1991(平成3)年6月


1日■「高さ守ればこうスッキリ」JR京都駅高層化 反対市民団体が独自案 24b、半分以下の低さ(京都)
  ■法廷闘争スタート JR駅ビルへの出資問う住民訴訟 傍聴席満員 関心の高さを反映(朝日)
  ■ショベルカー20b転落 山陽電鉄塩屋駅近く 電車に接触1両脱線(京都)
  ■JR京都駅など17事業を追加 日米建設協議が決着 双方が譲歩し合意(朝日)
  ■山陽電鉄で衝突、脱線 工事車が転落 1人けが(朝日)
  ■「スーパーひかり」93年春から毎時運転(朝日)
2日■走れニュートレイン スペーシア〈8〉 東武鉄道 はやりの流線型特急(京都)
  ■作業車運転手 飲酒の疑い 山電事故(朝日)
  ■学研都市で 6人の追悼 信楽事故犠牲者(朝日)
3日■ジャズに乗ってるネ 地下鉄まつり 10周年を祝う(京都)
  ■81日ぶりに工事を再開 落下事故の橋げた架設(京都)
  ■迷惑 まくら木散乱 名神で2ヵ所 トレーラーが落とす(京都)
  ■阪神電車 停電 ブレーキ利かず 1.3`トンネル内真っ暗(京都)
  ■阪神電鉄トンネル内 停電、ブレーキ利かず 三宮駅通過し手動停止(朝日)
4日■信楽鉄道事故 16日に慰霊祭 4者合同 概要決まる(京都)
  ■高圧放電が停電の原因 阪神電車故障(朝日)
5日■JR西日本 不動産子会社を設立 全額出資、事業を拡大(京都)
  ■東京駅で防災訓練(京都)
  ■ハイ社会部です 早朝ダイヤ何とか(朝日)
6日■信楽鉄道 社長交代を示唆 信楽町長「兼務ではだめ」(京都)
  ■朝の近鉄乱れる 乗客5万人に影響(京都)
  ■車両異状で近鉄遅れる 朝のラッシュ時36本(朝日)
  ■信楽高の生徒、慰霊の夜間行進 「安らかに」事故現場で合掌(朝日)
7日■「大阪湾岸にリニア線を」大商懇談会(朝日)
  ■雑草燃えて特急に遅れ 福知山市内でJR(朝日)
  ■はい社会部です ホームで!ひどい!(朝日)
  ■信楽事故補償交渉 責任者2人を発令 JR西日本(朝日)
8日■信楽鉄道の補償と再建 県に専従支援室(京都)
  ■KTR「安全」外注 チェック申し入れ 共産府議団、知事に(京都)
  ■義援金の口座 新たに開設 信楽高原鉄道事故(京都)
  ■JRグループ初の女性バス運転手(京都)
9日■走れニュートレイン〈9〉 リゾート21 伊豆急行 走るプラネタリウム(京都)
11日■列車衝突 信楽惨事から1ヵ月〈1〉 なぜ起きた(上) 黄が青にナゾ 小野谷の場内信号(京都)
  ■信楽駅の出発信号 11日前にも同じ異常 原因不明で運行継続(京都)
  ■制御故障気付かず 阪神暴走 運転士ら 非常停止の義務怠る(京都)
  ■阪神停電 高圧回路のスイッチ異常 停車処置で乗務員を処分へ(朝日)
  ■500`の高速リニア 新幹線は350`台に 21世紀の鉄道像を答申 運輸技術審(京都)
  ■丸太小屋の駅舎(京都)
12日■列車衝突 信楽産婆から1ヵ月〈2〉 なぜ起きた(下) 複合要因が誘発?(京都)
  ■ドイツ版新幹線 トラブル発生も超高速?!(京都)
  ■新本社の上棟式行う JR西日本(京都)
  ■はねられ死亡の男性身元分かる JR瀬田駅(京都)
  ■信楽事故 遺族に義援金の50万 町決定 慰霊祭でまず贈呈(京都)
  ■トラクターと電車が衝突 天理市のJR桜井線(朝日)
  ■特急にはねられ ホームの男性即死 JR瀬田駅(朝日)
  ■信楽事故線路わきに慰霊堂(朝日)
  ■JR西日本の新本社上棟式(朝日)
13日■列車衝突 信楽惨事から1ヵ月〈3〉 被害者はいま 残された者、傷深く(京都)
  ■ブルーリボン賞に乗武のスペーシア(京都)
  ■信号故障の対応点検 KTRとJR、合同訓練 相互乗り入れ 豊岡駅(京都)
  ■洛中洛外 歴史舞台〈12〉 市電北野線(京都市上京区など) かつて「近代京都の顔」(京都)
  ■ローレル賞決まる(朝日)
  ■熱心に大勢の市民 JR京都駅ビルコンペ 7作品を一般公開(朝日)
  ■信楽惨事 補償基本協定交わす 四者協 17日から相談窓口(京都)
  ■線路に下りてはねられ死亡 100円玉落とした男性(朝日)
  ■はい社会部です 回数券払い戻して(朝日)
14日■列車衝突 信楽惨事から1ヵ月〈4〉 補償問題の行方 カギ握る県の支援(京都)
  ■山陰線で列車遅れる(京都)
  ■初の女性運転士 岡山の路面電車(朝日)
  ■停電で一時不通に JR福知山線(京都)
  ■新幹線57本に遅れ(京都)
  ■信楽惨事からひと月 傷跡深く59人まだ入院(朝日)
15日■全車両に無線装置 府会 KTR安全対策を審議(京都)
  ■列車衝突 信楽事故から1ヵ月 沈む地元の町 陶器業界に大打撃(京都)
  ■JR京都駅改築で障害者団体 気配りの施設整備を 京都市に要望書を提出(朝日)
  ■ボケベル・ラジオ 地下鉄でも 来月、大阪で実験(朝日)
16日■遺族ら800人参列 きょう合同慰霊祭(京都)
  ■京都駅ビル改築に併せて再開発を 崇仁地区を考えるシンポ(京都)
  ■列車衝突 信楽惨事から1ヵ月〈6〉 存廃の危機 住民運動で再建へ(京都)
  ■走れニュートレイン〈10〉 オランダ村特急 JR九州 車内に遊戯施設も(京都)
  ■列車制御の回路切断 JR桜井線・和歌山線 33本運休、5900人影響(朝日)
  ■「天国で見守ってね」信楽事故 きょう慰霊祭、遺児参列(朝日)
  ■事故の補償で説明会開催へ(朝日)
  ■安全策実施や「無計画」指摘 全労連が調査報告(朝日)
17日■しめやかに合同慰霊祭 信楽鉄道惨事 遺族ら悲しみ新た(京都)
  ■列車襲撃76人射殺 パンジャブ州(京都)
  ■黙とう・半旗…悲しみの町 信楽事故合同慰霊祭 店は休業、献花次々(朝日)
18日■駅のエスカレーター 整備へ運輸省が指針(朝日)
  ■シカさん悲運 どこの山から来たの? JR山崎駅近くではねられる(朝日)
  ■鉄道事故に新保険 第三セク、中小私鉄を対象(京都)
19日■「1株たりとも政府に残すな」 JR西日本副社長会見 上場見送りの動き不満(朝日)
  ■社長に伊藤JR常務 不動産子会社創立(朝日)
  ■リゾート気分”JR商法” 大阪駅構内イメージ一新 ショッピングセンターお目見え(京都)
20日■きょうと文化考 京の歴史は日本の玄関 思想欠如の京都駅改築 経済効率優先に疑問(京都)
  ■社説 鉄道にもっと光を(朝日)
  ■東北・上越新幹線 きょう東京駅出発(朝日)
  ■電車故障、12000人に影響 JR阪和線(朝日)
  ■東西の新幹線直結 東京−上野開業 800`一つのレールに(京都)
  ■緑の新幹線 ひかりと握手 東京−上野間開業 通勤や旅行が楽に 東京駅 乗り継ぎ混雑心配(京都)
  ■東北・上越新幹線 東京駅に乗り入れ 東海道と接続(朝日)
21日■丹後 但馬 夏手ぐすね 来月から本格PR JR福知山支社 北近畿観光連盟(朝日)
  ■大阪の会社員と判明 新幹線はねられ死亡(朝日)
22日■相談室員を50人増やす 信楽事故でJR(朝日)
  ■タンゴ鉄道「納涼列車」も登場 来月から臨時列車 カラオケ、存分に(朝日)
23日■国立公園に登山電車 環境庁が建設認める 車を規制、自然保護へ(京都)
  ■走れニュートレイン〈11〉 あさぎり号 小田急・JR東日本 富士のすそ野を満喫(京都)
  ■泰緬鉄道 タイ国軍の機密文書 労働現場実態克明に タイ公文書館保存(朝日)
24日■こだまパンタ故障(京都)
  ■看護婦飛び込み即死 JR山陰線踏切(京都)
  ■電車に飛び込み死亡 中京のJRで女性(朝日)
25日■安全より経営優先して 苦悩の三セク鉄道 黒字9社に赤字が26社 信楽事故 他人事でない ぎりぎりの人員で(京都)
  ■最古のSL「義経号」 大阪の博物館で保存 花の万博でも活躍(朝日)
  ■満員電車が衝突、脱線 JR福知山線の踏切 通学生ら309人が負傷 トレーラー立ち往生 運転手を逮捕(京都)
  ■「痛い」うめく女生徒 JR福知山線 衝突脱線事故 血まみれ通学電車 放心、座り込む乗客(京都)
  ■福知山のJR線 通学列車脱線 308人けが トラックと衝突 踏切で立ち往生(朝日)
  ■不十分な緊急時対策 「報知装置」設置せず(朝日)
  ■悲鳴 うずくまる学生 JR福知山線事故 車両傾き「く」の字に 「信楽」の恐怖再び(朝日)
  ■JRグループの株主総会始まる まず西日本・四国(朝日)
26日■JR福知山線踏切衝突事故 高さ制限に違反 トラック運転手 重量もオーバーか(京都)
  ■JR福知山線事故 非常事態 告げる術なし 障害物検知装置備えず 民家の発煙筒頼(京都)
  ■福知山線事故 建築会社の本社を捜索(朝日)
  ■踏切事故 対策遅れ浮き彫り 福知山線 少ない検知装置(朝日)
  ■あわや「信楽」 満員通学列車踏切事故 響くサイレン 国道大渋滞(朝日)
  ■4高校、授業打ち切る 京都共栄 生徒200人が乗車(朝日)
  ■福知山支社を聴取 電車衝突で運輸省(京都)
  ■信号機故障?朝の足乱れる JR奈良線(京都)
  ■事故前に駅に連絡 国鉄OB証言 JR否定 福知山線事故(朝日)
27日■広島駅発砲で 組員に懲役刑 広島地裁(朝日)
  ■JR踏切事故 ”後遺症”まだ色濃く 登校したが痛み訴え 運輸省も現地調査(朝日)
28日■落としもの現金 10億円超す JR西2年度まとめ(京都)
29日■負傷者362人に 福知山事故車両移す(京都)
  ■杉森社長らを再任 信楽高原鉄道株主総会(京都)
30日■北近畿タンゴ鉄道 経常で7200万円赤字 2年度決算 旅客は順調に伸びる
  ■あすから計画案縦覧 山科駅前再開発事業(京都)
  ■走れニュートレイン〈12〉成田エクスプレス JR東日本 海外への新しい足(京都)



1日■「高さ守ればこうスッキリ」JR京都駅高層化 反対市民団体が独自案 24b、半分以下の低さ
 JR京都駅の高層化に反対している住民グループ「京都駅建て替え問題対策協譲会」は、31日、駅舎の高さを24bに抑えるなどした独自の改築案をまとめ、模型を公表した。
 同協議会には、京都駅周辺の住民、業者・労働団体が参加。駅構内や周辺の実地調査、乗降客アンケートを基に、都市計画や建築の専門家らでつくる「京都駅市民設計委員会」が設計図を引き、周辺の町づくりも含めた設計案にした。
 同案では、駅ビルは3階建てで、高さ24b。先月決まった設計コンペの原案(高さ59.8b)の半分以下で、現駅舎よりも低くなっている。土産物店などは現在よりやや広く、ホテルや百貨店は除いている。
 また、ホームを高架にしたことで、1階のコンコースを広くとり、乗り継ぎなどを容易にしたほか、南北口間の地上通行も確保した。
 さらに、東山から東本願寺まで延びている琵琶湖疏水の分流を、コンコースに通し水辺を演出。駅前に緑の広場▽周辺空き地に公共住宅の建設▽リニア市電の導入▽通過交通量の削減−などを提案している。
 同協議会は、3日から8日(5日を除く)まで、この改築案の設計模型を、下京区七条堀川通西入ルの興正会館で市民に無料公開する。(京都新聞)
■法廷闘争スタート JR駅ビルへの出資問う住民訴訟 傍聴席満員 関心の高さを反映
 府、京都市による「京都駅ビル開発会社」への出資の是非などを問う住民訴訟の第一回口頭弁論が31日、京都地裁であり、原告側が意見陳述、JR京都駅ビルの改築問題をめぐって法廷闘争がスタートした。次回の口頭弁論は8月21日にある。
 関心の高さを反映して、法廷は約100の傍聴席がほぼ満席。意見陳述に立った京大名誉教授の西山夘三さん(80)は、公共性のある駅舎部分がわずか。延べ床面積のほとんどが百貨店などの商業施設とホテルで占められている計画に公金を支出するのは「違法」と訴えた。
 さらに、街の真ん中に壁のように立つ建物は、景観上、調和の取れたものになりえないと、主張した。
 続いて、京都駅近くで文房具・事務用品店を経営する伊藤督太郎さん(73)が「大型百貨店の入った駅ビルの進出は、周辺地域の地盤沈下を招くだけ」と話した。原告団はこのあと、京都弁護士会館で集会を開き、「住環境を守る京のまちづくり連絡会」代表の本村万平さん(67)が「設計競技で選はれた作品が、高さの最も低かった(59.8b)のは、運動の成果。原案の白紙撤回までがんばろう」と訴えた。(朝日新聞)
■ショベルカー20b転落 山陽電鉄塩屋駅近く 電車に接触1両脱線
 1日午前11時10分すぎ、神戸市垂水区の山陽電鉄塩屋駅の東約150bの線路上に、約20b上の民家で作業していたショベルカーが転落、姫路発高速神戸行き普通電車(4両編成)に衝突し、先頭車両1両が脱線した。
 ショベルカーを運転していた作業員村上紀夫さん(43)が軽傷、電車には150人の乗客がいたがけがはなかった。
 垂水署などの調べによると、村上さんは現場近くの民家の裏庭で、改修工事のためブロックの運搬作業をしていた。村上さんは飲酒していたらしく、同署で事情を聴いている。
 この事故で同線は上下線が一時不通となり、同電鉄は明石−三ノ宮間をJRで振り替え輸送した。
 現場は六甲山系が播磨灘に迫った狭い回廊状の地域で、山側から順に山陽電鉄とJR山陽線、国道2号が海岸沿いを平行に走っている。(京都新聞 夕刊)
■JR京都駅など17事業を追加 日米建設協議が決着 双方が譲歩し合意
 日本の公共事業の市場開放をめぐり昨年5月から続けられていた日米建設合意の見直し協議(レビュー)が1日午前、東京で開かれた第9回会合で決着した。外国企業が日本の公共工事に参入しやすいように特例措置を設けるプロジェクトとして、第二国立劇場、新千歳空港、JR京都駅再開発など17事業を追加することになった。また、1年後に見直し協議を開くことなども決まった。
 特例措置は、日本での実績がなくても指名業者の資格が得られるのをはじめ、指名から入札までの期間を長くし、また、その年度の事業計画を早めに公表する。88年5月の日米建設合意で、関西新空港など17の大型公共工事に対して設けられ、見直し協議では米側の要求を受け入れて、その対象を広げることになっていた。
 追加プロジェクトは米国側が26を要求、日本側は14を提案していたが、双方が譲歩する形で合意した。米国企業の関心が高いのは、現場労働者を使う建設・土木工事ではなく、空港などのデザイン、基本設計の分野のため、第三セクターの事業を含む広範なものになった。
 交渉合意が6月にずれ込むと、米通商代表部(USTR)がスーパー301条(不公正な貿易慣行への対抗措置)に基づき、米国の一部の公共事業から日系企業を締め出す制裁措置を6月1日から実施する恐れがあった。そうなれば、日本側も、88年の日米合意を破棄して制裁の応酬になることも考えられたが、ぎりぎりのところで避けられた。
 このほか、これまで公共工事発注の契約方式は、物品購入、建設工事、コンサルティングの3つがばらばらに行われていたが、米側の要求で、この3つを総合した第4の方式を設けることや、指名基準について苦情を受け付ける苦情処理機関の新設が、4月の第7回会合で決まっている。
 第9回会合は31日に再開、外務、建設、運輸3省の代表のほか、関係する他省庁の担当者も交えて交渉したがまとまらず、期限切れの1日早朝に持ち越されていた。
 新たに特例措置の対象に追加される17プロジェクト名は次の通り。
 来島大橋、幕張地区高層住宅、第二国立劇場、関西合同庁舎、国立オリンピック青少年センター、横浜大黒埠頭総合輸入ターミナル、りんくうゲートタワービル、社会保険柄院、長寿科学研究センター、東京外国語大学、国立極地研究所・統計数理研究所・国文学研究資料館、日光霧降リゾート施設、シンクロトロン放射光施設、仙台空港国際線ターミナル、新千歳空港、JR京都駅再開発、JR上野駅再開発
 また、将来のプロジェクトについて書簡で言及した6プロジェクトは次の通り。
 福岡空港西側ターミナルビル、中部国際空港、福島空港ターミナルビル、埼玉 YOU & I、第二国立国会図書館、南青山NTTプロジェクト(朝日新聞 夕刊)
■山陽電鉄で衝突、脱線 工事車が転落 1人けが
 1日午前11時10分ごろ、神戸市垂水区塩屋町二丁目の民家の庭を工事中の神戸市西区伊川谷町、建設会社晃陽の工事用無限軌動車=村上紀夫運転手(43)=ががけから転落、約20b下の山陽電鉄の線路上に落ちた。そこへ姫路発高速神戸行き普通電車=上村豊運転士(39)、4両編成=が衝突、電車の1両目前部が脱線した。乗客約150人にけがはなかった。
 電車は現場に停車したままで、乗客は歩いて約150b西の塩屋駅まで戻った。同電鉄はJRへの振り替え輸送。村上運転手は転落途中に振り落とされ頭などを打ち病院に連ばれた。
 現場は、山陽電鉄、JR山陽線、国道2号が並行して走り、南側は海、北側はがけになっている。村上運転手はがけの上にある民家の庭の造成工事中だった。
 垂水署は、村上運転手からアルコール0.5_グラムを検出した。(朝日新聞 夕刊)
■「スーパーひかり」93年春から毎時運転
 JR東海の幹部は31日、1993年春のダイヤ改正から新大阪−東京間を2時間半で結ぶ最新型新幹線「スーパーひかり」(300系)を1時間に1本運転する計画を明らかにした。「スーパーひかり」は来春、1日に2往復程度で営業運転を始めるが、93年春からは運転本数が一気に増えることになる。営業運転に備え、1日から新大阪−東京間で初の全線試験運転が始まった。
 「スーパーひかり」は最高時速270`で、現行ダイヤに比べ30分前後の短縮になる。同社は特急料金に上乗せして特別料金を導入できるかどうか検討中だ。
 しかし、1時間に1本運転すると、最高時速220`の現行の「ひかり」が途中駅で追い抜かれるほか、各駅停車の「こだま」の所要時間も大幅に延びる。同社の担当者は利用者からは、こうしたシワ寄せを受ける列車の特急料金の値下げを求める声が高まることも予想している。(朝日新聞 夕刊)
2日■走れニュートレイン スペーシア〈8〉 東武鉄道 はやりの流線型特急
 首都圏と日光国立公園、鬼怒川温泉を結ぶルートは東武鉄道とJR日光線があるが、浅草から乗り換えなしで直通で行ける東武鉄道の利用が圧倒的に多い。
 東武鉄道では観光特急を日光、鬼怒川へ走らせており、車両も昭和35年からデラックスロマンスカー(DRC)を使用。快適なロマンスシートとビュッフェ、サロン車などを設置していたが、近年老朽化が進み、平成2年6月1日からDRCに代わる新型特急「スペーシア」が登場した。
 「スペーシア」の外観は、白を基調にした流線形のスタイル。近年はやりの新型電車のデザインを取り入れたもので、いかにも特急といった感じである。車内はリゾート列車の特徴が出るよう、世界各国のホテルのインテリアデザインを担当している米国のロバート・マーチャント氏に依頼し、新しい車内感覚を持たせた。
 従来のビュッフェサービスのほかに私鉄では初の4人コンパートメントをつくり、グループ客に喜ばれている。コンパートメントではオーディオ装置のほかに、電話でビュッフェの注文ができるサービスも完備している。
 「スペーシア」の名は一般からネーミング募集で決められたもので、今までの「けごん」「きぬ」をそのまま生かして、「スペーシアけごん」「スペーシアきぬ」と呼ばれている。現在は旧DRCと共通運用している。だから時刻表で確認して乗った方がいい。
 「スペーシア」は、今年の大河ドラマ「太平記」のご当地を走るだけに人気は上々だが、鬼怒川からさらに野岩鉄道、会津鉄道に乗り継げば、会津方面へ温泉とローカル線の旅情も楽しめる。(鉄道写真家・南 正時)
 〈メモ〉浅草−東武日光1時間43分。1140円。浅草−鬼怒川温泉約2時間。1240円。特急料金1140円。個室(4人)料金4800円。全座席指定制。(京都新聞)
■作業車運転手 飲酒の疑い 山電事故
 1日午前、神戸市垂水区塩屋町二丁目の民家の庭から土木作業車が約20b下の山陽電鉄の線路上に転落、電車と衝突した事故で、兵庫県警垂水署は、作業車を運転していた村上紀夫運転手(43)が斜面になった庭でUターンしようとして転落したとみている。村上運転手はこの日朝、自宅で日本酒0.9リットルを飲んだといっており、同署は過失往来危険罪の疑いで調べている。
 この事故で、山陽電鉄は現場付近で全面不通となったが、午後4時過ぎ、上下線とも復旧した。(朝日新聞)
■学研都市で 6人の追悼 信楽事故犠牲者
 滋賀県甲賀郡信楽町の信楽高原鉄道列車事故で死者6人を出した京都府相楽郡木津町兜台、関西文化学術研究都市内の協同組合ハイタッチ・リサーチパーク(13社、代表理事・西村保孝京都科学会長)で1日、追悼式があった。
 神戸市灘区赤松町二丁目、フジヤ勤務林浩聡さん(58)ら犠牲者6人の遺族や会社関係者860人が参列。信楽高原鉄道の北川啓一副社長、JR西日本の井澤勝鉄道本部長、信楽町の森島慎一郎助役が出席した。(朝日新聞)
3日■ジャズに乗ってるネ 地下鉄まつり 10周年を祝う
 京都市営地下鉄烏丸線の開業10周年を記念した「地下鉄まつり」が2日、京都市北区の北大路車両整備場跡で開かれ、ジャズやクイズ、マジックショーなど多彩な催しでにぎわった。
 地下鉄烏丸線は、昭和56年5月29日に北大路・京都間6.5`が開通。その後、63年6月11日日に竹田まで南進し、さらに昨年10月24日に北山まで北進して、現在11.1`を22分で結んでいる。1日平均の乗降客は昨年度で18万8000人で、市は、平成6年度の完成を目指して醍醐・二条間12.7`の東西線の工事を行っている。
 車両整備場跡中央の特設ステージで午前10時、くす玉割りなどで始まった「地下鉄まつり」は、雨で市民の出足が心配されたが、三々五々、家族連れらが訪れた。記念プレゼントの抽選会や園児の歌、大学生の落語、テレビ漫画「ドラゴンボールZ」のショーなどのほか、地下鉄の沿革を知るパネル展、建設工事を紹介したビデオ、地元商店街のセールなど多くの出し物に市民らが楽しんだ。
 特に、地下鉄の中でジャズバンド演奏が聴ける北山駅発の特別列車(6両編成)では、1540人の応募の中から抽選で選ばれた260人が昼前、竹田駅までの間、軽快なプロのジャズ演奏を満喫した。
 また、会場北側の「市電保存館」がこの日に限り公開され、市電8両を懐かしむ市民の姿も見られた。(京都新聞)
■81日ぶりに工事を再開 落下事故の橋げた架設
 広島市は3日、橋げた落下事故以来中断していた新交通システムの同市担当工区での鋼鉄製橋げた架設工事を再開した。これで事故現場のあった工区を除き、81日ぶりに着工していたすべての工事が動き出すことになった。
 同システムは全長18.4`で、市中心部の地下工事(0.3`)は第三セクター、地上部分の7.1`を建設省が担当し、残り11`を広島市が受け持つ。
 再開されたのは同市安佐南区内の8ヵ所。このうち5ヵ所では既に橋げたが橋脚上の定位置に据え付けられているが、3ヵ所ではまだ橋げたの横移動など難しい作業が残っている。
 橋げたの取り付けは来週以降に行われるが、安全対策のため車道上での作業は夜間、周辺を全面通行止めにして行うとしている。
 事故が起きた現場は、落ちた橋げたの力学的調査など原因究明が続いており、工事再開にはまだ時間がかかりそうだ。
 3日朝から工事を再開した広島市安佐南区毘沙門台一丁目の現場では、作業員が片付け作業や長期の工事中断で足場に危険な個所はないかなどの点検をした。(京都新聞 夕刊)
■迷惑 まくら木散乱 名神で2ヵ所 トレーラーが落とす
 2日午後10時ごろ、大阪府三島郡島本町桜井の名神高速道路下り線で、大型トレーラーの積み荷の鉄道用まくら木(20a角、長さ約2.5b)79本が落下、中央分離帯や上下線に散乱。そこヘライトバンや乗用車など8台が次々と乗り上げ、2台が追突、京都市北区大宮北林町、会社員石川哲夫さん(31)が頭を打つなど2人が軽傷を負った。
 トレーラーはその後、兵庫県西宮市の阪神・名神両高速道路合流点付近でも約70本のまくら木を落とし、高速下の国道43号久寿川交差点付近にもまくら木が散乱した。
 トレーラーはそのまま走り去ったが、同県芦屋市の阪神高速出口付近で発見。大阪府警高速隊がトレーラーの愛知県知多郡阿久比町、北村藤男運転手(50)から道交法違反の疑いで事情を聴いている。
 トレーラーはまくら木300本をワイヤで固定して名古屋市から香川県坂出市へ向かっていた。
 調べに対し北村運転手は「名神高速の天王山トンネルを出て少し走ったところで側壁に接触したが、積み荷の落下には気付かなかった」と話しているという。(京都新聞 夕刊)
■阪神電車 停電 ブレーキ利かず 1.3`トンネル内真っ暗
 神戸市中央区の阪神電鉄本線で2日午後、下り普通電車が、電気系統の故障から電気ブレーキが利かなくなり、停車予定駅をオーバ−ラン、次の駅で非常用の手動空気ブレーキでやっと停車、約1.3`を暴走していたことが3日、明らかになった。
 電気系統の故障のため、車内の電灯も消えたため、真っ暗な地下のトンネルを1`以上も走行したが、約510人の乗客にけがなどはなかった。
 阪神電鉄によると、事故があったのは2日午後4時22分ごろ。尼崎発新開地行き下り普通電車(4両編成、岩村覧治運転士)が春日野道駅を出発、三宮駅直前で時速約40`で走行中、突然電気系統が故障、電気ブレーキが利かなくなり、車内の照明なども消えた。
 岩村運転士はブレーキを非常用の空気ブレーキに切り替えたが、三宮駅には止まり切れずそのまま通過。惰性と下りこう配を利用して走行し、次の元町駅で非常ブレーキで停車した。
 同電車は元町駅で運行を取りやめ、約1時間後に尼崎の車庫に運ばれた。
 午後6時ごろには混乱は収まったが、上下50本、最高で30分の遅れが出た。
 この電車が春日野道駅を出た3分後、山陽電鉄の大石発姫路行きの特急電車も同駅を出発したが、阪神電鉄の指令所からの無線で事故を連絡したため、特急電車は三宮−元町間のトンネル内で停車、追突などの事態は避けられた。
 一方、兵庫県警は、事故後阪神電鉄側から何の連絡などがなかったことを重視、関係者を呼んで事情を聴く方針。
 阪神電鉄も事故を重視、故障原因調査委員会を同日、設置した。
・三宮駅通過気付かず 全自動化でホーム無人化
 阪神電車が電気系統の故障から暴走した事故で、電車が通過した阪神三宮駅は全自動化されているため、当時、ホームに駅員は一人もおらず、「新開地行き電車がまいります」と自動アナウンスが流れただけだった。電車が通過したことに駅側はだれも気付かず、先の元町駅付近で止まった電車から戻ってきた乗客の苦情で、初めて事故に気付いたという。
