京都)
  ■JRスト 乗客かしこく自衛 時差出勤で空席も 京都駅 応援職員も拍子抜け(京都)
  ■通勤電車半分止まる JR3労組スト 自衛で混乱少なく(朝日)
  ■JRスト 静かな朝に拍子抜け?! 目立つすいた電車(朝日)



1日■「心筋梗塞」列車止め処置を JR湖西線で1月末 元看護婦、お手柄 銀行員が恩人探し
 JR湖西線の車内で心筋梗塞(こうそく)に襲われ同乗していた女性の機転で一命をとりとめた男性が、「ひと言お礼が言いたい」と、この女性を探している。
 この人は、福井銀行阿倍野支店長藤木真一さん(52)。1月24日、出張先の福井市から大阪へ帰るため、福井駅から大阪行きの特急「スーパー雷鳥4号」に乗車した。発車間もなく胸が痛みだした。洗顔するなどして気をまぎらわそうとしたが、痛みはますますひどくなり、冷や汗も出始めた。特急が滋賀県境にかかるころ、車掌室へ駆け込んだ。
 車掌が車内放送で、医師や看護婦が乗車していないか呼びかけたところ、50歳前後の女性が名乗り出た。女性は藤木さんの手を握り、「私に合わせて呼吸して」と大きく深呼吸するよう誘導。やや落ち着いてきた藤木さんに「すぐに手当てしなければ危険。列車を止めて」と主張した。
 このため、車掌が無線で輸送指令などと協議し、本来は通過する堅田駅に緊急停車。藤木さんは救急車で近くの琵琶湖大橋病院に運ばれ、処置を受けた。
 治療に当たった医師らは「心筋梗塞は2時間以内に処置しなければ死亡する可能性もある」と、女性の機転に驚いている。順調に回復している藤木さんは「名前を聞いたが『そんなことより早く病院へ』と押し出すように担架に乗せられた.ぜひお会いしてお礼が言いたい」とこの女性を探している。
 JR西日本によると、この女性は、車掌に「元看護婦、本多好子」と名乗っていたという。(京都新聞)
■トロッコ列車出火 防火訓練で園児ら避難 右京
 幼児の乗った列車から出火−。こんな想定の防火訓練が、春の火災予防運動スタート前日の29日朝、右京区嵯峨のトロッコ嵯峨駅で行われた。近くの嵯峨幼稚園の子供たち64人や嵯峨野観光鉄道の社員、右京消防署員らが協力し、訓練を繰り広げた。
 春の火災予防運動の行事として、右京消防署が計画した。まず幼児への防火指導があり、園児らは列車の中から、消防署員が演じるぬいぐるみ劇「トロッコ列車と子ゾウ」を観賞。火遊びの恐ろしさを学んだ。
 続いて走行中の列車が火災−という想定で、園児らは駅員さんや幼稚園の先生の誘導で、列車から外に無事避難した。駅からの通報で、消防車や救急車5台が間もなく到着。電動カッタ−を使って、車内に閉じ込められた乗客の救出や、消火訓練がトロッコ列車を背景に行われた。通りがかりの観光客らも、このトロッコ列車を使った訓練の様子を」興味深く眺めていた。(京都新聞)
2日■大深度地下鉄 大阪市も導入検討 各駅線と2階建て 快速で主要駅直結
 大阪市は、市営地下鉄の慢性的な混雑解消や輸送力アップを図るため、現在の地下鉄線(地下20−30b)よりさらに20−30b下を走る「大深度地下鉄」を導入する方針を固め1日までに、市交通局を中心に調査、研究を始めた。
 市は、大深度地下鉄は梅田やなんばなど主要駅を直結する「快速方式」を取り入れ、現在の「各駅路線」と併せた”二階建て”とする考えで、多様な利用方法にもつながるという。
 大阪市営地下鉄は御堂筋線、谷町線、堺筋線など7路線が走っているが、全路線の1日の利用客は255万人(平成2年11月調査)にも上る。
 特に御堂筋線梅田駅は1日の乗降客が51万3000人で、運輸省が全国の地下鉄の統計を取り始めた昭和29年以来、連続トップ。全路線でも混雑ぶりは全国屈指だ。
 市は将来、大深度地下鉄について主要駅を結ぶ環状線方式を目指す。 大深度地下鉄構想では運輸省が昭和63年、「法制面で手当てしたうえで、大深度地下空間に鉄道を建設することを検討すべきだ」とした調査研究結果をまとめている。東京都もこれに沿って検討を姶めている。(京都新聞)
■土石流、海に達す 島原市水無川流域 鉄道が一部不通
 長崎県雲仙・普賢岳のふもとの島原市の水無川流域で1日未明、2月29日夜から降り続いた雨に伴い小規模の土石流が発生した。地元の漁協によると、先端は海にまで達し流木や土砂が流れ込んだという。
 民家などに被害はなかったが、下流の国道251号に土砂がたい積したため同県警島原署は1日午前1時39分から正午まで通行止めにし、土砂の除去作業に当たった。
 また国道と並行する島原鉄道も線路が土砂で埋まり、島原外港−深江駅間が始発から不通になった。復旧まで10日前後かかる見通し。
 水無川流域で土石流の発生が確認されたのは、150棟の住宅などが流失、倒壊した昨年6月30日の土石流以来約8ヵ月ぶり。
 長崎県島原振興局によると、国道251号付近では土砂や石が幅約300b、厚さ約40aにわたりたい積したが、昨年6月の土石流と比べると規模は小さかった。土石流は島原市北安徳町、鎌田町にわたり昨年6月と同じ流路。(京都新聞)
■京日記
 ◇…春の観光シーズンを迎えて1日、嵯峨−亀岡を走るトロッコ列車「ロマンチックトレイン嵯峨野」が運転を再開、京都市右京区のトロッコ嵯峨駅では祇園の舞妓さんらを招いて出発式が行われた。
 ◇…昨年4月に開業したトロッコ列車は、12月末までに63万人が利用した。式では、舞妓さんとともに地元の嵯峨小3年、中村未緒ちゃんと田中厚史君らがテープカットとくす玉を割った。
 ◇…午前9時35分発の「嵯峨野1号」には招待客、一般乗客ら約160人が乗り、保津峡の春の気配を楽しんだ。今年も12月29日まで1日8往復を運行する。(祝日を除く毎水曜日運休)(京都新聞)
■観光シーズン開幕へ トロッコ列車が運行
 冬の間、運休していた嵯峨野観光鉄道のトロッコ列車が1日、運行を再開した。右京区嵯峨天竜寺車道町のトロッコ嵯峨駅では、1番列車の発車前にテープカットや薬玉割りの記念行事があり、観光シーズンが始まった。
 記念行事には、上七軒の舞妓2人と同鉄道の長谷川一彦社長、観光客代表の埼玉県上尾市、東京音大4年生名草陽子さん(22)と友人の東京都港区、石川百合香さん(22)も参加した。
 名草さんはテープカット、石川さんは薬玉割りを担当。2人は「卒業旅行で京都に来たが、よい思い出になった」と話していた。(朝日新聞)
3日■入場券キセル許しません JR東日本 使用時間を2時間以内に 4月から
入場券を利用した不正乗車を防ぐため、JR東日本は同券の使用時間を発売時刻から2時間以内にすることを決め2日、発表した。使用時間を超えた場合は超過料金を徴収する。営業規則を改め4月1日から、同社管内で実施する。
 現行の入場券は、発売当日の1回に限り有効としており、時間規制は行っていなかった。
 使用時を超えた場合の超過料金は、2時間ごとに入場料金を加算する仕組み。例えば120円の入場券を買うと、2時間以上4時間以内の入場が240円に、6時間までが360円になる。(朝日新聞)
■京の足値上げ 11日から タクシー8.1% 470→530円(小型) 来月から 地下鉄・市バス11.1% 160→180円 180→200円
 運輸省、近畿運輸局は3日、京都市域(京都市、向日市、長岡京市、乙訓郡のタクシー運賃を平均8.1%、京都市の地下鉄・市バスを平均11.1%、一律20円(大人)引き上げる運賃改定を認可した。実施はタクシーが今月11日、地下鉄、市バスは4月1日から。
 認可されたタクシーの新運賃は、初乗り(2`まで)がいずれも申請通り50円アップの小型車510円(現行460円)、中型車520円(同470円)、大型車540円(同490円)。消費税を含めると、小型車530円(同470円)、中型車540円(同480円)、大型車560円(500円)となる。
 また、距離加算運賃が小型車で465b(現行495b)ごと、中型車で410b(同430b)ごとに80円を加算−と改定されるなど、距離と時間の加算運賃のいずれも見直しされ、平均8.1%のアップ率となった。
 京都市域の法人タクシー45社と個人タクシーは昨年9月上旬、タクシー乗務員の給与改善などを理由に平均20%強のタクシー運賃の値上げを申請したが、その後、業界の足並みの乱れでいったん取り下げ、同年10月から11月にかけて9.4−17.8%(平均12.5%)の値上げを再申請していた。値上げ実施は1989年10月以来2年4ヵ月ぶり。
 地下鉄は初乗り(1区)運賃が大人180円(現行160円)、小児90円(80円)になる。2−4区もそれぞれ大人20円、小児10円アップ。市バスは普通券(均一区間)が大人200円(180円)、小児100円(90円)になる。通勤・通学定期もそれぞれスライドしてアップする。京都観光一日乗車券と全線定期券は現行で据え置く。
 運賃値上げは88年10月以来、3年半ぶり。(京都新聞 夕刊)
4日■私鉄中央集団交渉始まる
 今春闘の大手私鉄の賃上げなどを決める私鉄総連(田村誠委員長、18万9000人)と大手私鉄9社との中央集団交渉が3日、東京・丸の内の日本民営鉄道協会で始まった。中央集団交渉は19日まで計7回を予定。その後、労使双方の3役らによる少数交渉が行われ、27日の大手私鉄ストライキを背景に労使の攻防が展開される。
 交渉に臨んだのは関東が東武、営団地下鉄、東急、京成、関西が近鉄、阪急、南海、京阪、阪神の計9社の労使と私鉄総連本部、民鉄協幹部。今年は昨年の8社に京成が13年ぶりに復帰した。
 組合側の要求は@平均2万5000円(9.3%)の基本給引き上げA一時金0.2ヵ月の上積み(現行、大手平均5.4ヵ月、中小同4.9ヵ月)−など。
 この日の交渉で組合側は生活維持、生活向上分など賃上げ要求の根拠について説明「年齢が高くなるにつれて他産業との賃金格差が広がっている。一時的な経済の調整局面で賃上げを抑え込むことのないように」と主張した。経営側は13日に主張を述べるため、質問や反論はしなかった。(京都新聞)
5日■信号動かず混乱 夜の嵯峨野線2400人に影響
 4日午後8時ごろ、京都市右京区嵯峨、JR嵯峨駅で京都発園部行き普通列車が発車しようとしたところ、赤信号が変わらず発車が50分ほど遅れた。
 JR西日本の調べでは同駅内のポイントに空き缶がはさまっていた。このため、後続の特急、急行各1本の列車が50分から2分遅れとなり、通勤客ら2400人の足に影響が出た。(京都新聞)
■地下鉄東西線山科工区 着工遅ればん回へ 駅の工事を先行 京都市方針 都計路予定地借りる
 京都市会の事業予算特別委員会が4日開かれ、交通局の小島泰男高速鉄道本部長は、山科駅前市街地再開発事業との関連で着工が遅れている地下鉄東西線山科駅工区について、地下駅を造る幅員22bの都市計画道路予定地部分を地権者から借りて、地下鉄工事を先行させていく方針を表明した。
 小島本部長は、来月から地権者との借地交渉に入り、本年末にも準備工事に着手する考えを示すとともに」東西線完成時期については「工事の進ちょく率は厳しいものがあるが、遅れを取り戻せる部分もあるので(平成6年度完成の)目標通り進めていく」と答えた。
 神泉苑跡が出土した東西線の押小路工区と堀川駅工区について、小島本部長は「文化庁と詰めの協議をしているが、この春以降に工事を再開したい」との見通しを述べ、現在、必要な現状変更認可申請の準備中であることを報告した。史跡の扱いについては「基本的に保存しなくてはならない部分はある」との見解を示し「部分的な原状保存や移設保存などを含めて検討している」と一部は原状保存していく考えを改めて表明した。
 市バスの定期消毒の際、米国で発がん性があるとして使用規制されているDDVPの混合液が使われているとの指摘に対して井上幸郎管理本部長らは「厚生省で承認している薬剤であり、発がん性はないと考えるが、使う薬剤の種類について研究したい」と検討を約束した。(京都新聞)
■騒音・振動 在来線も規制へ 環境庁 3年後めどに指針
 近畿圏、首都圏などの住宅密集地を走る在来線の電車や、東北地方を走る計画のミニ新幹線が出す騒音や振動を規制するため、環境庁は、この春から新たな指針づくりに乗り出す。現在は、新幹線に騒音の環境基準が決められているだけ。最近、車公害の反省から鉄道が見直され、新線や複々線化の計画や建設が相次ぎ、各社がスピードアップを競い合っているが、騒音や振動対策は後手に回りがちだ。環境庁は「沿線住民の環境をなおざりにすべきでない」と、スピード一辺倒の傾向にクギをさしている。ラッシュ解消のため輸送力増強を求められている大都市圏の鉄道会社からは、反発も予想される。
 新幹線の騒音の環境基準は、住宅地で70ホン以下、商工業地で75ホン以下と決められ、防音壁などの対策がとられている。それでも東海道、山陽、東北、上越のすべての線で、達成率は半分以下だ。
 一般の在来線や新たに鉄道を建設する時は、速度など条件が新幹線とは全く違うためにこの環境基準が目安にならず、独自の基準もないため、対策が不十分だったり、なおざりにされてきた。
 最近は、輸送量を増やすためスピードアップしたり、本数を増やすなどで、新幹線の通音を上回るケースも出てい。
 東京都の調査によると、品川区では、JR東日本の東海道新幹線で最高83ホン、江戸川区では京成本線沿線で最高81ホンなど、地下鉄の車内を上回るほどの深刻な騒音公害が発生している。また、新設の瀬戸大橋線(岡山県ー香川県)でも、住宅地域で80ホン近くになっている。
 自治体が鉄道会社を指導し、改善させようとしても、根拠となる基準がないため手が出せず、東京、香川、青森などの自治体から「早く基準を作ってほしい」と、環境庁に要望が相次いでいた。
 同庁は、92年度、新線や大都市圏の在来線で、本格的な騒音・振動調査を行い、専門家による検討会を発足させる。約3年かけて審議した後、「対策指針」を出したい、としている。(朝日新聞)
■「ドル箱ストップ」窮余の策 運転士OB乗務致します 助役ら約50人訓練 JR西日本 新幹線スト対策
 民営化から5年、経営面は順調なJR西日本が「ストの影」に悩んでいる。JR西日本労働組合(西労、4600人)が5日縮め切る組合員投票で、初めてスト権を確立する見通しのためだ。西労には山陽新幹線運転士の7割が所属、仮に突入すれは、JR発足後初めてドル箱・新幹線がストップする事態にもなりかねない。会社側は「運転士OB」の助役らを対象に運転訓練をスタート、スト時の影響を少しでも減らそうと必死の取り組みを始めた。
 西労は、JRグループの最大労組・JR総連傘下。昨夏までは西日本の最大労組に属したが、総連のスト権論議をきっかけに組織分裂の結果、組合員数で第3位に転落した。
 それでも、運転士職場に強かった旧国鉄・動労派が中心の西労は、山陽新幹線に乗務する運転士約450人の7割、近畿圏の在来線運転士約2000人の6割を占める。「ストは会社側への影響力が大きい新幹線とアーバンネットワークを軸に設定する」(奥島彰委員長)としているだけに、「突入すれはダイヤのマヒにつながる」との見方は労使とも一致している。
 組合員投票は今春闘の賃上げや組合への会社の不当介入阻止を求めて行われ、開票は8日で、スト設定は今月末か4月初めとなる見通しだ。
 会社側は運転士経験をもつ助役などの管理職や、事務系の「背広組」をスト時だけ運転士に復帰させることを計画。2月末から約300人に適性検査を実漉した。
 しかし、長年現場から離れているため視力や聴力、反射神経の面で不合格になる人も。結局、新幹線で約50人、在来線で約160人について順次7日間の運転訓練を課すことにした。
 西労のスト戦術について、労使協調路線をとる同社最大労組の西日本旅客鉄道産業労働組合(3万5000人)は「国鉄時代を懐古する闘争至上主義」と批判。組織率第2位の国労西日本(6800人)は「会社側のスト対策に無条件で協力することもない」とピシャリ。
 井手正敬・JR西日本副社長は「できるだけ労使の話し合いで、乗客に迷惑をかけないようにしたい。東京の(JR総連の)コントロールが強いが、西労は大人の行動をとってくれると期待したい」と話す。(朝日新聞)
■ポイントに空き缶 嵯峨野線11本に遅れ
 4日午後8時ごろ、右京区のJR嵯峨野線(山陰線)嵯峨駅で、京都発園部行き普通電車が発車しようとしたところ、信号が赤のまま変わらなくなった。調べた結果、下り線のポイント部分に空き缶がはさまっていた。間もなく復旧したが、この普通列車が50分立ち往生。特急1本を含む上下合わせて11本が2分から50分遅れ、約2400人の足に影響が出た。(朝日新聞)
6日■山陰線電化へ基金 園部−福知山 府、50億円かけ創設
 京都府は、JR山陰線・園部−福知山間(54.3`)の電化に向け、50億円にのぼる「府鉄道整備促進基金」を創設することになり、6日発表した本年度の最終補正予算案に盛り込んだ。JR西日本への財政支援策として地元負担に充てるもので、同区間の平成4年度内の電化工事着工、6年度完成に弾みがつくものと見られる。この種の鉄道整備基金設立は全国で初めて。
 JR山陰線では、昭和61年に福知山−城崎間(69.5`)、平成2年に京都−園部間(34.2`)が電化され、府域では園部−福知山間が唯一非電化区間として残っていた。
 電化工事には軌道曲線の改良や駅構内の一線スルー化、トンネル(9ヵ所)の改良などが必要で、総工事費は約100億円にのぼる見通し。
 JR西日本は、府との協議の中で財政支援を条件に電化工事に着手することに合意しており、府として独自基金の創設に踏み切った。
 府では今後、JR西日本、沿線市町と負担割合について本格的な協議に入るが、JRに対しては他県の例や園部−福知山区間が不採算線区であることを考慮し、50億円の支援を行う方針。また、昨年10月発足した国の「鉄道整備基金」(補助・融資)の活用に向け政府に働きかける。
 同区間の電化工事が完成すれば、京都−福知山間は特急で20分短縮し、1時間で結ばれるほか、普通列車の利用者は園部駅での乗り継ぎが解消され、利便性が向上する。府内のJR線電化率は平成2年度の58.3%(全国平均52.9%)から80%にアップする。
 府では、今回創設する基金については奈良線の高速化などにも活用していくものとみられる。(京都新聞 夕刊)
■景観賞選考に住民の声 建設省が「出し方」を見直し 「反対」の有無報告を求める 自治体に
 個性的な街づくりを目的に、建設省の音頭で1989年から始まった「全国街路事業コンクール」が、今年から賞を決める際に、地域住民の動きを考慮に入れることになった。応募する時は、自治体に反対運動の有無を書かせ、現地調査もする。自治体の報告をうのみにした賞の出し方に反発した近畿の住民運動の批判に、建毀省がこたえたかっこうだ。
 コンクールは、全国の都道府県と約1100の市町村で構成する「全国街路事業促進協議会」が主催し、創意工夫を凝らした街路事業を表彰している。新しい実施要領によると、応募調書に「地元対応」欄を新設し、反対運動や係争中の有無の記載を求め、必要に応じて審査員が現地調査し、前の写真を添えさせて、景観の変化を見比べることにした。
 基準見直しのきっかけになったのは、近畿の景観保全運動。神戸では、新交通六甲アイランド線の建設に「住吉川の環境を守る会」が反発。・和歌山市では、「和歌浦を考える会」が新不老橋(現・あしべ橋)の架橋に反対運動を起こした。いずれも「景観を大きく損なう」という理由で、住民訴訟にまで発展した。しかし、
工事は計画通りに進められ、コンクールで会長賞や景観デザイン賞を受賞した。
 このため、神戸、和歌山、それに「京都西山の自然と文化を守る会」が加わった「景観を守る住民運動連絡会」は、「景観破壊を推奨しているようなものだ」として、建設省などにコンクールのあり方、選考方法の改善を求めていた。
 建設省街路課は「毎回改正すべき点は改正しており、要望があったから変更したわけではない」としながらも、「連絡会からの要望が要領を変更するひとつのインパクトになったことは事実」と認めている。
 「住吉川の環境を守る会」の中田作成会長は「実質的には私たちの要望が受け入れられ、評価したい。神戸市などはもらった賞を返上してほしい」と話している。(朝日新聞)
■山形新幹線「つばさ」 7月1日にスタート
 JR東日本は5日、山形新幹線を7月1日に開業する、と発表した。新型列車「つばさ」で東北新幹線と奥羽線を直通運転し、東京・上野−山形間を1日14往復する。途中駅が福島のみとなる最速列車だと、同区間は現行よりも42分短縮され、2時間27分で結ばれる。
 山形新幹線は、在来の奥羽線福島−山形の線路幅を新幹線用に拡大、直通乗り入れを可能にした「ミニ新幹線」方式を初めて実用化。400系といわれる軽量の新型車両「つばさ」を製造し、高速化に対応させた。(朝日新聞)
■「公共の色彩賞」に京阪京都地下駅 雰囲気と機能兼備 推薦者評価 新しい景観つくり出す
 街の中に溶け込む色によって、新しい景観をつくり出している建築物や屋外広告などに贈る「公共の色彩賞」(日本色彩研究所、公共の色彩を考える会主催、朝日新聞社など後援)がこのほど決まった。府内からは「京阪京都線地下駅の色彩計画」が選ばれた。
 京阪電鉄は1987年から、次々と京都市内で地下駅を完成させ、現在は七条駅から出町柳駅までの6駅が地下駅になっている。
 この工事にあたって、駅ごとに京都らしさにこだわった色彩を使うことにした。日本の伝統色をホームの柱や壁のラインにあしらい、色をみただけで、駅が識別できるようにした。
 五条駅は「せいじ」で、五条坂に代表される陶磁器の町のイメージを出した。四条駅は町衆の富とエネルギーを表す「うこん」。市内の交通の拠点である三条駅は、にぎやかさや華やかさを出すため「うすあけ」にした。出町柳は、柳の若葉を思い起こさせる「やなぎはいろ」。
 京阪電鉄本社(大阪市)は「京都の景観に合うように配慮して色を選んだ。駅の一体感が出るよう考えた」と話す。
 推薦した東山区本町の三竹園美術文庫事務長、村上はるみさんは「京都らしいイメージで日本画のよう。じゃまにならない色づかいで、出入り口などもきちんと色分けしてある」と、雰囲気と機能を兼ね備えた色づかいを評価している。(朝日新聞)
7日■JR支援へ「基金」 府、30議案追加提案へ
 府は6日、開会中の定例府議会に追加提案する1991年度一般会計補正予算案や特別職の給与、報酬を引き上げる条例改正案など30議案を発表した。一般会計の補正額は307億2500万円で、2月補正としては過去最高。府は「用地取得費に約130億円をかけたため」と説明している。これらの議案は9日の本会議に上程される。
 補正予算案の歳出面では、山陰線園部−福知山間の早期電化を求めるため、JR西日本を財政的に支援する府鉄道整備促進基金を設け、その積立金として50億円を計上。乙訓浄水場(仮称)の施設用地先行取得費に59億7600万円をあてる。また、関西文化学術研究都市に建設される国際高等研究所と地球環境産業技術研究機構の施設に、5年間無償貸し付けする用地計8fを府開発公社から取得する費用42億4000万円や、京都縦貫自動車道の綾部−宮津間の建設のため、用地取得費として府道路公社への貸付金10億円を計上している。(朝日新聞)
■JR西日本の残土放置 京都市が追認
 紅葉の名所で古都保存法に基づく歴史的風土特別保存地区などに指定されている京都市右京区嵯峨の小倉山で、JR西日本がトンネル建設の際に出た土砂を放置している問題について、京都市は6日、「残土の搬出は困難」として、土砂をそのままにして植林などをさせる方針を明らかにした。しかし、市は土砂搬出を条件に特別に土地の使用に同意し、原状回復の期限を今年3月末まで廷長してきた経過があるだけに、タイムリミット間際の突然の方針転換に、地云住民の間からは「これではやり得」と批判の声があがっている。
 方針変更について、竹沢忠義・市都市計画局長は「新線の営業運転開始は府民の破い要望を受けてのこと。約束を交わした当時と情勢は大きく変わってしまった。できるだけ早く山容を復元させるためには軌道修正もやむを得ない。具体的な方法はJRと引き続き協議したい」と話している。(朝日新聞)
■カタログ 九州行きブルトレ 年々豪華に、「動くホテル」
 東京−新大阪間を2時間半で走る東海道新幹線の新型車両「のぞみ」が間もなくデビューするなど、交通機関の高速化は一段と進んでいます。でも、速いばかりがいいとはいえません。寝台列車でゆったり行くのも旅の楽しみ方のひとつでしょう。就職、転勤、入学など、恒例の「日本民族大移動」が始まる3月、ブルートレインの元祖といわれる「あさかぜ」、日本最長距離を走る「はやぶさ」など、本州から九州に向けて走る寝台特急をまとめてみました。
 鉄道専門誌「鉄道ジャーナル」によると、寝台列車がブルートレインと呼ばれるようになったのは、1950年代後半ごろ。東京と九州を結ぶ「あさかぜ」が新しい客車を採用したのがきっかけ。青地にクリーム色の筋が入ったすっきりしたデザインが注目を浴びる一方、食堂車なども組み合わせ、「動くホテル」として人気を集めた。これ以後の寝台列車でも同様のデザインが採用されるなど、その影響は大きかった。
 その後、いくつかの改善、グレードアップが図られてきた。そのひとつが個室寝台の導入。それまでの、ベッドが向かい合わせに並ぶだけのタイプが女性などにやや不評だったのに比べ、廊下側にドアをつけプライバシーに配慮した車両が登場した。さらに、長距離列車ではロビーカーも出てきた。ソファや自動販売機が設置された車両で、気分転換などに利用できる。食堂車もより豪華になっている。
 九州に向けて走る寝台列車にも、これらの設備はいくつか取り入れられている。個室寝台は東京と九州を結ぶ列車のいずれにも連結されており、ロビーカーは「はやぶさ」「富士」に、食堂車は「あさかぜ」「さくら」「はやぶさ」「富士」に連結されている。
 他にシャワールーム、三面鏡付きの洗面所など、列車ごとに細かい点でいろいろな改良が図られてる。
 JR九州によると、寝台特急は以前に比べて本数が減ったせいもあって、根強い人気がある。主な利用者はビジネスマン。夕方か夜に出発して、移動中寝台でゆっくり休んで午前中目的地に着く、というダイヤ設定が仕事向きだからだ、という。費用も、B寝台を利用すれば6000円台でホテル並みか、ややそれを下回る。
 さて、現在の予約状況はどうか。JTB(日本交通公社)によると、3月下旬から4月上旬にかけては、すでにかなり込んでいる列車が出ている。とくに混雑しているのは3月25日から28日ごろ。もう満席の列車もある。(朝日新聞 夕刊)
九州に向けて走るおもなブルートレイン
列車名運転区間所要時間運賃(円)寝台の種類
あさかぜ 1・4号東 京−博 多約16時間13180A1・B・B2・B4
あさかぜ 3・2号東 京−下 関約14時間半12570A1・B
さ く ら東 京−長 崎約18時間14320A・B・B4
東 京−佐世保約18時間14110
み ず ほ東 京−熊 本約17時間14110A・B・B4
東 京−長 崎約18時間14320
はやぶさ東 京−西鹿児島約20時間半15550A1・B・B1
富 士東 京−南宮崎約20時間15240A1・B・B1
あかつき京 都−長 崎約12時間10610B(4月25日からB1も)
京 都−佐世保約12時間10300
な は新大阪−西鹿児島約14時間11430B・B2
彗 星新大阪−都 城約14時間半11430B
▲3月14日以降、運賃は始発から終着まで、ほかに特急料金がいずれも3090円かかる
寝台料金(1人当たり)
タイプ料金(円)
A寝台(A)上段 9360
下段 10300
A寝台個室
シングルDX(A1)
13100
B寝台(B)6180
B寝台個室
ソロ(B1)
デュエット(B2・2人用)
カルテット(B4・4人用)

6180
6180
6180
8日■花嫁は特急電車で 打ち掛け姿に乗客も祝福 若いカップルに幸ある 近鉄京都駅
 7日午後、近鉄京都駅から、色打ち掛け姿もあでやかな花嫁さんが、両親や友人に祝福されながら、難波行き特急電車で、新郎の待つ大阪市内の結婚式場へ向かった。
 新婦は左京区黒谷町の広岡愛さん(22)。職場で知り合った大阪市天王寺区上本町、会社員水嶋英一さん(28)とこの日、結婚式を迎えた。花嫁列車は、2人の仲人で「以前、花嫁が電車で式場に向かうのを見て、感動した」という奈良ホテル社長、阿部常彦さん夫妻のアイデアとか。
 京都駅改札口には、出発30分前から新婦の親族や友人ら約60人が礼服、晴れ着姿で集まった。午後1時過ぎ、改札口前の貴賓室なり、両親に手をとられて新婦がゆっくりホームに姿を見せると、友人らから祝福の拍手が沸き、乗客からはため息ももれた。記念写真を求める外国人観光客に、新婦が笑顔で応じる場面もあり、父親の会社社長広岡読(よみ)さん(52)は「娘にも、親にも本当にいい思い出になった」としんみり。借り切った車両1両に全員が乗り込み、上本町駅まで約1時間、電車に揺られた。(京都新聞)
■信楽鉄道事故 事故車両を独自検証 遺族の会弁護団 ビデオなどに撮影
 信楽高原鉄道列車衝突事故の犠牲者20人の遺族でつくる「犠牲者遺族の会」(吉崎俊三世話人)と同弁護団(秋田真志事務局長)が7日、滋賀県蒲生郡日野町北脇の県警機動警察隊を訪れ、同隊敷地内に保管中の事故車両を初めて検証した。
 同隊には、大破した高原鉄道の車両2両と、JRの先頭車両の計3両が保管されているが、昨年末に県警が車両の還付を終えており、今後車両の撤去などの処分も予想されるため、その前に破損の状況を記録しておこうと行った。
 参加したのは、秋田事務局長ら弁護士4人と遺族六人。検証では、各車両を覆っていたシートを1枚ずつゆっくりはがし、弁護士らが犠牲者が集中したそれぞれの先頭車両の客室や運転席に入り込んで、シートや計器類などを約2時間にわたってカメラやビデオに撮影した。
 同弁護団は、この日の検証結果を、4月上旬に予定している遺族総会で報告することにしており、「事故車両は証拠物なので、できるだけ長期間保存するよう関係者に強く働きかけていきたい」としている。(京都新聞)
■JR四国も総連を脱退 臨時大会紛糾、決定
 JR四国労組(乾徳夫委員長、約3200人)は7日、高松市内のホテルで臨時大会を開き、JR総連からの脱退を賛成多数で正式に決めた。旧動労系の一部の代議員が「多数派のごり押し」と反発、20数回の動議が出され、採決のたびに賛否両派がもみ合うなど紛糾した。JR労組のうち、総連から脱退したのは西日本、東海、九州に次いで四国が4番目。
 大会は執行部の脱退提案に対し、旧鉄労系など主流派が賛成を唱え、旧動労系の一部が、反対を主張。採決の結果、出席代議員75人のうち、58人が賛成して、脱退が決まった。(朝日新聞)
■信楽事故の車両を遺族らが証拠撮影
 42人の死者を出した信楽高原鉄道列車事故で、7日、滋賀県蒲生郡日野町の県警機動警察隊の敷地内に置いてある事故車両を覆っていた青いシートが約10ヵ月ぶりにはずされた。遺族や弁護団が損害賠償請求の民事訴訟を起こした場合に証拠とするため、解体される前に車両を撮影した。(朝日新聞)
9日■「のぞみ」試乗に歓声 親子ウキウキ 270`
 14日のダイヤ改正で東海道新幹線にデビューする新型列車「のぞみ」の親子試乗会が8日、東京−新大阪間で行われ、参加者たちは初めての時速270`の旅を楽しんだ。