 この間、ホームでは事故を説明するアナウンスなどは全くなかった。駅員も「別の事情で通過したのだろうと思った」という。(京都新聞 夕刊)
■阪神電鉄トンネル内 停電、ブレーキ利かず 三宮駅通過し手動停止
 2日午後4時22分ごろ、神戸市中央区の阪神電鉄本線のトンネル内を走行中の尼崎発新開地行き下り普通電車(岩村賢治運転士、4両、乗客約100人)の車内が突然停電、電気ブレーキも利かなくなった。電車は停車予定の三宮駅をそのまま通過して約1.3`走り、手動の空気圧ブレーキを使っで約3分後に次の元町駅で停車した。乗客にけがはなかった。
 阪神電鉄によると、時速約80`で走行中の普通電車が春日野道駅を過ぎて三宮駅の手前約400bに近づいた地点で、岩村運転士が電気ブレーキをかけようとしたところ、ブレーキが利かず、電車の前照灯、車内の照明も消えた。このため、手動式の空気ブレーキに切り替えたが間に合わず、電車は三宮駅に止まれないままトンネル内を走り、約900b先の元町駅で止まった。
 この間、車内は照明灯が消えて真っ暗。非常用の室内予備灯もつかず、アナウンス放送もできなくなったため、沢田純一車掌(27)も異常に気づき、車内を駆け抜け、「今から非常ブレーキをかけるので、座席に座って下さい」と乗客に呼びかけた、という。
 阪神電鉄によると、走行中に停電など電気系統が故障した場合、電車のモーターは停止するが、車両は惰力で走り続けるので、手動式の空気ブレーキを使って電車を止める。車内の照明、無線、ドアの開閉など用の非常用バッテリーがあるが、このバッテリーも使えず、真っ暗になったという。
 同電鉄車両部は、何かの理由で車内の装置に過電流が流れたのではないかと見て、原因を詳しく調べている。
 阪神電鉄は走行中の電車が停電をおこし、制御できなくなった異例の事故とみている。
 阪神電鉄によると、この事故で下り線の軌道回路システムが作動して信号が赤になり、後続の電車は春日野道、三宮駅間で停車したという。また先行の電車は約4分前に三宮駅を出て元町駅も通り過ぎていた。事故車両も元町駅近くでは、手動ブレーキで止まれる状況で、信楽高原鉄道のような衝突事故の恐れはなかったという。
 この事故で、後続の特急下り電車など計17本が運休。上下計24本が最高30分遅れるなどダイヤが乱れ、約1500人の足に影響が出た。(朝日新聞 夕刊)
4日■信楽鉄道事故 16日に慰霊祭 4者合同 概要決まる
 滋賀県、信楽町、信楽高原鉄道、JR西日本の4者は3日、先月14日に起きた列車衝突事故で死亡した42人の犠牲者の合同慰霊祭開催について概要を発表した。
 4者では、16日に合同慰霊祭を開くことをすでに決めていたが、遺族や4者間の細部の調整があり、会場や時間などが未定だった。
 県の発表によると、4者主催の「信楽高原鉄道列車事故犠牲者合同慰霊祭」は、犠牲者に哀悼の意を表すとともに、2度とこのような大惨事を起こさないよう誓うもので、16日正午から信楽町長野の滋賀勤労身体障害者体育館で行う。稲葉滋賀県知事が祭儀委員長となり、副委員長には杉森一夫信楽町長・信楽高原鉄道社長、角田達郎JR西日本社長がなる。
 祭儀は、無宗教形式で約2時間、厳粛に行われる。祭壇に42人の犠牲者の遺影を飾り、会場内には800席を用意、遺族のほか、政府関係など来賓多数が参列する予定。このほか、会場近くに特設テントを張り、中に300席とモニターTV、献花場を設けて、一般の参列を受ける.当日、滋賀県、信楽町では各施設の国旗、県旗、町旗を半旗にして弔意を表す。
 主催者では、祭儀の終了後、事故現場の訪問を希望する遺族や親族を現地へ案内することにしている。(京都新聞)
■高圧放電が停電の原因 阪神電車故障
 神戸市中央区の阪神電鉄本線トンネル内で2日に起きた普通電車(4両編成)の停電故障で、阪神電鉄の故障原因調査委員会(委員長・飯塚卓常務)は3日、床下の断流器箱内で放電が起き、高圧電流が低圧回路に流れ込んだため、非常用バッテリーのブレーカーが切れたのが原因と断定。放電を避けるため同型車10両の同じ装置に絶縁キャツプを緊急装備するなどの対策を取った。(朝日新聞)
5日■JR西日本 不動産子会社を設立 全額出資、事業を拡大
 JR西日本は4日、本格的な不動産開発事業を展開するため、100%出資の子会社「ジェイアール西日本不動産」の設立発起人会を開催した。新会社は資本金3億円、本社は大阪市淀川区西中島、新大阪中央ビル内に置く。
 JR西日本は、平成元年5月から、地域開発本部を中心に不動産開発を展開してきたが、子会社を設立し、幅広い事業展開を図ることにした。初年度20億円程度の売り上げを見込んでいる。社員はJR西日本から10人程度出向する。設立総会は20日。(京都新聞)
■東京駅で防災訓練
 20日の東北・上越新幹線東京駅乗り入れを前に5日、東京駅の両新幹線ホームなどで防災訓練が行われた。
 JR東日本、JR東海、東京消防庁などから約1000人、はしご車など25台が参加して午前10時半、スタート。
 東京地方で震度6(烈震)の地震が発生、非常ブレーキで急停車した新幹線車内で乗客が将棋倒しとなって多数の負傷者が出たほか、駅構内2ヵ所から火災も発生した、との想定で実施された。(京都新聞 夕刊)
■ハイ社会部です 早朝ダイヤ何とか
 京阪電鉄寝屋川市駅から淀屋橋駅行き準急で早朝出勤していますが、1日からのダイヤ改正で午前5時台の準急が2本から1本に減ってしまいました。新ダイヤの5時台の準急に乗ろうにも、家からのバスが間に合いません。結局、6時過ぎのに乗りますが、出社が遅れがちです。5時台なら座れますが、それ以降は立ったまま。早朝の通勤は老人や年配者が多いようですので、何とかなりませんか。寝屋川市 嘱託会社員(62)
 京阪電鉄「確かに5時台は2本から1本に減りました。しかし、6時台初めに2本増やしており、早朝の時間帯としては1本増発になります。ダイヤの時間帯をずらしたのは、枚方市駅の交野線仮設高架工事に伴って、乗り換えに時間がかかるようになり、その調整のため、やむを得ず取った措置です。座れないほど込んでいるのは、始発駅を枚方市駅から樟葉駅に延伸したためとみられますが、これもサービス向上のためですので、ご了解願えませんか」。(朝日新聞 夕刊)
6日■信楽鉄道 社長交代を示唆 信楽町長「兼務ではだめ」
 列車衝突事故を起こした信楽高原鉄道社長の杉森一夫信楽町長は5日、町役場で記者会見し「事故の責任をトップとして痛感している。名前だけの社長兼務では許されない。見通しがついた段階で検討する」と、補償問題や鉄道再建のメドがついた段階での同鉄道の社長交代を示唆した。
 杉森町長は、事故で犠牲となった42人の遺族への弔問が1日に終了、一区切りついたのに伴い記者会見した。同町長は弔問を終えたことについて「だれ一人として拒否されることなく、仏前に手を合わすことができ、今は心安まる思いだ」と心情を述べた。また高原鉄道の社長交代を聞かれたのに対し、同町長は、運輸省が今回の事故を重視し、全国の第三セクターの見直しを検討している点を強調した上で、「名前だけの社長では責任のある十分な経営ができない。兼務は許されないと思うし、トップ人事を検討すべきだ」と語った。
 このほか、16日に営まれる合同慰霊祭までに、事故現場の仮設祭壇を、風雨に耐える「慰霊堂」に建て替え、新たな祭壇を設けることも明らかにした。(京都新聞)
■朝の近鉄乱れる 乗客5万人に影響
 6日午前7時57分ごろ、近鉄奈良線西大寺発難波行き快速急行=10両編成、松井邦雄運転士(28)=が瓢箪山駅を通過中、ホームで列車監視していた駅長が前から7両目の車両床下に取り付けてあ抵抗器が赤みを帯びているのを見つけ、運転指令を通じて乗務員に連絡した。
 同列車は次の東花園駅で臨時停車し、点検したが異常はなかったため7分遅れで運転を再開、難波駅に到着後東花園車庫へ回送した。
 ラッシュ時に重なったため後続の上り列車35本が10−5分遅れ、約5万人の乗客に影響が出た。(京都新聞 夕刊)
■車両異状で近鉄遅れる 朝のラッシュ時36本
 6日午前8時ごろ、東大阪市昭和町の近鉄奈良線瓢箪山駅近くの踏切で、通過中の西大寺発難波行き快速急行(10両編成)の7両目床下の抵抗器が赤くなっているのを、踏切監視をしていた同駅長が見付けた。すぐに運転指令(大阪市天王寺区)に連絡、運転指令は列車無線で快速急行の運転士に知らせ、約1`先の東花園駅に臨時停車させた。快速急行は7両目のモーターを止めて、残りのモーターで難波駅まで運転した。
 朝のラッシュと重なり、この影響で、特急など上り36本が最高10分遅れ、約5万人の足が乱れた。近鉄では、再点検のためこの車両の運行を難波で打ち切り、東花園車庫に回送して原因を調べている。(朝日新聞 夕刊)
■信楽高の生徒、慰霊の夜間行進 「安らかに」事故現場で合掌
 「42人のみなさん、安らかに」。滋賀県甲賀郡信楽町、県立信楽高校(大林克司校長)の1年生3クラス・117人が5日夜から信楽高原鉄道線路沿いの道路約30`を夜間行進し、6日午前5時ごろ、事故現場に着き、特設の祭壇に合掌し、列車衝突事故犠牲者のめい福を祈った。
 夜間行進は「入学の思い出に」と、新入生のオリエンテーションを利用して今年初めて企画されていたが、1年生のうち約50人が同鉄道を通学に利用しており、鉄道沿いを歩く慰霊の行進になった。信楽町から約30`離れた同県日野町の公民館を5日午後10時45分に出発、同校まで約9時間かけて歩いた。
 出発して約6時間、事故現場に着いた生徒たちはクラスごとに祭壇の前に整列、そろって目を閉じ、静かに手を合わせた。
 同県蒲生郡日野町から通っている高木由夏さん(16)は「遠くから信楽へ来て下さった人がたくさん亡くなって、かわいそう」。近江八幡市の、永福尚子さん(15)は「世界陶芸祭さえなかったらこんな事故はなかったのに、といわれるのがつらい」と、それぞれの思いを話した。
 同校の生徒会では、10日から14日まで、校門で慰霊祭に向けての募金をし、10日朝のホームルームでは、351人の全生徒が、甲賀郡内の2病院に入院している負傷者に贈る千羽づるを折る。(朝日新聞 夕刊)
7日■「大阪湾岸にリニア線を」大商懇談会
 大阪商工会議所のリニアモーターカー中央新幹線建設促進懇談会(会長=大西正文・大阪ガス会長)は6日、東京−大阪間全線での地形・地質調査がスタートしたリニア中央新幹線をめぐり、幹線の新駅と、大阪湾岸地区や関西新空港、関西文化学術研究都市をリニア線で結び、西日本の経済発展の起爆剤にすべきだ、とする提言を6日、発表した。
 国の基本計画によると、リニア中央新幹線は東京と大阪市を結び、途中、甲府市、名古屋市、奈良市の周辺を通過する。
 同懇談会が2年前に発表した第1回報告では、大阪市のリニア駅を東海道・山陽新幹線の新大阪駅に置き、さらに紀淡海峡から四国、豊予梅峡を経て九洲まで路線を延ばすよう求めた。今回の報告は、新大阪駅をリニア駅として整備するため、国や自治体、経済団体などからなる整備構想調査委員会を設置する。
 またリニアアクセス線については、大阪−和歌山−淡路−神戸間の大阪湾環状路線と、京都−学研都市−関西新空港間の2つのルートを想定している。(朝日新聞)
■雑草燃えて特急に遅れ 福知山市内でJR
 6日午後3時ごろ、福知山市岩間のJR福知山線で、線路わきの雑草が燃えだし、約320平方bを焼いてまもなく消えた。この影響で、浜坂発大阪行き特急「エーデル北近畿14号」が福知山駅に、新大阪発城崎行きの特急「北近畿11号」が丹波竹田駅に停車、20-25分の遅れが出た。(朝日新聞)
■はい社会部です ホームで!ひどい!
 近鉄奈良線鶴橋駅を利用していますが、ホームの東端で立ち小便する不心得者がいます。階段の壁で死角になり、他の乗客から見えないためでしょう。春のダイヤ改正で奈良行き快速急行が時間帯によって10両編成になり、ホームの東端まで使うようになりましたが、悪いことに2両目の扉がちょうど流れ出したそれの位置に停車します。この上に立っている人や、中にはカバンを置く人もいます。不潔だし、何とかなりませんか。−奈良市 公務員(36)
 近鉄広報室「ご指摘のようなところを見かけたときは、マナーを守るよう注意し、トイレの場所を案内するようにしています。ホームの汚れを見つけたときは駅員も掃除し、さらに委託業者に連絡し、丹念に清掃しています。気持ちよく乗車していただけるよう駅も心がけておりますので、よろしくお願いします」。(朝日新聞 夕刊)
■信楽事故補償交渉 責任者2人を発令 JR西日本
 JR西日本は7日付で、信楽高原鉄道列車衝突事故の補償交渉の責任者として、担当課長2人を発令した。JR側はこれまで、総務部法務課が補償問題の窓口になってきたが、今後はこの2人を中心に、近く数十人規模の新組織を作り、補償交渉に当たる。
 補償交渉については、4日、滋賀県、信楽町、JR西日本、信楽高原鉄道の4者協議会が、大阪市内と滋賀県内に「ご被災者相談室」を設置することを決めたが、具体的要員はこれからで、JRの新組織からスタッフを送ることになりそうだ。(朝日新聞 夕刊)
8日■信楽鉄道の補償と再建 県に専従支援室
 滋賀県は、列車衝突事故を起こした信楽高原鉄道の今後の事故処理と運行再開などを県として指導し、関係機関との調整などの支援をするため、生活環境部生活交通課内に「信楽高原鉄道支援対策室」を 10日付で設置する。
 県は現在、山田新二副知事を本部長とする事故対策本部を設置しているが、緊急の対応を目的に設置した組織で、各職員が兼務で対処してきた。今後、補償問題の支援や鉄道再建問題が出てくるため、専従職員を配し同鉄道の筆頭株主でもある県が本格的なバックアップ体制をとる。
 支援室の体制は、室長(課長級)に光男雅彦水口県事務所税務課長を充て、室長補佐1人のほか信楽街職員(係長級)1人を含む5人の計7人。当面は▽同鉄道が行う事故に関する補償などの事務の支援▽鉄道再建促進の指導−など、支援対策について必要な業務を行うことにしている。(京都新聞)
■KTR「安全」外注 チェック申し入れ 共産府議団、知事に
 共産党京都府会議員団(西山秀尚団長)は7日、信楽高原鉄道列車事故に関連して、府内の第三セクター鉄道・北近畿タンゴ鉄道(KTR)の安全運行確保を荒巻禎一知事(KTR社長)あてに申し入れた。この中で、特に車両の整備・点検、保線などの外部業者への委託についてチェック機能を強化するとともに、全国の第三セクター鉄道が参加する「同鉄道連絡協議会」を国やJR各社に共同で対応できる組織に改めるよう求めている。(京都新聞)
■義援金の口座 新たに開設 信楽高原鉄道事故
 信楽町の信楽高原鉄道列車事故対策本部は、銀行などの金融機関に新たに義援金の口座を開設。7日から受け付けを始めた。以前からの2ヵ所を加え、窓口は5ヵ所になった。新規口座は次の通り。
 びわこ銀行信楽支店 普通251665▽甲賀郡農協信楽支店 普通1234380▽滋賀県信用組合信楽支店普通2049737(京都新聞)
■JRグループ初の女性バス運転手
 JR東海バス(本社名古屋市)で村松高子さん(22)が、JRグループのバス会社として初めて女性運転手に起用された。同社の運転手325人の中で紅一点として注目を集めている。
 村松さんは3人姉妹の2女。地元の短大を卒業後、コンピューター関係の会社に就職したが、「バスの運転手になりたい」夢を実現するため、昨年7月、JR東海バスへ。入社後に大型二種の免許を取った。
 5月25日から名古屋駅と同市内のホテルを往復するシャトルバスの運転を担当、念願のバスドライバーとしてスタートしたが「将来は長距離の高速バスを運転してみたい」と、さらに夢を膨らませている。(京都新聞 夕刊)
9日■走れニュートレイン〈9〉 リゾート21 伊豆急行 走るプラネタリウム
 伊豆半島東海岸に路線を持つ伊豆急行は、観光客に多く利用される私鉄である。路線は伊東−伊豆急下田間だが、電車はほとんどJR伊東線に乗り入れ、熱海まで運転されている。またJR東日本の特急「踊り子」なども、伊豆急下田まで直通で乗り入れている。
 「リゾート21」電車は伊豆急の誇る本格的な観光電車として、昭和60年7月に登場した。
 当時、国鉄民営化を前にして、今後のリゾート列車の行方が注目されていたときだけに、「リゾート21」のざん新なスタイルとサービスは各鉄道会社に影響を与えた。特に前面の展望室の設備とワイドな窓は、各社のお手本。
 車内は海側の座席が、ほとんど海に向いて設置され、車窓の風景がたっぷり楽しめる。
 平成2年3月に登場した「リゾート21EX」といわれるマイナーチェンジ車は、ロイヤルボックスの特別シートの車両が付いた。この車両の天井はトンネルに入り暗やみになるとセンサーが感知し、星空が映る仕組みになっている。
 トンネルの多い伊豆急線内の苦肉の策だが、星空は細い1万本の光ファイバーが作動するものだ。星空はトンネルの長さによって異なるが、1等屋が初めに輝き、やがて星空になる。
 天の川が現れ、惑星が投射される。最も長いトンネルでは2分16秒の夢幻空間を演出する。
 このプラネタリウム電車は時刻表に「リゾート21EX」と表示されている。週末は東京から「リゾート踊り子」として運転されるが、JR内のトンネルではセンーがないので、星空は投射されない。観光地の路線を持つ鉄道のアイデア列車といったところである。(鉄道写実家・南 正時)
 〈メモ〉 熱海−伊豆急下田1650円ロイヤルボックス料金1000円。「リゾート21」「リゾート21EX」のロイヤルボックスはJR時刻表に表示されている。展望車は定員制、他は全車自由席制。(京都新聞)
11日■列車衝突 信楽惨事から1ヵ月〈1〉 なぜ起きた(上) 黄が青にナゾ 小野谷の場内信号
 死者42人、重軽傷者488人(滋賀県警調べ)−。わが国、鉄道事故史上にも残る大惨事となった信楽高原鉄道の列車衝突事故から間もなく1ヵ月になる。のどかな陶器の里を走る第三セクター鉄道で、なぜこんな大惨事が起きたのか。怒り、悲嘆にくれる遺族、いまなお入院生活を送る負傷者の姿が痛々しく、事故の重大さを物語る。事故当事者の信楽高原鉄道とJR西日本には今後、多数の被害者との補償交渉が待ち受けている。その上、高原鉄道は運転士ら5人を事故で失い、再出発できるかどうかの瀬戸際に立っている。16日には信楽町で合同慰霊祭が営まれるが、重すぎる多くの課題をもたらした列車事故のその後を追った。(信楽列車事故取材班)
 松林の間に単線のレールが敷設された信楽高原鉄道。事故から1ヵ月、列車の姿はなく、光沢があったレールも少しずつ赤茶色に変色し始めている。
 大惨事の原因を究明するため、滋賀県警捜査本部(水口署)は連日、関係者らの事情聴取や同鉄道とJRの運転協定書の分析、信号システムの確認作業などを進め、捜査はいよいよヤマ場を迎えた。
 5月14日午前10時35分、小野谷信号所で行き違うはずだった信楽発貴生川行き上り信楽高原鉄道列車(4両)と京都発信楽行き下りJR臨時列車(3両)が、なぜ正面衝突してしまったのか。事故の直接原因は信号にある。
 捜査幹部の調べによると、同鉄道列車は、信楽駅の出発信号を青に変えようとしたが出来なかったため、午前10時25分に赤信号のまま発車した。貴生川駅を同10時18−21分の間に出たJR列車は、その時まだ小野谷信号所の手前にいた。
 赤信号で出た場合、線路上の誤出発検知装置が作動、小野谷信号所の対向列車の出発信号は赤に固定される。同時に場内信号は黄になり、JR列車は信号所内で徐行、停止出来るはずだった。
 しかし、JR列車は信号所を通過した。同運転士は「信号所の手前の(場内)信号は黄で、徐行しながら近づいたら青になったので進行した。いつもは信号所に対向列車があり、おかしいと思ったが、(出発)信号が青だったので進んだ」という。
 捜査幹部は「運転士の証言を覆す証拠は、今のところない」と話す。
 その言葉を裏付けるように小野谷信号所の制御盤には、赤信号で発車を強行した場合に点灯する誤出発ランプはついていなかった。事故後、けん引用のディーゼル機関車が信号所を通過したあとで点灯が確認されており、JRが青信号で進んだことを証明している。
 なぜ信号は「青」になったのか。そのナゾを解く手がかりの一つが「小野谷の場内信号は黄だった」という運転士の証言である。
 信号に詳しい専門家によると、全信号は初期状態は赤になっている。小野谷信号所の場内信号も赤で、黄に変わるためには、出発信号が赤に固定されなければならない。
 「信楽駅を赤信号で発車した瞬間、通常なら誤出発検知装置と信号所の出発信号を結ぶ伝達回路の電流が切れ、出発信号は赤に固定される。と同時に場内信号は黄になる。その後、両信号が青に変わったということは、何らかの原因で電流が復活してリセット状態になり、信号所手前の接近検知器をJR列車が通過したことが考えられる」と指摘する。
 場内信号の黄色、つまり出発信号の赤固定は、誤出発検知装置の伝達によってもたらされたものなのか。だとすれば、切れるはずの電流がなぜ流れたのか。伝達回路のトラブルと電流。その解明が、焦点になっている。(京都新聞)
■信楽駅の出発信号 11日前にも同じ異常 原因不明で運行継続
 信楽高原鉄道とJR列車の正面衝突事故で、信楽町は10日、5月3日にも同鉄道の信楽駅の出発信号が、事故当日の14日と同様、赤のまま変わらない信号トラブルがあったことを明らかにした。
 町側が10日までに、同鉄道を通じて、事故発生前の信号トラブルの有無について調査したところ、連休中の5月3日に、出発信号のトラブルがあったことが分かった。事故列車と同時刻の午前10時14分発の列車が発車する際、1番ホームの出発信号が、赤のまま青に変わらないトラブルで、数分後に自然解消したため原因の分からないまま運転していた。
 町によると、同鉄道では信号トラブルの原因を調べていたが、原因は分からずじまいで、その後も列車運行を続けていた。このトラブルについて同鉄道の社長を兼ねる杉森一夫町長には報告されず、5月3日からトラブルはなかった、としている。
 これまでに分かっていた同鉄道の信号トラブルは、4月8日と同12日の2回。JR貴生川駅構内で、出発信号が正常に作動しなかった。(京都新聞)
■制御故障気付かず 阪神暴走 運転士ら 非常停止の義務怠る
 神戸市の阪神電鉄本線の暴走事故で、同社は10日、運転士が故障発生後約1分30秒間も通常ブレーキが利かないことに気付かず、約3分半後にやっと非常ブレーキで停車させていたなどの事故調査結巣を発表した。
 同社は、岩村覧治運転士(27)と沢田純一車掌(27)に運転取扱心得違反があったとみて、人事委員会で処分を検討する。
 発表によると、故障発生は電車が春日野道駅を出た直後の2日午後4時20分すぎ、車両床下の断流器箱の端子が放電、車内灯が消えるとともに制御系のバッテリーのブレーカーが切れるなどして通常ブレーキが利かなくなった。
 電車は速度を30-40`に落として惰行運転。岩村運転士は約1`走り三宮駅手前で通常ブレーキ異常に気付き、赤信号を無視して同駅を通過。約0.63`走り、ようやく非常ブレーキで止まった。
 同社は、岩村運転士と沢田車掌が通常ブレーキ異常に気付いた直後に非常ブレーキで停車させる義務を怠ったとしている。
 また直接の事故原因となった断流器箱の放電防止のため、端子に絶縁ゴムキャップを装着するなどの措置を取った。放電発生の原因は不明のままだが、端子の装着具合や材質に問題がある可能性もあり、原因を調べている。(京都新聞)
■阪神停電 高圧回路のスイッチ異常 停車処置で乗務員を処分へ
 神戸市中央区の阪神電鉄本線トンネル内で今月2日、普通電車が走行中停電し、三宮駅を通過した事故で、阪神電鉄の故障原因調査委員会(委員長・飯塚卓常務)は10日、高圧回路のスイッチ部分の異常が原因とする事故報告書を近畿運輸局に提出した。三宮駅通過については、運転士(27)が故障に気付いた後、駅手前で非常ブレーキをかける余裕が十分あったのに、そのまま赤信号を通過、車掌(27)も「車掌弁」という非常ブレーキをかけることができたのにしなかった、として、2人を近く懲戒処分にすることにした。
 停電の直接原因は、高圧回路のスイッチのボルト部分が、さびかほこりか何かの理由で抵抗が大きくなって高熱になり、突然スイッチが切れたために放電、1500ボルトの高圧電流が100ボルトの低圧回路に流れ込み、非常用バッテリーのブレーカーが切れた、と断定。同型車両に絶縁キャップを装着したほか、全車両のボルトを点検した。(朝日新聞)
■500`の高速リニア 新幹線は350`台に 21世紀の鉄道像を答申 運輸技術審
 「21世紀の新幹線は時速350`」。運輸技術審議会(会長・山下勇JR東日本会長)は10日、鉄道など交通機関の高速化や大都市圏の輸送力増強を柱とした「21世紀を展望した運輸技術施策」を村岡運輸相に答申した。
 答申は交通サービスの多様化と人や環境にやさしいサービスの実現を基本理念として技術開発を提言。開発に当たっては交通施設と生活環境の調和を図る必要があると、指摘している。
 鉄道の高速化については、1990年代に新幹線の最高速度を現在の時速275`から300`に、在来線は140`から160`にそれぞれスピードアップ。
 21世紀初めには新幹線350`、在来線200`の実現を目指すほか、リニアモーターカーも500`程度の超高速の営業運転を目標に開発を進めるとしている。
 大都市圏の輸送力増強については、90年代に2階建て車両の導入促進をはじめ、先行列車と後続列車の距離を自動的にキャッチし、これを基に後続列車の安全速度を計算して走行させる新運行システムの開発などを求めている。
 新運行システムが完成すると、列車の運行間隔が大幅に短縮でき、輸送量が現在よりも約30%も増えるとみられている。
 このほか、通勤通学のラッシュ対策として、乗降口の幅を現在の通勤電車の4、5倍に広げ、壁面がほとんどないユニークな「全面扉車両」の構想なども打ち出している。
 しかし、答申はこうした技術開発について民間による具体化が基本と強調「国は民間を支援するために政策手段を講じる」とするにとどまっている。(京都新聞 夕刊)
■丸太小屋の駅舎
 長崎県・佐々(さざ)町の第三セクター・松浦鉄道佐々駅がログハウス風に改築され、珍しさもあってお年寄りの憩いの揚ともなっている。
 JR時代からのプレハブ駅舎が狭く、待合室もなかったため、同町が総工費約2000万円の大半を出して建て替えた。一部2階建て108平方bの丸太小屋。丸太は長崎県産の杉230本を使った。(京都新聞 夕刊)
12日■列車衝突 信楽産婆から1ヵ月〈2〉 なぜ起きた(下) 複合要因が誘発?