 試乗会には、1300倍以上の難関をくぐり抜け、抽選で選ばれた500組1000人の親子ペアのうち486組972人が参加。東京発新大阪行きの下りには240組480人が試乗した。
 午前5時半、ホームに案内された参加者は初めて見る「のぞみ」の姿に「格好いい」を連発、早速親子で列車をバックに記念撮影していた。「のぞみ」は定刻の午前6時に東京駅を出発、約16分後に最高速度270`に。「ただ今270`」と車内アナウンスがあるとれ子供たちは窓に顔をつけ、飛ぶように流れる外の景色に見入っていた。
 父親(44)と参加した東京都大田区の小学2年生の男の子(8つ)は「前に1回新幹線に乗ったげど”のぞみ”はやっぱり速い」と目を輝かせた。幼稚園に通う長女(6つ)と乗った千葉県成田市内の主婦(36)は「スピード感がすごい。その割には揺れも少ないし、快適です」とにっこり。
 列車は午前8時半すぎ新大阪駅に到着、折り返し同駅で124組248人、名古屋駅で122組244人の親子を乗せ、東京に向かった。(京都新聞)
■JR西労がスト権確立
 JR総連傘下のJR西日本労働組合(JR西労、4600人)が8日、大阪市内で開いた春闘総決起集会で、5日まで9日間実施された組合員投票の結果、97.15%の賛成でスト権が確立されたことが報告された。
 要求は、@平均8.2%の賃上げA安全で働きがいのある企業風土をつくるB会社側の不当な介入や差別を許さないの3点。
 スト設定日は、私鉄大手労組がストを構える27日から4月始めの間となる見通し。山陽新幹線と近畿圏のアーバンネットワークを軸に、48時間前後設定される可能性が大きい。JR西労は山陽新幹線の約7割、アーバンネットワークの運転士の約6割を占めており、突入すればダイヤが大きく乱れる事態も予想される。(朝日新聞)
■独仏新幹線連結で合意 90年代末実現か
 【パリ6日=AP・DJ共同】フランスのキレス運輸担当相は6日、クラウゼ・ドイツ運輸相との会談後の記者会見で、フランス、ドイツ両国は5月の首脳会談で、両国の高速鉄道(新幹線)網を連結する協定の調印を目指すことで合意したと延べた。
 構想によると、フランスの新幹線であるTGV線路網をストラスブールを経由して東に延ばし、ドイツとの国境付近の数ヵ所でドイツ鉄道網と連結する。ドイツ側は連結天からフランクフルト、ベルリンに向かう北東線とミュンヘンへの南方線の線路を新設または改良し、南方線では超高速鉄道とTGV網を結ぶ。キレス氏は1990年代末にも構想が実現する可能性があるとの見通しを示した。(朝日新聞)
■阪急神戸線 男性飛び込み即死
 8日午後7時50分ごろ、大阪市淀川区十三東1丁目の阪急電鉄神戸線で、梅田発新開地行き下り特急電車(8両編成)に線路際でうずくまっていた男性が飛び込んだ。男性は全身を強く打って即死。この事故で同列車が7分後れたほか、後続3本に5−2分の遅れが出た。(朝日新聞)
■列車事故の遺族が慰霊 上海
 【上海9日=共同】中国・上海近郊で1988年3月に起きた列車事故で死亡した私立高地学芸高校の生徒の遺族3人が6日から9日まで事故現場などを慰霊に訪れ犠牲者のめい福を祈った。
 上海を訪れたのは中田喜美子さん(44)=高知市栄田町7の30=らで負傷者が収容された病院も訪問、事故当時の状況も改めて中国側にただした。中田さんは「わが子の死が確認されるまでの経緯に依然納得がいかない点があり、ぜひ自分で確かめたかった。そうすることが子供への供養になると思う」と語った。(朝日新聞 夕刊)
10日■社説 山陰線の完全電化に期待する
 JR山陰線園部・福知山間の電化実現を目指し、京都府は工事費を助成するための「鉄道整備促進基金」創設を決め、50億円を予算化した。
 JR西日本もかねて「地元の応分の負担が得られるなら検討する」との考え方を示していることから、今回の基金創設で、一気に実現の見通しがついた。喜ばしいことである。JR、京都府は、一日も早い電化に向け、全力を挙げて取り組んでもらいたい。
 山陰線の電化は、府民長年の悲願であった。官民の運動実って1979年(昭和54年)京都・園部間の複線化と京都・福知山間の電化について運輸大臣の認可がおりたとき、府民、とりわけ北部住民は「これでやっと…」の期待を抱いたものだ。
 ところが、その後国鉄が分割民営化され、JRの採算性が重視されるなど状況の変化もあり、計画は思うように進まなかった。1990年(平成2年)京都・園部間の電化(一部複線)はやっと実現したものの、園部・福知山間は未電化のまま取り残された。
 京都・園部間は電化によって確かに便利になった。列車の便数が増え、時間も短縮された。さらに旧山陰線の廃線を利用したトロッコ列車(嵯峨・亀岡間)も登場、これが人気を呼び、新たな観光資源にもなっている。それに反し、園部以北は便数もほとんど増えず、園部駅でディーゼル車から電車に乗り換えねばならない不便さまで加わった。
 府域の均衡ある発展は、第4次京都府総合開発計画の大きな柱でもあるのだが、せっかくの山陰線の電化が、園部を境に南北格差を拡大する結果をもたらしてしまった。北部の人たちから「早く何とかしてほしい」の声があがっているのも当然である。
 1991年版運輸白書は、公共輸送機関、とくに鉄道にウエートを置いた交通体系整備の必要性を掲げている。車の排ガスによる大気汚染ひとつをとっても、鉄道が見直されるのはいいことだ。その鉄道の復権には、山間部や過疎地を走る在来線の高速性、快適性、利便性にも目が注がれねばならない。
 そうは言っても、高速性、利便性等に欠かせない電化には、膨大な費用がかかる。園部・福知山間50余`ほどの距離だが、軌道の線形変更やトンネルの掘削などに手を加えねばならないため、工費は100億円規模が見込まれるという。本来ならJRが自前で行うのが筋ではあるが、採算性を理由に腰を上げようとしないJRを一概に責めるわけにもいかない。府が、財政支援をしてでも電化を、と乗り出したのは、やむを得ないし、必要な措置であると考える。
 鉄道の整備は、国家的課題である生活大国づくりに必要な社会基盤の整備充実の一環でもあるし、北部の人たちが感じている疎外感をぬぐうのは、行政の責務でもあるからだ。
 ただ、府や沿線自治体が多額な工費を負担することに消極的な意見があるのも事実だ。JRと地元との費用負担をどうするかについては、府としてもJRとよく話し合い、府民に納得のいく接点を探ってもらいたい。
 JRにとっても長い目で見れば、収入増につながる工事である。「やってやる」の態度ではなく、地元の意見にも真撃(し)に耳を傾けるよう求めたい。(京都新聞)
■梅小路貨物駅跡地の整備事業「日本庭園」建設へ 地下にグルメ街 アクセス歩道も検討 京都市が構想
 京都市建設局の森田功公園緑地部長は9日の市会普通予算特別委員会で、下京区の旧国鉄梅小路貨物駅跡地に計画している梅小路公園について「日本庭園」建設の構想を明らかにするとともに、地下にレストラン、ショッピング街の便益施設を設け、地域の活性化を図っていく考えを示した。
 梅小路公園整備事業は、貨物駅跡地約11.6fに京都の新しいシンボル公園を建設するというもの。平安建都1200年にあたる平成6年度の全国都市緑化フェア会場に予定されており、約35億円で敷地造成、植栽、庭園および緑のテーマ館、駐車揚の整備などを進めることになっている。
 森田部長は「まだ十分に固まってはいないが、京都の庭園技術を生かした日本庭園の建設を考えている」旨を答弁。
 また公園の地下空間の利用が重要だとも述べ、「公園の便益施設としてグルメ街、ショッピングゾーンを検討している」ことを明らかにした。
 さらに同部長は同公園へのアクセスとして、JR京都駅から徒歩で向かえる安全な歩道の整備も検討しているとした。(京都新聞)
■地下鉄東西線 94年度内完成めざす 田辺市長が改めて強調
 京都市会の事業予算特別委員会が9日開かれ、市長、助役に対する総括質疑が行われた。田辺朋之市長は、地下鉄東西線の完成時期について「全線的に工事にかかった段階で考えたい」と述べ、当面、当初予定通り建都1200年の1994年度内完成を目指す方針であることを改めて強調した。
 地下鉄東西線と関連する山科駅前市街地再開発事業の遅れなどで、当初予定の94年度内の完成が遅れることが懸念され、議員から重ねて質問があった。田辺市長は「建都1200年事業の目玉であり、財政的にも厳しい折、早く工事を完成させて市民の要望にこたえるのが、基本的に重要」との認識を示したうえで、全工区で着工した段階で、それぞれの工区の進捗(ちょく)状況を点検し、開通時期を明確にさせたい意向を示した。
 市バス九条営業所用地の高度利用計画について、田辺市長は「南部発展の中核施設として整備していきたい」と、その重要性を指摘。佐藤達三助役は「高度利用は地域のニーズや特性を考えて対応するのは当然」とし、地元の意向を専重して進めていく姿勢を示した。(京都新聞)
■特別職の給与改正案など却議案追加提案 府会本会議が再開
 京都府の2月定例議会は9日、本会議を再開、1991年度(平成3年度)最終補正予算案など30議案が追加提案され、各常任委員会に付託された。
 一般会計補正予算案は総額307億2500万円で、JR山陰線・園部−福知山間(54.3`)の電化に向け、府独自の「鉄道整備促進基金」(50億円)創設や、関西文化学術研究都市などの用地取得費130億円を盛り込んでいる。
 条例案では、知事ら三役と府会議員の府特別職給与・報酬を今月から平均10.59%引き上げるための条例改正案も提案された。
 追加議案は10日、常任委で審議し、11日の本会議で議決される予定。(京都新聞)
■ガイドブック5000部 お「のぞみ」の方に京都駅で無料配布
 新大阪−東京間を2時間半で結ぶニュー新幹線「のぞみ」が14日から走り始めるのを記念して、JR東海は10日から新幹線の新大阪駅と京都駅で特製の「のぞみ誕生ガイドブック」を新幹線利用者に無料配布する。19日まで毎朝(15日は休み)改札内にコンパニオンが出て新大阪で1万部、京都駅で5000部を配る。
 ガイドブックは社内の案内やお弁当紹介、エピソード、駅地図などを掲載、A4判、14n。新大阪駅では10日からパネル写真を並べた案内コーナーを新設し、絵はがきや時刻表も配る。14日は午前5時55分から初発列車となる「のぞみ302号」に合わせテープカットなどの出発式をする。(朝日新聞)
■近鉄新型特急の試乗会
 近畿日本鉄道は9日、大阪線と名古屋線を中心に19日から営業運転する新型特急車両「22000系」の試乗会を行った。同特急は、大阪、名古屋、奈良、京都をはじめとする都市間輸送と伊勢志摩など観光地への足として開発した標準車両。同社としては初の車いす対応座席(2席)や大型化粧室、洗面室、カード式公衆電話などを備え、将来は時速220`の高速運転(在来特急は同110−120`)もできる設計となっている。初年度は4編成12両を走らせ、5年後には100両にする計画。(朝日新聞)
11日■機関車が暴走 JR東灘信号場内
 11日午前5時10分ごろ、神戸市灘区稗原町のJR六甲道駅西約300bの東灘信号場内で、電気機関車=1両、高原義一運転士(46)=が電車止めを乗り越え、約10b走って隣接する公園のコンクリート製側壁(高さ約1.5b、厚さ約3a)に衝突、停止した。高原運転士にけがはなかった。(京都新聞 夕刊)
■脱線機関車 公園塀に激突 神戸
 11日午前5時10分ごろ、神戸市灘区稗原型3丁目、JR東灘信号場の貨物専用引き込み線で、電気機関車=高原義一機関士(46)=が鉄製の車止めに乗り上げて脱線、土盛りの上を約10b暴走して、正面にある児童公園「稗原町公園」のコンクリート塀に衝突、約30aめり込んでようやく止まった。高原機関士にけがはなく、公園にもだれもいなかった。
 JR西日本と灘署の調べでは、この機関車はJRの福岡ターミナルから神戸港へ11両の貨車を運ぶ途中。信号場で機関車を切り離し、方向転換しようとしていた。高原機関士は「ブレーキをかけても止まらなかった」と話している、という。(朝日新聞 夕刊)
■パッと咲けサクラ 京都の保津峡 トロッコ列車沿線に山桜300本植樹
 京都の名勝・保津峡や嵐山を走る嵯峨野観光鉄道(京都市右京区)の「トロッコ列車」の沿線に、山桜300本が植樹されることが11日、決まった。「京都の楼守」として知られる造園業者が苗木を寄付、近く地元の子どもたちが植える。人気を集めてきた沿線の渓谷美に、新たに花見が加わることになる。
 桜はトロッコ嵯峨−亀岡駅間の沿線全域(7.3`)に、毎年約5、60本ずつ、5年がかりで植樹する。樹齢約3−5年で、高さは3b前後。一部は今春から花を咲かせるという。
 寄付したのは、京都市右京区の造園業、佐野藤石衛門さん(63)。江戸時代から続く造園家に生まれ、桜一筋の16代目当主。桜の名木の手当てに全国を駆け回り、欧米諸国に桜を普及させることに情熱を傾ける。
 観光鉄道から、沿線の山桜や紅葉の衰退を食い止めるための相談を受けて「自然は人間の体と同じで、放っておけばいいというのではない。長い年月をかけて生態系を治していかないと」と、植樹を引き受けた。数十年後には、花がピークになるという。
 トロッコ列車は昨年4月の開業以来、沿線の渓流や紅葉で人気を集め、予想を大幅に上回る62万人以上が訪れた。しかし、沿線の桜やもみじは、林業の衰退などで「荒れ放題になりつつあった」(同鉄道)。
 同鉄道の長谷川一彦社長は「たとえトロッコ列車が廃線になっても、山々がしい自然を回復してくれるなら、という気持ちでお願いした」と話している。
 列車は冬季運休を終えて、3月1日から運転を再開。植樹予定地の下草刈りも終わっている。(朝日新聞 夕刊)
12日■旧国鉄債務、再び拡大 26兆円台半ば 土地売却難響く
 運輸省は11日、国鉄精算事業団が保有する旧国鉄用地の1991年度の売却益が、8000億円をやや下回る規模にとどまり、90年度実績(8130億円)割れが確実になったことを明らかにした。
 この結果、90年度に初めて減った旧国鉄の長期債務は再び膨張に転じ26兆4、5000億程度になる見通し。債務返済のもう一方の柱であるJR株式の売却も、先行き不透明な状況が続いており債務削減計画の見通しの必要性を指摘する声も強まっている。
 事業団は90年度までに旧国鉄用地8180fのうち2566fを売却。91年度は当初、1兆5000億円の売却収入を目指していた。しかし、不動産市況の悪化で難航し、昨年秋以降は、落札価格を制限する上限付き競争入札の導入や随意契約による売却対象者拡大などで売却促進を図ってきた。
 土地売却益の大半を占める随意契約は大幅な収入増が難しい上、上限価格付き方式で実施された都市部の地価関し区域での競争入札は、これまでの入札35件のうち12件(総額で数十億円)しか成立していない。さらに数千億円の収入が予想される新宿駅南口・貨物駅跡地の不動産変換ローン方式による売却も、入札が遅れ、年度内の収入は期待できなくなった。
 事業団は経費節減などを進め、年度当初26兆2000億円の長期債務を増やさないための土地売却目標額は1兆200億円に設定したが、これに及ばないことが確実になっている。収入不足は財政投融資などからの新たな借り入れで賄うため、債務が膨張することになった。(京都新聞)
■京の路線バス わかりにくい系統 英文表示が不十分 足りぬ総合案内板 行監事務所調査 改善点いっぱいです 運転者 接客態度向上も
 京都の路線バスは、もっと親切で観光都市にふさわしい案内標識を設け、複雑でわかりにくい系統を簡単にする必要がある−。総務庁京都行政監察事務所(幸曙光所長)は11日、昨年実施した「バスの安全運行及び利便向上に関する地方監察」の調査結果に基づき、改善すべき点を近畿運輸局京都陸運支局に通知した。
 調査は昨年10月から12月にかけ、京都市及びその周辺地域のバス会社8社についてバスの利便性を対象に実施した。
 案内標識に関してはJR京都駅、地下鉄北大路駅、阪急河原町駅、地下鉄四条駅(阪急烏丸駅)、京阪出町柳駅、京阪三条駅の主要ターミナル6か所を調査。このうち全社の乗り場総合案内板があるのは京阪出町柳駅と京阪三条駅だけ。観光客や利用の少ない人には、全体の情報が伝わらない。また、JR京都駅のバス案内板は市バスだけで、例えば三千院へ行く観光客が見た場合、市バスにない直行便が京都バスにあることが分かりにくいという。
 年間約46万人(平成2年)の外国人観光客への英文表示の総合案内板は、どのターミナルにもなく、バス乗り場の案内の英文表示も地下鉄四条駅、京阪三条駅にはなかった。
 バスの系統は、現在、市バスだけで221、「京阪バス105、京都バス39もあり、複雑でわかりにくい。また、北大路駅から京都産業大学に至る市バスの系統で朝のラッシュ時に積み残しが恒常化するなど、需要の増加に対応し切れていないという。
 このほか▽バス・地下鉄連絡乗車券の販売場所の増加▽定時運行の励行▽事業者で異なる同じ場所の停留所の名称の統一▽乗降制限の解消▽運転者の接客態度の向上−などの改善を求めている。(京都新聞)
■事故起こした会社に6000万円 JR福知山が請求
 JR福知山支社は11日、昨年6月25日発生したJR福知山線・岡踏切事故の損害賠償請求額6000万円を、事故を起こした土木建築会社・米田組(米田洋一社長)に11日請求した。
 請求の内容は、車両の解体・修理など車両損害、踏切・信号機・線路・架線などの応急・復旧工事費のほかレッカー、クレーン、代行輸送費となっている。
 同事故は、満員の普通電車=3両編成=が踏切で立ち往生していた同社の大型トラックに衝突、電車は1両目が脱線。高校生ら乗客341人が重軽傷を負ったほか、31本の列車が運休、82本の列車が遅れ、約5500人の乗客に影響がでた。(京都新聞)
■園部−福知山 山陰線電化 整備基金の創設盛る 2月府会 30議案を可決
 京都府の2月定例議会は11日、本会議を再開し、追加提案された1991年度(平成3年度)の一般会計最終補正予算案(総額307億2500万円)、府特別職給与・報酬を今月から引き上げる条例改正案などを賛成多数で、原案通り可決した。
 成立した追加議案は30件。この中で、一般会計補正予算には、JR山陰線・園部−福知山間(54.3`)の電化工事に向けた「府鉄道整備促進基金」(50億円)の創設が盛り込まれており、平成4年度内の着工、6年度完成へ向け、踏み出すことになった。
 用地取得(計130億円)関係では、関西文化学術研究都市に立地する国際高等研究所、地球環境産業技術研究機構の研究施設用地として計8fを府土地開発公社から買収する。両研究機関に4fずつ無償貸し付けし、5−7月にかけて着工される見通し。
 また、府特別職の給与・報酬改定は4年ぶりで、現行より9−14万円、平均10.59%の引き上げ。今月支給分から知事は130万円、副知事103万円、出納長93万円、議長105万円、副議長96万円、議員89万円となる。(京都新聞)
■路線バスこんな点は改善を 京都行政監察事務所が指摘 混雑激しい産大系統 同場所で違う停留所名も
 京都行政監察事務所は11日、京都市と周辺の路線バスの運行状況を調査した「バスの安全運行及び利便向上に関する地方監察結果」をまとめ、京都陸運支局に通知した。4月1日から実施予定の乗り合いバス運賃値上げを控え「現在の運行のあり方を問い直す」(同事務所)のが狙い。観光客から日常利用者まで、幅広い立場に立って、改善事項を指摘している。
 現在、府内の年間バス利用者は約2億3000万人。うち京都市交通局の路線バスだけで約1億7000万人を占める。私鉄や地下鉄の整備が不十分な現状から、路線バスは年間4000万人の観光客の交通手段と心ても大きな機能を持っている。
 しかし「運行系統、乗り継ぎ案内など、サービス提供で苦情や要望が生じていた」ため、同事務所が昨年10月から12月にかけて調査した。対象は、京都市と周辺地域で運行する11業者のうち、京都に営業拠点を置く8業者。定時運行や運転手のマナーの改善のほか、おもな問題点は次の通り。
・不親切
 JR京都駅、阪急河原町など京都市内の主要6ヵ所のターミナルのバス乗り場で、全社の路線が一目でわかる「総合案内図」を掲示していたのは、京阪三条駅だけ。はかは自分の会社の案内図をだしているだけだった。
 最近はタクシー、地下鉄以上にバスを利用する外国人観光客が多いが、英語の行き先表示は少ない。さきの6ヵ所の乗り場でも市バスの一部が表示していただけ。英語のテープで車内案内をしていたのも市バスのみだった。
・学生VS観光客
 市内には、観光名所と大学が多いだけに、朝の通学時間帯は学生と観光客、通勤客でごった返す。京都産大=北区上賀茂本山=の学生は、主に北大路駅から大学に向かうが、午前8時半−9時の間は定員75人に対して百数十人も詰め込まれる。
 バス停前にも長い列ができ「観光・通勤客の乗降もままならない状態」。このため、同事務所は市内の他の主要ターミナルから大学までの乗り入れ系統の新設を提案している。
・独自の命名
 同じ場所にある停留所でも、会社によって名称が異なるケースがある。市、京阪、京都の3つのバスを比べると「府立大学正門前」と「北園町」(左京区)、「山端」と「修学院駅前」(左京区)、「清閑寺前」と「山ノ内町」(東山区)など今回の調査だけで24ヵ所が見つかった。
 反対に、同じ名前の停留所なのに、設置場所が会社によって170bも離れているケースがあった。
・乗降制限
 各社競合区間の路線では「先発業者の既得権益の維持を主な理由に」(同事務所)、停留所によっては自由に乗り降りできないところがある。京都バス比叡山頂線(京都駅−比叡山頂)の京都駅−北白川琵琶町間には、行きは途中下車できず、帰りは途中乗車できない地点がある。
 こうした指摘に対し、京都市交通局自動車課は「各社の事情があって難しい面もあるが、市民の利便性を考え、積極的なサービスを目指して努力していきたい」としている。(朝日新聞)
■新幹線指定席に定期券でも
 東海道・山陽新幹線の定期利用客が増えているため、JR西日本とJR東海は14日から、自由席が満員で指定席が空いている場合、定期の利用客でも追加料金を払えば指定席に座れるようにする。ただし車内での車掌売りに限られ、乗車前には買えない。
 新幹線定期は200`以内で、通勤用がフレックス、通学用がフレックス・パルと呼ばれ、83年からスタートしたが、近年は通勤圏の拡大で急増、90年度は前年比4割増の7万5000人に達した。しかし、普通の自由席特急券や回数券は差額を払えば指定席に移れるのに、フレックスは指定席が空いていても変更できないため苦情が出ていた。
 変更時に払う額は原則は500円(繁忙期700円、閑散期300円)だが、隣接駅間の定期は料金を割安に設定しているので逆に1330円(所により1220円)を支払う必要がある。(朝日新聞)
■JR西日本発足5周年記念 夢・旅・出会いの4行事 フリー切符や名画劇場
 JR西日本は、発足5周年を記念して全線乗り放題切符の発売など、つぎの4行事を発表した。「夢・旅・出会い」をキャッチフレーズに記念シンボルマークを作製、ポスターなどに使う。
 《乗り放題切符》4月1、2両日、山陽新幹線と特急、急行を含むJR西日本管内全線の自由席に何回でも乗り降りできる。大人1万円、子供5000円。20日から大阪、京都、三ノ宮など主要35駅で限定1万枚を一斉発売。カラー写真をあしらった大型三つ折りの特製切符になる予定。88年にも乗り放題切符を発売したが数十分で売り切れた。
 《ちびっ子一日駅長》5月5日に西日本の計21新で実施する5歳児の「一日駅長」を公募する。各駅男女一人ずつ。87年4月から88年3月までに生まれ、実施駅と同じ府県内に住んでいる子供が対象。16日から4月15日まではがきで申し込む。近畿の実施駅は大津、京都、新大阪、大阪、三ノ宮、姫路、天王寺、奈良良の8駅。問い合わせは駅務課(06・375・8976)へ。
 《イベント列車》4月5日に特急「雷鳥」の車両を使い、琵琶湖一周をしながら大阪−長浜間を往復する。「めざせ長浜、秀吉くんをさがせ」と題して長浜で名所、旧跡五ヵ所をめぐるスタンプラリーを企画。弁当代を含め5500円(子供4000円)で定員500人まで。京阪神の主な駅と旅行センターで発売する。
 《鉄道名画劇場》4月28日から5月5日まで、大阪市港区波除の交通科学博物館ホール(350人)で、鉄道が題材になったり重要な場面に登場する外国映画6本を連日上映。博物館入場料260円だけでよい。作品は「ゴースト」「恋におぢて」「愛と哀しみの果て」「ひまわり」「終着駅」「旅情」。(朝日新聞)
■車で線路上走り「あれ?」 列車と接触、酒気帯び男性逮捕 松原市
 12日午前5時55分ごろ、松原市天美東6丁目の近鉄南大阪線線路内に、近くの会社員男性(20)運転の乗用車が進入、踏切から70メートル走って止まった。後ろから富田林発あべの橋行き上り準急列車(6両編成)がさしかかり、通行人が踏切で手を振っているのを運転士が発見、急ブレーキをかけたが車の後部に軽く接触した。客らにけがはなかった。列車は現場に12分停車、上下4本の列車が12−2分遅れ、約450人に影響が出た。
 松原署は会社員を道交法違反(酒気帯び運転)の現行犯で逮捕した。調べによると、会社員は車で帰宅途中、酒に酔っていて誤って矢田7号踏切から線路内に進入、様子がおかしいため停車し、車から降りていてらしい。(朝日新聞 夕刊)
■トラック側に6000万円を請求 衝突でJR福知山
 昨年6月、大型トラックと普通列車が衝突し300人異常がけがをしたJR福知山線の事故で、JR西日本福知山支社は11日、大型トラックを運行していた京都府福知山市堀、建設会社「米田組」(米田洋一社長)に、車両や施設の損害賠償約6000万円を請求した。
 損害内容は車両費や解体・修理費、踏切、信号機、線路などの応急・復旧工事費、代行輸送費など。JR西日本管内では、6000万円の請求は過去最高という。(朝日新聞 夕刊)
■消えゆく客車 JR 自力で走れるディーゼル車へ 乗り心地より速さ
 JR普通列車の客車が、14日のダイヤ改定で大量に姿を消し、ディーゼル車にバトンタッチされる。乗り心地がよく、まだ耐用年数にきていないものも多いが、スピード時代に対応できず、ほとんどがスクラップに回される。
 現在、ディーゼル機関車に引っ張られた客車が走っているのはJR北海道、東日本、西日本、四国、九州の5社合わせて19線区、357本、1009両。JR西日本管内には山陰、播但線など4線で63本の計121両あるが、14日からのダイヤ改定で49本の計74両を廃止、代わりに、去年9月に電化されたJR七尾線などのディーゼル車をあてる。
 狙いは、スピードアップ。駅で折り返す場合、客車だと機関車をつけかえなけれはならないが、各車両にエンジンがついているディーゼル車なら、その必要はない。現在37本の客車列車が走っている播但線(兵庫県姫路市−朝来郡和田山町)は、3月ですべてディーゼル車になり、最高で18分、平均して3分短縮される。
 JRによると、客車の耐用年数は約30年。いま使っている客車は15−20年前のものだが、代わりのディーゼル車の手当てがつき次第、さらに減らしていく方針という。
 かつて旧国鉄全線に乗って「時刻表2万`」を書いた作家の宮脇俊三さんの話 ディーゼル車のような振動がなく、静かで乗り心地がいい。そんな客車が減っていくことに哀惜の情はあるが、これも時の流れ。輸送効率を考えれば仕方がないでしょう。(朝日新聞 夕刊)
13日■篠山口まで複線化へ
 JR西日本は12日、福知山線新三田(兵庫県三田市)−篠山口(同県多紀郡丹南町)間21.5`を複線化すると発表した。完成は97年春。費用は約 150億円。うち40%は国の鉄道整備基金が初適用されて無利子貸し付けを受け、40%は地元自治体から借り入れ、残りを鉄道建設公団債などでまかなう。
 福知山線は77年に宝塚−篠山口間が複線化の認可を受けたが旧国鉄の財政悪化を理由に着工が遅れ、新三田までは86年に複線化したものの、残りは単線のまま。途中6駅あるが、行き違いのため最高24分も通過得ちする列車もあり、地元から早期複線化を望む声が出ていた。
 篠山口は大阪から約66`。現在大阪−篠山口は64分から90分かかるが、JRは1時間以内を目指す。
 工事は鉄建公団が行い完成後JRに譲渡。旧国鉄時代に約七割の用地は買収済みで、92年度から路盤工事などを開始する。(朝日新聞)
14日■超豪華な北海道旅行 JR西日本が発売
 JR西日本は、豪華寝台列車トワイライトエクスプレスを使った超豪華な北海道旅行を13日から発売した。大人2人で3泊4日88万円の料金。
 この旅行、行きはトワイライトエクスプレスのスイートルーム、帰りは飛行機のスーパーシートを使用。出発駅、到着駅で駅長が送り迎えし、宿泊もホテル、旅館の特別室で、北海道の観光案内はガイド付きのキャデラックリムジンで行う。
 実年夫婦が主なターゲットで、旅行開始は5月6日から。大阪、新大阪、京都の欠く駅から発車する。同社は「3泊4日の国内旅行としては、価格、待遇とも最高クラス」としている。(京都新聞)
■「のぞみ」が登場 通勤少し楽に!? JRきょう新ダイヤ
 JR旅客6社は14日、一斉にダイヤを改定する。東海道新幹線では最高時速270`、東京−新大阪を2時間半で結ぶ「のぞみ」が営業を開始。「ひかり」も1時間8本の過密ダイヤにして輸送力をアップする。山陽新幹線も途中の停車駅を少なくした「速達型」を増やし新大阪と岡山、広島間が時間短縮される。近畿では新快速を増結して混雑緩和を図るほか、快速最終便を繰り下げ深夜の輸送力を増強する。
 JR西日本では40万枚のパンフレットを各駅に準備したほか、13日夜から約1130の全駅で時刻表計6200枚の取り換え作業をした。一駅で150枚も張り替える大阪駅では45人がかりで深夜までかかった。14日は、片町線の四条畷駅と木津駅や、新型特急列車が入る和歌山・紀伊勝浦駅、石川・和倉温泉駅など西日本の7駅で出発式典がある。
 《新幹線》「のぞみ」は新大阪と東京を午前6時台と午後9時台に発車する上下計4本のダイヤ。特急料金は東京−新大阪で現行より950円高い。
 新大阪と東京を午後9時に出る最終の「ひかり」は「シンデレラエクスプレス」と呼ばれ、13日夜を最後に姿を消したが、JR東海は午後9時18分発の最終「のぞみ」を2代目シンデレラエクスプレスとして14日から運行する。
 《在来線》東海道・山陽線の新快速をすべて8両編成にする。深夜の快速の大阪発時刻を20分−30分繰り下げる。姫路−三ノ宮間の朝の新快速が9分短縮するなど、通勤対策に力を入れた。片町線には乗り心地のよい最新の車両「207系」を103両投入する。(朝日新聞)
■「のぞみ」発車 時速270` 列島また狭く JRダイヤ改正
 JRグループの全国ダイヤの改正が14日、実施され、東海道新幹線に新列車「のぞみ」がデビューした。最高時速は「ひかり」より50`速い270`。東山−新大阪間はこれまでより約20分短い2時間半で結ばれ、日本列島はまた狭くなった。
 東京駅では、午前6時ののぞみ301号発車を前に、午前5時45分から出発式が開かれた。
 新大阪駅でも一番列車の出発に先立ち出発式があり、発車ベルの後、くす玉が割られると、「のぞみ」は詰めかけた約100人の鉄道ファンや見物人に見送られ午前6時12分、滑るように出発した。