 「どうして信楽高原鉄道は小野谷信号所に先に係員を走らせ、安全を確かめたうえで発車しなかったのか」。鉄道問題に詳しい学識者ら専門家の一致した見方だ。
 高原鉄道は、到着した下り列車3両に車庫線の列車1両を増結、1番ホームから貴生川行き上りとして午前10時14分に発車する予定だった。
 しかし、信楽駅の出発信号が青に変わらず、赤信号のまま同25分、ATS(自動列車停止装置)を解除して手旗信号で出た。駅舎近くの継電室では、電気保守担当の下請け件業員らが、まだ信号系統の点検中だった。
 発車とほぼ同時に、同鉄道の社員が国道307号を車で小野谷信号所に向かった。同信号所で、線路のポイント切り替えと手旗信号により、JR列車と行き違いさせるのが目的。だが、信号所手前で社員が目にしたのは、すでに衝突してしまっていた両列車の無残な姿だった。
 同鉄道とJRの間で結ばれた運転協定では、通常は信号機に従って運行する「特殊自動閉そく方式」をとるが、故障の場合は、小野谷信号所(無人)に係員を派遣するとともに、タブレット役の係員を列車に乗り込ませる「代用閉そく方式」で行うことになっていた。
 高原鉄道列車には、運転士をはじめ、運輸省の査察スタッフを出迎えに行く常務、業務課長ら計6人(うち5人死亡)の同鉄道関係者が乗車。ただ1人生存した車掌代行の証言では、赤い腕章をした社員が先頭車両に乗り、タブレット役を果たしていた。「代用閉そく方式」をとり、赤信号での発車の手順を踏んでいたといえる。
 しかし、基本約に欠けていたのが安全確認。「JRが信号所で停止してくれるとの思い込みがあったとみられる」と、捜査幹部は言う。
 クローズアップされる高原鉄道側のミス。一方、JRには過失はないのだろうか。
 JRの運転士は、小野谷信号所で「対向列車がいないので、おかしいと思ったが、信号が青だったので進んだ」。これに対し、同鉄道側は「青でも対向列車が来るのを待つべき」と主張、信号所での運行の考え方に隔たりがみられた。
 鉄道問題に詳しい天野光三京都大学教授は「青信号は進んで来いということ。通常、運転士が列車から降りて沿線電話で連絡して出発することは考えられない。青で進まないのでは非常に困ったことが起きる」と話す。
 また、今回の事故では、JR列車が貴生川駅を発車した時刻が確定されていない。JRは午前10時16分発が2分遅れて発車したと主張するが、滋賀県警捜査本部は5分遅れの情報もあるとして、詰めの捜査をしている。
 両社の運転協定では、5分以上発車が遅れた時は、互いの駅に連絡するとの規定があり、遅れの時間によっては、JR側にも手落ちがあったことになる。
 駅の出発信号機のトラブルに端を発し、人為的な判断ミス、さらに誤出発検知装置の伝達回路の不良などの複合要因から、大惨事は起きた可能性が高い。
 信楽駅では、事故の11日前の5月3日に出発信号機が青に変わらないトラブルがあったが、間もなく自然に復旧した。県警は電圧も含めて調べているが、当時、詳しい調査は行われなかった。
 高原鉄道に電気保守の専門社員を採用できないなど合理化経営を迫られる事情はあった。だが、その要因の一つでもくい止めることができていれば、事故は防ぎ得たのではないか。(京都新聞)
■ドイツ版新幹線 トラブル発生も超高速?!
 【ボン11日共同】ドイツが鉄道王国の威信をかけて10年がかりで開発した超高速鉄道ICE (インターシティー・エクスプレス)が2日の開業以来、故障続きで思わぬ波紋を広げている。
 ICEは世界一の高速技術と世界最高の快適空間をうたい文句にしたドイツ版新幹線で、前評判は上々だった。ところがいざ開業すると、どの便も予定より大幅に遅れたり、乗降口が作動しなかったりと散々。
 ドイツ国鉄は「故障個所を自動約に探知して直すはずの自動診断システムそのものが精巧過ぎて故障してしまった。技術約には大した問題ではない」と弁明に必死だが、ドイツ鉄道労働組合は「ICEの導入を焦り過ぎた結果だ。もう少し車両点検のための期間を置くべきだった」と批判、早くも先行きに黄信号がともっている。今回開業したのはハンブルク−ミュンヘン間で、25編成。(京都新聞)
■新本社の上棟式行う JR西日本
 大阪市北区芝田二で建設中のJR西日本新本社ビルの上棟式が12日午前10時から行われ、石月昭二・国鉄清算事業団理事長や角田達郎・JR西日本社長をはじめJR各社の関係者ら約50人が参加、工事の無事完成を祈願した。
 新本社は、現本社から北約300b、JR西日本が業務用地として旧国鉄から引き継いだ約7400平方bの敷地に平成元年11月から建設工事中。地上13階、地下2階で、延べ床面積は現本社とほぼ同じ約3万2000平方bとなり、平成4年春に完成する予定。(京都新聞 夕刊)
■はねられ死亡の男性身元分かる JR瀬田駅
 11日夜、大津市のJR東海道線瀬田駅構内で、寝台特急にはねられ即死した男性は、大津署の調べで所持品から草津市西大路町、会社員丸山光雄さん(42)と分かった。
 同署によると、通過中の特急運転士が下りホーム上でふらついている丸山さんを発見、急ブレーキをかけたが間に合わなかったといい、大津暑は丸山さんが誤って特急に接触したのではないかとみて詳しく調べている。(京都新聞 夕刊)
■信楽事故 遺族に義援金の50万 町決定 慰霊祭でまず贈呈
 滋賀県甲賀郡信楽町の6月定例町議会が12日開会され、杉森一夫町長は、16日に営まれる信楽高原鉄道列車事故合同慰霊祭で、死亡者42人の遺族に、全国から寄せられた義援金から1人当たり50万円を贈ることを明らかにした。
 杉森町長は冒頭のあいさつで、11日までに町事故対策本部に寄せられた1651件、約2160万円の義援金の扱いについて触れ「合同慰霊祭当日、その善意を伝えるため、応分の志としてご遺族にお渡しさせていただく」と述べた。死亡者1人当たり50万円が贈られる。
 また負傷者に対しても、近く見舞金を届ける準備を進めることを明らかにした。
 定例会では昭和62年に制定された「信楽町鉄道経営安定対策基金条例」の一部改正案と、列車事故の対策費の資金として、義援金とは別に「町のために使って」と、寄せられた見舞金約8000万円を積み立てる「信楽高原鉄道列車事故対策基金」の制定条例案、事故対策費など1億2400万円を補正する町一般会計補正予算案の3件が提案され、可決された。(京都新聞 夕刊)
■トラクターと電車が衝突 天理市のJR桜井線
 12日午前6時ごろ、奈良県天理市三昧田町のJR桜井線で、王寺発奈良行き普通電車(6両編成)が同市勾田町、農業布留川政治さん(62)運転のトラクターと衝突、布留川さんはそはの土手に投げ出され、右胸や手などに軽いけがをした。電車はトラクターを巻き込んだまま約200b行き過ぎて停車、電気系統が破損して運転ができなくなった。このため、トラクターを取り除いたあと、後続の普通電車が連結して天理駅に運び、午前8時40分、復旧した。
 奈良県警天理署の調べでは桜井線は単線で、線路の両側に布留川さんの田んぼがある。布留川さんはトラクターで線路を横切る際、長さ約2b、幅約30a、高さ約5aのアルミ板を高さが15aある線路わきに置いて乗り越えていた。1本の線路を越えるたびにアルミ板を運んで、同じやり方で線路をまたいでいた。(朝日新聞 夕刊)
■特急にはねられ ホームの男性即死 JR瀬田駅
 11日年後11時10分ごろ、大津市大童1丁目、JR瀬田駅の下り1番ホームで、草津市西大路町、会社員丸山光雄さん(42)が、通過中の東京発西鹿児島行き特急「はやぶさ」にはねられ、頭などを強く打って即死した。
 大津署の調べによると、ホームの端で丸山さんがふらついているのを、約100b手前で運転士が見つけ、警音器を鳴らしながら急ブレーキをかけたが、間に合わなかったという。(朝日新聞 夕刊)
■信楽事故線路わきに慰霊堂
 死者42人を出した信楽高原鉄道列車衝突事故で、現場の甲賀郡信楽町黄瀬の線路わきに現地慰霊堂が建ち、12日、同町仏教会の僧らによる入魂式が営まれた。
 これまで、仮祭壇があったが、現場検証も終わり、列車も取り除かれたため、さらに現場近くに出来た。
 慰霊堂はヒノキ造りで屋根は銅板ぶき。高さ2.6b、横2.4b、奥行き1.5bで、風雨に耐えられる構造だという。町内の大工ら7人が協力して建設した。入魂式は午前8時から始まり、読経のながれる中、町職員や地元民らも手をあわせて犠牲者のめい福を祈っていた。
 滋賀県、信楽町、信楽高原鉄道、JR西日本の4者による合同慰霊祭は、16日に同町内で予定されている。(朝日新聞 夕刊)
■JR西日本の新本社上棟式
 JR西日本(角田達郎社長)の新本社ビルの上棟式が12日、大阪市北区芝田二丁目の同ビル建設地であり、石月昭二・国鉄清算事業団理事長や角田社長らJR関係者約50人が出席した。新本社は、旧国鉄長期債務返済のため国鉄清算事業団に明け渡す現社屋の代わりとして、同事業団が89年11月に着工した。完成と本社移転は来年春の予定。
 新本社は現社屋の北約300bの敷地約7400平方bに地上13階、地下2階延べ3万2000平方bの鉄骨造りを建設中。建設費約100億円で、事業団が70億円、JR西日本が26億円、残り4億円を、新ビル入居予定のJR東海など6社が負担する。
 現社屋は昭和3年5月に完成、五角形のユニークなデザインで、戦災にも耐えた名建築として、保存を望む建築関係者もいる。しかし、事業団は取り壊した跡地約2万平方bを売却して旧国鉄の債務返済に充てる計画。(朝日新聞 夕刊)
13日■列車衝突 信楽惨事から1ヵ月〈3〉 被害者はいま 残された者、傷深く
 JR山陰線の線路わきにある小さな住宅に列車の音が響く。
 「この電車に乗って帰ってきてくれるのではと、今でも思うんです」。夫・修さん(35)を亡くした森上美由紀さん(33)=亀岡市大井町=は肩を落とした。大黒柱を奪った一瞬の列車衝突事故。心の支えを失った美由紀さんに、小学3年と1年の2人の娘の将来が重くのしかかる。
 死亡届や住民票からの除籍など勤務先や役所へ提出するさまざまな書類を書きながら、「なぜこんなことをしなければならないのだろう」と涙する日が続く、掃除や洗濯といった日常の家事も手につかない。
 修さんは、勤務する織物会社が加盟する研究機関の研修で世界陶芸祭に行く途中、JR列車に乗っていて事故にあった。会社では帯の図案を担当。陶芸が好きで、5月の連休には一家で兵庫県へ出かけ、陶器作りをした。楽しい思い出になるはずの作品が形見になってしまった。
 事故後、長女友絵ちゃん(8つ)も二女由未ちゃん(6つ)も修さんのことをあまり口にしなくなった。
 亀岡市郊外の借家の居間に設けられた小さな祭壇には、修さんの似顔絵が飾られている。姉妹が「お父さん、何してるかな。天国でも笑っているかな」と話しながら悲しみをこらえて描いた。
 今月16日は小学校の父の日参観日。修さんはこれまで一度も欠かさなかった。1年生の由未ちゃんにとって初めての父親参観日は、信楽町での合同慰霊祭となる。
 臼井信子さん(26)=京都市右京区=も、同じ研修で亡くなった。勤めて2年目、陶器の研究員として一歩を踏み出したばかりだった。
 デザイナーの父・和男さん(52)は娘のために初めて着物を染め上げた。事故の2日前に出来あがった着物に、信子さんが抽(そで)を通すことはなかった。淡い緑を基調にした朝露色の着物は「旅立つ」と名付けられ、遺影のある仏間に遺品と共に並べられている。
 和男さんは事故から10日目の夜、作品に一編の詩を添えた。
 朝露の いまだのこれる浅みどり 光まばゆく君を照らし 5月の風は紅顔をやさしくなで その夢心地の中 あなたは旅立つ
 「陶芸祭へ向かう途中、緑の映える高原で楽しい夢を見ながら旅立ってくれたことが、せめてもの救いでしょうか」と、ほほ笑んでいる信子さんの遺影に目をやる。
 全身打撲で今も通院生活を続けている洋菓子店店員の後藤泰子さん(48)=茨木市玉櫛二丁目=は、夫婦で事故に巻き込まれ、夫の正利さん(51)を失った。
 今回の事故では、犠牲者のほとんどが圧死した。正利さんもへしやげた車両の天井と壁にはさまれ亡くなった。傍らの泰子さんの目の前でみるみるうちに顔が青ざめ、生気を失った。
 「50も過ぎたし、これからは2人でゆっくりしようと話していたのに…」。結婚して30年目、夫婦水入らずの遠出は初めてだった。
 「雨が降ると、頭に鈍痛が走る。後遺症が残るのではと心配している。JRには、言っておきたいことや尋ねたいことがたくさんあるのに、今の対応には誠意が感じられない」と泰子さん。
 職場に戻るメドも立たず、他の遺族と連絡を取り合うにも、遺族名簿すら手元にない。事故原因や補償問題を伝える新聞を切り抜く日々が続いている。
 列車事故で犠牲になったのは、42人。父親や長男を失った中島三木男さん(30)=信楽町黄瀬=ら39遺族は、さまざまな思いで16日の慰霊祭を迎える。12日現在、37病院に59人が入院している。(京都新聞)
■ブルーリボン賞に乗武のスペーシア
 鉄道ファンで組織する「鉄道友の会」(会長・八十島義之助帝京技術科学大学長)は12日、昨年中に登場した最優秀車両に贈るブルーリボン賞を東武鉄道の「スペーシア」に決めた。
 昨年6月から日光線にデビュー。しゃれた流線形の車体デザインと、私鉄としては戦後初めて4人用の個室を設けるなど利用客に豪華さを提供したのが評価された。同社の受賞は初めて。
 性能や運行コストなど技術約に優れた車両に贈るローレル賞には、大阪市交通局の「国際花と緑の博農会」の観客輸送に活躍した70系電車などが決まった。(京都新聞)
■信号故障の対応点検 KTRとJR、合同訓練 相互乗り入れ 豊岡駅
 北近畿タンゴ鉄道(KTR)とJRが相互乗り入れする兵庫県豊岡市大手の豊岡駅で12日、KTR、JR両社の初の合同列車取り扱い訓練が行われた。信楽高原鉄道事故の発端にもなった信号機の故障時の対応について、両社の現場担当者らが再確認した。
 信楽高原鉄道と同じ第三セクター方式で京都府などが運営するKTRは、平常、1日に特急1本、急行2本の往復ダイヤがJRから乗り入れる形で組まれており、海水浴シーズンには臨時列車の増発も見込まれる。訓練は両社の乗り入れれる豊岡、福知山、西舞鶴各駅でのそれぞれの管理区域を再確認し、信号機が故障した際の連絡・指示などをチェックするのが狙い。
 JR側30人、KTR側15人の運転士、信号取り扱い担当者らが参加、立花英臣・JR豊岡鉄道部長が「事故防止の最後のとりでは人間。会社が違うことで生じるすき間を訓練の中で埋めたい」とあいさつ。訓練では、信号機故障時にJR・KTRのそれぞれの駅長、信号担当の四者間で進められる手順を20項目前後にまとめて点検。続いて駅構内でKTR側の信号が故障したとの想定で実地訓練をし、代用手信号などを使い列車を無事誘導した。(京都新聞)
■洛中洛外 歴史舞台〈12〉 市電北野線(京都市上京区など) かつて「近代京都の顔」
 「あぶのおっせ、のいとおくれやっしや−」。印ばんてん姿の少年が、時速10`でノロノロ走る電車の前を、赤旗や赤ちょうちん片手に駆け抜けた。
 東洋初の電車として明治28年に都大路に登場した京電(京都電気鉄道株式会社)。5年前に完成した琵琶湖疏水の水力発電を使い、七条−伏見間を走り抜ける姿は、文字通り「近代京都の顔」でもあった。
 京電はその後、大正7年に京都市に買収され、市電の一部として統合された。多くの路線が廃止になる中、京都駅と北野天満宮を結ぶ「北野線」は昭和36年まで生き残り、市民の間から「チンチン電車」の愛称で長く親しまれた。
 北野線は、狭軌であったため、市電に比べると車体も一回り小型だった。定員もわずか43人。毎月25日の天神さんの縁日には、お参りの市民で込み合った。北野商店街近くで竹材販売業を営む松井竹義さん(84)は「露店で買った植木やお札を持った参拝客がいっぱいで、おかげで商店街も大いににぎわったもんです」と、振り返る。
 戦後、復興を目指す京都で、北野線を含む市電は、輸送面で大きな役割を果たす。「乗客がデッキからはみ出し、終電なんか、買い出しの市民でいっぱい。電車の前後の救助網にもイモの袋を満載していました」と、昭和22年から11年間、北野線の車掌を務めた中村善男さん(61)=京都市北区=は話す。一人でも多く乗せるために、座席を取り払った時期もあったそうだ。
 上京区堀川中立売近くには電車を回転させて掘川を渡す転車台があったり、四条通の堀川−西洞院間には広軌、狭軌両用の3本レールが残っていたり、西洞院通では民家の軒すれすれに電車が走ったり…。
 チンチン電車の面影を知る市民が年々数少なくなる中で、今では北野天満宮の大鳥居前の北野線記念碑だけが、かろうじて往時をしのばせている。(京都新聞)
■ローレル賞決まる
 国際花と緑の博覧会開催を機に、昨年3月開業した大阪市営地下鉄鶴見緑地線の70系車両が12日、鉄道友の会(会長、八十島義之助・東大名誉教授)の、91年度ローレル賞に選ばれた。
 全国の候補車両50形式の中で「日本初のリニアモーター駆動方式のミニ地下鉄として、うまく先端技術を採り入れ、省資源・経済性で傑出していた」のが受賞理由。
 最も権威があるとされるこの賞を、大阪市がもらったのは日本万国博の開かれた1970年以来20年振り。「受賞はどうもエキスポ開催がポイントになるみたい」と市交通局。(朝日新聞)
■熱心に大勢の市民 JR京都駅ビルコンペ 7作品を一般公開
 JR京都駅の改築に伴う設計競技(コンペ)に参加した7人の建築家の設計案(作品)を一般公開する作品展が12日から、中京区高倉通三条上ルの京都文化博物館で始まった。大勢の市民らが訪れ、熱心に見つめていた。
 コンペには原広司、安藤忠雄、ペーター・ブスマン(独)、池原義郎、黒川紀章、ジェイムズ・スターリング(英)、バーナード・チュミ(米)の国内外の著名な建築家七人が参加。5月7、8日の審査会で、原氏の作品が最優秀に選はれた。
 高さ120bの設計案もあったが、原氏のは7案の中では最も低い59.8bだった。京都駅ビル開発会社(社長・井手正敬JR西日本副社長)は来年夏ごろの着工に向けて、作業を進めている。
 作品展では7作品の設計図、設計趣旨書、模型が展示されている。最優秀作品について、東山区に住む建築事務所勤務の男性(24)は「反対があるので仕方ないが、もっと高くてもよかったのでは」と話し、左京区の無職の男性(70)は「京都にマッチしている印象がある。あまり高いのは困る」と感想を述べていた。17日まで、無料。
・白紙撤回と討論を のっぽビル反対 市民連合アピール
 「のっぽビル反対市民連合」(西山夘三代表)ら4市民グループは12日、JR京都駅改築設計競技(コンペ)作品展が始まったことを受け、京都駅ビル開発会社(社長・井手正敬JR西日本副社長)に対して、コンペの白紙撤回と公開討論会の開健を求めるアピールを発表した。駅周辺の高さ規制を無視して行われた−など、欠陥があると指摘。(朝日新聞)
■信楽惨事 補償基本協定交わす 四者協 17日から相談窓口
 信楽高原鉄道事故の補償問題などを協議する「信楽高原鉄道事故対策四者協議会」(滋賀県、信楽町、信楽高原鉄道、JR西日本で構成)が13日午前、大阪市北区の大阪弥生会館で開かれ、補償交渉の推進に関して、信楽高原鉄道とJR西日本の両者が協力して行う、補償金は責任割合に応じて両者が負担する−などを骨子とした「信楽高原鉄道事故補償等に関する基本協定書」をとり交わした。また、17日から大津市と大阪市の2ヵ所に被災者相談窓口を開設することを決めた。
 協議会には、協議会メンバーの花房義彰県生活環境部長、森島慎一郎信楽町助役、井上着絹信楽高原鉄道専務、木部義人JR西日本総務部長の4人と四者のオブザーバー10人が出席した。
 この日結んだ基本協定内容は@補償交渉は信楽高原鉄道とJR西日本が協力して行うA両者は責任割合に応じて補償金を支払う義務があることを確認するB責任割合は原因が明確になり次第両者で協議するC補償金は、交渉がまとまった時点で両者が均等に支払い、要請があればJR西日本が立て替えて支払うD均等に支払った後、責任が明確になった時点で責任割合とする−の5項目。
 17日開設の被災者との交渉窓口となる「信楽高原鉄道事故ご被災者相談室」は、井上信楽高原鉄道専務を室長とし、滋賀事路所長に村西俊雄信楽高原鉄道総務部長、大阪事務所長に多田均JR西日本総務部担当課長を配置。滋賀相談室の場所についてはJR大津駅周辺で設置する計画、大阪事務所は、阿倍野区松崎町のJR天王寺ビル内に置く予定。
・合同慰霊祭に両陛下が生花
 天皇、皇后両陛下は13日、滋賀県・信楽町の滋賀勤労身体障害者体育館で16日に営まれる信楽高原鉄道事故の合同慰霊祭に生花一対を贈られた。(京都新聞 夕刊)
■線路に下りてはねられ死亡 100円玉落とした男性
 13日午前10時38分ごろ、神戸市垂水区のJR舞子駅で、落とした小銭を拾おうとホームから線路に下りた男性が草津発加古川行きの下り快速電車(6両、乗客約100人)にはねられ、即死した。
 垂水署の調べや舞子駅の話によると、この男性はホームで電車を待っていた際、線路に100円硬貨1枚を落とし、ホームから下りた。電車が近づいてきたので、危険を感じた連れの客がホームからこの男性を引き上げようとしたが、間に合いそうになかった。いったん手を離し、ホームの反対側に男性を逃れさせようとしたが、間に合わなかった、という。
 連れの男性の詣では、亡くなったのは兵庫県津名郡淡路町、無職川上清春さん(68)と見られ、同署で身元の確認を急いでいる。
 この男性は知人と2人で神戸市垂水区内の胃腸外科病院に通院、治療を受けて帰る途中だつた。
 この事故で快速電車は9分停車。後続の下り普通、快速電車各1本が3−8分遅れ、約300人の足が乱れた。(朝日新聞 夕刊)
■はい社会部です 回数券払い戻して
 大学生の娘が、地下鉄御堂筋線昭和町駅の市営駐輪場の月決め契約抽選に外れましたが、数日後に「補欠で当たった」と連絡を受けました。繰り上げの抽選があるなんてまったく知らず、11枚つづり1500円の駐輪回数券を買ったばかりでした。とても不親切ですね。不要になった回数券も払い戻してくれないんですよ。大阪市阿倍野区 主婦(50)
 大阪市路政課「この駐輪場の抽選には約1900人の希望があり、ほぼ2倍の競争率でした。当たっても契約しない人がいるので、こちらで補欠抽選し、この順番で繰り上げ当選にしています。抽選発表のときに補欠のことをお知らせしなかったのは不親切で、次から改めます。回数券は未使用の場合だけ払い戻していますが、他の都市の例なども調べて使用中の券も払い戻すかどうか検討します」。(朝日新聞 夕刊)
14日■列車衝突 信楽惨事から1ヵ月〈4〉 補償問題の行方 カギ握る県の支援
 「被災者の不安を取り除くため、速やかに補償問題に取り組むことが先決で、補償交渉の基本的な点を協議していきたい」。4日、県庁で開かれた信楽高原鉄道、JR西日本と信楽鉄道を支援する滋賀県、信楽町による「信楽高原鉄道事故四者協議会」の初会合で花房義彰・県生活環境部長が口火を切った。これにより補償問題は、四者が足並みをそろえた形で交渉への第一歩を踏み出した。
 社員20人のうち、常務を含む5人を失うなど、壊滅的打撃を受けた信楽高原鉄道。加入していた保険金限度額の1事故3億円に、町鉄道経営安定対策基金約3億5000万円を加えても、死者42人、負傷者576人(県など調べ)という大惨事から予想される補償金の支払いは同鉄道には不可能だ。
 県から信楽高原鉄道に派遣された県OBの北川啓一副社長は「いまは誠意を尽くして補償交渉に取り組むことが大切。経営基盤のモロイ会社としては県や町の支援を頼む以外にない」といい、同鉄道の筆頭株主でもある県は、10日に四者協議会の実働部隊として庁内に信楽高原鉄道支援対策室を設置し、本格約な取り組みを始めた。