 JR東海京都駅には早朝の下り「のぞみ301号」だけは素通りする。出張先の奈良市から東久留米市に帰宅途中の会社員渡辺降さん(30)は「関西方面にはよく出張し、停車するにこしたことはない。それよりも東京6時発では自宅を5時には出なくてはならず早過ぎる。日帰りが多くなって出張の楽しみが少なくなりそう」という。ワシントン条約京都会議に出席していた団体職員庄司直嗣さん(32)=成田市=は「スピードアップする分だけ料金が高くなるのはしょうがないが、回数券の割引がないのは改善してほしい」とい。
 「のぞみ」は1323席全部が指定席となっている。特急料金は”スピードアップ料”として東京−名古屋間で750円、東京−京都、新大阪間で950円それぞれ「ひかり」より高く、回数券など割引切符は使えない。
 運転本数は当面、1日2往復だが、来春から1時間1本ダイヤとなる予定。
 今回のダイヤ改正で、新幹線九本を含め31本の列車が増発された。(京都新聞 夕刊)
■新大阪−東京2時間半時代 「のぞみ」発車
 最高時速270`、新大阪−東京を2時間半で結ぶJR東海のニュー新幹線「のぞみ」が14日朝、営業運転を開始、新大阪と東京からそれぞれ第一号列車が出発した。JR西日本や東日本でも最高時速300`以上の超高速新幹線を開発中で、新幹線は新しい時代に入った。
 新大阪駅では午前6時12分発東京行き「のぞみ302号」が発車する26番線ホームで出発式。新車両と同じ名前の大阪府高槻市立五百住小5年、下川望ちゃん(11)らが、葛西敬之JR東海副社長と並んでテープカットをした。
 「のぞみ」は金車指定で1323席。新大阪−東京間の運賃を含めた料金は普通席1万4430円で、「ひかり」より950円高い。(朝日新聞 夕刊)
■270`景色が後ろへ飛んだ 「のぞみ」発車 乗り心地まずまず
 新幹線新時代へ向けて「のぞみ」が14日、動き出した。「東京を朝出て、大阪で午前9時の会議に間に合う」とJR東海。グリーン車の女性パーサーが笑顔をふりまいた。「乗り心地は意外に良い」「いやかなり揺れた」と乗客の印象はさまざま。新大阪駅のホームは早朝から一番列車を狙うカメラ、ビデオの列ができ、さながら撮影会場。到着した乗客たちもホームに残り記念撮影に忙しかった。東京と大阪の谷間になった名古屋は初めての通過新幹線をむなしく見送った。
 午前8時半、「のぞみ301号」が到着した新大阪駅。東京に遊びに行った帰りの大阪市の会社員安達隆則さん(29)と京都市の会社員高山浩一さん(25)は「あっと言う間に名古屋を通過した」。カーブでの横揺れが少し気になったものの、「窓が低いので落ち着いて座っていられた」という。
 一方、「のぞみ」に乗ってみたくて予約したという東京都の濱口恵さん(23)は「景色を見ていたら目が回った。快適だが、朝6時発は起きるのがつらい。普段なら当然、前の日の晩にゆっくり大阪に来て泊まるでしょう」と話していた。
 この日、新大阪駅では、一番列車を撮影しようと午前5時半ごろからカメラを持った300人近い鉄道ファンが埋めた。
 東京駅14番線ホーム。下りの一番列車「のぞみ301号」は午前6時、警笛を響かせながら滑り始めた。駆けつけた鉄道ファンが一斉に、フラッシュをたき、歓声と拍手で旅立ちを見守った。
 午前8時42分、上りの一番列車「のぞみ302号」が到着。京都市の主婦(40)は「車内は少し揺れたが、座席がゆったりとして気持ちがよかった。さすが270`。近くの風景が飛びますね」と疲れをみせず話した。(朝日新聞 夕刊)
■線路上に男性 阪神電車にはねられ死亡
 14日午前5時8分ごろ、兵庫県尼崎市玄番北之町の阪神電車の線路にうつぶせになっていた男性が石屋川発梅田行き始発電車にはねられ、即死した。尼崎中央署の調べでは、25歳前後で身長170a。白い長そでシャツにジーンズ姿。運転士の話では、両手を胸の上に組んで寝ているように見えたという。(朝日新聞 夕刊)
16日■山陽新幹線が開業20周年 岡山駅で出発式
 「ひかりは西へ」のキャッチフレーズで昭和47年スタートした新大阪−岡山間の山陽新幹線を祝い、開業20周年を迎えた15日、岡山駅で20周年記念号の出発式が行われた。
 式典ではJR西日本岡山支社の丸山亨支社長が「これまで山陽新幹線は10億6000万人のお客さんに乗っていただいたが、一度の事故もなかったことが私どもの誇り」とあいさつ。
 記念号は、開業以来スタイルの変わってない「ひかり0系」(16両)。この日、満20歳の誕生日を迎え、一日駅長に任命された岡山大2年、長江篤史さんと就実短大2年、西村朋美さんの2人に見守られながら出発した。(京都新聞)
■山陽新幹線「満20歳」 新大阪・岡山間
 「ひかりは西へ」をキャッチフレーズに山陽新幹線新大阪−岡山間が開業して満20年の15日、JR西日本は岡山駅から新大阪行き記念号を運行した。ホームは記念号に乗る関西方面へのツアー参加者約1000人や、カメラを持った鉄道ファンであふれた。
 記念号は開業当時と同じゼロ系新幹線(16両編成)。丸山亨・JR西日本岡山支社長が「20年間事故もなく営業してこれたのは誇り」とあいさつ。運転士らへの花束贈呈やテープカットがあり、新幹線が開業した日に生まれた大学生2人の一日駅長らがくす玉を割り、20周年を祝った。(朝日新聞)
■「JR連合」結成へ 西労組など 労使協調派の7単組
 スト権の取り扱いをめぐり、JR各社の労組の全国組織であるJR総連を脱退した労使協調派のJR西日本、東海、九州、四国の4単組と東海、九州、四国の3鉄産労の計7単組は、15日までに総連に対抗する新しい全国組織として「日本鉄道労働組合連合会」(略称・JR連合、いずれも仮称)を発足させる方針を囲め、23日にも東京で結成準備委員会を開くことを申し合わせた。
 新組織の組合員数は合わせて約7万5000人に上り、最大勢力のJR総連の約8万人にほぼ匹敵する。国鉄改革を旗印に労使協調で大同団結したJRの労働組合は、分割・民営化から満5年で大きく再編することになった。
 7単組の委員長らがこのほど大阪で連絡会議を開き、6月ごろをめどに新組織を結成することで基本的に合意した。それによると、「JR連合」はJR総連も加盟する日本労働組合総連合会(連合)への加盟をめざし、「自由で民主的な労働運動」を基本としているという。
 JR総連は旧勤労系と旧鉄労などが中心になって結成されたが、その後、旧勤労系が執行部の実権を握り、かつての2つの勢力の対立が表面化した。
 昨年7月には総連が提起したスト権論議をめぐって闘争路線に反発するJR西労組が脱退したのをきっかけに、東海、九州、四国の多数派が相次いで総連を離れ、その後、昨年12月、西日本鉄産労と統一した西労組が中心になって、JR総連を脱退したJR各社の協調派に対し、新組織結成を呼びかけていた。(朝日新聞)
■27日以降にスト設定へ 旧動労系3 労組
 旧勤労系を中心に組織され、JR総連に加盟している3労組が、27日以降にストを構える方針を決めた。これは、15日に福岡市内で開かれたJR九州労春闘総決起集会で明らかにされた。3労組がストに入った場合、東海道、山陽新幹線と、3労組管内の主要在来線で影響が出そう。
 3労組は、JR東海労(佐藤政雄委員長、1300人)、JR西日本労(奥島彰委員長、4600人)、JR九州労(北弘人委員長、1300人)。いずれもスト権を確立している。
 この結果を受けて、3労組委員長がスト戦術を協議。私鉄総連がストを構える27日以降に設定する方針でまとまった。
 3労組は今週中に戦術検討委員会を開いて拠点運転区などを設定。佐藤、奥島両委員長は「賃上げはもちろん、差別人事などの撤回を求めているが、会社側は誠実に対応していない。国民に訴えるためストに入る」と語った。(朝日新聞)
■転勤でもないのに650世帯が大移動 他社の社宅借用組に退去期限 JR社員
 転勤でもないのに、関西のJR関係社員600人以上が、旧国鉄時代から住み慣れた社宅から引っ越しに追われる”大移動”がいま真っ最中。国鉄民営化から5年たち、国鉄からJR各社に引き継がれた社宅のうち、JR他社の社宅をそのまま借りている人の立ちのき期限が、3月末に迫っているからだ。とくに多いJR東海は、新築マンションを購入するなど計約150億円の投資でこの大移動に備える対策におおわらわだ。
 この春引っ越しするのは、約650世帯。1987年4月にJR7社や国鉄清算事業団などが協定を結び、国鉄から引き継いだ他社の社宅には、原則として92年3月末まで入居が認められ、その期限を過ぎると転居するよう定めた。子どもの教育などに配慮して、猶予期間5年を設けた形。1万3000円前後の格安の家賃で他社の社宅に入居できるとあって、関西ではJR西日本、東海、貨物、清算事業団の4社で、約700人が互いに他社の社宅に住んでいる。
 JR各社によると、子弟の通学や本人の病気などやむを得ない例外を除き、年度内に関西圏の約650世帯が約40ヵ所の社宅から出る。内訳はJR東海約500世帯、JR西日本約100世帯、貨物や事業団などで約50世帯。「転居するのはわかっているはずだが、期限ぎりぎりまで引っ越しに踏み切れなかったようで」とJR担当者。
 JR東海の場合は、関西の全社員約2500世帯のうち、他社の社宅に住んでいる割合が2割にも及び、対策に追われている。このほど神戸市北区の1棟130戸と、東大阪市の2棟190戸の民間分譲マンションをそっくり会社が買い上げたが、これでも足りないため、大津、京都、長岡京、大阪4市内の6ヵ所でマンションなど計150戸を借り上げた。引っ越し費用も入れ約150億円とか。さらに、この際、持ち家を思い切って買った人が30人に上った。
 JR西日本なども、空き社宅が出るのを待って次々と玉突きのように転居させる予定だが、勤務地の関係で空いた所にすぐ入ると言うわけにはいかず、また老朽化している場合には、修繕期間も必要。JR西日本は関東では立場が逆で、受け入れ社宅が不足していたため、千葉市に32戸の社宅をこのほど新設した。
 各社とも引っ越し代はほとんど会社負担だが、普通の会社の異動時期とも重なり、引っ越し用のトラックの手配も大変。東海は日本通運など大手運送3社と契約、JR西日本も子会社の大阪鉄道荷物会社と提携するなどトラックを確保している。(朝日新聞 夕刊)
■新本社ビルの完成祝い式典 JR西日本
 JR西日本(角田達郎社長)の新本社ビルが、完成したのを祝う定礎除幕式と完工式が16日、大阪市北区芝田二丁目の新本社であった。27日から移転、30日から業務を開始する。
 新本社は、旧国鉄長期債務返済のため国鉄清算事業団に明け渡す現社屋(同区大深町)の代わりとして、北へ約300bの敷地約7400平方bに地上13階、地下2階延べ3万2000平方bのビルを、事業団が89年11月から着工していた。建設費約100億円。約2000人の職員が入る。
 新ビルは各階ごとに床の色を変えているのが特徴。事務ゾーンは高さ1.8bの間仕切りだけの大部屋にし、原則禁煙にする。(朝日新聞 夕刊)
18日■KTR宮福線 新年度に電化めざす 府知事方針 国に用地譲渡請求へ
 荒巻禎一京都府知事は、17日開かれた府議会の予算特別委員会で、京都縦貫幹線鉄道構想の一環として、京都−天橋立間(123.3`)を1時間半で結ぶ高速化を実現するため、北近畿タンゴ鉄道(KTR)・宮福線の電化に乗り出す方針を示した。平成4年度着工を目指すJR山陰線園部−福知山間の電化工事との同時施工を検討している。第三セクター鉄道で大がかりな電化工事は全国で初めて。
 電化工事の実施に当たっては、宮福線の鉄道施設・用地を国から譲り受け、所有権をKTRに移転する必要があり、同知事は「19日のKTR取締役会で無償譲渡を受けるべく決議する」ことも明らかにした。小牧誠一郎議員(自民)の質問に答えた。
 KTRは、昭和63年7月に宮津−福知山間(30.4`)の営業開始。平成2年4月、JR宮津線(西舞鶴−豊岡間83.6`)の営業を引き継いだ。
 両線とも非電化で、府としては南北に長い府域で、府民の利便性の向上、地域の活性化には、JR山陰線・園部−福知山間(54.3`)に続いてKTR宮福線の電化が不可欠として着手することにした。
 宮福線が電化されれば、京都−天橋立間すべての電化が完成。時速130`の電車運行やJRとの相互乗り入れの充実などが可能となり、所要時間も現在より約1時間短縮する大幅な高速化が実現する。
 園部−福知山間の電化に向け府では、JR西日本への財政支援に充てる「府鉄道整備促進基金」(50億円)の創設を予算化したことで、平成4年度内の着工、同6年度完成に弾みがついている。
 府では今後、園部−福知山間とともに在来線の第一号として国の鉄道整備基金の助成・融資が受けられるよう働きかけていく。(京都新聞)
■旧国鉄土地処分で近畿連絡会議設置 精算事業団など
 近畿地区にある国鉄清算事業団用地の早期売却処分を図るための「土地処分推進近畿ブロック連絡会議」が17日設置され、大阪市内で初会議が開かれた。
 運輸省が全体を統括し、中央、地方を通じて連絡体制を整備し、清算事業団の土地処分を全面的に支援していくというもので、全国で9つのブロック会議が設置される。会議では土地処分の有効で具体的な方法について論議した。(京都新聞)
■JRの工事残土搬出断念は現実的解決策 京都市会で助成強調
 古都保存法に基づく歴史的風土特別保存地区の指定されている右京区の小倉山に、JR西日本が山陰線トンネル工事の残土を放置している問題で、市がJR側に土砂を搬出させずに植林などで山の形を整えさせる方針に変更したことについて、佐藤達三助役は17日の市議会で「現実的な解決策」との考えを示した。
 加藤広太郎委員(共産)の質問に答えた。「方針転換はJRのやり得を許すもの」との批判に対して、佐藤助役は「当初案通りの山の復元は、現実的には極めて厳しい」と強調した。(朝日新聞)
■私鉄総連も辞職を勧告
 私鉄総連(田村誠委員長、19万人)は17日、都内で拡大中央委員会を開き、佐川急便グループとの不明朗な関係が取りざたされている安恒良一参院議員について、顧問を解職し、議員辞職を勧告することを決めた。18日にも本人に伝える。同総連出身の国会議員について、顧問解職と議員辞職勧告をするのは初めてという。安恒議員は16日、出身母体の同総連に対し、「一身上の都合で私鉄総連顧問を辞職する」との辞表を提出していたが、同総達は辞表を受理せず、あえて解職することにした。(朝日新聞)
■運輸省が売却支援 国鉄跡地 近畿は14ヵ所重点
 不動産不況の波を受けて旧国鉄跡地の処分がはかどらないことから、運輸省は全国を9ブロックに分け、国鉄清算事業団の土地売却を支援していくことを決め、土地処分推進近畿ブロック連絡会議(議長・平野直樹近畿運輸局長)の初会合を17日、大阪市北区の大阪弥生会館で開いた。吹田信号場や梅田貨物駅など跡地利用がまだ決まらない近畿2府4県の14ヵ所をリストアップし、近く知事、市長に参加してもらって重点的に利用計画の早期策定や土地購入を求めていく。
 近畿ブロックは、2府4県で重要な末処分地21ヵ所計195fを選び、売却を推進。さらにこのうち最も重要な14ヵ所計149fについて、大阪、兵庫両府県知事、大阪、京都両市長らと個別に会議を開き早期購入や大規模物件についての都市計画策定などを呼びかけていく。
 近畿では旧国鉄跡地など480fが処分対象だが、91年4月までの実績はわずか59f計約3700億円分。828ヵ所計421fが未処分で、自治体へ売却するのを優先している。最重要指定の14ヵ所は次の通り。
 【大阪府】吹田信号場、竜華操車場【大阪市】梅田駅北(梅田貨物駅)、梅田駅南(西梅田地区)、旧大鉄局(JR西日本本社)、湊町駅【兵庫県】東加古川駅、高砂工場、高砂海駅、姫路駅、飾磨海駅【京都市】京都駅東(鉄道警察隊事務所)、京都駅西(JRバス京都営業所)(朝日新聞)
■トロッコ列車沿線に桜300本を植える 佐野藤右衛門さん
 京都市生まれ。京都農林学校(現・京都府立大)卒。戦後は「植藤造園」で桜守り一節の生活。同市右京区で母から孫まで4世代7人で暮らす。63歳。
 京都の名勝・保津峡や嵐山を走る嵯峨野観光鉄道「トロッコ列車」の沿線に、5年がかりで山桜約300本を寄付することにした。植樹場所を選び、地元の子と植え付けを始めた。
 江戸・天保年間に初代藤石衛門が仁和寺の造園師になって以来、16代目。物心つくと、祖父と「桜行脚」をしていた。全国の野や山を歩き、足は国内だけでなく、欧米にも及び、育てた楼は数知れない。
 1944年の暮れ、陸軍入隊直前に、父親が太秦署に呼び出された日のことは忘れられない。10万本あった桜の苗木畑を、食料増産のために農地にしろ、と命令された。泣くなく切ったが、70本だけは処罰覚悟で、隠すように残した。
 「たとえ、戦争に負けても、祖国のためにこれだけは残さねは……」。終戦から2年目の春、その楼は満開になった。一生を楼にささげようと決めた。
 今でもカメラと望遠鏡、樹木内部を調べるピンセットを持って全国を歩き回る。自然と人間の付き合いも変わったと実感する。「一人で山に入れば、マツタケ泥棒と間違われ、自殺志願の老人か、とパトカーが来る。仕事がしにくくなった」
 今度だけは「そのままにしておく方が自然保護のためにいい」という声に逆らった。「さんざん山の生態系を壊しておいて、いまさら、自然保護を訴えるのはおかしい。あるものを守るだけではなく、かつての姿を取り戻すための育てる作業も大切です。自然保護と自然を守るのは違うのです」
 桜の寿命自体が短くなってきていると危機感を持つ。今春には京都中の桜を記録にとどめる作業を始める。(宮崎太介)(朝日新聞)
20日■新幹線騒音 24%の地点で基準越す 環境庁が住宅地調査 最悪は「東北」
 JRの新幹線による住宅地の騒音公害は一向に改善されず、東海道、山陽、東北、上越4線全体で測定地点の24%が、75ホン以下とする暫定基準を上回り、特に東北新幹線では半数が暫定基準を超えていたことが19日、環境庁の調査で分かった。
 環境庁は同日、騒音低減装置の設置や技術の開発など、JRの取り組みがなお不十分として中央公害対策審議会に報告。運輸省に対しても平成5年度末までの基準達成を強く要請した。
 新幹線の騒音は当初、東海道、山陽が昭和60年、東北、上越が62年までに環境基準(住居専用地で70ホン以下、商工業地で75ホン以下)の達成を求められていた。しかし期限内では未達成地点が多く、環境庁は平成2年度末まで期限を延長し基準も暫定的にいずれも75ホン以下に緩和した。
 今回の調査は昨年9−11月に実施。住宅密集地(東海道、山陽)、住宅集合地域(東北、上越)を対象に約1`当たり1ヵ所、計223ヵ所の測定地点を設け、軌道中心から25bの所で20本の列車の騒音を測定した。このうち騒音の大きい10本の平均値が、基準対象の測定値となる。
 この結果、4線全体の平均は73.7ホン。騒音が最もひどかった東北新幹線の平均は75.8ホンと4線の中で唯一、75ホンをオーバー。暫定基準の未達成地点も50%に達した。調査地点に変更があるものの62年度調査の平均値(74.8ホン)、未達成率(46%)を上回った。
 次いで上越が悪く、平均74.1ホンで未達成地点は33%。東海道は平均73.4ホン、未達成率は22%。最もよかった山陽でも平均73.1ホンで未達成地点が16%残った。
 4線全体では71−75ホンの地点が63%、本来の住宅地の基準をクリアする70ホン以下は13%。
 新幹線騒音は車輪、パンクグラフが主な発生源。環境庁は東北、上越両線が騒音の大きなコンクリート床である上、パンタグラフカバー設置など騒音対策が遅れているためとみている。
・可能な対第を実施
 鈴木康夫・運輪省鉄道局環境対策室長の話 運輸省は機会あるごとに関係鉄道会社を指導し、各社も騒音対策を実施してきた。75ホンを上回る地域については原因を究明させるとともに、可能な対策を実施させたい。環境庁の要請の趣旨を踏まえ、今後とも新幹線沿線の環境保全対策に万全を期すよう指導していきたい。(京都新聞)
■新幹線騒音 2割は緩和基準も未達成 山陽と東海道 目標期限を再延長
 環境庁は19日、東海道、山陽、東北、上越の四新幹線沿線の騒音調査の結果を発表した。東北と上越は対策が不十分で、騒音が低くなっておらず、東海道・山陽は改善は見られるが、約20%の地域で5年前に緩和した暫定基準(75ホン以下)さえ期限内に達成されていないことが明らかになった。事実、JR各社は、スピードアップを優先し、本格的な防音対策は遅れがち。このため、運輸省に対し、93年度末までに75ホン以下の目標の完全達成に努めるようJR各社へ改善指導を求める。
 新幹線騒音の環境基準は、住宅地が70ホン、商工業地域が75ホンと75年の環境庁告示で決められ、85年までの10年間で達成するよう求めた。ところが85年から87年にかけ、環境庁が調べたところ、環境基準の達成率(線路から25b)は、山陽が10%、東海道、東北、上越がいずれも16%と、極端に低かった。このため、環境基準を甘くした暫定的な目標値を、地下鉄の車内より少しましなレベルの75ホンと決め、91年3月までに改善を促していた。
環境庁の新幹線騒音調査結果
新幹線名測 定
地点数
(カ所)
最大
騒音
(ホン)
75ホン以下
達成地点数
(カ所)
75ホン以下
達成率(%)
今回 前回※
騒音レベル
平均(ホン)
今回 前回※
東海道1207894783973.475.6
山 陽627752842973.176.6
東 北267813505475.874.8
上 越157810676074.174.1
合 計2237816976-73.7-
(注)※前回調査は東海道、山陽は85年度、東北、上越は87年度  
 昨年秋、4路線の沿線の住宅密集地を調査した結果、75ホンの達成率は東海道、山陽が80%、東北、上越が56%(いずれも加重平均)、全体では76%だった。平均値は、東海道、山陽は前回に比べ、それぞれ2.2ホン、3.5ホン下がった。東北は1ホン悪化、上越は同じだった。また、4路線全体で、70ホン以下になったのは、調査地点の13%しかなかった。
 東海道・山陽新幹線の調査対象は85年当時、75ホン以上の民家20戸以上が200bに渡り連続して密集している地点182ヵ所を選定、京都、大阪、兵庫の区間を含めた神奈川から福岡まで12府県計180`で調べた。
 防音対策には、防音壁を設ける▽パンタグラフの数を減らす▽パンタにカバーをつける▽軌道にゴム製バラストマットを敷く、などがある。JR東海とJR西日本が、この5年間で計200億円を投入して対策に力を入れたのに対し、JR東日本は、ほとんどの車両にまだパンタカバーを取りつけていないなど、対策の遅れが目立っている。
 井澤勝・JR西日本鉄道本部長は「できることは最大限やっている。それでも十地点で達成できなかったのは残念だ。正直言って今すぐ新たな対策は見つからない。速度を下げるのは、新幹線の使命に反する事で考えていない」としている。(朝日新聞)
■新幹線騒音 速度競争に不安感 一掃策求める住民
 「新幹線の騒音対策は、80点」。改善の努力を強調するJR側に、沿線住民の不満は大きい。19日、環境庁が発表した東海道・山陽新幹線の沿線騒音は、改善されているものの、国自らが17年前に決めた環境基準(住宅地、70ホン)から程遠い結果だからだ。この改善はさらに2年後に先送りしている。騒音を置き去りにスピードアップ競争にJR各社がしのぎを削り、沿線住民は騒音の増加に不安を募らせている。
 兵津県明石市魚住町金ヶ崎の無職平尾満さん(72)方。幅約4bの道路を隔てて新幹線高架と隣接する。新幹線が通過するたび、窓粋ががたがたと音を立て、家全体が上下に揺れる。「台所でもきちんとしまって置かないと、なべや茶わんが振動で落ちたりする」と妻の幸子さん(67)。JR側が窓を二重にし、床下をコンクリートで固め、さらに床を支える支柱を増やすなどの騒音・振動対策を取ったが、一向によくならない。
 加古川、高砂市が昨年5月、両市内の沿線9ヵ所で独自に騒音測定、7ヵ所で暫定基準(75ホン)を上回った。新幹線高架に隣接する加古州市尾上町口里の会社員井沢和之さん(37)は「スピードアップの技術があるなら、騒音対策だって可能なはず。こんなに狭い日本で、無理して便利さを追求するのなら、それだけの対策を講じてほしい」と話す。
 今回環境庁が測定した沿線182ヵ所中36ヵ所で、「75`以下」の基準を達成できなかった。JR側によると、この間、音源対策として約200億円を投入したが、防音壁やバラストマット、弾性のあるまくら木に替えるなど、地上設備の改良を進めたという。
 ただJRの環境対策担当は「騒音を招いているのはパンタグラフが大きい」と打ち明ける。このため、今後配線改造工事をしたり新型に切り替えていく計画だが、「環境基準の70ホン達成はとても難しい」とJR側。
 山陽新幹線の騒音をめぐっては、兵庫県の伊丹、尼崎、西宮3市の阪神地区や明石、加古川、高砂と加古郡播磨町の東播四市町が独自の騒音調査結果をもとに1月、JR西日本に暫定基準を達成するよう要望し、それまで新幹線のスピードアップは認められないなどと申し入れている。(朝日新聞)
■ヒヤリ「ひかり」 大阪第一車両所での脱線 レール補修中の線路に突っ込む 入線の指示に混乱 脱線事故は4度目
 19日午後2時10分ごろ、大阪府摂津市安威川南町、JR東海の東海道新幹線大阪第一車両所で、東京から新大阪に着いた「ひかり225号」(16両編成)が、車内清掃のため車両所内の線路を通過中、後部側の1−4号車と6号車の計5両が脱線した。本線から約200b北側の電車留置54番線上だったため、他の車両の出入りには影響せず、ダイヤに乱れはなかった。新幹線の脱線事故は、国鉄時代の1973年2月に同車両所で起きて以来4回目。
 JR東海によると、この日、54番線では作業員8人がレールのまくら木の固定金具を交換する作業をしていた。事故現場では、レール28bにわたり固定金具56ヵ所のうち大半がはずされた状態だった。このため、列車の進入につれレールが広がったらしい。
 脱線した車両は午後1時32分、新大阪駅に到着。乗客を降ろした後、本線を走って約9`東の車両基地まで戻り、車両所中央部分にある着発線に入りいったん停車。無線で車両所内の指令所から54番線に入るよう指示された。車両が時速約10`(JR東海調べ)でほぼ54番線に入り終わるころ、運転席の後部で異常音が起きた、という。
 東海道・山陽新幹線の運行は、東京駅そばにある総合指令所で自動列車制御装置(ATC)により速度や進路を制御しているが、車両所内は別系統で、手動で進路を制御している。車両所に入る車両は、本線の運転士と車両所の構内運転士が交代し、指令所からの無線指示で20本の電車留置線のどれかに停車することになっている。
 固定金具を交換作業中の線路に車両を入れる指示を出すことは通常考えられない。JR東海は「請負会社の現場責任者と指令所の無線打ち合わせで、大丈夫と判断した」と話している。
 事故が起きたとき、現場南側の作業員詰め所にいた作業員(42)は「ゴーゴーという地響きのような音がした。固定金具の取り換え作業中に電車が入って来るなんて」と驚いていた。
 事故車両は午後3時52分に新大阪駅から「ひかり260号」として東京に向けて出発する予定だった。JR東海は代わりに別の車両を編成した。脱線車両の復旧作業は、約200人が油圧ジャッキを使って20日未明までかかった。
 東海道新幹線の脱線事故は、摂津市の同車両所で73年2月」回送車が油付着によるオーバーランとみられる原因で脱線、142本が運休したほか、89年12月3日に名古屋市内の名古屋車両所で運転士が一時停止を怠ったのと、同じ日にポイント切り替えミスにより静岡県浜松市内の浜松工場で起きたのに続いて4回目。(朝日新聞)
■鶴見緑地線に4新駅
 大阪市交通局は19日、市営地下鉄鶴見緑地線の心斎橋−大正の延伸計画(約3`)を発表した。同線は鶴見緑地−京橋間(5.2`)がすでに営業、京橋−心斎橋間(5.6`)は96年春開通を目標に建設が進んでおり、今回の延伸は97年春の開通を目指している。
 延伸ルートは、中央区心斎橋筋一丁目にできる心斎橋駅から、長堀通を西進し、木津川を越えて右岸道を南進、大正区三軒家東のJB環状線大正駅近くを結ぶ。4つの駅ができ、途中で地下鉄千日前線と交差、乗り継ぎが可能になる。(朝日新聞)
21日■強風で運転見合わせ JR湖西線
 JR湖西線は21日午前11時32分ごろ、滋賀県滋賀郡志賀町の比良川風速計が風速30bを記録したため、堅田−近江舞子駅間で運転を見合わせている。
 この影響で、京都−堅田駅、永原−近江今津間で折り返し運転。また、午前11時10分大阪発金沢行、特急「雷鳥21号」など上下特急6本が東海道線(米原経由)のう回運転となった。(京都新聞 夕刊)
22日■「のぞみ」が初の車両故障 岐阜で緊急停止
 20日午後10日ごろ、岐阜県大垣市のJR東海道新幹線上り線で、走行中の新大阪初東京行きのぞみ304号にモーターの異常を示す表示灯が点灯、列車は緊急停止した。
 運転士がいったん列車の電源を切り、再び電源を入れ直したところ、表示灯が消えたため運転を再開した。列車は途中、岐阜羽島駅を7分遅れで通過、東京駅に3分遅れで到着した。
 電源を入れ直した際、一時、列車の電灯も消えたが、乗客の混乱はなかった。のぞみ号(300系)の車両のトラブルは14日の運用開始以来初めて。(京都新聞)
■JR山陰線に遅れ 綾部釈で特急故障
 21日午前11時25分ごろ、綾部市東石ケ坪のJR山陰線綾部駅で城崎行き特急あさしお3号のエンジンが故障、動かなくなった。
 JR福知山支社から社員を派遣、応急修理し約1時間遅れで運転を再開したが、同列車が豊岡−城崎間の運転を打ち切ったほか、後続の急行2本と普通列車5本が15分−5分の遅れを出し約600人の乗客に影響がでた。(京都新聞)
■信楽鉄道 事故車両解体へ 「遺族の会」文書で抗議
 死者42人を出した去年5月の信楽高原鉄道列車衝突事故で、大破したまま証拠品として滋賀県警の機動警察隊敷地内に保管されていたJR西日本と高原鉄道会社両社の事故車両3両分が、23日から3日間の予定で解体されることになった。これに対し、20人の遺族でつくる「遺族の会」(吉崎俊世話人代表)の弁護団は21日、両鉄道会社に「遺族に何の説明もなく一方的に廃棄するのは事故を風化させようというもので許せない」と文書で抗議した。22日にも大津地裁に証拠保全の申し立てをする予定。
 解体されるのはJRの先頭車両1両を半分に切断した2点と高原鉄道の2両の計4点。去年12月、県警から鉄道会社に返されたが、置き場がないため県警が預かる形で保管していた。JR西日本によると、23日に仏式で供養をして25日までに解体、26日に搬出するという。
 遺族や弁護団は今月7日、写真記録保存などのため初めて車両置き場を訪れたばかり。遭族の中には事故車両を保存する資料館などをつくるべきだ、との声もあり16日に車両保存をするようJR側に申し入れていた。弁護団事務局長の秋田真志弁護士は「事故原因について運輸省も警察も何の発表もない段階で、急いで解体するのは証拠隠滅というべき暴挙だ」と話している。(朝日新聞)
■「のぞみ」が急停車 電気系統故障?