 四者協議会では17日、大阪市と大津市の2ヵ所に被災者の相談室を設けるが、JR側では担当課長2人を任命。JR西日本鉄道本部長の井沢勝常務は「警察が原因を調査している段階で責任をどうこういえない。四者が協力して被災者の補償に当たる姿勢を大事にしていきたい」と事故責任とは別に、今後の四者協議会の意向に沿って担当課長の下に補償交渉のスタッフを張りつけていく構えだ。
 県の資金面での支援は「法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律」で、地方公共団体が民間企業の債務を保証することを禁じられているため、稲葉稔知事は「県としてどういう形で支援できるか。熊本県の水俣病患者へ補償金をねん出するための地方債の事例などを参考に、県民の理解が得られ、地方財政法上からも支障のないような方法を検討したい」との基本姿勢を示している。
 が、水俣病患者に対する補償金は、まず国が水俣病患者を認定。熊本県が県債・転貸債を発行し、補償費用として民間企業のチッソに貸し付けている。チッソは経常利益から返済しているが、今回の場合、国の認定がないうえ、営業収入1億3000万円、経常利益100万円(平成元年度)の信楽高原鉄道に返済能力がないなど、この方式がストレートには当てはまらない。県としてはどんな形で支援できるのか、頭の痛いところだ。
 自治省では「いずれ県から話があるだろうが、第一義約には県と議会が具体約な案を決めるべきだし、相談があれば力になるつもりだ」(中里清敏財政局指導課長)と、協力の姿勢を見せており、県でも鉄道再建を前提として、可能な限りの支援方法を早急にとりまとめ、自治省や運輸省と協議することにしている。
 信楽高原鉄道に限らず、第三セクターのほとんどが住民の強い要望による旧国鉄の赤字路線からの転換。鳥取県・若桜鉄道の池岡猛専務も「もともと赤字覚悟でスタートしており、会社の力が弱く、保険内容も似たようなもの。こんな事故が起きれば耐えられないし、事故を起こさないようにする以外に手はない」と、経営体質の弱さを嘆く。
 今回の事故を機に、運輸省では、全国の第三セクターが保険料を出し合って加入する新保険制度の検討を始めた。「保険会社に打診している段階だが、早急に制度化したいと思っている」(小幡政人地域交通局鉄道業務課長)。新保険制度の導入は、第三セクターの補償能力のアップにつながるが、その代償はあまりにも大きかったといえる。(京都新聞)
■山陰線で列車遅れる
 13日午前11時10分ごろ、JR福知山支社CTC表示盤の山陰線浜坂・久谷間の部分に、列車が走っていないのに走行中を示す異常表示が出た。1時間20分後に後旧したが、鳥取発京都行き特急「あさしお6号」など特急5本と普通列車2本がその間、近くの駅で待機、1時間から20分遅れた。(京都新聞)
■初の女性運転士 岡山の路面電車
 岡山市の目抜き通りを走る路面電車、岡山電気軌道の浅田公志さん(39)に13日、中国運輸局鉄道部から運転士の合格通知が届き、全国初の女性運転士が誕生した。
 浅田さんは小学生と中学生の三女の母。去年11月、女性運転士募集の新聞広告をみて即座に応募。1月に入社し、筆記試験に合格した後、路上の実技訓練に励んできた。
 訓練中は乗用車の割り込みや、乗客の直前横断などヒヤッとすることもしばしば。でも「頑張って、と声をかけていただいたみなさんの激励が支えでした」。7月1日から独り立ちする。(朝日新聞)
■停電で一時不通に JR福知山線
 14日午前9時13分ごろ、JR福知山線尼崎−川西池田間で停電があり、上下線とも不通となった。大阪電力区で調べたところ、尼崎駅の西約1.3`の恵曽江踏切で、トラックが通行車両の高さ制限を示す注意標識を引っ掛け、標識のワイヤが切れて架線に触れショート、停電したと分かった。
 このため大阪発天橋立行き下り急行「みやづ」など上下3本が現場付近で停車、同10時17分に停電が復旧、運転を再開した。上下7本が運休、上下24本に最高47分の遅れが出て乗客約3900人に影響した。(京都新聞 夕刊)
■新幹線57本に遅れ
 14日午前7時10分ごろ、東京都品川区八潮の東海道新幹線東京第二車両所で、ポイントの転換状態を示す表示盤が消え、東京駅に回送する下り用列車が出発できなくなった。係員が表示盤に通じる電源用ブレーカーを操作、約1時間半後に復旧したが、同午前10時ごろ、今度は東京−新横浜間で上下線とも約10分間、停電した。
 一連の事故で、東京発新大阪行きこだま415号など上下計57本が1時間34分−5分遅れ、約6万6000人が影響を受けた。ダイヤの乱れは同日昼すぎまで続く見込み。JR東海で、それぞれの事故について原因を調べている。(京都新聞 夕刊)
■信楽惨事からひと月 傷跡深く59人まだ入院
 滋賀県甲賀郡信楽町で、死者42人、負傷者576人(県調べ)を出した信楽高原鉄道の列車衝突事故から14日で1ヵ月。負傷者のうち重傷者59人は入院のままだ。
 事故現場近くの同町黄瀬、会社員中島三木男さん(31)は長男の未晴ちゃん(2つ)と父治三郎さん(63)を一度に失ったばかりでなく、母いとさん(66)が両足骨折で入院中。この朝、未晴ちゃんの大好きだったチョコレートを現場に供えた中島さんは「新聞やテレビも見せていません。だから2人の死も母はまだ知りません」と話した。
 宝塚市中山桜台一丁目、会社員吉崎俊三さん(57)の妻佐代子さん(当時53)は娘2人と世界陶芸祭見学に出かけて事故に巻き込まれた。佐代子さんは死亡、長女(28)は右腕や腰などを骨折して入院中。指先もマヒし、リハビリを続けなくてはならない。最低3ヵ月の入院が必要という。全身打撲の次女(26)は14日、西宮市内の病院を退院の予定だが、首が痛い、と訴え、足の内出血が残る。吉崎さんは「妻を失ったことはもちろん悲しい。嫁いでまだ子どもがいない娘たちが、無事出産できる体に回復するのか、心配でたまらない」と心を痛める。
 京都府相楽郡木津町兜台、関西文化学術研究都市にある協同組合ハイタッチ・リサーチパークでは企業研修の23人が事故に巻き込まれ、6人が死亡、いまも9人が入院中。残る8人も通院が続き、職場復帰できたのはわずか3人と、事故は企業にも大打撃となっている。(朝日新聞 夕刊)
15日■全車両に無線装置 府会 KTR安全対策を審議
 京都府議会は14日、鉄道網等対策特別委員会を開き、信楽高原鉄道事故に関連して、同鉄道と同じ第三セクターの北近畿タンゴ鉄道(KTR、社長・荒巻禎一知事)の安全対策などについて審議した。
 この中で高橋辰朗交通対策室長は、緊急時の連絡網整備について「車両への無線装置の設置を検討しており、近畿電波監理局と協議を続けている」と述べ、KTRの全車両に無線装置を設置し安全性を一層高める考えを示した。
 また同室長は、本年1月から準備を進めている府防災行政無線のKTR 導入について、現在、基幹局の府庁から随時、KTR各駅に併設されるコミュニティーセンターの端末機に気象情報などを速報しており、今回新たにKTR事業本部(宮津市)内に端末局を設け、これに同センターの端末機をリンクさせて活用する、と説明した。
 無線装置の設置、防災行政無線の活用とも今秋には実現できる見通し。
 このほか同室長は、KTRに対する財政支援の強化を引き続き国に要請していく考えを述べた。また宮津線は電子閉そく方式、宮福線はCTC(列車自動集中制御装直)方式による安全運行システムを採用しており、信号の誤作動などが起こらないよう安全対策に万全を期していることを強調した。(京都新聞)
■列車衝突 信楽事故から1ヵ月 沈む地元の町 陶器業界に大打撃
 1ヵ月前まで人波が絶えなかった世界陶芸祭メーン会場の県立陶芸の森はいま、ひっそりと静まり返っている。
 列車衝突事故の衝撃はあまりに大きかった。42人の犠牲者のほとんどは陶芸祭へ行く途中の乗客。「陶芸祭さえなければ…」。事故直後、やり場のない無念の声が遺族から漏れた。地場産業・信楽焼の飛躍、村おこしの起爆剤として地元陶器業界や町民が熱い期待を込めた陶芸祭。その交通アクセスとして輸送力アップを図った鉄道で起きた大惨事が、”もろ刃の刃”となって地元・信楽町にハネ返った。
 「犠牲者に哀悼の意を表して今後1年間、催し物を自粛し喪に服する。夏の陶器まつりも中止したい」。事故から1週間が過ぎた先月21日の臨時町議会で信楽高原鉄道社長を未ねる杉森一夫信楽町長は苦渋に満ちた顔で発言した。今年で第40回を迎えるはずだった町の一大イベント・陶器まつり。世界陶芸祭打ち切りに続く中止発表に、町民はダブルショックを受けた。
 陶器まつり中止の余波は高校生にも及んだ。県立信楽高校デザイン科の3年生38人が、今年の陶器まつりポスター審査会に出すため描いたポスター45点が宙に浮いたまま行き場を失った。「生徒たちが自分の作品を世に問う初めての機会だった。3年間の集大威で緊張感を持って作品を仕上げていた。せめて審査だけでもしてほしい」。同高の黄瀬三朗教諭は、幻となった作品を傍らに肩を落とす。同科3年の丸山あつ子さん(17)も「信楽は何も悪くないのに、なぜ、陶芸祭や陶器まつりまでやめなくてはならないの。せっかく徹夜までして頑張った作品なのに…」と残念がった。1200年の歴史を誇る信楽焼。「陶郷の信楽にとって、まつりは生活の一部になっていた。心のより所を奪われてしまった」と藤井克宏町商工観光課長は町民の心を代弁する。
 陶器まつりの自粛をはじめ事故で大打撃を受けた陶器業界。ある窯元では事故後、団体客のキャンセルが相次ぎ、来店者は3割減ったという。事故の暗いイメージから観光の流れが変わり、雲が沈滞、不況に陥るのでは、と心配する声も出はじめている。「町全体が沈み切っている。形ばっかりの自粛よりも、礼を正して喪に服すべきではないか。メリハリをつけ、業界が前向きにならねば地場産業自体が停滞してしまう」と、信楽で最大の登り窯を構える窯元・宗陶苑の上田寿樹さん(42)は事故後遭症の精神的ダメージを心配する。
 近隣町にも事故の影響が出た。陶器まつりにとどまらず七月末の「びわ湖まつり」への不参加を決めた信楽町の動きを受け「痛みを分かち合う」として、水口、土山、甲南の各町では夏まつりを中止。残り3町も花火の打ち上げ中止を決定し、自粛ムードは、甲賀郡内一円に広がった。
 その一方で、沈む地元に温かい支援が数多く寄せられている。「再び、信楽高原鉄道の晴れ姿が見られる日を待っています」と甲賀郡甲賀町毛枚の町立油日小6年岡村典寿君(11)は地元の油日祭りに参加してもらった3000円を寄せた。事故処理に追われる町職員らを勇気づけた。町を見舞う手紙は約200通。見舞金、義援金は14日現在、1993件1億4067万8713円に達した。遺族の弔問を終えた杉森町長は5日、記者との懇談会で「いつまでも沈滞ムードでは町民に心配をかける。諸行事の実施についても考える。これからが本当の正念場だと自覚し、屈することなく事にあたりたい」と、信楽再生へ必死の努力をしている。(京都新聞)
■JR京都駅改築で障害者団体 気配りの施設整備を 京都市に要望書を提出
 障害者の利用しやすい公共交通機関づくりに取り組んでいる「ひまわり号を走らせる京都実行委員会」(委員長、竹下義樹弁護士)は14日、京都市に対し、JR京都駅の改築にあたって、障害者に配慮した施設を整備させるよう求める要望書を提出した。
 要望書は@設計段階での障害者団体、市民の意見、要望を聞く場の設置Aエレベーター、点字ブロック、障害者用トイレなどの施設整備B表示、案内板など、わかりやすい駅機能の充実−などを求めている。
 竹下委員長は「現在の京都駅には専用のエレベーターもなく、障害者は荷物用エレベーターで構内を移動させられている。市は駅ビル開発会社の出資者として、『健康都市京都』の玄関口にふさわしい新駅とするよう関係機関へ強く働きかけるべきだ」と訴えている。
 同委員会は近く駅ビル開発会社をはじめ、JR、府などへも同様の申し入れをする。(朝日新聞)
■ボケベル・ラジオ 地下鉄でも 来月、大阪で実験
 電波の空白地帯だった地下鉄車内や地下街でもラジオが聞け、ポケットベルが鳴るようにしようと、大阪市交通局や東京の営団地下鉄が技術面の研究開発に乗り出した。大阪・梅田の地下街と地下鉄谷町線東梅田駅で7月に実験をするほか、東京の営団地下鉄も運輸、郵政省などと協議し、今後1、2年をめどに実用化への方策を深る。ナイター中継やFM放送が聞けるようになる半面、ポケベルが鳴っても知らんぷりを決め込み、「地下鉄に乗ってました」というビジネスマンの言い訳は通用しなくなりそうだ。
 大阪では、近畿電気通信監理局や大阪市交通局が中心になって去年6月、「地下街等における電波利用研究会」(座長・林敏彦大阪大教授)を発足させ、地下でもポケベル、ラジオ、携帯電話が使えるような送受信実験の準備を進めてきた。実験は7月から約2ヵ月間で、地上にアンテナを立て、増幅して地下に流す。谷町線東梅田駅ホームやホーム近接の電車内、梅田の地下街の一部が対象区域。ただし、送受信実験は断続的なため、一般人が区域内でも常に利用できるとは限らない、という。
 東京の営団地下鉄の構想も、地上に出したアンテナで電波をキャッチし、増幅させて構内に流す。地下鉄には現在、消防・警察用無線補助設備として同じ仕組みのものがあり、周波数を多様化させるなどの応用で、実現は可能という。
 現在、ポケベルや携帯電話は地下では設備を備えた一部のビル以外は電波が届かないため通信は不能。多忙なビジネスマンらが外回りの際、通信が途絶する地下鉄を嫌う風潮も目立っている。
 NTTによると、今年3月末のポケベルの契約個数は全国で 508万3000個。携帯などの移動電話は全国で67万6000台(昨年9月)が使われ、前年比2倍以上に膨れ上がっている。(朝日新聞 夕刊)
16日■遺族ら800人参列 きょう合同慰霊祭
 42人の犠牲者を出した信楽高原鉄道列車衝突事故の合同慰霊祭(祭儀委員長・稲葉稔滋賀県知事)は、16日正午から滋賀県・信楽町の滋賀勤労身体障害者体育館を祭儀場に関係者約800人が参列して営まれる。
 合同慰霊祭は、滋賀県、信楽町、信楽高原鉄道、JR西日本の四者が主催。慰霊祭は、犠牲者42人(39家族)の遺族447人をはじめ、村岡兼造運輸相、今枝敬雄運輸政務次官ら来賓約300人が参列、めい福を祈る。また、体育館のすぐ近くに仮設テント(300席)を設け、地元住民など一般参列者の献花を受ける。
 無宗教形式で営まれる慰霊祭は、祭壇に42人の遺影が飾られ、湖南消防音楽隊が「慰霊の曲」などを演奏する中、黙とうで始まる。稲葉祭儀委員長、杉森一夫信楽町長(信楽高原鉄道社長)、角田達郎JR西日本社長らの慰霊の辞に続き、遺族、来賓らが次々と献花し、厳粛に進められる。
 祭儀は約2時間にわたって営まれ、遺族の中の希望者が祭儀後、約6`離れた事故現場へ出かけ、新しく設けられた慰霊堂でめい福を祈る。
 この日は、滋賀県と信楽町の各施設では半旗を掲げて、犠牲者への弔意を表す。
・被災者相談室の滋賀事務所決まる
 信楽高原鉄道とJR西日本は15日「信楽高原鉄道事故ご被災者相談室滋賀事務所」を大津市京町三丁目、英貴ビル4階に設置することを決めた。大阪事務所とともに17日から開設、被災者との補償交渉の窓口となる。(京都新聞)
■京都駅ビル改築に併せて再開発を 崇仁地区を考えるシンポ
 京都市下京区、崇仁地区の開発を考えるシンポジウムが15日、南区のアバンティホールで開かれ、市民ら約300人が講演や討論わ熱心に聴いた。
 同和地区の指定の取り消しを目指し取り組んでいる活動を広く啓発するため、崇仁協議会(藤井鐡雄委員長)が一昨年春から毎年開いているシンポジウムで3回目。
 テーマを「とり戻せ!京都のバイタリティー 崇仁地区の明日のビジョン」とし、主催者のあいさつに続き米山俊直京都大教授が「これからの京都の”北”と”南”」と題してまず基調講演した。
 このあと四手井綱英、森毅の各京都大名誉教授、嶋本昭三宝塚造形芸術大教授、山本達哉山本・西原建築設計事務所社長、藤井委員長の5人がパネリストとなり、北野幸一弁護士の可会でパネルディスカッションに移った。この中で各パネリストは、それぞれの持論を展開しながらも「京都市域はJR東海道線を境にして北部は保存、南部は開発」で一致、このもとで崇仁地区については、京都駅ビルの改築に関して「同時に再開発して、京都の玄関口にする必要がある」などと指摘するとともに、同時に南区東九条の地域改善についても真剣に考えるべきだ、などと意見を交わした。(京都新聞)
■列車衝突 信楽惨事から1ヵ月〈6〉 存廃の危機 住民運動で再建へ
 「冬季の国道は路面凍結するが、代行バスの対策は考えているのか」。今月3日に開かれた信楽町議会事故対策特別委員会の席上、運行再開のめどが立たないという信楽高原鉄道会社役員の説明に、議員の一人が声を荒立てた。運行再開の越年もやむなしか。いまにも途切れそうな町民の生命線を思い、議員の間に沈黙が続いた。
 信楽高原鉄道は昭和62年、滋賀県や信楽町などが出資して旧国鉄から第三セクター会社に転身した。資本金はわずか2億円。甲賀郡の水口町・貴生川駅−信楽町・信楽駅間(14.7`)の山あいを、辛うじて赤字を免れながら走る小さな三セク鉄道にとって、事故の衝撃はあまりにも大きかった。
 社員20人のうち運行部門の5人が事故の犠牲になった。運転士は半減の3人。先月24日に県などが人を派遣して29人体制になったが、犠牲者への補償問題を考慮した増強で、運転士など運行再開に必要な技術スタッフは空席のまま。
 わずか4両だった保有車両も事故で2両が大破。1両5000万円という車両の確保や、事故の原因と見られる信号機や安全システムの再点検、更新など物理的な障壁も数多い。そして何よりも予想されるばく大な補償金のねん出が、再建の前に立ちはだかる。
 同鉄道の北川啓一副社長は「1日も早い運行再開を願う住民の気持ちは痛感しているが、何よりも犠牲者への補償を最優先に進めており、再建については社内の会議すら開けていない」と白紙状態を強調。有料化しても代行バスのチャーター代で毎月、2000万円の赤字が蓄積する現状に、苦悩は深まるばかりだ。
 県は10日付で生活交通課内に支援対策室を設置。補償交渉が軌道に乗った段階で、早期の再建指導に乗り出す構えだが、花房義彰生活環境部長は「安全運行に必要な人材さえ確保できれば、物理的な再建は難しくない。ただ従来の第三セクター方式が良いのか、JRに委託するのか、バスに切り替えてしまうのか、いろいろな議論が出てくるだろう」と存廃論議が再燃する可能性を示唆する。
 また、近畿運輸局も「運行再開が長引くようであれば、鉄道の休止許可申請の提出も検討する必要がある」(前田純治鉄道部監理課専門官)と長期化に備える構えだ。
 一方、展望の見えない状況に、信楽町民の不安は大きい。事故当日から鉄道沿いの国道307号で臨時の代行バスを運行、通勤・通学客らの「足」を確保しているが、利用者からは「バスは時間がかかるし乗り継ぎに不便で困る」と不満が続出。勅旨駅−雲井駅間を93人が通学している信楽町立雲井小のPTA会長、林晋さん(46)は「バスは交通量の多い国道で乗り降りするため、事故の心配が増えた。保護者4人が交代で付き添っているが、こんなことがいつまで続くのか…」と不安顔だ。
 高原鉄道には存廃の危機を、住民の結集力で何度も乗り切ってきた半世紀の歴史があり、マイレールの思いが多くの町民の胸に刻まれている。昭和8年5月、国鉄信楽線として開業した高原鉄道は戦時中の18年、軍に奪われたまくら木2万3000本を住民総出の労力奉仕で供出。昭和40年代には「(1日)2000人乗って残そう」を合言葉にした住民運動で乗客数を増やし、赤字ローカル線廃止の波に抗してきた。
 当時の存続運動にかかわった松本英克同町建設課長(58)は「信楽の線路はこの一本しかない。住民の愛着が凝縮しているからこそ、生き延びてきた」と言い切る。新たな住民運動の高まりが鉄道再建、存続の行方を左右することだけは間違いないようだ。(おわり)(信楽列車事故取材班)
■走れニュートレイン〈10〉 オランダ村特急 JR九州 車内に遊戯施設も
 国鉄民営化で多くのローカル線を持つ九州、北海道地区は経営に危機感を持ちさまざまな経営努力をしてきたが、乗って楽しい列車の開発は最優先だった。
 JR九州では、長崎にあるオランダ村への観光客輸送専用の直通特急を造り、昭和63年から走らせている。
 この列車はディーゼルカーによる列車としては日本初の前面パノラマタイプになり、運転席は2階にある。4両編成ですべて普通指定席だが、座席はリクライニングでグリーン車並みのゆったり座席だ。各車にはテレビモニターがあり、オランダ村の紹介ビデオやJR九州のPRビデオなど放映している。
 中間の1両はチビッコランドといわれる子供専用車で、車内には滑り台、ぶらんこなどの遊戯施設、ビデオなどがあり、子供に喜ばれている。ビュッフェでは軽食、飲み物の販売のほか、オランダ村のグッズ、お土産も販売している。
 車内サービスでは2人のオランダレディーが、乗客におしぼり、キャンデーを配る、いたれりつくせりのサービスだ。
 門司港から鹿児島本線の鳥栖まではエル特急「有明」に連結して走り、鳥栖から佐世保間の長崎、佐世保線内は単独走行をする。佐世保からオランダ村へは船が接続している。
 「オランダ村特急」は季節列車による運転のため行楽シーズンを中心に運転される。しかし、オフシーズンには団体列車として使用されることもあり、九州各地の非電化区間も走るように、ディーゼルカーで造られている。
 JR九州ではオランダ村への直通交通機関として「オランダ村特急」のほかに博多港から直通の高速船を運行しており、観光に対する意欲が強く感じられる。(鉄道写真家・南 正時)
〈メモ〉門司港−佐世保。特急料金とも5240円、3時間25分。全車指定席制。季節運転のため時刻表で運転日を確認して利用する。(京都新聞)
■列車制御の回路切断 JR桜井線・和歌山線 33本運休、5900人影響
 15日午後3時45分ごろ、JR和歌山線と桜井線の運行を集中管理している天王寺CTC(列車集中制御装置)指令室で、突然、制御不能の表示が出た。当時、両線には6本の電車が走っていたが、同指令室の指示で、近くの駅に臨時停車した。一部区間を除き、復旧が3時間以上に及んだため、JR西日本は区間の運行を取りやめ、乗客らは近鉄、南海各線や代行バスに乗り換えるなどした。
 運行できなくなったのは、桜井線の奈良−高田間と、和歌山線の王寺−和歌山間。約1時間40分後、和歌山線五条−和歌山間は運行を再開。残りも午後7時ごろ、和歌山線の一部を除きほぼ復旧した。この影響で、和歌山、桜井両線が計33本運休したほか、21本が最高1時間遅れ約5900人が影響を受けた。JR西日本によると、奈良県北葛城郡香芝町の和歌山線下田駅近くの踏切で、JR電話回線用の光ファイバーケーブル敷設工事をしていた下請け業者が誤ってCTC通信ケーブルを切断したらしい。JRは現場付近のCTC通信ケーブルを取り換える工事をし午後9時すぎ全線が運転を再開した。
 CTCは、区間内のポイントの切り替えや信号機の取り扱いを1ヵ所に集中し、遠隔操作するシステム。天王寺指令室では、主に近畿南部の単線区間が対象で、桜井線、和歌山線、奈良線、紀勢線(一部)を制御している。
 JR和歌山線と桜井線が分かれる奈良県大和高田市のJR高田駅では、一時50人以上が足止めになった。同県五条市からの帰りで、電車が北宇智駅で動かなくなり、代行バスで高田駅まで来たという八尾市の会社員(55)は「駅は無人でしたし、電車の乗務員は、『いつ運転を再開するのか分かりません』と言うだけ。切符の払い戻しを求めても『できません』と答えるだけ。きちんと対応して欲しかった」と憤っていた。
 JR王寺駅では、大和高田市や御所市方面に向かう通勤、通学客らが足止めをくい、1時間以上もホームで待たされる客もいた。同駅は、奈良交通にバスの振り替え輸送を手配したが、土曜の午後のため運転手の確保に手間取り、午後6時半すぎにやっと大和高田市行きのバスが出た。(朝日新聞)
■「天国で見守ってね」信楽事故 きょう慰霊祭、遺児参列