 20日午後9時57分、岐阜県大垣市内の東海道新幹線岐阜羽島−米原間で、新大阪発東京行きの「のぞみ304号」が突然急停車し、車内が真っ暗になった。2、3分後に運転を再開したが、JR東海はモーターの電気系統の故障とみている。今月14日に営業運転を始めて以来、「のぞみ」が故障で急停車したのは初めて。
 故障の原因について、JR東海はモーターなどへ流れる電気が一時的に容量超過になった可能性が高いという。
 「ひかり」などの従来型は一部のモーターが電流オーバーで動かなくなっても、ほかへは影響しないようになっていた。しかし、「のぞみ」に使用されている300系はモーターが1台でも止まれば、1列車のモーター40台すべてが止まる設計になっている。
 事故当時は小雨模様で、車輪が滑りやすい状態だった。このため、一部の車輪が現場の規定速度の240`走行以上の回転数になり、規定以上の電気が供給された形になってストップしたのではないかと、JR東海は説明している。
 同列車は岐阜羽島駅を7分遅れで通過し、東京駅には3分送れで到着。最終列車だったので後続に影響はなかったが、「のぞみ」の通過待ちの「こだま」2本も5分前後遅れた。(朝日新聞)
■青鉛筆
 京都の定期観光バスを走らせている京阪バス(本社・京都市南区)が、外国人観光客にバスの出発時刻を知らせる案内用の時計をつくり、計80台の全車両に備え付けた。
 英語、中国語、韓国語で「出発時刻」と表示、あとは名所を巡るたびに時計の針を手で動かす。取り付け場所は降りる客の目に触れるようにと、運転席の横にした。
 これまで、集合時刻が言葉でうまく伝わらずに客が置き去りにされたこともあったが、新サービスはいたって好評。「仕組みは簡単だが発想の勝利」と同社は気をよくしている。(朝日新聞)
23日■証拠保全申し立て 信楽鉄道の車両解体問題 犠牲者遺族の会
 JR西日本と信楽高原鉄道が列車事故車両の解体を23日から始めると決めた問題で、犠牲者42人のうち20人の遺族でつくる「犠牲者遺族の会」(吉崎俊三世話人)は22日、大津地裁に車両の検証と鑑定を求める証拠保全の申し立てを行った。
 申し立てによると、両鉄道会社が滋賀県蒲生郡日野町の県警機動警察隊敷地内に保管中の事故車両は、事故の原因と過失を確定するうえで重要で、解体は証拠いん滅の疑いがあるとして▽車両の重量や破損状況▽ブレーキ作動の有無▽衝突時の推定速度▽事故車両から推測される事故原因−など7項目の検証と鑑定を求めている。
 遺族の会弁護団(秋田真志事務局長)は「事故原因について運輸省の調査や滋賀県警の捜査が継続中で、まだ原因が明らかにされていない。調査や捜査結果の内容次第では遺族らで事故原因をさらに検討する必要があり、解体されれば原因の確定が困難になる」としている。(京都新聞)
■中国で列車同士が衝突 脱線、46人が死傷
【北京21日共同】新華社電によると、中国湖南省株洲市で21日朝、旅客列車と貨物列車が衝突、脱線した車両の一部が線路沿いの家屋に飛び込み、列車の運転士や付近の住民ら11人が死亡、35人が重軽傷を負った。(京都新聞)
■信楽事故車両 地裁が検証へ 解体は当分中止
 信楽高原鉄道列車事故の車両3両が解体されるのに反対する「遺族の会」の弁護団が、事故車両の鑑定と検証を求めた証拠保全の申し立てに対し、大津地裁は23日午前、車両の検証を4月8日に実施する決定を出した。
 JR西日本は23日午後に予定していた車両の解体を「当分の間中止する」と発表した。(朝日新聞 夕刊)
■車両の解体反対を遺族らが申し立て 信楽高原鉄道事故
 信楽高原鉄道列車事故の同鉄道とJR西日本の事故車両3両が23日から解体されるのに反対し、「遺族の会」の弁護団が22日、事故車両の鑑定と検証を求めた証拠保全申立書を大津地裁に提出した。早ければ23日中にも決定が出る見通し。(朝日新聞)
24日■JR総連3労組 31、1日に全面ストも
 JR総連傘下のJR西日本労働組合(西労)、JR東海労働組合(東海労)、JR九州労働組合(九州労)は23日、会社側に春闘要求の回答を30日午前なかに出すよう指定するとともに、回答に不満の場合は3労組が31日、4月1日の両日、始発から48時間ストに突入すると発表した。
 スト対象は、新幹線と京阪神の通勤電車が中心となっており、山陽新幹線運転士の75%、在来線運転士の60%が所属する西労がストに突入すると、1975年、国鉄時代の「スト権スト」以来17年ぶりに新幹線などのダイヤがまひ状態となることが予想される。(京都新聞)
■「JR連合」旗揚げへ 5単組が結成準備会
 JRグループ最大産別組織、JR総連(福原福太郎委員長、8万人)から昨年相次いで脱退したJR西日本、東海、九州の3単組と東海、九州の2鉄産労の系5単組は23日、東京都内のホテルでJR総連に対抗する新産別組織「日本鉄道労働組合連合会」(略称・JR連合、いずれも仮称)の結成準備委員会を開いた。
 5単組はJR総連を脱退したJR四国労組や、JR北海道、東日本、四国、貨物4社の各鉄産労へも準備会への参加を呼び掛ける方針。
 JR西日本の鉄産労は既にJR西労組と組織統一を終え、西労組として準備会に参加。計10単組が新組織に参加すると組合員数は約7万5000人に上り、JR総連とほぼ同じ勢力になる。新組織は5月下旬の発足を目指す。(京都新聞)
■信楽鉄道 車両解体を延期 大津地裁 来月8日に検証
 大津地裁が23日、信楽高原鉄道事故の遺族らから出されていた事故車両の検証などを求める証拠保全の申し立てを認めたのを受け、JR西日本と信楽高原鉄道は、この日に予定していたお祓(はら)いの式を中止し、解体作業を延期することを決めた。
 申し立ては「犠牲者遺族の会」(吉崎俊三世話人)と同弁護団(秋田真志事務局長)が行っていた。同地裁は「車両は遺族にとって民事的な証拠となりうる」として、来月8日午後1時半から、裁判官立ち会いのもと、事故車両の検証をすることを決めた。
 この日、事故車両が保管されている滋賀県蒲生郡日野町北脇の県警機動警察隊には、車両解体の動きを知った京都府相楽郡木津町の協同組合「ハイタッチ・リサーチ・パーク」の遺族らでつくる「列車事故被害者の会」からも遺族や弁護士らが駆けつけ、事故車両の写真撮影などを行った。
 同会の菱田基和代弁護士は「解体の話は事前に何の連絡もなかった。申し立てが認められたことで安どしている」と話していた。同隊には別の遺族数人も訪れ、車両に献花していた。(京都新聞)
■JR京都駅ビル 特定街区で高層化容認 京都市 特例で適用
 京都市の定めた高さ規制の倍近い設計案が、景観論争を巻き起こしているJR京都駅の改築高層化計画について、同市は23日、東京・新宿副都心の超高層ビル建設などに利用されている特定街区制度を市内で初めて適用し、規制をクリアさせる方針を囲めた。市は「あくまでも特例であり、他に波及させない」と説明している。だが、同駅の60b化をきっかけに、市内の高さ規制の緩和が一層進む可能性もあり、景観だけでなく地価への影響も絡んで論議を呼びそうだ。
 JR京都駅ビルの改築は、1994年の建都1200年記念事業の一環として計画。昨年5月、JR西日本や市、京都府などの出資する「京都駅ビル開発会社」が駅周辺の高さ規制(31b)を度外視した形で国際的コンペ(設計競技)を実施。原広司・東大教授の高さ59.8bの作品が選ばれたことを受けて、市は周辺整備のあり方を含めて、規制緩和策を検討してきた。
 市が特定街区への指定を予定している範囲は、現在の駅ビルを中心に、西側の西洞院通から東側の東洞院通にかけての約4f。街区内には、駅ビルのほかに国鉄清算事業団の所有地や民間ビルなどがある。容積率は現在の600%(一部400%)にとどめ、高さ規制については、新駅ビル部分だけを最高60bに変更。他の建物などは現行通りの高さとする方針。また、同事業団所有地を通る西洞院通の南側延長部分など周辺道路の一部については、道幅が指定要件に満たないため、区画整理方式によって拡幅を図る予定だ。
 特定街区指定には、関係地権者の了解を取り付けたうえで、都市計画の変更を市、京都府の都市計画審議会に諮り、知事の認可を受けなければならない。
 駅ビル高層化をめぐっては、市民グループなどが高さ規制を度外視したコンペは違法と主張、市と京都府などを相手取り、駅ビル開発会社に対する出資金の返還などを求めて京都地裁に提訴している。京都仏教会も高層化反対の運動を続けている。
・特定街区 市街地再開発の手法のひとつ。一定幅以上の道路に囲まれた街区で、公共的なオープンスペースなどを整備しながら開発する場合、容積率、高さ規制などを新しく決めることができる制度。大都市でのビルの大規模化、高層化に対応して、1961年の建築基準法改正で取り入れられた。超高層ビルの先駆けとなった東京の霞が開ビルも同制度を適用して建設された。適用例は90年3月末現在、全国17都市、83地区。(朝日新聞)
■京都市 是非論抜き規制緩和 特定街区適用方針 高さの歯止めなし
 解説 JR京都駅の改築高層化計画は23日、京都市が特定街区適用の方針を固めたことで、高さ規制緩和の是非論を置き去りにしたまま、建設に向けて本格的に動き出す見通しとなった。
 市は規制緩和策として特定街区以外に、@市長による特例許可A用途地域に連動した駅周辺の高度地区を1ランク上げ、45bにしたうえで、高さ規制を緩和できる総合設計制度を適用するBいったん高度地区を外し」特定地区の一体的整備を図る地区計画制度を導入する−などの案も検討してきた。
 その結果、市長判断による高層化容認では市民の反発が大きいと予想。駅ビルだけのための用途地域、高度地区の変更についても、制度の本来の趣旨に照らして必ずしも適切ではないとの判断を囲めたものだ。
 とはいえ、特定街区制度は本来、容積率の上限が設けられているだけで、敷地の取り方によってはいくらでも高いビルが建設可能だ。同様の総合設計制度では、市が景観に配慮して独自に高さ制限を加えた要綱を定めているが、特定街区は市内で初のケースとあって、そうした歯止め策がまだない。駅ビルについて、市は特定街区指定にあたり、最高60bに高さを規制する予定だが、現状のままでは、今後、特定街区の指定要件を満たした高層ビル計画が出てきた場合、無制限な規制緩和が進まないという保障はない。
 昨年秋の市まぢづくり審議会の答申では、まちづくりにおける住民合意の重要性がうたわれている。だが、市の高さ規制を度外視して実施されたコンペ(設計競技)のあり方や、百貨店、ホテルが大部分を占める駅ビルの「公共性」などに対する市民の疑問は残されたままだ。(朝日新聞)
■JR西労、スト通告 東海・九州歩調合わず 回答指定30日
 JRグループの最大労組、JR総連傘下のJR西日本労働組合(西労、4600人)は23日、JR西日本会社に対し、春闘要求への会社側の回答指定を30日午前とし、これに不満の場合には31日始発から48時間ストライキに入る、と通告した。同傘下のJR九州労(1400人)も同様の通告をし、JR東海労(1300人)は24日に通告する。これまでの交渉では3労組と会社側の主張にへだたりは大きく、JR発足後初めて「新幹線ストップ」も予想される大規模ストに突入する公算も出てきた。
 3労組は、旧国鉄の運転士の職能別組合だった動労出身者が多い。とくに西労は山陽新幹線運転士の7割、近畿圏の主要在来線運転士の6割を占め、東海労は東海道新幹線運転士の4割を占めている。突入すれば、代替運転士が足りなくなる31日夕前後から、東海道、山陽両新幹線を含めダイヤの大幅な乱れが予想される。
 3労組は、賃上げや安全対策、不当労働行為の3つの課題で統一闘争に臨む。要求はそれぞれ異なるが、西労の場合は@8.2%の賃上げA安全で働きやすい企業風土をつくるB会社の不当介入や差別を許さない−の3点を挙げている。
 これまでの話し合いでJR西日本会社側は、賃上げについては「東日本など他社の動向に準ずる」とし、他の2点とは交渉の切り離しを主張してきた。また介入間題では、「不当労働行為は存在しない」と強調してきた。
 これに対して西労は、切り離しは認められないとし、とくに不当介入問題では「助役が部下に脱退を求めたり、昇進試験での差別もあった」として、謝罪や改善を求めている。しかし、2月に西労が大阪府地労委に申し立てた不当労働行為の救済事件についても会社側は真っ向から対立しており、双方の妥協は容易ではない、との見方が強い。(朝日新聞)
■関西私鉄5社 27日スト予定 840万人に影響か
 日本民営鉄道協会は23日、私鉄大手13社の労組が27日に予定している24時間ストが実施された場合の影響をまとめた。それによると、全国で約3万3000本の電車と約10万本のバスの運休が見込まれ、計約2400万人近くの利用者への影響が予想されている。
 関西では私鉄大手5社(近鉄、阪神、阪急、京阪、南海)がストに突入した場合、電車、バス合わせて約640万人の通勤通学客の足に影響が出る見通しという。
 5社によると、電車は1万4817本が運休、またバスは近鉄、阪神、南海の3社合わせて1万4911本が運休の予定。(朝日新聞)
■私鉄スト200万人に影響か
 近畿運輸局は24日、私鉄総連傘下の中小私鉄、バスの組合が30日に予定している24時間ストに突入した場合の影響をまとめた。鉄道とバスを合わせ約5万6000本がストップ、計約217万人の足が乱れる見通し。(朝日新聞 夕刊)
■叡電のダイヤ改正 ラッシュ時に増発
 叡山電鉄は23日、4月1日にダイヤ改正を行い、朝夕ラッシュ時間帯の運転本数を増発する、と発表した。通勤・通学客の利便性向上が狙い。ダイヤ改正は一部区間の複線化に伴う1昨年9月以来。
 新ダイヤは、叡山本線(出町柳−八瀬遊園)で午前7時−9時に3−4本、午後6時40分以降に2本を増発し計69−72本の運転に増強する。これで、夜間も午後8時25分までは15分間隔(現行20分間隔)の運転。また、鞍馬線(宝ヶ池−鞍馬)では午前8時−9時、二軒茶屋までの区間で2−3本増発(学校休校中は休止)する。(京都新聞)
■チンチンバスを増発 臨時系統の新設も 市バス、1日から
 京都市交通局は来月1日から、「チンチンバス」の運行を毎日15回に増便するほか、東山方面への臨時系統を新設するなど旅客需要にあわせて市バスの運転計画を変更する。
 現在、土、日、祝日に限って1日10回運行しているチンチンバスを、平日も含めて毎日15回に増やす。京都駅前・午前8時半発から午後4時発まで、3台のチンチンバスで交互に運行する。
 東山方面への観光客の利便向上を図るため、京都駅前を起点にして東山、四条通を経由する「特206号系統」を新設。金閣寺方面への利便として、52号系統を等持院東町から金閣寺前経由、衣笠校前まで延長する。
 また「納所岸ノ下」(南2、臨南2系統)「上橋」(北6、臨北6系統)の2停留所を新設。51系統の三条京阪21時30分発を21時46分発にするなど6つの系統で終バス時刻を5分から約2時間半延長するほか、18系統で一部運転時刻を変更する。(京都新聞)
■静岡鉄道6200万円払え 山崩れで住民8人死亡 擁壁の安全を欠く 地裁判決
 昭和49年7月の「七夕豪雨」で静岡市の賤機(しずはた)山が崩れ住民8人が死亡した事故で、名古屋市中川区野田、会社員水谷知生さん(49)ら遺族13人が、静岡県と山に観光用リフトを設置していた静岡鉄道(川井祐一社長)に総額約2億5000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が24日午前、静岡地裁であった。
 塩崎勤裁判長は「リフト道床の擁壁の安全管理に手落ちがあった」として静岡鉄道に約6200万円の支払いを命じた。静岡県に対する請求は認めなかった。同鉄道は控訴の手続きを取った。
 判決理由の中で同裁判長はがけ崩れの原因の一つとなったリフトの安全性について、道床のコンクリート製擁壁に傾いていた部分もあり、支柱もひび割れが生じていたと指摘。「現場は急傾斜地で、ふもとには民家が多数あったことを考慮すると、擁壁は山腹にある土留めとしては安全性を欠いていた」と述べた。
 静岡県の責任については「賤機山の斜面には崩壊の具体的危険性があったとまで認められず、急傾斜地法に基づいて災害防止の工事をする権限を行使しなかったとしても著しく合理性を欠くものであったとはいい難く、違法ではない」と判断した。
 訴えによると、同年7月7日深夜、賤機山(172.9b)の東側斜面で幅35b、長さ約130bのほぼ同規模のがけ崩れが2ヵ所で発生、ふもとの民家など十数戸が全半壊し、死者8人、負傷者4人を出した。(京都新聞 夕刊)
25日■点検JR5年 @ 独り立ち 激化する”兄弟げんか” 競争心先走り 体質改善まだ
 「ふるさとは遠きにありて思うもの」。室生犀星の詩を朗読した小泉今日子が「さて、今は東京から金沢までどのくらいで行けるでしょう」という問題を出す。15秒後、画面に答が放映される。「上越新幹線と特急『かがやき』で3時間58分」
 3月14日のダイヤ改定に合わせて関東のテレビに登場したJR東日本のクイズCM「答えは15秒後」に、JR東海の営業幹部は「一種の比較広告だ」と神経をとがらせた。
 東京−金沢間は国鉄時代から東海道新幹線を経由するのが一般的だった。東日本は「東海のルートよりうちの方が断然早くなった。もちろんお客さんを奪うのが狙い」と競争意識を隠さない。
・宣伝費は300億円超す
 JR各社の宣伝費は推定で年間計300億円以上。国鉄最後の年となった1986年のざっと6倍で、電通の担当者は「今やトヨタに匹敵する大スポンサー。各社ともJR他社との違いを強調している」という。
 今回のダイヤ改定の際も首都圏のJR列車に、東海がドル箱路線の新幹線「のぞみ」の車内広告を出そうとしたが、東日本から「スペースがない」とはねつけられた。新大阪駅では、西日本が山陽新幹線岡山延長20周年記念の催しを企画したが、新幹線駅を管理する東海からクイズ用紙を配る屋台の出店のOKが出なかった。
 こうした小競り合いは、私鉄の関係者には『兄弟げんか」としか映らないが、JR各社とも「兄弟といっても、今は競争相手。けんかは自立心の表れ」と、むしろ胸を張る。
 その典型とされるのが、新幹線のスピード競争だ。JR東海の「のぞみ」に対抗し、JR西日本は最高時速350`、新大阪ー博多間を2時間20分台で走る「500系」を開発、近く試験走行を始め、将来は東京へ乗り入れを目指す。
・切っても切れぬ関係
 自主独立を強調する「けんか相手」は、しかし、レール1本でつながる、切っても切れない関係にある。
 東京・丸の内の旧国鉄本社内にある鉄道情報システム社からJR各社に、毎月3日付で通知書が送られてくる。各社の窓口で売った切符類の前々月の総売り上げ報告から、他社の路線にまた掛る線の掛金と手数掛(5%)を計算したものだ。各社はこれに基づいて売り上げを精算し合う。
 JRの窓口では、普通運賃の切符のほか、団体割引など数百種類にも上る割引切符を扱う。しかし、この「通知」には、団体、普通・特急料金程度の区別しかない。私鉄は相互乗り入れの際には、通常、いつ、どの駅からどの駅に、何人が使ったかといった詳細なデータをやり取りする。それに比べれば、「通知」は、「丼(どんぶり)勘定」の域を出ない。
 関係者は「10億円、20億円の違いが後で判明したこともある。現在の精算方法は、ブラックボックス」という。
・遅れ目立つ商品管理
 昨年暮れ、販売情報がシステム化され、切符の「出所」だけは分かるようになった。東海の伊庭昌広営業本部長は「それでも、東海道新幹線の手数料を稼ぐために他社が割引切符を乱発しようとすれはできる。良くはなったとはいえ、データが入るのは1ヵ月後。まだ商品管理ができているとはいい難い」という。
 先走る競争意識とは裏腹に、各社独立した経営への体質改善は、まだ始まったばかりだ。
 国鉄の分割・民営化から、4月で5周年を迎える。JR各社の業績は好調にみえるが、西日本、九州、東海のJR総連傘下労組が賃上げや安全対策などを求め、31日始発から48時間のストを構えているうえ、旧国鉄時代の課題も多い。JRの5年間を点検する。(朝日新聞)
■新たに2遺族 示談まとまる 信楽鉄道事故
 信楽高原鉄道事故の補償交替について、滋賀県は24日の県議会特別委員会で、3月中に新たに2遺族とJR西日本、同鉄道との間で示談が成立したことを明らかにした。(朝日新聞)
■国労きょう 24時間スト
 国労(永田稔光委員長、3万2000人)は、JR各社と紛争が続いている採用差別事件などの早期解決や3万5000円の賃上げなどを求め、25日午前零時から24時間ストライキに入る。JR旅客6社と貨物会社の各拠点職場で、約1000人の乗務員(運転士、車掌)を含め、約4500人が参加。国労の全国統一ストで2年ぶり。(朝日新聞)
■新型機開車が完成 精かんなJR貨物
 貨物列車の高速化のため、JR貨物が開発を進めている高速ディーゼル機関車「DF200型」の第1号車両の完成式が25日、神戸市の川崎重工業兵庫工場であった。
 DF200は従来のDD51型に比べ、最高出力が50%増の1800`h、最高速度も時速95`から110`にアップ。車体はシルバーとえんじ色を組み合わせ、これまでの機関車のイメージとは全く違う精かんなデザインだ。
 メカニズムも、従来の機械式車輪駆動を電気式に変更、動軸を4から6に増やすなど全面的に改良している。(京都新聞 夕刊)
■摩擦熱で発火 リニア火災で報告書
 昨年10月、財団法人鉄道総合技術研究所(JR総研)の浮上式鉄道宮崎実験センター(宮崎県日向市)で、走行中のリニアモーターカー実用型実験車が全焼した事故で、JR総研の「車両火災対策委員会」(委員長・秋田一雄東大名誉教授)は25日、火災原因を調べた報告書をまとめた。
 報告書によると、火災原因について、回転不能状態となったマグネシウム合金製のタイヤホイールが、コンクリート製軌道との摩擦熱で発火、漏れ出した油圧装置の油に引火してアルミ製車体が一気に炎上した、としている。(朝日新聞 夕刊)
■ハイタッチテクノ 身近な技術のタネ明かし 電車の到着駅表示 車輪回転数から距離計算 ひと駅ごと10bの誤差 ドア開閉で位置修正
 「まもなく△△駅です」−地下鉄などで、到着駅などを示す電光ニュースのような案内表示を見て、便利な仕掛けだなと感じた人も多いだろう。東海道新幹線では「次は名古屋、あと□□`」といったキメの細かい情報も流している。こうした表示を・正しく出すのに、電車や列車はいまどこを走っているかを、どのようにして測るのだろうか。
 東京都営地下鉄では、昨年3月から浅草線の一部の車両に、12月に開業した12号線では、すべての車両に案内表示を導入している。
 都交通局によると、仕組みは意外に簡単だ。車輪の回転数から走行距離を計算し、電車の位置を割り出すのだ。
 モーターの回転は、歯車を介して車輪に伝えられる。歯車には97個の凸型の山がある。歯車のそばにセンサーを設置し、歯車の山が通過するたびに生じる誘導電流で、山がいくつ通ったかを数え、車輪の回転数を計算する。
 車輪の直径は86aなので、車輪が1回転して進む距離は、円周率を掛けて約2.7b。さらに回転数を掛ければ、走行距離が出る。これから電車の位置を割り出し、運転台にあるモニター装置が各車両のドアの上にある表示器に、あらかじめプログラムした案内文を流す。
 浅草線の場合、停車中はその駅名を、発車して300bまでは次の駅名を、その駅の200b手前からは到着予告を流すようになっている。
 ただし、ひと駅ごとに10b前後の誤差が出るので、駅でのドアの開閉で、電車がどの駅にいるかをセットし直し、誤差を正しているという。
 人やカバンがドアに挟まれて、開閉をやり直したら…「走行距離が200b以内で開閉した場合は、セットに影響しないプログラムにしているので、停車中に何回開閉しても問題はない」と、車両部計画課の佐久間昌階さん。
 12号線では、ホームの線路わきの装置から周波数68`ヘルツの信号を出し、これを頼りに到着案内を表示するシステムも採用している。
 東海道新幹線で現在位置の表示をしているのは、鼻先がとがった100系の列車。JR東海によると、車輪の回転数で走行距離を出すのは地下鉄と同じだが、駅の間隔が長いので誤差も大きくなる。
 そこで、2−10`おきにレールの間に設置した装置から出る100`ヘルツ前後の信号を1号車で受信して、列車の位置を絶えず補正している。
 100系の列車では、新聞社からのニュースも流しているが、こちらは別の仕組み。東京の総合指令所から光ケーブルで東京−新大阪間の31ヵ所の無線基地局に送信する。基地局はレールのそばに張った同軸ケーブルから電波にのせて情報を送り、列車は1号車の横腹につけたアンテナで受信する。
 同軸ケーブルは3年前に完成した。山本静彦・電波管理長は「車内の公衆電話もこれと同じシステムで、大幅なサービスの向上が図れた」といっている。(朝日新聞 夕刊)
■次世代新幹線 300`競うJR3社 低騒音や安定性も追求
 東京−新大阪を2時間30分で結ぶ「のぞみ」が東海道新幹線で営業を始めた。「カーブの多いこの路線で最高速度270`は限界」とJR東海が自慢する究極の車両。JR各社のスピード競争も激化している。JR東日本は、最高430`の記録に挑む試験車両「STAR21」を導入すれば、JR西日本も500系車両で最高速度350`以上をめざす。いずれも世界記録を持つフランスのTGVを意識して、営業速度300`時代を開く技術開発だ。
〈JR3新幹線の性能比較〉
 新 幹 線最高試験速度
(目標)(`)
営業最高速度
(目標)(`)
所要時間
(目標)
軸重
(トン)
車体材質先頭部の形
JR東海・西日本東海道・山陽
ひかり「100系」
230東京−新大阪
2時間49分
16鋼鉄クサビ形
JR東海同上
のぞみ「300系」
325.7270同上
2時間30分
11アルミ合金面長の流面形
JR西日本同上
500系
(385)(350)新大阪−博多
(2時間20分台)
10同上ロングノーズ形
JR東日本東北・上越やまび
こあさひ「200系」
275東京−盛岡
2時間36分
17同上クサビ形
山形つばさ
「400系」
240東京−山形
2時間27分
13鋼鉄流線形

STAR21
(430)(300)東京−盛岡
(2時間10分前後)
8ジュラルミン
アルミ合金
クサビ形
 「のぞみ」は1964年の新幹線開業以来初のフルモデルチェンジ車両。国鉄から受け継いだ技術をもとに「高速かつ低騒音」という相反する2つの目標をぎりぎりまで追求した。
 車両の重さを示す軸重を現行の16dから11dに下げ、軽量の「ボルスターレス台車」を採用した結果、1両の重さを60dから45dにまですることに成功した。天井にあった空調などの機械類を床下に移して重心を下げ、カーブでの高速安定走行を可能にした。
 騒音の面では、車体の高さを40a低くし、窓やドアの凹凸をなくすことや、先頭車の形を変えたことで空気との摩擦昔を減少させた。
 JR東海技術陣の関心はすでに、次世代車両300X系に移っている。最高時速400`以上、350`の営業運転をめざして4月にも設計作業に入る。
 高速化意欲は、世界記録515.3`を持つTGVに刺激された面もある。日本の最高記録は、JR東日本の山形新幹線用新型車両「つばさ」が上越新幹線で樹立した345`。地上設備などの条件が異なるとはいえ、フランスに比べてなお10年の遅れ、という。しかし車両関係者は「数年のうちにTGVを超えるめどをつけたい」と目を輝かしている。その目標を実現しそうなのが、JR東日本の「STAR21」と、JR西日本の「500系」。
 「STAR21」はまず、93年度末に予定している東北・上越新幹線の300`営業運転実現のデータを収集する。
今年4月から、東北新幹線で試験走行する1編成9両のうち、すでに4両が完成している。
 同社が「新幹線としては日本初」と意気込むのが、9両のうち5両の連結部に台車を置く「連接台車方式」の採用。TGVと同じ技術で、カーブでの高速化と乗り心地の向上の両立がねらいだ。
 JR西日本が開発している「500系」は最高350`以上、新大阪−博多を現在より約30分短縮の2時間20分台で走るのが目標だ。近く、1編成6両の試験車両が完成し、5月から山陽新幹線で試験走行する。94年営業開始予定。東海道新幹線にも乗り入れると、東京−博多は4時間40分台で結ばれる。
 500系の先頭はキャノピー(運転窓付近の覆いのふくらみ)つきと、そうでない形の2種類をつくり、窓の数もゼロから18個までの5種類の車体を用意して騒音への影響を調べる。翼形パンタグラフと車体の傾きを制御する方法も新たに開発してデータを集める。
・理論的には1000`も可能 井口雅一・東大教授(鉄道工学)の話 東海道新幹線の開業当時は、360`が鉄道の速度限界といわれた。地上設備や地理的な条件にもよるが、空気抵抗などを減らすことで、理論的には1000`程度までの速度アップは可能と思う。だが、試験による速度記録の樹立とは別に、営業速度は安全性を確認しながら徐々に上げていく慎重さが必要だ。(朝日新聞 夕刊)
26日■私鉄交渉きょう大詰め スト設定を背景に攻防
 金属産業の一斉回答に続く92春闘のヤマ場となる私鉄大手の賃上げ交渉は25日、私鉄総連と日本民営鉄道協会の労使トップによる4回目の少数交渉や断続的な事務折衝を展開、回答水準をめぐる腹の探り合いが続いた。
 経営側は同日午後、労務担当者会議を開催、夕方には社長会を開いて対応を協議。組合側も中央闘争委員会で交渉の三役一任を決めた。26日には翌日始発時の大手組合スト設定を背景に労使の攻防が大詰めを迎える。
 鉄鋼が昨年実績額を1500円も下回るなど、金属産業の賃上げ回答は軒並みダウンした。これを受け私鉄経営側は「相場を超えた回答はできない」と主張。これに対し組合側は「私鉄に引き算の理由はない。独自の判断を」と反論、昨年実績額の1万7000円(6.41%)を目指す。
 労使間の隔たりは大きく、交渉は26日深夜か、場合によっては27日未明までもつれ込む情勢だ。
 京滋関係では、27日始発から終日ストが行われた場合、京阪が京阪・鴨東、宇治、京津、石山坂本各線などで1639本、阪急が京都、嵐山両線で665本の運休となり、合計約77万9000人の足に影響する。近鉄は昭和34年以来、集改札ストなどの戦術をとっている。
 また30日の第2波には、交渉が解決しなかった場合の大手各社のほか、中小の京福、叡山両電鉄と丹後海陸交通ケーブル、バスの京阪、京都、阪急、京阪宇治交通、京都交通、丹後海陸交通、カヤ興産、奈良交通、大阪空港交通、江若交通、滋賀交通の計14社が24時間ストを構えている。(京都新聞)
■点検JR5年 A J 低私高 運賃の逆転あちこちで 86年から凍結 前途は黄信号
 JR大阪駅。白く輝く「新快速」が満員の乗客を乗せ、ホームにすべりこむ。最高時速120`、神戸・三ノ宮から19分、京都から29分で結び、速度は私鉄をぐんとしのぐ。乗客がこの1年で3割増という人気ぶりだ。同駅の1日の乗降客は80万人と伸び、これまで関西でトップだった阪急梅田駅を抜いた。
・ダンピング批判も
 さらにJR西日本は割引率が最大47%と激安の回数券「昼特きっぷ」も売り出した。競合する私鉄からは「ダンピングに近い」と批判も出る。
 阪急、阪神、近鉄、南海、京阪5社が都心から放射状に延びる「私鉄王国」の関西で、最近、私鉄の運賃がJRより高くなる「J 低私高」の逆転現象が起き始めている。去年11月の私鉄値上げで、大阪のベッドタウンの茨木市から大阪まで、阪急の運賃が230円に上がり、並行して走るJR運賃より20円高くなった。
 この逆転現象は、関東や東海でも起きている。上野−船橋間がJR370円に対し、京成電鉄390円(旧運賃340円)、名古屋−四日市間は87年の近鉄値上げで運賃が逆転、昨秋の再値上げでその差がさらに広がっている。
 政府は当初、JR発足後毎年3−5%の値上げはやむを得ないと見ていた。ところがJR運賃は旧国鉄持代の86年9月以来、凍結。この間、関西を始め関東、東海の私鉄は値上げしている。
・赤字続きの路線も
 関東で昨秋、最高の値上げ率だった小田急電鉄の幹部は、こう説明する。「私鉄は収入の7割以上をラッシュ緩和のための複々線工事など設備投資につぎ込んでいる。その点、JRさんは国鉄時代の余裕があるから」
 だが、JRもそうバラ色ではない。民営化後もローカル線の廃止は相次ぎ、西日本管内でも兵庫県の鍛冶屋線など2線区がバス路線に、滋賀県の信楽線、石川県の能登線など5線区が第三セクターに切り捨てられた。第三セクターの中には経営難で年間2、3000万円の赤字を出し自治体の基金を取り崩している路線も。
 JRの運賃制度は大都市に安く、全国一律の普通運賃に比べ、東京や大阪の大都市圏は約5%引きだが、1日8000人以下の不採算路線は運賃率(1`当たりの運賃)が1割高くなっている。
 毎年100億円前後の営業赤字が続くJR四国。香川、愛媛、高知を結ぶ1月末の四国横断自動車道開通のニュースに、「これでJR土讃線の客が減る」と役員は浮かない顔だ。「関連事業に力を入れるが、赤字解消の決め手がない。民営化時にもらった経営安定資金の運用益で何とか食いつないでいる。このままではやがて値上げせざるを得ない」ともらす。赤字続きの九州、北海道も運賃値上げを頼りにする。
・逆に値下げ圧力も
 逆に、毎年の増収増益で「値上げはしない」と誇る本州3社に対し、「黒字なら値下げを」との圧力がかかる。17日の参院予算委員会。奥田運輸相は「私鉄との運賃格差が縮まるよう収益を振り向ける努力を」と暗に値下げを求めた。
 通勤圏をかかえ混雑率が高い大都市圏の路線も、いつかは設備投資の重荷を背負う時が来る。これからJRの真価が問われる。(朝日新聞)
■春闘 私鉄、詰めの少数交渉
 組合側が27日始発時から設定した24時間ストライキを前に、私鉄大手の労使は26日午前、東京・丸の内の日本民営鉄道協会(民鉄協)で、トップによる詰めの少数交渉に入った。
 経営側からは東武鉄道副社長の清水一夫・民鉄協労務委員長ら、私鉄総連からは田村誠委員長ら幹部が出席した。組合側の要求は2万5000円(9.3%)の賃上げと臨時給(ボーナス)の0.2ヵ月の上積み。組合側は妥結の水準について、1万6000円台半ばと臨時給の満額確保を目標にしているが、経営側は景気後退による経営環境悪化を理由に厳しい資勢を見せており、労使の激しい攻防が予想される。(朝日新聞 夕刊)
■集改札ストに戦術をダウン 近鉄労組
 関西の私鉄大手5社(近鉄、阪神、阪急、京阪、南海)の労組が27日に設定していたストで、近鉄労組は26日未明、集改札ストに戦術をダウンすることを決めた。このため、近畿運輸局は同日、私鉄大手のスト影響予測を電車とバス合わせ486万人に修正した。
 運輸局によると、スト突入の場合、27日は電車9753本が運休、461万人に影響する。バスは南海、阪神の2社で1万73本が運休し、影響人員は25万人。また30日に設定している中小の私鉄ストでも滋賀交通などが中止となり、40社5万5000本が運休、影響人員215万人に修正した。(朝日新聞 夕刊)
27日■私鉄スト突入は微妙 賃上げ 1万5700円を提示
 私鉄大手の賃上げ交渉で経営側は27日未明、1万5700円を正式に提示した。これを受け、組合側は同日午前1時半から各単産に経過を報告したが、ストを回避するかどうかは微妙。
 組合側が27日の始発から24時間ストを構えた私鉄大手労使の賃上げ交渉は26日夜、民鉄協と私鉄総連の労使トップによる少数交渉を行った。席上、経営側は正式に昨年実績より1500円低い1万5500円を提示。これに対し組合側は「検討に値しない額だ」と経営側に再考を促し、双方歩み寄りがないまま交渉は約20分で終わった。
 その後、経営側は午後11時すぎから社長会を再開、最終的な意思確認作業を続けた。
 組合側は1万6000円台に乗らなければストも辞さないとの姿勢を崩さず、500円の幅をめぐって、交渉は同日深夜から翌未明までもつれ込んだが、27日未明になって経営側が1万5700円の回答を提示、私鉄総達は最終方針を決定する中央闘争委員会を開く予定。
 ストを構えているのは東武、京成、京王、東急、営団地下鉄、相模鉄道、南海、京阪、阪急、阪神、西鉄の11組合。名鉄、近鉄は事務部門ストや集改札ストに戦術ダウンした。(京都新聞)
■「持ち家売れぬ」新居断念続々と 高倍率突破も暗転 −公的住宅− 106億浮いた 京都市のJR跡地買収公共事業には恩恵
 京都府住宅供給公社が、昨年7月から売り出した相楽郡木津町の「木津かぶと台」マンションは、当選者の辞退組が続出。結局、分譲した6棟・137戸中、16戸が売れ残ったままだ。
 1戸当たりの平均専有面積が90平方bを超え、価格帯も3000万−5000万円未満に設定したことで、競争率は5.37倍と人気を呼んだ。だが、当選辞退の理由は、手持ち物件の値下がりで、購入者の資金繰りのメドがつかなくなったのがほとんど。
 同公社は制度上、値下げができず、補欠組とキャンセル待ちにアタックし、補充に務めたものの、追いつかなかった。地価下落の中で、「来年度の分譲は当初予定戸数の3分の2、85戸に縮小する」(井山吉良常務理事)と、声を落とす。
 京都市は、平安建都1200年記念事業のイベント会場として、国鉄精算事業団所有のJR梅小路貨物駅跡地(下京区、11.6f)を買収するため、今月に入って本年度分約3fを約145億円で買収する契約を結んだ。
 市が本年度当初予算に計上した用地取得責は252億円だったが、この間の地価下落で106億円余が浮いた勘定。「公共事業の進展にとって、地価下落はありがたい」と喜ぶ。(京都新聞)
■地下鉄線路に6児童 100b前急停車 捜索で全線マヒ 大阪・「探検」迷う
 26日午後5時半ごろ、大阪市阿倍野区桃ヶ池町一丁目の大阪市営地下鉄谷町線田辺−文の里駅間で、八尾南発大日行き電車が走行中、前方約100bの軌道上に数人の子供がいるのを運転士(32)が発見、急停車した。
 同地下鉄は運行中の27本をすべて停車させ、捜索。運転士が間もなく4人の小学生を見つけ、保護。両駅から出た駅員が残りの2人も近くで保護した。児童らにけがなどはなかった。
 阿倍野署などの調べによると、阿倍野区内の公立小学校の5年生(11)2人、3年生(9つ)2人、1年生(7つ)1人と、同市住之江区内の公立小学校の5年生(11)1人。
 児童らは25日から春休みで、昼ごろから公園で遊んでいたが、近くの阪神高速道路の高架下の地下鉄の排気塔敷地内に、フェンスのすき間かり入り込み、かぎのかかっていなかった排気塔のドアから階段を下りて約8b下の軌道内に出、直後に発見された。
 児童らは「ドアを触ってみたら開いたので中に入ってみた。真っ暗だったので自転車の懐中電灯を外し、それを持って探検に入ったが、電車が来てびっくりした」と話している。
 排気塔のドアにはふだんはかぎがかけられているが、25日に地盤の検査のため排気塔かり地下鉄軌道内に入った業者がいることなどから、同署はかぎのかけ忘れなど安全管理面で問題がなかったかどうか、同市交通局の関係者などから詳しく事情を聴いている。
 同電車は現揚に17分間停車後、運転を再開したが、上下31本、最高で17分の遅れが出、帰宅途中のサラリーマンなど約1万2000人の足に影響した。(京都新聞)
■私鉄交渉もつれる
 27日始発時から組合側が24時間ストを構えて、大詰めを迎えた私鉄大手の賃上げ交渉は26日、労使トップによる少数交渉と事務折衝を繰り返しながら、妥協点を求めてつばぜり合いが続けられた。組合側の1万6000円台という主張に、経営側が強い難色を示し交替は27日未明までもつれ込んだ。
 関西でストを予定しているのは、阪急、阪神、京阪、南海の4組合。近鉄は集改札ストだけ。バスは南海と阪神の2組合。突入すれば1日で480万人の足に影響すると近畿運輸局は予測している。JR西日本は私鉄ストに備えて朝のラッシュ時に大阪方面に向かう東海道線、福知山線、阪和線などに臨時電車数本を走らせる準備をした。
 経営側は当初事務折衝で、1万4000円台の額を提示した模様だが、2万5000円(9.3%)の賃上げと臨時給(ボーナス)の0.2ヵ月の上積みを要求している組合側は「相当な格差がある。とても話にならない金額だ」と再考を求めた。(朝日新聞)
■地下鉄探検 電車止める 軌道に小学生6人 地上排気塔から入る 阿倍野区
 26日午後5時25分ごろ、大阪市阿倍野区桃ヶ池町一丁目、市営地下鉄谷町線文の里−田辺駅間の軌道内に男児たちがいるのを、八尾南発大日行き上り電車(6両編成)の山崎昌広運転士(32)が見つけた。電車は現場に急停車。6人の男児たちを保護するまでの19分間、同線を走行中の他の電車30本も全部ストップする騒ぎとなった。男児たちは「地上にある排気塔のドアが開いていたので地下鉄と知らずに深検のつもりで下りていった」と話しているという。阿倍野署はかぎの管理に手落ちがなかったか市交通局から事情を聴いている。
 同署の調べでは、軌道に入り込んでいたのは近くの市立常盤小学校などの男児6人で、5年生3人、3年生2人、1年生1人。
 山崎運転士が軌道内で4人を発見、さらに通報で駆けつけた文の里駅員が排気塔から線路に下りる途中の排風機室に他の2人がいるのを見つけた。
 調べでは、子どもたちは隣接する公園に遊びにきて、フェンスのすき間から敷地に入った。排気塔のドアが開いたので持ってきた自転車のライトをはずして真っ暗な排風機室を照らしながら下りて行ったという。
 地下鉄の軌道と排風機室を行き来しているうちに、電車が走って来たので、びっくりしたち話している。
 山崎運転士は「百b先の線路を横断する子どもらを見つけ急停車した。わきによけてくれたのではねずにすんだ」と話している。
 この排気塔は阪神高速松原線の高架下にあり、高さ10bの鉄筋コンクリート建てで、高さ約2bのフェンスに囲まれている。軌道の空気を地上へ送り出すための施設で、階段で地下8bの軌道とつながっている。
 この塔を管理している市交通局電力課の話では、出入り口のドアは通常、かぎをかけており、作業などで出入りする時は、田辺機械区の職員が開閉に立ち会っている。25日午後にも作業員が入ったが、施錠は確認したと話しており、「なぜ開いていたのかわからない」という。(朝日新聞)
■私鉄 11年ぶり通勤時スト 643万人の足を直撃 賃上げ 1万5700円で妥結 昼前に中止
 私鉄大手労使の賃上げ交渉は27日未明までもつれ込み事実上決裂、関東、関西系の大手9組合が始発から24時間ストライキに突入した。ラッシュ時を直撃したストは11年ぶり。経営側は26深夜、提示した昨年実績比1300円減の1万5700円(14組合平均5.70%)にスト入り後も上積みする姿勢を見せなかった。しかし同日午前9時すぎから労使の少数交渉で組合側は経営側が再提示した1万5700円の回答を受諾、10時20分、スト中止指令を出した。
 しかし経営側は「精いっぱいの額を提示した」として、組合がストに入ったとしても金額を上積みする考えのないことを表明。27日午前2時20分から再度開かれた社長会も進展がないまま散会した。その後、労使間の交渉は中断、こう着状態が続いた。
 労使交渉が決裂したのは昨年実績マイナス2200円のNTT回答が大きく影響した。経営側は世間相場からの突出感を伴う賃上げには強い難色を示した。
 首都圏や関西圏ではラッシュ時の通勤の足などが乱れ、千葉県内ではけが人も出た。私鉄大手のストは平成2年の時間切れストから2年ぶり。ラッシュ時に影響が出たのは昭和56年の私鉄スト以来。運輸省によると、電車、バス合わせ約643万人に影響が出た。
 ストを中止したのは関東の東武、東急、営団地下鉄、京成、相模鉄道、関西では阪急、南海、京阪、阪神。
 26日午後から断続的に持たれた交渉では、1万5500円と1万6000円の500円の幅をめぐって私鉄総連と民鉄協幹部の間で激しい攻防が展開された。経営側は社長会を通し同日深夜、労使トップ会談で最終回答として1万5700円を改めて口頭で提示した。
 組合側は回答を持ち返ったが、中央闘争委員会前の大手単組委員長との協議で「検討に値しない額」との結論に達し、中闘委の議題にしないまま、経営側に再考を促すため水面下で折衝を続行した。
・京滋関係でも25万人に影響
 大手私鉄のスト突入で、京滋関係では、京阪、阪急が始発から約6時間にわたって全線でストップ。正午ごろには平常ダイヤに戻ったが、11年ぶりの通勤ラッシュ時のストとなったため、計25万5000人の足に影響が出た。
 京阪では、午前5時の出町柳発淀屋橋行き普通電車からストップ。京阪・鴨東、宇治、京津、石山坂本各線などで計 521本が運休、11万5000人に影響がでた。
 一方、阪急では、午前5時の河原町発梅田行き普通電車はじめ京都・嵐山両線で、計251本運休し、約14万人が影響を受けた。
 私鉄ストで代替線となったJR東海道線の京都駅など各駅では、通勤客で混雑したが、大きな混乱はなかった。(京都新聞 夕刊)
■”備え”忘れ「困った」構内に悲鳴 千葉・松戸駅
 「えっ。ストに入っているの」。27日朝、目を覚ました首都圏のサラリーマンたちには寝耳に水の私鉄スト。私鉄大手の賃上げ交渉は同日未明に組合側の再回答要求で事実上決裂、始発からストに入った。午前10時20分には中止指令が出たが、ラッシュ時直撃のストは11年ぶりで、ストの準備を全く忘れていた通勤客らはJRと私鉄の乗り換え駅に殺到、千葉県・松戸駅では一時乗客約7000人が駅からあふれ、群衆に押されて女性客がけがをするなど、各地で混乱した。
 【松戸駅】都心から30`。JR常磐線と営団地下鉄千代田線が相互乗り入れし、新京成電鉄のターミナルでもある千葉県・松戸駅はJR電車に殺到する通勤客で大混乱に。午前8時ごろのピーク時には7000人が駅からあふれ、構内では女性の悲鳴と「押すな」の叫び声が飛びかった。
 千葉県警の機動隊員約200人が出動して、駅からあふれ出した乗客をロープで整理、誘導したほか、松戸市消防局の救急車がサイレンを鳴らしながら駅と病院を往復。混雑の中で将棋倒しに巻き込まれ、ぐったりした若い女性が救急車で収容される揚面もあった。
 【池袋駅】東武東上線と営団地下鉄が27日始発から運転をストップ。午前7時半からのラッシュアワーでは改札口の「スト決行中」の張り紙を見て、ぼう然と立ちつくす利用客の姿が目立った。
 友人とスキーに行った帰りという埼玉県・吉見町の大学生吉野博さん(20)は「他に帰る方法がないので…」と朝5時半から東武東上線改札口前に座り込んだまま。
 【新橋駅】JR山手線、京浜東北線のホームが私鉄からの振り替え客であふれ、電車が入ってくることが危険となったため、午前8時53分から9時5分まで、同ホームへの電車の進入をストップ。その後も徐行運転が続いた。
 新橋駅に向かう山手、京浜東北の客は一時東京駅で降ろされ、東海道線に振り替えられた。ただでさえ遅れている上、東京駅で降ろされた客の中からは「ちゃんと整理、誘導しろ」とば声が飛んだ。
 【オフィス街】いつもは混雑しない都営バス。この日は営団地下鉄の振り替え客で朝早くから停留所には乗客が列をつくった。満員で停留所を通過するバスも。空のタクシーもつかまらず都内のJRの各駅からは地下鉄乗り換えをあきりめて会社まで1−2駅分の距離を歩くサラリーマンが歩道にあふれた。
・甲子園への足にも影響
 選抜高校野球が開幕した27日朝、阪神電車のストで、球場に向かう観客の足が大混乱した。その影響で例年なら3万5000人程度になる開会式の観客も2万3000人。内、外野席とも空席が目立った。
 大会本部は、JR甲子園口駅から球揚までバス6台をピストン運行したが、殺到する観客と通勤客で駅周辺の道路は大混雑。同駅から歩いて球場へ急ぐ観客の長い列ができた。
 第1試合に出場した宮古高校(岩手)の約500人の応援団は、同駅ホームで長時間足止めをくい、引率の高屋敷幸男教諭は「開会式にはとても間に合わない。開会式を楽しみにしていたのに残念です」と話していた。また福岡県から来た女子中学生2人は駅前で「せっかく来たのに、開会式が見れなくなった」とがっかりしていた。(京都新聞 夕刊)
■「まさか…」大あわて 私鉄スト JR京都駅へ乗客殺到 自動券売機前に長ーい列
 昭和56年以来11年ぶりにラッシュ時にくい込むストとなった27日朝、京滋の各大手私鉄の駅でもストを告知する張り紙が掲げられ、照明やエレベーターも止められた。通勤客の大半がストを予測していたのか、駅や窓口も閑散とし、混乱はなかったが、JRは私鉄から流れた利用客らで混雑、高速道路や国道も通勤のマイカーで渋滞が続いた。
〈京阪三条駅〉
 京阪三条駅では、始発時間を過ぎても地下改札に通じるシャッターは下りたまま。利用者は川端通に面したバスプール付近で連絡を待った。午前5時前に駅員が「スト決行中」の張り紙を破りに姿を見せたが、利用者の「いつ動くの」の問いには「分かりません」と答えただけで、構内に消えた。
 深夜勤務を終え、大阪方面に帰るという飲食店従業員(64)は「コインロッカーに荷物を預けたまま。事情を聴こうとしてもだれもいない」と憤慨していた。午前7時を過ぎると、スト解除を見込んで来た通勤客や学生も集まり始めた。山科区でのテニスの試合に出場する選手を引率した京都精華女子中学校の秋田正子教論(41)は「集合場所だが人数もそろわない。連絡がつき次第JRに移動するつもり」と電話にかかりっきりだった。
〈阪急河原町駅〉
 阪急河原町駅では午前5時の始発の20分ほど前から、若者たちが集まりだした。スト設定を知っていても突入しないと思っていた人たちがほとんどで、電車が動いていないと分かると「うそ、信じられない」と叫ぶ男性もいた。
 この日が韓国旅行の出発日で、午前10時までに神戸に行かなければならないという男性は「困った」と急いでJR京都駅へ。しばらくは駅で20人ほどがスト解除を待っていたが、次第に他の交通機関に散って行った。夜を徹して遊んでいた若者の中にはカラオケへ逆行する人も。しかし、ラッシュ時になっても駅に来る人はまばらで、混乱はなかった。
〈JR京都駅〉
 一方、JR京都駅では東海道線ホームで乗客がいつもより2、3割増加。JR西日本本社から8人の応援を受け、通常2人の駅員をラッシュ時は6人に増やして対応、大阪行きの臨時列車を2本運転した。ピークの午前8時前後には、烏丸東口のJRと地下鉄の自動券売機には約100人の長い列ができ、ふだんの約3倍の混雑だった。
〈スト解除〉
 このあと、午前10時20分、ようやくストは解除されたが、解除指令を受けた阪急河原町駅では、午前10時40分に大阪梅田駅行きの急行を始発させた。ストを知らない利用者がほとんどで乗車も「約1割程度」(同駅)とまばら。他の私鉄各駅でも昼前にはふだんどおりの状況に戻った。
〈京阪膳所駅〉
 1日約1万人の乗降客がある大津市馬揚の京阪膳所駅では、隣接するJR膳所駅に電車が到着するごとに、数人の乗換客が京阪の改札口をくぐったが、ストに気付くと次々に引き返し、JR駅に戻ったり、駅前の公衆電話に駆け込んだりしていた。
 それでもラッシュのピーク時となる午前8時すぎには、事情を知らない通勤客ら約30人がプラットホームで電車を待ち続けていた。大津市役所へ打ち合わせに行く途中だという滋賀県甲賀郡石部町の男性(27)は「JRで大津まで行き、あとは歩きます」とあわてて引き返していた。
〈道路状況〉
 京阪や阪急のストの影響のため、京都市内の幹線道路では朝の通勤ラッシュ時に渋滞やノロノロ運転が続いた。京都府警交通管制センターによると、午前中道路の混雑状況は、ふだんは渋滞が1`程度の国道1号南行きが枚方市内から京都市南区の十条付近まで20`の渋滞、北行きも京都市南区の久世橋付近から15`と通常より約5`長い渋滞となった。阪急京都線沿線の国道171号は、国道1号からのう回車両もあり、ふだん2`程度の京都市内行きが、南区の石原交差点付近から8`の渋滞となった。国道9号もふだんを大きく上回る渋滞が山た。
・大阪方面行き JRを増発 2本を区間延長
 私鉄大手スト突入を受けて、JR西日本は27日朝、私鉄各線に並行する東海道・山陽線京都−姫路間、福知山線大阪−宝塚間、阪和線天王寺−和歌山間で、いずれも大阪方面に向かう臨時電車計6本を増発、2本を区間延長して運転した。
・駅員に詰め寄る姿も 阪急梅田駅
 大阪の私鉄沿線でも、異例の6時間ストは27日朝のラッシュを直撃、阪急梅田駅ではいらだった客がシャッターをこじ開ける騒ぎもあった。
 西日本最大のターミナル、大阪・梅田の中でも1日60万人の利用客のある阪急梅田駅。始発電車が出る午前5時前からスキー帰りの夜行バスで到着した若者を中心に約100人が階段のシャツター前で待ちぼうけ。
 ラッシュ時には200−300人に増え「まさかストとは」「仕事に行けない」とぼう然とする姿も。長引くストに業を煮やした客がシャッターをこじ開け、駅員に詰め寄る一幕も。
 私鉄各線と並行するJRの各駅は大混雑。東海道、福知山線の拠点駅ではふだんの2−3倍の乗客が押し寄せ、積み残しも出た。阪急、阪神の梅田駅に隣接するJR大阪駅は午前6時ごろからラッシュになり、サラリーマンらでごった返した。(京都新聞 夕刊)
■私鉄11年ぶり本格スト 関西・関東の9社 ラッシュ時600万人影響
 妥結水準をめぐって難航していた大手私鉄の賃上げ交渉は、労使双方の歩み寄りがないまま、27日朝までもつれ込み、時間切れで営団地下鉄や阪急電鉄など関東と関西の9組合が始発から24時間ストライキに突入した。ストに入ったのは90年春闘以来、2年ぶり。朝のラッシュ時まで影響が及んだ本格ストは、81年以来11年ぶりだ。このストで、朝の通勤通学客ら約600万人の足に影響が出た。こうした事態を受けて、経営側は、同日午前9時すぎ開いた組合との少数交渉で、組合員平均で昨年実績より1300円低い1万5700円(5.70%)の回答を正式に文書で、再度組合側に提示。「積み上げの意思がない」ことを通告した。組合側も、会社側の態度は不満だが、乗客への混乱を考えると「収束もやむなし」と判断、午前10時すぎから、中央闘争委員会を開き、スト収束を決め、午前10時20分にスト中止指令を出した。これで今春闘は最大のヤマ場を越えた。
・上積みなく中止 1万5700円
 ストに入ったのは、東武、東急、営団地下鉄、京成、相鉄(以上関東)、阪急、阪神、南海、京阪(以上関西)の9組合。私鉄総連の統一闘争に参加している大手14組合のうち、京王帝都、名鉄、近鉄、西鉄の4組合は事務部門や集改札のストに戦術ダウンし、スト権が成立しなかった京浜急行は平常運行した。
 26日から続いていた私鉄総連(田村誠委員長、18万9000人)と日本民営鉄道協会(民鉄協、会長・久万俊二郎阪神電鉄社長)との交渉はこじれ、27日未明にもつれ込み、事務折衝や少数交渉を繰り返した。経営側が労務担当役員会議や社長会を、組合側が三役協議で妥結水準を探り続けた。1万5500円を提示していた経営側が、午前零時すぎに、200円アップの1万5700円(大手14社組合員平均で5.70%)の回答を決め、組合側に提示した。1万6000円台を目標としていた組合側は、いったんは受け入れる意向をみせ、中央闘争委員会を開く予定だったが、各労組の「とても話にならない金額」との声が強く、中闘委を先送りし、経営側に再考を求めた。
 しかし、経営側は、同じ公益産業のNTTが昨年実績より2200円も大幅ダウンの回答をしたことを強く意識し「私鉄だけが、突出できない。100円も上乗せする気はない」とし、上積みを拒否した。両者の歩み寄りがないまま交渉は中断し、暗礁に乗り上げた格好になっていた。
・関西162万人に影響
 近畿運輸局の調べでは、阪急、南海、阪神、京阪の大手4社などで、計2940本が運休、約162万人の足に影響が出た。
・「悔い残った交渉」
 私鉄総連の田村委員長はスト中止指令を出したあと「内容はとにかく、悔いの残る交渉のやり方だった。上積みがなかったのは、やむを得ない。こういう場合もある。点数?何点というよりも労使のどちらも傷ついた」と語った。