 死者42人を出した信楽高原鉄道列車事故の犠牲者合同慰霊祭が、「父の日」の16日、滋賀県甲賀郡信楽町で営まれる。父を失った幼い2人の遺児は、「天国でも笑って見守ってね」とプレゼントを持って参列する。別の遺児は、「悲しみを改めて味わわなければならないのはつらい」と参列を見合わせる。
 参列するのは、亀岡市大井町並河二丁目、会社員森上修さん(当時35)の長女の大井小3年友絵ちゃん(8つ)と次女の同1年由未ちゃん(6つ)。
 修さんは京都市の西陣帯メーカーのデザイナーとして、今年の西陣織大会で京都府知事賞を受賞、将来を嘱望されていた。事故当日は、関西文化学術研究都市内にある「ハイタッチリサーチパーク」の研修でJR臨時快速列車「世界陶芸祭号」に乗り合わせ事故に巻き込まれた。
 2人は15日、お供えする絵を描いたり折り紙細工をした。絵には昨年10月、家族4人でリンゴ狩りに行ったときの思い出や修さんの好きだったバナナやピーマンを描いた。友絵ちゃんは「おとうさん天国でもがんばって。わたしはげんきだよ」という手紙も書いた。
 妻の美由紀さん(33)は「あの日もお土産を買ってくる、といって出掛け、今でも、ひょつこり帰って来るのでは、と思うことがあります」と涙ぐむ。
 修さんと一緒に、世界陶芸祭に行く途中だった大津市大石曽東町、会社員高橋宗人さん(当時47)は、妻和子さん(42)、長女香乃(こおの)さん(17)、長男一紀(いつき)君(13)を残して死亡した。
 子どもたち2人は、毎年父の日に宗人さんに感謝の手紙を渡してきた。宗人さんはこの手紙を大切に保管していたという。2人は「父の日の慰霊祭はつらい。行きたくない」。和子さんは「大掛かりな慰霊祭は嫌だけど、開いてくださるみなさんの気持ちにこたえ、私だけでも参列します」と話している。(朝日新聞)
■事故の補償で説明会開催へ
 42人が死亡した滋賀県信楽町の信楽高原鉄道事故で、同鉄道とJR西日本は16日、信楽町で予定している犠牲者合同慰霊祭のあと信楽町山村開発センターに遺族に集まってもらい、補償交渉についての説明会を開く。両社と遺族との間で補償についての具体的な話し合いを持つのは事故後初めて。同鉄道社長の杉森一夫・信楽町長らが出席、17日から大津市と大阪市の2ヵ所に開設する被災者相談所を窓口にして補償交渉にあたっていくことなどを説明する。
 同事故の死亡者42人には夫婦など同一家族の人が含まれており、遺族数は39になる。これら遺族の間では説明会後に遺族会結成に向けての話し合いの場を持ちたいとする声も出ている。(朝日新聞)
■安全策実施や「無計画」指摘 全労連が調査報告
 死者42人、負傷者500人以上を出した信楽高原鉄道事故から1ヵ月が過ぎた15日、労働組合の立場から独自に調査団を派遣していた全国労働組合総連合(全労連)は吹田市内のホテルで「国鉄闘争フォーラム」を開き、全国の鉄道関係者約130人に、調査結果を報告、全国の第三セクターの実態調査と安全対策など5項目の要求を近く運輸省に出すことにした。
 運輸省について、待避線を設けた場合、一般的には2分の待ち時間が必要なのに30秒ですれちがうダイヤを編成し、通常の何倍もの乗客が予想されたのに、保安要員の増員なしで運行する信楽高原鉄道の計画を認可した責任が大きい、としている。運輸省に対し、第三セクターの実態の全面調査、最低安全基準の策定と乗務員の適性検査の実施、列車無線など設置義務付け、赤字経営の助成措置などを要求している。(朝日新聞)
17日■しめやかに合同慰霊祭 信楽鉄道惨事 遺族ら悲しみ新た
 42人の犠牲者を出した信楽高原鉄道列車事故の合同慰霊祭(滋賀県、信楽町、信楽高原鉄道、JR西日本主催)が、16日正午から滋賀県・信楽町長野の滋賀勤労身体障害者体育館で約900人が参列してしめやかに営まれた。
 5月14日の事故発生から約1ヵ月。慰霊祭には、42人の39遺族、親類441人をはじめ、村岡兼造運輸大臣、今枝敬雄運輸政務次官、海部首相(代理)ら政府関係者や各政党代表、地元選出の国会議員ら来賓293人、一般参列者160人が参列した。
 1万6000本の白菊や中央に天皇、皇后両陛下からの献花が飾られた祭壇には、白菊、カトレア、コチョウランで縁取られた42人の遺影を2列に安置。
 祭儀は、遺族代表の入場で始まり、1分間の黙とうをしたあと、祭儀委員長の稲葉稔滋賀県知事が「ことの重大さを痛感し、ただ痛恨と哀悼の思いでいっぱいです。ご霊前、ご遺族に対し誠意をもって対応する決意と、事故原因を徹底究明し、安全第一の対策強化に万全を尽くすことをお誓いします」と慰霊の言葉を述べた。
 引き続き、杉森一夫信楽町長(信楽高原鉄道社長)、角田達郎JR西日本社長が「犠牲者の悲惨な最期を思う時、お弔いの言葉もありません。事故当事者として誠に申し訳なく、ただただ深くおわびします」などと、それぞれ霊前にわび、来賓代表の村岡運輸大臣も「事故原因の徹底究明を急ぎ、今後の安全対策に万全を期す」と誓いの言葉を述べた。
 参列の遺族たちは悲しみを新たにし、遺影にじっと見入る人、目頭をそっとハンカチで押さえる姿が目立った。故人の名前が一人ひとり読み上げられた遺族代表の献花では、それぞれの遺影の前に白菊を手向け、深々と頭を下げ、手を合わせていた。
 また、会場に隣接する一般参列者用のテントには、地元の信楽町民ら160人が献花に訪れ、めい福を祈った。
・早期に補償個別交渉 遺族に説明会
 信楽高原鉄道、JR西日本、滋賀県、信楽町の四者は16日、合同慰霊祭のあと、信楽町の山村開発センターで、遺族に対する補償問題について説明会を開き、事故当事者として初めて事故概要について報告するとともに、今後の補償交渉の基本的な考え方を説明した。
 説明会には、29遺族の65人が出席。冒頭、高原鉄道社長の杉森一夫信楽町長、井沢勝JR西日本鉄道本部長が事故について陳謝。高原鉄道の井上着絹専務らが事故概要について報告した。また、17日から補償交渉の窓口として大阪市と大津市に相談窓口を設置し、誠意をもって早期に個別交渉することなど、今後の補償問題の進め方を説明した。
 遺族側からは「初めての会合にJR西日本の社長が出席しないのはおかしい」などと不満の意見が出されたほか、事故原因について質問が集中、「現在調査中」を繰り返す四者側の姿勢に納得できず、いら立つ声もあった。説明会に続いて遺族有志は、遺族会の結成を含めた今後の対応について話し合った。
 一方、説明会のあと、高原鉄道の杉森社長、北川啓一副社長、JR西日本の井沢鉄道本部長らが記者会員し、今後の補償交渉について「窓口ができたので係員が遺族を個別に訪問し、いろんな意見を聞かせてもらったうえで、高原鉄道とJRの分担も含めて関係者と検討しながら進めていきたい」と語った。(京都新聞 夕刊)
■列車襲撃76人射殺 パンジャブ州
 【ニューデリー16日井上共同特派員】インド北部パンジャプ州で15日夜(日本時間16日未明)、2本の列車が武装集団に相次いで襲われ、公式発表によると、乗客ら計76人が射殺され、60人以上が負傷した。
 犯行声明は出ていないが、22日投票の州議会選挙と下院議会選挙の実力阻止を図るためテロ活動を激化させているシーク教徒過激派の犯行とみられており、ラジプ・ガンジー元首相暗殺事件で揺れるインド情勢はさらに混迷の度を深めている。
 事件は15日午後9時半(日本時間16日午前1時)すぎ、首都ニューデリーの北東約300`のルディアナ近郊バドワル駅付近で起きた。旅客列車が止められ、武装グループが車内に侵入、機関銃や自動小銃を無差別に乱射し、女性や子供を含む48人のヒンズー教徒が射殺された。
 さらに約15分後、近くのキラライプル駅付近で別のグループが列車を襲撃、ヒンズー教徒28人が射殺された。負傷者は二つの襲撃事件で少なくとも六十人という。
 15日にはパンジャブ州でこのほか、州議会選挙の候補者1人を含む16人が過激派のテロなどで死亡した。(京都新聞 夕刊)
■黙とう・半旗…悲しみの町 信楽事故合同慰霊祭 店は休業、献花次々
 死者42人を出した信楽高原鉄道列車衝突事故の合同慰霊祭が16日、滋賀県甲賀郡信楽町長野の滋賀勤労身体障害者体育館で営まれた。遺族たちをはじめ村岡兼造運輸大臣、稲葉稔・滋賀県知事、角田達郎・JR西日本社長、信楽高原鉄道社長の杉森一夫・信楽町長ら約1000人が参列、犠牲者の冥福(めいふく)を祈った。
 1分間の然とうと慰霊の辞のあと、参列者全員が献花。42人の遺影が並ぶ祭壇に積み重ねられた菊の花に、遺族らは悲しみを新たにしていた。町民が守り抜いてきた鉄道での事故だけに、この日、町内の陶器店など商店は弔意を表して休業し、町役場や信楽駅などは半旗を掲げた。会場外に設けられた献花場に町民多数が訪れ、手を合わせた。
・遺族会結成へ連絡取り合う
 信楽高原鉄道列車事故の遺族たちが16日、合同慰霊祭のあと滋賀県甲賀郡信楽町の同町開発センターで事故後初めて顔を合わせ、遺族会結成に向け、相互に連絡を取り合っていくことなどを申し合わせた。集まったのは39遺族のうち16遺族だったが、全遺族に呼びかけることにしている。
・被災者相談室を開設 大阪と大津で
 信楽高原鉄道事故で、JR西日本と信楽高原鉄道は17日午前、被害者と補償交渉をする窓口として「ご被災者相談室」を大阪市阿倍野区と大津市の2ヵ所に開設した。相談室長には、井上春絹信楽高原鉄道専務が就任。
 大阪事務所は、阿倍野区松崎町一丁目の旧天王寺鉄道管理局(現・JR天王寺事務所)2階にオープン。
 滋賀事務所は同市京町三丁目の英貴ビル4階に開設。(朝日新聞 夕刊)
18日■駅のエスカレーター 整備へ運輸省が指針
 運輸省は17日、高齢化社会への対応などを目的とした鉄道駅のエスカレーター整備のガイドラインをまとめ、全国の鉄道事業者に通知した。公の道路などとの間に累計五b以上の高低差があり、一日の乗降客が5000人以上の駅は、今後10年程度でエスカレーターを設置するよう求めている。
 ガイドラインは、鉄道の高架化や地下の深い部分の利用が進み、道路などとの高低差が大きい駅が増えていると指摘。そのうえで、「5b、5000人」に該当する新駅は建設の際に、既設駅は利用者の多い駅から順に、整備計画を立てて設置するよう要求している。
 出入り口が複数の場合は、最低1ヵ所は階段を使わずに電車の乗降ができる通路を設けることとし、幅の広いエスカレーターを設置する場合は、車いすのまま利用できる構造にする、としている。
 運輸省によると、整備の対象になる駅は首都圏、開西を中心に全国で私鉄、地下鉄、JR合わせて約1700。うち、現在ガイドラインの要求を満たしたエスカレーターがある駅は2割にも満たないという。(朝日新聞)
■シカさん悲運 どこの山から来たの? JR山崎駅近くではねられる
 17日午後6時35分ごろ、大阪府三島郡島本町山崎、JR東海道線山崎駅の西約800bで、姫路発車津行き新快速電車(6両編成)がシカをはねた。駅員がかけつけると、シカが腹を打って死んでいた。新快速の運転士からも無線で運転指令室に「シカをはねたらしい」と連絡があった。
 運転士によると、シカのようなものが線路わきを歩いているのが見えた直後、車体に何かが当たったが、そのまま山崎駅に走行したと言う。列車の遅れなどの影響はなかった。
 JR西日本によると、死んだシカは体長約1bで、角はなかった。JRは高槻署に連絡したうえで、駅員や保線区員らを出して線路わきに遺体を埋めた。
 同署によると、島本町や隣接する高槻市の山間部にはかなりの野生のシカがいて、野犬に追われるなどして平地に下りてくることもあるという。一方、この日午後5時半ごろ、同町山崎の養護施設「大阪水上隣保館」で飼っていた8頭のシカのうち2頭が逃げ、うち1頭は間もなく捕まったが、残る1頭が行方不明になっている。同署は野生のシカか逃げたシカのいずれかが列車にはねられたとみている。(朝日新聞)
■鉄道事故に新保険 第三セク、中小私鉄を対象
 村岡運輸相は18日、閣議後の記者会見で、5月の信楽高原鉄道の事故を契機として、経営基盤の弱い全国の第三セクター鉄道や中小の私鉄を対象に、事故を起こした場合50億円の補償を限度とする新しい団体保険制度を7月1日をめどに導入することを明らかにした。
 新しい保険は「鉄道事故賠償責任団体保険」。旧国鉄の赤字ローカル線を引き継いだ第三セクターと中小の私鉄が保険料を出し合って、万一の場合、50億円を限度として補償する仕組み。
 運輸省が第三セクターや中小の私鉄の意向を調査したところ、第三セクター35社と私鉄56社が参加を表明しており、今後、保険約款などについて代表幹事社の東京海上火災など損保会社と詰める予定。
 保険の掛け金は団体保険のため、第三セクターが現在加入している保険の掛け金と同じ水準か、それ以下に抑えられるとしている。
 信楽高原鉄道の被害者に対する補償能力は3億円しかないことが分かり、こうした低さが問題となって、運輸省は新たな保険制度の導入を検討していた。(京都新聞 夕刊)
19日■「1株たりとも政府に残すな」 JR西日本副社長会見 上場見送りの動き不満
 井手正敬JR西日本副社長は株主総会を1週間後に控えた18日、記者会見し、最近のJR株式上場見送りの動きについて「市場動向が悪いからいつまでも売らないといった形で、ずるずるといかれると困る」と不満を表明。特に京都駅ビルが、日米建設協議で外国企業参入事業に追加されたことに触れ「これも完全民営化していないため。株の一部を政府が持つ議論もあるが、1株たりとも政府に残してほしくない」と強調した。
 JRの株式上場については先月、JR株式基本問題検討懇談会(座長・平岩外四経団達会長)が、今年度の上場に慎重な意見書を出し、運輸、大蔵両省も否定的だ。
 こうした動きに井手副社長は「分割民営の主旨からいうと、自分たちの足で立てる会社に5年でしてやろうと、上場を節目として目指して来た。来年なら来年と目処をはっきりしてほしい」と話した。
 また、京都駅ビルについては「建都1200年祭に間に合わせなければいけないのに、米国企業を参入させるため土木工事の仕様など英語で紹介するとかの時間がかかっては困る。民間企業の事業なのに、政府の一員と見なされ、日米摩擦にどっぷり漬けられてしまった」と語った。(朝日新聞)
■社長に伊藤JR常務 不動産子会社創立
 JR西日本(角田達郎社長)が100%出資する不動産会社「ジェイアール西日本不動産」(本社・大阪市、資本金3億円)の創立総会が18日、大阪市北区の大阪弥生会館で開かれ、代表取締役社長に伊藤博・JR西日本常務(56)が、他の役員5人もJR西日本幹部が就任した。
 伊藤氏は九州大学大学院修了、旧国鉄の下関工事事務所長などを経て、87年JR西日本常務・建設工事部長、90年同・地域開発本部長。その他の役員は次の通り。常務(取縮役)萱原満穂▽取締役 南谷昌二郎、星野鐘雄、古橋正雄▽監査役 垣内剛(朝日新聞)
■リゾート気分”JR商法” 大阪駅構内イメージ一新 ショッピングセンターお目見え
 高さ6bから砕け散った水しぶきが、勢いよく流れる。浮島のようなカフェテラス。ミニスカートやジーパンの若者たちが笑い、語る。
 ここはJR大阪駅。「ギャレ ザ・グレイト・アウトドアーズ」。広さ約1万3000平方bのショッピングセンター。かつて国鉄時代、小荷物集荷所だったのを80億円をかけて大改装した。リゾート、アウトドアスポーツなどのグッズ、ファッション、飲食店など81店が並ぶ。
 JR大阪駅の1日平均乗降客は80万人。周辺の私鉄、地下鉄利用者も含めると…。「見逃す手はない」というわけ。
 民営移管後、まる4年、総合サービス産業を目指すJR西日本。京都駅ビル建設を筆頭に流通サービス分野への進出に意欲をみせる。それだけに、この大阪駅ショッピングセンターの成否が、今後の展開のカギを握りそうだ。(京都新聞 夕刊)
20日■きょうと文化考 京の歴史は日本の玄関 思想欠如の京都駅改築 経済効率優先に疑問
 大阪の建築家にに、安藤忠雄さんがいる。最近。米国のアーノルド・ブルンナー賞を受け、さらに世界から熱い視線を浴びている。来年春、スペインのセビリアで開かれる万国博覧会では、コンクリートでなく木質の日本政府館を造る。国内の最新作が、水を取り込んだ姫路文学館。城を望む男山のふもとに、和辻哲郎、阿部知二ら、京都ゆかりの人たちも顕彰している。
 今秋、ニューヨーク近代美術棺で3ヵ月間、自身の建築展を開く。大阪、ニューヨーク、東京、パリへ。なんとも忙しい。しかしひとり旅に限ると断言する。大阪から京都のときでさえ、電車に乗ってただ一人。会食には出ずさっさと帰る。最も印象に残ったのはインド。作品にほとんど色を使わないのに、水色や、緑、茶のスケッチ随想『旅 インド・トルコ・沖縄』がある。高校生のころ、京都の飛雲閣、角屋、利休の待庵ほかを見学、体感した。
 その京都に、愛憎背中合わせの逆視を持つ。高さで物議をかもしたJR京都駅のコンペ(改築設計競技)を、別の作品に決まったのを認めた上で、「あれはビルの建て替えプランではなかったはず。京都から日本が、世界へ発信する、志高いプロジェクトだったのに。高低だけを問題にし、思想が欠落した」。真意を、大阪の新研究所で聞いた。
 まず京都は、基本的に歴史都市。イタリアのローマやフィレンツェに匹敵する。アメリカでさえ、京都爆撃(第二次世界大戦)をしなかった。そんな都市なのに、コンペの計画条件は問題だった。ホテルとか百貨店など経済流通の複合体で、旧国鉄の広大で汚れた土地を使う建て替え。本当は、経済と文化が成り立つ「歴史都市の玄関」を造ることで、単に京都ということでなく。日本の文化を全世界に向けて発信ずることでなかったのか。パリにルーブル、オルセ美術館があるように。
 安藤さんは、今回の駅前開発こそ「公共建築だった」と強調する。例えば、まず市民広場を造り、付随して経済効果を考える。それでいいではないか。プランには、夢のある冒険を盛り込んでいた。駅を巨大な門に見立て、外観は近代的なガラスで覆う。京都の古い歴史とガラスを対比させて、21世紀まで通用するモニュメント。壮大な計画案は、結局選ばれなかった。
 玄関には、「京都に来たな、着いたな」と感じさせるモノが必要だ。高低の問題だけでなく全体計画の中で、すでに破壊されている景観を守らねば、と強調した。都市の近代化が進み、京都でも経済効率優先の建物やだれかのコピーみたいな作品にお目にかかる。人間と自然が共生する街は、相互環境の文脈(コンテキスト)を喪失している。
 「日本全体が、東京五輪のころから拝金主義になってしまった。一流大学へ行かなくてはいけないし、そのために塾通いもしなければならない。知恵の量だけ多くなって、人間の豊かさを、どこかへ置き去ってしまった」。飾らない言葉に、体臭があった。
 EC統合年のセビリア博は、基本テーマに「新しい発見の時代」をうたう。巨大な木造建築のにおいが、日本からの挑戦になる。(編集委員・志賀 錬三)(京都新聞)
■社説 鉄道にもっと光を
 東北・上越新幹線が、今日から東京駅に乗り入れる。上野駅が東京の北の玄関口と呼べなくなる。北の終着駅が、消える。人それぞれに思いが残ることだろう。
 あそこには、ふるさとの風が吹いていた。「東京」にすこし近くなって、かわりに故郷の風も香りも、心のなかから遠のいてしまうような寂しさがある。
 上野から東京へ3.6`、5分間。この新幹線の延長は多くの議論を呼んだ。巨額の工事費に見合う効果はあるのか。それよりも朝夕のすし詰め電車をなんとかしてほしい。東京集中を加速するだけで、多極分散の方向に反するではないか。乗客の利便を優先するのなら東海道・山陽新幹線と相互乗り入れすべきで、これではJRのご都合主義ではないか。
 このような凝問や意見には、鉄道そのもののあり方をめぐる基本的な論議が含まれている。高速自動車道の開通なら、こうした声はいちいち起こるまい。このことが鉄道を取り巻くいまのようすを表している。幹線鉄道の線路が首都圏で新しく引かれるのは、珍しいことなのだ。
 自動車に押しまくられて競争力を失った鉄道にもっと光をあてよう、という議論が聞かれる。運輸政策審議会が先日まとめた答申にも、その趣旨がうたわれた。また、これから中長期的に鉄道を整備していくための基本的な考え方について、運輸相はあらためて審議会に諮問した。
 鉄道は魅力ある交通機関として、よみがえることができるか。いまは、このような問いに答えを出す好機だと思う。結論を先にいえは、鉄道の復権は当然の要請だ。とくに自動車との関係で、鉄道が均衡を回復するように対応策をとる必要がある。
 JRの特急列車でも平均速度は70`台にすぎない。遅い理由はいろいろあるが、根本は国鉄草創期から続く古い施設・設備のスクラップ・アンド・ビルドがあまり進まなかったからだ。たとえは明治以降、戦前までの鉄道・土木技術と政治的綱引きで曲がりくねって引かれた線路では、スピードは出せない。改良が求められたとき、積年の赤字国鉄は十分投資できなかった。
 一方、道路整備には特定の財源と長期整備計画があった。船の港も航空機の飛行場も似たように恵まれてきた。鉄道は、車に負けるべくして負けたといえる。
 しかし、いまでは都市部の道路混雑や排ガス、騒音の環境破壊、さらに交通事故死者の増加は放置できなくなっている。地球環境やエネルギー問題を考えるとき、二酸化炭素や廃棄物のもとになり、石油消費の大きな割合を占める自動車と比べて、鉄道の利点はもっと再評価されてしかるべきだ。たくさんの人や物を運ぶことができて、時間も正確で、安全度も高い鉄道を見直すべき条件はそろってきている。
 鉄道の復権といっても、簡単ではない。貨物も含めて利用者の視点を貫きながら、地域の特色に応じた列車の組み合わせなど効率的な整備を追求しなけれはならない。ぜんぶが新幹線の必要はないし、他の交通機関との連携も大切だ。先の答申の具体化と今後の審議会での検討を期待する。
 難問の財源については、安易な料金値上げを避けるためにも、開発利益の還元を実現すること、社会的費用の観点から自動車に肩代わり負担させる方法も考えたい。それが車の総量抑制になれは一石二鳥だ。
 来月、運輸省に鉄道局ができる。広い視野から鉄道の一体的な整備は望ましいが、鉄道行政の基本が現制より競争促進にあることは、国有鉄道の失敗が教えている。(朝日新聞)
■東北・上越新幹線 きょう東京駅出発
 東北・上越新幹線の東京−上野間が20日開業する。東京駅では19日、時刻表の取り付け作業など、仕上げ工事や開業式典の準備に追われた。東京発の一番列車は午前6時発の「やまびこ31号」。村岡運輸相や鈴木東京都知事らが参加する「出発式」は同7時半から新ホームで行われる。
 東京駅では、新設する時刻表が27ヵ所あり、さらに、発光ダイオードを使用した電光案内盤を約100ヵ所に設置。操作するコンピユーターがうまく作動するか、最終チェックを繰り返した。(朝日新聞)
■電車故障、12000人に影響 JR阪和線
 19日午後8時半ごろ、和歌山市北野のJR阪和線紀伊駅手前約500bに差しかかった天王寺発和歌山行き普通電車(6両編成)の車内の照明灯が突然消え、モーターが止まった。電車は惰力でそのまま進み、ホームに停車した。
 同電車と、16分後に到着した快速電車(8両編成)の乗客合わせて約350人はホームに降ろされた。普通電車は快速電車に連結され、空のまま和歌山駅へ。ホームに残された乗客らは約50分後に到着した後続の普通電車(6両編成)に乗り換えて和歌山方面に向かった。この事故で下り電車計6本が乱れ、約1200人に影響が出た。
 JR西日本和歌山支社の調べによると、モーター制御器のヒューズが飛んだという。
 乗客の話では、事故直後に車両故障を知らせる簡単な車内放送があっただけ。ホームに降ろされた後は説明や指示がないまま、後続の電車が到着するまで待たされたという。(朝日新聞)
■東西の新幹線直結 東京−上野開業 800`一つのレールに
 東北・上越新幹線の東京−上野間3.6`が20日、開業し、東京−盛岡間496.48`、東京−新潟間300.84`がそれぞれ一つのレールで結ばれた。東京駅に新設された東北・上越新幹線ホームは、東海道・山陽新幹線ホームに隣接、わずかな時間で乗り換えができるようになり、東西の新幹線が事実上”直結”した。
 東京駅乗り入れで定期列車201本のうち96%が東京発着となり、東京駅は「北の玄関口」ともなる。これまでの上野駅乗り換えに比べ東京−上野間で約20分短縮される。
 東京駅発の一番列車は午前6時発の盛岡行きやまびこ31号、東京着の一番列車は午前7時20分到着の那須塩原発あおば250号。東京駅では午前7時半から村岡運輸相、鈴木東京都知事らも出席して、開業出発式が行われた。
 新ホームでの出発式では、村岡運輪相が「世界のビジネスセンターである東京の中心地と東北、上越が直結したことは、本年度本格着工する整備新幹線とあいまって日本の高速鉄道体系の充実に大きな役割を果たすと思う」とあいさつ。鈴木都知事、住田正二JR東日本社長らと一緒にテープカットをした。
 東北・上越新幹線の東京駅乗り入れは昭和46年の基本計画で決定されていたが、沿線住民の反対などで工事が難航、同57年に大宮駅を起点として暫定開業、60年に上野駅まで延伸した。
 東京−上野間の工事は国鉄再建監理委員会の緊急提言で凍結されていたが、JR発足に伴い再開された。御徒町トンネル工事での陥没事故などでことし3月の開業予定が延び、工事費も1300億円を超えた。
 今回の乗り入れで、東京駅の1日の利用客は8万人増え約175万人に。ピーク時にはさらに3万人の増加が予想され、「東京一駅集中」による混雑も懸念されている。(京都新聞 夕刊)
■緑の新幹線 ひかりと握手 東京−上野間開業 通勤や旅行が楽に 東京駅 乗り継ぎ混雑心配
 「緑の新幹線」が真新しいホームにさっそうと横付けされ、青い帯の東海道・山陽新幹線「ひかり」と並んだ。東北や日本海側の人たちの長年の夢だった東北・上越新幹線東京駅乗り入れが20日、実現した。上野駅からわずか3.6`の延長、時間にして約20分の短縮だが、新幹線通勤客らからも熱い期待のまなざしを向けられての開業だ。
 東北・上越新幹線の乗り入れ開始で大幅に化粧直しした東京駅は祝賀ムード一色。ぜひ一番列車に、という鉄道ファンや乗客が早朝から詰め掛けた。
 午前6時発の一番列車、盛岡行きやまびこ31号に乗り込んだ山梨県・長坂町の農業長島広一さん(68)夫婦は「開業の日に合わせるため旅行の日程を変更しました。中央線からの乗り換えが便利で東北旅行が楽になります」。盛岡に月1、2回出張する東京都港区の会社社長(54)も「これまでは前日に行って1泊してましたが、これからは一番列車で間に合います」と東京駅乗り入れを大歓迎。
 上りの一番列車那須塩原発あおば250号は午前7時20分、新幹線通勤客や修学旅行の中学生を乗せ約60%の乗車率で東京駅に到着した。
 小山駅からJR品川駅前の本社まで通勤している茨城県結城市の会社員谷津孝一さん(29)は「いつもは1本後の列車ですが初日なので一番列車にしました。上野での乗り換えが不便だったので助かります」と乗り換え口に急いだ。
 東北・上越と東海道・山陽新幹線との乗り換え口は、双方の一番列車到着に合わせオープン。「東北・上越方面から名古屋、静岡に乗り継ぐ乗客が予想以上」と早くも表れた”直結効果”に今後の混雑を心配する駅員もいた。
乗客少ない
 盛岡一番列車 北のターミナル・盛岡駅からの一番列車は、午前6時5分発の「やまびこ30号」。指定席、グリーン席とも乗車券はほぼ売り切れだったが、実際に盛岡駅から乗った人は少なかった。
 乗客の一人(66)は「便利にはなると思うが、上野で降りてみようという気持ちはなくなる」と少し寂しそう。
 一方、この列車に乗務する丸の内車掌区の郡司隆夫さんは「今まで以上にサービスに心を配っていきたい」と緊張気味に話した。(京都新聞 夕刊)
■東北・上越新幹線 東京駅に乗り入れ 東海道と接続
 東北・上越新幹線の上野−東京間が20日、開業した。3.6`の区間に、実施計画から20年、本格着工から10年がかかった。東北・上越地方にとって「都心直結」の悲願が実り、東京まで、上野地下駅からの乗り換え時間20分が短縮される。新幹線通勤者の増加に拍車がかかるほか、東海道新幹線と接続するため東西交流が活発になることなどが予想されるが、「東京一極集中」の加速も心配されている。
 開業による20分の短縮で、東京からの最速列車は盛岡まで2時間36分、仙台1時間44分、新潟まで1時間40分となる。また、通勤時間帯では、新幹線通勤者の多い小山(栃木)までが45分、宇都宮、高崎までが58分となる。
 両新幹線の1日当たりの定期列車201本のうち、東京発着は193本で、あとの8本と、行楽シーズンなどの増発臨時列車は上野発着となる。上野−東京間の特急料金は200円が上乗せされる。
 東北・上越新幹線の工事は1971年11月に始まった。住民との交渉難やオイルショックなどで、当初計画していた76年東京開業は大幅に遅れ、82年に大宮駅で暫定開業、85年に上野駅に乗り入れた。
 上野−東京間の工事は81年9月に本格的に始まったが、それも、国鉄の経営難から工事がストップ。分割民営化された87年から再開されたものの、昨年1月には御徒町トンネルの陥没事故が起き、さらに遅れるという「難産」だった。(朝日新聞 夕刊)
21日■丹後 但馬 夏手ぐすね 来月から本格PR JR福知山支社 北近畿観光連盟
 JR西日本福知山支社と北近畿観光連盟は、7月1日から8月20日まで「'91この夏一番北近畿(但馬・丹後)観光キャンペーン」を実施する。10回目の今年のキャッチフレーズは「マリン族、夏道楽スル」で、海水浴や森林浴、グルメ、温泉、祭りなどをたっぷり楽しんでほしいとしている。
 キャンペーンには丹後、但馬地方の3市13町の各自治体と観光協会が参加。期間中、舞鶴市の「赤煉瓦サマー・ジャズ・イン・舞鶴'91山下洋輔野外ライブ」(8月3日)や宮津市の「マリンミュージックフェスティバルイン・丹後'91」(8月3日)、久美浜町の「エキサイティング・サマー1991久美浜」(8月8日)など、63件のイベントがある。
 今年初めて夏のキャンペーン用にロゴマークを作製。セーラーマンが手旗信号で「マリン」と振る姿をあしらっている。ポスターやペナントフラッグに活用する。7月3、4日には大阪や三ノ宮、京都などJRの6駅へキャラバンを派遣、パンフレットやうちわなどを配ってPRする。
 同社は期間中の入り込み数を昨年より5%多い380万人と見込んでいる。(朝日新聞)
■大阪の会社員と判明 新幹線はねられ死亡
 滋賀県愛知郡愛知川町石橋で16日午後、新幹線にはねられて死亡した男性の身元が20日、大阪市都島区都島南通二丁目、会社員石岡健男さん(51)とわかった。石岡さんは、交通事故を起こしたことを気にしていたといい、15日から会社を無断欠勤していた。(朝日新聞)
22日■相談室員を50人増やす 信楽事故でJR
 JR西日本は21日、信楽高原鉄道事故の被災者相談室に50人を増員して、同鉄道側の職員と合わせ78人で補償交渉にあたることを決めた。
 同相談室は今月18日に発足したはかりだが、大阪事務所(大阪市阿倍野区)は42人に、滋賀事務所(大津市)はJRの16人と信楽鉄道から20人の計36人態勢になる。(朝日新聞)
■タンゴ鉄道「納涼列車」も登場 来月から臨時列車 カラオケ、存分に
 北近畿タンゴ鉄道は、夏場の但馬の観光地を結ぶため、城崎−西舞鶴間臨時急行レインボウリゾート号を7月27日から8月8日まで6往復走らせる。このほか大阪−天橋立間の特急エーデル丹後を7月6日から9月未まで48往復、大阪−天橋立間快速みやづを7月1日から9月30日まで連日運行する。快速みやづは8月12日から18日まで大阪−峰山間へ延長運転する。
 京都方面からは京都−久美浜間の快速丹後81・82号を7月27日から8月11日まで臨時運転。京都−網野間の特急あさしお81・82号を8月12日−18日と、9月15、16、22、23日の各日走らせる。また京都−天橋立間に急行丹後86号を8月14日から18日まで臨時運転する。
 また海水浴客のため、丹後神崎、丹後由良、丹後神野、久美浜駅に7月20日から8月18日まで、丹後1、8、9、あさしお3、12各号の急行や特急を臨時停車させる。
 さらに7月10日、19両日、福知山−天橋立間に2両編成の納涼列車を走らせる。車中でビール、カラオケを存分に楽しんでもらい、天橋立ではビアガーデンの催しつきの趣向で7000円。120人の定員で希望者を募っている。(朝日新聞)
23日■国立公園に登山電車 環境庁が建設認める 車を規制、自然保護へ
 環境庁は国立・国定公園を訪れる観光客などの輸送機関として、自動車に比べ環境への影響が少ない鉄道の導入を図ることを22日までに決めた。これに伴い政府は、これまで同公園内で鉄道の建設を認めていなかった自然公園法施行令の改正を閣議決定する方針。既に長野県・菅平高原(上信越高原国立公園)で日本初の本格的登山鉄道の建設計画や鹿児島県・屋久島(霧島屋久国立公園)で森林軌道の乗客用への転換計画などが進められており、政令改正で実現に向けて大きな弾みがつくことになる。同庁は自然環境との調和を図り、完成後沿線での自動車利用を制限するなどの措置を取るものについて認めていく方針だ。
 国立・国定公園内での輸送施設などの建設は原則として環境庁長官の承認が必要。これまで建設できる輸送施設としては自動車道路、船舶、水上飛行機などの係留施設のほか鋼索鉄道(ケーブルカー)、索道(ロープウエー)しか認められていなかった。
 しかし、マイカーの急増で、排ガスの悪影響が心配されるほか、狭い山間の道路などが渋滞し、落ち着いた雰囲気が壊されるケースも多くなってきた。また、密室化した車より解放的な鉄道の方がより自然に親しみやすく、公園にふさわしい輸送機関だとの判断もあり、鉄道の建設を認めることにした。
 第一号となりそうな菅平高原の登山鉄道は地元の真田町が約3年前から計画。網目状の路線を予定しているが、第1期は高原中心部から根子岳(2217b)の頂上近くまでの約10`。車体の下の歯車が線路中央のラックレール(ギザギザの付いたレール)とかみ合い、傾斜面を上る方式。1両でも、連結しても走行できるという。
 屋久島の森林軌道はかつて林野庁が木材運搬用に使用。現在は地元の電力会社がダム管理などのために一部を使用している。屋久町が中心になって、主要路線16`を人が乗れるよう改良する計画を進めている。車中からは植物の垂直分布の様子などが鮮明に分かるため、研究、学習の場としても最適という。(京都新聞)
■走れニュートレイン〈11〉 あさぎり号 小田急・JR東日本 富士のすそ野を満喫
 3月16日のダイヤ改正から、小田急新宿と東海道線沼津真に御殿場線経由の新しい特急電車「あさぎり号」が誕生した。小田急、JR東海が共同運行するニュータイプの特急列車である。
 「あさぎり号」は新宿副都心と沼津から西伊豆への新しい観光列車として注目され、リゾート志向の強いデラックスな車両が両社から登場している。
 なかでも小田急の2階建てグリーン車は関東の私鉄では初の車両で、ゆったり座席で衛星放送が楽しめる液晶テレビやオーディオ装置、1階にはコンパートメントがあり、富士すそ野の鉄道の旅が楽しめる。
 小田急は2編成の20000系電車、JR東海は371系電車1編成の電車が1日4往復それぞれ交互に運転され、約2時間で結んでいる。
 全車指定席でグリーン車64人、普通車344人の408人定員である。スタイルは両社とも流線形のスマートなものながら、色は会社の特徴が出ているので、どちらに乗るかはお好み次第といったところ。飲み物軽食のサービスは、小田急はロマンスカー「はこね号」などの会社が従来のサービスを、JR東海はJディナーが行っている。
 小田急からJR御殿場線へは松田から乗り入れが行われ、各社線間は自社の乗務員が担当している。「あさぎり号」の沼津直通乗り入れにより、地元沼津の観光への力の入れ方にも熱が入っているのはもちろんだが、西伊豆地区も「あさぎり号」運転と同時に修善寺経由松崎直行の接続特急バスを運行、沼津と松崎を3時間30分で結び、高速船に対抗している。(鉄道写真家・南 正時)
 〈メモ〉新宿−沼津間に4往復、全車指定席。運賃は普通席(通常期)2980円。JRは繁忙期に200円加算、閑散期は200円減額。グリーン料金1570円。所要時間約2時間。(京都新聞)
■泰緬鉄道 タイ国軍の機密文書 労働現場実態克明に タイ公文書館保存
 第二次大戦中、タイ−ミャンマー(旧ビルマ)間に旧日本軍が建設した「泰緬(たいめん)鉄道」の完成直前に、マレー人やビルマ人、中国人らアジア人の労働者6万7810人と、白人捕虜4万1570人を合わせ計10万9380人がタイ領内の建設現場にいたことなどを示すタイ国軍最高司令部の機密文書多数が、バンコクのタイ国立公文書館に保存されていることが22日、わかった。中には日本軍の「極秘」文書約100枚も交じっていた。映画「戦場にかける橋」の舞台で世界的にも有名だが、資料がほとんど現存しておらず、労働現場の実態を伝える発見に研究者らは強い関心を寄せている。
・アジア人6万7000人 捕虜は4万人
 文書を発掘したのは吉川利治・大阪外国語大学教授(タイ史)。現地で旧日本軍の足取り調査中に文書の存在を知り、公文書館と交渉。去年5月、コピー不可の条件で閲覧を許された。4ヵ月半同館に通い詰め、数千枚の公文書をノートに主にタイ語で筆写して持ち返った。
 文書はタイ語でタイプされたA4判のザラ紙が大半。鉄道沿線のカンチャナブリ県などがタイ警察などから報告を受けたり、内務省などに報苫した公文書で、ほとんどが機密扱いになっていた。
 鉄道が完成する直前の1943年9月27日に、カンチャナブリ警察が県知事に出した報告書によると、タイ側の鉄道沿線にいたのは日本兵が2万4764人、白人(イギリス、オランダなど)捕虜が4万1570人、アジア人の「ロームシヤ(労務者)」が計6万7810人で、アジア人が一番多かった。アジア人の内訳は、マレー人4万900人、中国人2万2910人、モン人(少数民秩)1600人、ビルマ人2400人。
 12日前の同じ報告と比べると、白人は約1万4000人、アジア人は約2万5000人増えており、日本軍は橋の早期完成を目指し続々と労働者を送り込んでいたことがわかる。また、11月の報告では、完成から1カ月ほどたっているのに中国人が約1万4000人、白人が約8800人減ったぐらいで、吉川教授は「突貫工事で完成させた鉄道が不調続きで、労働者を帰せなかったのだろう」と推測する。
 43年3月には、日本側は極秘文書「人員器材追加整備ノ件照会」で、「石工」や「土工」として1万3000人を集めてくれるようタイに依頼、日タイ合同会議で「タイ人が難しければ中国人で」と合意した。タイ側が橋渡しをする形で、日本は在タイ華僑らの「中華総商会」と交渉。日本が「土工」には日給3バーツ(当時の3円)を支払う条件をのみ、6月には中国人1万3000人を送り込んだ。日本軍のまとめた表によると、作業現場まで到着したのは半分以下の約5600人で、多くが途中で逃げていた。
 マレー人は同年4月から目立ち始め、「マレー人はほぼ毎日着く。汽車が停車するたびに脱走し、町でふらふらして秩序が乱れる」という報告もある。
 また、白人捕虜については県知事からバンコクあてに約百枚の細かな報告があり、タイ側が日本軍の動きを注意ぶかく”監視”していたことがうかがえる。
 泰緬鉄道については具体的な資料が極めて少なく、一部の旧軍関係者の回想録がある程度。特にアジア人「ロームシヤ」に関する資料は皆無に等しく、7万人から35万人説(死者は4−10万人説)まである。
 吉川教授は今夏、資料を整理し、来年早々にもタイと日本の両方で出版する予定。「これまで数字がひとり歩きしがちだったが、初めて具体的なデータが出てきた。ビルマ側の報告は含まれていないが、日タイ間の外交の駆け引きを生々しく物語る資料は多く、今後、この資料をもとに歴史の空白を埋めていきたい」と話している。
・未解決の責任問題解決の資料に
 学者や研究者約10人でつ<る「泰緬鉄道研究会」メンバーの中原道子・早大教授(東南アジア史)の話 戦犯追及を恐れた日本軍は当時、資料をほとんど焼却しており、公文書で出たのなら一級の貴重な資料だ。今も未解決の責任問題を日本人自身がきちんと裁くため、参考になると思う。
・泰緬鉄道
 タイとミャンマーをまたぐ約415`の軍用鉄道。1942年7月から翌43年10月までわずか1年4ヵ月の突貫工事で完成され、ビルマ戦線の日本軍に兵隊や軍需品を運んだ。現在もタイ側山岳地帯入り口のナムトクまでの約130`が利用され、クワイ川鉄橋の周辺は観光地になっている。戦後、関係した軍人らが戦犯として裁かれ、百余人が有罪に。うち32人が死刑になった。(朝日新聞)
24日■こだまパンタ故障
 23日午後9時57分ごろ、東海道新幹線・新大阪駅に停車中の広島発名古屋行きの「こだま494号」(16両編成、乗客数約280人)のパンクグラフが変形しているのを駅員が見つけた。JR東海が京都駅で同列車を点検したところ、4号車と14号車のパンタグラフが何かにぶつけたようにゆがんで使えなくなっていた。JR東海は応急処置、同列車は55分遅れで京都駅を出発した。(京都新聞)
■看護婦飛び込み即死 JR山陰線踏切
 23日午後零時10分ごろ、京都市中京区西ノ京上平町のJR山陰線大原街道踏切で、左京区の看護婦(24)が園部行き下り普通列車に飛び込み、即死した。列車は現場で約40分停車したほか、後続の普通列車4本が運休。特急、急行など10本が遅れた。
 西陣署の調べでは、看護婦は遺書とみられるメモを持っており、自殺らしい。(京都新聞)
■電車に飛び込み死亡 中京のJRで女性
 23日午後零時13分ごろ、中京区西ノ京、JR山陰線大原街道踏切で、左京区に住む女性(24)が京都発園部行き普通電車(4両編成、乗客約300人)に飛び込み、死亡した。遺書があり、西陣署は自殺とみている。この事故で、電車は現場に約40分止まり、約2000人に影響が出た。(朝日新聞)
25日■安全より経営優先して 苦悩の三セク鉄道 黒字9社に赤字が26社 信楽事故 他人事でない ぎりぎりの人員で
・施設老朽 税は重く
 死者42人を出した信楽高原鉄道事故の惨事から1月余がたった。現在、事故原因の解明が警察本部などで続けられているが、事故の背景として、安全より経営を優先せざるをえない第三セクター鉄道の厳しい実態が、浮き彫りにされた。全国35ある第三セクター鉄道はもともと旧国鉄の赤字ローカル路線、涙ぐましい減量経営で辛うじて保たれている。多かれ少なかれ信楽高原鉄道と体質は似たり寄ったりとみられ「ほかにも危ない路線は少なくない」という声も関係者にある。事故の再発防止を願って、苦悩する第三セクター鉄道の現状をリポートし、監督官庁の村岡運輸大臣にインタビューした。(東京支社 今西健二記者)
 「ショックでした。列車がクの字に曲がるなんて考えてもいなかった」。由利高原鉄道(秋田)の木村久雄運転士(42)は今も、信楽鉄道列車事故を思い出すと、気分が重い。「規模も似ており、他人事ではありません」と顔を曇らせる。
 同事故は、全国の第三セクター鉄道関係者に衝撃を与えた。ぜい肉をそぎにそいだ三セク鉄道だけに「貧乏すれば、保安にお金を割きたくなっても人情的に不思議でない」と開業以来、連続6年黒字の三セクの優等生・三陸鉄道(岩手)の堀篭明専務はいう。
 「今、こんな時期だから”うちは危ない”とは絶対いわないが、心配している会社もあると思う」と語る関係者もいる。この事故の余波でJR東日本は、今夏に予定していた鹿島臨海鉄道(茨城)の大洗までの乗り入れを急きょ取りやめた。「万全を期して計画し訓練もしていた。収入的にはごくわずかだがイメージ的に…」と、西川正道常務は残念がる。由利高原鉄道の田中吉雄営業部長は「新人教育を国鉄経験者がマンツーマンでやっているが、机上のみならず実践で身につけさせる重要性を改めて痛感した」と話す。
 三セク鉄道が情報交換のために作っている第三セクター鉄道協議会(事務局・東京)の伊多波美智夫事務局長は「三セクは旧国鉄の赤字路線で、どう赤字を減らすかが先決となっている。そのために国鉄時代の半分以下の要員で、しかも人件費を減らすため国鉄OBを雇いJRからの出向を受けている」と、現状を語る。今のところ、専務や部長クラスには国鉄OBなど経験豊かな人を充てているところも多いが、「鉄道をよく理解していない人も結構いる。国鉄時代なら責任をキチッととれ、判断できる人が各セクションにいた。上から下までの一貫した責任体制が、民営分割で切れたのでは…」と、分析する関係者もいる。その点でも監督官庁の運輸省の責任が問われる。
 ある鉄道関係者は「今の三セク鉄道は、ぎりぎりの人員で成り立っており、緩急ある時にも一定レベルを保つように考えてはいない。代用閉そくで動くには、非常手配に時間がかかるし、半日ぐらいはすぐたつ。安全なのは列車を止めるのが一番で、分相応にしていかないと危ない」と厳しい指摘をする。
 同じ三セク鉄道といっても置かれた条件は千差万別。平成元年度で、黒字はたった9社で、合わせても3億2300万円だけ。赤字は26社16億300万円にのぼる。全体の累積赤字は計22億1200万円。各社とも経費削減は徹底しており、ディーゼルカーの廃油を暖房に使ったり、運賃表もゼロックスをかけた手作りとしたり、社員でできることはやらせて外部委託を減らしたり…と、四苦八苦。「もう、これ以上は無理」というのが関係者の偽らざる心境だ。
 収入の基本となる乗客増のため、駅前広場を無料駐車場にしたり(由利高原鉄道)、車両を増やしてラッシュに対応したり(甘木鉄道)、いま流行のイタリアワイン列車を走らせたり(三陸鉄道)…と知恵を絞る。秋田内陸縦貫鉄道では昨年、日本初の女性運転士を誕生させ、ロマンスカーの急行を走らせたが、それでも乗客は 102万人と前年比5%の滅。金森重勝専務は「自然のほか、これといった観光資源もなく宿泊設備も整っていない。人がいないことが、何をやってもダメにつながる」と、こぼす。その一方でデパート進出など沿線開発などが進む路線は増加著しい。愛知環状鉄道(愛知)は年10%、鹿島臨海鉄道(茨城)9%と好調で、明暗を分ける。
 過疎地鉄道の頼りは沿線開発による乗客増加だが、期待のリゾート開発も民間主導とあって遅々として進んでいない。沿線広告など新規事業に活路を見いだそうとする会社も多い一方で「今お願いしたいのは、鉄道を意識した住宅開発や運動施設建設だ。地味な努力しかない」と、鉄路としての存続を決めた沿線自治体のバックアップに強い期待がかかる。
 赤字幅圧縮でてっとり早いのは人件費削減。各社の年間平均給料は職員1人当たり180万円から500万円前後までにわたるが、大半は2、300万円台(税込み)。都市近郊路線を除いて地場産業より低い社も多く家が農家だったり国鉄の年金などとコミコミで生活が成り立つ”半鉄半農”が実態。地場産業並みに出している山形鉄道の鈴木昭一専務は「なぜ三セクは安くていいのか。公共交通機関であり、公僕並みに上げるのが筋だ。電子機器メーカーが進出しているここでは、人が集まらない」と、そうした三セクの風潮に疑問を投げかける。今年は60歳以上の人にもベアを実施した。甘木鉄道(福岡)の阿部秀徳専務も同じ考えで、「三セクは地元負担を前提に残した鉄道。もともと、生活保障給を出せる会社になっていない。しかし、働く人の我慢に甘えていいのか。命を運ぶ鉄道業をやっていることを忘れてはならない」と強調する。将来性の無さもあって、秋田内陸縦貫鉄道では今年になって2人も辞めた。