・「ぎりぎりの線だ」
 民鉄協の清水労務委員長は「(今回の交渉の)点数をつけたら50点以下。ストがあっただけで落第点だ。ご迷惑をおかけしました。今回は、非常に難しく、経営側としてはぎりぎりの線を出した」と話した。
・「300円」埋め切れず 労組 逆風春闘、伝統示したが
 「300円」の差を埋め切れず、ずるずるストに。そして、積み上げのないま挙ハ中止。労使双方とも「ストは避けたい」といい、組合側が「ラッシュ時前には収めたい」としていた私鉄大手労組の2年ぶりの時間切れストは、最近では異例の、予想外の展開となった。
 ストに突入して約5時間後の27日午前9時20分すぎ。少数交渉を終えた病み上がりの田村・私鉄総連委員長は「これで決着できなけれは…」と、疲れ切った表情でスト収束をにおわし、中央闘争委員会の開かれる総連本部に向かった。その1時間後、スト中止指令が出された。
 今度のストは、ストなし春闘がすっかり定着している中で、「回答が不満ならストで闘う」という私鉄総連の伝統を改めて実証した。日本労働組合総連合会(連合)が設定した今春闘最大のヤマ場で、いわば「トリ」を受け持つ形になった私鉄総連は、経営側の厳しい抑制姿勢で冷え込む賃上げ相場を少しでも引き上げようという意欲を、ストで示した格好だ。
 組合側は25日段階で、1万6000円台半ばを目指していた。しかし、26日になって、昨年は私鉄と同額だった日本電信電話(NTT)が去年より2200円も低い1万4800円で妥結。このため、交渉終盤では狙い目を1万6000円に引き下げ、これをスト回避のための譲れない一線とした。
 一方、経営側は、NTTの下げ幅に困惑しながらも、それを私鉄に当てはめるのは無理と判断し、27日未明になって去年より1500円低い1万5500円を提示した。さらに再考を求められて、200円を上積みし、「他産業の最高が1万4000円台なのに、私鉄だけ突出できない」と主張。こちらも「譲歩できる上限」とした。昨秋、運賃を値上げしたものの、利用客の伸び悩みで鉄軌道部門は増収減益という苦しい台所事情もあった。(朝日新聞 夕刊)
■平常業務 混乱少なく 専用のバスチャーター 「振り替え」事前に徹底
 27日の大手私鉄によるストで、近畿のほとんどの企業は、大がかりなスト対策はとらなかった。JRや運行した近鉄への振り替えを事前に徹底しており、定時にはほぼ全員が出勤。病院も一部で医師らが泊まり込んだが、大きな混乱はなかった。
・企業・病院の対応
 住友銀行はJRの利用が難しい私鉄沿線や社宅、独身寮に16台のチャーターバスを出した。
 神戸・ポートアイランドのワールド本社では、特にスト対策はせず、JRや地下鉄、市バスを乗り継いだり、タクシーを使うなどして出勤した。
 京都市中京区に本社、工場のある島津製作所は、約2700人の従業員のほとんどが京阪神間から通勤している。私鉄を利用している社員には、私鉄と並行して走るJRなどに乗り換えて出勤するよう指示していたが、午前9時現在の出勤率は八割。人事担当者は「通勤時間がいつもよりかかっているようだ」と話していた。
 大阪市住吉区の大阪府立病院(778床)は、事前の調査でストのために出勤できないと分かった医師や看護婦ら8人が病院内の当直室や仮眠垂に泊まり込んだ。
・安ど・困惑 怒り交錯 揺れた「労」「使」
 いったんは妥結に向かうかに見えて一転、突入。約6時間後、「上積みなし」の回答で収束した11年ぶりの私鉄大手のスト。中央交渉の成り行きを徹夜で見守った「私鉄王国関西」の労組員らも予想を次々と裏切る展開に安ど、困惑、怒りと複雑に揺れた。
 「せっかくストを打ったのに…」。「上積みなし」の回答のままでの収束に、大阪市北区の私鉄労組関西地連幹部の顔に無念がにじんだ。
 「いつまでストやっとるんや」という市民からの苦情電話がひんぱんにかかり、野村恭三書記長(53)は「今はストを打つこと自体が難しい状況だ」と話した。
 田村委員長を送り出している大阪市浪速区の南海労組。前夜、午前零時を過ぎると、一部幹部がビールを傾け始め、「もうすぐ妥結や」というムードに。村橋書記長も「みなさんごくろうさまという気持ちだ」という一方で、「提示額は低い」と不満もにじませた。(朝日新聞 夕刊)
■慣れぬスト 耐えに耐え JR各駅に長蛇の列 あきらめ顔の会社員
 未明まで回避の動きを見せながら、一転、時間切れで始発から突入した私鉄ストは27日朝、通勤客らの足を直撃した。泉北ニュータウンでは泉北高速鉄道やバスが止まり、「陸の孤島」に。思わぬ本格ストに、JRの券売機やタクシー乗り場には長い列ができ、急きょ手配したタクシーやマイカー通勤の車で幹線道路の渋滞が続いた。すぐ中止指令が出ると予想して私鉄の各駅へ向かった会社員らは「スト決行中」の張り紙にびっくりしながらも、「この不況下、ストそのものはやむをえません」とあきらめ顔。振り替え客が殺到したJRでは駅員も、31日からのスト設定を控え、久々に緊張した面持ち。突風のよう'92春闘ヤマ場に、驚きが広がった。
●高槻
 高槻市のJR高槻駅は午前7時半ごろから、約四百b南東の阪急高槻市駅を普段利用しているサラリーマンらの切符を買う長い列ができた。駅前の松坂屋高槻店の周囲をぐるっと一周して200bに延び、「列の最後尾はどこ」と駅員にたずねる人や、割り込もうとして駅員にとがめられる人も。駅内外の公衆電話には会社に連絡をとろうとする人たちが殺到。電話待ちをしていた同市宮野町、会社員宮原宥介さん(54)は「不景気をあおって賃上げを止めようという雰囲気があるので、ストはやれはいいと思う。切符を買うのに時間がかかりそうなので、まず、会社に電話してみます」と話していた。
●梅田駅
 私鉄駅では全国一の66万人の乗降客がある阪急梅田駅では、3ヵ所の改札口にシャッターが下りたまま。「本日スト決行中」のはり紙がされていたが、シャッターの前には数百人が座り込んだり電話連絡に追われながらスト解除を待った。
 出勤途中という大阪市港区の会社員黒木降さん(57)は「生活のためのストなので理解はできるが、随時、状況説明はしてくれないと。30分おきに家に電話して見通しを聞いている状態です」と話していた。
●大阪駅
 一方、西日本最大の1日80万人の乗降客があるJR大阪駅では、ふだんの私鉄利用客がJR各駅で切符を買わなくても乗車できる「乗車証明書」を手に、改札口の精算窓口に殺到。中央改札出口では、八つの改札口を全部使って対応したがさばききれず、改札を出られない利用客の人波ができ、急きょ入り口改札2つを出口に切り替えた。
●泉北
 約16万人が住む大阪府堺市の泉北ニュータウンは、乗務員を南海に委託している泉北高速鉄道のほか、南海バスもストライキに入り、公共交通機関が全面的にストップし、陸の孤島となった。光明池駅の改札口周辺にはスト解除を待つ通勤客ら約500人が詰めかけたが、電車が動く気配もなく、手持ちぶさたでストの解除待ち。大阪・淀屋橋の生命保険会社員(41)は「ストの予定は知っていたが、ラッシュ時には解除されると思ってやってきた。どうしようもありません」とあきらめ顔。
・はずれた予想 渋滞で動けず タクシー会社
 600台を持つ日本タクシー(本社・大阪市旭区)、は、北摂地方や枚方市を中心に前日からの配車予約が4、500台あった。従来ストが想定される場合は、道路渋滞で配車通りに動かないため前日の予約を受けなかったが、今年は回避されると読んだため、キャンセルしなかった。早朝から、渋滞で予約時間通りに到着しないケースが多発、苦情の電話が相次いだ。「長年ストがなかっただけに甘くみた。スト対策が打てなかった」と同社。
 この日も、通勤の始まる午前5時半ごろからタクシーを呼ぶ電話が殺到。郊外の私鉄沿線の客には「2時間得ちです」などと配車係は断るのに四苦八苦していた。(朝日新聞 夕刊)
28日■JRスト計画決定 西日本など3労組 31、1日に48時間
 31日と4月1日に48時間ストを構えているJR総連傘下の旧動労系労組、JR東海労働組合(佐藤政雄委員長、約1300人)、JR西日本労働組合(奥島彰委員長、約4600人)、JR九州労働組合(北弘人委員長、約1400人)3労組が27日、大阪市内で合同記者会見し、具体的な戦術計画を発表した。
 それによると、JR東海労とJR九州労は48時間スト前日の30日正午から指名ストに入り、その後3労組が統一して31日午前零時から4月2日午前零時までそれぞれの拠点でストを構える。
 三労組には運転士が多く所属。特に新幹線の運転士の75%を占めるJR西労がストを打ち抜いた場合、JR西日本ではスト初日の午後早くから影響が出始め、会社側が運転士資格を持つ管理者の代替などで対応しても2日間で約50%の間引き運転は免れないとみられ、新幹線や通勤電車を中心にダイヤは大幅に乱れることになりそうだ。(京都新聞)
■JR西ストなら110万人に影響
 JR西日本労働組合からスト行使の通告を受けたJR西日本は27日午後、スト対策本部を設置、スト中の列車運転の見込み概要をまとめた。
 それによると、同社管内の山陽新幹線の季節、臨時運転のひかりと定期運転のこだまは、90%が運転可能で、影響人員は約9000人とみている。
 近畿圏の通勤電車であるアーバンネットワークは、助役クラスで運転免許を持つ”OB運転士”約140人を充当、ラッシュ時は6割運転を目指したいとしている。
 この結果、普通列車では1日当たり110万人に影響、ラッシュ時は混雑が予想される。(京都新聞)
■地下鉄東西線 工事差し止め訴え 九条山周辺住民 「交通権の侵害」と
 京都市の地下鉄東西線の建設計画に伴い、廃止が決められた山科区・京阪電鉄京津線九条山駅の周辺住民が「駅がなくなると生活環境が著しく悪くなる」として、京都市などがつくる京都高速鉄道会社(社長・田辺朋之京都市長)を相手に、東西線の御陵−蹴上駅間の工事差し止めを求める訴訟を、27日、京都地裁に起こした。工事は既に始まっており、訴えは駅が廃止された場合に被る損害として、500万円の賠償も予備的に求めた。
 訴えたのは「九条山の住環境を守る会」の白方英子代表(70)ら152人。被告の京都高速鉄道会社は市や京阪電鉄が出資した第三セクターで、東西線の御陵−三条京阪間を建設する。完成後、京阪京津線はルートを改め、東西線に乗り入れる。現在の九条山と日ノ岡駅は廃止され、東西線にも両駅は設けられない。
 訴状によると、九条山駅周辺はもともと駅の開設に伴い住宅が増えた地域で、住民らは駅と京津線を利用して生活している。東西線ができれば最寄りの駅は1.5`も離れた蹴上駅になり、起伏が激しく狭い周辺道路は通勤や通学、買い物に大きな負担となる。憲法が保障する移動の自由や幸福追及権など国民の「交通権」の侵害は著しく、駅の廃止を含んだ東西線の建設は生活環境を壊す違法な工事だ−などとしている。
 住民らはこれまで市や市議会に「東西線にも九条山駅の設置を」と要望や請願を重ねてきたが、工費や採算などを理由に退けられ、また交渉も一方的に打ち切られたため、提訴に踏み切ったという。
 京都高速鉄道会社の平野裕総務課長(市交通局高速鉄道本部調整管理課主幹)の話 訴状を見ていないので内容も分からないが、分かり次第十分検討し、対応していきたい。(京都新聞)
■社説 私鉄ストの意味すること
 私鉄大手労使の賃上げ交渉が決裂し組合は27日朝ストライキを決行した。11年ぶりの通勤ラッシュ時にかかるストとあって、関西と首都圏で約643万人の足が奪われ、大混乱した。
 新たな上積み回答を得られないまま組合は午前10時過ぎスト中止を指令。一体何のための半日ストだったのか、分かりにくい争議だった。が、経営側のいい分に従順に従う労働組合が多い中で、あえてストを打って異議を唱えた私鉄労組の行動は、横並び意識が支配的なわが国企業風土に一石を投じたことは確かだ。
 今年の大手私鉄の賃上げ交渉は100円玉3枚をめぐる攻防になった。経営側の1万5700円の回答に対し、1万6000円を下限と主張する組合側との話し合いがつかず、時間切れで2年ぶりの初発からのスト突入になった。
 それが、スト約5時間後の労使交渉で組合側は経営側が再提示した回答を受諾した。上積み回答での妥結なら話は分かるが、同じ金額の回答を一たんはけり、次には受諾するという戦術は第三者には理解できない。私鉄総連の田村委員長が「交渉をもう少し工夫したらとも思うが今回の状況では難しかった。いろいろ反省材料も多い」と自己批判しているのは当然だ。
 ストライキは労働者に認められている権利だ。その行使は労働組合の判断にゆだねられているが、労組も社会的責任がある以上、社会の規範に従うことが求められている。ましてや、私鉄といった公共性の高い産業で働く労働者の権利行使は、一般利用者の犠牲を最小限にとどめる配慮がほしい。この点、今度のストは多くの乗客に不意打ちの印象を与えた。遺憾な争議行動だったといえる。
 経営側には、相も変わらぬ横並び意識が働き、これが交渉を長引かせた。引き金を引いたのは昨年より2200円低い1万4800円で決着したNTTの回答内容だったとされる。NTTと私鉄は昨年同じ1万7000円で妥結している。NTTが低く、鉄鋼や電機、電力といった主要産業の回答額が軒並み1万5000円未満という中で、私鉄だけが組合の主張する1万6000円を受け入れて突出できないと経営側は判断したようだ。「NTTの回答で経営側がより低い形で回答のコースを変えてきたため、交渉に手間取った」と鈴木・私鉄総連書記長はいう。
 経営者の横並び意識は私鉄だけの現象ではない。賃上げと時短の2本柱で闘われた今年の春闘でも、各産業界での経営者の右へならえの意識が目立った。
 金属大手の一斉回答でヤマを超えた今春闘が「時短では一歩前進したが、貸金面では労働側の敗北」という評価をもたらしたのは、5年ぶりの景気後退と、経営者の横並び意識といえる。業績が急激に悪化した電機が賃上げ率前年比5%以下と相場をつくり、自動車、鉄鋼がこれに追随した。業績による差は少ない。
 経営者の横並び意識を支えているのは物分かりのよい労働組合である。賃上げも時短も企業業績を損なわない範囲に収めたいとする経営者の意向に逆らわず、一発回答に異議を唱えない組合は大企業に多い。
 ある経営者は「労組は企業の病気を知らせる神経だ」として、労組の存在意義を評価している。健全な経営を支えるのは健全な感覚を持った労組である。労組の唱える異議を前向きに受け止めたい。(京都新聞)
■点検JR5年 B しがらみ トップ人事も国の認可 「完全民営化」上場後も疑問
 「JR各社の社長は再任されるということかな」「酒の席での話。人事は最後までわからないよ」。2月中句、JR各社の幹部たちの間で、奥田運輸相の発言が話題をさらった。
 「奥田発言」は2月4日夜、都内で開かれた新旧運輸相・政務次官の歓送迎会でのことだ。酒をくみかわしながらJR7社の社長に「みんな、仲良くしてくれ、株式上場までいまの体制でいくのだから」と、話しかけた、といわれる。その「体制」が、社長人事を意味するのかどうか、はっきりしない。が、6月に役員改選を迎えるJR側は、つい過剰反応してしまう。
・「JAL」に学べ
 JRは国鉄清算事業団が100%株主の特殊法人。いわゆる「JR会社法」で社長の選・解任は運輸相の認可事項と決められている。5年たつが、トップ人事さえ独自に決められない「民営化」を象徴している。
 JR各社は「本当の自主経営権を確立して、一人前の民営会社になるためにも、一日も早く上場したい」と目標を掲げる。先輩格の日本航空(JAL)は上場後、株の放出をすべて終え、さまざまな規制を定めた「JR会社法」から解放された。閣議決定で「遅くとも91年度」とされたJR株式の処分は、株式市場の低迷などで今年度は見送られた。
・ほぞをかむ出来事
 「上場・完全民営化さえできていれは、国の強い影響は避けられた」とJR側がほぞをかむ出来事が続いた。
 昨年10月、JR本州3社は新幹線を、リース組織の「新幹線保有機構」から9兆1000億円で買い取った。当初は30年間リース料を払ったあと、無償譲渡を受けるはずだったといわれる。それが急に買い取りに変更されたうえ、「改革」当時の評価額よりも1兆円上積みされた。1兆円の用途は整備新幹線の建設費へ。裏には国の強い意向が働いていたという。
 JR西日本の井手正敬副社長は「今回は、がまんして納得した。JRが業績を上げて生み出した成果物が収奪されるならは、今後は断固反対していく」と言い張る。
 JR側の意思とは全く無関係に、昨年、日米政府間の建設協議でも外国参入事業に、上野と京都のJR駅ビル建設事業が追加された。必要に応じて建設計画などの情報を開示しなけれはならなくなる。「寝耳に水。政府から完全に独立していない表れだ」と映る。
 JR東海、東日本では社員持ち株会が発足、上場の受け皿作りを急ピッチで進める。しかし「仮に上場し、株を放出しても、政治や国の影響を断ち切れるのだろうか」とあるJR幹部は疑問を口にした。
・政治と切り離せず
 JRは私鉄と異なり、全国に路線を持って地域住民や経済への影響が強く交通政策とかかわるだけに、「政治の世界とは完全に切れるとは言いがたい」(JR幹部)。労使、安全対策、運賃などの問題では、国会で取り上げられることが多い。JR側は何かにつけ国会議員会館へ説明や釈明、根回しに行くことが日常的だ。
 「本音で言えば、政治や行政とのつきあいも、JRの利益になる場合は今後も活用する」とJR幹部。一方で、ある運輸省OBは「上場するしないにかかわらず、今後も国とJRの関係はそれほど変わらないのではないか」と話す。「完全民営化」の具体像は、まだ見えてこない。(朝日新聞)
■JR3労組スト計画 新幹線や主要幹線 「貫徹」訴え決起集会
 31日から48時間ストを構えているJR総連傘下のJR西日本、東海、九州の各労働組合は27日までにスト戦術を会社側に通告し、その内容を同日、発表した。3労組で延べ約6000人が参加。東海道、山陽両新幹線をはじめ、大阪環状線、山陽線など主要在来線45線区を対象に拠点を設けるとしている。
 会社側に対する最終回答の指定日は30日午前としている。回答に不満の場合には、同日正午から一部指名ストに入り、31日午前零時から48時間ストに踏み切る方針。拠点は西労が20ヵ所、東海労が18ヵ所、九州労が18ヵ所という。
 3労組は旧国鉄の運転士の職能別組合だった動労出身者が多い。とくに山陽新幹線運転士の7割、東海道新幹線では4割を占めている。ストに突入すれば、31日以降、両新幹線や主要在来線で、ダイヤの大幅な乱れが予想される。
 3労組は27日夜、大阪市内で「スト貫徹三組合総決起集会」を開いた。「団結」の鉢巻きを締めた約1700人の組合員が参加。労組の旗を壁に張りめぐらせた会場は満員で、廊下にあふれるほど。
 各労組の委員長あいさつに続き、JR総連の福原福太郎委員長は「私鉄総連はストに突入する中で、一定の成果を上げた。いよいよ、我々JR総連の番だ」とゲキを飛はすなど、応援のあいさつが続き、約1時間の集会は「団結 ガンバロウ」のかけ声で終えた。
・JR西日本がスト対策本部
 JR西日本は27日夕、JR西労から通告された31日のストに突入した場合の運行ダイヤの概要を発表した。山陽新幹線は1日で10往復が運休するほか、東海道・山陽線の新快速(1日120本)は全面運休、大阪環状線など主要在来線も40−60%の間引き運転になるなど計112万人の足が奪われるとして、社内にスト対策本部(本部長・井澤勝鉄道本部長)を設置した。(朝日新聞)
■泰緬鉄道の調査を豪紙「墓泥棒」扱い 映画で記録の邦人グループ憤慨 訂正求めて出発 大使館も強く抗議
 第二次大戦中、多くの連合軍捕虜やアジア人労働者らの犠牲で建設された泰緬鉄道(タイ−ミャンマー間)の現地調査をした日本の市民運動家らが、オーストラリアの代表的な全国紙オーストラリアンで「墓荒らし集団」などと報道された。実名で批判された市民は「断固、訂正を求めたい」として26日夜、オーストラリアに向け成田空海を出発、在豪日本大使館も抗議をした。「日本軍の戦争責任を市民の手で明らかにしたい」という熱意が新たな国際摩擦の種になった形で、関係者らは困惑を隠せない。
 同紙23日付の報道は3n目の紙面の半分近くを埋める派手な扱いで、見出しは「日本人が”死の鉄路”犠牲者の墓荒らし/遺品ほしさに旧軍人が気味の悪い探索」。オーストラリア兵など1万3000人の連合軍捕虜の犠牲が出た線路沿いで、旧日本軍人らが遺品や遺骨を発据、東京の「遺品市場」に持ち帰っている、と報じた。
 「完全な遺骨なら1000バーツ(約5300円)出す、と言われた」「輸送中に爆撃された列車の金塊があるはず」などという地元タイの人々の声も紹介している。
 この批判を受けたのは、教育問題などを話し合う千葉県の「共生舎映画制作グループ」で企画を担当する元教員中村秀樹さん(41)ら。過去の歴史をきちんと伝えたいと、2年3ヵ月かけ、8回の現地入りで撮った30時間の記録フィルムを昨秋、16_カラー「死の鉄路−残されたものたち」(46分)にまとめたばかり。着工からちょうど半世紀の今年、東京、神戸など各地で上映会が開かれている。骨の発見場所は地元の人々が長年、畑にしている地点5ヵ所で墓ではなく、「金塊や遺骨だとか、すべて事実無根」という。
 「確かにいくつかの骨片と豪州軍人認識票などは持ち帰ったが、将来、現地に碑を建てた時に埋葬したり、遺族に返すつもりだった。泥棒扱いを受けるなんて」と憤慨。日本のシドニー総領事館の協力で来週中にも同紙本社を訪れて訂正を求め、現地で発見したオーストラリアの軍章4つと農家から500バーツで買った認識票1つを遺族に返す予定だ。
 記事の中で、「中村さんと共に行動した親類の元日本軍人」と書かれた元憲兵の永瀬隆さん(74)=岡山県倉敷市=は、これまで約70回、連合軍戦争墓地の墓参りをしたが、中村さんと共に旅したことは一度もない、という。泰緬鉄道での経験を反戦平和の立場で訴えており、「もう戦争はしたくない、と思ってやっとるのに、あまりにひどい日本たたきでいやになってくる。日本人は汚い人間だ、と思われとるということですか」と、がっくりした様子だ。
 同紙は、「元捕虜ら怒る」(24日付)という続報の後、25日付で初めて「墓据りは”映画のため”」と東京発の反論を掲載。しかし、日本大使館は納得せず、26日の抗議で「大使館としての反論文を掲載し、中村さんにもきちんと対応するよう」求めた。
・「泰緬鉄道研究会」メンバーの内海愛子・恵泉女学園大助教授(日本アジア関係論)の話 対日戦で心身に受けた傷が、豪州の元捕虜たちにとって今も根深いことをうかがわせる出来事だ。日本も豊かになり、戦地を訪れる人が増えているが、善意でも相手とのギャップの中で誤解されることもある。アジアや旧連合軍の人々の心境に目配りした行動が必要では。
・捕虜問題の反感か
 在豪日本大使舘の榎泰邦公使の話 最低の事実確認もしない、お粗末な記事だ。有力な全国紙にこんな記事が載るのは、捕虜問題の処理で日本への反感がかなり強いからかもしれない。
・泰緬鉄道 タイとミャンマーをまたぐ約415`の軍用鉄道。1942年7月からわずか1年4ヵ月の突貫工事で完成した。過酷な労働実態は映画「戦場にかける橋」でも紹介された。(朝日新聞)
■夕刊ひろば 小銭切らし困惑 バス運転手さんに感謝
 早朝、出町柳から岩倉行きの京都バスに乗りました。蓼倉橋バス停で降りようとしたところ、あいにく小銭が150円しかなく、あとは1万円札だけということに気付きました。仕方なく中年の運転手さんに「うっかりしていてすみません。1万円札で回数券を買いますから、おつりをいただけますか」と、おわび方々お願いしました。すると、その運転手さんは「おつりはないので、あるだけ払ってください。残りは今度乗ったときでいいですよ」と機転をきかせ、優しく答えてくれました。私は好意に甘えて150円を支払い、ほのぼのとした気分でバスを降りました。
 もし、あの時しかられていたら、暗い一日を送るところだったのを、おかげで明るい一日が過ごせました。昔からバスの運転手さんの応対についての苦情がよく新聞の読者の声欄に載ります。会社の規則上、料金不足は本当はいけないのでしょうが、こういうやさしい運転手さんもいるということが知ってほしくて、電話しました。運転手さん、ありがとう。(京都市左京区、主婦・33)(京都新聞 夕刊)
29日■時々刻々 民営化5年で初 JR いまなぜストか 旧動労・鉄労の再分裂が機に 会社介入に危機感
 民営化から五年、華やかに生まれ変わったはずのJRが、初めて突きつけられた大規模ストの予兆に揺れている。JR総連傘下のJR西労(4600人)、東海労(1300人)、九州労(1400人)の旧勤労系3労組が、31日から48時間のストを構えているからだ。突入となれば、13年ぶりに東海道、山陽両新幹線を含めた主要路線が大混乱するのは必至。株式上場も目前にし「夢の超特急・のぞみ」に代表されるスマートイメージが定着したかに見えるJRで、いま、なぜストなのか−。(社会部・恵村順一郎)
◎統一闘争◎
 3労組がスト戦術を発表した27日夜、大阪市浪速区の同和地区総合福祉センターは、JR労組員約1700人の熱気が充満した。西労、東海労、九州労の3労組合同の「ストライキ貫徹総決起集会」だ。
 JR総連から駆け付けた福原福太郎委員長は「私鉄総連に続き、我々JR総連の番だ」とゲキを飛ばした。満場の拍手で採択した闘争宣言は「腐敗した経営陣は、会社を国鉄時代の官僚主義むき出しの経営へ逆行させようとしている」と、会社側との対決姿勢を鮮明に打ち出した。
 今春闘で初めて、8%台の賃上げ、安全問題、会社側の不当介入の解消−の3つの課題で「統一闘争」を組む。30日午前の回答を指定し、不満の場合には30日正午から一部指名スト、31日午前零時から45線区で延べ約6000人が拠点ストに入る。
 3労組が属するJR総連(8万1000人)は、JR内労組最大の全国組裁。その地位が脅かされている。
◎労−労対決◎
 きっかけは一昨年、JR総連が打ち出した「スト権の確立と総連への委譲」だった。私鉄総連と同様に、JR総連がスト突入の判断を一手に握ることで、総連全体の交渉力を強めたい、というのが目的だった。
 JR総連の主導権を握るのは、民営化時に動労委員長だった松崎明氏が委員長のJR東日本労組(5万4000人)。この提案に対し「箱根から西」で力を持つ旧鉄労系が反発した。
 民営化直前には「水と油」とされながら、多数派形成では一致した動労と鉄労。それが去年夏から、各社内で再び、分裂を始めた。西労、東海労、九州労は少数派に転落。JR四国労組(3200人)は総連を脱退した。
◎労−使対決◎
 分裂前は労使協調の一翼を担っていたJR西労など3労組が一転、労使対決に向かったのは「分裂以降に激化した会社側の組織介入」が最大の原因だ。
 今年1月、JR西日本福知山運転所で、西労の組合員78人が最大労組のJR西労組(3万5000人、旧鉄労・鉄産労系)に移籍する出来事が起きた。西労は2月に「管理職や助役が部下に脱退を命じた」として地労委に不当労働行為の救済申し立てをした。
 しかし、会社側は「不当労働行為は存在しない」との態度。3労組がスト通告をした翌日の今月17日、井手正敬JR西日本副社長は「幽霊の正体見たり枯れ尾花ではないか。(不当労働行為が)あると思い込んでいるのだから」と記者会見で決めつけ、労組側の神経を逆なでした。
 会社側との団交で、3労組は賃上げ・安全・介入問題の3つの要求を「三点セット」と主張してきた。賃上げと介入問題の切り離しを求める会社側を真っ向から突き、謝罪と改善を求めている。
◎使−使対決◎
 賃上げ率については、会社側は「東日本など他社に準ずる」との立場だ。これまでの春闘では、JR東日本が相場をリードしてきたが、今年はJR東日本労組がいまだに春闘のベア回答日すら決めておらず、西日本の経営陣は独自の判断を迫られている。
 JR東日本労組は「労使の主張に差があるため」としているが、真相は「今年は西に相場作りをさせたい」という東日本労使の連係プレー、との見方が強い。