 3Kを嫌って若者が三セク鉄道を敬遠する傾向が強いだけに「あと5年もすれば、国鉄OBもどんどんやめていく。もうJRから入ってくる人は出ないし、プロパーがその時までに育っているだろうか」と、伊多波事務局長は人員の面からもピンチに陥るのでは、と心配する。事実、平均年齢が58歳を超える会社もある。国鉄OBに頼ってきた甘木鉄道では「自治体職員を5年から3年サイクルで出向してもらわないと、カバーできない」と語る。当初から国鉄OBの来手が少なく2、30代のプロパーが全体の半分以上を占める三陸鉄道では、当初、全員が国鉄OBだった運転士23人の約6割を現在、プロパーが占める。しかし、ベアも必要とあってこれから人件費が大変だ」と、堀篭専務は頭が痛い。
・自治体の後押しを
 老朽化した鉄道施設を国鉄から引き継いだ会社も多く、補修貴が経営をさらに圧迫。「どうせ切り離す路線」と、国鉄が転換前に金を投入しなかったためで、由利高原鉄道の向島伸一専務は「線路などの補修費が収入の35%を占める。安全輸送のためには欠かせないし、手痛い出費」という。山形鉄道の鈴木専務も「来年の山形新幹線開通で補修作業する会社の労賃が上がり外注も難しくなった。去年は路盤の砂利もまけなかった」と語る。
 それ以上に重くのしかかっているのは、固定資産税。鉄道施設の無償貸し付けを受けている三陸鉄道などは恵まれているが、今期720万円の赤字決算となる山形鉄道でも約1000万円を支払っている。秋田内陸縦貫鉄道をかかえる秋田県北秋田郡阿仁町の今井乙麿町長は「国鉄清算事業団から資産譲渡したい、という申し出があるが、固定資産税を鉄道が払わなければならなくなる。町が免除したとすれば、交付金を減らされる。それでは困るので今春、1年間延ばしてもらったが、今月5日の鉄道取締役会議でさらに継続してもらうよう交渉することにした。自治省、運輸省にも(善処を)お願いしたい」と語る。毎年の赤字の半分を国が補助する制度が5年間で切れるのも三セク関係者にとっては大問題で、永続を求める声は関係者の間で根強い。
 三セク化時に支給された転換交付金で新規購入した車両は、税法上は減価消却できないのも痛い。さらに、何年か先にめぐってくる、国鉄などから無償譲渡された構築物の更新も、額が大きいだけに暗雲を投げかける。山形鉄道の場合でも、30.5`に踏切は58ヵ所にのぼるが、1ヵ所の更新に5、6000万円かかる費用をどうひねり出すか、どこが持つのか話し合いはまだない。愛知環状鉄道の奥康治専務は「うちは東海道のバイパスとして本線規格なのでしっかりした構造物。直すのに膨大なお金がかかる。」と不安げだ。
 「表面上の決算で、黒字になったからといって浮かれていられない」と、阿部甘木鉄道専務はその点を強調する。もともと、JR再建のために国が切り離した路線だけに「鉄路の選択は地元がしたのは間違いないが、道路行政の半分でも鉄道に力を入れてほしい」と、国に切望する関係者は多い。「そうでないと鉄道の前途は危うい」という悲痛な叫びが聞こえてくる。
・安全指導強める 村岡運輸相に聞く
 −第三セクター鉄道はぎりぎりの減量経営がほとんどだが、その役割、評価をどう考えるか。
 地域住民の足としての役割を果たしてきている。一般的には厳しい経営環境にありますが、安全確保に配慮しながらワンマン化、保守作業外注化など効率化を図り、現在までうまく運営されてきていると考えている。決められたマニュアル通りやらないと起きてはならない事故が起きるということですねぇ。
 −安全対策の指導は。
 現在実施中の自主総点検結果をふまえ、安全性の確保に万全を期すよう指導していますが、さらに6月と7月くらいに、運輸局による第三セクターの立ち入り検査をやりたいと思っている。経営基盤の脆弱(ぜいじゃく)な会社が多く、万一今回のような大きな事故を起こした場合に備え、50億円を限度に新しい団体保険制度を導入したい。
 −電気や車両関係職員のいない会社があるが、安全に支障は。
 職員の少なさが安全性の問題を残すものではない。しかし、今回の事故にかんがみ鉄道事業者の部門別人員構成の適否についてのチェックは現在、鋭意作業中でこれから立ち入り検査などもやっていく。
 −経営基盤の弱い第三セクターへの財政支援は。
 転換後五年間の経常欠損の2分の1補助制度の期間が適当なのか、また、中小民鉄で認められていない、固定資産税の課税標準を2分の1にする特例措置を講じているところですが、なお負担が重く経営に影響するという問題が指摘されていますので、今後検討していきたいと考えています。
 −鉄道にも、道路行政並みに、という声もある。
 JRが分割民営化になり、会社に公的資金を使うのはどうか、ということもあった。地球環境の変化とか、あるいはNox 、CO2とかということになってくるとやっぱり、鉄道も見直されてきたが、まだ、状況として、相当、資金を出せるという状況になっていない。高速道路は100`以上飛ばせるのに鉄道は70`か80`だ。しかし、いま、ようやく鉄道整備基金ができ、これが第一のスタートだ。(京都新聞)
■最古のSL「義経号」 大阪の博物館で保存 花の万博でも活躍
 動く機関車としては最古のSL「義経号」が、大阪市港区の交通科学博物館に保存されることになった。所有するJR西日本が24日発表したもので、現在整備のため置いている神戸市須磨区のJR鷹取工場から、27日未明に大型トレーラーで博物館まで運ぶ。一般公開は7月20日からの予定。
 義経号は1880年(明治13)、米国から輸入、北海道の開拓に貢献したあと、大正末に堺市の民間会社に売られた。1952年(昭和27)、鉄道80周年記念に鷹取工場で復元。去年は大阪・鶴見緑地で開かれた花の万博会場内で活躍。他の乗り物が事故や故障でトラブルを起こした中で、無事故、無故障で約77万人を乗せた。(朝日新聞)
■満員電車が衝突、脱線 JR福知山線の踏切 通学生ら309人が負傷 トレーラー立ち往生 運転手を逮捕
 25日午前8時15分ごろ、福知山市堀のJR福知山線岡踏切(警報機、しゃ断機付き)で、立ち往生していた同市野家道場、米田組の大型トレラー=田中正美運転手(49)=に、大阪発城崎行き普通電車=川嶋正弘運転士(32)3両編成=が衝突した。列車は1両目が脱線して線路右側2b下の草むらに転落、満員の乗客のうち、綾部市於与岐町の相根照夫さん(56)ら309人が負傷し、同市内と隣接の綾部市内の8ヵ所の病院で手当てを受けた。
 事故当時、列車は、兵庫県内から福知山市内の私立高校に通う生徒ら約400人でギッシリ。衝突と同時に先頭車は大きく右に傾き、開いたドアからは乗客が悲鳴を上げながらつぎつぎと列車外に逃げ出し、混乱した。
 トレーラーも線路ぎわの草むらに転落、前部を大破したが、田中運転手はいち早く逃げ無事だった。
 福知山署の調べでは、田中運転手がトレーラーにショベルカーを乗せて帰る途中、アームが踏切入り口に設けられた進入制限用の金属性支柱(高さ4.5b)にひっかかって動けなくなり、発煙筒をたいて合図しようとしたが、間に合わず、衝突したらしい。同署は田中運転手を過失往来危険で現行犯逮捕した。
 事故当時電車を運転していた川嶋正弘運転士は、見習いで、3月25日から福知山運転所で乗務見習いを始め、すでに419時間19分の見習いを終了、負傷した芦田降章運転士(51)が添乗していた。
 この事故で同線は福知山・市島間で不通になり、JR福知山支社は事故対策本部を設ける一方、バス3台でこの区間の乗客をピストン輸送している。復旧のメドは立っていない。
 現場は福知山市街地南部の住宅街の一角で、踏切を中心に変則五差路。見通しの良くない所。
・衝突事故の負傷者 25日午後1時現在、判明の負傷者氏名次の通り。(敬称略)
 ▽国立福知山病院 松岡健一、小西貴信(以上共栄)、山崎丈太郎、石橋ヨシカズ、松浦正康(共栄)、藤原幸治(福知山商)、秋岡一己、馬江正樹、坂本哲也(以上共栄)、大槻やす子(淑徳高)、増田のぶゆき、古田涼子(淑徳高)
 ▽富士原病院 西尾佳千(福知山女子高)前田志づ子、中家美幸、山口智之(福商)川嶋正弘(JR運転士)伊藤豊浩(共栄)芦田隆章(JR運転見習)、前田訓男(共栄)為平昭和(共栄)田中満智(共栄)伊森保則(福知山商)井上秀毅(JR)後藤賢司(JR運転見習)、中前敦、安富正樹、谷川精次(以上共栄)田中佐智子(淑徳高)上山真護、掘田透(福商)、山本茂則、阪本龍也(福商)、相根照夫、高見さわ子、北脇希
 ▽木村病院 足立ふみ子、丸谷政子、谷後平和(福知山運転所)、青木由香、福井利英、吉田とみゑ、芦田千春、村上やよい、足立真紀子、藤本文美、森光日出雄、吉見英樹、高辻紀行、斉藤嘉久、ワシオ宜之▽奥田外科 増南輝俊(共栄)、掘万起子、藤原剛(共栄)、村上和政(福商)、前田茂、前川豊、長田友裕(以上共栄)、杉本真一、松原晃、西山宏之、大嶋正模、村上勝、小西武実(以上福知山商)
 ▽竹下外科 大西克典、大平敦之、水谷一彦、栗野次仙、田辺一雄、山本修、山元邦将、嶋田宏史、滝本隆司、芦田健一、酒井良子、後藤利彦(以上共栄)、岡崎とも子(淑徳高)、山本鈴子(女子高)、山本徳子、南優子、余田岬(但馬養鶏農協)、杉岡瑞樹
 ▽綾部市立病院 小林由明、谷口克久、松浪龍三、中嶋誠一郎、京崎之紀、川根晩生、浅田浩伸、北山寛和、長谷川英典、今中信行、高見真也、上山正登、下井芳照、柴田伸一郎、村上智朗、野瀬友和、大久保圭啓、小林正人、橋本佳文、余田秀行、上月佳久、佐藤文彦、井元将史、八十原茂樹、小谷徳昭(以上福商)
 三浦薫、小谷和代、佐藤めぐみ、篠田祥千、土田早保美、阪谷真澄、杉尾江美、藤岡友美、藤原りか、中尾倍子、山本成栄、小泉幸代、大西千枝、塚本貴子、藤原妙子、上玉利潤、藤田保子(以上福知山女子高生)(京都新聞 夕刊)
■「痛い」うめく女生徒 JR福知山線 衝突脱線事故 血まみれ通学電車 放心、座り込む乗客
 衝突のショックで泣き叫ぶ女子高生。顔中、血まみれになりながら、友達を助け出そうとする男子生徒も−。25日朝、福知山市のJR福知山線踏切で、通学生らで超満員の電車と大型トレーラーが衝突、電車1両が脱線し309人が負傷した。ふだんは静かな住宅地、救急車などのサイレンが行き交う。原因はトレーラーの積荷のショベルカーが高さ制限用のゲートに引っかかった単純ミスらしく、先月中旬、滋賀県・信楽高原鉄道で死傷者多数を出す事故があったばかりだけにJR西日本では強い衝撃を受けている。
 現場では、クリーム色の電車が大きく右に傾いて止まり、先頭の運転席は大破、信号ケーブルがたれ下がり、ぶつかったトラックの赤いドアが吹き飛んで、衝突の激しさを物語る。
 脱線した車内には、きなくさい臭気が充満、通学生のカバンや傘などが散乱し、ショックの大きさが伝わるよう。
 血を流しながら列車から飛び降り、放心状態で線路ぎわにうずくまる高校生たちが、駆けつけた救急隊員の手で次々救急車にかつぎ込まれた。周囲では近所の人たちが目の前の光景を信じられないといった面持ちで見つめていた。
 たまたま事故を目撃した田中幸子さん(49)=福知山市野家=は「警笛の音がしたかと思うと、事故を察知した女高生の悲鳴が車内から聞こえた。ものすごい音でぶつかった後、さらに『キャー』という悲鳴が広がり、しばらくして、学生が血まみれで出てきた。クレーン車の方は火花が散ったのが見えた」と話していた。
 事故にあった高校生らは、うつろな表情でたたずんだり座り込む者も。中には額からの出血で、シャツを真っ赤にした生徒もあった。ピストン輸送でやってくる救急車で市内の各病院に運ばれたが、その一人、福知山商3年、近藤良光さん(17)=兵庫県西脇市西脇=は「先頭車両に乗っていたが、衝突音がした後、みんなの体が右に傾いて、車内が真っ暗になった。ドアが開くまで2−30秒ほど中にいたと思う。怖くはなかったけどJRを恨みそうになった」と当時の様子を話していた。
・近所の住人も救助に当たる
 現場近くは、ふだんは比較的閑静な住宅街。出勤途中の人々も救助や負傷者の搬送活動にあたった。
 事故のあった踏切と境内が接している一宮神社の安井朔さん(69)もその一人。「朝の準備をしていると”ドカーン”という物すごい音がしたので飛び出した。電車が脱線していたので、大変な事故と思った。すぐ救急車が来たのでけが人を運び出したが、こんな恐ろしいことは初めて…」と汗まみれで話していた。
・家族の問い合わせ殺到
 通学中に多数の生徒が事故に巻き込まれた福知山市内の私立福知山商業、福知山女子、福知山淑徳、京都共栄学園の4高校では、病院に運ばれた生徒の確認や、保護者への対応に追われた。
 事故にあった列車に乗っていた約50人の生徒のうち32人が病院に収容された福知山女子高では、現場を通りがかった同校教諭からの一報で、教頭らがかけつけ、生徒の被害状況の把握に努めた。学校へも、わが子の安否を気づかう保護者からの問い合わせが相次いだ。
 また、福知山商業、京都共栄学園はそれぞれ4、50人、福知山淑徳は十数人が負傷したとみられ、教職員が収容先の病院に急行。このため各校では授業を自習に切り替えるなどした。
・その瞬間将棋倒し
 31人の負傷者が運ばれた同市末広町一丁目、JR福知山駅前の富士原病院では、一般患者に交じって待合室の片隅や階段などで高校生らが一様に硬ばった表情で診察を待っていた。脱線した1両目に乗っていた兵庫県加東郡社町、福知山商一年山口智之君(15)は「列車は超満員で車両の真ん中あたりに立っていた。突然、将棋倒しのような感じで倒された。気づくと目の上が切れており、必死で窓から車外に出た。車内には頭を切って血を流した人や倒れた人の下敷きになっている人もおり、怖かった」と顔にバンソコウを張ったままで話した。
 3両目にいた兵庫県多可郡中町、福知山女子高2年中家美幸さん(17)も「ドア近くに立っているとすごい衝撃があり、立ち上がると頭や手から血が出てきた」と話していた。(京都新聞 夕刊)
■福知山のJR線 通学列車脱線 308人けが トラックと衝突 踏切で立ち往生
 25日午前8時16分ごろ、京都府福知山市堀法川(のりかわ)のJR福知山線の岡踏切(警報、開閉機付き)で、大阪発城崎行きの普通電車=川嶋正弘運転士(32)、3両編成=が、線路をふさぐ格好で立ち往生していた近くの運送業「米田組」の11d積み大型トラックに衝突、電車の1両目全体が脱線した。同電車には、通学や通勤など乗客が定員の約1.2倍の約400人乗っており、308人が負傷し、うち、兵庫県多可郡黒田庄町前坂、高校生北脇希さん(18)ら4人が重傷を負い、それぞれ国立福知山病院など8病院に運ばれた。大型トラックに載せていたショベルカーが、踏切の高さ制限の枠にひっかかって動けなくなったのが原因で、京都府警は大型トラックの田中正美運転手(49)を過失往来危険罪で現行犯逮捕した。
 JR西日本も、福知山支社と現地に対策本部を置いた。
 衝突現場は単線で、JR福知山駅から約300b大阪寄り。列車の進行方向に向かって緩やかな右力ーブで、人家がたてこみ、見通しのよくない所。踏切は幅6.3b、長さ7b。列車は進行方向右側の用水路をまたぐように前のめりになって傾いて停車。衝突したトラックも列車と同じ用水路に転落。荷台にのせていたショベルカーは衝突のあと、線路上に横倒しになった。
 京都府警福知山署などの調べによると、大型トラックはショベルカーを積み、現場近くの会社に向かう途中だった。踏切は開閉機、警報機付きで、高さ制限(4.62b)の鉄製粋があったが、田中容疑者が通れると思い、荷台のショベルカーのアームを引っかけたらしい。鉄枠は鉄筋コンクリートの支柱で支えられており、鉄枠を引きずる形で大型トラックは踏切中央で立ち往生。電車が来るまでの約3分間、騒ぎを聞きつけた近所の人たちも出てきて、大型トラックを動かそうとした。1人が列車の来る方向に向かって手を振りながら約50b走ったが、間に合わなかったらしい。
 この間、警察などへ連絡はあったが、JRの駅や電車には通報がなかったという。
 JR西日本によると、現場は単線で、現場付近は通行止めになり、この事故の影響から特急、急行など上下4本が運休、代行バスの運行に切り替えた。また、大阪発倉吉行き特急を山陽、播但線経由に振り替えう回運転させた。
 普通列車の定員は330人だが、通勤や通学客約400人が乗っていた。福知山市消防本部に入った連絡によると、通学中の福知山商業高校や京都共栄学園、福知山女子高校の高校生らが重軽傷を負った。
 北脇さん以外の重傷者は、綾部市給与岐町、相根(さがね)照夫さん(56)▽兵庫県氷上郡市島町中竹田、高見さわ子さん(59)▽福知山市荒河、JR運転士芦田隆章さん(51)の3人。
 午前11時現在、福知山消防本部調べで、けが人が搬送された病院と、搬送人数は次の通り。
 【福知山市】国立福知山病院152人▽冨士原病院33人▽奥田外科内科医院18人▽木村外科医院16人▽松本病院19人▽竹下外科医院22人
 【加佐郡大江町】大江病院5人
 【綾部市】綾部市立病院43人(朝日新聞 夕刊)
■不十分な緊急時対策 「報知装置」設置せず
 現場の岡踏切は、警報機、遮断機つきだが、近づく電車の運転士に踏切の緊急事態を知らせる「踏切支障報知装置」はなかった。この装置は、踏切に障害物があった場合、赤外線がしゃ断されて異常を検知、自動的に特殊信号機の赤色灯が回ったり、赤信号になったりして、列車の運転士に知らせる仕組みになっている。
 JR西日本によると、この装常は1基で約800万円する。このため、交通量の多い都心の踏切から順番に設置しているが、普及率は低く、全踏切の半分にも達していない。
 岡踏切は交通量が少ないことから、同装置を設置する候補にもあがっていなかった。
 この報知装置がない場合、通常は、警報機の下郡の箱にあるボタンを押せば白煙が立ちのぼる簡易装置が設置してある。岡踏切は、この装置もなかったらしい。
 これらの装置がない踏切では、トラブルの起きた車の運転手が発炎筒をたくなどして電車に合図すべきだが、このような道具を持ち合わせていない場合、連絡する手段がないのが現状だ。
・運転士は見習い期間
 JR西日本によると、事故当持、運転席には、川嶋運転士のほかに、本来、乗務の芦田隆章運転士(48)が乗っていたが、運転していたのは川嶋運転士で見習いだった。運転士は国家試験に合格したあと、ベテラン運転士とともに電車に乗り、しばらく運転ぶりを見学したあと、指導を受けながら実際に運転をする。JRでは、見習い中の川嶋さんが運転しても、とくに問題はないとしている。
 川嶋運転士は90年12月から91年3月まで、吹田研修センターで机上研修し、3月25日から乗務見習いをしていた。乗務見習いは必要とされる512時間中419時間19分を終えていたという。(朝日新聞 夕刊)
■悲鳴 うずくまる学生 JR福知山線事故 車両傾き「く」の字に 「信楽」の恐怖再び
 通学の高校生らで超満員の列車が大型トラックと激突、ごう音を立てて脱線し、線路わきのフェンスにぶつかった。踏切から転げて横転した大型トラック。積み荷のショベルカーが吹き飛び、部品の一部が列車の車輪にくい込んだ。25日午前8時すぎ、JR福知山線で起きた踏切事故は、けが人が300人を上回り、1ヵ月余り前の信楽高原鉄道事故の記憶を呼び超こす惨事となった。傾いた列車から出てうずくまる高校生らが次々と救急車で運ばれた。多数の負傷者を出した高校、宛大は授業を中止するなどして、病院や家族との連絡に追われた。
●現場で
 3両編成の列車の先頭車両が大きく線路を外れ、右に傾いて「く」の字形に脱線、金網のフェンスを突き破り、約2b下の土手沿いに転落した。窓ガラスがめちゃめちゃに壊れ、車内のイスが散乱、血が飛び散っていた。大型トラックの積んでいた黄色いショベルカーが、列車にからみつくように横転している。住宅と緑地が広がるのどかな一帯。しかし、サイレンの音が響くなか、救助された乗客や地元の人たち約300人が線路沿いに集まって踏切周辺は騒然とした雰囲気になった。
 福知山商3年岩城晶也君(18)=兵庫県氷上郡市島町=は2面目の最前部に立っていて左鎖骨を折った。車内は満員だった。「列車の急ブレーキがかかった直後窓の外を見ると、登校中の高校生らが列車の進行方向に向かって指をさしていた。その直後、『ドーン』という大きな音がして衝突した。すぐ前にあった1両目の列車が見えなかった。ぶつかったあと、しばらく走って止まった」と話した。
 福知山市掘の京都短大生5人も乗り合わせた。脱線した1両目の中央に立っていた商経科1年、沢佳余子さん(18)=多紀郡丹南町=は、「急ブレーキがかかり、叫び声とともに満員の乗客全員が倒れた。ガラスで顔を切って血だらけの人もいた。乗客が手でドアをあけてくれたので、飛び降りた」。
●学校で
 最も多い負傷者が出た福知山市横尾の私立京都共栄学園には、事故直後にJR福知山駅から連絡が入り、教職員約20人が約1`離れた現場へ急行。芦田武志郎指導部長(42)によると、ゴザの上に生徒や一般客らが横になって、救急車で運はれるのを待っていたという。
 同校は中高生1240人のうち、231人が電車通学。このうち、161人がこの電車に乗っており、46人が、救急車で病院に運ばれ、治療を受けた。残りの生徒は片足をひきずったり、頭を押さえながら登校した。このため、1時限目の授業を中止し、けがをしなかった12、3人を除く約100人は、救急車や福知山市のバスなどで病院に運ばれた。
●JRで
 大阪市北区にあるJR西日本本社には25日午前8時半ごろ、事故の知らせが入った。営業、運転関係の職員が現場と管轄のJR福知山支社に向かった。居残り組の安全対策室の運転事故係の職員らは電話での情報収集に追われ、室内のテレビから流れる事故現場の生々しい映像に目を奪われていた。相次ぐ事故に職員も口が重く疲れ切った様手だった。
●病院で
 福知山市末広町の冨士原病院には午前9時前から学生らが次々と運はれたが、通学時間帯と重なったこともあって、けが人の住所地は三田市など福知山線沿線に広がった。うち4人が頭部打撲などで入院した。
 登校中の高校生が多く、血が飛び散った学生服姿が痛々しい。福知山商業2年の坂垣隆之君(16)は「ブレーキがキーッときしむ音がして、人が倒れてきた。自分も頭を打った。外を見ると1両目の電車が脱線していたので驚いた。同じ車両に乗り合わせていた15人ほどの友人のうち2、3人が頭から血を流していた」と興奮気味に話していた。
 現場から北約2`の国立福知山病院には、100人を超すけが人が運ばれた。京都共栄高校の100人がバスで到着したほか、福知山商業高校、福知山女子高校の生徒らで、顔や頭にすり傷を負い、血をにじませている生徒もいた。(朝日新聞 夕刊)
■JRグループの株主総会始まる まず西日本・四国
 JRグループの第4回株主総会が、JR西日本とJR四国を皮切りに25日から始まった。JR西日本の株主総会は午前11時から大阪市北区の大阪ターミナルホテルで開かれ、国鉄清算事業団の石月昭二理事長がただ1人の株主として出席、経常利益875億円の91年3月決算を承認、役員を選任した。JR四国は同日午後、高松市のの本社で閲健。
 グループ各社の株式は事業団がすべて保有し、国鉄分割民営化後は、事業団の理事長や理事が日程を調整して1人株主として出席している。他社の日程は、26日が北海道、東海、九州。27日が東日本、貨物。(朝日新聞 夕刊)
26日■JR福知山線踏切衝突事故 高さ制限に違反 トラック運転手 重量もオーバーか
 25日朝、福知山市のJR福知山線踏切で、満員の普通電車と大型トラックが衝突し、乗客308人が負傷した事故で、京都府警捜査本部(福知山署)は、過失往来危険の現行犯で逮捕したトラック運転手の田中正美容疑者(49)が、道交法施行令に定められた荷台の積載制限に違反してパワーショベルを積むとともに、道路走行に必要な道路管理者(市)や警察の許可も得ていなかった事実をつきとめた。
 捜査本部は同日、トラックの所有者である建設会社米田組=福知山市堀=を捜索し、関係書類を押収したが、その後の調べで、トラックはこの日、荷台のショベルカーのアームにふだんと異なる「アイアン」と呼ぶ長さ70aの掘削機を取り付けていたことがわかった。通常の掘削機なら、内側に折り込めるため、アームの最高部は高さ2.9bになり、トラックの荷台1.5bを加えて、地上からの高さは合計4.4bとなる。しかし、別の掘削機を取り付けたため、アームの最上部が踏切の制限高(4.5b)をオーバーし、接触したとみられる。