 JR西日本と東日本の経営陣の関係は「犬猿の仲」ともいわれる。一方、東の労使は民営化の際に結んだ「共同宣言」の中で、「労使間の問題はあくまで話し合いで自主解決する」と、事実上のスト自粛をうたうほどの蜜(みつ)月関係にある。
 先に東日本が賃上げ回答を出し、それに見合う率を西日本が出せばストは打ちにくい。そうならない状況を労使でつくっている、といえる。
 3労組はいずれも、95%以上の高率でスト権を確立した。執行部には「もし、不満足な回答でストを打てなければ、組合員の求心力は失われる。組織の弱体化も避けられない」との危機感も強い。
 3労組の回答指定日の30日は、JR西日本新社屋のテープカットが予定されている。この記念の日にストの本震が見舞うのか。(朝日新聞)
■青鉛筆
 豪華寝台特急・トワイライトエクスプレスを使った3泊4日の北海道パック旅行を、JR西日本が売り出した。ペアで88万円、国内旅行では最高額とか。
 大阪駅では駅長が貴賓室に案内し、ホームまで見送ってくれる。到着駅の札幌でも駅長が出迎え。寝台特急、ホテルなどすべて特別室。道内観光は運転手付きキャデラック・リムジンでどうぞ。
 5月6日から来年3月未まで、1日1組の限定販売。駅旅行センターで受け付け中だが、早くも20組以上が売れ、問い合わせも相次ぐ。お金持ち向けのJR商法に、庶民はホームで見送るしかない?(朝日新聞)
30日■JR3労組 きょう指名スト あすから「48時間」予定
 賃上げと安全問題、不当労働行為の中止を掲げて31日から48時間ストを構えているJR総連傘下の3組合のうち、JR西日本労働組合(奥島彰委員長、4600人)は30日午前0時、48時間ストに先駆けて指名ストに突入した。
 同じ旧動労系のJR九州労(北弘人委員長、約1400人)は30日午前から、JR東海労(佐藤政雄委員長、約1300人)も同日正午から指名ストに突入する情勢だ。
 新幹線運転士を多く抱えるJR西、東海両労組が48時間ストに入れば、国鉄の分割民営化後初めての新幹線ダイヤに影響を及ぼしかねない本格的な実力行使となる。
 JR西労の指名ストは主要在来線の全拠点を対象に93人。東海労は東海道新幹線を含め東海道線、中央線、関西線など計11拠点、約120人を指名ストに入れる。
 31日午前0時からは、山陽新幹線運転士の75%を占めるJR西労を中心に新幹線の東京、大阪両運転所、名古屋運転区などで48時間ストに入る計画。
・終日ストなら運転率50%に 京都線と琵琶湖線
 JR西日本の29日までの調べによると、終日ストが行われた場合、京滋関係では平常と比べた運転率が、京都線(京都−大阪間)、琵琶湖線(京都−米原間)、学研都市線(片町−木津間)で50%、湖西線(京都−近江塩津間)40%、嵯峨野線(京都−園部間)と草津線(草津−柘植間)で60%、北陸線(米原−直江津間)80%に低下する。
 新快速は、京都線で上下120本、琵琶湖線で101本、湖西線で17本が全面運休となる。また嵯峨野線で、京都−亀岡間の普通列車18本が運休。草津線の京都直通列車16本が草津で折り返し運転となるほか、学研都市線の同志社前折り返し快速にも運休が出る見込み。
・京滋8組合、スト予定 中小私鉄きょう始発から
 大手私鉄並みの賃金引き上げなどを求め、30日始発から24時間ストを構え会社側と交渉を続けている私鉄総連関西地連(奥村修一委員長)加盟の中小私鉄、バスの組合のうち29日深夜までに12組合が妥協、残る30組合が大詰めの交渉を続けた。
 組合側は大手私鉄と同様、2万5000円の賃上げと年間臨時給の0.2ヵ月分アップを要求。業績不振や合理化などの問題も絡んで交渉は難航したが、これまでに山陽電鉄、神戸電鉄などが、大手私鉄の妥協額と同額の1万5700円で妥結した。
 京滋でストを構えている12組合のうち京阪バス、阪急バス、カヤ興産、京阪宇治交通はスト中止を決めたが、残る8組合は、いずれも交渉が未明までもつれ込んだ。始発までに解決せず、24時間ストをした場合、通勤客ら約19万人に影響する見込み。京滋のスト予定組合は次の通り。
 ▽鉄道 京福・叡山電鉄
 ▽バス 京都バス、京都交通、丹後海陸交通、奈良交通、大阪空港交通、江若交通、滋賀交通(京都新聞)
■京の地下鉄20分ストップ 電算機誤作動 最高40分の遅れ CTCの一部 終電まで手動
 29日午後2時20分ごろ、京都市北区の地下鉄烏丸線北山−北大路駅間でポイントが切り替わらず、電車の運行ができなくなった。駅員らが現揚に急行、ポイント操作を手動にして、約20分後に運転を再開した。このため電車は最高約40分遅れ、夜までダイヤが乱れた。
 地下鉄烏丸線は、コンピューターによる運行管理システム(CPU)などで安全運行を管理している。上り線と下り線の線路ポイントの切り替えもCPUで自動制御している。
 京都市交通局の調べではポイント自体に故障はなく、CPUの誤作動と見られる。同局では、臨時停車した電車を手信号で発車させたあと終電車まで列車集中制御装置(CTC)の一部を手動に切り替えて運行した。
 コンピューターのトラブルで電車が20分間も止まったのは、81年5月の地下鉄烏丸線開業以来始めて。30日は始発からCPUが正常に作動して平常通り運行できる見込みという。
・払い戻し客で混雑 京都駅
 ポイントのトラブルによるダイヤの乱れで、地下鉄烏丸線の各駅では、春休みの子供たちや買い物の家族連れなどが足止めを食い、ホームや改札口前に長い行列ができるなど一時混雑した。
 京都駅では、トラブル発生直後から約20分間、券売機をストップさせ、構内アナウンスで事態を知らせた。ホームにいた乗客の多くは引き返し、4ヵ所ある改札口は払い戻しを求める人でごったがえした。
 券売機前や改札口前にもかなりの行列ができ「次の電車はいつ」「終点まで行けますか」などと駅員に尋ねる一幕もあった。手動による運転再開後は行列も次第に解消、各駅とも張り紙などをしないまま、大きな混乱はなかった。(京都新聞)
■電車あわや…ビルの壁突き破る ウィーンの地下鉄
 ビルの壁から顔を出しているのは本物の電車です。ウィーンの地下鉄U-1線の地上ターミナルで、停車に失敗した先頭車両が役所ビルの2階の壁を突き破ってしまったというわけです。
 乗客にけが人がなかったのは不幸中の幸いでした。(27日AP=共同)(京都新聞)
■中小私鉄スト 一部で突入も
 私鉄総連は中小私鉄、バスを中心に30日の始発から24時間のストライキを構え、29日夜も会社側との交渉を続けた。
 関西の中小私鉄42組合では、30日午前零時までに、11組合が大手と同じ1万5700円かそれに近い水準で妥結し、スト中止を決めた。残りの組合は引き続き交渉を続け、一部は時間切れで突入しそう。ただし、長距離の高速バスはストの対象から外している。
 30日、関西でストを予定しいるのは次の組合(観光バス専業、ロープウエーを除く)
 ◇鉄道・バス兼業 野上鉄道、有田鉄道
 ◇鉄道 紀州鉄道、京福京都
 ◇路線バス 神姫バス、金剛自動車、南海バス、竜神自動車、明光バス、熊野交通、大阪空港交通、和歌山バス、淡路交通、全但バス、京都バス、京阪宇治交通、京バス、丹海バス、江若交通、奈良交通
・指名スト指令 JR総連系2労組
 31日から48時間の拠点ストを構え、会社側と賃上げなどの交替を続けているJR総連傘下の旧動労系3労組のうち、JR西労とJR九州労は29日夕、一部組合員に対し、30日午前からの指名スト突入指令を出した。
 西労は組合員93人が対象で、30日午前零時から。九州労は8人で同日始業時から。また、JR東海労は30日正午から122人の指名ストを予定している。
・JR西労組が声明
 JR総連傘下のJR西労など3労組のスト方針に対し、JR西日本の最大労組・西日本旅客鉄道産業労働組合(JR西労組、旧鉄労・鉄産労系、3万5000人)は29日までに、「列車の正常な運行のために全力を挙げる」と会社側の列車運行に協力する姿勢を示した緊急声明を出した。(朝日新聞)
■点検JR5年 C 遺族の願い 「救済」阻む”負の歴史” 採用差別問題 残す労使不信
 分割・民営化当時の離合集散の嵐(あらし)から5年たつ。JR内の労組は、最大勢力のJR総連で昨年来、脱退が相次ぎ、5月には新たな全国組織の結成が予定されるなど、再び再編段階を迎えた。JR総連加盟の東海、西日本、九州の旧動労系3労組は、会社側の不当労働行為の中止などを求め、31日から総連結成以来初のストを構えており、複雑で不安定、不正常な労使関係が続いている。
 そんな中で、この1月半は、国労の鳥栖闘争団(佐賀県)の森山直幸さん(46)がクモ膜下出血で急死した。一昨年4月に国鉄清算事業団を解雇された元国鉄職員1047人の1人。国労の被解雇者966人が北海道、九州を中心に各地でつくっている闘争団では5人日の死者だ。その死に至る歩みは、国鉄「改革」が今も引きずる「負」の歴史でもある。
・「死ぬに死ねない」
 JRに採用を拒否され、事業団を解雇された森山さんは日ごろ、「この汚名を晴らすまでは、死ぬに死ねない」と言い、生活のための慣れないアルバイトや、解雇撤回・JR復帰を求める闘争に率先して取り組んでたという。「経済的に大変でしたので、グチを言っては主人を困らせていました。ストレスがたまり、病気になったかと思うと、悔やまれてなりません。お願いです。主人の死を無駄にしないで下さい」と妻の保子さんは訴える。
 「これで光が見えた」。倒れる直前の昨年末、森山さんは中央労働委員会(中労委)の動きに、早期解決への期待を募らせていたという。採用差別問題について、中労委が「年度内に労使が合意しない場合は、最終的な解決案を示して問題の決着を図る」との見解を明らかにしたからだ。
・主張崩さぬJR側
 JRの採用、配属、出向などをめぐり中労委で係争中の事件は、121件にものぼる。うち、採用差別事件は27件、救済対象者は3141人で、国労関係が24件、2816人とほとんどだ。うち、西日本では3人がなお救済を求め、闘っている。いずれも、各地の地方労働委員会(地労委)がJRの不採用を不当労働行為(組合間差別)と認定し、救済を命じたのに対して、これを不服とするJR側が再審査を申し立てたものだ。
 大詰めを迎えた中労委を場とする話し合い解決に向け、国労は先に「救済対象者を(分割・民営化の)87年4月にさかのぼって地元JRに採用すること」を骨子とする解決要求を決めた。他方、JR側は「国鉄改革法に基づく採用で、不当素為などなかった」(JR東日本)という従来の主張を崩していない。
 双方の溝は深く、年度内の労使合意は不可能と見られている。中労委の解決案としては、JR北海道、九州の厳しい経営状況に配慮して、「いったん地元JRに採用するが、直ちに希望退職や関連会社への出向、本州3社への転籍を募る」(タッチ・アンド・ゴー)ことなどが検討されている模様だ。
・「経営対立」も絡む
 だが、そうした案にもJR側は依然、強い難色を示しているといわれる。さらに、激しさを増すJR西日本と東海、東日本との「経営対立」や、採用に反対しているJR総連の動きなども絡み、解決案づくりは極めて難航しているのが実情のようだ。
 国鉄「改革」で、「ひとりも路頭に迷わせない」という政府答弁や、「組合間差別があってはならない」という国会決議は、現実にはすべてほごにされてきた。中労委の努力とは別に、政府は今、かつての「公約」を遅れはせながらも履行するため、解決への環境整備などに最大限の努力を注ぐべきではないか。(朝日新聞)
■雨で来月5日に延期 5私鉄リレーハイキング
 29日予定されていた京阪、近鉄、阪急、阪神、南海の5私鉄と朝日新聞社主催のリレーハイキングのうち、第1回の京都・大原−比叡山延暦寺コースのハイキングは、雨のため、4月5日に順延となった。(朝日新聞)
■新幹線、指名スト入り JR3労組 続いて48時間ストへ
 平均8.5%の賃上げや不当労働行為の中止などの春闘要求を掲げてストライキを構えているJR総連傘下のJR東海労働組合(佐藤政雄委員長、約1300人)は、30日午前0時から指名ストに入っているJR西日本労働組合(奥島彰委員長、約4600人)、同日早朝から指名ストに入ったJR九州労働組合(北弘人委員長、約1400人)に続き、正午から東海道新幹線、東海道線、中央線など11拠点で指名ストに突入した。
 JR東海労は会社側に対し、同日午前10時までに最終回答の提示を求めていたが、会社側は期限内の回答を拒否した。
 三労組は引き続き31日午前0時から山陽・東海道新幹線や主要在来線などを標的に48時間ストを行う計画で、国鉄民営化後初の本格的実力行使となる。
 JR東海、西日本、九州の3社は、48時間ストに入った場合に列車のダイヤを遺児するため管理職や他労組員を動員するなど対策を進めている。
・110万人に影響 JR西日本見込み
 JR西日本労組のストライキ通告を受け、JR西日本は30日、ストライキに伴う運転見込み詳細をまとめを発表した。山陽新幹線と在来線の特急・急行は97%運転確保できるものの、京阪神を中心とする在来線の普通列車は50%が運休、東海道・山陽線の新快速は全面運休となり、管内全体で一日当たり約110万人の足が乱れる見込み。
 まとめによると、新幹線は臨時の「ひかり」のみが31日は10本、4月1日は8本運休する。
・中小私鉄バス4組合が突入 京滋、6500人に影響
 大手私鉄並みの賃上げなどを求めて交渉を続けていた私鉄総連関西地連(奥村修一委員長)加盟の中小私鉄、バスの組合のうち、京滋関係12組合では、京福・叡山電鉄、京都バス、京都交通、、滋賀交通の4組合は、交渉が始発までに解決せず、時間切れストに突入した。午前9時までの時限ストを行った滋賀交通を除き、いずれも午前7時までに妥協、スト中止となったが、合計約6500人の通勤客らに影響が出た。滋賀交通は31日にも始発から午前9時までの時限ストを構え、交渉を続けている。(京都新聞 夕刊)
■JRストップ濃厚 ”間引き”運転程度 市民自衛策クール 布団、弁当は”閑散” ホテルなども大口予約なし
 31日午前零時からJR総連傘下の3労組が、12年ぶりに48時間ストを予定しているが、”間引き運転”程度の影響ですむため、京都市内ではホテルの大口予約など特別な動きはない。従業員送迎バスの手配など大騒ぎしたひと昔前とは、様変わりの様相。京都駅の各改札口に出されたスト予告の掲示にも、乗客はクールな反応だ。
 スト対策らしいものでは従業員の約4割がJR通勤の京都近鉄百貨店が、ふだん禁止のマイカー出勤を特別に認め、近くの同僚と分乗するよう指示。上京区・京都第二赤十字病院が乗用車で乗り合い出勤を予定している程度。
 大丸京都店は過去のケースを急きょ調べたが「今回は列車がすべて止まるわけではない」として、特別な対策をとっていない。年度代わりで忙しい中京区の繊維関係商社「野村」も、山陰線など並行する私鉄のない通勤者について 一時ホテル確保を考えたが、結局見送った。
 以前なら企業の大口予約が相次ぎ、宴会揚でサラリーマンがごろ寝する光景が見られた市内の各ホテルもふだん通り。京都祇園ホテル(東山区)は「以前は得意先の会社に電話したりパンフレットを配ったが、今年は何もしていない。問い合わせも今のところ1件もない」。
 近くに大手企業の多いホテルギンモンド(中京区)の受付係は、「きょうび、ストになったら休業する会社が多いのでは?」。春休み中で各ホテルとも観光客の予約が好調とあって、「まとまって申し込んでいただいても、なかなかお受けできません」(中京区・ホテルフジタ京都、下京区・京都セントラルホテル)といたってクール。
 会社に泊り込む社員用の布団や、仕出し弁当の手配も今や昔。レンタル布団業者の千成屋ふとん舗(伏見区)は「スト関係の引き合いは全然ない」弁当の萩乃家(下京区)は「花見弁当の注文はあるが、スト関係はない。駅売りの弁当も平常通り置く予定」という。
・ダイヤは平常 京福電鉄スト
 ストに突入した京福電鉄の四条大宮駅は、午前6時の始発時になってもシャッターをおろしたまま。駅にきてからストを知る人はほとんどなくひっそり。同6時45分にスト解除後、最初の電車が出発、通勤客で込み始める7時ころには平常運転に戻り、混乱はなかった」
 叡山電鉄出町柳駅でも、午前7時前に電車の運行を開始。左京区一乗寺に向かうパート勤務の女性(63)は「去年はタクシーを使いましたが、今年は早く解除になったのでなんとか仕事に間に合いそうです」とホッとした表情だった。(京都新聞 夕刊)
■JR3労組 明日のスト 突入必至 賃上げや「組合差別」労使交渉は不調
 賃上げや不当労働行為の解決などを求めて会社側と交渉していたJR総連加盟の3労組(旧勤労系)のうち、JR東海労働組合(JR東海労、約1300人)は30日午前、会社側の回答を不満として、31日午前零時から48時間の拠点ストに突入するよう指令した。ほかのJR西日本労働組合(JR西労、約4600人)と、JR九州労働組合(JR九州労、約1400人)は30日午後の回答を受けて判断するが、会社側は具体的なアップ率を示さず、他の要求にも否定的なことから、3労組同時に48時間ストに突入するのは必至の情勢。その場合、東海道新幹線は正常運転できそうだが、山陽新幹線の一部や関西以西の在来線に影響が出る見込みで、13年ぶりの新幹線ストップを含め、JR発足後最大規模のストになる。
・西日本 普通の半数、運休に
 3労組は、いずれも少数組合だが、西労が山陽新幹線運転士の約7割、東海労が東海道新幹線運転士の約4割、九州労が運転士のうち6割が加入しており、運転職場への影響力が強い。
 48時間ストに突入した場合、31日は新幹線ではJR西日本の山陽新幹線ダイヤの4%が運休、在来線では同社とJR九州の普通列車にかなりの影響が出そうだ。JR東海管内では東海道新幹線、在来線ともに正常運転の見込み。JR東日本管内ではストを構えておらず、影響はない。
 3労組とも31日からのストの準備のため、すでに泊まり勤務の一部乗務員や組合役員などが30日午前から順次、指名ストに入っている。
 今春闘で初めて「統一闘争」を組む3労組が統一要求に挙げているのは@8.2%−8.5%の賃上げA安全対策の充実B不当労働行為の中止、の3項目。30日の回答を指定していた。
JR各線区の影響予想
 線 区影 響 予 想影響人数
予想(人)


東 海 道
(JR東海)
影響なし0
山  陽
(JR西日本)
全ダイヤの5往復程度が運休
季節・臨時「ひかり」
約7000
在  来  線中 京 圏
(JR東海)
影響なし0
関 西 圏
(JR西日本)
特急
急行
「はまかぜ」「雷鳥」など
全ダイヤの3%が運休
約3000
普通主要線区で50%前後運休約109000
九 州 圏
(JR九州)
特急
急行
「有明」「かもめ」など一部が運休約1000
普通主要線区で10−30%程度運休
その他20−100%の運休
約138000
(注、会社側の発表、当日変更の可能性あり)
 これに対して会社側は、賃上げについては、これまでの春闘ではグループのリーダー格、JR東日本の決着を踏まえ、同水準の回答をしたことをあげて、「JR他社とそん色ない水準にするが、現存、交渉中のJR東日本の状況を見守る」との考え方を示した。「組合差別の中止」については、「差別行為そのものはない」と否定。
 30日午前の時点でもJR東海は考えに変化のないことを改めて組合側に示したため、交渉は物別れに終わった。
 賃上げについてカギを握るJR東日本の交渉は30日中の決着を目指して進められているが、同労使間で合意が得られるかどうかは微妙。また賃上げが解決したとしても、「組合差別」では、西日本で地労委に救済申し立てされているケースの行方を左右するほか、中労委で国労と係争中の採用差別問題にも影響するだけに、3労組と会社側の見解が真っ向から対立したままで妥協点は少ない。
 拠点ストには3労組で延べ約6000人が参加する。東海道、山陽両新幹線をはじめ計45線区に、合わせて56ヵ所のスト拠点を設けている。
・各線のスト影響予測
 JR各社の予測によると、東海道新幹線は運転士の手配がつくため正常運転できる見込み。山陽新幹線は9割以上の運転が確保できる、としている。在来線ではJR東海の線区が正常運転。JR西日本、九州管内では特急・急行はほとんど運転されるが、普通列車は線区によって5割前後の運転となる。
 山陽新幹線の場合、定期の「ひかり」を優先的に確保。全体の約1割にあたる季節・臨時の「ひかり」上下18本が運休する。
 在来線では、JR西日本、九州とも新幹線の接続列車や定期の特急・急行にはほとんど影響がなく、季節・臨時の一部のダイヤが運休する。普通はJR西日本主要線区で、40%−90%の運転率とみている。
 関西では、東海道線と山陽線の新快速が全面運休となるほか、大阪環状線の運転率が40%、山陽線が20−40%にダウンするなど、初日の31日は約112万人の足が奪われる、と見られる。(朝日新聞 夕刊)
■突入?回避?準備だけは JRあすストへ 駅に問い合わせ殺到 ビジネスホテルほぼ満室
 「新幹線は大丈夫か。運休する電車はどれなのか」−。春闘大詰めを迎え、30日午前から始まったJR西労など旧動労系3労組の最終折衝。JR大阪駅や旅行代理店などには、朝から利用者らの問い合わせが相次いだ。大阪市内のビジネスホテルは1日の入社式も重なり、予約はいっぱい。新入社員にストを想定した準備を指示した銀行もあり、出張の多い企業などは労使交渉の行方に気をもんだ。
 JR大阪駅にある利用者の苦情問い合わせ窓口「キク象コーナー」には、大手私鉄ストのあった27日から「ストはやるのか」との電話の問い合わせが殺到し始め、29日までに約200件、30日も午前10時までで65件に達した。4月1、2両日にJR西日本管内の電車に乗り放題できる「5周年記念切符」に関する質問も多く、ストが1日に食い込んだ場合、JR西日本は有効期限を3日まで延ばす方針という。
 岡崎耕二助役は「全組合のストでないため、半分ほどは動くと聞いているが、どの電車が運行するかなど細かい点については分からない」。来月1日に富山に商談に行く予定の大阪市淀川区の商社に勤める四方康視さん(32)は「私鉄ストの時も東京に出張、午前中に到着の予定が、昼過ぎになった。JRのストが行われれぼ、出張をやめるしかないのでしょうね」と話していた。
 JR新大阪駅の鉄道案内所では、所員4人が問い合わせ電話にかかりっきり。4本の電話に1時間に60本前後かかり、東京方面に向かう新幹線のスト状況を聞く内容がほとんど。「JR東海の新幹線には全く影響ありません」と答えると、ほとんどの人が安心した様子という。
 大阪市北区のビジネスホテル予約センターによると、25日ごろから入社前の宿泊研修を始めている企業が多いため、大阪市内のビジネスホテルは、4月3日ごろまでほぼ満室状態。キャンセルが出ても、すぐ埋まってしまう。北区の大阪グランドホテルは、組合側が回答日を指定した23日直後から予約が急激に増え、30、31両日の予約は、私鉄がストを打った27日に満室になっていたという。
 27日にストをした大手私鉄のうち、阪急電鉄はJRがスト突入した場合に備えて、本社と全83駅で非番勤務者計200人に「31日のラッシュ時を中心とした応援」を指示した。
 南海電鉄は、競合するJR阪和線がストの影響が少ないため、「特別の対策は取らない」。近鉄も「営業区域では、それほどの混乱は予想されない」と平常通りのダイヤとなる。
 JR利用の団体旅行などを取り扱う旅行代理店も、スト突入か回避かでやきもき。JTB関西営業本部は、この朝、各支店に「ストの影響による払い戻しには応じるように」と連絡を流した。「支店の担当者は、幹事さんとの連絡をギリギリまで続けるはず」と同本部広報。
・関西中小私鉄8組合がスト
 30日始発から24時間ストを構えて賃上げ交渉を続けてきた私鉄総連傘下の関西の中小私鉄、バスの組合は、大半が始発前に妥結したが、8組合が時間切れで始発からストに突入した。
 ストに入ったのは、鉄道の京福京都とバスの神姫バス、金剛自動車、南海バス、全但バス、京都バス、京バス、大阪西鉄。このうち、午前5時55分、神姫バスがスト解除を決めたのをはじめ、南海バスや全但バス、京都バスなど7組合が午前10時までに相次いで妥結、ストを中止した。午前11時現在、観光バス専業の大阪西鉄がストを続行している。
 近畿運輸局によると30日午前中、通勤、通学客ら約1万7000人の足が乱れた。
・臨時ダイヤ編成に懸命 JR西日本
 ストを前に社屋を移転したJR西日本は30日午前、大阪市北区芝田二丁目の新本社前で、幹部ら200人が集まりテープカット。井手正敬副社長が「5年前の会社発足時の原点に立ち返ろう」とあいさつしたが、スト問題には触れず、わずか1分余りで式典を終えた。角田達郎社長はスト対策や労使の状況を関係省に説明するため東京へ出張し、欠席した。
 約300b南の旧本社では、1階の大部屋に机を並べて輸送課員ら50人の特別チームがストに突入したときの臨時ダイヤ編成の作業に追われた。JR西日本は、3月初めから運転士資格を持つ助役などOBを訓練、スト突入の場合、約200人(うち新幹線46人)を臨時運転士として乗務させる。これでも100%はカバーできない見通しだ。(朝日新聞 夕刊)
31日■JR48時間スト突入 民営化後初、 250万人に影響 西労など3労組 春闘回答を拒否
 JR総連傘下の旧動労系のJR西労(奥島彰委員長、4600人)と東海労(佐藤政雄委員長、1300人)、九州労(北弘人委員長、1400人)の3労組は30日午後11時までにスト指令を出し、31日午前零時、通告通り48時間ストに突入した。JR西日本とJR九州は30日午後、それぞれ1万6574円(5.57%)、1万4538円(5.00%)の貸金引き上げなどの回答を組合側に示したが、JR東海は回答を提示していない。組合側は回答について賃上げ、安全問題、不当労働行為問題のいずれも不満、としている。
 ストの対象線区は東海道・山陽新幹線と東海道、山陽、中央、鹿児島線など45線で、新幹線が一部でも止まるのは旧国鉄時代の昭和54年以来13年ぶり。在来線では12年ぶりで、JRになってからは初めて。
48時間ストによる影響予想(JR各社発表)
線 区影   響延べ影響人員
新幹線東海道影響なし 
 山 陽31日は5往復、1 日は上り5本、下り3本運休約1万4000人
在来線東 海影響なし 
 西日本「はまかぜ」、「雷鳥」の一部など、特急、急行の3%が運休
普通列車は主要線区の約半数が運休
約218万人
 九 州「有明」、「かもめ」各1往復など、31日、1日ともに特急、急
行10本が運休
普通列車は両日とも焼く 845本運休
約28万人
 27日の私鉄に続く大規模な交通ストとなる。西日本を中心に31日の始発から新幹線の間引き運転や主要在来線での運行ダウンは避けられず、2日間で合わせて約250万人の足が乱れそうだ。
 ストに入る組合員は2日間で西労が2500人、東海労が2000人、九州労が1300人。
 最大拠点となるJR西日本は、山陽新幹線で新大阪−博多間の臨時列車10往復がストップするが、97%の運転率を確保できるとしている。しかし、在来線は、東海道・山陽線の通勤の目玉である新快速が全面運休、大阪環状線が60%減となるのをはじめ主要在来線は60−40%の間引き運転となる。
 京滋関係では、新快速が東海道線・京都−大阪間で120本、同・京都−米原間で101本、湖西線(京都−近江塩津間)で17本が、いずれも全面運休するなどし、朝の通勤時間帯の運転率は60%程度にとどまる。このほか、山陰線・京都−亀岡間は朝夕18本がストップ、草津線(草津−柘植間)では、京都直通列車が16本が草津で折り返し運転となる。奈良線は所定の運転が確保できるとしている。
 JR福知山支社管内では、特急・急行列車は、両日とも新大阪−倉吉間(播但線経由)運転の特急・はまかぜ1、6号上下1往復が運休するが、他の特急・急行列車はすべて運転する見込み。普通列車は、両日とも福知山線、播但線で各24本、計48本の列車が止まり特急・急行も合わせ1日約1万人の乗客に影響が出る見込み。特に、播但線は朝、夕のラッシュ時に各4本の列車が止まる。