 調べに対し、田中容疑者も「これまで、パワーショベルを積み、同踏切を渡ったが通過できた。この日は掘削機をふだんと違うものに変えていたため、アームの位置が高くなり、衝突した」と供述しているという。
 捜査本部は▽道交法施行令では、車両の高さは積み荷を含め最高3.8bと決められており、トラックは明らかに積載制限違反▽ショベルカーの重量はトラックの最大積載量(8.75d)の倍以上の19.9dで、過積載の疑いもある−としており、これまでから田中容疑者が、道交法の積載制限違反を続けていた疑いがあるとみて、詳しく調べる。
 また、捜査本部の調べで、同トラックには、運輸省令の保安基準が定めている発煙筒などの信号非常用具が設置されていなかったことが分かった。
・9時間ぶりに復旧
 踏切事故で不通になっていたJR福知山線の福知山−市島(兵庫県氷上郡市島町)間は、25日午後5時2分、約9時間ぶりに復旧した。
・運輸省が対策本部
 運輸省は25日、事故対策本部(本部長・井山嗣夫国有鉄道改革推進総括審議官)を設置、白鳥健治施設課技術開発室長ら係官5人を現地に派遣、事故の背景などの分析を始めた。(京都新聞)
■JR福知山線事故 非常事態 告げる術なし 障害物検知装置備えず 民家の発煙筒頼り
 満員電車の通学生ら 308人がけがをする痛ましい惨事となった25日朝のJR福知山線での踏切衝突事故。積み荷のショベルカーが高さ制限をオーバーし、支柱にひっかかって踏切内に立ち往生したトラック運転手の責任が厳しく問われそうだが、同時に、近づいてくる電車に非常事態を知らせる十分な装置が現場の踏切になかったことも、衝突を招いた一因としてクローズアップされている。
 事故現場のJR福知山線岡踏切(福知山市城)は、警報機と遮断機のある第一種踏切。だが、踏切内の障害物を赤外線で感知して自動的に電車に急を告げる「障害物検知装置」はもとより、踏切わきのボタンを押すと近くの発光機が点滅して電車の運転士に知らせるより一般的な「支障報知装置」もなかった。
 このため、非常時には、近くの民家に備え付けた発煙筒を取りに走らねばならない。しかも発煙筒の置いてある民家を示す標識が踏切近くに立ててあるだけで、とっさの時に役立つか心もとない。
 今回の事故では、ショベルカーを積んで立ち往生した大型トラックの田中正美運転手(49)は、京都府警捜査本部の調べに対して「ショベルカーに乗り込み、踏切の支柱にひっかかったアームをはずそうとしたができず、警報が鳴り出したので、踏切の非常合図灯を探したが見つからなかった」と供述している、という。立ち往生に気付いた近所の人も線路脇の道を走って電車の運転士に知らせようとしたが間に合わなかった。
 また、JR電車の川嶋運転士は「(カーブを曲がった)踏切の約190b手前で、車が立ち往生し、白い服を着た人が手を振っているのが見え、急ブレーキをかけたが間に合わなかった」と話しているという。
 同踏切では一昨年3月にも今回と同様、ショベルカーを積んだ大型トラックが支柱をひっかける事故があった。この時は大事に至らなかったが、その後も踏切は改善されないままで、JR西日本福知山支社は「本年度内に報知装置を設けることになっていた」というが、関係者からは「もっと早く十分な装置を付けていたら…」との指摘が聞かれる。
・検知装置を急きょ設置へ JR西日本
 JR西日本は25日、事故のあった岡踏切に本年度中に「障害物検知装置」を設置することを明らかにした。当初計画では、押しボタンの「支障報知装置」を年度内に設置する予定だったが今回の事故を重くみて、レベルの高い「検知装置」に切り替えたという。
 JR西日本によると、同社管内の踏切数は6689ヵ所。このうち第一種踏切は5209ヵ所で、障害物検知装置のあるのはわずか345ヵ所だけ。福知山市内では2ヵ所にしかない実情で、踏切安全対策の充実を求める声が高まりそうだ。
・けがで入院した人たち(敬称略)
 ▼冨士原病院=綾部市於与岐町、建設作業員相根照夫(56)▽福知山市荒河、JR社員芦田降章(51)▽兵庫県多可郡黒田庄町前板、福知山女子高3年北脇希(18)▽同県氷上郡市島町中竹田、高見さわ子(59)▽同県氷上郡山南町、前田志づ子(63)▼奥田外科=兵庫県多可郡黒田荘町、福知山商業1年村上和政(15)▽同県西脇市羽安町、同校1年松内陽石(16)▽同県三田市福島、京都共栄学園高1年田中真君(16)▽同県三木市加佐、同高2年岸上博文(17)▽同県加東郡滝野町、同高1年竹内浩司(16)▼松本病院=兵庫県多紀郡西紀町、福知山商高1年西田豊(15)▽同県多可郡中町、同高2年有延嘉展(16)▽同郡八千代町、同、有田才郎(17)▽同県氷上郡山南町、同、西脇貴明(16)▽兵庫県多紀郡丹南町、淑徳高3年小西智子(18)▽同町、同校3年山下孝子(17)▽同県氷上郡山南町、同校3年植木文(17)▽同県西脇市野村町、同校3年山岡千晴(17)▽同町福知山商2年、岡野誠(16)(京都新聞)
■福知山線事故 建築会社の本社を捜索
 京都府福知山市のJR福知山線岡踏切で25日朝、普通電車が立ち往生していた近くの土木建築会社「米田組」の11d積み大型トラックに衝突した事故で、京都府警福知山署の捜査本部は、トラックが道交法の高さ制限を超える積み荷を載せながら、警察の許可を受けずに走行していたことを突き止めた。さらに、トラックは道路運送車両法の保安基準で定められた発炎筒も装備しておらず、同捜査本部は、ずさんな安全管理が事故を招いたとして同日、米田組本社を過失往来危険などの疑いで捜索、幹部らから事情を聴いている。負傷者もその後増え、310人に上った。(朝日新聞)
■踏切事故 対策遅れ浮き彫り 福知山線 少ない検知装置
 狭い踏切に、慣れぬ重機を積んだトラック運転手の判断ミスがけが人300人を上回る列車事故につながった。京都府福知山市のJR福知山線で25日朝起きた踏切事故で、京都府警の捜査本部はトラックを運転していた同市内の土木建築会社「米田組」の運転手、田中正美容疑者(49)=同市天田=を列車往来危険罪の現行犯で逮捕し、同社を捜索したが、調べの中から、運転面での安全管理の不手際と踏切事故防止策の遅れが浮かび上がってきた。
 田中容疑者は立ち往生した後、荷台にあるパワーショベルに乗り、ひっかかった部分を外そうとしたが外れず、そのうち警報機が鳴り出したため、列車に向かって手を振りながら走ったが、間に合わなかった。踏切には、非常用の発炎筒が近くの民家の玄関前に置いてあることを示す看板が立っていたが、田中容疑者はそれを見つけられなかった、という。
 岡踏切では2年前にも、大型トラックに積んだパワーショベルが鉄枠を引っかけ、枠を支えるコンクリート柱が架線を切断して停電する事故があった。
 このときは住民や運転手らが現場近くの民家に備え付けの発炎筒で電車に危険を知らせ、間一髪、難を逃れた。JR西日本福知山支社によると、福知山線の新三田−福知山間にある126ヵ所の踏切のうち、「障害物検知装置」「踏切支障報知装置」は合わせて16ヵ所にしか設置されていないという。
・障害物検知装置 約150ヵ所で JR設置へ
 京都・福知山のJR福知山線で25日起きた踏切脱線事故を教訓に、JR西日本は同日、事故現場の福知山線岡踏切を含め近畿、北陸、中国地方の約150ヵ所に「障害物検知装置」を、今年度中に設置する事を明らかにした。また別の100ヵ所の踏切には「支障報知装置」も設置する。
 JR西日本の踏切で自動車の通れるのは6361ヵ所。現在、検知装置はわずか5.4%の345、報知装置は28.8%の1835の踏切にしかない。事故現場の岡踏切のようなどちらも備わっていない踏切がほとんどだ。(朝日新聞)
■あわや「信楽」 満員通学列車踏切事故 響くサイレン 国道大渋滞
 けたたましいサイレンを響かせた救急車やパトカーが行き交い、病院の待合室や廊下は包帯と湿布をした高校生で埋まった。25日朝、福知山市で発生したJR福知山線の列車事故では、300人を超す負傷者が出た。さいわい、乗客のけがは軽く、信楽高原鉄道のょうな大惨事にはならなかったが、負傷者の多かった京都共栄学園高校など4校は臨時休校になった。現場近くの国道9号が大渋滞を起こし、日ごろ静かな城下町は騒然となった。
・現場
 現場は、市街地の南部で、住宅や小さな事業所などが混在している。事故直後から付近にはロープが張られ、立ち入り禁止に。そばを通る国道9号高架橋には、事故を見ようとする見物人が鈴なり。通行車両も事故を見ながら通るためノロノロ運転し、国道は渋滞した。
・病院
 高校生を中心に150人余りが手当てを受けた国立福知山病院。午前9時10分、けたたましいサイレン音とともに負傷者の第一陣が運び込まれた。足腰を強打し、前歯を折って口から血を流す人も。待ち受けていた医師、看護婦らの顔に緊張が走る。
 続いて、福知山淑徳高校の32人、京都共栄学園高校の116人が、同市が仕立てたマイクロバスなどで続々到着した。事故のショックから、青ざめた表情で長いすでぐったりしたままの生徒も。
 1両目に乗っていた兵庫県氷上郡青垣町沢野、淑徳高一年釜口静江さん(15)は「傾いた車内で将棋倒しになり、気がつくと、人が折り重なり、悲鳴で騒然となった。思い出してもぞっとします」
・警察
 現場から1`ほど離れた福知山署。大半の署員が事故現場や病院に駆け付けた。残った十数人の署員が、病院ごとに確認できた負傷者の名前、住所などを大きな紙に書き出す作業に追われた。
 しかし、負傷者が多いうえ、入って来る情報もたびたび変化する。「重傷者4人が入院した」との発表が、途中で重傷ゼロに訂正されるなど、混乱した。(朝日新聞)
■4高校、授業打ち切る 京都共栄 生徒200人が乗車
 事故の影響で、同線で通学している生徒が多い福知山市内の京都共栄学園、福知山女子、福知山商業、福知山淑徳の4高校は、いずれも午前中で授業を打ち切った。
 けが人が出た学校は、26日は通常通り授業をしたいとしているが、入院している生徒もおり、事故の影響は長引きそうだ。
 京都共栄学園高校(小野山利雄校長)では、200人近くの生徒がこの電車に乗っていた。42人が現場から救急車で病院に搬送され、いったん登校してきた生徒も、学校から病院へ運んだ。
 バス会社に連絡したが空いているバスがなく、近くの福知山淑徳高校の通学用バスを借りて生徒を乗せたという。授業は3時限で打ち切った。
 福知山女子高校(山本哲市校長)では、乗車していた30人全員が軽いけが。歩いて通勤途中、踏切で立ち往生しているトラックをみつけた同校の伊藤久教諭は「運転手と一緒に発煙筒を探したがみつからず、あっという間に電車がきて衝突してしまった」と話している。
 福知山商業高校(藤林勇校長)では、約100人がけがをした。校内に負傷した生徒をチェックする窓口を置き、父母らの問い合わせに対応していた。(朝日新聞)
■福知山支社を聴取 電車衝突で運輸省
 福知山市堀のJR福知山線踏切で、満員の普通電車と大型トラックが衝突、乗客300余人がけがをした事故で、運輸省事故対策本部の白鳥健治施設課技術開発室長ら係官5人が26日朝からJR西日本福知山支社で事情聴取した。
 白鳥室長らは、この日午前9時に同支社を訪れ、桜井紘一支社長らから事故の概要や列車運行状況、保安設備面など詳しい説明を受けた。続いて同市半田のJR福知山電車基地を訪れ、衝突した車両のうち事故現場に置かれている先頭車両を除く2両目、3両目を視察、ブレーキ関係など詳しく調査した。一行は昨夜、見た事故現場の様子と合わせ、独自に事故の背景を分析する。
 一方、京都府警捜査本部(福知山署)は26日朝から、トラックを運転していた田中正美容疑者(49)の取り調べを続行。捜査員が300人余りのけが人全員に面会、トラックが立ち往生していた正確な位置や、電車がブレーキをかけた地点など事情聴取を始めた。JR側関係者の事情聴取も続け、衝突にいたった詳しい経緯の解明を急いでいる。同本部は午後、田中容疑者を京都地検に送検した。(京都新聞 夕刊)
■信号機故障?朝の足乱れる JR奈良線
 26日午前7時半ごろ、城陽市寺田、JR奈良線城陽駅構内の上り出発信号機が赤のまま変わらないのを、大阪市阿倍野区、JR西日本天王寺指令の係員が奈良線CTC制御盤で発見した。京都信号通信区から係員が現場に急行するとともに駅員が調べたところ駅構内の京都寄りにある踏切(響報機、遮断機つき)の踏切支障報知装置の非常ボタンが押されていた。踏切に異常がないため約30分後に運転を再開したが、上下5本が2分から最高29分遅れ、2700人の足に影替が出た。
 踏切支障報知装置は、踏切内で事故が発生した場合異常を知らせるシステムで、列車が踏切内に進入しないよう関係の信号機が赤になる。当時、上り列車(京都行き)が近づいていたが、ホーム手前で信号に従い停車した。
 JR西日本と府警鉄道警察隊で原因を調べている。(京都新聞 夕刊)
■事故前に駅に連絡 国鉄OB証言 JR否定 福知山線事故
 京都府福知山市のJR福知山線岡踏切で普通電車が、立ち往生していた大型トラックに衝突、310人の負傷者を出した事故で、事故の数分前に現場近くの住民がJR福知山駅に連絡していたことがわかった。住民の証言どおりだとすると、無線などで列車に危険を知らせ、事故を未然に防げた可能性もある。JR側は「住民から連絡があったのは事故の後」と否定している。
 現場のそばに住む元国鉄職員で市立桃映中学の嘱託職員吉竹昭二郎さん(63)によると、午前8時10分ごろ、家の外が騒がしいので出たところ、大型トラックが荷台に積んだパワーショベルを、高さ制限の鉄枠に引っかけ、車を前後させていた。
 吉竹さんはあわてて自宅に戻り、JR福知山駅に「一宮神社のそばの踏切で事故だ。すぐ手配して現場に急行してくれ」と連絡。駅側は「JR福知山駅です。はい」といった。吉竹さんは電話を切り、再び外に出た。それから数分して警報機が鳴りだし、間もなく、列車が現場に来てぶつかった−という。吉竹さんは旧国鉄時代は機関士。在職中から福知山駅の電話番号は記憶していた。
 これに対してJR側は、事故の一報は、事故直後の午前8時19分に列車を運転していた川嶋正弘運転士から受けたという。またJR福知山駅には同8時21分に近くの住民から「踏切で事故が起きた」という電話が入ったが、事故の前にはだれも受けていないといっている。
 吉竹さんが電話をかけた時刻は、前後の状況や、吉竹さんの記憶から同8時10分すぎとみられる。列車は同11分に兵庫県氷上郡市島町の丹波竹田駅を出発している。JR西日本福知山支社によると、事故前に連絡が入ったときに列車がまだ丹波竹田駅にとどまっていれば、同駅の出発信号機を赤にして止めることができる。また出発していたとしても、無線で知らせることができると説明している。
・高さ制限標にご注意 引っかけ事故相次ぐ JR昨年度12件
 JRの踏切の高さ制限の注意標を引っかける事故が、最近相次いでいる。25日に起きた福知山線での衝突脱線事故も、このケース。本来は電車の架線を防護する目的だが、高さ違反の自動車が無理に進入して架線に引っかけ列車をストップさせるケースが昨年度で12件に上っている。これといった防止策はなく、JRではドライバーのマナー向上を呼び掛けることにした。(朝日新聞 夕刊)
27日■広島駅発砲で 組員に懲役刑 広島地裁
 JR新幹線広島駅ホームで昭和63年7月、暴力団共政会組員らが対立する暴力団組長を狙って短銃を乱射、一般乗客2人を含む3人が重軽傷を負った事件で、殺人未遂などの罪に問われた広島市中区南竹屋町、暴力団青木組組員上田嘉居被告(29)ら5人の暴力団員に対する判決公判が26日、広島地裁で開かれた。
 横山武男裁判長は「新幹線ホームで短銃を発砲し、市民を恐怖におとしいれた」として上田被告と川元秀樹被告(32)、大見陽二被告(32)、沖野誠被告(28)の4人にそれぞれ懲役14年(求刑各同20年)、高松利明被告(26)に懲役13年(求刑同20年)を言い渡した。(朝日新聞)
■JR踏切事故 ”後遺症”まだ色濃く 登校したが痛み訴え 運輸省も現地調査
 福知山市掘のJR福知山線踏切で電車が、立ち往生していた大型トラックに衝突、310人の負傷者を出した事故から一夜明けた26日、府警の捜査本部はけがをした市内の4高校の生徒80人から、けがの程度や事故当時の様子などを聴いた。また、運輸省の係官が調査に訪れ、JR側から事故状況や安全対策などを聴いた。登校した生徒の中には包帯をしたり、気分が悪くなったりするなど、事故の後遺症はまだ色濃く残っていた。
 事故現場には脱線した1両目の車両が空き地にカバーをかけたまま置いてあり、踏切のそばには折れた鉄柱やコンクリートの破片が散らはっていた。
 事故の影響で25日に休校となった市内の4高校は26日、平常授業にもどった。179人の生徒が乗り合わせ、69人がけが、7人が入院した福知山商では、授業の前に藤林勇校長が校内放送で事故の模様を説明した。7人のうち5人が退院したが、あらたに、17人が登校後、吐き気や首に痛みを訴え、早退して病院に向かう生徒もいた。
 京都共栄学園では事故にあって病院で手当てを受けた151人のうちこの日、97人が欠席。新たに22人に打撲などの症状がみつかった。
 47人が列車に乗っていた福知山淑徳高の生徒は25日に入院した4人のうち2人が退院、13人が欠席した。
・田中運転手を送検
 JR福知山線踏切で、立ち往生していた近くの土木建設会社「米田組」の大型トラックに普通電車が衝突、310人の負傷者を出した事故で、福知山署は26日午後、大型トラックの運転手田中正美容疑者(49)=同市天田=を過失往来危険、業務上過失傷害、道路交通法違反の疑いで京都地検に送検した。(朝日新聞)
28日■落としもの現金 10億円超す JR西2年度まとめ
 JR西日本は27日、平成2年度忘れもの実績をまとめた。忘れもの総件数は45万8000件で前年度に比べ9%減少したが、このうち現金の落としものは10億1045万円と前年度より6600万円も増え、初の10億円の大台に達した。
 品目別ではやはり傘がトップで17万9000点。次いで衣類4万5000点。(京都新聞)
29日■負傷者362人に 福知山事故車両移す
 福知山市野家のJR福知山線岡踏切で満員の普通電車と大型トラックが衝突、乗客300人以上がけがをした事故で、現場に置かれていた電車先頭車両が28日、事故発生から3日ぶりにJR福知山電車基地(同市半田)へ運ばれた。
 午後5時から長さ20b、39dの車体を大型クレーンでつり下げ、トレラーに積み込んだ。交通量の少なくなるのを待ち、午後9時搬送開始。パトカーの先導で国道9号から市道を通り、基地まで約6`を、時速10`で慎重に移動、午後11時ごろには基地内に据え付けを終えた。
 事故によるけが人は、その後の京都府警捜査本部(福知山署)の調べでさらに53人増え、28日現在362人になった。うち10人が観察入院中。(京都新聞)
■杉森社長らを再任 信楽高原鉄道株主総会
 死傷者500人を超す大惨事となった信楽高原鉄道列車事故後、初の株主総会が29日午前10時から滋賀県甲賀郡信楽町長野の信楽町開発センターで開かれた。
 総会には、代表取締役社長の杉森一夫信楽町長ら株主、役員17人が出席、42人の犠牲者に1分間の黙とうをささげたあと議事に入った。
 取締役の選任など4議案を原案通り承認。任期満了となる杉森社長ら8人の取締役と3人の監査役を、それぞれ再任。新たに西尾千秋氏が取締役に就任。主任技術者で非常勤の中野和夫専務ら2人が退任した。
 引き続き取締役会が行われ、杉森社長らが再任された。(京都新聞 夕刊)
30日■北近畿タンゴ鉄道 経常で7200万円赤字 2年度決算 旅客は順調に伸びる
 北近畿タンゴ鉄道は29日、京都市上京区の平安会館で定時株主総会を開き、平成2年度の決算を承認した。昨年4月にJR宮津線の営業を継承して以来の初決算は、経常収支で7200万円の赤字となった。
 決算によると、宮福線、宮津線合わせた運賃収入など営業収入が14億9165万1000円に対し、人件費や特急車両タンゴエクスプローラーの減価償却費など営業支出は15億8154万7000円で、営業外収入を加えた経常収支は7223万円の赤字を計上した。前年度も553万円の赤字。
 第三セクター鉄道に転換した宮津線は、特定地方交通線として国から5年間、赤字の半額が補助される。これに府、沿線市町らが拠出した同鉄道経営安定基金(13億円)からの助成などで、赤字分は全額補てんされることになっている。
 旅客実績は、JRが乗り入れ、線外旅客の多い宮津線が323万5000人、宮福線が66万1000人の計389万6000人で、前年度に比べ15%伸びており、「経営努力で順調な歩み」としている。
 任期切れに伴う役員改選で、新任6人を含む23人を選出。総会後の取締役会で代表権を持つ荒巻禎一社長(京都府知事)、谷岡豊次専務(府出納長)らを再任した。
・新役員は次の通り。
 ▽取締役=中村稔福知山市長(副社長)、奥野重儀網野町長、山本第四郎兵庫県土木部長、小森幹夫阪急電鉄専務、和田庄市宮津商工会議所会頭▽常勤監査役=宮崎勲元宮津市水道課長(京都新聞)
■あすから計画案縦覧 山科駅前再開発事業
 京都市は7月1日から14日まで中京区烏丸通六角上ル、長谷六角ビル4階、市都市計画局市街地再開発課と山科区安朱南屋敷町の市街地再開発事業現場詰め所で、山科駅前地区第一種市街地再開発事業の事業計画案を縦覧する。
 同事業はJR山科駅前約2.8fを対象に、商業施設(1万6000平方b)や住宅(167戸)、業務施設、公益的施設が入る再開発ビル4棟(延べ7万8000平方b)を建設するとともに、駅前通の拡幅(22b)交通広場(3ヵ所、計6700平方b)、駐輪場(約1900台)の整備などを行い、ターミナル機能や住環境の充実を図るプロジェクト。権利書は143人。
 事業計画決定に向けての手続きで、関係権利書は市に意見書を提出することができる。提出期限は7月29日。提出先は中京区烏丸通六角上ル、長谷六角ビル4階、京都市市街地再開発課 075(212)3103へ。(京都新聞)
■走れニュートレイン〈12〉成田エクスプレス JR東日本 海外への新しい足
 東京都心と成田空港を結ぶ交通アクセスはリムジンバスと、上野と成田空港闇を結ぶ「京成エアポートエクスプレス」(AE車)が主だった。そして3月19日のダイヤ改正からJR東日本、京成AE車とも、成田新幹線用の空港ターミナルビル地下駅に念願の乗り入れが実現。JRと地下駅は第三セクターの成田空港高速鉄道の路線に、京成は従来の空港駅から地下駅に乗り入れた。
 このJR新特急に使用している車両が「成田エクスプレス」(NEX)の愛称を持つ253系特急電車である。この電車はグリーン車1両、普通車2両の3両編成が基本ユニットで、都心の池袋、新宿と横浜からの3両編成の電車は東京駅で東京駅発電車と連結して成田空港を結ぶ。
 外観は赤、黒、白の大胆なカラーで、赤色は屋根までに達し強烈なインパクトを与えている。デザインは同社の「スーパーひたち」「スーパービュー踊り子」と比較した場合、おとなしいスタイルだが、それがどことなく欧州の落ち着いたムードを漂わせている。
 車内は特に落ち着いた雰囲気。グリーン車は定員24人の1人掛け座席で、シックな色でまとめられている。グリーンの4人コンパートメントは欧州の特急列車をほうふつさせ、大型の荷物収納スペースは海外旅行客の便宜を図っている。普通車は4人ボックスシートながら、シートピッチは広く、背の部分と座席下には大きな荷物も収納できるスペースがある。やっと便利になった成田への「NEX」にかける期待は大きい。(鉄道写真家・南 正時)
 〈メモ〉池袋、新宿、横浜からと東京と成田空港間に23往復。全車指定席。東京−成田空港、普通車2890円。グリーン車4890円。東京−成田空港間は56分。(京都新聞)