 九州は夜行急行・普通電車計約1700本が運休、28万人に影響が出るなど主要ターミナルでは朝夕の通勤ラッシュ時を中心に混雑が続きそうだ。
 JR東海は代替運転士をすべて確保、平常運行となる見込み。(京都新聞)
■JR3労組がスト突入 新幹線も一部運休 13年ぶり 発足後最大規模
 JR総連傘下で旧動労系のJR西労(4600人)とJR九州労(1400人)は、賃上げや不当労働行為の中止を求めて会社側と30日午後も交渉を続けたが、夕方になって会社側から示された回答を不満として、同日深夜、31日午前零時から48時間の拠点ストに突入するよう指令した。この結果、30日午前に突入指令を出したJR東海労(1300人)と合わせ、「箱根から西」の3労組は足並みをそろえてストに突入。31日始発から新幹線、在来線がともに13年ぶりにストップするJR発足後最大のストになる。
 JR東海労が30日午前10時にスト突入指令を出したあと、西労、九州労は同日午後、会社側からそれぞれ示された5.57%、5.0%の賃上げなどの回答を持ち帰って検討した。
 しかし、賃上げでは8%台の要求と開きがあるうえ、当初から組合側が主張してきた「東日本会社との調整に基づき、準ずるアップ率」という要求に対しても、会社側は東日本会社の回答日が未確定なせいもあって答えられなかった。
 また「不当労働行為の中止」の要求については、西日本会社は「会社としては法令を順守している」との従来の回答を繰り返し、不当労働行為の存在自体を認めなかった。九州会社は「差別中止」について具体的な回答を示さなかった。
 この結果、両労組と会社側の話し合いは不調に終わり、九州労は午後10時、西労は午後11時、それぞれスト指令を出した。
 JR各社の予測では、スト突入の場合、31日は、JR西日本の山陽新幹線ダイヤのうち季節・臨時の「ひかり」5往復が運休、在来線では東海道線、山陽線の新快速が全面ストツプするなど、同社とJR九州の普通列車にかなりの影響が出そうだ。
 3労組と余社側の折衝は31日以後も続き、東日本会社の回答の行方なども絡め、ストが48時間打ち抜きになるかどうか今後、労使の協議が注目される。
 一方、JR西日本、JR九州両社の最大労組である旧鉄労・鉄産労系のJR西労組と旧鉄労系のJR九州労組は30日夕、会社側の回答で妥結した。
・環状線で改札規制 JR西日本
 JR西日本のスト対策本部は30日、スト突入による混雑回避策を発表した。大阪環状線の運転率が終日40%、朝のラッシュ時で50%まで下がり、近郊から都心部に連絡しているJRの他線や私鉄線から流入する乗客などに相当の混雑が予想されるため、乗換駅になっている京橋、鶴橋、天王寺、新今宮、西九条の5駅で、改札止めや階段止め、乗り換え改札口の閉鎖をするという。
 5駅では、連絡乗換口を閉鎖し、乗客をいったん改札口外に誘導、遠回りをしてもらって別の改札口から環状線ホームに入ってもらう。また、これ以外にも東海道、山陽線の新快速が全部運休し、快速、普通も大幅に運休▽大阪環状線など12線区も大幅運休するなど、混雑回避のため、利用者に他の交通機関を利用するよう呼び掛けるポスターを近畿全域の311駅に張り出した。(朝日新聞)
■異動の春 おおわらわ JRスト突入 引っ越しピーク直撃 新入社員の足確保
 私鉄大手に続いて、JRも発足後、初めてのスト突入へ。JR西労は30日夜、JR東海労、JR九州労に歩調を合わせ、スト指令を出した。緊張した面もちの組合員。かたや、険しい表情の会社側。新幹線ストは、旧国鉄時代から13年ぶり。若い社員はスト経験のある先輩からの指導で、手探りの準備を進めた。あわただしい折衝の行方に、1日の入社式を控えた企業は新入社員の足の確保におおわらわ。最終の新幹線に急きょ、日程を繰り上げて飛び乗る利用客の姿も。31日からの48時間ストを控えた前夜、波紋は広がった。
・手探り…
 JR西労は30日夜、近畿の六支部が各地で決起集会を開き、組合員は赤いはちまき姿で気勢をあげた。
 新幹線の乗務員らが加入する新幹線支部では連日、支部内に4、5人が寝袋で泊まり込みで、スト態勢を整えてきた。国鉄時代のストは職場に立てこもっていたが、今回は拠点近くに旅館を確保し、ストが解除されれはすぐに職場復帰できるようにした。
 同支部の幹部は「国鉄時代とは違うので、手探りで準備してきた。スマートなストを目指す」という。
・さくら…
 4月1日に大阪市都島区の研修センターで入社式を開くNTT関西支社は、例年通り前日の31日、吹田市内の社員寮に新入社員を集める予定だった。しかし、JRストの公算が大きくなり、総務部員らが休日の土曜日に新入社員360人に電話連絡。式への足を確認し、「無理」と答えた十数人には、30日中に入寮するよう指示した。
 1日付で「さくら銀行」に行名変更する太陽神戸三井銀行は、東京本店で入社式。関西地区配属の新入行員110人のうち30日に独身寮に入った約百人は、31日に東京へ行く予定だが、同行神戸本部は、早めの時間帯に移動するようにさせた。
 また、JR西日本の入社式も1日、大阪市北区の同本社ビルで予定され、ストが続けば、303人の新入社員は自社ストライキの中、異例の門出を迎える。
 「アート引越センター大阪支店」(大阪府大東市)は、ストの場合、高速道路の渋滞が予想されるので、31日はいつもより2時間早い朝6時の出社を命じた。私鉄ストでは作業員の出勤が遅れたうえ、高速道路の渋滞で現場到着がさらに遅れ、「トラックが来ない」と苦情が相次いだ。転勤シーズンの忙しい時期で、2段ベッドが並ぶ150人収容の研修宿泊施設はフル回転中だ。
・予約は…
 JR新大阪駅のみどりの窓口では、28日ごろから31、1両日分の新幹線予約が減り始めた。ストを警戒して敬遠されたらしい。春休みに入ってから予約は満席だったが、この両日分を窓口で予約する人はふだんの4割程度。31日午前6時の同駅発東京行きの指定席予約率は6割」同7時発は8割という。
 逆に、同駅を30日午後8時51分に出た博多行きひかり最終列車は、予定を繰り上げて乗り込んだ人らで、自由、指定席ともにほぼ満員だった。(朝日新聞)
■神戸−関西新空港は海底トンネルで結ぶ!? 30`、建設費6000億円 兵庫県構想
 貝原俊民兵庫県知事は30日、神戸と関西新空港とを結ぶ延長約30`の海底鉄軌道構想の検討に着手するとの考えを明らかにした。92年度機構改革で、土木部内に「交通政策局」を新設し、同構想の具体化に向けて、2030年を展望する交通基本構想や2005年を目標とする鉄道整備計画を策定。運輸省などに実現を働きかけていく。
 94年夏開港予定の関西新空港との連絡について、兵庫県は神戸、淡路島から高速船で結ぶ海上ルート、阪神高速湾岸線による陸上ルート、JRルートなどを検討中だが、それでも陸上だと2時間程度と時間がかかる。高速船なら30分で運べるが、定時性に欠けるなどの課題がある。
 このため知事は、海底トンネルによる直通構想を挙げ、「新空港から神戸空港、新幹線新神戸駅へつながる新交通システムが必要となる」との認識を示した。新神戸駅から神戸空港へは神戸市が地下鉄も含めた鉄軌道計画を検討しており、この延伸も考えられる、としている。
 知事はすでに内部で技術的な面も含め基礎的な検討を始めていることを明らかにし「高速のリニアカーなら10−15分程度で結べる。建設費を約6000億円とみると、現状での旅客需要採算ベースの10分の1しかないとみられるが、京成電鉄スカイライナーのように特別料金を設定すればいい。可能性を探りたい」と意欲を見せた。(朝日新聞)
■早朝に解除 京福電鉄などのスト
 京福電鉄と叡山電鉄(いずれも本社・京都市)は30日始発から24時間ストを予定していたが、労使間の賃上げ交渉が妥結したため、組合側が午前6時10分にストを解除、同6時半から運転を再開した。このため、通勤ラッシュには特に大きな影響は出なかった。
 また、バス関係では、京都バス(京都市)が午前7時、京都交通(亀岡市)も午前6時45分にストを中止したほかは、いずれも始発前に交渉が妥結、平常通り運行した。(朝日新聞)
■JR発足5周年の記念乗車券いかが
 JR西日本は会社発足5周年を記念した入場券セットとホログラム(立体絵)付きの乗車券セットを4月1日から限定発売する。
 記念入場券は、金沢駅から博多駅までJR西日本管内15府県の府県庁所在地の中心駅15駅の硬券入場券15枚を路線図にはめ込んだもので2000円。計5000セットを売る。発売駅はこの15駅と福知山駅の16ヵ所だけ。
 記念乗車券は、SL義経号の姿をホログラムにしている。大人2枚とこども1枚の3枚の切符合わせて 450円。計1万セット。(朝日新聞)
■JRグループ新年度計画 各社、厳しい見通し 営業収入は増加見込む
 JRグループの旅客6社と貨物1社は30日、1992年度の事業計画の認可を奥田敬和運輸相に申請した。87年の分割・民営化後、初めて景気後退局面に直面することになり、各社とも経常利益を横ばい、もしくは減益とみる厳しい見通しの計画となった。
 とくに、JR貨物は昨年10月に武蔵野線が水害で2ヵ月不通になった事故の影響と、景気後退で荷動き全般が低調なことから、利益見通しは前回の計画に比べて3分の1以下になってしまった。
 JR東日本、東海、西日本3社は91年10月に、それまでリース方式だった新幹線を合計9兆1000億円で買い取ったが、その経費増が92年度からは本格的に効いてくる。なかでも、東海道新幹線を約5兆1000億円で買った東海は、分割払いの利子分や減価償却などでリースに比べて年間約330億円負担が増え、経常利益を押し下げる原因となった。
 各社とも景気後退の中にあっても、国内での旅行や人の移動はゆるやかな拡大を続けると見ており、営業収入はいずれも増収を見込んでいる。とくにJR東日本は前回に比べ1800億円の伸びで、2兆円の大台に乗せる勢いだ。中央線や総武線など首都圏での輸送力を増強するほか、7月には山形ミニ新幹線を開業して、新たな需要の創出も期待している。
JR各社の1992年度収支計画
(単位は億円、カッコ内は前年度比、▲はマイナス)
 北海道東日本東 海西日本四 国九 州貨 物
営業収入1077
(87)
19817
(1008)
11352
(333)
9293
(645)
537
(44)
687
(100)
2273
(66)
営業損益▲472
(25)
4486
(873)
4155
(1421)
1570
(264)
▲90
(▲4)
▲276
(2)
85
(▲33)
経営安定基金475---142278-
運用益(▲16)---(▲8)(▲1)-
経常利益18
(7)
1090
(2)
758
(▲182)
610
(36)
65
(▲ 7)
41
(0)
22
(▲48)
 また、赤字ローカル線を多く抱えるJR北海道、四国、九州3社は、民営化の時点で赤字を埋めるための経営安定基金を日本国有鉄道清算事業団から受け取っており、その運用益で今回も表面上の利益を計上している。(朝日新聞)
■山陽新幹線に「のぞみ」導入 JR西日本計画
 JR西日本は30日、運輸省に認可申請した92年度の事業計画で、JR東海が東海道新幹線に導入した「のぞみ」5編成を計230億円で購入し、来春から山陽新幹線にも走らせる計画を明らかにした。この結果、来春には両社の「のぞみ」が東京−博多間を運転することになりそう。
 また、JR東海は同日認可の事業計画で、「のぞみ」10編成を新年度に買い入れ、現有分と合わせ14編成にし、1時間1本の運転ダイヤにすることにした。(朝日新聞)
■点検JR5年 D はてしない道 「用地売却」夢”アワ”に 買い手つかず国民にツケ?
 大阪近郊の住宅地の真ん中、東海道線吹田、岸辺両駅にまたがる広大な空き地約86fがある。旧国鉄の吹田操車場跡地(吹田信号場)だ。このうち13fを、民営化で国鉄清算事業団が受け継いだが、利用計画さえ決まらない。大阪駅北側にある梅田貨物駅の移転問題もからみ、地元協議が難航、8年間、ほったらかしの状態のままだ。
 東京でも高層のオフィスビルに囲まれた広大な空き地がJR新橋駅から徒歩5分の一等地にある。汐留貨物駅跡地21.6fは、国鉄清算事業団にとって債務返済の「切り札」になるはずだった。
・バブルにほんろう
 バブル当時の地価は、数兆円とも言われた。「あの時に高く売ることができていれば…」と事業団。だが現在は、最終的にいくらの金額がいつ事業団に入るのかは、当分計算できない状態だ。
 分割民営化で国鉄から事業団が引き継いだ土地は全国で約8000f。国鉄の債務約26兆円のうち8兆円を、この土地売却で97年度までに返す計画だった。90年度末までに3分の1に当たる約2600fが売れたが、売却収入は1兆4000億円。1年間の利子負担にも届かない。公共施設用地として譲渡を求める自治体に随意契約で売られた安値の土地がほとんどだ。
 「バブルに、ほんろうされた結果」と関係者は口をそろえる。汐留のような大都市圏の一等地は、地価高騰の引き金になりかねないと、87年10月の閣議決定で公開競争入札による売却が見合わされた。
・返済、焼け石に水
 当時、事業団理事長だった杉浦喬也・全日空会長は、「目玉」を抱える東京都は、地価が上がるのを極端に恐れていて競争入札による売却が認められる雰囲気はなかった、という。
 事業団もただ、指をくわえていただけではない。大都市圏では駅前の土地を宅地造成したり、マンションを建設して販売する新規事業を始めた。昨年秋に茨木市内の事業団用地を宅地分譲したところ、最高五百倍を越す競争率でまたたく間に売り切れる好調ぶり。しかし、膨大な債務には焼け石に水だ。
 地価の高騰が落ち着いた昨年末、事業団は落札価格の上限をあらかじめ設定する「上限価格付き公開競争入札」を全国で始めた。しかし、3月下旬までの実績は入札40件のうち、成立は12件。不調が17件、応礼者すらいなかったのが11件もあった。地価高騰をあおるとされた公開競争入札による売り出しは、地価が冷え切った今、逆に買い手がつかない状懸だ。
 24日の閣議で東家国土庁長官は地価の沈静化を報告した。宮沢首相は、「望ましいことです」とにこやかに答えたあとで、事業団の土地売却が極めて厳しいことを心配する言葉を口にした。閣議後、塩川自治相も、「各自治体が事業団用地の先買いをしやすくするよう、協力したい」と言って奥田運輸相に歩み寄ったという。
・「厳しい」と運輸相
 閣議後の記者会見で、奥田運輸相は事業団の土地処分に関する約10分間の質疑の間、「厳しい」という言葉を十数回も口にした。事業団の置かれた現実を政府全体が認識し始めているともいえる。
 仮に土地売却による処分で債務が当初の計画どおり返済できなかった場合、国民負担で穴埋めしなければならない。最後は国民にツケが回っていく構図だ。(おわり)
 このシリーズは東京社会部・中野隆宣、山上浩二郎、大阪社会部・後藤俊明、名古屋社会部・岡田健治郎が担当しました。(朝日新聞)
■JRスト 在来線中心に影響 新快速が全面運休 東海道線 通勤客混乱なし
 JRになって初の本格的ストとなったJR総連傘下の3労組(JR西労、東海労、九州労)の48時間ストは、31日朝から西日本の在来線のダイヤに影響が出始めた。ストの影響が最も大きいJR西日本では、通勤ラッシュ時間帯の同日午前7時から8時にかけ、大阪環状線などが一部混雑したが新幹線の混乱はほとんどなかった。
 労使交渉は東海労に同日中に回答が提示される見通しだが、西労、九州労の交渉は中断したままでストは長時間に及ぶことになった。
 ストに入っているのは東海道・山陽新幹線と東海道、山陽、中央、鹿児島各線などの45線区。新幹線は山陽の新大阪−博多間が10本運休するだけで、東海道新幹線は平常運行している。
 九州では普通列車約850本が運休の見込みだが、ここでも大きな混雑はなく、JR東海管内は在来線も平常運行。
 JR西日本は、ストの最大拠点となったため、正午現在で山陽新幹線と在来線合わせて643本が運休。近畿圏地区(アーバンネットワーク)の通勤客を中心に約39万人の足に影響が出た。
 同新幹線は、午前7時47分博多発新大阪行き「ひかり152号」が運休したのを始め、午前中で新大阪−博多間の臨時列車5本がストップした。午後も同区間の臨時5本が運休する見込み。
 在来線は正午現在、東海道線・山陽線の新快速全面運休を中心に平常の35%の列車の運転を取りやめた。
 各線とも遅れは1−2分から最大で5分程度。JR西日本は、京都、大津、大阪など本社管内の主要駅に社員計1000人を振り分けて配置し、乗客の案内業務などに当たらせており、各線、各駅とも目立った混雑や混乱は出ていない。
 京滋関係は、始発から正午までに東海道線・京都−大阪間で新快速など76本が止まった。京都−米原間は16本の運休となっている。山陰線・京都−亀岡間は5本、湖西線10本、草津線4本が、それぞれ運転を取りやめた。片町線は35本がストップし、朝のラッシュ時に大阪府域の一部駅で改札制限が行われたが、京滋関係の各線は、平常の70−80%近い列車が動いている。
・5.57%アップ 労使が妥結 東日本
 JR東日本(住田正二社長)は31日午前、JR東労組(松崎明委員長)など主要労組に、定期昇給を含め5.57%(社員平均1万6509円)アップの貸金引き上げ両答を示し、同労組も受諾した。JR東日本の各労組も受諾するとみられる。このアップ率は30日のJR西日本回答と同率。(京都新聞 夕刊)
■JRスト 乗客かしこく自衛 時差出勤で空席も 京都駅 応援職員も拍子抜け
 JR移行以来、初めてストが行われた31日朝、京滋ではラッシュ時でも電車や道路は意外にスムーズ。間引き運転でやってくる電車の中にはすし詰め風景も見られたが、逆に空席の出る珍現象もあったほど。年度末と重なり、「どうなることか」とヤキモキさせたが、どうやら、早めの出勤など通勤客の自衛策が、12年ぶりのストによる混乱をしのいだよう。
・JR京都駅
 京都駅では、東海道、山陰、湖西、奈良の各線が、ラッシュの午前7、8時台に、新快速電車を含め上下28本運休した。ところが、7時53分に安土発網干行き快速電車が定員の1.7倍で到着したほかは、ラッシュ時でも定員を少し上回った程度。中には空席の見える列車もあって、駅側によると全体ではふだんより逆に2、3割少なめだった。
 大混雑を予想して各電車とも2−4両増結、本社から30人の応援を受け、さらに非番の30人を動員した駅側は、拍子抜けの格好。「お客さんが、時差通勤など自衛手段をとったのでは」とみている。
 それでも、湖西線・唐崎から西大路へ通勤途中、乗り準え電車が運休のためホームで15分ほど待った山本昭男さん(51)=大津市アカネ町、会社員=は「これまではスト突入前に話し合いで解決できたのに、今度だけなぜだめなのか。動く電車とそうでないのがあるのは、ややこしくて…」と話していた。
 山科駅でも、大きな混乱はなし。ほとんどの乗客が延着や間引き運行を見込んで早めに駅に到着したため、ラッシュが約30分繰り上がった。ただ湖西線は、午前7、8時台の運行が5本から3本に減ったため混雑、大津市内から大阪に通勤する増田博一さん(41)は「平常の3割は多い。いつも利用する大阪直通の新快速がないため山科で乗り換え。到着も15分ほど遅れるが、心配していたほど悪い状態ではない」と話していた。
 山陰線の亀岡、園部駅などでもさして混雑はなかった。
・乗客2割増 私鉄
 JRのスト・間引き運転で、並行して走る私鉄の混雑が予想されたが、こちらも大きな混乱はなかった。
 京阪山科駅では「到着する電車はふだんより少し込んでいるが、この駅での乗降客の数はあまり変わらない」。京阪三条駅でも「7、8時台を中心に、いつもより2割ぐらい多かった」という程度。それでも同駅では無人駅から定期なしで乗った客が運賃精算所に列をつくる光景も見られた。
 また、阪急では「ふだん通りで、影響はなかった」という。
・渋滞予想 肩すかし 道路
 渋滞が予思された京都市内の幹線道路では、目立った混雑はなく「ふだんより少し多い程度の込み具合」(京都府警交通管制センターの話)にとどまった。27日の私鉄ストに懲りて、多くの通勤客が早めに家を出るなど時差出勤したためとみられ、サラリーマンの自衛策が奏功したようだ。
 国道9号は、亀岡方面から京都市内へ向かうマイカーの大渋滞が見込まれたが、午前7時半ごろ西京区の千代原口で最高4.5`渋滞した以外は、通常とほぼ同じ3`前後の渋滞。亀岡市内から千代原口に車で通う女性公務員(25)は「いつもより15分ほど早く7時過ぎに家を出た。かなり込んでいたので、バイパスを出てから抜け道を通りました」と話していた。
 渋滞の中で停車していた亀岡市内から西大路五条に通勤する会社員(47)は「ストのため、電車からマイカーに切り替えた。込んでいると思い心配したが、思ったほどでなく、よかった」と多少のノロノロ運転も苦にならない様子だった。
 このほか、京都市内では国道1号が南区と山科区で3`渋滞したほかは、目立った混雑はなかった。
・乗客少なめに”エッ”草津駅
 1日の平均乗客数が約3万人で、県内最多のJR草津駅は、応援7人など増員で混雑に備えたものの、午前7時を過ぎても、ホームの人の列はまばらで「学校も春休みとあって、かえっていつもよりやや少なめ」(伊藤武弘助役)。ラッシュ時でもひどい混雑はおきず、込み合うのは草津線列車が到着した時ぐらい。
 京都市へ出動する草津市西渋川二丁目、会社員梶原聴さん(39)は「念のため半時間ほど早く自宅を出た。通常で電車の遅れが出たときの方が込み合いますよ」。
 JRストで通勤客が流れるとみられた大津市浜大津の京阪浜大津駅では、京都・三条行きの午前7時発準急など2本がいつもより1−2割増で発車したほかは平常の込み具合。ふだんは京都から草津までJRで通勤する京都市北区小山西大野町の会社員神野毅さん(24)は「27日の私鉄ストのように混雑に巻き込まれるのは怖いですから」と乗り継ぎのため足早にバスターミナルへ。
 県内の主要幹線道路も大きな交通渋滞はみられなかった。(京都新聞 夕刊)
■通勤電車半分止まる JR3労組スト 自衛で混乱少なく
 春闘の賃上げや不当労働行為の中止をめぐり、JR総連傘下のJR西労(4600人)、東海労(1300人)、九州労(1400人)の旧動労系3労組は31日午前零時から48時間ストに突入し、西日本一帯の通勤サラリーマンらの足を奪った。JR西日本のまとめでは、山陽新幹線の一部が間引き運転されたほか、大阪近郊からの通勤電車の運転率が軒並み50−60%にダウンし、とくに大阪環状線では半数が運休。混乱回避のため、一部の駅では改札制限もした。一方、京阪神の私鉄各社や地下鉄にはJRストのあおりを食った乗客が流れ込んだが、先の大手私鉄ストの教訓から、時差出勤などの自衛策も見られ、大きな混乱は避けられた。西日本全域で午前中、約38万人の足が乱れ、ストが終日続いた場合、約110万人に影響する見込み、という。
 JR西日本によると、山陽新幹線は午前8時15分新大阪発「ひかり191号」など上下5本が午前中運休したが、全体では季節・臨時を除いて、96%の運行が確保された。また、東海道新幹線は平常通りのダイヤが守られた。
 これに対し、近畿の在来線では朝のラッシュ時、東海道線、山陽線の新快速が全面ストップ。正午までに274本が運休した。また大阪環状線はラッシュ時対策で70%の運行を確保され、73本が間引きされた。
 このほか、福知山線、山陽線などで40%が、また湖西線では30%がそれぞれ運休するなど、主要各路線で影響が出た。また、和田岬線の兵庫−和田岬間は完全運休となった。
 一方、平行する私鉄がなく、しかも運転率が60%と低かったJR片町線では、午前7時半から8時半ごろにかけて奈良方面発の普通電車3本が満員になり、ホームでの混乱を避けるため、四条畷、住道など5駅で一時、改札制限をした。
 また、JRと平行する路線を持つ私鉄は、普段より混雑は多めだった。阪急、近鉄や京阪でそれぞれ乗客が約10%増えた、という。
 JR東日本会社は31日午前10時半、JR東日本労組(JR総連系、5万4000人)に対し、前日JR西日本が各労組に示した回答と同率の5.57%の春闘ベアを提示した。同労組は妥結の方針。
 これを受け、48時間ストに入っているJR西労の奥島彰委員長は「本州3社は同率、という要求をしていたので、一つの課題がクリアできた」これまで非公式に話していたことが再確認できるなら、歩みよりの余地はある」と述べ、JR西日本会社側が「組合差別問題」について団交の場で前向きの姿勢を示しさえすれば、早期妥結に応じるとの考えを明らかにした。(朝日新聞 夕刊)
■JRスト 静かな朝に拍子抜け?! 目立つすいた電車
 JR発足後、初の48時間スト。31日始発からダイヤが大幅に乱れた近磯各地のターミナルは、意外な静けさだった。会社側がラッシュ時の運行確保に全力をあげ、通勤客も時差出勤で「自衛」したためらしい。一部、込み合う線も出たが、旅行、買い物客らが出控えたこともあって、すいている車内が目立った。ダイヤ編成に追われた会社側にはホッとした空気が流れた。一方、JR西労の労組員は前夜、帰宅したあと、この朝再び、各支部などに集合。かつての「ろう城」のイメージはなく、新幹線も含め13年ぶりの本格ストは、大きく様変わりした様子だった。
・大阪駅で
 一日の乗降客約80万人でとくに混雑が予想されたため、大阪環状線ホームの駅員を通常の6人から30人に増やした。しかし、午前7時台の電車は7割余が運行。電車はいつもと余り変わりない3分ごとに到着し、普段ならぎゅうぎゅう詰めの車内は逆にすき間が目立った。
 「環状線が込んでいたら地下鉄を使おうと思っていたが、むしろすいていた。昔と違って、ストをしているのか分からないくらい」=宝塚市から大阪市天王寺区の会社に通勤する坂本洋治さん(48)。
・天王寺駅で
 南海、近鉄と地下鉄御堂筋線が接続。当初は客の流れはスムーズだったが、運転間隔が開いてきた午前9時半すぎから客が環状線ホームにあふれ大混雑に。本社から派遣されたスーツ姿の社員も誘導に追われた。
 「国鉄時代と比べると、随分緩やかなストライキ。お互い生活がかかっているのだから、このぐらいの我慢は仕方がない」=大阪市内の貿易会社に出勤途中の富田林市の会社員福田正一さん(65)。
・新大阪駅で
 ほぼ通常どおりの運行となった朝の新幹線は、ストが警戒されたのかガラガラ。午前6時の東京行き始発は、普通なら週初めは自由席もビジネス客でほぼ埋まるが、この日は空席のほうが目立った。
 「私鉄がストをしましたから、昔の国鉄体質からいっても、JRも絶対やると思っていた。でも運転士1人いれば動かせるわけだから、あまり心配していませんでした」=仕事で週に1、2度はこの始発を利用するという大阪市内の会社員後藤卓臣さん。
・阪急梅田駅で
 JR大阪駅に隣接し、1日66万人と私鉄最大の乗降客のある阪急梅田駅では通常勤務の67人に加え、明け番の職員12人を配置、乗り換え客の案内や精算などにあたった。ラッシュは午前8時すぎから始まったが、乗降客は普段よりやや増えた程度で、混雑は避けられた。
・JR西日本本社で
 スト初日、朝のラッシュを大きな混乱もなく乗り切ってホッとした空気が流れる。
 「ストは久しぶりのうえ、国鉄時代に全面ストップは経験しているが走らせながらの一部ストは初めて。緊張した」=環状線西九条駅で応援組41人の指揮をとった総括責任者(49)。
・2日続いてテクテク通勤 和田岬線
 始発から全線が運休となった神戸市兵庫区のJR和田岬線(兵庫−和田岬駅間約2.7`)沿いには徒歩通勤の列ができた。前日は車両故障で運休したため2日連続の苦行となったが、上着を脱いだサラリーマンや、歩きやすいローヒールにはきか見たOLたちが、久しぶりの青空を楽しむように続いた。
・JR西労中央本部
 幹部ら数十人がスト突入指令後、事務所内にこもり、部外者の出入りをシャットアウトした。未明にも電話などで、会社側と連絡が断続的にとられた模様だが、歩み寄りは見いだされていない様子。(朝日新聞 夕刊)